衆議院

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第11号 平成23年5月25日(水曜日)

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平成二十三年五月二十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      泉  健太君    緒方林太郎君

      金子 健一君    川口  博君

      川島智太郎君   木村たけつか君

      京野 公子君    櫛渕 万里君

      熊田 篤嗣君    斉木 武志君

      斎藤やすのり君    柴橋 正直君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      平  智之君    高井 崇志君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      山本 剛正君    湯原 俊二君

      吉田おさむ君    梶山 弘志君

      近藤三津枝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    西野あきら君

      額賀福志郎君    望月 義夫君

      稲津  久君    吉井 英勝君

      山内 康一君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)  海江田万里君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室長)            北川 慎介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房政策評価審議官)       宮本  聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      横尾 英博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   黒木 慎一君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    豊永 厚志君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  川口  博君     高井 崇志君

  斎藤やすのり君    金子 健一君

  田嶋  要君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     田嶋  要君

  金子 健一君     湯原 俊二君

  高井 崇志君     京野 公子君

同日

 辞任         補欠選任

  京野 公子君     川口  博君

  湯原 俊二君     斎藤やすのり君

    ―――――――――――――

五月二十四日

 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)(参議院送付)

 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)(参議院送付)

 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室長北川慎介君、経済産業省大臣官房政策評価審議官宮本聡君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長横尾英博君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官黒木慎一君及び中小企業庁次長豊永厚志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 被災地宮城県の衆議院議員の斎藤やすのりと申します。

 福島原発の問題から質問させていただきます。

 福島原発の問題というのは、実は、隣の私の住む宮城県でも深刻な影響を及ぼしています。今地元に帰ると、本当に感じるのは、特に小さい子供を持つお父さん、お母さんたちの不安が日に日に増幅しているなということを感じます。話を聞きますと、外で長い間遊ばせても大丈夫ですか、プールに入っても害はないのか、給食の牛乳とかおかずは検査をきちんとやっているんですかと、非常に心配されています。

 これも、ちょっと情報が足りないということもございます。福島の隣なんですけれども、まだちりとか雨の降下物の放射能の検査をしていなかったり、それから、大崎市というところでは牧草からセシウムが出たんですけれども空間放射線は観測していないとか、情報が明らかに足りない状況なんです。

 こういった不安を証明するデータが一つありまして、宮城県庁にこの放射能に関する問い合わせ、それから要望が、五月の二十二日までに四千百四十六件も来ている、そういうデータもございます。それだけ皆さん心配されている。放射能は見えないですから、なるべく見える化が必要だと思うんですけれども、この見える化については、私、昨日、復興の特別委員会の方で高木文科大臣に、線量計をぜひ宮城、関東の小中学校、幼稚園に支給するようお願いしますという形で要望させていただいております。

 それから、この放射能の不安というのは、今まさに空気中を漂っているものだけではなくて、これから一体何が起こるのか、そういう不安も抱えていることから、この不安というのは起きているというふうに思います。報道を見る限り、福島原発の事故というのは、いまだ進行中と残念ながら思わざるを得ません。

 そこで質問です。

 福島第一原子力発電所三号機で、先々週、原子炉圧力容器の温度が上昇していた。今は下がっているんですけれども、これを見ますと、非常に不安定な状況だな、圧力容器の中で一体何が起きているのか。心配なのは、この後、仮にこれをきちんとグリップできない、収拾できなかった場合にどのようなことが起こり得るのか。非常に聞きにくいんですけれども、最悪の事態をどのように想定されているのかというのを、ぜひ、宮城県民の多くの方が国に聞いてくれということを言われましたので、きょうはまずその質問からさせていただきます。よろしくお願いします。

海江田国務大臣 お答えをいたします。

 東京電力福島第一発電所の現況でございますが、一号、二号、三号、それから、四号は炉心には燃料は入っておりませんが、その分も含めて使用済み燃料プールにたくさん入っておりますので、四号も含めて注視が必要だという認識でございます。

 三号機につきましては、先ほど委員もお尋ねがありましたが、二週間ぐらい前、温度が上がりまして大変心配をいたしました。幸い、今、その温度が下がっております。大体百度近傍、百十度ぐらいのところでございますが。これは、今、温度が上がった原因が何であるのかということも調査中でありますが、基本的に、温度が上がった場合、それに対する対応策というのは、やはり水をかけて冷やすしかないわけであります。

 水をかけて冷やすと、確かにこの三号機についても温度が下がっております。これは毎日毎日、しかも、毎時間毎時間、注水の水量を、幾つか注入をする系統がありますが、その入れ方を、例えば消火系を一時間当たり六トンにするとか、あるいはこれを少し温度が上がってくると十トンにするとか、そういう形で、まず炉の温度を安定させるためにそうした注水を、本当に時間ごとに神経を使いながら注水量を決めている。注水がふえれば確かに温度は下がります。ただ、そうしますと汚染された水がふえるということで、この処理の新たな問題が出てまいります。

 そして、今、後段で御質問のありました、このリスクと申しますか、最悪の事態はどういうことを想定しているんだということでございますが、今の状況ではその可能性は低くなっておりますけれども、最悪の事態ということでいえば、一つは水素爆発でございます。

 水素爆発を防ぐためには、実は窒素の封入というものが効果的でございます。これは、水素と酸素の割合を窒素を封入することによってバランスをとるということで、一号機についてはもう既に窒素封入が行われています。ただ、これもリークがございますので、注入をし続けるということをしなければいけませんが、二号機、三号機については、まだ残念ながらこの窒素の封入ということが行われておりません。ですから、この水素爆発の危険性は、高くはございませんが、ゼロではありませんので、それを少しでも安心いただくためには、やはり窒素封入をしなければいけないということでございます。

 それからもう一つ、これはさらに可能性は低くなろうかと思いますけれども、再臨界の話でございます。

 この再臨界につきましては、硼酸ですね、もともとは硼素という形で、燃料棒が中に入っていたわけでございますが、それが溶けてしまいました。もちろん、溶けましていろいろなものがまじることによって、臨界をさせるためにはかなり計画的にと申しますか、割合なども考えた上で、まさに燃料棒の配置などによって臨界をさせやすくしてあるわけでございますが、そういうバランスが崩れておりますから、その再臨界の可能性は非常に低いわけでございますが、これに対する有効な手段として、一つは、先ほどお話をした硼酸というものが考えられますので、水を入れますときに一緒に硼酸も加えて再臨界の可能性を限りなくゼロに近づける、こういう努力をやっているところでございます。

 あと、もし許されれば、確かに、大気中に放射性物質が飛散をしている状況はまだございます。それがどの程度毎時あるいは毎日飛散をしているのかということは、今調査をしておりまして、真上に行きましてその線量をとっておりまして、これは間もなく公表できるかと思います、今解析をしておりますから。

 あるいは、炉の上にそれぞれ遮へいの、これはネットみたいな形になりますが、遮へい性の高い覆いをつくりまして、少し時間がかかりますが、外気への、環境中への放射性物質の飛散を防ぐ、こういうことを考えているところでございます。

斎藤(や)委員 非常にわかりやすくて、明快な答弁、ありがとうございます。リスクを知ることで逆に安心するということもあると思うんですね。きょう、私は、ツイッターなどで、放射能の不安のある方は大臣に直接リスクのことを聞きますのでぜひ見てくださいという形で告知いたしました。それを見て、今大臣の答弁を聞いて、今現状はそうなのかと、非常に今わかりやすい答弁だったと思います。ありがとうございます。

 ただ、今大臣がおっしゃったように、水素爆発が起こる可能性がゼロではないという話をされておりました。問題は、水素爆発が起きたらなんですね、起きたらなんです。

 残念ながら、三月中旬の相次ぐ爆発事故のときに、SPEEDI、それからWSPEEDIなどの予測データが公開されなかったということがございました。仮にこれから水素爆発、水蒸気爆発が起きたときに、SPEEDI、WSPEEDIの予測データというのは、これは国民に公開されるのでしょうか。大臣、よろしくお願いします。

海江田国務大臣 これは、当然公開をするものだと承知をしております。

斎藤(や)委員 ぜひよろしくお願いします。過去の観測データじゃなくて、ぜひ未来の予測図を爆発が起きた段階で公開していただければ幸いでございます。

 飯舘村、福島の中通りの線量が高いというのは、十五日朝に福島第一原発の二号機の圧力抑制室で爆発、破壊が起きて、大量に放射能が放出されたというふうに私は認識しております。これが塊、プルームになって南東方面、飯舘や福島方面に向かって、夕方からの雨で落ちてきたというふうに私は認識しております。

 ぜひ皆さんに資料を見ていただきたいんですけれども、WSPEEDI、これはSPEEDIの拡大版ですけれども、図が出ております。これは、三月十五日の昼に出されたその夜の図だと思うんですけれども、ある程度、南東から北西方向に線量の高い空気の塊が届くよということが出ております。風も、ごらんのように南東風が吹いていて、きちんと予測できているんですね。

 政府が当初避難を求めていたのは原発から半径二十キロ圏内の住民の方ですけれども、このデータがあったわけですから、ちょっと言いにくいんですけれども、飯舘村や浪江の方に、もしこのSPEEDIのデータがあれば、余分な放射能を浴びせずに済んだのではないかなというふうに私は思ってしまいます。

 この日は、たまたま南東風が吹いたから、たまたま雨が降ったから、飯舘や浪江が残念ながらホットスポットになってしまった。風がもし別の方向に吹いていたら、別の場所が汚染されていた。これは関東だって宮城だって汚染されていた可能性が十分あるわけです。だから、放射能予報とリアルタイムのデータのモニタリングというのは、何が起こるかわからないこの状況の中では不可欠だというふうに私は思います。

 これは私から一つ提言なんですけれども、特に放射性物質の予報、それからSPEEDI、こういった情報も含めて、地震が起きる前に緊急地震速報でエリアメールが飛んできますけれども、もし爆発が起きた際に、ぜひそういったエリアメールを使って住民に告知する方法が、テレビだけではなくて、あるんじゃないか。できれば、それが巻物のようになっていて、その中にSPEEDIのデータが入っていて、何時間後には濃い部分があなたの住むところに入ってきますよ、だからなるべく早く指示に従って避難してくださいよというような、情報公開のあり方というのはあるのではないかなというふうに私は思いますので、そういったこともぜひ今後検討していただければ幸いでございます。

 今、放射能は目に見えない形で我々を不安に陥れているわけなんですけれども、放射能というのは、形を変えて、目に見えるものとして日本全国へ拡散するリスクをはらんでおります。

 その一例が、福島県郡山市の県中浄化センターから放射性物質を含む汚泥が検出されたことです。この汚泥が、実はセメント材として関東地方のセメント工場に出荷されていた。これは五月三日、読売新聞の報道でございます。東京都でも、江東区の下水処理施設で、三月二十五日に採取された汚泥の焼却灰から一キロ当たり十七万ベクレルの放射性物質が検出されている。これらの焼却灰などが建築資材などに再利用されている。私、済みません、恥ずかしながら初めて知ったんですけれども、こういった汚泥がセメントだとか路盤材などにリサイクルされているんですね。

 このようにふだんから何らかの材料としてリサイクルで使われている灰だとか汚泥の取り扱いの基準、処分方法、これは早急に確立しないと、さらに事態が悪化する、拡散してしまうおそれがあるんじゃないかと私は非常に危惧を覚えています。

 これらに関して、放射性物質が含まれている汚泥、土壌の処分も含めて、国はどのような方針を持っているのか、それから、我々の日常生活の場へこれらが拡散されないようにどのような対策をこの後とっていくのかというのをぜひお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

中山大臣政務官 汚泥の場合は、恐らく雨等で道路に落ちていたものが雨水として一緒に入っていった、仮定法ですが、このように考えられているわけです。

 確かに、今お話しのように十万ベクレル以上のものもあるようでございまして、十万という基準より下のものはまだいいんですが、上のものについては、保管所であるとか、今言ったような、いろいろな、道路のものに使ったり一つの製品にしたり、または、セメントとまぜるとか、そういうようなことには一切使わないように一定の基準は設けてやっております。それは、一応十万という形にはなっておりますが、できる限り危ないものはまず保管をしておく、いろいろな答えが出るまでにまだ表に出さないというのが基本的な考え方でございます。

斎藤(や)委員 政務官、ありがとうございます。その汚泥の管理についても、皆さんは、この後、放射能の物質を含んだ汚泥だとかの廃棄なども考えられると思うんですが、そこの管理もぜひよろしくお願いいたします。

 本当に、子供を持つ親御さんたちは、こういった汚泥だとか汚染された土がこの後どこに行くんだろう、もしかしたら自分の家の近くに廃棄処理されるんじゃないかというふうにおびえている方も非常に多いですから、このあたりのスキームもぜひこの後国民に公開していただければというふうに思います。

 さて、被災地の話をいたしますと、この放射能の不安、それから、瓦れきが片づけない、義援金、支援金がなかなか来ない、仙台でもまだほとんど来ていません。復興の光がなかなか見えないんです。やはり、そろそろ東北の被災地の方に夢と希望をぜひ見せていかないといけないんじゃないか。それには、こういう新しい産業を東北につくりますよというメッセージを出さなければいけないと思うんです。

 私は、その一つが再生可能エネルギーの導入促進、それにかかわる産業の成長だと思っております。きょう、東北がいかにその再生可能エネルギーのポテンシャルが高いかというのを資料で二枚目にお出ししております。

 まず、太陽光、日照時間なんですけれども、石巻、南三陸、気仙沼、岩手の三陸、このあたりはほかのエリアに比べて日照時間が東北の中でも非常に高いんです。東北のサンベルトというふうに言ってもいいと思います。石巻なんかは、宮城県で最も日照時間が多い、本当に太陽の町でございます。それから、風力に関して言いますと、ごらんのように、緑色、赤の部分が被災地のあたりにずっと分布しているんですね。

 東北電力の管内というのは、東京電力の管内と比べまして四倍近い再生可能エネルギーの導入ポテンシャルがございます。北上山地のバイオマス、北上川水系の小水力。自然の力を使わないともったいないです。残念ながら、今は、インフラの設備コストを回収できて得するような制度設計には、皆さんがよくわかっているように、なっていない。ここはやはり、政治の力一つで一気に導入を進めるべきだと私は思うんですね。

 東北は今ピンチです。このピンチをチャンスに変えるのは、エネルギーシフトだというふうに私は思っております。今回の震災で、東北の再生可能エネルギー促進のために何か政府でこんなプランを考えていますよ、こんな夢がありますよというのがあったら、ぜひよろしくお願いします、政務官。

中山大臣政務官 今の太陽のこれを見まして、天気の斎藤さんと言われるだけありまして、東北放送で長年天気を研究された経緯からも、これは本当に聞くに値する大変貴重な資料だというふうに私も思って見せてもらいました。

