衆議院

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第3号 平成25年3月22日(金曜日)

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平成二十五年三月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大野敬太郎君    大見  正君

      勝俣 孝明君    菅家 一郎君

      熊田 裕通君    佐々木 紀君

      白石  徹君    平  将明君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      吉川 貴盛君    枝野 幸男君

      小川 淳也君    大島  敦君

      岸本 周平君    馬淵 澄夫君

      木下 智彦君    重徳 和彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      井坂 信彦君    三谷 英弘君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   外務副大臣        松山 政司君

   経済産業副大臣      菅原 一秀君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   文部科学大臣政務官    丹羽 秀樹君

   経済産業大臣政務官    佐藤ゆかり君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中野  節君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 金杉 憲治君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 立岡 恒良君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          北川 慎介君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          永塚 誠一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十一日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     宮崎 謙介君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  平  将明君     菅家 一郎君

  福田 達夫君     大野敬太郎君

  細田 健一君     熊田 裕通君

  枝野 幸男君     小川 淳也君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     福田 達夫君

  菅家 一郎君     平  将明君

  熊田 裕通君     細田 健一君

  小川 淳也君     枝野 幸男君

    ―――――――――――――

三月二十一日

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一六号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、外務省大臣官房参事官金杉憲治君及び経済産業省貿易経済協力局長北川慎介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本周平君。

岸本委員 おはようございます。民主党の岸本周平でございます。

 本日は、北朝鮮に対する輸出入禁止措置の延長に係る国会承認について御質問の機会をいただきました。委員長初め理事各位に感謝を申し上げたいと存じます。

 まず初めに、実は、当初は野田内閣のもとで、昨年、国会に承認を求めたわけでありますけれども、なかなか通常国会では認めることにならず、解散・総選挙を経て廃案という形になりまして、改めて閣議決定をしていただいた上、安倍内閣において提出されたものだと承知しております。

 私、実は、経済産業委員会は今回初めて所属をさせていただきまして、全くの新参者ですので、そういう観点で思いますと、この輸出入禁止措置の延長については、これは与党も野党もないわけでありまして、私ども国会議員としては、当然政府の立場を強く応援していくべきものであろうと考えております。

 輸入は平成十八年から、輸出は平成二十一年から禁止をしている中で、例年なかなか承認がスムーズにいっていないという経緯を考えましたときに、これは今後、いろいろな審議の順番もあるわけでありますけれども、できればこのような重要な承認については、与野党一致の上で、できる限り早い段階で政府をエンドースしていく。

 実は、これはまた来月には切れるわけでありまして、新たにまた内閣の方から御提案をいただくわけでありましょうから、ぜひ委員長初め理事の皆様にお願いしたいのは、こういうことについては、いわゆる議会も行政の方も心は一緒だということを北朝鮮に示すためにも、一日も早い承認をするような手順をお願い申し上げたいと存じます。

 その上で、御質問を申し上げます。

 北朝鮮は、拉致問題について、平成二十年八月の日朝実務者協議において合意した調査のやり直しには全く着手をしていないわけであります。また、ミサイル発射がたび重なっておりますし、核実験も三回目であります。我が国を含む国際社会がこのような挑発行為を行わないように繰り返し求めてきたにもかかわらず、先般、ミサイル発射、核実験を強行いたしました。

 これらは、我が国の安全に対する重大な脅威であります。また、NPTを中心とする国際的な軍縮不拡散体制に対する重大な挑戦であり、決して容認することはできません。

 そうした中で、日本政府としては、引き続き、日朝平壌宣言にのっとり、拉致の問題、核の問題、そしてミサイルの問題、それぞれの諸懸案につきまして、これを包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝の国交正常化を早期に実現するという従来の基本方針に変わりはないのか。

 これは、外務省にお伺いをしたいと存じます。

金杉政府参考人 お答えいたします。

 政府としましては、日朝平壌宣言にのっとって、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、国交正常化を図るべく努力するという基本方針に変わりはございません。

 しかしながら、ミサイル発射、さらには今回の核実験といったことは、関連安保理決議に明確に違反するものでありますし、日朝平壌宣言や二〇〇五年九月に発出されました六者会合の共同声明にも違反しております。北朝鮮との対話を通じた問題解決に、完全に逆行する措置と言わざるを得ません。

 我が国としましては、北朝鮮に対し、関連する安保理決議など、みずからの国際的な義務やコミットメントを誠実かつ完全に実施するよう、引き続き求めていく考えでございます。

 以上でございます。

岸本委員 北朝鮮は、平成二十四年度に限って見ても、四月と十二月にミサイルを発射、そして、先月二月に核実験を行っているわけであります。そしてまた、一方で、これを非難する議長声明や安保理決議が全会一致で採択されています。

 このような国際的に大変厳しい状況に置かれているにもかかわらず、最近も、朝鮮半島有事を想定して行われる米韓の合同軍事演習に反発して、朝鮮戦争の休戦協定を全面白紙化するという、大変挑戦的な態度をとっております。国連安保理決議に対抗して核の先制攻撃に言及するなど、全く反省の色が見えません。

 こうした北朝鮮の状況を踏まえ、日本政府として、例えば、再入国禁止対象者の拡大、あるいは北朝鮮制裁全般をさらに強化していく、幾つか道は残されていると思うわけでありますけれども、これは、私の敬愛する加藤官房副長官にお答えをお願いしたいと存じます。

加藤内閣官房副長官 岸本委員にお答えしたいと思います。

 御指摘のように、北朝鮮による核・ミサイル開発が継続して行われているということは、明らかに六者会合共同声明及び国連安保理決議違反であります。我が国を含む国際社会全体の平和と安全に対する脅威であることは明らかでありますし、看過することができない。

 そういう中で、先般も大変強い、新しい国連決議が出されたところでありまして、米国、韓国、ロシア、中国を初めとする関係国と緊密に連携しつつ、北朝鮮が関連する安保理決議を履行し、六者会合共同声明の完全実施に向けて建設的に対応するよう、引き続き求めていくというのは当然であります。

 その上で、我が国の単独措置、単独制裁ということでありますけれども、これまでも、在日の北朝鮮当局職員の当局職員としての活動を実質的に補佐する立場にある者の北朝鮮を渡航先とする再入国を認めないとの措置を含め、日本と北朝鮮との間の人的往来の制限、輸出入の全面禁止等、広範な措置をとってきたところでございます。

 さらに、今お話がありましたように、再入国禁止措置の対象者を、在日の核・ミサイル技術者を対象とするよう、さらに広げるべきだとの議論、提案があることも承知をしているところでございます。

 そうしたことを踏まえて、今後、北朝鮮に対して、かかるような行為を抑止するために日本としてどういうことができるのか、北朝鮮の動向、あるいは関連各国の動向を踏まえながら、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決のために我が国がとるべき有効な手段は何なのかという観点から、引き続き、そして真剣に検討して答えを出していきたい、こういうふうに考えております。

岸本委員 ぜひ、加藤副長官のリーダーシップで、官邸内でしっかりと御議論、御検討をいただきたいと存じます。副長官、これで御退席いただいて結構でございます。

 新聞報道等によりますと、北朝鮮のミサイル発射や核実験に伴って、米国と中国が中心となって国連安保理決議の発出をめぐる協議が行われてきたわけであります。もちろん、制裁を強化したい米国と、それに対して消極的な中国がいるわけでありまして、毎回協議が難航していたとも伺っております。

 北朝鮮の制裁につきましては、十分な効果を上げる観点からも、世界各国が連携して北朝鮮に対して厳しい姿勢で臨んでいくことが重要だと考えております。我が国を含めた米国、中国、さらには韓国などとの連携は、今本当に十分に図られているのか、バイの関係ではいろいろな問題を抱えているわけでありますけれども、まさに今、目の前にある危機に際して、他国との連携、どんな状況になっているのか、外務省からお答えをいただきたいと存じます。

金杉政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮による核実験実施以降、我が国は、日米の首脳会談、あるいは日韓首脳の電話会談といった首脳レベルのやりとり、あるいは実務レベルのやりとり、さまざまなレベルで、アメリカ、中国、韓国などと緊密に連携を図ってきております。

 こうした取り組みの結果といたしまして、国連安保理が先般、大変強い内容の決議二〇九四号を採択したということを、我が国としては大変高く評価しております。

 今後は、北朝鮮に対する制裁の実効性を一層向上させるという観点から、我が国が所要の措置を講ずることはもちろんのこと、関係国と引き続き緊密に連携協力しまして、国際社会全体に対しても、決議の着実かつ全面的な履行を求めていきたい、かように考えている次第でございます。

 以上でございます。

岸本委員 北朝鮮の制裁につきましては、十分な効果を上げる観点から、経産大臣にもいろいろとリーダーシップを発揮していただかなければならないと存じます。

 ここ一年の新しい北朝鮮の政治体制のもとで、相当挑戦的な態度を新しいリーダーがとられている。日朝平壌宣言や二〇〇五年九月の六者会合共同声明にも明らかに違反しているわけであります。北朝鮮との対話を通じた問題解決に向けた動きにも明らかに逆行する態度を彼らはとっているということであります。

 そして、まさに経済産業省としては、振り返りますと、平成十八年、万景峰号の入港禁止から始まって、十八年十月には輸入を禁止する、そして平成二十一年の六月には輸出を禁止するということで、これはまさに貿易をつかさどる経済産業大臣の責任の大変重いところであると思います。

 そこで、この機会に、改めて、北朝鮮に対し、関連する安保理決議の即時かつ完全な履行を強く求めるとともに、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、経済産業大臣として、北朝鮮への全面輸出入禁止措置を担当するお立場として、決意を表明していただきたいと存じます。

茂木国務大臣 岸本議員御指摘のように、北朝鮮、新しい体制になりましても、昨年の四月、十二月と弾道ミサイルの発射、そしてまた、本年二月には核実験を実施するなど、挑発的な行為を繰り返しております。これは、我が国の安全のみならず、地域の平和、安定にとっても重大な脅威でありまして、断じて容認できないと考えております。

 こうした状況に鑑みまして、政府として、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、対話と圧力の基本方針、これは実は小泉政権のとき、私は外務副大臣でありました、決めさせていただいた方針でありますが、この方針に基づいて、最大限の措置を実施していかなければいけないと考えております。

 経産省としても、外為法に基づきまして、北朝鮮との間の輸出入の禁止、順次強化をしてきたわけでありますけれども、現在、全面的に禁止する、こういう措置を講じているところであります。これは、他国と比べてみましても極めて強い措置でありまして、引き続き、関係省庁と緊密な連携のもと、厳格に実施をしていきたいと考えております。

岸本委員 ありがとうございます。大変心強く感じております。

 それで、北朝鮮の制裁措置といいますのは、いろいろな組み合わせであります。人、物、金ということでありまして、人については法務省が担当、外務省も担当されています。そして、金の部分は財務省が担当されているわけで、物が今おっしゃった経済産業省の部分であります。さらには、運搬や移動手段、貨物の検査など、これは国土交通省ということであります。

 私ども、これは与党、野党ありませんので、応援させていただきますので、省庁のうまいチームワークをとっていただいて、ぜひその中心に茂木大臣がなっていただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 今回お出しになりました北朝鮮に対する制裁の承認案件に関しまして、質問させていただきます。

 まず、これは二日前、三月二十日のロイター通信の記事でございますけれども、北朝鮮の制裁に抜け穴がある、中国からぜいたく品の流入が続いているという記事がございます。

 三度目の核実験で国連による制裁が強化された北朝鮮だが、同国のエリート層は中国から最新式のカメラや薄型テレビなどを入手しており、制裁の効果は余りあらわれていない、続く記事を見ますと、特に中国における北朝鮮大使館付近での電気機器の販売店、また国境付近のやりとり等で、日本としましても全面輸出輸入禁止措置ということでございますが、結局、中国等、特に中国ですね、他国を経由した迂回輸出や、さらに抜け穴というべき、例えば、中国向けに輸出された物品が、先ほどお話しした記事に出ているような、北朝鮮サイドによって中国国内で購入されて、そしてそれが北朝鮮に持ち込まれるといった形式で物品が流入しているという報道がございます。

 こうした流入の実態に関しまして、形式的な輸出入ゼロという数字ではなくて、実質的な物流額を果たして政府の方で把握されているのでしょうか。もし把握されているとしましたら、その実質的な額や、また、もし把握されていないのであれば、把握するためにどういうことができるか、そのようなことは検討されていますでしょうか。そういったことの現状に関しまして、政府としての御見解を伺えればと思います。

松山副大臣 お答えいたします。

 我が国から中国等の他国を経由した迂回輸出及び中国向けに輸出をされた物品が北朝鮮サイドによって中国国内で購入されて北朝鮮に持ち込まれる、このような形式での物品の流入の実態でありますが、必ずしもその全体像が明らかになっているわけではありません。

 しかし、中国の対北朝鮮輸出額でありますが、中国政府の発表によりますと、二〇一〇年が二十二億七千八百万ドル、二〇一一年が三十一億六千五百万ドル、二〇一二年は三十五億三千二百万ドルというふうに年々増加をいたしております。

 国際社会として北朝鮮に対する制裁の実効性を一層向上させるという観点からも、近隣諸国を経由した迂回輸出入を確実に防止させることは極めて重要なことでございます。我が国としても、中国を含む国際社会が関連する安保理決議を着実に全面的に実施していくように、いろいろな機会を捉えて動いているところでございます。

 また、我が国と北朝鮮との間における迂回輸出入を防止するために、北朝鮮貨物の迂回輸出入の防止に関する会議というものを開催いたしておりまして、関連品目の貿易需要動向の把握に努めておりまして、外務省としても、同会議を通じて、関係機関との情報交換を行っているところでございます。

 以上です。

丸山委員 御答弁ありがとうございます。

 まさしく、先ほどの岸本委員のお話もありましたように、やはり日本単独で物品の輸出入を禁止しても、日本からはゼロという形が数字上あらわれますけれども、一方で、こういった形で北朝鮮に対して日本で製造されたものが流れているという現状がございます。先ほどの御答弁にもありましたように、二十二億、三十一億、三十五億と年々ふえているということでございますから、やはり、これをとめなければ、結局、その効果というものがきっちりあらわれてこないのではないかというふうに強く懸念しております。

 こうしたことに関しまして、特に中国への働きかけを、政府としましてもさらに強めていただけますようお願い申し上げます。

 そういった意味で、先ほど申し上げたような、現在の外為法上では規制ができないような物品の移動は、特に、中国向け輸出として出されて、その後迂回して北朝鮮の方に流れるというふうな形では出されていないものが、中朝の国境や北朝鮮の大使館の近くというところで売買されて、結局、奢侈品というものが北朝鮮に流れている。これを外為法上では規制できないという現状があるということでございますけれども、この点に関しまして、政府としてどのようにお考えでしょうかということを伺いたいと思います。

 先ほど申し上げたように、輸出入が数字上ゼロになっておりますけれども、実質、こういった形で、特に奢侈品という形で、北朝鮮のエリート層に対しまして、日本製の物品や、宝石やお酒だとか、そういった奢侈品が流れている現状をとめるためにも、また、北朝鮮が三度目の核実験を行ったということです、これに対してさらに圧力が必要な中で、難しいことはあると思いますけれども、もし捜査等何かの段階で発覚した場合には、規制や罰則ができるように、法改正を含めたさらなる規制強化が必要ではないかと考えます。

 その点に関しまして、大臣の御見解を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 輸出の禁止に関しましては、禁止できるのは、委員も御案内だと思いますけれども、最終仕向け地までです。最終仕向け地で日本としての輸出の場所はとまるわけであります。そうなりますと、一旦その最終仕向け地に行きますと、残念ながらその国の所有物となる。その後の移動について完全にフォローできるかといいますと、難しい部分もあります。

 同時に、一旦その国の所有物となったものを禁止するということは、残念ながら今の法体系ではできないわけでありまして、例えば、中国初め最終仕向け地となった国とさらに連携を強化することによりまして、その国が輸出をさせないような措置をとるという取り組みがどうしても必要になってくると思います。

丸山委員 まさしく中国との連携が大事だという御答弁だと思うんですけれども、中国は、現状、北朝鮮に対する制裁を強めるということを口頭では述べているんですけれども、一方で、輸出額として数字であらわれているように、また、恐らく、この数字にはあらわれないような物品も流れているというふうに思うところなんです。

