衆議院

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第2号 平成22年9月8日(水曜日)

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平成二十二年九月八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 柿沼 正明君 理事 北神 圭朗君

   理事 杉本かずみ君 理事 三谷 光男君

   理事 吉田おさむ君 理事 塩崎 恭久君

   理事 平  将明君 理事 佐藤 茂樹君

      阿久津幸彦君    稲富 修二君

      笠原多見子君    金森  正君

      川口  博君   木村たけつか君

      近藤 洋介君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      田嶋  要君    平  智之君

      高松 和夫君    高邑  勉君

      花咲 宏基君    藤田 大助君

      松岡 広隆君    向山 好一君

      村上 史好君    森山 浩行君

      山本 剛正君    柚木 道義君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      塩谷  立君    高市 早苗君

      永岡 桂子君    西野あきら君

      額賀福志郎君    江田 康幸君

      吉井 英勝君    園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   国務大臣         蓮   舫君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   政府参考人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     谷  重男君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          安達 健祐君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    高原 一郎君

   政府参考人

   (観光庁長官)      溝畑  宏君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    西村 清彦君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月八日

 辞任         補欠選任

  向山 好一君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  村上 史好君     向山 好一君

    ―――――――――――――

八月六日

 一、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十四回国会閣法第四九号)

 二、経済産業の基本施策に関する件

 三、資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件

 四、特許に関する件

 五、中小企業に関する件

 六、私的独占の禁止及び公正取引に関する件

 七、鉱業等に係る土地利用の調整に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁西村清彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として公正取引委員会委員長竹島一彦君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官谷重男君、経済産業省経済産業政策局長安達健祐君、中小企業庁長官高原一郎君及び観光庁長官溝畑宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田大助君。

藤田(大)委員 おはようございます。民主党の藤田大助でございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 早速ではございますけれども、質問に入らせていただきたいと思います。日銀の西村副総裁、お見えになっているということでございますので、この十五年ぶりの急激な円高、また、景気も地域の経済も非常に厳しい、日本の経済も大変だということでございますので、ぜひ率直にそういった視点で質問させていただきたいと思います。

 まず、日本銀行の景気認識を改めてお伺いさせていただきたいと思います。

 昨日は、円高に振れて八十三円台。きのう、九月七日、金融政策決定会合で、我が国の景気は緩やかに回復しつつある、輸出や生産は増加ペースが鈍化しているが増加を続けている、設備投資は持ち直しに転じつつある、雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるものの、その程度は幾分和らいでいる、個人消費は持ち直し基調を続けている、これらの表現があったわけですけれども、今政府が経済対策をしていこうという中で、表現をとらえると、少し楽観的な表現になっているのではないかなというふうに思っています。

 この後、小規模事業者の視点で質問したいとは思っているんですけれども、円高で中小企業は本当に影響が出てきている、あるいはその不安を感じているということですので、やはり政府とある程度しっかりとした対話をしていただいて、協調していただくということが必要だと思いますので、そのあたりの、円高についての原因やその対策、あるいは景気に対する考え方についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

西村参考人 お答えさせていただきたいと思います。

 現在は、米国経済を中心に先行きをめぐる不確実性がこれまで以上に高まっているというふうに考えております。為替相場や株価が不安定な動きを続けております。そのため、我が国の経済、物価見通しの下振れリスクに、より注意が必要であるという判断のもとにおります。そのために、八月三十日の臨時金融政策決定会合で追加の金融緩和をしたということでございます。

 日本銀行は、政府との間で、さまざまな場を通じて、さまざまなレベルで十分な意思疎通を行っております。こうしたもとで、我が国の経済、物価情勢に関する認識は、政府と大きな差はないというふうに考えております。

 また、日本銀行は、政府と同様、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰するということが極めて重要であるという認識を持っております。こうした認識のもとで、日本銀行は、強力な金融緩和の推進、それから金融市場の安定確保、これも非常に重要な点であります、それから、成長基盤の強化の支援、この三点を図ってきております。

 日本銀行としては、これらの措置が政府の政策と相まって、日本経済の回復に向けた動きをしっかりと下支えしていくというふうに信じております。

 以上でございます。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 当然認識していただいているとは思うんですけれども、輸出関連企業はこの円高やこういう状況の中でダメージを受けているというようなことでございますけれども、動かない日銀のイメージというものが外にメッセージとして発すると、なかなか厳しい状況でありますし、地域で頑張っている、あるいは日本の経済を支えている、そういった人たちも注視しているわけでございますので、ぜひこの状況や環境をこれからしっかりと踏まえていただいて、取り組んでいただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきたいと思います。

 当然、我が国の経済は非常に厳しい状況にあります。GDPも鈍化しているとか、成長率が大幅に減速しているとか、あるいは雇用情勢も非常に厳しい、有効求人倍率も七月では〇・五三ということでございますので、こういった状況の中で、今の円高の話も含めて非常に大変な状況にありますし、地域の経済とか事業者が展望を持てないというような形になっています。

 その中で、圧倒的に、四百二十万社ある中小企業、全体の企業のうち九九・七%と言われていますけれども、こういったところも、経済産業省のヒアリングでは、円高が続いていけば中小企業の約七割が減益になるというふうに回答しています。

 また、小規模事業者の団体の全国商工会連合会も九月一日に発表しておりますけれども、円高の影響に関するアンケートに、六割以上の中小企業が影響が出ていると答えているわけです。特にここの調査は、輸出に関連する企業をピックアップして調査しているとお伺いしていますので、このあたりもぜひ日銀の方には認識していただきたいというふうに思います。

 いずれにしましても、こういった中で手を打つべきは、やはり中小企業ではないかなというふうに思っています。中小企業がしっかり日本の経済を支えているということを改めて認識して経済対策をやっていかなければならないというふうに思っておりますので、政府が考えておられる経済対策の中で、特に中小企業についての部分、中小企業対策についてお考えをお伺いできればと思います。

松下副大臣 御答弁いたします。

 菅総理が先月三十日に発表した「経済対策の基本方針について」の中で、円高や海外経済等の景気下振れリスクなど厳しい環境にある中小企業に対してしっかりとした対策を打つべきだということが明示されています。

 具体的には、雇用の基盤づくりとして、就職がまだ決まっていない人たち、未内定者に中小企業でのインターンシップ、いわゆる実地研修ですけれども、その機会を提供する新卒者就職応援プロジェクトを拡充していくこと、そして、中小企業の金融支援を通じた雇用の確保ということが位置づけられております。

 また、円高の進行や長期化による地域の工場や雇用の空洞化等を食いとめるために、投資の基盤づくりとして、中小企業の技術開発支援、ものづくり、それから中小企業の海外販路の開拓支援を位置づけております。

 現在、この基本方針に基づいて政府内で具体案を検討中でございまして、今週の九月十日に経済対策として決定していくという予定で作業を進めています。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 中小企業の視点ということでお伺いしたわけでございますけれども、まず、中小企業の概念というのが、これは中小企業憲章をつくっていく、閣議決定していく際にもいろいろと議論になったところだと思います。中小企業という概念が、中堅クラスから小規模事業者までさまざまありますし、地域で活動する分野とか地域の特性によって随分違うというふうになっていて、それを一つ一つやっていくのは本当に難しいことだろうというふうには思うんです。

 そこで、四百二十万社ある中小企業、そのうちの約三百七十万社が小規模事業者です、圧倒的にこの小規模事業者というのが日本の事業者として数も多いし、本当に草の根としてすそ野の広い企業群を構成しています。また、地域の生産や消費や雇用、あるいはまちづくり、そういったところに本当に個人商店やそういったところも頑張っていただいているということで、地域のセーフティーネットでもあると思います。経済対策をする際には、九月十日に具体策ということですので、そのときに中小企業と、そしてもっと踏み込んで小規模事業者、地域を支える小規模事業者に、どのような形で腰を伸ばしていく、あるいは次の展望を見つけていくためのきっかけづくりや、そういったものを踏まえていただければなというふうに私からは要望をさせていただきたいと思います。

 先ほどもいろいろと、例えば基本方針で海外販路開拓支援とか中小企業技術開発支援とかいうふうなことも言われていますけれども、これが三百七十万社、四百二十万社にどのように影響があるかということを、ぜひもう一度この残りわずかの期間に調整していただいて、議論をしていただければなというふうに思っています。

 それと、これから住宅エコポイントとか耐震とかそういったところも中小企業を活用する場合には上乗せをしていくとか、何らかの対応をお願いしたいというふうに要望させていただきます。

 時間もありますので、次の質問に入らせていただきたいんですけれども、成長戦略の重点分野にも掲げられています観光について。

 これは、経済対策もいろいろ限られた財源の中でというようなことになってくると思いますので、いろいろな形で、省庁縦割りをあるいは省内の縦割りを超えていくようなものにしていかなければならないというふうに思っています。その重点分野である観光などは、特にそういう、例えば国土交通省、観光庁、経済産業省という枠を取っ払ってやってもいい事業がいろいろあるのではないかな。

 具体的にも、いろいろ調べますと、どういう整理をしていけばいいかというところは問題になるとは思うんですけれども、統一的に運用して運用改善を図って効果を出していく、それで効果のスピードを上げていくということが必要かというふうに思っておりますので、そのあたりのことについて、縦割り、あるいは事業運営、観光振興や地域経済、そういった視点で運用改善についてお考えをお伺いしたいと思います。

近藤大臣政務官 藤田先生にお答えいたします。

 観光は重要であるということは全く御指摘のとおりでございまして、新成長戦略の中でも戦略分野と位置づけているわけであります。

 そこで、縦割りを排除する取り組みいかに、こういう御質問でございますけれども、省内でも、局あって省なし、こういうことがよく言われるわけであります。こういうことではいけないということで、観光について横ぐしを通すような戦略を立てたい、このように考えているところでございます。

 具体的には、来年度から組織要求でクリエイティブ産業部というものをつくりたい、こう考えているわけです。この観光というのは、例えば伝統工芸品、さらには、おいしい食、そして、コンテンツ関係でいうと映画のロケ地が観光地になるとか、観光というのはさまざまな展開が想像されるわけでありますけれども、こういったものを一まとめにして、省内ばらばらであった各課の体制をクリエイティブ産業部という一つの枠でくくろうじゃないか、こういうことで今検討をしているところでございます。

 さらには、省庁連携でございますけれども、当然、官公庁、そして場合によっては農林水産省等とも、このクリエイティブ産業部を窓口にしながら、政務レベルでも事務レベルでも連携を図っていきたい、このように考えております。

藤田(大)委員 観光庁の方からも、ひとつそういった縦割り、運用改善についてお伺いしたいと思います。

溝畑政府参考人 お答えさせていただきます。

 観光立国の実現は、日本の成長戦略の重要な柱と位置づけられておりまして、これは、政府、地方公共団体、民間、オール・ジャパンで臨まなくちゃいけない課題であるというふうに認識しております。特に政府一丸となって取り組むということは極めて重要でありまして、関係省庁との連携ということについては大変重要であると認識しております。

 このため、国土交通大臣を本部長といたしまして、関係省庁の副大臣などから成ります観光立国推進本部を設けまして、観光立国の実現に向けた推進体制の強化を図っております。現在、推進本部のもとにワーキンググループを三つ設けておりまして、訪日外国人旅行者数を増加する、休暇分散化の推進、多様で魅力的な観光資源の発掘、活用、この三点につきまして連携、調整を進めているところであります。

 今後も、効果的、効率的な連携を進めまして、スピード感、ネットワーク、これを肝に銘じまして緊密な省庁間連携を図っていきたいというふうに考えております。

 今後ともよろしくお願いしたいと思います。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 以上で質問を終わります。

東委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 おはようございます。民主党の稲富修二でございます。

 実は、私、きょうが当選して初めての質問でございまして、一年たって政治の状況は随分と変わりましたけれども、税金の使い方を変えていく、そして、やはり政治主導を確立していくという、その思いはいささかも変わりません。質問の機会をいただきました諸先輩方に深く感謝を申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 私の地元は福岡でございまして、福岡は、来年度、九州新幹線が全線開通をするということで、博多駅前再開発が進んでおります。そして同時に、中国からフェリーが年間六十六回来て、多くの観光客の方が福岡市内に観光、買い物に来ていただくという明るいニュースもございます。福岡市内も、雇用あるいは設備投資も含めて数字も決して悪くはございません。

 しかし、やはり問題は円高でございます。福岡は、他方、自動車生産の集積地でもございまして、福岡県下で見ますと、百万台を超える、今いっていないと聞いておりますが、百万台に近い生産を誇っております。そういう中で、円高、エコカー補助金の打ち切りというダブルのことがありまして、将来に向けて、やはり不安感というものがございます。この将来に向けてどうなってしまうんだというマインドを変えていくことこそが、やはり政治の役割であるというふうに思います。

 このエコカー補助金についてお伺いをしたいというふうに思います。

 まあ、補助金の中でもいい補助金と悪い補助金がある。私は、このエコカー補助金はいい部類だというふうに思っております。そういう中で、将来に向けてエコカーを普及させていく、そして、この補助金は将来に向けての一種の補助金であるという意味では、やはりいい補助金だ。

 しかしながら、これを近々に打ち切るということでございますが、この打ち切らなければいけない理由と、そうはいっても、これから十月、年末にかけて大変厳しい状況を迎えるのではないかという中で、それにかわる何らかの手だてが必要になってくるのではないかというふうに思うわけですが、その点の御答弁をいただきたいというふうに思います。

近藤大臣政務官 稲富先生にお答えいたします。

 いい補助金と評価をいただいてありがたいと思うわけでありますが、エコカー補助金は、まさに御指摘のとおり、大変国民の皆様にも御評価をいただいた補助金であろうか、こう思うわけであります。

 事実関係を申し上げますと、一昨日までの、月曜日までの申請を反映した予算残額は約百二億円でございまして、この残額がなくなった時点で、申請総額が予算を超過した時点で終了となります。こうなりますと、近日中にといいますか、大体毎日、今週に入りまして一日百億円程度の申請がございますので、きょう、あすぐらいには終息するという形になります。

 この終結の理由でございますけれども、一種需要の先食いをしてきたのも事実でございまして、このことを総合的に勘案して今般終結を決めさせていただいた。

 補助金が終了した後、一定の反動減が見込まれるわけでありますけれども、新車投入や民間企業の努力、または、ここが大事なんですが、平成二十三年度まで継続するエコカー減税は実施する、こういうことで下支えを期待したい、こう思っているわけであります。

 ただ、先生の御指摘は非常にある意味で正しい部分もございまして、我々としては、まさに円高を受けて自動車メーカーの国内拠点の採算性が悪化する、また、中小企業が、先生の御地元の福岡にも多くの関連産業があろうかと思いますけれども、懸念をされているわけであります。

 代替措置はいかに、こういうことでありますが、現在検討中の経済対策において、低炭素型雇用創出企業の立地補助金を増額するといいますか、盛り込むということを政府内で検討しておるわけであります、拡充を検討しております。先生の御指摘も踏まえて、この使い勝手をよりよくするということ、具体的には、とりわけ自動車関係産業に幅広く利用いただけるように使い勝手をよくするということで取り組んでまいりたいと思いますし、中小企業の技術開発を促進する措置も取り組んでまいりたいと思います。

 ただ一方で、需要がどうだという先生の御指摘、これは重く受けとめなければいかぬ、こう思っておりますので、ぜひ今後稲富先生もさまざまな御提案をいただければありがたい、このように思います。

稲富委員 ありがとうございます。

 経済は生き物ですので、これから、十月から十二月にかけてかなりの落ち込みも予想されるという中で、機動的にぜひ御対応いただければというふうに思っております。

 続きまして、やはり円高にかかわることですけれども、先ほど副大臣から御答弁ありましたように、政府が対策として方針を固めて、その中で新成長戦略を前倒しでやっていくという趣旨が入っていたかと思います。その中で、私がきょうお尋ねしたいのは税制に関することでございます。

 これから、もちろん短期的にはそうですけれども、中長期的に日本の経済をよくしていくためにはやはり税制改革が欠かせないというふうに思います。外国から企業を呼ぶにしても、日本の企業を育成するにしても、税制改革をぜひとも前へ進めていただきたいというふうに思っております。

 そういう中で、来年度に向けてどういう税制改革というものを目指していらっしゃるのか、その点、お答えをいただきたいと思います。

高橋大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 二十三年度税制改正に関する経済産業省関連の要望につきましては、先ほど来お話が出ております、新成長戦略を実現するという目的のために、立地競争力の強化、グリーンイノベーションの推進、中小企業の活性化、これが三つの柱でございますけれども、特に法人実効税率の引き下げにつきましては新成長戦略の柱でして、法人実効税率を国際的水準に、一気にというか、なかなかこれは財源の問題もございますから、段階的に引き下げるために、まず法人税率の五%の引き下げというのを要望させていただいております。

 この実効税率の引き下げとほかの政策もミックスの形で、先ほど来お話がありました円高で、法人実効税率も非常に高いという中で、企業が日本から出ていかない、日本になるべくいていただきたいということと、逆に他国の企業が日本に来ていただくためにもこういう部分というのは大変重要で、雇用を確保していくという意味でも、これは推進をしていきたいというふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございます。ぜひこの税制改革を前に進めていただきたいというふうに思います。

 その点で、一点、ぜひその法人税のことを考える場合に考慮いただきたいのが、企業にとっての社会保険の負担でございます。中小企業もそうですし、大企業も、経営する側あるいは人からすると、実は社会保険料も一種の税金である、これが大変大きな負担になっているというのが実情でございます。

 実例で申しますと、私の地元の中小企業なんですけれども、例えば物販業をされている方で、従業員が十五名いらっしゃる携帯電話の店舗さんなんかは、年商六億円の中で税引き後の利益が二百万円、こういう会社で法人税は国、地方合わせて約百五十七万円払っていらっしゃる。他方で、社会保険料、労働保険料を合わせますと約六百万円納めていらっしゃいます。法人税が国、地方合わせて百五十七万円、社会保険料、労働保険料合わせて六百万円というのが負担でございます。

 また、別のIT関連の小規模事業者、従業員六名の会社で、年商五千万円の会社で、税引き後利益が二十万円出ているところなんですけれども、法人税が国、地方合わせて二十五万円。片や、社会保険、労働保険合わせますと百五十万円。社会保険、労働保険合わせて百五十万円、法人税は二十五万円というのが実情でございます。

