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第4号 平成22年11月12日(金曜日)

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平成二十二年十一月十二日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 北神 圭朗君 理事 楠田 大蔵君

   理事 後藤  斎君 理事 近藤 洋介君

   理事 平  智之君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 元久君    緒方林太郎君

      笠原多見子君    金森  正君

      木村たけつか君    櫛渕 万里君

      熊田 篤嗣君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    田嶋  要君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      福嶋健一郎君    三日月大造君

      皆吉 稲生君    本村賢太郎君

      森山 浩行君    山井 和則君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      新藤 義孝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    西野あきら君

      額賀福志郎君    稲津  久君

      西  博義君    吉井 英勝君

      山内 康一君    園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       大畠 章宏君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   経済産業副大臣      池田 元久君

   外務大臣政務官      菊田真紀子君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 渡邉  優君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石兼 公博君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       嶋田  隆君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          厚木  進君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     吉田 正一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 牛島  清君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  池田 元久君     三日月大造君

  笠原多見子君     金森  正君

  川口  博君     福嶋健一郎君

  田嶋  要君     山井 和則君

  森山 浩行君     本村賢太郎君

  稲津  久君     西  博義君

同日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     笠原多見子君

  福嶋健一郎君     川口  博君

  三日月大造君     池田 元久君

  本村賢太郎君     森山 浩行君

  山井 和則君     田嶋  要君

  西  博義君     稲津  久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として警察庁警備局長西村泰彦君、外務省大臣官房審議官渡邉優君、外務省大臣官房参事官石兼公博君、経済産業省通商政策局通商機構部長嶋田隆君、経済産業省貿易経済協力局長厚木進君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長吉田正一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長安藤久佳君及び海上保安庁警備救難監牛島清君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自民党の西村康稔でございます。

 早速質問に入りたいと思いますが、本日は、北朝鮮の制裁についての国会の事後承認をするということについての審議ではありますけれども、実は、この日、この時間の設定に際してはいろいろとやりとりがありまして、理事会でも議論になりました。

 実は、本日、経産省主催で日露投資フォーラムというものを開いている。当初、大臣は、そちらを優先して出席をしたいというお話がありました。これはもってのほかであります。国会軽視も甚だしい。しかも、ロシアの大統領が国後を訪問した、その直後のこの時期に、日本企業を数百人集めて、ロシアに投資しましょうと。そんな投資フォーラム自体、今の時期におかしいということを我々申し上げてまいりました。

 まず大臣にこのことについての基本的な認識をお伺いしたいと思います。

大畠国務大臣 西村委員の御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 確かに、私自身としては、もともと日露投資フォーラムというのをこの金曜日に行う日程は知っておりましたが、事務方には委員会を優先しなさいという指示をいたしました。したがって、日程がダブっているというのは承知をしておりましたが、私の意思としては、国会優先で行うべき。特に、西村委員から御指摘のように北方領土の問題もございますし、私としては、西村委員がおっしゃるように委員会を優先すべしということで、この委員会に出席することをみずからの意思として決定をさせていただきました。

 以上でございます。

西村(康)委員 大臣、またそれを事務方のせいにされるんですか。私は、当初、経産省の方から説明を受けたのは、午前中はこの会議があります、昼はロシアの大臣を囲んで歓迎昼食会をやるんです、大臣はそれに出席しますから昼からの委員会にしてください、こういう申し入れを受けました。大臣の指示と違うじゃないですか。

大畠国務大臣 実は、この件については、私もきょう一日の日程の説明をよく受けておりませんでしたけれども、基本的には委員会優先でやれ、こういうことを事務方には指示をしておりました。

西村(康)委員 よく説明を受けていないとか、そんな逃げるのはやめていただきたいと思います。

 朝からでも国会に出るなら出ると。この北朝鮮の承認案件だって、前国会でやらなかったわけですから、我々、国会としては、委員会としては、早くやらなきゃいけない話であります。それを御担当の大臣として御存じの上で本来なら指示を出して、国会優先だと言わなきゃいけないのに、よく日程も知りませんでしたと。その答弁はおかしいじゃないですか。

大畠国務大臣 現在、APECが動いておりまして、そのAPECの日程等については詳しく事務方と打ち合わせをしておりましたが、この日ロフォーラムというものについては十分な情報を、これは委員御指摘のように不十分なところがあったと思いますが、日ロフォーラムの日程については詳細の説明を私自身は受けておりませんでした。

 ただ、事務方の方には、委員会というものを、私も経済産業委員会、あるいは商工委員会等々、筆頭理事もさせていただきましたし、委員会の重要性というのは十分承知しておりますから、それを優先しろということを申し上げたわけであります。決して事務方の責任にするつもりはございません。

西村(康)委員 いや、私は北朝鮮の承認案件が委員会でかかるということを聞いているんです。きょう、それをやるということも知らなかったんですか。きょう十二日に委員会の可能性があって、承認の審議をする可能性があるのに、APECの日程ばかりやって、こっちはどうでもいいということですか。まさに、それこそ国会軽視じゃないですか。

 さらに、これもいろいろ言った、言わないと、事務的なことになりますから改めてまたやりたいと思いますけれども、そもそも日ロフォーラムをきょうの時点でやること自体おかしい。このことについてはどう思われますか。

大畠国務大臣 御指摘の点については、私自身も同じような感覚を持っておりました。したがって、日ロフォーラムそのものの延期ということも一時は検討いたしました。

西村(康)委員 いや、一時は検討しても、きょうやっているわけでしょう。もうやっているのか、今からやるのかあれですけれども。四百社も集めてやっているわけでしょう。大臣としてどういう判断をされたんですか。

大畠国務大臣 この日ロフォーラムというものを、私自身もいろいろと背景を調べさせていただきました。第一回目の日露投資フォーラムが二〇〇六年。当時、二階大臣が経産大臣をされておりましたが、そういう背景も調べました。そして、この半年間、日本、ロシア双方で、民間関係も中心となりまして、この日に焦点を合わせて準備してきた、こういうことは私自身も承知をしております。

西村(康)委員 いや、大統領が国後島を訪問したこの時期に、なぜ、日本企業を四百社、四百人も集めて、ロシアに投資しましょうとそのフォーラムをやる必要があるのか。これまでの経緯、重要性はわかっています。しかし、まさに領土や主権が侵されようとしているこのときに、日本企業を集めて、何で何もなかったかのようにロシアに投資しましょうと。そのフォーラムを中止すべきじゃないか、こう聞いているんです。

大畠国務大臣 御指摘の点でございますが、私もそのような認識を一時持ったことがあります。それで、延期するかという検討も事務方にさせました。しかし、外務省等々といろいろやりとりをいたしましたが、さまざまな状況があるけれども、民間関係もかなり動いておりますので、そういう意味では投資フォーラムというものを開催する、こういうことを最終的に決定したわけであります。

西村(康)委員 きょうは北朝鮮制裁の決議の審議でありますので、ここでやめますが、既に理事会でも要求をさせていただいていますけれども、この対外的な経済政策、先般来、中国のレアアースの問題、東シナ海のガス田の問題、このフォーラムの問題、それからAPECも開かれています、そういう意味で、この対外的な経済政策についての集中審議、場合によっては外務委員会との合同の委員会を求めたいと思います。委員長、御配慮をよろしくお願いします。

田中委員長 後日、理事会で検討させていただきます。

西村(康)委員 北朝鮮の問題に移ります。

 まず、拉致問題。このロシアフォーラムの対応についても、そして尖閣のあの事件への対応にしても、まさに領土や主権を守る決意が感じられないわけであります。ましてや、日本国民の生命や安全を守る覚悟や決意が今の政権からは感じられないわけであります。

 七月に金賢姫元工作員を招致して情報収集した。いろいろな情報があったんでしょうけれども、その裏づけもやっているんでしょうが、全くその後進展が見られない。本気で解決する意思があるのか。そしてまた、外務省の一部の幹部が拉致被害者が生存していないというような発言をしたということで裁判も行われております。

 拉致被害者全員が生存している、それを信じて、前提として交渉し、この問題を解決する、その覚悟があるのかどうか、このことをお伺いしたいと思います。

東副大臣 おはようございます。

 西村議員の御質問に答えさせていただきたいと思います。

 西村議員は、福田改造内閣あるいはまた麻生内閣で外務大臣政務官を務められている、まさに外交や安全保障の本質といいますか、主権にかかわる問題に対して深い見識を有しているというふうに推察します。

