衆議院

メインへスキップ



第2号 平成21年3月13日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十一年三月十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      猪口 邦子君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    木挽  司君

      高村 正彦君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      新藤 義孝君    平  将明君

      谷畑  孝君    土井 真樹君

      中野  清君    橋本  岳君

      林  幹雄君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      安井潤一郎君    山本 明彦君

      太田 和美君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    近藤 洋介君

      下条 みつ君    田村 謙治君

      牧  義夫君    三谷 光男君

      高木美智代君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   経済産業大臣政務官    谷合 正明君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  南  俊行君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          大藤 俊行君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            岳野万里夫君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            三村  亨君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            飛田 史和君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            居戸 利明君

   政府参考人

   (公害等調整委員会事務局長)           香川 弘明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     桑山 信也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           森川 正之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小川 恒弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉崎 正弘君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            岡田 秀一君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          鈴木 正徳君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          近藤 賢二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           佐々木 基君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  佐藤ゆかり君     猪口 邦子君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     佐藤ゆかり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官南俊行君、内閣府大臣官房審議官梅溪健児君、金融庁総務企画局総括審議官大藤俊行君、金融庁総務企画局審議官岳野万里夫君、金融庁総務企画局審議官三村亨君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、金融庁総務企画局参事官飛田史和君、金融庁総務企画局参事官居戸利明君、公害等調整委員会事務局長香川弘明君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官桑山信也君、経済産業省大臣官房審議官森川正之君、経済産業省大臣官房審議官小川恒弘君、経済産業省大臣官房審議官吉崎正弘君、経済産業省経済産業政策局長松永和夫君、経済産業省通商政策局長岡田秀一君、経済産業省産業技術環境局長鈴木正徳君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、経済産業省商務情報政策局長近藤賢二君、資源エネルギー庁長官石田徹君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長羽藤秀雄君、中小企業庁長官長谷川榮一君及び国土交通省大臣官房審議官佐々木基君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野正志君。

中野(正)委員 おはようございます。大変御苦労さまでございます。

 二階大臣は所信の冒頭で、厳しい雇用環境に困っておられる方々、そして資金繰りに不安を抱えておられる中小・小規模企業を初めとする産業界の方々がこの苦境を乗り切れるよう十分な支援策を講じることが重要と、決意の表明をいただきました。私は、二階大臣の政治家としての優しさ、思いやり、あるいは中小企業を何としても守るのだというその覚悟を示されたものだと受けとめております。

 現実、日本の産業、経済を支える中小・小規模企業の資金繰りに支障があってはならない、これはもう大前提であります。そういう意味でも、私たち政府・与党が第一次補正、第二次補正で緊急保証制度の創設をし、また拡充をしたということは、大変にタイムリーであったと自負もいたすところであります。

 二階大臣は所信の中で、緊急保証制度の実績が既に七兆円を超えたと表明をいただきました。確かに、この緊急保証制度がスタートいたしましたときに、それぞれの信用保証協会あるいはそれぞれの金融機関、現場で、大変失礼ではありますけれども、理解がされずに本当にとろかったなという現実はありました。このごろやっと回ってまいりまして、去年の十一月下旬ぐらいになりまして何とか機能してきたのかな、そんな感じではあります。もちろん地域差はあります。現在は、地元に帰るたびに中小企業の方々ともお話をさせていただくのでありますけれども、大変に喜んでいただいておるということは本当に幸いであります。

 そこで、これまでの緊急保証制度の実績、どういった状況になっておられるのか、また、その結果、雇用の維持などどのような効果があらわれたと考えておられるのか、二階大臣にお伺いをいたしたいと存じます。

二階国務大臣 ただいま中野議員から御指摘のように、中小企業を守るということは、私ども政治にとって極めて重要なことであろうと思っております。

 特に、今回のサブプライムローンから派生しました急激な経済状況の変化ということに対しては、言ってみれば何の罪もない日本の中小企業の皆さんが本当に路頭に迷うような衝撃を受けておるわけでありますから、これに対して、与党、野党の皆さんの御協力をいただきながら政府として懸命の対策を講じていく、当然の責務だと思っております。

 残念ながら、今、中野議員から御指摘のように、最初は若干、現場でびっくりするほどの資金が提供されるということになり、どう対処していいのかという戸惑った出先も多少あったようでありますが、近ごろでは、私の方から特に厳しいことを申し上げなくとも、例えば土曜、日曜でも対応しよう、あるいはまた年末でも対応しようということを関係者がこぞっておっしゃっていただいて、そうした方々の間から不満の声は聞こえてこない。私は、関係者の皆さんの御努力を今となっては大変多としておるところであります。

 これは、政府で方針を決め、国会で幾ら方針を決めても、末端で、中小企業の皆さんと顔と顔とで、対面でいろいろな交渉をなさる人たちがその気になってくれなければ円滑な運営というものは望むべくもないわけでありますから、そういう意味で、今御指摘のように大変スムーズに回転するようになったということは、私は、関係者の皆さんに感謝をしたいというふうに思っております。

 そして、これまで、三十六万件、七兆八千億円の実績を緊急保証制度において達成することができました。日本政策金融公庫によるセーフティーネット貸し付け、これにはまたいろいろな御意見をちょうだいすることになろうと思いますが、今、八万一千件、一兆一千億円の実績。しかし、この二月には、私どものPR等が相当効果を上げてきたと見えて、前年に比べて二八〇%という実績を上げております。その後、三月に向けてでありますが、今日現在順調に伸びていることからいたしますと、所期の我々の目的といいますか願いは現場に影響を及ぼしておる。

 また、一月末から本格的に開始しました商工組合中央金庫によるいわゆる危機対応業務でありますが、これが大変重要な業務であります。約二千百億円の実績を上げております。

 こうしたいわゆる公的金融の取り組みが中小企業の倒産や雇用の維持に及ぼした影響というのは、まだまだ現時点では私は早いと考えておりますが、保証と貸し付けの利用が既に四十四万件となっております。そうしますと、大体、中小企業の一社当たり平均六・六人の雇用ということを言われておりますから、四十四万掛ける六・六イコール三百万人近い従業員や御家族の皆様に安心感を与えることに貢献しているというふうに存じます。

 また、国費を投じて特別の対策を講じるとの趣旨を踏まえて、公的金融を活用した企業に従業員の雇用への配慮もお願いしたい。お金は貸し出しをさせていただきますが、これは国のお金ですよ、言いかえれば国民の税金に基づいて成り立っている私どもの仕事でありますから、このお金をお使いいただく以上は、できれば、従業員の解雇などということをお考えになっておられたとすれば、このことによって幾分そういうことに対する配慮もお願いしたいということを現場で確認しながら貸し出しの手続をさせていただいておるところであります。

 現に、今、中小企業の皆さんに対して新しい雇用をお願いしましたところ、大体千社に対してこういうことの御了解を得ようと思って努力をしたわけですが、結果は千四百社に及びました。そして、県当局と連携をとっておりますと、県の方では、国の方でおやりになったのはこの程度、つまり一県に五十社なら五十社ということだけれども、私ども県の方で県下をずっと当たってみますと、そういうことならばうちも採用させてもらいますと。

 現に、中小企業の皆さんは、中野先生も御承知のとおり、日ごろいい人材を求めたいということを思っても、中小企業なるがゆえに今までいい人材を求め得なかったような人たちもたくさんおるわけでありまして、この機会にいい人たちを迎え入れたいという積極的な姿勢は、労働者の皆さんにも少し頭の転換を図っていただいて、中小企業にもいい人材をいい条件で求めてくれているところがたくさんあるということをおわかりになれば、少しはこの雇用の流れにも影響を及ぼすのではないかというふうに期待をしておるところであります。

中野(正)委員 大臣から詳しく御報告をいただきまして、ありがとうございます。

 本当に、緊急保証制度、セーフティーネット貸し付け、そういう意味では枠はまだまだ余力ありということでありますから、とりわけこの年度末の資金需要という意味では、中小企業の皆さんに大変心強いものだなと改めて確信もいたします。

 私は、よく中小企業の人たちには、とにかく事業の安定、継続のために、そして何よりも社員の皆さんの雇用、生活のために、この二つの制度をぜひ進んで活用してください、こうお願いを申し上げておるところでありまして、とにかく、二階大臣は雨の日の傘だと申し上げておられる。今はまさにどしゃ降りの日の傘というぐらいのものでありますけれども、今後とも御指導をよろしくお願い申し上げておきたいと存じます。

 昨年の原油価格あるいは原材料価格等の異常な乱高下を見るにつれ、資源、エネルギーの安定供給を確保することは我が国の喫緊の課題だと承知をいたします。今、資源価格が大分下がっておりますから、今こそまさに大好機だ、これまで以上に資源外交にしっかり取り組むことが大変に肝要だと思いますけれども、この機会にぜひ決意のほどをお伺いいたしておきたいと思います。

 私は、副大臣のときに、ヨルダンのアンマンで開催された日本・イラク経済フォーラムに出席をいたしました。そのときに、ハシミ・イラク副大統領、それからハリリ産業鉱物資源大臣といった方々と会談をいたしまして、イラクの復興支援それから貿易・投資促進、そういうことで話し合いを持ちました。日本からも民間の方々がたくさん、百二十人おいでをいただきまして、言ってみれば、日本とイラクの集団お見合いという様相を呈したところであります。そのときには、イラク側から、もううちの国の治安は大丈夫です、中国、韓国から確かにたくさんの企業の進出をいただいておりますけれども、我々イラク人は日本人が好きです、そして、日本人のすぐれた能力、また高い技術、そういったものをぜひ私たちイラクにおかしいただきたい、こういうお話もいただいたところであります。

 その後、日本とイラク間のこういった経済、貿易、資源関連の問題についてどういう状況になっているかもあわせ、お知らせをいただきたいと思います。

高市副大臣 中野前副大臣には、イラクと日本の未来志向の関係構築に向けて大変大きな御貢献をいただいたことに敬意を表しております。

 その後のことなんですが、ことしの一月に、安倍元総理が麻生総理の特使としてイラクを訪問して、経済、ビジネス関係の強化を通じた新しい関係構築を目指す日・イラク・パートナーシップに署名いたしました。

 ことしの三月一日に、日本を代表する民間企業十二社、それから経済産業省、外務省から成るイラク経済ミッションがイラクを訪問しまして、マリキ首相を初めとするイラクの政府首脳と直接かつ率直な意見交換を行いました。

 経済産業省といたしましては、経済、ビジネス関係の強化を通じて、日・イラク両国間の長期的で戦略的かつ互恵的なパートナーシップの構築に向けまして、円借款事業の着実な実施、それから研修生の受け入れに加えまして、日本企業のイラク進出支援を継続していくつもりでございます。

中野(正)委員 ぜひ、イラクのみならず、これからも多角的に資源エネルギー外交、頑張っていただきたいと思います。

 ことしは年末に向けて、地球温暖化問題の国際交渉が佳境に入るということになります。中国、インドなどの大排出国が参加せず、限られた少数国だけが義務を負う現行の京都議定書のような仕組みでは意味はないなと考える一人であります。そういう意味で、これらの国を巻き込んで、実際に機能する効果的な対策を提唱し、取り組んでいくことが重要だと思います。

 二〇一三年以降の実効ある枠組みづくりに向けて今後どのような姿勢で交渉に臨むのか、決意もお伺いをいたしておきたいと存じます。

谷合大臣政務官 委員御指摘のとおり、二〇一三年以降の新たな国際枠組みにつきまして、アメリカ、中国、インドを初めとするすべての主要排出国が参加する、公平で、かつ実効あるものとすることが非常に重要であります。

 現在の京都議定書では、排出削減義務を負う国の割合は世界のCO2排出量の三割でしかないということであります。そのため、我が国はこれまで、環境と経済との両立を実現しつつ、まず、先進国間の公平な目標設定と途上国の実質的な排出削減に有効なセクター別アプローチを提唱し、交渉に取り組んでおります。

 私自身、昨年十一月にポーランドのワルシャワで開催されましたCOP14の産業担当大臣会合に出席いたしまして、各国の産業担当大臣、産業界関係者等が参加した会合の中でこのセクター別アプローチの有用性を主張し、またその有用性が共有されたと認識しております。

 今後、アメリカ、中国の参加が極めて重要と認識しておりまして、環境・エネルギー分野での我が国の経験を生かしつつ、連携を進めてまいりたいと考えております。

 こうした取り組みを通じまして、本年のCOP15に向けまして、公平、実効ある国際枠組みづくりに向けて国際的な議論を積極的にリードしてまいります。

中野(正)委員 ぜひこれも頑張っていただきたいと思います。

 実はこの十一日に、私たち自民党の有志の議員連盟で麻生首相に緊急の提言をいたしました。当然ながら、百年に一度の危機という、こういう経済状況であります。それで、さらに引き続き補正予算をつくり上げなければならない、大規模な景気対策の実施のための財源づくりの提言でありました。

 一つには、無利子非課税国債の発行ということでありまして、眠れる民間資金の活用を図るべきだ。二つ目には、三年間の時限措置で贈与税減免、これを思い切ってやるべきだ。高齢者の資産を次の世代、あるいはさらにその次の世代に継承しやすくする。消費意欲の高い若い世代にお金を回すということが大事だ。その他、政府紙幣の発行の検討なども実は提言をさせていただきました。

 こういう厳しい経済情勢のときだからこそ、私たちはいつまでも萎縮をしてはならないと考えます。二階大臣がおっしゃいますように、ピンチをチャンスに変えて、明るい道筋を示すことが求められている、これが今の私たち政治に対する大きな期待でもあります。

 そういう意味で、農業あるいは環境、医療、介護など内需を創出する産業を、内需型の産業を興して雇用を創出することが大変大事だ。五年後も十年後も、我が国が引き続き成長を遂げていくためのビジョンについてどのように考えておられますか、夢のある政策メニューもお示しをいただきたいと存じます。

高市副大臣 今、世界的な不況によりまして先行きに不透明感というものが非常に先行しておりますけれども、それでも、こんなときだから未来を先取りして、戦略分野に果敢に投資を行うこと、それから新たな産業というものをきっちりと創出して、雇用につなげていくということが非常に大事だと思います。

 今、中野委員御指摘のような、医療、介護分野、それからまた農業などというのは、国民に非常にニーズのある分野だと思いますね。安全、例えば食べ物の安全であったり、医療、介護に関するよりよいサービス、こういう国民にニーズのある分野でしっかりと内需を刺激していく、新たな雇用機会を創出するということで、重要な分野だと認識しております。

 現在、各省庁といろいろ相談をいたしながら、生活支援ロボットの開発普及を促進していく、また、優しくて効率的な医療、サービスを実現していく、これを健康長寿という柱の中で、実際の雇用を生み出すスキームとしてどういうものがあり得るのか検討中ですし、おいしく安全な食べ物というものを効率的に提供できるような植物工場の普及促進、これも日本が持つ技術を生かして底力を発揮できる分野でございます。

 多々ございますけれども、新たな市場と雇用を創出するために、しっかりとシナリオを策定して取り組んでまいりたいと思っております。

中野(正)委員 ありがとうございました。終わります。

東委員長 これにて中野正志君の質疑は終了いたしました。

 次に、山本明彦君。

山本(明)委員 おはようございます。自由民主党の山本明彦です。

 まさに未曾有のこの大不況の不況風を二階大臣の力でぜひ吹き飛ばすべくこれから御尽力をいただきたい、我々も応援をさせてもらいたいと冒頭に申し上げておきたいというふうに思います。

 内閣府の発表によりますと、十月―十二月期のGDPの改定値がきのう発表がありました。数字がマイナス一二・一%ということでありますし、そして民間エコノミストの話をいろいろ聞きますと、ことしの一月―三月期も恐らく二けた減であろう、そんなふうに予想されるというふうに話を聞いております。やはりなかなか底が見えないというのが今の現状であります。

 そもそも、世界のGDPというのは五十三兆ドルあるというふうに言われておるそうであります。それに対して、金融資産が三・六倍の百九十兆ドル、デリバティブにおきましては十二・六倍の六百六十兆ドルあるというふうに言われております。ということは、今回の金融不安というのは、この百九十兆ドルの金融資産と六百六十兆ドルのデリバティブからも発生してきた。そのせいで五十三兆ドルといういわゆる実体経済が影響を受けてきた。ひとたまりもないなというのが実感でありますが、そんなのが今の現況であろうというふうに思っております。

 したがって、総理が今、全治三年というふうに言われておりますけれども、総理の言われておるこの三年で何としてももとの姿に戻すというのが我々政治に求められた責任だ、そんなふうにも思っておるところであります。

 そのために、一次補正、二次補正、本予算と、まさに三段ロケットを打ち上げてきたわけでありますけれども、これで当面の対策を打ってきたというふうに言われておりますけれども、まだまだやはり深刻な状況でありますから、刻々と変化しておるというのが今の状況だというふうに思います。打てるべき手はどんどん打つべきだ。

 そして、刻々変化しておるというふうに申し上げましたけれども、アメリカが七千八百億ドルの景気対策をやりました。これは、金額もさることながら、スピード感があった。これがアメリカの今回の一つの成功の例だというふうに私は思います。

 余談でありますけれども、私が金融機関の保有する保有株買い取り機構の法案の提案者であったわけでありますけれども、この法案を提案したのが一月五日でありますが、成立したのは約二カ月後であります。当時、提案したころには、株価は九千円でしたけれども、法律が制定されたころには七千二百円ぐらいに下がっておったわけでありますが、やはりいかにスピード感が今大事かということが言えるというふうに思っております。

 現在の金融経済危機を乗り切るためには、先ほどの中野先生の質問にもございましたけれども、やはり金融支援というのが大変大切であることは言うまでもありません。しかし、金融支援というのは、企業のゴーイングコンサーンは守ってくれますが、これは経営内容をよくするというわけではないと私は思っております。したがって、やはり最後は、経営内容をよくするためには経済対策、先ほど話にありましたけれども、外需に依存しておった日本の経済を内需拡大にすべきではないか、そんな意味合いから質問させていただきたいというふうに思います。

 先ほど申し上げましたけれども、そのためには、考えられるあらゆる手段を尽くして経済対策を図っていくべきだ、そしてスピード感のある形で一刻も早く行っていくべきだ。

 きょう報道を見ますと、総理が本日中にも与党に追加経済対策の取りまとめを指示という記事が載っておりましたけれども、こうしたことも踏まえまして、大臣のこの点についてのお考えをお聞きしたいと思います。

二階国務大臣 今、山本先生仰せのとおり、あらゆる政策を総動員して今日の危機を突破しなければならない、認識は全く同じでございます。

 総理がおっしゃっておられますように、全治三年、こういうことでありますが、これを大きな努力目標にして、私たちは今、先進国の中で一番早く回復したという宣言ができるようにという、これは総理の大方針でありますから、我々はそれを、あらゆる方途を講じて実現に努力をしたい。

 したがいまして、今まで一次、二次、三次と対策を打ってまいりましたが、この先何が必要かということ、同時に今だけの問題ではなくて、日本経済を支えていく上において、構造的にもこの点に力を入れていかなきゃいけないというふうなことについては、与野党ともに、各先生方の御意見を十分ちょうだいしながら我々は対処していきたい。

 一方、経済産業省としては、それぞれの省庁の壁を越えて対応しよう。例えば、農商工連携などは一つの例でありますが、他の分野においても協力し合えるところはたくさんあります。

 医療の面におきましても、介護ロボットということでありますが、介護ロボットの面については、厚生労働省の御意見や知見を十分尊重しなければなりませんし、また、現場の看護婦さん等の御意見等も参考にしなければならないことは当然のことでありますが、ロボット産業そのものを掌握しております経済産業省としては、この方向に進むことが高齢化社会に対する対応あるいは体の御不自由な人に対しての対応、これは大変大事なことだというふうに思っております。もう一押しすれば、介護の面においても十分このロボットが対応できるというふうなところまで開発は進んでおります。こういうことに対してもしっかりした後押しをしていきたい。

 その他の分野にも、数え上げれば切りがないほどたくさんのアイデアやあるいは成功例等、寄せられておりますから、これは国会でも十分御議論をいただいて、我々は国を挙げてオール日本でこの難局を越えられるようにしていきたいと思っております。

山本(明)委員 ありがとうございました。

 今、農商工連携のお話もございましたが、省庁横断的なものについては経済産業省が恐らくリーダーシップをとっていくということになると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。

 農業者とか中小企業というのは、基本的には、やはり先々代、先代から引き継いでまじめに農業、中小企業をやっておる。まじめにやっておるけれども、どうやっていっていいかわからないというまじめな人が大変多いんです。どうしていいかわかりませんので、営業力もあるわけではないし、特別な技術力があるわけでもない、しかしまじめにやっておる、こうした人を、ぜひ道しるべ等をつくって、経済産業省としていい方向に導いていっていただきたいという点もあわせてお願い申し上げておきたいと思います。

 それと、先ほど金融危機の話を申し上げましたけれども、この金融危機はアメリカ発だと言われております。まさにそのとおりだと思いますが、アメリカの責任ということだけではなくて、しかし、実際にその当時の金融好景気のころには、アメリカの利益が上がっていたから日本の輸出産業もおかげで利益を上げることができた、こういう図式が恐らく成り立つんだろうというふうに思います。したがって、やはり我々は、アメリカと協調していくことによって、アメリカと日本の両方ともウイン・ウインの関係をつくっていくことが大事だというふうに思っております。

 そうした中で、大臣は、米国オバマ政権と環境・エネルギー技術を中心にあらゆる分野で協力すると言っておられます。そして、チュー・エネルギー長官とも早速電話会談をされた。大変スピード感があるというふうに受けとめさせていただきました。

 こうした中で、大臣は今後どのような日米関係を構築していかれようとしておるのか、お伺いをしたいと思います。

二階国務大臣 私は、このスティーブン・チューというアメリカの新エネルギー長官とはお目にかかってはおりませんが、かつてノーベル物理学賞を受賞された、あるいはまた、アメリカでの有名なローレンス・バークレー国立研究所の所長を数年間にわたっておやりになっておったということで、太陽エネルギーの活用等については傑出した人物であるとかねて注目をしておりましたが、今度カウンターパートとして仕事を一緒にさせていただくに際して、先般お電話を申し上げて、今後の協力について話し合いをさせていただきました。

 大変積極的な方でありまして、私の方から、革新的技術開発、原子力の問題、省エネ、新エネの問題、次世代自動車などの分野での協力を提案しましたところ、直ちに反応があるわけですね。これらの問題について予算をつける、これは法律にする、これは大統領に進言する、こういうことをてきぱきとお話をなさる。そこで、今後は、原子力技術あるいは建物の省エネ化、あるいはバッテリー技術などの具体的な協力についてお互いに心底から協力し合おうということで約束をいたしました。

 我が国も、これはちょうど三年ほど前になりますが、産総研とアメリカのニューメキシコ州にありますロスアラモス研究所との間で燃料電池や超電導の共同研究を進めておりました。私から、ローレンス・バークレー研究所やサンディア研究所との共同研究も行いたいということを申し上げましたら、チュー長官は、エネルギー省としてこれらの問題についてバックアップをする、こういうことでありましたから、もちろん経済産業省がバックアップするのは当たり前のことでありますから、これらのアメリカの屈指の研究所と我が方の産総研等で十分研究を進めて、民間の皆さんにも加わっていただいて、実際の面での日米協力ということを具体化していきたい。

 なお、早く手を打ったということを言われましたが、実はこの後に日米の首脳会談が迫っておりました。私は、首脳会談においてエネルギー問題は当然議題に上るであろうと。そのときに、担当大臣同士が意見が一致しておくのと、担当大臣同士が名前も何も知らないというようなことではどうしようもありませんから、私は、きょう閣議がありますから、直ちに私は麻生総理大臣に報告をする、そして日米会談に持ち出してもらうようにする、あなたもオバマ大統領に進言をされて日米会談でこれを取り上げるということにしてもらいたいと話しましたら、わかりました、必ずやりますと。それで、日米会談でこのことが議題になり、両国の担当大臣同士でこの話を前進させようということを両首脳で方向づけをしていただいたということは、日米エネルギー協力において何年分も前へ進ませたと同じぐらいのことがあろうと思いますが、しっかり対応してまいりたいと思っております。

山本(明)委員 ありがとうございました。日本とアメリカで世界の景気を引っ張っていく、そんな形をぜひつくり上げていっていただきたいというふうに思います。

 今、大臣から太陽光発電の話が出ました。太陽光発電は、環境対策、そしてまた景気対策両方に大変有効な手段だと思いますので、太陽光発電についてお伺いしたいと思います。

 一次補正で補助金の復活がされましたし、そしてこのたび大臣は新たな買い取り制度というものを検討しておるというお話をお伺いして、大変私は評価をさせていただきたいと思っております。アメリカにおきましても、オバマ大統領も再生可能エネルギーの供給量を景気対策の面からも三年で倍増すると言っておりますし、再生可能エネルギーを利益を生むエネルギーとすると位置づけておるところであります。

 私も大賛成でありますが、再生可能エネルギーというのは、風力もあるし、バイオもあるわけでありますし、私は全部何とかやっていけないかというふうに考えておるわけであります。

 そこで、太陽光を選択したという経産省の考え方を、なぜ太陽光なのかということをお伺いしたいというふうに思います。

石田政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 今般導入方針を表明いたしました新たな買い取り制度でございますけれども、これは、我が国の太陽光発電関連産業が国際競争力を現に有しているわけでございますし、純国産エネルギーとして非常に貴重であるということ、それから、現時点ではコストがまだかなり高いわけでございますが、技術革新及び需要の拡大により発電原価の低下が見込まれる技術であるということ、さらに、関連産業のすそ野が非常に広い産業でございまして、地域経済の活性化にも資するなど産業政策的な視点からも重要であるといったことから、今後三年から五年が太陽光発電にとってまさに正念場であるという認識に基づきまして、その対象を太陽光発電に限定して導入することを発表したわけでございます。

 今般の買い取り制度におきましては、電力の需要家の皆様の負担水準あるいはコストの削減効果などの観点から、ほかに拡大をすることについては慎重な検討が必要であるというふうに考えてございまして、風力発電あるいはバイオマス発電などは対象としないということで考えてございます。

 もちろん、こうした太陽光発電以外の再生可能エネルギーにつきましても、補助金あるいは税制などの導入支援策でありますとか、いわゆるRPS法という規制的な措置によりまして、引き続き強力に導入を推進していきたいというふうに考えております。

山本(明)委員 今、ほかへは波及させないというお話がございましたが、今回、住宅だけということであります。これは補助金という意味でありますけれども、官公需についても私は太陽光発電はどんどん使っていくべきだというふうに思っております。

 例えば、学校を見ますと、学校というのは公立学校で小中高でたしか五万校ぐらいあるというふうに聞いておりますが、この五万校に順次太陽光発電を設置していけば、これはまさに大変大きな景気対策にもなるわけであります。三十キロワットぐらい、住宅の十倍ぐらいだとしますと、一基二千五百万、合計で一兆二千五百億というような形になるわけでありますから、ぜひそんな住宅以外の官公需についても、この太陽光発電、どんな取り組みをされるおつもりがあるか、経産省のお考えをお聞きしたいと思います。

石田政府参考人 まさに先生御指摘のとおり、住宅分野のみならず、産業分野、公共分野、特に今御指摘の学校における太陽光発電の導入拡大、非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 このため、経済産業省といたしましては、地方自治体や非営利団体法人が太陽光発電を導入する際に導入費用の二分の一、事業者の場合ですと導入費用の三分の一をそれぞれ上限として補助を行います地域新エネルギー等導入促進事業というものを実施しておるところでございます。

 また、昨年の十一月には関係省庁と太陽光発電の導入拡大のためのアクションプランというものを策定いたしまして、産業分野、公共分野、さらには学校等への太陽光発電の導入について関係省庁と連携して進めていくということで取り組みを強化しているところでございます。

山本(明)委員 内需拡大ということでもう一点お伺いしたいと思いますが、いわゆる民間の活力を期待するということで、国交省来ていますよね、住宅建設についてお伺いをしたいというふうに思います。

 住宅着工件数が、以前は建築基準法の改正で建築基準法不況と言われるような形で減少してきたわけですが、やっと回復しかかったところに今回の金融危機、経済危機でありまして、年間百二十万戸ベースのものが、直近の一月の年間換算で見ますと百万戸を切ってしまっておる。こんな状況になっておりますから、これを何としても百十万戸ベースに戻していくべきだというふうに考えておるところでありますが、なかなかやはり、住宅ローン減税は行いましたけれども、住宅ローン減税の恩恵に浴さない人たちもたくさんあるわけでありまして、そうした人たちのためにも、住宅金融支援機構をもっとよく使えるシステムにしていくべきではないか、そんなふうに考えておるところであります。

