衆議院

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第19号 平成23年8月23日(火曜日)

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平成二十三年八月二十三日(火曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 北神 圭朗君 理事 櫛渕 万里君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      相原 史乃君    池田 元久君

      石森 久嗣君    緒方林太郎君

      金森  正君    川口  博君

      川島智太郎君   木村たけつか君

      熊田 篤嗣君    斉木 武志君

      斎藤やすのり君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    平  智之君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

      西野あきら君    額賀福志郎君

      望月 義夫君    稲津  久君

      吉井 英勝君    山内 康一君

      園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)  海江田万里君

   経済産業副大臣      池田 元久君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   太田  充君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            安井 正也君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二十三日

 辞任         補欠選任

  石関 貴史君     相原 史乃君

  柴橋 正直君     金森  正君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     石関 貴史君

  金森  正君     柴橋 正直君

同日

 理事石関貴史君同日委員辞任につき、その補欠として櫛渕万里君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

八月二十二日

 中小企業支援の拡充に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二三一二号)

 同(石川知裕君紹介)(第二三四七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二三八四号)

 原発からの撤退を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二三四八号)

 同(笠井亮君紹介)(第二四〇七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四〇八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四〇九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四一〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四一五号)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、原発推進政策の抜本見直しと持続可能な自然エネルギーへの転換に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三九八号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三九九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四〇〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二四〇一号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四〇二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四〇三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四〇四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二四〇五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二四〇六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案(内閣提出第五一号)

 電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に櫛渕万里さんを指名いたします。

     ――――◇―――――

田中委員長 内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案並びに電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案に対し、後藤斎君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案、吉井英勝君から、日本共産党提案による修正案並びに山内康一君から、みんなの党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 各修正案について、提出者から順次趣旨の説明を求めます。後藤斎君。

    ―――――――――――――

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

後藤(斎)委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党を代表して、ただいま提案のありました電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案に対する修正案について、その趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。

 エネルギー安定供給の確保、地球温暖化対策、我が国の国際競争力強化及び産業の振興、地域の活性化等の観点から、再生可能エネルギーの利用拡大を図ることは急務となっております。よって、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入が一層促進され、国民経済等の健全な発展に寄与できるよう、本修正案を取りまとめた次第でございます。

 以下、主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、経済産業大臣が調達価格等を定めようとする場合には、関係大臣に協力等を行い、新たに設置される調達価格等算定委員会の意見を尊重しなければならないこととしております。この調達価格等算定委員会は、委員五人で、資源エネルギー庁に設置され、その委員は、電気事業、経済等に関して専門的な知識と経験を有する者のうちから、両議院の同意を経て経済産業大臣が任命することとしております。

 第二に、賦課金の特例として、経済産業省令で定めるところにより、製造業については電気の使用に係る原単位の平均の八倍を超える事業を行う者、製造業以外の業種については電気の使用に係る原単位の平均の政令で定める倍数を超える事業を行う者からの申請により、年間の当該事業に係る電気の使用量が政令に定める量を超える事業所を認定し、その事業所の賦課金については、規定により算出された額から、当該事業の電気の使用に係る原単位に応じて当該額に百分の八十を下らない政令で定める割合を乗じて得た額を減じた額とすることとしております。

 なお、この認定については、経済産業大臣が毎年度、当該年度の開始前に行い、認定された場合は、名称、住所、電気の使用量等、経済産業省令で定める事項について公表するとともに、不正等があった場合には認定の取り消し及び罰則を科すこととしております。

 第三に、東日本大震災により著しい被害を受けた事務所、住居等の電気の使用者について、政令で定める者に対しては、平成二十五年三月三十一日までの間において賦課金の額をゼロ円とすることとしております。

 また、その他所要の措置を講ずることとしております。

 以上が、本修正案の提案理由及びその主な内容でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。

田中委員長 次に、吉井英勝君。

    ―――――――――――――

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉井委員 私は、日本共産党提出の修正案について趣旨説明を行います。

 まず、政府提出のいわゆる再生可能エネルギー固定価格買い取り法案に対する日本共産党修正案について、その内容を説明するものでございますが、我が党は、かねてから再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を提唱してきました。本委員会でも、二年前のいわゆる非化石エネルギー関連二法案に対する修正案として提起してきたところです。

 今回、政府が、不十分ながらも再生可能エネルギーの固定価格買い取り法案を提出したことは評価いたします。しかし、政府案には、住宅用太陽光発電の買い取りを余剰電力に限っている点や、国会関与が盛り込まれていないこと、接続要件が電力会社優位の点など、改善すべき点が残されています。とりわけ、電力会社の地域独占のもと、ブラックボックスの総括原価方式を大前提として、再生可能エネルギーの買い取りコストのみを電気料金に賦課金として転嫁する仕組みとなっていることは大きな問題です。

 以下、修正案の趣旨及び内容を御説明いたします。

 審議の中で明らかになったように、電気料金のもとになっている総括原価には、原発立地自治体への交付金の原資となる電源開発促進税や使用済み核燃料の再処理費用などの原発付加金ともいうべき負担金が、少なく見積もっても一キロワット時当たり〇・七三円含まれています。これらの隠されたコストは、政府の言う再生可能エネルギーのピーク時〇・五円の負担をはるかに超えるものです。

 地球温暖化対策に加え、三月十一日に発生した東京電力福島第一原発事故は、原発依存のエネルギー政策から持続可能な再生可能エネルギーへの転換をいよいよ国民的課題としました。

 そこで、修正案の趣旨は、電気料金の総括原価に含まれている原発の隠されたコストを含めて固定価格買い取り制度の設計を変更しようとするものです。このため、その第一歩として、政府案の買い取り制度に修正を加え、年間およそ三千五百億円の電源開発促進税を再生可能エネルギーの普及に活用しようとするものです。これにより、再生可能エネルギーの爆発的普及と電気料金への賦課金の転嫁の抑制、負担の軽減とを両立させようとするものであります。

 修正内容は、附則に「電気の使用者に配慮した負担の見直し」の条文を追加し、原子力から再生可能エネルギーの利用への転換の推進等のエネルギー政策の見直しが必要であることにかんがみ、電気の使用者の負担軽減の観点から、主に原発推進のための税財源となっている電源開発促進税の課税目的を含めたエネルギーの需給に伴う負担のあり方について見直しを行うというものであります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。

田中委員長 次に、山内康一君。

    ―――――――――――――

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山内委員 ただいま議題となりました電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案に対する修正案につきまして、みんなの党を代表して、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 本修正案は、電気としての再生可能エネルギー源の利用の速やかな拡大を図る観点から、決定した調達価格及び調達期間の国会への報告義務、環境大臣の関与強化等の新たな措置を講ずるものであります。

 第一に、政府は、再生可能エネルギーの調達価格及び調達期間を定めた際には、国会に対して報告しなければならないこととしております。

 第二に、電気事業者が特定供給者から接続請求された際、当該接続を拒否できる事由から「当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。」を削除することとしております。

 第三に、調達価格及び調達期間の決定並びに再生可能エネルギー発電設備を用いた発電の認定等に際し、経済産業大臣は環境大臣に協議しなければならないこととしております。

 第四に、政府は、再生可能エネルギー発電設備を用いた発電の認定等に当たっては、東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故の発生後に電気の供給力の強化に資するよう開始された再生可能エネルギー電気の供給に適切に配慮することとしております。

 第五に、政府は、この法律の実施状況については、少なくとも二年ごとに検討を加え、平成二十八年三月三十一日までにこの法律の廃止を含めた見直しを行うこととしております。

 第六に、政府は、この法律が施行されるまでの間に、発電事業と送配電事業の分離の実施等、電気事業制度のあり方について見直しを行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしております。

 第七に、政府は、環境保全の観点から再生可能エネルギー源の利用を促進するため、エネルギー政策に関し、環境省も含めた行政組織のあり方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

田中委員長 これにて各修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 両案及び各修正案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省主計局次長太田充君、資源エネルギー庁長官細野哲弘君及び資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長安井正也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより両案及び各修正案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷畑孝君。

谷畑委員 おはようございます。自由民主党の谷畑孝でございます。

 海江田大臣も、菅内閣が発足をして、この一年間というのは、政治家でいえば十年あるいは二十年の経験をわずか一年で経験された、私はそのように思います。とりわけ三月十一日の大震災、それから福島における原発事故。同時に、未曾有の円高。そして、日本の経済が二十年間足踏みをして、そういう状況にあって、私はお隣の韓国へよく国際会議に行きますけれども、一九九〇年代の後半、あの金融の破綻からよみがえって、産業の再編成をして、どこの国よりも自由貿易協定をしっかりと結んで、そして常に景気回復を実現している。それに比べて日本は、閉塞感、しかも景気は一向に回復しない、こういう状況だと思うんですね。

 特に、海江田大臣は、環太平洋パートナーシップ協定を実現するということで大畠前大臣から交代をしてきたわけであります。そういう状況の中で、私は率直に言うて、経済産業省はほんまにもう解体しているんじゃないかと。日本の経済を、どこの省庁が責任を持って旗を振るのか。これは厚生労働省がやるんですか、外務省がやるんですか。日本の経済をどこの省が責任を持って発展させるのか。

 そういうことは、多分、海江田大臣は、この一年間の中で、人にはいろいろ言えないものがあったのではないか、私はそう思うんですね。今回のこの法案でも、菅総理が、私の顔を見たくなけりゃこの法案を一日も早く通してくださいと。こんなばかなことを、我々は、顔が見たくないとかあるとか、そういうことじゃなくて、この再生エネルギーが大事だから十八時間以上かけてこれを審議しているわけなんですね。そういうことで、海江田大臣は、本当に人間性を感じますし、すばらしい大臣だと私も思っております。

 この一年間の経験の中で、経済産業省を今後どう立て直していくのか。次はまた海江田大臣であるのかないのかよくわかりませんけれども、今後の経済産業省の行く末、しっかりと柱を立ててやっていかないと、国民から信頼を得ることはできない。そういうことで、長く苦労をされた海江田大臣に、経済産業省の今日の直面した状況、円高の問題等を含めて、しっかりとした決意と方向性をお示し願いたいと思います。

