衆議院

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第13号 平成25年5月22日(水曜日)

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平成二十五年五月二十二日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      平  将明君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    吉川 貴盛君

      枝野 幸男君    大島  敦君

      岸本 周平君    後藤  斎君

      馬淵 澄夫君    木下 智彦君

      重徳 和彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    井坂 信彦君

      三谷 英弘君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業副大臣      菅原 一秀君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   内閣府大臣政務官     島尻安伊子君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   倉持 隆雄君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            池田 唯一君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  榊原 一夫君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            戸谷 一夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           黒羽 亮輔君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 立岡 恒良君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           宮本  聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          石黒 憲彦君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       宗像 直子君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          永塚 誠一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            新原 浩朗君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    富田 健介君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  馬淵 澄夫君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤  斎君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

五月二十日

 原発からの脱却を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六四五号)

 原発ゼロを直ちに決断することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六四六号)

 同(笠井亮君紹介)(第六四七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六四八号)

 全原発の即時停止及び廃止への政策転換並びに福島第一原発事故への対応に関する請願(笠井亮君紹介)(第七〇四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七〇五号)

 直ちに原発ゼロを求めることに関する請願(吉川元君紹介)(第七七九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社海外需要開拓支援機構法案(内閣提出第三二号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官倉持隆雄君、金融庁総務企画局審議官池田唯一君、消費者庁審議官菅久修一君、法務省入国管理局長榊原一夫君、文部科学省研究開発局長戸谷一夫君、厚生労働省大臣官房審議官山越敬一君、厚生労働省職業安定局次長黒羽亮輔君、経済産業省大臣官房長立岡恒良君、経済産業省大臣官房審議官宮本聡君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、経済産業省経済産業政策局長石黒憲彦君、経済産業省通商政策局通商機構部長宗像直子君、経済産業省商務情報政策局長永塚誠一君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長新原浩朗君、資源エネルギー庁資源・燃料部長安藤久佳君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、中小企業庁次長富田健介君及び原子力規制庁審議官山本哲也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝俣孝明君。

勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日は、経済産業委員会にて、おくればせながら初めて質問に立たせていただきます。

 私の選挙区は静岡県の東部、沼津、伊豆半島が地盤になります。私は前職、このふるさとで十一年間銀行員をしておりました。この十一年間の銀行員生活を通じて、ふるさとの現状をくまなく歩く中で、地域経済の低迷、基幹産業である観光産業の衰退、中小企業の活力が失われていく状況を間近で見てまいりました。ふるさとが元気にならなければ日本は元気にならない、これが私の政治の志の原点であります。

 さて、現在の日本経済は、三本の矢を組み合わせたアベノミクスが国民の皆様から非常に大きな期待を得ているわけであります。しかしながら、実感となると、私も選挙区を歩いてみますと、やはりまだまだ湧いていないというのが現状でございます。

 今、私たちがやらなければならないことは、この経済に対する大きな期待感を実感に変えていくための三本の矢の政策を着実に実行していかなければならないと考えております。まさに、地方に生きるふるさとの皆さんお一人お一人が景気回復を実感して初めて、アベノミクスの成功と言えるのではないかというふうに私は考えております。

 そこで、まず民間投資の喚起、とりわけ企業の設備投資の重要性について質問をさせていただきます。

 三本の矢の第一本目の矢である大胆な金融緩和政策において、今、市場にどんどんお金が流通している状況であります。ところが、中小企業の設備投資がふえ、個人消費が活発になればいいんですけれども、金融機関でこのお金が目詰まりしてしまっているというのが現状だと考えております。

 実際に、四月末の日本銀行の業態別の金融機関当座預金残高は、過去最高の六十五兆円を超えている状況であります。まさにこれは、金融機関が貸し出す先がない、貸したくても貸し出せない、そのために目詰まりを起こしてしまっている状況である、今、市場に資金がだぶついている状況であるというふうに考えております。

 そういった意味では、国民の皆さんが景気回復、デフレ脱却を実感していただくには、この目詰まりしてしまっているお金を、中小企業の積極的な設備投資や個人消費によって、うまく流れを変えていくことが必要であるというふうに考えております。

 先日、安倍総理が、成長戦略の中で、三年間を企業に設備投資を促す集中期間として政策を総動員して、設備投資額を現在より一割増しの年間七十兆円規模に引き上げる目標を掲げました。

 こうした設備投資を促すためには、今後具体的にどのような取り組みをしていくのか、お伺いいたします。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 まさに委員の御指摘はそのとおりだと思います。アベノミクスで中央銀行が金融緩和しても、それが銀行で目詰まってしまってはしようがない。銀行の預貸率を見ると、極めて低い状態になっています。ですから、そこはやはり銀行もしっかり努力して、預貸率を上げていただかなければいけない。

 その一方で、企業に貸し出しが進んでも、それが土地とか株とかではなくて、研究開発や設備投資、人材開発の方に向かっていかなければなりませんので、そちらの方にしっかりとお金が流れていかないと、アベノミクスの全体のお金の流れというものはうまく還流していかないと思います。

 経産省といたしましては、先般の緊急経済対策において、設備投資促進のための前例のない税制を既に導入しております。さらに、補助金でありますが、エネルギー制約等の克服に資する先端設備等の投資促進補助金、これも先般の景気対策で二千億円、一兆円の投資効果があるだろうと言われておりますが、その実施もしているところでございます。

 いずれにしても、委員御指摘のとおり、将来の成長に結びつく設備投資に向かうように、さらに深掘りができないか等も含めて検討してまいりたいと思います。

茂木国務大臣 最初の質問で、大変いい御指摘をいただいたと思っています。

 今、日本の成長率は、一―三の数字が出ましたけれども、年率換算するとプラスの三・五%。民間の予測を大きく上回る非常にいい数字でありました。実は、昨年の七―九、前政権の時代はマイナスの三・五。まさに、マイナスの三・五が新政権になってプラスの三・五になった、ネガがポジになったという感じだと思っています。

 その中で、過剰な円高が是正される、同時に景況感の改善、こういうものもありまして、輸出が伸びる、同時に個人消費も伸びてくる。今までの景気回復局面ですと、公的な支出が引っ張ることが多かったんですが、個人消費も伸びているということは、私は高く評価できるのではないかと。

 ただ、設備投資がまだマイナスなんですね。マイナスの額は減ってきておりますけれども、これがマイナスであるということでありまして、いかにこれを向上させていくかということが、民間主導の持続的な経済の発展につながる。

 具体的な施策につきましては、今、平政務官がお話をしたとおりでありますが、今後も、税制をさらに拡充する問題、さらにはリースを使う、そしてまた公的なファイナンス、さまざまな手段を組み合わせることによりまして、今、省エネの分野であったりとか新しい産業、設備投資のニーズは出てきております、ここで企業が設備投資に踏み切れるような、もう一歩背中を押すような施策をきちんと国としてとってまいりたいと考えております。

勝俣委員 設備投資の目標達成に向けて、私も頑張っていきたいと思います。

 続きまして、新規事業の創造や若者の起業、ベンチャービジネスについての御質問をさせていただきます。

 先般、経済産業委員会において茂木大臣から、開業率が廃業率を上回るようにしたいと御発言がございました。

 私も全く同感でございまして、欧米に比べて開業率の低い日本が、今後人口減少社会を迎える中で経済のパイをふやしていくためには、既存の産業だけではなく、新しい産業を生み出していく必要があります。そのためには、新規事業の創造やベンチャー企業の台頭というものが必要となってきます。