 もとの形に戻して直接融資という話もありますけれども、そこまでいかないにしても、住宅金融支援機構の使い勝手のよさ、今、九割しか融資してくれませんし、そして住宅融資保険制度というものがありますが、これも余り知られておりませんし、どんどん今利用が減っておる。こんな状況もありますので、こういったものも、保険料率が高いとか、担保掛け目が八五%とか、そんな形になっております。こうした弊害を取り除いて、住宅金融支援機構をもっと使い勝手のよいものにしていただきたいと思いますけれども、国交省の考え方をお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 住宅市場の活性化を図りますためには、住宅ローンを借りやすい環境を整備いたしまして、過去最大の住宅ローン減税の効果を最大限引き出すことが重要だと考えております。

 このため、融資選別を画一的に行うことのない住宅金融支援機構のフラット35につきまして、平成二十一年度予算案におきましては、優良な住宅につきまして金利を優遇する期間を五年から十年に延長する措置を盛り込んでいるところでございます。

 また、住宅金融支援機構では、民間住宅ローンの円滑な供給を図る観点から、今お話がありましたように、民間住宅ローンの信用補完を行う住宅融資保険制度を実施しておるところでございます。

 住宅ローンの供給円滑化は大変重要な政策課題と認識しておりまして、ただいま先生から大変貴重な御指摘をいただきましたので、その点も含めまして、今後、こうした制度の積極的な活用に向けまして検討してまいりたいと考えております。

山本(明)委員 一刻も早い景気回復をお祈りして、質問を終わりにします。ありがとうございました。

東委員長 以上で山本明彦君の質疑は終了しました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、先日の二階大臣の所信表明演説に対する質疑をさせていただきたいと思います。三十分でございますので、端的に御答弁いただけるように、よろしくお願いいたします。

 まず、先ほどからお話が出ておりますように、まさにいわゆる百年に一度という金融危機から端を発する日本経済の大変な状況をどうするか。やることは明確であって、世界じゅうどこでも、大型の減税をし、需要の創出をし、そしてセーフティーネットを張る。処方せんは明らかであって、私は、だれがリーダーシップを発揮してそのかじ取りを担っていくのか、こういうことだけが問われるのではないか。

 ですから、私、今こそ経済産業省よ頑張れと。戦後の日本の経済を立ち上げてきたときには、当時の通産省は、まさに日本の経済のかじ取り役として、旗振り役として、さまざまなことを担ってきた。しかし、近年、国がマクロで経済をリードするという形ではなくて、規制緩和の中で民間主導ということになって、率直に言って、やはり経済産業省の役割というのが歴史を振り返ると相対的に小さくなりつつあるのではないか、こう感じているところだったんです。この経済危機を乗り越えるためには、今まさに経済産業省が立ち上がらなければいけない、このように思っておりますし、二階大臣は、長年おつき合いをさせていただいておりますが、本当にたぐいまれなリーダーシップのある方でありますし、実行力をぜひ大いに発揮していただきたい、こう考えるわけでございます。

 そういった点で、何点か質問させていただきたいと思います。

 まずやらなければいけないことは、当面のセーフティーネットの対策だ。これは、経産省的に言うと、まさに中小企業の資金繰りをしっかりと支援していただいて、そして中小企業の倒産を守って雇用を守る、こういうことに尽きるというふうに思っております。

 先ほど大臣の御答弁にもありましたように、昨年十月三十一日からの緊急保証制度による貸し付けですとかセーフティーネット貸し付け、これはもう既に十一月、十二月、一月、二月、四カ月で合わせて四十四万件、金額も九兆円近いものが実績として出ている。先ほどお話がございましたように、これに掛ける六・六人というとざっと三百万人以上の雇用が守られるということは、私は、本当にこれは大臣の御英断だったと思いますし、本当に日本の雇用を支えることができたということで、大変高く評価しておるわけでございます。

 ただ、その中で、三月九日の東京商工リサーチの発表がございまして、二月の全国の企業の倒産状況、これは負債総額一千万円以上のデータが発表されましたが、大変残念なんですが、倒産件数が前年同月比一〇・三%増加している。二月、先月で千三百十八件。これは、九カ月連続増加しているということでございます。負債総額に至りましては、前年同月比二三六・五%増、一兆二千二百億円の負債総額だった、こういうことでございまして、やはり雇用を守るということをやっていただいた上でも、こういった倒産が実際としては出ているということでございます。

 何とかしなければいけない。緊急保証制度の報告を毎日いただいていますが、これをずっと俯瞰してみますと、毎月月末に行けば行くほどやはりこの申請件数が多くなっている、こういうことでございまして、まさに今月末は年度末でもあります。この年度末を乗り越えることはできるのか、こういった思いで、もちろん緊急保証制度とセーフティーネット貸し付けの枠を三十兆円に、二次補正予算、当初予算で措置をしているところでございますが、現状を見て、こういう厳しい数字も出ている中で、年度末に対する資金需要というか、万全なものがあるのかどうか、その点をまず御確認させていただきたいと思います。

松村大臣政務官 先生の御質問にお答えいたします。

 年度末でございますので、通念どおり、中小・小規模業者にとりましては大変に資金繰りの厳しい時期でございます。このことを私どもも、こういう百年に一度の厳しい現状でございますので、当面、雨の日に傘を貸す公的金融機関についてはその役割が一層高まっているものと認識しておりますし、年度末の対策に全力で取り組んでおるところでもございます。

 緊急保証制度につきましては、昨年の十一月、十二月の年末対策で三兆九千億円の実績を上げております。年明け以降は、一月、二月とそれぞれ約一兆六千億円のペースで推移してまいりまして、資金繰りの第二の山でございます年度末に向けて、これからの需要が伸びるものと理解をしております。

 そこで、中小・小規模企業に対しましては、二十兆円の保証枠、七百六十業種の枠の拡大をやりまして対応させていただいております。また、緊急保証に対しまして少々伸びが小さかったセーフティーネット貸し付けにつきましても、積極的な広報や金利の引き下げによりまして、前年同期比で見ますと二〇〇%から四〇〇%の実績を上げておりまして、既に一兆円も突破しております。

 今後も、既往債務の借りかえ、一本化への対応、土日の窓口体制の強化を含めまして、実績拡大に全力で取り組んでまいる所存でございます。

 また、借り手の立場に立ちまして、売り上げが減少する中で、在庫や売り掛け債権を担保とした保証・融資への積極的な取り組みも進めております。また、企業再生、新事業に取り組む企業に対しましても、長期安定的な劣後ローンによる支援などで、中小企業の資金繰り対策にきめ細やかに対応しておるところでございます。

 今後も全力で取り組んでまいる所存でございます。

赤羽委員 ありがとうございます。

 ぜひ、年末も、十二月三十日まで中小企業庁も長官から全員しっかりと出ながら現場の状況をフォローしていただいたということに倣って、この年度末、万全の体制で臨んでいただきたいと強くお願い申し上げたいと思います。

 一点、この緊急保証制度がなかなか利用しにくいというのは、創業したてのベンチャーなんかは過去の決算書類がなかなかない、こういったことで、今回の緊急保証制度の対象から排除されているわけではないんですが、どうも使いにくい。

 彼らにつきましては、新創業融資制度というのがあるんですが、新創業融資制度というのは、融資額が一千万円まで、自己資金の要件として、創業資金の三分の一以上自己資金がなければだめだ、こういった趣旨、別の趣旨ですから、立ち上げるときの融資制度というものはございますが、これしか使えないとなると、結局、ベンチャーの小さな会社、できたてのほやほやの会社は継続資金が足りなくなってくる。今のこの状況の中で大変厳しい状況だということでございまして、その言われてきた方は、融資の返済の利率を多少上げても融資額を広げるとか、また自己資金の要件を緩和するとかということはできないだろうか、この新創業融資制度というものを少し制度改革できないかということか、もしくは緊急保証制度の利用を、ベンチャーの立ち上げたばかりのところでも使い勝手をよくする。

 どういう手段をとるにしても、いずれにしても、やはりベンチャー支援というのは、かつての経済産業省の大きな政策の柱だったと思います。このベンチャーも、ようやく芽が出てきたようなところ、これから頑張ろうとするところについても資金対策が十分行き届くようにするべきだと思いますが、その点のお考えを聞かせていただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、赤羽先生から御指摘ございました、ベンチャーも含めます創業でございます。

 改めて申し上げるまでもございませんけれども、我が国の企業の数自体が実は人口と同じように少子化しているという問題もあります。それから、当然ここに雇用というものを抱きますし、何と申しましても、創業者の方が御自分のこれまでの経験や持ち味、才能をこういうビジネスという場で発揮されるということ自体がこの国を活性化するという、大変いろいろな意味で意義があるというふうにまず認識しております。

 それで、創業期には大変資金が要るというのも全く御指摘のとおりでございますが、一方で、過去の実態を見てみますと、企業は創業してから五年以内にいわゆる消えてしまうといいますか、うまくいかないという確率が高いことも事実でございます。

 そこで、立ち上がりの資金をどういうふうに供給するかということなんでございますが、ある程度自己資金をお持ちの方に厚く御融資するということによりまして逆に創業後の金利負担を低く抑えることもできますし、金利というのは固定費ですから、御自分の意思でなかなか思うままにならない、こういうようなことがございます。そこで、信用保証協会の創業融資、あるいは、いわゆるマル経というふうに私ども申しておりますけれども、商工会議所、商工会の経営指導を受けました場合に、さらに限度額一千万の無担保無保証融資というものもございます。

 ただ、これを組み合わせますと、一応理論的には三千万円を超えるような融資ないしは保証ということになるんですけれども、これはあくまでも限度額でございますので、その中で、今先生が御指摘されたような創業の意義を踏まえて、なるべく窮屈にならないように、私ども、制度の運用につきまして工夫を重ねてまいります。

 なお、ベンチャーにつきましては、先生方のいろいろ御支援をいただきまして、税の面からも大変破格の制度をつくりつつございます。これではまだ十分でないじゃないかという御指摘もあるんですけれども、例えば、創業して一年目、美容師さんが大変好評を得た。ところが、その付近に二軒目の美容師さんが見えて、二年目にうまくいかない、こういう収入が上がったけれども下がったというのはあるものですから、例えば税の面でも、欠損金の繰り戻し還付というようなものにつきましては、創業の場合は、これも税法、先生方の御支援をいただきまして、もう十年ぐらい前から、五年間この制度を適用している、こういうこともしております。

 いずれにいたしましても、融資、税制も含めまして、うまく運営できますように検討してまいりたいと思います。

赤羽委員 ぜひきめの細かい対応をしていただきたいと思いますし、現場でいくと、ありがたいのは、やはり丁寧に相談に乗ってくれるということなんだと思うんですね。駆け込み寺とかいろいろな窓口をつくっていただきましたので、借り手の立場に立った対応をしていただきたい、こうよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、きょう金融庁も来ていただいておると思いますが、私は、この緊急保証制度とかセーフティーネット貸し付けの利用がこれだけ出ているというのは高く評価しているんですが、一方、ちょっと心配がございまして、この緊急保証制度の貸し付けの場合、返済の猶予というのは一年以内。しかし、実態としては、三カ月とか半年ぐらいというところが多いのではないかというふうに聞いております。三カ月ぐらいですと、そろそろ返済をしていかなければいけない。この返済がなかなか、お金は借りた、年末は乗り越えることができた。しかし、今度は年度末に向かってなかなか商売はふえない。しかし、新たにふえた債務の返済が始まってくる。これは結構、中小企業の現場では、年度末を越えられるかどうかという危機感にもつながっている大きな要因の一つだというふうに感じております。

 大臣の所信表明の中にも、中小企業に対して、既往債務の借りかえとか一本化とか、また返済条件の見直し、いわゆるリスケというのが書いてありますし、それは一番有効な政策だと私は思いますが、なかなか金融機関が応じてくれないというような話もございます。

 これを何とか現場でもう少し、金融機関に対しましても、中小企業の立場に立ってサポートしていただきたい、こう考えておりますので、ぜひ、金融庁に対しては、年度末に対して、緊急保証制度の貸し付けの返済に対する認識と、また返済条件、既往債務のリスケについてどういう指導をされているのかということをお聞きしたいと思います。

 いろいろな報道の中には、大手銀行の貸し出しが増加しているんだけれども、結局、大企業向けの融資が増加して、中小企業に貸し出す余力は低下している、中小企業の資金繰りは一段と厳しさが増しているというような報道もありますし、この点も踏まえて、金融庁からの御答弁をいただければと思います。

居戸政府参考人 景気の急速な悪化が続く中で、中小企業の業況は大変厳しい状況にあって、金融機関によります適切かつ積極的な金融仲介機能の発揮が一層重要となっていると私ども金融庁としても認識をしております。

 この中で、中小企業庁と連携をしていろいろな施策を講じているわけでございますが、今先生御指摘の、既往債務の借りかえとか条件を緩和するというのも重要な論点の一つだというふうに認識をしておりまして、当委員会での御議論も踏まえて、昨年の十一月に、金融機関が、元本や利息の返済猶予を含め、中小企業に対する貸し出し要件の緩和に柔軟に応じることができますよう、私どもの検査マニュアルとか監督指針を変更したところでございます。

 本措置を実効あるものとするため、貸し手や借り手等関係者に対して周知徹底を図っておるところでございますし、金融機関に対しては、特にきめ細かく説明会を実施して、現場できちんと、条件緩和への対応を含め、中小企業の実態を踏まえた柔軟な対応を行うよう、繰り返し要請をしているところでございます。

 この点も含めまして、二月二十四日には、金融機関の代表者に対して与謝野大臣から直接、年度末に向けた金融の円滑化を改めて要請したところでございます。また、三月十日に公表いたしました金融円滑化のための新たな対応におきましても、集中検査あるいは特別ヒアリングを実施して、その中で金融円滑化に向けた取り組みをきちんと見てまいりたいというふうに考えております。

 このような取り組みによりまして、民間金融機関において、中小企業向け融資に関し、適切かつより積極的な金融仲介機能を発揮していただけるように取り組んでまいりたいと考えております。

赤羽委員 金融庁は、金融機関を監督しなければいけない立場で、体質を強くさせるという使命がありながら、一方でリスクの大きい貸し出しをさせるというのは大変難しい仕事だと思いますけれども、やはり金融機関というのは企業を支えるのが使命だというその立場に立って、どれだけその役割を果たしているのか、そういう観点でのぜひチェックができるように知恵を出していただきたい、こう思うわけでございます。

 次に、雇用調整助成金、これは厚生労働省の管轄でございますが、雇用調整助成金も実は大変な利用のされ方をしておりまして、去年一年、平成十九年度で、六百三十八事業所でたしか一万五千人分ぐらいしか使われていなかった。ところが、本年の一月単月で実に一万二千以上の事業所が受理され、八十八万人分の雇用調整助成金が出動した。聞くところによると、二月はもう百二十万人ぐらい単月で出ているというような話もございまして、これも、先ほどの緊急保証制度、セーフティーネット貸し付けとともに、明確に雇用を守っているということでございます。

 しかし、この雇用調整助成金の件で一つ難点がございまして、制度として当たり前なんですが、従業員の休業の実施計画を提出する、実際に休業する、その後、その実績をもって雇用調整助成金の申請をする、その申請がされた後審査をする、その審査を経て支給決定がされるということですので、以前は五カ月ぐらいかかった。雇用調整助成金を申請する企業というのはそんなに余裕がある企業ばかりではありませんので、この支給を何とか早くできないだろうか。

 これは与党PTの中でも厚生労働省に働きかけているところでございますが、一方では、審査もせずに雇用調整助成金を支給するというわけにも制度上いかないというのも実態でございまして、ここの、休業の計画を最初に提出したときにある程度つなぎ融資をお願いできないかということを、実は我が党の太田代表を中心に、先日も官邸と中小企業庁、金融庁にそれぞれ申し入れをしたところでございます。

 厚生労働省に確認をいたしましたら、休業計画を提出した企業で八三%のケースが雇用調整助成金の支給がオーケーになった、こういった統計も出ているわけでございまして、ある意味では、休業計画を提出するといったことをエビデンスにつなぎ融資ができればいいな、こう考えておるんですが、その点について、これも金融庁の現状の考えを御答弁いただきたいと思います。

居戸政府参考人 現下の厳しい経済情勢の中で、雇用の維持というのは政府の最重要課題の一つだというふうに金融庁としても認識をしているところでございます。

 今先生の御指摘にありました、雇用調整助成金に係るつなぎ融資に関しまして、民間金融機関へどういうふうな働きかけができるかどうかというのは、現在、厚生労働省とよく連携をとって検討しているところでございます。先生の御指摘も踏まえ、さらに検討してまいりたいと思います。

赤羽委員 ぜひ、年度末までに何らかの回答が出るように、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、需要創出策についての質問に移らせていただきたいと思います。

 日本というのは結構、私流の表現で言うと、美意識が高い民族で、特定の産業とかに支援をするということを何となくフェアじゃないと感じる民族なんじゃないかと私は考えておるんです。ただ、日本の経済をよく見てみれば、輸出産業が元気にならないと、当然日本の産業界というのは守ることができない。これまで日本を支えてきた自動車産業、家電産業、家電メーカー、自動車メーカー、そこに連なる鉄ですとか化学ですとかIT関係とすそ野が広がっているわけでございまして、世界どこでも具体的な産業界への支援というのが行われているわけであります。そういう意味で、私、冒頭申し上げた、今こそ経済産業省がリーダーシップをとって、大いにそういった支援策を進めるべきだ、需要創出策を進めるべきだ、こう考えておるわけでございます。

 きょうは、時間があるかどうかわかりませんが、三つの柱について我が党としても考えておりまして、一つは、先ほどから出ております太陽光発電の推進でございます。

 これは、我々は「ニッポンまるごと太陽光」というスローガンをつけたらどうか、こう言っておりますが、スローガンだけではなくて、太陽光発電を推進するというのは、先ほどの御答弁にもありましたその意義というのは異論がないところでございますが、若干やはり設備費用が高い。住宅用でありますと、三・五キロワットで二百三十万から二百五十万。なかなか、住宅ローン減税も過去最大にしたといいながら、この経済状況の中ですと、どれだけ進むのかというのは不透明な部分があると思います。

 そういった観点の中で、二階大臣が先日、買い取りの制度を新たにしようということを決断されたり、今度新しい助成制度を復活させる、こういったことのさまざまな取り組みでございますが、太陽光発電が安く普及できるようになるにはやはり公的なところで需要をつくっていくことが大事だというのは、先ほどの自民党の議員の皆さんの質問にもあったとおりでございます。

 我々は、これは二階大臣にも党として御提言、御要請したところでございますが、まず全国の公立の小中高等学校、ここに全部張りつける。これは、一つの工事としては二千万ぐらいというふうに聞いております。二千万というと、平たく言うと、地元の各地域の工務店の一番やりやすい公共事業である。そういった地域の経済活性化という効果もあり、当然省エネ効果もあり、そして、学校に張りつけるわけですから、環境教育効果もあり、そして加えて、震災ですとかなんですとかというと、結局、災害のときの避難所になるわけですから、防災対策上の効果もある。私は、これは一石四鳥の効果がある、こう考えて、党の目玉の緑の公共事業のうちの一つの大きな柱として、この「ニッポンまるごと太陽光」ということで、全国の小中高等学校に張りつけるべきではないか。

 現実には、学校の耐震化の工事、こういったことも進めています。耐震化だけやっているというのはもったいないわけですね。耐震化をやり、そして太陽光の発電を張り、そしてできれば校内のLANの設備を敷設する、IT化も進める。やはり公立学校の質も高められるようなことを今一斉にやるべきだと考えておって提案をしたわけでございますが、このことについて経済産業省としてどういう評価をされているのか、御答弁いただきたいと思います。

吉川副大臣 赤羽先生から大変すばらしい御指摘をちょうだいいたしまして、学校への太陽光発電の導入拡大につきましては、エネルギーセキュリティーの確保や低炭素社会実現の観点から、最も重要だと考えております。

 またさらに、環境教育や理科教育での活用、さらには、耐震改修工事とあわせて導入することによる防災機能の強化などに資するだけではございませんで、地域経済の活性化にも貢献する、まさに今御指摘をいただきました一石四鳥の取り組みだと存じております。

 このため、経済産業省におきましては、昨年十一月に関係省庁と、すなわち環境省、国土交通省、文科省でありますけれども、策定をいたしました太陽光発電の導入拡大のためのアクションプランにおいて学校への太陽光発電の導入を位置づけておるところでございまして、このアクションプランに関しましては、近々内容を発表できることになっております。

 今後とも、文部科学省等関係省庁と連携いたしまして、経済産業省の補助金等も活用しながら、学校への太陽光発電の導入拡大に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと存じております。「ニッポンまるごと太陽光」、すばらしいアイデアだと思っておりますので、引き続き御指導をよろしくお願い申し上げます。

赤羽委員 エコカーは、「ニッポンどこでもエコカー」というスローガンもつくりまして、これもやろうと。世界各国、今、自動車産業の支援というのは進んでいるんですね。ドイツですとかフランスですとか、イタリアですとかアメリカもやるでしょう。やはり日本も当然やらないと競争できないし、逆にエコカーのレベルというのは圧倒的に日本の自動車メーカーがトップを走っているわけですから、ここで本当に集中投下、支援をできれば、まさに起死回生の一策になると考えております。

 世界各国の支援の中で、ドイツなんかは廃車に対するインセンティブが大変効果も出ているという話もございますが、その点について教えていただきたいと思います。

細野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、欧州の各国、具体的には今名前が出ましたドイツあるいはフランス、イタリア等で、需要喚起と環境対策の両面から、自動車の買いかえ優遇策が講じられております。御指摘のとおりでございます。

 例えば、ドイツでありますと、九年以上の車齢の車を廃車にいたしまして新車等を購入した場合には二千五百ユーロ、邦貨換算でいいますと約三十万円ほどになりますけれども、こういった金額の助成金を交付する制度、向こうでは環境プレミアムという名前をつけておるようでございます。こういう制度をことしの一月の半ばから本年末まで、二〇〇九年末まででございますけれども、それまでの時限措置として実施をしておりまして、こういった効果もありまして、ドイツにつきましては、二月の乗用車の販売は前年同月比で約二割強上昇しているというふうに承知しております。

赤羽委員 我々、この廃車インセンティブに加えて、やはり今、次世代カーに対する差額の半分を補助するような、そこまで大胆にはできないでしょうけれども、二〇一〇年の燃費基準プラス一五%以上のエコカーについては、やはり購入に対する助成をしっかりとつくるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 一つのアイデアとして、例えば東京都内のタクシー会社というのは車が六万両あるんですが、毎年一万両以上買いかえているんですね。五年に一度ですから、一万二千台ぐらい買いかえる。これをエコカーに買いかえれば何らかのインセンティブを与えるというようなアイデアも多分あるはずだと思いますので、ぜひ国交省と協調しながらこういったものの検討をしていただきたい、こう考えるわけでございます。

 時間が来たので短くしますが、省エネ家電も三本柱の最後の一つと考えています。これは「ニッポンだれでも省エネ家電」というふうなスローガンを勝手につけていますけれども、地上デジタルのテレビに買いかえなきゃいけない。この地デジクーポンというのは、実はアメリカでもオバマさんが六・五億ドルの予算をつけているということが出ておりまして、具体的にどのように実効性があるのかといったことを、これは最後の質問になると思いますが、具体的に可能な実例なのかどうかということをアメリカの例で御答弁をいただきたい、こう考えておるわけでございます。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 各家庭におきまして、デジタル放送をアナログ受信機で見るためには、デジタル信号をアナログ信号に変換するチューナーが必要になります。アメリカで、今先生御指摘のようにこういったチューナーを、コンバーターとかチューナー入りのセットトップボックスという形で変換をして見るようにしておるわけでございます。

 アメリカでは、ことしの二月二十七日にアナログ放送を完全に停波いたしましてデジタル放送に移行することとしておりましたけれども、この状況がなかなかそこまで達成しないということで、これまでいろいろな政策を講じてきたわけでございます。アメリカでは、所得水準にかかわらず、一枚四十ドルのクーポンを一世帯当たり二枚まで申し込みに応じて支給してチューナーの購入を促進させるという制度をつくっておったわけでございまして、これがデジタル・アナログ変換器クーポンプログラムというものでございました。

 このプログラムは、二〇〇八年の一月に始まりまして、昨年の十二月の段階で、クーポンの申し込みが予算の上限でございます十五億ドル、約三千四百万枚分を上回ったところでございます。このため、ことしの一月以降、申し込みに対応できないという状況になったわけでございます。

 今まさに先生おっしゃいましたように、オバマ大統領の政権移行チームというものが連邦議会に対してデジタル放送への移行の延期を検討するように要請をし、またその際に、ことしの六月十二日までの延期の間に、これからさらに六・五億ドルの予算を追加して、デジタル放送への移行のためのチューナーといったものの購入を促進するような制度を導入したところでございます。現在では、既にこの追加分のクーポンの支給も再開をされている、相当な実績が上がっている、こういうふうに理解をしているところでございます。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 テレビの業界に聞きますと、地上デジタルにかえているのはまだ四十数%しかいっていない、残り六千万台以上買いかえなければいけないというような状況の中で、これは総務省の仕事としないで、ぜひそこを支える。これは家電の業界に対する朗報でもあると思いますので、ぜひしっかりお取り組みいただきたい、こうお願いを申し上げまして、私の質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて赤羽一嘉君の質疑は終わりました。

 次に、太田和美さん。

太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。民主党で一番の質問者になります。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 昨日、内閣府から、平成二十年度の十月から十二月期のGDPの二次速報が発表されました。それによると、GDPはマイナス三・二%、年率換算でマイナス一二・一%と、一次速報に比べ若干改善されましたが、先進国中最悪の数字には変わりがありません。寄与度で見ると、純輸出が平成十九年にプラス一・三%と成長の大半を支えていましたが、それがマイナス三・〇%になり、いかに外需に依存し過ぎた影響が大きいかがわかります。

 経済産業大臣として、この数字をどのように受けとめているのか、認識をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 ただいまお話がありましたとおり、昨日発表されました実質GDP成長率、前期に比べマイナス一二・一%、今御発言のとおりであって、大きなマイナス成長となっております。

 これは、世界的な経済が減速する中で、今お述べになりましたとおり、輸出に大きく依存しておったということが言われるわけでありますが、外需寄与度がマイナスになったほか、消費や設備投資も同じく減少したことによるものであります。

 こうした実質GDPの動向からも明らかになりましたように、我が国の景気は急速な悪化が続いており、厳しい状況にあるものと認識せざるを得ません。

 このため、私たち経済産業省としては、まず、当面の雇用対策、そして年度末でありますから、資金繰り対策に万全を期すことが取り急ぎ重要なことであります。また、来年度の当初予算の早期成立、執行を図るとともに、新たな成長シナリオの策定、実行を通じ、経済を回復軌道に乗せるべく全力で取り組んでいく考えであります。

 まずは、先ほど申し述べましたとおり、金融の問題、雇用の問題、こうしたことに我々は重点を置いてまいりましたが、今後、国民の皆さんに明るい未来を指し示し、国民の皆さんと一緒に立ち上がる、そういう経済復興のシナリオを着実に描いて、与野党の皆さんの御理解や御指導を得たい、このように考えておるところであります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 今回のこの世界不況と言われている危機なんですけれども、総理大臣も、きちんと対応すれば日本は間違いなくこの不況から脱出することができるというふうにおっしゃいました。私もそう思っております。しかし、問題は、きちんとした対応がとられているかどうか、そこに限ると思います。

 二十年度の一次補正、二次補正、そして二十一年度の本予算、三段ロケットと言われましたが、この対策でGDPの押し上げ効果がどのぐらいトータルであるのかどうか、内閣府の方にちょっとお答えをしていただきたいと思います。

梅溪政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の累次の対策でございますが、総額七十五兆円の事業規模の対策でございます。これによりまして、二十一年度の実質GDP成長率を試算可能な範囲内で計算いたしますれば、一%ポイントほど押し上げるものと考えております。

太田(和)委員 民間調査機関の間では、来年度はマイナス三%前後の成長率になるとの予測が大勢です。三%減るものを三段ロケットで一%戻してもマイナス二%です。政府の役割として非常に不十分だと言わざるを得ません。そもそも、二〇〇九年度の実質経済成長率は〇・〇%と政府は見通しを示しておりますが、計三回の経済対策、事業規模は合計七十五兆円、この対策で一・〇%近く成長率を押し上げゼロに持っていくという、まず見通しから考えが甘いのではないかなというふうに思っております。