 中国に働きかけるだけでなくて、先ほど申し上げたように、捜査に限界はもちろんあるんですけれども、発覚した場合には、やはり日本での輸出に対する規制というものをやっていくような、断固とした措置を日本としてもあらわさなければ、経済産業省は物の動きを所管されているということですけれども、今、輸出入を外為法上ゼロにしている中で、北朝鮮に対してさらに毅然とした態度を見せるためには、やはりこの部分がどうしても必要だと考えるんです。

 改めまして、大臣、そういった部分に関してさらに強化をしていく場合に、では、ここができないとすれば何ができるのかということに関しまして、もし御所見がありましたらお答えいただければと思います。

茂木国務大臣 まず、実態解明に努めるということが極めて重要であります。

 恐らく、その上では、外交の話になってきます。外交につきましては、どういう手段を中国に対してとるか、また第三国に対してとるか、これは、こういったことをとりますと言いますと、その効果もなくなってまいりますので、コメントは差し控えさせていただきます。

丸山委員 外交上の案件ということでございまして、北朝鮮に対すること、また中国に関すること、なかなか御答弁いただけない部分もあるとは思います。我々維新の会としましても、野党という立場ではありますけれども、やはりこの問題、北朝鮮に対する圧力を強めていくという側面は極めて大事だと思っておりますので、大臣の方も、きちんと毅然とした態度をとっていただくとともに、粘り強い交渉で進めていただければと思います。

 もう一つ、制裁強化につきまして、さらに御発言をいただきたいと思います。

 先日の委員会でも少し御質問させていただきましたけれども、やはり現状としまして、今回の国会承認の案件も含めまして、制裁できる手段がかなり限られてきていると思います。そうした中で、制裁をさらに強化するということ、そしてなおかつ、前回の委員会でも申し上げましたけれども、この四月に制裁期間が終わる案件が、今、この三月の状態で国会承認を求めざるを得ない状態になっているという現状がございます。

 これは、一応、国会側の不作為という我々の側の問題もあるとは思うんですけれども、一方で、そうした制裁を強化しなければならないという点、なおかつ、期限がぎりぎりの段階で国会承認になってしまっている点、そういう点を踏まえまして、これまで半年や一年という期間でやられてきたということですけれども、二年などと、期間を長目に設定していくことでさらに制裁を強めていくということはできないんでしょうか。

 四月以降、さらに来年の制裁を検討されると思いますけれども、そのあたりに関しまして、経済産業省の御見解を伺えればと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 この措置は、従来より、半年、そして一年ということで実施をしてまいっております。これは、拉致、核、ミサイル、こういった諸課題につきまして、基本的に北朝鮮に対して対話と圧力、こういった観点からやっておるものでございます。

 対話と圧力、これはもう少し申し上げますと、期間を定めまして、それを圧力にしていくということと、それから、その期間の間に北朝鮮側の対応の改善を促す、こういった効果を狙っているものでございます。

 しかしながら、委員会でも御指摘のありますとおり、この四月に制裁措置、改めてお願いすることになりますけれども、その期間をどのようにするか、あるいは内容をどのようにするかにつきましては、近年の北朝鮮の状況、あるいは国連の動き、こういったものを十分考えながら、今、政府全体で総合的に検討しているところでございます。よろしくお願い申し上げます。

丸山委員 現在、委員会にかかっていますこの承認の案件に関しましては、恐らく反対というところは少ないと思います。我が日本維新の会としましても、速やかに承認を進めて、協力していきたいと考えておりますが、では、今後どうしていくのか。

 もちろん、同じことをずっと積み重ねていくというのもあるとは思うんですけれども、プラスして強化していくという点につきまして、やはり経済産業省でも常に御議論いただいて、強化策を含めた、より実効的意味のある制裁を前に進めていただきますようお願い申し上げます。

 最後になりますが、茂木経済産業大臣の、この北朝鮮問題に関します今までの御答弁を踏まえた上での、また委員会での審議、岸本委員また私の審議を踏まえた上での御見解、御所感をいただければと思います。

茂木国務大臣 先ほども申し上げましたが、北朝鮮に対して対話と圧力で臨んでいく。ちょうど私が外務副大臣時代に決定した方針であります。そして、本当に圧力は十分だったのかといったことについては、昨年来の北朝鮮の行動によりまして、そうではないんではないかという部分はあると思います。そうしたら、どういった圧力が適切であるか、ふさわしいか、北朝鮮の前向きな行動を引き出せるか、そういったことも含めて、今後の制裁のあり方を考えていきたいと思います。

丸山委員 御答弁ありがとうございます。

 まさしく、対話と圧力という御発言がありましたけれども、この圧力の面に関しましても、また対話の面に関しましても、我々野党も、やはり国益という観点から政府と見解は一致しておりますので、この国益を最大限にするために御努力いただけますようお願い申し上げまして、私、丸山からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 先日の初質問の際に、茂木大臣の「都会の不満 地方の不安」、この著書のお話を伺いましたので、早速拝読させていただきました。そこでは、農民、自営業者などのかたい支持層と、強いて言えば自民党支持というやわらかい支持層との利害対立という構造や、東京国と地方国の貿易不均衡など、問題の構図が全くもって変わっていないという印象を受けました。

 この本の中にも記載されておりました、自民党の大勝が自民党にとってかえって重い足かせとなり、求められる政策転換を妨げるという逆説について、今、どのようなお考えをお持ちか、まずは伺えればと思います。

茂木国務大臣 早速私の本を読んでいただいて、心から御礼を申し上げます。

 「都会の不満 地方の不安」一九八八年に出版した本だと思います。今から二十五年前ということでありますけれども、当時はバブルでありました。相当東京の地価が値上がりをする。そして、都会の生活者にとっては、経済の状態はバブルですから比較的いいんですけれども、生活は結構そういった地価の高騰等によりまして困窮している。一方で、地方に行きますと、東京一極集中、そういった中で、地方経済の基盤が極めて弱くなっている。こんなことを、都会の不満、地方の不安という言葉で呼ばせていただいたわけであります。

 経済の分析の部分と政治の分析の部分に分かれておりまして、御指摘いただいた最後のところは政治の部分でありますけれども、経済の基本構図は、バブルとかそういった問題を除くと、私は、残念ながら、今の日本はそんなに変わっていないのかなという思いもありますが、政治につきましては、当時はまだ衆議院は中選挙区制でありました。今、小選挙区制に変わりました。

 中選挙区時代は、ある意味、一定の支持層、例えば、三人区でありますと三分の一ぐらいの支持を得れば十分当選することができた。そういったところから、それぞれの団体であったりとか支持基盤、そことのつながりというのは極めて重要なんだと思います。

 そして一方で、どちらかといいますと、浮動層といいますか、そういうやわらかい支持層の取り込み、こういったものに対しては、全部とは言いませんけれども、多くの議員がそこまで熱心ではなかったのではないかな、こういう部分はあります。

 今、小選挙区制に変わりまして、言ってみますと、半分以上の票をとっていかなければいけないということになりますと、単にかたい支持層だけではなくて、やはりやわらかい支持層、その時々の動きによって変わっていく国民の声というものにも敏感にならざるを得ない、なるべきだ。

 しかも、そのかたい支持層と言われた団体であったりとかそういったものも、この二十五年間で、比較で見てみますと、やはり弱くなってきているのではないかな、そんなふうに思っております。

 当時でいいますと、そういうかたい支持層があるために、勝った政党がなかなかそこから動けないという状態でありましたけれども、逆に、今はそういった多くの国民の支持を得て政権をとった政党、まさに今の新政権もそうでありますけれども、それはまさに、改革を進めることで国民のさらなる支持を得られるかどうかということが決まってくるのではないか。

 といったことで、若干政治の状況というのは当時と変わっているのではないかなと思っております。

三谷委員 ぜひとも、その改革の部分を進めていただきたい、このように思います。

 それでは、北朝鮮の問題についてお伺いいたします。

 まず、先日、北朝鮮が三回目の核実験を行った。そして、それについては、国営の朝鮮中央通信を通じて、核実験を行った旨明確に、そして直ちに公表いたしました。

 その一方で、その前に、北朝鮮は事実上の弾道ミサイルの発射実験を行って成功した旨発表いたしました。けれども、これは人工衛星の打ち上げだ、あくまでも平和的な利用だというふうに位置づけたわけであります。

 一方では、核兵器を開発しているということを明確にしておきながら、一方では、ロケットというものをあくまでも人工衛星の打ち上げだ、平和的利用だというふうに取り繕う。

 どうしてこういう使い分けをするのか、その背景について、どのように分析されておりますでしょうか。

江渡副大臣 三谷議員にお答えさせていただきたいと思います。

 一般論として申し上げさせていただくならば、この核問題に関する北朝鮮の最終的な目的というのは、あくまでも、核兵器というものを保有することによって抑止力の確保、こういうことを目指しているものだというふうな見方がありまして、そして、北朝鮮自身においても、アメリカに対抗するための核兵器を保有したりということで、繰り返し主張しているわけであります。

 一方、今先生がおっしゃられたように、北朝鮮が人工衛星の打ち上げと称してミサイルの発射を行うという背景は、平和的な人工衛星の打ち上げであると主張することで弾道ミサイルの発射というものを正当化するためだというふうにも考えられます。人工衛星を打ち上げることで科学技術力を内外に誇示し、北朝鮮の威信を高めるためというような指摘もあるわけであります。

 いずれにしても、この弾道ミサイルの発射であれ人工衛星の打ち上げであれ、必要となる技術は共通していることから、北朝鮮による累次の発射、あるいは弾道ミサイルの性能向上のために必要なこれら種々の技術的課題の検証につながるのではないかというふうに我々は考えております。

 どちらにしても、防衛省としては、このことに関しましては重大な関心を持って情報の収集、分析に努めながら、我が国の平和と安全に万全を期してまいりたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 この日本の安全保障というものを考える上で、現在、北朝鮮がどの程度大量破壊兵器の開発に成功しているかということを認識しておくことが不可欠だというふうに考えます。

 先ほど自分が質問した趣旨は、こういう長距離の弾道ロケットを開発した、そして成功したということによって、アメリカに対する直接的な脅威というようなことになる、そうするとアメリカから何らかの軍事的な圧力が加えられるかもしれない、それをどのように公表するかによって、日本との関係、そして、アメリカとの関係を考えていくということになるのではないかというふうに考えているんです。

 今、北朝鮮は日本を射程におさめた核兵器をどの程度完成しているのか、完成を一〇〇とするならば、今それがどのあたりにあるのかということを教えていただければと思います。

江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今、御質問にありました、北朝鮮における核開発の現状というものにつきましては、もう御承知のとおり、北朝鮮はかなり閉鎖的な国でありますから、そういう体制をとっているということもありまして、断定的なことは申し上げることができないわけでありますけれども、本年二月の核実験を含む過去の北朝鮮の言動等を考えれば、核兵器計画というものが相当程度進んでいるのではないか、そういう可能性というものは排除できないところであります。

 また、一般的に、核兵器を弾頭に搭載するための小型化には相当の技術力というものが必要とされておりますが、核兵器保有国の例というものを見てみれば、北朝鮮が比較的短期間のうちに、核兵器の小型化、弾頭化の実現に至る可能性というものも排除できないところであります。

 なお、大量破壊兵器の運搬手段になる弾道ミサイルにつきましては、我が国日本のほぼ全域を射程内に入れられる可能性があるノドンを既に配備しているというふうに考えております。

 また、昨年十二月の人工衛星と称するミサイル発射に利用されたテポドン2派生型の射程は、約一万キロ以上に及びまして、サンフランシスコやデンバーといった大都市、あるいは、空母二隻の母港であります、第一海兵機動展開部隊司令部も所在するサンディエゴ、コロラド州のピーターソン空軍基地、これは北方軍司令部が所在しております、あるいは、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地、ここはBMD用の地上配備型の迎撃ミサイルが配備されておりますけれども、このような重要な米軍基地を含む米本土中部、西部等に到達する可能性があると我々は考えております。

 こういうことから、北朝鮮の弾道ミサイルの長射程化は大きく進展しているというふうに思っております。

 いずれにしても、防衛省としては、北朝鮮の核問題等は、引き続き、北朝鮮の核関連等の動向に関し、重大な関心を持って情報の収集、分析に努めまして、我が国の平和と安全の確保に万全を期していきたいと思っております。

三谷委員 今のお答えを受けますと、やはり、北朝鮮の核兵器の脅威というのが具体的になりつつあるというふうな印象を受けるわけでございますけれども、その北朝鮮に対する制裁の内容、これに入る前に、ぜひとも大臣の歴史認識について伺いたいと思います。

 さきの大戦、太平洋戦争でございますけれども、日本がこの太平洋戦争に突入するという決断をした際に、石油やくず鉄、そういったものの輸出禁止などがアメリカからなされており、その中でやむを得ず戦争に突入したという論評がございます。例えば、加瀬英明さんの「なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか」という著書がございますけれども、この中でそのような評価がなされていたりします。

 日本がアメリカとの戦争を決断した際、何が突入を決断した最大の要因だったというふうに思われるか、その点について、まず大臣の認識を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 私は、歴史家ではありませんので、どういうお答えをしていいのかと思っておりますが、この第二次世界大戦に日本が突入した理由、これは今後も歴史的な検証は必要だと思っております。

 そんな中で、専門家の中で一般的に言われている要因としては、一つは、世界恐慌の発生、波及、そして、その結果によります世界的な保護主義の台頭、こういった問題があると思っております。それから二つ目に、全体主義、ナチスを初め、こういった台頭によります国際関係の変化というのがあったと思います。さらには、当時の国際連盟、この紛争解決機能が極めて弱かった。もともと弱かったし、弱体した、そういった問題もあると思っております。さらには、日本国内におきましては、軍部に対するシビリアンコントロール、これが十分ではなかった。そういった要因一つ一つではなくて、これらが重なって太平洋戦争に至った、こんなふうに考えております。

 ただ、見る主体とか分析手法によって、こういったものも変わってまいります。例えば、キューバ・ミサイル危機、これが一九六二年に発生するわけでありますけれども、この分析をグレアム・T・アリソンが、エッセンス・オブ・デシジョン、「決定の本質」という本でやっております。

 これはモデルによって、なぜキューバにミサイルを配備したのか、全く変わってくるわけです。合理的意思決定モデル、組織モデル、そしてゲームの理論、それぞれによりまして、なぜキューバにミサイルが配備されたか、これも変わってくるわけでありまして、そういった意味で、複合的な要因でもあります。

 そして、歴史分析を行うに当たりましても、分析手法をどうとるかということによって、その要因というのは変わってくるんじゃないかなと思っております。

三谷委員 ぜひとも、重要な問題ですので、副大臣にも伺いたいと思います。

菅原副大臣 不肖私にも、ありがとうございます。

 今、大臣の答弁に尽きるわけでございますが、あわせまして、当時の今日的状況といたしまして、世界恐慌並びに英国のスターリングブロック、あるいはアメリカ、イギリス、当時の中華民国、オランダのABCD包囲網、これがアジア、日本に対して向けられていた、こんな状況ですとか、あるいはナチス・ドイツ、ファシズムの台頭、こういったこともありましょうし、やはり、当時の国連が強制力を持つ軍事力を保有していなかった、こういったことが歴史家あるいは専門家の論評として行われてきたということであります。

 そういったことをひもとくと、そういう要因もあったのかな、そんな認識を持っておりますが、あくまでも数多くあるうちの一部でありまして、こういったことが総合的、複雑に絡み合っての要因であったのではないか、そんなふうな認識を持っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 今のお答えを踏まえまして、政府全体でこの経済制裁を実施する際に、北朝鮮が何らかの暴発をする可能性があるということを踏まえまして、みんなの党といたしましても、もちろん、この北朝鮮に対する制裁をしっかりしていくべきだ、国全体を挙げて取り組むべきだというふうに考えておりますけれども、暴発するということを考えた上でのリスクマネジメントという点についても、一言で結構ですので、お答えいただければと思います。

