衆議院

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第20号 平成21年6月24日(水曜日)

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平成二十一年六月二十四日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 大島  敦君 理事 古川 元久君

   理事 赤羽 一嘉君

      あかま二郎君    小此木八郎君

      近江屋信広君    大高 松男君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    木挽  司君

      高村 正彦君    近藤三津枝君

      佐藤  錬君    清水清一朗君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    中野  清君

      橋本  岳君    林  幹雄君

      平口  洋君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      安井潤一郎君    山本 明彦君

      太田 和美君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    近藤 洋介君

      下条 みつ君    田村 謙治君

      牧  義夫君    三谷 光男君

      高木美智代君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中島 明彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           梅田  勝君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           平尾 豊徳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小川 恒弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大下 政司君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            岡田 秀一君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          藤田 昌宏君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     上田 英志君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           立岡 恒良君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          近藤 賢二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     薦田 康久君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            数井  寛君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   岩井 良行君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 松本隆太郎君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十四日

 辞任         補欠選任

  岡部 英明君     大高 松男君

  佐藤ゆかり君     平口  洋君

  新藤 義孝君     佐藤  錬君

  藤井 勇治君     近江屋信広君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     藤井 勇治君

  大高 松男君     岡部 英明君

  佐藤  錬君     新藤 義孝君

  平口  洋君     あかま二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     佐藤ゆかり君

    ―――――――――――――

六月二十三日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物につき輸出承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律案(内閣提出第五七号)

 経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物につき輸出承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官河野正道君、外務省大臣官房審議官中島明彦君、経済産業省通商政策局長岡田秀一君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、経済産業省製造産業局次長立岡恒良君、経済産業省商務情報政策局長近藤賢二君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長薦田康久君、防衛省防衛参事官岩井良行君及び防衛省防衛政策局次長松本隆太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川元久君。

古川(元)委員 おはようございます。民主党の古川元久でございます。

 きょうは、クラスター爆弾についての条約の批准を受けての国内法の審査ということで、若干でございますが、質問させていただきます。

 まず、クラスター爆弾というのは、これは本当に多くの被害者、特に子供を中心に大変な被害者が世界的に生まれていて、人道的な見地から全面的な禁止をするということの条約の締結に日本も率先して参加をしたということは、当初は、この全面禁止には政府としてもかなり消極的であったということを言われているわけでありますから、そういう方向へ転換をされて、全面的な禁止に向けて積極的に推進していくという立場に立たれたことは評価をいたしたいと思いますし、それを受けてこうした国内法の制定をされるということについても評価をしていきたいというふうに思っております。

 ただ、こういう大方針、とにかく世界的に全面廃止をするようにということで政府としても決めた以上は、何か、全面廃止に向けて頑張りますというふうに手を挙げながら、腰がだんだん後ろに引けていくような、そういう感じであってはならなくて、手を挙げた以上はとにかくどんどんと前に進んでいって、日本がこのクラスター爆弾の全面廃棄に向けて、そして全面禁止に向けて世界のトップに立つぐらいの気持ちでやっていくべきだというふうに思っているわけであります。そういう意味では、こうした国内でのことだけじゃなくて、海外でのクラスター爆弾の製造や使用の禁止に向けたできる限りのことは政府としても対応をとっていくべきではないかというふうに考えております。

 そういう意味で、この法律案でありますけれども、これは国内のクラスター爆弾の製造を禁止しているわけでありますが、国内でクラスター爆弾を製造しているところはもう今はないというお話でありますが、しかし、現実には、まだ海外で製造している企業があるわけですね。こうした企業に対して、日本がその部品の一部やあるいはクラスター爆弾に使われる原材料を提供する場合というのはあり得るというふうに思うんですが、この法律に基づいては、そうしたクラスター爆弾の製造に使われるような製品や材料の輸出というもの、そういうところまで禁止はできるのか、あるいはできないのか。もしこの法律でできないとすれば、何らかほかの方法でそれを取り締まることはできるのか。

 やはり、国内で禁止するだけではなくて、今回の条約を本当に意義あるものとするためには、世界的に製造がされないように、少しでも日本としてやれることをしていくべきだと思うんですが、その点についての政府の取り組みについてお伺いしたいと思います。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この法律は、今委員も御指摘されましたように、クラスター弾条約を我が国が受諾するに当たりまして我が国が負う義務、これを国内で的確に実施するための法律でございまして、既存の法律では担保できないものについて措置をするということでございます。その内容といたしましては、具体的には、国内におけるクラスター弾の製造の全面禁止、それと所持の原則禁止について新しく規制をする、こうなっております。

 御指摘の、海外でのクラスター弾の製造の件でございますけれども、海外での製造に用いられる部品が輸出されるということに関しましては、そういった意味から、この法律の対象になってございませんけれども、輸出という面から、既存法でございます外為法に基づきます輸出管理制度ということで対応をしているところでございます。

 具体的には、そのもとで、特にクラスター弾の製造に用いられる専用の部分品の輸出につきましては、従来からやっております武器輸出三原則にのっとりまして、原則として認めないということで対応してきているところでございます。

 それから、いわゆる専用品ではない汎用の部分品や素材につきましても、クラスター弾を含め、通常兵器に用いられるおそれの高い貨物につきましては、外為法のもとで、輸出に当たって許可が必要な貨物とされておりまして、そのもとで厳格な輸出管理をしてきているというところでございます。

 御指摘のあった、海外における生産活動との関係につきましては、こういった個別の輸出事案に個々に対応していくことはもとよりでございますけれども、より本質的には、我が国が二十一条の一項に基づいて受けております、非締約国に対してもこの条約の批准を奨励していくということが条約上の義務となっております。今後、こういった努力を外務省、外交当局が中心となって政府として行っていくということになると思っておりまして、私どもとしても密接な連携をとって対応していきたいというふうに考えております。

古川(元)委員 基本的なお話はそうなのかもしれませんが、これは多分、世界でもクラスター弾を製造している企業というのは大体特定がされると思うんですけれども、そういうところへの輸出については今の外為法などでチェックをすることはできるんですか。どうなんですか、そこは。

立岡政府参考人 ただいま申し上げましたように、加工度の高い専用品といったものにつきましては、武器輸出三原則のもとでチェックは当然できて、輸出をしないとなります。それから、全くの汎用品といいますか、どこでも手に入るような板とか、そういうものについては必ずしも今の輸出管理制度の中では対応できないということもあるかと思いますけれども、機微なものにつきましては、国際的な合意の中で一定のものについて輸出管理の対象にしていくという制度になってございますので、その中で対応できるというふうに考えてございます。

古川(元)委員 クラスター爆弾を製造している企業というのは世界にもそんなに多くないはずでありますから、そういう意味では、汎用品といえども、そういう製造をしている国あるいは企業にもいろいろな形でプレッシャーをかけていくということが、多分、この条約が締約国に求めている、条約を批准するように、奨励するように、そういうことの一つの行動の形だと思いますから、ぜひまたそこは知恵を考えていただきたいなということを要望させていただきたいと思います。

 次に、今、クラスター爆弾の製造に使われる部品とかそういう材料についてのお話を伺ったんですが、こうしたクラスター爆弾を製造している企業に対して日本の金融機関が融資をしている、そういうような指摘がされておりますけれども、こういう事実については金融庁の方は認識をしておられますか。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘のございましたような融資が行われているということにつきまして、海外においてそういう調査があるということについては認識をしております。

 ただ、これまで、クラスター弾に特定をしまして私どもの方で広く調査を行ったということは、率直に申しましてございません。

古川(元)委員 今回、こういう形で、国内においてクラスター弾の製造が禁止をされて、条約にも締結をするということになったわけでありますから、そういう意味では、先ほど来から話が出ております条約の二十一条にのっとって、あらゆる形で製造を禁止させるような、そういう方向への措置をとるための努力はしていかなきゃいけないんじゃないかと思います。そういう意味では、金融面でのチェックといいますか監視も必要かと思いますが、今後は、では、条約が批准されれば、そういうことに対して金融庁としてもウオッチをしていくという方向になっていくというふうに考えてよろしいんでしょうか。どうでしょうか。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、銀行に対しまして、ふだんから法令等の遵守が重要であるということを申しておりますので、今般のこの条約に我が国は既に署名を行っており、また、その法案につきましては、これがもう既に御審議をいただいているということにつきまして、今後の推移を踏まえた上で各銀行に対しまして周知をいたしまして、この条約等の趣旨を尊重した銀行業務の遂行というものが行われますように努力してまいります。

古川(元)委員 最近、クラスター爆弾だけじゃなくて、ヨーロッパの方の金融機関では、倫理的投融資という考え方ができて、こういう爆弾への、武器製造に対する、そうしたものへの融資にかかわるものとか、あるいは環境破壊とか、人道的に問題のあるような、そういったものへの投融資に対しては、それを規制していこうと。ベルギーなどでは、法律までつくってそういう輸出の規制というものを行っているわけであります。

 日本においても、最近、金融庁の方は、反社会的な活動をしているような企業、それと関係のあるようなところへの融資は厳に慎むようにということでかなり厳しい指導をしていて、一部には、それが貸し渋りにつながっている、そういう声があるくらいであります。

 国内において、相当そういう厳しい倫理的な貸し出しの基準というものを求めているわけでありますから、そういう意味では、今回、こういう形で、条約によっても、また国内法によっても、このクラスター爆弾の製造が禁止をされたということは、かなりそういう倫理的な基準とか、今金融庁が進めているような融資を倫理的な視点からチェックするということの意味でも、こうした問題についてはやはり何らかのきちんとした対応をとっていくべきではないかというふうに考えています。

 特に、昨年秋のリーマン・ショック以降の金融の混乱というのは、やはり金融が余りにも利益至上主義に走ったということのツケが、大きな経済的、社会的な混乱を招いているということもあるわけでありますから、そういう意味でも、こうした問題について、きちんと明確な方向性といいますか、指導をしていくといいますか、方針を出していくことは大事だと思います。

 先ほど抽象的に言われましたけれども、具体的にこれからどうしていくかとか、そういうところまでは今のところ決まっているんでしょうか。あるいはこれから考えられることなんでしょうか。どうでしょうか。

河野政府参考人 ただいまの委員の御指摘を踏まえまして、今後どのような対応をとらせていただくか、具体的には検討させていただきたいと存じますが、まず周知徹底ということが重要でございますし、また、各銀行におきましては、こういった与信につきましてそれぞれ行内的な規定を定めておりますので、そういったものをまず点検させていただきたいと考えております。

古川(元)委員 ヨーロッパの銀行なんかには、ウエポンポリシーみたいなものを各銀行の中で決めているというところもあるようであります。ですから、そういう意味では、それに類似したようなものをきちんと規定して、それにのっとって融資をするようにとか、そういうような指示をするということは一つの考え方としてはあるんじゃないかなと思いますから、ぜひ、こうして条約も批准して、法律もできる以上、金融庁としてもその趣旨にのっとった行動をしていただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。

 次に、ちょっと外務省の方にお伺いしますけれども、先ほど来から、最初にもお話があった二十一条に基づいて、日本は、アメリカや中国などの条約の非締約国に対して、この条約の締約を奨励して、かつクラスター弾を使用しないように勧奨する最善の努力を行っていく、そういういわば義務が課されているわけなんですけれども、頑張りますと言うだけでは余り、空念仏になってしまうと思うんですが、具体的にどんな形でこの非締約国に対して締約を求めていくのか。