海江田国務大臣 おはようございます。

 本当に谷畑委員には、この経済産業省の仕事に対して、経済産業省の仕事というより日本経済に対して、種々御高見をお聞かせいただきましてありがとうございました。心から感謝を申し上げます。

 私も、ことしの一月でございますから、まだ一年はたっておりませんが、まさに疾風怒濤の半年余りであった、そういう思いを大変強くしております。

 三月十一日の大震災、そして、それによる東京電力の福島第一原子力発電所の事故が起きるまでは、本来の経済産業省の業務、任務に当たることができたわけでございますが、未曾有の大震災、そして、本当にあってはならない大事故ということでございますので、この数カ月はそちらに没頭してしまいまして、経済産業省の本来の仕事、今委員から御指摘のありました、日本の経済を前に向かってしっかりと引っ張っていくということができなかった。

 あるいはこれは私がお話をするより委員が一番御存じで、いろいろな提案もいただきました。やはり、日本の経済の中で、中小企業のあり方の問題、そういった問題に当然経済産業省として力を尽くしていかなければいけないわけでございますが、なかなかそれが十分できなかったというのが私は本当に大変残念なところであります。

 そして、今委員からも御指摘がありました、日本が内向きになっている、そして、日本が内向きになっている間にも世界は動いているわけでございますから、私どもは、そのおくれというものにこれから懸命になって取り組んでいかなければいけない、かように考えております。

 余り長くお話をしましても、委員の持ち時間は短い時間でございますから、このぐらいにいたしますが、今後ともどうぞよろしく御指導をお願い申し上げます。

谷畑委員 それで、聞くところによりますと、民主党の代表選挙が二十九日、そして、新しい日本のリーダー、総理大臣が三十一日に決まっていくだろう、こういうように言われています。

 もちろん、民主党さんということでありますから、私どもがそこで論評する問題ではないと思いますけれども、鳩山政権から菅政権、そして三度目と。一回政権をかえたらと大変な国民の期待をいただいて、もうはや三人目の党首選挙をやるという、こういう中で国民の皆さんも非常に注視をしておるんじゃないかと思います。

 そこで、この経済産業委員会でも非常に頑張ってこられた海江田大臣が、党首選挙に出る、こういうことをお聞きするわけですけれども、きょうは、海江田大臣が鍛えられた、しかも涙も流され、いろいろな人生模様があり、官邸からははしごも外された、いろいろとあった委員会ですけれども、ぜひ一言、決意というのか、出るなら出ると、ひとつ気持ちをお聞きしたい、こう思います。

海江田国務大臣 これは政党の中のことでございますので……。ただ、政党の中ではありますけれども、今民主党は与党を預からせていただいておりますので、それは政党の党首を選ぶ選挙ではなくて日本国の総理大臣を選ぶ選挙だ。そういう気構えで、きょうここに委員として参加をしている皆さんも、そういう気構えで恐らく一票を投じられるのではないだろうかというふうに思っております。

 私もそう思っております。

谷畑委員 わかりました。まあ、よくわからぬところもあるんですけれども、立候補される、こういうように思います。大いに頑張っていただきたい、このように思います。

 さて、再生可能エネルギーの買い取り法案の審議に入ります。

 まず冒頭に、この法案の背景ですが、これも参考人の委員会のときに私も発言したんですけれども、二〇三〇年には再生エネルギーというものを二〇%をめどに持っていくんだ、あるいは日本の原発を五三%にしていくんだ、それはもちろんCO2、一九九〇年対比で二五%、それを実現していくためにも非化石燃料というのをふやしていく、そういう道筋の中にこの法案があったわけですね。

 私は思うんですけれども、これだけの大きい国で、経済大国の日本で、エネルギーというのは基本的なことであります、エネルギーなくして産業を支えることはできるはずがないわけであります。私は、そういう意味では、総合的エネルギー政策とこの再生可能エネルギーとがきっちりドッキングして、いわゆるベストミックスという形の中でこそ、国民にも説得できるし、方向がなきゃならぬ。それを菅総理はこれは白紙だと言ったわけですから、白紙でこの再生可能エネルギーだけが走っているということなんですね。

 だから、ぜひ早急に、この白紙というものから一歩踏み出してどうベストミックスにしていくのか、そういう点をしっかりしないと。例えば天然ガスにしようとするんだったら、天然ガスの国際的戦略を持って、パイプラインを含めて、ロシアから引くとか、そういういろいろな戦略を持たないと、行き当たりばったりでは私はいかぬと思います。

 これは、一言だけ、どういう考え方を持っておられるか、お聞きします。

海江田国務大臣 谷畑委員御指摘のように、そもそも、昨年の、一昨年になりますか、エネルギー基本計画を決められまして、その中で今委員御指摘のような数字もあったわけでございますが、今般の東京電力福島第一発電所の事故もあって、原子力の依存を五三%というのはもう到底無理だ、これはすべての委員あるいは国民の理解をするところになりました。

 では、それが何%なのかということはまだ決まっておりませんが、その中で原子力のエネルギーが減った分をどこから持ってこなければいけないか。もちろん、足元の課題を見れば、これは火力の問題でありますとか、LNGの問題でありますとか、石炭火力でありますとか、そういったエネルギー源に頼るということもありますが、中長期的に見まして、どこをふやさなければいけないかということで考えれば、やはり今御審議いただいております再生可能エネルギーをふやしていかなければいけないということは、これは多くの方が理解をしていただけるところだろうと思いますので、その意味では、それこそエネルギー基本計画が何%、何%、何%と数字はまだ入っておりませんが、方向性においては、今、この議会でこの法案について御審議をいただき、成立をさせていただくということは決して間違っていない、そう考えております。

谷畑委員 もう時間がなくなってきましたので、あと一言。

 この法案、ずっと私も審議に参加して、一番大事なのは、どういう価格でこれを買い取るか、それからどういう期間か、これに尽きますよね。高過ぎたら消費者と産業界にサーチャージで行くだけで大変だし、低過ぎたら新しい再生エネルギーをやろうかという人が参入できない。だから、ぜひこの価格については、第三者機関というのか、これがしっかり透明度を明らかにする、こういうことが大事だと思うんですね。

 それともう一つ、サーチャージで上に乗せていくわけですから、とりわけ電力をたくさん使う多消費型、電炉だとかそういうところですね、ここはドイツでも減免をやっているということでありますから、ここはやはりしっかりと減免システムをつくり上げて空洞化を阻止する、こういうことが非常に大事だと思います。

 一言だけお答えいただきまして、私は質問を終わります。

海江田国務大臣 先ほどエネルギー基本計画を、一昨年と言いましたが、昨年でございますので。

 それから、今お話がございましたけれども、幾つか論点がございまして、価格の決定を透明化するということは、もとより私どもも考えていたことでありますが、それをどうシステム的に保障していくかということで今御議論いただいたようなことになったということでございますので、それを尊重させていただきたいと思っております。

 それから、サーチャージにつきましても、これは、本来私どもは、まず最初の導入でございますので、それぞれがその負担をお願いしたいということで申し上げておりました。これにつきましても、与党、野党の間で議論があったやに聞いております。先ほどの法案の修正もございますので、そういったものをしっかりと踏まえていきたい、こう考えております。

谷畑委員 大臣には最後の質問だと思います。ありがとうございました。

田中委員長 次に、梶山弘志君。

梶山委員 自由民主党の梶山弘志でございます。

 この法案は、本日、修正案も提出をされて、審議も大詰めの段階に差しかかってまいりました。環境の問題、さらには福島の原発事故、それらを踏まえて、エネルギー構造の多様化、そしてエネルギー構造の転換を図るという大きな目標があるわけでありますけれども、一方では、この中身、制度設計を誤ると、国民生活、雇用、そして日本の経済にも大きな影響を与える可能性がある法案だと感じております。それらの留意点を踏まえて修正案が出てきたことと存じておりますけれども、きょうは、政府、そして修正案提出者に質問をさせていただきたいと思います。これまでの議論を確認しながらの質問とさせていただきたいと思います。

 まずは政府にお伺いしたいんですけれども、〇八年五月に、電力が、当時の電力会社の設備で太陽光一千万キロワット、風力は五百万キロワットまで受け入れ可能という発表がありました。そして、今回の法案の審議の中で、経産省の参考人の答弁の中で、この買い取り法案を通した場合には、二〇二〇年には一二・五%の比率にする、そのときの買い取り量というのは二千六百万キロワットだという答弁もあったわけでありますけれども、現状で一千万まで大丈夫ということでありますが、一千万キロワットに到達するのはいつごろと想定しているのか、答弁願いたいと思います。

海江田国務大臣 梶山委員にも、本当に本委員会を通じて貴重な御意見を賜りましてありがとうございました。

 その上で、太陽光一千万キロワットでございますが、二〇一〇年代の中ごろと私どもは考えております。

 風力についてはお尋ねがございませんでしたけれども、よろしゅうございますか。

梶山委員 結構です。

 一千万キロワットを二〇一〇年代中ごろに超過をするということでありますけれども、現有の設備で一千万キロワットまで大丈夫だということは、それを超えれば設備投資をしなくてはならないということであります。

 その設備投資の中身でありますけれども、余剰電力対策、これは蓄電池のことだと思います。そして、出力変動、急激な変動の対策ということで、これは今開発中のスマートグリッドであるとか、蓄電池ということで、周波数を一定に抑えていくということだと思います。さらには、配電網の電圧の対策ということで、これは柱上の変圧器、電柱の変圧器を増設していくということで対応ができることと思いますけれども、もう一つ対策として出力抑制というものもあるわけでありますが、この四点が対策ということでよろしいでしょうか。

海江田国務大臣 よろしいかと思います。

梶山委員 この対策をするに当たって、出力抑制をどのくらいにするかということで設備投資の金額もかなり変わってくるはずであります。

 設備投資というのは、当然、需要家に料金としてはね返っていくということでありますから、できるだけその設備投資は抑えたい、抑えるために出力抑制をすると、今度は新たな発電業者からの買い取り量が減ってしまうという、バランスの問題が出てくるわけでありますけれども、その点、どうお考えでしょうか。