 なお、太陽光パネルとかいろいろなものをつくる、中小いろいろまぜまして、大きな産業が実は東北に育っておりまして、これは、製造して、またはパネルを屋上に載っけるとか、そういうような仕事も相当波及効果があるというふうに私どもは見ておりまして、私どもの資料でも、これは本当に、大企業もかなりあります、十五の会社が集中しているということもあります。

 今言ったように、どうやってインセンティブを引くかということだと思いますが、まずは全量買い取り制度でありますとか、もう一つは、やはり何かをつける、それについての補助金であるとか、いろいろなことを今考えているわけでございます。風力についても、茨城県なども海岸に持ってきたらどうかと。かなり大きなプロジェクトなんです。

 でも、その前提は、買い取り制度を早くやってくれないか、このようなことを言われております。太陽光を使うにしても、そのインセンティブは、全量買い取り制度であるとか、固定価格買い取り制度であるとか、いろいろな問題があると思います。これも早く皆さんに審議をしていただいて、太陽光を初めとするこれからの新しいエネルギーを活用するまちづくりを早くやりたい。そのためには、早くこの法律案も審議をしていただいて、ぜひ皆さんの俎上にのっけていただきたい、このように考えているわけでございます。

斎藤(や)委員 ぜひ早期に固定価格買い取り制度の導入をしていただきたいんですけれども、さらに踏み込んで、タリフを、固定価格を例えば東北に関しては上げるとか、東北だけ上げるのは不公平じゃないかと思われるかもしれませんが、あるいは、エリア別で、ここはバイオマスが得意だ、ここは風が強いから風力だろう、そういった形で地域別、種類別で東北に限ってはタリフを変動させるというような制度設計も、この危機的な状況の中であるのではないかなというふうに私は思いますので、ぜひ考えていただければ幸いでございます。

 本当に、エネルギーはまさにパラダイムシフトをしなければいけない時期だと思うんですけれども、これから石油価格もどんどん上がるんじゃないか、二〇三〇年には油の価格が二倍になるんじゃないか。既に石油を買うのに二十兆円も国は使っています。そろそろこのエネルギー資源というものを国産で賄うことも、さらに踏み込んで考えてもいいんじゃないか。

 いや、そんな資源なんかないよと思われるかもしれませんけれども、この前の委員会でもメタンハイドレートの話が出ました。このメタンハイドレートなんですけれども、我が国の近海にも相当量存在しているのがわかっています。

 静岡県から和歌山県沖は日本の天然ガス消費量の十四年分。でも、水深千メートルよりも深い、冷たい温度のところでないと存在できない。しかも、さらに海底よりも底、もっと中ですから、コストも非常にかかるんですね。

 しかし、別の場所に太平洋側ほどコストがかからないで掘れそうなところがあるんです。新潟県の上越市沖なんですけれども。

 三枚目の資料をちょっと見ていただきたいんですが、この上越沖をいろいろ調べてみますと、非常に利点が多い。すぐにこれは実用化できるんじゃないかと私は思ってしまう幾つかの事象があるんです。

 まず一番目です。普通、メタンハイドレートというのは、海底のさらに底なんですけれども、これはむき出しになっているんですね。むき出しになっていて、すぐキャッチすることができる。

 二番を見てください。いいのは、これはエコーが出ています。大体五百メートルのあたりまでエコーが、ぶくぶく気泡となって出ているんですが、これは魚群探知機です、魚群探知機でメタンハイドレートの位置がわかるんですね。

 魚群といえば、このあたりはズワイガニの産地ですけれども、実はこのメタンハイドレートの気泡があるところには、三番を見てください、ズワイガニが集まっているんです。目で見て非常にわかりやすい。通常の生息密度の数倍から約八十倍、メタンが出てくるところでこのカニはいるそうです。最大三千三百四十一匹ものカニが密集していた。

 上越沖のメタンハイドレートは海底に露出しております。和歌山県沖は、海底の下さらに数百メートル。これを見ると、何か上越沖の方が早く開発できて実用化できるんじゃないかなというふうに思ってしまうんですけれども、これは国としての見解はどうでしょうか。ぜひ開発していただきたいんですが、よろしくお願いします。

中山大臣政務官 今の御指摘は、前に、私たちが持っている、日本付近の海底資源についての法律等のときも議論をされました。

 いわゆるエネルギーにするものは、資源の安定供給とできるだけ安価なもの、そしてCO2が出ない、こういうことで私たちはいろいろな採算性も考えてやっているわけですが、こうやって石油が値上がりをしたり天然ガスが値上がりをしてきて、このくらい上がってくれば、メタンハイドレートもそろそろコストをかけても合うのではないかという時期に来ていると思うんですね。

 ですから、委員御指摘のとおり、探索を初めとして、一番有利なものを活用して、日本全国の中でもできるだけ安価にとれるというもので、東京大学大学院理学系研究科の松本良地球惑星科学専攻教授も、これは先生が御指摘されたものとちょうど同じなんですが、こういうことを考えますと、費用をかけてもひょっとしたら採算が合うということで、すぐに研究にかからなければいけないということで私たちも注目しているわけでございます。

 今後は、安定供給という面で、これも何か百年ぐらいもつのではないかというような説もあります。そういう面では、日本の近海にこれだけのものがあるということは我々は注目しなければいけないし、費用をかけても元が取れるような状況になってきた。恐らく一バレルが百ドル超えているとか、または、もっと高くなる可能性がありますから、メタンハイドレートは当然採算性が合うようになってくるというふうに思います。

 そういう面では、私たちは研究に値するし、すぐにでも取り組まなければいけない問題だと認識をいたしております。

斎藤(や)委員 前向きな答弁を本当にありがとうございました。

 今ガスタービンコンバインドサイクルというのがどんどん入っていまして、これはCO2の排出も少なくて熱効率も高い。天然ガスを、こういったメタンハイドレートを使ってやればいいんじゃないかなというふうに思います。エネルギーの安全保障を考える上で、本当に、資源ナショナリズムという、こういうものに真剣にかじを切るときが来ているというふうに思います。

 二十一世紀のエネルギーの主流は、今回の事故で、残念ながら、これは意見はいろいろあると思いますけれども、もう原発ではなくなってしまったんじゃないかというふうに私は思っています。国民の多くがそれを許さなくなっていますし、世界もだんだん脱原発にかじを切っている。空気や水、太陽を使って多くのエネルギーをつくる国が、これからのエネルギーの覇権をとれるし、お金も集まってくるんじゃないかなというふうに思います。私は、経産委員会でこれから堂々と自然エネルギーの促進を叫んでいきたいというふうに考えております。

 きょうは、本当に明快な答弁、ありがとうございました。

田中委員長 以上で斎藤やすのり君の質疑は終了いたしました。

 次に、谷畑孝君。

谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。

 海江田大臣、また中山政務官、毎日の激務、本当に御苦労さまでございます。

 私、この間の連休、五月の七日から九日まで、東北を回ってまいりました。いわき市、石巻、陸前高田、そして釜石と、震災対策本部を訪ねたり、いわき市におきましては、私どもの仲間と一緒にたこ焼き、イカ焼き、それからラーメン、そういう炊き出しもさせていただいたりしてまいりました。

 そこで感じたことは、新緑でしたから、あれ、ここで地震が起こったのかなと。走っても走っても、すばらしい新緑と、そして家屋は立派にそのまま、健全である。ところが、一たび海岸へ行きましたら、もう陸前高田などは、二万四千ぐらいの人口で七割が、津波で家屋が根こそぎ海に持っていかれてしまった。わずか二十分の間で生死を分けてしまう、助かった人、死んでしまう人、そういうような悲惨な状況を見てまいりました。

 その中で感じたことは、阪神・淡路も、我々の震災も大変でした、六千を超える人が亡くなったわけですから。しかし、大分違うなということをつくづく感じたんです。

 それはどういうことかといえば、阪神・淡路の場合は、仮設住宅、仮設工場をつくれば、もともと大阪などに働きに行っておったとか、あるいは、長田町のヘップサンダルの靴等を含めて、仮設工場で生産が再開した、だから震災用の融資を受けて頑張ろうか、こういう希望というものがありました。しかし、この東北の震災は、漁業、農業という、生活そのものが根こそぎ破壊されてしまっている。

 私が陸前高田へ行ったときには、ちょうど仮設住宅が五十三カ所でき上がって、皆さん喜んでおられました。そして、自衛隊の皆さんも努力されて、移動浴場、大浴場、私も見学しましたけれども、本当に皆さん、そこに入られて夕方のひとときを暮らしておりました。

 しかし、感じることは、仮設住宅に入っても、農業ができない、漁業ができない、こういうことが全く違うなということをつくづく思いました。そこへ原発ということですから。

 そこで、私の印象ですけれども、もちろん復興という、これはいろいろ議論があり、国が浜辺を買い上げて陸地へだとか、あるいはこういう産業を興していくんだという、復興というのはいろいろとすばらしい議論はあるんです。しかし、目の前の復旧、港を早いこと、これは個人の力ではどうにもならない、早いこと港を整備して漁業ができるように、あるいは、そこで工場を持っている人は早いこと工場ができるようにという復旧の積み重ね、そういうことが非常に大事じゃないか。常に目の前にはなお瓦れきがある、こういうことを、ずっと二日間回ってきてつくづく感じました。

 ぜひひとつ、大臣もまたいろいろなそういう会合に出られると思いますけれども、まず生活に関連する復旧というものの積み重ねで復興があるという、ここをしっかり押さえないと、議論ばかりの中で一つも前の瓦れきが片づいていない、こういうことにつながってくるのではないか、こう思うわけであります。

 さて、大臣に質問するわけですけれども、まず、経済産業省としてのジャンルでこの復旧について出ていること、いつも議論になりましたサプライチェーン、自動車の部品、世界にも影響を与えました。それがもう二カ月たってどのような復旧がされてきたのか、お伺いいたします。

海江田国務大臣 谷畑委員にお答えをいたします。

 今の、まず復旧が大切だということはしっかり肝に銘じました。何か一足飛びに復興ということではなしに、地に足のついた、一つ一つの施策を講じていけということだろうと思いました。

 その上で、お尋ねのありましたサプライチェーンの復旧でございますが、これにつきましては、四月の後半でしたか、私ども経産省で、東日本大震災後の産業実態緊急調査というものを行いました。

 この調査によりますと、被災地における製造業の生産拠点の約六割強が復旧しております。そして、三割弱が夏までの復旧の見込みと回答しておりました。その後、今また一月以上たちまして、その割合が進んでいるということでございます。

 一例を挙げますと、鉄鋼や化学につきまして、五月の中旬ごろまでに主要工場の生産が再開をしております。機械につきましても震災前の生産水準をほぼ回復するなど、ほとんどの生産拠点で生産が再開されております。また、自動車工場につきましても、生産台数を調整しながらではありますが、全国の工場で生産を再開するなど、内外に向けたサプライチェーンはつながりつつあるという認識でございます。

谷畑委員 ぜひひとつ完全復旧ができるよう、さらなる経産省の力を出していただきたい、こう思います。

 引き続いて、前にも質問しましたけれども、やはり仮設工場なり仮設店舗、あるいは仮設事務所、これがどういうふうな状況で進んでおるのか、もう二カ月たっておりますので、簡単にお答えをいただきたいと思います。

豊永政府参考人 仮設工場、仮設店舗についてのお尋ねをいただきました。

 今般の震災によりまして甚大な被害を受けた地域で中小企業が早期に事業を再開するということは極めて大事だと認識しております。

 このため、五月二日に成立しました補正予算を活用いたしまして、中小企業基盤整備機構におきまして、仮設工場、仮設店舗、またお話のありました仮設事務所などを整備し、自治体に、基本的に無償で貸し出すということを始めたところでございます。

 これまでの取り組み状況でございますけれども、中小企業庁、中小機構の職員、延べ八十六人に及びますけれども、六県百市町村、それから九十一中小企業団体をお訪ねいたしました。御要望を伺ったわけでございますけれども、これまでに三十市町村、百七十六件の、つくってほしいという御要望をちょうだいしているところでございます。

 私ども、中小企業と力を合わせまして、できるだけ早期の着工に向けて努力をいたしておりますけれども、具体的な、その自治体の御要望される施設の仕様、どこにつくるのかといったところの細部を今調整しているところでございまして、準備が整ったところから着工してまいりたいと思っております。

 以上です。

谷畑委員 ぜひひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 これも前回質問をしたわけですけれども、補正予算も成立をしたことでもあり、中小企業等につきましては、やはり何といったって金融支援というのが非常に大事だと思いますので、ここらはぜひスピードアップで、しかも垣根を低くということでお願いをしたいと思います。その状況についてお伺いいたします。

豊永政府参考人 中小企業に対しましての金融支援についてお尋ねいただきました。

 震災発生直後から、金融機関や保証機関につきましては、柔軟に条件変更に応ずるよう強く指導してございます。また、政府系金融機関における災害復旧貸し付け、それから保証協会における災害関係保証などの資金繰り対策をすぐさま終えたところでございます。

 今般の一次補正予算を活用いたしまして、これらを強化いたしました。具体的には、保証につきましては、セーフティーネット保証と合わせて無担保で一億六千万、最大で五億六千万まで利用可能な拡充を行いました。また、融資制度でございますけれども、直接的な被害を受けられた中小企業者に対しましては、貸付期間を最長二十年に延ばさせていただき、また据置期間も従来の二年を五年とさせていただいたところでございます。金利も最大で無利子という手当てをさせていただきまして、申し上げるのもあれですが、過去に例を見ない形の支払いと考えてございます。

 この金融制度実施状況でございますけれども、震災発生当日、三月十一日以降、直ちに経産局、政府系金融機関、保証協会におきまして、特別相談窓口を設置いたしました。この相談状況でございますけれども、一昨日までに七万四千件の御相談をいただいてございます。具体的に、融資や保証承諾に至ったものが二万九千五百件、金額にいたしまして四千九百五十億円という実績になってございます。

 先般、海江田大臣からも、政府系金融機関、全国の保証協会、それから商工団体のトップが一堂に会した場で、被災中小企業の方々に親身に相談に乗るように強く御要請をいただいたところでございますので、私どもといたしましても、その趣旨を踏まえてしっかり対応してまいりたいと考えてございます。

谷畑委員 中小企業の金融の最後の質問をするわけですけれども、菅総理大臣が、多重債務については力を入れると。私ども、この多重債務というのは、どう考えてもなかなか難しくて、いい知恵が出てくるのかなと思っておるわけですけれども、その現状と方向だけでも教えていただきたいと思います。

海江田国務大臣 委員おっしゃるように、この二重ローン、二重債務につきましてもいろいろな種類がございます。住宅ローンなんかの場合もそうでありますが、委員、関心がかねてからおありの中小企業の問題、これもなかなか難しい問題が生じております。

