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第4号 平成23年12月2日(金曜日)

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平成二十三年十二月二日(金曜日)

    午前九時五十五分開議

 出席委員

   委員長 吉田おさむ君

   理事 石関 貴史君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中山 義活君

   理事 渡辺浩一郎君 理事 梶山 弘志君

   理事 菅原 一秀君 理事 佐藤 茂樹君

      井戸まさえ君    大畠 章宏君

      金子 健一君    川口  博君

      木村たけつか君    北神 圭朗君

      櫛渕 万里君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    平  智之君

      高松 和夫君    中後  淳君

      花咲 宏基君    平山 泰朗君

      藤田 大助君    松岡 広隆君

      山本 剛正君    湯原 俊二君

      渡辺 義彦君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

      谷畑  孝君    長島 忠美君

      西野あきら君    額賀福志郎君

      江田 康幸君    吉井 英勝君

      山内 康一君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          厚木  進君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月二日

 辞任         補欠選任

  加藤  学君     金子 健一君

  山崎  誠君     湯原 俊二君

  西村 康稔君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     加藤  学君

  湯原 俊二君     山崎  誠君

  長島 忠美君     西村 康稔君

    ―――――――――――――

十二月二日

 原発からの速やかな撤退に関する請願(吉井英勝君紹介)(第四〇一号)

 原発からの速やかな撤退で原発ゼロに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四〇二号)

 同(笠井亮君紹介)(第四〇三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四〇四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四〇五号)

 同(志位和夫君紹介)(第四〇六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四〇八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四〇九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四一〇号)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、原発推進政策の抜本見直しと持続可能な自然エネルギーへの転換に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四一一号)

 同(笠井亮君紹介)(第四一二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四一三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四一四号)

 同(志位和夫君紹介)(第四一五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四一六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四一七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四一八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四一九号)

 原発からの撤退を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第四二〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四二一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四八六号)

 同(笠井亮君紹介)(第五三七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五三八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五三九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五四〇号)

 原発からの撤退を決断しエネルギー政策の転換に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四四二号)

 同(笠井亮君紹介)(第四四三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四四四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第四四六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四四七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四四八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四四九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四五〇号)

 業者婦人の実態調査を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第四五一号)

 同(小野寺五典君紹介)(第五二〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五二一号)

 同(古賀誠君紹介)(第五三六号)

 エネルギー政策を転換し原発ゼロに関する請願(笠井亮君紹介)(第五〇八号)

 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第五〇九号)

 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第五一〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五一一号)

 同(笠井亮君紹介)(第五一二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五一三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五一四号)

 同(志位和夫君紹介)(第五一五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五一六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五一七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五一八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五一九号)

 同(笠井亮君紹介)(第五四一号)

 原子力依存のエネルギー政策を転換することに関する請願(笠井亮君紹介)(第五三五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法案(内閣提出、第百七十七回国会閣法第二六号)


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 第百七十七回国会、内閣提出、特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。枝野経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

枝野国務大臣 特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 近年、アジア各国では、グローバル企業誘致のため、税制面を初めとする各種支援措置の強化に取り組んでおり、世界的な企業誘致競争が激化しています。

 こうした中、我が国においては、グローバル企業の新規立地が減少する一方で、グローバル企業の撤退が相次いでおり、仮にこのような事態を放置すれば、我が国の産業競争力の低下や雇用の減少が進展し、我が国はアジア地域における国際的な事業活動拠点としての地位を喪失することとなります。

 このため、グローバル企業が我が国に会社を設立して行う新たな研究開発事業や統括事業に対する支援措置を講ずることにより、グローバル企業の研究開発拠点と、いわゆるアジア本社を我が国に呼び込み、新たな事業の創出や就業機会の増大を図るため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、主務大臣が、グローバル企業が我が国に会社を設立して行う新たな研究開発事業及び統括事業の促進の意義等を示した基本方針を策定いたします。

