衆議院

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第5号 平成25年3月29日(金曜日)

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平成二十五年三月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    越智 隆雄君

      大野敬太郎君    大見  正君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      平  将明君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    吉川 貴盛君

      枝野 幸男君    大島  敦君

      岸本 周平君    馬淵 澄夫君

      木下 智彦君    重徳 和彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      井坂 信彦君    三谷 英弘君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   参考人

   (株式会社三菱総合研究所理事長)

   (東京大学総長顧問)   小宮山 宏君

   参考人

   (京都大学大学院経済学研究科教授)        依田 高典君

   参考人

   (旭ファイバーグラス株式会社代表取締役社長執行役員)           狐塚  章君

   参考人

   (エナジーコンシャス代表)

   (消費生活アドバイザー) 山川 文子君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     鬼木  誠君

  宮崎 謙介君     井野 俊郎君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     宮崎 謙介君

  鬼木  誠君     大野敬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     石崎  徹君

    ―――――――――――――

三月二十九日

 直ちに原発ゼロを求めることに関する請願(鈴木克昌君紹介)(第三〇九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、株式会社三菱総合研究所理事長・東京大学総長顧問小宮山宏君、京都大学大学院経済学研究科教授依田高典君、旭ファイバーグラス株式会社代表取締役社長執行役員狐塚章君、エナジーコンシャス代表・消費生活アドバイザー山川文子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず小宮山参考人にお願いいたします。

小宮山参考人 おはようございます。小宮山でございます。

 資料をお配りしてございますので、それを一枚めくっていただきまして、初めに、要旨をまとめてお話しさせていただきます。

 私は、エネルギー問題、一番重要なのは省エネルギーというのが年来の主張でございます。これが一番スピードも上がるし、効果も大きいし、経済的な利点も大きいということで、省エネルギーが一番大事でございます。

 二つございまして、一つは節約といった感じの省エネでありますが、もっと重要なのは効率向上による省エネルギーです。

 節約でできるのは、大体一〇%、あるいはせいぜい二〇%。これももちろん重要なんですが、もっと大きいのがエネルギー効率の向上。

 例えば、冷暖房といったようなものは最大のエネルギー消費の一つでございますけれども、こういうものは十分の一ぐらいにできるということです。自動車は、恐らくこの三十年ぐらいの間に、走ることに使うガソリンの消費は半分以下になっております。これが省エネルギーの意味であります。

 その省エネルギーを推進するのに、いわばこの法律の本質、いわゆるトップランナー方式と言われておりますが、これが一番いい制度であるということで国際的に評価されてございます。

 ドイツに行ってもアメリカに行っても、トップランナー方式は非常に成功したというふうに評価されておりまして、最近、「プランB」というレスター・ブラウンが書いた本の中にも、わざわざそのトップランナー制度を書いて、省エネルギーを進めるのに大変よいと書いてございます。

 では、どこでエネルギー効率を上げるのか。日本は工場ではございません。工場で、この後、効率を上げるということではなくて、日本で一番重要なのは、私の申し上げる日々の暮らし。

 ものづくりと日々の暮らしというふうに二つにエネルギー消費を分けてございますが、日々の暮らし、これは家庭とオフィス、輸送。こういうところがオフィスで、家庭、輸送というのは半分は自家用車、半分は業務用の車であります。この三つでエネルギー消費を減らしていくことが日本の戦略。特に、家やビルの断熱、ここが非常に重要でございます。

 日本は、ほとんどの分野でエネルギー効率は世界一です。鉄をつくる効率も世界一ですし、エアコン自身の効率も世界一。冷蔵庫も世界一。自動車もそうですね。ほとんどのもので世界一ですが、唯一と言ってよい弱点がビルや家の断熱であります。これはもう恥ずかしいくらい。世界で、先進国で、ガラス一枚が常識の国というのはほとんど日本だけ。二枚ガラスが常識ですし、その内側にもう一つ窓を張るのが常識になってきております。ここが弱点です。逆に言うと、ここに日本は最大のチャンスがあるということであります。

 断熱住宅というのは、エネルギー消費だけではございません。既に一昨年になりますが、建築研究所というところの、一枚ガラスの結露する家から断熱住宅に移った方、一万人以上に関するデータがございます。

 十項の病気を調べておりますが、有病率が激減です。例えば、心臓疾患が八一%改善しております。アトピー性皮膚炎が六〇%改善しております。気管支ぜんそくが七〇%改善しております。断熱住宅というのは、エネルギーにきくだけじゃなくて、健康状態をよくすることがこういったデータで証明されてきております。

 つまり、今、健康長寿社会というのが成長戦略となってございますけれども、そのために何をするかというのは、例えばこういうことなんですよ。

 それから、枝野前大臣がおられるんですが、そのときにこの法案をつくる作業が実はスタートしておりましたので、第一回のときに、私、呼ばれまして、発言をしてございます。大変いい法案ができたというふうに伺って、まさかまだ通っていないとは思っておりませんでした。

 本当に早くこれを通していただいて、次に建築基準法の断熱基準の義務化をやっていただいて、それから、電気事業法、街区を越えて電力を運べるようにしてください。そうしないと、スマートグリッドなんて、言っていてもできません。そのための制度をぜひお願いしたいと思います。

 一枚めくっていただきまして、省エネというのが一番重要であるということは歴史的にも日本が証明しております。これは日本が証明したんです。

 一九七〇年代、オイルショックというのがございました。七三年に第一次のオイルショック。スーパーマーケットからトイレットペーパーが消えたという、あのときですね。それから、七九年に第二次のオイルショックというのがございました。この二回で石油の値段が二十倍以上にはね上がりました。これは、つい最近のリーマン・ショックと同じように世界の経済に激震を与えたんですが、日本が一番脆弱でした。それは、一〇〇%輸入石油にエネルギーを依存する工業国だったからです。

 これを克服したのは、ものづくり産業の省エネです。そこにグラフでお示ししたのはセメントの例ですが、日本は三十年の間に一トンのセメントをつくるエネルギーを半分に減らしました。ほかの国を圧倒的に凌駕してエネルギー効率を上げたわけです。これによってエネルギーコストを下げて、オイルショックを乗り切ったわけです。つまり、最大のピンチをチャンスに変えたわけです。世界一のものづくり産業をつくったわけですから。

 当時、それは合理的だったんですね。その下の円グラフが最終エネルギー消費の構造で、当時は三分の二をものづくりでエネルギーを消費していたから、ここでエネルギー効率を上げようというのは極めて合理的だったわけです。

 では、これからどうするんだ。現在、ある種のエネルギー危機なわけですが、やはり省エネでこれを克服するのが正しいと思います。そして、世界一の日々の暮らしを実現するというのが我々の目標だと思います。

 それは今、合理的なんです。なぜかといえば、二〇一〇年度のエネルギー消費構造を見ると、この四十年の間に完全に変わっているわけです。今使っているのは運輸と業務、これは国会も含みますし、病院も含むし、オフィスも含みます、そういう業務と家庭、この三つですよ。ざっと言うと、家の建物とビルと自動車ですよ。この三つがエネルギーの六割を既に消費しているわけで、ここでやる。しかも、ここが幾らでも減らせるんですよ。

 大変口幅ったい話ですが、その次を開いていただきますと、一体そんなことができるのか。本当に減る。

 十年前に私は家を建てかえまして、省エネを一つ重要な目標といたしました。結論から言うと、八割エネルギー消費を減らしております。日々の暮らしというのは、八割ぐらい減っちゃうんですよ。

 これを先導するのが、日本の環境で世界を引っ張る、あるいはグリーンイノベーションということの具体像ですよ。これで、世界に勝てる強い産業をつくっていく。そのために、日本の大きなマーケット、今中国に抜かれたとはいえ世界第三ぐらいの大きなマーケット、このマーケットを使うということが正しい日本の戦略だと思います。

 やったことの一番大きなところは断熱です。断熱が、前の家と比べて大体三倍よくなっております。

 今、暖房の時期ですね。暖房するのは部屋が寒いから暖めていると思っておりますけれども、そうではございません。部屋はもう暖かいんです。暖かい部屋に何で熱を入れるのか。熱が逃げるからですよ。逃げた熱を補っているのが暖房であり、外から入ってきた熱をそれだけくみ出しているのが冷房ですから、熱が外との間でやりとりがなくなれば、暖房というのは必要なくなるんです。

 ですから、暖房のエネルギーの理論値はゼロですよ。そこに、家庭でもオフィスでも三〇%以上、オフィスに至っては約五〇%のエネルギーを使っているわけです。ゼロになり得るエネルギーを使っているわけですよ。

 時間もございますので、次をめくっていただきたいと思います。

 これは、八割エネルギーが減っている。いかに効果が大きいか。私は、一つはこういうところでしゃべるためにつくったんですから、十年間データをずっととっております。ですから、このデータを見せられるんですよ。

 そうしますと、家を建てかえる前、二〇〇一年以前に使っていたエネルギーが左側の棒グラフ。これは、電気と都市ガスとガソリンということになります。家を建てかえた後にやったことは断熱とエアコン。一つ一つのエネルギーに分解することはできていないわけなんですが、これで恐らく冷暖房のエネルギーが四分の一ぐらいに減っていると思います。

 なぜ四分の一かというと、断熱が三倍ぐらいよくなっていますから、それだけでエアコンの負荷は三分の一ぐらいになっているわけです。さらに、この二十年の間に、日本の先端のエアコンのエネルギー消費は六割減っております。ですから、大体半分ぐらいになるわけですね。半分になって、断熱が三倍よくなりますから六分の一。私の実感ですと、実際には四分の一ぐらいになっているような気がいたします。

 二番目に家庭でエネルギーの大きいのは、給湯器です。お風呂です。日本には、世界に誇るべきエネファーム、エコキュートという高効率の給湯器ができてございます。これでもう半分、あるいは三分の一ぐらいに一次エネルギーが減ってしまうわけです。これを日本に普及して安くして、世界に売っていく、これが日本のグリーングロースということであると思います。

 その後、ハイブリッドカーを買い、冷蔵庫、LED等を。冷蔵庫に関しては、この二十年の間に、日本の冷蔵庫のエネルギー消費は五分の一になっております。八〇%減っているんですよ。

 ですから、省エネというのがいかに最大のエネルギー問題であるか、それをいかに普及させるかというのが一番重要であるというのをおわかりいただけるのではないかと思います。

 私の場合には、家を建てかえたときに約七%、省エネのためにかかっております。これはどういうふうに計算したかというと、さすがに窓ガラスは入れますので、一枚ガラスの窓と二枚ガラスの窓との差額を省エネのための投資といったような形で省エネに使ったお金を計算しますと、エネルギー代も安くなっておりますから、それまで三十万円ぐらいしていたエネルギー代が、電気とガスと全部合わせて一年に二、三万まで減ったということであります。

 では、最後のページに行きたいと思います。

 要するに、私の場合には十二年ぐらいで初期投資を回収いたしますけれども、トップランナー方式、この制度をやって普及させて物を安くする、そうすると、十二年でなくて六年で回収できるようになるわけですよ。それが日本のためであるし、世界のためだと思います。

 はっきり言って、小宮山エコハウスはもう古いです。今つくっておられるハウスメーカーの家は、もっとずっといいですね。なぜかというと、この後いろいろなお話があると思いますけれども、十年間で部材の性能が非常に上がっております。それから、家の設計も進歩しているし、施工も進歩しております。

 今、私の家のエネルギー消費と太陽電池で供給するエネルギーがどれぐらいかというと、エネルギー自給率六〇%です。しかし、最近ハウスメーカーから売り出されているものは、ほぼ一〇〇%と言っていいと思います。つまり、全エネルギーの一八%を使っている家庭のエネルギーがゼロになってしまうということですよ、太陽電池と組み合わせて。

 私が一番驚いたのは、三〇〇%という家が去年一万軒近く売り出されております。日本の新築住宅は八十万軒から百万軒ですけれども、そのうち一万軒ぐらいが三〇〇%というような自給率が実現してございます。

 しかしながら、こういうトップのものができても、普及させなければ社会のイノベーションにはつながらないわけですよ。ですから、この法律を成立させていただいて、対象製品の普及を促進して価格を低減させる、それがグリーンイノベーション政策ということだと思います。

 それから、最初に申し上げましたが、建築基準法の断熱基準の義務化、これも随分既に議論をしております。二〇二〇年に義務化するんだということになってございますけれども、もっと早くしないと。特に二千平方メートル、ちょっと細かい話はやめますが、三段階でよいのでしょうか。今、日本の建築基準、断熱基準と言われているものは、世界的には極めて緩い基準であるということを御理解いただきたいと思います。非常に緩い。ヨーロッパ、韓国なんかと比べると極めて緩い基準です。この基準すらできないというのはおかしいんですよ。

 それから、電気事業法の改正。これは、今、街区、道で囲まれた一つの中と、道を越えると、電気の融通のし合いが実質的にできないという構造になっていて、スマートグリッドの実験すらできない状況になっております。

 ですから、ここら辺も、この法律の後、ぜひ速やかにやっていただいて、社会にイノベーションが実装される状況をつくっていただきたいというのが私のお願いでございます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、依田参考人にお願いいたします。

依田参考人 京都大学の依田高典でございます。

 きょう私は、電力の平準化に関する日本とアメリカの動向について述べさせていただきます。

 簡単に、資料に入る前に、なぜ私がこのようなことをしているかといいますと、東日本大震災を挟みまして前後、日本の経済産業省とアメリカのフルブライト財団の御支援を受けて、スマートグリッドを社会に導入するとどのような効果があるか、また、スマートグリッドを使って、ダイナミックプライシングと言われるような、時間に応じて変動する電気料金を入れるとどのような社会的な効率性が得られるのかということを、日本の横浜、豊田、けいはんな、北九州、あるいはアメリカのロスアラモス等で、社会実験と言われる形で先行して導入事例をさせていただいて、その経済効果を測定することを経済産業省様の御支援で私が担当しております。

 そういったことも踏まえまして、現在、アメリカと日本でやられている知見についてここで御説明させていただきたいと思います。

 まず、資料を一枚めくっていただきまして、二枚目に、今回の省エネ法の改正を含めて、エネルギーマネジメントの重要性について私なりの意見をまとめてございます。

 今回の省エネ法の改正では、法目的に、従来のエネルギー使用の合理化、量の省エネだけでなく、電気の需要の平準化が新たに加えられました。

 東日本大震災以降は、いかに、電気をたくさん使うピークタイム、ピーク時におけるピークカットをするかが議論のポイントであり、電気の需要の平準化を明確に位置づけることは極めて大切でございます。

 これまでの日本のエネルギー政策は、ともすると、需要を所与のものとして、電力会社の発電量を積み上げる議論に終始してきましたが、世界的には、需要側をしっかり管理していくこと、ディマンドレスポンス、あるいはディマンドコントロールが潮流となっております。

 今後、電力ピーク問題の解決には、供給サイドの発電量の積み上げとともに、需要をスマートにコントロールするエネルギーマネジメントの推進が重要になります。

 エネルギーマネジメントには、町、コミュニティーレベル、あるいは市、シティーレベル、あるいはビルディングレベル、ホームレベルなど、多様なレベルがございますが、そうしたものが相互に連携することが重要でございます。

 日本でも検証は進みつつあり、経済産業省は、四地域で、このスマートコミュニティーで大規模なディマンドレスポンスの社会実験を行っており、実験の経済評価担当をさせていただいております。

 それでは、ページをめくっていただきまして、まずアメリカの現状について、私のわかる範囲で御説明させていただきたいと思います。

 まず、アメリカでは、変動型の電気料金、片仮名でダイナミックプライシングと申しますが、それを利用したピークカットの社会実証が数多くなされており、後で説明するカリフォルニア州では、来年以降、それが本格導入目前まで来ております。

 二〇〇〇年、二〇〇一年に起こったカリフォルニア電力危機から現在のオバマ政権のグリーンニューディールに至るまで、アメリカでは、日本よりも電力危機に苦労してきた国でございますので、早い段階で大規模な社会実験を各地で運営し、スマートグリッドの普及に努めてきました。

 アメリカでは、さまざまな試行錯誤を経て、ピークカットに関する相場観、社会的な合意がほぼ得られてきている状況でございます。

 一つ目、時間帯別の電気料金。これをアルファベットでタイム・オブ・ユース、TOUと申しますが、それでは約五%から一〇%を、七月ないしは八月、特に電気を使うときのピークを減らすことに成功するのではないかという知見が得られております。

 二番目、クリティカルピーク電気料金。本当に電気が逼迫して需給が心もとなくなったときに、さらに価格を、ある一定の、例えば一年のうちの一週間だけ引き上げるのをクリティカルピークの電気料金、クリティカルピークプライシングを短くしてCPPと申し上げますが、それでも、控え目に見積もっても一〇%から二〇%の効果が得られております。

