衆議院

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第21号 平成21年7月1日(水曜日)

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平成二十一年七月一日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      安次富 修君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    木挽  司君

      高村 正彦君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      新藤 義孝君    平  将明君

      谷畑  孝君    土井 真樹君

      中野  清君    橋本  岳君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      矢野 隆司君    安井潤一郎君

      山本 明彦君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    近藤 洋介君

      階   猛君    下条 みつ君

      田名部匡代君    牧  義夫君

      三谷 光男君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  山本 条太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石井 正文君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            岡田 秀一君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          藤田 昌宏君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     上田 英志君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月一日

 辞任         補欠選任

  林  幹雄君     安次富 修君

  武藤 容治君     矢野 隆司君

  太田 和美君     階   猛君

  田村 謙治君     田名部匡代君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     林  幹雄君

  矢野 隆司君     武藤 容治君

  階   猛君     太田 和美君

  田名部匡代君     田村 謙治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物につき輸出承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件並びに外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物につき輸出承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官山本条太君、外務省大臣官房参事官石井正文君、外務省大臣官房参事官小原雅博君、経済産業省通商政策局長岡田秀一君、経済産業省貿易経済協力局長藤田昌宏君及び経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長上田英志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川元久君。

古川(元)委員 民主党の古川元久でございます。

 北朝鮮に対する経済制裁の延長、強化につきましては、今北朝鮮がとっている行動を見れば、これは我が国政府としてもしっかりとやっていくべきだというふうに思っておりますので、この際、制裁措置を厳格に執行して、今の北朝鮮の振る舞いは決して認められないという我が国の姿勢を明確にすることは極めて重要だと思っております。

 問題は、経済制裁をやる以上は、これはやはり実効性のあるものでないといけないわけでありまして、何か国内的あるいは対外的にも日本はやっていますよというだけでは北朝鮮を追い込むことにもならないわけでありまして、我が国としては、我が国がみずから行う経済制裁、その実効性を内外ともにしっかり担保できるような、そのために政府としても全力を挙げなければいけないというふうに思うわけでありますが、きょうは、その実効性確保の観点から御質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっと皆さんにきょうお配りさせていただいた資料を見ていただきたいんですが、北朝鮮の国別の対外貿易総額を見てみますと、日本は、経済制裁の効果が上がっているということだと思いますが、どんどんと北朝鮮との間の貿易額というのは少なくなって、今はほとんど、もうなきに等しい状況になっているわけなんですが、一方で、中国や韓国の貿易量というのは、我が国が減っている以上に、極めてふえているわけでありますね。

 こうして、我々は経済制裁によって北朝鮮を経済的に追い込んでいって、そして今の国際社会に対する挑発的な行動を抑止していこうとしている状況なのに、北朝鮮と隣接している中国、韓国はどんどんと北朝鮮との貿易がふえているというふうになると、こういう中国や韓国の北朝鮮との貿易がどんどんふえているという状況については日本国政府としてはどういうふうに考えているのか、まず、政府としての認識といいますか、そういうものをお聞かせいただけますでしょうか。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、中国、韓国と北朝鮮の貿易額は増加しております。

 国連安保理決議でございますが、これはすべての輸出入を禁止しているわけではございません。現実の貿易量は種々の要因によって決まります。したがいまして、決議に基づく義務を履行することが直ちに北朝鮮との貿易の減少につながるとは言いがたいのが実情でございます。

 いずれにしましても、既に述べたとおり、中国及び韓国も、安保理決議に基づく義務を誠実に履行していくということを明確にしております。そうした立場をしっかりと表明してきているということでございますので、安保理の決定に基づく措置を実施するということは国連加盟国の義務でございますし、また、北朝鮮に国際社会の意思を明確にする上でも重要であると考えておりまして、政府といたしましては、引き続き、中国を含めまして、各国に対しまして決議の着実な実施を働きかけていくという考えでございます。

古川(元)委員 ちょっと私の聞いたことに対して答えていないと思うんですけれども、今のこのふえている状況が、今言われたのからすると、国連決議にちゃんと基づいた形の中でふえている、ですからそれは問題ない、こういう認識なのか。あるいは、こうして北朝鮮との間の貿易額がふえている状況というのは、日本政府としてみると、これは決議の本当の履行というのに十分な履行になっていないんじゃないか、そういうふうに認識しているのか。どういう認識をしているんですか、そこは。

小原政府参考人 今、二〇〇八年の貿易につきまして、中国、韓国、それぞれふえてございます。

 これまで安保理でとられた決議でございますが、ただいま私が説明いたしましたように、すべての輸出入を禁止しているわけではないということがございます。それから、繰り返しになりますが、現実の貿易量は種々の要因によって決まるということでございます。

