衆議院

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第9号 平成24年6月20日(水曜日)

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平成二十四年六月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中山 義活君

   理事 石関 貴史君 理事 稲富 修二君

   理事 川口  博君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 梶山 弘志君

   理事 菅原 一秀君 理事 佐藤 茂樹君

      井戸まさえ君    大畠 章宏君

      加藤  学君   木村たけつか君

      北神 圭朗君    櫛渕 万里君

      桑原  功君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    高野  守君

      高松 和夫君    中根 康浩君

      花咲 宏基君    藤田 大助君

      松岡 広隆君    柳田 和己君

      山崎  誠君    山本 剛正君

      北村 茂男君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    谷畑  孝君

      西野あきら君    西村 康稔君

      額賀福志郎君    遠山 清彦君

      吉井 英勝君    中後  淳君

      山内 康一君    園田 博之君

      平山 泰朗君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   農林水産副大臣      岩本  司君

   外務大臣政務官      加藤 敏幸君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 武藤 義哉君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    西村 善嗣君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     深野 弘行君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    鈴木 正徳君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十日

 辞任         補欠選任

  高野  守君     柳田 和己君

  牧野 聖修君     桑原  功君

  近藤三津枝君     北村 茂男君

  江田 康幸君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  桑原  功君     牧野 聖修君

  柳田 和己君     高野  守君

  北村 茂男君     近藤三津枝君

  遠山 清彦君     江田 康幸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官武藤義哉君、国税庁課税部長西村善嗣君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、資源エネルギー庁長官高原一郎君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長深野弘行君及び中小企業庁長官鈴木正徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田大助君。

藤田(大)委員 おはようございます。民主党の藤田大助でございます。

 きょうは質問の機会を与えていただいて、本当にありがとうございます。御配慮いただいた皆様方に心より感謝申し上げます。

 私は、前回の当委員会で、中小企業政策に関連して質問をさせていただきました。その際、枝野大臣から、中小企業経営力強化支援法案が成立すれば、これを十分に活用して、中小企業、特に小規模企業のニーズに対応するという趣旨の御答弁をいただきました。

 本日は、この法案の審議ということでありますので、中小企業の海外展開、そして中小企業の支援事業の担い手、この法案の二つの柱であると思いますので、この二点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、中小企業の海外展開、そして資金調達支援についてお伺いしたいと思います。

 五月に公表された日本政策金融公庫の中小企業の海外進出に関する調査において、製造業を中心に海外直接投資の実施件数は増加傾向にあります。さらに、興味深い結果として、海外直接投資の実施により五年後の国内拠点の状況がどうなったかという調査に対して、売り上げが増加した企業が四割であったのに対し、減少した企業が一割にとどまったほか、八四・三%の企業が国内の雇用を減らしていないなどが明らかになりました。

 海外に直接投資することは、中小企業にとっても非常にいい活力を生み出すことになりますし、日本経済にとってもこういった視点が必要だというふうに思います。

 ただ、さまざまな問題点も指摘もされています。現地へ行った場合、どうしていくのか。現地の規制や会計制度への対応や、外国人の従業員の教育や労務管理、こういったさまざまな問題もあるかと思いますので、ぜひ対応していただきたいと思います。

 そこで、まず一点、資金調達については、我が党の各議員からも御指摘いただいているところなんですけれども、この条文に資金調達という単語がないということで、これをちゃんと担保できるものなのかどうかというような指摘がございます。この点についてお伺いしたいと思います。

 それともう一点は、今、地域を回っていますと、海外に自社の製品を売り込んだり直接投資したりする企業は、円高とそしてデフレ、非常に厳しいという声を伺うことが多いです。想定為替レート、二〇〇九年以降ずっと今それを上回っているような状態ですから、輸出企業の約六割がマイナスの影響を受けるというような調査結果もございますので、このあたりについてしっかり対応していかなければいけないというふうに思います。

 この法案の背景にある中小企業の置かれた今の事業環境とか状況についてお伺いしたいと思いますし、円高、デフレ対策についてもお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 もし必要があれば、細かいことは中小企業庁長官に聞いていただければと思います。

 中小企業の重要性は繰り返しませんが、特に、現下の経済状況の中では、あえて言えば、大手であれば、海外展開が中小に比べて圧倒的に容易である、このことによって、企業内における国際分業等によって、例えば円高の状況に対してのリスクヘッジがやれる。しかし、中小企業はなかなかそうはいかずに、むしろ、取引先の大手が海外に行ってしまって、仕事がなくなるということを初めとして、特に経済環境の変化による影響が相対的に大きい。

 それに対して、資金面のお話がございましたが、これは御承知のとおり、今年度の予算では、復旧復興経費も含まれておりますが、前年に比べて一千三百八十八億円増の三千三百五十六億円を計上いたしておりまして、中小企業の資金繰り支援というものを充実させることで、潜在力を生かす、まず大前提としての、しっかりと厳しい経済状況の中でも資金繰りはもたせるといいますか、確保するという対応に努力をしているところでございます。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 やはり今、中小企業を回ってお話を伺いますと、円高とデフレの課題というか、これをどういうふうに克服していくのかというのは非常に数多く伺うことになるんですけれども、技術を持っていても、中小企業がこういう経済環境の中で大変苦しんでいるということですので、そのあたりについても、ぜひこの法案審議の中で、またこれから改めて中小企業あるいは社会にメッセージを出していくというのは私は非常に大事だと思いますので、力強いメッセージをお願いしたいと思います。

 そして、資金調達も非常に中小企業にとっては大事なことで、この法案の趣旨あるいは中身というものには賛同するところでございます。それに加えて、現地でのいろいろなケアとか、そういったこともしていただきたいというふうに思っておりますので、そのことについてお答えいただければというふうに思います。

鈴木政府参考人 ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、例えば資金調達につきましても、これまで私ども、日本政策金融公庫から円建てで日本の国内の中小企業にお貸しをして、その日本の中小企業が現地の子会社に、今度はほかの、タイのバーツとか中国の元にかえて、それで資金を供給していた。そうなりますと、先ほどから委員御指摘のとおり、為替リスクがございます。

 今回は、そのような融資に加えまして、直接債務保証を行うことによりまして、現地の通貨建てで資金が調達できるようにするというのがこの法案の趣旨でございます。できるだけ為替リスクを低くしたいと考えております。

 それに加えまして、先ほどから委員御指摘のとおり、法務面、会計面、大変たくさんの課題がございます。

 私ども、例えば日本弁護士会さん、公認会計士協会さんの方々と協力いたしまして、海外展開を全面的に御支援するような体制を今構築しつつございます。ぜひ、万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。ぜひ、そういった視点で力強い取り組みをお願いしたいと思います。

 それともう一点は、海外進出がなかなかできない企業であったりとか、また、そこまでは考えていない、あるいは、地域の経営者の中には、なるべくこの地域内で設備投資をしたい、地域の雇用に直接的に貢献したいとか、そういう経営者の思いを大事にしていただくことも、これから国内の事業環境、事業基盤を考えていく上で大切かなというふうに思います。

 法案でも国内事業基盤の維持について触れられていると思うんですけれども、具体的にはどういうことなのか。

 国内への投資を支援していくことも必要という話を先ほどさせていただいたんですけれども、これから、頑張っているけれども海外進出までは考えていない、あるいはそこまでの体力はないとか、地域に思い入れを持って事業を展開していく、こういう企業を応援していくということはこの国内事業基盤の維持にもつながっていくのではないかなと私は考えます。

 先ほどは、中小企業が海外進出すれば雇用は減らないというような調査結果をお話しさせていただいたんですけれども、一方で、国全体を考えれば、国内にとどまる企業が減っていくということは、国全体のいわゆる雇用が減少してしまったり、あるいは技術が失われたり流出してしまったりということになると思いますので、国内事業基盤の維持強化、こういった視点から、経済産業省あるいは政府の考え方をお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、国内で地域に密着してしっかり仕事をしていくという中小企業、やはり数的にはこちらの方が圧倒的に多いんだろうというふうに思います。

 今回の法案でも、そうした皆さんが厳しい経済環境のもとで力を発揮していただくためのやはり広い意味での知的インフラといいますか、先ほど長官からもお話がありましたが、税理士、会計士、弁護士を初めとするさまざまな専門家、これは海外進出のときも重要ですが、国内的にも重要だと思いますし、また、金融機関等にも支援機関になっていただいて、さまざまな資金の使い方、調達のあり方等についても、よりきめ細かい指導、支援ができるということが、まず一つ大きなインフラになっていくんだというふうに思っています。

 それからもう一つ、これは今回の法律と直接結びついておりませんけれども、この間“ちいさな企業”未来会議を行いまして、全国各地の小さな企業の現場の皆さんから直接お話を伺ってまいりました。やはりニーズが大きかったのは、今申し上げた知的なインフラ、さまざまなアドバイスを、しっかりとした専門家を含めて受けたいということと同時に、そこでお話をいろいろ伺うと、やはり地域や生活に密着をしている事業というものがまさに小さな企業のある部分をしっかりと占めていますし、そうした企業が元気になれば、例えば商店街であったり地域が元気になる。

 この場合、例えば海外進出をする中小企業を支援するためには一千万円単位ぐらいの資金が一回当たり必要であるのに対して、そういう生活密着の小さな企業は、むしろもうちょっと小さな単位で、そのかわり簡易、簡便に支援がもらいたいというようなお話がございました。

 こういうことは財政制約のある中でも十分対応できることだと思っていますので、こうした地域密着の小さな企業をより簡便な方法で支援することで、地域全体の活力、そして地域の中でお金が回っていく、こういう構造をつくっていきたいと思っております。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。力強いお言葉だというふうに私も認識したいと思います。

 “ちいさな企業”未来会議のお話、前回の委員会でもお話しいただきましたけれども、ぜひこういった視点も大切にしていただきたいと思いますし、また、どちらかというと成功している企業とか、あるいは伸びている企業というものを中心に調査とかいろいろ聞き取りなんかもするとは思うんですけれども、本当に苦しんでいる企業とか、これから頑張ろうと思っている企業も含めて支援していただきたい、このように要望させていただきたいと思います。

 次に、支援事業の担い手の多様化、活性化、もう一つの柱についてお伺いしたいと思います。

 この法案では、商工会、商工会議所などの経済団体、そして金融機関、税理士法人等を経営革新等支援機関という形で認定して、中小機構などの支援によってその活動を後押しするということになっています。

 確かに、この認定制度等により中小企業に対する金融等の専門分野の支援は強化されるのではないかというふうには期待をしているんですけれども、これはやはり、例えば今までの支援組織、商工会であるとか商工会議所と、新たに今回対象になる金融機関、税理士法人、あるいは行政書士であるとか、とりわけ金融機関についてはお金を貸す側ですし、こういうような形で広がっていくということはあるんですが、性質の違いもあると思います。商工会とか商工会議所という経済団体はお金を借りる側の会員を抱えた団体でございますし、金融機関というのはやはりお金を貸す側、これで相談とかそういった体制も違うというふうに思います。

 また、どちらかというと、今回対象にされているようなところというのは偏在があるのではないか。田舎であるとかいうと、金融機関の支店なんかもなかったり、税理士の先生方なんかもやはり税務署とかそういったところに偏っていることが多いと思います。こういった地域の地理的な条件を含めて偏在の問題をどのように考えて、中小企業であれば誰でも身近にアクセスできるような体制も考えていかなければいけないというふうに思いますので、これまでの支援組織と今回の新たに加わるものについて、あるいは地域で偏在がある、過疎であるとか、田舎、地方なんかはどうしていくのかということをお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 先生御指摘のとおり、これまでも、商工会、商工会議所は、経営相談または税務相談、さまざまなニーズで中小企業の経営の相談を行ってこられました。

 私ども、今の状況を見ますと、中小企業をめぐる課題は非常に複雑化、多様化しておりまして、今回の支援組織でございますけれども、このような複雑化、多様化しましたところについて、まずは専門的知識を持ってしっかりと財務、会計を分析していただいて、そして専門家を集めてチームとして経営指導を行っていただくということで、これまでの中小企業の相談機関にはますます御活躍いただきたいと考えておりますし、それに加えて、こういうような専門的な知識を持った人たちに入ってきていただきたいと考えております。

 また、先生御指摘のとおり、地域の偏在という問題もございます。私ども、この法案を可決していただきまして成立しました暁には、例えば、地域的なところもしっかり考えて、巡回相談とかそういうような体制が組めないかということも引き続き検討してまいりたいと考えております。

藤田(大)委員 ありがとうございます。ぜひ、そのあたりの視点というのは大切にしていただきたいと思います。

 ただ、これは今まで市町村合併とかいろいろなことがあって、商工会議所であるとか商工会もいろいろ再編合併なんかもあったと思います。中小企業が相談する場所がふえるということは非常にいいことだと思いますけれども、それに合わせて偏りがあったりとか、あるいはアクセスしにくい状況が出てくるというのは克服していかなければならない課題だというふうに思いますし、もっと言いますと、既存の、今まで経営指導を行ってきた商工会、商工会議所の指導員なんかは一生懸命活動している部分もありますので、そのノウハウもこれからしっかり生かしていくということもあわせて考えれば、中小企業がこの厳しい環境の中でやっていく、支える、サポートする体制としては非常にいいのかなというふうに思っています。

 それと、金融機関に対しては、中小企業は過去の貸し渋りとかそういった経緯の中で不信感を持っているところが多いというのも事実であります。ですから、この法案の趣旨をやはり金融機関にもしっかり示していただいて、例えば、金融機関が認定をとって、ただ単に優良な取引先を見つけるツールになってしまうようなことがあっては、これはここで審議した意味もなくなってしまうと思いますので、金融機関に対して、新たに対象になる方々に対して、ぜひ法案の趣旨をしっかり踏まえていただいて徹底していただくことが必要だと思います。

 それと、既存の支援組織の経済団体との連携なんかも組み合わせていけば必ず新しい形というのが出てくるというふうに思いますので、そのあたりについて御見解をお伺いしたいと思います。

北神大臣政務官 二つぐらい質問があると思うんですが、一つ、商工会とか商工会議所については、委員おっしゃるとおり、もう既に相談に乗っていただいているところもありますし、そもそも中小企業が会員になっているということから、地域に根差して、非常にいろいろな人脈とかがある。ですから、そういった意味では、認定支援機関と中小企業の間の橋渡しをしていただくことも非常に重要だというふうに思いますし、あるいはその認定支援機関と中小企業の中にも入っていただいて、全体としてネットワークを築いていただいて、そこで中小企業の支援をしていただく、こういうことを我々も求めていきたいというふうに思っています。

 金融機関につきましては、これも残念なことながら、そういった委員御指摘の不信感というものは、私も自分の地元で聞いております。これはあってはならないことだというふうに思っていまして、当然、民間ですから採算も大事なんですが、やはり公的な機能を法律上も求められているわけでありますから、リレーションシップバンキングとかそういった意味でも、経済の血液であるお金を流して、中小企業等は特に育成をしていただくことも求めていかないといけないというふうに私は思っています。

 今回の法案を通していただけるならば、当然、国の認定基準に従って認定をもらうわけですから、金融機関についても、そういった視点で中小企業を応援していただかなければいけないというふうに思っています。

 余りちゃんとやっていないんじゃないかという疑念があった場合には、法案の三十八条で報告徴収を求めることができます。そこでもし問題があるならば、改善を命令することができますし、命令に従わない場合は認定を取り消すこともできますので、そういったこともちゃんと踏まえて我々も対応していきたいというふうに思っています。

 おっしゃるように、今でもそうですし、いろいろ金融機関等に法案の趣旨については浸透させるように努力を続けていきたいというふうに思います。

藤田(大)委員 北神政務官、力強い答弁、ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次に、西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自民党の西村康稔でございます。

 きょうは、中小企業経営力強化支援法についての審議ということで、中小企業の海外投資あるいは輸出の促進、こうした点から幾つか質問をさせていただければと思います。

 まず、法律の一つの柱でありますけれども、支援事業の担い手の多様化、活性化を柱としておられます。この点について、先ほども議論がありました。税理士、会計士、いろいろな方々を支援機関の対象にするということでありますけれども、一つに、税理士、この税理士の役割も非常に大事だと思うんです。ほかにも会計士あるいは中小企業診断士なんかもあると思いますけれども、どういう基準で支援機関として認定をしていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 ただいま委員御指摘の認定の基準でございますけれども、まずは、中小企業の財務内容及びその経営状況の分析、事業計画の策定支援、実行支援を的確に実施する観点から、私ども三点ほど考えております。

 一点は、財務及び会計等の専門的な知識を有していること。これは税理士さん、公認会計士さん、有していらっしゃいますけれども、有していること。二番目に、専門的見地から、業務内容の経営状況の分析とか指導及び助言に一定程度の業務経験を有していらっしゃる方。やはり全く業務経験を有していませんと的確な指導はできませんので、業務経験を有していらっしゃる方。さらに、長期的かつ継続的にその支援業務を実施できるというような組織体制を有していらっしゃるかどうか。こういう観点から考えてまいりたいと考えています。