 総額七十五兆円といっても、三段ロケットと胸を張っておられますが、真水でいえば十二兆円、先進国ではかなり低い方だと思います。財政措置の規模でいえば、対GDP比でアメリカが五・五%なのに対し、日本は二%にすぎません。ベストの予算と言っておられますが、先進国で一番最後に不況から脱出なんということになってしまうんではないかなというふうに私は思っております。

 本当にこれで十分なのかどうか、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

二階国務大臣 過去三回にわたる経済対策についての御評価をいただきましたが、私どもも、残念ながら、三回にわたる経済対策、これがすべてであったというふうには思っておりません。

 というのは、日本の置かれている財政状況は世界各国に比べまして最も厳しい財政状況にあるわけでありまして、その中で許される範囲の精いっぱいの対策を講じてきた、それが七十五兆円であったわけでありますが、ようやくこのことに対して御承認をいただいたものですから、我々は、今後においてこの対応を、さらなるものを考えていかなくてはならないと当然思っております。

 内需を主導する、先ほどからお話しのとおりでありまして、そうした経済成長を目指すためには、まずは生活者、中小企業及び地方に力点を置いて、さらにきめ細かい対策を経済産業省としてもとっていかなくてはならない。当面、雇用対策そして資金繰り対策を中心にしてやってまいりましたが、先ほども申し述べましたとおり、これからのいわゆる成長のシナリオというものは、既に新経済成長戦略においても相当の部分は発表しておるわけでありますが、今後、このことを基礎としながら新たな成長シナリオをつくって、必ず国民の皆さんの期待にこたえられるようにやっていきたい。そのためには、あらゆる政策を総動員してやっていく。

 そして、規模が小さいという民主党のトップバッターからの御指摘がございましたが、民主党さんもそういうお考えでおっていただくならば、我々は、与野党十分協議をしてこの危機的状況を乗り越えていくということに対応していきたいと思っておりますので、御協力をお願いしておきたいと思います。

太田(和)委員 規模だけを言っているわけじゃないんです。その中身が一番重要だと思っております。

 先日、大臣は所信表明の中で、まず資金繰り対策をやる、雇用確保につながる支援をやる、下請法違反に厳正対処するなどと言われた後に、こうした対策によって世界で最初に不況から脱出することを目指すとともに、その先を見据えた新経済成長戦略改訂版に掲げた政策課題を強力に実行しますというふうに述べられておりました。

 私は、ちょっと違和感を覚えました。言葉じりをとるようで大変申しわけないんですが、大臣所信とはこれからの一年をどのようにするのかという大切なメッセージでもありますのでお伺いしたいんですが、もちろん資金繰りなどは大切です、応急の止血措置でありますから。ただ、この中を見ると、その止血措置で不況から脱出するというふうに書いてあるので、どういうことなのかなと思いました。むしろ、成長戦略改訂版、二〇〇八年度改訂版、これを実施していくことによって不況から脱出できるというふうにおっしゃっているのかどうか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

二階国務大臣 所信で私が申し上げました趣旨は、現下の経済情勢の悪化、緊急事態に対応するいわば止血でありますが、中長期的な成長をもたらす経済政策を同時に実施すべきである。短期的な対策、そして明るい将来につなげていくという視点で取り組んでいきたいと考えております。

 そのため、中小企業に対するセーフティーネット貸し付けの拡充や、日本政策投資銀行等による低利融資やCP買い取りなどの当面の緊急対策にとどまらず、将来に向けて日本経済を強化するための政策課題にもチャレンジしてまいりたいと考えております。そうした観点から、今お示しの新経済成長戦略改訂版では、我が国の中長期的な経済成長を実現する戦略を示しておりますが、当面の経済対策や雇用創出につながる措置も含まれております。

 例えば、太陽光発電の導入促進政策は、太陽光パネルの製造による需要の拡大と、販売店や工務店あるいはお地元の大工さんに至るまで、各建設業に関係する皆さんを総動員して雇用の創出につなげていきたい。したがって、我々は直ちに、今各県において、太陽光発電導入の技術的な面で訓練を受けていただけるように、現場でそういう研修会等を計画しているところであります。あわせて、パネル設置に必要な、将来を展望したような技能の開発あるいはまたさらなる人材の育成、また、あわせてこのことが雇用の吸収につながるわけでありますし、短絡的な人材のミスマッチを現場でも解消していきたい。中長期的な観点からしますと、エネルギー自給率の向上、環境負荷低減、さらには社会を支える人的資源の強化にも貢献していきたいと思っております。

 また、巨大コンテナ船の利用を可能にするようなスーパー中枢港湾の整備を進めることは、短期的な需要を増大させ景気を刺激すると同時に、将来、我が国の国際的競争力の強化にも大いに役立つ政策だと考えております。

 現下の経済情勢が厳しいものであるがゆえに、明るい将来を展望しながら、先ほども申し上げたとおり、あらゆる政策をあらゆる省庁が連携してこの緊急の事態を乗り越えるということで取り組んでいきたいと思いますから、どうぞ民主党からも、いろいろな御意見があろうと思いますから、具体的な御意見を提示いただいて、御一緒に対策を考えていきたい。

 先ほどの赤羽議員からも、先般も経済産業政策についてたくさんの御要望をいただいておりますが、我々は、取り入れられるものは、できるだけ前向きに、積極的に取り入れていきたいというふうに考えております。

太田(和)委員 御丁寧に御説明をありがとうございました。

 ただ、私がまだ非常に疑問を持っているのが、この成長戦略の改訂版、昨年の九月十九日に閣議決定がされております。リーマン・ショックが九月十五日ですから、その直後ですね。今回の経済危機の深さや重さ、それが世界経済に突きつけた意味などを受けとめる時間的余裕がなかったというふうに思っております。

 したがって、この改訂版は、そもそも経済危機からの脱出の処方せんとしてつくられたものではないということだと思いますが、大臣、どうでしょうか。

二階国務大臣 我が国のこれからの中長期的な展望を描いたものでありまして、我々は、これからこの不況を脱出するために今直ちにとらなければならない対策については、各省と今連携して、この政策の立案に努力をしているところであります。

 ただ、今この国会で二十一年度の予算を御審議いただいている最中でございますから、我々はそうしたことも十分念頭に入れて慎重に対応しておりますが、今直ちに対応しなければならないことを十分頭に入れて、新たな成長のシナリオをつくり上げたいというふうに思っております。

太田(和)委員 これから新たなシナリオをつくる、非常に遅いんではないかなというふうに私は思っております。

 百歩譲って、この改訂版が基本になるということですから中身の方をちょっと見させていただきたいと思いますけれども、基本は〇六年版と同じですから、イノベーションに力を入れる、サービス業を双発エンジンにする、資源生産性の抜本的向上を図るというようなことが書かれております。私もそのとおりだと思います。個々のテーマでそうだというふうに思うところはたくさんあります。

 しかし、決定的に違うな、足りないなというふうに思う点は、外需に依存し過ぎた経済構造を変えて、内需が主導する安定した経済成長を実現するのだという決意が伝わってきません。

 もちろん、イノベーションを成功させ、世界市場で日本が打ちかっていくことは極めて重要です。しかし、これまで先進国の中で際立って外需に依存してきて、円安の中で車や電気製品をたくさん売って、外貨を稼ぐことで成長してまいりました。だから、経済危機で最も打撃を受け、多くの非正規雇用労働者が路頭に迷ってしまった。

 そういうこれまでの日本のビジネスモデルを見直すのだという戦略が、どこにも伝わってこないんです。ところどころに内需の牽引力を強めるということは書いてありますが、それが基本戦略になっていないということです。前任の甘利大臣とこの委員会で質疑をしたときも同様の感じがしました。

 経済産業省は、基本的に、外需が本命という発想なのではないかなというふうに思います。日本はこれからも少子高齢化がどんどん進みますし、内需といってもたかが知れている、こんな認識が実はあるんじゃないかな。

 私は、その外需も大事ですが、これまで依存し過ぎてきた、だから今後、内需と外需のバランスを変えようという立場ですが、大臣の本音を聞かせていただきたいと思います。

二階国務大臣 内需も外需もバランスよく、あらゆる業界の皆さんに奮起していただくことが大事であります。

 例えば、中小企業の皆さんにもこの前お願いしたことは、中小企業の皆さんが苦しい立場にあることは十分承知をしておりますが、それでも、中小企業の中で元気のある企業は一人でも多く新しい採用をお願いできないかということを御相談申し上げましたところ、千社の皆さんに御参加いただくことを目標にしておりましたが、ふたをあけてみますと、千四百社の皆さんが御参加をいただきました。

 県に伺ってみますと、県の方からは、さらに多くの皆さんが御参加をいただける。きのうも三重県知事が参りましたが、ある程度、国が求めていただいた三重県の中小企業に対して、我々県がもっときめ細かく地域の皆さんに訴えて、雇用をふやしていこうということをやる。

 そうしたわけで、中小企業の分野においても、やってみればやってみるだけのそういう成果があるわけですから、我々は、外需の面も内需の面も十分考えて対応したいと思いますが、内需に今後力を入れていくということは、仰せのとおり当然のことであると思っております。

太田(和)委員 民主党の経済対策は、政府のものと根本的に発想が違います。基本的に、一年や二年の時限措置ではありませんし、年金、医療など社会保障をしっかり再構築し、まず将来不安を解消する。お金を消費に回せる環境をつくる。そして、子ども手当、農業の所得補償、ガソリン税の暫定税率の廃止、高速道路の無料化、これら家計を豊かにする政策を恒久措置として実施します。民主党の試算では、子ども手当、暫定税率の廃止、高速道路の無料化だけでもGDP押し上げ効果は一・九%と、政府の二倍近くになります。それを行った上で、さらに、今現在取りまとめ中でございますが、環境、安全分野を中心に追加対策をやるべきだと主張しております。

 政府の政策ですと、一次補正、二次補正、本予算、不発したからもう一回補正と、こんなのでは、本当に先進国の中から一番に脱出することができるのでしょうか。一番最後に脱出することになってしまうというふうに思っております。

 先日、日経新聞の論説委員長がおもしろい記事を書いておりました。「どの首相も成長戦略を作りたがる。その首相が頻繁に代わるので、いくつも戦略ができる。その上、どれも網羅的で、経済産業省の新経済成長戦略などはA5判で三百五十ページもある。」「各省の案を集めて成長戦略を作るので「実態は各省の予算獲得のための大義名分集」と、ある官僚は明かす。」というふうに書いてあります。これでは、不況脱出も本当に危ぶまれます。こうなるのは、官庁主導だからです。二階大臣には、政治のリーダーシップを発揮していただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 次の選挙で、各党が成長戦略をマニフェストとして掲げて、そして国民に選択をしていただく、その日が一日も早く来ることが不況脱出のかぎを握っていると私は思っております。

 最後になりますが、春闘が山場を迎えております。経済産業省の北畑前次官がある雑誌で、労働組合の賃上げ要求に対して、「正しいことだ」というふうに述べておられました。以下、読み上げさせていただきたいと思いますが、「輸出産業や赤字企業は難しいでしょうが、内需型産業や黒字企業には、よく考えてもらいたい。企業の財務内容は以前と比べて格段に良くなっています。輸出が激減しているわけですから、国内消費を拡大して内需を喚起しないと景気が回復しません。」このように述べられております。

 このことに対する大臣のお考え、そして企業へのメッセージをお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 北畑前次官は大変優秀な官僚でございましたが、雑誌にそういう意見を発表されたことは私どもも承知をいたしております。

 しかし、今の程度の御意見は、私はもう昨年の九月のころに経済界の皆さんにお訴えをして、ぜひこの賃金についてお考え願いたいということを申し上げてまいりましたが、それから以後の経済情勢は、私が今ここで改めて申し述べるまでもなく、とても賃金の問題を御相談するような場面ではなくて、人減らしをしないでください、社員の皆さんの雇用を続けてくれること、こちらがそれを頼まなきゃいけないような情勢になっておったことは事実であります。

 そこで、今後において、私たちが今、中小企業の皆さんに人雇いということをずっとお願いして回っているのは、大企業の皆さんもこのことをやはり感じてくださいよということを我々は訴えておるわけでありますから、そういう面が今は一番大事だというふうに思っております。

 賃上げ問題については、それぞれの企業の現状における経済力、財政力、またその企業の将来性等で経営者が御判断いただくことでありますが、我々としては、できるだけ給料が上がるように、生活が豊かになるように、消費が健全な形で回復するようにということを願っております。その希望をこの場でお伝えして、答弁にかえます。

太田(和)委員 ありがとうございました。

 黒字企業もあるわけですから、経済産業大臣として、そういった会社には、ぜひとも、賃上げに対して、内需拡大をしていく、頑張っていただきたいということを大臣からもメッセージとして残していただきたいというふうに思っております。

 時間もなくなりましたので、私が申し上げたいことは、いつも言っているとおり、外需と内需のバランス、これをしっかりと示していただくことが必要だというふうに思っておりますので、これからも内需主導型の経済構造に持っていくためにともに歩み寄ってやれるところはやっていきたい、そのように思っております。

 ありがとうございました。

岸田委員長代理 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎です。

 何かきょうは分科会みたいな感じで、いろいろなダブルヘッダーの部分はあるかもしれませんが、きちっと委員は参加をして議論に参画をするようにということを、ぜひ委員長からもそれぞれの党に注意喚起のお願いを私は冒頭申し上げたいと思います。

 大臣、先ほど来お話がありますけれども、私は、実は大臣の所信表明、危機感というものがある意味ではあらわれながら御発言をいただいているというふうに思っています。ただし、それ以降この数日間でも、報道では三角黒印が非常に多くて、何か非常にめいってしまうような記事がたくさんあります。

 それは、ある意味では現在の経済の実態ということの裏返しでもありますけれども、この数日間でも、世界の工場稼働、六割から七割とか、倒産が六年ぶりに二月で一千三百件を超す、二月だけで負債総額が一兆二千億円を超すというふうなこと、さらには、〇八年度の累計で、先ほども大臣は雇用ということをかなり強調されておりましたが、倒産ということだけで瞬時に職を失った方が十五万六千人を超えているというふうなことで、これは本当に、まさに危機的だというふうに言ってももちろん過言ではないと思います。

 ただし、私は、百年に一度かどうかというのは、これはいろいろな御議論があると思うんです。先ほど太田議員も経済成長戦略、あれは私も一番初めの部分と改訂版というものでいろいろな部分を見せていただいていますが、まさにああいう形で本来は日本の産業構造が変化をしていったら今ほどでもなかったのかなというふうに思う一方で、所信の中でも大臣が触れられたように、金融がどこか、血液が詰まってしまっているところがある。その詰まりを、昨年、当時の中川財務・金融担当大臣とともに、いろいろな部分で金融関係の方々に直接大臣から要望もしていただいています。

 大臣、私も花粉症でありますけれども、まだ動脈硬化とか糖尿病になっていません。今の実態がどういうものだというものをきちっとした数字でそれぞれの産業分野で把握をし、そしてそれに基づいて、戦略性を持った、私は定額給付金というのは今でも正しい税の執行だというふうに思っておりませんけれども、そこにどういう処方せんを描くかということが、やはり私は、すべて大臣がやれとは言いませんけれども、政府の中でもそれぞれの省庁でまだばらばら感がある。

 それで、中小企業の方がもちろんメーンなんですが、私は、最近この数カ月間思うのは、中小企業だけの育成というのはなかなか現実は難しくて、やはり、大企業がそれぞれ協力関係を結んでいる、ピラミッドかどうかは別としても、大企業が引っ張ってもらって、そこでの部品供給であるとかすそ野の部分といういろいろな部分を底上げしていくという形でないと、やはり現実難しいのかなというふうに実は思っています。

 去年かおととしも、サービス産業で生産性の向上ということで新しい指針を設けるといっても、ここまで景気が悪くなって、先ほど大臣も、賃上げどころじゃないよ、雇用を守るのに精いっぱいなんだよということであれば、そこの部分をやはり大胆に見直しをしていかないと私はだめだと思うんです。

 そういう意味で、大臣に、今の経済の現状等、それは所管の部分だけでも結構ですけれども、それをどう分析し、どのような戦略性を持ってそれを再生させるのかという御見解を冒頭お伺いしたいと思います。

二階国務大臣 世界的な金融危機とそれによる世界経済の減速の中で我が国の景気は急速な悪化が続いておること、先ほどからお述べになったとおりであります。

 黒三角の印が続いておるということを言われますが、全くそのとおりであります。具体的には、輸出が減少し、急速な生産調整に伴い、非正規労働者の雇いどめ等が生ずるなど、雇用・所得環境の悪化、家計消費も減少、こういう状況が続いておるわけでありますが、先行きにつきましても、当面厳しい状況が続くと考えなければならないわけであります。

 世界景気の下振れ懸念、株式・為替市場の変動の影響など、我が国の景気をさらに下押しするリスクが存在することに我々は留意しておく必要があります。

 このため、経済産業省としては、先ほど来再々申し述べておりますように、まず、当面の雇用対策、年度末に向けた資金対策に万全を期することは当然でありますが、来年度当初予算の早期成立と執行を図ってまいりたい。私は、予算の成立ということは極めて大事なことでありますが、成立しただけではなくて、直ちにそれが執行できる体制、効果をあらわすような体制を整備しておきたいというふうに考えております。

 そして、低炭素革命、健康長寿及び底力発揮の三つの柱を中心として、分野別の市場規模や雇用吸収力を示すいわゆる新たな成長シナリオを策定する、そのことをこれから急ぎたいと思っております。その実行を通じて経済を回復軌道に乗せるべく全力を尽くしたいと思っております。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

後藤(斎)委員 大臣のおっしゃっていることはぜひ実現してもらいたいと思うんですが、その際に、先ほどもお話をしたように、それぞれの業種別、地域別にやはりきめ細やかな対策というものをきちっとつくっていくことが大切だと思うんです。

 別に我が国は社会主義ではありませんけれども、やはり大臣が所信でお述べになられているように、すべてを総動員してということを大臣は繰り返しおっしゃっていますけれども、本当にそうまでなっているのかなというのは、また後ほどお話をいたします。

 一方で、大臣も金融について、中小企業の雇用確保、そして血液の金融円滑化を中心に政府一体となって全力で取り組むというふうな話があります。きょうは金融庁にもおいで願っていますが、その前に、やはり先ほどもお話ししたように、金融担当大臣とも力を合わせて、いろいろな要請はしていただいているものの、先ほどもほかの議員からもお話があったように、実際、やはり中小企業に対しては、貸しはがしか貸し渋りかは別としても、必要な企業に十二分な資金提供がされていないというのが現実だと思います。

 日銀とかいろいろな金融機関の研究機関の分析でも、貸出資産は実際、中小企業向けのものは減っているという現実の中で、確かに金融庁がいろいろ中小企業検査マニュアルに沿ったり、貸しやすくはなっているものの、やはり、健全な企業には当然貸したいけれども、本当にこの辺はちょっと大丈夫かなというところに十二分に行っていないというのも事実だと思うんですね。

 私は、調査分析ということでは、ある意味では経産省さんもやられていますし、金融庁さんもやられていますけれども、調査室が、これは年に一遍だったと思いますけれども、中小企業金融に関する実態調査、これも去年の十一月の下旬にやったものなんですね。ただし、一万社の企業回答ということで結構あれなんですが、やはり中小企業の思いどおりの資金繰りというものができていないというものであります。

 本当はこういうものも含めてもっと頻繁に、やはり実態がどうなっているかというのがわからない限りは対策が打てないということを、繰り返しになりますけれども、なっていないんですね。その点について、やはり今の金融情勢、特に中小企業向けということではどのような御認識をお持ちなのか、教えていただきたいと思います。

松村大臣政務官 先生の御質問にお答えさせていただきます。

 私ども、かつてない厳しい経済環境下で中小企業の売り上げ等が減少いたしまして、倒産が増大しているものと認識をしておりますし、つなぎの運転資金の資金繰りに対しての対策に全力で取り組んでおるところでもございます。

 具体的には、先生御承知のとおり、三十兆円規模に拡大をいたしました保証・貸付枠を十二分に活用するために、七百六十業種の拡大をいたしまして緊急保証の対策をやらせていただいております。また、セーフティーネット貸し付けの運用についても、先ほど申し上げましたとおり、一兆円規模で推進をしているところでございます。あわせて、私ども経産省と日本政策金融公庫、信用保証協会、関係団体等が一体となって、現在全力で取り組んでおります。

 また、先ほど申し上げましたが、在庫や売り掛け債権、手形を担保とした貸し付けや保証の推進、また劣後ローン貸し付けを拡大しまして、再建支援の強化等に取り組んでおるところでございます。

 これは制度的な問題でございますが、また二階大臣に先頭に立っていただきまして、信用保証協会等の方々にお集まりをいただきまして、何より借り手の皆様方に親切で、丁寧で、相手の立場に立って御相談に乗ってくださいという企業家の方々のマインドを刺激するようなお願いもしてございます。今後引き続き全力で取り組んでまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 今政務官からそういうお話をいただいたのですが、大臣、今銀行法で金融機関の営業時間が決まっています。基本的には九時から三時ということで、これは昭和二年、今から七十九年前のちょうど昭和金融恐慌のときにできた法律であります。

 幾つか時代によって銀行法の改正はしているものの、この営業時間が変わっていないわけですね。今政務官がおっしゃったように、本当にお客様の立場、中小企業の経営者の皆さんの立場というお話をしていただきましたけれども、やはり基本的には三時に行ってもおしまいなわけです。銀行法を何年か前に改正されて、土曜日が休みになってしまったわけです。

 ですから、本当は、今のような経済金融情勢ということであれば、これは所管外なので、金融庁がきょう来ておられるから金融庁にお尋ねをまずしたいんですけれども、いやそこは弾力化をきちっとするという強いメッセージを発しないと、やはり三時で終わりだというよりも、三時から、あしたの手形が落ちないから駆け込んで相談したいこともあるわけじゃないですか。実態が私はそうなっていないと思っているんです。

 だから、金融機関は金融機関で自分の銀行や金庫を守りたいという気持ちがあるのは当然だと思うんです。ただし、そうではないから、政府保証の枠をふやしたり、セーフティーネットのということをこの数カ月間繰り返しやってきたわけですよね。ですから、銀行の営業時間について、私はもっと弾力的に、要するに四時、五時までちゃんとやる、普通の会社と同じような形でやるということはできないんでしょうか。

二階国務大臣 後で担当者からお答えをいただきますが、金融庁も随分協力をしてくれました。中小企業関係挙げてこの問題に真剣に取り組もう、もちろん、各地の信用保証協会等の皆さんも協力的であります。

 したがって、御相談、電話相談等は随分遅くまで延長してやってくれております。かなり弾力的な対応ができておりますが、銀行法に抵触しない範囲においてどう対応するかというのはこれからでありますが、そこは与謝野大臣とも十分これからも調整したいと思っております。

 今現状、どういうふうになっているかというのは担当者から詳しく申し上げます。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が御案内のとおり、確かに銀行法に休日及び営業時間についての規定はございますが、ただ、これの現在の位置づけといたしましては、あくまで銀行の決済機能を中心とした機能を一定時間は必ず維持をするというための最低限の休日及び営業時間を定めたものという位置づけにしておりまして、営業時間を延長することは、これは金融機関の判断で自由にできるということになっております。

 その上で、この規定の運用に当たりましても、私どもとしましては、特にこの年度末の金融情勢の厳しい中では、できる限り各金融機関におきまして、お客様のニーズに合わせて窓口をあけたり、あるいは窓口を一律にあけることは必ずしも適当でない場合であっても、休日のフリーダイヤルなどによる相談、あるいは担当者による対応なども含めて、これまでもそういった御要望があることを周知してきておるところでございまして、今後とも努力をさせていただきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、実際できるそうなんですよ。私も確認をしてあるんですが、ただ、電話で相談するのと、直接会って、こういう部分でやっているけれども、あしたの手形が、資金繰りがという、やはり会って話をするというのが基本ですよね。こうなっているからどうだ、では一千万貸してくれるのか、はい、なんという銀行が、大臣、あるわけないじゃないですか。

 そうじゃなくて、困っているから、それをどういうふうに、いろいろな制度のメニューを示しながら、今までの返済の状況を見ながら、ここまでかなというのをぎりぎり、やはり利用をされる経営者の方々、銀行の担当者の方ということでやっていかないといけない。だから、私はフリーダイヤルはわかっていますけれども、そうじゃなくて、やはり強い意思を持って、年度末といったらあと二週間しかないわけですよ。ここを乗り切るかどうかというのがまず二回目の大きいハードルなわけですよね、大臣。年末、年度末と。

 だから、私は、与謝野大臣ともぜひ御相談をしていただいて、柔軟というか、あけるという意思を、強い意思をやはり金融機関にメッセージを出していただかないと前に進まない。もうこの答弁は、いろいろな部分で何度も金融庁から、いやいや、金融機関の勝手でできますよ、最低限のルールですよと言ってもそうではないので、私は大臣と与謝野大臣にリーダーシップをとってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

二階国務大臣 けさの閣議で、与謝野大臣は海外出張ということですが、まだおられるか出張されているか、出張されておっても今は国際電話で連絡がつくわけですから、今後の対応、まさに大変大事な山場であります年度末を迎えるわけでありますから、十分な対応ができるようにいたしたい。

 そして、私ども、今、中小企業庁が主催して、地方の代表者の皆さんやいろいろな方々をお招きした際に、私はその都度金融庁にお願いして、金融監督局長に同席していただいているんです。よく地方の皆さんの声を聞いておると、信用保証協会は貸してやろうといって判こを押してくれたけれども、金融庁の方から難しいことを言われるから銀行が貸してくれないというような話は今まで正直しばしばあったわけですが、今そういうことのないように、いろいろな場に我々は金融庁とともに、きょうのようにこうして出席して、同一の見解を持って対応してきておるわけであります。今委員からの御指摘の件については、できるだけ早く与謝野大臣と調整をして期待にこたえるようにしたいというふうに思っています。

後藤(斎)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 大臣、私、なぜこんなことを言っているかというと、やはりあと二週間というものをどう乗り切るかということと、さらに、今まで金融機関というのは、ある意味では、大臣がさっきお話ししたように、貸してやるという姿勢が僕はあったと思うんです。景気がいいときには、借りてくれ借りてくれ、悪くなると、おい、戻せ戻せ、この繰り返し。

 ある意味では民間企業だからやむを得ないかもしれませんけれども、やはりこの際、銀行法というものが、金融恐慌というときに、いろいろな民間企業がばたばたつぶれ、秩序を持った形で法体系を仕組んだと私は理解をしていますけれども、八十年ぶりの、ぶりと言うとおかしいけれども、本当に戦後の最悪の状況になっているわけですから、そこはぜひ積極的に対応をお願いしたいと思います。

 また金融庁に後でお尋ねをしますが、大臣、もう一点は、私はできることをすべてやるという中に、これは経産省直接の所管で、私が生まれるちょっと前から、昭和三十一年度から国の制度として高度化事業というものが仕組まれました。昭和二十二年には、戦後すぐですけれども、当時は補助金で高度化事業の中小企業者をサポートした仕組みから、昭和三十一年に融資という仕組みに切りかえをしながら対応をしてきました。この高度化事業も、右肩上がりでいいときにはうまく回っていたと思うんです。ただし、大臣も多分地元で、高度化事業の適用を受けている団地の中の一社が、例えば倒産とかして事業撤退をした場合、もともと連帯保証というのがこの事業、低利融資を受ける一つの前提でありますから、やはりほかの事業者が全部かぶるというふうなことであります。

 ただし、平成十六年に少しそういう指摘も踏まえて見直しはされているものの、十九年までの資料しかいただいておらないんですが、これまで二百五十一件が条件変更して、例えば債務の繰り延べをしたりということをやられておりますけれども、依然、貸付残高と先数というのは、千七百四十五というたくさんの方々で、なおかつ六千五百億を超える金額が残として残っています。

 今までこの十六年の部分で対応してきたものの、例えば十六年の改正の中で、限度額連帯保証制度ということで、債務をどこか倒産した企業から全員が受け取るんじゃなくて、一人当たりの債務の限度額というのを、枠を設定する仕組みが導入されました。ただ、それを途中変更するのに、県が定める方法で担保の資産評価を行って、担保の資産評価が債権額を上回っている場合とするという項があって、大臣御案内のとおり、土地も建物もやはりどんどん評価が減っているわけですよね。ですから、ほかの担保の仕組みをつくっていこうというのも議論をし、そう実際やられていますけれども、そういう中では、実際、例えばこの限度額連帯保証制度にかえたくてもかえられないという企業体がたくさんあるようであります。

