衆議院

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第8号 平成23年5月11日(水曜日)

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平成二十三年五月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君

      緒方林太郎君    加藤  学君

      川口  博君    川島智太郎君

      木村たけつか君   菊池長右ェ門君

      斉木 武志君   斎藤やすのり君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    田嶋  要君

      平  智之君    高松 和夫君

      玉城デニー君    中林美恵子君

      中山 義活君    野田 国義君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      伊東 良孝君    梶山 弘志君

      近藤三津枝君    佐田玄一郎君

      塩谷  立君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    西野あきら君

      望月 義夫君    稲津  久君

      吉井 英勝君    山内 康一君

      園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       海江田万里君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 武藤 義哉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 木村 雅昭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  川島智太郎君     菊池長右ェ門君

  櫛渕 万里君     玉城デニー君

  熊田 篤嗣君     野田 国義君

  平  智之君     中林美恵子君

  近藤三津枝君     塩谷  立君

  額賀福志郎君     佐田玄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  菊池長右ェ門君    川島智太郎君

  玉城デニー君     櫛渕 万里君

  中林美恵子君     平  智之君

  野田 国義君     加藤  学君

  佐田玄一郎君     額賀福志郎君

  塩谷  立君     伊東 良孝君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤  学君     熊田 篤嗣君

  伊東 良孝君     近藤三津枝君

    ―――――――――――――

五月十日

 鉱業法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 鉱業法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五三号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として外務省大臣官房審議官武藤義哉君、文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君、資源エネルギー庁次長木村雅昭君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉木武志君。

斉木委員 おはようございます。

 まず、今回の浜岡原子力発電所の停止要請に関してお聞きしていきたいというふうに思います。

 今回の、総理、そして大臣からの停止要請というものは、本当に苦渋の決断であると思います。ですが、私は妥当な判断だというふうに考えております。地元の静岡県内でも、この浜岡の存在、危険性というものに対して、やはり不安を感じるという方は非常に多いというのが現状でございます。

 それは、日本の産業が集中している、人口も集中している、この太平洋ベルトの真ん中に位置する唯一の原発であるという点、そして、二十キロ圏内に東名高速道路が走る、東海道新幹線も走っている、まさに日本の大動脈に隣接をしている、こういう地理的な位置を考えると、万一のときに、県内、そして日本全体に与える影響というものははかり知れないものがあるだろうというふうに推察しております。

 ただ、一方で、今回の決定というものが余りに唐突である、その過程がブラックボックスではないかという批判も一部にあることは確かでございます。

 ですので、今回のその苦渋の決断、停止要請に至るその過程ですね、なぜ今回停止要請を行ったのかという理由をまず大臣に伺いたいと思います。

海江田国務大臣 斉木委員にお答えをいたします。

 きょうは五月の十一日でございますから、あの東日本の大震災が発生をしまして二カ月という日にちがたったわけでございます。この三月十一日の東日本の大震災、まず大きな地震、そして東北地方の太平洋沿岸では大変大きな津波が起きまして、本当に多くの人命、国民の貴重な財産が失われたわけでございますが、そうした三月十一日の震災、津波、そして原子力事故、これを受けまして、私ども原子力安全・保安院では、三月の三十日に、とにかく日本全国の原子力発電所に対してまず緊急の安全対策をしなければいけないということを指示したわけでございます。

 それを受けまして、今委員御指摘の中部電力浜岡原子力発電所も、四月の中旬から下旬までの間に、私どもが三月三十日に行いました指示に基づく安全点検、そして設備等の新たな備えつけということはしっかりとやっていただいたわけでございます。

 しかし、今回、私も、まさに東京電力の福島第一発電所の炉をとにかく安定させなければいけないということで、ほとんどその作業に没頭してきたわけでございます。細野補佐官という大変優秀な人材も私を助けてくれまして、やってきたわけでございますが、改めて原子力事故の恐ろしさと申しますか、それを本当に深く心に刻みました。

 そんな中で、これは四月の下旬、たしか二十七日だったと思いますけれども、官邸で中央防災会議が開かれました。この中央防災会議の席上、資料が配られました。これは、日本を取り巻く地震あるいは津波の予測の状況でございます。これを見ましたときに、やはり浜岡発電所での地震発生の可能性というものが極めて高いということを改めて知ったわけでございます。

 もちろん、私も原子力行政に携わる立場にありまして、浜岡原子力発電所に対するいろいろな意見は聞いておりました。しかし、この三月十一日を経て、一連の原子力発電所の事故の深刻さというものを本当に心に刻んだ中で、改めてそのデータを見ますと、これはやはり一日も早く何とかしなければいけないなと思ったわけでございます。これは恐らく私だけではありませんで、その場に居合わせた閣僚の多くは同じような考え方を持ったのではないだろうかというふうに思っております。

 そして、私も、何人かの専門家の方々、原子力の専門家の方あるいは地震の専門家の方々、そういう方々から意見をお聞きいたしまして、そして菅総理のお考えというものも聞きながら、五月の六日に現地に行きました。そして、その翌日でございましたが、菅総理と長い時間、途中、一回それぞれ用事がありましたので、その用事を済ませて、また官邸に戻って協議をしまして、そこで最終的に結論が出たというわけでございます。

 委員御指摘のような唐突感と申しますか、事前に多くの方々に御相談しなかったということについては、この責めというものは私は負うつもりでございますが、そのような状況がございました。

 そして、先ほど冒頭にもお話をしましたけれども、浜岡原子力発電所は、三月三十日のごく短期的な安全確認というものはもちろん行われたわけでございますが、発電所自身も、さらに防潮堤の整備でありますとか建屋の水密性の確保でございますとか、こういうものについての計画がございますので、その計画を実行していただくまで原子力発電所をとめる、こういう判断でございます。

斉木委員 今、大臣の発言の中に防潮堤と水密扉の整備、この整備に二、三年かかるということで、今回その整備が終わるまでは停止をしてほしいという要請が行われたと承知しております。

 この防潮堤と水密扉なんですけれども、その実効性が十分であるかどうかというのを伺いたいというふうに思います。

 中部電力は、防潮堤は標準海面から高さ十二メートル以上のものを新たに砂丘と建屋との間に整備をしますというふうにしています。ただ、津波というものは、今回の福島の第一原発でも、これは知見で明らかなとおりに、海があふれる現象です、正面から襲ってくるだけではなくて側面にも回り込む、海全体が上昇して全体を浸すという、非常に大きな現象です。ですので、防潮堤を海と建屋の間につくりますよというだけでは、側面から回り込んでくる波に対して十分なのかどうかという点が、やはり疑問がわいてきます。

 そして、十五メートルという予想波高に対して、十二メートルというやや低いものであるという点もあります。これは、恐らく防波壁で第一撃の勢いをそいで、水密扉で建屋への浸水を防止するという二段構えではないかと推測はされるんですけれども、大臣は現地も視察されて、現在、中部電力は既にこの防波壁の準備工事に四月に着工しているというふうに聞いておりますが、これは二年後再開を求めるということであれば、本当に大丈夫なのか、万全の対策と言えるのかどうかというのが、今後、二年後に大きな争点になると思います。今、準備工事に着手しているというタイミングを考えても、政府がしっかりと中部電力とともに安全性というものをチェックする必要があると思うんですが、この中部電力が打ち出している現状の津波対策の実効性というものをどうお考えでしょうか。

海江田国務大臣 先ほどお話をしましたけれども、私どもが三月三十日に指示をしました内容についてはしっかり行われているということでございますが、これから中長期的、とりわけ中期的な対応というのは今まさに中部電力が計画をしている段階でありまして、防潮堤につきましてもボーリングをしているということでございますので、これをしっかりと見守らなければいけないと思っております。

 ただ、委員御指摘のように、津波が回り込むといいますか、ちょっと川の名前は失念をいたしましたけれども、この浜岡原子力発電所は、海に注ぐ川がございまして、いざというとき、特に浜岡の浜というのは、言うまでもございませんけれども、大変な遠浅でございますから、かなり遠くから水を持ってこなければいけない。その海水を持ってくる、そこの機能も、今回もかなり手当てをしたわけでございますが、やはり冷却水の問題というのは、今後さらに充実をさせなければいけないと思っております。

 そして、川の方からの回り込みの可能性でございます。これは、海岸の方は、まさに砂丘があって、その砂丘も少し幅があるわけでございますが、川の方はかなり迫っておりますので、そこをどういうふうにするのかということは今後の課題になろうかと思いますので、今、中部電力がまずボーリングをやっている状況で、設計図ももう引いているようでありますが、それらをこれから保安院が点検して、本当に断腸の思いでとめたわけでございますから、再開をさせるときには、そのとめた時間的な経過というものを踏まえた、しっかりとした安全対策をしなければいけない、そう考えております。

斉木委員 建設のために、その間とめるという大きな決断をされたわけですので、まさにおっしゃるとおり、しっかりとしたものをつくっていただきたい。それが、国民の目に、今まで以上に厳しい目線で二年後にチェックをされるということを本当に保安院とともにしっかりと受けとめて、計画を実行していっていただきたいというふうに思います。

 電力供給量に対する御質問をさせていただきたいと思います。

 これから、夏場、ピークは八月でございます、八月に向けて、中部電力管内でも電力需要というのはピークを迎えていきます。果たして、三百万キロワット以上ある浜岡原発をとめて、電力不足に陥ることはないのかどうか。

 そしてもう一つ、電力料金。中部電力も、電力料金を上げることは現在は考えていないというふうに記者会見でも発言をしております。ただ、一方で、今回この浜岡原発をとめて火力発電所を稼働する、そのために燃料費を含めて二千五百億円、一日七億円の追加コストが生じるということも認めています。では、コストが二千五百億円かかるのに電力料金は上げないということになると、本当にこれは大丈夫なのだろうか、夏場に向けて電力料金は高くならないんだろうか、電力供給に不安はないんだろうかということが、これは静岡県だけではなくて、中部電力管内すべての、愛知、岐阜、三重、この静岡、多くの方が不安に思っているところでございます。

 この電力料金と、供給量は大丈夫かという点についてお伺いしたいと思います。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 電力需給と電力料金の関係でございます。

 まず電力需給に関しましては、中部電力の発表によりますと、ことしの夏の需要見通し二千五百六十万キロワットに対しまして、今後、長期の停止火力の運転再開等の供給対策を講じて、供給力の見通しは、七月時点で二千六百十五万、さらに八月には二千六百四十九万ということで、ぎりぎり最低限の需給バランスを確保していきたいということでございますので、私どもとしても、この数字を精査し、中部電力ともよく相談しながら、需給対策には万全を期していきたいというふうに考えてございます。

 それから、電力料金の問題でございますが、まず一般論として、原子力発電を停止して、これを火力発電で代替、増強いたしますと、発電量当たりのコストが上昇をするということで、今の総括原価方式のもとでは電気料金の上昇要因とはなるわけでございます。ただ、この上昇部分について電気料金に反映させるか否か、これは中部電力がその財務状況あるいは今後の経営効率化等を踏まえて判断をすることが基本ということでございますので、この点も中部電力とよく話を聞いていきたいというふうに思っております。

斉木委員 今回の要請というのは異例なものだと思います。政府の要請で原発をとめるのですから、これは、民間企業、既に中電の株価というのは大きく値下がりをしておりますし、政府がその発電の一端をとめてくださいということを要請して今回停止するわけですから、中部電力の経営支援、金融面、財政面の支援というものもしっかりとしていかなければいけないと思うんですが、そこはどうお考えでしょうか。

海江田国務大臣 その点につきましては、私は中部電力の水野社長とお話をしたところでございまして、しっかりと支援をしていく、とりわけ資金繰り等の点でできることはやっていくということをお約束させていただきました。

斉木委員 時間も迫ってまいりましたので、最後にお聞きしたいと思います。

 国民は、今回の停止要請を見て、日本はこれまで原発、火力、水力、自然エネルギーとさまざまな発電をしてきて、原子力も基幹エネルギーとして今は取り組んできている、ただ、今回の決定を受けて、日本は脱原発でこの後エネルギー政策をやっていくのか、それとも原子力もこれまでどおり基幹エネルギーとして位置づけていくのか、どういったエネルギー政策に向かっていくのだろうかということがわからない、いまいち伝わってこないという国民の声というのもございます。

 二〇三〇年には五〇%以上原子力で発電をしていく、この計画は白紙で見直すということもきのう総理はおっしゃっておりますが、ベストミックスでいくのか、それとも、原子力というものを脱原発でいって、自然エネルギー中心でいくということなのか、日本のエネルギー政策というのはどうお考えなんでしょうか。

海江田国務大臣 昨日、総理が記者会見を行いまして、その中で、昨年のたしか六月でございましたが、閣議決定をしましたエネルギー基本計画については、これを白紙で見直しをするということでございます。

 ですから、これから新たなエネルギー基本計画をつくらなければいけないというふうに思っておりますが、今私どもが考えておりますのは、単に脱原発ということではありませんで、やはりエネルギーのベストミックスということが必要だろうと思っております。その中での原子力の比重というのが、大変残念でありますけれども、昨年の六月閣議決定したような、二〇三〇年にはおよそ五〇%、五三%ぐらいでしたか、ということにはならないのではないだろうかというふうに思っております。

斉木委員 確かに、自然エネルギーをふやしていくというのは、新たなビジネスチャンスを生むのでいいと私も非常に賛意を表するものでございますが、一方で、風のない夜間には全く太陽光も風力も発電量が確保できないという、非常に波の大きいエネルギー源であるということもございます。ここは、今大臣がおっしゃられたとおり、ベストミックスというものをしっかりと位置づけていただきたいというふうに思います。

 今回の福島の事例を見て、本当に、今日本の国民は、エネルギーの値段、そして供給量、これは産業界も通じて、不安が大きく高まっております。確かに原発をとめるのもいいけれども、一方で中部にはトヨタやスズキ、ホンダの主力工場がある。そして、さまざまな製造業の心臓部であり、その血液である電力の供給がしっかりと行われるんだろうか、また、その値段が上がってしまわないのか、こういう不安があると、我々経済産業委員会が取り組んできた、国内立地を推進していこう、企業が海外に行ってしまうという今の流れを、何とか国内の製造業に基幹部分だけでも立地をしていただく、まさにこれを追求していくためには、電力は安価でしっかりと需要に応じて供給していくという力強いメッセージを出していただきたいと思うんですけれども、まさに経済をリードする大臣というお立場で、日本経済の成長と安価な電力をしっかり供給するという、この両立というのは図れるんでしょうか。

海江田国務大臣 今委員から図れるんですかということで問いかけがありましたけれども、これはやはり図っていかなければいけないという決意でおります。

 先ほど、委員は、私の胸中を察していただきまして、苦渋の選択ではなかっただろうかということをおっしゃっていただきましたが、まさにその苦渋の中身というのは、経済産業大臣というのは、その名のとおり日本の経済産業に対ししっかりと責任を持っていかなければいけない立場と、原子力行政を預かる者として国民の安全もしっかりと守っていかなければいけない、そのはざまでの判断であったということを御理解いただきたいと思います。

斉木委員 大臣の、まさにエネルギーの安定供給と経済、そして安全を両立するという決意を応援いたしまして、質問を終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、梶山弘志君。

梶山委員 おはようございます。自由民主党の梶山弘志でございます。

 先ほど大臣からお話がありましたように、きょうは五月十一日、あの大震災が起こってから二カ月が経過をいたしました。委員各位とともに、お亡くなりになった方々の御冥福をお祈りいたしたいと思います。

 この大きな悲しみを乗り越えて復旧復興のつち音が聞こえてきた地域もありますけれども、原子力に関しましては、四月の中旬に収束に向けての工程表が出されましたけれども、まだまだ先行き不透明。その収束が不透明であれば、当然避難している人たちの生活につきましても不透明ということで、この委員会を初めとして、さまざまな委員会で議論をしているわけでありますけれども、議論をしている我々も、委員長も大臣も、政務三役もそのとおりかもしれませんけれども、もどかしさを今感じているところであります。

 今の枠組み、行政や法律の枠組みで解決しようと思っても、なかなか解決することができない課題がたくさんあるわけであります。従来の枠組みにとらわれることなく、必要であれば法改正をする。また、新しい法律をつくる。そういう気概を持って、経産大臣を初めとする政務三役、そして内閣に対しまして大きく切望するところであります。

 それでは、原子力を中心として質問をさせていただきます。

 今斉木委員から質問がありましたけれども、先週、五月六日に、菅総理大臣から中部電力に対しまして浜岡原発の停止の要請がありました。それに先立って、海江田大臣は、前日、五月五日に浜岡を視察し、いろいろな方々と意見交換をされたと思いますけれども、大臣が行かれてどう感じたか、また、どういった方々と議論をし、その結果としてどういう報告を菅総理大臣にしたのかということをお聞かせいただきたいと思います。

海江田国務大臣 梶山委員にお答えしますが、今梶山委員から御指摘をいただいて、私、先ほど斉木委員へのお答えで、私が浜岡に行ったのが五月の六日だと言いましたけれども、これは五月の五日でございます。

 そのとき、行きまして、先ほど来お話をしておりますが、三月三十日に発出をいたしました緊急安全対策がしっかりと行われているかどうか、まずそれを拝見させていただきました。

 それは、電源が喪失をされましてもきちっと冷却が確保されるということが大きなポイントでございますので、電源が喪失をされますと、ディーゼルの発電機でありますとか、あるいは、最終的には消防ポンプ、よく消防団などが訓練に使っております小型の可搬ポンプというものがございますが、それをつないで炉に注水できるかどうか、これを中心に見てまいりました。

