衆議院

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第9号 平成23年5月13日(金曜日)

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平成二十三年五月十三日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      緒方林太郎君    川口  博君

      川島智太郎君   木村たけつか君

      櫛渕 万里君    熊田 篤嗣君

      斉木 武志君   斎藤やすのり君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    田嶋  要君

      平  智之君    高松 和夫君

      中山 義活君    橋本  勉君

      花咲 宏基君    山本 剛正君

      吉田おさむ君    金子 恭之君

      近藤三津枝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    西野あきら君

      額賀福志郎君    望月 義夫君

      稲津  久君    吉井 英勝君

      山内 康一君

    …………………………………

   経済産業大臣       海江田万里君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西塔 雅彦君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   長嶺 安政君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           内藤 伸悟君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    城野  功君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  梶山 弘志君     金子 恭之君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 恭之君     梶山 弘志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 鉱業法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、鉱業法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官西塔雅彦君、外務省国際法局長長嶺安政君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、経済産業省大臣官房審議官内藤伸悟君、資源エネルギー庁長官細野哲弘君、資源エネルギー庁資源・燃料部長安藤久佳君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君及び海上保安庁次長城野功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高市早苗さん。

高市委員 おはようございます。自民党の高市早苗でございます。

 本日は、貴重な質疑時間をちょうだいいたしまして、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。

 さて、きょうは、大切な日本国の資源について議論を進めさせていただきたいと思います。

 私自身は、昨年の春から、日本の水源林が外国資本によって買収されているといったことに問題意識を持ちまして、議員立法作業に取り組んでまいりました。水源林の場合、恐らく外資の買収目的というのは、木そのもの、それからもう一つは水資源だろうな、こんなふうに考えましたので、昨年秋の臨時国会に、森林法の改正案と地下水利用規制法案の二本を提出いたしました。

 森林法の方では、例えば外国人が水源林を買うというような場合に関して、もしも自治体がそれを公有林化して守ろうというような場合に公的な支援を行うこと、それからまた、所有者がはっきりしないといったところが外資の思うつぼだと思いましたので、所有者を明確にするための届け出制度などを盛り込みました。

 この法律案は、政府からも森林法の改正案がことしの三月に出てまいりましたので、合体した形のものを先般成立させていただいたところでございます。この点につきましても、同僚議員の皆様に感謝を申し上げたいと思っております。

 さて、近年は、非常に国際的な資源ナショナリズムの高まりというものがあって、鉱物資源であれ水資源であれ森林資源であれ、私たちの命ですとか、国力の維持に必要な資源、こういったものをしっかりと守り抜いていかなければいけない、こういう時代になっていると思います。ですから、今回の鉱業法の改正案につきましても、もしも経済産業省から出てこなければ議員立法ででもやりたいと考えていたところでございますので、基本的な方向性については大いに歓迎をいたしております。

 そういった前提に立ちまして質問をさせていただきます。

 鉱業法では、第十七条で「日本国民又は日本国法人でなければ、鉱業権者となることができない。但し、条約に別段の定があるときは、この限りでない。」こういう規定がございます。これは、国籍要件と相互主義を定めたものですけれども、大臣に伺います、そもそも鉱業法が、その制定当時に鉱業権者を日本国民または日本国法人に限定した趣旨は何だとお考えでしょうか。

海江田国務大臣 おはようございます。

 まさに委員御指摘のように、資源というのは、古今東西を問わず大変貴重なものでございます。とりわけ日本の国にとりましては、もともと資源の少ない国だと言われてきたわけでございますから、その少ない資源をまずしっかりと確保をするという意味合いからそのような項目を設けたわけだと思います。

高市委員 ありがとうございます。

 昭和二十五年当時の国会答弁を見ますと、鉱業権は国にとって基本的に重要な権利だからというような答弁を政府の方からされております。

 今回の改正案を拝見いたしますと、特定鉱物に係る入札制度にもこの国籍要件が適用されるということになると思うんです。ところが、鉱業法が制定された当時と違いまして、今は非常にグローバル化が進みまして、日本企業に対する外国企業によるMアンドAですとか株式の取得が進んでいるわけですね。しかし、この第十七条は、「日本国民又は日本国法人」とは何かという定義を定めていないわけでございます。つまり、実態は一〇〇%外資でも、日本法人なら鉱業出願が可能になっております。

 第十七条がこの「日本国民又は日本国法人」の定義を規定していないために、実効性がある程度損なわれるという点について、大臣はどうお考えでしょうか。

海江田国務大臣 御指摘のように、現行の鉱業法第十七条「日本国民又は日本国法人」に対して鉱業権を付与するということでございまして、今回の改正でもこの点は同じでございますが、どうしてそうなったかということにつきましては、WTOルールでございますか、貿易障壁の軽減及び内外無差別原則というものがございますので、これを勘案してということでございます。

 他方、先ほどもお話をしましたけれども、我が国に本当に貴重な資源、とりわけ鉱物資源をしっかりと管理するために、鉱業権の設定につきましては新たな認可基準を創設することといたしました。

 具体例で申し上げますと、例えば、国内での需要が見込まれるにもかかわらず、開発した鉱物をすべて海外に売却することを目的として鉱物の開発を行う、これはやはり日本国民の公共の利益の増進に支障を及ぼすおそれがございます。そうした出願や申請については許可をしないことといたしております。

高市委員 相当苦労をされたんだろうと拝察いたしております。

 外国企業の日本法人が海底熱水鉱床の鉱業出願をした事例もあると聞いておりますけれども、これは事実でしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 そういう事実はございます。

高市委員 具体的にはどの場所ですか。沖縄トラフでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 小笠原沖におきまして、これはたしかイギリスだったと思いますけれども、そういう事例がございます。

高市委員 先ほど海江田大臣は認可基準の方で何とかクリアするということをおっしゃっていました。例えば航空法とか船舶法、通信業法、こういったものを参考に、もしも国際条約に関係なく何か条文をつくれるとしたら、日本国法人の定義を、日本国法人であって、その社員、株主、役員の三分の一以上または資本の三分の一以上もしくは議決権の三分の一以上が日本人または日本国法人に属するもの、こういったきちっとした定義を入れることができたならば、先ほど来の、海底熱水鉱床の話もありましたけれども、さまざまな懸念が払拭されるんじゃないかと思います。

 先ほどおっしゃったWTOルールですが、この日本法人の定義の規定を新設するということが、具体的にどの国際条約のどの規定に抵触をしてくるんでしょうか。

海江田国務大臣 WTOへの加盟時点で留保いたしましたけれども、「日本国民又は日本国法人でなければ、鉱業権者となることができない。」これは現行の鉱業法の十七条、これ以外の鉱業分野の措置について、将来的な自由化をコミットしておりまして、追加的な外資企業への規制は我が国のWTOへのコミットに逆行することから、原則としてできないと考えております。

高市委員 恐らく二国間投資協定との絡みもあって困難なんだろうと思います。

 二国間の投資協定の中で、内国民待遇については留保しているけれども、将来の新たな制限措置を留保していない。WTOのGATSでは、内国民待遇と市場アクセスについては自由化を留保しているけれども、最恵国待遇については留保していない。こういう状況になりますと、二国間の投資協定上は、現在の鉱業法第十七条の要件強化は追加的な制限措置の導入に当たってしまう。GATSでは最恵国待遇を留保していないものですから、二国間の投資協定でこれ以上強化しないという約束が他国にも適用されてしまう。ざっくり言うと、こういう状況なんじゃないかなと思います。

 私自身が森林法を書くときにも、やはりこの国際約束の壁で一番苦労しました。最初は、外国人及び外国資本の割合の高い法人については日本の水源林を初めとする保安林の取得をできないようにしてしまおうと私は考えたんですけれども、二国間投資協定やWTO・GATSの規定に抵触するんじゃないかということになったものですから、国籍に関係なく一定の責任を果たしていただける形で地下水法案の方も森林法の方も規定をしたわけなんですね。

 ただ、この鉱業権だけじゃなくて、自衛隊基地周辺や国境離島、こういった国防上重要な土地の取引に関しても、国際条約との関係からなかなか外資規制というのが困難な状況にございます。

 ちなみに、中国もWTOに加入しているんですけれども、この合意文書の中で、中国は土地取引分野などについては留保しているということで、私たち日本人が例えば中国で土地を買うというようなことはできないんですね。

 特に、中国が日本近海の資源に触手を伸ばす、また土地を買収するということを想定せずに国際約束をしてきた。これは私ども自民党政権時代の一つの責任でもあるんだろうと思うんですけれども、相手国から代償措置は求められると思いますが、海江田大臣、この国際条約の改正に取り組まれるようなお気持ちはありますか。

海江田国務大臣 委員お話しになりました中国との関係においては、やはりお国柄が違うということもありますが、私どもは日本の国益をしっかりと守っていこうという決意がございます。

 その上で、先ほどもお話をいたしましたけれども、実際のこの審査に際して、日本の国の利益になるということを常に念頭に置いておりますので、今すぐに条約を改正してというようなことは念頭にございません。まずこの改正法案を通していただいて、それからということでございます。

高市委員 わかりました。

 改正案で創設される探査規制では国籍要件というのが適用されず、外国人も申請が可能になっております。排他的経済水域で周辺国との問題が発生しているという現状を考えますと、かえって問題が複雑化するんじゃないかという懸念があるんですが、いかがお考えでしょうか。

海江田国務大臣 今御議論をいただいております改正案を、私どもでその内容を固めていく中で、不要な誤解を受けないようにということで、中国あるいは韓国に対しては、こういう法律をつくってしっかりと日本としての国益を守っていくんだということは伝えてございます。

高市委員 伝えられたというのは、先般の中国、韓国との大臣会合の中ででございましょうか。

海江田国務大臣 その場ではございません。

高市委員 それでは、どのようなルートを通じて、どなたがどなたにお伝えになったんでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 本法案が三月に閣議決定されて国会に提出をされましたけれども、そのときに、外交ルートを通じまして、我が国のその法律の趣旨と事実についてお伝えをしております。

高市委員 わかりました。

 それでは、海江田大臣が、先般から、レアアースを含むレアメタル類につきましては、海外での調達をしやすくできるようにということでいろいろ御努力をいただいているというお話を伺っております。

 しかし、海外での調達も大事なんですけれども、例えば南鳥島の排他的経済水域のコバルトリッチクラスト内に、ニッケルとかコバルト、銅、プラチナ、レアアース、こういったものが含有されていると指摘されております。この海域の調査というのは行っておられますでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 いろいろなところで探査をいたしておりますが、今御指摘の南方といいますか、南太平洋のコバルトリッチ鉱床につきましても探査をしております。

高市委員 ぜひ積極的な探査をよろしくお願いいたします。

 それでは、電力需給の問題についてもお伺いをしたいと思います。

 去る四月二十七日の内閣委員会とこの経済産業委員会の連合審査会で、私自身が指摘を申し上げたことなんですけれども、政府における東日本大震災と原発事故に対応する会議の数が余りにも多くて、国民や国会議員にわかりにくい状況になっている、組織図そのものに機密性二なんていう判こがついてあって、その機密性二といいますのは、漏えいによって国民の権利が侵害される、行政事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある情報というようなことで、そういう扱いをしている限り、ますます国民や国会議員からの理解というものが得られない、こういった話をさせていただいたと思います。

 実は、私自身の苦情というのは、内閣官房に対するものだったんですけれども、その日のうちに経済産業省からお電話をちょうだいしまして、恐らく海江田大臣の御指示で経済産業省内のさまざまな文書の扱いの見直しなどを早速やっていただいているんだなという思いがいたしまして、大変感謝を申し上げております。

 ただ、その政府の体制図なんですが、五月九日の日付でまた新しいものが参りました。これを見ますと、海江田大臣が本部長代理を務めておられる電力需給緊急対策本部が電力需給に関する検討会合という名称に変更されているんですね。

 まず、名称変更の理由は何か、それから、緊急対策本部から検討会合に変わったことで権限や責任に何か変化はあるか、以上二点をお伺いします。

海江田国務大臣 実は、けさも閣議の前に電力需給の会合を開きました。名前が変わりまして初めての会合でございますが、私を初め、そこに出席をした閣僚、あるいは副大臣などもおりましたけれども、そういう者は、全く前と同じ責任感、前と同じ緊張感を持って議論に参加をいたしました。

 変わった理由というのは、野党の皆様方の意見もしっかりと踏まえて、できるだけ組織は簡単にと。前に、たしか御指摘をいただいたときに、簡政精兵という四字熟語を、余り日本では人口に膾炙しておりませんが、会議は少な目に、そして行動を早目にという言葉を御紹介いたしましたが、そういった、やはり会議は少な目にして、行動は早目にということを体現したものではなかろうかと思料しております。

高市委員 今のお答えでは名前が変わった理由がさっぱりわからなかったので、もう一度お願いします。

海江田国務大臣 今の答えに尽きているわけでございますが、本部というものが、何も本部でなくても、チームでありましても、連絡室、対策室でありましても、私どものやる気は少しも変わらないわけでありますから、それでしたら、わかりやすくと申しますか、先ほどもお話をしました、できるだけそういう組織というものをスリムにするということで、そのようにやったということでございます。

高市委員 組織の名前から緊急という言葉が取れたからそうなっているのかどうかわかりませんけれども、四月末に政府が発表するとしておられました夏期の電力需給対策という総合的な政策パッケージ、この発表が随分おくれていると思うんですね。

