衆議院

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第3号 平成20年11月26日(水曜日)

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平成二十年十一月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      木挽  司君    高村 正彦君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    新藤 義孝君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    中野  清君

      橋本  岳君    林  幹雄君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    安井潤一郎君

      山本 明彦君    太田 和美君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      田村 謙治君    牧  義夫君

      三谷 光男君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   財務副大臣        竹下  亘君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   中島 秀夫君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            丸山 純一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            居戸 利明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 田辺 靖雄君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   中尾 武彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂本 森男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石黒 憲彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           森川 正之君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            岡田 秀一君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          伊東 敏朗君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

十一月二十日

 中小業者の経営を守ることに関する請願(石井郁子君紹介)(第三二〇号)

 同(黄川田徹君紹介)(第三二一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三二二号)

 同(筒井信隆君紹介)(第三二三号)

 同(楠田大蔵君紹介)(第三四七号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三四八号)

 同(松本龍君紹介)(第三六七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四二二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四二三号)

 同(志位和夫君紹介)(第四二四号)

 株式会社NOVAの破綻原因究明と被害者救済を求めることに関する請願(山口壯君紹介)(第四三五号)

同月二十一日

 原子力発電等に関する請願(梶山弘志君紹介)(第四七八号)

 同(高木毅君紹介)(第四七九号)

 同(宮路和明君紹介)(第四八〇号)

 同(近藤基彦君紹介)(第四八七号)

 異常な原油価格高騰から暮らしを守る施策を求めることに関する請願(安住淳君紹介)(第五八五号)

 同(井上義久君紹介)(第五八六号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第五八七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五八八号)

 原油高への緊急対策を求めることに関する請願(菅野哲雄君紹介)(第五八九号)

 同(黄川田徹君紹介)(第五九〇号)

 同(階猛君紹介)(第五九一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五九二号)

同月二十五日

 中小建設業者の経営を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第六三二号)

 異常な原油価格高騰から暮らしを守る施策を求めることに関する請願(秋葉賢也君紹介)(第六三三号)

 同(郡和子君紹介)(第六三四号)

 同(土井亨君紹介)(第六三五号)

 同(二田孝治君紹介)(第七八六号)

 同(伊藤信太郎君紹介)(第八四二号)

 同(西村明宏君紹介)(第八四三号)

 原油高への緊急対策を求めることに関する請願(玉沢徳一郎君紹介)(第六三六号)

 中小業者の経営を守ることに関する請願(古川元久君紹介)(第七八五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社常務執行役伊東敏朗君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長中島秀夫君、金融庁総務企画局審議官細溝清史君、金融庁総務企画局審議官丸山純一君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、金融庁総務企画局参事官居戸利明君、外務省大臣官房審議官田辺靖雄君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、財務省国際局次長中尾武彦君、厚生労働省大臣官房審議官坂本森男君、経済産業省大臣官房審議官石黒憲彦君、経済産業省大臣官房審議官森川正之君、経済産業省通商政策局長岡田秀一君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、資源エネルギー庁長官石田徹君、資源エネルギー庁資源・燃料部長北川慎介君及び中小企業庁長官長谷川榮一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北神圭朗君。

北神委員 おはようございます。民主党の北神圭朗でございます。

 きょうは、大臣、五十分に参議院本会議があるということで、よろしくお願いしたいと思います。

 きょう経済産業委員会があるということで、きのう夕方、質問の準備に取りかかろうと思ったときに、もしかしたら予算委員会が入るという話が入って、もしかしたらなくなるという知らせが入りまして、やはり、やるかどうかわからないのに準備するというのはなかなか大変だな、まさしく選挙のようだなというふうにつくづく思いました。

 そういうことで、ちょっときょうは、やはり喫緊の課題である中小零細企業支援対策について皆さんと一緒に議論をしたいんですが、大臣もこの前の委員会での演説で、やはり第一番に中小零細企業の話を持ってこられた。その熱意というものを私も感じたんですが、まず御質問したいのは、今、年末に向けて中小零細企業の資金繰りの状況が厳しいというふうに思うんですが、大臣はその辺どういうふうに認識をされているか、伺いたいと思います。

二階国務大臣 極めて厳しい内外の経済状況の中で、私は、特に中小・小規模の資金繰りというものが御指摘のとおり極めて大変な状況にあるというふうに判断をいたしております。多くの経営者の皆さんが恐らく年末を控えて資金繰りに四苦八苦されている状況ではないか、このことに対して政府としていかに対応していくかということが当面の大きな課題であるというふうに思っております。

 先般、私は、十一月の七日でございましたが、経済産業局長会議というものを特に招集しまして、会議でいろいろ議論を行いました。議員も役所の御経験をお持ちでもございますが、地方の局長を呼んで、私が出席した時間が二時間、その後、役所の中だけの議論で四時間、六時間ぶっ続けの議論をしたということでございますが、その中において特に感じたことは、特定業種に対する消極的な融資の姿勢が見られる場合がある。これに対してどう対応するか。それは、ある面では不動産あるいは建設業等においても特にそういう声が聞こえる、新規貸し付けだけではなくて既往債務への柔軟な対応が必要であるという指摘もありました。

 これらにつきましては、金融機関そして保証協会、これらに対してしっかりした対応をしていただけるように協力を呼びかける。そこで、先般、私は、保証協会の全国の会長さんにお集まりをいただきまして、政府の方針といいますか、中小企業に対して万全の体制をとるために、保証協会としての対応を、奮起を促したわけであります。その際に、金融庁の監督局長に同席してもらって、そしてその場で経済産業省の考え方に対する局長の意見を開陳していただいたわけでございますが、金融庁の監督局長も、経済産業省の御主張のとおりしっかりとした対応をやりますということを皆さんの前で言われたわけであります。

 公的な金融の拡充に対する期待というものは各地で大変大きなものがあるということを、地方の局長は口々に言っておられました。私は、改めて来月早々もう一度、この時期に局長にお集まりをいただいて、現下の状況はどうなっておるかということを確かめてみたいと思いますが、もう既に議員も御承知のとおり、信用保証枠は毎日のように拡大しておりまして、今は一日九百億円を超す状況になってきております。そういう状況の中で、一層、私どもは責任の重大さを痛感しながらしっかりした対応をしていきたいと思っております。

 緊急の保証制度を初めとする三十兆円規模の保証・融資の的確な運用、これに当面は全力を尽くすとともに、民間金融の円滑化を働きかけていくということは当然のことであります。これは、政府系金融機関が幾ら頑張っても、民間の金融機関の貸し付けの量というのは圧倒的に多いわけでありますから、ここのところを資金需要に対して協力をしていただけるようなことを考えていきたい。そして、現場の中小・小規模企業の声を大切にしながら、そうした皆さんと同じ気持ちになって資金繰りの支援に万全を期してまいりたいと考えております。

北神委員 いろいろな役所から現場の声を吸い上げて、そして信用保証協会の会長にも方針を示して、金融庁も巻き込んでおられるということであります。

 先ほど大臣は、資金繰りは大変厳しいという話があって、私もきょう資料を提出させていただいて、一ページ目に東京商工リサーチの資料があって、倒産の形態に基づいて、その件数とかの推移の資料ですが、やはり、真ん中の二重丸の倒産原因別の中で、運転資金の欠乏が最近十年間で最多だと。件数からいえば、やはり不況ですから、需要が減少する中で、販売不振というものが一番多いんですが、下線の引いてあるところにありますように、運転資金の欠乏が三一・三%増、前年同期比ですね、増加率が一番高かったということで、この数字を見ても、まだ十月までの数字しか出ておりませんが、大変厳しい状況に中小零細企業はある。私も、地元へ戻っても、大臣もよくわかっているように、本当に急速に景気が悪化して、年末に向けてなおさら資金繰りに困っているというのが今の現状だというふうに思います。

 大臣先ほどおっしゃったように、政府としては、経済産業省としては三十兆円の貸付・保証枠を適切に運用するという話であります。しかし、実際は、三十兆円、まだ措置されていないんですよね。実際は、第一次補正予算しか通っていなくて、まだ全部で九兆円ですよね、貸し付けが三兆円、そして保証枠が六兆円かな、そういうことで、まだそれしか措置されていない。

 そういう中で、きのう、麻生総理大臣が、もともと新聞とかでは、与党と政府で来年冒頭に、通常国会の冒頭に第二次補正予算を提出するということが固まったというような記事が出ていましたが、また、麻生総理がリマで、自分は明日決める、つまりきのうの時点で決めたいという話をされて、きのう、正式に第二次補正予算は見送るという話がありましたが、この第二次補正予算は、今大臣がおっしゃったその三十兆円の大部分である二十一兆円が含まれている、しかも、多分ほかの中小支援策もそこに盛り込んでいる。

 これは普通に考えたら、大臣おっしゃるような本当に危機的な状況で、大臣もそういういろいろな汗をかかれて、いろいろな話を聞いたり指示を出したりしている中で、これはちょっと異例じゃないかな、大臣としてもおかしいんじゃないかと。これはやはり早急に第二次補正予算を出して、今の中小零細企業の経営者の皆さん、従業員の皆さんに政治がこれにしっかりと取り組んでいるという姿勢を見せるべきだと思うんですが、その点についていかがでしょうか。

二階国務大臣 補正予算の問題につきましては、議員も御指摘のとおり、できるだけ早く成立することを望むものでありますが、当然、そこには政治的な環境もあります、国会対策上のこともあるでしょう。ですから、私は、できるだけ早く提出して成立を願うという気持ちは前にもこの委員会でも申し上げたとおりでありますが、今日、一応政府の方針としてあのような決定が下った以上は、ここから先、一日も早く、できるだけ早く提出をして、そして早期に成立を願う、その努力をこれからしてまいりたいと思っております。

 なお、御指摘のように、たしか今は第一次の補正予算で九兆円御了解をいただいておるところでありますが、九兆円の今の状況の中において、私どもが毎日のように貸付枠等の集計をとりながら全国の状況を見ておりますが、今のまま進んでいきますと、今、国会で御了解をいただいている三兆円と六兆円、計九兆円の枠の中で、年内はこれで乗り越えていくことができるだろうというふうに見ております。

北神委員 乗り越えられるという話です。きのう、麻生総理大臣もそういうことを言われています。

 それはまた後でちょっと議論したいんですが、そもそも、でも、大臣はやはり早く出すべきだというふうにお考えだと思うんですね。国会対策上の問題とかいろいろおっしゃいましたが、実際、ちょっと私は、本当に何で出せないのかわからないんですよ。いろいろな説がありますよね。ただ、大臣は、これは何で出さないんですか。どういう理由で、政治的環境の話とか国会対策上とおっしゃるんですが、どういうことなんですか、これは。(発言する者あり)

二階国務大臣 私どもは、今申し上げましたような三兆円の緊急融資と六兆円の保証枠を確保してございますので、年内はこれで乗り越えていけるというふうに判断をし、かつ、総理の方も年明け早々に国会に御提案をして御審議を願うということを申しておられるわけでありますから、私は、今の我々の担当しております中小企業、特に年末の金融についてはこれでしっかりした対応ができるというふうに判断をしておる次第であります。

北神委員 乗り切れるかどうかというのは、大臣はそうおっしゃるんだったらそれでいいんですけれども、当然、それはやった方が、例えば、最低限、心理的な効果はありますよね。政府は非常に迅速に対応してくれて、さらに金額を積み上げて万全の体制を整えている、そういうことになりますよね。ですから早い方がいい。私がお聞きしたいのは、何で出せないのかと。

 それで、さっき不規則発言で自分の党首に聞けという話があったけれども、いろいろな説を聞いているんですよ。財務省が言う、これもわけのわからぬ理屈で、法人税の税収の確報が出ないからとか、わけのわからぬ理由が出たり、あるいは、補正予算の中身が詰まっていない、だからこれを出したらいろいろ突っ込まれるから嫌だと。党首に聞け、うちの小沢代表に聞けというのは、多分、どうせ小沢代表が政局絡みにして反対をして、国会法でいけば来年の一月二十九日には臨時国会を閉じないといけないから、それまでに廃案になったりするとメンツが立たないということだと思います。

 三つ目の理由からいえば、当然これは、補正予算は、実際質疑しないとわからないんですよ、賛成するか反対をするか。反対をするだろうから出すのをやめるというのも全くおかしな理屈だと思うんですよ。それはやはり政権与党としての責任を持って、堂々と問うたらいいと思うんですよ。民主党が反対をして、皆さん自信があるんだったら、国民の皆さんが、民主党はまた、小沢さんは政局絡みでまた得意の足手まといみたいなことをやっている、民主党は国民の生活を全然考えていないじゃないか、こういうことになるはずですよ、皆さん自信があれば。これはどういう理屈で出さないんですか。

二階国務大臣 私どもは、第二次の補正予算ということに対しても大変大きな期待を寄せると同時に、このことによって、中小企業の皆さんのみならず、企業にいそしんでおられる方々の御心配を少しでも取り除いていきたい、基本的にはそう考えておりますから、私たちは早期にこのことが決定されることを願っておるわけであります。あわせて、年末を迎えて、当然、来年度の予算編成に取り組まなきゃならぬ、そういう時期に来ております。私は、補正予算も極めて重要な要素を持っておりますが、来年度の予算というものはもっと重要な意味合いを持っておるというそれらの内容。

 それから、税制の問題におきましても、これも十分議論をしなくてはなりません。我々は、党内の議論、そして政府税調等とのすり合わせ等を含めて、いろいろな手続、議論に時間を要するわけでありますが、そうしたことに対してもしっかりとした取り組みをしていかなくてはならない。

 そこらを総合的に総理が判断をされてああいう結論を下されたわけでありますから、我々は内閣の一員としてこの方針に沿って対応する、こういうことでございます。

北神委員 総理がお決めになったからということに尽きるというふうに思うんですが、先ほど年内は越せるという話がありましたが、確かに、普通の保証枠あるいはセーフティーネット貸し付けでいけば、私も多分大丈夫だというふうに思うんです。

 ただ、新しく第二次補正予算に盛り込まれる予定である政府系金融機関の貸し付けのうち一千億円が、今度、財政支出として大体一千億円、第二次補正予算に計上される。実は、先ほど大臣の話の中で、新規の貸し出しというものも大事だけれども、既往の債務、既に貸し出しを受けていて、その金利の負担とか、あるいは返済期間の問題で非常に苦しんでいる、だから、新しくお金を借りるどころじゃない、既に今借りている借金で大変な負担を感じているということが今大事だというふうに大臣もおっしゃったんです。

 そういう意味では、私も、金利とかを引き下げる、要するに条件変更みたいな話もやはり大事だというふうに思うんですが、経済産業省の事務方の皆さんとお話をしていると、それは実は第二次補正予算の一千億円の中に含まれているんだ、一種、金利を引き下げる部分について含まれていると。逆に言えば、第一次補正予算のところにはそれは入っていないんですね。利子補給というか金利を引き下げるための原資というものが入っていない。これについては、大臣がさっき言ったように既往債務を和らげるのが大事だということであるならば、これは第二次補正予算を通さないと今のところはできないわけですから、やはり問題になるんじゃないですか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘ございましたように、中小企業、小規模企業の方にとりまして、金利は大変重い問題でございます。

 もともと、政府系の金融機関の中小企業の皆さんへの融資につきましては、財投資金等々を活用いたしまして、極力金利を安くするという制度に御案内のとおりなっております。第一次補正予算とも絡みますけれども、すべての中小企業の業種の方々を対象にいたしまして、いわゆるセーフティーネット貸し付けというものを既に開始しておりまして、実は、先生、きょう我々にこの委員会でお配りいただきました資料の中にも、その実績がふえているということは如実に出ているところでございます。

 金利につきましては、日々の金融情勢、あるいは債務者の状況、あるいは担保の状況等々によりまして動く要素がございますので、余り一概に言ってはいけないわけでございます。そうは申しましても、財投資金を活用しているということで、私どもは、政策金融公庫が行います金融につきましてはなるべく低くというようなことで運用させていただいておりまして、現時点の水準で申し上げますと、これもケース・バイ・ケースでありますけれども、総じて申し上げれば、やはり民間に比べて大体一%程度低いのではないかというふうに推量をしております。

 したがいまして、このセーフティーネット貸し付けにつきましても、先ほど大臣から御答弁ございましたように、なるべく広く使っていただきますように万々の努力をしております。

 そして、中小企業の皆さんの場合には、政策金融あるいは保証を使わない、民間金融機関からの融資というのも大変多い割合で使っていただいておりますので、これにつきましては、既存の融資の返済条件の緩和ということを金融庁を通じて、あるいは、それを受けまして、信用保証協会の方でも、うまくそこが受け皿になりますように、私の方から文書をもちまして既に要請をいたしました。

 こういったことを通じまして、少しでも既存の返済負担、金利負担も含めまして軽減するようにということを期待しておるところでございます。

北神委員 大臣、こういうパンフレットを出しているんですね、中小企業庁の方で。この中にセーフティーネット貸し付けの話が出ていて、さっきの、三兆円から十兆円にまで三倍以上拡大しますと。その中に「特に業況の厳しい方に対する金利の引き下げも行う予定です。」というふうにあるんですね。これは、さすが役所であって、「予定です。」と、予定という言葉が入っているんで、決めていないということを言われるんだったらそれは何とも言えないですが。

 この金利の引き下げというのは、当然政府系金融機関がやるわけです。金利の引き下げだったら、当然政府系金融機関がその分の負担を負わないといけないわけですね。その負担の部分を政府が財政支出で出してあげるというのが私の理解なんですよ。しかも、それは第一次補正予算にはその資金がなくて、第二次補正予算で一千億円、政府系金融機関に財政支出として充てる、その中から金利の引き下げの部分を賄う、この理解でいいんですか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 第二次補正予算というものの詳細につきましては現在調整中でございますけれども、今先生御指摘ございましたそのパンフレットの中で私どもが書いておりますのは、私どもの希望としては、十月三十日に政府・与党で決めました約〇・五兆円を金融対策に充てるということでございますけれども、その中の一部をそういった金利の負担の軽減に充てられればいいなということで、そういった格好で、総理の御方針では来年早々に提出される補正予算の中にそういった中身がうまく組み込まれればいいなと。そして経済産業省としては、そういったことが金利負担の軽減に結びつくような予算措置を大臣の指揮を仰ぎまして全力を挙げまして補正予算の中に具体化していきたい、こういったような私どもの覚悟といいますか、考え方を予定という言葉で入れさせていただいております。

北神委員 そのとおりなんですね。ですから、金利を引き下げる予定ということは、第二次補正予算で予定をしているということなんですよ。したがって、第二次補正予算が早く措置されなければ、要するに年内は金利の引き下げということはできないことになるわけです。

 ですから、そういう意味でも、大臣も私と同じ認識で、それはこういう措置をできるだけすればするほど中小零細企業の皆さんは助かるということだと思うので、そういう意味でも大臣は全く問題ないと。

 あるいは、麻生総理大臣も、私のこの資料にもありますが、三ページ目ですけれども、きのうの首相官邸における記者団とのやりとりで、年末年始の資金繰りという話をされてきているが、年明けに先送りしても問題ないという認識かというところで、彼も、いろいろ言っておられますが、簡単に言えば問題ない、大臣がおっしゃっていたような意味で、今の九兆円で十分賄えるんだという話をされています。

 それでもやはり、今申し上げたような、金利を安くしてあげるとか、こういった措置も含まれていないんですね、第一次補正の方には。やはり第二次補正を通してあげないと、こういうことは政府系金融はできないと。こういう意味でも、いろいろな政治的な配慮はあるけれども、中小零細企業支援対策としては、やはりこれは堂々と提出すべきだと思うんですよ。いかがでしょうか。

二階国務大臣 政府・与党で協議をして、今回の判断として年明け早々に提出させていただく、こういうことに決まったわけであります。これは、国会対策上のことも十分配慮し、党の代表も国会対策の責任者も衆参出ておられるそういう席での判断ですから、もろもろのことを想定し、その上での最終的な判断ですから、我々は政府の一員としてこの方針に沿って対応していきたい。今与えられた条件の中で年末の金融等に対しては万全を期していきたい。その上、今委員御指摘のような点も我々は十分承っておきたいと思います。

北神委員 あくまでも来年の通常国会冒頭だということだと思います。金利の引き下げの問題も、そういう意味では中小零細企業はその適用を受けられないということにもなります。

 あと、これは通告していなかったので事務方で結構なんですが、このパンフレットに沿ってでもいいんですが、ほかに第二次補正予算で予定していたことというのはどういうことがあるか、教えていただけますか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの希望でございますが、ただ、これは一応希望というよりは、政府・与党の決定にはなっておりますけれども、決め事でございますけれども、地域の経済が非常に打撃を受けておりますので、そういう中で、地域コミュニティーの活性化といいますか、大事な機能の維持のために重要な役割を果たします商店街の皆様方に必要な設備を装備していただくことを補助するもの、あるいは、昨今新しい市場の開拓というのが、特に中小企業の中には、まだまだこういうような状況にめげずに、しっかり内外の販路を開拓したい、いいものを売っていきたい、こういう方もいらっしゃいますので、そういった方々へのいろいろな活動の支援、こういったようなことを盛り込ませていただきたいということで、生活対策には入っているという理解でございます。

北神委員 今、それで全部ですか、第二次補正の。商店街の活性化の話だけなんですか。ほかにもあるんですか。

長谷川政府参考人 ですから、繰り返しで恐縮でございますけれども、商店街の活動支援のほかに、内外の販路開拓、こういったことの中には、これまで私どもが、先生方のお許しをいただきまして、地域の一次産業と、それから農商工連携という名前のもとでございますけれども、そういったようなこと、あるいは地域の資源がきちんと生かされたような、そういった物品とかそういったものの販路の拡大、こういったようなことをあわせまして考えているというふうなことを申し上げました。

 あと、細かいことまで御答弁してよろしいということであれば、そのほか、私どもとしては、これからの中小企業を担う人材の方の陶冶といいますか、研修の向上に何かいいプログラムはできないかというようなことを、この生活対策の中であわせましてお認めいただいているというところでございます。

北神委員 やはり第二次補正予算にも、それはどのぐらいの効果があるかというのはいろいろ議論しないといけないところですけれども、そういう措置も予定されていたんですよね、商店街の話とかあるいは中小企業の販路の話、農商工連携の話。

 あと、私が大事だと思うのは、中小企業金融貸し渋り一一〇番とか、これ自体がどうということじゃないですけれども、今実際いろいろな対策を、九兆円の対策も打って、これが実際、中小零細企業にどのような資金供給の現場の状態になっているのか。これも第二次補正予算で措置される予定だったんですよね。これはもうやっているんですか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がございました中小企業、小規模企業向けの金融、これが、いわゆる御利用される方々への現場への浸透、さらに、今お話がございました中小企業者の利用者の、借りるサイドから見ましたいろいろな御不信、御不満、こういった声を酌み上げる、いわゆる一一〇番につきましては既に実行しております。これにつきましては、むしろ、与野党両党の先生方からの御指摘も受けまして、金融庁のいろいろな情報を集める目安箱というものがございますので、そこと連携するような形で既に運用しております。

 それから、大臣、副大臣それから政務官に私どもも随行いたしまして、手分けをして、そういった御意見を承る会、あるいは説明をする会というようなことで全国で既に実施をしております。

 こういったものにつきましては、既往の事務経費あるいは旅費を活用して既に実行しております。

北神委員 第二次補正予算ではそういうことが結局年内には措置されないということをもう一度申し上げて、この話は終わりにしたいと思いますが、さっき一番最後に、もう既にやっているという話で、一一〇番とかやっていると。

 これはちょっと皆さんに、御指摘をさせていただいて、また対応をお願いしたいと思うのは、どうも銀行の現場とか中小零細企業の経営者の話を聞いていると、この九兆円の話は非常にありがたい、これについて非常に活用しようという動きが大変あると。あり過ぎるぐらいで、この緊急政府保証というのはたしか市町村が窓口になっていて、いろいろそこで認定を受けないといけない。ところが、今、物すごい殺到しているので、市町村の人手が物すごい足りない、対応が本来よりはおくれてしまっている。

 ですから、ちょっと大臣に一つの提案として、第二次補正予算をおくらせるんだったら、例えば人員補充とかあるいは手続の簡素化、つまり、窓口のところで詰まっちゃっているという現状なので、やはりここを円滑化するということが大事なんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、北神先生がおっしゃいましたように、市町村での御協力を得まして運用しておりますが、そこが手続的に詰まるということはあってはならないわけでございます。

 無論、緊急保証ということで、従来お使いにならなかった方々が短時間の間に申請ということでお見えになるわけですから、物理的にはそこで待ちということが出ることは避けられないわけでございますが、その結果の負担を最小限にするということで、私どもは、商工会議所、商工会に協力要請をいたしまして、経営指導員というような者もおりますし、中小企業のそういった経営指導、金融指導になれておられる方が全国にたくさんおります。

 既に、商工会は自発的にそういったお手伝いをするし、商工会議所の方でもそのお手伝いをすることによりまして、少しでも区市町村の職員の窓口の方自体にかかる負担を減らすということが動き始めております。

 なお、東京都におきましては、中小企業診断士の方々の御協力も得るということで、今申し上げました、窓口で詰まるということが極力ないようにということに既に取りかかっているところでございます。

二階国務大臣 私どもも、現場の状況はどうなっておるかということは常に注視しておるわけでありますが、今中小企業庁長官から御答弁申し上げましたように、私は、このことに関して、やはり地方の御協力も得なきゃなりませんし、日本商工会議所あるいは全国商工会連合会、各地のそうした経営指導員の方々の御協力も得られるようにしたい。

 これは、どう表現するかは別として、国家としても非常事態だと思うんです。議員もそういう専門家のお一人でありましょうが、いまだかつてこうした事態というのは、過去のオイルショックとか、いろいろな経緯がありましたが、中でも、我々は常にアメリカの経済ということを頼りにしながら、中小企業を初め、輸出にいそしんできたこの国として、今日のこの状況は、肝心の方が揺らいでおるわけでありますから、大変な状況だというふうに認識しております。

 ですから、それぞれの現場でお互いに協力し合ってシフトをして、今大事な、保証協会の関係で殺到してこられておる現場があるとすれば、そこにやはり市町村や県がシフトをする、商工会議所がシフトをするということに御協力を願いたいということを既に経済産業省の出先を通じてお願いを申し上げておりますが、今のところ、それについてはほぼ順調に推移しておるというふうに見ておるわけであります。

 そして、緊急保証に係る実績を見ましても、既に御承知のとおりと思いますが、十月の三十一日に、スタートした日はまだその趣旨が徹底しておりませんので、その日は二十億程度の融資がまとまったわけであります。

 その後は、これは順調という表現がいいのかどうか、こういう事態の貸し付けでありますから、これがどんどん伸びていくことが、順調だという表現ができるかどうかということは一考を要するところでありますが、少なくとも窓口の整理としましてはだんだんと伸びておりまして、十一月の二十一日には六百三十五億、こういうことであります。

 その後の連休明けにどういう反応になるか。連休中には少し経営のことと離れておってダウンするのか、それとも、そのときに準備をし、いろいろ書類を整理されて、連休明けにわっと来られるのかどうかということを関心を持って見ておりましたが、このときは、十一月の二十一日に先ほど申し上げた六百三十五億で、十一月の二十五日には九百四十三億というふうにふえておりますから、このままいきますと一千億を超える日も、だんだん年末に近づいていくにつけて出てくるのではないか。

 しかし、そのときに現場でトラブルを起こすことのないように、先般も私は東京都内のことを新聞で拝見しましたが、都の区役所ですか、大勢の皆さんが殺到して困っておるというような状況がありました。まさにそういうときは、区にも人がほかにもおるわけでありますから、そこは、こういう事態に対してみんなが協力し合ってカバーし合うということがやはり大事じゃないか。

 そのことを私どもは、当たり前だという意識ではなくて、ここは御協力をお願いしたい。辞を低くして経済産業省が今お願いし、御協力を要請しているところでありますが、順調な御協力を得られておるというふうに判断をしております。

北神委員 私もきのうの夜、銀行の方とかあるいは経営者の方の話を聞いたところなんですが、これはあくまで現場の数人の声ですから、彼らは、窓口が非常に混雑していてなかなかすっと通らないと。だから、さっき、大臣おっしゃるとおりです、区役所とかでほかの人員を集めて集中させたり、そういうことを彼らみずから判断できないんだったら、大臣から、経済産業省の方からやはり指導していただきたい。あるいはその手続の簡素化についても、そういう要望もありましたので、ここで一つ要求だけさせていただきたいというふうに思います。

 次に、貸し渋りの問題あるいは貸しはがしの問題で、ちょっと私は大臣の頭の整理のお考えをお聞きしたいんです。

 資金繰りが厳しい中で、今おっしゃっていた政府保証、信用保証あるいは政府系金融機関の貸し付け、こういった方法で対策を打っている。一方で、今審議中の金融機能強化法の話がありますね。これも、現行、今までの法律というのは信用秩序の安定とか、地域経済の安定というものももちろん目的に入っていたんですが、今回改正を出されている。

 やはり議論が一つ混乱している理由は、今回は、私の資料にもありますが、中川大臣も、特に中小企業に対する資金面の後押しをすることが今度の金融機能強化法の大きな目的なんだと全面的に押し出しているんですね。ところが、ここで二兆円積むのか、最低二兆円公的資金を充てるという話なんですが、普通に考えたら、これは要するに、銀行が申請をしてきて、何か審査をして、それで必要な金額を資本注入として入れてあげる。それで、いろいろな工夫をして、ちゃんと中小企業にお金を貸し出すかどうかというものをまたフォローしないといけないという、大変ややこしい、そう簡単に中小企業に回るかどうかというのは、少なくとも今までの事例からいっても、まず申請する数も非常に、二行しかなかったと。今度、使い勝手をちょっとよくするとか条件を緩和するとかいろいろありますが、これは本当に中小企業にお金が回るのかどうかわからないと思うんですね。

 それはいろいろ努力をされていると思いますが、そんなことをするより、単刀直入に、二兆円をこんな金融機能強化法なんかに充てるよりは、さっき大臣おっしゃったように、まさにこういう緊急事態のときには公的金融機関の出番だということですよね。民間の金融機関の補完として、貸し渋り、貸しはがしを補うのがまさに政府系金融機関の役割である、存在意義である。それを考えると、単純に思うと、二兆円、そんな金融機能強化法みたいなものにいって、ややこしい農中の議論とか東京の新銀行の議論とかそんなことをやるよりは、単純に公的金融機関に二兆円積んでもっと貸し出しをふやす、そうすると、その方が中小零細企業の資金繰りにとっていいんじゃないかと思うんですが、この辺、どうお考えでしょうか。

二階国務大臣 中小・小規模企業の資金繰りの円滑化に向けて、公的金融の拡充に加えて、中小企業金融の八割を占める民間金融の円滑化が、お説のとおり必要不可欠であります。このため、三十兆円の事業規模の保証・融資の実施と並行して、民間金融がリスクをとって中小・小規模企業に融資を実施する環境づくりが重要だと考えております。

 一方、国際的な金融不安や株安などにより地域金融機関が影響を受け、今後、自己資本比率の維持や不良債権処理費用の削減のために、中小・小規模企業向けの貸し出しを圧縮するおそれもこれは否定することはできません。

 そこで、金融機能強化法の成立を期して、地域金融機関の早い段階での体力強化を可能として、安心感が広がるという方向で中小・小規模企業の金融を円滑にすることを考えておるわけでございます。

 議員の御主張も御意見として承っておきますが、我々は、この金融強化法を早く通していただいて、中小・小規模企業の年末、年度末の資金繰りに万全を期するためにも、早期成立を願っているところであります。

北神委員 民間金融機関が中小零細企業の八割の融資を占めている、おっしゃるとおりであります。

 ただ、恐らく、大臣が後半におっしゃった、株価の下落とかで資本が毀損をして、それで金融機関がはっきり言えば倒産する、あるいは破産することは、あり得ないことはない。そういう、今、緊急的な、危機的な状態だ。その方が多分この法案のみそだと思うんですよ。それだったら、今までと、現行法と余り変わらないんですよね。これを、何か中小企業の資金繰りとか、目的を余りにも強調し過ぎるから、非常に議論がわかりにくくなっている。

 だから、私は、今までどおり、まさに事前に予防的に銀行、地方の金融機関に資本を注入して万全を期すというのが今までの法律だったので、何かいまいち、本当に、今回の改正の目的、中川大臣のおっしゃっていることはよくわからない。本当に中小企業の資金繰りだけが目的、あるいは一番大きな目的であるならば、やはり普通にいけば、王道でいけば、公的金融機関に公的資金を入れるべきだ。これは大臣のお考えをお聞きしたかっただけなので。

