衆議院

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第15号 平成23年7月27日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十三年七月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      阿知波吉信君    石森 久嗣君

      緒方林太郎君    川口  博君

      川島智太郎君   木村たけつか君

      櫛渕 万里君    熊田 篤嗣君

      斉木 武志君   斎藤やすのり君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    平  智之君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      矢崎 公二君    山本 剛正君

      吉田おさむ君    梶山 弘志君

      近藤三津枝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    西野あきら君

      額賀福志郎君    望月 義夫君

      稲津  久君    吉井 英勝君

      山内 康一君    園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       海江田万里君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   泉 紳一郎君

   政府参考人

   (消防庁次長)      原  正之君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     内山 俊一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            安井 正也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            伊藤  仁君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十日

 辞任         補欠選任

  田嶋  要君     石森 久嗣君

同月二十七日

 辞任         補欠選任

  平  智之君     矢崎 公二君

同日

 辞任         補欠選任

  矢崎 公二君     阿知波吉信君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     平  智之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案(内閣提出第五一号)

 電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)

 経済産業の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る十六日から二十日まで、欧州各国におけるエネルギー事情等の実情調査のため、フランス、スペイン、ドイツに海外派遣を行いましたので、派遣団を代表いたしまして、私から調査の概要について御報告いたします。

 派遣団は、民主党・無所属クラブの後藤斎君、自由民主党・無所属の会の西村康稔君、公明党の佐藤茂樹君、そして私、田中けいしゅうの四名であります。

 それでは、調査の概要について申し上げます。

 本派遣団は、去る七月十五日金曜日より審議入りした政府提出のいわゆる再生可能エネルギー固定価格買い取り法案に関連して、我が国に先立って先進的な取り組みを実施している欧州諸国に直接訪問し、太陽光発電プラントや風力発電プラントの導入事例をつぶさに視察するとともに、政府当局や産業界の関係者などから制度導入とその後の検討に対する課題などを伺ってまいりました。

 本派遣団は、去る十六日土曜日から渡欧し、十六日土曜日はフランスにおいて、NEDO欧州事務所等から、欧州各国における再生可能エネルギーの導入に関する全体的動向、また、フランスの総合原子力企業であるアレバ社とは、我が国の原子力事故によるフランスの原子力政策への影響、安全対策や今後の考え方など意見交換いたしました。

 十七日日曜日には、スペインに移動し、太陽光発電施設と風力発電施設を視察し、十八日月曜日には、スペイン工業・観光・商務省のエネルギー長官や電力産業協会と、同国における再生可能エネルギーの導入に関する経緯や評価、今後の課題などについて意見交換しました。

 また、現地に進出している日系企業から、再生可能エネルギーに関する現地の実情や対スペイン投資に関する課題について聴取してまいりました。

 その後ドイツに移動し、十九日火曜日には、再生可能エネルギー出版関係者やドイツの太陽光電池メーカーであるQセルズ、ドイツ環境省担当局長、ドイツ経済振興公社、ドイツ電事連など、ドイツにおける再生可能エネルギー関係者と面談し、制度導入の経緯や課題などについて意見交換しました。

 今回の派遣は、国会の状況もあり、極めて限られた日数ではありましたが、制度導入の先進地の関係者の貴重な経験やアドバイスを伺うなど、実りの多い調査となったことを皆様方に御報告させていただきます。

 なお、今回の調査に御協力いただいた関係者各位に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

 お諮りいたします。

 ただいま報告いたしました内容の詳細につきましては、これを会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は本号(その二)に掲載〕

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案並びに電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官泉紳一郎君、消防庁次長原正之君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官内山俊一君、資源エネルギー庁長官細野哲弘君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長安井正也君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君、中小企業庁事業環境部長伊藤仁君、環境省総合環境政策局長白石順一君及び環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。楠田大蔵君。

楠田委員 おはようございます。衆議院議員の楠田大蔵でございます。

 本日は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案及び電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 まずもちまして、海江田大臣初め、経済産業省幹部の皆様におかれましては、震災復興、原発事故対応を初め、諸懸案に対し、連日連夜御尽力をいただいておりまして、心より敬意と感謝を申し上げます。また、さまざまな事情を乗り越えて本日の委員会審議の場の設定に御尽力をいただきました田中委員長を初め、与野党理事、また委員各位の皆様にも敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと思います。

 もとより、我が国は、今なおまさに国家的危機の中にあり、多くの懸案を抱えております。そうした諸懸案の中でも、最も大きいものの一つとして、原発事故対応とそれに伴う電力需給対策、そして今後のエネルギー政策のあり方があります。この点についても、三月十一日のあの未曾有の大震災は、我が国、そして我々国民一人一人に大きな問題を投げかけました。

 我々が綿々と享受をしてきた豊かさの陰に原発を初めとする人類の技術の粋があり、我々はこの事故の被害者であると同時に、加害者でもあるという表裏一体の関係があります。そして、この問題にさいなまれる我々自身しかこの問題を乗り越えることはできず、我々の未来の生き方そのものを決めるのも、我々自身しかできないのであります。その答えに正解はないのかもしれませんが、それゆえ、だれしも避けて通れない問題である、そういう認識であります。

 短期的には原発も含めた従来の供給力が必要であること、しかし、中長期的には再生可能エネルギーの導入拡大が不可欠であることに対し、与野党を超えて大きな異論はないはずであります。しかも、自公政権時の炯眼により、既に二〇〇三年の時点でRPS制度が導入され、二〇〇九年の時点で余剰電力買い取り制度が始まっております。そうした現状と経緯を考えれば、おのずと、本法案が決して与野党の対立を喚起するものではなく、さらに言えば、本来総理の退陣条件云々になじむ話でもなく、ましてや解散の争点になる話でもないということを改めて確認させていただきたいと思います。

 ぜひ、小異を捨て、スピード感を持ち、それぞれが知恵を出し合って大きな一歩を踏み出していければと存じておりますので、そうした思いで質疑に入らせていただきたいと思います。

 まずは、本法案を今議論する上で特に多い指摘といたしまして、現エネルギー基本計画を変更し目的を確定させる前に、再生可能エネルギーの導入拡大を図る手段としての本法案を成立させるのかという指摘がございます。この点の整合性をいかに考えておられるか、大臣、お答えください。

海江田国務大臣 楠田委員にお答えをいたします。

 今、楠田委員からお話がございましたけれども、きょうこの委員会の場に集まっている皆様方、それから多くの国民の皆様方もそうだろうと私は思いますが、このエネルギーの基本計画を見直しするということは、これはもう当然のことでありまして、それには少し時間がかかりますが、エネルギー基本計画の見直しの中で、当初、エネルギーの中で二〇三〇年に五三%としておりました原子力に依存をする部分は減らさざるを得ない、減らすのは当然だということ。他方、今議題になっております再生エネルギーの部分をふやすということ、これはもう共通の確認事項だと思います。

 そうした共通の確認事項の上に立って、これから再生可能エネルギーをふやしていくに当たって、今回私どもが提案をしております法律というのは一日も早く成立させる。そのことによって、それぞれ発電の事業者の方々、それから、確かに一時的には家庭の方々あるいは工場の方々なども負担を強いられることになりますけれども、その負担を乗り越えていって、本当に日本のエネルギーがしっかりと再生可能エネルギーにも依拠をしたエネルギー構成になることが必要だろうと思っておりますので、今回こうやって、まだエネルギー基本計画が定まる前でございますが、この再生可能エネルギーの利用をますます拡大していくという方向は、来るべきエネルギー基本計画の方向性と必ず合致をするものだ、こう考えております。

楠田委員 今後の計画は、当然、慎重にかつ国民的議論を経て行うべきであると同時に、再生可能エネルギーについては、その必要性は多くの合意が得られているというもとにその一歩をまず踏み出すべきという大臣の御意向であったと思います。私もその点は同感をしているところであります。

 また、冒頭述べましたように、既に自公政権下の二〇〇三年にRPS制度が導入されまして、二〇〇九年には、エネルギー供給構造高度化法によりまして固定買い取り制度も一部始まっております。そうした従来の制度に対する評価と、その上に、事前の通告に少し加えさせていただきますが、本法案を導入した場合のさらなる効果、また、導入量の増加はもちろんでありますが、例えば経済効果や関連市場の需要創出、雇用創出などを具体的にわかりやすく、前向きにお答えをいただければと思います。

海江田国務大臣 まず、RPS法は、もう委員から御指摘がありましたけれども、二〇〇三年の施行でございますので、その後の我が国における再生可能エネルギーの導入量を調べてみますと、およそ二・五倍になっておりますから、この一つのデータを見ましても、RPS法が誕生し、それが施行されたということは、一定の効果を上げてきただろうという認識でございます。

 しかし、このRPS法の中にも幾つかの問題点と申しますか、あるいは克服をしなければならない課題があろうかと思います。RPS法におきましては、再生可能エネルギーによる発電を行う者と電気事業者との相対の交渉で電気の取引価格が決定をされることになります。そうしますと、当然のことでございますが、電気事業者は相対的に安価な再生可能エネルギーを利用するということになろうかと思います。

 このため、再生可能エネルギーによる発電を行う者にとっては、投資回収ができるか否かに関して不確実性があり、また、現在は高価ではあるけれども将来的に安くなって、潜在的な供給力の高い、これは一例を挙げれば太陽光発電だろうと思いますが、太陽光発電などの再生可能エネルギーが当面安価な自然エネルギーに劣後をする、おくれをとるということになろうかと思います。その結果、なかなか導入が進まなかったという問題点がございます。

 今後、再生可能エネルギーの導入拡大に向けてRPS制度のもとで再生可能エネルギーの義務量を仮に大幅に引き上げたとしても、実際には再生可能エネルギーによる発電に対する投資が十分に進まず、結果として、電気事業者が国内でその義務量を満たすだけの再生可能エネルギーによる電気を確保することが困難になるのではないだろうか。最近は、義務量が課せられておりますが、その義務量を若干下回っているということもございます。それは、過去に義務量を上回った、バンキングというんですか、一種の貯蓄の制度で補っているという状況もございますので、こうしたことを考えまして、私どもは、RPS制度から今度のような固定価格の買い取り制度というものに移行をするということを決めたわけでございます。

 そして、この制度の導入によりまして、まさに太陽光発電などのように、現在はまだ価格が高いけれども将来的に価格が低くなる可能性のあるところに投資が行われる、あるいは設備の投資も行われるということによって、雇用が確保され、日本の経済も活性化をする、こう考えております。

楠田委員 そうした設備投資、また需要創出、雇用創出についても具体的な数値も試算をいただいておりますので、こうした点も今後ぜひ国民の皆様にわかりやすく説明をいただきたいと思っております。そうした、従来、自公政権下でも着実に再生可能エネルギーの導入というものは効果を上げてきたということも改めて評価なされたわけであります。

 次に、買い取り価格と期間についてどのように考えていくかを質問させていただきます。

 事前では、この算定の方法、また審議会の中身等々もお聞きしようと思っておりましたが、時間も限られておりますので、まず、政令にゆだねられているこうした価格決定、期間決定でありますけれども、国会の関与についてどのように考えていくのかという点。そして、何より国民負担をできる限り低くするためには、システム価格の低減に向けた研究開発の推進や事業者のコスト削減の努力を促す必要というものがございます。この実現のためには、買い取り価格の低減目標を具体的に明示すること、これが有効だと考えておりますけれども、その用意がおありかどうか。後半の二点についてお答えをいただきたいと思います。

海江田国務大臣 まず、買い取り価格、買い取り期間に対する国会の関与の問題でございますが、今私どもが御審議を願っておりますこの法律では、残念ながらと申しますか、国会に対しては、私どもから国会の決議を経て買い取り価格や買い取り期間を決めるというものにはなっておりません。

 これは、毎年度、通常要すると認められる費用、賦課金の推移などの客観的なデータを基礎としまして、総合資源エネルギー調査会の意見を聞き、かつパブリックコメントを経て、私どもで買い取り価格、買い取り期間を決定していくということでございますから、もちろんその間の情報というものは全面的に公開をいたしますので、必要があれば国会で御議論をいただくということになろうかと思っております。

 そして、価格を低減して国民の負担をできるだけ抑制するようにということでございますが、確かにこれは委員御指摘のとおり、発電設備、システムの価格低減が実現すれば、新規の買い取り価格を引き下げることができ、国民負担を軽減しながら再生可能エネルギーの導入を加速することが可能となろうかと思います。

 まず、発電設備メーカーに対しては、技術開発、コスト低減に向けた不断の努力を行ってもらって国民負担の抑制に貢献するとともに、やはりこれからはそうした発電の国際競争というものもございますから、その国際競争に打ちかつことも期待をしたいと思っております。

 それから、私どもとしましても、固定価格買い取り制度により、量産効果による価格低減を促すとともに、発電設備、システムの一層のコスト低減を図るべく、研究開発支援等に最大限取り組む所存でございます。一例を挙げますと、太陽光発電につきましては、発電コストを二〇二〇年までに現在の三分の一、二〇三〇年には現在の六分の一まで引き下げることを目指しております。

楠田委員 国会の関与についてでありますが、定期的な国会報告をなされるということも重要だと思いますし、また、先ほど二〇二〇年までに三分の一、その後六分の一という数字も挙げられましたけれども、より具体的にそうしたコスト削減を促していく、買い取り価格低減を促していく、そのための目標設定を広く皆様に御説明していくという姿勢を今後ともさらに進めていただきたい、そうしたことを要望させていただきます。

 次に、負担総額の軽減、限定についてでございます。

 今後、順調に導入拡大が進めば、当然電気料金もそれに比例して上昇していくわけであります。これに対し、本会議の答弁等でも、キロワットアワー当たり〇・五円ほどの上限をつけるべきとの発言もあったと思います。その一方で、その上限を決めてしまうと、再生可能エネルギーの導入拡大をとめてしまうという意見もあるように感じております。この点、どのように考えておられますか。

 また、産業の国際競争力を考えると、特に電力多消費産業に対して何らかの措置を考えるべきという意見も強うございます。逆に、これが負担のツケ回しにもなりかねないという意見もございます。大変難しい点でございますが、この点もあわせて具体的にお答えをいただきたいと思います。

海江田国務大臣 この賦課金、サーチャージの問題、発電業者が新規参入するに当たってのインセンティブ、それから電力を多量に消費する産業の国際競争力の問題というのは、まさに委員がおっしゃるように大変難しい問題でございまして、いわばかなり難しい三次方程式を解くのかなというふうに思っております。

 そんな中で、私がせんだって国会の本会議の場で御答弁いたしました、一キロワットアワー当たり〇・五円を超えないようにする、これは先ほどのサーチャージの金額でございますが、これは制度運用上の一つの目安ということでございまして、私どもとすれば、今、大変難解な三次方程式を解いた上での一つの解が一キロワットアワー当たり〇・五円という数字でございますので、大いにこの点については当委員会でも議論をしていただきたいと思っております。

 それから、国際競争力と産業の問題でございますが、これにつきましても何らかの配慮が必要なのではないだろうかという御意見も、この法案の中身を固める中で各方面からいただきました。サーチャージの部分を安くすることはできないだろうかというような御意見もいただきましたが、私どもは、サーチャージのところで差をつけるということよりも、むしろ、積極的にこれから省エネのために御努力をいただきたい。そして、そうやって開発をした省エネの技術というのは必ず国際競争力を持つことにつながるということでございますので、そうした省エネの技術を開発するというときには補助金などの形で後押しをしたいと思いますので、そういう形で御協力をいただきたいということでお願いを申し上げたところでございます。

楠田委員 省エネ努力に加えて、研究開発の促進等もあると思います。こうした点は、どのような形にするか、今後の議論にゆだねたいと思いますが、大変重要な論点だと思いますので、さまざま御意見をこれから伺っていくことだと思います。

 次に、制度の機動的な見直しについてお聞きをいたします。

 制度導入後も、国民や産業界の負担の状況や導入効果などを常に検証しながら機動的に見直しを行っていくことが、やはり国民全体にかかわることでありますから、必要であると考えております。附則六条にもその点については具体的にも触れられていると思いますが、この点をどのように担保していくおつもりなのか、この点についてお聞きをいたします。

海江田国務大臣 委員御指摘のように、本法律案の附則第六条において、少なくとも三年ごとに制度を見直すということにしてございます。

 この見直しに際しましては、その時点での国内の再生可能エネルギーの導入量及びその見通し、それから発電コストの状況、国民負担の推移、さらには内外の経済社会情勢の変化などを踏まえてこの見直しを行うということにしてございますが、その際、幅広く国民各層の御意見を伺いながら、買い取り価格だけでありませんで、本制度全体を点検し、その結果に基づいて必要な措置を機動的に講ずるのが趣旨でございます。

楠田委員 この点につきましては、毎年度、価格、期間を見直すということも書いておりますけれども、もちろん、毎年度にとどまらず、さまざまな事情の変化等々あると思います、年に一度にとどまらず、必要なときは果断に見直すべきという点もあると思いますが、この点についても少し踏み込んでお答えいただければと思います。

海江田国務大臣 片方で、制度の安定性と申しますか、再生可能エネルギーの発電事業に新規参入をしようと思う方々もいらっしゃるわけでございまして、こうした方々の事業計画などを策定する上では、これはやはりある程度制度の安定性というものがありませんと、なかなかこの方面に、この領域に足を踏み出すことができないということになろうかと思いますから、そういう制度の安定性と、しかし、とにかくこの固定価格の買い取り制度というのは新しくスタートをする制度でございますから、やはりそこは試行錯誤の面もあろうかと思いますので、その両者のバランスを見ながら、今お話をしたように、附則第六条をつけて、まず三年目にはしっかりとした見直しを行うよということにしたわけでございます。

楠田委員 先ほど来話がありますように、まず最初の大きな一歩にもなる今回の法案でございますので、そうした見直し条項もしっかりと組み込まれております。抜本的にエネルギーのあり方の方向性も今後の議論にもあると思いますので、今後の議論でもさまざま変化し得る点もあると思いますので、こうした点をしっかりと尊重しながら、慎重に、かつまた検証しながら行っていただきたいと思っております。

 最後に、何よりこの制度は、我が国の成り立ち、エネルギー安全保障、また国民の生活にも直結する内容となっております。私は、今海賊・テロ委員会の筆頭理事も務めておりますが、中東や、そうした国々の不安定性の中でこのエネルギーの需給問題は予断を許さない状況になっておりますし、今回の問題において国民に、利用者の方々に広く負担を及ぼすことになる、こうした大変重要な問題であろうと考えております。その一方で、我が国がエネルギーの自給をどれだけ確保していくか、そして何よりも環境にも生活にも優しい、そうしたエネルギーも追求していかなければならない。さまざまな、まさに先ほど三次方程式と言われましたが、四次、五次方程式を解きながら頑張っていくのが今回の制度であると思っております。

 そうした中で国民の皆様の理解と納得を得ていく、これに尽きるということが言えるとも思っております。そのために、政府による十分な周知活動を行っていくということが大変重要だと考えておりますが、この点について具体的な方策をぜひここでお述べいただきたいと思います。

海江田国務大臣 おっしゃるように、国民各層の御意見を聞かなければいけないと思っております。そのためには、先ほどお話をしましたけれども、この法案が成立をした暁には、買い取り価格ですとか買い取り金額などについては、これはパブリックコメントをやるというお話でございますが、その前段から、説明会、シンポジウム、それからインターネットを使った広報活動なども行っていきたいというふうに思っております。

楠田委員 説明会、シンポジウム等々、政府側の策というのはこれまでも当然行われてきたわけでありますけれども、一部の関心ある方にしか広がらない、そうした点が多々ありました。インターネットの話もありましたけれども、すべての国民の皆様にかかわることでありますので、さらにさまざまな工夫を凝らして多くの皆様の理解を得られるように努力していく、そうしたことも我々も提案していかなければいけないと思っております。

 また、こうした中で、新しい発電事業者の方々が新規に参入をしていく中で、当然そうした方々も利益を得、また、そうした中でさまざまな要素もあるわけでありますから、そうした方々も、自分たちの研究開発によってどれほど世界に、日本に、生活に貢献をしているのか、こうしたことも新しい参入者の方も申し述べていけるような、そうしたことを促すような、そうしたことも政府からもできると思いますので、この点もぜひ工夫をしていただきたい。今回、地デジの件もありましたけれども、そうしたことも、しっかりと宣伝をされる中で大きな混乱が起こらずに済んだという面もあると思いますので、この点も大変重要な論点だと考えております。

 時間もそろそろ参りましたので、冒頭触れましたように、電力利用は我々一人一人の豊かさの根源であると同時に、その反面、我々一人一人の負担にもなるということでございます。それゆえ、だれしもこの問題を避けて通ることはできない。本委員会では、そうした責任を共有し、国民の皆様の負託にこたえるべく、ともに大きな一歩を踏み出すことを切に希望いたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。

田中委員長 以上で楠田大蔵君の質問は終了いたしました。

 次に、柴橋正直君。

柴橋委員 民主党の柴橋正直でございます。

 本日は、重要な法案の質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 貴重な時間でありますので、早速、再生エネルギー法案について御質問させていただきます。

 私は、原発か再生可能エネルギーかというような極端な議論ではなくて、冷静な電力の供給計画に立ったエネルギー政策が議論されるべきであるというふうに考えております。その中で、政治というのは、幻想なき理想主義でなければなりません。

 その上で、再生可能エネルギーを促進するために、三点御質問をさせていただきたいと思います。

 まず一点目でありますけれども、再生エネルギー法案では、少なくとも三年ごとに再生可能エネルギーの導入量、サーチャージの負担が与える影響等を勘案して制度の見直しを行うというふうにされております。本法案施行後、電気事業に新たに参入をした企業が、この三年後の見直しによって万が一買い取り価格が変更されるというようなことがあれば、これは事業計画に大きな影響を与えるわけですけれども、この再生可能エネルギーの導入拡大を妨げるようなそういったリスクがあるのかないのか、まず最初に確認をさせていただきたいと思います。海江田大臣の答弁を求めます。

海江田国務大臣 柴橋委員にお答えをいたします。

 確かに、政治というのは、これはマックス・ウェーバーが言っていましたか、石に少しずつ穴をあけていく作業だということでございますので、私も、この委員会でも少しずつ穴をあけて前に進みたい、そう思っております。

 今、一番初めの御質問でございますが、確かにおっしゃるように、三年目に大きく買い取り価格などが変わってしまえば経営の計画が立たないわけでございますから、当然、一たん適用されました買い取り価格につきましては、その買い取り期間中はその価格が継続をされる、維持をされるという形になっております。

柴橋委員 大臣、ありがとうございます。

 ぜひ、少しずつ穴をあけていただいて、貫通をさせていただきたいなというふうに思っております。

 こういった懸念というのは、この法案が通った後に、新たに参入しようという皆さんにきちっと周知徹底をしていただければ、安心して多くの皆さんが再生可能エネルギーに参加をしていただける、このように思っておりますので、ぜひ、法案が成立後、しっかりとした宣伝、周知をしていただければなというふうには思っています。

 二点目は、再生可能エネルギーに欠かせないのはスマートグリッドでございます。

 実は、昨年の予算委員会の分科会で、私は、このスマートグリッドに関する予算や国際標準化について質問をさせていただきました。今年度、予算もつけていただいて、例えば次世代エネルギー・社会システム実証事業というのが行われておりますけれども、私、岐阜県でありますが、お隣の愛知県の豊田市ではこういった事業が実際に行われているところでもございます。

 政府は、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度の導入によって二〇二〇年には再生可能エネルギー関連市場が約十兆円に拡大をするというふうに見込んでおられるようでありますけれども、経済産業省の全量買い取りに関するプロジェクトチームによりますと、例えばドイツなど再生可能エネルギーの普及が急激に進んだ国では、実は、中国などから安価な製品が入ってきてしまって、必ずしも国内産業の成長に資するということにはなっていないという報告が得られております。

 単に再生可能エネルギーを導入するというだけでは、これはまさに中国等が利益をどんどん得て、我が国の国富が流れてしまうということでありまして、まさに大事であるのは、こういったスマートグリッドなどの、電力を適正化する、蓄電をする、こういったシステムをしっかりと我が国で開発して国際標準をとる、ここが私は再生可能エネルギーにとって大変重要なテーマであるというふうに考えております。

 実は、昨年、質問をしたときに、スマートコミュニティ・アライアンスというものを通じてこの国際標準化の取り組みを進めていきたいという答弁をいただきましたけれども、その後の進捗状況というのはどのようになっておりますか。海江田大臣からお聞かせをいただきたいと思います。

海江田国務大臣 柴橋委員は、今御自身でもお話ししておられましたけれども、昨年の二月の二十五日に、予算委員会の分科会でいち早くスマートグリッドの問題を提案されたということで、やはり政治家には本当に先見性が大事だと思って、心から敬意を表しております。

 今幾つか委員の質問の中に、私どもは、自然エネルギーの固定価格買い取り制度を端緒に、これから自然エネルギーにもしっかりとシフトをしていかなければいけない。そのときに、日本の先端的な技術をどういう形で守っていくかという際に、心がけなければいけないキーワードはほとんど出尽くしております。これは国際標準もそうであります。ビジネスモデルもそうであります。

 そんな中で、御質問のありました、経産省としてどういうことをやっているのか、特に昨年来どういうことをやっているのかということでございますが、このスマートグリッド技術の高度化、それからビジネスモデルの構築に向けて、これは委員からも少しお話がありましたけれども、本年度から、地域住民の参加を得て、国内四地域、これは、横浜、御指摘がありました豊田市、それから、けいはんなといいますが、これは京都市でありますが、この地域、それから北九州、この四地域で本格的な実証実験を既にスタートしております。

 それから、スマートグリッドの技術を核に海外の市場を獲得すべく、これは昨年の四月に設立をされましたスマートコミュニティ・アライアンスでございますが、現在、スマートグリッドに関心を持つ六百四十七社が参加をしております。この場を通じまして、各種の標準化を得るような取り組みを進めたいと思っております。

 いずれにしましても、政府としましては、このスマートグリッドの実現、そして、それをしっかりと標準化をして海外に展開をしていくという戦略を持っております。

柴橋委員 この国際標準化は、アメリカのグーグルとかIBMなんかも積極的にとっていこうということで開発競争をやっておりますので、ぜひ、我が国が技術立国として、ここは必ずとるという覚悟で経済産業省にも先頭に立ってこの事業を進めていただきたいというふうに思います。

 三点目は、同じくこの再生可能エネルギーをやるに当たっては蓄電池というものが大変重要だということでありまして、リチウムイオン電池の規制改革について質問をさせていただきたいと思います。

 お隣の北神理事は、グリーンイノベーションの小委員会で小委員長を務められまして、この間、規制改革に一生懸命頑張っていただきました。私も、同じ成長戦略プロジェクトチームの中の総合特区・規制改革小委員会の主査を務めさせていただきまして、そこでこの規制改革を一緒になって取り組んできた一人であります。

 この蓄電池の開発がスマートグリッドを中心とした再生可能エネルギーの関連市場を拡大するに当たって大変重要だという観点の中で、今般、七月二十二日の規制改革に関する閣議決定で、リチウムイオン電池の取り扱い規制の見直しについては、平成二十三年度に検討を開始し、平成二十四年度に結論、そして、結論を得次第措置というふうにされているところであります。

 そこで、現在の検討状況について消防庁に確認をさせていただきたいと思います。

原政府参考人 現在、リチウムイオンにつきましては、内部に第二石油類に該当する液体を使用していることから、一定数量以上貯蔵または取り扱いを行う場合は、政令で定める技術基準に適合した施設で行う必要があります。

 一方、今議員御指摘のように、七月二十二日に閣議決定されました規制・制度改革に係る追加方針におきまして、「リチウムイオン電池の現在の規制について、電気用品安全法等の関連する規制を踏まえ、事業者及び関係省庁を交えた検討会等を開催の上、安全性の確保を大原則としつつ、封口前後の状態に応じた危険性を再検証し、その結果に応じて取扱いの変更を行う。」ということとされているところであります。

 こうした状況を踏まえまして、八月九日には、学識経験者、事業者などから成るリチウムイオン電池に係る危険物施設の安全対策のあり方に関する検討会を開催することとしております。

 平成七年の福島県郡山市での火災事例を初め、リチウムイオン電池の施設でたびたび火災が発生していることから、この検討会においては、リチウムイオン電池の特性を踏まえた安全性の確保に配慮した上で、できるだけ早期に結論を得るようにしてまいりたいと考えております。

柴橋委員 グリーンイノベーションの小委員会でもこれは大変大きな議題になりまして、現在、かつてはそういった事故もあったわけですが、大変技術が進んでいて、今は大変安全になってきているということでもありますので、早期にという今御答弁がございましたけれども、二十四年度の結論というのも、二十四年度のおしりの方ということではなくて、早期に本当に結論を出して、我が国の蓄電池の開発をきちっと後押しする、こういったことに政府としてもぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。

 消防庁さん、お忙しいでしょうから、これで御退席ください。

 次に、きょうは再生エネルギー法案の審議でございますが、エネルギー関連ということで、原子力災害における被災者の支援についても少し質問をさせていただきたいと思います。

 私、きょう、「がんばろう ふくしま!」というバッジをつけさせていただきました。先日、岡田幹事長と福島に行った際にちょうだいをして、これで福島をぜひ応援していこうという思いで、きょうはつけさせていただいております。

 先月の一般質疑でも大臣に質問をさせていただきましたとおり、私は、今、党の仮設住宅建設促進チームの事務局次長をさせていただいていまして、仮設住宅の建設にこの間携わってまいりました。この仮設住宅の建設など被災者への支援というのは、これは厚生労働省さんの所管でありますけれども、災害救助法によって現在行われております。

 二十四日の日曜日に、岡田幹事長に同行して、福島県の富岡町民の皆さんが入居しておられる仮設住宅で意見交換をさせていただきました。そこで出された御意見で大変私は印象的でありましたのは、地震や津波によって家を失った方は最後は故郷に帰ることができる、しかし、私たちは原発事故によって国に強制的に避難をさせられた、いつ帰ることができるのかわからないという大変悲痛な御意見をちょうだいいたしました。

 今の災害救助法は、地震や津波で家を失った方と原子力事故によって避難をさせられた方、こういった方をあわせて被災者として支援を行っているわけでありますけれども、この応急救助という、災害救助法がまさに原子力災害における被災者の皆さんをどこまできちっとカバーできているのかという論点はあろうかというふうに思います。

 きょうは、大変お忙しい中、岡本大臣政務官にもお越しをいただきましたので、ぜひ厚生労働省の立場から、この災害救助法と原子力災害の支援という観点での御見解をいただきたいと思います。

岡本大臣政務官 今御質問いただきました災害救助法の考え方を御説明したいと思います。

 災害救助法におきましては、地震、台風といったような自然災害、それから、例えば何らか工場が大爆発するなどといったような人為的な災害、こういった災害の種別を問わず、発生直後から発生後間もない期間までの応急救助として必要となる共通の措置を迅速かつ適切に提供するものであります。

 ちなみに、共通の措置とは何かといいますと、避難所の確保、炊き出しや飲料水の提供、医療や当面の住居場所としての、先ほど御指摘のありました仮設住宅の設置、こういったものが入ってくるわけであります。

 したがいまして、今般の東日本大震災においても、津波被災地域からの避難者であるか、東京電力福島第一原子力発電所周辺区域からの避難者であるか、県内からの避難者か、県外からの避難者か、こういったようなことを問わず、災害救助法による応急救助が行われています。

 ことしの四月四日には通知を出させていただいておりまして、各都道府県に対しまして、災害救助法の適用範囲については、「福島第一原子力発電所周辺区域からの避難者であるか否かに関わらず、受け入れた都道府県から災害救助法の適用を行った都道府県に対して全額求償することができる。このことにつきご留意願いたい。」こういう通知を出しておりますし、また、応急仮設住宅につきましても、その二で、「住家について直接被害がなくても、市町村長の避難指示等を受けた場合など、長期にわたり自らの住家に居住できない場合には、全壊等により居住する住家を喪失した場合と同等とみなすことができること。」こういうふうにさせていただいているところでありまして、こういった趣旨をしっかりと皆さんに御理解いただいて、応急救助の必要な方には今後ともしっかりその救助を及ぼしていきたい、このように考えております。

柴橋委員 重ねて御質問いたしますけれども、そうしますと、今の災害救助法では原子力災害における被災者の皆さんに対しては十分救助ができているという御認識なのか、まだまだ足らない部分があるという御認識なのか、お答えいただきたいと思います。

岡本大臣政務官 今御指摘にありました十分というのはどこまでというのはありますが、応急救助が必要な方で、まだその救助が届いていない方がお見えであるようでありましたら、もちろん、それぞれの方からお申し出をいただいて、それに応じて対応していかなければならないと考えておりますが、現に福島から避難をされている皆様方に、緊急として、当面の救助としての、応急救助としての、いわゆる避難所の提供等はできているし、また、食料や飲料水の確保といった観点でも、それは行き届いているというふうに考えております。

柴橋委員 私も、今回仮設住宅の仕事をさせていただきまして、災害救助法を非常に拡大解釈して弾力的に運用していただいているというところは、大変評価をさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、これはあくまで、政務官おっしゃったように、応急救助でありますから、本当の意味で生活再建、生活支援というところを考えると、原子力災害で大変足の長い話になりますから、この災害救助法でずっと支援をし続けられるかというと、私は、実は、それは大変難しいのではないかなというような考えを持っているところであります。

 そこで、少し海江田大臣にもお伺いをしたいんですが、今この災害救助法によって応急救助をする、その後、まさに、先般、衆議院の委員会を通らせていただきましたけれども、東電の賠償機構法案、こういったものによる賠償といったものが今後行われるわけですが、この応急救助と東電による賠償との間が余りにも広過ぎて、このちょうど間がすっぽり抜け落ちてしまっているのではないのかなというふうに私は感じています。

 ですから、例えば、こういった原子力災害によって避難を余儀なくされた方については、まさに原子力災害版の災害救助法、あるいは生活支援をするための新法といったものも含めて今後検討をしていくというのはどうなのかなというように、私も福島にお邪魔をしながら感じておるわけでありますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

海江田国務大臣 この問題、例えば避難を余儀なくされる方々がいらっしゃいますが、地震、津波で家を失われてしまった方々というのは、もう本当に長年住みなれた家はそこにはないわけでございます。もちろん、福島の地におきましても、地震、津波の影響がございましたから、家を失ってしまった方々もいらっしゃいます。

 しかし、二十キロ、三十キロという形で、まさに避難を余儀なくされた方々というのは、家が残っているケースもあるわけでございますね。これは、家が残っているケースが、流されてしまったケースよりも傷が浅いかというと、そうでもない部分もあります。戻ろうと思えば戻れるんだけれども、原子力の事故がまだ収束していないから戻れない、なくなってしまえばあきらめもつくんだがという声も、私は実際に福島で聞かせていただきました。

 そういう事情もありますから、やはり、この原子力の事故が収束をして、除染がしっかり行われて、住みなれたふるさとに帰る、住みなれた家に帰れるということは、これは津波で流されてしまった方々と違うわけでございますから、そういう違いというものも、この応急の最初の手当てでは同じかもしれませんけれども、そこから先のところにおいては違ってくるということがあろうかと思います。

 そして、今の制度では、原子力の場合については原子力の損害賠償法という法律がございます。ただ、これはもう五十年以上前につくった法律でございますから、今度の事故を契機にいろいろな形で直さなければいけないということも出てまいりました。

 そして、その原子力損害賠償法が親の法律になって、昨日、衆議院で修正協議相調って委員会を通過させていただきましたけれども、この原子力損害賠償に当たる機構をつくろうという法律、それから、国が仮払い、立てかえ払いをするという法律、こういう仕組みが、遅いと言われるかもしれませんけれども、今少しずつではありますけれども、国会も機能を取り戻してこういう議論ができているところでございますから、こういう法律を動かした上で、あるいは、さらに現場の方々の御意見を聞いた上で、おっしゃるような中間的に抜け落ちているところ、どういう法律をつくればそれが埋め合わせできるのかということを考えてみなければいけない、こう考えております。

柴橋委員 ただいま大臣からぜひ考えてみなきゃいけないということで、御参考にしていただけたことを大変ありがたく思っております。

 今までの災害によっていろいろたてつけができて、今回はその既存の法律によっていろいろな災害に対する対策をやって、その足らず前ということで、今回、賠償機構法案等の議論が行われたということで、まさにこれから、またいつ災害が起きるかもわかりませんから、そういったときに備えて、必要な法改正というものはそれまでにしっかり今の政権でやっておくということが大変重要ではないかというふうに思いますので、ぜひこれからもいろいろ御提案をさせていただきますし、政府においてもさまざまな御検討をしていただきますようにお願い申し上げたいと思います。