 もちろん、それだけではありませんで、海岸の方におりてみまして、津波対策の、今砂丘がその津波の上で防御の役割を果たしているというお話がありましたので、それをつぶさに見たということと、今建設予定のございます防潮堤のボーリングのところでありますとか、あるいは建屋の防水性がどうなっているかということも見せていただきました。

 本来でしたら、今、一号機、二号機は炉がとまっておりますし、この一号機、二号機というのは福島の一号機と同じ形でございますので、私はとまっている一号機、二号機に入れてもらって、その炉を改めてしっかりと見たいと思っておったんですが、それは急な話だったのでだめだということを言われて、それは残念でありました。

 それが終わりましてから、県知事と御前崎の市長、それから御前崎市議会の議長、あと、御前崎の市議会の中に原子力の委員会がございます、その委員会の委員長の方ともお話をさせていただきました。

梶山委員 どういう方々と会って、どういう会話をしたかということをお聞きしたんです。知事、市長さん、議長さんとどういう会話の内容でしたか、もう一度伺います。

海江田国務大臣 知事は、とにかく津波の対策が全くできていない、つけ焼き刃という表現があったかと思います、中部電力の対応はつけ焼き刃である、こういう表現でお話をされました。

 市長は、大変苦しんでおられるといいますか、地元の経済、地元の雇用のことも考えなければいけないので、私の印象では大変苦しんでおられるという印象を受けました。

 それから、議会のお二方は、少し知事が長い間お話をされましたので、残念ながら議会の方々の時間が短くなってしまいましたが、これまで国のエネルギー政策に従って原子力発電に対応してきた、協力をしてきたということでありますから、国がしっかりしてくれなければだめだということをおっしゃっていたというふうに私は思っております。

梶山委員 もう一問質問があったんですけれども、菅総理への報告はどうだったかということは、今お話しになったようなことを菅総理へ報告があったと解釈をいたします。

 そして、そういう話を聞いてきて、先ほどの答弁にもありましたけれども、中央防災会議でいろいろな資料が提示をされた、さらにはまた視察をしてきた、そしてその後に長時間菅総理と相談をしてそういう決断に至ったということでよろしいのでしょうか。

海江田国務大臣 そのとおりであります。

梶山委員 これは一部報道ですから、真偽のほどはわかりません。ある新聞によりますと、総理と海江田大臣、細野首相補佐官、枝野官房長官、仙谷官房副長官で四月上旬から停止ということで検討をしてきた、そのための儀式だったというようなことが書かれている新聞があるんですけれども、もし違うのであれば明確に否定してください。

海江田国務大臣 私は、今回浜岡に行く前に、美浜も拝見をしてまいりました。そして、これからもほかの原子力発電所を見たいと思っておりますから、私の視察が儀式であったということはございません。

梶山委員 あわせて、事前に四月上旬からそういうことを検討し始めたということがあったのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

海江田国務大臣 私、経済産業省の中で、中部電力の需給がどうなっているのかとか、その中で原子力発電の占める比率がどのくらいだとか、そういうことは事務方から聞いておりました。

梶山委員 私も東海村の日本原電の原子力発電所の十キロ圏内に住んでおりまして、危険であればとめるということは、当然のことであります。

 ただ、その理由を明確に説明していかなければならないと思います。これまでは安全委員会であるとか、保安院の検査、そういったものを通して安全であると太鼓判を押していたと思いますけれども、それを飛び越えて今回は停止の要請をしたということであります。

 保安院、きょう院長がお見えになっておりますからお伺いいたします。

 これもある新聞の報道で恐縮なんですけれども、我々はその情報を知り得る立場にありませんから、先ほどの委員がおっしゃったようにブラックボックスのような形で意思決定がされているなという気がするんですけれども、保安院は寝耳に水だったという報道がありましたけれども、これは全然あずかり知らないところで政治決着という形で要請が行われたものなのかどうか。それは院長が答えにくいことかもしれませんけれども、院長が事前に聞いていたかいなかったかということをお答えいただきたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、緊急安全対策に関しましてさまざまな確認作業を行ってきたわけでございまして、そういった中で、例えば地震の確率についての資料、材料、そういったものについての問い合わせはあったわけでございますけれども、保安院といたしましては、最終的にそういうふうになったということについてのお話を承ったわけでございます。

梶山委員 事務方は後からその話を聞いたということであります。

 先ほどこれは新聞の報道だということで断りをつけた上でお話をしましたが、総理と海江田大臣、細野補佐官、枝野官房長官、仙谷官房副長官で四月上旬から検討していたと。四月上旬から検討していたかどうかはわかりませんけれども、この決定に際しては、この五人で決定をしたということでよろしいんでしょうか。

海江田国務大臣 その会議にいましたのは、その方々はいたということは確かであります。あと、秘書官でありますとか、そういう人間がいたことは確かでありまして、五人だけということではございませんが、その五人が会議に入っていたということは確かでございます。ただ、それを決めましたのは総理と私であります。

梶山委員 これも政治決断の一つであるということで、それはそれで私はいいとは思うんです。

 では、静岡県の浜岡を除く十二道県も立地をしているわけでありまして、その十二道県に所在する原子力発電所は太鼓判を押すということでよろしいんですね。

海江田国務大臣 今度の地震に伴って、三月の三十日に緊急安全対策を指示したところでございまして、その緊急安全対策についてはしっかりと行われているということでございます。

梶山委員 浜岡の再稼働の条件、先ほどもお話ありましたけれども、高さ十二メートルを超える防潮堤、そして水密扉、水密ドアということですけれども、これは津波対策ということですね。というのは、建物の耐震性はしっかりしている、今回の福島の事案について考えたところ津波対策ができていなかった、その前提で三月三十日に全原子力発電所に指示を出した、それについて先日、五月六日に確認をしたということだと思いますけれども、津波対策ということでよろしいんですね。

海江田国務大臣 そのとおり、まず津波をしっかりやっていただきたいということでございます。

梶山委員 昨日、私どもの自由民主党の経済産業部会において、保安院から事後の説明を受けました。海江田大臣の談話を書面でちょうだいするとともに、「三十年以内に震度六強以上の地震が起きる確率」という資料、きょうの日経新聞にも掲載をされておりましたけれども、この数値の資料をいただきました。

 この資料を見ますと、浜岡発電所は八四%の確率で三十年以内に震度六以上の地震が起こる確率がありますよということですが、ほかの発電所につきましては一けたの可能性または零コンマ以下の可能性ということですけれども、この地震の起きる可能性、確率を根拠に今回の措置をとったということでよろしいですか。

海江田国務大臣 資料がもう一つございまして、これは菅総理が記者会見でお話をされましたマグニチュード八以上の可能性が八七%。それから、そちらは各原子力発電所ごとに震度六以上の地震が起きる可能性ということでございます。

 先ほどお話をしました、私の記憶では四月の二十七日だったと思いますが、そこの中央防災会議で示された図というのは発電所ごとのではありませんで、菅総理が引用されましたマグニチュード八以上の地震が起きる可能性が八七%という数字、私もその数字が大変大きく焼きついておりまして、その数字をもとに各発電所ごとに、あの数字は各地域ごとの地震の発生の数字でございますので、それを置きかえてつくった資料が今委員御提示のありました資料でございますので、どちらが大きな影響を与えたかというと、防災会議のときのマグニチュード八以上の地震の八七%ということに相なります。

梶山委員 私も考えてみますと、今大臣がおっしゃったように、海溝型地震の起きる可能性の資料をベースに判断をされたと思います。でも、発表されたのは、各発電所で震度六以上の地震が起きる確率というこの一枚紙。そして、新聞にもそれが公表されているということです。

 私もにわか勉強なんですけれども、在野の地震の研究者の方にお伺いをいたしました。地震というのは、地震と地震動というものがある。我々が地震だ地震だと言っているのは、本来地震動である。地盤があって、地面があって、そこに建っている建物が揺れる、また、そこにいる人間が地震の揺れを感じる、この地震動が、今回提出した資料なんですね。本来は、この資料に基づいて建物の耐震強度の基準を決めるとか、そういうことになると思うんですね。

 今度は津波の対策。

 先ほど津波の対策で今回浜岡を停止要請したということですけれども、津波の対策であれば海溝型地震の評価の数値が出てしかるべきなんですけれども、今回は出ていません。そして、談話の中で、ほかの発電所と比べると極端に可能性が高いということです。ほかの発電所につきましては、先ほど申し上げましたように一けたであるとか零コンマ以下であるという数値がつらつらと並んでいるわけですけれども、海溝型地震の評価という資料を見ますと、結構ほかでも、六〇%台であるとか九〇%台であるとか、いろいろなところで海溝型地震の可能性が出ているんですね。これは去年の一月一日時点での資料です。その後に、ことしの三月十一日の地震が起きました。ですから、その可能性が薄れているところもありますけれども、まだ評価はし切れていないということであります。

 さらには、今、途中経過として、南北約五百キロにわたっていて、今後もマグニチュード七を超える余震が発生する可能性がある、また、周辺地域でもマグニチュード七から八程度の地震が誘発される可能性があるということですから、東日本、私の住んでいる茨城県の東海村などにも地震、津波が来る可能性があるということなんですけれども、意図的にこういう他の発電所が低い数値を出したのか、それともこれを出し忘れたのか。

 本来の資料、海江田大臣が重要視したのは、どちらかというと海溝型地震の確率である。防災会議でもそれが示された。でも、発表には、この地震、地面の揺れる地震動というものが起きる可能性を示した資料しか示されていないということなんですね。これは情報操作じゃないですか。

海江田国務大臣 これは、委員おわかりいただけると思いますが、情報操作ということでは全くございません。

 まさにおっしゃる海溝型地震のあの表というのは、これはインターネットの上でも明らかになっておりますから、いつでもごらんいただければいい。もちろん、私どももそれをお配りすることも全くやぶさかではございません。

 ただ、ごらんいただきますとおわかりになると思いますけれども、あの図を見ますと、どこに発電所があって、どこの発電所との関係というものが出ておりませんので、これは、こういう判断をしましてからいろいろな方に御説明を申し上げるときに、うちの何とか発電所はどこなんだと言われて、ちょっと説明に窮したこともあったんです。これは事実でございます。そこで、そういうような発電所と結びついた資料はないのかということで、それをつくったわけでございます。つくったというか、これもコンピューターの上から、サイトから引いてきたというわけでございます。

梶山委員 出されている資料は、客観的な資料だということは私も認めます。でも、そのサイトの、地上における揺れがどうかということで、津波を理由に停止する、根拠とする資料にはならないと思います。

 ですから、出し忘れていたのであれば出し忘れていた、今からでも出した方がいいと思うのであれば、すぐにでも出して説明をしていただきたいと思います。

 と申しますのも、それぞれの立地の道県におきましても、合理的な説明がされていないというのが一致した意見なんですね。浜岡は停止した、では、おれたちのところはどうなんだい、私たちのところは浜岡と同じ条件じゃないのか、浜岡だけが危険で私たちのところは大丈夫なのかというと、先ほど申し述べましたように、まだ余震とか誘発地震がありますよ、マグニチュード七から八の海溝型の地震もあり得ますよ。それが証拠に、テレビの地震速報においても、津波の危険性がありますから避難をしてくださいとか、内陸部の地震であれば津波の危険性はありませんとかという表示があると思うんですけれども、津波の対策を理由に停止をしたのであれば、この資料も皆さんにしっかりと説明をするべきだと思う。そして、これがなされていないのは、意図的に停止というものがあったんじゃないかという勘ぐりを受ける可能性があるということなんですね。

 私は、とめるべきものはとめて、それでいいと思いますよ。でも、資料が一方的なものでは、その信憑性もない、合理性もないということにつながって、ひいては国の原子力行政に対する不信につながるものだと思いますので、その点をもう一回御答弁願います。

海江田国務大臣 御指摘ありがとうございました。今後、その資料を必ず添えるようにいたします。

梶山委員 今後じゃなくて、訂正をしていただきたいと思います。

 総理の発言の中で、八七%、海溝型地震の発言もありました。また、その後に、八四%、地震動と言われる、今出されている資料の説明もありました。そして、その後に、確率でいうと段違いだ、ほかは一けたであったりコンマ以下だったということを示す資料が出されているわけですから、それは誤解を生む。ほかが完全にもう地震がないんだ、零コンマ以下の確率なんだ、一けた台の確率なんだと感じてしまう方々もおいでになろうかと思います。可能性が低くても順位は逆に来る可能性もあるわけですから、その辺も含めてどう説明するのか。

 ということは、浜岡だけじゃなくてほかも津波の危険性がありますよと、もう一回そういう視点で検査をすべきじゃないでしょうか。

海江田国務大臣 津波に対する備えももう既に出しておりますし、それから、今、何といいましても現に福島の発電所の事象がまだ進行しておりますが、これからいよいよその調査に入っていくわけでございますから、そこから得られた知見というものは即座に安全基準の中に反映をしていきたい、こう考えております。

梶山委員 今回、福島の例を引きますと、五十キロ近く離れた飯舘村でも放射性物質の飛散があって、計画的避難の対象になっているということであります。浜岡から五十キロ圏内というと、大体二百十四万人が居住していると言われます。東海村も、五十キロ圏内に百四十九万人暮らしているわけです。もし万が一があれば、この人たちの避難場所というと、とても想像できないような広さ、箇所が必要になるわけなんですけれども、そういった意味も含めて、ぜひ今度の浜岡の合理的な説明をしていただきたいと思います。これは要望ですので、受けとめておいていただければ結構でございます。

 そして、この停止によってさまざまな影響が出てくることと思います。今九州電力と、さらにはこれから東電に対する供給も考えていたということでありますが、それらがだめになったということ。さらには、供給エリア内のこの夏のピーク時の体制をどうするかということもあるでしょう。また、地元の雇用の問題、それが波及して地域経済の問題、さまざまな観点があると思います。

 原子力発電所を監督する官庁でもありますけれども、経済を見る官庁でもあるんですね。ですから、当然そのことは、この停止に至るまでにいろいろな考えをめぐらせているかと思いますけれども、どういった点でどういう影響があり、それらに対して全力で立ち向かいますとかそういう抽象的なものではなくて、どういう具体策を考えているということまで、あれば教えていただきたいと思います。

海江田国務大臣 まず、電力の需給の関係で申し上げますと、一つは、東京電力がこういう状況でございまして、中部から東京電力へ電力を送っていただく、援助をいただくというお話になっておりましたが、これが事実上無理になりました。そして、今現在では、まさに中部の地域というのは、先ほどもお話がありましたけれども、産業の心臓部だということもございまして、中部の電力自体がぎりぎりのところに来ているということでございます。

 ですから、私は、まず最初に中部電力の水野社長にお電話をして、すぐその後に関西電力の八木社長、今電事連の会長でありますけれども、きのうもお目にかかりまして、関西電力、あるいは関西電力以外の電力会社から、よく玉突きということが言われますけれども、中部電力に送っていただく、それから中部電力を経由して東京にも送っていただくということ。

 それからもう一つ、中部電力では、やはり火力発電所などを緊急に立ち上げをしなければいけません。ここにも幾つかの規制もございます。こういう規制も、早くそれを認可するようにという形で指示をしてございます。

 あと、産業に対する手当てというのは、これは言うまでもございません、電力を確保すると同時に、やはりしっかりと産業の皆様方に生産をしてもらうようにお願いをするところでございます。

梶山委員 今お話がありましたけれども、浜岡で原子力発電所に関するお仕事をしている方たちは、大体二千名以上と言われております。それに関連しての経済活動というと、非常に膨大な数の方が原子力に依存をしているということになるわけですから、全力で頑張るとか抽象的な話じゃなくて、より具体的な中小企業対策、雇用対策でしっかりと対応をしていただきたいと思います。

 また、お二人で今回の措置をお決めになったということですけれども、さらには、昨日の記者会見で、菅総理がエネルギー基本計画を白紙で考えるというような話も出されました。その会見の中で、再生可能エネルギーも基幹エネルギーとして位置づけるということもありましたけれども、これはお二人でお決めになったのかどうかわかりませんけれども、閣内不一致がないようにぜひ徹底をしていただきたい。これは要望であります。

 次の課題に移らせていただきます。

 原子力損害賠償法、通称原賠法と言われる法律ですけれども、この法律に基づいて今、仮払いが行われているものと承知をしております。避難をした方々は、とりあえず着のみ着のままで出てきた、生活費用もままならないということで、四月の後半からこれに基づいて仮払いが始まりました。一世帯百万円、単身であれば七十五万円であったかと思います。

 分母、支払い対象の世帯がどのくらいで、現実にはどこまで支払いが済んだのかということをお聞かせいただきたいと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の仮払いの対象世帯でございますけれども、半径三十キロメートル圏内の区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域の世帯でございまして、三月十一日当時に現実に居住されておられた方々の数を正確には把握できておりませんけれども、国勢調査のデータ等によりまして推定いたしますと、おおむね五万世帯程度、これが分母でございます。

 それから、東京電力におきましては、各市町村の協力を得まして請求書の配付や説明会を実施し、これまでに約四万四千世帯分の請求書を回収いたしまして、約六千世帯分の振り込みを終えているというふうに承知をしております。

 東電では、受け付け順に書類チェックをしたものから順にデータ入力をいたしまして振り込みを実施しておりますけれども、このデータ入力の加速が課題ということで、連休明けに入力体制を拡充いたしまして、五月中にも振り込みをほぼ終えることを目標に鋭意作業しているというふうに聞いております。