 大臣、もうあと一、二分で行かれないといけないと思いますが、最後に一問だけお聞きしたいのは、私は、二年前、平成十八年の三月十七日に当委員会で大臣に、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律案の審議のときに、あのとき、川下の大企業と川上の中小零細企業、中小零細企業は、すばらしい技術を持っているけれども、どういう大企業がどういう技術を欲しているかわからない。なかなかマッチングがうまいこと行われないというときに、私は、国内でそういうことをするのは大変結構なことだけれども、やはり今の中小零細企業の置かれている立場を考えると、今、下請いじめとか、昔のピラミッドの元請と下請というのが非常に厳しい状況になっておりますので、ここから解放してあげて自立させるのが、やはり中小零細企業の今後の開拓の余地があると。

 そういうところで、経済産業省として、国内だけのマッチングじゃなくて海外とのマッチング、海外のいろいろな企業で日本の中小零細企業のすばらしい技術を欲しがっている。たくさんあると思うんです。この辺の仲介、マッチングをやるべきだと言ったら、大変結構な提案だというふうにお褒めをいただきまして、検討するとおっしゃっていたんですが、その検討状況について伺いたいと思います。

二階国務大臣 確かに、平成十八年、先生からそういう御質問をいただき、私も積極的な御答弁を申し上げたことを記憶いたしております。

 そこで、国内の企業同士だけではなくて、海外の企業とのマッチング、今御指摘のとおり、我が国の中小・小規模企業の販路拡大ということも考えなくてはならない。経済産業省としては、あらゆる機会をとらえてそれに取り組んでいる。

 具体的には、中小・小規模企業の輸出を支援するために、著名な国際見本市への参加等の支援を行っております。平成十九年度には、農林水産品や地方の産物、またコンテンツ、ものづくり産品など、見本市十四件に延べ五百団体以上の出展を支援しております。

 中小・小規模企業の海外進出を支援するために、現地へのミッション派遣、これも先方の国からの要請もありまして、それに合わせてこちらから派遣をする。したがって、相手の国では、例えばインドなんかでは、シン首相みずからがそのミッションを迎えて、そして日本の中小企業とインドの企業とが一緒にやれるようなことをみんなで考えていこうというような、各国で積極的な対応を、ベトナムにおいても韓国においてもいただいておるわけでございまして、私の知る限りでは、今、延べ百団体ぐらいが現地に伺っております。

 現地へ伺えば必ずと言っていいほど、だれかがそこに進出するということが実績として今出てきております。今は、小さいものを含めまして合計一万件以上の成約が実現している、こういうところでありますが、今後ますます広がっていくと思います。

 議員も既に御承知のとおりでありますが、例えばインドなんかの話を聞いておりましても、我が国にはトヨタも来てくれている、スズキも来てくれている、しかし、そういうことを、我々の地方でいきなりそれをまねて何かをやろうといったって、とても無理です、したがって、私たちは、やはり日本の中小企業に魅力を感じている、日本の中小企業に来てもらいたいと。ベトナムに至っては、ちゃんと企業団地のようなものをつくって、そこに日本の中小企業の進出を促すというふうなことを、先回りといいますか、こちらの気持ちを酌んで対応をしておる国もありますし、そのほかの国でも、そうした成功事例に倣って中小企業の海外進出ということの芽が出てきた、こういう感じがいたします。我々は、今後とも一層そういう方向にやはり取り組んでいきたいと思っております。

 申しわけないことですが、お許しをいただきたいと思います。

北神委員 ありがとうございました。ぜひまたよろしくお願いします。両副大臣もおられますので、また続けていきますので。

 今の話、私はすごい大事だと思って、実際成果も出ているということなんですが、私が事務方から伺っているのは、要するに、今ジェトロを中心にこういうことをやっている、ジェトロの職員が団体をベトナムとかインドとかに連れていって、見本市とかをやっている。

 私思うのは、これは、ジェトロの職員もいいんですが、皆さんの周りにもいると思うんですが、いわゆる商社マンとかメーカーの方で、例えば中国でも十年、二十年働いてこられた方、ベトナムでも商売をしてきた方、インドネシアで市場を開拓してこられた方、こういう商社マンとかそういったメーカーのOBがたくさんいるんですよ。この人たちは現場のこともよくわかっているし、人脈も物すごいありますし、向こうのいろいろな企業の方もよく御存じだと。

 私は、やはりこういう人たちを活用することが大事だ。今まで、こういうジェトロの職員だけがあっちへ行って、いわゆる政府の間だけの見本市とかそういうものだけじゃなくて、実際に個人的な人脈とか個人的な知り合いとか、そういった人たちを活用すべきではないかというふうに思うんですが、これに対して何かお考えがあれば、教えていただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から、商社で御活躍された方の例をおとりになりまして、日本の高度成長といいますか、今日の経済発展を担われた方々の貴重な人材を得るという御指摘がございました。

 私ども、こういった方々は、国内の中小企業の、これは海外進出に限りませんで、いろいろな知恵の塊でございますので、ぜひ御活躍をいただきたいというふうに思っておりまして、こういった方々を、こういうニックネームがいいかどうかわかりませんが、新現役という、新たに現役になられて、そして中小企業のいろいろなお手伝いをする。すなわち、海外で、大企業で、そして都会で、都会といいますか日本の中心といいますか、そこで活躍された方が、むしろ、地元に戻られて、あるいは中小のために、そして視野は世界にということで御活躍をいただけないかということで、新現役を、ぜひ中小企業で働けないかということをあっせんする予算をいただいております。

 現在、約七千人強の御登録をいただいておりまして、こういった方々にぜひ、国内、国外両方を視野に置いて、中小企業の力の発揮ということに協力いただけないかということをやっておりますので、今の御指摘を念頭におきまして、しっかり取り組んでいきたいと思います。

北神委員 ぜひその辺、七千人ももう採用されているわけですね、そのOBの方を七千人も。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと説明が舌足らずで申しわけございませんでした。七千人を超える方から登録をいただいておりまして、そして登録をされた方の中から、実際に中小企業の方の、あるときはアドバイザー、あるときは職員になっていただくという、ある種の人材のマッチメーキングということをするわけでございます。

 七千という数は登録をされた方の数でございますので、実際に中小企業の会社に入られた数は、それから比べますとまだ大分少のうございますが、この拡大に今努めているところでございます。

北神委員 登録されている人が七千人もいたら、ぜひ国外の、これから中小企業のそういうマッチングに関して、やはりそういうチームとか何かをつくって積極的にやっていただきたいなというふうに思います。

 もう一点は、特に中国とかに行くと、提携をしたり進出をしたりすると、いろいろな技術だけとられて、それで泣いて帰国してこられる方もたくさんいます。ですから、そういった意味で、このマッチングをするときに、やはり知的財産権の専門家みたいな人も入れて、そういうふうにならないように契約とかを必ず結んでいくとか、その辺のノウハウを駆使して、そういうひどい目に遭って戻ってこないように、そういう体制もやはり必要だと思うんですが、この点について、何か整備はされているんでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の知的財産につきましては、中小企業、大企業を問わず、これはいわば国の宝でございます。そういう意味で、これは中小企業庁を越えまして、経済産業省全体で我が国の知的財産を守るために、ある場合は、ハイテクである場合は設計図であり、そしてまた、ある場合は地域ブランド、いろいろな形態がございます。

 こういったことにつきまして、高いレベルで、今お話がございました中国等々にミッションが行くことも、知的財産のためだけのミッションが行くこともございます。あるいは、ハイレベルの、閣僚レベルの協議でもそういったことが話題になることもございますし、また、各地の地域ブランド等の場合には、海外におります大使館あるいはジェトロ等々を使いまして、ジェトロの中にも知的財産の専門官も置いておりますので、個別の商標、地域ブランドが侵害されないようにということで、個別の案件の処理にも努めているところでございます。

 今後ともしっかりやっていきたいと思います。

北神委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 ちょっときょうは時間がないので、もっとこの点についていろいろな、どういう体制が大事かとか、それはまた今後議論をしていきたいというふうに思います。

 きょうは、資金繰りの問題は、もう皆さん御案内のとおり、つなぎの話ですから、当面、この危機を乗り越えるために我々はしっかりと支えていく。しかし、これだけでは到底、国内の内需だけでは中小零細企業というのは今後の生き延びる道がなかなか狭過ぎる。やはり、海外に雄飛して新しい市場を開拓して、そういうところに活路を見出すことは、中小零細企業対策というよりは、国を挙げた産業戦略として今後日本がとるべき方針だというふうに思っておりますので、ただ既存のジェトロでちょっと見本市をやるとか、これだけでは私はだめだと思います。

 やはり、大々的に、我々もいろいろ考えてまた議論をしていきたいと思いますが、ぜひその点について、やはり、つなぎだけではなくて、将来の見通しがあって、それで、そういう希望とか勇気がわいて中小零細企業の皆さんも頑張ることができると私は信じておりますので、その点について、両副大臣におかれましても、政務官におかれましても、またお力添えをいただきたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐藤ゆかりさん。

佐藤(ゆ)委員 おはようございます。自由民主党の佐藤ゆかりでございます。

 サブプライムローン問題に端を発しました今回の世界金融恐慌ですけれども、ことし九月十五日にリーマン・ブラザーズが破産申請を行いまして、その結果、リーマン・ショックの発生以来、深刻化をきわめております。我が国の日経平均株価も、リーマン・ショックの発生後、約一月で四〇%前後急落しましたけれども、いまだ八千円台の低水域から回復の兆しが見られないのが現状であります。

 一方、アメリカにおきましても、いよいよ米最大手銀行のシティグループへの公的資金が決定しまして、また同時に、昨日、FRBは、信用収縮の緩和に向けて、ローンを裏づけ資産とするいわゆる証券化商品の買い入れを柱とする最大八千億ドル、七十七兆円規模に上る新たな金融対策を発表したところでございます。

 米国の財政金融対策というのはまさに未曾有の域に突入しているわけでありますが、このような世界不況の中で、年明けにはいわゆる我が国の経済界を揺るがしかねないような津波、いわゆる三月期末決算ですけれども、この津波を引き起こすきっかけともなり得ります三月期末決算について、この防波堤をどのように築いていくか。特に決算対策としては重要な企業会計、そして中小企業の資金繰りの問題があるわけでありますが、これらの点を中心に、本日は質疑を進めてまいりたいと思います。

 まず、十一月十五日にアメリカで開催されました金融サミット、G20ですけれども、我が国は、IMFを中心として、新興諸国向けの資金供与の枠組みの策定に一定の成果をもたらしたわけでありますが、その一方で、金融デリバティブ取引の規制強化ですとか企業会計基準の緩和など、世界経済における自由競争のルール、規定につきましては、米欧の主張が今回分かれる中で、我が国はリーダーシップが発揮できないという状況がございました。

 相変わらず資金供与は積極的に行う日本であるわけでありますけれども、こうした会計基準やあるいはデリバティブ取引の規制強化などという重要なルール策定については、リーダーシップが欠如しているということが露呈したとも言われかねないわけであります。実際、オリンピック競技で例えてみても、競技のルールというものを変更しますと、やはり、選手の勝敗のベースが変わってしまうというような結果にもつながるわけであります。そういうことで、この経済競争におきましても企業会計のルールづくりというものが戦略上極めて重要でありまして、また特に、現局面におきましては、危機対応としても企業会計のルール上の早急な対策が求められるわけでございます。

 そこで、年明けに三月期末決算を迎える実業界にとりまして重要な幾つかの会計基準、すなわち時価会計と減損会計について、その問題点と緩和の必要性を私は指摘させていただきたいと思います。

 我が国では、時価会計は平成十二年度以降から、そして減損会計は平成十七年度以降からそれぞれ導入をしております。時価会計は金融資産を、そして減損会計は不動産、土地などのいわゆる固定資産を時価で評価して、時価が取得価額を下回る資産については当期損失として会計処理が義務づけられているわけであります。

 問題は、現行の時価会計では、満期保有目的の債券、そしてまた、子会社や関連会社の株式等も、時価の下落が激しい場合、すなわち、取得原価の原則五〇%以下に下落した場合には、時価をもって貸借対照表上に計上することが義務づけられている点であります。株式市場が危機的下落に見舞われている現在のような市場環境で、厳密な時価会計の履行によって、逆に債務超過に陥ったり、あるいは黒字倒産に追い込まれるような、そういう企業を続発させてしまったり、あるいは、損失処理の財務負担をいたずらに増大するような懸念があるわけであります。

 これは、減損会計の適用でも同じでありまして、不動産価格や地価の下落に見舞われている現状、不動産業あるいは建設業、流通業、こういった産業では、減損会計の遵守のために、損失処理費用がかさんで倒産を余儀なくされることが懸念されるわけであります。

 現状、この時価会計の適用緩和についてだけが一部議論になっているところでありますが、実際、この減損会計の適用緩和も私は重要だというふうに考えておりまして、この三月期末決算期に向けまして、これら二つの会計基準の短期的な緩和措置の導入が必要であると私は考えますが、この必要性についていかがお考えか、金融担当副大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

谷本副大臣 佐藤委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 一般論といたしまして、会計基準は、企業の財務状況について投資家に信頼性の高い財務情報を適切に提供するための重要な物差しでありますので、透明性、一貫性が求められるものでございます。

 今、時価会計と減損会計、それぞれについてという御質問でございますので、まず、いわゆる公正価値、いわゆる時価会計につきましては、先般の金融サミットにおいて総理が提案されたとおり、公正な価格評価が重要であるというふうに考えております。

 我が国では、既に、民間の企業会計基準委員会において、公正価値の算定方法についてQアンドAを公表して明確化を図るとともに、先般、十月の十三日に、金融資産の保有区分の変更について国際会計基準が突然変更されましたので、その動きも踏まえつつ、現在、鋭意、検討、整理が進められているところでございます。

 これらの対応は、現下の市場情勢のもとでの金融商品の適切な評価に資するものであり、金融庁としては、引き続き、このような努力をサポートしてまいりたいというふうに考えております。

 一方で、御質問のありました減損会計の方ですが、有価証券や固定資産の時価が著しく低下したときに適用されるものでございますが、公正な価格評価の観点から非常に重要なものであり、我が国会計基準及び国際的な会計基準において導入されているものでございます。

 この減損会計については、現時点で適用を緩和するといった意見は国際的にも支配的となってはいないものと金融庁としては認識をしております。

佐藤(ゆ)委員 この減損会計ですけれども、もともとアメリカで減損会計が導入されましたときには、その導入以前から、アメリカでは減損処理というのが通常行われていたわけであります。そういう中で、アメリカの企業会計のテクニックとして、一期目に大幅な資産劣化の減損処理を行いまして、そして二期目に、その減損処理を行った資産を売却して大きなV字回復の利益を捻出する、ある意味、財務テクニックとしてこの減損会計というものが使われているという経緯もあるわけでありますが、そういうものを実直に土壌の違う日本において導入している。そういう実態については、私は、そろそろ主体的に考えるときに来ているのではないかというふうに考えるわけでありますが、そのことを一言申し添えておきたいと思います。

 そして次に、二問目に移らせていただきたいと思いますが、中小企業の資金繰り対策についてでございます。

 今回の金融危機対応策では、景気対策の観点から、セーフティーネットの拡充においては構造不況業種に対する配慮というものも当然重要ではありますが、同時に、従来利益を出していた勢いのある中小零細企業にもかかわらず、危機であるからこそ、貸し渋り、貸しはがしによって不必要に黒字倒産に陥ってしまうような企業を出してしまってはならないわけでございます。

 そこで、この黒字倒産を抑えていくための配慮というものも、この資金繰り対策において極めて重要であるというふうに考えるわけであります。

 政府は、既に十月末に公表しました事業規模二十七兆円の生活対策の中で、緊急保証制度を二十兆円に、そして緊急融資制度を十兆円にそれぞれ大幅拡充したわけでありますけれども、これを受けた現状の視察に、実は私、先週、私の地元であります目黒区と世田谷区を管轄している商工中金の渋谷支店と信用保証協会の五反田支店に、それぞれヒアリングに行ってまいりました。

 そこで判明いたしましたのは、まず、この緊急保証の拡充を受けまして、信用保証協会の窓口相談の件数が急増しているという点であります。

 これは全国における緊急保証の承諾件数の推移を見てみましても、ことし九月と緊急保証制度のスタート後の十一月半ばを比べますと、十一月半ば時点では一日に二千五百件数を超えている。九月の下旬には一日七百件程度であったものが、十一月半ばには一日二千五百件以上に、三倍以上に増加をしているという実態があるわけであります。

 特に東京都では、緊急保証制度のスタートしました十月三十一日から十一月二十一日までの二十日間の累計で、相談件数が五千四百二十一件、うち承諾件数が二千五百七十件、承諾金額の累計が六百九十九億八千四百万円と上がっているわけでありまして、全国の総額でも、相談件数が四万九千件以上、承諾件数も一万五千件弱、承諾金額の累計も三千五百億円以上となっているわけであります。

 しかしながら、こういう上昇基調にあるにもかかわらず、利用者の観点からお話を伺いますと、まだまだ適用要件が厳しいという指摘もあるのが実情でございます。例えば、税金を滞納している事業経営者の方々、この場合には適用されるのかどうか、拒否されてしまうのかどうか、不安を感じておられる方々が多いようでございます。

 また、今回適用条件として、売上高が前年比で三%減少しているという条件があるわけでありますが、これが厳し過ぎるのではないかという指摘も実は利用者の側からは出ているわけであります。実際、この売り上げ減少要件ですけれども、私も、実は三%の減少ではなくて足切りをゼロ%にしてはどうかというふうに考えるわけであります。

 理由としましては、三%減少ですと、構造不況業種の方々も当然今回はセーフティーネットで対策は必要でありますけれども、それ以外に、黒字倒産を防ぐという意味では、売り上げが減少していない、ゼロ%であっても、貸し渋り、貸しはがしによって運転資金が貸してもらえないために税金が払えないので倒産してしまうというようなこともあり得るわけでありまして、黒字を出しながら債務超過で倒産というようなこともあり得るわけであります。したがいまして、売り上げの足切りの要件はゼロ%の方が望ましいのではないかというふうに考えるわけであります。

 こうした三点、いわゆる市区町村の役所窓口並びに信用保証協会窓口の相談員の増強の必要性、増強するにはどうしたらよいか、何か方策をお考えか、そして二点目には、税の滞納者に対してどのような方策を今回お考えなのか、そして三番目には、売り上げ減少要件をゼロ%にしてはどうか、この三点について、経済産業副大臣にお伺いをしたいと思います。

吉川副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。

 ただいま佐藤議員からいろいろな御指摘も踏まえて御質問をちょうだいいたしたところでございます。この緊急保証制度に関しましては、十月三十一日の開始以降、五万三千件の相談、一万九千件、四千五百億円の承諾実績となっておりまして、多くの中小・小規模企業の方々に利用いただいておるところでございます。

 ただいま御指摘をいただきましたように、他方、窓口が大変混雑をしまして手続に時間がかかるなど、利用要件の申請が難しいといった声も私ども実際に伺っております。そこで、地方公共団体や保証協会に窓口の増員を依頼いたしておりますと同時に、先ほどから議論になっておりますように、商工会あるいは商工会議所にも事前相談の応援を依頼いたしておりまして、実際にこのことが行われているということも御報告を申し上げさせていただきたいと存じます。

 さらに、保証の判断においてでございまするけれども、形式的な指標のみならず、事業や経営の実態をよく見て判断することを徹底しているところでございまして、例えば未納の税金があった場合でありますが、その解消に向けまして具体的な取り組みが行われているかどうか、さらには債務の償還可能性はあるかどうかといった点をよく聞いた上で、保証の判断をすることといたしております。

 引き続き中小・小規模企業の資金繰り支援に万全を期してまいりたいと思っております。

 さらに、御質問いただきました黒字倒産防止の観点でございまするけれども、この緊急保証制度は、御承知のとおり、特に業況の厳しい方に上乗せで支援をするという観点から、対象業種に該当し、売り上げが前年比で、お話をいただきましたように三%以上減少している方に利用を限定いたしておるところでございます。ゼロ%という御指摘もちょうだいいたしましたけれども、利益率が前年比で三%以上減少している場合は、黒字であったとしても利用を可能としているところでございます。

 さらに、黒字倒産の防止の観点から、将来の資金需要に備えまして、一年先までの保証の利用を予約できる予約保証制度を、今月、十一月の二十一日に開始したところでございます。

 以上であります。

佐藤(ゆ)委員 ぜひそのあたりの詳細の設計につきましては、混乱のありませんように、早急にそういう事実関係を利用者の方々に情報発信をしていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 さて、次の関連の質問に移らせていただきたいと思います。

 この政府が発表しました生活対策では、同時に緊急融資制度を十兆円に枠を拡大することも発表しているわけであります。いわゆるセーフティーネット貸し付けでありますけれども、この十兆円枠の内訳として、九兆円は日本政策金融公庫が貸し付ける、そして残りの一兆円を商工中金が貸し付けるというような割り振りが考えられているようでございます。この政策金融公庫、商工中金ともに、この特別貸し付けの拡大には当然期待がかかるところであります。

 そこで、この十兆円の特別融資枠について、貸し倒れリスクに対する手だてがぜひともしっかりしていてほしい。これがしっかりしていませんと、貸す側の思い切った貸し出しにもつながらないということになりますので、この貸し倒れリスクに対する手だてについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 政策金融公庫は政策金融としての位置づけで分担する九兆円の融資に当たることになりますので、いざ貸し倒れの場合には、税金負担ということが当初から明らかになっているわけであります。

 しかしながら、商工中金の方は、現在民営化の過程にありまして、商工中金の貸し出しに対する信用保証は、八割を政策金融公庫が負担いたしますけれども、残りの二割、すなわち一兆円枠のうちの最大二千億円は、商工中金自体が貸し倒れリスクを負うことになるわけでございます。

 そこで、この貸し倒れの引当金ですけれども、商工中金の財務諸表を見てみましたが、既に貸し倒れの引当金は二千億円程度、これは過去の貸し出しによって計上されていることがわかりましたが、さわれないわけであります。そして、さらに政府の出資というものが四千億円程度実はあるわけであります。この貸し倒れリスク、実際に実現した場合にどこから負担をするかということでありますが、そのあたりの見通しがきちっとしていないとなかなか思い切った貸し出しにもつながらないということだと思います。

 実際、政策金融公庫の方は、貸出金利についても、今回、緊急融資制度で金利の引き下げを行う見通しであるというふうに見込まれているわけでありますが、その中で商工中金だけが貸し倒れリスクを見込んで金利を引き上げるというわけにもなかなかいかないのではないかと思われます。

 しかしながら、一方で、政府の出資金の四千億円から最大二千億円を引き当てるということになりますと、実は現状、商工中金の資金調達に使っておりますいわゆる商工債の格付ですが、今ダブルAプラスという大変優良な格付がついているわけでありますけれども、これはまさに四千億円の政府出資があるという安定感からこういう優良な格付がついているわけであります。したがいまして、貸し倒れリスクが実現して政府出資を切り崩してしまうと、今度は商工中金の資金調達の金利にもはね上がってくるというような影響も懸念されるわけでございます。

 この商工中金の貸し倒れリスク、民営化過程にある中での落とし穴とも見られるわけでありますが、その手だてについてはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

吉川副大臣 ただいま佐藤議員から御指摘をいただきましたように、生活対策で十兆円規模に拡大した融資枠というのは、日本政策金融公庫による九兆円のセーフティーネット貸し付けと、商工組合中央金庫による一兆円規模の危機対応業務を想定しているところであります。

 このうち、商工組合中央金庫による危機対応業務に関しましては、損失の八割を公庫が負担することで、商工中金単独では貸し出しが難しい、または高い金利を取る必要がある中小・小規模企業への融資を可能とするものでございます。商工中金は二割のリスクに対応する信用コストを金利の一部として徴収することで、八割の公庫補てんとあわせて収支均衡させる制度設計となっているところでございます。

 また、商工中金は、民営化後も中小企業による中小企業のための金融機関といたしまして中小企業金融の円滑化のために取り組むこととなっておりまして、経済産業省といたしましても、引き続きしっかりと指導監督あるいはサポートもしてまいりたいと存じております。

佐藤(ゆ)委員 金利引き上げによって貸し出し、融資を行うというような御答弁を伺ったわけでありますが、今まさに貸し渋り、貸しはがし、そして金融条件のタイト化が問題になっている現況にありまして、できるだけ金利が引き上がらないような形式で対処ができないものか、非常に悩ましいところであると思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 きょうは配付資料を出させていただいております。ページをおめくりいただきまして、二枚目の資料二のところでございますが、遺産取得課税の話題について少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 実は、冒頭申し上げておくべきことがございます。

 この資料二につきましては、タイプミスがございまして、下の2の遺産取得課税方式の図表の中で、中央部分の六・五億円という文字は、六千五百万円の記載ミスでございます。そして、左下部分、課税対象遺産総額二千億円という記載は、二千万円の記載ミスでございます。これはオリジナルから私どもが転載した際の記載ミスでありますので、訂正をさせていただきたいと思います。

 さて、この遺産取得課税方式への相続税の移行が今議論をされているところでありますが、現在、遺産取得課税になりますと、実は相続税において増税になってしまう方々がふえるのではないかということが一つ懸念として上がってきているわけでございます。

 実際に資料二を参考資料としてごらんいただきたいと思いますが、この1、これは現行の法定相続分課税方式であります。

 代表例として、お子さん二人の場合、子供が一人、預金一億円、そしてまた小規模宅地等の八〇%減額措置のある遺産を一億円、計二億円相続財産があったという仮定になっております。その場合に、小規模宅地の場合には八〇%減額しますので、上の場合ですと、課税対象となりますのは預金の一億円プラス残りの二千万円で、一億二千万円が課税価格の合計になるわけであります。そして、さらに右に進みまして、二人分の子供の基礎控除、それぞれ三千五百万円と仮定いたしますと、計七千万円を基礎控除で差し引きまして、課税遺産の総額は五千万円という計算になります。ここで案分に相続税額を計算いたしますと、預金一億円を相続する子供1の場合には五百四十二万円の相続税額がかかるわけになります。

 ここで、2の遺産取得課税方式になりますと子1についてどのように相続税額が変わるかということをごらんいただきたいと思います。同じ前提で預金一億円、そして小規模宅地一億円というような相続財産ですが、小規模宅地、これは右下のボックスで、二千万円の遺産総額、そしてこの上の方になりまして、個別に、子1については、課税遺産が預金一億円ですから、その本人の基礎控除三千五百万円を引きまして、六千五百万円が課税遺産総額。そうしますと、この第一子の方は、一億円から三千五百万円を引いた六千五百万円、これに税率三〇%と仮定しますが、掛けまして、さらに控除の七百万円を引いた税額千二百五十万円が相続税額というふうに算出されるわけであります。

 そうしますと、法定相続分課税方式は、子1の黒い太線の部分、五百四十二万円が相続税額。遺産取得課税方式になりますと、同じ相続財産、預金一億円を相続する場合でも、相続税額は千二百五十万円。七百万円近い増税になるわけでございます。

 このように、遺産取得課税方式への移行というのは、どうもちまたでは、財務省が増税をしたいのではないかというような思惑で移行を目がけているのではないかというふうにも言われるわけであります。

 実際のところ、先ほどお伺いしました、経産省さんの方でやっていただいております、中小企業向け緊急保証制度そして緊急融資制度等々あります中で、今、税負担ができなくて資金繰り困難になっている事業会社に対する資金繰り支援、あるいはこういう事業承継が困難で相続税が払えないというようなことで事業資産の分割につながったり、そういう事業承継の足かせになるような相続税の体系になりますと、逆に今の経済情勢にあって地域の雇用の削減にも影響が出てきかねないわけでありまして、こういう資金繰り問題に対して緊急保証や緊急融資制度を行っているさなかでの遺産取得課税方式への移行というのは、いささか逆効果ではないかというふうに思われるわけでありますが、このあたり、御見解をお伺いしたいと思います。

古谷政府参考人 お答えをいたします。

 今先生から御指摘もございましたけれども、現行の法定相続分課税方式、これは相続税の総額を遺産総額と法定相続人の数によりまして算定をしまして、それを各人の実際の取り分で案分するということで相続税額を計算しております。

 この方式につきましては、昨年の政府の税制調査会等の答申におきましても、一つは、御指摘がございましたような点とも関連いたしますが、現行のような、例えば居住等の継続に配慮して居住用の資産等の課税価格を減額する特例、これは遺産総額を減少させる形で適用してございますので、当該居住用資産を相続しただけではなくて、そうでない方の相続税額も減少させてしまうという仕組みになっております。

 もう一つ、例えば、総額で計算いたしますので、一人の相続人が申告漏れをいたしまして遺産総額が事後的に変化をいたしますと、ほかの共同相続人にも追加税額が発生するといった仕組み上の問題があるという指摘がございました。

 昨年、中小企業につきまして事業承継税制を制度化するということを決めていただいたわけでございますけれども、こうした特例を実施いたします場合には、先ほど申しましたような現行方式の問題点が増幅するという課題もございましたので、各人の相続税額を取得した財産に基づいて他の共同相続人の状況に左右されずに算出する取得課税方式に改めるということが検討課題とされたところでございます。

 そういうことで、二十一年度の税制改正に向けまして現在検討させていただいておるところでございますが、これはあくまで現行の課税方式の問題点を克服するという観点から検討課題になっておるわけでございまして、事業承継税制の導入に伴う、例えば減収分等を補てんするために検討しておるということではない点は御理解をいただきたいと思います。

佐藤(ゆ)委員 ぜひとも、今の経済情勢にありまして相矛盾するような、効果の出ないことのない税制体系にしていっていただきたいとお願いを申し添えまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

岸田委員長代理 次に、平将明君。

平委員 自由民主党の衆議院議員の平将明でございます。

 本日は、質問をする機会をいただきましてありがとうございます。

 私は東京四区、東京の大田区選出でありまして、大田区は中小企業が集積をしている地域であります。私自身も中小企業の経営をしてまいりましたし、また、二〇〇四年には中小企業向けの銀行をつくりまして、五年間、銀行の経営もしてまいりました。そのようなかなり現場に基づいた認識で、さまざまな質問をさせていただきたいと思います。

 今、金融機能が不全であるという認識は皆さん共通のところであると思います。しかしながら、今、サブプライム問題だということで、あたかもすべてサブプライムが問題であるかのような議論が続いておりますが、実は日本ではこのサブプライム問題が顕在化する前から、貸し渋り、貸しはがしというものは起きておりますし、金融の機能不全というものは起きているわけでありまして、そういったところをしっかりと見きわめて政策を打っていかないと判断を見誤る、政策を見誤るんだと思っております。

 さまざまな企業金融の中で、全体を見回して、どこの場所が資金が詰まっているのか、その原因は何かといったことを、全体像をしっかり見据えて、すべてを網羅した政策をとっていかないと、穴ぼこがどこかにあいているとそこから漏れていってしまうということになりますので、そういった視点を持ってやっていかなければいけないと思っております。

 ただ、こういった国際的な金融危機でありますので、なかなか民間の金融機関がリスクをとれない、そういったときは、やはり公的な部門がしっかりリスクをとって、企業の資金繰りをつないでいかなければいけないと思っております。そういった視点からいくと、公的金融機関を活用したり、また信用保証協会を活用して、セーフティーネット貸し付けやセーフティーネット保証、こういった政策を迅速に打ち出したということは大変重要なことであると思っております。

 まず最初にお伺いしたいのは、セーフティーネット保証、保証協会を活用した公的な貸し付けといったものについてですが、総額六兆円、これが今後二十兆円まで拡大をしていこうということでありますが、補正予算で四千億円の予算を手当てしたと思います。四千億円の予算で六兆円の融資枠、どういうスキームになっているのか、仕組みになっているのか、その辺をお伺いいたします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お話がございました保証でございますけれども、保証を承諾いたしますと、そのうち一定の割合で、残念なことでありますけれども、代位弁済ということが生じるわけでございます。代位弁済が生じましたときにそれをまさしく保証し、そして、各保証協会がその分、国の制度の信用保険、この制度にさらにリスクをヘッジして、それで担保をしてもらう。ただ、その代位をした結果、回収できる部分も一部はございます。