 現在はまだ開発が進んでいる最中ですが、自動化技術が進むようになると、この効果は一・五倍から二倍に高まるということも一部知見として得られております。

 さらに、五%から一〇%、こうした電気料金の導入を得て、家庭にも優しい、家計にも優しいダイナミックプライシングで電気代節約という報告事例も広く得られております。

 ですから、家計に対して優しいダイナミックプライシング、家庭の主婦が喜んでくださるような形の料金体系にしないと、こうしたものは普及しないと思います。

 二〇一四年に向けて議論が進んでいるカリフォルニアですが、カリフォルニアにおいては、一番アメリカでも苦労した地域でございますので、スマートメーターは十年間かけてほぼ全戸の設置が終わった状況でございます。

 そして、カリフォルニアでは、ピークカットやピークシフトを推進する、今、大口やビジネスに関しては全て一部変動型の電気料金が義務づけられていますが、家庭に関しても、ここのところをどの程度デフォルト化、一般標準化するかということに関して議論が進行中でございます。

 二〇〇九年に一度こうしたことが州の議会で議論されましたが、このときは広く州民の理解が得られず、一時期見送りになりました。そして、五年見送られたその経験をもとに、カリフォルニアの州議会では、消費者保護に対して十分な配慮をした変動型の料金を今、州議会ないしは専門家の間で議論中でございます。

 例えば、具体的にどういうことがあるかというと、星印にあります。既存の、日本ではそれを一律型の電気料金と申しますが、カリフォルニアでもほぼそういった料金体系になっております。そうした今の料金体系と比べても、新しい電気料金に移行して、合計として家庭の支払いがふえないように、ピーク時は上げますが、オフピーク時はもっと大胆に料金を下げるようになっております。

 ここがポイントでございまして、そうした料金バランスを工夫する。そして、家庭によっては、そういう料金に移行することによって、大体、控え目に見積もっても七割の家庭が料金を減らせるという計算になっておりますので、どの家庭が料金を減らせるかというのを毎月の請求書とあわせて情報提供するというふうなことも工夫されております。

 それでは、四枚目のページに入りまして、ピークカットに関する日本の経験について、私と経済産業省との共同研究について御説明いたします。

 経済産業省は、先ほど申し上げましたように、全国四地域でスマートコミュニティーの実験を行っています。

 ここで取り上げて紹介させていただきますのは北九州の例ですが、北九州で今回、三十度を超える夏の日に、世界で初めて、アメリカでは大体一つか二つの価格水準だけで実験を行っておりましたが、北九州では、住民の御理解を得て、かなり高いなと私でも思うような、最大百五十円も含めた四レベルの変動型のCPP、クリティカルピークの価格を設定いたしました。

 そういたしますと、一部の日にちだけ非常に価格を上げるCPPと、日常若干めり張りをつけるTOUを合わせて約二〇%のピークカット効果が得られました。これは、アメリカで得られた相場観とほぼ一緒のもので、アメリカと日本はこれほど国も文化も違うんですが、効果は同じなんだなという印象を強めております。

 そして、価格を五十円から百五十円まで上げますと、効果も次第に高まっていく。しかし、五十円で合わせて一八%、百五十円で合わせて二二%。価格を上げる割には、効果は上がるけれどもどんなものかという、ここら辺の議論については、もう少し、後々、これを実際導入するときにはどの辺で価格を設定するべきなのかに関しては、議論を深める必要があると思います。

 そして、アメリカでも議論されましたような、消費者の支払いがふえないような、あるいは、消費者の方が、額に汗を若干かくわけですが、楽しんで使っていただけるようなさまざまな保護策と合わせて、平均でございますが、北九州市において約一三%の電気代を節約しているという事例も報告されております。

 こうした北九州で得られた実験というのは、北九州特異ではなく、けいはんな学研都市、豊田市でも同様のピークカットが得られておりまして、この四地域の中では最大の社会実験であります横浜に関しても、来年度から二年間続けて行い、ほぼ十分な実験結果がここで得られるのではないかと私は思っております。

 結論になりますが、今後とも、こうしたディマンドレスポンスの時間帯別、季節別の電気料金メニューを選択できるような社会に移行し、需要側のピークコントロールを進めていく社会的な必要性があると思います。

 最後に、もう一度繰り返しになりますが、こうした変動型の電気料金を入れるのは、あくまで家計に優しいものでないといけない、家計に優しい変動型電気料金を導入し、社会全体の効率性を上げていく、そのためには、今回の省エネ法の改正は必要ではないかと私は思います。

 以上でございます。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、狐塚参考人にお願いいたします。

狐塚参考人 旭ファイバーグラスの狐塚でございます。

 私は、断熱材をつくっているメーカーとして、特に住宅分野における現況について御説明したいというふうに思っております。

 お手元の資料、ちょっと裏表でかなりの枚数があるんですが、ページによっては少し飛ばしながらお話ししたいと思っています。

 一ページの下の段は、もう皆さん御存じかと思いますけれども、民生用のエネルギーの消費がかなりふえてきている。そんな中で、住宅では、冷房、暖房を合わせて約三〇%弱、給湯まで入れますと六割ぐらいが使われている。この辺のところを対策するということが必要なんじゃないかなというふうに思っています。

 続きまして、二ページ目の上の段に、これも小宮山先生からお話があったように、左側の方は冷房時でございますけれども、冷房しているところに熱い熱気が入ってくる。屋根、外壁、床、あるいは開口部、こんなような割合で、特に開口部を除いた部分では二一%、冬は逆に熱が逃げていくということで二七%が出ていく、こんなことが言われておりまして、断熱の位置づけが非常に重要だというふうに思っています。

 断熱は、その下の段にあるように、大きく分けまして、繊維系と発泡系と二つございます。私どもはグラスウールをつくっておりまして、これが住宅におきましては五五%とトップのシェアになっておりますが、なぜ多く使われているかといいますと、比較的安価であるということ、それから、やはり性能的に耐久性が非常にある、なかなか劣化しないということ、もう一つ大きいのは、不燃性である、燃えないということが特徴なわけです。

 発泡系は、熱性能という意味からしますと少し高いんですけれども、逆に、経時変化が少しあるとか、燃えやすい、こんなことがある。韓国、中国あたりでは、こういう発泡系は建築の分野では禁止する、火災の事故があって以来、そんなことが起こっているというのが現状だと思います。

 いずれにしましても、我々は、一番皆さんにお使いいただいているグラスウールという分野で日々研究開発をやっているわけです。

 次のページに「グラスウールの技術革新」というふうに書いてありますけれども、今までですと、グラスウールは、一番左の、繊維の径が大体七ミクロンから八ミクロン、これが一般的に使われていたわけです。繊維が空気の動きをとめて断熱性能を上げていくわけですので、この繊維の径を細くするとか、あるいは密度を上げるとかということで、高性能の方が断熱性能が上がってくるわけです。そして、一九九〇年代は一番左、次の時代は真ん中、そして今、次世代と言われている、一九九九年につくられた基準を達成するために、一番右のような製品をつくり出している。

 特に、私どもは、グラスウールは結合剤としてフェノールを使っておるんですが、フェノールを使わない、いわゆるホルマリンを含んでいない、環境あるいは人の健康といったことを配慮しながら研究開発を進めております。前のページにありましたように、グラスウールというのは普通は黄色いんですけれども、真っ白な、ちくちくしない、非常に肌ざわりのいい断熱材を研究開発していまして、二〇〇〇年代、この四、五年、これをかなり量をふやして、お使いいただけるようになってきているという状況です。現在は、さらに進めるということで、二ミクロンぐらいの断熱材を開発しております。そんな状況でございます。

 その下の段が、今まで日本の中で、第一次オイルショック、第二次を契機に、いろいろな断熱の基準が使われ出したわけです。ですので、昭和五十五年以前は使われていないということ。等級一です。そして、初めてできた五十五年基準は等級二ぐらいです。平成四年が等級三。そして今、日本で一番高いと言われている基準が、平成十一年にできた等級四の基準というふうになるわけです。

 一つの例として、グラスウールは、例えば「外壁」というところを見ていただきますと、昔は入っていなかったわけです。「なし」というふうに書いてございます。三十ミリを使っていた。それが今度は、平成四年では五十五ミリぐらいを使うようになった、今の基準ですと百ミリぐらいに来ている。こういうことで、非常に使用量もふえてくるということはあるんですが、やみくもに厚さだけじゃなくて、技術革新をして繊維の径を細くするとか、密度を上げるとか、そういうことで使う量も減らそう、そういった意味で、我々は上段にあるような細繊維という技術開発に努めている、こういう状況でございます。

 ちなみに、一番左の「なし」に比べて、十一年基準は、これはある条件の中でのエネルギーの使用量が書いてありますが、材料としては、普通の一戸建ての家ですと、大体百万円ぐらいが一番右で使われる金額かな、そんなような状況です。いずれにしましても、百万円を使って、無断熱に比べてかなり使用のエネルギーが減るというのがこのグラフでございます。

 今、次世代、等級四という基準があるわけですけれども、私どもで販売してきている、等級四に匹敵するような商品が実際はどのくらいの割合になっているかというのが次のページの上の段なんですが、実は、一九九九年に基準ができて、なかなか普及しなかったわけです。日本ではこれが義務化ということになっていないから、なかなか普及しなかった。

 それが、ここにありますように、平成二十一年の長期優良住宅、あるいはリーマン・ショック以降の住宅エコポイント、こういう制度に絡めて、等級四、次世代の基準を採用しなさいというインセンティブがつきますと急激に伸びてきたというのが、この図が示しているところであります。そういった意味で、おくれているとはいえ、五〇%を超えるレベルまで上がってきているというのが今の実情だというふうに思っています。

 一方、これは新築の中でふえているという話を申し上げましたけれども、下は、既存の住宅、ストックで約五千万戸あるわけですが、それの状態を見ますと、今の平成十一年基準はまだ五%しかない。新築を義務化して、全てやりなさいといっても、なかなかふえていかない。そういった意味では、エネルギー問題を考えるときには、無断熱、あるいは低い基準に適合した家を何とか改修して高断熱の家にしていくということが不可欠なんだろうな、このように考えているわけです。

 今、平成十一年、次世代と言われる等級四のレベルが世界のレベルに比べてどうかというのが次のページのグラフになるわけです。

 横軸が、これは暖房デグリーデーというふうにちょっと難しいことが書いてあるんですが、右側が寒い地域、左の方が沖縄とか宮崎あたりの地域というふうに見ていただいて、ピンクで書いてありますのが前の基準、平成四年のときにできた基準です。これがまだまだ日本は多いわけです。今、最高の基準といっている十一年基準というのが赤なんですが、これを見ても、北の方はそこそこ欧州の先進国に近いんですが、いわゆる東京を中心とする地域は大体千五百という基準なんです。平成四年の基準とか十一年の基準でもいかにまだ欧米に比べて低いかということが、これからも読み取れるんじゃないか。

 できた当時は非常に先進だったんですけれども、その間にかなり、特にこの数年は欧州を初めとする先進国は義務化ということでさらに基準を上げてきているというような状況、日本がいかにおくれているかという一つの状態かなというふうに思っています。

 それから、断熱の機能としては、その下の段になりますけれども、いわゆる省エネという機能は当然あるわけですが、それ以外に、これも小宮山先生から少し話があったと思うんですが、健康という面から随分大きな効果がある。

 一つは、外気温六・五で、左の方が断熱のレベルが低いわけですが、リビングを温かくしている、そうしますと、その部屋を出ますと温度差が非常にあるというわけです。右の、断熱がよくされた家ですと各部屋の差がないということから、よく冬場に年寄りがトイレであるとか浴室でヒートショックを起こす、そういったことの対策にもなりますし、それから疾病に関しても劇的に改善できている、こんな事例が集まっているということが言えるわけです。

 次のページになります。

 一つの条件の中で、東京都において二階建ての家をつくって、百万円ぐらいかけて今の等級四というレベルの家を建てた、そのときに、エネルギーだけで回収に何年かかるかといいますと、約二十九年かかっています。ところが、健康の問題を考えて年間二・七万円ぐらい個人が払っている、そういうことを加味しますと、十六年ぐらいで回収できる。健康の問題に関しましては、国が支払っている保険とか、そういった費用まで考慮すると、約十一年で回収できる。このぐらい、健康面からも断熱というのは非常に貢献できる材料であるということが言えるかと思います。

 一番最後のグラフですけれども、これは、大変不幸な東日本大震災があって、その直後に東北の三県において電力がなくなって、部屋の温度がどうなったか、それを調べたときのデータでございます。

 横軸は、ちょっとわかりづらい指標が書いてありますが、基準がどうかというふうに見ていただければと思うんです。次世代以上、いわゆる最高のレベルの基準でやっているところは温度が十五度を下回らない、それに対して、基準が低いところの家ですと、どんどん下がって十度を切ってしまう、こんなことがとれている。

 十度というのは、暖房を入れる必要がある。イギリスでは、十度を切りますと高齢者が低体温症になるということから改善命令が出せるという法律まであるんですね。そのぐらいイギリスは進んでいまして、エネルギーゼロ住宅を二〇一六年に義務化、このぐらいのスピードでやっているわけです。日本はまだ、二〇二〇年代になって平均で半分ぐらいいけばいいな、それも義務化じゃなくて推奨というレベルでいっているわけですから、欧米の方はこういった視点からも非常に進んでいるなということが言えると思っています。

 最後になりますけれども、我々としては、エネルギー危機という状態を迎えますと、断熱材を入れるとエネルギーを使わないで済むんだ、そういう視点からも、やはり早期に省エネ基準の義務化ということをお願いしたいなというふうに思います。

 それから、今の基準も、つくられてからもう十四年近くたつわけです。ですから、もう一段高いレベルということが必要なんじゃないかなというふうに思っております。

 それから、既存住宅をいかにやっていくか。そういった意味では、何らかのきっかけとなるインセンティブの制度とか、そういったものを強化していただく。

 もう一つは、今回のトップランナー制度があれば、我々もそれに向けた新商品の開発等を行っていきますので、そういった意味で、いわゆる既存住宅の改修にも貢献できるのではないかなというふうに思っております。

 以上でございます。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、山川参考人にお願いいたします。

山川参考人 おはようございます。

 エナジーコンシャスの山川文子と申します。

 私は、個人で執筆や講演などを通じて、家庭の省エネに関しての情報発信をしております。現在の立場になる以前は、一般財団法人省エネルギーセンターにおきまして、家庭の省エネ広報を主に担当しておりました。前職を含めて二十年以上、御家庭の省エネに関しての仕事をしておりますので、その中で、消費者と実際に接して、消費者の省エネ意識ですとか、実際の省エネ行動がどれぐらいできているかなどについては、それなりに把握をしておるつもりです。

 本日は、消費者の視点で、家庭の省エネを進める上で必要と思われることについて、改正省エネ法に関連した点を含めて、幾つかお話をさせていただきます。

 なお、本日の内容は、私が消費者と現場で直接接してきた中で得た経験、自身の体験に基づいた話や考えであるということで御了承いただきたいと思います。

 お手元に資料を一枚用意しております。

 まず、家庭の省エネは、省エネに配慮した暮らし、省エネ性能が高い機器を使う、住宅の省エネ性能を上げる、大きくこの三つの要素があります。

 省エネに配慮した暮らしというのは、今お使いの機器を上手に使って省エネをするもので、特に新たにお金を負担しない、もしくはほとんど使わない、ほとんど投資を伴わない、そういったものです。また、機器の使い方だけではなく、例えば、夏に窓をあけて、風を通して涼しく暮らす、そういった暮らし方の工夫も含まれております。

 二点目の、省エネ性能が高い機器を選ぶについては、機器の購入時に、より省エネ性能の高い機器を選択するということです。現在の省エネ法におきましては、エネルギー利用機器のトップランナー制度が導入されておりますし、関連してラベリング制度などがあるということです。

 三点目の、住宅の省エネ性能を上げるにつきましては、住宅の断熱、気密性能を上げるということで、当然、冷暖房エネルギーの削減につながるということでございます。今回の改正省エネ法に関しては、窓や断熱材に関するトップランナー制度の導入が盛り込まれているということです。

 この三つの要素に加えまして、エネルギー使用状況の把握というところがあると思います。

 本日は、この中から、エネルギー使用状況の把握に関連して、エネルギーの見える化について、また、住宅の省エネ性能を上げるについてお話をさせていただきます。

 まず、エネルギーの見える化の部分です。

 御家庭の皆様にとっては、電気などのエネルギーというのは目に見えませんので、使用している実感を感じづらいという点があります。電力会社などから検針票というのが毎月届きますけれども、これは過去一カ月の状況でありまして、現時点でどれだけ消費しているかというのは残念ながらわからないということです。もしリアルタイムで消費状況を簡易に見ることができれば、使用実感が湧いて、無駄への気づきにつながりますし、省エネ行動を促す、そういう効果が期待できます。

