衆議院

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第4号 平成24年3月21日(水曜日)

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平成二十四年三月二十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中山 義活君

   理事 石関 貴史君 理事 稲富 修二君

   理事 川口  博君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 梶山 弘志君

   理事 菅原 一秀君 理事 佐藤 茂樹君

      井戸まさえ君    加藤  学君

      勝又恒一郎君    川村秀三郎君

      木村たけつか君    北神 圭朗君

      櫛渕 万里君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    空本 誠喜君

      平  智之君    高野  守君

      高橋 昭一君    高松 和夫君

      中根 康浩君    花咲 宏基君

      平山 泰朗君    藤田 大助君

      牧野 聖修君    松岡 広隆君

      宮崎 岳志君    山本 剛正君

      近藤三津枝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    谷畑  孝君

      西野あきら君    西村 康稔君

      額賀福志郎君    江田 康幸君

      吉井 英勝君    中後  淳君

      山内 康一君    園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   政府参考人

   (内閣府地域活性化推進室次長)          黒岩  理君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           宮本  聡君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            佐々木伸彦君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十一日

 辞任         補欠選任

  大畠 章宏君     空本 誠喜君

  山崎  誠君     川村秀三郎君

  山本 剛正君     宮崎 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  川村秀三郎君     勝又恒一郎君

  空本 誠喜君     大畠 章宏君

  宮崎 岳志君     山本 剛正君

同日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     高橋 昭一君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋 昭一君     山崎  誠君

    ―――――――――――――

三月十九日

 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三八〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第三八一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三八二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三八三号)

 同(志位和夫君紹介)(第三八四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三八五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三八六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三八七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三八八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四六七号)

 原発からの速やかな撤退で原発ゼロに関する請願(笠井亮君紹介)(第三八九号)

 同(志位和夫君紹介)(第三九〇号)

 原発からの撤退を決断し、エネルギー政策の転換を求めることに関する請願(北村誠吾君紹介)(第三九一号)

 同(重野安正君紹介)(第三九二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三九三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三九四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三九五号)

 原発からの撤退を決断しエネルギー政策の転換に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三九六号)

 同(笠井亮君紹介)(第三九七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三九八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三九九号)

 同(志位和夫君紹介)(第四〇〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四〇二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四〇三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四〇四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四六八号)

 同(笠井亮君紹介)(第四六九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四七〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四七一号)

 同(志位和夫君紹介)(第四七二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四七三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四七四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四七五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四七六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四九八号)

 同(笠井亮君紹介)(第四九九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五〇〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第五〇一号)

 同(志位和夫君紹介)(第五〇二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五〇三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五〇四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五〇五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五〇六号)

 原発からの撤退を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四〇五号)

 同(笠井亮君紹介)(第四〇六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四〇七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四〇八号)

 同(志位和夫君紹介)(第四〇九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四一〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四一一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四一二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四一三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四七七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四七八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四七九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四八一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四八二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四八三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五〇七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五〇八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五〇九号)

 原発のない暮らしを求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第四一四号)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、原発推進政策の抜本見直しと持続可能な自然エネルギーへの転換に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四一五号)

 同(笠井亮君紹介)(第四一六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四一七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四一八号)

 同(志位和夫君紹介)(第四一九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四二〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四二一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四二二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四二三号)

 業者婦人の実態調査を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四六五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地域活性化推進室次長黒岩理君、経済産業省大臣官房審議官宮本聡君、経済産業省通商政策局長佐々木伸彦君、経済産業省製造産業局長上田隆之君及び資源エネルギー庁長官高原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘(慶)委員 きょうは、お時間をいただきまして、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案について質問をさせていただくわけであります。

 万葉集をいつも読んで始めるわけですが、車という字を書いた万葉集があるのかなということを調べましたら、一つありました。季節感はないんですけれども、せっかくですから、やはり車の歌を歌って始めたいと思っております。

 これは、多分荷車みたいなものなんでしょうけれども、それに恋草という恋の草をいっぱいいっぱい積んで積んで、とにかくあなたが好きで仕方がない、こんな歌でございまして、朝から済みませんが、よろしくお願いいたします。

  恋草を力車に七車積みて恋ふらく我が心から

 ちなみに、巻四の六百九十四番でありました。

 では、よろしくお願いいたします。

 それでは、まず法律の改正の背景、そして法律の技術的な問題について前半お伺いをした後、後半でその他の問題についても幾つかお伺いしていきたいと思います。前半はかなり局長さんの手を煩わすようですが、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、この自転車競技法、小型自動車競走法、それぞれ昭和二十三年、昭和二十五年と、かなり長い間施行されてきている法律であります。ですから、競輪の方が六十四年間、オートレースの方が六十二年間、こういうことではないかと思います。

 この間、いろいろな変遷があるということで、今回も施行者の皆さんとのいろいろな相談のもとに改正案が練られている、これは理解しております。そういった意味での、最近の変化というところについてまずお伺いしたいわけです。

 こういった事業の収益、これは地方公共団体の財政にも寄与するわけですが、一方、機械振興とか体育事業その他公益増進目的ということで、広く国の産業や福祉の発展のためにも使われているわけであります。そのための、いわゆる機械振興目的の第一号交付金、また体育事業その他公益増進目的の第二号交付金、言ってみればこれを事業者が中央団体へ納付するわけですが、この交付金がどのように推移しているか、最盛期の額、また近年の状況、そしてこの改正をするとそれがどうなるかということについて、まず最初にお伺いいたします。

上田政府参考人 交付金の最盛期、近年の状況等々に関するお尋ねでございます。

 まず、第一号交付金でございますが、その額のピーク時は平成三年度で、第一号交付金は約三百三十億円でございました。第二号交付金も同じく平成三年度で、約三百四十億円でございまして、合計は当時六百七十億円ございました。直近の実績では、平成二十二年度のデータがございますが、第一号交付金は三十三億円、第二号交付金は七十四億円、合計は百七億円ということでございまして、六百七十億円から百七億円に減った、こういう状況でございます。

 今回の改正案に伴う金額でございますが、今回の改正案は、御案内のとおり、交付金率の引き下げ、それから赤字施行者に対しまして、一、二号交付金は実質取らない制度を導入する等々がございます。そういったことを平成二十二年度の実績をベースに若干の試算をしてみたところ、この第一号並びに第二号交付金の合計額は、約二十六億円減少いたしまして約八十八億円となる見通しでございます。

橘(慶)委員 私、実は通告は自転車と小型自動車競走を分けていましたけれども、確認ですが、今の数字は自転車の方でしょうか、それとも小型自動車も含めてでしょうか。

上田政府参考人 今の数字は、自転車競技に係るものでございます。

橘(慶)委員 済みません、それでは、今度はオートレースの方もお願いいたします。

上田政府参考人 オートレースの方でございますが、同じような関係で申し上げますと、第一号交付金、第二号交付金の額のピークは平成三年度でございまして、第一号交付金が五十九億円、第二号交付金は六十一億円、合計が百二十億円でございました。直近の実績の平成二十二年度では、第一号交付金は約八億円、第二号交付金は約六億円で、合計は十四億円でございました。

 今回の改正案によりまして、小型自動車競走につきましても競輪と同様の改正がなされるわけでございますが、これを平成二十二年度のベースで試算してみますと、第一号交付金並びに第二号交付金の合計額は、二億円減少し、約十四億円程度となる見通しでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 最盛期から比べて、どちらも六分の一からさらに十分の一ぐらいになってまいりまして、そうなると、事業の中央側といいますか、交付を受けた側でのお金の使い方もかなり変えていかなきゃいけない、その仕組みも変えていかなきゃいけない。また一面、事業として、存続というか、その意義ということについても非常に見詰めていかなきゃいけないということではないかと思います。

 そこで、今局長からお話のありました第一号、第二号交付金、それこそ六十年近くこういう制度で進めてまいりまして、そのことによりまして、機械振興あるいは体育事業その他公益増進ということでどのような成果があったのかということについて、一度、振り返りということでお願いしたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 競輪並びにオート、この両競技に係る第一号交付金、これは機械振興目的、第二号交付金、公益増進目的でございますが、その成果のお尋ねでございます。

 まず、機械工業の振興補助事業におきましては、例えば都道府県の公設試験研究所の設備導入を行ってまいりました。過去六年間で二百五十八の研究所、五百八十六の機器に対する補助を実施いたしておりました。

 二番目に、二十三年度から、大学等の研究者の機械関係の研究に対する一件百万円から三百万円程度の補助を創設いたしまして、八十八件の補助を実施し、研究者の育成を図ってきている等々の成果を、例示でございますが、挙げられると思います。

 また、公益事業の振興の補助事業に関しましては、過去六年間で、福祉車両を千四百五十八台、検診車両を百七十五台、これに対する補助を実施しております。さらに、過去六年間で、児童養護、高齢者、障害者対応施設等二百五十六施設の補助を実施いたしました。さらに、各種の自転車競技やイベントの開催に対する補助、あるいは盲導犬、介助犬の補助犬育成に関する補助、障害者スポーツの振興に対する補助等々、さまざまな成果を上げているものと考えております。

 なお、平成二十三年度におきましては、緊急措置ということで、東日本大震災の復興支援を行うということで、被災地での支援拠点づくりや被災地の復興活動に対しまして、五十五件、約一億五千万円近くの補助を実施しているところでございます。

橘(慶)委員 これはやはり、時代の流れによって金額的にはかなり減少は見たものの、その中でまた今できることをいろいろと取り組んでおられる、今お伺いしながら、このように認識したわけであります。

 次は、事業の施行者の方でありますけれども、自転車競技また小型自動車競走それぞれにつきまして、施行する団体について、最盛期また現状の数字ということを一応確認させていただきます。

上田政府参考人 施行団体の数についてのお尋ねでございます。

 まず、競輪でございますけれども、この施行者数、最盛期は昭和二十九年と昭和三十三年度でございましたが、百四十一の施行者がございました。直近の施行者数は、平成二十三年度で四十七となっているところでございます。

 オートレースの方につきましては、最盛期は平成十九年度までの八施行者でございました。直近は、平成二十三年度の七施行者でございます。

橘(慶)委員 言ってみれば、競輪の方が三分の一ぐらいになり、オートレースの方は大体横ばいでありますが、減ってきている、こういうことであります。

 交付金の額、当然それは、言ってみれば、レース場へ来られて皆さんお金を使われる、その全体の額も非常に減っているということもあります。そんな意味では、この制度が導入された昭和二十年代のころの世の中の事情、そしてそれが今日的な事情、かなり変遷はしていると思っております。

 その中で、もともとどういう目的で両制度が導入をされ、それが今日的にはどのような意義があるのかということについて、まず確認をさせていただきたいと思います。

上田政府参考人 制度の導入時における趣旨、目的等々に関するお尋ねでございます。

 まず、制度の創設の当時でございますが、競輪につきましては、戦後の復興期におきまして、競輪、オートレースの事業収益を、一つは地方財政の増収並びにもう一つは自転車の振興、こういうことに充てる目的といたしまして昭和二十三年に設立されました。オートレースの方もほぼ同様なことで、地方財政の増収と、もう一つは小型自動車の振興、この二つを目的といたしまして昭和二十五年に設立されたものでございます。

 その後、昭和二十九年の法改正におきまして、両法とも、振興の対象が、自転車、小型自動車といった狭い領域から機械工業全体に範囲が拡大をされました。したがって、当時におきましては、機械工業と地方財政の増収ということが目的でございました。

 さらに、昭和三十七年に、売り上げの一部を福祉事業あるいはスポーツ、文教関係等にも充当すべきであるという御指摘を踏まえまして、競輪、オートレースともに、体育事業その他の公益の増進ということが法目的に追加され、現在に至っているわけでございます。

 こういうことで、法律の制定以降、時代の要請に応じまして法目的は拡充されておりまして、現在では、申し上げました、地方財政の健全化、それから機械工業の振興、それから公益の増進、この三つがこの制度の目的になっているわけでございます。

 以上です。

橘(慶)委員 基本的に、こういった種類のものを法体系の中では原則は禁止しながら、しかし、そういった特殊な目的のあるものについて、宝くじであったり、競馬であったり、競輪、オートレースであったり、競艇であったりということで認めていく、そのためには、今局長から御答弁があったようなさまざまな公益的な目的ということが、言ってみればそういったことを許す理由になっているわけであります。

 その中で、地方財政の問題については施行者の方が考えていく問題であり、そしてまた、機械工業の振興や福祉、スポーツ目的への公益の増進ができるかどうか、これはだんだん金額的に小さくなってくるわけですから、そこは効率的に進めることができるできないということを左右するのではないか、このように思うわけであります。

 そこで、法に入る前に、そのことについて幾つか御質問させていただくわけですが、まず、競輪場あるいはオートレース場への来場者、いらっしゃるお客さんのことなんですけれども、産業構造審議会の小委員会の報告によれば、競輪場の来場者数というのは、平成三年度、先ほどから出ているピークの二千七百四十五万人から二十二年度には五百三十五万人でほぼ五分の一、来られる方々の平均年齢は四十九・八歳から五十七・〇歳ということで、約半数は六十歳代、こういうことになってきているわけであります。

 そういう中で、来られる方々が高齢化し、また減少していく中で、もちろん、こういう交付金の一部赤字団体については還付をする、こういうことになるわけですが、事業の施行自体において活性化方策というのをどのようにお考えになっているのか、まず一つお伺いをいたします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、競輪の来場者数は大幅に減少をしております。また、顧客の高齢化も進んでいるという状況にございます。したがいまして、新規顧客、特に若者や女性客などの確保というものが非常に重要な課題だと考えております。

 今回の法改正は、赤字施行者に対して交付金を返す等、交付金の改革を行うとともに、できるだけ事業者の自由度を増して競輪の活性化を行いやすくしていただくということを目的としておるわけでございますが、さらに、その具体的な活性化方策といたしましては、実は、昨年の九月以来、競輪でいえば競輪最高会議というものができております。これは、施行者、それからJKA、あるいは選手等々の関係者のトップが集まりまして、競輪の活性化策につきまして検討を実施いただいているということでございます。