梶山委員 ぜひ急いでこの支払いをお願いしたいと思います。自分がわけのわからないうちに避難せよと言われる、日常を奪われるということは、家族の団らんも奪われる、仕事も奪われるということになるわけであります。そして、土地も奪われるということになる。やはりこの人たちにしっかりと生活の補償をしていく。一義的には事業者である東電だということで、東電の仮払いでそれを行うということでありますから、一日も早く、その分母だけ、五万世帯にしっかりと払えるような手助けを国の方もしていただきたいと思います。

 原子力損害賠償紛争審査会なるものができまして、先般、第一次の指針が出されました。風評被害についてはこれからの検討事項ということで、七月ぐらいになるだろう、支払いは秋口ぐらいになるだろうというようなことであります。

 風評被害のみならず、実害も含めて、第一次産業にかなりの影響がございます。隣の茨城県におきましても、御存じのように、コウナゴが、セシウムの基準値が高い、沃素の基準値が高いということで、今季の漁はあきらめたわけであります。

 漁業をしている方たちというのは、漁に出てお金を得るという形で生活をしているんですね。ですから、茨城県の超党派の議員団で農水大臣のところにも参りましたし、いろいろな関係箇所にお願いもしましたけれども、返ってくる答えは、一義的には事業者である東電の責任だから、原賠法に基づいて東電に請求をしてくれということでありました。そのつなぎとして金融措置をしましょうということでしたけれども、これは、お金を借りるということなんですね。累積債務者は、なかなか借りづらい部分もある。ですから、金融庁の通達でも何でも出してほしいと言いましたけれども、多分出したんでしょうけれども、余り行き渡っていないのが現実であるということであります。

 さらには、自分たちは何も悪いことをしていないのに、何でおれが名義人になって借金をふやさなくちゃならないんだという感情的な問題もある。だからこそ、国が仮払いをして、後に東電と精算をすればいいんじゃないかと言ったけれども、返ってくる答えは、一義的には事業者である東電の責任だという答えが、大臣の口からも、農水大臣の口からも返ってくるわけであります。

 ずっとこういう要望をしてまいりましたけれども、先週の新聞で、民主党さんの中で、国が仮払いを、政府が仮払いをできるような議員立法を考えようじゃないかという議論がされているという記事がありました。これは大変いいことだと思います。

 ただ、ここまで何もしなかったのかという思いがあるんですね。ですから、もしこの議員立法が出てくれば私も賛成をしたいと思いますけれども、この議員立法が出てくる前に、国がとりあえず仮払いするよ、そして、後に東電と精算するよぐらいの、浜岡で見せたような政治的な決断があってもいいと思うんですが、いかがでしょうか。

中山大臣政務官 議連や何かで議会の方でいろいろ立法をするというようなお話も今ありました。うわさでは聞いたような感じはいたしますが、一義的には我々がやるべき問題だというふうに思っておりまして、四月二十八日に、ある程度審査会から答申が出ておりますので、それに基づいてできる限り早くやろうと。

 それと、私たちも、浜通りの皆さんや何かも直接来まして、非常に陳情を受けております。それで、今言ったように、できる限り早くという言い方しかできないのでありますけれども、さっき言った融資の関係とか、それから、特に浪江町の方なんかは中ですから、これはすぐにお金を出すことと同時に、無利子で五年間据え置きのお金とか、いろいろなことも御説明をさせていただいております。

 できるだけしっかり対応したいというふうに思いますが、できる限り早くと言うしか今のところは言いようがない、こういうことでございます。

梶山委員 これだけ二カ月も皆さんから言われているんですから、私は、浜岡の政治決断があったように、やはり今回も、仮払いをして、後に東電と精算するよというような話が出れば、それこそ拍手喝采だと思いますので、ぜひ考慮していただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので一方的にお話をさせていただきますけれども、原賠法の入り口、整理しますと三つ玄関があると思います。

 一つは、民間の保険会社との契約。これは一般的な事故に対する原資の確保ということであります。

 二つ目が、政府補償契約ということで、民間が免責になったとき、津波や地震、今回のような場合に免責になったときに、国が一千二百億円まで払いますよと。ただ、これは国が丸々一千二百億円払うわけじゃなくて、その発電量に応じて電力会社が積み立てているお金がある、それに足らない部分まで足して一千二百億円まで払いますよということ。

 そしてもう一つは、何度か海江田大臣にもお聞きしておりますし、いろいろな委員会でも質問があったと思いますけれども、原賠法第三条第一項ただし書きの「異常に巨大な天災地変」ということですが、今回はこれに当たらないということでしたけれども、千年に一度の震災というのは、私はこれに当たると思うんですね。免責しろということじゃないですよ。私は、事業者の責任というのは、どんな場合においても免れることができない責任があると思います。ただ、この法律が、今現実に即していないなという感じを持っていまして、誤解を与える表現があるのであれば、これにこだわって、これで決まったから決まったからと言わずに、これは法におかしなところがあるように感じるという表現をしてもいいんじゃないかなと思いますし、政府補償契約でやることについては私は異論は持ちませんけれども、これで決まったことですからという、これもブラックボックスになっているということなんですね。

 本来ですと、文部省所管の法律ですから、文部科学省と関係省庁の経産省が協議をする、それで結論を出す。そして、内閣法制局に確認をした上で、総理に報告をしたり、閣議で報告をしたり相談をするということだと思うんですけれども、そういう手順は経たと思いますけれども、しっかりとその手順も公開をしていただきたいなということであります。

 そして、東電の救済ではないということなんですけれども、私が言いたいのは、迅速かつ確実に補償をしていくということなんです。それには、最低限、健全な会社である必要がある、市場に対して、投資家に対して、また金融機関に対して、そういう印象を持たれる会社でなければならない。余裕があり過ぎちゃだめです。絞れるところまで絞った上で、リストラをした上で、上場している会社、市場からお金を集めている会社、また銀行からお金を借りている会社であれば、最低限の信用が保たれるような措置をしていただきたい。その結果が今週中に発表される賠償スキームであろうかと思いますし、この原賠法のあり方であろうかと思いますので、ぜひそういった点を考慮いただいて、これからいい結果が出るように努力をしていただきたいと思います。

 まだまだ質問があったんですけれども、時間が参りましたので、次の機会にさせていただきたいと思います。ぜひ、政務三役を初めとして、経産省の職員の方々も含めて、全力でこの収拾に当たっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、塩谷立君。

塩谷委員 自由民主党の塩谷立でございます。

 きょうは震災からちょうど二カ月ということで、多くの方々が被災され、お亡くなりになったことを改めて謹んでお悔やみ申し上げますとともに、お見舞いを申し上げたいと思います。

 そういう中で、先日の浜岡原発の全面停止について、私も、地元静岡県出身ということで、きょうは海江田大臣に質問をさせていただきます。

 大臣におかれましては、この二カ月間、震災に対する復旧復興に対して大変な御尽力をいただいておりますが、そういう中で今回の浜岡原発の問題が持ち上がったわけでございます。

 この菅総理の突然の停止要請、これは、地元の自治体だけではなくて、与党民主党の議員も全く知らされていなかったということを聞いております。

 浜岡原発につきましては、一九七六年に一号機が運転を開始いたしましたが、その前の年、一九七五年から三期十二年にわたって旧浜岡町長として一号機から四号機までの立地計画を進めた鴨川義郎さんという、もとの町長、今八十三歳でございますが、国のエネルギー政策に四十年も協力をし続けてきた、地元に何の連絡もないなんてばかげた話だと。町長在任中は用地の交渉や住民との協議、あるいは反対する漁業関係者の説得を続けてきた鴨川さんでありますが、いろんな人たちが長い時間をかけて納得して、先祖伝来の土地を差し出した、国はそんな思いを踏みにじった、国の一方的な決定に憤りを感じていると。

 さらに、昨日お目にかかったと思いますが、現在、浜岡町は合併して御前崎市、その石原市長さんは、国策として第一線でやってきた、それを東京でボタンを押してとめるのでは市民に説明のしようがないと地元軽視を強く訴えておるわけでございまして、こういった地元の思いについて大臣はどうお感じになっていますか。

海江田国務大臣 今、塩谷委員からお話がありましたが、昨日も石原市長とお目にかかりまして、今、御前崎市になっておりますが、もともとは二つの町が集まったところであります。石原市長とは何度かお話をして、その中で御理解もいただきましたけれども、あとの地域の方々にぜひ御説明をお願いしたいということでございますので、今私も、すぐいつ幾日出かけると言うわけにはまいりませんが、まず保安院からしっかりとした説明をさせて、そして、しかるべきときに私も地元に行って説明をしてきたいと思っております。

 皆様方の御心労と申しますか、特に、これまで原子力政策につき合ってきたという思いが大変濃くございますから、そのことに対する思いというものはやはり大変重いものがあるというふうに受けとめております。

 ただ、経済的な、これは一部に誤解がありますのであえて申し上げるわけでございますけれども、交付金の仕組みそのものが、二年前の実績に基づいてこれからお支払いをするということでありますので、二年はそのままでございますし、三年目も、これは八〇%になるというような例もございますけれども、そういうことがありませんようにと申しますか、これはやはり地震その他の災害によって停止のやむなきに至るわけですからしっかりと満額ということで、まずそのことはしっかりとお話をしまして、御理解をいただいたわけであります。

 ただ、そのほかに雇用の面などの大変深刻な問題もございますので、これにもしっかりとした手当てをしていかなければいけないと思っております。

塩谷委員 私はやはり、原子力発電という、これはもう地元の理解なくしてとても実現できるものではありません。その国策に対して大きな努力をしてきた地元の思いをぜひしっかり受けとめなくては今後の展望が開けないと思っておりますので、その点を強く要望しておきます。

 私も、今回の東北の地震後、浜岡へも行ってまいりましたし、今回のいわゆる総理の要請、着いた直後、月曜日の朝ですが、中部電力の地元へ行って話をさせていただきました。やはり、地元の企業、あるいは自治体、地域住民、本当に不安が強いわけでございまして、そういう中で一生懸命努力しているわけでございます。

 私は、海江田大臣が五月五日に訪問をされた、この決定に至るまでの経緯等が、説明も含めてどうもはっきりしない点が多過ぎると思うんですね。

 例えば、菅総理は熟慮の上ということを言っております。それから、先ほど海江田大臣も、浜岡の停止については四月以降かなりいろいろ検討してきたということ。では五月五日は何しに行ったんだと。地元では、中部電力の担当者は、説明して、一生懸命頑張っている。しかも、三月三十日に指示した緊急対策については、評価しているという文書もあるわけですね、これをわざわざつけて。

 ですから、五月五日はあえて、先ほども質問がありましたが、それを踏まえて六日にそういう要請に至ったのか、そこら辺のところが地元としても、そのときに海江田大臣と石原市長さんが話をしたと思いますが、三号機の再開についても十分に時間をかけて、早急な結論は出さないということを明言しているわけですね。ですから、そういう点、改めてまた不信感が強まっているということですが、そこら辺の経緯はどうなんですか。

海江田国務大臣 私は、早急な結論を出さないということを、特に石原市長に対して言ったという記憶はございません。

 終わりまして、俗に言う記者のぶら下がりというのがございまして、そこである記者が血相を変えて、三号どうするんですかということを言ったので、まあ慌てないでくださいということは申し上げました。ただ、その人が本当に記者がたくさんいる中で、後ろの方からのめって倒れそうになってマイクを突き出して、三号どうするんですかということを言われたものですから、そこは慌てないでくださいということを申し上げたという記憶は私はございますが、結論を急がないというようなことを申し上げたような、ちょっとこれは記憶でございますので、もし間違っていたらいけませんので、後でそのときの発言録も点検をしてみたいと思います。

 それから、もう一つは、これは先ほどの委員に対するお答えでもお話をしましたけれども、私は、浜岡だけに行ったわけでもありませんし、これからもほかの発電所もぜひ実際にこの目で見て、本当に安全が確保できておられるか、あるいは地域の方々がどういうお気持ちでいらっしゃるかということは、今後も引き続いてしっかりと聞いていきたいというふうに思っております。

塩谷委員 今回の決断に至る経緯というもの、普通の手順ですと、停止に至る、停止要請をする明確な理由、説明責任、それから、それをやったときの影響、その後の事態のスキームをある程度つくって、こういうことであるから停止をすると。

 なぜこの時期なのか。つまり、浜岡は原発ともう三十年、四十年、共存共栄してきたわけです。現在においては全く何の支障もないわけです。一方で、あれだけの震災が起こって、復旧復興に努力をしなきゃならぬ、電力も足りない。そういう中で、今この時期に、なぜそういう要請をして、決定をしたのか。私は、それがまことに、なぜ今なのか。本当に三十年、四十年、共存共栄してきた、今特に問題はない。しかも、三月三十日の指示については十分に措置をしているという評価をされているわけですね、大臣が行った後。津波の指示は、改めて出したのかどうなのか、ちょっとそこら辺はまた確認したいと思いますが。

 私が申し上げたいのは、今、これだけの大震災を受けて、復旧復興に全力を尽くすそのときに、今全く何の問題もないところに、あえて今この時期に。そして、浜岡の四号機、五号機は来年の一月と三月に点検期間に入るわけですから、そういうときにも十分に対策措置を打てるわけですし、それは全く説明がつかない。先ほど、これからの地震の確率の話がありました、八七%という。あれだけで、それじゃほかのところは全く地震が来ないと。

 大臣は明確に政治的に責任を持ちますというような言い方をしましたが、それでは納得いかないし、しかも、福島第一原発は〇%のところで起こったんでしょう、あの数値の中で。ですから、そういうことを考えると全く根拠がない。そこをどう説明するのか。ぜひまず、この時期に、どういう理由でと、改めてお話しいただきたい。

海江田国務大臣 先ほどお話をしましたが、この浜岡原発の立地する位置を考えましたときに、これは防災会議で委員の方もお話をしておりましたけれども、いつ地震があってもおかしくないということであります。私は、その意味では、大変な危機感を感じております。

 そして、やはり、それに対して手を打たなければ、本当にこれは政治としての不作為の責任を問われることになるだろうと思います。私が経済産業大臣としているときに、そういう状況があって、その中でそういう判断をしなければ、私は後の歴史から本当に大きく指弾をされる、そういう思いでございます。

塩谷委員 もしそれだけの思いがあったら、この停止に伴う今後の対応というものを先に明確にしておくべきだったんじゃないですか。総理も熟慮の上と言われている。今回の停止を行った場合に、何をどういうふうに、例えば、地元経済に対してあるいは住民に対して、雇用とかも含めて、さらには安定供給について、こういう計画でやりたいんだということをどこまでお考えになっていたのか、そういうことをやはり明確にしてやるべきだったんじゃないですか。

海江田国務大臣 資源エネルギー庁に対しては、まさに需給の問題が一番心配でございましたので、まず、需給の問題は平気だろうかという問い合わせをいたしまして、そして、資料に基づいた説明、これは私だけにではありませんで、総理に対してもそういう説明を行いました。それがまずやはりどうしても解決をしなければいけない問題でございますから。

 しかし、この数字というのは資源エネルギー庁がつかまえております数字でございますので、実際に、これからこういうことになって、ではどれだけ火力発電所が立ち上がるのか、そのためにはどういう援助をしなければいけないのかということについて、もちろん私どもはしっかりとした援助をするつもりでございますが、そういうことについて、今、中部電力とまさにこれからしっかり打ち合わせをしていくという段階でございます。

塩谷委員 先ほどの理由についても、八七%という大変厳しい数字があった。これはもう、もともとそうなんですね、東海地震は。ですから、今なぜこの時期にということ。しかも、ちゃんとした対応も明確にしない中で、まさに唐突な感じをだれもが感じている。

 そういった政治のあり方、やはりそれが菅政権が今大変に信頼を失っているところだと思っております。八ツ場ダムの問題も、地元のいろいろな理解とかなしに突然上からああいう決定をされる、民主主義も政治主導もあったものじゃないと私は思っておりますので、そういう点をぜひ、これから大事な決断をするときには、それなりの説明責任、理由があって、そして国民の理解、将来的な展望も含めてやることが大事だと思っております。今後ぜひ、特に今震災の復興復旧という大事な時期でありますので、大臣にはその点を十分留意して行動していただきたいと思っております。

 今回の要請、極めて唐突で異例なことである、これはもう先ほど来お話が出ておりますが、そういう中で、まさに苦渋の決断を行ったのは中部電力だと思います。私に言わせれば乱暴で説明不足の要請ということに対して、中部電力は、公益性の高い事業を営む立場を踏まえて、例えばお客様、あるいは立地地域の皆様、さらには当然、株式会社でありますから株主のこと、そして多くの皆さん方に多大な影響を及ぼすことを考えて、慎重に真摯にこの停止問題に対応をしたわけでございます。停止した場合に生ずる事態に対してどうするべきかということも、本来国が考えなければならないことを中部電力に全部丸投げして、そして、中部電力としては、五項目要請をして、それを大臣が受け入れたから今回停止を決定したということであります。

 そういう意味では、例えば要請をしたときの大臣から中部電力への文書、それに対して、中部電力から記者会見で配付された内容を見ると、まさに中部電力が丁寧にいろいろ考えているということが明らかでございまして、これは立場が本当は全く逆であろうと思うんです。

 その点で、本当にこの違い、政治家、我々の政治の思いというもの、本当にこれでは伝わらないと思います。この対比というものを大臣はどう思われますか。

海江田国務大臣 申しわけありません、対比というのは、今お話を聞いておりまして、中部電力が五項目のお話を出してきたということでありまして、これは、実際申し上げますと、本当は直接お目にかかればよかったわけですが、お目にかかれなかったものですから、私のところでもその五項目の要望を事前にいただきまして、そしてその一つ一つについて省内で検討して、こういう御返事をしようということで、最終的には電話での御返事だったわけであります。いいですか。