 第二に、この基本方針に基づいて、主務大臣は、グローバル企業が作成する研究開発事業計画及び統括事業計画を認定し、課税の特例、特許料の軽減、外国為替及び外国貿易法の特例等の支援措置を講じます。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、政府参考人として経済産業省貿易経済協力局長厚木進君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。藤田大助君。

藤田(大)委員 おはようございます。民主党の藤田大助でございます。

 きょうは、貴重な質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 アジアの拠点化法案に関連しての質問ということになりますけれども、やはりその背景には、円高、空洞化対策、こういったものがあるというふうに考えております。

 昨日、ある企業の方とお話をさせていただきました。今の空洞化というのは非常に怖いんだ、生産ラインが丸ごと海外に出ていってしまう、この日本に設備投資がなくなる、あるいは雇用も失われる、そういう意味では非常に深刻な状況になってきているというふうに認識していいかというふうに思います。

 第三次補正予算の成立であるとか第四次補正の指示がなされている、こういういろいろな動きの中で、経済産業省として、円高、空洞化に対する危機意識、その考え方、対応についてお伺いしたいと思います。これも本当にいろいろなところでお話しいただいていることだと思いますけれども、この法律を成立させていくということに当たってお伺いできればと思います。よろしくお願いします。

枝野国務大臣 昨今の円高の進行というものは、景気の下振れのリスクであり、また産業空洞化のリスクであります。それも、今御指摘いただいたとおり、本当にそれは根本的な問題を生じつつある大きなリスクであるという危機感を持って対応をさせていただいているところでございます。

 これに対しては、そうした円高の状況等によって厳しい状況に置かれておられる皆さんのまず目の前の経営をしっかりと支えるという守りの側面と、そして、日本の潜在力を生かしてしっかりと打って出る攻めの政策と両面が重要だというふうに思っております。

 特に、この痛みというものを最小化する、また、できるだけ早く円高の状況を是正していくことが必要だと思いますが、同時に円高のメリットがある部分については最大限生かす、まずはこの当面の措置というものを充実させていきたいということで、政府全体としては、十月二十一日に円高への総合的対応策を閣議決定しているところでございます。

 その中で特に、具体的に申し上げますと、企業の工場や研究開発施設に対する国内立地補助金を抜本的に拡充いたしました。三千三百億円、三次補正等で積んでおります。それから、自己資本が毀損をした中堅企業等の資本充実策、これには六十二億三千万円を積んでおります。円高メリットを活用したという意味では、資源確保の支援策を八十億円積んでいるなど、さまざまな手段による対策を講じているところでございます。

 これに加えて、今回お願いをしております法案を成立させていただき、グローバル企業をこの円高の状況の中でも日本で活動するということに引っ張り込むことによって、日本の強みを生かしてこの円高による空洞化を乗り越えていくということにつなげてまいりたいというふうに思っております。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 まさにおっしゃられますように、国内立地補助金などを初めさまざま御説明いただきましたような政策を一つ一つ総動員して対応していく必要があるというふうに私自身も思っていますし、これはかなりきめ細やかなところまでいかないといけない大変な作業ですけれども、これこそまさに政治の責任としてやっていかなければならないというふうに感じております。

 そこで、このアジア拠点化法案についてなんですけれども、これは二〇〇九年の夏の政権交代後、初の成長戦略として策定された「新成長戦略 「元気な日本」復活のシナリオ」、これに二十一の国家プロジェクトを選定して、その中のアジア拠点化の推進を具体化しようというものだというふうに思います。

 ただ、この閣議決定自体が二〇一〇年の六月ということもあって、まさにことしは、三月十一日の東日本大震災、欧州の経済危機であるとか、先ほども御説明いただきましたように非常に厳しい円高ということでございますので、刻々と経済の状況も移り変わって、厳しい状況も生まれてきているということでございます。

 このような状況を踏まえて、本法案の意義について改めて説明いただければというふうに思います。

枝野国務大臣 確かに、この間特に急激な円高の進行などさまざま産業をめぐる環境の変化がありまして、それに迅速に対応しなければならない、そういう側面があるのは間違いございません。また、三・一一もいろいろな意味で我が国の経済に影響を与えております。