武藤政府参考人 北朝鮮の動向に関しましては、これまでも危機管理センターに設置をした情報連絡室において情報を集約するとともに、人工衛星と称する弾道ミサイルの発射、あるいは核実験が行われた際には、官邸対策室へこれを改組し、あるいは安全保障会議を開催するなどして、政府全体として、一体として全力で対処してきたところでございます。

 我が国としては、関係諸国を初めとするいろいろな国々と緊密に連携をいたしまして、北朝鮮に対して、一連の安保理決議を誠実かつ完全に実施する、それから、いかなる挑発行為も行わない、そういったことを強く求めていく所存でございまして、これからも情報の収集、分析に努めるとともに、常に緊張感を持って、国民の安全、安心の確保のために危機管理対応に万全を期してまいりたいと考えております。

三谷委員 持ち時間を超過しての質問、失礼いたしました。本日はこれで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 対北朝鮮輸出入全面禁止措置の延長について、関連して質問します。

 北朝鮮の核実験の強行は、核兵器のない北東アジア、核兵器のない世界を求める国際世論への重大な挑戦であります。被爆国日本の国民として、断じて許すことのできない暴挙であり、厳しく糾弾するものです。

 北朝鮮が二月十二日に三度目の核実験を強行したことに対し、国連安保理は、三月の七日、北朝鮮の核実験を強く非難するとともに、国連憲章第七章第四十一条に基づく制裁の大幅な強化を含む安保理決議二〇九四を採択いたしました。

 こうした北朝鮮の国際社会に対する挑発行為を勘案するならば、政府が独自に実施している対北朝鮮輸出入の全面禁止措置を延長することは、その目的からして、北朝鮮を六カ国協議などの対話のテーブルに着かせ、問題の平和的、外交的解決を図るための手段として引き続き必要であります。

 そこで、この安保理決議二〇九四についてお尋ねをいたします。

 決議を主導したアメリカは北朝鮮に相当の痛みを与える中身だと強調していますが、この安保理決議二〇九四の主な特徴について御説明ください。

松山副大臣 お答えいたします。

 今回の安保理決議でありますが、北朝鮮による核実験が今までの累次の安保理決議違反であることを強く非難をしまして、北朝鮮によるさらなる挑発行為を禁止しています。また、これまでの決議と比較をして、北朝鮮による核、ミサイル関連活動に関連する金、人、物の動きを強く規制する制裁が含まれています。

 我が国は、一貫して、安保理が断固たる対応をとるように、米国を初めとする関係国と緊密に協力をして、今回の決議の共同提案国というふうになっております。安保理がこのように強い内容の制裁を追加、強化する措置を決定したことを、政府として歓迎し、高く評価しています。

 北朝鮮が国際社会の強い警告と非難を真摯に受けとめて、今般の安保理決議を初めとする一連の安保理決議を誠実に完全に実施していくよう、さらなる核実験や発射を含む挑発行為を決して行わないように強く求めてまいりたいと思います。

塩川委員 この安保理決議二〇九四は、いずれの措置も国連憲章第七章第四十一条に基づく非軍事で行うということを定めたというふうに承知しておりますけれども、その確認をお願いします。

松山副大臣 安保理決議第二〇九四号は、前文において、安保理が国連憲章第七章のもとに行動し、国連憲章第四十一条に基づく措置をとることが述べられています。

 四十一条は、安全保障理事会は、その決定を実施するため、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができる旨を定めております。

 よって、安保理決議第二〇九四号の措置は、委員御指摘のとおりに、国連憲章第四十一条に基づく兵力の使用を伴わない措置と位置づけられます。

塩川委員 この安保理決議二〇九四について、六カ国協議の関係国であります中国とロシアと韓国、それぞれの国の評価と対応についてどうなっているのか、この点についてお答えください。

松山副大臣 今般の決議の採択に対しまして、米国、中国、ロシア及び韓国ともに、これを積極的に評価しておりまして、決議を履行することが重要である旨の反応を示していると承知しています。

 米国につきましては、例えばライス国連常駐代表が、決議採択後、今般の安保理決議に定められた制裁は効果の極めて高いものであると評価をしていますし、北朝鮮が国際的な義務を履行するよう求める旨の発言をしております。

 また、中国ですが、外交報道官が、安保理の北朝鮮による核実験に対する必要かつ適度な反応を支持するという発言をしておりまして、李国連代表は、決議の完全な実施が重要である旨を発言しております。

 また、ロシアでございますが、チュルキン国連代表ですが、北朝鮮の核実験に対して安保理は迅速な形で適切な対応を行った、北朝鮮が方針転換をして関連する安保理決議を遵守することを望むという発言をいたしております。

 韓国でありますが、外交通商部スポークスマンによって、今回の決議を全会一致で採択したことを歓迎、支持する、制裁の範囲と強度を一層強化したことを評価する旨の声明を発出しています。

 我が国としても、国際社会が一層効果的に北朝鮮問題に対応していくという観点から、今回の決議を踏まえ、関係国と引き続き緊密に連携して協力をしていく考えでございます。

塩川委員 今、国連安保理決議二〇九四について、その内容と、あと六カ国協議の当事国のそれぞれの評価、対応についてお尋ねいたしました。

 この二〇九四について、大臣としてどのように評価しておられるのか、その点についてお答えいただけますか。

茂木国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておりますように、北朝鮮は、昨年の四月、十二月に弾道ミサイルを発射して、本年二月に核実験を強行ということでありまして、挑発的な行為を繰り返している。これは、我が国の安全のみならず地域そして国際の平和、安定にとって重大な脅威であり、断じて容認できない。

 そして、この国連安保理決議の二〇九四号につきましては、本年の二月の北朝鮮の核実験を強く非難するとともに、人、物、金の流れの規制の強化や貨物検査の義務化など、制裁の追加そして強化措置について、包括的かつ強い内容を含んだものであると承知をしております。

 この決議は決議といたしまして、日本としては独自の、さらに強い輸出入の禁止等々を現在行っております。

塩川委員 北朝鮮を対話のテーブルに着かせるためには、国際社会が一致して制裁を実効あるものにすることが必要であります。

 その場合に、そうした制裁の強化というのは、制裁のための制裁ではなくて、国際社会が一旦到達した枠組みであります二〇〇五年の六カ国協議の共同声明や、二〇〇二年の日朝平壌宣言や、また二〇〇〇年の南北共同宣言などに復帰をさせて、問題を平和的、外交的に解決する立場に徹することが何よりも重要だと考えますが、この点についての政府の立場をお聞かせください。

松山副大臣 御指摘のとおりに、我が国は、北朝鮮が累次の安保理決議や六者会合共同声明、あるいは日朝平壌宣言等に基づくみずからの国際的義務あるいはコミットメントを、誠実そして完全に実施することが重要だというふうに考えています。

 我が国としては、関係国と連携をしながら、北朝鮮に対して、これらの国際的義務やコミットメントを誠実、完全に実施をして、いかなる挑発行為も行わずに、拉致問題の解決、非核化等に向けた具体的行動によってみずからの姿勢の根本的変化を示して、国際社会との連携を通じた前向きな対応をとる道を選択するように求めていきたいと思っています。

 国連安保理は、北朝鮮の核実験を安保理決議違反として非難をして、核、ミサイル関連活動に関連する金、人、物の動きを強く規制する二〇九四号を採択しました。我が国としても、引き続き緊密に関係国と連携をして協力しながら、決議の履行のために所要の措置を講じていきたいと思っています。

塩川委員 安保理決議二〇九四も、対話を通じた平和的で包括的な解決を促進し、事態を悪化させるいかなる行動も控えるよう求めている、こういう立場で臨むということであります。

 そこで、大臣と松山外務副大臣にお尋ねしますが、このような北朝鮮の核実験と核開発の正当化を許さないためにも、今、国際社会が本気になって、核兵器のない世界の実現に向けて具体的な行動に出るときではないのか、こう思いますが、この点についてのお考えをそれぞれお聞かせいただけますか。

茂木国務大臣 核の拡散を抑止していく、これは国際社会全体として取り組む極めて重要なテーマである、そんなふうに思っております。

 中でも北朝鮮につきましては、今行っている行為、そしてまた挑発的な行為、さらには瀬戸際外交、こういったものが、何ら国際社会から見て効果を持たない、孤立をもたらすだけである、こういったことをきちんと、対話と圧力の中で、違った行動に、正しい道に戻るような対応をさせることが必要だと思っております。

松山副大臣 委員御指摘のとおりに、関係国と連携して、この核の問題は徹底して不拡散について推進をしていくべきだと思っております。

塩川委員 北朝鮮に核兵器の開発、核実験計画を放棄させる、こういう立場で国際社会が一致した行動をとるということが重要だということは言をまちません。

 加えて、やはり核兵器のない世界を展望して具体的な行動に踏み出すということが、こういう北朝鮮による核開発、核兵器の保有という無法をやめさせる上でも、道義的にも政治的にも外交的にも大きな力となるんだということが求められている。

 そういう点でも、この全ての核保有国が、核兵器禁止条約の交渉に積極的な役割を果たすこと。その点で、日本政府が、被爆国として核兵器禁止条約の交渉開始へのイニシアチブを発揮する、こういうことが強く求められているんじゃないか、そのように考えますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 一つの御意見としては、十分理解できます。

 そういった中で、本当に、対話と圧力、こういったものを実効あらしめるために、全く、アメリカであったりそういった国々が、北朝鮮に対する有効な手段を持たないということでいいのかといいますと、若干委員とは意見を異にする部分もございます。

塩川委員 踏み込んでおっしゃっておりませんけれども、核兵器保有に走る北朝鮮の口実を封じて核開発計画の放棄を迫る上でも、核抑止論というのが有害だということを改めて指摘しなければなりません。

 次に、米韓原子力協定についてお尋ねをいたします。

 米韓では、二〇一四年に期限を迎える協定の改定協議が続いていると聞きます。この米韓原子力協定において、使用済み燃料の再処理はどのように扱われているのか、この点についてお答えをいただけますか。

松山副大臣 米韓の原子力協定につきましては、二〇一四年三月に有効期限が終了するというふうに聞いております。二〇一〇年十月以降、米韓の間で改正等の協議も行われているというふうに承知をいたしております。

 再処理につきましては、現行の米韓原子力協定上、米国から移転された核物質の再処理は両国の同意が必要というふうにされておりまして、報道によりますと、韓国はこの規定の改正を求めていると承知をしていますけれども、第三国の我が国としては、協議の具体的な内容につき確定的に述べる立場になく、事実を把握しているわけではありません。

塩川委員 韓国における使用済み燃料の再処理は、米韓原子力協定において米側の同意が必要となっているということで、この点が協議の焦点となっていると承知をしております。

 一方、日米原子力協定は、三十年の期限で、二〇一八年七月が期限となっていますけれども、包括的合意として再処理が可能となっているという枠組み、この点がどうなのかということが今後問われてくるわけであります。

 核兵器の原料ともなりますプルトニウムの保有については、そのあり方が厳しく問われているところであります。この点につきましても、日本におけるプルトニウムの利用のあり方の問題について、核燃料サイクルのあり方の問題、利用計画の問題について、しっかりと、今、あの福島原発事故を踏まえた再検討、見直しこそ求められているということについては、この後また質問するということで、この時間での質疑は終わりにいたします。

富田委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中野節君、経済産業省大臣官房長立岡恒良君、経済産業省商務情報政策局長永塚誠一君及び資源エネルギー庁長官高原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田美樹君。

山田(美)委員 自由民主党東京第一区選出の山田美樹でございます。

 今回、初当選をさせていただきまして、国会の場で質問させていただくのは、きょうが初めてでございます。拙い部分もあるかと存じますが、何とぞよろしくお願いいたします。

 私は、今から十七年前、社会人としての生活を通産省でスタートいたしました。かつて、我が国を高度経済成長へと導き、MITI・アンド・ザ・ジャパニーズ・ミラクル、通産省と日本の奇跡とうたわれた通産省は、国のために働きたいという志を持つ多くの若者にとって憧れの存在でした。

 私自身は、行政から民間へ、そして国政へと働く場所をかえてまいりましたが、今回、再び我が国の経済産業政策にかかわる機会を与えていただきましたことに心から感謝しております。日本の未来を切り開く経済成長戦略をつくるという、道なき道を行く大変難しい課題に、私も全力で取り組んでまいりたいと思います。

 まず、経済成長戦略と新たな産業振興施策のあり方について質問をさせていただきます。

 時代の流れとともに、我が国の産業が多様化し、日本を取り巻くグローバルな経済環境も変わってまいりました。経済産業行政に求められる役割も変化してきています。

 従来の経済産業省の産業振興施策は、どちらかといえば製造業を中心とした重厚長大型産業を主な対象として、集中的に資金を投入してきた感があります。しかし、日本経済の成長を支える産業が多様化するのに伴って、従来的な行政手法である補助金なり政策減税のように、全ての産業に一律に適用される制度では、多様化するビジネスに十分に対応することが難しくなりつつあります。

 産業を振興するための資金を供給していくのとあわせて、ビジネスを実際に推進していくための人とノウハウを結集させていくことが、産業振興施策の重要な要素になると考えています。

 その代表例が、今、安倍内閣の経済成長戦略の柱の一つとなっているクール・ジャパン戦略です。

 本院に提出されているクール・ジャパン推進機構法案は、ファンドの存在ばかりが注目されている感がありますが、資金さえ投入すれば海外進出が成功するというものでもありません。海外の人々を引きつける商品やコンテンツを発掘する経験豊かな人材と、海外での販路を開拓していくノウハウを効果的に集中させていくためのインセンティブを政策に持ち込んでいくことが何よりも重要です。

 クール・ジャパン関連の施策を初め、従来型の行政手法では対応が難しい、新しい領域の産業振興にどのようなビジョンを持って臨むのか、佐藤ゆかり政務官のお考えをお聞かせください。

佐藤(ゆ)大臣政務官 山田委員にお答えを申し上げます。

 山田委員は経済産業政策の御専門家であられるわけでございまして、成長戦略にとりまして、日本経済におけます新しい産業の創出が不可欠であるという認識は共通いたしているところでございます。

 しかしながら、その際に、この産業はよい、この産業は悪いというような、先に結論ありきの手法はよろしくないということで、まず、どのような社会をつくっていくのか、どのようなライフスタイルを求めていくのか、そういった全体像を定義した上で、それを実現する社会のためにどのような事業、どのような産業を創出していくか、そのようなアプローチで産業政策を今組み立てようとしているところでございます。

 特に、例えば医療、健康分野で申しますと、単に長生きをする社会ではありませんで、健康長寿で世界一を目指す。病気にならない、あるいは病気におなりになった方でも介護を通じてもう一度再起を目指すことができる、そのような健康長寿社会を目指すとなりますと、iPS細胞を単なる研究ではなく、実用化まできっちりとやっていく、そして医療機器の開発ですとか予防医療、介護ロボット、そしてまた遠隔医療の実現などにつきましても医療情報の電子化などがやはり不可欠になってまいるわけでございまして、こうした幅広い事業の分野、技術分野の戦略的な育成が必要であるという認識に立っているわけでございます。

 こうした戦略的な市場の創造に加えまして、委員御指摘のとおり、国際展開の戦略、さらにはそれを実現するための規制改革、こういった柱も加えまして、トータルに成長戦略というものを組んでまいるところでございます。

 第一本目の柱の戦略市場の創造におきましては、産業競争力会議におきます議論を踏まえて、戦略分野というものを今後特定してまいりまして、その上で、その戦略分野に予算、税、制度改革、知財分野での支援等さまざまなあらゆる政策資源を集中投入いたしまして、戦略市場の創造プランの取りまとめを年央あたりをめどに行ってまいりたいと考えているところでございます。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 今、おっしゃられたような産業振興施策は、常に未来志向でなければなりません。ビジネスの現実に即した産業振興施策を立案するためには、ビジネスの最前線で戦い、何が本当に日本の競争力の源なのかを実感として知っている人たちの知識や経験を行政の中に取り込んでいくことが必要となってまいります。

 我が国の行政におきましても、これまで、各種の審議会や研究会などにおいて、民間の有識者からの意見を聞くなどの努力がなされてまいりました。

 しかし、ビジネスの経験とノウハウをよりダイレクトに施策に反映させるためには、単に民間有識者から意見を聞くにとどまらず、ビジネス経験者を行政の内部に積極的に採用し、政策立案のためのかなめとなるポジションにも積極的に民間人を登用すべきであると考えます。