 岡本政務官、お忙しい中ありがとうございました。

 次に、私も同じ日に岡田幹事長と伊達市の小国というところに行かせていただきまして、ちょうど大変大きな話題になっていますが、特定避難勧奨地点の指定ということが先般行われまして、ここの小学校で保護者の皆さんと意見交換をさせていただきました。先日、経産省や民主党の陳情本部にもいらっしゃったということで、いろいろな御意見を伺う機会をいただいたところであります。

 そういった中で、地域のいろいろな皆さんから、例えば地域全体を指定してほしいとか除染をやってほしい、こういったいろいろな声がありますので、ぜひ私からも、直接小学校で御意見を伺った一人として、丁寧な御対応をお願いしたいというふうに思っておりますけれども、今後どのような対応をしていかれるのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 小国の地域の皆様方というのは、今委員からも御指摘がございましたけれども、計画的避難区域とは異なりまして、特定避難勧奨地点ということでございます。

 まず一つ、経産省にお越しいただいて私がお目にかかったときのお話では、この地点と今お話をしました計画的避難区域、区域と地点は違うんだと。これはまさに違うという認識を私どもも持っておりますが、やはり地点で、スポット、スポットを指定いたしますから、そうしますと地域の結びつき、地域のきずなが切り裂かれてしまうということであります。もちろん、私どもは、なるべくそういう地域のきずな、地区のきずなをずたずたに切り裂かないようにということで配慮はしたつもりでございますが、しかし、そこは面的にそういう線量の高い地域と、それから、まさにホットスポットという言葉がありますが、地点とはそこが違いますので、それはまことに申しわけないことでございますけれども、現状としてはそういう状況でございます。

 ただ、先ほどもお話をしましたけれども、そういう地域のきずな、結びつき、こういうものはなるべく崩さないような配慮をしましょうということはお伝えを申し上げましたので、その意味では、これからそういう地点がもう少し実際のモニタリングなどを通じてふえる可能性はあろうかと思います。ただ、もちろん、それと同時にやはり徹底した除染を行って、まさに今ホットスポットであるけれども、そのホットスポットが解除される、地点が解除をされるという努力もしなければいけないわけでございます。

 とりわけ、私もPTAの会長さんとお目にかかりました、そんな多い人数の学校ではありませんけれども、その半分ぐらいまさに子供たちが切り裂かれているという状況でございますので、少なくとも学校に来たときは、学校でひとしく元気いっぱい遊べるように、学校あるいは通学路などの除染というものは優先をしてやらなければいけない。しかも、国のお金でやらなければいけないということでございます。

 せんだって通過しました平成二十三年度の第二次補正予算がございますが、この補正予算において、福島県内全域の市町村等が実施する公園や通学路等の線量低減事業、これを実施しますのは福島県内全域の市町村などでございますが、それに対しては国がお金をしっかり出していこうということ。それから、福島県外も含めてでございますが、校庭、それから幼稚園の園庭、空間線量率が毎時一マイクロシーベルト以上の学校などについて設置者が行う土壌に関する放射線低減事業、これに対しては国が財政支援を行っていくということでございますから、一つは、こうした除染を徹底して行うことによって、できるだけ早くその地点からの解除ということを考えてまいります。

 それから、特に子供さんたちについては、もう夏休みも始まってしまいましたけれども、実は、福島県外の臨海学校、臨海学園、これも経産省の予算で、なるべく多くの子供たちがなるべく長期間、本当に太陽のもとで元気いっぱいこの夏を過ごせるような、そういった臨海学校などの支援も行っているところでございます。

柴橋委員 ありがとうございます。

 ぜひ、今指定された地点が、これが最終形だということではなくて、大臣御答弁いただきましたとおり、除染をやって線量が下がれば指定からは解除されるわけですし、モニタリングをやって、もしそこでホットスポットが見つかれば、またそこを新たに指定される。今後もきちっと弾力的に地域の実情に合った取り組みをしていただきますとともに、やはり、そういったいろいろな除染活動を通じて、そこが安心、安全の地域になるというのが一番でありますので、私も実際に除染をしておられる実証事業の現場も幹事長と一緒に見せていただきました。ぜひそういった取り組みを今後も進めていただければというふうに思います。

 最後に、時間もあと五分でございますので、仮設店舗の設置ということで、これは中小企業庁さんがやっておられますけれども、少し質問をさせていただきたいと思います。

 実は、福島県にお邪魔をした後、月曜日に私は気仙沼に行ってまいりました。気仙沼で八百屋さんとか魚屋さんとお会いをしまして、いろいろなお話をさせていただきましたけれども、気仙沼というのはサメの加工でありましたり、マグロやカツオの水揚げということで、水産加工というのが大変元気な地域でもあったわけですが、残念ながら、すべて津波で流されてしまったというところでございます。実際にお邪魔をしますと、漁港があって、市場があって、それを支える後背地の水産加工業というのは、全く復旧復興が進んでいない、まだ瓦れきを撤去しているというような段階でございます。

 こういった後背地を支える方々の中に八百屋さんとか魚屋さんがいらっしゃるわけですけれども、お会いをしますと、やはり事業をしっかりやりたいという方が大変多くいらっしゃる。ただ、自分たちの店舗は津波で流されてしまったので、そういう環境をつくってもらいたいという声が大変多くあったわけでございます。こういった皆さんの意欲をしっかりとお支えするのが私は政治の大事な使命だというふうに思います。

 実は、気仙沼市はリアス式海岸のところでありますから、大変土地も狭いし、平地は津波にやられてしまっているということで、仮設店舗を新たにつくるという今の中小企業庁のスキームですと、そもそも仮設店舗を建てるような場所がなかなかないということであります。

 先ほど、厚生労働省の岡本大臣政務官に来ていただきましたが、災害救助法では、仮設住宅を建てるだけではなくて、民間のアパートとか賃貸住宅についても、そちらに入っていただいた方も仮設住宅と認めるということで、家賃をしっかり支援していただくということを今回やっていただきました。これは、三万世帯ぐらいの方がこれで生活再建が進んでいます。

 その中で、例えば既存の建物があって、その中にみんなで入って、内装工事をやって、事業再開をしたい、こういうような方について、仮設店舗を、新たにプレハブをつくるわけじゃないけれども、実質仮設店舗とみなしてこういった中小零細企業の皆さんの再生を後押しできないだろうか。それができれば、土地が限られてしまっている三陸の皆さんを、しっかりと支援ができるし、大いに元気をつけることができるんじゃないかというふうに思うわけでありますが、御答弁をいただきたいと思います。

中山大臣政務官 今、災害地の方では、ただ住宅に入るだけではなく、仕事が欲しい、そして将来の生活が心配だ、そのためにはどうしても今までやってきた仕事を継続したい、こういう思いが強いわけで、今の残った建物を何とか活用してというのは、三次の補正では検討していきたい、このようにも考えております。

 なお、仮設店舗も、組合でありますとか、加工場でありますとか、漁業でありますとか、いろいろなものに活用が広いんですね。ぜひ皆さんの英知で、今建物を建てるといっても、もう一度津波が来るという不安もありますので、仮設店舗も、二年三カ月と限定しないで、三年も四年も使えるんじゃないか、こういうような意味から、建築基準法の規制緩和などを含めて、仮設店舗、そして今ある建物を最大限活用してもらう、これをうまくやっていただきたい、ぜひ御相談にも来ていただきたいと思います。

柴橋委員 質問時間が終わりましたので、最後に。

 中山政務官には、いつも力強い、勇気をいただける御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 先日の商店街の件でも、きちっと審査員の皆さんの前でプレゼンテーションをする時間をつくっていただきました。商店の皆さんが大変喜んでおられましたので、そのこともお伝えをさせていただき、三次補正でぜひということでありますので、これから編成をされる三次補正の中で、こういった皆さんの既存の建物においても、これをきちっと認めていただきますようお願いさせていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 以上で柴橋正直君の質問は終了しました。

 次に、西野あきら君。

西野委員 自由民主党の西野あきらでございます。

 本法案の審議に入ります前に、海江田大臣にお尋ねをいたしたいことがあります。

 それは、最近の官邸での菅総理の発言と海江田大臣の発言とには相当のそごがあって、どうも食い違いがあるような、言いかえれば、非常に温度差があるように思えてなりません。とりわけ、この法案に関係をいたしますエネルギー政策の発表等につきましても、大変な差があるように思えてなりません。

 具体的に申し上げてみますと、去る五月の二十五日にパリでOECDが開かれた。この折に、総理が太陽光パネルを一千万戸に設置することを目指すという意味の発言をされた。それを受けて国内で、国会で、大臣は、これは報道で初めて知った、帰ってから聞いてみよう、そういうような感じの発言であって、数値を一千万戸とおっしゃっているけれども、事前にはそれについての調整がなかったかのような発言でありました。

 そして、六月の十八日には、大臣が今度は談話を発表なされました。これは、シビアアクシデント対策の実施を評価する、そして定期点検中の全原発に対しまして再稼働をぜひお願いしたい、こういう発表をされまして、いわば文字どおりの安全宣言を出されたように私どもは理解をしているわけです。

 ところが、七月の六日には、今度は総理がストレステストをなるべく早い時期に実施をすると。こういうことになりますと、申し上げた六月十八日の大臣の発言とは真っ向から対立をしているような発言であった、このように当然ながら見受けられるわけであります。

 加えまして、七月の十三日には、今度は菅総理が突然記者会見を開催しました。そして、原発に対する依存度を下げて、将来は原発のない社会を目指していく、いわば脱原発を打ち上げられたわけですね。

 国家のそもそものエネルギー政策の根幹をなすようなこのような問題について、経産大臣と総理を初め、閣内でどうもこれが不統一のように思えてなりません。

 そこでお尋ねをしたいのは、今申し上げたこれらの一連の流れの中で、とりわけ、総理が非常に唐突に発言をされておられるんですね。こういう総理の発言に対して海江田大臣は今どう思っていらっしゃるのか、脱原発なのか。それとも、脱原発の解散を断行されたら私はそれを拒否する、署名もしない、このぐらいのことをおっしゃっているわけでございまして、そこらの食い違いについて、今の心境をぜひ吐露していただきたいと思います。

    〔委員長退席、石関委員長代理着席〕

海江田国務大臣 なかなか答えにくい問題でございますが、ただ、私は、エネルギー政策については菅総理とそんなに違いがあるとは思っていないんです。

 例えば、原発の、さっきもお話をしましたけれども、二〇三〇年に五三%、こんなの無理ですね、これはやはり減らしていかなきゃいけませんねと。ただ、最後のところでゼロにするのか、それも何年かかってやるのかとかそういう議論がありませんから、その時間軸のとり方は議論してみなければいけませんけれども。

 では、これからどういうところを伸ばしていかなきゃいけないのかということでいえば、今まさに御審議いただいております再生エネルギーをふやしていかなければいけませんねということ。それからもう一つは、化石燃料を使わなきゃいけませんけれども、やはり化石燃料の場合、CO2の排出量の問題がありますから、これは効率化を図らなければいけませんねということ。それから、省エネをやらなければいけませんねと。今の節電と省エネというのはちょっと違うと私は思うんです。節電というのは、今の、とにかく電気の使用量を減らすわけでありますけれども、やはり技術革新などをやって世の中全体を省エネの社会にしていかなきゃいけませんねと。こういうことについては、私は菅総理と同じだと思っております。

 ただ、おっしゃるように、幾つかの点で、例えば一千万戸のことも、私、正確にお話をしますと、これからまさに再生エネルギーをふやしていかなきゃいけないということ、そんなことを聞いていないなんてことを言っている話ではありませんで、その場合、太陽光の発電では全国一千万戸の屋根の上につけるという、その一千万戸という話は初めて聞きましたので、これは記者の質問の仕方がそうでありましたから、どなたが質問したかということもよく覚えておりますが、それについて一千万という数字は聞いておりませんというお話をしたまででありまして、全体的に、ドービルのサミットで、そうした自然エネルギーに力を入れるということについては私も了解をしていたわけであります。

西野委員 省エネとかエネルギー関係についての根本思想はそう変わっていらっしゃらない、それは私どももそう思うんですけれども、とりわけ、片方では安全宣言をしておきながら、片方では、いや、さらにストレステストをやるんだとか、全く違う発言が総理との間で出てくる、そこらあたり、私は非常に一種の危惧を持ちますが、海江田さん、あなたが今経産大臣として閣内で発言をされていることは、むしろ国民は海江田さんに一種のエールを送っていると私は思うんです、頑張れ、しっかりとその信念を通せと。私はそういうところがあるような気がしてならないので、ぜひ、このエネルギー問題等々を含めて、閣内であなたの考えを統一して進めて歩んでいただきたい、このように思っております。

 そこで、本論に入らせていただきますが、この法案、再生可能エネルギーの買い取り法案というのは、先ほども少し出ておりましたけれども、平成二十一年の七月、いわば解散の前に、当時は自民党の政権でございました、その前政権の中で、太陽光発電の余剰電力の買い取り制度というものがスタートをいたしたわけであります。その後、別の、エコポイントもそうでございますよね、前政権、自民党政権下で実施しましたことを継承なさったようにも思っております。このように、前政権の自民党政権、自公政権の時代の政策を引き継いだ一つの流れの中で本法案が出てきたこと、このことはもう間違いないことだろうと思いますので、それを確認しておきたいと思います。

 ところが、例の三月十一日の大震災が起こりまして、とりわけ福島第一原発の事故で、エネルギー政策につきましては転換をいわば余儀なくされてしまったわけです。

 このエネルギー政策の方針は、政府では国家戦略室で、エネルギー・環境会議で行う、経産省の方は総合資源エネルギー調査会で検討する、このように聞いておるわけであります。ところが、七月十九日に閣僚懇談会が開かれたんですね。そのときに大臣と官邸側との意見が食い違った。もっと言えば、国家戦略室と経産省との発表が食い違った。そこで、中をとったような形で、今後は両大臣が、両省が連携をしながら検討を進めていくということでおさめられたというふうに私どもは聞いているわけです。

 そこでお尋ねをしたいんですが、エネルギー基本計画なるものは、一体どの機関でおやりになるのか、だれが決めるんですか、どんなスケジュールでこれを今後決めていかれるのか、それをお尋ねしたいと思います。

海江田国務大臣 西野委員にお答えをします。

 エネルギー基本計画は、法律の定めがございますので、経済産業大臣が総合資源エネルギー調査会を招集いたしまして、この総合資源エネルギー調査会の意見を聞いて案を策定し、そして、もちろんこれは閣議決定でございますから、閣議に付して、そこで決定をするということでございます。

 ただ、その前の段階で、新成長戦略実現会議のもとにエネルギー・環境会議というものをつくりました。このエネルギー・環境会議の議長が玄葉国家戦略担当大臣でございますので、法律に従ったエネルギー基本政策の策定の前段で玄葉大臣とよく連絡をとろう、こう考えております。

西野委員 要するに、エネルギーに関する問題でありますから、やはり海江田さん、経産省がひとつリードをしていただいて、しっかりこの見直しを含めて計画を出していただきたい、このように思います。

 私は大阪でございまして、関西の状況を見ますと、御案内のとおり、七月の十六日でしたか、大飯原発の一号機がトラブルを起こして停止しました。そうすると、今度は七月二十一日には高浜もストップしました。翌日の七月二十二日には大飯の四号機もストップをした。

 関西では、消費電力の五五%は実は原子力に依存をしているわけなんですね。ですから、関西の方では電力需要を、一〇%以上節電をお願いしたい、こういうキャンペーンを張りかけたんです。ところが、またこの数値にも違いがありまして、関西電力は一五%だと言う、政府側が先日おっしゃったのが一〇%、関西広域連合は五%から一〇%。それぞれパーセンテージの数値が違いますと、インパクトを府民に与えるのは弱いですよ。だから、ここらをまずもって統一をしなきゃならぬ、このように思うのであります。

 そこで、エネルギー基本計画の問題ですけれども、この計画は、従来は当面の問題と短期、中期、中長期というふうに分かれると私は思うんですけれども、今現在のような状況でございますので、とりあえず当面の電力需給というものに対しては、どういうふうに需給問題について対応していくのか、大臣のお考えを。

海江田国務大臣 関西電力につきましては、先ほど委員お話がありましたように、本当に原子力への依存度が高いエリアでございます。

 そこで、今お話のあったような事故が相次いでおりますので、私どもとしましては、七月の二十日でございますけれども、電力需給に関する検討会合で、この夏の西日本の電力需要供給見通しについて、そしてその対策について方針を決めて、それをお示ししたところでございます。

 その中身が、先ほどお話がございました、特に関西電力のエリアの方々には一〇%の節電をお願いするということです。ただ、これは、東京電力の管内あるいは東北電力の管内とは違いまして、電事法の二十七条に基づく強制命令を伴っておりませんので、その意味では節電のお願いということになろうかと思います。

 ただ、委員御指摘のように、関西広域連合の皆様方の数字でありますとか、あるいは関西電力の数字でありますとか、これが違っております。私どもとすれば、政府がお願いをしました一〇%ということで、これを守っていただければ、その意味では、予期せざる停電、あるいは計画停電も同じでございます、これは実際に、関東地方あるいは東北地方、とりわけ関東地方でこの計画停電を、たしか十日間でございました、本当はもっと長くという予定でございましたけれども、幸い十日で済みました。だけれども、この間の事態、深刻ないろいろな事例というのは、本当につくづく身にしみて知っておりますので、私は計画停電もすべきではないというふうに思っておりますから、さらに加えて予期せざる停電などというのは、これはあってはならないことでございますから、ぜひ一〇%の節電をお願いしたい、こういう状況でございます。

西野委員 週末に地元へ帰りますと、関西方面の節電に対する実施が首都圏と比べて明らかに違いますね。ここをしっかり政府側も要請を明確にしていただきたい、このように思います。

 ところで、再生可能エネルギーの問題は、あの福島の原発の事故が起こりまして以来、再生可能エネルギーを普及させないかぬ、こういうことで大きく注目をしてきているわけです。それはもう私どもも認めるところであります。

 しかし、問題は、どこまで普及させるのか、導入がどこまでできるのか。では一体、それに対して国民の負担はどこまでなのか、どこでおさめるんだ。あるいは、それに伴う多消費産業に対する影響も相当あると思うんですが、これはどうなのかというようなことを検証しながら電力の安定供給というものを進めていかないかぬというふうに思うんです。

 したがって、きょうは、これから順次それらについてお尋ねをいたしたいというふうに思います。

 まず、太陽光発電なんですけれども、これの導入目標についてお聞きします。

 三月十一日のあの大震災の前、震災が起こるまでの間に制度設計をされたこの導入目標というのは幾らですか。

安井政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在お願いしておりますこの買い取り法案で、二〇二〇年において買い取る量として予定をしております量でございますが、二千六百万キロワット相当、これを一年間の発電量に直しますと、約二百七十億キロワットアワーを見込んでございます。

西野委員 それでは、先ほども申し上げました、五月二十五日に総理がOECDに行かれまして、再生可能エネルギーの二〇%超の普及を目指すと発言されているわけですね。この場合はどうなるんでしょうね、太陽光の導入目標値。

安井政府参考人 お答えを申し上げます。

 総理は、二〇二〇年代のできるだけ早い時期に、発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を、少なくとも二〇%を超えるような水準、このようにおっしゃっていらっしゃいます。この二〇%に対応します量として、ほかの再生可能エネルギーとの関連もあるのでございますけれども、太陽光で約五千三百万キロワット程度の量が必要ではないかと思っております。

西野委員 そうしますと、震災以前とその後の総理の発言で、今数値をおっしゃいましたけれども、これは倍ぐらい導入目標が変わるわけですね。そうしますと、それを踏まえてのことだろうと思うんですが、先ほども触れましたとおり、全国で一千万戸のパネルを設置するというのは、これは大丈夫なんでしょうか。非常に心配をするんです。

 それでは、全国を見ますと、日照時間が一定程度確保される、いわば太陽光の発電に適していると思われる戸数はどれぐらいあるんでしょうね。逆に、豪雪地帯、雪の降るところ、非常に難しいと思うんですが、これはその戸数から除いているのか。あるいは、九州、鹿児島県のように灰の降る地域があると思うんですね、これはやはり除かないかぬと思うんですが、現実にパネルを設置するのに適する戸数というのはどれぐらいあるんでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、全国で戸建て住宅は二千七百万戸ぐらいだと言われております。もちろん、パネルはある種の重量物でございますので、こういうものを載っけられるかどうか、耐震性の問題がございますので、いわゆる五十六年耐震基準と言っておりますけれども、こういうものを満たさないもの、あるいは人の住んでいないところ、こういうものを順番に除外していきますと、この二千七百万戸のうち、残るのがマックスで一千万戸相当でございます。

 御指摘のとおり、今、この一千万戸の中には、豪雪地帯、あるいは灰が降るところ、あるいは日照の少ないところ、これが全部入るわけでございまして、実際の導入には決して課題がないわけではございませんが、今後、技術開発によりまして、例えば、さまざまな波長の光に対応するような、発電効率の高いような、そういう太陽電池、あるいはより軽量化された電池の開発、それから量産化によってある程度価格も下がってくると思いますので、そういった効果もあると思います。

 したがいまして、率直に言いまして、一千万戸全部に即導入するということは難しいと思いますけれども、こういった技術開発の効果も踏まえれば、今いろいろな理由で太陽光パネルの設置が進みにくい地域あるいは設置が難しい家屋についても、徐々に設置件数をふやしていくことは可能かと思います。

 G8で総理がおっしゃったときの一千万戸も、これを目指すんだけれども、これを達成するために技術革新をするんだということをおっしゃっておられます。そういうことも考え合わせまして、こういう一千万戸の導入を目指すということもあわせて可能かと思います。

西野委員 現実には、仮に一千万戸をやるとしますと、わかりませんが、仮におおむね十年ぐらいだとすれば、年間に百万戸やらないかぬわけですね。いろいろな条件等で難しい問題があると思いますね。いわんや既設住宅の場合には、構造上大丈夫なのかという問題とか、別のいろいろな難しい問題があります。そうすると、新築になると、新築は、年間で計画されているのはこの数に追いつかないと思うんですね。あるいは、全戸、新築はすべて太陽光パネルを取りつけないかぬと、何か強制しなきゃならぬというような事態が出てくるのではないかなというふうに思います。技術革新も含めて、ぜひこれは、やはり目標でございますから、難しいと思いますが、進めていかないかぬな、私もそのように思っておるところでございます。

 そこで、原発が全部停止をしてしまいますと、当然ながら、節電もいろいろありますが、恐らく火力に頼らざるを得なくなると思うんですね、当面は。そうしますと、御案内のとおり、燃料は石油であり、あるいはLNGであるというふうに思うんですね。そのために、当然ながらコストが上がってくるわけです。これによりますと、来年、二〇一二年、負担増が約三・五兆円だ、こういうふうに言われていますね。これを一般家庭に直しましたら、平均でございますが、月当たり約千円程度値上げされるのではないか、このように言われているわけですね。

 そこへ加えてこのサーチャージの額が入ってくるわけです。これも、先ほどもおっしゃっているとおり、キロワットアワー〇・五円、こういうことでございますから、一般家庭に換算をしますと、月百五十円ぐらいは値上げされる、こう思わざるを得ないんですね。

 ところが、今の数値の一千万戸まで目標を達成しようとすれば、百五十円というのがさらに上がってくるのではないか、このように思いますが、どうなんでしょうか。

中山大臣政務官 まさにそこが技術革新でございまして、これから二〇二〇年までに少しでも発電コストを、しっかり私たちも研究していくということだと思うんです。

 エネルギーに関しては、まず安定供給と、できるだけコストを低くする、それからCO2を出さないという三つの目的があったんですが、昨今は、原発以外なら何でもいいんだというような感じで、CO2が出るような方向にもいっているわけで、もう一度エネルギー全体をしっかり思い出していただいて、安定供給と、CO2を出さない、そしてコストの問題も論じるべきだというふうに思います。

 それにはやはり太陽光も日々技術革新をしていかなければならないと思うんですね。ですから、〇・五円の問題も、例えば一千戸に張ったとしても、技術革新によってコストを上げていかない、そういう努力をしていくことが大事だというふうに思っております。

西野委員 それもそういうことだと思いますね。

 ところが、外国の方で、御案内だと思いますけれども、ドイツとかスペインがいち早くこれを取り入れたんですが、買い取り価格が大変変動をいたしまして、実際はこの仕組みにも大きな問題があるなということは御理解なさっているというふうに思うんですね。

 そこで、先ほども少し触れておられましたけれども、本法案の附則の第六条に「三年ごとに、」云々、「必要な措置を講ずる」、言いかえたら、三年後の見直し規定が入っている、こういうことだと思うんですね。

 ところで、私がお尋ねしたいのは、サーチャージの単価が暴騰、上がったりしないように、むしろ上限の数字をこの法律の中に書き込んだらどうかなと。こうすると明確だと思うんですけれども。

 あるいは、一年に一度、総合資源エネルギー調査会買取制度小委員会で検討をし、決定をするということのようでございますけれども、電力料金のことですから、国民に見える形で明らかにするためには、やはり国会で決めたらどうなんでしょうか。国会のしかるべき場所で適時適切にこれを議論する、そうすれば国民に見えるのではないかと思うんですが、このような私の考えはいかがでしょうか。

海江田国務大臣 お答えをいたします。

 この買い取り価格については先ほども議論がございました。そのとき、やはり考えなければいけないのは、一つは、サーチャージという形で、負担を国民が、あるいは電気の利用者、これは国民すべてと言って構わないと思いますが、国民の皆様がするわけでございますから、その負担の過重の問題、重過ぎやしないだろうかという問題。もう一つは、これを買い取りをするということは、新たにこの領域に事業者が新規参入をしていただきたいということもございますので、その意味では、この二つ。それからもう一つは、とりわけ大量に電気を利用する産業界の考え方。この三つを考えて、買い取り価格あるいはサーチャージ、賦課金の値段を決めなければいけないということでございます。

 さっきお話のございました、国会で決めるようにしてはどうだろうかという御意見、例えば税金の世界ですと、税率というのはまさに国会で決めますね。これは本当に、税金、税率が一%上がり、二%上がる、国民生活に大きな影響を与えるということで、決めるわけでございますが、私どもは、その意味ではもう少し柔軟性を持たせてもいいのではないだろうかということでございまして、先ほどお話をしましたように、総合エネルギー調査会、ここに買取制度小委員会というところがございますので、ここで検討をさせていただく。

 ただ、例えばサーチャージの料金については、それが決まるに至ったバックデータ、こういうものはしっかりと公開をさせていただきますので、そこで国会の御意見もちょうだいをしたいというのが今の私どもの考え方でございます。

西野委員 小委員会とか審議会とかいうのは、公開をすると今大臣はおっしゃっているんですが、本当に公開をしてほしいんですが、一般国民にはなかなか見えにくいんですよね。ですから、やはり国会で議論することが国民にも明らかになるのではないのかな、私はこのように思いますので、ぜひこれもひとつ視野に入れて検討をしてほしいなというふうに思います。

 次の質問に移りますが、空洞化の懸念についてであります。

 御案内のとおり、現在、我が国の企業は、法人税は先進国から比べたら非常に高い、そこへもって円高、さらに温暖化対策等でそれなりの投資をして、負担をかけているわけですね。そして、我が国のFTAとかEPAの通商協定なるものが必ずしも思うようにすべていっていない、そういうおくれ等がやはりあると思うんですね。したがって、国際競争力の中でイコールフッティングという問題になると、非常に劣化しているのではないかという心配をいたします。

 加えて、この大震災でございますから、これによって電力料金がさらに大幅に上がるというようなことになっていきますと、実は大臣、企業は既に空洞化の動きを加速してしまっているんですよ。

 具体にちょっと例を、この企業さんには申しわけないんですけれども、調べましたのであえて言いますと、日本電産なんかは滋賀県に工場を持っているんですけれども、これはモーターの試験設備ですね。一部の作業は、二十四時間とめることなく稼働、操業しなきゃならぬという問題がある。ここで万が一電力不足になりますと、これは大打撃だということで、もう既にこの会社は、この部分の製造については海外へ移すことを検討している、こう答えています。

 それから三井金属さん、これはスマートフォン向けの電解銅箔をつくっているんですね。これは何と、聞きましたら、世界の九〇%のシェアを持っているんですね。ところが、これも、電力不足で一時的であろうとストップしますと、この九〇%のシェアを守ることができないという問題がありまして、もう既にマレーシアの方に新たに工場を計画してしまっているんですね。

 それからHOYAもそうですね。これは光学ガラスをつくっているんですけれども、シェアは三〇%なんですが、ここも、一時たりとも溶解炉をとめるわけにはいかないと、既に中国の山東省の方に工場を移転することをもう進めている。

 こういうことで、残念ながら、空洞化が進んでいることは事実だろうというふうに思うんです。

 そこで、大臣は、これらの実態、空洞化の動きというものをどう把握なさっているのか。

 逆に、大手はそういう形でやっていくでしょうが、中小企業が困るんですね。とりわけ小企業の場合は、電力不足だといったって、直ちに海外に移転するわけにいかないんです。結果的には、失礼でございますが、韓国とか中国の企業にすべて仕事を奪われてしまうことになるんです。

 この際、国を挙げて、この状況でございますので、中小企業に対する施策を抜本的に、思い切って取り組んでやっていただく必要がある、このように思いますので、両方あわせてお答えをいただきたいと思います。

海江田国務大臣 私からお答え申し上げて、その後、中山政務官は中小企業に対して大変細かな政策をお持ちですので、お話をさせていただきます。

 まず、大きなところでいえば、やはり三月十一日の大震災というのは、かなり日本の企業にとって、特にサプライチェーンが途絶をいたしましたので、まず、日本をあきらめて海外へという一つのきっかけになったかと思います。それでもやはり、もう一つは、日本の中で、東日本はなかなか難しいけれども西日本で、これまでのラインを再び動かし始めて生産を増産しようというような動きもございました。

 三月十一日の大震災からのサプライチェーンなどは、現在、ほぼ復旧をしておりますが、今度はまた新たな、別な問題、あるいは従前からあった問題と言ってもいいのかもしれませんけれども、今委員御指摘のありました税金の問題に始まって、それから海外との貿易連携の問題に始まって、四重苦、五重苦、中には六重苦というような表現もあるわけでございます。

 私は、日本の企業が海外に出ていってしまうということは、もちろん技術が日本から出ていってしまうということもありますけれども、やはり一番大切なのは雇用の問題だろうと思っております。雇用は本当に、これが一度失われますと、なかなか戻ってくるということがありません。雇用が失われますと、やはり人間というのは、生きる、本当にかなり大きな部分を働いて、そして自分自身を確認してということがございますから、雇用を守るために、何としても日本の企業には残ってもらいたいと思っております。日本の企業だけじゃなくて、外国の企業からもどんどん日本に入ってきてもらいたいと思っております。

 私ども経産省で聞き取り調査をやりました。いろいろな事業の規模がありますけれども、聞き取り調査をしましたうちで、すぐに出ていってしまうという、その計画があるということだけではありません、今後数年のうちに出ていく計画があるというようなところも含めると、およそ七割ぐらいの企業がそういう計画があるということを回答しております。大変深刻な問題だと認識をしております。

中山大臣政務官 先生の御指摘、よくわかるので、何とか中小企業が今回の新しいエネルギーを商売の糧にしなければならない。つまり、ドイツとか、ヨーロッパでは、中国のパネルがどんどん入ってしまったというようなこともございます。日本の技術革新によって、そういうものをどんどん商売にしていくという考え方がまず大事だというふうに思うんです。

 そこで、先生、恐らく後ほど御指摘があると思いますが、新しい省エネや、こういうものに対する財源、これは三党合意でも、復興財源とともにしっかり三党合意をしていただいて、新しい技術の革新については、日本にやはりどうしても財源が必要だ、このように思っているわけで、中小企業が新たな、新しい品物がどんどんできるように御配慮もいただきたいと思う次第です。

西野委員 次に、申し上げた電力の多消費産業に対する対応、特に鉄鋼とか電炉業は、サーチャージ等が入りまして、聞きますと、経常経費が膨らんでしまう、いわば経営が非常に圧迫をされると。したがって、そういうことになりますと、やむを得ず海外へ、こういうことになってしまわざるを得ない。非常に悲鳴に近い声を私どもは聞くのでございます。

 多消費産業に対する特段のものは、先ほどは、省エネで何かするとか、こういうお話をされておったようでございますが、具体的に何か考えていらっしゃるんですか。

中山大臣政務官 先ほどの答弁とちょっとかぶるんですが、省エネに対する補助金、こういうものを電炉関係や何かに、省エネ技術、また新しい合理的な、企業の運営に関するところにお金をつぎ込んでいきたい、このように思っているわけで、三党合意で、この辺の、四百億ぐらいのお金だと思うんですが、ぜひこの辺も早く結論を出していただいて、できる限り、電炉関係が新たな設備をつくったり新たな省エネの対策をやる、そういうところに私たちはしっかり支援をしていきたいと考えております。

 ですから、サーチャージをまけるというのはちょっと不公平性がございますので、そういう技術革新のところにお金を振り向けたいというふうに思っております。

西野委員 補助金等とおっしゃいましたけれども、補助金というのは全額じゃないでしょう。二分の一なのか、三分の一なのか、四分の一か知りませんけれども、残りはみんな企業側が負担しなきゃならぬという問題がありますから、私は、これは思い切ったことをやらないと大変なことになってくるのではないかなというふうに思います。

 ところで、財源でございますけれども、財源も、例の環境税なるものを設置するということを考えておられたんでしょうか、そのときは何か四百四十五億だったんですね。それが見送りになってしまったら、これは二百七十億ぐらいだというんですが、これは財源は大丈夫ですか。

中山大臣政務官 これはやはり、三党でじっくり協議をしていただいて、予算の関係で、これは復興財源とあわせて、私たちは、とにかくこの買い取り制度をやっていくためには、どうしてもこの事業によって電力関係が多少上がっていく、これはもちろん〇・五円ということで制限を設けておりますけれども、それに耐えられない企業は、当然厳しい企業も出てくるというふうに思っております。

 その辺は、先ほど言いましたような御答弁しかできないのでありますが、できる限り技術革新の方に向けた部分について、また省エネに向けた部分については補助をしたい、こういうことで、何とかそこのところを切り抜けてもらいたいと思っているわけです。

    〔石関委員長代理退席、委員長着席〕

西野委員 これは、しっかりひとつ、本当に真剣に考えてやってほしいと思いますね。

 ところで、再生可能エネルギーの買い取り制度を成功させるために、特に太陽光発電を成功させるためには、パネルといいますかモジュールのコストを下げることにあると思うんですね。国内では、シャープとか京セラあるいは三洋等々すぐれた技術を持っておるんですけれども、にもかかわらず、中国等の海外企業にシェアを奪われてしまっているのが実態だと思うんですね。

 そこで、私は一つ提案をしたいんですけれども、モジュール初めパネルを設置する場合に、さまざまな部材があると思うんですね。この部材は主要メーカーが全部共有していると思うんです。ですから、これらが一括して連携をする、そこで何らかのコスト削減という問題が出てくるのではないかなというふうに思います。それが一点。

 競争すべきところは大いに競争して、外国のそういうものに負けないように、優越性が持てるように、具体的に、例えばパネルには、変換効率をよくするとか発電効率をよくするとか、そういう点にしっかり支援をしてほしいと思うんですが、どんなことですか。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から御指摘のございました、まさに部材あるいは共通部品の部分の標準化も含めました共通化の問題、非常に大事な問題だと思ってございまして、業界団体も含めまして、私ども、今検討を推し進めさせていただいているところでございます。

 それから、コスト低減はまさに今後の日本の太陽電池産業の競争力の非常に重要な部分でございまして、従来型のシリコンタイプの太陽電池につきましては、長寿命化あるいは生産コストの低減といった側面からの研究開発、それからまた、このシリコン型の次の世代の技術といたしまして、いろいろな波長に感応度の高い、それによって高効率な太陽電池になって、その結果、発電コストが下がる、こういう次世代の技術開発、こういう二通りのルートから研究開発の支援をさせていただいているところでございます。

西野委員 今、安井さんが答えたように、やはり研究開発はモジュールについても大事だと思うんですね。

 ところで、この間、私どもは党の部会で非常に興味深い話を聞いたんですが、有機系太陽電池という問題について、東大の先端科学技術研究センターの瀬川教授がこれに取り組んでおられるわけですけれども、要するに、蓄電機能を持った次世代の有機系太陽電池の話であります。これらを研究して海外に負けないようにということで取り組んでおられるようですが、ところが、残念ながら、この研究開発の費用が先般の民主党の仕分けで四分の一に減らされてしまった、こういうんですね。