 したがいまして、事故率と回収率、この二つのパラメーターが大変重要でございまして、私ども、過去の実績等々を勘案いたしまして、今お話がございました四千億円の算定に当たりましては、事故率が八ないし九%の間、どちらかというと九に近いのかもしれませんけれども、それから回収率が一五ないし二〇%ということで、これを参考にして積算をしたものでございます。

 ただ、経済は生き物でございまして、早く措置をしました方が倒産が減るということもございますが、昨今の世界的な、日本も避けられない厳しい経済情勢の中で、ややもすると事故率がふえるということも今後あり得るわけでございます。そういうことを踏まえまして、少なくとも必要な財政措置を私どもお願いし、しっかりとした予算措置を講ずることによりまして、この保証制度というもののパイプが詰まらないように対処していきたいと思っております。

平委員 今おおむね八から九%のデフォルトを見ているという話ですけれども、八から九のデフォルトというのはかなりリスクがとれるということだと思います。民間の金融機関の貸出金利というのは今、二、三、四、五ぐらいまでだと思いますので、八から九のデフォルトというと、民間でそれをやろうと思うと、いわゆるミドルリスク、一〇から一五%の金利を取らないと合わないという世界になってきますので、私は、八から九というのはかなりリスクを見積もっているなというふうに思います。

 そもそもこれは、原油高や素材高の中でなかなか景気がよくならない、売り上げが上がらない、そういった中で原材料が高くなって中小企業は大変だ、そういったところからこの信用保証を活用したセーフティーネット貸し付け、セーフティーネット保証が始まったと思うんですが、今はかなり状況が変わりまして、原油は大分落ちています、素材はまだ高どまりの感がありますが。それよりも重要なのは、この国際的な金融危機にどう対応するかということでありますので、金融危機に対応した対策にやはり転換をしていかなきゃいけないと思うんですね。

 今、佐藤ゆかり先生からもお話がありましたけれども、そうであれば、金融危機であれば、対象業種というのは、すべての業種が対象になるべきだと思いますし、また、売り上げの減少の条件とかさまざまな条件がついていますが、この金融危機に対応するとなれば、こういった条件というのは緩和をして、素材高や原油高に対応した金融政策ではなくて、この金融恐慌、恐慌とまでは言わないかもしれないですけれども、世界的な金融危機の中に対応した制度に変えていく必要があると思います。それが一点。

 あともう一点は、やはり現場の声を聞くと、なかなか行ってもお金を借りられませんという声があります。信用保証協会による保証渋りと言っていいのかどうかわかりませんが、そういう現状がある。

 資料を配らせていただきましたけれども、一枚めくっていただいて、下に一という数字の書いている資料を見ていただきたいんですが、「信用保証協会の代位弁済(前年比)」というのが書いてあります。左が件数、右側が金額です。これを見ると、信用保証協会の代位弁済、去年のはもう初めから件数も激増、金額も急増しています。多分、信用保証協会の経営責任を負っている人はかなりびびっていると思いますね。これだけの件数、代位弁済、これだけの金額がデフォルトしているということです。

 もう一枚めくっていただくと、「中小企業に対する銀行貸出の推移」というのがあります。ちなみに左側が銀行貸出残高でありますが、銀行貸出残高は、見ていただくと、去年の夏前半から思いっ切り減っているんですね。ですから、リーマン・ブラザーズやAIG以前からもう貸し渋っているということがわかると思います。

 肝心なのは信用保証協会の保証承諾件数でありますが、もうごらんのとおりですね。要は、代位弁済がばかばかふえている、デフォルトがばかばかふえている。そこへもってきて、責任共有制度というのが十月から始まって、金融機関もリスクをとらなきゃいけないから慎重姿勢に回る。その結果何が起きているかというと、保証協会は全然承諾していないんですよ。

 そういった冷え切ったマインドの中でこの特別保証が始まったわけでありますけれども、ここはしっかりとマインドを切りかえて、八%から九%デフォルトしていいんだから、思い切って保証してもらわなきゃいけないと思うんですけれども、やはり現場とここでの議論に大分温度差があると思うんですが、その辺に対する認識または対策はお持ちでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生の方から二点御指摘がございました。

 最初の方の、信用保証、緊急保証の運用、運営につきましてのマインドのセッティングを変えたらいいじゃないかというお話でございます。

 これも先生からもいつも御指摘いただいている点でございますけれども、中小企業、小規模企業は資金繰りにおきまして大変苦難に直面しやすいので、なるべく多くのメニューというものを私ども用意させていただくべきかと思っております。

 まずは、業種を問わず御利用いただけるように、政府系金融機関からの貸し付け、それから一般保証というものがございます。それに加えまして、確かに発端は原材料、原油の高騰という面が大きい原因を占めたこともございますけれども、もともと現行の制度では、それに限らず、業況が大変芳しくない業種につきましては、さらに、責任共有制などを適用せずに全面的に保証を一〇〇%国サイドが持つという制度がございます。

 こういう例えがいいかどうかわかりませんけれども、電車の車両に百人のお客さんが乗っていて、そして我々は一人たりともそれを落としちゃいけない、だけれども、電車の中の容積が二割、三割減ってくるとどうしても行き詰まる。そういった方にやはり二段目、三段目の深掘りをした措置が必要だ。実は緊急保証業種というのは、そういう意味でその業種ということで、深掘りをして対応しているわけでございます。

 そして、第二点目の、これだけの状況なのでしっかり保証を現場まで徹底しろということでございます。

 やはり、先ほど大臣から御答弁ございましたように、この十月三十一日に今回の補正予算を使わせていただきまして緊急保証を大々的に拡充する前に、全国五十二カ所の保証協会の代表者、責任者に直接大臣の方から、副大臣も御出席いただきました上で、今回の補正予算というのは国家資金を四千億円投じて、そして、先ほど御答弁申し上げましたような、ある種、通常よりは高いデフォルト率というのをむしろ国が覚悟して、国の意思としてこういう制度をつくったんだ、よって、こういうことをしっかりと踏まえて実際の保証をするようにというようなことの徹底を大臣から直接させていただきました。

 それをフォローすべく、私の方から、金融庁を通じまして金融機関に、そして直接信用保証協会連合会の方に、そういった趣旨を体して、中小企業の経営実態を踏まえた運用、あるいは金融機関におけます貸し付けの業態の運用ということを徹底すべく措置をしたところでございます。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

平委員 このセーフティーネット保証を活用した政策は、業種とかが今拡大していますけれども、ぜひ撤廃という方向で検討していただきたいと思います。また、信用保証協会に対しては、この政策を打つ前のデフォルトは、それは責任を問うたらいいですよ。この先の部分の特別保証の部分は、ちゃんと八パー、九パー、デフォルトするように貸せよということが大事なんですね、逆に言うと。そうじゃないと政策はきかないですから。そういうことでよろしくお願いをいたします。

 二番目。前回、二階大臣のあいさつの中で、「貸し渋りが起きることのないよう、金融庁と連携し、金融機関への働きかけを行ってまいります。」と述べられておりますが、これは具体的にどのようなことを金融庁と連携してやられているのか、教えてください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業、小規模企業の方々が御利用されます金融でございますけれども、約八割近くは民間金融機関から、保証もなく、つけずに御利用されるというようなケースで、民間金融機関の役割、ウエートというのは大変高うございます。

 そこで、今御質問がございました点でございますけれども、経済産業省の方から民間金融機関に対して、借り手企業の実態や特性を踏まえた融資判断を行うこと、積極的にリスクをとり経営支援を行うこと、既往の貸出金の返済緩和への適切な対応を行うことなどを、これまで、夏以来の与党のいろいろな部会での御審議等々をきちっと受けとめる形で、まずは大臣の方から金融庁にいろいろ直接ないし間接に申し上げ、そして、それをフォローする形で、十月二十九日に私から金融庁の監督局長に、民間金融に対してしかるべく今の措置を徹底するようにということで、文書で要請を申し上げました。

 また、あわせまして、金融庁と共同で、現在、全国百五十カ所で中小・小規模企業との意見交換会を開催しておりますし、また、中小企業者の方々の、むしろそういった制度がきちんと徹底されていないじゃないかという御疑問、御不満、こういったものをきちんと酌み取らなきゃいけないということで、私どもは中小企業金融貸し渋り一一〇番というものを設置いたしましたし、金融庁は目安箱というものをつくっております。そこに寄せられましたいろいろな声、意見を交換いたしまして、それぞれの分担に従いまして適切なフォローをするようにということで対応しているところでございます。

平委員 いろいろなことをやられていると思います。中川大臣が金融機関の各代表を呼んで、貸し渋り、貸しはがしをするな、そういう場面も報道されておりましたが、要は、それをシステムとしてどうやっていくのか、どう担保していくのかということですね。あれは、報道を見ていると、貸し渋り、貸しはがしをするなとこっちは言っているけれども、あっちは貸し渋り、貸しはがしはしていませんと言っているわけだから、そこでもう議論が食い違っているわけですね。

 それと、すべてをやはり網羅していかなければいけないんですけれども、例えば、今金融でいろいろなところ、お金が詰まっていますね。

 公的金融と民間金融ということを考えれば、公的金融は、セーフティーネット保証、セーフティーネット貸し付け、これが、六兆、三兆を二十兆、十兆に上げていく。では、片や、こっちの民間金融機関をやはり活性化しなければいけない、ちゃんと金を貸すようにしなければいけませんね。

 そうしたときに、例えば、地銀、信金、信組、これは金融機能強化法で、資本注入したときに、ちゃんと中小企業に貸せというコミットメントをするやに聞いていますから、それはそれでいいでしょう。

 それでは、あと何が問題かというと、私はメガバンクだと思いますよ。これは、すべての今挙げた政策は、ほぼすっぽり抜けているんですね、ほぼすっぽり抜けている。では、このメガバンクに対してどういうことをやっていくのかということが私は重要だと思います。

 今ずっと、新興企業もつぶれているし、黒字倒産もいっぱいふえていますよね。現場の話を聞くと、真っ先に逃げるのはメガですよ、メガバンク。そういうような現実がある中で、私の友人のところにもメガバンクの担当者が来て、また同じことをやっていますよ。信用保証協会のお金を借りたらどうだという営業にも来ている。

 私がここで一つ提案をしたいのは、メガバンクの預貸率の目標数値を持たせろということであります。

 預貸率というのは何かというと、預金と貸出金の比率ですね。分母が預金、上が貸出金。資料の三ページを見ていただきたいんですが、預貸率、預証率の推移というのがあります。左が預貸率であります。

 これを見ると、平成十三年から十九年の推移がありますけれども、都市銀行は平成十三年は八四・一%貸していたのが直近では七二%。さらにこれは落ちていると思います。要は、貸していないんですよ。集めた預金を貸すというのが銀行の使命なのに、貸していないんですよ。リスクをとっていない。金利の上限は一五パーまで取れるのに、二パー、三パーの低いサービスに甘んじているわけですよ。たまにスモールビジネスローンとか新しいことをやったなと思ったら、うまくいかなかったらすぐ逃げちゃっているわけですよ。

 こういうところをちゃんと貸せということをやっていかないと、メガバンクは貸さないですよ、貸さない。こういうのは余り筋のいい政策とは私は思いませんが、ただ、やらないんだから、こういう緊急時はやらせなければいけない。

 一枚めくってください。四ページですね。全国銀行の財務諸表の分析というのがあります。そこに預貸率があります。これはインターネットとかで動画が流れるので具体名は言いませんが、これを見ていただくと、メガバンクで六割を切っているところがあるんですよ。このメガバンクは、市場で結局真っ先に逃げる銀行と一緒じゃないですか。

 要は、貸していないんですよ。であれば、そういった預貸率みたいなものを、別に法律で決めることないですよ、金融検査マニュアルの中で、大体メガは八割ぐらい貸しなさい、本来銀行とはそういうものでしょうと。もし八割貸さないのだったら貸さないでいいから、例えば私たちの銀行は投資が得意だからそっちをやっていますとか、そういう説明をさせたらいいと思うんですね。

 基本的に、エリートの性質として、私も銀行を経営しているからわかりますけれども、金融庁は嫌なんですよ、金融庁に説明するってめちゃくちゃプレッシャーですよ。そうすると、マインドが変わりますから、ぜひ、検査マニュアルなんかで預貸率の水準を例示する。例えば、都市銀行であれば八割、信金、信組であれば六割、そういうことをやらせないと、この歯車は戻らないですよ。

 銀行経営者だったら今何を考えるか。当然、何もしないという選択をしますよ、危ないんだから。でも、メガが動き出さなければ、この金融不況は克服できないですよ。せっかく政策を打って、信用保証協会、政府系金融機関、金融機能強化法で地銀、信金、信組と全部網羅しているのに、メガのところだけすっぽり穴があいていたら、要は、メガの財務諸表を改善するようにやっているようなものじゃないですか。だから私は、これは大臣が決断すればあしたからでもできる話ですよ。ぜひ、これを決断していただきたいと思います。答弁をお願いします。

谷本副大臣 平委員の御質問にお答えをいたします。

 金融機関の専門家でもあり現場をよく知られている平委員に、御案内のこととは思いますけれども、個々の金融機関の融資のあり方につきましては、基本的に、各金融機関がみずから置かれた経営環境のもとで、そのビジネスモデルやリスク管理の状況等を総合的に勘案して経営判断していくものであるというふうに考えております。このため、預貸率は、経営環境といった外的要因や金融機関のビジネスモデルそのものの違いによっておのずと異なってくるものでございます。

 したがって、一定の預貸率が達成されているか、こういった項目を金融機関を検査する検査マニュアルのチェック項目にするということは、こうした金融の実態をかんがみたときに、なかなか難しいところがあるというふうに考えております。

 他方、平委員御指摘のとおり、金融機関の一番重要な役割はしっかりとお金を貸すということでございますので、これに対しては、金融庁といたしましても、貸し出し条件緩和債権の見直しや、あるいは現在国会で審議をされております金融機能強化法の活用、見直し、こういったものを通じて、全力で金融の円滑化に努めてまいりたいと考えております。

平委員 私も与党ですから余り追い詰めたくはないですけれども、これはすごく大事なことなんですよ。例えば信金、信組なんかは、さっきの表を見てもらうと六割ですよ、中には五割貸していないわけです。貸していなくて、わけのわからない仕組み債、デリバティブを買って大損こいて、それを税金で資本強化するっておかしな話じゃないですか。だったら、地元の企業に貸す、国内の産業に貸す、それでデフォルトが起きたのだったら、それは税金を入れて助けてやろうということにしなきゃいけないと思うんですよ。

 ですから、私はぜひこれは、預貸率、メガだけじゃないのでお願いしたいし、もしこれができないのだったら、メガバンクを再分割すべきですよ。与党なので、この辺で終わりたいと思います。よく検討してください。

 それでは、最後に、もう時間もないので、本題の方に入りたいと思います。

 私、今回の金融のこの件は、上限金利の制限がきいていると思いますよ。貸金業法の改正をして上限金利を規制しましたよね。これは意外と、余り想像力が働かないんだけれども、中小零細は資金繰りをやっている人が多いんですよ。これは結構きくんです。

 もう時間がないので、私、一方的にしゃべるので、最後に答弁ください。

 前回の貸金業法の改正は、消費者金融でしたよね。消費者金融でお金を借りちゃう、そういう人が多重債務になって生活が破綻をして、やみ金に行って悲惨なことになる。それはそれで、私、賛成ですが、一方で、小さくてもリスクをとってビジネスをやっている人というのはいるわけですよ。そういう人から考えれば、こういった金利の上限を制限するというのは全くおかしな話。包丁で人を殺すやつがいるから包丁を禁止するという話ですよ。

 自民党の議論でも役所の皆さんとの議論でもあったけれども、平さん、そもそもグレーゾーンの金利で金を借りるような会社はつぶれる会社だよ、貸さない親切というのはあるんだよと言ったけれども、これは大間違いで、短期の少額という資金ニーズには高い金利じゃないと貸せないですよ、どこでも。例えば、今月の月末に百万円払わなきゃいけない、二十五日に入金がある予定だった金が入らなくなった、でも月をまたげばまた百万入ってくる、じゃあ十日間、百万借りたい。これは六千円金利を取ったらアウトですよ、今の法律。でも、会社を経営している人から見れば、その百万、一万だって十万だっていいんですよ。

 だから、そういう全く現場を無視した法律をつくっちゃって、確かに多重債務者の命は救えたかもしれないけれども、個人事業主の自殺はふえているんじゃないですか。これを私はずっと言い続けてきたんだけれども、平先生、違うんです、今のこれはグレーゾーンじゃないんです、サブプライムです、原油高ですと役所はずっと言い続けてきた。

 そこで、若干資料を見ていただきたいんですが、お手元の資料の五枚目から始まります。これは東京情報大学の堂下先生という方が調査をいたしました。なかなか調査はないですね、零細企業の。それで、堂下さんという人が、五千五百人を対象に、日銀短観の対象にならないような零細企業をインターネットで調査しています。

 一枚めくっていただいて、六ページ。右側のこのグラフを見ていただきたいんですが、零細企業といえども、資金調達先、経常的な資金、要は長期で借りるお金は、やはり銀行から借りているんですよ。銀行四九・七%、信金、信組二八%。ただ、もう一枚めくっていただきまして、短期のつなぎ資金の調達先となると、一番は銀行だけれども、二位は何と消費者金融やクレジットカードローン会社から金を借りているんですね。

 しかしながら、この間の、金利の上限を制限しましたから、ノンバンクに対する銀行の貸し渋り、貸しはがしが始まって、ノンバンクは今撤退モードですよ。外資はもう撤収しちゃいました。担い手はだれもいないですよ。

 こういった中で、こういう中小零細というのは、全部つながっているんです、経済は。中小零細は小企業と取引しているわけですよ。小企業は中企業、中企業は大企業と取引しているわけです。ですから、こういう金利を制限したことによって、一番リスクの高いところが金融の世界から、縁から崩れていっているんですよ。これはそろそろ見直しをしていただかなければいけないんじゃないか。現実を直視してもらいたい。

 それとあわせて、先般、英国の調査機関のポリシスというところのアナ・エリシオさんという消費者金融、金利と消費者保護の専門家をお呼びして話を聞きました。何か民主党の方も勉強会をしたという話も聞いておりますが。

 金利の上限が低い国ほど問題の債権の発生率は実は高いんですね。それで、前回我々議論をしたときに、フランスは安いんだ、ドイツは安いんだと言ったけれども、あそこに実は保証料がかかってくる、遅延損害金がかかってきたり手数料がかかってきているわけですよ。そういうことを考えると、これはただただ金利を制限すればいい方向に行くわけではないということがこのアナさんの主張でありまして、前回、金融庁がさまざまな審議会で議論をしたときに、彼女は、自分の言った意見が誤って伝わっているんじゃないかといって、心配してわざわざ日本まで来たわけであります。

 そういうことをすべて考えれば、せめてビジネスユースの資金は、この上限金利を考えてくださいよ。これはどうにもならないと私は思います。

 最後の資料を見ていただきたいんですが、「わが国におけるリスクファイナンスの構造」というのを書かせてもらいました。

 従来の構造でいけば、メガも地銀も信金、信組もリスクをとっていないですよ。五%ぐらいまでのリスクしかとっていないんだから。その下のリスクは、全部ノンバンクがとっていた、もしくはGEとか外資がとっていたんですよ。これを、貸金業法を改正してノンバンクを全滅させたわけです。別に僕は業者の立場になる気はないけれども、その先には借り手がいるわけですよ。さらには、サブプライム問題で外資がいなくなったわけですよ。そして、さっき言ったように、銀行なんか何の努力もしていないから、ただただ貸さなければいいということで経営を守っているわけですよ。それで、結局だれもいなくなったんです。

 ここには中小零細がたくさんいるわけですよ。どこへ行くんですか、この人たちは。私はミドルリスクの銀行をやっていますけれども、グレーゾーンの人たちは、ミドルがないからグレーゾーンに行っちゃった人がいるわけです。二割、三割はミドルリスクで救えるけれども、残りの七割は救えないですよ。どこへ行くんですか、この七割の人は。わかるように説明してくださいよ。

 まあ、余りあれですけれども、そういうことで、上限金利の制限というものはもう一度よく見直していただきたい。最後に、答弁をください。それで終わります。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 一昨年の十二月に、上限金利の引き下げを内容とします改正貸金業法が成立しております。これは委員御案内のとおり、金利の実勢が、先ほど委員もおっしゃいましたとおり、二、三、四、五といった数%のところと二〇%超のところと、実は二つの山ができる、いわゆるフタコブラクダと言われていますが、そういった状況になっておりまして、これは必ずしもリスクに応じた適切な金利設定が行われているとは言いがたいという現状がございました。したがいまして、そうした現状を何とか適正化させたいという意義も有しております。

 ただ、上限金利の引き下げは、昨年十二月に本体施行いたしましたが、それから二年六カ月以内に施行ということでございまして、今、段階的に施行しているところでございます。上限金利の引き下げ自体は現在施行しておりません。これから、まさに昨年の十二月から二年半以内に施行される。その中で、利息制限法のもとで、適切なリスクに見合ったリターンをとるといったビジネスモデルを貸金業者の方には構築していただくための体制整備を図っていただきたいというふうに思っております。

 なお、セーフティーネット貸し付けも講じられておりまして、再生プロセスにある事業者に対する公的融資制度も積極的に活用を促すことといったことが多重債務問題改善プログラムでも明記されているところでございます。

 以上でございます。

平委員 全然わかっていないんですね。金利を下げるのは来年かもしれないけれども、決まった時点からビジネスの世界は動くんですよ。それがまずわかっていない。それと、金利を制限した中でモデルをつくると言っているけれども、それ自体がリスクをとれない。端から、縁から全部崩れていくんですよ、全部つながっている。

 最後に、政治家、副大臣、どなたか、ちょっとこの件についてコメントをいただいて、終わりたいと思います。

吉川副大臣 平議員がこの件に関しまして、平成十八年の改正のときにも、大変な御関心を持たれて党の部会等々でも御発言をされておりますことは私も十分承知をいたしておるところでございまして、政治家、私個人といたしましては、思いをともにするところがたくさんございます。

 ただ、役所的にどうしてもお答えをしなければなりませんのは、小規模の企業に関しまして、中小を含めてですけれども、多様な資金ニーズがあることはもう十分承知をいたしておるところでございまして、経済産業省といたしましては、セーフティーネット金融の充実を初めとする各種施策の充実に努めてきたところでありまするけれども、今後とも、中小・小規模企業の金融の実態や経営状況などにつきまして十分注視して、適切な施策を講じていかなければならないと考えているところでございます。(平委員「最後、金融庁、副大臣」と呼ぶ)

東委員長 谷本内閣府副大臣、時間が参っておりますので、簡単にお願いします。

谷本副大臣 はい、簡単にいたします。

 平委員の思いはいつも聞かされておりますから、しっかりよくわかっております。金融庁といたしましても、どこに問題があるのか、それをしっかり見ながら、柔軟にまた対応を検討したいと思います。よろしくお願いします。

平委員 終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて平将明君の質疑は終了しました。

 次に、木挽司君。

木挽委員 自民党の木挽司でございます。

 今の平議員の質問をずっと拝聴させていただきまして、非常に賛同するところが多うございます。「超現場主義 中小企業金融論」という本を平議員は出しておりますが、最初から最後まで隅々まで読ませていただきまして、売れたかどうかは知りませんけれども、私は非常に感銘を受けておるところでございます。

 と申しますのも、この経済産業委員には現場を経験していらっしゃる方がまたたくさんいらっしゃるわけでございますけれども、私もその一人でございまして、このマイクにつながっているコードやカメラにつながっているコード、多分、私のやっておりました会社の機械でつくったものだと思います。

 私、大学時代、企業を始めまして、その後、商工会議所、尼崎市にあります商工会議所では経営指導員、まさに、おまえたち現場で中小企業の皆さんの話を聞けよという話もさっきから出ておりますが、その経営指導員を十年ほどさせていただきました。

 みずから経営する中にあっては、さまざまなことがやはりございました。資金繰りで眠れない夜を過ごしましたし、本当に手に汗をかく中で仕事をし、また、海外に臨みましては、先ほど北神圭朗さんの話にも出ておりましたが、中国企業にだまされたり、あるいは、私、地方銀行の支店長にお金を持ち逃げされたこともあります。そのとき、金融庁は何も相手にしてくれませんでしたがね。随分過去の話、時効の話ではございますが、私の記憶には鮮明に残っております。いわゆる中小企業の経営をしておる中で、私、一通りのそういった経験をしてきたつもりでございます。

 その中にあって、先ほどの平議員の発言を聞いておりまして、逃げの一手のメガバンクに対しては、やはり結果的に自分たちにはね返ってくるんだぞということを私は大きな声で訴えたいと思います。

 その中で、当面の焦点は、私、先ほどから何回も出ております米国発の金融危機が日本の国内企業に及ぼす影響にあると思いますが、そのかぎは地方銀行、第二地銀だとか信用金庫、信用組合などの地域金融機関にもあると思います。

 多くの地域金融機関は、地域の地盤沈下と融資先の業績悪化による資金需要の低迷に直面しています。そこに、今回の金融危機によって、リーマン関連債権の損失や株安に伴う保有株式の減損処理が加わり、さらに実体経済の急減速が追い打ちをかけていると私は見ています。

 そこでまず、ありていですが、地域金融機関の業績の悪化について、現在の全体の概況をどう把握しているのか、まず金融庁側から御意見をお聞きしたい。そしてさらに、このような状況下、中小企業庁は、地域を支える中小企業に対して、地域経済の状況をどのように分析しているのか。まず、この二点、お聞きしたいと思います。

居戸政府参考人 地域金融機関につきましては、地域密着型金融に関する取り組み等によって収益力の向上に努めてきたところでございますが、例えば、今発表中でございます二十年九月期決算では、有価証券の減損処理費用や不良債権処理費用の増加などにより、減益や赤字となった銀行が多くなってきております。

 この背景としては、委員御指摘のとおり、米国のサブプライム問題に端を発した欧米の金融市場の混乱が、我が国の実体経済や株式市場等にも大きな影響を及ぼしていることや、地域経済が厳しい状況にあることが挙げられると思います。

 金融庁といたしましては、引き続き、高い警戒水準を維持しつつ、金融市場の動向や地域の経済情勢が地域金融機関に与える影響について注意深くフォローをしてまいりたいと考えております。

吉川副大臣 木挽議員から、中小企業の景況感についてお尋ねがあったところでございまするけれども、景況感は一段と厳しさを増していると私は認識をしております。

 また、中小・小規模企業の景況感に関する調査を見ますると、これまで比較的好調だった関東や中部、近畿の業況感も他地域並みに悪化してきておるところであります。

 今月の七日に、全国の経済産業局長にお集まりをいただきまして、緊急会議を大臣のもとで開催させていただきました。その折に、地域の中小・小規模企業の経営者から、業況が非常に厳しいという声が多数寄せられているとの報告を受けたところでもございます。

 そしてまた、二階大臣から私ども副大臣、政務官も含めまして、全国の経済産業局のある地域を訪れて、いろいろと中小企業関係の皆さんやあるいは金融機関の皆さんとの懇談を持たせていただき、実態把握をしようということで今行っているところでありますが、私も、今月の十七日と二十日には札幌と仙台を訪れまして、中小・小規模企業の皆様から、経営環境の厳しさについて直接お話を伺ったところでございます。

 さらに、厳しさを増す金融環境につきましては、各地の経済産業局長にも命じまして、金融庁と連携をして、商工会、商工会議所を中心に全国百五十カ所におきまして、中小・小規模企業の資金繰りの実態把握に取り組んでいるところでもございます。

 今後とも、中小・小規模企業の実情をしっかり把握するよう努力してまいりたいと存じています。

木挽委員 今、商工会議所、商工会のお話もありました。当然、経営指導員なんかが最前線に立って、中小企業の方たちと面と対して説明なんかをするわけなんでしょうけれども、過去の同僚やそうした現場に行ってお話を伺っておりますと、彼らの理解が追いついていないんですね。

 確かに、指示は出ています。私なんかも、そのお話をフォローするから、では説明会をしようかというようなことを持ちかけると、その説明会をしている時間がない。どうしても窓口が混乱する中にあって、ではどこまで理解しているのかということで、一人、二人つかまえて問いかけをしてみると、わかっていないところが随分あるんですね。この辺の実態、やはり現場感覚との温度差、先ほどから何度もさまざまな議員が指摘をしておりますが、私、如実にあらわれている一つの点だと思います。

 水面下では、確かに、倒産にカウントされない廃業だとか休業などの隠れ倒産も膨れ上がっておる、そういうふうに認識しております。地域では、業歴三十年以上のしにせ倒産の構成比も過去最高の三〇%に達したと伺っております。構造的な不況倒産に至っては八割を超えている、そこまで上昇しているというふうにも認識しております。

 このように、中小零細、地方あるいは内需型企業を中心に倒産予備軍はいまだ数多く存在する中で、政府は中小企業対策として、地銀など金融機関の経営が悪化する前に公的資金を注入する金融機能強化法の改正や、信用保証協会による信用保証枠の拡大、そして法人税の軽減措置の一時拡大などを打ち出しておられます。これらの対策で中小零細企業の資金繰りが一息つく可能性はあるとはいえ、中小企業や地方企業が抱える市場収縮やあるいは供給過剰という構造的な問題を考えると、私は、抜本的な改善につながるかということになると大いに疑問を呈したいと思います。

 そもそも、これまでの景気拡大局面は、超低金利あるいは円安による輸出産業の好調、都市部の局地的な不動産バブルに支えられており、大半の中小零細、地方企業はその恩恵を享受できる構造にはありませんでしたよね。公的資金によって金融機関の自己資本が厚くなる分だけ貸し出し余力は増しますが、融資の審査基準そのものが劇的に変わらなければ、中小零細企業に金が回ることはないと私は思っております。

 地域金融機関の業績が悪化する中で、中小企業金融は厳しい局面に至ると思いますが、どう対処していこうと考えているのか、改めてこの点を聞かせていただきたいと思います。

居戸政府参考人 中小企業に対する円滑な資金供給というのは、金融機関にとって最も重要な役割の一つであるというふうに考えております。金融機関は、借り手企業の経営実態や特性に応じたリスクテークとリスク管理をきめ細かく行って、中小企業に対する円滑な資金供給に努めることが一層重要になっております。

 このような基本的考え方に立ちまして、厳しい状況に直面する中小企業に対する金融の円滑化に向けて、中小企業庁とも連携しつつ、さまざまな施策を講じているところでございます。

 一つは、今先生も御紹介いただきました信用保証の緊急保証制度について、私ども、金融機関に強くその円滑な運用を要請し、現場の末端にまできちんと徹底するように努めておりますし、私どもの中川大臣の目安箱を設置して中小企業金融の実態把握であるとか、あるいはいわゆるリレバン、地域密着型金融の一層の推進とか、それから先般は、金融機関からの借り入れ、貸し出しの条件を少し緩和しやすいような、貸し出し条件の緩和債権該当の変更も行ったところでございます。

 このような手も一生懸命打ちつつ、中小企業庁とも連携しつつ、さらに中小企業金融の円滑化に努めてまいりたいと考えております。

木挽委員 先ほど平議員、何度もお名前を出しますが、漏れのない政策を打ってほしいということがありました。確かに、今のような考え方もいいのでしょうけれども、私のかかわっているものづくりの社会でも、やはり大手からの支払いサイトが厳しくなる、あるいは支払い条件が変更されるということが随分出てまいりました。ジャスト・イン・タイムで自動車業界などは動きますから、当然ぴたっととまるんですね。

 先日も自動車関連の企業を何社か回らせていただいて、直接現場でお話をお聞かせいただきますと、先月までは結構繁忙、忙しくされていたところが急にとまって、同じ担当者がリストラの担当をさせられているということで汗をかいていらっしゃいました。

 そうした状況を見る中で、先ほど出ておりましたグレーゾーン金利の話もありますが、支払いサイトが急に延ばされたりすると、今のような信用収縮の中にあって、短期で必要な資金というのがどうしても必要になってまいりますので、その辺は私も考慮していただきたいなと思います。

 そして、ちょっと話がそれますけれども、今回公的資金注入の話が出ておりますけれども、これは金融機関の再編促進をその目的から外していますよね。その点、実際に単独で手を挙げる金融機関はどれだけあるのかな、やはり再編をセットにした注入が現実的ではないかなと私も思います。金融機関の方々のお話を聞いていると、大半の方がやはりそういう見方をおっしゃられますよね。そうであれば、合併や吸収に備えて融資先を選別するのは避けられません。そうした事態が出てくるのは当然避けられなくなってくる。