 例えば、エアコンをつけると消費量の数値が大きくふえる、それから、グラフの表示で棒が大きく伸びるとか、そういうことが見えれば、無駄に使わないようにしようという意識が働いて、行動の変化が期待できるということです。また、時間帯別の消費状況がわかれば、電力のピークカット、ピークシフトといったところの行動も期待できるということです。これが見える化の効果ということになります。

 なお、自宅全体での消費状況だけではなく、できれば家電製品ごとに、なるべく細分化した見える化ができれば、より効果的な省エネ行動につながると思います。

 消費者の多くは、御自身の家庭で使っているいろいろな家電製品の消費電力を御存じない方がほとんどです。私は、東日本大震災直後の計画停電が行われていた時期に、幾つかの御家庭を実際に訪問して、節電のアドバイスをするような機会がございました。

 いずれの御家庭も、自分はかなり節電を頑張っていますというようなことをおっしゃっていましたが、千ワットぐらい消費する電気ストーブを使っていたとか、毎日ホームベーカリーでパンを焼いていますなんというところが一方で見られたというようなケースがありました。私が持参した消費電力がはかれる計測器でそういう機器の消費電力をはかってお見せしますと、こんなに電気を使っている機器とは思わなかったですというような感想を口にしていらっしゃいました。

 また、見える化というのは、省エネ効果を実際に確認するという意味でも効果があると思います。

 例えば、テレビは画面が明るいほどたくさん電気を使いますので、少し画面の明るさを抑えれば省エネになります。実際に私が御家庭に伺ってアドバイスをするときに、現在の明るさの設定での消費電力をはかってお見せして、少し明るさを下げてまたお見せすると、何ワット下がったというのが実際に目で見てわかりますので、そうすると非常に訴求力が増すというようなことを実感として感じております。

 二〇一一年の夏の節電で、その前の夏に比べて電気代が二割減った、三割減ったというような、周囲のいろいろな声を実際に聞きました。一方で、いろいろな節電を自分なりにやってみた結果での効果なんだけれども、実際にどこが効果的だったかがちょっとわからなかったというようなお話も聞いております。効果的な省エネをこれから継続して行うということを考えますと、いろいろなところの見える化というのは非常に大事な点だと思います。

 なお、効果的な省エネには、見える化と同時に、やはり適切な情報提供というものも必要になります。

 一昨年以降、消費者の節電意識が高まりまして、取り組みが非常に進んだと思います。この要因の一つは、やはりメディアやメーカーなどから節電についての情報の露出が非常に多かったというのが挙げられます。消費者の方がふだんごらんになっているテレビの番組、いつも読んでいる雑誌などから情報を手に入れられたというような効果は大きかったと思います。今後も、適切でわかりやすく具体的な情報提供の工夫というのをやっていく必要があると感じております。

 続きまして、住宅の断熱性能のお話をさせていただきます。

 まず、断熱性向上の事例ということで、私の家に内窓を設置したことについて御紹介をしたいと思います。

 私の家は築三十年以上の集合住宅の中階層、真ん中のところに住んでおりまして、ベランダに面したリビングルームに大きな窓がついております。その窓は、アルミサッシの単板ガラス。一枚のガラスということです。非常に冷暖房のききが悪く、また、暖房をしても足元が寒いというような状況が長年あったので、二〇一一年の冬に複層ガラスの内窓をつけました。既存の窓はそのままで、内側にもう一つ、複層のガラスをつけております。

 お手元の資料の図1をごらんいただけますでしょうか。左側のグラフが内窓の設置前、右側のグラフが内窓設置後のものです。暖房期間中のある一日の夕方から翌朝までの室温のデータをとっております。設置前後で、外の気温が近い日を選んでおります。グラフの青い線が室内の天井付近、水色の線が部屋の中央、赤色が床付近、黄緑が外気温でございます。

 両方のグラフの1と書かれているところが、暖房停止後の温度低下の様子の部分です。設置前は暖房停止後一時間で三度、五時間で四・七度ぐらい低下していますが、設置後は一時間で一・三度、五時間で三・二度と改善していることが数字でわかります。

 そして、2と書かれているところは、暖房を入れる前、つまり、前日に暖房を停止して寝た翌朝の状況ということになります。設置前が十五度程度ですけれども、設置後は十七・五度ぐらいということで、ここも数字で確認ができます。内窓をつけたことで熱が逃げにくくなったということがこれでわかると思います。体感的にも、冬、外出先から帰ってきますと、家の寒々した感じが随分和らいだなということを感じております。

 3のところをごらんください。左のグラフ、設置前については、暖房時の天井付近と床付近の温度差が約五度あります。一方、右の設置後は約三・五度ということで、上下温度差も小さくなっております。さらに、床付近の温度のところを見ますと、設置前が十二度程度でしたが、設置後は十四度程度に上昇ということで、実際に足元の寒さは軽減していて、暖房中に寒いので暖房設定を上げるということがなくなりました。

 これは実験室のような設置前後が全く同一の条件ではないのですけれども、あくまでも実住宅の事例の一つということでお伝えしたいと思います。

 配付資料の図2は、暖房中の窓の表面温度を計測している画像です。温度が高いほど赤に近い色、温度が低いほど青に近い色で示されます。左側の画像は、内窓をあけた状態で、画像の真ん中部分の青色のところが内窓設置前の単板ガラスだけの状態というふうに考えてください。右側の画像が内窓を閉めた状況です。

 設置前が青色に対して、設置後の右側の画像は緑からオレンジ色になっていて、表面温度が上がっているというのがこれでわかります。寒いとか暖かいとかいう体感というのは、室温もそうですけれども、周囲のものにも影響されますので、そういう意味で、その点でも効果があったというのがわかります。

 設置前後の暖房エネルギー消費量の計測ができていないんですけれども、先ほどのグラフでもわかりますとおり、内窓の設置によって暖房時の室内の熱が外に逃げにくいということが確認できていますので、省エネ効果もあったということが推察できます。

 冷暖房のエネルギー消費が、使用する機器の省エネ性とか使い方だけではなくて、住宅の断熱性能も影響しているということを認識していない消費者はまだまだ多いです。消費者の考える冬に足元が寒いというところに対する対策は、床に十分な断熱材を入れるのではなくて、床暖房を入れるですとか、足元用の暖房機器を使う、こういう考えになりがちです。また、例えば夏に住宅の最上階が非常に暑いというのがありますが、屋根や天井の断熱強化でそれが抑制できるというところにはなかなか思いが及ばないというのが通常です。

 消費者はどうしても、住宅の外装とか内装、キッチンなどの設備に関しては自分自身で積極的に情報を収集して選択をするのですが、断熱材や窓に関しては工務店さんやメーカーさん任せという傾向があるのではないかと思います。住宅の建築とか購入というのは一生に一度あるかないかの機会ですので、消費者にはこだわりたい点というのがやはりたくさんあるわけです。そういう意味で、完成した後に壁に覆われて目に見えない断熱材などというのは、どうしても優先度が低くなってしまいがちです。

 このような実態を踏まえますと、住宅の断熱性能の向上を消費者の行動や選択に委ねるだけでは不十分ですので、今回の省エネ法の改正で、窓や断熱材に対するトップランナー基準が導入されて、省エネ性能の高い建材が市場に多く出てくるということで、消費者が特に意識しなくても住宅の省エネ性能が上がるという仕組みは、非常に現実に即した効果的な仕組みだと私は考えております。

 なお、それだけではなくて、消費者の住宅の省エネ性能向上についての認識を上げて、より性能の高い部材を選んでいただくための情報提供や、工務店やメーカーなど、供給側からの積極的な働きかけ、情報提供もやはり必要だと感じております。

 その際に、住宅の断熱性能の向上は、省エネという側面だけではなく、快適性、健康へのよい影響、住宅の長寿命化といったものにもつながるということを同時に伝える、これが消費者への訴求度を高めることにつながると感じております。例えば、暖房を切って寝た翌朝、朝起きるのがつらくないとか、結露が抑制できて毎朝の窓拭きが楽になる、こういった快適性の向上につながる具体的なメリットは、消費者にとってやはり大きな魅力だと思います。

 省エネは、我慢ではなく、無駄を省くことでエネルギーを合理的に使おうということで、それはやはり継続的な省エネ行動につながってくるものだと考えております。また、省エネ性能の高い機器を選ぶ、家をつくる、そういったことは、決して快適性を損なわずに省エネを進めることができる方法だと感じます。

 一昨年以降の電力供給不足によって、消費者の省エネ意識は大きく向上しております。この機運を無駄にせず、成果につなげるための仕組みや工夫が非常にいいタイミングで必要とされていると思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。

宮崎(政)委員 自由民主党、沖縄県第二選挙区の宮崎政久です。

 今回が初めての質問となります。貴重な機会をいただいた理事の皆様に、改めて御礼を申し上げます。

 そして、本日は、参考人質疑でございます。大変にお忙しい中、国会まで足を運んでくださいまして、また、貴重な御意見を聞かせていただきました参考人の皆様に、まずは心より御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 さて、一昨年の東日本大震災以降、我が国においては、エネルギー需給の安定というのが喫緊の課題であり、まさに国民的な課題となっております。私たち国民も、あの大震災のあったとき、電力の供給不足に見舞われた際に、自発的にピークシフトをしている、こんな行動も実はありました。

 大震災直後の三月の十二日、電力の供給不足が見込まれて、ピークの時間帯、午後の六時から七時に百万キロワットの電力が不足すると東京電力が発表したその時点で、実は、ツイッター上ではもう大きな呼びかけが起こっておりました。例えば、電気を多く使う炊飯については六時までに済ませようじゃないか、こんなような呼びかけがどんどん拡散をしていたという事実もあります。

 ネット上では、実は、これはヤシマ作戦と呼ばれておりました。これは、アニメのエヴァンゲリオンというのがありまして、このエヴァンゲリオンで、実は、日本じゅうから電力を集めて、すごい超長距離砲をつくって、敵に撃ち込んでいって勝っていく、こういう作戦があったんですけれども、これにちなんで、ツイッター上でどんどん呼びかけるのをヤシマ作戦といって、自発的にピークシフトを国民はやっていたんですね。

 ただ、こういう国民の自発的な取り組みに期待するだけではなくて、今まさに、私たちは、制度として、国民的な課題として省エネを促進していかないといけないという状況でございます。それが長期的にエネルギーの需給の安定化を図る、そういうことにつながると考えています。

 また、需要側で全体的にエネルギー使用総量を減らす、省エネの促進を求める、その先には、世界的な化石燃料の消費量を抑制する、新興国が台頭している、こういう状況を考慮して、日本がエネルギーマネジメントの先進国としてこれから世界をリードしていく責任がある、こういう意義も非常に大きいんだと考えております。

 本日は、こういう趣旨も踏まえまして、先生方に御質問をさせていただきたいと考えております。

 最初に、依田参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 需要家の側でエネルギー消費をコントロールするためには、スマートメーターの普及と時間帯別の料金制、こういうものが鍵になってくるのではないかと思っております。我が国では、実際はまだまだスマートメーターは普及していない現実がございます。

 先ほどの御意見の中で、カリフォルニア州ではスマートメーターの設置がほぼ終了したという御報告がございました。これは、社会実験としてやったということ以上の要因として、何か私たちのこれから取り組むべき施策として示唆になるようなもの、先生の御見解があればぜひお聞かせをいただければと思います。

依田参考人 ただいまの御質問に対して回答させていただきます。

 まず、アメリカのカリフォルニア州が、現在、家庭も含めてスマートメーターの設置が終了しつつあるというのは事実でございます。それにつきまして、理由としましては、やはり二〇〇〇年から二〇〇一年に起こりましたカリフォルニアの大規模な電力危機、その危機感で、電力会社を初めとして設置に踏み切ったのが大きい理由でございます。

 日本は、そういう意味においては、アメリカに比べて電力需給は、ずっとこの震災が起こる前までは世界一安定的で余裕がある状況でしたので、スマートメーターは不要であるという意見が大半だったのが、アメリカと日本のこの差になっております。

 ただし、震災後に起きました社会的なスマートメーターに関する合意、あるいは必要性に関する理解が進んでおりますので、一部の電力会社は自発的に、今後十年間で設置を進めていこうという状況であり、家庭の方も、情報提供とあわせて、スマートメーターやスマートグリッド、あるいは変動型の電気料金の必要性に関しましても理解が進んでいるところでありますから、急速に、日本は、アメリカを追いかけて、現在ほぼ並びつつある状況であります。

 そういう意味においては、危機が起こるのが十年おくれましたが、アメリカに今キャッチアップをしているところだと思います。時間はかかりますが、並んでいくと思います。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 依田参考人にもう一点お伺いしたいと思います。

 今度は、日本の強みというところを教えていただければと思います。

 依田参考人の御説明ですと、アメリカではピークカットに力が注がれているように思うんです。それに対して、我が国では、太陽光などの再生可能エネルギーを用いて、蓄電池を活用するなどしてスマートコミュニティーを進めていて、その中で需要をコントロールしていく、こういうようなエネルギーマネジメントが進んでいるのではないかという印象を受けました。

 今後、エネルギーマネジメントを全体として、インフラパッケージとして海外に展開していく、産業競争力を高めていく、こういうのは国家としても当然に担わなければいけない役割でありますけれども、我が国が持っている比較優位とはどの辺にあるのか、そして、これから私たちはどういう方向感でエネルギーマネジメントに力を尽くしていけばいいのか、御教示いただければと思います。

依田参考人 御質問いただき、どうもありがとうございました。

 大変重要な質問でありまして、きょう、私としても、国会の先生方、あるいは小宮山前東大総長がおられる中で、非常に一番力を込めて言いたいところでございます。

 私は、フルブライト財団と経済産業省の御支援で、京都大学を一年お休みをいただきまして、二〇一一年の夏から二〇一二年の夏まで、アメリカ・カリフォルニア州のUCバークレー校と、アメリカ・エネルギー省附属のローレンス・バークレー国立研究所におりまして、そうした研究をさせていただきました。

 率直に申しますと、スマートメーターの普及であるとか、それに基づく経済学的な社会実験に関しては、アメリカの方が十年間はるかに進んでおりまして、私、日本の経済学者としてじくじたる思いで、とにかく一年でアメリカの十年に追いつく、そういう目標でやっておりました。

 実際、日本が今進めている四地域の社会実験に関しては、国際標準的なやり方で国際標準的な結果が得られておりますので、ほぼその目的は達せられたと思います。

 他方で、日本の産業界を鑑みまして、どういったアドバンテージ、メリットがあるか、ただいまの御質問に関連しまして、ずっと一年間、目を皿にして見てまいりました。それで、ありました。

 特に、アメリカの産業界になくて日本の産業界にあるのは何かといいますと、先ほど参考人の先生方からも何回か出ましたが、ハイブリッドも含めたプラグイン型の電気自動車、そうした自動車に関しては日本の自動車メーカーの方がはるかに進んでいて、アメリカがそうしたスマートホーム型の社会実験、技術実験をやっている中において、日本のメーカーの参画が不可欠になってきている、そういうことが確かにあって、アメリカもそこに関しては認めておりました。

 そして、日本ではそうした意味において、四地域、横浜や豊田を中心として、プラグイン型の自動車を一つの蓄電池として充電や放電の中でスマートメーターに連携して、そしてそれをスマートグリッドとして社会で需給を融通し合う、そういう技術実験、社会実験をして、輸出可能なインフラとしての政策、施策を打っていた。これは逆に、私が日本に帰ってきて大変感銘を受けたところでございます。

 ですから、日本は、震災で大変な危機で、苦しみを味わっている中でありますが、この苦しみの中で、むしろ国富を高めていくような施策で、守りから攻めに転じることが必要でございます。

 今言ったようなプラグイン型の自動車というのは日本が誇るべき財産でございまして、これをスマートホームという形でハウスメーカーや建材メーカーと協力をして、世界一、電力需給に関しては、むしろ、単に節電するだけではなくて創電をしていく、ネガワット的な発想も含めてインフラとしてまとめ上げていって、国際的に、アメリカやヨーロッパの先進国もさることながら、特に東南アジアのような途上国に大変ありがたがられる技術でございますので、ここのところでしっかりと国として一体となって攻めていくところがアドバンテージだと思います。

 以上でございます。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 次に、小宮山参考人にお伺いをさせていただきたいと思っております。