 これは中小を問わず、やはり社会保険料というものが非常に大きな負担になっているというのが実情でございまして、法人税一つとらえて高い低いだけではなくて、企業を運営する側に立って、全体として、トータルとしてどういう負担になっているのかということをぜひ考慮いただいた上で税の議論をしていただきたいというふうに思います。

 そこで、トータルで見た場合に日本の負担というものが諸外国と比べてどうなっているのかということをぜひお尋ねしたいというふうに思います。

高橋大臣政務官 御指摘の社会保険料負担を含めた公的負担の水準は、これは対GDP比で比較すると、アメリカとかイギリスよりは高いんですけれども、フランスやスウェーデンといった高福祉の国々と比べると必ずしも高い負担となっていないということは事実だと思います。

 ただ一方で、最近の競争相手というのは大体中国だったり韓国だったりするわけなんですけれども、そういうところがグローバル企業の拠点立地を今進めておりまして、日本からも外資の企業が中国に出ていったりというようなことも出ております。そういう各国と比べると、企業の利益に対する公的負担というのは、日本は非常に高い水準にあります。

 特に法人実効税率は、先ほど申しましたけれども、中国も二五%に引き下げたり、例えば台湾なんかは一七%になっているとか、そういう国々と競争していかなきゃいけないわけですけれども、そういうところと比較して高い水準になっておりますので、我が国の立地競争力の強化ということを考えると、法人実効税率を引き下げていくということが大変重要なことになってくると考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 私も、繰り返しになりますが、ぜひ法人税の引き下げということが必要だと思います。それと同時に、これも申し上げなければならないのは、やはり広く薄くというのが税の潮流だというふうに思います。やはり租税特別措置法の見直し、整理統合、これは昨年の税制改正で大きくうたわれておるところでございますが、これはこれとして進めていかなければならないというふうに思います。

 そこで、昨年度の実績と租特の整理統合、そして来年に向けての決意ということをぜひお伺いしたいというふうに思います。

高橋大臣政務官 二十二年度の税制改正で、税調で示された政策税制措置の見直しの指針というものがございまして、いわゆるふるいと言われているものなんですが、合理性、有効性、相当性、それぞれ厳しい見方をして指針を出されておるわけですけれども、経産省としても厳しく検証を行いまして、情報基盤強化税制の廃止とか長期間継続している措置の廃止などを含めて、二十二年度につきましては十六項目の見直しを行わせていただきました。

 引き続き、こういう厳しい見方をしながら、来年度につきましても、有効性の観点等から厳しく検証を行って、十二項目の見直しを要望していきたいというふうに思っておりまして、これを何とか実現させていただきたいというふうに考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 租特の見直しというのは、私は民主党の大きな原点の一つであるというふうに思います。税金の使い方を見直していく、無駄を省いていくということ、これの大きな一つの柱であると思いますので、ぜひとも鋭意続けていただきたいというふうに思います。

 税制の抜本改革というと、どうしても消費税の議論が進まないと進まないということが続いてきたのではないかと思います。法人税の実効税率も、平成十一年に改正を見てから十年、国税は変わっていないということが続いております。先ほどもありましたように、これからこういう局面になって新成長戦略を前倒しで進めていくということでございますので、消費税の議論にかかわらず、将来やるべきことはどんどん前倒しで税制改革を進めていただきたいと思います。

 それと、繰り返しになりますが、エコカー補助金打ち切りということで、これから年末にかけて大変厳しい局面を迎えることがあるというふうに思いますので、ぜひともそこを注視しながら政策を打っていただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

東委員長 次に、塩崎恭久君。

塩崎委員 自民党の塩崎恭久でございます。

 まず、きょうは、直嶋大臣に基本的にお話を聞かせていただこうと思っていますが、いろいろ報道ぶりを見るとなかなか厳しいことが書いてあります。

 これは、きのうの新聞、共同通信の配信だろうと思うんですが、愛媛新聞で、地元でたまたま朝見たものですから。自民党の谷垣総裁もこの間新潟の燕市に視察に行ってまいりましたけれども、この報道を見ると、金属洋食器メーカー、アサヒの田中社長は、「「こんな時に代表選なんて。国民のことを考えてんのか」と吐き捨てるように言った。」それから、匿名で取材に応じた大田区内の工業用接着剤メーカーの社長、平さんの支持者かもわかりませんが、「「この三カ月間、何もしてこなかった菅首相を許すことはできない」と怒りをあらわ。「まだ小沢氏の方がましかもしれない」。期待感を全く込めない口調だった」。

 それから、最近とみに親しくされようとしている日本経団連の米倉会長さんの朝日新聞のインタビュー記事でありますけれども、「今の経済情勢を考えると、この時期に政権与党が代表選をやること自体おかしい。」「問題が山積している。政党間で政策対話を進めていかねばならない時に与党を二分するような代表選は政治空白を生みかねない。」「国民は「与党としてもっと他にやるべきことがあるのではないか」と受け止めているのではないか。」これが経済界、経団連の代表のお言葉であります。

 海外も大変厳しい評価をしています。ファイナンシャル・タイムズは、「将軍が影から姿を見せた」、将軍というのはだれだかわかると思いますが、と小沢氏を表現して、「円高とぜい弱な経済回復に苦しむ日本にとって、最も不要なのが政治的な混乱。それが代表選により現実となった」。

 こういうふうに厳しい評価を国内外ともにしているわけですけれども、直嶋大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

直嶋国務大臣 済みません、おくれて申しわけございませんでした。

 塩崎先生の御質問に答えさせていただきます。

 そういう御指摘が報道の中であることは、私も一応読ませていただいて存じ上げています。それから、恐らくそういう御発言の背景になっているのは、やはり今の経済情勢が大変厳しいということではないかと思っております。

 私どもも、特に最近為替の円高が続いておりまして、このレートが、こういう傾向で円高が続いていきますと、日本経済にとっても大変大きなマイナスになるというふうに受けとめております。

 ただ、何もやっていないというのは大変な認識の違いでありまして、先般、八月三十日に追加経済対策の基本方針を策定させていただきました。これは、今週末になりますが、十日に具体策をまとめるということになっておりまして、現在、政府内で議論を詰めております。足元の経済の問題についてはしっかり認識をいたしておりますし、着実にその対策もしっかりつくっているということでございまして、まとめましたものを早急に実行に移しまして、足元の経済をより確かなものにしていきたいというふうに思っております。

 代表選については、そういう批判はございますが、これは、民主党として代表の任期は二年ということで決まっているものでございまして、定期的な代表の選挙であるということでございます。これをまたやらないということになれば、別の問題が出てくるというふうに思っていまして、代表選は代表選として我々も粛々とやる、ただし、必要な、国民生活にとって重要な部分についてはしっかり手当てをしていく、こういう考えで今取り組ませていただいておりますので、よろしく御理解を賜ればというふうに思っております。

塩崎委員 驚きました。

 今私が読み上げた報道は、いずれも七日、きのうの朝の段階です。三十日に基本方針を出したのはだれでも知っている。しかしながらこういう怒りの声が来ている。特に、代表選をこんなときにやるのかということであって、それは党内の問題で、工夫をしてくれということを米倉さんははっきり言っていますよ。ですから、燕のこの社長が言っていることも米倉さんが言っていることもおかしいということを大臣はおっしゃっているんですね。

直嶋国務大臣 そのおっしゃっている発言を別におかしいとは申し上げていません。先ほど申し上げたとおり、やはり今の経済の情勢について大変厳しい受けとめをされているということでそういう発言につながっているのではないかというふうに思います。

 したがいまして、その部分に関しては、我々も今しっかり対処をしているところであるということを申し上げたわけであります。

塩崎委員 いや、申し上げたいのは、わかっていると言っている人のことをだれも理解していないということを理解した方がいいんじゃないかということを申し上げているので、要は、政府のやっていることに対して世の中がどう見ているかということを我関せずでいく、代表選も二年の任期で決まっているんだからやらざるを得ないんだ、そんなことで経済に責任を感じているんですか、本当に。私は本当に今の話を聞いてがっかりいたしました。

 要は、政府、日銀、今はいないけれども、日銀もそうだと思うんですけれども、いずれにしてもツーリトル・ツーレート、こればかりやってきているわけであって、今回、そもそも九十円を割ったのは六月の二十四日ですから、菅さんになったのは六月八日、菅政権ができたのは六月八日ですよ。それからどんどこ円高になって、二十四日にはもう九十円割れしていた。それで、株の方は一進一退でしたけれども、ちょうど菅さんが夏休みに入った途端にどおんと、三百円近く落ちて、軽井沢から電話を入れたけれども、官房長官がまあまあゆっくりやってくださいと言うので、軽井沢でゆっくり本を読んだ、こういうことですわな。

 ですから、本当は八月の真ん中ぐらいまでに基本方針を出して、二十日過ぎぐらいには、今度、十日ですか、何か対策をまとめるということになっていますけれども、そのくらいまでにやっていれば、米倉さんがあんなことをおっしゃったり、あるいは燕の人も、まあ政府もやっているけれども不十分じゃないか程度のことで済んでいたと私は思うんですよ。

 だけれども、今のお話を聞いていると、もう十分やっているんだから、まあ見ていろと、こういうような感じがしてならないのであって、今一番みんなが心配しているのは、心配というよりも本当に頭にきているのは、政府として一丸となってこの問題に、まず関心を持って、そして対応をしているのかというところが問われているのであって、やっているやっていると言っているけれども、全くそういうふうに思われていないからこういう発言が出るんだということをちゃんと理解していただかなければならないというふうに思うわけであります。

 それで、今、円高、株安はなぜ起きていると思いますか。

直嶋国務大臣 今の日本経済の状況を申し上げますと、失業率が大変高いということで、大変厳しい状況にありますし、実体経済そのものはリーマン・ショックのあの不況から回復をしてきた、そういう途上にあるということは間違いないと思うんです。

 ただ、今お話しの部分で申し上げますと、やはりアメリカを初めとした海外景気の下振れ懸念、それを受けた形での円高ということにつながっているというふうに受けとめております。また、同様に、そうしたものを受けた形で株安も生じているというふうに受けとめておりまして、このマーケットの急激な変動がさらに実体経済に与える影響もやはり懸念をいたしているところであります。

 先般、経済産業省で、八月の終わりでございますが、「円高の影響に関する緊急ヒアリング結果」というのを、企業にヒアリングをいたしまして取りまとめました。この中でも大変厳しい結果が出ておりまして、そういう意味では、今の為替の状況については私は大変強い危機感を持っているということでございます。

塩崎委員 基本的には円高は、言ってみればユーロ安とドル安の裏返しということで、今、欧米の経済の見通しが悪いということでありますから、それはそれでそのとおりだと思うんです。

 しかし同時に、日本が本当はこんなに円高になるはずがない経済的な構造問題というのを抱えている。にもかかわらず、競争力が落ちているといって、ついこの間まで産構審で大騒ぎしていたわけですよね。ですから、本当は円高になるはずがないわけですけれども、日本よりも今もっと悪く見えているところがあるから、たまたま円高になっているということだと私は思っているんです。

 問題は、経済産業大臣というのは日本の経済の、本当は、言ってみればお医者さんとして、悪いところは治し、そして伸ばすべきところは伸ばす、こういう大事な役割を担っている大臣、役所であるわけであります。当然お医者さんには治療をする際にはちゃんとした診断をしてもらって、その上でちゃんとした治療をしてもらう、できたらお医者さんの腕がいい方がいいな、下手くそな腕で手術されるのは怖いということなんですが、一番大事なのは、要するに診断を間違っていたら必ず治療も間違うに決まっているわけです。そうすると、診断たる、日本の経済が抱えている本質的な問題は一体何だということについての認識をぜひ大臣からお聞きしたいと思います。

直嶋国務大臣 今の為替の状況は別にしましても、我が国経済では、簡単に言いますと三点ぐらい大きな構造的な問題があるというふうに思っています。

 一つは、やはり自動車に代表されますように、特定の産業に過度に、過度にという言い方が適切かどうかわかりませんが、非常に依存度が高いということでありまして、したがって、産業構造としてはやや特定産業に偏った形になっている。その一方で、国内での企業競争が非常に激しい。そのために国内の消耗戦による企業そのものの疲弊といいますか、そういう問題が出ているということが一点であります。

 それから二点目は、やはり企業のビジネスモデルも相当古くなっているのではないかというふうに思っていまして、よく、技術で勝って事業で負ける、こういう言い方をしていますが、それぞれはすぐれた技術を持っているんですが、それをビジネスとして成立をさせる、そのモデルのあり方に、特に、ここのところは欧米諸国のいわゆる先端的な企業と比べますと事業転換のおくれというのが目立つというふうに思っています。

 それから三点目は、先ほども法人税の御議論がございましたが、やはり投資先としての、事業拠点としての日本の魅力が落ちているのではないかというふうに思っています。法人税率が一つの代表例でございますが、それ以外にも物流インフラの問題等、日本で事業をやるための、その拠点としての魅力を急激に失っているというふうに思っています。

 また一方で、グローバル経済の中で、主要国が新たな成長分野に着目をして、戦略分野に対して官民一体となった大胆な政策をとっている、こういう構造的な変化が出ておりまして、そういうものに的確に対応していく必要があるというふうに思っています。

 そういう点で、本年六月に産業構造ビジョン二〇一〇というのを取りまとめまして、こちらは特に産業の競争力の強化を重点に置いております。それと新成長戦略をあわせて取りまとめましたので、これらを着実に実行していくことによって日本の産業の競争力を高めることにつながるというふうに思っています。

 新成長戦略実現会議というのを設置を決定いたしまして、明日、第一回を開催する予定になっております。これは政府だけではなく民間にも参加していただいて、日本経済の問題を解決すべく積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

塩崎委員 経済産業大臣として経済産業省でやっていることを代弁される気持ちはよくわかるし、それは役割の一つではあるんですけれども、今申し上げたのは、日本の経済の抱えている問題の本質は何かということを聞いているので、余り産構審の細かい話を言われても困るんですね。

 この三十日の経済対策の基本方針でも、当面の経済運営の目標はデフレ脱却だと書いてあるわけです。新成長戦略でもいろいろ書いてありますけれども、基本的には需要の問題なんだということを言っているわけでしょう、菅さんは。閣議決定していますから連帯責任がある新成長戦略は、需要の問題だと言っている。しかし、今大臣がおっしゃったのは、ほとんど供給側の問題ですよ。だから、全然、内閣の認識として異なったことを言っている。

 実は、正直言うと、経済産業省が言っていることは合っていると私も思っていますからそれでいいんだけれども、大臣として一体、そのもともとの根幹の部分の、需要の問題だと親分の菅さんが言っていること、最初は国家戦略担当大臣だったんですけれども、今は総理大臣になっちゃったから親分であります。彼が主に引っ張ってきて、閣議決定までした。需要が足りない、これを何とかしないといけない、一に雇用、二に雇用、三に雇用と言っているけれども、雇用をつくれば需要ができるなんて、まあほとんど、増税すると成長するのに等しいぐらいのびっくりするようなことを言っているわけです。

 こういうようなことを、いや、おっしゃっていることは正しいんですよ、直嶋大臣。だけれども、本質問題というのは何なのか、こうなると、総理と経産大臣は違う認識を持っている。ですから、両方ともお医者さんだとすれば、診断は二人違うことを言っていて、治療はどうなってしまうのかなと。こういうことを言っているから、さっきのような経団連の会長さんの発言があったりするわけで、一体、一丸となって政府は、同じ認識でもって、そして同じ処方せんでもって治療するということになっているのかということを非常に心配するわけなんですね。

 ですから、普通、お医者さんを見るときには、これはやぶ医者かななんて見るわけですけれども、よく見たらやぶ医者じゃなくて免許を持っていないにせ医者だったなんて、こんなことになると、患者たる日本経済はえらいことになってしまうわけであって、例えば経済対策の基本方針の最初に「「デフレ脱却」が当面の目標」と書いてあって、新成長戦略において需要面を中心とする政策により云々と書いてあって、「日本経済を本格的な回復軌道に乗せることを目指している。」と。

 だから、需要側に問題があるんだということをこれは言っているので、今おっしゃったことは、需要のことについてはほとんどおっしゃっていない。この辺の違いをどういうふうに説明されるんですか。

直嶋国務大臣 今のデフレの状況がやはり日本経済の一番大きな問題点であるということは、私も認識は同じでございます。したがって、それを乗り越えて、これから日本経済を成長軌道に乗せていく上で重要だと思っている点を、先ほど経済産業大臣の立場で申し上げたということでございます。

 特に雇用が深刻な状況にあるというのは先ほど申し上げたとおりで、やはり雇用対策をまず最重点にしなければいけないということはそのとおりでありますが、同時に、これは需要か供給かという議論ではなくて、需要と供給をいかに好循環につなげていくかということで先ほど申し上げたわけで、やはりきちっと日本国内での投資をしてもらわないと、いろいろ工夫をして対策をした雇用も長続きはいたしませんし、その拡大につながらないということで、双方重要であるというふうに受けとめております。

塩崎委員 需要と供給の好循環というのは、それは言い方によってはそのとおりかもわかりませんけれども、基本的には、ではデフレの原因は何だと思いますか。

直嶋国務大臣 これはいろいろな要因があるんじゃないかと思いますが、やはり一つは、このところずっと円高基調が続いておりますし、リーマン・ショック以来の不況の中で物価が低下をしているということは間違いないと思いますし、企業の競争状況としてもそれからなかなか抜け出すことができないというのが一つあると思います。

 それから、もっと本質的なことを申し上げれば、大体九七年ぐらいから日本の家計の可処分所得はずっと長期的に低落傾向にあります。したがいまして、一番根本的なところは、やはり家計の収入をどうふやしていくかということになってくるのではないかというふうに思っています。

 こういうものが相まって今のデフレ状況をつくり出しているというふうに思います。

塩崎委員 デフレの一つの部分が可処分所得の減少とか所得の減少とかそういうのにつながってきているわけですけれども、現象だけ言われても困るので、デフレはなぜ起きているのかということの認識をお聞きしているわけで、断片的に円高とか競争が激しいとか可処分所得が減っているとか言われても、説明に余りならないのです。

 では、可処分所得はなぜ減ってきたんですか。よく、仙谷官房長官流に言うと、それは自民党が悪かったからだ、こう言いますけれども、そういう答えは期待していませんから。

直嶋国務大臣 本質的なグローバル経済の中で競争が激しくなる中で、先ほどもお話に出ましたが、やはり今需要と供給のバランスが崩れているということであるというふうに思っています。