 私は、この日本の開業率が低いのは、そして欧米に比べて若手の起業家が少ないのは、創業時の資金調達に原因が一つあるというふうに考えております。

 日本の金融文化が間接金融の文化であり、従来から担保、保証人依存型であったことから、すばらしいアイデアが出ても、新規事業計画があっても、担保、保証人がいなければ開業にまで至ることができませんでした。

 この担保、保証人や決算書を評価して資金を貸し出すことは、あくまでも過去の評価によるものであって、新規事業の創造や開業は、未来、将来の事業を評価していかなければならないものであるというふうに考えております。

 そういった場合に、やはり、金融機関の評価手法を、過去の評価から未来、将来の事業を主体とした評価に変えていくことが必要なことであるというふうに考えます。

 また、税制面においても、なかなか浸透していないエンジェル税制の推進等も考えていかなければなりません。

 いずれにしましても、開業率を高めていくための方法というものはさまざまでありますけれども、開業率を高めていくための具体的な方策についてお伺いいたします。

平大臣政務官 まずは、若い人たちも含めて起業家がふえる、そのためには、一丁やってやるかという雰囲気、環境をつくっていく必要があると思うんですね。

 長年、デフレ経済が続き、経済の低迷が続きましたから、どうも頑張っても頑張らなくても一緒だねみたいな空気が蔓延し、頑張らなくて困ったら政府が手厚く保護しますよみたいな誤った雰囲気も蔓延しておりますから、そんなことはあり得ないので、頑張る人が、リスクをとって頑張って、頑張っただけ成果を得られる、そして万が一失敗したら、しっかりと再チャレンジできる環境をつくっていくことがまず大きな視点で重要かと思います。

 それとあわせて、まず、日本政策金融公庫では新創業融資制度というのをやっております。これは無担保、無保証で借り入れが可能になる金融制度でありますので、こちらの活用を進めてまいりたいと思います。

 また、補正予算であったと思いますが、緊急経済対策において、創業補助金二百億円を予算で措置いたしまして、約八千件の女性や若者等の地域需要に応える起業、創業や第二創業に対して、その費用の一部を助成する制度をつくりました。

 また、委員御指摘のエンジェル税制はまさにそのとおりで、導入時にあれだけ大騒ぎして、物すごく効果があるだろうと、IBMの北城さんなんかも本当に熱心にやって成立したんですが、余り活用されていないという現状であります。

 現在、経産省といたしましては、PRの強化や運用の改善などに取り組んでいるところでありますが、やはりもっと使い勝手のいいエンジェル税制にすべきという認識も私は持っておりますので、それも含めて省内でしっかり検討をしてまいりたいと思います。

勝俣委員 頑張った人、また頑張っている人が報われる経済社会というものを私も一緒につくっていきたいというふうに考えております。

 続きまして、中小企業、小規模事業所の雇用について御質問させていただきます。

 毎年、新聞等メディアにて発表されます大学生の就職人気企業ランキング等を見ますと、やはりそのほとんどが大企業や有名企業で占めているのが現状であります。私の地元の静岡県でも、地場の大手企業が独占している状況であります。

 これは、各企業が築いてきたブランドもさることながら、客観的に企業を評価できるということに起因しているのだと私は考えております。

 例えば、上場企業であるならば、決算書の公表はもちろんのこと、株価によって市場から評価を受けているわけであります。

 要するに、客観的にその企業を評価できる仕組みがあるため、学生や若い人たちが自分の就職を考えたときに、例えば同じ業種でもA社よりB社の方が株価が高いとか、目に見える形でその製品の市場シェアが大きいといったことから企業を選ぶ基準というものがあるわけであります。

 しかしながら、中小企業、小規模事業所にとっては、こうした客観的な評価の仕組みが乏しいために、せっかくすばらしい技術やサービスを持った企業でも、なかなか学生や若い人たちの目に触れないまま埋もれてしまっているのが現状であります。

 例えば、中小企業白書によりますと、二〇一三年三月卒業の大卒者で、中小企業への就職を希望している学生は八万一千四百人いたのに対して、求人数は二十六万六千人と、近年このギャップは徐々に埋まってきているものの、まだまだ大きなギャップがあります。

 このように、隠れた優良企業を隠れたままにしないで、日の目を見るようにしていかなければならないというふうに考えております。

 そのためには、例えば、さまざまな基準を設けて、すぐれた中小企業百選のような認定制度を毎年設けて大臣が直接表彰するとか、学生に中小企業を知っていただくための情報発信や魅力発信というものが重要であると考えております。

 また、大学と中小企業が共同研究というものを行っていますけれども、単に企業の社長や担当者と教授の関係だけで研究を進めていくだけではなく、企業と学生を巻き込んだインターンシップ制度の強化等々によってその企業のよさを知っていくということなども考えられると思います。

 いずれにしましても、中小企業、小規模事業所が日の目を見ることで学生や若者に興味と理解を促すとともに、そこで働く人たちが、その会社で働くことの誇りにもつながるというふうに考えております。

 中小企業におけるこの雇用のギャップを埋めるべき方策をお伺いいたします。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業、小規模事業者の雇用確保の状況でございますけれども、まず、データを御説明いたします。

 平成二十五年度の三月末の大卒の求人倍率でございますけれども、従業員五千人以上の大企業におきましてはこの比率が〇・六ということでございますが、これに対しまして、従業員三百名以下のいわゆる中小企業におきましては三・三という数字でございまして、中小企業、小規模事業者にとっては雇用の確保が大変難しい状況が続いております。

 委員御指摘のとおり、中小企業、小規模事業者の雇用のミスマッチを是正していくということは大変重要な課題であると認識いたしております。

 こうしたことを受けまして、中小企業庁といたしまして、平成二十四年度の補正予算で総額二百八十二億円の予算を確保いたしまして、中小企業、小規模事業者の優秀な人材確保に向けた支援措置を今進めているところでございます。

 具体的には、まず、新卒者が実際に中小企業の職場を体験して、その魅力を肌で直接感じていただく、中小企業、小規模事業者が行う職場実習を二万人規模で御支援させていただいているところでございます。

 また、委員からも御指摘がございました大学との連携。中小企業支援機関と大学が連携いたしまして、経営者による出前講座というようなことで魅力を発信していく、そして中小企業、小規模事業者と学生とのマッチング、さらには採用後の定着支援、一貫した取り組みを全国四十七都道府県で今進めてございます。

 それから、魅力の発信についても御指摘がございました。この点につきましても、ITクラウドを活用した支援ポータルサイトの構築等を今進めてございますけれども、この中におきまして、人材確保に積極的に取り組む魅力ある中小企業、小規模事業者について、その経営理念ですとか企業の強みというものを十分発信していただくような仕組みをつくってまいりたい、このように考えてございます。

 引き続き、中小企業、小規模事業者の魅力発信、優秀な人材を確保できるように、しっかり取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

勝俣委員 いずれにしましても、企業の採用意欲を高めていくためには、企業の足腰をより一層強化していくことが必要であります。そのためにも成長戦略をしっかりと実行に移して、国民の皆さんが景気回復、経済成長を実感できるよう、引き続き頑張っていただきますようお願い申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

 本日は、介護ロボットに関して何点か質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 日本人の平均寿命は世界でトップです。高齢者になれば、どこかにふぐあいが生じるのは当たり前。そのときに、いかに人間らしい尊厳ある生活を送っていただける社会をつくっていくのか、安心して生活していける社会をつくっていくのか、これがますます重要な課題になってくると思います。