 省エネ住宅、暮らしのエコ化というのは、エコロジーという意味だけではなくて、先ほどからお話があったように、エコノミー、経済的に、財布にも優しい、こういう面があるかと思います。

 参考人の御意見にもあったように、エアコン、冷蔵庫などは、十年、二十年前のものと比べると電力使用量は半分から五分の一にもなる、こんなようなことがある。当然、電気代も安くなるかと思うんですが、現実には、導入するときの冒頭のイニシャルコスト、これが高くて、なかなか実際は進んでいないという現実もあるんじゃないかと思います。

 言ってみると、心理的な壁というんでしょうか、心の壁のようなもの。例えば、ダイエット一つやるにしても、ツイッターやフェイスブック、人とつながってやるとどんどん進んでいくなんという報告もあるぐらいです。

 このイニシャルを超えていくような、心理的な壁を突破していくような方法、仕組みなどで、参考人がさまざまこれまで取り組まれてきた中から得られた御意見がありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思っております。

小宮山参考人 大変重要なポイントだと思います。

 特に高いもの、太陽電池とかリフォーム。先ほど山川参考人がおっしゃった、窓を後からつけるというようなことは割合高い。冷蔵庫なんかは、動かすのも簡単ですし、それほど高いものではございませんので、これは人々が気がつけば、大体十年から二十年たった冷蔵庫は取りかえた方が数年でお金が取り戻せる。それはリサイクルされますので、地球のためにも悪さはしていない。むしろいいことなので、それは気がつけば進むことだと思います。

 ただ、太陽電池なんかはやはり、私が買ったときには二百三十万円しましたし、今は多分百万円の前半だと思いますけれども、これは高い。特に家を建てるとき、お金持ちは知りませんが、大概、借金でぎりぎりなんですね。残り、あと百万円、あと二百万円というのが意外と出ません。

 だから、この場合には融資だと思います。融資は、別にどこがしてもいい。今ですと、恐らく五年、六年、七年、こんな程度の期間で電気代で償還できますので、六、七年たったら、償還が終わったら差し上げてしまうというモデルが十分に成り立つわけです。その融資はどこがやってもよろしいんですね。もちろん国がやってもいいんですが、最近は、ハウスメーカーがそういう形をとっていることもございます。

 だから、今、心理的とおっしゃったところを、それこそツイッターとかSNSというようなものを利用して、みんながどうやって理解を深めていくかという問題と、大事なことは、省エネ、あるいは太陽電池といったようなものはコストを回収できる初期投資ですから、ただ、企業なんかの初期投資というのは、大体三年から六、七年ぐらいで回収できるところに投資してビジネスをしていくわけですが、もう少し時間のかかる投資なものですから、そこをどうやって負担していくかという観点が重要かと思います。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 次に、狐塚参考人にお伺いをしたいと思います。

 参考人の資料の中でも、高断熱住宅の健康維持効果は非常に大きい、ぜんそく、アトピー、アレルギーの改善率も高い、こういう指摘があります。小宮山参考人からも同じような御指摘がありました。消費者から見てもいい話であるわけですが、これは、はっきり言って、なかなか見えない事情でもあるわけですね。さらに、断熱材などの建材ということになりますと、完成した建物の中でも目に見えない場所に設置される。これは、新築でもリフォームでも同じということになるわけです。

 そこで、この見えない断熱材等を普及促進していくために、国や行政としてどんな後押しをしてくれたらさらにこういうものが効果的に進むのか、事業者の立場から御意見がありましたら、ぜひお聞かせください。

狐塚参考人 確かに、断熱のよさというのはなかなか実感してもらえないんですね。

 それで、私どもも、先ほどちょっと御紹介しましたアクリアという新商品を売っていく中で、どういうことをしようかと考えたわけです。

 一つは、やはり見えないものをぜひ見てもらおうというような意識で、私ども非常に小さな会社ですけれども、テレビのコマーシャルを始めました。逆に、家を持っている方が、そのコマーシャルを見て、展示場へ行って、アクリア使っていますか、こんなことを一つのきっかけにしたいということで、二年ほど前から少し始めています。そういった意味で、ぜひ注目していただきたいという活動を少ししております。

 それから、もう一つは、我々も高性能の断熱材をつくっていくという使命を持っていますので、そういった意味で、例えば、高性能のそういう商品に対して、それを使うと何らかのインセンティブがつくとか、そんなことがわかれば、今ハウスメーカーさんは非常に収益の面で厳しいということを言っていますので、そういったところのサポートになるかな、そんなふうに考えております。

 我々自身は、テレビのコマーシャルのほかに、そういう制度ができれば、何らかの表示をして、ホームページ等でアピールしていきたいなというふうに思っています。

 いずれにしましても、以前に比べまして、やはりITの普及ということで、ホームページを訪れる方というのは非常にふえています。ですので、時々、一般の施主の方が、現場を見ていて、こんな使い方をしていましたけれども問題ありませんか、そんなような時代にもなっていますので、少しずつではありますが、そういった見える化を含めて努力をしていきたいなというふうに思っています。

 何らかの施策があると、非常にありがたいなというふうに思います。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 次に、山川参考人にお伺いをしたいと思います。

 先ほどのお話、見える化が消費者の行動につながるんだというお話をいただきました。参考人がお書きになった論文なども読ませていただくと、この見える化の工夫、さまざまに御指摘をしておられました。

 省エネラベルみたいなものも、電気屋さんへ行って見ても、それですぐ買うかというと、効率の高いものは値段も高かったりして、なかなかすぐそれが消費行動に結びつかなかったりしている。

 例えば、この委員会でも、HEMSとかBEMSとかという難しい言葉がいっぱい飛び交っているんですけれども、実際、消費者の皆さんと話をしようとしたときに、それは何だという話になって、全然訴求力のない話になってしまうんですね。

 どんないい話も、相手に通じなければ何の意味もない。そういう意味で、さらにもう一歩、参考人の知見をいただきたいんですけれども、見える化を進めるため、省エネの消費行動を進めるため、さらにこういう工夫をするべきじゃないか、こういう御提案をいただければ大変助かります。よろしくお願いいたします。

山川参考人 おっしゃるとおり、省エネ性能の高い機器が店頭にあったとして、これを買うといいということがわかっていても、今まとまったお金がないというようなことは確かにあると思います。そういう意味で、なかなか訴求は難しい面も確かにあると思います。

 御質問の中で、家庭の省エネに関して、消費者の行動を進めるための見える化のところでの工夫ということでありまして、申し上げますと、やはり今までのいろいろな方面からの情報提供というのが、残念ながらちょっとわかりづらいところがあるというのが日々私が感じておることです。

 先ほどのお話にありましたような、例えばHEMSとかBEMSとか、いろいろな新しい概念とか、いろいろなものが出てきておりますが、それをかみ砕いて、消費者の方に本当に納得していただく形での御説明というのが、いろいろなところからあるものの、なかなか十分ではないというのが、私が日々非常に感じているところです。

 そういう意味で、メーカーや、住宅に関しては工務店さんなどからの、情報を発信するときの伝え方の工夫をもうちょっといろいろな方面から研究して、どうしたら伝わるか、私は伝える省エネではなくて、伝わる省エネの仕事をしておりますが、その辺について、もう少ししっかり検討をする必要があるかなというのが一つでございます。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 持ち時間がやってまいりました。参考人の皆様には、丁寧に御回答を賜りましたこと、心より御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹でございます。新人でございます。

 きょうは、参考人の皆様にお越しいただきまして、貴重な御意見、お話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。心より感謝を申し上げます。

 私も、今回、国会議員にならせていただきまして、エネルギー政策を勉強させていただきました。その中でも、本当に、省エネルギー政策というのが最大の電源だということで、私自身も、まだまだ勉強したての段階ですけれども、そのような認識、理解をしております。

 その中で、本日、小宮山参考人から初めにお話をいただきましたけれども、断熱性、これが非常に重要なポイントになるんだ、これは単にエネルギーだけではなくて、健康状態に関しても、改善の意味でも重要だし、または、文献の中では、騒音防止、こういったものも含めて重要なんだということ、また、狐塚参考人の文献に、ヒートショックの防止にも資するんだということが書かれていました。

 先ほど宮崎委員の方からも出ていましたけれども、そんなに物すごい効果があるものなのに普及していないというような現状がある。きょう、さまざまな参考人のお話を聞いて、皆さん、驚いたり感動したことがあると思うんです。こんなにも断熱性というのは効果があるのか、これがキーじゃないかというふうに思われた委員も数多くいると思うんですけれども、その中で、ただ普及していない。

 これは、先ほど来出ているように、情報提供に非常に問題がある。

 私も弁護士としてこれまでずっと働いてまいりまして、そのときに感じてきたことが、例えば経産省でもさまざまな中小企業の政策とかがある、福祉政策もある、だけれども、弁護士に、私のところに相談に来られる方、ほとんど知らないんです。物すごい数のいろいろな法律があったとしても、最後の最後、弁護士のところに相談に来るなんて敷居が高くてなかなか行きたくない、それでもどうしようもないから来る。そのときに初めて、そういうような法律があったということを知る方がいらっしゃる、そういう現実があります。その中で、情報提供の仕方に問題があるということがあると思うんです。

 小宮山参考人にお伺いしたいんですけれども、いろいろなところに今まで講演に行かれて、どこに情報提供の問題があって、また、国としてどのような後押し、バックアップをしていけばいいか、御見解をお伺いしたいと思います。

小宮山参考人 ありがとうございます。

 情報提供、あるいは情報の共有ということに関しましては、メディアもございますし、先ほどほかの参考人もおっしゃっているようなさまざまな方法があると思うので、総力を挙げてやるべきだと思います。

 ただ、やはりそれぞれ、どこが何をやるべきかということはございます。国が何をやるべきかというのは、やはり法律だと思います。法律、制度。行政としては、例えば補助金とかそういうことがあるわけですが、やはり法律をつくっていただきたい。それで状況を整えていただきたい。まず、これを通して。それで、私は法律のことを中心に申し上げたんです。

 その次にやるべきことは、義務化です。やはり、建築基準法の断熱基準を義務化する。これは決して無理強いするわけではなくて、そのための条件として、省エネというのは個人が幸せになることだし、お金も回収できるんだし、国の産業もよくなるんだし、損する人はいますけれども、やはり日本全体としてはよくなることなんだから、義務化していく、そこがやはり国としての責任だと思います。

 ですから、情報の共有のためにやるべきことは、やはり何といっても、情報革命の真っただ中に今我々はおりますので、若い先生方に、ITでどうやってこういう情報を伝えていくかということをぜひお考えいただきたいと思うんですが、それはプラスアルファであって、やはり先生たちの義務は制度をつくること、法律をつくること、それで必要なものに対しては規制を緩和すること、それが義務であろうと私は思います。

 私は、大学人、あるいは今シンクタンクにいる人間の義務として、そういう活動をしてございます。

富田委員長 國重君、許可を得てから発言してください。

國重委員 はい。

 ありがとうございました。しっかり私もやってまいりたいというふうに思います。

 続きまして、依田参考人と山川参考人にお伺いしたいと思います。

 先ほど依田参考人も、やはり家庭に優しい省エネということをおっしゃられました。依田参考人は、非常に学術的な観点、また実証的な研究をされて、さまざまなところを見られていると思います。

 また、山川参考人は、実際に現場のお声をたくさん聞いているということでお伺いしましたけれども、その中で、やはり無理なく家庭に優しい省エネというところで、どのような点が今後ポイントになってくると思われますか。

依田参考人 どうもありがとうございました。

 私、経済学者として、こうした社会実験を経済産業省と一緒にやらせていただく中で幾つか勉強になった点がございますので、それをきょう、一つ二つ、参考意見として述べさせてもらいます。

 一つは、経済学者として、ダイナミックプライシング、変動型の電気料金を入れるときは、あるときはめり張りをつけて、実際に費用が高くついているわけですから、それに合わせて価格も上げさせていただきますが、そのほかの、夜間であるとか、夏と冬を除いた春と秋は思い切って料金を下げさせていただく、これを、片仮名用語になりますが、レベニュー・ニュートラリティー、収入が中立的であるという条件を加えまして料金を設定していますので、そこで節約、節電の努力をすれば、必ず五%から一〇%家庭がお支払いを減らせるはずだ、だから家計に優しいダイナミックプライシングだと言ってまいりました。実際に、そのような効果が得られております。

 ここは、私がよかったと思う点なんですが、一つ残念だった、いや、大いに反省しなくちゃいけない点が、実際のタウンミーティングで北九州などに行ったときにございました。先生の言うとおりに、確かに、そうやってやれば我々も頑張って節電するし、それによって家計にも優しかったのでうれしかったけれども、やはり電気料金が主に上がるような情報ばかりだとだんだん暗くなってくる、気がめいってくるという御意見が家庭の主婦からありました。

 それは、やはり経済学者として至らなかった点だなと思って反省したところであります。例えば、こうやって頑張って、世の中、社会全体で皆さんの頑張りがどう貢献したのかとか、あるいは頑張ってくれることによってどういうメリットがあるのかというのを、もう少しエンターテインメント性を入れて情報提供する、あるいは価格が上がるという情報だけじゃなくて、そのほかにもちゃんと役に立つ情報を、スマートメーターとあわせて、ホームディスプレーや、あるいはウエブを通じて提供することが重要だったなと思っておりまして、そうした知見を今後も生かしていく必要があるのではないかと思いました。

 以上でございます。

山川参考人 無理なく省エネをやるポイントということでの御質問と理解いたしました。

 幾つかあると思うんですが、まず、家庭の中で行動によって行う省エネの中では、誰もいない部屋の照明を消す、エアコンの使用時間に気をつけるというような、日々考えて行動するものだけではなく、先ほど私の説明で申し上げましたが、例えばテレビの明るさをちょっと落とすだけで省エネになるというような、いわゆる設定に関するものとか置き場所によるものとか、そういうものでの効果が得られるものがたくさんあるんです。ですが、残念ながらそこの部分に関してはまだまだ訴求が足りていないと思います。

 一昨年、昨年の夏冬の節電行動について、幾つかの調査機関などの、実際に御家庭でどういうことに取り組んだかというような調査結果も見ておりますが、今申し上げたような、日々行うような、ともすれば無理につながるような節電行動の実施率は高いのですが、設定によるもの、それから置き場所によるものというような、実は手間が一回で済むような節電行動の方が実施率が低いというような結果が出ておりました。ですので、その辺をもうちょっと広く訴求していくというところがポイントの一つかなというふうに思います。

 それから、今、依田先生もおっしゃいましたけれども、御家庭の方にとっては省エネだけを考えて毎日過ごすわけにはいきませんので、やはり楽しいとかお得とか人の役に立っているとか、もうちょっと生活実感のある、メリットの部分でのものが何かあるというのが非常に大事なポイントだと思います。

 あともう一点は、自分が節電をした結果、省エネをした結果どうなったか、自身の家の中での結果は確認ができるんですが、よそと比較してどうなのかというのが、残念ながらまだそういうシステムなどが不十分だと思います。そもそも、我が家の電気代はよその家より高いのか低いのか、その辺のことがわかるようなツールはそんなにまだ充実していないと思います。

 そして、節電をした結果、この地域で私の家が一番節電を頑張ったとか、そういう他との比較というものも、意外と人の心理としていい影響、プラスの影響を及ぼすものだと思います。恐らく、スマートメーターの普及などでそういった情報提供も可能となると思いますので、その辺も期待をしております。

 以上です。

國重委員 依田参考人にお伺いします。

 スマートグリッドが非常にいいものだというようなお話、またいろいろな文献にも書かれて、読ませていただきました。ただ、非常に日本は欧米に比べておくれていたということを先ほどもお話しいただきましたけれども、その原因というのはどこにあって、また、それに対して、一年で追いつくんだということで取り組まれてきたということですけれども、その課題を乗り越えてより前に推し進めていくために必要なことは、どのようなことになるでしょうか。

依田参考人 どうもありがとうございます。

 スマートグリッドに対しては、御質問のとおり、日本としても、震災前に関しては、普及、あるいは政策的な方向性としては、前向き、積極的なものではございませんでした。

 その理由につきましては、皆様が御承知のとおり、二〇一一年の三月十一日前に関しましては、日本の電力の質は世界一安定的ですぐれたものでございましたし、改めて家庭に対してスマートメーターを導入して、細々と節電や省エネに協力をしてもらうような状況でなかったことが最大の理由であったと思います。

 スマートグリッドが非常に求められているのは、ヨーロッパではイタリア。イタリアの場合は、例えば電力が途中で電線から盗まれていくような状況、イタリア以外の国もありますが、そういう状況もありましたし、あるいは、アメリカに関しては電力危機が制度設計の失敗でカリフォルニアで起こったりしたのが、アメリカ、ヨーロッパでスマートグリッドが最大に求められた理由でございます。