海江田国務大臣 まさにこの一千万キロワットを超えましたところで出力抑制のための費用も生じてこようかと思いますが、今、私どもでは、その費用が年間およそ二千億円という試算をしてございます。

梶山委員 二千億円という試算の前提は、多分、年間最大三十日出力抑制をするという前提で出てきた数字かと思うんですけれども、それでよろしいでしょうか。

海江田国務大臣 それで構いませんが、あともう一つだけ。これは、太陽光発電の導入量が二千八百万キロワットという条件もつけてございます。それで試算をすると、先ほどお話をした二千億円ということになろうかと思います。

梶山委員 出力抑制に関しては、多分、この法律の第五条第一項第二号で「当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。」ということで定められているわけでありますけれども、この運用をしっかりしないと、普及がおくれる可能性もある。場合によっては、今度はそれに頼らずに設備投資に頼るのであれば、電力料金が上がる可能性があるということを御留意いただきたいと思いますけれども、一言、どうぞ。

海江田国務大臣 そのとおりでございます。

梶山委員 次の質問に移らせていただきます。

 太陽光の先進国として、EU、ヨーロッパが挙げられるわけでありますが、特にドイツ、スペイン、こういった国を見習おうということでいろいろな制度設計も数年間してきたわけでありますけれども、このドイツ、スペインの制度の欠点もあるわけであります。

 スペインに関しましては、買い取り価格が余りにも高過ぎた。そして、太陽光バブルというものを招いて、とてもとても買い取れなくなってしまった。買い取り価格を下げたら、〇八年度比で〇九年度には設備が百分の一になってしまった。単年度で設備が百分の一の設置になってしまったということもあります。

 また、ドイツにおきましても、高い買い取り料金で、家庭の負担が二〇〇〇年に比べてかなりの上昇を見ているということで、国民生活にも大きな影響があるということであります。

 ドイツ、スペインの失敗例といいますか、この制度の問題点を踏まえて、政府ではどのようにお考えでしょうか。

中山大臣政務官 ただいまエネルギーの専門家であります梶山先生からのお話、本当に、我々は外国の例も見ようということで、この委員会からも委員長を初め視察をしてまいりまして、十分にその修正案の中に入っている、このように考えていただければ結構だと思います。

梶山委員 価格の設定次第では制度の趣旨が大きく変わってしまう可能性があるということは、価格決定を、客観的に、また透明性を持って行わなければならないということを経産省も肝に銘じていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 国際競争力でよく比較される韓国の電力料金は非常に安いものであります。日本の半分以下だということが言われておりますし、OECD加盟国の平均のほぼ半額ということも言われております。電源の構成は日本とほぼ同じ。資源がないことも同じ。そして、輸出産業を保護するというか育てていくためにウォン安誘導をしている国でありますから、海外から資源を買うのは当然高いものになるわけでありますけれども、こういった中でどうしてこのような安い電力料金にすることができるのか、政府の見解をお伺いしたいと思います。

中山大臣政務官 一つには、国が株を五一%持っているというようなこともありまして、国の政策が相当反映しているということでございます。もう一つは、主力電力が石炭であるとか原発の稼働率がすごく高いんですね。それが二つ目の要因。三つ目が、調整制度というものが、本来、日本みたいに調整されているわけですが、ある程度足りないときには政府が補償していってしまうというようなことで政府支出がございます。これはIEAからも国別審査において指摘がされ、改善勧告がされているところです。

梶山委員 国が株式の五一%を持っている、そして経営は赤字であるということであります。ですから、国がしっかりと産業育成のために電力料金の抑制を図っているということでもありますから、国際競争力、特にどういった産業を日本の成長の柱に据えていくのかということも踏まえて、国が電力料金の設定や今回のサーチャージの多寡につきましてもしっかりと関与をし、監視をしていただきたいと存じます。

 次の質問に移ります。

 我々の党内におきましても、何回も重ねてこの問題について議論をしました。この委員会においてもこれまでに何度も議論をされてきたわけでありますが、その中の一つの留意点として、電力多消費産業への配慮、中小企業への配慮ということが繰り返し繰り返し出てきたと思います。

 この修正案におきましてその表現が出てまいりましたけれども、修正案の表現は「平均の八倍を超える事業」ということになっておりますけれども、これは大企業、中小企業の別なくこういう設定なんでしょうか。

西村(康)委員 委員御指摘のとおりでございます。大企業、中小企業を問わず、電力多消費型産業についてはサーチャージを軽減することといたしました。

梶山委員 中小企業において八倍という数字が結構厳しいものとなっています。そして、事業主が意識を持って節電をしたり省エネをして七倍台にしているというようなこともあろうかと思います。

 節電をする、省エネの努力をすればするほど、今度は割高な電力を買わなければならないということも生ずるわけですけれども、大企業はともかく、中小企業の場合は何かしら配慮が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

西村(康)委員 まず、事業について、どの事業が電力多消費型産業かというときに、製造業全体の平均で見ますので、その事業をやっている事業所について軽減措置を講じるということであります。

 目的に地域の活性化とか我が国産業の活性化というものを入れておりますし、また、政府原案そのものに電力の使用者にとって過重なものにならないとなっていますので、そのあたりを勘案して中小企業に対しても一定の配慮をされた運用が行われるものと期待をしております。

梶山委員 今西村さんからお答えをいただきましたけれども、次の質問にしようと思っていたんですけれども、会社単位なのか事業所単位なのか。大きな会社に関しては事業部制をとっていて、まるっきり違うものを扱っている場合もある。その事業部の一つが電力多消費産業であるということもあります。会社全体としては八倍を超えない、でも、事業部としてそれが競争力を持つものであって、それが八倍を超えるという場合は、事業所であるとか事業部ごとにそういう設定もできるのでしょうか。もう一度確認させてください。

西村(康)委員 製造業でいいますと、製造業のいわゆる電力使用量の原単位の平均の八倍を超える事業を行っている企業が申請できます。ただし、申請できるのは、その当該事業を行っている事業所単位で認定をして、その事業所で軽減が行われるということになります。

梶山委員 わかりました。

 この修正案から読み取れないところもあるんですけれども、中小企業、そして生活困窮者、いろいろなところにしわ寄せが来る法律だと思います。

 また一方では、国際競争力、日本の産業にとってもしわ寄せが来るものですから、より柔軟な運用をお願いしたいと思いますけれども、修正後の運用ということで大臣から一言お話をいただければと思います。

海江田国務大臣 今の委員と提出者の議論を聞いておりましても、私は当初から、この問題、とりわけサーチャージと負担の問題というのは連立三次方程式を解くように難しい問題だというふうに申し上げましたが、改めてそういう認識でございますが、ただ、与党と野党の間で国会としての考え方がまとまったわけでございますから、その結論を拳々服膺したいと思っております。

梶山委員 ありがとうございました。この法案についてはここまでとさせていただきます。

 一点ちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、このお盆休み前後で、原子力保安院を経産省から切り離す、そして環境省の外局として設置をするという確定的な報道がなされておりました。私も以前から、これは自民党が与党時代から経産省から切り離すべきだという持論を持っているわけでありますが、余りにも経産省から切り離すということだけを頭に入れていて、その後の組み立てについては少しあいまいなのではないかなという気がいたしますけれども、もう少し慎重な議論をして、独立機関としてしっかりとした役割を発揮するようにしていただきたいんですけれども、コメントできる範囲で大臣からお願いいたします。

海江田国務大臣 もとより、私どもも、経産省から切り離しをするということは委員も御理解いただいていると思いますが、そういう考え方でやってまいりました。

 その上で、いよいよこれから経産省から切り離されるわけでございますが、やはり保安院に必要なのは、一つは独立性でございますね。それから二つ目は、専門性であろうかと思います。そして三つ目に、そうした独立性、専門性を有することによって国民からの信頼を得るという、この三つの要素が大変必要だろうと思っておりますので、私どもも、保安院を送り出すに当たって、やはりしっかりと士気高く、独立性と専門性と国民からの信頼を得られるように頑張ってもらいたい、こういうつもりでおります。

梶山委員 ありがとうございました。大臣も、おやめになった後もぜひこの思いを忘れずに、原子力行政、経済産業行政に取り組んでいただきたいと思います。お疲れさまでした。

 ありがとうございます。

田中委員長 次に、西村康稔君。

西村(康)委員 自民党の西村康稔でございます。

 修正案提出者の一人として答弁もさせていただき、また、修正案について、その考えるところ、趣旨について後ほど大臣にもお伺いをしたいと思いますが、その前に、先ほど同僚の谷畑委員から御質問がありましたけれども、大臣、非常にあいまいな答弁をされましたが、民主党代表選挙に出られるという意思を固められていると伺っております。これまで大臣とは、私は自民党の経済産業部会長、影の経済産業大臣ということでこの場でも何度も議論をさせていただきました。将来、ひょっとすると、党首と総裁として党首討論をやらせていただくということになるかもしれない。ぜひ経済政策も大臣は頑張っていただきたいと思いますし、今後とも経済政策を議論させていただいて、よりよい日本の発展のためになる政策を与野党を超えてできるように努力をしていきたいと思います。

 その関連で、エネルギー政策の基本的なことについて二つお伺いをしたいと思います。

 一つ目、これは余り通告していなかったんですが、CO2の例の二五%削減の件であります。

 原発が定検停止で立ち上がらずに次々ととまっていき、さらに新設はなかなか難しい、現実的には無理だ、当面無理だという現実があります。当初、民主党の計画では十四基、五〇%を超える原発の依存度にする、これがなかなか難しいという中で、CO2二五%削減というのは、現実的にはもはや難しい、不可能ではないかというふうに思います。大臣、代表選に出馬されるに当たって、今後の経済政策を考えるに当たって、まず、このCO2二五%削減を一回取り下げて、新しいエネルギー基本計画もつくるわけですから、その上でどういう国際公約にするのかもう一度考え直すべきだと思いますが、大臣の所見を伺います。

海江田国務大臣 これは代表選とは関係ございませんが、この二五%の削減目標というのは、これはまさに鳩山元総理が国際公約として掲げた数字でございますので、やはりそれを守るという姿勢は掲げていきたいと思っております。