 我が国のビジネスの振興というミッションを背負う経済産業省では、その業務の性質ゆえに、民間の英知の活用ということにおいて、霞が関の中でも先進的な取り組みがなされていると伺っております。

 経済産業省において、民間人が御活躍されている実例と、また、今後の民間からの人材活用の方針について御教示ください。

立岡政府参考人 お答え申し上げます。

 もう委員もよく御案内のとおり、また、ただいま御指摘されましたとおり、経済産業省が対象とする行政領域というのは幅広うございますし、かつまた経済状況の変化に応じて動きの激しい面もございますので、そういった意味で、民間の方あるいは外部の知見をいかに取り込んで生かしていくかというのは大変大事なことだと思っております。

 今、御指摘がございましたように、外部知見の取り入れということに関して、いろいろな方法がございますけれども、その中でも、任用といいますか、ポストについていただくという形での取り組みも非常に大事だと思っております。

 私どもは、そういう観点から、これまでも積極的に取り組んできてございますけれども、まず、全体的状況を申し上げますと、民間企業から任期を定めて中に入ってきていただくという形での、特許庁を除くベースで見ますと、昨年八月十五日現在、百十一名の方を受け入れてございまして、この数は十年前と比べますと約倍以上にふえているということで、相当拡大してきてございます。

 それから、任期つきではなくて、中途採用という形で民間企業経験者の方を登用している例もございます。

 幾つか具体例を申し上げますと、任期を定めて来ていただいている例といたしましては、国際経済法専門の弁護士の方に通商政策部局の室長として来ていただいて、例えばADとかの問題について、WTOパネルでの対応に取り組んでいただいているという例もございます。

 中途採用の例といたしましては、金融機関とか、あるいはエネルギー企業を経験した方を課長補佐として採用して、その後、リサイクルとか人材開発、中小企業といったような課題に取り組んでいただいております。

 それ以外にも、中途採用して、結果的には一旦民間に戻られたケースでございますけれども、情報処理振興政策担当の課長でありますとか、あるいは新規産業創出担当の企画官といったような事例もございます。

 今後につきましても、今申し上げた任用という形も含めまして、外部の方々、民間の方の知見を最大限に生かさせていただきながら、グローバル化、あるいは行政課題の多様化といったような諸課題に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 ぜひ、民間の英知を最大限に生かしていただければと思います。

 最後の質問になります。TPP交渉の進め方についてお伺いをいたします。

 かねてより、日本の通商交渉は、セクターごとに担当省庁が分かれていることが問題視されてきました。各省庁が持っている交渉権限を一元化して日本版USTRをつくるべきだという議論は、昔からある古典的なテーマであります。

 今回のTPP交渉においては、安倍総理大臣の日本の国益を守るという強い決意のもと、甘利大臣以下、茂木大臣を含む関係閣僚が一丸となって交渉に当たられるものと期待しております。しかし、実際の交渉の場となりますと、閣僚レベルでは総理の号令で一丸となれたとしても、現実に戦闘部隊となって交渉に臨むのは、TPP首席交渉官をヘッドとする、TPP交渉チームと呼ばれる事務方の方々です。

 私は、かつて通産省の通商部門で働いていました。複数の担当省庁がそれぞれに対処方針案をつくる、各省協議に莫大な時間を費やすなど、省庁の壁さえなければ徹夜をしなくて済むのにと思ったこともありましたし、省庁間の権限争いのために情報が遮断されてしまうということもしばしばありました。近年では、縦割りの弊害をなくすために内閣周辺に人と権限を集めるように努力がなされていますが、そのことがかえって意思決定のルートを複雑化させてしまう懸念もございます。

 私は、日夜一生懸命働いてくださっている各省庁の通商部門の方々に、余計な時間と労力を使ってほしくはありません。戦うべき相手は、政府の中ではなく交渉相手国です。交渉相手国の通商部門は、もっと効率的に仕事をしているはずです。

 TPP交渉において、我が国にとって攻めの分野である経済産業分野の交渉は、茂木大臣が指揮をとられます。この分野で強い力を発揮できるかどうかに交渉全体の成否がかかっています。茂木大臣には、事務方が一致団結して全力で交渉に臨み、日本の国益をかち取ることができるよう、強力なイニシアチブを発揮していただきたいと思います。

 茂木大臣のTPP交渉に向けた決意をお聞かせください。

茂木国務大臣 ありがとうございます。

 山田委員は、かつて米国のヒルズ通商代表に憧れて経済産業省の方にお入りになった、こんなお話も伺っております。

 安倍総理がTPP交渉参加を決断されました。一週間前であります。ちょうどきょう、この委員会の前に、TPPに関します主要閣僚会議がございまして、総理の方から、今後交渉に臨む強い体制をつくってほしいということで、甘利本部長のもとで、一つは、対外的な交渉を行います首席交渉官とそのもとのチーム、そしてもう一つは、国内の総合調整を担当する国内調整総括官とそのもとのチームをつくることにいたしました。そこには当然、各省庁からの人間が入るわけでありますけれども、省庁の壁を越えて日本の国益のために戦ってもらう、こういう交渉になってくると思います。

 同時に、個別の分野につきまして、例えば経産に関する部分は、私が先頭になって、省を挙げて国益をかち取る、こういった思いで頑張りたいと思います。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 茂木大臣の強力なリーダーシップのもと、ぜひ、交渉において我が国の国益をかち取ってくださいますようお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平でございます。

 午前中の北朝鮮の問題から引き続き質問をさせていただきます。

 きょうは、生産性の問題、サービス業と製造業について大臣と議論をさせていただきたいと思うんです。

 まず、アベノミクスにつきましては、現在、円安、株高が続いておりますし、我々野党としても、協力すべきは協力するという姿勢でおりますので、今の安倍内閣の好スタートを祝福したいと考えております。

 ただ、これまでも本会議あるいは予算委員会で指摘をしてきたんですけれども、金融緩和は結構なんですが、出口戦略が非常に難しいということは茂木大臣もよく御存じだと思います。本当に難しい。

 その中で、物価目標二%が恐らく黒田新体制のもとで達成されそうになっていく、〇・五、一、一・五と上がっていく。その際、長期の国債も含めた金融緩和をどんどんなさっていく中で、金利が徐々に上がっていく。金利がどんどん上がっていく中で、当然、国債の価格はその分下がっていくわけでありますけれども、日本の銀行が残高の四〇%ぐらいをお持ちである、そして当然のことながら含み損が出ていく。そうなりますと、国債が売られる、もちろん黒田新体制は国債を買って買って買いまくる、そういうことで金利を低利で据え置く。

 そうなっていきますと、ますます物価がトレンドで伸びていくときに、二%を超える、円安も進めば輸入物価も上がっていく中で、どこかの段階でエグジットする際に、そのタイミング、あるいは金融緩和の引き締め方、これは非常に難しいと思います。そのことを一つ御指摘をしておきたいと思います。

 二つ目の、財政のばらまき、これはもう予算委員会で何度も申し上げましたけれども、これにはなかなか私どもは賛成できないわけであります。

 失われた二十年で二百兆円の国債を発行して、公共事業を行いました。私も当時政府の中にいたわけでありますけれども、結果として、実は、言葉を選ばなければなりませんが、建設業とか土木業は大変生産性の低い産業であります、この大変生産性の低い産業に二百兆円の国費を使い、二百兆円分のGDPを増加させ、そして次の年度には効果がなくなり、借金だけが残ってきた、これがこれまでの経過であります。客観的な事実であります。

 今回、また同様に、補正予算で五兆円の国債を発行されて、生産性の低い建設業や土木業を使った景気対策をなさるということについては、どうしても私は賛成できないという立場であります。

 ただし、三本目の矢、これはぜひやっていただきたいし、我々も、三本目の矢については協力をしていきたいと考えております。

 その際に、デフレが貨幣現象であるということを安倍総理も強くおっしゃっていますけれども、私は、必ずしも貨幣現象だけで説明できるものではないと思っております。

 いわゆる労働力人口が、今後十年間、毎年一%ずつ減ってまいります。今、エコノミストの間で言われている潜在成長率は、一から一・五というのが大方の見方であろうかと思います。そうすると、労働力人口が一%減っていく中での潜在成長率が一から一・五ということは、ほとんど成長できないわけであります。こういうことは、ともかく日本の産業の生産性を上げる以外ブレークスルーできないというふうに思います。そのためにも、三本目の矢、これは本当に与野党関係なく、官民関係なく、必死の思いでやっていかなければならないと考えております。

 そんな中で、実は、これはもう大臣も御承知のとおり、GDPに占めるサービス産業の比率というのが大変高くなってきております。純粋なサービス業でも二一%ですが、広義でいいますと、金融とか不動産、そういうサービス産業は、GDPに占める比率が七〇%近くになってきております。事業所の数でいうと八割、従業者、働く人の割合でいうと七五%、これが日本のサービス業の置かれている状況であります。GDPに占める比率で、製造業は約四分の一程度、二四%。製造業の生産性は高いわけであります。そして、さっき言いました建設、土木は非常に生産性が低い。いろいろ産業によって違います。

 日本の産業の中でサービス産業の生産性を上げなければ、日本経済全体の生産性はなかなか上がっていかないと思います。アメリカと比べるとサービス産業では大体二割ぐらい生産性が低い、こういうことになっているわけであります。

 そこで、まず、このサービス産業の生産性を上げていくためにどのようにすればいいのか。これはちょっと通告していないんですけれども、御専門でいらっしゃるので、サービス産業の生産性を上げていくためにどのように取り組めばいいのか、お願いいたします。

茂木国務大臣 確かに、今、日本の産業構造といいますか、製造業部門で必要な人の数が減り、その一方で少子高齢化の影響もあるんだと思いますが、サービス産業、こちらでの人のニーズがふえている。円滑な労働移動を進める、こういったことは極めて重要なんですが、同時に、委員御指摘のように、サービス産業は、例えば製造業と比べた場合に生産性が低い、そしてまた付加価値が低い、そこで働く方は所得もその分低くなってしまう、これをどうにか引き上げていかなくちゃならない。大きな課題であると思っております。

 恐らく、それぞれの現場によってやり方というのは違ってくるんだと思いますね。例えば、社会保障にかかわる分野でいいますと、どうしても労働集約型になってくる。そこの中で、もう少し設備であったりとかシステムでカバーできる分野はないのかな、これによって付加価値を上げていく。また、サービス産業を単体で捉えるのではなくて、幾つかのものと組み合わせることによって付加価値を上げる。それも、サービス産業の中だけではなくて、製造業と組み合わせて付加価値を上げる。それぞれの産業によって違ってくるとは思いますが、そういった方向を目指していく必要があるのではないかなと私は思っております。

 同時に、やはり労働集約型でありますから、そこで働いている人の質によって生産性、付加価値も変わってくるということになりますと、サービス業で働く人たちの人材育成、そしてまたいろいろな意味でのトレーニングであったりとか能力の向上、こういったものも必要になってくると思いますし、例えば、いろいろな職種といいますか階層が、施設長がいて職員しかいない、どちらかといいますと、こういう二階層から、もう少し多様なキャリアパスが歩める、こういったキャリアパスの制度をつくっていく、こんなことも重要ではないかなと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃるとおりでして、生産性が低いので所得も低い。いわゆるサラリーマンの平均給与が、直近の統計ですと全体で四百九万円、その中でサービス業は三百二十二万円と低いわけでありますし、あと、どうしてもサービス産業は派遣労働者、いわゆる非正規の労働者が圧倒的に比率的に多くなってまいりますし、場合によると、離職率が高くなっていかざるを得ない。それは所得が低いこともあるだろうし、働く場でスキルが重要視されないということがあるのかもしれませんし、いわゆるサービス産業における構造的な問題点があろうかと思います。

 今、それぞれの職業ごとに違う、職種ごとに違うというのもおっしゃるとおりなんですけれども、経営者側からすれば、もうからないから、どうしても非正規の労働者をたくさん雇ってやっていかざるを得ないという部分もあるだろうし、鶏と卵のようなところもあるんでしょうけれども、所得が低い、パート比率が高い、離職率が高い、この辺に対して、経済産業省として何か今後お取り組みになるようなお考えはございませんでしょうか。

茂木国務大臣 先ほど、かなりの部分は答弁させていただいたんですが、恐らく、今の委員の指摘にかかわることになりますと、厚生労働省との連携、こういったものはしっかり進めていかなければいけない、そんなふうに思っております。

 そして、離職率が高くなる、その原因の一つとして、やはり私は、例えば、その職場で若い方が働いている、ところが、結婚して家庭を持つということになると、その職場が嫌なわけじゃないですけれども、これから家庭を持って子供も生まれていく中で、限界であるということでやむなく離れなければいけない、こういう面もあると思っておりまして、そこら辺に対して政府全体として何ができるかということは考えていかなければいけないと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 先ほど、一つのやり方として、製造業とも連携しながらという御指摘がありました。私も全く同感であります。

 そして、製造業は、何といいましても、日本経済の中心の産業であります。自動車を初め鉄鋼、機械、特に素材関係など、非常に日本の強みが発揮されている部分があります。グローバル競争の中で堂々と戦っているわけであります。

 その一方で、家電関係で明らかなように、中国、韓国を初め新興国に大変激しく追い上げられているわけであります。その辺は、産業というか、会社によっても企業によっても違ってくるわけでありますが、その際に、製造業も所管されているわけでありますから、今ある製造業の強みを生かしていくために、経産省としてどのような戦略を考えておられるのか。大臣、お願いします。

茂木国務大臣 恐らく、一九八〇年代、ジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれた時代と比べると、日本の全体的な国際競争力というのは落ちてきているんだと思います。

 その要因としては、やはり、例えば為替の問題があったりとか、さらにはさまざまな規制の問題があったり、そしてエネルギーを初めとする国内の高コスト構造、こういったものも是正していかなければいけないと思っております。

 産業ということで見ますと、ほとんどの産業に共通する部分はあるんですけれども、日本、韓国、アメリカ、ヨーロッパを比べてみて、日本がやはり国内で過当競争になっているな、こういう部分は多いと思います。そして、そこの中で、国内の予選でエネルギーを消費してしまって、オリンピックに出ると、もうくたくたという状況で、国際競争に勝てない、こういったところは是正していかなければいけない、そんなふうに思っております。

 ただ、そうはいいましても、部素材の分野では圧倒的な技術を持っている会社も日本では多いわけであります。

 委員御案内のとおり、ヨーロッパにはこういう会社が多いんです。言ってみると、アメリカのマイクロソフトとかグーグル、こういう誰でも知っている会社は別にして、ある産業分野においてはドイツのこの会社がないと成り立たないとか、スイスのこの会社というのは決定的に強い、こういう会社も出てくるわけでありまして、そういった会社は収益性も高いです。

 日本でも、グローバル企業、特にグローバルニッチ企業、こういったものも育成をしていかなければいけないと思っています。

 同時に、これから新しい分野に出ていくときに、日本は、残念ながら、開廃業率は廃業率の方が上です。そして、開業率は五%ぐらいですから、欧米、特にアメリカやイギリスは一〇%、これにいかにして追いついていくかという課題も私は出てくると思っています。

 同時に、先ほど申し上げた業界内の過当競争の問題、そしてもう一つは、企業の中でいいますと事業転換の問題、こういったことをさまざまな対策を通じて改善していかなきゃならない。税の意味でも見直さなくちゃならない部分があります。それからまた、人材の移動、こういった意味でも制度の見直し等々が必要だと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 今、事業転換というのをいみじくもおっしゃいました。

 実は、二〇〇二年から二〇〇七年、思い出していただきますと、円安の時代があったわけであります。当時は、欧米がある意味でバブっておりまして、大変な好景気でありました。そのときの円安水準でもって、これがしばらく続くだろうということをそれぞれの企業の経営陣が判断された場合があって、大きな投資をなさる。そういう二〇〇二年から二〇〇七年の円安バブルの時代に、もっとイノベーティブな商品構成に変える事業転換をしていくべきときに、発展途上国、新興国と同じ製品で、同じ土俵で戦うという判断もしているわけであります。ただ、これは民間企業の経営者の皆さんの判断です。