 その上で、この拉致問題というのは、今御指摘にありましたとおり、国家主権及び国民の命、安全にかかわる国家として最重要な問題であります。

 そういう意味におきまして、一番重要なことは、情報にかかわってくる問題です。そういう意味で、今回、金賢姫氏を初めとして、この拉致問題解決をとにかく促していかなくちゃいけない。

 さらにまた、御案内のとおり、二〇〇二年以降、この拉致問題に対しての具体的な成果というのは得られていない。こういう状況の中で、改めて、今御指摘にありましたとおり、北朝鮮側から、当局から、明確な情報、明確な証拠に基づいて、私たちが何としてでも取り返さなければならないと思っている拉致被害者に関しての消息、証拠、これが判明しない限り全員が生きているという前提のもとでこの問題に取り組んでいくことは、私が言わなくても、西村議員自身も同じ気持ちなんだろうというふうに思います。

 そういう意味で、政府として、一刻も早くこの拉致被害者の皆さん方をとにかく帰国させる、この一点で、すべての、全知全能と言ってもいいんだと思うんですが、それを傾注させて取り組んでいるということだけ明確にさせておきたいというふうに思います。

西村(康)委員 東副大臣は以前からも取り組んでおられますし、今の言葉だけじゃなくて、北朝鮮の情勢も動いておりますので、ぜひ情報収集ももちろんしていただいて、その上で、我々、超党派の議連もありますし、野党として本件の解決に向けての協力を惜しみませんので、ぜひ引き続き強力に取り組んでいただければと思います。

 今回の制裁についてお伺いをいたします。

 今回の制裁は、当然続けるべきだというふうに我々は考えているわけでありますけれども、きのう安保理で報告書が出たようでありまして、けさ原文をもらいましたので全部は読めておりませんけれども、報道等によりますと、日本、アメリカは北朝鮮との貿易は二〇〇九年でほとんどゼロになっている。しかし、一方で中国、韓国はそれぞれ十七億ドルぐらいやっていますので、一千数百億円ぐらいずつの貿易がある。つまり、日本が厳しくやっても、韓国、中国がやっている限り、結局、北朝鮮の制裁にはならない。抜け穴があるわけですね。

 さらに言えば、北朝鮮には鉱物資源があるとも言われておりまして、中国の企業のみならず、ヨーロッパの企業までがその開発に参画をしているというふうな情報もあります。

 この点について、外務省はどういうふうに対応していくのか、どう考えればいいのか、ぜひお答えをいただきたいと思います。

菊田大臣政務官 おはようございます。

 西村委員におかれましては、北朝鮮問題、そしてまた拉致問題に大変粘り強く取り組んでいただいていることに心から感謝を申し上げたいと思います。

 まず、冒頭の御質問でありますけれども、委員御指摘のとおり、専門家パネルの最終報告書によりますと、北朝鮮の主要相手国との貿易額というのは著しく減少していると報告をされております。また、韓国統一部の統計によりますと、北朝鮮全体の対外貿易は二〇〇八年から二〇〇九年にかけて減少しているというふうに見られております。

 国連安保理決議第一八七四号は、北朝鮮からのすべての武器、関連物資の輸出入の禁止を決定しております。この決議に基づきまして輸出入が禁止されている物品については、各国は、決議違反の疑いがある貨物に対する検査等の措置について制裁委員会に報告することとされています。この最終報告書によれば、武器等の輸出がこれまで北朝鮮の収入源となってきた旨述べられておりまして、現在までに四つの武器等の輸出入にかかわる違反事案がこの制裁委員会に報告をされているところでございます。

 我が国としても、国際社会が国連安保理決議第一八七四号等の着実な、全面的な実施が重要であるという立場でこれからも情報交換をしながら、しっかりと措置の実効性を確保していきたいというふうに思っております。

西村(康)委員 大変御丁寧に答弁をいただきましたけれども、官僚のつくった作文をそのまま棒読みするのはぜひやめていただいて、民主党はまさに政治主導でやろうとしておられるわけですから、政治主導で、まさにこの北朝鮮をどう封じ込めていくかということをより高い見地で政治家として政務官として議論していただいて、そして、明確な指示を出す、あるいは国際社会にみずから交渉に挑んでいく、その姿勢をぜひ持っていただければと思います。

 時間が来ておりますが、せっかく来ていただいたので、一言だけ、北朝鮮への携帯輸出、あるいは送金の規制、届け出について。

 これは、送金三百万円超については届け出をするとなっていますけれども、わずか五件ぐらいしかないわけですね。これはもう全部届け出にしたらどうですか。この際、全部届け出にして、より厳しく北朝鮮を封じ込める、制裁をするということをしてはどうかと思うんですが、いかがですか。

五十嵐副大臣 お答えをいたします。

 二回にわたって基準の引き下げをしておりまして、原則は、一般的には携帯輸出百万円超、貿易支払い三千万円超なんですが、七月六日から二回目の引き下げをいたしまして、ただいまは十万円超と三百万円超でございます。貿易の支払いについては、御指摘のとおり少なくなってきております。

 政府としては、これはミサイル発射とか韓国艦艇への砲撃ということを受けて措置をしているものですから、今後とも、こうした北朝鮮をめぐる情勢に応じて適宜適切に対応してまいりたい、こう思っております。

西村(康)委員 もう五件ぐらいしか届け出がないんですから、事務的に煩雑になるとかということもないと思いますので、ぜひ状況を見ながら、より厳しくするということもお考えいただければと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 きょうは、北朝鮮の国際社会におけるいろいろな問題、我が国との問題ということに対して、やはり我が国としてできることをしっかりやっていきたいという、この輸出入の承認義務を課す等の措置についての案件であります。

 そういったことに取り組みながら粘り強く問題の解決に向かっていかなければいけないということでいえば、当然にこういうことを続けなきゃいけない、そういう思いを持っております。

 その中で、私は、北朝鮮側といいますか、日本の国でいえば日本海側、北朝鮮と海を隔てて接しているといいますか、そういう地域、富山県の出身であります。

 きょうの質問をさせていただく中で、いろいろな案件の中で、飛翔体のときも非常に心配させられました。拉致の問題も、非常に御心痛の方々もいっぱいいらっしゃいます。そういった思いも込めながら、究極は、やはり私どもの海、日本海が平和で安全で美しい海であってほしい、そんな思いを込めながら質問させていただくんですが、それにふさわしい万葉集の歌を詠んでから始めたいと思います。

 大伴家持卿が、私どもの富山県へやってきて、何と美しい日本海だということで詠んだ歌を一首御披露して入らせていただきたいと思います。巻十七、三千九百五十四番であります。馬なめていざうち行かな、渋谿(しぶたに)の清き磯廻(いそみ)に寄する波見に。馬を駆って、清い磯廻、そういう磯の方を見にいこうじゃないか、波を見ようじゃないかという歌であります。

  馬並めていざうち行かな渋谿の清き磯廻に寄する波見に

 どうもありがとうございます。(拍手)

 それでは、非常に教科書的な質問から入ってまいりますが、まず、基本的なところから順次進めていきたいと思います。

 この外国為替及び外国貿易法第十条第一項は、対応措置の発動要件といたしまして、「我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるとき」、こういう要件を課しているわけであります。きょう案件になっている措置は、平成十八年十月十四日に発動され、二十一年四月から期間が一年間に延長され、今回六度目の延長となります。このことについて、その理由をまず確認をさせていただきます。

大畠国務大臣 改めて、ただいま日本人の心を歌というものを通して教えていただきましてありがとうございます。

 さて、御質問でございますが、この対北朝鮮輸出入禁止措置の延長でございますが、御存じのとおり、我が国として、平成十八年の十月から全面的に輸入の禁止という措置を行いました。ただし、このときは半年ごとに延長していたわけでありますけれども、平成二十一年の四月にミサイル発射があり、五月には二度目の核実験というものが行われました。こういう背景をもって一年と期限を切りまして行わせていただいたところであります。

 しかし、その後も、平成二十年の八月に我が国と合意した拉致問題に係る調査のやり直しに着手していないこと、また、核問題、ミサイル問題についても、関係国の働きかけにもかかわらず、昨年ミサイル発射、核実験を実施し、その後も六者会談も行われていない。こういう情勢を総合的に判断いたしまして、本年四月十三日の期限後も引き続き延長をするべきである、こういうことから措置をとったところであります。

橘(慶)委員 核、ミサイル、拉致問題、そして六者会談、この四つの要素があると思っております。

 特に、今回の措置の期間に余り大きな動きもなかった。動かないことは、安全なのかなという感じもしますけれども、逆に言えば、なかなかもどかしい、そして、はっきりしないな、心配だな、こんな思いもするわけであります。