 ただ、足元のところでは、どうしても原子力にかわるエネルギー、中長期的にはこれはまさに自然エネルギーということで、この自然エネルギーに私どもが力を入れるその思いというのは、まさにCO2の排出量の問題でございますが、そこへ至る過程で、当面、石炭火力などに頼らなければいけない、あるいはLNGに頼らなければいけないとか、種々そういうこともございますが、ただ、いっときそういう現実があったからといって、やはり掲げている目標というものは変えてはいけない、こう考えております。

西村(康)委員 ちょっとがっかりいたしました。

 三月十一日以降、完全に状況は変わったわけですから、今の経済の現実、エネルギーの現実にしっかりと目を向けていただいて、我が国として二五%削減をさらに続けていくと、経済界はどうなるのか。ただでさえ急激な円高で空洞化を加速している中で、このことを続けていく、もしそういうお立場、今堅持をするというお立場であれば、仮に代表、総理になられても、我々は与野党の協力ができない、この点についてはできないということでありますので、きょうはもう時間がありませんから多くは問いませんが、ぜひ現実に目を据えた政策を打ち出していただきたいと思います。

 二つ目であります。それと関連しますが、石油石炭税の増税も掲げられております。

 今申し上げたとおり、急激な円高。ただでさえ原発がとまって火力にシフトをして、その分電気料金も上がってくる、コストが非常に上がってくる。円高がある。さらに石油石炭税を増税するのか。

 これは原発がとまった分、シフトしていますから、当然自然増収も、以前問いかけをいたしましたが、最大七百億円ぐらい通年ベースだと出てくる可能性があるということもお答えになりました。この石油石炭税の増税も、やはり産業の国際競争力を考えたときには、一たんこれは取り下げていただいて、もう一度考え直すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

海江田国務大臣 これも大変議論のあったところでございますが、ただ、これにつきましては、私どもも、税制改正の中でそういう方向性を決めましたものですから、やはりそれは維持をしていきたいと思っております。

 ただ、種々の、特に昨今の円高などによる企業の痛みと申しますか、企業が大変大きく傷ついているということがございますから、それに対する手当てはしっかりやっていかなければいけないと思っておりますが、石石税のところでということは当面考えておりません。

西村(康)委員 これも大変残念であります。現閣僚としてはなかなか答弁しにくいのかもしれませんが、新しい体制で与野党協力、特にこのエネルギー政策、経済政策で協力をしていくという観点からは、CO2二五%削減とともに、石油石炭税のあり方についてももう一度見直して、エネルギー基本計画はもう一度つくり直されるわけですから、改めてぜひ出し直していただきたい、一たん取り下げていただいて考え直していただきたいというふうに思います。

 その上で、今回我々の提出した修正案に基づいて幾つか議論をしていきたいと思いますが、私は提出者ですので、大臣にお聞きをしたいと思います。

 まず、施行日を七月一日と想定しておりますが、実際にこの買い取り価格がいつ決まるのか。

 これまでの議論で、一番ポイントとなっている買い取り価格がこの法案の肝でありますので、これが高過ぎれば、導入は進むけれども一般家庭、企業への負担が高くなる。利益が過剰に上がり過ぎるおそれもある。しかし、低過ぎると投資が進まないということでありますので、価格の決め方が非常に難しいわけであります。

 投資家も、価格がいつ決まるのかということで今注目が集まっているわけですが、政令をつくらなきゃいけない、パブコメをかけなきゃいけない、さらに省令もある。それから第三者委員会関係、同意人事もやらなきゃいけない、いわゆる調達価格等算定委員会です。そういうことを考えると、この買い取り価格の決定は一体いつごろになるのかということの想定をぜひお聞かせいただきたいと思います。

海江田国務大臣 まさに、本日のこの委員会で修正案を通していただきましたら、それによって私どもは執行を粛々と行うということでございます。

 とりわけ大切なのは、第三者委員会がしっかりとした議論をするということでございますから、この第三者委員会の議論を行うための第三者委員会の開催というのは、今の段階では年明け早々というふうに考えております。

西村(康)委員 早ければ年明け早々にも第三者委員会を開いて決めるということだと思いますし、その後国会にも御報告いただくという規定を修正案に入れておりますので、ぜひ、投資家にとってみれば早目に決めていただいた方がいいと思いますので、手続を踏んでいただいて、修正案にのっとって価格を決めていただきたいと思います。

 その価格の設定ですけれども、先ほど申し上げたとおり、決め方によっては投資が進む進まない、消費者の負担が多くなる多くならないという、この公正な決め方が非常に難しい。だからこそドイツでもスペインでも何度も何度も修正してきている、見直しをしてきているということでありますが、それを踏まえて、我々も、一年ごとというのを場合によっては半年ごとにでも設定できるという修正案を出させていただいております。

 よりきめ細かに、太陽光にあっては屋根と地上、あるいは規模によって変える。規模は大きい方が当然コストは下がりますから、その分は若干低目に設定されてしかるべきだと思いますし、風力も洋上と陸上でコストが違うわけでありますから、そうした点、我々は、規模、種別ごとにもう少しきめ細かに設定すべきだという修正案を出させていただいております。

 政府案は非常に大ざっぱな、太陽光とそれ以外という、一本でありましたけれども、ぜひこの点は我々の修正案を踏まえていただいて、きめ細かに設定をしていただきたいと思いますが、大臣の所見を伺います。

海江田国務大臣 これは委員が一番よくおわかりになっていることでありますので、私どもとすれば、国会でこれを決めていただければ、執行者として粛々とその執行を行っていくという立場でございます。

西村(康)委員 これは、ぜひ我々修正案を提出した立法者の意思を尊重していただいて、価格設定をしていただければと思います。

 そして、その買い取りの対象ですけれども、本法では新設のものにのみ限ると。当然、ふやしていくわけですから、新しい人をふやそうということで当然でありますけれども、既存の事業者からすると、こうした制度がない中で井戸を掘って頑張ってやってきたわけであります。この人たちが事業を維持できないと全体としてはふえないわけでありますので、既存の人たちも事業を維持できる環境をつくった上で、新しい人が買い取り制度によってふえていくことをねらっているわけでありますけれども、財務省に来ていただいておりますが、この既存の事業者は既に補助金をもらって事業をやっている、今後の人たちは補助金がない、しかし買い取りがあるということで、もちろん違うわけですけれども、その補助金を返してでも新しい制度に乗りたいという方がおられるわけです。

 補助金適正化法とかさまざまな制約がある中で、過去にもらった補助金を事業者は返すことができるのかどうか、財務省にお聞きをしたいと思います。

太田政府参考人 お答えをいたします。

 御質問の補助金適正化法におきましては、補助事業者等による補助金の自主返還、自主的な返還そのものの規定はございません。ございませんけれども、法律の諸規定の趣旨等に照らし合わせますと、既に交付済みの補助金に相当する金額を国に納付するということは可能であるというふうに考えております。

西村(康)委員 そうすると、過去の事業者が、新しい制度に乗りたい、補助金は返すと、既にそういう声を上げている方もおられるようでありますけれども、これはなかなか難しい判断だと思いますが、新設をできるだけふやそうという趣旨は我々も同じであります、既存の事業者は井戸を掘った人たちということで尊重してあげたい思いもあります。大臣、この点、ぜひ何らかの配慮をしたらどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 今、西村委員からもそういう御指摘がありました。大変難しい問題であります。難しい問題であるが、検討をしていきたいと思っております。

西村(康)委員 ぜひ既存の事業者への配慮もよろしくお願いしたいと思います。

 今回の修正案で、目的の中に国際競争力とか我が国産業の振興というものを入れました。我々、ドイツ、スペインを視察いたしますと、安価な中国製がドイツで五割以上、スペインでは八割を超えるものが広がってきている。もちろん、日本はWTOのルールに従って内外無差別に自由貿易でやる、これが原則でありますけれども、しかし、安かろう悪かろうというのはぜひ避けたい。心の中で、できるなら国内産業の振興にもつながっていただきたい、国内企業にも頑張っていただきたいという思いがあります。

 まず、現状は、太陽光に限ってで結構ですけれども、輸入品がどのぐらいの比率であるのか、これを教えていただきたいと思います。

海江田国務大臣 太陽光発電で、二〇一〇年度のフローベースでございますが、これは輸入比率がおよそ一六%ということでございます。

西村(康)委員 一六%ということで、今後、ヨーロッパの例を見ますと、これが五割、六割とふえてくる可能性もある。もちろん、これは自由貿易の中で競争力をつけないといけないわけですけれども、品質基準とか安全基準、例えば蓄電池なんかはまだ国際規格がないようですし、安全基準も明確でないと聞いておりますが、この太陽光についても、修正案にも一部入れましたけれども、こうした品質基準、安全基準をぜひしっかりと行うべきだと考えますけれども、大臣の見解を伺います。

海江田国務大臣 確かに、委員御指摘のとおり、品質基準というものがあろうかと思います。今考えられますのは、一定の効率が継続的に確保される設備からの電気買い取りに限定をするとか、そういう形で、品質基準というのは一つあろうかと思います。

 それから、日本の、太陽光だけに限りませんけれども、そういう発電の技術などに対して、日本でそういう技術を開発したものに対して国が補助をしていく、研究開発などに補助をしていくという形で、良質な国産品のシェアというものを拡大していきたい、こう考えております。

西村(康)委員 ありがとうございます。

 国内のこれまで頑張ってきている太陽光、あるいは新たに始めようとする人たち、これは蓄電池や、今大臣おっしゃった新たな技術開発も含めてでありますけれども、ぜひしっかりと応援をしていただいて、国内のこの新しい制度をてこに、また、海外の市場に出ていけるようにお願いをしたいと思います。

 いずれにしましても、我々、修正案を提出いたしましたので、その趣旨をぜひ十分に理解をいただいて今後の運用に当たっていただきたいと思いますし、日本経済の今の足元、特に空洞化のおそれをしっかりと見据えていただいて、現実的なエネルギー政策、経済政策をとっていただきたい。そのことが代表選につながると思いますし、与野党協力につながっていくと思いますので、ぜひ大臣にはそのことを御期待申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 大臣とは、この委員会で何回も質疑をさせていただいて今日に至ったわけでございますけれども、きょうは再生可能エネルギーの最終質疑ということで、しっかりと議論をさせていただきたいと思っていますが、その前に、北海道の泊原発三号機につきまして数点お伺いをさせていただきたいと思っています。