 四月末ということでしたので、四月の最後のウイークデーに私も国会連絡室に問い合わせました。そうしますと、ゴールデンウイーク明けぐらいになるかもしれません、少し作業がおくれていますというお答えだったんですけれども、きょうの時点でも、私自身はそのパッケージをいただいておりません。この決定が非常におくれている理由というのは何かということを知りたいんです。

 といいますのは、海江田大臣にもお渡しをいたしましたものなんですけれども、自民党議員が統一地方選挙の間も余り地元に帰れずに例の電力需給対策の提言をつくるのを急いだのは、四月末に政府がそういうものをまとめる、それに何とか間に合わせたいということで、相当ピッチを上げて作業をしたんです。少しでもお役に立つ内容が入っていればという思いで作業をしたんですね。

 ところが、非常におくれているということになりますと、これは大変残念なので、もしかしたら、浜岡原発をとめるということで電力需給のギャップ計算というものが変わってくる、こういった事情があったのかなとも拝察をしているんですが、おくれている理由は何か、それから、いつごろ私たちに公表されるのか、以上二点をお願いします。

海江田国務大臣 先ほどもお話をいたしましたが、けさ、閣議に先立ちまして、何時からでしたか、ちょっと会議がたくさん重なっておりましたけれども、けさ七時三十五分から院内で会議を開きまして、そこで決定をいたしました。できたばかりでございますので、後ですぐお届けをするようにいたします。

高市委員 それで安心をいたしました。

 ただ、私が早く早くと申し上げておりましたのは、何か新しい政策を打つのであれば、電力需要量が比較的安定をしている五月、六月の間に試験的な運用をしておいていただきたいな、だから急いでいただきたいなという思いがあったんですね。

 例えば輪番操業、勤務日時のシフトなんかをする場合でしたら、本当にそれで政府が考えているとおりに需要がうまく抑制されるのかどうか。万が一の大停電というのは許されないものですから、そういったことが不安であったこと。それから、輪番操業などをしていきますと、在庫の倉庫の必要性なども出てくる可能性があります。それが企業の実態としてどういう状況になるのか。もしも深夜の時間帯に工場を動かしますよということだったら、公共交通機関を深夜の時間帯にも動かさなきゃいけない。いろいろな問題が出てくると思いますので、そういった試行的な運転をしてみてほしいという思いがございました。

 そういったことの必要性というのはどうお考えでしょうか。

海江田国務大臣 私も高市委員と思いは同じでございまして、この種の決定というのはできるだけ早く、しかも電力の需給に余裕のある時期にということでございますから、できるだけ早くということで今日に至ったわけであります。

 しっかりと各企業の方々が計画的にそうした輪番などを含めた電力需要のやりくりをしていただけますよう、本当に心からお願いをします。また、そうしたキャンペーンもこれから直ちにやっていかなければいけないと思っております。

高市委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 先般、菅総理大臣がエネルギー基本計画の見直しということに言及されまして、その中で、再生可能エネルギーを大変重要な柱として位置づけていく、こういうお話がございました。

 現在は、福島第一原発がとまっていることから、火力発電をフル稼働している。それからまた、再生可能エネルギーということになりますと、新エネルギーよりもう少し広い概念になるかと思うんですが、恐らく大型の水力発電所、こういったものが含まれてくると思うんですね。そうしますと、火力発電所はがんがんやる、水力発電所などももしかしたら新しく設置をする、こういった方向性というのも出てくるのかなと想像をしているんです。

 そうなりますと、政権交代直後に鳩山前総理が国際的に表明されました、九〇年比で二五%のCO2の削減目標にも多少かかわってくると思いますし、水力発電所を設置するのかどうかわかりませんけれども、これからさまざまな新しいエネルギーへの取り組みということをしていきますと、コンクリートから人へ、こういった方針にも多少無理が出てくるんじゃないかと思いますが、これらの二つの大きな方針について、内閣として明確に見直すべきだとお考えでしょうか。

海江田国務大臣 総理が言及をしましたエネルギー基本計画、これは昨年の六月の段階で閣議決定をしております。今、これから議論を始めて、新たなエネルギー基本計画を定めなければいけないと思います。

 基本的には、ベストミックスということが言われておりますが、原子力も、直ちにこれを否定するのではなく、より安全性を高めてしかるべき位置づけをしっかりと与えていきたい。そして、その中で一つの柱になるのが、委員は新エネルギーと言いました、あるいは再生可能なエネルギーという御表現もありましたけれども、そうした新しいエネルギーにつきましても、しっかりとした位置づけを与えていかなければいけないというふうに思っております。

 それから、火力でありますとか水力に頼る部分が多くなるのではないだろうかという指摘でございますが、その可能性はございます。ただ、火力にしましても、これは、実は、私が答弁をするよりも中山政務官が大変その方面では造詣が深い、あるいは大変活発な諸外国に対する売り込みという言葉がいいんでしょうか、セールスもやっているところでございますが、我が国の石炭火力のCO2の排出量を抑える技術は本当に世界に冠たるものがございますから、その意味では、日本の国内でもちろん二五%という一つの考え方はございますが、新しい技術を世界に出していくことによって、世界のCO2の排出量を二五%に向けて頑張っていく、そういう責務もあろうかと思います。

高市委員 それでは、この期に及んでも二五%という目標は変えない、コンクリートから人へということで公共投資なども減らしていく目標も変えない、こういったことでよろしゅうございますか。

海江田国務大臣 後段のコンクリートから人へということは、ちょっと答弁が漏れました。

 当然のことながら、今、東北地域は大変な災害で、まだ復興に手がつかない状況でございますが、やはりまずこの東北地域の公共事業はしっかりと国が責任を持って行っていって、そこで被災された方々の雇用も確保していきたい、このように考えております。

高市委員 おっしゃるような再生可能エネルギーへの取り組み、こういったものを進めていこうと思いますと、東北地方だけじゃなくて、日本全国で必要な投資というものが出てまいります。

 政権交代直後、奈良県でも、あるダムなんですけれども、一時停止をしてしまったというようなことで、命にかかわる問題というのもさまざま出てまいりました。そういう意味では、少ししっかりと、目標を達成するためにまず何が大切なのか、まず数値目標ありきじゃなくて、スローガンありきじゃなくて、本当に日本にとって新しいエネルギー政策を実現するために、また、国民の命を守るために何が大事なのか、こういう視点で御再考いただきたいと思います。

 以上で終わります。どうもありがとうございました。

田中委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 また質問の機会を与えていただいてありがとうございます。

 前は桜でございましたが、あれから立夏を過ぎまして、いよいよ卯の花とホトトギスの季節かなと、こういうことでありまして、そういうわかりやすい歌を一つ用意してまいりました。これで始めさせていただきたいと思います。

 万葉集巻十、一千九百七十六番であります。

  卯の花の咲き散る岡ゆほととぎす鳴きてさ渡る君は聞きつや

 それでは、またいい答弁をいただきながら、よろしくお願いします。

 きょうは鉱業法でありますけれども、やはり今こういう時期でございまして、大変お忙しい中、何人か関係の方にも参考人等で来ていただいているわけですが、最初に四問、原子力発電の関係、放射能の問題について、ちょっと大づかみの話をきょうはさせていただきたいなと思っております。

 委員の皆様方のお手元にもちょっとしたグラフをお配りさせていただきました。

 これは、この三月十一日の事象発生以来、最初は停電したりいろいろなことでデータがとれなかったところもありますけれども、例えば福島とか郡山、あるいは茨城県の水戸の環境放射能の測定結果。そしてまた、もう一つ別葉にいたしましたけれども、これは福島第一原発で、電源の復旧等ではかれるようになったのが四月の初めになっちゃうんですけれども、四月の初めからの、原子力発電所の敷地境界の、いわば民地との境界のところに八つモニタリングポストがあるわけですが、そこでのデータというもの、ずっとはかっておられるものを時系列で並べていただいてグラフにしたわけであります。

 毎日毎日、新聞でもいろいろな数値については報道があるわけですけれども、ざっと見ていただいて、やはり、事象が発生して、そういう物質が飛び散りまして、一たん大きい数値を示しながら、そこからまず最初はぎゅっと減ってくる。やがて、その減り方がだんだんなだらかになってきて、今も少しずつ少しずつ減ってはいくんですが、ピッチとしてはどうしても遅くなってくる。こういう変化を示しているわけであります。

 教科書的な話で恐縮でありますが、こういう形でグラフが変化をしていく、このことをどのように読み取るのかということについて、まずお答えをいただきたいと思います。

渡辺政府参考人 御説明申し上げます。

 放出された放射能の影響は、短い半減期のものについては比較的早期に低減し、相対的に長い半減期のものの影響が支配的になると考えられます。

 降雨による放射線量の増加など個別事象による増減はありますけれども、基本的には、追加的な放射性物質の放出がなければ、短期的に一定程度まで減衰した後、長期的には緩やかに減衰していくものと考えております。

橘(慶)委員 まずは、そのソースである原子力発電所の事象、それを収束させるということがもちろん一番大事でありまして、きょうもいろいろな報道で大変御苦労されているということは理解しておるんですが、そこが収束したとすれば、今、次長さんからお話がありましたように、徐々に徐々に落ちていくと。

 例えば、今、学校の校庭の問題等でいろいろな数値が出ておりますけれども、年間の累積の線量、そしてまた、いろいろな活動のあり方を仮定した場合に、三・八マイクロシーベルト・パー・アワー、そういった数字も出ております。

 そういったものを見たときに、ここのグラフ等を見比べながら、どうなっていくのかなと。その三・八という数字を当てて見ていただくと、どういう関係にあるのかなということも推察いただける。そういう意味では、逆に、モニタリングポストの別紙二の方のデータについては、三・八というものからすれば、かなりまだまだ高い状態であるということも見てとれるのではないかと思っております。

 そこで、これがこれからどのようになっていくかということ、事象を収束させるとともに、実際、いつになったらどのような展望が開けるかということを考える場合には、このグラフがどのように変化をしていくかということが大変大事だろうと思っております。もちろん、まだ時間のかかる話だとは思いますが、しかし、このグラフがこれからどう変わるかということを推測するためには、放射性物質がどのようなもので構成されているか、いわゆる半減期、それぞれの元素がどのような内容になっているかということがわからなければいけないんだろうと思います。

 そこで、こうやってデータが大分集まってまいりまして、最初の、どんな形でどんなものが飛んだかなかなかわからないというお話があったわけですが、こういったグラフのカーブとか曲線というものをいろいろ集めてくることによって、おおむね、だんだん推察ということができてくるのではないかという期待もするわけです。この辺、実情をお話しいただきたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力安全・保安院の方での放射性物質の量の推計でございますけれども、保安院におきましては、福島第一原子力発電所の原子炉の状態などを踏まえまして、大気中への放射性物質の総放出量を試算いたしまして、先月十二日にその結果を取りまとめたところでございます。

 今回の福島第一原子力発電所の事故により放出されました放射性物質の量を確定的に推定することはなかなか難しい状況でございますけれども、こういった事象の検証に鋭意取り組んでいるところでございます。

 なお、一方、原子力安全委員会の方で、日本原子力研究開発機構の協力を得て、東京電力の福島第一原子力発電所から大気中に放出された特定の放射性核種の放出総量の推定的試算が進められております。これも先月十二日に公表されておりますけれども、これはモニタリングの測定結果から逆算によりまして放出量を推計しているものというふうに承知してございます。

橘(慶)委員 ぜひそういったことも、もちろん現場をとめていくということが一番大事なことだと思いますが、そういった科学的な分析ということも進めていただきながら、最後はやはりある閾値を下回っていかないと、今の、避難しなさい、あるいは計画的に避難しなさい、そういったものの判断を変えていくということは多分非常に困難であろう、このように思うわけであります。

 逆に、一応確認なんですが、もしソースがとめられて、そしてこのグラフがある程度の閾値、これはなかなか難しい、どこがどこまで落ちたらそれでいいということはなかなか言い切れないというのは私も理解するんですが、論理的に言えば、そういったことになってくれば、ある程度、年間の放射線を浴びる量、累積する量、そういったものがある一定以下になるということが判断できれば、もちろんそれは今軽々に言えないことだと思いますが、そうなればこの避難措置というのは解除できるということに理屈の上ではなるのかな、このようにも思うわけです。そのあたりの道行きについてお話をいただきたいと思います。

海江田国務大臣 委員御指摘のとおり、まず新たな放射性物質の環境中への飛散を防ぐということが大切でございまして、それが達成できるのは、やはりそれぞれの原子炉、一、二、三号機、それから四号機は炉の中には燃料は入っておりません、使用済み燃料プールというところに入っておりますが、特にこの一、二、三号機が冷温で停止をするということが必要でございます。冷温というのは一般的には百度以下ということになっておりますから、それをまず一日も早く目指すということです。

 東京電力が発表しました事態の収束へ向けての道筋では、まずやはり三カ月では無理ですよと。あれを発表しましたのは四月の十七日ですが、三カ月では無理ですよと。しかし、その三カ月の間でも、できるところからできるだけ手をつけていこうということで、今、実際に作業が行われているわけであります。そして、ステップツー、これは六カ月後から九カ月後ということでございますから、年をまたいだころになろうかなと思いますが、この年をまたいだころに、一、二、三号が冷温停止になることによって環境中への新たな放射性物質の飛散というのはなくなるわけですから、あとは半減期との問題でございます。その半減期の問題で慎重に判断をして、この判断をするとき、最終的には、きょうはお見えになっておりませんけれども、原子力安全委員会ともよく相談をして、そして、お帰りいただけるところにはお帰りをいただこう、こう決めております。

