衆議院

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第19号 平成21年6月19日(金曜日)

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平成二十一年六月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 赤羽 一嘉君

      阿部 俊子君    小此木八郎君

      岡部 英明君    川条 志嘉君

      木挽  司君    高村 正彦君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    新藤 義孝君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    中野  清君

      橋本  岳君    林  幹雄君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    安井潤一郎君

      山内 康一君    山本 明彦君

      太田 和美君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    近藤 洋介君

      下条 みつ君    鈴木 克昌君

      牧  義夫君    三谷 光男君

      柚木 道義君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            居戸 利明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           原山 保人君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            数井  寛君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     山内 康一君

  片山さつき君     阿部 俊子君

  近藤 洋介君     柚木 道義君

  田村 謙治君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     片山さつき君

  山内 康一君     小此木八郎君

  鈴木 克昌君     田村 謙治君

  柚木 道義君     近藤 洋介君

    ―――――――――――――

六月十八日

 クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律案(内閣提出第五七号)

同月十九日

 経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第五三号)

 クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律案(内閣提出第五七号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官居戸利明君、経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、経済産業省大臣官房審議官原山保人君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長羽藤秀雄君、中小企業庁長官長谷川榮一君及び中小企業庁経営支援部長数井寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井潤一郎君。

安井委員 おはようございます。自由民主党の安井潤一郎でございます。

 与党一期生の議員としては異例の四十五分という時間をちょうだいいたしました。自民党という立場だけでなく、超党派で現場の声を出せという御期待をいただいたんだと思って、質問をさせていただきたいと思います。

 いわば商店街法とも言えるこの地域商業活性化法、この部分を今審議させていただくんですけれども、中心市街地活性化法と地域商業活性化法との違い、また、何を反省され、そしてどのような要望を受けて本法を提案されたのか、まずお聞きいたしたいと思います。

松村大臣政務官 委員の皆様、おはようございます。

 安井委員におかれましては、御自身も経営者をなさっておられますし、また早稲田商店会の元会長ということで、まさしく地域コミュニティーの担い手を率先してやっていただいておられます。まさしくまちづくりのスペシャリストに大変釈迦に説法でございますが、答弁をさせていただきたいと思います。

 まず、中心市街地活性化法におきましては、各市町村の中心市街地におけるコンパクトでにぎわいあるまちづくりを目指しまして、都市機能の増進と経済活力の向上を支援するものでございます。経産省におきましては、中心市街地の商店街における商業基盤施設の整備などを支援しております。

 一方、本法案におきましては、中心市街地の内外を問わず、各地域において、子育て支援や、日ごろから地域の防犯の活動や、また地域資源を生かしたイベントなど、地域コミュニティーに役立つ活動を行う商店街が多数ございます。こうした商店街にハード、ソフトを含めた支援を行いまして、より一層地域コミュニティーの担い手としての活動を推進していただき、町のにぎわいを取り戻していただきたく、提出させていただいたものでございます。

 また、今回の法案につきましては、商店街に地域の皆様方が大変な期待をなさっておられますし、多くの消費者の声を聞かせていただきまして、また、全国商店街振興組合連合会や全国商工会連合会などの中小企業四団体、地方公共団体、また、先生が所属されております自由民主党の中小企業調査会や、まさしく先生が中心になって幹事長を務めていただいたあきんど議連、こういったところから、商店街の活性化ということで強い要望を受けまして、今回提出をさせていただいた次第でございます。

安井委員 ありがとうございます。

 御丁寧に、また過分な御評価をいただきまして、ありがとうございます。

 小さな小さな食料品スーパー、これは今、私からせがれと弟に譲り、早稲田の商店会の会長も今は相談役。ただ、新宿区商店会連合会というのがあります、加盟店舗数四千三百店舗、そこの副会長を現職でやらせていただいておりますし、商店街の基幹産業、基幹産業というほど大げさではないんですが、八百屋、肉屋、魚屋、その肉屋さんの中の、東京の肉屋の組合の常務理事を現職として務めさせていただいております。

 今、大臣政務官からお話がありましたように、中心市街地活性化法自体は今まさに進んでいる最中であります。富山にしろ、コンパクトシティーで有名な青森にしろ、今はどんどんすばらしい数字が出ているのでありますが、それ以外の、いわばもっと小さなところから、中活にはなかなか難しい、中活に申請したいんだけれどもなかなか我々のような小さいところは難しい、もうちょっと小さなところにも目を向けてくれという話は随分来ておりました。まさに、今回提案していただきましたこの法律が、そこに日の目を当てていただいている。大変期待をさせていただいているところであります。

 ただ、商店街振興組合等が作成した計画を認定とされておりますが、実は、商店会、商店街振興組合、七割以上を占めるのは任意の団体の方であります。いわば、任意というと、法人格を持っていないというふうに言われるんですが、きのうきょうできた団体というのはまずありません。三十年、五十年、もう昔から、父親の代、おじいちゃんの代からずっとやっている地域の商店主たちの集まり、これが任意の団体。

 ただ、役所の部分で言わせれば、国民の血税を使うんだから任意の団体になかなか補助を入れづらいということはあるんですけれども、今まで現実としてやってこられた、こういうところを含めていきますと、この任意の団体、商店会は今後どのような対応を受けるのか、お聞かせいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答えを申し上げます。

 任意というのを法人格のないということで御理解させていただきますと、そういった商店街の皆さん方のいろいろな試みにつきましても、国会で御承認いただきました予算を活用いたしまして現に補助をさせていただいておりますし、これは私ども、今後ともそのつもりでおります。

 今回のこの法案では、今御指摘ございましたように、法人格を持っていない商店街というのは対象にしておりませんが、それは、この法案が、やはり商店街に属される皆さん方がいわば結束力、そして一体性を持って、コミュニティーのために、長期的に、持続的に、そういった強い力で御支援あるいは貢献ができるようにということをねらいにしたということでございまして、したがいまして、補助金について申し上げれば、補助率のかさ上げというようなことをしたいというふうに思っておるわけでございます。

 今先生からまさしくお話がございましたように、それのみならず、昨今、大変深刻な問題である空き店舗対策あるいは個店対策、これにつきましても、かねてこの委員会の場でも御指摘がございました。そういったことも総合的に助成を組み合わせておりますので、となりますと、やはり私どもとしても、税務調査、補助金の執行、こういったこともきちんとやらせていただくこともあり得ますし、そういったことからしますと、内部の責任の明確性、帳簿あるいは決算書類の保管義務等々をきちんと満たしていただいている商店街に絞らせて、まさにこれが全国的に組織面からも模範だということにさせていただきたいと思っております。

 なお、現実的には、昨今、商店街が直面する情勢が大変厳しゅうございますので、これも国会で御承認をいただきました今年度の補正予算を活用させていただきまして、私どもは、なるべく商店街の方にこういった組合化、法人化ということをお願いしてまいりますけれども、これがすぐにできない方もたくさんおられますので、その間、この補正予算を活用させていただきまして、二分の一と申し上げました補助率を三分の二にかさ上げして適用していきたいというふうに思っております。

安井委員 今、長官の御答弁の中に空き店舗というのがありました。

 空き店舗、商店街の中がシャッターを閉めて商売をやらなくなって、空き店舗が大変だというのは、空き店舗のオーナー自体は一つも大変じゃないんですね。だって、シャッターを閉めて商売をやめて食っていけるんですから。余裕があるから閉めるんですね。大変なのは、その両隣の苦しみながら商売しているところなんですね。

 このシャッターを閉めたところのオーナーのところに我々地元のメンバーが行って、これでは町が暗くなる、貸してくださいと言って、まちづくりですということになると、オーナーは、まあしようがない、まちづくりなら、こういうことになります。そして、我々の今回のこの活動の後ろにはきちっと国がついていますということであれば、それだったら間違いない、お貸ししましょうということになるんですが、空き店舗を見てここがいいなといって行ったときに、ここのオーナーが貸すか。決して貸しません。先ほど申し上げたように、苦しんでいませんから、貸す必要がないですから。貸すとしたら、国がついていますと言ったらべらぼうな家賃を言ってくる。

 このあたりのところで、まちづくり、地域の活性化をやるには、どうしても御地元の、いわば生まれ育って、生まれ育たなくても結構ですから、そこで商売を続けてお子さんを育てていただいた、いわば町場の人間の力をおかりしない限り、この空き店舗対策というのは実は結論、結果を見ないんだということだと私は考えております。

 今回、補正予算の中で、三分の二、いわば補助率のかさ上げ、一年限りということではあるんですけれども、この一年の間の内容をきちっと精査していただいて、もしできることならば、ここのところ。

 それからもう一点。商店街振興組合もしくは事業協同組合というふうに言われております。商店街振興組合をつくるには、そこにいる三分の二の方たちが商店街振興組合に入らなければなりません、出資しなければなりません。ただ、この方たちの中にはネガティブな意見を言う方たちが往々にいらっしゃる。これはもう御地元を回られている先生方の方がこの意味に対してはよくおわかりだと思いますが、集まって何かをやろうといったって、そんなことをやって何が起こるのか、この一言ですべてがとまってきた、これが今までだったんですね。

 だったら、それに合わせて事業協同組合をつくろうということで団体に行きました。役所から、ここの団体に相談に行ったらどうですかということで、中小企業団体中央会が御担当だということで行ったんですが、対応、中での話、つくらせたくないのかなと思うような、そんな話をしましたら、全部が全部そうじゃありませんと言うんですが、聞きに行ったところみんながそういうような反応でしたから、ちょっとこのあたりはお考えになった方がいいんではないのか。もし本当に法人格を取らせたいんだとしたら、もっと皆さんがやれるような形をお考えいただきたいと思います。

 また、今回のこの法律の中のいわば目玉とも言える株式会社商店街支援センター、これは私はまさに目玉だと思うんですが、この商店街支援センターの設立の目的、また、代表取締役、センター長はどのように選ばれたのかをお聞かせいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の支援に当たりまして、人材というのはどの分野でも大変重要でございますが、とりわけこの商業の分野では、まさしく、商店主、あるいはそれを支える従業員の皆さん、御家族の皆さん、そこがその商店そして商店街の特色をつくるという意味で、大変人材というものが大事だというように思っております。

 そういった認識のもとで、この支援センターというのは大きく三つの役割を想定しております。

 一つは、商店の商店主の方、さらにはその商店街のリーダーの候補者、現にリーダーの方、あるいはそれを継ごうという御希望があるような方に対する研修でございます。

 それから二つ目は、専門人材の商店街への派遣、これも、これまでさまざまなアドバイザー等々もございますけれども、やはり商店街の皆さんのお声をいろいろ伺いますと、その商店街の一員になった、そういったことでどっぷりとそこの地域につかって、苦しいこと、あるいは過去の失敗も含めていろいろ伺った上で、どういった企画があるのかということ。もちろんこれは無料というわけにいきません。こういった方を派遣してほしいんだけれども、やはりなかなか資金的にあるいは財力的に限界がある、こういったことをぜひ支援して補助をしたいということ。

 それから三番目は、さまざまな情報の発信、あるいはすばらしい商店街の例の普及ということで、私どもこれまで、ささやかではございますけれども、あきんど議連の先生方の御指摘を受けて、いい例の取りまとめ等をしております。あるいは、商店街同士の交流といったことにもつながればいいという、交流情報発信事業。

 大きくこの三本柱を今構想しておりますので、国会のきょう以降の御審議等を踏まえましてさらに肉づけをしていきたいと思っております。

 それから、全国商店街支援センターの代表者は、全国商店街振興組合理事長の桑島俊彦さんが就任されております。実際の実務に当たるセンター長には、これまで長野で大変町につかりましてまちづくりの経験がある服部年明さんという方を、商店街センターあるいは商店街振興組合、中小企業団体等がぜひこの方がいいということで、現在、センター長に御就任をいただいたところでございます。

安井委員 ありがとうございます。

 桑島理事長は、東京都商店街連合会の会長もお務めになって、いわば私の商店街活動の先輩でもあります。日本じゅうで一番有名な商店会長だというふうに私は思っておりますし、本当に地域を心から愛されている方だと思っております。

 それから、センター長に御就任いただいた服部さんも、長野での活動は非常にすばらしいものがあります。イオン出身であって、一番大きなところの出身であって、なおかつ現場でいろいろなことをやられている。まさに人材、的を射た配置ではないのかなと思っております。

 ぜひ頑張っていただけるように、このセンター長が本当にやりやすいような形で進めていく、このあたりがやはり大事だと思うんですね。役所がお声がけをいただいてつくっていただいたのではありますが、これから進めていくんだったら、本当に現場の声を聞いた、現場の意向で進めていく、そんな方向性を示していただきたいと思います。

 また、今長官からの御答弁の中にありました専門人材派遣のハンズオン支援というのがこの中の大きな柱となっておりますけれども、現状、中小企業基盤整備機構のアドバイザー派遣事業というのがあります。こことの違いをお知らせいただきたいと思います。

数井政府参考人 商店街支援センターのハンズオン支援事業と中小企業基盤整備機構の専門家派遣につきまして御質問いただきました。

 商店街支援センターの専門家の派遣につきましては、事業計画の策定あるいはその実施につきまして、比較的長期の、例えば数カ月の長さにわたりまして商店街の中に入りまして、商店街の方々と一緒になりまして、商店街の課題についてきめ細かく、これについての御支援を申し上げるということを考えてございます。

 他方、中小企業基盤整備機構のアドバイザーの派遣事業は、あらかじめ登録されました中小企業診断士あるいは建築士、こういったような方々が個別の課題に応じまして商店街に行くものでございますが、その日数は比較的短く、平均四日あるいは五日といったようなもので、商店街の個別の課題に対応する、こういった面での違いがございます。

安井委員 今、数井さんに御答弁いただいたように、実は、アドバイザー派遣事業というのは、なかなか長期で中で、住み込みとは言いませんけれども、やはり来たらすぐ帰ってしまうというようなところが非常に厳しかった、やりづらかったという部分があります。ぜひこのハンズオン支援、早く具体的な形にしていただければというふうに思っております。

 ただ、指導の中の一つの柱として持っていただきたいのは、実は、商店街のおやじさんたちというのはいわば商人であります。この商人をいかに経営者として生まれ変わらせるか、ここがやはり一番大きな柱なんですね。

 具体的に言うと、損益計算書、貸借対照表、資金繰り表も自分で書けて、決算書も自分で読める。読めるというのは数字が読めるだけではありませんでして、月商二カ月分が借り入れの限度額だとか、人件費率は、いわば賞与、いろいろな部分を足しても一二%、一三%を超えると危険ですよとか、労働分配率は四〇%を目標にした方がいいですよという、物品販売等々の中にはそういう読み方があります。ここのところをきちっと教育していただくことによって、日本じゅうの商人が経営者としてよみがえる大きな節目を今回は迎えられるんだなというふうに期待しているところであります。

 先ほど申し上げましたように、商店街というのには必要な業種が四つあります。八百屋、肉屋、魚屋、それとお総菜屋さんであります。先生方は御地元をお回りになられていておわかりだと思いますが、魚屋さんがなくなった、肉屋さんがなくなった、お総菜屋さんがなくなり、残っておるのは八百屋さんだけというのは、日本じゅうどこでも。では、なくなったのかというと、お弁当屋さんになったりコンビニになったりということであります。

 この八百屋、肉屋、魚屋、そして薬屋さんだとかお米屋さんだとかレコード屋さん、本屋さん、最後は酒屋さんですね。こういう方たちのモデル事業、いわば、今までと同じ肉屋さんでこれから先も商売繁盛するか、それは無理です。今までと同じ魚屋でやっていけるのか、私は無理だと思っています。新しい形のいわばモデル事業、モデルというのは、新しいというのはリスクがつきます。そのリスクをどれだけヘッジできるか、これが我々議員の仕事なのではないかというふうに考えております。

 このモデル事業に対しての支援、これについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の生鮮三品などを中心といたしましたモデル店舗の活性化につきましては、商店街の一つの重要な課題であるというふうに私どもも認識しております。

 このため、先ほど申し上げました商店街支援センターの機能を活用いたしまして、このようなモデル事業に取り組む商店街の方々に対しましては、例えば、商店街指導の専門家によりまして継続的に現地でアドバイスを行いまして、マーケティングあるいは仕入れ管理、こういったところの知見を提供するとともに、個店の経営管理研修などを通じまして、商店街の方々の人材研修の場も通じまして、こういったようなモデル事業に対しての支援を行っていきたいというふうに考えております。

安井委員 ありがとうございます。

 モデルは、先ほど申し上げましたようにリスクがつく、新しいことにはリスクがつく。そのリスクをどれだけヘッジできるか、ここのところをお考えいただいてお進めいただければというふうに思います。

 先ほども部長からお話が出ましたけれども、専門人材を派遣するだけではなくて、全国各地の商工会、商工会議所の経営指導員や、中小企業基盤整備機構が束ねておられる中小企業診断士等々をもっと活用するというような形も取り入れられたらいかがかと思いますが、いかがでしょう。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、各地域の商工会、商工会議所の経営指導員あるいは地域におられます中小企業診断士の方々につきましては、中小企業支援の上で大変有益な貴重な人材であると考えております。このような方々の中で、特に各地の商店街に実際に入りまして巡回指導を行っておられるような方、あるいは商店街の経営につきまして個別に御相談を受けている診断士の方、こういった方もいるというふうに承知しております。

 先ほどの全国商店街支援センターの事業を行うに当たりましては、こういった意欲、情熱あるいは経験を持ちまして各地の商店街の活性化に貢献されておられるような経営指導員あるいは中小企業診断士の方、こういった方々は、各地で行います研修に講師で御参加いただくなど、その能力を最大限に発揮していただくべく、各地域での活用を図っていきたい、あるいは御協力いただきたいというふうに考えてございます。

安井委員 ありがとうございます。

 日本じゅうの商工会、商工会議所の経営指導員さん、この方たちは、やはり毎日回られている。この方たちが、具体的な話をしますと、酒屋さん一つとっても、修業に行って帰ってきた酒屋さんと、もうおれの代でやめるんだという酒屋さんは違うんですね。指導の仕方が違わなきゃいけないわけですね。それを、一律に区切って、酒屋さんはこうであるべきだとか、同じように、八百屋さんが、肉屋さんがというような形をとるのではなくて、本当に親の代から知っている、地域の、地元の商工会の経営指導員さん、この方たちのお力を十分にお使いいただきたいと思っております。

 先ほどの支援センターの部分体にも絡むんですが、夏休みに高校生や中学生が合宿できる商人塾という構想を持っております。これについてはいかがでしょう。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、中学生あるいは高校生の方たちに商店街の場におきまして商売の一端に触れていただくということは、将来の商店街の活性化あるいは商店街を担う人材の育成という意味で大変貴重な場であるというふうに私ども思っております。

 あきんど塾といったものにつきましては、類似のもので、例えば、中学生、高校生あるいは大学生が地元の商店街などでチャレンジショップでの活動を行う、こういったことも各地で行われているというふうに承知しております。