 一応それぞれの事案につきまして、進捗といいますか、事実関係がどうなっているのか、これを伺っていきたいと思います。

 まず、核実験であります。

 今ほど大畠大臣からお話ありましたように、平成二十一年五月二十五日、二回目の核実験の発表がありました。九月三日にはウラン濃縮実験の成功の発表もあり、憂慮すべき状況が続いていると思います。現状はどう見ておられるのか、お伺いします。

菊田大臣政務官 橘委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 委員御指摘のとおりでございまして、北朝鮮は昨年の五月二十五日に核実験を実施しました。また、この年九月には、北朝鮮の国連代表部常駐代表が国連安保理議長に送付した書簡、手紙の中で、ウランの濃縮実験が成功裏に行われ、完了段階に入った旨、表明をいたしております。

 北朝鮮の核開発関連動向につきましては、外務省といたしましても、平素より情報の収集、分析に努めておるところでありますが、先日の北朝鮮側発表等も含めさまざまな情報に接しているところでありますけれども、これ以上の個々の具体的な情報については、事柄の性質上、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、北朝鮮の核開発は断じて容認できないという立場を今後も強く主張してまいりたいと存じます。

橘(慶)委員 続きまして、ミサイルについてお伺いいたします。

 平成二十一年四月五日の飛翔体の発射は、私もそのときは富山県で生活をしておりましたので、大変記憶に新しい、生々しいものがあります。同年十月十二日の韓国政府の発表以降、表だって動きがないようにも思いますが、これも菊田外務大臣政務官に現状を確認します。

菊田大臣政務官 橘委員のミサイルに関する質問に答えさせていただきたいと思います。

 委員御指摘のとおりでございまして、北朝鮮は、昨年の四月五日に人工衛星と称しましてミサイルを発射いたしました。また、同年十月十二日にも、北朝鮮は短距離弾道ミサイルを発射した可能性があります。

 他方、北朝鮮のミサイルに関する動向については、重大な関心を持って外務省としても平素から情報の収集、分析に努めておりますが、先ほどと同じになって恐縮でございますけれども、個々の具体的な情報の内容については、事柄の性質上、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。

 いずれにいたしましても、北朝鮮による弾道ミサイル開発は、核開発と同様に、累次の安保理決議に違反するものでありますし、また、我が国の安全保障、地域の平和と安定の観点から、絶対に容認できないということでございます。

橘(慶)委員 今ほど、それぞれの案件について、去年の九月三日、そしてまた去年の十月十二日というところまでのお話をいただいたわけであります。

 そこで、これは事前に通告し、やりとりもしているので、あえてさら問いをさせていただきます。

 そうであれば、きょうは二十二年の十一月十二日ということになります、この一年間の間には特にこういう委員会等でお話しになるような案件はない、そういうことであるということを確認させてください。

菊田大臣政務官 先ほど申し上げました核以後は、特にございません。

橘(慶)委員 特にないということが、それで本当に幸せなことかといえば、本当に何が行われているのか、言ってみれば不気味なといいますか、心配である、こういうことであろうと思っております。

 そこで、拉致問題も含めてこういったことを解決する六者会合ということで努力が続けられてきたわけですが、平成二十一年四月十四日、北朝鮮外務省声明によりまして、北朝鮮側から不参加の表明があったわけであります。その後、動きはどうなっていますでしょうか。一年半ぐらいたちますが、日朝間の外交ルートなどでも何らかの接触はあるのでしょうか。お伺いいたします。

菊田大臣政務官 北朝鮮は、八月末の金正日国防委員長の訪中や十月中旬の金桂冠外務第一副相の訪中の際を含めまして、最近になって六者会合を含めた対話に前向きな姿勢を示してはおりますが、三月二十六日に発生した韓国哨戒艦沈没事件やその後の北朝鮮の対応を踏まえれば、現時点では六者会合を再開できる状況にはございません。まずは、北朝鮮が地域の安定のために本当に前向きな姿勢を示して関係国間の信頼を醸成しなければなりません。

 六者会合については、アメリカ、韓国、さらには中国といった関係国と連携をしてまいりましたけれども、今後の具体的な対応のあり方についても、これらの関係国と緊密に意思の疎通を図りながら全力で取り組んでいく考えでございます。

橘(慶)委員 それぞれのことについてなかなか進展が見られない。そしてまた、六者会合もそういう不幸なことがありまして、ことしの三月二十六日の哨戒艇沈没事件などがありまして、なかなか難しいという状況であります。

 さらに、九月二十八日には金正恩氏の北朝鮮における党中央軍事委員会副委員長就任というようなことがあったわけですけれども、いずれにしても、今菊田政務官のお話を聞く限りにおいて、どうも事態としてはいい意味での進展もないし、非常に膠着した状態という中で、先ほど大畠大臣の方からも、半年間の措置を一年間にされて、今継続しながら国会の承認をされるという形になっております。この期間がどの程度が適当かというのは、もちろん国会の果たす役割ということもあると思うんですが、この膠着した事態、そして一年間というこの妥当性について今どのようなお考えであるのか、お伺いいたします。

大畠国務大臣 橘委員の御質問でございますが、一年間という期間がどうなのかということであります。

 委員から御指摘のように、六者会談の問題、あるいは日中問題、日韓との関係、日米との関係、日ロ、さまざまな変化が起きております。そういうものを考えますと、どのくらいがいいのかというのは、いろいろ難しいところもありますが、当面、一年間という措置をとり、状況の変化というものをしっかりと踏まえて対応するのが適切だろうということで、一年の延長ということにさせていただいたわけであります。

橘(慶)委員 そしてまた、先ほど西村議員からも、制裁措置、本当に何かまだ手だてはないのかというお話がありました。私も、その意味では、輸入輸出、あるいは第三国間のやりとりといったものを制限するということで逐次いろいろな手だて、制裁措置を講じてこられたとは思うわけですけれども、国連の方でも安保理決議千八百七十四号がありまして、平成二十二年七月四日にこれに基づく貨物検査法の施行もありまして、逐次強化をしてきておられるわけですが、この法第十条第一項については、とり得べき措置としては、今とっておられる措置のほかにも、代金支払い等の許可の義務づけや資本取引に係る許可の義務づけ、あるいは対外直接投資に係る内容変更、中止勧告等々、幾つかの措置があるわけですね。先ほどのやりとりを聞いておりましても、そういった措置が、どういう有効性があるとかいろいろな問題があると思うんですが、今後、この法第十条第一項という、外為法、外国貿易法の世界の中で、さらに北朝鮮問題のために追加強化できる余地はあるのか、どうお考えになっているのか、お伺いいたします。

厚木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生御指摘のように、外為法第十条第一項では、「我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において、対応措置を講ずべきことを決定することができる。」とされており、今回の措置である輸出入禁止措置以外にも、支払い、資本取引等で措置を講じることができることとなっております。しかしながら、北朝鮮が今後どのような行動をとるかは予断を許さないところでございまして、我が国がいかなる措置を今後とっていく可能性があるかについて予断を与えることは適当ではなく、お答えは差し控えさせていただきたいと思っております。

 いずれにしても、今後の我が国の対北朝鮮措置のあり方については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案をめぐる北朝鮮の対応や、国際社会の動きを含む諸般の情勢を総合的に勘案し、不断に検討を行っていく所存でございます。

橘(慶)委員 それこそ外交の問題でありまして、いろいろな機微に触れる部分だと思います。御答弁も、おっしゃることもよくわかるわけであります。手のうちを全部出せばいいということでもないでしょうし、情報にしましても、はっきりしていることは出せても、なかなかそれ以外のことは当然難しい、それも理解をしているわけであります。

 そんなことを当然理解しながらも、拉致問題はやはり多くの関係の方々が毎日毎日本当に御心痛であると思うわけでありまして、先ほど来の西村議員とのやりとりもそうですが、何とか生存されているということの中からすべての方々が帰国いただけるように頑張るということが、あらゆる立場を超えて非常に大事なことだと思います。

 私の地元富山県でも大変大きな問題であります。特定失踪者問題調査会、この民間団体の公開リストの中にも五人の方が登載をされているわけであります。このうち、私の選挙区ということでいえば、高岡市出身で山田建治さんという方がいらっしゃるわけですけれども、この方を合わせて三人につきまして拉致の可能性が高いということで、平成十六年、これは三十数名の方の告発状となっているわけですが、その中に含まれて告発状が提出されているわけであります。

 この北朝鮮によって拉致された可能性を排除できない方々についての真相究明の取り組みの現状をお伺いいたします。

西村政府参考人 警察におきましては、北朝鮮による拉致容疑事案の全容解明に向けまして、関連情報の収集と捜査を推進した結果、これまでに十三件十九名の方について、北朝鮮による拉致容疑事案と判断するに至っております。