 今、官房長官のもとで、もちろん経産省も入っておりますが、金融庁、それからたしか財務省も入っていたかと思いますが、協議をしているところでございます。

 私どもがこうした総理からの指示がある前に考えておりましたのは、今度の補正予算で、新たなローンは一〇〇%保証をつけて、しかも金利はできるだけ低くして、福島県などでは県の協力もいただいて金利ゼロの実施もできております。そういう形で、非常に低い金利で保証を厚くして、そして返済期間はできるだけ長く、既往の債務につきましては、これをできるだけリスケジュールで返済をおくらせる、先に回していく、こういうことを当面考えておりました。

 そこに総理からのお話がありましたので、今調整をしているところでございますが、やはり、多くの議員の方々の意見、あるいは国民の意見、そういうものもよく聞いて、しっかりとしたものにしていきたいと思っております。

谷畑委員 ぜひひとつ、多重債務は難しい課題だと思いますけれども、少しでも前進をさせて、被災者の皆さんに希望を与えていただいたらありがたい、こういうふうに思っております。

 さて、原発事故、これは本当にもう気が遠くなり、また毎日のニュースで新しい事実が次々と出てくるということで、もう本当にうんざりしますし、収束という希望に向けて、一日も早く収束をしていってほしい、こう願うものであります。

 そこで、きのうですか、原発事故の検証をどういう形でするかということが決まったということですけれども、私は、この検証は、今ある五十四基の原発においてもそうだし、世界の、原発大国等を含めての国も関心があるだろうし、しっかりした検証をしていかないといかぬと思うんですね。どこまでが天災で、どのあたりから人災になって、その人災の中で、一体何が欠けておったのか、こういう検証が非常に大事だ、こう思うんです。

 そこで、この間の復興特別委員会におきましても、私どもの谷垣総裁が、初動におきまして、再臨界が起こるということの中で海水の注入を一時中断したのではないか、こういう質問をされました。それから、初動において菅総理が原発にヘリコプターで視察をされた、こういうことによって一番大事な時期にベントがおくれたのではないかと。そういう意味では、この検証は、関係機関もさることながら、政府も初動がどうであったのか検証しなきゃならぬと私は思うんですね。

 それと同時に、原発にかかわることで、例えば保安院は経済産業省だし、あるいは内閣府にも原子力安全委員会があったり、いろいろとばらばらの情勢で、いざというときに知識というものをきちっと一つの方向にまとまって発揮したのかどうか、そういう検証があると思うので、ぜひこれは今からでも、もしも決まったというんだったらひっくり返してでも、ぜひ国会に置いていただいて、政府も検証するんだ、こういう姿勢が必要じゃないかと思いますけれども、大臣、どうでしょうか。

海江田国務大臣 私どもは第三者委員会ということを言っておるんです。正式名称は事故調査・検証委員会ということでありますが、第三者委員会という名で私どもが呼んでおります意味というのは、まさに今、谷畑委員御指摘のありましたように、政府からも独立をした、あるいは東京電力からも独立をした第三者でということでございますので、人選には、まさに第三者の調査会の委員であることがふさわしいと多くの方が思っていただけるような方を選びました。私どもと何か特別の関係があってもいけませんから。

 主に調査の対象になるのは、私、そして菅総理、あるいはその他の閣僚ということになろうかと思いますが、この委員長、あるいは委員に間もなく全員の方が決まるんですか、ちょっと私、それは本当に存じ上げないんですが、そういう形で、私どもの存じ上げない方で、多くの皆様方が、この人ならば公正中立、しかも厳格に事の真相を明らかにしてくれるという方を選んでおるつもりでございます。

 ただ、これでまだ足りないということであれば、それは国会の方で御議論をいただければよろしいかと思います。いつでも私は、その場にお呼びがかかれば行って、事実をありのままにお話をしてくるつもりでございます。

谷畑委員 ところで、この第三者委員会は、もう決定をされて、どこに置くことになったんですか。

海江田国務大臣 私の覚えでは内閣官房だと思いますが、ただ、独立性を非常に高めるということでございますので、私も、決定の閣議には参加をいたしましたけれども、いつからそういう調査が始まるのかということはまだ存じ上げません。

谷畑委員 ということは、国会に置くということじゃなくて、政府に置くということになったわけですか。それはもう決定したんですか。

海江田国務大臣 閣議決定でございますので、そういう決定でございます。

谷畑委員 いや、私はやはり、先ほど言いましたように、初動における、官邸も含めて検証していく対象だと思うので、それを閣議決定で政府に置くということ自身は、本当にそれで独立が担保できるのかどうか。

 だから、私どもは、ぜひこれは国会に置くべきじゃないか、こういうふうに言っておったんですけれども、これらの意見は、拝聴しておったと思うんですけれども、それはどうなんですか、そういう声は聞こえておりましたか。

海江田国務大臣 まず、私どもは今政府の一員でございますから、政府の一員としてできることは何なんだろうかということで、私どもは第三者委員会と呼んでおりますが、そういうものを設置することを決めたわけでございます。国会でもやはり必要だということであれば、国会でもそういう調査委員会をつくっていただいて、そしてそこで検証していただければ結構かと思います。

谷畑委員 いずれにしても、この原発事故における検証というのは、世界に向けても発信していくことが非常に大事だし、そこに公平さというのか、非常に見識の高い検証をされることが日本に対する信頼回復の一歩だ、こう思いますので、ぜひそこは独立性をしっかりと担保していただくということを強く要望いたしておきます。

 さて、原発における補償の問題について少し議論をしておきたいと思うんです。

 自分の住みなれた町、あるいは家畜等を含めて一緒に生活をしてきた皆さん、あるいはまた農業ということの中で愛情を持って作物を育ててきた、そういう人たちが原発事故の中で強制的に避難していくわけなんですね。そういうことを見ましても、非常に忍びないというのか、本当にその人々に対して、私ども政治家としても、一日も早く原状復帰で帰っていただくというようなことをしていくことが我々の責務だとも思うし、また同時に、今避難されている皆さんのそれぞれの立場、気持ち、ここを十分に掌握することが大事だと思います。

 まず、現状というのか、どこの人々がどこに避難されて、そして、地方自治団体等、あるいは東電、あるいは経済産業省含めてがしっかりとこれを掌握されて、そこで初めてかゆいところに手が届く政策が実現できる、こう思いますので、その現状についてお伺いいたします。

宮本政府参考人 お答えいたします。

 五月二十四日現在で、福島県の災害対策本部が公表しております避難者の方々の数は、現在九万九千十六名でございます。ただし、こちらには、原子力災害のほか、地震、津波による被災者の方も一部含まれていると思います。したがいまして、この九万九千十六名のうち、原子力災害関係の十三市町村からの避難者の方々の数を見てみますと、九万七千八百二十二名でございます。

 また、このうち福島県内に避難されていると公表されている方々の数は二万三千九百二十五名。さらに、そのうち学校、体育館など百九カ所の避難所に避難されている方が六千四百九十四名。それから、旅館、ホテルなど五百二十三カ所に避難されている方が一万七千四百三十一名となってございます。

 そのほか、福島県外へ避難されている方は三万四千七百四十三名。このうち、主な県の避難先を見てみますと、新潟県で七千七百六十七名、東京都四千百五十六名、埼玉県三千百十名などとなってございます。

 また、福島県の災害対策本部では、こうした避難者の方々の所在を確認するために、別途、福島県双葉郡支援センターという窓口を設けておりまして、こちらに、避難されている方々から御連絡をいただいておりまして、五月二十一日現在、双葉地方八町村の住民の方々の所在は九六%まで確認されているところでございます。

谷畑委員 九六%掌握されているということで、非常によく掌握されているなと思いますけれども、一〇〇%に近くきちっと掌握をすることが大事じゃないかと思います。

 それと同時に、避難された人たちにとってみたら、やはり情報が欲しいと思うんですね。今現在、原発の収束に向けてどういうような現状になっているんだろうかとか、あるいは自分たちはいつ帰れるんだろうかとか。だから、時には、月に一回になるのか、レターという、そういう通信になるのか、そういう形での、情報がどうなっているのか、そこはきちっとでき上がっているのかどうか、それをお尋ねいたします。

宮本政府参考人 お答えいたします。

 各地に避難されている方々に必要な情報を広くお届けするために、政府としては、関係機関と連携を密にしながら、福島県内外に向けて積極的に広報活動というのを展開しております。

 まず、当然でございますが、政府、東京電力による共同記者会見などを通じて、日々タイムリーな情報発信を続けるとともに、福島県に設置されております原子力災害現地対策本部、こちらにおきましても、特に避難者の皆様の関心が高い、例えば計画的避難、それから警戒区域への一時立ち入り、こうした情報について、地元の報道機関等を通じてきめ細かく提供をさせていただいております。

 また、政府、福島県、東京電力などが実施しておりますいろいろな支援措置や取り組みにつきまして、あるいは安全情報などにつきましても、これをまとめましたニュースレターというのを発行しておりまして、これを福島県の災害対策本部と連携して、県内の市町村あるいは避難所などに配付、掲示させていただいております。

 長くなって恐縮ですが、さらに、地元のラジオ番組での毎日の放送、それからその内容をインターネットへ掲載、あるいは政府広報による全国向けのラジオ放送、新聞広告なども活用して、できる限り全国どちらからでも情報が入手できるようにしたいと思っております。また、こうした広報活動に加えまして、求められているテーマに応じまして、関係機関連携のもとに、地元での説明会なども適宜開催させていただいております。

 今後とも、できるだけ被災者の方々がどこでも必要な情報をタイムリーに入手できるように、効果的な媒体を使って情報提供に努めてまいりたいと思っております。

 以上です。

谷畑委員 ぜひ、そういう情報をしっかりするということと同時に、もう時間がないのでこれはこちらから要望しておきますけれども、東電が仮払いで百万、単身者については七十何万ですか、支払いをしたということなんだけれども、さらに、長引いていくわけですから、そこらをよく掌握して、第二弾のそういう緊急の仮払いが可能かどうか、こういうことについてもやはり早急にしていくことが必要じゃないか。政府が立てかえてでもやる必要があるんじゃないか、そういうように思います。もう時間がありませんのでこれは答えはいいですので、よろしくひとつお願いをしたいと思います。

 次に、この原発事故における賠償、全体の賠償の枠組みが五月十三日に関係閣僚会議で決まったということです。

 ところで、海江田大臣、関係閣僚会議で決まったというんだけれども、閣議決定をしていないと思うんです。それはなぜなのか、そこらの点を教えてほしいということ。

 同時に、当初、関係閣僚会議で決めるという日が一日延期されて、民主党の内部で相当このことについて議論された、こう聞いています。多分、我々が想像しますのには、やはり東電の賠償における上限の問題だとか、あるいは、いや、東電に対してリストラ等を含めてもっと責任をしっかりしろという意見であったり、あるいは、上限を決めながら、国がもっと前に出た補償の枠組みが要るんじゃないかとか、我々も想像すればいろいろなことが想像できるんだけれども。

 いずれにしても、閣議決定がされていないその背景、そして一日おくれた民主党内部における議論、そういうことについて少し報告をしていただきたいと思います。

海江田国務大臣 委員御指摘のように、原子力被害者損害賠償についてのスキーム、この仕組みは関係閣僚の決定ということでございまして、まだ閣議の決定に至っておりません。

 これは、委員御案内のように、閣議の決定をいたしますと、そこからすぐ法案の提出ということにつながろうかと思っております。もちろん私どもはできるだけ早い時期に法案を提出して、野党の皆様にも御協力をいただいて、そして成立をさせたいと思っておりますが、国会のことでございますので、国会の方とも御相談をしなければいけないということでございます。いずれ閣議決定、法案提出、そして御審議いただく、こういう手順になろうかと思っております。

 それから、一日おくれた理由でございますが、これももう委員よく御存じのとおりでございまして、むしろ私より委員の方がよく御存じではないかと思うくらいでございまして、与党のプロジェクトチームで意見が、私どもがその前日会議を開いておりますときに間に合わなかったということで翌日になった次第でございます。

谷畑委員 いずれにしても、一日も早く閣議で決定をして、しかもその関連法案を出していく必要があるんじゃないか。

 それと同時に、どれぐらいの補償の金額、やはり一定程度想定をしないと、機構ができ上がったといっても、この機構には原発を抱える電力会社も拠出をしなきゃならぬし、また、東電は上限なしで無制限で、結論的には利益の中からどんどんどんどんとこの機構に返済をしなきゃならぬ、こういうことになってきますよね。だから、そういう点をやはりしっかりと閣議で決めて、その方向を決めていくことが大事だと思います。

 それと同時に、政府内部でも多少、この機構に当たっていろいろなニュアンスの違いがある、こう聞いていますので、ここもしっかりと一致をさせていく必要があるんじゃないか。それはまた後ほど、時間があればちょっとお聞きしたいと思うんですけれども。

 その前に、私はこう思うんです。何もこの機構そのものが東電という一企業を救う、ただ単にそういうことだけじゃないと思うんです。第一の責任は、やはりこの原発事故を起こした、そして被害の拡大をとめられなかった東電の責任というのは私は当然あると思うし、国民の皆さんのそれに対する怒りは当然だ、私はそう思います。だから、東電におきましては、さらに努力をして、リストラをし、しっかりとやっていかなきゃならぬ、こういうふうに思うんです。

 しかし、そう言いながらも、原発は、一企業が担っておるけれども、これは国策じゃないか。日本の社会そのものは、ちゃんと電力が安心して供給されるということで日本の産業が成り立っておるわけですよね。それがなくなれば、日本の企業だって海外へますます行ってしまう。だから、電力問題というのは、まさしく日本の国家における大事な問題だと私は思うんですね。

 そういう意味では、東電がほんまに無制限でいくことの中で、倒産しないのか、本当に。補償も、限りなくわからないし。そこらの点、私はやはり国も責任があると思いますので、そこらの点についてどう考えられるかをちょっとお聞きしたいと思うんです。率直な意見をひとつお願いします。

海江田国務大臣 東京電力が、原子力発電所の事故による経済被害に対する賠償は基本的に原子力損害の賠償の法律に基づいているわけでございますが、これは今委員も御指摘がありましたように、第一義的に無過失であっても無制限の責任を負うということでございますから、今お話のありましたような仕組みになっている。

 他方、我が国では、エネルギー政策はまさに国の基本的な政策でございます、そのエネルギー政策の中でしっかりと原子力の政策が位置づけられてきたわけでございますから、その意味で、国の責任というものも当然あろうかと思います。

 国のそうしたエネルギー政策を進めてきた責任というものを、どういう形で今回の原子力事故による経済的な被害を受けた方たちへの賠償に結びつけるかということになりますと、一つの結びつき方が、まさにおっしゃったように、東京電力が被害者に負っている債務を果たしていくところで、途中で倒れないようにするということ、これが一つ。そして、そのための仕組みをつくるということが一つの役割でございます。そのために今、そうした機構をつくるべく、先ほどお話をしたような、準備の段階に入っているわけでございます。

 それから、この原子力損害賠償の法律の中には、一般の保険、民間の保険では、こうした原子力災害が起きたときは保険金がおりないということになっていますから、国がこれを、もちろん原子力事業者も一定程度の積み立てはございますが、ただ、まだそんな大きな額になっておりませんので、国が当然国庫の方からこの支払いをいたしまして、一原子力発電所につき一千二百億円、こういう仕組みはございます。これは補償の世界でございます。