 これは、今回のこの条約の批准に際しては、防衛上の理由から、要はこの締約国とそうでない国とで非常にアンバランスが生じるんじゃないか、そういう懸念も示されたわけです。そういうところからも、やはり条約に我々は批准した以上、一日も早くほかの国も、特に大量に持っている国、そういう国も含めてこの条約を締結して、この地球上からクラスター爆弾が一切なくなるという状況を一日も早くつくるということが安全保障の視点からいっても大事なことであって、そういう意味では、そういう具体的な行動を講じていくというか考えていくべきだと思いますが、そういう具体的な行動は何か今考えておられますか。

中島政府参考人 先生今御指摘いただきましたように、この条約は二つ側面がございます。一つは、今おっしゃいましたクラスター弾の禁止という法規範を国際社会においてできるだけ進展させていくという面がございます。それともう一つは、クラスター弾がもたらします人道上の懸念への対応ということで、犠牲者支援も含めまして国際的な協力を促進するというものでございまして、今御指摘のように、政府といたしましては、できる限り多くの国がこの条約を締結するということが重要であると考えておるところでございます。

 御指摘の、非締約国に対しましてこの条約の批准などを奨励するという第二十一条の1の規定、それから、非締約国がクラスター弾の使用を抑制するよう最善の努力を払うという規定がございますけれども、非締約国に対しまして、例えば、軍縮の協議、バイの協議、二国間の協議等がございます、あとは、マルチといいますか多国間の軍縮関連の協議もございますし、そういう協議の場を含めまして外交当局としては働きかけていく考えでございまして、これまでにも、実際にそういうような働きかけを、例えば米国に対して行っているところでございます。

古川(元)委員 例えば米国に対しても行っているというふうに言われましたけれども、具体的にどんなことを言っているんですか。

中島政府参考人 私は軍縮不拡散・科学部担当の審議官でございますけれども、佐野軍縮不拡散・科学部の部長が、本年の二月でございますけれども、カウンターパートでございます国務次官補代理に対しまして、日本国政府の立場といったものを説明し、かつ使用の抑制について米側に要請しているところでございます。

古川(元)委員 ただ要請しましたというだけだと、何かよくある、一応声かけましたとか、中小企業対策でも皆さんに周知徹底しましたと、何か一方的に言えばそれでやったことにすることが、よく政府がやられることには多いんですが、何かそれだけにしかちょっと聞こえてこないところがあるんですね。

 日米同盟というのは、私たちも非常に大事なことで、これは日本の安全保障にとってもなくてはならない、そういう大変重要な同盟関係であって、これは維持していかなきゃいけないと思っています。しかし、同じような、アメリカと同盟関係に強い結びつきのあるイギリスなどでは、イギリスもこの条約に署名して、イギリスは、今協議中らしいですけれどもアメリカ政府に対して、イギリス国内にあるアメリカ軍基地からこのクラスター爆弾を除去するように、そういう協議をしているというような話も聞いております。

 英米の関係、対等な同盟関係ということであれば、それくらいの半ばプレッシャーをかけるような形でも要求をする、そして、アメリカもこのクラスター爆弾の禁止に向けて一歩進めるようにする。

 そういう意味でも、イギリス政府の場合はかなり具体的なアクションに出始めているんじゃないかなと思うんですが、日本の場合、そういう具体的な何らかのアクションを考えているんですか。

中島政府参考人 今先生御指摘になりました報道でございますけれども、昨年そういう報道があったことは承知いたしております。イギリスは、いまだにこの条約を締結していないという状況がありまして、イギリスに駐留しております米軍によるクラスター弾に係る活動の扱いにつきましては、今御指摘いただきましたように協議中ということで、最終的な措置についてはまだ固まっていないというふうに承知しております。

 それから、アメリカとの協議の話でございますけれども、クラスター弾、このオスロ・プロセスの中で米側とはるる協議を進めてきております。その中で、米側としても、クラスター弾に係る人道上の懸念といったものにつきましては非常に深刻に考えておるところでございまして、我が方の働きかけがどの程度米側に対して影響があったかという点につきましてはいろいろ議論があろうかと思いますけれども、昨年の七月に、米側としては新しいクラスター弾に関する方針を出しておりまして、その中では、不発弾の不発率の高いものにつきましては、これは廃棄していくことを決めておりますし、それから、使用についても可能な限り抑制していくという方針を出しているところでございます。

古川(元)委員 時間になりましたので終わりますが、やはり、最初に申し上げましたように、条約を締結した以上、国際社会に対しても、日本がイニシアチブをとっているんだ、そういう具体的なわかりやすいアクションを起こしていかないと、例えばイギリスなどのこういうことが報道などでも伝わってくると、イギリスの場合は、同盟国のアメリカに対してもこれくらい言うのか、何か日本は、対等な同盟関係だといいながら、言うとアメリカから怒られるんじゃないかみたいなことで、やはりそういう姿が、何か手を挙げながら腰がどんどん引けているというふうに見られて、これでは、せっかくこの条約を批准して、日本はその先頭に立つんですよというふうに言っても、その意味が物すごく減殺をされてしまう。そういう認識を持って、ぜひ、条約を締結した以上、前向きに具体的なアクションをとっていただきたい。そのことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

東委員長 これにて古川元久君の質疑は終わりました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 おはようございます。

 大臣、法案に入る前に、ちょっと幾つか簡単に確認をしたい点がございます。

 我が国は、リチウム電池、非常に国際競争力もあり、生産ベースではシェアが世界で六割を占めているということで、今後も、電気自動車も含めて、いろいろな各般の我が国の製造業の発展のベースになるもので、ぜひこれからも国際競争力を持ちながら世界で主要な地位を占めたいというふうに私も思っていますし、この委員会でも何度か御質問させていただきました。

 そんな中で、韓国がそのリチウム電池を規制するというふうな報道がこの数日間、各紙に掲載をされております。急遽、何かきのう一転して、七月一日から安全性基準の認証機関を経由したものでなければ販売できないというものを、来年一月一日からの施行に改め、なおかつ、認証機関も、日本の国内でも基準がクリアできればいいよみたいなことが報道に若干載っているんですが、冒頭、韓国政府のリチウムイオン電池の新たな規制というふうなもの、今どのような状況になっているのか、そして、それを踏まえて我が国政府は今後どのような対応をなされていくのか、簡潔で結構ですから、お答えいただきたいと思います。

近藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のございました韓国政府のリチウムイオン電池に対する規制でございますけれども、携帯電話やノートパソコンなどの発火事故の発生などを受けまして、電池の安全性を確保するために、ショート試験、一定の条件のもとで意図的にショートさせてみる試験、こういったようなものなど六項目にわたる試験を実施いたしまして、安全性を確認するように求めるものでございます。

 一方、我が国では、昨年十一月に、電気用品安全法に基づきまして電池の安全基準を定めまして、いろいろな試験、例えば落下試験と申しまして、一メートルの高さからコンクリートに物を落としてみるといったような試験など、より多くの試験項目について安全性を確認するよう求める厳しい安全規制を実施しておるところでございます。

 したがいまして、日本国内の厳しい要求水準を満たしております日本の電池メーカーにとりましては、今回の韓国政府の規制は、内容面で新たな対応が必要となるものではございません。

 ただ、韓国側が、その規制の手続につきまして、当初、試験機関が韓国国内の少数の機関に限定されている、それから、ことしの七月からやるということで、十分な準備期間が確保されていないという問題点があったわけでございます。

 そのため、韓国政府に対しまして事務的に申し入れを行うと同時に、今週開催される予定のWTO・TBT会合におきまして問題として提起をいたしましたし、また大臣からも、記者会見におきまして、貿易障壁ともなり得るという懸念を表明していただいたところでございます。

 今先生御指摘のとおり、昨日でございますが、韓国政府が記者会見を行いまして、この規制につきましては、まず一点目として、ことしの十二月末までを経過期間とする、すなわち来年の一月からということになるわけでございますが、それまでの間は行政処分などについては猶予をする、それから二つ目として、韓国国外から輸入される電池につきましては、韓国政府が能力を認めた試験機関が発給する試験成績書を活用できることとする、こういったような運用面での見直しを発表したところでございます。

 経済産業省といたしましては、こういった運用面の改善が適切に履行され、貿易阻害効果の生ずることのないよう、韓国政府と細部について引き続き協議を続けてまいりたいと考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 そういう中、韓国政府は、今後の推移を見守る部分は当然あるんですが、大きな非関税障壁にならなければいいなという懸念を持ちつつも、やはりこれは韓国だけではなく、アメリカも中国も、バイ・アメリカ、バイ・チャイナということで、ある意味では、それを保護主義と言うかどうかという定義はなかなか難しいかもしれませんが、少なくとも自国製品を優先するような仕組みづくりというものを模索しているのは多分事実だと思います。

 これは、戦後のガット体制やIMF体制を通じて、保護主義的な動きを封じつつ、できるだけ自由な貿易ルールを確立しながら対応してきた中で世界経済の発展を模索した我が国としては、やはりきちっとした各国との連携と、そしてWTOも含めた多国間機関の中でのきちっとした発言を通じながら、ただし、この委員会でもそうですが、やはり中小企業対策や大企業も含めた産業政策というのは、まず自国民をどういうふうにしていくのかという視点も当然必要だというふうに思っています。

 いずれにしても、世界全体が保護主義的な動きになっているという部分に対して、今回の韓国政府のリチウムイオン電池の、余り大したことはないと言うと言い過ぎですが、その影響はないだろうという御発言がありましたけれども、これらの動きも含めて、ぜひ、諸外国の制度のあり方、そして我が国の国際競争力強化という部分と貿易の拡大という部分を含めた、きちっとした我が国政府としての対応を進めていくべきだと思いますが、担当大臣としての御決意を、簡潔で結構ですから教えてください。

二階国務大臣 今、後藤議員がおっしゃったように、世界経済が低迷する中で、貿易を収縮させるおそれのある保護主義の台頭ということは断固として阻止しなければならないことは当然のことであります。

 私は、機会あるごとに、保護主義への誘惑に負けないように、保護主義への誘惑に陥らないように、各閣僚はそれぞれの国でやはり努力をしなければならないということをWTO等の会合等でも再々主張してきておりますが、各国とも大筋そのことに対しては合意をするんですが、個別の問題になりますと、どうしても国内の勢力に押されたりして、WTOの精神とやや距離があるような発言をなさる国もあるわけです。私も、ちょうど今夜出発して、パリで開かれるWTO非公式閣僚会議とOECDの閣僚理事会に出席いたしますので、特に今回は韓国の代表に対してバイ会談を申し入れ、この問題について話し合いをいたしたいと思っております。

 既に昨年の十一月のG20のワシントンの首脳会議におきまして、麻生総理等、新たな貿易障壁を設けないとの意見を主張され、そうしたことに対する宣言が出されておるわけであります。