 私ども、今回の施策の実施に当たりましては、各地の商店街での高校生の受け入れあるいは体験学習など、こういった各地の実態をよく踏まえまして、成功事例も見ながら、こういった取り組みの支援もしていきたいというふうに思っております。

 具体的には、商店街の活性化につながるチャレンジショップの運営あるいは設置に対しまして予算補助等での支援を進めていきたいというふうに考えております。

安井委員 ありがとうございます。

 水産庁には元気な漁村づくりという補助事業があります。これは、地元の漁協と基礎的自治体が協議会をつくることによって、そこに対して補助事業が出るというのがあります。林野庁さんには、消費地の人たちが山を見ることによってそこの山の木を使って木造住宅をつくろうという、いわゆる山を見に行くことに対しての補助事業があります。それに合わせて国交省さんでは、木造住宅振興室がお持ちになられている、いわば大工塾というようなのがあります。大工塾に関しては、木造住宅普及推進ということをやっていただければ三千万円まで定額で出しましょうというような大変ありがたい補助事業もあります。農水省さんには、食品流通機能合理化・高度化支援というのがあります。これは、いわば移動販売の車に対して三分の二の補助事業をしましょうと。

 何を申し上げたいのかというと、商店街の中を場としてとらえると、これだけいろいろなものにチャレンジできる。この国は、非常に微に入り細に入り、意外とサービスがいいんですね。いろいろなものがあるんですよ。いろいろなものがあるんですが、どこに行ったらいいのか、他省庁さんとの連携についての具体的な取り組みはどのようになっているのか、お聞かせください。

松村大臣政務官 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、各省庁とのさまざまな施策が関連してまいります。御指摘のとおり、農林水産省の食品小売の活性化策や、国土交通省による景観や公共施設の整備支援、また、厚生労働省による空き店舗への子育て拠点やデイケアセンターの整備支援などでございますが、こうしたものの問い合わせはどこだというような御指摘でございます。

 私ども、各省庁が商店街支援に連携して取り組むために、本年三月から商店街の関係省庁連絡会議を発足させたところでございます。具体的には、各省庁の支援制度を網羅したガイドブックの作成や、利用者からの相談に対する全国商店街支援センターでワンストップサービスの提供など、利用者の立場に立った施策の効率的な活用が図られるように紹介をしてまいりたいと思っております。

安井委員 ありがとうございます。

 具体的な話を一つさせていただきたいんですが、商店街の中の空き店舗を使って子育て支援や、それから商店街の中の工場等々がやめてしまってあいている、そういうところでストリートライブ、いわば駅前でギターをかき鳴らしてやっている、その人たちを集めて、要するにメジャーデビューは商店街からなんというのをやってみようという具体的なアイデアが実は出てきております。

 どこに相談に行って、どこの役所の門をたたけばいいのかということについてお知らせください。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、現在、非常に重要でありますそういう事業につきまして、例えば補助金の申請につきまして申し上げますと、これは基本的に各市町村の窓口でこういった補助金の相談を受けるということになってございます。

 また、この法律に基づきまして、商店街活性化事業計画という中に位置づけまして、これを申請いただく場合につきましても、各都道府県の窓口で相談することもできますし、また、法認定は各経済産業局で行うことになりますので、こちらの方でもそういった窓口での御相談を承ることができるようになります。

安井委員 ありがとうございます。

 ぜひ本法を形にして、成案にしていただいて、もう現場は待っているというところをおわかりいただければというふうに思っております。

 農商工連携という看板をつけていただいたおかげで、アンテナショップ事業が大変今動き始めております。アンテナショップ事業の中には、実は副次的に非常にすばらしいことが起こってまいりました。

 何が起こってきたのかといいますと、アンテナショップで障害者、知的障害、精神障害の方たちにやっていただく。一昨年の十月に、私の早稲田の店に障害を持った方がおいでになられました。ごあいさつもできませんでした。ただ下を向いているだけで、何もしゃべらない、じっとしている。この方たちが一年たったらどうなったか。実はレジができるんですね。今、POSレジというバーコードを読み取るものですから、ピッとやって、二百五十円、こういうわけですね。そうすると、お客さんが三百円を出す。三百円預かり、現計と押すと、五十円おつりと出るわけですね。五十円を持って渡そうとするんだけれども、ここが自信がないわけですね。五十円おつり、合っているかどうか、こうやって固まるんですね。そうすると、お客さんの方から合っているぞと言ってくれると、はいと言って、次からはできるわけです。

 これはやはり就労支援、いわばトレーニングの場なんですよ。ですから、商店街の連中を集めて、これは大手量販店だとかコンビニじゃできないぞと言ったんですね。何でですかと言うから、お客さんが多くて、お客の少ない商店街だったらちょうどいいと言ったら、けんかを売っているのかと言われましたけれども、現実問題、これは実はトレーニングの場等々の部分体があります。

 あと、空き店舗を利用した高齢者のコミュニティーの場、これは厚生労働省の地域介護・福祉空間整備交付金というのがあります。これは、商店街の中の空き店舗を高齢者のコミュニティーの場にしていただければ、ハード整備、三千万、十分の十ということで言われております。

 無理ですよと言いました。なぜならば、上に人が住んでいるんだから、入り口が一カ所しかない。だったら三千万の間で入り口をもう一つつけてもいいと言われました。トイレが一階にしかないから、二階の人はトイレに行けなくなると言ったら、三千万の中で二階につけていただいても結構だと言ってくれました。古い店だから揺れたらつぶれるかもしれない、耐震補強はしなきゃならぬと言ったら、三千万の中だったらどうぞおつくりくださいと言われました。

 あなた方は店をつくったことがないからおわかりにならないだろうけれども、食べ物商売のとき、シャッター閉めてやめたところをあけると、もうがちゃがちゃだ。片づけるのにもお金がかかる。それから、床もコンクリートを張りかえなきゃならないぐらいだけれども、何でも結構です、どうぞやってくださいということであります。

 ただ、これは基礎的自治体の提案事業ということなので、なかなかそこのところとの連携が難しいんですけれども、やはりこうやって探していくと、いろいろな形の部分体があります。ぜひぜひこういう形でこのあたりのところをきちっと、先ほど政務官からお話しになられた他省庁との一体化を推し進めていただいて、まさにここのところをコントロール、指揮を持つのは中小企業庁なのではないかというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 もう一点、実は、納税は国民の義務だ、よくわかっております。納税は国民の義務なんですが、資金繰り、どうしても町場の皆さんは、問屋さんだとかメーカーさんだとかに先にお支払いになっちゃう。それは、あしたから品物が来なくなって商売ができなくなっちゃいますから、どうしても先に払っちゃう。それで、税務当局と話し合いをして、分納にして、延納にして、こういう形にして、新しい税金も出てこない、そんな形になっていても、やはり季節指数の中で出てくる、資金繰りが苦しくなってきますから、融資の相談に行っても、税金が残っているから、完納したらですよ、こういうふうに言われていたんですけれども、実は、中小企業庁金融課さんにその話を申し上げましたら、税滞納先の保証の取り扱いについてという大変前向きな書類が去年の十二月に出されていますよというふうに言わました。その趣旨を徹底させるためにどのような対応を行ってきたのか、さらに、今後はどのような進め方をされるのかをお教えいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今いみじくも安井先生がおっしゃいましたように、納税という国民の義務がございますので、その原則は原則としてあるわけでございますけれども、昨今の経済情勢というのは、本当に、特に小規模企業の方になればなるほど、全く予期せざる、しかも御自身の経営に全く何の落ち度がある話ではございません。私どもは、そういうような認識に立ちまして、今御指摘ございました通達といいますか要請というか、ただ、こういうものが徹底していないじゃないかという御指摘は、これまでもこの委員会の場のみならず御指摘をいただいておりますので、保証協会はもちろんでございますけれども、同時に、御利用されるような立場にあります中小企業のいろいろな団体、あるいは私どもが直接出しております広報等で再度またこれを徹底してまいりたいというふうに思っております。

安井委員 ありがとうございます。

 ただ、私は、これだけではまずいのかなというふうに思っています。なぜならば、やはりモラルハザードが起こらないようにするために、先ほど申し上げましたように、商工会、商工会議所の経営指導員さん、そして中小企業診断士の方が、ここはこういうサポートをしたら企業が生き返りますよ、元気になりますよというところもやはり後ろ側につけていただいた方がいいのかなというふうに思っていることをつけ加えさせていただきます。

 商店街の若手などが設立しております商店街企画会社など、商店街を応援する方たちが頑張っている団体、これが日本じゅうで今一生懸命動いております。ここの団体に対して積極的に事業推進させることが活性化の重要事項だと思っておりますが、それに対しての対応をお聞かせください。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のありましたまちづくりの各種会社につきましては、その活動が商店街の活性化のために大変重要な役割を果たしている、そういった例が日本各地にあるというふうに承知しております。

 今回御提案申し上げております法律に基づきます商店街活性化事業計画の申請主体は商店街振興組合、事業協同組合を念頭に置いておりますが、その計画に参加し、その一部を担いまして事業の実施などを図ります商店街企画会社に対しましては、この事業計画の認定のもとで補助金の交付といったものができることになってございます。

 こうした支援を通じまして、やる気と知恵のある商店街企画会社につきましては必要な支援を申し上げたいというふうに考えております。

安井委員 ありがとうございます。

 こういう若手の方たちが頑張られている、この会社を育てるという意識が必要なんですね。

 では、育てるというのは具体的にはどうするかというと、期待することであります。期待して、正確に評価して、最後に褒めることであります。現場でそんな話をすると、何でそんなに若い連中に迎合するようなことを言うんだと言われます。おれたちの時代はぶったりけったりしながら育てられたんだ、こう言われます。そのとおりですね。おれたちの時代なんですね。今じゃないんですよ。今は、やはりきちっと期待してやって、だれもがわかるように正確に評価して、最後に褒めてやる。これが、やはりこういう地元で頑張ってどうにかしていこうと思っている人たちに元気を出させる、育てていく大きな部分だと思っております。

 会費収入のみに依存しない、独自事業を中心とした自主財源創出事業の開拓が必要だと思っております。中小企業庁の御見解をお聞かせください。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 商店街が自主的に発展する、あるいは地域のコミュニティーの担い手としての役割を果たすためには、自主財源を確保するということが大変重要であります。

 これまでも、ポイントカード事業あるいは駐車場事業、こういった商店街の集客を図りながら自主的な財源づくりをするといった取り組みに対しましては、当省といたしましても、補助金等によりまして支援を行っていたところでございます。

 また、最近では、ストリート広告あるいは商店街としての共同購買など、新しい取り組みが各地で進められているというふうに承知しております。こういった商店街の自立に役立ちます事業に取り組むことが、商店街活性化事業を実施する上でも大変重要であると考えております。

 当省といたしましても、全国商店街支援センターが行います研修事業によりまして、こういった先進的な取り組みにつきまして全国に広めるなど、あるいは人材育成の面も含めまして、積極的に支援していきたいと考えております。

安井委員 ありがとうございます。

 町が動くキーワード、町を動かし続けるキーワードは、もうかって楽しいですね。もうかって楽しいことが町を動かすんですね、動かし続けるんですね。もうかるというと耳ざわりが悪ければ、得するであります。得するというのが、金銭だけではなくて、肉体的にも精神的にも得することがあるということは、活動の中から学習されます。では、もうかって楽しいの楽しいは何かといったら、実は遊び心なんですね。

 今、自主財源等々の話が出ましたけれども、きょう、委員長そして理事の皆さんの御許可をいただいて、いろいろな部分を配付させていただきました。その中に、御案内の鉄腕アトムのついたチケット、これは地域通貨、エコマネー、いわばアトムカード、アトム事業であります。これは一馬力一円で商店街で通用するんですが、一馬力一円ですから、皆さんに配付させていただいたのは、十馬力ですから十円であります。

 これはどのように使うか。近所の神社を掃除した方たちに、ありがとうございますと言って十馬力をお渡しするわけですね。十円玉を渡したら怒りますよ。なめてるのかと言われますね。しかし、この十馬力を渡すと、わあ、うれしいと言って持って帰ってくれるわけですね。アトム通貨をもらえるからと御参加をいただく。これは人集めになるわけであります。

 二〇〇三年四月の七日、高田馬場にある科学省というところで鉄腕アトムは誕生したということになっています。二〇〇四年から始まりました。一番最初のときは、十馬力、百馬力、二百馬力、三種類を出しました。町で使ったら、三種類、十の百の二百ですから三百十円であります。ところが、これが三枚並んでヤフーオークションにかかると五万三千円という値段がつきました。こうなったら使いませんよ。だって五万三千円のものを三百十円では使わない。ということは、アトム通貨事業はお金が出ていかない。そんなと言われますが、このあたりが実は遊び心なんですね。

 子供たちの帰ってくるときに高齢者の方たちに一緒に帰ってもらう、こんなこともやらせていただきました。

 もう一つ、資料として置かせていただいたのは、「震災疎開パッケージ」というのを置かせていただきました。これは、もし震災が起こって御自宅が災害救助法の認定を受けたら、北海道から沖縄までの商店街、地域の皆さんが、ある一定期間、お客さんとしてお迎え入れしますよ、もし震災が起こらなかったら、うちにおいでと言ってくれている地域の皆さんのふだん使っているもの、特産品がお手元に届きますと。どこにあるんだ、そんなものということで、中を開いてみていただくとわかるんですが、疎開先下見ツアーというのをやっている。これは、震災を切り口にした、いわゆる地域間交流、物流、商流であります。

 震災を商売の種にするのか、こういうふうに言われるかもしれませんが、まさにそうなんですよ。こういうことによって、震災対策、防災の取り組みに一歩踏み込んでいただこう、これはすべて商店会のアイデアから出てきた商品であります。ぜひ、このあたりのところをきちっと精査していただいて、うまく取り入れていただければ、褒めていただければというふうに思っております。

 新旧「がんばる商店街七十七選」、今度新しく「新・がんばる商店街七十七選」、これができました。そして、前、平成十八年には、第一号「がんばる商店街七十七選」、どちらも二階経済産業大臣が指揮号令してつくっていただきました。この「がんばる商店街七十七選」や「「私たち元気です!」商店街」、これは四部つくっていただきました。ここに参加されている商店街同士の情報共有化のためのメーリングリストを立ち上げられたらいかがかというふうに思っていますが、いかがでしょう。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のございました七十七選に取り上げられた商店街を初めといたしまして、全国の商店街がお互いのノウハウあるいは経験を学び合い、お互いの問題解決に役立てるということは大変有意義であると私ども思っております。そのような観点から、御指摘のありました商店街同士のメーリングリストは大変有効なツールであると考えております。

 このため、今後、全国商店街支援センターのホームページを活用して、メーリングリストあるいはブログなど、商店街同士のネット上の交流を促進する手法につきまして検討して、実施していきたいというふうに考えてございます。

安井委員 ありがとうございます。

 本年十月二十二日に和歌山県田辺市で開催される全国まちづくり商店街サミット、これをとらえて本法の事業のPRを行ったらいかがかと思いますけれども、いかがでしょう。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の商店街サミットでございますけれども、安井議員がまさしく御相談役を務めておられます早稲田商店会でこれが始まったというふうに承知しておりまして、この秋の田辺市のサミットは十三回目というふうになるものと承知しております。

 今、七十七選等々を取り上げてそういった商店街の交流ということがございましたが、こういった場で、その七十七選に選ばれたところだけではなくて、全国から幅広く商店街の商店主の皆様方がお集まりいただいて、そして実際にそういったことを語り合って学び合うというのは大変有意義だと思っております。

 そういう意味で、私どもも、ぜひこの行事につきましては活用させていただきたいと考えておりますし、同時に、できるだけ支援をしてまいりたいと思っております。

安井委員 ありがとうございます。二十二日の和歌山・田辺、まさに大臣の御地元であります。大臣の御地元だからそこで開催が決まったわけではございません。前から決まっていたということであります。

 私は、国会議員にさせていただいて、二階先生から、商店街、商店街と言うけれども、商店街ほど当てにならないものはないな、こう言われたことがあります、笑顔でおっしゃられたんですが。何でですかと言ったら、先生、今度こんなことしてくれ、あんなことしてくれと言っている商店街のおやじのその事務所に行くと、壁に大きく、政治とはかかわるなと書いてあると。私自身が政治と宗教にはかかわるなと言っておりましたので、今、前非を悔いているところでありますが。

 そうおっしゃった二階大臣にお聞きしたいんですが、七十億円という基金は過去に例がないと思うんですね。ましてや、商店街活性化事業に対してこういうような形をとっていただいて、商店街は当てにならないな、こう言われた二階大臣がやはり商店街に対して並々ならぬ思い入れをいただいているということがよくわかりました。二階大臣の御決意を聞かせていただきたいと思います。

二階国務大臣 先般、私も、エコポイントの出発の日ですね、五月十五日でございましたが、世田谷の烏山の商店街に足を運んでみました。もちろん、エコポイントのことを実体験することが目的ではあったんですが、お伺いしたついでに商店街をずっと回ってみますと、それぞれの商店主の皆さんが一生懸命になって地域を盛り上げるために御努力をしている姿が手にとるようにわかりました。

 中には、商店街の事務所にお邪魔をしましたら、そこで、私はここで人生相談のお相手をしております、高校生も時には来ます、それからこの商店街のエリアのずっと遠くからも来るんです、しかし、それもお客様というか、こういうところへ頼って来てくださったんだから、一生懸命応対をしておりますと。すぐそこで、人生相談をしたからといって、その商店街が何かもうかるというわけではないんですが、そういうことに意を用いておやりいただいている。この商店街は発展をしていくなという感じを実感として受けるわけですね。

 外へ出てこの町を歩いておりましたら、車いすの方が来て、ペットボトルの空き缶を自動販売機のようなものに入れている、自動収集ですね。そうすると、中から何かのポイントが出てきて、そしてその人はそれでまた何かに使えるということで、もう日常の生活の中に溶け込んでいるから、何の意識もなく、たまたま偶然私はそこで出くわしたんですが、お話を聞いてみても、みんなが、町をきれいにしよう、そしてエコの社会をつくっていこうということに御努力いただいている姿が手にとるようにわかりました。

 私は、そういうことに商店街がこのごろ積極的に参加していただいていること、これをモデルとして、今お話しのようなシステムを活用して全国に発信していくことが大事だと思っておるんです。

 今御質問の中にもありましたが、「がんばる商店街七十七選」、日本には一万三千ぐらい商店街がおありの中で七十七を選んでみたとて何になるかということになるんですが、私はやはりこれを奮起材料にしていただきたい。

 そして、もとはやはり商売は自由なんですよ。安井先生もそうだと思うんですが、何かにとらわれない、どこからも命令されない、だれの許可も得なきゃならぬということはない、こういう自由が、当時御商売に出発されたころの青年安井先生のたぎるものは、だれからも使われるわけでもない、そういうところがよかったわけです。ですから、商店街の皆さんにも、まず最初のスタートといいますか基本は、そういう業であるということの自覚といいますか、それが必要なんですよ。これも政府に、あれも政府に、これも何とかならないかというふうなことだけではだめなんです。(発言する者あり)