 二〇一二年時点での介護職員というのは約百五十万人います。これが、二〇二五年になれば、約百万人アップしまして、約二百五十万人の介護職員の方が必要になるというふうに言われております。

 でも、実際の現実はどうなのかといいますと、介護現場では既に人手不足に悩まされております。また、介護現場で働く人の約七割の方が慢性的な腰痛に悩まされているというような現状もあります。また、私も選挙区をさまざま回っていろいろな方のお声を聞きましても、家族の介護で想像を絶する御苦労をされている方もたくさんいらっしゃいます。介護の現場で働く皆さんの待遇改善、またスキルアップ、こういったものを図っていくことも大事です。

 ただ、それとともに、マンパワー不足の解消とか、介護の現場で働く方々、また御家族の負担を軽減するためにも、また新たな産業を起こす意味でも、介護の現場に介護ロボットというものを活用していくことも今後非常に重要になってくるのではないかというふうに考えております。

 例えば、腰への負担の高い分野の介護を人ではなくてロボットに代替させることができれば、また、そういうような何らかの補助器具をつけて腰の負担を軽減することができれば、腰痛で介護の職員を退職する方というのはぐっと減ります。そうなれば、ベテランの介護職員の方がふえて、若手の皆さんへの介護教育の可能性が広がります。スキルアップにつながって、ひいては利用者の皆さんの介護に資することにもなります。

 高福祉国家と言われるデンマークでも、人手が必要な作業については人間が担当して、そうじゃない作業に関しては極力ロボットなどほかの代替手段によって、ほかの方法によって賄っていくというようなことを国を挙げて取り組んでいるようです。

 そこで伺います。

 世界じゅう、各国が高齢化社会に突入していく中で、政府として今後介護ロボットをどのように開発普及させようと考えているのか、答弁を求めます。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員の御指摘がございましたように、まさに介護の分野におきましては、今後ますます内外で課題あるいはニーズ、こういうものがふえていくと思いますし、また、この分野は、日本の経済にとりまして重要な成長分野、あるいは戦略市場と言える健康・医療分野、これの中核をなすものだと思っております。

 こうした観点から、特に我が国は大変すぐれたロボット技術というものがございますから、これをこの介護分野で積極的に活用していくこと、これが政府としても何よりも重要な課題だと考えております。

 このため、経済産業省は、厚生労働省とともに、まず、昨年の六月、介護ロボット導入加速化検討会という研究会を設置いたしまして、具体的な方策を検討し、昨年十一月に、ロボット技術の介護利用における重点分野として、先ほど委員御指摘のありました、例えば腰の負担を軽減するという観点でいえば、移乗介助、それから移動の支援、排せつ支援、見守り、こうした四分野、さらには五項目のロボット介護機器の指定をしたところでございます。

 その上で、こうした重点分野における開発普及を促進するため、今後、平成二十五年度予算におきまして、ロボット介護機器開発・導入促進事業として約二十四億円を措置させていただきました。これを利用いたしまして、利用者のニーズに合った、安くて使いやすい機器の開発支援、あるいは性能や安全性の評価基準、こうした策定を始めたところでございます。

 こうした予算を活用しながら、厚生労働省と連携して、現場のニーズに合ったロボット介護機器が提供できるよう、経済産業省といたしましては環境整備に努めていきたいと思っております。

國重委員 ありがとうございます。

 今、回答の中にもありましたように、利用者のニーズに合ったというのが非常に重要になってくると思います。これまで、開発者の側がいろいろな機械をさまざま開発したとしても、実際の介護現場では、余りにも値段が高過ぎるとか、また段差があってそのような機械ではここの介護の現場では使い勝手が悪いとか、さまざまなことを言われておるようですので、利用者を開発のプロセスに巻き込んで、一緒になってよりよい介護ロボットを開発していっていただけたらなというふうに思います。

 今後、さまざまな介護ロボットを開発していったとしても、どんなにいい性能の介護ロボットができたとしても、その価格が高ければ、使う側は手が出ません。介護施設に対して行ったある調査によれば、介護ロボットに施設が費やせる費用というのは、せいぜい年間百万円以下だというような回答が過半数を占めたようです。

 最大の課題は、価格です。介護ロボットを普及させるためには、介護ロボットを使う施設、また利用者の皆さんに対して、何らかの予算措置を講じることが必要だと考えます。

 先ほどの平成二十五年度の予算では、開発する側に予算措置を講じていますけれども、やはり使う側にも何らかの予算措置が初めの段階では必要なんじゃないかというふうに思います。また、介護報酬改定で介護ロボットに保険を適用することができれば、価格問題が解消されて、一気に大量生産されることも期待されます。

 そこで、この価格の問題を解消するための措置について、大臣に見解をお伺いします。

茂木国務大臣 この介護ロボットの分野は、これから政府として健康長寿世界一を目指すという中でも極めて重要な課題だと思っております。

 まずは、健康長寿ですから、できるだけ病気にならない、予防医療の方を頑張る。そして次には、病気になったときにできるだけ早くもとの状態に治癒する。恐らく、iPS細胞の研究の実用化、こういったことはかなり重要になってくると思います。

 そして、ある程度治癒はしたんだけれどもハンディキャップが残ったりとか、そういう人に対して、生活支援ロボット、また御指摘の介護ロボット、こういったものを積極的に普及していくということが重要でありますが、御指摘のように、今はまだ安いロボットが出ていないということでありまして、これから二、三年ぐらいかけまして、まずはこれを実用化しなきゃなりません。このための開発支援を行っております。

 その上で、実用化できたものがあっても、値段が高ければなかなか普及はしない。恐らく、ある程度普及しますと、コストといいますか価格も下がってくると思いますので、実用化した段階でどう普及させていくか、このことにつきましては、経済産業省、そして厚生労働省が連携をしながら、支援策のあり方を考えてまいりたいと思っております。

國重委員 どうかよろしくお願いいたします。

 現場の介護施設では、介護ロボットに関する情報をまだほとんど知らない方が多いというような現状があって、介護ロボットのメリット、デメリット、また費用対効果がよくわからないというような声があります。

 また、介護は、やはり人の手でするものであって、ロボットに任せるのはいかがなものかというような否定的な声もございます。全体的には、介護ロボットのことがよくわからないので、別に人形ロボットだけではなくて、さまざまな補助機器のようなものもあるんだけれども、介護現場ではよくその実態がわかっていないので、介護ロボットを使う意識というのがまだまだ低いという現状がございます。

 この意識を変えない限り、先ほど大臣がおっしゃっていただいた、さまざまな予算措置を講じたりしたとしても、現場での普及というのはやはりなかなか難しいんじゃないかなというふうにも思います。

 そこで、介護ロボットに関する情報発信とか広報活動というのを今後もっと積極的に行って、実際に介護ロボットを見ていただいて体験していただいて、こんなにもいいものなのか、これは人とロボットが共存できる、一緒にやっていける、また介護ロボットが介護職員の方の本当にいいパートナーになっていける、このような認識、理解をしていただくことが大事になってくると思いますけれども、介護ロボットの介護現場における普及啓発について、大臣の見解をお伺いします。

茂木国務大臣 恐らく日本ですと、ロボットという言葉ですと、もともとは鉄腕アトムとか鉄人28号とか、平政務官だとガンダムより大きいか小さいか、こういうことしか頭にないといいますか、そうではなくて、ある程度、完全な形をしていなくても、いろいろ入浴のサポートをしたりという形で、部分的な機器も含めてのロボットということなんだと思うんですけれども、そういったものの有用性の広報であったりとか普及啓発は極めて重要だと考えております。