 そういった中で、今般、安保理決議の一八七四号が採択されまして、二〇〇六年の核実験を受けて採択されました決議一七一八号で定められました北朝鮮に対する制裁措置の強化に加えまして、武器の禁輸、貨物の検査、金融面での措置などにおきまして、強い内容が盛り込まれたところでございます。

 したがいまして、これらの決議の実施を含めまして、北朝鮮をめぐる対応におきまして中国及び韓国と連携していくことが重要だという認識に基づきまして、日本としても、中国、韓国を含む関係国と緊密に連携していく、これが日本政府の立場でございます。

 実際にも、中国は、安保理の関連決議を真摯に実行していくという立場を明らかにしておりますし、また、韓国につきましても、六月二十八日に行われました日韓首脳会談におきまして、安保理決議をしっかりと実施する必要があるという認識で一致しているところでございます。

古川(元)委員 繰り返しになりますけれども、立場を明らかにしているということと、実際に貿易がふえていることの中身が、本当にちゃんと決議に応じている、そういう中身なのかということは、やはり日本はこれだけ厳しく貿易を制限して北朝鮮を経済的に追い詰めようとやっているわけですよね。中国とか韓国の政府がそれをやりますと言っているだけで、それで、ああ、そうですかと。

 その中身について、私は、実際にどういうものが中国や韓国から北朝鮮に輸出されているのか、あるいは北朝鮮からどういうものを輸入しているのか、わかっているわけですから、その貿易の中身について、それは、北朝鮮に対する国連決議で、みんなで協力して経済的に追い込んでいこう、そういう趣旨に合っているものなのかどうか、そこはどういう認識をしているのかということを聞いているのであって、政府が、日本と一緒に国連決議の遵守に対して協力してやっていくというふうに中国政府も韓国政府も言っていますというだけでは、これは、どういうふうに日本がこの現状のふえている中身を認識しているのか、そういう私の問いへの答えに全くなっていないと思うんですけれども、そこをちゃんと答えていただけますか。

小原政府参考人 安保理決議の一七一八号によりますれば、先ほども申し上げましたとおり、繰り返しになりますが、すべての物品の輸出入を禁止しているということではございません。ここにも書かれてございますが、ミサイル関連の技術であるとか、それから資材であるとか機材であるとか、あるいは大量破壊兵器の関連の技術であるとか機材であるとか、そういったものを禁止しているということでございますので、先ほどの繰り返しになりますが、そうした安保理決議、さらには貿易関係、これは決議以外にもいろいろな要素がございますので、そうした観点から、こういったことになっている。

 いずれにしましても、今回の新たな決議もできました、その決議に従ってしっかりと対応していくということについては、これは関係国の間で認識が一致しておりますので、そういった形で、引き続き我が国としては、中国、韓国も含めまして、連携をしっかりやっていくということが大事だろうと思っています。

古川(元)委員 この答弁を聞いていたら、北朝鮮の政府の人間だったら、本当に日本というのは、これはあきれますよね、中国や韓国とうまいことやって、そこでやっていれば、日本から幾ら言われたって、もうそれは、ああ、日本なんか無視すればいいんだ、それくらいに、これはやはり私は、今のような答弁をしていたらなめられちゃうんじゃないかと思うんですよね。

 私が聞いているのは、中国、韓国の実際の貿易の中身が問題ないというふうに認識しているなら認識しているでいいんです。あるいは、それが本当に国連決議をちゃんと遵守した形になっているかどうか。

 実はこれは、日本がこれだけ厳しくやっているんですから、これだけふえている、前から、中国経由とかそういうので入っているんじゃないかという話も言われているんですから、やはりそこをきちんと政府としてチェックをしていく、中身をチェックして分析していく、それは必要なんじゃないですか。そういう認識というのは持っていないといけないと思うんですけれども、それは全くないんですか、政府の方には。

小原政府参考人 二〇〇八年の中朝貿易の主要産品でございますが、北朝鮮の中国からの輸入は原油、石油等でございます。北朝鮮の輸出は石炭、鉄鋼等でございます。これらの物品は安保理決議によって禁止されているというわけではございませんので、そうしたことも背景にあるということでございます。

古川(元)委員 では、別にこれは問題ないというふうに認識していると。これだけふえているのは別に決議に反するものでもないし、そして、ふえていくということについて、これは普通に考えると、やはり北朝鮮を経済的に追い込んでいくという意味では、どんどん中国や韓国の貿易がふえていったら、追い込もうと思ってもなかなか追い込めないんじゃないかと思うんですけれども、この辺はもう別に問題ないというふうに政府として認識しているということですか、そうしたら。そういうふうに理解していいんですか。