塩谷委員 私が申し上げたいのは、そういった五項目は、国が当然丁寧に考えて、こういう条件で停止をしたらというふうにするべきではないか。それを停止したときのいろいろな問題を中部電力が考えるということではなくて、国が五項目を、停止したらこうやりますということを明確に示して、その上で停止要請をするべきではなかったかと。その点、どうですか。

海江田国務大臣 最初に、停止をするというお願いをするということを私から電話でお伝えしましたときに、まさにいろいろな問題もおありだろうと思いますので、そのことはすべておっしゃってください、私どもの方でしっかりと対応させていただきますということを申し上げました。そして、それでその具体的な五項目が出てまいりましたので、それについてさっき言ったような経緯でお答えをしたという順番であります。

 おっしゃる意味は今わかりまして、最初から国がそういう五項目ぐらいをつくっておいて、そしてそれを中部電力に対して、こういうことが心配をされるけれども、これらについてはこういうことになっているよという形でやればよかったということだろうと思いますので、そうした御高見、しっかりと受けとめさせていただきます。

塩谷委員 それで、その五項目についてでありますが、今、大臣もお話しいただきましたように、電話で話をして確認をしたということだと思います。中部電力としては、一応大臣に受け入れていただいたということで今回決定をしたわけですが、やはりその担保、根拠というか、そういうものを明確に一つ一つ出していただきたいというのが本音だと思うんですね。

 例えば、第一の、再開については、防潮堤の建設などの中期の地震、津波対策が完了したときに必ず再開できるということ。これは、まさしく国の基準をどう明確にするかということだと私は思うんですね。それがないまま防潮堤をつくれというのは、国が指示したのか中電が考えたのか、はっきり私はわかりませんが、やはり国がそれで大丈夫だと、今までの経緯からいうと、この十二メートルの防潮堤で大丈夫だと大臣はおっしゃっているはずなんですね。ですから、それをしっかりと担保する措置をしていただかないと。

 例えば三月三十日の緊急の対策指示にしても、あれは中電はちゃんとやっているんです。だけれども、今回、やっていてもだめだと言われる。今回も防潮堤をしっかりやって、その他必要なことをやっても、では再開できるかどうかというのはどう保証されるのかということ。

海江田国務大臣 三月三十日のは本当に緊急でございますから、例えば代替のディーゼル発電の容量というのも四百キロワットとか五百キロワットでございます、これでは残念ながら。よくこれは一部のマスコミなどでたたかれましたけれども、ここで私どもが要求をしましたのは、電源が切れても、これまで系統の電源がやっていた作業をすべてやるんじゃなくて、少なくとも中央制御室のデータがしっかりとついて、あとは、本当に万一のときはベント弁を使って容器内の圧力を逃がさなければいけないわけです。そこには若干の放射性物質も含まれるわけですが、もちろん、これはフィルターなどを通して減殺するということであります。そういう本当に必要最小限の設備でしかないわけでありますね。

 私どもは、あの三月三十日のをやってくれたから当面はこれでいいけれども、連続的にいろいろな手当てをお願いしますよ、電源車の場合でも、もっと出力の大きい、容量の大きいものを備えてくださいというお願いをしておりますし、浜岡の発電所の場合も、例えばポンプも十二台使って川から水を引くわけですが、十二台使っちゃったら、もうそのバックアップがないわけですね。一つの可搬ポンプは、最初は三時間使えるということを向こうは言っていたんですが、そんなばかなはずはないといって聞きましたら、一時間半ですということを言いました。

 その意味では、必要最小限のことは何とかやってくれたわけでありますが、それだけではやはりまだまだ本当の意味では、今度の福島のような事態が起きたときに万全に対応できるということではありませんので、不断の努力をしてくださいよ、継続した努力をしてくださいよということで、今回、まず第一次のときの必要最低限の、何とか一時間半あれば、その間に電源をつなげる努力をしなきゃいけない、今、電源も、一系統だけじゃなくて、もう一系統やればできるんじゃないですかとか、そういうようなことをやっているわけでございます。

塩谷委員 今のお話はよく私も理解していますし、また、例えば電源の話は、浜岡だけではなくて、多くの地域もそのとおり評価されていまして、まだまだ足りないということ。

 ただ、今回停止したときに、それでは、この防潮堤と、今お話があった電源の問題とか、そういった今回指摘されたところをやれば必ず再開できるのか。不断の努力といったって、まださらにというようなことを言われたのでは、いつ再開できるかわからない。だから、中部電力としては、そこをしっかりとした担保、保証をもらわないと、国の基準として、津波対策はこれで大丈夫だ、ここまでやれということの何か保証を、それができたら必ず再開できるんだということをおっしゃっていただかないと、あるいはそういう措置をとっていただかないと、本当に停止してこのまま再開できないんじゃないかということになりますので、その点をどう具体的にやられるのか。

海江田国務大臣 必ず再開していただきたいというふうに思っております。

 そのためには、今、津波の対策ということでありますけれども、これから東京電力の福島第一発電所の調査の結果なども踏まえた新しい保安基準というものを出そうかと思いますが、今の時点で私どもが要請するということでは、今計画が中部電力にございますが、それを満たしていただければ、またそのときはしっかりと再開をしていただこうということでございます。

塩谷委員 ぜひその点を、しかるべき措置をとって担保していただきたいと思いますし、あと四項目ありますが、それぞれに対して具体的な支援措置を講じていただきたい、これをぜひ大臣として約束していただきたいと思っております。そして、具体的な措置をとっていただくことを強く要望しておきます。

 もう時間がないので最後になりますが、この中電の原発の停止に伴って、経済に与える影響が大変大きいと思っております。現在、我が国がこれだけの大きな震災を受けて、それ自体大変な状況にある中で、一つは経済復興に向けて日本に与える影響、さらには電力供給等、こういったことに対して、今後の対応がどう具体的に図られるのか。

 例えば、中部地方は製造業の一大集積地でありまして、何とか日本の復興に向けて中部地方が頑張らなければという自負もあります。そういう中で、自動車産業とかがいろいろ工夫して、輪番制の体制をとったり、電力需要に対してもそういう計画をしているわけですが、この中部電力の原発の停止によって、明らかにある程度の電力不足は否めない、そして電力供給が安心ということはないわけです。この点について、やはり日本経済が今後どうなるかということの非常に大きなポイントだと思いますので、経済産業省として、しっかり国民に今後の計画なり措置をしていただきたい。

 それと同時に、風評被害といいますか、今回、浜岡が危険だということは、静岡県は一番危険な県だと言われたのと一緒です。今まで三十年、四十年、そういう中で頑張ってきましたが、ここでこういうことをやる、観光事業なんかも非常に心配ですね。そういうことも含めて、地元経済あるいは日本の経済、特に、先ほど申し上げましたが、東日本の震災がまだまだ復旧復興の緒についたところでありますから、そういう中でのこういう事態というのは、本当になぜ今の時期なのかと改めて問いたいんです。

 経済産業省として、日本の経済、地域経済、将来にわたってどういうことを考えていらっしゃるのか、ぜひお答えいただきたい。

海江田国務大臣 今委員御指摘の点はまさにそのとおりでありまして、この中部地域が日本の生産の、あるいは日本経済の心臓部と言っても過言でない地域でございますから、まず一つはしっかりと電力を供給するということ、もう本当にこれが最初にして一番重要な仕事ではないだろうかというふうに思っております。

 そして同時に、やはり雇用の問題で、昨日お目にかかりました御前崎の市長も大変心配をされておりました。もちろん発電所の中は、例えば防潮堤の工事でありますとか水密性の工事でありますとか、そういう工事で多くの人がそこで働くことになるわけでございますが、問題は、リストラなどがあって賃金がカットされるというふうなことになりますと、地元の商店街だとか飲食店街だとかそういうものもやはり大きなダメージを受けますので、そういうことのないようにというふうに私どもは考えております。先ほどお話をしました交付金もその一環でございます。

 あともう一つは、これは昨日総理もお話をしました。私は、原子力というものはやはり大事な基幹的なエネルギー源として守っていかなければいけない。ベストミックスでありますが、これからの新しいエネルギーというものも、これはぜひ力を入れて、太陽光発電などは日本はいっときかなり世界の中での優位性がございましたけれども、少しここのところ劣化しておりますので、そういうものを改めて興していくことによって日本の経済をしっかりと立て直しをしていきたい、このように考えております。

塩谷委員 きのうの菅総理のエネルギー政策を白紙見直し、これもまた突然な発言だな、またかという思いがあります。私は、やはり政治は信頼と説明責任と、そして将来展望を明確に示すということが大事でありますから、今大臣、日本の経済に対しての決意を述べていただきましたが、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

田中委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。

 まず、東日本大震災から二カ月が経過をいたしまして、この間、さまざまな方が、被災地あるいは避難されている方々への御支援ということで、昼夜を分かたず御努力をなされています。そうしたことに心から敬意を表させていただきますとともに、いまだなお多くの方が避難所暮らしを余儀なくされている、一日も早くこうした方々がもとの生活に戻れること、あるいは被災地がいち早く復旧復興に前進していくことを願ってやみません。

 そのために、大臣におかれましても、ぜひリーダーシップを発揮していただいて御尽力いただきたいと思いますし、我々政治家も、ここは本当に腰を据えて、この被災地の復旧復興のために何ができるのか、そのことを真剣に考えていかなきゃならない、そして努力をしなければいけない。そうでなければ、我々は国民の皆さんから負託をいただいて議会で議論させていただいたり、また政治の執行を行っている方々もいらっしゃるわけですから、ここはそういう思いで臨んでいきたいというふうに思っております。

 先日、東京電力福島第一原発の事故で大変な思いをされている福島県の各地域を訪問させていただきました。きょうは、そういった意味で後ほどそのことも紹介させていただきながら、これが現場の声であるということ、その声をお届けさせていただくような思いで質疑をさせていただきたいと思っています。

 そのお話に入る前に一つ、先ほど来御議論がありますけれども、昨日、また一昨日の総理の要請、発言、そして記者会見の内容でございます。浜岡原発の停止、それからエネルギー基本計画の見直し等々についての発言でした。

 私は、基本的な考え方として、浜岡原発の立地状況からすると、東海地震等に対する懸念ですとか、今回の東日本大震災、あの大津波、福島の原発の問題等々を含めて、津波に対する不安があるのは事実だと思っています。そして、そのことに対して政治がどういう対応をしていくのか、これは極めて重要なことだと思っています。

 ただ、その上で、そういったことを踏まえても、この総理の発言や記者発表については、先ほど来のお話のとおり、どうもやはり唐突な気がしてしようがない。これはマスコミ各紙も論じていますけれども、私たちも、この総理の発言については、なぜ今このときに、そしてこのタイミングで発言をなさるのかということについては、どう考えてもやはり唐突な印象をぬぐえないわけでございます。

 そこで、まずお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、大臣はこの総理の発言に対してどのような所見をお持ちかということをお聞きしたいんです。

 浜岡原発のことについて、例えば総理はこういうお話を記者発表でされていますね。停止要請の発表が唐突で、批判も出ているんじゃないか、こういう質問に対して、いろいろな方に意見を聞いた、そして私たちなりに熟慮を重ねてきたと。私たちなりというのは、総理であり、そしてまさに担当大臣の海江田大臣、ここで熟慮を重ねてきたということなのかなというふうに私は理解しますけれども、この点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 総理がそういう形で、複数形でお話しになられたということでありますので、恐らくその中には私も入っているかと思います。

 それは、私の場合の熟慮と申しますか、あるいは苦渋の選択と申しますか、これはやはり、先ほど来多くの委員から指摘がありましたように、今、日本全体が電力不足のときに、もちろん私どもは他の電力を立ち上げて不足のないようにするということでありますが、この浜岡をとめることによって電力の需給がどうなるのか、電力の供給がしっかり保たれるのか。電力の供給が保たれないことによる日本経済の後退でありますとか停滞でありますとか、こういうことはあってはならないという、そこの観点からの判断の難しさというものはありました。

 総理は、確かに国の最高責任者としての、それはまた別な苦悩もあったかと思いますが、私の一番の悩みというのはその点であったということは御理解をいただきたいと思います。

稲津委員 今の御発言をお伺いしまして、浜岡がとまった場合、その代替、どういうふうに電力を確保していくのかという、担当大臣としてもやはりこれは相当悩みに悩まれたということを感じます。

 しかし、今の大臣の御発言と比べてみると、総理の発言がどうもやはり唐突な印象がする。それはなぜかというと、今まさに大臣がおっしゃったように、このエネルギーの問題については、まさに国民にとっても経済生活にとっても死活問題になっている。そういう状況の中での発言ですから、本来ですと、今大臣がおっしゃったように、このようなエネルギー体系を構築していかなきゃならない、あるいは再構築しなきゃいけない、要するにそこの熟慮がなければなかなか十分な説明ができないと思うんです。

 ですから、私は、総理の発言のところには、本来であれば、今大臣がおっしゃったように、ではエネルギーの見通しはどうなるのか、ここに対する議論はどこの場でどういう形で持っていくのかということを国民の皆さんにお示しをしなければいけなかったんじゃないだろうかなと。今からでも遅くないと言う方もいらっしゃいますけれども、しかし、政治家の発言というのは極めて重いと思いますので、私はこのことをまず指摘させていただいて、後ほどまた関連で幾つか質問させていただきたいというふうに思います。

 きょうは、エネルギー基本計画というラインに沿って何点か聞かせていただきたいと思うんです。

 第一点目は、原子力発電のコストと電気料金についてということで、いわゆるエネルギー基本計画につながっていく問題ですけれども、ここをまず伺いたいと思います。

 大臣は、過日のテレビ番組で、東京電力管内の電気料金について、原子力からガスあるいは原油に置きかわる分を換算すると一六%ぐらいになるというお話で、火力発電に切りかえる際の値上げについて言及したような発言があったというふうに私は認識をしておりますけれども、この点についての大臣の見解、真意をお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 先週の土曜日か日曜日でございますが、私は自分の記憶では一六%という数字をがえんじたつもりはないわけであります。

 ただ、よく混同されますのは、今、片一方で賠償の話がまさに進んでおります。この賠償の話でも、電気料金の値上げによってその賠償の原資を捻出するのではないだろうかという話もございます。それで、その一六%とかいう数字自体を認めるものではありませんけれども、それが賠償によって起きる料金の値上げ分ではないだろうかと考えられておりますが、これは違いますよということを私は申し上げたかったわけであります。

 やはり原子力のエネルギーというのはほかの化石燃料などと比べて、特に今化石燃料が高騰している事情もございますけれども、原子力エネルギーは比較的割安であるということから考えますと、そこが大きなダメージを受けたわけでありますから、当然、それの代替をする原油でありますとかLNGでありますとか、こういうものに置きかえなければいけない。そうなりますと、それはやはりコストアップにつながって、それは今の電力料金の決め方では電力の料金に乗せなければいけないということで、その仕組みを説明したかったからであります。

稲津委員 福島の原発の賠償のことではなくて、そもそも火力発電の方が原発よりもコストが高い、原発はコストが低いんだというお話だと思うんですけれども、では、その具体的な根拠というのはどういうところによるのかということをちょっとお伺いしたいと思います。

中山大臣政務官 これは、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会コスト等検討小委員会の報告、これは平成十六年の一月なんですね、随分前の話でございますが、一般的な廃炉費用を含めた資本費、再処理費用を含めた燃料費、運転維持費など、発電に直接的に要する費用を見積もって、一キロワットアワー当たり五・三円と試算をされたわけでございます。

 しかし、私たちもいろいろな委員会で御質問されたりなんかするわけですが、その中でいつも、マンションつくってトイレなしというようなことで、廃炉を含めて、最終処分とかそういうお金についても積み立ててはいるんですが、そういうコストを考えると決して安いわけではないと思うんですね。ただ、安定供給とかCO2を出さないということで、今まで、五三%までこの原発ということが考えられた。

 ですから、必ずしもコストだけの問題ではなかったような気もいたします。

稲津委員 電気料金というのは電気事業法で規定されているということで、電気事業法の十九条の二項に供給規定というのがありまして、ここに「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの」、これで電気料金が決まるとあるわけですね。適正原価と適正な利潤、これを加えて電気料金が決まるということは、そもそも絶対に損はしないという設定になっている。要するに、そういうことを法的に、仕組みを保障されている。では、その適正な原価と適正な利潤はどこで決めるのかというと、特にこの原価計算がどう適正なのかという根拠は、私はこれは一回きちんと調べてみる必要があると思うんです。

 そのことはさておいて、今お話ありましたけれども、本当に原子力の原価というのがコストが低いのかどうかという問題です。

 今いみじくもお話がありましたけれども、例えば原発一基つくるのに約三千億ぐらいかかるというふうによく言われています。廃炉にするには幾らかかるか。一千億ぐらいかかる。合計で四千億。そして、今回のような、これは想定外だと当初から言われていますけれども、損害賠償という問題が出たときには、当然こういう問題も出てくる。だから、本当の意味で原子力というのはコストの低いものなのかどうかということを、私はあえてここでまず触れておきたいというふうに思うんです。

 後ほどまた火力発電についてもお話しさせていただきますので、それは後で触れさせていただきます。

 次に移ります。

 福島の原発事故の賠償金の問題についてです。これも先ほど来幾つか御質問、御指摘ありました。

 四月の二十八日に、原子力賠償紛争審査会は損害賠償の範囲に関する第一次指針を出しました。特に、私は農林水産物被害について申し上げたいと思うんですけれども、政府の出荷制限指示ですとか自治体の出荷自粛要請の対象となった農作物は、この費用についても該当するという指針が出されました。しかし、生産者団体が行った出荷自粛は、生産者みずからが出荷自粛したものも含めて、賠償の対象となっていないということ。それから、風評被害についても今後の検討課題というふうにされました。これは、私は、いかにも現場認識とかけ離れた、まさに迅速さに欠ける、ある意味では政治の大きなエラーになってしまうんじゃないかなと思っています。