 しかし、後押しをすること、これも大事なことです。今、御同意いただいたように、一万三千もある商店街、これは商店街というんですから、一軒や二軒で商店街とは言わないんですから、一万三千というと膨大な数ですね。その商店街が元気で活動していただいているかどうかというのは、これは地域経済にとっても極めて重要な問題ですから、我々は、今対応させていただいているのは、お地元の御要望等、全国から寄せられる商店街活性化に向けての御要望ほとんどを受けとめて実行に移しているところであります。

 今、全国商店街支援センター等を通じて対策を講じておるのは、真水にして総額百二十億円の支援策を講じております。恐らく前代未聞のことであろうと思います。私は、結果として必ずすばらしいものが出てくるだろうと。ですから、子育て支援におきましても商店街、あるいは植物工場にしても商店街、こう言われるようになっておるわけでありますが、どうぞ商店街の皆さんが元気を出していただく。

 私は、経済産業省でも、大型店舗あるいはまた大資本をバックにしたような、そういう商店街……

東委員長 恐れ入ります、質疑時間が。

二階国務大臣 これで終わり、大変大事なところだから。

 そういうことに対して、やはりもう少し経済産業省としても考えなきゃいけないという点があるわけです。仕入れの価格等は全く違うわけです。もう時間がありませんから詳しく述べませんが、そういう点について、お互いにまた御意見を伺いながら、与野党で、当委員会でもまた御議論いただいて、いい知恵を出していただいて、我々はそれを実行していくということに懸命の努力はやぶさかでありません。

 ありがとうございます。

安井委員 どうもありがとうございました。

東委員長 これにて安井潤一郎君の質疑は終わりました。

 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 ただいま商店街のオーソリティーの安井先生からお話がございました。私は……(発言する者あり)もちろんでございます。一番商店街を利用しておりますのは主婦ですし、高齢者でございます。私も、住まいは江東区でございますが、商店街が身近にありまして、そこで子供たちの名前を覚えてくれ、また、初めてのお使いももちろん商店街でございましたし、そこで子育てをしてくれ、下町ですので、あそこの家はきょう晩御飯は何を食べた、そういうことまで全部知っているような、それが商店街でございます。江東区の中にも、砂町銀座とか中の橋とか門前仲町、そしてまた高橋、森下、有名な商店街が数多くございます。

 私も、青森であるとか富山、または香川、北九州等々視察もさせていただきました。ただいまるるお話ございましたように、商店街、全国に約一万三千あるわけですが、小売業に占める割合が、販売数、事業所数また従業員数含めまして、ともに四割という状況でございます。そういう大事な内容であるにもかかわらず、来街者数、町に来る人たちの数は減ったと実感のある方が四九%もいらっしゃる。また、繁栄しているとお答えになったのが、全国平均一・六%。特に深刻なのは、人口五万人未満の都市におきましては二・四%。しかし、東京などの特別区では九・五%、こういう内容となっております。

 この数年、そういうことも含めまして、まちづくり三法の見直し等を初め商店街支援に公明党も取り組んできたわけでございます。本法案につきましては、商店街の関係者の皆様から、ともかく一日も早い成立をと求められているわけでございます。

 これまでの数多くの政策の効果について、どのように経済産業省として認識をしておられるのか。また、それらを踏まえた本法案の目的、また今後の商店街の担う役割、方向性をどのようにお考えなのか、大臣に答弁をお願いいたします。

二階国務大臣 これまでの商店街への支援は、法制面では、例えばアーケードやあるいは街路整備などの施設等への支援が中心であった時代があるわけであります。スズラン灯といいますか、夜の商店街を明るくするわけでありますが、それが、商店街のシャッターは閉まっておる、こういう現場は先生もしばしば出くわしたことがあろうと思います。

 こういう点を商店街の皆さんも頑張っていただく、政府も一緒になって頑張る、そういう態度が必要だと思うんですが、中小企業者である商店街の事業主の皆さんに対しては政策金融等による支援を、ただいま懸命な対応をいたしておるところであります。一定の成果は上げてきたというふうに考えておる次第であります。

 今後、消費者ニーズの多様化や小売業全体の競争の激化が進む中で、商店街の皆さんに対しては、地域住民から、高齢者・子育て支援や地域の特色を生かしたイベントの実施など、地域コミュニティーの担い手としての大きな役割が期待されておるわけであります。

 このように、地域の皆さんの期待を担って商店街の取り組みがたくさんふえてきておるわけでありますが、例えて申し上げますと、北海道の岩内町では、高齢者あるいは子育て世代の交流スペースを提供することにより、商店街がにぎわいを取り戻している。また、大分県の別府市等では、温泉旅館と商店が連携して観光資源を活用したイベントを実施することで、温泉街の再生を実現しているという成功例もあります。

 本法案は、こうした地域からの期待にこたえて、地域の担い手の役割、これが商店街にも大きな期待が寄せられておるわけでありますから、商店主の人材の育成や後継者への研修、専門家の派遣等を通じた支援もあわせて提案したものであります。

高木(美)委員 ただいまの大臣の御答弁にも、地域におけるコミュニティーの担い手というお話がございました。私も、やっとこういうソフト面での支援がしっかりと始まるということを大変心から頼もしく思っております。このような、今までの大店舗にはないコミュニティー機能の充実であるとか、また、今、大店舗も中型、小型化しながら都市に戻ってきている、中心市街地に戻りつつある、こういう傾向も出始めていると承知をしております。

 私はやはり、チェーン店であるとかまた大型店舗であるとか、そういうところにおきまして、まず商店街組合への加入を推進するべきではないかと考えております。個店の商店街組合への加入につきましても、六〇%以上と答えているところは七割近くあるわけですが、依然として、個店が属する企業の方針というようなことで一四・三%、まだこういうことで拒否をしていらっしゃるとか、こういうようなお話も聞いております。

 高齢化に伴いまして、生活の機能の集積であるとか、また今申し上げました地域コミュニティーの核としての役割が増してきたこと、そしてまた繁栄している商店街の大体中心に、スーパーとかコンビニとかそういう店舗が当然真ん中にある、またさらに公共施設が置かれている場合も多くあるわけでございますが、こういうことを含めまして、条例をきちっと制定している区市町村というのがまだ少ないと承知をしております。神奈川県、世田谷、また武蔵村山市、茂原市、浜松市など承知をしておりますけれども、経済産業省といたしましても、こうした総合的な地域コミュニティーをどのようにつくっていくかという意味で、条例の策定への推進を図るべきではないかと思っております。

 このことにつきましてどのようにお考えか、伺わせていただきます。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がございましたように、商店街の活性化、地域コミュニティーにおける役割の高まりということのために、できるだけ多くの事業者が商店街の組合に加入する、そして商店街の一員として、個店では、あるいは大型店といえども一店ではできないことをやってもらうというのが大変望ましいことだとまず基本的に思っております。

 ただ、その上で申し上げますと、これは商店街振興組合等々に限らないと思いますけれども、やはり特定の組織にある方に、法人、自然人を問わず加入を義務づけるというのは法律論としてはなかなか難しいかな。

 そこで、一つの現実的な工夫として、知恵として、今御指摘がございましたように、約五十と承知しておりますけれども、全国の地方自治体におきまして条例でいろいろと、商店街活動あるいは商店街組織への加入等も含めました協力を求める努力規定というものが逐次、だんだん設けられているということは承知しております。これは、義務を課しますと、かえってそこに入りにくいみたいなことになって、特に土地の利用者が高く期待できないところでは、かえってテナントが入りにくいみたいな問題があります。

 私どもとしては、こういった自治体の試みをよく見まして、手法としての有効性、効果をよく見きわめて、引き続き研究をしたいと思っておりますが、先ほどお話がございました中心市街地になるところにつきましては、先生よく御案内のように、いわゆる中活法、中心市街地活性化の法改正をしました折に、事業主の責務としまして、いろいろと大型店につきまして、まちづくりに自主的に取り組むようにということが常に義務づけられておりますので、これにつきましては、実態を進めるように努力しているところでございます。

高木(美)委員 ぜひ、今後とも引き続き働きかけをお願いしたいと思います。

 当然、企業の方針としてこのようなことはしないという企業があるわけでございますので、その企業の名前は申し上げませんけれども、そこに対してまたどのように交渉していただくのか、今後の取り組みをしっかりとお願いしたいと思います。

 また、あわせまして、五十とのお話がありましたが、どういう条例になっているのか、そういうこともまた経産省のホームページ等で、これだけの地域において制定されている等、またメッセージをぜひ発していただければと思います。何らかの工夫をお願いさせていただきます。

 話はかわりますが、先ほど大臣から、一万三千商店街がある中で七十七が頑張る、焼け石に水のようなお話がございました。私は、頑張る商店街はいいんだと思うんです。これはこのような形で支援をさせていただく。しかし、頑張りたいけれども頑張れない、やり方がわからない、そもそも頑張ろうという気持ちが余りない、こういう商店街をどうしていくか。そこには恐らく、リーダーがいないとか、またさまざまな工夫がないとか、地域の方たちの意見が反映されていないとか、行政との連携が弱いとか、いろいろな原因があるんだと思うんです。

 こういうことに対する対応をどのようにお考えなのか、経産省に伺います。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がございましたように、商店街の活性化に取り組むためには、まず、みずからが頑張ろうというやる気を持っていただくこと、これが大変重要だと思っております。そのため、商店街の方々が活性化に取り組むための気づきあるいはきっかけ、こういったものを持つことも非常に重要ではないかというふうに考えております。

 このため、私ども経済産業省としては、地域コミュニティーの担い手として地域からの期待にこたえながら商店街活性化を実現しております「がんばる商店街」の取り組みにつきまして、広く広報、普及に取り組んでおります。具体的には、平成十八年の「がんばる商店街七十七選」、さらには本年三月に公表いたしました「新・がんばる商店街七十七選」を通じました成功事例の紹介、あるいは商店街活性化施策の情報提供、広報、こういったものに努めているところでございます。

 こうした情報を参考にしていただきながら、活性化あるいは前向きへの一歩というものにつきまして、ぜひ各地の商店街の方々には、きっかけ、あるいは気づきをつかんでいただきたいと思っております。

 こうした気づきのもとで、商店街が各地域の住民から寄せられる期待にこたえ、地域に役立つ取り組みにつきましては、今回の本法案に基づきます支援策も活用しながら、前向きに取り組む商店街を積極的に支援していきたい、このように考えております。

高木(美)委員 全国商店街支援センターから人材派遣ということも伺っておりますけれども、これはあくまでも手を挙げれば来ていただける、このように考えてよろしいのでしょうか。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、基本的には、全国商店街支援センターを積極的に私ども広報していきたいと思っております。

 それをもちまして、先ほど委員から御指摘のありましたような各商店街地域の気づきあるいはきっかけづくり、こういったものを私どもの側からも積極的に発信していきたいと思います。

 その上で、商店街の方々から御要望がありました場合は、商店街支援センターを活用いたしまして、人材の派遣、あるいは研修、こういった場にぜひ参加いただく、あるいは人の派遣をするといったことを進めていきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 商店街支援センターの目的と役割、資金の調達等につきましては、先ほど来答弁がありましたので割愛させていただきたいと思うんです。

 商店街は、補助金の維持、増額を求める意見が一番多くあります。しかし、その補助金も、国があり都があり、また東京におきましては区がありという、大変わかりにくい使い勝手になっております。私も地元の商店街から相談を受けますが、国はこれです、都はこれです、区はこれです、じゃ、私たちがやりたいこれは、どういう組み合わせで、どうできるんですかという、商店街の方たち、当事者にとっての使い勝手、ここをもう少しきちんとしなければ恐らく絵にかいたもちで終わってしまう部分もあるのではないかと思います。

 こうした支援に対する相談、特に補助金、それからまた支援策につきまして、どのようなメニューがあるのか、こうした相談を支援センターで受けるようにしていただいたらいいのではないか、このように考えますけれども、このような機能を支援センターに持たせることが可能かどうか、答弁をお願いいたします。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 支援策につきまして、各地方公共団体あるいは各省庁ごとにそれぞれ補助金などの各種制度を持っておりまして、これがわかりづらいという声もよく聞くところでございます。

 商店街支援センターにつきましては、こういった商店街活性化策を活用することが可能な各種制度に関しまして情報収集を体系的に整理いたしまして、データベースをつくるとか、あるいはウエブサイトのポータルサイトを設けまして、そこを見ると各種情報がわかりやすく見られるとか、こういった情報提供をまず進めたいというふうに考えております。

 また、各地域の商店街のリーダーの方々を対象にいたしました研修会、こういったものも計画しておりますので、この研修会の場におきまして、こういった情報についての発信を行うと同時に、御質問あるいは相談があった場合には、これに対応いたしまして、個々の事情に応じました支援策につきましての情報提供を進めていきたいと考えております。

 また、関係各省とも連携を図りまして、商店街施策に関します情報共有を図り、ワンストップでの情報発信を図れるよう、関係省庁の連絡会議を設けまして相互に情報交換を進めていきたいというふうに考えてございます。

高木(美)委員 これは関係省庁ももちろんそうなんですが、それ以上に、国と都と区市町村という段階の話ですので、ここをどう、縦をきちっと切って、いわゆる縦割りではなくて、横ぐしをきちっと刺して、その上で、今一番地方に、それぞれの地域におきまして適切な支援がどのような形で受けられるのか、ここへの発信のまたさらに工夫をお願いしたいと思います。

 先ほどデータベース等を使ってというお話もございましたけれども、そもそも商店街にリーダーがいない、そういう弱小の商店街もあります。こういうところが、これがあるならうちはもっとこれをやってみようかとか、そこまで手が届くような、念頭に、頑張る商店街をどう応援するか、そういう経産省の発想ではなくて、頑張れないところをどうしてあげるか、こういう発想でお考えいただきたいと思うのですが、もう一度答弁をお願いできますでしょうか。

長谷川政府参考人 御指摘はもっともだと思います。

 これまでも国の補助金、これは国策、商店街は国策ですから、全部自治体にお願いするわけにいきません。ただ、商店街の皆さんの御便宜、今おっしゃった点も含めて、各区市町村がやはりそういう意味で一番身近なものですから、私どもの補助金の申請、あるいはそういった広報につきましても区市町村のお力をおかりしています。

 これにつきまして、今回の御承認をいただければこの新制度も創設するつもりでございますので、さらに加えてどういう工夫ができるかにつきましては、よく検討させていただきたいと思います。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 実は、東京都の補助金もかなり手厚く、「新・元気を出せ!商店街事業」とかいろいろあります。長年やってきてもらっていますけれども、補助金を利用したことがあるというのが五八・六%、ないというのが三六・九%。その約三七%のうち、理由というのが、自己負担分の財源確保が困難であるが約三八%、その存在、内容を知らないというのが何と二四・五%あるということに私は大変驚きまして、恐らく、全体の商店街から見れば約一割がこういう情報を知らないという、この現実を受けとめていただければと思っております。

 きょう、一つ提案でお願いしたいことなんですが、実は昨日、板橋区に大東文化大学という大学があります、そこのゼミのある教授とお会いしまして、ここは政治学関係のゼミで、現地調査も大変頻繁に丁寧にやっていらっしゃる。板橋区から、板橋の中で最も厳しい商店街を大学三年生の方たちにぜひ調査してもらいたい、提案を寄せてもらいたい、こういう要望があって、本来であれば大山商店街とか、もう少し有名な商店街を調査したいという意向もあったけれども、いい機会なのでやらせていただこうと受けとめたと。これが二〇〇六年の夏のことです。

 そこで、学生たちが聞き取り調査、そしてまた活性化の案を立てまして、イベントの計画を立て、その計画を実施いたしました。夏に行ったイベントのコンサートは、一過性でしたけれども、ほとんど活用されていない神社の場所を借りたり協力を得て、地域の音楽家、そしてまた合唱団、大学のジャズバンドも出演をしてくれまして、盛況だったと聞いております。

 また、商店街の課題について学生たちがまとめたのは、交通の便が悪いとか駐車場がないとか、道幅が狭いとか危ないとか、リーダーがいないとか、営業、PR、連携がない、やる気がない、こういう本当にシビアな、学生の目でずっと列記されております。そこで、閉じられた理事会を全員参加型に変えてはどうか、いつも一部の人だけが参加している。それからもう一つは、産学公民、産学官なんでしょうけれども、産学公民という、民まで含めた、住民も含めた一体の取り組みを後押しする必要性がある。PRのやり方も、ホームページをこのように変えるべきである、また看板も見やすいところに変えるべきである。実にシビアな提案も含めまして、そして解決策も取りまとめ、二〇〇七年の一月に提出をされたのがこの報告書であるわけです。

 結局、この商店街は、イベントも一過性に終わらず続き、そしてまたこの商店街の真ん中にレトロな、十円で買える駄菓子屋さんとかお菓子屋さん、そしてまたゲームも扱うようなお店ができたりして、ここは今それなりに人の流れがふえている、こういう話も聞きました。

 また、その学生はどこに就職したかといいますと、請われて地方の大手銀行、信金、信組、そういうところに就職した学生が約六、七人と聞いております。

 私は、このような地域の大学、そしてまた若い人材の活用をどのようにしていくかということも大きなかぎではないかと思っておりまして、特にこういう実地調査で商店街について勉強することができる、これは、この後また経済産業を担っていく人材の育成という点からも大きな役割を果たしてくれるのではないかと思っております。

 文科省との連携が当然必要なわけですけれども、こうした調査研究についても、商業系また政治系の学生が携わって、そしてその学生の取り組みを支援するというような、こういう仕組みを文科省と検討していただきまして進めていただいたら、これは、最近若者が余りパワーがないとかコミュニケーション力がないとかいろいろ言われる中にありまして大変有意ではないかと思いますが、これはどなたに答弁をお願いすればよろしいのでしょうか、お願いいたします。

高市副大臣 今言っていただいたのは、高木委員のお地元の東京都の例でございました。ここで大変成果が上がっているということも、私どもは大変うれしく思っております。

 私の地元の天理市の本通りの商店街でも、天理大学の学生と連携して、さまざまなイベントも手がけ、またショップも出しましたし、また、町の方々がサテライト講義をそこで聞けるというような取り組みも成功しております。

 こういった若い方々の知恵を商店街に取り込むというのは、商店街も新鮮な目でまちづくりができるというメリットもありますし、また、みずから企画に携わった若い方々がお客さんとして商店街に足を運んでくださるというメリットもあります。また、学生さんの方からしますと、これはすばらしいキャリア教育の機会にもなると思っております。

 私自身が内閣府で青少年育成施策を担当する閣僚を務めておりましたときに、実は、キャリア教育等推進プランというものを半年間かけてつくりました。これは、経済産業省、文部科学省、厚生労働省の三省、そして民間の方々にも参加をしていただいて、体系的にキャリア教育を進めていこうというものでございます。