塩崎委員 そのとおりだと思うんですね。

 要するに、需給ギャップがでか過ぎる、それがずっと続いているというところからデフレがずっと続いているんですけれども。

 どっちに問題があるんだと思いますか。需要ですか、供給ですか。

直嶋国務大臣 ですから、先ほど申し上げたとおり、これは需要だ供給だという議論ではなくて、需要と供給の好循環をつくり出していかなきゃいけないというふうに思っています。

 今はその循環が悪い方に回っているということは申し上げられるのではないかと思います。

塩崎委員 私は、基本的には供給サイドの問題だと思っています。競争力というのは、まさにそのとおり、競争力は供給サイドの問題であって、特に問題は、ボーダーレスになって、中国を初め、アジア、インド、あるいは東欧でもいいです、いずれにしても、そういう新興国と賃金でも物価でも競争せざるを得なくなって、だんだんそちらにさや寄せをしないと企業経営はやっていけない。だから、賃金は下がり、そして物価も下がり、それは国内の供給がまた過多であって、そのままで来ちゃっているから。もちろん、需要が少ないというのもありますよ。

 だから私は、供給サイドの問題で、それは正しく大臣は今おっしゃったんですよ、競争が激し過ぎるというのを。では、なぜ競争が激し過ぎるのか、そこについてはまたこれからいろいろ議論していきたいと思いますし、競争政策について大臣を呼べるように北神筆頭のおかげでなりましたから、また改めて、今度は蓮舫大臣だというので、しっかり議論していきたいと思います。

 問題は、先ほど来言っているように、政府として打って一丸となってこの問題に対して解決をしていくのかよくわからないというのが、実は世界も市場も、そして国民の皆様方もそう思っているというところが問題なんです。

 さっき、新成長戦略実現会議というのをきのうつくりました、あしたやります、こう言っています。これは一体、何のための何の会議ですか。

直嶋国務大臣 これは、ことし六月に取りまとめました新成長戦略、もう内容は御存じだというふうに思いますが、六つの重点政策を掲げているわけですが、これを現実に実行していかなきゃいけません。その実行するための大きな推進母体が必要だというふうに判断をいたしまして、先ほどお話ししたように、関係の閣僚だけではなくて、民間の皆さんにも入っていただく、その他必要であれば恐らく日銀からも出席をしていただくということになるんだと思います。

 いずれにしても、政府と民間と力を合わせてこの成長戦略を実行していく、そのための推進母体ということでつくらせていただきました。

塩崎委員 閣議決定を見ると書いてあるのでわかるのですが、問題は、これを見ると、メンバーシップが経済財政諮問会議とよく似ているんですね。議長は総理、そして何人かの大臣が副議長でいて、民間議員、労働組合の人を入れているぐらいがちょっと違うぐらいで、ほとんど変わらないですよ、ほとんど変わらない。それで、諮問会議はやめるとおっしゃっていたけれども、結局、こういうものが要るということなんですね。

 それで、実は、経済財政諮問会議をやめてつくると言っていたのが国家戦略局、今は室ですけれども、これについては一悶着あって、やめる、やめない、どっちに行っているんだかよくわからないようなことを菅さんは言っていますけれども、こことの関係はどうなっちゃうんですか。

直嶋国務大臣 経済財政諮問会議は私もちょっと内容は、まあ、それは塩崎さんの方が直接かかわっておられたからよく御存じだと思うんですが、私なりに申し上げますと、経済財政諮問会議のような性格ではなくて、先ほど申し上げたとおり、成長戦略を実行していく、実現していく、そのための推進母体だということでありまして、経済財政諮問会議のように、例えば予算の骨格をつくるとか、そういうところまでは今回の会議の役割には入っていないのではないかというふうに思っています。

塩崎委員 さっき、やぶ医者かどうかという話を申し上げましたけれども、経済というのは成長戦略だけで成長するわけでもないし、影響を受けるのは成長戦略だけじゃないわけですよね。いろいろな経済政策があって、予算ももちろんあるし、予算の中にいろいろな政策が組み込まれているわけですけれども、これら全体、経済関係政策、あるいは、社会政策も経済的なものがありますから、そういうものを全部ひっくるめて初めて、経済というのはどっちに行くかというのが決まるんだろうというふうに思うんですよね。

 それで、前回の一般質疑のときに申し上げましたけれども、政治主導確立法案の中に経産省の設置法を直すというのがあります。御存じですよね。それは、「経済全般の運営の基本方針の審議に係る企画及び立案への参画に関し、所掌に係る政策の企画を行うこと。」という設置法がある、この一文を落とすんですね。だから、経済産業省は経済全般の運営の基本方針の審議に関係なくなるということになっちゃうわけですよ、これだと。そのかわり国家戦略局ができますと。

 この政治主導確立法案の中では、戦略局が何をするのかというと、「経済全般の運営の基本方針、」とまず最初に書いてあるんです。それで、「財政運営の基本、租税に関する政策の基本及び予算編成の基本方針の企画及び立案並びに総合調整に関する事務」、これをやるということだった。ところが、これをやめて何かアドバイザリーボードにしますということを突然菅さんが言い出して、委員会の途中でまたさらに、いやいや、あれは継続審議になっているんだから、あれはやるんだと。どっち向いているのかよくわからない。

 今やっている、ひんしゅくを買っている代表選挙、この中で言っている……(発言する者あり)いや、ひんしゅくを買っているというのはさっき新聞記事にあったじゃないですか、米倉会長もそう言っているということを言っているので……(発言する者あり)では経団連に言ってくださいよ。

 この中で、マニフェストで、菅さん支持ですよね、そうでしょう、後で明確に答えてください、「国家戦略室は、局への格上げを念頭に、従来の垣根に囚われない自由な発想で政策を構想する組織に強化します。」構想日本みたいですよね。「省庁間で合意できない課題があれば、機動的に関係閣僚会議を開催し、最後は私が結論を出します。」こう書いてある。

 そうなるとやはり、国家戦略局、今出している法律とは全く違うものをここで想定しているんですね。何でかといったら、これは、出ている法律は、総合調整をやりますと書いてある。ところがこれは、各省でうまくいかなかったらおれが決めると言っているんだから、全然違うよね、これは。

 菅さん支持ですか。

直嶋国務大臣 今お話しになったところでいうと、今法案を出していますから、当然、国家戦略局をそういう位置づけにしていくということが今の方針であります。

 最後におれが決めるというか、その部分は、ごく当然のことだと思うんですね、省庁間調整をして、それは歴代総理大臣がやはり最終的に、省庁間で議論をしたものは決断をされてきたと思うので、そこは総理として当然のことだというふうに私は思っております。

塩崎委員 今回、菅さんを支持しておられるんですよね。

直嶋国務大臣 塩崎さんはどっちになったらいいと思っておられますか。私自身は、記者会見でも申し上げましたが、今の状況を考えますと菅総理に続けていただくのがいいという判断をいたしまして、菅さんを支持するということを申し上げました。

塩崎委員 いずれにしても、先ほど来申し上げているように、政府が本当に一丸となって正面から経済問題に、強い経済、強い財政、強い社会保障なんて言っていますけれども、根幹は強い経済ですから。だけれども、実際は、さっき申し上げたように、経済が影響を受けるのは経済に関係するあらゆる政策ですから。あらゆる政策。

 だから、私は、経済全般の運営に関して、経済産業省としては大臣にも大いにかかわってもらわなきゃいけないということを前から言って応援しているんですから。経産省、もっと頑張れと言っているわけですよ。今、もう指定席ないじゃないか、遠ぼえだけやったってしようがないと。

 菅さんは需要と言っているんだけれども、直嶋さんは供給だと言っているわけですよ。それは何でかといったら、経産省の事務方が供給だと言っているから、それは経産省の事務方の方が正しいから言っているので、菅さんは間違っているから。

 それで、成長戦略、成長戦略と聞こえはいいんだけれども、トータルの政策でいけば、例えば、子ども手当とか農業の戸別所得補償とか高速道路とか高校無償化とか、こういういわゆる、我々が呼んでいる、ばらまき政策をやって、それをやりながら、一方で、郵政は今度、再国営化をします、最低賃金は上げます、そして製造業派遣はやめます、禁止しますと。それから、これは連合審査もやりましたけれども、CO2の二五%マイナスというのは、ロードマップも何もなしだというのに、とりあえず法律を通してしまうんだ、エネルギー基本計画との整合性はその後とるんだとおっしゃっていましたよね。こういうめちゃくちゃなことをやっている、政府ばらばらの今の状態で、国民や経済主体がみんな、あるいはマーケットも世界も、安心なんかできるわけないじゃないですか。そう思いませんか。

 我々は、マニフェストにも入れましたし、私が取りまとめた成長戦略にも、やはりそこは、ばらまきはやめてその財源を有効に活用しながら、イノベーションを進め、そして国をオープンにして世界標準に日本もする。それから、地方がこれだけ疲弊しているときに、私はゼロ特区なんかを言っていますけれども、地方を元気にすることによってどう違いが最後に出てくるかというと、消費税に出てくるんですよ。消費税の上げ幅が、皆さんの言っているようなことをそのままやっちゃったら、めちゃくちゃ高くなっちゃう。

 我々は、それは上げざるを得ないだろうと言ってこの間も参議院選挙をやりましたけれども、しかし、それをどうやって抑制していくかということが一番大事なはずだったわけであって、そういうことを考えなきゃいけないときにばらばら言われ、アンチビジネス的なことを相変わらずやりながら、成長戦略、そんなこと言ったって、だれも信用しませんよ。政府の中でばらばらなことをやっているんですから。こんなことでどうして経済主体が安心して、あるいは家計が安心して暮らしていくことができるものかというのが私の考えであります。

 最近、アメリカ大統領も選挙で政権交代になりましたよね、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、日本、そしてこの間はイギリス、そのオーストラリアだって、まあ、やっとぎりぎり、かすかす労働党がまた続けることになりましたけれども、しかし危ういものですよ。今度アメリカの中間選挙は間違いなく民主党が負けると言われている。全部経済ですから、全部経済。

 さっきの競争と言っているのは国内の競争、経産省の事務方にいろいろ言われているんでしょうけれども、実は世界の競争が激しいわけですから、それでもって我が国は生活水準が下がってきているわけで、それは我々も、自民党政権のときも十分なことができなかったという反省はしなきゃいけない、それは率直に思いますけれども、しかし、先進国でこれに答えを出した国はまだないんですね。だから、みんな政権交代。別に、労働党から保守党にかわるのは、方向性がどっちに行くかというのは、それは各国ばらばらですよ。要は、現政権がいつも経済問題で負けている。

 だから、このままいけば、民主党が今言っているようにばらばらなことで、おまけに、供給だか需要だかよくわからないようなことを言いながら、てんでんばらばらなことをやり続ければ、間違いなく問題解決できませんから、政権交代が早晩起きるのは見えているんですけれども、しかし、それでは国民が一番困るわけです。

 だから、それは今、皆さんの政権の間にでも、我々から提案をすることでとれるものはとってもらって、参議院もああいうふうになったことでもありますから、この国の経済の根本的な立て直し、一に雇用、二に雇用なんていって、御褒美を上げるから雇用してねぐらいのことでは長続きするわけがないんですから、それよりも雇用する力をどうやって企業につけるか、それはまさに供給サイドの問題ですよ。これをどこまでやれるのかという問題だと私は思っています。

 時間が大分なくなってきちゃったのでありますけれども、この間、ワイオミングのジャクソンホールというところで会議があって、トリシェECB総裁が、日本の失われた十年を繰り返すな、こう言われて、実に恥ずかしい話でありますよね。あれは、要は、不良債権問題を放置して短期的なことで成長を確保しようとした、その失敗を言われているわけです。

 実は、不良債権問題というのは何かといったら、これはまさにサプライサイドそのものですよ。要は、産業がもうだめだということですから、新しい産業構造に変えなきゃいけないということ。ですから、そこのところを我々はちゃんと踏まえなきゃいけないので、幸い供給サイドの話にお触れになられたので、直嶋大臣は、これはひょっとして大丈夫かなと思いますけれども、親分たる、指示をされている菅さんは間違った方向に行こうとしていますから、そこのところはしっかりとやってもらわないとまずいなというふうに思っています。

 そこで、ちょっと一点だけ、具体的なことは後の二人の同僚議員から聞きますからあれですけれども、法人税。

 さっき稲富さんが法人税の減税の話を言っておられました。五%下げるということをとりあえず何か御要望されているようですけれども、一方で、御存じのように、皆さんは、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのを財政の中期フレームワークみたいなもので決めているわけですね。このことはその対象になっているのかどうか。つまり、法人税減税五%やるのに財源は幾らかかるのかという質問。それから、このペイ・アズ・ユー・ゴー原則、いわゆる財源確保ルールですね、これが対象になるとすれば、その財源をどこから持ってくるのか。

 その辺をどう考え、それから、中小企業の一一%というのも考えているようでありますけれども、まあ、それはともかく、まずは、五%についての財源をどう考えて、一体これを本当にどういうふうに実現しようとしているのか、大臣の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。

直嶋国務大臣 前段の方でおっしゃいました、内閣がばらばらじゃないかという御指摘は、私は当たらないと思っていまして、頻繁に協議をいたしておりまして、一体となって今の経済対策を含めて取り組んでいるということであります。

 それから、民主党のマニフェスト政策についても、私は、ばらまきという批判は当たらないというふうに思っていまして、限られた時間ですから余り細かく反論は申し上げませんが、受けとめ方の違いがあるんじゃないかなというふうに思っております。

 それで、重要なことは、先ほど塩崎さんもおっしゃいましたし、先ほど引用された米倉さんの発言の中に、与党も野党も政党同士でよく対話をしてほしい、こういう話がありました。私は、これから臨時国会等始まると思うんですが、非常に日本全体が、今御指摘あったように、経済面だけではなくていろいろな面で大きな転機にあると思っておりまして、こういう時期に、やはり与野党、政治家としてしっかり議論をして、国民の立場に立って結論を導き出さなければいけないと思っておりまして、そういう点での今後の話し合いも私どもも積極的に進めてまいりたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それから、法人税についてでありますが、これから年末にかけて具体的なところは詰めることになっておりますが、一つ考え方の面で申し上げますと、私どもは、この法人税の引き下げは、もちろんこれは税の問題でありますが、同時にこれは、先ほど申し上げたようなことでいえば、成長戦略の問題である。つまり、成長戦略という視点に立って法人税そのものをとらえていこうではないかということを申し上げております。

 したがって、先ほどお触れになった、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのはもちろんあるわけですけれども、同時に、日本の経済を今後成長軌道に乗せていくために必要な政策だという視点も忘れずに議論をしていきたい、そして実現をしていきたいというふうに思っております。

塩崎委員 法人税減税の話は、またさらに議論を深めたいと思いますけれども、今回の三十日の基本方針の中では、今度は新たに投資減税なんていうのが出てきたり、どうも我々から見ていると、足並みがそろっていなくて、ばらばらなことを言っていて、よくわからないなということがたくさんありますから、さらに議論を深めていきたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。

 閉会中でありますけれども、急激な円高が進んでいる、株価も低迷をしているということでございますので、今回、閉会中の中でもこういう委員会を開いて議論をしようということで開いていただきました。この件については感謝を申し上げたいと思います。

 その一方、先ほど塩崎さんからも話がありましたけれども、こういった経済状況の中で、経営者、経済人からは不安、不満の声があったんですけれども、今は悲鳴に近い声になってきている。民主党大丈夫か、民主党の経済政策は本当に大丈夫なのかといった声が上がってきています。

 きょうの議論を通じて、少しでもそういう不安解消につながる、やはり民主党はよくわかっているな、そういう議論ができればいいなというふうに思っております。そういうのができなければ、また別のことを我々は考えなければいけないわけでありますが。

 そういった中で、先ほど、代表選をやっている場合じゃないじゃないかという声、皆さんも選挙区で聞くと思います。直嶋大臣からは、それは二年に一回なんだ、党のルールなんだからというお話がありましたが、実際、影響も出ておりまして、先般、経済産業委員会で、この委員会の議論を充実させるために委員会視察が行われました。これは与野党で打ち合わせをして、日程も調整をして、それで委員会視察に行ったわけでありますが、結果として、残念ながら、民主党の理事の方は、初日、出席者が一名、二日目はゼロ。何で、代表選だからということなんですよね。

 国民の生活が第一というのが民主党のスローガンでありますが、党内政局が第一ととられても仕方がないんだと思います。ですから、代表選はどんどんやってください、しかしながら、欠席した理事が今やじを飛ばしていますけれども、委員会は、与野党で日程を決めたんでしょう。二日目に一人もいないというのはどういうことですか。これはちょっとお願いしますよ。ということで、質問に入りたいと思います。

 あともう一つ懸念は、急激な円高は、会社経営をしている人、またそれがまさにビジネスに直結する人から見れば、本当に身を切られる思いなんだと思います。そして、この間、さまざまなことはやっていると言いますが、マーケットに対して、それをとめる効果はなかなかあらわれていないということなんだと思うんですね。

 これは先ほど塩崎さんも言いましたけれども、さまざまな、例えば、鳩山さんが経団連、商工会議所の新年会に行って、企業の経営者に対して、あなたたちはサプライサイドの人だからと。さっき、直嶋大臣と塩崎さんの議論で、需要サイド、サプライサイド、供給サイドの話がありましたけれども、なぜかそれを切り分けて、我々は需要サイドにやるんだ、サプライサイドよりも需要サイドに重きを移すんだということを宣言してみたり、また、労働規制の強化もやります、デフレなのに最低賃金も上げていこうというところに加えて、今回のこの円高が進んでいく中での、実際、ビジネスマン、経営者から見たら無為無策じゃないかと。ですから、この夏休みに、海外に出ざるを得ない、国内の投資をあきらめざるを得ないという決断をした経営者はたくさんいるんじゃないかなということを私は懸念しております。

 少し前ですか、多分二〇〇三年、岡田代表のときの民主党のスローガンは、この国をあきらめない、そういうスローガンであったように思いますけれども、これでは日本をあきらめてくださいと言っているようなものだと思います。ですから、どうかこういう声に対して、こういう思いに対して、民主党はいろいろ考えているんだ、こういうことをやっているんだ、これからこういうことをやっていくんだということをぜひお答えいただきたいと思います。

