衆議院

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第10号 平成22年5月12日(水曜日)

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平成二十二年五月十二日(水曜日)

    午後五時二十七分開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 柿沼 正明君 理事 北神 圭朗君

   理事 杉本かずみ君 理事 吉田おさむ君

      相原 史乃君    磯谷香代子君

      太田 和美君    金森  正君

      川口  博君   木村たけつか君

      近藤 洋介君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      平  智之君    高松 和夫君

      高邑  勉君    中野渡詔子君

      花咲 宏基君    松岡 広隆君

      三村 和也君    向山 好一君

      森山 浩行君    湯原 俊二君

      柚木 道義君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       瀬戸比呂志君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            平工 奉文君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  田嶋  要君     加藤  学君

  向山 好一君     渡辺 義彦君

  梶山 弘志君     金子 恭之君

  高市 早苗君     高木  毅君

  額賀福志郎君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤  学君     黒岩 宇洋君

  渡辺 義彦君     向山 好一君

  加藤 勝信君     額賀福志郎君

  金子 恭之君     梶山 弘志君

  高木  毅君     高市 早苗君

同日

 辞任         補欠選任

  黒岩 宇洋君     田嶋  要君

五月十二日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     湯原 俊二君

  笠原多見子君     磯谷香代子君

  田嶋  要君     中野渡詔子君

  藤田 大助君     三村 和也君

  山本 剛正君     相原 史乃君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     山本 剛正君

  磯谷香代子君     笠原多見子君

  中野渡詔子君     田嶋  要君

  三村 和也君     藤田 大助君

  湯原 俊二君     稲富 修二君

    ―――――――――――――

五月十一日

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

四月二十六日

 地域を支える中小業者の支援に関する請願(鳩山邦夫君紹介)(第八九四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案(内閣提出第三〇号)

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・無所属の会、公明党及びたちあがれ日本所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

東委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・無所属の会、公明党及びたちあがれ日本所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通審議官瀬戸比呂志君、経済産業省経済産業政策局長松永和夫君、経済産業省製造産業局長平工奉文君及び中小企業庁長官長谷川榮一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、最初にやはり一言申し上げておかなきゃいけないと思うんですが、本日、朝十時五十分からの正式の理事会において、本日の日程は明後日にする方向で、民主党、自民党、公明党間で調整をされて、あしたの夕刻の理事懇談会において、金曜日の委員会を開くという方向で臨むということになって、理事会は散会となりました。

 ですから、自民党、公明党の皆さん、いらっしゃらないわけですが、そういうもとでの委員会の開き方というのは、これは、形式的に呼びに行ったということはあるにしても、余りにも異常だということをやはり考えなきゃいけないと思うんです。

 この法案は、温対法ともかかわって、環境問題にかかわる大事な法案ですから、まだ、環境大臣を含めた質疑というのは、連合審査は一回行われたわけですが、これからいよいよ深めていかなきゃいけないというところで、国会がやはり立法府としてのきちんとした機能を果たさないと、いわば議会の脳死状態といいますか、異常なことにつながっていきますから、そういうことはぜひ、圧倒的多数をお持ちの与党の皆さんにおかれては、きちんと努力をされるべきものだということを申し上げて、質問に入っていきたいと思います。

 それで、資料の配付をやってもらっていますね。資料の一は、経産省の出しているものですが、設備投資約四千億円で生産誘発効果約一兆円、雇用効果約十万人ということになっております。産業連関表の一般機械、電気機械、輸送機械、精密機械の四つで出てくる列和の、大体、下の方の一・九八から二・八一など、平均値としての約二・五を掛けて約一兆円としているわけですが、この法案で想定しているのは、自動車、電機産業と考えていいのですね。確認しておきます。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、ここに配付をされております、この法案の経済効果の算定に当たりまして、設備投資四千億円が行われる代表的な業種として、今御指摘の一般機械、輸送機械等六業種を前提に、産業連関表を回しまして計算をいたしました。