 それに関しては、日本は、震災後初めて電力が足りないという社会的な危機に直面して、そこから今駆け足で、電力会社を初めとして、国としても、民間も一体となってやっているところでありますが、多少のおくれはやむを得ないと思っております。

 しかし、その中で、先ほどからも話に出ておりましたが、日本は、ハウスメーカー、あるいは自動車会社、家電メーカー等で、個々のコンポーネント、機器としましては、大変すぐれた技術を持っておりますので、この社会的な危機を一つのばねとして、逆に言うと、日本が世界でおくれていたにもかかわらず急速にキャッチアップしてむしろ追い抜いていくような、スマートグリッドバージョン一ではなくバージョン二、自動で、ちゃんとした、家庭に無理なく節電や省エネを実現できるような、新しい技術的な裏づけのあるようなスマートグリッドを実現するために、この十年間はおくれましたが、次の十年ではリードできるような国の施策が重要ではないかと思っております。

 以上でございます。

國重委員 ありがとうございました。

 では、もう一度、小宮山参考人にお伺いします。

 きのうの日経新聞を読ませていただきました。「プラチナ社会とスマートシティ」ということで、基調講演の内容の要旨だと思いますけれども、掲載されておりました。プラチナ社会のために、スマートシティーは非常に今重要な要素になるんだということで訴えられておりました。

 昨日、僕らの一歩が日本を変えるということで、高校生百人が国会に来まして、我々国会議員何人かといろいろな懇談をしたりしたんですけれども、私も昼食会に参加させていただきました。

 東北の被災地の女子高生もその中にいたんですけれども、今後の東北の復興のことを本当に非常に深く悩んで、また考えておりました。高齢者の方のお声というのはよく聞くけれども、高校生の声というのはなかなか聞いてくれない、学校でも高校生同士は、やはりフラッシュバックするのでなかなか言わないと。でも、やはり東北をこれから支えていくのはそういう若い世代だということで、彼らに対して夢とか希望を持たせてあげないといけないというふうに、きのうも強く思いました。

 小宮山参考人は、例えば学校のエコ化をするんだとか、斬新ないろいろな提案をされています。その中で、スマートシティーという観点から、東北のイノベーションに結びつける、こういうようなことをすればいいんじゃないか、そうすると東北が復興するんじゃないか、この質疑に関してもインターネットで見られるということで、もしかしたら後で見るかもしれませんので、子供たちに希望を持たせられるような何か御提案があれば、お伺いしたいと思います。

小宮山参考人 大変ありがとうございます。

 まず、どうやって少年少女に夢を持ってもらうか、これが基本であるということは全く同感でございます。それの答えは、我々自身が夢を持っているかどうかということと同じだと思います。

 私は、我々の夢は一体何なんだろうというふうに考え続けております。その答えがプラチナ社会ということですが、これはどういうことかと申しますと、個人の側に立ちますと、今、先進国で、もうほとんど量的には我々は持つものを持ったんですね。衣食住、基本的には持っております。それから、車は二人に一台で、大体、二人に一台持つと飽和いたします。みんな持っております。それから、端末、情報を持っております。それから、長寿ができるようになりました。歴史的には、大体、一九〇〇年で世界の平均寿命は三十一歳ですから、長寿というのはまさに豊かな人たちの特権なんですね。

 衣食住、移動、情報、長寿、こういったものを量的に持ったというのが二十一世紀の先進国の特徴であって、それが今急速に世界に広がっていっている。持ったときに、その後、一体何を夢として持つんだろう、ここが一番の本質だと思います。

 それは、量を持った上で質を上げていく、そこに我々の今後の夢もあるし、産業の種、今、成長ですね、金融と財政だけやっていて成長が伴わなければ、インフレになるだけですから、やはり成長できるかどうかですね。その成長というのは、やはり質を求めていくことなんだと思うんです。

 それで、今、例えば、衣食住の住で申しますと、山川参考人の方から、明らかに住のクオリティーが上がるんだということを御説明になられたわけですね。雨露をしのぐ家は持ったけれども、そのクオリティーをどうやって上げていくんだ、ここに我々の幸せもあるし、新しい産業も起こってくる。

 さまざまなところ、例えば、今、中国のGDPがふえておりますけれども、PM二・五の問題が話題になっております。日本は、あれはもう既に克服したんですよ。そして、生態系も相当取り戻してきてございます。多摩川には、去年、アユが千百万匹遡上いたしました。これは、中国の今と比べれば全く違うところで、そういうところに恐らく夢、クオリティーに対して僕らが夢を持てるんだと思うんです。それで、我々が夢を持てば若い人は持つというのが私の基本的な立場でございます。

 大変いい質問をどうもありがとうございました。

國重委員 ありがとうございました。

 私も、今お話しいただいたようなこと、特に、現政権、東北の復興なくして日本再建なしということで力強いメッセージを出していますので、それを何とか被災地の方に結びつけて、しっかりとスマートシティーの社会を築いていけるよう頑張ってまいりたいと思います。

 本日は、参考人の皆様、本当にありがとうございました。

富田委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党衆議院議員の大島です。

 きょうは、小宮山さん、依田さん、狐塚さん、山川さん、参考人の皆さんには、御意見を聞かせていただきまして、本当に参考になりました。今後の質疑に、来週の水曜日もこの委員会で最終日の質疑があるものですから、それに生かしていきたいと思います。本当にありがとうございます。

 先ほど皆さんのお話を伺いながら考えたのは、私は、昭和五十六年、一九八一年に鉄鋼会社に就職をして、ずっと省エネとか合理化に従事してきました。日本の経済を見ると、どうして私たちが輸出をしなければいけないのかというと、やはりエネルギーと食料だと思うんです。昭和五十六年、一九八一年以降、まだ人口もふえ、生産年齢人口もふえましたから、さまざまな社会資本整備をするために輸出をし、外貨を稼ぎ、社会資本整備をするための原材料を輸入していたのがこれまでだと思うんです。

 今から二十一年前のエネルギーの輸入金額は七兆円だったと記憶をしていまして、おととしが二十二兆ですから、十五兆円分、日本の国富が失われていると私は考えていまして、ここのエネルギーコストをゼロにすると物すごく豊かな国になると思っていて、ずっと鉄鋼業の輸出に従事していたものですから、これをできるだけゼロにしたいと思っているんです。

 そうすると、安全保障も、あるいは国の豊かさも格段に飛躍すると思っていて、貿易収支は残念ながら赤字で、経常収支も、ことし締めてみないとわからないんですけれども、赤字基調が続くとすれば、我が国の国富がどんどん外に抜けていくわけですから、今回の省エネ法、あるいは国全体としての省エネの考え方はもっと加速する必要があると思っているんです。

 冒頭、小宮山先生に伺いたいのは、十年前に、御自身の住宅をできるだけエネルギーの効率を上げる住宅につくってみようと試みられたきっかけの前提となる哲学について伺いたいと思います。よろしくお願いします。

小宮山参考人 こんなところで哲学を話させていただくというのは、大変光栄というかあれなんですが。

 私は、エネルギーはライフワークの一つでございます。それで、ずっとやってまいりまして、一九九九年でしたか、岩波新書に、「地球持続の技術」という形で、エネルギーと物質、今先生、鉄鋼ということをおっしゃった、鉄あたりの未来も含めてまとめてあります。

 その中で、一番重要なのが省エネルギーであるというふうに確信いたしておりまして、もうそれこそ、鉄鋼の省エネルギーのようなことは日本が先頭を切って相当進んでおります。理論値との乖離というのも相当小さくなってきております。

 一方、私が日々の暮らしと呼ぶところのエネルギー需要というのは先進国でどんどん膨らんできて、途上国も急速にそれを追っかけているわけでございまして、ここのところを減らすということを理論的、技術的、経済的に一生懸命考えてきたというのが私のあれであります。そのときに、一生に一回ぐらい新しい家をつくるチャンスがあるわけで、それが十年前に、私のチャンスで、それをやはりアクションとして示してみようということであります。

 かつては、社会も単純な構造をしておりましたので、論文を書いて、いい論文であると、それが社会にすぐ実践されるという状況がございました。しかし、どんどん社会が複雑になってきておりまして、我々の書く論文もだんだん範囲が一つ一つが狭いものになってきて、なかなか我々の考えることが実現いたしません。

 では、どうやって実現するかというと、少なくも、一つはアクションだ、アクションとして示していって、それを見るというのは論文よりはるかにわかりやすいですので、そういうためにやはりやってみようと。特に、私のように、親から何の資産も受け継いでいなくて、悪いことをしない大学の教授ですので、お金があるわけないわけです。そういう人間がそういう家をつくれるということになれば、きっと一つのモデルになれるんじゃないかというふうに思って、実行したということでございます。

 大変どうもありがとうございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 先ほどの続きなんですけれども、今後の日本の社会というのは、生産年齢人口はもう十年ぐらい前から減り続けておりまして、あと五十年ぐらいすると、今の半分ぐらいに落ちていくわけなんです。

 そうすると、これまでの、社会資本整備の充実のための輸出、そして、エネルギーコストを落とすという観点から、今のこの豊かさを維持するという観点で、できるだけ、省エネ、エネルギーを使わない社会にしていくということが必要だと思っていて、今、小宮山先生のお話を伺いながら、私たちの日本社会は、住宅についてはイメージが湧かないのかなと思っているのです。

 一回海外駐在、特にヨーロッパあるいはアメリカに駐在したことがあると、日本に帰ってくると、こんなに俺のうちは寒いのかみたいな、実感としてそういう比較ができるのです。車も比較できますよね、日々ガソリンを入れていますから。旅行は、遠くのヨーロッパとかアメリカまで行くというよりも、東南アジアが非常に多いものですから、住宅というのがなかなか比較できないので、イメージが湧かないと思うんですね。

 本来であれば、省エネをした住宅は、住みやすくて、エネルギーコストも低くて、先ほど皆さんから御指摘のあったとおり、病気にもならなくて長寿にも非常に貢献するというイメージがなかなか湧かないところに、省エネ住宅とか、特に住宅関連の省エネ化が進まないことがあるのかなというお話、そういうことを気づかせていただきました。

 そうすると、小宮山先生、先ほど質問に、要は、政治の仕事は規則、法律をつくることだというお話をしていただいて、皆さんの話を伺っていると、今までは、ある程度トップランナー方式で、自主的に期間を設け、徐々に削減してきたのを、もう少し強制力を持たせた方がいいというように受け取れるんです、今の時代は。ちょっと時代が変わってきて、もっと加速しないと我が国の国富が海外に流出していくという前提に立てば、もっと規制を早めた方がいいのではないかというふうに受け取ったので、その点について、小宮山さんと依田さんにちょっと御所見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

小宮山参考人 おっしゃるとおりだと思います。

 ただ、一つは、トップランナー方式というのは非常にいい制度で、これによって、部材の効率、例えば窓、私の使った十年前の窓と、今のエコガラスと言われているような窓は、大体二倍ぐらい性能が既に向上してございます。十年後にはそういう部材の効率が上がっていく。ここまではトップランナー方式でいくわけでございます。そうすると、コストが下がってくるわけです。

 そうすると、逆に言うと、建築基準法で、これはただ、新築の話になってしまうわけで、新築の住宅に関しては、義務化するということは、そうでないと建築許可がおりないわけですから、そういう形で、家自体のものが進んでいくということになると思います。

 同様に、リフォームに関しても、先ほど山川さんがおっしゃった、内側にもう一つ張る、あるいは窓ガラスを一枚ガラスを二枚ガラスにするという工法はできているんですね。これも、トップランナー方式で普及させて安くしていくということにして、同時に義務化ということを進めていけば、それが普及されるということで、御質問のお答えとしては、トップランナー方式としては絶対にやるべきである。この法律は、ともかく早く通すべきである。

 その上で、さらにもう一歩。先ほど旭ファイバーの方からお話しいただいたように、ほかの国と比べて日本の基準は緩いんですから。新基準と言われても、非常に緩い基準です。それを早く国際並みにもっと厳しくして、義務化を同時にやっていく。僕は、それで産業も育つし、日本人の暮らしもよくなるというふうに思います。

依田参考人 どうもありがとうございます。

 二つの点について回答させていただきたいと思います。

 まず一つは、経済学者として見て、トップランナー方式が非常にすぐれたやり方であるということ、もう一つは、日本の家というものが、世界的に見ても、今後、輸出も含めて非常に大きな可能性を持っているということについて述べたいと思います。

 まず、トップランナー方式なんですが、これは、経済産業省が導入したときに、非常に先見の明があった。経済学あるいは経営学の観点からも、民間活力を非常に上手に引き出すやり方であって、今日の経済学の、情報の経済学という視点から見ても非常にすぐれたやり方であり、これをもう少し範囲を広げていってもいいのではないかという考えを持っています。

 例えば、その対象として例を挙げますと、電力産業に関して、従来は公正報酬率規制として政府がコストを一つ一つ項目を取り上げて料金の設定や、あるいは発電所の許認可に関しても携わってきましたが、それについては大変な苦労がかかるということ、かつ、民間の方は、そうした箸の上げ下げにかかわるような行為規制がかかってきますと、どうしても防衛的な発想で事業計画を立ててしまう。

 他方で、こういうトップランナー方式はインセンティブ方式と言っておりまして、政府の方は、企業の行動であるとか情報に対して特別の情報を持っていなくても、目標をある意味自発的に民間に定めてもらって、そこのところをいろいろなプレーヤーが競争し合いながら誰が先にゴールを切るかというところで競ってもらって、その結果を事後報告いただくものですので、経済理論的にも、そういったようなやり方をとると、最も効率的で、しかも政府の方も、格段の情報の完全性がなくても社会的にいいインセンティブを与えるということが一部かなり証明されてきています。トップランナー方式は非常にすぐれていて、このやり方を量的、質的にももっともっと増していくことは可能ではないかと思います。

 そして、日本の家に関してですが、先ほど御質問にもありましたが、アメリカやヨーロッパから帰ってきますと、非常にある意味、まだ劣っている点もありますが、すぐれている点もあります。コミュニティーの安全も含めまして、ある意味では、アメリカのセントラルヒーティングに比べて、日本の方は、各家庭が、各部屋がエアコンを持っていて、しかもそれは非常に高効率であって、そういう点に関しては日本の方が省エネ効率が進んでいる点もあります。ただし、逆に言うと、スマートグリッドという形でスマートメーターで結ばれるという意識に関しては、日本の方が省エネでは進んでいるという、ある意味プライドや自意識もありましたので、おくれてしまった点もあります。

 今回、震災が、非常に残念なことではありましたが、ある意味契機となって、日本のすぐれたところをネットワーク化していって、省エネ、節電という形で社会的な危機に立ち向かうことによってこの問題を解決できれば、先ほども申し上げましたとおり、先進国のみならず、発展途上国に対してもいいモデルとして日本がプレゼンスを保つことができます。

 そうした形で、今は守りの状況ですが、ある段階で攻めに転じて国富を獲得できるように、日本はまだ資源が乏しい国ですから、輸出をしていけるような、いい製品化ができるということが重要かと思っております。

 以上でございます。

大島(敦)委員 続きまして、狐塚さんに伺いたいんですけれども、先ほどの説明資料も非常にわかりやすくて、ありがとうございました。

 こういう技術革新というのは、本当に技術者にとっては日々プレッシャーもかかるんですけれども、楽しい領域でして、その中で、我が国の住宅等の断熱性能は、欧米に比較すると半分ぐらいだと思うんです。今後、住宅部門の省エネ化の余地は、既設の住宅も、これから新しくつくる住宅も、ふんだんにあるかと思うんです。

 その点についてどのようにお考えなのか、今のお考えを伺わせてください。

狐塚参考人 やはり、豊かな社会ということを考えたときに、住まいの中を快適にするということは非常に皆さんが欲している要求だと思うんですね。そういった意味で、なかなか普及しないとはいっても、新築も、それからいわゆる既存住宅も、少しずつ変わっていくだろうというふうに思っています。

 実は、そういう意味で、これは私どもの会社の考え方として、今の最高レベルの基準ができたのが一九九九年だったと思いますね、この前後に、先の需要がもっとふえるだろうということで工場をつくったんですね。その当時は、百六十万戸が少し落ちてくる、こういう状況だったわけです。

 ところが、全然普及しないわけですね。我々はガラスの溶融炉なものですから、一つ窯をつくりますと、大体十三年ぐらい動かすわけですね。ところが、つくりました、遊んでいますと。それで、やむにやまれず、二年でとめてシャットダウンした。そういう経緯をちょっと持っていまして、そういう意味で慎重にならざるを得ないところがあるんですね。