 ですから、私はこういうものも含めて、改正をしてきたことは評価をするものの、今本当に厳しい中で、こういう六千五百億残が、貸付残高がある高度化事業について、やはりもっと見直しの方向性、そして負担を軽減する仕組みというものをきちっと経産省として考えていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 高度化融資、よく御案内の仕組みでございますけれども、昨今のこういう景気、経済の情勢によりまして、御利用いただいている皆さんのいわゆる償還猶予件数というのも足元で確かに急速にふえているというのは事実でございます。

 この高度化融資、そういう沿革も御発言されましたけれども、これは普通の金融とはちょっと違いまして、中小企業の皆さんがチームワークをよくし、組合の形態をとって、それで国の資金と地元の都道府県の資金をまぜまして、そして、経営指導という言葉がいいかわかりませんけれども、中小企業の専門家と都道府県の専門家があわせて経営指導をし、成功に導こう、こういう試みだったわけでございます。したがいまして、長期の低利の資金を供給し、同時にチームワークということで責任も連帯していただく、こういうことが基本でございます。

 昨今のような厳しい情勢がございますので、今委員が御指摘になられましたような御負担の改善をする、特に連帯債務というのは大変法律上も重い制度でございますので、連帯債務を負っているということ自体で元気をなくすというケースがあるというのは、これは事実だと思います。

 そういうことで、改善を図るべく私どももいたしておるわけでございますけれども、一方で、これは財政資金であり、また都道府県の資金でございますので、これは本件に限らず、公的資金の負担を減免するということにつきましては、財政法の精神もございますし、また地方自治法の規定もございます。そういう中で、どういうところに接点を見出したらいいかということでございますけれども、何とか経営指導のよろしきを得、そして当事者の負担を過度な形で課さないということで事業を運営したいと思っております。

 私も、自治体に出向しておりましたときに、東京都の案件で、当時百六十億の債務を抱えておる組合がございました。そのときに、その敷地、資産をフルに活用するということで、所在しております区の区長にお願いをいたしまして、容積率あるいは建ぺい率、こういったような規制の緩和をしていただきまして、その敷地をフルに生かして、駐車料金等々で現金の収入を増額いたしまして、毎期の金利の実質上の負担をゼロにして元本を減らし、当初百六十七億円あった案件が現在では約百億円減っている、すなわち六十数億円まで減っている、こういう案件もございます。

 したがいまして、大事なことは、各組合の特色、組合員の皆さんの置かれた状況、そして各地の状況、それから自治体のお考え、こういうことを踏まえて、単にお金を貸したから返してくれ、連帯債務を負っているから負担を追求するということではなくて、いかにこの事業を生かすかということで考えていく。

 実際、私ども、この連帯債務をいただいておりますけれども、これは、担保のための担保ではございませんので、すぐに強制執行するということを考えておるわけではございませんで、だからといって、担保はあくまでも担保でありますけれども、事実だけを申し上げますと、中小企業基盤機構、今の独立行政法人になりましてから、いただいております担保を強制執行する、まあ、民事再生法等となったものは別といたしまして、強制執行をかけた案件というのは今のところございません。

後藤(斎)委員 長官が自治体に出向されたときの時代背景が今と同一かどうかというと、まあ、地域性もあるかもしれませんが。

 長官、例えば、私、限度額連帯保証というのは非常にいい仕組みだなと。要するに、頑張っているものは生かしながら、撤退した方の追加の部分、負担を背負わなくて済みますから。

 ただ、新規で、十六年から十九年でも、新規貸し付けのときのものは六先ですよね、長官。だから、やはりまだ非常に導入が少ないということと、例えば、不幸にしてその団地、組合自体が全員だめになってしまったということが多分償還免除ということだと思いますけれども、これも、平成十六年から二十年の実績を見させていただきますと、トータルでやはり九十六億を超してしまう。これはもう返ってこないということですよね、免除するわけですから。

 ですから、融資なのか補助金なのかという議論はいろいろありますけれども、やはり、私は、この限度額連帯保証というのが、例えば適用しやすくするであるとか、今、変な話、撤退した企業の後に新たに入るというのは、先ほど大臣言ったように、年間、万というオーダーで倒産をしている中でどんどん入るような経済環境に当然ない。そこを踏まえて、運用も含めて、もっと今の状況に合った形でこの高度化事業というものが仕組めないかということを私はお尋ねをし、ぜひそういうふうにしていただきたいという要望も含めてしているんです。

 ですから、大臣、ぜひ、長官が言うことは多分わかっているから、長官からよくお聞きをいただいて、多分大臣の御地元でも、この高度化事業のもので、いやいや、製造業をやったらほかのものが、多分小売店が売れないとか、何とかしろとか、いろいろあると思うんですね。それを一つ一つ、ではもっと自治体が、主体性を持ってやるような形に今はなっていますけれども、もっと、では権限移譲してみるとか、機構というものを別にして。いろいろな仕組みの組み立てというのはあるはずで、先ほどの銀行の営業時間ではありませんけれども、やはりこれも、制度の運用として必ずできることですから、みすみす、限度額の連帯保証という形で適用できなかったら、追加の債務で、健全な企業でもやはり追加の債務をしょえば、三十キロのリュックサックはしょえるけれども、五十キロじゃ腰がすくんじゃうのと同じだと思うんです。

 ですから、そうならないようなものを、今大臣が御決意をし、長官に指示をし、機構とも相談をすれば、僕はその仕組みはできると思いますから、ぜひ大臣も、その点についても英断をもって御判断をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

二階国務大臣 私どもの方では、いわゆる経済産業省の出先の経済産業局の局長にしょっちゅうお集まりを願って、地域の状況等をいつも報告させております。

 そこで、今、大変有意義な御意見をちょうだいしたわけでありますから、高度化事業の問題について、地方自治体を預かる総務省とも御相談したり、いろいろな方面とも御相談して、今後、どう改善することができるか、早速検討してみたいと思っております。

後藤(斎)委員 何か時間がだんだんなくなってきましたが、私、せんだっての大臣所信の際に、公害等調整委員会の委員長から御発言をいただいて、鉱業等に関する土地利用ということがメーンでありましたけれども、何か二件しか、年間お仕事されていないのかなというふうに思ったら、公害の方で二十件くらいお仕事はされているようであります。

 私は、この公害等調整委員会の役割というのは、確かに、中立性、公平性という観点で独立したこういう委員会が必要な部分はあるかもしれません。いろいろな御努力はされているようでありますけれども、今この状況の中で何が必要かということを、調整、紛争処理ということも職務の内容として当然でありますけれども、やはり私はもっと発信をきちっとしていただきたいなという思いがあります。

 この公害等調整委員会、このままの組織のあり方でいいのかなという思いを強くしておるんですが、委員会としてはどのようにお考えですか。端的で結構ですから、教えてください。

香川政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま委員御指摘ございましたが、先日、本委員会におきまして、私どもの委員長が御報告いたしました土地利用調整、それとともに、私どもにおきましては、これは委員も御案内のとおりでございますけれども、公害紛争処理制度につきましても事務を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、この土地利用調整、それから公害紛争処理制度、ともにおきまして、やはり委員御指摘のとおり、いろいろな御要望等は出ているところでございます。必ずしも国民には十分認識されていない、周知されていないという点等々もあるわけでございますし、また、委員御指摘のございましたように、社会情勢等の変化に伴いまして公害の態様も変わっておりますし、また、国民の公害紛争処理に対するニーズも変化しているわけでございますので、私ども、これを受けまして、国民に身近で効率的な公害紛争処理制度づくりに向けた取り組みなどを現在行っているところでございます。

 具体的に申し上げますと、地方在住の申請者、これは東京に出てくるのは大変不自由でございますので、こういった地方在住の申請者の利便性の向上と、また経済的にもそういった負担の軽減を図るために、私どもの方から現地に出向いて当事者双方から意見を聴取するなど、現地における期日の開催を積極的に進めるといったこと、さらには、公害紛争の迅速かつ適正な解決に資するために、私どもで、国費を使いまして加害行為と被害発生との因果関係の解明を行うといった調査を行っております。こういった事件調査の充実等を図っているところでございます。

 こういったことを踏まえまして、平成二十一年度の予算案におきまして、現地において期日を開催する経費を新規に要求いたしまして、認められているところでございますし、また、事件調査費の拡充も大幅に図っております。二・六倍という大幅な拡充も図っているところでございまして、いずれにいたしましても、国民のニーズに柔軟に対応いたしまして、利用しやすい制度となりますよう、今後とも努めてまいりたいと考えているところでございます。

後藤(斎)委員 ぜひ、不断な見直し等、将来に向けての戦略性ある委員会づくりに努めていただければというふうに思います。

 大臣、時間が余りなくなってきたんですが、私は、これからの日本の産業構造というのは、輸出依存になり過ぎていたという部分は当然あるんですが、やはり、大臣が所信でも述べられているように、アジア、東アジアも含めたこれからの成長センターというところにどう向き合うかというのが非常に大きな課題だというふうに思っています。当然、人口が減少していくという我が国の状況を考えれば、すぐに、では一億二千万が一億五千万になっていくということはあり得ませんし、本当に人口減少をどう防ぎとめるかということだと思うんです。

 少なくとも私たちは衣食住足りて、テレビも、私は液晶テレビを持っていません、これから買いかえますので、買いかえ需要がありますけれども、ブラウン管テレビですけれども、やはりそういう部分は、耐久消費財も含めてかなりの部分があるわけですね。そうではないアジアの国というのは、中産階級が成長し、そこでの、日本の電機も自動車も、やはりブランド力、品質がいい、安全性が高い、低公害だ、いろいろな部分があると思います。ですから、多分、そこのバランスをどうとるかということだと思うんです。

 あわせて、中国やインドは、経済が悪いといっても、プラス一〇とか七でも悪い悪いと言っているんです。報道も何か変な書き方をする。白三角であれば、そういうふうにきちっと書けばいいと思うんですけれども、何かみんな悪い悪い、悪い悪いみたいな形になっちゃっているので、そうではない部分を、中国やインド、アジアというのはやはり白三角だと思うんですよね。それをどう我が国が、大臣がおっしゃっているERIAというふうな仕組みを通じ、連携を深めていくか。

 ただ、大臣、ERIAというのが本当に、例えば日本の自動車も電機も、今、すそ野も含めて多分二千万人くらいの雇用、就業人口を抱えていると思うんです。それをどう支えて、例えば雇用が守られた後、賃金も含めてよくしていくかといういろいろな部分があると思うんですが、それを大臣がお考えになっているERIAとどうリンクをさせていくか、この具体化というのが私は全然見えないんです。

 実は私、昔から、エネルギーと食料とレアメタルみたいなものは一つの域内で支え合う仕組みが必要だということを農林水産委員会でも言ってきたことがありまして、今、米の東アジア緊急米備蓄という構想が実はあって、なかなかこれも数百トン、援助輸出みたいな形で終わっちゃっているんですけれども、そういう仕組みをどうつくっていくかということがやはり大切だと思うんですね。

 ですから、私は、このERIAの問題も含めて、どう具体化をしていくのか。そして、その具体化の中でどう各国と連携をしていくのか。そのときに、我が国の内需と、そして内需を支える基本的な部分である人口や地域の力というものをどう出していくのかという総合設計というものが、やはりCTスキャンを全部撮って、どこかに患部があったら、それは治す。ただ、それが内科治療なのか外科治療なのかは別としても、私も五十になりましたから、これ以上身長はふえないんですね。大臣もそれ以上身長は多分ふえないと思いますけれども、そのときに、では、どういうふうにするかということだと思うんですよね。

 ですから、自分の限界というものの自覚をまずすることと、そして、では、そうじゃなかったらどう体力を増強するかというのは、何か総理は腹筋を毎日、腕立て伏せもやられているという記事がありましたけれども、そうなのかどうかは別としても、やはりそれを経済戦略としてどうするのかということで、私、このERIAの具体化というのが非常に大切だと思うんです。

 大臣、その点、自動車、電機も含めて、そういう国内のすそ野の広い産業分野の戦略的な展開ということも含めて、まとめてお答えをいただきたいと思います。

二階国務大臣 私は、このERIA、東アジア・アセアン経済研究センターというのは、OECDの東アジア版だということで、ASEANの閣僚会議等におきまして二年半ぐらい前に提案し、そのころは、今、後藤先生がおっしゃったように、何もかもやっていこうということでありますが、ERIAの設立そのものが、そう簡単でないほど難しい、日中関係、日韓関係等が当然横たわっておる、そういう状況の中でありました。

 しかし、私は、めげずに一カ国一カ国説得しまして、関係者の皆さんが、もうこれだけみんなが同意しているんだから、こういう方向でいきましょうということで、日本が今後百億円の基金を提供して、御一緒に研究していきましょうと。そして、OECDの東アジア版だということでありますから、当然OECDの事務総長やASEANの事務総長等にも立場を超えてERIAを支援してもらいたいというお願いをしまして、彼らの協力を得ることになって、今順調なスタートを切ったところであります。

 昨年の六月三日に正式にスタートしまして、九月以降、こういう経済情勢になったわけでありますから、このASEANの国々を中心とする、そして、いわゆる日中韓、さらに、今お話にありましたとおり、インド、オーストラリア、ニュージーランド等を加えて、三十一億人の民が存在します十一兆ドルの経済規模であります。

 私は、ここを中心に日本の今後の展開があろうと。日本だけが何かいいことがあるようなことを言うわけにもまいりませんから、そこは控えておりますが、やはり日本がこのERIAの中心国としてこれからやっていくということが大事でありますが、今インドネシアのジャカルタに本部を置いて対応しております。

 きょう、たまたまでございますが、参加国の中にいろいろな国々がありますが、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムという国の政府の高官が、ぜひ日本へ行って、ERIAの状況等をしっかり勉強したい、こういうことでございまして、これは、青年やあるいは若い人たちの研究もこれからERIAのプログラムに入ってくるわけですが、その際、閣僚の皆さんからも、我々や局長、実際にこのことを動かしている人たちが勉強しなきゃならぬということで、日本に来ているところでございます。

 ですから、後藤議員が今おっしゃったように、具体的な動きがなきゃだめだということでございますが、全くそのとおりでありまして、今後の具体的な活動ということに関しては、東アジアの中長期エネルギーの需給の見通しを立てる、そして、インフラの整備を通じた貿易・投資の促進や、いわゆるIT化によるアジアの知識経済化の推進等の政策課題に取り組む。

 そして、貧困のアジアの皆さんもまだいらっしゃいます、豊かな国もあります、そこを、お互いに協力し合って、アジアが一つになって発展できるような構想を考えていく。そこに日本がいかに奉仕するか、いかに尽くすかということが私は大事じゃないかと思っておりますが、今ようやく関係者の理解が得られつつあります。

 先般も、福田前総理にカンボジア訪問の際に、ERIAの本部にも立ち寄っていただいて、カンボジアの閣僚やいろいろな方々がお集まりになって、ERIAができたということに対して大変称賛の言葉を伺ってきたという御報告をいただきました。これからは、例えばアジアの学生たちがみんなでロボットコンクールをやろうということでありますが、私どもは、可能な限り、あらゆる方策に対して、聖域とか制限を設けずにどんどんと対応していきたいと思っております。

 当面、私が考えていることの一つに、OECDの事務総長、これは大変有力者でございますし、ASEANの事務総長、あるいは、日本から出ておりますが、ERIAの事務総長たちを中心にしまして、日本で今後のアジア政策についてのフォーラムを開催するなど、今考えているところであります。そして、日本から理事が一人出ておりますが、これは、前の経団連会長の奥田さんに理事として出ていただいております。

 ただいま、自動車の面で、あるいは家電の面等についての今後の発展とアジアとの関係についても言及がありましたが、私は、先ほども申し上げましたように、三十一億人の民が存在しているということは、これは大変重要なことであります。

 僕はさっきカンボジアと言いましたが、インドネシアでございまして、ごめんなさい。きょうは、カンボジアが来ておるものですから。

 そういう自動車あるいは家電製品にしましても、現に三十一億人の民がERIAの中に存在しておるということは、我々にとっては宝の山のようなものであります。

 こうした皆さんとどう接点を求めていくか、お互いに、貧困から脱出する、あるいはまた、経済の困難な状況に陥っている我が国など、あるいは、先進国といいますか、アジアの中では比較的先進国と言われる国々もみんな経済的に困難に遭遇しているわけですから、協力し合って脱出できる、そしてそれが、ERIAが幾分かでも役割を果たしたということになれば、去年の六月にできたものが九月以降の国際的な急変に何らかの対応ができたといえば、私はそれだけでも大変結構なことではないかと思っております。

後藤(斎)委員 時間が過ぎましたので、終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。

 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 早速質問に入らせていただきます。

 経済は、今本当に大変な状況です。企業の大小を問わず、業種を問わず、経営者からも働く人たちからも、地元を歩いておりましても悲鳴ばかりが聞こえてきます。これだけ急激な売り上げの落ち込みも、また大手製造業を中心に一斉に行われる下方修正というのは初めてのことではないでしょうか。そして、まさに三月の年度末を迎え、企業の資金繰りは、これも大小を問わず、正念場を迎えています。景気がこうして急速に悪化をする中で、中小・小規模企業はもとより、中堅・大企業の業況も大変厳しい状況になっています。資金調達環境は、中小企業も中堅・大企業も本当に厳しい状況です。

 そこで、まず、中小企業向け資金繰り対策、中堅・大企業向けの資金繰り対策について、どのような取り組みを進められているのか。この十日にも経済財政諮問会議が開かれ、資金繰り対策についても話し合われたと聞いています。新たな取り組みを含めて、経済産業省、金融庁にそれぞれ、今進められている企業の資金繰り対策の取り組みについて御説明をお願いします。

松村大臣政務官 お答え申し上げます。

 中小・小規模企業の資金繰り対策につきましては、年度末に向けまして大変厳しいものがあると理解をしております。

 このため、先ほどから再三申し上げておりますが、三十兆円規模の緊急保証、セーフティーネット貸し付けに全力で取り組んでおるところでもございます。

 また一方、中堅・大企業につきましても、大変厳しい資金繰りの状況であると理解しておりまして、政策投資銀行や商工中金を通じまして、一兆円規模の低利融資と二兆円規模のCP買い取りを行っておるところでございます。

 さらに、輸出や海外事業を行っております企業に対しましては、国際協力銀行の貸し付け等の拡充、日本貿易保険による新たな一兆円の支援枠措置など、国内の親会社や取引先の中小企業の雇用確保にもつながる支援も実施しておるところでございます。

 引き続き、十分な手当てがなされますよう、全力で取り組んでまいります。

居戸政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の景気が急速な悪化を続ける中で、中小企業のみならず、中堅・大企業においての資金繰りも大変厳しい状況となっておりまして、民間金融機関による適切かつ積極的な金融仲介機能の発揮が一層重要となっているというふうに私どもも認識をしております。

 金融庁といたしましては、これまでも経済産業省と連携をしつつ、民間金融機関が安心して資金供給できる環境をさらに整備する観点から、改正金融機能強化法の迅速な施行、銀行等の自己資本比率規制の一部弾力化、貸出条件緩和債権に該当しない場合の取り扱いの拡充等、さまざまな対策を講じてまいりました。

 また、金融機関に対し企業金融の円滑化に向けた要請を繰り返し行っておりまして、先日も、金融機関の代表者を集めまして、与謝野大臣それから二階大臣にもお越しをいただきまして、直接、年度末に向けた金融の円滑化を改めて要請したところでございます。

 さらに、今般、三月十日、企業金融等の円滑化に向けて、特別ヒアリング、集中検査の実施、緊急保証に係るリスクウエートをゼロとするなどを初めとする追加的な対策を講ずることとしたものでございます。

 企業に対する円滑な金融は金融機関の最も重要な役割の一つであると認識をしておりまして、今後とも、経済産業省としっかり連携をして取り組んでまいりたいと考えております。

三谷委員 金融庁の今の御説明もいただきました。金融円滑化のための新たな対応については、本当によく踏み出していただいたと思っています。

 思えば、去年の五月ぐらいからずっと当委員会にも金融庁の方に来ていただきまして、ほぼ質問のたびごとに監督局にも検査局にも随分苦言も申し上げましたし、またお願いもしてきました。貸しはがしや貸し渋りが行われていないかで集中検査をするというのは多分初めてのことでありましょうし、また事前にアナウンスをするだけでもその貸し出しを促していく効果はかなりあるんだというふうに思います。また、緊急保証に係るリスクウエートをゼロにしていただいたということも大変効果のあることであります。よく踏み出していただいたと大変評価をしています。

 せっかくきょうは来ていただきましたので、もう一問。

 金融機能強化法のお話が今もございました。これは、せっかく中小・小規模企業を助けるために地域金融機関が使い勝手がまたいいように改正をし再措置をされたのに、これを今使ってくれる金融機関がないんですね。検討している、手を挙げかけているところは幾つかあると聞いています。確かにモラルハザードに陥ってはいけませんが、もう少し使い勝手がいいように、使いやすくすることはできないものだろうか。どのようにお考えになっているか、審議官、お答えをお願いします。

居戸政府参考人 金融機能強化法は、昨年末に法律を通していただきました後、先ほど申し上げましたように、できるだけ早く施行して、三行が手を挙げてまいりまして、きょう三行について決定をしたところでございます。

 今先生御指摘のように、さらにといいますか、法律の枠内で、運用上できるだけ使い勝手がいいように、あるいは法律の趣旨に沿った使われ方ができるように、先ほど申し上げました三月十日の追加対策の中で次のようなことを決めて、発表させていただいております。

 一つが、公的資本の商品性について、金融仲介機能を平時に復するという制度の趣旨を踏まえて、配当利回り等は、現在の金融環境のもとではなく、平時の水準に設定をすること、もう一つは、経営強化計画の業務粗利益経費率、OHRについては、計画終期の実績が計画始期の水準を上回った場合であっても、機械的に監督上の措置を講じることはない旨を監督指針に明記する、こういう二つの運用上の改善といいますか決定をして、さらに金融機関に対して積極的に検討を促してまいりたいというふうに思います。

 さらに、あわせて、将来に備えて、いざというときには優先株式が政府に向けて発行できるように、定款の変更の検討についても要請をしてまいりたいというふうに考えております。

三谷委員 ありがとうございました。

 次の質問に移ります。

 三月の十日、参議院の予算委員会で、自民党の西田さんの質疑におきまして、与謝野財務・金融・経済財政担当大臣が、いわゆる小泉構造改革路線、小さな政府を推し進めてきたその路線のことについて、方向転換をもっと明確にした方がいいんじゃないか、こういう趣旨の西田さんの問いに対しまして、これは与謝野大臣のお答えであります。

 あの当時は世界が順調に成長していくという前提の経済学、こういうふうに世界が同時に不況になるということを全く想定していない経済学であったわけです。それが証拠に、国民金融公庫とか中小企業金融公庫とか商工中金とか日本政策投資銀行とか農林漁業金融公庫とか、こういうものを結局民営化しようと。辛うじて危機対応業務というのは残っていますけれども、やっぱりそういう政策金融機関も不要だと。これは、不況の深刻なものは来ないと、まして今回来たような不況というものは来ないということを前提にした制度論であり経済学であって、これは間違いであったと私は思っております。

こう答弁をされました。

 まず一つ、二階経済産業大臣にお伺いをします。

 内需の拡大だと強調され始めたのは、金融危機が来て、世界同時不況となって以降の話なんです。それまでは、小さな政府がよい、生産性の向上だ、アウトソーシングだ、市場が何より優先だ、とにかく民営化だ、完全民営化だ、このように続けられてきたいわゆる小泉・竹中構造改革路線について、二階大臣は今どのようにお考えなのでしょうか。肯定してこれから施策の面でもお続けになられる、進まれるつもりであるか、それとも路線転換を明確にした方がいい、そういうお考えなんでしょうか、御所見を伺いたい。

二階国務大臣 私も、実は小泉内閣の一員であった時代もあります。したがいまして、小泉構造改革がどういうものであったかという総括をすることに対しては、自分も参加しておりましたから、やはり慎重でありたいと思っております。

 しかし、今先生もお述べになりましたように、商工中金の民営化等について、いざというときに対応することのできるような金融機関でなくてはならないということで、ここは若干内閣の考え方とは異なっておったかもわかりませんが、私は職を賭してその考えを貫くつもりでありました。

 今日こういう事態になって、民営化は民営化でありますが、危機対応業務というものを残しておいたことは、今になってみれば、こんなに早くこうしたことを活用しなければいけないようなことになろうとは思っておりませんでしたが、いつの日か、漠然と、いざという日が来たときの対応だけはしておかなきゃいけない、中小企業の経営者の皆さんがいつでも安心することのできるよりどころをつくっておかなきゃいけない、そういう考え方から、私は、この問題については一歩も引かない考えで、総理を初め関係者の御理解を得るべく努力をしてまいりました。

 そこで、構造改革に対して、ひずみを引き起こした面は確かにあると思います。地方を回っておりましても、地方経済の疲弊というものは目を覆うばかりのものがあることは事実であります。それは、小泉構造改革だけが原因ではなくて、時代の流れも当然あるわけであります。しかし、ここで小泉総理が提唱したことによって、不良債権処理を初めバブル崩壊後の長い低迷から我が国経済が脱却するという面で一定の大きな役割を果たしてこられた、私はそう評価をしております。

 したがって、今、与謝野大臣が申されたことは与謝野大臣のお考えであろうと思いますが、我々はお互いに内閣の一員でありますから、よく意見を調整しながら現下の状況に対応してまいりたい、このように思っております。

三谷委員 次の質問の答えも少し言っていただいたのですが、もう一回きちんとお尋ねをさせていただきます。

 今紹介をしましたこの与謝野大臣の答弁の中で、与謝野大臣はまさに、日本政策投資銀行や商工中金の民営化などこれまでの政策金融改革について、これは間違いであったともとれる発言をしています。先ほど読み上げたとおりであります。わざわざ引き合いに出して間違っていたということを言われています。

 実は私も全く与謝野大臣と同じ考えでありまして、今、少しお話の中でも商工中金のことを触れられましたけれども、日本政策投資銀行やあるいは商工中金の完全民営化など今も進んでいるわけですね、今移行期ですから。そして、進められてきたほかも全部ひっくるめた政策金融改革について、もう一回聞かせていただきます。

 これはいい改革だったというふうに思っておられるのか、それともこれはやはり間違っていたというふうにお考えになられているのか、それをお尋ねしたい。お願いします。

高市副大臣 日本政策投資銀行法それから商工組合中央金庫法におきまして、昨年十月からおおむね五年後から七年後を目途として完全民営化を目指すと規定されています。

 これがいいか悪いかということなんですが、私は、民間でできることは民間でやるべきだと思います。民間でできないこと、民間で不十分なこと、また市場競争原理だけに任せてしまっては国民の安全、安心が確保できないこと、ここはしっかり公的に関与をすべきだと思います。つまり、平時は国が民業圧迫はなるだけ行わない、緊急時にはこの政策金融も含めて前面に出てくる、そういう形があっていいのかと思います。

 これは民営化以降でも、金融危機の折には、これらの金融機関がこれまでのノウハウをしっかり十分に生かせるようにということで危機対応制度が設けられて、今の金融危機に際しましても、日本政策投資銀行、商工中金は、指定金融機関といたしまして中堅・大企業向けの資金繰り支援の実施にも取り組んでいるということです。ここはうまく機能していると思います。

三谷委員 今、高市副大臣がお話しになられたことはもっともなことであります。政策金融機関が果たすべき本来の役割のお話をされたんだと思います。

 ちょっと例を挙げます。例えば、先ほど二階大臣の最初のお話の中でも、商工中金の危機対応業務のお話をされました。危機対応業務を残したというふうにおっしゃられた。確かに残っています。そして、今、冒頭御説明もいただいた中堅・大企業への資金繰り対策、危機対応業務、ここに日本政策投資銀行、商工中金など、このスキームにあるのは、言ってみたら、改悪とあえてお話をさせていただきますけれども、改悪がなければ危機対応業務を当たり前にできていたんです。

 そして、あえて、これも辛うじてと申し上げます。辛うじて、今移行期なんですね。そして、先ほど二階大臣がお話しになられたように、危機対応業務を残した。そして、どう規定されているかというと、完全民営化機関、政投銀と商工中金です、移行期は指定金融機関とみなすと書かれているんですね。もう少し言えば、大変厚かましい話だと私は思うんですけれども、完全民営化後は、政投銀の場合は本当ならば当たり前の銀行になるわけです、商工中金の場合は少し違いますが。指定金融機関であることを完全民営化後も原則として継続するというふうにしたんです。だけれども、私が申し上げたいことは、それは政治の身勝手というものです。