 ちょうど私どもがOECDの会合から帰ってまいりましたころに、今度の日曜日でありますが、李明博大統領が日本においでになりまして、首脳会談も予定されております。私も同席をいたしますので、この問題に対してどういう態度をとるかということを考えておりましたが、事前に私は、記者会見と参議院の経済産業委員会等で、保護主義に陥ってしまう懸念ということに対して強い意思の表明をいたしました。そのことが韓国に届いたかどうか定かでありませんが、韓国側としては慎重に対応しようという気持ちになっておるようでありますから、その真意を確かめ、今後について、日韓関係の円満な貿易の発展のためにも、この問題に対していい決着が見られるように努力をしたい、このように思っております。

後藤(斎)委員 大臣、御決意の中でもお述べになられたように、引き続きの御努力をぜひお願いしたいと思います。

 それでは、法案の方に移りたいと思います。

 冒頭お聞きをしたいのは、この法案は条約を批准するための国内法の担保だということでありますが、二つ、条約と定義や期間というのが大きくずれているのかなという点をまずお聞きをしたいと思います。

 条約では、クラスター弾の使用、貯蔵、生産、生産以外の取得、移譲というものを禁止しております。あわせて、原則八年以内での貯蔵弾の廃棄の義務づけということがあります。

 一点目につきましては、この新法だけではなく、既存法との整合性の中で、法律の規制対象が異なっているという御説明を受けておりますが、あわせて、この法律はある意味では恒久法とも読み取れないものだというふうに認識しておりまして、この八年以内みたいな、きちっと我が国はやるよというまず強い意思表示がこの法律になかったのかどうかも含めて、条約と法案の用語の使い方、さらには期間の明定につきまして、簡単で結構ですから御説明をお願いします。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、条約における使用等の禁止等々と国内法との絡みでございますけれども、今委員御指摘のとおり、条約上の義務を国内で実施するために、既存の法律で対応できるものはそれを活用し、できないものをこの法律をもって担保する、こういうことでございます。

 具体的には、御指摘になりました使用以下でございますけれども、まず使用でございますが、使用については一般国民と自衛隊が考えられるわけでございますけれども、一般国民については、爆発物取締罰則第一条によって、人の身体、財産を害する目的でクラスター弾を使用することは禁止、それから自衛隊につきましては、自衛隊法八十八条の規定によりまして、この規定に言及されております国際の法規たるクラスター弾の条約の遵守ということを通じて使用が禁止されております。また、開発、生産につきましては、この法律によって製造を禁止する。それから、取得、貯蔵、保有につきましては、この法律の四条によって所持を規制する。他方、移譲につきましては、外為法第四十八条及び五十二条によって輸出入を規制するということで、それぞれ分担をして担保することにしてございます。

 それから、いわゆる条約において八年以内に原則として廃棄をするということとの絡みでございますけれども、我が国におきましてクラスター弾を現在所有しておりますのは自衛隊だけでございます。この自衛隊の行動につきましては、今度防衛省が策定をされます廃棄計画に基づいてこの廃棄を実施するということになっております。

 条約の義務は国が直接担うわけでございまして、その義務を果たすということは当然の前提とされておるわけでございます。したがって、この廃棄計画に従って、実際にしかるべき条約の期限に基づいてその廃棄計画がつくられるということで、あえて法律上の縛りは設けておりませんけれども、これは国の責任としてきちんと対応するということが前提でございます。

後藤(斎)委員 ありがとうございます。

 今局長が御答弁をしていただいたように、条約との整合性というのは必ずしももちろんイコールじゃないということはよくわかっていますが、今、所持は自衛隊のみだということでありますが、他国は、非条約締結国も含めて、ある程度の、何発例えばクラスター爆弾を持っているのかという数字が、正確かどうかは別としても、いろいろな資料に掲載をされています。我が国のみが、現在のところ、クラスター弾をどの程度所持しているのかということが明確になっておりません。

 防衛省の方にお尋ねをしますが、この廃棄計画をつくる際に大前提として、現在我が国にトータルとしてどのくらいのクラスター弾があるのかということがないと、当然、廃棄計画というものはでき得ませんし、それに基づいて予算の確保というものができませんが、現在どの程度自衛隊が所持をしているのか、その数字を教えてください。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在自衛隊が保有しておりますクラスター弾でございますけれども、現時点では我が国防衛のための装備品でございまして、その保有数につきましては、我が国の防衛能力にもかかわるものでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

 他方で、この条約が発効いたしますと、百八十日以内に、その保有しておるクラスター弾の数、あるいはその時点で確定しているような計画等について報告することになっておりますので、今のような形で御報告をすることになろうかと存じます。

後藤(斎)委員 では、別の観点からお聞きをします。

 この条約、そしてこの国内法の新法を制定した後ということも含めてだと思いますが、平成二十一年度予算でクラスター爆弾の廃棄方法の調査のため二億円を計上していますが、この根拠は、二億円は何にどの程度使われるのか、内訳について、詳細でなくて簡潔で結構ですから教えてください。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど経済産業省の御答弁にもございましたけれども、この条約が効力を発効いたしますと、自衛隊といたしましては、八年以内にその保有するクラスター弾の廃棄を安全かつ着実に実施することになります。その際、安全かつ着実に実施するための方法論ということを確立する必要があるわけでございます。

 廃棄に当たりましては、親弾から子弾を取り出した後、大きくやり方としては、その子弾の炸薬部と信管部を分離して炸薬部を除去するというやり方をとるか、あるいは子弾をそのまま爆破処理するか、このいずれかの方法があろうかと思います。

 また、先ほどクラスター弾の個数については差し控えさせていただきましたが、四種類のクラスター弾を持ってございますので、その四種類のクラスター弾それぞれにつきまして、今申し上げたようなやり方のどれがよいのか、あるいは経済的にやる場合には、横ぐし的に四種類共通的にやれるようなやり方があるのかどうか、こういうような点を確認する必要がございますので、今のようなことを念頭に置いて、二億円の調査費で検討させていただくことを考えております。

後藤(斎)委員 今の御答弁にもあったんですが、いずれにしても我が国が世界で一番初めにこの廃棄をするということはないんで、EUの幾つかの国では既に廃棄をしている国もたくさんあるようであります。

 できるだけ効率的なというお話もありましたが、私は、もう一つ、先ほど大臣にも保護主義的な動きにこれからなってほしくないというお話をしましたが、幾らかかるのかというのは今後その調査に基づいて決定をされていくんでしょうけれども、仮に我が国のメーカーができるんであれば、できるだけ我が国のメーカーがその処理をするようなことにしていっていただきたいなというふうに思います。

 いずれにしても、今の御答弁にもありましたけれども、若干繰り返しになりますけれども、我が国独自の方法を探るのか、また、ドイツやイギリスでは既に廃棄が行われているという報道もあり、処理のコストもある程度明確になっておりますが、そういう中でやはりきちっとした廃棄計画というものができるようにしていかないといけない。その二億円というものが、詳細にはよくわかりませんけれども、やはりそれが調査費としたらかなり大きな調査費であることは、例えば中小企業金融に関する調査委託費というのは多分数百万かせいぜい数千万の前半くらいが上限である。海外調査も入るのかもしれませんが、やはりきちっとやっていくという意思と、あわせて、処理方法を確立するときには国内の部分にも、私は今まで防衛省さんが配慮をしてきたかどうかは知りませんけれども、これからは少なくとも、ここまでどん底に陥っている日本経済の、一部の特定企業かもしれませんが、やはりそういう能力のあるところを生かしていくということはぜひ考えていただきたいというふうに思っています。

 もう一つは、このクラスター弾の問題は、対人地雷の問題と類似をしているというふうに言われています。そして、対人地雷の廃棄、処理をするときには、当時の小渕総理が一番初めの一発目をするときには公開でやられ、終了するときには当時の小泉総理が最終の部分に立ち会われて公開をしたというお話を聞いています。

 今回のクラスター弾も、先ほど古川議員の大所高所からのお話をお聞きしていて、非条約締結国に対してきちっとした意思表示をするためにも、我が国の堂々とした、こういうふうな計画でやるよというものが決まったら、私はそういう公開をもってやっていく方がいいのかなと思うんですが、その点、今お考えがあったらお聞かせください。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 今し方御答弁申し上げましたように、具体的な廃棄方法につきましては、内外の状況等もよく勘案をしてこれから決めていくことになりますので、どのような方法で廃棄をしていくのかというのは、現時点でよく見えないところがございます。

 しかしながら、廃棄に当たりましては、安全かつ着実に実施をしていくということでございますので、その安全面の確保ということをよく考えなければいけないわけでございますけれども、この安全面の確保ということができるのであれば、基本的に公開できるものは公開をさせていただくということで廃棄を進めていきたいというふうに考えている次第でございます。

後藤(斎)委員 確かにそうだと思いますけれども、ぜひ、きょうのこの委員会の議論も含めて、防衛省としても前向きに対応していただきたいと思います。

 最後になるんですが、大臣、この法案を実行していくためには、今お答えをいただいた、基本的にほとんどの所持は防衛省・自衛隊がお持ちだという中で、これから届け出制度を義務づけるわけですから、今度は経産大臣、大臣自身も、そのチェック、監視をする主導的な立場になります。あわせて、経産省の機関であります原子力安全・保安院が火薬類の取り締まりの技術的な基準も明定をされております。

 そういう意味では、私は、だれがどうチェックしてこの廃棄計画がきちっとした形で対応されているのかということを、年ごとにちゃんとやっているよというふうに年次報告で言うのかどうかは別としても、やはり防衛省と経産大臣が組織的にも連携をして、廃棄計画の計画どおりの遵守ということが必要だというふうに思います。ぜひその点での御決意と、あわせて、先ほど防衛省にも要請をしましたが、仮に我が国のメーカーがその廃棄計画に参加できるということであれば、堂々と、中小企業政策や産業政策を担っている大臣がきちっと防衛大臣とも相談をしていただいて、ぜひ、私は、国内の産業にもプラスになるような、保護主義的ではなくプラスになるようなことでこの計画を策定し実行していただきたいと思います。

 最後に大臣に、あわせてその御決意と御見解をお願いしたいと思います。

二階国務大臣 我が国のクラスター弾等の廃棄というのは、防衛省が策定する廃棄計画のもとで今後実行されることになりますが、私どもも、経済産業省として、本法案の規定によりクラスター弾等の所持を規制するなど、クラスター弾等の管理を徹底するとともに、火薬類取締法の規定によりクラスター弾等が安全に廃棄されるように、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

 いずれにしても、条約の義務を確実に実施するためには、私どもは、外務省、防衛省、関係省庁と連携をしながら対応していかなくてはなりません。実際、着実な連携がされておるかということに対しての御疑念もあってのお尋ねでもあろうと思いますが、幸いにして人事交流を行っておりまして、ただいま答弁しておりました岩井参事官は経済産業省の職員であります。したがって、もっと綿密にこういうことの連携がとれるようにしてもらいたい。防衛省は省に昇格したわけですから、名前だけ省になったのではなくて、実際に省の省たるように頑張っていただきたいと私は特に望んでおきたいと思います。