 また、不適格な方から申請があった場合、反社会的な方から申請があった場合に、この方々を排除するために欠格条項等を設けることを考えているところでございます。

西村(康)委員 まさに中小企業を支援していく以上は、一定の財務、会計の知識があり、経験があり、長期的なビジョンがつくれる人こそがそういう支援機関にふさわしいと思うんですけれども、税理士の場合、税理士法三十三条の二で書面添付制度というのがあって、積極的に取り組んでいる税理士さんもおられますし、それから会計参与という仕組みもできました。いわゆる申告、決算をきちんとやっていくと同時に、中小企業の経営支援にも携わっていくということでありますけれども、こうした実績も基準の一つになり得るのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 先ほど長官の方から御説明申し上げた大枠の基準を超えた、より詳細な部分については現在も検討中でございますが、御指摘いただいた税理士の会計参与への就任実績などは、この詳細、具体的な認定基準をつくるに当たって十分考慮すべき項目であるというふうに思いますので、御指摘を踏まえて、今後具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。

西村(康)委員 税理士さんに限らずですけれども、中小企業はこれから大変な時期を迎えると思うんですね。金融円滑化法もことしで切れますし、まさに今の欧州危機を含めて大変な景気状況、特に東北を除く地方は、西日本を中心に大変な状況でありますので、これから後継者がいない中小企業、あるいは技術はあるけれども資金繰りに苦しんでいる、あるいは経営難に陥っている中小企業、そうした中小企業に対する支援として、ぜひいい人を選んでいただいて、支援を充実させていただければと思います。

 大臣にぜひお伺いしたいんですけれども、この円滑化法が切れて、これから中小企業は大変になってくる。もちろん地域の再生協議会なんかもやっていますけれども、多分とても追いつかないような状況になるんじゃないかと思うんですけれども、この中小企業対策について万全を期す、その御覚悟をぜひお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、これは大変重要な課題であるというふうに思っております。支援組織はもとより、金融機関もみずからさまざまな努力に向けた準備というか作業はもう進めていただいておりますが、きちっと常に状況を把握しながら、万全を期してまいりたいと思っております。

西村(康)委員 世界経済を含めていろいろな波乱も考えられますので、ぜひ万全を期していただきたいと思います。

 この制度、支援機関を通じて中小企業を支援する場合に、保証協会の保証料の引き下げとか、もっと大胆な措置が欲しいところですけれども、こういう措置がありますが、これは何社ぐらいを支援の対象として想定していますか。

北神大臣政務官 あらかじめ正確にどのぐらいというのを具体的に申し上げることはできませんが、大体、認定支援機関については数千件程度を想定しております。これに基づいてどのぐらいの中小企業が対象になるかということですが、なかなか言えませんが、できるだけ数多くの中小企業を支援していきたいというふうに思っております。

西村(康)委員 予算の手当ては幾らしてありますか。

北神大臣政務官 予算は、委員が今おっしゃった信用保証料の引き下げとか、あと、支援人材の育成、これは中小企業を支援する人たちの育成ということと、三つ目が中小機構の専門家の派遣、大きくこの三つに分かれます。

 二十四年度の予算で手当てしているのは、まず、保証料の引き下げにつきましては二億円、人材育成につきましても二億円、それから中小機構の専門家派遣につきましては、これは全体として交付金がありまして、これが大体百九十二億円なんですが、その内数でありまして、これも専門家の要請に応じて決まってくるので、あらかじめ幾らということはなかなか申し上げにくい状況でございます。

西村(康)委員 今の信用保証協会の保証料の引き下げは二億円ということですけれども、これは積算上何件、想定しておられますか。

鈴木政府参考人 私ども、当初でございますけれども、百五十億から百七十億の保証を想定しているところでございます。

西村(康)委員 済みません、対象の中小企業として何件ぐらいを想定していますか。

鈴木政府参考人 中小企業の方々、今保証を求められたときに、一千万円、二千万円、大きいところでは四、五千万円ございますけれども、それを考えますと、当初の段階といたしまして、千件から三千件程度になるかなと考えているところでございます。

 また、私ども、当初の予算、二億円程度でございますけれども、この支援機関の支援がどんどん進みますときには、例えばほかの予算からのそのときの変更とか、そういうことも考えていきたいと考えておりまして、できるだけ多く、一万件、二万件、十万件の程度になることを期待しているところでございます。

西村(康)委員 大臣、千件から三千件、各県当たりにすれば百件にも満たないような予定であります。いろいろ予算のやりくりはやられるんでしょうけれども、今後、景気対策、それから少なくとも交付国債、年金のあの交付国債分をやめる以上、補正予算ということもこれは考えられる話であります。あるいは、今期、前半の法人税の増収もあるんだと思いますけれども、補正、あるかどうかは今の段階ではあれでしょうけれども、今後、景気対策としてそういう話が出てくる場合には、この中小企業対策、拡充をするというお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 余り具体的になっていない段階で政府の側が補正予算の話をするのは、逆にお叱りを受ける可能性もあるかなというふうに思いますが、特に、今長官からもお話がございましたが、今回、支援のスキーム、枠組みを法律でつくっていただく。それがきちっと動き出せば、このスキームに乗って、信用保証料の低減などの予算、財源が伴う認定ということを求める数がふえてくる。

 まさにその土台のところをまずスタートさせていただいて、実際に多くの支援機関が認定され、そうした皆さんが支援計画をさまざまつくっていただいて、そこでの需要が出てくれば、長官から答弁もありましたとおり、その必要にはしっかりと対応していきませんと、仏つくって魂入れずになりかねませんので、そこのところは、支援組織の認定等をしっかりやっていくと同時に、しっかりとウオッチしてまいりたいと思っております。

西村(康)委員 ぜひ、予算が足らなくなるような事態のないように、まさに支援を充実させて、その部分の対応をしていただければと思います。

 もう一方の、今回の法律の柱であります中小企業の海外展開を支援するということですけれども、中小企業の海外進出の行き先として多いところはどこですか。これまでの統計上、わかる範囲で。

北神大臣政務官 中小企業が海外投資をする先として、今統計上あるのは、やはり中国が一番多いですね。五三・八%。これは、販売拠点としての直接投資先ということです。その次がタイ、一一・四%。三番目が北米、七・四%。ほかにもいろいろありますけれども、おおむねやはりアジアが多いというふうに考えております。

 あと、今は販売拠点の話ですが、生産拠点についても、やはり中国が半分以上で五八・二%、その次がタイで一二・六%、ほかにアジアの国があるという感じです。

西村(康)委員 圧倒的に中国が多いということでありますけれども、先般、日中韓の投資協定に日本も署名をしました。しかしこれも、かつての日中の投資協定に比べれば前進ではあるけれども、幾つか不十分な点があるというふうに経済界あるいは新聞報道などでもなされています。

 大臣、どういう点が不十分であると認識しておられるか、これからどう改善していこうとしておられるか、この点、お伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘の日中韓投資協定では、投資後、参入後の対応についてはかなりの水準までできたのではないかと思っておりますが、他国との投資協定の中には盛り込まれていることの少なからずある参入段階での内外無差別等に関する規定が含まれておりません。この点を初めとして、適切な機会を捉えて、産業界の要望も踏まえながら、投資規律の強化に努めてまいりたいと思っております。

西村(康)委員 まさに、中小企業を初めとして、大企業もそうですけれども、投資をしようとするときに、内外無差別ではなくて、いろいろ出資比率等で制約を受けるということでありますので、この点はぜひ改善をしていただきたいと思いますが、これはどういう形で今後改善を求めていかれますか。どういう場面で、どういう段階で、どういうふうに。

枝野国務大臣 これは結局、率直に言って通商交渉、相手国のある話でございます。

 今回、日中韓投資協定の改定に当たっても、できるだけしっかりとした投資規律をつくりたいということで努力いたしましたが、残念ながらそこまでは今回いきませんでした。引き続き、繰り返し、しかもさまざまな、特に、二国間あるいは韓国を含めた三国間の経済の状況を踏まえて、相手国にとっても、こうしたしっかりとした投資規律を設けることが、日本からのより積極的な投資を導くものとして決してマイナスではないんだということを粘り強く訴えていくことが一番重要だと思っております。

西村(康)委員 日中韓のFTA、EPA、言い方はともかくとして、その場面もあると思いますので、ぜひいろいろな機会を通じて改善を求めていっていただければと思います。

 他方、この日中韓のFTA、EPAもそうですし、日本が関係していく自由貿易協定あるいは経済連携、これが本当に進むのかというところに懸念を持っておりまして、今回のG20でも、TPPについて、メキシコは交渉参加になった、ちょっと夜中の報道ですので、もし最新の情報がわかれば教えていただきたいと思いますけれども、カナダも前向きなことを表明して、アメリカは歓迎するというようなことを発表したようでありますけれども、これはちょっと報道ベースでありますので、ぜひ教えていただきたいと思います。

 このTPPの最新状況、どういう交渉状況になっているのか。メキシコは交渉参加した、なぜ日本は早く交渉参加を表明しないのか、この点についてお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 いずれも、我が国、当事国ではありませんので、間接情報でございますが、メキシコが交渉参加、それからカナダについても報道されていると同様の情報は入手をしているところでございます。

 我が国としては、交渉参加に向けて、現在の九カ国それからカナダやメキシコともさまざまなレベルでこの間も話をしてまいりました。残念ながら、米国を初めとする幾つかの国と、交渉参加の前段階としての協議がまだ調っていないといったこともありますし、もちろん、国内において、そうした状況をできるだけ多くの皆さんに御理解をいただくべくさまざまな努力をしている部分もまだ結論が出ている状況ではございません。

 引き続き、特に米国を初めとして、TPP参加国との間で現在のTPP交渉の状況等についてしっかりと協議を進めていくことで、いずれにしても我が国としての姿勢、判断をできるだけ早く示してまいりたいというふうに思っております。

西村(康)委員 今、事前の交渉で、アメリカからは何を求められていますか。

枝野国務大臣 アメリカからは、これは議会の承認が必要になりますが、そうした議会や利害関係者が強い関心を有している問題として、自動車それから牛肉それから保険ということに強い関心を議会や利害関係者が持っているということについて指摘を受けているところでございます。

西村(康)委員 牛肉については日本は一定の方向を出しておりますし、保険についても、郵政がどこまでやるか、これは郵政の新しい体制のもとで、新規業務についてはしばらく難しいんだと思いますけれども、残るは一番自動車だと思うんですが、自動車は具体的に何をアメリカから求められていますか。

枝野国務大臣 アメリカ政府というよりは、アメリカの議会や利害関係者から、日本の自動車市場が閉鎖的ではないかという指摘を受けているということを聞いております。

 その上で、そうした皆さんの意見を踏まえたさまざまなアイデアとして、透明性であるとか流通の問題、技術基準の問題等々が示されておりますが、例えば私も、過日、カーク通商代表とAPECの場でバイの会談を行いましたが、そうしたところで話されているのは、先ほど申しました、米国内には日本の自動車市場が閉鎖的だという指摘があるというお話がありましたので、私の方からは、決して閉鎖的ではないということを強くお返しをしている、こういう状況です。

西村(康)委員 自動車について言えば、今のような点、透明性、技術基準が言われているということですが、本来、今言われた話は、交渉に参加して、日本が何をやらなきゃいけないか、あるいは透明性も確保されているのか、これは交渉の中で話すべき話であって事前の交渉でやるべき話ではないと思いますし、事前の交渉でどこまで具体的な話をされているのか。つまり、日本がやはり参加表明して交渉参加しないと具体的な話にならないんじゃないかと思いますけれども、この点はどうですか。

枝野国務大臣 まさにそれは相手側も、通商交渉、TPPの交渉そのものの中でやるべき話の部分のところは今の段階で話をすることではないということは、十分認識をされているんだと思います。

 だからこそ、もちろん、これは相手国のあることで詳細な内容まで立ち入ってお答えできるものではありませんが、今申し上げたような、抽象的な、閉鎖的ではないかという指摘であるとか幾つかのアイデアのようなことが言われている話であって、我々としても、まず、そもそもが、我が国の自動車マーケットが閉鎖的であるというのは前提が違う、我が国の自動車マーケットは非常に開放的であって、たまたま日本におけるアメリカ車のシェアが低いのは、それは我が国のマーケットの問題ではなくてアメリカ車が日本の消費者のニーズに合っていないからだということをかなり強く言い返しているところでございますし、その上で、もしも何か問題があるんだとしても、TPP交渉の中で議論すべきテーマはそこで議論するんだ、こういったこともしっかりと強く申し伝えているところであります。

西村(康)委員 その考えは我々自民党も同じでありまして、我々、TPPに対する方針をまとめましたけれども、いわゆる米韓FTAでやっているような数値目標的なものはこれは絶対に日本としてはのめないということは自民党の方針としても決めているところでありますし、大臣が言われたとおり、アメリカ車、確かにシェアは日本国内で少ないですけれども、例えば去年の東京モーターショーだって、アメリカ車は一社も出していないわけですよね。あるいは、小型車とか小さな車は全然車種が少ない、種類が少ない中で、努力していないじゃないかと言うのはもっともでありますけれども、そういうやりとりを幾らしても交渉に入れるわけではないので、やはりこれは交渉参加表明をしないと全然物事が前に進まない。もちろん、例外を求めていくというのも我々の方針でありますけれども、これは交渉の中でやればいいので、結果としてとれればいい話でありますけれども、やはり参加表明しないといけないんじゃないですか。大臣、いかがですか。

枝野国務大臣 委員を初めとして我が国には、一刻も早く参加表明をまずすることだ、そこから初めて具体的な中身の交渉ができるのであってという、強い御指摘を受けていることは十分承知をしております。

 同時に、政府全体としては、国内のさまざまな声があることを踏まえて、交渉参加に向けた協議の中で得られた情報に基づいて、しかるべきタイミングで政府としての判断をしたいという状況でございます。

西村(康)委員 時間が余りありませんので、また改めてこの点は議論したいと思いますが、TPPが進まないから、EUとの交渉もこれまたとまってしまっているんじゃないですか。いわゆるスコーピングエクササイズというものは終わりましたけれども、欧州議会は反対をした声明を出していますし、これからヨーロッパとの交渉はどうするんですか。どういう状況ですか。

枝野国務大臣 他の国との通商交渉がほかの別の第三のところとの通商交渉に与える影響が全くないということを言うつもりはございませんが、日・EUのEPAの問題とTPPの話との相関関係はそれほど強くはないのではないかというふうに私は思っています。あえて言えば、FTAAPに向けたアジア太平洋地域のさまざまな経済連携の話については相互に相当な影響を与えているかなというふうには思っております。

 実際、日・EU・EPAについても、この間、スコーピングの作業、最終段階でもかなり難航いたしました。しかし、これはここで具体例を挙げていいのかどうかわかりませんが、ことしの前半の議長国デンマークが大変積極的な取り組みをしていただきまして、五月三十一日の外務理事会において欧州委員会としてのスコーピング作業の終了報告をしていただくところまで持っていくことができました。

 もちろん、EUは非常にたくさんの国ででき上がっておりますので、これからそれぞれの国の手続等がございますし、率直に言えばそれぞれの国の利害関係も多々あるところでございますが、大きな流れとしては一歩前に進んだ状況であるというふうに思っておりまして、引き続き、EUに対して、正式な交渉入りに向けた作業を急ぐよう、EUの場合は、EUそのものとEU加盟の各国に対して強く求めてまいるという状況でございます。

西村(康)委員 大臣、前半のお答えは私と認識が全く違っていまして、TPPをやることによって、ほかにも、例えばアメリカ車が日本に入ってくるのであれば、ヨーロッパも日本にもっと入るためのことを考えるし、TPPの中で、日本がベトナムやマレーシアに投資しやすい環境ができれば、中国もやはりそうなるように考える。

 それはやはり刺激を与えて、日中韓を動かしていくためにも、EUを動かすためにも、TPPが全てじゃないですよ、日本を取り囲むいろいろな貿易の環境、投資の環境をつくっていくためには、これは全てのことについて前向きに進んでいかないと、一つとまれば、あそこがとまっているならうちもいいやということになりかねないと思いますので、ぜひ、その点の認識を改めていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、最後に。

 ヨーロッパに対して日本の農産物の輸出規制がまだ、いわゆる原子力被害に関して残っておりまして、これが日本の出荷規制をしていない都道府県まで含めて規制が残っておりますけれども、この緩和をもっと強く求めるべきじゃないですか。この点について、農水副大臣、来ておられますので。

岩本副大臣 お答えいたします。

 昨年、山形県、新潟県及び長野県の三県が、輸出に際して、検査証明が必要な県から産地証明だけでよい県に変更されまして、本年、日本酒等は規制対象から除外されたところであります。

 いずれにしましても、一層の規制緩和に向けて全力で働きかけを行ってまいります。

西村(康)委員 EUの基準というのは、ほかの国にも影響を与える大きな影響力がありますので、ぜひ、必要以上の規制をしている場合には緩和を求めていっていただきたいと思います。