 それをさらにもう一歩進んだところでの補償、国が補償の前面に出るべきではないだろうかということになりますと、これはやはり新たな法律の仕組み、新たな法律の制定が必要になろうかと思います。

谷畑委員 いずれにしても、原賠法という、この法律の精神というのか目的というのか、よく踏まえる必要があるし、そうしないと、この機構を含めてきっちりと回っていかないと、もう日本では原発はできないということになっていきますよね。だから、そこらは原賠法の精神に基づいて国もしっかり出ていく必要があるんじゃないか、こう思うんですね。

 最後に、枝野官房長官が、金融機関に対して債権を放棄しろという、そういう発言。ここは、私、はっきり申し上げて、海江田大臣がやはりはっきりと抗議して、ちゃんとスムーズにいくように。これは、破綻してこそ債務放棄が出てくるんであって、なお、これからまた金融機関からも融資を受けていかなきゃならないという状況なんです。

 この点を大臣はどう考えられるか、そういうことをお聞きして、質問を終わりたいと思います。

海江田国務大臣 この問題につきましては、私は何度か委員会でも発言をしてまいりました。御理解をいただけると思いますが、これは金融機関にかかわらず、すべてのステークホルダーがやはりこの責任は共有をしなければいけない。東電がすべてのステークホルダーに協力を求めることが基本でございます。

谷畑委員 大臣、ひとつ気合いを入れて頑張ってください。

 ありがとうございました。

田中委員長 谷畑さんの質疑は終了いたしました。

 次に、近藤三津枝さん。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 先週五月十九日に、政府はGDPについて次のような発表をしています。ことしの一月から三月の四半期のGDPは、年率で三・七%も減少しました。東日本大震災の発生が三月十一日ですから、第一・四半期のわずか二十日間の経済動向が大きくGDPに影響したということ、つまり、押し下げてしまったということです。そして、大震災後に発生した福島第一原子力発電所事故に対する数々の菅政権の判断ミスが、被災地、国民生活に悪影響をもたらし、経済の悪化に拍車をかけた、その結果と言えると思います。

 私たちは、この負の連鎖を早く断ち切らなければなりません。世論調査でも、菅総理のリーダーシップに問題ありということが数字にもあらわれています。民主党の内部からもさまざまなお声が漏れ聞こえてまいります。そして、参議院の議長からも菅総理の退陣を促す御発言も出ております。

 海江田大臣、我が国のこの負の連鎖を断ち切るには、即刻、菅総理は退陣すべきだと考えますが、大臣の見解をお聞かせください。

海江田国務大臣 近藤委員にお答えをいたします。

 事前に通告があれば、私も考えをまとめてくるつもりでございましたが、私も菅内閣の一員でございますので、菅内閣に対する批判は私に対する批判だと深刻に受けとめております。

近藤(三)委員 海江田大臣の御答弁は菅総理の退陣を想定していないというふうにも受け取れるんですけれども、今、国民は、民主党が想定外という言葉を使われますと、逆に極めて起こり得るというふうにも受け取っている嫌いもありますので、十二分に御注意いただきたいと思います。

 それでは、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、SPEEDIについて質問いたします。以下、SPEEDIと申し上げます。

 私が前回質問に立ちましたのは、四月十三日、震災後二回目の経済産業委員会です。その際、SPEEDIの問題を取り上げました。しかし、その後、五月二十日の枝野官房長官の記者会見で明らかになったことがあります。以下のようです。事故翌日十二日未明、午前一時十二分には官邸にSPEEDIの予測結果がファクスで届いていた、しかし、その情報が官邸内で全く共有されなかった、このように発表されたのです。つまり、せっかくのSPEEDIの予測結果が、その後の避難指示などの行政行為に全く役に立たなかったということです。

 それでは、官邸での原子力発電所の事故の危機管理トップ、内閣府の原子力安全委員会の班目委員長にお伺いいたします。

 班目委員長、あなたは、もちろん原子力安全委員会のトップです。SPEEDIは、平常時は文部科学省が運用しています。しかし、緊急時になりますと、このような原子力事故が発生しますと、原子力安全委員会の指揮下に入ります。このことについては、五月十七日、参議院の文教科学委員会で高木文部科学大臣が次のような答弁をされています。高木文部科学大臣の答弁を読み上げます。

 「三月十六日に官房長官の指示によって各省の役割分担を明確化することにいたしました。」「文部科学省はモニタリングの取りまとめと公表、原子力安全委員会はモニタリング情報を評価をする、原子力災害対策本部については評価に基づく対応を行っていく、これらの役割分担を受けまして、SPEEDIの運用の指示は、原子力安全委員会が直接行うこととされて、SPEEDIのオペレーターは原子力安全委員会に移動をしております。」つまり、三月十六日以降、SPEEDIをどう運用するかの指示の権限は、原子力安全委員会になったのです。この指示は枝野官房長官によるものだと高木文部科学大臣は答弁をしています。

 つまり、SPEEDIをどのように運用し、解析結果をどのように分析するかの責任者は、地震発生後五日目の三月十六日からは、班目委員長、あなたになったわけです。そうした権限を持つ班目委員長にこちらのパネルを見ていただきたいと思います。

 このパネルは、三月十二日の午前一時十二分に官邸に送られてきたファクスそのものです。委員長は、いつこのSPEEDIのデータの存在を初めて知ることができたのか、何日の何時ごろなのか、お答えください。

班目参考人 まず、近藤委員のおっしゃることは確かですが、一つだけ指摘させていただきますと、SPEEDIの運用が、三月十六日以降、原子力安全委員会に一元化されたという事実はないというふうに思っております。ただ、三月十六日以降は、原子力安全委員会の方で自由にそれを使うことができるようになったというふうに理解してございます。

 それから、この図でございますけれども、三月十六日の図ではなくて、その前の図でございますので、私、そのころはほとんどずうっと官邸の方に詰めてございました。したがいまして、この図をいつ認識されたかというと、かなり後だという以外はちょっとお答えのしようがございません。申しわけございません。

近藤(三)委員 御記憶が定かでないということで、もう少し具体的に伺ってまいります。

 三月二十三日に初めてSPEEDIの解析結果が原子力安全委員会から発表されましたが、その後ですか前ですか、お答えください、委員長。

班目参考人 これだけ古い図ですから、明らかに後だと思います。

近藤(三)委員 その後だということは、三月二十三日、原子力安全委員会が初めてSPEEDIのデータを公開するわけですけれども、当然、発表には時間が必要であったわけですね。そうしますと、班目委員長、三月二十日以前にSPEEDIのデータを見ていたのかどうか、その準備をしていたころにこのデータを見ていたことはないですか、お答えいただけますか。それとも、三月十六日にSPEEDIが原子力安全委員会の管理下になりましたけれども、そのときよりも前ですか後ですか。

班目参考人 SPEEDIというのは、文部科学省の下の原子力安全技術センターというところのコンピューターが運用しているものでございますが、その結果は関係省庁等にオンラインで配信されているものでございます。したがいまして、当然、原子力安全委員会の部屋の方でも見ることができます。

 そういう意味では、その前から、SPEEDIというものが、これは単位放出源での、ですから単なる気象予測にすぎないんですが、その結果というのは、当然、三月十六日以前からも見ていたというふうに記憶しています。

近藤(三)委員 先ほど班目委員長は、原子力安全委員会は自由にSPEEDIを運用することができるだけだとお答えになりましたけれども、文部科学大臣は、三月十六日にSPEEDIの運用の責任は文部科学省から原子力安全委員会に移ったと、議事録でも先ほど御紹介いたしましたように明言しているわけですから、明らかにこれは内閣不一致じゃないでしょうか。

 私の方からしますと、だれの発言を信じて国会質問に立ったらいいのかというので、非常に困ります。そこのあたりは、管轄はどこなのか、責任はどこにあるのかというのをしっかりとしていただかないと、担当部署ごとでそれぞれのお答えが出てくるというのは、大変困ったことだと思っております。

 次に、パネルをごらんいただきます。

 今のお答えですと、班目委員長はこの情報を知り得る立場にあるので、三月十六日以前にも知っていた、ファクスを見たかどうかはわからないけれども、この情報は見ていたということですね。

班目参考人 SPEEDIの結果というのは随時配信されてきますから、SPEEDIの結果を見たことは確かですけれども、この古い情報を私の方で見た記憶はございません。

近藤(三)委員 班目委員長、三月十二日に一番最初に送られてきたこの情報は、ごらんになったことがないんですか。今初めてごらんになったということですか。

班目参考人 三月十二日の時点では、少なくても私は官邸の方におりましたので、それは見てございません。その後このような図は見たかもしれませんけれども、はっきりとした記憶はございません。

近藤(三)委員 次に、このパネルをごらんいただきます。これはSPEEDIに関する経緯です。地震発生後からSPEEDIに関する事柄を時系列で並べたものです。

 班目委員長は、今、三月十二日には見ていないが、その後すぐにはこれに近いものを見ている、情報は見ていたというふうにおっしゃいました。このパネルでいきますと、十四日、十二日、このあたりではごらんになっているということですか。情報はもう御存じだったでしょうか。

班目参考人 多分、そのころもまだ官邸にいたと思いますので、見ていないのではないかと思います。済みません、記憶が……。(近藤(三)委員「では、どのあたりですか」と呼ぶ)

 それまではSPEEDIを使うためには原子力安全技術センターに直接依頼するのではなくて文部科学省の許可をとらなきゃいけなかったところ、三月十六日以降は原子力安全委員会の方から直接SPEEDIの計算を頼むことができるようになり、かつ、そのオペレーターも原子力安全委員会の事務局の方に移ってきたのは事実でございます。

 したがって、途中ちょっと帰ったときもあるので、そういうときに見ているかもしれませんけれども、それがいつであるかというのは、ちょっとはっきりとした記憶はございません。

近藤(三)委員 大変重大な情報をこのようにいつだったかよく覚えていないということで押し切られるわけですけれども、SPEEDIの疑問について私が四月十三日に質問いたしました。その後、四月二十七日に、経済産業委員会内閣委員会連合審査でSPEEDIについて次のような答弁が行われているんです。議事録をそのまま読み上げます。枝野国務大臣です。「私のところにSPEEDIに基づいてつくられた地図のようなものが初めて報告がございましたのは、三月二十三日に、いわゆる内部被曝、」「モニタリングに基づくシミュレーションの結果が公表されておりますが、その前後が初めてでございました。」と。

 これは地震発生後十二日間、ファクスは三月の十二日未明に官邸にあった、届いていたということですから、その間放置されていたということなんですね。このパネルでさっき申し上げたように、三月の二十三日の前後までは、SPEEDIのシミュレーションの結果を知らなかったというふうに枝野官房長官は答弁をされています。

 次に、海江田大臣は次のように答弁をされておられます。「私も、三月の十一日の時点では見ておりません。」「今、官房長官からも答弁がありましたが、三月の二十日過ぎだったと思っております。」と。

 海江田大臣、SPEEDIの資料を初めてごらんになったのは、三月二十三日の前、三月二十日過ぎで間違いはないんでしょうか。

海江田国務大臣 お答えをいたします。

 三月の十一日にこの原子炉の事故が発生をしましてから、三月の十九日か二十日ぐらいまでというのは、本当に、これはまさに、十九日、二十日というのは、十八日ぐらいから陸上自衛隊のヘリコプターによる放水が始まって、警視庁、自衛隊、消防庁という形で放水が始まりまして、放水が始まってから少しずつ炉も安定をしていった状況でございますから、それ以降だということは確かでございまして、恐らく二十日以降になろうかと思います。

 それまでは本当に炉の安定ということに一番集中をしておりまして、そのファクスのあり場所というのも、恐らくこれは危機管理センターだろうと思いますけれども、私どもが詰めておりましたのはまた別のところでございますので、その間の情報が少し途切れていたなという印象はございます。

近藤(三)委員 それでは、もう一度整理してみます。

 三月十二日の午前一時十二分に、初めてSPEEDIのシミュレーション結果が官邸にファクスされました、こちらにあるように。このデータが官邸に存在していた、あったわけです。このデータは官邸内で放置され、海江田大臣は、今の御答弁によりますと、三月二十日過ぎにようやくその存在を知ることになる。官邸の責任者であります、原子力事故のスポークスマンであった枝野官房長官は、何と三月二十三日前後にその存在を初めて知る。一方、官邸に詰め、総理に進言をされ、官房長官にも事故の状況を説明し、大事な判断をしてきたであろう班目委員長は、三月の十何日だったかな、そのシミュレーション結果を見たのははっきりとは覚えていない、このような御答弁でした。

 もしこのように、皆さん方が、枝野官房長官、海江田大臣、班目委員長の言っていらっしゃることがすべて本当であれば、それは、そもそも官邸の危機管理能力の欠如ということが言えると思うんですね。

 なぜかというと、情報の一元化、情報の共有が危機管理の基本です。このような重要な情報を、官房長官、経済産業大臣、そして原子力安全委員会という、それぞれの組織のトップの間で情報共有するのが危機管理のイロハのイです。まさに菅内閣の危機管理能力の欠如としか言いようがないと思います。三月の○○日にはSPEEDIの存在を知っていたというふうに、それぞれのトップが別々の日にちを言ってしまうという……。

 班目委員長、本当に班目委員長は、枝野官房長官にも菅総理にも、そして海江田大臣にもこの事実をお話しにならなかったんでしょうか。お話しになったとすれば、何月の何日なんでしょうか。班目委員長、お答えください。

班目参考人 先ほどもお話ししたと思いますが、SPEEDIというのは、予測システムということになっていますが、これは放出源情報があった場合に予測ができるシステムでございます。しかしながら、残念なことに、放出源情報がないのでこれは単なる気象予測情報だということになります。

 これを何とか使えないかという指示が原子力安全委員会の方に来たのが三月十六日でございまして、三月十六日以降、原子力安全委員会では、逆算で、要するに環境モニタリングの結果を使って何とかこのSPEEDIを使えないかという試みを始めました。しかしながら、環境モニタリングをしようにも、風がずっと陸から海に吹いていますので、そういうデータがとれない。データがとれたのが、たしか三月の二十日とか二十一日ぐらいで、ようやく三点ぐらいとれた。

 そういう、学問的にはやや自信のないような状態で、三月の二十二なのか二十三なのか、その辺はわかりませんけれども、たしか、枝野官房長官に、こういう情報は重要なのでぜひ公表したいというふうに申し上げたと思います。

 その結果として、三月二十三日に安全委員会の方から公表をさせていただいて、さらに、原子力災害対策本部の方にも申し上げて、注意を喚起していただき、その結果、特に心配だというのが飯舘村とか川俣町とか、あるいはいわき市になりますが、そういうところのお子さん千八十人に対して、甲状腺がんの心配がございますので、甲状腺の等価線量というのをはかっていただいて、問題ないということを確認した。そういう形でSPEEDIというのは活用されてございます。