 一方では総理が、再生可能エネルギーを促進するためにふやしていこう、こう言っておきながら、他方では、その研究しなきゃならないものをカットしてしまう。これはどういうことなのかな。こんなことでは目標が達成できないと思うんですけれども、この民主党さんの逆行した内部のやり方、思いについてはどう思われますか。

海江田国務大臣 これはなかなかお答えのしづらいところでありますが。ただ、私は、アメリカがアポロ計画、これはケネディの大変強いリーダーシップのもとで、一九六〇年代に人間は必ず月に行くんだということを打ち上げたように、やはりこのエネルギーの問題についてはそういう大きな目標を掲げて、そして、もちろんその目標を達成するためにはしっかりした議論が必要ですよ、それから、その議論に向かって、最終目標に行くまでにどういう技術革新をやらなければいけないか、そのためには毎年毎年どのぐらいの予算を使っていかなきゃいけないのか、そういうような大きな夢のある話になるのではないだろうかと思っています。それだけに、やはり、一回打ち上げて、それが打ち上げ花火で終わってしまわないように、慎重な扱いが必要ではないだろうかというふうに思っております。

西野委員 これは、失礼ですが民主党さん、僕はぜひ反省してほしいと思うんです。スーパーコンピューターがあったでしょう。あれは復活したでしょう。おかげさまで、七年目でスピードは世界一になったんでしょう、スーパーコンピューター、我が国の計算が。それから、この間、スポーツですけれども、女子のなでしこジャパン、いかがですか、世界一になったじゃないですか。国民栄誉賞を受賞するとか。やはり一番でなかったら、技術開発も一番でなかったらあかんですよ。二番ではいかぬと思うんですよ。その辺はぜひひとつ反省をしてほしいなというふうに思っております。

 時間がありません。次に入ります。

 加えて大事なことは、再生可能エネルギーをどんどんやっても、やはり電力系統の安定化の問題があるんですよね。一千万キロワットまで再生可能エネルギーでふやす、こういうことになりますと、系統の安定化は大丈夫かという問題が出てくるんです。

 二十一年度ですけれども、新エネルギー部会で御報告されているものでは、一千万キロワットまでは大丈夫だと言われるものは二〇一五年だというふうに聞いているんですけれども、そうしますと、あと四年ぐらいですか、あるいはそれよりも早くなるかもしれませんが、これが普及したり、導入するということになりますと、安定化対策というものもあわせて入ってきて進めていかないかぬ、このように思うんです。これについてどのような対策を講じておられるのか。

 とりわけ、この安定対策に忘れてはいかぬことは、蓄電池でございますよ。蓄電池の推進をやらなきゃならぬ。

 ちょっと例を挙げてみたいと思いますが、関西電力では、堺で太陽光発電の実証実験を今やっております。四十八台のニッケル水素の電池に電力をためて需給バランスを平準化していく、こういう作業ですね。

 先般、東京のビッグサイトで行われたスマートグリッド展に私も行ってまいりましたけれども、ここでは、トヨタとか東芝とか日立とか三菱重工、明電舎等々が非常に蓄電池についての取り組みをしていますね。

 我が国でも、NEDOが事務局になって、スマートコミュニティ・アライアンス、JSCAを挙げて、これがやはりスマートグリッドの基軸になっていると思うんですね。これは、実はサービスまで行き届くような形で新しい社会システムを構築しようとしているんです。そうすることによって国内外に大きく伸びていくのではないかというふうに私は思います。何といっても、やはり基軸は蓄電池だと思うんです。

 しかし、この蓄電池は、御承知のとおり、コストがまだ高い。この間NECが出したのでは、六キロワットアワーのリチウムイオンの家庭用蓄電システムを百万円で販売するというんですね。大分下がってきました。でも、まだ高いです。ですから、これらの研究開発を進めていかないかぬというふうに思いますが、どんなものですか、やっておられますか。

中山大臣政務官 もうまさに先生の今お話しされたとおりでございまして、スマートグリッドの出番だ、こういうことでございますし、蓄電池の話もまさに先生のお話のとおりでございます。

 エコ家電とか、自民党さんが大変すばらしいことで、七千億ぐらいの予算で実は五兆円ぐらいの経済波及効果があったと言われており、今回のこういう電気が足りないときには非常に節電効果があった。また、エコカーなんかも、プリウスなんかも、私が福島に行ったときに、ガソリン車では行って帰ってこられないんです、向こうにはSSがありませんから。プリウスだったら行って帰ってこられる。これも、エコカーという政策をとったことはすばらしかったというふうに思います。

 そういう面でも、蓄電池に対しても国が補助を出す。例えば、何というんでしょう、エコ蓄電じゃない、エコ何とかでも、そういう名目で、やはり景気を引っ張っていくような新たなものになるのではないか、このように考えておりまして、節電の時期なので、この蓄電技術とスマートグリッドは欠かせないもので、まさに先生の言っているとおりで、これをしっかりやっていく方向でいきたいと思います。

西野委員 今お答えをいただいたとおり、私も同感でございます。

 トヨタのプリウスαが販売されましたよね。そうすると、月に三千台の予定が、何と五万台申し込みがあったというんですね。今から注文しても、納車されるのは一年後だというんですね。これはすなわちリチウムイオン電池を併用しているわけでありますから、非常に人気が上がってきている。先ほど言いましたNECの家庭用蓄電システムについても、これは日産自動車が取り組んでおるわけでございまして、これも量産をしますと単価が当然下がってくるわけですから、これにしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それで、量産をするにはまた問題が一つあります。国際標準化という問題、ちょっと触れられたかもしれませんけれども、これを早く設定しないといけませんよ。日本はこれをリードしていますから、今やらなければ他国にしてやられますよ。この国際標準化という問題について、日本がリードすべきだというふうに思います。

 そして、あわせて、安定化のために、蓄電池はやはり安定化にも寄与いたしますし、ですから、電力ピークのときのピークカットにもつながるわけですから、ぜひこれに対しては補助金をしっかり取り入れてほしいというふうに思います。

 お尋ねします。

中山大臣政務官 今のお話なんですけれども、本当に蓄電池に関しては、車がハイブリッドカーだと、特に車はタービンが回っているわけですからどんどん電気を蓄えていく、それをまた家に放電ができるというようなシステムを含めまして、やはりこれからの蓄電池というのは、ある意味では車が蓄電池にもなる、こういうような方向で何らかのインセンティブを引けば、そういうものがどんどん加速して引っ張っていけると思います。

 例えば、車の重量税でも、大変高い高いとよく言われておりますけれども、この辺も何かのかぎになるのではないかというふうに思っておりますし、さっき言いましたように、プリウスは本当にすごいですよ。私、福島へ行って、今までだったら、絶対帰ってこられないと言われて、車じゃ無理だよと言われたのが、かなり奥まで行って何もガソリンを補給しないで帰ってこられる。これはすごくヒットだと思うんですね。

 こういうものがどんどん広まっていけば世の中発展するに決まっているので、どういうインセンティブを引くかは、また先生方のお知恵を拝借してしっかりやっていきたい、そんなように思っております。

田中委員長 西野君、もう時間が参りました。

西野委員 はい。もう最後のお尋ねにしたいと思うんですけれども、蓄電池をしっかり伸ばすということ、それに対して国の方も補助をし、研究開発に支援をしていく、こういうことでしょうが、これは残念ながら、すぐ直近にできるかといえば、やはり一年、二年はかかってしまうと思うんですね。今、即やらなきゃならぬことは、やはり省エネであり、節電であろうと思いますね。

 ところで、ここに埋蔵電力という話が出ていますけれども、これは自家発電の余剰分が百六十万キロワットだと経産省の方は報告されていますね。それを聞いた総理は、そんなもの、具体的にもっとしっかり明示しないと、情報開示をしないとわからないというような意味のことをおっしゃって、どうも総理と経産省の間でそごがあるような気がしてならないのでございます。

 私は、この埋蔵電力というのは、一方では、やはり国民が持っている最大の電源であるというふうに思いますね。ですから、節電を実効あらしめるためには、今、電力の使用率というのを出していらっしゃいますね。これだけではちょっとインパクトが弱いですね。例えば、家庭用の電力は使用率は何%、あるいはオフィスは何%、あるいは工場は何%というふうにして、このデータの分析をしたものを出せば、それに該当するところが、もう少し節電せないかぬという意識が上がってくるように私は思えてなりません。これは、この夏だけではなくて、この冬もありましょうし、恐らく来年の夏も同じようにやはり節電をお願いしなきゃならぬのではないかというふうに思います。

 この使用率等々についてのデータ分析、国民への訴え方で、私が提案したようなことはいかがですか。

中山大臣政務官 これは経済産業省が、国を挙げて節電についてもやっていかなければいけないと思います。今電力会社にそんなことを負担させますと、またいろいろ問題点が出ると思います。電力会社にやれというような問題じゃなくて、これは国家の問題として、エネルギーの問題として考えるべきでございまして、節電に対する訴えだとか、見える化であるとか、テレビで今どのくらい使っているとか、そういうことについても積極的に政府がやるべきだというふうに思っておりますので、この夏、そしてまたこの冬に向かっても、その辺をしっかり広報していきたいと思っております。

西野委員 では、終わります。

田中委員長 以上で西野あきら君の質疑は終わりました。

 次に、望月義夫君。

望月委員 自由民主党の望月義夫でございます。

 大臣におかれましては、大変な時期に一生懸命頑張っていただいているということで、我々も大いに評価をさせていただきたい、このように思っております。

 そういった中で、質問する前に、我々がちょっと考えていること等を含めまして、お話をさせていただきたいんです。

 我が国はもともと、エネルギーを起こすのには資源が必要だ、若干石炭はありましたけれども、石油、LNG、それから水力についても、急峻な短い川で発電が非常に、雨が降って多いようには思いますけれども、我が国の水力発電所をすべて合わせても中国の大きな二つの発電所と同じくらいだという、狭い日本の国という中で、先人たちが大変努力をしてタービンをいろいろな形で回して電力を起こしてきた。そういう中で我が国は世界で冠たる国になってきたということを思うと、やはりここら辺は基本的に我が国にとって大切な問題である、そんなふうに我々は考えております。

 特に、今回の原子力発電所の事故もございましたけれども、それまでを考えますと、水力から始まり、水力が非常に多い電力の状況、エネルギーの状況でありましたけれども、石炭、石油をぼんぼん燃やしてタービンを回す。そういう中で、CO2の問題、鳩山総理のときに一九九〇年比二五%削減ということを世界に公言しましたけれども、そういう中でどういうような形をとるのかな、そのためにはどうしたらいいのか。

 ただ、我々は、過去の歴史を踏まえると、第一次オイルショック、第二次オイルショック、中東あたりで戦争が起きれば、夜になると、電気、NHKのテレビが消えてしまう、東京タワーも明かりを消した。それからまた、スーパーでは主婦の皆さんがトイレットペーパーを奪い合う、これは石油製品でありましたが。過去のそんなことを覚えると、やはりさまざまなことを考えて、これを何とかしていくためには原子力は必要だ、そういうようなことで先人たちがこれを取り入れた。

 そして、我々のときもそうでしたけれども、民主党のマニフェストにも、今後原子力発電所をどんどん進めていくんだというようなものがございました。そういう中で、本当に今回の震災を見て、これでいいのか。そういう反省の上に立って、今回のこの法案につきましても、我が国にとって将来を見据えた大切な法案である、私はこのように思っております。

 そこで、この原子力事故の結果、エネルギー供給量の絶対的な不足に我が国はこれから直面をしていく、そういうようなことでございまして、中長期的には、原子力、火力、再生エネルギーを含めた将来のエネルギーのベストミックス、やはりここが、どちらにしても、いっときの感情にとらわれないで、政治というものは長いスパンで、国民の幸せ、それからまた安心、安全ということを考えながらやっていかなきゃならない。

 それから、企業という大きな問題がございます。これが海外へ逃げてしまうことのないように。それでなくても、日本は資源のない国ですから、電力料金は隣の韓国とかそういった国に比べて非常に高い。それでも、力を振り絞って、知恵を積み上げてここまで頑張ってきた。そういうようなことを考えると、やはりこれは相当バランスのとれた、慎重な上にも慎重な政策というものが必要ではないかな、こんなふうに思うわけでございます。

 そして、そういう中で、私の静岡県にも浜岡原子力発電所、これは特に大きな問題でございまして、さまざまな発言がありました。この前にも原子力発電所の問題についてはいろいろな意見がございましたし、この法案についても、もう四人目でございますので、屋上屋を重ねるところがございますけれども、その辺はぜひひとつよろしくお願いしたい、このように思います。

 この浜岡の原発でございますけれども、総理の要請によって中部電力が浜岡原発を停止いたしました。我が国のエネルギー政策の総括責任者というのは経済産業大臣だ、私はこのように思っておりますが、そういった中で、総理から大臣に事前の相談はあったんだろうか。我々、何回ニュースで見ても、何回聞いても、先ほど我が党の西野先生の御発言にもございましたけれども、そういう打ち合わせというものが本当にあったのかどうなのか。ないとすれば、経済産業大臣がこの責任者なのに信頼されていないのかなというような不安を国民に与えてしまうといいますか、そういうようなことにもなると思います。

 やはり、経済産業大臣は、国民のために断固たる姿勢を持って信念を通していただきたいと我々は思うんですけれども、そういう相談があったのかどうなのか。もしもあったとすれば、大臣はどのようにそのとき主張したのか。その点についてちょっとお聞きしたいと思います。

海江田国務大臣 委員にお答えをいたします。

 これは、二人で相談をしました。そのとき私は、いろいろな議論がありましたけれども、一つは地震の危険性。これはいろいろな御意見もあろうかと思いますが、私どもの認識では、やはり地震の危険性がほかの地域から比べると飛び抜けて高いこと。それから、もう一つ私の頭にありましたのは、中部電力は、これは御承知のように浜岡の原子力発電所だけでございまして、電力全体の中で原子力の依存度がたしか一三%ぐらいでしたか、その程度でございますので、その意味ではこれはとめることになっても直ちに需給に大きく影響が出てくるということではない。そのときは、西からの、つまり関西電力などから必要があれば都合をつけるということも考えておりましたので、そういう中で判断をいたしました。

望月委員 ちょっとわかりづらいところが……。それは、浜岡は、東海大地震の来る確率八七%、東北の方は、文部省だったかな、たしか〇%だったような気がするんですよね。

 それから、法的根拠に基づいてこれを申し入れたのかどうなのかとか、さまざまな問題がございますけれども、それはほかに置きまして、大臣として、総理の判断を最善のものだ、そういうようなものであったということでよろしいんですか、ちょっとそこの辺を確認したいんです。

海江田国務大臣 手続上はいろいろあろうかと思います。その法的な根拠ということで申し上げると、文書にして出しましたのは、私の名前で出しまして、これは行政指導ということでございますので、その問題はあろうかと思います。

 ただ、その時点での判断としては間違っていなかったと思っております。

望月委員 そういう判断でそのときはよかったと思う、そういうようなことで、これは一つの参考にさせていただきたいと思います。

 それで、総理が海江田経済産業大臣が一生懸命いろいろやっている中で突然のストレステストの導入発言をしましたけれども、総理から大臣にストレステストの導入について事前の相談があったかどうか。それから、逆に、大臣は玄海訪問について、これは総理と事前に相談し、すり合わせて訪問をしたのかどうなのか。これはよくニュース等でいろいろ聞くんですけれども、ちょっとわかりづらいものですから、この際、この場で、そこについてお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

海江田国務大臣 まず、先ほど質疑でもございましたけれども、三月十一日の事故が起きまして、経産省は、一つは、三月の三十日に緊急安全対策というものを各発電所に指示いたしまして、報告が上がってきて、点検をやって、これが守られているという確認。さらに、その後、六月の七日に、万一シビアアクシデント、今度の福島のような事故が起きたときでも、例えば中央制御室の電源が守られているか、あるいは水素爆発に対するこれを防ぐための備えができているか、こういうことについて六月の七日に新たな指示を出しました。これが返ってまいりましたのが、たしか十五日ぐらいですかね、ちょっと今手元に資料がありませんからお許しをいただきたい、十四日ということでございまして、それについてもチェックをいたしまして、それで、十八日の、安全宣言という言葉は使いませんが、そうした一連の安全確認ができましたということですから、条件の整ったところは再稼働をお願いしたいということを私が言いました。その後、十九日日曜日、私が会見しましたのは土曜日でございまして、翌日の十九日に菅総理が、これは国民とエネルギー問題を考えるというインターネットの番組でございましたけれども、そこで、自分の考え方は海江田と同じだということをはっきりおっしゃったということを聞きまして、私は、よかったなというふうに思いました。

 それから何度か総理とお目にかかったことはありますが、そこでどういうお話をしたか、余り詳しく覚えていないんですが、玄海に行く前の日、これは、ちょうどB型肝炎の訴訟の問題が一つあったことと、その後、夕方に、民主党の両院議員総会がございました。これが何日でしたか、二十八日。私が行きましたのは二十九日でございますから、本当はお目にかかってお話をしようと思いましたけれども、電話が何度かかけましてつながりまして、そこで、あした佐賀に行ってきますからと、そうしたら、しっかりやってこいという、その種の話があって、別に行っちゃいかぬとかいう話もありませんでしたから、一連の話の中で私は御理解をいただけたものだと思っておりました。

 行ってまいりまして、私は、ストレステストというその言葉は使いませんでしたけれども、佐賀の、特に玄海の町長にお話をしましたのは、とにかく、そういった三月の三十日、それから六月七日の、私ども保安院として今考えられる緊急時の安全確保ができましたから、その意味では、これはもう言うまでもありませんが、定期点検というのは事故があってとまったのとは違いますから、法定で十三カ月ごとに点検をするということで、およそ三カ月ぐらいかけて、継ぎ手でありますとかいろいろな部品でありますとか、そういうもののチェックをそれなりにしっかりとやりまして、それが終わったという報告が来ているわけでありますから、これは動かしていただいて結構ですと。ただ、これだけで終わるものではありませんで、さらなる安全性の確保あるいはさらなる安心の確保のために、また追加的な、テストという言葉はあれしませんでしたけれども、追加的な指示をお願いすることがありますということを私は申し上げました。

 そのとき私の頭の中にありましたのは、ちょうどIAEAにも行ってきたところでありますから、IAEAの、これはアメリカはそこに参加をしないということでありますが、EUの国々がそこに参加をするというお話がありましたから、つまり、ストレステストをやるというお話がありましたから、そのことが頭の中にありましたから、しかも、EUのストレステストというのはとめてやっているわけじゃありませんから、動かしながらやっているわけでありますから、その意味では、動かしながらさらなる安全確保のための措置は講じていただくことになろうかと思いますという形で、不断のという言葉を使いましたが、それで、動かしながらさらにストレステストをやっていけばいいのかなというふうに私の中では整理をしていたわけでございます。

 ところが、帰ってまいりまして、総理から、保安院だけではだめだ、国民から信頼をされていないからと。信頼されていないことは重々わかっておるんですが、ただ、やはりそこは信頼をされるための努力もしなきゃいけないと思うんですね。ですから、保安院の皆さん方には、とにかく福島に行って、ちゃんと、一たん事故が起きたらどんな目に遭うのか、国民がどんなことになるのか、よく肌で感じてきてくれということで、保安院の検査官、大体百人の方に行ってもらっていますし、それから、事務所長には来ていただいて、それぞれを通じてどういう状況かということを、そういう努力もしなければいけないと思ってやっております。

 保安院ではだめだ、これは安全委員会をかませなければいけないというお話がありまして、そのときは電話でしたから、翌日に官邸に行って、具体的にどういうことですかということになったら、そこでストレステストという言葉が出たというふうに私は記憶をしております。

 これが経緯でございます。

 私も、もちろん、安全性の確保ということは、これは念には念を入れた方がいいと思いますから、その後、私と官房長官、原発事故対応大臣との間で、ヨーロッパで行われているストレステストを参考にした安全評価を行うということでございますので、私はそれをやることは少しも反対をするものではありませんので、そういうことで決まれば粛々とそういうことをやろう、これが経緯でございます。

 ちょっと長くなりまして恐縮でございます。

望月委員 ストレステストのことなんですけれども、何か今の話を聞いていますと、総理がしっかりやってこいと声をかけた。それから、帰ってきたら、保安院だけではだめだと。保安院だけではだめだということは、保安院は経済産業省ですから、経済産業省はだめだ、大臣はだめだよということにつながるんじゃないかな。何か軽い、話が全然矛盾しているといいますか。

 私は大臣を評価しているんですよ。こういうような、国民が不安になっているときに、現場まで行って、大臣の人柄で、地元の皆さんが、安心、安全なら稼働しても結構ですよというような返事を一回はくれたわけですよ。それで、ストレステストをやらなきゃだめだと。急にそこでまた、話がうまくいっていないならともかく、ああ、これでめどがついたのかな、今後原発についてはいろいろなものを、もちろん安心、安全は、これは福島を見れば十分でないんだからクリアしていかなきゃいけない、でも、これからみんなで頑張ってやっていこうじゃないか、大臣の人柄でまず第一の関門を突破したではないかといったときに、ストレステストをやりますというようなことを、頑張ってこいと言っていながら保安院、経済産業省はだめだという、こういう引導を渡すようなことについて、これは、ストレステストの導入というようなものは最適な判断だったんだろうか。

 これは別にこういったときに言わなくたって、今後ストレステストはいつでもできるんですから。だから、そういったものが最適な判断だったと思うのか、地元自治体の反感を買ってまでも、もう国は信用できないよ、そう言っている状況の中で、今ここでストレステストを行うという発表をする意味があるのかどうなのか。これから先やっていきましょうと言うならともかく、この時点でそういうことを言うことが、判断が正しいかどうか。正しいというか、どのように大臣は評価をしたか、それをちょっとお聞きしたいと思います。

海江田国務大臣 今の経緯の中で、私もその三大臣会合というものを開きまして、そこで、保安院の検査だけではありませんで、安全委員会に、ストレステストを実際に行うのは事業者であります、これは世界どこの国でもそうでありますが、それに対して保安院が評価をして、それを、安全委員会のさらなる評価と申しますかコメントを求めるということになりますので、それをやることによって安全性はさらに一層確保されると思います。

 ただ、ストレステストも、その意味では第一次と第二次がございます。第一次は、現在定期検査中の原子炉についてこれを行うということで、第二次についてはすべての原子炉ということでありますが、まず第一次でやってということでありますから。もう、それはそういうふうに決めたことでありますから。

 ただ、そうなりますと、定期検査に次々に入っていきますと、それから、すべてが再稼働しないとたしか来年の四月にゼロになりますから、そこまでの間、本当に電力の供給、これも私の仕事でありますから、電力の安定供給のためにしっかりと頑張らなければいけないというふうに考えております。

望月委員 ストレステストは、今後どんな段取りを組んで、今、大体来年の四月には原発がすべてとまるような形ですけれども、いつまでにこれは終わる見通しなのか。四月までに終わるのか。それでなきゃ全部とまりますから。そこをちょっと教えていただきたい。

 やはり、原子力発電のストレステストは相当の時間を要すると思うわけでありますが、ストレステストが終わるまでは、原子力の先行きは不透明でエネルギー基本計画は改定できないんじゃないか。本当に、ストレステストが終わらなければ、全部とまっていることになりますから、改定できないのではないかなと思うんですが、その辺についてちょっとお話を。

海江田国務大臣 ストレステストの第一次は数カ月ということでございまして、何カ月ということは言うわけにはまいりませんというか、これは余りせいてもいけないということから、数カ月でお願いをしますということであります。そして、第二次は、恐らく、年末になるのか年明けになるのか、そのくらいの時間軸を考えております。

 それから、今委員の御指摘は、私、確かになるほどなと思いました。正直申し上げまして、そういう観点からエネルギー基本計画を、もちろんまだこれからの話でありますが、その観点とエネルギー基本計画というものを結びつけたことは私の中ではありませんでしたので、ああ、なるほどなというふうに聞かせていただいたというのが本当に正直なところでございますので、御勘弁いただきたいと思います。

望月委員 法案の方もやらなきゃならないものですから、最後に。

 総理は、脱原発依存だ、そういうようなことを発言しておりますが、記者会見だったかな、原発は海外に売りますよというようなことをたしか発言していたと思うんですけれども、これは矛盾していないかどうなのか。ちょっと意味がわからないもので。大臣はどう思いますか。

海江田国務大臣 私は、原発の海外への輸出の件では、一つは、トルコの駐日大使が新しくかわられましたので、そのときお見えになりまして、トルコの大使の方とお話をしました。あと、ベトナムは副総理がお見えになりまして、副総理ともお話をいたしました。

 私の方からは、このたびの事故でいろいろな形で御迷惑をおかけして本当に申しわけないということを申し上げましたら、お二人とも、日本の原子力の技術に対する大変大きな期待をそこで述べられました。

 ちょっと今正確な文言は手元にございませんが、こもごもおっしゃったことは、引き続き日本と協力関係を維持していきたい、どうしてかというと、日本はこのたび三月十一日の大変大きな危機、大変大きな事故を経験したから、日本というのはそうした事故から必ず教訓を学び取って世界一安全な原子力の技術を確立してもらえるから、私たちは日本に期待をしたいんだと。これは本当にこもごも、ベトナムの方もトルコの方もおっしゃっていました。私は、その意味では、日本の技術というのは大したものなんだなと本当につくづく思いました。

 だから、そういう思いを、しかも日本は非核国であって、そうした世界から評価をされる技術、もちろん反省すべき点は多々ありますけれども、ああした大きな事故があったにもかかわらず、日本は必ずここから教訓を学び取って新たな安全性の高い技術を私たちにも提供してくれるものだという期待には、やはり私たちはこたえていかなければいけない、こう思っております。

望月委員 大臣の真摯な姿勢はよくわかりました。

 総理のああいった発言と今の話を聞いていると、総理は何しろ非常にいいとこ取りだ。現場の人たちが、苦しい思いをして、何とかしようしようと思って支えている。ところが、総理がいいとこ取りするものだから、後でその始末に皆さんは大変な思いをしているのかなと。これはいい意味で言っているんですよ。こんなにばらばらじゃ国民は本当にたまらないよという言い方もあるかもしれないけれども、私とすれば、海江田大臣はよく頑張っているな、そういう評価は出しますけれども、野党としては、これでは話になりませんよと言いたいくらいの、そういうようなことをちょっと提言させていただきたい、このように思います。

 我が国は貿易立国ですから、さまざまなものを輸出しなきゃならない。しかし、総理がそんなことを言っているようでは、とても国際間で信用されないに決まっているじゃないかと。これは、大臣からもよく、聞いてくれる、聞いてくれないはともかくとしても、そういう提言をしていっていただきたいな、このように思います。

 さて、エネルギー基本計画の見直しに関してまずお聞きします。

 総理は、二〇二〇年代のできる限り早い時期に二〇%にすると。これは先ほど五千三百万キロワット程度だというような話でした。そうすると、今まで、二〇三〇年でこういうような数字だったんですね。では、二〇三〇年、再生可能エネルギーの割合の目標、これはもうブランクになっているんですけれども、今後新たに目標を設定するんでしょうか。

海江田国務大臣 このエネルギー基本計画は新たに策定をしなければいけないということでは一致をしておりまして、最終的には、これは先ほどもお話をしましたけれども、法律に従った決め方をやらせていただきますが、今その前段の段階で、エネルギー・環境問題の会議ができておりますので、そこで玄葉国家戦略担当大臣とよく話をする段階でございます。

 最終的には、基本計画に、従来も、エネルギーの中の由来の割合というんですか、そういうものを示していたようでありますから、そういうものを一つの目標にということでは掲げることになろうかと思います。

 ただ、先ほど委員から御指摘のありましたような話も踏まえて、どういう時間軸で、最終的にどういう形にするのか。それから、昨年決めましたものは二〇三〇年という時間軸でございましたが、その二〇三〇年という形の時間軸にするのか、あるいはもう少し先まで見越して、総理はいつかは原発ゼロの社会ということを言いましたから、その意を体して、例えば二〇五〇年にゼロというような数字になるのか。

 ただ、これはいずれにしましても、内閣の中もそうでありますが、国会での議論、あるいは国民的な議論、そういうものを通じて最終的な数字も大きな影響を受けて固まっていくものだというふうに思っております。

望月委員 次に、一定の成果を上げてきましたRPS法を廃止する。これは、一定の効果はずっと上がってきたと思います、ある程度のものを電力会社に義務的に買い取らせるというような。

 これを全量固定価格買い取り制度に移行する理由というのは先ほどから幾つかございましたけれども、それとともに、全量買い取り制度に移行すると言いつつも、住宅用太陽光発電に関しては、全量買い取り制度とせずに余剰電力買い取り制度を維持する。普通だったら、法律を変えれば大体みんな一緒の形にするのではないかなと思うんですけれども、そこら辺について、大臣の見解。政務官ですか、どうぞ。

中山大臣政務官 余剰電力を買い取るということは、まず、御家庭の実情を見たときに、配電盤とか分電盤とかというのがありまして、これを全量買い取りにしますと全部かえなきゃならないということで、今、新しいパネルをつくって二百万円程度ですが、これも補助金は出ます。そういう形ですぐにやるためには、余剰買い取り制度が御家庭では一番いいのではないか。

 それから、今後は、パネルをつくるというよりも、家を建てるときにパネルも一緒だ、家の中にいわゆる電力をつくるものが入っている、こんなことも考えた上で一応余剰買い取りの方がいいだろう、こういうことでございます。

望月委員 余剰と全量というのは、全量買い取り制度ということになると、これは一回全部買って、電力会社が各家庭に売ることになりますから、国民にとってはこの方が高くつくわけですよ。使った分だけなくなれば余剰ですから、本当は、要するにその分だけ買えばいいんですから。その分だけ高くなるんですから。実際にはそういうことではないかなと思います。さまざまな考え方がありますけれども、私の方が答えを言ってしまうようなおかしい話なんですけれども。要するに、我々としてはなるべく国民に負担をかけないような制度で、各家庭の余剰電力というのは残すということがいいのかなと思います。

 そこで、小規模な太陽光発電のうち、住宅については今の余剰電力ですけれども、学校や病院や工場などの屋根に載っている非住宅用の太陽光発電について、これを全量買い取り制にするということについてはどうなんだろうというような気持ちがあるんですけれども、その辺についてちょっとお聞かせ願いたいと思います。

安井政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘がございましたように、今回の制度の変更におきまして、住宅用ではない、今で言えば学校とか小規模な工場などにつけます、従来余剰買い取り制度の対象となっておりました太陽電池分については、全量買い取りパターンの方に移行するということにしてございます。

 これは、今般、余剰買い取り制度をやらせていただいておるわけなんですけれども、御家庭用はかなり伸びているんですけれども、先ほど申し上げましたような学校や工場というのは限られたものになっております。今回利用の実態をいろいろ調べさせていただいたんですけれども、工場などは電気の消費量それ自身がもともと非常に多いたぐいのものでありますので、太陽光発電のパネルをおつけになっても、工場で使ってしまうので全部なくなっちゃって売る分に回らないということで、これではいわば制度の構えと実態がそぐわない、こういった実態もあります。

 それからまた、これからやや大き目の施設をつくっていただく方も、全量になってまいりますので、むしろそことの整合性を重視して、実態に合ったものに移っていくのがいいのではないか、このような考えから先ほど御指摘のような制度とさせていただいたところでございます。

望月委員 今の理由はよくわかりましたけれども、しかし、先ほど政務官のお話のように太陽光発電の技術はどんどん高まっていく、もちろんそのもの自体の単価も安くなっていくだろうし、電力も、そこで使うだけではなくてほかのものもできてきた、そういうような形になったときには、これは法律を、政令になるんですか、変えることになっていくのか。

 この辺が、今の現状ではそういうことでいいですよ、何しろ今はパネルをつけると学校だとか工場は全部使ってしまうからということなら、ああ、なるほどなと思いますけれども、劇的に日本の科学技術が発達して、三年後、五年後ぐらいには余剰電力が出てくる、こういったときにそれはどうなるんでしょう。そこら辺についてはどうなんでしょうか。

安井政府参考人 まさに太陽パネルの分野は非常に技術革新の速い分野でございまして、先生おっしゃいますように、発電量がふえると同時にコストも相当下がっていくという流れにございます。

 おっしゃるほどたくさん電気ができるような事態になれば、コストの方も非常に下がってまいりまして、電気の通常の売り買いをしていただく買電の値段、東京電力から私どもがうちで買う価格を切るような事態に、近づく事態にならないと、なかなかおっしゃっているような事態にならないんですけれども、そういう場合、言ってみれば、現在の特に太陽光を中心とする部分の買い取り制度の経済的なバックグラウンドが変わってまいりますので、この法案の中で織り込ませていただいております見直し制度の中で、そういういわば価格構造に一番合致した普及システムというのは何なのかというコンテクストの中でもう一度検討させていただくことになるというふうに考えております。

望月委員 わかりました。要するに、非住宅用の太陽光発電を全量買い取り制度に移行して、しかも大規模な太陽光発電、風力発電までもがこれで買い取りの対象になるわけなんですけれども、風力発電も元が取れないで大分大変だなというのはさまざまな話がありますけれども、ここでちょっと心配は、最近、新聞をにぎわせている、プロの発電事業者が利益を得る、そういう形に走っていかないか。従来の制度よりも今回の制度が逆進性が強まって、これがわかったら、国民が、冗談じゃない、我々の税金を一体どこに使っているんだというような、そういう形になっていないか。負担する国民への配慮というものを何かお考えかどうか、そこら辺についてお聞きしたいと思います。

細野政府参考人 お答え申し上げます。

 この新制度でございますけれども、我が国のエネルギーのよって立ついろいろな事情、特にエネルギーセキュリティー、あるいは地球温暖化対策等の観点で、ぜひ円滑に再生可能エネルギーを導入していきたいということでさせていただいております。

 そういう観点で、この負担につきましては、産業界も含めまして、電気の需要家にその使用量に応じて一律のサーチャージ、賦課金をお願いする、こういう構造をとっているわけでございます。しかしながら、今御指摘のように、そうであるがゆえに、一律性であるがゆえに、ある種の逆進性が強まる、あるいは国民負担が過重になりはしないかという御懸念があることは、よく承知をしておりまして、そういうことは決して望ましいことではないと思っております。

 したがいまして、先ほど大臣からも申し上げておりますけれども、この導入を進めたいというインセンティブ、あるいは国民負担の大きさをいかに低減するか、あるいは多消費型の産業にどう配慮するか、大臣が申し上げたような三次元、四次元の解を求めなくちゃいけないわけでございますけれども、いわゆるこの中でのバランスをいかにとるかということかと思います。今のところは、まず全体の負担を下げるということで、累次申し上げておりますように、キロワットアワー当たり〇・五円を超えないような制度運営あるいは設計をしていきたいというふうに思っております。

 そういう観点からしますと、先ほどもほかの委員の御質問にございましたけれども、このシステムを進めていく中で、いろいろな技術革新あるいは価格低減効果があれば、メーカーにおいては、その技術革新等量産効果の成果をぜひ普及の方にたくさん振り向けていただくとともに、一方においては、多消費産業にも目配りをし、あと、一般の需要者の方々につきましては、これは累次申し上げておりますけれども、先ほど来申し上げているようなマクロ的な効果、あるいはこの先にある波及効果みたいなものもぜひるる御説明を申し上げて、この制度の趣旨をよく理解していただくということについては引き続き努力をしていきたいと思っております。

 この制度を設計するに当たりまして、随分いろいろな説明会とか審議会の御議論をいただきましたけれども、仮にこの法案を通していただきました後も、当然のことでございますが、施行までの間、最大限いろいろな機会をつかまえていろいろな説明をさせていただき、御理解を賜りたいと思っております。

望月委員 政府は、全量買い取り制度に移行すると言うんですけれども、水力発電については三万キロワット未満のみを買い取り対象とする、こういう説明をしているんですけれども、この辺の理由について、水力はなぜ二つに割るのかなということを聞きたいと思います。

 それからもう一つ、日本は海洋国家であります、周囲を広い海で囲まれている、海流や波力といいますか、非常に大きな波も台風も来る、さまざまな海流、黒潮、親潮とありますけれども、そういうようなエネルギーを活用した発電は買い取り対象とならないのかどうなのか。こういったことを一生懸命研究している皆さんが、さまざまな大学だとか、いろいろな本を読ませていただいているんですけれども、こういう方面についてはいかがなものなんでしょうか。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、水力発電の中には、佐久間ダムのような非常に大きなダムの水力発電もあれば、多分先生の御念頭にあられる中小水力というものがございまして、今般、この中小水力を買い取り制度の対象にしようという考え方でいろいろ検討いたしました。