 こういった議論の中で、例えば若い世代のサラリーマンをターゲットにしたミッドナイト競輪、これは夜間に競輪を実施するという事業でございます。あるいは、車立てを九車から七車に減らしまして的中率を向上させるとともに、距離を二千二十五メートルから千六百メートルに短縮いたしましてスピーディーなレース展開をするということによりまして、顧客の関心を高めていく七車立てレースの導入、あるいは女子競輪、ファッション性やスポーツ性ということも追求してみたいと思いますが、そういったものの実施等々、こういった新規顧客の獲得、売り上げの回復を目指した取り組みが行われつつあるところでございます。

橘(慶)委員 確かに、いろいろな広告活動においても、競輪という文字を漢字ではなくて最近はアルファベットで書かれたり、ロゴマークをつくったり、いろいろな工夫もされている。それだけいろいろな工夫をして進めて、何とかつないでいきたいということではありますけれども、施行者の方が黒字になってこないと地方財政も潤しませんし、ここがやはり今回の改正との兼ね合いで、言ってみれば決め手になってくる部分もあると思っております。

 これもまたデータをいただきますと、自転車競技で見れば、平成二十二年度の赤字施行者が十五団体、そのうち大津市が二十三年度は撤退ということでありますけれども、そんな意味では今十四団体になっているんでしょうけれども、施行団体として一つ確認は、やはり赤字が続くということであれば、先ほどおっしゃった地方財政を潤すということがないわけでありますから、赤字が定着するようなことであればやはり撤退するしかないんじゃないかという感じがするということが一点であります。

 それを防ぐために、本改正によって当然収支をよくしていく。もちろん、今局長から御答弁があったいろいろな施策は打っていくとしても、やはり今の還付金とかいろいろな形で収支を合わせていくということについて、どれくらいまでこの改正で改善するということを見通しておられるのか。

 この二点について、あわせてお伺いをしたいと思います。

上田政府参考人 お答えいたします。

 施行者収支の改善、あるいはむしろ撤退すべきではないかという御指摘かと思いますが、この施行者収支の改善というものは基本的には施行者御自身の御努力ということによるところでございまして、今回の交付金の制度改革はそのための環境の整備という位置づけになります。

 その効果でございます。

 直近といいますか、数字がございます平成二十二年度の売上高、これが競輪の場合六千三百五十億円ございます。これと収支の実績ということを前提に試算をしてみますと、まず交付金率を実質的に約二・一%から一・九%に引き下げるということ、それから赤字施行者に対して赤字相当額の交付金を還付させていただくということ、こういうことによりまして、全施行者の営業活動収支は約二十六億円程度改善する見込みでございます。これを施行者全体でならした実質的な交付金率というものは、二・一%から約一・七%程度に下がるものと試算しております。その結果、赤字施行者の数でございますが、平成二十二年度、十五施行者ございました。そのうち大津市が撤退いたしましたが、それを除きまして、この試算を前提にいたしますと、赤字施行者は約三施行者程度に減少するものと考えております。

 それから、撤退ということでございますけれども、こういった努力を施行者がした上で、なおさまざまな活性化努力をして収支が改善しないという場合には撤退ということも当然視野に入ってくると思いますが、これにつきましては、競輪場の雇用あるいは地域経済への影響ということもございますので、最終的には施行者が、あるいは地方自治体ということの中で御判断をいただくことだと考えております。

橘(慶)委員 私も、近隣の施行者の方にちょっとお伺いをしていますと、やはり黒字であれば、可能であれば続けていきたい、そういう思いが今局長さんのおっしゃった地域事情も含めてあるようであります。

 そんな意味では、今回、今ほど御答弁のあった、例えば競輪でいえば十四団体から三団体まで赤字の施行者が減るという当初のもくろみといいますか、当初の思いがどういうふうに実現していくかということをこれからある意味で注目していかなきゃいけないということではないかと思っております。

 そして、今度は逆に、この交付金の受け側としての、第一号、第二号交付金を使っていろいろな事業を進めている中央団体でありますが、これも、これまで逐次、この金額が減っていく中で、言ってみればスリム化あるいは統合、いろいろな努力をされてきて今JKAという形になっているというふうに伺っております。

 しかし、先ほど局長さんから御答弁があったように、言ってみればさらに交付金が減る。となりますと、やはりさらに運営の面においては、要は施策目的の方にお金をより充てていかなければいけないという意味においては、スリム化とか、できるだけ経営の工夫ということが必要になると思います。

 この辺、どういう努力をされていく決意であるのか、ここを確認させておいていただきたいと思います。

上田政府参考人 JKAの経費削減努力に関するお尋ねでございますが、おっしゃるとおりでございまして、売り上げが減少する中で、JKAにつきましても一層の経費削減努力を私どもお願いしているところでございます。

 具体的には、既に、例えば役員給与の引き下げ、役員数の削減、職員定期昇給の停止、こういったことによりまして、年間約一億円の人件費の削減を実施しております。

 これに加えまして、公用車、二台ございますが、これを廃止する、随意契約比率の引き下げ等による経費削減、加えまして、企業年金制度を平成二十三年十二月末で廃止をいたすということで、掛金約三・五億円の削減ということを予定しております。

 さらに、今後、新規採用の凍結、組織のスリム化ということを実施いたしまして、今後五年間で、これに加えまして、さらに五から一〇%程度の人件費の削減というものを予定しており、そういうことを強くお願いさせていただいているところでございます。

橘(慶)委員 この点はやはり、目的の補助の方のお金ができるだけ回るようにぜひよろしくお願いをしたい、このように思いますし、お聞きした最後の二つのところは、今後、法の施行状況ということでまた見詰めさせていただきたいと思うわけであります。

 そこで、法改正の内容について、若干技術的な質問を幾つか、確認を含めてさせていただきたいと思います。

 この法改正の内容ということで、法第七条第二項が削除になりまして、今まで、競輪の施行者間の開催の日取り等の調整ということを経済産業大臣ができる、指示権限をお持ちであったわけですが、これをなくすわけであります。

 まず、その趣旨の確認から始めます。

上田政府参考人 この法律におきまして、競輪施行者間の開催の日取り調整に関する経済産業大臣の指示権限というものがございます。これを今回の改正案では廃止をさせていただくということを考えております。

 実は、この開催の日取り調整というものに関する経産大臣の指示権限でございますけれども、昭和二十七年の制度創設時におきましては、施行者の数に比べまして、競輪場あるいはオートレース場の数が非常に不足をしていたということから、混乱を防ぐために、そこを経産大臣が調整するという形で導入されたものであると承知しております。

 しかしながら、現状におきましては、施行者の数に比して、競輪場、オートレース場はもう既に十分な数が整備をされておりまして、近年ではむしろ、全ての施行者において開催実績が経産大臣が告示で定める下限に張りついた状況になっている、あるいは下限をわずかに上回る程度の状況になっているところでございます。

 したがいまして、開催の日取り調整につきましては、これまでも施行者間で円滑に行われている、仮にこの指示権限を廃止したとしても大きな問題を生ずることはないと考えております。

 加えまして、今回、法律改正の全体的な考え方、つまり、施行者の自主的な事業運営を一層促していくという観点も加味いたしまして、日取り調整に関する指示権限を廃止することといたしたものでございます。

橘(慶)委員 ここはやはり、施行者の数が減ったということでその必要がなくなったということで伺いました。

 次に、法第八条第三項の新設によりまして、電磁的記録をもって車券の作成を可能とした、要は、インターネット的なところで申し込みができるようにした、そういう改正であります。

 しかし、お伺いしているところでは、既にこういったことは競輪の場合は実施をされていて、今回はあえて規定を明確にしたというような話も聞いておるわけです。実は、総務委員会でちょっと宝くじ法の審議もあったんですけれども、こちらの方は、明示しないとインターネットで販売できないと言われて、今回明示するという話があったんですが、その辺を含めて、一応趣旨を確認しておきたいと思います。

上田政府参考人 この法律に基づきまして、電磁的記録に記録された情報を車券に表示された記載とみなすという法律改正をいたしております。

 この趣旨でございますが、既に、御存じのとおり、平成十四年ごろからインターネットを活用した車券の販売というのを行っておりまして、その割合は増加しているところでございます。

 車券の販売は、本来、施行者がみずから行うか、その委託を受けた者だけが行うという規定になっておりまして、自転車競技法及び小型自動車競走法では、これまで電磁的記録を利用した販売形態について明示的な規定がなかったという中で、実態が先行していたというところでございます。

 これを確認する意味で、電磁的な記録についても車券に含まれるということを明示することにさせていただきましたが、これによりまして、確認的な規定ではございましたが、第三者が、電磁的記録、つまりインターネットによる車券は必ずしも施行者あるいはその委託を受けた者だけに限る必要がなかろうということで、違法な車券販売類似行為を防ぐということをその目的としておるところでございます。

橘(慶)委員 今回、宝くじ、競馬、言ってみればいろいろな競技関係のものをまとめてあるものですから、何かその辺で調整をとられたのかなという思いもあるんですけれども、これは後から大臣にお伺いするとして、法第十七条の改正によりまして、先ほどから出ておりますように、赤字の施行者については翌年度に交付金が還付されるということになるわけであります。

 そこで、一応これは確認といいますか、施行者側としての心配は、翌年そのお金が戻ってきたらそれを収入とみなされて、逆に、言ってみれば、次の交付金の計算のときはそれは収入だよと言われてしまうとこれはおもしろくない、一回一回清算ということで、次の年はそれは抜きで、またその年の実績で見てほしいという声があるわけですが、ここはどういうふうに運用されるのか確認をいたします。

上田政府参考人 今の点は、委員御指摘のとおりでございます。今回、赤字施行者に対する還付制度を導入するということにしたわけでございますが、赤字かどうかということは、それぞれの年度におきましてその直近の経営成績で判断をさせていただきます。仮に赤字になった場合に、そのお金の赤字相当額を上限といたしまして、その分を翌年度にお返しさせていただくわけでございますが、これは翌年度の経営成績には反映しないという仕組みを考えております。

橘(慶)委員 そこはぜひ、施行規則等でよろしくお願いしたいと思います。

 それから、法第五十五条の二及び法第五十五条の三の新設ということで、関係者に競輪、オートレースの活性化に資する方策を共同して検討、実施するよう努力義務が課されまして、また、経済産業大臣は必要に応じてそういったことに助言ができる、こういうシステムになるわけであります。

 どちらかというと努力規定ではありますけれども、関係者は具体的にどのように取り組むお考えであるのか、そして経済産業大臣はどのように助言をされるのか、それの想定されているところを伺います。

上田政府参考人 今回の法律におきましては、関係者の連携規定並びにこれに対します経済産業大臣の助言規定というものの創設、そういうことを予定させていただいておるわけでございます。

 今回の法律改正は、御案内のとおり、できる限り事業者、施行者の自由度を高めるという一方で、競輪の活性化策につきましては関係者の連携をむしろ促していくということを目的とするものでございます。そういったことを国としても後押しをしていき、国としても取り組みを促していくという目的でございます。

 実際上は、先ほど申し上げましたけれども、去年の九月以来、競輪の場合は競輪最高会議というものが創設されております。この中で、施行者の方、JKAの方、選手の方等のトップの方がお集まりいただきまして、競輪の活性化策を検討、実施しておりまして、例えばミッドナイト競輪あるいは七車立てレースの導入、女子競輪等々につきまして、さまざまな活性化策が具体化しようというところでございます。業界におかれましても、こういった動きをぜひ加速させていきたいということをお考えのようでございます。私どもも、この動きをぜひ促進してまいりたいと考えているところでございます。

 経産大臣はこれに対してももちろん必要最小限の助言を行うこととしておりますが、具体的には、安全あるいは公正な競技実施と、できる限り活性化策が両立していただくようにするといったこと、あるいは赤字施行者が収支改善を達成するための助言といったこともあろうかと思います。

 いずれにいたしましても、関係者間の努力を前提といたしまして、これに対しまして国が必要な最低限の助言を行わせていただくということがこの法改正の趣旨でございます。

橘(慶)委員 ここの分は、この仕組みによって、先ほど出ておりました開催の仕方をいろいろ魅力のあるものに高める、そして施行者の赤字の団体を減らす、そういうことにつながっていくということではないかと思います。

 技術的な質問は最後になります。これで技術的な質問は終わりになりますが、法第五十五条の四の新設によりまして、本法の経済産業大臣の権限を省令によって一部経済産業局長、ブロック局長に委任できることとされております。その趣旨、委任を想定している内容について確認をいたします。

上田政府参考人 今回の法改正によりまして、本法の経済産業大臣の権限を、省令によって、これは地方の経済産業局長という意味でございますが、経済産業局長に委任できるということとしております。具体的に想定しておりますのは、場外車券売り場の設置許可、あるいはこれに関連する監督権限というものを想定しております。

 御案内のとおり、場外車券売り場の設置ということは地域社会との調整が十分に行われるということが非常に重要な事項の一つでございまして、これらの権限につきましては、地域社会の実情をより的確に把握し、地域社会に対してより迅速かつ適切に対応することができるという観点から、むしろ地方の局長に委任することが適当であるという考え方から、こういう改正に至ったものでございます。

橘(慶)委員 局長にはずっと御答弁をいただきまして、ありがとうございました。ここまでであります。

 そこで、今回、競輪、オートレースのほかに、農林水産委員会では競馬関係、また総務委員会では先ほど申し上げたとおり宝くじ関係ということで、それぞれそういった同種のものについて改正が行われる。目的はどれも魅力向上ということが大体あったわけでありますが、内閣としてシンクロナイズしているわけです。