近藤(三)委員 今の班目委員長の御答弁、大変大きな問題発言だと思います。

 単なる気象予測であるというふうにSPEEDIのこの情報のことをおっしゃいましたね。これは単なる気象予測にすぎないというふうにおっしゃいましたけれども、先ほど申し上げましたように、高木文部科学大臣の答弁からも、三月十六日時点で、SPEEDIのオペレーションの責任者は原子力安全委員会の委員長となったわけです。

 三月十二日にSPEEDIのデータが官邸にファクスされたんだけれども、情報の共有がなされなかったということについては、五月二十日に枝野官房長官は陳謝しています。重要な情報を共有できなかったということに対して国民に謝罪をされたのです。それは、官房長官がこのSPEEDIの情報を重要だと考えていて、同じ内閣で原発事故の対応に当たる責任者である班目委員長は、これを単なる気象予測であるというふうにしか思っておられない。これは官邸の中の意識、認識の不一致と言わざるを得ないと思います。全く官邸の中がばらばら。

 今の発言は、官邸で枝野官房長官のもとで原子力発電の事故の対応に当たっておられる責任者である原子力安全委員長としては大変不適切な発言であると思いますが、もうこれ以上議論をしていても、質問しても仕方がないので、次の質問に移らせていただきます。

 これまで質問をしてきましたように、このSPEEDIの問題は、単に情報の隠ぺいという問題だけではありません。第一に、菅政権の国会軽視、ある存在、ある情報、存在している情報を出さないということ、国会議員の質問に、データのないことを前提に不毛な答弁を繰り返す。第二に、SPEEDIのデータを使っていれば、一律同心円での避難指示ではなく、適切な対応ができたのではないかという、避難された方々に直接影響した問題であるということです。第三に、SPEEDIにこれまでに二百二十億円もの巨額の予算を投じて有事に備えていました。しかし、本当に大事なときに全くこのデータが役に立たなかった、いえ、役立てることができなかった。これこそ菅政権による税金の無駄遣いです。前回の総選挙で自民党政権の無駄を追及した民主党のお言葉を、きちんとこの場でお返ししたい思いで私はいっぱいです。

 このように、SPEEDIの問題は内閣全体の問題です。以上の数々のSPEEDIをめぐる問題に対する内閣の責任について、担当大臣として、海江田大臣、総括として見解を明らかにしてください。

海江田国務大臣 近藤委員にお答えをいたします。

 SPEEDIにつきましては、原子力防災活動において、放射性物質の放出のタイミングが明らかになっているときなどに、放出時点での気象データを活用して放射性物質の拡散する方向などを予想し、避難などに役立てるためのものである、これはSPEEDIの定義でございます。

 先ほど班目委員長は、気象情報だというお話でありましたが、今お話をした放射性物質の放出のタイミングが明らかになっているときは、それと気象情報が加わって、まさにこのSPEEDIが役割を果たすわけでございますが、その前段のところが欠けていたということでそういう発言をされたのではないだろうか。これは私の解釈でございますから、違っておれば後で御本人から訂正をいただければいいかなと思いますが、とにかくそういう性質のものであるということをまず第一に御確認をいただきたいということでございます。

 そして、特に、今回の事故につきましては、地震による通信の支障や電源喪失により原子炉のデータが入手できなかったことなどから、原子炉からの放射性物質の放出の見通しなどが不明であって、当初の避難には結果的に活用することができなかったということで、今冒頭にお話ししたことを少し詳しくお話をしたわけでございます。そして、その後、放出量のデータなどがそろい、SPEEDIを活用した取り組みを現在進めているところであります。

 先般も、原子炉建屋に、これは一号機でございますが、人が入って線量の調査をやる、あるいは一号炉の中の調査をやる。人が入りましてその中に冷却の装置をつけなければいけないものですから、その建屋のドアをあけなければいけないという必要が生じてまいります。この建屋のドアをあければ、当然、建屋の中は大変高濃度で汚染されておりますので、その空気が環境中に漏れることがあってはいけないということで、まさにSPEEDIを利用したこの評価を公表しているというような形で具体的に役立てております。

 今後も、せっかくあるいい制度でございます、それから炉の状況もわかってまいりまして、放射性物質がどのくらい出るかというようなこともある程度推量できますので、そうした情報をもとにこのSPEEDIを活用していきたい、そう考えております。

近藤(三)委員 少なくとも、このSPEEDIの一番最初の情報でどの方向に風が吹くかということはわかったはずなんですね。本当に、これは、初期の段階ではこの情報が大変必要な情報、大事な情報だったはずなんです。そのために、避難区域となった双葉町の方々は、放射線量の高い、後に計画的避難区域の飯舘村に多数避難することになってしまう、また避難する場所を移動しなければならない。SPEEDIの初期のデータが生かされていれば、当初の福島第一原発からの一律同心円の避難も回避できたかもしれない。そして、一時避難した飯舘村から再び避難場所を変えるというようなことはなかったと思われます。

 まさにこれは人災であるということで、今後、この情報の取り扱いに十二分に注意をしていただきたい、危機管理を十二分に行っていただきたいという気持ちから、このように何度も何度も重ねて質問をさせていただいているわけです。

 続きまして、原子力事故が発生してから七十五日がたちます。放射性廃棄物の所管官庁についてお聞きします。

 環境省所管の廃棄物処理法第二条の定義によりますと、「放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。」とあります。これを以下放射性廃棄物と言わせていただきます。

 この放射性廃棄物は、環境省の廃棄物処理法では対象外になっているということです。一方で、経済産業省が所管します、原子炉等規制法で扱う放射性廃棄物があります。廃棄物処理法で対象外となっている放射性廃棄物と原子炉等規制法で扱う放射性廃棄物は同じものを指すのですか。

 つまり、環境省所管の廃棄物処理法で対象外となっている放射性廃棄物については、すべて原子炉等規制法で拾っている、つまり放射性廃棄物について法律上の抜けはないということになるのかどうか、経済産業大臣、お答えください。

海江田国務大臣 お答えをいたします。

 炉の規制法では、これは発電所の中の放射性物質を浴びた瓦れき等ということでございますから、その意味では原子力発電所の施設を外れたところの瓦れき等についてはまさに法律の空白であるということは、以前にも私は国会で答弁を申し上げております。

 なお、付言いたしますと、これは五月の二日でございますが、まさに厚生労働省と私ども経産省、それから環境省の三者で集まりまして、そうした福島県内の災害廃棄物、とりわけ放射性物質を浴びた廃棄物の取り扱いについての取りまとめを決めました。

近藤(三)委員 今回の福島第一原子力発電所から放出された放射性物質によって汚染された発電所の外にある廃棄物は、廃棄物処理法や原子炉等規制法の対象に含まれない、その処理の方法が、法律上、まだ定まっていないと理解してよろしいわけですね。環境省にお尋ねします。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 まず、お尋ねの放射性廃棄物についてでありますけれども、これは、経済産業省令の中に、核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物の第一種廃棄物埋設の事業に関する規則第二条第二項第二号において「核燃料物質又は核燃料物質によって汚染された物で廃棄しようとするもの」と定義をされているところでございます。

 先生御存じのとおり、環境省で所管しております廃棄物処理法においては「放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。」とされておりまして、放射性物質によって汚染された廃棄物は、法律の対象から除外されているということであります。また、放射性物質によって汚染されたものということについての意味でございますけれども、廃棄物処理法には具体的な定義はございませんで、例えば、今いろんなお尋ねをいただいておりますけれども、どの程度汚染されたものが該当するのかは定められていないということでございます。

 また、災害廃棄物という言葉でありますけれども、廃棄物のうち、地震、津波などの災害に伴って生じたものをいう、このように理解をしているところでございます。

 なお、今回の震災に伴う災害廃棄物は、市町村が処理を今進めているところでありますけれども、先ほど海江田経済産業大臣からもお話ありましたとおり、福島県の災害廃棄物に関しては、放射性物質に汚染されたおそれがあるという御指摘がありまして、その取り扱いにつきまして関係府省庁が協力をして相互に検討しまして、五月の二日に福島県内の災害廃棄物の当面の取り扱いについて取りまとめをさせていただいた、こういうことでございます。

近藤(三)委員 関係省庁と相談をしてということであれば、発電所の外の放射性廃棄物は、例えば経産省と環境省、両省の共管であるというふうに理解していいわけですね。環境省に確認させていただきます。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 今お尋ねの案件につきましては、関係の省庁と相談をしながら、しっかりと対策を講じてまいりたい、このように考えているところでございます。

近藤(三)委員 法律上、複数の官庁が共管であるという行政事務については、省庁間で役割分担が決まっているというふうに理解していますが、今共管であるというお答えはなかったと思います。つまり、共管というものは、あいまいな共管などはないわけで、省庁間で責任関係が明確になっているということです。

 そこで伺います。

 放射性廃棄物が環境省と経済産業省との間できっちりと役割分担ができているのか、話し合いがついているのか。放射性廃棄物の処理の各段階の役割分担は、共管であれば決まっております。ちなみに、放射性廃棄物の処理のためには、放射性廃棄物であるか否かの判定、処理方法の決定、被災地からの除去、運搬、処理、最終処分などの各段階をきちんと踏まなければなりませんが、それぞれの工程のうち環境省に権限と責任があるのはどの工程なのか、具体的にお示しください。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 放射性物質によって汚染されているおそれのある災害廃棄物につきましては、まずどのように処理していくのかを具体的に定めることが必要であるというふうに考えておりまして、その上で、政府として立法措置が必要かどうかを検討することが適切であると思っております。

 現在のこの状況の中で、関係の省庁が緊密に連携をとり、まずはしっかりと対策を講じていくということが大切であろう、このように考えているところでございます。

近藤(三)委員 震災から七十五日も過ぎているんですよ。このように所管の省庁も放射性廃棄物の定義も決まっていない。そもそも、裏づけとなる法律がないわけです。このような状態で、総理は、正月までに原発事故の被災者のふるさとへの帰還にめどを立てる、こんなふうにおっしゃっているんですけれども、本当にそんなことが実現するんでしょうか。お正月のふるさと帰還の前提となりますのが放射性廃棄物の除去ということになると思うのですが、それにもかかわりませず、放射性廃棄物の定義も、原子力発電所以外の放射性廃棄物の処理の所管官庁も決まっていないようでは、本当に正月のふるさと帰還は実現できるのかどうか、甚だ怪しくなってまいりました。

 本件については、現行の法令で対応できないということは、特別立法の制定を前向きに進めておられるのかどうか、五月十五日からようやくこの問題について動き出したやに伺っておりますが、現状をお聞かせください。

樋高大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 先ほどの話の繰り返しで恐縮でありますけれども、今現在は、関係の省庁あるいは福島県と緊密に連携をさせていただいて、しっかりと対処させていただくということであります。

 一方で、今後、立法措置が必要であるかどうかということについては、検討することが適切であろうというふうに思っております。

田中委員長 質問者の質問の趣旨をしっかりと把握して答弁をしてください。まだ近藤さんの質問に十分答えていないと思いますので、その辺を明確にしてください。

樋高大臣政務官 恐れ入ります。

 先ほど申し上げさせていただきました、福島県内の災害廃棄物の当面の取り扱いをまとめさせていただいたことはお話をしたところでございます。

 これに基づきまして、環境省におきましては、仮置き場及び周辺でモニタリングを実施させていただきました。災害廃棄物安全評価検討会の第一回の検討会を五月の十五日に開催いたしまして、その取り扱いについて検討を行っているところでございます。

 この検討会でモニタリング調査の結果を評価いたしまして、災害廃棄物の集積による周辺の空間線量率への特段の影響や、それによる周辺住民の方々の健康への影響はないことを確認し、五月十七日に結果を公表させていただいたところでございます。

 また、この検討会で、この調査結果などから通常の処理が可能と考えられる地域の範囲についても検討をしているところでございます。

 今後とも、関係省、福島県などと連携をして、安全かつ適切な災害廃棄物の処理を進めてまいりたい、このように考えています。

近藤(三)委員 そういうことを聞いているわけじゃなくて、特別立法の制定に向けて動きがあるのかどうかということを伺っているわけです。

 この問題は、水素爆発が立て続けに起こったときから、菅内閣が早急に対応しなければならなかった課題なんです。それが、今、何も決まっていない中で、引き続き検討をするというお答えをいただいて、私は愕然としております。特別立法の制定ないしは現行法の改正の必要性があるというふうに感じております。

 いずれにしましても、スピード感が大変必要だと思います。特別立法を制定するにしましても、現行法を改正するにしましても、会期を延長してでも本通常国会に提出すべき事項と考えますが、経済産業大臣の見解をお聞きいたします。

海江田国務大臣 会期云々は国会でお決めになることでございますので、私からはあれこれ申し上げることはできません。

近藤(三)委員 きょう取り上げましたSPEEDIの取り扱いも、事故発生の初動の大事なときに全く役に立たなかったという残念な結果が出ております。そして、放射性廃棄物処理についても、法律的な位置づけ、処理の対象範囲、処理方法が決まっていないということ。いずれもツーレート、遅過ぎる。対応が、スピード感が全くないということです。

 スピーディー、ネーミングのように今後はスピードを重視した対応を政府に求めまして、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 近藤三津枝さんの質疑は以上で終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津でございます。

 きょうは、大要二点お伺いしたいと思っていまして、一つ目は福島第一原発の事故による賠償支払いについて、もう一点が政府の核燃料サイクル政策についてということで、この二点を伺わせていただきたいと思います。

 最初は、福島第一原発事故の賠償支払いということなんですけれども、東京電力は今回のこの事故に関して、避難住民の方々に賠償の仮払いということで、これはもう既に発表になっていますけれども、一世帯当たり百万円ということで、五月の二十日までに申し込みを受け付けた五万四千件のうち、約半数に当たる二万七千件の支払いを終えた、このように発表がありましたが、残りの半数の支払いはどのようになるのか、まずこの点からお伺いをさせていただきたいと思います。

海江田国務大臣 お答えを申し上げます。

 今の、避難を余儀なくされた方々への仮払金でございますが、今、半数以上進んでいるかと思います。今ちょっとノートがかばんの中に入っておるので正確な数字をお答えできませんが、土日は振り込みが滞りますので、月曜日は一日八千件ぐらいとか、かなりのハイスピードで進んでおります。

 ただ、これからは、いろいろな意味でその支払いの確認等が難しい方に対する支払いなどもございますが、今、仮払いの支払いのために人をあてがっておりまして、本当にそれこそ力を入れてやっておりますが、五百人あてがってやっておりますので、スタートしてからは比較的早く進むものと思われます。

稲津委員 各地に避難を余儀なくされた方々でございますので、いずれにしても、漏れなく速やかに実施されることをお願いさせていただきます。

 そこで、次の質問についてはこれまでも何度かこの委員会で大臣にお答えいただいておるんですけれども、避難者個人の賠償金仮払いのほかに、中小企業等々、それから農林水産事業者の方々等への仮払いの件、この点について改めてお伺いしますけれども、状況はどのようになっているか、御答弁いただきたいと思います。