 実は、二年前、厚生労働省が実施した調査でも、介護の現場では、介護ロボットに関する情報がほとんどない、そしてまたロボットを使う利点が理解されていない、こういう調査結果が出ております。

 このため、本年度から開始しているロボット介護機器開発・導入促進事業におきましては、介護現場の声を踏まえた介護ロボットの性能評価基準を作成して、その基準に基づいた介護ロボットのコンテスト、これも実施する予定であります。

 実際に、こういった形で使えるんですよ、こういったことについて有用なんですよ、こういったことを広く知ってもらうことによって普及も進むということで、しっかりこの有用性の広報であったりとか周知にも取り組んでまいりたいと考えております。

國重委員 ありがとうございます。またよろしくお願いいたします。

 介護現場では、ロボットを導入した際の事故が気になるというようなお声もございます。

 そこで、介護ロボットの安全性を担保するための認証の仕組み、こういうようなものも大事になってくると考えますけれども、これについて現在取り組んでいることはあるでしょうか。その取り組み状況について、答弁を求めます。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、まさに介護ロボットを含むこういう生活支援ロボットというのは、直接人に接して使用するものでございますので、やはり通常より高い安全性が求められます。国際的にも、ISOで既に生活支援ロボットの安全性に関する国際標準、安全規格というものの策定が進んでおります。

 このため、政府といたしましても、生活支援ロボットの安全性を証明し、安心して使用できるようにするために、平成二十一年度から、まさに生活支援ロボット実用化プロジェクトというものを継続的に実施しておりまして、こうした国際標準づくりへの参画、これに適合した国内の試験方法や体制、あるいは認証制度の整備を進めてきたところでございます。

 このISOの国際標準、これは本年度中に最終的に確定すると思われますので、これに適合した第三者認証の国内制度を早急に整備する予定でございます。

國重委員 どうかしっかりと取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 世界各国、高齢化社会になっていく中で、介護が産業を牽引するに当たって、この介護ロボット、ロボットというので、先ほど茂木大臣がおっしゃったように、少し鉄腕アトムのようなイメージもあって、それが余り普及しない一つの原因になっているかもしれませんけれども、この介護ロボットというのは大きな可能性を秘めたものだというふうに思っております。

 こういう介護ロボットとかをやっていこうという動き、これまでもさまざまあったと思いますけれども、茂木大臣のもと、ますます今後普及させていかれますように期待して、私自身もしっかりと取り組んでいくことを決意して、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。

 民主党の近藤洋介であります。

 質問の機会をいただき、委員長初め皆様に感謝を申し上げます。

 早速、質問に入りたいと思います。

 まず最初に、茂木大臣にお伺いしたいと思います。

 委員長のお許しを得て資料を配付しておりますが、一枚目をごらんいただければと思います。

 まず最初に、大臣が五月十七日金曜日、先週の金曜日の朝にされた閣議後の記者会見の内容についてお伺いをしたいと思います。

 この一枚目のペーパーは、経産省が出された閣議後記者会見の議事録でございますが、大臣は、記者から政府が提出しているいわゆる電力システム改革法案の見通しについて質問され、このようにお答えをされています。全文ではなく下線の部分だけをお読みしたいと思います。

 「政府・与党として、経済産業省として、是非この国会での成立をお願いしたいと考えておりますが、野党の一部のグループ、改革への抵抗ということもありまして、なかなか進みにくい状況にある。これは大変残念だと思っております。」こう発言をされました。

 この発言を受けた形で、複数の新聞社が、電気事業法案、今国会で成立困難にといった趣旨の記事を掲載いたしました。

 大臣、私は、この発言は大変問題があったのではないか、こう思います。大臣は、もちろん政策については随一政策通の先生であられますが、当然、議会人でもあられますから、議院、国会運営、委員会運営の仕組みについては十二分に御存じかと思います。法案をどのように審議するかというのは、議会そして委員会の専権事項であります。

 また、システム改革法案については、まさに理事会、理事懇談会で協議をしており、その審議入りについても、私も野党の筆頭理事として、与党筆頭の塩谷自民党筆頭理事と真剣に、まさに真摯に協議を現在している最中でございます。

 限られた日程の中でどのように審議するかというのは、国民の代表たる国会としてこの責任を果たすべく、その扱いについてまさに真剣に議論しているわけでありますけれども、この扱いについて、法案提出者の責任ある立場で、一体どのような情報をもとに、野党の一部のグループ、改革への抵抗が理由でおくれていると発言されたのか、全く理解に苦しみます。

 この発言については、国会対策委員会委員長から与党委員長に対しても、非常に問題であるという抗議をさせていただいているところであります。

 もとより、この法案は、我々民主党政権下で議論を始め、骨格を固め、きょうも御出席されています枝野当時経産大臣、私は当時副大臣でございまして、政府の中におりましたが、議論を進めてきた内容でもございます。それぞれ各党の立場が野党はあろうかと思いますけれども、我々も真剣に受けとめ、改革を進めなきゃいかぬ、こういう立場にあります。

 野党各党、この委員会に理事を配置されている日本維新の会さんも、この改革には前向きというか真剣に取り組まなきゃいかぬ、みんなの党さんも同様の考え、共産党さんは、それぞれ立場はあろうかと思いますが、重要法案であり、審議を受けとめなきゃいかぬという立場。私は、野党筆頭として、各党との協議の中でそれぞれ話を進めてまいりました。

 こうした中で、大臣が記者会見で、政府の立場として、議会がまさに真剣に話を進めているさなかに、このような発言をなぜされたのか。

 まずお伺いしたいのは、一部の野党とはどの政党、どのグループを指しているのか、お答えください。

茂木国務大臣 五月十七日の記者会見におきましては、委員も副大臣をされたり、さまざまマスコミとの対応があると思いますが、それぞれ質問される方は問題意識を持たれています。その方につきましては、法案のおくれと、なぜその原因があるのか、こういうことを中心にお聞きになられたわけでありまして、私として、国会の審議の運営につきましては、委員御指摘のように、国会での与野党協議にお任せする、当然のことだと思っております。

 その上で、何か特定の政党であったりとか特定のグループであったりとか特定の個人を指してお話ししたものではありませんし、固有名詞は一切出しておりません。

近藤(洋)委員 しかし、大臣、これは議事録にもあるとおり、明確に、野党の一部のグループ、改革への抵抗という御発言をされているんですね。想定もしないでこのようなことをいいかげんにおっしゃるのはいかがなものか、どういう情報が上がっているのか、こう思うわけであります。

 菅原副大臣に来ていただいております。お忙しいところ、済みません。法案質疑のやり方について余り委員会でつまびらかにするのはいかがかと思いましたが、大臣がこういう発言をされておりますので、あえて公式の場でお伺いしたい、こう思います。

 菅原副大臣と私は、この法案の扱いについて、少なくとも二度、副大臣が私の議員会館の部屋に来られて、どのように電気事業法を審議するかということを、政府のお立場として来られて、私も野党筆頭として議論を重ねてまいりました。