 きょうは、経済政策全般と、特にやはり円高対策をどうするのか、それに関連してデフレ対策、それと成長戦略に絡んで規制緩和についてお話を伺いたいと思いますし、貸金業法の六月完全施行の影響なども聞きたいと思っておりますが、実は、きょう、答弁者の方にたくさん来ていただいているのは、私が来てくださいと言ったのではなくて、円高対策やデフレ対策と多岐にわたるので、それに対して政府として答えられるようにしてくださいと言いましたらこういうことになりましたので、御了解をいただきたいと思います。人数も多い、質問も多いということですので、短く短くやりとりができればと思います。

 それでは質問に入らせていただきますが、民主党は何で経済音痴と言われるか。いや、音痴かどうかわからないですよ、これからの答弁ですが、そういうところで、素朴な疑問に、みんなが感じている素朴な疑問にちょっと答えていただきたいと思うんです。

 まず菅さん、一に雇用、二に雇用、三に雇用、雇用がふえれば経済も大きくなると。それを受けて、テレビのインタビューを受けていたOLが逆じゃないのと言っていましたけれども、まさにそうなんだと思います。この辺はどういう意味かよくわからない。その雇用はどうやって支えるんですか。税金で支えるんですか。

 また小沢さん、外需から内需だと言っております。外需に頼らなくても、内需で最低限経済成長がやっていける体質にしないといけない。これは九月三日、日経の朝刊でのコメントですから、多分そういうことをおっしゃったんだと思います。人口減少、少子高齢化。資源もありません。財政出動の余力も限られている。こういった中で、外需から内需だ、外需に頼らなくて、内需で最低限経済成長させる環境というのはどうやったら整うのか。

 ちょっと想像がつかないので、この二つぐらい、ちょっと解説をしていただいて、なるほど、そういうことかということを理解させていただきたいと思います。直嶋大臣、お願いします。

直嶋国務大臣 今御質問の中で代表選挙にもお触れになりましたが、これは先ほど御説明したとおりであります。

 たしか自民党さんのときも、あのリーマン・ショックの直後の九月に代表選挙が行われまして、あのときには麻生さんがたしか選ばれたと思います。あれは世界じゅうが大不況で大騒ぎしている中での代表選挙でした。代表じゃなかった、失礼しました、総裁選挙でしたね。

 ですから、それぞれ政党は政党の規約があって、それに基づいてやっているということでありまして、ぜひ御理解をちょうだいしたいというふうに申し上げます。

 それから同時に、先ほども申し上げましたが、代表選挙にかまけて政策をおろそかにするということは、我々としてはあってはならないと思っていまして、今内閣を挙げて経済対策に取り組んでいるところであります。

 それから、菅総理が雇用とおっしゃっているのは、先ほども申し上げましたとおり、今失業率が高どまりしたままで、特に新卒者でまだ就職できない方が、大卒、高卒で、ことし卒業された方で七万五千人いらっしゃる。また、来年の状況も余り芳しくなさそうだ、こういう状況でございますので、とりわけ若い人の雇用をつくり出していく、あるいは確保する。これは緊急の課題だと思っていまして、そういう面で強調されているというふうに私は受けとめております。

 それから、その中で申し上げますと、せっかくつくった雇用を継続させるということも含めて、やはり企業に国内投資をしてもらえるような、そういう方向に政策的に誘導していかなきゃいけないというふうに思っていまして、今度まとめます経済対策の中にも、我が省の発案でそういう政策を織り込みたいというふうに思っております。

平(将)委員 外需と内需のお答えがなかったかと思いますが、ちょっとこのテンポでいくと終わりませんので、次に行きたいと思います。

 代表選については、自民党の批判もあったのはよくわかっています。それを民主党は、何をやっているんだと批判していたじゃないですか。そういう反省に基づいてやっていただかないといけないんだと思います。

 ちょっと時間がないので、円高対策、これも喫緊の課題だと思います。円高に対して何ができるのかということですね。円高対策というのは多岐にわたるんです。多岐にわたるので、今、政府としてどういう考えを持っているのか、今の円高の主な原因、そして政府としてどういうことを円高対策としてやっていくのかというのをお答えいただきたいと思いますけれども、これは津村さんでよろしいですか。

津村大臣政務官 平委員の御質問にお答えしたいと思います。

 今の円高の背景につきましては、いろいろなエコノミストやアナリストがさまざまな意見を言っておりまして、かなり中長期的なファンダメンタルズにかかわる部分と短期的な部分と双方あるんだと思います。

 この一、二カ月の動きについて言えば、私が比較的多く耳にするという意味でいえば、欧州のギリシャを初めとする危機、それから米国の景気の減速懸念といったものが、相対的に世界全体の経済の先行きに対する不確実性というものを高めているという中で、スイス・フランであるとか日本の円であるとか、あるいは相対的にはドルも世界の通貨の中では買われている。ただ、その相対的な順位が、ドルよりも円の方が比較的安全と見られているようでして、相対的な円高につながっているということかと思います。

 これへの対応ですけれども、今申し上げましたように、中長期的なファンダメンタルズの部分と、そしてもう一つは、短期的な、急激な為替変動の部分と、あるいはその中間的な、雇用や輸出企業の収益という部分と、大きく三つほどのランクがあると思っています。

 中長期については、やはり日本の経済のファンダメンタルズの部分については、いわゆる新成長戦略であるとか財政運営戦略であるとか、評価はいろいろあろうかと思いますけれども、政府として、五年、十年戦略をしっかりと示して、投資環境あるいは消費環境を長い目で整えていくということがあると思います。ごくごく短期的には、それこそ為替政策の発動といったことも選択肢の一つとしてはあるんだろうと思いますが、今、私たちが八月三十日に決定をした経済対策の基本方針の中で努めておりますのは、そのいわば中間的といいますか、急激な円高によって輸出企業の収益が悪化する、そのことが雇用や消費環境に悪影響を及ぼす、マイナスのスパイラルが発生するということを、まずは血をとめて、止血をして、そして当面の対応をするということで、これは財政の法律のルールもありますので、今使える最大限の財源であります予備費九千二百億をすべて使って、これは五つの柱を示しております。

 時間がないということですから、タイトルだけ申し上げますけれども、雇用、投資、消費、地域の防災対策、規制・制度改革の五つの柱に集中して、この一年間の過去の経済対策のPDCAサイクルも意識しながら、効果の高いものから順に九千二百億を集中的に投資する、そういう姿勢でございます。

平(将)委員 津村さん、次の予定もあるということなので。短期、中期、長期的な要因はさまざまなんだと思うんですが、あわせて、やはりデフレがこの円高の背景にあるんだと思います。ですから、今度はデフレに対して政府はどういう手を打つのか、政府全体として。お願いします。

津村大臣政務官 デフレについては、これも幾つかの側面があると思います。例えば、マネタリーな部分につきましては、日本銀行とも連携して十分な意思疎通を図りながら議論をしていくということだと思いますが、狭い意味での政府としてということであれば、新成長戦略で強調しておりますように、需給ギャップが大きな背景にございますので、新しい需要を創造していくということで、少し中期、長期の需要を喚起し、需給ギャップを埋めていくことでデフレ対策にしていこうというのが基本的なスタンスです。

平(将)委員 それでは、津村さん、もう結構です。

 それで、円高、いろいろな原因があると思います。今お話ありましたが、短期的には金利差であったり、中央銀行の利下げのタイミングがずれたりすることであったりしますし、中期的には経常収支がかかわってくる、長期的には物価といったものが影響してくるんだと思うんですが、やはりデフレ対策をしっかりやらないと、円高対策も効いてこないんだと思います。

 そういった中で、では、デフレ対策は何ができるのか。おおむね二つ。需給ギャップをどう埋めるのかということと、金融政策、金融をどう緩和するのか、各国の中央銀行のやり方の中でどういう金融政策をとっていくのかということ、二つあるんだと思います。

 一つ目の需給ギャップですが、先ほど議論もありましたけれども、供給サイドと需要サイドの問題があって、これは私は両方必要だと思いますよ。供給サイド、競争力をつけていく、新しい産業を生み出していく。あと、それと同時に、やはり需要サイドとのギャップをある程度埋めないとだめなんだと思うんですね。

 ですから、私は、まず、円高対策を効果的に発揮するための素地として、パッケージとしてのデフレ対策をちゃんと立てなければだめだと。そして、その中で需給ギャップをどうするのかというんだけれども、それは、サプライサイドは時間がかかりますから、将来の成長戦略で出せばいいですよ。でも、足元の需給ギャップをどう埋めるんですか。

 三十兆あるとかいろいろ言われておりますが、例えば、そこに対して何分の一か政府がお金を出して支える。例えば三分の一だったら十兆円。その十兆円の、例えば五兆円だったら五兆円を将来の日本の成長につながるインフラ整備につなげる、残りの五兆円は民間に使ってもらう、投資減税なりなんなりという形で使ってもらう。そのような具体的な需給ギャップを埋める手法、需要側の、需要の不足、それとあわせてサプライサイドを改革していくということを出していかないといけないんだと思います。

 その点で、このデフレ対策。一つは、需給ギャップに対してどういう手を打つのか。二つ目は、金融に対して日銀とどういうことをやっていくのかということを短くお答えいただければと思います。これはどなたでも結構ですけれども。

直嶋国務大臣 先ほど申し上げました経済対策の基本方針を八月三十日にまとめさせていただきましたが、この中でやはり最重点でデフレ脱却を掲げておりまして、今委員がおっしゃったことも含めて、具体的な政策を策定しているところでございます。したがいまして、おっしゃるように、需要と供給、両面からあるだろうというふうに思っています。

 それから、日銀との関係でございますが、これも、昨日開催されました金融政策決定会合において「日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することがきわめて重要な課題であると認識している。」ということを申されて、「きわめて緩和的な金融環境を維持していく。」また「必要と判断される場合には、適時・適切に政策対応を行っていく方針である。」ということを昨日日銀は表明をされております。

 日銀と政府との間できちっと連携をとって、今申された両面で対応をしていきたいというふうに考えております。

平(将)委員 時間もありませんので私の考えを述べさせていただきたいと思いますが、需給ギャップも成長戦略だけでは不十分で、やはり埋める具体的な額、ボリューム感を出していかなければいけないと思います。

 では、財源はどうするんだという話になりますけれども、財源は、これから事業仕分けをやられて、特別会計をいろいろやられるんだと思います。そろそろ埋蔵金も出尽くすころだと思いますけれども、再度の埋蔵金を使えばいいし、もしあれだったら、郵貯の株を売ればそのぐらいの資金は出てきますから、そういうこともやられたらいいと思います。

 そのときにやるのは、成長戦略で民主党が出された第一の道、第二の道、第三の道で、第一の道の公共事業、公共投資をかなり否定的にとらえていましたが、それはただただやればいいという話じゃないんですが、将来の成長につながる、アジアの需要を取り込むことができる、日本の経済の生産性を高めるようなインフラ整備であれば、私は前倒しをしてやるべきだと思います。埋蔵金のたぐいはワンショットですから、社会保障にばあっと出すのではなくて、こういう経済政策に使うべきだと思います。

 さらに、金融緩和ですが、これはもうずっと議論されているんだけれども、日銀の独立性もあるところで、その都度その都度、政府が日銀にプレッシャーをかけるのもどうかと思います。その反面、日銀はインフレに対してはすごい敏感だけれども、デフレに対して私は鈍感だと思います。そういった意味では、やはり物価目標を定めて、よく話し合って、それで総裁にやれと言って、あとは、いつ、どういうときに、どういう政策をやるかは日銀が考えればいいですよ。

 それで、できなかったら総裁をかえたらいいですよ。そういうような形でやらないと、ずっとこの議論が続くので、ぜひそういうことで、済みません、参考人に副総裁が来られていますが、時間がないので、後でもし時間があればと思います。そういうふうにやっていただきたい。その上で円高対策ですよ。こういうデフレ対策のビジョンをちゃんと示さないと、小手先で円高対策をやっても効きません。

 そういった中で、お伺いしたいことは、何で為替介入をやらないのと言ったら、今の状況ではなかなか協調ができないからということなんですね。しかし、為替は戦争みたいなものですよ。協調の名のもとに、自国の国益をどう守るのかということをやるんだと思うんです。そういった意味で、この協調体制をどうやってつくっていくのか。うまくいかないときは、ただただそれは協調ができないから為替介入もしないということになるのか。その辺が全然見えないから不安に思っているんだと思います。

 ですから、その辺の不安について、協調に対するスキームをつくろうとか、二国間でこういうことをやろうとか、それがうまくいかなかったときはどうするとか、そういったところのお考えをお聞かせいただきたいと思います。それでは、財務大臣政務官。

大串大臣政務官 お答え申し上げます。

 為替に対する対応でございますけれども、御案内のように、今回の経済対策の基本方針の中でも、あえて文章の中に盛り込む形で、為替市場の過度な変動に関しては「経済・金融の安定に悪影響を及ぼすものであり、引き続き為替の動向について注視していくとともに、必要な時には断固たる措置をとる。」というところまでこれは書いております。「必要な時には断固たる措置をとる。」という意思を明らかにしたからには、状況に応じて、本当にこれは必要だというときには断固たる措置をとります。

 それに向けて、どういうときにこれが必要か、かつ適切でなければなりません。すなわち、為替介入というのは政策ツールの一つですから、これを発揮するときには、それが効果のあるものでなければならないし、相手方は世界じゅうのマーケットでありますので、その微妙なさじかげんや思惑等々も含めて効果のある形にしていかなければならない。

 これに関しては、いろいろな環境、状況等々を見きわめるのと、もちろん国際的ないろいろなやりとりの中での私たちの動きもあります、そういったことがおくれることなく、日々私たちは市場の中でやっているところでございますので、必要なときには適切な対応を断固とれるような準備をしつつ、本当にやるときにはやりたいというふうに思います。

平(将)委員 何か、本当にやるときはやる、そういう話とか、慎重に見守るとか、ずっとそれを言ってきているわけですよ。

 それで、不安なのは、やはり政治主導でやらなきゃいけないし、それと、そういう相場の世界はやくざな世界だと思いますよ、だから余りお行儀よくやっていると、やりたいようにやられますよ。だって、今、EUは安い方がいいんでしょう、ユーロは。アメリカだって、物価との見合いだろうけれども、まだドルは安い方がいいんだろうから、なかなか協調できないですよ。だから、なめられているんじゃないかという懸念がある。しかも、日銀の総裁は学者さんだから、そういう切った張ったができる人じゃないから、その辺はよく考えてもらわないといけないと思いますよ。

 それと……(発言する者あり)ちょっと黙っててもらえませんか。為替介入も、まだ余力があって、あれは基本的には日銀に引き受けさせるだけでしょう、介入資金は。そうなんですよ。いいですよね。まだ四十兆、五十兆、余力があるわけなんだから。ただ、さっきも言ったように効かないといけないので、そのときはデフレ対策、この間みたいに菅さんがデフレに何のアイデアも持っていなくて言われるのは最悪なんですよ。デフレ対策のビジョンを示した上で、円高に対する断固たる措置をとる。

 それは、協調するように努力はすべきだけれども、できないときにどういうことをするのかということも覚悟して、その覚悟を示してくれないと、やはり周りはみんな不安なんだと思いますので、これはしっかりやっていただきたいと思います。答弁はいいです。

 それで、次に行きたいと思いますが、ちょっと時間がないので、成長戦略の中で、せっかく蓮舫大臣に来ていただいておりますので競争政策を伺いたいんです。

 今、経済産業省の議論の中では、やはりグローバルな戦いをしていくためには企業をくっつけて強くしなきゃいけないという議論があるんです、国内戦で消耗している場合じゃないと。その反面、当然、独占禁止法があって、国内で大きなシェアをとってマーケットをゆがめるようなことがあってはいけないという、独禁法の、公取の国内の理屈があるんです。これは担当大臣としてどう整合性をつけていくか、その辺の御所見をお伺いしたいと思います。

蓮舫国務大臣 確かに、経産省の発表した資料などを見ますと、日本はプレーヤーが多数存在をしているがために、各国と比べたときに利益率も低いのではないかというファクトが御提示されたことは私も承知をしております。ただ、だからといって、数が多いから、そのプレーヤーをがっちんこと一つにまとめることがすなわち国際競争力につながるとも、これもちょっと乱暴かなとは思っています。

 ただ、日本の企業の国際競争力を高めるために企業結合という一つの手段を戦略的に使うというのは当然のことなんですが、その際には、市場において公正でかつ自由な競争というのが当然担保されていないと、ひいてはそれはユーザーや国民の利益につながりません。ただ、そのときの市場を国内と見るのか、あるいはグローバル、世界と見るのか、その地域と見るのか。公正取引委員会においては、この部分は極めて適正な法執行がされていると私は思っています。

平(将)委員 これからまたゆっくり議論をしたいと思います。

 あともう一つ、成長戦略でお伺いしたいのは、最近、菅さんが規制緩和と言い始めました。何か、我々が規制緩和をやっているときは逆のことを言っていたように思うんです。いつ路線転換したのかなと思うんですが、規制緩和を事業仕分けの手法でやるやに聞いています、ちょっと不確かなあれですけれども、それについてお伺いしたいんです。

 どうも役所の人は、これは所管外だから大臣政務官じゃなきゃだめだと言うんだけれども、せっかく大臣が来られているんだから大臣でいいのかなと思うんですが、これは大臣が答えちゃだめなの、別に答えてもいいんでしょう。

蓮舫国務大臣 規制仕分けについては、確かに一つのアイデアとして既に私の方からやりたいという思いは提案をしています。

 これは自民党さんの時代にも、随分と、規制制度をどうやって緩和していくのかと。私たちが今取り組んでいるのは、緩和という方向だけでなくて、場合によっては強化という視点もあると思っているんですね。ただ、見えないところで議論をして緩和をするしないというのを決めるのは、やはり情報公開が私は足りないのではないかと思う。それであれば、公開された場所において、当事者も含めて、担当の省庁の担当官も含めて、もちろん政治家も含めて、オープンな場所で議論をしていって、国民に見える形で、理解をいただける形で規制制度を改革していくことは私は大切だと思っています。

平(将)委員 我々も事業仕分けをやっていて、規制のところでやっていくと、何がその参入障壁になっているか、ビジネスの障壁になっているかというと、法律以前に、例えば我々が生まれたころの昭和四十年ぐらいの局長通達がネックになっている。そういうものは役所の方から撤回することはないです。ですから、そういうのを常にオープンの場で議論をしてあぶり出していく、これはすごい大事だと思うので、その辺はぜひ応援をしたいと思いますし、我々もやっていきますので、頑張っていただきたいと思います。