 その過程におきまして、私どもの方で、出力別に、開発の余地、あるいはまだ開発されていない水力が一体どのぐらいあるだろうかということをいろいろ調べましたけれども、大きいところはほとんど開発が終わっておりまして、今、これから開発されるものは大体三万キロワット未満であるという結論を得ましたものですから、今般、できるだけ広く入れるという観点と、それから、商用で実際に使われている大きいダムまで入ると、さすがにこの制度としてはいびつになってしまうものですから、三万キロワットを中小規模電力の上限ということにさせていただいたわけでございます。

 それから、別途御指摘のございました、波力あるいは海洋エネルギーを利用したものでございますが、今、現段階においては、私どもの認識としては、実際、商用といいますか実用施設としてやる段階にはまだ至っていないのかなとは思ってございます。したがいまして、そういうことからこの法案に列記されている買い取り対象の中には含まれてございません。

 しかしながら、私どもとしても、この海洋エネルギーの重要性については注目をしているところでございまして、技術開発などの支援も行っておりますし、これによって、今後、実用化、商業化されるという段階に至れば、これは機動的に買い取り対象に追加をしたい、このように考えてございます。

望月委員 ぜひそちらの新しい方にも力を入れていただきたいな、このように思います。

 それから、価格の問題なんですけれども、先ほど我が党の西野議員が質問しましたけれども、ドイツやスペインでは、これは非常に……。世界一のドイツを見習え、スペインを見習えと、一時スペインも世界一の太陽光発電。ところが、今現在どうなっているか。委員長初め皆さんがいろいろ視察をしてきたということでございますけれども、どういう状況になっているかというと、スペインやドイツでは、価格を高くし過ぎたため、再生エネルギーの導入量はふえたけれども負担が重くなってしまった。ドイツなんか、IEAからちょっとおかしいじゃないかという勧告を受けたということでございます。スペインの場合、この制度を導入して、ゴールドラッシュ、それからバブル、さまざまなことが言われて、今は、これは行き過ぎた促進策だった、そういうようなことを世界じゅうで言われ始めている。

 ですから、投資家、全く専門性のない、金を持った連中がここにハゲタカのように群がって、早く言えば不動産業者やホテルやトラック製造業者とか、そういうさまざまな連中が、電力だとか技術革新という題目はどこかへ飛んでしまって、もうけるためにこれを利用している。

 簡単にその数字を出しますと、投資収益率は一七%。要するに、固定買い取り制度で、十万ユーロを元手として二十五年投資すると五百万ユーロになる。これは、どこに投資するよりも、銀行に預けるよりも何をするよりも安心、安全で、国がバックについている。こういうような形で、完全にもうけ主義だ。

 日本でも、何か、どこかの名前が出ている人が、あれはもうけで参入しようとしているんじゃないのとか、それは我々は真意のほどはわかりませんけれども。

 結局、一回決めたら、三年後には見直しますよといったって、最初決めた人は、二十年なり二十五年なり十五年なり、それは一定ですから、どんなに技術が変わろうとも下げるわけにいかない。だから、スペインとかドイツは一年間に三回ぐらい値下げをしているとか、そんな話も聞いております。

 こういうことについてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

中山大臣政務官 エネルギーの場合は、やはり安定供給とコストの問題とCO2が出ないというようなことがあります。ですから、とにかく安くてCO2が出ないのが一番いいんですが、今度の場合はとにかくそれをふやそうと。だから、そのインセンティブは、徹底的に買い取り制度で高くすれば、どんどんふえるわけですね。ですけれども、我々は、それを適正な金額として上限を決めまして今やっているわけでございます。ですから、恐らく、ドイツだとかスペインだとか、ああいうことは絶対あり得ないというふうに思います。

 ただ、これを家庭の、または何かを利用してという形から、発電所として考えたときには、千ヘクタールで五十万キロワットなんという話も出ております。その場合には完全に御商売でやるんですから、これはちょっと今我々が考えているものとは規格が違うのではないか、こんなことも考えられます。

望月委員 ちょっと時間がないものですから。

 アメリカの場合には、これは大きな産業にしようと。アメリカのオバマ大統領の三つの公約のうちの一つだったんですけれども、グリーンニューディール政策、大きな金をかけて、国の産業を大きくし、労働者がそこで働けるようにすると。ところが、ほとんどこれが失敗だった。とったのが韓国の現代だとか、中国の製品が入ってきたというようなことがございます。ここら辺については、ぜひよく気をつけてやっていただきたいな、このように思います。

 それからもう一つ、太陽光発電はコストが将来的には下がる見通しがある、こう言っていますけれども、風力発電はどうか。これはそんなにうまくいかないだろう、世界のいろんなところを見ても。日本の稼働率というのは一八%だと出ているんですよね。百日あれば十八日しか動いていないということなんです、はっきり言えば。ところが、ヨーロッパだと非常に風が強い。北海道でも先の方へ行けば、三十何%とかとあるんですけれども、日本全国に風力発電をやっても適していないのではないか。

 だから、そこら辺のメッセージをしっかり出さないと、一般の方たちは勘違いしてしまうのではないかな。だって、ヨーロッパのそういったところの稼働率は四〇%ですから。倍以上のパーセンテージで動いているということになりますから。

 これについては、そのまま買い取り制度をやっていくと、相当コストの高い、年月も、私は風力発電所の会社の皆さんに聞きましたけれども、十年や十五年では話にならない、二十五年以上買い取りしてくれなけりゃとても採算が合いませんよ、政府は一体どういう気持ちでしょうねというようなことを聞かれましたけれども、それについてはどう思うのか。

 それから、賦課金は全国一律にするというようなお話が先ほどございましたけれども、日照や風の強いところ、弱いところ、日照や風況のよくない地域が買い取り費用を負担するということになるかどうなのか、そこら辺についてちょっとお聞かせを願いたいと思います。

海江田国務大臣 風力の問題は、まさに御指摘のとおりでありまして、私も幾つか風力発電所を見てまいりました。

 基本的に、都会では音の問題などもあって、海岸など、原子力発電所の近くというのは意外と風力が多いわけでありまして、東北地方なんかは風が強いということがあってよく回っておりますけれども、日本全国押しなべて計算をしますと、まさに稼働が一八%ぐらい。ヨーロッパは、大体三〇%台、あるいは四〇%というのも中にはございます。その意味では、日本で特に風の強い、今、そういう海岸、海辺のところは大体埋まっておりますから、今度は奥地へ行くということになると、さらにこれは値段が高くなるということが予想されます。奥地に行く場合は、自然公園法や森林法などの関係法令に基づく各種の規制がありますから、これを取っ払わなければいけないということであります。

 先ほど海洋エネルギーの話がございました。私も、実は海洋エネルギーにはかなり関心を持っておりまして、海の上での風力発電ということもいろいろ考えてみたんですが、この場合、やはりコストがかかりますね。

 ですから、そういうかなりいろんな問題があるということを承知した上で、しかし、この風力というのも一つのエネルギー源としては大切なものでありますから、これを何とか育てていかなければいけないと思っております。

 なお、賦課金の問題でありますが、これは確かにおっしゃるように、太陽に恵まれていて日の当たるところはたくさん電気を売って、日の当たらないところが一方的な負担になるというような御意見もあります。ただ、その場合、どういう形でその地域を区分けするかということが非常に難しゅうございます。それから、太陽はそういう形で分けられても、今度は風力を入れるとどうなるのかとか、非常に複雑な形になりますので、ここはやはりひとしくすべての方に負担をしていただこうということに最終的には落ちついたわけでございます。

望月委員 時間が来たようでございます。最後にちょっと一つだけ聞かせていただきたいんですけれども。

 時間がございませんので、政務官に、中小企業の専門家ですから、ぜひとも中小企業がこういうものを導入したことによってうまくいくように御配慮をお願いしたい、このように思います。先ほどの、日本の製品が全然売れなくて失敗してしまったなんということがないように。要するに、電気の量を確保するためのものでございますけれども、大きなお金を投資するということになりますので。

 それから最後に、総理が、この買い取り制度を導入すれば国民は負担をしない、だから、国民が負担すると言う財務省はちょっとおかしいじゃないのというような発言を、どこかで私は聞いたんです。このことについて大臣はどんなふうに思うのか。負担をしない、ないなんてことはない前提だと私は思いますけれども、そのことについて。

 それからもう一つ。

 国によってこれを導入しないところは適正な競争がない。補助金行政というのはなかなか難しいところがございまして、適正な競争がないと、結局は技術も発展しない。それからまた、料金も下がらない。そこだけ目当てにしてちっとも進まないというようなことがありますので、この辺については相当覚悟して広く引き締めていかないと、税金の無駄遣いじゃないかななんという形にならないように、世界じゅうの国の動向をよく見ながら、失敗例、成功例あると思いますので、それを取り入れていただきたいと思います。

 どちらにいたしましても、重要な要素として、政策のコスト、電力料金のはね返り、その結果として国民負担や国際競争力の影響を十分に加味した冷静な判断、これが基本だと思います。

 大臣、最後にその点について。

海江田国務大臣 どなたが何を言ったかということは、本当にちょっとわかりませんのであれですが、ただ、こうした新しい制度を導入するに当たって、国民負担を、もちろん最小化することはいいんですが、負担がないからやってくださいというのは、これは私は違うと思いますね。

 負担はこれだけある、だけれども、今の負担が、これから十年先、二十年先にこういう形になって、全体の幸福と申しますか、全体の利益につながってくるんだ、そこのところをしっかり説明すべきだと思っております。これからの時代、負担がないなんということはあり得ないことでありますから、そういう形で私は説明していきたいと思っております。

田中委員長 以上で望月義夫君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤三津枝さん。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 先般、七月十四日の本会議で、再生可能エネルギー電気調達特措法案などについて、自由民主党を代表し、質問をさせていただきました。本会議では片道での答弁でしたので、本日は往復での議論を深めさせていただきたいと思います。

 先般の衆議院の本会議でも、海江田大臣の出処進退につきまして、私の質問につきまして海江田大臣は、本法案を初めとして、経済産業大臣として今解決していかなければならない問題については、真摯に、そして全力を傾注していくというふうに答弁をされました。海江田大臣には、この政治姿勢で本日も真摯な御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 海江田大臣は七月二十一日の参議院予算委員会で、左の手のひらに忍の一文字を書いて答弁に臨まれました。本日はどのような文字を手のひらに書いて臨まれているのか、お伺いいたします。

海江田国務大臣 きょうは書いておりませんけれども、誠実に答弁しようということを、きょうの朝、役所を出るときに決めてまいりました。

近藤(三)委員 先日の海江田大臣の忍の一文字、これには大臣の思い、そして覚悟を国民が強く感じ取っていることと思います。しかし、海江田大臣、頑張り過ぎることが今の日本の国難にとっては必ずしもプラスとは限りません。

 私は海江田大臣に、実はある思いでもって、そして御提案しようと思ってきょうは参りました。私からは一文字、柔です。やわらです。柔よく剛を制すという言葉があります。支持率がマイナスになることはない、権力に執着するどこかの総理の剛を制すには、海江田大臣の柔軟な対応が必要かと存じます。

 そして、海江田大臣が万難を排して、そして尽くされて、国民を思う気持ちが菅総理に受けとめられなかった場合には、この一文字が必要ではないかと思います。それはこちら、諦、あきらめ。諦念の気持ちが必要ではないかと思います。菅総理と一緒に心中することはあきらめ、是々非々で政治の王道を歩まれることを私から進言させていただきます。

 それでは、経済産業省のやる気、士気についてお伺いしてまいります。

 本日議題の再生可能エネルギー電気調達特措法案などについて、菅総理は、私の顔を見たくないなら法案を通せと、立法府である国会を侮辱する発言をされました。この発言は、民主政治の基本である三権分立をまさに冒涜するものであります。経済産業省でこの法案を練り上げてきたスタッフの皆さんも、まさかやめる総理の首と練り上げた法案をてんびんにかけるとはと、たまらない思いではないでしょうか。

 この私の顔を見たくないなら法案を通せなどという総理の発言、そして先般の、菅総理が経済産業省に対して、電力需給に関するすべての情報を開示するよう文書で求める異例の指示をされたこと、そのようなことから、どのような思いを皆さん方は持っていらっしゃるのか、海江田大臣にお伺いします。

海江田国務大臣 近藤委員、アドバイスありがとうございます。

 諦という字ですが、あれ、実は私好きなんですね。私の家に、拓本で諦という字が書いてありますが、ただ、諦という字には二つの意味がありまして、一つには、確かにあきらめるということですが、もう一つの意味は、明らかにするという意味があるんですね。

 ですから、その意味では、今回のこの国会の議論を通じて、この新しい法律の大切さ、あるいは解決しなければいけない問題について明らかにしようというふうに思っておりますので、大変いい字を改めてお示しいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 それから、経産省の士気がどうなっているかということでございますが、きょうは参考人として経産省の職員も来ておりますので、むしろ彼らに聞いた方がいいのではないだろうかというふうに思っております。

近藤(三)委員 海江田大臣は、忍の一文字を書いて、菅総理の振る舞いに対して耐え忍んでいる、そういう御自身の気持ちを国会の場で見える形にされました。当然、その思いは、現在の経済産業省の皆さん方、頑張っていらっしゃる職員の皆さん方共通の思いを代弁されてのことではないかと私は拝察しております。経済産業大臣という組織のトップとして国を支える、被災者、国民のために頑張るというモチベーションが経済産業省の職員にわき立つよう、毅然とした対応をぜひ海江田経済産業大臣にもお願いしたいと思います。

 さて、海江田大臣、さきの七月十四日の本会議で私の質問に対し十分にお答えいただかなかった点からこれから質問をさせていただきたいと思います。

 自民党が政権にありましたときには、再生可能エネルギーの掘り起こしのために、技術の進展、電力コストのパフォーマンスを見定めながら政策を実行してきました。そうした経緯の中で生まれたRPS制度、太陽光発電の余剰電力買い取り制度などについて、本会議では海江田大臣の自民党に対する評価を質問させていただきました。

 これに対し、海江田大臣の答弁のポイントです。RPS制度について一定の効果を上げてきたと評価しながらも、太陽光の余剰電力買い取り制度を導入した自民党が政権にあったときの評価についてははっきりとは言及されませんでした。

 今回の再生可能エネルギー電気調達特措法案は、明らかに太陽光の余剰電力買い取り制度がベース、下敷きになっていると考えます。この点も踏まえて、自民党が政権にあったときの再生可能エネルギー政策についての評価を再度端的にお答えください。

海江田国務大臣 たしか、近藤委員はこの問題については前も質問をされましたね。本会議での前、当委員会で質問をされたというふうに覚えておりまして、先日、本会議で近藤委員が改めて質問されたときに、私はそのときの答えを参考にというか下敷きにお答えをしたつもりでございますけれども、一方通行だったということもございます。

 一番初めにお尋ねがあったときにお答えをしましたように、この制度が二〇〇三年でしたから、最近まで二・五倍、再生可能エネルギーがふえているということでございますので、これは効果があったと評価をしております。

 これはもう委員はつとに御案内のことだと思いますけれども、ところが、ここで定めた義務的な買い取り量と供給量との間に少し差が出てきましたね。この差というのは、やはり特に太陽光のところがなかなか立ち上がってこなかったということがありまして、これは太陽光発電などのように、今はコストがかかるけれども将来的に下がっていくというようなものを残念ながらこのRPS法ではカバーできないということで、そこでそういう乖離が生まれてきたものと思います。

 ただ、近年、太陽光が非常に伸びておりまして、非常に伸びておる理由というのが、これも今委員からお話がありましたけれども、余剰電力の買い取りという制度によってそこの義務量と供給量との間の差を埋めるような状況になってきたということでございますから、私は、その意味では、RPS法と、それがある程度、その供給量、とりわけ太陽光などが供給が出てこないということに気がつかれた自民党の方々が、ではそれに対して補完的にこういう形でやろうということで、太陽光の余剰電力の買い上げという形でセットになってきたものというような評価をしております。

近藤(三)委員 実は、ここで忘れてもらっては困ることがあるんです。平成二十一年十一月二十七日のあの事業仕分けです。二番じゃだめなんですかという発言が飛び出した、あの事業仕分けの中で、再生可能エネルギーの普及に向けた政策について次のような仕分けが行われています。

 事業者向けの省エネルギーと新エネルギーの導入促進のための補助について、予算をカットすべきだというふうに仕分けをされました。具体的には、企業が太陽光発電など新エネルギーの設備投資をする際の国からの補助金を事業仕分けで半額にすべきだと仕分けされたのです。企業が省エネ設備を導入するときの補助金も、三分の一に削減するべきというふうに仕分けをされました。

 さらに、私たち国民が生活の中で省エネルギーをしたり、太陽光発電パネルを自宅の屋根に設置するなどの新エネルギーを導入することに対する国からの補助金もカットされました。つまり、住宅用太陽光発電の導入補助金は予算計上を見送るべきだと仕分けをされたわけです。その見送りの理由も、自民党政権下でできた制度であるからというふうにされました。

 このように、事業仕分けの理由は、自民党政権時代の政策の継続性を認めない、この方針で多くの国民生活にとって大事な予算が事業仕分けされたわけです。そのような、自民党政権下でできた制度であるから継続性を認めないという乱暴な仕分け理由によって、これまでの企業や国民の再生可能エネルギー導入に向けた投資マインドを落とすことになってしまった。このことは、地球温暖化対策への取り組みにとっても、大変大変残念なことであります。

 菅総理が、顔を見たくなければ法案を通せと野党に向かって発言する、あたかも自民党など野党が再生可能エネルギーの導入に否定的だというような発言をする。こうした国民、世論をミスリードしようとする総理の対応に、我が党は大きな危惧を抱いております。

 今回の原子力発電事故にかかわらず、化石燃料を十分に保有していないのが我が国です。再生可能エネルギーの導入を促進することは、地球温暖化対策、資源の有効利用、環境関連産業の育成、エネルギー安全保障面で大変重要と考えております。海江田大臣のお考えをお聞かせください。

海江田国務大臣 今お話のありましたことのうち、後半は全く近藤委員と私は考え方を同じにしていると思います。

 前段の仕分けの部分でありますが、委員おっしゃられるように、自民党がやったからだめだということが仕分けの理由になっていると私は承知をしておりません。費用対効果の面で、特に、あの当時私どもは、とにかく増税なしに日本の経済を何とか活性化させなければいけない、あるいは社会保障の制度を何とか充実させなければいけないという思いが大変強うございましたから、その費用対効果というものでそういう判断をしたのではないだろうかというふうに思っております。

近藤(三)委員 自民党の政策を継続しないということも理由の一つであるという御発言は確かにありましたので、一言申し述べさせていただきます。

 さて次に、先般本会議で、私は次のように主張いたしました。原発事故に伴い、民主党政権はエネルギー基本計画を白紙撤廃すると表明しました。エネルギー基本計画は、二〇三〇年までに原子力発電所十四基を新設することによって、原子力を含むゼロエミッション電源の比率を七〇%にするとしています。エネルギー基本計画を実現するための具体的な取り組み、手段の一つとして、固定価格買い取り制度の構築が挙げられています。まず、民主党政権によって策定された昨年六月のエネルギー基本計画を見直すべきです。その上で、二〇三〇年までの我が国のエネルギー構造の転換に向けたロードマップを示し、ロードマップを達成するための手段である再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を立案するのが筋というものである。このように私は主張したのです。

 この順番の後先につきましても、さきの本会議の質問に対し、海江田大臣は次のように答弁されました。エネルギー政策については抜本的に見直すが、「再生可能エネルギーの一層の導入拡大が必要となることは確実な方向であり、」「まずは、再生可能エネルギーの導入拡大にとって大きな効果を持つ本法案を早期に成立させていただき、」その枠組みを早期に構築することが重要である、このような御答弁でした。

 エネルギー基本計画を抜本的に見直すことになった今、その計画の実現手段の一つであったはずの固定価格買い取り制度をなぜ今先に決めなければならないのかという明快な御答弁はいただいておりません。

 そこで、再度お聞きします。

 政府は、今回の再生可能エネルギー電気調達特措法案によって再生可能エネルギーを固定価格で買い取ることにより、全エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合をいつまでにどのような割合にするのか、このことを明らかにしていません。

 海江田大臣、改めて伺います。エネルギー基本計画が白紙になった今、本件を将来の展望なしに拙速に制度化していくことは本当に意味のあることなのでしょうか。国民にも納得のいく御説明をお願いします。

海江田国務大臣 この質問に対して、私、午前のこの委員会でもお答えをいたしました。それは、先ほど委員が引用いただいた本会議の答弁につながるものだと思っております。

 今回御提案を申し上げておりますこの法律が、その意味では、将来の原子力の、原子力だけじゃありません、エネルギーの基本計画の内容とそごを来す、逆の方向を向いているというようなことがあれば、これは当然のことながら、その議論というのは、エネルギー基本計画ができてから、その後でなければいけないわけでございますが、朝の答弁でも申し上げましたけれども、やはり、原子力の割合は減らして、そして自然エネルギーの割合をふやす。それが今、大変残念なことでありますが、何年に何%ということは申し上げられないわけでありますが、しかし、今よりさらにこれを拡大しなければいけない、これを後押ししなければいけないということは、これは近藤委員ももう全くそのとおりだと御同意をいただけるのではないだろうかというふうに思います。

 その意味では、この法律、せっかくこうやってきょうから実質的な議論がスタートしたわけでございますから、ここで十分いろいろな角度からの議論を尽くしていただいて、そしていいものをしっかり法律としてつくって、そしてそれが、自然エネルギーの拡大、拡充に少しでも資するものになればと思っております。

近藤(三)委員 しかし、法案の制度でございます、順番が逆ということは、とても国民に納得ができるものではないと思えてなりません。

 そこで、今の御答弁、ここでもう一点確認させていただきたいことがあります。

 政府は、今回の再生可能エネルギー特別措置法案について、固定価格全量買い取り制度の導入であるというふうに説明されることがよくあります。今回の法案の取りまとめに当たり審議された、経済産業省の総合資源エネルギー調査会の買取制度小委員会の最終報告書があります。こちらです。ことしの二月十八日、東日本大震災の前にまとまったものです。この報告書の表題も、ここに示しますように、「再生可能エネルギーの全量買取制度における詳細制度設計について」と、全量買い取り制度についてというふうに銘打っているわけです。

 しかし、その中身をよく見ますと、この最終報告書の五ページに表が載っています。こちら、パネルにしました。この報告書には次のような記述があるんです。「住宅等における小規模な太陽光発電等については現在の余剰買取を基本とする」というふうにされており、新しい制度においても、「これらについては余剰買取とすることが適当である。」というふうに記されています。

 この記述、何とも回りくどい表現なんですが、住宅からの買い取りは、全量買い取りではなく、自公政権のときに制度化された余剰電力買い取り制度を継続する、そのように私は読み取るわけです。

 この図も経済産業省の総合資源エネルギー調査会が示した図ですが、左側の図は、自民党政権下で設けられた現行の制度です。黄色の部分のように、住宅用の十キロワット未満の買い取り額は、一キロワットアワー当たり四十八円。それが、この法案によって制度が変わったとしましても、住宅用の買い取り制度は同じく余剰電力買い取りのままであるというふうに明記されています。すなわち、政府が吹聴しています、住宅からの買い取りは全量買い取り制度ではありません。自民党政権のときに制度化されました余剰電力買い取り制度が適当であることが審議会のこの資料に示されているわけです。

 経済産業大臣、住宅からの買い取りは、この図のように、本法案が施行されたとしても、全量買い取りではなく、この審議会の報告書にありますように、余剰買い取りのままにするつもりなのか。端的に御答弁ください。

 もう一度申し上げます。

 住宅の屋根に設置された太陽光パネルによって発電された電力は、自民党政権のときに制度化された余剰電力買い取り制度、すなわち、家庭で使用して余った電力を買い取る制度を継続するのか、それとも全量を買い取るのか。明確にお答えください。

海江田国務大臣 今委員御指摘がありましたように、家庭の太陽光パネルによって行われる発電につきましては、まさに自民党政権の時代に、これはさっき私が、私はもちろん自民党の人間ではありませんけれども、私なりに理解をして、義務量と実際の供給量との間に開きがある、そして、特に太陽光発電のような場合はなかなかこれが立ち上がってこない、供給されてこないということを埋めるために、太陽光発電について、とりわけ自家用の発電について、余っているものを買いましょうということになったのではないだろうかというふうに理解をしております。

 そういう形で、せっかく皆様方が汗をかいてそういう法律をつくってくださったわけで、そして、実際にこれまで何年かそういう制度でやってきたわけでございまして、その方々の期待値と申しますか、これから先もそういう形での買い取りが進むであろうという期待がございますので、それを一気に奪い去ってしまうことはなかなか難しいということが一つの原因になっておろうかと思います。

 もちろん、そのほかに、国民負担の総額を抑えなければいけないとか、それから、そういう形で、まず御自分で使っていただく、余ったものを売っていただくということになれば、御自宅では、それぞれの御家庭では節電意識に努めることになろうかと思いますので、そういうこともございます。

 それから、各戸での配線変更など制度変更による利用者の混乱を回避するなど、幾つかその他の意味合いもございますが、基本的には、そうやって自民党の方々がやってくれて、それなりに定着をして、そしてこの制度を利用している方々がいますから、その方々の、将来もそういうものが続くであろうという期待権を一どきに奪うわけにはいかないという考え方もあったかと思っております。

近藤(三)委員 つまり、海江田大臣、家庭からの買い取りは、家庭で使用して余った電力、すなわち余剰電力を買い取る方針であるということで確認させていただいていいわけですね。

 一部報道では、家庭からの買い取りも全量買い取り制度であるというふうに報道されている場合があるんです。先ほど来申し上げていますように、今回の法案は家庭からの買い取りについては余剰買い取り制度であるということをしっかりと国民に伝えていただきたいと思います。

 さて、続きまして、七月十四日の本会議での質問をもう一度させていただきます。

 ドイツでは再生可能エネルギー法に基づく買い取り費用が年々増加し、研究所の調査によりますと、二〇一一年には年間およそ一万三千五百円の水準になり、日本の一世帯当たりの電気料金に当てはめますと、一〇%から一五%の上乗せになるということを指摘いたしました。今回の法案は、国民負担となる電気料金の上乗せ、つまり値上げに関して、上限設定も規定されていません。

 この質問に対して、海江田大臣は次のように答弁されました。制度全体の負担総額を限定する観点から、「賦課金がキロワットアワー当たり〇・五円を超えないように運用する」、このように、賦課金、サーチャージの上限を〇・五円にするという明確な答弁をいただきました。

 ならば、海江田大臣にお聞きします。

 「賦課金がキロワットアワー当たり〇・五円を超えないように運用する」、これはこの法案のどこに明記されているのでしょうか。海江田大臣、お聞かせください。

海江田国務大臣 法案の条文には明記してございません。

 私が本会議で答弁をしました〇・五円、五十銭という金額は、先ほど、これも午前中の答弁で申し上げましたけれども、この新しい制度の導入によって、それならば私のところでもやろう、こういう意欲をまず持ってもらわなければいけないということ、これが一つ。

 それからもう一つは、これを負担する、とりわけ家庭の方々の負担の問題。これは、仮に一キロワットアワー当たり〇・五円ということにしますと、標準的な世帯で月百五十円ぐらいになりますか、そういう負担の問題。

 それからもう一つは、家庭などと違って、電気を大量に消費する産業がございます。この産業の競争力と申しますか、産業が日本の国内で生産を続ける、あるいはそうしてつくった製品が海外の他の製品と比べて競争力を有する、三次方程式という言葉を使いましたけれども、それぞれに配慮をして、そして、この程度であればそれぞれが痛み分けをしていただけるのかなというところで出した数字でございますので、確定的に条文に書くという必要はないのではないだろうか、こう考えております。

近藤(三)委員 この〇・五円は、大震災の前に審議会で議論されていた数字ですよね。

 今回の法案の対象となっています再生可能エネルギーが全エネルギーに占める割合は、現在およそ一%です。上限〇・五円の賦課金を上乗せし、太陽光発電などを高い価格で買い取ることによって、これからの十年間でこの一%が一体何%に引き上げられるのか、お答えください。

海江田国務大臣 それは今、私どもの手元に何%になるという数字はございませんが、ただ、もちろんこれは、一%が引き上げになるということは確かでございますから、その中で、先ほどお話をしたような、それぞれの立場をそんたくしながら出した数字がそういう数字でございますので、その点を御理解いただきたいと思います。

近藤(三)委員 ちょっと待ってくださいね。審議会の資料には次のようなデータがあるんですよ。読みます。

 再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の導入によって、これによる発電量は二〇二〇年に四百億キロワットアワーになることを見込んでいます。年間の発電量は約一兆キロワットアワー、この四%程度まで引き上げられると見込んでいます。

 四%という数字を審議会の方では出しています。

 ところが、菅総理はことし五月、フランスのサミットで、日本の電力について、二〇二〇年代の早い時期に再生可能エネルギーの割合を二〇%を超える水準とすると表明したはずです。

 この二〇%という数字、そして審議会が出してきた四%という数字、五倍も違うわけですね。これはどういうことなのか。単純計算はできないと思います。しかし、〇・五円の賦課金で再生可能エネルギーの割合を四%にするということは、二〇%にするためには五倍必要ということですよね。つまり、一キロワットアワー当たり〇・五円かけて四%ですから、その五倍ということは、賦課金は、〇・五円の五倍ですから、二・五円になるということ。〇・五円の賦課金で一世帯当たり月額百五十円の電気料金の上乗せとなりますと経済産業省は説明をしています。菅総理の二〇%なら、その五倍、一カ月当たり七百五十円もの値上げになる可能性があります。

 この四%問題、二〇%問題、海江田経済産業大臣、明確な説明をお願いします。

海江田国務大臣 菅総理がお話しになりましたのは、二〇二〇年ということではないわけですね。二〇二〇年代の初めのころ、早い時期という言い方でございますから、その意味では何年なのかということがまだわかっておりませんから、これは今後、まず閣内、それから与党との間、それから国会で与野党の皆さん方とということでございます。

 そして、エネルギー基本計画も定められるようになろうかと思いますから、その中ではっきりしてくる数字でございます。ですから私はあえて先ほど数字を申し上げなかったわけでありまして、そうした二〇二〇年代の早い時期の二〇%というものが何年なのかということがまだはっきりしておりませんので、申し上げられないという状況でございます。

近藤(三)委員 いや、全く理解できません。

 二〇二〇年代の初めというふうにおっしゃっているわけですから、二十年も三十年ものタイムラグがあるわけではないわけです。このようなことだから、賦課金の上限を〇・五円とするというなら、法案にちゃんと上限値を入れるべきです。そういうことをしていただかないと、今回のサミットでの菅総理の無責任な、そして唐突な発言、思いつきの発言で、国民の負担となる電気料金が乱高下してしまいます。この制度が導入されるのであれば、これらの点をしっかりと改善していただきたい。

 電力料金の上乗せが青天井にならないように、賦課金の上限値を法律に定めるべきだと考えていますが、海江田大臣の見解を再び求めます。

海江田国務大臣 近藤委員から、当委員会で、本日、七月の二十七日午後一時三十分ごろ、そういう主張があったということをしっかり脳裏に刻みます。

近藤(三)委員 大臣の脳裏に刻まれるだけではなくて、ぜひ実行に移していただきたいと思います。といいますのは、この問題は国民の負担という大変重要な問題なんです。この一問だけで時間を費やすわけにはまいりませんので、国民の皆様にも、このような国民の直接の負担にかかわる法律上の欠陥があるということを御理解いただいて、国会では今後慎重な審議を求めたいと思います。

 さて、次に参りたいと思います。七月十四日の本会議の質問のことです。

 電力料金という公共料金にはね返る問題があるにもかかわりませず、毎年の買い取り価格、この制度の継続される期間などが、法律ではなく政令以下の大臣告示にゆだねられていることを私は指摘いたしました。すなわち、法案が成立してしまえば、国会の関与なしに、役所が電気料金の上乗せ額などを決めることになってしまうというふうに指摘したわけです。この制度が導入されるのであれば、これらの点を改善しなければなりません。国会で、毎年、どのように制度が運用されているのか監視できるようにするため、国会報告などの国会の関与の規定を設けるべきとの考えを示しました。

 これに対して海江田経済産業大臣は、買い取り価格や買い取り期間の決定に当たっては、毎年度、審議会で意見を聞き、パブリックコメントを行った上で決定するので、本制度の適切な運用が確保される、このように御答弁いただきました。

 私が質問しましたのは、今回の法案が成立すれば、電気料金の上乗せという税金にも匹敵する国民負担が発生するということ、つまり、増税と同じようなものであるということなんです。増税するには法律改正が必要であり、国会の関与が必要です。しかし、今回の買い取り制度は、毎年の買い取り価格の決定などについて国会の関与がありません。この問題を指摘したんです。

 例えばNHKの受信料、月額、放送法の定めによりまして、NHKの収支予算を国会が承認することによって定められています。ほとんどの国民が支払うNHKの受信料に国会承認という国会の関与があり、国の政策により電気料金の上乗せが行われる本制度には国会の関与がない、これは矛盾していますよね。とてもこの制度では国民の理解は得られません。このような規定が本法案にもなければならないと指摘しているわけです。

 これまでの国会での審議、議論を踏まえ、海江田大臣には明確な見解を示していただけるものと期待して、お答えをお待ちしております。

海江田国務大臣 今ここで国会の関与を、こうした方がいいのではないだろうか、ああした方がいいのではないだろうかということを私から申し上げることはできませんので。

 私どもは、これは委員御指摘のとおり、一種の公共料金であることは確かでありますし、電気というのはすべての方がそれを使って毎日の生活を営むわけでございますから、その意味では本当に大切な料金であるというふうに思っております。

 それについて、十四日の本会議でお話をしましたような形で国民の意見をお伺いするということは考えておりますが、それと同時に、年度がかわる前に、新しい年度が始まる前に、経済産業大臣の告示という形で決定したものを明らかにしなければいけないわけでありますから、ちょうど国会も開かれている時期でございますから、この数字が国民の到底理解のいかないような数字であるというようなことになった場合、もちろん私どもはそんなことにするつもりは毛頭ございませんけれども、この金額が妥当かどうかということは、経済産業委員会などでどうぞ御自由に、本当にいろいろな議論をしていただきたい、こう思っております。

近藤(三)委員 本法案については、経済団体からも、負担が国民生活や企業の産業競争力に悪影響を与える、このような反対の意見が数多く寄せられていることは先般の代表質問で述べたとおりです。そして、電力を使用することで成り立っている産業に配慮のない本法案を本当に意義のある政策と考えているのか海江田大臣の見解を求めました。

 この私の質問に対し、大臣は、「電力を大量に使用する産業に対しては、省エネルギーの促進や研究開発などの面で支援を行ってまいります。」このような御答弁にとどまりました。すなわち、政府の考える新たな再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の枠組みの中では電力多消費産業への負担緩和の措置を行うことは考えていない、既存制度の枠組みの中で省エネルギーの促進や研究開発などの面で支援を行っていくというふうに答弁されたと受けとめております。

 本件について、具体的な影響を挙げてみましょう。鉄鋼業界、とりわけ鉄スクラップから電気炉で鉄鋼を製造する電炉業にとりましては、電気エネルギーを大量に使って生産を行います。ですから、今回の買い取り制度による電気料金の上乗せは、企業の経営そのものを直撃します。

 今回の再生可能エネルギーの買い取り制度が導入され、賦課金として一キロワットアワー当たり〇・五円が上乗せされますと、電炉業界では年間八十八億円もの負担増になるという試算もあります。これは、電炉業界の平均的な経常利益の一〇%にも当たる負担増です。

 特に、電炉メーカーは日本の鉄リサイクルのかなめです。地域社会にとって欠かすことができない静脈産業です。これまでも電炉メーカーは、徹底した省エネを実施するだけではなく、操業時間を例えば夜間に動かしたり、夜間電力を使用して電力コストの削減に努めてきた、省エネに邁進してきた産業です。今回の買い取り制度により、このような重要な国内産業の国際競争力をむやみに落とし、国内で生産活動が成り立たないようにすることは、我が国の産業力、地域雇用に悪影響を及ぼすだけではなく、国内のリサイクル産業にも打撃を与えることにもなりかねません。