 さらに、前回のバブル崩壊後に不良債権処理が長引いた教訓もあって、早目に貸出先の債務者区分を引き下げて回収するという融資スタンスが定着してくるというのは、もう明白に見えてくることです。

 このように、金融機関が企業に貸し付けた金が循環して付加価値を生んでいくという信用創造のシステムが機能しない中では、政策効果も限定的になってくるのではないかというふうに私見ているんですが、済みません、本日の質問の方に戻らせていただきます。

 そうした中で、世界的な金融危機が我が国の実体経済にも影響を及ぼしつつあります。とりわけ、この年末が一つの正念場と私とらえておるんですが、私の周囲、特に関連するものづくりにおいても、先ほど申しましたように極端な影響が出始めております。川下に向かうに従って厳しい状況が出てきております。

 そうした中、当面金融庁は、中小企業の年末ということを考えたときに、先ほどからもいろいろ説明を受けておりますけれども、その資金繰りに対して、もう少し予見する中で対策を打っていくことがあるんじゃないかと思います。また、中小企業の年末の資金繰りの円滑化に向けてどのような対応を図っていくのか、もう一段踏み込んで聞かせていただければと思っております。お願いします。

居戸政府参考人 年末の資金繰りについてお尋ねがございました。

 米国のサブプライムローン問題に端を発したグローバルな金融市場の混乱が、我が国の経済、金融にも大きな影響を及ぼしていまして、このような状況のもとで、中小企業は厳しい状況に直面をしているところでございます。

 諸般の統計を見ましても、あるいは私ども金融庁のやったアンケートでも、資金繰りや金融機関の貸し出し態度について中小企業の判断が厳しくなってきております。今先生御指摘のように、年末に向けてさらに厳しい状況が予想され、年末には資金需要期を迎えるわけでございます。こういうときこそ、先ほど申し上げたような政府のとっている施策をうまく金融機関が御活用いただいて、より一層的確かつ積極的な金融仲介機能を発揮していただけるように求められているというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたように、個々の企業の実態をきめ細かく見て融資の判断をするように、金融機関にさらに働きかけてまいりたいというふうに考えております。

木挽委員 きめ細かくという話がありました。

 十月の二十二日に、全国信用保証協会等代表者会合において二階経済産業大臣は、中小・小規模企業の経営実態や特性を十分に踏まえた審査を強調する意味で、今から読み上げるようなメッセージを発信されています。

 借り手の立場に立った親身な対応、形式的基準によるのではなく、中小・小規模企業の実態を踏まえた判断を特にお願いしておきたい、さらに、新規貸し付けだけでなく、既往債務の返済猶予などについても柔軟な対応をお願いします、そして、きょうあすの資金繰りに奔走している中小・小規模企業の立場を踏まえ、審査の迅速な対応もお願いしておきたいとありますが、今のきめ細かい対応というお話とあわせて、本当に実態はそうなんでしょうか。

 またさらに、十月二十八日、これを受けて、中小企業庁長官から全国の信用保証協会へ向けた文書要請が出ておりますね。詳しいことは省きますが、具体例にあるような中小・小規模企業の経営実態や特性を十分に踏まえ、ここは中飛ばしさせていただいて、保証判断を行うこととされています。

 その中で幾つか項目があって、複数の決算期にわたって赤字となっているが、赤字幅が低水準で安定しており、経営者、取引先等からの継続的な支援が行われている場合。次に、表面上は債務超過となっているが、実質的には、資本とみなし得る経営者からの借入金を勘案すると資産超過となっている場合。原材料仕入れ価格等の急増を受けて利幅が縮小しているが、売り上げが伸びており、通常時よりも多くの運転資金を必要としている場合。あと二つありますね。過大な在庫を抱えており資金繰りが難しくなってきているが、当該在庫を数年程度で処分できる見込みが相応に存在する場合。最後に、足元の売り上げは縮小傾向にあるが、開発したばかりの新製品に関する取引先の評価が高く、今後の財務内容の好転が十分に見込まれる場合。

 これは、市中の金融機関ではなくて保証協会にあてたものではございますが、こういった要請は出ているんですけれどもね。

 御存じのように、あまたある中小企業には、それぞれに特殊な技術を持っているところがあったり、ノウハウを有しているところ、あるいはすぐれた人材を抱えているところもあるわけですが、実際、保証協会、たくさんの申し込みや案件がある中で、今淡々と審査しております。

 担当者の方々、昔のよしみでいろいろ話をしていると、さまざまな声が聞こえておりますが、先ほど言われたきめ細かい審査、要請が出されておる中で、審査をしていく中で、現在の保証協会、実際に審査している人にこれらの要請に対応する能力、失礼かもしれませんが、あるのかというと、私はないと断言したい。また、そういう状況にない。そういう細やかなところまで配慮して審査している状況が時間的にあるかというと、ないんですね。だから、これは滞留しているんじゃないかなと。

 もう一つの理由は、彼らはやはりありていに言います。金融庁から、あるいは上の方から、急に閉めていた蛇口を開くような指示がなされて、協会の現場では戸惑っていると。結局、えいやで審査、保証をしてしまう、そういうことが進んでいくのではないか。

 私は、年末において、中小企業において、少しでも円滑にスピーディーにやはり融資はしていただきたいと思いますが、こういった審査が行われている。能力的にも疑義がつくわけでございますが、そうした、最終的に国がツケを払わされるという懸念もありつつ、あくまで一例としてここで御紹介したいと思っております。

 そういうことを踏まえて、年末に向けて、確かに中小企業が厳しい現実を迎えることはだれしもわかっていることですし、想定されております。中小企業から直接声を聞いて必要な対処を図る体制については、本当に整っているんでしょうか。その点についてお聞かせいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答えを申し上げます。

 木挽先生からさまざまな、むしろこの制度を設計し実施する上でいろいろと相矛盾する要素、私どもの悩みといいますか、そういったことも御指摘いただきましたことをまず大変感謝申し上げます。

 大変難しい制度でございます。財政への負担ということは国民負担でございますし、一方で迅速に処理をしなければ、もう年末の資金繰りというのは、こんなことを申し上げるまでもないんですけれども、十二月三十一日では決してございませんので、ボーナスとかいろいろなことを考えますと、もうすぐ、もう足元に迫っている。そういう中で、現在、お許しをいただきました予算を最大限活用するということでやっております。

 私は、少なくとも、先ほど御紹介いただきました信用保証協会への中小企業の実態を踏まえた運用ということを、大臣の御指示、副大臣の御指導を得ましてはっきりさせた方がいいということで、金融庁とも相談をしながら出したわけでございまして、これが少しでもスピーディーな審査につながるということを私ども祈っているわけでございます。

 実際、先ほど、朝の大臣の御答弁がございましたように、保証の承諾も額は毎日ふえているということでございまして、これで一件でも倒産が少なくなればというような気持ちでございます。

 現場ということにつきましては、中小業者、利用者の方もございますし、今お話がございました信用保証協会の職員の方の声も必要だと思いますし、それからあとは都道府県あるいは区市町村の職員の方いろいろ、アンテナを高くしてということでございますので、その声を一〇〇%ちゃんと把握しているかと言われますと、確かにそれは、完全というのは難しいと思いますが、全国百五十カ所、金融庁と一緒に、事務方のみならず、ここは大臣、副大臣、政務官の貴重な時間をいただきまして、少しでも中小業者の方が、むしろ声を出しやすく、そして悩みを打ち明けやすく、不満もぶつけやすくというようなことで進めてまいりたいと思いますので、引き続きよろしく御指摘のほどお願い申し上げます。

木挽委員 悩ましいところであります。ひょっとしたらこの問いかけは、皆さん行政の方よりも、むしろ私たち政治家の方に問いかけられていることなのかなと私も強く受けとめておるところでございます。与野党の壁を越えて、世界金融の危機に対して、火の手が上がっているのを何とか静めようと取り組んでいる世界の先進諸国に対して、私たち日本も負けないように、国民の皆さんに安心いただけるような政策を発信していくべきではないかと思います。

 さて、時間がない中ではございますが、商店街関係について少し質問をさせていただきたいと思います。

 追加経済対策では、今後のあるべき成長の姿として、自律的な内需主導型経済成長が掲げられておりますが、この言葉の響きは非常に心地のいいものだと私は思います。内需主導の景気回復という言葉には、国内の雇用が拡大して賃金が上がって、また地方も景気がよくなるというイメージが織り込まれているからだと思います。

 確かに、内需の安定的な拡大は望ましい。ですが、現実を見たときに、日本は外需要因を除いて成長を考えるのは非常に現実的ではないと私は受けとめております。世界とともに成長しなければ日本の経済は成り立たない、そう私は受けとめております。

 それでも、そんな中にあっても、商店街は地域の経済と社会を支える極めて重要な存在である。私は、商店街が元気になれば地域が元気になるとの信念を持って、この経済産業委員会のメンバーであります中野先生や安井先生あるいは平先生たちと、あきんど議員連盟を結成しております。その事務局長を務めさせていただいておりますが、この議連、相当数の会合を重ねて積極的に政策の提言を行ってまいりました。その一端は、当委員会でも多分、安井幹事長が何度も何度も質問されて、皆さんも認識されておるのではないかと思います。

 さて、今月の八日ですが、麻生総理が東京都の亀有商店街に足を運ばれて、意欲ある商店街を激励されました。亀有を訪れたときに麻生総理が触れたこと、それは小振法、中小小売商業振興法について、これを時代に合った形に拡大するべきではないかという旨の発言をされたことが新聞各紙で報道されております。私自身がそれに取り組んでいたから余計目についたのかもしれませんが。

 さらにその中で、経産省は今度法律を変えると思いますけれども、そういったものもやって、そういう地域のコミュニティーをうまくつくり上げていく、商店街と一緒にという発想がいいとも発言されておられます。

 私もこの法律、周辺を改正する必要を感じておりましたが、実際に小振法を所管する中小企業庁では、小振法の拡大と総理が表現されていることについて、現時点で何かしら具体的な方向性が決まっているのでしょうか。できるだけ詳しくお聞きしたいと思います。実際に取り組まれているというような表現もあったので、副大臣にもお答えいただきたいと思います。

高市副大臣 木挽委員が御指摘のとおり、本当に商店街というのは、商品ですとかサービスを提供するだけではなくて、地域のコミュニティーの中核となっていると思います。本当に、お仕事も遅くまである中でも、お祭りですとかいろいろなイベントを一生懸命皆さん御準備いただいているのは、木挽委員の選挙区でも一緒だと思いますね。

 それで現在は、とにかく、木挽委員初めあきんど議連の皆様からもさまざまな御提言をいただいておりますので、商店街振興、ここを強力に応援しようということで、その方向性、まさに今検討中でございます。これは来年度の予算要求でも大幅に拡充をいたしておりますし、税制に関しましても、土地譲渡の方で税制の要望をいたしております。これとあわせて、小振法でやるのかどうかも含めまして、基本的に立法を行っていくということで検討中でございます。

 詳細につきましてはまだ検討段階ですので、今の段階でお答えできませんが、委員の先生方の御指導もいただきながら、しっかりと、商店街が元気になっていくように措置をとってまいりたいと思っております。

木挽委員 ありがとうございます。

 今はまだ検討中ということでございますが、さまざまな懸念材料もございますし、周辺、時代に合った、そして実効性のある政策をつくっていくには、まだまだこれから皆さんの意見を集約していくということであると受けとめました。

 これまでの商業振興政策においては、アーケードや駐車場等の商店街のハード面の整備に重きが置かれてまいりました。こうした政策は、商店街の環境整備に貢献してきたものでありますし、今後も積極的に行っていくべきものであると私も思っております。

 しかし、その反面、これまでの政策はそこに偏り過ぎていたのではないか。今後の商店街振興政策において、商店街の担い手となる人材の育成事業のようなソフト事業にもっと着目して支援していくべきであり、必要とあれば法律を改正して、支援の枠組みにそうした事業をしっかりと位置づけるべきなのではないかと考えております。

 ひとつ、中小企業庁長官のお考えをお伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 全国、多数立派な商店街がございまして、それぞれの商店街は商店街の個性と考え方がございます。その商店街の皆さん方がお考えになって、ハードの施設整備に重点を置きたいというところもまだ多くございます。しかし、それだけではなくて、先ほど来木挽先生が御指摘されていますように、やはり商店街というのは地域の顔であり、そしてまた単に物を売ったり買ったりというだけではないと思っておりますし、実際にそういう集いの場、地域コミュニティーをつくり上げて維持をするというような、非常に積極的な活動をされているところもたくさんございます。

 むしろ行政は、そういった商店街がそれぞれの個性を生かして発展をし、それが地域コミュニティーの発展につながるということを受けとめるような政策を講じていくべきであろう。そういう意味でむしろ、ソフト面も含めまして、今私ども、大臣、副大臣の御指導を仰ぎながら検討しているところでございますので、必ずしもハードだけではない、もう少し視野を広げて検討してまいりたいというふうに思っております。

木挽委員 商店街全体を支援する政策が充実していた反面で、もうこれは何度もこの委員会でも指摘されていると思うんですが、商店街で実際に商売を行っている各個店を支援するという視点なり観点が、従来の商店街支援施策には抜け落ちていたのではないかと思われます。

 商店街を応援するための法的措置を改正していくのであれば、現行制度下においては融資くらいしか具体的な支援施策がない個店の支援を、より充実させていくべきではないか。その点について、中小企業庁長官はいかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、確かに、個店が力を発揮し活力を持たなければ、商店街の発展というものもないことは明らかでございます。他方で、財政資金を個別の中小企業に助成する、これは商業に限りませんで、ということになりますと、それはそれで、税金を直接助成するということでございますので、やはり国民経済的な意義、国家政策的な意義がなければ、それは容易ではないという面もあるかと思います。

 そういう意味で、私ども着目しておりますのは、商店街という個別の個店の集積が、公あるいはその地域のコミュニティーにとって意味がある、それが国家にとっても是認されるというようなケースがないのかどうか。恐らくこれは、現在空き店舗とか、それからその空き店舗を活用しましたさまざまな子育てや高齢者への支援、こういったようなことというのは、恐らくは国家経済的、あるいは国家から見ても是認されるような例として申し上げられるのではないかと思っております。

 そういったような中で、個店というものがどういう位置づけになるか。裸で個店の支援というのはなかなかつらいと思いますけれども、その位置づけが何とかできないかというようなことの中で、政策体系を構築していきたいというふうに思っております。

木挽委員 商店街を面的に見ていく中でも、しかしその中で、構成要員の中で、やはり元気な個店というものがリーダーとして引っ張っていく形が、私はぜひとも必要だと考えております。そしてぜひとも、経済面だけではなくて、社会的、文化的な面にも目をつけて、それを応援していただけるような政策をどんどん打ち出していっていただきたいと思います。

 世界には、日本に例のないようなスモールビジネスで頑張っているところがたくさんございます。あらゆる政策を動員して、こうしたスモールビジネス全体を応援していただきたいということを要望として、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて木挽司君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 きょう、二階大臣がいらっしゃらないのは大変残念ですけれども、大臣がいらっしゃらないので、副大臣は日ごろから発言をしたいという意欲がある御両名だと思いますので、ざっくばらんに自由闊達な御答弁をいただければと思います。

 まず、本論に入る前に、ちょっと地元で一つ問題がございます。時間切れになっては困るので、まず一つ、地元の問題から最初に質問させていただきたいと思います。

 実は私、地元に、神戸市長田区の若松二丁目というところ、実はパチンコ屋が廃業しておりまして、そこに競輪の場外車券場が建設されるというような動きがある、その業者が地域を地元説明に回っている、こういう状況がございます。

 この若松二丁目というのは、実は阪神・淡路大震災で一番被害が大きくて、都市の再開発をした以降は新しいマンション群が林立をしておりまして、住宅地になった。ですから、大変地域住民の反対運動が起こっているわけでございます。

 実は、先日、私も一緒に近畿経済局の局長のもとにも足を運ばせていただいたのですが、きょうは委員会の場でちょっと改めて確認をしたいんです。

 この競輪場外車券場の設置許可につきましては、経済産業省製造産業局の車両課が行う、このように承知しておりますが、この許可申請の手順で、地元自治会及び地元自治体、警察署、消防署との調整が必要であるというふうに了解していますが、この同意というのは必要なのかどうか、法文上どうなっているのかということをまず確認したいと思います。

細野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の競輪の場外車券売り場の設置許可の関係でございますけれども、許可に当たりましては、自転車競技法の規定に基づきまして、まず、施設については、公正、安全を確保するために、現金とか車券を含む重要書類を保管するための施設がちゃんとあるかどうか、あるいは、周辺の交通の便を害さないような駐車場等がちゃんとあるかどうか等の観点から審査を行います。

 あわせて、当該施設の性格にかんがみまして、今御指摘のように、当該施設が設置を仮にされたときに、周辺に直接影響を及ぼすという可能性から、周辺の住民の方々の意見を尊重する、そういう観点も重要かと思っておりまして、町内会などの同意を証する書面を申請時にあわせて出していただくということを運用上の原則としております。

 ただし、もちろん、その周辺の町内会等が存在しないような場合には、地方公共団体等の長の同意を証する書面をもってこれにかえるということももちろん可能でございます。

 こうした方針に即しまして、今後とも、場外車券場が設置される場合でも、その地域社会の理解を得ながら円滑に進められるようということの方針を堅持してやってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

赤羽委員 今回の本件につきましては、地元の複数の自治会で反対協議会の設立というものがされております。そこの同意がなければ許可されないものというふうに承知しますが、しかし、中では、例えば商店街なんかは人が集まった方がいいというような意見ももちろんある。そういった商店街の同意があることによって、地域住民からの納得もいただいたというような申請がされることについてもちょっと懸念を持っているようでありますが、このことについて、再度ちょっと御確認いただけますでしょうか。

細野政府参考人 重ねてお答えを申し上げます。

 こういう施設が地域に立地をされる場合に、いろいろな効果が期待をされるわけでございます。もちろん、御指摘のように、その施設が設置されたことによってお客が集まるというような集客効果を期待する向きももちろんあるわけでございます。他方、そういう効果もありますけれども、逆のお立場の方もおられる。

 したがって、そういった意見については、何らかの格好で集約をしていただくということでございまして、先ほど申し上げましたように、地域の町内会等の同意書というのは、そういったものを全体として象徴するような、あるいは取りまとめてあらわすようなものとして、審査の段階でお願いをしているわけでございます。

 したがいまして、地域の全体を代表すると思われるような、主体が何かにもよりますけれども、今先生御指摘の場合は、町内会がちゃんと別にあって、協議会もあるというふうに伺っておりますので、そういった方々の同意ということを書面で出していただかないと、なかなか全体のコンセンサスとは認めないということでございます。

赤羽委員 地元の方も、今の局長の御答弁で大変安心したと思いますので、しっかりと見守っていただきたいと思います。

 それでは、きょうの本論に入らせていただきます。

 きょうの同僚議員の質問を聞いておりまして、やはり本当に中小企業の現場というのは大変だ、こういうことの御指摘、現場を歩かれての御指摘が続いているわけでありますが、一方では、私は、二階経済産業大臣のリーダーシップで、今回まさに政府として緊急保証とセーフティーネット貸し付けの強化、総計三十兆のこれを設置するということは大変英断だというふうに考えております。何か、いじめられてばかりいるので、少しエールを送らないと。

 すごく大事なことだと思いますし、十月三十一日から始めて三週間の状況ですけれども、さまざまな資料、実は昨日も二階大臣とお会いしたときに、毎日、全国で信用保証協会から実績を集めているということを言われておりますし、先ほども副大臣、北海道と仙台ですか、札幌と仙台で全国行脚されている、二階大臣も沖縄に行かれたというような話も聞いておりますので、私たちもそういう思いがいっぱいですけれども、中小企業が資金繰りで行き詰まって倒産をするということを極力出さない、恐らく、そういう決意のあらわれの今回こういった政策であるというふうに考えております。

 この緊急保証、セーフティーネット貸し付けの、始まって三週間でありますけれども、ここについての現状に対する評価と、それと、今出ているところからの分析というのをどのようにとらえているのか、御見解をいただきたいと思います。

吉川副大臣 赤羽先生、先刻御承知のとおりのことだろうと思っております。また、大臣がおりませんで、大変恐縮に存じます。私から、ただいまの御質問に対しましてお答えをさせていただきたいと思います。

 もう既に何度もお答えをいたしておりますが、この開始以降、五万三千件の相談、一万九千件、四千五百億円の承諾実績となりまして、多くの中小・小規模の方々に利用いただいておるところでございます。

 ただ、今、赤羽先生が御指摘いただきましたように、地域経済、そして認定を行う市区町村、地域の金融機関の状況によりまして、実施状況に、若干相違があることは、もう事実でございます。例えば、すぐれた取り組み、このような形ですぐれた取り組みと表現をしていいのかどうか、戸惑いもありまするけれども、例えば京都あたりでは、四十七件の相談件数に対して、実際に実施件数が七百九十件、そういう取り組みをされているところもございます。

 私も、今お話をいただきましたように、先刻から大臣の御下命もございまして、札幌と仙台へ行ってまいりました。私の前任者であります中野前副大臣の御地元でありますが、どうも信用保証協会の動きが少し積極的じゃないなという感を受けましたので、これは積極的にぜひ対応していただきたい、そういうようなお話もさせていただいたところでございます。

 さらに、私どもといたしましては、ただいまもお話をいただきましたように、今大臣も沖縄に行ってまいりましたし、これから国会のお許しもいただきながら、高市副大臣も全国行脚をするような予定も聞いておりますので、さらにこの制度の周知徹底や運用の円滑化に努めることをさせていただきたいと思っておりますし、省を挙げて積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 特に、中小企業団体を初めとする、そういった方々のお声に関しましては、私ども、真摯に耳を傾けてまいりましたけれども、極めて厳しい景況であるということは異口同音におっしゃいますし、何とか内需拡大、仕事をつくらなければならないという気持ちにもなりました。そしてまた、この緊急保証に関しましては、時宜を得た保証であるという御評価もいただいておるところでございます。

 以上であります。

赤羽委員 今、御答弁の中にもありました、私も全国の都道府県の実績をいただいているんですけれども、今副大臣おっしゃられたように、京都なんかは相談件数四十七件で承諾件数が七百九十件。一方、我が兵庫県は、五千件を超える相談件数なんですが、承諾されたのは六百十件。相当、程度がまだ低い方なんじゃないかと思いますが、これはどこに原因があるというふうな認識をされているんでしょうか。京都府が、相談が四十七件で承諾が七百九十件というのも、何かやはり理由があるはずなんですが、どういう分析をされているのか。長官でも結構ですけれども……。

長谷川政府参考人 御答弁申し上げます。

 データ、事実関係でございますので、事務方から御答弁をお許しいただきたいと思います。

 今、非常に限られた期間で集計しておりますデータでございますので、いろいろな制約はまずお許しいただくとして、今、相談ということで計上しておりますのは、信用保証協会に直接、中小・小規模企業の方がお見えになった相談でございます。

 先生御案内のとおり、信用保証を使う場合は、中小企業の方々は、結構お取引をされている銀行経由で申し込むということも実態としては多うございます。ですから、これから先はちょっと推測なので、間違っていたらいけないのかもしれませんけれども、むしろ銀行が、この制度ができたのでこの保証を使わないかということで、銀行経由で、むしろある程度の御紹介といいますか、逆にそこで、銀行によってはこの要件、金融庁等とも通じまして、私ども、今回の制度の知悉に努力しておりますので、そういう意味で、あらかじめ売り上げの要件とか業種の要件とか、そんなことをやっている可能性はありますので、むしろそのデータが、ある意味で十分じゃないということは、ちょっとおわびしなければいけないと思います。

赤羽委員 先日、地元の長田区で、ケミカルシューズ業界という今大変な業界なんですが、そこの若手の経営者と、ちょっと一緒に懇談会をしたんですが、そのときも、実は金融機関から、こういう十月三十一日から始まるということの声がけがあったと。

 やはり中小企業の人たちというのは、経営者といえども、そんなに余裕がない。日々のやりくりをどうしていくかというところが大半だと思いますので、私は、せっかくの制度を知らないことが多いと思うんですね。加えて、いろいろな制度がこれまでできたけれども、結局、自分のところは融資を受けることができない、そういうことを繰り返してきたわけだから、今度、幾ら肝いりだといっても、まただめだろうみたいな話というのは、やはりこびりついているわけです。だから、その辺、ぜひこれは金融庁からの督促、各金融機関に積極的にということを、もうやっていただいていると思いますが、ぜひお声がけをしていただきたいというのが一点でございます。

 ただ、一方で、神戸の場合は、特に阪神・淡路大震災なんかで相当融資を受けていて、まだそれが返し切れていないというところが結構あるんですね。そうすると、融資枠の残高というか、そこを加味すると、それぞれ各企業ごとに状況は違うんでしょうけれども、今回の緊急保証とかセーフティーネット貸し付けということができても、なかなか、これはやはりすっきりゼロから借りられるというわけじゃありませんよね。その辺、ちょっと御確認いただけますか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話がございましたように、中小企業の皆様方、従業員とか数も限られているケースが大変多うございますので、むしろ我々がつくった制度を見て手を挙げてくださいということ自体が非常に非現実的だというような実態に接しております。そういう意味で、いわゆる広い意味での広報といいますか、むしろ積極的にこちらから御相談を、どうかとお誘いするようなことも必要だと思っておりまして、そこにつきましては累次御答弁申し上げたとおりでございます。

 そういう中で、今のお話なんですけれども、私どもが信用保証協会の方に申し上げておりますのは、確かに債務をかなり抱えておられる方がまた新規にお借り入れいただくということが、もちろん倒産は防がなくちゃいけませんけれども、それが本当にいいのかどうか、むしろ御自分の仕事の仕方をもう一遍この際見直していただいてということもあると思いますし、それから、今までの借り入れの返済条件をむしろ緩和することによって資金繰りをよくするという手もありますし、これは、赤羽先生や、赤羽先生の公明党の部会からもさまざまな御指摘をいただきまして、我々もいろいろなことを申し上げておりますし、十一月七日の金融庁の運用改善ということもあったのは御承知のとおりでございます。

 ただ、もう一つ申し上げておりますのは、今回の保証につきましては、国家の資金の四千億円が入ったということでございますので、無担保の例で申し上げますと、今までの最高八千万円までの保証限度に別枠で八千万円、この別枠を、むしろ信用保証協会がリスクをとるというために四千億円という大変貴重な国家資金を入れた、この趣旨はきちっと浸透しなければいけないということで、これは大臣を筆頭に信用保証協会の代表者に申し上げたところでございますし、また来月もそんなような会議を開きたいということで企画をしております。

赤羽委員 私たち公明党は、全国で、地方議員も入れて、今回の緊急保証とセーフティーネット貸し付け、相当地元でも宣伝をしております。別枠でということも随分言っているんだけれども、実際行ってみると、やはり借りられなかったみたいな話も現実には起こっている。ですから、ここはやはり、期待が大きいだけに失望も大きくなってしまってはいけないので、今長官の言われたことというのは、ぜひ、副大臣、政務官、全国を回られるときに意を体して、これはやはり徳政令的な問題でしょう。今、世界じゅう経済が悪いんだから、中長期的にも大変難しいんだけれども、とりあえずこの年末年始、また年度末というのをどう乗り越えるかということのためにやっているはずなので、政府の意思というものを末端まで届けることが大事だということが第一点なんですね。

 あともう一つは、今御答弁の中にちょっとあったんだけれども、融資を新たにするということも大事なんですが、それよりも、既存の債務の返済条件を軽くする、リスケしてもらうということがやはり中小企業にとってはありがたいんだと思うんです。新しく融資されても、それはくれるわけじゃないから、当然返さなきゃいけない。この経済状況ですから、来年になっても返済がなかなか難しいというような意識もあると思うので、これはやはり、既存債務の返済条件のリスケというのをやりやすいように、金融マニュアルも変えたということは承知しているんですが、そこの実態がどうなっているのかというのを、なかなか統計もとりにくいかもしれないけれども、ぜひ金融庁にこの点をしっかりフォローしていただきたい、こう考えておりますが、どうでしょうか。

居戸政府参考人 借り手企業の資金繰りや経営の改善を図るために、金融機関が借り手に対して返済条件を緩和するということは非常に重要な手段の一つだと考えております。しかし、金融機関が条件緩和を行った場合に、それが貸し出し条件緩和債権といったいわゆる不良債権に該当してしまって、不良債権比率が上がったり、貸倒引当金を高く積まなきゃいけないというようなことがあって、金融機関が条件緩和に応じにくいという事情がございました。

 そういういろいろな、当委員会での御議論なども踏まえまして、十一月七日に監督指針と検査マニュアルを改定いたしまして、貸し出し条件の変更を行った中小企業向け融資が貸し出し条件緩和債権に該当しないために必要とされる経営改善計画について、計画完了までの期間をこれまでの三年から五年に、さらに、おおむね計画どおり進捗している場合は十年に緩和をさせていただいたところでございます。

 これの効果を今見ているところでございますが、金融機関であるとか、あるいは経営改善の支援団体の実務担当者からヒアリングをさせていただいたところ、中小企業の場合、三年で経営改善が完了するためには大きな金融支援が必要である場合が多く、計画策定が困難になっていた、これを緩和するのは実務に沿ったものであるという御意見とか、三年を超える計画期間だと、不良債権になることを理由に計画策定の協議に応じてくれない金融機関があった、今回の措置により協議に応じてもらいやすくなるといった意見が寄せられているところでございます。

 こうした対応によって、中小企業の経営改善計画の策定と金融機関による条件緩和に対する取り組みがこれまで以上に進むように私どもで期待しておりますし、こういう措置について、金融機関の末端あるいは中小企業の方にもよく御理解をいただき、周知徹底を図って取り組んでまいりたいというふうに考えております。

赤羽委員 今の趣旨に沿ってぜひフォローもしっかりしていただきたいことを強く要望しておきます。

 加えて、融資だけじゃなくて、昨年来の原材料価格の高騰で、昨年まで黒字を出していても、本年度から赤字になったという中小企業は結構多いと思うんですね。そのために、今中小企業庁も考えていると聞いておりますが、税制で繰り戻し還付の復活ということをぜひかち取っていただきたい。それも、やはり、来年度からというんじゃなくて、これは難しいところもあるかもしれませんが、今年度赤字にというところをどうカバーできるかということがすごく大事だと思うので、我々もしっかり応援したいと思いますので、その点について、長官もしくは副大臣、どちらでも結構ですから、その決意を聞かせてください。

吉川副大臣 赤羽先生から今御指摘いただきました繰り戻し還付金でありますけれども、極めて重要な税制だと思っておりまして、本年度分からの繰り戻し還付の復活に関しまして、現在、与党の税制調査会の場でも議論されていると承知をいたしておりまするけれども、私どもも、中小企業政策を担当する立場といたしまして、また私自身は与党の一員といたしまして、これは全力で取り組んでまいりたいと存じておりますので、ぜひともまた逆に御支援もお願いを申し上げたいと存じます。

赤羽委員 それでは、原油価格、軽油価格のことについてちょっと質問させていただきたいと思います。

 まず、WTIの原油価格は、本年初頭にバレル当たり百ドルを突破した、七月三日には百四十五ドルの最高の高値を更新したわけであります。

 このころというか、通常国会のときに、よく資源エネルギー庁を呼んで部会でいろいろな議論をしたときに、資源エネルギー庁の見通しというのは、いろいろあるんだけれども、今、百ドルを超えるというのは投機的なものが相当あるんだけれども、いずれにせよ、今、中国やインドを初めとするBRICsみたいなところの需要増を考えると、今後は七十ドル、八十ドルで推移するだろう、七十ドルを下がることはないだろうということを言われ、私もほとんどそれを受け売りのように、地元の国政報告会では知ったような顔をしてずっと話してきたわけでありますが、十一月二十日には五十ドルを割っている。

 これは非常に、資源エネルギー庁というのは、見通しというのは、もちろんマーケットですから難しいとはいえ、需給の部分がどのぐらいあるのかということも、何か余りにも情けないな、個人的な憤りは別にして、大丈夫なのかと。大体、現状のマーケットは下落していますけれども、これはまた戻るという認識なのか、基本的なスタンスというか、基本的なファクトについてどう考えているのか、ちょっとそれの見解をはっきりさせていただきたい。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生おっしゃられた七十とか八十とかいう数字は、恐らく、ことしの七月に通商白書を我々出させていただいていますが、この中でも、ことしの前半の原油価格の動向を分析いたしまして、百二十五ドルぐらいのうち、ファンダメンタルズな価格に係る部分が約七十五ドルぐらいという数字がここに上がっています。プレミアムが約五十ドル程度であるという推計をいたしているわけでございまして、そういうような数字を念頭に置いて言われたものでございます。