海江田国務大臣 ノートがつかまりましたので、済みません。

 五月の二十四日の時点で、振り込み依頼済みが三万九千五百九十八件でございます。ですから、およそ八割に近い、四万件ですから八割弱です、七割五分強ということが現状でございます。

中山大臣政務官 ただいま大臣の方から、個人の仮払いのお話がありました。四万件、ある程度済んでいるということでございますが、一番大切なのはやはり日々生きていくということで、どうしても、御商売をやっている中小企業者であるとか農林水産者、こういうところに早く手当てをしなければ商売が復活しない、これは非常に重要なところでございまして、私たちも商工関係の、例えば商工会議所とか中央会であるとか全国連であるとか、こういうところを通じて、できる限り早くお払いをするというような方向でやっております。

 本当に、半分ぐらい出すわけなんですが、余りにも細かくやっていますといつまでも払えないということで、仮払いですから、ある程度また残ったものを後で出すということで、とにかく早く出すということを前提にして今やっております。大分進捗状況は前の方に行っておりまして、五月末ごろまでの仮払い開始を目指しておりますので、ぜひそのころには始めたいと思っております。

稲津委員 五月末に向けてという御答弁をいただきました。ぜひこれはお願いをさせていただきたいと思います。

 いずれにしても、これは東京電力が支払う、それに対して政府としてそこを働きかけていくという趣旨での御答弁だと思うんです。ただ、ここで一つ問題なのは、原賠法の中にも国による援助ということが書かれているということ、それから、先ほど来質疑がありましたが、その中でも、原子力発電というのが国策で進められてきたということ、こういうことをあわせて考えていきますと、国も賠償責任を負うべきではないのか。こういうことについてのお考えはどうでしょうか。

海江田国務大臣 先ほども答弁を申し上げましたけれども、国は、エネルギー政策の中で、原子力発電を大変大きく位置づけしてきた。そのために種々後押しをしてきたということであります。これはまさに、国の責任で、エネルギー政策の中で原子力政策を推し進めてきたということでございます。

 それと、いわゆる原賠法、原子力損害賠償法で決めております事業主、これは電力会社が第一義的に、無過失であっても無制限の賠償責任を負うと。もちろん、三条のただし書きというのはございますが、その三条のただし書き適用にはならないという判断でございますので、無制限な責任を負うということと、どういうふうにその位置づけをするかということは、確かに議論はございます。

 ですから、そこで、この原子力損害賠償法におきましても、まさに国の支援でございまして、その支援の中に、今回、関係閣僚会議でまとまりました、支援の機構をつくりまして、そして資金をしっかりと流していくということ、これも支援の一つではなかろうかと思っております。

稲津委員 原賠法の第十六条に国の措置のことが書かれておりまして、御案内のとおりですけれども、「原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。」とあります。そして、今回の政府がつくったスキームなんですけれども、このスキームは、機構をつくって、その機構に対して国が援助をする、この機構から今度は東電に対しての例えば資金交付等を行う、こういうことになっています。ここがどうも、では、直接東電に対しての援助をするというスキームではいけなかったのかどうかということも、これは議論の余地があると思うんです。

 もう一つ大事なことは、国の賠償責任は本当にないのかということを改めて私はしっかり検証し、見詰める必要があると思います。

 先般、電気事業連合会の政府への要望の中にも、原賠法に国の援助ということが明記されているということを踏まえて、原子力は国策で遂行されてきたことから、東京電力だけではなく国も賠償責任を果たしていくべきだと考えます、こう明確に要請がありました。

 このことについてはまた別なときに質疑をさせていただきたいと思っていまして、次の質疑をさせていただくんですけれども、ただ、一点だけ言わせていただきますと、数歩下がってこの問題を考えたときに、原賠法に国の援助という書きぶりで終わっているので、具体的に、もし本当に国の賠償責任を求めていくとすると、新しい法律が必要になるんじゃないか、こういう議論があると思います。

 しかし、数歩下がって考えたときに、今回の原発の事故で避難を余儀なくされた方々、そうした方々の計画的避難ですとか警戒区域を設定したのは、ではだれが設定したのか。これは間違いなく政府が決めて、そして、どうか避難していただきたいと。こういうことは具体的に行っているわけですから、私は、国の賠償責任がなしとは言えない、このように思います。このことは、別にまた機会をつくって、少しじっくりと議論をさせていただきたいと思います。

 次に移らせていただきたいと思います。

 次は、政府の核燃料サイクル政策についてなんですけれども、先般、北海道電力が経済産業省原子力安全・保安院に輸入MOX燃料体の検査申請をした、このように報道されました。この報道は事実であるというふうに認識しておりますけれども、それでは、今後、この申請をされた以降の経過はどのようになっていくのか、この点についてまずお示しをいただきたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力安全・保安院は、委員御指摘のとおり、五月二十日付で、北海道電力から泊発電所三号機で使用いたしますMOX燃料の輸入燃料体検査申請書を受理いたしました。

 今後、燃料体の設計や事業者の試験計画、品質保証活動の計画等に対する書類審査や製造された輸入燃料体に対します外観検査、こういったことを行いまして、技術基準の適合性確認を厳格に行ってまいるところでございますけれども、これから北海道電力と海外の製造会社との間で、製造会社においてこれから製造が始まるという段階と承知してございます。

稲津委員 それでは、ほかの原子力発電で、今後この申請を計画しているところはあるのかどうか。実際にこの時点で、申請をぜひさせていただきたいというようなお示しがあるのかどうか、この点についてもお聞きいたしたいと思います。

寺坂政府参考人 ほかの原子力発電関係での輸入MOX燃料体の検査申請でございますけれども、事業者のプルサーマル計画によりますと、計画という意味では、まだ具体的に申請があるものではございませんけれども、既にプルサーマル計画の安全審査を終えておりますところが四基ございます。その内訳は、安全審査が完了しているという意味におきまして、電源開発の大間、東北電力の女川発電所三号機、中国電力の島根発電所二号機、それから、現在まだ安全審査中でございますけれども、北陸電力の志賀発電所一号機、これを合わせまして四基ございます。これはまだ具体的に燃料体の検査申請が上がってきているものではございません。

 それから、現在MOX燃料の検査申請がなされておりますのが、先ほどの北海道電力泊発電所三号機のほかに、関西電力高浜発電所の三号機がございます。この二基分でございます。

稲津委員 これから恐らく順次この申請が上がってくるんだろうというように思いますけれども、一つは、なぜこの時期にというお声があります。福島の原発が、これからどのように収束させていこうかというところにあって、その渦中、なぜこの時期か、本当に大丈夫なのか、これが寄せられている率直なお声かと思います。

 その上で、今、北海道電力の申請に関することについてお聞きをさせていただきましたが、それでは、今度は、具体的に政府の核燃料サイクルの政策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず一点目、高速増殖炉のことでございます。そもそも、プルトニウムの利用というのは資源の有効活用というところから始まった。原発で生まれるプルトニウムを、本来は高速増殖炉で使う計画であった、このように承知をしております。高速増殖炉の計画については、「もんじゅ」のナトリウム漏れの事故から進んでいない、このような認識に立っておりますが、そもそも、プルサーマル計画というのは高速増殖炉の実用化までのつなぎの位置づけだ、こういう考えもあります。「もんじゅ」については、ナトリウムの事故以降、昨年の八月には、今度は原子炉の容器内に装置の一部を落としてしまうという事故が発生しました。そして、試運転が延期となり今日に至っているという状況です。

 このような状況の中で、大臣は、高速増殖炉計画、あわせてプルサーマルの計画、どのように認識をなされて、今後どのようにこの計画を進めていこうとしているのか、この点についてお伺いをさせていただきます。

海江田国務大臣 プルサーマルにつきましては、これまで、各電気事業者が地元の了解を得た上で順次導入を決定し、導入を進めてきたところでございます。それから、高速増殖炉につきましても、これはまさに委員おっしゃるとおり、将来の実用化に向けて、文部科学省と連携して研究開発を行ってきたところでございます。そして、今御指摘のような、特に「もんじゅ」の事故、あるいは「常陽」のふぐあいなどもございました。

 今現在の扱いでございますが、今回、東京電力福島第一発電所で大変大きな事故も起きた。そして、三号機では、これはもう言うまでもございませんけれども、プルサーマルが導入されていたということもございますので、今回の事故の検証を踏まえて、そして各界の御意見も聞きながら、これからこの問題の方向性について議論を進めていきたい、こう思っております。

稲津委員 私は、このプルサーマルの安全性がどこまできちんとしていけるのかということが一番大事な要諦だと思っているんです。

 その上で、さらに聞かせていただくんですけれども、今大臣からお話のあった福島第一原発の三号機、これはまさにプルサーマル発電ということで、この三号機について、MOX燃料を使用していたがゆえに被害が拡大したとか、そういう事実があるかどうか。この点について簡潔にお伺いしたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 一昨日、二十三日、東京電力の方で、水位計が示しておる水位などから、実際の水位が低いことを仮定した場合に、三号機に関しましても、燃料ペレットが溶融して圧力容器底部に落下したであろうという、その解析結果を公表してございます。

 炉内の状況に関しましては詳細が不明でありますけれども、燃料ペレットが溶融し、落下している可能性はあるというふうに考えてございます。ただ、現状におきましては、全体といたしまして、圧力容器周りの温度あるいは注水量の変動、そういったものから、安定的に冷却できていると判断をしているわけでございます。

 それで、MOX燃料との関係でございますけれども、三号機に装荷されておりました、備えつけられておりましたMOX燃料ペレットは全体の燃料の五%程度のものでございます。したがいまして、ウラン燃料だけの炉と比較いたしまして大きな差があるというふうには考えてございませんけれども、MOX燃料ペレットの融点はウラン燃料に比べますと多少低い、そういう要素がございます。そういったこともございますので、燃料ペレットが溶融しているというようなことになりますと、このMOX燃料ペレットも溶融して圧力容器底部に落下しているということは可能性としてはあると考えてございます。

稲津委員 今は三号機は比較的安定しているというお話だったんですけれども、私は、一号機、二号機は比較的安定しているけれども、三号機については温度が割と上下している、このようにも聞いております。この点について確認をしたいことと、もう一点は、それでは、そういったことがMOX燃料を使っているがゆえにという、科学的根拠に基づいてそういう判断ができるかできないか。この二点、お聞かせいただきたいと思います。

寺坂政府参考人 三号機の温度に関しまして変動がある、一時高いこともあり、最近は下がってきておりますけれども、そういうふうに変動があったのはそのとおりでございます。

 それがMOX燃料との関係かどうか、そもそもそういう温度の上下に関しまして、どういう要素によるものかというのは確定できているものではございませんけれども、あわせまして、それがMOX燃料との関係があるのかどうかということについては確定的なものはまだ持ち合わせておりません。

稲津委員 科学的な見地に基づいてということは、今のところ十分御説明できないのかなと思います。

 もう一つは、この福島第一原発の敷地内からプルトニウムが検出されているということ。これは例えば、三号機のMOX燃料から飛散したのではないか、このような声も一部あるんですけれども、この点についてはどうでしょうか。

寺坂政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、東京電力の福島第一原子力発電所敷地内におきますプルトニウムに関します調査、これを測定し、随時その結果は公表しているところでございます。

 一番新しい数字で、五月五日に採取した土壌からの数字がございますけれども、そこにおきましてもプルトニウムが検出をされております。プルトニウムの濃度そのものは、過去の大気圏内の核実験によりまして既に国内他地域で観測された、フォールアウトと呼んでおります、そういったものと同様のレベルでございますけれども、そのプルトニウムの内容を考えました場合に、これが今回の福島第一原子力発電所の中から出てきたものであるというふうに考えてございます。

 ただ、通常のウラン燃料でございましても、燃焼の進展に伴いプルトニウムが生成されます。したがいまして、土壌からの今回のプルトニウム検出が三号機のMOX燃料に由来したものなのかどうか、これにつきましては特定することは難しいと考えてございます。

 いずれにいたしましても、敷地内の土壌モニタリングは継続いたしまして、結果については注意しながら見てまいりたいと考えてございます。

稲津委員 三号機から出たものかどうかということについては、これはなかなかわからないということでございました。ただ、いずれにしてもプルトニウムが実際に検出されているというのは事実であるということ。

 私がここで申し上げたいことは、MOX燃料というのは、ウラン燃料に比べて、原子炉の制御が比較的難しいというのが通説だ、このように伺っております。そう考えていくと、事故が起きれば多くのプルトニウムが放出されて、結果、被曝量も多くなるのではないか、こういうことが基本的には考えられると思うんです。ただ、そこのところについて、では具体的にどう検証できるかというと、なかなかそれは難しいという今の質疑の中のやりとりでございますので、それはよしといたしましても、いずれにしましても、しっかりとした検証を含めて、丁寧にやっていただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 もう一点、最後の質問になりますけれども、これは大臣にお伺いしたいと思うんです。

 エネルギー基本計画の見直し、それから、それに関する、それに付随したような、総理を初め大臣等の御発言。それから、これは非常に大きかったんですけれども、総理の浜岡原発の停止の表明、これは先般も質疑させていただきましたが、やはりどうも唐突な印象を与えてしまったということ。

 私は、原子力発電に対する基本政策ということについては、安全対策も含めて、政府は十分に説明をしていかなければならない、このように思っておりますが、この点について最後に大臣にお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 稲津委員にお答えをいたします。

 エネルギー基本計画というのは、法律にのっとって、専門家あるいは広く国民各層の意見を聞いて決めなければいけないものだというふうに思っておりますので、これからエネルギー基本計画を見直していく中で、当然、国民各層の意見を聞いていく。

 それから、今回の事故の総括ですね。先ほど委員が御指摘になりました三号炉の問題とMOX燃料の問題というのは実は私も大変関心を持っておりまして、この温度が非常に不安定だと。これは水を入れれば、水の量をふやせば冷えるわけでありますが、ただ、なかなかそれが安定的にという状況にはならないのかもしれないということでありまして、これが本当にどういう原因でそういう状況になっているのか、まだ炉の中の状況も正確にはわからない状況でございますから、そういう問題もございます。

 そして、MOX燃料の問題、あるいは先ほど御指摘のありました高速増殖炉の問題、こういった問題もエネルギー基本計画の中で、しっかりとそうした問題についての考え方もまとめた上で基本計画というものを定めなければいけないと思っておりますので、余り急いで、すぐに、こういう形だということを決めることはできませんが、やはり今回の東京電力福島第一発電所の大変深刻な事故も踏まえた上で、新たな我が国のエネルギー政策をしっかりしたものにしていきたい、そう思っております。

 ぜひ、国会の議論というのも、これもまた大変大切な議論でございますので、それもエネルギー計画の中で反映をさせていきたいと思っておりますので、どうぞ建設的な御意見をちょうだいしたいと思っております。