 そこで、環境省に伺います。

 地球温暖化対策だけではなく、リサイクル社会の創造など、トータルの環境行政を担う環境省として、リサイクル産業の一翼を担う電炉メーカーなどの電力多消費産業の存亡にかかわる本法案の制度に対する見解をお示しください。

近藤副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今、御指摘がありました。環境省としましては、環境を守っていくという観点、そしてまた天然資源の消費を抑制していくという観点、そういう中でリサイクル関連産業が果たしている役割は大変に大きい、循環型社会の構築にとっては非常に重要な産業だ、こういうふうに認識しております。

 ただ、一方で、地球温暖化対策等の観点から、再生可能エネルギーの普及を進めることも大変に重要だというふうに考えております。そういう意味では、関連産業にも御理解をいただき、さらなる省エネルギーに取り組んでいただくことなどを通じて電気料金の負担軽減にもつなげていただきたい、こういう思いであります。

 一方で、この間、御承知のとおり、原油等々の高騰で電気料金が上がっている、これも事実であります。そういう中では、再生可能エネルギーを入れていく、こういうことによって、長期的には電気料金を下げていく、こういうことにも資していく、これが重要だと私は考えております。

近藤(三)委員 資源の有効利用、資源の循環を考えた場合、鉄資源の乏しい我が国にとって、廃棄された鉄を再度国内で鉄鋼に生まれ変わらせる、リサイクルしていく、まさに資源循環型社会に必須のことだと考えています。

 もし、今回の制度の導入によりまして、電気を大量に消費して鉄リサイクルを推進している電炉メーカーを衰退させ、国内から海外に生産拠点を動かさざるを得なくすれば、すぐさま地域の雇用に大きな影響が出てしまいます。さらに、我が国から発生する鉄スクラップをほかのアジア諸国に船舶で運搬し、CO2も発生させてしまう、まさに地球温暖化にもかかわる問題です。

 本件につきましては、大いに環境省としても注目していただき、経済産業省へも、本制度の枠組みの中で、電炉メーカーなどリサイクル産業の負担軽減を求めるよう進言すべきではないかと思います。よくお考えいただきたいと思います。

 さて、既存の省エネルギーの促進、研究開発などの面で支援策を行う程度ではどうにもならないと思うんです。改めて、電力を多く消費して成り立っている国内産業に対する負担の軽減策を行うつもりがあるのか、もう一度伺わせていただきます。

 世界一の省エネに取り組んでいる我が国の電炉業、さらにその費用の一部を国から補助を受け、技術開発を促進したとしましても、電気の消費を極端に少なくする技術を迅速に導入することは現実的には困難です。仮に本制度を導入するならば、この固定価格買い取り制度の中で、ドイツのような、電力多消費産業に対する負担の軽減策を設けるべきと私は考えます。経済産業大臣の見解をお示しいただきたい。

 その際、さきの本会議で既にお答えいただいた、省エネルギーの促進や研究開発など既存の制度の枠内で行う支援策についての御答弁はもう結構です。このような再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の枠の中で負担の軽減策を行うのかどうか、イエスかノーかで端的にお答えいただきたい。そして、イエスのお答え、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の枠の中で負担の軽減策を実行するという予定なのであれば、その施策の内容についてもお答えください。

海江田国務大臣 委員が本会議で、特にあのときドイツの例を挙げていただいたというのは覚えておりまして、その後、ドイツの例も調べてみました。確かに、ドイツは減免措置というんですか、それを講じておりましたけれども、結局、減免措置を講じるということになりますと、そのしわ寄せがどこかに行くことになるわけでございますから、その意味では、そのしわ寄せが行ったことによって、減免措置を受けなかった方々の負担が上がって、そして五年か六年でドイツも一度それをやめてというようなことがあったということがわかりましたので、私どもとしましては、そうした減免措置はとらずに、これももう回答は結構でございますとおっしゃいますが、私とすれば言わないわけにはいきませんので、研究開発でありますとか補助金でありますとか、そういうところで手当てをしていきたい、こう考えております。

近藤(三)委員 お答えはノーでした。電力をたくさん消費する電炉業などを支援していく、省エネルギーの促進、研究開発などの面でやっていくという前回の本会議と同じ御答弁でした。

 大臣、今おっしゃいましたドイツの再生可能エネルギー法では、国際競争力の確保を法律に明記した上で、一定基準に該当する電力多消費企業に対して、賦課金、サーチャージを軽減する措置を講じていますけれども、なぜ日本でこのような新制度の枠内の負担軽減措置を講じることができないんでしょうか。もう少し詳しくお答えください。

海江田国務大臣 これは、初めて我が国でも固定価格で全量、先ほどの委員の指摘も理解をした上であえて全量という言葉を使わせていただきますが、そういう制度に踏み切るわけでございます。最初の一歩でございますから、最初の一歩のときはできるだけやはりその意義というものを多くの方々に御理解をいただきまして、もちろんそれは決して、負担が伴うことでありますから、何か目先の利益に引かれて導入をするというわけではない、この薬は苦いけれども、飲むことによって何十年か先に日本のエネルギーが、まさに再生可能な自然エネルギーがちゃんと一定程度の割合で出てくることに通じるという自覚を持ったお一人お一人の賛成によってこの制度が成立することを私はこいねがっております。

近藤(三)委員 負担を求めてから、すなわち制度が運用されてから、省エネの新たな設備投資、革新的な技術開発の投資の一部を国が補助しますよと言っても、そのときには、菅政権の政権運営のおはこのツーレート、余りにも時期を逸した対応となります。新しい固定価格買い取り制度を導入するならば、その制度によって社会に、日本経済に混乱が生じないように、その制度の枠の中でセーフティーネットを用意しておくのが国政の王道だと考えます。場当たり的な政策によって、これまで培ってきた日本企業の国際競争力をそぐようなことがあってはなりません。この点については引き続き議論を重ねていきたいと考えております。

 さて、本会議では、耕作放棄地での太陽光発電についても質問をしました。少し振り返ります。

 六月二十二日に政府は第一回エネルギー・環境会議というまた新しい会議を立ち上げたそうです。この会議には海江田経済産業大臣も出席されたと聞いています。その会議で鹿野農林水産大臣が提案された資料がこちらです。「再生可能エネルギー導入を促進するための農山漁村のポテンシャルの活用」、こちらですね。この資料の三ページをこちらのパネルに引き伸ばしました。耕作放棄地のうち、およそ十七万ヘクタールが発電に利用可能としています。そして、この十七万ヘクタールのうち、十一万ヘクタールで五百八十億キロワットアワーの発電が可能と記されています。

 正直、私、この資料を見てびっくりいたしました。耕作放棄地は、埼玉県の面積とほぼ同じ三十九・六万ヘクタール、その三分の一くらいの十一万ヘクタールの面積を、食料生産ではなく、太陽光発電パネルを設置して発電を行うという農林水産大臣の提案です。

 食料自給率がわずか四〇%の我が国です。農家の担い手不足などによって拡大している耕作放棄地、何とか農地として再び食料生産基地に戻していこうというのが農水省の基本姿勢だとばかり思っていたから、私はびっくりしたわけなんです。

 そこで、本会議では、鹿野農林水産大臣に次のように質問しました。農林水産省は、十一万ヘクタールに太陽光発電パネルを設置した場合、五百八十億キロワットアワーの発電が可能であると試算している。この場合、太陽光発電パネルの寿命から、一度パネルを設置すると、少なくとも二十年間は耕作できなくなる。農水省として、食料自給率の向上という最重要政策課題をわきに置いて、本当に再生可能エネルギーの拡大策を推し進める政策に方向転換するおつもりなのかとただしたわけです。

 これに対する鹿野大臣の答弁は、次のようでした。食料自給率の向上に向けて、耕作放棄地の復旧に取り組んでいく方向性は変わらない。一方、震災を契機として再生可能エネルギーへの注目度が高まる中、農山漁村に豊富に存在する太陽光などの資源を積極的に活用すれば、地域の活性化に資する取り組みとして重要と認識している。このため、農林水産省としては、食料供給力を損なわずに再生可能エネルギーの導入拡大が図られるよう、農地への復元が困難な耕作放棄地等における太陽光発電の導入について検討を行っていく考えである。

 このように農水大臣から答弁をいただきましたが、この答弁の中で気になりましたことは、農山漁村には豊富な太陽光があるというところです。耕作放棄地は山間部、中山間地域に多いため、大規模な太陽光発電を効率的に行うことは難しいのではないかと考えます。

 そこで、農水省に伺います。

 今回のこの発表は、民主党政権下の農林水産省としては、少なくとも、埼玉県の面積の三分の一に当たる十一万ヘクタールの耕作放棄地は農地に復元する考えはないと表明したと理解してよろしいのでしょうか。端的にお答えください。

篠原副大臣 でき得るならば、食料自給率最優先で考えていきたいと思っております。しかし、現実的なことを考えますと、近藤委員御指摘のとおり、高齢化しております、就業者もそんなにいないということで、それならば、太陽光発電等に利用していただければいいのではないか。

 中山間地とおっしゃいましたけれども、中山間地に確かにあるんです。想定していただくとわかるんです、私の選挙区はそんなところばかりですので。どういうところかというと、日当たりのいいところが段々畑になっている。ですから、そういった意味では太陽光発電に適地なのではないかと私は思っております。ですから、そういうところをちゃんと有効活用してくれればいいと……(近藤(三)委員「耕作放棄地を復元しないのかどうかだけお答えいただきたいと思います」と呼ぶ)

 復元したいんですけれども、現実的になかなか難しいので、とりあえず、今、エネルギー不足等が喧伝されておりますので、そういったところに有効活用させていただいて、それでもって、地域の雇用の促進とか、地方にお金が行くような形をつくっていただければいいのではないかと考えております。

近藤(三)委員 民主党政権下の農林水産省が太陽光発電パネルを設置しようとしている十一万ヘクタールの耕作放棄地について、農地を太陽光発電に転用するとなりますと、農地法の転用許可が必要となります。また、太陽光発電パネルの耐用年数は二十年から三十年と言われています。長い年月にわたり、農地としての利用は明らかに困難となります。すなわち、農地法第二条の農地の定義によりますと、農地とは、耕作の目的に供される土地をいうとなっています。

 このことから、農家は、太陽光発電パネルの設置を目的とした農地転用許可申請が出されれば、転用許可をし、農地から除外する方針と考えてよろしいのでしょうか。農林水産省にお聞きします。端的にお答えください。

篠原副大臣 どういう人たちが太陽光発電をするかということによりますけれども、電気事業法の許可を受けた事業者の皆さんの場合は、農地転用の許可が可能でございます。

近藤(三)委員 本委員会は経済産業委員会です。お時間も迫ってまいりましたので、これ以上この問題について質問は差し控えさせていただきます。

 このような問題をはらむ再生可能エネルギー電気調達特措法案は、今後の農業政策と切っても切り離すことができない問題となってきました。環境委員会だけではなく、農林水産委員会とも連合審査が必要ではないかと考えます。事実、我が党の中ではそのような声も上がっています。

 冒頭申し上げましたように、さきの本会議で海江田大臣は、「本法案を初めとして、経済産業大臣として今解決しなければいけない問題については、真摯に、そして全力を傾注して」いくと決意を述べられています。

 本日、私が取り上げましたように、本法案は、ひとり経済産業委員会にかかわる問題ではありません。地球温暖化対策、そして、きょう取り上げました我が国のリサイクル政策とも密接に関係します。環境委員会との連携が必要です。

 そして、我が国の住宅は二千六百万戸ですが、二〇二〇年代の早い時期にその三分の一以上の一千万戸の住宅の屋根で太陽光発電を行うとサミットで菅総理が発言した問題もあります。国土交通委員会との連携が必要です。

 そして、きょう最後に取り上げさせていただいた、耕作放棄地での太陽光発電を初めとした再生可能エネルギー発電を行うことを提唱している農林水産省があります。農林水産委員会との連携も必要です。

 将来に禍根を残すわけにはまいりません。一つ一つの課題を丁寧に国会で議論していくことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 近藤三津枝さんの質問は以上で終了しました。

 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして順次質問させていただきますが、既に朝から質疑の中で、私が質問させていただきたいことも先輩の皆さんから質疑がありました。一部重複するところがあると思いますけれども、確認の意味も含めてさせていただきたいと思っておりますので、どうかお許しいただきたいと思います。

 最初は、原発ストレステストについてお伺いしたいと思います。

 このことにつきましても、これまでももう既に何度かいろいろな形で質疑されておりますので、私は要点だけ伺いたいと思っているんですけれども、これは当然、定期検査で今停止中の原発の再稼働に当たっては一つのハードルになるということも事実だと思います。それから、海江田大臣も、一層の安心感を得るため、このように何度か答弁をされている。私もこのことについては意を同じくするところでありますけれども、しかし、なぜこの時期なのかということは、これは多くの方々が指摘をしてまいりました。

 菅総理は、再稼働はストレステストが前提、こうおっしゃって、私は、この総理の見解というのは、いろいろな機会でも私の考え方も表明させていただきましたけれども、どうしてもやはり政治的な意図を私なりに感じてしまうところがあります。

 それはさておいて、考えてみたら、浜岡の原発の停止とやり方というか進め方が非常に似ているんじゃないだろうか。例えば、政府内の議論がきちんとできているのか、手続がどうなっているのか。これは、どう見ても手続がされていない、あるいはきちんとした閣内での議論も進んでいない、このようなことを訴えざるを得ないわけです。

 私は、きょうこの再生エネルギーの法案の審議に当たって、まず大臣にお伺いしたいのは、この原発ストレステストの導入の経緯と、海江田大臣の率直な意見を改めてお伺いさせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、楠田委員長代理着席〕

海江田国務大臣 このストレステストでございますが、これはまさに、IAEAの閣僚会合がございまして、私は閣僚会合に冒頭出席をしまして、その後帰ってまいりましたが、ここで議題になって、その後、これは六月からでありますが、EUの加盟各国がこのストレステストを受けようということで決まったわけでございますから、私も、ストレステストというものがあるということ、それからEUの加盟の国々がそれを導入してテストを行うということは知っておりました、玄海に出向くに当たって。

 しかし、玄海の原子力発電所の場合は、特に二号機、三号機でありますが、これについては定期点検でとまっておりましたが、その定期点検が終わったということで、これを再起動しようということで、玄海の町長とお目にかかるのは、私が玄海にお邪魔したときが初めてではありませんで、それまでにも何回か、経産省にいろいろな要望もありましてお越しいただいておりましたから、そういう中で一つ一つ信頼関係を形づくってきたつもりでございますが、いよいよ、私に来て、私の方から安全宣言をしてくれということでございましたので、一般的な安全宣言は、六月十八日に、土曜日でございましたけれども、発しました。そして、菅総理が翌日にインターネットのテレビの番組で、海江田と全く同じだと言っていただきました。

 そして、それから一週間ぐらいたって、正確に言うと十日ぐらいたって、いよいよ行くことになりましたから、その前日に菅総理に、あした行ってきますということを、これは電話でしたけれども、お伝えをいたしました。

 そして、まず玄海の町長にお目にかかったわけでありますが、そこでは、私は、三月三十日と六月七日の安全の対策をやっていただいておりますので、その意味ではこれで再稼働していただいて結構です、しかし、さらなる安全確保のために、これは、そのとき念頭にありましたのは、今お話をしたIAEAの、ヨーロッパが採用いたしましたストレステストでございますが、そういうさらなる安全の確認のためのことはお願いをしますと。

 少し平べったく言いますと、私は、三月三十日と六月七日で、玄海の二号と三号は、例えば学校に入学するときの入学試験はクリアできた。しかし、その後、この人がどのくらいの、アチーブメントテストと申しますか、日本の大学も一回入ってからもたびたびテストがあるわけですから、そしてそのテストの成績が悪ければ進級ができないということもあるわけですから、そういったたぐいのテスト、安全確認はこれからもやらせていただきますよということを申し上げました。

 さらに、稲津委員とはもう何度もお話をしておりますので、少し正直に、これまでも正直に申し上げてまいりましたけれども、率直に申し上げると、高経年の原子炉については、むしろ、あえて誤解を恐れずに申し上げますと、定期点検を終わった、例えば玄海の四号などはまだ新しい型でございます、三号の方が少し古いわけでございますが、それと比べると一号の方はさらに年数がたっているわけで、三十六年ぐらいたっているわけですね。そういう高経年の原子炉については、私も、今、何年たてばだめになるということがわかっておりませんから、高経年の原子炉というものに対して、何年ぐらい平気なんだろうか、何年ぐらいたったら高経年による劣化が進むのかということも知りたいところでありましたから、そういうものはまさにストレステストをかけることによって、高経年と、そのストレステストでどこまで余裕度があるかということがかなり数字的にわかってまいりますから、そういうこともやりたいなと思っていたわけであります。

 そういうことをずっと考えておりまして、玄海の町長とお話をして、その後、佐賀の知事とお目にかかって、私のつたない説明で何とか納得をいただいたわけでございますから、私とすれば、いろいろございましたけれども、一つ電力の需給に関して私なりに仕事はやったかなと思っていたわけでございます。

 その後、それではだめだ、保安院だけではだめだ、安全委員会をかませなければという言葉で、安全委員会の評価を得なければいけないということで電話がありましたので、その翌日に直接お目にかかって、その安全委員会の評価というものがヨーロッパのストレステストを参考にしたものであるということがわかりましたので、やはり総理がそういう意向でございますので、官房長官、細野大臣、私との間で、このストレステストを稼働の条件にしましょうということを合意したわけでございます。

 以上でございます。

稲津委員 ありがとうございました。非常に丁寧に経緯と、ここに至るまでの大臣としての所見を伺いましてありがたく思っております。

 その基本のベースのところにあるのは何かというと、安全性の確保をより念入りにやっていく、そのための検査であるということを踏まえての話だと思うんです。ただ、もう一方では、再稼働に向けて、それからいわゆる電力不足になったらどうしようという危惧もあったわけでございまして、そこのところをどのようにしていくかということが大きな問題だというふうに思っております。

 そこで伺いますけれども、ストレステストについての必要性というか説明についてはよくわかりました。ただ、もう一方で、現実に今ある日本各地の原発が今後再稼働等に向けていくときに、電力不足ということがこの先懸念されないのかどうか。これは率直に、国民の皆さんや電気をたくさん使う企業の方々にとっても不安なところです。

 私は、一連のここまでのいろいろな流れを見ていると、申しわけないんですけれども、どうも総理のリーダーシップというか責任感ということについては非常に懸念されるところが個人的にあります。私は、この委員会で何度もお話しさせていただいていますけれども、ここは、やはり経産大臣がリーダーシップをしっかりこの分野については発揮すべきという立場に立っていろいろ質疑させていただいて、答弁もいただいてまいりました。

 再度ここで伺っておきたいのは、電力不足ということが仮に発生するような危機的な状況になったときに、これを回避するために、その一番先頭に立ってリーダーシップを発揮されるのは総理ですか、それとも大臣御自身だと思っていますか。この点について御答弁いただければと思います。

海江田国務大臣 基本的に、電気事業法という法律が、主に電力の需要供給について、需要と申しますか供給について束ねる法律でございます。もちろん、原子炉等で事故があった場合は原子炉等規制法ですとかそういう法律もございますが、基本的に電気事業法でございます。その電気事業法の所管は私でございますので、それは私が責任を持たなければいけない、そして私の行動に満足がいかなければ、そのときは首を切っていただく、こういうことになろうかと思っております。

稲津委員 非常に明確に、わかりやすい御答弁をいただきましたけれども、私は、大臣のリーダーシップにぜひ期待をさせていただきたいという立場に立って質問させていただきました。

 なぜこういうことを言うかというと、結局、この東日本の大震災、発災して原発のトラブルの中でこれまで何が行われてきたのか。それは、菅総理のもとで新たな組織をつくってみたり、新たな方を任命されたりしてきたけれども、幾つもそういう組織をつくっては壊していき、そしてまた、あるとき突然御指名をかけたけれども、その方の役割もはっきりしない。私は、こういうところに現政権の大きな問題があると思うわけなんです。

 そこで、一つ、エネルギーの基本計画の見直しについて関連してお伺いしたいと思うんです。この見直しの計画策定は、これは経済産業省ですか、どこですかという質問です。

 少し説明を加えたいと思います。

 この再生可能エネルギー導入促進の必要性と同時に、もう一つ現実にあるのが、日本のエネルギー、とりわけ電気エネルギーを長期的にどうしていくのか、そういう政策の全体像がやはり必要だと思っています。このエネルギーの基本計画というものを見直していかなきゃならないときに当たって、その所管はどこなのかということなんですよ。

 私は、これは経産省だというふうに思っております。しかし、総理や官房長官の発言からは、どうも違う声が聞こえてくる。これは国家戦略室で担当するんだ、このようにも聞こえてくるわけですよ。

 法律では、基本計画の策定者は経済産業大臣であると定められているわけです。であるならば、私は、この計画の見直しに当たっては、策定者は経産大臣、経産省、これをはっきりと明示すべき、明言すべき、このように思っていますけれども、大臣、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 この点につきましては、きょうの午前中の議論もございましたけれども、エネルギー基本計画を、これはエネルギー政策基本法という法律がございますから、この法律にのっとって、経済産業大臣が総合資源エネルギー調査会の意見を聞きまして策定をするということでございますので、私の責任だろうと思っております。

 ただ、その過程で、今、国家戦略担当大臣の玄葉さんが議長になりまして、革新的エネルギー・環境戦略の策定に向けて会議をしておる、検討を行っているところでございます。そこで意見交換を行うということはあります。

稲津委員 意見交換は行うにしても、私は、繰り返しですけれども、ここは経産大臣にしっかり指揮をとっていただきたい、こう思っております。

 それで、これは先ほどの近藤議員の発言の中にもありましたけれども、先日、国家戦略室が、経産省に電力需給に関する重要情報のすべてを開示するよう文書で指示をしたことがありました。私は、これは極めて異例なことであるというふうに思っております。また一方で、この国家戦略室が各電力会社のデータをもとに来年の電力の需給見通しを試算したと、これは本来は経産省の仕事ですよ。

 そういうことで、私は、うがった見方をしてみると、これは内閣不一致、そして、閣内の不信があると言われても、思われてもいたし方ない、そのような思いもするわけなんです。このような中で、本当に国民の皆さんの信頼を得ることができるのか。

 再生可能エネルギーというこの法律を今審議して制定していこうという段取りになって、果たして本当に、そういう面から見ると国民の皆さんにどのように映るのか、そう思うわけでありまして、繰り返しになりますけれども、私は、ここは経産省が責任を持っていっていただきたい、そして、海江田大臣にしっかりとさらなるリーダーシップを発揮していただきたい、このように思います。

 大臣、このことについて何か御所見がありましたら、一言いただければと思います。

海江田国務大臣 実は、その総理の指示でございますが、これは総理から直接いただいたということではないんですが、国家戦略の担当の、国家戦略室からいただきましたけれども、その冒頭に書いてありましたのが、経済産業大臣は、電力の需給について、包み隠さずですかね、ちょっと待ってください、正確に言わなければいけませんが、その持っている資料をすべて公表すべきということが真っ先に書いてあったわけでございますね。経済産業大臣は、包み隠さずとは書いていませんね、電力供給の状況を理解するために必要な情報をすべて開示することと。

 これは、私は、これまで全部、すべて開示してきましたよ。何かこういう文章が最初にあるということは、僕は、はっきり言って悔しいですよ。信用されていないんだなと思いましたね。(発言する者あり)失礼とまでは言いませんが、こういう文書を出したときに、それを受け取った人の気持ちというのをやはり考えなきゃいけないなと。どなたが出したかわかりませんけれども。云々かんかんあるんですけれども、まあ、そういう指示であったので、これを見たとき、何か私がこれまでやってきたことはほとんど無駄だなという思いをしましたね、本当のことを言いまして。

 以上でございます。

稲津委員 大臣の今の気持ちも含めてよくわかりました。

 これから先は、具体的に、再生可能エネルギーの法案について審議を進めさせていただきたいと思います。

 それでは、最初は、導入促進の具体的な取り組みについてということでお伺いさせていただきたいと思います。

 法案では、買い取り価格と買い取り期間は経済産業省令で定めて、三条では、電気の使用者に過重にならないように配慮する、このようにあります。再生可能エネルギー導入促進の観点からは、この点についてはどうなのかな、こういう考え、意見もあるところでございまして、いわゆる導入促進にブレーキの作用を及ぼすのではないか、こういう意見もあります。

 私も本会議でこの点については質疑をさせていただきました。大臣からは、国民負担の抑制に資するという考えから買い取り価格の一律を示したということでございます。

 しかし、もう一度改めて伺いますけれども、再生可能エネルギーの導入を促進していくんだという観点から、大臣、どのようにお考えか、この点についてお示しをいただければと思います。

海江田国務大臣 一律価格で買い取りということについては、今委員が御指摘のあった意見もあることは確かでございますが、一律価格の場合、一つは、やはり発電コストの低い電源から先に導入が進むということはそのとおりだろうと思います。

 それから、一律の買い取り価格というものを意識して、やはりこれは下げなければいけない、今高い水準にあるエネルギーについては、それより低い一律の価格で買い取ってもらってもしっかりと採算がとれるような仕組みに何とかしなければいけないということにおいて創意工夫が働く環境づくりになるんじゃないだろうか。そして、そのことが結果的に国民負担を小さくすることになるのではないだろうか、こういう考え方でございます。

    〔楠田委員長代理退席、委員長着席〕

稲津委員 一律の価格での買い取りについての考えということで再度お答えをいただきましたけれども、ここで一つだけ私の方から意見を述べさせていただきたいと思うんです。

 この再生可能エネルギーの法律というのは、これからさまざまなエネルギー源を、多様なエネルギー源を、ある意味では地産地消型でどんどん進めていくということも可能になってくる。

 ここで、今、一つ考えておかなきゃならないのは、例えばバイオマスの発電のことなんですけれども、いわゆる小規模分散型の発電設備、これがバイオマスのある意味では非常に特徴的な有利な面だと思うんです。しかし、バイオマスについては、ある意味では、規模と、あるいは資源ごとの地域の買い取りがなければ、価格設定がなければなかなか進んでいかないという現実があると思うんです。

 そういう意味で、この一律というところ、ここは当然、今大臣のお答えが一番大事なベースになると思うんですけれども、今後、そうした多様なエネルギー源、電気エネルギー源ということを考えていったときに、ぜひここも今後の検討を願いたい、このように申し上げておきたいと思います。

 次の質問ですけども、次は、送配電の設備への接続拒否の対応についてということで伺わせていただきたいと思います。

 第四条では、電気事業者の利益を不当に害するおそれがある場合には調達契約を拒否できる。それからまた、第五条では、電気事業者が電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがある場合には送配電設備の接続を拒否することができる、このような規定があるわけです。

 先日の本会議で海江田大臣からも御答弁いただきました。ここについては、法案には、原則接続を拒否することができないようになっている、それから、大臣勧告ができると。これは御答弁いただきました。

 電気事業者に有利な条件設定では、導入促進の阻害要因になる可能性は否定できないと私は思うんです。もちろん、電気事業者に有利な条件設定になっているかどうかというのはいろいろな議論のあるところだと思うんですけれども。

 そこで、実効性をより担保するためには、この原則規定だけではなくて罰則規定を強化するぐらいのことが必要じゃないか、こういうことも私は考えます。その意味で、この再生可能エネルギーこそ優先的に接続をしたらどうか。こういうことを例えば明記したらどうかということについて大臣の所見を伺いたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、せっかくの再生可能エネルギーでございますので、ぜひ系統に接続をして有効活用する、これが大原則でございます。したがいまして、契約については四条、接続そのものについては五条の条文を用意させていただいております。

 繰り返しになりますので詳細は申し上げませんけれども、基本的には、その周波数でありますとか、電圧の維持、これは重要ですけれども、それに支障がない限りはとにかく拒否しちゃいかぬ、こういうのが思想でございます。一号から三号までございますが、あります。

 それから、仮に、若干周波数とか電圧に影響があるということは、それはあり得ることでございますが、その場合でも当該再生可能エネルギーの発電者が自分でちゃんと接続をするための費用を払うときには、これはもう大歓迎でつなぎなさい、こういう規定もございます。

 さはさりながら、こういう新しい制度において、つなぐ、つながないというのは往々にして紛争になりがちでございます。したがいまして、そういうことも勘案いたしまして、これはこの新法とあわせてでございますが、電気事業法の一部改正案というのもお願いをしてございます。その中で、電力系統の利用協議会というようなものを、これは中立的な立場から、紛争解決、あるいは紛争解決のためのルールとか、実際の手だてについてしっかりと対応していく、こういう方策も用意させていただいております。

 いずれにしましても、新しい制度でございますので、こういった手だてでぜひしっかりとした接続を実現してまいりたいと思っております。

稲津委員 具体的に御説明いただきまして、非常に議論がかみ合ったというふうに思っております。

 その上で、一言だけ意見を申し上げさせていただきたいと思うんですけれども、発電した再生可能エネルギーの電気を優先的に送り込む仕組みというものがなければ、ある意味で電力会社が送電に余裕がないんですと言われたときに何も言えなくなってしまうというか、そういう、弱者と強者の立場ではないんだけれども、そこには本当にフェアなものがきちんと担保されていなければいけない、こう私は思っておりまして、さらにこの点については今後もしっかり中身を詰めていかなければいけない、このように思っております。

 次の質問に入らせていただきます。

 これも先ほど来各議員の皆さんから御質問のあったところですけれども、いわゆる賦課金上限の見解についてということでお伺いさせていただきたいと思います。

 大臣は、きょうの委員会の中でも、まさにこの再生可能エネルギーの導入促進というのは、三次方程式を解くように非常に難しい問題だと。ここにまさに賦課金の問題が横たわっていると思うんですけれども、大臣は国会答弁の中で、消費電力に対する賦課金の上限は〇・五円ということを、繰り返しきょうも御発言をいただきました。もちろん、負担軽減の観点からこういう上限の話があった、このように認識をしております。

 ただ、もう一点は、この上限をあらかじめお見せすることによって、再生可能エネルギーの導入促進というのが、ある意味では足かせになってしまうことはないだろうか、こういう心配もあるわけなんですね。この点についての御所見をいただければと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、けさほどから大臣からも申し上げております、三次方程式、四次方程式という中でのいろいろなたてつけの工夫をさせていただく必要があろうかと思っております。

 本法律の出発点は、今足元でたかだか五%ぐらいしかない再生可能エネルギーの一次エネルギーに占める割合を何とか倍ぐらいにしたいというところが目標でございました。その目標をいかに達成するか。負担とインセンティブと関係産業への影響、いろいろなものを勘案してバランスをとってやるということで、先ほどの〇・五円・パー・キロワットアワーぐらいで何とかマネージをしていく。この過程においては、当然のことながら買い取り価格を、高いものであってもできるだけ低くしていく、それから関係の機器についてはできるだけ安くして普及を図っていく。こういう、いろいろな効果を願ってのことでございます。

 したがいまして、五%を一〇%にする、しかも二〇二〇年を一つのめどにしてやりますということでございまして、この範囲内で完結した姿を実現させていただけないかと。将来は、もちろん再生可能エネルギーはこれからどんどん重要性は増していくんだろうと思います。しかしながら、二〇二〇年に今申し上げたような目標を達成するということの中で、今のようないろいろな効果を勘案して、望むらくは、二〇二〇年までに今のような目標を達成させていただいて、その後のことは改めて議論をさせていただく、こういうことにさせていただきたいというのがこの法律のたてつけでございます。

稲津委員 私は、この制度の導入あるいは促進のスタートの時点では相対として若干コストが高くても、再生可能エネルギーの普及がどんどん進んでいくと、当然コストは削減されていくだろうと。将来的には、この賦課金の額もある意味で下がっていくということも十分想定できる。だから、その意味で、導入促進の今このときに余りいろいろな制約をかけてしまうようなことについては慎重さが求められるだろう、こういう立場に立って今質問をさせていただきました。ぜひこういったことも十分勘案をしていただきたい、このように思っております。

 次は、発送配電分離の制度設計の必要性についてということでお伺いさせていただきます。

 電気料金の上昇を抑えるために一体何が必要なのかということなんですけれども、これはいろいろな方からさまざまな意見があるんですが、その意見の中の一つに、電力市場の自由化の必要性について訴える方も大勢いらっしゃいます。そうした方々の立場に立って少し伺いたいと思いますけれども、この送配電網の整備強化を図って再生可能エネルギーの導入促進を進めるということが非常に大事なことであろうという意見です。

 そこで、今すぐではなくても、いずれ将来的には電力会社の発送配電分離ということが、例えば小規模でも多様な発電事業者をその電気を消費する地域に多く分散する体制をつくっていくという、将来的な日本の地域のあり方ということを考えていったときに、そこに移行していくとすると、今私が申し上げましたような、いずれ将来的には電力会社の発送配電分離というのは必要かどうかという考えについてお示しをいただければと思います。

海江田国務大臣 まず、将来的なお話の前に、この法律における電力会社と再生可能エネルギーの事業者との関係において、電力会社は再生可能エネルギー事業者から求めがあれば、原則みずからの送電網へ接続することを義務化しております。その意味では、再生可能エネルギー発電事業者の新規参入が阻まれないように手当てしてございます。

 その上で、中長期的なということでございまして、私は、恐らく委員と認識が共通ではないかなと思うことは、日本の電気料金というのは高いということでございます。特にアジアの韓国などと比べると高いわけでございまして、国際競争力を考えた場合、電力料金の高さというのは、日本から企業が撤退をしていく条件になります。仮に日本に残った場合でも、つくる製品がコスト高になってしまうということがありますから、私は、まずやはり電力料金をなるべく下げなきゃいけないという思いがあります。

 それを下げる場合の手法の一つとして、今委員が御指摘のありました発送電の分離ということも一つの選択肢として考えられるのではないだろうかというふうに思っておりますので、発送電を分離することだけが目的ではないというふうに私は考えております。

稲津委員 大事な視点の御答弁をいただいたと思います。やはり電気料金が日本の場合は決して安くない、むしろ高い。これをどうするかというのは非常に大事な問題なので、大事な御答弁をいただいたと思います。

 その上で、この電気料金の問題とあわせて、今回の震災を通じて、リスクの回避ということを考えていったときも、これはある意味で相通ずるものがあるのかなと。要するに、一カ所に集中的に大きな発電所をつくっていくということが、これから電力の安定供給、何かのときにリスクを回避するという意味でも大きいのかなと思っていまして、この点にあわせても分離の考え方を、これからぜひ国民的な議論も、場合によっては、時期としては必要なのかなというふうに思っております。

 さて、次は、廃止を含めた規定ということについてお伺いさせていただきたいと思います。

 これは見直し規定のところなんですけれども、ちょっと読みます。「賦課金の負担が」「電気を大量に使用する者その他の電気の使用者の経済活動等に与える影響、内外の社会経済情勢の変化等を勘案し、」「この法律の施行後平成三十三年三月三十一日までの間にこの法律の廃止を含めた見直しを行う」、このようにあるわけなんですけれども、この点について少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 この十年後の見直し規定ということなんですけれども、向こう十年間の経済成長とか経済効果とか、そういうことをおぼろげながらもどのように考えて十年後の見直し規定を入れているのか、これが一つ。もう一つは、なぜ廃止を含めた見直しなのか。私は、ある意味では逆なんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、この二点についてお答えをいただければと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 恐縮でございますが、先ほどの答弁と若干かぶるところがございますが、もともとこの制度は、セキュリティー、あるいは地球温暖化という大きな目標のために、足元では高いことはわかっているんだけれども、やはりここは将来の楽しみを念頭に置いて導入して拡大をしていこう、こういうものでございます。先ほど来申し上げましたように、幾つものリクワイアメント、要求を同時に満たさなくてはいけないということの中で、先ほどのような〇・五円という目安も使わせていただくということでございます。

 繰り返しになりますけれども、今五%しかない再生可能エネルギー、これは一次エネルギーに占める比率でございますけれども、これを何とか倍ぐらいにしたいという設計の中で、これが目標でございます、その中でどういう設計をするかということで先ほど来のたてつけを御説明したつもりでございます。

 したがいまして、この制度でそこまでいくということをまず最初の目標にいたしましょうということでございます。その先のことについては、恐らく、再生可能エネルギーはより重要度を増すということが想定されます。されますが、今予定されているこのスキームでその後もいくかどうかは、そこの目標が達成されたところで考えたらいいんじゃないかということでございます。