 これから、中小企業、食品も含めてでありますけれども、国内に立地して輸出をする環境も整えなきゃいけませんし、それから、今回の法律のように、海外に出ていく人もまた支援をしていく。いずれにしても、グローバル化に対応していかなきゃいけませんので、ぜひ、各省連携をしていただいて取り組んでいただければと思います。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 台風一過と爽やかにはなりませんでしたけれども、しかし、きょうは皆さん方にちょっと、委員会はこういう場所ですけれども、山の中で川音がざあざあ流れていて、山に雲が立ち渡っていく、雲がわくわくと湧き上がる、そういう風景も想像いただきながら、質問に入らせていただきたいと思います。万葉集巻七、一千八十八番。

  あしひきの山川の瀬の鳴るなへに弓月が岳に雲立ちわたる

 それでは、よろしくお願いいたします。

 きょうは、中小企業の経営力強化支援法ということでありまして、中小企業の海外展開への支援、そしてまた、地元で頑張る中小企業に対して、認定経営革新等支援機関、こういったものを設けて応援していこう、こういうたてつけの法案でございます。基本的に、そういう前向きな取り組みと理解するわけですけれども、まず、海外展開のところについて幾つか、この法案の支援措置以外の部分も含めて、お伺いをしてまいりたいと思います。

 中小企業、非常に、町の中でも大変いろいろな技術を持って、いろいろなわざを持って頑張っておられる。そういった企業が、ある日、製品が認められて海外に出ていくというようなことにもなるわけですけれども、そういった場合は、海外のバイヤーとか顧客との出会いというものが必要になってまいります。もちろん、下請という形で出ていく場合もありますけれども、光が当たればがらっと変わるという場合もあると思います。

 そこで、地域における、そういった意味では展示会や商談会あるいは関係機関の相談窓口の役割、ジェトロ等の役割というのは非常に大きいのではないか、このように思います。見解と取り組みについてお伺いいたします。

北神大臣政務官 おっしゃるとおり、中小企業の海外展開のためには、外国等の買う方とこっちの中小企業の、どういう製品があるのか、どういう技術があるのか、そこのマッチングというのが非常に重要だというふうに思っていますので、そういう出会いの場ということについては、我々もそのように重要だということを認識し、いろいろな支援策をやっております。

 具体的には、ジェトロと中小企業基盤整備機構が連携をして、展示会への出展支援とかそういった海外へのミッション派遣、こういったことをやっています。

 あと、相談の面でも、これもジェトロが国内に三十八事務所ございますし、中小企業基盤整備機構も十カ所に地域本部というものがございます。こういったところが、海外展開に当たっての相談の窓口になっています。それ以外でも、全国九カ所の経済産業局で、地域の支援機関が参加をして、中小企業海外展開支援会議地域協議会というものを組織していまして、これも地域の支援機関同士の連携を図っているところでございます。

 こういった取り組み全体で、海外支援の推進を図ってまいりたいというふうに思います。

    〔委員長退席、石関委員長代理着席〕

橘(慶)委員 そして、中小企業が海外に進出していくということは、一面、よく一般論で言われてしまうのは、会社がどんどん外へ出ていくと、地域の雇用はどうなるんだ、空洞化はどうなるんだ、こういう御心配もあるわけです。また、先ほどちょっと藤田委員の質疑の中にもありましたけれども、中小企業の中で、海外に進出しながら、かつまた地元の雇用もふやしていく、海外へも出るような力のある企業は逆にまた地元でも頑張れるんだ、こういう調査結果なども出ているということもお伺いしております。

 ある学者の先生は臥龍企業というような言い方をされて、そういう企業が伸びることによって、海外にも出るし、国内でも、それこそきょう出ていましたが、国内基盤も充実していく場合もある、このようなお話がございます。

 このことについての経済産業省の見解、またどのような海外展開が望ましいとお考えなのか、ここで確認をさせていただきたいと思います。

北神大臣政務官 これも委員と認識を全く同じくしておりまして、中小企業白書の中でもこれを分析して、中小企業が海外投資をした場合に、中長期的には国内の事業も活性化して雇用もふえる傾向があるということも我々分析をしているところでございます。

 背景は、委員御案内のとおり、単にコスト削減のために海外に出るだけじゃなくて、特に、非常にふえているアジアなどの新興国の需要に対して、やはり新たな販売先の開拓、こういったものを目指して海外直接投資を行っているものだというふうに考えております。ですから、そういったことで、我々は中小企業の海外展開を力強く支援していきたいというふうに思っています。

 ただ、先ほど藤田委員のお話にもありましたが、マザー工場機能とか研究開発的な拠点というものはできるだけ国内に残していただくことが大事だというふうに思っていますし、中小企業の皆さんも、やはり地元に対する責任感とか愛着からそういった考えをお持ちだというふうに思っています。

 あと、もう一点だけ申し上げますと、この前、タイの洪水のときにも、中小企業がちゃんと国内に拠点があったため、タイでああいう事態が起きたときに、代替生産機能をちゃんと持っていた、それで非常に助かった部分もありますので、そういったことを総合的に考えると、そういった海外展開が望ましいというふうに考えております。

橘(慶)委員 今マザー工場や研究開発拠点あるいは国内外の連携というお話をいただいたわけですが、こういったことを踏まえながら、まず大臣にお伺いをしたいわけです。

 日本も、経済成長を遂げて、随分海外にもいろいろな拠点を出すようになった、そういうグローバル化した経済の中にあるわけであります。よく、経済学の中でいえば、いろいろな発展段階説の中でいえば、成熟した債権国といいますか、言ってみれば、海外にいろいろな投資があって、そういうところからの果実も含めて国が成り立っていく、そういう国に変わりつつあるんだろうと思います。

 そうすると、GDPということでいつも経済成長は言われていますが、これはドメスティック、結局国の中ということで経済の統計を見ていますが、昔はGNPともいいましたが、今はGNIということで、本当に世界経済の中でどれだけ我が国が富を得ているのか、そういうことでこの日本の国力なり経済を見ていくこともできるだろう。

 そしてまた、大切なことは、今政務官もお話があったように、せっかく海外でもうけたお金があっても、それをただそのまま持っていてはだめなので、それをまた国内のマザー工場とか研究開発投資、あるいは第一号ラインにお金を循環させて、言ってみればそういう富の循環をさせていくことが大事ではないか、このように思うわけであります。

 こういったGNI戦略といいますか、そういった成長戦略についての大臣の見解をお伺いいたします。

枝野国務大臣 委員の御指摘、私は全く同感でございまして、まさに今世界の中で置かれている日本の立ち位置を考えれば、成熟した債権国として、海外で稼いで、そのお金が日本に還流してきて生かされる、この重要性というのはもう否定できないというふうに思っております。

 したがって、関係省庁とも連携をして、投資協定の締結とか二国間協議を通じた、送金規制や技術供与の対価に関する規制など、資金の還流を妨げる外国の制度の改善、撤廃に努力をしているところでございます。

 ただ、気をつけないといけないのは、時々、そうはいってもやはり日本はものづくりがあってこその今の豊かさではないかという御指摘も受けるんですが、国際分業の中で、日本は、日本の国内でこそできる得意な分野をしっかりものづくりでやっていく。もちろん、全部日本の中でやっていたときと比べて、ある部分は外に出して、ある部分は日本に残すというのは、マネジメントというか、そういう観点からは難しいんだと思いますが、その難しさを乗り越えて、技術力は国内でしっかりとどんどん高める、お金は外で稼いでうまく日本に持ってくる、この難しいかじ取りを各企業も、そして経済産業省としてもやっていかなければならないと思っています。

橘(慶)委員 日本でできるものづくり、そのあたりの国際分業というお話がありまして、これは、先端産業なり製造業のメーンストリームではそういうことは当然あると思うんです。

 それでは、次の質問にうまくつなげていただいたわけですけれども、もう一つ。

 いわゆる伝統工芸品というようなものも、ある意味で日本の技術であって、日本でしかつくれない。言ってみれば、そういったものの価値というものがわかっていただけるのであれば、それはまた、別にマーケットが日本だけじゃなくても、それが中国であれアジアであれヨーロッパでもいい、こういうことになります。言ってみれば、クール・ジャパンという例の戦略を広く考えていく。

 実は、大臣が前回の経済産業委員会で、いみじくも、広義の、広い意味でのクール・ジャパンという発言をされたのが、私、頭に残りました。広義といったとき、どういうものを入れるか。

 実は、そこはまた認識がいろいろ違うことがあるかもしれませんが、私的に申し上げれば、例えば、そういったところに伝統工芸品というものを考えた場合に、伝統工芸品単体では、鋳物だったり漆だったり、あるいは木工だったりするわけですけれども、そういったものを何かトータルに、ある空間の中で見せることができたり、あるいはあるイベントの中で見せることができると、それは一つの戦略として大変理解していただきやすいんじゃないか。

 例えば、お茶席を設ければ、茶道ということをやれば、書道もわかれば、生け花もわかれば、言ってみれば、鋳物の花瓶があったり、お棗があって漆だったりするわけですね。そういった、何かトータルに見せていく。それが、芸能活動でも、あるいは能舞台みたいなものなのかもしれないし、いろいろあり得ると思うんですよ。

 私の地元というのは、世界遺産の五箇山があったり、そういう昔からの自然とか日本のしつらえが残っております。もちろん、いろいろな伝統的な食事もあります。日本食を、また日本の器に盛りつけるということもできるかもしれません。

 そういった意味において、クール・ジャパン、私のこの話を聞いて、大臣はどういうふうにお考えになるか、御見解をお答えください。

枝野国務大臣 クール・ジャパン、私もせっかく経済産業大臣を拝命して仕事させていただいておりまして、ほかの大臣とは違う個性を一つぐらいは出したいと思って、クール・ジャパンこそ力を入れてやっているテーマでございます。

 そして、どうしても従来、クール・ジャパンといったときに、これはやはり単品のところの世界なんですね。確かに、日本の伝統工芸品は立派なものだとか、日本の食は立派だ、日本のコンテンツは立派だ。これは、経済産業政策として、ビジネスとしてやっていく上では、例えば、幾ら立派な焼き物があっても、単品では海外の皆さんがどう使うのかもわからないということですし、逆にうまくいっている部分では、お茶を入れる南部鉄瓶が、別に外国の方はあれでお茶を飲むわけではないけれども、別の使い方で高く評価されている。

 したがって、単品ではなくて、今まさに御指摘いただいた、いろいろなものを組み合わせる。その組み合わせでパッケージにすると、新しい使い方がされたりとか、あるいは生活の中に取り込んでいただけるということになっていくと思っておりまして、今経済産業省のクール・ジャパンの戦略においても、例えば伝統工芸品も、いろいろな地域の伝統工芸品をパッケージにして日本の食文化と合わせればビジネスになりやすいなどという、このマッチングであるとか、あるいはコンテンツの世界とものづくりの世界を結びつけて、コンテンツをまず売り込むことで、後から日本製品がくっついて売れていくとか、こういうマッチングをうまくやっていくことこそが、経済産業省、行政のできる仕事。マッチングそのものは、我々に知恵はないですが、マッチングのための場、プラットホームを提供していくということが大事ではないかという視点で今戦略を進めているところでございまして、大変貴重な御指摘をいただいたと思っております。ありがとうございます。

橘(慶)委員 ぜひ、そういうアイデアを練っていただいて、枝野大臣、こう言っちゃ悪いんですけれども、府省庁事業仕分けを乗り越えていただいて頑張っていただきたい、このように思います。

 それでは、次は、中小企業事業活動促進法の認定経営革新等支援機関、先ほど来、お二人の方からも大分御質問がありまして、大体明らかになっているというか、大体こういう考え方かなということはわかってはいるんですけれども、若干技術的なことも含めて、まとめの意味で確認をさせていただきます。

 この認定経営革新等支援機関になれる人といいますか、どういう方を認定するかということについて、先ほど認定三条件も出てまいりましたので、要は、支援事業を行う者であれば、事前にお配りいただいている経済産業省さんの資料では、例えば金融機関とか税理士法人とか、特定されたような形に見えちゃうんですけれども、そうではなくて、いわゆる知識のある人、能力のある人が物差しにかなえばオーケーだ、こういうことで理解していいんですよね。

北神大臣政務官 委員おっしゃるとおりで、法律上、特段の制限を設けておりません。基本的に、我々の考えは、財務、会計あるいは実務経験、こういった分野で一定の水準を超える方々を認定していきたいというふうに思っています。

橘(慶)委員 そこで、今回の認定経営革新等支援機関において、今まででも、そういう支援のいろいろな組織なり、それこそ、先ほど来お話がありました、商工会議所あるいは商工会さんが、巡回指導や経営相談あるいはマル経融資、いろいろな形でゼネラルには支援いただいているわけですね。

 そこに、こういう形で新たな機関を設けていくということであれば、当然そこは、ある分野、こういう分野で頑張ってほしいんだ、こういう思いもあるのかなと。そういう意味では、新たに力を入れて、どういう支援事業を提供していこうというお考えなのか、確認をさせてください。

北神大臣政務官 委員おっしゃるとおり、商工会、商工会議所も、今まで中小企業に対して経営支援をいろいろ行ってきました。これは、大体、非常に簡単な税務相談とか労務管理とか、あるいは帳簿のつけ方とか、こういったことをやってきたというふうに認識しております。

 今回の法案については、さらにより専門的な、高度な会計、財務の知識、市場調査あるいは知財管理、こういった専門性を持った方々あるいは機関を認定していきたいというふうに考えています。

橘(慶)委員 そして、この認定支援機関に、中小企業基盤機構、こちらから専門家を派遣してさらに補ってあげよう、こういう思想なわけですね。

 では、どういう専門家、どういう支援をされようとしているのか、これを長官に確認いたします。

鈴木政府参考人 委員御指摘の、支援機関がいろいろな支援業務を行う際の専門家でございますけれども、例えば技術の目ききもございます、先ほど委員から御指摘ございました海外展開もございます。また、その地域だけではなくて、日本全体、広域的な販路拡大もございますし、例えばほかの商店さんですと、商業活性化、また、今政務官からお答えいたしました知財管理、さまざまな専門家が必要な場合があろうかと思っています。

 そのようなさまざまな場合に応じまして、専門家を派遣させていただきたいというふうに考えているところでございます。

橘(慶)委員 このようにお話を聞いていきますと、今までいろいろゼネラルなサービスがなされている、それは一生懸命やっていただきたいんだ、そこにまた、それは中小企業といっても、中堅企業から小規模企業までありますし、中身的にも、かなり専門的にこういうことを知りたいんだという方もあればということに対して、もう少しかゆいところに手が届くような、いろいろなスペシャルな、いわゆる専門的な支援をある意味で拡充していく、こういう姿に私としては理解ができるわけです。

 そこで、実は大臣は、これまた前回の委員会を思い出すと、御自身で、やはり中小企業、言ってみれば、どちらかというと中堅というよりは中小の企業というものを肌で感じておられる方でもあります。先ほど来、商工会の巡回活動の話、あるいは商工会議所の話、いろいろな話が出てまいりました。そういう意味では、既存の商工団体、そういった今まで頑張っている方々にはさらに頑張っていただきながら、ある意味で、そういうことで支援を厚くしていくんだ、こういうイメージに捉まえていいのかどうか。

 大臣の、先ほど“ちいさな企業”未来会議というお話もございましたので、規模がいろいろあってなかなか、そんな顧問料を払ってまで税理士さんに、お金を払えないような商店、小規模なところまであるわけですから、広い意味での支援という意味では、商工会議所さん、商工会さんとみんなで頑張っていくんだというところの考え方について、これは通告していませんが、お答えをいただいておきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、商工会議所、商工会などの商工団体には、長い歴史そして実績がございます。ですから、今回の法律で、それはもう終わったんですという意味では全くありません。まさに、それに加えて、専門家の皆さんにより幅広く協力をしていただき、でき得るならば、そうした幅広い皆さんの協力のネットワークの中心を担っていただくことが一番ありがたいのではないかというふうに思っておりまして、ぜひ、商工会議所、商工会には、この法律ができた以降も、むしろ今まで以上に、さらに頑張っていただきたいと期待をいたしております。

橘(慶)委員 この点、理解をいたしまして、それでは、あと通告に従いまして、また幾つか残っている質問をさせていただくわけです。

 経営基盤強化計画、今までそういう制度がございました。これは、今回のこの法律の改正の中で廃止されるわけであります。言ってみれば役目を終えたということだと思うんですが、改めて、この制度の趣旨、そして廃止しても問題がない旨、長官から確認をいたします。

鈴木政府参考人 委員御指摘の、経営基盤強化計画でございます。この趣旨でございますけれども、経済的環境の著しい変化等により状況が悪化しております業種につきまして、特定業種として認定いたしまして、この特定業種につきまして、さまざまな計画をおつくりいただき変わっていただくというものでございます。これまで四業種ほど指定をさせていただきました。

 最後の計画でございますけれども、平成十九年三月に最後の計画が終了いたしまして、その後、新たな業種の指定及び計画の承認は行われておりません。

 私ども、やはり三年、四年たちまして、この間に何もございませんでしたもので、この政策の必要性はなくなったかなと思いまして、今回廃止させていただくことといたしました。