後藤(斎)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、クラスター爆弾というのはかなり歴史的に古くからあるものだというふうに思うんですが、私が一九七一年に、ベトナム戦争のときでしたけれども、北ベトナムへ一カ月半ばかり戦争中に調査に行ったときにも、あのころはパイナップル爆弾とかボール爆弾というので使われておりました。一発の中に二万五千個の鉄の小さな弾が入っていて、五百メートル四方に飛び散っていく。ですから、当たって亡くなる方もいるんですが、体の中に入ったまま取り出すことができないで、だんだん体が腐っていくとか、恐るべきものだったんです。

 そういう爆弾だけじゃなしに、あのとき既にクラスター弾が使われていたんですね。ベトナム、カンボジア国境でなぜ使われたかというと、クラスター弾というのは不発率が物すごく高いんです。ですから、これはばらまいて地雷原になるわけですね。普通の地雷ですと、土の表面に近いところですから、探し出して、処理もまだクラスター弾よりはやりやすいんですけれども、突き刺さったものは深くに入っているし、ジャングルなんかで空中の方ですと、上にひっかかったまま。だから、いわば三次元的に後始末をしなきゃいけないという大変なものなんですね。

 クラスター爆弾というのはまた、現実にベルギーのNGOの方が調べられたものでも、市民の被害が九五%なんです。子供たちの被害が三五%で、普通に日常生活を営んでいる中で被害を受けたというのが八四%というふうに、残虐性という点でもひどいものですが、同時に、一方には所有し使用する国があり、一方には被害を受ける国がある、そういう性格を持った爆弾だというふうに、私自身、ベトナム戦争時代からそれを感じていたわけです。

 この法案を読ませていただいて、先ほども少し議論がありましたけれども、最初にちょっと伺っておきたいのは、クラスター弾に関する条約の第一条の一項の(a)、(b)に、使用、開発、生産、生産以外の方法によって取得、貯蔵、保有、そして直接間接を問わず移譲することを禁止する、これは条約上の決まりですね。これに対して、今度の法律の方は、第三条で製造の禁止、第四条で所持の規制ということなんです。やはり国内法としては、表現上は、国際条約、こちらの条約ときちんと整合性のとれた、内容的にきちんとした国内法として、条約に見合うものとしてつくっていくのが普通のやり方じゃないかと思うんですが、この点について伺っておきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどの後藤委員の御質問と同趣旨かと思いますけれども、条約の義務、これを国内的にしっかり果たしていくというのが国内法の使命でございます。したがいまして、あと、これをどういう格好で全体としてカバーしていくかということかと思います。

 御指摘のように全部まとめてというのもあろうかと思いますが、既存の法令が実はございます。先ほども申し上げましたように、使用については、爆発物取締罰則がございますし、自衛隊法もございます。それから、移譲につきましては、輸出入を規制するという外為法もございます。したがいまして、既存の法令で対応できるところはこれを援用する、これでカバーできないものについてこの国内法を使う、こういうたてつけでございます。

 したがいまして、条約における使用、開発、生産あるいは生産以外の方法による取得、貯蔵、保有及び移譲については、すべての項目について、既存の法律及びこの法律において漏れなく担保するということでございまして、実際上の国内法の担保という意味では、これで十分かと存じております。

吉井委員 お話はお話としてわかるんですけれども、しかし国内法としては、やはりきちんと、この条約に見合ったものとして、本当は法律としてつくっておいた方が、非常にわかりやすくて、また実際に日本としての意思を示すことにもなるというふうに思います。

 次に、クラスター弾について、自衛隊は今、四種類保有しているわけですね。それで、その数が幾らあるのかということにかかわるのは、調達総額で見れば、ロッキード・マーチンからは四十一億円、石川製作所から百四十八億円、小松製作所から四十六億円、IHIエアロスペース、石川島播磨ですね、ここから四十億円調達しているわけですから、逆に言えば、現在、クラスター弾は日本に幾らあるのか。調達額はわかっているわけですから、幾らあるかというのは出てくるわけですね。年間廃棄処理は大体何個できるという見通しなのか。つまり、何年で廃棄処理が日本でできるという見通しを持っているのか。この三点について伺います。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、クラスター弾の保有の状況について、調達額の面からの御指摘がございました。今委員御指摘の数字は事実に基づいておりまして、四種類のクラスター弾を、委員がおっしゃった金額ごとに、合計では約二百七十六億円分を所持しておるところでございます。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、これをどのようなやり方でやっていくのかということにつきまして、大きく二種類の方法があるわけでございます。

 子弾を取り出しまして、炸薬と信管部分を分離して処理をする方法でやるのか、そもそも子弾を爆破させて処理するやり方があるのか、このやり方について、この四種類のものについてそれぞれどのようなやり方でやるのか、共通なことでできるのかどうか、調査費を使いまして検討することになってございます。

 したがいまして、その処理方法というものが確定いたしませんと、二点目及び三点目でございます、年間どの程度これを処理し、何年で処理を終えるのかということにつきましては、現時点ではお答えできないところでございます。

 いずれにいたしましても、条約上の義務でございます、発効して八年以内に廃棄を完了するということができるように、しっかりとやっていきたいというふうに考えている次第でございます。

吉井委員 金額は認められたんですけれども、何個かはまだわからないんですね。

 九八年の地雷禁止条約の国内法審議のときには、防衛庁参事官などが九十九万九千四百九十六個の地雷を保有していますときちんと答弁しているんですね。ですから、今度、調達額はわかっているんだけれども、クラスター弾は何個かというお答えはなかったんですが、そもそも日本は何個持っているのか、こういうことは明らかにできるんじゃないですか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今、保有数を公表できない理由いかんということでございますが、防衛省としては、今回の条約の趣旨を踏まえますれば、クラスター弾の使用を極力慎むことが適切であるというふうに思っておりますが、条約が発効するまでの間は、クラスター弾というのは我が国の防衛装備品ということでございまして、我が国に対する武力攻撃等の事態に際し、万やむを得ずクラスター弾を使用する可能性というのは完全に排除できないというふうに考えております。そういった観点から、クラスター弾の保有数については、我が国の防衛能力にかかわるものだということで、お答えは差し控えさせていただいているところでございます。

 一方、対人地雷についての御指摘がございましたが、これについては、対人地雷の代替装備品、私どもはこれを指向性散弾というふうに呼んでおりますが、指向性散弾について、比較的短期間で容易に取得可能という見込みが当時ございました。そういったこと等を総合的に勘案いたしまして、我が国防衛に遺漏なきを期すという観点から大きな支障は生じない、そういった判断がございましたので、その保有数を公表させていただいたところでございます。

吉井委員 地雷のときは明らかにして、今度も、調達額は各企業別にみんなわかっているわけですから。私は、余りこういうことを秘密にするやり方というのは、結局、地雷のときは廃棄の仕方についてもきちんと公開しているし、外国の場合はクラスター弾の廃棄のやり方についてもインターネットでも映像で公開していますね。やはりもっと透明性を持ったものにするのが、条約の精神に沿った対処の仕方だというふうに私は思います。

 次に、在日米軍は、条約を批准しないで保持しているわけですね。このクラスター爆弾の日本領土内での移動のときに日本の業者を使うということについて、普通、この法律を読めば規制するということになると思うんですが、これはどうなりますか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般国際法上、駐留を認められました外国軍隊については、特段の取り決めがない限りにおいては、その接受国の法令は適用されないというルールでございます。したがいまして、本法案につきましても、在日米軍については適用されないということでございます。

 今御指摘の、米軍から委託を受けて運搬を行うという場合にどうなるかという御質問かと思います。

 今申し上げましたように、この法案についても在日米軍については適用されないということでございますので、法令に違反するというようなことも、適用がない以上はあり得ないということでございますから、米軍は、この規定に違反してクラスター弾等を所有する者ということにも該当しないということになります。

 したがって、多分、第四条第四号との絡みだと思いますけれども、第四条第四号の括弧の中で除かれることにはならないということになります。したがいまして、除かれる者以外は所持を認めるということでございますので、当該委託を受けた者については、この法令に基づいて所持が認められるということでございます。

吉井委員 要するに、在日米軍のクラスター弾については、日本の業者が委託を受けて運ぶことができるということなんですよ。

 これは、一九九八年九月二十五日の外務委員会で、松本善明議員の質問に対して当時の額賀防衛庁長官は、地雷禁止法案では、在日米軍が保有する地雷の国内における移動については、自衛隊または民間業者が行うことはできないと明確に答弁していますね。

 やはり、今度の法律の趣旨を本当に生かそうと思ったら、アメリカも早くこの条約に入ってもらわな困るわけなんですよ。入るまでの間も、米軍が在日米軍基地に持っているクラスター弾を日本の業者が移動することはしませんよと、やはりそういうことをきちんとやるのが当たり前のことではないかと思うんです。

 それで、イギリス政府は、条約発効後八年以内に領土内の外国のクラスター爆弾を撤去する、実は、これは昨年六月五日に発表しているんですね。そういうことがあると思うんですが、まず事実を確認してから、最後に大臣に聞くようにしたいと思います。

中島政府参考人 先ほど先生からイギリスの例について御指摘ございましたけれども、現時点におきまして、そういう報道はございますけれども、イギリス政府の立場というのは、米側と協議中ということでございまして、イギリス政府の立場が固まったというふうには承知しておりません。

吉井委員 そこで、大臣に最後に伺っておきますけれども、要するに、地雷のときは日本業者が運搬に当たることはできなかったんです。今度のクラスター弾の場合にはできるという見解を今とっておられるんですが、しかし、外国でも、そもそも自分の領土内に入っている爆弾は撤去してもらおう、こういう方向へ行っているんですね。一番大事なことは、アメリカにもこの条約に入ってもらうということで、日本政府として努力しなきゃいけないと思うんです。

 そういう点で、日本も、自国のみならず、日本領土内の外国軍隊のクラスター弾についてもやはり禁止措置をとる方向で努力をする、そういう働きかけが国際的に非常に求められているときだと思うんですが、この点だけは最後に大臣に伺って、質問を終わりたいと思います。

二階国務大臣 お尋ねの件は、我が国がクラスター弾に関する条約を締結することは、クラスター弾による市民への被害、国民への被害と申し上げても同じことだと思いますが、このことをなくするために国際協力を推進するという観点から、大変大事なことだというふうに考えております。

 したがって、条約の義務を確実に履行するためには、法案により、クラスター弾等の製造を禁止し、所持を規制するとともに、着実な廃棄を進めていくことが重要でありますが、これは我が国だけではなくて、アメリカに対しても、こういう我々の方針を正確に伝えて、日本の国会での御議論等についても正確に伝達すること、これは大事なことだと思っております。

 外務省、防衛省等ともよく連携しながら、本法案の着実な実施に努力をしてまいりたいと思います。

吉井委員 質問を終わります。

東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、クラスター弾等の製造の禁止及び所持の規制等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、本年二月、スイスとの貿易、投資を一層拡大すべく、欧州の国としては最初の国となるスイスとの経済連携協定に署名をいたしました。これにより、この協定の発効後十年のうちに、日本とスイスの往復貿易額の九割以上を占める物品について、関税を撤廃することとしております。