 そういう中で、たまたま、こういうCO2の問題から、気候温暖化の変化から、世界的に省エネというのが見直された。日本では、まだその熱意が少し低かったと思うんです。それで、百万戸の時代になる、それがもっと下がるだろう。

 そういう中で、もしこれが義務化になったら、どのくらいの量になるんだろうか。当然、メーカーですから、そういうことを考えながらやっているわけですね。今、例えば、すぐ義務化になったとしますね。そうしますと、八十万戸であれば工場を一つつくってもいいかなとか、逆に言えば。それは、新築の用途だけを見ている話です。

 そういった意味で、我々メーカーとしては、これはぜひお願いしたいんですが、こういう断熱の問題というのは、やはり中長期にかかわる考え方だと思うんですね。

 我々は、毎年ヨーロッパの連中と協会同士で交歓会をやるわけですが、ヨーロッパあたりは、二〇五〇年にどのぐらいのレベルにしようか、こういうことから、今をどうするというロードマップをつくっているわけですね。そうすると、三年ごとに基準を上げていこうと。

 先ほどイギリスのゼロエネルギー住宅の話を少ししましたけれども、イギリスは二〇一六年に義務化だ、では、フランスは二〇二〇年ですねとか、各国がそういう工程表を、日本も去年工程表ができていますけれども、もっと緻密な、長期にわたる考え方が出ていますから、メーカーもそれに応じて、技術革新も含めて、そういう増設とかいうことが考えられる。

 逆に言えば、少子化で、いわゆる住宅産業とすれば新築は減るかもしれない。ところが、リフォームを考えたり、それから、部位によって、我々のような断熱の分野であれば、まだまだ需要があって、我々も国内で随分、投資を含めて雇用を確保したりとか、つなげることができるんじゃないかなと私は思っています。

 それから、日本の住宅の特徴で、やはり、できるだけ物を使わないような家にしようと。先ほど、厚みの話をしましたね。昔、三十、五十五、百ミリという話をしました。屋根が百八十とたしか数字が入っていたと思うんですが、ヨーロッパの人は、余り技術革新をせずに、ただ厚みだけをふやしているんですね。ですから、屋根というのは三百ミリぐらいのものをヨーロッパは使っているわけです。それを、今度四百にしようかとか、そういう計画を立てるわけですが、我々は、逆に、厚みを変えずにいかに薄くできるか、そういう開発もやって、二ミクロンを今やっていますよというお話を申し上げました。

 それから、我々はグラスメーカーですが、五種類の断熱材をつくっていまして、真空断熱材、いわゆる十ミリぐらいでも性能が十倍にできるとか、その商品は今冷蔵庫だけに使っているわけですけれども、これも冷蔵庫のトップランナー制度から少し上げていくという中で使われ出したわけですが、住宅の場合、長期に性能を担保するということがあるので、その開発も今、いかに建材の方に持ってこられるかということをやっているわけです。

 そういった意味で、省エネルギーの問題というのは非常に大きな時間軸が必要なので、我々も時間を経過した目標が決まってくると非常にやりやすいな、このように考えております。

大島(敦)委員 最後に、一言だけ。

 きょうは、皆さん、ありがとうございました。山川さんの先ほどのプレゼンテーション資料は非常にわかりやすくて、多分、皆さん、内窓をつくった方がいいのかなと思ったと思います。本当にありがとうございました。

 きょうの意見を参考にさせていただいて、また来週、質問したいと思います。ありがとうございました。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 おはようございます。日本維新の会の丸山穂高でございます。

 エネルギー使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案につきまして、参考人の皆様に対しまして質疑を行います。

 まずもちまして、参考人の皆様におかれましては、本日は、お忙しい中来ていただきまして、本当にありがとうございます。

 特に、小宮山先生におかれましては、実は小宮山先生が総長をされていた折に私は卒業させていただいた学生でございまして、ちょうど御講義等もお伺いした中で、この場で時間を共有させていただくことは大変恐縮でございます。よろしくお願い申し上げます。

 さて、まず、その小宮山参考人にお話を伺いたいと思います。

 先ほどのお話の中で、特に家やビルの断熱が、ほとんど唯一と言っていいほど、省エネにおいて日本の弱点だというお話がございました。これは、歴史的に見た上で何か理由があるのかなと、伺っていて少し疑問に思ったところでございます。

 よく、昔の日本の家は、夏は涼しく冬は暖かいといったような、断熱という意味では進んでいたと私の感触としては聞いておるんですが、そういった歴史的な経緯も踏まえまして、今なぜこういった弱点となっているのか等、何か御知見がありましたらお教えいただければと思います。

小宮山参考人 おっしゃるとおり、歴史に間違いございません。

 日本はやはり、蒸し暑い夏というのをどうやって過ごすか。家は夏をもって旨とすべしと徒然草なんかにも既に書いてございまして、そのため、屋根は日射を遮るために比較的立派にしたわけですが、しかし、風通しのいい家をつくったわけでございます。

 このときにはエアコンがなかったんですよ。冷暖房というものはない。もちろん、冷房というのは非常に近代機器ですので、暖めることはできたけれども、それは火鉢とか、そんなものですね。だから、昔の人はやはり我慢強かった。夏は裸になる以上は涼しくできませんので、風が通る、日射は遮るという、いわばお寺の本堂のような家をつくりました。

 冬に関しては、非常にゆったりと、真ん中の住んでいるところに対して、外に廊下をとって、そこが一種の断熱層になっていたというような構造がございます。しかし、今の断熱ハウスと比べると、その断熱性能は全く頼りない。基本的に断熱というのはしていないんだと思います。

 基本的に、夏に過ごしやすい家をつくって冬は我慢したというのが日本の歴史で、それは、冷暖房が十分にない、冷房に至っては全くないという状況においては合理的なものだったんだと思います。ですから、今、冷暖房を前提とするなら断熱をしていくというのが日本の歴史的な必然だと思います。

丸山委員 お答えありがとうございました。

 非常にわかりやすく、特に戦後の大きな現代化といいますか、電気製品の進化によって今の問題が生じているということがよくわかりました。ありがとうございます。

 次に、依田参考人にお伺いしたいと思います。

 今回の法改正は、特にピークカットの対策の部分に関しまして、努力目標を実現しやすくするという意味での切り口の法改正ということでございまして、先日の政府への質疑に関しましても、具体的にどれぐらいのピークカットが促進されるか、努力目標が達成されるかという点に関しましては、数字化まではしていないというふうな御答弁がありました。

 なかなか難しいところではございますけれども、今回の法改正で、どれぐらいの効果が努力目標に関して認められるのか、ピークカットが実現するのか、また、もっといけば十分だと思われるかどうか。そのあたりに関しまして、参考人の御意見をいただければと思います。

依田参考人 どうもありがとうございました。

 大変難しい質問でございまして、私のできる範囲で御回答させていただきます。

 二つの観点で回答させていただきます。

 まず、昨今の電力需給の逼迫状況、電力危機という観点からどの程度のピークカットが求められているかという、ニーズの必要性の観点から回答しますと、例えば東京電力管内において、二〇一〇年、最も電気が使われたときでございますが、最大六千万キロワットアワーの電力がありましたが、それが震災後、発電の容量の方で五千万キロワット程度しか確保できなくなった、それだけを持ち上げましても、二〇%のピークのカットをする必要がございました。実際に、日本国あるいは関東エリアはそれを達成したわけでございます。

 しかし、昨今、原子力発電の多くがとまっている状況にございまして、日本全国は、東京管内に限らず、一〇%程度のピークカットを社会的にしていく必要がありまして、それを大口なり小口なりが頑張って一丸となってやっていく必要がありますから、一番最大の危機時における二〇%程度というほどの逼迫ではないのでございますが、依然として、今後、電力需給において余裕を持って運営していくためには、目標値と照らした、私の口から具体的な数字は申し上げられませんが、やはり相応の数字は必要であって、それを達成していく必要がある。

 今回、あくまで社会的な実験ではございますが、無理のない範囲で、家庭の協力によって二〇%のピークカットをしてくれた。全ての家庭にそこまで協力をお願いするのは難しいかもしれませんが、そういったあたりで落としどころの数字が見つかってくるのではないかと思います。

 また、ピークカットは、需要面だけが重要ではなくて、供給面でも大変効率的なものでございます。

 これはあくまでアメリカの例でございますが、一年のうちの最も電力需給が逼迫する一%の時間において、一〇%から一五%の発電設備が必要になっている。逆に言うと、一%の一番逼迫するところを恒常的にカットできれば、場合によっては一〇%から一五%の発電容量というのはある程度節約できる可能性もございますので、そういう意味では、私の口から具体的に何%ということはここでは申し上げませんが、可能な範囲において、無理のない範囲においてピークカットをするということは、昨今の電力の需給情勢におきましても、あるいは日本の電力産業のシステム全体の効率性においても大変貢献するものであると考えております。

 以上でございます。

丸山委員 御答弁ありがとうございます。

 参考人のお話を伺っていましても、やはり速やかなピークカット対策というものを進めていく必要性を強く感じます。

 また、参考人の御経験で、アメリカがすごく進んでいる、十年先を行っているものを一年でというお答えからも、今の政府のスピード感に関してはもう少し速くしていきたいというお気持ちを感じますので、やはり我々経済産業委員会としても、速やかに進めていくように頑張ってまいります。ありがとうございます。

 そういった意味で、ピークカット対策に関してもそうなんですが、一方で前半の、断熱材の普及をどうしていくかというところに関しまして、踏み込んで少しお話を伺いたいと思います。

 まず、細かい数字のことについてお伺いしたいんですけれども、狐塚参考人が資料でお出しいただきました住宅用高性能断熱材の出荷比率の推移という、御社の推移を出されておるんですが、こちらでは、一度どんどんと推移が伸びてまいりまして、一時は七〇%近くまで、六五%を超えて数値が上がっております。平成二十二年十一月ごろと、二十三年九月ごろでございましょうか。この後、一時期また下がってしまって、五五%ぐらいに落ちついておるんですが、この下がった理由や、また五五%程度にとどまっている理由などについて、何か分析やお考えをお持ちでございましたら、お教えいただければと思います。

狐塚参考人 それでは、お答えしたいと思います。

 もともと、住宅の着工というのは、秋需といって、一般的に秋に多いんですね。一つその特徴がありますので、九月から十一、十二月ぐらいまでが、どうしても断熱材のピークになる。それは、住宅を三月ぐらいに引き渡し、あるいは年末に引き渡しということを想定すると、秋が多いということが一つあります。

 そういう中で、二十二年十一月のこの辺のピークは、住宅のエコポイント等があって、いろいろな方が等級四を採用していただいたんですね。それを打ち切られた瞬間に等級三に戻すビルダーが結構あったわけです。それで比率が少し下がる。

 三から四とワンランク違うと、費用増というのは三十万、四十万ぐらいなんですけれども、それを見えないところなのでちょっと戻して、その分だけ、外装だ、キッチンだ、そういう見えるところをやはりビルダーは消費者にアピールしたいものですから、そういうことをやるというのがどうしてもありまして、ですから、比率が上がったのがちょっと下がった。

 その二つの理由からこの秋のところのピークが来ている、そんな状況かなというふうに考えています。

丸山委員 ありがとうございます。

 非常にわかりやすい御説明で、なるほどというふうに思いました。そういった意味でも、やはり断熱材の義務化をスピード感を持って進めていく必要があると思います。

 先ほど、小宮山参考人のお話で、断熱化を早くしてください、スピード感が足らないというお話がございました。現在、政府では二〇二〇年の断熱基準の義務化ということを目途にやっておられますけれども、これに関しまして、小宮山先生以外のほかの参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

 これに関しまして、やはり遅いと思われませんか。そしてまた、何がネックで、なぜスピード感がない状態にあるのか、お考えをお聞かせいただければと思います。お一人お一人で構いませんので、よろしくお願い申し上げます。

依田参考人 その点、二〇二〇年が遅いかどうかに関しては、ちょっと私の方も、具体的にどのぐらいのスピード感が必要なのかに関しては、専門的な知見を持っておりませんので、ほかの参考人の御意見をお願いしたいと思います。

狐塚参考人 私どもとしては、五〇%以上普及してきたかなというふうに思っているわけです。

 ただ、採用されていないところ、一部では、小さな零細の工務店さんが、そういうのが義務化になると、なかなか使いこなせないということがあるんだというふうに今聞いております。

 そういった意味で、去年つくられた工程表の中で、技能を上げようという講習会制度を取り上げていただいていますけれども、我々自身も少しそういうことをお手伝いしようということで、私ども独自でも幾つかの講習会を集中的に開いて、そういう方に、そんなに難しくありませんよ、三と四の違いも含めてすぐできますよ、そういうプロモーションを今大きくやっているんです。

 そういったことを踏まえれば、ことしは一三年ですから、二〇年まで待たずに、もっと早い段階で義務化をしてもいいんじゃないのかな、むしろ、今の電力の問題から見て、早急にやるべきなんじゃないかなというふうに思っております。

山川参考人 消費者の住宅性能の向上に関しての認識等の実態を考えますと、二〇二〇年という具体的なところはちょっと私もわかりませんが、なるべく早い方がいいだろうなというふうに思います。

 先ほど冒頭の説明でも申し上げましたが、一般の方が住宅の省エネ性能を上げることに関しての認識を高くして、自分で積極的にやっていくということは、やはりそれなりの時間がかかっていくことだと思いますので、そういう意味で、制度の方で、市場に性能の高いものが出回っていくような状況になるべく早くなった方がいいのではないかというふうに考えます。

丸山委員 ありがとうございます。

 やはり、先生方も、もっと早くできるんじゃないかというお考えの方が多いということで、これはまた経済産業委員会でも政府に対して求めていくように頑張ってまいりますので、また御知見をおかりできればと思います。

 そして、義務化という形、政府がある程度、規制という形でかけていく政策でこれを後押ししていくということもあるんですが、一方で、先ほどの依田参考人のお話にもあったように、政策的にピーク時に料金を上げる、しかも断熱材を含めて省エネ製品を選んでもらうようにするための、情報経済学的な、もっといけば行動経済学的な政策アプローチといいますか、こういった視点が今、日本の政策に求められている。経済産業政策だけじゃなくて、あらゆる政策に求められていると思うんです。

 先ほどの義務化もいいんですけれども、断熱材の普及に関しまして、インセンティブをより多く消費者に持っていただいて、普及をより促していくといった観点から、まず、経済学者でいらっしゃいます依田参考人から、何か御知見があればお教えいただければと思います。

依田参考人 さすが、東大を出てばりばりの国会議員で、大変な御質問で恐縮です。

 おっしゃるとおりで、人間というのは、行動経済学的に見ると、要するに、我々経済学者が昔どおり仮定していたように、全てを計算して最適な行動をとるわけではなくて、今の問題に関して言いますと、初期値バイアスとか現状維持バイアスといいまして、もっといい選択肢があるにもかかわらず、どうしても今の現状に過剰にとどまってしまう、そういう傾向がございます。

 ですから、例えばスマートホーム、断熱に関しても、十年で採算性をとり得る可能性があるとわかっているにもかかわらず、だらだらと、もうちょっと待って、もうちょっと待ってという間に十年たってしまうということはよくございます。

 ここのところで、例えば、ナッジという英語があるんですが、ナッジというのは日本語に直すと誘導、背中を押すという意味でございまして、今、市場社会、あるいは資本主義の民主的な社会でございますから、国民の選択に関して、ああしなさい、こうしなさいと命令することはできませんので、なるべく初期値の方、最初にとる現状の行動の方を望ましい方向に変えてあげるというのが重要でございます。

 そういう意味においては、社会全体としてちゃんと道理が、理屈が立つ方向であるならば、一定の補助金を入れるような政策も含めて、とりやすい方向に誘導してあげて、社会全体として行動を後押ししてくれるということが重要だと思っておりますので、そういった知見に関しても、こうした問題に関しては参考になる部分があるかと思います。

 どうもありがとうございました。

丸山委員 ありがとうございます。

 やはり、こういった視点を取り入れていくことが重要だと思います。まだまだ発展途上の経済学でございますので、また、先生を含めまして、いろいろ経済にお詳しい方の御知見もかりながら、経済産業委員会も質疑を進めていって、よりよい政策を出していく必要があると感じました。