 そこで伺いますけれども、審査会の考え方として、風評被害について、今後の二次指針の取りまとめ等についてどうなっていくのか、この点についてお示しいただきたいと思います。

田中政府参考人 先生御指摘ございました原子力損害賠償紛争審査会が策定をいたします指針につきましては、可能な限り被害者の方々を早期に救済するという考え方から、相当因果関係が明らかなものから順次策定をしていくという方針で、今議論を進めていただいてございます。

 四月二十八日に第一次指針を策定いたしましたけれども、その中には、今先生御指摘のとおり、政府の指示による避難、あるいは農作物の出荷停止というようなことについての考え方を明らかにしたところでございます。第一次指針の対象となっていない農作物の出荷自粛、あるいは検討に時間を要するような風評被害ということにつきましても、この営業損害については今後検討するということをこの一次指針の初めのところに明記をしていただいてございます。

 今後、スピード感を持って、できる限り早く検討を進め、その結果を次の段階の指針から反映していただきたいというふうに考えてございまして、第四回の指針の策定のために、第四回は五月の十六日からまた審査を進めていただくことにしてございまして、スピード感を持って今後とも進めていきたいというふうに考えてございます。

稲津委員 ここに所管の大臣等がいらっしゃれば私はもっと厳しく言わせていただきたいと思うんですけれども、相当な因果関係がわかるところから順次行うと。相当な因果関係というのは、現場は明確ですよ。だって、実際にJA福島からは損害賠償なんかが出てきているじゃないですか。そこをどう見るかという判断になってくると思うんです。いずれにしましても、次回は五月十六日でございますので、しっかり対応していただきたいと思います。

 その上で、今度は大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、福島原発事故での東京電力の賠償金の一時払いについて、これも何度か私もこの委員会で質問させていただいてまいりました。しかし、現場に実際に行かせていただいて現場の声をいただいた、その上でお話を申し上げたいと思います。

 東京電力の誠意のなさ、薄さ、それから損害賠償に対する消極的な姿勢、私は大いに不満です。仮払いの補償金について申し上げたいと思うんですけれども、避難されている方々の支給には応じたけれども、農林水産業の救済はいまだ手つかず、この仮払い、一時払いには応じていないわけでございまして、私は極めて遺憾なことだと思っています。

 先日、福島県のJA福島中央会、それから南相馬市に参りまして、現地でJAそうまの皆さんから現状を聞かせていただいて要望を受けました。例えば、これからまさに出荷を期待しているサクランボ、これもどうにもならない。例年だと、ゴールデンウイークの時期は田植えの時期でした。しかし、行く道すがら、ほとんどどこも田植えはされていません。牛の移動をしなきゃならない。えさ代もそうですけれども、避難に伴う経費も自分で何とかしてくださいという状況であるということ。収入のない中、支払いは待ってくれないという状況。こうなったことの原因というのははっきりしているわけで、これは福島原発の今回の事故によるものです。私は、一刻も早く一時払い、仮払いに応じるべきと思っています。

 これは経産大臣に御答弁いただくというのは本当に恐縮ですけれども、しかし大臣としてのこの時点での思いを聞かせていただければと思います。

海江田国務大臣 稲津委員にお答えをいたします。

 稲津委員は、かねてこの委員会でもその御指摘がございました。避難をされた方々に対する生活費の一時的な仮払いは、先ほど報告があったとおり、申し込みの件数は多いんですが、ただ、実際にはまだなかなか、支払いがおくれて滞っているようであります。ですから、これはもっと早くやってくださいということをお願いしているところでありますが、問題は農業経営者でございます。

 農業者につきましては、これは先ほどお話のありました紛争審査会の第一次の判断の中でも出荷制限のところははっきりしたわけでありますから、あれも受けまして私どもの方からも東京電力に要請をしておるんですが、東京電力の側が、とにかく賠償の全体的なスキームを示してください、それがなければだめだというふうに言われている、言われているというか、株主訴訟なんかがあるんだろうと思いますけれども、そういうことがありましたので、この損害賠償のスキーム、これはできるだけ早くと言わずに、今週中にも内閣で決定をさせていただいて、それからできるだけ早く国会に法案という形で提案をさせていただきたいと思っております。

 その法案が成立をしなければ、例えば出荷制限を受けた農業者に対する支払いができないのかというと、私はそうではないと思います。ここはかなりしっかりと交渉しなければいけないと思いますが、少なくとも閣議決定をしてこういう形でいく、これはぜひ御協力をいただきたいと思っておりますが、やはりその時点で政府の意思が固まったわけでありますから、直ちに、まず農業者の出荷制限を受けた方々に対する仮払いを始めていただかなければいけないと思っております。

 それから、実は、これはたしか稲津委員の指摘にもあったと思いますが、今、そうした相談の窓口が東京電力だけになっているわけでありますね。もちろん私どもの政府でつくっております生活支援チームというのがございます、原子力災害の生活支援のチームがございますから、そこに御相談いただくと、そこから東京電力の方に連絡をする。そういう橋渡しも私も何度かやったことがございますが、やはり政府がそういう相談の窓口というものを設ける必要があるのではないだろうかというふうに考えております。

 今度新たな損害賠償のスキームをつくる中で、どこに位置づけをするかということは若干今検討中でありますけれども、政府としてそういった相談の窓口を設けるということも、本委員会あるいはほかの委員会で委員を初め皆様方から御指摘を受けた一つの成果といいますか、そういうものを設けるに当たっての一つのきっかけになったということは事実でございます。

稲津委員 私は今農業のことを軸にしてお話しさせていただきましたけれども、もちろん漁業それから中小零細の事業主の方々もいらっしゃいます。いずれにしても、今大臣が御答弁いただいたことをぜひ、これは重ねて御尽力いただきたいと思います。

 もう一つ、東京電力さんについてどうしても申し上げたいことなんですけれども、それは、先ほどもどなたか指摘されましたけれども、東京電力が賠償紛争審査会に事前要望していたということですね。その中身、要旨も見させていただきましたけれども、いずれにしても、賠償限度に配慮をしてほしいという要請。私は、そういうことを要請する立場にもはやないところがこういうことを要請するというのは、極めて遺憾とかいうところを通り越して、最初、報道を見ましたとき、にわかに信じがたいぐらい本当に憤りを感じました。

 そのことをあえてまたどうこうというわけじゃないですけれども、一点だけ、大臣に改めてこのことについても御所見をいただきたいと思います。

海江田国務大臣 私も新聞記事を見ましたとき、極めて不適切だというふうに思いました。中立的、公平な立場からの審査会でございますので、そこに当事者であります東京電力がそういう意見を言うということは極めて不適切だというふうに思っております。

 もちろん、この審査会はそうした要望に影響されたということはないと思っております。

稲津委員 何となく、今回の要望なんかを見ていますと、中身の要旨も見ていると、東京電力さんは御自身たちが被害者のような意識に立っているんじゃないかとさえ思うぐらい、私は随分違和感を感じたわけでございます。いずれにしましても、大臣の方からもそういうお話をいただきましたので、ぜひそういう強い姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 次は、今後のエネルギー基本計画についてということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 総理は、今回の東京電力福島原発事故を踏まえて、原子力、エネルギー政策は事故の検証を踏まえて改めて議論すると申されました、このように認識しています。これは、原発の新たな増設の凍結、それから新エネルギーの推進を議論する意向を示している、このように認識をします。

 しかし、では、具体的にどう進めていく気なのか、今後の工程はどうなるのか、こういうことが一番最初に課題としてあるわけでございまして、まずこの点について大臣の見解を伺いたいと思います。

海江田国務大臣 総理は、昨日の会見で、エネルギー基本計画、昨年の六月に閣議決定したものでございますが、これを白紙という表現をとったわけでございます。

 私は先ほども答弁申し上げましたけれども、ここで、二〇三〇年に、とりわけ原子力で、発電電力量の比率で五三%という数字を出してございます。今がおよそ三〇%弱でございますから、そこを大幅に伸ばすということ。それで、再生可能エネルギーのところが現在九%を二〇%、それから、今石炭火力が二五%ぐらいのところを一一%にするということも、昨年六月の閣議決定でエネルギー基本計画の中に定めたわけでありますが、私は、やはりこのバランスは変わるだろうというふうに思っております。

稲津委員 それから、事故の検証のための第三者委員会というのを五月中旬を目途に立ち上げる、このように聞いていますけれども、この点についてはどうでしょうか。

海江田国務大臣 この第三者委員会、私はむしろ原子力政策の責任者として、まさに第三者ではございませんので、これについては発言を抑えてきたわけでございますが、内閣官房の方で、できるだけ、まさに第三者という印象を皆さんに持っていただけるような人選をして立ち上げるということでございますので、その時期を待ちたい、こう思っております。

稲津委員 そこで、エネルギー基本計画のことにもう一回少し触れていきたいと思うんですけれども、総理がこれを白紙に戻すという話をされて、冒頭私からもお話し申し上げましたように、唐突だと。なおかつ、ではそのスキームをどこでつくるのか。

 具体的な工程は別としても、大体こういうようなと、大ざっぱかもしれないけれども大枠としての今後の日程の考え方も示していくとか、そういうことがなければ到底、やはり唐突というイメージはぬぐい切れないと思うんですね。具体的に、例えば火力はどうするんだ、火力の中でも石炭はどうするんだ、石油は、あるいは天然ガスはどうするんだ、再生可能エネルギーはどうするんだということを本気で詰めていかなければ、軽々に、ここをとめます、あそこを再開しますなんということは原発に対してなかなか言えないことだというふうに私は思うんです。

 そこで、一つの例として、例えば石炭エネルギーについて少し触れさせていただきたいというように思うんです。

 石油や石炭それから水力よりも原発の発電単価はコストが安い。しかし、先ほども議論させていただいたように、地震、津波安全対策、そういったコストを考えていくと、果たして本当に安上がりなのか。

 先ほども御答弁いただきましたけれども、これは平成十六年のエネ庁の調査ですけれども、現在、一キロワット時当たりの発電単価は、原子力が一番低くて大体四円八十銭から六円二十銭ぐらいのあたり、その後が、一円刻みぐらいで石炭、天然ガスというふうになっていきますね。そして、それから今度、水力、風力、石油、太陽光と、随分差があるんです。特に太陽光、風力などの再生可能エネルギー、私はこれはむしろ進めていくべきだという立場に立ってお話を申し上げてはいるんですけれども、今後、発電単価が決して低くないということと、広大な敷地が必要だということで、今日的課題も非常に大きいと思うんです。

 しかし、原発への不安があり、当面の電源確保あるいは中期的なエネルギーの計画を考えるときに、私は、火力発電への依存は、少なからず、当面増さざるを得ないんだろうと思うわけですね。

 特に天然ガスについては供給先の確保が課題だったんですけれども、幸いなことに、カタール、オーストラリア、ロシア、こういうことで調達計画が進行していると聞いております。まあ一安心だと。

 石炭はどうか。石炭も、経産省の大変な努力で、オーストラリア、それからインドネシア、ベトナム、ここから安定した輸入、さらにモンゴルなどの協力も進行中だ、こう聞いております。特に石炭については、これは私の私見もありますけれども、発電単価の優等生だと思っておりまして、安価なエネルギーでもある。さらに、我が国の石炭技術、石炭の利用における技術、これは、発電効率を初め世界最高水準、私たちが誇るに足るものだと思っています。こうした技術が関係各国にも高い評価をいただいて、石炭の安定供給につながっている。

 まず、我が国のエネルギー需給に占める石炭の役割についてお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 先ほどもお話をしましたけれども、発電量のベースで、平成二十一年度で二五%ですからおよそ四分の一ということになろうかと思います。

 単価につきましては、先ほど中山政務官もお話をしました、それから委員からもお話がありました。本当に原子力に次いで安いということでございます。しかも、この石炭火力の日本の技術がクリーンエネルギーになっているということも御指摘のとおりだと思います。

稲津委員 御指摘のとおり、ゼロエミッションとかクリーンコールの技術、我が国のすぐれた技術がありまして、これが、産炭国との共同研究ですとか海外への技術普及ということで大変大きな役割を示している。

 こういう中で、私は、ある意味では石炭関係予算もしっかり確保していくべきだと思いますけれども、大臣に御所見を伺いたいと思います。

中山大臣政務官 今いろいろお話しでございますが、私、実際、インドネシアで、超臨界とか超々臨界の石炭の発電所を交渉で売るような仕事をやってまいりました。

 そのときに、今お話しのとおり、石炭は世界でもまだ大体百年ぐらいもつということでございまして、非常に重要な燃料源であることが一つと、さらに、日本は、CCSといって炭酸ガスを海底に埋める技術を、今、苫小牧なんかでも試削をしております。

 これはもう先生の言うとおりなんです。実は、石炭は世界各国で相当、大体七割ぐらい使われて、これが炭酸ガスの一番の原因になっておりまして、私たちがいい石炭の発電所を持っていくことによって、相手方の国の炭酸ガスを減らすことができるんですね。そういう交渉もできるということで、大変大きな視点で見ていただくとありがたいというふうに思います。今後は、超臨界や超々臨界や、そういうものを発展させれば世界にも貢献できるというふうに思っていますし、これからは日本の重要な燃料源になるというふうに思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 私、地方議員の時代から、このテーマについてはいろいろ質問させていただいたり意見交換させていただいているんですけれども、一般の多くの方々は、石炭はCO2を出して余りよくないエネルギー源だ、そういう評価もされたりして、非常に残念な思いをしてきたんですけれども、今の大臣政務官のお話をいただいて、大変意を強くして、共感した次第でございます。

 次に、このことに関連して伺いたいんですけれども、エネルギー資源に乏しい我が国において、石炭の安定供給というのは天然ガスと並んで大変重要なことであるということ、それから、今私が申し上げましたように、ゼロエミッション発電とかクリーンコールの技術と並んで進めてきた、いわゆる産炭国石炭産業高度化事業については、関係国から高い評価と要請があって、かつ石炭の安定供給に資している、こういうふうに思っております。

 以前大臣にもお伺いしましたけれども、この事業の評価と事業継続の所見についてお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 前回もお答えをしたと思いますが、今、石炭の重要性というのは、中山政務官からもお話がありましたが、私もやはりそのとおりだと思っております。その中で、この事業が大変大きな役割を占めているということは認識をしております。

 今は検討中という形でのお答えにさせていただきますが、委員から前回に引き続き、また今回もそういう御指摘があった。しかも今、まさに電力の供給が大切な問題になっていて、中長期的に、国際的な日本のエネルギー政策の中で、改めてこの石炭の地位といいますか、位置が向上しているということとあわせて最終的には結論を出したいと思っております。

稲津委員 ありがとうございます。ぜひしっかり御検討いただきたいと思います。

 時間が大分参りましたけれども、残りの時間で、浜岡の原発停止について数点お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、原発停止という判断に至った経緯についてなんですけれども、中部電力への総理からの要請ですね。先ほど来、唐突な印象という話をさせていただきましたが、特に、最初、停止期間について言及していなかったために、一時的ですけれども、浜岡原発はもう廃止するんじゃないかというように受けとめられたという話もありました。その後、政府の方から、地震と津波の対策を完成するまでの二、三年の間ということで。

 ただ、いずれにしても、私は、このテーマが余りにも唐突だという話を繰り返しさせていただいていますけれども、あえて申し上げますけれども、やはり十分な説明が不可欠だということを指摘させていただきたいと思っています。

 今回の判断というのは、科学的それから技術的知見によるべきものでなければいけない、こう思っています。本来は、こういうことは原子力安全委員会に諮るべきじゃないかと思いますけれども、この点についてはどうでしょうか。

海江田国務大臣 原子力安全委員会に諮るかどうかということで、今回は諮っておりませんが、もちろん後で、その旨の報告をいたしまして、その報告についての口頭での意見というものはいただいております。

 一般的に、私どもが原子力安全委員会にお諮りをするのは、例えば、原子炉等規制法でありますとか、そういう法律に基づいた措置の指示などを行う場合でありますとか、あるいは、今、まさに東京電力福島第一発電所でいろいろな作業が行われておりますが、この作業がきちっと安全を確保して行われているかどうか、私どもの保安院でももちろんチェックをいたしますが、ダブルチェックという意味で、原子力安全委員会の意見をお聞きする、こういうことがございます。

稲津委員 それでは保安院さんにお伺いします。

 今大臣からもお話がありましたが、このことをしっかり明確にするためには、何といってもやはり科学的な根拠が必要であろう、こう思いますけれども、保安院はどうですか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 中部電力浜岡原子力発電所に関します地震の対策に関しましては、新しい耐震審査指針に基づきますいわゆるバックチェックを作業中でございます。

 それから、今回の緊急安全対策に関しましては、短期的対策、それから中長期的対策の計画の内容につきまして、原子力安全・保安院の方で、検査などによりまして確認をしたわけでございまして、そういう意味での緊急安全対策については妥当なものと評価をしたものでございます。

稲津委員 大臣は、今回の震災直後に緊急安全対策を指示されましたね。結果、全国の原発に対して、例えば避難訓練等々もそうですけれども、それと同時に原子力安全・保安院も立入調査を行った。それで、浜岡原発の緊急安全対策については適正という評価をしたわけです。また、これまでも中部電力は、東海地震を想定しても安全性は保たれるんだ、このようにしてきたところです。