 ただ、低炭素投資促進法案で想定をしております設備投資につきましては、今御指摘の輸送機械、一般機械以外の分野でも投資は期待をされておりますし、幅広く投資が行われるということを私どもは考えております。

吉井委員 ほかに言っておられるものは、例えば省エネ型ボイラーとか省エネ工業炉とか、既に資料はいただいておりますが、いずれにしても大きい企業が対象なんですね。

 政府の考えている次世代自動車戦略二〇一〇で、二〇二〇年と二〇三〇年の普及見通し、政府目標というのを出していらっしゃる資料もいただいておりますから、法案を出している政府の目標は、二〇二〇年に二〇%から五〇%、二〇三〇年に五〇%から七〇%として、ハイブリッド、EV、プラグインハイブリッド、フュエルセルビークル、クリーンディーゼルを考えていらっしゃるわけですが、自動車を考えた場合、内燃機関の自動車を仮にEV車に変えていくとすると、部品点数でいくと、約三万点が約二万点になると言われておりますから、そうすると、産業連関表の中で、実は項目の列の数字は変わってくるんじゃないですか。

平工政府参考人 今御指摘のとおり、確かに純粋な電気自動車になりますと、既存のガソリン自動車に比べまして部品点数が減少する可能性がございます。他方で、電気自動車の一部に入っておりますプラグインハイブリッドあるいはハイブリッド車、これは電気自動車ではございませんが、次世代自動車ということで見ますと、むしろ部品点数がふえるという状況でございます。

吉井委員 むしろふえるというお話も、それはそれであるとして、では幾ら雇用喪失があり、創出があるのか、そこのところをきちんと出さないと、余り半端な議論になっちゃだめだと思うんです。

 結果として、雇用約十万人増加ということですね。内燃機関の自動車部品で、三万点が二万点になれば、当然雇用喪失があるわけですよ。しかし一方、考えなきゃいけないのは、一万点減っても、例えば仮に、風力発電ということで考えれば、その場合は部品点数が大体約一万点ですから、一万点の仕事にかかわる部品メーカーが生まれてくる、雇用が生まれるということになるわけですね。だから、雇用は減らずにふやせる可能性もあるということは私はわかるんですよ。

 しかし、具体的に、幾ら雇用が減って幾ら雇用がふえるのかということをやはり明らかにしないと、大ざっぱに約十万人増加というのでは、法案を考えていく場合にこれはだめなんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。

平工政府参考人 先ほど委員の御指摘のございました次世代自動車、とりわけ電気自動車等につきましては、実は普及にかなりの時間を要するものでございます。したがいまして、当面は、燃費性能のよいガソリン車あるいは内燃機関を有するハイブリッド自動車などが市場の大宗を占めていくというふうに考えております。

 他方、先ほど御指摘の試算につきましては、より短期間のタームで考えておりますので、必ずしも今御指摘のような形での減少という前提にはならずに、むしろ短期間の構造変化の中で試算をされたというふうに理解をしております。

吉井委員 短期間と言うんだけれども、二〇一五年の数字でというのが一兆円、雇用効果十万人の話なんですよ。

 ですから、五年間でどのように十万人が実数として生まれてくるのか。そのときには、雇用喪失は幾らで、創出は幾らなのか。逆に、創出したけれども、どの分野で幾ら喪失があるのかというのをきちんと示さないことには、短期間だから何かうやむやにしていいという話にならないと思うんですね。それは、きちんと試算しているものがあったら出していただきたいと思うんです。

松永政府参考人 十万人の雇用創出効果でございますが、こうした問題の性質上、業種に落として、個々の業種が例えばこのぐらい減って、そのかわりにほかの業種が幾らふえるのかということは、算出がなかなか難しゅうございます。一般的には、お手元の資料にございますように、産業連関表の中のいわゆる雇用マトリックスという手法を用いまして、トータルとして示すということでございます。