 そういった意味で、山川参考人にお話を伺いたいと思います。

 山川参考人の御寄稿された文章、「環境情報科学」というところに寄稿された「家庭における電気の「見える化」事例」という論文を読ませていただきました。

 こちらに広島市の事例を載せられておりまして、広島市で二〇一〇年度に約百世帯を対象に、一定の光熱費の削減条件を達成した家庭の、CO2という観点なんですけれども、CO2削減分を市が買い取って、家庭に現金を支給する、逆に言えば、その削減分を企業に転売して、その分が企業の削減量としてみなされることで、企業にもインセンティブがあって、なおかつ家庭にも現金がもらえるというインセンティブがあってという制度があるという御紹介を書かれていたんですが、このお話に関しまして詳細をお伺いしたいのと、また、結果はどんな形になっているのかを含め、御知見が何かありましたらお教えいただければと思います。

山川参考人 あちらの論文につきましては、たしか数年前に書いたもので、当時のいろいろな事例を調べてまとめたものです。

 広島市の事例に関しましては、おっしゃいましたとおりで、御家庭の一定の世帯でCO2削減の行動をとっていただいて、その削減分を市が一旦買い取った形で、御家庭には現金か、もしくは買い物券だったような気がしますが、そういったもので還元し、市の買い取ったCO2は市内の企業に買ってもらう、そういう制度でした。

 広島市の場合は、市で、企業がCO2をもちろん削減しなければいけない、そういうところとセットでやったということで、市にとってもメリットがあり、家庭にとってもメリットがあるという制度のつくり込みだったと思います。

 結果については詳細を見ておりませんので、ちょっと申し上げられないので、申しわけありません。

 私も、事例を拝見しましたときにいいなと思いましたのは、家庭の削減行動なりが、御家庭にとっては最もわかりやすくて、ありがたいというか、モチベーションが上がるのは、やはりお金で何かいいことがあるという部分がありますので、一つは、そういう制度が何かあればいいなというもの。

 それから、もちろん企業にとってみても、家庭の削減分というのは、そのときの実験ではそんなに大規模な世帯数ではなかったので、量としてはそんなに大きな削減量になっていないと思いますけれども、企業としても自社の削減分としてカウントできるような、関係者にとって相互にいい仕組みがあるというのは、継続してずっとやっていくという意味で大変重要なポイントかなというふうに思っております。

丸山委員 ありがとうございます。

 また、引き続き御研究されていると思いますので、何かわかりましたらお教えいただければと思います。

 いずれにしましても、そういった形で、先ほどの依田先生のお話にもありましたナッジ的な、行動経済学的な取り組みをやっている自治体もある中で、断熱材におきまして、一体国が何ができるのかということを考えていく必要があるかなと強く感じます。

 最後になりますが、何をすればよいのかわからないという消費者が多い中で、消費者への情報提供が大事だという山川参考人のお話がございました。この断熱材におきまして、どういうチャネルで出していけばいいのか、少しわからない部分がございます。特に、エアコンなどは今、省エネパネルといった形で、消費者に見えやすいところでございますけれども、断熱材はどうしても建築の中で一括して売られることが多いですから、なかなか消費者の方にそれが省エネなのかどうかがわかりにくいところだと思うんです。

 その辺の消費者目線から、どういった情報提供があればわかりやすいのか、より断熱材の普及につながるのかという点に関しまして、最後に山川参考人から、何かございましたらお教えいただければと思います。

山川参考人 なかなか難しいことではあるのですが、住宅の断熱性能のよさとか必要性を感じるのに、やはり一番効果があるのは体感なんですね。なので、断熱性能のいいおうちに実際に自分が入ってみて、こんなに快適なのかというのを感じるのが、やはり選択の場合に非常にメリットがあると思います。

 そういう意味で、既にありますけれども、例えばメーカーさんなどで、実際にそういうハウスをお建てになって、体感するようなところを設けていらっしゃるところもありますので、そういう場面がふえるといいなと思います。

 そして、もし体感が難しいということであれば、やはり可視化というところが次のポイントで、可視化の場合も、例えば、私が冒頭説明しましたような、温度を色であらわすような非常にわかりやすい可視化というところは一つのポイントだと思います。

 チャンネルという意味では、住宅をお建てになるときに、消費者の皆さんは、例えば住宅雑誌をごらんになったりとか、インターネットでいろいろお調べになったりとか、自分で情報収集を一生懸命なさりますので、通常とられるチャンネルの中で、省エネ性能についても、断熱性能についても、デザイン性などだけではなく、同じような露出度合い、わかりやすさで目に入ってくるようになるというところがポイントかなと思います。

 あとは、やはり工務店さん側、直接お話しになるのは工務店さんの営業の方などですので、そういう方からの専門的な知見に基づいた情報発信というのが非常に有効だと思います。

丸山委員 以上で質問を終わります。

 参考人の皆さんの示唆に富んだお話、ありがとうございました。

 終わります。

富田委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 長時間の審議、本当にありがとうございます。

 今回の省エネ法の一つの柱であるスマートな省エネ、節電というものは、今、同時並行で議論が進んでおります電力自由化の進みぐあい、どこまで進むかということと切っても切れない関係にございます。

 そこで、まず総論として、最初に小宮山参考人に、電力自由化で外せないポイントは何かということをお伺いしたいというふうに思います。

 震災の四カ月後の二〇一一年の七月に、みんなの党は電力自由化アジェンダというものを発表いたしました。まずは、発電側で、発電会社の新規参入障壁をなくして自由な競争を起こしていこう。そして、送電の方は、送電事業法みたいな形で、きちんと公共性の高いインフラにしていこう。そして、大事なのは需要側で、まさに今回議論になっております料金体系の工夫とスマートメーターの全世帯普及で、ピークを外す平準化を進めて、無駄で高い発電設備投資を抑えて、行く行くは電気料金そのものも下げていこうというプランでありました。

 当時は、そんな理想論みたいなことをと言われたことが私はありますが、しかし、前の政権の皆様、そして今の政権の皆様の御尽力によって、今、国を挙げてその方向に動いているということを大変うれしく思っております。

 一方で、昨日のニュースでは、電力自由化のための電気事業法改正案は二〇一五年の通常国会に提出を目指す、自民党さんの中でも反対の声が相次いだために、提出するという表現から後戻りしたんだというような報道を拝見したところであります。最終的にどうなるのか、本当にどこまで進むのかというのがまだまだ予断を許さない状況であるわけです。

 参考人にお伺いしたいのは、スマートな省エネと切っても切れない今回の電力自由化、参考人のお考えになる省エネとの関係、あるいはその範疇を超えても結構ですので、電力自由化の成否を決める絶対に外せない重要ポイントはこれとこれだというようなこと、加えて、逆に目立たないんだけれども、実現できるかどうかで大きな違いが出てくる隠れたポイントはこれだというようなことを、一つ二つお伺いできればというふうに思います。

小宮山参考人 基本的に申し上げて、百五十年ぐらい前は、人間のエネルギーというのは九九%がバイオマスでした。いわゆる再生可能エネルギーの一つです。現在は、八割が化石資源で、これは世界の話ですけれども、五%が原子力、一五%が再生可能エネルギーです。だから、再生可能エネルギーというのは決してゼロではないんですが、再生可能エネルギーも、今まではほとんどバイオマスと水力発電です。

 ですから、基本的に、今の電力システムというのは、集中型の発電所で電気をつくって、それをどうやってうまく配るか、ここにポイントがあったわけで、そのためにできております。それで、いろいろな制約がかかってきた。八割の化石資源を減らしていかなくちゃいけないというようなこと。

 それと、再生可能エネルギーはさまざまなものが現実になってきている。その代表的なものが、太陽電池と風力と、新しい意味でのバイオマス、それと地熱、それから、大きな水力はかなり開発し切りましたけれども、まだ中小の水力というのは大変残っております。

 こちらの再生可能エネルギーというのは、全部が不安定なわけではございません。地熱なんかは安定電源ですし、バイオマスも相当な安定電源になります。しかしながら、あちこちで比較的小規模に出てくるということは重要なポイントです。

 ですから、どうやって全体を下げるかというのが省エネルギーでありまして、もう一つが、各地で分散して出てくるものをどうやって使うのか。これと、集中発電所で、特に高度成長の時代にはどんどん電力消費が伸びていくというのが当たり前で、そのために、安い一次資源、具体的には石油、石炭、天然ガスですが、安い一次資源をふんだんに使えるというのが二十世紀です。ところが、これが非常に高くなってきたとか、温暖化の問題でこれを下げなくちゃならないということで、量的な制約が非常にかかってきたという状況が、今、電気事業法に基本的に問われているところです。

 したがって、やらなくちゃならないことは、省エネというのを進める。でも、これは、集中的に電力を売るという立場からすると、売り上げが減りますから余りいいことじゃないんです。それをやらなくちゃいけない。それからもう一つは、分散型で、あちこちで出てくる電気をどう配るかというのは、今までのグリッドの構造、集中型発電所があって、枝分かれのように配られるのに都合よくできているということに関しては、全く相反するものなわけですね。そこに難しさがある。

 この二点。どうやって省エネというのを前に進めるインセンティブをつけていくか、それからもう一つは、あちこちで出てくる、しかも太陽とか風力というのは相当不安定である、そういうものをどうやってうまく入れていくかということから考えていかなくてはいけないと思います。

 そうした意味で、先ほどの事例の話ですけれども、スマートグリッドというのは、ある種、融通する仕組みなわけですね。

 太陽電池を積んでいる家は、私の家でも三・六キロワットで、今の基準でいうと決して多くはないんですが、それでも、真夏の一番ピークと言われるときに省エネと組み合わせますと、太陽電池が発電しているときには相当余ります。だから、これを外にやらなくちゃいけないわけです。太陽電池を積んでいる家が今はまだ少ない。でも、相当ふえてきましたし、今、私の家の三倍積んでいるようなお宅も相当出てきております。そうすると、相当の量が余るわけですよ。でも、それは、まだ積んでいないお宅に配ればいいわけだし、コンビニに配ればいいわけですよ。

 それが配れればいいんですが、先ほど言ったように、街区を越えると極めて配りにくいという構造が典型的な例です。実際にスマートグリッドを導入していこうという実験をやっている方に聞いていただくと、多分、山のように出てまいります。その最大のものが、街区を越えて送れない、送るのが極めて難しい、そういうことでございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 電源が分散しているということが変わったこと、一つの発電所から枝分かれしていくのではなく、まさに縦横無尽にグリッドで。先ほどのお話の中で、あるときには電気自動車まで蓄電池として電気を出す側になるんだというお話は、私も目からうろこの落ちる思いがいたしました。

 もう一つは、電力会社の売り上げが減ってしまうようなことをいかにインセンティブをつけてやっていくか。ここは私も大変工夫の要るところだというふうに考えております。

 依田参考人にお伺いをしたいと思いますが、行動経済学の先生で、要は、どういう料金設定をすると人や組織がどっちの方向に動機づけされて動くのかということの御研究、実証実験をされていらっしゃるというふうに理解をしております。

 実は、私は昨晩、ちょうど今申請されている電気料金値上げの勉強会へ行ってまいりました。相変わらず電力会社側はコストを、多少遠慮していらっしゃるとはいえ、やはり積めるだけ積んできて、これだけお金がかかっているので、これだけの料金を上げさせてください、そういう仕組みになっておりました。

 先ほど小宮山先生がおっしゃった、電力会社として、そもそも省エネのインセンティブが現状はないわけであります。省エネが進めば進むほど電力会社は損をする仕組み、もう一つは、設備投資、コストを抑えれば抑えるほど料金の値上げの申請ができなくなる仕組みに現状はなっているのではないかと思うわけです。

 現在の総括原価方式、これは行く行く自由化の中で見直され、なくなっていくとは思うわけですが、そこに至るまでの過渡的な措置、工夫として、総括原価方式であっても、電力会社の側で設備投資のコストを抑えていこうというインセンティブが働くようにすべきではないかと実は私は考えているわけであります。

 発電側がコストを下げようとするインセンティブ設計ということについて、何かお考えのことがありましたらお伺いいたします。

依田参考人 どうもありがとうございます。

 大変難しい御質問でありまして、今、私があたかも試験場に立たされているような気分で、本当にこれは数分で答えるのは難しいところなんですが、あくまで私が今思いつく、この話題に関連して電力会社様あるいは経済産業省様とこの問題を議論するときに必ず出てくることについて、一つ二つ述べさせていただくにとどめたいと思います。

 まず、ダイナミックプライシング、変動型の電気料金に関します一つの懸念は、消費者の負担がふえるのではないかという不安でございます。

 これに対しましては、日本でもアメリカでも、先ほど話題に出ましたレベニュー・ニュートラリティーで、新しい電気料金を、今までの行動を前提としながら、支払い額がプラス・マイナス・ゼロになるように設計させていただく。ですから、平均して支払い額がふえない。ただし、節電で頑張っていただく、省エネで頑張っていただいた家庭は、その分だけ支払い額を減らせるインセンティブが入っている。家庭の支払いを五%、一〇%減らせている事例が多々見られているというのが、現状の一方でのファインディング、学問的な知見でございます。

 裏を返して言えば、電力会社は新しい電気料金を入れたらそのまま自分の売上高が減収になってしまうのではないですか、先生、それでは我々は困りますということも、例えば電力会社から御質問をいただくこともございます。それについて、確かに全くそのとおりだと私は答えますが、しかし、こういうことも考えてほしいということも申し上げます。

 これを一点申し上げてお答えにしたいと思うんですが、先ほど出てきました総括原価方式あるいは公正報酬率規制というのは、一部自由化はされているものの、あくまで公定料金の枠組みの中で、発電に対する設備であるとか、電灯需要家、規制を受けている需要家の小売料金等を今までは決定してまいりました。

 それはやはり、利益を最大化する一般の普通の民間企業とは違って、売上高をなるべく最大化したい、持っている電源設備あるいは発電設備を最大化したい、あくまで設備を最大化したいという、普通の民間会社とは異なる、利益ではなく売上高を最大化したいというインセンティブが働きますので、ある意味では、一般の民間企業として電力会社を見た場合、利益が最大化される点よりも、過剰な余計な生産を行っている、余計な設備を持っている状況にあると、規制産業については一般的に言われています。これは電話も鉄道も一緒でございます。

 そうした中で、今、こうしたダイナミックプライシングや省エネ、節電が一般的にどんどんと施策として進んでいく中において、電力会社から見れば、昔の古いよろいを脱ぎ捨てて、一般の普通の民間企業として利益を最大化できるように、スリム化できることを目指していけば、ある意味で今は利益が最大化する生産量よりも過剰に生産しているので減収する、減収はするけれども、利潤を増益することは、経営の持っていき方一つにおいては可能でございます。

 今までは競争がなかったから、そういう方向に電力会社は目が向いておりませんでした。今後は電力会社も、今は大きくいろいろなところで企業マインドを改めている最中でございますから、減収はするけれども、もっと強靱な、費用を最小化して利益を高めるような経営にこれが契機となって向かっていく、そうすれば、決して消費者も電力会社も一方が得をして一方が損をするのではなくて、ウイン・ウインの関係を築けると私個人は考えております。

 以上でございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 私は、政策全般について、規制も大事だけれどもインセンティブがもっと大事という基本的な考え方を持っております。その点に関連して、最後にもう一点だけお伺いをしたいんです。

 先ほど、小宮山参考人のお話、以前の方のお話の中でも、初期投資が大きい、融資がやはり大切なんだというお話がありました。

 私は、できれば、初期投資をゼロにするというやり方を、今回の省エネ投資を広める普及の起爆剤として何とか工夫できないかということを考えているものであります。ESCOというような仕組みで、初期投資はゼロにして、その後、浮いた水道光熱費によってそれを後払いしていくというようなスキームが、私から見れば、今少し伸び悩んでいるのかなというふうに思うわけでありますが、初期投資をゼロにするということについて、何かアイデアや知見がありましたら、小宮山参考人にまずお伺いしたいと思います。

小宮山参考人 先ほど申し上げたこととも重なるんですが、大分前に、例えば、国としてもしやれるとすると、私は、特定の目的の債券、国債を発行してもいいんじゃないか、それで、その国債で買っちゃって、初期投資をして、回収するまでは国のものである。もちろん、SPCなんかをつくって、そこが持っても構わないんです。要するに、大事なポイントというのは、初期投資が回収できるということですので、どこが最初に出してもいいわけですね。

 民間では、先ほど申し上げたように、少しずつ、工務店が最初から太陽電池をつけちゃおうと。太陽電池なんて、実を言うと、パネルからいうと物すごく安いんですよ。既存の家につけるための工事費ですから。大体、パネルの値段というのは今キロワット六、七万で、パワコンをつけても十万しません。それが三十数万で売られているという状況で、その間の差額というのはほとんど施工費です。新築につけるときには施工費が要りませんから、極めて安いんですね。だから、それぐらいのものは工務店でも負担できるわけです。さらにもっと大きく必要だったら、国が保証すればいいと僕は思うんです。ですから、それは可能です。