 先ほど委員が言及されました六条の見直し規定は、三年ごとということと、それから、一二年を予定しますと、ちょうど今から九年目のところでそこが達成されるということを前提にして、その段階で一応このスキームでは、この推進のスキームを廃止も含めて一回見直しをする、こういうことでございます。その後どういう格好で促進をするかというのは、もう一回たてつけとか仕組みも含めて議論をしたらいいんじゃないか、こういうことでこの規定が設けられているわけでございます。

稲津委員 ここは再質問させていただこうかなと今思ったんですけれども、そのことでむしろ議論が深まっていくのならいいんですけれども、今の御答弁を聞いているとそこは難しいかなと思いますので、私の意見だけ申し上げたいと思うんです。

 要するに、十年後に廃止を含めて見直ししますよと書いているということは、再生可能エネルギーを導入促進して、経済効果も高めてやっていける、そういう明らかな目標、見通しみたいなものを本当は持たなきゃいけないと私は思うんです。何のためにこの法律ができるのか、必要なのか。これは第一条に明確に書いていて、それは「国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」ということであります。だから、私は、見直し規定そのものを否定するような立場で話しているのではなくて、どうも少し腰が引けているような気がしてならないんです。

 それは、何を言っているかというと、私は、これからの我が国が再生可能エネルギーを導入することによって、経済の発展、そして雇用も新たに生み出していく、そういう効果を強く意識していくのであれば、見直し規定をもしここで設けるのであるならば、廃止じゃなくて、むしろ明確に、再生可能エネルギーの導入促進をさらに図っていくために見直しを随時していくとか、こういう規定をこの法律にきちんとうたっているということを強く意識したいと思うんです。

 そういう意味で、このことを意見として言わせていただきました。

海江田国務大臣 これは本来私が答弁すべきものでございましたけれども、エネ庁長官も準備をしておりましたのでお答えをいたしましたが、私は、今回のこの法律が、自然エネルギーあるいは再生可能エネルギーの固定価格の買い取り制度でございますから、その意味では、家庭用の太陽光の自家消費分を除いた分とそれ以外の再生可能エネルギーはすべて固定価格という形で買い取るという制度でございますから、これは十年程度、十年やってみてこの制度はそのままでいいのかどうなのかということをそこで改めて議論した方がいいというふうに考えております。

 それは、この十年の間にどれだけ、今、太陽光もそうです、風力もそう、先ほど委員御指摘のありましたバイオマスなどもそうであります。風力は若干安いわけでありますけれども、そのかわり稼働率が一八%ぐらい。そういうさまざまな問題がありますから、そこを一律で買い取りをするという制度でやってみて、そのときどういうようなバランスになるのか。あるいは、それにはもちろんエネルギー基本法を定めて目標値も定めなければいけませんけれども、やはりその状況を見て、改めてもう一回、この制度が要るのか、さらに強化をする必要があるのか、あるいは固定価格一律というような形を抜本的に見直しをすべきなのかという議論をやればいいというふうに思っております。

 最初の一歩でございますので、その点は、いろいろな形でいろいろな意見を聞きながらこういう形にまとまったということでございまして、十年たってさらに強化するということももちろん考えられようかと思います。

稲津委員 私が再質問しようと思っていた答弁をいただきましたので、ぜひそういったお考えで御検討いただければと思います。

 次は、制度導入による負担の軽減という視点で何点か質問させていただきたいと思います。

 まずは企業負担ということで伺いたいと思うんですけれども、企業の負担軽減と省エネ支援ということをぜひお考えいただきたいという視点で質問させていただきます。

 これも先ほど来いろいろな質問がありました。特に製造業の負担が大きくて、産業の空洞化とか国際競争力の低下を招くんじゃないか、こういう懸念があります。当然、中小企業にとってはある意味で死活問題である、こういう意見もあります。その意味で、軽減措置をとるべきではないか、必要ではないか、こういう考えです。

 これも先ほど御意見もありまして、私も同じなんですけれども、例えば海外移転というものがどんどん進んでしまうと、それは我が国にとっても非常に困ったことなんですけれども、もう一方では、省エネ技術が劣る国、そういったところに日本の企業が進出していくことによって、今度はその国のCO2の増大につながっていくという懸念もあると思います。

 そういう意味で、ここはぜひお伺いしたいんですけれども、特に電力の多消費型産業の省エネ努力に対する助成制度の拡充など、企業の負担軽減をこの際どう支援していくのか、この点についてお示しいただければと思います。

海江田国務大臣 電力を大量に消費します産業、先ほど例示のございました電炉業界などがそうだと思っておりますが、こうした業界に対しては、エネルギー使用合理化事業者支援補助金という制度がございます。二十三年度の当初予算では、四百億一千万円を積んでございます。これは、技術の先端性、省エネ効果及び費用対効果を踏まえた政策的意義の高い省エネ設備に対する導入補助金でございます。

 技術の先端性あるいは省エネ効果、費用対効果がどういう形であるかということを判断するに当たって、これはそれぞれに点数をつけていく加点制度ということになっておりますが、この加点制度を利用しまして、まずエネルギー集約型企業、これは売上高に占めるエネルギーコストの割合が一割以上の企業ということですから、当然電炉の業界なども入ると思いますが、この事業に、まずこの事業であるということをもって加点を行う、それからもう一つ、電力の需給状況を勘案し、節電に資する事業の評価に加点ということでございますから、そういう意味では、こうした業界は、もう既に、本当に乾いたぞうきんを絞るような形でかなり節電をやってくださっています。

 先ほども御紹介ありましたけれども、働いている方たちは、ほとんど夜通し働いているという、大変過酷な労働条件のもとで働いていただいているわけでございますが、そうした努力も加点の対象にしまして、このエネルギー使用合理化事業者支援補助金というものをしっかりと使っていただこうという考え方でございます。

稲津委員 そこで、先ほど近藤議員からも質問というか意見もありましたけれども、特に鉄鋼の中の電炉業、ここが電力を大量に消費する産業であるということで、ここに対して特に重点的な支援策が必要ではないかということで、経産省の中でこれら電炉業などに対する、今大臣御答弁いただいた取り組みをさらに支援するような制度を拡充する方向、このようにも聞いております。ぜひこれらの取り組みをしっかり行っていただいて、こうした事業者に対して御支援いただきたい、このように思っております。

 そして次の質問は、各家庭、いわゆる国民負担の軽減をどうするかということについての質問をさせていただきたいと思います。

 これも先ほど来多くの方から意見がありました。いわゆる賦課金については、国民の皆さんから見ると税金と同様じゃないかという見方です。そういう見方があるということを踏まえた上での考えなんですけれども、このサーチャージについて、使途、使い方が本当に明確になるような丁寧な説明、それから透明化の徹底を図るということ、それから、数年後の料金の見直しなども含めた柔軟な制度設計が必要であろう。そこをしっかりやっていかなければ、なかなか国民の皆さんにこの再生可能エネルギーの買い取りということについて十分な御理解は進んでいかないだろうというふうに思うわけでございます。

 これも先ほどありましたけれども、税は国会で負担水準を決めるのに、本法案では国会でその負担水準が決められないということ。であるならばこそ、繰り返しですけれども、丁寧な説明、そして透明化を図っていくべき、あわせて国民負担の軽減に努めるべき、こう思いますけれども、この点についてお示しいただければと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど来、委員から何度も御指摘をいただいております。大変重要な点だと思っております。

 何しろ初めてやる制度でございます。そして、委員は税金のようなものというふうにおっしゃいますけれども、電気料金のようなものという言い方もできるわけでございます。したがいまして、こういったものは、いずれにしても負担は負担でございます。十年後に東京の標準家庭で百五十円というのが果たしてアクセプタブルかどうか、受忍の範囲内かどうかというのは、これはまさにパーセプションの問題でございます。物価水準もありましょうし、もろもろのほかの社会的な情勢の中でのバランスもあるでしょう。

 いずれにしましても、累次御説明をしております、この制度はそもそも何のためにあるかということ、それから、それを達成するために、負担は負担で恐縮でございますけれども、今申し上げたようなレベルで一般の消費者には御負担いただくわけですけれども、これによって、全体のセキュリティーだけではなくて、例えば、いろいろな雇用とか、マーケットが膨らむとか、こういったメリットについても十分御説明をさせていただくことが必要かと思います。

 これまでも制度設計の過程でいろいろ御説明をさせていただきましたけれども、繰り返しますが、これが御賛同いただきまして法案が成立いたしましたら、施行までの間に重ねていろいろな御説明をさせていただいて、十分な御理解をいただく。その過程でのキーワードは、おっしゃるように透明性、柔軟性だろうと思います。心して取り組みたいと思っております。

稲津委員 今御答弁いただいて、丁寧な説明とか透明性を確保していくということについてはわかりました。

 その上で、私、一つ提案をさせていただきたいと思うんです。

 国民負担の軽減ということをぜひ御検討いただきたいという立場なんですが、今月の二十四日から地デジの完全移行化が始まりました。ここで、例えば所得の少ない方々等につきましては、いわゆるチューナーの貸し出しなどを図りまして負担軽減策を講じたわけでございます。このことと一緒に考えちゃいけないのかもしれません。あくまでも電気料金ということを考えると、ここは少し御理解いただいた上で負担をぜひお願いしたいということになると思うんですが、その上であえてお伺いしますけれども、高齢者の方々とか本当に所得の低い方々への負担の低減化ということで、例えば省エネ機器の貸し出しとか配布とか、そういうことも考え方としては検討してもいいのではないかと私は思いますけれども、この点についてどうでしょうか。

海江田国務大臣 税は、まさに強制的に徴収するわけですから、課税最低限を設けたり、累進制を設けたりということで負担の調整を行っているわけでございますね。それに対して電気料金の場合は、税に似たものであるという御指摘もありますが、そこはやはり若干の違いがございますのでそうした体系にはなっておりませんが、ただ、なるべく能力のある方に負担をしていただこうという考え方も一方にございます。

 今回は、とにかく初めての制度であって、国民の多くの方、全員の方々に、とにかく痛みを味わうけれども、こうした自然エネルギー、再生可能エネルギーの導入、そしてこれの拡充の重要さをわかってもらおうという考え方からこういう形にいたしましたが、将来的には、今委員御指摘のような形で、これは昔から議論のあるところでありますけれども、例えば電力料金の体系のあり方などの議論をやっていくことが大切かなというふうに思っております。これはこれからの議論でございます。

稲津委員 それで、これからの議論というところにこれから触れさせていただきたいと思うのですけれども、この時点での考え方を議論させていただきたいと思います。

 総括原価方式の見直しについてなんです。

 これもいろいろと議論がありました。これは電気料金の透明性の確保とか電気料金の中身をきちんとお伝えしていくという意味では見直してはどうかという考えでございまして、電気事業に係るコスト、人件費、発電所の建設費、燃料費等々、これに利潤を加えて電気料金を算出するという方法が果たしてどうなのか。なかなか、国民の皆さんにはこの電気料金の仕組みや中身についてはわかっていただいていない面が非常にある。ここをきちんと説明するという方法もあるでしょう。それから、いや、そうじゃなくて、先ほど大臣のお話があったように、どうも日本の電気料金の設定は高いよね、ここを低減化していくためにもこういう方式をどこかで将来的に見直す必要もあるかもしれないね、こういう現時点でのお考えについてぜひ伺わせていただきたいと思います。

海江田国務大臣 まず一つは、現行の料金の決定の透明性を確保するということでございます。

 現在でも、電気料金を下げるときは届け出でよろしゅうございますが、これまでずっと下げる過程が続いておりましたので、その意味では、届け出で、はい、わかりましたということになっていたわけでございますが、これを上げるということになりましたら、しっかりとまず経済産業大臣が認可をしなければいけない。そして、その認可の過程で、当然のことでありますけれども、その料金算定の根拠となる原価の内訳について資料提出がなされますから、この資料提出において、これはこれまでも、過去、大分昔でございましたけれども、求めがあれば求めに応じて開示をしておりますが、これからは求めがなくてもそれを開示するということも考えなければいけないというふうに思っております。

 それから、もちろん電力会社においても、電気料金における透明性の確保ということで、電力会社みずからがそうした情報を開示するということもあろうかと思います。

 いずれにしましても、この電力料金は、先ほどお話をした電力供給システムの変化もございますので、そうしたこととあわせて、新たな料金規制というものについても検討してまいります。

稲津委員 時間も参りましたので、多分最後の質問になると思いますけれども、これも重複する質問で恐縮ですが、確認の意味を含めて伺いたいので、ぜひ御答弁いただきたいと思います。

 買い取り価格に対する国会関与の必要性ということについて伺っておきたいと思います。

 これは、大臣からきょうの質疑の中でもありました。本法には国会の関与というものはないけれども、しかし、小委員会、パブコメ、必要があれば国会でのさまざまな機会を通じて意見もいただく、こういう答弁があったところです。

 私は、電力の買い取り価格や期間については、機動的で迅速な対応が求められるだろう、こう思っているわけです。だから法律事項にしないということは私も十分理解はできるんですけれども、一方で、この法案が成立した後、国会による行政監視機能というのが及びにくくなるんじゃないだろうかなということを懸念している一人でもあります。

 そもそも、本制度で国民の皆さんから徴収する負担金というのは、国の予算に関係するものでもなければ会計検査院の検査対象になるわけでもないわけですね。だから、国会に対する報告義務ということも明記されているというふうには理解していません。これはいずれにしても国民の負担につながることですから、買い取り価格や期間を変更する、そういう場合には国会の関与を可能にするような措置が必要ではないか、検討すべきではないか、私はこのように思っておりまして、最後にこのことを質問させていただいて、終わりたいと思っております。お願いします。

海江田国務大臣 私どもが今回のこの法律で、まさに買い取り価格とその期間については、先ほどお話をしたようなプロセスを経てでございますけれども、私どもで決めさせていただきたいと申し述べたのは、今委員が端的に御説明いただいたのが理由でございます。

 その上で、もう既にきょうも何時間か議論を進めておりますが、どうしても国会の皆様方がこういう形で関与をしたいということであれば、それは国会の皆様方でお決めをいただければよろしいかと思っておりますので、どうぞ引き続き活発な御議論をいただきたいと思います。

稲津委員 時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。

 これは、大臣お話しのとおり、まさに大変難しい、一筋縄ではいかない、三次方程式を解くようなものだというお話がありましたが、私も全くそのとおりだと思っております。

 ただ、いずれにしても国民の皆さんに御負担いただくわけですから、ここは、繰り返し質問の中で私の意見を述べさせていただきましたけれども、透明性の確保、十分な説明、そして折々の見直しや国会の関与、これがなければ私は十分な担保ができないと思っておりますので、最後にそのことを意見として申し述べさせていただきまして、質問を終わりたいと思います。

田中委員長 以上で稲津久君の質疑は終了いたしました。

 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 本日は、再生エネルギー法の質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 なでしこジャパンに沸く日本の国で万葉集を詠み上げるなら、きょうはやはりナデシコの万葉集を詠むしかないでしょうと。そういうのがどれくらいあるのかと思ったら、奈良時代からナデシコは結構歌に詠まれておりまして、西暦七四九年の、突然旧暦になりますが、うるう五月二十六日といえば、大体今ごろ、季節も合っているんじゃないかなと。大伴家持が、富山県でナデシコを見ながら、自分の奥さんの笑っている顔をナデシコを見ながら思い出したな、そういう歌を詠ませていただきます。

  なでしこが花見るごとに娘子らが笑まひのにほひ思ほゆるかも

 どうもありがとうございます。(拍手)

 なでしこジャパンの皆さんの優勝の笑顔を思い出しながら、それでは早速質問に入らせていただきたいと思います。

 再生エネルギーの前に、福島原発関係で幾つかお聞きしてから再生エネルギーの方に入っていきたいというわけなんですが、いろいろと激励の声も飛んでいるその質問から入らせていただきたいと思います。

 本当は仮払いの実績から始めるはずでしたが、その手前で、きのう、原子力損害賠償支援機構法が衆議院の復興特の方で、三党の、民主、公明、自民の皆さんのそれこそいろいろな真摯な御議論の中で、委員会として可決をされている、こういうことを伺っております。その際、審議の中で、海江田大臣が御答弁の中で、東京電力の債務超過は想定していない旨の答弁があったわけでありますが、しかし、将来ということについてはさまざまな可能性があるのではないかということを確認したいわけであります。

 なぜならば、そういうことがありまして、修正後の機構法の附則六条二項には見直し規定が入っておりまして、それは、これから、原子力事業者と政府及び他の原子力事業者との間の負担のあり方とか、当該資金援助を受ける原子力事業者の株主その他の利害関係者の負担のあり方等を含めて、国民負担を最小化する観点から、この法律の施行状況等について検討を加え、必要な措置を講ずる、そういうこともうたっておられる。

 そしてまた、附帯決議の方の十項目めにおきましては、本委員会においては、本法の制定に伴い、平成二十三年六月十四日の閣議決定における「具体的な支援の枠組み」は、その役割を終えたものと認識し、政府はその見直しを行うことということも求めているわけであります。

 したがいまして、いろいろな可能性があるんじゃないか、そしてまた、六月十四日の閣議決定については見直すべきではないかということからまずお考えを確認させていただきたいと思います。

海江田国務大臣 橘委員にお答えをいたします。

 いつも時宜にかなった万葉集を御紹介いただきまして、ありがとうございます。

 さて、御質問に対するお答えでございますが、現時点では私は東京電力の債務超過は想定しておりませんが、賠償の実施の状況を見つつ、将来はあらゆる可能性があることは理解しております。

 なお、附則六条二項の見直し規定の趣旨及び附帯決議の趣旨に従って、東京電力の再生、負担のあり方をきちんと整理し、必要な措置を講じます。その際、六月十四日の閣議決定についてもしっかり見直したいと思います。

橘(慶)委員 大変クリアに御答弁いただいているわけでありますが、修正項目、附帯決議は、先ほども申し上げたとおり、民主、公明、自民、三党合意の結果ということで、立法府としていろいろと議論をして非常に重い結論を見出して、きのう解決をしているという部分であります。

 この立法者の意思を尊重し対応していただける旨、確認のため、再度お伺いをいたします。

海江田国務大臣 はい、そのとおりでございます。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

 私からの個人的なお願いでありますが、前に、万葉集を詠みましたら、漢詩でおこたえをいただいたことがございました。きょうはこれからまだ六十分強ございますので、何かいいものを思いつかれたら、ぜひ答弁の中でお願いしたいということを申し上げたいと思います。

 それでは参ります。

 原発賠償でありますけれども、東京電力の仮払いの実績、請求金額については、折々、実は、いろいろな場面で聞かれてもおられると思います。私も、質問主意書で、六月二十日現在の数字をいただいております。住民の一回目の仮払いで四百八十八億円、農林漁業者十二億円、その他、すなわち中小企業者で二億円、六月二十日当時、五百二億円という数字が出ておりました。

 現状はどうなっているか、確認をさせていただきます。

海江田国務大臣 東京電力の仮払いの実績でございますけれども、まず最初に、これは四月の二十六日からでございますけれども、避難を余儀なくされた方々に対する支払いがスタートをいたしました。このときは、御承知のように、一世帯当たり百万円という金額、ただ、一人だけの場合はたしか七十五万円でしたか、そういうことでございました。これは、ほぼ五万世帯に対する支払いが終わりまして、全体で五百八億円で、第一次の支払いが終わったところであります。

 そして、その後、七月の五日でございますけれども、避難期間に応じて、原則一人当たり三十万円の追加支払いを行うことが決定いたしました。これは、一人当たりでございますが、避難の期間などによって金額が違ってまいりますので、請求書をまた求めております。その請求書がかなりばらつきがございまして、今現在、まだ全体の請求額が幾らになるかということが確定をできておりませんが、七月の二十六日までに、約四百名の方に対しておよそ一億円の支払いが行われております。

 それから、農林漁業者の方々に対しては、おおむね六月までになされた出荷制限指示等による営業損害に係る請求額、これが百四十四億円ございます。このうち、七月二十六日までに、これは間に農協ですとか漁協が入っておりますので、その農協、漁協との間で協議を行いまして、そこで仮払い額が損害額の原則二分の一という計算がございましたので、それを受けまして約六十四億円が支払われてございます。請求額百四十四億円に対して六十四億円でございます。

 それから、出荷制限指示等に関して、その後請求された分及び風評被害分、これがおよそ二百五十七億円ございますけれども、これについては現在、精査中あるいは団体との協議中のことでございますが、これも順次、さらなる支払いがされると私は聞いております。

 それから、中小企業者が避難区域等においてこうむった営業損害については、届いた請求書から順に精査が進められ、七月二十六日までに請求がありました約六千社のうち、約五千社分、これは金額に直しますと六十一億円でございますが、これが支払われたということでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 それぞれ詳細にお答えをいただけてうれしかったわけですが、そうすると、大体目の子で合計しますと六百二、三十億円ぐらいお支払いになったかなと。ただ、最初にあった、お一人三十万円ずつというものについては、多分人数は、最後は分母といいますか人数は、何万人という世帯のあれですから、五万人とかそういう数字が出てきますので、それで三十万掛けますと、やはりかなり大きい数字になってくる。早晩、やはり一千億という数字にはなっていく。たしか、一つの原発当たり一千二百億という数字もあったわけでありまして、早晩そういう数字にもなるということからすれば、やはり損害賠償支援機構というもの、そしてまた仮払い法、こういったもので手当てをする、そういう時期に来ているなということはつくづく思うわけであります。

 そしてまた、今ほどありましたように、風評被害等、まだ精査しなければいけない部分については、二百五十七億円に対して、まだこれは精査が必要だということもありますし、六千社のうち五千社に対して六十一億ということについても、これはそういう意味ではまだまだ行き渡っていない部分もあるかということを感じるわけであります。これはまた、そういう一つのルールに従って、ぜひ関係者の方には努力をいただくということが生活のためにも経済のためにも必要かと思います。

 そこで、二点お伺いをしていきたいわけです。

 まず、生活のためにということについては、最初に百万円、今度は一人当たり三十万、こういう金額で大体三カ月、三カ月でお支払いが進んでいくわけですが、総務省の家計調査なんかを見ましても、一つの世帯の一カ月間の支出というのは大体三十万円という数字も出てまいります。ましてや、ある意味で時間がとまった形で、着のみ着のままという形で、多少、今、家に戻るということはできたにしても、かなり御苦労もあるということからすれば、今後とも、この避難生活、年末ぐらいまでは確実に続くという感じでもありましょうから、三カ月程度ごとには何らかの形でやはりそういうお支払いということを、仮払いということを続けるべきではないか、このように人道的に思うわけでありますが、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 この三十万円という金額を算定したときも、おおむね三カ月ぐらいという基準があったようでございます。避難された方々に対する第二次の支払いが始まったばかりでございますから、第一次の基礎的な資料はあるということでございますが、これがどのくらいかかるかわかりませんが、やはり人のサイクルというんですか、人の生活のサイクルに合わせたような形で仮払金も支払われなければならないと思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 やはり避難されている方々に予見可能性が出てくるように、ぜひまた御検討を先へ先へとお願いしたいと思います。

 もう一点、今度はお仕事といいますか経済ということで、先ほど風評被害の数字もいただいたわけでありますが、避難区域からどうしても避難せざるを得ない事業者の方々、休業期間は長期化しつつあるものと思います。もちろん、金融面でのいろいろな施策、手当て、いろいろなこともしておるので、それなりのセーフティーネットは張られているわけではありますけれども、やはり非常に困難な状況というものは続いているんじゃないか。

 そういう意味で、事実関係としてここでお伺いしておきたいわけですが、不幸な倒産等々、そういったことが出ていないのか、そのあたりをどういうふうに把握されているのか、現状をここで確認したいと思います。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 民間金融機関の調査によりますと、今般の震災に関する全国での企業倒産件数は、先週末の時点で二百件に及んでおります。そのうち、お尋ねの福島県における倒産の件数は十件でございます。この十件のうち、地震あるいは津波による直接の被災による件数は八件で、売り上げ減少等に関するものが二件というふうに承知しております。

 なお、震災発生後、政府とか関係機関において、資金繰り対策に加えまして、手形の不渡り処分に配慮するといった金融上の措置とか、あるいは破産手続開始の決定を留保するといった措置を講じておりますので、今申し上げました数字はこういった措置を講じられているもとでの現状ということで認識しているところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 いろいろなセーフティーネットが張ってあるから、それなりのところでおさまっているという部分もありますが、しかし、やはり厳しい状況ということは変わりがないので、またそこは、ぜひ中小企業庁さん等でしっかりとウオッチして、引き続き手当てをお願いしたいなと思うわけであります。

 そして、あと二つ、福島原発関係あるいは電力関係ということでちょっとお伺いをしていきたいわけです。

 一つは、きょう皆様方のお手元にもグラフをまた配らせていただいております。福島市、郡山市、そしてまた福島第一原発の敷地境界におけるモニタリングポストあるいは放射能測定結果ということでのグラフ、これは、実は一度、この委員会で二カ月ほど前に出させていただいたんですけれども、その後の流れということで、もう一度出させていただきました。

 何を申し上げたいかというと、やはり、最初は、半減期の短い元素が多くて、放射能はぐっと減っていくわけですが、だんだん半減期の長いものが支配的になってまいりますので、どうしてもグラフが寝てくるといいますか、余りかわりばえがしないという状況が見えてくることになるわけであります。

 新聞でもいつも報道されておりますが、福島、郡山あたりでは、大体一マイクロシーベルト・パー・アワーくらいのところが出ております。また、福島第一原発のモニタリングポスト、八つあるわけですが、低いところでは五十マイクロシーベルトを切っているところもありますが、ちょっと大きなところ、二つぐらいの地点では、相変わらず百から百五十、百に大分近づいておりますが、百ぐらいのところで実は推移をしている、こういう状況が見てとれるわけであります。

 そこで、こういったことにおける放射能の減衰状況、それから、今後これがどのように推移していくかという見通しについて、保安院さんと文部科学省からそれぞれお伺いしたいわけであります。

 と申しますのも、最初、たしか、この事象が発生したとき、どういうものが出たか、ああいう突発事態であったのでわからなかったというのは御答弁もいただいているわけですが、これだけグラフがずっと連なってまいりますと、どういうものがあと残っているのかという、いわゆる元素の内訳、それがだんだん見えてくるんじゃないかなと。見えてくるとすれば、先行きというものもだんだん、ある程度確度を持って予想できるようになるんじゃないかな、こんな思いもいたします。その辺も含めて、それぞれお答えいただければ大変幸いです。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、今回の事故で放出された放射能の影響というのは、半減期の短いものについては比較的早期に減って、現在は相対的に長い半減期のものの影響が支配的になっているというふうに考えられるところでございます。

 先生がお配りになったグラフでございますが、具体的な数字で申し上げますと、七月二十五日十六時現在で申しますと、福島市及び郡山市のモニタリングポストにおける測定値は、それぞれ、毎時一・一二マイクロシーベルト、それから郡山の方は毎時〇・九五マイクロシーベルトというふうになっております。これは、大分低くはなっておりますが、いずれも平常の値よりはまだ上回っているという状況にございます。

 今後でございますが、降雨、雨などの気象による放射線量の増減はあるというふうには思いますが、基本的には、追加的な放射性物質の放出がなければ、長期的には穏やかに減衰をしていくものと思っております。

 なお、具体的な核種についてもお尋ねでございますが、既に沃素131というものはもうほとんど検出されてございませんで、現在残っていると思われるのは、セシウム134あるいはセシウム137というものでございます。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 今資料で御指摘いただきましたモニタリングポストに関しましては、これは事故前から常設されているモニタリングポストでございます。そういう意味で、四月一日以降の数字になってございます。

 敷地周辺におきます空間線量は、発電所の南側に位置いたしますモニタリングポスト、先ほど御指摘ございましたモニタリングポストの七、これでは、一日の日に、一日以降の最高の値で三百九十マイクロシーベルトを示しておりましたけれども、その後減少いたしまして、現在では低位安定でございます。本日の朝六時時点では百十一マイクロシーベルトとなってございます。

 ただ、周辺のモニタリングポストに比較的近い、同じ地点じゃございませんので正確な比較はできませんけれども、かつては一万マイクロシーベルトを超えるものが出ておったときもあるわけです、事故直後でございますけれども。そういう意味では非常に安定、低位なものになってございます。ただ、これは、資料の中にもございますように、通常のレベルから比べますとまだ高い値でございます。

 引き続き環境モニタリング結果を注意深く監視してまいりたいと思いますけれども、その内容につきましては、先ほど文部科学省さんからもございましたけれども、沃素については大分出て、セシウム関係のものが多い。それから、発電所からの追加的なといいますか、今現在もゼロということではございませんけれども、放出量の追加というような大幅なものがなければ、低位安定して減衰をしていくものというふうに考えているところでございます。

橘(慶)委員 詳細にお答えいただいて、ありがとうございます。

 せんだって、この原子力発電所の事象のステップワンというのも関係者の皆さんの努力によりまして一応終結して、ステップツーというところに入っているということで、その際にも、新たな線量については一・七ミリシーベルトくらいというような話もあったと思っております。ただ、この後、この数字と、午前中の質疑等でもありましたが、校庭の、除染という意味では一マイクロシーベルト・パー・アワー以上のところは除染をする云々とか、あるいは、前から出ております一ミリシーベルトあるいは二十ミリシーベルト、そういったものを毎時のマイクロシーベルトに直したときの〇・一九とか三・八という値もあるわけです。

 そういうものをいろいろ考えていきますと、それぞれの地域に、午前中もありましたが、除染をしていく、あるいは敷地境界から近いところについてはなかなか時間のかかる話、そういうことも徐々に見えてきているんじゃないかなと思います。しかも、セシウムというのはかなり半減期の長い核種になってくるということもありますので、この辺、引き続きモニタリングを続けていただきながら、また総合的な対策をしっかりと打っていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、周波数統一の問題について。これは四月二十七日、中山政務官から、これは私もそうだと思うんですが、これを実行しようと思えば、今まで使ってきた工場のモーターとか、そういうものまで六十、五十、いろいろなことをしなきゃいけない、大変なんだけれども、しかしやはり一国二制度ということはおかしいし、将来的には、いろいろな障害があってもやはり中長期的にはやっていかなきゃいけないんだという非常に力強い御答弁もいただいていたというのが記憶に残っているわけであります。

 季節はあれから夏も迎えまして、これからまだ補正の話があったり、いよいよ二十四年度予算とか、またそういうことで、さらに先へと考えていかなきゃいけない。そんな意味では、これからいろいろな意味での事態の把握あるいは問題点の洗い出し、そしてまた、こういうものを進めていく上での、言ってみれば一歩一歩の前進ということが期待される時期に来ていると思うので、ここでもう一度中山政務官から、これからの動きについてお答えをいただきたいと思います。

中山大臣政務官 前回のときに橘委員から、予算の裏づけを持った答弁をしろ、こういうことがありましたので、一億円ということで、マスタープラン作成のために今議論をしているところでございます。

 御存じのように、西地域の方は過去にアメリカの会社が指導した、こちらはドイツの会社が指導したということで、どうしてもヘルツが違っている。これをいずれは統一していくことが非常に重要だ。

 今、困ったときにお互いに融通することがいかに大切かということがわかってまいりまして、北海道から東北に来るのはまだ簡単なんですが、これが東西を、六十と五十をどう調整していくかというのはこれからのいろいろな課題があると思います。しかし、その課題はいずれ乗り越えなければいけない、こういうことでございまして、大臣が主宰している有識者会議でも、いずれはそれを克服するように、このように言われております。

橘(慶)委員 意気込みは直接伝わってまいりますので、ぜひそれを一つ一つの行動に移していただきたいと思うわけであります。

 きのうもいろいろと質問の打ち合わせをさせていただく中でつくづく思ったんですが、日本という国は非常に器用な国でありまして、今になると、家電製品でも大体、五十ヘルツでも六十ヘルツでも、モーター物がついていてもどちらでも使えるような家電製品をつくり上げている。でも、それは考えてみたら、両方に使えるための、またそれだけの要らない装置も当然つけてつくっているということからすれば、中長期的にこういうものを直していけば、当然家計の負担だって落ちてくる。それから、言ってみれば、内外におけるそういうバリア、それはいろいろな見方があるかもしれませんけれども、やはりそういうものもなくなってくる、普通の形になっていくということもあるかと思います。

 ぜひ、ここは引き続き具体的な取り組みへとつなげていただきたい、きょうはそのことを申し上げて、再生エネルギー特措法の方に入らせていただきたいと思います。

 原発関係の方はこれで聞きませんので、どうぞ結構でございます。

 それでは、再生エネルギー特別措置法の方に順次入らせていただきます。

 ちょっと四点ばかり、まず最初に細かいお話を聞かせていただくことをお許しいただきたいと思います。例によって、省令事項に幾つか落ちているので、その後大きい話をいたしますが、四つだけ、少し細かいところ、確認めいた話を聞かせていただきたいと思います。

 この再生エネルギー特措法第四条第一項におきまして、電気事業者が特定供給者からの特定契約締結の申し込みを拒める場合、基本的には、買い取り義務があって、買い取り義務で必ず買い取らなきゃいけないということではあるんですが、例外的に拒める場合ということを予定されている。これが省令で定める内容ということになっておるわけでありまして、その内容をまず確認したいと思います。

安井政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘のございました法第四条第一項に予定されてございます省令の内容でございますけれども、これは再生可能エネルギーの事業者の方から契約を締結してくれと言われたときに、電気事業者の方が断れる理由になり得るものということで、二つ想定をしてございます。

 一つは、社会通念から見て、電気事業者にとって非常に不利な条項といいますか、例えば、どうしても接続関係がございますので、機材に損害があらわれた場合に通常の常識を超えた賠償条項がついているとか、あるいはそれに似ているんですけれども、虚偽の事項が含まれている、こういった場合が一つの固まり。

 それからもう一つ、電気の安定供給の確保のために必要な条項を入れていただきたいと実は思ってございます。それは、どうしても自然災害などもございますので、再生可能エネルギー事業者さんの持っている施設について、接続側の電気事業者の方も中に入って修理をするなり調査をするなりすることが必要だと思われておりまして、そういうことが許されるような条項が入っていないような場合。

 この二つのような場合を主に限定した例として今想定をしておるところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 接続が無理がないということと、やはり中身をブラックボックスにしないで明らかにしておいてほしい、こういうことかと思います。

 続いて、法第五条第一項第三号です。これは、電気事業者が特定供給者からの接続請求を拒める場合。基本的には、優先接続ということで接続しなきゃいけないんですが、それはちょっと困る、その接続は困るということで拒める場合が幾つかあるわけですが、省令事項に落ちているところの内容を確認いたします。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 この第五条一項の中に二つ、一号と二号で拒める場合がまず書かれてございます。これは、必要な費用を再生可能エネルギーの事業者の方が負担をなさらないとか、あるいは電気の円滑な供給の確保に支障がある場合。こういう場合に加えまして、電気機器でございますので、接続関係をするのに接続上の技術情報を提供していただく必要がございまして、こういう情報提供がなされない場合と、それからいただいた情報が虚偽であって、後でうまくつなげない場合、こういう技術的な場合を想定してございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 あと二つあるんですが、これはまとめてお伺いします。

 費用負担調整機関というのができていまして、これが電気事業者に対して交付金を交付する、あるいはその交付金のために今度は逆に電気事業者から納付金を徴収する、こういうことがあります。これを省令で定める期間ごとに計算をし、そして納付を求めていく。要は、どれくらいで締めていくか。年間で締めるのか、月単位で締めるのか、いろいろあると思うんですが、ここについて、二つのことは一緒だと思いますので、確認をさせていただきます。

安井政府参考人 お答えを申し上げます。

 八条第一項及び十一条第一項の機関のことだと思います。これにつきましては、具体的に負担調整機関を指定した後に、当該機関と実務的な調整が必要なのでございますが、考え方といたしましては、先ほどおっしゃいました、まさに締めを毎月もしくは四半期に一度というふうに思ってございますので、その裏返しということで、省令で定める期間としては一月ないし三カ月という期間を想定してございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 かなり小まめにその実情に合わせて計算をして、そして、九事業者になるんでしょうけれども、それぞれ過不足のないようにということでされる、このように理解をいたします。

 さて、これで省令事項を聞くのは終わりにしまして、実態論的な話を順番に、RPS法、余剰電力買い取り制度、いろいろ午前中の議論もありましたので、そういうことも踏まえながら、順次お伺いをしていきたいと思います。

 まず、現行のRPS法、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法ということで、二〇〇三年度から始まっていまして、いわゆる義務量ベースで見まして、数字もいただいていたわけですが、二〇〇三年度三十二・八億キロワットアワーだったものが、二〇一一年は百十・三億キロワットアワーと大きく伸びてきたということであります。