 何か統一的にそういったことについて取り組んでおられるのか、あるいはそれぞれ個々の事情があるのか、これは大臣にお伺いしておいた方がいいと思いますので、一応確認させていただきます。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、競馬でありますとか宝くじも若干類似点がある。そういった意味では、少なくとも、特に今回、競馬所管の農水省、それから競艇所管の国交省とは十分な意見交換を行った上で法案を提出しているところでございますし、今後も、宝くじを含めて、できるだけ統一的に物事が進められるところはした方がいいだろうとは思っております。

 ただ、その一方で、それぞれの事業、施行の状況とか、さまざま違いもございますので、そういった意味では、それぞれを所管する各省がきちっと責任を持ちながら現場、実態に対応した政策を進めていく、一方でしっかりと横の連絡もとっていく、こういう姿勢でやってまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 そんな意味では、宝くじの方は、当せん金の倍率が最大二・五倍に引き上げられる。要は、当たるともっとたくさんもらえるというような、言ってみれば、射幸性を少しあおると言ったら失礼ですけれども、どちらかといえば魅力をアップするという改正であります。

 こちらの競技法の改正の方は、法十二条の改正によりまして、逆に、的中者に対する払い戻し率の下限を七五%から七〇%に引き下げる。要は、施行者側の取り分が二五%から上限三〇%になるということで、的中した場合の戻し金といいますか当たり金というのが逆に減るという、言ってみれば、宝くじとは反対の方向の改正に一部、方向性としてはなるわけであります。

 この点、先ほど大臣おっしゃるように、それぞれの競技の事業の性格ということがあるわけでありますが、この点で何か対策を考えておられるのか、ここはまた局長さんにお伺いいたします。

上田政府参考人 払い戻し率の下限を引き下げるということでございますが、払い戻し率は現状約七五%、これは売り上げの七五%でございます。売り上げは、先ほど申し上げましたように、競輪の場合、例えば六千三百億円でございますが、その一%というのは約六十億円になります。五%だと三百億円でございますか、そういったお金になるわけでございます。結構大きなお金が出てくるわけでございます。

 そういう意味では、払い戻し率を下げていくということは、確かに顧客に対する競輪の魅力を損なうという側面があると考えておりますが、他方で、施行者が実際に払い戻し率を引き下げれば、施設の整備や、あるいはファンサービス充実のための余裕資金というのが生まれるわけであります。そういう意味では、この払い戻し率の規定はもろ刃の剣というものかと思います。

 政府といたしましては、これは払い戻し率に下限を定めているわけでございまして、実際にどのような払い戻し率を御提起いただくかということは、今申し上げましたようなもろ刃の剣の中で、ファンサービスに必要なお金を確保するのか、あるいはむしろ逆に払い戻し率は下げないことにより顧客離れを防いでいくのかといったことのバランスにつきましては、施行者の御判断を尊重しながら進めていくということかと思います。

 先ほど申し上げました、施行者の方々におかれましては、ミッドナイト競輪、女子競輪等々のさまざまな活性化策を実施しながら、こういった払い戻し率についても具体的な御検討をいただくことになると考えております。

橘(慶)委員 これで一応、法のお話の全体を伺いました。

 少し自転車について、周辺のことをお伺いしていきたいと思います。

 自転車ということでもう一度振り返ってみますと、過去四十年近く、余り価格も変動していない。私なども、中学校は自転車通学でしたので、自転車を買ってもらったときのその価格からすると、今は逆に、子供に自転車を買っても、前よりも、自分が買ってもらったときよりも、実際金額的に安いくらいの状態であります。

 我が国の自転車産業というのは、現状どうなっているのか。初めは自転車産業の振興で始まった競輪事業でもあったわけでありますが、現状についてお伺いしておきたいと思います。

上田政府参考人 自転車産業の現状の御質問でございますが、自転車産業の現状につきましては、平成二十三年の国内向けの自転車販売台数は約一千五十五万台でございます。このうち、約九割に相当いたします九百四十五万台は中国、台湾等からの輸入品でございまして、残りの一割が、これは百十万台でございますが、国内生産となっているわけでございます。実際上は、付加価値の高い電動アシスト自転車などといったものが国内で主に製造をされているわけでございます。

 国内向けの販売台数でございますが、ここ数年、減少傾向で推移をしておりましたけれども、最近の自転車ブームということもございまして、平成二十三年は、むしろ、前年比の一一・六%増しの増加となり、四年ぶりに一千万台を超えた、こういう状況でございます。

橘(慶)委員 この辺は、本当にさま変わりしたなという感じはするんです。

 ここで、大臣も大体私と同世代でありますから、多少思いもあるのかななんて思ったりしまして、自転車産業に対する考え方ということで結構ですが、一応お伺いしておきたいと思います。

枝野国務大臣 私は、自転車に対する思いというと、ちょうど逆に、中学校のときに、学校からの距離で、ここから内側は歩いてこい、ここから外側は自転車でオーケーという、実は境目ぎりぎりのところで自転車通学が許されない範囲で、夏休みの部活動なんかのときだけ自転車で行けて、大変うれしかったことを覚えております。

 今思うと、高校は自転車通学で、逆に言うと、単なる移動手段ということを超えて、健康にもいい。たまたま、私の大学の同級生なんかが、最近、自転車ブームになっていまして、健康のために土日にサイクリングに出かけるとか、そんな話をいろいろ聞いたりしていまして、本当は私もやらなきゃいけないなと思っているんです。

 恐らく、これからの日本の自転車産業ということでは、単なる移動の手段ということを超えて、健康増進であるとか、それから先ほど局長が御説明したかと思いますが、電動つきの、補助動力つきのというような高付加価値の分野であるとか、こういったところでは十分に日本の自転車産業がこれからも生きていけるというか、戦っていける余地はあるのではないかというふうに思っておりまして、そうした個性をしっかりと育てていくようなことを、業界とも相談をして、促していきたいというふうに思います。

橘(慶)委員 ちょっと隣からお話がありましたように、私どもの総裁もサイクルスポーツはかなり力を入れるところであります。

 今ほど大臣からもお話があった健康面ということ、それからまちづくりあるいは環境対策、いろいろな用途が自転車には期待されるわけであります。

 そこで、二つ、順番にお伺いしていきます。

 一つは、健康づくりということについては、先ほど交付金の中にも体育事業の振興ということもありました。そういった成果を含めて、経済産業省の自転車に対する取り組みについてお伺いをいたします。

上田政府参考人 自転車産業の振興というものは、まさに私どもも一つの政策課題であると思っておりますが、今回の法改正との関係で申し上げれば、JKAの補助事業におきまして、公益増進事業ということで、サイクルスポーツあるいは自転車のロードレースの大会あるいは交通マナーの啓発、こういったことに関しまして、補助あるいは支援というものを行っているところでございます。

 例えば、具体的に申し上げれば、日本最大の自転車のロードレース、ツアー・オブ・ジャパンというのがございますが、こういったものに対する補助制度、さらに北海道では、豊かな自然を生かしましたツール・ド・北海道といった事業がございます。これは、秋の北海道を舞台に四日間開催されるものでございます。このツール・ド・北海道に対する補助、こういったことを実施させていただいているところでございます。

橘(慶)委員 ツール・ド・北海道の話もしていただきました。ツール・ド・フランスから学んでされたということでありますけれども、ぜひ、そういった健康づくりとか、あるいはそういうものを見てみんなが盛り上がるということも大変大事だと思います。よろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ、まちづくり、観光振興の観点ということでは、中心市街地活性化計画あたりへの位置づけもいろいろ出ているんじゃないかと思うんですが、ここだけは、済みません、内閣府にお願いしないといけないようでありまして、内閣府の方からお答えいただきたいと思います。

黒岩政府参考人 中心市街地の活性化に関する法律に基づく中心市街地活性化基本計画につきましては、現在、百五の自治体が百八の計画を策定して、認定されております。

 御指摘の自転車に着目した事業でございますけれども、そのうち六十九の計画に百六十七の事業が記載されております。その内訳でございますけれども、駐輪場を整備する事業が六十、レンタサイクル事業が五十二、それから自転車道を整備する事業が三十七、その他が十八となっております。

橘(慶)委員 やはり町中で生かしていくための駐輪スペースであったり、それから最近はレンタサイクルというようなことも盛んでありましょうし、また観光客がそういうのを利用していくということもあったり、町中の活性化に自転車を生かせる、こういうことではないかと思います。ぜひまた、そういったものも経済産業省としても応援をいただきたい。できれば、内閣府が来なくても答えていただけるのが理想だと私は思っておりますが、よろしくお願いします。

 次は、せっかくオートレースでありまして、これは実際は二輪車だということなんですが、一応軽自動車ということにいたしまして、TPPの問題で一つだけ確認しておきたいと思います。

 この参加協議に関連して、たしかパブリックコメントだったと思いますが、年初にアメリカの大手自動車メーカーが日本独自の規格の撤廃を一旦主張され、二月に入って取り下げたというふうに報道で伺っております。

 事実関係を確認させていただくとともに、この日本独自の規格についての経済産業省の考え方を確認させてください。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の報道については承知しております。

 すなわち、一月十三日に締め切られましたアメリカ政府の官報告示に応じまして、アメリカの自動車業界、AAPCという団体でございますけれども、ここから、軽自動車規格に対する特別な待遇は廃止すべきであるという意見があったようでございます。他方、同じAAPCが二月一日付でこの団体のホームページ上に掲載したコメントにおきましては、軽自動車に関する当該文言は削除されているというふうに承知しております。

 この背景については必ずしも承知しておりませんけれども、本件に関する米国政府の立場は、この業界団体の意見を踏まえて現在検討されているところと理解しております。

 今後、アメリカを含む関係国との協議を進めていく中で、個別の二国間の懸案事項への対応を求められる可能性は否定できませんけれども、その場合におきましても、我が国としては、何が対応可能か、何が対応困難かを明確にしながら、あくまで個別に対応していくという考えでございます。

橘(慶)委員 わかりました。

 一応ちょっと確認ですけれども、そういう意味においては、やはり日本特有の事情からして、そういう軽自動車の日本の規格というものは当然日本として大事だから、それはそういう主張をされていくという意味でとってよろしいんでしょうか。

佐々木政府参考人 あくまで先方がどのように言ってくるのかということを踏まえながら、検討してまいりたいと思います。

橘(慶)委員 一つ一つの問題については、いろいろ情報提供をいただきながら、また一緒に議論していきたいと思います。

 最後に、残された時間で、可能な限り東日本大震災関連の、特に原子力発電所、電力関係の話を聞ける限り聞いておきたいと思います。

 高原長官、ありがとうございます。

 まず、交付国債ということで五兆円の規模で用意されているわけですけれども、五千五百八十七億円が十一月に東京電力に原賠機構を通じて交付されておりまして、保険に係る一千二百億円と合わせて、六千七百八十七億円の支払い原資がまずあるわけであります。当面、賠償金の支払いに支障がないのか。

 また、本年二月三日に緊急特別事業計画というのが原賠機構で定められまして、ここでは、損害賠償履行資金として、二十四年度までに一兆五千八百三億円余、これは先ほどの五千五百八十七億円を除いて、交付国債の償還により交付するということにされているわけであります。

 この辺、どのように進められるのか、今年度の再交付はあるのか、確認をさせてください。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 東京電力によります賠償の支払いの支援のための、支援機構から東京電力に対する資金交付でございますけれども、賠償支払いの進捗を踏まえ、必要と見込まれる時期に必要な額を交付することといたしております。

 委員御指摘のとおり、これまで、原賠法に基づく損害賠償の措置額、これは千二百億円でございますけれども、これと合わせまして六千七百八十七億円の資金交付がなされておりますけれども、現在の賠償の支払い額は、三月の十九日現在、これはおとといでございますけれども、四千六百八十二億円となってございます。

 賠償の支払いにつきまして、今後、例えば自主避難の方々にかかわる損害賠償の支払いが進むと見込まれることから、近いうちにまた追加の交付をさせていただく予定でございます。

 以上でございます。

橘(慶)委員 これはやはり切れ目なくということで、また年度内にも場合によっては交付ということで理解をいたしました。

 こちらの方は、交付をした原資は全部エネルギー特会の方で一旦借り入れということで起こして、それを東京電力初め電力会社の皆さんでこれをまた埋めていくという形で、交付国債としても、これは形がはっきりしているものだと思っております。

 中長期ロードマップのことですけれども、ステップ2の完了に伴いまして、原発事故の収束に向けての中長期ロードマップ、昨年の十二月二十一日に作成されたわけであります。今度は、半年とか一年ということではなくてかなり長期間にわたる、言ってみれば原子力発電所の根本的な収束に向けての息の長い取り組みだと思いますが、まず、当面、何が重要課題で、何に力を入れていこうとしているのか、これをお伺いしておきたいと思います。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年末に決定をされました中長期のロードマップでは、ステップ2の完了から二年以内の使用済みの燃料プール内の燃料の取り出しの開始、そしてステップ2の完了から十年以内の燃料デブリ、これは溶融した燃料でございますけれども、この取り出し開始、ステップ2の完了から三十年から四十年の間での廃止措置の終了を主要な時期的な目標といたしております。

 特に、これらの時期的な目標の達成に向けましては、重要なポイントを申し上げますと、プラントの安定状態の維持のための対策、作業される方々の安全の確保に向けた体制の整備あるいは除染の実施。そして、使用済み燃料の取り出しのための、原子炉建屋上部の瓦れきがございますが瓦れきを撤去する。そして、燃料デブリ取り出しのための遠隔技術等の国内外の英知を結集いたしました研究開発の要請がございます。こういったものの推進などが、今後の重要な課題になっているというふうに考えています。

 以上でございます。

橘(慶)委員 そうなってまいりますと、やはり現場がどういう状況にあるのか、そして作業をしやすくするという意味では、やはり瓦れきをどかして、そして中の状況がはっきりわかる、そしてアクセスできるようにするということが非常に大事だと思っていまして、一日一日の大変気の長い作業ではありますが、ぜひここはよろしくお願いしたいと思います。