 これまでに我が国が締結した経済連携協定においては、我が国から相手国に輸出する物品について、こうした関税面での優遇を受けるためには、経済産業大臣が指定した指定発給機関が、協定上の原産品であることを証明する原産地証明書を輸出者に対して発給する必要がありました。しかしながら、スイスとの経済連携協定においては、我が国の輸出者にとって利用しやすいものとなるように、これまでの制度に加えて、国による認定を受けた輸出者がみずから作成した証明書を用いることもできることとしています。そのため、新たに必要となる手続を定め、この協定を確実に実施すべく、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 経済産業大臣による認定を受けた輸出者が、原産地証明書をみずから作成することができる制度を新たに設けます。このため、輸出者の認定に関して、認定の申請手続や認定基準の設定などの規定を整備します。あわせて、認定を受けた輸出者に対して書類の保存義務などを課すとともに、罰則などの規定も設けます。

 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

東委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、農林水産省大臣官房審議官梅田勝君、農林水産省総合食料局次長平尾豊徳君、経済産業省大臣官房審議官小川恒弘君、経済産業省大臣官房審議官大下政司君、経済産業省通商政策局長岡田秀一君、経済産業省貿易経済協力局長藤田昌宏君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長上田英志君、経済産業省商務情報政策局長近藤賢二君及び中小企業庁経営支援部長数井寛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案の質疑に立たせていただきまして、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 限られた時間です。早速質問に入りたいと思います。

 今回の法改正の趣旨は、先ほど大臣が趣旨説明されたとおりでありますけれども、ポイントは一点でありまして、すなわち、原産地証明書の発行を、第三者機関に加えて輸出業者、国が認めた事業者にも発行できるようにさせる、こういうことであります。

 すなわち自己認証制度であろう、こう思うわけでありますが、それでは、国の認定というのはどのような事業者であれば認定ができるのか、規模なのか、どういった要件があるのか、まずこれをお伺いしたいというのが一点。

 あわせて、恐らくそうした企業というのは、想像するに大企業が多くなるのではないか、大手商社であるとか大手メーカー、こういうことになろうかと思うんですけれども、大部分の中小企業者、小規模事業者は、従来どおり第三者による認証制度を使うことが予想されます。その場合、手数料等々、またその認証を受けるまでの期間とが、大企業と小規模企業で差が出てくるのではないか。公平性の観点から考えても、また、小規模、中規模事業者による海外進出を応援するという立場からも自己認証制度を認めることは重要だ、私はこう思うわけでありますが、一方で、小規模、中小企業事業者に対する何らかの措置も必要ではないか、このように思うんですが、認定の基準とあわせてお答えいただけますでしょうか。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点の、認定を受ける要件でございますけれども、主に二つ考えております。

 第一に、過去に一定回数の原産地証明書の発給を受けた実績があること、そして第二に、その企業におきまして、担当部門とか責任者がきちんと特定される、そういう社内体制が整っていること、この二点を基準として定める方向で検討してございます。

 それから、委員の二点目の御質問でございますけれども、中小企業者の方々に対する手数料を大企業と格差を設けるということは考えてございませんけれども、ただ、御指摘のとおり、中小企業者の方々に対していろいろな配慮は必要だ、こう思っております。

 例えば、この制度の周知のためにアドバイザーを配置いたしまして、きめ細かく中小企業者の方々に助言を行うとか、あるいは中小企業の方々を対象にセミナーなどを開催いたしまして、中小企業の方々がこの制度を円滑に利用できるように支援をしてまいりたい、こう考えております。

近藤(洋)委員 ぜひその後段、実績ということが要件でございました。やはり実績を考えると、最初にトライをする企業はなかなかないわけですから、第三者認証に頼らざるを得ない。そうなると、中小企業者は、どちらかというと最初は、少なくとも最初にトライするところは中小企業も多いことも予想されますから、実態的にはやはり、企業の大小によっては、要件としては差は設けられないんだろうけれども、中小企業の方々が第三者認証になるということは予想されるわけでありまして、ぜひ御答弁のとおり、そういった側面支援ということをお進めいただきたいな、このように思います。

 恐らくジェトロあたりが動くんだろうなと思うわけですけれども、ぜひジェトロあたりを中心に活動していただきたい、このように思うわけであります。

 今回の法改正により、この自己認証制度というのは、ある意味で先進国型の制度が導入されたというふうに、先進国を相手にしたEPAにあわせてこうした制度が導入された。この基準は、当局の御説明によると、欧州ではよく使われている法制度です、こういう話でありました。

 そこでお伺いしたいのですが、スイスとのEPAが締結をされた。スイスは欧州の一員になるわけですけれども、欧州全体を見ますと、貿易量は、我が国に占める割合というのが大体一三%程度。これは非常に、これまで数年間安定してといいますか、一二、三%で、アジア、北米に次いで第三位の地域、エリアの相手国になる、大変大きな相手国なわけであります。

 そこでお伺いしたいのですけれども、EUとの経済連携協定について、政府としてはどのようにお考えなのか。お隣の国、韓国では積極的にEUとのEPA交渉を進めているわけであります。民間ベースではEUとの経済連携協定について研究を進めておるという話も聞いておりますが、政府としても検討にそろそろ着手すべきではないか、検討に着手ということも必要ではないか。経済産業省として既に政府部内の調整を一歩進めてもいいのではないか、このように思うわけでありますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

二階国務大臣 EUとの経済連携の協力関係をさらに強化していこうということについては、平成十九年から日欧産業界におきまして研究が進められてきているところでありますが、議員御承知のとおりであります。

 政府におきましては、昨年六月の骨太の方針二〇〇八で決定されました二〇一〇年に向けたEPA工程表において、日本・EUのEPAについては、将来の課題として検討を進め、日・EUの経済関係のさらなる発展を促すよう基盤を整えていく方策について真剣に検討を進めるというふうに述べられておりますが、昨日ちょうど決定をいたしましたことしの骨太方針二〇〇九におきまして、この工程表に基づき、引き続き積極的に推進すると記述されているところであります。

 そこで、経済産業省としては、今の近藤議員の御意見等も踏まえて、産業界の意見も十分聴取しながら、関係省庁と協力し合って、欧州側にも積極的に働きかけ、日・EU経済連携の強化に向けて、真剣な検討、検討だけではなくて、具体的に推進について取り組んでいきたいと思っております。

 今議員もお述べになりましたように、韓国はこうした点について大変積極的であるわけでありますが、これらの韓国の方針等もしっかりと理解しておるわけでありますから、我が国が一三%のシェアを持つEUとの貿易交渉等をさらに円滑に、そしてもっと増進していくために、いかなる対応をとればいいかということは考えればわかることでありますから、しっかりした対処をしていきたい、このように思っております。

近藤(洋)委員 大臣、ぜひ政府部内で真剣に検討をしていただき、かつ着手をしていただきたい、このように思います。着手をした結果、問題点はもう既に明らかに、何が問題で何が障害になっているのかというのは当然明らかになっているわけでしょうから、我が国にとっては農産物の問題が大きな壁になると思いますし、向こう側にとっては工業品、こういうことなんでしょうけれども、ある程度わかっているわけでしょうから、ぜひ関係省庁、とりわけ経済産業省、農林水産省で動き出していくべきではないか、このように思うわけであります。ことしの通商白書にももう既に真剣に進めると書いてあるんですね。

 大臣、私は、この質疑を始めるに当たり、平成二十一年版通商白書をきのうまじめに読みました。まじめに読んで、通商白書というのは、私は、経産省が全部で白書をどれだけ出しているのかちょっと数えたことがないのであれですが、私は、経産省の出している白書の中では最も重要な格式の高い白書だ、こういうふうに認識しておるんですね。

 ただ、一言だけちょっと感想を申し上げますと、これは意見としてだけちょっと。ことしの白書は大変見にくうございます。細かい話なんですが、これは事務当局の方に聞いていただきたいんですけれども、ちょっと、非常に何が重要なのか、中身は立派なことを書いているんですけれども、見やすいというか、見るように工夫をもうちょっとしていただきたいものだな、このように思います。これも大事なことであります。白書にせっかくいいものを書いても、ちょっと見にくいと、細かい点は指摘をしませんけれども、せっかくいいものをつくってもなかなか広く読まれない、こういうことだと思いますので、ぜひお願いしたい、こう思うわけであります。

 そこで、ことしの通商白書でございますけれども、今回のサブプライムローンについて大変細かな、精緻な分析をされている。それなりのできだな、このように思うわけです。残念だなと思うのは、いや、それはいい意味で評価しているんですよ、大変きちっと分析をされていると思うんですけれども、大変残念なのは、EPAの記述部分なんです。

 全部で四百二十五ページの白書の中で、EPAの記述はわずか十二、三ページにすぎない。もちろん、ちらちらとほかの項目に分かれて書いているところもあります。ですから、この部分だけがすべてEPAですと言うつもりはありません。トータルではある程度の部分書いている部分もありますけれども、しかし、EPAについてまとめて書いているのは十二、三ページ。かつ、残念なのは、工程表というか、どのように戦略を立てて進めていくのかというところもちょっとわかりにくく記載をされている。わざとわかりにくくしているのか、出したくないのか、この辺はよくわかりませんが、非常にわかりにくくなっている、こういうことであります。

 私は、今、世界経済が非常に低迷している中で、保護主義的な動きというのが各地で台頭をしつつある、これは我が国経済にとっても大変問題だし、世界経済にとっても大問題だと思うんですね。

 歴史をひもとけば、経済史家のチャールズ・キンドルバーガーという方が書いた「大不況下の世界」という本の中でも、これは一九二九年の大恐慌について分析をした本でありますけれども、この中で、要はこういうことを書いているんですね。大恐慌当時、なぜ大恐慌が起こったのかということについて、世界を安定に導こうとする覇権国が不在だったということを指摘している。第一次世界大戦を境に覇権を失った英国にかわってその責任を果たそうとしなかった米国、その結果、各国が保護主義に走った、しかも、米国が保護主義に走ってしまった結果、第二次世界大戦に世界は進む、このことを分析しているわけですね。

 やはり保護主義というのは、一つ間違うとまさにそういった懸念を持つわけであります。そういうこともこの通商白書はちゃんと書いておるんですね。保護主義と戦わなきゃいかぬと。戦わなきゃいかぬと書いているその最も重要なEPA戦略が、十数ページなんですよね。

 ちょっと残念なのは、EPAというのは、かつての経済産業省の中で、EPA部隊、通商部隊の中の、今も花形だと思いますけれども、人員でいっても、かつて八十人ぐらいおって、大部隊でやられていた。今大体四十名程度なんですね。人数がどうと言うつもりはないんですけれども、この白書の分量を見ても、人員を見ても、経済産業省は実質的にEPAに熱意を失ってしまったのか、このように思ってしまうんですが、いかがですか。

松村大臣政務官 お答えを申し上げたいと思いますが、まず冒頭、決して、ページ数が減りましたから熱意を失ったわけではございません。

 先生からは大事な視点を御指摘いただいたものと思っております。私どもも、現下の経済危機において各国の保護主義が台頭する中で、大変な懸念をしております。そういう意味では、今御指摘のように、今こそEPAを進めるべきだというふうに考え、極めて重要な施策であると理解をしております。

 その中で、そういう観点から、ことしの五月にはペルーとの交渉をしておりますし、引き続き精力的に、インド、オーストラリア、湾岸諸国とも交渉を続けておるところでございます。さらに、韓国とのEPAにつきましても、交渉再開に向けまして、首脳レベル、閣僚レベルで働きかけをしていただき、その推進を進めておるところでございます。