 そこで、ちょっと一つだけ嫌な話をしますけれども、現代ビジネスというホームページに、蓮舫さんが事業仕分けに絡んで、私たちはプレハブでやりましたというコメント、これは多分御本人が書かれていると思うんです、後でお渡ししますが、「そりゃ、自民党政権のときなら、ホテルかどこかの、キレイな会場を借りてやるんでしょうけど(でも事業仕分けやらなかったですけどね、自民党さんは)。」と蓮舫さんが書いているんですね。

 でも、御承知のとおり、国政に初めて事業仕分けをやったのは自由民主党無駄撲滅プロジェクトチームの河野太郎座長であって、構想日本と一緒に始めました。それで、ホテルではやっていません。構想日本の御好意で日本財団の会議室を借りてやりました。皆さんが使っている事業仕分けは、我々と構想日本がつくったものですが、構想日本から電話がかかってきて、民主党さんも事業仕分けをやるけれども、これを使ってもいいかと言うから、いいことだからぜひ使ってくださいということを申し上げました。

 これは、事実と違いますので撤回をしていただかなきゃいけないと思います、言ったのが本当であれば。これ自体がうそであれば、それはそれで構いませんけれども。質問通告していないので、もしコメントしたいんだったら、どうぞコメントしてください。

蓮舫国務大臣 この件に関しては、平委員はツイッター等を通じて元祖は自民党だということを随分発信されていることも承知しております。私自身も、事業仕分けは民主党が始めたとは言ってはおりません。河野太郎議員を初めとして自民党がおやりになったということは当然承知をして発信をしています。

 ただ、ホテルでおやりになられたかどうかというのは私は把握していませんでしたので、それは撤回させていただきます。

平(将)委員 では、撤回をしていただいたということで。

 これも続きはやりたいと思いますが……(発言する者あり)いや、規制仕分けの方。

 それでは、もう時間が来たから終わりたいと思いますが、とにかく待ったなしです。きょうたくさんの方が来られているのは、とにかく多岐にわたるんですよ、円高対策、デフレ対策というのは。まさに政治主導で垣根を超えてやってもらわなきゃいけないし、当事者からすれば、だれが答えてもらってもいいけれども、こういうパッケージでやりますよということが大事なんだと思います。

 最後に、せっかく田村大臣政務官が来られておりますから、規制仕分けのことについて一言言っていただいて、それで終わりたいと思います。

田村大臣政務官 済みません、最後に当てていただいて。ただ、もう大臣が撤回なさってしまったので。

 ただ、私が一言申し上げたかったのは、政府として始めたのは初めてだという。それはあくまで自民党さんが部会同様にやっていらっしゃった、まさに二元的な意思決定の中で一部でやっていらっしゃっただけなので、我々は今回政府の中で初めてやったというのは大臣も撤回していらっしゃらないと思います。

平(将)委員 終わります。

東委員長 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 自民党は、現在の厳しい円高、株安の状況という危機的な経済状況を踏まえまして、閉会中審査を強く求めてきましたけれども、与野党間の協議の中で本日のこの閉会中審査が開催されますこと、適切な国会運営と考えております。

 さきの通常国会の十回の強行採決に象徴されるような強引な国会運営を政府・与党は改めていただきまして、国民本位の真摯な議論が国会でなされますように改めて要望いたします。

 さて、今回の急激な円高は、対応すべきときに時期を逸することなくきちんとした対応を行ってこなかった、この間の政府の対応に問題があると考えております。急激な円高に対する政策が出ない、政策が存在しない。これでは、政治不況、政策不況と国民、企業から指摘されても仕方がないことだと思っております。

 口蹄疫の問題のときもそうでした。ゴールデンウイークのとき、政策が不在となりまして対応が適切になされずに、殺処分される家畜の数がゴールデンウイークの前と後とでは十四倍にもふえたことが御記憶にあると思います。その後の混乱は、御承知のとおりです。今回も、時あたかも夏休み中です。休みに弱い民主党と指摘されても仕方がないのではないでしょうか。

 そして、今月十四日の民主党代表選挙に向けて、先ほどからもお話が出ていますように、現在も権力闘争真っ最中、政治空白が続いております。代表選のお二人の候補者の議論を聞いておりましても、円高で国民、企業が非常に厳しい状況に追い込まれている、切迫感に懸命にこたえていこうとするそのメッセージが我々にはなかなか伝わってきません。

 実際に、八月三十日に決定しました日銀の金融緩和策などの効果も、一日としてもちませんでした。八月三十一日の中心的な相場は、八十四円二十五銭という、ことし最高の円高の水準となったのです。まさに国民不在、経済不在の政権運営の状態であり、この無策ぶりを市場が見通しているという状態だと思います。

 国際的には、何もできない日本というレッテルを張られているような気がいたします。円高の問題は国際的な問題です。日本一国では対応できないという面もあります。こういうときこそ、政府は我が国の外交力を駆使して、G8などに働きかけて、G8、G8財務大臣会合、あるいは財務大臣・中央銀行総裁会議などの開催を求めていくべきではないでしょうか。そして、G8などの場で毅然とした日本の意思を示して、国際的な協調のもとに円高の是正と為替の安定を目指すべきだと思います。少なくとも、これ以上の行き過ぎた円高は、日本一国だけではなく世界経済にとっても望ましいことではないということを国際的に確認するべきだと思います。

 今回の円高の対応につきましては、国際会議の働きかけができるのは日本政府だけなんです。ですから、国連の場で、地球の命を守りたいの美名のもとに、特に唐突に世界に突出した温室効果ガス二五%削減を表明することはできたとしましても、この急激な円高に対して国民が悲鳴を上げている、中小企業が悲鳴を上げている、そして若者が雇用不安を募らせている、このことに国際社会にメッセージを送れていないのが現状ではないでしょうか。これまで有効な円高対策を講じ切れていない民主党政権の責任を、経済産業大臣はどのように受けとめておられるのでしょうか。

 また、我が党自由民主党は、八月三十日に「当面の経済対策についての基本的考え方」を発表しました。この中で、早急にG8などの開催を呼びかけ、国際協調のもとでの行き過ぎた円高の是正と為替の安定を目指すべきと主張しています。この自民党の主張に対する直嶋経済産業大臣の所見を冒頭明らかにお願いいたします。

直嶋国務大臣 今の円高は、先ほど来議論してまいりましたように、私自身も厳しく受けとめております。要因についても、先ほど来御議論ありましたが、結局、今の現象は、米国経済の減速、あるいは欧州各国の債務問題といった、欧米経済をめぐる不透明感の高まりがドル安、ユーロ安の背景になっています。また、世界の投資家のリスク回避行動ということで、結果的に相対的にリスクの低い円が買われて円高が進行しているということでございます。

 そういう意味でいいますと、各国間の利害を一致させるというのはなかなか難しい部分があるというふうに思っていまして、御提案の点についても、G8各国間で認識を共有するということは簡単なことではないというふうに思っています。しかし、御趣旨にあったように、やはり日本からきちっと発信をしていくということは大切なことだというふうに思っております。

 先ほど来答弁の中にもございましたように、必要に応じ断固たる措置という発言もございました。こういったことも含めて、時期に応じた適切な対応が行われるということを期待いたしております。

近藤(三)委員 直嶋大臣の御答弁を伺っておりますと、今回の円高、それに伴う株安は、欧米の経済動向によるものだと。どちらかというと、対岸の火事のような、それを見るような感じがいたしたわけなんですけれども、参議院選挙後、民主党では党内の権力闘争に明け暮れて、日々刻々と変わる為替、株価の動向に対し、毅然とした態度、そして俊敏な対応ができなかった、これが原因になっているのではないかと思います。

 日銀総裁と総理は電話会談でお茶を濁し、口先介入に終始してこられました。例えば、思い出していただきたいんですけれども、リーマン・ショックのとき、当時の麻生総理はフットワークよく、成田でのG8の開催を各国に呼びかけました。結局、アメリカの金融サミット開催に譲った形となりましたけれども、イニシアチブをとろうと外交交渉をしたという実績があります。このような政府の姿勢こそが、毅然とした国家の意思を示すことになろうかと思います。また、今の政府は、各国への働きかけも十分とは言えないと思います。この点の政府の責任を重く受けとめていただき、今後の経済運営に当たっていただきたいと思います。

 こういった中、政府は、先般、八月三十日に経済対策の基本方針を発表されました。この基本方針をもとに、九月十日にも今年度の予備費約九千二百億円を活用した経済対策が決定されようとしています。経済対策の基本方針の中で、投資の基盤づくりに対する具体的な施策として、低炭素型雇用創出産業立地推進事業の拡充が上がっています。この低炭素型雇用創出産業立地推進事業は、既に二十一年度の第二次補正予算で二百九十七億円が盛り込まれています。低炭素社会の実現に役立つと認定された事業の設備投資に対して、中小企業には二分の一、大企業などそのほかの企業には三分の一の補助が行われているというふうに聞いています。

 経済産業省は、この二百九十七億円の補助金によって、今後四年間で、補助対象となった工場で延べ一万人以上の雇用の拡大が見込めると公表しておられます。既に、企業への直接の補助金二百九十七億円の交付先四十二件がことしの三月に決定されています。四十二件には、十二件の中小企業が含まれています。事業の名称にもありますように、政府が直接補助金を投じることによりまして、低炭素型の産業の立地、そして設備投資を後押しして、地域に新たな雇用の場を生み出すことがこの事業の目的だと考えます。

 この目的達成のためには、この事業に公募した企業から補助金を交付する企業を選定する際に、地域にどれだけの雇用が創出されるか、これが採択の大きなポイントであったと思われます。そして、先ほど申しましたように、経済産業省は、今回の二百九十七億円の補助金の投入によって、今後四年間で、四十二件の工場で一万人以上の新たな雇用が生まれると発表しています。非常に厳しい雇用情勢が続く日本です、この事業による早期の雇用創出効果を期待したいわけなんですが、四年間で延べ一万人以上の雇用の拡大に対し、今年度は、平成二十二年度中にどれだけの新たな雇用が生まれる見通しなのか。特に、中小企業対策となっているという中小企業十二社への補助金投入により、どれだけの新規雇用が今年度中に見込めるのでしょうか、政策効果を具体的な数字でお示しください。

    〔委員長退席、吉田(お)委員長代理着席〕

谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事業でございますけれども、この事業は、リチウムイオン電池あるいはLEDなど今後非常に大きな成長が期待される分野への設備投資を支援して、国際競争力を確保するとともに、すそ野産業まで含んだ国内雇用の創出を図るというものでございます。

 今御指摘いただいたとおり、本年三月の末に交付決定したところでありまして、現在は補助を受ける工場の建設が今まさに進んでいる、そういう状況でございます。今建設中でございますので、今年度中には本格稼働には至らない、そういう状況でございまして、今御質問のありました、補助を受ける工場での直接的な雇用に限定した場合、今年度中は、中小企業案件十二件で約九十人、その他の案件三十件で約六百六十人、計七百五十人程度、これが今年度の直接的な雇用でございます。

 ただし、今先生からも指摘いただきました、すべての工場が本格稼働する時点では、中小企業案件で約二百八十人、その他の案件で約二千五百人、合計二千八百人程度の直接的な雇用が創出される、そういう見込みでございまして、本格稼働から最低四年間はこの雇用は維持されるということになっております。

 さらに、すそ野産業も含めますれば、中小企業案件関係で約一千八百人、その他の企業案件関係で約一万六千人、合計約一万七千五百人程度の雇用が創出されるというふうに見込んでいるところでございます。

近藤(三)委員 二百九十七億円の補助金投入で四年間で延べ一万七千五百人の新たな雇用の創出、こういう大きな雇用数が経済産業省から公表されていますが、今御答弁によりますと、ことしの三月までに新たな雇用が創出されるのはわずか七百五十人ということになりますね。このうち、十二件の中小企業の雇用創出はおよそ九十人、実際に伺ったのは八十九人と伺っておりますが、一件当たりにしますと八人弱、大企業などその他の企業三十件につきましては六百六十二人、一件当たり二十人余りということです。

 今、緊急的な雇用対策が求められているんです。あたかも四年間で一万七千人という大きな雇用がすぐ地域に生み出されるような誤解を招くような説明は、経済産業省としては注意をするべきだと思います。

 また、この補助事業によって行われる企業の設備投資が、補助金のあるなしにかかわらず、既に企業が予定していたものであれば、補助によって何ら新たな雇用効果を生み出すことにはなりません。つまり、補助事業によって企業が当初予定していなかった設備投資を行ってこそ、初めて新たな雇用が生じたことになると思います。したがって、補助制度があった場合となかった場合の雇用の差が、この制度による真の雇用創出効果であります。

 設備投資には一定の期間がかかることも十二分に理解できます。今指摘した点を踏まえまして、制度のさらなる改善も必要かと思われます。また、この事業は来年度の概算要求にも盛り込まれるようですし、八月三十日に政府が示した経済対策の基本方針の中にも、予備費を活用し、低炭素型雇用創出産業立地推進事業の拡充が挙げられています。

 そのような中で、改めて、事業の効果、妥当性について大臣の見解を伺いますとともに、具体的にどのように事業を今後拡充し、幾らの予備費を投じようとしているのか、大臣の答弁を求めます。

直嶋国務大臣 御指摘のように、実施した政策を検証して、その効果を測定するというのは大変重要なことだというふうに思っていまして、そういった点はこれからも心がけていきたいというふうに思っています。

 ただ、この制度については、先ほど、もともと予定していたものというようなお話もありましたが、むしろ、今の経済情勢の中で本当に設備投資をして採算が成り立つのかどうか迷っておられるところ、あるいは、それによって雇用者数を減らさなければいけないというふうに企業経営の中で迷っておられるところに対して設備投資に踏み切っていただくという、ある意味でいうと背中を押す政策だというふうに思っています。

 先ほど来御議論がありますように、今大変厳しい経済情勢でありますし、特に為替の問題もあって、企業が海外に生産設備を移すということを決断される心配もあります。したがいまして、そういう意味でいいますと、国内に投資を確保していくという意味で有効な政策だというふうに思っていまして、先ほどお話があったように、この政策によって雇用者数もかなり確保できるということであります。

 中小企業一社当たり十人でしたか、さっきの数字だと。これはかなり大きな数字だというふうに思っていまして、そういった意味で、この政策については、特に今のような経済情勢のもとでは非常に効果的な政策ではないかというふうに受けとめております。

 幾ら使えるかは、まだ今省庁間で調整をしておりますので、きょうは申し上げることができませんが、十日にはきちっと発表させていただきたいというふうに思っています。

近藤(三)委員 中小企業は一件当たり八人弱ということなんですけれども。

 昨年度の二百九十七億円の補助金の投入実績による効果をよくフォローしていただきたいと思います。血税ですから、予備費を直接企業に補助するわけですから、国民が納得できるように、公募、審査、そして採択をしていただきたいと思います。また、本当に新たな地域雇用が計画どおり生み出されているのかどうか、しっかりとウオッチングもしていただきたいと思います。

 さて、閉会中の七月の末、日本のヤフーと米国のグーグルの提携が発表されました。両社の提携の内容は、日本のヤフーがグーグルのインターネット検索技術、広告配信システムを利用するとのことです。

 この提携によりまして、日本でのグーグルの検索シェアは九割を超えることになります。つまり、日本でインターネットの検索を利用しようとすると、今、両社合わせてシェアは九割以上ですから、我々はグーグルの技術を利用して検索結果や広告内容を得るということになるわけです。

 公正取引委員会は、両社の提携の前にヤフーから取引に問題がないか事前に相談を受けたが、問題がないとの見解を示したと報じられています。しかし、今回、ヤフー側は、公正取引委員会の事前相談制度をもって正当性を主張しているようです。

 この事前相談制度なんですけれども、法律上の手続ではありませんので、その内容に透明性を欠き、利害関係者や第三者に対してさまざまな疑念を生じさせているという側面もあるのではないかと思われます。

 今回の提携は、日本のインターネットによる検索システム、広告配信システムの九割以上がグーグルのシステムに依存することになります。広告費の一方的な値上げなど、実質的なグーグルの独占の弊害が出るのではないかという懸念も各方面から指摘されています。今回の提携を公正取引委員会はなぜ容認したのか、その理由をお聞かせください。

竹島政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、ヤフージャパンから、グーグルの検索エンジンを使うこと並びにグーグルの検索連動広告の配信システムを使うことについて独禁法上問題はありませんかという事前相談を受けまして、それに対して、説明のとおりであれば直ちに独禁法上の問題はないでしょうという返事をしております。

 その後、マスコミを含めいろいろなところからいろいろな御意見を承っておりますが、二点申し上げたい。

 一点は、二〇〇八年にアメリカのヤフーとグーグルが提携をしようとしたことがありまして、これについて競争上の懸念があるということでアメリカの反トラスト局から指摘を受けて、この話はなくなりました。その後、アメリカのヤフーはマイクロソフトと提携することになりました。

 それと同じことを日本で何で認めるんだというような御指摘もあるんですが、一つ全く違う点がある。アメリカのヤフーは自分で検索エンジンを持っていました、それで検索連動型広告のサービスもやっていた。まさにアメリカにおいては、グーグルとヤフーというのは同じような、同業のライバルであったわけです。そのヤフーが検索エンジンの開発をやめちゃった、マイクロソフトを使うことにしちゃった。そうすると、日本のヤフーというのは検索エンジンを持っていない、アメリカのヤフーの検索エンジンを使っていた、そのもとのアメリカのヤフーがやめちゃった、さて、自分はどの検索エンジンを使うかという立場にヤフージャパンは置かれたわけでございます。

 それで、いろいろ検討した結果、日本語の検索という観点からいえば、マイクロソフトよりもグーグルの検索エンジンを使った方がいいという判断をヤフージャパンはしたわけです。その判断自体について独禁当局として何か口を差し挟むような話ではありません。それはあくまでも企業が、どういうものが自分たちにとって一番有利であるか便利であるか、カスタマーのために何が便利かという見地から決めたわけですから、したがって、アメリカのケースとは違うということをぜひ御理解いただきたい。

 検索エンジンは確かに使います、グーグルのものを借りて使いますが、それを使ったサービスは、ヤフージャパンは、グーグルとは別に自分で調整するなり、カスタマイズと言っていますが、そういうことをやることによってユーザーに従来どおり独自のサービスを提供します、こういうことを言っているわけです。あわせて、我々は、それであれば直ちに競争がなくなるわけじゃないから問題はないでしょうということを申し上げているわけでございます。