稲津委員 最後にこのことを申し上げて終わりたいと思いますけれども、やはり菅総理の原発についての、あるいはエネルギー政策についての基本的なお考え等が、発言がどうもぶれるという印象をぬぐえません。

 それは、先ほど申し上げましたように、浜岡の原発停止の、何度か繰り返し申していますけれども、どうも唐突のような印象を受けてしまう御発言、それからもう一つは、これは非常に大事なんですけれども、総理が核燃料サイクル政策について、重要性に言及したかなと思うと、今度は見直しととれるような、そういう発言もなさっている節があります。

 例えば、六ケ所村の核燃料の再処理施設について、いろいろ、るる述べた後に、白紙から見直したい、こう申された。今度、そうかと思いますと、青森の核燃料サイクル施設は極めて重要な意味を持っている、こういうお話をされている。

 だから、私は何を申し上げたいかというと、二番目のテーマ、核燃料サイクル政策について、やはり政府として、例えばここはこういう形で進めていくんだ、これは大丈夫ですよ、ここは心配ありません、ここはしっかり検証していく、そういうことをきちんとお示しいただかないといけない。このことを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 以上で稲津久君の質問は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、きょうは、班目委員長に来ていただきましたので、最初に伺っておきたいんですが、今、再臨界のことがよく言われておりますけれども、それに先立つ基本的な問題として、制御棒が溶け落ちてしまったのか、健全であるのかどうかということ。このことが一つ大事な問題だと思いますので。

 通常で考えると、ハフニウムの制御板、これはハフニウムの物性値、融点が二千二百三十三度、ボロンにしても、ボロンについては融点が二千七十七度ですから、ジルコニウムが溶けるぐらいの温度、これは千八百五十二度が融点ということに一応なっていますけれども、蒸発している蒸気雰囲気中で仮に液面の上に燃料棒が出たとしても、そのジルコニウムが溶けるぐらいの温度で、輻射熱によってハフニウムとか含有炭化ボロン等が溶け落ちるということはなかなか考えにくい問題ではないかと思うんです。

 だから、今回の事故によっても、制御板なり制御棒がきちんと残っているのかどうか、その状態について班目委員長の見ていらっしゃるところを伺っておきたいと思います。

班目参考人 制御棒がちゃんと残っているかどうかですが、御指摘のとおり、制御棒も溶けていると思いますし、燃料も溶けているというふうには思っております。

吉井委員 通常は、制御棒というのはかなり融点が高いわけですから、これが溶け落ちるということは普通はないわけですね。冷却水等がまだ残っておりますと、熱伝導によっても冷却効果が効きますから、これは制御棒も溶け落ちるぐらい深刻であったという見方だと理解していいですね。

班目参考人 おっしゃるとおりで、燃料も溶けているということは事実でございますので、当然、制御棒の方も溶けているというふうに認識してございます。

吉井委員 そこで次に伺っておきたいのは、制御棒も溶けてしまっている、燃料棒も溶けてしまっている、ハフニウムの制御棒は、これは中性子を食う割合が非常に高い性質を持ったものですから、これはまざったとしても、混合した状態で仮に燃料から高速中性子が出たとしても、かなりこれは食ってくれる可能性があると思うんですが、臨界反応を起こすということはなかなか考えづらい問題ではあると思うんですが、再臨界について、どういう条件のもとなら福島原発の再臨界ということが考えられるのか、その条件についてお聞かせいただきたいと思います。

班目参考人 吉井先生の方が詳しいみたいなんですが、制御材だけが流れ出してしまって、しかし、燃料の方は高温にもかかわらず形状とか配置などがそれほど変わらない状態で、かつ、中性子を減速作用のある、しかし不純物の少ない水か何かが燃料全体を覆う、そういう状態であるならば再臨界ということは考えられるかもしれません。

吉井委員 逆にハフニウムの方が非常に融点が高いわけですね。そうなりますと、再臨界ということは極めて考えづらい問題であったのではないかと思うんですが、班目委員長のお考えを伺っておきます。

班目参考人 私の認識としては、再臨界の可能性は極めて低いというふうに思っておりました。

吉井委員 次に、寺坂保安院長に伺っておきますが、原子力安全・保安院は、どういう条件のもとなら、制御棒が挿入されていても、あるいは制御棒が損傷していても、その場合、臨界反応が起こり得るのか、あるいはまた、一度停止した原子炉の中で再臨界が起こるのかということについて、どういうお考えでしたか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、今、どういう条件でというのを申し上げるのはなかなか難しいというふうに思ってございますけれども、先ほど班目委員長が御答弁なさいましたような非常にまれなケースで、そういった状態の中で、その可能性がゼロかと言われれば、可能性はゼロではないというふうに考えているところでございます。

吉井委員 政府・東京電力統合対策本部のメモを見ておりましたら、最初、十九時ごろから海水注入をやったときにはボロンは入れていないんですね。再注入するときに再臨界を防ぐための硼酸投入開始というふうに言っているわけですけれども、これは原子力安全・保安院の方からの指示なんですか、それとも東京電力の独自の判断なんですか。

寺坂政府参考人 私どもとしては、保安院からの指示というよりも、その時点におきましては関係者が集まってさまざまな議論をしていたというふうに承知しておりますので、そういった中で、ボロンの投入につきましても、念のためにすることが必要だ、そのような認識に立って実施されたものというふうに考えてございます。

吉井委員 つまり、最初注入したときは東京電力は入れなかったんだけれども、再注入のときは東京電力の判断で再臨界を防ぐためにボロンを入れた、こういうふうにお考えだと理解していいですね。

寺坂政府参考人 先ほど申し上げましたとおりでございまして、関係の者が当時集まってさまざまな話をしていたというふうに承知をしてございますので、そういった中で、ボロンの投入についても実施をされたというふうに考えているところでございます。

田中委員長 答弁者に申し上げますが、質問にしっかり答えてください。というのは、東京電力が指示をしたのか、あなたのところで指示をしたのかということを聞かれているわけですから、今の答えでは、あなたのところでしたような、しないような、はっきりわからない答弁ですから、その辺を明確にしてください。再度答弁してください。

寺坂政府参考人 失礼いたしました。

 私どもが当時の関係者などから聞いております限り、原子力安全・保安院として、ボロンの投入について、明示的に具体的な形で、具体的な人物が指示をしたというふうなところは確認ができておりません。

吉井委員 さっぱりわからないですね。

 要するに、東京電力の判断でやったのか、原子力安全・保安院の判断で、つまり、政府の指示でやったのか、政府と東京電力で統合本部をつくりながら責任のなすり合いをやっているだけでは、さっぱり物事はわからないということだけ申し上げておきたいと思います。

 次に、中性子線の計測の方なんですけれども、検出限界は〇・〇一マイクロシーベルト・パー・アワーですが、伺ったところでは、三月十日までの地震が起こるまでのデータでは、大体ゼロから〇・〇一マイクロシーベルト・パー・アワーで、これは計測器の検出限界で、中性子が確実に原子炉から、まあ、炉が分厚いですからかなり遮へいされるわけですけれども、幾らか漏れてくる、そういうものがあるのかどうかわからないぐらいのものであったと。まあ、宇宙放射線等自然のものである可能性が高いというお話でした。三月十一、十二日のものもゼロから〇・〇一マイクロシーベルト・パー・アワー、三月十三日は〇・〇一マイクロシーベルト・パー・アワーが六回検出、〇・〇二が四回検出ということで、場合によっては水素爆発の影響もあるかもしれないということですが、いずれにしても、その後また通常のレベルに戻っているということです。

 そうすると、検出値が小さくて、これは臨界に起因するものではなくて、宇宙線など自然界に存在するバックグラウンドの検出だということになりますと、そもそも再臨界の可能性もなかったし、その後再臨界という状況もなかったと理解していいのかというふうに思うのですが、この点、班目委員長。

    〔委員長退席、楠田委員長代理着席〕

班目参考人 私としては、再臨界があったという可能性は限りなくゼロだと思います。

吉井委員 班目委員長に引き続いて伺っておきたいのは、原発の、分厚いですから遮へい効果で地震前に中性子の検出はない、もし地震直後に敷地内でかなり計測されておれば、制御棒が全部入ったはずが、入り切らないものがあったりして部分的に臨界状態があったかもしれないという評価はできる場合があろうかと思うんですが、しかし、大体一〇〇%挿入されておったというふうにみなしていい状態かと思われるんです。

 今度は、地震直後に計測されていない場合、原子炉は停止していた、その後も中性子検出がなければ、海水注入をしても、塩化ナトリウムが入る入らないの問題はあるにしても、要するに水で高速中性子を減速し冷却するわけですから、これは真水であれ海水であれ、海水を使いますとプラントは腐食されていきますが、再臨界の問題というのはそもそも考えられない問題だろうと思うんです。

 この一号機について、三月十一日から十二日の原子炉の状態というのはそもそもどういうものであったのか。先ほどハフニウムの制御板が溶け落ちたというお話もありましたが、炉心も溶融した。どちらが先でどちらが後でということもいろいろあると思うんですが、安全委員長としては、どういう事態が進行していたというふうにお考えなのか、伺っておきます。

班目参考人 その段階ではプラントのデータは非常に限られております。それで、どういう状態ということははっきりは言えませんが、部分的な溶融は起こっているというふうに考えております。

 その場合、当然、燃料もある程度溶融しているだろうし、制御棒の方もある程度溶融しているだろうというふうに思っております。

吉井委員 海江田さんにちょっと伺おうと思ったら、いなくなったので後回しにするとして。

 やはり自然科学の立場に立てば、よほどの条件が整わない限り、再臨界を考えるということは非常に難しい問題だったと思うんです。中性子線の測定データからしても、余りそれはうかがえないというふうに思うわけです。

 近ごろ、何か東京電力と政府の間で注入問題をめぐって停止を命じたとか再臨界についての議論がどうだったとかいろいろ議論がされているようですが、私は、政治家の失敗を学者のミスだというふうにしてしまうのは正しくないと思っておるんです。

 それで、大臣が戻ってこられたので伺っておきますが、実は、昨年の四月九日の当委員会で、直嶋さんが経産大臣のときですが、「メルトダウンというようなことを起こさない、このためのさまざまな仕組みをつくっている」という、これは直嶋さんの答弁だったんですが、当時の政府の考え方というのは、今既に明白に誤りであったことが実証されていると思うんですが、これは海江田大臣に伺っておきます。

海江田国務大臣 当時の考え方が誤りであったということではなしに、今回、東京電力福島第一発電所で起きた事故の結果、そうした努力が実際のものとならなかったというのが真実だろうと思います。

吉井委員 メルトダウンを起こさせないさまざまな仕組みをつくっていると言ったんですよ、あらゆる過酷事故に備えてメルトダウンを起こさせない仕組みをつくっていると。いろいろな実例を挙げて、全電源喪失の問題とかやっていったんですが、大丈夫だというのが当時の大臣の答弁だったんです。

 だから、当時の考え方が間違っていたことはないというんじゃなくて、その見方がやはり間違っていたということは、これは今大臣として明確にしておかなきゃいけないんじゃないですか。

海江田国務大臣 メルトダウンということはどういう中身を示すのかということは、これまたいろいろな幅のある概念でありますが、結果的にすべての燃料が溶融をして、圧力容器なのか格納容器なのか、さらにもっと下なのか、落ちていることは事実でありますから、おっしゃるようなメルトダウンは現実に起きていたということであります。

 ただ、一年前の段階で、そういうことが起きないように努力をするというその決意が述べられたものだと思います。その決意というものは大変必要なわけで、それが現実にそうならなかったというところから反省をして、本当に再びメルトダウンを起こさせないためにはどういうことをすればいいのかということを、これからの原子力行政の中にしっかりと生かしていきたい、こういうことでございます。

吉井委員 実は、あの事故の後、原子力安全・保安院の方は、まず緊急安全対策を指示して、その結果として五月六日に各電力事業者において適切に実施されているものと判断したと公表したわけですね。

 これはしかし、女川原発一号機の建屋を見ますと、最高二千ガルを超えているんですよ。針が振り切れてしまった。そういう加速度を記録して、大体六百から七百カ所の機器の故障、損傷等がわかっているわけです。二〇〇七年七月十六日の新潟県中越沖地震のときにも、実は柏崎刈羽のタービン建屋で二千ガルを超えているんです。その大きな地震のときに、際どいところまで行って何とかとまったんですが、損傷箇所数は三千五百カ所を超えているんですね。

 緊急対策では、二千ガルの地震に遭遇したときに原発プラントの健全性がどうなるのかということを調べてからでないと、適切に実施されているということは簡単に言えないと思うんですが、どうですか。

寺坂政府参考人 三月三十日に各電力事業者に対し指示いたしました緊急安全対策でございますけれども、これに関しましては、津波の問題を念頭に置きまして、すべての交流電源あるいは外部との熱交換による冷却手段が失われましても、外部からの注水などによりまして原子炉を管理された状態に維持し、多量の放射性物質の放出を回避するための措置として各電力会社に指示をしたものでございます。そのような意味におきましては、津波に対する緊急安全対策ということでございました。

 それ以外の部分が本格的に含まれていないということについては、そのとおりでございます。

吉井委員 まず、二千ガルというのは、柏崎でも女川でも、多分福島でも、建屋についてはそうだと思うんです。ですから、もともとの耐震設計指針そのものについて、根本的に見直しをしてからこうしたチェックをやらないと地震対応ということにはならないと思うんです。

 津波について伺っておきますが、例えば島根原発の場合、津波の引き波の想定というのは、これは島根原発でも伺っておりますが、標準海水面からマイナス五・七メートルなんです。ところが、機器冷却系、すなわち、原発停止のときのRSWポンプの海水引き込み口の水位というのは、一号機でまだマイナス二・四メートルのままなんですよ。二号機はマイナス三・五メートルなんですよ。つまり、引き波がマイナス五・七メートルという想定のところまでいったら、幾ら機器冷却系のポンプを回してみたって、そもそも原発停止後の核燃料の冷却と機器冷却系が働かないんだから、海水で熱交換して冷却できないんですよ。

 そのことが、実は、私もせんだって島根原発に行って改めてまだ直されていないということを知ったんですけれども、こういう問題について、問題であるのに適切に実施されているという判断を下してしまったというのは、これはおかしいんじゃないですか。

    〔楠田委員長代理退席、委員長着席〕

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、今回の緊急安全対策は、電源喪失といった事態を受けまして、すべての交流電源や外部との熱交換による冷却手段が失われても、外部からの注水などによりまして原子炉を管理された状態に維持する、そういったことをねらいとしたものでございます。

 引き波によります水の確保につきましても、もともと、さまざまな検討が行われているわけでございますけれども、そういった場合において、やはり冷却手段が失われた状態においてどのような対応をしていくのかということでございますので、今回の緊急安全対策がカバーしている部分は相当あるというふうに考えているところでございます。