 昔、経済産業省は、一九八〇年代ビジョン、九〇年代ビジョンを示して、非常にそれが的確であった、そういう時代がありました。今はもうそういうビジョンを出しておられませんけれども。ここは、茂木大臣も経営コンサルタントをなさっていましたから、難しいと思うんですけれども、明らかに間違った経営判断をした、そのときはわからないかもしれませんが、そういうことに対して経済産業省として手をこまねいていたわけでありますけれども、その辺、ちょっと御感想をお願いできますか。

茂木国務大臣 今、産業競争力会議で新しい成長戦略をつくっていくことにしておりますけれども、そこで考えておりますのは、いわゆる旧来型のターゲティングポリシーといいますか、この産業を伸ばすんだ、この産業が有望だということではなくて、まず、日本の将来像、あるべき姿、こういったものを描き出して、現状からそこにベクトルを引く、そこの途中にあるさまざまな障害であったり、乗り越えなくちゃならない課題、こういったものを乗り越えていく中で、必要な技術であったりとか必要な事業、こういったものを見出していこうというアプローチをしております。

 例えば、健康長寿、こういったものをつくっていくということになりますと、まずは予防医療をどうするか、こういった話から当然入っていくことになります。

 そして、病気になって、治癒する、さまざまな手段であったりとか薬、これは恐らく、医療機器の産業というのは相当やはりそこの中で重要な位置も占めますし、iPSの研究、研究としては日本は世界一ですけれども実用化がなかなか進まない、そういった中で、薬事法を含めた制度の改正というのを進めていかなきゃなりません。

 そして、病気が治った後、ある程度のハンディが残っても、その人が健常者と同じような生活ができるようにさまざまな支援ロボットを使う、また、働き方についても、テレワークのシステム、こういったようなものをさらに発達させる。

 さまざまな必要な事業というものがこの健康長寿という中でも湧いてくるのではないかな、そういったアプローチを一つしていきたいと思っております。

 それから二つ目には、先ほども申し上げましたが、産業の新陳代謝を進めていくこと、これが必要だと思っております。どちらかといいますと、古い、なかなか国際競争力が持てない産業から、今後、収益性も上がり、競争力も上がり、また社会的にニーズが高い産業に労働もシフトしていく。こういうことを考えると、今までの助成金のあり方も、単にその場所に労働を維持する、こういう発想から、これを移動させる、こちらの方に政策手段をシフトしていかなければいけないんじゃないかなと思っております。

岸本委員 全く同感でありますので、野党として質問しづらいのでありますけれども、全く大臣のおっしゃるとおりだろうと思います。

 ただ、それは一方で厚生労働省の頑強な壁があって、なかなか理屈どおりにこれまでいっていないというのも事実であります。私も去年まではそちら側に大臣政務官で座っておりまして、近藤副大臣も一緒に座っておりましたけれども、経済産業省的な政策提言が、他省庁の壁、あるいは、私どもの党も含めて、他省庁を応援されるいわゆる族議員的な、敵は内部にもあるわけでありまして、ぜひ産業競争力会議で茂木大臣の突破力を期待したいと存じます。

 その上で、結局、私どもの日本という国の成り立ちからいたしまして、何で食っていくのか、何で稼ぐのかというのはとても大事であります。その意味でも、外貨を稼ぐという点で、製造業はやはりその中心を占めるわけでありましょうし、さらには、私も初代のメディアコンテンツ課長をしておりましたけれども、コンテンツで稼ぐ、そういうことも大変大事になってくるわけであります。

 そこで、現在、TPPを初めとして、RCEPもあります。あるいは、EUともEPAの交渉がスタートし始めております。日中韓のFTAもあります。そういう日本の経済連携交渉がとても大事になってくると思います。

 TPPについては、ちょっと言いたいことがありますから、それはまた別の時間にさせていただいて、もちろん、私は推進派でありますので、これは進めていかなければならないということであります。

 まず、これらの経済連携交渉、TPPを含めて、自由貿易体制、あるいは自由な投資、自由なビジネス慣行というようなものを経済産業省としてこれから各国と交渉していただくわけでありますけれども、基本的な戦略について、大臣の所見をお伺いしたいと存じます。

茂木国務大臣 我が国は貿易立国であります。そして、経済連携の推進は日本の通商政策の柱だと考えております。

 TPPにつきましては、総理が交渉参加と表明をしたわけであります。同時に、日中韓のFTAであったり、さらにはRCEP、日・EUのEPA等々、多面的な経済連携交渉を同時並行的に、また、言ってみますと、TPPが進むということで、少し停滞ぎみであった日中韓も相互にいい影響を与えながら進む、こんなふうに思っておりまして、私は、そういった意味で、ことしはいろいろなものが動き出す、まさにスタートの年になるのではないかなと考えております。

 TPP、既に交渉参加ということを決断した。そしてまた、日中韓のFTAも、三月二十六日から二十八日に第一回の交渉会合が韓国の方で持たれる予定であります。また、RCEPにつきましても、かなり近い時点で会合に入っていけるのではないかなと私は思っておりますし、日・EUのEPAにつきましても、三月二十五日に日・EUの首脳会談がございます。

 これを受けて、速やかなスタート、こういう方向で考えていきたいと思っております。

岸本委員 それで、TPPについて指摘だけさせていただきます。

 私も、内閣府の大臣政務官でTPPを担当しておりました。野田内閣としては、ぎりぎりまで交渉参加を目指していたわけでありますけれども、当時、一つだけ障害がありましたのは、アメリカとの事前交渉で、TPPで議論すべき自動車の関税の問題を、バイラテラル、二国間で事前に協議しようではないかという申し出があって、それはできないと。TPPでいろいろ全てのものをテーブルの上にのせて、バーゲンする、取引する中で何がしかを守っていき、何がしかをとっていくということでありますから、我々は、本来TPPで議論すべきものを事前に二国間でやるわけにはいかないということで頑張ったわけであります。

 今回、そこは恐らくトータルの御戦略の中で、それも含めて第三パラグラフに書かれた上で交渉参加に踏み切られたということでありますが、そこは少し私どもの思いと違いますので、今後のバイラテラルの交渉においても、自動車については、ぜひ守るべきは守っていただきたいということを指摘だけさせていただきます。

 その上で、そういう意味でいうと、TPP交渉において、首席交渉官も決まりましたが、経済産業省の役割は非常に大きいと思います。

 私も、二年間、出向して経済産業省で働いた経験があります。本当に優秀です。一人一人の経産省の役人は優秀であります。優秀であるがゆえに、また結構生意気なやつが偉くなるんですね。そうなんですよ。大臣に、ばっと面と向かって偉そうなことを言うやつが案外偉くなるんです。それはいいところなんです。これは経産省の非常に風通しのいいところでありまして、それはぜひ続けていただきたいんですが、逆に言うと、侍が多い。侍ばかりなんですね。

 課あって局なし、局あって省なしといいますけれども、これは省として、ひとつ大臣が、あるいは佐藤政務官もいらっしゃいますけれども、政務三役がグリップされるんだろうと思いますが、政府に首席交渉官ができたように、経産省の中に、TPPを初め経済連携の交渉をするための、しっかりとした組織というようなものを何かおつくりになるお考えはございますでしょうか。

茂木国務大臣 経済産業省の人材につきまして、御注意を受けました。

 おっしゃっていることは正しいんじゃないかなと思います。やはり、率直な意見交換ができるということはいいことでありますし、また、それをまとめていくというのが政治の責任だと思っております。

 これまで、TPPに関します事前の協議等々は通商政策局が中心にやってまいったわけでありますが、まさにこれから交渉参加ということでありまして、省内に、新しいチームにするのか、どういう形にするのかは別にして、しっかりした交渉に臨めるような体制は構築してまいりたいと考えております。

岸本委員 ありがとうございます。

 ぜひ、野党ですけれども、応援させていただきます。

 少し財政の話に戻るんですが、私自身は予算委員会を通じて財政規律の重要性をずっと指摘してきているわけでありますけれども、財政規律の中にペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのがあります。これはアメリカで導入されてきた制度でありますけれども、私どもの政権でもペイ・アズ・ユー・ゴー原則は打ち立ててきたわけであります。

 ただ、これは誤解がありまして、ペイ・アズ・ユー・ゴーというのは、新しい政策をするときには恒久的な財源を持ってこい、そういうことで初めて新しい政策が可能になるという原則でありますけれども、これは本来、内閣全体、政府全体でペイ・アズ・ユー・ゴーなんですね。それが、予算編成等の過程で財務省が手を抜くために、あるいは財務省主導の予算編成であるがゆえに、省庁の枠の中のペイ・アズ・ユー・ゴーになりがちなんです。これはもってのほかでありまして、そういうことをやっているから、資源配分の比率が変わらないでこれまで来たわけであります。

 ニュージーランドとかオーストラリア、あるいはカナダ、これらの国々は財政再建を成功させてきている国々でありますけれども、共通点は一つだけなんです。

 予算編成の際に、予算閣僚委員会、名前はいろいろありますけれども、大体、財務大臣を初め、五つぐらいの大きな省庁の大臣が予算閣僚委員会をつくります。そこの大臣間で、おまえのところは二割カットだ、おまえのところは三割ふやすよというような枠を閣僚委員会で決めて、それを下におろす。役人ですから、その枠の中で予算をつくってくるということですから、積み上げじゃないんですね。

 要するに、枠でつくって、そこでペイ・アズ・ユー・ゴーを完成させるということが本来あるべきで、それがやれているところは財政再建が進んでいる。日本はやれていない。

 実は、これはお恥ずかしい話ですが、二〇〇九年、政権交代直後、鳩山内閣で閣僚委員会をつくってやりましょうというのは閣議決定しているんですけれども、形骸化しました。本当の意味の閣僚委員会で枠を決めることはできませんでした。

 これはぜひ、安倍内閣ではトライしていただきたい。そのためにも、財政再建、あるいは財政健全化責任法案、これは自民党が出されましたけれども、我々も出しますので、そういう意味の大きな枠をつくっていっていただきたい。

 そういう意味でいうと、例えば、来年の税制改正で待ったなしで議論されるべき自動車取得税。さっき言いましたように、日本の製造業は大事ですから、自動車取得税を、これは廃止の方向ですけれども、経産省の枠の中で、税ですから経産省というわけじゃないんですが、その枠の中でペイ・アズ・ユー・ゴーだ、自動車関連税制の中でペイ・アズ・ユー・ゴーにしなきゃいけないというような間違った考え方がありますと、話は進みません。

 ですから、大臣、閣僚委員会なり、あるいは党税調でもいいんですけれども、大きな枠組みの中のペイ・アズ・ユー・ゴーというのを、自動車関連税制についても、あるいは他の税制についてもぜひお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

 ペイ・アズ・ユー・ゴー、これはやはり、新たな政策を進めるに当たって新たな財源を見出してということで、国全体としての財政規律を保つ、こういうのが基本にあるんだと思います。

 それを細かく細かくブレークダウンしていきますと、例えば自動車だったら、自動車課の中でペイ・アズ・ユー・ゴーとやっていたら何にも変わらないわけです。これを経産省の中でやっていても変わらない。政府全体としてどうペイ・アズ・ユー・ゴーでやっていくか、こういうことを基本に考えていきたいと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 さはさりながら、これも本当に難しいんです。ですから、そこは野党としてどう応援できるかわかりませんが、心の底から応援させていただきます。

 前段の御答弁の中でも、医療や介護の関連のお話がございました。まさに、我が国のサービス産業を育てていくために、医療の分野、介護の分野、保健の分野はとても重要だと思います。これも、従来型の厚生労働省的な行政をやっていますとなかなか進まないわけであります。

 例えて言いますと、医療法人というのは、持ち分のある医療法人と持ち分のない医療法人がございます。厚生労働省は持ち分のない医療法人を勧めるんですね。そういう法体系になっちゃっているんです。だけれども、医療法人を経営している方は別に持ち分なしなんかになりたくないわけで、持ち分ありのところがほとんど残っています。今、持ち分なしに、法が前提としているところに移行するなんて、年間、本当に百もないんです。

 そういう中で、実は彼らは困っているんです。承継なんです。持ち分のある医療法人の場合に、相続が発生したときに、これはどうしようもないんですね。

 東京近郊で、昔は田んぼだったところに病院を建てました。三十年、四十年たちました。創設者が亡くなりました。持ち分はみんなで持っています。土地が物すごい値段になっていますから、相続税が払えない。では、持ち分を売るしかない。土地を売って、解散してみんなで払いましょう、そんなところまで追い込まれているわけであります。

 そのときに、厚生労働省的にいうと、そこで株式会社の医療参入は困るよなというところから出発します。

 株式会社は配当ができます。フォー・プロフィットです。医療法人は配当ができません。ノン・プロフィットなんです。そこの議論がこんがらがってきて困られているわけであります。そのこと自身が、医療産業というと厚労省の方に叱られますけれども、日本の医療産業の問題点だと思うんですね。

 一方で、今回、中小企業のすばらしい承継税制をおつくりいただきました。これはすばらしいと思います。

 まさに、経済産業省が厚労省を助けるという形で知恵出しするということで、例えば医療法人の承継税制なんかについて、中小企業のこれまでの実績などを踏まえてアドバイスするというような形で何とか応援はできないものなのかと思っているんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 先ほど、産業の新陳代謝という中で、若干、税のことを含めて触れさせていただきました。御指摘のような課題はあると思っております。新陳代謝をどういった形で制度面で加速化できるか、しっかり検討していきたいと思っております。

岸本委員 経産省というのは他省庁から嫌がられるんです。厚労省の土俵に入っていっていろいろやられるものですから嫌がられるわけですけれども、そこは産業競争力会議という場もあるわけでありますから、これまで経済産業省が産業政策として蓄積してきた、まさに助成のあり方も変えるとおっしゃった、新しい助成のあり方、あるいは新しい税制のあり方、新しい承継税制の運用のあり方、そういうことをぜひ経済産業省主導で、政府の中で、他省庁に嫌がられても進めていただきたいと思います。

 そのことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 きょうは、経済産業委員会におきまして、時代の転換期であるということをテーマに議論をさせていただきたいと思います。

 昨年末の総選挙におきまして、これは非常に複雑な選挙の構図でありましたけれども、私が一つだけ言えることは、やはり、今の日本が、あるいは今の地域社会が今のままずっと何となしに続いていけば、子の代、孫の代までみんなが幸せだね、ハッピーだねなどということは誰一人として思っていないということを、選挙期間中を通じまして皆さんから非常に感じることが多うございました。

 その意味で、どこの政党が政権を担当しようとも、この時代を大きく転換させていかなければならない、こういう認識に立っております。先ほど三谷委員からの御質問の中で茂木大臣が、やわらかい支持層についての御解説をされましたけれども、そういうやわらかい支持層の方々が何を求めているか。これはやはり、日本を変えてくれ、こういうことだと思います。そして、今、自公政権が政権を担当されておりまして、今のところ非常に高い支持率を持って運営をされておりますので、こういう非常にいい状況のときにできるだけのことをやり遂げる必要があるのではないか、こう考えております。

 そういう中におきまして、先週、大臣から所信表明演説がございました。今、岸本委員との質疑の中で、産業構造の転換、つまり産業の新陳代謝につきましては相当議論がございましたので、私からは、大臣の所信表明演説の、「我が国企業のグローバル競争の足かせとなっている国内の高コスト構造を是正し、世界で企業が一番活動しやすい国を目指していきます。」このくだりにつきまして、特に国内の高コスト構造の是正という点につきまして、具体的な御説明をいただければと思います。

茂木国務大臣 国内の高コスト構造を是正して、そして世界で企業が一番活動しやすい国に、これは日本企業にとっても、それから海外から日本に投資をする企業にとっても、一番活動しやすい国にということになってくるかと思うんです。そこの中でよく、日本の企業の三重苦とか六重苦という話があるわけでありますけれども、恐らく四つぐらい大きなハードルというのがやはりあるような気がいたします。

 その一つが、やはり円高がこれまで進んできた為替の問題。そして、二つ目には、関税を初めとする国境措置の問題。三つ目には、国内における法人税であったりとか、さまざまな制度、規制の問題。そして、四つ目には、どうしても日本の場合、資源が少ない、そんなことから資源エネルギー、電力コストが高くなってしまう。こういったハードルをどこまで除去できるかといったことが、極めて重要だと考えております。