 今回、商店街の関係省庁による連絡会議というものを先般立ち上げたんですけれども、委員が今御指摘いただきましたように、商店街ということに絞っての連絡会議の中でも、今後、文部科学省との連携も深めて取り組んでいきたいなと考えております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 続きまして、法律の中の、「住民の生活に関する需要に応じて行う」事業というふうに出てまいりますけれども、この事業というのはどのような事業が該当するのか。恐らく、地域の実情が、今申し上げましたように板橋区の例、そしてまたさまざま、私の近隣の例、全部実情も異なりますので需要も異なるわけでございます。これをどのような形で公平性、透明性を確保しながら基準を決めていかれるのか、またどのように事業の内容につきまして例を検討していらっしゃるのか、答弁を求めます。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 国会議員の先生に申し上げるのも大変恐縮でございますが、法令用語なものですから、「住民の生活に関する需要に応じて行う」ということで、ある種の考え方を短い言葉で書いてあります。したがいまして、ある種の抽象画ということで、そういった御疑問が出てくるということだと思います。

 平たく申し上げますと、私ども提案者の方の理解は、住民の皆さんの暮らしに役立つ、あるいはより便利にする、こういったようなことにほぼ近いと思っておりまして、御審議を踏まえてまたそれは考えます。

 したがいまして、各地の特徴、特性、そこにお住まいの皆さん方の属性、例えば高齢者の方が多い町の場合ですと、やはり安全、安心とか、いろいろなデリバリーも含めた、便利にしてくれないかとか、働く女性が多いところでは、何か育児の支援を助けてくれないかとか、リサイクル、こういうことをやれないかとか、あるいは町の歴史や特徴を発信したいというところでは、いろいろなイベント、お祭り、こういったこともあろうと思います。

 そういったような、役に立つ、住民の暮らしを非常に便利にするということが公約数でございまして、その特性に応じて、これから基準をきめ細かく決めていきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 最後に大臣にお伺いしたいのですが、例えば東京都の「新・元気を出せ!商店街事業」、またその中に商店街パワーアップ基金事業、予算も五十億確保して頑張ってやっております。

 今回の法律の中身につきましては、本来県とか市町村が実施すべき事業ではないかという疑問がどうしても残ります。経済産業局長に委託するというふうにしておりますけれども、計画の認定を大臣がされるというふうになりますと、どうしてもこれは、申請窓口も遠いですし、現地に来ていただいてチェックをしていただく必要性もあります。

 一見地方分権に逆行しているような感じを受ける内容でございますが、確かに、東京都みたいに二兆円も貯金があって、こうしたことがしっかりできるようなところと、それから、とても予算が確保できず、県ができないから市町村でやってというところも、いろいろなパターンがまたここにもあるところだと思います。

 この中で、あえて国が実施をする意義、そしてまたさらに都道府県また区市町村を巻き込んでどのように展開をされるおつもりなのか、そのお考えを伺わせていただきます。

二階国務大臣 商店街活性化ということは、商店街の皆さんに元気を出していただいて、地域産業の担い手としてこれからも頑張っていただきたいという大いなる期待があるわけでありますが、このことは、結局は、商店街が活性化し活発になって成功すればやはり地域としても国としても大変助かるわけでありますから、これは政府としても自分のこととして考えなきゃいけないことだというふうに思っております。

 そして、地域の商店街の発展ということは、お祭りをやったらいいとか、あるいはおみこしを担いで元気を出したらいいとかということを言われますが、そういうことを実行に移すためには、ちゃんとしたバックグラウンドができておって初めてできるわけで、若い担い手もなければならぬわけであります。

 そういう意味で、商店街というのはもろもろの社会問題を含んだ大きな課題だというふうに思っておりますから、国がこのことに、ある部分においては直接乗り出していく、あるいは地方に担当いただくものは地方に担当いただく。

 しかし、先ほど来の審議の中でも御意見として出ておりましたが、私は、商売、商店街の仕事というのは、やはりみずからがやっていくというその気概がなければ、だれかに頼まれて商売をやっている人はいないわけですよ。みんなみずから、この商売をやったらもうかるだろう、この商売をやったら社会の役に立つだろうという気持ちで取り組んでおられるわけですから、その出発点はぜひ忘れないでみんなでやっていく、それを国なり都なりが後ろからいささかでも支援できればいいというものだと思っております。

 一万三千の中で七十七選んで、これは、焼け石に水みたいなものだということがありましたが、日本のこういう商店街施策の中で初めて取り組んだ課題であります。これは、数は少なければ少ないほど値打ちがあるんです。商店街で一生懸命やっている人たちのための励みになるようにやっているわけです。商店街の方々にはっぴをつくってさしあげたこともあるようでありますが、これは予算にも限界がありますから、限度がありますから、そしてそういうことは余り積極的にするべきではありませんが、今までそういうことをやってまいりました。

 そこで、地方公共団体との連携ということはこれから極めて大事でありますが、地方公共団体でも及ばないようなところについて、私どもとしてはしっかりした対応をやっていこうということで、国がこの法案を出すことによって商店街活性化の計画を認定する際には、都道府県や市町村の意見を十分拝聴して、これに配慮することは極めて当然のことであって、十分このことに意を用いていきたいと思っております。

 したがって、今後、地方公共団体との緊密な連携、あるいは商店街支援の効果が浮き彫りに出てくるように、商店街の皆様と御一緒に取り組んでいきたい、このように思っております。

高木(美)委員 済みません、最後にもう一つだけ。

 先ほど、大臣が大型店の商店街加盟についてちょっと手を挙げていただいていたのですが、私が見落としてしまいました。一言だけ御答弁を。大型店等の商店街加入につきまして、一言。

東委員長 時間が参っておりますので、簡潔な御答弁をお願いします。

二階国務大臣 お許しをいただいて、一言申し上げます。

 やはり大型の店舗の方々も、これは全国展開をしている方々であって、地域の商店街とはほとんど競争にならないような実力の差があることは当然でありますが、しかし、そこの商店街に縁あって根をおろした以上は、やはり協力しながらやっていくという姿勢が大事であって、経済産業省としては、大企業の方々も経済産業省で所管をしておるわけですから、私たちとしては、「がんばる商店街」じゃないが、本当に地域に協力してくれている大型の会社はどこであるかというようなことは公表するぐらいの気概で対応していきたい。そして、何かやるときに寄附でもしてください、会費でも払ってくださいと言ったら、うちは関係ない、こういう態度をとっている銀行なんかもあるんですよ。

 ですから、銀行もやはり地域とともに繁栄していくという姿勢が大事ですから、そういうことを我々は積極的にやっていきたいと思っておりますので、与野党のこの委員会の皆さんの御支援をぜひちょうだいしたい、これを申し上げたかったんです。

東委員長 これにて高木美智代さんの質疑は終わりました。

 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 安井委員は専門家でありますけれども、また高木委員に引き続きまして、地域商店街活性化法案について質問をさせていただきます。

 この地域商店街活性化法案ですけれども、三年前にやりましたまちづくり三法、改正中心市街地活性化法とは異なりまして、地域の商店街そのものにスポットを当て、ビジョンを持って頑張ろうとする商店街には大いに役に立つ、そして大変ありがたい法案、支援策だと思っています。だから、意欲を持った地域商店街に向けて、この法案の趣旨を理解いただき、より有効なプランをつくっていただくことに資する質問をさせていただきたいと思います。

 基本的なことを聞いてまいります。

 まず、本法案では、経済産業大臣は商店街活性化事業の促進の意義や事業の基本的な方向等を示す基本方針を定めることになっています。この基本方針はどのような内容のものになるのでしょうか。また、この基本方針はどのような形でいつ出されるのでしょうか。なるべくわかりやすく、具体的にその内容を御説明ください。経済産業大臣でも経済産業省でも結構でございます。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 基本方針は、御提案申し上げておりますこの法案の三条の第二項というところで、この法案の出発点といいますか、礎石になる部分でございます。

 具体的には、今想定しておりますものは、商店街活性化事業が中小小売商業や中小のサービス業の振興だけではなくて、地域コミュニティーの維持や発展によりまして、その商店街の内部あるいはその周辺を取り巻く住民の方々に大いに役立つというようなものでなければならないという物の考え方、さらには、それを受けまして、実際の商店街活性化事業計画などの認定要件ということで、この方針に合うということでございます。したがいまして、多少具体論に入りまして、地域住民のニーズを踏まえた取り組みであること、商店街への来訪者の増加といったようなこと、場合によっては、地域によっては来訪者の減少がいささかでも抑制される、こういったことも現実的には考えなければいけない。

 ニーズ等々につきましては、先ほど高木委員の御質問に対しての御答弁で例を申し上げましたので、時間の関係でとどめさせていただきます。

 さらに、地方公共団体との連携、これは大変重要でございますので、これを図ること、それから、先進事例、あるいは政府、自治体の支援策、こういったものが少しでも商店街の皆さんに行き渡るような情報提供、こういったようなことを国がきちんとやるということを想定しております。

 そして、きょう以降の国会審議でのさまざまな御指摘を受けまして、これをまた肉づけし、そして今後、パブリックコメントもやりたいと思っておりますので、審議会、自治体からの意見も踏まえまして定めるということにしております。

 なるべく早く決めたいと思っておりますけれども、パブリックコメント等をやりますと、物理的に何日かかかりますが、そういった点を少しでも、一日でも早くということでございます。

三谷委員 いろいろなことを長官がお話ししてくださいました。また、今お話をされた基本方針の概略に照らして適当と判断をされる商店街活性化事業計画が認定をされる、そして支援対象になる、認定要件もそこの中に入るとお話をされました。

 そこからまた掘り下げて伺ってまいります。

 高木委員のお話の中にもございましたけれども、商店街というのは、法人格を持っていないものも含めますと、全国で一万三千以上、あるいはもしかしたらそれ以上かもしれません。そう言われています。その中で、この法案のスキームでどのような商店街を認定すると想定をして、支援の対象にしようと考えておられるんでしょうか。

 この法文一条の「目的」の中に一つだけは書かれております。「商店街への来訪者の増加を通じた」と書かれています。すなわち、来街者がふえる、商店街がにぎわうということが一番の大事な要件ということになるんでしょう。ただ、これは当然のことでありますので、どんな商店街を応援しようとしているのか、認定しようとしているのか、イメージがわくように、わかりやすく説明をいただけませんか。

高市副大臣 失礼いたします。

 商店街、単にサービスですとか商品を提供するだけではなくて、やはり地域コミュニティーの担い手としての役割が大いに期待されております。

 例えば、京都市の伏見大手筋商店街なんですが、空き店舗を活用して地域子育てステーションを設置いたしまして、若い親同士が気軽に集える場を提供されております。また、豊川市の豊川稲荷門前の商店街では、いなり楽市というイベントを開催して、地域と商店街の活性化、両方を元気にしようということで頑張っていただいております。

 ですから、この法案は、このように地域コミュニティーの担い手としての商店街の役割に着目しまして、地域に貢献し、地域の魅力を発信する、当然地域住民のニーズにこたえていく、商店街ならではの取り組みを行おうとする商店街を支援するものでございます。

三谷委員 ありがとうございました。

 何となくイメージはわいてまいりましたけれども、ただ、今も例に挙げられたものというのは、ある意味特別な商店街で、もっと広くここで支援をしようというものは、また違った意味を持つのではないでしょうか。

 そこで、話をかえます。この支援対象となります、まさに認定をされる商店街、先ほども長谷川長官のお話の中に、基本方針の中にも認定要件というのは定められるわけですね。どのように選ばれるんでしょうか。これは後でまた聞きます。

 先に、まず、全国で何件の認定を考えておられるんでしょうか。そして、その募集はいつごろからかけられて、また、認定してもらうためのノミネートはどのように行われるのか、この基本的なことをまず教えてください。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、対象となります事業につきましては、地域住民の需要に応じた、地域のコミュニティーに役立つ事業というものを私ども念頭に置いております。よって、本事業につきましては、単にハードウエアあるいは施設の整備、こういったもののみならず、ソフト事業も対象として、これを振興したいというふうに考えております。

 対象となります事業につきましては、具体的に、子育て支援、高齢者の支援、宅配サービス、あるいは地域の特色を活用したイベント、こういったものを念頭に置いております。

 事業の認定申請につきまして、どういった形で選ぶのかという御指摘でございます。

 この事業計画の認定につきましては、各地域の経済産業局にこの計画を認定申請していただきます。この経済産業局におきまして、関連いたします市町村あるいは都道府県の御意見も聞きつつ、本事業が地域住民のニーズに本当に合致しているのか、商店街への来訪者の増加が見込まれるのか、あるいは他の商店街へ参考になる事業であるか、こういった点を考えながら見ていきたいと思っております。

 認定の件数につきましては、あらかじめこのぐらいというふうに念頭に置くのではなく、なるべく多くの方々に認定いただきたいと思っております。このため、本法律あるいは事業の趣旨につきまして、幅広く広報、周知、普及を図っていきたいと考えております。

 認定の申請の時期につきましては、本法律案成立以降、可及的速やかに諸手続、規定などを整備いたしまして、なるべく早く進めたいというふうに考えてございます。

三谷委員 今、丁寧に御説明をいただきました。

 今の段階でその基準というのは設定をするのがなかなか難しいのだろうということは思いますけれども、ただ一方で、先ほども副大臣がお話をされた、地域コミュニティーに役立つ事業がその計画の中に含まれているとか、プランの中に含まれているとかというのは、非常に漠とした話であります。あるいは、もちろん来街者がきっと多くなるであろうということ、これが一番大事な要件だと思いますけれども、何を基準にするのか、今の数井部長のお話からすれば、私が後でお願いをしたかった答えを言ってしまわれたところがあるんですけれども、百件程度と最初聞いておりましたけれども、私もなるべくたくさんとってもらいたい。つまり、なかなかその答えはないわけでありますので、いいなと思うプランが求められているわけですから、なるべく広くとってもらいたいということがございます。

 そして、先に話を進めてまいります。

 具体的な中身に係る、まさに補助対象事業に係ることだと思いますが、この法案の中に定められている商店街活性化事業、これは何でしょうか。二条二項には、商店街振興組合等が、これらに係る商店街の区域、地域の住民の生活に関する需要に応じて行う商品の販売、役務の提供、行事の実施等の事業と定義をされていますが、きっと、商店街活性化事業が認定される計画の中の、地方の商店街、ノミネートをしようとしている商店街からすると、これは一番大事な肝の部分でございます。きっとその補助対象となる事業なのでありましょう。

 どのような事業がこの商店街活性化事業に該当するのか、この定義ではさっぱりわかりません。どのような事業がその対象になるんでしょうか。できるだけ詳しく具体的に教えてください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、法律案ということの性格上、全国的なものを限られた言葉でカバーするという、エッセンスを法文にするものと私は理解しておりますので、こういった表現になるわけでございますけれども、他方で、公約数は各地にお住まいの皆さん、中心市街地活性化法の対象地域に限らず、広くそこにお住まいの皆さんに、商店街ならではの発想で知恵を出してもらって役に立つというのが、平たく言えばそういう理解でございます。

 したがいまして、それぞれの地域に、高齢者の方が多くお住まいの地域もあるし、比較的働く女性が多い地域もあるし、それから、むしろ歴史やその地域の行事を大事にして、それを発信したいということもございます。そういったようなことで、高齢者が多いところでは、やはり何といっても安全とか安心とか、あるいは日常に使う食べ物等の配達というようなこともございましょう。そういったことをむしろ商店街が逆に知恵を出していただいてつかんでほしい。つかんでいただければ来訪者がふえる。そして、来訪者がふえて継続的にそういったことが定着すればお客様もふえる、それは商業の振興にもつながる。こう考えてございますので、ある程度私どもが想定しているということにつきまして御理解を賜れば幸いでございます。

三谷委員 長谷川長官、そのようにきれいにおっしゃるんですけれども、例えば今のお話のように、知恵を出してつかんでもらいたいとかいうのは、それはそのとおりですよ。その趣旨からするとそのとおりです。だけれども、今私が申し上げたのは、なるべくメニューで、具体的な、こういうものがあります、ああいうものがありますということを、それは、ここに書かれているような、ハードでいえば省エネ型アーケードだとかバリアフリー型カラー舗装だとかインキュベーター施設だとか、ソフトでいえば立ち上げイベントだとか、さまざまなものがもう既存の措置の中にある、きっとそういうものが補助の対象になっているんです。だけれども、プランを立てるときに、プランを立てなさい、ノミネートしなさい、意欲あるところは手を挙げなさい、こう言っているわけですから、それは親切にしてあげないと、今言われたように知恵を出してつかんでほしいといっても、その知恵なんて衰退していく地方の商店街にいてもなかなか出ませんよ。

 だから、最後に申し上げたように、別途これは指針のようなものは出されるんですか。

長谷川政府参考人 私どもが今想定しておりますのは、現にやっております「がんばる商店街七十七選」というのも一つの例でございますし、各地の商店街として全国にぜひ普及したいという実例をなるべく多く紹介することによりまして、先生のおっしゃる指針というのと私の指針というのが、ちょっと理解が違ったらお許しいただきたいんですけれども、余り規則的なものを書いてみてもいたし方ないと思っておりますので、そういう意味で、すぐれた例をなるべく広報し、同時に、この法案で御提案しております商店街支援センターの方で、多くの方に入っていただくような研修プログラムを用意いたしまして、その点も普及したいというように思っております。

三谷委員 ありがとうございました。まさに今長官おっしゃられた、実例を多く、こういうことをやっていますよ、ああいうことをやっていますよということを指針として出してあげてください。お願いをいたします。

 話をかえまして、一つ確認をいたします。支援対象の選定に係る都道府県、市町村の役割についてお尋ねをいたします。

 経済産業大臣は、事業計画の認定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県、市町村の意見を聞き、当該意見に配慮しなければならないとなっておりますが、この認定につき、これは先ほどもお話が出ておりましたけれども、これまでのやり方とは違いますね、国に直接出して、意見を聞くだけでありますので。そこで、県や市は、この認定についてどんな関与の仕方になるんでしょうか、それを教えてください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、個別の商店街の存亡、盛衰、これは国策としても大変重要でございますけれども、それが所在いたします都道府県、市町村にとっても大変重要でございます。そして、都道府県や市町村が、それぞれの御方針によりまして、さまざまな支援、場合によってはいろいろな土地の計画等々もございます。

 したがいまして、そういった自治体と国の施策が、できればこの支援が相乗効果を発揮するようにというのが施策の遂行としては私は正しいと思っておるものですから、そういう意味で、所在をする市町村、都道府県にまずは申請がありましたときに御意見をちょうだいして、この方はこういうことをしたいとしているんだ、それは皆様方の施策のこれまでの実績からして合うのか合わないのか、あるいは、だめならばどこを直したらいいかということで、特に、「配慮しなければならない。」という規定を明文で置かせていただいた。これまでに余り例がないと思いますけれども、あえて必要だということで御提案をさせていただいております。

三谷委員 わかりました。少なくとも、今までのように、市に上げて県に上げて国に上げるというような、そこの中で選定を狭めていくということではないということがわかりました。

 話をまた戻します。

 冒頭、この法案は、まさに頑張ろうとする商店街には大変ありがたい法案だということを申し上げました。本当にそう思っております。すべての商店街を助けられるわけじゃないけれども、一部でも、意欲を持った、頑張ろうとする商店街を助けられるところがあると思うからです。