 ただ、一方で、私ども、産業構造審議会で新たな部会を設けまして、委員御指摘のとおり、これからどういう産業が戦略分野として育っていくべきなのか、その中でどのぐらい雇用がふえるのかということについて今検討しております。

 具体的に申し上げますと、今この法案で御審議いただいている対象でございます、いわば低炭素社会をつくり出していく産業、次世代のエネルギー、環境ソリューションを実現する産業に加えまして、インフラの関連産業でございますとか、あるいは日本のすぐれた文化的な能力というものを生かした文化、産業分野、あるいは少子高齢化の解決に役立つ医療、介護あるいは子育てサービス、あるいは狭い意味での環境分野にとらわれませんロボット、あるいは宇宙等の先端分野、こうしたところで、これからかなりの雇用吸収力を持つ分野の産業として期待できるのではないか、こうした検討をあわせて行っております。

吉井委員 これは、資料一を出していただいた話とは大分違う話を今しておられると思うんですね、文化的云々の話とか。要するに、低炭素投資促進法で、自動車、電機関連産業が新しい製品を開発したとして、それが国内の製造業全体と、雇用や国民所得の増加、内需拡大にどのようにつながるかというのをきちんと予測することがやはり必要だと思うんですよ。

 一方、大企業の方は、成果が出ると、量産してもうけるのは、今度は海外へ展開していって、その結果、ますます産業空洞化が進むばかりということになってしまいますし、まだそれでも海外での利益が国内に還元されるということがあれば、また違う話もあろうかと思うんですが、現実には、産業空洞化の中でどんどんどんどん雇用も所得も失われていっているんですよ。日本の産業と経済に大きな効果が生まれてこないという問題が、やはり深刻な問題として考えておかなきゃいけないことだと思うんです。

 そこで、伺っておきますが、自動車の国内生産は、一九九〇年の千三百四十八万台が、二〇〇〇年に千十四万台、二〇〇八年に千百五十六万台と一度下がったのが、また国内生産はやや回復しておりましたが、リーマン・ショックでもちろん落ち込んでおりますが、基本的に、大体千百万台ぐらいで今横ばいなんですね。

 それで、国内販売なんですが、販売台数は、九〇年の七百七十七万台から落ち込んで、二〇〇〇年の五百九十六万台、二〇〇八年に五百八万台、昨年はリーマン・ショックでどんと落ちていますから、これはちょっとおいておくにしても、基本的に五百万台で、国内販売台数は横ばいなんですね。

 そうすると、横ばいにしても、一貫して国内需要は縮小してきているわけなんですが、EVなどが開発されたとしても、自動車全体として見れば、国内では販売台数に大きな伸びというのは余り期待はされない。自動車需要は全体として大体五百万台どまりになるんではないかと思われるんですが、国内の販売予測が変わってくるのかどうかを伺っておきます。

平工政府参考人 かなり先の話でもございますので、一概に、正確に見通すということはなかなか難しいと考えておりますけれども、委員御指摘のように、今後、人口の少子高齢化が進んでいきますと、ある程度市場が成熟化してくるというふうに考えております。

吉井委員 一方、輸出の方なんですが、一九九〇年の五百八十一万台が、二〇〇〇年には四百四十五万台に一度減ったんですけれども、しかし、二〇〇八年で六百七十二万台へと伸びたわけですね。これもリーマン・ショックで二〇〇九年はちょっと例外的に見なきゃいけないと思うんですが。

 ところが、海外生産の方は、これはいただいたデータの中に九〇年が入っていなかったので九一年で見ますと、二百九十七万台が、二〇〇〇年には六百二十八万台、二〇〇八年には千百六十三万台ですから、二〇〇〇年に比べても八年間で約二倍、海外で千百六十三万台、ぼんとふえておるわけですね。これもリーマン・ショックを受けていますが、それでも千十一万台と若干減ったぐらいでとどまっているわけです。