 若干経緯についてお話し申し上げたいと思うんですけれども、先般、北海道の高橋知事が、泊原発三号機の営業運転再開を容認するということで記者発表をされました。このことによりまして、福島第一原発の事故以降、初めて原発の営業運転再開が決まったということになります。しかし、私は、この営業運転再開の経緯の中で、経産省、それから安全・保安院、また安全委員会につきましては、不適切な対応があった、このことをまず指摘させていただきたいと思います。

 七月の十四日付で、北海道知事が経産大臣あてに、調整運転中の泊三号機の営業運転は再稼働に当たるのか、それからストレステストの第二次評価の対象になるのか、こういったことを、全部で四項目にわたって質問書を提出されました。三号機の営業運転再開は容認できるかどうかということを、知事は、北海道議会や関係市町村に対して、この経産大臣の回答を待って判断したい、こういうことを繰り返しお答えされていた。

 しかし、この回答には三週間も時間がかかってしまった。八月九日になってようやく大臣からこの回答が出されたわけですけれども、回答の中には、泊原発三号機の営業運転再開はいわゆる再稼働には当たらないということ、それから、ストレステストの二次評価には、これは対象となる、こういったことが回答されたわけです。

 しかし、問題は、回答したその日に、原子力安全・保安院が北海道電力に対して、三号機の最終検査を受けるよう、こういう指導をした。だから、このことに対して北海道知事も反発をして、回答をもらって、これからまさに議会や関係自治体に、検討しようということをされようとしていたやさきに、頭越しで北海道電力に指示を出すという地元軽視のやり方については極めて遺憾だということで、その意思を表明されたわけです。

 その後、海江田大臣が、北海道の判断が示されるまで、再開を認める、最終検査の終了証を発行することを待つというお話をされた。これで事態は一たん落ちついて、十七日の北海道知事の営業運転再開の容認、こういうことになっていったわけなんです。

 私がまず最初にお伺いしたいのは、北海道側が七月の十四日に質問書を出している、この回答に三週間も時間がかかってしまった。中身を見てみると、四項目、それほど難しい内容なのかどうかというのは、私はそう思わないんですね。なぜこんなに時間がかかったのか、このことをまずお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 稲津委員にも本当にお世話になりました。ありがとうございました。

 今、北海道の泊の、再稼働と申しますよりも営業運転をしっかりと始めたということでございますが、この経緯について委員からるる事実関係のお話がございました。そのとおりでございます。

 特に、七月の十四日あるいは十九日から、八月の九日でしたか、そこまで時間がかかったのはなぜかというお尋ねでございますが、これは一言で申し上げますと、政府の内部で、政府全体としてやはり意思の統一を図らなければいけないということで時間がかかったわけでございますが、より具体的に申し上げますと、やはり保安院だけの検査でございませんで、先ほどお話がありました、安全委員会をどういう形で、安全委員会の確認をもらえるかどうかというところで若干時間がかかったということでございます。

稲津委員 今のお答えでは、安全委員会のところでの確認に時間を要したというお答えでした。それでも三週間かかるかどうかというのは、政府内の対応が、私はこれはなかなか理解できない。

 もう一つ、対応の遅さということについて申し上げたいと思うんですけれども、五月の十七日に、北海道から二項目にわたっての質問が出されています。これについてはいまだ回答がありません。その内容の一つは福島原発と地震の関係について、もう一つは浜岡原発と泊原発などほかの原発の違いについて。この二点について北海道の高橋知事も、安全を担う国において責任ある説明をしていただく必要があり、その説明内容などを踏まえて考え方を整理する、こういうことを北海道の議会でも再三答弁をなされています。これは極めて大事なことだと思っています。

 繰り返しになりますけれども、いまだこの二項目については政府から回答がありません。これはどうしてなのかということ。政府からの誠意のある回答を待っていたのではないかということなんですけれども、私は、この二点の質問に対する回答をしていない上で最終検査実施から検査終了証の交付に至るというのは、経緯としては地元軽視に当たるんじゃないか、こう思いますけれども、大臣、どうでしょうか。

海江田国務大臣 これは、私どもは回答を文書ではしてございませんが、口頭での説明は何度かしてございます。口頭での説明で御理解いただけたもの、あるいは御理解いただけなかったものもあるやに聞いておりますので、そこは北海道とよく御相談をして、そして事務的な調整が整い次第、文書で正式な回答が欲しいということであれば、できるだけ速やかに文書による正式な回答をしたいと思っております。

稲津委員 口頭でのお答えはされた、しかしまだ十分だとは言えない、そして文書による回答も必要であれば速やかに出したいということですけれども、となりますと、大臣の責任のもとにおいて、文書での回答というのは速やかにされるということで確認してよろしいでしょうか。もう一度、御答弁をお願いします。

海江田国務大臣 この問題につきましても、今、北海道と事務方同士で調整をしているところでありますから、これが整い次第、文書による正式な回答をしたいということでございます。

稲津委員 ぜひこれはそうしていただきたいと思います、極めて大事な問題だと思いますので。私は、泊、北海道だけの問題じゃないと思います。ある意味では全国的にかかわってくる話でございますので、ぜひ大臣、この任に当たっている間にしっかりと対応していただきたいと思っています。

 もう一つ、これも非常に私にとっては、私だけじゃない、ごく一般的に考えても不適切と思う話なんですけれども、原子力安全委員会のチェックについてお話をお伺いしたいと思います。

 今回、この泊原発三号機の営業運転再開に向けて、北海道知事が再開を容認する判断材料の一つに、原子力安全・保安院と原子力安全委員会のいわゆる二重チェックということを評価して、そして三号機の安全性が担保される、こういう考えを示されたわけです。菅総理も、十七日の日に記者団に対して、安全委員会もきちっとチェックしたと聞いていますからと、このようにお答えをされています。

 しかし、原子力安全委員会の見解は全く違う。八月十一日の原子力安全委員会委員長の記者さんたちに対する回答の中では何と言っているか。これは速記録を読みました。そうしますと、この二重チェックについて、安全委員会が独自の見解を示さなかったことをどのように考えるか、こういう質問に対して委員長は、あくまでも規制行政庁である原子力安全・保安院の方が責任を持って実施するものであって、決められた検査項目については、厳正に現場確認等を行い、その上で合否を判断する、安全委員会としては、あくまでも報告を聞いたという立場である。また、政府が安全委員会の意見を踏まえて決定するという方針についても、安全委員会としては何ら要請を受けていない、さらには、容認するか了承するか、そういう立場に安全委員会は法的にもないんだ、あくまでも報告を受けた、こういうことをおっしゃっています。

 これは、二重チェックということにおいて考えていきますと、安全委員会が独自の見解を示すというのは、これは法的な根拠がないんだと。しかし、私は、今の原子力行政を取り巻く中で、この委員会の存在そのものがどういう形で皆さんから見られているのか、ここはやはり非常に認識が違う。この安全委員会のかかわり方で本当に安全性を担保するという二重チェックになっているのかどうか、これはぜひ班目委員長と経産大臣にお答えいただきたいと思います。

班目参考人 御質問にありましたように、原子力安全委員会は、法令上は、定期検査の合否を判断する立場にはございません。

 しかしながら、保安院の方から報告がございましたので、それに対しましては、例えば長期にわたる調整運転と運転サイクルとの関係であるとか、保全計画がどうなっているのかとか、あるいは定期検査全体を通して保安院の方でどのような検査をやって、そこで問題点はなかったのだろうかというようなことは質問をし、その保安院の回答及び説明については確認を行ってございます。

 しかしながら、あくまでも合否の判断は規制行政庁が法に基づいてしっかりやっていただきたい、その旨を申し添えたということでございます。

 そういう意味からいきますと、我々はやはり法律にのっとって粛々とやるべきことをやっているというふうに理解してございます。

海江田国務大臣 今、班目委員長からお話がございましたけれども、私どもの方から、まさに法律にのっとって、原子力安全委員会に検査を行ったということを報告いたしまして、そして安全確保上の留意事項の有無などについて意見を伺ったわけでございます。その結果、原子力安全委員会からは問題点について特段の指摘がなされなかったということで、そこで、また私どもの法律的な権限であります電気事業法に基づきまして終了証を渡した、こういうことになります。

稲津委員 一番最初の私の質問に対して、なぜ文書回答がおくれたのかということに対して、いみじくも経産大臣から、安全委員会の回答を待っていて時間がかかったという話がありました。

 そう思い合わせていきますと、この十一日の班目委員長の記者さんたちへの回答については、受け付けするだけなんですということを繰り返し述べられている。今、原発を取り巻く、原子力行政をつかさどる立場の者として余りにも説明が不十分で、国民的理解は得られないと私は思いますよ。

 そういうことを思い合わせていったときに、ちょっと次の質問がありますのでこれはこの程度にしますけれども、いずれにしましても、例えば原発の定期検査後の再稼働とか、非常にこれから国民的な議論をいただく、あるいはさまざまな方、関係者からもいろいろな議論をされる、総理もダブルチェックだと言っている、そういう状況の中で、委員長だけが、我々は受け付けをするだけですからと。そういうことで本当に国民の皆さんに説明がつきますか。私はそのことを申し上げたいと思うんです。

 ですから、これ以上質問しませんけれども、ぜひ国民の信頼を得られるようなそういう取り組みをしていただきたい、このことを強く申し上げたいと思います。

 次に、再生可能エネルギーの買い取り法について質問させていただきますけれども、まず第一点目は、電気料金との関係性について質問させていただきたいと思います。

 先ほども議論がありました。そもそも日本の電気料金は他国と比べて極めて高いということ、それが産業の空洞化や国際競争力を考えた場合でも極めて重要な課題になっているということ。

 ここで私が取り上げたいのは、ここ最近、電気料金が上がってきているということなんですね。九月分の電気・ガス料金の算定基準となる四月から六月までの原燃料の平均輸入価格は、八月分の基準よりも原油で約三%、それから天然ガスが五%、石炭二%、このように値上がりしています。それから、先週の十八日、十月もさらに上がる見通しという発表がありました。こういうことがまず一つ。