 警察としましては、これらの拉致容疑事案以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があるとの認識のもと、所要の捜査、調査を推進しているところでございます。特に、昨年十月には、全国警察本部長会議におきまして、警察庁長官が改めて拉致の可能性を排除できない事案についても徹底した捜査を推進するよう指示したのを初め、各種会議におきまして、その趣旨を徹底しているところであります。

 御家族の御心情を十分しんしゃくしつつ、事案の全容解明に向けて全力を挙げているところでございます。引き続き、捜査、調査を鋭意推進してまいる所存であります。

橘(慶)委員 ぜひそのお取り組みを引き続き鋭意よろしくお願いを申し上げます。

 そして、最近、この拉致問題の動きでは、やはり本年七月二十日のことが一つ挙げられると思います。金賢姫元工作員来日という動きがあったわけであります。大変大きな形で報道もされたわけであります。今それから三カ月半ぐらいたちました。時間を置いた現時点におきまして、金賢姫元工作員来日ということが拉致問題の解決に向けてどんな役割を果たしたかということについて、現状での評価といいますか、お話しできることをぜひ御答弁いただきたいと思います。

東副大臣 橘議員にお答えいたします。

 今御質問にありましたとおり、拉致問題の解決に向けて金元工作員の来日が果たした役割、成果は、大きく言うと三つあるんだろうというふうに思います。

 一つは、三十年以上にわたって自分の家族がどうしているのか、そういう思いでいらっしゃる横田家、あるいはまた飯塚家の御家族の皆さん方が、金賢姫元工作員と直接じっくりと、ゆっくりとお話をしていただいたことによって、この御家族、また被害に遭われている方々、他の御家族の被害者の皆さん方を、何としてでも自分たちが生きている間に取り戻さなくちゃいけない、また帰ってきてほしい、こういう気持ちといいますか、希望を与えることができたんだろう、これが一点だと思います。

 そしてまた、金賢姫元工作員が来日したことによって、改めて国民の皆さん方に拉致問題に対しての関心を巻き起こすことができたと思いますし、また、でき得るならば、拉致問題に対しての共通の認識を喚起することができたんじゃないのか、このように思っています。

 そして、もう一つ重要なことは、この元工作員が来日することができた背景には、韓国のお力なくしてできないことでありました。今まで以上に拉致問題に対しての日韓関係のきずなを深めることができ、また協力関係を深めることができた。韓国のみならず、その他の国々との連携をさらに強化して、委員御指摘のとおり、一刻も早い拉致問題解決が具体的に行われるよう、解決できるよう頑張っていきたいというふうに思います。

 以上です。

橘(慶)委員 こういった長期間にわたる事案については、関係者の方々の御心痛ということも考えながら、また一面、世論が風化していかないようにみんなが気持ちを一つにしていくということを折々していかなきゃいけない。これは、本当に今おっしゃるとおりだと思うわけです。

 ただ、三カ月半たっているというお話もさせていただいた中で、さら問いになりますけれども、この三カ月半の間に、今の事案としては、国民の方々にアピールができた、あるいは横田さんたちに、元気づけるといいますか、そういう気持ちを持っていただくこともできた、また、韓国との関係もよくなってきたということではありますけれども、この来日を本当の意味で生かしていくといいますか、そういう意味において、この三カ月半の後、何かそのことによって動いている部分があるのかどうかということを一応確認させていただきたいと思います。

東副大臣 橘議員にはもう申すまでもないことだと思うんですが、そもそも拉致問題が発覚して、これは後づけですが、三十年以上の歳月がたちます。この国会において初めて拉致問題が公にされたのは、わずか十数年前です。西村真悟議員という、勇気ある発言だと思いますが、予算委員会においてこの問題を指摘した。そのときに、どれだけ多くの人たちが、本当にこういうことが起こっているんだろうかと疑いの目で見ている人たちが大半だったんじゃないでしょうか。

 その後、二〇〇二年に、あの小泉政権下のもとにおいて五人を帰すことができた。これで問題が解決しているのではなくて、本来ならば、そのときにある意味でムーブメントができたんだと思いますが、その後八年間、ある意味で具体的な成果が出ていない。本当に申しわけないというふうに思っている次第です。

 大事なことは、ローグステート、ならず者国家というふうに言われているこの国が、日本の領土に工作員を送って、家族を持っていってしまっている、しかし、そのことすら信じない人たちが大半であった、この事実を思い起こす必要があるんじゃないでしょうか。それからまさにこの問題が始まっている。

 そして、いろいろなことがあるんですが、それによって問題がすぐ解決するかのような気分になることも、これは否めない事実なんだろうというふうに思います。その情報を、ただ第一情報を得たからといって、それに飛びつくわけにはいかない。その情報が本当に真実を語っているのか、また、その情報が信頼たり得るものなのか、それが金正日につながっていくものなのか、ここの部分が最も機微な重要な話です。

 したがって、今回、金賢姫元工作員が来られて、いろいろな話がありました。その問題についても、それがまさに事実なのかどうなのか、こういうことも調べた上で取り組んでいかなくちゃいけない。

 御指摘のとおり、開放できること、公表できること、そして秘しておかなければならないこと、多くの方々に影響を与える問題です。そういう意味で取り組んでおりますので、目に見える成果が出ていないからだめだということではなくて、先ほど来西村先生も御指摘のとおり、一貫して国としての脆弱性が問われている問題ですから、この国を再構築していくためにも、この問題を文字どおり党派を超えて解決していかなくちゃいけない。その担当の一翼を担わせていただいているわけでありますから、全力で頑張っていきたいと思います。

橘(慶)委員 今の御答弁を理解しながらも、今、拉致問題対策本部ということで活動を続けておられます。今月の中下旬には、基本的に全閣僚が参加のもとでの第四回会合をされる。これはホームページで拝見させていただきました。今おっしゃったような息長い取り組みの中で、この第四回会合、そしてまた今後の取り組みの方針ということで、当面何を進めていくお考えであるのか、お伺いいたします。

東副大臣 組織の話、そして中身について、ちょっと時系列的になりますが、報告させていただきたいと思うんです。

 昨年の十月、総理を本部長、拉致問題担当大臣、官房長官及び外務大臣を副本部長とする新たな拉致問題対策本部を設置しました。

 本年六月十八日には、菅総理就任直後に第二回本部会合を開催、拉致問題への取り組みを改めて確認させていただきました。

 そして、先月でありますが、十月二十二日には、九月の内閣改造及び北朝鮮における朝鮮労働党代表者会開催などの動きを受けて、本部長、副本部長のほか、岡崎国家公安委員会委員長も加わっていただいて、第三回本部会合を開催させていただいたところです。

 この会合において、最近の北朝鮮情勢等を踏まえた上で、今後の拉致問題対策の進め方についての意見交換が行われました。その中で、菅総理から、次回会合までに、すなわち今御指摘の第四回会合までに、これまでの政府としての取り組みの内容を点検するとともに、今後の取り組みについて検討するように話があったところです。

 したがって、来るべき第四回の会合においては、北朝鮮措置に関係する閣僚を含めて、基本的に全閣僚参加のもとで、今月中に開催される予定でございます。

橘(慶)委員 東副大臣には、一つ一つの取り組みが目的地へ到達するように、またぜひお取り組みをよろしくお願いしたいと思います。

 そして、もう一度、きょうの案件の措置の問題に戻ってまいります。

 輸出入の承認を課すという、この措置が発動される前は、我が国と北朝鮮との貿易の輸出輸入においてはどういうものが主要品目であったのか、少し具体的な品目を挙げて教えていただきたいと思います。

厚木政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮への輸入全面禁止は平成十八年十月に講じているわけでございますが、それ以前の平成十七年時点の主な輸入品目としては、ウニ、アサリなどの魚介類が全体の二八%、石炭が一三%、マツタケなどの野菜、果実が一二%となっております。

 また、平成十七年時点の主な輸出品目としては、バス、トラックなどの輸送用機器が全体の四四%、綿織物などの繊維が一三%、絶縁ケーブルなどの電気機器が八%となっております。

橘(慶)委員 今お伺いすると、輸入の方は海産物あるいは林産物であったり資源的なもの、輸出の方は、言ってみれば経済を進めるためのいろいろなパーツであったり大型の自動車ということであります。

 この措置が発動される前は、我が国は北朝鮮の主要貿易相手国でありました。輸出入とも大体三番目から五番目ぐらいのところにいたわけであります。それを、言ってみれば制裁ということでとめまして、北朝鮮の方にいろいろなことを考えてほしいという趣旨であるわけですけれども、相手方にどれくらいの効果といいますか、どんな効果を与えていると認識されているのか、お伺いいたします。