橘(慶)委員 次に、この法案において、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律、いわゆる農商工連携を進める法案も実は改正されるわけであります。そして、言ってみれば、そこにも海外という視点を入れていくということで、海外において農商工連携事業が実施される場合における国内の事業基盤の維持ということについて新たに基本方針に定めていく、こういうことになるわけですね。

 ただ、これが、私なりにイメージ、どういうものなのかなと事前に少しディスカッションもさせていただきましたが、この場合の農商工連携事業はどういうものを考えるのか。例えば、海外で海外の作物を使った農商工連携事業なのか、それとも国内で農商工連携事業しているものを海外に製品を出していくとか、そういったことをお考えになっているのか。

 この辺、一応お考えを確認させていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 委員御指摘の海外におきます農商工連携ですけれども、例えば海外の農産品を使って農商工連携を海外で行う、こういうものは私ども一切想定をしておりません。今委員御指摘のございました、例えば国内で農商工連携でできましたものを海外で販売する、そういうものにつきまして御支援申し上げる。

 また、これは香港で今実際に行われている例でございますけれども、日本の農産物を香港に持っていきまして、そこで加工もしまして、また販売が行われる、こういうような、日本の農産物を使いながら、また日本での農商工連携でできた製品を使いながら、海外において販路拡大等を行っていただく、そのようなものを御支援の対象にさせていただきたいと考えているところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 そして、これは以前の委員会等で質問しようとして抜かしてしまったので、きょう質問させていただきたいわけです。

 実は、中小企業、財務会計、税務会計、いろいろ会計の処理はあるのですが、上場企業だと大変厳しい会計基準があるわけですけれども、中小企業はなかなかそういう難しい会計処理というのは困難であろう。こういうことの中で、中小企業の会計に関する検討会報告書というのが出ておりまして、中小企業の実態に即した新たな会計処理のあり方を取りまとめることを目指しておられるということであります。これはいいことだと思っておりまして、今後の具体的な取り組みのスケジュールあるいは流れについてお答えをいただければと思います。

鈴木政府参考人 委員御指摘の中小企業会計要領でございますけれども、本年二月に取りまとめをさせていただいたところでございます。

 私ども、平成十七年に中小企業の会計に関する指針をつくりましたが、これがなかなか難しくて、正直言って余り使われなかったというのが実態でございます。そういう反省を踏まえまして、今回、会計要領をつくらせていただいたところでございます。

 私ども、これを広く皆様に御利用いただきたいと考えておりまして、例えば中小企業団体、税理士、公認会計士の方々、この方々がこの会計要領に基づきまして計算書類を作成する、その際の御支援、また、金融庁にもお願いいたしまして、金融検査マニュアルや監督指針にもこの中小企業の会計要領の活用を位置づけていただきまして金融機関からも活用を促していただく、さらには、日本政策金融公庫の政策融資におきましても、例えばこの会計要領に基づきまして計算書類を作成されました中小企業には金利を優遇する、こういうことを行いまして、できるだけ広く広めてまいりたいと考えているところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 こういう質問だったわけですが、最後に大臣に一つだけ。

 TPPですが、自動車について、まだ米国からは具体的な要求はないんですよね。関心とかアイデアはいろいろ示されているけれども、具体的な要求事項はないんですよね。これは二回、局長に答弁いただいているんですが、きょう、もう一度、現時点で確認します。

枝野国務大臣 御指摘のとおりでございます。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

石関委員長代理 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、法案審議ということでございますが、先週のたしか金曜日にも一般質疑の時間をいただきまして、中小企業については、信用保証制度のこと、あるいは、中小企業の経営支援のための政策パッケージというのを政府の方で四月二十日に発表されておりますが、そういうことに関して、ちょっと時間をいただきましてさせていただきました。

 法案も含めて広範にきょうはさせていただきたいと思うんですが、まず前半では、今マスコミ等でも連日報道されております、アメリカから提供された実測に基づく放射能汚染地図を政府が昨年の三月に放置していた、そういう問題につきまして、今は報道だけが流れておりますので、委員会でもしっかりと事実関係を確認しておきたいと思います。

 この問題は、東京電力の福島第一原発の事故直後の昨年の三月十七日から十九日に、アメリカのエネルギー省が米軍機で放射線測定、モニタリングを行って詳細な汚染地図を提供したのに、日本政府は公表せず、住民の避難に活用していなかったということが最近明らかになったわけでございます。

 アメリカは、米軍機二機に地上の放射線量を電子地図に表示するという空中測定システム、AMSと呼ばれる機材を搭載して、福島第一原発から半径四十五キロの地域を計測してこの放射能汚染地図をつくって、わざわざ日本に提供されるということまでされていたわけであります。

 政府の初動の対応については、特に、当委員会でもありました、SPEEDIについて公表がおくれていたということが問題となっておりましたけれども、このSPEEDIのデータと今回発覚した実測値のデータというのは全く違って、SPEEDIというのはあくまでも予測値なんですね、ところが、アメリカ側が具体的に米軍機を使って、放射能の拡散方向を示す実測値に基づくデータであったということが、もう全然違ったわけであります。

 具体的に原発から北西方向に広がる様子を、約一週間のときにもう既に実測値として日本側に伝えていたというこの問題が、本当に私は不可解でならない。

 アメリカ政府が、日本のためになるなら、そういうことで提供されている。そのような住民避難に役立つデータ、命を守る情報というものが、なぜ伏せられたのか、放置されたままになっていたのかということについて、ちょっと時間をいただきまして事実関係を問うていきたいと思うんです。

 まず、枝野大臣にお伺いしたいのは、当時、大臣は官房長官でございました、総理や官房長官、そして官邸に、アメリカ政府からの汚染地図のデータの存在さえ伝わっていなかった、そのように報道されているんですが、それは事実なのかどうなのか、大臣は、アメリカ政府からの放射線を実測した汚染地図のデータの存在があることをいつ知ることになったのか、まず御答弁いただきたいと思います。

枝野国務大臣 まず、当時の時点では、そうしたものがあること自体、私のところには報告がございませんでした。

 いつなのかというのと、それが同じものなのかどうかというところも実は確証はないんですが、今回、当然公表もいたしましたし、公表に当たって私のところにも報告がありました図を見ると、あれに類する図はその後報道か何かで見た、それも一カ月とかそれぐらい先、かなり落ちついた状況のときに、それも何月何日分とかということではなくて、図のイメージとしてかなり近いものを一カ月かそれぐらい先のところで報道か何かで見たという記憶があります。

佐藤(茂)委員 ですから、その十七日から十九日にとったものを、二回にわたってアメリカが外務省を通じて流してこられているんだが、そのタイミングではなかったと。

 もう一つ、通告していないので今の答弁で尽きていると思うんですが、実はアメリカは、その後、三月二十三日にアメリカ国内でこの汚染地図を公表しているんですね。その情報等についても、当時官邸におられた枝野官房長官のところには、外務省を通じてでも全く入ってこなかった、そういうことでよろしいでしょうか。

枝野国務大臣 入っていれば、避難地域の拡大等についての議論は断続的にというか行われる状況でしたから、当然その資料もあわせて検討をしろということになったはずであります。しかし、残念ながらそうした情報自体がありませんでしたので、他の、広い意味での日本がやっているモニタリングの結果等に基づいて検討していたというのが当時の状況であります。

佐藤(茂)委員 ですから、今答弁されたんですけれども、政府が飯舘村等、北西方面の五市町村を計画的避難区域に指定されたのは、事故から一カ月以上たった四月二十二日でございました。

 もし、アメリカ政府からの汚染地図のデータが、当時官房長官が住民避難の陣頭指揮に立っておられたんですけれども、首相官邸に届いていたら、政府の住民避難指示にも大きく影響していた、そのように今お考えでしょうか、御答弁いただきたいと思います。

枝野国務大臣 ここはなかなかちょっと断言はしにくいなという状況でございます。

 地上でのモニタリングも、特に北西方向が高そうだということは、少なくとも二十日ぐらいの状況ではある程度は認識しておりました。したがって、北西部分の、地上におけるまさに人体に直接影響する部分に近いところでのモニタリングの数値をかなりたくさん集めて公表していた状況でしたので、上空からのモニタリングの数値があわせて入ったときに直接影響したかどうかということは、なかなかちょっと断言はできない。

 むしろ、一義的には専門家の皆さんに、それによる影響とかいうことを判断していただいておりました。それを踏まえて最終的な判断というか政治的な判断等をしていたわけでありますので、むしろそれには、専門家、当時の保安院の担当者なり安全委員会の担当者なりから話を伺わないで、私からちょっと断言するのは難しいかなと思っております。

佐藤(茂)委員 それで、要は、最近に至るまでそういう事実があったこと自体が隠されていたということが、私はさらに大問題だと思うんです。それで、きょう、この情報を得た後かかわっておられた省庁からも来ていただいておりますので、ちょっと確認をしておきたいんです。

 まず、外務省にお伺いしたいんですが、報道によりますと、外務省は、アメリカから、測定結果をもとに作成されたこの汚染地図を三月十八日と二十日の計二回、在日米大使館経由で電子メールで提供されて、外務省が直後に、一つは経済産業省原子力安全・保安院、もう一つは文部科学省にメールで転送されたということになっております。

 そういう意味では、省庁間の横横の連携はとられたということなんですが、そのときに、私もその報道を見ていてぴんとこなかったのは、外務省はなぜ、このアメリカからの貴重な情報をこの段階で住民避難を指揮されていた首相官邸に届けられなかったのか、まず外務省にお伺いしておきたいと思います。

武藤政府参考人 事故の直後にアメリカのエネルギー省が実施した原発周辺地域の航空モニタリング結果については、外務省としては、三月十七日の測定結果について、十八日に在京米大から提供を受けて、その日のうちに外務省から原子力安全・保安院に、それから二十日に文部科学省にそれぞれ転送いたしたところでございます。また、十九日のモニタリング結果については、二十日に外務省から原子力安全・保安院、それから文部科学省に転送したところでございます。

 アメリカから提供されたデータについては、専門的な知見を外務省が有しておりませんので、その意味するところあるいは重要性を判断することは困難と考えまして、また、そうすることは不適切であるというふうに考えまして、原子力災害対策本部の事務局を担っていた原子力安全・保安院に速やかに転送したものでございます。また、原子力安全・保安院に加えて、モニタリングを担うこととなった文部科学省にも転送したところでございます。

佐藤(茂)委員 要するに、外務省の今の御答弁では、自分たちではそのデータの貴重さについて判断する専門的知見というものを有していなかったので、まずは事務局に送ったんだ、そういうことなんですね。

 それで、まず、その二つ送られたそれぞれの省庁にお伺いしたいんです。

 文部科学省、きょうは渡辺格次長に来ていただいておりますが、次長は既に今までマスコミの記者会見等で幾つか発言されていて、例えば、避難に役立てるという発想はなかった、そういう説明をされているんですが、このアメリカからの汚染地図の情報が文部科学省の役所のどのレベルまで報告が上がって、首相官邸に伝えない、あるいは国民にも公表しないということを誰が判断したのか、この責任の所在をぜひ明確にしていただきたいと思います。

渡辺政府参考人 御説明いたします。

 文部科学省におきましては、今回の事故について省内での検証を進めております。本件の一連の経緯についても、平野文部科学大臣の御指示を受け、詳細な検討を進めているところでございます。先生御指摘の点についても、現在、その中で検証を行っているところでございます。

 さらに、国会事故調あるいは政府事故調の検証も踏まえて、文部科学省としては適切に対応してまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 次長、そんな木で鼻をくくったような答弁は要らぬのですわ。要するに、今調査中で、そうしたら、今回の件でも、具体的にいつになったらきちっと明確に結果を出されるんですか。

渡辺政府参考人 先ほどお話し申し上げましたとおり、検証中でございまして、現在まだ確認できておらないところでございます。

佐藤(茂)委員 それと、渡辺次長を別に個人的に攻撃するつもりできょう呼んだわけじゃないんですけれども、あなたが記者会見で先頭に立って言われているからちょっと確認したかったんですが、あなたは、検証中であるにもかかわらず、文部科学省に不手際はない、そういうふうになぜ断言されたんですか。検証中ですでいいんじゃないですか。今被災されて困っている今回の被害者に対して大変失礼な発言ですよ。

 文部科学省ももしかしたら責任があったのかもわからない、そういう検証をされているんでしょう。それなら、文部科学省に不手際がないなんということを今の段階で断言するなんというのは、これはもう極めて失礼な発言だと思うんですが、あなたはどう考えますか。

渡辺政府参考人 御説明申し上げます。

 その当時、文部科学省では、モニタリングカーによる地域のモニタリングを実施していたところでございます。したがいまして、そういう文部科学省に課せられた役割は果たしていたというふうに考えているということでございます。

佐藤(茂)委員 ですから、その記者会見と今答弁されていることは極めて矛盾しているんですね。

 それでは、別の角度で。

 あなたの記者会見がそういうことはあったとしても、省という立場は別にしても、結果として、あなたも公僕の一人ですよ、そういうアメリカからの貴重なデータが住民の避難に使われなかった、あるいは国民にも公表されなかったということについて、政府の一員としてあなたはどのように考えますか。

渡辺政府参考人 避難の区域を決めるということについては、原子力災害対策本部全体で決められておるところでございますので、モニタリングを担当しております文部科学省の方から今の点についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 もういいわ。これ以上もう聞かない。また別途やります。

 もう一つ、経済産業省にお聞きをしたいと思います。

 原子力安全・保安院の首席統括安全審査官である山本さんという方が十八日に記者会見されて、住民に生かされなかったことはまことに遺憾で、反省している、そのように謝罪された後に、山本審査官によると、アメリカからの汚染地図のデータが保安院に設けられた緊急時対応センターの放射線班に伝わったことも認められた、しかし、なぜそのデータが同センターの住民避難対策担当である住民安全班に渡らなかったのか、そういう肝心な点はわからない、そのように言い続けられたそうなんですね。要するに、保安院に設けられた緊急時対応センターの放射線班に届いたけれども、住民安全班には伝わらずに、情報が共有されていなかった。

 原因が結局わからないということだけでずっと済ますのではなくて、このデータの情報が、保安院の具体的にどのレベルまで行っていて、どこでとどまっていて、報告が上がらずに、最終的に住民安全班にも伝わらずに、ましてや首相官邸であるとかそういうところにも伝わらずに、国民に公表されなかったということになったのか、ぜひ原子力安全・保安院の答弁を求めたいと思います。

深野政府参考人 まず、本件が適切に情報公開されず、また適切に活用されなかったことにつきまして、原子力災害対策本部の事務局としておわびを申し上げたいと思います。

 その上で、答弁をさせていただきます。

 今の御質問の点でございますけれども、外務省から情報をいただきまして、それが放射線班まで行ったことは確認ができております。ただ、それ以外のところに共有されたということについては、この事務局長を担当しておりました当時の保安院長、それから幹部の職員にも確認いたしましたけれども、共有されていたことは少なくとも確認できなかったということでございまして、そういうことで、情報が一部にとどまって、適切に活用されていなかった。

 その背景というのは、理由はちょっと確定は難しいと思っておりますけれども、一方で、陸上モニタリングのデータなどもあって、一部高い地域もあるということは認識しておったようでございまして、そういうこともあって、ここまで注意が至らなかったんじゃないか、そのように感じております。

佐藤(茂)委員 もう一つ確認をさせていただきたいのは、文部科学省によりますと、測定データを勝手に公表するというわけにいかないので、データを受け取った翌日の三月二十一日に、アメリカ側に公表するよう要請してほしい、そのように外務省に伝えたということなんですね。

 外務省として、文部科学省からそのような御連絡を受けたのは事実なのかどうなのか、また、アメリカ側に、アメリカ側の方で公表してくれ、そういうふうに要請したのかどうなのか、その事実関係についてもちょっと明らかにしておきたいので、外務省の答弁を求めたいと思います。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 この情報の公表につきましては、三月二十一日に文部科学省から外務省に対して、本件モニタリング情報を米側で公開してほしい旨米側に伝えてほしい、そういう旨の依頼があったことを受けまして、外務省から在京米国大使館に対して、右依頼を伝達いたしました。

 そして、三月二十四日、在京米国大使館から外務省に対して、本件モニタリング結果は公開されており、公開可能である旨の連絡を受け、同日中に、その旨を外務省から文部科学省及び原子力安全・保安院に連絡したところでございます。

佐藤(茂)委員 それで、枝野大臣に総括してちょっとお聞きしたいんです。

 既にきのう記者会見等でも言われているのは重々認識した上でなんですけれども、今回の汚染地図のデータについて、結果として放置されていた、そういう問題については、やはり私は、当時の政府の初動態勢の稚拙さの一つの大きな問題が浮き彫りになったということで、大いに反省してもらわないといけないことだと思うんですね。国民にそういう命にかかわる情報をきちっと伝えて、命を守ろうという責任感が、組織全体で見たときにどこかやはり欠如していた、そういうことも言えるんじゃないかと思うんですが、当時官房長官だった経済産業大臣である枝野大臣はどのように受けとめておられるのかということが一点。