 実は、私も、安井委員のように商店会長として担ってきたわけではありませんけれども、このような議員の道に入りましたけれども、実家は商店街で食べ物商売を営む商店の息子であります。だから、この商店街の話というのはまさに他人事ではありません。今も、仲間たちと、中央地区の商店街でありましたので昔は本当に栄えておりました、それが衰退の一途をたどっている、何とかして少しでもにぎわいを取り戻したい、一緒になってその取り組みをしているところです。だから、きょうも、むしろ、議論というよりも、認定を受けたいと考える商店街の立場から、こういうことを聞きたいだろうなと思うところを、また、選んでもらいたい、少しでもそのよりどころとなるような話を聞いてまいりました。

 そして、先ほど、どのような商店街を選ぼうとしているんですか、その基準は何なんですかということを少し掘り下げて聞かせていただいたのは、それは、支援をする側が、行政側がどのように商店街を活性化させようとするのか、持ち上げようとするのか、それとほぼ同義の話なんです。なかなか明快な答えは聞けませんでした。明快なことを言うのは確かに難しい話だと思います。だけれども、少しでもそのよりどころとなるような話をしていただいたのは本当によかったと思っています。

 この法案のスキームの商店街支援策、そのよいところは、もちろん一番は、先ほども申し上げた、補助対象事業の補助率を二分の一から三分の二に引き上げていただく、大変これはありがたいお話です。大いに助かる話なんですけれども、一番よいところは、意欲を持った商店街に計画、すなわちビジョンを出させることだというふうに思うんです。

 商店街のほとんどが、これは程度の差こそありますけれども、むしろ安井先生のところの商店街というのは我々からしたら本当にうらやましいぐらいの商店街です、本当に衰退をしていっています。シャッター通りと言われています。その中でももがきながら今頑張っておりますし、まさに認定、こういう制度立てができましたので、手を挙げようとしている商店街というのは私の地元でもたくさんあるわけです。

 にぎわいを取り戻すための、これをやったら特効薬で、来街者がふえるんだよというような、そんな特効薬があるはずありません、今まででももがき苦しんできたわけですから。この計画にしても、立派と言っていただけるような、そんな計画もなかなか簡単につくれる話じゃないんだというふうに思います。だから先ほども、指針は出してくれるんですかと。出されるというお話でありました。大変ありがたい話だと思います。

 先ほど、安井議員のお話の中に、商店街の人たちは当てにならない、選挙はやらないと。私も父やじいさんから同じように教えられてきました。このような道に入ってしまったわけでありますけれども、そのように教えられてまいりました。

 もう一つ、それがある程度大きな商店街であればなおのことですけれども、商店街で何かをやろうとするとき、今また特にそうなんですけれども、まとまらないんです。それは、小さな商売でもお山の大将ばかりですから、安井先生のところのようにリーダーシップをとってアトム通貨とかを始められる、成果を上げられるというようなことがなかなかできないんです。だから、頑張る意欲のあるところはまとまって一つの方向に持っていこうと。それすらないところもあります。だから、計画をつくる、あるいはつくらせる、つくってもらう、そしてノミネートをかけてもらうということが私は肝要な話なんだと思っています。この法案の一番いいところだというふうに思います。

 先ほども、なるべく実例を挙げて、もっと言ったら、例えばアーケードの整備事業、ここにもありますけれども、省エネ型にすればというような話は商店街の方々は知らないんです。意外と知らない。先ほどもお話の中にもありましたけれども、そこはやはりなるべく丁寧に、具体的な事例とおっしゃられたけれども、具体的な事例で、ここでこんなことをやっている、あんなことをやっているもそうです。また、地方の、それは中央地区商店街であったとしても、補助対象事業、お金をもらえる、それも三分の二の補助率でもらえる事業は目玉としてこの計画の中に盛り込んで、それは、まとまってその方向に行くために大変大事な要素なんです。だから、こういうふうにすれば使えるよというようなことも含めて、そこは丁寧に教えていただきたいというふうに思います。

 大臣にちょっと聞かせていただきます。

 先ほど数井部長からも、ありがたいお話であります。一件でも多くの商店街を、つまり、やる気のあるプランを出してきたところが、もちろん、いいと思われるような尺度というのはなかなか判定は難しいんですけれども、やる気のあるようなところが、いいなと思うようなプランが多かったら、なるべく一件でもたくさんの認定をいただければ、それは大いに商店街の活性化に資することだと思いますので、お願いを申し上げます。

 また、この商店街活性化支援策は新たな取り組みでありますので、この新たな活性化策をするに当たっての大臣の姿勢、取り組みにかけるお考えを最後に聞かせてください。

二階国務大臣 三谷議員から、御経験に基づいて商店街振興策をいろいろお聞かせいただいて、傾聴しておったところでございます。

 一万三千もある商店街の中には、地域住民の方々とともに懸命に頑張っていただいているところ、そして、時代の流れに必死になって頑張っていこう、そういう方々も、リーダーの資質にもよるわけでありましょうが、数多く見出すことができるわけでありますから、今議員が御主張なさいましたように、一つでも多く取り入れていくということでやっていけというお尋ねであったと思いますが、私はそのお考えには賛成であります。できるだけ努力をしたいと思っております。

 「新・がんばる商店街七十七選」、今お手元に議員各位にお配りをしているところでありますが、この中に、例えば熊本市の健軍商店街。これは、自衛隊なんかが元気に頑張っておると同時に、前々から、古くから健軍神社というお宮があって、急につけた名前でもないようでありますが、買い物タクシーや電動スクーターの貸し出しなど高齢者に随分サービスをしておる商店街です。

 また、加賀市の山中温泉、これは温泉としても有名ですが、漆器の町としても頑張っておられるわけであります。そうした地域資源を生かしたことによって店舗を活性化する、私はこれもすばらしいことだと思いますが、これだけ聞きますと、固有名詞さえ変えれば他にも適用されるようなところが日本国じゅうに随分あるんじゃないかと思うんです。

 富士市の吉原商店街、これは、地元の商業高校、テレビ等でもごらんになった方もいらっしゃると思いますが、NPO法人と連携して高校生に商業体験を勉強させるチャレンジショップが全国的に有名で、気を吐いておるわけであります。

 ただ机に向かってお勉強しているだけではなくて、商業高校の生徒がお店に出て販売に直接携わっている、つまり経営に携わっておるわけですね。ですから、近所の皆さんにも、そんなことをやっておりますから買いに来てくださいと言って、若い高校生の人たちが近所を訪ね歩いているような姿も私はテレビで拝見しましたが、そういう実績がどんどん上がっておるわけです。

 どの業種でもそうですけれども、何もしないでおっては伸びていきません。そういう意味で、商店街がそういう気概を持っていただくということに、ぜひ、いろいろな面で議員各位の御声援といいますか、御指導を得たいと思っておるわけです。

 全国に商店街のモデルとなるようなものが幾つも出てくるということによって活発になってくるわけでありますから、今勇気を失っておる、自信を失っておるような商店街の皆様に活を入れるといいますか、一緒に頑張ってみようじゃないですかということを、経済産業省としては地方経済産業局を総動員して努力をしたいと思っております。

 今、高校生がそういう勉強をしているということを言いましたが、私は、経済産業局もそういう勉強をしなければいけないと。高いところにとまって指導をするというような姿勢は、事商業、商店街のことに関しては、あちらが先生なんです。ですから、我々も謙虚に学んでいきたい、このように思っております。

三谷委員 ありがとうございました。質問を終わります。

東委員長 これにて三谷光男君の質疑は終わりました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 いつも同じメンバーで恐縮でございますけれども、質問させていただきたいと思います。

 三谷光男委員の熱情あふるる質疑の後、引き続き頑張っていきたいと思いますが、大臣も、やはりこの件については非常に熱意がある、答弁も非常に力がこもっているというふうに思います。

 ただ、国が商店街の活性化のために施策を打つというのは、正直なかなか難しい部分がたくさんある。私も、当然、地域で商店街が活力があって、町の人たちがみんなそこににぎわうことは物すごい大事だというふうに思いますが、今までの中小企業庁というか経済産業省の施策を見ても、やはり試行錯誤を繰り返しているように見られる。

 たしか二年前、これも、前の大臣、二階大臣だったと思いますが、平成十八年にまちづくり三法という法案の改正があって、そのときの発想は、要は、中心市街地というものを重点的に、まちづくり等の一環として商店街があって、そういうところを選択と集中という発想で支援していく。これは恐らく、その前の中小小売商業振興法ですか、昔の、まちづくり三法の前の法律の中で、全国的に大体七百カ所ぐらい商店街の主にハード事業の支援をしていた。ところが、これがたしか政府内の行政監察か何かを受けて、ばらまきじゃないか、こんなことでは税金の有効な使い方じゃないという批判があって、指摘があって、それでまちづくり三法というものを提出されて進められたというふうに記憶しております。今までだったら地域の商店街、地域を対象に支援をしてきたわけでございますが、今回は、商店街そのものに支援をするというのが新しい部分かなというふうに思っております。

 どなたでも結構ですけれども、ここの方針が変わっているのか。今まで、まちづくり三法の前は七百カ所ぐらい支援をしていた。まちづくり三法で大体七十カ所ぐらいかな。大体県庁所在地とか、少なくとも二番手ぐらいの町の商店街を対象にしてきたけれども、今度はさらにそれと違うところを支援するということなので、この辺の流れが私もよくわからないし、方針というものをやはり明らかにしていただきたいと思いますので、その点についてお考えをお聞かせ願いたいと思います。

二階国務大臣 中心市街地活性化法は、にぎわいあるまちづくりを目指して、中心市街地の都市機能の増進と経済の活性化を一体的に推進しようということで、国が極めて重要な施策として取り上げたわけであります。商業機能と都市機能を相当程度集積した市街地に対し、国が重点的に支援を行っております。

 一方、中心市街地に限らず、地域に暮らす人々の生活をサポートする商店街が数多く存在していることは議員も御承知のとおりであります。これらの商店街は、地域コミュニティーの担い手としての重要な役割があるわけであります。したがって、これまでも予算措置などで支援をしてまいりました。地域経済が疲弊をし、その再生が急務となっておる今日、地域の商店街に対する支援を強化するために本法案を策定したわけであります。

 本法案は、中心市街地以外の商店街も支援対象としておりますが、子育て支援等のソフトな取り組みを主に対象とし、また、事業計画の認定に当たっては地元自治体の意見を求めることとするなど、中心市街地の活性化に反する郊外の大規模開発を容認するものではありません。したがって、これまでの施策の方向性を転換するものではありません。

北神委員 引き続き選択と集中で、中心市街地というものを中心にしながらも、それ以外のところでやる気のある商店街というものを支援する、そういう考え方でいいんですね。わかりました。

 次に、私も、ほかの委員の皆さんと違ってずっと役人をやっていましたので、それこそ、おっしゃっていたように、正直、わからないところがたくさんあると思いますので、そういうときには現場の声を聞くというのが大事だというふうに思って、私も秘書とかを通じて地元の商店街の声を聞かせていただいたので、今回の法案でどこまで支援ができるのかということをあわせてお聞きしたいと思うんです。

 具体的に要望ですね、余り私の判断とかをつけ加えずに率直にお聞きしたいというふうに思っております。

 一つは、やはり空き店舗が多い。空き店舗が出てくると、なかなか商店街としての多様性というものも提供できないし、活力も出てこないというところで、これは皆さんに率直に見解を伺いたいんですが、空き店舗に入るのに、やはり家賃を払わないといけないですね。その家賃の補助をしてもらえないか、そうしたらもっと若い人たちが入りやすくなるという声があります。

 これは、今まで既に入っている人たちはそのまま家賃を払っているのに、何で新しい人たちは補助をもらえるのかとか、いろいろな問題はあるかもしれません。でも、商店街として、やはり新しい血を入れるためにそういうのでも構わないじゃないかというふうにまとまったら、そういう政策もあり得るんじゃないかというふうに思っておりますが、この点についていかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話がございました空き店舗対策というのは、商店街の活性化を妨げる要素として大変重大な問題です。したがいまして、この法案を御提案させていただいた一つの背景はそこにございまして、空き店舗を活用して、そして家賃をそのまま補助するというわけにはいかないのですけれども、その空き店舗を活用した中の事業が、近くにお住まいの方々とか周辺の皆さんの役に立つ、役に立つという証左として来訪者がふえるというようなことになる事業を商店街としてやるのであれば、かさ上げをした補助率で補助をしたい。

 そして、加えまして、底地といいますか、空き店舗の活用についてなかなかうまいアイデアを今持ち合わせていない方に、少しでも地面といいますか土地をむしろ譲渡していただいて、それを促せないか、強制はできないんですけれども。そういうようなことを促すための道具立てといたしまして、この認定を得てもらいました場合には、譲渡益控除という税制上の措置もあわせて講ずるということで、少しでも空き店舗の防止、そして空き店舗のスペースの活用ということをさせていただきたいというのが、大きな提案理由の一つでございます。

北神委員 ありがとうございます。

 土地譲渡の所得控除というのはいいんですけれども、その前段の話でもう一回答弁をお願いできますか。家賃そのものの補助はできないけれども、それに資するような事業を商店街としてやったらそれを支援することができるという話ですよね。

長谷川政府参考人 舌足らずの答弁で申しわけございませんでした。

 空き店舗を使って行う事業の必要経費の中には家賃も入るわけです。したがいまして、そこで行う事業がこの法律案の趣旨にかなう、すなわち、住民の利便の向上等で非常に全国的に、こういうことをやっているのはいいんだというような評価をできるものであれば、かかる家賃も経費の一部として、補助対象経費として私どもは含めたいというふうに思っております。

北神委員 役に立つ事業をやる場合に、空き店舗を活用したら補助の対象になり得るという話だと思います。

 でもこれは、おっしゃっていることは何か全国のモデルになるような事業じゃないといけないんですよね、普通の商売で、普通に商店街で商売をしたいというときになかなか認定を受けられないということに多分なるのかな、大臣、どうですか。

二階国務大臣 私が以前住まいをしておりましたところが、東京の商店街のど真ん中でございました。散歩等でずっと見て回るわけでありますが、ある日突然、花屋さんの隣にあったクリーニング屋さんがどこかに引っ越しされた。つまり、空き店舗になったんですね。

 どうするんだろうかということで、気になりながら、こういうところがあちこちにたくさん出てくると、せっかくのにぎわっておった商店街がだんだんとスラム化になっていくわけでありますからと思っておりましたら、そのお隣の花屋さんが拡大をして、その隣までもお店をされることになって、これは人ごとながらよかったな、こういう安堵の気持ちになったわけであります。

 私は、今先生の御質問、御意見等を聞いておりながら、こういう商店街対策の中で、空き店舗に御商売で入っていく人に対して融資の面で何か対策がとれないか。これが一番、他の人たちも皆家賃を払ってお店を経営しているわけですから、特別の、新しく入ってきた人だけが補助でやるというのも、これも商店街内の融和のためにもよくないわけですから、そこのところを少し研究させていただきたい、このように思っております。

北神委員 ありがとうございます。ぜひ御検討いただければと思います。

 あと二点あるんですけれども、もう一つは、これはいい考えかなというふうに思うのは、私、京都なんですけれども、京都といっても正確に言えば丹波なんですね。昔、吉田茂が芦田均さんに、丹波の山猿めというふうに怒ったということが本に書いてありましたが、その同じ文化圏の丹波というものも含まれるところでして、ですから、京都といっても非常に農村地帯とかそういったところが多い。

 そういうところに商店街がある。その土地の利を生かすという意味では、野菜とか新鮮なものを青空市場のような形でその商店街に設ける。そうしたら、人出ももっとふえたりするでしょうし、いわゆる大型店舗にはないようなサービスとか物を提供することができる。あるいは、お魚とかそういったものも出したいという、これも実際に声としてある。

 ところが、お水が、やはり野外の給水あるいは排水の整備というものがその場合必要になる。それがない。商店街として所有するんだったら、いろいろ今は補助の仕組みとかあると思うんですね。ただ、恐らく、そんなに毎日するような話じゃないし、一週間に一遍ぐらいでしょうね、多くても。大体一カ月に一回とかそういったことになるので、こういったところも、言ってみれば社会資本整備というかインフラ整備という観点から何とかならないのかなという声もございました。

 これは、私は、普通に考えたら、市町村とかそういったところがやるべき話でもあるかなというふうに思いますが、今回のこの法律自体、あるいは我々のやっている政策自体が、厳密に言えば、恐らく市町村がまちづくりとか自分の地域の商店街の活性化のために本来やるべき話だけれども、それがなかなかできないところがある。だから国がこうやって出てくるということだと思いますので、この点について、皆さん、何か手を差し伸べることができるのかどうか、お聞きしたいと思います。

数井政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘のありました青空市場におきます野外給排水設備、これにつきましても、本法律の考え方から申し上げますと、地域住民のニーズに合っているだろうか、あるいは地域に役立つようなイベント、あるいは何か取り組みができるだろうか、そういったことをやることによりましてその関連いたします商店街に外来者がふえるだろうか、こういった点の事業の中身を私どもよく見させていただきます。それが地域住民の需要によく合っておりまして商店街の活性化につながるような外来者の増加、こういったものが見込めるような事業の一環ということでありますれば、そういったイベントに必要なハード、あるいは関連いたしますソフト事業、こういったものに対しましても、法律の認定をとっていただきまして、補助金での支援ができるというふうに考えてございます。

北神委員 この点については、青空市場の給水、排水の整備については、本法律で、その認定条件さえクリアすれば対象となり得るという理解でいいということですね。

 あと、三つ目の地元の声なんですが、これは、ニュータウンみたいなところがある、新興住宅地。二十年前、三十年前は割と若い人たちでにぎわっていた。その近くにそれぞれ商店街がある。ところが、やはり高齢化が進んでいって、なかなか歩いておじいちゃん、おばあちゃんが商店街に来られなくなってしまっている。こういう状況があって、これは、ほかの全国の商店街でもやっているところもあるというふうに聞いていますが、コミュニティーバスみたいなものを回して、そういった人たちが簡単に乗れて、商店街に移動する手伝いをするというようなことも構想されている人たちがいるんですね。

 こういうことも今回の法律で対応できるのかどうか、これもちょっとお聞きしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 恐らく、それはコミュニティーバスをどのようにお使いになるかということをよくお伺いしてから決めさせていただくという、結論的にはそういうことになると思うんですけれども。

 先ほどのちょっと舌足らずを若干補足させていただきますと、やはり国費の補助要件をかさ上げするということは、それ自体すぐに商業上の利益にはならない、ならないけれども、住んでいる方の暮らしの便に役立つから国費で補助をするというのが基本的な考え方でございますので、したがって、そのバスの利用の仕方、普及のさせ方、そういったようなことを、実際に走らせる地元の自治体等々の御意見もよく拝聴しながら決めていくということになりますので、頭からノーということでもございませんし、頭からイエスということでもないということでございます。