田嶋大臣政務官 今、経済制裁の効果に関しますお尋ねがございました。

 委員御指摘のとおり、三番目から五番目という、北朝鮮にとりまして大きな貿易相手国であった我が国のこういう制裁の効果でございますが、二つあるという認識でございます。一つは経済的な効果、そしてもう一つは、いわばアナウンスメント効果というものがあると思います。

 まず、前半の経済的効果でございます。

 輸入と輸出があるわけでございますが、まず、一回目の核実験が十八年でございますが、その前年の十七年におきまして、輸入は、すなわち北朝鮮から日本への輸入でございますが、百五十億円ほどございました。これは当時の北朝鮮の全輸出額のおよそ一割という大きな部分を占めておったわけでございますが、これを我が国が輸入禁止という措置をとりました結果、貿易赤字国である北朝鮮の外貨獲得困難という効果を生んだというふうに考えてございます。

 そしてまた、一回目の核実験の前の年の輸出は、我が国から北朝鮮へ向けての輸出でございますが、当時七十億円程度でございましたが、この七十億円が、二度目の核実験、すなわち昨年五月の核実験の後、七月には日本からの輸出はゼロになっております。これによりまして、日本製の高品質の輸送用機器等の調達が北朝鮮は困難になってございますので、このように輸出入両方の禁止措置によりまして、当然、北朝鮮経済に与える影響は大きいというふうに認識をいたしております。

 それから、二点目のアナウンスメント効果でございますが、北朝鮮が拉致問題や核問題を含む諸懸案の解決に向けた建設的な行動をとることを求める我が国の断固たる姿勢を対外的に示す意味があるし、その効果も大きいというふうに考えてございます。

 以上です。

橘(慶)委員 そういうことでみんなで一致して取り組んでいる中で、不正輸出事件として、化粧品、中古パワーショベル、中古ピアノ等の不正輸出案件が本年四月以降四件摘発されているわけで、これは大変残念なことだと思います。こういったことの起こらないようにといいますか、そういうことの取り組みについてお伺いしたいと思います。

西村政府参考人 警察におきましては、対北朝鮮措置として、すべての品目の輸入が禁止された平成十八年十月以降、これまでに同措置に関連する事件を十一件検挙しており、また、同時期に大量破壊兵器関連物資等の北朝鮮向け不正輸出事件を三件検挙しております。

 特に、本年五月、総理から、第三国を経由した迂回輸出入等を防ぐため、関係省庁の連携を一層緊密にし、厳格な対応を行うよう指示を受けて以降は、御指摘の四件の北朝鮮向け迂回輸出事件を相次いで検挙しております。

 警察といたしましては、今後とも、経済産業省、財務省等の関係行政機関との緊密な連携等を通じまして、対北朝鮮措置に係る違法行為の取り締まりをさらに徹底してまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 よろしくお願いします。

 最後に、海上保安庁さん、今いろいろな事案がありまして大変お忙しいときに通告をして申しわけなかったという思いも持つわけですけれども、しかし、日本海の安全と安心、そして美しい海を守るために海上保安庁さんの役割があると思っております。

 先ほど東副大臣から、拉致のお話、過去の三十年云々というお話がありました。昭和五十三年、一九七八年の八月十五日に、先ほど最初に私が歌を詠みました、高岡市の、今で言う雨晴海岸でカップルの拉致未遂事件というのがあったんです。そのときは、私は高校生でしたから、何かわからない方にその方々が連れて行かれたというような印象くらいに思ったのが、実はそうではなかった、大変大きな事案であった、こういうことであります。

 そういったことも含めて、どうやら日本海側は最近は不審船の動きは余り活発ではないということもいただいているわけですが、ここでひとつ、今、東シナ海の情勢に関心は集中しておりますが、日本海を安全で平和な美しい海として守り続けるために、海上保安庁の果たす役割は大変大きいものがあると思っております。取り組みの方針、そして今後に向けての決意を警備救難監の方からお伺いをしたいと思います。

牛島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の方からも御指摘をいただきましたとおり、日本の海を平和で安全な美しい海として守るために一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。

 そのために、二十三年度の概算要求におきましても、荒天下での航行能力や夜間監視能力を備えた大型巡視船、あるいは航続性や高速性を備えたヘリコプターなどの所要の経費の予算要求をしておるところでありますし、また、その一部の前倒し整備を今般の補正予算においても要求して計上させていただいているところでございます。それから、定員につきましても、大型巡視船における事案対処能力の強化、巡視艇の複数クルー制の拡充などのために三百四十五名の増員を要求しているところであります。

 今後とも、一生懸命頑張ってまいります。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 本当は、菊田政務官はお隣の新潟県ですから、そういう思いも込めて質疑をすればよかったのかもしれませんが、いずれにしましても、この北朝鮮の問題は、よりいい解決ができるように頑張っていかなければいけない、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 大畠大臣、前回、水力発電施設の御答弁、頑張っていますと大変いい御答弁をいただいているわけですが、市町村は、合併したところの算定が厳しいとか単価が三分の一になるとか、まだ非常に不安を持っております。そういったところを最後の予算の設定までぜひ精査をいただいて、激変緩和措置を引き続き御検討いただきますようお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

田中委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは北朝鮮の承認案件の委員会でございますが、まず最初に、自民党の西村委員からも指摘がございましたが、私は、きょうのこの日に日露投資フォーラムが粛々と行われるという、この政府の判断については断じて容認することはできません。特に、十一月の一日にメドベージェフ大統領が、ソ連時代も含めて、歴代ロシア首脳として初めて我が国固有の領土である北方領土の国後島に土足で踏み入った、こういう事態を受けて、政府のそれぞれの閣僚はどういう判断をされているのか、そのことをまず確認しておきたいわけです。

 大畠大臣、メドベージェフ大統領が国後島に上陸されたことについてどのようにとらえておられますか。

大畠国務大臣 佐藤委員にお答えを申し上げたいと思います。

 私も、北方領土返還運動をしてきた議員の一人であります。この北方領土というのがどういう歴史を持っているのか、これについてもさまざまな形で私もお話をいただき、北方領土が見えるところまで行って、多分佐藤委員もそうだと思いますが、さまざまな形で地元の方のお話もいただきました。

 そういう意味からすると、今回の大統領の行動というのは、日本人の思い、あるいは日本人の心というものを踏みにじる行為だろうと私は受けとめております。

佐藤(茂)委員 菅内閣の支持率というのが先週末いろいろ世論調査で出ていました。そのときに、「七四%が外交評価せず」、これは共同のデータでございます。読売では、「ロシアのメドベージェフ大統領が北方領土の国後島を訪問したことを「問題だ」と思う人は六八%」というように言われているわけでありまして、要するに、国民は、ロシアのメドベージェフ大統領のこれもけしからぬ、なおかつ、それに対して何ら領土返還に向けて有効な手だてを打てない今の菅政権に対して、余りにもふがいない、そういう思いもやはり持っておられるんじゃないか、そのように私は認識するわけであります。

 そういうところから、今私が最初に申し上げた、そういう暴挙が行われた中で、これは十一月の一日です、手を打てる余地は何ぼでもあったんです。きょう、十二日ですよ。その十二日までの間に、この第四回日露投資フォーラムについてどういう検討をされて、そして結果として粛々とこの投資フォーラムを行われるようになったのか。

 そこについての説得力ある丁寧な説明というものをぜひ経済産業大臣に、あなたが主催者でしょう。先ほどの答弁では、何か外務省が決めたみたいな、そんな言い回しを西村さんに対してはされておったんです。あなたが主催者じゃないんですか。私がやめますと決めたら、こんなものはとっくに中止できたはずなんです。なぜ、粛々と予定どおりこの日露投資フォーラムというものをされるようになったのか、説明をいただきたいと思います。

大畠国務大臣 確かに委員御指摘のとおりだと思います。私も、先ほど西村委員にも御答弁申し上げましたが、一時延期ということも検討をいたしました。

 さまざまな関係筋とも、外務省ともいろいろ話をしまして、行うことにさせていただきましたが、その背景には、一つとして、私はASEANの会合にも総理に同行して、いろいろと各国とバイ会談も行わせていただきました。今必要なことは、関係する方とお会いすることができるのであれば、率直にその問題についてもお話をしようと。

 例えば中国のレアアースの問題についても、中国の関係筋と、事あるたびに一生懸命に事態打開のために努力をしているところでありますけれども、この問題についても、日本の北方領土に大統領が初めて足を踏み入れるということは、日本国民として断じて容認することはできない、こういうことを、先方のナビウリナ大臣が来ておりましたので、バイ会談ができればこの問題を主張しようと思っておりました。