 ただ、一方で、日本がこれからこの円高を乗り越えて、そして空洞化を防ぎ、しっかりと国内の雇用や産業を維持、育てていくという観点に立ったときに、やはりグローバル企業の、特に研究やあるいはいわゆるアジア本社機能を日本にできるだけ持ってくる、このアジアにおける各国間の競争にしっかり打ちかっていくということは、共通の基盤として重要であることは全く変わりがないだろうというふうに思っております。

 特に、例えば三・一一の大震災と原発事故は、日本の経済に大きな打撃も与えましたし、また現に被災地域の皆さんは今なお大変厳しい状況の中で御苦労をいただいていて、これに対しては大変申しわけないと思っています。さらに復興に向けて努力をしていかなきゃならないと思っておりますが、例えばあのときに心配をされたサプライチェーンの寸断という問題については、当時、官房長官という立場で心配をしていた状況よりも大変急速に復旧を遂げて、これについてはやはり国際的にも高い評価をいただいているというふうに思っております。あるいはまた、震災あるいは原発事故による放射能の問題等がありながらも、広い意味でのジャパン・ブランドに対する各国の評価というのはやはり高いものがあると思っております。

 そうした客観的な状況を踏まえれば、研究拠点やアジア本社機能をできるならば日本に置きたいというグローバル企業は少なからずある。ただ、そうした皆さんが日本に来る動機づけをしっかりとさせていくということが重要であると思っておりまして、この法律案を通していただくと、認定事業者に対しての法人税の所得控除など、さまざまな支援策でグローバル企業を呼び込む動機づけというものは大きく図れるのではないか。

 そうしますと、研究拠点であれ、あるいはアジア本社機能であれ、そこで生じる雇用にとどまらず、そこから波及をする周辺地域の活性化や雇用に与える影響、周辺地域の経済に与える影響というのは大変大きなものがあると思っておりますので、ぜひそうした意義を御理解いただいて、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 わかりやすく説明していただけたのではないかなというふうに感じております。ぜひ、こういったことを、後ほども質問させていただく予定なんですけれども、売り込んでいく説明をいろいろ国民やあるいは海外にしっかりとしていただければというふうに思います。

 本法律案により、まさに先ほど大臣おっしゃられましたように、我が国をアジアの経済、技術、人材の拠点にすることで、今後目指すべき我が国の経済成長や力強い産業構造をどのようにつくり上げていくか、そこをしっかり説明していただきたいというふうに思います。

 また、地域に波及というようなことを先ほどおっしゃられましたけれども、地域の経済という視点で少し質問をさせていただきたいと思います。

 減税等の支援措置によりグローバル企業の研究開発拠点やアジア本社を呼び込もうというような一つの大きな方向性でこれから国が、ほかの施策もあると思うんですけれども、この法律案で目指していくということなんですけれども、例えば私が暮らす三重県なんかでも、外資系の企業の県内投資へ力を入れていこうということで大きく取り組みを始めているところでございます。

 フランスの断熱材大手の企業が三重県の津市に工場を設ける、そういう決定をしたというような動きもありますし、ほかの地域でもそういった事例はあると思いますし、これから一層、自治体とかの取り組みあるいは地域の取り組みでそういったことも生まれてくるというふうに思います。

 本法律案で、研究開発拠点やアジア本社というのは、どちらかというと首都圏や大都市圏も含めた特定の地域に集約をさせることを想定しているようにも思えるんです。集約自体は非常に大切なことだと思いますけれども、一方で、この経済効果を特定の地域だけではなく日本全国にできるだけ広く波及させることも必要ではないかというふうに私自身は考えております。

 こうした自治体における独自の取り組みも含めて、この法律案の支援措置や自治体との連携、特に自治体の動きなんかも含めて、日本全体としてどのようにこういった誘致をしていくのかということ、呼び込んでいくのかということをお伺いしたいと思います。政府の見解をお伺いしたいと思います。