 したがって、辛うじて、今移行期だから、大臣おっしゃられたように、危機対応業務を残したので、このスキームでできるのであって、五年ないし七年後はわからないですよね、去年十月に両方とも民営化をされましたけれども。先ほどのようなお答えは、私は通らないというふうに思います。

 では、危機があったときに、危機対応業務を今度はできるかどうかわからないでしょう。わからないと私は思います。絶対できるんだと今の制度上の内容を見て思われるなら、そうおっしゃってください。

 その上で、二階大臣に答えていただきます。

 話を絞ります。この政投銀、商工中金、とりわけ商工中金はまさに大臣の所管であります。この二つの完全民営化について、見直しを検討されるおつもりはありませんか、どうでしょうか。

二階国務大臣 この改革を進めていく中で、ある一定の期限を切って見直しを検討するというのは当然のことでありますが、今直ちに見直しを検討するという考えはありません。

三谷委員 直ちにじゃなければ見直しを検討されるお考えはある、そういうお考えですね。

二階国務大臣 今日のような極めて急激な経済情勢の変化に伴い、中小企業の皆さんを初め中堅企業、ひいては大企業の皆さんも金融の問題で困難を来しておるときに何らかの対応を考えるというのは、政治としても行政としても当然のことであります。

 私は、今直ちにこれを見直さなければならないということではありませんが、今日のこの経験に基づいて、お互いに危機対応業務、あるいはもっと平たく申し上げれば、いざというときが来たときにどうするかということをみんなで考えなきゃいけないということを繰り返し述べてまいりましたが、いざというときはやはり来るんだという認識のもとに今後の金融問題に対する対応を考えていかなきゃいけない、そのときどういう対応にするかということは当然柔軟に考えていくべきものだと思っております。

三谷委員 わかりました。ありがとうございました。

 話を移します。もう一つ、三月十一日の日本経済新聞一面トップで報じられました、郵貯資金を活用しての企業への資金繰り対策のことを取り上げさせていただきます。

 これは、ゆうちょ銀行の郵貯資金などに、まあ民間のことも考えています、政府保証をつけて活用して基金をつくる、日本政策投資銀行などに貸し付ける、そして、まさにこの指定金融機関と同じ話でありますけれども、そこから企業への資金繰り支援を行うという構想が報じられました。

 記事の中では、政府は十日、検討に入ったとか、来年度予算の成立後にまとめる追加対策の柱とする方向とまで報じているんですけれども、財務省そして経済産業省、金融庁、いずれに聞いても、そのような構想はない、あるいは痕跡もないというお話でありました。

 ちょっと次の問いにかかわることですので、金融庁、こうして検討されていないとされる構想を例に挙げて大変申しわけないんですが、まさにこの構想を例にしまして、ゆうちょ銀行も、今は分社化、民営化をされて、まさに移行期にある銀行であります。郵貯資金をこの構想の場合は基金に、そして何がしか受け皿をつくってそこに貸し付ける、そこから政投銀なり商工中金などの指定金融機関に貸し付ける、こういうスキームであります。

 このように、郵貯資金を活用しての企業の資金繰り支援を行うことは制度上可能なんでしょうか、説明をお願いします。

居戸政府参考人 お答え申し上げます。

 ゆうちょ銀行は、郵政民営化法に基づきまして、民営化前から実施していた業務と、民営化後に同法に沿って認可を受けた業務を行うことができます。

 今御指摘の新聞報道のスキームについて、政府として検討しているということは私ども全く承知はしておりませんが、一般論で申し上げれば、ゆうちょ銀行においては、いわゆるシンジケートローンへの参加などによって企業への資金供給を行うことが可能となっているところでございます。

三谷委員 そのとおりですね。今、移行期においては認可が必要でありますので、貸し出しで認可されているものは参加型のシンジケートローンのみですね。だけれども、このスキームは政府保証がついている、あるいは政府がやることですから、総務大臣そして金融担当大臣の認可はこのスキームであればもらえることは間違いありませんから、要するにできるということだと考えます。

 そこで、二階大臣にお尋ねをするんですけれども、私はいい案だというふうに思うんです。残念なことに、これは政府で検討をしている案ではないという各省担当部局のお答えですが、実は内々に検討されているんだということでありましたら、二階大臣、あわせて教えてください。

 このように、要するに郵貯資金を活用して新たな、まさに危機対応業務などを政策金融として企業の資金繰り支援を行うことについて、経済産業大臣、どのようにお考えでしょうか。

二階国務大臣 今日のような企業の資金繰りの厳しさが増しておる状況の中で、いろいろなことを考えていかなきゃいけないと思いますが、とりあえず今日の状況では、日本政策投資銀行や商工中金によるいわゆる危機対応業務として、総額三兆円規模の対策を講じているところであります。

 危機対応業務において、日本政策投資銀行や商工中金が、日本政策金融公庫を通じ、財政投融資資金の借入やいわゆる政府保証債の発行等により、極めて低いコストで資金を調達し、企業に低利な資金を供給することが可能であります。

 また、民間の金融機関が企業に融資を行うに当たり、信用保証協会が債務保証を行うなどにより、民間の資金を活用し、企業の資金繰りの円滑化を支援しているところであります。

 こうした措置を着実に実施していくことによって、企業の資金繰り支援に万全を期すことが重要であると考えております。

 郵貯資金の活用については、議員の御提案でございます、御参考にさせていただきたいと思います。

三谷委員 ぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 そして、やはり検討された痕跡はないということでありましょうか。

二階国務大臣 痕跡ということまで私は存じませんが、私の知る範囲ではそういうことは行っておりません。今、金融庁からの御答弁のとおりであります。

三谷委員 わかりました。

 次の質問に移ります。再生可能エネルギーの導入促進の取り組みについて伺います。

 まず、太陽光発電の普及促進に向けて、新たな買い取り制度を始められました。踏み出されました。そのことについてお尋ねをいたします。

 太陽光発電について、固定価格買い取り制度、新たな買い取り制度の導入に踏み切られたことは大臣の御決断だったと聞いています。そのことに関しては敬意を表します。だけれども、私には、どうしても中途半端な踏み出し方なんじゃないかなという感を否めません。

 経済産業省にまず伺います。

 低炭素社会づくりの行動計画の中に目標が定められています。太陽光発電世界一の座を獲得とあり、〇五年比で、太陽光発電の導入量を二〇二〇年に十倍、二〇三〇年に四十倍にするという目標、これは本当に高い目標なのかということは思います。その本当は高いと思われない目標にしても、この新たな買い取り制度プラス新たな補助金、今の制度でこの目標を達成できるんでしょうか。

 もう一つ、この新たな買い取り制度そして補助金によって、あるいは学校、駅等々公共施設への設置も含めて、太陽光発電の普及、それが現状何キロワットで、見込みとしてどれぐらい普及、設置をされて、何キロワットぐらいにふえると見込まれているんでしょうか、お答えをお願いします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今まさに先生言われましたように、昨年の閣議決定の中で、この太陽光発電につきましては、二〇二〇年に現状の十倍、三〇年に四十倍という目標を掲げているわけでございます。

 これは現実のキロワット数に置きかえますと、二〇〇五年の実績で約百四十二万キロワットの太陽光発電が導入されているわけでございますが、二〇二〇年にこれの十倍ということですと、まさに約千四百万キロワットということで、これ自身、これまでの導入量を平均すると、毎年積み重ねていかないとこの数字に到達しないということでございますので、そういう意味では、かなり高い導入目標であろうというふうに私ども考えております。

 この達成に向けて、御案内のような補助金制度を新たに創設したり、あるいは税制につきましても、所得税の減税措置を新たに設けるというようなこと、それに加えて、今回新しい買い取り制度を導入するという方針を発表したわけでございます。それ以外にも、RPSの問題でありますとか、関係省庁と連携して学校を初めとした公的な施設に導入を促進する、いろいろな総合的な取り組みを強化していくことで、実現に向けて最大限に努力をしているということでございます。

三谷委員 今、どれぐらいふえる見込みであるかということはなかなか言いづらい話でしょうか。もしある程度のことでもお話しできるならば、では、次の質問とあわせてお答えください。

 どうして、全量買い取りではなくて、余剰電力のみの買い取りなんだろうか。そして、どうして三年から五年でまたもとの価格に戻るのか。投資の回収におよそ十五年を見込まれておるわけですけれども、これでは、設置に向けての各家庭、各事業者とあえて言います、事業者のインセンティブは大きく働かないんじゃなかろうかというふうに思うんです。

 そして、あわせて、風力、バイオマス等々、太陽光以外の再生可能エネルギーはこの新たな買い取り制度からは外されています。これらの導入拡大に向けてはどのような取り組みあるいは制度を考えているのか、先ほどのお話とあわせてお答えをください。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの、この新たな買い取り制度を導入することでどのぐらい目標の達成あるいはその加速に寄与するのかという点でございますけれども、これにつきましては、やはり今後の経済情勢でありますとか、この制度の設計の詳細等にも当然左右されるわけでございますし、もとより他の補助制度あるいは税制等との組み合わせで導入を促進するという制度の立て方からよりましても、この買い取り制度によって具体的にどれぐらいふえるというのを切り離して申し上げるのはなかなか難しいということは御理解いただきたいと思います。

 それから、今幾つか御質問いただきましたけれども、なぜ余剰に限るのか、あるいは三年とか五年でもとに戻るのはおかしいじゃないかというような御指摘でございます。

 全体といたしまして、私ども、三年から五年間の間に太陽光発電のシステム価格を半減に近いところまで持っていきたい、これが需要の足元における拡大と技術革新によって達成できるのではないかということで、三年から五年の間に集中的に促進措置を講じたいということで、今回、この新たな買い取り制度も導入方針を発表したということでございます。

 ただ、三年から五年でやめると言っているわけではなくて、むしろ、三年から五年たったところで当然それ以降の問題についてはまた見直しをしていくことになろうとは思いますけれども、この措置そのものは、例えば制度発足当初に導入された方についていえば、今の価格の倍程度の価格で十年間程度にわたって当然買い取りを続けるということでございます。

 それから、余剰になぜ限るのかという点につきましても、これはまさに負担との兼ね合いになります。ドイツのように専業の発電事業者の電気も買い取るというようなことになりますと、これは相当の高額の負担をまた需要家にお願いせざるを得なくなってくるということで、そこは余剰に限ることで、むしろ自家消費を節約してできるだけ余剰電力の売却に回す、省エネを促進するような副次的な効果もあろうと思っておりますし、負担との関係で需要家に対してそう高額な負担をお願いしないで済む、そういうことを基軸に考えているところでございます。

 それから、風力等その他のものについてはどうするんだという御指摘でございます。

 これも、当然のことながら再生可能エネルギーとして非常に重要なものでございますので、その導入促進に最大限力を入れていきたいと思っております。

 従来から、こういった風力発電、バイオマスにつきましても、補助金でありますとか、あるいは税制による導入支援措置を講じてございます。加えて、RPS法というのも、これは量的な義務づけ規制でございますが、こういったものも活用することで、引き続き太陽光以外の再生可能エネルギーの導入拡大にも全力で取り組んでいきたいというふうに考えております。

三谷委員 時間が参りました。最後に一問。

 今のお答えの中でも、システム価格を半減することを目指しているということはよくわかっているんです。だけれども、家庭に係る電力料金が大きくなる、それが多分一番大きな理由でありましょう。

 だけれども、最後に二階大臣にお尋ねします。二階大臣もホームページでも答えられているように、この中でも、今私が太陽光発電の普及のその先頭に立っているのは、景気対策に大いに役立つと判断しているからであると。今まさに大きな流れにもなりましたようにグリーン・ニューディール、その意味で太陽光発電は大変注目をされています。

 その観点からすると、これは、では今の話で、爆発的とまでは言わなくても、大いに普及が進んでいくのかというと、私も大いに進んでいかないと思いますし、ドイツや今スペインで起きているような、地域地域で小事業者が出てきてさまざまな需要や仕事が生まれる、そういう状況には今の踏み出し方ではならないんだというふうに私は思うんです。それは大臣、どのようにお考えになられていますでしょうか。また、今後の取り組みについても最後にお話を聞かせてください。

二階国務大臣 太陽光発電の問題につきましては、私ども、こうした審議の場を通じ、また経済産業省に寄せられる御意見、またマスコミ等の大変熱心な取り組み等を見ておりましても、我々が当初考えておったよりも速いテンポで進んでおります。したがって、新しい制度を構築し、しかもそれは、ただドイツ方式をまねるというふうなことではなくて、日本独自のものを考えていこうということをやらせていただいておるところであります。

 しかし、今、議員も御指摘になりましたように、それぞれの御家庭の電気料金等についても我々は十二分に配慮していかなくてはならないわけですから、広く多くの国民の皆さんの御理解がなくては前へ進むわけにはまいりません。それは、何となれば、環境問題あるいは公害を除去しようという問題については全員賛成であります。だれでもが総論においては皆御賛成くださるわけでありますが、これを具体化していくためにはいろいろな方策を講じていかなくてはならない、その一つに太陽光発電があろうと思います。

 しかし、太陽光発電にも、何一つ問題点はない、何一つネックはないということではなくて、家庭の料金等について、これはやはり御家庭の皆さんの御了解を得なきゃいけない。しかし、そのことによって我が国が、世界最先端の技術を活用して、環境問題のトップの座にまた躍り出るチャンスがここにもあるわけでありますから、そうしたことと経済活動全体を見て、日本がどういう点で有利になり、どういう点をこれから考慮していかなくてはならないかということを十分勘案しながら取り組んでいきたい。

 緒についたというより、まだ緒につこうとしているときでありますから、どうぞこれからもいろいろな御意見をちょうだいいたしたい、このように思っております。

三谷委員 申し上げたいことはやまやまありますけれども、時間が参りましたので質問を終わります。ありがとうございました。

東委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十二分開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。古川元久君。

古川(元)委員 民主党の古川元久です。

 ちょうど私が大蔵省に入省したのが昭和六十三年でした。そのとき、まさに政府は消費税の導入をしようということで、その議論が始まっていたわけでありますが、当時の大蔵大臣、私が入省したときの大臣は宮沢大臣でした。消費税の議論が始まり出したといいますか、やり始めたすぐに起きたのが、御存じのリクルート事件です。

 この問題が大変政治不信の大きな流れをつくることにもなり、私は役所の中に一年生でいて思いましたのは、この日本の国をこれからどういう社会に向けてどういう税制をつくっていかなければいけないか、そういう大事な議論が、このリクルート事件が本当に多くの政治家に波及して、しかも当時の大臣であった宮沢大臣にもその問題が波及して、議論が、本筋の消費税の税制改革の議論からそんな議論の方に、世の中の関心も、そして国会の中での議論も、そういうものに多くの時間が割かれてしまった。そのとき、私は大変遺憾な思いがいたしました。

 今、麻生総理も言われておられるように、百年に一度の経済危機だ、そのような厳しい世界経済、中でも、日本経済の状況というものが大変厳しい状況になっている。これは、与党も野党も関係なく、今、この日本をどうしていくのか、経済をどうやって立て直していくのか、国民の皆さんが持っている不安をどう解消していくのか。そのためには、政治がやはり信頼をされなければならないと思います。

 しかし、これは与党も野党も、私たちも含めてですけれども、そういう信頼を持っていただけないような状況をつくっている、そのことは極めて私は遺憾だと思いますし、政治家の一人として、国民の皆さんに本当に申しわけないと思います。

 そして、まさに経済産業の責任者であられる二階大臣がその渦中の中心のお一人であるということは、これも今の日本の状況、経済の状況を考えれば大変に残念ですし、やはりこの点についてはきちんと国民の皆さんにも説明をしていただかなければいけないと思っています。

 ですから、私はきょう大臣に少しその話をさせていただきますが、ぜひそこは国民の皆さんにお答えをするつもりでお答えをいただきたいと思います。

 まず、今回問題になっております西松建設でありますけれども、大臣は相当西松建設さんとは御関係が深いようでありますが、もともとどういうきっかけでこの西松建設さんとお知り合いになられておつき合いをされるようになったんですか。

二階国務大臣 細かい事前の通告をいただいておりませんから、急に御質問いただいても的確に答えられるかどうかわかりませんが、いつ、どのような形で知り合ったかということは、今記憶に定かでありません。

古川(元)委員 あれだけ親しい関係をつくっておられるのであれば、普通は、私などは、その最初のきっかけというのは大体覚えているものだと思うんですが、長くてわからないということがあるかもしれません。

 では、どういうおつき合いをしておられたんですか。

二階国務大臣 普通のおつき合いだと思います。

古川(元)委員 大臣の言われる普通のおつき合いというのはどういうおつき合いですか。

二階国務大臣 その前に、どういうおつき合いとはどういうことを指して言われているんですか。

古川(元)委員 大変親しくおつき合いをさせていただいている、普通であれば、あれだけの御関係がある、寄附もしていただいているのであれば、当然、相当親しいおつき合いをしていたというふうに思うのが普通じゃないかと思うんですが、そういうおつき合いではなかったんですか。

二階国務大臣 私の所属しております新しい波という政治団体、あるいは私の後援会の組織等に対してパーティー券等の購入をいただいたということは、相手方の関係者、これはどなたであったか定かでありませんが、そういう人たちの好意によって新しい波のパーティー券を購入していただいたということは承知をしております。

 それは、例えば東京であり、名古屋であり、あるいは大阪であって、何回かのパーティーを重ねたことが合計してああいう金額になるんですが、何かあたかも私だけが突出しているかのごとく新聞紙上で報ぜられておるのと同時に、今議員の御指摘も大体そういうことを念頭に置いて言われておるのだと思いますが、政治資金規正法に基づいて適正に報告をいたしております。

古川(元)委員 それでは、今逮捕されました国沢前社長との御関係についてお伺いしたいと思いますが、国沢前社長とは大臣はどういう御関係でいらっしゃったんですか。

二階国務大臣 長く政治に携わっておりますと、いろいろな方々とお目にかかります。そういう多くの人々の中の一人でありますが、私は、どういう関係であるかといっても、それぞれ、家庭を訪問したこともなければ、個人的に御家族とのつき合いをしたわけでもありませんし、普通のつき合い以上のものではありません。

古川(元)委員 大学の同窓でいらっしゃいましたよね。年齢もほとんど変わらないんじゃないかと思いますが、そういう関係でもおつき合いはあったんじゃないですか。

二階国務大臣 大学の同窓といったら万とおるわけですから、学生時代に出くわした人も出くわさなかった人もたくさんおるわけで、私は不幸にして、学生時代にその言われる人とは出くわしてはおりません。

古川(元)委員 学生時代に出くわさなくても、その後知り合って、同じ同窓だということになると、それで親しくなるというのが普通はある話ですよね。ですから、大臣は、知り合いになった後、やはり同窓ということもあってお親しくなられたんじゃないんですか。

二階国務大臣 私は、大学が同窓であるとか同窓でないとかということで人を高く評価したり低く評価したり、そういうことは昔から好きな方ではありませんから、同窓であろうがなかろうが、そんなことは全く関係ありません。

古川(元)委員 わかりました。

 それでは、新聞報道でありますが、ちょっと確認をさせていただきたいと思うんです。

 この国沢さんは、東京地検特捜部に、二階氏側に年一、二回現金を渡していたと供述していると見られるというお話がありますが、大臣は、そうすると、この記述は全くの事実無根だというふうにおっしゃるわけですか。

二階国務大臣 政治資金は政治資金規正法に基づいて適正に届けをいたしております。それ以外のものは受け取ってはおりません。

古川(元)委員 それでは次に、またこれもちょっと新聞報道で知った話でありますが、この西松建設が社員の名義を無断で使って、大臣が支部長を務める政党支部の方に献金をしていた、そういう報道がありますが、これは事実ですか。

二階国務大臣 私は……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。私は、今、新聞報道によるとということでありますが、政治的な個人献金をいただいたということについては、これはだんだん個人献金にしていかなきゃいけない、それが理想だということになっておって、我々は、それは個人献金だというふうに報告を受けておりましたから、それ以上せんさくをしておりません。つまり、その人を訪ねていくとか、その人に対して何か御意見を伺うとか、特別こちらからしかけていったことはありません。

古川(元)委員 いただいたということは事実だということですね、そうしたら。

二階国務大臣 政治資金規正法に基づいて適正に報告しているはずであります。

古川(元)委員 普通、個人献金をもらうと、これは政治家によって違うかもしれませんが、もし、寄附をした人が所得控除の申請をしようと思えば申請ができるわけですね、これは寄附金控除で。ですので、これはその方々に寄附金控除されますかと。その控除の書類が必要だというふうになれば、その控除書類、これは総務相の判を押して出さなきゃいけないわけですね。

 普通は、そういう意味では、その寄附をしていただいた方に、そういう控除書類は必要ですかどうかと、その確認はしていくわけでありますが、これは、では、二階大臣が支部長を務めていらっしゃる支部でも、そういう確認はきちんとしておられるということですか。

二階国務大臣 そのような事務的なことについては、私は実際は直接タッチをしておりません。したがって、そういう手続、要求があったら、当然、寄附金控除の手続をしたでありましょうし、要求がなければそのままに推移した、こういうことじゃないですか。私は実際のところは知りません。

古川(元)委員 この問題が報道されたときに、大臣は記者会見で、今は承知していない、その上で、関係者に事実関係を確認するというふうに示されたわけですよね。

 これは、報道によれば、社員とか家族は全然知らない中で寄附をされていたと。普通、尋ねようと思えば、当然、そこの部分の、個人献金として控除するかしないか、そのことの意思をやはりその人に確認をするということであれば、相手方に尋ねないといけないですよね。しかし、この報道によると、それはされていない、一切知らないということになるんであって、もし、大臣が本当にその後で事実関係を調べていらっしゃるんであれば、そこの部分は調べてみたと。

 ちゃんと書類というのが、ここにも書いてありますが、きちんと関係者によく聞いてみる、事実関係を確認するということを言われたわけですから、そうしたら、大臣に今私が申し上げた、今は承知していないということであれば、ぜひそこの部分はお調べになって、ちゃんと寄附を受けた先のところに確認をしていたのかどうか。もし、その確認ができないような状況だったら、それが本当に個人の献金だったのかどうかということはわからないですよね。当然、その人に確認をして、控除書類が必要なのかどうか、そのことの確認というのはやはりしなきゃいけない。それをすれば、当然、相手方に自分が寄附していたという認識はあるはずなんですね。

 もし、この報道が事実でないというんであれば、ちゃんとそこのところは、大臣、お調べになって、きちんと国民の皆さんに説明する責任があると思いますが、いかがですか。

二階国務大臣 関係者に尋ねたことはありますが、まだ報告を聞いておりません。

古川(元)委員 ぜひ、そこのところは、大臣、確認をしていただいて、きちんとお示しをしていただきたいと思います。

 最後に、この件で一点お伺いしますが、ここのところ、これも新聞報道ではありますけれども、会計責任者の方が事情聴取を東京地検の方から受けるんじゃないか、そういうふうに報道されておるわけであります。同じような件で今問題を指摘されております小沢代表は、秘書が逮捕されて、また同僚議員も事情聴取を受けるという状況になっています。二階大臣のこの会計責任者の方は、事情聴取は受けていますか。

二階国務大臣 あなたは何の根拠があってそんなことをこういう公の席で尋ねるんですか。事情聴取を受けておるか受けていないかということは、何の根拠があってこういうことを尋ねているんですか。新聞報道、新聞報道ってさっきから何回も言っているけれども、新聞報道にあれば何でもこういう公の席でそういう発言をしていいんですか。それが民主党の、そういう方針なんですか。

古川(元)委員 いや、私は新聞で報道がされているんで、その点を単純に確認しているだけです。

二階国務大臣 しかし、その会計責任者も当然人間ですから、人格も何もあるんですよ。それをいきなりこういう場所で……(発言する者あり)そうでしょう。何を根拠にそんなことを言っているんですか。新聞を読んだからといって、事情聴取を受けているかって、どういうことなんですか。(発言する者あり)公人だったら何言われてもいいんですか。

 まあ、それではそれはいいことにして、今日、事情聴取は受けておりません。

古川(元)委員 いや、その一言を言っていただければいいんです、それは。何もそれ以上、私も別に……(発言する者あり)それを確認しているだけですよ。

 では、ぜひ、ここのところは、最初に申し上げましたけれども、やはりこうした問題で、本当に私もこういうことで時間を費やしたくないです。しかし、こういうことがもう二十年以上たっても起こっていると、やはりこういう状況は一日も、なくしていかなきゃいけないんですよ。そのためにもやはり、大臣、説明責任というのを果たすということは、ぜひそれは、いろいろと言われている以上はちゃんとそこのところはやっていただきたい、そのことをお願いして、もうこれ以上、この話はここで終わらせていただきます(発言する者あり)

東委員長 御静粛にお願いします。御静粛にお願いします。

 それでは、委員長より申し上げます。

 ただいま質問者古川元久委員が、これにてこの件に関する発言はもうやめます、こういう御発言がございました。本日は大臣の所信表明に対する質疑でございまして、本日の委員会の趣旨に基づいた質疑、答弁、こういうことで、委員の皆様、これからお進めいただければありがたいと思います。

 そのようなことで、この問題はこれで終わりということで次へ進めさせていただければ、こう思います。

 もう一度正確に申し上げます。

 私は、質問者の発言権をそこで規制した、そういうつもりでの私の発言ではございません。先ほど古川委員の方が、ここでやめますから、こういうお話がございました。しかも、これは事前の質疑通告のない質疑、こういうことで、私の判断で、質問者がそのように申し上げるんだったらば、ここでもうこの件は終わりにしましょう、こう申し上げただけでございますから、どうか御理解をお願いしたいと思います。(発言する者あり)それはよくわかっています。そのことを確認させていただいた、こういうことでございます。

 それでは、古川元久君。

古川(元)委員 時間もちょっとなくなってしまいましたから、一つだけ。

 今の経済の状況といいますか世界の経済の状況、これはよく百年に一度の経済危機だと言われているんですけれども、どういう危機なのかということの認識について、政府としてどういうふうに考えているのかということを余り伺ったことがないと思います。

 当初は、それこそハチに刺された程度という話もあった。それが、ここに来てみると、これは世界の中でも日本が最も金融危機以降の影響を受けているんじゃないか、そういうようなことも言われているわけであります。

 私は、今回の危機というのは相当やはり、単純な景気循環とか、そういう問題だけでなくて、そもそも、今までの資本主義が進んできた仕組みのあり方であるとか、また、マネー経済と言われますけれども、マネーのあり方とか、いろいろなことが複雑に絡み合って、その仕組みそのものが問われているような、大きな経済の仕組みの構造転換も求められているようなものじゃないか。

 さらには、これまでの、特に戦後の世界経済のベースになってきたいわゆるブレトンウッズ体制、それを支えてきたIMFや世銀の体制、そういう仕組みを含めた見直し、それを新しい時代にどうするのか、そういうところまで、まず大きなビジョンといいますか考え方、時代をどう見るかというところについて、いわばきちんとした政府としての、あるいは日本としての一致したコンセンサスがないと、多分そこの中で出てくる政策というのは、どうしても従来型のような形になってしまうんじゃないかと思います。

 今のこの百年に一度と言われる危機の本質、一体何が原因であって、どういうところに問題があって、どういうところを直していかなきゃいけないと思っているのか、その点についてお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

二階国務大臣 今御指摘のように、世界的な金融危機と経済の減速の中で、我が国経済が急速な悪化に陥っていることはもう言うまでもないことであります。

 金融市場においても、リーマン・ショック後の株価が大きく下落するなど、不安定な動きがずっと続いているわけであります。こうした中で、企業部門においては輸出、生産の減少や資金繰りの悪化、また、家計部門では雇用、所得環境の悪化に伴う消費の減少があります。

 このため、経済産業省としては、引き続き、実体経済や金融市場の動向に細心の注意を払いながら、当面の雇用対策、年度末に向けた資金繰り、この対策に万全を期すよう努力をいたしております。

 御質問にもありましたが、今後のことであります。来年度当初予算の早期成立を図ると同時に、執行を早くスピーディーにやっていかなきゃいけないと思っております。新たな成長のシナリオの策定を実行に移していく、そういうことを通じて、経済の回復軌道に乗せるべく全力で取り組んでいく考えであります。

 私どもは、既に次なる成長のシナリオの策定について目下取り組んでおるところでありまして、これから与野党の議論を通じても、いろいろな御意見をいただきながら、我々は、百年に一度というこの難関を突破するためには、難関を何とか切り抜けたということだけではなくて、その後の日本経済、日本の国の発展の道筋を国民の皆さんに明確にすることが今政府に与えられた最大の問題だと思っております。