 しかし、残念ながら、このナビウリナ大臣とのバイ会談というのは、本当であればきょうの日に行うという話もありましたので、この経済産業委員会との調整がつけば行ってお話をしたいと思っておりましたが、できませんでしたので、松下副大臣にかわりに行っていただいて、現在の日本人の、基本的な日本国としての考え方を申し述べさせていただきました。今回の大統領の行動は日本とロシアの経済関係に大きな影響を与えることになる、したがって、大臣としても、今後大統領等に、この領土問題というのは日本人にとって、日本にとって大変重大なものなんだ、こういうことを主張していただきたい、こういうことをかわりに申し入れていただきました。

 その結果、その問題については受けとめる、長い歴史の中でさまざまな交流があったけれども、今の松下副大臣のお考えは受けとめる、こういう話だったと思います。

 同時に、私は、今回の日露投資フォーラムにおいて、幾つかの覚書というものを結ぶことにしておりました。しかし、現在の状況でロシア政府と日本の政府との間で覚書を締結することは適当でないということから、日ロ経済関係のさらなる発展のための協力についての日本国経済産業省とロシア連邦経済発展省との間の覚書については締結を見送ることを決定して、そして、きょう、現地の方でもその形で動いているところであります。

 なお、民間同士のものについては、これを云々ということはできませんが、政府間の覚書については見送ることを決断して、そのような措置を今とっているところであります。

 以上です。

佐藤(茂)委員 政府間の覚書を今ごろ交わしておったら、国民から笑われますよ。今でも国民からそっぽを向かれかけておるのに、当たり前じゃないですか、そんなものは。民間でもやめさせるべきですよ。そういう指導力を、経済界を担当する所管大臣として明確にやるべきです。

 民間は今粛々とやるんでしょう、これは。どうなんですか。

大畠国務大臣 これは、先ほどからお話がありましたように、約一年ほど前からずっと継続して民間が動いている問題でありますから、経済問題まで全部とめるというような判断にはまだ至っておりません。

 この問題については、金融、エネルギー、建設機械、さまざまな分野にわたっております。これについては、政府の方からこれを全部やめろというような指示は出しておりませんが、政府間のものについてはこれを見送ることを決めたということであります。

    〔委員長退席、近藤(洋)委員長代理着席〕

佐藤(茂)委員 要するに、菅政権の外交がこれだけ国民から不評な判断、評価を受けているというのは、一言で言うと弱腰なんですよ。なぜ、この投資フォーラムをやめます、そういう判断をされなかったんですか。そこについて明確な答弁をいただきたいと思うんです。私は、日本の領土また主権というものが侵されるという問題と貿易や通商という問題を同じ次元に扱っておるんじゃないのか、そういう懸念を持つわけです。

 大臣はどういう考えをお持ちなんですか。なぜやめられなかったんですか。

大畠国務大臣 このことについては先ほど西村委員にも御答弁を申し上げたところでありますが、私も当初、この十一月の一日の問題を受けて、投資フォーラムは見送るべきという考えを持ちました。しかし、外務省といろいろと話をし、さまざまな状況、この一年間にわたって民間もかなり努力をして今日まで来ておりますから、それも全部見送るというのは日本の国内の経済にも大きな影響を与えるのではないか、そういうことからこの投資フォーラムを続けることにしました。

 ただ、私は、今回日ロ首脳会議が行われるものと考えておりますけれども、この問題について日ロの首脳間で率直に話し合い、問題の解決に向けての動きが始まることを期待して、同時に、私自身も、先ほど言いましたように、ロシアのナビウリナ大臣はけさ、午前中に帰国するということになりましたが、結局は両者で話し合うことはできませんでしたが、日本国の厳しい現実については認識をして帰国されたものと考えております。

佐藤(茂)委員 これ以上経済産業大臣に詰め寄るのもかわいそうなのでやりませんけれども、日ロ首脳会談を設定されるかどうかもまだ決まっていないでしょう、実際。もし設定されて、総理が本当に国民の意を体してそういう厳しい話を毅然と大統領に突きつけられるのかどうかを見て、また予算委員会等でも総理と議論をしっかりとさせていただきたいと思います。

 きょうは承認案件でございますが、これは、昨年の五月二十五日に北朝鮮が核実験をした、そういうことになりまして、当時我々は与党でございましたけれども、私はあの二日後にニューヨークに飛びました。

 当時、与党の外交、安全保障の責任者の一人でございましたので、自民党の山崎拓さん、中谷元さん、私の三人が、まずきちっと国連安保理に働きかけようということで、当時、今話題にしましたけれども、ロシアのチュルキンさんというのが国連大使で、安保理の議長でございました、この方にまず、こういう北朝鮮の行為を、日本の政府また与党、そして国民として断じて見逃すわけにいかない、だから毅然とした、そういう厳しい国連決議を決めるべきだ、そういうことを安保理の議長のロシアの大使に。さらには中国の大使にも、いつもあなた方は一人仲間外れになるけれども、今回は許すわけにいかない、北朝鮮に対して厳しい国連決議をきちっと決めるべきだ、そういうことも申し上げました。また、韓国の大使にも申し上げてきました。

 そして、特にアメリカに、私はあなた方の今までの態度は許せぬ、あのヒルというのは何なんだと、要するに北朝鮮に最終的にだまされたかのように腰砕けになるということは許せぬ、そういうことも含めて相当厳しく言って、最終的に、貨物検査等をしっかりとやる、そういう決議を昨年国連として決めた。

 国内法としても、当時、私どもは与党として、私が北朝鮮の貨物検査法案というものを、案をつくらせていただいて取りまとめた経緯があるわけであります。

 ですから、そういう意味でいうと、今回のこの措置を延長するというのは当然だ、そのように考えているわけでございます。

 まず最初に、財務省の五十嵐副大臣に来ていただいているので確認をしていきたいと思うんです。

 北朝鮮の制裁措置で一番新しい措置というのは、ことしの七月から、財務省所管の制裁でさらに一段と厳しくいたしました。先ほどからもありましたけれども、北朝鮮居住者に対する支払い等の報告下限額の引き下げで、報告下限額を一千万円から三百万円に引き下げられた。もう一つが、二点目が、北朝鮮を仕向け地とする現金等の持ち出しの届け出下限額の引き下げで、届け出下限額を三十万円から十万円に引き下げられた。

 そういう措置をとられて三カ月ちょっとたっているんですけれども、財務省として、この措置の実施状況と成果を御報告いただきたいと思います。

    〔近藤(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

五十嵐副大臣 お答えいたします。

 まず最初にお断りをしなければいけないのは、九月末までしか統計が出てきておりません。

 最初に、まず、貿易以外の支払い報告額、御指摘のとおり、七月の六日から三百万超に引き下げをいたしました。その七月六日以降の届け出対象となったものはゼロでございます。

 一〇年度に、実は二件、四百万あるんですが、これは二百万掛ける二件でございますので、本来は対象外でございますが、自発的に届け出をいただいたものだと伺っております。それ以外にございません。

 一方、携帯輸出の届け出、御指摘のとおり、これも七月の六日から十万円超に引き下げられております。

 一〇年度の四月から九月末までの合計は、百九十七件で三億二千六百九十万円でございますが、七、八、九のこの三カ月分の合計額は、百十三件、一億六千九百八十七万円でございます。新たにその十万円超によって届けられたものは、二十九件、四百八十万円となっております。

佐藤(茂)委員 ありがとうございます。ぜひここのところをしっかりと引き続き管理していただきたいと思うんです。

 というのは、この後の話になりますけれども、今後また北朝鮮がおかしな挑発行為をやった場合にはここでさらに締め上げる、そういう余地が私は残っていると思いますので、ぜひ今後ともしっかりと対応していただきたいと思います。

 それでは、五十嵐副大臣、結構です。

 それで、もう一つは、昨日もAPECの場で、日本とカナダの外相会談でも話題になったんですけれども、北朝鮮を取り巻く包囲網で、最近、カナダがさらなる制裁措置をやってきているんですね。キャノン外相がそれを大々的に発表されているんですけれども、昨年の核実験を受けてすぐならわかるんですけれども、このタイミングでカナダがさらなる北朝鮮に対しての経済制裁というものを強められた、その背景と理由というのは何なのか、外務省の方から御答弁いただきたいと思います。