 つまり、国内産業を空洞化させて、海外へ進出して増産、国内販売はもう横ばいで大きく需要はふえないんですが、そうすると、投資して、EV車その他、成果が出たときに、新技術を持った工場を海外に進出させて量産に走るというのでは、低炭素投資による成果が国内産業の発展につながるとは言えないということになってきますね。

 そこで、直嶋大臣に伺っておきたいのは、やはり国内産業として役割を果たさせるということですね。仮に外需でもうけても、大きく国内へそれが還元されて、国内の雇用とか、中小企業とか、あるいは税なり社会保障なりの形で、内需を拡大する方に結びついていくようにする、やはりそういう条項というものが、法律上条文が必要だと思うんですが、そういうものが必要だというふうに大臣はお考えにならないのかどうか、伺います。

直嶋国務大臣 なかなか先の見通しが難しい中での御議論で、今後とも、今それぞれ政府委員の方からも説明させていただきましたが、私どもも、自動車産業だけではなくて、日本の産業構造全体がどういうふうに変化していくのかということは今議論もしておりまして、これから先のことも見きわめていきたいというふうに思っております。

 ただ、今回提出させていただいています法案の趣旨は、エネルギー環境適合製品の開発や製造事業の促進を図ることにより、我が国産業の振興を通じて国民経済の健全な発展に寄与することを目的にいたしておりまして、この目的からすれば、日本国内において開発や製造を行う取り組みに限定をされるものと解釈されるというふうに思っております。

 実際、支援措置の前提となる、私ども、主務大臣の認定に当たっても、技術水準の著しい向上や新産業の創造を通じて我が国産業の発展に資するものであるかどうか、こういったことを基準に判断していきたいというふうに思っておりまして、今、吉井議員が御指摘の部分も今回の法案の発想の中には織り込まれていると考えているということを申し上げていいというふうに思っております。

吉井委員 長い将来の話じゃなくて、現実の、例えば九〇年代以降の二十年間をとってみても、これは自動車産業だけじゃありませんが、国内産業はどんどん空洞化しているんです。

 今度の場合、EV車にしろ、プラグインハイブリッドにしろ、あるいはフュエルセルビークルにしろ、国内で開発して、それが量産化できるめどがついたらどんどん海外へ行ってしまったのでは、これは国民の税を投じて応援したんだけれども、しかし産業としては空洞化を食いとめることはできないということになるわけですね。

 その点で、第一条に、この間大臣は、我が国産業の振興を通じて国民経済の健全な発展に寄与するということを法目的に書いてあるというのがあなたの答弁でした。しかし、これでは産業空洞化を防止するというふうに読み取ることはできないんですね。空洞化をとめるために、どういう条文を設けて、どういう取り組みをするかということを法律にきちんとうたわないと、それは空洞化をとめられないんじゃないですか。

直嶋国務大臣 国内にその製造基盤を確保していこうと思いますと、御承知のように、グローバル経済の時代でありますから、日本国内において、やはり外国で生産することが難しい新しい技術や新しい性能の商品を開発して生産していくということが一番重要なポイントになるのではないかと思います。

 例えば、先ほど来御議論のハイブリッド車を例に挙げましても、開発それから量産化の進行過程ではやはり日本国内で生産をされていったというふうに思っていまして、そういった高性能あるいは高品質の商品の生産基盤を日本でどのように確保していくかということが最も重要な課題になるのではないかというふうに思っております。