古川(元)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて古川元久君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 まず政府参考人に伺いたいんですけれども、今回、産活法の改正案がこれから出てくる、審議をする運びになるかと思うんですけれども、その中で、日本政策金融公庫が損失の一部を補てんしながら民間の指定金融機関、政策投資銀行等というんですけれども、政策投資銀行と思うんですけれども、要件を満たす企業に対して出資をするというスキームがあるかと思うんです。

 その場合に、一つ確認させていただきたいのは、政策投資銀行だけなのか、ほかの銀行もそのような出資をするのか、その点について御答弁いただければと思うんです。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の産活法を改正いたしまして、企業に対します民間金融機関による出資を円滑化する制度でございますけれども、本件は、政策金融公庫法に基づきます金融危機対応業務の一環として措置されるものでございまして、指定される民間金融機関はいずれもこの対象になり得るというふうに考えております。

大島(敦)委員 てっきりこの日本政策投資銀行だけだという理解をしていたんですけれども、等というところで、今後それ以外の民間の銀行もあり得るということでよろしいんですか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 政策投資銀行がその有力な民間金融機関であることは間違いないと思いますけれども、いわゆるメガバンクの民間金融機関も、そういう形で指定を希望するといいますか手を挙げてまいりますれば、その対象にはなり得るというふうに考えております。

大島(敦)委員 この中で、産活法の認定企業のうち、一定の要件を満たす企業に対して出資を行うということなんですけれども、要は、一定の要件を満たす企業かどうかを判断するのは金融機関が判断するという理解でよろしいんでしょうか、それとも政府あるいは第三者機関の方でそれを決めたりするのかどうか、その点について御答弁をお願いします。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 本制度は、世界的な金融危機の影響によりまして、金融機関からの融資が難しい状態にまで自己資本が減少する企業が生じるおそれがございまして、こうした事態を放置した場合には、国民経済の成長や発展に大きな影響を及ぼすことが懸念をされる、そういうことにかんがみまして対応している制度でございます。

 具体的な制度設計につきましては、現在、その詳細を検討中でございますけれども、産活法の認定企業のうち、世界的な金融危機の影響によりまして急激に売り上げ等が悪化をいたしまして、自己資本が減少したりすることによりまして、融資だけでなく出資が不可欠であるということ。それから、一定期間のうちに当該企業の価値の向上が見込まれる事業計画を有しているということ。それから、雇用規模が大きい企業あるいは下請企業等の関連産業の幅広い企業、またこうした企業に代替困難な基幹部品等の相当割合を供給している、そういう大事な企業など、国民経済の成長や発展に及ぼす影響が大きいというふうに判断される企業。また、あわせまして、今回の出資を前提といたしまして、出資先企業に対しまして他の民間金融機関が融資または出資を行うことによりまして協調して認定計画に定められました内容が実現をするということが予定をされている、こういったような要件をすべて満たすような企業が対象になり得るものというふうに考えております。

 具体的には、こうした企業の要件につきましては告示等で規定をすることを想定しておりますけれども、繰り返しになりますが、今回の出資円滑化制度は、指定された金融機関が行う出資につきまして、日本政策金融公庫がその損失の一部を補てんする、そういう意味で危機対応業務の一環として位置づけられている、こういうことでございます。

大島(敦)委員 政策投資銀行だけですと、ある程度国の関与があるかなと思うんですよ。民間の指定金融機関まで、メガバンクまで広げると、メガバンクが出資をした、その会社がやむを得ざる事態によって倒産した。そうすると、日本政策金融公庫が損失の一部を補てんするわけですよね。

 ですから、要は、日本政策金融公庫が損失の一部を補てんする限りにおいては、認定要件を満たすとともに、出資をできる企業かどうかも、ある程度、局長のところで御判断されると僕は非常に高く評価するんですけれども、あるいは第三者機関で評価するのか、それは、銀行独自にその要件を満たせれば出資ができる、そういう理解でよろしいんですか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも、先ほど御答弁申し上げましたように、対象になり得る企業につきましては、告示等で明確にその要件というものを国の方で定めるということが必要でございまして、そうした企業の中で、対象となります政投銀等の指定金融機関が、当然のことながら、その財政的な能力ということも勘案をしながら判断をしていくということになるのではないかと思います。

大島(敦)委員 この件については、また今後の機会にもう少し伺っていきたいなと考えております。

 二階大臣に伺いたいんですけれども、予算委員会で、中小企業の金融に関して、中小企業はニューマネーよりも支払いを猶予してほしいというお話をたびたびさせていただいて、三月、四月、恐らく物すごく今厳しくなっていて、半年とか一年、激変緩和措置としての支払い猶予をたびたびお願いさせていただいているんですが、その後、現状において、十分金融機関等が、大臣あるいは金融担当大臣の働きかけによって、支払い猶予がよりスムーズになっているかどうかの現状認識について御答弁願えればと思います。

長谷川政府参考人 一部事実関係に基づくものがございますので、簡単に私からまず先に御答弁させていただきます。

 去る二月五日、衆議院の予算委員会の場で、同様の問題提起を大島先生から受けまして、二階大臣から、そういう方針で何ができるかということで御返答申し上げました。

 その後、これは与謝野金融担当大臣と同席でございますけれども、二階大臣が、主として民間の金融機関の代表者に御参集いただきまして、年度末、今おっしゃられた中小企業の実態を踏まえれば、むしろ既往債務について弾力的な運用、条件変更、これは返済猶予というか、中には入っていると思いますけれども、そういうことも極力お願いをさせていただいた上に、今月になりまして、さらに信用保証協会それから政府系の金融機関の代表者を、これは大臣が単独で招集いたしまして、おおむね同趣旨のお願いをし、あるいは指導をさせていただきました。

 それを私ども受けまして、この間、政府系の金融機関の皆さん、あるいは民間金融機関の皆さんに対しまして、年度末に向けましての既往債務の条件変更に柔軟な対応ということを働きかけてほしいということを通達あるいは文書という形で要請しておりまして、引き続き、この要請あるいは指導がきちんと浸透しているかどうかということにつきましては、事務方としてしっかりとモニターをしていきたいというふうに思っております。

二階国務大臣 今、中小企業庁長官からお答えしたところがすべてでありますが、私は、政府系金融機関であれ民間の金融機関であれ、命令をするわけにはまいりませんので、ぜひ御協力を願いたいと。そして、政府が年末年始問わず、全力を尽くしてこの中小企業の金融問題をバックアップしなければならないといって頑張っておるこの姿は皆さんも御承知のとおりでありますから、我々の意図を酌んで、一軒でも中小企業を助けることができるように御配慮願いたいと。そうしましたら、我々は、雨の日には傘を貸すのが私たちの仕事だと思う、そういう哲学を持っておる、そこまでおっしゃる民間金融機関の代表者の方々も出てまいりました。

 ですから、私は、現場において何らかの我々の意を酌んだ対応をしていただけるものと思っておりますが、今後においてなお一層努力をしたいと思っております。

大島(敦)委員 この件については二階大臣そして与謝野大臣が前向きに取り組んでいらっしゃるということは承知をしておりまして、銀行にとっても、要は、新しい貸し出しを行うわけでもなくて、返済を猶予するだけですから、金利が入ってくるわけですから、そんなに実害はないと思うので、ぜひ働きかけを今後ともよろしくお願いいたします。

 最後に、経済状況が非常に厳しくなってきて、雇用の問題が今議論をされております。私どもの政党も、今厚労委員会なんですけれども、求職者支援法ということで、新しいセーフティーネットをつくろうという法案を出しておりまして、そこの仕組みに乗るさまざまな職業訓練のメニューがあるかなと思っております。

 経済産業省でもさまざまな前向きなメニューを用意されていて、そのメニューの中で一年間にどのぐらいの方が教育訓練を受けるのか、そのことについて手短に御答弁いただければと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 さきに御承認いただきましたいわゆる第二次の補正予算を活用させていただきまして、中小・小規模企業の皆さんが操業率の低下に大変悩んでおられる、こういうことがありますと、ややもしますと職を離れかねないということもございますので、仮に離れた場合でも、この機会を活用しまして、技能を磨きあるいは多様化する、こういったようなことの実践的な研修をぜひ実施いたしたいということで、現在、最終準備段階でございます。

 例えば、ものづくりの方が職場に帰属しながらその研修でものづくりのさらに新しいチャレンジをしていただいても構いませんし、あるいは、農商工連携ということで一次産業に役立つ新しい技術分野にチャレンジしていただいても構いませんし、場合によっては違った分野、そういうことで私ども、現在、五つないしは七つぐらいのそういった分野を用意いたしまして、実践型研修をできれば全国で展開したいと思っております。

 同時に、ふだんでありますと往々にして大企業に向かいがちな人材が、この際、中小・小規模企業に目を向けて、その魅力に接して、そこで職を発見する、こういったような現象をふやしたいということで、大学ごと、地域ごとに、約二万五千社を目標にこういった就職説明会、いわゆる橋渡し事業というものを展開したいと思っております。

 あわせまして、年間で、これは目標でございますけれども、前者で約一万人、後者で約一万五千人、こういったような雇用に結びつけるように目指しておりまして、実際には、少しでも多くこういったことが実現するように努めてまいりたいと思っております。

大島(敦)委員 資本主義の社会にあって共産主義にない仕事が何かなと考えてみると、営業マンなんですよ。営業という仕事が私たち資本主義独特の仕事でして、物を売りに行くという仕事、あるいは売り先を探すという仕事が物すごく大切なんです。今お金を持っている人は非常に多いんだけれども、厚労省に聞いても、この間、経産省の人材育成のプログラムを聞いても、営業という職種に対する人材を育成しようという気づきが乏しい感じがするんですよ。

 やはり、物をお互いに交換するということ、お互いにサービスし合うということで豊かになっていくわけですから、そこに着目をして、営業マンを、営業できる方をより多く我が社会の中にふやすということが、ある一面、不況の中でもお互いにサービスを多く、要は非常に不幸な状態なわけ、今。あなたのために仕事しないよということをお互いに決めて、どんどんお互いの仕事を小さくしている段階なわけですよ。これをふやしていくためには、やはり営業という仕事にもっと着目しなくちゃいけない。

 私も元営業マンですからよくわかるんですよ。元営業マンとして、私も売れない時代が一年あって、そのときに悩んだ結果、いろいろな、営業心理学なんというアメリカ人の書いた本を読むと、営業マンは冷たいステーキ肉を売るんじゃない、ジュージューしているのを売るんだというのが営業マンだったりするわけですよ。

 そういうことを、役所の皆さんにも、あるいは大臣にも、ぜひ今後の人材育成の中で、営業マン、営業できる営業パーソンをしっかり我が国の中でつくっていくことが必要だと思うんですけれども、その点について大臣の御所見を伺わせてください。

二階国務大臣 みずから営業の御経験からお話をいただきまして、なかなか説得力のあるお話でございました。私どもも、大した経験はありませんが、営業ということがいかに難しいか。政治の場でも同じことだと思うんです。選挙活動、これも営業のようなものですよね。営業の一種ですよね。

 ですから、そういう面では、本当に、相手の心をとらえるということ、相手に品物を買ってもらえるということは、やはり自分が助かるというか自分がもうかる、自分の会社が繁栄するということだけで押しかけていったのでは、相手は乗ってきませんね。だから、そういう意味では、相手のためになるメニューをどうそろえられるかというのは、いろいろな経験も必要ですし、技術力も必要ですし、アイデアも必要ですし、いろいろなことを兼ね備えた営業マンを育成するということは、国内はもちろん、国際的にも極めて重要だと思います。

 そうした視点は、これは自然発生的にそういう人材ができてくるであろうというふうな、何となくお互いにその部分はやや後回しになっておったんじゃないかというのは、今御指摘をいただいて、そう感じます。我々もこれから、人材の育成、いろいろ対応するわけでありますが、国際的な営業マンをそろえる、あるいはまた国内の営業マンをそろえる、そういう面で改めて考えさせていただきたいと思います。

 今、経済産業省の外郭のジェトロ等で、農業あるいは水産物、いろいろな関係の皆さんにも場所を提供しておいでをいただいているんですが、私も時々見に行ってくるんですが、そのときに、地方から出てこられた人が、はっぴを着ているだけではなくて、はっぴ姿で一言一言お客様に営業している様子を見て、やはり売り上げのできる人とそうでない人、ただ時間を過ごしている人だけの人というのはあるものだなというのを、横目で見ながらそうしたことを感じたわけです。

 営業の重要性を改めて承知して、我々は今後の対策、今後の政策にも取り入れていきたいと思っています。

 ありがとうございました。

大島(敦)委員 ありがとうございました。終わります。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 きょうは、中小企業の資金繰りの話と、止血の対策だけではやはり経済の見通しというのは立たないので、中小企業の海外の販路拡大のお話を後半にさせていただきたいと思います。

 まず最初に、去年の十一月二十六日の当委員会で質問させていただいたんですが、当時、第一次補正予算は通っていた、第二次は出さないという判断があって、その中で、私の方は、緊急保証の件数はそれなりに推移していたけれども、やはり現場の声として、相当混雑をしているという話を聞きました。場合によっては三日、四日待たされる。これを質問したら、商工会とか商工会議所の方に前さばきをするように指示をしているという話があったんですが、それを踏まえて、去年の年末よりは大分声は少なくなりました。

 ただ、それでもうちの地元ではちょっと手続が遅いのと違うかというような声もまだ出ておりますので、その辺、現場の調査をしているのか、足元の状況について伺いたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 北神先生からさような御指摘をいただきまして、確かに、私どもで制度をつくって幾ら資金の供給の仕組みをつくりましても、一番大事なのはもちろん御利用いただく方が使いやすくということは、いつの時代でもといいますか、時代が変わっても同じだと思います。

 そういうことで、今御指摘いただきましたように、商工会、商工会議所、さらには中小企業診断士の皆さんも、あるところは都道府県の予算を使い、またあるところは全く自発的に御協力をいただきました。それからあと、年末は案件の申請自体が大変ふえたものですから、一月の資金で済むものは先入れ後出しといいますか、急ぐものから処理をするという、審査の順番を変えたりいたしまして、何とか年末はそういうことで工夫、対応してまいりました。

 いよいよ年度末ということで第二の山でございますので、現在、こうした関係の皆さんの御協力もございまして、私ども、個別に、全く全国でそういう詰まりがないというほどではございませんけれども、おおむね混雑はなく、そして各局に、そういった点についてはむしろ敏感に報告するようにということをお願いしております。

 二月末までに三十八万五千件の認定が、全国の市町村の市役所ないしは役場の御協力をいただいて終わっておりますけれども、さらに年度末が近づきますので、おさおさ怠りなく、緊張感を高めて対応してまいりたいと思っております。

北神委員 ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 枠の方は、財政的な裏づけは、三十兆円ですか、緊急保証とセーフティーネット貸し付けでそろえておりますので、あとはやはり使い勝手がいいようにするのが一番大事だと思いますので、その点、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、私の資料、ちょっと多目につくって先ほどもおしかりを受けたんですが、四ページに緊急保証の実績の方があります。これは、話がありましたように、もう七・七兆円ぐらいの金額が出ているということで、全体の枠が大体二十兆円ということを考えると、三分の一以上もう使っているというような状況で、ある意味では非常に迅速に対応ができているというふうに思っております。

 一方で、公的金融のセーフティーネット貸し付けの方、緊急融資の方、これは三ページにございます。中小事業と国民事業、旧中小公庫、旧国民公庫というふうに分かれておりますが、その金額を見ていただきますと、中小事業の方が四千六百二十六億円、国民事業の方が六千百五億円ということで、大体一・七兆ぐらいになると思いますが、これがやはり、枠全体が十兆円あるわけですが、まだ十分の一以上しか達成していない。

 緊急保証の方は三分の一以上もう達成しているんですが、このセーフティーネット貸し付けの実績の方が、普通に考えると、この枠組みとの対比でいくと、まだいまいち対応できていないんじゃないかというふうに思うんですが、この点について、御見解はどうでしょうか。

長谷川政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘にございましたように、日本政策金融公庫、一部商工中金もございますが、この政策金融公庫からの貸し付けというのは、また保証にない、使い勝手がいい面もございます。とにかく、中小企業の皆さんがこういった複数のチャネルを設けることで使いやすいように、特に金利面等々では、当たり前のことですけれども保証料が要らないわけですから、そういう意味では使い勝手がいい面がございます。

 また、そういう点で、政府の方針そして国会でお許しをいただきました、今御指摘がございました、当初三兆円、そして今十兆円まで枠をいただいておりますので、少しでも多く有効にこれを活用しなければいけないという意識は、大臣からも私どもきつく言われておりまして、機関にもその旨浸透しておりますが、実態は今委員からのお話があったとおりでございます。

 そこで、第二次補正予算の成立を期しまして、特に金利を原則としまして〇・三%引き下げる、また借りかえ、一本化のニーズに応じました借りかえ特例制度を導入するといったようなことを浸透いたしまして、ことしになりましてから御利用される方の伸び率はふえているわけでございます。これは、御配付をいただいた資料がいみじくも示しております。

 ただ、こういったようなことで私どもは十分だと思っていないものですから、そして政策金融公庫自身も十分だと思っておりませんので、そういうことで、緊急の対策広報チームを公庫の方は年明け早々に編成いたしまして、そして全国を回る、役員が支店のみならず中小企業の皆さんを訪問するということで、少しでも御利用の可能性がある方を訪ねていくということをやっております。

 一点あえて、言いわけではございませんけれども、公庫のサイドの見方だけ、事実ということで御答弁を申し上げますと、実は、この今回の非常時が始まる前は、午前中の審議でもございましたように、金融につきましても、極力民間の機関を活用しろという一つの大きい流れが政府の決定でございました。

 例えば、平成十七年の十二月の行政改革の重要方針で決めておられますけれども、政策金融を、対GDP比で貸出残高を平成二十年度中に半減する、あるいは中小企業金融公庫、今回のこの資料の上の方に含まれている部分でございますが、一般貸し付けは量的補完ですから、もはや資金余剰になっているから量的補完は国が行う必要がなくなっており、撤退する、こういうような背景があったものですから、いわゆる営業開発部隊というような機能が昨年のある時期まで、率直に申し上げますと、そういう機能は公庫にございませんでした。

 したがいまして、ある種の非常時ということで、その機能あるいは職員のマインドを変えるというのに当初少し時間がかかっているということは、言いわけではございませんけれども、そういった点が背景にあって、今は完全にフルのエンジン回転で、公的機関としてしっかり傘を貸すということでやっておりますので、引き続き見守っていただきたいと思います。

北神委員 公的金融の話で、確かに三月の数字、これは三月十一日現在ですけれども、特に国民事業の方が、前年同期比を見ると大分足元が伸びてきているということがわかると思います。中小事業の方はちょっとわかりにくいんですが、国民事業の方はそうだ。

 いろいろな話を聞いていると、これも大臣と去年の十一月二十六日の委員会で話したんですが、あのとき、私はやはり第二次補正は早く出すべきだと。ところが、皆さんは九兆円の枠で十分対応できると。確かにその部分だけ見るとそのとおりなんだけれども、第二次補正のところに、さっきおっしゃった政策金融、公的金融の金利の引き下げの部分の負担の財源が一千億円ぐらい入っていたんですね。これをやはり通さないと金利の負担というものが軽減されないという話をさせてもらいました。これが第二次補正が通って措置されたということなんですが、実際に発動しているのは、時期的に言えば三月ぐらいからなんですかね。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 一月の末から、第二次補正予算を使わせていただけるということをお許しいただいた時点からお貸しをしております。

 ただ、具体的な個別の案件はやはり金融審査を伴いますので、それが使えるということになりましたので、個別の案件ごとに中小企業の方が実際の御利用いただける比率がその分差し引かれたかどうかについては、少し時差があるというふうに思っております。

北神委員 それは、私が去年質問していたときには第二次補正予算に含まれるんだということが、第一次補正で運用上それを使うことができるということになったわけですか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 第二次補正予算を御承認いただけたということで、いわゆる歳入財源法が通る前であったわけですけれども、さっき先生から一千億というお話がございましたけれども、実際はもうちょっと少ないんですけれども、これはある意味では、手持ちのやりくりの中で一月の末から実施をさせていただいたということでございます。

北神委員 わかりました。

 いずれにせよ、大臣にお聞きしたいのは、最初、政府の方針としても、できるだけ民間の金融機関を使うべきだという話があったんですが、私は、民間の金融機関は、かなり金融庁とか、今回は特にその辺もいろいろ配慮していると思います。ところが、それは民間の金融機関だって、この不況が非常に厳しい中で、なかなか彼らに、やはり健全性の問題もありますし、こういうときこそ公的金融の出番だというふうに思うんです。

 よく政府の方々は、八割が民間で、二割が補完的な意味合いで公的金融があるんだと。それはそのとおりだと思うんですが、やはりこういう不況のときこそもっと出張って、力を民間に与えるべきだというふうに思うんですが、その点についてお考えを伺いたいと思います。

二階国務大臣 議員も御承知のように、民間の金融機関のシェアといいますか役割は八割程度で、公的な部分は二割程度、こう言われておりますが、私自身も、今、公的な部分が前に出て活動すべきときだということで、関係者もそのことを認識し、かなり積極的に前に出て対応しております。そして、保証にしましても、保証料は通常よりも低いものとして対応しておりますから、このことに関して中小企業の皆さんからも大変喜ばれておるわけですが、あわせて、やはり金利等においてももっともっと勉強していただきたいということを我々は関係者にお会いするごとにしょっちゅうお願いしておるわけです。

 やはりここは、こういうお互いに予見することのできなかったような危機的状況に遭遇したわけですから、民間もあるいは公的な機関も両々相まって効果が上がるように努力すべきで、我々は、その両者に対し、金融庁と協力し合って対応していこう、こういう考えであります。

北神委員 まさに公的金融が大事だという話をいただきました。よく、八割民間、二割公的というけれども、不況のときは、例えば七割民間、三割公的になっても私はいいと思うんですよ。それがまさに公的金融の役割だというふうに思っております。

 大臣からそういうお話があったんですが、今回、セーフティーネットの貸し付けについていまいち業績が振るわない。いろいろな理由があると思うんですが、一つは、緊急保証の方は割と地元の経営者の方もよく認知をしている。公的金融というのは意外と知らない方もいるし、知っていても、割と縁遠い、窓口がよくわからない。だから、広報の部分もあるかもしれません。

 きょう一番指摘したいのは、私の資料の七ページにありますが、これは日本政策金融公庫の支店、職員数という資料なんです。

 当然、地方に行けば支店があることが非常に大事だ、そしてそこの支店があるから気軽に出向くことができるということなんですが、いわゆる民営化の議論というか行革の議論の中で、もともと国民公庫は百五十二支店あった、中小公庫は六十一支店あった。これが今、百五十二支店に削減されているわけですよね。これはもちろん、行革というか、組織をスリム化する、合理化するという意味ではいいのかもしれませんが、先ほど私が申し上げたように、あるいは大臣もおっしゃるとおり、やはり公的金融というのは非常に大事だ。そういう意味で、その手足となる支店というものがこのように減らされている。

 人員の方は、これは平成二十年度だけですが、ちょっと調べたら、二年間で、平成十八年度、十九年度を見ると、大体百五十名弱減らされている。多いか少ないかというのはいろいろな見方があると思いますが、これも恐らく、行革ということで、意図的に、意識的に減らしている。

 果たして、本当にこんなことをする必要があるのか。まさにおっしゃるとおり、だれも想定できなかった不況というふうにおっしゃいますが、このぐらいの規模の不況じゃなくても、不況は常に、経済は循環しておりますから、出てくるわけですよね。そういうときに柔軟に対応できるような体制が必要だということからいえば、この支店を減らしたり職員を減らすというのはまさにそれに逆行しているんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 年末を越え、そして年度末を控えて、政策金融公庫の職員一人一人が大変な緊張感と重い職務意識で今本当に日夜取り組んでおりますので、そういう中での今の委員の御指摘は、ある意味では大変励まされるものがあって、こういう重い場できちんと評価をいただいているというのは、私も大変ありがたいと思いますし、お伝えしたいと思います。

 その上で申し上げますと、今回の政策金融機関の改革の中で、旧中小企業金融公庫そして旧国民金融公庫はともに、中小企業の皆さんあるいは小規模企業の皆さんに、金融さらには経営面でもお手伝いをする。それが一つになることによって、御本人が使っているのであえてシナジーという言葉をこの場で使いますけれども、したがいまして、支店につきましても、同じ市に両方の機関のものが別々の場所にいるというのは、やはりそういう原則といいますか考え方にもとるのではないかということで支店を物理的に一緒にした面がございますので、そういう意味では、見かけ上確かに減っているように見えるかもしれませんけれども、置いてある場所というか都市の数で申し上げますと実は余り変わっていないというのが実情でございます。

 その上で、職員が減っていることにつきましては、御指摘のとおり、行革の、国家公務員、私どもに準じたような形で定員を圧縮しろという要請がございましてこういうことになっているわけでございますけれども、現在は、とにかく一人一人が一二〇%パワーを発揮するということで、期待に沿うように、そして与えられた職務を少しでも全うするように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

北神委員 大臣もぜひこの点御指導いただいて、さっき話があったように、行革の圧力で、職員を減らせ、そういうふうに中小企業庁も言われてきたわけですよね。これは多分今後軌道修正はすると思いますが、そういうことも踏まえて、今後の人員の問題とか支店の問題についてはちょっと注視をしていただきたいというふうに思っております。

 これに関連して、先ほど午前中も三谷委員から話がありましたが、私も資料に載っけております。資料の六の、ページ数で言えば九ページですが、参議院の方で自民党さんの西田委員が与謝野さんに質問をして、大きな政府、小さな政府の議論についてどう考えるかという話で、あえて与謝野国務大臣は、政府系金融機関の民営化の話というのは、不況の深刻なものは来ない、まして今回来たような不況というものは来ないということを前提にした制度論であり経済学であって、これは間違いであるというふうにはっきりと言っております。

 大臣も、先ほどちょっと私も聞いていなかったんですが、ですからもう一回ぜひ答弁をしていただきたいんです。閣僚の一人だったから総括できないというお話もありましたが、そういうことじゃなくて、さっき申し上げたように、今後、本当に小さな政府あるいは民営化、行革、これをよしとするんだったら人員をどんどん減らしたらいいんですよ。そして、職員の数も減らして、支店も減らしたらいいんですよ。そして、信用保証の拡大で民間の金融機関にやらせたらいい、そういう方針でもいいわけですよ。

 ですから、これは、総括という話というよりは、私は別に責任を求めるつもりは全くないので、大臣の方針としてどう考えるかというのをお聞きしたいと思います。

二階国務大臣 当時は当時の判断として進んで、行革あるいはまた民営化という、かなり勢いに乗ってそういうことが進められたと思いますが、私は、小泉内閣の終わりのころに経済産業大臣を担当しました。ちょうどそのころが政府系金融機関の民営化ということがおぜん立てが整ったところでございまして、私はそのことを推進しなければならない立場でありました。

 いかにもこのことをそのままストレートに推進してまいりますと、今次のような経済不況に陥った場合に、中小企業の皆さんは何を頼りにそこから再起の道を開くかということを考えれば、当然、今までのような、中小企業の頼りになるような、相談相手になれるような金融機関、またはそういう金融的な活動ができることを用意しておかなきゃいけない、こういう思いがありましたから、かなりいろいろな方々とも議論をしましたが、私は、守るべきものを守ることが大事だということで貫いてまいりました。これには小泉総理も了解をいただいて、今のような大変な事態が発生したときに、それに対して危機対応という措置を残すことができたというふうに思っておりますが、今後もその精神は忘れてはならぬと思っておりますから、何でもかんでも行革行革ということで進めていけばいいというふうには私は考えておりません。

北神委員 危機対応業務の話が出ましたが、これはまた別に置いておいて、今申し上げているのは公的金融の話で、では、これについては大臣は、今後、行革とかそういうことじゃなくて、しっかりと、やはり公的な役割として大事だ、守る、そういうことでよろしいんでしょうか。

二階国務大臣 公的な金融機関の制度が今存在することによって、どれだけ中小企業の皆さんが安心感を持っておるかということからしまして、この公的な金融機関の存在は残すべきものだというふうに考えております。

北神委員 ぜひその方針でやっていただきたいと思いますし、中小企業庁の方も、そういうことですので、今後、支店をむやみに減らしたり、職員をむやみに減らすとか、そういうことなく、やはりこういう不況のときは、必ず不況は今回だけじゃなくて来るわけですから、そういうときに柔軟に対応できるように、そこはぜひとも守っていただきたいというふうに思っております。