橘(慶)委員 大臣、ありがとうございました。

 そして、もう一つ、この質問を最後にしますが、今、累積線量というのが幾つかの地点について新聞でもいつも報道されております。多いところでは二十ミリシーベルトを超えてしまっているわけですけれども、多分、累積線量というのは、このグラフでいうと、このグラフの毎日毎日のものをずっと足し算していくような、言ってみればこのグラフの下の面積みたいな話になっているんだと思います。

 ただ、これからのこと、例えばこれからお帰りいただく場合、あるいはこれからどれくらい浴びるかというようなことについてになりますと、今まで浴びた量で、例えば三月十一日から次の三月十一日までというような計算だけではなくて、きょうからこのままこれが落ちついていくとすればどれくらいになるかというのも、今の大臣のおっしゃる判断基準みたいなこととも絡んでくるのかな、このようにも思っております。そういったものをあちこちに出すということがいいか悪いかはまた別の判断ですが、そういったいろいろな検討もなされているのかどうかということについて、ここで確認をしておきたいと思います。

渡辺政府参考人 文部科学省におきましては、福島第一原子力発電所から二十キロ以遠において空間線量率のデータを測定しており、その実測データをもとに、原子力安全委員会、原子力安全・保安院と共同で事故発生後からの積算線量の推計を行い、四月十一日に公表しているところでございます。

 この資料につきましては、来年の三月十一日までの積算線量を示しているということでございますが、実測値が得られていない将来の期間については、その時点における最新値が同じ値で継続するというふうに仮定して算出しておりまして、これはあくまでも推定値ということになっておるわけでございます。

 政府の原子力災害対策本部における避難指示の解除の検討等においても判断材料の一つとして活用していただけるよう、引き続きモニタリングを継続して、実測値によりその精度の向上を図ってまいりたいと思っておるところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。そんな意味では、普通なら半減期でこれからだんだん落ちていくということを、逆にこれ以上これから落ちていかないということで計算されているとすれば、ある意味で上限の非常に安全をとった推計になっているということは今理解させていただいたわけであります。

 いずれにいたしましても、そういったことをいろいろとこれからも積み重ねながら、避難されている方々、関係の方になれば、これからの時間軸がどのようになっていくかということは非常にいつも御心配だろうと思いますので、ぜひまたそういったことのいろいろな形での啓発といいますか、PRと言ったら変ですけれども、そういった正しい情報、あるいはまたそういう見通しということについてできるだけ明らかにしていただくよう要望するものであります。

 どうぞこれでお帰りいただいて結構でございます。ありがとうございます。

 また、大臣、副大臣等におかれましては、いろいろな被災者対策、本当に御苦労さまです。ただ、まだまだ時間もかかるようであります。農林漁業者への仮払いも云々という話も新聞報道で接しております。しかし、私ども経済産業委員会ですから、中小企業者もおりますし、百万円の仮払いだって、それが三カ月が六カ月、九カ月になればまた違ってくる、今研究されておられますスキームと東電さんのスキームというようなことも含めて、ぜひそのあたりはよろしくお願いをしたいと思いますし、また時がたったときに御質問もさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは鉱業法につきまして、高市議員からも大きな質問が幾つかありまして、私の方は、せっかくの条文でありますし、昭和二十五年以来の大改正でありますので、幾つか気になるところをいろいろまた、こういう趣旨だ、これはこういう運用だということを順次お伺いさせていただきます。やや技術的になるかもしれませんが御容赦をいただいて、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、そうはいっても大きい部分で、法二十九条で、今まで不許可の基準となっていたものが許可の基準というような形になりまして、今回、鉱業権というものについて政府としてはより積極的に管理をしていく、そういうことを表明されたことだ、そういう意思で改正がなされているものと理解をするわけであります。

 ここでまず最初に、鉱業権の出願状況あるいは出願の処理状況の現状についてお伺いをいたします。

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 鉱業権、出願をして設定されていない未処理と、そして設定されたものとございます。現況でございます、平成二十二年度末ということで、設定されている鉱業権は二つに分かれますが、試掘権に関しましては千七百四十八件、採掘権に関しましては六千二百八十五件、合計で八千三十三件でございます。

 その手前のところでとまっている未処理案件でございますが、未処理の出願件数は平成元年からの統計で大きく減っておりまして、三十万件ほどあった未処理案件が、同じく二十二年度末時点でございますが、七万二千二百七十九件までは減ってきておりますが、相変わらず大変大きい数字ということは事実でございます。

 少し内訳もお話ししますが、七万二千二百七十九件のうち、ほとんどが試掘権の出願の未処理でございます。また陸域ではなくて海域の未処理が六万五千件を占めております。

 以上です。

橘(慶)委員 そんな意味では、昭和二十五年の、言ってみればほとんどだれでも出願して、皆さん頑張ってくださいというような形では、今おっしゃったようになかなかそれは、やってみます、やってみますという方がふえてきて大変だ、この実態はやはりよくないということは理解するわけであります。

 そして、八千件ある試掘権、採掘権、今お話ございました。しかし、どうもそれもすべてが稼働しているわけではないようにもお伺いをしているわけであります。この中で、そういう許可をとっておられて実際に試掘あるいは採掘されているもの、あるいはそうではないもの、どんな実態になっているのか、ここでお答えいただきたいと思います。

田嶋大臣政務官 まず、先ほどの数字の訂正が一つございます。失礼しました。未処理案件の合計、平成二十二年度末ですが、七万二千二百七十九件と申しましたが、七万二千百三十三件の間違いでございます。失礼しました。

 今の御質問に関しましては、いわゆる休眠鉱業権ということであろうかと思いますが、平成二十二年度末の時点の、先ほどの八千三十三件ある付与された鉱業権でございますが、そのうち六千五百二件、つまり約八割が未着手ないしは一度着手はしたけれども休業中ということでございます。

 現行法では、鉱業権の設定に当たりまして適格性の要件を認めていないということで、必要な能力等を有しない場合であっても許可を受けることが可能になっております。このため、事業着手の延期についても認めざるを得ない場合がございまして、この延期というのは、一年まで延期ができるということでございますが、こうした場合に開発意欲のある適正な主体が開発できないといった問題が生じることになります。これは有効期限にも関係しますが、試掘権は有効期限が六年、そして採掘権は無期限でございますので、その範囲内において休眠しているものが多数あるということでございます。

橘(慶)委員 そんな意味で、先願主義ということもされてきたわけで、権利を持っちゃうと次の人が入ってこれないし、また、少しアバウトに申請もしておこうかというような申請者の意図も透けて見えるような状況だと思います。

 これを今回、移転を許可制に、これから出してこられるものについて許可制にされ、また、今お持ちになっている方でも、それをほかの方にお譲りになる、あるいは相続等で承継される場合には許可制にしていくという形になってまいります。

 そうなってくると、将来に向けて整理はされていくんだろうと思いますが、ちょっと時間もかかるのかなという感じも、その八千件ということからするとしないわけでもないんです。

 これからどういう形で整理が進んでいくのか、その辺のお気持ちあるいは見通しをお話しいただきたいと思います。

中山大臣政務官 今委員の御質問がまさに答弁みたいでございまして、許可制に変わりますので、例えば、試掘が採掘に変わるときには新しい許可基準を設けることは当たり前の話でございまして、委員の御指摘のとおりでございます。

 また、休眠しているものを、試掘権をさらに延長したいとか、こういうときにもやはり新しい許可制度の中でやっていきたいと思いまして、そういうことによって整理がされていくのではないか、このように考えているわけでございます。

橘(慶)委員 確かに、鉱業権を所管するという、国の資源政策からすると問題のある数字ではありますけれども、一面、また、お一人お一人の財産権であり、権利でもあるということからすれば、それの処理というのは、今おっしゃったようにある程度時間をかけて慎重にやらざるを得ない部分もある、このように思います。

 そこで、先ほどからお伺いしながら、着手していない方がたくさんいらっしゃる中で、これはちょっと通告しておりませんが、一定期間着手していない場合、許可は取り消されるというか、権利が消滅するとか、そういうたてつけになっているんでしょうか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今まさに先生おっしゃったとおりでございまして、ある一定期間内の延長を行えるわけでございますけれども、それを満たさない場合には取り消し事由になるということでございます。

橘(慶)委員 続きまして、権利を持っている方が、何かイメージは法人の方が多いようにも思うんですが、やはり当然個人の方もあるという想定になっているんだと思うんです。その場合、相続その他の一般承継、この人に相続権ということで渡りますよというのが一般承継ということなんですけれども、そういった届け出が、経済産業省さんの今回つくられる鉱業法の基準、たてつけに適合しない場合は、経済産業省令で定める期間内に譲渡すべき旨をその方に通知する、お子さんならお子さんに、だめですよならだめですよということを通知するということになっております。

 これは省令で定める期間内ということなんですが、大体どれくらいの期間で通知をされようと思っておられるんでしょうか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御案内のとおり、鉱物の種類とか鉱区の規模あるいは開発の態様といったようなことで、多分状況にさまざまな違いがあるということでございます。

 小規模な陸域の鉱区であれば多分数カ月間程度、それに対しまして大規模な鉱区、特に海域の鉱区でありますと、その譲渡に相当時間がかかると思いますので、場合によっては二、三年、あるいは数年程度かかるというふうに承知をしております。

 先ほど先生おっしゃいました財産権の保護という観点、それと開発能力のない主体がいつまでも鉱業権を保有しているということを排除するという観点のバランスをとりながら、実態と、専門家の知見等々もいただきながら省令で規定をさせていただきたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 どうもありがとうございます。

 私なりにこういうことも問題意識を持っていまして、言ってみれば法律から政令や省令にいろいろなことを委任するものですから、その際どこまで委任するかということはやはり常に大事なことかなという思いがありまして、丸委任なのか、例えば何かの基準を勘案してというようなことで縛るのか、そういうことを少し気にするものですから、あえてこういうことで聞かせていただいたわけであります。

 一つ飛ばさせていただいて、次は、許可基準が今回はかなりはっきり出てまいります。要するに、きちっとできる人じゃないとこの権利を許可しませんよということで、そこには幾つかの要件が出てまいります。ただ、それがどのように運用されるかということは、当然それは細かい話ですから法律には書いていないわけでありますので、一応ここで、どのように運用されるか、順次確認をさせていただきたいと思います。

 まず、許可を受ける方が経理的基礎そしてまた技術的能力というものがないといけない、これの具体的水準及びその確認手法についてお伺いいたします。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 第一項の第一号でございますが、これはまず、全般的にはどのぐらいの規模の鉱区になるかとか、それが陸域なのか海域なのかという、その態様がさまざまございますので、基本的には個別案件ごとということになろうかと思います。

 しかしながら、これは基本的に人、物、金の能力を見るということだと思いますが、おっしゃっていただきました経理的基礎に関しましてはそのうちの金の部分に関しまして、過去数年の収支状況とか内部留保、借り入れ等の状況から、一番重要なのは、今後本当に、大型な投資になると思いますが、そういう投資ができる資金の調達ができるのかどうかというところを見定めていく必要があろうかと思っておりますので、財務諸表や資金計画等の提出を求めることで確認をしていくことを想定いたしております。

 人、物、金のうちの人と物の部分が後段の技術的能力ということにかかわってまいりますが、必要な設備や機材はそろっているのか、そして専門的知見を備えた従業員はちゃんといるのか、そういうところをしっかりと書面で確認をしていきたいと考えております。

橘(慶)委員 そんな意味では、例えば個人での出願とかまだ余り実態のない会社での出願ということは困難になるというふうにまず今理解をしたわけであります。

 続きまして、社会的信用という文言がありまして、いろいろ事前に聞いていますと、これもここで見るとどんな信用なのかなと思っちゃうんですが、先行事例もいろいろあるようであります。

 社会的信用というのは、どういうことを考えておられて、どう確認するのか、お願いします。

田嶋大臣政務官 委員おっしゃっていただきましたとおり、いろいろ事例がございまして、これは非常に抽象的な言い方ではございますが、もう既に立法事例としては、例えば商品先物取引法あるいは割賦販売法というところで同じような文言で表現をされてございます。

 過去においては、開発意思のない者が鉱業権を利用して未公開株増資等による資金集めを行うなど、よくありそうないろいろなそういうトラブルが見受けられてございます。こうした事態を防ぐために、許可基準の一つとしてこのような社会的信用の有無ということで設けさせていただきました。

 具体的な水準に関しまして申し上げることは困難でございますが、こうした犯罪行為、トラブルの有無、生じる蓋然性によって判断をしていくことになろうかと思います。それに当たりましては、警察等関係機関への照会を行って十分に情報収集をしてまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 ちょっと確認ですが、そうすると、申請者の利益ということを考えますと、申請者の方は何か出さなきゃいけなくなるとかそういうことではないんですか。