 そういったことを通じて、今御指摘の国内産業の基盤を日本に置いていくということにつながってくるというふうに思っています。

吉井委員 海外へ展開して、多国籍企業として海外でどんどん外需で潤ったとしても、その分が日本国内に、内部留保の吐き出しにしろ、あるいは法人税という形にしろ、タックスヘイブンの国へ逃げてしまうのではなくて、きちんと国内で、法人税減税じゃなくて、逆に、もうけた分を法人税という形で還元するとか、やはりそういうことをきちんとやっていかなかったら、せっかく税金を出してやったんだけれども、海外で個々の企業は多国籍企業としてもうけているけれども、国内産業はデフレスパイラルの中に落ち込むばかりというのでは、これはさっぱり話にならないと思うんです。

 次に、資料二をごらんいただきたいと思うんですが、例えばこの法案で考えているEV車の開発普及を考えた場合に、現実に自動車メーカーと電機メーカーが組んで電池開発を行っているというのはこの表に載せたとおりですが、自動車にも電機メーカーにもリース会社が既にあります。そこに対して三大損保会社あるいはグループの形でついていて、例えばトヨタでいえば、トヨタファイナンスというリース会社があり、あいおい損保がついている。事故が起こっても、もともと損保会社がついていて、特に政府が支援しないとやっていけないという話じゃないんですね。

 具体的に指定法人を考えて一体何をやらせようとしているのか、これは政府参考人に伺っておきます。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 指定法人は、この法律上は需要開拓支援法人ということでございまして、公的な保険を付与することによりまして、リース会社から、主として中小企業、先ほど委員御指摘の中小企業における高効率のボイラーだとか、そうした形で低炭素型の設備投資をしやすくする、そういう支援事業を行う法人としてこの法律で指定をするということを考えております。

吉井委員 省エネ型ボイラー云々というのは、これは、いただいた資料を見ると、荏原製作所とかJFEエンジニアリングとか、大企業ばかりですよ。

 中小企業向けには、かつて一九六一年に、ローンとかリースの契約には信用保険制度をもともとつくられたわけです。これを二〇〇二年に廃止する際、大手損保会社の参入例はあるが、不況で事故が多発し採算がとれず、民間が安定してやっていくのは困難だと言っていたのに、もうなくしてしまったわけですね、この制度は。それを今度は国が面倒を見るということですから、結局これは大企業補助ということになってくるじゃないかということを言わなきゃならぬと思うんです。

 例えば、まだ価格の高い高性能の蓄電池をつけたEV車を販売するとなりますと、内燃機関の自動車より高くて売りにくいということがありますから、そこで、バッテリーを外して、バッテリーの方だけはリース会社が貸し出しをする形にすると、内燃機関の自動車よりも安く売れるということもあり、普及しやすいというビジネスモデルが生まれてくることはあり得るわけですね。リース会社が一定数の自動車を買い上げれば、メーカーの方も確実な生産計画を見込める。

 その場合、リース会社のリスクを国が面倒を見よう、こういうことにこれはなってくるんじゃないですか。

平工政府参考人 まず、前半の機械類信用保険法の廃止理由でございますけれども、同保険は、機械類に係るリース取引等につきまして、リース料等の不払いが発生した場合の損害を補てんすることによりまして企業の設備導入を支援するものでございまして、もって中小企業の設備近代化及び機械工業の振興を図ってまいりました。

 ただ、平成十三年の特殊法人等改革におきまして、機械類信用保険に関しましては、機械類に係るリース市場の急拡大及びその中における機械類信用保険の利用割合の低下等にかんがみまして、当時としては本保険制度は所期の目的を達成したということで、特殊法人等整理合理化計画の閣議決定にのっとって廃止をしたものでございます。

吉井委員 要するに、行革の方針の中で廃止してしまったんですよ。それを今度は、国の方がリース会社のリスク、リース会社といっても小さいところじゃないんですよ、この表に載っているように、トヨタでトヨタファイナンスというリース会社があり、さらにあいおい損保があるようなこういう形で、リスクに十分民間で対応できるのに国の方で面倒を見ていこうというところに、私はこの法律の性格というのは、かなりゆがみを指摘しなきゃいけないと思います。