 その後の原油価格の動向につきましては、まさに先生御指摘のとおり、七月十一日に百四十七ドルを記録した以降、下落に転じておるわけでございますが、これは、金融危機を受けました景気後退により、当初想定していなかったほどの世界的な需要減速の、減退の懸念というようなものが材料視されているものというふうに私ども考えております。

 ただ、先行きにつきましては、やはり原油価格の上昇につながる要因として幾つか懸念すべき事項があろうと考えております。具体的には、OPEC等の産油国の減産の可能性、あるいは、新興国の需要が中長期的にはやはり増加をしていくという見込みであること、さらに、中東を初めとします資源国等における政治的リスクというのが引き続き存在をしているというようなことがあるわけでございます。

 このため、原油価格の先行きにつきましては、私ども、依然として流動的であるというふうに考えておりまして、引き続き、価格動向について十分注視していく必要があろうと思っております。

赤羽委員 それで、今、この原油の価格、WTIもドバイも相当下落している。しかし、現場で言われているのは、その割に軽油、灯油の値段が下がっていないな、こういうことが随分言われているんですね。

 それで、私、きょう、資料を渡しているんですが、まず、「原油価格の推移(ドバイ)」の欄ですが、これはいろいろな見方があるんだけれども、平成二十年の十一月、今は多分四十五ドルぐらいになっているんですね、このグラフ。それで、四十七ドルと書いてありますが、その同じポジションというのは平成十七年の四月のときなんですね。単純に、このときの軽油の価格と今の軽油の価格が同じじゃないとおかしいんじゃないかと私は思っているんです。

 それは二枚目を見ていただけるとわかるのだが、平成十七年の四月、ローリー価格なので、これはいろいろな見方はあるにしても、ここの表では、同じレベルでの比較で見ますと、平成十七年の四月は七十七円なんです。それが今は百十九円なんですよ。四十円違うんですね。四十円違うのか、二十円違うのかといろいろな議論はあるにしても、私は、原油価格がこれだけ下がっているのに、軽油がパラレルに下がっていないというのは事実だと思います。町中を歩くと、これは余りあれなんだけれども、軽油とガソリンの値段が一緒みたいなところも出てニュースになったりとか、これは税金が二十円違うんですから、明らかにおかしいんですね、逆転しているということです。軽油の方が高くなっているというような話も出ている。

 それで、私ちょっと懸念しているのは、本年十月から大手の元売が、三社、石油製品の卸売価格の決定方式を変えたわけですよ、十月から。今までは原油コスト連動方式、それが市場価格の連動方式になった。これは私はよくないと思いますね。やはり自分たちの都合で変えたという批判は受けざるを得ないですよ、こんなことを認めていたら。

 これはどんな理屈があったって、例えば、資源エネ庁の説明を聞くと、タイム差、時間差があるからなるべく市場の実勢価格に連動すると言っているんだけれども、しかし、その実勢価格というのは東京工業品取引所の先物取引相場の価格と言うんだけれども、その取引量というのは極めて少ないし、問題なのは、そこで軽油とか重油の取引というのはされていないんですよ。だから、実勢価格を使っているとかと言っているんだけれども、そんな実勢、軽油の取引というのはされていないというのが一つと、もう一つは、指標として使う海外の市場価格とか調査会社が発表するスポット価格、これは業者間転売というんですか、にしても、元売各社がどの指標をどれだけ反映させているかというのを全く公表していない。

 こんな、売る方の都合ですよ。マーケットが急カーブのときは古い価格決定でやって、急下落したら決定方式を変えて、そしてその結果が軽油が安くなっていないといったら、これは元売に問題があると私は言わざるを得ない。これは、詳しくよくわからないんですよ。本当に説明を何回も聞いても、だれもよくわかっていないはずなんです。これは元売の価格、元売が業者に売っている価格だから、民民ですからしようがないと言うかもしれないけれども、それじゃ使用する側は泣き寝入りじゃないですか。

 油とか軽油みたいな経済の根本をなすような原材料の価格が、売る方の勝手で決定方式を変えるということは、その真意がどこにあるか専門家じゃないのでよくわからないんだけれども、どう考えたって私はおかしいと言わざるを得ない。

 さして根拠があるわけじゃないけれども、結果として、原油がこれだけ下落している、前と同じだけ原油が安くなっているのに、そのときより軽油の価格が四十円もまだ高い。それが二十円だとしても、何か理由がある。それは、十月に価格決定方式を変えたなんということを認めるべきじゃなかったと私は思いますよ。認めるべきじゃないというか、認める認めないの世界じゃないかもしれないが、やはり資源エネルギー庁としてはっきり物を申すべきだと私は思います。

 今回、油の問題、一貫して元売に対して役所の姿勢がちょっと甘いというふうに私はずっと思っていますので、もう最後の質問ですから副大臣に、ぜひ政治家として、これはやはり現場で困っているんですから、困っているこれだけの現状を政府が何とかしようとしているときに、仮に、これはちょっと言い過ぎかもしれないが、元売の恣意的なことなんかがあったりということは絶対に許されないことだと私は思いますので、この点、ぜひ副大臣の責任で調査してほしい。それは役所の責任ですけれども、それをぜひ求めて終わりにしたいと思いますので、最後にコメントをいただきたい。

吉川副大臣 赤羽先生が御党の原油高騰問題緊急対策本部長をされておることも承知いたしておりまして、昨日も、二階大臣をお訪ねいただきまして、いろいろな御要請をいただいたようでございます。

 ただいまの御指摘に対しましては、競争制限的行為があれば、公正取引委員会と連携して厳正に対処していく所存でもございますし、しっかりと御指摘を踏まえて調査もさせていただきたいと存じます。

赤羽委員 ありがとうございました。

東委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 本日は、九月十九日に閣議決定をなされた新経済成長戦略のフォローアップと改訂について、その一部を御質問させていただきたいと思います。

 そちらにも記述されていることでありますけれども、急激な資源高の中で輸入代金がかさんで、その一方で、新興国との競争で日本企業の輸出品が値上げできない、そういった中で、昨年の日本から海外への所得流出が二〇〇〇年に比べて二十一兆円ふえている状況にあるということ、そして資源高が国内企業の収支を悪化させている上、投資や賃金が伸びず需要が拡大していない、急速な原油、原材料高などで成長率が下振れしているのではないかという危機感のもとに、今回のフォローアップと改訂がなされたというふうに聞いております。

 さらに、今までの施策のフォローアップとともに、現下の状況を踏まえて、資源価格の高騰等の構造変化を踏まえて新たな成長への道筋を示し、それを実現するために強化、加速すべき施策を取りまとめたということで、さまざまな施策を並べていらっしゃるわけですけれども、「ピンチをチャンスに変え、“資源生産性競争に勝つ”、“世界市場に打って出る”」というスローガンのもとで、二つの基本戦略というのが、一つ目は、「「資源生産性」の抜本的向上に集中投資し、資源高時代・低炭素社会の勝者になる。」ということ。それから二つ目は、「製品・サービスの高付加価値化に向けてイノベーションの仕組みを強化」「グローバル化を徹底し、世界市場を獲得する。」ことというふうにあります。

 非常に広範囲に網羅をした施策でありますので一つ一つ聞く時間はありませんので、前者の「「資源生産性」の抜本的向上に集中投資し、資源高時代・低炭素社会の勝者になる。」という基本戦略についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 いろいろな柱があるわけでありますけれども、その中で、まず最初に太陽光発電についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、ほかの鉱物資源と同様に、原油価格というものが足元は低下をしているという状況にあるわけですけれども、国際機関等の資料などによりますと、将来的には、中国やインドなどの新興国の原油需要の伸びが続く一方で、原油の供給量は決して無尽蔵ではないということを考えますと、やはり原油需給は再び引き締まって、今後価格が再び上昇していくリスクがあるというふうに言われているわけであります。やはり将来的なコスト低減という観点からも、そしてさらに環境負荷が小さいという観点からも、太陽光発電というのは積極的に導入を推進していく必要があるということはだれもが認識をしているところであると思います。

 そういった中で、もちろん経産省さんもさまざまな施策を講じていらっしゃるということは私も十分に認識をしているわけでありますけれども、まさに今回のこの新経済成長戦略の改定において、資源大国を目指すという大きな看板まで掲げていらっしゃるわけでして、その意気込みを諸施策に関する質問を通じてお伺いしたいなというふうに思っております。

 例えば、太陽光発電の導入というものに当たりましては、リスク管理の観点から、特定の技術に偏らずに、さらに明確な導入目標、支援策のもとで、関連技術を保有する事業者が公正な土俵のもとで技術開発を競い合うというような環境整備、土俵づくりも大事なんだろう、それが日本の環境技術の一段の向上に資するというふうに考えているんですけれども、この点についての政府のお考えをお伺いいたします。

高市副大臣 田村委員のおっしゃるとおりだと思います。

 太陽光発電の導入につきましては、ことしの七月二十九日に閣議決定されました低炭素社会づくり行動計画におきまして、太陽光発電の導入量を二〇二〇年までに十倍、二〇三〇年に四十倍という非常に高い目標が掲げられておりますので、このように高い目標を達成しようと思いますと、やはり太陽電池メーカーによります価格低減ですとか効率向上に向けた努力が必要となってまいります。

 ですから、政府におきましては、このたびの補正予算におきまして、住宅用太陽光発電の導入を後押しするための補助事業を計上いたしておりますし、また、需要を創出するための施策ということで、運用面でも工夫をいたしました。それから、高効率な太陽電池技術の技術開発を進めていくということで、太陽電池の技術革新を後押しして、技術革新と需要創出、両面でしっかりと後押しをしてまいりたいと思っております。

田村(謙)委員 今副大臣に御説明いただいたさまざまな施策を一つ一つ取り上げたいところでありますけれども、時間の制約もありますので。

 ただ、そういった中で、太陽光発電のいわゆる累積導入量、経産省さんからいただいた資料にもありますように、長年日本は世界一だったわけですけれども、二〇〇五年にドイツに抜かれた。そして、昨年、二〇〇七年は、ドイツが三百九十万キロワットに対して日本は百九十万キロワット、また、中国も伸びていて八十万キロワットになってきているというような状況にあると聞いています。そういった意味では、日本の太陽光発電の累積導入量の伸びというのはドイツには随分おくれをとっているという状況にあるわけであります。

 世界一を目指せばいいというわけではありませんけれども、やはりいろいろな面から、日本の環境技術とか、あるいはまさに新しい分野での経済成長ということを考えた場合に、その分野にいかに力を入れるかということが大変大事になってくるんだろうと思っています。

 まさに二〇〇五年にドイツに抜かれたちょうどその年に、日本は住宅用太陽光発電の補助を一たん廃止した。もちろんそのためだけではないというふうに思っているんですけれども、今回新たに、今副大臣も一言おっしゃった補助金というのは、その詳細を御説明いただけますでしょうか。

石田政府参考人 お答えを申し上げます。

 家庭部門あるいは住宅への太陽光発電の導入補助につきまして、平成二十年度の補正予算におきまして、キロワット当たり七万円、通常、一家庭、標準家庭ですと三キロワットから三・五キロワットが標準システムと言われておりますので、それからしますと二十万円から二十五万円ぐらいに相当いたしますけれども、こういった補助金を交付するという措置を手当ていたしたものでございます。補正の総額では九十億円を予定いたしております。

 具体的にこの補助制度の要件でございますけれども、キロワット当たりのシステム価格が一定以下の太陽光発電システムに補助対象を限定することによりまして、一層の価格低下を促し、家庭への自律的な普及が進むことを目指しておるものでございます。

田村(謙)委員 今回の補助金制度はまたいろいろと工夫を加えていらっしゃるということなんだと思いますけれども、一たん廃止をなさったというのは、それなりの理由があって廃止をなさったということだと思うんです。その当時の廃止をなさった理由というのを教えていただけますか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 この補助制度は、かつて十年以上にわたりまして行っていたものでございますけれども、制度導入当初に比べまして大幅に普及が進んで、かつシステム価格が六分の一ぐらいまで下がったということで、補助制度というのもいつまでやるというものでもございませんので、所期の目的は達成したのではないかということで、二〇〇五年に廃止をしたものでございます。

田村(謙)委員 私もまだまだ不勉強なところもありますので、所期の目標を達成した、ある程度目標を達成して、また結局、その三年後にいろいろさらに工夫をしながら導入をする。どういう違いなんですか。その間、結局、補助金がない間というのはどういう状況にあったということなんでしょうか。それは、一たん廃止をして、それでよかったというふうに考えていらっしゃって、その後三年間でいろいろ状況が変わったというふうに判断していらっしゃるのか。そこら辺の、その当時から今に至る変化などを踏まえたその理由を教えてください。

石田政府参考人 そういうことで一たん廃止をいたしたわけでございますけれども、その後、御案内のように、まさにポスト京都議定書の議論も本格化いたしておりますし、京都議定書自体の目標達成の期間、約束期間にも入ってきているという中で、この太陽光発電の普及の重要性というものがますます高まったということがございます。

 一方、太陽光発電につきましては、補助金の効果でかなりシステム価格なども下がってきたわけですけれども、その後、システム価格の低下がやや下げどまったというような状況にもございました。もう一段あるいはもう二段の普及を図るためにはさらなる加速措置が必要であると判断いたしまして、今回、先ほどちょっと申し上げましたように、より普及効果の大きい、かつ価格の引き下げ効果をねらったような制度設計のもとに補助金制度を新たに創設したということでございます。

田村(謙)委員 この制度の効果がどれだけあるかというのはもちろん正確にはわからないと思いますけれども、結局、二〇〇五年に中断をして、そしてちょうど時を同じくして太陽光発電の累積導入量でドイツに抜かれているという状況にあるわけです。日本の累積導入量の伸びが鈍ったというよりも、ドイツの累積導入量がかなり急激に伸びているという状況があると思いますが、それはどういった理由とお考えでいらっしゃいますでしょうか。

高市副大臣 確かに今、ドイツが累積の導入量で見たら世界一、日本が二位ということでございます。それで、今後、世界的に非常に大きな需要拡大が見込まれるということで、ドイツだけではなく、各国のメーカーがしのぎを削って積極的に打って出てきている、こういう状況にあると思います。

 また、日本のメーカーも非常に健闘はしているんです。国別に見た場合は、まだ太陽電池産業は生産量で世界一でございます。これが、メーカー別に見ますと、ドイツの方が上になって二位に日本が来ているというようなことなんでございますけれども、ここ数年間で、例えば、あるメーカーは太陽光パネルの原料でありますシリコンの調達がうまくいかなかったとか、それから、ドイツも二〇〇四年に買い取り価格を大幅に引き上げたというようなことで、これも向こうが当時非常に導入が進んだ理由の一つであると思います。

 先ほど委員が御指摘になった日本の補助制度の廃止、廃止期間が数年間あったんですけれども、これも最近、原油価格の高騰などを受けて、代替エネルギーへの国民世論、国民の理解も非常に進んできて、たくさんの議員からも、こういった制度をまた復活すべきだ、より低価格に誘導する方向で復活すべきだというお声もいただきましたので、しっかりと頑張ってまいります。

田村(謙)委員 今副大臣がおっしゃっておられたドイツの固定価格買い取り制度ですけれども、その制度の内容と、あと、それが実際にドイツの太陽光発電の累積導入量の大きな伸びにどの程度貢献しているというふうにお考えか、もしお考えがあれば教えてください。

石田政府参考人 このドイツの固定価格買い取り制度でございますけれども、これは太陽光だけではございません、いわゆる再生可能エネルギーによる発電設備からの発電電力を電力会社に固定価格以上で二十年間買い取りすることを義務づける制度でございます。

 具体的には、太陽光につきましては、これは二〇〇八年運転開始設備の例でございますけれども、キロワットアワー当たり六十九円で買い取るということで、例えば日本ですと電気料金がキロワットアワー当たり二十三円ぐらいでございますけれども、そういったものに比しても非常に高額な価格で長期にわたって買い取るという制度でございます。

 この結果、先ほど議員の方からも御指摘がございましたように、ドイツにおける累積導入量が近年、数年にわたりましてかなり急速な伸びを示しているということかと思います。

田村(謙)委員 私もドイツの制度をそんなに詳細に調べているわけではありませんけれども、電力会社に買い取りを義務づけるわけですから、結局、それが利用者、国民の電気料金にはね返っているわけですよね。

 まさに新エネルギー、太陽光ですとか風力とかバイオマスとか、さまざまなそういう新エネルギーに関する負担というものが一世帯に一カ月当たり四百四十円ぐらい電気料金にはね返っているという資料をいただきましたけれども、結局、間接的にですけれども、そういうふうに国民に負担を求めながら新エネルギーというものをさらに推進していこうという相当大胆な制度なんじゃないかなというふうに思います。

 私は、日本がそのまままねをするべきだと言うつもりはありませんけれども、あるいは単に金額だけで比べてもしようがありませんが、今回日本で補助金を出す、住宅に関する太陽光発電導入支援の対策費というのは、補正予算ですと九十億円という数字がありますけれども、それよりはるかに規模が大きいものなんだろうなと。

 ドイツの場合、あくまで民間ベースという形にはなっていますけれども、結局、国民が電気料金を払うわけですから、半ば税金に近いような意味合いがあると思うんですね。私も大変素人的な計算をしただけですけれども、一世帯一カ月で四百四十円ですと年間で五千円ぐらいですから、日本でいうと数千億円レベルの負担を国民に課しているんじゃないかなという気がしたんです。

 経産省さんが予算をとるのがなかなか大変だというのは私もよく知っておりますけれども、まさに新経済成長戦略として経産省さんが一生懸命頑張っていらっしゃるという割には太陽光発電のバックアップにしても非常に規模が小さいなと。住宅以外にも幾つかやっていらっしゃるのは知ってはおりますけれども、そこは日本の大変重要な今後の戦略分野だということを考えると、例えば金額でもわかるようにもっとさらに力を入れる、規模的にもさらに力を入れるということを、やはりそこはまさに大臣が率先をして推進をしていく必要があると思うんですけれども、そこはいかがでいらっしゃいますでしょうか。

高市副大臣 ドイツの固定価格の買い取り制度についても、確かに向こうで導入が増加しているということで効果が上がっておりますけれども、一方で、非常に高価格の負担になりますので、ここ数年間、ドイツの中で企業がヨーロッパ域内のほかの国に出ていってしまうといった産業空洞化の問題も指摘されてまいりました。それからまた、発電事業者のコストを下げようというインセンティブがちょっと働きにくいといった課題もございまして、こういったことから日本ではこのRPS制度を採用しているんですね。

 それで、予算の規模ですが、補正では九十億円ということですが、来年度二百三十八億円要求中でございますし、このほかにも、自動車関係でも省エネ化、また新しいエネルギーを採用したものに関しまして研究開発支援等、多様にございますので、できる範囲の中で十分に効率的に政策を推進してまいりたいと思っております。

田村(謙)委員 ぜひこれからも国を挙げて力を入れていただきたいなということをお願い申し上げます。

 次に、ちょっとだけ燃料電池自動車についてもお伺いをしたいと思います。

 今、アメリカで、それこそビッグスリーが経営難で、その支援をというのが話題になっておりますけれども、ビッグスリーが今の経営危機になるちょっと前、アメリカの政府が環境対応車や基幹部品製造のための設備更新に必要な投資に二百五十億ドルの政府による低利融資枠の適用というものを決定した、ことしの九月にその予算措置がされたということを聞いております。

 日本の自動車メーカーが環境技術開発に相当しのぎを削っていて、世界でも最先端を行っているというのは私も十分に承知をしておりますけれども、日本でも基幹産業であるわけでありまして、今まさに金融危機、世界不況に入ってきた中で、日本の自動車産業の業績というものも今後悪化をしていくんじゃないかというような状況がある。

 そうすると、そういう環境技術開発といったような設備投資の余裕というものは、例えばトヨタでさえも、なくなりはしませんけれども、やはりどうしても制約を受けてくるんじゃないかなと。そこは日本の国策として、さらに支援、バックアップをしていく必要があると思うんですけれども、その点についてはお考えはありますでしょうか。

石田政府参考人 先生お尋ねの燃料電池自動車の関係でございますが、この燃料電池自動車でありますとかあるいは電気自動車等の次世代自動車につきましては、これは特に運輸部門におけるエネルギーセキュリティーの向上、あるいは地球温暖化の進展対策という観点から非常に重要だというふうに考えております。

 経済産業省といたしましては、特に燃料電池自動車につきましては、二〇一五年の普及開始を目指して、水素ステーションを含めた実証研究を実施しております。また、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車等につきましては、普及を後押しする補助事業に関しまして、来年度の概算要求を行っているところでございます。

 さらに、燃料電池自動車あるいは電気自動車につきまして、その高性能化でありますとか低コスト化に向けた技術開発も非常に重要でございますので、これもあわせて取り組みを進めているところでございます。

田村(謙)委員 ぜひとも実効性が上がるように推進をしていっていただきたい。メニューをたくさん並べても、結局それが余り効果がないということもえてしてありましたので、最近、経産省さんはフォローアップもしていらっしゃるようですからそういうことはなくなってきているんだろうと思いますけれども、ぜひ力を入れていただきたいと思います。

 続きまして、若干時間が残っておりますので、新経済成長戦略の改訂の中で、資源確保、やはりさまざまなメニューを並べていらっしゃいますけれども、資源確保の重要性というものはもう言うまでもないわけでありますが、経産省さんの中で資源確保プロジェクトチームというものを設立したという話を伺っております。そのプロジェクトチームの目標と達成するための手段としてお考えになっているところを御説明ください。

二階国務大臣 今日、世界的に資源をめぐる競争が激化していることは御承知のとおりでありますが、我々としては、これからの国際社会での競争に打ちかっていくためには、資源及びエネルギーの確保というものが何よりも重要である。特に、もう申すまでもないことでありますが、資源に乏しい我が国にとって、これが極めて重要である。

 そこで、今御指摘のように、資源確保プロジェクトチームをこの十一月の十二日に発足させたところであります。

 今後、このプロジェクトチームにおいて、省内各部局が行う資源開発事業者への支援策を有機的に組み合わせる、あるいは資源開発への投資を促進するとともに、レアメタルのリサイクルを行う仕組みなどを次々に確立していきたいと思っております。

 特に、資源国の中でも、我々が時々海外でも聞かされることは、日本のいろいろなミッションがやってくる、資源で大事な国は私たちの国なのに、私たちの国を飛ばして次の国の方へ行ってしまうと。それは、別の目的で行っておるチームですから当然のことなんですが、そうしたことなどを考えると、資源国という国の立場に立って、我々がその資源国と今後どう向き合っていくかということが極めて大事だというように考えております。

 したがって、省内の体制強化だけではなくて、資源外交のさらなる強化など総合的な資源確保戦略を展開することが重要であり、このような取り組みを通じて資源、エネルギーの安定供給を図ってまいりたいと考えております。

 これが、先ほどからたびたび御指摘をいただいておりますように、新経済成長戦略の将来に向かって極めて重要なポイントだと考えておる次第であります。

田村(謙)委員 御趣旨は大変もっともでございますし、ぜひとも推進をしていただきたいと思うんですけれども、省庁がいろいろな分野に分かれている場合、例えば本件についても経産省と外務省さんがいろいろ連携をするとか、そういう幾つかの省庁にまたがる場合、その場合はより大きな組織になるんだと思いますけれども、当然資源エネルギー庁があって、関連の部局というのはそれぞれ同じこのテーマ、資源確保に向けて推進をしていらっしゃる。

 今回、このチームのイメージがよくわからないんですけれども、逆にあえてお伺いすると、今までは連携が省庁内でもうまくいっていなくて、こういうような合議体をつくらないと結局回らないということなのか。同じ省庁の中の話だったら、別により上の立場、最後は大臣だと思いますけれども、それぞれ調整をしながら一緒に会議をすればそれで済むような気がするんですけれども、こういうチームをつくるというのは、単にパフォーマンスなのか、何となく屋上屋のような気がするんですが、その点については今までとどう具体的に違うのかというのを教えてください。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先生御指摘のように、今までも同じように省内関係部局が連携をとりながら進めてはおったわけでございますけれども、今大臣からお答え申し上げましたように、ますます資源外交、資源確保戦略が重要になっていく中で、それをプロジェクトチームという形でますます意識づけをして、その連携をより強化するということで今回プロジェクトチームというものを立ち上げたものでございます。

 具体的には、省内各部で行っております民間の開発プロジェクトに対する支援策を連携させるとか、あるいは資源国へのODA等のツールを有機的に組み合わせるといったようなことで効果を高めることをねらったものでございます。また、レアメタル等につきましても、担当する原課はたくさんあるわけですけれども、そのリサイクルを横断的な施策として進めていくためにも、このプロジェクトチームを活用していきたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 このプロジェクトチームができることによって何が変わってくるのかまだぴんときませんけれども、結局は、パフォーマンスというかPRという意味ではいいのかもしれませんけれども、率先して引っ張っていく役割はやはり大臣であり副大臣だと思いますので、ぜひそこは先頭に立って頑張っていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

東委員長 これにて田村謙治君の質疑は終了いたしました。

 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 二階大臣、ペルー・リマへの御出張、本当にお疲れさまでございました。早速ですが、今回のAPEC首脳会議、閣僚会合、その成果につきまして、中でも大臣御関係の分野での成果についての御報告をお願い申し上げます。

二階国務大臣 お答えをいたします。

 APEC首脳、閣僚会議が先週ペルーで開催されましたことは、今御指摘のとおりでございます。外務大臣とともに出席してまいりました。

 主なる議題は、国際金融危機について、今後APECとしてどう対応すべきかということが中心議題でございました。

 私は、金融機関の健全化に加えて、実体経済面での対策が急務であるとの問題意識を持って、我が国が取り組んでおる中小企業対策や貿易等への資金供給を確保すること、各国の国内消費を活発にするために国内消費拡大についてお互いに努力する、この二点について特に主張するとともに、各国の連携をとるということが何よりも重要だということを申し上げてまいりました。

 首脳の会議におきましても、総理を初め多くの首脳から、さきのG20の金融サミットの成果の着実な実施や実体経済面での対応の重要性について御指摘があり、これを受けて、世界経済に関するAPEC首脳リマ声明には、投資、消費の拡大、経済成長の強化や中小企業等への資金供給確保が盛り込まれたところであります。

 また、御案内のとおり、WTOドーハ・ラウンドについては、年内の大枠合意を達成することを誓約したほか、十二月にジュネーブにおいて閣僚会議を開くよう首脳からの御指示がありました。あわせて、アジア太平洋地域の経済統合が、金融危機にある現在、一層重要であるとの認識で一致したものであります。

 二〇一〇年に我が国はAPECの議長国を務めることになるわけでありますが、二〇〇九年、これも御案内のとおりシンガポールであり、我々の二〇一〇年を越えて二〇一一年にはアメリカが議長国ということになるわけであります。したがって、九年、一〇年、一一年のそれぞれ開催の議長国が今後よく連携をとって、一年一年のAPECではなくて三年共同していろいろな問題に対応していく努力をしようということを三カ国の閣僚で話し合った次第であります。

 こうしたことを通じて、アジア太平洋地域の発展を目指して積極的に議論に参加してまいりたい、このように考えておる次第であります。

三谷委員 今の大臣の御報告の中にもありましたAPEC首脳の宣言文、リマ特別声明とも言われていますけれども、この中に、ドーハ開発アジェンダ交渉の妥結について、我々は、今日まで得られた進展をもとに、来月、モダリティー合意を達成することを誓約したということがあります。

 このドーハ・ラウンドの現在までの状況は、合意に達するには本当に難しい状況の中にあると思います。七月、ジュネーブでの閣僚会合では、セーフガードの発動をめぐってアメリカとインド、中国が対立をいたしました。我が国においても、農産品において例外品目を六%以内とするラミー事務局長調停案が出たりいたしまして、これは簡単にのむことのできない案でありました。これまで伝えられてきたことだけ聞きますと、合意は大変難しいのではないかという状況ばかりであります。合意に至る可能性はあるのでしょうか。

 まず、経産省に聞きます。前回のジュネーブ会合で、合意に向けての進展はあったんでしょうか。あった話は聞かれていないので、その状況を説明してください。

岡田政府参考人 WTOのドーハ・ラウンドは、世界百五十三カ国が参加いたしまして二〇〇一年に交渉が開始され、農業、鉱工業品、サービスといった分野の自由化やアンチダンピングなどのルールの改定などについて議論が続けられてまいりました。この間、二〇〇四年の枠組み合意や二〇〇五年の香港閣僚会議など一定の前進もありましたが、交渉開始から七年を経た現在に至っても最終的な合意には至っておりません。大変難しい交渉でございます。

 特に、委員御指摘のようにことしの七月には、農業と鉱工業品の関税削減方式、あるいはセーフガードなどにつきまして、大枠合意、いわゆるモダリティー合意を得るための閣僚会合が開催されましたが、十日間以上にわたって夜を徹しての交渉が続けられましたけれども、議論が収れんするには至りませんでした。その後、八月以降ジュネーブにおいて事務レベル、事務のハイレベル、あるいは中間レベル、大使級の会議などさまざまなレベルでの交渉が続けられましたけれども、今のところ大きな進展はございません。

 先ほど大臣からも御答弁ございましたように、先々週ワシントンで開催されましたG20金融サミット、そして先週ペルーで開かれましたAPEC閣僚会議及び首脳会議において、年内に大枠合意、いわゆるモダリティー合意を達成することが誓約されまして、さらに、十二月にジュネーブにおいて閣僚会議を開くとの首脳からの指示があったところでございますので、これから対応していかなければならないと考えているところでございます。

三谷委員 今も大きな進展はない、そのとおりだろうと思います。農業分野のことを考えれば、今のままでは我が国としてもハードルは大変高いんだというふうに思います。だけれども、このドーハ・ラウンド交渉、妥結をされればその成果は大きいものがございます。今回の首脳宣言文、これはまさにコミットという言葉が使われておりますけれども、約束でありますし、また我が国を含めてこのAPEC参加国、大きな力になるのではないかというふうに思います。

 このドーハ・ラウンドの細目合意に向けて、どのような考えで来月のジュネーブ会合に臨まれるのか、その妥結に向けての決意を二階大臣、お願い申し上げます。

二階国務大臣 ドーハ・ラウンドの経過及び今後の問題について、ただいま岡田局長から申し上げたとおりでありますが、実は私も、連続ではありませんが、何回かこのWTO交渉に臨んだことがございます。

 むしろ、WTOの現場では、現場で交渉しておってくれるいわゆる交渉官、そして各閣僚、こういうところは、今もお話しになられましたように、徹夜で議論をするものですからお互いにだんだんと、相手の立場も何となく理解するというかわかるような気がしてくるわけですけれども、それぞれ国へ帰って首脳と話をしますと、首脳の方から簡単に、これはしばらくまだまだ時間が必要だとかというようなことに相なりますと、前に進まない。来る年も来る年も、ジュネーブに集まることはいいんですが、そしてまじめに議論するんです、朝から晩まで本当に徹夜でやるんです。しかし、議論の先が見えない。こんな会議を何回も何回も、終着点を見出すことのできない会議運営で本当にいいのかというふうな思いも、私自身、率直に感じたことがしばしばありました。

 今回は、御案内のような経済情勢、未曾有の金融危機に遭遇した、そんなことがありまして、ここで自由貿易の体制が、ややもすると消極的になり縮こまってしまうようなことになってしまったのでは取り返しのつかないことになる、そういうことから、断固として自由主義経済を守る、その守るためにWTO交渉を前進させなくてはならないという、何となく合意が形成されたような状況の中にあって、いつもならば、どこかの国が積極的な発言をするとどこかの国がまたブレーキをかけるみたいなことがしばしばあったわけですけれども、今回は、一直線に並んで、前へ前へ行くような形であって、最後に、今議員が御指摘のような決議といいますかそういう合意に達したわけであります。

 そこで、合意に達したからそれでは来月合意するんだな、こうだれでもお感じになるわけでありますが、ここのところはこれから交渉しなきゃなりませんが、何としても、私たちは国内での難しい問題を抱えておるわけでありますから、国内での交渉、御相談が大変重要だと思っております。したがって、政府間での御相談、各省との調整、同時に各党とも、これは御相談して対応していかなくてはならない。