田嶋大臣政務官 特に出す必要はございません。

橘(慶)委員 そうすると、すべて省庁間の連携というか行政機関の連携でお調べになる、このように理解をいたします。

 その次は、これは申請者への許可基準にはなっていて、しかしそれが何かということは余り問題ではないんですが、実はこれは前の規定からそう書いてあるわけですが、鉱業権というものの設定に際していろいろなことを配慮しなきゃいけない。もちろん、鉱山ですから、昔でいえば鉱害というようなこともあったから、環境に配慮しなきゃいけないとか、当然、人の権利を侵してはいけないとかいろいろな、そういうことはもともとの法文上もあったわけですが、その法文をそのまま生かされているんですけれども、温泉資源の保護に支障を生じないということを実はこの法律では特に明記されております。

 それはそれで大変大事なことだとはもちろん思うんですが、地下資源という意味では、先ほどの高市議員のお話ではありませんが、例えば地下水はどうなんだろうとか、地下資源もいろいろあると思うんです。あえて温泉資源ということだけ、それは当時の立法者の意思として何か重要だったんだと思うんですけれども、今これをそのまま温泉資源だけということにして、地下水等、あるいは地下資源全体というようなことについて今回特に立法的に措置されないその理由をちょっとお伺いしておきたいと思います。

細野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の規定、現行法もございます。今度の改正法におきましては二十九条の一項の八号というところでございますが、鉱業を実施することがその地域の公共の福祉に反することのないようという観点で、御指摘のように温泉資源の保護や保健衛生に害を与えるような場合、これも設定をしないということにしてございます。また、そのほかに幅広く、他の産業の利益を損ずるような場合ということも規定がございます。

 したがいまして、今御指摘の地下水等々でございますけれども、例えば、鉱業を実施する、掘ることによって、地下水が、水源が汚染されるというような場合には、この保健衛生上害があるものということに該当いたしますので、これは多分、鉱業権は設定されないことになると思います。

 あわせて、これも例えばでございますけれども、鉱業をすることによって、その場で行われている、これも例示でございますけれども、地熱を使って発電をするような施設があったとします。これに支障が生ずる場合には、この発電事業というのは他の産業に当たりますので、こういうものの利益を損ずるということに認定ができますので、これも設定がされないということでございます。

 したがいまして、こうした運用によりまして、特に明示はしておりませんけれども、これらの地下資源の保護またはこれに起因する支障については対応ができるというふうに解釈をいたしまして運用をし、方法は変えないことにしております。

橘(慶)委員 ただ、もしそうおっしゃるのであれば、そういう書き方もあったんじゃないかと。つまり、そういったものは公共の福祉とか産業の利益で読めるとすれば、逆に言うと、ここで温泉資源というものを特出ししておかなきゃいけない実益というものが、きょう現在、どのようなことがあるのかなというのをちょっと疑問に思うわけです。

 これがどういうふうに並んでいるかというと、「文化財、公園若しくは温泉資源の保護に支障を生じ、」という文言になっております。文化財とか公園というのは今日的にも大体理解するわけです。別に温泉をやっておられる方がいいとか悪い、そういう意味じゃないんですが、今の法文のたてつけとして、なぜこれだけ特に、逆に言うと特出ししなきゃいけないのかなというのがどうもよくわからないんですが、いかがでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申します。

 今御指摘のように、並びで言いますと、文化財あるいは公園、それから温泉。この温泉というのは、明治の時代から公共の福祉等々において引用のなされる代表的な例でございます。

 したがいまして、そこにおいては、例えば、鉱業をすることによって、昔からのいろいろな文化的な価値のあるもの、あるいは公園等々の美観が損なわれるということで、代表的なものを並べておりますが、それとは別に、先ほど申し上げましたように、別途の並びとして、保健衛生でありますとか、あるいは他の産業への支障が生ずるということで、大変広い着眼点を用意してございますので、今の並びのわかりやすい事例とは別に、他のところで担保できるものについてはあえて規定を変えなくてもいいんじゃないか、こういう解釈でございます。

橘(慶)委員 今回はこの辺でとめておくんですが、何かそういうことも本当は審査しなきゃいけないのかな、そんなことをつくづく思うものですから、あえて聞かせていただきました。この点についてはあと一点、もう一回、次の次で聞かせていただきます。

 次は、許可基準、大事な許可基準ですが、内外の社会的経済的事情に照らして著しく不適切なものはだめ、ここは今回の改正の、ある意味で一つの大変大事な主眼点だったと思いますが、せっかくの委員会でございますので、具体的に想定している内容についてお伺いいたします。

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 基本的には、我が国における鉱物資源の安定的な供給の確保に支障を及ぼすような話を想定してございます。具体的には、国内の需要が見込まれるにもかかわらず、開発した鉱物をすべて海外に売却することを目的として鉱物を開発する場合。そして、二つ目の例としましては、国内において需給逼迫という中で、資源の価格の値上がりを予測して開発と売却を予定し、意図的に開発をおくらせる、そういったケースを想定しております。

橘(慶)委員 この辺がやはり今日的に大変大事なことであると思っておりますし、そういったことを多分、この運用の通達なり、そういうことで変えていかれるんだろう、このように理解します。

 もう一つ、ちょっと場所が飛びますが、鉱業権の中に租鉱権というものがございます。これは、他人の鉱区に設定をして、採掘者や試掘者じゃないんですけれども、その鉱物を取得することができる、そういう権利がまた別にあります。

 これについても当然、今回、申請人の認可についていろいろ基準は厳しくなっているんですが、その基準の中に、先ほど話題にしました社会的信用といったものが実は入っていないたてつけになっております。具体的には法の第七十七条第三項なわけですけれども、これを基準に入れなかった理由について確認をいたします。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃったとおりでございまして、租鉱権の認可につきましては、社会的信用を特に基準には入れておりません。

 御案内のとおり、租鉱権は、先ほど申し上げました八千件強の鉱業権の中でかなり例外的な権利でございまして、大体五十件程度ということでございます。非常に数が少のうございます。また、租鉱権の存続期間でございますけれども、採掘権が基本的には期限がないのに対しまして、最長でも大体十五年程度ということになっております。

 こういったことを多分背景といたしまして、現実といたしまして、これまでの長年の運用の中で、租鉱権に関して、いわゆるブローカー等によりますような、いわゆる社会的信用を損なうようなトラブルは、私どもが知る限りでは発生をしていないということでございます。

 そういったことから、ある種、規制的な要件につきましては、実態を踏まえて、できるだけ必要最低限にさせていただきたいということから、あえて社会的信用を入れなかったということでございます。

橘(慶)委員 お話は、それはそれで理解するんですが、将来にわたってどういうことがわからないかということも想定しながら、そこに一定の物差しを当てていくということがやはりこういうものの基準だと思います。

 そう考えたときに、今回、長年改正されなかったものを大改正ということでいろいろ見直してみようということであれば、将来そういうことが起こってからまた改正するよりは、今、社会的信用と書いておいたところで別に悪いことはないんじゃないかな、こう思っちゃうんですが、いかがでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 確かにそういうお考えはあるかと思いますけれども、一般論で申し上げますと、こういったある種の規制的な中身につきましては、その実態等々を踏まえて、必要があるという、その実態を極力勘案をして、できるだけ規制の要件というものは少なくしていきたいということで、今回のようなことにさせていただきました。

橘(慶)委員 はい、わかりました。

 この程度にさせていただいて、次は、特定鉱物、特定区域というところについての新しい制度の考え方、背景についてお伺いをしたいと思います。

 特定鉱物、対象になるものは、石油、可燃性天然ガスその他政令で定めるものとございます。石油と可燃性天然ガスはわかるんですが、その他は、何か今想定されているものはございますでしょうか。

中山大臣政務官 海底熱水鉱床等で、重金属などがその地域にいろいろある、金、銀を初め、鉛であるとか亜鉛であるとか、こういう資源をやはり指定をしておく必要があるだろう、こういうことでございます。

 なお、メタンハイドレートなどは可燃性天然ガスに含まれますので、いろいろな鉱物または資源があるわけでございまして、それを特定しているということでございます。

橘(慶)委員 熱水鉱床等ということで、どちらかというと、海域というのが当然ポイントになってくるんだろうと思うんです。

 実は、この今から設定される特定区域の指定なんですけれども、現にある鉱区あるいは鉱業出願地または他の特定区域、これは今はまだないわけですけれども、重複しないものということになると、もう今既にここは鉱業権をとっていますよとか、出願していますと、そこは全部抜けていくわけですね。

 そうすると、日本の全体の陸域、海域の中でどれくらい残っているのかなという感じがちょっとしてしまうんですが、この辺の、特定区域になり得る地域はどんな感じになるのか、ちょっとイメージを教えていただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御案内のとおり、日本は、世界第六位という非常に広大な領海及び排他的経済水域を有しておりまして、まだまだ特定区域を設定する余地があると思っております。

 例えば、石油、天然ガスにつきましては、これまでの調査によりまして、周辺海域約四十五カ所程度で、総面積八十四万平方キロメートルにわたりまして、可能性を有します堆積盆地の存在が確認をされております。これは、現在、鉱区が設定されているところ、さらに出願が行われているところ以外の領域が結構存在をしておるというふうに認識をしております。

 また、今もお話がございましたメタンハイドレートでございますけれども、御案内かと思いますが、静岡県から和歌山県の沖合海域、いわゆる東部南海トラフと言っておりますが、ここに有望な資源、メタンハイドレートの賦存が推定をされているところでございます。このあたりのエリアにつきましても、まだまだかなりの部分につきまして、出願地とダブっていないというエリアが多く残っているというふうに考えております。

橘(慶)委員 ちょっと確認ですが、多分、陸域というのは実際はほとんど想定されていないんだろう。海域の、今話題になっている、今まではちょっと技術的にも開発が難しかった、そういう海底資源あるいは石油が賦存している場所、これからそういったところをねらっておられるんだろうと思うんですが、一応確認させていただけますか。

安藤政府参考人 先生おっしゃるとおりでございまして、陸域を排除しているわけでは毛頭ございませんけれども、今回特定区域を設定させていただいた趣旨は今おっしゃられたとおりでございまして、主として、日本の周辺海域における大規模な開発案件を想定させていただいております。

橘(慶)委員 そこで、ここでまた話題になっているのが東シナ海の問題ということだと思うんです。しかし、これは、法のたてつけ、趣旨からすれば、今話題になっているということは、もうそこは鉱業権が設定されていたりいろいろなっているということですから、この新しい条文というのは、今東シナ海でいろいろ話題になっている天然ガスの問題といったことについて、どれくらいそういう特定区域というのを設定する余地が残っているのか。どのようになっているんでしょうか。

中山大臣政務官 これは、東シナ海の、問題となっている、結論から言えば、既に試掘権が設定されているため、現在は特定区域の指定は行えないわけでありますが、境界を接した相手国との境界が未画定の海域における我が国の法令の適用は排他的経済水域及び大陸棚に関する法律に従うことになります。

 具体的には、同法に基づき、中間線までの海域等が我が国の排他的経済水域及び大陸棚とされ、鉱業法の特定区域制度もその範囲において適用されることになります。

 そういう意味で、東シナ海の、問題となっている白樺ガス田の中間線日本側については既に試掘権が設定されているため、現在は特定区域の指定は行えない、こういうことでございます。

橘(慶)委員 そこはかなり、線引きの問題も含めて、また別の分野で難しいものがあるんだろう。ただ、今おっしゃったように、もう既に指定されているところはない、これから将来にわたってはまた云々と。試掘権も、また採掘権も、切れていくときは切れていくんでしょうから。

 そこで、少し質問を飛ばしまして、もう一つのやはり海の中での問題。今回の、言ってみれば大事な改正になっております鉱物探査に係る許可制度の問題、ここへ移らせていただきたいと思います。

 鉱物の探査に係る許可制度につきまして、今度、一律に許可制にするということであれば、今は無秩序というか全く自由ですから、今既に探査をやっておられる方もあると思うんですが、そういった今やっている方々というのは許可制に移る中でどういう扱いになるのか、確認をさせていただきたいと思います。

田嶋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 経過措置を設けてございます。そういう意味では、改正法案の施行の際に既に行われている探査につきましては、一カ月間は引き続き探査を行えるということでございます。そして、その期間を超えて実施される探査につきましては、その一カ月の間に申請を行うということで、今般の許可または不許可ということになります。

橘(慶)委員 一カ月で全部許可制の方へ変わっていくということであります。

 そして、こういった探査を行う者に対して報告とか検査とか、さまざまな形で規制をかけ、また、その規制の実効性というものがなければならないと思います。しかし、これは何せ海の上でのことでありまして、経済産業省さんのマンパワーだけでは、その規制を実効性あるものにするということについては、なかなかそれだけでは及ばないのかなという心配もいたします。

 この辺、この法に基づく措置というものを実際どういうふうに実効性あるものにされていくのか、その準備の状況について確認をいたします。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 いわゆる探査という行為に関しましては、許可される前の無許可の可能性、それから、許可した後も、その許可にのっとった探査が行われているかということで、大変重要なポイントだと思いますが、一番大事なことは、海上保安庁を初めとした他省庁とのしっかりとした連携と認識の共有化であるというふうに考えてございます。

 規制対象となる探査行為が一体どういうものなのかということを、ポジティブリストを用意いたしまして客観的に把握していくということで、どのような設備、方法を用いた行為が規制対象となるかについて、関係省庁ときちんと認識をすり合わせておくということでございます。