 一番目の為替につきましては、為替を目的としているわけではありませんが、今の長引くデフレからの脱却ということで、明確な物価目標二%を定めて、そしてそのもとで大胆な金融緩和を行っていく、そこの中で円高がかなり是正をされてきている、こんなふうに今考えております。

 そして、二つ目の国境措置の問題でありますが、貿易立国としてさまざまな経済連携協定を進めていかなければならない。特に、安倍総理が先週決断をしたTPPへの参加、これは、関税だけではなくて投資のルールも含めて、これから成長するアジア太平洋地域の基本的なルールづくりの土台になっていく。このTPPを土台にしながら、さらにはRCEP、そしてFTAAPと広がっていく。こういった中から、さまざまな日本企業にとって障害になっているような制度であったりとか国境措置、こういったものを取り除いていくということが必要だと思っております。

 そして、税の問題、法人税の問題も検討しなければなりませんが、規制緩和、これが極めて重要だ、こんなふうに考えておりまして、規制緩和の中でも、大きく三つぐらいのポイントがあると私は思います。

 その一つは、新規参入、こういったものを促して健全な競争環境をつくっていく、これから我々として御提案申し上げたい電力システム改革、まさにこの典型的なものになってくるんじゃないかな、そんなふうに思っております。

 そして、二つ目に、事業化までのスピード、これがどうしてもおくれてしまう。典型的な例は、iPS細胞の研究の事業化。せっかくいい研究、ノーベル賞をもらうような世界で最高の研究をしているんですけれども、では、それによってどこまで再生医療の製品が事業化されたか。日本は二つしかない。韓国は九つある。EUは二十五ある。アメリカは治験中のものだけでも八十八ある。こういった状況を、やはり変えていくということが必要だと思います。

 そして、規制緩和の三番目としては、やはり日本の制度だけガラパゴスではいけない、こんなふうに思っています。日本の制度と諸外国の制度が違う、これに対しては、今後、国際先端テスト、こういったものを導入いたしまして、日本だけ制度が違っていいんだ、こういう合理的な説明ができない限り一定期間以内に世界水準に合わせる、こういったことも進めていきたい、そんなふうに思っております。

 そして四つ目の、資源エネルギー、コストの問題でありますけれども、さまざまな取り組みをしていかなければいけない、こんなふうに思っております。今、シェールガスがアメリカで生産されるようになりまして、LNGの国際市場は大きく変わろうとしております。もっと安定的に、そして安価に海外から天然ガスを調達することが可能になってくる、そんなふうに私は思っております。

 同時に、電力システム全体を変えていく中で、発電部門にも、そして小売の部門にも新規の参入を促す。さらには、多様な使用メニュー、多様な料金メニューを提供することによって、需要そのものもスマートにコントロールしていく、こういった取り組みも必要であると思っておりまして、そういった一連の活動を通じる中で、今申し上げた四つのハードルをできるだけ低くする。

 同時に、やはり跳躍する力、こういったこともつけなきゃなりませんから、その一方で成長戦略をきちんとつくっていきたいと思っております。

重徳委員 大変詳細な御説明を本当にありがとうございました。まさに、おっしゃる方向性は非常に共感をいたしております。

 それから、今、特に、新規参入を促して健全な競争を進める、電力の改革をする、事業化までのスピードアップ、国際先端テスト、さまざまな、非常に前向きな取り組みの方向性についてお話をいただきました。

 一方で、官が主導し、誘導し過ぎるということにより市場をゆがめる、そういう弊害にも注意をしながら、やはりこれまではむしろ官が支配していたような業界も多々ありますし、制度やルール、補助金、いろいろな形で、本来の競争力というものを阻んできた分野がたくさんあると思います。

 そういう意味で、電力の話も後ほどさせていただきますけれども、これは必ずしも経産省の所管ではありませんけれども、農林水産業の問題だとか、それから交通インフラとしての高速道路の問題、あるいは空港の着陸料、そういったいろいろなところにハードルがあると思いますので、こういうあらゆるところをしっかりと改革していく必要があると思うんです。

 今まで、私も予算委員会の中で、安倍総理の改革姿勢についていろいろと問いかけをしてまいりまして、先般の安倍総理の答弁の中では、TPPに取り組んでいる、それから大胆な規制緩和ということにも取り組んでおられる、それから、ちょっとこれはひっかかりましたけれども、公共事業を思い切って増発しているということで、これまでにない大胆な取り組みをされている、こういうお話は伺っておりました。

 そういう中で、やはり今、アベノミクスが一定程度功を奏している、結果を出しているというふうに言われつつも、やや気になる点がございます。

 それは、いろいろな言い方をされますけれども、きょうはリアル経済とマネー経済という言い方をしてみたいと思います。日本の高度成長期、これは世界的な経済情勢も、やはりリアルな、つまりものづくりだとか、最近でいうとサービス業も相当ふえておりますけれども、いわゆる人が汗水垂らして、日々、本当に寝る間も惜しんで一生懸命働く、これによって富を創出し、それによって所得が上がっていく、GDPが上がっていく、こういったものがリアル経済だと定義をいたしますと、これまで、戦後経済というのは、伸び行く国内市場とか、あるいは海外に向けての競争力、こういうものを通じて、日本は一流の経済大国にのし上がってまいりました。

 ところが、一九八〇年代、プラザ合意をきっかけとして円高不況が起こりました。金融緩和策をとりました。そして、マネーというものが、実体のないと言うと語弊もあるかもしれませんが、いわゆるバブル経済を生み出して、岸本委員から先ほどありました、出口戦略というものが必ずしもうまくいかなくてバブル経済がぼんと破裂をして、そして長期にわたるデフレ経済が今に至る、こういう流れだったわけです。

 こういう中で、国際経済が、それまでのリアルな経済、ものづくりとかサービスとか、そういったものから、マネーが世界を駆けめぐって、為替にしても株価にしても、非常に大きな投機マネーというものが過度な影響を与えるようになってきたという面があると思います。

 一方で、日本国内は、リアルな部分の、いわゆる産業のイノベーションだとか、あるいは新商品がどんどん開発されていくという状況がなかなかなくて、ですから、あふれた、余ったマネーはどうしても国債を買うという、金融機関にとってみれば安心な投資先に流れ込む、これが皮肉なことに日本の財政をここまでずっと支え続けてきた、こういうようなことだと思うんです。

 根本的な問題として、今申し上げましたような、リアル経済というものとマネー経済というものを比べますと、もう最近では圧倒的にマネー経済がばっこしているというふうに考えられるんですけれども、この点の功罪につきまして、大臣の所感をお聞かせいただければと思います。

茂木国務大臣 重徳議員の定義によるリアル経済、これを重視していかなくちゃいけないというのは間違いないことだと思います。そして、その一方で、マネー経済と言われるもの、単純にレバレッジだけきかせて、それが自己増殖していく、こういったことについては制御をかけていかなくちゃならない。これは、リーマン・ショックから我々が学んだことではないかな、そんなふうに思っております。

 ただ、リアル経済を支えるマネーの力、資金というのは重要だ、こんなふうに考えておりまして、さまざまな新しい活動を進める上で、適切な形で資金供給が行われる、こういった状況をつくっていくことは極めて重要だと思っております。

重徳委員 そういう大臣の御認識のもとで、今、アベノミクスが一定の結果を出しているという段階まで評価していいのかどうかもありますが、しかし、これは安倍総理御自身が、結果を見てくださいよと、特に民主党の議員さん方からの質問に対しましては、民主党にはできなかった結果が今出ているじゃないかというようなことを非常に強調されるものですから、今ある結果というものが安倍政権の一つの既に結果だというふうに捉えたとした場合に、これは、やはり私は期待感といったもの、そしてそれに応じたマネー経済が、茂木大臣が今言われたような、レバレッジをきかせるとか、過度なところまでまだ至っていないとは思いますけれども、それにしても、やはり、これから頑張りそうだ、そういう期待感に非常に投資家が反応して、マネーの部分だけが非常に動いて、これが一つの株価という指標、あるいは為替相場という指標に影響を及ぼしているという気がいたしております。

 そういう意味で、これが本当の意味で安倍政権の政治の力、あるいは政策の力だというふうにまだまだ評価すべきではないんじゃないか、こう私自身は考えております。

 ですから、予算委員会で総理が結果だ、結果だというふうにおっしゃればおっしゃるほど、違和感もやはりありまして、一方で、では納税改革をどういう方向でやっていくのか、少子化対策によって国内需要をどうやって維持していくのか、あるいは、公共事業というものももちろんありますけれども、財政的な運営との兼ね合いで公共事業をどういうふうにしていくのか、原発政策をどうしていくのか、地方分権、道州制、交付税制度をどうしていくのか、あるいは社会保障をどうしていくのか。

 こういった根本的な、政策的に行っていける、本来、リアルかマネーかでいうと、どちらかというとリアルな部分につながるような対策というものが、検討するというお言葉ぐらいはいただいているかもしれませんが、これを断固としてやっていくんだという御答弁がいまだ各閣僚の皆さんからもなかなかいただけない。そういう中で、ただ一つだけ、電力の自由化についてだけは、茂木大臣が並々ならぬ改革意欲を持ってどんどん進められているというふうに私は捉えております。

 では、電力の自由化の話に進んでまいります。

 これまで、電力業界というのは地域独占であり、総括原価方式といった、いわゆる政府の規制制度に守られてきた分野だと思います。しかし、報道によりますと、電力システム改革に関する基本方針を、まさにこれから閣議決定をしようという段階になったこの段階で、自民党の部会におきまして、電力業界の非常に慎重な声に押されて、改革に逆行する動きが出てきているということを伺っております。

 具体的に言いますと、二〇一五年の通常国会では、二〇一八年から二〇二〇年にかけて発送電分離を行っていくという法案を提出する、二〇一五年の通常国会にそういう法案を提出しようということを本来明確な方針として打ち出すべきところを、そうじゃなければ改革なんて進まない、そういうところに対して、単なる努力目標におとしめよう、こういう動きがあるようなんです。

 これについて、明確な方針として基本方針の中に明記すべきだと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

茂木国務大臣 先ほどアベノミクスについていろいろなお話、そしてこんなこともと、非常に意欲的な御提言もいただきましたが、重徳議員御案内のとおり、まだ政権交代して三カ月になっておりません。そこの中でさまざまな政策を打ち出していると思います。

 そして、リアル経済が伴っていないという話でありますけれども、鉱工業生産は二カ月連続プラスなんですよ。実際にそういう動きが出てきているわけです。それは株価の方も、昨年の十一月十六日、ちょうど衆議院が解散した時点から比べれば四割株高、こういう水準になってきております。そして、所得の拡大、これからでありますけれども、例えばことしの春闘でも、主要自動車メーカー、全て満額回答です。それがやはり所得につながり、消費の拡大につながる。こういう流れが、一つ一つできつつある。

 ただ、まだ、例えば民主導の本格的な設備投資になっているかどうかということになりますと、これからが勝負だ。そんな意味で、きちんとした成長戦略も打ち出していきたい、こんなふうに我々は考えております。先ほども若干申し上げましたけれども、ここの部分も明確なんです。新陳代謝をどう進めていくか、目標も持っています。

 一つは、やはり今の開廃業率。廃業率が開業率より上だ、こういう状況を転換して、中期的にはアメリカ、イギリス並みの一〇%の開業率を目指していく。

 そして、二つ目には、日本でグローバル企業をもっと育てていく。グローバルトップ企業もそうですけれども、ヨーロッパにあるような、部素材の分野を中心にしながら、本当に、マーケットそのものは一定規模だけれども、圧倒的なシェアを持っているようなグローバルニッチ企業をつくっていく、こういった問題もあります。

 そして、さらには、日本企業の収益性、これを上げていかないと新しい投資につながらない。そのために、さまざまな形で過当競争の是正等々も進めていかなければならない、そんなふうに思っております。

 そして、先ほども電力システム改革の話をさせていただきましたが、全体のパッケージとしての改革の絵姿をぜひお示ししたい、こんなふうに私は思っております。

 これまで、電力は需要を所与のものとして供給を積み上げる、こういった構造で地域独占で行われてきました。六十年間その体制が変わっておりません。これを抜本的に変えよう、これが今回の電力システム改革であります。

 ですから、一年、二年ではできません。これは、率直に申し上げて、電力の安定供給を保ちながら、さらに安価な電力供給を図っていく、大改革ですから。改革は大胆に、しかしスケジュールは現実的に、こういった思いで、確実にこの改革を進めていきたい、そんなふうに思っております。

 一連の報道といいますか、ごくごく一部の報道でありますけれども、ためにするような、後退しているんではないか、こういう御議論もあるようでありますが、断じて後退いたしません、断じて改革は進めさせていただきます。

重徳委員 もちろん、断固とした改革を進めていかれる、そういう改革意欲をもうどなたよりもお持ちなのが茂木大臣だ、それは私はわかっているんです。ただ、スケジュール的なものについて明確にしていかないと、これはいろいろなところに影響を及ぼしていく、こう考えるので、こういう質問をさせていただいているんです。

 電力業界がいろいろ心配される、それはそれでもちろんです。電力業界、まさに電力を担ってこられたプロフェッショナルな方々ですから、何の不安もないなんてことはないと思います。しかしながら、一方で、そればかり言っていたら何も進んでいかないわけでございます。

 やはり、今までの、いわゆる電力会社以外のいろいろな事業者が実際に参入してくる。どんどん飛び込んでくる。電力は、名前は自由化だけれども、参入しなければ安定してこないということになりますから、そこをきちんと、参入しようとしてくる事業者にとって、いわば安心して飛び込めるようなスケジュール感を示さなければならない。

 そういう意味で、単なる努力目標、いついつというのは努力目標ですよということじゃなくて、断固として改革を行うんですが、いつやるということも非常に重要なところだと思うんですね。

 そういうことで、私はその点につきまして、断固とした決意のもと、期日も明確にするんだということについての茂木大臣の御決意について、改めてお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 電力システム改革について専門委員会で何度も御議論をいただきまして、実施の時期、三段階に分けて実施をする、では、それに必要な法案はどの国会にどう出す、明確なスケジュール感を出させていただきたいと思っております。

 ただ、御理解をいただきたいのは、こういったもの、電力システム改革につきましても、では、一体、どれだけの新規参入が出てくるのか、そしてまた、それによって、電力会社の資金調達状況がどうなっていくのか、確認しながらやっていかなくちゃいけない大きな改革なんです。国民生活にも企業活動にも影響する。ステップごとにきちんと、検証を踏まえながら、しっかり進んでいるかを見ながら、進めていかなければいけない。

 これは、余り頑強に、絶対何年ということより、確実に実施できる、ただ、確実に実施できるからにはその年限というものは入れさせてもらう。ただ、そこの年限を中心にしながら、大体常識の幅の中でやっていくということになるんではないか。何が何でも、決めちゃったからこの年にはどういう状況でもやるというのは、私は改革としては間違っていると思います。

 方向性は大胆に出す、しかしスケジュールは現実的に。先延ばしはしませんけれども、現実的にやり得る最も速いスピードでやっていきたいと思っております。

重徳委員 一定の幅を持っている。これは、結果として幅が出るというのは、何年何月何日にやると言っていたけれども、幾分おくれちゃったとか逆に早まった、これは当然あってしかるべきだと思うんです。では、実際に、いつを目指すのかということについては、とにかくはっきりとさせていただきたいというのが私からの強い要望でございます。

 というのも、恐らく次は平政務官にお答えいただけると思うんですが、発電事業に実際に参入しようとする会社なり事業者がいたとします、実際、参入したいというふうに思い始めて、いろいろな準備に入って、手続があると思うんですけれども、それに、実際の参入に至るまでの期間、どのぐらいかかると想定されているのでしょうか。

平大臣政務官 委員にお答えをいたします。

 結論から申し上げると、各電源によってそのリードタイムが異なるということでございます。

 まず、火力発電所を建設する場合は、建設地点の選定や開発計画の策定に半年から一年程度、さらには、環境影響評価に三年から四年程度、建設工事に三年から四年程度要し、計画から運転開始までに合計十年程度の期間を要するというのが一般的でございます。