 今それぞれお聞きしました外務省以外は、原子力安全・保安院も、また文部科学省のモニタリング機能を担当する部局も、今は参議院の方で審議されております新たな原子力の安全規制の組織に相当部分移る、そこを担当する、そういう形になっているんですね。組織の形がしっかりと今回新たに変わっても、そこで勤めておられる一人一人の官僚の皆さんの、職員の意識というのがやはり大きく変わらなければ機能しないんだろう、私はそのように思うんですが、どのように今回の放置した問題を受けとめておられるのかということと、やはり今後こういうことが再発されないような防止策としてどういうものを考えていかないといけないと常に考えておられるのか、枝野大臣にお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 まず、これの公表がその当時なされなかったし、判断をするべき担当者に情報が上がっていなかった、役に立ったかどうかは別としても、そのこと自体は、これは特に被害を受けられた皆さんに対して、大変結果として申しわけないことだというふうに思っています。

 その上で、今のやりとりも伺いながら、まず大前提として、今経産大臣の立場なので申し上げにくいんですが、モニタリングの情報の集約とその扱いについては、私が官房長官として三月十六日に文部科学省が一元的に行うということを指示して、文部科学省も了解をいたしております。決して、文部科学省が直接行ったモニタリングについて文部科学省は扱えではなくて、いろいろなところがモニタリングをしているから、それがばらばらではだめなので、モニタリングはどこが中心なのだということで、文部科学省が自分で自分だと言ったので、全部集約をするのは文部科学省だということは指示しておりますので、これは海外からの情報についても文部科学省が本来全部集約をして整理をする役割は、その時点で明確であったと思っています。

 もちろん、今保安院を所管している大臣として、保安院においても、放射線班だけで情報がとまっていて、むしろ避難等にかかわる住民安全班への共有が確認できていないということは大変遺憾なことであり、また、率直に申し上げて、当時から文部科学省の情報公開についての姿勢については、これはかなり問題があるということは保安院も共有できていたと思いますので、むしろ保安院の方から積極的に文部科学省に対してしっかりと、集まったデータはちゃんと上に上げるようにということの促しがあってもおかしくなかったというふうに思っております。

 いずれにしろ、いわゆる縦割りの弊害の中の問題と、それからそれぞれの意識の問題と両面があります。一元化をすることによって同じような問題は起きにくくなるとは思いますが、しかし、保安院の中で住民安全班への共有が確認できていないという状況を考えますと、一つの規制庁の中であっても、部局を超えて情報が共有できなければ同じような問題が起こると思っておりますので、これはぜひ、新規制機関ができましたら、そこのもとで、そうした情報の共有について、今回の教訓を踏まえた徹底をしていただきたいと思いますし、そこに向けて必要な御協力はしてまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 今大臣、ある意味でいったら、今の立場を超えられた、国会の事故調ぐらいで話をされるような部分も含めての御答弁をいただいたと思うので、ぜひ、次、やはりこういうことのないように対応していただきたいと思うんですね。やはりこれは、アメリカ側が協力して得た情報が全く粗末に扱われていたということを、アメリカ側も今ごろ一年前の話でどうこう言われないと思うんですけれども、そういう日米関係にも非常に影響を与える問題ではなかったのかなと思いますので、今後、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 この問題について来ていただいている役人の皆さん、これで結構でございます。

 次に、今回の法改正の問題に入ってまいりたいと思います。

 今回の改正の大きなポイントは、先ほど来議論がありますように二つございまして、一つは、中小企業の支援事業の担い手の多様化、活性化、二つ目が、海外展開に伴う資金調達支援の二点でございます。

 まず、一点目の中小企業の支援事業の担い手の多様化、活性化でございますが、今までも何人かの委員の皆さんからありましたように、既に既存の中小企業支援機関、商工会議所とか商工会、中央会等が全国各地で中小企業の経営相談や支援、指導に当たってこられているんですね。今回、法改正をしてまで新たな支援事業の担い手を認定して、支援事業者の多様化を図られる理由、必要性というのは何なのかということについて、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

枝野国務大臣 まず、背景については、経済が多様化、複雑化して、中小企業を取り巻く環境もまさに多様化、複雑化しているという背景がございます。

 その上で、商工会議所、商工会等の商工団体は、中小企業の経営の支援のために、この間も大変御尽力をいただいてきているところでありますし、今後も御尽力をいただきたいと思っているわけでありますが、一方で、商工会議所、商工会といってもそれぞれ規模は大きく違います。

 それぞれの会の事情、財政状況、いろいろな事情の中では、この複雑、多様化した状況の中で、専門的な知識経験を踏まえて指導助言をするという人を、では全ての商工会議所、商工会が直接抱えておられるのかというと必ずしもそうではないというのは、頑張っておられるけれども、実態としてあると思います。

 そうした中で、一方では、私は一番即戦力になるのは税理士さんだと思いますけれども、実際に中小企業が経営相談をして、相談相手になってもらっていただいているさまざまな専門職の皆さんあるいは金融機関の皆さんをしっかり公的にオーソライズして、そしてそうした皆さんと商工会議所や商工会の皆さんがしっかりとネットワークを組んでいただくことによって、例えば小さな商工会でも、そのネットワークを生かせば、複雑、高度な専門家の助言をそこに属している地域の中小企業も受けられるということになっていくわけでありまして、そのためにこうした制度を構築したいと思っているわけであります。

佐藤(茂)委員 続けてお伺いしたいんですが、今回新たにつくろうとされている経営革新等支援機関が行う支援事業というのは、事前の経済産業省の御説明でも、専門性の高い支援事業を実現する、そういうことなんですね。

 従来までの支援事業と、今回経営革新等支援機関で行われる新たな支援事業とでは、事前の説明では、例えば財務及び会計等の専門的な知識を有する者を入れたりしてやるんだとか、いろいろなことを言われておりますが、従来までも必要に応じてされた部分もあるかと思うんですが、今回、こういう経営革新等支援機関がしっかりと認定されて、そして新たな支援事業を行うというのは、従来の支援事業と具体的にどのように違うのか、御答弁いただきたいと思います。

    〔石関委員長代理退席、委員長着席〕

枝野国務大臣 御指摘のとおり、従来においても、例えば規模が大きくて、いろいろな余力とまではいかないまでも、人的な資源その他に恵まれている商工会議所においては、相当高度な経営相談等を行ってきた部分はあるんだろうというふうに思いますが、では、それが全ての地域でできているかというと、必ずしもそうではないということでありますので、何か質的に全然違うことをやるというわけではなく、全国幅広くいろいろな地域で、たくさんの人たちが参画をして、高いレベルの専門性に基づいた経営判断とか、それに基づく助言指導等ができるようにしていくということがやはりこの本質であると思います。

 また、一方で、先ほど申しました税理士さんであるとか金融機関などが経営相談に乗ってきていただいた、これも実態としてある。その実態を踏まえた中できちっと公的に位置づけることによって、さらに使命感を持ってやっていただいたり、今まで若干そういったことについては腰を引いていらっしゃったけれども、そうした力、能力のある方に積極的にそうした活動にも取り組んでいただくという後押し効果があるということで、全体として実態が前に進んでいくということを期待しております。

佐藤(茂)委員 私どもも、やはりこういうきちっとした構えをさらにして、法的にきちっと位置づけた支援機関というものを設けていくということは極めて大事であろうかと思うんです。

 そこで、もともと、中小企業の企業力を強化しようということで、今の政権でも、昨年来、中小企業政策審議会の中に企業力強化部会というものを設けられてずっと議論されてきて、昨年の十二月に中間取りまとめというものをおまとめになっているんですね。これをつぶさに読ませていただいて、その中で、第三章の「具体的施策の方向性」の中で「経営支援の担い手の多様化・活性化/中小企業金融」の項目、まさにこの法律ができてくる基盤となる考え方なんですけれども、その中の「現状と課題」「中小企業に対する経営支援」のところで、今中小企業はこういう課題があるんだというように言われているんですね。

 ちょっと長いんですが、引用させていただきますと、「戦略的経営力の強化でとりわけ必要なのが、財務基盤の強化であり、そのための資金調達である。その際、金融と経営支援の一体的取組を推進していくことが重要であるが、その前提として、中小企業が自らの経営状況を把握し、金融機関への資金繰り等の説明を的確に行っていくことが不可欠である。 しかし、中小企業の約七割が経理担当者を配置していない、又は一名以下の配置となっており、また、中小企業の約八割が会計専門家に財務諸表の作成を外注している状況となっているなど、中小企業の会計に対する知識・体制が十分でなく、自らの経営状況の把握や金融機関への説明力が課題となっている。」

 こういう認識に立った上で、この課題を挙げられた上で、その後に「具体的な政策のあり方」として、今回の法律もまさにそうですが、「経営支援の担い手の多様化・活性化が図られるよう法的措置を検討すべきである。」ここではこう述べられているんです。

 そこから今回の法改正が検討されてきたものと私も理解しているんですが、今回のこの支援事業で、この昨年十二月の中間取りまとめの段階で言われた課題認識である「中小企業の会計に対する知識・体制が十分でなく、自らの経営状況の把握や金融機関への説明力が課題となっている。」、認定された支援機関をしっかりと設けてサポートすることによって、この時点で認識されていたこういう課題を中小企業の経営者が一人一人克服するところまで本当に実効性を高めることができるのかどうか、これはぜひ経済産業省の御見解を伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、中小企業政策審議会企業力強化部会の昨年の中間取りまとめで指摘を受けた「法的措置を検討すべきである。」ということを踏まえて、今回の法律案になっているわけであります。

 このことによって、問題点を解決する上での基盤整備は大きく進むというふうに思っておりますが、まさに法律は、どの法律もそうだと思いますが、枠だけつくっても、しっかりと運用していくことが重要でありますので、実際に多くの例えば税理士さんであるとか会計士さんであるとか金融機関などが、この法の趣旨を踏まえて、認定機関としての認定を受けていただき活動していただく、あるいは商工会議所、商工会などが、そうした皆さんときちっとしたネットワークを組んで従来以上に支援をしていただく、それから、現実には、やはり個々の中小企業、特に小さな企業の経営者の皆さんが、問題意識を共有していただいて、こういった支援を活用することで経営力を高めるんだという問題意識をしっかり持っていただかなければいけないんだろうと思っております。

 そのためには、この法律を国会で通していただきましたら、まさにいろいろなところに対して周知を図っていくことが重要であるというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 それでは、続いて、今後この制度が始まる前に、今の段階での政府の考え方をぜひ答弁として議事録にも残しておきたいのでお伺いをしたいんですが、この支援事業を行う者の対象範囲をどのように考えておられるのかということなんですね。

 中小企業支援者、金融機関、それに税理士法人等、そういう事前の経済産業省の御説明でございましたけれども、それぞれについてどのように担い手を想定されているのか。特に税理士法人等ということはどういうことなのか。税理士法人に限られるのか、それとも、ほかのさまざまな士業の方がいらっしゃいますね、そういう方々も含まれてくるという考え方なのか。含まれるとしたら、どういう資格の方々なのか。ぜひ御答弁をいただきたいと思います。

枝野国務大臣 まず、支援機関となり得る者は三つぐらいのカテゴリーがあるかと思っていますが、一つは商工団体、これは従来から努力をしてきていただいていますので、一定の水準が確保されれば認定される。

 それから、金融機関や士業関係で、実際には、中小企業の支援ですから、地銀、そして信金、信組ということになろうと思います。士業については、必ずしも税理士に限っておりません。公認会計士や弁護士なども含まれ得る。税理士さんの場合は、圧倒的多数が中小企業の税務の対応を今もう現実にしている中でありますから、かなりの皆さんが対応できるだろう。ただ、逆に弁護士の場合は、まさに法定業務しかやっていない弁護士さんもまだまだ少なからずいらっしゃいますから、弁護士さんのある一定層だろうなというふうには思っております。こうしたことについては、まさに経営判断、評価などができるかどうかというようなことの実績その他を踏まえて認定をしていくということになります。

 また、いわゆる士業法上の士業には該当しませんが、例えば中小企業診断士、社会保険労務士、行政書士、それから民間のコンサル会社であったりとか一般の社団、財団の法人、NPO法人なども、まさに中小企業を支援していくという目的、趣旨に御理解があり、その能力があれば十分認定がされ得るということで、特にNPO法人などについては、地域で実際に、地域の町おこし、広い意味での町おこしのためにさまざまな経営評価能力等を積み重ねてきているところも私は少なからずあるんじゃないかと思っておりまして、期待をしているところであります。

佐藤(茂)委員 ですから、今の大臣の御答弁でも、特に税理士法人等の等というのが現実にはかなり幅広いところまで想定されているというのがよくわかったんです。ただ、問題は、そのときに、全国各地で築かれるであろうこの経営革新等支援機関のレベルをどのように一定以上の水準を確保するのかということが、逆に極めて大事になってくるのではないかなと思うんですね。

 そこでお聞きしたいのは、この経営革新等支援機関を全国にどの程度認定される予定なのかということ、それとあわせて、そういう経営相談であるとかコンサルティング機能の水準にばらつきが生じてはいけないので、なるべくばらつきが生じないように、基本方針の中で認定に対する適合基準を明確化するということが私は大事だと思うんですが、一定以上の水準を確保することも、そういう適合基準を明確にしてきちっとしていくということが大事だと思うんですけれども、そこについて経済産業省はどのように考えておられるのか、御答弁いただければありがたいと思います。

枝野国務大臣 認定支援機関の数については、数千ということを想定しております。まさに、どれぐらい手を挙げていただけるかということ、どれぐらいの水準を確保できるかということにかかわってくると思っております。

 それから、当然、財務、会計等の専門的な知識や実務経験については、もし法律を成立させていただければ、より具体的な基準を詰めてお示しをして、それにかなっている方ということにしていくつもりでおります。

 また、実際に認定後もしっかりとした役割を果たしているのか、そうした能力があるのかということはしっかりとフォローしていかなければいけないと思っておりまして、法案には、報告徴収を求め、場合によっては改善命令や認定取り消しを行うということも想定されておりますし、認定支援機関の負担のことも考えなければいけませんが、定期的な実施状況あるいは成果の報告を含む任意調査も検討していかなければいけないだろうと思っています。

 さらに言えば、商工会議所、商工会は、みずからがこの認定支援機関になることも当然想定されています。と同時に、あそこ、変なことをやっているのがあるよとかというようなことの情報は、やはり一番入りやすいでしょうし、相談しやすいでしょうから、そういったところにしっかりとしたウオッチをしていただくことの役割も期待しているところでございます。

佐藤(茂)委員 あと、海外展開のことをお聞きしようと思いましたが、ちょうど時間となりましたので、以上で質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 まず、この法案は、中小企業が財務、会計の専門的知識を有する経営革新等支援機関の助言を受けた事業計画の策定を支援するということとともに、海外展開を行う中小企業の海外子会社の資金調達を円滑化するための措置を講じることになっております。ですから、中小企業の海外での資金調達を支援するという法案ですから、賛成をいたします。

 その上で考えなきゃいけないことがあると思うんです。それは、幾ら海外展開だといっても、一億人を超える多くの人々がこれからもこの国に暮らしていくには、やはり、地方に仕事が生まれ、雇用が生まれ、所得が生まれ、消費需要が活発になって国と地方の税収も確保される、この道筋をどうつくっていくかということが大事だと思うんです。ここに本腰を入れて取り組まなかったならば、長引く景気低迷の中で歯を食いしばって雇用を守り、地域経済を支えてきた中小企業、零細業者が倒産、廃業に至る、そういう危機的な嵐を招いてしまうと全く逆の事態になってしまうと思うんです。

 二〇一〇年六月に中小企業憲章が閣議決定されました。中小企業団体の長年の運動が実ったものですが、残念ながら、憲章の精神が法律や予算に反映されてはおりません。

 そこで、きょう、資料を皆さんのお手元に配付させていただいておりますが、実はこれは、一九八〇年を一〇〇としたときに、OECD各国の自営業者数が二〇一〇年で幾らになっているかというデータです。これで、イギリスは一九四、ドイツは一八九、カナダ一七四、韓国一二〇、イタリア一一四、大体多くのところが伸びているんですね。フランスは一度下がったんですが、二〇〇〇年からはEUの中小企業憲章によって取り組みを強めて、今、逆に二〇〇〇年に比べると伸びている。ところが、日本の場合は一貫して下がり続けて六一、これが実態です。

 やはり、中小企業憲章を単なる政治文書にとどめないで、施策の中で生かすということが大事だと私は思うんです。

 憲章では、中小企業は社会の主役であり国家の財産だ、その役割を高く評価して、中小企業の声を聞き、どんな問題も中小企業の立場で考えると述べているんです。

 しかし、中小業者から聞こえてくるのは、長年の景気の低迷に加えて産業空洞化、デフレなどにより将来の見通しが立たないことへの不安やいら立ちです。この上なお消費税の増税では、廃業を考えざるを得ないという悲痛な叫びもあります。なかなか利益が出ない上に、固定費である電気代の値上げがさらなる打撃を与えるという状況に来ておりますが、実は、電気代値上げにしても消費税増税にしても、これらは価格転嫁できないというのが中小業者の置かれている現状です。