 あわせて、そうなってきた場合には、この震災からもう一年以上がたちまして、時間はだんだん経過していく中で、報道としてはだんだん、言ってみれば一部小さくなってくる部分もありますけれども、逆にまた、一面、そうであるからこそ、中長期ロードマップの進捗状況については定期的に情報公開をされ続けていくということが、やはり透明化といいますか、皆さんに理解をしていただくという意味では非常に大事なことではないかと思います。

 二月二十七日にも発表されたことは伺っているんですが、当面、どういうスパンでそういう定期的な情報公開をされていくのか、確認をさせてください。

高原政府参考人 現在、この中長期ロードマップの進捗状況につきましては、政府・東京電力中長期対策会議のもとにございます運営会議というところで、これまでの進捗あるいはスケジュールの確認等々をしているわけでございますけれども、この運営会議は月に一回の頻度で開催いたしております。会議終了後には、速やかに資料を経産省のホームページに掲載するほかに、東京と現地で、皆様に対するブリーフィングをさせていただいております。

 また、テレビ会議システムを利用いたしました地元自治体へのブリーフィング、これは大体運営会議があった日、大体午前中にさせていただいているんですけれども、午後、直ちにテレビ会議のシステムを利用いたしまして、地元自治体へのブリーフィングをさせていただき、さらに、地元の自治体の市町村長の皆様方に対する御説明も定期的に行っているところでございます。

 いずれにしても、御指摘を踏まえて、一生懸命わかりやすい情報の公開に努めていきたいというふうに考えています。

 以上でございます。

橘(慶)委員 どうかよろしくお願いいたします。

 最後に、大臣に一問だけなんですが、この一問は本当は深くて、やり始めるといろいろ多岐にわたるんでしょうけれども、簡単にお伺いしていきたいと思います。

 この夏の電力需給対策ということについて、どこかで基本的な考え方を決めなきゃいけない、それがあって初めて、ではどういうふうな対策をとるのかということが決まってくるということであります。そして、どうあれ、生活、産業に迷惑はかけられないし、計画停電もされないというふうに伺っております。

 これは確認なのでありますけれども、計画停電あるいは産業、生活に影響するような節電要請はされないというふうに理解していることの確認とあわせて、いつごろ、この基本的な考え方といいますか、姿勢というものが打ち出されるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 この夏の需給ですが、電力使用制限令は出したくない。出さないで済む可能性は十分にあるというところまで申し上げています。

 それから、計画停電について、これもできればやりたくないというところまで申し上げておりますが、やらないで済むかどうかということは、まさに今、需給についての見通しをしっかり立てるというプロセスの中で、できればやりたくないという思いの中で進めています。

 ここは、私自身、率直に申しまして、今まだ時期を迷っております。というのは、早ければ早いほど需給の見通しは未確定要素が多く、遅ければ遅いほど対応にとれる時間が少なくなるということで、その兼ね合いの中でどの時期に整理をして、特に具体的な対策をお願いしていくのかということ、その時期について今詰めの検討をしておりまして、今申し上げた二つの要素の兼ね合いを勘案しながら判断したいというふうに思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 この時期、段取りをぜひよろしくお願いしたいと思います。

 政権全体としては、瓦れきの処理の国民へのお願い、それから福島の、帰れなくなるであろう方々への説得、そしてまた、今のいわゆる計画停電しない、する、あるいは原子力発電所、そういったもの、幾つも大きな要請を国民にされていかなきゃいけない。これのタイミングを失すると、全て、ある時期になれば問題が行き詰まってしまうという大変大事な局面にあると思っております。ぜひそこは段取りをつけていただくということを、特にこれは御答弁は要らないのでありまして、一言申し述べさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

中山委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 冒頭、橘委員の方から大分細かい、法案に沿った質問がございましたので、重ならない程度に本改正案につきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、私、この法案に関連して、枝野経済産業大臣の政治姿勢について何点かお聞きしたいと思うんです。

 一つは、平成二十二年の十一月の行政刷新会議事業仕分けで、競輪、オートレース等をやっておられるJKAを含め、公営ギャンブル関係事業に関連する団体のことが取り上げられました。そのときに、最終的に、例えばJKA、JRA、また財団法人日本船舶振興会の三団体における天下りの廃止とともに、天下りがある団体に補助金が流れにくい仕組みづくり等が指摘をされました。

 具体的に読ませていただきますと、この十一月の事業仕分けの最後では、「皆さんの意見のとおり、まず一つは、主催団体への天下りはきちっと早期にやめていただく。 二つ目には、助成を受けている団体についても所管官庁からの天下りがいるところは、さすがに来年からすぐやれといってもなかなか難しいとは思いますが、そういったところにお金が流れにくい仕組みと、あるいは段階的にそういったところに流さないという仕組みをつくっていただきたい。 三つ目はそことも若干関連をいたしますが、配分基準を更に明確化して、配分の方法についてもきちっと透明性を持って改善をしていただきたい。」こういうように言われたんです。

 この発言は、実は枝野さん、あなた本人なんですよ。事業仕分けの責任者であるあなたが最後にこういう発言をされたんです。

 それからもう一年半たっております。しかし、現在、JKAには二人の官庁OBが役員として在籍をされております。あなたが言われたように、天下りはきちっと早期にやめていただく、そういうことなら、今すぐにでもこういう方々は当然やめていただいて、天下りを断絶する道というものをきちっと実行されるべきじゃないんでしょうか。経済産業大臣、答弁をいただきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおりの事業仕分けの結果は、私が取りまとめ役で取りまとめたところでございます。

 JKAの役員の中の国家公務員OBは、今御指摘いただいた二名おります。これは、二十三年四月、昨年の四月に役員の改選があって、四名から二名に減少したところでございます。ただ、まだ二人残っているのは確かに事実でございます。

 これについて、いわゆる天下り、ここはいろいろな御批判があるかと思いますが、いわゆる天下りではなくて、いわゆるあっせん等もなく、事業団体において、さまざまな要素、しかも外部の有識者の皆さんに選考にも当たっていただいたというふうに聞いております。とはいいながら、特に監督官庁である経済産業省のOBが複数いるということについては、相当な説明責任が必要だろうというふうに思っております。

 私が就任してからは改選等がございませんが、在任中に改選等があります折に、もし経産省のOBが役員までやるということであれば、それがあっせん等がないことと、それからその人間がどうしても必要だということの説明責任はしっかりと果たさせるように指導したいというふうに思っております。

 それから、補助先の団体については、国家公務員OBの役員が在籍する団体数について、機械振興補助については、二十二年度の補助先団体百二十四のうち六十七が国家公務員OBのいる団体でありました。これが、二十三年度は百六十六団体のうち二十七団体に減っているところでございます。それから、公益増進補助については、二十二年度の補助先五百七十八のうち公務員OBがいる団体が五十七、二十三年度は四百十二団体のうち公務員OBがいるのは四十五でございます。

 そうした意味では、努力はしてきているところでございますし、補助先については、OBがいるということだけですぐにやめるというわけにいかないというのは、これは取りまとめのときにも言っていることだというふうに思っておりまして、少なくとも公務員OBがいるからそこに行っているというような疑いを持たれないように、これについてはさらに厳しくチェックをしてまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 今、後半の部分は、次の質問の部分までもお答えになられたんですけれども。

 まず、大臣、この事業仕分けのときと立場は変わられたんだけれども、事業仕分けの責任者としてされていたその立場であったんだけれども、今は経済産業大臣につかれているわけですね。経済産業大臣の所管の団体からまず見本をしっかりと見せる、そういう姿勢というのがやはり私は必要なんじゃないか。説明責任とかそんなのは後の話であって、まず、天下りはきちっとやめます、そういう宣言をきちっと大臣みずからされて、そして、みずからの経済産業省所管のこういう団体、JKAを初めとした団体についてはきちっとやめる、そういう姿勢を示すべきじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

枝野国務大臣 私自身、いわゆる天下りはやめるべきであると。私、今、経済産業省の所管の大臣でありますので、事業仕分けを担当していたときと同じように、天下りはやめるべきであると。これは国会でも長年御議論いただいておりますが、天下りといった場合に、いわゆる役所があっせんをして、口をきいて、あるいは事実上の口をきいて、指定席のように関連団体のところに役所のOBが行く、そのことによって許認可や予算の点でそこが相対的に有利になるというようなことは、これは私は直ちにやめる必要があるというふうに思っております。

 ただ、一方で、あっせんとか口ききとかということが形式的にも実態的にもない中で、なおかつ、公務員OBがいることで許認可や予算の点で有利になるわけではないということの中で、それぞれの団体の自主的な御判断の中でたまたま役所のOBがいるということを全部やめるということは、天下りは私はやめるべきだと思っていますが、そこまではその範疇ではないだろうと思っております。

 ただ、まさにその境目は外から見えにくいところでございますので、その境目ができるだけ明確になるように、少なくとも役所のOBが経済産業省が直接指導できる団体の役員になる場合については、相当重たい説明責任を果たしていただくことが前提になるというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 私は、この天下りの解釈どうこういうのをここで議論する気は全くないんですけれども、経済産業大臣の権限として、例えばJKAに対する法令上の権限という中に、役員の選任、解任の認可という権限を大臣はお持ちなんですね。だから、少なくとも、外から見ても疑わしい、そう思われるものについては、やはり大臣の権限として、これはだめだ、そういうことを明確に言える権限をお持ちなんだから、そういうことはやはりこれからも実践されるべきではないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

枝野国務大臣 JKAそのものではないんですが、過日、JOGMECの理事長の公募のプロセスがございました。結果的に、経済産業省のOBをJOGMECの理事長に再任することにいたしました。

 率直に申し上げて、公募のプロセスの中において、公募を点数をつけたりして外部の皆さんにやっていただくわけですが、少しぐらいの違いなら、これは大臣の責任で役所のOBじゃない人を採りたい、採るべきだということで、相当細かく見ました。

 やはりいろいろと、実際に審査をいただいた外部の民間の皆様のお話やその評価を伺っても、これは御理解いただけるかと思いますが、JOGMECのいわゆる一種の通商交渉といいますか外交交渉等のさまざまな経験、ノウハウ等が必要であったりというのが、もろもろ考えると、民間で応募をされた方と役所のOBの方とでは物すごく大きな力の差があって、あえて言えば、刷新大臣経験者としてはやむなく、ただ、経産大臣としては日本の資源外交の観点を考えれば適任者であるということで、そのOBの方を再任するということでお願いいたしました。

 したがって、個別のところで、それぞれの団体の経緯、経歴の中で、すぐに外から民間の方でいい方が入っていただけるのか、あるいは、今それに基づいて、先ほどのJOGMECは、少なくとも五年後、十年後には内部昇格であったりとか、公募というプロセスですからなかなか難しいところはあるけれども、民間の方を、いきなり理事長ではなくて、もっと早い段階でJOGMECに入ってきていただいてその方を育てるとか、そういうプロセスは始めようということを省内に指示したところでございます。

 やはり、実際にそれぞれの組織が回っていくプロセスの中では、口きき、あっせんは絶対いけませんけれども、結果的に、当面、役所のOBの方が相対的にしっかりと公益的な仕事をこなしていただく上で欠かせないということを、役所からではなくてそちらの団体の側で判断をしていることについて、全部いきなりゼロにできるかということは難しい部分もあるというのは率直に認めざるを得ないと思っております。そうしたことの中で、例えばJKAについても、そうした判断のもとで昨年の四月に御就任をいただいた。

 今後、果たして本当に役所のOBの方でないとその公的な責任を果たし得るのか得ないのかということについては、厳しい目で見て、余人がかわり得るんだったら、民間の方、役所のOBじゃない方、あるいは内部登用ということを進めていくよう、これは促してまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 ぜひ、国民の厳しい目があるんだということを、大臣はもうよくわかっておられる大臣だと思うので、そこはやはり、経済産業大臣につかれている枝野大臣の時代にこういうシステムに変わったんだ、そういう姿をしっかりと示していただきたいなと思います。

 先ほど二点目の話で答弁されていたんですが、JKAの補助金交付先の中で官庁OBがなお在籍している団体というのが大分減ってきたんだというお話でございます。

 その上で、事業仕分けのときに指摘されていたのは、そういう天下りがいる場合に、そういった団体にお金が流れにくい仕組み、段階的にお金を流さない仕組みをつくっていただきたいということを大臣みずから、そのときには仕分け人として言われていたわけです。天下りがある団体に補助金が流れにくい仕組みづくりとかそういうものが今つくられているのかどうなのか、また、つくられているとしたらいつごろできるのか、ぜひ御答弁いただきたいと思います。

枝野国務大臣 これについては、当時の事業仕分けの天下り以外のところの指摘もございまして、それに基づいて、一つには補助率の明確化をいたしました。従来はこれがなかったということで非常に問題があったわけでありますが、明確化することで補助先にも必ず負担を求めるというルールにしております。

 それから、中抜き事業、内部留保が非常に高い、三〇%を超える団体、それから補助対象の項目としての部屋代とか海外事務所経費等は補助対象から全て排除するということを決めました。

 さらに、補助先の固定化を防ぐということが重要であるという観点で、研究者等を対象とした少額案件補助を創設する等というのは改革が行われたところでございます。

 こうしたことの結果として、先ほど申しましたとおり、役所のOBのいる交付先団体の数が大きく減少しているところでございますが、国会でも改めてこうして御指摘をいただきましたので、JKA、これは外部の有識者を含めて補助先をしっかりと判断していただいておりますので、そうした際には、役所のOBがいるからそこに出ているのではないかという疑いが持たれないように、厳しく審査をするようにということを改めて指示してまいります。

佐藤(茂)委員 今、その後聞こうとしていたことも答弁されたので、ぜひ、私は事業仕分け全体について余り評価していないんですが、この点についてはそれなりの指摘を枝野仕分け人が当時されているなという感じがしたので、言われたからには、あなたが大臣のときにしっかりと、それなりに自分で、言ったことが本当にされているのかどうかというのは、きちっと責任を持ってチェックをしていただきたいな、そのように思うわけであります。