小原政府参考人 北朝鮮が行ったミサイル発射あるいは核実験、これにつきましては、要するに、この地域の平和と安定に重大な影響を与えるものだということで、これでもって国際社会から強いメッセージを発する必要があるということで、安保理において議論をされて、その結果が、これまで、例えば一八七四号もそうでございますが、制裁措置として、武器の禁輸あるいは貨物検査、それから金融面での措置といったようなことが盛り込まれて、これまで以上に強い措置がそこに盛り込まれているわけでございますが、繰り返しになりますが、すべての物品の輸出入を禁止しているということではございません。日本はもちろん、日本の措置としてそういうことをとっておりますが、国際社会全体としてそこまでまだ至っていないということではございます。

古川(元)委員 だから、私が聞きたいのは、結局こうやって、日本との関係は経済的になくなってきていますが、ほかの国との関係がどんどんとふえていくことによって、結果として、北朝鮮を経済的に追い込む、そして今の北朝鮮の国際社会に対する対応を変えていく、そういう方向にやはりつながっている状況になっているというふうに考えてどうかと。そこのところをやはり政府としてもよく見ていって、それで、中国に対して、あるいは韓国に対して、きちんと申し入れをするなり協議をするなりしていかないと、結局、日本はやっていますというだけでは、経済制裁をしているその実効性の担保にならないんじゃないかということを私は聞いているんですね。やはり、やる以上は、経済的に追い込むという姿勢じゃないと、何か日本はやっていますという姿勢を示すというだけでは、本当にこの今の北朝鮮の状況を変えていくことにつながらないんじゃないかと思うんですよね。だから私はこう聞いているんです。

 それから、韓国政府、中国政府と協議しています、そちらの方でもちゃんと同じようにやると言っていますと。ただ相手が言っていますというだけじゃなくて、本当に、そのやってくれている中身が、我々日本の立場から見てどうなのか、やはりそこのところをしっかり見ていって、そして、日本の立場から見てこれはいかがかというところがあれば、きちんと中国政府や韓国政府に対して申し入れもしていくということをしなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、そういうことをやっているんですか、どうですか。

小原政府参考人 中国の北朝鮮に対する影響力あるいは役割というようなことにつきましては、我々も十分認識しております。そうした上で、これまで中国ともさまざまな機会に、この六者協議のうちの中国を含めまして五者の役割、あるいはさらには国際社会の役割は非常に重要だというようなことを認識した上で、これまで意思疎通をやってきておるわけでございます。

 中国につきましては、例えば、先般、日中戦略対話というのが行われましたが、こうした戦略対話、あるいは大臣、あるいはさらには総理のレベルでも、こうした国際社会として一致した強いメッセージを出していく必要があるということで、中国の果たす役割は非常に重要だという観点から、中国との連携をしっかりとやっていくということについては、中国との間で大変緊密にすり合わせをやってきております。

 そういう意味で、今後、中国との関係でも、中国は特に六者会合の議長国でございますし、先ほどから言いましたように大変大きな役割を担っているわけでございますので、我々としては、引き続き、委員御指摘のとおり、中国との間でしっかりと意思疎通をしながら北朝鮮に対してしっかりとやっていきたい、そういうふうに思っております。

古川(元)委員 今の答弁を聞いていると本当に何か心配になってくるんですが、時間も限られていますから、もう少しほかの質問に移っていきたいと思います。

 そういう意味で、中国、韓国としっかり連携をとるということはもちろん大事なんですが、同時に、ついきのうの新聞ですね、ミサイル機器の輸出を図るというので、ミャンマー経由で、まあ経由かわかりませんけれども、北との関係で、いわゆる中国と韓国とかじゃなくて別の第三国、そういうところを使ってという動きもあるようなんです。

 今話に出ている中国とか韓国も経済的にどんどんと北をそういう形で追い込んでいけば、そこに入ってこない、ある種、国際的にも孤立しているような国、今のミャンマーのようなところを使ってとか、そういう別の第三国を経由してという動きもやはり今後強まってくる可能性もあるんじゃないかと思うんですね。

 そういう意味では、そういう第三国経由の貿易とかいうものに対する取り締まりの強化もしていかなきゃいけないというふうに思っていますが、その辺への対応というのはどうなっているでしょうか。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、そうした違法輸出を防止する観点から、厳格な許可審査、あるいは法令遵守のための輸出企業等に対する立入検査などを実施しております。また、警察、税関等の関係機関と連携をしつつ、必要に応じて輸出者に報告を求めることなどにより、先生おっしゃるような第三国を迂回するような、いわば仕向け地を偽装する、そうした輸出等を未然に防止してまいりたいと考えております。

 それから、日本のみならず海外の輸出管理当局等の関係機関との協力というのも大事でございまして、そうした海外の機関との連携も図りながら、そうした迂回輸出の防止を図ってまいりたいと考えております。