北神大臣政務官 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、今一番厳しいのはやはり地方だと思いますし、円高でも、地方の特に中小企業なんかが非常に困難に直面をしている。今回の法律案も、できるだけそういった地方に波及させないといけないというふうに思っております。

 当然、今おっしゃったフランスの企業もそうでしょうけれども、そういう多国籍企業が地方に立地をされれば、雇用にもつながりますし、技術の移転とかあるいは現地の企業との提携によっていろいろな可能性が開けてくる。こういった意味で、地方にもこの法案は非常に重要なものだというふうに思っています。先生がおっしゃった特に三重県なんかは、ワンストップサービスとか企業立地補助を独自にやっておられます。

 今後、この法案を通させていただければ、国としても、例えばジェトロなんかを通じて外資系の企業に、こういう都道府県はこういう優遇措置をしていますよ、こういったことも案内をさせていただきますし、また逆に、地方自治体とも連携をして、このグローバル企業は潜在的にこういうことを考えている、そういう投資案件なんかについても伝達をさせていただいたり、そういった連携をすることはできます。

 これは、この法律案だけじゃなくて、年内にアジア拠点化・対日投資促進プログラムというものを取りまとめますが、法律に規定されているもの以外に、今申し上げたような地方自治体との連携とかそういったものもしっかり盛り込んで、地域の活力そして雇用につなげていきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 北神政務官がおっしゃられましたように、本当にいろいろな面で技術を持っている中小企業もいますし、いろいろな形で連携できる、あるいは技術の移転などさまざまな可能性も出てくると思いますので、先ほどおっしゃっていただきましたけれども、ぜひ自治体との連携を大切にしていただいて、地域の動きにも注意していただきたいと思います。

 あわせて、これは要望なんですけれども、例えば地方都市なんかでは企業誘致とかをしたいというニーズはありますけれども、いろいろなところでハードルが高いところがありますので、ぜひそういった意味では敷居を低くして、相談体制とかいろいろな、先ほどの連携ではないですけれども、広く。特定の地域がぱっと思い浮かべば、この地域かなというようなことが大体想定されるんですけれども、全国ではいろいろなところにそういうニーズがある、そのハードルを下げていただくことができればなというふうに要望させていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 経済産業省は、アジア本社及び研究開発拠点を呼び込むことの効果について、両拠点を年間三十社誘致することを目標としています。経済効果は年間で八百七十五億円程度、雇用創出効果は直接雇用が二千で年間六千四百というような目標を掲げていると思うんですけれども、この目標となる三十社について、なぜ三十社になったのかという理由をお伺いしたいと思います。

 また、三十社を誘致することによりこれだけの波及効果が生じるというのは、数字だけ見てもなかなかわかりにくいところがありますので、具体的に、想定どおりこの効果を波及させていくためには、先ほども、一つの政策だけではなしにさまざまなものを組み合わせてというような趣旨の話だったと思うんですけれども、この効果を達成させていくためには何が必要なのかということをお伺いしたいと思います。

厚木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生から御指摘がありましたように、現在、年三十社の誘致目標を掲げておりますが、我が国やアジア新興国における研究開発拠点や統括拠点の直近の立地動向等を踏まえまして、この目標を掲げさせていただいているところでございます。

 なお、これまで、環境、エネルギー、医療といった成長が見込まれる分野を中心に、新規投資を行う可能性の高いグローバル企業に対しまして、立地補助金や本法案によるインセンティブ等の支援措置を提示して個別に働きかけを実施しております。その中で、既に一定数の企業がインセンティブを踏まえまして日本への投資に関心を示してきております。そういう意味で、この三十社という誘致目標は、ある程度そういった誘致の状況を踏まえたものになっているということでございます。