 まずこのグラフを大臣にも見ていただきましたが、このような中小企業の現状をどのように打開していこうとお考えか、最初に大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 この資料は自営業者とあるので、これは法人成りをしているものは入らないのかなと一般的には思います。その限りでは、日本の場合は、いわゆる自営業者の方も法人成りをした方がいろいろな面で便利だということで、中小・小規模企業のかなりの比率で法人成りをしているということがあると思います。

 ですが、もちろん、そうはいっても、法人成りをしているものも含めて小規模企業がどんどん減少傾向にあるということは、これはもうまさに御指摘のとおりであるというふうに思っています。

 それに対して、これまでも中小企業庁を中心にしてさまざまな努力をしてきているところではありますが、日本の経済全体が右肩上がりでいる時代には、苦しいところを支えてあげれば、日本経済全体が成長していきましたから中小企業もよくなっていく、こういう構造があったんだと思うんですが、残念ながら、日本経済全体が縮小または横ばいという状況が長く続いてきている中で、下支えをしているだけでは中小企業はどんどんじり貧になっていくというのがこの二十年間の現象だというふうに思っております。

 これを打開するためには、下支えもしっかりとやると同時に、中小企業の潜在力をしっかりと発揮してもらう、そのための攻めの中小企業政策が重要だと私は思っています。そして、攻めの中小企業政策ということになりますと、それぞれの業種、業態あるいは規模によって、直面している状況、やらなければならないことが違っております。

 したがって、できるだけそうした現場の声をまずは把握するところから始めないといけないということで、“ちいさな企業”未来会議を設けまして、全国から数千単位の現場の声を聞かせていただきました。実際に、当初想定していた問題点よりも、なるほど、こういう視点があるのかなとかというようなことは多々ありましたので、これを踏まえて攻めの中小企業政策を進めていきたい、それを進めていく上でも、今回の法律は基盤になっていく大変大きな意義があるというふうに思っております。

吉井委員 アメリカでも、女性の起業家の支援を含めて、マイクロビジネス、スモールビジネスと言われるものをどれぐらいふやしていくかと。しかし、残念ながら、マイクロビジネス、スモールビジネスというのは担保力が非常に弱いですから、すぐにはなかなか大手が、メガバンクなんかが貸し付けようとしないという中でどういうふうにやっていくかという点では、これまでは、仕事が減っている中で命綱となってきたのが公的機関、信用保証制度でした。全業種の緊急保証により助けられたとの声は非常に多いんですよ。

 ところが、六月七日の経産省の事業仕分けで、緊急保証を含むセーフティーネット保証の全業種指定を早期に見直しをするとしていますね。これは全業種指定をやめるという考えなのかどうか、これを伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 いわゆるセーフティーネット保証五号については、既に本年三月、三つのことを決定しております。一つに、平成二十四年度上半期は、引き続き原則全業種指定の運用を継続する。二つ目に、個別の中小企業者の状況にきめ細かく対応するという観点から、現在中分類で行われている業種指定については、平成二十四年度下半期から、細分類で行う。三つ目に、細分類による業種指定を円滑に行うことができるよう、業況調査を実施する業所管部局、個別中小企業者の業種を判断する市町村等に対して、十分な周知を図る。

 以上の三点を決定したところでございまして、これを踏まえて、平成二十四年度下半期の指定業種については、きめ細かく業況を見た上で判断をしたいというふうに思っております。

吉井委員 きめ細かいという言葉で通り過ぎちゃいけないと思うんですよね。実は、仕分けの取りまとめコメントの中では、セーフティーネット保証の全業種指定を早期に見直すとしているわけですが、担保力が弱ければ、融資を必要としている業者を、結局、それをやると振り落としてしまうことになるんですね。

 緊急保証というのは、もともと思い起こしてみれば、二〇〇八年十月に原油、原材料高騰に対応するものとしてスタートしたんです。その後、世界的な金融経済危機に応じて全業種に拡大するというふうになっていった経過があります。二〇一一年度末に対象業種を縮小することが一旦発表されましたが、東日本大震災を受け、さらに今日では欧州経済危機の中にあり、引き続き全業種指定となっているわけですが、これは必要があって全業種指定なのに、見直しありきということが先で、業種指定が必要なものまで指定から外すということはやはり大きな問題だと思うんです。

 これは、大臣、やはりこんなことをやるべきじゃないんじゃないですか、今の時期。

枝野国務大臣 今、私が申し上げた本年三月の決定でも、個別の中小企業者の状況にきめ細かく対応するという観点からと申し上げておりまして、まさに現場の中小企業の状況を踏まえて対応してまいりますので、御心配には当たらないと思っております。

吉井委員 個別のって、現場は全業種が皆大変なんですよ、今。これは、中山委員長も、中小企業にずっと取り組んでこられたのでよく御存じのように、今大変なときなんですよ。そういうときに、見直しありきで、業種指定が必要なものまで指定から外されていく、今そういう事態を迎えようとしておりますが、簡単にそういう方向へ走ることはやはり正しくないと私は申し上げておきたいと思うんです。

 実は、中小企業家同友会の中小企業憲章特別月間の院内集会がこの間あって、超党派の議員が参加して、私もその一人として参加しました。この同友会の重点要望・提言の中でも、当分の間はセーフティーネット保証五号の運用を続けることというのを求めています。やはり継続、充実させることこそ考えるべきだと思うんです。

 中小企業は、今、消費税増税の問題が出ていますが、もともと消費税なんか転嫁できないんですよ。さらに東京電力の値上げ問題が出ていますが、転嫁できないんです。現状も大変で、将来の見通しも立たないというところへ置かれているんですよ。そして、九〇年代からの産業空洞化、投機マネーによる金融危機、円高、原油価格高騰、欧州から始まった経済危機。こういうときに、中小企業に消費税増税や電気料金値上げなどをやっていったら、息の根をとめてしまう。

 それは、冒頭申し上げましたように、これからも一億人を超える国民がこの国のそれぞれの地域に生きて、そこで、地域で仕事を起こし、雇用や所得や消費が生まれる、そういう経済循環を生み出していかなきゃいけないのに、日本経済全体がだめになってしまうということを私は深刻に今受けとめるべきときだというふうに思います。

 そこで、中小企業の経営を直撃する東京電力の値上げ問題が今出てきておりますので、伺っておきます。

 東電は、原発事故の後の火力発電による燃料費の負担増、たき増しと、それから原油価格高騰ということで値上げを言っているんですが、しかし、そもそも、三・一一以前に必要なとるべき対策をとらず、三・一一以降は、全電源喪失のもとでも核燃料棒を冷却水の上には出させない取り組みが必要であったのに、それをやらないで事故をやってしまったんです。その事故をやっておいて原発事故で値上げを持ち出してくる。この値上げ問題を引き起こした真犯人といいますか真の責任者、これは東京電力じゃないかということを私ははっきり見なきゃいけないと思うんです。

 そこで、政府参考人に先に伺っておきたいと思います。

 全面賠償というのは当然なんですが、それとともに経営責任もはっきりさせなきゃいけない。今度株主総会で退任するというふうには聞いておりますが、一体、経営陣はその後どういうことになっていくんですか。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 東京電力からは、今月二十七日開催予定の株主総会におきまして、今現在、役員は二十三名おりますけれども、二十人が退任をするというふうに伺っております。

 六月十九日に発表がございまして、この退任予定の二十名のうち、現時点では、三名は常務執行役など役員でない形で同社に残留、三名は関連会社などへ再就職、五名は関連会社等において再任または役職変更、残りの九名の方については退任後は未定というふうに発表がなされたと承知しております。

 以上でございます。

吉井委員 ちょっと確認しておきますが、勝俣会長は日本原電非常勤取締役は再任ですね。それから、清水正孝元社長は富士石油社外取締役、武井優副社長はアラビア石油社外監査役、荒井隆男常務取締役は富士石油常勤監査役だと思うんですが、これはそのとおりですね。

高原政府参考人 御指摘のとおりでございます。

吉井委員 私は、経営陣が系列企業に天下りして、いわば泥舟から逃げ出すだけではだめだと思うんですね。

 というよりも、東京電力の火力部門に燃料を販売して利益を上げるAOCホールディングス、そのもとにアラビア石油と富士石油があるんですが、そこへ天下っていくわけですよ。東電の燃料費がふえればふえるほどAOCの利益もふえるという関係にあります。しかも、このAOCの筆頭株主は東京電力です。経営責任をとるどころか、自分が責任をとらなければならない原発事故に便乗して、今度は火力発電所へ燃料を販売する会社へ天下りしてまた利益を上げる、これはおかしいんじゃないですかね。

 それだけじゃないんですね。値上げの総括原価には購入電力というのが三年間で千九百五十億円ふえておりますが、勝俣会長が天下る日本原電からこれは購入電力として買い込む分ですね。つまり、役員は責任をとってやめましたというけれども、東電に燃料を供給するところへ天下って、東電が原発事故対策で火力発電のたき増しだということで、燃料費が上がれば上がるほどこのAOCは利益がふえるわけなんですよ、そこへ天下っていくんです。

 それから、日本原電は、現在原発はとまっていますね、原発がとまっているのに、そこから購入電力として買うことにしてお金を払うんですね。これでは国民の納得は得られないと思うんですが、大臣、どうでしょう。

枝野国務大臣 最後の部分は同感でございます。

 ただ、東京電力は、この後、株主総会で御了解をいただければ国が株主として議決権を行使する立場でありますし、これだけ大きな事故を起こした当事者企業でありますので、行政指導としてもさまざまなことをこの間やってまいりましたが、今回の受け入れ企業については、民間企業として直接的には介入できないというのは御理解をいただきたいと思います。

 ただ、例えば、原発が動いていないのにその間の費用も払うということが今回値上げ申請に当たって問題になっておりますが、東京電力の前会長を取締役として受け入れる企業であれば、東京電力の現在の経営状況等を踏まえて、従来の契約は契約として、当然柔軟な対応をしていただけるものとむしろ期待をしたいと思いますし、東京電力に燃料を納めている各企業体においても、東京電力の役員であった人たちを役員として受け入れるということであるならば、東京電力の経営状況を踏まえて当然割引をしてもらえる、そういうことを前提としてやっていただいているんだ、そういう観点から行政指導をしてまいります。

吉井委員 東電の元会長が天下った日本原電、原発はとまっているんですよ。ここから、もともと電力を買えないんだけれども、しかし、原価には、購入電力として三年間で千九百五十億円計上して、これを総括原価に入れて電気料金値上げに持っていこうとしているわけですよ。これはとてもじゃないが国民の理解が、納得が得られるようなものじゃないということはやはり言わなきゃいかぬと思います。

 総括原価に、機構への一般負担金という形での賠償と賠償支払いに係る経費、これを入れて、家庭料金の値上げで賠償の一部を賄うというのもおかしい話ですが、一方、これは政府参考人に伺っておきますが、リストラを進めると言っているんですが、他企業、他団体等への給与持ち出向の社員が三百十一人、その中で、電気事業連合会への出向四十一人は取りやめたという話ですが、二百七十人の社員については引き揚げはもう終わったんでしょうか。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 東京電力の申請をしてきます原価の中には、委員御指摘のとおり、電気事業連合会に出向している四十一名の方々を除いた、三年間の平均でございますけれども、二百七十名の給与が含まれております。

 東京電力の値上げ認可の申請につきましては、電気料金審査専門委員会を設置いたしまして、消費者団体の方々などのオブザーバーの参加も得つつ、専門家の委員間で検討を行っていただいているところでございまして、東京電力が給与を負担している出向者の給与の扱いについても検討をしているところでございます。

 以上でございます。

吉井委員 とてもじゃないけれども、社会福祉団体・協議会、電力・エネルギー関係団体、大学・学術・研究機関、人材派遣会社、官公庁、自治体もそうですし、内外の民間企業へ東京電力が給料を負担して出向させるという人が二百七十人で、これが今も総括原価に入ってまいりますから、全部電気代にオンされるわけなんですが、それらについてはまだ残ったまま、これ自体がおかしい話だと思うんです。

 前回、自由化部門の議論などもやりましたけれども、自由化部門で五十キロワット、二千キロワット、二万キロワットの区分に応じて、キロワット時当たりの単位電気料金は幾らか、顧客数とその割合は幾らなのか、これを伺っておきたいと思います。

高原政府参考人 東京電力が自由化部門向けに設定している料金メニューにつきましては、契約電力が五十キロワット以上二千キロワット未満のいわゆる高圧という部分と、契約電力が二千キロワット以上の特別高圧のこの二つの区分がございます。今御指摘の二万キロワット以上の契約件数などは約百件ぐらいあると思いますけれども、平均単価については非公表となっております。

 前二者についてお答え申し上げますと、平成二十四年の六月時点で、まず、契約電力五十キロワット以上二千キロワット未満のいわゆる高圧につきましては、契約件数で約二十三万三千三百件、平均単価は二十・八円、キロワットアワー当たりでございますけれども、そうなっております。それから、契約電力が二千キロワット以上のいわゆる特別高圧でございますけれども、契約件数は約三千百件、平均単価は十六・一円、キロワットアワー当たりということでございます。

 以上でございます。

吉井委員 あわせて伺っておきたいんですけれども、中でも二万キロを超えるものについて、何かお話ししにくいみたいですが、特別たくさん使っている上位十社の顧客名とその電気料金単価、販売電力量というのを、これはやはり上位十社については明らかにする必要があると思いますので、伺っておきます。

高原政府参考人 実は、本日開催されます第六回電気料金審査専門委員会の場でございますけれども、その場で東京電力が提出する予定の資料がございます。同社からの電気の購入量が特に多い上位十社でございますけれども、電気料金を購入電力量で割ったいわゆる平均単価でございますけれども、一番安いところで、キロワットアワー当たり九・九円、高いところで十四・六円、上位十社の平均値は十一・八円、キロワットアワー当たりということになっております。

 以上でございます。

吉井委員 東京電力というのは、これまでから、家庭用電気料金で利益の九一%を生み出してきたんです。そして、自由化部門では、電力供給の六割、そこで上げている利益というのは九%という状態だったんですが、それだけじゃなくて、実は、自由化部門といっても、中小企業のほとんどがかかわる五十キロワットのところでは平均単価が二十円八十銭。それから、もう少し大口になってくる二千キロワットのところでも十六円十銭。それが上位十社となりますと、平均で十一円八十銭。最も安いところは、今もお話がありましたように、九円九十銭。

 ですから、結局、自由化部門といっても、中小企業の小さいところほど負担が大きいんですよ。大きいところほど負担が軽くなる。家庭の場合は一キロワット時二十四円。ですから、家庭はうんと高くて、中小企業は次に高くて、大きくなればなるほど安くなる。

 しかし、よく見てみると、実はA社、B社という形で十社挙げられておりますが、何でかといったら、固有名詞がわかってしまうからだということで言っておられるわけですが、その大口十社には、電力に原発を納入してきた原発メーカーとか、それから素材供給メーカーである鉄鋼、セメントとか、メガバンクとか、要するに、原発で利益を上げてきた原発利益共同体の仲間内ではうんと価格は安くなっていく。

 事故をやって、被害は国民に及び、賠償の資金とかは電気料金の値上げでやり、そして役員が責任をとるのかと思ったら、天下っていった先は東京電力の系列で、東電に燃料を納めて利益を上げるようなところ。つまり、原発が失敗しても、燃料供給でもうける会社の、東電は筆頭株主ですから、そういうところへ天下っていったり、あるいは、東京電力に原発の電力を売ってきたんだけれども、日本原電のように、もう原発はとまってしまって電気は売れない、しかし、そこへも、購入電力として総括原価の中ではカウントする。それらを全部、庶民や中小企業、あるいは、電気料金値上げというのはコンビニに至るまで、コンビニぐらいですと大体五十キロワット級のところですから、この影響がみんなそちらへしわ寄せされる。

 これは大臣も、昨年、ちょうど官房長官のときでしたよ、あの事故のときは。官房長官として随分いろいろ発信もされたわけですけれども、一年たってみれば、何だこの姿はと。私は、この点では、電気料金については一番責任を持つお立場にいらっしゃるわけですから、大臣として、こういうあり方について、やはりこれではとても国民は納得できないという立場で臨んでもらう必要があると思うんですが、どうですか。

枝野国務大臣 先ほど申しましたとおり、役員の再就職を受け入れているところは、むしろ役員を受け入れているぐらいですから、今の東電の置かれている状況を踏まえて、従来の契約期間にかかわらず、大幅に割引をしていただくのが当然のこととしてやっていただいているものと思っておりますし、そういうことの報告がなければ、とてもじゃないけれども認可はできないということを明言しておきたいと思っております。

 それから、今の、使用量の多いところがべらぼうに安い。一般的に、たくさん大量に購入すれば価格は下がるというのは、一般の市場の原理ではありますが、それにしても、普通に聞けば、非常に極端であるというふうに思っております。

 少なくとも、これだけの単価に差があるということについて、合理的な説明を東京電力が世の中に対してできなければ、とてもじゃないけれども、私は認可担当者として、料金の値上げに応じることはできません。したがって、これだけの単価の違いがあることについて、東京電力は、国民に対して、明確に具体的な根拠を説明する必要があるというふうに思っています。