 また、この国会で成立させていただきました改正外為法におきましては、違法輸出に対する罰則も強化をされておりまして、そうした罰則の強化による抑止力についても期待をしているところでございます。

古川(元)委員 ぜひきちんと、抜け穴にならないように、やはりそういうところもチェック体制をつくっていただきたいと思います。

 時間になってまいりましたので最後の質問にしたいと思いますけれども、ちょっと資料で、我が国の対北朝鮮措置の概要というのを二枚目につけさせていただきましたが、北朝鮮に対する経済制裁でどんなことをやっているのか一覧表はないかというふうに聞いたら、この時系列で出てきたこれしかないんですね、内閣官房。

 経済制裁で一体どこまで、何が許されていて、何がきちんと穴がふさがれているのかというのを考えると、こういう時系列で並べるんじゃなくて、やはり金融面、あるいは物の流れ、人の流れとか、そういう事象によった形の今の北朝鮮に対する経済制裁、我が国としてどういうものをとっているのか、その全体像を見られるものというのは何か必要だと思うんですけれども、内閣官房がこの対北朝鮮に対する制裁措置については取りまとめをしているようなんですが、役所でつくっているのは、こういう時系列の紙しかない。これでは、ちゃんとトータルとして見て、経済制裁措置が全体として本当に有効なものとして働いているかどうかというチェックもできるのかなと大変危惧をするんですね。

 また、これはアメリカの場合、オバマ政権は国連安保理の制裁決議の履行を専門で担当する調整官をつくって、そのポストに元ボリビア大使のゴールドバーグさんを任命した。ですから、この人は北朝鮮に対する制裁措置だけを専門に見て、そのことだけを一日じゅう考えて、これがうまくちゃんと機能しているか、履行されているかどうか、そういうものを見ていくという、そういう担当の人がいるんですね。

 きのう、質問レクに来てもらった内閣官房の人に、日本の政府の中で、この制裁措置がちゃんと履行されているのかどうなのか状況はという、そういうのを全体として見ている人はいますかと言ったら、いるといえばいるというような言い方をしていましたが、要は、みんなそれぞれの役所でやっていることが紙で上がってくる、ただそれをホチキスでまとめているだけだと思います。つまり、アメリカなどは、オバマ政権の中で、やはりこの制裁をきちんと履行させる、そして実効性を保たせるためには、そういう全体を見る、そういう統括、まとめる人というのを置くことにしたんですね。

 日本も、やはりこれだけ経済制裁をぎっちりやる、それに、近隣国も含め、国際的な協調体制もとっていこう、その実効性がどうなのかということを考えたら、アメリカのように、この経済制裁の履行状況、そういうものを専門で見るような人をきちんとつくってもいいんじゃないかと思いますが、その点、いかがですか。

山本政府参考人 完全に本件に特化をいたしました専任スタッフを置くのが最善であるのか、それとも分野横断、関係省庁連携のもと、政府一体の幅広い構えということを見せる方が適切であるのか、そのあたり、いろいろ御意見があろうかと存じますが、対北朝鮮措置の全体につきまして、その効果の検証といったことを含めて、政府における一体的な取り組みが必要じゃないかという点は、先生御指摘のとおりでございます。

 さきに同様の観点からの問題提起、これは別の委員会でございますが、いただきました際に、河村内閣官房長官の方から御答弁を申し上げた経緯がございました。

 その要点を御紹介申し上げますと、まず、これまでも内閣官房初め関係各省とも連携をとりながら適切な実施に努めてきておりますが、措置の実施状況や効果についても不断の検討を行ってきているということ。

 第二に、今後とも省庁横断的に政府一体となった取り組みを強化したく、発信の仕方についても検討を加えていきたいということ。

 最後、第三に、いずれにしましても、総括的な検証、総括的な対応ということを確保するための枠組みのあり方についても検討を続ける必要があり、対北朝鮮措置の実効をいかにあらしめるかということにさらに力を注いでいきたいこと。

 以上、答弁申し上げた経緯がございます。

 このような官房長官の御指示のもとに、また本日、相共通する問題提起ということを先生からいただきましたことを頭に入れまして、さらなる工夫のあり方について考えてまいりたいと存じます。

古川(元)委員 さらなる工夫と言われるんですけれども、これだけ、北朝鮮に対する経済制裁ももう何年にもわたってきている。しかし、では、その効果があらわれてきて、北朝鮮の態度は変わってきたかというと、なかなかそれも変わってきていない。