 また、既に発効いたしましたEPAにつきましても、経済的なメリットを受けることがよりできるように、両国政府、関係機関、経済界などと協力をいたしまして、ビジネス環境整備のための枠組みを整備いたしまして、より強力に推進を進めておるところでございます。

 先生からの叱咤激励と受けとめまして、今後、全力でまた取り組んでまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 政務官、そういうことであれば、ぜひ、来年の通商白書にはきちっと、EPAの戦略も含めて、意義づけも含めて記述をされることを望みたいと思います。

 これは外交交渉ですから、余りEPAの中をつまびらかに白書で書くことはできないのは十分わかっておるんです。ただ、どのような戦略性というか意義づけを持ってEPAに取り組んでいくのかというのは、そろそろ体系立って表明してもいいのではないか、このように思っておるところであります。来年を楽しみにしたい、こう思います。

 もう一点、そういう保護主義が台頭する中で、最近、気になることが起きております。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいております。一枚目をめくっていただきたいと思うんですが、中国の政府が表明をしているITセキュリティー製品への強制認証制度の件でございます。

 これは、この記事に書いているとおり、中国政府が、いわゆるITセキュリティー製品について、輸入製品に対して技術情報をメーカー側に強制開示させる、こういう制度を導入するということを昨年表明しておるわけであります。現在、中国は、ことしから始める予定だったものを一年延期ということを表明しておりますが、この記事にもありますとおり、一年延期したものの、方針は変わらない、特にソフト設計図については非常に固執をしているということであります。

 これは企業秘密の公開を求めているわけでありまして、およそ常識では考えられない、自由貿易からは逸脱したことである、世界貿易でこういうことをやっている国は余り例がない、このように思うのですが、なぜWTO違反にもなりかねないようなことを、つい先ごろというか数年前にWTOに入ったばかりの中国がこのようなことを、あえて言います、世界から批判を受けるようなことを、伸びゆく中国がこのような行動をしてしまったのか、その経緯について、なぜこのようなことが起きてしまったのか、経産省はどのように把握しているのか、お答えいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘の中国によるITセキュリティー製品への強制認証制度でございますけれども、中国国内にITセキュリティー製品を輸入、販売する場合に、中国独自の基準に適合することを義務づけ、その適合性を審査する中国の機関に対して、当該製品の技術情報の提出などを義務づけるものでございます。この制度の目的につきましては、中国政府は、中国国内の情報セキュリティーの確保のためである、こういうように説明をしておるわけでございます。

 今御指摘のところ、ちょっと事実関係だけもう一回整理をして申し上げますと、今先生おっしゃっていただいたとおりなんですが、昨年の一月、二〇〇八年の一月に、こういう強制制度を二〇〇九年の五月一日、ことしの五月一日から導入することを公表したわけでございます。まさに先生御指摘になりましたように、こういう強制認証制度は国際的にも例がございません。私どもは、ヨーロッパ、アメリカとともに、WTO関連の会合でございますとか二国間会合を通じて、中国政府に対して、こういう制度を導入しないように強く求めてきたところでございます。

 こうした中で、ことしの四月でございますが、中国側は、対象を政府調達に限る、その上で、ことしの五月一日ではなく、もう一年延ばして、来年の五月一日から実施する、こういうことを言ってきたわけでございます。ただ、たとえこれを政府調達に限りましても、あるいは一年待ったところで、今御指摘のとおりで、国際的に例のない強制認証制度であることは変わりはありませんので、私どもは、これが導入されれば、円滑な日中貿易の発展の障害になるというように考えておりまして、さまざまなレベルで協議をしておるところでございます。

 四月二十九日に行われました日中首脳会談におきまして、麻生総理から温家宝総理に対して再考を求めていただきました。また、今月行われました日中ハイレベル経済対話において、二階大臣から本件を導入しないように再考を求めたところでもございます。

 ヨーロッパやアメリカの関係機関ともあらゆるレベルでさまざまな議論をしながら、世界で協調して、中国にこういう制度を導入しないようにということを引き続き働きかけていく、こういう状況でございます。

近藤(洋)委員 これは大事な問題だと思うんですね。この日経新聞の記事にも書いておるとおり、ITセキュリティー製品とは何かといえば、これは広範にわたるわけでありまして、非常に広範な商品が対象になってしまう。ICチップの動作を制御するための基本ソフトなどというのは、これは電子製品の心臓部みたいなもののソフトを開示せよということでもありますし、あらゆる機械の心臓部分、ノウハウの塊を開示しろということであります。これは政府調達だろうが何であろうが認められないんだろう、こう思うんですね。

 今御答弁いただきましたけれども、改めまして、大臣、やはり、こういうことを進めるというのは中国にとってもよいことではないと思うんです。自国のセキュリティーだと、公安当局、警察、警備当局の御意向もあるのかもしれませんが、しかしながら、一方で、その裏には、自国のIT産業の育成が真のねらいではないかということも指摘をされているわけでありまして、中国がIT産業を育成する上でも、こういうことをしては逆にIT産業は育たないんではないか、やはりきちっとハイレベルの政治のレベルでこうした動きについては撤回するよう強く促すべきだ、こんなように思いますが、大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 中国が本年四月に改めて公表したITセキュリティー製品に関する規制は、我が国のみならず、国際的に貿易上の障壁となって、日本からの製品の輸出が阻害されることはもとよりでありますが、これは今議員も御指摘になりましたとおり、中国にとっても、先端的な海外製品の入手が難しくなるといった悪影響も及んでくるわけでありますから、このような観点から、本問題の解決は日中両国にとって極めて重要な、そして両国にとって利益となるものだ、この観点に立って交渉を進めなくてはなりません。

 六月七日に行われました日中ハイレベル経済対話、数人の閣僚がお見えになっておりましたし、我々の方もその程度の数が列席しまして日中経済対話を行ったわけですが、特に私は、カウンターパートであります陳商務部長に対して、本強制認証制度を導入しないよう、再考を強く求めたところであります。

 引き続き、アメリカあるいはヨーロッパなどとも協力をしながら、連携をとって、中国政府に対して本強制認証制度を導入しないように強く働きかけを続ける決意であります。

近藤(洋)委員 ぜひ、大臣、そういうことでお願いをしたい、このように思うわけであります。

 もう一点、次のページをめくっていただきますと、同じようなことで、韓国で最近また起きているんですね。これはリチウム電池であります。パソコンやデジタルカメラなどに使うリチウムイオン電池について、今度は韓国政府が七月一日から新たな規制を導入する。この記事によりますと、要するに、輸入製品に対して新たな認証基準をつくって、結果的に日本の製品が締め出されるんではないか、このような懸念も出ておるわけですが、これは事実上の貿易障壁になるんじゃないかと懸念されるわけであります。

 この件が事実だとすると至急対応が必要、このように思うんですが、経済産業省、どのように認識し、どのように対応されるんでしょうか、お答えください。

高市副大臣 五月二十六日に試験機関を韓国内の四機関とするといった告示が出されて以来、事務的に韓国側に申し入れを行ってまいりました。が、一昨日のことなんですけれども、二階大臣が記者会見で、これが実質的な貿易障壁となり得るといったことで懸念を表明されまして、何と、きのう、韓国政府が記者会見をして、運用面での見直しを発表いたしました。

 この規制については、本年十二月末まで経過期間として行政処分などについては猶予するということと、それから、韓国国外から輸入される電池、ここが日本にとって大事なんですけれども、韓国政府が能力を認めた試験機関が発給する試験成績書を活用できることとするといった運用面での見直しが発表されました。

 経済産業省は、今後、こうした運用面での改善が適切に履行されて、また、貿易阻害効果の生じることのないように、韓国政府と細部の協議を続けてまいります。

近藤(洋)委員 時間になりましたので最後の質問にしたいと思うんですが、以上見られるように、やはりこうした動きというのは、中国、韓国で起きて、また今後ともアジア域内で起きることが非常に残念ながら予想されるわけであります。やはり、日本の今後の経済の立て直しを考えても、アジア経済を成長させる、その中で日本が生きていく、こういうことが大きなシナリオになるわけでありますけれども、保護主義的な動きがどんどん実際起きてくるわけでありまして、そこに対処しなきゃいかぬ、そう考えれば考えるほど、やはりEPAというのは、その抑止力として非常に大きな効果を持つと思うんです。

 そう考えますと、配付させていただいておりますこの資料の一ページに、ASEANについてはおかげさまでEPAができたということでありますけれども、そのASEANプラス6、中国、インド、韓国、豪州、ニュージーランドを入れた6がいいのか、ASEANプラス3がいいのか、それとも、さらに広げた環太平洋的なものがいいのか、いずれにせよ、そうしたアジア太平洋のEPAの枠組みについて、日本政府として真剣に構想を練り、環境を整えることが、こうした動きを抑止する大変大きなかぎになると思いますので、最後にこの点についての大臣の方針を伺って、質問を終えたいと思います。

二階国務大臣 アジアが広く一体となって自由貿易を推進していくということは、我が国としてはもちろんのことでありますが、アジアの各国にとっても大きな利益をもたらすわけでありますから、アジアの広域的なEPA構想、この推進に日本は先頭に立って努力をしなくてはなりません。

 私が三年前に提案しましたASEAN十カ国プラス日本、中国、韓国、豪州、ニュージーランド、インド、合計十六カ国でありますが、人口にして三十二億であります、この東アジア包括的経済連携構想、すなわちCEPEAは、まさにこうした考え方に立ったものであります。

 昨年六月三日でありましたが、東アジア版のOECDともいうべきERIAがインドネシアのジャカルタに本部を設置して、これをアジア全体の中核として経済連携を進めていこうという、日本のメッセージであります。

 アジア太平洋地域では、このほか、ASEANプラス3やAPECなどによる広域的な経済連携に関する構想があります。

 経済産業省としては、アジアが保護主義を排した自由な貿易地域として大きく前進できるように、ERIAとともに連携しながら、これらの広域連携に対する議論に積極的に参加をしてまいりたいと思います。

 なお、先ほど御質問にありました白書の問題につきまして、お述べのとおり、私は大変大事なことだと思っております。日本の白書というのは海外でも読まれておるわけでありますから、そのことを意識して、もっときちっとした発信ができるようにしなきゃいけない。ページの数量も言われておりましたが、私どもも承知をしております。いかにもこのことについて少ない。別冊をつくってでもやったらいいんじゃないかと先ほど来考えておるところでありますが、そこらはしっかりした対応をして、再び近藤議員からこのような質問を受けないように、必ずやりますから。真剣に、真剣にと言うだけではだめですよね、よく承知しております。

近藤(洋)委員 終わります。

岸田委員長代理 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党衆議院議員の大島です。

 きょうは、日本とスイスの経済連携協定、そして経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 スイスは結構遠いところでして、きょうの夜の便で日本を出発すると、ヨーロッパに着くのが大体あしたの明け方ぐらいかなと思っています。自分もかつては、非常に若いときに駐在員として、当時は成田からデュッセルドルフの直通便があったものですから、お客さんが明け方の六時ぐらいに着くと、大体五時半ぐらいから飛行場で待っていまして、御苦労がよくわかります。一番眠い時間で、かつ、それからホテルに入って仕事をするのが通例なのかなと思っております。