 しかし、いずれにしましても、今議員も御指摘のように、WTOのこの問題を妥結すれば、その効果は大きいわけでありますから、その妥結に向かって、いろいろな障害がありますが、それをどう乗り越えて、そして関係の皆さんにも、なるほど、これが妥結してよかったんだなとみんな思っていただけるような終着点を見出さなければ、何かばたばたと決めてしまったというようなことではならぬと思っておりますから、そこは慎重に、また粘り強く関係者の皆さんと御相談を重ねていきたい、このように考えている次第であります。

三谷委員 今大臣のお話の中にもありましたように、国内でのリーダーシップというのは本当に大事な話なんだと思います。また、難しい状況ばかりが伝えられてきましたけれども、まさにチャンスだというふうに思いますので、大変期待をしております。頑張ってください。

 次に、緊急保証制度についてお尋ねをいたします。

 まず、今回の緊急保証制度の概要と仕組みについて、予算もあわせまして、これは簡潔で結構でございます、中小企業庁に御説明をお願いいたします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急保証制度でございますけれども、政府の緊急総合対策によりまして、六兆円規模で導入を決定いたしました。十月三十日の生活対策におきましては、この規模をさらに二十兆円に拡大するということが決定された制度でございます。具体的には、売り上げ減少や原材料高などによりまして特に業況の悪化しております業種の中小企業の方々に対しまして、信用保証協会が一〇〇%保証を実施するというものでございます。

 予算等々の仕組みでございますけれども、この信用保証協会、残念ながら何件かは必ず代位弁済が起こるというのが過去の常でございまして、今回逆に、あえてリスクがあるものも含めて、許された予算で最大限の保証を供与するということでございます。

 私ども、そういった損失が起こりました場合には、日本政策金融公庫によりまして各信用保証協会に損失の八〇%を補てんする、こういう保険契約を結んでいただきます。そして、一六%につきましては各信用保証協会に国が補助金を出すということで、合わせまして損失の九六%を国が手当てする仕組みとなっております。

 この緊急保証制度を六兆円規模で開始しておりますが、このために必要な予算として、さきに国会で議決をいただきました補正予算では四千億円を措置したところでございます。

 また、二十兆円規模に拡大をするに当たりましては、当面必要な予算といたしまして、貸し付けとあわせまして、生活対策の決定では約〇・五兆円ということで規模を決定しているところでございます。

三谷委員 ありがとうございました。

 このたびの緊急保証制度は、景気の先行きが心配をされる中、資金繰りに苦しむ中小・小規模企業あるいは商店にとっては本当に救いとなる制度だと思います。また、対象指定業種を拡大したことも保証枠の拡大も、まことに時宜を得た施策だと評価しています。

 ただ、この保証制度は大変大事な制度でありますし、また大変効力を発揮する制度だから、心配をする点もございます。その心配な点を指摘させていただき、また運用について大臣にお考えを聞きます。

 比較のためにこれも説明をしてください。平成十年に出された中小企業金融安定化特別保証制度、その概要と仕組み、特徴、そして実績について簡潔に説明をお願いいたします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十年に導入いたしました金融安定化特別保証制度でございますけれども、当時、金融機関が相次いで破綻をするなど、我が国の金融システム自体が危機に直面いたしました。こういうことの結果、資金繰りに影響を受けた中小・小規模企業に対しまして、信用保証協会から一〇〇%保証によりまして資金の融通を円滑化したものでございます。この保証事業につきましては、当初二十兆円で開始をいたしましたが、一年後の平成十一年に十兆ほど追加をいたしまして、合わせまして三十兆円に保証枠を拡大いたしております。

 平成十年十月から十三年三月までで、この枠の大宗、すなわち約二十九兆円の保証実績を上げました。その後、保証したものの中、返済があったものもございますし、代位弁済に至ったものもございます。そうしたことで、これまで政府資金といたしましては、三兆円をやや下回る程度、約二・六兆円から七兆円の政府資金を投入しております。

 と申しますのは、この二十九兆円の保証いたしましたもののうちの約六千億円程度は、なお本日まだ保証をしたままでございますので、実際の経費を正確に算定いたしますにはもう少し時間を要するものでございます。

 ただ、この措置によりまして、約一万社、十万人の雇用維持に効果があったというふうに私どもは評価しております。加えまして、連鎖倒産、こういったようなことも防止できたことは間違いないわけでございますし、倒産が起こった場合に、単なる金銭的な被害だけではなくて、社会的ないろいろな不安、そういったものが起こるのが常でございますが、こういったものも防げたというふうに評価をしております。

 ただ、実施に当たりましては、借り手側の乱用、いわゆる旧債振りかえというものが銀行にあったり、借りている方が架空の会社を起こしてあえて借りてみたり、貸し手、借り手双方にいろいろな問題がございましたので、今回の緊急保証制度の実施におきましては、こうした経験を踏まえまして、なるべく問題が起こらないようにということで運用をしているところでございます。

三谷委員 この特別保証制度が導入されたときの状況というのは、私も隅の方でかかわっておりまして、よく覚えています。

 金融システムの底がもう抜けるんじゃないかと懸念するぐらい、大変厳しい危機的な状況がありました。前年には拓銀、山一が破綻をしましたし、ちょうど導入時には長銀、日債銀の破綻といったこともありました。まさに、銀行は不良債権処理に追われていました。比較的大き目の優良な中小企業でも理不尽な貸しはがしがあったんです。この特別保証制度は、そうした貸し渋り、貸しはがしに遭っていた中小事業者を本当によく救ったというふうに思います。

 そしてまさに、このときの審査は、今特徴の中でお話しいただけませんでしたけれども、一定の事由に該当しない限り、原則保証承諾するネガティブリスト方式の採用による簡易迅速な審査。これは事実上無審査だったんですね、無審査だったというふうに思います。

 これに対してその実績です。今お話をしていただきました。約二十九兆円使われました。代位弁済率は八%から九%でした。これは受けとめ方ですけれども、私は驚くほど低かったというふうに思います。これは、事実上、原則保証承諾をする簡易迅速な審査でこの代位弁済率でありますので、私は低い弁済率だったというふうに思います。

 回収率こそ一四%から一五%。これは、想定は五〇%でありましたけれども。だけれども、財政支援額は、今もざっくりお話しいただきましたが、国から突っ込まれた一兆四千五百億円にプラスして、一兆円余りが保険公庫のためられたお金の中から使われた。合わせて約二兆六千億円が傷んだわけであります。

 これも考え方でありますけれども、このときまさに中小事業者を救った、あるいはあの際の危機的な状況を考えたら、私はよくこの程度で済んだというふうに思っています。

 そして申し上げたいのは、今少しお話がございました平成十年の特別保証制度導入当時の貸し手、借り手の状況と、今のこの危機の貸し手、借り手の状況は、私はかなり違うんだというふうに思っています。

 十年前の話というのは、相対的には金融機関の方が傷んでいたというふうに思います。そして、貸せなかったというふうに思います。したがって、特別保証制度のときと同じ審査をやっておりますと、もちろん同じ審査ではないと思いますけれども、今回の緊急保証制度の場合、代位弁済率は大変高いものになるんじゃないかというふうに思うんです。入れなければならない財政支援の額も、前の特別保証制度のときに比べると、比べ物にならないぐらい大きなものになるのではないかというふうに思います。

 政治家は選挙がありますので、私のところにもたくさん陳情が来ます。保証をつけろ、保証をつけろというお話になります。中小事業者の苦境をまさに肌身で感じていれば、どうしてもそういう話になります。私もそう言いたい。

 だけれども、下手をすれば公庫の信用保険部門はすぐにパンクをいたしますし、もちろんこれは、正確に言えば国が後ろについておりますからパンクはしません。だけれども、膨大な財政負担を強いられて、保証制度そのものの信用に傷がつくというふうに思います。だから、特に審査に当たるときの各協会への指導方針のかじ取り、これは大変重要だというふうに思います。

 二階大臣にお聞きします。この緊急保証制度の運用に当たって、金融審査に当たる指導方針について大臣のお考えをお聞かせください。

二階国務大臣 緊急保証制度におきまして、対象業種も抜本的に拡大し、一社でも多く中小、小企業の皆さんにこの制度を御利用いただいて、倒産を回避することができるようにという方針のもとに、関係団体や金融機関を通じて、またパンフレットや政府広報などにより、制度の周知徹底に努めておるところであります。

 一方、緊急保証制度は、国費を投入し、今三谷議員からもたびたび御指摘がありましたとおり、事業再生に向けて真に努力する経営者を応援するとの趣旨でありますが、保証の審査に際しては、保証協会において事業の将来性、債務の償還可能性に関する審査をしっかりと実施することといたしております。

 これは、できるだけ広く多くの皆さんをここで救済することができるようにということは念頭にありますが、国のいわゆる予算、国費を投入して行うことでありますから、そこは私どもも国民の皆さんに対する責任も考えていかなくてはならない。その際、形式的な指標で物事を考えるというのではなくて、企業を審査する際に経営実態をよく見て行うように、借り手の立場に立った親身な対応が重要だということを再三申し上げております。

 十月の二十二日でありましたが、全国の信用保証協会の会長の皆さんにお集まりをいただき、その旨を徹底いたしました。その際、よく現場の声を聞いておりますと、自分たちは貸してあげようと思って随分努力をしておるが、もう一つ金融庁の方が難しい監督があるというふうなことを言われるわけです。実際はそうでもないんでしょうが、一応そういう話が伝わっておる。

 そこで私は、信用保証協会の会長にお集まりいただいたときには、金融庁の監督局長にも来てもらいまして、一緒になって、我々は政府一体でこの今の状況を乗り越えていくための努力をするんだということを申し上げたわけでありますが、近日中に改めて再び関係者にお集まりを願って、いよいよ年末を迎えるわけでありますから、年末の資金繰りに対してなお万全を期すように確認をする予定でございます。

三谷委員 今大臣がお話をされましたように、よく話を聞く、そしてよくその経営実態、事業の内容を見ることだと思います。続いていく事業なのかどうか、しっかり見て判断をしていくことを徹底しなければならないと思います。そのことが肝要だというふうに思います。大変かじ取りが難しいですので、どうかよろしくお願いをいたします。

 続いて、今もお話の中で出ました金融庁の監督のお話です。

 今度は金融庁のお話でありますけれども、地域金融機関の中小事業者への円滑な資金供給ができるよう、その取り組みについて聞きたいと思います。

 金融機関からまさに中小・小規模企業への資金供給が図られるよう、金融庁はどんな取り組みを今までにしていますか。説明をしてください。

居戸政府参考人 中小企業に対する円滑な資金供給は、金融機関の最も重要な役割の一つであるというふうに認識をしております。

 金融庁といたしましては、厳しい状況に直面する中小企業に対する金融の円滑化に向け、中小企業庁とも連携しつつ、さまざまな施策を講じているところでございます。

 その一つとして、先ほども御議論にございました緊急保証制度の開始を受けまして、先般金融機関に対し、制度の趣旨を踏まえた円滑な運用に努めるとともに、中小企業に対する円滑な資金供給に努めるよう要請をしたところでございます。

 このほか、大臣目安箱の設置や、大臣から金融機関のトップに対する直接の要請、あるいは中小企業庁と合同での中小企業者との意見交換会による中小企業金融の実態把握、あるいは貸し出し条件は変更しても、貸し出し条件緩和債権、いわゆる不良債権に該当しない場合の取り扱いの拡充に関する検査マニュアル等の改定等に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、中小企業金融の円滑化に向け、中小企業庁とも連携してさらに取り組んでまいりたいと考えております。

三谷委員 先ほど、信用保証制度、特別保証制度のお話の際に、これは相対的かつざっくりしたお話ですけれども、平成十年当時と今の危機時とでは、貸し手、借り手、金融機関側あるいは中小企業側の持つ状況は違うのだということを申し上げました。先般も、日経新聞にも報じられていました。地銀を初め地域金融機関の減益が報じられています。大幅な下方修正だということが報じられています。

 これは金融危機になる前の話ですけれども、ここ経済産業委員会で別の話で聞きました。まさに、今も国会で審議中の金融機能強化法、前任の山本金融担当副大臣に、どうして延長しないの、こう聞きました。そのことはどうでもいいんですけれども、むしろそのときのお答えです。地域金融機関は自己資本比率も不良債権比率もよくなっている、実はだから必要ないんだということをおっしゃられたんですね。そのとおりだと私は思います。平成十年当時に比べたら、つまり今回の場合は、地域金融機関に余力があるんだと思うんです。

 だから、担当副大臣に聞きます。今お話をされたこれまでの緩和措置、検査の緩和もございます、目安箱の話とかもありましたけれども、そういうものは余り効力がありません。これから先、まだまだ私は足りないと思うんです。まだまだ貸し出しの余力はあるというふうに思います。現在とられている措置を、中小企業向け融資がより円滑に行われるよう、もっともっと出してもらえるようにさらに拡充していく考えはありますか。金融担当副大臣、お願いします。

谷本副大臣 三谷委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、現状は中小企業、小規模企業、非常に経営環境は厳しい状態になっております。こういう中では、民間の金融機関にとっては、しっかりと借り手企業の経営実態を把握し、並びに特性もよく見て、その中でできるだけリスクテークをし、またリスク管理をしながら、きめ細かくリスクテークもしながらしっかりとお金を貸していく、このことが一番重要であるというのは、金融庁としても同じ認識を持っております。

 このような観点から、今委員から御指摘がありましたように、さまざまな施策を今までとってまいりました。そして、その施策に加えて、これも今御指摘ありましたけれども、地域経済あるいは中小企業を支援することを目的として、今回、金融機能強化法の改正を国会で御審議いただいているところであります。

 それに加えてという部分でございますけれども、今のところ金融庁としましては、今後とも、さらにきめ細かな実態把握をしっかり行いながら、中小企業金融の円滑化に向けた監視を強化していきたい、そしてまた、地域密着型金融を一層推進させるなどの、金融機関等へ金融の円滑化に向けた働きかけをさらに強めていきたい、そして、そういった今までの施策も含めて、しっかり、それを徹底させるために、実態を踏まえた適切な検査、監督行政の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

 いずれにしても、しっかり状況を見ながら、必要性が出てくればいろいろな対応を考えていく、こういう姿勢でございます。

三谷委員 再三申し上げますけれども、貸し出し余力はあるんだというふうに思います。また、ここで貸すことが地域金融機関のためにもなるというふうに思います。だから、今もお話の中にもありました、まさに監督指導を徹底していかなければいけないと思います。また、検査要件のさらなる緩和はできるというふうに思いますので、しっかりと、さらなる取り組みをしていただけるようにお願いをいたします。

 そして、最後になりますけれども、内需主導型経済成長への移行のためにどういう施策がとられているかについて聞きたいと思います。

 先ほども田村議員のお話の中にもありました、新エネルギー、省エネルギー関係の施策に限って聞かせていただきます。

 このたびの二つの経済対策並びに二十一年度予算概算要求の中にある、政府投資が伴うもので新エネ、省エネ対策、その具体的な内容について簡潔に御説明をください。そしてあわせて、総額で幾らになるか、これもお答えください。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 省エネ、新エネ分野につきましては、エネルギー特別会計におきまして、平成二十一年度概算要求で約二千六百億円、それから、先般成立いたしました平成二十年度補正予算につきましては、約二百九十億円の予算規模となっております。

 内容でございますけれども、具体的には、補正予算につきましては、住宅太陽光発電の導入支援対策やクリーンエネルギー自動車等の導入促進、省エネ設備の導入促進、革新的技術開発の前倒しを図るための措置等を講じております。

 また、二十一年度概算要求につきましては、住宅用太陽光発電の導入促進の拡充に加えまして、新エネを導入する自治体、事業者に対する支援措置、家庭用燃料電池の導入支援等に加えまして、燃料電池自動車など革新的技術への緊急開発予算も要求しているところでございます。

三谷委員 きょうは、一つ一つ取り上げるつもりはありません。内需主導型経済成長への移行ということがこの「「生活対策」について」の中にも大きな柱として盛り込まれています。この省エネ、新エネ対策、まさに内需主導型経済成長への移行のための大きな糧になる、そして新たな産業基盤になり得る分野だというふうに思います。

 率直に言いまして、政府投資の額、ゼロの数が一つ違うんだというふうに思います。まさに、今もいろいろなところで報じられていますけれども、バラク・オバマ、アメリカの次期大統領、地球に優しい経済に、その内容はまさに新エネ、省エネ対策です、千五百億ドルを投資する、これにより五百万人の雇用を創出すると言っております。必ず実行するというふうに思います。

 先ほども田村議員の質疑の中で太陽光発電の話が、今の御説明の中でも出ました。日本が先行していましたね。普及も開発も、もうこれはドイツに完全に追い抜かされました。例えばドイツでは、この太陽光発電を含む再生可能エネルギー業界は二千四百億ドル規模になって、二十五万人を雇用しています。イギリスのブラウンもフランスのサルコジも、この省エネ、新エネ対策に大きく踏み出そうとしています。

 日本の経産省は、着想は早かったんです。この省エネ、新エネの革新的なエネルギーにより新たな大きな産業基盤を築くという発想は早かったんです、どこよりも。だけれども、これまで、今もだと私は思いますけれども、踏み出せない、踏み出せていないと思うんです。

 二階大臣のこの前の所信表明の最後のくだりに、ピンチをチャンスに変えるという言葉がございます。まずは景気対策だと今の総理はおっしゃいます。低炭素社会実現と、この中を初めとして、口先だけでは、あるいは言葉じりだけでは、言ってもなかなかその予算あるいは施策の内容が伴ってこない。要は、実需がなければこの景気は立ち直れないというふうに思うんです。

 省エネ、新エネ対策にもう一けた大きな政府投資を行うことが最も有効な景気対策だというふうに私は思います。この省エネ、新エネ関連の政府投資の拡充に向けて、二階経産大臣のお考えを聞かせてください。

二階国務大臣 予算編成にはおのずからいろいろな制約があるわけでありまして、それは議員が御承知のとおりであります。しかしまた、今議員御指摘のように、これから我が国の経済を立て直していくために最も必要なことは、省エネ、新エネの分野について思い切った投資をしていくということもこれまた大変重要であります。

 ちょうど近々、日本と中国との間でのエネルギーフォーラム、これはまさに省エネ、新エネのためのエネルギーフォーラムですが、千百人の参加者のもとにフォーラムを開催するわけです。その中でも、新しい開発、またそれによって発展する芽といいますか、新しい芽がだんだんと育ちつつあるわけであります。

 それに対して政府としてどう取り組んでいくかということに対して、ただいま三谷議員から大変力強い激励をいただいたわけであります、ゼロをもう一つ加えろと。我々は、気持ちの上では異論はありません。しかし、そうした御要請を受けて、我々は各方面とさらに気合いを入れて折衝をしていきたい、このように思っておりますので、一層の御支援をお願い申し上げます。

三谷委員 本当に気合いを入れて、出おくれないように頑張ってください。

 質問を終わります。

東委員長 三谷光男君の質疑はこれにて終了いたしました。

 次に、牧義夫君。

牧委員 民主党の牧義夫でございます。

 大臣とはいつぞやどこかでお会いした覚えもございますけれども、こういう場でお話をさせていただくのは初めてでございます。どうかよろしく四十分ほどおつき合いのほどお願い申し上げたいと思います。

 ただ、冒頭、私が前国会で質問させていただいた件について、関連をしてちょっと確認だけさせていただきたいと思います。

 経済産業省とは直接、所管という関係ではない話でございましたけれども、前国会で、たしか特商法、割賦販売法の法改正に関連して私が質問に立ったときに、昔から商売というのはいろいろなことを考えるものだ、そういう中で、本当に消費者保護を図るためにはまさに行政当局とのイタチごっこみたいなものもあるのかなという話の中の一つの例示として、第三種郵便の、これはただでさえ安いんですけれども、特に障害者団体等が発行する第三種郵便についてはさらに低料のものがある、その低料第三種を利用というか、極端な場合は悪用しながらDMを発送するというような商売が横行しているんじゃないか、その一例を私が挙げさせていただいて、ここでこんな話もありますよというお話をさせていただいたんですけれども、その内容が非常に公序良俗に反するような広告の中身だったものですから、理事会でも、ちょっと資料をお配りするのは女性議員もいらっしゃるし差し控えようというほどの内容でございました。

 それについて、恐らく、日本郵政やら、あるいは、障害者団体でありますから、そこを所管するのは厚労省でありましょう、そういうところにおいて、私の質問に関連して、その後、どんな実情の把握がなされたのか、あるいはそれに対するどんな手段が講じられたのか、その辺のところをちょっと順次お聞かせいただきたいと思います。

伊東参考人 お答えいたします。

 先般、委員から御指摘ございました、心身障害者用低料第三種郵便物につきまして不適切な広告等があるということで、私ども、これはもともと、この制度を定めております総務省所管の郵便法がございます、その郵便法に基づきまして特別調査をすることができます。

 障害者用低料三種を発行している刊行物、現在二百十七件あるんですけれども、それにつきまして、私ども、あの場でも御答弁させていただきましたが、広告の内容といいますか、広告が五〇%以下であることという、どうしても外形的な部分になるんですけれども、それとあわせまして、この第三種郵便物というそもそもの本来の趣旨というのは、郵送料を安くする、郵便料金を安くする、その結果購読者の負担を軽減するということがもともと第三種郵便物の趣旨でございますので、基準といたしまして、もう一つ、発行部数に占める発売部数の割合が八〇%以上というのがございます。したがいまして、これはいろいろ資料を取り寄せないとなかなかわからない部分がございますので、先生の御指摘以降、私どももいろいろ中で議論をした結果、今の二百十七件につきまして、今調査を行っているところでございます。

 その調査の過程におきまして、条件を具備していない、特に有料発売条件を具備していないために承認を取り消したものがもう既に一件出てきております。さらに、廃刊届、いろいろな資料をお願いするわけでございますけれども、その資料が一定の期間を超えて出されない場合に、私どもとしてはさらに督促などをするわけですが、その過程におきまして廃刊届を出してきたところは四件ございます。

 まだ現在調査中でございますので、さはさりながら一定の期限を定めて調査する必要がございますので、今は年内をめどに全調査を終えまして、私どもといたしましては、この制度は今後も本来の趣旨に沿って維持していく必要があると思っておりますので、本来の趣旨に沿わないような案件につきまして、どういうチェック体制が私どもとしても今後必要なのか、それも含めまして、年内を目途に取りまとめるべく作業を進めているところでございます。

坂本政府参考人 第三種郵便物についての承認や定期刊行物のチェックにつきましては、ただいまの答弁のとおり、郵政事業株式会社の責任のもとで行われておりますけれども、障害者福祉の名のもとに制度が悪用されているとすればまことに遺憾でございます。適切に行っている他の多くの障害者団体に対しまして、大変迷惑な事案であると考えております。

 したがいまして、第三種郵便の承認に当たりましては、郵便事業株式会社の適切な取り組みに十分協力いたしまして、厚生労働省として適切な証明事務の実施や指導に努めてまいりたいと考えております。

牧委員 今説明をいただいて、この両者の説明はもっともなお話だと私は思います。

 私がこの場で火をつけておいてもっともだと言うのも変な話かもしれませんけれども、あれが五月二十三日の質問だったんですけれども、その当時も確かに、議事録をもう一回確認いたしまして、申し上げたのは、障害者団体といえども、やはり刊行物を発行するにはそれなりの経費もかかるし、印刷代、輸送費かかるわけですから、当然、広告の許容範囲内、五〇%未満で広告をとって、運営費に充てる、印刷費に充てる、発送費に充てる、これは当然の話であるから、その分についてはそれを否定するものではありませんとたしか私は申し上げたとおりでありますし、その要件をきちっと満たしているのかどうなのかということを郵政と厚労省もきちっとしていただければそれで事足りるということを私は今改めて申し上げたいと思います。

 なぜこんなことを申し上げるかというと、その五カ月ほど後に、朝日新聞がこの問題を取り上げて、数回にわたって報道をしております。私の質問が五月二十三日、朝日の報道は十月の六日がスタートですけれども、ある大手印刷・通販会社が、身障者団体が「定期刊行物を郵送する際に格安の料金が適用される「低料第三種郵便物」制度を悪用し、約四年間にわたって化粧品や健康補助食品などのダイレクトメール広告を大量に郵送していたことが五日、朝日新聞の調べでわかった。」と。

 「調べでわかった。」と言っていますけれども、もうその五カ月前に、私は、ここでこういう問題があるということを指摘しているわけです。それはそれとして、多分この記者さんが知らなかったんだと思いますけれども、その後、数回にわたって報道をしております。私は、ここでさっき業者を擁護するかのようなことを言いましたけれども、余りそういうことを言うと、また不勉強な週刊誌等にいろいろ言われてもあれですけれども。

 ただ、いずれにしても、私は、これはすべて悪用であるかのような報道姿勢と、私が五月二十三日に質問をしたそもそもの趣旨がまず違うということだけはここで申し上げておかなければいけないなと思ったものですから、前回の場も経産委員会でしたから、あえてきょう、改めてこの点についてだけは申し上げておいた方がいいかなと思いました。

 新聞の報道と私たちの活動はそれぞれ土俵が違いますので、また朝日新聞等でいろいろな今後の記事もあろうかと思いますけれども、私は私でこの場で私の考え方をあえて申し述べさせていただいて、次に本題の方に移りたいと思います。

 二階大臣には、しばらくお待ちいただいて恐縮でございますけれども、まさに私ども日本国民の国民経済、国民生活の根幹をなす所管の大臣であられますので、今後の御活躍を私も大いに期待するものでございます。とりわけ、きょうは経産大臣の専権事項でもあるエネルギー政策、資源外交にも踏み込んでその姿勢をお伺いさせていただければと思っております。

 まず、大臣所信の中で、特にエネルギー資源について説明していただくに当たって、新経済成長戦略二〇〇八という文言が出てまいります。「資源価格の乱高下などの課題に的確に対応するための新たな戦略、新経済成長戦略二〇〇八を閣議決定いたしました。今後、私は、この戦略に盛り込まれた施策をスピーディーに実現すべく、全力を挙げて取り組んでまいります。」とございます。

 この新経済成長戦略二〇〇八について、私なりに資料をざっと見せていただいて、まさに先ほど来いろいろ新エネルギー等のお話が出ておりますけれども、本当に私も、否定すべくもない、今後の将来に向けての取り組むべき課題がきちっと書き込まれているなという印象は確かに持っておりますけれども、現下のいろいろな経済情勢にかんがみて、特に資源価格の乱高下等という文言がある中で、スピーディーにこれを解決するという話とこの基本的な戦略というのが、ちょっと次元が違うんじゃないかなと私なりに感じました。本当にこの中長期的な戦略と、本当の足元の部分を見詰め直すことと、若干違うような気がするんですけれども、ちょっとそこら辺のところの大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

 特に、二十一兆円という交易損失という言葉も出てまいりますけれども、その根拠あるいはその内訳についてもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。

二階国務大臣 いわゆる新経済成長戦略でありますが、以前に、小泉内閣の当時に新経済成長戦略というものを発表させていただいたわけでありますが、その後の急激な経済事情の変化からして、これを一々弁明し、一々説明していくよりも、この時点といいますか、ちょうど福田内閣の改造が行われてすぐ、当初のころですが、ことしのたしか八月でございます。そこで思い切って新経済成長戦略そのものを見直してみようと。

 そして、一つ一つ検証して、この政策は順調に進んでいる、これは根本、基本がすっかり変わってしまった状況の中では見直しせざるを得ないというふうなことを一つ一つ詳細に検討して、新経済成長戦略二〇〇八なるものをまとめて、しかも、そのころは、内閣の政局の変化等についても何となく胸騒ぎがするようなそういう状況でありましたから、我々は百五十人ぐらいの職員を総動員してこの問題について約五十日間ぐらいかかって取り組んだわけであります。

 それができ上がったところでまた内閣がかわって、そのことが一からということでは、これはもういつまでたってもさいの河原みたいになってしまうわけですから、私は、これは閣議決定をしておく必要がある、こう判断して、御承知の、経済財政諮問会議にも諮り、そして閣議決定というところまで持っていきました。

 そうして、例えば先般取りまとめられた生活対策などにおきましても、省エネの問題、新エネの設備の投資促進税制、あるいは海外の子会社の利益の国内還流、イノベーションの創造機構、そして農商工連携への支援等の施策を盛り込んだ次第であります。これらの施策は、今までの成長戦略と軌を一にしたものでありますが、今後、第二次の補正予算や来年度税制改正等を通じて、早期に実現できるものは実現にこぎつけていきたいというふうに考えている次第であります。

 議員御指摘のように、長期の問題と、今直ちに対応しなきゃいけない問題とがあるではないか、あるいはまたそれが混同されているのではないかというふうに御主張だと思いますが、これらにつきましては、我々として、やはり成長戦略、つまり経済の成長を担っていかなきゃいけない経済産業省としては、何か統計をとってじっと将来を見据えて何もしないというようなわけにもまいりませんので、我々はそうした問題を、長期の視点に立ち、また現在の、短期の面に立って、詳細に対応していかなくてはならないというふうに思っておるところであります。

 今の二十一兆円の問題につきましては、担当審議官の方から答弁させていただきます。

森川政府参考人 交易損失二十一兆円についてお答えいたします。

 一般に、交易利得、交易損失とは、輸入財価格と輸出財価格の比であります交易条件、これが変化することによって生じます利得あるいは損失のことでございます。ある基準年から交易条件が変化することで生じます、国内居住者、要するに日本人の実質購買力の海外からの流入あるいは流出をあらわす指標でございます。例えば、輸入する資源、エネルギーの価格が上昇しますと、交易条件は悪化いたしまして、交易損失が生ずるわけです。

 新経済成長戦略二〇〇八改訂版では、内閣府経済社会総合研究所が作成しております国民経済計算に基づきまして、二〇〇七年度の交易損失を二十一・三兆円というふうにしております。二〇〇七年度に交易損失が生じておりますのは、基準年である二〇〇〇年と比較いたしまして、主に原油、原材料の価格が上昇していることによるというふうに理解しております。

牧委員 大臣の御説明、よくわかりました。

 ただ、私はなぜそこで交易損失と一緒にして質問したかというと、今私がお聞きしたのは、内訳を聞きたかったんですよ。だから、きちっとそこら辺の内訳の認識があるのかないのかで、先を見ているのか足元を見ているのかということを推しはかりたかったものですから。

 もう一度、その内訳を答えてください。原油価格だけですか、それは。

森川政府参考人 この交易損失というのは、マクロの統計から出てくるものですので、具体的に何が何兆円という計算は難しゅうございますけれども、石油を初めとするエネルギー、それから輸入する原材料あるいは食料品、こういったものが組み合わさってそういう数字になっています。

 また、これのほかに、円の為替レートが変わりますと、これももちろん交易条件に影響いたします。円高になりますと交易条件は悪化して交易損失が生じますし、円安になりますとその逆でございます。

 したがって、詳細な数字はわかりませんが、先ほど申しましたように、かなりの部分は、輸入するエネルギーあるいは食料品等の価格の高騰ということが原因になっているというふうに考えてございます。

牧委員 わかりました。

 それでは、ちょっと違った観点からお聞きしたいと思うんですけれども、そういった交易損失、これは我が国だけではどうにもならない部分も当然あろうと思います。原油価格なんかも、こちらが関与しないところで決まっている部分もあるんでしょう。ただ、それだけとは言い切れないところも、もちろん別の次元からはあると思います。

 例えば資源を日本に運ぶためのデリバリーの問題、例えば天然ガスなんかを見ても、我が国はLNGで持ってくるほかないわけでありましょう。そういう中で、同じ条件の韓国と比べて、なぜ消費者の負担が日本は大きいのかというようなことを考えると、やはり原産国だけで決まるあるいは市場だけで決まる話でもないと思います。

 そういった観点も含めて、本当の意味での資源国、新興国との戦略的な関係も含めて、大臣の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

二階国務大臣 資源小国であります私たちにとっては、石油、天然ガス、レアメタルなど、資源、エネルギーの安定供給、これが極めて重要でありますが、最近といいますか、とみに近年は、資源国においても、国家による資源管理が強まる傾向が見られております。つまり、お金さえ持っていけば何でも購入できるという時代ではない。そういうことを考えて、あらゆる方策を考えながら対処していかなくてはならない。

 御承知のとおり、資源国の中には、産業協力の面で日本と協力したい、それから教育の分野で日本の協力を得たい、さらには農業に対して日本の協力を得たい、あるいは航空分野、港湾の分野等においても日本の協力がぜひ欲しい、それによって石油の問題、天然ガスの問題も話し合いに応ずることができるというような問題が具体的にあるわけであります。