 大きな二点目に、今回の法改正の狙いとも関連するんですけれども、その前の五月の事業仕分けのときに、当時の経済産業省高橋大臣政務官、もう今は政務官じゃありませんが、さらに当時の製造産業局長は、改正前の現行制度において、「交付金率の引き下げではなくて、活性化事業を対象にした還付としたのは、仮に一律に交付金率を引き下げても、競輪施行者の活性化投資を促すことにはつながらないと考えたものでございます。」との趣旨の発言を最初に述べられ、また、仕分け人とのやりとりの中で、何度も同じ趣旨のことを繰り返して発言されていたんですね。

 経済産業省は、少なくとも平成二十二年当時は、交付金率の引き下げではなくて、これでは全然活性化事業にはつながらないんだ、だから交付金率の引き下げではなくて還付にこだわっておられた。そういう認識を何回もこのときには示されていたのに、何ゆえ今回の改正では交付金率の一律の引き下げをされることになったのか。当時とこの改正案の内容というのは、完璧に論理矛盾を起こしているんですけれども、理由を明確に御答弁いただきたいと思います。

上田政府参考人 委員御指摘のとおり、交付金率の引き下げにつきましては、私どもは、事業仕分けの段階でそのような議論をさせていただいていたわけでございます。

 しかしながら、まさにこの事業仕分けの中で御議論をいただきまして、最終的な取りまとめのコメントの中で、自治体の交付金負担そのものを下げることで、自治体、競輪場の負担そのものを下げ、自主的に頑張ってもらった方がいいという御指摘が結論としてあったということ、私ども、こういった結論も踏まえまして、施行者の方々とも、ではどのような仕組みが最も好ましいんだろうかということを相当相談をさせていただいた。

 こういった中で、施行者の収支が悪化していることから、むしろ交付金そのものの交付率を実質的に大幅に削減するということの方が好ましいという御要望をいただいていたこと、また、今回の法律改正では、単に交付金の削減をするだけでなく、御案内のとおり、さまざまな過程で事業者の自由度を拡大して自主的な努力を促させていただくということ等もパッケージで法律改正を想定しているという全体の判断の中で、還付にこだわるということではなくて、むしろ交付金率を思い切って引き下げるということを大臣の御決断としていただいた、こういうことでございます。

佐藤(茂)委員 だから、事業仕分けの意見をいただいたからという程度で本当に変えていいのかということなんですね。

 今回廃止されるけれども、現行制度の特定活性化事業の実施施行者に対する交付金還付制度、これは十九年から五年間されてきたんですね。五年間実施されてきての効果や実効性の検証というものがあって、それで、実態としてやはり余り効果もなかった、そういうこともきちっと示すべきじゃないのか、そういうふうに思うんですけれども、どういうようにこの五年間に実施されてきた効果を検証されているんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

上田政府参考人 特定交付金還付制度の効果や実効性の検証というお話でございます。

 この特定交付金還付制度でございますが、期限を区切って交付金を還付させていただくということによりまして、施行者の事業活性化のための前向きな投資を引き出すということを目的としたものでありまして、平成十九年から二十三年度の五年間で、総額にいたしまして三百七十三億円の交付金を還付させていただきました。

 この制度によりまして、さまざまな効果があったと思います。例えば静岡の競輪場でございますけれども、七百七十五インチの大型映像装置を導入いたしまして、他場で開催している競輪の場外車券発売時においても、迫力のあるレース映像及び実況中継が可能となったといったこと、松山競輪場では、昼間の開催と比べて女性客や若い客層を誘致するためのナイター競輪を開催できるような、ナイターの照明設備の増設を行ったこと、その他さまざまな事業が行われたというふうに考えております。

 そういう意味におきまして、この制度は施行者の積極的な活性化の投資を促すということに一定の効果はあったとは考えております。

 しかしながら、近年の経済状況の悪化とか娯楽の多様化ということによりまして、さまざまな構造的要因から売上高の減少に歯どめをかけるに至らなかったというふうに私ども評価をさせていただきました。

 そういったことを判断した上で、今回のような法律改正に至ったものでございます。

佐藤(茂)委員 だから、今、製造産業局長も言われたように、一定の積極的な投資を促す効果はあったんだ、そういうふうに経済産業省もお認めになっているんですね。

 しかし、今回は、「一律に交付金率を引き下げても、競輪施行者の活性化投資を促すことにはつながらない」と二十二年五月のときに経済産業省の代表者が仕分けの会議で言われていた、まさにこのことについてお聞きしたいんです。

 今回は一律に交付金率を引き下げられるんですね。しかし、制度を変えられた上で、他方、今まで効果のあった活性化のための重点的な投資をいかにして促進していくのかという、インセンティブが働く制度がなくなりますから、ここをどういうように手を打つのかということが非常に大事なんですね。活性化のための重点的な投資をいかに促進していくのか、こっちについては、この制度改正に伴って、ほっておいたら欠落するんですよ。ここをどういうように促進されようとしているのか、経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

上田政府参考人 今回の法改正でございますけれども、今回の法改正におきまして、交付金率を引き下げるということに加えまして、赤字施行者が一、二号交付金を実質的に負担しない制度を導入する、さらに払い戻し率につきまして下限を引き下げる、事業規制をさまざまな形で見直し、また、施行者のみならずJKAあるいは競技会も含めました関係者の連携を促進していく、こういうことの中で活性化策ということを御検討いただいていると思います。

 施行者というものは地方自治体の方々でいらっしゃいますので、今申し上げましたようなさまざまなツールを御活用いただきまして、活性化を行うということが期待されているわけでございます。先ほど申し上げましたけれども、競輪最高会議というものが既にワークしておりまして、民間事業者の方々の中で、女子競輪、ミッドナイト競輪を初めさまざまなアイデアがあるわけでございまして、こういったアイデアの実現をするためにはそれなりの投資が自主的に必要になると考えております。

 今回の法改正は、そういう意味では、経産省がある種、手とり足とりで個別の活性化策を実施しているという仕組みにはしてはおりませんけれども、今みたいな全体の仕組みを通じまして、また、それに対して助言を行っていくという規定を活用しながら、そういう競輪の活性化策の実施とそのための投資を促していくということをさせていただきたいと考えております。

佐藤(茂)委員 今の答弁にも関連するんですけれども、先ほど橘委員も御指摘されたんですが、今回の五十五条の三の経済産業大臣の助言、この新設された趣旨というものをちょっとお伺いしておきたいんです。

 今回の法改正の一つの狙いは、今言われましたように、経済産業省が手とり足とりというのをやめて、施行者の事業運営の自主性及び自由度を高めることが一つの大きな目的でございまして、そのための規制の大幅な見直しであるとか国の関与を縮小していく方針というのが法改正全体の考え方でございます。

 しかし、それにこの五十五条の三というのは矛盾しないのかどうなのか、経済産業大臣の助言というのがそういう法改正全体の目的と反しないのかどうなのか、どのように位置づけられるのか。経済産業大臣は、さっきから言われている競輪最高会議等のそういう関係者の連携の会議なんかに出られるのか出られないのか、出られないでどういうように助言されるのか、そういうことについてどのように関与していくのか、具体的に御答弁いただきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘の五十五条の三は、御承知のとおり、五十五条の二の新設に伴って新設をするものでございまして、五十五条の二でいわゆる競輪最高会議を事実上法定化することで、各施行者相互、あるいは関係者の皆さんが広く横断的に連携をして、さまざまな知恵、工夫を出していこうということでございます。

 各施行者ごと、つまり自治体単位ではなく国全体の各施行者が連携をする中でさまざまな知恵を出していくという中にありましては、関係者の自主性を尊重しつつも必要最小限の助言を行うという規定を念のため置かせていただいたということでございまして、公正や安全という観点とか、それから収支改善に向けた努力をもっと頑張ってくださいと促すとか、そういった最小限の関与を想定しているものでございます。

 競輪最高会議に出席するかどうかということについては、まさにこれは五十五条の二に基づいて既に実態が先行している、自主的に集まっていただいてやっていただいているものでございますから、あちらからお求めがなく正規のメンバーとして参加をするということは考えられないというふうに思っております。

 できるだけ必要最小限ということの観点からは、直接そこで出ていって何か物を言うとかということよりも、そこでの御議論を踏まえて、例えば、もし安全、公正の点で万が一問題があれば助言をさせていただくとか、あるいはもし収支改善についてもうちょっと努力してもらえないかということがあれば、あらかじめこちらから、そういう観点でぜひさらなる検討を進めてくださいとお願いするとか、もしやるとしてもそういうレベルであろうというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 それでは、この法案はここまでにしまして、当委員会も次に行われるのは大分先であろうという予定もありますので、今のタイミングでお聞きしておかないといけないほかのテーマについて若干聞かせていただきたいと思います。

 一つは、レアアース等の輸出規制について、先週の三月十三日にアメリカやEUとともに中国をWTOに提訴されたことについてお聞きをしたいと思います。

 これはレアアースとタングステン及びモリブデンの三品目に関連してなんですけれども、日本は日中間で二国間協議で改善を求めてきたんだけれども、中国の対応は非常に鈍く、変化の兆しは全く見られない。次の段階として政府が問題をWTOに持ち込んだということは、国際的な紛争処理ルールにのっとって解決を目指すものとして私は評価したいし、理解をしている、そういう立場でございます。

 これはもう別に当委員会だけじゃなくて何年か前の予算委員会でも、ずっとそのことは、早くやれ、そういうことを言ってきたわけでございます。

 問題は、中国が、提訴を受けた反応を見ておりますと、この問題で対決姿勢を示していまして、WTOでの紛争解決は長期化するおそれがある、そういうことだと思うんですね。

 私は、レアアースというのは国内製造業活性化を目指す上では命運を握る、そういう原材料だと思っているんですけれども、このWTOの結論にかかわらず、中国依存一辺倒からの脱却を急ぐ必要があるんだろうと思うんです。

 経済産業省にいただいた直近の資料でも、レアアースの日本輸入相手国というのは、一位が中国六八%、二位がぐっと引き離されてフランス一二%、三位がベトナム六%、四位アメリカ五%、五位カザフスタン三%という順で、圧倒的に中国への依存度が高い現状なんですね。

 やはり、脱中国依存を加速させて輸入先の多様化を急ぐために、今民間の商社などもカザフスタンやベトナム、インド、オーストラリアなどで資源確保を求めつつある努力を、政府の支援でしっかりと後押ししてレアアースを確保する必要があると私は考えるんですが、輸入先の多様化を図るための海外の鉱山開発の推進等、権限確保及び供給確保の状況と、それに対して政府はこういう支援策をさらに打ちます、そういう政策について経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、レアアースの供給源、供給国を多様化するということは大変重要なことだというふうに思っております。

 例えば、ベトナムとの関係については、昨年十月、野田総理とズン首相の間で、レアアースの探査、探鉱、開発及び分離精製に関する官民協力の促進を確認いたしました。資金、人材育成、技術協力等の政府ベースでの支援について合意し、これに基づいて現在、ドンパオ鉱床の共同開発に向けて準備中であります。

 インドについても、昨年十二月、首脳会談において両国企業が早期にレアアースを生産、輸出する産業活動を行うことを決定し、現在、分離精製プラント建設が進行中であります。

 さらに、昨年三月、我が国企業とJOGMECがオーストラリアのマウント・ウェルド鉱山について権益を確保し、国内レアアース需要の約三から四割程度を確保したところでございます。

 さらに、ほかの国もとりにくると困りますので、具体名は具体化をするまで申し上げない方がいいと思いますが、私自身、国会の合間に海外に国際会議以外で出られるときには、レアアースがあってまだ開発されていない可能性の高い、そしてその権益を確保し得る可能性の高いところを優先的に行くようにということを事務方にも指示しているところでございます。もちろん、副大臣、政務官を含めて、政、官、そして民、一体となって、しっかりと権益確保できるようにさらに努力をしてまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 私は、レアアース、レアメタル等については、やはり国家戦略として、そういう輸入先の多様化というものを、民間だけではなかなか限界がありますから、政府を挙げてしっかりと取り組んでいただきたいな、そのように思います。

 ここ数年、政府も、特に二十二年の十月以降だったと思うんですけれども、レアアース総合対策メニューというものを掲げて取り組んでおられることはよく認識しております。今言ったそういう輸入先の多様化以外に、一つは、代替材料、使用量低減技術開発の状況というのは具体的にどうなっているのか。二点目として、その当時言われたのは、日本を世界のレアアースリサイクル大国にということを掲げておられましたけれども、この希少資源を回収するリサイクル設備の技術開発の状況というのは今具体的にどうなっているのか。

 私は、ともに、やはりこういう状況が起きてくると、一段と力を入れて集中的に取り組んでいただきたいと考えるんですが、経済産業省の見解を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、平成二十二年度の補正予算で代替材料の開発や使用量削減のための技術開発、それから、リサイクル、ユーザー企業への設備投資支援などの総合対策を実施して、ここから本格的なサポートを進めてきているところでございます。その結果、研磨剤、それから自動車の排ガス触媒など幾つかのサプライチェーンにおいて、脱レアアースあるいは省レアアース、さらには供給源の多様化が実現をできてきているところでございます。

 さらに、今年度の第三次補正、そして二十四年度の当初予算においても、ジスプロシウム、これは次世代自動車等のモーターに使われる高性能磁石に必要なものでございますが、その使用量の削減や代替材料の開発支援を行っているところでございます。

 私自身も、こういった技術の先端をやっておりますTDKの千葉の工場視察を田嶋委員などと一緒にさせていただきまして、さらなる支援の重要性というものを改めて認識してきているところでございます。