 これは質問が何度かありましたけれども、この制度の評価と、それから、これを廃止いたしまして、そして新しい今回の全量買い取り制度に変わっていく、ここの変えていくということの理由を、まず、質問の流れの都合上、もう一度確認をさせていただきます。

中山大臣政務官 今お話のあったとおり、グラフで見ましても、二〇〇三年から施行されて二・五倍に伸びたということは大変な成果であるというふうに思っております。

 しかしながら、RPS制度は、電気事業者に一定量の再生可能エネルギーの利用を義務づけるものであり、再生可能エネルギーによる発電を行う者と電気事業者との相対交渉で電気の取引価格が決定され、また、電気事業者としては相対的に安価な再生可能エネルギー源を利用するという傾向がございました。結果、再生可能エネルギーによる発電を行う者にとって、投資回収ができるか否かについて不確実性があるとともに、現在は高価であっても将来的に供給の潜在力の高い太陽光発電について十分な導入が進みませんでした。

 今後、再生可能エネルギーの導入量拡大に向けてRPS制度のもとで再生可能エネルギーの義務量を大幅に引き上げたとしても、実際には再生可能エネルギーによる発電に対する投資が十分に進まず、結果として、電気事業者が国内でその義務量を満たすだけの再生可能エネルギーによる電気を確保することが困難になることが予想されます。

 以上のようなことを考えまして、今回の固定買い取り制度になった、こういうことでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 制度としては廃止をして、新制度に移るんです。ただ、今までRPS法に入っていた設備については、逆に言えば、それは残るといいますか、経過措置規定を置いて、そういった今までやっているものについては今までどおりの枠の中で進めていくというのが、実は今回の法の附則のところに書いてあるわけであります。既存の発電設備については、経過措置利用量というものを設けて、当分の間、利用を義務づけていくというふうに解せられるわけであります。

 現在、二十二年の数字でいいまして、そういった買い取っている、義務的にこうなっているものの中で、バンキングでしのいでいるものもありますけれども、現実、この一年間、二十二年ということでいいますと、八十九・一億キロワットアワーという、それだけの設備が実際動いていて、それは二十三年以降も基本的には動いていくんだと思うんですね。

 そうすると、ここのところ、既存の発電設備はどうなっていくのか。そしてまた、経過措置利用量というものは、多分徐々に低減するのかもしれませんが、どうなるのか。そして、当分の間ということであれば、結局、二〇二〇年まで続いていくのか。このあたりの考え方といいますか、見通しをお伺いしておきたいと思います。

安井政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘がございましたように、この再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度への移行に伴いまして、RPS法を廃止する。そうなりますと、おっしゃりましたように、現在RPS法のもとで電力会社に対して電気を売っていらっしゃる方々が事業を続けられなくなるということがあってはいけませんので、運転停止などを招くことがないように、必要な経過措置ということで、経過措置利用量という考え方が示されているわけでございます。

 この量を決める考え方、先ほどから申し上げてございますように、今現在RPS法の対象になっている方々がきちっと事業が続けられる、これが主たる考え方でございまして、それに困らないように義務量として決めていく、こういう考え方でございます。具体的には、今現在接続していただいている量をもとに、途中で廃止されるものもあろうかと思いますので、それらを順次減らしていく、こういうのが基本的な考え方でございます。

橘(慶)委員 もう一つ、このRPS制度の中には、バンキングという制度があったわけであります。当該年度の義務量を超えて買い入れている場合には、それは来年に繰り越せる、そういう繰り越しになっているものがありまして、これは、二十一年のときには七十・四億キロワットアワーまでふえたわけですが、その後、二十二年が六十四・一億キロワットアワー、平成二十三年は四十一・七億キロワットアワーと減ってはきておりますけれども、しかし、これは二十四年度にも持ち越すことは多分確実であろう、このように思うわけであります。

 そうすると、このバンキングという制度も当分の間は残しておいて、これをまず整理していくという考え方であるのかどうか、ここを確認したいと思います。

安井政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘がございましたように、再生可能エネルギーでございますので、特に風力や太陽光は、天候によって発電量がどうしても変動いたします。したがいまして、予期しがたいと申しますか、コントロールしがたい理由によって発電量が動きます。

 一方で、RPS法、今回の経過措置においても、義務量という形で、電気事業者に対しては買い取り量、量が義務づけられておりまして、どうしても若干の過不足が生じるという性格は、これまでもそうですが、今後の経過措置期間においても変わるものではないというふうに考えております。

 したがいまして、今般設けます経過措置におきましても、事業者に課される経過措置利用量の達成におきまして、このバンキングの考え方を活用することを認める方向で検討しておるところでございます。

橘(慶)委員 よくわかりました。バンキング制度も活用していく、認める方向での検討、このように今御答弁いただきました。

 そして、今度は、余剰電力買い取り制度、ここも午前中から何度か議論になったところですが、ちょっと残っている部分も含めて、もう一度確認をさせていただきたい部分があります。

 余剰電力買い取り制度の評価ということと今回の固定価格買い取り制度との違い、基本的な部分ですが、まず、これをお伺いしてから質問を始めていきたいと思います。

海江田国務大臣 この余剰電力買い取り制度でございますが、午前中の答弁でもお話を申し上げましたけれども、これがスタートしましたのが平成二十一年の十一月でございますが、この平成二十一年の十一月以降、住宅用太陽光発電システムの導入量はおよそ百二十万キロワット程度増加をしております。もちろん、これは余剰電力買い取り制度だけでありませんで、ほとんどこのときと軌を一にしまして、正確に申し上げますと二十一年の一月からでございますけれども、住宅用太陽光発電の導入支援の補助がございますので、この二つが相まって十分な導入促進効果を発揮していると思っております。

 そして、新制度との違いでございますが、これはもう言うまでもございませんけれども、これまでは太陽光の発電でございましたけれども、加えて、大きな、これも太陽光でございますが、メガソーラー、それから風力、バイオマス、中小水力、地熱といったものに買い取りの対象を拡充してございます。

 そして、これらの考え方の基本的なものは、自家消費を前提としておりません。自家消費を前提とせず、系統に送りました電気の全量を買い取る制度としているということでございまして、先ほどの太陽光の自家発電については、十キロワット未満の発電については従来の制度をそのまま残す、こういうことでございます。

橘(慶)委員 先ほども、この制度を残す理由として、家庭に設置されたパネルを変更するのは、急に変更しても大変だとか、そういうことがあって云々というところも聞いているわけであります。ただ、そのときに、午前中、学校とかそういう大きなところについては、余剰ということもないので、そのまましないんだと。

 それで、いろいろ資料を見ていまして、この余剰電力買い取り制度でも、例えば二十三年度だと住宅用が四十二円、非住宅用だと四十円ということで、住宅用、非住宅用があったわけです。住宅用の方はそのまま余剰電力買い取り制度を残すわけですが、非住宅用の方は、そうすると、余剰電力買い取り制度でなくなるというふうに、私、午前中聞きながら、そうなのかなと理解をしたわけであります。

 RPS法の方はRPSでそのまま全部残っていくわけですが、非住宅用で今余剰電力買い取り制度に行っている部分は、この後、新法の中ではどうなるのかだけ、午前中聞きながらわからなかったものですから、確認をしたいと思います。

安井政府参考人 御指摘のように、これまで余剰買い取り制度の対象でありましたが住宅用ではない部分、非住宅と言っておりますが、この部分は、制度的には全量買い取り制度と呼ばれている、今大臣の方から御説明いたしました方式の方に移行するということでございます。ただ、法制度といたしましては、余剰分も含めまして、今回の制度の大枠の中には入っております。

 こういうことでございます。

橘(慶)委員 もう一度確認しますが、そうすると、RPS法にかかわる部分については、新しい契約は何もなしで、そのままRPSで進んでいっちゃいますよね。しかし、そうすると、非住宅用の部分だけは、前からある設備であっても、もう一度経産大臣の認定を受けて、そして全量買い取り制度の方に入っていく、こういう理解でいいんでしょうか。

安井政府参考人 既に余剰買い取り制度の対象になってしまっているものは、現行の制度の中の、法的枠組みの中におりまして、これまでその対象と同じカテゴリーのものは、今度、全量の制度の方で、来年度以降、この法律を施行させていただいた後は、そちらの方で契約をするようにいたす、こういうことでございます。

橘(慶)委員 では、もう一度契約をし直すというふうに理解しておけばいいんですかね、そこの人たちは。

安井政府参考人 新しく、来年度以降電力会社と接続される者は全量のシステムになるけれども、これまで、もう既に余剰の枠組みのもとで事業計画を立てて契約をなさっているわけですから、それはその契約の中で続けていただくということなので、既に契約を結ばれている方が新たに移行契約を結ぶことは想定しておりません。

橘(慶)委員 私も、もう一度よく議事録を読んで、頭の整理をしたいと思います。ちょっとそこだけ何かエアポケットになるような気もしたのですけれども、せっかく説明もそれだけいただいたので、しっかり勉強させていただきたいと思います。

 次に、きょう一番議論になっているところの一つの単価設定といいますか、エネルギー源によらず、一律の単価設定云々というところです。

 この法律というのは、言ってみれば仕組みを定めていまして、その仕組みに基づいての再生エネルギーの契約期間あるいは契約の価格、それは、経済産業大臣が総合資源エネルギー調査会に諮り、パブコメ等をして決めるということになるわけであります。それは情報公開やいろいろなことをちゃんとしますよということであるのですが、ある意味で、大臣さんが最後の目を入れるという仕組みになっているのかなとも思うわけです。

 問題は、そのときに、期間、そしてまた単価というところについて、実は、委員長を初め皆さんはスペインやドイツやフランス、いろいろなところへ行かれて、そのときのお話も多少西村委員からもお聞きしているわけですが、そこはいろいろなやり方があると。期間も、もっと短く、どんどん変えていく場合もあるし、それから、特にありましたのは、ほかの方も聞いておられましたが、エネルギー源ごとに本来は原価は違うはずだと。それを、太陽光は別になりますけれども、残りのものを一緒くたに、一つの原価、一つの単価で決めるということは、本当に成り立つのかなと。

 このあたり、原価と、いわゆる価格の定め方、そこについての考え方、もちろんこれは省令事項にもなっているので、後から幾らでも変更することも可能だとは思うんですが、現状のその考え方、国際的なこともにらまれての今のお考えを確認しておきたいと思います。

    〔委員長退席、石関委員長代理着席〕

海江田国務大臣 これは先ほどもお答えをいたしましたけれども、それぞれの電源ごとに今かなり開きがあるわけでございます。風力は比較的安価かな、風力、水力は安価かなと思っておりますが、例えばバイオマスなどはかなり高いわけであります。

 そうすると、その上に一定の利潤というものも考えなければいけないわけでございますから、現在まだ残念ながら高いところの場合には、その上に利潤を乗せると高くなる。高くなると、一つは国民全体の負担が大きくなるということと、やはり高くなるものに対してかなり後回しになるのではないだろうかというおそれもございますので、国民の負担を小さくするという観点。それから、全体的に、例えば高いところも実際には低い値段で設定をされるということになると、やはりそっちへ向けてそれぞれの発電の事業者が努力をしなければいけないかなということで大体収れんをされてくるだろうという考え方から、一律にということを採用しております。

橘(慶)委員 今の考え方は一つ理解しながらも、少し仮定の話もしちゃいますけれども、例えば、しかしそうはいっても、だんだんそれぞれのエネルギーの発電の仕方というものが決まってきて技術が確立してきた場合に、やはり風力と、例えば小水力では違うとか、あるいは地熱とは違うというようなことだってないとは限りませんよね。その辺は、これからの省令事項になっているから、ある程度、エネルギー調査会とかいろいろなところで、そこはやはり事態の推移によっては、例えばエネルギー源ごとに買い取り価格を変えていくとか、そういう考え方もあり得べしということなんでしょうか。

海江田国務大臣 これは、これから御議論いただければよろしいかと思います。

橘(慶)委員 そのあたりは、また委員会の議論ということにもなるということであります。

 もう一つ、午前中の質疑の中で、望月委員の質疑に対して、中山政務官の方で太陽光発電の話がいろいろあって、ただ、非常に大きな、大規模な太陽光発電というものが、今、太陽光発電だけ別の番地に入っているんですけれども、それは少し原価とかそういうものが違うようにも、私は御発言を聞きながらそういう感じを持ったんです。そうすると、そういうものは場合によっては別カテゴリーになる、そんな思いもあるんでしょうか。

中山大臣政務官 特にそういうことはないというふうに思うんですが、基本的な考え方として、固定価格買い取り制度は、やはり太陽光を広げるためのインセンティブですから、量的な広がりがこれから随分出てくると思うんですね。そのときに、パネルも、ドイツなんかを見ていますと、全部パネルは中国製だったとかいろいろなことがありまして、先ほど望月先生にもお答えしたんですが、できる限り、やはり中小企業も潤うような方向でいかなければいけないということで、インセンティブはインセンティブとして、ただ、業者が五十万キロワットなんというのを持ってきたときに、果たしてどうなんだろうか。これも今後の議論によるというふうに思います。

 いろいろな意味で、これは、とにかく大きく量的にふえることによってのメリットをねらって、四十円という、余剰の方はやるようになっておりまして、もう一方で、さらにインセンティブを引けば、四十二円ならどんどん大きくなるかというと、その辺はいろいろな御論議が必要だというふうに思っております。

橘(慶)委員 大体お考えのところは理解はするわけですが、やはり、想定よりもかなり違った形で持ってこられたりすると、四十円ということも、余りにもインセンティブがきき過ぎるということもあり得るというふうに御答弁なのかな、このようにも理解するわけです。しかし、基本的には、住宅とかそういうところが多いわけですから、今、四十二円・キロワットアワー、これから下げていくんでしょうけれども、そういったところでいいということかなと思います。

 ただ、太陽光発電については、今後、買い取り価格は逐年下がっていく予想がされているようであります。午前中にも、二〇二〇年にはコストを三分の一に、さらには六分の一にという御答弁もあったかと思います。

 そこで、一般住宅にもいろいろなインセンティブが今までもありまして、二百万キロワットとか、そういう形で普及が進んできているわけですが、この後、それがつるべ落としになっていくということになると、本当にその普及のスピードということについては問題は生じないのか、あるいはその辺はある程度スピード感も調整をしながら進んでいくというお考えなのか、このあたりをお伺いしておきたいと思います。

中山大臣政務官 国民負担が多くなってしまってはまずいわけでございまして、発電設備がだんだん安くなってくる、私たちは、やはり五年ぐらいでかなり安くなるというふうに、うまくいけば、補助制度も含めて負担は二分の一ぐらいになっていくんじゃないか、こんなことも考えてはおりますが、先ほど言いましたように、それが中国製では困るわけでございまして、発電設備を、できる限り日本の企業がしっかり新しいものをつくってやっていく、そうすれば日本人全体の負担が少なくなる、こういうことでございます。

橘(慶)委員 そこの部分は、後でまたちょっと現状等をお伺いしたいと思います。

 今、たまたま補助云々という話も政務官からございました。従前は、個別事業者あるいは個別設備ごとに補助、あるいは住宅一戸当たりの補助、いろいろ出していたわけですね。その国の補助に対して、地方公共団体も、言ってみれば合わせの形で補助をして、PRをして進めてきたというふうなことも場所場所によってはあったというふうにも思っております。

 今回は、こういう全量買い取りということで、料金といいますか、買い取りの方で全部賄うという形ではあるんですが、従前のような、個別事業者、設備ごとの補助といったもの、そういうものを組み合わせる考え方はないものか、これは確認をしておきます。

中山大臣政務官 今の地方自治体の補助なんかも含めますと、かなり進んでおりまして、私どもの資料では、再生可能エネルギーの発電設備に係る初期投資コストの三分の一、自治体の場合は二分の一を補助する制度があったが、平成二十一年の事業仕分けにおいて、導入支援策としては固定価格買い取り制度にシフトすべき等の指摘を受けたことを踏まえ、平成二十三年度から新規募集を停止している。

 しかしながら、大体二百万ぐらいでやりますと、今二十万ぐらいの補助にはなっているんではないでしょうかね。そんな感じでございます。

橘(慶)委員 今、いみじくも事例を引いていただきましたが、そうすると、結局、国としての今後の御方針という意味では、補助は当面考えないという意味ですか。

中山大臣政務官 事業者の方は買い取り制度をしっかりやっていくということでございますので、国が補助を出すとか、いろいろインセンティブを引いていかないとふえていかない、このように考えているわけでございます。

橘(慶)委員 そうすると、国の補助は、買い取り価格以外に補助もしていくということでよろしいんですね。

中山大臣政務官 組み合わせについては今後いろいろ議論をしていきたいというふうに思いますし、この国会での議論というのは非常に重要でございますので、いろいろな御指摘を踏まえて我々もしっかりやっていきたい。

 ただ、今のところは、私が聞いた範囲では、大体二百万ぐらいかかる発電の設備が、二十万ぐらいはというような感じはあるみたいでございます。

海江田国務大臣 今、中山政務官がお話をしておりましたのは、個人用のお話でございます。個人用は、これまでどおり余剰電力の買い取りの制度ですから、今回の制度の外にあるということ。

 そして、同じ太陽光でもメガソーラーの場合は、これは当然新しい制度に入りますから、この新しい制度で、今、固定価格の買い取りということは政府の案を出しまして御議論をしていただいておりますが、それとどういうふうに補助の制度が結びつくかということは、これは先ほど中山政務官がお答えをいたしましたが、今後の議論を待ちたい、こういうことでございます。

橘(慶)委員 そうすると、その辺はやはり皆さん、これからのこの委員会の議論が非常に大事だということを承りました。そういう補助をどういうふうにしていくか、そしてどういう組み合わせをしていくか、それによってまた、補助があれば当然、今度は買い取り価格の方が違ってくるということもありますし、そうすると、どういうミックスがいいかということについては委員会の議論を待つ、こういうことに理解をさせていただきます。

 それでは、再生可能エネルギーについてもう少し聞いていきたいと思います。

 この再生可能エネルギー、いろいろな種目がありますけれども、当然、国柄といいますか、日本の地理的な特性によって、日本にも適しているもの、なかなか日本では難しいもの、いろいろあると思います。日本における再生可能エネルギー源の賦存状況というものをどういうふうに見ておられるか。そしてまた、当然、北海道には北海道の、例えば風力がいいとか、あるいは太平洋側とか南の方はどうしても太陽光がいいぞとか、こういうことがあるかと思うんです。

 そうすると、確かにサーチャージとかそういうところで、今回は全国一律にはなっていくものの、それはそうなんだけれども、考えてみれば、地域によっては、どちらかというと買い取ってもらってよりお金が回るという地域もあれば、どっちかというとお金を出していく地域も出てくるような気もするんですが、この辺、地域差が拡大することはないのかということについてどうお考えであるか、お伺いをいたします。

海江田国務大臣 おっしゃるように、地域間の、これは格差と申しますか差異と申しますか、これがあることは確かでございます。

 今委員からお尋ねの、どのくらい賦存しているのかということでございますけれども、太陽光発電に関しましては、NEDOが調査をしておりますが、例えば高速道路ののり面などはかなり利用ができるんじゃないだろうか、それから、これも午前午後に議論がございましたけれども、未利用の農耕地それから林野など、合計しまして、NEDOの調査では、約八十億キロワットの潜在的な導入可能量がございます。また、風力発電につきましても、これは業界団体の試算でございますが、およそ一・七億キロワットのポテンシャルがあるというふうに聞いております。

 あと、今の委員の、これは御意見だと思いますが、そうなりますと、地域間で、負担が大きく、受ける買い取りの金額が少ない、あるいはその逆もあるのではないだろうかということでございますけれども、これはまさに、今回の買い取りの制度が太陽光だけでありませんで、風力、バイオマスそれから水力などと多様化しておりますので、そういうもので一定のバランスは保たれるのではないだろうかという考え方でございます。

橘(慶)委員 地域差ということで、たまたま私の方は日本海側の出身なものですから、風はそれなりに吹いて、風力発電施設もできてくるわけですが、実は、日本海側はまた特性がありまして、雷というのは関東地方では夏の風物詩ということだと思いますが、日本海側では冬に雷が鳴る。食べ物の話をしますと、ブリ起こしとかいいまして、雷が鳴るとブリがたくさんとれるとか、こういうことになるわけです。ただ、実は夏の雷よりも冬の雷の方がエネルギーが大きいということがありまして、雷によって攻撃をされる、雷撃による被害というのも日本の風力発電施設においては一つの課題というふうに承っているわけであります。

 全国的なこの雷撃による被害状況、そして日本海側における状況について、まず確認をしたいと思います。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 日本海側における雷撃も含めまして日本全体で、NEDOで調査をいたしております。

 平成十六年から二十二年度までの間に発生をいたしました落雷を原因とする機器の故障それから事故、これに該当するものが、今、日本全体で延べ二百十九件報告をされてございます。このうち八十九件が日本海側で発生をしておりまして、建っている風車の数からいえば、やはり多目であることは事実でございます。それから、内容的には、ブレード、羽根に対する落雷による破損が大体四分の一で、非常に大きゅうございまして、あとは、制御装置、あるいは電気系統、こうした順になってございます。

橘(慶)委員 もちろん、そういうことがあれば保険でカバーすればいいじゃないという議論も当然あるわけですが、しかし、やはり業界の方にお伺いしていますと、保険というのは当然そうですが、使えば使うほど、次の新規の保険料が上がっていくということにもなるわけであります。

 先ほどあったように、全国で一律の単価を定めていくということであれば、やはりそういう被害に遭わないようにしておかないと、多分コストとしては違った数字に、要するに競争しようとした場合に数字が違ってくる、原価が違ってくるという問題にもなります。そうなってくると、やはりこの雷撃への防止策ということは風力発電については非常に大事な要素になるものと思うわけですが、そういったものはかなり対策は進んでいるんでしょうか。現状について確認をいたします。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 特に、最近我が国で建てられている風力の施設につきましては、それ以前に、特に海外から直接輸入したものでは雷に弱いものも多かったものですから、先ほど申し上げましたブレード、風車の翼のところに、落雷をした際に電流を地上へ逃がす、受雷部品というんですけれども、こうしたものをつけた落雷防護対策を講じたものがふえてまいっております。

 しかしながら、日本海側は、まさに先ほどおっしゃいました冬季雷、冬の雷はエネルギー密度、電流密度が非常に高いという特性もございますので、これで完全に事故がなくなったというわけではございません。

 そうしたこともあるものですから、私どもとしましては、今、全国規模で落雷のエネルギー密度などの測定を行いますと同時に、効果的な落雷防護策を施したブレードの研究などもあわせて支援をさせていただいているというところでございます。

橘(慶)委員 日本の特性に合った風力発電施設ということになれば、やはり日本での普及もより進む、また製造業にもいいということですから、そういう技術開発等を進めていただいて、ぜひ、より効率が上がるというふうにしていただければいいなと思っています。

 そんなわけで、一つ今雷撃ということをテーマに出しましたが、再生可能エネルギー源というのは、二酸化炭素を放出しないとか自然に優しいとか、基本的にはメリットが強調される傾向にあるわけですけれども、ここで今度はあえてそういった部分の、デメリットと言うとまた言い過ぎかもしれませんけれども、考えておかなければいけない環境への影響とか、あるいはコスト面での問題とか、こういったことについて、推進をされる立場ではありますけれども、どのように今お考えになっているのか、ここで確認をしておきたいと思います。

中山大臣政務官 分散型の電源というのはいろいろな意味で、例えば温泉に行くと地熱発電の発電所があるとか、温泉の景観からいえば極めてちょっとまずいなというものがあるかもしれません。それから、風車が近くにある、扇風機みたいなのが常に回っているとか、またはコジェネとかそういうものも身の回りにあるということで、生活の中にこういう発電所がうんとあるわけで、様式としては随分変わった形になるわけですね。

 そういう面で、逆に言えば、風景がおかしくなるとか、または環境省なんかは自然公園法があるよと、この間ちょっと私もくぎを刺されたような形で。地熱発電というのは、発電の自然エネルギーとして日本に相当なポテンシャルがあるわけですね。ですけれども、なかなかそういうデメリット、いろいろな部分があるということです。また、後でパネルを廃棄するときにどうするかとか、いろいろな問題が出てくると思うんですね、電気製品でもございますし。

 そういうことで、デメリットについては、ないとは言えない、こういうことでございます。

橘(慶)委員 もちろん今は国家的にも推進していくというときではありますけれども、後でまた困らないように、そこは推進しながらも、そういったデメリットあるいはリサイクル的な部分については、またぜひお考えをいただきたいと思います。遺漏のないようにお願いしたいと思います。

 大分時間が参っておりますので、先ほどから出ております我が国製造業への波及効果ということ、何度も政務官等からもお話があったわけです。ここで、太陽電池、風力発電施設あるいは地熱発電設備等につきまして、我が国製造業の現状ということで、あるいはこれからの展望ということでお伺いをしておきたいと思います。

 太陽電池、二〇〇九年にシェアは中国に抜かれたということはあるんですけれども、しかし、先ほど来、例えば風力発電でも、日本の特性に合ったものにすれば、そこはそれなりにまた展望が開けるというお話もございました。

 最後の質問にしたいと思いますので、あわせて、二十二年度補正予算で、グリーンイノベーションということでの立地補助金一千百億円、非常に効果があったということも承っております。そういった成果も含めて、こういったグリーンイノベーション的なものに対して、これからそれこそ新しい年度に向かっていきます、いろいろな手当てをされる考えはないかということも含めて、まとめて二つお伺いをして、終わらせていただきたいと思います。

    〔石関委員長代理退席、委員長着席〕

中山大臣政務官 最後は一言、大臣にぱっとまとめてもらいますが、基本的にいいますと、南アメリカなんかで、地デジが世界標準になりました、しかしテレビを見たら全部サムスンだった、こういうことではいけないわけで、私たちが固定買い取り制度を導入した、しかし、それで企業が潤うようにならなければいけないということが一番大事なことでございます。今、橘委員がおっしゃったような、太陽電池を初め我々がしっかりと新しいものを考えて、必ず世界に冠たる自然エネルギーの国をつくっていきたい、このように思っております。

海江田国務大臣 今、中山政務官が言ったとおりでございまして、やはりグリーンイノベーションというのは我が国でも成長戦略の大きな柱に位置づけておりますので、今回の買い取り価格の制度というのは決して甘い薬ではありません、苦い薬ではありますけれども、それを飲んだときに日本の社会というものが、その意味では健康を取り戻して、そして世界に向かって打って出られる、あるいは世界にそういう技術を提供できる立派な輝かしい国になる、そう確信をしております。

田中委員長 以上で橘慶一郎君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 この法案について、例えば、今、関西電力のように原発依存率が五〇%を超えているところですと、原発がとまると電力の安定供給がうまくいかなくなるという非常に不安定性を持っているわけですね。事故による放射能汚染の問題など、さまざまな問題はもちろんありますから、やはり再生可能エネルギーというものを爆発的に普及する仕掛けというものをきちんと考えて、電力の安定供給の面でもCO2対策の面でもきちんととっていく。そういう点では、この再生可能エネルギー買い取り法案というのは進めていくべきものだと私は考えているものです。

 そこで、せんだっても大臣の方から、原発コストについて精査し直すといいますか、そういう趣旨の御答弁がありましたので、最初に、私、資源エネルギー庁長官の方に伺っておきたいと思うんです。

 日本の各原発の施設ごとの建設費というのを少し見てみますと、かつて、四十八基目の日本原電敦賀までいただいたときのトータル価格が九兆九千九百八億円でした。

 ただ、これは、古いものになりますと、例えば三十万キロワット級のもので三百億円から五百億円でできるとか、やはり現在価格にきちんと置きかえて考えないと余り意味のない数字になってしまう。大体三百億円ぐらいで原発ができたときといったら、私がサラリーマンになったときぐらいですから、あのころの初任給と今の初任給を考えたら十倍ぐらい上がっています。やはりそういうふうにきちんと現在価格に置きかえて、それで、まず、現在まで建設した原発の建設費の合計金額がどれぐらいになるのかというものを最初にお聞きしたいというふうに思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在価値に引き直すということは、なかなか難しいあれでございますが、これまで五十七基、廃炉になるものも含んでおりますけれども、建設費の実績を消費者物価等々で価値換算をいたしますと、全体で約十四兆五千億円ぐらいになります。

吉井委員 それで、実際には、現在つくるとなると、五十万キロワット級だったら幾らぐらい、百五十万キロワット級だったら幾らぐらいという、本来そういうコストで計算した方がもっと厳密なものになってくると思うんですが、とりあえず、今おっしゃったように、十四兆五千億円かかってきたわけですね。

 それで、総発電電力量が幾らかということをお聞かせいただきたいと思うんです。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 総発電電力量で割るわけでございますが、七兆一千億キロワットアワーでございます。

 単価も申し上げた方がよろしいですか。これは、割り算をいたしますと、キロワットアワー当たり一・八円ということになります。

吉井委員 今の総発電電力量で割りますと、大体二円なんですよね。それ以外のバックエンドコストを足し合わせると、この前から言っておられる五円三十銭ということなんですね。

 そこでこの機会に伺っておきたいのが、この間出していただきました原子力関係の国費の投入分ですね、このとき、十四兆四千百六十一億円というお話がありましたが、これも消費者物価指数換算でいくと大体どれぐらいになるのか、伺っておきます。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力委員会で公開しております過去の資料、これは原子力委員会月報とか原子力白書といったものですけれども、こういったところから集計をしたところは、昭和二十九年度から平成二十三年度までの原子力関係経費の当初予算の総計としては約十四兆四千億、十四・四兆円ということでございまして、これを現在価値への換算ということで、消費者物価指数を用いまして、平成十七年度、二〇〇五年度を基準に試算いたしますと、約十六兆円ということになります。

吉井委員 ですから、建設費、それから国費投入分などで三十兆円を大きく超えているわけですが、本来、こうしたものがきちんと原発の発電コストに入っているんだということを見ておかないと、原発は五円三十銭で安い安い、最も安いというお話があったのですが、それはそうじゃないということになってきます。

 今のを、さらに運転期間十六年、設備利用率七〇%、割引率三%とすると、あわせて紹介しておきますと、発電単価八円二十銭ということで、これはかつて資料に出しておりましたから、そういったものでいくと、実際には一キロワット時当たり十円六、七十銭から十一円を超えるぐらいになってくる。これが原発の発電コストの本当のところで、やはり安い安いということでこれまで進めてきたやり方というものは私は改めるべきではないかというふうに思うんです。

 それで、この点では、全面賠償や収束コストを別にしても、原発の本来コストは、さきに見たように発電コストと国費投入分などを合わせて非常に大きいものだということをまず出発点の問題としてとらえて、そして、何かそれと比較して再生可能エネルギーの方が非常に高いという発想になったのでは、これはなかなか再生可能エネルギーが進みませんから、私は、大臣としても、ここは政治決断といいますか政治的判断として、原発依存からやはり再生可能エネルギーに、せっかく法律を出して取り組むときですから、きちんとこの道で行くんだということを明らかにしておいていただきたいと思うんです。大臣のお考えを伺っておきます。

海江田国務大臣 前回の、このコスト等小委員会が試算をしました根拠になっておりますのは、OECD、IEA、国際エネルギー機関などがそういう計算方式でやっているということでございます。

 ただ、いずれにしましても、これはもう既に私は御答弁申し上げておりますけれども、原子力発電のコストが安いという考え方はもう持たない方がいいということを、私自身これはしっかりと気持ちの中に入れております、頭の中に入れております。そういう発想に立って、原子力発電のコストは安い、しかし、再生可能エネルギーは高いなどという、そういった前提に立ってこの議論をお願いしているわけではございません。

吉井委員 それで、この費用を再生可能エネルギーの爆発的普及に、これまでの国費投入分はさっき現在価格にすれば十六兆円ぐらいというお話がありましたけれども、それを再生可能エネルギーに投入しておればどれぐらい今の時点で普及をしているだろうか。

 つまり、原発依存で来て、原発にはどんどん使ったんですけれども、その間、再生可能エネルギーへの国費の投入が非常に弱かったということが言えると思うんです。仮に原発に投じた国費を再生可能エネルギーに投じたとすると、建設費が最も高いとされる太陽光発電の場合で見ても、設置コストが約二十円ということになっておりますが、これでいったとしても、日本の全発電電力量九千億キロワット時の九分の一を超える、一千億キロワット時を超えるぐらいのものは普及できてきておっていいというところが今の状況です。

 こういう点では、やはり、これからの国費、それから国費の源になっている分を再生可能エネルギーの方に大きくシフトして投入して応援していくということが大事だと思うんですが、この点についても大臣のお考えを伺っておきます。

    〔委員長退席、楠田委員長代理着席〕

海江田国務大臣 今お話を聞いていて、ああ、ここからが吉井先生と私の考え方が違うんだなということがわかりました。

 それは、過去にこれだけ原子力の発電のために国費を投入してきた、それを自然エネルギーに投入をしていればどうだったのかという発想からのお話がございましたけれども、そういうふうにお考えいただくのは結構でございますが、むしろそれよりも、今置かれている状況の中で、これは財政の事情もございます、過去本当に財政が豊かであったころもございます、それから、世の中の少子化、高齢化の動きもございます。それから、過去は、原子力に頼る一つの大きな原因というのが、これは石油ショックなどもありまして、この安全保障という立場がありました。これはまだまだ、今はもう戦争を経験された方というのはこの場所にもほとんどいらっしゃらないと思いますが、私の父親の世代は、エネルギーの問題ではABCD包囲網とか、古いことになるかもしれませんけれども、やはり自立したエネルギーを何とか確保しなければいけない、こういう考え方もあったわけでございます。

 これは一々申し上げるまでもないことだろうと思いますが、今そうした歴史的なさまざまな紆余曲折を経て、そして、本当にあってはならないことでございましたけれども、三月十一日という大変大きな事故を受けて、そこで今改めて再生可能エネルギーにどういう形で日本全体が取り組まなければならないかということを議論しているわけでございますから、ぜひそういった方向で議論を進めていただけますようお願いを申し上げます。

吉井委員 私、過去を振り返っているんじゃないです。将来を見ているんです。

 実は、太陽光が地球に降り注いでいるエネルギーの量、これは毎年四千三十ゼータジュールなんです。ゼータという単位は、十の二十一乗なんです。仮に埋蔵ウランの量を全部、これはかつて日本がやってきたようなウラン型原発にいくとすると千五百万トン、これは日本だけじゃありませんが、各国でこれを仮に燃やし尽くしたとして、数十年から百数十年でどれぐらいのエネルギーができるか。これは、その長い期間で八ゼータジュールなんですよ。太陽光というのは、一年間で四千三十ゼータジュールという物すごい量なんです。

 しかも、原発コストというのは、核燃料費とか維持管理コストとか廃炉に至るまでの放射性廃棄物の処理、処分コストなど、非常に大きなコストがかかるんです。しかも、何万年にわたって後世の世代にツケを回す、管理をゆだねるということになってしまうわけですが、一方、再生可能エネルギーの方は、おかげさまでお日様の方は、太陽光にしろ、これは風力にかわろうと水力にかわろうと、こちらの方は基本的に燃料費はゼロ。ここが再生可能エネルギーを進めるという点で非常に大きな出発点ではないかと思うんですが、大臣、どうですか。

海江田国務大臣 ゼータジュールという、これは私本当に、理科系ではございませんで、そういう単位があるということを、申しわけございませんが存じ上げませんでした。

 ただ、私が知り得ておりますのは、その四千三十ゼータジュールですか、それだけの太陽光のエネルギーがあるとすれば、その太陽光のエネルギーというのは、恐らくずっと高いところと、エネルギーが低いところがあって、残念ながら今の日本のパネルの技術などではその低いところしかとり切れていないというような事情があろうかと思います。ですから、曇ったり、雪が降ったり、雨になったり、あるいは夜、それから明け方は、そういったエネルギーを、残念ながら本当に電力のエネルギー源として生かし切れていないわけであります。

 今、私は、委員からそうした太陽光の非常に大きなエネルギーというものを聞いたときに、何とかそのエネルギーを、できるだけ高エネルギーのところを取り組むことができないか。そのために、ゼロ円ということではなしに、むしろこれはお金がかかろうかと思います、しかし、そのお金をかけてもいいですから、もっともっとそこの新たな、それこそ夜でもその太陽光をきちっと受けて発電ができるように、あるいは曇りの日でも、それこそ日本全国どこであろうが発電ができるような装置をつくるためにかかるお金はかけていかなければいけない、こういう印象を持った次第でございます。