北神委員 また個別具体的に話をさせていただきたいというふうに思います。

 あと、もう一つお聞きしたいのは、市町村との関係ですけれども、例えば、お祭りをしたい、イベントをしたい。これは、国が支援をすることは可能だというふうに思うんですが、そういうことをやると、警察の方が、テキ屋と余りつき合うなとかいうことを言ってきたり、あるいは歩行者天国をやろうとしたら、やはりそういうのはやめてくれと、別に、正式に法律とか条例に基づいて言うんじゃないけれども、そういった御指導があったりする。

 こういうのも、なかなか、我々がそこに入っていくのも一つの考えなんでしょうけれども、彼らにしてみれば、そういうふうに言われちゃうと、もう意欲もなくなってしまう。そういう問題もやはり、これも何カ所からか聞いておりますので、これは、法律でどうこうするとか、その辺の、具体的にどうしたらいいのかと、私もなかなか知恵はないんですが、大臣もよくこういう問題は御存じだというふうに思いますので、こういう点について何かお考えがあるのか、伺いたいと思います。

二階国務大臣 特別の名案はございませんが、しかし、警察当局とは、十分御理解をいただけるようにお話をする。そして、場合によっては、経済産業省の方へお申し出のあった場合は、我々の方で警察、警視庁等ともお話をさせていただくということが大事です。

 今先生が御指摘されたことは大変大事なことで、例えば、商店街で何か行事をするというと、突然といいますか、ある日、車をとめて歩行者天国にしてやらせていただくというのが成功の秘訣なんですよね。だけれども、本当に難しい。

 私どもの地方へ参りますと、県境を越えて何かキャンペーンをやろうなんということになりますと、これは途中途中に警察が幾つもあるわけですね、その警察のすべての了解を得るということは、気が遠くなるような話なんですよ。私は、そういうことに対しては、警察当局ともまた御相談をして、できるだけ地域の人たちの使いでのいいような道路でなきゃだめなんですから、そこのところを十分配慮していきたい。そして、商店街活性化に私たちが努力する姿勢を交通取り締まりの当局にも御理解いただくように努力をしてみたいというふうに思います。

北神委員 積極的な答弁、ありがとうございます。

 警察だけじゃなくて、今申し上げたいろいろな要望を考えてみると、給水とか排水というのは恐らく厚生労働省とか国土交通省、コミュニティーバスなんかも国土交通省とか、そういういろいろな役所にまたがるような話ですので、ぜひ大臣の指導力を発揮していただいて、そういったところとの連携の方もお願いをしたいというふうに思います。

 あともう一つ、これはちょっと視点が違うんですが、全国的にいろいろな、多種多様な商店街がある。それぞれ立地条件も違うし、はっきり言えば、やる気のあるところとないところ、高齢化しているところ、新興でまだ人口が若いところ、いろいろな地域がある。先ほども何回も話が出ていましたし、三谷委員からもお話があったように、やはり商店街のやる気が大事だし、自主的にどういうコンセプトで、どういう方針で盛り上げていくのか、これがやはり商店街の活性化の一番大事なところだというふうに思います。

 それは、一生懸命、才能のある人とか、たまたまいいアイデアに恵まれた方がいる商店街はいいんですが、できるならば専門的な、コンサルタント的な視点を持った方がアドバイスをしていただくというのが非常に大事だ。

 これも実は、うちの地域でいえば太秦という映画村のあるところ、日本初の映画の発祥地でございますが、そこに大映通りという商店街がありまして、そこは昔は映画関係者とか俳優とかが喫茶店にぶらっと入ってきたり、そういった地域だったんですが、やはりこれも相当今厳しい状況にある。あるパン屋さんの御主人様がそういったことを嘆きながら言っていたんですが、やはりいろいろハード面とかいった支援というよりは、そういったコンセプトでいろいろな御指導をいただけるのが一番ありがたい、ところが、どういった人に当たったらいいのかわからない、あるいは、いてもなかなか、正直お金がかかってしまう、こういったところの支援が非常に大事だなということをおっしゃっていました。

 私も、多様性を考えると、国が何かいろいろ型をつくってそれに当てはめて支援をするというよりは、そういったところのビジョンというものをどうやってつくっていくのか、その専門的な指導というものをむしろ間接的に支援するというのがいいのかなというふうに思っておるんですが、これについてどのような方針があるのか、お聞きしたいと思います。

高市副大臣 本法案で対応しておりますのは全国商店街支援センターでございますけれども、今委員が御指摘あったようなコンセプト、企画、こういったものへのアドバイスも必要ですし、それから販売促進ですとか仕入れの合理化、それから売り場ですとか陳列の改善、こういった割と細やかな支援というものも必要になるかと思います。

 この全国商店街支援センターでは、過去に多くの店舗の魅力を引き出した、売り上げを伸ばしたという実績をお持ちの中小企業診断士などの専門家を派遣するということにいたしております。

 それからまた、商店街が高齢化している、また後継者がおられないというようなこともございますので、商店街の外から、新たに商売を始めたいとおっしゃる方を呼び込む場合に、そういった方々の研修、指導などもこのセンターを御利用いただけます。

北神委員 ありがとうございます。これは、全国商店街支援センターというもので、そこから専門家を派遣するという話ですね。

 これはぜひお願いをしたいと思うんですが、私の聞いた感じでは、今回の法律の対象となり得る商店街が大体三千五百ぐらいかな、これは物すごい数が多い。それで、まちづくりとか商店街を活性化する専門家というのは、私、どのぐらいいるのかわかりませんが、多分そんなに多くないと思うんですね。こういったところを、皆さん、実際、具体的にどこまで、どういう人を何人ぐらい採用するのか。これは株式会社ですから国が直接やることではないんだろうけれども、その辺の状況というものをもしおわかりになれば、教えていただきたいと思います。

数井政府参考人 今委員から御指摘のありました専門家の派遣、これは地域におけます商店街の活性化のための一つのきっかけ、あるいはノウハウの気づき、あるいは、取り組むに当たっての事業計画のつくり方、こういったあらゆる面におきまして、専門家の方々の活躍というのは大変重要であるというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたように、これら専門家の方々につきましては、比較的長い期間商店街に入りまして、その地域地域の方々への御支援を申し上げるということをやっていただきたいと思っております。

 現在、その人選につきましては進行中でございますが、例えば大手流通におられたOBの方でありますとか、あるいは中小企業の診断士の方で比較的長期間そういうことをお手伝いできるような方、こういった方を中心に現在人選を進めておりまして、なるべく早く有益な貢献ができるような方々をそろえたいというふうに考えております。

北神委員 まだ具体的に余り決まっていないという話ですが、普通に考えると、私らが見ていると、なかなか、数も足りなくなるだろうなと正直思います。

 一方で、この支援センターで独占する必要もないんじゃないかな。例えば、地元の商店街でこういういい人がいるな、でも、そこを雇うことが金銭的に、経済的になかなか難しい。その支援センターとは関係なしに、もしかしたらそれはいわゆるプロじゃないけれども、何か違う分野で実績があって、今回は商店街の活性化にそのノウハウを応用してほしいというような申し出があった場合に、それを補助するということもあり得るんじゃないかな。

 別にこの支援センターに限らず、それぞれの商店街が独自に、こんな人にお願いをしたいという人がいたら、そこを支援、もちろんそこは点検して、ちゃんと具体的な計画があるのかとか、本当に真剣にどこまで考えているのかとか、そういう判定というか査定みたいなことは必要だと思いますが、そういうこともあり得るんじゃないかなと思いますが、この点について、いかがでしょうか。

高市副大臣 済みません、商店街がみずからいい人材を選んで招聘されるような場合にも、補助金による支援は可能でございます。

北神委員 ありがとうございます。

 きょうはいろいろ要望みたいな話に終始してしまいましたが、こういう点、こういう問題についてはやはり地元、現場の声というものが大事だと思いまして、取り上げさせていただきました。大臣からも副大臣からも積極的な答弁をいただきまして、御礼を申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終わりました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 一昨日ですか、月例経済報告が出て、「景気は、厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きがみられる。」ということであります。その前日も、日銀総裁が決定会合の中で景気判断を上方修正というふうなお話があります。

 今までの、きょうの議論もそうですが、大臣、なかなかそうはいっても地方や中小企業はその状況にあらずというのが多分大多数の方の声ではないかな。商店街の活性化ももちろんでありますけれども、地方の製造業も含めて企業はまだまだその状況にないという中で、一連の経済対策も政府主導で打たれてきました。その評価はいずれ出てくるというふうに思いますけれども、やはり厳しい状況の中で、これからまた何をすべきかということを私は考えていくべきだというふうに思います。

 現下の景気、特に都市と地方という部分ではなくても結構ですが、大臣、現状についてどのようにお考えになっているのか、簡潔にお答えください。

二階国務大臣 ただいま後藤議員が御主張になりましたとおり、私も、景気は相変わらず総じて厳しい状況にある、生産、輸出など、一部に持ち直しの動きが見られておりますが、地方あるいは中小・小規模企業の景況は引き続き厳しい状況にある。したがって、融資の面でどういう対策をとるか、あるいは地方の声をどう政策に反映させていくか。

 先般、十五日の日でございましたが、全国の経済産業局長を招集しまして、それぞれ地域の景気状況について意見を聴取したところであります。現場の中小・小規模企業の声として、コスト削減に努力をしているが苦しい状況はなお続いている、資金繰りはしのいできているものの、今後に対して、注文が思うようにまだ入ってこないということで、不安を感じているといった報告がございました。

 今後とも、地方は中小・小規模企業を抱えておるわけでありますから、この動向に十分注意して状況を的確に把握して、中小・小規模企業への支援を怠らないように、全力を挙げてまいりたいと思っております。そういう意味では、後藤議員のおっしゃる認識とはほとんど同じだというふうに思っております。

 農商工連携等、私たちは新しい活路を地域産業にも見出していこうということで努力をしておりますが、今後懸命な対応が必要であって、今、楽観説にくみするわけにはいかない、このように思っております。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

後藤(斎)委員 そういう中で、今大臣は金融の話にも触れていただいたんですが、日銀の短観の数字を見ても、中小企業と大企業で、資金繰りが厳しいという部分が中小企業ではマイナス二三ポイント、大企業でもまだマイナス四ポイントと、大企業は持ち直しの動きがあるのかもしれませんが、やはり、大臣がおっしゃったように、地方、特に中小企業は非常に厳しい状況にある。

 そういう中で、昨年の十月以来、いろいろな中小企業向けの金融の仕組みを、保証制度の拡大も含めて対応してきたことはよかったと思うんですが、例えば昨年の十、十一、十二、この一月くらいかもしれませんが、ある意味では、当該市町村も積極的に関与をし、保証協会も受け入れにかなり、スムーズに審査もしたということがあると思うんですが、なかなか今はそうなっていない。むしろ審査基準が厳しくなったとか、例えば一千万融資を申し込んだけれども、二カ月たってようやく来た結果が五百万だった、ゼロだったという声が非常に高いわけです。

 門前払いというのはいろいろな部分でやはり問題があると私は思いますし、理由も言わずに出せないよというのは金融機関はやってはいけない。ここをこういうふうにすれば融資が受けられるよと、先ほどの経営相談ではありませんが、そういうことが、実際融資がどの程度できるかというのは、当然全体の信用能力というものがあるにしても、やはりそういうきめ細かな施策というのが特に中小零細の部分には必要なのかなというふうに思っています。

 六月に帝国データバンクが緊急保証制度に関する企業動向調査というのをまとめられて、今話をしましたように、例えば緊急保証制度申請企業の二三・五%が融資額を減額されたり、八・二%は審査自体が通らなかった。これは全国で、地域によってはもっとひどいところもあるという話を聞いています。

 この点について金融庁は、金融庁もいろいろ、三月、四月に私もこの委員会で質問させていただいて、できるだけ現地にも出かけて中小企業が借りやすい部分での金融機関の指導もしていくというお話がありましたが、その後、どういうふうに対応なさってきたのか、簡潔で結構ですから、お答えください。

居戸政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のように、現在の経済情勢、一部に持ち直しの動きがあるものの、非常に厳しいというふうに金融庁も認識をしております。その中で、中小企業の資金繰りについては大変厳しい状況が続いておりまして、民間金融機関による適切かつ積極的な資金仲介機能の発揮が引き続き重要だというふうに認識をしているところでございます。

 今御指摘いただきました緊急保証制度を中小企業庁さんの方でやっていただいていまして、そういうものをできるだけ活用してきめ細かく対応するようにということを民間金融機関に対して重ねて要請しておりますし、中小企業庁と一緒に全国の中小企業の実態調査をしたり商工会議所にアンケートをとったり、いろいろなきめ細かい把握をした上でさまざまな手を打っているところでございます。

 例えば、金融円滑化のための特別ヒアリングを民間金融機関にやったり集中検査をしたり、金融機能強化法の積極的な活用を呼びかけたり、あるいは貸し出しの条件の緩和についてより円滑に行えるような手を打ったりして、貸し出し条件緩和が昨年の十月以前よりかなりふえたりしているところでございます。

 今後とも、中小企業庁と密接に連携をして、中小企業の資金繰り対策についてきめ細かくしっかりと対応してまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 大臣が金融担当大臣とも御相談いただいて、ある意味ではベースは整いつつあるのかもしれませんけれども、先ほども御指摘をしたとおり、まだ現場はその状況にあらずというのが多分実感ではないかなというふうに思っています。

 これは金融も当然設備投資や運転資金の部分で必要なんですが、実際、この半年間の世界同時不況というものは、特に製造業で需要が瞬間的に大きく喪失をしてしまった。当然、その中で、この半年かけて在庫調整が一部進んではいると思うんですけれども、やはりこれからどういうふうに仕事が出てくるかどうか。その意味で、例えば電機関係とか、きょうの案件の商店街もそうですが、本当にこれから物が売れていくのかなというところの部分が具体化をしてこないと、数カ月間たつと、ある意味ではもっと厳しい状況になってしまうかもしれないというふうに私は思っています。

 そういう中で、需要拡大というか、仕事をどうするかということも含めて、中小企業庁としてこの間どのようにお取り組みになって、まだまだ厳しいというこの中小企業の実態を踏まえて、これからどのような施策を展開するのか、簡潔で結構ですから、お答えください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、仕事がないと、資金繰りというのはやはり資金のやりくりでございますので、それだけでは、これが永久に続くという方策ではないことはおっしゃるとおりでございます。

 仕事づくりの面でも、民間の需要が大変落ち込んでおりますので、何とか、官需ということで、補正予算もこれまでにない規模でお願いをいたしました。例えば、身近な例で申し上げますと、これは官公需の目標でございますけれども、中小企業者との契約締結目標額というのを先般閣議で決めました。これにつきましても、絶対額で五兆二千億円弱でございますけれども、これまでにない、目標比率五二・四%でございますが、額にいたしましても、二十年度の実績に比べまして、五兆二千億弱というのは一兆強ふえている額でございます。

 また、先ほどものづくりというお話がございました。ものづくり中小企業も急激に注文が減っておりますので、今般の補正予算も活用させていただきまして、現在、七百億を超える規模で、ものづくりの中小企業に焦点を置きました委託費あるいは補助金ということで、全国的にその申請を募っているところでございます。

後藤(斎)委員 そういう中で、今回の商店街の問題も、多分これは繰り返しのことだというふうに私は考えているんです。

 ある意味では、この商店街というのは、以前であれば、大きいお店と、中小零細が集まった町をつくっている商店街という二つの対立軸から、その後、まちづくり三法のときもそうでしたけれども、いや、それだけではちょっと切り口が違うよなということで、中心市街地商店街と郊外型の部分を併存させる仕組みというのに変化をさせながら現在に至った。先ほど大臣の御答弁では、いやいや、別に政策転換したわけではないし、この中小の商店街もこれから頑張ってもらいたいよというお話がありましたけれども、私は、多分そうではなくて、今まで、ある意味では非常に元気のよかった高度成長や安定成長のころ、バブルの前くらいの部分であれば、大店法という実際出店を規制した業の仕組みがありました。それと、中小零細の商店街の方はその大店法を使って、ある意味では大きな店舗の方が出店できないというふうな部分で対立があったわけですけれども、やはり商店街というのがこれからも本当に必要だということであれば、私は、ある意味では規制の強化というものは必要なのかなというふうに思っています。

 この法律の第一条に、今回、「商店街が我が国経済の活力の維持及び強化並びに国民生活の向上にとって重要な役割を果たしている」というふうな大きな目的があって、そして、生活の向上、サービス業の振興、交流の促進に寄与してきた商店街の活力が低下しているという認識を法の第一条の目的に書いたということは、やはり私は、昔の全く同じような大店法の出店規制というものができるかどうかは別として、少なくとも基本に返って商店街がこれからも絶対必要だということであれば、この法律は悪くはないと思いますけれども、これだけで商店街が活力が出て元気がよくなるというふうにはほとんど思わないんです。

 お金もたくさん使っていくということであれば、私は、先ほどもお話があったように、国と地方の役割も含めて、国は国家の意思として、政府の意思として、こういうふうにしたい、商店街を守るんだという前提で何がすべてできるかというある意味では大きな網をまずかけるべきだ。そうでなければ、法律がつくられた後、一万三千ある商店街にできるだけたくさんこの制度のいろいろな効果が、一部の地域にはあるのかもしれませんけれども、それが抜本的では決してないというふうに思っています。

 そういう意味では、戦前の百貨店規制から始まって、大規模店舗の出店の規制というものはいろいろなふうに変遷はしていますけれども、やはり私はもう一度原点に戻って、例えば今、大手スーパーも、みずからの意思で、少なくとも景気後退、人口減といういろいろな社会構造上の変化も含めて、景気の問題が一番ですが、この半年間、かなり出店をみずからが取りやめたり、例えば撤退をしているところもたくさんあります。そういう部分だからこそ、逆に言えば、きちっとした制度転換をするという強い意思表示の中でやっていかないと商店街はよくなっていかないというふうに私は思うんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

高市副大臣 大規模店舗の立地場所というのはまちづくりというものに強く関係するものでございますので、まちづくり三法が制定されましたときには、都市計画のルールの中で大規模店舗の出店規制も行うべきという考え方でございました。

 そして、平成十八年にまちづくり三法が見直されまして、大規模店舗の出店を抑制するという方向で都市計画法が改正されました。これで、床面積一万平米を超える大規模店舗の立地が許される用途地域が六地域から三地域に減少されるということで、規制強化となったわけです。この結果、平成十九年の十一月以降は、大規模店舗の出店というのは減少いたしております。

 恐らく先生のお地元でもそうだと思うんですが、いきなりばっと大規模の店舗が出てきて、それで、商店街も含めたまちづくり、地域コミュニティーに余り協力もせずに、もうからないということになったらぱっと撤収していって、あとが空洞化していく、そういった問題が起きているんだろうと思います。

 そんな中で、先ほど大臣が非常に強い決意を示しての答弁をされましたけれども、やはり商店街によってさまざま事情は違って、むしろ大規模の店舗をそばに呼び込んで人の流れをつくろうとしているようなところもあるんですが、少なくとも大規模の店舗に関しては、まちづくりにしっかりと貢献してもらう、そのためのガイドラインの策定や実行を団体に対して指導もしているし、さっき大臣は、むしろこれだけ貢献したんだというようなところについては名前を公表するぐらいの意気込みでやっていってもいいんじゃないかという答弁がありました。