 時間が大分たってまいりましたので、最後に、技術集積を守る問題について、まず伺っておきたいと思うんです。

 昨年の、自民党政権時代の五月二十二日の経産委員会で、当時の二階大臣に質問したのは、今度の中小企業白書でも書かれている基盤的技術の集積地を守る問題でした。貸し工場の家賃や機械のローン、リース代金など、固定費が出ないほど発注がストップしたり、単価たたきが行われている現実を指摘して、これを許していてはものづくりの基盤をなしている日本の技術集積地が崩壊するということを訴えました。当時の二階大臣も、基盤的技術の集積地をこのような経済危機のときに守らなかったら何のための中小企業庁かということになると答弁して、経産省として、昨年五月末には大田区、六月初めに東大阪へ調査に行っていますし、そして、さらに浜松を含めて、中小企業白書の中でもこれらの技術集積地の重要性については既に紹介されておるところです。

 昨年十一月の委員会で直嶋大臣にもこの問題を質問しましたし、ことし二月に志位委員長も鳩山総理に申し入れを行って、その後、大臣名でリース業者への協力要請の通知は出ました。

 このリース料の支払い猶予について、業者の方たちから要望書が出ています。支払い猶予をしても高い遅延損害金や延滞利息を求めないこと、合意なしにリース物件の中途引き揚げをやらないこと、低金利時代に見合ったリース料の引き下げに努力をという切実な求めが出ておりますが、やはりこういうものを生かすように大臣としての特段の努力というものを求めたいと思いますが、伺っておきます。

直嶋国務大臣 今、吉井議員からお話あったように、この厳しい不況の中で、私どもも中小企業の集積を確保するということは最も重要なことの一つだというふうに思っていまして、そのために、さまざまな政策といいますか、国がやらなければいけないことも積極的に展開をしてきたつもりでございます。今御指摘がございました点も、今後、私ども、実態もよく見きわめながら、政策にどう生かしていくかということは考えていきたいというふうに思っています。

 ただ、このリースの問題も、私ども聞いていますと、リース物件そのものも、やはりやたら引き揚げても高く売れるわけではありませんし、次の借り手が見つかるわけでもありませんので、これはリース先とリースを出している側も含めて、先般も手紙でお願いをいたしましたが、双方話し合いの余地があるというふうに思っていまして、基本的には、それぞれの経済合理性の判断の中で恐らく一つ一つのことは解決がされていくのではないかというふうに思っています。

 いずれにしても、大変厳しい状況の中で頑張っておられる中小企業の皆さんを支えるために、私どもとしてはできる限りのことを精いっぱい今やらせていただいているということでございます。

吉井委員 これにつきましては、実は、大田区など自治体段階でも、例えば大田区では、機械等の購入費、借用費も可能とする直接補助制度というのを実際に行って、それで、業者の方のアンケートでも七割の方が非常に助かっているという声が出ているんですね。

 固定費といいますと、家賃とか、あるいは土地代もそうですが、機械のローンなりリースなり、やはり直接補助を行うことでこの不況の時期を乗り越えていく、そういう点について、本当に頑張っている中小企業の基盤的技術の集積地を発展させる、こういうことを大臣には特にやっていただく必要があるというふうに思うわけです。この点についての大臣の決意を伺っておきたい。

 もう一つ、中小企業庁長官に、中小企業基盤整備機構が行ってきた、その時々に、特定中小企業集積活性化法とか地域産業集積活性化法とかいろいろ名前は変わりましたけれども、要するに中小企業活性化のための補助金などを使って、基盤的技術の集積地の集積の技術が失われないように中小企業庁としてはいろいろ取り組んでこられたのは私も知っておりますが、やはり今の時代に、産業技術基盤集積を守るという上では、中小企業基盤整備機構などの、これが事業仕分けで高度化事業の縮減だとか財源の国庫返納などで後退してしまっては大変なことで、やはり今こそ特別の努力が中小企業庁には求められると思うんです。