 それから、効果の方でございますけれども、三十社の前提のもとに、一定の仮定のもとに試算をしたものでございまして、直接的には約二千人程度の雇用が見込まれます。これは過去の平均的な外資系グローバル企業の雇用人数等をもとに試算したものでございますけれども、そのほかにも、拠点の設立により新たな設備投資や研究開発投資が行われることが見込まれますので、国内企業に対するその波及効果というものを試算いたしまして、それで約四千四百人程度の雇用が期待される。本法案によって、合わせまして合計六千四百人程度の新たな雇用が創出されることが期待されているということでございます。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたような、既に日本への投資に関心を示している企業もございますので、こうした企業を着実に誘致することで数値目標を達成していきたいと考えておりますが、その際にはやはり、先ほど北神政務官の方からもお答え申し上げましたけれども、関係省庁、地方公共団体等と密接に連携して、事業者の手続面での利便性を向上させるワンストップでの対応とか、あるいはアジア拠点化推進法案及び総合特区法等の各種支援措置をパッケージで提示して、その魅力を提示することによって、こうした国内投資を促進してまいりたいと考えております。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 まさに、おっしゃられましたような手続の利便性とかパッケージ、そういったことが売りになって日本の魅力にもつながってくるというふうに思います。

 なぜ三十社というような質問をさせていただいたかといいますと、もう皆さん御存じのように、外資系の企業の日本への新規参入というのは減少傾向にあるわけです。例えば二〇〇九年は、新規参入が八十二社、撤退が百六十四社と、撤退企業の方がかなり多いわけであります。

 そんな中、最終的には、大きな目標として、この法律案のみならず、北神政務官がおっしゃられましたように、いろいろなところでこういったところを支援していかなければならないということですけれども、例えば意欲的な目標をもう少し掲げていく、そういったことも今後議論は必要かというふうに思います。

 あわせて、既存企業の事業環境を、国でそういう生産活動であるとか事業活動をする上で、本当に魅力あるものにしていくことで、国内企業の流出なんかも防ぐことにもつながってくるというふうに思いますので、まさに言われた、総合的なパッケージというか、万全のアフターケアであるとか、ニーズにとことんこたえていくとか、そういったことも含めて、これは日本の強みだと思いますので、ぜひ取り組みを強化していただきたいというふうに思います。

 そういう中にあって、この法律案では、法人税の軽減措置、例えば五年間二〇%の所得控除とか、いろいろな優遇措置もしています。

 一方で、韓国やシンガポールなんかは、法人税の水準がもとより低い中で、戦略分野を設けて、ターゲットを絞って減免措置をやっていくとか、あるいは外国人の高度な技術者なんかに大胆な優遇措置をするなどの熾烈な国際競争をしているというふうに私は認識しているんですけれども、こういったあたりも総合的なものの一つとして、やはりこういったところは柱になる一つなので、ここのあたりもぜひ今後検討をしていく必要があるのではないかなというふうに思います。

 そのほか、人件費とかコストも高いので、先ほどおっしゃられたような総合的な支援策というのは必要だと思うんですけれども、さらに日本は、大臣がおっしゃられましたように、東日本大震災により災害リスクであるとか原発問題、それはこれまでの対応の中で評価もされているところはあるというふうなお話でしたけれども、一方でやはりそういったものもあるわけでございますので、これをどう乗り越えていくかというのが重要な課題になってくると思います。そういう意味では、アジアの拠点化を目指していく上では、一層の取り組みをしていただきたいと思います。

 もう一つ、次に、先ほどもちょっと触れていただいたんですけれども、総合特区とか復興特区とかの違いがどのようになっているのかとか、あるいはそれをどのように説明していくのかということは非常に重要だというふうに思っています。

 同じように、法人税の減税措置であるとかそういったこともしていますので、そのあたりをしっかり交通整理するなり融合するなりして説明をしていただきたいと思いますけれども、改めてそのあたりのことについてお伺いできればと思います。