 さらに、原発の停止に伴って、火力代替の、こういう値上がりも懸念をされるということ。これもさまざまな調査がありますけれども、例えば、日本エネルギー経済研究所の調査によりますと、代替燃料である石油や天然ガスの調達が、一二年度には約三兆五千億円もふえるんじゃないかという試算もある。ですから、こうなってきますと、標準家庭の電気料金も一八%ぐらい上がるんじゃないか、そういう指摘もあります。

 それから三つ目は、福島の第一原発の事故における賠償金も電気料金に転嫁される可能性がある、そういうこと。

 そして、今回のこの再生可能エネルギーの買い取り法による負担増と、まさに海江田大臣は、賦課金のこともあわせて、三次方程式、四次方程式と言っていますけれども、私は、価格というところを見ても、まさに三重苦、四重苦のような、そういう構造があると思います。

 家計における電気料金というのは、私は基本的な支出項目だと思っています。だから、電気料金が上がってくれば上がってくるほど、実は所得の少ない世帯ほど負担がふえていくという現実があるということ。だから、こういうことを思い合わせていきますと、この電気料金の三重苦、四重苦で、上がっていくということをどのように抑止していくのかということも非常に大事な問題であると思います。

 まず、政府として、現在の電気料金に関する分析、それから、今後どのように推移していくというふうに考えているのか、この点について御認識を伺いたいと思います。

中山大臣政務官 ただいまの分析、もう先生のとおりだというふうに私どもは思っております。

 そうはいっても、やはり家庭に電気料金がはね返ってくることは大変問題でございまして、今の節電でも、私どもも家庭の電気をいろいろなところを消して歩いているんですね。私がつけちゃうものですから、女房が後ろをついて消して歩いている。見ましたら、この電気料金、やはり結構下がっているんですね。

 ですから、対策としては節電というのが一つあるかと思いますが、もともと電力会社から料金値上げの認可申請が出された場合には、本当に経営効率よくやっているかということを指摘しながら、私たちは国民に負担のないように、できる限りのことを考えていきたいと思っております。

稲津委員 わかりました。

 二点目は、電気料金引き下げに向けた中長期的な取り組みということでお伺いをさせていただきたいと思います。

 一つは、新規の事業者が電力大手の送電網を利用して送電する際の利用料、これが電気料金の二割程度を占めるということがあって、これが非常に負担が大きいということで、新規の事業者が参入してくるについてはハードルが高くて、現実として、大手の地域独占というのが崩れていないという現実があると思います。これが電気料金引き下げに、中長期的にはその対策が必要だという私の認識なんです。

 ここで、電力と並ぶネットワークインフラの通信の分野を考えてみますと、国内の電話事業を独占してきた電電公社、八五年に民営化して、NTTが発足した。それで、通信市場が自由化になった。通信網の開放が進むと、新規参入で競争を活発化した、通話料金が下がっていった。インターネットの普及も加速して、新しい産業のマーケットができてきたということ。だから、やはり自由化というのは非常に大事なんだということがわかると思うんです。

 私は、やはり電力も、停電対策等の危機管理というのはしっかり質を確保していくことも大事ですけれども、同時に、競争力を高めていく必要があるのではないかと。通信分野は自由化が進んでいるんですけれども、電力の自由化は実質的に進まなかった、その理由はどこにあるのかということ、この見解を伺いたい。

 それからもう一点、これから一層の競争力の強化という取り組みが必要だと思うんですけれども、今回の再生可能エネルギー制度の導入における大口需要家、それから低所得者の方々への対策、どのような施策が必要と考えているのか。

 この二点についてお伺いしたいと思います。

中山大臣政務官 ただいま送電線の利用について御指摘があったとおりでございまして、送電線はある程度独占をしておりますが、これからは、いろいろな意味で、そういう問題も含めていろいろな検討をしていかなければならない。

 それから、供給者の方が、電気事業者がいろいろありまして、やはり自由に参入してくるということがまず値段を下げる一番の理由だと思います。しかし、送電をしてくれなければそれは買い取れないわけです。今後は、新しい新エネでも、四条、五条に、恣意的な拒否は絶対できないようになりますから、できる限り新しいエネルギーを買っていくということで考えております。

 また、電力会社と、今の、新しく発電をしていくようなそういう市場をしっかりつくるとともに、電力会社とPPSとの間で送電線を使う公平性にしっかり努めていきたい、このように考えております。

稲津委員 わかりました。

 以上で質問を終わらせていただきますけれども、今回、民主、自民、公明の三党合意でできた修正案については、先ほど来るる質疑がありましたけれども、例えば、価格決定の基本的な考え方を法律にしっかり明記した、それから価格決定についても、経産大臣だけではなくて関係各大臣の意見も聞ける、あるいは国会報告の義務づけ、こういったことを思い合わせていきますと、かなりいろいろな議論をさせていただいてまいりましたけれども、まさに私どもがこの委員会でさまざまな形で議論させていただいたことが多数盛り込まれていて、そういう意味では、価格決定の一層の透明化などを初めとしたことについて、かなりのしっかりとした担保ができたんじゃないだろうか。

 その意味で、関係者の皆様の御尽力に感謝申し上げますとともに、この法律が国民にとって極めて有益になることを願って、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 まず、再生可能エネルギーにかかわる法案ですから、再生可能エネルギーというのは、それぞれの地域ごとに、どういうものが適しているのかというのがあるわけですね、異なってくるわけですが、その地域の条件に応じた再生可能エネルギーの普及には、その地域の実情に詳しい地元の中小企業に仕事が回るという仕組みが非常に大事だと思うんです。そのことが地域経済の再生にもつながっていきます。

 例えば、太陽光パネルを一例に挙げますと、日常的なメンテナンス、これは地域の中小業者が、国内産のものをしっかりメンテしていくという点では非常に大事な役割を果たすことになっていくと思うんです。グローバリゼーションなどといって国内産業をかなり空洞化させてしまったという失敗の教訓からも、再生可能エネルギーで中小企業の仕事と雇用をふやして地域経済の再生を図っていくということが経産省としても非常に大事な課題だと思うんですが、最初に大臣のお考えを伺っておきます。

海江田国務大臣 吉井委員にお答えをいたします。

 それは全くそのとおりであります。それぞれの地域、わけても中小企業を元気にしていくということは、今回のこの法案の背景にございます。

吉井委員 次に、政府参考人に伺っておきます。

 電力多消費産業には、電炉、それから中小企業が九九%を占めている鋳造、さらにはソーダ業等化学の分野がありますが、売上高、電力使用の原単位で見たときに、製造業平均の八倍ぐらいのものがあります。また、これら三業種のサーチャージ負担額を八割減免すると大体七十億円ぐらい必要と見られるようですが、中小企業の割合はどれだけあるのかとか、やはり法施行に当たって直ちに実態調査をするということが経産省として必要なことだと思うんですが、最初に政府参考人に伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の修正案の中の十七条におきまして、いわゆる事業者の減免措置というのが定められております。

 特に、どういう方がその対象になるかということについては、客観性を持ち、また透明性のある形で、かつその結果が関係者あるいは国民にとって納得性のあるものになるということが極めて重要であると思います。

 したがいまして、今委員御指摘のとおり、製造業にいたしましても、製造業以外につきましても、この十七条に規定のある範囲内で、どういう実態があるか、つまり、電力購入量はどれぐらいなのか、あるいはその指標、分母になっている売上高はどれぐらいなのかということについては、十分な調査を行わなければいけないと思っています。この委員会での御審議の趣旨を踏まえまして、しっかりとその点は確認をした上で進めてまいりたいと思っています。

吉井委員 次に、修正案の提出者に伺います。

 三業種のサーチャージを八割減免することによる穴埋め財源をどうするかということ、これについて伺っておきます。

佐藤(茂)委員 吉井委員にお答えいたします。

 私ども、修正案発議者として議論をいたしまして、電力多消費産業について、ドイツのような軽減措置を設けられないかということで、今回、修正案に設けたところなんです。その際に、ドイツの場合は、その軽減をした分が軽減対象とならない家庭や他の産業に転嫁される、そういう状態になっております。しかし、日本で導入する場合はそのことは避けなければいけないだろう、そういうふうに我々は考えたわけでございます。

 そこで、今回の三党修正案の第十八条に、その不足分を補う範囲において、政府が必要な予算上の措置を講ずる、そういうことにしたところでございます。

 その予算上の措置を講ずる財源というものについては、附則の第十条第四項で、「エネルギー対策特別会計の負担とすること、石油石炭税の収入額を充てること等を含め」、この「等」の中には、修正案発議者としては、電源開発促進税の収入額も含めると私どもは考えておりますが、そういうことによって、「第十八条の予算上の措置に係る財源について速やかに検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」、そういう修正案の内容とさせていただいているところでございます。

吉井委員 次に、政府参考人に伺っておきます。

 まず、中小企業への配慮は当然ですが、三業種の中には超大企業も入っているので、そのためのものであってはならないということだけ先に申し上げておいて、伺っておきたいのは、エネルギー特会には電源開発促進税とともに石油石炭税が入っているわけですね。すべての原発が停止したときが一つの例で、二つ目に、事故による福島原発の停止と、それから定期点検などを含めて、現在、原発は停止している状態ですね。この状態の中で、原発代替火力発電の使用で石油石炭税収がふえると思うんですが、一の例と二の例についてそれぞれ幾らになると見積もっておられるのか、これは政府参考人の方に伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今の御指摘の件でございますが、以前にもほかの委員にお答えをした話がございます。仮に原発が全部とまった場合ということで、全体として石油、いわゆる化石燃料にシフトするということで、当然消費がふえる、よって税収がふえるということで、年間で大体七百億円程度ふえるという試算を御紹介したことがあると思います。

 二点目でございますが、現在まだ幾つか、当然原発は動いているわけでございまして、事故前の状況と、それから現在まだ動いているものの差額を勘案しまして、その分が化石燃料に行っているということで、ガスとか石油とかいろいろな仮定を置く必要があると思いますけれども、試算をすることは可能でございます。