 この点については中小企業庁の長官に、そして先ほどの点については大臣に伺っておきたいと思います。

長谷川政府参考人 私の方から先にお答え申し上げます。

 御指摘のように、ものづくり中小企業、そして集積、これは国策だという認識です。個別に申し上げませんけれども、直接しっかり集積を支援しろという法律が三本ございます。したがって、国策だということでございます。

 ものづくりにつきましては、特に、自治体との分担もございますので、私どもの方といたしましては、ものづくり補助金、さらには高度の技術開発を試みます中小企業の委託費、これは現政権で予算を倍増いたしまして、大変貴重な財源を押さえて、大臣のリーダーシップで、現在それを執行しているところでございます。

 機構のお話がございましたけれども、機構も特に土地の利用の高度化等々に絡みまして支援策をやってまいりましたので、今般、御指摘ございました中小企業白書の中で、大田区それから東大阪、特に取り上げろという大臣の御指示もございまして、現状を分析し、今後ぜひともこの重要性にふさわしい政策を遂行してまいりたいと思っております。

直嶋国務大臣 今、中小企業庁長官からもお答えさせていただきましたが、やはり日本におけるものづくり産業の強さは、中小企業のつくる部品や素材があってのものだというふうに思っております。その中で、私自身も、先ほどお話ししたとおり、中小企業の集積については、現状の大田区や東大阪市の状況も含めて大変強い危機感を持っておりまして、積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っています。

 特に、先般中小企業白書も閣議で決定させていただきましたが、その中でも中小製造業集積の現状と課題を取り上げさせていただいて、私どもなりの問題意識もまとめさせていただいたつもりでございます。ものづくり中小企業の経営基盤を下支えするための資金繰り対策や税制措置、それから新たな仕事づくりにつなげるための研究開発支援の大幅な増額、こういったことを現在施策として実行させていただいているところであります。

 今、中小企業憲章をまとめさせていただいておりますが、その中の行動指針の中にもものづくり中小企業の支援ということを明確にうたっていきたいというふうに思っておりまして、いずれにしても、こういった取り組みを通じて、ものづくり中小企業者の力強さを取り戻して、あすの日本経済の下支えをしていけるよう万全を期してまいりたい、そのつもりでございます。

吉井委員 時間が参りましたので、とりあえず本日の、この法案の第二日目の質問は終わりますが、まかり間違っても、本日は自民、公明の皆さんがいらっしゃらないときですから、採決は強行するべきではない、このことを申し上げて、質問を終わります。

東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 採決を強行するなと言っているのに、いきなり委員長から討論をやれと。これは幾ら何でもこういう運営の仕方はおかしいと、私は重ねて、本日は採決するべきじゃないということを申し上げます。

 その上で、しかし採決をするとおっしゃる話ですから、この法案に対する考え方を述べておきます。

 私は、日本共産党を代表して、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案に反対の討論を行います。

 冒頭にまず、本法案と密接不可分の関係にある地球温暖化対策基本法案についての問題点を指摘しておきます。

 地球温暖化対策基本法案には、温室効果ガス削減目標を一九九〇年比二五%削減と掲げながら、その目標を実質的に棚上げする、いわゆる停止条項を盛り込んでいることは、対策の実効性を根底から危うくするものであります。また、地球温暖化防止を口実とした原発推進の仕組みは、中越沖地震による柏崎刈羽原発の停止によって図らずも実証されたように、結局は代替火力発電によるCO2の大量排出を招くことになりました。これらは法案の重大な欠陥として看過できません。

 地球温暖化対策は人類と地球にとっての重要課題です。とりわけ、アメリカや日本を初め、二酸化炭素の歴史的な累積排出量で大きな責任を負う先進国と、それらを母国とする多国籍企業が責任ある役割を果たすよう、率先して取り組まなければなりません。