厚木政府参考人 お答え申し上げます。

 本アジア拠点化推進法案に基づく、あるいはそのもとの税制につきましては、特定の地域に限らず、グローバル企業が企業の立地に際して有効な優遇措置を、研究開発拠点とそれからアジア地域拠点という機能に着目して、それに限定して講じるものでございます。それに対しまして、総合特区法とかあるいは復興特区法案等につきましては、限定された地域に対して規制の特例や支援措置等をパッケージ化して実施するものでございます。

 我々からすると、そうしたアジア拠点化推進をしていくためには、そういった地域ごとの環境整備とグローバル企業の高付加価値拠点の立地促進というものをあわせて講じて相乗効果を発揮していくことが重要ではないかと考えております。

 ちなみに、韓国でも、高度な地域技術を伴う事業に支援措置を講じる制度と、経済自由区域等を指定しましてその中で支援措置を講じる制度が存在しております。

 そういった措置をあわせて講じる中で、関係省庁、地域公共団体との密接な連携ということが重要になってまいりますので、先ほども申し上げましたけれども、事業者の手続面での利便性の向上等、あるいはお互いに情報を共有していくというようなことを行うことによって、アジア拠点化の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 最後の質問になりますけれども、空洞化を食いとめていくには、この法律案、そしてそれに関連した諸施策の組み合わせが必要だと思います。最初の方にも申し上げましたように、非常にきめ細やかな対応を求められるので、行政としても非常に大変なところもあると思います。

 その中で、きょうは地域であるとかあるいは総合的にやっていくんだということを御説明いただいて、非常にしっかりと力強い決意を感じたところなんですけれども、先ほども北神政務官がおっしゃられたような中小企業という視点から、それと東日本大震災を受けて以降の地域のニーズというものも含めて、少し質問させていただきたいというふうに思います。

 東日本大震災発災後は、我々、例えば地域であるとか地域経済の中で、今まで以上に、防災であるとか減災であるとか、事業経営のことを考えていかなければならなくなりました。

 例えば、地域の中小企業が津波や自然災害により被害を受けたときに、これまで培ってきた技術がなくなってしまわないのか、あるいは地場の産業は地域に根差して活動していますから、同じ地域で比較的安全な場所に生産ラインなどの一部を移転したいとか、そういうニーズが出てきております。そういう意味では、そういった中小企業のリスク分散とか災害対応に対するニーズに対応していく必要があるのではないかというふうに、私は地域の中で企業の方々と対話していると感じるところがあるんです。

 例えば、BCPの策定を中小企業がやろうと思ってもなかなかできない。そんな中で、経済産業省や自治体、地域の経済団体が協力してできないのか。あるいは、東海・東南海・南海地震の三連動というものを想定した場合、大きな移動はなくても、ハザードマップとかでわかるので、やはり今までよりも安全なところで企業活動を行いたいというようなニーズがあります。

 これはリアルな問題だと思いますので、そういう視点からぜひ経済産業省の支援策のあり方をお伺いできればというふうに思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、災害、これは自然災害だけではなく、例えば感染症などもあり得ます。こういったものは、本当に天災は忘れたころにやってくるという世界です。

 今回の東日本大震災で、こうしたものに対して、特に中小企業が乗り越えて事業を継続していくということの困難さと重要性ということが共有を今されているときだと思いますので、こうした機会に、御指摘いただいた事業継続計画、いわゆるBCPなどをしっかりと中小企業でもつくっていただく。

 これに向けては、経済産業省でも中小企業BCP策定運用指針を策定して、これに基づいて容易に策定ができるようにホームページ上での様式やサンプル等の公表をしているところでございますし、また職員を各種団体のBCPセミナーに派遣する等の普及支援を行っているところでございます。

 また、実際にこうして策定したBCPに基づいて施設の建て直しや移転などを含む防災施設等の整備を行う場合には、低利融資制度を設けているところでございます。

 まさに、みんながこうした問題の重要性を共有している時期が重要だと思いますので、さらにこれを強化できないかどうか、検討してまいりたいと思います。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 力強いお言葉をいただいて、これからの活動をぜひ私どもも頑張って支援していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

吉田委員長 次回は、来る七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時二十七分散会


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