 例えば、サウジアラビアでは、産業協力について大変強い要望があり、若年層の雇用対策等についても希望を持っておるわけであります。UAEにおきましても、アブダビ日本人学校における教育協力への要望、また、これは順調に進んでおりますが、カタールの国なんかになりますと、関西空港や成田空港に直行便の乗り入れを特に期待するというふうなことで、複雑な、一本調子ではいかないようなことがあちらこちらに起こってきております。

 石油であれば中東、レアメタルであれば南部のアフリカ諸国、鉄鉱石、銅であれば南米地域など、資源ごとに対象地域も異なっておりますので、これからは、資源確保のために、対象地域を絞ってめり張りのある交渉をしていかなくてはならないと思っておるわけでありますが、資源国との戦略的な関係を強化しながら、資源、エネルギーの一層の安定供給ということを考えてまいりたいと思っております。

牧委員 まさにいろいろな、総合的な戦略が必要なんだというお話であります。

 今、対象国のお話が、幾つか例示がありました。そこになかった話をちょっとこれからさせていただきたいと思うんです。それと、もう一つは、今挙げるエネルギーについても、石炭に特化してこれからお話をさせていただきたいと思います。

 対象国、今、例としてお話を申し上げたいのは、モンゴルの石炭について、私も質問する機会をぜひいただきたいと思っておりましたので、お話をさせていただきたいと思います。

 その前に、隣の国の中国で、初めてなのか、エネルギー白書のようなものが出されて、その中ではっきりと、中国という国は、国家として、これからのエネルギー政策の基幹エネルギーとして、石炭を基軸として位置づけるというようなことがたしか明言されていたと思います。

 隣の中国の存在というのは、私どもの国にとっても大きな存在であり、貿易相手国としてももちろん重要な国でありますし、また、将来の市場としてもこれは大変大きな魅力のある場所でもあります。ここへ来て、やや成長が減速したとはいえ、とても無視できない大きな存在でありますけれども、その大きな中国が、これまでも、それからこれからも基幹エネルギーは石炭である、こういう位置づけをしている中で、我が国の石炭政策、戦略というものも、やはりこの辺も見据えて考えていかなければいけないと思いますし、それこそ、新エネルギー戦略において、我が国が中国に向けてもう少しエネルギーのシフトを促すような、そんな政策もあわせて当然考えていかなければいけないと思いますけれども、その辺について大臣のお考えを簡単にお聞かせください。

二階国務大臣 前々から、中国の石炭火力の問題の行き着くところ、我が国にも、地球温暖化対策上も影響が生じてくるということは想像がつくわけでありまして、これらに対していかに対応していくかというためには、両国で常に、この環境問題そして資源、エネルギーの問題に対して対話を重ねていく。

 その対話も、例えば、役所同士に任せておいて対話をするとか、担当大臣等が話し合いをするとかという程度のものではなくて、もっと、中国の実際の産業の中心を担っておられるような人たちと、我が国のこの問題に対して専門的であり、なお大変な経験を持っておる、そういう人たち同士の話し合いが大事だということで、三年前でございますが、第一回の日本と中国との、今申し上げた省エネ・環境フォーラムというものをやらせていただいたわけでありますが、そのときはたしか七百人ぐらいの規模でやりました。そして、その後も千人近い数で北京で行い、いよいよ、近く東京で会議を行いますが、これは中国からも大勢の御参加があって、日中合わせて千百人程度のフォーラムになる。

 そこでお互いに真剣な議論を交わしていくわけでありますが、それでは、これまでのフォーラムの成果として何かあるか、こう言われると、今まさに御指摘をいただいた点について、日本の中国電力、これは日本の中国電力でありますが、これと、中国の華能集団公司、これは中国で一番大きい電力会社でありますが、この両者でいわゆる石炭火力についてお互いに協議をしよう、協力事業に持っていこうということで、先般これの調印をしたところでありますが、こうした成果が、十個ほど新しい芽が出てきております。

 このようなことについてなお推進していくことに努力をしながら、中国側にもこの環境問題に対して十分配慮をされる必要があるということを理解してもらう、こういうことを考えております。

牧委員 よくわかりました。

 お互い真摯な議論を重ねていくことは重要なことだ、これはもう私も全く異論はございませんけれども、時間もございませんので、淡々と進めさせていただきたいと思います。

 そういう中で、やはり私たちは、日本の国益というものを第一に当然考えていかなければならないと思います。そこら辺に基軸を据えながら、エネルギーの戦略というのを当然立てていかなければいけないと思います。

 ちなみに、ちょっと一つ事務方からお話しいただきたいんですけれども、モンゴルから中国への石炭の輸入価格、そして中国から日本への石炭の輸入価格、原料炭で結構ですけれども、わかる範囲で教えてください。直近のものでいいです。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 モンゴルから中国への輸出価格というのは、今手元にございません、申しわけございませんけれども。

 モンゴルから中国を経由して我が国に入っている原料炭の価格、これにつきましては、本年、約二万トンの石炭がモンゴルから中国経由で日本に入ってきてございます。これは関連事業者から聴取したところでございますけれども、その輸入価格につきましては、貿易統計などから推察いたしますと、トン当たり約三百ドルぐらいでございまして、これは輸入当時の国際的な原料炭の取引価格と同水準と見られてございます。

 以上でございます。

牧委員 今のお話ですと、モンゴルから中国を経由して日本に入ってきたものですね。中国炭じゃなくてモンゴル炭なわけですね。それが今のお話ですと一トン当たり三百ドルというお話でございましたけれども、ちょっとこちらの方で、これは国立国会図書館の調査の資料をいただいたんですけれども、昨年でいうと、モンゴルからの中国の輸入価格というのがトン当たり三十・八七ドルという数字をいただいております。その前年ですと十六・八九ドル。去年は倍近くに高騰しているとはいえ、見ると十分の一ですね。

 私も、モンゴルに友人もおりますし、いろいろ話を聞いたんですが、これはモンゴルでももうぼちぼち政治問題化しつつあると。余りに中国に対する石炭の輸出価格が低過ぎるんじゃないかということで、見直しに向けての話も中には進んでいるかのように聞いております。

 一方で、我が国もモンゴルの地下資源については、民間もあるいは官も含めて、当然関心は持っていることと思います。きょうは、その辺の質問もする予定でありましたけれども、時間の関係でちょっと割愛させていただきます。NEDO等も入って、あと民間の企業も入って、探索だとか、いろいろな調査研究も進んでいると思いますけれども、ちょっと簡単に、我が国のエネルギー政策の中でモンゴルという存在はどんなふうに位置づけられているんでしょうか。

    〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕

北川政府参考人 お答えいたします。

 モンゴルの資源開発、これは輸送の問題、あるいはモンゴル国内の鉱業法などいろいろな課題はございますけれども、我が国に非常に近いということ、それから埋蔵量も大変あるだろうということ、それから親日国であるということを勘案いたしますと、中長期的には我が国への安定的な資源供給国になり得る重要な国と考えてございます。

 そのため、先ほど御指摘ありましたように、石炭の共同探査事業あるいは官民の協議会など、積極的に進めているところでございます。

牧委員 今言われたとおりだと思います。大変、我が国にとってもこれから重要度を増すということは否めない、そういう存在であろうと思うんですけれども、今お話があったように、内陸国でありますから、日本に運ぶということについての一つの大きな障害があります。一方、日本は海に囲まれておりますから、どこかで海に出てもらわないことには日本に運べない。中国を経由してくると値段が十倍にはね上がってしまうという実情を踏まえると、これは、それこそ大臣にも力を発揮していただいて、そこら辺がもっと安く通過できるような形ができれば、これが本当の資源外交だと私は思うんです。

 ちょっと外務省にお聞かせいただきたいと思います。エネルギー憲章に関する条約で、エネルギーの輸送についての国際間の取り決めがあろうと思います。多分、これはもともとは、ロシアのパイプラインを勝手にとめたりしないようにするためのものだったのかもしれないんですけれども、多分、石炭もこの適用の範囲内だと思います。モンゴルも日本も締約国ですね。中国は締約国ではないわけですよね。そこら辺のところが、締約国にならないとこれはいかんともしがたいものなんでしょうか。ちょっと外務省からお聞かせください。

田辺政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー憲章条約は大きく言うと三本の柱がございまして、エネルギー原料及び産品についての貿易、通過それから投資について規定をしておるところでございます。

 それで、モンゴルについて考えますと、モンゴルはエネルギー憲章条約の締約国でございますので、ここで言われております投資の自由化や保護については規律がかかるということになるわけでございます。それから、通過ということになりますと、モンゴルを資源供給国として考えますと、中国あるいはロシアを経由して日本に輸入されるということが考えられるわけでございますが、この通過ということに関しましては、エネルギー憲章条約では原則として通過の自由化ということをうたっておりますので、エネルギー憲章条約の締約国であればこの原則が当てはまるということになるわけでございますが、委員御指摘のございました中国に関しましては、エネルギー憲章条約の締約国ではございません。ということで、エネルギー憲章条約の規律はかからないわけでございます。

 ただし、実は、WTO上のガットにおきまして、その第五条におきまして通過に係る規定がございまして、このガットにおきましても原則として通過の自由というものがうたわれておるところでございます。

 中国はWTOの加盟国でございますので、原則としての通過の自由ということは、ガット上の規律として中国はそれに服する義務があるということになるわけでございますが、エネルギー憲章条約上はその通過の自由化についての規定が少し具体的に細かくなっておりますし、それから、現在、通過議定書というものをさらに細かく具体化、明確化したものを交渉中でございまして、これができますと、通過に関しましてはエネルギー憲章条約の方が強いということになりますので、エネルギー憲章条約の締約国になることが望ましいということになるわけでございまして、中国に対しまして、私どももそういう形で働きかけを行ってまいりたいと思っております。

牧委員 仕組みはよくわかったんですけれども、そうすると、最初の御説明でいうと、今のところではモンゴルから通過して入ってきているものはないわけですね。ないということですよね。中国が一たん輸入したものを中国が日本に輸出するという形で価格が十倍にもなっているということでありますから、当然、今の仕組みからすれば、通過の自由化を促す話がもう既にあってしかるべきだと思うんですけれども、これからなんでしょうか。これからですか。

 今までもそういうことをずっと重ねて主張してきたけれども中国が聞いてくれないというのが実情なのか、あるいは、これからそういう話をしていこうという今のお話なのか、そこら辺のところをちょっと正確に教えていただけませんか。

田辺政府参考人 お答え申し上げます。

 私がただいま御説明申し上げましたのは、エネルギー憲章条約の締約国になるかどうかという点でございまして、そういう観点から、現在までエネルギー憲章条約の締約国ではない中国に対してこれからも働きかけを行っていきたいと思っておるところでございます。

 石炭の輸入契約、取引等に関します具体的なケースに基づく議論というものは、私どもとしては対応していないところでございます。

牧委員 わかりました。

 時間が来たのでここでやめますけれども、もう一つ、これは通告のときに確認がとれていないというお話でしたので、多分聞いても仕方ないと思うんですけれども、韓国の大手の鉄鋼メーカーは、中国を通過できないのなら、ちょっと遠回りだけれどもロシア経由、シベリア経由で持ってこようかなんという話ももう既にしているというお話ですから、そういうことも両にらみで、もっと戦略的にそういうことにはぜひ取り組んでいただきたいということを申し添えさせていただいて、私のお話はここで終わらせていただきます。

梶山委員長代理 先ほどの牧義夫君の質問に対しまして答弁漏れがありましたので、簡潔にお答えを願います。経済産業省森川大臣官房審議官。

森川政府参考人 先生、大変失礼いたしました。

 先ほど私、交易条件についてのお答えをする中で、円高、円安と交易条件の関係を例に出しましたけれども、そのとき、円安と円高の交易条件についての効果をひっくり返して説明してしまいました。正しくは、円高が進みますと、これは輸入品が安くなりますので交易条件が改善する、円安だと逆、そういうことでございます。

 失礼いたしました。

牧委員 ありがとうございました。

梶山委員長代理 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。よろしくお願いします。

 午前中から九人目でございますので相当お疲れでございましょうが、あと一人を控えて終了でございますので、ぜひいい御回答、そして私も御提案を最後の方にちょっとさせていただきたいと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。

 私も出入りしながらずっと質疑を見させていただいた中で、経産省さんが相当英知を結集して取り組んできたことは非常にわかります。しかし、そこで、改めてちょっと地に足をつけて、重なるかもしれませんが、数字のことでちょっとお聞きしていきたいと思っています。

 まず、中小企業の倒産でございます。

 これは、二〇〇三年が一万六千、二〇〇四年が一万三千強、五年が一万三千件、二〇〇六年が一万三千、二〇〇七年が一万四千と、ずっとこう続いてきている。そして、確かにサブプライム、リーマン・ショックはあったといいながら、日本の中小零細企業の現状というのは、実を言うと、リーマンとサブプライムとはちょっとかけ離れているのかなという感じが私はしております。

 その中で、ことしの倒産件数というのは既に毎月ベースで千二、三百件ずつ積み上がってきて、九月は特に千四百件以上が倒産している。九月までで既に一万一千五百七十八件。このペースという言い方はすごく嫌ですけれども、これから年末になり、資金ショートが起きてきたりする。このペースでいくと、推測の範囲を出ませんが、ことしの倒産は一万五千件以上は倒産する最悪の年になるんじゃないかというふうに推測されます。

 また、私は数が好きなのでやらせていただくと、過去十年間における自殺数はずっと三万人を超えてきておりまして、日本は特に、総人口対比で、世界でワーストナイン、先進国では一番悪いんですけれども、ワーストナインである。

 その中で、分類上で見ますと、自営業の方の自殺が三千五百人から四千三百人の間を行き来して、非常に多くの自営業の方が自殺している。その多くの動機が経済生活問題である。これは、二四%、四人に一人に達している。非常に惨たんたる内容になってきているというふうにこの数字では見ていけます。

 それから、東京商工リサーチというところが調査しまして、過去五年間の倒産の要因を見たときに、大臣、販売不振というのがすごく多いんですよ。

 これは、二〇〇三年が約六三%が販売不振だった、二〇〇四年が六六%、二〇〇五年が六五、二〇〇六年が六四、二〇〇七年も六四・九と、三分の二以上が倒産の事由として販売不振だった、これが簡単に言えばリサーチでわかりますね。販売不振の脱却に対してメスを入れていくことが倒産を逆に打ちどめしていく一番のピンポイントの薬になっていくのが、何げなくここからにおってきます。

 そこで、経産省の一般会計予算の中で、中小企業庁の項目として中小企業対策費があります。これの中に、私もちょっと見ていったら、会計検査院が毎年発表している中で、検査報告の歳出決算のところです、その中で不用額というのが出てきています。これはもう釈迦に説法でありますけれども、予算を確保したけれども使い切れなかった、それについて、中小企業庁、御省で予算をとっても使わずに終わってしまったというものであります。

 これは、僕も主計局、財務省に聞きましたら、簡単に、同じ目的に次年度に使わない、剰余金として各省庁が一本化して引き揚げて、そして、次年度の補正の財源として一本で引き揚げますから、もうごちゃごちゃぽんでほかのものにも使ってしまう、そういう方に回されてしまう。つまり、せっかく御省でとっても、皆さん頑張って英知の中でとっても、使わずにそのまま返してしまうお金になってしまう。

 では、ここは一体どのぐらいあるんだということでありますが、十八年度は経産省は八千三百億強の予算で、全体で不用額が百九十一億あった、二・三%。そして、中小企業対策費という、太枠というか細枠というか、その対策費でいくと、一千四十一億の予算に対して不用が九十三億あった、つまり不用率が八・九、約九%。中小対策については不用率が高かった、四倍になっているということですね。

 十九年度も、これは経産省の予算が膨れて、全体では、一兆七百二十三億の予算に対して不用額は百九十六億、不用率は一・八。その中で、中小企業対策費という枠でいくと、その予算千八十の中で不用額が八三。ということは不用率が七・七、約八%あった。経産省全体の不用額のうち四二%が中小企業対策費で不用だったということになります。

 私は、これをもうちょっとおろしていきましたら、その原因についての決算報告の欄にこういう説明書きがありました。交付申請及び契約価格が予定を下回ったこと等により、補助金を要することが少なかったためと記載されています。つまり、申請がされていなかったんじゃないか、申請しにくかったのかなというふうにも思います。

 私としては、これだけ数字の上で倒産の件数が見込まれ、史上最悪が見込まれ、自殺者も先ほど申し上げたように四人に一人が自営業者で経済的理由で自殺しているんだという中で、対策費として百億円近い不用額が毎年生まれているというのは、僕は何かそこに中小企業側から見て使いにくい理由があるのかなという感じがいたしております。

 まずここの第一問として、対策費の膨大な不用額についてその原因をどういうふうにお考えになるか、まずは中小企業庁長官にお聞きしたいと思います。

    〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、下条先生から、中小企業庁の中小企業対策予算につきまして不用額が出ているという御指摘がございました。私ども、いただきます大変貴重な政策原資でございますので、どういうことがそういう原因になっているかというのはきちんと調べてしかるべく対応しなければいけないところでございます。

 事実に即して御答弁申し上げますと、今お話がありました十八年度、十九年度でございますけれども、十八年度について申し上げますと、幾つかの要因があるわけでございますが、御指摘がございました約九十三億円の中で最もウエートとして高いものは、当時、中心市街地活性化法が十八年度に成立をいたしまして、そしてその施行が八月で、かつその施行を受けまして基本方針をつくり、それを受けて具体的に市町村の方で同法の補助金を使う、こういう計画策定に至る仕組みになっておりますけれども、そういったことで、少し、年度初めから補助金の申請というものができなかったということがあったと思うんですけれども、その補助金が一つの大きい原因だと思っております。

 それから、十九年度について申し上げますと、これも幾つかの原因があるわけでございますけれども、一つは、地域資源活用の新事業展開補助金というのをお認めいただいておりますけれども、これもちょっと、事業創設年度だということで私どもの予想を下回る申請件数だったということでございまして、こういった点につきましては、きちんと政策広報をしなければいけないというふうに思っております。

 それから、ものづくり等々の補助金でも、申請者のサイドで必要になる経費につきまして、むしろきちんと精査をしていただきました結果、私どもが当初予定していたよりは少ない経費すなわち補助金で済んだというのが原因だというふうに承知しております。

下条委員 ありがとうございます。

 英知重なる経産省、中小企業庁の方でありますのでよくおわかりだと思いますけれども、要は、申請が少ないということは、使いにくいというか使えなかったということですね。そういうことだと僕は思うんですよ。

 それで、営業販売強化につながるというのは、いろいろ皆さんも出している中で、例えば、農商工連携の中でも地域産品による新商品開発の支援が入っていますし、頑張る小規模企業応援プランとか、全国三百十六カ所で地域的な連携拠点でコーディネーターを置いて販路拡大等々やっています。このコーディネーターの拠点というのが全国に大体三百十六カ所あって、ほとんどが既存の商工会議所ですね、百十九カ所が。それ以外、商工会七十八カ所、四十一カ所は都道府県の中小支援センターになっている。既存のままでこの支援策をやってきたんじゃないかなと僕は思っているんですよ。

 私は、こういう場を設けて話をするというのは、すべてを否定しているんじゃなくて、やはりレビューしてそれからプロモーション、どんどん進めていく。なぜできなかったかをやる必要があるからこういう会議があると僕は思っております。

 私としては、このコーディネーターのあり方にもちょっと問題があったんじゃないかと思うんです。半分ぐらいが経営指導員の皆さんが兼務していたというお話も聞いております。ですから、この辺も含めてコーディネーターがやはり、中小零細なんて、油まみれになって、あすの食うことも、また従業員のことも大変な中で、そこまで足を運んでいく時間がないかもしれない、そういうときにコーディネーターの方から、出前じゃないけれども行ってあげて声を聞いてあげたり、そういう機会が今までなかったようにお聞きしますが、この辺を今後の話として、長官、いかがお考えでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました地域力連携拠点でございますけれども、これは中小企業の皆さんのいろいろな支援、ニーズといいますか、力を発揮するために必要な御相談なりアドバイスなりというものがますます多様化しておりまして、他方で、これは国もそうでございますし、今お話がございました商工会、商工会議所、さらには自治体も、中小企業というのは大変大事だということでさまざまな支援の拠点をつくっております。

 そこで、逆に中小企業の皆さんから見ると、むしろワンストップでいろいろな支援の機能といいますか人材といいますか、そういう方が集結していただいた方が集まりやすいんじゃないか、こういうようなことで、私どもの方で、商工会、商工会議所はもとよりですけれども、地点によりましては、もちろん自治体もそうですし、地域の金融機関、さらにはJA、こういったようなところまで入っていただいて、むしろこれで支援のネットワークをつくる、そういう意味で地域力を発現させる連携拠点ということで名づけたわけでございます。

 現在、全国で八百三十名に上ります応援コーディネーターがおられまして、今お話ございましたように、こちらから待っているだけではいけないということはおっしゃるとおりだと思いますので、少しでも中小企業の方がお力を発揮し、あるいはお悩みにこたえられるようにというようなことで、現在、少しでもお手伝いをしようということでございます。

 ちなみに、本年五月三十日に開始をいたしましたが、九月末までの約四カ月間で約五万五千件の相談をお受けしているというようなことでございまして、中身につきましては、IT、農商工連携、それから創業支援、事業承継と、さまざまな経営課題に対応しておりまして、最近では、加えまして、経営指導員の方がコーディネーターになっているケースが多うございますので、足元の緊急保証の使い方等々についてのお手伝いをしているという実態でございます。

下条委員 ありがとうございます。

 やっておられる努力は非常にすばらしいとは思うんですが、実際、先ほど申し上げたように、倒産件数、そして膨大なる自殺者の背景は、やはりもう一歩踏み込む必要が出てくる。そこで、言いにくいけれども、要するに、中小企業側が今求めているニーズと中小企業庁そして経産省のメニューとの差があるんじゃないかと僕は思うんですね。

 そこで、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが昨年十一月に実施したアンケートの結果を見ますと、経営困難に直面した経営者のとった対策というのが、第一位が役員、従業員の報酬、賃金カット、二位が営業、販売活動の強化、三位が役員、従業員の削減となっています。

 さらに、昨年十一月に、日本アプライドリサーチ研究所が経営の効率化についてアンケートをしました。それで、効果があったのは何かといったときに、第一位が従業員の教育ですよ。二位が業務の機械化、まあ効率化です。そして、業務のマニュアル化。つまり、経営者の方々は、ある意味で、そのときは、従業員の教育が最も重要ですよということを一つ挙げられております。

 そこで、現在の中小企業の支援策というのは、先ほどの農商工連携で百三億とか事業承継円滑化で二十五億、頑張る小規模応援で九十億等々、メニューがいろいろあります。私に言わせてもらうと、これだけ苦しんで、倒産が多くて自殺があるときは、やはり、たくさんのメニューも必要ですけれども、もうちょっとピンポイントで売り上げアップと教育のところに差していくのが、大臣、対策として必要じゃないかと思うんですね。そうすれば、恐らくですけれども、さっき言ったような不用額もないです。中小零細は不用なんて言われるほどの内容じゃないと私は思っております。

 そこで、大臣に所感をお聞きしたいんですが、こういう中小企業さんが求めているものと、それから、努力はなさってきていることは認めますけれども、経産省、中小企業庁のメニューとの間のギャップ、そして先ほど申し上げた毎年百億ぐらいある不用額の実態を踏まえたときに、もうちょっと彼らが食らいつきやすいというか、本当に求めているところにやることこそ、まさに大臣の名前が和歌山だけではなくて全国に広がる程度に、ああ、これをやってくれた、おらが困ったところを先生がやってくれたなということになると思うんですが、その辺、大臣のお考えをお聞きしたいというふうに思います。

二階国務大臣 不用額の御指摘をいただきましたが、まことに申しわけないことだと思っております。

 私ども、中小企業対策、いろいろなことを考えたり、やってみるわけでありますが、どれが一番効果があるかということについては、これは一年や二年で効果が出るものとそうでもないものもありますから、一概には言い切れないわけであります。

 私は、例えば中小企業の皆さん、中小企業と一口で言っても、我々の所管には四百二十万社あるわけでございますから、四百二十万社の中で本当に頑張っておる中小企業、そしてまた世界に出しても恥ずかしくないような中小企業というような意味で、毎年三百社ずつ選んで、頑張る中小企業を何となくみんなで盛り上げていこうということにいたしておるわけでありますが、過去三回やらせていただきました。ということは、三百社ずつ優秀中小企業が選ばれたわけです。

 選ばれてどういう効果があるかといいますと、私は、当初その三百社を選んでパンフレットに仕上げたときに、一番先に、経済財政諮問会議がちょうどあって、そのときに一、二冊持っておりましたので、当時の日銀総裁にお見せしたりして、中小企業の皆さんの中にもこういう企業があるというお話をさせていただいたことがあるんです。そうしますと、日銀の総裁は、それではうちの各支店に話をして、この企業を知っておるかということを支店長に確かめます、そして、顔は知らない、経営者を知らないというような場合は、我が方の支店長をその三百社のうちの担当地域のところへ訪問させます、こんなお話を言ってくれました。

 そして、総裁が感想として述べたのは、一人一人、会社の社長の顔写真が出ておりますから、それをしげしげ眺めながら、いいお顔をしていますね、こういう感想でございました。

 私は直ちに、これは苦労して苦労して、そして磨き上げて、ようやく一定の、世界にも出せる、あるいは日本国じゅうに堂々と出せるような商品を開発した、そういう達成感の中からこういう顔になってくるんだというふうな、私流に勝手なことを説明したんですが、私は今でもそのとおりだと思っています。そして今、久々私はまた経済産業省へ戻ってまいりまして、その経過をずっと見ておりますと、やはりみんないい顔をしております。

 下条先生にお願いでありますが、お手すきはなかなかないでしょうけれども、経済産業省の中でたまたま今、そういう企業の、会社のパネルとかあるいはその商品とかを展示してございます。先般からの厚生省のああいう事件からして、一々、省に来られる人に対してのチェックをより厳しくするなんと言っていることと、私ができるだけそういうところをオープンにしてみんなに来てもらってやろうじゃないかと言っていることとはちょっと逆行するようで、いささか反省をしなきゃいけないのかなと思いながらですが、世の中に変わった者がそんなにたくさんいるわけでもないでしょうから。

 経済産業省のそういうところで中小企業の自分の事業の成果を展示して、そして仲間の皆さんや取引先の皆さんを一緒にお連れして、私の前々からの経験ですが、そこへ行くと、みんな仲間や従業員を連れてきているんですね。うちの製品が、うちの会社の名前が経済産業省の中のこういうところに展示されているということで、大変喜んでくださっている。

 そこで、百億円近いお金が不用額だということを聞いて私がいささか残念に思うことは、そういうことをやる場合でも、できるだけ予算を少なくしようということで、徹底的に予算を縮小して対応するわけです。私がそういうことをやってはどうかということを提唱してやった費用は、その三百社の人たちの資料を一冊の本にまとめたその印刷代だけなんですね。役人が私に言うんですよ、あれでは費用を少なくして随分の効果が上がりましたねと。

 そして、日銀がやってきたなんということがうわさに出ますと、市中銀行もぼやぼやしていられなくなって、別に日銀がお金を貸してくれるわけではないんですが、そういう刺激になるんですね。名監督にちょっと背中をさわってもらったか手を握ってもらったというだけで、随分みんな気合いがかかってくる場合がありますよね。例えは適当でないかもしれないが、そういう効果だってあるわけです。

 ですから、何でも予算、予算ということではなくて、もっと知恵と努力が必要ではないか。経済産業省も一生懸命やっていることは、私の目から見てもよくやっているという場面もありますが、今御指摘のような点については重々反省をして、我々は、次なるときに下条先生に、このごろ経済産業省もよくやっているなと言われるようにしたい。

 そして、我々の方の政策が行き届いているかどうかということも十分頭に入れながら、今御指摘のありました、自殺をされるというふうな人を少なくするということはもう行政のイロハのイでありまして、私も常々そういうことを残念に思います。何かあると、自殺をして、そしてその保険で借金を払うというようなことを時々世間で聞く場合がありますが、そんな情けない、そんな残念なことは人生ではないですよね。

 ですから、そういう意味で、我々経済産業省としても責任の重大さを痛感しながら、今議員御指摘のようなことに対してしっかり対応してまいりたいと思います。

下条委員 丁寧な御説明で、ありがとうございます。

 私も、最初にここに立たせていただいたときから、経産省、中小企業庁の英知と御努力はすばらしいと思うんですが、ただ、現実の数字がそういうふうに非常に悪くなってきているということは、やはり何か足りないんじゃないかという感じがしております。

 そういう意味で、展示の方は必ず近々に見させていただきますので、御丁寧にありがとうございます。

 時間がちょっと迫っているんですが、実を言うと、私は何でこういう話をするかというと、中小企業庁の方も実際平成十二年から五年間で中小企業経営革新対策というのをやって、予算規模が、余っちゃったんですね。累積で五十一億円余っちゃった。これも、自己分析として、中小企業に施策が浸透していなかった、民間を含めた支援機関の巻き込みが不十分だったと御自身で認めているわけで、そうですよね、認めていらっしゃる、これは載っておりますので。

 そこで、私は、時間の関係もあるのでちょっと飛ばしていくんですけれども、日本の企業は、もう釈迦に説法ですけれども、今おっしゃったように四百二十万社あって、勤労者が四千万人ですね。このうち二千七百八十四万人、約七〇%が中小企業ですよ。

 私は、私がもし自民党だったら、この中小企業対策をがっつりやれば、はっきり言うと、副大臣、お笑いになって、本当ですよ、がっつりやればもう絶対票をとれますよというぐらいに重要な話なんです。ただ、私はたまたま今民主党でございますので、推薦しているような推薦していないような、あれですけれども、がっつりととれるわけですよ。

 そこで、一方で、今までの経緯を追っていくと、私はちょっとがっかりしたのは、大臣、今度は借り入れの話にちょっと移ると、信用保証の申請というのがあるじゃないですか。銀行から、山田商事さんに保証をつけてくださいという信用保証の問題。この信用保証の申請とそれの認可の数字を私は聞いたんです。そうしましたら、大変残念なお答えがあって、把握していません、こういう回答だったんですね。

 ということは、所管の申請と認可のぐあいによって、例えば、物すごく銀行が中小企業に貸してやれ貸してやれと来ているんだけれども、申請が例えば百件中九十件なのか、それとも八十五件なのか七十件によって、責任の居どころがちょっと変わってくると僕は思うんですよ。それで、大変残念ですけれども、お答えについては把握していないので申し上げられない、こういうお話を私は先ほどお聞きしました。

 そこで、一方で、手元に、公正取引委員会からの下請法に係る苦情の件数というのが来ているんですよ。ということは何かというと、非常に苦情が多いんですね。上の親会社から、マージンを削って、おまえ、自分の貯金をはたいていかないと次は仕事をやらないぞとか、その下請法の相談というか苦情件数が平成十八年度は六千二百件ちょっとです。十九年度が七千七百件。ことしは、半年しか過ぎていないんです、九月までしか今統計がないのですが、既にこの時点で四千三百件以上も、親会社からの下請いじめによって苦労しているよ、こういう話が来ています。

 そこで、ちょっと時間の関係もあるので、その二点を今僕はもう一度整理して質問すると、まず、信用保証の申請がもし把握されていないとしたら、これは所管庁としては非常に残念だし、保証は一体どうなっているかを進めていく中で非常に残念かなと。

 それからもう一点は、今申し上げた、おいおい、おまえ、山田商事、おれのところから仕事が欲しければ、マージンを削ってゼロでやれ、そういういじめがあるから、結局は、運転資金が間に合わなくなって借り入れに落ち、そして借り入れに落ちてくると財務内容が悪くなる、財務内容が悪くなると今度は、最終的には倒産するという負の連鎖に陥っているわけです、中小零細が。

 ですから、そこの部分の監視というのを、僕は、大臣、最後に提案をさせていただきたいと思うんですよ。これは、そこに監視を入れて報告しろと、君たちはどうなんだというその苦情を。これだけ苦情はふえていますから、今申し上げたように。ことしは恐らく八千件、九千件ぐらいになるんじゃないですか、苦情だけでも。ということは、下請として困っちゃっている。