 先ほどの建築基準法の義務化の話、ぜひ義務化の方もやってくださいよ。やはりこれは国民の負担じゃないですよ。実は、義務化に関しては、二千平方メートル以上の大きなところと、三百平方メートル未満の小さなところと三段階に分かれているんです。それを全部やるのが二〇二〇年で、前倒ししようと言ってはいるんですね。二千平方メートル以上のところなんというのは、ゼネコンとか大きな工務店がつくるんですから、こんなことは今直ちにやったっていいんですよ、義務化を。

 だから、インセンティブでやっていくというのはもちろん重要ですけれども、先ほど依田さんの方で民主主義と義務ということに関しても話が出ましたけれども、やはり義務のところも怖がらずにやっていただきたいというふうに思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 もう一つ、スマートメーターの普及についても、初期投資との関連で、ちょっともう時間もあれなんですけれども、依田先生に、カリフォルニアで実際に何か値段的な工夫はされたのか、また、今、小宮山先生がおっしゃったような、政府が何か役割を負ったり負担を負って普及に拍車がかかったのかといったことだけ、最後に具体例を、御存じな限りお伺いします。

依田参考人 どうもありがとうございます。時間も限られておりますので、手短にお答えしたいと思うんです。

 アメリカの中においても、スマートメーターを前のめりになって進めているというのは、カリフォルニアを初めごく一部でございます。カリフォルニアはある意味アメリカの中で特殊な州でして、一般論としてそこまでできるわけじゃないですが、逆に言うと、カリフォルニアは州を挙げて、民間も公もそこまでやっている。

 日本も今、かなりの部分で公を挙げて、民を挙げてやろうとしているので、重要な点は、スマートメーターを入れたけれども、スマートメーターを活用するような変動型の電気料金、あるいはいろいろ見える化の工夫をしなかった。スマートメーターは入ったけれども新型電気は、現行のカリフォルニアがそうなんですが、一般家庭で五%しか入っていないということになりますので、それはかなりの後押しが必要ですが、入れた後に有効活用するにはどういう工夫をして、民間でちゃんとそれをビジネスに使っていただくか、消費者に還元するかというのが、次の第二弾として重要になるかと思います。

 以上でございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 実は私、山川先生の本を持ってきていたんですけれども、ちょっと時間がなくて。

 本当に、いろいろお答えいただきまして、皆様どうもありがとうございました。

 以上で終わります。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 四人の参考人の皆さんから貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。

 今回の法改正の内容に即して、家庭や住宅における省エネ対策の課題などについても大変勉強になりました。小宮山参考人のこのグラフを見まして、こういうのを見るとやる気が出るな、エコハウスについての意欲にもつながるようなものだなというふうに拝見した次第です。

 私がきょうぜひお聞きしたいのは、家庭や民生部門のビル、あるいは自動車などでの取り組みをしっかり行っていくことは大事なことということが前提の上で、同時に、産業部門の取り組みについて皆さんがどうお考えなのかについて、四人の参考人の方にぜひお聞きしたいと思っているんです。

 産業部門はエネルギー消費全体の四割強ですし、その九割以上は製造業、ものづくりということであります。確かにこの間、大きな努力をされて下がってきてはおりますけれども、エネルギー消費原単位を見ても、九〇年代ごろを境に下げどまって、横ばいで、わずかながらも上昇しているんじゃないかという局面もあります。

 こういった製造業のエネルギー原単位の現状、横ばいのような状況についての認識と、製造業において省エネ対策をやるとしたら今何が大事なのかという点について、四人の参考人の方にそれぞれお答えいただけないでしょうか。

小宮山参考人 どちらがポテンシャルが大きいかというと、明らかに、日々の暮らしの方がポテンシャルが圧倒的に大きいです。

 それの事例として、資料にセメントの例というのを出してございます。セメントも横ばいなんです。それは、理論値に接近したから横ばいなんです。

 セメントの最小のエネルギー消費というのは、石灰石からCO2を追い出すための吸熱反応なんですね。この熱だけは加えないとセメントはできません。その熱の量が、横軸で「理論値」と書いた値でございます。そこに接近してきて、そこでほとんどとまっているというのがセメントの実例です。これは一番わかりやすい例で描いてございます。そこ以外にはできないんです。

 あと、コストを下げるために燃料としてごみを使うとか、そういうことは可能なんですが、エネルギーを減らすことはできません。技術者としてこれ以上はできない。もう四世代、プロセスを変えてございます。湿式法で昔つくっていたのを乾式法に変えて、サスペンションプレヒーターというエコノマイザーを開発して、ニューサスペンションプレヒーターというもっといいものを開発して、今、日本で動いているのは、全てニューサスペンションプレヒーターで動いております。

 中国あたりは、データが余りはっきりしないんですが、トン当たりで日本の二倍ぐらいのエネルギーを使っている。最新のプロセスも実は中国にはあるんですが、平均的には大体そんな感じだという状況でございます。

 鉄なんかになるともう少し複雑で難しいんですが、かなり理論値のところに接近して、技術的にこの後難しいところまで来ているというのは僕は認めるべきだと思います。

 そうなってきたときに、日々の暮らしというものに関しては、先ほど言ったように、理論値ゼロ、自動車も理論値ゼロですよ。だから、自動車も物すごく減りますし、暖房、冷房も物すごく減るというのがきょうの主張なんです。

 ただ、産業について減らないわけではございませんで、今でも恐らく年率一%ぐらいの減り方はしているというふうに思います、届け出制度がございますし。ですから、できないわけではございません。

 だけれども、多くの産業が国際競争をしている中で、一%以上のものをいろいろなところに導入させていくというのは結構難しい。あと残っているのは、産業間での融通というあたりにあったり、産業用のヒートポンプを入れていくとか、ないわけではございません。だけれども、どちらに注力すべきかというと、圧倒的に日々の暮らしというのが私の考え方です。

依田参考人 どうもありがとうございました。

 産業部門について、私が持っている知見を二つほど、回答として述べさせていただきたいと思います。

 まず、日本の産業部門は、エネルギー消費として見ますと、恐らく世界の中でも最高と言っていいくらいに高効率な水準を達成していると思います。

 経済産業省からいただいた資料をもとにお話しさせていただきますが、総合エネルギー統計で、一九七三年のオイルショックから二〇一〇年の震災前まで、最終エネルギー消費量は一・四倍に伸びております。その中で一番伸びているのは、民生部門が一・四倍をはるかに上回る二・五倍、運輸部門が一・九倍、そして産業部門は最終エネルギー消費量の一・四倍をはるかに下回る〇・九倍。つまり、これだけ省エネ、高効率が産業部門では進んでいるということが言えます。

 それにつきまして二点。

 まず、需要家としての産業部門、電気を実際に買ってくる部門としての産業部門を見ますと、既に我が国は大口に関しましては電力自由化が進んでおりまして、既存の電気会社か、あるいは特定規模の新電力会社か、自由に調達先を選ぶことができる状況になっておりますが、残念ながら、新電力会社のマーケットシェアはまだ数%にとどまっております。

 それにつきましてはいろいろな理由が考えられますが、恐らく、従来の電力システムの中で、新電力会社側から見てみると、今現在、電力システム改革の中でも議論されているとおり、例えば同時同量であるとか送配電分離のところでなかなか参入しにくかったような部分もあって、潜在的には、需要家としての産業部門は、もっと調達がバラエティーに富んで、いろいろなところと比較しながら電気代を安くできる、そういうことで省エネを進める余地も本来あったかもしれませんが、ここは、電力システム改革の中で新電力会社がより一層いい形でサービスを展開できるようにすると、既に大変高効率でできますが、若干でもさらに効率性を高めることが可能かもしれません。

 あともう一つは、供給者としての産業部門であります。

 産業部門の多くは既に自家発を持っていまして、産業部門は自分の方が供給をして、コミュニティー、エリアの方に電力を調達したり融通したりすることが本来可能であるけれども、そこのところは、一般家庭に対して、あるいは小口の需要家に対して、電力を調達することが今までは制度的になかなか難しいところもあったのですが、ここが、現在進んでいる電力システム改革の中で全面自由化が進んでいき、調達のところで例えば家庭まで引く連系線の利用などを容易にすると、今度は産業部門が宝の山でありまして、彼らが持っている電源をコミュニティー全体で相互融通して、負荷平準化して最も効率的に利用できる契機となっていきますので、そういった意味でも、産業部門は大変な可能性と重要な役割を持っていると思っております。

 以上でございます。

狐塚参考人 正直なところを申しまして、物をつくっている現場としては、かなり九〇年代に原単位を上げようということでやってきて、ここ数年は進歩していないというのが事実です。

 そういう中でも、我々は、最近でいいますと、ガラスの溶融炉というのを重油でやっていたわけですが、CO2削減という視点もありますし、クリーンな燃焼ガスになるということも含めて、ガス化ということを少し検討してきまして、この辺も実は原単位が少し落ちるということが発生してしまうんですけれども、そういった意味では、どうやってバーナーを改良するかとか、そういうことをやった。

 今、私どもは湘南と九州に工場があるんですが、湘南工場の方は一応二〇〇〇年代にガスに切りかえが終わって、九州工場の方は、一度火を入れますと十三年ぐらいは動きますので、次の切りかえ時期にガス化をしようかな、そんなことを想定しているわけです。

 正直に申し上げまして、原単位をさらに上げていくというのは、製造業としてもなかなか厳しい状況になりつつあるな、そんなふうに感じています。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

山川参考人 私は、家庭が専門ですので、今回の産業分野のところについては余り知見を持っておりませんので、知っている範囲でというか、私の考える範囲でのお答えとさせていただきます。

 今、日本全体のエネルギー消費の中でふえているのはやはり家庭と業務の部分でして、そこに関しては、きょうもいろいろ議論が出ておりますが、まだ省エネの余地はあるのではないかというところで、私もそのように感じております。そして、産業分野に関しましては、やはりオイルショック以降、かなりの省エネにいろいろ取り組んでいて、かなりの省エネがもう既に図られている状態だというふうに私は理解しております。

 産業部門の中で何か省エネを進める余地があるかといいますと、例えば中小の事業所。その中小の事業所が産業部門のエネルギーの総量の中でどれぐらいを占めているかはちょっと私はわかりませんけれども、中小の事業所というのは、家庭に比較的近いような実態なんです。

 例えば、エネルギーの使用状況を余りきちんと把握できていない、検針票で月一回把握する程度というような状況にあるところも多いですし、自前で計測器を購入して消費量を細かくはかることもまだなかなかなされていないような状況と聞いています。さらに、新しく設備投資をするような資金的な余裕がないとか、いろいろ省エネを進める上で困難な状況がまだまだあるのはそういう意味で中小事業所だと思いますので、そこには省エネの余地があるのではないかと思います。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、小宮山参考人にお尋ねします。

 民生部門の方で増加幅が大きいのはオフィスビルなどの業務部門です。ここでどういう工夫ができるのかということについての知見を御説明いただけないでしょうか。

小宮山参考人 私も非常に大きなポイントだと思います。

 オフィスビルは、例えばホテルですとか病院とか、民間が入っているいわゆる業務用のオフィスとか多様なんですけれども、それぞれやることは非常にたくさんございます。

 普通のオフィスビルで一番大きいのはやはりエアコンなんですね。エアコンと照明で大体七割ぐらいというふうに考えてよろしいかと思います。残りがオフィスオートメーションとかなんとか。要するに、オフィスビルで減らすというのは、エアコンがどれだけ少なく済むか、照明をどれだけ効率いいものにしていくか。

 そういう目で見てみますと、まだあちこちに、具体的な名前を言っちゃうといけないのかもしれないんだけれども、白熱球に近いようなランプがたくさんついてございます。あるいは蛍光灯なんかでも、グローランプで、ちかちかちか、ぱっとつく、昔、あいつは蛍光灯だといったジョークに相当するようなもの。最近のものはインバーターがついていて、ぱっとつきます。あれだけでエネルギーの消費が倍違うんですよ。ハロゲンランプとかいろいろなものがございますが、白熱球が大体二十ぐらいで、古い蛍光灯が四ぐらいで、新しい蛍光灯が二ぐらいで、一番いいものが蛍光灯でもLEDでも一ぐらい、それぐらい違うんです。ですから、照明に関しては、そこら辺を新しいものにしていくだけでいい。

 見ていただくと、あちこちでまだ相当悪いものが使われております。国会はわからないんですが、これは隠れているから。

 照明が一つですね。これはもう既にあるテクノロジーを使っていくということです。

 もう一つが、やはりエアコンをどうするかということで、これはきょうの家庭の議論と全く同じでございます。まだほとんど一枚ガラス。一流のホテルでも、ほとんど一枚ガラスです。海外から来た人が、日本は効率いいと聞いているのに本当なのかという。ホテルに泊まってですよ。あそこら辺をともかく二枚にしていく。

 あと、病院はすごいですよ。病院というのは省エネを余り真面目にやっておりません。ところが、あそこは二十四時間動いていて、しかもお湯もたくさん使う、エネルギーをたくさん使うから、投資回収が物すごくいいんですよ。東京大学病院では随分やりましたけれども、本当に病院は省エネの宝庫でございます。

 そういった意味で、オフィス、病院といったようなあたりを二重ガラスにして、照明をいいものにして、給湯器をいいものにしていく、この三つで相当の省エネができます。

 ちなみに、三菱総研はおととし、古いビルから新しいビルに引っ越しまして、それだけでエネルギー消費が二五%減りました。その後、三・一一がございまして、それほど苦痛なことはしておりません。余計な電気を間引いたりとか、そんな程度のことで、今、前と比べて四〇%の省エネが達成されております。

 ですから、ここは家庭と同時にやっていくべき最大のポイントの一つだと思います。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、依田参考人にお尋ねいたします。

 スマートグリッドにかかわるピークカット、ピークコントロールの問題で、アメリカと日本での研究、経験の事例の具体的なお話がございました。その中で、消費者にとってメリットが感じられるような、あるいは消費者保護策とあわせた取り組みが重要だというお話がありました。

 そこで、そもそもこの取り組みの対象になっているかどうかというのはよく知らないんですが、中小企業の皆さん、特に十人以下のような小規模事業者の方がたくさんいらっしゃるわけです。そういった方々もいろいろ努力をされておられるわけですけれども、こういったアメリカとか日本での先生の経験の中で、小規模事業者に対しての配慮といいますか、そういうもので何かお考えのこととかがありましたら、ぜひ御紹介いただけないでしょうか。

依田参考人 どうもありがとうございました。

 今までの議論の中で、中小の、例えば小売であるとか、まだ自由化されないで規制部門に入っている、しかし一般家庭ではないようなお客様が議論の中で落ちぎみではあるんですが、実はここが最も重要でございます。

 なぜかといいますと、そうしたところはまだ自由化されていませんから、電力会社が提示するある程度の、余りめり張りのきいていないメニューの中で選んで、その中で料金を支払っている状況でございまして、そこのところが例えば変動型になったり、あるいは自由にメニューが選べる、自由に事業者が選べるようになってくると、まず、中小の事業者様、まだ規制を受けて電力の中で規制部門と言われる中小のビジネスの需要家にとっては、その中で選択の自由を行使して支払いを減らす、そのために負荷平準化してピークをカットする、あるいはピークシフトする必要がございますが、自分たちの節電、省エネ努力によって大きく経済インセンティブが出てくる可能性がございます。

 そういう意味においても、中小の規制を受けている部門がある意味では最も省エネ、省電、節電の中で潜在的なポテンシャルを持っていて、家庭以上といってもいいと思いますし、彼らにとっても多大なメリットがある。今現在進んでいる電力システム改革の中で、彼らのマーケットがオープンになっていろいろ多様なメニューが出てくる、そこに新旧の電力会社が創意工夫を凝らしたいろいろな料金メニューを出していくことによって、最大のウイナーになり得るのはまさに御指摘の方々であろうと私は思っています。

 私は、あくまで一般家庭電灯、一般家庭を中心に社会実験を行ってきましたが、社会実験以上の便益、果実はそこにあると思っております。

 以上でございます。

塩川委員 ありがとうございます。

 うなずいておられました山川参考人、この件について、もし知見がありましたら、どうですか。

山川参考人 済みません、うなずいていたのは、非常に勉強になったということで、うなずかせていただいております。

 先ほどの私の発言でも中小の話がちょっと出ましたけれども、やはり中小は、そういう意味で、なかなか省エネの方策などもまだ自分たちではよくわからない、あと、大企業のように省エネの専門家を有するほどの余裕がないとか、本当にいろいろな障害があるので、そこのところで何かできる余地はまだまだあると思っております。

塩川委員 時間が参りましたので、終わります。本当にありがとうございました。

富田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、来る四月三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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