 加えまして、立入検査等を行おうとする場合には、これもまた、当該行為が規制対象となるかどうか十分に確認をした上で、政府全体としての意思決定が必要となる場合も想定されるということでございます。このため、探査行為の客観的な把握方法や立入検査等を行う際の意思決定方法について関係省庁と十分に調整し、対応に万全を期していきたいと考えております。

橘(慶)委員 そうすると、今せっかくそこまでお答えいただいていると、イメージとしては、立入検査なんかをする際は、当然権限としては経済産業省さんの係官の方に多分あるということになるでしょうから、そういう方が、例えば海上保安庁さんの船、巡視艇とかに乗っていきながら、そこでいろいろと法に基づいて検査をさせていただく、こんなイメージでよろしいんですか。

田嶋大臣政務官 はい、結構でございます。

橘(慶)委員 今は海上保安庁さんとの連携のお話でありました。

 もう一つは外務省さんとの連携で、それは高市議員からも先ほどお話があったとおり、こういったことを決めていく上で、中国、韓国にもいろいろなルートで既に御説明をされたという話も聞きました。

 今回、こういう形で我が国が許可制度というものをここに及ぼしていく、排他的経済水域ということでありますが、及ぼしていくということについて、近隣各国の法制度との兼ね合い等で、摩擦といいますか、要するに入れはねと言えばいいのか、日本だけが突出しているとか、今まではどちらかというと日本が一番緩かったような感じはいたしますけれども、その辺はどうであるかということ。そして、排他的経済水域の設定の問題も含めて、そこに本当にトラブルということはないのであろうかということについての今のお考えをお伺いしたいと思います。

中山大臣政務官 国際海洋法上からいえば、排他的水域の中は、それぞれの国がやはり許可制でやっております、ロシア、韓国、中国も。日本も同じような条件でございますので、特に問題点は生まれないというふうに思っておりますし、外交上の問題は、できる限り問題を起こさないとするのが大事だ、こういうふうに思っております。

 今のところはそういう法的な問題としては外国と同等の形でやっておりますので、問題は起きないはずでございます。

橘(慶)委員 そうすると、先ほどの御答弁と重ね合わせますと、特定区域の設定の際、理論上は、私どもが思っている経済水域のところまで当然できるというたてつけだとは思うんですが、そういうときにはかなり、やはりそこはいろいろ慎重に取り組む、こういうお気持ちであるということでしょうか。

中山大臣政務官 慎重というよりも、自国の権利は権利として主張をするということではありますが、外交上のこともありますから、穏やかにやっていくということでございます。自国の主張はあくまでもしっかりすべきだと思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 だんだん時間もわずかになってまいりましたので、大きなことであと一、二聞かせておいていただきたいところに移りたいと思います。

 今回の鉱業法の改正なんですが、石油及び可燃性天然ガス資源開発法という昔からあるこの法律について、今回、役割を終えたということで、まとめて法律そのものを廃止する、こういうことが今回の改正法の中で規定をされているわけであります。

 やはり、法律をつくる、立法していくというのが私どもの、国会の仕事ではありますけれども、一面また、役割を終えたものについて整理をしていくということは大変大事なことでありますし、法律がある限りはそれに基づく仕事があるわけで、法律がなくなれば、それに基づく仕事がなくなれば究極の行財政改革になる、こういうことだと思います。

 今回あえてこれを廃止されるということについての意図、趣旨をお伺いしておきます。

中山大臣政務官 過去の採掘などを見てみますと、浅いところをやっていた。今後はやはり、かなり深いところであるとか、大規模に、またはJOGMECがやるとか、そういうものについて、補助金のあり方とか、または国が支援するやり方であるとか、こういうものは当然変えなければいけない。今まで、補助金にしても、余り深いところじゃないものについてはこの程度でよかっただろうと思いますけれども、今はもう全然規模が違いますので、そういう規模に合わせて考えてきた、こういうことでございます。

橘(慶)委員 そうすると、そういう規制等はもうしなくても、当然それぞれの関係者が守るから、あえて法律で規制をする必要はない、こういうことでよろしいんでしょうか。

中山大臣政務官 まさにそのとおりでございまして、今までの法律は役割を終えたのではないか、このように考えております。

橘(慶)委員 こういったいろいろな、事業仕分けというお言葉もございますが、ぜひ法律の仕分けもやっていただいて、役割を終えたものはやはりすっきりしていくということは大事じゃないかと思っております。

 最後の質問にさせていただきます。

 古い法律で、今までの法律のたてつけでは経済産業局長がいろいろな仕事をするというふうになっていたのを、経済産業大臣ということにされました。そこで、地域の経済産業局へ権限をどういう形でおろされることを考えているのか。そしてまた、今までは地方鉱業協議会の意見を聞いていろいろなことを決めていたものを、中央の総合資源エネルギー調査会との間で処理することになりました。その辺はどういうふうになるのか。最後に確認して終わります。

海江田国務大臣 橘委員にお答えをいたします。

 今議論をしましたように、今後の鉱物資源の開発は、特に海洋でありますとか、あるいは大規模な特定鉱物の開発が期待をされるところでございます。こうした場合には国際情勢なども思料しなければいけないということで、経済産業大臣が、そうした観点からこの問題をしっかりと担っていこうということでございます。

 しかし、そうした必要性が必ずしも高くない、そして、事業者の利便性も考慮して、引き続き経済産業局長が鉱業権等の許可を行うこととした方が望ましい場合には権限を委任するということになっております。

 先ほどの後段の質問も同じ、大局的な立場ということでございます。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

 これで終わります。

田中委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、鉱業法の一部を改正する等の法律案の審議でございます。私ども党の部会で割ときめ細かく私の方から確認させていただいた内容を、今、橘委員の方がこの委員会でもさらに詳しく逐条的にされましたので、この法改正のそれ以外の部分については後ほどさせていただくとして、まず、二日前の委員会以後、この二、三日で福島第一原発の事故の関連でさまざまな動きが政府の方でもされておりますので、それに関連して何点か御質問をさせていただきたいと思うわけです。

 一つ目は、この第一原子力発電所事故の損害賠償の枠組みのことでございます。

 私どもは野党でございますので、まだ正式なものも一切聞いておりませんし、報道ベースでございますけれども、そういう中で何点か確認をさせていただきたいと思うんです。

 一つは、東京電力のこの事故の賠償が最終的に全国の電気料金に転嫁されるという形、つまり電気料金にツケが回るというのは、国民の皆様にはなかなか理解を得るのは困難である、そういうふうに私は思っております。さらに、国民利用者だけではなくて、利用者の一部である企業も、企業の負担で国際競争力を損ねる部分も当然出てくるわけでございますから、私は、そこはぜひ慎重な、そういう判断がきちっとできる枠組みになっているのかどうかというのはチェックをさせていただかないといけないだろう、そのように思うわけです。

 昨日、枝野官房長官が、この損害賠償の枠組みについて、記者会見で、基本的に電気料金の値上げによらずに賠償資金を出すための枠組みをつくった、そのように語られました。要するに、新聞報道では、電気料金の値上げをせずに賠償金を賄う仕組みにすると表明されていたわけですね。

 私は、ぜひ所管大臣である海江田大臣に確認をさせていただきたいのは、官房長官と同様に、政府支援の枠組みについては、電気料金の値上げによらずに賠償資金を出すための仕組みになっているのかどうか、また、そういうようにされたのかどうか、政府の考え方について海江田大臣に御答弁いただきたいと思います。

海江田国務大臣 佐藤委員にお答えをいたします。

 今回の東京電力の原子力発電所事故に伴う損害賠償の支払いの仕組みをつくるに当たって、まさに一番留意をしたところが、その賠償を電気料金にいかに転嫁を少なくするかということでございます。

 私どもは、この仕組みを説明する原則の中で、後でお配りをいたします、きょう閣議後決まったばかりでございますので、まだお配りをしていないということは大変申しわけございませんが、そこに国民負担を極小化すると。これは、党のプロジェクトチームの御意見もいただきましてその一言を書き込ませていただいたわけでございますが、どうやったら国民の負担、とりもなおさず電気料金の値上げというものを抑えることができるかということに大変こだわった中身になっておるかと思います。

佐藤(茂)委員 私はまだ内容を見ておりませんので、文章で国民負担を極小化するというだけで、本当に枠組みとしてきちっとした歯どめがきくのかどうか。

 というのは、政府内の検討の中で電力料金の試算というものも報道で出ておりまして、例えば、東京電力は一六%電気料金をアップする、それ以外の各電力会社は〇・五から二%電力料金引き上げというような試算も、どこから出たのかわかりませんが、政府内でも数字が飛び回っている。そういうものに対して、最終的に賠償で困ったから、文章では書いていたけれども、電気料金の値上げをせざるを得ないような、そういう余地が残されるような仕組みであれば、これはなかなか理解できないと思うんです。

 電気事業法でも、経済産業省、経済産業大臣ですが、当然、電気料金を認める権限を持っておられるんですから、そういうことが安易にできない仕組みがきちっとこの枠組みでできているのかどうなのか、もう一度大臣に確認をさせていただきたいと思います。

海江田国務大臣 佐藤委員にお答えをします。

 まず一つ、これは、ぜひ御理解というよりも、もう佐藤委員はおわかりだろうと思いますが、一六%という数字、あれは私どもが発表したとかいう数字では全くございません。全くひとり歩きをしている数字であります。

 同時に、あの一六%という数字がどういう数字かということでございます。

 これも本当に佐藤委員はつとに御案内だろうと思いますが、今度、東京電力の福島の原子力発電所でああいう事故が起きまして、福島の原子力発電所は今再開する状況にないことは言うまでもありません。そうなりますと、片一方で、東京電力は一都八県に対して電力をしっかりと供給する義務がありますから、原子力にかわる新たな原料と申しますか、これを手に入れてこなければいけないということになります。そして、原子力にかわる原料として当面考えられますのは、ガスタービンでありますとか、あるいは原油を買ってきてそれを燃やさなければいけないとか。昨今、LNGの価格でありますとか石油の価格が高騰している。それを勘案して、つまり、原子力のエネルギーに頼ることができなくて、ほかのエネルギーに頼ったときどういうふうになるのかという数字、一六%というものを認めるものではありませんが、そういう数字だということは一つ御理解をいただきたいということでございます。

 それからもう一つは、これは今回の仕組みとは別の問題として、電気料金を決めるに当たって、総括原価方式という考え方がございます。これは、発電をするために、あるいは送電も含めてどのくらいの費用がかかるのか、その費用に適切な利益を乗せて、それを電気料金とするということでございます。

 今委員御指摘のように、電気料金を上げるときには、これは経済産業大臣がその値上げに対して許可をする。しかし、電気料金の下げの場合は、これは許可というよりも、下がるお話でございますから、届け出をして、ああ、そうですかという形で、それが新たな料金になるということで、この三十年来、これは電力会社もいろいろな形で努力をしてきた。それから、価格も、ここ一、二年は、原油でありますとかLNGでありますとか、そういうものの値段がかなり上がっておりますが、安定していた時期もございます。その結果、三十年間は値上げをしないで済んできたという事実がございます。しかし、今度はそういうわけにはいかないだろうということが客観的にあるということ、これが一つでございます。

 ただ、これと先ほど来議論になっております賠償の問題とは別の問題でございますから、私どもは、文言を一言書き加えたということだけではありませんで、具体的には、中立的な第三者委員会をつくって、この中立的なというのは、結果的に電力料金を認可する経産省あるいは政府からある程度独立をした、政府の立場だけでない、あるいはもう片一方の当事者であります東京電力だけでない、そういう立場からしっかりと東京電力の経営に対してメスを入れられる組織をつくります。ここが、まず手がかりとして、東京電力の資産の売却などについてもしっかりとした適正な価格で行われるよう、あるいはリストラの場合でも、私たちがどうしても配慮しなければいけないのは、現場で、特に原子炉の安定のために日夜奮闘努力をしている東京電力の社員あるいは関係会社の方々、この方々に悪影響を及ぼすといいますか、士気が極端に下がるとか、そういう人たちの数を減らさなければいけないとか、こういうことがあってはいけません。

 それから、電力の供給というのは、安全性の観点も必要でございます。先ほどお話をした一都八県に対して、安全性を確保して供給をしてもらう、そういうところはしっかりと守ってもらわなければいけませんが、俗に冗費と言われる、切れるものは全部切ってもらおう、こういう思いで臨んでいるところでございます。

佐藤(茂)委員 今、海江田大臣が最後におっしゃった、切れるものは全部切ってもらうというところが本当にできているのかというのは、国民は注視していると思うんですね。

 私は、政府側から東京電力に六項目受け入れるように求めて、東京電力が十一日に受け入れることを決められた、その四番目の最大限の経営合理化と経費削減について、ただ受け入れますだけで本当にこういう枠組みを決めてしまっていいのかどうか、そこに疑問を持っております。やはり東京電力が十分なリストラをやり尽くした後でなければ、国が例えば公的資金の注入などの公的支援をやるにしろ、電気料金の引き上げについては先ほどは最小限にするんだと、しかし、そういう引き上げについても、東京電力が十分なリストラをやっていますという大前提がなければ到底国民の理解は得られない、私はそのように思っているんですね。