 この二つがやはりリンクして、今の中小企業、零細が苦しんでいる実態が僕はあると思うんです。時間が余りありません、恐縮ですが、最後に御意見をお聞きしたいと思います。

二階国務大臣 最初に、信用保証協会の問題でありますが、緊急保証ですね。私どもは、十月三十一日から、毎日、日本全国、集計をとっております。

 十月三十一日、このことを始めましたときには、まだ問題が徹底、問題といいますか、この緊急信用保証が始まったよということが日本全国の中小企業に直ちに、一日で徹底するわけはありませんから、最初は二十億円、そして、しばらくそういう単位が続いておりましたが、十一月十一日になって百二十億円、そして先般、連休前の十一月二十一日になって六百三十五億円、そして連休後でありますが、十一月二十五日に九百四十三億円ということで、先ほども申し上げたんですが、順調に伸びているということを申し上げるのが適当かどうか、これは、そういう信用保証、借金でありますから、順調という言葉がいいかどうかわかりませんが、少なくとも、我々が今対応していることが空回りしているんじゃなくて、ちゃんと中小企業の皆さんの期待にこたえて仕事が進んでおるということは言えるのではないかと思っております。

 そして、下請代金でありますが、支払い遅延防止法という法律がありますが、これをほとんど適用されるという機会が少ないわけですね。ですから、なかなか下請の企業が取引先の得意先を訴えるということは我が国では割合少ない、そういう社会であります。

 しかし、事ここに至って、下請いじめというふうなことがあってはならないということで、公正取引委員会ともよく連携をとって、法的手段に訴えなくてはならないのは法的措置をとるというふうなことを、断固とした姿勢で中小企業を守っていく、こういう立場で対応していきたいと思っておりますが、緊急保証にしろあるいは融資の問題にしろ、私たちが今、国会で御審議をいただいて、予算をお認めいただいたような点については、その賛成をいただいた皆さんのお気持ちに沿うように徹底してやってまいりますから、しばらくはどうぞ様子を見ておっていただきたいと思います。

下条委員 御丁寧にありがとうございました。

 最後に一言だけ言いますと、要は、私の案としては、要するに、ニーズにもうちょっとマッチすることによって、今までの英知が花咲くと思いますし、そして、今下請の方々が、それだけ何千件、何万件近く下請で困っちゃっているということが、実を言うと、マージンを取れない中小企業の一番のポイントであるということを最後に申し上げまして、それを含めて、ぜひ大臣の御指導をお願い申し上げて、時間が参りましたので質問を以上にします。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて下条みつ君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、私、これまで投機マネーの問題、今日の金融危機の大もとになる問題ですね、これを取り上げてまいりましたので、この問題から質問していきたいと思います。

 昨年十二月の経産委員会で、私、投機マネー規制について伺ったときに、当時の中尾国際局次長が、ハイリゲンダム・サミットでドイツの提案の投機規制に余り賛成ではない、要するに、日本政府としては反対という立場をとったことは事実だ、こういう答弁がありました。

 ことし二月の予算委員会では、当時の甘利経産大臣から、原油価格高騰の要因の一つに投機マネーがあることは間違いない、このことを認められたわけですが、ただ、額賀財務大臣は、二月九日のG7の財務大臣・中央銀行総裁会議で、投機資金は経済を活性化させる要因もある、そういう立場で、投機資金規制を主張していないということを明らかにされました。そのとき、同じ委員会で町村官房長官は、ダボスでも当時の福田首相は、投機マネー規制まで踏み込んだ発言はしていないというお話でした。

 六月の内閣委員会で私伺ったんですが、これは洞爺湖サミットの前ですが、このとき、町村官房長官の答弁で、この投機規制について何かいい知恵があったら教えてほしいというお話で、当時の大田経済財政担当大臣からは、どうしたらいいかずっと考え続けておりますというお話でした。

 昨年、ハイリゲンダム・サミットでは、日本政府はドイツ政府が提案した投機マネー規制の提案に反対したわけですが、洞爺湖サミット、ことし明確に投機マネー規制を議題に上げたのかどうか、日本の政府としてそれを主張したのかどうか、これを最初に伺います。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 洞爺湖サミットでは、主として、特にその時点における一次産品価格の上昇の問題が大きなテーマになっておりまして、特に原油等の価格上昇については、インフレ圧力を高め、安定成長に深刻な試練を課し、脆弱な人々に大きな影響を与えるということで、非常に大きなリスクであると。そういうことに対して強い懸念を表明するとともに、具体的に、特にこの原油価格への対応策として、G8財務大臣会合がIMF及び国際エネルギー機関に対して、最近の原油及び一次産品価格の高騰の背景にある実需及び金融両面の要因、これは投機資金とは言っていませんけれども、実需、金融両面の要因、それらの価格の変動及び世界経済への影響について、さらなる分析を共同で行うように要請したことが歓迎されたということでございます。これはサミットですから、G8財務大臣会合で、日本が議長国を務めるところでもそういうことを要請したわけですけれども、それを歓迎すると。それから、商品先物市場の透明性の向上のために各国の関連当局が行っている努力を歓迎するということを言っております。

 各国がどういうことをやっているかというと、アメリカの商品先物取引委員会などでは、五月及び六月に、相場の安定を図るためにエネルギー市場、農産物先物市場での監視強化策を打ち出しております。特に、大口取引ポジションについてのイギリスとの情報交換の強化、それからエネルギー商品のインデックス運用のポジションについての月次報告、開示の義務づけ、それから取引慣行に関する捜査の公表など、直接的な規制とは言えないかもしれませんけれども、まずその透明性をきちっと示して、どういう動きをしているのか、それが市場によって解釈されて、そういう価格の動きの裏にはこういう取引があったのかということが判明することによって、その投機的な動きを抑制していこうというような動きがあったわけでございます。

 そういうことで、洞爺湖サミットでは、特にこの一次産品価格との関係において、投機マネーという言葉は使っていませんけれども、金融的要因について、一体どれぐらい貢献しているんだ、それをもっと透明にしていかなきゃいけないということでは大きな議論がございまして、私どもが事務局をやりましたあの財務大臣会合でも、それはむしろ日本が率先して主張している。先生、先ほど、ヘッジファンドの規制に日本は明確に反対しているというようなことをおっしゃいましたが、必ずしもドイツでもそこまで議論がいっていたわけではないと思いますが、いずれにせよ、今回のサミットでは日本はそういう立場で、金融的要因もあるんじゃないか、それをよく調べてみようよということは言ってきたわけでございます。

吉井委員 ヨーロッパ諸国は基本的に、投機マネー規制というのをずっとこの間言ってきたわけですね。特に、昨年の原油価格の高騰の中でも、非当業者の投機筋が動いて、上がっていった。その後は、一度すっと抜けて、かわって投資銀行その他が動いて、本当だったら下がらなきゃいけないのが上がっていったわけですね。

 ですから、そういう点では投機マネー規制というのは、ヨーロッパはきちんと主張してきたんだけれども、日本、アメリカの側は、今おっしゃった監視強化は言っているんだけれども、しかし自由な資本市場への規制は反対だという立場で、結局投機マネー規制を主張しなかったというのが事実としてあるということ、これをきちんと押さえておかなきゃいかぬと思うんです。

 それはそのとおりでいいですね。

中尾政府参考人 確かに、今先生おっしゃったように、当業者とそうでない人たち、当業者というのは事業に直接かかわっているわけですけれども、例えば投資銀行なんかも当業者に入っているとか、当業者か非当業者かという区分が難しいとか、投機的な動きについてみんなが懸念があることは確かなんですけれども、それをどういう形でやっていくのかというようなことも含めて、去年の時点では十分なコンセンサスがなかった。それに比べると、ことしにかけては、今回の洞爺湖サミット、それから金融サミットも含めて、市場の動きは時に大きなゆがみをもたらすことがある、極端な動きを示すことがあるということについては、むしろそちらの方に合意が進んだのではないかと思っております。

吉井委員 ですから、去年は、非当業者の投機筋による原油価格等の高騰があり、引き揚げても上がっているという中でドイツは規制を提案したんですね。その後も、ことしに入ってからも二回ぐらいピークがありますね。一度ゼロ近くになっておったのが、また投機筋が動いて、上がっていく。もちろん、投資銀行などが動いて、全体として、下がらずにずっと上がりっ放しだったわけですね。

 そういう中で、投機筋が明らかに動いているわけですから、それから投資銀行の問題についても、その投機的業務についてはきちんと規制をやらないと、これは実需の面で大変ひどい目に遭っているわけですから、それはやはりやるべきだったということをはっきりさせなきゃいかぬと思います。

 予想どおりといいますか、予測したように、金融ばくちは破綻しました。それで金融危機が来たわけですが、十一月のこの委員会で私取り上げましたが、金融サミットに総理が臨まれたんですが、具体的な金融ばくちの規制と実体経済への被害除去対策について、どういう具体的な対策を提案したのかということですね。

 ヨーロッパそれから新興国は、IMFに金融監視機能を持たせてヘッジファンドに全面的な規制を導入するということ、これは日経の十一月十九日付でも紹介されておりますが、そう主張したのに対して、麻生総理は投機マネーの規制には賛成していないんじゃないですか。

中尾政府参考人 麻生総理は、幾つかの点で投機マネーの抑制につながるようなことを提案されています。

 例えば、証券化商品などについて、公正な価格評価それから信頼できる基準に基づいた不良債権の早期開示などをやらなきゃいけないんじゃないか、それから格付機関についても、きちっとした格付が行われているかどうかを監視していかなければいけないのではないかというような点も含めて、市場の機能を強化する必要があるということで幾つかの提案をされているところでございます。

吉井委員 いろいろ言われたんですけれども、直接的な規制については発言をしていないということは今の答弁でも明らかになったと思います。

 それで、ちょうど今度の金融サミットの直前にフランスのサルコジ大統領が、アメリカのドルはもはや世界の基軸通貨だと言い張ることはできないと述べたのに対して、サミットでの演説の中で、アメリカの大統領の方は強いドルということは結局口にしないで終わった、麻生総理が、強いドルは国益だと、苦しい立場のブッシュ大統領の主張を代弁して助け船を出したというふうに日経などでは紹介されておりますが、実際にはこの面ではどうだったんですか。

中尾政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般のサミットにおいて、麻生総理は、基軸通貨のあり方についても議論をされまして、ドルの基軸通貨体制は堅持すべきとの発言を行ったところでございます。

吉井委員 そこで次に、APECに行かれる前に私伺っておりますので、二階大臣に伺っておきたいんです。

 リーマン・ブラザーズの破綻など、投機マネーによる金融ばくち中心のカジノ資本主義が破綻したわけです。昨年、ことしと、サミットで結局日本政府としては投機資金の規制に反対したり物を言っていないということをやってきたんですが、しかし、エネ庁など経産省が出された通商白書やエネルギー白書などを見ても、ファンダメンタルズに比べて、サブプライムローンから引き揚げた投機マネーが原油とか穀物市場に流れてくるなど、最高時には、昨年に比べて二倍を超えるぐらい価格を高騰させたという事実を認めています。

 だから、この点では、投機マネーが原油、穀物などを高騰させ、その後、原材料価格がずっと上がりっ放しの状態、これが高騰を引き起こして、中小企業はその上がった時点で危機になったんですが、上がりっ放しの危機的な中で、今度は金融バブルがはじけて金融危機だということで、高どまりの状態で消費の方が冷え込んでくる。ですから、それでまた経営が大変と。さらに今度は、金融危機の中で銀行の貸し渋り、貸しはがしが急増して中小企業を苦しめるということになっております。

 日本にしても途上国にしても、金融ばくちの破綻が経済全体をおかしくしているという点でやはり、APECで二階大臣は、投機マネーの規制と実体経済への悪影響を断ち切るためにどういう主張をしてこられたのか、これをこの機会に伺っておきたいと思います。

二階国務大臣 我々は、まず実体経済を立ち直らせるために、我々日本が対応している中小企業対策等についての状況を述べるとともに、お互いにそれぞれの国が協力し合って、景気縮小の方へ、経済の縮小の方へ流れを持っていくのではなくて、我々は断固として自由主義経済を守るという姿勢を貫かなくてはならないということは再三強く主張してまいりました。

 今言われる投機マネー云々という言葉を使ったことはありませんが、前々から我々の交流の中で、中東の関係者に対して、今こうして原油が高騰しているこの状況はあなた方が何かやっているんじゃないですかという話を私はしたことがあります、経産大臣になる前でございましたが。しかし、それに対して、私たちではありません、我々も原油が六十ドルぐらいというところであって初めて仕事が円滑に回るのであって、航空会社にしても何にしても、我々も油を買うんですから、産油国であったって我々も仕事上油を買うわけですから、そういう皆さんの御心配と同じですと。そのときいわく、それはアメリカですよとそのときはふと漏らしたことがあります。

 今後、今のような状況が続くということを断ち切っていくために、あらゆる角度から努力を重ねていかなくてはならないと思っております。

吉井委員 ちょうどAPECに行かれる前は、保護主義に走り過ぎないようにということも言っておられましたけれども、アメリカは大体、他国に主張してきたのは保護主義批判なんですね。同時に、市場原理主義を押しつけるというやり方。そういう貿易政策をとってきたのが今破綻しているわけですけれども、自国で保護主義で、他国には市場原理を押しつけるというこの筋の通らないやり方に、今、G20の中でもそうですし、新興国からも厳しい批判が起こっているということは、会議に出られていろいろ聞いておられると思うんですが、やはり長期的視点でこういう問題については根本的に検討しなきゃならぬ、そういうときだと思うんです。

 私は、そういう点では、経産省が出された白書類の中で、原油、穀物の高騰は、ファンダメンタルズから外れたプレミアム、投機マネーによるものだという見方は正しかったと思うんですよ。

 そこで、何が金融危機をもたらしたのかということをやはりきちんと見ていくことが今大事だと思います。株式にしろ為替にしろ、あるいは原油、穀物などの先物取引から、さらに、証券を担保にしているという権利だとかあるいは債権等の権利という実体のないものの証券化、それを商品にして売買するとか、それらを短時間にコンピューターにプログラムを入れておいてやりとりする、これで大きな利益を上げる、そういう点では、文字どおり金融ばくちとしてやってきたのが今破綻していると思うんです。

 財務省や金融庁からレクをいただいたものの新しいデータを入れたものをお手元に配付させていただきました。

 一枚目の資料ですが、左の欄に巨大複合金融機関の名前を入れておきました。左から二番目に、サブプライムの保有額とそれからサブプライム証券化引き受けについて入れておきました。これで見ると、シティ、UBS、ゴールドマン・サックスなどが圧倒的に多いわけですが、三番目の欄に、サブプライム関連損失額、これで見ますと、AIG、シティ、メリルリンチ、UBS、バンク・オブ・アメリカなどが多いわけです。これはよく見てみると、サブプライムの損失、この欄の分を合わせると約四十八兆円になってきます。IMFが試算した百四十三兆円の損失額の大体三分の一が、これらの巨大複合金融機関によって生み出されている。

 次の欄には、プライムブローカーとして、大口はUBS、メリルリンチ、モルガン・スタンレーなどですが、最後の欄にCDS取り扱いランキングを載せました。モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースなどが大口です。

 これはちょうど十月の二十九日に、深尾さん、日本経済研究センターの理事長がこの問題を資料も挙げて取り上げておられますけれども、CDS取引では、欧米の有力金融機関が軒並み上位に名を連ね、特に大手投資銀行はいわば胴元、要するにばくちの胴元になっている。CDSは利益操作などに使いやすく、世界の金融市場にばらまかれた連鎖的に爆発しかねない地雷になっている。しかも情報開示が不足し、どこに埋まっているかわからないという状態なんですが、そのCDSの取り扱いランキングというのも右端に載せておきました。

 それで、投資銀行あるいは通常銀行などがヘッジファンドなどに資金を流して、あるいは投機をやらせてみたり、みずから大規模な金融ばくちをやって破綻した、こういうことを読み取ることができると思うんです。

 そこで伺っておきたいのは、金融投機を行ったというのは、資料一に示した巨大複合金融機関が主たるものだということを、これは皆さんのレクチャーに基づいて作成した資料ですが、確認をしておきます。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の点でございますが、原油、穀物市場における価格高騰について、その背景なんですけれども、まず、よく言われています話としては、第一に、新興国における経済成長、それに伴う需要の増加、これは実需の需給関係、そういう構造的な要因が存在するというのは、これは一つ確かだと思います。

 それからもう一つは、先生御指摘のように、サブプライム問題を契機として、金融市場における不確実性というのが非常に高まってまいりまして、世界をぐるぐる回っている資金が投資先を求めて動いて、従来の資金の流れと違う資金の流れが形成されて、その中のどれぐらいの部分かは我々もちょっとわかりませんが、一部が商品市場にも流れ込んできた、恐らくこれはそうだろうというふうに言われています。

 ただ、その中で、原油、穀物市場の価格高騰が、果たしてどの要因でわっと上がっていったのかというのを一義的に申し上げるというのはなかなか困難だというところ、そこをちょっと御理解いただきたいということが一つでございます。

 いずれにしましても、金融庁といたしましては、グローバルに活動する大手の金融機関が、投資活動を含めて、その活動に対し適切なリスク管理を行うということは非常に大事だと思っております。

 したがいまして、このような観点から、欧米の当局を初めといたしまして、各国の当局と国際的な連携を強化いたしまして、これらの金融機関に対する適切な監督を図るように努めてまいりたいというふうに考えております。

吉井委員 要するに、お伺いしたのは、あなたのところのレクチャーに基づいてまとめたんだけれども、今回の問題は、こういう巨大複合金融機関がかなり大きな部分を占めるものですねということをお聞きしたんです。

丸山政府参考人 この金融機関の動き、先生のお示しいただいた資料でございますけれども、プライムブローカーの取り扱いのところかと思います。恐らく、このプライムブローカーの数字というのは、ヘッジファンドと金融機関とのやりとりの金額を足し合わせた合計だと思いますが、その中のお金は、かなりの部分は金融市場の方に回っているということも考えられます。つまり、債券、株、それから損保の金融商品。

 確かに、その中の一部が商品市場、さらにその一部が原油の方に回っている、恐らくそういうことは言えるかと思いますけれども、その辺がどれくらいのボリュームで、どれぐらいの圧力で原油価格、穀物市場を押し上げたのかというのはちょっと我々もわかりかねる、そういうことでございます。

吉井委員 まず、あなたの方のレクチャーに基づいて、どういう根拠でというのをちゃんと下に、欄外に書いてあるんですね。

 それで、これは、CDSもそうならば、サブプライムの保有額とか、それによる損失額とか、全部一覧にしたものなんですね。全部、扱っているのは同じ巨大複合金融機関なんですよ。どの分野はどこがトップでどこが下の方とかいろいろ若干の違いはあっても、しかも毎日毎日損失が変わってきますから、多分シティなんかは昨日で第一位になっているんじゃないかと思うんですけれども、そういうことを含めて、私もさっき言ったように、原油と穀物だけ言っているんじゃないですよ。株とか為替とかいろいろなところに流れているんですよ。それから、権利を証券化して売買するとか、実体のないものの証券化ですね、いろいろなものに流れている。そういうふうにして、世界全体の金融をおかしくしたのは巨大複合金融機関だと。

 あなたのところのレクチャーに基づいて整理した数字は、あなたのところがもう一遍整理しはったら、例えば六・三兆円が六・四兆円ぐらいになるかもしれないけれども、若干の違いがあるにしても、これが一番の問題だということは言えるんでしょうということを聞いているんです。

丸山政府参考人 先生御指摘のとおり、こういった大手の金融機関がリスク管理というのを一部怠っておりまして、それでそのリスク管理がないがしろになっていた面というのがありまして、そういうところからサブプライムの損失が起こり、そういうサブプライムの損失から今回のマーケットのいろいろな混乱が生じているということは、それは確かでございますし、それはそういうことを世の中も大体認めております。そのとおりでございます。

吉井委員 だから、巨大複合金融機関が問題になっているのはそのとおりだという、そこが大事なところであって、要するに、いろいろなものにいろいろな形で取引というのはやっているわけですけれども、これはリスク管理の問題じゃないんです。今回のような仕組みが問題なんですよ。金融ばくちを起こしていったこの仕組みが問題だというところをきちんと押さえないことには、これからの根本的な金融政策とか経済政策というのは出てこないということ、ここをきちっと申し上げておきたいと思うんです。

 なお、原油の話を最初おっしゃったけれども、原油高騰というのは、昔から言われているように三つの要因なんですね。それは、需要と供給の関係であり、地政学的要因であり、もう一つが今回のような投機的要因なんですね。

 今回の問題が投機的要因だということは、これはエネ庁自身がエネルギー白書の中でも言っておられることですから、最初の二つはわかり切った話で言っているわけなんです。そういうことをちゃんと押さえた上で投機マネーをどのように規制するのかということをきちっとやらないと、根本問題の解決にはならない。

 あわせて、日本の銀行は、九〇年代の後半の金融危機から立ち直りの過程にあって、実は金融ばくちに大きく突っ込み過ぎないで済んだというのは非常にいいところなんですね。だから、損失が小さいんですよ。比較的傷が小さいんですが、それでもサブプライム関連保有による損失が、ことし三月期決算時で、みずほが六千七百億、三菱東京UFJが一千四百億、三井住友で一千四百億と、三大メガバンクで大体一兆円でしょう。これが九月期にはもっと大きな損失になり、現在さらに膨らんでいると思うんです。

 九月期で大体幾らの損失になって、これは幾ら膨らんでいくのかという見通しを持っておられるのか伺います。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねは、たしか三メガバンクということで今数字をお調べいたしましたけれども、この九月期決算におきます、サブプライムローン関連を含みますいわゆる証券化商品等の損失につきましては、この期に関しましては千三百億ということでございます。あと、平成十九年四月以降の累積損失額といたしましては約一兆円ということで、そういう意味では、今期における拡大は比較的小幅ではございましたけれども、累積ではやはり一兆三百億円という数字になっております。

吉井委員 そこで、二階大臣にお考えを伺っておきたいんですけれども、原油、穀物高騰に続いて、諸原材料高騰とか、さっき言った話ですね。中小企業の経営は本当に大変なんです。

 金融危機で消費が既に冷え込んで売り上げが低落するということになっておりますけれども、こうした経済危機というのは、これは巨大複合金融機関の引き起こした責任であって、日本も三大メガバンクなど金融機関の責任はありますけれども、中小企業や国民の責任じゃない、このことだけはやはりはっきりさせなきゃいけないと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

二階国務大臣 私も、各地にお邪魔してこの問題に対しての御質問を受けたり、あるいは意見を述べる際に、何の罪もない我が国の中小企業の皆さんがこのことによって大変な被害をこうむっておる、やり場のない怒りを持っておる。しかし、それを言っておっただけでも、それを唱えておっただけでも解決になりませんから、我々としては今とりあえずの対策をとっておる。

 御承知のように、中小企業にとって、大企業も当然そういう点はあるわけですが、特に中小企業は、金融というのは命綱であって、そしてそんなに複合的にいろいろな要因というものを大企業のように持っておりません。それだけに、円滑な金融、資金の供給ということに対して十分目を凝らして対応していかなきゃいけない。そこで、今、中小企業の金融貸し渋りの問題が一番頭の痛いところでありますが、全国百五十カ所で意見交換会などを開催したりしていろいろな対策をとっております。

 私は中川大臣とも時々話をするわけですが、信用保証の問題について金融庁の方へ意見を申し出る方もあれば、我々の側の方へ金融の問題について意見を申してこられる方もありますから、その意見をお互いに交換しよう、そして国民の皆さんのそんな声に対して素早く対応できるようにしようということを話し合っておるところであります。事務方におきましても、そういう対応はしっかりやっていくつもりであります。

吉井委員 これはなかなか、大銀行の中小企業への貸しはがし、貸し渋りはひどくなってきておるんです。

 例えば東京三菱UFJの例なんですけれども、お名前はちょっとおいておきますけれども、あるA社ならA社としておきますが、増収増益なんですよ。黒字を出しているんですよ。しかし、保証がつかないと貸さないと言っているんですね。そして引き揚げていくということで資金繰りが大変になっておりますし、東京の方なんですが、不動産会社で正常な営業をやっているんですけれども、東京三菱から貸しはがしを受けて、そこは信金に助けられましたから何とかいっているんですけれども、みずほにしても、不動産の一括返済を求めてテナント料の賃料まで差し押さえをしてくる。そういうことは相当広がっておりまして、これは福山市で鉄工所をやっている方の例なんですが、一括返済をしたら同額を融資しましょう、それならば結構ではということで全部返したら、返しはしたんだけれども、今度は新規融資はやってくれない。とうとう倒産したところがあります。

 ですから、これは中小企業診断士の方が言っておられるんですが、大銀行はこれから中小零細から資金回収をどんどんやってくる。一方、それは結局自分の投機目的で、投機で目減りした資産の穴埋めに回されていっている、こういう指摘等もありますが、銀行のそういう貸し渋り、貸しはがしというのが現実にかなり始まっております。

 これは中小企業庁でも金融庁でも結構なんですけれども、実際にそういう中小企業の支援のために現場へどう回って、どうやっておられるのか。これは簡潔でいいですから、取り組みを伺っておきたいと思います。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは今、中小企業庁とも大変強く連携をいたしまして、先ほど大臣の方から御紹介がございましたさまざまな施策を共同でとらせていただいたり、それから、今委員御指摘のような声につきましては、以前から金融円滑化ホットラインということで受け付けをしておりましたけれども、先般、先月でございますが、大臣目安箱ということで、中川大臣のもとに直接中小企業者の方々の声が届くような仕組みもつくりまして、そういった声を反映させる形で、金融機関に対しまして、金融の円滑化、やはり金融機関の本業でございますこういった中小企業貸し出しというものにつきまして、適切なリスクテークというものをしていかなければならないという認識を広く徹底するということで対応しております。

吉井委員 ところが、現実はなかなかそうなっていないというのが実態です。今、ものづくりをしようにも、そもそも仕事がないという厳しい状況ですから。その上、大型店がどんどん進出して商店街が大変になるとか、全体が今大変なんですね。ですから、返済猶予や借りかえで生き延びられるようにしてほしいというのが実態なんですが、融資が厳しくなっております。

 きょう、資料をもう一枚お配りさせていただいておりますが、とりわけ責任共有制になってから、部分保証制度導入後の貸し出し態度の変化です。これは一般保証で、昨年の上半期、これは白い部分で、一般保証のところをごらんいただいたらおわかりのように、これはことしの前半では保証承諾でもがくんと減っておるんですが、全国的に見ても、金額で八三%、特に首都圏、近畿圏がなかなか厳しくて、大阪では五七%、大阪市で五五%と貸し付けの落ち込みは物すごくひどいんです。ですから、部分保証に変わってから現実に貸し付けが減っている。もともと厳しい上にさらに厳しくなったというのが実態であるということをまず見ていただかなきゃならぬと思うわけです。

 事実としてこういうふうに減っているということはつかんではりますね。伺っておきます。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、吉井先生から御紹介がございました保証でございますけれども、十九年度の一般保証でまず申し上げますと、十九年度上期それから下期、それから二十年度の上期に分けますと、十九年度上期は前年の同期に比べまして増でございますけれども、十九年度下半期、二十年度上半期は前年に比べまして減少でございます。

 ただ一方、セーフティーネット保証、これにつきましては、十九年度下半期が十九年度上半期に比べまして、減っていたのに対しまして、前年同期比で二割五分の増でございますし、今年度の上半期につきましては、昨年度の上半期に比べまして五二%の増ということでございます。

 このように、景況が非常に悪化しておるということでセーフティーネット保証がふえているというふうに私ども理解をしておりますが、先ほどお話がございました責任共有制でございますけれども、これも、移行につきましては、小規模企業にその負担が及ぶことがないように措置を徹底しておりますし、金融機関が単にお金を中小・小規模企業にお貸しするというだけではなくて、むしろその企業を、一緒に悩みを共有しながら育てるという面もあると思いますので、私どもは一概に、責任共有制が保証を減らすと思っておりません。

 いずれにいたしましても、先ほどから御指摘がございますように、この夏以来の異常な経済情勢の中で、保証協会が一〇〇%保証するということで緊急保証を拡充しているというところでございます。

吉井委員 一般保証とセーフティーネット保証の件数、金額で比率を見ると、実際には、一般保証に対してセーフティーネット保証は、件数で一割、それから大体金額で二割弱というところですから、この一般保証の方での落ち込みというのは物すごくきいてきているということを、これはよく御存じのことだと思いますが、見なきゃいかぬと。

 そこで、この機会に伺っておきたいのは、DIP保証に部分保証を入れたときに、当時、平沼大臣の答弁で、DIPに限定されるということを明言されました。だから、国会は法案を決めたわけですが、一体だれがこの一般保証にまで部分保証を入れることにしたのかということが今問われているときです。ですから、時間もあれですから、この機会にひとつ伺っておきたいのは、だれが、国会で決めてもいない、DIP以外の一般保証にまで部分保証を入れたのか、それを決めたのかということを伺いたい。

 それから、セーフティーネット保証の対象業種に入っていない問題について、例えば出版業など、コンテンツ課での調査は進んでいて、指定の方向へ向かっていると聞くんですが、年末の資金繰りはどの業種も大変な時期ですけれども、こうした対象業種から漏れているものについて、出版業を一例に挙げておりますが、どういうふうにこれが今進んでいっているのかを伺いたい。

 もう一つ、緊急保証制度融資受け付けについては、ある都内の区役所の実情ですが、一日四十五社しか扱えない、これは事務手続からして仕事量がありますから。区役所に朝三時から並んで、午前七時半に整理券をもらう、次に保証協会へ行ってまた時間がかかるというのが実態です。ですから、窓口がちゃんと対応するようにしてやっていかないと、順調に進んでいますといっても、実はなかなか順調にいっていないというのが実情ですから、これをどのように改善して、年末に間に合うようにやっていかれるのか。

 この三点を伺っておきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘ございました最初の点でございますけれども、国会審議では、まずDIP保証からということで、DIP保証で打ちどめするということではなかったと思います。

 問題は、先ほどのお答えの繰り返しで恐縮でございますけれども、中小・小規模企業の育成あるいは支援ということを、金融機関、よくメーンバンクという言葉が私どもの人口に膾炙しておりますけれども、金融機関が単にお金をお貸しするということではなくて、その企業の育成、維持に責任を持ってもらうということが大変大事だということで、私ども、専門家等々で研究をした結果、昨年の十月から、御案内のとおりの範囲におきまして、小規模企業を一部除きまして責任共有制を導入したところでございます。

 それから、第二点のお尋ねの業種でございますけれども、十月三十一日にこの緊急保証制度は五百四十五業種でスタートいたしましたけれども、これは景況悪化の打撃を受けた業種は対象にするという大臣の御方針がございますので、十一月十四日からさらに、ソフトウエア、板金あるいは自動車整備等々七十三業種を追加させていただいております。

 今後の業種追加につきましては、それぞれの業種の実情、それから売り上げ減、場合によっては、売り上げが減っていなくても収益が圧迫されているかどうか、こういったような基準に照らして判断をすることにしておりまして、御指摘の出版業も含めまして現在検討中でございます。

 それから、三点目のお尋ねの、窓口で中小企業や小規模企業の方が大変御不自由をしているという事実につきましては、私ども重く受けとめておりまして、この制度を始めて、御利用がむしろ非常に浸透しているということで、逆に申請ということでお見えになっている方がふえている面もあるかと思っております。したがいまして、そういうような御不自由を少しでも解消するために、商工会議所や商工会の御協力をお願いしておりまして、既に両組織で動いておりますし、特に都内につきましては、これは東京都の御協力も得まして、中小企業診断士の方々の御協力を得て少しでも御不自由がないようにということで進めておりますし、この方向で引き続き努力をしていきたいと思っております。

吉井委員 もうこれで終わるようにいたしますが、もともと平沼大臣の答弁で、これはDIP保証に限定されるというのが答弁でした。ですから、それを変えてしまっているわけですから、やはりもともとの大臣答弁に戻したものにするべきだと。

 それから、とりわけ、細かい資料を準備しないとなかなかセーフティーネット保証が大変ということがありまして、指定された業種以外、うまく乗るようにしてやろうとしたら細かい資料を求められるんですよ、現場で。ですから、そういう点では、基本的には対象業種、今六割ですが、全業種に広げる、もっと使いやすいものにしていくという取り組みをぜひやってもらいたい、このことを申し述べまして、時間が参りましたので、質問を終わります。

東委員長 これにて吉井英勝君の質疑は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十二分散会


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