 そうしますと、これらのことから考え合わせていきますと、今回の総理の中部電力に対する要請というのは、海江田大臣や保安院、それから中部電力の対応と、現実には相違があるんじゃないか、こう受けとめられてもやむを得ないと思うんですけれども、この点について国民の皆さんにどう説明するかということは大事なことだと思います。大臣、どうでしょうか。

海江田国務大臣 浜岡原子力発電所を、今停止中のもの、それから今動いているもの、三、四、五号の炉について、とめていただきたいと要請したということは、私も同じ意見であります。

 そして、緊急の安全対策ということでいえば、これは浜岡だけではありませんで、美浜もそうでありますし、その他の原子力発電所もしっかりとやっていただいていると思っております。しかし、それだけで十分かというと、そうでないということは、これまた各地の原子力発電所、同じ状況であります。ですから、不断の安全性を高める努力をしていただきたいということをお願いしているわけであります。

 どこが浜岡と違うのかということでいえば、地震の発生する、あるいは地震が発生することにより津波が襲来する、その蓋然性と申しますか、これがやはり圧倒的に高いという、この点でございます。

 先ほど何人かの委員から御指摘がありました、ほかの発電所とどう違うのかと。その津波の襲来の蓋然性でございますが、私は、先ほどのマグニチュード八以上の地震ということも、これは三十年という時間的な長さで言っているわけでございます。人間の歴史にとっては三十年というのは比較的長い時間でございます。しかし、やはりこれらの地震などの地質学上の三十年というのは、本当にあっという間ですね。地球の歴史から見ると三十年というのはあっという間なわけでありますから、その意味では、先ほども御紹介をしましたけれども、まさにいつあってもおかしくないというこの表現が私は適切だろうと思います。

 そのいつあってもおかしくない状況にある原子力発電所について、当面の安全性というものは確保されておりますが、さらなるもう一段の、やはり中長期的な安全性でもってカバーをしていただきたいということが私どものこの判断の根拠でございます。それはぜひ御理解をいただきたいと思います。

稲津委員 時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、予定していた質問が幾つか残ってしまいましたが、それはまた後日というふうにさせていただきます。

 浜岡以外はどうなのかということに対しての国民の不安もありやというふうに思います。世界的に見ても、地震、津波、原発、これが重なる地域は、例えば日本とか、アメリカの西海岸ですか、割と限られている。浜岡のことを総理がそのように指摘をなされて今回停止ということにするのであれば、この際、原発の安全性そのものをどういう形で国民の皆さんにきちんと説明できるのか、私はある意味での検証がいま一度必要かなと思います。

 それから、最後になりますけれども、きょうのこの委員会の中で一つの一番大事なテーマというのが、やはり総理の熟慮ということがどうなのかということだと思います。

 私は、原子力安全委員会、保安院、専門機関がこのことについて、しっかりと政府に対して、総理に対して役割を果たしているのかというと、これもちょっと疑問です。したがいまして、そこのところを指摘させていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、浜岡原発を中心に質問したいと思います。

 この浜岡原発問題というのは、日本共産党が国会で取り上げたのは三十年前からになりますが、一九八一年の二月四日の予算委員会で、当時、書記局長だった不破哲三議員が、確実に来る大地震への備えこそ最大の安全保障だとして、浜岡原発のすべてが東海地震の震源域の真上にあると。ですから、一、二号機はもとより、さらにその上に三号機の建設を当時の通産省が認可した問題を追及しました。

 それで、先日ようやく、三十年おくれましたけれども、菅総理が浜岡原発運転停止を求めたわけです。

 そこで、きょうは順番に伺っておきたいんですが、日本と世界で、震源域の真上に原発をつくっているところはどこにあるのかをお示しいただきたい。それからもう一つは、活断層から一キロメートル以内に設置している原発は世界と日本でどの原発なのか、これを大臣に伺っておきたいと思います。

寺坂政府参考人 事実関係なので、私からまずお答え申し上げます。

 まず、震源域の真上にある原子力発電所でございますけれども、世界の原子力発電所の事例に関しましては、今、私どもが資料を見ている限りでは、承知をしてございません。

 それから、活断層から一キロメートル以内にある原子力発電所、世界に関しましては十分承知してございませんけれども、日本におきましては、平成十八年の耐震設計審査指針の改訂に伴いましてバックチェックが行われているところでございますけれども、現在までの評価におきましては、関西電力の美浜発電所、日本原子力発電株式会社の敦賀発電所、それから日本原子力研究開発機構「もんじゅ」におきましては、敷地から約一キロメートル以内に耐震設計上考慮すべき活断層が確認されているというふうに承知してございます。

吉井委員 ですから、世界じゅう探しても、そもそも東海地震とか、さらに東海・東南海・南海地震あるいは日向までずっと連動した場合に巨大な地震になるわけですが、震源域の真上に原発をつくっている国というのはないんです。

 それで、今、敦賀、美浜、「もんじゅ」の例を挙げられましたけれども、外国の場合についても、実は、これは二〇〇八年四月四日に原子力安全・保安院の佐藤審議官の答弁で、アメリカでも一キロメートル以内はない、最も近いのでディアブロキャニオンの二基が四・八キロ、それからサンオノフレ原発で八キロ離れていると。ですから、日本のように、原発が活断層の真上とか、美浜はたしか活断層の真上だったと思いますが、二百メートルほど離れたところに表層に活断層が見つかるようなところはないというのが現実だと思うんですが、再度確認しておきます。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの平成二十年の内閣委員会での原子力安全・保安院からの答弁でございますけれども、アメリカのディアブロキャニオン原子力発電所、約五キロメートル近傍に活断層、それから同じくサンオノフレ原子力発電所におきましては八キロメートル近傍に活断層があるという旨答弁をしているのは、そのとおりでございます。

吉井委員 ですから、震源域の真上とか、活断層の集中地帯に原発を立地するということ自体が国際的に見て異常なんです。

 大臣に伺っておきますが、アメリカのボデガベイ原発というのは、近くに震源域があると地質学者が指摘した後、この原発の扱いはどうなりましたか。

海江田国務大臣 御指摘の原子力発電所は、建設計画が提案されたものの、現在はその計画が破棄されているということでございます。

吉井委員 これは、一九六四年十月二十七日に、アメリカの原子力委員会、当時のAECの規制部は、三十二万五千キロワットのボデガベイ原発については、要するに近くに震源域があるということがわかって、耐震設計の点から不適当という見解を出して、運転中止といいますか、そもそもつくること自体をやめた。当時、日本では浜岡三号機をつくろうとしておったときなんですよ。

 それで、次に伺っておきたいのは、当時の不破委員の質問に答えた中で、森山資源エネルギー庁長官は、浜岡原発三号機の審査に当たって、マグニチュード八・四が安政大地震だが、マグニチュード八・六という、理論的に考えられる最高震度を想定した審査をしたと発言したわけです。

 しかし、当時から、マグニチュード八を超えるものというのは、この千年以内に、安政の大地震だけじゃなしに、永長、明応、宝永というふうに四回記録しているんですよ。それで、何かあると想定外という話になるんですけれども、その想定外の話はだめだということをずっと私たちは言ってきたわけです。

 「地震地体構造から将来起こると予想されております直下型地震を含む最大の地震動すべてを勘案して安全審査をした」、これは浜岡三号機に当たってのエネ庁長官の答弁だったんです。

 しかし、現在は、もうそういうのは今回福島でも超えてしまったわけです。東海・東南海・南海地震、さらには日向まで連動して動くことも想定されているんですが、このときにはマグニチュードは幾らぐらいになると想定しておられますか。

寺坂政府参考人 マグニチュードの数字をちょっと持ち合わせておりませんで恐縮でございますけれども、当時の最大加速度、基準地震動に関しましては六百ガルを想定したというふうに承知してございます。

吉井委員 それは何ガルかの話なんですね。大体、多くの地震学者などが、連動したときにはマグニチュード九を超えることも考えなきゃいけないと指摘しているときですから、当時考えておった六百ガルというのは既にもう突破してしまっているわけです。それは新潟県中越沖地震で、柏崎刈羽原発ではタービン建屋で二千ガルを超えたんですね。これを経験し、約三千カ所の機器類の損傷、破壊が記録されました。

 福島第一では、今回、受電鉄塔が倒壊する。内部の方は、津波とは別に、そもそも最初の地震の一撃でどれぐらい原発プラントが損壊したかということ自体がまだつかまれていないんですね。しかし、少なくとも柏崎刈羽の三千カ所分に並ぶ分ぐらいが地震だけでも被害を受けているということを考えなきゃいけない問題だと思うんです。

 浜岡原発がマグニチュード九を超えるぐらいの地震に遭遇したときには、大体どれくらいの機器類が破損、故障するというふうにお考えなのかを、想定を伺っておきます。

寺坂政府参考人 現在、耐震バックチェックの作業を重ねてきているところでございますけれども、具体的に今どのような数の損傷、もちろんその損傷のいろいろな程度はあるかと思いますけれども、その点についての数字は把握してございません。

吉井委員 柏崎刈羽の場合はマグニチュード六・八で直下型ではあったんですが、それで三千カ所なんですね。震源域で、マグニチュード九ぐらいが連動してあるということを考えた場合には、これはとてつもなく大きな故障、損傷を、地震だけでも、津波対策をとったって地震でそもそも原発プラントがいかれてしまうということを考えておかなきゃいけないと思うんです。

 あわせて伺っておきますが、地震のときには液状化現象があります。三十年前にも実はこれが不破委員の方から取り上げられて、それで静岡県自身が調査してまとめたもので、三百ガルの加速度で液状化するという、その液状化状況について調べた報告書も地図の上で紹介されました。

 今回、千葉県浦安では地域の八五%が液状化して、下水管、水道管が各所で破断して、市民生活が普通に成り立たないという事態になっています。浜岡原発の冷却水配管は液状化した場合にどうなるのか。とりわけあそこは砂地盤ですから、八百メーターですから約一キロぐらい先まで冷却水配管を延ばしているわけですね。砂を巻き込まないように、延ばした先で高さ二メートルぐらいにして取水口を設けておりますが、そもそも液状化したときに、約一キロ先まで延ばしている取水配管を含めてどういう状態になるのか。これは私は破壊されるということを心配しなきゃいけないんじゃないかと思いますが、どういう想定をしておられますか。

寺坂政府参考人 先ほど来申し上げております新耐震審査指針に基づきます事業者の評価、それに対します保安院、国としての評価の作業を続けているわけでございますけれども、まず、三連動のマグニチュードに関しましては、今、事業者から出されているものにつきましては八・七で評価の作業を今現在は進めているところでございます。

 それから、液状化に関しましては、原子力発電所の原子炉建屋などいろいろな構造物があるわけでございます。耐震設計上重要な建物、構築物に関しましては、原子炉建屋などでございますけれども、岩盤に直接支持されているということがございます。それから、耐震設計上の、現在の重要度分類では、SクラスではなくてB、Cクラス、そういった建物、構築物に関しましては、重要度に応じた設計荷重に対して十分な支持性能を持つ地盤に設置されており、ごく一部の例外を除き岩盤に設置されていることを、これは事業者の方でございますけれども、確認したとしております。これは、新潟県中越沖地震などの経験も踏まえたものでございます。

 そういったことでございますが、いずれにいたしましても、現在、そのような点も含めまして、耐震バックチェックの作業を進めているところでございますが、今回の東京電力福島第一発電所に関するさまざまな事故原因の検証、そういったものも踏まえた上での作業が必要であるというふうに考えてございます。

吉井委員 今のマグニチュード八・七の想定というのは、東海地震単体なんです。やはり問題にしなきゃいけないのは、連動したときにはマグニチュード九、場合によっては九を超えるものを考えなきゃいけないと地震の専門家などから指摘されているときですから、今の想定ではとても合わない。

 それから、取水配管とか配管類が破損するというのは、柏崎刈羽の場合もそうなんですが、そもそも、変圧器火災を消そうにも消火栓が破損しておって水がちょろちょろとしか出てこないなど、これは何も消火栓の話をしているわけじゃないですが、原発というのは、石油化学と同じように、要するにプラントなんですよ。そのプラントの配管が破損するということを、とりわけ液状化を含めて、第一撃、衝撃によっても破損するし、液状化によっても崩れていくということを考えておかなきゃいけないと思うんです。

 班目委員長に来ていただいておりますので、伺います。

 二〇〇七年十一月七日の内閣委員会で、この年の七月十六日の東電柏崎刈羽事故を踏まえて、大きな断層の上や巨大地震の震源域に原発を立地する問題を取り上げました。当時、鈴木篤之原子力安全委員長は、直下に大きな断層があり、大きな震源域となり得る場合には、多分そういうようなところに立地することは難しくなるというのが通常であろうと答弁されました。

 班目委員長、この考えは変わりませんか。

班目参考人 原子力発電所の設計に当たっては、しかるべき地震動を想定して、そのような地震が生じたとしても、安全機能に支障がないことを要求してございます。

 したがって……(吉井委員「鈴木さんと一緒ですね」と呼ぶ)結局は同じことになります。

吉井委員 わかりました。

 海江田大臣に伺っておきたいんですけれども、当時の鈴木安全委員長も、今の班目委員長にしても、要するに、震源域に原発立地は難しくなるというのは通常である、この考え方なんです。この立場からすると、今はとりあえず停止ということなんですが、浜岡原発はこの問題に当たるものだと私は思いますが、大臣、どうですか。

海江田国務大臣 まず、私どもが中部電力にお願いをしましたのは、緊急の安全対策はやってくださいということで、これに対して緊急の安全対策はやっていただきました。

 しかし、地震の発生の可能性というのが他の発電所と比べましてやはり圧倒的に高いわけであります。そして、地震が発生をすれば津波が原子力発電所を襲う可能性も同様に圧倒的に高いわけであります。他の原子力発電所は、もちろんこれは急いでいただきますけれども、中長期的という一つの目安をつくって、この範囲の中でぜひおやりくださいといったことを前倒しして、そして今、三月三十日の緊急安全対策だけじゃありませんで、同時にこれもやってくださいということをお願いしたわけでございます。

吉井委員 これは緊急対策で済むような話じゃないんです。原子力安全委員会の考え方としては、要するに、震源域に原発立地は難しくなる、通常、こういうことは考えられないことだという立場でずっと来ているわけなんです。

 浜岡原発というのは、他の原発と違って、東海、あるいは連動すれば東南海、南海、日向沖まで。ですから、マグニチュード九を超えることを、今回の福島、場合によってはそれ以上のものを考えておかなきゃいけない、そういう震源域の真上にあるんですよ。

 その真上にある原発については、とりあえず今停止ということなんですが、そもそもここは原発立地にはふさわしくないところだったんだ、そのことをきちんと腹に据えていただいて。現に震源域に浜岡原発の立地を認めてしまったという過去の決定は間違いだったと思うんですが、やはり再生可能エネルギーを爆発的に普及させることによって段階的に廃炉へ持っていくということが必要であるし、そのことを考えないと浜岡問題の解決はできない、このことを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。

田中委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 本日は、まず最初に原発事故に関する風評被害についてお尋ねをしたいと思います。

 今回、浜岡原発の運転中止を菅総理が要請されたときに、私はたまたま海外におりまして、その海外の泊まっていたホテルで各国のテレビニュースを見ていたんですね。言葉は通じなくても、画面だけ見ていると、海外のメディアで非常に大きく今回の浜岡原発の停止のことが報道されておりました。

 浜岡原発は大変危険な場所にあるので停止する、その結論としては正しいかもしれませんし、私も評価できるとは思います。しかし、プロセスが余りにも不透明であり、手続的に唐突な感じがありました。恐らく、海外のメディアあるいは海外でニュースを見ている人たちから見ても、唐突に総理大臣が悲壮な顔をして原発をとめろという記者会見をやると、日本の原発は相当怖いんじゃないかという印象を持つと思うんですね。

 海外のニュースをずっと見ていて思ったんですが、ニュースだけ見ている外国の人というのは、やはり風評被害、日本は全部危ないんじゃないかという先入観を持っても仕方ないという印象を受けました。ニュース報道というのは、どうしてもほんの数分間にまとめて非常に目立つところだけ報道しますから、海外のニュースだけ見ていると、日本は本当に危ない、そういう印象を持たれても仕方ないと思うんですね。そういった意味では、政府として、積極的に風評被害をなくすためにきちんと海外のメディア、プレスに対して説明していくということが非常に重要だと思っております。

 そこで質問ですが、経済産業省は、海外における原発事故の風評被害対策、どのようなものを具体的に行っていらっしゃるでしょうか。

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 おっしゃるとおり、場所的に離れると必ずそういうことが起き得ると思いますけれども、やはり一にも二にも情報発信ということで、あらゆるタイミングをとらまえて、いろいろな立場のところから正しい情報を発信していく、これに尽きるのではないかというふうに思っております。

 まず、政府レベルにおきましては、バイの会談や、つい先日、大臣に出席いただきました日中韓経済貿易大臣会合などの場においての働きかけ、それから今後の予定では、来週はAPEC貿易担当大臣会合、再来週はOECD閣僚理事会、そしてG8サミットがパリ近郊で行われるといった、あらゆる機会をとらまえていくということでございます。二つ目が、海外メディア、ホームページを通じた情報発信を行っていく。そして、三つ目が、ジェトロ海外事務所や在外公館を通じましていろいろな主要都市において説明会を、これまでも行ってまいりましたし、今後も行っていく予定でございます。