 少なくとも、私ども民主党は、党の立場として、また野党筆頭理事の立場としても、この電気事業法案についてきちっと議論していこう、そして、もちろん期限のある国会でありますから、きちんと決着を出していこうと。決着というのは、賛否というのは、まさにこれから審議に入るわけですから、それぞれの立場で、成立云々というのは、我々の党の立場としては、改革の方向を前に進めたいという民主党の立場でありますが、議会としてどうなるかというのはこれからの話でありますから、いいかげんなことは言えないわけですが、きちんと結論を出していこうという方向で、そのために何ができるか、どういうことができるかということを議論してきたかと思います。

 少なくとも、抵抗したという発言は私は記憶がないのですが、副大臣、いかがですか。

菅原副大臣 私も今、副大臣を拝命しまして、前任者の副大臣が筆頭であります。

 したがって、大臣のかわりに委員会での答弁をしたり、各種会合で挨拶をしたり、そしてまた法案提出側の立場として、野党各党に、法案の趣旨やスタンスや、なるべく一つでも多くの法案を審議していただいて、可決あらしめるように努めている、こういう作業をするものだと、改めてこの立場に立って今感じております。

 そして、今筆頭のお話がありましたように、五月に入りまして、消費税の転嫁法案、これは当初よりも若干時間が食い込んでしまった中で、いろいろと与野党に御努力いただいた中で、先般議了となったわけでございます。

 その後に、クール・ジャパン、独禁法、電事法、そして小規模事業法、この四つが俎上に上がっている中で、独禁法以外は既に閣議決定しておりますから、どういう流れでということを大臣と打ち合わせた結果、電事法は安倍政権における極めて重要な法案の一つであるからということで、そのあたりを近藤筆頭にお示しし、またどういうお考えでいらっしゃるか、それを伺いに二度お邪魔した次第であります。

 そのときに、いろいろな議論がありました。ここでまたつまびらかにすれば、かなりきめ細かな話にもなりますからあえて申し上げませんけれども、今質問のときに電事法をしっかり進めていくと言ったのとは若干違うようにそのときは見てとれました。

 つまり、独禁法を議員立法でやってくれるのであれば電事法から入る、しかし、終わりが見えなければ、これはやはり重要法案でありますから、廃案になったら元も子もありません、したがって、私は、重要法案であるから、きちっと参議院も含めてこの流れがある程度確立すれば、それはそれでいいと思いますと。

 しかし、二回目にお会いしたときは、クール・ジャパン法案が予算関連法案だから、独禁法の扱いは別としてクール・ジャパン法案からという話になったものですから、これはちょっと、最初、電事法から入るとおっしゃったのと若干違ってきた印象を私は受けました。

 そして、御党の中の国対、政調あるいは幹事長室といろいろとあったと思います。また、私どもも、与党自民党の中で、国対とのやりとりあるいは大臣との協議、さまざまな角度から再三、近藤筆頭に我々のスタンスをお示ししたところであります。

 一つ言えるとすれば、抵抗ということは全く私は感じませんでしたけれども、今いみじくも質問でおっしゃった電事法は極めて重要だというお話とそのときはちょっと違って、電事法よりもクール・ジャパン、そして独禁法というような印象を私は受けました。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 お伺いしたいのは、これはまさに理事会、理事懇談会、きょう、それぞれの参加しているメンバーがおります。塩谷先生がこの場にいらっしゃらないのは残念ですけれども、塩谷先生も、大臣の発言については非常に違和感を感じている。抵抗しているということは、ちょっとこれは違和感を感じているという趣旨の発言を私にはされました。議事録にちゃんとこれも残していただきたい、こう思います。

 ですから、抵抗ということではないんです。副大臣がるる今説明をされたのは、まさにそういう協議の中でどうやって審議を全体で進めるかということですから。

 限られた時間ですから、余りつまびらかに言っても意味がないと思いますが、我々は抵抗しているということは全くないし、また副大臣も、抵抗しているという報告は大臣には上げていない、こういう話だったと思います。事務方にも確認いたしましたが、官房として、どこかの一部のグループが抵抗しているという情報を大臣には上げていないということは確認いたしました。

 そういう中で、大臣、責任がある立場の方が、やはり記者会見でこういった発言をされるというのは私は問題があったと思うんです。

 ここは大臣、素直に、この場で、この発言は問題があったということで、きちんと謝罪されるべきだと思うんです。

 そうしたことを、言葉尻をつかまえて、審議を延ばしたり、また審議入りの順番を変えたりというつもりは我々は毛頭ございません。電気事業法は極めて重要ですから即審議に入りたい、こう思っております。即入りたいと思っております。

 クール・ジャパンの法案は予算関連法案。もともと政府は、このクール・ジャパンは予算関連だからやっていただきたいと強く言ってこられたし、クール・ジャパンにしていただきたいと言って申し込まれてきたのも、これは与党側が最終的に申し込まれてきた、このことも改めて、きちっと議事録に残して、申し上げたいと思います。

 その上で、電気事業法をきちんと議論して、そして決着をつけるべきです。今国会、最大限の努力をするということを我々は思っておりますし、そういう前提に立って、大臣、この場できちんと、この発言については問題があったと謝罪していただきたいと思いますが、いかがですか。簡潔にお答えください。

茂木国務大臣 私の記者会見の発言を見ますと、若干舌足らずの部分はあったのかなと思います。

 私は、野党の一部のグループが抵抗しているから進まないとは申し上げておりません。

 それぞれ政党です、そしてまた個人の議員によってもさまざまな意見があります。それを、野党の一部のグループの考えと言えばよかったのを、野党の一部のグループと。それから、世の中的に言いますと、賛成の人もいます、これに反対というか抵抗する人もいます、これを全体として捉えてこういう表現をいたしましたが、決して私は、野党の一部のグループが抵抗グループであり、それが反対しているというお話で申し上げたわけではありません。

 ただ、一言申し上げると、先生のお考えを聞きますと、国会の運営について、一般論でも、全く、例えば、我々としてこういう法案についてはぜひお願いしたいとか、今なかなかこういった問題が進まなくて困っている、こういったことについても言及すべきではない、こういう御意見なんでしょうか。(近藤(洋)委員「そんなことはないです」と呼ぶ)

 例えば、近藤委員御自身も、経済産業副大臣時代に、総合取引所に関する金融取引法の改正について、本来ならば一年前に通すべき法案だった、ねじれ国会という事情もあり、仕方がないとはいえ、やや遅過ぎたと感じていると。

 恐らく、それぞれ政治家も、議会のあり方とかそういうものについては、基本はお任せするんですよ。そういった中で、コメントを求められれば、一般論として、誰が悪い、誰がいいということではなくて、お答えするということはあると思います。

 ただ、冒頭も申し上げたように、野党の一部が抵抗勢力だ、こういうふうにとられたとしたら、そういう意図ではございません。

近藤(洋)委員 大臣、私もそういう発言をしています。

 しかし、誰かを仮想敵にし、しかも、まさに審議をしようというこの山場のときに、これからまさに議論も始まろうとする中で、野党の一部のグループ、こういうことをおっしゃるのは非常に私はひきょうだと思うんです。このことは申し上げたいと思います。

 大臣から言葉足らずだったという御発言がありましたから、それは一定の謝罪だと受けとめますが、委員長、ちゃんときちんと謝罪していただきたいと思いますので、ぜひ、委員会として、その対応を求めていきたいと思いますので、まず御提案を申し上げます。