 その範囲内で申し上げますと、ずっとこのまま原発が立ち上がってこないというようなこと、本意ではございませんけれども仮にそういうことだとすれば、先ほどの七百億円との比較で申し上げますと、年間で大体三百二十億円程度の増収はあり得ると思います。

 ただ、委員御承知のとおりでございますけれども、燃料調達の時期あるいはその契約形態、さらには、立ち上がりが、ストレステストの後どうなるかということにすべてかかわりますし、それから景気全体の動向にもかかわりますものですから一概に申し上げることはできませんが、他の与件が同じであればということで申し上げますと、それぐらいのオーダーかと存じます。

吉井委員 石油石炭税だけに限って見ても、全部とまれば、端数も入れると七百二億ですね。現状でいくと三百二十億円が新たに税収として入ってくるので、さっき言っておられた、提案にあった七十億円ぐらいのものは、十分財源としてはあるということはよくわかりました。

 次に、政府参考人に伺っておきます。

 かつて高知県の檮原町の再生可能エネルギーの取り組みを紹介したことがありますが、ここでは現在二基の風力発電をやっていますが、この施設をさらに二十基にふやして、小水力と太陽光、木質ペレット、木質バイオマスですね、風力などを合わせて、再生可能エネルギーで電力自給率を一〇〇%以上にしようということで、山奥の小さな町ですが、取り組んでいるわけですね。エネルギーの地産地消型の町で、雇用も生まれる、地域経済も発展させようと頑張っているんです。

 ところが、北海道電力や四国電力は、風力買い取りに五%の枠をかけて、道電で三十六万キロワット、四電で二十五万キロワットという上限を設けて、それ以上の風力の買い取り契約はできないと言っているという報道などもあります。

 これは、法の五条で接続義務を定めているんですが、これに反するわけで、今回の法律の趣旨からすると、爆発的普及を考えているときに制約を設けるのはうまくないので、これはだめな話ですから。接続義務をきちんとやはり果たさせなきゃいけないと思うのですが、政府参考人に伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 幾つかの電力会社の例を申されました。すべてデータがあるわけではございませんけれども、例えば北電等の場合におきまして、三十六万キロワット程度の連系可能容量があるわけでございまして、一部の新聞に、これはいっぱいいっぱいである、だから買えないんだというような報道があったことは承知しておりますけれども、事実で申し上げますと、まだかなり余裕はございます。

 ただ、委員がおっしゃるように、今後、再生可能エネルギーの導入量がふえますと、この連系可能量というのがいっぱいになってしまうことは当然あり得るわけでございまして、その場合は、法の五条の規定による拒否事由に当たる可能性は当然出てくる。これは論理的にあります。

 ただし、この法律の趣旨にかんがみますと、今後、今の北電の場合でいいますと、三十六万キロワットを超えた場合でも、系統の可能量をふやすということは当然しなくちゃいけないと思っております。しかも可能であろうと思いますので、今後、北電、あるいはほかの電力もそうですけれども、電力会社とともに、その方策について検討を行ってまいりたいと思います。

 その場合、当然、系統の増強に必要な経費をどういうふうに見積もるか、あるいはその分担をどうするか、こういうことがポイントになろうかと思います。したがいまして、国としても、今後どういう支援が行えるかということにつきましては、これからの補正予算でありますとか、通常予算も含めまして、いろいろな議論をしていきたいと思っております。

 仮に個々の話があれば、またいろいろ、中立機関等の調整にもまちたいと思っております。

吉井委員 この五条には、大臣の指導、勧告、命令もありますから、やはり接続義務をきちんと果たさせるということでやっていただきたいと思います。

 次に、再生可能エネルギーを買い取ることによって、実は、電力会社の方は、火力発電を動かさなくても済む、いわゆるたき減らしという問題があるわけですね。化石燃料の使用減やCO2排出抑制という大きなメリットがあるわけです。

 この火力発電のたき減らし分を一キロワット時当たり幾らと見積もっているのか、この金額だけお聞かせいただきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 再生可能エネルギーの分だけをいわゆる火力のたき減らしによって変換するわけでございまして、この場合は、すべての発電所の可変費用で削減されるという前提に立ちますと、キロワットアワー当たり六円という計算になります。

吉井委員 そこで、海江田大臣の方に伺っておきたいんですが、再生可能エネルギーの買い取り費用を賦課金として電気料金に転嫁する。しかも、この電気料金引き上げを、もう一本の方の電気・ガス事業法案の中では、外生的、固定的コストの変動だとしているわけですね。大臣認可でなく、単なる届け出で認めようとしているんです。

 しかし、火力発電のたき減らし分というのは、もともと総括原価の燃料費に相当するんですね、これは発電コストですから。だから、本来は低減された総括原価に基づく料金算定を行うということが必要で、その上で再生可能エネルギーの買い取り費用の負担を求めるというのが本来の筋だと思うんですね。

 ですから、これは大臣とも以前から議論しましたけれども、今の電気料金のブラックボックスになっているところですね。やはりこれをきちんとして、コストを明らかにさせる、このブラックボックスをはっきりさせるということをしないと、たき減らしがあるのに、そっちは何かそっと口をつぐんでおいて、実はこれだけの分ちょっと減っているんですよとか適当なことを言いながら、賦課金だけはどんどんふえていくという話はやはりおかしいと思うんですね。

 これについて、大臣のお考えを伺っておきます。

海江田国務大臣 吉井委員にお答えをいたします。

 賦課金とは別の議論として、総括原価方式の中身がどうなっているのかということ、これは事業会社も、例えば幾つかの会社はインターネットで発表しておる、そのほかはまた別な形で発表しているということがございますが、やはり総括原価方式の中身がブラックボックスになっているというような指摘もありますので、これは当然のことながら、これから料金の値上げということがもしあるとすれば、やはり経産大臣がしっかりとそのブラックボックスの中を、日の目を当てて、そして、電気料金を払っていただいている方は本当に国民お一人お一人でございますから、そういう方々に御理解が得られるようにしなければいけないというのがかねてよりの考え方でございます。

吉井委員 時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、エネルギー特会からの財政支出をふやすことによって、あるいは特会の中身の組み替えといいますか、そもそもブラックボックスになっている電気料金の中には原発付加金については既に随分入っているわけですから、その組み替えによって、賦課金というのを、一般庶民についても中小企業についても大きな負担にならないように考えていくということが十分できるので、こういうことを考えていくべきだということを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。

田中委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 民主、自民、公明三党の提出者にお尋ねします。

 電力をたくさん使う産業への賦課金の特例ということが修正案の十七条にあります。十七条の中では、電気の使用に係る原単位が、製造業にあっては製造業に係る電気の使用に係る原単位の平均の八倍を超える事業者、八倍という数字が出てきますけれども、七倍でもなく九倍でもなく、なぜ八倍なんでしょうか。

後藤(斎)委員 お答え申し上げます。

 先生御案内のとおり、なぜ八倍かというのは、三党理事会派の修正案をつくる際にもかなり議論がございました。

 先生御案内のとおり、先ほど私の方からも修正案の、新しく追加をした目的にも、やはり賦課金をたくさんの電気利用者の方に負担していただくということで、固定買い取りを通じて再生エネルギーを促進するという法のたてつけでありますから、企業や家庭にとっては、料金というものは当然低い方がいいわけであります。一方で、調達価格、料金、サーチャージの部分が安ければ再生可能エネルギーも促進しない。このバランスをどうするかということを、まずいろいろな議論をしました。

 そして、私たちがいろいろな議論をする中で、いろいろな先進事例、ドイツを含めたヨーロッパの国も、実は特例ということを賦課金の部分でやっている国がございます。いろいろな時代背景や時間軸がかなり日本よりも先行しておりますので、それも踏まえて、高過ぎず、また安過ぎず、再生可能エネルギーを促進しつつ、そして電力多消費産業の方々に大きな負担にならないように、ひいては国際競争力を引き続き強化し国内で雇用を維持してもらうという観点から、政策的な判断として八倍ということでバランスをとって決めたということでございます。

山内委員 同じような質問なんですけれども、あわせて、「百分の八十を下らない政令で定める割合」というのがあります。これは八割引きということなんですけれども、我々が買い物に行くと、普通二割引き、三割引きとか半額は多いんですけれども、八割、しかもゼロと八割の間がないわけですね。この八割の、八〇%を下らないの根拠についてお尋ねします。

西村(康)委員 お答えをしたいと思います。

 この点も我々、修正協議の中で相当議論をさせていただきましたが、視察に参りましたドイツでも、買い取り価格と軽減措置についてはもう何度も見直しをされて現行に至っております。そのことを先進国の、そうしたヨーロッパの事例を踏まえて我々考えまして、最終的にこのドイツの、ドイツでは御案内のとおり八〇%台から九〇%台の軽減措置をしている、これは参考人質疑でも明らかになったところでありますけれども、そうしたものを踏まえて、今回、私どもでは八〇%を下らない数字で軽減措置をするということにさせていただきました。

 ただ、先進国、先進事例であるドイツやスペインでも同じようにいろいろな修正を加えてきておりますので、我々もこの法律の運用状況を見ながら、さらには、施行に至る前の実態調査を政府の方でやられると思いますけれども、そうしたものを踏まえて、今後、先ほど御指摘のあった八倍という数字、それから八〇%という数字についても必要に応じて見直しをしてまいりたい、まいるべきだというふうに考えております。

山内委員 先進事例といってもドイツとスペインと、余りないわけですから、やはり日本に合った例をこれから見直しの段階でぜひ考えていただきたいと思います。八倍ばかりじゃなくてよくて、恐らく四倍のときは五割引きでもいいかもしれませんし、いろいろな例を今後政府の方で検討して、経済的に割に合う制度にしていただきたいと思います。

 続きまして、同じく三党の提出者にお尋ねします。

 修正案の八条に費用負担の不均衡の調整に関する規定がありますけれども、費用負担の不均衡を調整するために税金を投入するということだと思うんですけれども、どれぐらいの金額の税金を投入することを想定されているんでしょうか。あるいは、もし想定していなかったらそうお答えください。