 以上です。

山内委員 今の御答弁に関して質問させていただきます。役所の方でも結構ですので、お答えいただければと思います。

 バイの会談で説明する、あるいはAPECで説明する、G8で説明する。説明して、恐らくその場にいる首脳とか大臣はわかってくれるかもしれませんが、それを相手国のメディアがちゃんと報道してくれるかというと、ニュース価値は意外と低いのかなと。そういった意味では、ただ機会あるごとに説明する、それもどっちかというと儀礼的な場で説明するだけではやはり不十分だと思うんですね。

 もっと報道する記者の側に深く理解してもらう方法、ちゃんと理解した上で報道してくれるように、メディアに対するアピールというのは非常に重要だと思うんですけれども、具体的に今ホームページで流すとおっしゃいました、あるいはジェトロや在外公館が説明していると言っておりました、それが今までどれぐらい効果があったのか、あるいは今後どういう具体策を考えていらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。

武藤政府参考人 外務省の対応を御説明させていただきたいと思いますけれども、外務省の方では、震災の発生以降、関連情報の対外発信ということに全力で取り組んでございます。

 広報ということでございますけれども、具体的には、例えば、松本大臣が、これは四月三十日、一日合併号でございますけれども、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に、ジャパン・イズ・オープン・フォー・ビジネス、日本営業中、あるいは日本がビジネス先としてもオープンである、こういうふうな意味でございますけれども、そのような題の寄稿を行いまして、日本との交流の拡大を訴えたというようなことがございます。

 また、原子力発電所の現状とか我が国がとっている関連措置等について、これは関係省庁の出席を得て、在京の外交団に対する日々のブリーフィングを行っているところでございますし、また、在京のビジネス界に対しても説明会を開催したところでございます。

 それから、外国のプレスに対しても、これは官邸を中心に、外務省も含めて関係省庁が出席をして連日ブリーフィングを行っておりますし、インタビュー等、積極的にそういったことを通じて情報発信をしているところでございます。

 それから、在外公館におきましても、相手国の政府要人とか有識者への働きかけ、あるいは現地メディア、インターネット等を通じて正確な情報を提供するよう積極的な取り組みを続けております。海外産業向けの説明会というものも四月下旬より行っておりまして、北京、ロンドン、上海、ロサンゼルス、バンコク、ソウル、パリ、デュッセルドルフでは既に行っておりまして、今後、台湾とか香港、シンガポール、ニューヨーク、ブラッセル、ジャカルタ、ミラノで開催の予定がございます。

 御指摘も踏まえつつ、さらに我々としても関係省庁と協力をして、日本の安全性について今後とも諸外国への正確かつ時宜を得た情報提供を続けてまいる所存でございます。

田嶋大臣政務官 一点申し上げたいのは、おっしゃるとおり、マスコミがどのぐらい現地で注目をされるかということでございますけれども、せんだっての日中韓経済貿易大臣会合でも、共同宣言という形で発信をさせていただいたのは、まさに日本にとって困るという話だけじゃなくて、国際的なサプライチェーンが途絶をすることで彼ら自身も困っているんだということを共同で発信することが、現地のメディアにとって、これはニュース性が高い、ニュースバリューがあるはずだというふうに考えていただけるきっかけになるのではないかという、そういう発信をこれからも行っていきたいと思っております。

山内委員 今、外務省からヘラルド・トリビューンなどに広告を出したということでした。非常に重要なことだと思いますが、ぜひ、英語だけじゃなくて、中国語でもスペイン語でもフランス語でも、いろいろな媒体で、記事にしてくれないなら広告を打つというのも非常に重要だと思います。

 外務省は、今回、補正で予算は削られるばかりですけれども、そういう広報に関しては、むしろ補正で、原子力発電に関する風評被害対策、こういったものにもっと予算をつけろと要求してもいいぐらいだと思っておりますので、誤った認識を持たれないように、ぜひ外務省も経産省も頑張っていただきたいと思います。ちょっと大臣に聞こうと思っていたんですが、いらっしゃらないので……。

 一つ経産省に対して、事前通告の内容とちょっとずれるかもしれないので、もしお答えできない場合は所感だけでもお述べいただければと思います。

 特に東京を中心に、外国のビジネスマン、留学生、いろいろな人たちが原発の事故の影響を恐れて海外に戻ってしまいました。母国に戻ったり、あるいは関西エリアに避難したり、あるいは香港、シンガポールに移動したり、非常にビジネスの面でもいろいろな面で不都合が出たり、日本経済にとってもダメージが相当あるんじゃないかというふうに考えております。

 外国人の、在日外国人というくくりでいうと法務省の入管かもしれませんが、入管は、どっちかというと取り締まる方は一生懸命ですけれども、人を招く方は余り熱心でもありません。観光客は観光庁かもしれない、留学生は文科省かもしれない。いろいろな人たちが日本にいて活動しているんですが、特にビジネスの人たちが日本に戻ってこられるように、あるいは、今度東京に赴任しろと言われたら嫌だと言う外国の人が出ないように、ぜひ経産省としても、日本にもっと多くのビジネスマン、投資家、そういう人たちが来てくれるようなアピールというのが必要だと思うんですね。

 例えば東南アジアなんかでは、よくボード・オブ・インベストメントみたいな委員会があって、外国の投資家とか企業家に、もっと来てくださいというふうにいろいろな誘致策を一生懸命アピールしています。今、日本、特に東京では、そういう海外向けのアピールをやらなくちゃいけない。そのときに、一般論として外務省がやるのも必要ですけれども、経産省は経産省で、特にビジネスセクターに関して、もう日本は、東京は特に危なくないんだよということをアピールしていく必要があるんじゃないかと思います。

 そういうことは、経産省としてはやれるんでしょうか。事務方に聞いたら、何かIT分野に関しては前にやったことがあるという話がありましたが、ビジネスセクター全般に、東京は大丈夫だ、来ても大丈夫だ、そういう発信はどのようにお考えでしょうか。

海江田国務大臣 私も、事情が許せば、海外に行ったときに、なるべく海外のビジネス界にそういう発信をしたいと思っております。

 それから、ジェトロが各地にございます。このジェトロは、今回もかなり活発に日本は安全なんだということをPRしてくれたというふうに承っております。

山内委員 ありがとうございます。

 それでは、ちょっと時間がないので恐らく最後の質問になりますが、今月、日中韓の三国首脳会談がありまして、もう既に報道されていますが、日中韓の三カ国で原子力関係者の定期協議を始めようといったようなことを日本から提案された、あるいはするのかもしれませんが、そう聞きました。

 中国や韓国の原発というのは、日本にとっては、もし事故があったときには非常に大きな影響が及ぶのは当然です。風向きの関係もありますので、日本で事故が起きたときに中韓に及ぶ悪影響よりも、むしろ中韓で大きな事故があったとき日本がこうむる被害というのがもっと大きいんじゃないかという気がします。

 今、日本が事故を起こしておいてこんなことを言うのは僣越ですけれども、中韓ももっと情報公開をしっかり原子力発電でやってほしいということは日本側からも言う必要がありますし、むしろ日本側が思い切って情報公開して、これでもかというぐらい情報提供して、情報公開することによって、中国も韓国もある程度自分の国の原発の情報公開をせざるを得ない状況に追い込んでいくということが必要ではないかと思うんですが、そういった今後の日中韓三カ国の原子力発電に関する情報交換、こういうメカニズムについて経産省の方針をお尋ねします。

中山大臣政務官 今報道ベースのお話がありましたが、これを福島でやろうというような提言まで出ておりまして、ある意味では、実際どういう状況であるかを見てもらうと。情報公開、百聞は一見にしかずで、一番いいことだというふうに思っています。

 ただ、この安全・保安院のトップクラスが、二十年の九月から会合を定期的にやっているところでございまして、今お話しのとおり、とにかく空気とか、空中に戸はつけられませんので、必ず放射能や何かは原爆実験なんかがあれば当然流れてきていますよね、いろいろな意味で。ですから、私たちの起こした事故は外国に影響がある、もちろん外国で起こした事故は日本にも影響がある、こういうことで、密にこれからしっかり情報を交換していくことが大切だということで、今後もこれはしっかり続けていくつもりでございます。特に福島の会議は期待をいたしております。

山内委員 ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、この事件をきっかけにして、特に中国、韓国の原子力発電、中国は必ずしもメディアが自由じゃない国ですから、どこまで情報公開しているかわからないところもありますので、三国で信頼関係を築いて、事務局もきっちり置くと聞いていますので、しっかりとした情報共有と情報公開の体制をつくっていただきたいと思います。

 そろそろ質問の時間がなくなりますので、最後に要望ということで、今回の日中韓の三国の首脳会談というのは非常に重要なアピールの場だと思うんですね。特に、日本の、できましたら被災地に近いところまで中韓の首脳やハイレベルの人が行って、自分の国の国民に向かって、中国と韓国の国民に向かって、日本が危険なのは一部の地域だけであって、その他のほとんどの地域は問題ないんだよということをアピールしてもらえたら、これ以上の広報効果はないと思いますので、きょうは外務省審議官の方がお見えですけれども、ぜひ外務省としても経産省としても、そういう近隣国への風評被害対策をしっかりとやっていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、質問を終わります。

田中委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 震災後、ちょうど二カ月がたちました。瓦れきの除去あるいはライフラインの確保など復旧作業も進んでいるところでありますが、いまだに収束が見えないのが福島第一原発の件であります。

 これは、現地福島だけではなく、関東も、あるいは東北全域も北海道も含めて、日本という国自体が将来に不安と影響を感じている、このように思うわけであります。事の経緯についてはもう繰り返しませんが、十一日の地震、津波発生以来、原子炉冷却機能の喪失、これが大きな影響をその後及ぼして今日に至っているわけであります。

 さて、私は、きょうは原子力安全委員会についてお伺いをしたいと思っておりました。

 原子力安全委員会は、原子力基本法、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法及び内閣府設置法等に基づきまして設置されており、一方、原子力を安全に利用するための国による規制は、直接的には経済産業省あるいは文部科学省等の行政機関によって行われているわけであります。

 この原子力安全委員会の位置づけにつきましては、内閣総理大臣を通じた関係行政機関への勧告権を有するなど、通常の審議会にはない強い権限を持っておりまして、専門的かつ大局的見地から判断を下す五人の原子力安全委員会委員が、国会の同意を得て総理大臣から任命されているわけであります。もちろん常勤職としてお勤めでありましょうが、その下に、法律で設置が定められております原子炉安全専門審査会、六十名の定員でありますし、核燃料安全専門審査会、四十名の組織があります、そのほかに緊急事態応急対策調査委員、これが四十名いるわけでありますが、それ以外に安全委員が任命する専門分野助言組織、二百五十名の組織があり、その下に事務局が百名くらいいる、大きな組織となっております。

 先ほども言いましたように、これは経産省、文科省からも独立した強い権限を持つ専門組織だ、こう思っていたのでありますが、三月十一日、地震当日でありますが、午後四時から第十六回の原子力安全委員会臨時会議が班目委員長室で開かれたとのことであります。もちろん委員は常勤でありますのですぐ参集できたのでありましょうが、会議の内容は、三月十一日午後四時でありますから、二時四十六分発生の地震に伴う緊急技術助言組織の立ち上げを行ったと事務局からの報告だけであり、資料なしに五分で終了した、こう聞いているわけであります。

 この時間帯は津波の真っ最中でありまして、想像を絶するその映像が、テレビでどのチャンネルを見ても流れていたのではないでしょうか。福島原発は大丈夫だろうかという話が一言もここからは出てこなかったのか。あるいは、原子力の専門家が五人そろっていて、数百名に及ぶスタッフのもとで、あの大地震の後、こうした会議が五分で済んでしまっているという、この委員会の状況につきまして、私は委員長にお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、楠田委員長代理着席〕

班目参考人 当時の実情についてちょっと御説明させていただきます。

 福島第一発電所から原災法の十条通告がございまして、それに基づいて直ちに緊急に原子力安全委員会を開催し、緊急助言組織を立ち上げたというのが会議の内容でございます。

 と同時に、緊急助言組織を立ち上げるために一斉携帯メールで緊急事態応急対策調査委員を招集してございます。このような方たちは、ほかに職を持つ方でございますので、よそから集まっていただかなければなりません。ところが、実態として、一斉携帯メールが全く機能しなかったということから、この場合は、臨機応変という言い方はちょっと語弊があるかもしれませんけれども、我々の持てる力を最大限に生かすためにその場その場に応じた対応をしようということを申し合わせたというのが実態でございます。

伊東委員 今のお話は、この間も四月二十七日の衆議院決算行政委員会でお話をされている点であります。現実に、事務局からの報告、ただいまお話ありました緊急技術助言組織の立ち上げというのを事務局から報告を受けただけというふうに会議録ではなっているわけであります。

 さて、その三日後であります三月十四日、午後三時三十分から、次の第十七回の臨時会議が委員長室で開かれたわけでありますが、このときの議題は、緊急の場合における実用発電用原子炉に関する線量限度等の告示についてというものでありました。このときも配付資料なしであり、所要時間はまた五分であった、何の質疑もなかったと聞いているわけであります。

 三月十四日といえば、この時点では既に一号機から三号機までベントを開始しており、放射能が大気中に出ていた状態であります。また、一号機では十二日に水素爆発が起こっており、三号機では十四日の十一時爆発音と白煙が上がって、加えて、海水の炉心への注水がこの一号機で十二日から、三号機で十三日から始まっている、この時期の十四日の三時三十分であります。なぜこのときも五分で会議が済んでいるんでしょうか。これについてお答えいただきたいと思います。

班目参考人 実は、そのときは私は官邸の方に詰めておりましたので、その会議には欠席してございますので詳しいことは存じませんが、議題は、今回の事故の大きさから考えて、作業に当たる従事者の被曝限度を二百五十ミリシーベルトに上げる必要があるのではないかという要請があったことに対し協議したというふうに伺っております。

伊東委員 これは、委員長、大臣も聞いていておかしくありませんか。日本の原子力安全行政の、それも首相を通じた勧告権を持つ極めて重要な委員会が、地震が発生して五分で会議を終え、あるいは地震後三日、これだけの大きな出来事が、日本の国であってはならない、恐らく初めてであろう経験をしていて、この安全委員会が、委員長は官邸に詰めていた、そして委員会は全く機能していない、こんな状態でまともだと思いますか。

 確かに、班目委員長は、十二日から十四、五日までずっと官邸の方にこもっておられたと、この間、決算行政委員会でそのように説明をされました。しかし、三百名を超えるこの組織が、委員長が官邸に行っているからといって、何の機能を果たしたんですか。

 先ほど言ったように、地震当日メールが伝わらなくて、緊急事態応急対策調査委員四十名のうち数名しかこの日は出てこなかった。その後十六名にふえたというお話でありました。これは緊急事態応急対策調査委員ですよ。これ以上の緊急事態というのはあるんですか、一体。この人たちをどういうことで任命し、使命をきちっと理解させたんですか。緊急事態に呼べないような、出てくることができないような、こんな調査委員は、名前だけじゃないですか。

 そして、これに加えて、外部専門家、先ほど言いましたように二百五十名も組織図にはあるんですよ。その下に百名も事務局がいるじゃないですか。この人たちがいて、一体何のために、これだけの緊急事態、これだけの一大事に機能しない原子力安全委員会というのは一体何ですか。

 それは、委員長がどこかに行っていたとか、官邸に行っていたとか、そんな話ではないというふうに私は思います。そんな個人的な、官邸に行っていたから原子力安全委員会が機能していませんなんという話には私は全くならないというふうに思いますし、いいですか、この三回目の十七日の会議もまた五分で終わっているんですよ。震災から丸一週間、三回原子力安全委員会が開かれて、なぜ、五分で、資料もなしで、意見交換もなくて、これだけの大事件が起きているのに安全委員会が機能しないんですか。これについて説明してください。

    〔楠田委員長代理退席、委員長着席〕

班目参考人 まず最初に、このような原子力災害発生時の原子力安全委員会の任務ということでございますけれども、そのような場合には原子力災害対策本部が招集されますので、そこの本部長に対し、これは総理でございますけれども、技術的な観点から助言を行うこととなってございます。したがいまして、私、委員長自身が災害発生直後から官邸の方に参って、本部長である総理を初め、経済産業大臣その他の方々に技術的な観点からの助言を行っております。具体的には、東京電力で起こっている状況というのをその時点その時点で把握し、それについての解説を行ってきたということでございます。

 一方、緊急助言組織としては、前の委員会でも申し上げましたけれども、十六名の緊急事態応急対策調査委員の方と、それ以外に専門委員の方等十六名、合わせて三十二名の方に集まっていただいて、いろいろな助言活動をしていただいております。

 これは本当に多岐にわたってございまして、例えば除染の基準はどうしたらいいのか。これも、それまでに考えていたような基準でやった場合には現場が動かなくなるというような情報が寄せられてございます。それから、例えば食物摂取の基準についてもどう考えたらいいのかとか、あるいは外部に相当量の放射性物質が出たためにモニタリングというのが非常に重要になったわけでございますが、モニタリングというのをどういう地点でどういう方法で行ったらいいのかとか、本当に多岐にわたりますけれども、そのような助言活動を行っていたということでございます。

田中委員長 委員長、質問に十分答えていないと思いますよ。この委員会での質疑を含めて、委員会がどのように機能したのか。

班目参考人 そういう意味では、まさにこういう原子力災害発生時の、我々の任務であるところの技術的な助言活動というのは、しっかりやっておったというのが我々の認識でございます。

伊東委員 おかしくないですか。災害が発生してから一週間、どれだけのことがあったか、これはおわかりのはずでしょう。これだけのことがありながら、原子力安全委員会の中では、どなたも一言も発言もしていなければ、意見交換すらしていないんですよ。五分で事務局の説明を聞いて終わっているんですよ。