 仮にこれから、そういったことではなくて、グーグルとヤフージャパンが例えば広告料について何か協調行動をしているとか、そういうことで独占的な行為に及ぶというようなことになりました場合には、これは言ってきた話と違いますから、当然独禁法上の問題になる。だから、これからは日本において、検索連動型広告というものの市場においてどういうことが起きていくかということを公正取引委員会としても十分にウオッチしていきたい、こういうふうに思っております。

近藤(三)委員 公正取引委員会としては、事前相談の段階では、今回の技術提携によって実際のサービスがなされたときにどのような問題が起きるのか、ちょっと判断しかねるという部分、すなわち、白とは言えないけれども黒とも言えないという見解であったかなというふうに受け取りました。ならば、今回、両社の提携が明らかになりまして、公正取引委員会としても守秘義務の縛りもなくなったわけですね。関係者からの事情をよく調査していただきまして、実際のサービスが開始された以降の問題についてもしっかりと監視していただきまして、公正取引委員会の本来の機能を発揮していただきたいと思います。

 本件について、今後の公正取引委員会の具体的な取り組み、今、委員長はしっかりとウオッチングをしていきたいというふうに言っていただきましたけれども、どのような取り組みを考えておられるのか、お教えいただけますでしょうか。

    〔吉田(お)委員長代理退席、委員長着席〕

竹島政府参考人 具体的には、事前相談のときにあったお話が、これからの事実と別にそごがないかどうか、それから、反競争的な行為が行われないかどうか、そういったことをアンテナを張ってよく見ていきたい。

 それから、いろいろな方面から御意見もいただいていますから、我々はそれを謙虚に勉強させていただいて、言っておられることについて誤解があれば、いや、それは誤解ですよ、状況が違うんですよという御説明もちゃんといたしますし、そうじゃない、なるほどというお話であれば、我々はそれを謙虚に受けとめて新たな展開を図っていきたいと思っております。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 今後とも、公正取引委員会には、まさに名前のとおり公正な対応をしていただきたいと思います。ユーザーや関係する産業界に問題が生じないようにぜひ対応していただきたいと思います。私としても、本件につきましては、引き続き問題意識を持って対応していきたいと思いますし、注視していきたいと思っております。

 さて、急激な円高と並ぶ日本経済の直面する問題は、何といっても需給ギャップ、先ほどから話が出ております。先月三十日に、内閣府は、ことし四月から六月期の実質の需要と潜在的な供給力の差、需給ギャップは年間で二十五兆円にもなっていると発表しておりますが、この需給ギャップを埋めていくためには、その額からして、到底今回の九千二百億円の予備費の投入だけでは対応できません。

 まずは、政策目的も明確ではなく、経済効果の薄い民主党のマニフェスト政策を取りやめるべき、財源を生み出して需給ギャップを埋めるしっかりとした経済対策を講じるべきだと考えますが、直嶋経済産業大臣のお考えをお聞かせください。また、補正予算の編成のためにも、早期に臨時国会を開会し政治空白を最小限にして国会での議論を進めるべき、深めるべきだと思いますが、この点についてもあわせて直嶋大臣のお考えをお聞かせください。

直嶋国務大臣 では、私の方からお答えさせていただきます。

 今御指摘のように、ことしの四―六月期の需給ギャップは、内閣府の計算によれば、GDP比四・八%、二十五兆円程度とされております。この二十五兆円を、我が国の厳しい財政事情の中で直ちにすべてを埋めるという予算はなかなか困難ではないかというふうに思っております。

 今回の予備費を使った経済対策は、九月十日の取りまとめに向けて現在作業中でございますが、今精査中でございますが、この事業規模そのものはかなり大きくなるというふうに思っておりまして、そういう意味では、二十五兆円丸々埋めるわけではありませんが、効果は見込めるのではないかというふうに受けとめております。

 また、補正予算の編成については、今の経済状況とか、今お話しした経済対策の実施も含めて、状況をよく見ながら補正予算を編成するかどうか内閣としては判断したいというふうに思っていまして、必要であれば補正予算を組んでしっかりやるということも当然念頭に置いて対処していきたいと思います。

 国会召集の話は、私がここでお答えできる問題ではないと思いますので、この点はまた与野党を含めてよく御相談いただければというふうに思います。

近藤(三)委員 最後に、本日の質問で何度も申し上げますけれども、日本経済は待ったなし、地域雇用も待ったなし、そして若者の雇用も待ったなしです。民主党政権は、党内の権力闘争に明け暮れるのではなく、国会での議論を尽くしていただき、しっかりとした経済運営をお願い申し上げて、私の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、我々野党の要請をのんでいただいて、この円高、株安の問題にどう対応するのかということで閉会中審査をお受けいただいたことを我々も歓迎したいと思いますし、これは、引き続き状況が変わらないようであれば、また機会を見て、国会がいつ開会になるかわかりませんが、閉会中審査を開いていただきたいことを冒頭に要望しておきたいと思います。

 それで、きょうの一般紙にも出ておりますけれども、昨日のニューヨークの為替市場では、一時八十三円五十銭台という、一九九五年六月以来、十五年三カ月ぶりの円高・ドル安水準となる為替相場になっている、そういう記事も出ておりまして、この八月三十日に、日本政府または日銀としてさまざまな、日本政府としては経済対策の基本方針を発表されたにもかかわらず、この円高、株安の基調というのは全く状況は変わっていない、残念ながらそういう状況であると断ぜざるを得ないわけでございます。

 現下のこの急激な円高と株安をこのまま放置すれば、さまざまに、先ほど来ありますように国民生活に影響を与えます。さらに、特にこの経済産業委員会の関連する企業の業績というものにも大きな影響を与えることは間違いないわけであります。

 これは私が言うだけではなくて、具体的に、当の経済産業省の調べでも、これは八月二十七日に公表されました円高の影響に関する緊急ヒアリング、国内企業約二百社への緊急調査によりますと、一ドル八十五円の円高局面が半年間継続した場合、七二%の企業が減益に転じると回答した。特に「深刻な減益」が三〇%に及ぶ。五月の一ドル九十円水準の時点では、「ほとんど影響なし」が七五%だったことから、五円の円高進行は決定的に大きな影響を与えることがわかる。

 さらに、一ドル八十五円の水準が長期化した場合、製造拠点の海外移転を検討する企業が三九%、海外生産の拡大が六一%となり、国内空洞化が懸念される。また、中小企業に限って言うと、八十五円水準で減益を予想する企業が何と七三%。下請企業では八二%に達する。そういう状況でございまして、私は、先ほど来ありますように、代表選も確かに大事かもわかりませんが、代表選にかまけているのではなくて、やはり危機感を持ってしっかりと対応していただきたい。

 特に、民主党の若手の議員の皆さんも、現場を歩くと、悲鳴に似たような中小企業の声というのはお聞きになっていると思うんですね。我々も現場を歩いていると、昨年の夏に民主党さんに期待して投票された中小企業の皆さんも結構いらっしゃいます、しかし、あのとき言われた国民の生活が第一というのはどこへ行ったんだ、そういうことを我々に対しても言われている中小企業の経営者もいらっしゃいまして、怒りというよりも、あきらめに似たような状況で今見守っている、そういうところを何としても克服していただきたいなと常に思うわけでございます。

 追い込まれた形になったのかもわかりませんが、八月三十日に、経済対策の基本方針を政府として決定され、日銀も臨時の金融政策決定会合を開いて金融緩和に踏み切ることを決められたわけであります。しかし、結論から言うと、その対応というのは余りにも遅くて、中身はいずれも想定の範囲で、市場には失望感が広がったと言わざるを得ないわけでございます。

 例えば、市場の前に、マスコミは、翌日、三十一日の新聞にどういうふうに言われているか、全部読みませんけれども、読売は、「「想定内」市場は失望」「「次の一手」も視野に入れよ」。日本経済新聞は、「危機感 世界に伝わらない」「この円高対策で一件落着とはいくまい」「政府・日銀、対策は力不足」、これは日経の内容です。朝日新聞は、「景気刺激 迫力不足」。見出しだけ読んでも、そういうマスコミのとらえ方であります。

 さらに、市場の動きというのは、もう御存じだと思うんですけれども、政府・日銀のこの対応に対して、翌三十一日の東京株式市場は、日経平均株価の終わり値が八千八百二十四円と、前日から三百二十五円も値下がりし、年初来安値八千八百四十五円を更新したわけでございます。日経平均は、三十日までの三日間で約三百円上昇していたんですけども、これがわずか一日で帳消しになりました。

 一方、八月三十一日の外国為替市場では円相場が急伸し、ニューヨーク市場では一時一ドル八十三円九十六銭と、約一週間ぶりに八十三円台を記録し、東京市場では前日に八十五円台まで円が値下がりしていたんですが、その後、じりじりと値を上げ、八十四円台まで上昇したということになっているわけでございます。

 産経新聞なんかは「政府・日銀の追加対策の効果が早くもはげ落ちた。」などと酷評しているわけでございますが、私がぜひ伺いたいのは、政府としては経済対策の基本方針を打ち出しました、そういうように言われておるんですけれども、市場もマスコミも大変失望感が広がっているというのを現実問題としてとらえないといけない、そのように真摯に受けとめないといけないと思うんですけれども、経済閣僚の一人である経済産業大臣に伺いたいのは、この発表された経済対策の基本方針が失望感を生んだのは、余りにも小出しで想定の範囲内であったということが一つ。タイミングも非常に遅かった。こういう問題もあって、かえって円高、株安を招いてしまったのではないのかな、そのように私は思うんですけれども、経済産業大臣はこの経済対策の基本方針の効果及び市場の反応をどのように受けとめておられるのか、まず御答弁いただきたいと思います。

直嶋国務大臣 今お話しになりました、大変厳しい状況だというのは私も認識しておりまして、先ほどお触れになった経済産業省の調査も、八月に入りまして、私が事務方に大至急調べるようにということで指示をしたものでございます。

 ただ、残念ながら現在のところ、海外経済の、いわゆるアメリカ、欧州経済の落ち込み、そのことによってリスク回避のために円が買われている、その結果の円高に対して、業績不安で株が下がっている。こういう構図だと思うんですが、残念ながらまだその構図を変えるところまでいっていないということであります。

 この政策だけで十分かどうかということなんですが、一つは、やはり予備費で、補正予算を組む場合は国会で御審議をお願いをして、成立してからということですから時間がかかる。したがって、スピード感を重視して、まず予備費を使って打てるべきことをやろうと。その後は、さっき申し上げたように、状況を見ながらということでございますが、当然、今後の政策も視野に入れる中で、しっかり状況を見きわめていきたいということでございます。

 政策効果は、十日にまとめるものですから、ここで申し上げるのはまだ早過ぎると思うんですが、おっしゃったように、アナウンス効果として弱いのではないかという御指摘は、確かにその面も否めないというふうに思っていまして、そういうことも含めて、しっかり次の手だても視野に入れながら考えていきたいということでございます。

佐藤(茂)委員 ですから、私が懸念するのは、これは二日後でしたか、十日にこの基本方針を踏まえての経済対策を取りまとめになるんですけれども、三十日の時点で、今経済産業大臣もいみじくも認められたように、アナウンス効果、メッセージとして非常に弱いというように受けとめられていることは事実なんですね。そういう大きな枠組み、基本方針のもとに出てくる経済対策が十日に出たとしても、果たしてどこまで市場に対して効果があるのかということについては、我々としてもやはり疑問を呈せざるを得ない、そのように言っておきたいと思います。

 そこで、いろいろ前口上は別にしても、ここは本当に正念場で、民主党として代表選はやっておるんですけれども、ちまたで言われている、無為無策であるとか経済無策であるとか、そういう批判を覆すような、腹を決めた政策というものが必要なのではないのかなという感じがしているんですよ。

 というのは、この八月三十一日で民主党さんは一年たつんですね、政権をとられて。例えば株価一つ見ても、どれだけ下がったか認識されていますか、経済産業大臣。

 事前に通告していないので言いますが、去年の八月三十一日の日経平均株価は一万四百九十二円五十三銭だったんですね。ことしの八月三十一日の日経平均株価は八千八百二十四円六銭と、額にして千六百六十八円下がっている。実に、一五・九%下がっているんですね。円相場も、昨年の八月末の時点では九十二円だったんです。それが八十四円台というように、八円強の円高に振れているわけですね。やはり長い目で見ていっても、民主党政権のもとで下げ基調になってきている。

 こういうものに対して、やはり何らかの経済対策というものを打つべきときに来ているんじゃないのかなという認識を私は持っているわけでございます。そういう意味で、我々も野党にはなりましたけれども、自民党さんには若干おくれましたけれども、九月二日に、党として、やはりもう少し力強い経済対策を打つべきだという観点から、円高対策、デフレ脱却に向けた緊急経済対策をまとめて、発表いたしました。

 政府が今考えておられる案との一番の違いは、日本経済、国民生活を断固として守るという強い覚悟と意思を示すという意味で、真水で約四兆円規模の補正予算の編成を含めた追加的な緊急経済対策を取りまとめているというところが、内容もいろいろ違いますけれども、原則として違う。政府は、先ほど経済産業大臣が言われたように、九千二百億の予備費を活用した措置を想定した政府案であるという、そういうところが違うところであると思うんです。

 ぜひ経済産業大臣に伺いたいのは、この危機的な円高、株安、デフレを打開するために、思い切った規模と内容の伴う補正予算を組んで危機を克服する意思、また覚悟というものがあるのかどうか、そこを経済閣僚である経済産業大臣に伺っておきたいと思います。

直嶋国務大臣 率直に言いまして、一方で財政健全化という問題がありますので、そういう意味ではタイトロープを渡るような判断が最終的に求められてくるんじゃないかというふうに思っています。

 ただ、その中で、今の厳しい経済情勢に機動的に対応するという意味で、先ほど申し上げたとおり、今回予備費を使った経済対策基本方針をまとめたということであります。

 まず、この取り組みをまとめた後、できるだけ早く実行に移すということが第一でありますが、先ほどお話ししたとおり、景気や経済の動向をきっちり見きわめる中で、補正予算の編成が必要な場合にはその編成をするということも含めて、機動的な対応をしてまいりたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 機動的な対応というのが役所言葉で終わらぬように、今回の円高、株安に対する対応も、円相場が非常に厳しくなってから相当日にちがたってから動かれておるわけですね。本当に、機動的という言葉のとおりスピード感が大事ですから、そういう対応をぜひ英断をお願いしたいと思うわけであります。

 そこで、こういう円高が進みますと、輸出企業、輸出企業の中でも中小企業の経営状況というのが非常に厳しくなってきているわけでございます。

 ただ、中小企業にもいろいろな企業がありまして、日本経済新聞の九月の第一週でしたか、「ニッチトップ 強さの秘密」というシリーズで五社ぐらい紹介されていましたけれども、あの中に私もよく存じている企業がありまして、その経営者なんかに聞くと、そのレベルまで行くと、円高とかは全く関係ない、要はコストで勝負するのと違う、製品の中身だと。そういう会社もあるんですけれども、そういうところはほとんど一部でありまして、世界でこれでシェアをほとんどとっていて、自分の技術力、製品で勝負できるんだという中小企業は、あるにはあるんですけれども、そういうところはほとんどまれでありまして、ほとんどは一層のコストダウンを迫られて、価格競争も限界に達して、資金繰りもままならない、そういう悲鳴を上げておられる中小企業がほとんどなわけでございます。

 そこで大事なことは、中小企業の資金繰りをしっかりと支えていく政策というものに引き続き力を入れてもらいたいということでございます。

 一つお聞きしたいのは、きょう資料をお配りしておりますけれども、前政権時代の、リーマン・ショックのときに創設をいたしました、平成二十年十月からスタートいたしました緊急保証制度やセーフティーネット貸し付けについて、政権が交代しても新政権でも継続され、ことしの二月からはこれが景気対応緊急保証という名称で、適用期限を平成二十三年三月、来年の三月末まで延長されて、保証枠を三十兆円から三十六兆円に拡大されて、対象業種も七百九十三業種から千百十八業種に拡大されました。セーフティーネット貸し付けについても、保証枠を十七兆円から二十一兆円に拡大されて、金利引き下げ措置等の延長をされて実行されているわけでございます。

 きょう資料にお配りしたのは、実は、毎週の実施状況というのはネットでチェックできるんですけれども、それを無理を言いまして中小企業庁にお願いして、月ごとの実績はどんな感じだということを一覧表にしていただいたのがこの資料でございます。

 これで見ますと、やはり年末の十二月、あるいは年度末の三月は特別に件数等が多いとしても、例えば緊急保証であれば月平均三万件以上の申請がありまして、金額的にも相当な形で保証が認められているという状況がありまして、累計として今まで百二十万件以上の件数が緊急保証一つについても起こっているわけでありまして、額として、二十一兆八千三百八十二億一千万という額になっています。セーフティーネット貸し付けについても、同じように四十七万六千八百九件がこの二年弱の間に申請されていて、中小企業が、この不景気な中、非常に厳しい資金繰りを強いられる中で、依然として一定の成果を上げてきているというように私は考えるんですが、まず経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

増子副大臣 ありがとうございます。今、一定の評価をちょうだいしたことを御礼申し上げたいと思います。

 先ほど佐藤委員からもお話がありましたとおり、実績を見ますと、十二月や年度末に、二十年、あるいは二十一年の三月期は大きくございました。その後は平均してずっと推移をしております。これは、業種拡大をしたりあるいは融資枠をふやしたり、我々は機動的にこれに対応しているということ。詳しくは佐藤委員の方から数字まで言っていただきましたので、ダブりますけれども、私どもとしては、百二十万件、二十一兆九千億の実績をこの景気対応緊急保証について行ってきたということ。

 中小企業にとって、何よりもこの金融政策と同時に仕事が欲しい、この両面が極めて大事だ。仕事の方は、私どもも、いろいろ、ものづくりをしっかり支えていきながら、あるいは先ほどもお話がありましたとおり、海外展開も積極的に支援していこうということもやっていかなければなりません。と同時に、金融対策もしっかりやっていきたいということで、今御紹介がありましたような内容でこれからもずっとやっていきたいというふうに思っております。これから決まる追加経済対策の中にも、この中小企業金融対策をしっかりと織り込んでいきたいというふうにも思ってございます。