 我が国の国際的な責務を果たそうとしないで、人類共通の課題である地球温暖化対策の道筋を誤らせかねない法案となっていることをまず厳しく指摘いたします。

 こうした地球温暖化対策の基本フレームが定まらないもとでは、本法案による支援策は単なる特定大企業支援策としかなりません。

 本法案の反対理由の第一は、本法案が低炭素投資促進法案という略称とは名ばかりで、我が国産業全体のエネルギー浪費構造の転換や低炭素社会の実現には結びつかないからであります。

 今真剣に取り組まなければいけないのは、温室効果ガス排出量の八割を占める産業界の実質的な削減を実施し、大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会を転換し、社会全体でエネルギーの無駄をなくすことです。しかし、本法案は、特定大企業がその製造を担っている電気自動車、太陽光パネル、リチウムイオン電池などの環境エネルギー適合製品の需要拡大を図ろうとするもので、エネルギー浪費構造そのものにメスを入れるものとはなっていません。これでは地球温暖化対策にも逆行するものと言わざるを得ません。

 第二に、産業空洞化の防止を理由に、エネルギー環境適合製品の製造事業者への金融支援策に国内の工場立地や雇用を創出させる保証は全くないばかりか、自動車、電機などの多国籍大企業の海外生産シフトを加速させるものになっているからであります。

 このことは法案審議の際、直嶋大臣自身が、たとえ金融支援策を講じたとしても工場は海外に出ていくことを認めました。多国籍企業のマザー工場とRアンドD拠点化でどうして雇用拡大につながるでしょうか。

 経済産業省は法案の効果で一兆円の生産誘発効果と十万人の雇用が生まれると試算していますが、説得力ある根拠は示されませんでした。そればかりか、本来であれば当然勘案すべき経済構造の変化によって失われる部分の試算を行っておらず、これでは法案審議の前提を欠いていると言わざるを得ません。

 第三に、放射能汚染など深刻な環境破壊を内包する原発を非化石エネルギー源と位置づけ、高速増殖炉「もんじゅ」の再開強行とその商業化、次世代軽水炉の世界標準化や中小型炉の途上国へのトップセールスなど、エネルギー基本計画の見直しの一環として原発偏重を一層加速させる危険があるからであります。これは、再生可能エネルギーの爆発的な普及の障害ともなるものであり、賛成することはできません。

 以上、討論といたします。

東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。直嶋経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

直嶋国務大臣 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 国際的な資源獲得競争が激化する中で、金属鉱物や石油、天然ガスの安定供給を確保することの重要性が高まっております。特に、電気自動車に必要なレアメタルなどの金属鉱物資源の確保は、低炭素社会の構築と我が国の今後の経済成長を図る上で、喫緊の課題となっています。

 他方、昨今、為替や資源価格等の動向により資源権益の価格が大きく変化するとともに、技術的に困難な開発プロジェクトが増加する中、我が国企業による資源権益の確保に対して、国として機動的かつ大規模な支援を行うことが必要となっています。

 このため、我が国企業による資源権益の確保を支援する役割を担う独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構について、金属鉱物の鉱山権益の資産買収に対する支援機能を拡充するとともに、金属鉱物や石油、天然ガスの権益確保を的確に支援するための資金を調達する手段を拡充するべく、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、我が国企業が金属鉱物の鉱山権益の資産買収を行う場合に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構がこれを支援するための出資を行うことを可能とします。

 第二に、我が国企業が金属鉱物や石油、天然ガスの権益の資産買収を行う場合や資源開発プロジェクトを実施する場合に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構がこれらを支援するために出資や債務保証を行うための資金を、政府保証つき長期借入金等により調達することを可能とします。

 また、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が、政府の行う資源外交と一層緊密に連携しつつ、我が国企業の権益確保の支援を行うことができるよう、主たる事務所の所在地を神奈川県から東京都に変更します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨です。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十二分散会


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