 やはりこれから大規模の店舗に関して、しっかりと商店街活動にも地域活動にも貢献をしていただける、それから、撤退するときも早目に周知するといったようなことも実行してもらっていますけれども、これをさらに徹底してもらう、こういったところで経済産業省はしっかりと取り組みを進めていきたいと思っております。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

後藤(斎)委員 副大臣がおっしゃることはわからないわけではないです。ただ、先ほども同僚議員からいろいろなお話がありましたように、実際の商店街が、ではその部分だけで活性化、活性化は何をもって活性化というのか定義はよくわかりませんけれども、元気になるのかというのは、私はちょっとわからないんです。

 というのは、今までのように、需要が拡大するという前提であれば、今のような大きな店の規制、要するに供給を締めるという部分は必要だと思うんですが、やはり今は大店舗同士の出店競争があり、そのはざまで商店街が、距離の制限とか環境条件はクリアしているからオーケーになってしまうわけですから、そういう意味での根本的な、あめとむちの政策かどうかは別としても、今回のような中小企業商業の振興という部分だけの法体系、制度体系ではもうもたないという現状認識を持たない限り次のステップに行けない。ここでは、大きな店舗同士の競争だけではなくて、それに中小のスーパーや商店街と言われているところがすべて元気がないというのが多分あると思うんです。

 これは、根本的には、人口がふえていくということが前提であった時代からの社会経済構造がもう大きく変化をしたんだという前提で、確かにまちづくり三法は三法として、副大臣がおっしゃったように有効な部分はあったかもしれませんけれども、もうそうではないという前提で、もう一度、私は、今回の法案に賛意は示すものの、これはやはり一つの中小小売業の振興策という一部だけであって、それと、例えば出店規制をやめるよ、少なくともこの二、三年はすべて凍結するよということが意思表示としてできれば、少なくとも今ある大きな店舗も中小店舗も商店街もまだ何とか頑張れるという素地はありますけれども、供給過剰になっている状況をどうとめるかというのは絶対この小売業で必要だと私は思うんです。

 もちろん、新しくいろいろな意欲がある人の芽を摘む必要はないかもしれませんが、少なくとも国がそのルールを決めるときには、中小小売という部分の振興というのがあってもいいんですけれども、もうそれだけではない供給過剰の部分に、東京はどうかは別としても、全国の地方の小売業がそういう状況になっているという前提の中で、これから再度いろいろな審議会や省内で議論を深めていただけるように、大臣、最後にその部分の御決意をぜひお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 大変重要な御指摘だと思っております。

 中小企業対策というのは、あらゆる産業政策の中で最も難しい課題であります。しかし、そうだからといって、このまま放置しておくわけにはまいりません。商店街の活性化というのは地域住民の生活にかかわる問題でもありますから、そうした広い面から、この問題について、今議員御指摘のように、不断の努力が求められていると思っております。

 したがって、有識者の御意見や、安井先生のような、こういう商店街の実際の経験を持っておられる方々などの御意見なども十分拝聴して、経済産業省としてしっかり取り組んでいきたい、このように思っております。

後藤(斎)委員 済みません、持ち時間を二分ほどいただきました。

 今回の商店街の関係、この「新・がんばる商店街七十七選」の中に、私の地元のしょうにん通りという、身延山の部分の取り組みも載せていただいています。確かに、非常にこの間努力をし、全国からもいろいろな部分で、平成の古都みたいな形で、非常にきれいな町並みなんですが、実はここは、以前、二度この委員会でも指摘をさせていただいた高度化の資金を使ってこの商店街をつくり直したというか、つくったものであります。

 以前もこれは長官から御答弁をいただきましたけれども、やはり今のままの高度化資金の返済の仕組みを続けていくと、今、実はこの商店街、どなたとは言いませんが、やはり大変厳しい業種がございます。

 そういう中で、この商店街の活性化もそうなんですが、やはり少なくとも今経産省が持っている事業や仕組みというものをもっと使い勝手がいい形にしないと、例えば今回の法律改正になって新しい補助率のかさ上げになっても、既存で頑張っている人たちが、一社倒れたときに、その重い荷物をほかの方々が持つ部分ではなく、やはり限度額連帯保証の仕組みや繰り延べという二つの仕組みしか今は猶予する仕組みはないわけですから、ぜひ、二度要請をしてきましたが、再度、高度化資金の貸し付けのこれからの返済のあり方について、積極的に、できるだけ頑張っているところを助けられるような仕組みにしてもらいたいということで、その後の検討状況について、簡潔で結構ですからお答えください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 前回御指摘をいただきました後、A方式というのが大変多いものですから、もうこれは御存じだと思いますけれども、各都道府県に再度、問題提起を受けまして、お考えを調査してみました。四十七都道府県からお答えをいただきましたけれども、はっきり答えをしなかった十三を除きまして、三十四のうち二十七の都道府県、大変悩みが深いわけでございまして、この限度額連帯保証制度というものについては導入は考えていないという答えでございました。これは、一番大きい理由は、都道府県が貸すことになりますので、その債権保全、都道府県のお金の債権保全ということで、議会等々との関係で、あるいは地方自治法との関係で難しいということです。

 したがいまして、だから答えがないんだというふうに私どもも申すつもりはございませんし、実際にお困りになるのは中小企業の方ですから、引き続き研究課題にさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げれば、それは違った形で担保を保全するということになりますので、それが金利であるかもしれませんし、あるいは違った形の担保かもしれません。

 そういったようなことで、今後とも、その都道府県ともよく意見交換をしてまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終わりました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 法案の数も大分少なくなってまいりまして、きょうは、商店街について、皆さんから熱心な質問がありましたので、引き続き何点か質問をさせてください。

 地元の商店街、本当に地域コミュニティーの核だと思っています。地元で商店街の果たしている役割は非常に大きくて、消防団の団員は皆さん、商店街の若者たち、あるいは結構年をとった方も消防団員だったり、あるいは民生委員の方、交通指導員の方、そして学校の防犯のいろいろな係あるいは防犯委員の方等々、大体、地域を背負っているのが商店街の皆さんだと自分は思っているんです。本当に、その消防団の方にしても、あるいは民生委員の方にしても、先ほど申し上げました防犯活動の方にしても、金額に置きかえると、物すごい人件費をほとんどボランティアでやっていらっしゃるわけですよ。そのことが私は、商店街が地域コミュニティーの核であると認識しているんですけれども、その点についての御見識を伺えれば幸いと存じます。

高市副大臣 もう委員おっしゃるとおりだと思います。お互い、地元を歩いていて、感謝の気持ちでいっぱいになるお取り組みだと思うんですけれども、特に、お祭りですね、夏祭り、地域の伝統行事などを商店街の方が中心になってやっていただいて、それで、伺うと、ほとんど売り上げには結びついていないけれども、自分たちがやらなきゃいけないんだということでやっていただいている。

 また、子育て中のお父さん、お母さんからは、やはり防犯機能などで大きな役割を果たしていただいている。また、今御指摘のあった消防団の話でも、これは防災に大きな役割を果たしていただいている。それからまた、高齢者の方々へのサポートもいろいろな形で取り組んでいただいている。子育て支援にも最近いろいろな商店街が取り組んでいただいている。まさに地域コミュニティーの核としての役割を果たしていただいていると思っております。

大島(敦)委員 昔の商店街ですと、特に古い旧道沿いの商店街はだんな衆というのがいて、だんな衆は、今副大臣から御答弁あったとおり、いろいろなお祭りがあると、スポンサーになったりもしているわけですよ。今でもそういう風土が残っているところもあります。

 それで、大型店舗なんですけれども、やはり大型店舗の方は、ちょっと最近行儀がよろしくないのかなと思っています。大型店舗が来ると、もうからないと、もう半年、一年ですぐにいなくなってしまったり、地域の活動に一切協力はしないわけなんです。地域の商工会議所とか商工会の皆さんが、私どもの商工会議所とか商工会に入ってくださいと言っても、御本社に相談してみますということで、御本社に相談すると、そういう無駄なことは入る必要はないということで、御本社が言われたから入らないわけですよ。このことは僕は非常に問題だと思っているのです。

 これまで大きな会社の皆さんは、それなりに自分の会社の果たしている役割について深い認識を持たれたと思うんですけれども、最近非常に乾いた社会になっているわけです。これは恐らく、僕は、司法制度改革なんていうのも一つの乾いた社会をつくったことなのかななんて思っているんですけれども、小学校の校長先生とこの間お話ししましたら、子供同士がけんかすると、なかなか解決しない。お母さんが出てきて話しても解決しない。昔だったら、お父さんが出てくると解決したそうなんですよ。今は、お父さんが出てくると、裁判で白黒つけようじゃないかということになるケースがあるそうなんです。

 だから、非常に今乾いた社会になっていて、大型店舗の皆さんも、やはり利潤を追求しなければいけないから、株主からいろいろと、もっと利潤を上げなさいとか、しっかりと会社のために仕事をしろと言われているから、そういうことについて乾いた判断をしがちになっていると思うんですよ。そういう実態について、どのように把握されているのか伺わせていただければ幸いなんですけれども。

二階国務大臣 ただいま大島議員の御指摘は、私も全く同じような気持ちを持っております。よく商店街や地域の皆さんの声を聞いておりますと、一緒に協力してもらいたいと思って話しに行っても全くけんもほろろだ、そして、銀行も大きなスペースをとっておるから、そこにも協力の要請に行っても余りいい返事はもらえないということで、商店街の皆さんにとっては怨嗟の的になっているような、そういうことをしばしば耳にするわけであります。

 経済産業省は、幸いにして大型店舗の方も所管しているわけでありますから、大型店舗の皆さんにも機会あるごとにお願いすると同時に、大きい店を一つつかまえて評価をするよりも、何々市のどこそこの大型スーパーは非常に近所とのつき合いもいい、地域の発展に協力するというのを、頑張る○○商店街というわけにはまいりませんが、大手スーパーが満足するような名称をつけて我々の方で一遍評価をさせていただきたい、私はそのように思っております。

 彼らも日本経済の中で生きておるわけですから、自分たちだけがどこか外国から安いものを買ってきて、そして、自分たちの持っている知見でもってやっていけるのであって、町内会や、あるいは地元の市町村とは協力しなくてもいいんだというふうな、やや思い上がったようなお気持ちを持っておったとすれば、私は残念でありますから、そうしたところに対してきちっと対応できておるかということをごく最近も経済産業省の中で話をしたばかりですが、必ず結果を出させるようにいたします。

大島(敦)委員 大臣の、商店街の皆さんに対する深い思いを改めて感じさせていただきました。ありがとうございます。

 本当にただ乗りなわけですよ。最近は、市議会とか町議会でも条例をつくって、大規模店舗の皆さんにも地元の商工会議所とか商工会に入ることを努力義務規定にするような条例を皆さん可決されているわけです。それをどうやったらバックアップできるかといろいろと考えてみまして、税金でできないかと思ったんですけれども、税金というのは平等じゃないといけないものですから、なかなか難しいかなと。

 その中で、まちづくり三法の改正を受けて、小売業の団体でも、今大臣がおっしゃった内容だと思うんですが、ガイドラインをつくって、その内容で地域に貢献しなさいということを決めているという話を聞いたんです。これは、ガイドラインをつくったんだけれども、地域に大型店舗が立地したときに、しっかりとそれが生かされていますかというところもやはりフォローアップしなければいけないんですけれども、その状況について伺わせてください。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のとおりでございまして、百貨店あるいはスーパーマーケット、ショッピングセンター等、そうした大型店を初めといたします小売業界団体におきまして、まちづくりなどの地域貢献に積極的に取り組んでいくことを促すことを目的としたガイドラインを策定しているところでございます。

 その主な内容は、先ほど来お話ございますような、まちづくり、地域のイベント、お祭り、そういったものに対する活動への積極的な協力、それから地域の防犯、防災、非行防止、環境保全への対応、さらには地元の商工会議所、商店会等への加入の協力などに取り組んでいくことが望ましい事項として挙げられているわけでございまして、こうしたガイドラインに基づきまして、大型店によります自主的な取り組みが進みつつあるというふうに認識しております。

 ただ、そういったことでフォローアップもしてきているわけでございますけれども、まだ業界団体あるいは事業者サイドでのフォローアップが中心になっているところでございまして、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、私ども経済産業省といたしましても、こういった地域貢献への取り組みについて、どういったことについてさらに一層促すことができるのかということを引き続きしっかり検討し、フォローを重ねていきたいと考えているところでございます。

大島(敦)委員 寺坂審議官、ありがとうございます。

 やはり、ガイドラインをフォローアップして、先ほど大臣おっしゃったとおり、よくやっている大規模店舗についてはしっかりと皆さんで拍手をするということも必要かと思うんです。それでも十分ではないとしたら、大規模店舗が本当に貢献してもらうためにもう一段の措置が必要だと思うんですよ。

 ガイドラインをつくりました。自主的な、多分、まちづくり三法の中だと努力義務規定だと思うんですけれども、将来的に法改正をしてもう少し強目に書くことも検討しているということだけでも、ある程度の、褒めるということ、拍手することも必要なんですけれども、こういう準備もしているからしっかりやってくれよと言うことも必要だと思うんです。

 その点について、もう一段の措置が必要ではないかと思うんですけれども、御答弁をいただければ幸いと存じます。

寺坂政府参考人 先ほど申し上げましたように、大手小売業、まちづくりのためのガイドラインを受けて対応を重ねてきているところだと思います。いろいろな御意見があることについては、先ほど来御指摘あるとおりでございます。

 これは事業者サイドのまとめた数字でございますけれども、日本チェーンストア協会のガイドラインのフォローアップでは、地域イベント等の各種行事へ可能な限り参加、協力しているというのは八九%、そういった数字がございます。

 ただ、事業者サイドからの数字でございまして、こういった状況を踏まえまして、今まで以上に、参加と、その質と申しますか、地域貢献をよりレベルの高いものにしていくといったことも非常に大切なことでございます。そういった両面が大事なわけでございますので、例えば、小売業が自治体と共同して行う先進的な地域貢献の取り組みを、ベストプラクティスという言葉がいいかどうかはありますけれども、そういったベストプラクティスとしてまとめて公表したり、そういったことで地域貢献に取り組んでいくよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 ただ、法的な規制でどういうふうに持っていくのかということについては、慎重に検討していくことがいいのではないかというふうに考えております。

大島(敦)委員 審議官、ありがとうございます。

 一つには、業界団体でのフォローアップと、本当にそのフォローアップが正しいかどうかのフォローアップを商店街の皆さんと一緒に政府がやっていただいて、それでもなかなかうまくいっていなかったら、もう一段の措置が必要だよということを言っていただけると大分対応が変わってくるかなと思うので、よろしくお願いをいたします。

 もう一つ、今回の法改正の法律の中で、支援するための新しいセンターをつくられるという話があったんですけれども、その役割について手短に御説明いただければ幸いと存じます。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 大きく三つに分けた機能を私ども期待しておりまして、一つは、個々の商店主ないしは従業員の皆さん、あるいはこれからこれを後継者として志したいという方々に対する研修でございます。

 それから、二つ目は、先ほど来御議論がございましたけれども、個別の商店街サイドで、これは法人格の有無を問いません、むしろ商店街の一員になって、かなり継続的にどっぷりとつかって、商店街の悩みに対して答えを出してくれるような専門家の方の情報を集め、かつ、それを雇い上げるための助成でございます。

 三番目は、各地の商店街のいい例、悪い例、あるいは自治体等も含めてどういった施策、方針を持っているのか、こういったさまざまな情報の提供と施策の広報。

 この三つの機能が柱だというふうに考えております。

大島(敦)委員 その中で、全国商店街支援センターが、多分、できたのはことしの五月ですか。(長谷川政府参考人「四月」と呼ぶ)四月。これからこの全国商店街支援センターが稼働して、今長官のおっしゃられたようないろいろなサポート業務をしていくかと思うんですけれども、今までいろいろと法案を審議させていただきまして、新しい組織をつくることも、それは本当に必要なものはやむを得ないと思うんですけれども、経済産業省さんでもさまざまな組織あるいは団体があると思うんですよ。いろいろな法律があると思う。自分自身としては、今の法律を生かしたり、あるいは今ある組織に魂を入れる方が、ここの審議時間も減るのかなと思っておりまして、ですから、ぜひそのことをお願いしたいんです。

 新しく法律をつくること、あるいは新しく組織をつくることが、多分役所の人の点数になるのかなというところも感じたりして、これまでの組織を生かしたり、これまでの法律を生かしながら、魂を入れることによって仕事がスムーズにいくという面も多々あるかなと思うので、その点も検討していきながらやっていきたいなと思うんですけれども、何か御所見があったら伺わせていただければ幸いと、大臣の方が手を挙げたので、お願いいたします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと技術的な観点になりますので、お許しいただきたいんですが。

 実は、この商店街の振興につきまして、商工関係の、あるいは中小企業関係の全国的な組織をお持ちの皆さんの力をかりることは不可欠です。現在の商店街振興組合法によりますと、商店街振興組合というのは旧市の地域でしかできません。したがいまして、その旧市に属さないところで組合組織をつくるとなりますと、事業協同組合等、いわゆる全国中小企業中央会の関係が比較的深い、そういうテリトリーに入ってまいります。それから、商工会議所と商工会につきましても同様に、それぞれの得意の分野がございますし、それはそれなりの地理的なデマケがございます。

 したがいまして、これを全部、商店街という観点から、それぞれの組織が大変大きゅうございますので、焦点を絞って一つをつくり、そして、その施策の普及あるいは広報等につきましては全組織を利用させていただくということで、一つのものをつくらせていただいて御提案をするということでございます。

大島(敦)委員 その技術的な点についてはよくわかるんですけれども、全体的な観点から、さまざまな組織が、多分与党の皆さんも見直しをされておると思うんですけれども、やはり魂を入れることの方が私は大切だと思うものですから、大臣の方も御所見があったら伺わせていただくと本当に助かるんですけれども。

二階国務大臣 商工会あるいは商工会議所等の役割というのは極めて重要だと思っております。今後においても、これらの団体に対しては、相当の責任を担って地域のリーダーとしてやっていっていただきたいと思っております。

 ただ、今回の法律の改正によって、我々は、本当の専門のリーダーといいますか、地域の商店街の指導者、そうした人たちを各地に派遣したり、相談に乗っていけるような体制、これを円満に築いていくということが大事だと思っておりますから、しっかり努力をしてまいりたいと思っております。

大島(敦)委員 もう一問だけ質問をさせてください。

 商店の中には、さまざまな会社あるいは商売をされている方がいらっしゃいまして、この間、要はエネルギー法案が通って、太陽光発電のパネルをたくさんこれから設置していくことになるものですから、太陽光発電システムの施工に関して、地元の工務店の皆さんとか、さまざまな多くのプレーヤーが活躍できるように配慮すべきだと僕は思うんです。多くの商売の機会を多くの人に享受していただきたいと思うんですが、その点について、最後に御所見を伺わせてください。