 また一方で、借入債務の返済に苦労している中小企業のためにも、私どもとしては、返済猶予等の条件変更を積極的に進めているところでございます。直近で申し上げますと、七月も前年同月比で四割から五割の増加率で対応しているということ、できるだけ私どもとしては柔軟にこれらについて対応しながら進めていきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、中小企業は日本企業全体の中で九九・五%を占めるわけでありますから、これらの中小企業がしっかりと対応できるように今後とも積極的に対応していきたいと思っていますし、今日まで大きな成果が出てきているのではないかというふうに私どもは思っておりますので、今後とも、また佐藤委員のいろいろな適切な御助言、御指導もいただきながら対応していきたいと思います。

佐藤(茂)委員 今、増子副大臣からありましたように、私も同様に、この制度というのは中小企業の金融支援において非常に大きな役割を果たしてきたと思うんです。

 そこで、今、現下の円高、株安が続く限り非常に苦しい状況が続く中小企業というのは、状況は変わらないわけでありますから、今まで一定の成果を上げているこの緊急保証制度であるとかセーフティーネット貸し付けについて、今のままですと来年の三月末で期限が来るわけですけれども、景気回復が明らかになるというのは抽象的ですが、少なくとも平成二十四年の三月末まで一年延長すべきである、そのように私は考えるんです。

 そのときにあわせて、今の保証枠の三十六兆というのを、例えば緊急保証でしたら四十兆程度に保証枠も拡大し、セーフティーネット貸し付けの貸付枠も拡大すると同時に、保証料率や金利の引き下げも検討して、さらに活用しやすいものに拡充をしていくような策を当然講じていくべきである。

 そのように私は考えるんですけれども、この緊急保証制度であるとかセーフティーネット貸し付けの延長、拡充についての経済産業大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。

東委員長 委員の方から直嶋経済産業大臣を指定していますので、もしお答えにならない場合、直嶋経済産業大臣から副大臣を指名しますという角度で言ってください。

直嶋国務大臣 では、私が答えます。

 御指摘の点は、私もよく理解をしておりまして、実際、そういう指摘も結構いただいています。

 ただ、この政策も二十一年度の二次補正でやったんですよね。それで、来年の三月までということなんですが、先ほど佐藤委員がお示しになった利用状況も含めて、よく見させていただいて判断をしたいというふうに思っています。現在のところは今の枠とこの制度でまだ対応できるわけですから、当面その対応をしながら、もう少し先で判断をさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 要するに、私が補正のことに触れたのは、そういうこともありまして、こういう制度を延長するにはそれなりの予算措置もしないといけませんから、そういうことも含めて、先ほど来ありましたように、機動的というのは、言葉だけではなくて適時適切にやはり判断をしていただきたいな、そのようにお願いをしておきたいと思います。

 残りの時間で、今、現下の話題になっている経済産業省の施策について何点かお聞きをしておきたいと思います。

 一つは家電エコポイント制度について。

 大臣は今まで閣議後の会見等でいろいろ述べられていて、昨日も、述べられたことが報道になっておりましたけれども、要は、八月三十日に政府が発表された基本方針の中では家電エコポイント制度の延長について明記されているんです、しかし、直嶋大臣は前々から、これは需要の先食いだと、どちらかというと否定的な面を感じておられるのかなという印象を受けられるような会見もされていた。

 その辺、三カ月の延長であるとか例えば五つ星にするんだというようなことも、ばらばらに今までも会見の報道が出ているんですけれども、家電エコポイント制度については国民の関心も非常に高いものがあるんです。ですから、改めて、家電エコポイント制度を延長される目的と理由、延長期間の考え方、そして対象商品をどのように絞り込まれるつもりなのか、この委員会でその理由も含めてきちっとした政府の考えをぜひ明らかにされるべきであると私は思いますので、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 私の方から答えさせていただいて、ちょっと足りない点がありましたら、政務官の方から補足させていただきたいと思います。

 御指摘のとおり、私、エコポイントに反対ではないんです。ただ、これは二つの目的がありまして、環境にいい商品の普及と経済対策ですね。経済対策の面でも効果は十分あったと思っています。ただ、長い目で見ると、この制度はインセンティブをつけて商品を買っていただく制度ですから、やはり需要の先食いになる面は否定できないと思っていまして、そういう意味では余り長期間続けていても効果はないというふうに思っています。実際、この間、その経済効果も含めて私どもも見てまいりましたが、効果が少しずつ薄れてきていることは事実なんです。

 ただ、家電の中でも、特にテレビなんかは来年の七月に地上デジタル化という問題がありまして、当然その際には買いかえ需要が発生するというふうに見ております。そうすると、年末で切った場合に当然反動で落ちますから、しかし、また七月に向けて直前に需要がふえるということになると、今回の、ちょっと自動車で今出ていますが、ああいう極端な状況に陥りかねないということでありまして、今の経済情勢ですから、もちろん経済効果も期待はしているんですが、そういう意味で、短期間で、対象も絞り込んだ形で、全体的に少し上乗せをしながら山をならすといいますか、そういう面も含めて今回決めさせていただきました。したがいまして、対象商品は五つ星に限定をしたいと思っています。

 ただ、テレビの場合、五つ星でも、今、販売実績の大体六割ぐらいが五つ星になっていますので、かなりの範囲が対象になるということでございます。

 そういった整理をした上で、今回、延長を三カ月決めさせていただいたということでございます。

佐藤(茂)委員 大臣の答弁で十分結構ですから、政務官は答弁されなくても結構です。

 それで、私は、この三カ月の延長ということについて一つだけ気になりますのは、今、大臣の答弁の中にもありましたけれども、一方で、総務省所管で国策として進めている来年七月の地デジ完全移行という政策とのバランスをどう考えるかということが一つ課題としてあると思うんですね。

 これを考えたときに、買いかえを促進する意味で、地上デジタル対応テレビについては、例えば特例として三月と言わずに七月まで延長されても、これは国策として十分理由がつくし大義名分があるんじゃないのかな。景気対策とかそういうことを抜きにして、要するに七月までに地デジに全部テレビをかえてもらわなければ、これは当然情報格差の出る方々が非常に出てくるわけでありまして、そういうことを考えたときに、そういう特例を考えられてもいいのではないかと思うんですけれども、経済産業省の考え方をお聞きしておきたいと思います。

近藤大臣政務官 佐藤先生にお答えをいたします。

 地デジ対応テレビは、エコポイントによる効果もあり、ことしの三月時点での調査で、約八〇%を超える世帯普及目標を掲げていたわけですが、これを上回る普及になっておるわけであります。

 そこで、七月の完全移行を円滑に進めるため、国民の皆様には、大事なのは、直前の対応ではなくて、可能な限り前倒しをして対応していただくことが極めて大事だろう、こう思っています。実際にテレビを買った後でアンテナが地デジ未対応だった、こういうふうに気づくケースもあるようでございまして、直前ではなくて早くテレビを買ってもらうことが重要だろう、こう考えておるわけであります。

 こうした地デジ対応の観点も含めて、総務省とも密接に意見交換をし、関係省庁とも調整をして、テレビについては来年三月までの三カ月としたわけでございます。

佐藤(茂)委員 ですから、もし三カ月というのを変えられないのであれば、そういう背景も含めてきちっと国民の皆さんに広く告知をし、その趣旨を理解してもらうことが大事だと思うんですね。三月までに買うとエコポイント制度と相まって非常にお得感もある、そういうことも含めてきちっと徹底していただくことが非常に大事ではないかと思います。

 もう一つは、現下の話題で、きょうにでも打ち切りになるかと言われているエコカーの補助金の問題でございます。

 これはもう質問時間がないのではしょりますけれども、予算総額五千八百三十七億円を使い切った段階で受け付け終了となって、予算額を超えた場合には、その日に受理された申請に対する補助金は不交付となって、その日の申請分すべてが補助金を受け取れなくなるという形になっております。

 そこで心配なのは、きょうかあすにでも締め切られようというその締め切りが、当初九月末と言っていたのが大幅に前倒しされることで、販売店等の現場で非常に混乱や苦情が殺到するのではないのかという懸念があるわけでありまして、この顧客の混乱を避けるために経済産業省としてどういう方策を考えておられるのか、伺っておきたいと思うわけであります。

 要するに、申請してから補助金が交付されるか打ち切りになるか、それがわかるまでに当然タイムラグがあるわけですね。ある人によると一週間と言う人もいるし、二、三日と言う人もいるんですけれども。場合によっては、これは当然補助金が交付されるという前提で顧客から見たら購入に踏み切ったのに、ある日の申請分からすべて補助金が受け取れなくなるという事態が生じたときに、顧客の混乱であるとか苦情というのは、当然招くおそれがある。

 というのは、既にトラックは八月に打ち切りになっていて、このときにやはり苦情が殺到しているんですよ。ですから、そういうことに対して顧客の混乱を招かないために、広報活動の強化であるとか、何らかの計画、措置等を行って、なるべく円滑にこのエコカー補助金については終了を図る必要があるのではないか、そのように考えますが、経済産業省のお考えをお伺いしておきたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 先生の御指摘は極めて大事な点であろうかと思います。

 経済産業省としては、七月三十日にこの申請受け付けの終了方法についてプレスリリースを行い、申請者の方々に対する周知徹底を図ってきたところであります。また、販売ディーラーに対しては、エコカー補助金対象車両の購入予定者の方々に対してこうした情報を正確に伝え、車の購入に際して誤解の生じないように努めていただきたいということを求めてきたわけであります。

 加えて、七月三十日から関係団体のホームページで毎日の予算残額を公表してきたわけでございますが、さらに昨日から、より幅広く周知するため、毎日の残額を経済産業省からプレス発表もするように整えてきたところでございます。

 実際いつ終了かということを申し上げれば、御指摘のとおり、きょうにもというような残額が想定されるわけでございますが、ディーラーやメーカーによっては、予算超過により補助金の交付が受けられなかった方々に対して代替的な優遇策を講じる者もあると聞いております。

 いずれにせよ、メーカーやディーラーの皆さんと連携を図りつつ、現場の混乱は最大限回避すべく努めてまいりたい、このように考えております。

佐藤(茂)委員 各メーカー任せであるとか販売店任せにするのではなくて、そういうのはわかった上で、軟着陸させる何らかの措置をぜひ経済産業省として考えておいていただきたいということであります。

 その上で、こういう補助金を終了させると、必ず反動減というのが予想されます。現に、日本と同じような施策を行ったドイツでは、補助金終了後、新車販売の低迷が続いているわけです。日本も国内の新車販売台数というのは年々減少している中で、このエコカー補助金で何とか持ち直している部分があったんですが、特にこの補助金終了後、十月以降の新車販売というのは反動減が予想されると思うんですけれども、その落ち込みをどの程度と予想されてどうてこ入れするかという、その施策が非常に大事になってくると思うんです。

 これは何も自動車業界の繁栄だけ願って言っているのではなくて、日本の産業においては、経済産業省は産業構造を変えようという中長期的なもくろみがあります。きのうも予算要望を聞くと、来年は、戦略分野が四つぐらい書かれて、環境・エネルギー産業、あるいはインフラ関連産業、医療・介護・健康関連産業、文化産業戦略に力を入れていくんですが、これは中長期的にそういう産業が栄えていけばいいですけれども、現に今は自動車産業とエレクトロニクス産業がリーディング業界ですから、大変すそ野も広いのが自動車業界であります。これが販売台数が激減するということになってしまうと、影響が非常に大きい。関連している中小企業の皆さんも数多くあって、現に多くの雇用を抱えているわけですから、この産業自体が頭打ちになると、雇用にも非常に影響が出てくる。

 ですから、今後とも、このエコカー補助金というのは続けられませんけれども、環境とか低炭素という観点で何らかのエコカー普及促進策が必要なのではないか、そのように私は考えるんです。

 例えば、一例を言うと、電気自動車の普及促進の施策であるとか、その電気自動車を普及促進させるためのインフラ整備、あるいはプラグインハイブリッド車の促進が進むというような施策を、次世代自動車の促進が進むような施策をさらに前倒しして進めるというようなことも考えるべきではないかと思うんですけれども、経済産業省が今考えておられることがあればお聞きしておきたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、自動車産業は基幹産業でございますし、家電、電機、そして住宅と並んで大変大きな分野であろうかと思います。

 こうした中、先生御指摘のように、次世代自動車の導入及び充電設備の設置に対する補助制度を初め、環境負荷に応じた税制上のインセンティブの付与など、各種の施策を講じております。こうした施策を前倒しにしてやるべきだ、こういう御指摘かと思いますけれども、その御意見も踏まえて今後考えていかなければいけない、こういう問題意識を持っております。

 また、これに加えて、現在、政府内で検討している経済対策において、低炭素技術分野に対する設備投資支援などを検討中であります。あらゆる政策を総動員して次世代自動車関連の生産や雇用の維持確保につなげてまいりたい、このように考えております。

佐藤(茂)委員 それで、最後の質問にしておきたいと思うんですけれども、要するに民主党政権として具体的な景気下支え施策として何を考えておられるのかということを結論としてはお聞きしたいんです。

 リーマン・ショック以後、日本の経済というのは、一つは輸出の拡大、これは中国を中心にして輸出の拡大をやってまいりました。もう一つは、今話題にしましたけれども、エコカー補助金とかエコポイントなどの経済対策によって消費の下支えというものがあって、足元の数字というのはようやく穏やかな回復基調になってきたと思うんですけれども、その一つの牽引役であった輸出については、冒頭から言うように急激な円高、株安で非常に厳しい状況に今直面している。もう一つは、消費の下支えとなってきた、また景気浮揚の原動力となってきたこのエコカー補助金であるとかエコポイント制度は、九月末、あるいは延ばしても縮小して三月末に打ち切りという形になるんですね。

 ぜひ経済産業省に伺いたいのは、そういうエコカー補助金とかエコポイント制度を打ち切るということであるのなら、それらにかわってどういう手を民主党政権として新たに打とうとされているのかということが国民からさっぱり見えない、これが今の一番の大きな課題ではないかと思うんです。

 具体的に、エコカー補助金やエコポイント制度の打ち切りにかわって、景気や消費を下支えする経済対策として何を考えておられるのか、経済産業大臣、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 御指摘の点はおっしゃるとおりなんですが、当面は、先ほど来お答えしていますように、まず経済対策の基本方針をしっかりまとめ、実行していきたいということであります。それから、当然、さっきお話ししたように、以降は景気の状況を見ながらということですが、必要に応じてしっかりした対策が打てるような手段を講じていきたいというふうに思っています。

 それで、では将来何でということなんですが、これは一言で言うと、成長戦略をしっかりやっていくということであります。成長戦略の中に海外向けの部分もありますが、同時に、例えば医療とか介護を初めとした、いわゆる国内に対する手だてを取りまとめていますので、それをできるだけ速やかに実行していくということだというふうに思っています。

 それからもう一点は、これは特に経済産業省として重視していることは、先ほど来お話ししていますように、企業に国内にしっかり投資をしてもらう、これは日本の企業だけじゃなくて海外から来てもらってもいいんですが、とにかく国をよりオープンにして、日本における立地競争力を強化していく、そういう意味で、法人税を初めさまざまな取り組みを実現したいというふうに思っています。

佐藤(茂)委員 私は、今本当に国民の多くが生活に対する不安を募らせている中で、政府は本当に無為無策であってはならないと思うんです。今、成長戦略ということもありましたけれども、中長期的な策というのは、効果が上がるのはなかなか時間がかかると思うんです。やはり中長期的な戦略とともに、短期的に景気をどう下支えするのかということもしっかりと考え続けていただいて、なおかつ、政治空白でこうなったとか言われないように、適時適切にスピード感のある対策を打っていただくことをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 大田区とか浜松とか東大阪市、こうしたところで、今、円高不況の状況は極めて深刻な事態になっています。

 私、先日、ものづくりの基盤的技術集積地の一つである東大阪の方へ町工場の調査に入ったんですけれども、中小企業といっても、一社で門形マシニングから平面研磨、そして門形の複合プレーナー、あるいは立形も横形も、フライス盤、ラジアルボール盤など、相当なものを持っているんですよ。そこがこれまでは十人、不況の中でも雇用を支えて頑張ってきたところが、今八人で、このままだったらさらにやめてもらわなきゃ大変だというところがあります。それから、別なところでは、一社でボール盤を二十台持っているんですけれども、工作機械メーカー自身が、ボール盤をつくるところがつぶれていってしまったりして、言ってみればボール盤の博物館みたいな感じですよ。そういうところで、かつて十人でやっていたところが、みんなやめてもらって夫婦でやっている。

 ですから、日本の雇用の七割を支えている中小企業の現場がそういう事態になっているわけですが、雇用が失われますと、所得が失われ、消費が失われますから、これは結局、デフレのスパイラルをひどくするだけですよね。今そういう深刻な事態にものづくりの現場が置かれて、基盤的技術そのものが失われていく、そういう深刻な事態にあるということを改めて痛感してまいりました。

 こういう事態は自然現象じゃなくて、二〇〇七年の秋には、原油先物に投機マネーが流れ込んで価格高騰がやられました。原油だけじゃなしに、あのときに鋼材を初めとして原材料価格も高騰しました、粉物関係なんかも高騰しましたけれども。そこで一遍打撃を受けているんですね。さらに、この投機をやっておった連中が金融ばくちに失敗したのがリーマン・ブラザーズの破綻などで、これで金融経済危機が訪れてまた打撃を受けて、今度は、ギリシャの危機といってももともと投機マネーがああいう事態を引き起こしたんですが、今回の円高ですよ。これでまた打撃を受けている。ですから、中小企業はこういうことが起こるたびに危機に追い込まれてきたという実態ですが、仕事がないというのが今非常に切実な問題です。

 この中で、仕事をもらおうかと思ったら、例えば、もともと親企業からもらっている仕事の場合ですと、今まで既にさんざん単価をたたかれているのに半値の八掛けだと。一方、本来ですと、円高で輸入原材料価格は安くなっておって当たり前ですね。ところが、原材料価格は原油価格高騰のときに合わせて上がった高どまりのままなんですよ。ですから、今、中小企業の皆さん方の経営というのは本当に深刻な事態で、仕事がないから雇用が失われる。

 一に雇用、二に雇用、三に雇用という前に、一に仕事、二に仕事、三に仕事をきちんと生み出さないことには雇用自身が生み出せないという深刻な事態に来ているんですが、最初に、経済産業大臣として、この円高に苦しむ中小企業の現場を大臣自身は具体的にどのように調査をしておられるのか、回っておられるのか、これを伺いたいと思います。

直嶋国務大臣 今お話の中にありましたように、リーマン・ショックの不況以降、中小企業全体の景況は回復しつつあったんですが、御指摘のように、今の円高やデフレ等の影響で非常に先行きが懸念、危惧されています。