 民間の皆さんも大変研究開発に頑張ってきていただいておりますので、政府として、こうした施策を最大限活用して技術開発を進めてまいりたいと思っておりますし、リサイクルについては、できるだけいかに回収するかということで、必ずしもまだまだ十分ではないかもしれませんけれども、環境省ともしっかりと連携をとって、できるだけレアアースの含まれている製品が回収のルートに乗るような施策を進めているところでございます。

佐藤(茂)委員 リサイクルについては、やはり現場の業者の声をぜひ一回聞いていただきたいんです。やはりコストが物すごくかかるので、採算に合わない。そうすると、例えばある業者なんかは、中国に持っていかれるとかそういうことが結構あるので、何とかそこの支援をしていただきたい、そういう声もあるので、よろしくお願いしたいと思います。

 もう一つは、レアアースを含めたレアメタルの国家備蓄の増強についてどうされているのかお聞きしたいんです。

 要するに、二十二年当時、希少金属備蓄というのは、九種類のレアメタルについて国家備蓄をされておられました。当時、まだ、レアアースの備蓄については需給状況や価格状況を踏まえて検討される、そういうことになっていたんですね。レアアースを含め特定国への依存度の高い鉱種については、国家備蓄の抜本的な増強を図るなど、そういう希少金属備蓄の増強策というものをさらに進めていくべきではないかと私は思うんですけれども、経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 希少金属について特定国への依存度が高いという状況の中で、我が国の産業、そして生活をしっかりと守っていくためには、こうした状況に備えた十分な対策、先ほど来御指摘いただいている供給源の多様化であるとか、それからできるだけ使わない技術の開発等を含めて、最大限やっていく必要があると思っておりますし、最大限進めているところでございますが、特定の元素についての国家備蓄の状況については、取引市場に対して影響を及ぼすおそれがあることから答弁は差し控えさせていただくということにこの間させていただいているところでございまして、御理解をいただければと思っております。

佐藤(茂)委員 要するに、そのとき九種類だったんですね。その中には、レアアースは私の認識では対象外だったと思うんです。そういうものを対象に入れて、国家備蓄というものをしっかりと増強させる必要があるんじゃないのか、そういうように私は思うんですけれども、そのことについてはいかがですか。

枝野国務大臣 恐縮ですが、現状何をしているのか、これから具体的に何をするのかは、先ほど申しましたとおり、取引市場に対して影響を及ぼして、逆に、日本がそういうことをやるんだったら先に押さえようとかいろいろなことがあったら困りますので、お答えできませんが、その重要性をしっかりと踏まえて対応してまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 何か答弁を具体的にしにくい事情があるんでしょう。しかし、私は、国内産業をしっかりと成長させていく上でやはりキーになる、そういう原料、希少金属、あるいはエネルギー源、こういうものについては、国家戦略としてきちっと、何か非常時であっても耐えられるような備蓄制度というものを今は抜本的に増強していく必要があるんじゃないか、そういう観点で申し上げているわけでございます。

 具体的に、それに関連して、LNG供給危機への対応についてぜひお聞きしたいんです。

 国内の原子力発電所が相次いで定期検査に入りまして、火力発電の燃料である天然ガスの重要性というのが一層高まっているんですね。具体的に今何が危機になっているかというと、LNGの輸入をめぐって、イランの核開発に端を発して、ホルムズ海峡の封鎖が新たなリスクとなりつつあります。

 これは、大臣室に行って申し入れたときに、私は大臣に具体的に申し上げたんですけれども、日本のLNGの輸入量の約四分の一というのは、カタールあるいはUAEという、ホルムズ海峡を通過する、そういう国が占めているんですね。海峡が封鎖されると、日本の電力供給にまず影響を与えるおそれがあるわけです。

 不測の事態に対する備えというものは、やはり私は多角的に検討しておかないといけないんだろうと思うんですが、LNGというのは、原油やLPGと異なって、備蓄体制というのは整っておりません。だから、一カ月足らずの民間在庫を抱えるだけなんですね。

 私は、緊急時対応として、短期的には、事業者による在庫の積み増し、事業者間での非湾岸産のLNGの融通の協議というものを検討すべきであると思いますし、中長期的には、やはりLNGの備蓄制度の設計と構築というものを真剣に検討するべきだと考えるんですが、経済産業大臣はどう考えておられるか、御答弁いただきたいと思います。

枝野国務大臣 LNGの、特に火力発電についての重要性が今高まっております。したがいまして、LNGを安定的に供給する必要が高まっている状況にございます。

 一方で、これも御承知だと思いますけれども、LNGを液体の状況でためておくということは非常に高いコストがかかるというのも原油等との大きな違いでございます。したがって、これまで、石油は八割が中東依存ですけれども、LNGは、ホルムズ海峡通過で四分の一、中東全体でも三割弱ということで、供給源の分散化によってリスクを少なくしているという状況でやってきています。

 率直にあえて申し上げれば、個々の企業ごとに見ると、ホルムズ海峡依存度が非常に高いところがあって、これに対する対応については、当該事業者も含めて大変頭を悩ませているところでございますが、国全体としては、今進めてきている供給源の分散化をさらに進めていくことによってリスクを低減させるということが基本線ではないかな、その上で、個々の事業者、依存度の高い事業者についての企業としての努力、対応について、どう促し、サポートできるのかということで対応してまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ちょっと関連質問もさせていただきましたけれども、今法案については、事業運営の持続可能性、さらには事業者の自由度、また自主性を高めるという意味で、今回の制度改正というのは私どもは賛成させていただくということを最後に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは最初に政府参考人の方に伺っておきますが、競輪やオートレースなどの公営競技、これは刑法の賭博罪、富くじ罪の特例として実施が認められています。それは、車券の売り上げを機械工業の振興、公益増進に交付金として社会還元する、この社会還元ということと地方財政の健全化を図るというこの三つの目的を満たす、このことにより賭博罪に問われないということになっていると思いますが、最初に確認しておきます。

上田政府参考人 御指摘のとおり、競輪は、本来、刑法で禁止されている賭博に該当する行為でございますが、地方自治体が、機械工業の振興、公益の増進、地方財政の健全化というこの三つの目的を達成するために、賭博罪の例外として、法律に基づき国の監督のもと実施が認められているものでございます。

吉井委員 競輪というのは一九四八年、オートレースは一九五〇年にスタートして、戦後のあの時代に庶民の娯楽として人気を集めたわけですね。例えば、私は京都の生まれ育ちなんですが、国際会議場のある宝ケ池、あそこに宝ケ池競輪場というのがあって、京都の市電が元田中というところでわざわざ京福電鉄に新しくレールを敷いて、京福電鉄に乗り込んで宝ケ池まで競輪の開催日は行ける、それぐらい庶民の娯楽だったんですね。

 しかし、娯楽の多様化とか内需の不振などにより、一九九一年をピークにして売り上げは減少の一途をたどり、競輪は三分の一。二〇一〇年度は競輪では四十八施行者のうち十五が赤字、一般会計への繰り入れができない施行者が十二に及ぶ。

 公営競技三要件のうち、地方財政の健全化というのは、公営競技による事業の利益を一般会計に繰り入れることでその目的を達成するわけですから、繰り入れができない施行者というのは地方財政の健全化という要件には当たらないんじゃないですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地方財政の健全化、機械振興、それから公益増進、この三つの目的でございます。したがって、地方財政に御貢献いただくということが競輪事業者の基本であると考えております。

 しかしながら、御指摘のとおり、赤字施行者が多い状況ではこれがなかなか難しい状況になっているので、むしろ、今回の法改正におきまして、できる限り地方財政に貢献できるような方向での法改正を目指しているわけでございまして、そういった方向での努力を促してまいりたいと考えております。

吉井委員 要するに、地方財政健全化という要件を満たしていないということを今認められたわけですよ。だから、今度の改正で何とかしようというわけですが、この間、累次の法改正で施行者負担の軽減策が講じられてきました。二〇〇二年、交付金規定を見直して、負担率を軽減、交付金支払い猶予特例の創設、二〇〇七年には交付金還付制度の創設、これは五年間の時限措置ですが、これらの軽減策を講じても施行者の収支改善に結びついていないわけですね。その原因は何ですか。

上田政府参考人 御指摘のとおり、平成十四年、平成十九年、さまざまな改正を過去行ってまいりました。交付金負担の軽減、交付金猶予特例制度の導入、その他、重勝式勝者投票法導入。

 数字を見てみますと、これらの対策によりまして、施行者の収支は、平成十七年度から平成二十年度にかけては少し改善をしたわけでございますが、平成二十一年度から売り上げの減少幅がさらに拡大をした。コスト削減というのに取り組んでいただいたんですが、これが一段落をしたということ。(吉井委員「原因は何ですか」と呼ぶ)

 原因は、先ほどもございましたけれども、観客の減少、それから車券の販売量の減少、高齢化、こういったこと。競輪そのものに関する魅力というのをユーザーが十分に受け入れることができなかったということが原因だと考えております。

吉井委員 二〇〇八年度と二〇一〇年度のわずか二年の間に、要するに二割減少しているんですよ。これまでは、三要件を満たすから賭博罪の特例として認められているんですね。

 ところが、本改正案第十七条では、施行者が収支決算において赤字となった場合、既に納付した一号、二号交付金の額を限度として、当該赤字相当額の交付金の還付を受けることができる仕組みを創設するとしております。赤字の算定方法は、経産省令で定める事業収入額が事業支出額を下回った場合ということになっているんですが、この省令の中身は一体どういう内容なのか、具体的に聞かせていただきたいと思います。

上田政府参考人 赤字還付制度における赤字の算定ということをどういう形で省令で定めていくのかという御質問でございます。

 改正法におきましては、お話しのとおり、競輪事業の収入から競輪事業の支出を控除する形で規定しておりまして、具体的には、省令の規定はこれからでございますが、まず、競輪事業の収入ということにつきましては、入場料、それから車券の売上額等々の競輪の開催に係る収入に、ほかの競輪場で開催した車券の販売委託料等々の、開催外収入と呼んでおりますが、こういったものを加えたものを想定しております。

 一方で、支出の方でございますが、従事員の人件費、賞典費、競輪振興法人への交付金等の開催費に、競輪を開催していないときに発生する管理費等々のいわゆる開催外支出を加えたものを想定しておりまして、この法律改正が仮に国会を通れば、その後、内容をさらに精査した上で省令で定めることとしております。

吉井委員 要するに、省令がさっぱりはっきりしていないわけです。赤字であれば、実質的に交付金を負担しなくて済むわけですね。

 今後、赤字であれば、機械工業振興や公益増進の社会還元を果たさなくていいということになるわけですか。

上田政府参考人 今回の法律改正は、赤字施行者に対しましては、その赤字を、交付金の額を上限額として還付させていただくということになっております。

 しかしながら、この還付の目的は、赤字事業者が未来永劫赤字であればいいということを念頭に置いたものではございません。赤字施行者が、さまざまなほかの自由度の広がった制度も活用いただいて、できるだけ活性化努力をしていただいて黒字になり、地方自治体に対して貢献をしていただくということをむしろ狙いとした制度でございます。

吉井委員 要するに、納付した交付金を還付するのが建前なんですね。交付金がないということは、機械工業振興や公益増進の社会還元ができない。赤字施行者ということは、地方財政の健全化の目的も果たすことはできない。これは、賭博罪の特例の扱いを受ける三要件のいずれも満たさないということになってくるんじゃありませんか。

枝野国務大臣 御指摘のような状況が長期にわたって続けば、そういうことになるんだろうというふうに思います。それは、さまざまな事情で三つの目的が果たせない年度があり得るというのは、こうした事業にかかわらずあり得るわけでございます。

 そうしたことの中で、単年度あるいは何年間かの努力の中で、本来の目的の効果が上げられるようになり得るのかどうかということは、法に基づいて各施行者が最終的には判断することになりますけれども、当然、各地方自治体においては、赤字によって持ち出しになるような状況が長期にわたって続くという状況の中では、そうした事業を続けられるわけはありません。したがって、法の趣旨に反するようなことにはならないというふうに思っております。

吉井委員 短期的にどうかということではなくて、長期的な流れ、トレンドで見れば、ずっと落ち込んでいるんですよ。ですから、三要件を満たさない状況が今、現実に生まれているということをまず見ておかなきゃいけないと思うんです。

 昨年六月にまとめられた競輪事業のあり方検討小委員会報告書では、十五ページに書いてありますが、「競輪事業の利益を競輪施行者の一般会計に繰り入れることもできない場合は、競輪施行者が競輪を開催する法的正当性が失われるおそれがある。」と述べています。機械工業の振興、公益増進、地方財政の健全化をいずれも行わない場合は、賭博罪の違法性を阻却することができず、賭博罪に当たる行為となるおそれがあるということも指摘しています。

 これまでから交付金は売り上げに対してでなく収益に応じた算定にという声が施行者から上がっていたわけですが、これに対して経産省は、過去の国会質疑において一貫してこれを否定してきたわけです。

 先ほども出ておりましたが、二〇一〇年五月の二十四日に事業仕分けで、経済産業省が、赤字かどうかにかかわらず、賭博行為の一つとして、まず社会還元というのが必要になりますと説明を続けたのに対して、当時行政刷新担当だった枝野大臣は、利益が上がっていたら全体のために還元してもらうけれども、赤字のときまで、なおかつ、さらに赤字を上乗せしてまで交付金を払わせることはない、賭博罪の違法性阻却する理由として求めていないと主張していた。

 今回、経産省の方は、枝野大臣のこの考えによって従来の方針を変えてきているんですか。

枝野国務大臣 従来から、機械工業の振興と公益の増進、そして地方財政の健全化という三つの目的、もともとのスタートは地方財政の健全化であります。したがって、これは事業主体である地方自治体が、赤字がまさに恒常的に続くのであれば、この目的に照らして、事業主体として、まさにみずからのところからの財政支出を、持ち出しになるわけですから、事業として成り立たないわけでありまして、したがって、当然やめていくということになるし、現にそうした見通しの自治体はやめてきているわけであります。