 今、報道ベースで東京電力が検討中の話だと、五千億分の不動産や株式などの資産の売却であるとか、代表権のある役員八人、副社長さん以上ですかね、そういう方々の報酬の全額返上、一般社員の年収二割削減、さらに、新規採用の見送り、そういうことが報道されておりますけれども、具体的に東京電力から、十一日に受け入れると言われて、政府の方にこういうリストラをやりますという報告があったのかどうか。

 まだまだ今報道されているのでは、役員が、これもそんなに長くありません、すぐやめられる方も多いでしょう、そういうときの役員の退職金はどうするんだとか、今ある人員をどう削減していくんだということについては、突っ込んだ結論が出たということは何も聞いておりません。さらに、総額の資産がどれだけあって、そのうちこれだけぎりぎり削って五千億なんだということについても、何ら明らかにされていない。

 だから、私は、まだまだ不徹底なリストラ案のままじゃないのか、リストラについてはもっと徹底をさせた上で、政府支援の枠組みというのはこうですよというものを出すべきではないのかな、その大前提のところがまだまだ弱いのではないか、そういうように思うんですけれども、大臣は経済被害対応本部長でもあられますので、そういう立場からこの東京電力のリストラについてどういう方向で臨もうとされているのか、御見解を伺いたいと思います。

海江田国務大臣 今、私は当委員会に経済産業大臣という肩書で臨んでおりますが、同時に、今回のこの原子力の被害者の賠償の担当の国務大臣として、そういう肩書も総理からちょうだいをしたところでございます。

 ですから、私は、特に東京電力に行きましてそうした交渉をするときには、原子力被害者の方を何としても救うため、しかも、それを電気料金に転嫁しないため、それは本当に気合いを入れてと申しますか、気合いを入れてというのはちょっと直截的な表現でございますが、私は本当に何ら東京電力に対して負い目もございませんし、貸しもございません、まさに国民的な立場に立ってしっかりと物を言っております。

 今ここでその資料をお出ししろといえばお出ししますが、膨大な資産の内訳というか、どういうところにどういう資産があって、それから、子会社も大変多うございます、百幾つございますかね、それぞれの子会社が資産も持っているということでございますので、そういう資料も全部今集めております。それから、今この方針が決まったわけでございますが、これからそれをできるだけ早く法律として皆様方にお示しする、当委員会で御議論いただくのがいいのか、あるいは別な形がいいのか、これはまさに国会の場でお決めいただくことになろうかと思いますが、その場でも徹底した議論をやっていただいて結構でございます。資料も要求をしていただければ、それは幾らでも私どもで手に入るものはお出しをいたします。

 その中で、皆さん方が、よしわかった、これならば納得がいくのではないだろうかというふうな形でお決めいただくのが結構だと思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、海江田大臣が思わず発言されました、気合いを入れて臨んでいただきたい、そのことだけお願いをしておきたいと思います。

 続いてもう一つ、きのうの夕刊からきょうの朝刊にかけても大きく報道されておりますが、福島第一原発の一号機の状況でございます。

 私は、この一号機というのが、政府の取り組みとしても、東京電力の取り組みとしても一番モデルケースになる、だから収束に向けた作業が最も進んでいる、そのように思っておったわけでございますが、昨日、東京電力は、この一号機の原子炉圧力容器の水位が当初の想定より大幅に低くて、燃料棒が溶けて下に落ちる、要するにメルトダウンだというように東京電力側もようやく認められたんですけれども、そういう容器の底部、底に燃料棒が溶けて落下していると見られるという発表をされたわけでございます。

 事実とすれば、今後の冷却作業にも大きく影響するゆゆしき事態だと考えますけれども、きょうは寺坂院長にも来ていただいているので、経済産業省原子力安全・保安院として、今のこの福島第一原発の一号機の状況をどのように認識されているのか、御見解を伺いたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島原子力発電所一号機の原子炉圧力容器の水位計を校正いたしましたところ、これまで想定しておりました水位よりも低く、燃料が所定の備えつけ位置にあった場合の上端、一番上のところから五メートル下よりもさらに低いところに水位がある、そのように推定をしてございます。他方、原子炉圧力容器の温度は約百度から百二十度で安定をしておりまして、燃料の冷却そのものはできているのではないかというふうに考えてございます。

 炉内の状況につきましては、不明な点も多いわけでございますけれども、引き続き原子炉の温度や圧力などのデータの動向に注意してまいりたいと考えてございます。

 それで、燃料ペレットでございますけれども、今申し上げましたような状況から、燃料ペレットが溶融をして、所定の位置から原子炉圧力容器の下部に移動している、その可能性は否定できないと思っております。

 現時点で原子炉圧力容器にどのような影響を与えているのかということ自体はわからないところでございますけれども、いずれにいたしましても、温度や圧力などのデータの動向に注意しながら、安全確保と原子炉の状態の安定のための対応が状況に応じて適切に実施されるよう確認をしてまいりたいと考えておるところでございます。

佐藤(茂)委員 寺坂院長、東京電力のきのうの記者会見では、圧力容器にも小さな穴が複数あいていて、合わせると数センチの穴がある、そこから燃料及び水が漏れ出ている可能性があるというような趣旨のことを言われています。さらに、格納容器についても当然損傷して水が漏れ出している可能性も否定されていないわけですね。そういう認識は原子力安全・保安院としてもお持ちなんでしょうか。ちょっと確認をしておきたいと思います。

寺坂政府参考人 現時点におきまして、具体的に、例えばどこにどういうふうに穴があいているかどうかということについては確認はできておりませんけれども、圧力容器に漏えいがある可能性については否定できないと考えてございます。

佐藤(茂)委員 原子力安全・保安院は今までメルトダウンの可能性もたしか言われていたと思うんですけれども、東京電力が初めてメルトダウンのことをお認めになったんですね。

 今の工程表というのは、燃料棒もこれだけ損傷している、また圧力容器の損傷の可能性についても前提としない前提での工程表というのがつくられていました。ですから、格納容器全体を水で満たすような水棺の作業というものでいこう、そういうことで進められた経緯があるわけですね。

 私は、今東京電力が言われているので言うと、圧力容器にも格納容器にも相当な損傷がある可能性も否定できないということを言っているわけですから、原子炉の状態について、今、寺坂院長も言われましたが、再度きちっと調査して、その上で、調査結果によっては冠水作業という冷却作戦も当然再検討が必要になってくると思います。

 さらには、細野首相補佐官がテレビに出られて、工程表を発表してから一カ月たったので十七日にも工程表を見直す、そういうふうに言われましたけれども、この原子炉の調査結果次第では、当然、十七日に見直すと言われている工程表についても、大幅な見直しは、全面的な見直しといいますか、まずモデルケースでやろうとしていた一号機の冷却作業ですらこういう状況ですから、工程表の抜本的な見直しというものも必要になってくる、そのように考えるんですが、所管大臣としての経済産業大臣の御答弁をいただきたいと思います。

海江田国務大臣 佐藤委員にお答えをいたします。

 今、保安院長からもお話がありましたけれども、一つだけ正確にわかっていることは、圧力容器の中の水、水位でございます。

 これは、水位計が二つございまして、その二つの水位計、実はこれまでも一定の数値を示していたわけでございますが、どうもその数値が間違っていたわけでありまして、この水位は、余り細かくお話はいたしませんが、燃料棒の上が少し出ているかなというような状況の数値を示していた。しかし、実際にここが、何とか線量が低下をして作業員が入れるようになって、まずやはり炉の中の状況を正確に知らなければいけないということで、この水位計を修繕したわけでございます。そして、修理をされた水位計の結果によると、かなり低いところにあるということでございます。

 そして、水は、大体時間当たり六トンとか八トンとか、調整をしながらでございますから数字が上がったり下がったりしますが、それだけの水を入れて、しかも、かなり長時間入れておりますから、当然のことながら水位はもっと高いところになければいけないわけですから、そこから推量するに、恐らくこれまで入れた水がどこかへ流れ落ちていたのではないだろうか、こういう推理を働かせているわけでございます。

 その上で、先ほどお話のありました、この事態の収拾に向けた道筋について大幅な見直しがあるのではないだろうかということでございますが、これは、実はもう四日、五日ぐらい前から、連日のように、一月来たところで総括と申しますか、ここまでできた、ここができなかった、新たにこういうことをやらなければいけないということについて検討を連夜やってまいりました。連夜ということではありません、私が行きますのが夜なわけでございますから、連日そういう作業をやっておりました。そこで一つ新たな状況が出てきたわけでございますから、当然、これは変更をしなければいけないことになろうかと思います。

 ただ、その変更がどういう形になるのか。

 一つは、これは決していいことではないんですが、あの工程表で書きました第一ステップは、まず一号機と三号機を、二号機はサプレッションチェンバーというところにかなり大きな損傷があるのではないだろうかということでございますから、二号機はちょっと後回しになりますが、少なくとも一号機と三号機を、これは水を入れまして、注水作業をやりまして、燃料域の上部まで水を満たすことによって安定的な冷却をしなければいけない、こういう状況になっています。

 ただ、これも実際見てみなければわかりませんが、今、実は、これは不思議なことですが、安定的なというか、ここは若干議論がありますが、冷却はされているんですよ。先ほどお話がありました、百度から高いところで百二十度ぐらい、大体百五度ぐらいの状況になっているんですね。燃料の棒が、棒としてはしっかりしたものはございません、先ほどもお話をしたように溶融されておりますが、それが塊になって、その周りに核ができて、もちろんこの中はまだまだ熱いわけでございますが、恐らく、水位計からいくと、その核の塊の上のところまで水があるんじゃないだろうかということでございますから、その意味では、本当に、これは決していいことではありませんけれども、そういう微妙なバランスがとられている。

 ただ、もちろん、これまで大量の水を入れましたから、その水がどこに漏れているのか、そして地下水等の影響はどうなるのかという、そちらのむしろ漏れた水に対する対策、あるいは地下水の対策、こういうものをやらなければいけないんじゃないだろうか、そういうところが新たに加わらなければいけないんじゃないだろうか、そのように考えております。

 ちょっと話が長くなりましてごめんなさい。

    〔委員長退席、北神委員長代理着席〕

佐藤(茂)委員 いずれにしろ、これは十七日でないとだめだということもないと思うんですけれども、これだけの大きなことが報道されたわけですから、国民、特に福島第一原発の周辺の避難されている皆さんも、この福島第一原発の、きのう、きょうの報道、第一号機の状況については非常に興味を持たれています。

 だから、あいまいな形でほうっておくのではなくて、なるべく詳しく実態をきちっと国民にわかりやすく御説明をして、そして、こうこうこうだから工程表については前提が狂ってきたのでこういうように見直しますという説明を、十七日でしたら来週になりますけれども、しっかりとやっていただきたいと思いますが、経済産業大臣の御答弁をいただきたいと思います。

海江田国務大臣 そのようにいたします。

佐藤(茂)委員 それで、法改正の方でございますが、この鉱業法の改正というのは、戦後六十年余り大きな見直しがされていなかったのが、我が国を取り巻く環境も大きく変わってきて、先ほど御質問等でもありましたけれども、世界第六位の領海、排他的経済水域等を擁していて、その中にメタンハイドレートや海底熱水鉱床などの新たな資源の開発期待が高まってきているわけですから、今回の改正というのは私は最低限必要であろうと。

 特に、三本柱である出願者に対する技術能力等の要件の導入、要するに、適切な主体に鉱業権の許可を限定するんだという考え方、さらに、先願主義の見直し、これは二本目ですね、三本目が資源探査に対する許可制度の創設、この三本については当然やるべきだ、そのように考えております。

 その中で、海洋基本法の中でも我々は論じてまいりまして、平成二十年三月に閣議決定された海洋基本計画、きょう持ってきましたけれども、全部読みませんが、その二十ページに「排他的経済水域等における」「鉱物資源の探査の管理及び外国船による科学的調査が、我が国の同意を得ずに実施される等の問題への対応策について、制度上の整備を含め検討し、適切な措置を講じる。」と、これは閣議決定されたものですが、そういうふうに海洋基本計画の中でも明記されております。その制度上の整備がこの鉱業法の改正の中でされたことは、私どもも評価をしたいと思います。

 問題は、違反者に対して厳重な処分を執行するという我が国の国家としての強い意思を国内外に示したところまでは評価するんですが、これを本当に執行して、確実に取り締まりをして法の実効性を高めないと、これは何のために法律を改正したのかということになるわけでありまして、今回取り入れた資源探査の規制について厳正、確実な執行を行って、万が一そういう違反者が出た場合には、違反者については確実に取り締まる、そういう厳格な適用というものをぜひお願いしたいと思うんですが、政府の見解を伺っておきたいと思います。

海江田国務大臣 御指摘の探査規制の問題でございますが、探査の違反行為を発見した場合は、必要に応じて立入検査により探査の実施状況の確認を行い、違反行為が発見された場合は、作業の中止等の命令を実施し、あわせて刑事手続に移行することになります。こうした措置を適切に執行するためには、規制対象となる探査行為であるか否かを客観的に把握することが重要であり、どのような設備、方法を用いた行為が規制対象となるかについて、あらかじめ関係省庁で認識をすり合わせておくことが不可欠でございます。

 加えて、立入検査等を行おうとする場合には、当該行為が規制対象となるかを十分に確認した上で、政府全体としての意思決定が必要となる場合も想定をされます。このため、探査行為の客観的な把握方法や立入検査等を行う際の意思決定方法について、関係省庁、必要であれば官邸も含め、十分に連携を図る所存でございます。