 先ほどからの政府の皆さんの答弁を聞いていても、本当にちゃんと実効性というものを見ながらやっているのかなと。やはりそこは何か、やっていますよ、国内的にやることをやっているんですというだけでは、これはやはり経済制裁をやることの本当の意味をなしているとは言えないと思うんですね。北朝鮮が実際に我々の行動によって態度が変わってくるような、そういう状況を国際的にもつくっていかなきゃいけない。

 そういう意味でいうと、今の御答弁を聞いていると、いつになるのかわからないような状況でありますが、今の北朝鮮の状況を見れば、いつまた北朝鮮は新たな行動に出るかもわからない、そういうわけでありますから、やはり政府としても、こうした北朝鮮の態度に対して毅然たる措置、そして対応というものをできるような、そういう体制を早急にとっていただきたい、そのことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

東委員長 これにて古川元久君の質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 今国会でひょっとすると最後の質問になるかもしれませんので、二十分間、若干短いかもしれないんですけれども、質問をさせていただきます。

 先ほど、古川委員の方から、北朝鮮の国別対外貿易総額の指摘がございまして、日本からの北朝鮮との貿易の量が減ったり、あるいはその他の国から減っても、中国とかあるいは韓国からの輸出入、貿易総額がふえれば、余り北朝鮮に対する経済措置は効力がないのかなという発言がありまして、私も全くそのとおりだと考えております。

 なかなか北朝鮮の外交というのは難しくて、韓国あるいは中国は国境を接しておりますから、恐らく、彼らにとってはまた違う思惑があって輸出入についてふえているのかなと思うんですけれども、今回の措置に関しては、これまでの輸入の禁止と、今回は輸出も禁止の承認をするということで、今議題となっております。

 これまでの経緯ですと、前回は平成十八年の七月五日にミサイルが発射されて、十月九日に核の実験があって、それで輸入禁止の措置が始まったかと思います。今回は、同じように、四月の五日にミサイルが発射をされ、五月の二十五日にまた核実験が行われたということでして、これまでの北朝鮮に対する輸出禁止の措置をとるに至った経緯について改めて御説明していただければ幸いと存じます。

山本政府参考人 御説明申し上げます。

 この輸出の全面禁止を公表いたしましたのは六月の十六日でございました。これに先立つ期間、若干細こうございますけれども振り返ってみますと、まず拉致問題につきましては、昨年の八月に合意した調査のやり直しに北朝鮮がいまだ着手していないことなど具体的な行動をとっていない。また、核問題につきましては、六者会合で非建設的な対応を続けていた中、五月の二十五日、核実験を実施した。また、ミサイルにつきましては、安保理決議違反に当たります発射を強行し、弾道ミサイル能力の増強を図っていた。この中で、六月の十二日には安保理決議一八七四の採択を見た、こういうことでございました。

 このような北朝鮮をめぐる諸般の事情を勘案いたしまして、また、核実験に強く抗議をするという国会決議の御趣旨を踏まえまして、輸出の全面禁止を含みますところの追加的な措置ということをとるに至ったわけでございます。

 なお、従来より、対北朝鮮措置のあり方につきましては、政府一体で不断の検討を続けてまいりましたが、その過程では、現行法上何が可能であるのか、また、北朝鮮に対する効果、国際社会の動きに照らして政策的に何が適切であるのか、また、輸出統計のごとく数字にあらわれました実績あるいは傾向といったことはどうか、このような要素を主として注視してきたわけでございます。また、各方面からの貴重な御提言ということを賜ってきた次第でもございました。

 今回追加した措置は、このような検討の結果といたしましての総合的な判断のもとに決定をいたしたという次第でございます。

大島(敦)委員 前回、十八年の七月五日のミサイルの発射、十八年の十月九日の核実験があったときに、平成十四年の九月の十七日に日朝平壌宣言が交わされております。

 この中には、双方は、国際法を遵守し、お互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した、あるいは、四項ですか、双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持強化するため、お互いに協力していくことを確認したとあって、この平壌宣言について、状況としては、守っていないのかなと思うんですよ。

 前回のときにも、一部の世論には、あるいは私の知り合いにも、要は日本の上空を飛んでミサイルが通過したわけですから、この日朝の平壌宣言について、結構極端に、やめた、破棄してもいいんじゃないのという意見もなかったことはないわけなんですよ。

 今の日朝の平壌宣言についてのこの位置づけについて、もちろん、この第二項においては、一九四五年の八月十五日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従いという項目がありますから、この項目が、特に日本と北朝鮮の間で首脳同士が要はサインをした文書というのは、恐らくこの平壌宣言だけかなと考えております。

 そうすると、今現時点において、十八年に続いてこの平成の二十一年も同じように、我が国の上をミサイルが飛び、近くで核実験が行われて、この平壌宣言についても、政府としてはやはり維持すべきという考え方、変わらない考え方をお持ちなのかどうか、その点について確認させていただければ幸いと存じます。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 日朝平壌宣言は、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図ることが北東アジア地域の平和と安定にとっても重要であるという基本原則に立ちまして日朝両首脳が署名をしました、政治的に極めて重みのある文書であると考えております。