 次に質問したいのは、今度は金融庁の話ですが、金融庁はちょっとびっくりするぐらい柔軟に対応していただいている。金融庁の方針としては、当然金融機関の健全性もありますので、その辺との均衡というものは大事だというふうに思いますが、非常に今回は中小企業対策に配慮しているということでございます。(発言する者あり)まだまだだという話もございますが、昔に比べたら大分よくなったというふうに思っております。

 これについて、ちょっと資料の十ページを見ていただければ、これは、ついこの間、三月十日に発表された「金融円滑化のための新たな対応について」ということですが、その下線の引いてあるところに、「緊急保証に係るリスクウエイトの見直し」「信用保証協会の保証付き融資については、現在、自己資本比率規制上のリスクウエイトが一〇%とされている」、これは自己資本比率の計算でリスクが一〇%ということになっておりますが、「このうち、緊急保証付き融資については、特例的にリスクウエイトを〇%とする。」と。これは、私は理屈としても当然だと思うんですよ。

 というのは、金融機関は、一〇〇%信用保証されるわけですから、全くリスクはないんですよね。ですから、当然これは自己資本比率上も、一〇%じゃなくて〇%にするというのは、私は理屈としても正しい。

 ちなみに、これは民主党の中小企業対策の一つであり、藤末参議院議員がこの質問をして、それを受けてこういうふうになったんだというふうに理解しておるんですが、これはこれでいいと思います。特例的という言葉がちょっとひっかかりますが、これはこれで前進だというふうに思います。

 ところが、十三ページを見ていただきますと、これは緊急保証制度について措置をされた話ですが、緊急保証制度というのは、今政府がやっているセーフティーネット保証制度の中の一つなんですね。全部で、この上の方にございますように、一号から八号まである。そして、緊急保証制度、今度リスクウエートを下げた部分は五号ですね。「全国的に業況の悪化している業種に属する中小企業者」ということです。これについてはリスクウエートをゼロにしたということです。

 ちなみに、これも大臣もぜひ認識していただきたいんですが、一号、二号、三号、四号そして六号と、全部保証率が一〇〇%、同じ保証率なんですよね。なぜか緊急保証だけリスクウエートをいじったということなんですが、私は、ほかの部分も当然、理屈としては、一〇〇%保証しているんだから、したがって金融機関の方もリスクは全くない、リスクがないんだったら自己資本比率の計算上もゼロにすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

飛田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたように、金融庁におきまして、三月十日に、緊急保証制度の政策的役割、財政措置等による特別な政策対応を踏まえて、リスクウエートを一〇からゼロにしたところでございます。

 この考え方でございますけれども、緊急保証が補正予算等におきましてほぼ全額政府のバックアップが講じられている、そういう特別な政策対応に考慮したということでございまして、すべての保証協会保証つき融資についてリスクウエートをゼロにすることは必ずしも適当でないというふうに考えている次第でございます。

北神委員 暗号のような答弁だったんですが、ちょっと解読すると、要するに、補正予算で今回の緊急保証制度というのは二十兆円バックアップをされている、だから、こういう財政的な裏づけがあるから、これはリスクウエートをゼロにした、しかし、だからといってすべての信用保証についてそうするわけにはいかない、それらは財政的な裏づけがないということだと思います。

 でも、私は、全部の保証制度というつもりはないんですよ。このセーフティーネット保証制度について、しかも保証率が一〇〇%の部分について申し上げております。今回、緊急保証制度については、財政的な裏づけとおっしゃいますが、それは枠組みを広げたから補正予算で措置をしただけであって、この一号も二号も三号も四号も六号も、これらも当然、何か問題があったら必ず国がちゃんと面倒を見るという話になっていると思います。したがって、全く同じなんですよ、緊急保証と。

 大臣、これはぜひ、五号だけじゃなくて、今後、不景気が長引く中で、一号なんか見ていただくと、「大型倒産発生により影響を受けている中小企業者」、十分これはあり得る話ですよね。二号、「取引先企業のリストラ等により影響を受ける中小企業者」、これも十分あり得る。六号、「金融機関の破綻により資金繰りが悪化している中小企業者」、当然これはできるだけ避けるべきですが、こういったこともやはり想定をしないといけない。

 三号、四号はちょっと次元の違う話なんで私申し上げませんが、一号、二号、六号については、やはりこれは金融庁の方でリスクウエートというものを緊急保証と同じように〇%に引き下げるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

飛田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しで大変恐縮でございますけれども、今回の措置につきましては、今申し上げましたような緊急措置、特別対応という趣旨に沿って講じられたというものでございます。(発言する者あり)失礼いたしました。

 今回の措置につきましては、財政措置による特別な政策措置という趣旨に沿って考えさせていただいたところでございます。

 いずれにいたしましても、告示改正に当たりましては、こういった趣旨を踏まえまして、関係省庁とも連携しつつ、三月末の決算に間に合うよう手続を進めていきたいというふうに考えております。

北神委員 特別の財政措置をしているとおっしゃいますが、これはさっき申し上げたように、枠組みを広げたんですよね、今回の対策で。それだけの話なんで、別にそれが、ほかの一号、二号、六号について全く財政的な裏づけがなくて、ここはもう信用保証協会がすべてかぶって、銀行がもしかしたらこれら一号、二号、六号の保証の融資について焦げつく可能性があるんだということではないんですよね。

 ですから、そういう意味では全く同じだし、今のは理論的な話ですけれども、政策的な観点からいっても、これは連鎖倒産が今後あり得る話ですよ。こういう部分について、リスクウエートをゼロにしたら、金利も下げる余地が出てくるわけですよ、民間の金融機関が。これは非常に資金繰り対策として大事だというふうに私は思っておりますが、いかがでしょうか。

飛田政府参考人 お答えいたします。

 リスクウエートの軽減措置につきましては、中小企業金融に関して、金融円滑化の趣旨のためにやったものでございます。

 繰り返しで大変恐縮でございますけれども、この告示改正に当たりましては、そういった趣旨を踏まえまして、関係省庁とも協議しつつ、本年三月末決算に間に合うように手続を進めたいというふうに考えております。(発言する者あり)

北神委員 これは金融庁の話ですが、大臣はどうお考えになるか、やはりちょっとお聞きしたいというふうに思います。

 それで、先ほどもBIS規制は紳士協定だという話がありましたが、バーゼル条約を見ても、これはちゃんと、こういう公的な要素を持った債権については国の裁量でゼロにすることも十分あり得るということがはっきり書いてあるんですよ。

 ですから、そういう意味でも、これは条約上も問題ない、理論的にも問題ない、政策的には、まさにこれから連鎖倒産が吹き荒れる可能性がある中で、私は大事だというふうに思っておりますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

二階国務大臣 私は、一〇〇%保証ということ、大変意義のあることだと思っておりますが、きょうは与謝野大臣がここにお見えになっているわけではありませんので、大臣の帰国を待って、話し合ってみたいと思います。

北神委員 ぜひ国務大臣として、与謝野大臣とこの点について協議していただきたいというふうに思います。

 大臣は賛成ですよね。どうですか、考え方は。

二階国務大臣 今日のようなこの状況を救うためにはいろいろな手を必要とするわけでありますが、私は、一〇〇%保証ということによって金利の引き下げについても我々としては大変強く主張することもできたし、このことは大事なことだと思っております。大事なことと思っているがゆえに与謝野大臣と話し合ってみよう、こういうことでございます。

北神委員 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 行け行けどんどんは悪いと思いますよ。ただ、私が言っているのは、ここではっきりと金融庁として緊急保証制度についてはリスクをゼロにしたわけですから、その並びでいえば、理屈としてもほかのところも当然そうすべきだと言っているだけです。それが政策的にも大変効果があるんじゃないかということを言っているだけですので、大臣、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 あともう一点、金融庁に伺いたいと思いますが、これは通告にないので申しわけないんですが、自己資本比率上、リスクをゼロにした場合に、さっき申し上げたように、金融機関もそういう緊急保証づきの融資については金利を引き下げられる余地が出てくるというふうに思いますが、その点について、これは監督していく方針でしょうか。

飛田政府参考人 お答えいたします。

 一般に、金融機関が貸し出しを行う場合の金利水準につきましては、基本的には金融機関がコスト等を踏まえて借り手と交渉するということになると思います。

 しかし、今御指摘のございました緊急保証つきの貸し出しにつきましては、これは保証ということがございますので、貸し出す方の金融機関にとっては金利を下げられる余地が出てくるということだと思います。

 このために、金融庁といたしましても、中小企業庁と連携しつつ、緊急保証制度の趣旨を踏まえまして、金利等を含めた貸し出し条件の設定について要請を行っております。

 具体的には、中小・小規模企業の負担に一定の配慮を行うなど、同制度が中小・小規模企業の資金繰りの円滑化に有効に活用されるように、そういう要請を繰り返し行っているところでございます。それによって金利が下がってきてということかと思います。

北神委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 当然、自己資本比率の計算がゼロになったからといって中小企業は助からないので、やはり実際に民間金融機関がその生まれた余地を使って金利を引き下げるということが大事なので、その辺、もちろん制限はあると思いますよ、行け行けどんどんはだめだと思いますが、その制限を守りながらも、貸し渋り対策としてひとつ見ていただきたいというふうに思っております。

 最後になりますが、こういうつなぎの話だけではなくて、経済を本当に立て直すのであれば、これから明るい見通しというものがやはり必要だ。中小企業の皆さんを見ていると、今までの戦後の系列の中で、下請として商売するというのは非常に厳しくなってきている。これはもう、元請の皆さんも悪い面もあるし、グローバル化の中でやむを得ない面もあるというふうに思っております。

 ですから、私は、優秀な技術を持ったりノウハウを持っている中小企業の人たちをこの系列の中から、もはやここで生きていくことができないのであれば、解放してあげて、海外に雄飛をする、販路を海外に求めて拡大していくことが大事だというふうに思っております。

 これは、政府も当然、大臣も、前に何回も議論しておりますが、こういう方針をこの前出したということで、資料の十四ページから政府の中小企業の海外市場開拓支援プログラムというのがありますが、これについて一つだけお聞きしたいのは、これを見ていると、経済産業局がいろいろと中小企業を発掘する。発掘をすると言いながら、実は、既存の農商工連携とか、既存の日本ブランドとかクラスター産業とか、こういったところをリストアップして、これらについて海外に出ていくことを支援する、それをまたジェトロとか中小機構とか、こういったところと連携をする。

 見ていると、最初から最後まで中小企業というのは、人手も足りない、経営者も大変忙しい、そしてノウハウもない、中国とかインドネシアとかベトナムの言葉もしゃべれない、全く人脈がない。こういった中でどうやって支援をするかということですが、資料の一番最後の十九ページを見ていただくと、経産局の人員が、一番下の方にありますが、国際業務関連職員、この人たちが実際にこの事業を担当するらしいんですが、全国で八十七名しかいない。それでこのプログラム、二百五十社……

東委員長 北神委員、もう時間が参っておりますので、簡潔に。

北神委員 わかりました。

 年間二百五十社もやると言っているんですよ、この八十七人で。これは難しいと思うので、ぜひどうやってやるのかというのをお答えいただきたいと思います。

桑山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生から、経済産業局の部局の概要と人数を書いた表をお示しいただきまして御指摘をいただきました。

 確かに、国際担当の職員、実は経済産業局全体で、全国を合わせてもここにありますように千八百人しかおらない小さい組織でございますが、その中で百名弱の体制が国際業務ということになっております。

 ただ、私ども経済産業局は、やはり何といいましても最大の仕事は、地域の中小企業あるいは小規模の企業の方々、日ごろ接触をして皆様方の要望を聞いて、そういう中から販路の開拓、さらには今御指摘のような海外への販路の開拓に意欲と能力を持っておられる方々をどうやって引っ張っていくか、見出していくかということが非常に大事だというのは、経済産業局全体のある意味では主要業務でございます。

 したがいまして、ここにあります表で申しますと、地域経済部とか産業部という職員が約千名ぐらい全国におりますけれども、こういう職員は、日ごろ、そういうふうに中小企業のきめ細かい御要望なり特性、状況を把握いたしまして、そういう中で、特に海外の販路開拓に意欲と能力があるような企業につきまして、こういう国際担当につないで、またその後のフォローアップも、そういう全体の職員、場合によっては資源エネルギー環境部の職員も、業種によっては対応するわけでございます。あるいは、総務企画部の人間を動員することもございます。

 それから、今御指摘がありましたような中小企業基盤整備機構ですとかあるいはジェトロ、そういう方々、あるいは全国三百の地域力連携拠点の皆さんとも、アンテナとなっていただいて、協力してやるというふうに努力をしてまいりますので、そういう点の人数の少なさを補って、精いっぱい努力してまいりたいと思っております。

北神委員 終わります。

東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終了いたしました。

 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 大臣所信に関しまして、幾つか質問をさせていただきます。

 今、北神委員から、中小企業に対する貸し付け、資金繰り対策について質問がありました。セーフティーネット貸し付けについて、若干、改めて質問をさせていただきたいと思います。

 今の議論にもありましたように、緊急信用保証の枠二十兆円は相当利用されている、にもかかわらず、セーフティーネット貸し付けの利用がまだまだ、最近御努力はされているようでありますけれども、緊急保証制度に比べると利用が非常に少ないということについて、その問題点と、それについてどのような対策を講じていらっしゃるのかについて、簡単にもう一度御説明をお願いします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 先般の御答弁と一部重複がある点はお許しをいただきたいと思います。

 国会からもお許しをいただきまして、中小企業の皆さんに少しでも御活用いただくということで、現在、十兆円の枠があるところでございます。したがいまして、年末から年始、年が明けまして、職員、幹部、総裁から、そういう意味での檄といいますか、しっかり使命を認識するようにということで、現在、積極的な広報活動、そして職員あるいは幹部が全国の店舗、それから各地の中小企業の皆さんと懇談をし、従来おつき合いがいただけていなかった方も含めて、接触を伸ばしているところでございます。

 折からの、先ほども御議論ございましたように、国会の方のお許しをいただきまして、金利も〇・三%、〇・三というと〇・三に聞こえるかもしれませんけれども、もともとの金利のベースが二%内外でございますので、それから比べますと大体六分の一から七分の一下がった、こういうこともございまして、何とかお役に立つということでやっております。

 一つ申し上げますと、この非常時が襲来する前に、行政改革の大きな流れの中で、民間金融機関を補完するということがしっかりと全体の方針になりまして、旧中小企業金融公庫の場合には、いわゆる一般資金というものをやめるということが決められたものですから、一般資金がございますと、結構、借りかえをするときに、複数の趣旨の資金をその一本に切りかえることによりまして、返済期間を延ばして逆に毎回の返済額を減らす、こういう工夫もしやすいんですけれども、なかなかそれがうまくいかなかった。ここにまいりまして、セーフティーネット貸し付けということで、新たにそういうことも始めたりいたしまして、現在、鋭意懸命にやっておるところでございます。

 いずれにいたしましても、年度末というのが大変山場でございますので、緊張感を持ちまして、また、本日のそういった御指摘を伝えまして、なお一層督励をしてまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、中野(正)委員長代理着席〕

田村(謙)委員 いろいろ御努力をされていらっしゃるというのはよくわかりますので、ぜひその努力を続けていただきたいと思います。

 緊急保証制度については、相当その利用が進んでいて、場合によっては枠が足りないのではないかというような意見もあったりしているようでありますし、また来年度の追加景気対策でお考えになるのかもしれませんけれども、もちろんセーフティーネット貸し付けもいい制度だとは思うんですが、もちろんその利用を促進するとして、それこそ、二十兆と十兆という枠をもう少し、例えばセーフティーネット貸し付けから緊急保証制度に移すとか、そういう融通をきかすというようなことはお考えにならないんでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 保証というのは、御案内のとおり主債務に付従するものでございます。セーフティーネット貸し付けは、いわゆる直貸しとありますように、機関が直接中小企業の皆さんにお貸しするものでございます。したがいまして、いろいろなリスク管理も違いますし、それから保証は、保証として間に金融機関というものが一本挟まり、そしてその金融機関は、国家は保証と貸し付けでダブってリスクをとらないということでございますので、そこに民間の金融機関が入るということになります。

 そういう意味で、予算、資金の性格、いろいろと異なった原理のもとに用意してございますし、それから、貸し付けが余っているから、予算をその分減らして別の予算をつけるということが技術的に可能かどうかですけれども、仮にそういう頭の体操をいたしますと、むしろ、これから貸し付けを、せっかくなじんでお借りしたい、特に旧国民金融公庫を御利用いただく方は小規模企業の小口の方が多うございますので、そこが、保証協会を経由して地元の金融機関からお借りするというような話と旧国民金融公庫の業務がもろにバッティングする、こういったようなこともございますので、一つの御指摘として念頭に置いてまいりますけれども、なかなか実際上は難しいというふうに考えます。

田村(謙)委員 これ以上は特に申し上げませんけれども、とにかく、資金繰りに窮している中小企業にできるだけ使いやすい制度に、広報を含めて、引き続き御努力をいただきますことをお願い申し上げます。

 話題をかえまして、大臣も所信で、資源の安定供給の確保ということについてもさまざまな今後の方針についてお話しになっていらっしゃいました。私も、昨年十一月の委員会におきまして、資源確保プロジェクトチームというのがどのようなものなのかといったようなこと、あるいは太陽光発電についても御質問させていただいたところでありますけれども、今回は、若干レアメタルについてお伺いをさせていただきたいなと。実際、大臣も所信で「レアメタルのリサイクルや代替材料の開発を推進してまいります。」ということをおっしゃっておられますので、それについて若干質問をさせていただきたいと思います。

 現在、御案内のように、多くのレアメタルがやはり大変貴重なものになっている。現下の景気後退で少し落ちついてはいますけれども、やはり中長期的に見た場合に、レアメタルの安定確保の必要性というのは何ら変わるところはないというのは共通認識であると思います。

 レアアースですとかあるいはタングステン、中国がそれぞれ世界シェアの九七%、八六%を占める、またプラチナに関しては南アが八〇%を占める、このような独占状態というものが続いているわけでありまして、やはりどうしても価格が高どまりしやすいのではないかという現状にあるわけでありますけれども、やはりほかの国々で開発を推進するということも大変重要だと思いますが、それに向けてどのような御努力をしていらっしゃるか、お伺いします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 レアメタルは、自動車、IT製品等の我が国の先端的なものづくりにまさに不可欠なものでございます。

 今先生御指摘のとおり、レアメタルの供給は一部の国に偏在をしております。中国についてはレアアース、タングステン等、南アフリカについてはプラチナ、マンガン等のレアメタルの世界最大の生産国になっているわけでございます。

 経済産業省といたしましては、こうしたことから、戦略的な資源外交を通じた探鉱開発、それからリサイクルの推進、代替材料の開発、備蓄を柱とする総合的なレアメタル安定供給確保対策を講じているところでございます。

 特に、今お尋ねのございました資源外交的な側面でございますが、供給源の多様化を図るための資源開発への取り組みということで、一つは、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、いわゆるJOGMECでございますが、ここを通じまして、豪州、カザフスタン、ペルー等のレアメタル資源が期待されている地域において資源探査等を実施しております。

 また、昨年の七月には、地質のリモートセンシングセンターを南アフリカのボツワナに設置いたしまして、南部アフリカ地域における我が国の先進的な探査技術による鉱物資源探査を実施しているところでございます。

 さらに、北米や大洋州における資源探査、開発に取り組む民間企業のリスク軽減のために、JOGMECによる出融資制度等によりまして、企業におけるレアメタル資源開発を支援しております。

 今後とも、こうしたことを強力に進めることによってレアメタル資源の安定供給確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 レアメタル、非鉄に関しても、いわゆるメジャー企業が非常に力を持っているという状況にあるわけでありまして、まさに鉱山開発から製錬、販売まで一手に手がける企業というのがあるわけであります。

 日本企業にも幾つかはあるとはいっても、やはり規模が全然違うという中で、資源のナショナリズムというのが台頭してきて、あるいは我が国の資源の安全保障という観点からしても、やはりそういう日本企業自体もさらに育成をしていかなければいけないのではないかというふうに考えたりもするんですけれども、それについてはいかがでございましょうか。

石田政府参考人 今先生御指摘の点につきましてもまさにそのとおりでございまして、資源につきましても、これはオイルだけではございません、資源メジャーというようなものがかなり大きなシェアを持っていることは事実でございます。

 ただ、足元につきましては、世界的な資源価格の下落という中で、レアメタルにつきましても、ひところ大分値が上がったものがかなり下がってきている傾向もございます。資源メジャーといえども採算的に苦しいもの、あるいは開発のプロジェクトに関して資金がショートするというようなことも状況としては一部出てきておりますので、そうした権益の確保等に向けて日本企業ができるだけ積極的に参画できるように、国としても、いろいろな出融資等を含めて支援をしていきたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 引き続き、中長期視点に立ちまして、ぜひさらなる御努力をいただきたいなというふうにお願いをいたします。

 さて次に、レアメタルの代替材料の開発について若干お伺いいたします。

 やはりレアメタルの中にはIT機器ですとか自動車などの素材として使われるものが多いということでありまして、それはまさに科学技術にも大きな役割を果たしているということでありますけれども、そういうようなレアメタルに依存しない技術開発、いわゆる代替材料の開発について、経産省としてはどのような支援をしていらっしゃるか、御説明ください。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、我が国の先端的なものづくりにレアメタルというのは不可欠でございます。したがいまして、今委員御指摘のとおり、その代替を図る、あるいは使用の量を減らすという技術開発については格別の意を用いているところでございまして、十九年度から、次の三品目についてその研究開発を進めております。

 具体的には、液晶テレビの透明電極、挟み込むところに使われておりますインジウム、各種モーターの磁石に使用されますところのジスプロシウム、かたいものを削る切削工具に不可欠でございますタングステン、これらについて、その代替の研究を進めてございます。

 十九年度からやっておりまして、その進捗でございますけれども、インジウムにつきましては、酸化亜鉛、亜鉛を使いますので、比較的埋蔵量が多いということで、そういったものを使って代替ができるめどがほぼ立ってきております。それから、ジスプロシウムとタングステンにつきましては、結晶の微細化でありますとか、あるいはセラミックス組織の微細結晶によって使用量を減らす、あるいは代替を図るというところの見通しをつけつつございまして、かなり着実な成果が上がってきていると思います。

 それから、本年度の補正予算でもこういった重要性についてはお認めをいただきまして、このプロジェクトの成果を評価あるいは分析するための機器なども、五億円でございますけれどもつけていただきまして、全体の前倒しを図ったところでございます。

 それから、二十一年度政府予算案でございますけれども、今申し上げたような実績と重要性にかんがみまして、自動車の排ガス処理に触媒として用いられるところのプラチナ、あるいは液晶テレビのバックライトあるいは蛍光灯に用いられるところのテルビウム、ユーロピウム、あるいは液晶ディスプレーのガラスの精密研磨なんかに使われるセリウム、こういったものを追加いたしまして、一段と代替あるいは使用量の削減を図ってまいりたいと思っております。基本的にはNEDOのスキームを使いまして、優秀な研究技術開発を募集して、今のような研究の種を育てていくということにしてございます。

 いずれにしましても、資源制約の打開の上で、こういった代替物の開発あるいは使用量の削減というのは大変重要でございますので、引き続き最大限の努力を図ってまいりたいと思います。

田村(謙)委員 いろいろと細かく御説明いただきまして、ありがとうございました。

 今御説明いただきましたように、平成十九年から三種類の技術開発をしていらっしゃる、そして二十一年度からさらに三種類追加をするということであります。

 レアメタルがたしか三十一鉱種、三十一種類あると思うんですが、それを全部というのはなかなか難しいと思いますし、優先順位に応じてそういうふうに六つを選んでいらっしゃるということなんだと思いますけれども、その六つだけで大丈夫というわけではありません。当然、代替材料の開発というのは大変時間がかかるのだろうというふうに思うんですけれども、ほかのものにさらに拡充をしていくということについては今後どのように考えていらっしゃるのか、あるいは今回三つだけの追加にとどめたのはどういう理由によるのか、御説明ください。

細野政府参考人 重ねてお答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、いわゆるレアメタルといいますものは三十一鉱種ございます。今、実際にやっておりますところの三品目プラス三品目で、まだほんの一部にとどまっていることは事実でございます。先ほども少し御説明をしたつもりでございますけれども、いわゆる液晶テレビ等々、我が国のものづくりの中で非常に付加価値が高い、だけれどもそれがないとできない、そういう意味での希少価値のある、ネックになるようなものについては優先的にやっていくということで、今、三プラス三ということで選ばせていただいております。

 もちろんこれは成果がどの程度上がるかということとの関係もございますけれども、よりものづくりのネックになるようなものについて、もしほかの材料があるのであれば、引き続きそういった鉱種についても、このプロジェクトの対象にすることについては検討してまいりたいと思います。

田村(謙)委員 あと、私もちょっと簡単にしかお話を聞いていないので逆に教えていただきたいんですけれども、同じようなプロジェクトとして、文部科学省に元素戦略プロジェクトというものがあって、私も概要しか聞いておりませんが、豊富で無害な元素による代替材料の研究、戦略元素の有効機能の高度活用、元素有効利用のための実用材料設計技術、そういった切り口でその研究の推進をするというプロジェクトが文部科学省にあるというふうに聞いておりますけれども、それと本件の違いというのは、どのような違いがあるんでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 文部科学省の方の制度と当方のプロジェクトの違いという御質問でございますが、一般的に言いますと、いろいろな代替性あるいは使用量の削減ということについての実用化に近いところを基本的に我々がやる、文部科学省の方は、もう少し物性でありますとか、いろいろなアカデミックな要素も多分に含めた上での将来に向かっての可能性をできるだけ広げてもらうというところで、可能性を追求していただいております。

 もちろんその成果については我々も使わせていただきますし、製造業の現場の方の話をまた文部科学省の方にフィードバックして、少し根本的なところも研究していただくというようなことで、相互に連携をとってやらせていただこうと思っております。

田村(謙)委員 済みません、言葉じりをとらえるようですけれども、連携をとってやっていこうと思っておりますというふうにおっしゃっていましたが、実用化に近いものは経産省さんで、より学術的なというか初歩的なものが文科省さんでというのは、何となくわかるようで、結局そのボーダーというのは明確ではないと思うんです。ある意味、一緒にやった方が何となくわかりやすいような気がするんですが、当初から緊密な連携というのはとられていらっしゃって、段階に応じて例えば経産省さんに移るとか、切り分けができるのであれば多分そうなるはずなんですけれども、そういうふうになっているんでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 往々にして、省庁間で似たようなことをやった場合に、連絡あるいはその意思疎通がという御質問、御懸念かと思います。

 現に文科省のプロジェクトのたてつけといわゆる我々がやっておりますところの制度のたてつけは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、やはり相互に関連をすることはお互いによくわかっておりますので、実際これを担っております担当レベルでは、合同の会議なども開きまして一定のフィードバックを、形式的に図るのだけではなくて、実際の情報交換をし、またその成果についてもお互いに共有をするということで協力を図っております。

田村(謙)委員 ぜひそこは、縦割りの弊害が起きないように緊密に連携をして、共同でやっていただきたいなというふうに思います。

 それでは、あともう一点、レアメタルのリサイクルについて一つだけ、携帯電話を取り上げてちょっと御質問させていただきます。

 御案内のように、携帯電話には、金ですとか銀、パラジウム、ネオジムといったような、天然鉱石を上回る濃度の金属が含まれているということでありまして、もちろん携帯電話の各企業が自主回収の努力はしておりますけれども、回収率がなかなか上がらないということも一方で聞いております。

 なかなか、企業に返した方がいいという意識が国民の間でもまだまだ広がっていないんじゃないか。いわゆるレアメタルが入っているということは、それが大変貴重であるという認識がまだまだ国民の中では残念ながら薄いと思いますので、携帯電話はそういうものだという認識がまだそれほど国民の間には広がっていないんじゃないか。

 何となく、あらゆるものをリサイクルするというのは大事だというのはみんな認識しておりますけれども、特に携帯電話とかそういうものに関して、レアメタルも認識をしながらという意識はなかなかない状況の中で、ついつい、もう使っていない携帯電話をそのまま家に置いておくとか、単に捨ててしまうというような状況も多々あると思うんです。

 現在、携帯電話のリサイクルの回収率がもしおわかりになりましたら教えていただきたいと思うんですが、おわかりになりますか。

吉川副大臣 回収率につきましては後ほど補足で答弁をさせたいと思いますが、田村議員御指摘のとおり、自主回収が行われているものの、回収台数が最近は低減傾向にございます。