 きょうは、日本とスイスの経済連携協定の質問をする前に、前回、大型店舗の地域に対する貢献について質問をさせていただきました。そのときに一つ自分は忘れておりまして、大きな店舗もそうなんですけれども、チェーン展開をしている店舗もあるわけなんです。経済産業省さんがある程度影響力のあるチェーン展開しているところ、あるいは飲食店ですと多分農水省さんの管轄になるかと思うんです。

 その点につきまして、チェーン展開している大型フランチャイズチェーンの小売業、もちろん、もともとはお酒屋さんだったりお菓子屋さんがフランチャイズでいろいろなコンビニエンスストアを経営されておりますので、そういう方は一生懸命地域の貢献をされているんですけれども、そうじゃない方もいるかもしれないので、この間申し上げました、まちづくり三法のガイドラインのフォローアップをしっかりやってくださいということと、もう一つは、飲食店のチェーン店は結構多いと思うんですよ。飲食店が町の中にできると、地場の飲食店にお客さんが通わなくなってしまうということも結構ありまして、飲食店等のチェーン展開をしているお店のまちづくりに対する協力についても商店街で調査をするなどの対応が必要かと思うんですけれども、その点について、まず大臣のお考えをお聞かせください。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

二階国務大臣 先般の御質問にもございましたが、私どもも、商店街とこうした百貨店や大型店舗、またフランチャイズチェーン等との協調、そして相互に繁栄していく道はないのか、こういう点について十分勉強していかなきゃいけないと思っておるところであります。

 百貨店やスーパーマーケットと同様に、今お述べになりましたコンビニ等のフランチャイズ方式の事業所が地元の商店街や地域の皆さんと協力して地域の活動に参加していただくことは極めて重要なことだと思っております。

 社団法人日本フランチャイズチェーン協会においても、会員がまちづくり等の地域貢献に取り組むようにガイドラインを策定しております。これを受けて、同協会会員による地域の活動や、防犯、防災への協力等について自主的な取り組みが進みつつあるというふうには認識をしておるわけでありますが、今後、これらの点についてよく調査をし、確認したいと思っております。

 経済産業省としても、このガイドラインの実施状況、これがきちっとできておるか、先進的な地域貢献の取り組みをモデルとして公表する。こうした百貨店、スーパーあるいはフランチャイズのチェーン等を地域へ協力しないということで責め立てるのも一つの方法かもしれませんが、しっかり協力している地域は、あのお店は立派だということをこっちから称賛して、そこにもお客様が殺到するような状況をつくっていけばほかのお店もそうしたことを見習うわけでして、我々は、あらゆる方策を講じながら、商店街の活動とどの程度協力してお互いに繁栄の道を選べるかやってみたいと思っております。商店街に対して、それらの点を念頭に入れながら、しっかりした調査を行ってみたいと考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。飲食店についてもぜひお願いを申し上げます。

 それでは、日本とスイスの経済連携協定。

 スイスというと、私どもは、非常に観光立国としてすばらしい国であり、イメージするのはマッターホルンとか、あるいはツェルマットかもしれないしチューリヒかもしれないし、非常に小さな国で平和な国だと認識をしているところは多いかと思うんですけれども、ビジネスですと、スイスというとケミカル、化学が非常に盛んな国だと自分は思っております。機械関係、プラントの会社も多くて、スウェーデンとスイスで合併したアセアブラウンボベリも多分、今スイスに本社を置いているかと思うんです。

 非常にすぐれたケミカル、あるいは機械製品、精密製品の技術を持っている国でございまして、そのスイスとの経済連携協定、特に先進国との経済連携協定は今回初めてだと思うんです。ですから、非常に地味な、特定原産地証明書の発給などという極めてテクニカルな法律なんですけれども、今後、先進国間のFTAとかあるいはEPAの多分ベースになる仕組みかなと思っております。

 したがいまして、まず大臣に、日本とスイスでEPA、経済連携協定を今回先進国間で初めて結んだ意義についてお聞かせいただければと思います。

二階国務大臣 本協定は、我が国が欧州の国との間で、ただいまお述べになりましたとおり、初めて署名をしたEPAであり、我が国の経済外交を推進する上で戦略的な、ある意味では画期的な意義を有するものだと考えております。

 日本とスイスとの間は、お互いに民主主義、市場経済という価値観を共有することは御承知のとおりでありますが、国際貿易、経済分野においても密接な協力関係にあります。今、観光の面をお述べになりましたが、私たちは、スイスとの間の交流も年々盛んになっておるわけであります。今度の協定は、両国間の経済関係の強化にさらに大きく役立つものと期待をいたしております。

 我が国のEPAでは初めて電子商取引に関する独立した章を設置するとともに、原産地証明制度については、従来の第三者による証明制度に加えて、認定を受けた輸出者自身による自己証明制度を導入することになっております。

 このように、我が国のEPAとしては初めての試みが多く含まれておりますので、先ほど議員が御指摘になりましたように、今後、我が国が先進諸国との間でEPA交渉を進めていく上において大変重要な参考といいますか一つの路線になっていくだろうというふうに考えておりますので、大きな意義を有する内容だと判断をいたしております。

大島(敦)委員 大臣の御答弁を伺いながら、スイスという国は、多分七百年間ぐらい独立をずっと保ち続けた国でして、外交交渉については極めてたけた国だと思っています。ヨーロッパでも、小国、オランダとかベルギー、あるいは北欧、スカンジナビアの諸国は、小さい国というのは外交を非常に大切にするものですから、今回、政府としてもハードネゴシエーションではなかったのかなと思っておりまして、小さな国なんだけれども、論点が大分尽くされたかなと思っております。

 そんな中で、今大臣がおっしゃった中で、電子商取引の章を新しくつくられたということは初めてのことだと思うんです。今、私たちのソフトウエアは、皆さん御承知のとおり、音楽にしても何にしても、ほとんどネット上で取引されるものですから、それについて、今後できるだけ自由にやっていきたいよという内容かと思うんですけれども、政府参考人から、もう少し深く今後の取り組みについて伺わせていただければと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、議員御指摘のとおり、情報通信技術を用いました電子商取引の重要性は急速に高まっておりまして、これによる経済発展の機会が急速に拡大をしているところでございます。

 こうした中、日本とスイスのEPAにおきましては、我が国のEPAにおいて、御指摘のとおり、初めて電子商取引に関する章を設けることになっております。この中で、例えば音楽データのダウンロードなど、日本とスイスとの間の電子的な送信につきまして、今後とも関税を賦課しないよう努力することを約束したところでございます。また、日本製及びスイス製のデジタルコンテンツのサービスの提供について、差別をしないということも約束をしているところでございます。

 我が国といたしましては、今後のEPA交渉におきましても、日本とスイスのEPAにおける電子商取引章のような高いレベルの内容を盛り込めるよう、できる限り積極的に取り組みたいと考えております。

 以上でございます。

大島(敦)委員 今後、世界経済あるいは金融のことを考えますと、大臣も先ほど、アジアが大切なんですよというお話をされておりました。私も全くそのとおりでして、私たちの体質に合う国、長期に滞在しても日本料理を食べなくてもいい国というのは、僕は大切にしなければいけないなと思っているんです。

 アジアの皆さんは一生懸命ものづくりに携わっておりますので、今後、先ほどERIAの話も大臣はされておりました。私も去年、日本とインドネシアの議員連盟の一員としてインドネシアに行ったときに、多分、ERIA、移る前の、まだ小さなASEANの事務所の中にあるときに訪問させていただいたりして、今後の取り組みは非常に大切だと思いますので、今後、アジアについて、手短でいいんですけれども、総合的な政策が必要と思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

二階国務大臣 アジアは世界の成長センターだということをよく言われますが、私もこのERIAの問題を構想して実行に移すまでの間に若干の調整の時間がかかったことは事実でありますが、その間、何と、人口にして一億人、三十一億人の人口を有する東アジア十六カ国が、三十一億人から三十二億人になっておるわけです。これは、ERIAの功績とは言いませんが、自然にそういうふうに広がっていくエネルギーを持っておる。続いて、経済的には、十一兆ドルの経済規模が十二兆ドルになっておる。人口などを考えれば、日本一カ国が急にふえたような、そういう状況になっておる。これがまさに世界の成長センターたるゆえんである、そのように私は思うわけであります。

 麻生総理も先般、アジア経済倍増構想を提唱されましたが、私も、アジア全体で成長する、需要を創造するという考え方が極めて重要であり、そして、日本は兄貴分だからということをよくアジア各国から言われるわけですが、兄貴分は兄貴分らしい振る舞い、兄貴分らしい行動をとってもらいたい、こういう厳しい注文もついておるわけでありまして、我々はそのことを自覚してアジア対策を考えていかなくてはならない。

 そこで、先般の麻生総理の構想等も相まって、東アジア産業大動脈構想の具体化について、広域インフラの開発について、今、ERIAやアジア開発銀行、ASEAN事務局やそれぞれの国とも協調して、アジア総合開発計画の策定に着手したところであります。

 先般、フィリピンのアロヨ大統領ともバイ会談をいたしましたが、その際にも、アジア総合開発計画に対する、日本とERIAに対する期待を述べられておりました。

 我々は、アジアにおける社会保障制度の整備や教育の充実といった面でも貢献をしていかなくてはならない。

 そこで、ERIAに対する協力や、ODA、貿易保険を通じた支援等により、アジアの発展に私どもが献身的な協力をする、その決意がまず重要であり、同時に、多くの国民の皆さんの御理解をいただきながら、アジアとともに成長するんだという視点を忘れてはならないということを特に強調しておきたいと思います。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私、きょうは、原産地証明発給にかかわる法律ですから、原産地を証明して表示するということとかかわってきますので、少し原産地表示という角度から問題を考えてみたいと思います。

 もう十年ほど前になりますが、この委員会で私は、日本の伝統工芸である仏壇、八女の仏壇とか、大阪の方からは、当時、仏壇製造業者の方から、産地表示制度を求める製造業者の会というのがあって要望が出されたりしておりましたので、それを御紹介した。経産省の方は、伝統工芸士の方を認定して頑張ってもらっている、応援しているわけです。ところが、外国から安価な仏壇が入ってくる。消費者からすると、ようわからへんわけなんですね。その結果として、地域経済に随分大きな打撃を与えるということがありました。

 このとき、原産地表示ということを取り上げたんですが、安い仏壇と伝統工芸品である仏壇が素人にも、材質であるとか彫り物の違いがわかるかというたら、普通の素人は必ずしもよくわからないわけですよ。だから、やはり違いがわかるという点では、これは熱帯の方の木を使っていて、材質的に、日が進むと、乾燥が進んだときにどうなるかとか、彫り物の技術はどうだとか、そういうことがわかるようにする点では、原産地表示というものが非常に大事になってくると思うんです。もちろん、日本の伝統工芸士の方が、伝統工芸士のつくったものというふうにシールを張られるのは非常に意味があると思うんですが、そういうことで取り上げたのを覚えているんです。