 この間発表しました円高の影響調査も、今回特に私の方から、従来のように輸出企業だけを調査するのではなくて、中小企業、特にその中で下請関係にある傘下の企業をあわせて調査するように指示をいたしました。結果として、それらの企業の大変厳しい状況というのがクリアになったというふうに思っています。

 したがいまして、これについても、仕事を直接ということではないかもしれませんが、先ほどお話ししたように、中小企業向けに、特に、新しいことにチャレンジする方とか今の状況を打開しようと努力される方をしっかり応援できるような、そういう政策を実行していきたいというふうに思っております。

 それから、今、あわせまして、中小企業庁の幹部が各地の中小企業に対してヒアリング調査を実行しておりまして、その結果が近いうちにまとまってくると思いますので、現場の実態を踏まえた形で、さらに必要な政策を実施していきたいというふうに思っております。

吉井委員 担当者に指示してというのももちろん大事なことで、そこでしっかり言ってもらわなきゃいけないんですが、私は、今の危機的事態を大臣自身が直接見て、大変な中で割と元気にやっているところを見るのもそれは一つなんですけれども、本当に苦しんでいる実態をやはり体感する、そういう調査というものをやっていただきたい、やっていただく必要があるというふうに思います。

 次に、資料一をごらんいただきたいんですけれども、一九八五年のプラザ合意の前ごろは、実勢相場レートと消費購買力で見たドルと円の相場は比較的近いんです。ところが、プラザ合意から一年で百円の円高になりました。そして、一九九五年には、瞬間風速のように一ドル八十円を切るというときもありましたけれども、今の一ドル八十円台前半、この為替相場というのは、私は、大臣としてこれは異常円高だという認識を持っておられるかどうか、まず認識を伺っておきます。

直嶋国務大臣 先ほど来申し上げていますように、この円高はやはり非常に厳しい状況をもたらしているというふうに受けとめております。

 それは、例えば、円・ドルレート、円・ユーロが対象になって議論されるんですが、実際、今の日本の状況を見ますと、円やドルやユーロだけではなくて、韓国のウォンとか中国の元と競合しているという関係にありまして、そういう意味では、今レートを見るときに、特に韓国のウォン等も念頭に置いてしっかりとレートを見るように指示をいたしておるところです。

 そして、それらの関係も含めて申し上げますと、特に韓国ウォンとの関係では、この三年ぐらいの間に、大体、円がドルに対して四割ぐらい高くなっていまして、ウォンは逆に二割ぐらい安くなっていますから、上下六割ぐらいの大きな変動がある、こういうことでありまして、大変これは厳しい状況だというふうに思っています。

吉井委員 長期的に見れば、ユーロとドルとの関係でいえばそう変わっているわけじゃないんです。

 それで、プラザ合意以降の問題ですけれども、この資料にも載せておきましたように、購買力平価と実勢レートで見たときの乖離が、一ドル約五十円ぐらい高過ぎるんですよ。ここには、無理な下請単価たたきと、派遣労働など低賃金、不安定雇用によるコストダウン、コストダウンで、強過ぎる輸出競争力をつけたことがこの乖離を生み出した要因となっています。

 その上にもう一つの問題が、最近の急激な円高については、アメリカ、ヨーロッパの金融危機に対応する脆弱性を背景にして、相対的に安定している円がねらい撃ちされているという問題があります。

 そこで、最初に伺っておきたいのは、下請中小企業はもとより、日本経済の円高による社会の危機を打開するには、一つは、政府として、購買力平価に見合った実勢レートに合わせる努力、この取り組みというものが必要だと思うんですが、大臣はどのように取り組みをやっていこうと考えておられるか、伺います。

直嶋国務大臣 購買力平価に沿っていくのか、結果としてそういうことになるのか、指標をとるところはなかなか難しいと思うんですが、結局、今御指摘のように、八〇年代後半以降、円・ドルの実勢為替レートは購買力平価に比べて円高で推移してきていますが、あの表にもあるように、二〇〇〇年代後半にはかなり近づいたことがありました。

 しかし、リーマン・ショック以降、円がリスク回避通貨と認識されまして、海外景気に対する不安の中で円高傾向になっているわけであります。さらに、足元では、海外景気の下振れ懸念の高まりに加えて、各国中央銀行の金融緩和が日本と海外との金利差を縮小させて、そのことがまた円高が継続的に進行している要因になっています。特に、直近の円高はこの効果が非常に大きいんじゃないかというふうに私は思っています。

 こういう状況の中で、日本銀行も新型オペの拡充やさらなる金融緩和の可能性の示唆などを講じておられまして、政府としては、日銀と一体になって金融面も含めて対応していきたいということであります。

 また、実体経済への悪影響の緩和も必要でありまして、こちらは、先ほどお話ししていますように、まず十日に経済対策を取りまとめますので、それに基づきましてしっかり実行するということと、同時に、経済産業省としては、特に国内投資促進、これは菅総理からも具体的に経済産業省で取りまとめるようにという指示をいただいています。こういった日本国内に投資を促進していくための政策の策定にも全力で取り組んでいきたいというふうに思っております。

吉井委員 先に投資という点でいいますと、グローバリゼーションの中でも、ヨーロッパ、アメリカなんかですと、海外へ投資しても、そこからの逆輸入というのは非常に少ないんですね。日本の場合には、投資して、そこからの逆輸入が物すごく多い。しかも、部品の逆輸入などで国内の中小企業が打撃を受ける、大体三割から四割近く逆輸入ですから。

 ですから、そういう点、特に日本の投資のあり方というものについては、よそから呼び込むという話もありますが、実際に、下請単価たたきとか低賃金で強い競争力を持ってきた日本の産業構造そのものにきちんとメスを入れていかないと問題の解決にはなかなかなっていかないということを申し上げておきたいと思うんです。

 もう一つの投機マネーの方ですが、これは株式、為替先物、金融派生商品、何でも投機対象にして、世界経済はもとより、日本経済、とりわけ中小企業を直撃しております。

 こうした中で、G20ではイギリスやフランスなどは投機規制を主張し出しておりますし、ドイツ政府は既に五月十九日から国債にかかわるCDS、ソブリン空売り規制というのをやっております。だから、政府として、やはり投機規制をきちんとやっていく対応というのは必要だと思うんですが、この点、直嶋大臣は、政府として、投機そのもの、異常な投機を規制することについてどのように取り組んでいこうとされるのか、伺っておきます。

直嶋国務大臣 私の御指名でございますが、近藤政務官の方からお答えをさせていただきたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えをいたします。

 先生御指摘の投機マネーの流入というのは実体経済にも大変大きな影響を与える、このように経済産業省としては認識しているところであります。

 原油、原材料などの商品価格については、実体経済に大変大きな影響を与えるものでありますから、その商品の実際の需給を踏まえた透明かつ公正な価格が形成されることが必要であります。

 投資資金が国境を越えて活発に移動している中、商品市場の透明性を高めることが国際的にも求められておりまして、相場操縦行為等の不公正取引に対する市場監視を強化するため、現在、各国の規制当局等とも連携を推進しております。

 また、先生御案内のとおり、昨年には商品取引法の改正を行い、国内商品取引所の相場が実体経済の需給と離れた異常な過熱を示すような場合には、主務大臣が、例えば商品取引所に対しては取引数量の制限、取引証拠金の額の変更、または商品取引清算機関に対しても取引証拠金の額の変更、また、取引参加者に対しても取引数量の制限等々、実質的にその取引を停止する権限、是正措置を大臣が命ずる権限を持っている、こういうことでございます。

 経済産業省としては、今後とも、海外の規制当局と連携しつつ、市場の透明性向上に向けて適切に取り組んでまいりたい、このように思っておりますし、また、その商品について言えば、ロンドンやシカゴ、ニューヨークといったところで値決めがされるよりは、日本の取引所をより活性化させて、そして、購買者がある、実需のある日本国で決まるような、そういった取引所の活性化ということも重要か、このように考えております。

吉井委員 取引所のお話はあったんですけれども、これは大臣に伺っておきたいんですけれども、要するに、原油も原材料も穀物もそうですし、それから、こういう投機マネーというのは、先物取引から株式から為替から金融派生商品から何でも、もうかると見たら行くわけですね。しかも、短時間取引ですよ。

 ですから、こういう点では、今国際的にも検討されておりますが、例えばトービン・タックスのように、〇・〇〇一%であれ〇・〇〇三%であれ、短時間取引でもうけを上げるような、要するにばくちの上がりは税金で持っていくということについてやはり考えていかないと、実需にかかわるものは長期の取引ですから、別に〇・〇〇一%ぐらいの税金でも困るわけじゃないんですよ、〇・〇〇三%であったとしても。

 ですから、やはりそういうふうな仕組みというものを国際的にきちんと考えて投機規制をやるということをやっていかなきゃ、これはなかなか簡単には解決しないと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

直嶋国務大臣 行き過ぎた投機というんですか、そういうものに対して何らかの規制が必要だということで、今、近藤政務官の方から商品市場についてお話しさせていただきましたが、これは国際的にも今さまざまな形で議論をされています。

 今の一種の金融取引税のようなものですが、これもさまざまな場で議論になっていることは認識をいたしておりますが、私どもが今すぐこれについてイエス、ノーを申し上げられる状況じゃなくて、もう少し国際的な議論もお聞きをしながら、今後国内でも議論をしていきたいというふうに思っております。

吉井委員 次に、原油高騰に始まり、何度も投機資金が動いて大変な経済の混乱や不況がやってきたわけですが、緊急保証が打たれ、その後、名前が変わりましたけれども、不況の長期化のために、返済時期が迫ってくる中で、しかし、借りかえをやると手数料負担などでこの制度はなかなか使い勝手が悪い、近い将来返済できるめどがなかなか立たない、これは現場を回ったときの皆さんの訴えです。

 ですから、返済期間の繰り延べや金利引き下げを、この円高不況を乗り越える時期までやはり返済の据置期間の繰り延べとか金利引き下げのような具体的な対策を今緊急にとるべきだと私は思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

直嶋国務大臣 事務方も用意しているようですから、私の答弁の後、事務方からまた補足をさせていただければというふうに思います。

 先ほど来の御議論のとおりでありまして、今のこの経済情勢の中で、やはり金融機関からの借入金、借入債務の返済に苦労されている方がふえておりまして、その返済の負担を軽減する、いわゆる条件変更の重要性が高まっているというふうに思っております。

 これまでも、御承知のとおり、ことしですか、法律が成立をしまして、貸し付け条件の変更に積極的に対応するように私どもも要請をしているところであります。

 例えば、公的金融機関の条件変更の実績を申し上げますと、前年同月比で大体四割から五割増加しておりまして、民間金融機関においても大幅に実績がふえているというふうに聞いております。したがいまして、そういう意味では政策効果もかなり上がってきているというふうに受けとめております。

 今回の経済対策の基本指針においても、中小企業の金融支援がその中で位置づけられておりますので、景気対応緊急保証などの支援策の着実な実施や条件変更の一層の推進を通じて、中小企業金融に万全を期していきたいというふうに思っております。

吉井委員 緊急保証などを打たれて、しかし、実際に銀行はプロパー融資を保証つきに置きかえるというふうなことをやってきていて、市中に金はあるんですけれども、回っているんだけれども、中小企業に回らない、そういう実態というものがあります。

 ですから、現場の中小業者の方からすると、返済期間の繰り延べとか金利引き下げをずっとやってくれと言っているんじゃない、この不況、この円高不況を乗り切るまで緊急に手を打ってほしいというのが強い声ですから、私は、大臣自身も現場を調査されて、ぜひ取り組んでいただきたい。

 このことを申し上げて、もう一つ大臣に伺っておきたいのは、今、国内では中小企業の皆さんが、要するに仕事が欲しいという声が物すごく高いんです。エコカー減税などでトヨタなど自動車大企業は売り上げが回復したりしております。そして利益の方は大きく上げているわけですが、その利益は国内に還元されているんだろうか、内需が大きく伸びて中小企業や国内経済は上向いているんだろうかということが、一つの大事なポイントになってくると思うんです。

 そこで、大臣に伺っておきたいのは、エコカー減税による内需循環がどのように働いて、日本経済はどのようになっていったのか、その効果について何か試算しておられたら伺っておきたいと思います。

直嶋国務大臣 エコカー補助金の方ですね、今の。エコカー減税はまだ実行しておりまして、私、業界の方にも申し上げているんですが、せっかくつくっているエコカー減税なので、しっかり活用してもらいたいということを今申し上げています。エコカーの普及促進の上で、この減税制度も大きな効果があるというふうに思っています。

 それから、個別企業の業績の話はよくわかりませんのでここで申し上げるのはなかなか難しいんですが、昨年度、リーマン・ショックの直後の決算期はかなり、自動車メーカーの大手も赤字を出したところがあるというふうに思っておりまして、この成果をもうけとしてメーカーが独占しているわけではないというふうに思っております。

 それで、エコ消費三本柱と呼んでいまして、家電、住宅のエコポイント、それからエコカー補助金、エコカー減税、こういうものを実行してきまして、景気面では大きな内需刺激効果があったというふうに認識をしています。

 例えば家電エコポイントについて申し上げますと、テレビ、エアコン、冷蔵庫の売り上げの合計が、制度開始以降、前年同期比で大体二割程度増加をいたしております。それから住宅エコポイントについては、足元で、リフォーム対象の内窓の出荷が前年同月比で二・八倍、リフォーム用ガラスは二・三倍で推移しております。また、エコカーの補助については、国内新車販売が、昨年九月以降、十二カ月連続で前年を上回る水準で推移をしている。

 こういうことで、政策的には大きな効果があって、この間の、リーマン・ショック直後のあの厳しい状況下で、雇用の下支え効果もあったというふうに考えております。

 また、それによって中小企業への波及効果もあったというふうに思っておりまして、家電、自動車、住宅、それぞれの産業において、部品製造や現場での施工など関連産業のすそ野が広いことから、大きな効果はあったというふうに見ております。

吉井委員 私は、産業連関表その他を使って、どのような効果があったかをきちんと今試算するべきときだというふうに思います。そうでないと、税金が大企業への所得移転に終わっただけでは、現場の中小企業は大変なんですから、それでは必ずしも大きな効果があったということにならないわけですから、その検証が必要だと思います。

 次に、資料二をごらんいただきたいんです。

 今、仕事が欲しいというのが中小企業の声なんですが、表一の方で、中小企業の契約率は上がっているんですが、官公需の調達実例の下の表二を見ていただきたいんですが、実際にはなかなか厳しいものがあります。A、B、C、Dとしておきましたのは、ある西日本の官公需適格組合の例なんですが、具体例を挙げますとどこの話かというのがわかってしまうものですから、仕方がないからこうしております。仕入れ価格より落札価格の方が下回っているんですよ。ダンピングですさまじい実態になっているんですよ、今。

 二〇一〇年度の中小企業者に関する国等の契約の方針が閣議決定されたわけですが、この中で「官公需契約の一部に過度な低価格競争が生じている」というふうに指摘しております。それから、役務についての契約の実態調査を実施するとなっているんですが、消耗品入札の実例はここに挙げたとおりなんですよ。これでは、とても適正な利益を含んだ発注ということにはならない。

 私は、ダンピング規制強化をうたうからには、やはり少なくとも最低賃金が保障されるような、これは野田市の公契約条例などにも見られますが、そういうものをきちんと保障するような、そういう契約のあり方に変えていかなきゃいけないと思うんです。

 一社で受注困難な場合には共同受注ということで、官公需法第三条で「組合を国等の契約の相手方として活用するように配慮しなければならない。」としているんですが、現実は、表一の一番右端ですが、〇・三%とか〇・四%。ですから、これだけ深刻な不況の中で、組合をつくっても、ほかの組合と競争入札させて、とにかく安ければいいんだ、あるいは、霞が関一括調達の問題を前に取り上げたことがありますが、安ければいいということになってしまうと、ダンピング競争をひどくするばかりで、働いている人たちの最低賃金さえ守れない、そういう深刻な実態になっているというのが今の現実です。

 だから私は、この点では官公需適格組合制度を、やはり国としてもきちんとその改善を目指してダンピングの規制を行うこと、そして、中小企業の皆さん方に、国であれ自治体であれ、公の仕事がもっときちんと回っていくようにすることが大事だと思うんです。

 私、ことし三月には、京都のスクール・ニューディールの例を挙げまして、大塚商会とかヤマダ電機とか大きいところがとってしまって、実際の仕事は町の電気屋さんがやっている。あのとき、何と時給五百円だったんですよ、その契約は。ひどいものですよ。息子のアルバイト料よりも低いというのが、下請へ行っている仕事の実態なんです。

 そういう事態を打開するには、やはり分離分割発注とか、せっかく国は法律をつくって適格組合をやっているときですから、ダンピングを規制して、きちんと事業者の方たちが仕事ができるようにする取り組みというものが必要だと思うわけです。そのことの大臣のお考えを伺っておきます。

直嶋国務大臣 この問題も私の方からお答えさせていただいて、実務的にもし必要であれば事務局からお答えをさせていただきます。

 今御指摘のように、この不況の中で官公需も低価格競争が激しくなっているという声が出ておりまして、結果的に、低価格での入札が行き過ぎれば、おっしゃったように、受注者における賃金の引き下げや、調達する物品やサービスの品質の低下等につながることが危惧されます。

 したがいまして、本年六月に閣議決定いたしました官公需法に基づく中小企業者に関する国等の契約の方針において、ダンピング対策の強化を織り込みました。

 具体的に申し上げますと、低入札価格調査制度を適切に活用し、特に人件費比率の高い役務契約について入札価格内訳書の徴収を徹底する、二つ目に、落札者名の公表を徹底し、公正取引委員会、労働基準監督署などの規制当局による監視につなげる、こういうふうにいたしました。

 こうした対策については、経済産業大臣から各府省の大臣、都道府県知事等に対してもあわせて協力要請を行っているところでございます。

 この問題も引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。

吉井委員 時間が参りましたので終わりますが、官公需の受注対策事業の予算について、経産省の独自の仕分けで、これは行政事業レビューに出ておりますが、官公需受注対策事業廃止となっているんですね。来年度概算要求では、ことしの四千百万円がゼロになると。こういうふうなやり方では、幾らダンピングの実態を規制し、中小商工業者に仕事が回る仕組みをつくろうとしても、できなくなってしまいますから、私は、こうしたことについては、事業仕分けのこの部分は廃止をするべきだ、このことを申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

東委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十二分散会


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