 委員長、よろしくお取り計らいをお願い申し上げます。

富田委員長 後刻、理事会で協議したいと思います。

近藤(洋)委員 質疑に入りたいと思います。残された時間であります。

 電力システム改革、これから法案審議に入ってまいりたいと思うわけでありますが、原子力をどう位置づけるか、これは避けて通れないわけであります。

 国の基本的な政策は、これまで、原子力政策大綱という形で閣議決定されてまいりました。民主党政権下では、三・一一の福島原発事故を受けて、エネルギー・環境戦略という形で原子力政策の骨格を示しました。現政権は、民主党政権の政策を白紙から見直すとされております。

 では、安倍政権下では、現在、この原子力政策大綱、現在も法制上は生きているわけでありますけれども、この大綱的な基本政策の見直し作業は一体どこまで進んでいるのか。原子力政策大綱の見直しはどこまで進んでいて、いつまでに決めるという見通しがあるのかないのか。政務官、お越しいただいていますが、お答えいただけますか。

島尻大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今、近藤先生がおっしゃられたまさにそのとおりでございまして、原子力委員会は、平成二十二年十一月に新大綱策定会議を設置して、新たな大綱の策定に着手したということでございます。

 ただ、一方、平成二十四年九月策定の革新的エネルギー・環境戦略においては、新たな原子力政策を、エネルギー・環境会議の場を中心として、確立するというふうにされたわけでございます。

 原子力委員会は、政府における原子力の利用に関する政策の審議体制がこのように変更されるということを受けまして、新たな大綱の策定を見合わせることが適当と考えまして、平成二十四年十月二日に、新大綱策定会議の審議を中止し、同会議を廃止したわけでございます。

 現在、原子力委員会において、新たな大綱策定に向けた検討というものは行われてございません。

近藤(洋)委員 そうなんですね。政務官がお答えいただいたように、今、その大綱の議論は全く空転というかストップしているんですね。というよりも、むしろ、原子力委員会をどうするか、そもそも議論するお座敷が現実にないというのが現状なわけであります。

 国の原子力政策の司令塔というのは、これまで原子力委員会が担ってきたわけでありますが、我々民主党政権下では、この原子力委員会の組織の見直しに着手した。配付している資料にありますとおり、十二月十八日の報告書で、見直しの基本的な考え方というのをまとめております。資料の三枚目にございますように、組織の姿はどうであれ、機能は必要だという整理をしたところであります。そして、残念ながら、我々は政権をその後離れました。

 さて、安倍政権は、発足してもう五カ月たっていますけれども、この原子力委員会、司令塔の議論の見直しについて、具体的な検討会を現在設けて議論を進めておりますか。議論をしていないということは、今の姿でいいということなのかどうか、簡潔にお答えいただけますか。

島尻大臣政務官 まさにきょう、近藤先生、参考資料で配付をしていただきましたけれども、昨年の十二月十八日の「原子力委員会の見直しに当たっての基本的な考え方について」というもの、我々も、これを参考としつつ、関係省庁とも連携して、改めて見直しの検討を行うこととしております。

 現在、山本大臣の御指示のもとで事務方が鋭意準備を進めているところでございまして、できるだけ速やかにこの検討の場を立ち上げたいというふうに思っているところでございます。

近藤(洋)委員 茂木大臣にお伺いしたいんです。

 原子力委員会、これはやはり、いずれにしろ国の基本政策を考える場というのは極めて重要です。今回、規制委員会ができました。規制の姿はきちっとできた。そして、恐らくこれから、原子力の推進という観点からは、茂木大臣を先頭に、経済産業省、資源エネルギー庁がさらにこれよりも前に出て、原子力政策を進める立場で位置づけがされる。

 そうすると、規制と推進というものが、二つエンジンができると同時に、全体の司令塔の何らかの組織、調整機関というのはやはりどうしても必要だ。その議論の場が、今宙ぶらりんで何にもない。一応、近藤駿介委員長以下原子力委員はいらっしゃるけれども、事実上開店休業であるというのは、私は極めて問題だと思うんですね。

 電力システム改革という大きな議論をするんだったら、少なくとも大綱の議論をする場を、これは早急にせめて場ぐらい設けて、そして原子力委員会をどうするかという議論も早急に立ち上げるべきだと思いますが、これは関係大臣として、所管の大臣ではございませんが、原子力にかかわる大臣として、この点、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 これまでの原子力委員会は、高い見識、専門性を有する委員から構成され、原子力政策の重要事項について審議そして検討するための組織であり、その原子力委員会が策定する原子力大綱は、中期的な原子力政策のあり方を指し示すものとなってきたわけであります。

 そんな中にあって、原子力委員会のあり方について今般見直しの検討をするということになっておりまして、経済産業省としてもできる限りの協力をしていきたい、そのように思っております。

 同時に、我が省としましては、今、総合資源エネルギー調査会の総合部会におきまして、年末をめどにエネルギー基本計画の策定を行っておりまして、そこの中におきましては、原子力の今後のあり方、しっかり位置づけを行っていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひこの辺の議論も、電力システム改革法案の議論の中で極めて大事な点ですから、さらに議論を深めていきたい、こう思います。

 いずれにしろ、大臣、この原子力委員会のあり方ということは、やはり早急に決着をつけるべきであります。これは設置法もあるわけでありますから、法案にかかわるわけでありますから、秋の臨時国会なのか次の国会なのかどうかは別にして、政府において早急に考えをまとめられて提案していただきたい、こう思います。ちょっと遅過ぎるのではないかと思います。

 最後に一点、資料の二枚目のページに行っていただけたらと思います。

 先ほどの自民党の議員の方も、設備投資についてお話をされてまいりました。七十兆円にふやすと安倍政権の成長戦略の第二弾で表明された、これはすばらしいことだと思います。設備投資は極めて重要であります。現在六十三兆円を、あと七兆円、三年間でふやす、こういうことでありますが、その中で、我々旧政権下で提案した、償却資産に対する固定資産税の見直しを、昨年の十二月の政府税制調査会で、当時、経済産業省は提案いたしました。

 これは大変大きな話であります。補助金、そして金融、しかし、やはり税であります。法人減税、そして設備投資の減税。現政権下でも多少の設備投資減税は実行されておりますけれども、償却資産に対する固定資産税の見直し、これは日本だけが異常に機械装置に税をかけているという異様な姿になっております。

 ぜひ大臣、この点について、私はこれは非常に大きな設備投資を促すポイントになると。もちろん地方税との関連等々ございます、そう簡単でないのは十分承知しております、だからこそ果敢にこの点に取り組んでいただきたいと思いますが、最後にこれを伺って、終わります。

茂木国務大臣 近藤委員、大変重要な御指摘だと思っております。いい資料もお出しいただきました。

 事実としてこうなっているわけでありまして、諸外国と比べて、これが日本の企業にとって設備投資を進める上で競争上不利になっている、このことを見ると、現実の問題だと思っております。

 そして、現政権におきましては、これから設備投資を一〇%拡大して、バブル以前が七十兆円でありましたから、これを上回る水準まで持っていくということを考えましたら、税であったりとかさまざまな手段を駆使して設備投資の拡大を図っていくということが、今回、これから民間主導の持続的な経済成長を遂げていく上で極めて重要でありまして、そこの中で、当然政府内でこれから詰めなければならない問題でありますが、御指摘いただいた資産償却の問題は極めて大きなテーマになってくる、そのように考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。ぜひ御検討いただければと思います。

 菅原副大臣が言われた独占禁止法、議員立法において今国会で何とか成立させたいということで与野党間で調整してまいりましたが、残念ながら、政府において閣議決定される。我々民主党は、閣議決定したそのままの法律を出して、そして早期成立ということで考えましたが、政府において閣議決定されるというようなことを風の便りで聞いております。