 再生可能エネルギーの場合には、風力は、風の状況の調査や環境影響評価などを行うため、四、五年程度でございます。地熱は、掘削調査や環境影響評価などを行うため、九年から十三年程度。そして、太陽光でございますが、太陽光は、委員御承知のとおり、環境影響評価がございませんので、計画から運転開始までに一、二年程度要するのが一般的でございます。

重徳委員 今、非常に正確な、明確な御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 種類によっていろいろ違うということでございますけれども、結局、最長でいうと、調査に、地熱が九年から十三年かかる、それから火力は十年ぐらいかかる。かなり長期的な展望を持たなければ、参入しようと思ってもなかなかできない。

 逆に言うと、参入しようと準備を始めました、設備投資を始めました、だけれども、その後、政府のスケジュールが思ったとおりにいかなかったものだから、結局、その設備投資は無駄になったり、いろいろ予定外のことが起こってしまう。

 こういうことがやはり起こらないようにしなければ、そもそも今の政府の目標なりスケジュール感というのは怪しいぞというふうには絶対思われないようにしなければ、民間の投資というのがこの分野へ入ってこない。

 そうなると、結局、せっかく自由化をして、幾らでも入ってきていいよといったって、そんなこと言われても、そんなことがあったら入る決断ができないじゃないかというようなことにつながっていくと思いますので、ぜひとも、そのあたりのスケジュール感というものは、そういう意味でも重ねて明確にしていただきたいというのがお願いでございます。

 それから、これは予算委員会でも茂木大臣に何度か御質問させていただいておりますけれども、これからの、原子力発電にどのぐらい依存するのか、そういう依存度合い、このあたりもできるだけ早期に決めていかなければ、新しく火力発電事業に入るぞ、再生可能エネルギーの事業に入るぞというふうに決意を固めても、結局、そうはいっても、大量のロットを原発で相当部分これからも賄うよというような話になってしまうのであれば、話が違うということになりかねません。

 どうか、この部分については、つまり、国におけるエネルギーのベストミックスについての検討期間、これまで十年以内ということを大臣はおっしゃっておられますけれども、その点について、これを短縮して、将来のエネルギーの構成割合の見通しというものをさらに短い期間でお示しになる、そんなお考えはございませんか。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

茂木国務大臣 仮置きをしろというなら、今この瞬間でもできます。ただ、それについて根拠が持てるかというと、責任を持った数字を出すというのは、実際問題、困難な部分があります。

 例えば、原発の依存率がどうなっていくか。これは、新しい安全基準ができて、そのもとで、国会で決められた規制委員会が一つ一つの原発について安全性を確認するまでは再稼働はスタートしないわけであります。そうなりますと、この原発について、本当に安全な原発が何基動くか。数年のスパンはどうしてもかかってしまう部分があります。

 それから、今後三年間、特に再生可能エネルギー、そして省エネを進めていく、固定価格買い取り制度、こういった制度のもとでも進めておりますけれども、ではそこの中で、太陽光が、風力が、そしてまた地熱がどれだけ伸びるか。恐らく、風力という話になったら、送電線網をどうしていくかという話がきちんとできないと、どこまで風力が使えるかという問題も出てきます。

 そして、再生可能エネルギーの場合は電源としての安定性がないということを考えますと、では、それに対して蓄電池でやるのか、予備電源を持つのか、こういうオプションについても、蓄電池でやる、今のコストではなかなかこれができません。やはり、コストを半減ぐらいしていく必要がある。これは、あしたからコスト半減になりますか。ならないんですよ。何年間かけてコストを削減、半減していく、こういった目標をまずつくっていかなければいけない。恐らく、五年ぐらいでこれはやっていかなくちゃいけないと思います。

 さらには、国際価格が大きく変わっていく中でのLNG、これをどれだけどこから調達していくか、こういった調達戦略も必要になってきます。さらには、高効率の火力、石炭火力も含めて、環境との調整もしながらこれをどう技術的にも進めていくか、こういう問題が調達側だけでもあるんです。この課題、これを一年以内に全て解決するということはできないと思います。真剣に検討を進めていきます。

 そして、先ほど申し上げた電力システムの改革、これは、調達から流通、送配電網、さらには小売、需要にもかかわってくる。ディマンドレスポンスのやり方は、相当やはり私は需要に効果を上げてくるんじゃないかなと思っておりまして、これまで全国で四カ所の実証実験を行ったわけでありますけれども、北九州で行った実証では、夏のピーク時の価格帯を、料金をかなり高くしまして、その分ほかの時間帯の料金を安くしますと、結果的には電力の消費が二割落ちるんですよ。やはり、スマートに消費をしていく、こういったことをきちんと進めていかなきゃならない。

 では、そうすると、ピークコントロールがどこまでうまくいくのか、全体のエネルギーの需要がどこまで落ちるのか、こういったことも考えた上でのスケジュール感でなければいけない。

 そして、電力システムの完成、専門家委員会は二〇二〇年ということであります。大体そこら辺の全体の改革が見えてくる、そういった段階にならないと、責任を持って、エネルギーのベストミックスについて、数字も入れた段階でお示しするのは難しいのではないか。ただ、一定の方向性であったりとか、どこに力点を置く、できるだけ早い段階でそういったものをお示ししていきたいと思っております。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

重徳委員 確かに、数値まできちんと入れた精緻な形というものはそれ相応の年月も必要かもしれませんし、実態に照らしながらやっていかなくちゃいけないかもしれません。ですけれども、今、大臣、もちろん私もあしたどうしろなんということは申しておりませんけれども、それにしても十年は長いんじゃないかという中で、蓄電池に関して五年程度という言葉もいただきました。

 それから、どこに力点を置くか、そういった大きな方向性については、それでもできるだけ早い時期にというふうに御答弁いただきました。ぜひ、そういう姿勢を政府として示していく必要がある、それが新規参入、そして電力の自由化の成果をより大きな実りの多いものにしていくためにも非常に必要なところだと思います。

 ですので、まだいろいろと本当は御質問したい点もあったんですけれども、最初に申し上げましたように、私は、今、時代の大転換が国民的な要請だと思っております。日本維新の会というのは、保守だ革新だとか、そういう争いはありません。ですから、今の政府・与党がどれだけ前に前に進んでいくか。私たちは、決して後ろに足を引っ張ることはいたしません。前にむしろ引っ張っていく、そういう役割を果たしたいと思っております。

 与野党それぞれいろいろな立場はございますけれども、電力エネルギーの問題、そして日本の産業構造の転換など、力を合わせていくことができればと思っておりますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 みんなの党の井坂信彦です。

 私は、大学で理論物理を専攻しまして、その後ベンチャーに就職して、神戸市会議員を三期務めた後、三年前の参議院選挙で次点落選ということで、浪人中に行政書士の事務所を立ち上げて、今は年間四千社の会社設立のお手伝いをしております。

 市議時代には、クリエーティブシティー、創造都市と言われる政策に取り組んでまいりました。都市にクリエーティブな人材をどうやって集めようかという政策でありまして、科学からベンチャー、政治、都市戦略、会社設立といろいろやってきましたが、日本を新しいことに挑戦する人であふれる国にしたいというのが私の一貫したテーマであります。

 新しいことに挑戦する人、クリエーティブな人材をどう集めるかということを考えたときに外せない人物が、リチャード・フロリダ博士であります。この方は経済成長の研究者で、アメリカの産業を製造業とサービス業、そしてクリエーティブ産業と三つに大きく分けた結果、クリエーティブ産業の従事者が全体の三分の一だった、所得合計は全米の二分の一に至ったというような話、そのようなクリエーティブ産業の従事者が、どのような条件を満たした場所に好んで住むのかということを、統計的数字で研究しておられます。

 ここで、経産省のクリエーティブ産業課についてお聞きしたいわけですが、新しくできたばかりの課で、ことし初めて十億円の予算要求をされています。クリエーティブ産業課の仕事の守備範囲、政府におけるクリエーティブ産業の定義とは何か、まず大臣にお伺いをいたします。

茂木国務大臣 正確な御質問をお願いできればと思います。

井坂委員 政府におけるクリエーティブ産業の定義について、お答えをいただきたいというふうに思います。

茂木国務大臣 クリエーティブ産業とは、これについて確たる定義があるというものではありませんが、一般的に申し上げますと、文化に裏づけされた創造的な活動によって生み出される商品、サービスであり、幅広く多様性に富んでいるものだ、このように考えております。

 こういった産業を伸ばしていくということでありますけれども、例えば、クリエーティブ産業の中の一つの重要な分野でありますコンテンツ、日本の場合、国内市場が十二兆円ぐらいです。それに対しまして、委員も御案内のとおり、アメリカはその三倍近く、三十二兆円の市場がある。ところが、国際展開ということになりますと、日本は輸出比率が五%、それに対してアメリカは一七%ということでありますから、三分の一以下ということであります。

 日本のコンテンツ、さらにはファッションであったりとかアニメ、文化に裏づけされたさまざまな創造的な活動、サービス、これはアジアでも高く評価されております。もっとしっかりした国際展開ができるような支援も行っていきたいと考えております。

井坂委員 クリエーティブ産業課があって、もう一つ、経産省にメディアコンテンツ課というものがあるかと思うんですけれども、ここの関係で、クリエーティブ産業課というのは、もう少し広い範囲で所掌を持っておられるというふうに私は事前に伺っていたんですが、芸術やアニメ、あるいはコンテンツといった、限られた業界だけを対象にした話ではないということについて確認する必要があるかなというふうに思います。

 クリエーティブ産業というのは、先ほどの研究の統計でも、経済成長と富の創出に対して最も強い影響を与えるということを、この際、ぜひ御認識いただければというふうに思っているわけです。

 クリエーティブ産業を支える人材についてお伺いをしたいと思います。

 まず初めに、このクリエーティブ産業というのは既存の自動車産業や電機産業などとどのような関係にあるのかということについてお伺いをいたしたいと思います。

茂木国務大臣 委員、経済産業省の課に勝手に名前をつけずに、これは商務情報政策局の中にあります生活文化創造産業課であります。ですから、名前のとおり、そういった分野を担当しておりまして、委員がクリエーティブ産業課は狭いんじゃないかというのは、それは委員の定義ですから、きちんと課の名前は課の名前としておっしゃっていただいて、その仕事の範疇を捉えていただいた方がよろしいんじゃないかなと思います。

永塚政府参考人 御答弁申し上げます。

 クリエーティブ産業と自動車産業や家電産業との関係につきましてのお尋ねでございます。

 自動車産業や電気機器産業など、従来から我が国が競争力を有してきた製造業の分野におきましても、近年、新興国など他国の追い上げが激しくなってきているわけでございます。こうした状況の中で、価格や品質面だけではなく、デザインなどのクリエーティブな要素が製品やサービスの競争力の源泉としてますます重要な位置づけを占めるようになってきていると認識しております。

 また、同じ機能を持った製品やサービスでありましても、販売面において映画やファッションなどとのタイアップやブランドづくりなどによりましてその製品の魅力を高めることが可能になるなど、広告宣伝戦略における重要性も一層高まっていると考えてございます。

 このため、コンテンツやファッションなどクリエーティブ産業の振興は、自動車や電気機器などの国内産業の活性化にも大きな効果があるものと期待をしているところでございます。

井坂委員 今、おっしゃったように、既存の産業との関係でいっても、完全な縦割り、並列の関係ではなくて、やはり全ての産業にまたがる概念かなというふうに思うわけです。

 クリエーティブ産業というと産別の話になってしまいますけれども、私は、クリエーティブ人材と呼んだ方が、あるいは人材群と呼んだ方が混乱がないのかなというふうに思っております。先ほどのフロリダ博士は、これをクリエーティブクラスというふうに呼んで、芸術家やデザイナーだけではなくて、科学者、技術者、編集者、弁護士、医者、経営者などもその範疇に含めて捉えているようなぐあいです。

 実際に、自動車産業なども、先ほども御答弁がありましたように、ものづくりとは言われておりますけれども、ハイブリッド車などは電子部品が既にコストの半分を占めていて、しかも、電子部品ですから、物として価値があるというよりは、回路設計やソフトに対して価値がある。消費者は、車や電子部品にお金を払っているのではなくて、車のデザインや、さらに、見えないブランドというものにお金を払っているわけですね。

 局長にお答えいただく質問は以上です。どうもありがとうございます。

 まさに、自動車の価値の大半というものもクリエーティブ人材が生み出していると言えるのではないかというふうに思います。

 ここで、大臣にお尋ねいたします。クリエーティブ人材を集めたり育てたりできるのかということは日本の経済成長にとって死活問題だと考えますが、政府として、この点についてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

茂木国務大臣 いかに人間がクリエーティブであるか、難しいんですね。例えば、建築家はいろいろな新しい建築物をつくります。私もいろいろな建築家を存じ上げておりますけれども、非常に教養人です。西洋の歴史であったり、文化人類学、いろいろな知識を持っています。

 なぜそんなに勉強するのか。自分がクリエーティブではないから、いろいろなところから物のヒントを引っ張ってくる、リソースフルなんだ、こんな話も聞くわけでありますけれども、いろいろなものを組み合わせるというところからクリエーティブなものが生まれてくるというところは間違いなく私はあるのではないかなと思っております。

 本当にその人がクリエーティブかどうかは別にして、組み合わせであったりとか、若干の付加価値をつけ加える、例えば、伝統工芸品にしても、それをマーケティングする仕方を全く変えることによって、クリエーティブなビジネスであったり、そういうものにも展開できるのではないかな、そんなふうに思っております。

 経済産業省におきましては、平成二十五年度の当初予算におきまして、クリエーティブ人材が中小企業と連携して地域産品をプロデュースする支援、こういったことも始めました。地域の資源というか、さまざまなものがあります、これを全く違った市場で、全く違った売り方でやってみよう、こういったトライもこれからできるのではないかな、こんなふうに思っています。

 そして、事業と人材というのが一体になっている部分もあるのではないか。委員はクリエーティブ産業というよりもクリエーティブ人材というお話をされましたけれども、事業をやる中でそういった人材が育っていく。

 これは単にコンテンツだけの話ではないんですけれども、これからはクール・ジャパンも三段階で展開していきたい、こんなふうに思っておりまして、まずは、日本の持っている、コンテンツにしても、アニメにしても、ファッションにしても、食文化にしても、よさというのを海外で知ってもらう、こういう最初のステップ、このための基金もつくらせてもらいました。そして、第二ステップは、実際に、例えばショッピングモールを展開することによって、その販売を行い、使ってもらう、よさを実感してもらう、サービスのすばらしさを実感してもらう。そして、最後のステップというのは、その日本のよさを知った人が、今度は日本に来て、さらに日本のよさというのを深掘りしてもらう。

 こういったステップでクール・ジャパンを展開していきたいと思うんですが、さまざまな人材が絡むわけであります。そういう人材がこういった事業に関与することによって、クリエーティブな人材として育成され、そしてまたその人が新たなクリエーティブな事業をつくっていく、こういう良循環がつくれればと思っております。

井坂委員 天然資源に乏しい日本ですから、人こそが最大の資源というふうに言われてきたわけであります。この場合の人的資源、もちろん今さら、単なる労働力あるいは熟練した人手ということで見れば、人数でも賃金でも海外にかなわないという中で、まさに人の頭脳から生み出される創造性、あるいは人の心から生み出される感性といったようなものにやはりもっと目を向けていくべき時期ではないかなというふうに感じております。

 もちろん、クール・ジャパン戦略も私はとてもいいと思っておりまして、日本にある既存のすばらしいものをいかに海外に売り出していくかという営業戦略が今のところ中心になっていると思いますが、営業戦略あるいは知財戦略ももちろん大事だけれども、クールと言われるものを今後いかに日本でつくり続けていくかというクール・ジャパンの企画、生産部門へのクリエーティブ人材の集積ということが、クール・ジャパン戦略の最後の一ピースではないか。既存の販売事業、販売戦略の中で人が育っていくというお答えには確かになるほどとうなずける部分もあるんですけれども、一つ明確に、クリエーティブな人材を集積していくということを政府の目標として掲げていただきたいと思うわけであります。