佐藤(茂)委員 山内委員の御質問にお答えをいたします。

 これは修正案の最後のページ、二十一ページにも明記をさせていただいているんですけれども、本修正の結果必要となる経費として、初年度、私ども平成二十四年の七月からと考えておりますが、ここにおいて概算で約七十億円という額を見込んでおります。

山内委員 税金が投入されるということになると、どうしてもそこに既得権が発生しますから、この費用負担の調整をする機関が経産省の天下りの指定席になったり、あるいは特定の業界だけが潤うような形にならないように、ぜひ経産省、政府においては注意をしていただきたいし、我々も見守っていきたいと思っております。

 続きまして、政府に質問します。

 送電網への接続義務の強化について、ついさっき共産党の吉井委員からも質問がありましたけれども、我々も接続義務の強化というのは大変重要だと思っております。

 みんなの党は、「当該電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき。」、こういう理由があれば接続を拒否することができるということになっていますが、この項目自体を削除すべきと主張してまいりました。仮にこの項目が削除できないとすれば、接続を拒否できる理由というのをきちんと明確化して、具体的な基準、恣意的な理由で断らないように、拒否しないように明確な基準を置く必要があると思うんですが、政府のお考えをお尋ねします。

海江田国務大臣 この点につきましては、私も当委員会で何度かお話をさせていただいておりますが、この法律の第五条第一項第二号に規定する「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれ」、そうした場合としましては、余剰電力や周波数変動の発生、配電系統における電圧上昇などが考えられまして、例えば、電圧上昇を原因として電気事業者が接続を拒否できる事例としましては、周波数の変動や再生可能エネルギー電源を接続することにより周辺の需要家の電圧を大きく変動させてしまう場合などということであります。

 そして、このような場合でありましても、再生可能エネルギー電源の設置者が、電源、電圧を安定させるために必要な機器を設置さえすれば拒否要件に該当しなくなるということもお答えをいたしますので、その意味では、本規定に基づきまして拒否されるケースは極めて限定されたケースとなろうかと思っております。

山内委員 仮に拒否するようなケースが出た場合、情報公開というのは非常に重要だと思うんです。納得のいく理由で拒否されるんだったら恐らくいいでしょうし、ほかの業者が申請するかどうかを考えるときの検討材料にもなると思いますので、そういった情報の開示、情報公開が大事だと思っておるんですが、その点について政府のお考えをお聞きします。

海江田国務大臣 これは、もし納得のいかない理由で拒否をされるということになれば、当然紛争ということになろうかと思いますから、そうした実際の紛争の事例につきましては、その内容及び解決の結果を含め、速やかにホームページなどで公開をしていくということでございます。

山内委員 そろそろ時間が参りましたので、最後に、政府に対してお願いというか、今後のことですけれども、この再生可能エネルギーが普及していくと、今度はそれが変な既得権になって役所と癒着をしたりといったようなことが起きないように、きちんと今の段階から配慮をしていただきたいと思います。

 以上で質疑を終わります。

田中委員長 これにて両案及び各修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、後藤斎君外五名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。海江田経済産業大臣。

海江田国務大臣 御提案の修正案につきましては、政府としては異議はございません。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより両案及び各修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、二法案及び修正案について討論を行います。

 まず、再生可能エネルギー固定価格買い取り法案についてです。

 原案については、先ほどの修正案の提案理由説明として述べたとおり、基本的に評価しております。

 三党修正案については、買い取り価格の決定について国会の関与及びキャップを設定しなかった点などは評価しますが、事実上三党だけの密室協議が先行したことは重大な問題であることを指摘しておきます。

 みんなの党の修正案は、優先接続の強化など見るべき点もありますが、発送電分離などについては時間をかけた国民的議論と合意が必要と考えます。

 次に、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案についてです。

 本法案は、再生可能エネルギーの買い取りコストを賦課金としての電気料金に転嫁する仕組みが盛り込まれたことを受け、その料金引き上げを大臣認可ではなく届け出のみで認めるものです。これには、以下の理由から賛成できません。

 反対理由の第一は、本法案が、買い取り法案の賦課金制度に限定せず、他の法律による外生的、固定的要因による料金引き上げを単に届け出のみで認める仕組みを創設していることです。

 公共料金であり社会的インフラである電気料金について、届け出制度の範囲を拡大していくあり方は、料金認可制度を形骸化するもので、慎重でなければなりません。本法案は、外生的要因を口実に、電力会社にコスト低減努力を何ら求めず、需要家に対しては一方的なコスト負担を求めるものです。

 再生可能エネルギーの積極的な買い取りは、電力会社にとっては火力発電コストの低減のメリットを与えます。これは、総括原価の圧縮要因ですから、本来は電気料金の引き下げとして使用者に還元されるべきものです。電源開発促進税など外生的、固定的な原発コストを含めブラックボックスとも呼ばれる総括原価にメスを入れないまま、届け出方式を拡大することは容認できません。

 反対理由の第二は、届け出による料金引き上げを電気料金のみならずガス料金にまで導入しようとしていることです。

 再生可能エネルギー電気買い取り法案を奇貨として、何ら関係のないガス事業法にまで同様の仕組みを盛り込むことは、便乗改悪であり賛成できません。

 再生可能エネルギーに注目すれば、日本は世界有数の資源国であり、各地の潜在能力に応じた再生可能エネルギーの爆発的普及を進め、地域に雇用と所得を生むことで、地域経済の内発的発展の道を切り開きながら、地域独占と総括原価方式に守られた電力供給のあり方そのものに検討を加えるべきであることを指摘して、討論といたします。

田中委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党を代表して、みんなの党提出の修正案に賛成、みんなの党の修正案が否決された場合には、民主、自民、公明三党提出の修正案に賛成の立場から討論を行います。

 みんなの党は、再生可能エネルギー推進、脱原発の立場であり、みんなの党提出修正案の趣旨は、先ほど趣旨説明で御説明したとおりですので、繰り返しません。

 一方、民主、自民、公明三党提出の修正案では、送電網への接続義務強化、発電と送電の分離等、電力供給体制そのものを見直す改革には十分踏み込んでおらず、不十分であると認識をしております。

 また、政府原案はともかく、三党提出の修正案に関しては、十分な質疑時間がとれず、審議が不十分と感じる点も残るものの、みんなの党提出の修正案が否決された場合には、再生可能エネルギー推進のため、次善の策として三党提出の修正案に賛成します。

 なお、共産党提出の修正案については、納得できる点も多々ありますが、総合的に判断し、反対させていただきます。

 以上で討論を終わります。

田中委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案及びこれに対する各修正案について採決いたします。

 まず、山内康一君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、吉井英勝君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、後藤斎君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、ただいま議決いたしました電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案に対し、後藤斎君外三名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。谷畑孝君。

谷畑委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について遺漏なきを期すべきである。

 一 再生可能エネルギー発電設備については、太陽光にあっては屋根用及び地上用(大規模・小規模)、風力にあっては洋上及び陸上など様々な形態があることに鑑み、エネルギーの種別、設備の規模等の設備の様々な態様に応じた調達価格の設定を行うこと。

 二 本法の施行前より既存の設備を用いて再生可能エネルギー電気を供給する者が、本法施行後においても安定的な供給を継続することができるよう、新規参入者との公平性に配慮しつつ、必要な措置を講ずること。

 三 電気事業者が、第五条第一項各号に基づいて特定供給者との接続を拒んだ場合においては、その理由について十分な説明をしなければならないものとすること。

 四 再生可能エネルギー発電設備については、有害物質により人の健康に係る被害が生ずることのないよう、また、長期間にわたりその安全性等が確保されるよう、品質保証がなされていること、メンテナンス契約が締結されていることその他の厳格な基準を設けること。

 五 太陽光パネル等の再生可能エネルギー発電設備については、これらの耐用年数経過後において大量の廃棄物の発生を防ぐ観点から、設備のリサイクルシステム構築等、早急に必要な措置を講ずること。

 六 第十七条に規定する賦課金に係る特別措置に従い、費用負担調整機関が電気事業者に対し交付金を交付するために必要となる費用の財源に関しては、本法の施行の状況等を勘案し、電源開発促進税を充てること等についても検討すること。

 七 賦課金の負担が、中小企業及び低所得者に対して過重なものとならないよう、省エネに係る補助金等を活用する等、必要な措置を講ずること。

 八 再生可能エネルギー発電設備を用いた発電への参入促進が図られるよう、再生可能エネルギー発電設備を用いた者の利便性の向上を図るため、土地利用、建築物等に関する規制に係る手続きの簡素化及び対応窓口を一本化する等の措置を講ずるとともに、ADRの制度化を含めた関係者の権利調整のための措置について検討すること。

 九 住宅用の太陽光発電設備の一層の普及を図るため、更なる支援策を検討すること。

 十 地域活性化を図る観点から、地域の特性を生かした再生可能エネルギー電気(バイオマス、水力等)の供給が促進されるよう必要な措置を講ずること。

 十一 国民の再生可能エネルギー発電設備への投資が促進されるよう、市民ファンド等の設立を支援すること。

 十二 エネルギーの安定的かつ適切な供給を確保するとともに、再生可能エネルギー源を変換して得られる電気の利用に伴う電気の使用者の負担を軽減するため、発送配電の分離、東西周波数の統一、総括原価方式の見直し等の措置も含め、幅広く検討を進めること。

 十三 再生可能エネルギー電気の利用の拡大が促進されるよう、スマートグリッドの構築、蓄電池等の省エネ技術の開発及びその普及、高圧高容量直流送電線の整備等に向けて官民の役割分担、協力体制の構築等、必要な措置を講ずるよう努めること。

 十四 東日本大震災により著しい被害を受けた地域において、同震災の発生後この法律の施行前に、電気の供給力の強化に資するように開始された再生可能エネルギー電気の供給については、適切な配慮を行うものとすること。

 十五 附則第九条に定める政令については、被災者生活再建支援法、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律等に基づく支援の考え方を踏まえつつ、東日本大震災による被災者の支援のために適切かつ実施可能な範囲を設定するものとすること。

 十六 再生可能エネルギー発電設備の早期の導入促進を図るため、税制上の措置等を速やかに検討すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、海江田経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。海江田経済産業大臣。

海江田国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、これら法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十二分散会


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