吉井委員 私がこの問題を取り上げたのは五年も六年も前からなんですが、要するに強い地震動で鉄塔が倒壊する、今回福島がそうだったんですが、外部電源が失われる。押し波によって内部電源が失われる。引き波の場合、福島はたまたま震源域が近かったから引き波が小さいんですね、引き波の場合には冷却水そのものが失われてしまう。ですから、これを取り上げたのは二〇〇六年の三月、予算委員会でやったんですが、あれから五年たつんですが、まだ対策はとられていないわけです。

 今回の福島第一の災害を考えた対策を当時から求めてきたわけですが、津波の押し波、引き波対策をとられていない全国の原発に対して、これは大臣として対策をとらせるのが当然のことだと思います。この考えを伺っておきたいのが一点。

 時間が来たようですから、もう一点。事故のたびに想定外という言葉をよく使われるんですが、この言葉を使い続けるのはやめるべきだ。地震列島である日本で、もう原発依存のエネルギー政策そのものを根本的に変えていくという立場に立たなきゃいかぬと思うんですが、この二つの点について大臣に伺っておきます。

海江田国務大臣 まず、後ろの質問からお答えをいたしますが、想定外を使わないということと原発政策をすべてあきらめるということは、私はイコールにはならないと思っております。ですから、もう私どもは想定外という言葉は使わないつもりですし、使ってはいけないと思っております。

 そして、最初の御質問でございますが、吉井委員はいつも貴重な御意見を提起をしてくれておりますので、大変貴重な意見だと承っておきます。

吉井委員 想定外という言葉を使わないだけじゃなしに、指摘したのにやらなかったから今度起こったんですよ。指摘しているのに、島根ではまだ引き波対策もとられていないんです。こういうことで、これからも政策を変えずに原発中心にエネルギー政策を進めるというのは、これは間違っていますから根本的に改めるべきだ、このことを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。

田中委員長 吉井英勝君の質疑は以上で終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 最初に、原発事故後の全国の原子力発電所のその後の安全対策あるいは緊急点検についてお尋ねします。

 スマトラ沖地震、インド洋の大津波のときというのは、二〇〇四年の十二月二十六日にマグニチュード九・一の地震がありました。その翌年の二〇〇五年の三月二十八日にも、やはりスマトラ島沖でマグニチュード八・六の地震が起きました。さらに、二〇〇七年、その二年後の九月にも、やはりマグニチュード八・五の地震がスマトラ沖で起きております。そういう大きな地震が起きると、その数カ月後あるいは数年後に同じく大きな地震が起きるというケースは大変よくあることですから、浜岡原発をとめた、それはいいとして、そのほかの原発の安全対策というのもやはり確認をしていく必要があるのではないかと思います。

 外国の事例でいうと、フランス政府は、三月十五日、福島原発の事故の後に、フランス国内の全部の原発の安全検査、監査をやることを決めておりますし、お隣の韓国も、国内の原発全部を本格的に再点検しようというようなことをやっております。日本も同じく、やはり、事故対応でお忙しいとは思いますが、同時に浜岡以外の全国の原発も含めて安全性の確認というのをもう一度やっていく必要があるんじゃないかと思います。

 経産省から事故後に出たプレスリリースを拝見しますと、電源確保に関しては非常に事細かに通達が出ているようです。実は私、この月曜日、浜岡原発に視察に行かせていただきましたが、電源対策、あるいは緊急の電源確保関係の安全策は非常に一生懸命、早急にやられているんですけれども、抜本的な安全対策に関してはまだまだでありまして、経産省の資料を見ても、事故調査委員会の調査結果が出たら抜本改革をやりますというような書きぶりになっているように思います。それではもしかしたら遅くなってしまうかもしれませんので、一刻も早く、本格的な安全対策の見直し、電源だけじゃなくて全般的な安全対策の見直しが求められていると思いますが、それについて、経産省のお考え、あるいは今後のスケジュール感についてお尋ねします。

海江田国務大臣 お答えをいたします。

 浜岡を見ていただいたということでございますが、私どもは、先ほどの吉井委員にも保安院からお答えをいたしましたが、まず、三月の三十日に緊急の安全対策というものの指示を行いました。これが、今委員御指摘のありました、主に電源の確保ということでございます。

 ただ、この電源確保というのも、これはあくまでも緊急、応急のための電源の確保でございますから、浜岡へ行ってごらんいただければおわかりいただいたように、例えばポンプも、いわゆる地元の消防団などが使っております可搬ポンプという、人力によって持ち上げることあるいはリヤカーなどに載せて動かすことのできる、そういう小型のポンプを何台もつないで、そして海から水をとってきて、放水の口がございますから、そこへつなぐということであります。

 これも、緊急ということでいえば、万やむを得ない措置で、一応冷却水の確保はできるわけでございますが、やはりこれを安定的なものにするためにはしっかりとした発電機などの設置が必要だろうということで、そういうことは全国にも通知をしてございます。

 それから、言うまでもございません、抜本的という言葉を使っておりません、私どもは中長期的という言葉を使っておりますが、やはり津波の対策の防潮堤でありますとか原子炉建屋の水密化、あるいは空冷式の非常用発電機を高所に確保するようにという中長期的な作業というものも指示をしておりまして、これは一刻も早く整備をお願いしますという形で安全に備えているわけでございます。

山内委員 浜岡のお話を続けさせていただきますが、御前崎市の市役所にお邪魔しましたところ、浜岡原発の停止に伴って、いろいろな国の補助金、交付金みたいなものが減少して、非常に困るんじゃないかというような話を聞きました。

 被災地というと、今は東北三県ばかりに目が行っておりますが、浜岡にしたって、これから地域経済に対する影響、雇用に対する影響、あるいは、地元の人の話では、観光産業にも、浜岡が危ない、放射能が飛んでいるんじゃないかみたいな勘違いで旅行を取りやめているような外国の観光客もいると聞きます。

 実は、静岡の浜岡の周りもある意味二次被害のような状況が生まれつつありますので、地方の自治体、御前崎市を初めとする自治体に対する国の支援が、今回、急にがくっと交付金の額が減ってしまったりとか、そういうことが起きないようにしなくてはいけないと思いますが、その点について経産省のお考えをお尋ねします。

海江田国務大臣 御前崎の市長とは、私もついせんだってもお目にかかりまして、今委員御指摘のような依頼を受けたところでございます。

 そこでもお話をいたしましたけれども、交付金などは減らさないということでございますが、ただ、一部の報道で、およそ十億円、国の交付金の減額があると。正確に言いますと、国の交付金はそのうちの九億円の減額でございますけれども、これは今回の浜岡原子力発電所の運転停止とは無関係でございます。

 これは、浜岡原子力四号のプルサーマル発電に係る交付金事業の実施を静岡県が見送ったことによるものでありますから、今回の私どもの措置とは無関係で、私どもは、これまでの発電の実績に応じた十割の交付金の支払いを行っていく。それから、発電の実績というのは過去二年でございますから、それから先についても、交付金の額は減らすことなくしっかりとお支払いをしていくということをまず申し上げました。

 そして、その上で、二次被害と申しますか、観光業でありますとか、あるいは原子力発電所で働いていた人たちの数が減るのではないだろうかと、種々御心配がありましたから、その点につきましては、私ども経済産業省として、特に中小企業対策などにおいては万全を期していくということをお伝え申し上げました。

山内委員 地元の人たちは大変不安に思っていらっしゃいますので、ぜひ御配慮をお願いしたいと思います。

 続きまして、海外における風評被害対策については、これまでも質問をさせていただいてまいりましたし、経産省や外務省も取り組んできたのは承知しております。

 最近、五月二十一日に、経産省と中華人民共和国商務部との経済貿易協力強化に関する共同文書というのをホームページで拝見しましてダウンロードしました。その中で、「風評被害の防止のために、双方は、科学的根拠に基づき対応し、両国の貿易の円滑な発展を推進することで一致した。」と。「科学的根拠に基づき対応」、これは当たり前ですし、大変重要な点だと思いますが、ただ、科学的根拠というところをきっちり詰めていないと、科学的根拠を理由にしていろいろな障壁を設けることもできるかもしれない。非常に高いハードルの科学的根拠を相手国が設けてしまうと日本の輸出が滞るということもあり得ますので、具体的に科学的根拠というのはどういうふうに取り決められたのか、ここの文言に出てこない背景のお話をお聞きできればと思います。

海江田国務大臣 科学的根拠のお話をする前に、その文書が交わされた経緯について若干お話をいたします。

 これは、中国側からの提案によりまして、中国の商務部として、今度の大震災、大津波、そして原子力発電所、日本がこうむった大変大きな被害に対して何かお役に立てることがないだろうかというような発想も根底にあったことは事実でございます。

 そしてその上で、今指摘のありました科学的根拠ということでございますが、私どもは、国際放射線防護委員会等における国際的な基準がございますから、この国際放射線防護委員会等における国際的な基準に沿った安全確保の取り組みを基準としているわけでございます。

山内委員 ぜひ、この文言を根拠にして変な貿易障壁ができないようにウオッチをしていただければと思います。

 それと、ちょっと時間がなくなってきたので、通告していない、要望ということでお願いできればと思います。

 今、震災復興特別委員会の参考人の意見陳述を聞いてきたんですけれども、地元の漁協の方、あるいは農協の方、商工会議所の方のお話を聞いていると、漁協の人がおっしゃっていたんですけれども、漁業者向けのいろいろな融資制度というのはそれなりにある、既存のものも、あるいは震災後も含めて、漁業者に対する融資は大分考慮してもらっていると。ただ、漁協の人がおっしゃることには、水産加工業に対する融資制度などが不十分であって、水産加工業がちゃんと再生しないと漁業もやはり再生できないというようなお話をされていました。

 水産加工業になると恐らく経産省の領域になってくると思います。既に経産省も、中小企業対策あるいは被災地の企業向けの融資制度、いろいろなものを考えていらっしゃると思うんですが、特に、水産加工業のほか、地元の農業や漁業の復興に直接かかわる分野に関しては、さらにもう一段優遇措置なんかをつくってもいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、もし言葉を賜れれば。

中山大臣政務官 中小企業者に対して、もちろん加工業者も中小企業の方が大変多いわけでございまして、今いろいろな手だてを考えております。

 特に、震災を直接受けた方と、または関連した方と、なるべく分けないでできる限りお金を出していこうということで、今の加工業者なんかも、実際に貸し工場みたいな形で私たちは今お話をさせていただいております。うちの方の職員が行ったときも、今言ったような業者の方に囲まれていろいろな御相談をしたそうでございます。

 今言ったことは、即、できる限り早く対応していきたいと思っております。実はきのうも我々の部門会議で同じような質問がありましたので、早急に対応できるようにいたします。

山内委員 前向きなコメントをありがとうございます。

 それと、先ほど震災特委の参考人の意見陳述で農協の方がおっしゃっていたんですが、農産物を出荷するに当たって、放射線の線量計が足りない、だから、ぜひ農協すべてに完備できるぐらい配ってほしいということをおっしゃっていました。それを農水省がやるのか、経産省がやるのか、どこがやるにしても、政府として、ぜひ、そういう風評被害対策に科学的根拠をもってこたえられるように、そういった措置もお願いしたいと思います。通告していませんので、お願いということで、もし何かあればお願いします。特になければ結構です。

 では、ちょうど時間も参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 山内康一君の質疑は以上で終了いたしました。

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、内閣提出、参議院送付、特許法等の一部を改正する法律案及び不正競争防止法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。海江田経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 特許法等の一部を改正する法律案

 不正競争防止法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

海江田国務大臣 特許法等の一部を改正する法律案及び不正競争防止法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 まず、特許法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 グローバル市場における競争が新興国を含めて激化する中、我が国企業の競争力を持続させていくためには、イノベーションを促進し、新たな技術や産業を生み出すための環境を整備することが急務となっております。

 こうした中、技術の高度化や複雑化に伴い、社外の技術も活用して研究開発や製品化を行うオープンイノベーションが進展しており、これが要因となってライセンス契約の重要性が増し、共同研究、共同開発が一般化するなど、知的財産制度をめぐる状況も変化しております。

 また、中小企業等におけるイノベーションを促進するために知的財産制度の利便性を向上させることや、技術革新のスピードに対応して迅速的確に紛争を解決することも一層重要になっております。

 こうした事情にかんがみ、知的財産の適切な保護、活用を実現するための制度を整備し、もってイノベーションを通じた我が国経済の成長を実現することを目的として、本法律案を提出いたしました。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、ライセンスの提供を受けて行う事業活動の安定性を確保するため、ライセンスの提供を受けた者が、特許庁への登録をしなくても、特許権を譲り受けた者からの差しとめ請求等に対抗できることといたします。

 第二に、真の発明者の適切な保護のため、真の発明者以外の者や共同発明者の一部のみによって特許権が取得されてしまった場合などに、発明者等が特許権をみずからに返還請求できることといたします。

 第三に、知的財産制度の利便性を向上するため、中小企業等に係る特許料の減免期間を延長する等、料金と手続の両面において、制度の見直しを行います。

 第四に、知的財産をめぐる紛争を迅速的確に解決するため、無効審判等の紛争処理制度の見直しを行います。

 続きまして、不正競争防止法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 経済のグローバル化が進展し、企業の国際的な競争が激化する中で、営業秘密やコンテンツといった知的財産は企業の競争力の源泉であり、ますますその保護の重要性が高まっております。

 こうした状況の中で、営業秘密侵害罪の対象範囲が拡大された平成二十一年の不正競争防止法改正の際の附帯決議等においては、被害企業が、刑事訴訟手続において営業秘密の内容が公になることを恐れて告訴をちゅうちょする事態が生じており、早急に対応すべきとの指摘がなされております。

 また、昨今、ゲーム機に付されているアクセスコントロールといった技術的制限手段を回避し、違法な海賊版ゲームソフトの使用を可能とする装置等が横行し、コンテンツを取り扱う事業者に甚大な被害が生じております。

 これらの事情にかんがみ、刑事訴訟の審理において営業秘密の保護を図るための措置を講ずるとともに、技術的制限手段を回避する装置等に係る規律を強化することにより、営業秘密や技術的制限手段の一層の保護を図り、もって我が国の産業競争力を維持強化することを目的として、本法律案を提出いたしました。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、営業秘密の内容を保護するための刑事訴訟手続を整備いたします。営業秘密侵害罪に係る刑事訴訟の審理において営業秘密を適切に保護するために、裁判所が、営業秘密の内容を公開の法廷で明らかにしない旨の決定や、別の呼称等を用いる決定を行うことができることとするとともに、公判期日外において証人尋問等を行うことができることとする等の手続を整備いたします。

 第二に、技術的制限手段を回避する装置等に係る規律を強化いたします。技術的制限手段を回避する機能のみならず、それ以外の機能を有する装置等であっても、実質的に技術的制限手段を回避する用途に用いるために譲渡するなどの行為を規制の対象に加えるとともに、こうした行為などに対して刑事罰を導入いたします。

 以上が、両法律案の提案理由及びその要旨でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

田中委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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