 それに、どうであれ、独占禁止法であれ、電気事業法であれ、特に急がれるのは電気事業法の議論だと思いますが、この委員会において建設的な議論をきちんと重ねることをお約束して、また、大臣におかれましては、仮想敵をつくって何かしてというような発言は、もう小泉政権下の手法は古いんです、我々は、きちんと改革を前に、そして恐らく野党各党とも改革を前に進めたいという思いは共通しておりますから、堂々と中身の議論で勝負したい、こう思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 時間ですので、終わります。

富田委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤でございます。

 大臣には二カ月ぶりの質疑でありますので、よろしくお願いします。

 先ほど近藤議員との質疑を聞いて、大臣、私も国対をやっていますけれども、つかさつかさが信頼関係でいろいろやっていますから、ぜひ信頼していただいて、対応をお願いするように、私の立場からもくれぐれもお願いしておきたいというふうに思います。

 三本の矢、三本の矢という形で、矢がどこにあるのかよくわからない部分もあります。まず、きょうは山際内閣府大臣政務官に来ていただいていますので、成長戦略という部分がなかなか見えないと思っているんですが、今固まっている内容、そしていつまでにこの成長戦略を、過去十年間を見ても、それぞれの政権で成長戦略なるものを繰り返しつくっては、全部御破算にするのかどうかは別としても、私たちもそういうことを去年までやらせてもらいましたけれども、今どのような状況になっているのか、内容も含めて、簡潔にちょっと御説明をお願いしたいと思います。

山際大臣政務官 安倍政権における成長戦略に関しましては、総理から、六月のサミットの前までにまとめてほしい、そういうお話がございますので、そのスケジュール感で今進めてございます。

 中身につきましては、三つの柱として、日本産業再興プラン、さらには戦略市場創造プラン、国際展開戦略の柱を立ててございます。

 日本産業再興プランは、これまでテーマ別会合等々で行った議論も踏まえまして、産業の新陳代謝の促進、人材力強化・雇用制度改革、科学技術イノベーション・IT強化、エネルギー・環境制約、立地競争力強化を中心に、具体策の検討を深めているところでございます。

 また、戦略市場創造プランは、健康に長生きできる社会の構築等、幾つか、あるべき社会の姿というものを戦略目標といたしまして、その実現のために、コア技術への研究開発投資、規制改革関連投資の促進など、政策資源を一気通貫で投入するためのロードマップの策定に向けた具体策の検討を進めてございます。

 さらに、国際展開戦略は、世界市場に果敢に挑戦して、その果実を国内に還元するとともに、世界じゅうの人、物、金、事業が我が国に集まる仕組みを盛り込もうとしているところでございます。

後藤(斎)委員 今、山際政務官にお答えいただいた中で、科学技術イノベーションというのが多分、その三つの柱を加速する大きな手段になるというふうに思っています。

 せんだって、総合科学技術会議で科学技術イノベーション総合戦略の原案を作成されました。今、山際さんがおっしゃったような総合戦略の策定の必要性ということで、政務官がおっしゃった以上の、かなり、ああ、そうだなというふうなことを述べた上で、二〇一五年、二〇二〇年、二〇三〇年と工程表もあらあらつくりながらやっていることは非常にいいと私も思っています。

 では、これをどういうふうにこれから成長戦略の中に入れ込んで、具体化していくかということが必要だと思うんです。まず、倉持統括官にきょうは来ていただいていますので、これをどう具体化していくのかという方向感についてちょっと御説明をお願いしたいというふうに思います。

倉持政府参考人 御質問いただきました科学技術イノベーション総合戦略でございますけれども、これも安倍総理から御指示をいただきまして、経済再生という現下の最大かつ喫緊の課題に科学技術イノベーションの観点から対応するということで、総合科学技術会議において策定を進めているものでございます。

 先週五月十七日に開催された本会議で、原案について御審議いただきました。

 科学技術イノベーションの促進を具体的にどのような経済社会への貢献の成果につなげていくのかという、いわば出口志向の課題解決型政策運営を行っていく必要があるという考え方のもとで、今委員御指摘いただきました、二〇三〇年に実現すべき我が国の経済社会の姿、その実現のための科学技術イノベーションが取り組むべき課題、総合科学技術会議の司令塔機能強化等を示した内容になってございます。

 この総合戦略は、新たな科学技術イノベーション政策のいわば骨太の方針と言われるものでございまして、まさに策定中の成長戦略に盛り込まれていくものと考えております。

 私ども内閣府といたしましては、総合科学技術会議が司令塔となりまして、まさに関係省庁と連携してこれを強力に推進することによりまして、科学技術イノベーションの観点から経済成長に貢献してまいりたい、かように考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 大臣、二〇三〇年に向けてということで、私もそうだと思っていますけれども、実は今、いろいろな国で、世界じゅうの予測というのをいろいろな角度から出しています。悲観的なものもあれば、そうではないものもある。一般的に共通しているのは、多分、我が国の経済、人口も含めて、相対的な地位はこれから低下するだろうというふうなこと。これは、少子高齢化で人口が減少しているという我が国ですから、ある意味ではやむを得ない部分があるかもしれません。

 もう一つは、エネルギーや食料も含めたものが、クール・ジャパンの発想や輸出拡大の発想とは逆ですけれども、要するに成長するアジアやアフリカにいろいろなものを売っていかなきゃ外貨は稼げない、これは多分成長戦略の柱というものに、いわゆるメガトレンドの前提というものが余り考えられていないのかなと。むしろ、これからも、中で頑張っていけば、アジアの成長も取り込めて対応が進められるんだというふうな、ある意味では非常に楽観的なシナリオなのかなとちょっと思わざるを得ないんです。

 これは山際さんに質問通告してありますが、例えば、戦後の日本の産業構造を簡単におさらいすれば、非常に産業の中で大きなウエートを占めた農業から製造業、サービス業という形、今はサービス業の中でも、介護、医療という分野に雇用が非常に集まって伸びているということだと思うんです。

 山際政務官、二〇三〇年にどんな仕事が残っていくというふうにお考えでしょうか。

山際大臣政務官 お答えは総論的な話になってしまうかもしれませんが、委員御指摘のとおり、メガトレンドというものを政府としてももちろんきちんと認識した上で、だからこそ日本は課題先進国なんだ、世界に先駆けて私たちが課題をまず真っ先に解決できれば、そうすれば二〇三〇年にはあらまほしき社会になっているのではないかという、この根底の考え方がございます。

 それがあった上で、ではどういう目標を立てるかという話ですけれども、成長戦略を練っていく上での現段階においては、四本の柱といたしまして、健康に長生きできる社会を構築してまいりたい、そして二つ目として、クリーンかつ経済的なエネルギー需給を実現していきたい、また、安全で便利で経済的な次世代のインフラを構築する、さらには、世界を魅了する地域資源で稼ぐシステムを構築する、これを戦略目標として掲げまして、それを実現するために成長戦略等々をつくっていくということでございます。

 当然、この四つの柱で成長戦略を組んでいく中で、雇用も生まれてきて、そこの部分で私たちは生きていける、このように考えております。

後藤(斎)委員 大臣、今のは総論ではそうなんです。そうなんですが、私たちは今、政治という中で仕事をさせてもらっています。建設業で地方で働く方もいれば、農業で働く方もいれば、後ほど触れますけれども、製造業、電機産業で働く方もいれば、自分が十年後、二十年後もこの職についていけるのかなということで、若い方たちは、会社や、公務員になる方もいらっしゃいますけれども、仕事を決めてそこで頑張っていくということだと思うんです。