 なお、そうしたさまざまな現在の単価に問題がある、これについては、先ほど申しましたとおり、専門家の皆さん、消費者の代表を含めて御検討いただいておりまして、これについてはぎりぎり削ります。

 ただ、ぜひ御理解をいただきたいのは、燃料構成が変われば、現在の日本の電気の料金原価というのはやはり大きく変わる。現に、原子力発電所のない沖縄電力は、もちろんこれは離島が多いという状況はありますが、従来から単価二十五・三三、東京電力の今回の言い値が二十五・七四でございまして、燃料構成が変わるということが大きな要因になる。つまり、原発を使わなければ、少なくとも目先、現在のシステムのもとではその分料金が上がるということ、そのこと自体は御理解をいただいた上で、今御指摘いただいたさまざまな問題点については厳しく対処してまいります。

吉井委員 実は、原発のコストがこれまでからブラックボックスに入っていたんです。それで政策的に安い価格になるように見せかけてきたんですが、今回のような事故をやりますと、全面賠償などを含めて考えればもう破綻企業なんですよ。ですから、破綻処理をするのは当たり前なんです。

 やはり原点に戻って、一F事故というのは、地震、津波で始まってはおりますが、全電源喪失から炉心溶融に至るという話は、これは以前からわかっていたことなんです。対策をとらなかった不作為の責任というものは前回お話ししましたが、これは重大で、それを自然災害だとか想定外の津波だと原因や責任をすりかえて、値上げはする、役員は天下りする、天下った先で東電に燃料を売り込んで利益を上げる、とまっていても購入電力で原電に金が入る。

 一方、原発利益共同体と呼ぶべき特別の大口電力利用者については電気料金を大幅に値下げして、その分を中小企業や、コンビニも含めてですが、家庭用電力から値上げで徴収しよう、こういうことでは、とてもじゃないが国民として納得できるようなものじゃありませんから、この値上げ計画というのはやめさせるべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。

中山委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 最初に、支援事業の担い手の多様化、活性化ということについて質問をさせていただきます。

 今回の法案で対象になっているこの支援事業の担い手多様化、活性化という項目、これは昔事業仕分けで廃止されてしまった事業に非常に似ていると思います。そういう指摘も実際いろいろな人がしているようです。

 実際には、これまで法律の裏づけもなくやってきた事業が事業仕分けでばっさり切られてしまって、仕方がないから法制化して表玄関から堂々と復活させよう、そういう意図があるように見受けるんですけれども、枝野大臣、かつて事業仕分けの総括責任者であったお立場からして、こういう事業は復活を許してはいけないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 私も、これは二度、これに関連する事業が事業仕分けの対象になっていますが、どちらにもかかわっております。

 一つは、商工会議所、商工会が国の予算をつけてもらって相談業務を行っていた。これは、もちろんそういう財政的な支援の必要性自体が全くゼロだと言うつもりはありませんが、中小企業の経営支援は商工会議所、商工会の本来業務であるので、そこに制度的にお金をつけるという話は、やはりこれは基本的におかしいだろうということが一つの視点です。

 それからもう一つは、支援のための拠点づくり、つまり、箱とまでは言いませんけれども、拠点をつくることによって経営支援を充実させようという事業であった。これは、日本じゅう、本当に商工会ごとに全部拠点でもつくるなら別ですけれども、では実際に使える中小企業はどれぐらいいるのか、その拠点を維持するコストがどれぐらいかかるんだ、そういったところは必要ないんじゃないか。

 むしろ、別に拠点がなくてもいいし、商工会や商工会議所に直接お金をつけなくても、世の中には経営支援ができる人たちがたくさんいるんだから、そういう人たちのネットワークをちゃんと位置づけて、そのネットワークを生かせるようにすれば、直接的に拠点づくりとか商工会に金を出さなくても同じことができるじゃないかというのがまさに仕分けの視点で、その視点に基づいて今回この法律ができ上がっているということであります。

山内委員 今回、法制化したわけですけれども、そういった意味で、仕分けの視点を踏まえてコストはかからないという御指摘でしたけれども、そうしたら、そもそも法律にする必要があったのでしょうか。これまでやってきた事業の改善とか運用の改善とかで対応できないんでしょうか。政令とか省令とかで対応することは考えられないんでしょうか。

 私、経産委員会に所属していろいろな法案を見てきたんですけれども、アジア拠点化法案とか、どちらかというと経産省の出してくる法案は非常にスコープが狭くて、対象企業数がそんなに多くないとか、わざわざ法律で審議しなくても、これまでの役所の中の運用で何とか乗り切れそうなものまで法律化しているような気がしてなりません。そこはどのようにお考えでしょうか。

北神大臣政務官 非常に根源的な御質問でございますけれども、今大臣の答弁にありましたように、商工会議所、商工会等が今までいろいろな中小企業の支援を行ってきた、ただ、中小企業の潜在力を引き出すためには経営力の基盤を固めないといけない、そのためには会計とかそういったところの基盤を強化しないといけない、やはりある程度専門的な知識が必要になってくる、こういう考え方のもとで、今、法案を提出しているわけでありますけれども、この法案は、当然国の予算にもかかわってきます。当然、予算を出す場面も出てきますし、例えば中小企業基盤機構から専門家を派遣するとか、国の関与というものも強化されていきますし、信用保証の保証料の低減についてもやはり法律事項だというふうに思います。

 さらには、日本金融公庫についても、これは一般的な業務と違って、さらに海外において現地の通貨で貸し出しをする、支援をするという特別な関与もございますので、そういった意味では、やはり法律で皆さんに議論していただいて国会で通すべき事項だというふうに考えております。

山内委員 余り細かいことまで何でも法律で決めなきゃいけないということになると、ほかの省の大臣が問責になったりすると関係のないこの委員会まで開けないとか、いろいろなことがありますので。

 私は、日本の国会は余りにもいろいろなことを法律で決め過ぎているんじゃないか、国会にかかる法案の数が物すごく多くなっているので、もう経産省の中でできることはやられた方がいいんじゃないかと率直に思っておりますので、今後、大臣も含めて、本当に法律にしなきゃいけないものか、これまでの運用の改善でできるものはさっと機動的にやっていただいていいと思います。

 なので、今回の法案も我が党は賛成することになっておりますが、運用の改善でよろしかったんじゃないかなと率直に言って思いますので、今後、法律にすべきもの、あるいは政令で対応するもの、そこら辺の区分けをもう少し考えて、本当に重要な法案の審議に集中できるようにしていただきたい、余り細かい法案をいっぱい出さないでほしいということを申し上げたいと思います。

 次に、この法案で、中小企業の海外展開に伴う資金調達に当たって、株式会社日本政策金融公庫が債務保証業務を行うということになっておりますが、審査能力あるいは情報収集能力の面で、日本政策金融公庫が海外でちゃんと情報を集めたり審査したりする能力というのはあるんでしょうか。焦げついて、それを税金で穴埋めするということにならないんでしょうか。

北神大臣政務官 日本政策金融公庫は、実際に経験と実績があるというふうに考えています。

 具体的には、海外においても現地の関係機関と連携をして、アジア十カ国において日系の中小企業に対しましていろいろなアドバイスやビジネスの商談会、交流会を行って、積極的に中小企業の海外展開の支援をしてきたところでございます。

 また、日本政策金融公庫が日本国内の親会社を通じた親子ローンを供給する海外展開資金については、もう既に六年間の実績があるんですが、七百三十三社に融資を実施しておりまして、平成十八年度から二十三年度までの六年間ですが、そのうち平成二十三年度までにデフォルトに至ったものは一件にとどまっているところでございます。

 ですから、それなりに、海外でのそういった中小企業の支援あるいは融資の経験とか実績があるというふうに考えています。

山内委員 アジア十カ国ということですけれども、アジアのタイとかマレーシアとか中国みたいな主要な投資先であれば経験があると思うんですけれども、それ以外の国というのはやはりちょっと心配な気がしますし、今聞いたらデフォルトは一件だけとおっしゃいましたけれども、逆に言うと、もしかしたら、余り危ない企業には貸さないように注意し過ぎていて、これはちょっと慎重になり過ぎていて、ほかの、民間でも借りられるようなところに貸し込んでいるんじゃないか。

 私は思うんですけれども、デフォルトというのは、少なければ少ないほどいいというものではなくて、本当にリスクをとってやっていたら、ある程度一定の比率で失敗することはあっていいと思うので、逆にデフォルト一件というのは心配になってしまうんですけれども、そこはどうお考えでしょうか。

北神大臣政務官 先生のおっしゃること、一般論としてはよくわかる話であります。

 まず、アジア十カ国という話をしましたが、今、日本政策金融公庫が実際に事務所を置いているのは、上海とバンコク、二カ所なんですね。ですから、この法案を通していただくならば、基本的にはその二つ、中国とタイというものを中心にやっていきたいというふうに思っています。これが一点。

 もう一点は、デフォルトの話ですが、それはちょっといろいろな角度から検討しなければいけないと思いますけれども、一点、なぜ日本政策金融公庫を法律的に位置づけてこういった支援をしたいかというのを申し上げますと、現地で中小企業が現地の金融機関から融資を受ける際には、一般的には、その現地の金融機関というのは、当然、中小企業のメーンバンク、日本の金融機関からの信用補完というものも求めるわけですね。ところが、中小企業のメーンバンクというのは、御案内のとおり、地銀とか信用金庫、そういった類いの金融機関でございます。海外の、中国とかタイの金融機関が日本のそういった金融機関の信用力を判断するのは非常に難しい、こういったこともありまして、ここはやはり日本政策金融公庫に活躍していただかねばいけない、こういう考えでやっております。

山内委員 後で民業圧迫の件で質問しようと思っていたんですけれども、それと絡めて、今の点、質問したいと思います。

 新聞報道によると、損保ジャパンと千葉興業銀行が提携して、海外進出をする企業に対してサービスをやり始めました。こういう民間でもやっているサービスとこの法案はかぶる部分が多いと思うんですね。そうすると民業圧迫のおそれがある。しかも、恐らく、民間の損保ジャパンとか千葉の興業銀行がやっている対象と、タイとかマレーシアとか中国とかは比較的日本企業がたくさん行っているところじゃないかと思うんですね、そうすると、特に今おっしゃったバンコクとか、競合しかねない。民間でもやろうとしている仕事に政府がやってくると、政府の方が有利だからそっちに客を奪われてしまうおそれ、こういうものもあるんじゃないかなと思うんですね。

 私の相場観でいうと、政府が、公的な機関が支援するんだったら、条件の悪い国への進出こそ支援すべきじゃないか。例えばタイとかマレーシアみたいに日本の企業もたくさん行っているところは、比較的インフラはあると思います。ジェトロもあるし、日本の都銀も、いろいろな金融機関も出ていますけれども、アフリカに行きたいとか中南米に行きたいとか、まだ日本の企業が進出するインフラが弱いところこそ本当は政策金融公庫みたいなところがやるべきじゃないかなという気がしているんですね。

 私の過去の経験則というかODA業界で働いていた感覚でいうと、大体、マレーシアと中国でODA事業をやると八割、九割は成功するんですね、相手が優秀だから。ところが、アフリカでやると三割、四割ぐらいしか成功しない感覚がある。それは相手が能力が低いからですね。だけれども、ではODAをアフリカでやらなくていいかというと逆で、公的機関だからこそ、条件が悪くてある程度デフォルト率が高いようなところでもあえてやる、リスクを負いやすいようにするというのが必要なことであって、むしろ、タイだ、中国だ、マレーシアだみたいに、もう既に民間でもやれるところはそんなに力を入れなくていいんじゃないかなと私なんかは思うんですけれども、そこはどうお考えでしょうか。

北神大臣政務官 委員のお話をされた損保ジャパンと千葉興業銀行につきましては、実際にどういうことをやっているのかというのは私もけさ初めて知ったんですが、これは、損保ジャパンが海外に進出しようとしている中小企業の情報を持っている、これを千葉興業銀行に伝えて、そして千葉興業銀行ができるだけ海外支援をするということになっています。

 民業圧迫という御指摘なんですが、今回我々が法案でお願いをしているのは、むしろ情報提供というよりは日本政策金融公庫から実際に資金を出す、実際に貸し付けをする、こういうことでございますので、ちょっと、おっしゃった具体例とは違う分野で支援をしようとしているということは御理解をいただきたいというふうに思っています。

 それで、ほかの余りまだ日本の企業が進出をしていない地域でむしろこういったことをすべきではないかという話でありますが、それは一般論としてそういうことも考えられるというふうに思っています。そういったことも決して排除するつもりはございません。ただ、日本政策金融公庫が、今まで事務所があって、ある程度現地の状況がわかっていて、それなりの地域に対する関係を持っているところからまず始めよう、こういう考え方でやらせていただきたいというふうに思っています。

山内委員 私も昔、ジャカルタとかマニラにちょっと滞在していたことがあるんですが、ああいう東南アジアの大都市に行くと、日本語で情報も相当手に入るし、日本人向けのいろいろなサービス、税務とかコンサルティングとかいろいろなサービスがありますから、役所というか政府機関が余りそんなに力を入れなくても相当なことはできると思いまして、それを否定しませんが、むしろこれからはそういうインフラが整っていない地域こそ力を入れてほしいと思います。

 大臣もお願いしますが、大臣の後に、さっきからずっと手を挙げていらっしゃるので、役所からも一言お願いします。

枝野国務大臣 ジャカルタなどがかなりビジネスインフラがあるということはそのとおりだというふうに思いますが、その一方で、今回、中小企業の海外進出の支援でありまして、実際にこの間、進出をされている中小企業にジャカルタでもたしかお会いをしました。それから、金融機関も、従来おつき合いをしているお相手が都市銀行ではなくて、地方銀行や信金、信組とおつき合いをしている中小企業の海外展開支援ということでありまして、そうした意味では、では、ジャカルタとかバンコクとかというのが中小企業の皆さんが進出するためのインフラができ上がっているか、あるいは従来のメーンバンクがそれにおつき合いいただけるかというと、そこはちょっと、大企業やあるいは一定規模以上の企業とは違うんじゃないか。

 それからもう一つは、ODAの話のように相手国支援が目的であれば、まさにむしろインフラのないところを優先してやるということ、そのとおりだと思いましたが、これは相手国のためにやるんじゃなくて日本の中小企業のためにやりますので、まさに企業のニーズということをベースに考えさせていただきたいというふうに思っております。

鈴木政府参考人 ただいま大臣、政務官から御答弁申し上げさせていただきましたけれども、私ども、今回は日本政策金融公庫が債務保証を行うということでございまして、これは今大臣が申し上げましたとおり、信金、信組さん、また地銀さんですと、そこが出します信用状につきまして相手国の金融機関がなかなか信用してくれないということもありますので、そういうニーズを踏まえまして、今回、法律の改正を提案させていただいたところでございます。

山内委員 今回の法案は、民間の企業だけじゃなくてNPO法人なども使えるというふうに認識をしておりますが、これは実際にこの法案が成立した場合には、例えば非営利のNPOがやっている事業に対してメリットがあるのか、それと、どういうふうに呼びかけられるのか、質問をしたいと思います。

鈴木政府参考人 今回の法律でございますけれども、これは中小企業新事業活動促進法等の改正でございまして、これは、中小企業が新たな事業活動、海外展開を行う際、それを支援することを目的としております。

 したがいまして、今委員御指摘ございましたNPO法人、NPO法人がNPO法人として海外展開をされるというときには、まことに申しわけございませんが、この法律の対象にはなっておりません。

山内委員 済みません、誤解をしていたようです。

 次に、ジェトロのかかわりについて。

 この法案を見てくると、余りジェトロがどういうふうにかかわってくるのか、これまでの質疑もそんなにはコメントされていなかったんですが、本来、中小企業の海外進出はジェトロがメーンの本来業務だと思います。ジェトロは金融機能がないのでそんなにかかわらないのかもしれませんが、今後どのようにジェトロの国内の拠点なり海外の拠点はかかわってくるんでしょうか。

北神大臣政務官 委員おっしゃるとおり、ジェトロというのは中小企業の海外展開にもこれまで取り組んできました。ただ、おっしゃるように金融機能というのはなかったので、今回の法案はそこをやりたいという趣旨でございます。

 それで、どういうふうにかかわってくるかというと、ジェトロが国内に三十八カ所ございますので、そこで窓口になって、地元の中小企業と日本政策金融公庫等の金融機関の仲介というか紹介をすることが非常に重要な業務になってくるというふうに考えております。

山内委員 時間が来たようですので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次に、中後淳君。

中後委員 新党きづなの中後淳です。

 中小企業経営力強化支援法案について質問させていただきますが、まずその前に、現行の状況について少し質問させていただきたいと思います。

 今、日本の企業総数が四百二十一万社。これは二十一年です。うち、中小企業が四百二十万社ということで、全体の九九%以上を中小企業が占めている。従業員も、中小企業に勤められている方が二千八百三十四万人で、これが全体の六六%。まさに、中小企業は日本の経済を支える柱であるということは間違いない事実だと思います。