 次に、経済と文化の関係についてお伺いをしたいと思います。

 私が市議としてやっていたころの創造都市戦略というものは、国において、文化庁の文化芸術創造都市推進事業という政策になっています。

 本来の創造都市という考え方は、都市の成長戦略として経済政策の側面も強く持っていたわけですが、日本では今のところ文化政策という枠内に抑えられて、文化芸術創造都市と名前まで変えられてしまっています。文化庁のこの政策をもっとはっきりと産業振興に結びつけるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

丹羽大臣政務官 委員のおっしゃるとおり、文化庁の政策をより一層、地域の産業、また産業振興に結びつけていくことが重要と考えております。

 今までの文化行政の展開においては、我が国の芸術活動や伝統文化の振興はもとより、文化の力による産業の振興、そして地域活性化という面でのさまざまな貢献、そして関連分野の波及効果を見据えることも重要であります。先ほど委員がおっしゃられましたクール・ジャパン等も一つの分野だと思っています。

 文化庁、文部科学省といたしましても、文化芸術の持つ創造性をまちづくりに生かす文化芸術創造都市の取り組みを支援するなど、経済産業省を初めとする関係省庁としっかりと連携して、今後、さまざまな施策を展開できるようにしていきたいと思っております。

 国家戦略といたしましても、文化芸術立国の実現にしっかりと努めていくことと同時に、委員の御地元の神戸市の方も、文化芸術創造都市の長官賞をデザインの分野で受賞されておると聞いておりますので、またそういったことが地域の活性化につながればいいなというふうに考えております。

 以上です。

井坂委員 ありがとうございました。

 文化庁に対するお尋ねは以上です。ありがとうございます。

 経産省と文化庁、今度は経産省側にもお尋ねしたいんですが、この点について、文化庁とどのようなすみ分けをお考えでしょうか。

平大臣政務官 文化庁は、やはり主に文化の振興がメーンであり、我々経済産業省は産業振興であるというふうに思います。しかしながら、相乗効果は大変高いわけでありますので、連携をしながらやってまいりたいと思っております。

 クール・ジャパンに関係するところであれば、どちらかというと、文化庁は伝統文化、確立した文化をターゲットにしている。クール・ジャパンの際はサブカルなども入ってきますので、AKBとか、ももクロというのは多分、文化庁になじまないんだというふうに思っております。

 また、手法においては、伝統文化の質を維持向上するとか、伝統文化の維持発展というのが文化庁の仕事であるとすれば、我が省は、ブームを起こして、波及効果をもたらして、海外展開を強力に推進していく、そういう役割分担であろうかと思います。

井坂委員 経産省と文化庁、とり合いをしていただこうということではなくて、私は、文化はやはりクリエーティブ産業の主力商品だと思っていますし、何よりも、クリエーティブな人材を集める環境としても文化が不可欠だという立場であります。経済だ文化だ、あるいは国だ地方だという分け隔てなく、日本の国家戦略として、クリエーティブな人材の集積ということを掲げるべきだと考えます。

 例えば、経産省で健康長寿世界一の国などの戦略目標を掲げておられますけれども、クリエーティブな人材が集積する国というようなものも明確に目指し、内外に発信すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 きょうは、クリエーティブな人材、それに関するサービスや産業につきまして、大変前向きな幅広い御意見もいただきました。そういった御意見も踏まえて、これからの成長産業の中で、こういったクリエーティブ人材であったりとかサービスがどう位置づけられるか、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 本日申し上げたことは、極めて単純な話かと思います。成熟国家の日本が今後何で食っていくのか、稼いでいくのかという話でもあります。国内の工場で生産された工業製品を世界でどんどん売っていけた時代は、工業団地の造成とか工場の誘致ということが産業政策の主力であったわけでありますけれども、今や、ものづくりまで含めて、クリエーティブな人材の頭の中や感性から、人々が高いお金を支払う価値が生み出される時代です。

 かつて工業団地の造成に充てていた予算、こういったものを、今後、産業政策として、クリエーティブな人材を集めるための例えば都市環境の整備であったり、あるいは工場誘致から人材誘致へと政策の軸を移すべきだと最後に申し上げまして、私はこのテーマは引き続き委員会での議論を続けさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 安倍内閣は、原子力政策について、できる限り原発依存度を低減させていくと言い、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするとの民主党政権の方針はゼロベースで見直し、責任あるエネルギー政策を構築すると述べております。

 今、福島原発事故を踏まえた原子力政策の抜本的転換こそ求められております。

 そこで、きょうは、安倍内閣の核燃料サイクル政策についてお尋ねをいたします。

 最初に、内閣府の方にお尋ねいたします。

 核燃料サイクルにおいては、使用済み燃料の再処理を行うことによって大量のプルトニウムが生じます。日本における分離プルトニウムの管理状況についてお尋ねします。どこに幾ら、どのような形で保管しているのか、この点についてお答えください。

中野政府参考人 平成二十三年末時点におきまして国内で保有している分離プルトニウムの量でございますが、まず、再処理施設内に工程中の硝酸溶液及び酸化物の再処理製品として合計約四・三六トン、次に、MOX燃料加工施設内に原料貯蔵、加工工程及び完成燃料体として合計三・三六トン、さらに、原子炉施設等に燃料体として約一・五七トンございます。

 それから、電気事業者が海外に再処理を委託した分としまして、フランスに約十七・〇トン、イギリスに約十七・九トンの分離プルトニウムが保管されております。

塩川委員 国内では九トンの分離プルトニウム、海外はフランスとイギリスで合計して三十五トン、合わせて四十四トンということで、四十四トンもの大量のプルトニウムがあります。核兵器の保有国を除けば、最も大量のプルトニウムを保有しているのが日本であります。

 重ねて内閣府の方にお尋ねしますが、プルトニウムの利用目的を明確にするため、電気事業者は、プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的を記載した利用計画を毎年度公表することになっております。現在、このプルトニウム利用計画はどのようになっておりますか。

中野政府参考人 原子力委員会では、平成十五年八月五日に、我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について委員会決定を行っておりまして、利用目的のないプルトニウム、すなわち余剰プルトニウムを持たないという原則を示すとともに、プルトニウムを分離する前に電気事業者がプルトニウム利用計画を公表することを求めております。

 直近では、平成二十二年九月十七日に電気事業者がプルトニウム利用計画を公表しておりまして、原子力委員会は、同年十月五日に、同計画を妥当なものと評価する見解を示しております。

 今後としましては、委員会決定にありますとおり、プルトニウムを分離する前に電気事業者がプルトニウム利用計画の公表を行い、その計画を原子力委員会において確認することとなります。

塩川委員 四十四トンもの分離プルトニウムがありますけれども、この利用計画では、幾ら使うという目安を示しているんでしょうか。

中野政府参考人 利用計画の中で使い道を示すことになっております。

塩川委員 今、お示しいただいた、平成二十二年九月に電気事業連合会が集計しましたプルトニウム利用計画がありますけれども、年間の利用目安量が五・五トンから六・五トンとなっています。これは、プルサーマルを十六基から十八基の原発で使用するということが前提でありますけれども、そもそも、プルサーマル導入の十六基から十八基の中には、あの事故を起こしました福島第一原発の三号機なども含まれているわけですね。そもそも現時点で稼働している原発はほとんどありませんから、そういう点でも、大量のプルトニウムが生じている一方で、その利用計画がまともに示せないという状況になっております。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、日本の原子力利用は平和目的に限るという立場から、利用目的のないプルトニウムは持たない、つまり余剰プルトニウムは持たないとの原則をとっております。現状は、この余剰プルトニウムを持たないという原則から逸脱して需給バランスが大きく崩れているという状況ですが、これはどうするお考えですか。

茂木国務大臣 御指摘のように、原子力委員会におきまして、利用目的のないプルトニウム、いわゆる余剰プルトニウムを持たない、こういったことを原則として示しております。再処理で発生したプルトニウムは、当面、軽水炉で利用することとし、プルトニウム利用計画を電気事業者が公表し、その妥当性を原子力委員会が確認する、こういうプロセスを踏んできております。

 プルサーマルを進めるに当たりましては、原子力発電所の再稼働、これがなければプルサーマル計画も進まないわけであります。

 そして、原発の再稼働につきましては、安全第一の原則のもとで、その安全性につきましては原子力規制委員会の専門的な判断に委ねる、こういったことになっております。

 電気事業者におきましては、今後の原子力発電所の再稼働の見通しを踏まえながら、新たなプルトニウムの回収が開始されるまでに、新たなプルトニウム利用計画を策定するものと考えております。

塩川委員 余剰プルトニウムを持たないという原則に立った場合に、今の、需給バランスが大きく崩れている状況というのは看過できない実態にあります。

 そういう点でも、プルトニウムの需給見通しについて原子力委員会で示されているのは一九九五年八月の時点だと承知していますけれども、このプルトニウムの需給見通しをしっかり示すことこそ必要なんじゃないですか。

中野政府参考人 適切にそのような計画を示すということが必要と考えております。

塩川委員 大臣はどうですか。需給見通しを示すということが必要だと思いますが。

茂木国務大臣 原子力委員会において適切に対処すべきと思っております。

塩川委員 需給見通しが立たない中で、余剰プルトニウムが大きく存在するという事態が続くというのは極めて重大な状況であります。

 ですから、大臣にお尋ねしたいのが、こういう余剰プルトニウムをつくり出している現状の日本の核燃料サイクルですけれども、この核燃料サイクル政策の現状及びその問題点というのをどう見ておられるのか。この点について、ぜひ大臣のお考えをお聞かせください。

茂木国務大臣 これまで、我が国におきましては、ウラン資源の有効利用、そして高レベル放射性廃棄物の減容、また有害度の低減等の観点から、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用することを基本的方針としてきました。

 この中で、六ケ所村の再処理施設については、事業者である日本原燃が本年十月の完成を目指して最終的な試験を実施中と認識いたしております。

 今後は、これまでの経緯等も十分に考慮して、関係自治体や国際社会の理解を得つつ、使用済み核燃料の適切な処理や、放射性廃棄物の最終処分等の課題の解決を目指して継続して取り組んでまいります。

 その中で、使用済み燃料の再処理と燃料としての再利用、すなわちプルサーマル計画は着実に進めていきたいと考えております。

 ただ、ここで委員にぜひ御理解いただきたいのは、原発の問題、再稼働の問題につきましては、国会におきまして新たな原子力規制委員会というのが立ち上がりました、この規制委員会の判断によって安全性というのは確認される。安全性が確認されなければ、その原発は動きません。そして、安全性が確認された原発については、我々は、その判断を尊重して再稼働を進めていきたいと思っております。それに伴って、プルサーマル計画をどこまで実際に進めることができるかが決まってくるものだと思っております。

塩川委員 その安全性の確認の話については、例えば、津波だけではなく地震の影響もあるんじゃないのか。国会事故調の調査に対して説明を東電が虚偽で行っていた経緯などもあって、さらに事故原因の究明が求められているという点で、安全な原発というのがあり得るのかという議論、これはこれであります。また日を改めてこの問題はします。

 核燃料サイクル政策について言えば、そもそも計画がどんどんおくれてくる。お話があったような六ケ所の再処理工場、十月に工事完成という話で事業者は考えているということですが、この間、十九回も竣工の予定が変更されてきたという経緯もあります。本当にそうなるのかという懸念もありますし、また、高速増殖炉の「もんじゅ」について言えば、一九九五年のナトリウム漏えい事故以来稼働していないわけで、そういう点でも、核燃料サイクルがサイクルで回っていかない状況というのが、この間ずっと問題となって出てきているわけです。

 福島原発事故を踏まえて今の原子力政策を見直す、ましてや、核燃料サイクル政策について、メスを入れた見直しを行うときなのではないのか。核燃料サイクル政策を抜本的に見直す、私はもうやめたらどうかと思いますけれども、この点については大臣はいかがですか。

茂木国務大臣 先ほども申し上げましたが、ウラン資源の有効活用、これについてはいろいろな議論があると思います。ただ、高レベル放射性廃棄物を減容していく、また有害度を低減していく、それによって最終的な処分も行っていく、こういう観点からは、核燃料サイクル政策は必要だ、私はこんなふうに考えております。

 それを回さずに、どういうふうにすればこの問題が解決できるか、委員としてもっといい御提案がありましたら、ぜひお聞きをいたしたいと思います。

塩川委員 実際、福島原発事故を機に、例えばイギリスなどにおいては、MOX燃料の工場については閉鎖するということになっているわけですね。そういう意味でも、国際社会において、核燃料サイクルについて見直しをする、破綻しているという声は現に上がっているではありませんか。そういう点でも、今、日本において、まさに福島原発事故を踏まえた見直しこそ必要だということが問われているわけです。

 使用済み燃料の処理の問題について言えば、直接処分の話を含めて、選択肢としても持たないのか。全量再処理なのかという点などについては、そういう検討もしないということなんですか。

茂木国務大臣 検討しないと申し上げているわけではありません。その前に、例えばこの核燃料サイクル政策を回さないということになってきますと、既にある使用済み核燃料についてもどうするんですか、こういう具体的な議論がないと、いや、これはやりません、しかしほかのオプションもありません、そういうことでは議論は進まないのではないですかということを先ほども申し上げました。

塩川委員 再稼働がなければ使用済み燃料はふえないわけですから、そういう立場です。今あるものをさらにふやすことになるから、この問題について課題が出てくるわけですよ。

 関係自治体の理解も得ることが必要だ云々というお話もありましたけれども、私は、今、耳を傾けるのであれば、あの原発事故の起こった福島県の声にこそ耳を傾けるべきだと思います。

 例えば、この間も、福島の県議会の議長さんの発言というのが紹介されております。福島県の斎藤健治議長は、震災前日までは自民党県連幹事長として県議会で、福島第一原発の七、八号機を早く建設しろと知事にけしかけていた、原発は巨大公共事業をやるようなもので、二つつくれば九千億円規模になる、地元から陳情を受け、我々も追認した、しかし震災後は脱原発に転じた、県内の原発十基の廃炉宣言をした、福島のすさまじい現場を見たら、再稼働なんて口にできないはずだと。

 これこそ、事故が起きた、そこの現場の被害者の皆さんの声なんです。再稼働をやめよう、そもそも破綻した核燃料サイクルをやめようという声にこそ耳を傾けるべきだ。この点について、ぜひお聞きしたい。

茂木国務大臣 これだけの大きな事故が起きた、そういった中で、福島県は、まだ十六万人の皆さんが厳しい避難生活を余儀なくされております。そして、福島第一の廃炉につきましても相当長期の期間を要する。こういった中において、我々がこれまで進めてきた政策、この社会的責任は重く受けとめ、福島の皆さんにはおわびをしなければいけないと思っております。

 そして、同時に、福島におきまして、今御紹介がありましたような声が起こってくる。真摯に耳は傾けたいと思いますし、そういった声が起こるというのは当然のことだと私も思っております。

塩川委員 真摯に耳を傾けるのであれば、再稼働の中止、そもそも、核燃料サイクルについては、これをやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。茂木経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 近年、業務、家庭といった民生部門におけるエネルギー使用量が増加傾向にあることを踏まえ、産業部門だけでなく、民生部門においても省エネルギー対策を一層進めることが求められております。

 また、電力の需給の早期安定化の観点から、供給体制の強化に万全を期すとともに、需要側においても、普及が進みつつある蓄電池やエネルギー管理システム等が有効に活用されるよう、電力ピーク対策を円滑化する措置を講ずることが必要であります。

 以上が、本法律案を提案した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、建築物における熱の損失を防止するための建築材料等の性能の向上に関する措置、いわゆるトップランナー制度の導入であります。建築材料の省エネルギー性能について、現在の市場で最もすぐれている建築材料等の性能をもとに数年後に達成すべき目標を設定し、企業間の技術開発競争を促すことで、建築材料等の性能の向上を進めてまいります。

 第二に、工場、事業場等における電力ピーク対策を円滑化する措置の導入であります。省エネ対策の努力目標について、電気その他のエネルギーの需給を取り巻く環境を勘案した目標の設定を可能とすることにより、事業者が電力ピーク対策に円滑に取り組めるようにいたします。

 第三に、エネルギー等の使用の合理化及び資源の有効な利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法を、法の定める期限の到来に伴い、廃止します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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