菊田大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 委員御指摘のとおりでございまして、まず、十月の二十八日に、カナダの政府は、外相声明によりまして、一連の対北朝鮮追加制裁措置を発表しております。カナダ政府は、韓国哨戒艦沈没事件に関する李明博大統領の演説を受けて発表された五月二十四日の首相声明におきまして、韓国の李明博大統領の決定を確固として支持するということ、そしてもう一つは、国連安保理を含む国際社会が行う協調行動にカナダも歩調を合わせる旨、表明をしておりまして、このたびの追加制裁はこのような方針を踏まえて発表されたものと理解をいたしているところでございます。

 先ほどもお話がありましたが、昨日、APECの閣僚会議出席のために訪日をされておられますカナダのキャノン外相と前原外相が話をした際にも、このカナダの北朝鮮に対する追加制裁に対して日本政府としても評価をさせていただいたところでございます。

 以上です。

佐藤(茂)委員 核実験のときには出さなかったけれども、若干されたんですが、要するに、天安、韓国の哨戒艦ですけれども、これの沈没事件を受けての今回のそういう対応であるということですね。

 それで、北朝鮮の動向について、さらにちょっと、菊田さんに来ていただいているので、外務省としての見解を聞きたいんです。

 北朝鮮が、今まで二回核実験をやったんですけれども、最近、韓国のマスコミでは、二回核実験をやったこの同じ豊渓里一帯で三回目の核実験の準備を進めている兆候があるということをアメリカの偵察衛星がとらえた模様ということで報じているわけです。

 それで、マスコミ報道だけではなくて、韓国の公式な立場の玄仁澤統一大臣も、二十二日に国会の委員会で、三回目となる核実験に関して、可能性を完全に排除できない、綿密に注視している、ただし、すぐに実施する可能性は低いとも言われている。

 日本政府として、今アメリカの偵察衛星などで明らかになってきた北朝鮮の三回目の核実験の準備の兆候についてどのように把握されているのか、お伺いしておきたいと思います。

菊田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 北朝鮮が三回目の新たな地下核実験を行おうとしているという報道があったことは承知をいたしておりますけれども、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 女性をいじめるわけにいかぬので、これ以上言いませんけれども、余りのんきなことを言うとったらあかんのですよ。さっきも言いましたけれども、政治主導と言われるなら、政治家がやはり危機管理の感覚を持たないと、この国はつぶれてしまいますよ。動くときにはしっかりと動く、そういうことをぜひやってもらいたいと思うんです。

 私は、北朝鮮というのは、相当やる可能性があると。一つは、金正恩という方に、権力移行期にある北朝鮮ですから、その正恩氏の存在感を内外に示す、そういうことも出てくるでしょう。二点目は、今はデノミ政策で失敗して、国内の経済というのはもうぼろぼろで、窮状なんですね。それを打開できない。そういうときに、求心力の回復であるとか、あるいはもう一回対米交渉を核カードを使ってやろうというようなことは当然出てくる可能性はある。そういう軍事的な成果をねらってくる可能性もあるということです。現に、外務省も押さえておられるでしょうけれども、九月の二十九日に国連の場で北朝鮮の代表は、我々は核抑止力を決して放棄せず、一層強化しなければならないと、核抑止力を強化する姿勢を鮮明に国際社会の舞台で強調しているわけです。

 政府として、本当に今、事柄の性質上とか言われていましたけれども、北朝鮮の核実験等の可能性はないと判断されているのか、その可能性についてはどのように見ておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

菊田大臣政務官 委員御指摘の点を踏まえて、今後しっかりと情報の収集、そして分析を行ってまいりたいと思っております。決してのんきにしているということではございませんので。

 北朝鮮の内部状況について子細な評価を行うこと自体が、時として我が国の情報収集能力を、要するにすべて明らかにしてしまうということにもなりかねないということもあるわけでございまして、そこはぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。

 今後も引き続き、国際社会全体に、この核の問題、ミサイルの問題、そしてまた拉致の問題を訴えながら、そしてアメリカ、韓国とも連携をしながら、しっかりと情報収集、分析をしてまいりたいと思っております。御指摘ありがとうございました。

佐藤(茂)委員 要は、この問題のポイントは、今、最後に政務官が答弁されましたけれども、日本一国の情報量も限られておりますから、アメリカと韓国ときちっとした連携をどうとっていくかという、そこが一番のポイントですから、ぜひ怠りなくやっていただきたいと思います。

 最後になりましたけれども、経済産業大臣、レアアースの問題で何回か前の委員会で大臣にお伺いしましたけれども、例のレアアースの中国からの輸出が滞っている問題、これは九月の二十一日ぐらいから滞っているんですね。今、十一月十二日です。輸出が滞ってからもう約一カ月半たっているんですけれども、この問題で中国側の改善の兆候があるのかないのか、これはぜひ政府の答弁を求めたいと思います。

大畠国務大臣 御指摘の点でありますが、私が九月十七日に大臣に就任して以来、大変憂慮すべき事態として推移しております。

 したがいまして、ありとあらゆる機会をとらえて、中国の幹部と接触するときにはこの問題を指摘させていただきました。ベトナムでもそうでありますし、今回、明日になるかもしれませんが、中国の商務部と会談がとれるように、今全力を挙げています。

 現在のところ、この問題については、国が認可したものをなぜ日本に輸出させないんだ、おかしいではないかという主張をしておりまして、中国の商務部もそのとおりだとこれは認めております。

 同時に、日本に輸出したレアアースが、部品として中国に渡り、世界のコンピューターの生産の九〇%を超える中国製のコンピューターの生産にも大きな影響を与えることになる、これを図表を使って何度も話をしました。

 この件についても、中国内部でも理解がされたものと思っておりまして、明日、ぜひ会談をして、その答えというものを聞き、そしてまた同時に、毎日、今関係の会社から、朝方、動いたかどうかの連絡を全部受けておりますが、ぜひ近々に動くような形になるように明日も頑張ってきたいと思います。

 以上です。

佐藤(茂)委員 この問題は本当に大事な問題ですから、妥協せずにやっていただきたい。ハノイでは、中国は経済閣僚会議を一方的に拒否した、そういうことも聞いております。だから、今度は本当にそういう逃げを許さないように徹底的に、大臣に毅然とした態度で対応していただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 最初に、国会の歴史にもかかわってきますから、一言、先ほどの政府答弁の中で、国会で拉致問題を初めて取り上げたのは一九九〇年代の終わりごろにいらっしゃった議員のようなお話がありましたが、これは違っていて、実は、横田さんの問題など、初めて国会で取り上げられたのは一九八〇年代の後半なんです。日本共産党の橋本敦参議院議員が質問をして、これに対して、ちょうどここにいらっしゃる梶山議員のお父さんが、国家公安委員長として、拉致事件というのは、これは北朝鮮が行った拉致事件であるときちんと答弁をされたわけですから、十年も国会の会議録が、答弁が狂ってしまうというのはあきませんから、これは明らかにしておきたいと思います。

 そこで、北朝鮮の最近の動きについて伺いたいと思うんです。

 ことし八月二十六日から三十日に金正日国防委員長が非公式に中国を訪問したというわけですが、胡錦濤国家主席との会談で、朝鮮半島の緊張緩和と六者会合の早期再開について、金正日国防委員長はどういう立場を明らかにしたのか、これに対して中国はどういう対応をしているのかを、まず参考人の方に伺っておきたいと思います。

石兼政府参考人 北朝鮮は、先生御指摘のとおり、八月末、金正日国防委員長が訪中いたしましたし、さらには十月中旬に金桂冠外務第一副相などが訪中しておりまして、最近になって六者会合を含めた対話には前向きな姿勢を示している、このことは事実でございます。

 ただ、三月二十六日に発生いたしました天安の事件あるいはその後の北の対応を踏まえますと、現時点で六者会合を再開する、こういう状況にはない。

 いずれにしましても、まずは北朝鮮が地域の安定のために前向きな姿勢を示して関係国間の信頼を醸成していく、こういうことが重要ではないか、このように考えておる次第でございます。

 中国につきましては、そうした北朝鮮の動きを踏まえまして、北朝鮮は最近、六者会合の開催に前向きであるということを先般の日中韓の首脳会談でも伝えておりますが、他方、同様に、中国におきましても、対話のための対話であってはならない、対話を開くからにはそこから結果を導かなくてはならない、こういう立場を明確にした、このように理解しております。

吉井委員 中国と北朝鮮、ロシアと北朝鮮、韓国と北朝鮮の間の貿易関係はどうなっているのか、この数年間の数量とか推移ですね。それからまた、各国の迂回ルートなどを通じて貿易はどういうふうになっていっているのか、参考人の方から、つかんでいらっしゃる状況を伺いたいと思います。