 こうした措置により、探査規制を着実に執行し、委員御指摘のように、厳正に、厳格に対応してまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 きょうは、法の内容については不十分で、外務省等から来ていただいたのに質問できなくて申しわけありません。次週もまた引き続いて質問の時間がとれそうですから、しっかりとこの法改正案については審議をさせていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

北神委員長代理 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、鉱業法第三条における適用鉱物というのはすべてで四十一種ありますが、最初はその中の亜炭鉱について、その亜炭鉱の跡地問題を伺っておきたいと思うんです。

 十二の県の各地で鉱害が問題になっております。昨年十二月の二十四日には、岐阜県の人たちが我が党の佐々木憲昭衆議院議員とともに、前の大畠大臣にお会いして、鉱害復旧のための基金があるが、復旧にしか使えない、予防措置にはだめとなっている、事故が起こるのを待つことになってしまうと。現に、来られた方たちの場合には、御嵩町で五世帯十七人の方が避難をしておられた、そういう状況にありました。しかも、避難場所となっている公共施設の下にも空洞がある、それで申し入れをやりました。

 これに対して大畠大臣の方からは、基金はもともと税金、市民から使いたいという要望があるなら柔軟に対応していくということが方向性だと思う、できるだけ期待にこたえられるように努力する、転ばぬ先のつえとしての使い方も検討すると答えられたんですが、その直後ぐらいに大臣がかわらはったので、これは念のために、海江田大臣もこの立場で鉱害に困っている人たちの救済に当たられるかどうかを伺っておきます。

海江田国務大臣 吉井委員にお答えをいたします。

 昨年の十二月二十四日と聞いております。岐阜県の亜炭廃坑の陥没被害について、予防的措置の検討を佐々木議員から要望された際、私の前任者であります大畠大臣から、対応の仕方について検討する旨お答えをしたと私も承知をしております。

 他方、鉱害復旧事業は、あくまでも土地物件が本来有していた効用を回復する工事を対象とすることと整理されており、亜炭廃坑の地下充てん等の予防的措置を実施するものではないということは言うまでもございません。大畠前大臣も、こうした制度の仕組みを前提として発言されたものと考えております。

 このため、亜炭廃坑の予防措置については、これは岐阜県でございますので、岐阜県とともに、他省庁の耐震改修等の既存事業を活用した支援措置を追求する方向で今対応しているところであります。

吉井委員 何かえらい冷たいお話なんですけれども。

 もともとこの地域というのは、軍部の指示で、中でも美濃炭田それから尾張炭田というのは、その規模も大きく、最盛期には日本の亜炭の四〇%以上を産出したんです。戦後の日本復興の重要なエネルギー産業としても、石炭に力を入れるとともに、補完産業として力を入れてきたところなんです。ですから、当時石炭庁に亜炭課が設けられたぐらいで、これは国策として進めてきたんです。

 国策としてどんどん進めて、それで空洞になってしまって、その結果として今問題が出ているんですが、亜炭鉱を掘ってきた跡地問題としては、建物の耐震改修をしても、陥没してしまって地面に大きな穴があいてしまったままではせっかくの改修効果も出てこない、これが現実なんです。

 それで、効果も薄いわけですが、陥没する前に基金を使って対策を打っておいたら、これは被害を小さくできるし、そしてコストも安いわけですよ。そういうふうに発想をかえて救済に当たることを考えていくということが私は大事だと思いますので、これまでの繰り返しの話じゃなくて、やはり発想をかえて取り組んでいくという姿勢だけはちゃんと持っていかなきゃいかぬと思うんです。

 重ねて海江田大臣に伺います。

    〔北神委員長代理退席、委員長着席〕

海江田国務大臣 先ほどお答えをしたのは、今どうなっているかということの御報告でございます。

 そして、今また委員から新たな提案をいただいたわけでございますから、それをしっかりと受けとめて、これはよく岐阜県とも協議をしなければいけません、また関係する省庁とも協議をしなければいけませんので、そうした協議、検討をしてみたいと思っております。

吉井委員 これは、協議、検討をして、現に、戦前国策に協力してきた地域の人たちが陥没等で避難しなきゃいけない、避難しているところもまた陥没してしまう、そういう問題については放置をしてはならぬということで努力をしていただきたいと思います。

 次に、同じくウラン鉱も適用鉱物なんですが、日本が天然ウランを購入している相手国を契約額順位で上位三カ国について、念のためにお聞かせいただきたいと思います。

細野政府参考人 お答えをいたします。

 財務省の貿易統計によりまして二〇一〇年の実績を申し上げますが、我が国が天然ウランを輸入しておりますのはカナダとアメリカだけでございます。三番目はございません。カナダは約六十トン、約七億円、アメリカが約十トンで約一億円の輸入になっております。

吉井委員 これは、あなたのところからの資料によりましても直近のデータの話なんです。実は、一九八八年から二〇一〇年までの資料をいただいておりますが、これでは、第一位がカナダで、第二位がフランスで、第三位がアメリカ、こういうふうになっております。

 次に、濃縮ウランにした形で輸入している相手国についても契約額の多い順番に上位三カ国をお聞かせいただきたいんですが、特に八八年から二〇一〇年で、かなり長期にわたって輸入実績がありますから、その順位をお答えいただきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 長期のものがちょっと手元にございませんが、濃縮ウランにつきましては、金額の一位から三位まで、同じ貿易統計によりまして恐縮でございますが、二〇一〇年の実績値を申し上げます。

 アメリカが一位でございまして、六百十トン、約八百三十億円でございます。二位がフランス、百十トン、金額約百十億円、イギリスが三番目で八十トン、約百億円でございます。

吉井委員 金額の方をお答えいただいたんですが、長期的に見ても、ウラン鉱開発といっても、実際には、天然ウランというのは金額的に圧倒的に小さくて、大宗を占めているのはアメリカからの濃縮ウランの輸入ではないかと思うんですが、確認しておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 手元に限られた年の実績値しかございませんけれども、アメリカが一番多いことは事実でございます。

吉井委員 これは金額的に見ても二けたぐらい違うので、圧倒的に濃縮ウランの形で輸入しているというのが現実だということを見ておかなきゃいけないと思います。

 戦後日本のエネルギー政策の流れを少し見ておきますと、実は、終戦直後の日本の経済復興の柱になったのは日本国内の石炭でした。これは筑豊や三池を初めとして、日本じゅうにたくさんの炭鉱がありました。それが、大体一九五〇年代後半ぐらいから六〇年前後にかけて、アメリカの石油メジャーの支配のもとに、石炭産業構造改革と称して炭鉱を次々と閉山、廃鉱にして、中東を初めとする、当時のアメリカの石油メジャーが押さえていた国々、そこからの原油に頼る、こういうふうになりました。

 ちょうどそれに前後するころですが、一九五三年十二月に、国連でアイゼンハワー大統領がアトムズ・フォー・ピースという政策転換を行いまして、平和のための原子力政策へ政策を転換して、ここから核兵器用の原子力開発から商業炉の開発あるいは輸出と政策転換をやってきたという中で、ちょうどそのころに、日本に原発の売り込みもありましたが、第一次石油ショックなどもあって、アメリカの軽水炉を導入して原発推進に転換したというのが当時の状況でした。

 こうした中で、ウラン確保のために、一九七二年から一九九五年にかけては、ウランの確保がなかなか大変ということもあって、国連では南アフリカ、南アに対する制裁決議が行われて、南アや南ア支配下のナミビアから鉱物の輸入が禁止されておったときですが、日本の電気事業者は、この七二年から九五年にかけて、ナミビアからのウランの密貿易という形になることをやっていたのではありませんか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の、南アフリカからの輸入が禁止されていた時代のナミビアからのウランの輸入についてのお尋ねでございますけれども、七四年の九月に、国連のナミビア理事会布告というのがございました。これはナミビアの天然資源の権益を保護するということを目的としたものでございまして、国内法的な性格を有するものだということで、他国に対して輸入規制等の措置を講ずることを義務づけるものではないというふうな解釈が当時からなされていたようでございます。

 しかしながら、我が国といたしましては、それはそれとして、同布告と同布告に関する国連総会決議の政治的な意味は理解をするということで、七五年の通産省公報等によって、事業者に、この布告があること、あるいはこの布告の内容を周知したところでございます。

 今御指摘がいろいろございましたけれども、八八年のころには、これは当時の通商産業大臣でございますけれども、電力会社が新たなウラン購入契約を締結する場合には、原産国がナミビア以外であることが明らかになるような契約でやりなさいということを指導すると言われました。

 二〇〇二年の段階で、八八年の十一月当時の既存の契約、あるいは、八八年十一月から九〇年三月までの、ナミビアの独立までの期間でございますけれども、それにおける調達計画について電力会社等々に聴取をいたしまして、我が国の政府のとった、今申し上げた指導の趣旨に反するような取引は確認されなかったというふうに理解をしてございます。

吉井委員 これは私も当時、もう大分前になりますが、電事連の方から資料を得まして、東京電力、関西電力などで、やはり私が指摘した年代に、圧倒的に多数のウランを購入していたわけです。ですから、これは国家的密貿易と言われても仕方のない実態があったということを改めて言っておかなきゃいけないと思うんです。

 それで、当時からも、濃縮ウランとして輸入するときは、日米原子力協定の関係もあってアメリカが中心だったんですが、これでエネルギー自給率四%の日本になってしまったわけですよ。石炭は廃鉱にしてしまう、石油はアメリカの石油メジャー、濃縮ウランもアメリカから、こういうふうになっているわけですから、食料だけでなくエネルギー自給率の面でも、エネルギー自給率四%ということは非常に深刻な事態に今なっていると思うんです。

 そこで、国産のメタンハイドレートの開発をどう進めるかということ、この点については非常に大事な課題の一つだと考えておりますので、経産省としての取り組みの考えを海江田大臣の方から伺っておきたいと思います。

海江田国務大臣 吉井委員にお答えをいたします。

 確かに、エネルギー自給率四%というのは低いという認識を私も持っております。

 その上で、御指摘のありましたメタンハイドレートでございますが、海底約数百メートルの低温、高圧のもとで、天然ガスの主成分であるメタンガスが氷状になっている物質と考えております。

 日本近海には、我が国の天然ガス消費量の百年分とも言われる相当量の賦存、賦存というのは難しい言葉で余り私は使いたくないんですが、ほかに適当な言葉がありませんので、賦存しておるというふうに見込まれておりますが、将来の国産クリーンエネルギーとしての期待が大変高いということでございます。

 ただ、技術上の問題点もございまして、これはもう吉井委員はつとに御案内だろうと思いますが、従来の天然ガスと異なりまして、ただ井戸を掘って、そうすれば自動的に出てくるということではないということで、生産技術を開発しなければいけないということでございます。平成二十一年三月に策定した海洋エネルギー・鉱物資源開発計画に基づき、平成三十年度をめどに、商業生産に必要な技術を確立することを目指して研究開発を進めております。

 なお、平成二十四年度には、静岡県から和歌山県の沖合海域、いわゆる東部南海トラフ海域において、世界で初めて海洋での生産試験を行う予定で、現在、そのための準備を進めているところであります。

吉井委員 かつて石炭の方も、その時代における採炭コストが日本は高いということでもって捨ててしまったんですが、可採埋蔵量としては二百四十年分ぐらいあったわけですね。今、賦存量百年分という話ですが、私は、こういうところに力を入れることも含めて、再生可能エネルギーの比率を爆発的に普及させる、地熱や国産のメタン資源などの活用を含めて、エネルギーの自給率を飛躍的に高めるという具体的な取り組みがこれから必要だということを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、大体、熱水鉱床もそうですけれども、日本の場合、地震国ですから、いろいろな資源が逆にあるわけですね。その問題として、今度は地震帯について伺っておきたいと思うんですが、経産省の方でも、当然、世界の地震地図については関心を持って把握しておられると思いますから、これは経産省に伺っておきます。

 かつての地質調査所、あるいはUSGSなどのデータによって、世界の地震地図によると、日本列島から千島列島、アリューシャン列島、北米大陸西岸部、中米から南米西岸部にかけて、地震多発地帯となっていますね。それから、日本列島から南に、フィリピン、インドネシア、ニュージーランドにかけても大きな地震帯が走っておりますし、中央アジアからイタリアにかけても地震地帯というふうに考えていいかと思いますが、これは政府参考人の方に伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘のように、世界で地震が発生する可能性のあるところの地図につきましては、これまでも資料要求をいただいております。こういう、今お手持ちの地図もお渡しをしてございます。こういったことからわかるように、一定の地震の可能性というのはマップになっているものと承知をしております。

吉井委員 今のは原発地図の方で、実際にはUSGSなどで資料が出ておりますが、今言ったようなところは地震地帯なんです。これは何度も何度も大きな地震に襲われた地域なんです。

 そういう中で、経産大臣に伺っておきたいのは、世界の地震地図を見ると、これは今エネ庁の方からも示していただいたように、どこに原発があるかという原発地図を見ると、日本列島は異常な原発集中立地帯なんです。