 我が国といたしましては、日朝平壌宣言を全体として履行することが、北朝鮮との間の諸懸案を解決し、日朝関係を前進させる上で最も効果的なやり方であると考えておりまして、日朝平壌宣言に従って国交正常化を図るとの考えに変わりはございません。

 したがいまして、我が国としては、これを破棄することが我が国の利益であるとは考えておりません。また、北朝鮮側も、日朝平壌宣言を破棄するといった立場を我が国に対して表明したことはございません。

 我が国といたしましては、北朝鮮が拉致問題を初めとする諸懸案の解決に向けて日朝平壌宣言にのっとって具体的行動をとるよう、引き続き、対話と圧力のバランスに意を用いながら取り組んでいきたいと考えております。

大島(敦)委員 北朝鮮との関係は、拉致の問題だと思うんです。この拉致の問題というのは、我が国の国民を拉致して北朝鮮に要は連れていった、連行したわけですから、これは一般に、その拉致ということは国際法上テロと位置づけられているかどうかについて御答弁をお願いいたします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 テロ、テロリズムにつきましては、国際法上確立した定義があるわけではございませんけれども、一般的に申しまして、特定の主義主張に基づき、国家などにその受け入れなどを強要し、または社会に恐怖などを与える目的で行われる人の殺傷行為などをいうというふうに考えられております。

 北朝鮮による拉致は、国民の生命と安全にかかわる重大な問題であることは疑いのない事実でございまして、普通にはテロと言えると考えております。

大島(敦)委員 北朝鮮の対外外交関係でこの拉致の問題は切り離すべきとの意見もあるとは伺っているんですけれども、私は、拉致の解決なくして北朝鮮との国交あるいは外交関係の進展はないかなと考えております。

 そして、我が国だけが北朝鮮に対して圧力をこれまでも、前回、そして今回は輸出の禁止ですから、かけてきたとしても、その次、もう一回かけるかどうかの判断もあって、しかしながら、先ほど古川委員の御指摘があったとおり、なかなかきいていないわけですよ。中国からの輸入量あるいは輸出量、貿易の量が非常に多いものですから、やはり中国から北朝鮮に対する物の言い方というのが大切になってくるのかなと考えております。

 そのときに、今回の核実験をしたときに、報道で見ると、我が国も核武装をすべきとの発言もあったやに報道がなされております。そのときの世論として、以前ほどはそんなに拒否反応がなかったのかなという思いがあるんですよ、これは。ですから、中国の方たちも北朝鮮のこのミサイルの問題とか核の問題を放置していると、我が国の世論が相当硬化するというおそれが僕はあると思っているのです。このことが中国の方に対する我が国の立場を一番説明しやすいのかなと私は考えるんですけれども、その点については、残念ながら質問通告はしていないんだけれども、答えられますか。

小原政府参考人 まさに外交と内政は一体でございます。中国でも今内政が外交に大きな影響を与えていると思いますが、そういったグローバル化の中で情報もどんどん国民の間にも共有され、その反応が外交に影響を与えるということでございますので、当然ながら、中国側も、日本の国内の世論の動き、これにつきましては日本の報道等を通じて十分承知しているというふうに、我々、日々の外交活動を通じて知っております。

 そうしたことも踏まえまして、先生まさに御指摘のあったような点、我々はそうしたことも念頭に置きながら、中国側と北朝鮮問題、この問題をどういうふうに解決していくのかということについてかなり突っ込んだ話し合いをしているということで御理解いただければと思います。

大島(敦)委員 私たち政治に携わっている立場の者は非常に情熱的なものですから、ちょっとスイッチが変わると極めて過激な発言、過激な行動を国会の場においても行う嫌いがございまして、しかしながら、外交交渉においてはクールヘッド、冷静じゃなければいけないなと思っているんです。なかなか、とはいっても、挑発に乗ってはいけないと思うんですけれども、日本の世論は乗るおそれもあるわけですから、その点について、今後も中国の皆さんには、日本の世論も気にしながら北朝鮮の問題を考えるように、多分非公式な場だと思うんですけれども、伝えていただければ幸いかなと考えております。