 今、現行の中小企業新事業活動促進法だとか、農商工連携促進法だとか、いろいろな支援のメニューがある中で、ちょっと調べさせていただいたんですが、経営革新計画の承認を受けた企業というのが四万八千九百四十五件、五万件近くあります。これは平成二十三年度分です。ただ、全体から見ると、全国の中小企業総数から見ると一・一七%である、百社に一社ということになります。

 新連携事業の認定を受けたところは七百八十八件、これは平成二十四年五月末、つい先日の数字だと思いますが、企業数で割り戻しますと〇・〇二%程度ということになります。〇・〇二というのは非常に少ないと思います。補助金が八十五億円入っていまして、販売達成累積額が千百四十六億、十三・四倍の効果があったと。

 資金、補助金等を投入すればちゃんと効果がある事業であるというのは間違いないことだと思うんですが、ほかの、地域資源活用促進法の対象で認定を受けたところにしても、全部で九百九十二件、これは〇・〇二四%。農商工連携についても、認定を受けた件数が四百九十件、これは企業が連携していますので、一と数えていいかどうか、これはまた議論がありますけれども、中小企業数で割ると〇・〇一二%です。非常に少ない。

 ただ、効果としては、それぞれ補助金を入れたことに関して、それなりの効果は返ってきているということだと思うんですが、本当にごくごく一部の中小企業が対象になっているという実態があると思います。

 一方で、地域、地方の経済状況を支えている中小企業の大多数の方々は今非常に厳しい経営環境にあるというのは、これは皆さん共通の認識だと思います。雇用が失われています。私のところも、とにかく職場がないから地元にとどまれないというのが首長選挙なんかのたびにテーマになるような状況が続いております。都市部に人口が移動していて、過疎化を加速させている大きな要因となっておるわけです。

 今ここまでの段階で、ごくごく一部の中小企業が対象になっているような今の現行の支援策と、大多数の企業が今非常に厳しい状況にあるということについて、まず、現状認識を大臣に伺いたいと思います。

枝野国務大臣 さまざまな直接的な支援はどうしても対象が絞られてきて、それを受けられている部分は非常に小さい。ただ、それぞれ目的を明確に定めてやらせていただいている。

 全体としての中小企業の支援策は、これまでは融資制度だということで、ここについてはそれなりに幅広く御活用いただいている。まさに先ほどもどなたかに御答弁申し上げましたが、日本全体が右肩上がりのときは、融資で下支えさえしておけば、中小企業は元気に、日本全体の成長と一緒に伸びていくという構造だったので、ある時代まで私は間違っていなかったと思うんですが、日本が今こう厳しい状況の中では、より新しい種をまく、新しい芽を出してもらうという攻めの姿勢の中小企業政策が必要だ。

 そこに向けて、よりきめの細かい補助金の施策であるとか、むしろ小口化をすることでより簡便にしてたくさんの皆さんに利用していただくとか、さまざまなアイデアが“ちいさな企業”未来会議でも出てきております。そうしたことは、次のステップとして、できるだけ早く具体的な政策として提案をしたいと思っておりますが、そこに向けて、今回の法案もインフラにはなっていくんだと思っています。

中後委員 先に質問しようと思ったことまで大臣にお答えいただきましたので、私の方も少しはしょります。

 海外展開に関しても同じような状況があって、海外展開ができている企業、直接輸出を行っている中小企業数が六千三百社、これが〇・一五%、子会社を持つ中小企業が五千六百社、これも〇・一三%、全体から見ると千社に一社とかという割合になっていますし、これは私の実感としても、周りを見渡してみると、ごくまれにやはり海外に展開している企業なんかもありますけれども、地元で地域経済を支えている多くの企業が海外展開を考えているかというと、そういう状況にはない中小企業がたくさんあるというのが現状だと思います。

 攻めの経営を行う中小企業だとかやる気のある中小企業への支援、これについては全く否定するところはありませんし、日本の技術力や経済力をつけ、高めていくという上では非常に重要な政策だと思うんです。今大臣がおっしゃったとおり、大多数の日本を支える中小企業や、産業基盤を支える中小企業、地方の雇用を支える中小企業への支援というのは、設備資金とか運転資金とかという面での融資だとか信用保証だとかという資金繰りが中心になっておるわけで、そのほかのメニューというのはなかなかなくて、自治体ごとだったり、商工会議所や商工会がさまざまな取り組みをしていたりとかということはあると思うんですが、政府としてはなかなかそういうところまではいっていないのかなと思っております。

 現状について、これは長官に聞いた方がいいんですかね、よろしくお願いします。

鈴木政府参考人 ただいま委員御指摘ございましたとおり、地域の本当に小さな企業の方々はさまざまな経営課題を抱えていらっしゃいます。それに対しまして、専門家の派遣とかいうことをこれまでも中小企業基盤機構を中心にやってまいりましたけれども、全く手が行き届いていないというのが私どもの反省でございます。

 今回、私ども、“ちいさな企業”未来会議を行いまして、彼ら、経営者が何が欲しいかといいますと、まず知識サポートをしてほしい、それも、今ですと、インターネット、ネット上でさまざまなサポートができますけれども、それすらも行ってこなかったというのが反省でございまして、このような反省を踏まえて次の政策を構築してまいりたいと考えております。

中後委員 現状認識は全く同じだと思います。なかなかそういうことが行き届いていない中で地方の企業が苦しんでいるという現状、ここをどうするかというのがこれからの課題なんだろうと思います。

 以前は、公共事業であったり、または店舗規制だとか、そういうことで地方の雇用、中小企業がある意味守られている側面がありましたけれども、そうでない環境になってくる中でどこにバランスを置くかということ、日本に住んでいる方々、地方に住んでいる方々が普通に生活ができて、そこで生活を営めるということをどうやって実現するかというのが政治の使命なんだろうと思います。

 単純に、全ての企業だとか人々が競争政策で勝てるという環境は、ここはどこまで追求してもあり得ない。全員が勝つというゲームはありません。ですから、そうでないところにどうするかというところ、地方の雇用を創出するための中小企業支援策と雇用政策をぜひともあわせて行っていただきたいということを要望させていただきます。

 今回の中小企業経営力強化支援法案提出までの一連の経緯を見せていただきましたけれども、やはり、内需が減っているだとか、アジア新興国との競争が激しくなってきている、新興国の市場がその一方で拡大していて産業空洞化が加速しているので今までのビジネスモデルに限界が来ているのではないかということですとか、あとは、震災の影響、電力不足、電気料金上昇とかということ、円高の影響、大企業の海外進出が加速するんじゃないかということなどから、中小企業の戦略や事業の立て直しが急務であるだとか、いろいろなことを経緯として追いかけていった中で、中小企業政策審議会の企業力強化部会が昨年の十二月に中間取りまとめを行って、「グローバル競争下における今後の中小企業政策のあり方」ということで、中小企業に対する支援策だとか金融政策だとか、海外展開について行う中で、やはり攻めの経営だとかやる気のある中小企業への支援が中心となっているように考えるわけです。

 先ほどのちょっと繰り返しになりますけれども、競争原理だけで、地方において、例えば大企業が中小企業の今までの商圏をどんどん侵食していったりとか、仕事を受ける中で、コスト面で人件費だとか必要経費まで踏み込みながら受注を受けているような状況だとかそういうことは、国家全体の経済とか雇用とかの政策として、本当に行き過ぎていないのかなということは率直に私実感として思っておるところで、すみ分けだとかコスト設定などについて、必要な規制だとか公共事業のことについても改めて考えなきゃいけないタイミング、そのぐらい地方は今疲弊しているという認識をしていただきたいと思うんですけれども、大臣の所感を伺います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、今グローバルに展開をされている過酷な弱肉強食の競争というものがあらゆる分野で成り立つのかというと、私もそれは違うと思っています。ただ、やはり資本主義である以上は競争であるというのも、これは否定できない事実であるというふうに思います。

 そうした中で、特に地方の中小企業の現状を踏まえるならば、やはり政府、政治の責任として、地方が自立的に成り立っていけるような方向への転換をしっかりと支援していく、このことはやはり必要なんだろうというふうに思っております。

 そうした観点からは、やはり特にこれからの少子高齢社会で、地域にどうしても必要なビジネスが不足をしている。それはヘルスケア、子育てであるとか、それからエネルギーの問題も、これも転換をしていかざるを得ないという現状にあるとすれば、やはり地域にある意味密着をしていないと、そこでサービスや物が提供されないといけない。こういった産業をしっかりと支援していくことで、それぞれの地域に根づいた形で、中小企業の新しい構造がつくっていけるというふうに思っています。

中後委員 私も、資本主義である以上、競争というのは全く否定していませんし、競争という原理が働かなくなれば、やはり進歩もないと思いますから、そこはもうしっかりと確保していかなければいけない領域だと思いますけれども、だからこそ、バランスという言葉を使ったわけで、どこにバランスを置くかというところを間違えると、地方が、本当に仕事がない状況で、廃屋がどんどんふえているようなところが見受けられるような状況になっていて、これを放っておいて国としていいのかなということは率直に感じるところであります。

 そこで、今回の費増税ですとか電気料金の値上げですとかTPPということが、どれだけ中小企業だとか地方の経済に影響を与えるかということについて真剣に考えていただきたいということなんです。

 地方の雇用を支える中小企業にとっては、TPPに関しては意見、見解は分かれるところがあるかもしれませんけれども、私は、その三つともが中小企業にとって大変厳しい方向であるということで、タイミングをしっかりと考えないと、本当に死んでしまう人が出てくるんじゃないかなというふうに思っておりますし、誰が幸せになるのか、生活を守れるのかというところになかなか結びついていない議論なのかなという気がしております。

 そこで、消費増税、TPP、中小企業に与える影響について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

枝野国務大臣 間違いなく、TPPについては、もし、これが国内の一定の合意ができて、いい条件で参加することができれば、中小企業も含めた、日本経済にとっては大きなプラスになると私は思っております。

 それから、税と社会保障の一体改革についてでございますが、これはやり方を十分注意、配慮しながら進めなければならない、例えば転嫁対策とかいうことはありますけれども。

 先ほど申しましたとおり、これからの、特に地場に密着した日本の産業ということを考えたときには、やはり老後や子育て、社会保障の周辺分野を大きく育てるしかない。その分野が大きく育つためには、やはりコアになる社会保障がしっかりと安定的になることが不可欠である。したがって、地場の中小企業をしっかりと支えていくためにも、消費増税は必要なことだと思っております。

中後委員 今の大臣の考え方の大筋については、私も同感なところはありますけれども、だからこそ順番とタイミングが大事なんだということなので、震災の後、原発事故の処理がまだ終わっていない中でのこのタイミング、デフレ環境下でのタイミングということについてはしっかり考えなければならないと思っておりますし、TPPについてはまた別のときに議論させていただきたいと思いますが、私はそんなに楽観的なお話ではないという気がしております。

 以前、公共事業が悪だと言われているような時期がいっときありました。公共事業が大幅に絞られていく中で、私の地元でも、土木建築業者さんの経営というのは、非常に急に厳しくなるようなことがありました。資金繰りに困って、金融機関からお金を借りようと思っても貸してくれなくなって、余り筋のよくないところからお金を借りたりする中でどうにもならなくなる。

 ただ、中小企業の方というのは、社員と社長が、もう顔と顔が見えるような距離感で仕事をしていますので、社員のことを考えるとどうしたらいいかわからなくなってしまって、倒産というところもたくさんありましたけれども、夜逃げをした社長さんもおりますし、人によっては経営者みずからの命を絶つというような事例も私は本当に目の前で見てくる中で、政治の判断で、本当に死ぬというところまで追い詰めてはいけないだろうなというふうにそのときに非常に強く思ったんです。

 やはり、何かを変えるときには、タイミングとかスピードとか、そういうことをしっかりと考えていかなければ、いい方向に向かっていく中でも、自分に置きかえてみると、命をどうしようかというところまで追い込まれている人たちのところに思いをはせなかったら、それはやはり政治ではないという気がします。

 消費増税というのも、今大臣からも少しありましたけれども、価格転嫁を失敗すれば、中小企業にとって大変厳しい状況となりますし、つい先日、私のところは漁師町が近いので、私の家に毎朝魚を売りに来てくれるおばちゃんがいますが、そのおばちゃんも、消費税を倍納めろと言われたら、私はもう仕事を続けられないなんという話をぽろっと私にこぼしたりしているような状況があります。それだけ厳しい中で事業を行っている人がいるということもしっかりと認識していただきたいなと思います。

 では、法案の方の支援事業の担い手の多様化、活性化について質問したいと思います。

 私、この法案については、どうやって認定するのか、何を基準に認定するのかということ、それと、認定者数だとか規模というのが非常に肝になるんだろうなと思っておりますが、現時点での考えがあれば、お聞かせをいただければと思います。

鈴木政府参考人 今先生御指摘のとおり、この認定に当たりまして、基準とかどういうふうに運用していくのか、この法案を成立させていただきましたら、それが本当の肝だというふうに考えております。

 現在、認定の基準ですけれども、先ほど申しましたように、一つには、財務及び会計等の専門的な知識を有していること、二番目に、専門的見地から業務内容の経営状況の分析及び指導助言につきまして一定程度の業務経験を有していること、あとは、長期的かつ継続的に支援をするような体制を維持していただけること、こういうことを考えておりますけれども、より具体的に、御指摘を踏まえまして、基準づくりを今後進めていきたいと考えております。

 また、件数でございますけれども、全国で数千件程度を予定しているところでございます。

中後委員 先ほども少し話がありましたけれども、予算というのは、支援機関に認定された方々に対してのお金のやりとりというのは特別ないというふうに認識しているんですけれども、間違いないか、企業と認定された方々の個別の契約ということで間違いないかということを伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 政府から、認定支援機関に資金的に何か援助するということではございません。

中後委員 そうすると、商工会議所だとか商工会というところの人脈だとかネットワークというのは、今でも経営者の方々のネットワークというのは非常に強いものがあります。税理士さんはどこがいいかなんという情報だったりとか、コンサルはどこがいいかなんという情報というのは、実は事業家さんの方がいっぱい持っていたりする。

 そこを今回認定するということで、どこまでそれが強化されるのかというところを担保するのがこの申請、認定にかかわるところで、ここが失敗すると、ただ申請の手間がふえてしまいました、認定する機関の仕事がふえましたというだけになってしまって生かされないということになってしまいますから、そこが非常に重要ということになると思います。

 企業の経営とかというのは、各地域だとか業界によって全然異なりますから、地域、自治体でどんな支援があるのかとか、その業界によってどういう中小企業支援策だったり金融対策があるのかとかということを知り尽くしているということが、本当にコンサル的な業務をする上では重要な課題になると思うんですが、今の支援者、支援事業者を、外形的にとか今の資格でとか今の規模でということでそのまま認定するようなことでは、そんな力量は、もう既に私は中小企業者の方が十分知っていると思います。

 だから、何が肝かというと、この申請、認定という過程で、その支援する側の力量をどうやって持ち上げるのかということだと思うのです。手間がふえるだけで実効上の効果が上がらないというようなことにしないために、支援する側、税理士さん、弁護士さん、公認会計士さん、または診断士さんなんかも入るんでしょう、今まで支援していた方々の力量をどう上げるか。

 広告なんかのこともありますが、幾らパンフレットを配ったところで、ここに行けばいい効果があるよということがあれば、これは事業家さん、商工会議所等を使って、ネットワークで情報というのは広がっていくはずです。だから、広がっていくように底上げをするような申請と認定の仕組みにしていただきたいというふうに思います。

 ぜひ、枝野大臣に考えを伺って、私からの質問は終わりにしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘の前提が若干違うかなと私は思っていまして、ある程度の中間的な規模の商工会、商工会議所であれば、そこにいらっしゃる中小企業の皆さんが、ほとんどネットワークはきちっとできていて、情報をお互い持っているよねということだと思うんですが、逆に、非常に過疎地域まで行きますと、今度は、税理士さんとか、その専門家なんてどこにいるんだということになりますし、逆に、ある程度規模以上の都市になりますと、そもそも商工会、商工会議所に、事実上、会費を払っているだけでほとんど幽霊会員ですよとか、入っていない中小企業とかも少なからずいらっしゃるというのが実態で、こうしたところまで含めてきちっとやっていかないといけない。

 そうすると、そういった皆さんのところがこの人ならということで認定された機関というのは、やはり一定の効果はあるのではないかなというふうに思っています。

 それからもう一つ、まさに中間規模の、適切規模の商工会議所なんかだったら、そこを通じてパンフレットとかをおろせば実際の事業者のところにおりるんですが、やはり全国を見ると、必ずしもそれがうまく機能できない地域もたくさんある中では、実際に中小企業施策を中小企業者の皆さんに周知するというのはかなり大変だ。

 むしろ、今回、認定で数千単位の支援機関を考えているわけですが、この皆さんにはこういう施策があるんだということをしっかりと徹底すれば、その皆さんがそれぞれの業態に応じてこういう支援策がありますよということで適切に使っていただけるようになる。

 ですから、そこにしっかり情報を集約して、情報をしっかり使いこなしていただけるようにする、ここが大きなポイントではないかなというふうに思っております。

中山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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