 世界第一位の原発大国アメリカは、二〇〇八年度で運転中が百四基とか、データは若干、百三基とか四基とかありますが、地震のない中部から東部にかけて立地しているものが百四基なんですね。それで、カリフォルニアの活断層地帯、西岸部ですね、ここは、実は計画中止が相次いだこともあって、西部では八基と、原発大国のアメリカでも地震地帯にはほとんどないんです。第二位のフランスは全く地震のない国で、これも経産省が把握しているとおりのものなんです。原発の集中立地しているところには、アメリカでもないし、フランスはもともと地震がない国なんです、原発はあるけれども、もともとそこは逆に地震のないところ。アメリカでも、原発立地しているのは中部から東部の、活断層やら、地震がほとんどないところということは認識しておられるかどうかを伺っておきます。

海江田国務大臣 認識をしております。

吉井委員 原発大国アメリカでも、活断層法という法律までつくって、活断層地帯には原発をつくらない、つくらせないということになっております。地震の多いカリフォルニアには原発が非常に少なくて、大体、中部から東部に多いということがはっきりしているわけです。

 世界で二番目の原発大国フランスの場合には、もともとフランスがプレートのぶつかったようなところじゃないということとか、活断層が余りないというところですから、そういう地震のない国でも、それでも、高速増殖炉スーパーフェニックスなどは計画を中止する、施設も高速増殖炉用としてはもう廃止ということになっているわけですね。

 だから、地震大国日本で原発増設という考え方というのはやはり異常なんです。再生可能エネルギーの爆発的普及によって、今直ちに全部とめるということは、三分の一は原発に頼っていますからできないにしても、やはり段階的撤退を考えていくという方向へエネルギー政策を大きくかじ切りをしなきゃいけないと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

海江田国務大臣 長い時間をかけて段階的にというのはまさにこれから議論をしなければいけないところでありまして、今、まず、日本の原子力発電所の安全性を高める、今ある発電所の安全性を高めるということに私は一番力を注いでおります。

吉井委員 これは、ドイツの原発の地図を見ていましても、それからドイツの地震の地図を見ておりましても、もともとドイツには地震はないんですよ。そこでも、ドイツは、これからの十年で原発をなくしていこう、そのためにはやはりエネルギーとして再生可能エネルギーを爆発的に普及させようという政策を持っているわけですね。

 五十年、百年かかって将来的に再生可能エネルギーへという話じゃなくて、実際にそのことに取り組むということに踏み込んで、そして政策的にその取り組みをしないことには、原発からの段階的撤退にはならない。いつまでたっても原発依存ということになります。

 最も問題になるのは、この間取り上げました、浜岡は震源域の真上ですから、こういうものは、一時的な停止で緊急措置をとったらよろしいということじゃなくて、やはり廃炉へいかなきゃいけないと思います。

 日本は四方を海に囲まれた国です。だから、陸上の紛争はないわけですね。海洋資源探査に当たって、周辺国との境界上の資源の扱いをめぐって主張が異なってくるということはあり得るわけです。この場合に、案件ごとに関係国との間で外交的調整を要することになってくると思います。この場合、中国、韓国、ロシアなど周辺国と外交努力で平和な北東アジアの海を実現していく、このことがやはり今度の法律を考えても最も大事な課題になってくる。

 このことを申し上げまして、ちょうど質疑時間が終了しましたと札が参りましたので、質問を終わります。

田中委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 本日は、海洋資源の採掘を推進していくということは大変重要だと思いますが、同時に、海洋資源の採掘を進める前に、万が一の事故や環境汚染が起きた場合のこともしっかり考えた上で資源確保に努めていかなくてはいけない、そういう問題意識で質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、今回の鉱業法の一部改正に当たっては、鉱業権の設定等に係る許可基準の追加が含まれております。技術的能力を審査した上で許可を出すということになっておりますが、その技術的能力の審査のやり方についてお尋ねしたいと思います。

 メキシコ湾の原油の流出事故のように、国際的な大企業、BPのような一流企業であっても大きな事故を起こしてしまうことがあるわけですから、どんな基準で許可を出していき、経産省でどういう人がその審査に当たるのか、その点についてお尋ねしたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘は、大変大切な点だと認識をさせていただいております。今先生おっしゃったように、技術的能力につきましては、鉱区の規模とか開発の態様などによりましてさまざまだというふうに認識をしております。案件ごとに丁寧に判断をしていくことが大変大切だと思っております。

 いずれにいたしましても、一つは、例えば同種の開発プロジェクトに参加をしているかどうかといったような過去の実績でございます。あるいは、どういった設備、機材を使っていくのかといったような物理的な面での比較でございます。あるいは、今先生御指摘のありましたような、不測の事態によってどういった災害を発生させるか、鉱害が出てくる可能性をどこまで認識しているのか、あるいはそれをどのように防止しようとしているのかといったような防止措置でございます。こういったようなものを総合的に判断させていただくということが大変大切だと思っております。

 また、これは経済産業省の知見だけではなくて、必要に応じまして外部の専門家の御知見、あるいは、今先生からお話がございましたが、メキシコ湾での事故も含めました海外でのこれまでのさまざまな事例、こういったようなものを最大限に活用させていただいて、適切な審査に万全を期してまいりたいと思っております。

山内委員 今の答弁に関連してもう少しお聞きしたいんですけれども、外部の知見というお話がありました。その外部の人はどういう形で審査に入ってくるんでしょうか。何か審査委員会みたいなものをつくるんでしょうか。どういう形になるんでしょうか。

安藤政府参考人 現在のところ、どういったフレームワークでやるのかということについては、特段まだ私どもの事務的な検討の結論が出ているわけではございませんですけれども、場合によりましては、今先生おっしゃったように、何かきっちりした委員会的なもの、あるいは検討チームのようなもの、そういったようなものを立ち上げまして、そこに必要な方に御参加をいただくといったような方式も含めて、どういった体制が一番適切であるかについて今後鋭意考えさせていただきたいと思っております。

山内委員 そこで選ぶ民間の有識者、専門家の人、どういう人を選ぶか、なれ合いにならないような、しっかりとした審査ができる体制をつくるためにぜひいろいろな御配慮をいただきたいと思います。

 今後、もし、先ほどから話題になっておりますメタンハイドレート、こういった資源の採掘が盛んになれば当然事故が起きてくる可能性も高まってまいります。そのメタンハイドレート、東海トラフ、南海トラフ、そういうところにあるということを聞いていますが、まさに東海トラフだ、南海トラフだというと、何だかいかにも地震とか津波が起きそうな名前ですから、もし実際に採掘を始めましたら、例えば津波の災害、例えば地震の災害、いろいろなケースを想定して事故対策をとっておかなくてはいけないと思います。しかも、日本はこれまで海上で石油を採掘するという経験は、余り、恐らく国内ではないわけです。ごく一部しかない、限られた経験しかない。そんな中で、今後、どういった事故に対する予防策、あるいは仮に事故が起きた場合の対応策というのを政府としてお考えなんでしょうか。それについて政府の御見解をお尋ねします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 鉱山保安法による対応について御説明をいたしたいと思います。

 海洋における従来型の石油、天然ガス鉱山の事故防止や万一事故が発生した場合の対応につきましては、鉱山保安法に規定がございまして、リスクマネジメントの考え方に従いまして、必要な対応を事業者であります鉱業権者自身が自主的、積極的に保安規程に定めます。これを全国各ブロックにあります産業保安監督部が定期的に検査、指導を行う体制となっております。

 特に周辺海域などへの影響が大きい海底油田につきましては、採掘深度や石油ガス田の特徴に従った暴噴防止装置を設置させたり、緊急時の対応マニュアル、あるいはさらに海域に油が流出した場合のオイルフェンスの備えつけ等を規定しております。さらには、近隣のコンビナートでありますとか石油関連施設との共同防災協議会というものがございまして、これからの応援について具体的かつ広範な対応を定めるなど、万一の対応を備えているところでございます。

 先生御指摘の、今後のメタンハイドレートあるいは海底熱水鉱床等の採掘についてでございますが、現時点で商業的に採算のとれる採掘方法はまだ確立しておりません。ということで、保安面の措置を詳細に検討する段階にはございませんが、今後、その方法が確立するめどが立ってきた段階で、必要な技術基準等を定めて、保安面で万全な体制を構築できるよう適切に対応してまいりたいと思っております。

山内委員 まだ実現していないので対策もまだということですけれども、ぜひ始める前に安全対策も、同じ時期にはちゃんと用意していただきたいと思います。

 それから、仮に海洋環境汚染が発生した場合、恐らく、最初は事業者が対応するのは当然ですが、その次は海上保安庁の領域になってくるかと思いますが、海上保安庁は、現在、そういう油の流出事故、あるいはさまざまな形の海洋汚染に対してどういう人員体制をとっていらっしゃるんでしょうか。

城野政府参考人 お答え申し上げます。

 海洋汚染を惹起しますような大規模な油等の流出事故が発生しました場合におきましては、先生御指摘されましたように、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づきまして、まずは原因者が海上保安庁に対して通報を行い、必要な防除措置を講じることとされておりますが、海上保安庁といたしましては、当該防除措置の指導を行いますとともに、原因者のみでは防除が困難なときには、国や地方の関係行政機関と連携をいたしまして必要な防除措置等を実施することとしております。

 このため、海上保安庁では、早期の油回収等が実施できるよう油防除資機材を全国に配備し、平素から訓練を実施するなどして、油流出事故への対応能力の向上、関係機関等との連携の強化を図っております。

 また、横浜の機動防除基地には、専門家集団であります機動防除隊四隊十六名が交代で常時出動体制をとっておりまして、事故が発生した場合には、海上に排出された油あるいは有害液体物質、危険物等の防除措置に関する指導助言及び関係者間の調整を行いますとともに、必要に応じてみずからも防除措置を実施することにしております。

 以上でございます。

山内委員 海上保安庁の海上保安官の皆さんは、不審船の取り締まりとか人命救助とか、いろいろな仕事をやるのと同時並行で海洋環境保全の仕事もやっているというふうに聞きまして、専従でやっているのはわずか十六人しかいない、いざというとき非常に心配だなというような体制であることを、きのう役所の方に聞いて思い知らされました。ぜひ、これから本格的に海洋資源の採掘を始めるまでにはそういった体制の整備というのも必要なんじゃないかなというふうに思います。

 メキシコ湾のBPの原油流出事故の際には、アメリカの沿岸警備隊、海洋保全局、環境保護庁、NPOを総動員して、一日当たり四万七千人の作業員、一日当たり八千隻の船舶、それから百二十機の航空機が原油流出の防除作業にかかわったと聞いております。アメリカが国力を挙げて四万七千人の作業員を動員しているときに、海上保安庁は十六人しか専従がいないというのは大変お寒い状況だなと思いますので、仮に今後海洋資源の採掘が本格化するのであれば、海上保安庁、経産省、あるいは自衛隊にもそういう部署があると聞いていますので、国を挙げて、いざというときに取り組める体制をつくっていく必要があるかと思います。

 それに関しては、大臣に、ちょっと事前通告しておりませんが、海上保安庁だけで対応できる問題でもありませんし、経産省だけでも無理ですし、当然事業者だけでもだめだと思います。恐らく、政府を挙げて、内閣を挙げて、今後、大きな環境汚染事故が起きたときの体制をつくらなくちゃいけない。

 特に、今、福島の原発の事故で、海江田大臣はまさに最前線でやっていらっしゃるわけですけれども、経産省だけでは当然対応できません。いろいろな関係者、関係機関、あるいは民間の事業者も含めて体制をつくっていく必要があると思いますが、今回の原発事故みたいに想定外だということは今後は許されないと思います、海洋資源の採掘を始めたら想定しておかなくてはいけない事故というのは当然たくさんあるわけですから、国として、内閣として、どういった対応が必要か、大臣の個人的な見解で結構です、お考えをお聞きしたいと思います。

海江田国務大臣 基本的には、鉱山保安法だということは、先ほど来御説明をしたとおりでございますが、ただ、一たん事が起こりましたとき、そうした法律の範囲でしっかりとした対応ができるかどうかということは、今度の原子力の事故を通じても実感をしたところでございます。

 治にいて乱を忘れずという言葉がございますが、委員の御指摘、拳々服膺しまして、しっかりと事に当たっていきたいと思っております。

 以上でございます。

山内委員 最後は質問というよりも要望ということで聞いていただければと思いますが、福島の原発の事故で我々が思い知らされたのは、本当に想定外のことが余りにも起きておりますが、もっと想定の幅を広げておかなくちゃいけないんじゃないか。

 例えば、海底油田の掘削用のリグでテロ事件が起きるみたいなこともハリウッドの映画では既にありますが、同じようなことが起きないとも限りません。津波もあるかもしれない、地震もあるかもしれない。あるいは、純粋に作業員のミスなんかで大きな事故が起きる。今回のメキシコのBPの事故は人災みたいなところもあるようですけれども、いろいろなケースを想定して、そのために、いざというとき、万が一のための体制整備、人員も予算もあると思いますし、各国の事例研究を含めて、これから本格的に海洋資源の確保に乗り出す前に、安全対策と環境対策にぜひ力を入れてやっていただきたいと思います。

 そろそろ質疑時間が終了しますので、以上で終わりますが、大臣、もし御見解があれば、一言お願いできればと思います。

海江田国務大臣 これからもよろしく御指導ください。

山内委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の本案に対し、外務委員会から連合審査会開会の申し入れがありました場合には、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、委員長間で協議の上、公報をもってお知らせいたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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