 今後、北朝鮮がさらなるミサイルの発射や核実験等の挑発行為を行った場合、我が国としていかに対応するか、これは非常に難しいと思うんですよ。もう一回、二度あったことは三度あるかもしれませんから、もう一度このような挑発行為があった場合に、我が国としての制裁措置はもうないのか、あるいはこれからまた考えるのか。いろいろと外交ルートを通じて新しい、例えばこの間の新聞報道ですと、北朝鮮問題に関して、日本と米国と韓国と中国とロシアによる、北朝鮮を除いた五者協議をするというような報道もございました。そのことについて最後に御答弁いただければ幸いと存じます。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の措置でございますが、ただいま委員の方からも御指摘ございましたように、北朝鮮、さまざまな挑発的な言動を繰り返してきております。そうした中で、六月十三日には国連安保理におきまして新たな決議ができたわけでございます。北朝鮮は外務省声明を発出して、これに対してもかなり強い姿勢を示しております。

 しかしながら、我が国を含めまして国際社会の声というのは、全会一致で採択されたこの決議一八七四号にまさに明記されているとおりでございまして、北朝鮮に対して、引き続き国際社会として、すべての核兵器及び既存の核計画の放棄を改めて義務づけると同時に、すべての核関連活動の即時停止を求めていくということであろうかと思います。

 政府といたしましては、北朝鮮が、こうした国際社会の声に耳を傾けて、安保理決議の義務を履行することが北朝鮮自身の利益になるんだということで、北朝鮮が、強硬路線を維持してさらなる孤立を招く道ではなくて、諸問題の解決に向けて具体的な行動をとるということを求めていきたいと思っております。

 措置につきましては、これはこれまでも政府部内で不断に検討を行ってきております。実際の対応につきましては、そうした国際社会の動き等も踏まえまして、日本政府として総合的に判断していくということで考えてきております。

 ただいま御質問のございました五者の話し合いにつきましても、これは五者協議ということではなくて、やはり六者会合というものを前提に、六者会合の枠組み、まさに六者会合が最も現実的な枠組みでございますので、その六者会合の前提としてどういったアプローチがあり得るのかということから、例えば二者、日米であるとか、日米韓であるとか、そういったいろいろな意思疎通をやってきているわけでございますので、そうした前提のもとで、まさに五者で集まって話をするのが六者会合を前進させる上で望ましいということであれば、そういうことを考えていくことも有意義であろうということで、日韓首脳会談でも一致したところでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私からは、六月二十八日に、今も出ておりましたが、日韓首脳会談が行われたわけですね。ここで五カ国協議について検討していくことになったというふうに伝えられておりますが、この五カ国協議と六カ国協議との関係、これはどういうものなのかを最初に外務省に伺っておきます。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 六月二十八日に行われました日韓首脳会談でございますが、麻生総理と李明博大統領との間で、北朝鮮につきましても突っ込んだ話し合いが行われました。その際に、六者会合の進展に資するのであれば、いずれかの時点で五者が集まり対応を協議することは有意義であろうという認識で一致したということでございます。

 このような五者による協議は、六者会合を代替するものではなくて、六者会合の前進を図るためにその枠組みの中で行われるものであるというふうに考えております。

吉井委員 要するに、基本はあくまでも六者会合だということですが、G8外相会合の議長声明で、「我々は、二〇〇五年九月十九日の六者会合共同声明の完全な実施を通じた朝鮮半島の検証可能な非核化の目標に引き続きコミットする。我々は、北朝鮮が更なる不安定化させる行動をとらないこと、及び六者会合への参加を再開することを要求する。」というふうにしたものではなかったかと思うんですが、確認をしておきます。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員が御指摘されたとおりでございまして、このG8外相会合の議長声明の中で、六者会合への参加を再開することを要求しております。

 我が国といたしましても、今回のG8外相会合議長声明に規定されたとおり、また先般採択された安保理決議の一八七四号の中でも、主文の三十におきまして、平和的対話を支持し、北朝鮮に対し、直ちに無条件で六者会合に復帰することを要請、あるいは主文三十一でも、事態の平和的、外交的かつ政治的解決の約束を表明し、また、対話を通じた平和的かつ包括的な解決を容易にするための理事国及びその他の加盟国による努力を歓迎するといったような言葉がございます。こうしたG8の議長声明あるいは安保理決議に明記されておりますとおり、諸懸案の解決につきましては、対話を通じて平和的に行う必要があるというのが考えでございます。

 我が国といたしましても、対話の扉を閉ざす考えはなく、引き続き、対話と圧力のバランスに意を用いつつ、北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的な解決に向けて、米国、韓国、さらには六者会合議長国の中国といった各国と緊密に連携しながら、最大限の外交努力を行っていく考えでございます。

吉井委員 あの直後の外務大臣の記者会見を読ませていただいても、要するに、対話の窓口をあけておくということと、強硬路線はコストが高くて対話に戻った方が得ですよ、こういうことを北朝鮮によく認識させることが重要だ、こういうお話であったと思うんです。