 委員長が官邸に行ってどんなアドバイスをしたかは知りませんよ。それは個人のお話であって、その前段となる話をここの委員会の中で一度でもされましたか、皆さんと一緒に。されていないじゃないですか。だから言っているんですよ。

海江田国務大臣 私から一言お答えを申し上げます。

 先ほど委員は、委員長として個人の意見を言ったというふうな発言でございますが、これはそうではありませんで、まさに安全委員会の委員長として、私も本当に原子力の問題につきましては素人でございます、菅総理も、理工系の出身でございまして大いに勉強されている方でありますけれども、やはり原子力の問題については専門家ではございません、そういう官邸の私たちが、本当に初期の段階において、炉がどうなるのかということが分刻み、秒刻みで変化しているときに、専門的な知見を持って冷静、適切に意見をいただいたのは、安全委員会の委員長たる班目先生であったということはしっかりと記録に残さなければいけないと私は思っております。

 ただ、先生の御意見の中で、委員会として機能したかどうかということは、これは事務方にもいろいろな問題があろうかと思いますが、御指摘されるような点も多々あったかと思いますので、これは今後の検証をしていく上で、もちろん安全委員会は私ども経産省の役所ではございません、これは内閣府のもとの独立をした組織でございますが、そういった安全・保安体制のあり方というのは今後とも議論をしていかなければいけない、そのように思っております。

田中委員長 班目委員長、今質問者から出ているのは、委員長の役割がどうのこうのという形じゃなくて、安全委員会は組織としてどういう活動をしてきたのかと、組織論を言われております。そのことを明確に答えないといけないんじゃないかと思います。再答弁をお願いします。

班目参考人 申しわけございません。

 組織としては、実態としては活動していたにもかかわらず、きちんとした議事録を残しておかなかったということは大変な失敗であったというふうに我々認識しております。

 しかしながら、先ほども申し上げましたように、組織としては、本来任務であるところの原子力災害時の助言活動をしっかりやっていたというふうに認識してございます。

伊東委員 私は、揚げ足取りでこんな話をしているんじゃないんですよ。

 これは、この間の決算行政委員会のとき、十二日から十四、五日まで官邸に詰めていた、その官邸に詰めていた間に、十四日に委員会が開かれているものでありますから、今初めて私は欠席されているというのを聞いたけれども、委員長の立場であれば、専門の五名の委員会で、その下に何百人もいる組織でありますから、少なくても、官邸の状況あるいは現状況について委員会としてどういうアドバイスを、どういう勧告を、どうすべきかという話を安全委員会としてすべきであったというふうに私は思うんです。それがそうでなかったものですから、私は、五分で終わっている会議は、こんな大事なとき、一週間の間に三回も安全委員会を開いていて、それがすべて資料もなし、説明もろくになしで、意見交換もなしで、三回とも五分で終わっているからおかしいという話をしているだけであります。

 さて、その後の会議の状況であります。

 会議ばかりにこだわるわけではありませんが、三月二十五日に、初めて四十二分、少し保安院の方々からの説明を含めて四十二分の会議がありました。それから、さらに三日後の三月二十八日、これまた九分で終わってしまっている会合であります。三月中、いいですか、十一日から始まって三月二十八日まで五回、トータルでも六十六分、一時間の会議ですよ。

 私たちの会議でさえ、一回何かあって、これだけの一つの問題をやるといったら、何時間もかかるのはざらなわけであります。どうして、国の根幹をなすこんな重大事件のときに、その一番の責任者たる原子力安全委員会が三月中に五回開いて、それもトータルで六十六分なんというばかな話になっているのかということが不思議でたまらないんですよ、私は。

 これは議論がなされていないのか、この五人の先生方が、今回の大震災について、福島の深刻な状況について、なぜ御自分たちの専門の知識をそこで闘わせて、披瀝して、政府にきちっと物を申さないのか、不思議でならないんです。ですから、インターネットで委員の年収千六百五十万なんというふうに書かれてやゆされるわけであります。私は、これは情けない話だというふうに思います。

 私は、議事録をずっと読んでみました。そうしたら、どれほどの建設的な意見をこの安全委員会でお話しされているかと思ったら、そうじゃないじゃないですか。保安院の方からの説明を受けるのが大半で、たまに文部科学省の説明があったり、委員のお一人、お二人からちょっと御自分の意見や質問が出たり。本当に驚いたのは、これだけの専門家の大先生が五人そろっていて、文部科学省や保安院に質問して、これはどうなっているんですか、ああなっているんですか、資料をいただけませんかなんというばかなことを言っている話がおかしいと、本心、私はそう思いました。

 そうじゃなくて、皆さんの高度な知見を文部科学省や保安院や政府にきちっとお伝えして勧告するのが本来の姿だというふうに私は思うわけでありますけれども、残念ながら全然違う。文部科学省から出たデータを追認して、これで安全委員会が認めたということにしましょうねなどという話があの会議録の中で出てくるわけであります。私は、もう情けない限りでございまして、本来の果たすべき安全委員会の役割、そして、三百名も四百名もいらっしゃるその組織のあり方について、委員長と大臣の御見解をぜひお伺いしたいと思います。

班目参考人 先ほども申しましたように、今回の災害発生に伴って、これはいわゆるマニュアルどおり、例えば防災基本計画等にのっとってやった場合には対処できないということは明らかでした。そういう意味では、臨機応変というか、場合によっては記録も残さない形であってもきちんとした対応はしようということを最初に申し合わせてございます。

 そのために、実は、こういう場合には、原子力安全委員会としてではなくて、原子力安全委員会緊急助言組織という形でいろいろな助言活動ができるようになってございます。そういう緊急助言組織という形では随分多くの助言を発信してございますが、申しわけございません、今のところはまだホームページ等々では公開していないのが実情でございます。しかしながら、安全委員会としてはきちんとした活動をしていたというふうに認識してございます。

海江田国務大臣 私も先ほどお話をいたしましたけれども、あの十一日の地震、そして津波、それによる全電源喪失から始まる一連の事態というのは、本当に、どう言えばいいんでしょうか、うまく表現ができませんが、まさに背筋も凍るような思いの中で、そのときに班目委員長が駆けつけてきてくれまして、もちろんこれは原子力安全委員会の委員長たる班目先生ということで駆けつけてきてくれまして、本当に適切なアドバイスをいただいた。

 そのアドバイスによって、ベント弁を早くあけるようにとか、海水を早く注入するようにとか、そういうことを私は適切に東京電力に対して指示をすることができた、そのように思っております。ですから、私は、班目先生に対しては、本当に不眠不休でやっていただきましたので、感謝の念でいっぱいでございます。

 しかし、先ほどもお話をしましたけれども、組織のあり方の問題、これはまた別の問題でありまして、委員が指摘をするような面が多々あるというのは、私もそのとおりだろうというふうに思っております。

田中委員長 班目委員長、質問の趣旨に十分答えた方がいいと思います。というのは、委員長が幾ら優秀であっても、全体の二百人以上の組織のメンバーを十分稼働しなければ何にもならないわけでありますから、そのことを今質問者は言っているわけでありますので、終わったことはしようがないにしても、今後どうするかも含めて答弁ください。

班目参考人 その意味では、確かにきちんとした記録を残していないとか、情報発信が不十分だったということは反省させていただきたいと思います。

 その上で、今後、なるべくきちんと記録等を残すような形で努力させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

伊東委員 それでは、四月四日の定例会議の中で、平岡原子力安全・保安院次長の経過報告がありました。その説明の中で、タービン建屋のたまり水の問題があり、これがいろいろな作業の支障となっている、これは、一方では海域への漏えいといった問題もあるので、それらの対応を進めている、こう言っているわけであります。

 この四月四日の定例会議の前日、四月三日には、高濃度の汚染水が二号機のタービン建屋からかなりの量、これは映像で出ていましたけれども、漏れて出ていることがわかったわけであります。これに対して水セメントであるとかいろいろなものを注入したりしていたわけでありますが、それに対処するために、その次の日の四月四日、この安全委員会の定例会議が開かれた日でありますけれども、行き場のない低濃度汚染水一万一千五百トンを海洋に放出したわけであります。

 しかし、いいですか、前日に高濃度の汚染水が漏れていることがわかり、四日の日に一万一千五百トン放出したことが、原子力安全委員会の四日の会議の中でただの一言も触れられていないんですよ。これはおかしくありませんか。

 僕は、これは安全委員会ではなくて保安院にお聞きしたいんですけれども、これは報告省略可能な事柄であるのかどうか、なぜこんな大事なことが会議の中で報告されなかったのか。これはその次の日、その次の日、二、三日後には、福島の漁業者から、全国の漁業者が猛烈に反発をして、国の方にも何回も陳情したりしているわけであります。

 この安全・保安院の無報告についての見解と、これを知りながら安全委員会の中で何も話が出なかったという、その見解について委員長からお伺いします。

寺坂政府参考人 海への汚染水の放出に関しましては、もともと、タービン建屋にたまってまいりました汚染水をどのように処理していくのかという課題があったわけでございます。さまざまな議論、検討の結果として、最終的には、まず低いレベルの……(伊東委員「聞いたことにだけ答えてください」と呼ぶ)

 要するに、その話と、それから、たしか二日だったと思いますけれども、高いレベルの汚染水が実際に海中に出ているという話と、時間差といいますか違いがある、もともとたまっていた水と、出ていたというようなことがございまして、それで低いレベルの汚染水の海洋放出、これは安全委員会の方にもお話ししたわけでございますけれども、今御指摘のように高いレベルのものがピットから出た……(伊東委員「いやいや、低いレベルのものも説明していないんだ、僕は議事録を読んだけれども」と呼ぶ)

 失礼しました。

 高いレベルのものが出始めたことについてきちんと報告が適切になされていなかったということについては、これは保安院としてもよく検証し、反省をしていかなければならない部分かと思います。

 それから、低いレベルのものをあらかじめ出す作業に関しましては、これは安全委員会の方にお話をいたしまして、助言をいただいたところと承知してございます。

伊東委員 委員長の見解を聞きたかったんですが。

 少なくとも四日当日の定例会議の中では全く報告されていませんよ、平岡さんからは。私は、議事録を全文持って、読んでお話ししているわけでありますから。

 さて、もう一つだけ問題があります。

 タービン建屋の地下のたまり水について、これを復水器に回収しようという話を平岡次長がしているわけであります。復水器に回収しようということですが、いろいろな水がたまっておりますので、復水器の水を移送するために別のタンクに移す、そのタンクもいっぱいになるのでまたそれを移す、こう言って、タービン建屋の水を復水器に戻そうとしているわけであります。

 さて、三号機でありますけれども、原子炉の温度上昇が続いていると言われまして、この四月四日の時点では圧力容器の下部温度が百十四・一度でありました。私が数日前にお聞きしたところでは、百六十度を超えたというところまで聞いているわけでありますが、その原因として配管の水漏れが考えられることから注水ルートの変更を検討していると聞いておるわけであります。現状としてどのようになっているか。

 そして、その結果として、復水器から水があふれる可能性が出てきたため、タービン建屋の地下に復水器の水を放出し始めたという話を数日前に聞いたわけでありますが、これは本当でしょうか。言っていることとやっていることが正反対ではないのかな、そんな気がしてならないわけであります。

 これは、原子力安全委員会としても、報告を受け、了承したことなのかどうか、これについてお聞かせください。

班目参考人 本件に関しては、原子力安全委員会の場での報告ではなくて、別途、助言要請等の形でいろいろ報告を受けているということで、ホームページ上に載っている議事録等とはちょっと違う形で処理が行われているということでございます。

 ちょっとつけ加えさせていただきますと、今回の災害発生からしばらくたって、統合本部というのが東電の本店内に設置されております。そこの統合本部には、原子力安全委員会の方からもリエゾンを必ず派遣して情報をとるようになってございます。したがいまして、情報のルートは、本会議の場以外にもいろいろあったということ。

 それから、助言要請なんかも、これは一々会議を開いていたらとても間に合わないということで、適宜対応しているというのが実態だということで御理解いただきたい。

伊東委員 時間がありませんので、今聞いたことだけちょっと答えてください。

 復水器の水をタービン建屋の地下に放出し始めたのではないかという件が一つ。それと、温度の上昇が続いている、この現況について今お伺いしたわけであります。

 さらにまた、海洋放出について知っていたかという話。私は、平岡さんは、一万一千五百トンの海洋放出について、四月の安全委員会の定例会議の中で、当日であるにもかかわらず、何一つ説明していないから、おかしいのではないですかという話を聞いているわけであります。

 タービン建屋の件、それから温度上昇の件、今の件、ちゃんと答えてください。

海江田国務大臣 今の委員の質問、いろいろな要素、いろいろなファクター、あるいはいろいろな日時の問題が出ております。

 整理してお話をしますと、二号炉は、実は、圧力容器、サプレッションチェンバーといいまして、よく出てまいりますドーナツ状の、恐らくここの一部が破損をしているんだろうということで、大変高濃度の水がたまっているわけでございます。この高濃度の水を何とかして、最終的には、集中ラドと申しますけれども、密閉性の高い大きな建物の中に移そう。そこへ移していく過程で、いろいろな、今ありました復水器でありますとか、そのほかの、一時的に別な建屋にということも考えておりますが、そこへ持っていこうという一つの流れがあります。

 そして、その中で、先ほど、映像なんかにも出ておりました大変高濃度の水というのは、これはまだはっきりしておりません。

 それから、二号と三号の間のしっかりとした区別というものがあるのかどうなのかもわからない状況でございますが、あそこから出てきたのは、トレンチという管を伝わって、最終的に、ピットというものがありまして、そのピットの割れ目から流れていたわけでございますが、これを何とかしてとめなければいけない。これをとめるためには、先ほどお話をした、低濃度の水をどこか別なところに運ばなければいけない、ところが、それが運ぶ手だてが間に合いませんでしたもので、やむなく海中放水になったということでございます。

 この海中放水について説明があったかなかったかは、安全委員会にお聞きいただければいいわけでございますが。

 そして、そうした、二号機は大変濃度の濃い汚染水でございますが、あと三号、四号は、さっき委員もお話をしましたけれども、特に地下にたまっております水は、どうもあれは津波のときに入った水ではないだろうかというのが基本的な見解です。ただ、二号、三号のところの境界がはっきりしませんから、場合によっては二号の濃い水が流れている可能性もあるということ。ただ、建屋の地下にあるのは、基本的に、津波の際冠水した水ではないだろうかという判断でございます。

 そして、その上で、三号機で温度が上がっているんじゃないだろうかということでございますが、これはやはり注水の量と関係があって、あるいは、そうやって注水をしておりますけれども、それが本当に圧力容器あるいは格納容器のところにしっかり入っているのかどうなのかということが今ちょっとわからない状況になっています。

 そして、それが漏れている可能性があるんじゃないかということでございますが、ただ、恐らく、昨日注水のパワーをアップしまして、少し抑え目のときは大体一時間当たり六トンぐらい入れるのが平常でありますが、これをもう少し圧力を高めて注水をふやして、それによって温度が下がったという状況にあろうかと思います。

班目参考人 先ほど申しましたように、いろいろな話は、すべて統合本部のリエゾンからの連絡によって受けてございます。

 それから、特に低濃度の水の海中への放水に関しては、これは別途保安院の方から助言依頼がございまして、これはまさに四月四日の本会議が終了直後にいらしたわけですから三時ぐらいだと思いますが、こちらの方から四つの条件をつけて返してございます。一つは、放出するものの濃度と量をしっかり把握しなさい、それから、放出するときの海の状況をしっかり把握しておきなさい、それから、放出後しっかりと海洋のモニタリングを行いなさい、最後に、このことによる海への影響評価をしっかり行いなさい、このようなことを付して助言を返してございます。

伊東委員 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、内閣提出、鉱業法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。海江田経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 鉱業法の一部を改正する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

海江田国務大臣 鉱業法の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 国際的な資源獲得競争が激化し、資源確保をめぐる状況が年々厳しさを増している中で、石油、天然ガスやレアメタルを初めとする金属鉱物の安定供給を確保することがますます重要となってきております。

 他方、資源が賦存する可能性が低いと見られていた我が国においても、周辺海域において、石油、天然ガスに加え、海底熱水鉱床やメタンハイドレート等の資源の開発が期待されるなど、今後、資源開発が進展する可能性が生じてきております。

 こうした中、我が国の鉱業に関する基本的事項を定める鉱業法は、昭和二十五年に制定されて以来、実質的な改正を経ることなく今日に至っており、鉱業権を設定する際に開発主体の適格性を確認していないなど、資源開発をめぐる国内外の新たな動きに対応できなくなってきております。

 このため、国内において鉱物資源を適正に管理しつつ、その開発がより適切に行われるよう、開発主体の適格性を確認するとともに、鉱物資源の探査活動が適切に行われるようにするための措置を講ずることを目的として、本法律案を提出いたしました。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、鉱業権を設定する際の許可基準を新たに創設し、経理的基礎や技術的能力等を有する開発主体に鉱業権設定の許可をすることといたします。

 第二に、石油、天然ガスなどの国民経済上特に重要な鉱物を特定鉱物として位置づけ、特定鉱物の鉱業権の設定については、従来の先願者に鉱業権を付与する手続にかえて、国の管理のもとで鉱区候補地を指定し、当該鉱物の合理的な開発に最も適した主体を選定する手続を創設いたします。

 第三に、鉱物資源の探査活動を許可制とし、必要に応じて探査結果の報告を求める制度を創設いたします。

 第四に、石油等の掘採について遵守すべき技術、方法や探鉱に係る補助等の措置を定める石油及び可燃性天然ガス資源開発法については、技術の普及等によりその役割を終えたことから、これを廃止いたします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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