 そうしたことの中で、単年度あるいは数年度にわたって赤字の状況であって、もともとの当初の目的である地方財政の健全化という目的に逆にマイナスになるような形で、公益増進、機械工業の振興ということの目的のために赤字のところからさらにお金を取るということは、つまり、この三つの目的で賭博罪の違法性阻却になっているという趣旨から考えて、それはやり過ぎではないかということを申し上げたものでございます。

 そのこと自体は、別に、私が大臣になったから特にそういうことを申し上げたということではなくて、そうしたときに赤字をさらに大きくしてまで経済産業省がお金を取るのかどうかという話の趣旨でありますので、むしろ今回の方が趣旨にかなっている。そうしたことの中で、赤字が継続するという状況であれば地方財政の健全化という趣旨に反するということで、当然、事業主体である施行者は撤退せざるを得なくなる。そうならないように、各自治体は今回の制度も生かしていただく中で、目的が達成できるような運営にできるのかどうか努力をされる、こういうことだと思います。

吉井委員 要するに、三つの要件を満たさなくなってくるということになりますと、これは刑法の賭博罪の特例としての扱いを受けることがおかしいということになってくるわけですね。そこをきちんとしておかなきゃいけないと思うんです。

 次に、JKAについて伺っておきますが、産構審の二〇一一年六月の報告書にもありますが、要するに、施行者は交付金を払えないくらいの不況に陥っているわけですよ、今。従事員はただでさえ不安定な身分に加えて、従事員の人件費というのは最近の五年間で大体半減なんですね。賃下げ、リストラのしわ寄せを受けています。

 その一方、交付金を受け取るJKAの方は、その前身である日本自転車振興会時代から、組織のあり方や補助金の交付先が不透明だ、こういう指摘が繰り返されながら、改善されておりません。

 そこで、資料を配付させていただいておりますが、競輪交付金のJKAによる機械工業振興補助事業の補助金交付決定額上位二十団体というのをごらんいただきたいと思うんです。これは機械振興補助事業の上位二十を示したものですが、この原資というのは施行者が納めた一号交付金なんですよ。一体、何人の官僚が天下りをしているのか、幾らの金が流れているのか。

 先ほども若干数字の御紹介がありましたが、総補助団体数が百六十六で、補助団体にOBが在籍している団体が二十七団体で、これは機械振興補助の場合ですが、百一人なんですね。公益増進補助の方は、総補助団体数四百十二団体の中で四十五団体、OBの人が行っていて、公益増進補助、この分野で百四十二人ですから、二百四十三名の方ですね。

 何かJKAの役員二人みたいな感じで聞こえていましたけれども、実際は、物すごい、補助団体に在籍する公務員出身者の役員なんですよ。だから、JKAだけじゃなしに、その先のところを見なきゃいけません。

 これは、もう十七年ぐらい前になるんですけれども、ギャンブル益金は、当時は通産省と呼んでおりましたが、通産省の小遣い銭かと、新聞でも「時時刻刻」というので紹介されておりました。要するに、天下り先の団体を支える金になっているんですね。本来だったら、それは吸い上げなくて、地方自治体に入るか、あるいは関連従事員の賃金の改定とか生活の安定だとか、それから文字どおりの、本当の意味での社会貢献ということに役立つべきものだと思うんです。しかし、実際には、庶民の買った車券のもうけの多くは、地方自治体財政への貢献と還元より、天下り先の財布になっているんじゃないか。私は、この点は徹底的に解明をするべきだと思うんです。

 二〇一〇年五月の事業仕分けで、当時大臣だった枝野さんも、公的な枠組みで、賭博罪の穴をあけてもらって、そして公的にお金を配っているのだとしたら、配り方の詳細と、配った先の詳細と、役所や独立行政法人と同じぐらい情報公開されるべきだと言っておられたわけですよ。

 私は、どの団体に何人、そしてどれぐらいの支払いが行われているのか、今庶民の金が、当初言っていた三つの目的から変わってしまっている中で、これはもう徹底的に国民の前に明らかにする、これは必要だと思うんですが、情報公開されますか。

枝野国務大臣 まず、御指摘の中で、地方財政のことが大変重要であるということ、御指摘のとおりでありますが、同時に、車券を買われる方は、施行者の自治体の住民の方だけではありませんので、広く全国民が買える状況ですので、これが多分、大分大昔にですが、地方財政のことだけではなくて機械振興や公益増進ということも配分の趣旨、目的に入ったということだというふうに思っておりますので、それは必要なことだというふうに思っています。

 そうしたことの中で、御指摘のとおり、従来、まさに経済産業省の小遣いではないかと疑われても仕方がない状況があったということは事業仕分けで指摘をしたとおりでございまして、それに基づいて、配分先のあり方等についても公正化と透明化に努力しているところでございます。情報公開が不足している点があれば、具体的に、さらにより明快な情報公開をするように指示をしてまいりたいと思っております。

吉井委員 次に、自転車競技というのはケイリンとしてオリンピック種目にもなっているわけですね。スポーツとしての健全な発展と庶民の娯楽は、本来結びついていたはずのものだと思うんです。

 ところが、この間、ギャンブル化がどんどん進んでいるんですね。重勝式車券や、公営競技で初めてのキャリーオーバーによる高配当車券を販売するなど、売り上げを上げようとして、射幸心をあおるという方向へ行っています。二〇〇七年法改正で導入されることになった重勝式車券は、公営競技で初めてキャリーオーバーを実施して、二百円で最高十二億円の配当を可能とするものでした。これは、スポーツとしての競輪のファンが選手を選んで、その応援の意味でかけるようなものとは全く違ってきているんじゃないですか。

上田政府参考人 私ども、競輪の活性化ということのためには、いたずらに射幸心をあおるということではなくて、競輪そのものの魅力を高めていくということが重要であると考えております。

 先ほどの重勝式車券の販売もございましたが、それ以外にも、例えばミッドナイト競輪を拡充するという話であるとか、七車立てレースを導入するとか、あるいは女子競輪を開催するというのは、健全な娯楽の範囲内で活性化の方策を検討していくという方向であると思っております。

 今回の法律改正におきましても、御案内のとおり、例えば年間の競輪の開催回数等の規制について、下限規制を撤廃するということを行っております。上限規制は残しておりまして、射幸心をあおることなく競輪の魅力を高めるという方向で努力をさせていただいております。

吉井委員 私は、コンピューターが選んだ番号でかけるクイックピック、こういうふうなものになっていること自体がおかしいと思うんです。選手同士の熱戦を楽しむスポーツとしての自転車競技とは無縁の方式に変わってきているんですね。

 今おっしゃったミッドナイト競輪の話ですが、小倉競輪、前橋競輪など、ことしから開催されているものについて伺っておきたいんです。開催時間帯と、既に開催されたレースの観客数はどれぐらいですか。

上田政府参考人 このミッドナイト競輪でございますが、開催時間は夜の九時から十一時ぐらいでございまして、観客のいない競輪場におきまして、それをインターネットで中継をするという形によってレースを行うものでございます。

 ちょっと、人数はよくわかりません。

吉井委員 今お話しいただきましたように、ミッドナイト競輪というのは夜九時から開催して、観客はゼロなんですよ。つまり、本来、競輪競技というのはスポーツ競技ですから、応援する人がおって、観客がおっての競輪なんですよ。ところが、今は、車券の方はインターネットでのみ販売する。

 ですから、ミッドナイト競輪というのは何か新しい工夫をしているのかと思ったら、全然違うんですね。要するに、ばくちの度合いを高める、これだけのものになってしまっているというのが現実の姿だということを見ておかなきゃならぬと思うんです。

 私は、この点では、大臣に伺っておきたいんですが、ここにはギャンブルというものをどう定義し、どのように扱うかという根本問題がやはりあると思うんですね。

 競輪の場合は、刑法の罰則の特例として扱ってきたんです。所管は異なるけれども、競馬も競艇も一緒なんですよ。スポーツとしての実態に着目すれば、刑法の例外という扱いは当然考えられると思うんです。

 しかも、競馬などは非常に長い歴史を持っているわけですね。庶民も楽しんできた競技です。オリンピック競技としても、競輪も競馬も、馬の場合はまた馬術競技が別にあるにしても、ファンを集めてきたわけですね。そして、戦後の復旧復興の過程では、自治体財源の確保という意味合いを持って、公営ギャンブルとして認められてきました。

 このギャンブルが、今では、カジノでギャンブルに興じて会社を潰しかけた大王製紙の社長のような問題を引き起こす例も生まれておりますが、個人責任でギャンブルをするというのにとどまらないで、一般従業員はもとより、社会経済的に重大な損失を与えた犯罪も生まれてきています。

 新たな公営ギャンブルは認めない。現在の公営ギャンブルも、当初の庶民の娯楽や自治体財政を通じて社会貢献という三要件のみに、刑法の罰則の特例という範囲にとどめて、スポーツ性など実態の伴わないインターネットによる購入というふうな、完全にギャンブルになっている。しかも、小倉で雇われた人といったら、わずか二人でしょう。

 ギャンブル性だけ追求するというやり方は、やはりやめさせるべきではないか。そうでないと、刑法の罰則の特例という扱いを受けることの意味が崩れてくるんじゃないかと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

枝野国務大臣 御指摘のうち、確かに、これはまさにギャンブルの例外規定でありますので、三つの目的がしっかりと果たされなければこれはその妥当性がなくなる、御指摘のとおりだというふうに思います。

 したがって、将来にわたってその目的を達し得ないという状況になれば、これはもう制度の仕組みとしても、主催をしている地方公共団体の持ち出しになるわけですから、それが残念ながらなのかどうなのかは別としても、実際にやめていかれているところはどんどん出てきているわけですし、今後もそういったことにあれば、やめていくことになるということになります。

 一方で、スポーツとの関係なんですが、例えばインターネットでとか観客のいないところでとかというのは、一般的に見ればそれはスポーツ性とちょっと矛盾するのではないかという御指摘もわからないではないんですけれども、まさにメディアがいろいろな意味で発達している時代において、現場で見る方がスポーツとしてのだいご味を味わえるのかどうかというのは、これは両面あるんだろう。

 私も、例えば地元のJリーグのチームの応援とかには行きます。まさにファンが一体となって一緒に応援をするということは、一つのスポーツのだいご味であるということは言えるかもしれません。

 これはスポーツと言えるのかどうかはわかりませんが、例えば将棋とか囲碁とか、お客さんが誰もいないところで、インターネットなどで今ライブでやってくれています。大臣になってからそんな時間はありませんが、それまでは、名人戦とか竜王戦とかについては、まさにネットを通じてですが、将棋のまさにだいご味をライブで味わうというようなことをしていました。

 これは、まさにスポーツ中継なども、遠目でしか見られないのと実際に細かいところのやりとりが見られるのとということで、私は、観客が直接いないからといってスポーツとしてのだいご味がないということについては若干違うのかなと。ただ、確かに射幸心をいたずらにあおるようなことになってはいけないということについては、注視をしてまいりたいと思っております。

吉井委員 名人と将棋を指すのは、別にかけてやるわけじゃないんですよ。これが進んでしまいますと、本当の馬が走らなくても、コンピューターで競馬を、プログラムを組んだらやれるんです。射幸心だけでやっていく。これはカジノとほとんど変わらないものになるわけですね。

 ですから、私は、こういう点では、そもそもギャンブルというものをどう考えるかという根本問題に踏み込んで、刑法の罰則の特例をきちんと踏まえたものを考えていかなきゃいけないということを言っておかなきゃならぬと思うんです。

 庶民の娯楽じゃなくて、経済のカジノ化と呼ばれる事態も随分進んでいます。金融工学を使った金融商品が次々と開発されて、一般庶民が大きな損失を出す一方で、金融投機に走って大きなもうけを上げる者が出るとともに、実需を伴わない世界経済が、ものづくり産業の着実な発展やエネルギーの安定供給の大きな障害になっています。

 実需を伴う方は実際の一年分の貿易総額に相当するものが、金融ばくちの世界では三日から四日で流れているんですよ、金のやりとりが。それが世界経済もおかしくする。原油価格の高騰だとか、日本のものづくりやエネルギーをおかしくしてしまっているんですよ。

 ですから、この点では、やはり金融ばくちについては国際的に協議を進めて、トービン・タックスのように、短時間の投機取引のたびに税金を取ることで、国家税収にも経済の安定にも役立つものにするべきじゃないか。私は、国際的な産業経済の発展の観点から、入り口は小さな競輪の話かもしれないけれども、このギャンブル性の問題ということについては、今非常に大きな問題として考えなきゃいけないところへ来ているんじゃないかと思うんですが、これは最後に大臣に伺っておきます。

枝野国務大臣 率直に申しまして、観客のいないところで競輪をやることと比べても、何十倍も何百倍も、いわゆる金融のカジノ化と言われている現象は深刻かつ緊急対策を要する事項だというふうに思っております。

 具体的な御指摘については、直接所管でございませんのでお答えを差し控えたいと思います。

 それからもう一つ、我が国だけでやっても、これはなかなか物が進まない世界でありますので、各国の金融当局も、そうした視点を最近は先進国共有をしていただいているというふうに思っておりますので、国際的な連携のもとで、金融がギャンブル化することのないような、あるいはそうなっている部分があるとすればそれを抑制するような方向の努力を進めていくよう、金融担当大臣等ともしっかりと相談をしてまいりたいと思います。

吉井委員 終わります。

中山委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 実は、用意してきた質問のかなりの部分、公明党の佐藤先生、共産党の吉井先生と重なっておりまして、適宜質問の順序を変えたり、はしょったりしながらお尋ねをしたいと思います。