二階国務大臣 ただいま大島議員からの御指摘、私は大変もっともなことだと思っております。太陽光発電の普及に当たっては、その設置を行う地元の工務店の皆さんの御協力がぜひ必要でありますし、また、工務店の皆さんにとっても大きなビジネスチャンスであろうというふうに思っております。そして、内心期待をされておるわけでありますから、この方々に対して仕事が回っていくようなことを十分考えていきたいと思っております。

 太陽光発電システムを設置する方々の申請手続などを地元の工務店の皆さんが対応できるように、今やっておりますエコポイントじゃありませんが、そうした手続を私たちの工務店ではお手伝いしますよという張り紙ぐらい表に張って、そしてお客を招くということの御努力もいただければいいと思うんです。これも経済産業省が何らかのお手伝いをすることなども含めて考えて、ぜひ中小の工務店に仕事が回っていくようにしていきたいというふうに思っております。

 また、注文をとってくるところは、大手がいろいろな営業マン等を派遣してとってくる。しかし、実際、工事をやって故障があった場合に、修理をするといったって、一々大手のところへ言っていっても支店があるわけではありませんから、結局は工務店の皆さんにお世話になることの方が大事だということを発注者の御家庭がみんな承知をしておりますから、私は、そういう面では、導入拡大に御協力いただくと同時に、すばらしい、そういう地域のいい循環が生じてくるように、我々は配慮をしながらしっかりと取り組んでいきたい。

 そして、この問題とは直接関係ありませんが、官公需の需要に対しましても、中小企業に仕事を回せということで委員各位からも御意見をちょうだいしましたが、私も、関係大臣とも十分話し合いをして、今合計で五二%を超える中小企業への発注ということの確約を取りつけたところでありますが、今後も努力を怠らないようにしていきたい、このように思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、法案の第一条で掲げております「商店街の活性化を図ることを目的とする。」まず、目的にかかわって、最初に、これは法律がまだできる前であっても、いろいろな制度がこれまでからあるわけですが、実は、大阪や兵庫の商店街は、あるいは京都の商店街とか京都の観光産業、こういったところは、新型インフルエンザによって、その発生と予防対策で大きな影響を受けました。

 それで、新型インフルエンザで商店街はシャッター通りになった時期があります。何とか客を呼び戻そうとして、例えばこれは神戸の南京町の方ですが、六月十三日から七月二十日まで、漢字で書くと加油ですが、ジャーヨーというふうに中国語では読むようですね、「加油!南京町」と、要するに頑張れ南京町というイベントを企画したわけですね。

 ところが、政府の方は補正予算を通したんですが、インフルエンザ対策がおくれておりましたので、このイベントが始まったのは六月十三日からなんですが、六月十六日になって、関西における観光・集客サービス活性化支援というのが出されました。それで、六月十三日からのものは早過ぎてだめだという話なんですが、これを遡及できないというわけなんです。新型インフルエンザによって、シャッター通りから立ち上がろうとして頑張り出した出ばなをくじかれているというふうなやり方はやはりまずいと思うんですね。

 ぜひこれを商店街の支援のために遡及適用できるように、やはり大臣として政治決断をして臨んでいただくことが大事じゃないかと思うんですが、最初にまずこれを伺います。

二階国務大臣 このたびの新型インフルエンザの発生以降、特に関西、とりわけ京都方面におきまして修学旅行の生徒たちの姿が消えてなくなった、あるいはまたあの大きな京都の商店街通り、人がほとんど歩いていない、こういうふうな状況を、山田知事を初め関係の皆さんから再々御要請がございました。

 私どもも、観光産業の皆さんとともに、こうした状況を一日も早く回避するための努力をしてまいりましたが、とりわけ融資の面におきましては、即刻さらなる対応ができるように、関係者の皆さんに周知徹底をしたところであります。今月の十六日には、今お話しの映画館や劇場などの業種を緊急保証の対象に加えたわけでありますが、遡及の問題については、これはだれが考えても重要なことでありますから、早急に検討してみたいというふうに思っております。

 観光庁もよく頑張っていただいて、観光・集客サービスの活性化支援策をまとめております。私も、沖縄での観光客や修学旅行客が減ってしまったときのことを経験し、また沖縄のそういう状況を何とか打開するために、約一千人ぐらいの観光客の皆さんと御一緒に沖縄を訪問したこともございます。

 とにかく、風評被害といいますか、そうしたものがだんだんと広がりを見せておったわけですが、今いっとき、ようやく落ちつきを見せてきておりますから、ここでしっかりした対応をしたいと思いますが、今議員御指摘のような、この緊急保証の対象の問題について検討してみたいと思っております。

吉井委員 関西におけるこのサービス活性化支援というのは十六日に出ておりますが、十三日から始まったものへの遡及とか、これは、今大臣の方からも考えていきたいということですが、ぜひやっていただきたいと思うんです。

 エコカーの方ですと、四月十日から遡及して補助がつくようになっておりますし、新型インフルの問題ですと、この新型インフルの影響が出たときからやはり始めるということが大事ですから、これ以上この問題についてはもう質問しませんが、ぜひこれは検討して進めていただきたいというふうに思います。

 次に、一九九八年に大規模小売店舗法が廃止されたわけですが、このとき、大店立地法、中心市街地活性化法及び都市計画法の改正によって、経済的規制、すなわち需給調整を禁止して、都市計画法のゾーニングによって中心市街地の活性化を図るというふうにされました。その結果、現実はどうなっているのか。大型ショッピングセンターの数と、合計売り場面積及び商店街の数や中小零細商店の数がどういうふうに変わってきているのかを政府参考人から伺っておきます。

寺坂政府参考人 いわゆる大店法廃止前とその後の店舗の数などのお尋ねでございます。

 私ども政府で調査をしております商業統計をベースにお答え申し上げたいと思います。

 商業統計は、一つの建物内の店舗面積の合計が五百平方メートルを超えるもの、これを大型店舗というふうに定義をしているところでございますけれども、通称大店法と呼ばれておりました大店法廃止直前の一九九九年に、この店舗の数は二万三千八百九十七、約二万四千店ございましたが、一番最近の数字でございますけれども、二〇〇七年には一万七千五百九十七、約一万八千店に減少をしているところでございます。

 一方、売り場面積の方でございますけれども、一九九九年に約六千二百万平方メートルでございました売り場面積は、二〇〇七年には約七千二百万平方メートルに増加しているというふうに承知しております。

吉井委員 今おっしゃった中にも出てくるんですが、商業統計できちんと出ているんですが、従業員四人以下のいわゆるパパママストアといいますか零細商店の場合には七割に減っているんですね、九七年の商業統計と二〇〇七年の十年で。一方、小売店全体の売り場面積は二割ふえている。

 そういうふうに、この大店法を廃止して、やはり中小小売店、商店街自身がまず極めて経営基盤が危機的なところへ追い込まれたという現実があるということを見ておかなきゃいかぬと思います。

 一九九七年の十一月には、日本共産党としては、大店法を抜本的に改正、強化する法案大綱を発表しましたが、二〇〇四年五月には政策提言も行ってきました。要するに、ゾーニング規制というのでは結局大型店出店規制の力にならないということを指摘してきたわけであります。二〇〇六年の都市計画法改正の前に、中小企業四団体からまちづくりに関する要望書が出されて、この三法の抜本的見直しという提言があり、それを受けて法律改正をやったわけですが、日本共産党は、この法案を審議した国交委員会で、社民党と共同で、郊外型ショッピングセンターの立地規制というからには準工業地域も入れるようにとする修正案を出しましたが、残念ながら通りませんでした。

 法律改正後の二〇〇七年十二月から二〇〇八年十二月までに用途地域別の新設大型店の状況がどうなっているかというのを、お手元に資料を配付させていただいておりますが、まず、この網がけをしたところは、規制対象となる床面積で一万平方メートル以上、売り場面積で八千平方メートル以上の出店の状況ですが、これは第二種住居地域、準住居地域、工業地域、市街化調整区域、白地地域で、立地というのは原則禁止だと思うんですが、どうなんですか。

寺坂政府参考人 御指摘のとおりでございまして、網がけ地域、要は第二種の住居地域、準住居地域、工業地域につきましては原則禁止ということになってございますけれども、自治体の方で地区計画などを設定することによりまして立地を可能とした場合にはそれがあり得るというような制度となっていると承知してございます。

吉井委員 やはり国の方で、それは自治体のことだということで振ってしまうんじゃなくて、きちんとしたものをやらないことには、郊外型のショッピングセンターがどんどん進出して商店街が打撃を受けていく、寂れていく、こういう事態が進んでおります。

 日本共産党などが修正提案した準工業地帯をゾーニング規制から外した結果、八千平方メートルを超える大型ショッピングセンターなどの届け出件数が、この準工業地域だけで合計十九件あります。この八千平方メートルを超える部分の申請件数からすると、二四%、つまり四分の一は準工業地域で進出しているということを見ることができるんですが、これは間違いありませんね。

寺坂政府参考人 準工業地域に関します届け出の状況につきましては、ただいま御指摘のとおりだと思います。

吉井委員 こういうふうにして、大店法廃止以降、中心市街地から離れた周辺部あるいは郊外に巨大なショッピングセンターが出てきて、それは二〇〇六年の都市計画法改正によってもさらにふえているというのがまず事実であります。限られた特別区域で認められる以外は大型店出店は原則禁止というのが、同じ都市計画法でも、ドイツなんかの考え方ですね。

 日本は、ごく限られた用途地域以外にはどこでも大型店の出店が原則自由、規制の網をかけているはずのところだってどんどん出ている、ここに、ゾーニングによって規制できていないという事実を見ることができると思うんです。

 九八年の大規模小売店舗法廃止に先立つ産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議に提出してきたアメリカの意見書を改めて読み返してみました。日本政府は、営業時間と休日日数に関し、大規模小売店に課せられているすべての規制を直ちに廃止するべきである、大店法をゾーニング規制に置きかえることにより、大型店の参入制限と同様の効果を有する規制を定立しないことを確保する手段をとるべきである、これが当時のアメリカの要求でした。

 もともと大店法廃止というのは、アメリカの大手流通企業と日本の大規模スーパー、ショッピングセンターといったところの要求で進められたわけであります。当時、私の質問に対して、いや、大店法を廃止せぬとまずいんだということでいろいろな議論があったけれども、当時の堀内通産大臣は、大店法はWTOに違反しない、違反するから廃止するんだというのは間違いだということを認めましたし、アメリカが大型店規制をヨーロッパ諸国に緩和しろという要求をしたり、許可制の撤廃を要求している実例はあるかと聞いたら、そういうものはありませんというのが当時の小渕外務大臣の答弁でありました。しかし、日本だけ大店法を廃止したわけですね。

 では、それを要求してきたころのアメリカでどういう事態が起こっていたかということを当時も議論しましたが、二〇〇四年八月三十一日号のビジネスウイークにコラムニストの記事が紹介されております。十五年ぶりに青春時代を過ごしたサンタマリアに戻ってびっくりした、郊外にウォルマートを抱えて、都心は衰退し、一九〇〇年代に建てられたれんがづくりの商店は影を潜め、コーヒーのスターバックスやファストフードのサブウェイなどが町を占拠し、ウォルマートがコミュニティーを激変させている、何か大切なものを喪失した、これはアメリカでも紹介されているものです。

 アメリカの小売業上位十社の売上高ランキングというのを二〇〇三年度で見てみますと、圧倒的一位がウォルマートで、二位、三位、四位、五位、六位の五社を全部合わせた合計の売上高を超えているんですね。自動車のGMを抜いて世界一位。

 これがアメリカの大規模小売商業の実態じゃないかと思うんですが、これも伺っておきます。

寺坂政府参考人 私どもで把握しておりますアメリカの代表的な小売企業の売上高、二〇〇八年の数字がございます。

 ただいま委員のお話ございましたウォルマート、これが三千七百八十億ドルでございます。それ以外に代表的な小売企業がございますけれども、例えばホーム・デポ、これは八百五十億ドル、コストコ六十四億ドル等々でございまして、ウォルマートが非常に大きな売上高を記録しているといいますか、業績として上げておるということは御指摘のとおりでございます。

吉井委員 それで、一九九七年の二月二十一日の商工委員会で、私は、野村総研の「財界観測」に紹介されていたアメリカの流通大戦争と言われる事態を紹介したことがあります。経営破綻に陥る死の循環は無理な大スーパーの進出から始まったとする、アメリカのスーパーマーケットの最終戦争の問題でした。

 今、日本が、ダイエーにしても、マイカル、ニチイ、長崎屋などが破綻したり縮小したり撤退したり吸収されていく、そういう事態に陥っているわけですね。しかし、日本に圧力をかけていた時代でさえ、実はアメリカで見れば、バークレー市なんかでは条例によって店舗面積や業種別店舗数制限を定めておりましたし、そして広域商圏で商売をする大規模店の進出は、結局、高地価、家賃負担能力のある業種、業態の進出で周辺の地価や家賃を引き上げ、地価、家賃の負担能力の低い最寄り品小売店等の事業継続を困難にすると。つまり、周辺住民に生活環境悪化と、最寄りの商品やサービスの入手を困難にする、二重の不利益をもたらすという考えを持って臨んでいたと思うんです。

 こうしたバークレーなどのことを、産業基盤整備基金を使って実は調査していたのではありませんか。

寺坂政府参考人 その事実関係については、ちょっと把握ができておりません。

 それから、先ほど数字を一けた間違ってお答えいたしましたので、訂正させていただきます。

 六十四億ドルと申し上げたのは、六百四十億ドルの間違いでございます。

吉井委員 ここで大臣にまた伺っておきたいんですが、社会的インフラとしての商店街というものの役割についてです。

 今、高齢化社会に向かう中で、高齢者が車で郊外型大型店へ行くことがだんだん難しくなってくるときです。若い人で行ける方は、お行きになっていいわけですよ。しかし、高齢者が毎日の暮らしを立てる上では、身近なところに商店があって、買い物が楽しみでもあれば、買い物に行くことによって健康にとってもいいし、御近所の方、いろいろな方たちとの会話を通じて地域の人々と共同して暮らすという、社会生活にとっても大事な役割を果たしているというのが商店街でもあると思うんです。また、そこの店主の方たちは、消防団活動とか、お店が子供の避難所になったり、あるいは犯罪被害に遭わないように温かく見守る、防犯とか自治会活動を支えるなどの重要な役割を果たしているわけですね。株式配当と株価引き上げ中心の大型店が、別に地域のお祭りのみこしを担いでくれるわけじゃありません。

 大臣は和歌山の方ですから、選挙区はちょっと違うかもしれぬけれども、ぶらくり丁のことなんかはよく御存じのことですが、私もあそこの商店街に行くことはあるんですが、やはり社会的インフラの役割を果たそうと、地域の人は頑張っているわけですね。しかし、ここでも地元百貨店が崩れていって、郊外型大型ショッピングセンターに置きかわっていく、商店街の集客能力はそのことによって落ちる。やはりお客さんが来てくれて経営が成り立たないと、社会的インフラとしての役割は果たせなくなるわけですね。

 大店法廃止で大型店の出店も撤退も自由にした結果、中心部の昔からの百貨店がなくなり、商店街の集客力は失われて、ますます落ち込んでいく。そのことは、和歌山の中心部の地価についても、三年間で半分ぐらいに落ちて、市の固定資産税収入が落ちてくるわけですね。商業地としての下落率をちょっと調べてみたんですが、和歌山市は全国で二番目に下落率が高い。

 やはりこういう点で、今手を打たなければ日本は暮らしを支える大事なインフラを失ってしまうという、大変なことになるのではないかという危機感を持っているんですが、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

二階国務大臣 委員を初め、けさほど来の御質問をいただきました各議員の皆さんの共通したお考えは、商店街は、地域に根差したものとして、お祭りやあるいはまたイベント、ただいま吉井先生からもお話ありましたような地域の防犯・防火対策、交通安全、あらゆる面で大きな役割を果たしていただいておる。商店街の活性化は、まさに地域コミュニティーを維持していくために重要であるということの認識は同じくいたしております。

 そこで、大規模小売店舗立地法は、一九九八年に、まちづくり三法制定時に、交通、環境問題等の周辺地域の生活環境を保持しながら、大規模店舗の立地が適正に行われることを確保する法制度として立案されたものだというふうに理解をいたしております。

 そこで、先ほど来お話のありましたとおり、郊外に大きな店舗をつくって、そこへ自動車で買い物に行くということは、理想として、アメリカはみんなこんなのだということを我々も聞かされたわけでありますが、高齢化社会の今日、やはりそれぞれの御家庭の近所にお店があることが生活していく上において大事だということをお年寄りの皆さんは異口同音に述べられておるわけでありますから、そうしたことに対して、今までの流れの中で、今日までのことがこれでよかったのかという反省の上に立って、経済産業省としても、当然、今後のあり方について考えてみるべき重要な視点だというふうに理解をいたしております。

吉井委員 実は、日経からも出ておりますけれども、原田さんが書かれたもので、アメリカで、ダウンタウンの商店街活性化よりも以前から、ショッピングセンターなどの商業施設の新規開発等に対する出店規制を非常に厳しくしてきたと。日本には規制緩和しろと言ったんだけれども、アメリカ国内では規制を逆に強化して、町を守ろうとしたんですね。

 最後に一点だけ。やはりこの障害になっているのは、地方自治体がいろいろな取り組みをやろうとしても、需給調整はだめだと。この間、タクシーの方は規制緩和したのを戻しましたけれども、やはり大店立地法十三条が自治体の条例制定権を奪っているんですよ。やはりこういうところに、アメリカでさえやっているんですから、今後この見直しをきちんとやっていくということについて、お考えだけ伺って、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。

二階国務大臣 傾聴に値する重要な御意見であるというふうに理解をいたしております。少し時間をかけて検討してみたいと思います。

吉井委員 終わります。

東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 クラスター弾は、その不発弾などが一般市民に甚大な被害を与えてきたことから、規制の必要性について国際的な認識が高まり、平成二十年五月にクラスター弾に関する条約が採択されました。

 我が国としても、クラスター弾による一般市民の被害をなくすための国際協力を推進する見地から、平成二十年十二月にこの条約に署名するとともに、早期にその締約国となるべく、今通常国会に条約を提出し、承認をいただいたところであります。

 この条約の対象となるクラスター弾等について、製造の禁止や所持の規制等の措置を、我が国においても的確に実施するべく、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、クラスター弾等の製造を禁止します。

 第二に、クラスター弾等の探知、除去のための技術開発など、条約で認められた目的で所持する場合を除き、クラスター弾等の所持を禁止します。また、クラスター弾等を所持しようとする者に、経済産業大臣の許可を受ける義務を課すとともに、許可を受けてクラスター弾等を所持している者が、その所持する根拠を失った場合、クラスター弾等を廃棄するなどの義務を課すこと等により、所持の規制を徹底いたします。

 その他、条約を的確に実施するため、罰則等の所要の規定を設けます。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十六分散会


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