石兼政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮と取引のございます主要国貿易実績ということでございますが、基本的には、全体の中で一番大きな割合を占めておりますのが、これは最初に申し上げますが、北朝鮮の貿易実態というのはなかなかわかりにくい、そういう前提で、例えば韓国のある国家機関が出している統計をもとにお話を申し上げますと、全体の中で五割程度が中国でございます。それから韓国が三割程度、これが二〇〇九年度の実績でございます。

 それで、傾向から申し上げますと、中国につきましてはずっと漸増しているという傾向がございますが、これにつきましても、二〇〇九年度、要するに制裁決議が出て以降、二〇〇九年度につきましては、二〇〇八年度と比べますと、中国につきましても韓国につきましても、輸出入を足した貿易総額は前年比で減少している、こういう傾向にございます。

吉井委員 制裁が実効力を発揮して、せんだっての金正日国防委員長の訪中によって、六者会合と拉致問題、非核化、ミサイル開発をやめさせる、こういったことが進む方向にあるのかどうかということがこれから大事になってくると思うんです。

 そこで、大畠大臣に伺っておきたいんですが、外交といえば、見える外交もあれば、見かけ上動かないことも外交であるということももちろんあると思うんです。ただ、政権交代後、要するに日本はどういう対応をしてきたのかということがよく見えないわけですね。大臣としては、どういうふうに対応してきて、これからやっていこうとするのか、伺っておきたいと思います。

大畠国務大臣 私も拉致問題、特に日本と北朝鮮との関係でございますが、議員のときから大変関心を持ち、いろいろと学ばせていただきました。特に、北朝鮮にとって、国が存続する上でどこが一番大事な国かというと、これは私の推測でありますが、中国というものが大きな影響力を持っているものと思います。

 一時、中国は六者会談というものを進めるために、たしか油の油送管のバルブを閉めたことがあるように記憶しているわけでありますが、いずれにしても、中国という国が北朝鮮に対する影響力というのは一番強いのではないか。

 そういう意味では、日本と北朝鮮との間の大きな問題である拉致問題を解決させるために、中国政府の理解と協力というものは欠かせないし、あるいはアメリカという国の理解と協力というのも欠かせない。ロシアもしかり、韓国もしかり。その国々との会談あるいはその国との関係等々を使ってこの拉致問題を解決させるための努力を積み重ねることが必要だと私自身は理解をしております。

吉井委員 各国共同して取り組むというのは当然だと思うんですが、日本自身がどうするかということをきちっと持って臨んでいくことが、それはそれで大事だと思います。

 次に、きょう、日露投資フォーラムをやっておりますが、極東ロシアへの省エネ事業や資源開発についての会合だと経産省は説明しています。実は、韓国のPOSCOがロシア企業と極東シベリアで資源、物流インフラ開発に乗り出す覚書を交わしたということですが、日本はロシアと、サハリンや極東シベリアでの資源開発についてはどういう議論をしているのかということ。それから、領土問題の影響で、ガスプロムの社長が来日を中止したというわけですが、今後、LNGなどをどのようにやっていこうという考えを持って臨んでいるのかを、これは政府参考人の方に伺っておきます。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、今先生御指摘のウラジオストクのLNGの関係から先にお話をさせていただければと思います。

 これは、御案内のとおり、サハリンの天然ガスをウラジオストクまでパイプラインで運びまして、そこで液化をいたしまして、日本を初めアジアの需要に供そうというものでございます。従来から、私ども経済産業省とガスプロム、それと日本の企業が協力関係で進めてまいりました。

 ことしの七月に、これまでのプレFS、いわゆる実現可能性調査の初期段階に当たるものでございますけれども、この成果を御報告いたしまして、さらなる詳細な実現可能性調査に入っていこうということで基本合意がついた次第でございます。本来であれば、今回のAPECを機に、正式合意に向けて調印が行われるという運びであったということで私ども認識をしておりました。

 他方、今回こういうことになりまして、今回の正式合意調印というのは困難な状況になったわけでございますけれども、ガスプロムのミレル社長という方が調印を行う方であったわけでございますが、私ども、この方の訪日の中止の理由を承知していないところでございます。まずは、ロシア側の意向を確認いたしまして、必要なアクションがあれば早急にとっていきたいというふうに思っております。

 他方、プロジェクトそのものにつきましては、私どもの認識といたしましては、特段の問題、支障は生じていないというふうに認識をしておりますので、早期の正式合意に向けて、鋭意、最大限努力を図ってまいりたいというふうに思っております。

 最初の御質問で恐縮でございますけれども、シベリア、サハリンにおきましては、今申し上げました天然ガス、石油につきますサハリン1、2といったプロジェクト、あるいはサハリン3というプロジェクトがこれから動いてまいります。日本にとりまして大変重要なエネルギー資源でございます。また、あわせまして、シベリアにおきましては、石油関係、さらに加えまして、エリガ炭田といったような良質の炭田がございます。こちらのプロジェクトについても最大限やらせていただきたい。長くなって恐縮でございます。

吉井委員 ところで、最近起こった領土問題というのはメドベージェフ大統領の国後訪問から始まっておりますが、そもそも、領土問題ということを考えたときに、北方領土という言葉で使われている表現が余り適切じゃないと思うんです。旧ソ連のスターリンの戦後処理の誤りと、それをヤルタ協定で、国際約束で認めた当時の主要国の誤りが出発点にあるわけですね。

 それにしても、スターリンの戦後処理の誤りで、領土にかかわる問題というのは、実は、中国、ポーランド、バルト三国など、最近では北極海域に属する部分も含めて、すべてもとに戻されて、解決しているんですね。

 政府参考人に伺っておきたいのは、残っているのはすべての千島列島、この千島列島だけが今、戦後処理問題で残っているんじゃないかと思いますが、伺っておきます。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 一部、ウクライナとの間で、黒海における島嶼の関係で残っていると承知しております。残りにつきましては、先生御指摘のとおり、解決していると承知しております。

吉井委員 残っているのは千島列島だけなんですよ。

 これは、一八五五年の日露通好条約、一八七五年の樺太千島交換条約によって、実は、平和的、歴史的に全千島列島が日本の固有の領土となっておるわけですね。それを、スターリンの誤りと、一九五一年のサンフランシスコ条約第二条(c)項で、当時の日本政府が、日本の歴史的に明確な固有の領土である千島列島を放棄して、同時に、ヤルタ協定の千島引き渡し条項を正してくれという主張を実はしていないんですね。ですから、ロシアに対して原則的な主張をしないままで来ていることが領土問題を未解決にしているわけです。

 実は、サンフランシスコ条約二条(c)項にしてもそうですが、国際条約というのは、後に変更はきかないものかといったら、そうじゃないんですね。例えば、サンフランシスコ条約の第三条、これは沖縄施政権を米国に引き渡すという条項だったんですが、その後、話し合いによって、一九七〇年代初めに沖縄は、基地はまだ残っていますけれども、日本へ返ってきているわけですね。

 ですから、そういう点では、大畠大臣に伺っておきたいのは、菅内閣として、やはり原則を確立する、原則的立場を確立して物を言わないと。いや、千島列島はもういいです、北海道の一部である歯舞、色丹島と、それから、南千島なんだけれども国後、択捉についてはあれは千島列島じゃないということにして、北方四島だけ返せ返せと言ったって、最初から立場がもう……。千島列島だけが戦後処理で残っていると外務省がさっき言っておりましたけれども、その問題を明らかにしないで物を言っておったって、これは解決しないわけですよ。

 ですから、こういう点では、菅内閣として、サンフランシスコ条約二条(c)項で千島列島を放棄したことなど、原則的にどのようなことを主張して、どう解決していくのか。これは日本だけの力じゃなくて、国際社会、各国ですね、戦後処理の誤りについて歴史的に、皆、もう今は世代がかわっていますから、知らない人たちが多いわけですから、やはりきちんとそのことを国際的にも明らかにして、国際社会一致して、この誤りは正すということで臨んでいく必要があると思うんですが、最後にこれを大臣に伺っておきたいと思います。

大畠国務大臣 領土問題というのは、今日の情勢に至っている背景として歴史があるわけでありまして、そういう意味では、委員が御指摘のように過去の情勢等も踏まえて菅内閣としてどのような認識に立つのかということを、今委員から御指摘をいただきましたけれども、改めて整理をして、そういう整理をした上での主張をきちっとし、そして、二国間だけではなく、国際的にもその主張が認められるように主張すべきという御意見については、私もそのように感じております。

 したがって、委員の御指摘を踏まえて、私なりに、菅内閣の一員として整理をさせていただきたいと思います。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

田中委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


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