 こうした背景でありますけれども、何となく持ち続けているといった消極的な姿勢や、自主回収の存在を知らないこと等を理由といたしまして、ごみとしての廃棄とか、個人情報流出に対する懸念等が存在をしております。

 また、携帯電話の回収を促進するために、消費者への情報提供やインセンティブの付与、個人情報保護の徹底等、ユーザーの協力を得やすい環境を整備することが重要であろうかと思っております。

 経済産業省といたしましては、これらに対応した回収促進モデルの構築や資源有効利用促進法の活用の必要性を含めまして、携帯電話回収の取り組み強化について検討し、実行に移していくことで、金やレアメタル等のリサイクルに取り組んでまいりたいと思っております。

 担当課にも私ども申し上げていることは、ユーザーの方に広報宣伝はもちろんでありまするけれども、携帯電話を販売している企業、さらにはメーカー等々に対しましても、こういった金やレアメタル等のリサイクルを徹底してはどうか、今、そんなようなこともこれからさらに検討もしていきたいと思っております。

吉崎政府参考人 お答え申し上げます。

 回収率でございますけれども、分母をどうとるかという問題がありまして、率として具体的な数字はつくっておりません。

 ただ、〇七年について申しますと、出荷台数が五千五百万台、そして一方で回収台数が六百四十四万台ということでございますので、一〇%強という一応の数字になってございます。

    〔中野(正)委員長代理退席、委員長着席〕

田村(謙)委員 ぜひ、携帯電話も貴重な資源に変わり得るわけでありますので、例えば、明確な提案というのはできませんけれども、デポジット制度ですとかあるいは買い取りとか、当然いろいろ資金がかかるわけでありますが、そういったことを含めて、大胆な政策をお考えいただきたいなということをお願い申し上げます。

 最後に、残った時間で、若干ではありますけれども、先ほど大島委員も質問していらっしゃいました産活法について、また法案の審議はありますが、先取りで質問をさせていただきたいと思います。

 やはり政投銀などの民間銀行が出資をする、それによって資金繰り対策をするというスキームがその中に入っているわけでありますけれども、あくまでも金融危機を乗り切るための時限的措置だ、そして企業への出資を円滑化するという目的のもとに今回のスキームが考えられているということでありますが、そもそも、資本注入をするという、資本の支援先の選定基準というのはどのように考えていらっしゃるのか。まだいろいろ仕組みは考えている途中だということを先ほど大島委員に対する回答でもおっしゃっておられましたけれども、現時点におけるお考えを教えてください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度は、先ほども答弁をさせていただきましたけれども、世界的な金融危機によりまして、金融機関からの融資が難しい状態にまで自己資本が減少する企業が生じるおそれがございました。

 こうした事態を放置いたしますと、国民経済の成長や発展に大きな影響を及ぼすことが懸念をされるということで、産業活力再生特別措置法を改正いたしまして、日本政策金融公庫法に基づきます危機対応業務の一環といたしまして、指定された民間金融機関が出資を行う場合に、その出資を円滑化する制度として盛り込んだものでございます。

 具体的な制度設計につきましては現在その詳細を検討中でございますけれども、産活法に基づく制度でございますので、まず産活法の認定企業ということが第一の要件になりますが、そのうち、世界的な金融危機の影響によって、急激に売り上げ等が減少して悪化をして自己資本が減少した、そのために融資だけではなく出資が不可欠になってきたということが一点。それから、一定期間のうちに当該企業の価値の向上が見込まれる、産活法に基づきますそういう事業計画を有しているということ。それから、対象企業が、雇用規模が大きいとか、あるいは下請企業等関連産業の幅広い企業群が存在をしている、あるいはこうした企業に代替困難な基幹部品等の相当割合を供給している極めて重要な企業であって、国民経済の成長や発展に及ぼす影響が大きいと考えられること。加えまして、当該出資を前提といたしまして、出資先企業に対しまして他の民間金融機関が融資あるいは出資を行うことによりまして、全体として協調してその認定された計画の実現等に取り組む、そういう環境が整備をされている、こうした要件を満たす企業が対象になるのではないかということでございます。

田村(謙)委員 基本的に民間の金融機関、政投銀は当然の前提というか中核を担うんだと思いますけれども、ほかのいわゆる民間の大手金融機関も対象には入るということでありますけれども、損失の一部を補てんするとはいってもそれは一部でありまして、結局、損失をこうむる場合には、民間金融機関は損失を部分的にこうむるわけでありますので、政投銀以外のいわゆる民間の金融機関は及び腰だという話も聞いております。

 それでは、そういった民間の金融機関も呼び込むために、どのような工夫というのをお考えになるんでしょうか。結局は、単に政府がこれをやれ、政府、経産省さんがこの企業を救うんだというような号令のもとに民間企業を巻き込んで、嫌々引っ張っていくんじゃないかな、そういうようなイメージがあるんですけれども、その点はどのように考えていらっしゃいますか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 日本政策金融公庫法に基づきます危機対応業務の一環でございますので、指定された金融機関は対象になりますけれども、私ども、基本的には、この制度を構想いたしましたときに念頭にございましたのは日本政策投資銀行でございまして、その他の民間金融機関につきましても、もちろん、希望があれば、それを指定するということは可能でございます。

 ただ、御指摘のとおり、損害担保契約を日本政策金融公庫と結ぶわけでございますけれども、そのてん補率も当然制限されますので、あくまでもこれは希望があるところから指定をする、そういう考え方で進めてまいりたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 そもそも、まさに出資をする、それに関して政府が、もちろん直接公的資金を注入するという話ではなく、一応民間の政投銀等の機関が出資をするという話でありますけれども、政府が関与する場合に、貸し付けもいろいろ枠組みがあります。債務保証とか貸し付け、当然そういった手段があって、ある意味、究極的な手段として出資というような形があると思うんですけれども、やはり出資となりますと、関与の度合いというのは相当高まるわけでありまして、どうしても判断がかなり難しいはずなんじゃないかな。実際、そういう懸念はいろいろな専門家から出ています。

 もともと、モデルとなっていた、モデルの一つである産業再生機構というのは実際独立機関であったわけでありまして、政府、経産省さんもそういった機関を目指した、最初は考えたけれども、やはりさまざまな、時間がかかるとかそういったことも考えて、今回このような間接的な手段に、ある意味では中途半端な手段になってしまったんじゃないかなというふうな批判ももう既に最初から出ていると思うんですけれども、その点についてはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、企業の資金繰りをいわば助けるための制度につきましては、いわゆる融資をベースにいたしましたツーステップローンでございます危機対応業務の融資でございますとか、あるいはCPの買い取り、あるいは中小企業について申し上げますと、中小企業金融公庫を使った再生ファンドを通じた融資、いろいろな制度がございまして、そういう融資の対応で資金繰りを助けていくというのが基本であるというふうに考えております。

 ただ、先ほど申し上げましたとおり、そうした対応だけではなかなか、自己資本が減少して十分な対策にならないというケースが将来想定される可能性がございますので、そのための念のための措置ということで、今回の措置を構想させていただいたものでございます。

 基本的には、当初から、日本政策金融公庫法の危機対応業務の一環として、政投銀を念頭に置きながらこの出資制度を構想したものでございまして、産業再生機構というような過去の組織を前提として検討したということではございません。

田村(謙)委員 時間が参りましたのでこれで終わりにいたしますけれども、ともかく、例えば監視機構を設けるですとか、場合によっては、実際損失をこうむると、そのまま税金が使われるということにも結果的にはなるわけでありますので、そこはできるだけちゃんと、資本注入先がより目ききのきく方によってしっかりと選ばれるというような仕組みづくりをしていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、終わりにいたします。

東委員長 田村謙治君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、最初に中小企業対策について伺いたいと思います。

 お手元にグラフと表を資料一で配らせていただいておりますが、これはOECD各国の自営業者数と日本の中小企業対策の政策経費について、以前は自営業者数だけでしたが、政策経費の方も入れたもので載せております。

 やはり、この表を見ても明らかなように、事実として日本の中小企業対策の政策予算が後退してきているわけですね。特にヨーロッパでは、EUの小企業憲章を制定した二〇〇〇年以降は自営業者数がふえているんです。一九八〇年に比べると日本とフランスは下がっておったんですけれども、フランスも二〇〇〇年から上昇に転じているんですね。ところが、日本は減り続けている。

 だから、そういう点では、中小企業の危機打開には、下請いじめの防止と、貸し渋り、貸しはがしなどをやめさせる資金の手当てをすることと、もう一つは、生活密着型の公共事業など仕事をふやす、そういうことが大事だと思うんです。

 そういう点で、まず中小企業を支援する政策経費の予算を一般会計予算のせめて二%ぐらいにふやすという思い切った取り組み、それから、ヨーロッパでつくられているような小企業憲章を制定して、思い切った中小企業支援の仕組みもつくる、こういうことを大臣の方にやはり考えてもらうことが必要だと思うんですが、最初に大臣に伺います。

二階国務大臣 吉井議員から、今、中小企業に対する大変力強い支援の言葉をいただきまして、ありがたく思います。

 政府としては、業務の不断の見直しを行い、行政の効率化によるコスト削減を進めていくことが求められております。そのため、政府では、我々行政の効率化についての取り組みと同時に、今日、このような前例のない速さで景気が冷え込んでいくという中で、中小企業に対する対応が最も重要な課題となっております。

 経済産業省としても、二次にわたる二十年度の補正予算と二十一年度予算案を合わせて、一兆円を超える中小企業対策費を計上しました。

 この予算を活用し、中小・小規模企業の資金繰り対策、あるいはまた農商工連携の促進、地域コミュニティーの中核である商店街に対する新たな支援措置などを積極的に講じてまいりたいと思っております。

 こうした予算に加えて、軽減税率の引き下げや欠損金の繰り越し、還付など、二千億円以上の税制措置を講じております。

 これらの予算や税制措置を戦略的に活用して緊急対策を講ずるとともに、いわゆる新経済成長戦略に基づく対策を進め、中小・小規模企業の新たな成長の実現に向けて真剣な取り組みを行ってまいりたいと思っております。

 中小企業に対する予算が少ないという御指摘でございますが、今我々は、今日の財政の中で許された範囲において精いっぱいの努力を傾けているつもりでありますが、そうした御指摘に対しても謙虚に受けとめてまいりたいと思います。

吉井委員 補正の方では、そのときそのときの景気の動向に合わせて保証枠を広げるための裏づけになるものをつけたりしますから、ですからそれは当然あるわけですけれども、当初のこの政策経費の方で、これはやはりそこを伸ばすということと、そして支援の思い切った仕組みをつくるということが大事なところですから、そこを取り組んでもらいたいと思います。

 そこで次に、中小企業庁長官の方に伺っておきますが、官公需適格組合の方から、地元中小企業への発注を機械的に一般競争入札にして大手企業の参入により中小業者が外れたりすることももちろんまずいことですが、到底仕事の採算性の合わない価格での受注が行われる弊害などが出ているという実態などが訴えられております。本来、官公需法では第三条で、「中小企業者の受注の機会の増大を図るように努めなければならない。」と、いろいろな工夫をしてというふうになっているわけですね。

 ところが、経済財政諮問会議で民間委員の御手洗氏が主張して、国の、霞が関の調達などについては、効率化の名のもとに霞が関の役所の物品調達の一括購入が進められるということになってきていますが、資料二の方にこれは添付しましたように、物品役務の調達に関する各起草グループを見ますと、キヤノンあるいはセブンイレブンとか、セブン&アイ・ホールディングスとか、あるいはトヨタとか、そういうところが出てくるわけです。つまり、大手企業ばかりが入っているんですが、この基本システムの調達というところで例えばキヤノンなどが入れば、その後の事務機器や消耗品の購入はずっとそれにかかわったものになるわけですね。

 ですから、この点では、この右側の表にあります例えば物品調達業務の起草作業グループというのを見てみますと、中にキヤノンの社員が民間委員に入っていますね。これは、キヤノンの社員が民間委員の一人としてこういう作業グループに入っていたということは事実だろうと思いますので、最初に確認をしておきたいと思います。

南政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、昨年の春でございますが、経済財政諮問会議の御指摘をいただきまして、物品調達だけに限りませんが、旅費等も含めた政府の内部管理業務をとにかく共通システム化しようと。その前提といたしまして、各省のローカルルールが多数ございますので、それを標準化するための作業を進めるということで、内閣官房のもとに、御指摘の資料にございますとおり、抜本的効率化の検討チームというものを立ち上げたところでございます。

 そこでアクションプランをつくりまして、それに基づいて、細かい、各省のさまざまな基準の統一化の作業を進めるために、どうしても役人だけの発想ですと非常に古めかしいという場合もございますので、民間の先駆的な事例も参考にしながらという趣旨で、官民合同の実務家クラスのタスクフォースをそれぞれの分野でつくらせていただいて検討を進めてきたところでございます。

 その人選に当たりましては、経団連さんとも御相談をさせていただいて、その御推薦をいただいた企業に御参加をいただいたところでございまして、物品調達の分野のタスクフォースについてキヤノンの御参加をいただいたのは事実でございます。

吉井委員 これ、大臣ももう何度も耳にされたと思うんですけれども、例えばかんぽの宿のオリックスの宮内さんのところのように、官から民へといったらそういうふうになるというのはやはりちょっとおかしいと思うんですよね。それで、一方には官公需法があるんです。中小企業への分離分割発注等によってできるだけ仕事が回るようにしようと言っているときに、一方では大企業が参入してきてがばっと仕事をとっていってしまう。効率化の名において仕事をとっていってしまうというのは、どう考えてもやはりそれはおかしいと思うんです。

 見ていますと、二〇〇九年一月八日に開催した説明会には、Aランクの大企業は十四社参加しているんですね。これまで大体入っていた大手企業といったら三、四社ぐらいなものなんですけれども、中小のC、Dランクが五十七社と。ですから、こういうことを見たときに、民間大企業が中小企業分野に参入してくる道を開くということになってしまったんでは官公需法が泣いてしまいますよね。

 ですから、官公需法が意味をなさなくなっちゃいけないので、特にこの法律は不況の時期につくられてたびたび改正も行われて充実してきたものですから、こういう法律を生かして、中小企業への公正で合理的な分離分割発注をふやすことで中小企業に物品役務提供などの仕事が回るように努力をしていくということは、これは、大臣、やはり国の方からそこをちゃんとしないと、国の出先もそうですし、地方自治体もそういうふうになっていったときに、これはなかなか、法律はあるんだけれども中小企業に仕事が回らないということになりますから、そこは大臣の方にきちんとさせるようにしてもらいたいと思うんです。

二階国務大臣 御指摘のとおり、もとより、中小企業に仕事が回るようにというのが精神でありますから、そのことが実現できますように、あらゆる面で、中小企業庁を預かる私の方の立場から、内閣府ともよく連携をとって正すべきところは正してまいりたいと思います。

吉井委員 次に、中小企業の仕事起こしにかかわって再生可能エネルギーに少し触れたいんですが、これは温暖化対策に大きな効果を持ちますし、地産地消型エネルギーでありますから、原発のように遠隔地から電力を引っ張ってくると送電ロスで大体五%あるんですね。そういうロスが生まれないということもありますし、太陽電池パネルの設置とリフォームとか小水力、小規模風力とか木質ペレットストーブなど、地域の町工場や工務店で設置工事や製作ができるような、そういう仕掛けをつくることによって地域の中小企業に仕事が回る、そういう仕組みづくりというのが非常に今大事なときだと思うんです。

 その中の、きょうは太陽光発電について伺っておきたいんですが、これは二月二十三日の予算委員会でも取り上げましたけれども、一つは、補助金の充実で、初期投資がやはり一戸百万円を切るぐらいまで持っていく努力をしないと、なかなかこの不況の中で設置しようということにならない。一方、電力固定価格買い取り制度でも、これを生み出して五年から十年で元が取れるぐらいの制度設計というものが必要だということを私は質問しまして、大臣からは、諸外国の例も参考にしながら、改革的、革命的に対応する必要があるという答弁があり、そして、その方向へ今進んでいっていることは私は大変結構なことだと思っているんです。

 昨年までは電力会社の考えもあって、固定価格買い取り制度というのは非常に否定的だったわけですね。それが前進へと向かっているということは、ある意味では、人によってはルビコンを渡ったなと言う人がいるぐらい、やはり制度の考え方自体が、これまで固定価格買い取りをやらないというのからやる方へ変わったわけですからそこは大事だと思うんですが、問題は、それを本物にしていくために何をなすべきかということだと思うんです。

 ここでは、一つは、現行の家庭用電力料金の何倍で買い取るようにするかという買い取り価格の問題と、それから、固定価格買い取り制度で、実際に五年から十年で初期投資が戻ってくるようにするには、各戸で発電した電力をすべて電力会社が買い取って、電力会社には従来どおりの家庭用電力料金で各戸が支払うというふうにすると、これは比較的早くその問題の解決につながるかと思うんですが、この点について最初に、政府参考人からお答えいただいても結構なんですが、そういうふうにした場合に、設置時の初期投資額は幾らにするとこれが実現できるのかということを伺っておきたいと思います。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の、発電をされた電力をすべて電力会社が買い取るという前提でございますけれども、現在検討中の買い取り制度におきましては、太陽光発電の余剰電力のみを電力会社が買い取るということで考えておりますので、まずそこの点についての前提を仮定ということでお答えをさせていただきたいと思います。

 もし仮に委員御指摘のとおり住宅の太陽光発電の電気をすべて電力会社が買い取ることとして、そして、その買い取り価格を例えば現在の太陽光発電の発電原価であるキロワットアワー当たり四十九円というふうに仮定をした場合でございますけれども、住宅の太陽光三・五キロワットで二百五十万円の設置でありますので、この買い取りを全部行うということになりますると、年間の買い取りの総額というのは一家庭当たり大体約十八万円になります。

 したがって、仮にこれを五年間で元が取れるようにするというふうに考えた場合には、五年間掛ける十八万円ということになりますので九十万円。これを全体の二百五十万から差し引きますと、残りが百六十万円ということになります。したがって、この百六十万円を仮に補助金でカバーするということであれば、そうしますと、補助金の百六十万と、それから委員のお言葉でございます初期投資額としての九十万ということで五年間での回収が可能になる、こういうことでございます。

 また、同じように、これを十年間でというふうに考えていきますと、同じように十八万円掛ける十年間ということに相なりますので、二百五十万円からこの百八十万円を差し引きました七十万円が補助金として用意されていれば、それが全体で十年間で元が取れる、このような計算になろうかと思います。

吉井委員 初期投資額が百万円を切るぐらいになると、需要がぐっと伸びるということでコストダウンも図れるわけですね。ですから、初期投資の、メーカー側の方が予定する当初の価格自体がぐっと下がってくるということになりますが、一戸当たりの補助金を充実するということは、やはり爆発的普及という点では、二酸化炭素排出削減ということでは大事だし、メーカーの方にコストダウンのインセンティブを与えていくという点でもそのことが大事だと思うんです。

 そうすると、五年から十年で考えた場合に、補助金としては、あるいは補助金の形でとるか減税の形でとるかにしても、大体十年だったら七十万円、それで五年で考えるとすると百六十万円、その百六十万円をどういう形でうまく生み出すか、それはコストダウンによってうんと下げるかとか、そこのところが一番のポイントだというところですね。重ねて伺っておきます。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 これは、委員御指摘のとおり、補助金額それから買い取り価格の水準、そして買い取り期間、これらを総合的にバランスをとりながら判断をしていくということが必要になってくる、こういうことがまず前提でございます。

 それから、ただいま御指摘ございましたように、発電された電力をすべて買い取るのか、あるいは、これは家庭の電力消費につながってまいりますので、使い余った余剰の電力を買い取るのかということによっても、制度の設計に影響を大きく与えてまいります。

 いずれにいたしましても、委員の御指摘を踏まえながら、今後の制度設計に、今申しましたような買い取り価格の水準、期間そして買い取りの対象ということをよく詰めて検討してまいりたいと考えております。

吉井委員 ここで大臣に伺っておきたいんですが、かつて太陽光発電の補助金をつけたときに、地域によっては、訪問販売業者がずっと設置して回って、後はいなくなってしまう、仕様が出ないためにメーカーが不信を食らうとか、そういうトラブルなどもありました。

 やはり、地域の見えるところにいる工務店の方がコーディネートして、各省庁の補助金と太陽光パネルの設置などを組み合わせてやるというふうになると、それは、屋根の強度の補強とか耐震補強とか介護にかかわるような補強とか、リフォームを含めてやっていくとうまくいくんですが、これは予算委員会でも一度取り上げましたけれども、やはり補助金というのは出るところが省によってばらばらですから、実際にそれを補助金を受けてやってもらう方は、施主さんは一人だし、コーディネートする工務店の方は一軒である場合に、余りややこしい仕組みでは使い勝手が悪くて仕方がない。確かにメニューはいっぱいある、しかしなかなか使えないということでは生きてこないので、そこをどのようにきちんとしたものにしていくかということについての大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

二階国務大臣 今は不況でもって、地方の工務店あるいは大工さんとか電気工事業者とかということに至るまで、大変仕事がないということでお困りになっておる状況でありますから、ちょうどこの太陽光発電の設置ということになりました場合に、少し技術的な面で新しい、電気をいじるということになりますから、このことに対して講習のようなものを受けていただかなきゃいけない。今、経済産業省の出先を通じて、県当局等と連携をとりながら各地で講習をやらせていただきたいと思っております。

 そうしたことによって、お仕事をなさったような人たちはほとんどその地域に住んでおられるわけですから、何か事故があったり、あるいはまた発注者の御家庭で水漏れがあったり電気の接続がうまくいかないというふうな事態が発生した場合には、直ちに連絡がとれるというふうな範囲に設置業者が存在するということが私は理想ではないかというふうに思っております。

吉井委員 それで、私は、太陽光発電の補助金にしても、買い取りのときにどういう形で支援策を考えるかにしても、あるいはコストダウンを図るにしても、電源開発促進税が三千五百億円入っている中で、補正と今度の分と合わせて太陽光設置補助金二百九十三億円というのは余りにも志が低いと思うんですよ。

 それで、中でも断熱住宅補助金など、これはNEDO経由で出ておった分が今度切られてしまうとか、太陽光は補助金をつけたんだが一方で断熱の補助は切ってしまうとかすると、本当は環境対策という点でもやはり制度の設計としてまずいと思うんですね。

 私は、この点ではうんと大きな志を持って取り組んでもらわなきゃならないと思うんですが、環境対策の補助金を、どこかを削って太陽光をふやすとか、そういうことをしないということを確認しておきたいと思います。

石田政府参考人 エネルギー特会、先生よく御案内のように、まさに歳入歳出一体改革ということで今運用することを義務づけられているわけでございます。その中で、例えばこの太陽光の補助金につきましても、まさにある意味ゼロから、来年度、新年度予算では二百億つけるということで、その制約の中でいろいろやりくりをせざるを得ないという状況にあることもまた御理解いただきたいと思います。

 もちろん、めり張りをつけながら、私どもとしても、必要なものにはできるだけの予算を確保していきたいというふうに考えております。

吉井委員 最後のテーマとして、事前にお伝えしておきました政治と金の問題について伺いたいと思います。

 私は、ここに一九九三年の政治改革特別委員会で私が取り上げました会議録を持ってきておりますが、このときにはちょうど新生党代表を務められた小沢さんのゼネコン選挙について取り上げたことがありまして、選挙の総括責任者が鹿島建設で、選対責任者が大成建設で、副責任者が清水建設、西松などはずっと下の方と、こういう名簿も出してやったわけですが、やはりあのときに企業献金を禁止する、政治と金の問題についてきちんとしてしまうということをやっていないことがいまだにいろいろな問題を引き起こしている大きな問題だと私は思うんです。

 そこで、きょうは、あらかじめ質問レクのときにお伝えしておきました、二階大臣の新しい波の政治資金パーティー券が連日報道されておりますが、新しい波の会計責任者はどなたですか。

二階国務大臣 新しい波は、私ども自由民主党の中の政治グループ、新しい波のメンバーによって構成しておるわけでありますが、ここの会計責任者というのはたしか、今間違ってもいけませんから後ほど正確に調べてお答えしますが、私は質問をちょうだいした担当者からそれを聞いておりませんので、申しわけありませんが、もうこういう時期に間違っても御迷惑でございますから、後ほど正確に書類によってお届けします。

吉井委員 実は収支報告書のコピーを持ってきているんですけれども、代表者氏名は二階大臣のお名前で、会計責任者氏名は泉信也さんですが、会計責任者は前に国家公安委員長を務められた泉信也さんですね。

二階国務大臣 泉信也さんは、そのとおりでございます。

吉井委員 私、この泉さんは、内閣委員会で国家公安委員長に出てきてもらってよくやりとりをして、お人柄もよくわかっているんですが、仕事柄、ゼネコン疑惑とかマリコン疑惑とか、政治資金の不透明な扱いを捜査する警察を指揮する立場にいらっしゃった方ですね、国家公安委員長ですから。

 当然、政治資金パーティー券収入の上限が百五十万円とか、もちろんよくそういうのを知って当たっておられたと思うんです。だから、百五十万円にならないように二つの団体に分散させた例としては、二〇〇五年十二月七日の東京プリンスホテルでの新政治問題研究会九十六万と未来産業研究会六十六万で、合わせて百六十二万。百五十万を超えていたわけですね、二つの団体に分けてあった。一方、この二〇〇五年について、新政治問題研究会を見ますと、名古屋と大阪と東京の三カ所分を合わせると二百四十六万円。

 つまり、二つの団体に分散させることによって百五十万円にならない、あるいはパーティーを三回に分けることによって百五十万円以下にする、こういう点では、ある意味では脱法的であっても形式的には違法でないという形を編み出したということを見ることもできると思うんですが、大臣は、会計責任者の泉元大臣から、これらについて説明は受けておられるでしょうか。

二階国務大臣 泉大臣から特に説明を受けたわけではありませんが、今のお話からしますと、二つの団体に分けて、そして三回やった、こういうことでありますが、二つの団体がどうあろうとも、我々は東京にも名古屋にも大阪にもグループのメンバーがおりますから、そういう人たちが主催をして、パーティーあるいはまた政策発表、あるいは政治活動ということを展開し、また、ほとんどそういう場所ではいろいろな識者の皆さん等をお招きし、関係者の皆さんの御意見等をちょうだいしたりして、ただ資金集めのパーティーというだけではなくて、かなりそうしたことに対して熱心に取り組んできたわけでありまして、泉会計責任者が何か考えを持って三つに分けたとか二つに分けたとか、そんなことは私は聞いてもおりませんし、信ずることはできません。

吉井委員 西松建設がゼネコン汚職でかつて逮捕された実績もありましたし、元営業管理部長が二つの政治団体を退職後に設立して、名前は別だけれども、住所も電話も会則も同じということは、これは御存じであっても当然だったんじゃないかと私は思うんですが、会計責任者の泉さんだったら、会計責任者ですから、当然そういうことはよくおわかりだったんじゃないかと思うんです。

 いずれにしても、二つの会を合計したら百五十万を超える、あるいは一つの会であっても、一つの年度に二回とか三回とか分けてやっている形をとっているが、合わせると百五十万円を超える。こういうふうなやり方というのは、これはなかなか国民的には納得のできるような話じゃないので、私は、きちんと説明責任を果たすということがやはり政治家としては非常に大事だと思うんです。

 そして、この際、企業献金、あるいはパーティー券購入という名目をつけたにしても、結局は企業献金の形を変えたものですから、ですから、企業献金の禁止とか、あるいは政党助成金の廃止で、政治と金の問題については、私もリクルート以来ゼネコン汚職とかいろいろなことで国会でもやりとりしましたけれども、ずっと続いているわけですから、やはりこういうことをきちんとしないと国民から政治が見放されるという、政治と金の問題でこの危機感を持っていらっしゃるかどうか、時間が参りましたから、これを伺って質問を終わるようにしたいと思います。

二階国務大臣 我々は、政治活動をやっていく上において、政党の性格によっても異なりますが、私どもは、やはりみずからが政治資金を、御理解いただく方々の支援を得る、そして活動を展開していく、これは民主主義の一つのコストだということをよく言われるわけですが、そういう場合にも、しかし、政治が国民の皆さんの信頼をかち得るための努力というものは常になさなくてはならないわけでありますから、その点において、吉井先生が今最後におっしゃったことに対しては十分理解できます。

吉井委員 では、これで終わりますけれども、やはり政治と金の問題はずっときています。これはきちんとやはり正していくというふうにしないと、本当に政治が信頼を失うことになる。その点ではまだまだ説明責任を果たしておられるとは思いませんので、きちんと説明責任を果たすべきだということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

東委員長 これにて本日の質疑は終了いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.