 最初に、赤字の施行者の撤退、廃業ということについて、お尋ねをしたいと思います。

 もう先ほど来、吉井委員から質問がありましたように、ギャンブルである競輪とオートレースというのは、社会に収益の一部を還元するから、地方の財政に貢献するからという理由で法的に認められているわけです。本来、刑法で禁止すべきギャンブルを、社会貢献を理由に認めているわけですから、赤字になってしまった施行者というのは、むしろ撤退していただくというのが筋ではないかと思います。

 本法案の趣旨についても、赤字のところがふえてきた、だから活性化しようというものだと思います。しかし、そもそも活性化すべきものなのかどうか、その点も私は疑問に思っております。

 そういった意味では、もう赤字でどうにもならなくなっているところを無理して活性化するよりも、撤退をスムーズにするということが一つの方向性としてあるべきではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞きします。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、赤字で、将来にわたってこれが改善の見通しがないということであれば、中央政府が促さなくても、自治体持ち出しになっているわけですから、当然そういう行動をとられるだろうと思いますし、実際にそうした御判断をされて、この間、撤退をしてきているところも少なからずあるということでございます。

 ただ、社会貢献、三つの社会貢献ができる可能性のある、そしてこれまでもそういった実績を積み重ねてきた事業でもございますので、各自治体、施行者においても、それぞれの努力をされるでありましょう。また、確かに大きなトレンドとして、競輪についても、オートレースについても、観客や売り上げが下がってきている状況にあります。

 しかし、その全体としての努力によって、例えば、それこそことしの夏はオリンピックがありますが、オリンピックで、ケイリンでまたメダルをとったりとかなんとかというようなことがあったり、それをうまく社会的に生かしていくことがあれば、またこうしたものに対しての関心や、結果的に売り上げ等が伸びていく可能性もあるわけで、少なくとも、その施行者や施行者の団体の皆さんがそうした自主的な努力ができる余地をできるだけ大きくする中で、努力をされることをしっかりと後押ししていくということが現状では適切ではないかなと思っております。

山内委員 やはりギャンブルというのは、依存症とか、社会的にデメリットもあるわけですから、そういう赤字の施行者の延命に手をかす方向の法改正というのは、そもそも必要だと大臣はお考えなんでしょうか。

枝野国務大臣 そちらの側から延命というような捉え方をされれば、確かに延命という見え方もあるのかもしれません。

 ただ、これまで、基本的には各施行者の自主的な努力の中で、それぞれの施行者とほぼニアリーイコールである自治体の財政に寄与してきた。その施行者の皆さんが、自主的な努力で収支状況を改善させて、みずからの自治体の財政状況の健全化に貢献できるような状況に早く回復させて、厳しい財政状況の中での各自治体財政を改善させたいという意思をお持ちであるという状況の中においては、これを後押しするという施策をとるということは必ずしも間違ってはいないのではないか。

 ただ、御指摘のとおり、ギャンブルの持っている問題性ということについてはしっかりと注視をしながらやっていかなきゃならないだろうとは思います。

山内委員 大臣は先ほど、各自治体が自主的な判断で赤字のところは撤退されるというふうにおっしゃいました。私もそれが望ましいとは思うんですけれども、なかなか地方自治体の首長さんにしても議会にしても、選挙で選ばれている人たちというのは、自分が市長とか県知事をやっている間に嫌な仕事はやりたくない、何となく先送りしてしまう、そういう傾向というのはどうしてもあるんだと思うんですね。

 競輪とオートレースではありませんけれども、地方競馬の例などを見ると、隠れ借金みたいなものが見えないところにたくさん実はあったりとか、あるいは会計の仕組みも余り透明度が高くないので、本当はもうかっていないのに無理やり何とか体裁を取り繕っている、そういう例もたくさんあると思います。

 そういった意味では、経産省の監督下にあるギャンブルに関してはきちんと透明性を高めて、本当にそういった隠れ借金みたいなものがないのか、撤退を促すための何らかの経産省としての政策というのは必要なんじゃないかと思うんですね。ほっておいて自治体が自主的にやるんだったらいいんですけれども、なかなか誰もさわりたくない問題である、そういう問題について、経産省として、撤退をしたいところが、本当は撤退したいけれどもなかなか難しい、手をつけられない、そういうケースで手助けすることはできないんでしょうか。

枝野国務大臣 ここは地域主権というか地方分権との絡みのところで、なかなか難しい御質問だなと思っています。

 あえて言えば、そうしたことについて、もし撤退すべき状況にもかかわらず、さまざまなことを考慮して撤退しない首長を選んでいれば、当該自治体の財政状況が悪化して、結果的にはそうした首長を選んでいる住民の皆さんみずからに返ってくるということでありまして、地方分権を進めるということは、それぞれの自治体の住民の皆さんの判断、選択によって、うまくいくところもあるし、うまくいかないところはそのデメリットをみずから享受していただくことが地方分権の一つの側面だというふうに思っていますので、まさに、本当にこれで地方財政には将来にわたってプラスはないと判断しながら、それこそ隠れ借金みたいな形でそれをごまかしてやるような首長さんは選ばないでくださいというのが本筋だと思います。

 ただ、それは本筋ではありますが、一方で、実態問題として、そうした状況でその自治体の財政状況が必要以上に悪くなるというようなことを、では中央政府としてほっておいて見逃すかと言われれば、やはりそれはそうはいかないという実態があるだろうというふうに思っておりまして、これは制度として促すシステムということよりは、むしろ、そうしたことの御相談等については、競輪に関連してそういうことがあれば、競輪の所管省庁としての経済産業省として自治体の皆さんときちっと御相談をさせていただく、あるいは施行者の団体が各首長さんたちででき上がっていますので、そうした皆さんときちっと個別具体的に御相談をしていくということが現実的ではないだろうか。

 ただ、その前提として、まさにみずからの自主的な責任で収支改善の努力ができるという仕組みに今回変えさせていただいておりますので、従来以上に、まさに施行者の責任と判断において、経営改善の努力でこれからうまくいくと考えるのか、それともちょっと難しいと考えるのか、しっかりと責任を持って判断してくださいということは、今度の法改正によって各施行者の皆さんに促すことになっていると思っています。

山内委員 確かに、地方自治体の責任である、失敗したら自業自得であって、その人を選んだ有権者が悪いということも一つの考え方だと思うんです。

 ただ、他方で、財団法人JKAみたいに、中央組織に上納金を上げさせているわけですね。それを考えると、もしそこまで地方分権を徹底させるということであれば、いっそこのJKAの交付金というか上納金みたいなものをやめて、収益は全部自分のところの地方自治体で使えるような仕組みにしていく、そういったことも考え方としてできるんじゃないかと思うんです。

 そういうJKAの交付金、上納金みたいなもの、やはりこれからも続けていく必要があるんでしょうか。私はむしろ、地方自治体が、自分のところの収益は自分のところの地域の中で使えるような仕組みにした方がいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 収益金はその施行団体である自治体が使うということが基本線だと思います。

 先ほどもちょっと御答弁しましたが、施行するのは各自治体ですが、車券などを買われるのは全国民の皆さんでございますので、そうした意味で、その主催自治体の公益にとどまらず、他の自治体に住んでいらっしゃって車券を買っていらっしゃるそうした皆さんにも裨益されるような形で還元をするという比率が一定程度あるということは、これは制度としてやはり必然なのではないかなというふうに思っているところでございます。

 ただ、赤字のところからもさらに自治体の負担で上納するというような制度は、これは確かにおかしいと私自身が事業仕分けの折に強く思いましたので、そうしたことにはならない、黒字で、自治体に対してちゃんと財政上のメリットがあるときに、それに応じた比率で、国全体としての、他の自治体に住んでいらっしゃる住民の方にもプラスになるような分は出してください、こういう制度に今回変えようというものであります。

山内委員 経産省のお考えはよくわかりました。

 そこで、天下りの問題について、もう既に、大分詳しく吉井委員、佐藤委員から聞かれましたが、私も全く同じ問題意識を持っていまして、やはり枝野大臣が事業仕分けで指摘された点は正しいと思います。引き続き、役所からの天下りはやめさせた方がいいと思います。

 先ほど、JOGMECの例を出されておりました。確かに、JOGMECみたいに外交交渉的な部分がある、あるいは行政にしかノウハウがない仕事というのは世の中に結構ありますから、民間出身の人ではなかなか、公募ではできない仕事もあるかもしれません。しかし、JOGMECみたいな特殊な仕事に比べると、競輪の財団法人とか、競輪、オートレース関係の何とか情報センターとか共済会というのは、比較的特殊な技能でもないので、役所出身じゃなくてもいいような仕事が多いと思うんです。企業で、総務担当だったりとか、あるいは民間の、民間のギャンブルと言うと変ですけれども、似たような仕事をやっているポストがたくさんあると思います。

 にもかかわらず、役所出身の人が多いというのがやはり問題じゃないかと思いますが、その点、JOGMECの特殊な例を出されていましたけれども、もっと民間の人に、役所のOBじゃない人でもできる仕事はたくさんあるのにまだ役所の人がやっているというふうに私は感じているんですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、JOGMECの例を先ほど出しました。これは一番極端でわかりやすいということで例を出させていただきましたので、より代替性があるほかの民間の方であるとか、あるいはもっと短期間で内部の人を登用できるような、育成ができるとかという事情は、JOGMECが一番大変だと思いますが、例えば競輪関連の団体では相対的にそれは小さいだろうと私も思います。

 だからこそ、役所のOBをもし今後も採用する場合には、採用の際にはなぜ役所のOBでなきゃいけないのかということについては相当な説明責任が必要だと思っていますし、これについてはしっかりと求めてまいりたいと思っています。

山内委員 最近、JICAの理事長に田中明彦教授がなられるということになりました。正直言って、私はそこまで、途上国援助とかかわっていない人をトップに据えることはいかがなものかと逆に思うぐらい思い切った人事を外務省系のJICAではやっているわけですけれども、JOGMECとは言いませんけれども、競輪、オートレース関係に関しては役所のOBに頼る必要のない部分が多いと思いますから、そこはぜひ徹底してやっていただきたいと思います。

 そろそろ時間が参りましたので、最後に、意見表明ということで、今回の法改正、私どもとしては、オートレースや競輪に関係する構造的な問題が解決されるとは思えない改正であることから、反対をすることをこの場で申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案に対して反対討論を行います。

 反対理由の第一は、本改正案で創設される赤字施行者が交付金を実質的に負担しない制度が、公営競技実施の法的正当性を失わせ、公営競技とギャンブルの境界を曖昧にするものだからであります。

 そもそも公営競技は、刑法の賭博罪、富くじ罪の特例として、車券の売り上げを機械工業の振興、公益増進のための交付金として社会還元し、地方財政の健全化を図ることを目的として競技の実施が認められているものです。

 競輪の車券売り上げはピーク時の三分の一、オートレースでは四分の一にまで急減し、一般会計への繰り入れを行えない施行者も多数に及んでいます。公営競技の本来の目的の一つである地方財政の健全化を果たせない現状に加え、本改正案により、さらに赤字施行者に対して社会還元の責任をも免除することは、公営競技の三要件いずれも果たせない施行者を容認することになります。これでは、賭博罪の違法性を阻却できないおそれもあり、賛成できません。

 反対理由の第二は、JKAの組織のあり方や補助金の不透明な実態を温存するものとなっているからです。

 JKAをめぐっては、その前身の日本自転車振興会時代から多くの問題が指摘されてきました。施行者は長年の収支悪化に苦しみ、従事員の労働条件は年々引き下げられています。従事員の不安定な待遇の解消と雇用条件の改善は急務の課題ですが、逆に人件費はこの五年で半減させられました。

 その一方で、施行者から交付金を受け取るJKAは巨額の内部留保を蓄えてきました。社会還元の仕組みとしての補助金交付先には、経済産業省所管の公益法人が並び、その多くが国家公務員OBを受け入れている現状は何ら改善されず、情報公開も不十分なままです。ここにメスを入れることなしに、施行者や国民の理解と納得は得られません。

 庶民の娯楽としてスタートした公営競技のギャンブル化が、競輪でとりわけ顕著になっています。重勝式車券やキャリーオーバーによる高配当車券の導入によって射幸心をあおるやり方や、選手を単にかけの対象としてしか見ないミッドナイト競輪はやめるべきです。スポーツとしての自転車競技の健全な発展をも阻害するものであることを厳しく指摘して、反対討論とします。

 終わります。

中山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、近藤洋介君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。菅原一秀君。

菅原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 今回の改正により、赤字施行者に対して赤字相当額の交付金の還付が行われることとなるが、赤字施行者が交付金の還付に甘んじることなく、更なる経営改善努力により速やかに黒字化を果たすよう、適切な指導を行うこと。

 二 競輪及びオートレースの事業からの撤退が従業員の雇用や地域経済に及ぼす影響にかんがみ、施行者が振興法人や選手等の関係者と連携して、事業の活性化のための方策を真摯に検討し実施するように促すとともに、事業全体を通じて更なる効率化のための努力を続けるよう、必要な指導・助言を行うこと。

 三 払戻率の引下げは、顧客離れによる更なる売上げの減少を引き起こす可能性もあるため、施行者がその引下げを実施するに際しては、引き続き魅力の向上を図るとともに顧客に対するサービスの一層の充実を図るなど、引下げの使途と効果について十分な検討を行うように指導すること。

 四 交付金を原資とする補助事業については、将来においても安定的な事業の実施を確保し、機械工業の振興及び公益の増進といった社会的使命を果たすことが可能となるよう、交付金制度の枠組みについて、競馬、競艇などの他の公営ギャンブル全体とのバランスを勘案しつつ、継続的に見直しを進めるものとすること。

 五 また、同補助事業については、これまでも審査基準の明確化や透明性の向上等の観点から見直しが行われてきているが、今後とも退職公務員の天下り先の確保に活用されているといった批判を招くことのないように厳正な運営に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、今申し述べましたことをもって御理解いただけるものと存じております。詳細な説明は省略をさせていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、枝野経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。枝野経済産業大臣。

枝野国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

中山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十三分散会


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