吉井委員 燃料費はゼロと言ったんです。装置その他は当然コストはかかってくるわけですが、太陽のエネルギーというのは、太陽光だけイメージされたと思うんですが、そうじゃなくて、木質バイオマスであったり、水力であったり、風力であったり、海洋温度差であったり、さまざまな形でエネルギーが生まれてくるのが再生可能エネルギーだということをまず御認識いただきたいと思うんです。

 さて、先ほどの原発の話ですが、現在まで積み立ててきた分やこれからの分も合わせると、バックエンドコストで十八兆八千億円。これもこの間やったものですが、これは再処理方式をやめるとなると要らなくなりますから、これらは東電福島原発事故の全面賠償に充てることができるものになってまいりますし、仮に余裕があれば、それは再生可能エネルギーの固定価格買い取り分の電気料金への転嫁、賦課金を抑える方にも充当することができるものでありますが、実は、一九七四年に制度をつくって以来、電源開発促進税というのを設けてきたわけですが、これまでに幾ら徴収してきたのか、現在幾ら徴収しているのか、これまでに原発立地自治体に交付してきた総額は幾らになるのか、これを伺っておきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆる電発促進税でございますが、今手元に四十九年から二十一年度までの税収の数字がございます、累計で九兆一千二百十五億円でございます。

 毎年の税収でございますけれども、いわゆる電源開発促進勘定、これは立地勘定と利用勘定の両方ございますけれども、単年度で約三千三百億円程度でございます。

 それから、今しっかり聞き取れませんでしたけれども、いわゆる電源立地地域対策交付金、これにつきましては累計で二兆四千億円でございます。

吉井委員 この電源開発促進税というのは間接税なんですね。ですから、みんな全然ぴんときていないんです。今度、賦課金となりますと、上積みされるんだという感じになってしまっていますが、実は、標準世帯で百十二円、既に電源開発促進税は電気料金に入っているわけですね。

 これを今まで丸々原発関連に使ってきたわけですから、これをこれまで使ってきた方向ではなくて、固定価格買い取り制度というのを始めても一遍にぼんと普及が進んでたくさんの賦課金が出てくるという話じゃないわけですから、最初の間はこの電源開発促進税を活用することによって、その制度を工夫することによって、新たな賦課金を課すことなく、買い取り制度による再生可能エネルギーの爆発的普及というものを、将来の制度設計については別なことをちゃんと考えていかなきゃいけないんですが、それは考えを持っているんですけれども、当面はこの電源開発促進税を、原発に使ってきたものを活用することによって、それは再生可能エネルギーの普及に回していく、賦課金を上げることなしに問題の解決ができるということを政治的には考えていくべき課題だと思いますが、大臣はどのように検討されたかを伺います。

海江田国務大臣 これは、確かに、片方でそういう形でお金が入ってまいりますけれども、それの反対側に、先ほどもお話がありましたけれども、交付金という形で立地の地域に支払われているということでございます。

 この交付金も、最近はいろいろな使われ方をしておりますが、よくハードでいろいろな体育館や建物ができていいじゃないだろうかという話もありますが、ただそれだけではありませんで、私も幾つかの立地の地域に行ってまいりましたけれども、本当に町に一つしかない、あるいは周辺の町で一つしかない病院をしっかりと運営されているとか、本当にお年寄りの集まる場所になったりということで、この交付金に対して地域のニーズというものは大変高いものがありますから、それに対してもうこの交付金はゼロだよとか三分の一だよというようなことが通用するかどうかということは、大変大きな疑問があろうかと思います。

吉井委員 実は、お手元に資料を配らせていただいておりますが、これは電源開発促進税をもとにした交付金で自治体財政と地域経済がどうなっているか、特徴的なところを見るようにつくらせていただきました。

 一九七四年度以来、電源開発促進税収の合計九兆一千二百十五億円、先ほど答弁があったとおりですが、実際に自治体に配られた電源立地対策交付金というのは、一九七四年以降で、狭くとれば七千二百五十一億円の七・一%、先ほどの御答弁のようにちょっと広目にとると二兆四千八百六億円で二七・二%。ですから、それだけの金が立地自治体に投ぜられてきたんですが、この交付金を受ける自治体は、建設費の比率が自治体財政の三割から五割を占めて豊かなはずなのに、例えば原子力施設周辺自治体ということで交付金をもらってきて豊かなはずのむつ市が、地方財政健全化比率八・五九%、実質赤字比率が全国ワースト五位。これは大変だということで、中間貯蔵施設を引き受けようというふうに走ることでますます矛盾に落ち込んでいく。福島原発でひどい目に遭った双葉町は、実質公債費比率が二九・四%で、全国ワースト五位。

 だから、このお手元に配付いたしました資料に見るように、立地したところは、確かに交付金が入ってきた。しかし、就業構造がどうなっていったかといったら、これはエネルギー、特に原発に特化したものは、業種別就業者数の割合を県を一〇〇として見たとき、県の割合からすると、二十七倍の玄海町、十五倍の福井県美浜町に至るまで、こういうふうな実態があるわけです。同時に、原発関連の取りつけ道路の工事とかありますから、建設事業の方は、玄海町でいえば三・六倍とか、こういうふうに非常に地域経済にゆがみが生まれてくるんですね。

 これに対して再生可能エネルギーに力を入れている町はどうかということを見てみますと、例えば岩手県の葛巻町は、農林漁業が、県を一〇〇としたときに三五四・八ですから三・五倍、高知県の檮原町も三三一・六で三・三倍。だから、もともとの農林漁業が、檮原の場合は森林率が九一%の町ですから、非常に豊かに成り立っていく。当然、林業に力を入れたら、林道整備などやらなきゃいけませんから、それにかかわる建設業というのは、もちろん県を一〇〇としたときに、一一二・六の葛巻や、檮原のように一七一・二とか、やや高いんですが、これは原発立地のところに比べたらもっと低いわけですね。全体として見たときに、一〇〇に近い。

 つまり、これは、もともとの農林漁業や製造業、卸、小売などの比率が、再生可能エネルギーに取り組んだ自治体では非常にバランスがとれているのに比べて、立地自治体の方では大きくゆがみが出ている。

 そこに再生可能エネルギーを爆発的に普及するということは、同時にそれにかかわる中小のものづくりなど、あるいは林業であるとか、そうしたもともとの地域の経済を活発にして、仕事を起こし、雇用を生み出し、所得を生み出し、地域経済が回っていくという方向を進めていくことができるし、そのことをこの資料は示していると私は思うんです。

 私は、この姿から政治は何を考えなきゃならないのかということが問われてくると思うんですが、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

海江田国務大臣 私も、特に今回の自然エネルギー、再生可能エネルギーを固定価格で買い取りをすることによって、自然エネルギーの比重、割合を大きくしていく、そのことによって、まさに自然エネルギーでございますから、自然があふれた日本の国土がこれから目の前に開けていくということで、その意味では大変明るい展望を持っております。

 原子力のことについては、これまでずっと、先ほど来お話をしました、もうくどいお話はいたしませんが、日本が通ってきた道筋でございますから、そこの問題点、また、そこであったさまざまな社会の光と影と申せばいいのかもしれませんが、この光と影にはしっかりと向き合っていかなければいけない、こう考えております。

    〔楠田委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 次に、日本の再生可能エネルギーの可能性について伺っておきたいと思うんです。

 政府参考人に伺っておきますが、国際的に見て、特に進んだものについてはどういう水準にあるのかということを伺っておきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 再生可能エネルギーは、いろいろ種類がございます。一概に申し上げることは難しいのでございますが、太陽光発電あるいは風力発電は、これは当然でございますが、国土の大きさあるいは気象条件によって相当差がございますので、日本の実力が世界的に見てどうかということは、必ずしもすぐれているというのは言いにくいかと思います。

 他方、地熱発電の賦存量は、これは産総研の方の調査によりますと、日本は世界で三番目というような調査結果もございます。相当ポテンシャルは大きいと思っております。

 それから、先ほど言及がありましたけれども、年間の降雨量というのは世界平均の二倍でございますし、森林比率も大体二倍ということでございますので、水力発電とかバイオマス発電というものについてのポテンシャルは決して低くないと認識をしています。

吉井委員 まず、地熱発電にかかわっては、日本は四枚のプレートがぶつかって、地震もあれば、火山、温泉も多いところですが、アイスランドなんかはプレートが割れていっているところですね。海底火山なんかがあるところで、あそこは地熱発電で、小さい国ではありますが自給率一〇〇%を超えて、その地熱発電で起こした電力、もちろんお湯の方は都市部へ給湯していますが、地熱発電で起こした分の余剰分で水の電気分解をやって水素を生み出している。町の中に水素タンクを設けて、ガソリン車から水素自動車へと、そうしてCO2対策をやろうという取り組みが現に行われておりますが、日本の持てる、今おっしゃった地熱とか水力とか、森林の力を生かした木質ペレットとかバイオマスとか、そういう方向を前進させることと同時に、風力、太陽光などについては日本は非常に高い技術力は持っていますから、しかも、風力の場合は、自動車ほどではないにしても、部品点数が非常に多いですから、すそ野を広く産業を発展させることもできるので、やはりそういうところへうんと大きな力を入れていくということが大事だと思うんです。

 この点について、原発の方は、くどいようですが、コストを安く見せるために隠れたコストが随分ありました。しかし、それから再生可能エネルギーの方へ国費の投じ方を変えるとか、流れを変えていくということは、これは本当に政策を進める上では大事な点だと思いますが、重ねて大臣に伺っておきます。

海江田国務大臣 国費ということが吉井委員から先ほど出てきておりますが、もちろんその国費、これは国費というよりも、例えば補助金だとか交付金だとかだけじゃありませんで、税制とかいろんな仕組みがありますが、今回の場合は、私どもは民間に投資をしてもらいたいわけでございますね。その民間の投資を呼び起こすために国としてどういう形で国費を投ずればいいかということでございまして、主流はあくまでも民間でございますので、その点は、これまで原子力に投入していたお金をそのまま自然エネルギーの方に投入しろということとは私は少し違うのではないだろうかというふうに思っております。

吉井委員 国費というのは、電源開発促進税については、電気料金で国民から徴収してきた。一方、それらも含めて国費として原発や原発メーカーとかその立地のためにどんと使ってきたわけですから、その流れはやはりきちんと変えるということをしないと。別に、その金をそのまま民間企業に補助金で回しなさいということを言っているんじゃないですからね。その流れを変えることが大事だということを言っているんです。

 最後に、時間が大分たってまいりましたので、三月十一日の福島原発事故の後、全国の原発の健全性について調査をして、大丈夫だと判断したと聞いておりますが、例えば脆性遷移温度、つまり原子炉のもろさとか壊れやすさにかかわる数値なんですが、先日の私の質問主意書に対する答弁書では、玄海原発一号機は九十八度ですと明らかにしている。美浜原発一号機は四十年を超えて運転しておりますが、二号機も七月で四十年目に入ってくるわけですね。関電の方からは美浜の長期保守管理方針というのが提出されてきたわけでありますが、一号機の脆性遷移温度は母材で七十四度、溶接金属で八十一度となっています。これで緊急炉心冷却水を大量に入れても大丈夫だとするテストは、どこで、いつ行ったのか、これを保安院の方に伺っておきます。

寺坂政府参考人 脆性遷移温度に関する御質問でございます。

 玄海一号機に関しまして、脆性遷移温度に関します健全性の評価につきましては、日本電気協会の定める方法によりまして測定をされる関連温度、脆性遷移温度のことでございますけれども、これによって評価を行っているところでございます。

 具体的には、すべての号機につきまして、原子炉圧力容器から監視試験片が取り出されるたびに、九州電力の方からニュークリア・デベロップメント株式会社に委託いたしまして、関連の試験などを実施しているところでございます。

吉井委員 このニュークリア・デベロップメントというのは、加圧水型原発をつくっている三菱原子力工業と、そこのメーカーである三菱重工業の研究部門を独立させた会社でしょう。つまり、三菱が圧力容器をつくって、検査をして、健全だと。この健全テストというのは、大臣、ちょっとおかしいんじゃないですか。

海江田国務大臣 三菱がつくって三菱が検査をしたからということでおかしいということは、私は言えないと思います。

 委員も、かつて大学の研究室で学ばれた、特に原子力については専門家だと承っておりますけれども、みんなそれぞれ仕事に対して誇りを持って、そしてその仕事に対して責任をかけてやっている、日本の国民というのは元来そういうものであったと私は思っておりますので、三菱が、三菱だからということでそのように危ないという判断はいたしません。

吉井委員 私は客観性を言っているんです。

 三菱重工のパンフレット等がありますけれども、この中で、原子力発電プラントのサイクル図がちゃんと書いてありますが、全部やっていますと。つくるのも三菱、検査も三菱。これは、データの客観性ということでは、今一番問われているときなんですよ。だから、つくった人とは別な人がきちんと検査をして、この点があいまいになると、ストレステストだ何だといったって、そもそも信頼性が失われてくるんじゃないですか。だから、そこはやはり客観性を持ったものにするべきだ。

海江田国務大臣 客観性ということをいえば、そのとおりだろうと思います。

 しかし、先ほどの質問では、三菱が、三菱でという会社の名前だけがありましたから、私はそれだけで判断をするということではありませんということを申し上げたまででございます。

 それから、あともう一つだけつけ加えるならば、この問題は原子力村と言われているような構造もあったのではないだろうかというふうに思っておりますから、たとえ会社がかわっても、そういういろいろな関係で、まさに目が曇っておるというようなことがあってはいけないわけでございますから、それはしっかりと、目の曇りのなきよう、耳が澄んだ音が聞こえるようにこれはしなければいけない、客観性も当然のことながら保たなければいけない、そう思っております。

吉井委員 そこで、全国の原発の耐震性は大丈夫だとしているわけですが、三十年、四十年経過した原発の重要機器について、耐震健全性を実証試験で確認したものがあるのかを保安院長に伺っておきます。

寺坂政府参考人 現在、平成十八年の新耐震指針に基づきまして、いわゆるバックチェック作業を行ってございます。さまざまな解析あるいは地質調査等々を行ってきているところでございますけれども……(吉井委員「実証試験はないですね」と呼ぶ)今直ちに、こういう実証試験を行ったということについて、ちょっと具体的なものは持ち合わせてございません。

吉井委員 実は、実証試験をやる多度津の大型試験装置をもう売り飛ばしてしまって、ないんですよ。ですから、老朽化した機器の健全性の実証試験の値とコンピューター解析の値を突き合わせて大丈夫なのかどうかとか、健全性をチェックする仕組みそのものがなくなってしまっているんですよ。ですから、私は、今ちょっと持ち合わせがないとかなんとかいう話じゃなくて、これは本当に今深刻な事態にあるということをまず見なきゃいけないと思います。

 もう一つは、九州電力玄海原発の耐震性能は、コンピューター入力の数字が間違っていたということが問題になっていますが、全国の原発の入力した数値の正確さというものをどのようにきちんと調べさせるのか。

 この二点について、時間が迫ってまいりましたので、最後に大臣に伺っておきます。

海江田国務大臣 まず、玄海原発の場合でございますが、これは数値のけたが違っていたということでございますので、それを正しい数字に置きかえをして、それで耐震性が確保されているのかどうなのかという確認を求めました。

 それから同時に、全国に対して同じような形でそうした入力ミスというものがないかどうかということを、まずこれは事業者でございますが、そこに調べさせて、それが上がってきたものをまたダブルチェックする体制をとってございます。

吉井委員 要するに、全国の原発について指示をされるんですね。それから、コンピューター解析と実証試験のデータと突き合わせて本来評価しなきゃいけないんですが、もう装置は売り飛ばしてしまって、なくなっちゃったものですから、できないんですよね。これをどうするのかということは非常に大事なところだと思うんですが、これはどうされるんですか。

海江田国務大臣 私どもは、実証試験にかわるものとして、先ほど保安院からお話があったかと思いますが、炉の中に組成の同じ鉄片、鉄片と言えばいいんですか、鋼の片でありますか、そういうものを入れまして、それを定期検査のたびに取り出しをしまして各種の検査を行っているということを聞いておりますので、それで不十分だということであれば、また別な方法を講じなければいけないと思っております。

吉井委員 もう時間が参りましたから終わりますけれども、その今おっしゃった試験片で脆性遷移温度が深刻な事態になっているんです。ですから、そういう深刻な原子炉についての実証データとコンピューター解析とをきちんと突き合わせてやらないと、コンピューターでやってみましたから大丈夫ですと言うだけでは安全性というのは守れない、そのことを深刻に受けとめなきゃいけないということを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。

田中委員長 以上で吉井英勝君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 最初に、本題に入る前に、中山大臣政務官に質問させていただきます。

 事前に通告していないことなんですが、中山大臣政務官の午前中の西野委員に対する答弁に関して質問をさせていただきます。

 午前中の委員会の答弁で、中山政務官は、三党合意ということを何度も口にされました。三党合意で、しっかり三党合意をしていただいてとか、あるいは、三党合意で早く結論を出していただきたいとか、あるいは、三党でじっくり協議をしていただいて、こういったことを何度も繰り返されました。これは大変大きな問題だと私は認識をしております。

 二つの点で問題です。

 一つは、三党で話し合って全部決めてくれということを政務官がおっしゃっているわけです。この委員会には、共産党、みんなの党、たちあがれ日本、ほかの政党の人間もいるわけですけれども、そういった中にあって、委員会という公式な場で堂々と、三党で決めてくれということをおっしゃっている。この点は、少数意見無視、少数政党軽視ということで、大変大きな問題であるのは間違いないと思います。

 それから、もう一つ問題なのは、要するに、国会の委員会という公式な、公の場の議論ではなくて、三党協議という、ある意味インフォーマルな場で大事なことを決めてくれということをおっしゃっているわけです。国対政治ということが言われますけれども、委員会の審議じゃなくて、別の場所で大事なことを決めてほしいということを政務官がおっしゃるというのは、まさに国会審議の形骸化、空洞化を促すような発言ですから、国会軽視と言ってもいいと思います。

 そういった意味で、二点大きな問題を含んでいると思いますが、大臣政務官の御認識をお尋ねします。

中山大臣政務官 今そういうことがあるやに聞いておりましたので、予算の関連のことなので、そういうことがあればできるだけ早くやってもらいたいと言っただけでありまして、そういうことがあって、そこで協議をしてくれと言った覚えは何もありません。

山内委員 速記録なので、正確ではないかもしれませんが、午前中、中山政務官がおっしゃったことは、そのまま言います、これはやはり三党でじっくり協議をしていただいてという表現があります。まさに協議をしてほしいということをおっしゃったわけであります。

 私も、政党間で協議があるのは自然なことですから、それは否定いたしません。ただ、政党間の協議で審議をしてほしいと。国会の委員会という本来審議すべき場所ではない別の場所でやってくれということを議事録に残るような形でおっしゃるのは、やはり問題だと思います。もう一度御答弁をお願いします。

中山大臣政務官 予算に、省エネ関係で、少なくともサーチャージで負担がかかる人たちがたくさんいるわけでございまして、そういう意味で、早くその辺を対応してもらいたいという思いがたまたまそういう形になって出たんだと思いますので、そこに入っている政党はともかくとして、入っていない政党の方には大変御迷惑をかけたというふうに思っております。

山内委員 中山政務官は大変まじめで、熱心に職務に取り組まれていることはよく存じておりますので、これ以上は申し上げませんが、今後は、三党だけに限らず、みんなで、私どもの政党も別にこの法案、はなから反対するというつもりはございませんので、ぜひ党派を超えて前向きな議論をさせていただきたいと思います。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 先ほど来何時間も質疑があって、事前に通告した質問のうち、もう既にお答えになった部分が大変多いので、事前通告の内容は大分前後したりスキップすることが多いかと思いますが、御了承ください。

 最初に、買い取り価格の設定について、経産省にお尋ねします。

 太陽光発電や風力発電というのは、地域間でどうしても条件の差が出てしまいます。太陽光発電の条件が非常によい土地、日照時間が長いとか、そういう土地もあるでしょうし、風力はもちろん風の条件によるわけですけれども、ドイツの例を資料で読んだところによると、条件のいい土地はやや買い取り価格を安くして、条件の悪い土地はやや電力の買い取り価格を高く設定して普及を促進する、そういう価格設定をしているというふうに聞いております。日本でも、そういう、地域によって買い取り価格の差をつけるということは検討されているんでしょうか。

中山大臣政務官 基本的には、国民負担ができる限りかからないようにということで、サーチャージの問題なんかも随分議論をしてきたわけでございます。そういう意味でも、太陽光または風力でも、条件が悪いところでも、そのように買い取り価格を高く設定するとかすれば、確かにそれはふえるというふうには思いますが、結果的にはそれでは国民負担がふえてしまう、こういうことでございますので、その辺を勘案して今の制度になっているわけです。

山内委員 わかりました。

 それでは、送配電網の投資についてお尋ねします。

 自然エネルギーの発電が拡大していくと、どうしても送配電に係る設備投資が追加で必要になってくるということが言われておりますが、自然エネルギーの普及とともに、そういう送配電網の新たに必要な投資の金額とか、あるいはその必要なコストを一体だれが負担するのか、電力会社が負担するのかあるいは発電する人が負担するのか、そういう負担の関係について、今、現段階ではどのようにお考えなんでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 送配電網とおっしゃいましたが、多分、再生可能エネルギーを系統につないでいくときに生じます、いわゆる系統安定化対策のようなことをおっしゃっているんだろうと思います。

 当然でございますが、余剰電力の対策、あるいは周波数の調整、あるいは電圧が上昇したときの対策というのがこの中身でございます。

 いわゆる系統安定化というふうに称される費用でございますけれども、例えば太陽光発電は二〇二〇年までに二千六百万キロワットを目指してやるということは、きょう朝から何度も申し上げているわけでございますが、一定の出力抑制を行うということで、蓄電池設置などでこの対応をする場合には、二〇二〇年において年間約二千億円のコストが必要だというふうに試算をされております。

 この費用につきましては、順番に再生可能エネルギーの導入がふえていくわけでございますが、それに従って順次発生するというよりも、いわゆるスレッショルドといいますか、閾値を超える一定の導入量に達すると、系統全体として何らかの対応を必要とする、そういうような性格でございまして、これは通常、こういうものがあってもなくても電気事業者が不断に行っております系統の安定化対策と、なかなか切り分けが難しいということもございます。したがいまして、この費用につきましては、いわゆるサーチャージ、賦課金には含まれずに、一般の電気料金によって回収されるものということでございます。したがって、最終的な負担はユーザーに行くということでございます。

 ただ、コスト上昇のおそれのある中で、こういう状況をただ放置しておくということはなかなか難しいわけでございまして、いろいろな競争促進等の方策を通じまして、できるだけ電気料金が上がらないような工夫をいろいろ講じてまいりたいと思っております。

山内委員 続きまして、環境省にお尋ねをしたいと思います。

 再生可能エネルギーが広がっていくと、当然、環境にいろいろな影響を与えると思われます。例えば風力発電などは、もしかして、たくさんできてしまうと、景観に対する影響などもあるかもしれません。あるいはメガソーラーみたいな大きな施設になれば、いろいろな環境に対する影響が出てくると思います。そういった点について、環境省はどのような対策を今後とられるおつもりでしょうか。

白石政府参考人 自然再生のエネルギー、メガソーラーあるいは風力発電施設を例示してのお尋ねでございます。

 実は、昨年の二月に中央環境審議会の方で、風力発電施設の設置に当たっては、騒音、バードストライク等、それから今お尋ねのようないろいろな事象についての被害の報告もあるところでありますので、これをアセスメントの対象の事業として追加することを検討すべき、このような答申をいただいております。

 アセスメント、つまり環境影響評価法は、規模が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業についてアセスメントを行うべしという形でございますので、風力発電につきましては現在検討中でございますけれども、その検討結果に基づきまして、政令においてアセスメントの対象事業として指定をし、その手続を通すことによりまして、風力発電の健全な立地の促進ということからやっていきたいというふうに今検討しているところでございます。

山内委員 もう一度環境省に、健康被害について。

 一部の報道では、風力発電などでは健康障害というか健康に対する影響も報告されておりますが、今、環境省なり厚労省なりではそういった問題についてどのようにお考えなんでしょうか。

鷺坂政府参考人 今、議員御指摘のように、風力発電施設の近隣の住民の方で、風力発電施設からの騒音あるいは低周波音によって健康影響を訴えている方がおられる、一部でございますけれども、あるということは承知しております。しかしながら、現時点におきましては、一般に、風力発電施設の稼働に伴う騒音、低周波音と、これらによると訴えておられる方の健康影響等の間に、その関係については十分に明らかになっておりません。

 そこで、環境省といたしましては、平成二十一年度に、苦情が寄せられている風力発電施設について実態を調査しておりまして、実際にその風力発電からどのくらいの音が出ているか、あるいはそれが住民の方にどういうふうに届いているかとか、そういった実態を調査しました。そして、平成二十二年度からは、そういった一部ではなく、全国の風力発電施設を対象といたしまして、苦情の有無等に関する現況調査をし、そして、特に苦情がある施設につきましては詳細調査をするということとしております。そしてさらに、騒音、低周波音の人への影響、こういったことについても調査をするということで、二十二年度から三年間の調査ということで、今実施中ということでございます。

 こういった調査結果を踏まえまして、騒音等の環境影響の予測とか評価の手法を確立いたしまして、風力発電施設の設置に当たっての留意事項を取りまとめるなど、適切な立地が進められるよう、事業者に対する指導等も含めて行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

山内委員 今の御説明をもう少しお願いしたいと思うんですけれども、調査をしているということはよくわかりました。今もさらにやっていると。

 調査の結果として、この法案が通った後、今後もし爆発的に風力発電が普及していくと、環境省に限らず、どういう対策が必要とされると思われるのか。あるいは、今、途中経過、途中段階かもしれませんけれども、研究会なり調査グループでどういう提言がなされているんでしょうか。

鷺坂政府参考人 現在調査中のものにつきましてはまだまとまっておりませんけれども、例えば二十一年度に行った調査結果によりますと、風力発電からの距離においてどの程度のものが住宅内に届くか、こんなような調査もしております。例えばでございますけれども、ある苦情があったところでも、風力発電施設から六百五十メーターぐらい離れたところについては、そういった実際の音波といいますか、低周波とか、そういったものについて届いていない。要するにバックグラウンドと同じぐらいであるとか、ただ、二百五十メーターとか非常に近いところのものについては、かなり住宅の中にも影響があるとか、そういったようなこともございます。

 それからまた、事業者の方にも、風力発電、風車のところの風切り音と、それから中のエンジンの部分の音、こういったところも騒音の発生源でございますので、できればそういったことについての低騒音型といいますか、そういった技術開発も必要ではないかなと。これはまだ調査中でございますので、ちょっと先走っているかもしれませんけれども、そんなことも考えております。

 以上でございます。

山内委員 私も以前に風力発電の施設がたくさんあるところを車で通ったことがあったんですけれども、鳥なんかがいっぱい飛び込んで大変なんじゃないかなとかいろいろ心配をした覚えがありますので、今後、非常にすごい勢いで拡大していくと思われますので、環境省としても、ぜひいろいろな調査、提言に力を入れていっていただきたいと思います。

 では、環境省に関しては以上で質問を終わりますので、お帰りいただいて結構です。

 続きまして、再生可能エネルギー、特に太陽光発電の施設に関して、経産省に今度はお尋ねします。

 東日本大震災の後に、電力が、計画停電になったり、あるいは一五%の節電要求が来るということで、私の知っているある工場では、太陽光パネルを消費電力の一五%分、急遽導入したそうです。四月、五月、六月で突貫工事でやって、その工場で必要な電力の大体一〇%ぐらいは太陽光発電で使えるようになったと。

 そういう意味では、震災後の電力の不安定な状況に対応して太陽光発電を急遽導入している企業があるわけですけれども、それに対する国の補助というのはほとんどないそうです。全部電力を自家消費しているわけで、全く国の補助は入っていない。県の補助がほんのわずか、たまたま入ったそうですけれども、基本的には自分の会社でかぶるしかないということです。

 余裕があるかどうかは別として、相当意欲があって、お金を借りるめどが立つ会社だったからたまたまできたんでしょうけれども、計画停電になってしまう、電力の供給が不安定である、ことしあたり一気に、太陽光を買わなきゃという会社が結構多いんじゃないかと思いますね。そういう会社をこの法案では、今のままでは救えないと思うんです。

 先ほど来、買い取り以外の補助のスキームのお話もありましたけれども、例えば補助も結構ですし、あるいは、この全量買い取りの適用期間をもっと、震災の後まで、遡及して後で適用できるような形で修正していただければ、そういう自助努力で一生懸命この電力不足の夏を乗り切ろうとしている会社を助けることができると思うんですけれども、そういった措置の実現の可能性について、経産省にお尋ねします。

中山大臣政務官 三月十一日以降に設置されたものについては、現行の余剰電力買い取り制度において買い取り対象になっております。

山内委員 余剰が出るほどの電力ではないんですね。要は、自分のところで使っちゃうので全然売れないんですけれども、実際、電力会社から一五%節電してくれと要請されて、そのちょうど一五%に当たる分ぐらい、自分のところで太陽光でつくろうと自助努力をして頑張っているわけです。そういうところは全く何の助けもないんですね。ですから、余剰どころか、自分のところで使い切っちゃう分なんですけれども、そういうところにも何らかの支援が必要なのではないかなと思うんです。

 もう一度、お尋ねします。

中山大臣政務官 それは、現行ではできないというふうに思います。

山内委員 現行ではできないので、何らかの手段をこれから考えていただきたい、あるいは、この法案も、何かもし遡及して適用できるような措置をとってもらえれば、全国にそういう会社は結構あると思うんですけれども、有効な手段ではないかと思います。

安井政府参考人 先生が今御指摘になったようなパターンというのは、まさに先ほどもある先生との御議論で出ておりました、工場での消費量の方がはるかに大きいので、制度的には余剰買い取り制度の対象にはなるんだけれども、結果的に、販売できる電気が出ないので支援ができないという例に当たるんだと思います。

 そういう意味では、今やっている法律が先に早くできて、これが適用できる時期が早く明らかになれば、そういうタイミングで入れていただく方々にはこの固定価格買い取り制度を直接適用することができるということに相なります。

 ただ、今御指摘のものは、遡及的に、過去に既にお入れになったものにまでこの法律を適用するのは、なかなか難しいわけでございます。

 あと、お話の中にございました、今後導入される方々に何らかの財政上の措置ができるか、そういう可能性はないのかということであったかと思いますが、この点については、私ども、今何ができるか、ちょっと研究をしたいというふうに思います。

山内委員 工場の方からしてみると、突然計画停電の可能性があるとか、突然一五%節電をしろと、全部電力会社の都合でやっているわけで、にもかかわらず、頑張って自腹を切って太陽光パネルを設置して努力している。そういう頑張っている企業を応援しないと、海外に工場を移した方がましじゃないかということになってしまいますので、ぜひ前向きに検討をお願いしたいと思います。

海江田国務大臣 今、新エネ部長からお話がありましたが、私からも検討をさせてみたいと思っております。

 ただ、過去にさかのぼってというのはなかなか難しいわけでございますから、これからそういう形で努力をしていただいた方たちにどういうインセンティブを与えるかということで、メーンストリームはもちろんこの買い取り制度でございますが、それがどこまで及ぶのかということは検討させたいと思っております。

山内委員 三月十一日の大震災も非常事態で前例のないことですから、ぜひ前例のない対応も含めて前向きに御検討をお願いしたいと思います。

 続きまして、接続の問題について経産省にお尋ねします。

 もう既に何度か質問があったかもしれませんが、電気事業者が特定契約の申し込みをしようとする特定供給者から接続を求められたときに接続を拒否できる事由、「当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。」という文言、これは何条かちょっと忘れましたけれども、そういう接続を拒否することを本当は認めてはいけないんじゃないかと思うんです。実際、いろいろな団体からも、接続拒否を認めてしまってはなかなかこの制度は普及しないんじゃないかという指摘があります。それについて御答弁をお願いします。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 累次の答弁と重複いたしますけれども、何度も申し上げますが、せっかくの再生可能エネルギーをできるだけ系統につないで使うというのが趣旨でございますので、極力これは拒否されないようにというのが法の趣旨でございますし、また、運用もそうしたいと思います。

 ただ、一点、先ほど部長が何度も御答弁申し上げましたけれども、再生可能エネルギーはいろいろなタイプがございます。系統に入れたときに周波数が変動したり等々のことが物理的に起こり得るわけでございまして、そういったものについて、最小限それが起こらないような工夫をした上で、できるだけ活用していただくということで運用したいと思っております。

山内委員 接続の義務については、よほどのことがない限り拒否できないようにしていただきたいと思いますし、拒否できる理由を客観的、具体的にきちんと示した上で、かつ公平な人が判断できるような仕組みというのはどうしても必要になると思うのですけれども、そういったところもぜひ御配慮いただきたいと思います。

安井政府参考人 まさに今おっしゃいましたように、なぜつなげないのかという問題は電気事業者側がちゃんと説明をしなくちゃいけないようにいたしたいと思ってございますし、先ほど御説明いたしました省令も限定的な書き方をいたしたいと思っております。

 それでも、やはり技術的問題でございますので、紛争が起こり得ます。そういうことで、紛争を処理するシステムもつくりまして、電気事業者側と、それから接続をしてもらおうという再生可能エネルギーの事業者の方々の主張をそのままぶつけていただいて、一種、仲裁というんですか、させていただくようなものも今般のシステムの中に織り込んで考えてございます。

 また、不当に接続をしない事業者に対しては、経済産業大臣が勧告をし、また命令をすることができる、こういうことで、先ほど長官から申し上げましたように、法の趣旨といたしましては、できるだけつないでいただくということなので、その趣旨を体して運用させていただきたいと考えております。

山内委員 この法案からほんの少し外れますけれども、再生可能エネルギーをいかに活用しても、やはり環境に対する影響は全くゼロではありません。太陽光パネルをつくるのだって資源が要りますし、輸送や設置、いろいろ環境に対する影響はあるわけで、何よりも節電なり効率をアップするということが必要だと思うんです。

 例えば冷蔵庫とかエアコンなんというのは、二十年前とか十五年前の古いモデルを新しくかえれば、三、四年で電気代も元が取れてしまうということは言われていますので、エコポイントも復活を検討とか、何かニュースで読んだ覚えがありますが、節電、電気の効率化に対してもっと力を入れていって、優先順位でいうと、私は、最初が節電、効率化、二番目が再生エネルギーではないかと思うんです。

 あるいは、エコポイントに限らず、住宅を二重窓にしたり、太陽熱の温水器をつけたり、いろいろなやり方があると思います。そういう節電、効率アップに向けて、政府として、次の三次補正に向けてどういったことを検討されているのでしょうか。

海江田国務大臣 節電という概念の中に二つ種類がございまして、まさに省エネという考え方につながっていくものというのは、これは私は前向きな考え方だと思って、高く評価をしているところでございます。

 ただ、節電ということで、縮こまってという言葉がいいのかどうかわかりませんけれども、供給が一五%制約があるから、その一五%使うのを、例えば、同じ電球を使っていて、そしてこれを一五%分切るというのでは余り意味がないのではないだろうかというふうに思います。その意味でいうと、節電ということより、まさに省エネというのはこれからの私どものエネルギー戦略の中でやはり一つの大きな柱として位置づいてくることになろうかと思います。

 それから、自然エネルギーの、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を通じての拡充というものは、今委員御指摘になりましたが、やはり環境問題に対してということも、大きな考え方の柱としてございます。それから、これは自前でできるエネルギーでございますから、海外にエネルギー源を頼るということではありませんから、エネルギーの安全保障という観点からも必要だろうと思っております。

 それから、グリーンイノベーションという言葉を先ほど使わせていただきましたけれども、こういう新しい技術を日本が率先して開発をしていくことによって日本の経済が活性化をする、そういうようなさまざまな利点もございます。こう考えております。

山内委員 そろそろ時間なので、最後に質問というか要望というか、意見を述べさせていただきますと、法案の見直し期間についてですが、附則の六条に、「少なくとも三年ごとに、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとともに、この法律の施行後平成三十三年三月三十一日までの間にこの法律の廃止を含めた見直しを行うもの」とあります。

 十年後の見直しということなんですけれども、ドイツの例なんかを見ると結構頻繁に法律を変えています。これだけ技術革新のスピードが速くて、恐らく状況が変わりやすい分野だと思いますので、十年後の見直しだとちょっと時間がたち過ぎてしまうんじゃないかな、むしろ五年後ぐらいの見直しの方が適切ではないかと思います。そういった点も含めて、修正に関して皆さんと議論をしてまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。

田中委員長 以上で山内康一君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会


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