 それから、六者会合に戻る、あるいは安保理決議一八七四をしっかり守るべきであるということも入れた、要するに、圧力だけでなく、やはり対話の窓口をあけておくことが大事で、そうでないとなかなか六者会合に戻らない、そういう将来のことも考えた上で北朝鮮に対する要求が出た、それがG8の議長声明だというお話ですが、外交的努力を尽くす、こういう立場なんですね。伺っておきます。

小原政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

吉井委員 それで、総理と大統領だけの日韓会談もありましたけれども、経産大臣も出られたものもあったりして、要するに日韓首脳会談が持たれたわけです。

 そこで、私たちの党としての立場を最初にちょっと御紹介してから伺っておきたいと思うんですが、最初の北朝鮮の核実験の後の経済制裁決議には賛成しましたし、延長にも賛成しました。その後、六カ国協議再開の道筋が開かれたもとでの経済制裁延長には、六カ国協議で核の無能力化そして核計画の完全な申告ということで合意されるなど前向きの動きが出ているもとで、他の五カ国と異なる行動を日本がとることになってしまうので、反対をしました。

 今回は、北の核実験は、オバマ演説など核兵器廃絶に向けて世界が新たな前進をしているときに、これに真っ向から挑戦して、そして六カ国協議の共同声明に反する暴挙であるとともに、北東アジアの平和と安定を乱す危険な行動であり、既に国連も安保理で全会一致で決議した方向であり、さらに北朝鮮を対話の道に復帰させ、核問題の外交的解決を図るものとして、この法案に賛成をするものです。

 今聞こえているのは、拉致被害者の家族の中からも、制裁一本やりでは問題解決の道筋が見えてこない、外交的努力、交渉する努力を求めるという声が出てきております。

 そこで、伺っておきたいのは、北朝鮮に対して、一つは、外務大臣記者会見にあるように、強硬路線はコストが高くて対話に戻った方が得だよ、そういうことを北朝鮮に認識させることが大事だというふうに思うんです。もう一つ、やはり六カ国協議への即時無条件の復帰に転換することが北朝鮮の安全保障にとっても利益になるんだ、そして、自衛のためとか抑止力のためなどと言って核実験に走ることが北朝鮮の安全保障にとっても最も危険な道なんだ、北朝鮮の安全保障にとっても、問題は、戦力不足なのではなくて、北朝鮮が周辺諸国とまともな外交関係を持っていないことだ、このことを彼らが理解するように働きかけていくということが大事だと思うんです。

 最後に、二階大臣にお考えを伺っておきます。

二階国務大臣 拉致、核、ミサイルといったこうした諸懸案を解決していくためには、不幸な過去を清算して国交正常化を図るとの政府の基本方針のもとに、さまざまなチャンスを生かして努力をすべきだ、私は基本的にそう考えております。

 対話と圧力、キャッチフレーズのようにしょっちゅう我々も耳にするわけであります。なるほど、対話と圧力、言葉としては成り立つわけでありますが、外交上、対話と圧力を一緒にやっていくということは、どうしてそういうことがうまくいくかなという疑問は私自身も持っております。

 北朝鮮をめぐる諸懸案を解決するためには、とにかく、周辺諸国が参加している六者会合が最も現実的な枠組みである。歯がゆいような思いもしますが、日本としては、この六者協議という枠組みを前進させることが大事であります。そのために、今お話にありましたような、五者で協議をしていくことも大変有意義であるというふうに思うわけであります。

 先般、お話にありました日韓首脳会談、首脳同士のお二人の会談には立ち会ってはおりませんが、その他には私もずっと立ち会いました。韓国の李明博大統領と麻生総理との会談は、かつて、この十年、日韓の首脳会談においてはほとんどこういう光景はなかったのではないかと思われるくらい、大変打ち解けた話し合いができるようになっております。

 私は、これはこれで大きな進歩だと思いますが、一つは、やはり北の圧力といいますか、北の脅威というものを両国が共有しているということもあると思うんです。そこで、私たちは、韓国との間もより密接にして、引き続き北朝鮮をめぐる諸懸案に対して慎重に対応してまいらなくてはならないと思っております。

 しかし、拉致を現にされておる関係家族の皆さんの心中を思うときに、もっと対応のしようがあるのではないか、国民の皆さんがそのように思っておられる、私はそう感じております。

 ですから、これらについて、外務省ともよく相談をしながら、我々経済産業省としては、できる限りのことをもっときちっとやっていけるような体制を整えていきたい。かご抜けになっているような状態では何も効果が上がりませんから、その点は十分期待にこたえていきたい、このように思っております。

吉井委員 周辺諸国ときちんと外交関係を持つような国に進めさせて、この地域の平和と安定のために日本としても努力するように求めまして、質問を終わります。

東委員長 これにて両件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより両件を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物につき輸出承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十五分散会


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