 きょうは、ちょっと角度を変えまして、コーヒーの産地表示について伺っておきたいと思うんです。

 実は、公正取引委員会の委託事業で作成された「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する新しい法律に基づく課題」というパンフレットが出ているんですが、その中で、不当表示の禁止という項で、取引上の等級が高いコーヒー(ブルーマウンテンナンバーワン、モカハイランドハラー等)を総称してプレミアムコーヒーと呼ぶというふうに書いています。私はコーヒー好きなものですから、コーヒーに特に関心を持っているんです。

 ところで、このモカコーヒーというのはどこの国のコーヒーなのか、これを伺いたいと思います。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 モカコーヒーについての御質問でございます。

 これは、一般的な総称として、モカコーヒーにつきましては、エチオピア産とイエメン産のコーヒー、両国産を合わせてモカコーヒーと総称しているようでございます。

吉井委員 モカというのは、もともとイエメンの町なんですね。エチオピアの港から、ジブチからモカへ運んで、それで、モカの名前を使った方がよく売れる、高く売れるということでモカコーヒーとして出ているわけですね。そうすると、今は積み出し港はアデン港に変わっているようですが、つまり、ここから積み出されているコーヒーはエチオピア産のコーヒーが多いわけですが、エチオピア産のコーヒーがイエメンの港から積み出されて、エチオピアにはモカはないんですよね、しかしモカコーヒーと言っている。つまり、消費者にとってはわけがわからないわけですね。

 ですから、こういう点では、そもそも原産地というのは一体どこなのかということをきちんとしないと、これは消費者からすると本当にわけがわからないことになるのではないかというふうに思うんですが、伺っておきたいと思います。

梅田政府参考人 食品表示というのは、消費者の商品選択に資するために、消費者が求める情報がわかりやすく正確に表示されることが重要でございます。

 コーヒー豆につきましては、JAS法に基づきます加工食品の品質基準におきまして、輸入品にありましては、焙煎等の加工をした国を原産国名としております。そして、国内の製造品にありましては、製造業者または販売業者の名称及び住所の表示を義務づけているところでございます。

吉井委員 だから、加工品が焙煎したところという話は、加工品をつくったところはこの国ですよという話なんですよ。しかし、生豆で輸入するわけですね。そして、焙煎して、できるだけ短い期間に飲むようにするわけですよ。そうすると、生豆の原産地はどこなのかということはきちんとしないとおかしいことになると思うんです。

 もともとコーヒーそのものの木の原産地はエチオピアのアビシニア高原で、ここから全世界に広がって、それぞれの気候とかあるいは土壌のpHとかあるいは肥沃土とか、そういうものによってだんだん種類が多様になっていったわけですね。

 今、世界を見ても、例えばブルーマウンテンだったらジャマイカのブルーマウンテン地区でとれたものとか、原産地と名前が一致しているわけですね。ところが、モカコーヒーだけは原産地と一致していませんね。

 では、エチオピアのコーヒーの積み出し港は実際のところどこなのかを改めて伺っておきたいと思います。

平尾政府参考人 エチオピア産のコーヒー豆の積み出し港でございますけれども、隣国のジブチ共和国のジブチ港と承知しております。

吉井委員 ですから、普通だったらまだ、エチオピア産のコーヒーはやはりエチオピア産ということにしておかないと、隣国のジブチからイエメンのアデンへ送り、アデンから送り出しているわけですね。そうすると、実際の産地はどこなのかというのがきちんとしていないと、もともとモカの港を使っていたからモカコーヒー、モカコーヒーと言っているわけですけれども、形はロングビーンズで、味はエチオピア内の産地によってかなりばらつきはあるようですが、良質なものもありますが、しかし、においのあるのが特徴で、このエチオピアコーヒーがジブチからイエメンのモカへ、今はアデンですが、そこへ渡ってモカの名前で出荷されている。

 そうすると、モカコーヒーというのは、本来は原産地表示はエチオピアなのかイエメンなのか、どっちになるのかということについて、そこの整理がやはり必要だと思うんです。

 イエメン産の方は、ショートビーンズで、モカマタリと言われて、味や香りが非常にソフトで、非常に無類の甘い香りのするところから貴婦人の豆と呼ばれるぐらいのものですが、やはり、名前をモカマタリ、原産地イエメンというふうにするとか、あるいは、エチオピアの方に関しては、エチオピアコーヒーとかハイランドハラーとかという名前にして原産地エチオピアというふうにするとか、やはり書かないと、そこをきちんとしないと、消費者にとってわからない、消費者が誤解をしてしまう、そういう表示というのはおかしいことになってきますから、せっかく原産地表示をやるというからには、やはりそういう誤解が生じないようにするということが必要なんじゃないですか。

梅田政府参考人 加工食品の原材料でありますコーヒー原料豆の原料原産地表示は、JAS法に基づく表示義務はございませんが、昨年三月に、輸入品、国内製造品を問わず、原料原産地表示情報の積極的な提供についての通知を消費・安全局の方から発出したところでございます。事業者の積極的な取り組みを促しているところでございます。

吉井委員 加工品の話じゃなくて、生豆がどこなのかということなんですからね。

 ですから、日本に生豆が入ってきて、そして焙煎をして販売する、こだわっている方は自分で焙煎をして、こういうことになるわけですから、原産地が実際のところと違うものであっては消費者にとってはうまくないわけですから、これはきちんとするべきだというように思います。

 モカコーヒーが残留農薬基準をオーバーしていて日本への輸出がとまっているときに、しかし、アメリカのスターバックスは輸入して、焙煎してチェーン店で使っているだけでなくて、日本のチェーン店へ輸出しているという問題が、ことしの一月六日の読売などで紹介されました。

 それで、日本では輸入できない安全基準オーバーのものが、原産地国から日本へ来るのはだめだけれども、別の国で加工すれば輸入できるというのは少しおかしいのではないかと思いますが、これも、簡潔でいいですから、伺っておきます。

中尾政府参考人 我が国に輸入される未加工のコーヒー豆につきましては、輸入時に検疫所で食品衛生法の規定に基づきましてモニタリング検査や検査命令を実施しておりまして、第三国を経由して輸入されている未加工のコーヒー豆に関しましても、生産国を確認した上で検査を行っております。

 また、加工食品につきましては、昨年一月に発生した中国産冷凍ギョーザによる薬物中毒事案も踏まえまして、検査法など技術的な問題が解決されたものを順次残留農薬の検査対象としておりまして、焙煎済みのコーヒー豆に関しましても、平成二十年度以降、残留農薬検査を開始しておりますけれども、これまでのところ、違反を確認した事案はございません。

 厚生労働省といたしましては、我が国の残留農薬基準を超えるコーヒー豆が米国で加工されて我が国に輸入されているといった事案は承知しておりませんけれども、今後とも、モニタリング検査を適切に行っていくとともに、必要な情報収集に努めてまいりたいと考えております。

吉井委員 私、この問題は昨年の内閣委員会で取り上げたんですけれども、二〇〇三年に輸入食品検査率を引き上げたら、ほとんどゼロだったのを二七%の検査率に引き上げたら、コロンビア産やブラジル産のコーヒーの生豆に、オクラトキシンという経口発がん性カビ毒が検出されたんですね。輸入食品検査の重要性が示されたんですが、何と翌年は、二〇〇四年からは、原産地の基準・認証機関が安全ですと認証した証明書を添付したら、輸入してから検査しないということをやっているんですね。だから、検査しないんですから、基準オーバーがどんと減ったわけですよ。

 しかし、生豆というのは、赤道を輸送している間にカビが繁殖するんですね。幾ら送り出すところで大丈夫だといったって、日本に着いたときには繁殖しているわけですよ。だから、もともと取扱業者は、最初からカビの生えているようなものは現地で買って送ってきたりしないんですよ。

 私は、大臣に最後に伺っておきたいのは、そういう原産地表示についても、それから輸入時の検査に協力することについても、やはりそういうものを扱っている商社を、商社などが大体扱うわけですが、きちんと指導して、ここはもう少し厳格にやらせるということが必要だと思うんです。このことだけ伺って、質問を終わりにしたいと思います。

二階国務大臣 前に、経済産業省でアフリカの大使をお招きして、そしてアフリカの方で得意とする商品についてどうぞ展示をしてくださいといってお願いをしたことがございますが、民族衣装に着飾って大使の皆さんがお見えになりましたが、ほとんどの国の大使がうちのコーヒーが一番いいんだといってコーヒーばかり持ってきて、コーヒーの展示会みたいになったようなことを、三年ぐらい前のことですが、覚えております。

 機会があれば、今のようなことに対して、アフリカの、今私どもが進めております一村一品運動、言いかえれば一国一品運動とも言えることでありますが、コーヒーのことに関しても重大な御関心を持っていただいて、日本の消費者の懸念に対してしっかり答えていただくように、これは大使の諸公に御相談を持ちかけておきたいと思っております。

 ただいまの御質問でありますが、不当景品類及び不当表示防止法において、原産地についての虚偽表示を禁止していることは御承知のとおりであります。不正競争防止法においても、虚偽の原産地表示をした者に対する罰則を定めております。

 これらの法律に加え、消費者への適切な情報提供の観点から、商社等に対しては、正確な原産地表示が行われるように関係各省とも御相談をしながら、機会をとらえて積極的に働きかけてまいりたい。これがアフリカの皆さんやコーヒー原産地の皆さんのためにもなることでありますから、その点は十分我々の意のあるところを伝えたい、このように思っております。

吉井委員 質問を終わります。

東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件並びに外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物につき輸出承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物につき輸出承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より、四度の延長措置を経て、平成二十一年四月十三日までの間、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。しかし、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応や、六者会合、国際連合安全保障理事会等における国際社会の動き等その後の我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、平成二十一年四月十日の閣議において、引き続き、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することとしました。なお、諸懸案の解決に向けた北朝鮮側の姿勢に大きな変化が見られない中で、これまで四回にわたり半年間の継続が繰り返されてきた点を考慮し、今回はこれらの措置の延長期間を一年間といたしました。

 これらの措置のうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第であります。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十一年四月十日の閣議決定に基づき、同年四月十四日より平成二十二年四月十三日までの間、北朝鮮からのすべての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたことに加え、北朝鮮から第三国へ輸出する貨物の売買に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。

 次に、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物につき輸出承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 平成二十一年五月二十五日、北朝鮮が再び核実験を実施した旨の発表を行いました。

 このような北朝鮮の行動は、北朝鮮が大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイル能力の増強をしていることとあわせ考えると、我が国の平和及び安全に対する重大な脅威であります。政府は、北朝鮮に対し厳重に抗議し、断固として非難するとともに、諸般の情勢を総合的に勘案し、北朝鮮に対しさらなる厳格な措置をとることが必要と判断しました。本措置の一環として、平成二十一年六月十六日の閣議において、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮を仕向け地とする貨物の輸出を禁止する等の措置を講じることとしました。同法に基づき、これらの措置について承認を求めるべく、本件を提出した次第であります。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十一年六月十六日の閣議決定に基づき、同年六月十八日より平成二十二年四月十三日までの間、北朝鮮を仕向け地とする貨物の輸出について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたことに加え、北朝鮮を仕向け地とする第三国からの貨物の移動を伴う貨物の売買に関する仲介貿易取引を行うことについて経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

東委員長 これにて両件の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る七月一日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十二分散会


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