 大臣もお子さんがいらっしゃると思いますけれども、自分の子供が将来どういうふうな職業につこうかというときには、やはり成長性とか、ずっと定年まで何とか安定して、とりあえず給料が普通の職業よりもいいところに行ってほしい、多分親だったらそう思うはずなんです。

 先ほど倉持さんから、科学技術イノベーションの部分で、いろいろな産業別に工程表をつくって、二〇二〇年、二〇三〇年の目標をきちっとつくってもらっているので、そこでどのような雇用が発生していくのか、そしてそれが世界で、先ほど山際さんがおっしゃったような形で、本当にそれがきちっと理解されて売れていくのか、市場に出ていけるのかどうか。人口は減るという前提でなければ、移民という別の政策を本当に考えない限りは、二十年、三十年後はそうならざるを得ないと思うんです。ですから、大臣、そこはやはりもう少しきめ細かくやらないと。

 私は農林水産委員会にも所属しているんですが、輸出戦略で、品目別、地域別のものを今全部足し算しているというふうに林大臣はよくお答えになっているんです。それが本当に当たるかどうかは別として。

 ちょっと話を飛ばさせてもらいますけれども、シャープがなぜサムスンと提携せざるを得なかったのか。

 成長戦略の中では、きょうの報道ですと、政府が産業再編について今まで以上に力を発揮して、支援していかなければいけないという指摘もあります。ですから、国内の企業体や金融機関や経産省が、放置したかどうかは別として、なぜ、シャープがサムスンという一番のライバル会社に提携を求めざるを得なかったのかというのを、普通の国民は、政府は何をやっているのか、日本の金融機関やほかの同業者は何をやっているのかということを多分考えざるを得ないと思うんです。

 大臣、その辺についてまずちょっと。なぜ、シャープはサムスンと提携せざるを得なかったんでしょうか。短くて結構ですから。

茂木国務大臣 先ほどからの議論の中で、四つの戦略的な市場分野という話が山際政務官の方からありましたが、我々は具体論を相当やっております。

 例えば、健康長寿世界一、こういったものは課題といいますか大きな目標でありますけれども、それを達成するために、予防医療の世界というのは相当強化していかなければならない。恐らく二〇二〇年段階で、今の一兆円の市場が二十兆円ぐらいに膨らんでいくだろう。そしてそれは、全部保険適用の分野ではなくて、保険隣接の分野で、もっと民間にもできる仕事をやってもらいたい。そのためには、今グレーゾーンになっている部分について、きちんとこれはホワイトゾーンでできるんですよ、こういった規定をしていくことも必要だと思っています。

 時間がありませんので余り申し上げられませんが、例えばクリーンエネルギーの世界、これから例えば再生可能エネルギーを導入していくとなりますと、太陽光でもそしてまた風力でも、どうしてもやはりこれを安定させるために蓄電池を使わなきゃなりません。

 大型の蓄電池の技術、日本は今世界最先端でありまして、蓄電池の市場も、今一兆円ぐらいでありますが、これが電力系統、自動車等々に使われることによって、二〇二〇年には二十兆円ぐらいに広がっていく。日本の技術は最先端でありますから、今コストが四万円のものを二万三千円に落とせば、世界市場の半分ぐらいがとれるのではないか。

 こういった具体論も、もちろん最初は、どの産業がいいということではなくて、大きな政策課題、目標を設定しながら、それに至る中で、必要な規制緩和であったりとか新しいコア技術であったりとか、そういったものを組み立てていきたい、そのように思っているところであります。

 シャープのお話をいただきました。個別企業のどこがよかった、どこが悪かったということを言うのは差し控えたいと思うんです。

 かつてのエレクトロニクス産業、八〇年代、メーンフレームの時代から始まりまして、いわゆる垂直統合型でありました。一つの企業があって、そのもとでさまざまな部品メーカーが出てくる、そして、すり合わせの技術によって一つの製品を完成させるということで世界的な競争力を持ったわけでありますが、だんだん、パソコンそしてインターネット、新しい時代に入っていく中で、モジュール型になっていく。

 そして、水平分業というものが生まれて、一社が全てをつくるのではない、そこの中で一番キーになるようなコンポーネントを持った会社が強くなって、それがグローバルなサプライチェーンをつくっていく。そういった面でおくれをとっている部分もあるんだと私は思っておりまして、そういった国際状況もにらみながら、新しいエレクトロニクス産業の将来像というのを描いていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣がお触れになったような部分で、蓄電池にも関係しますけれども、先ほどの総合科学技術会議の工程表の中にもあるんですが、我が国の技術でかなり最先端だと言われている燃料電池があります。

 数年前までは、燃料電池車というのは一台一億円くらいしたのが、二〇一五年には五百万円くらいでマーケットに出していける。これは本当に、企業の御努力やその前の潜在的な要素技術の開発の日本の力だと思っているんです。

 ただ、燃料電池車が走る際に、水素を使うわけです。今、水素というのはほとんど天然ガスの火力発電の中でできるものを使っている。でも、なかなかためることができないというのがこのしゃばの世界のようであります。それで今、経産省と文科省でグリーンイノベーションの推進という形で、これは私たちの政権時代にもやらせてもらって、要するに、水素の大量輸送や貯蔵の問題をどういうふうに解決するのかということ、沸点を低くしないとエネルギーが使えませんから、そういうもろもろのことというのがこの燃料電池車の普及の際に必要です。

 もう一つは、さっき大臣がおっしゃった、欧米よりも一つ当たりのステーションのコストが非常に高い。これは、経産省も関係する規制の部分です。やはり、水素のインフラというのを、ネットワークをきちっとやっていかないと、燃料電池車が幾ら市場に出ても、途中でとまっちゃうということになります。今、五十カ所、百カ所というのをこの数年間ではめどにしながら、いずれ千カ所ということで、千カ所といっても、今のガソリン、SSの部分でいえば、五万軒くらいまだありますから、非常に少ない数なわけです。

 ですから、これからの政府というか全体の国の、これは民間企業も含めてですけれども、方向感、それを国内市場だけではなくて世界に対してどういうふうに売っていくのかということも含めてだと思うんですけれども、その辺、水素インフラの問題点も含めて、現状そしてこれからの見通しについて、簡単で結構ですから、お答えいただきたいと思います。

菅原副大臣 後藤委員のお地元の山梨大学もこの分野で大変有名でありまして、これからまさに成長を担っていく一つの分野が、水素あるいは燃料電池の部分だと思っております。

 今お話がありましたように、来年度から四大都市圏で水素ステーションの百カ所程度の整備を目標として、今支援をいたしております。ただ、コストが高かったり、いろいろな課題がございます。

 そういう意味では、水素ステーションのコスト低減のために、例えばステーションで用いる配管等の使用鋼材の規制緩和に向けて、鋼材の特性データの取得をしたり、あるいは鋼鉄製ではなく炭素繊維を用いた水素容器の開発などに補助をしたり、あるいは炭素繊維を用いた水素容器の検査施設の整備、こういった取り組みを進めております。

 今後とも、水素による燃料電池の需要が拡大するということが見込まれますから、こうした対策、あるいは再生可能エネルギーの導入拡大に伴う余剰電力を利用したり、こうした取り組みを通じまして適切に対応していきたいと考えております。

後藤(斎)委員 小型の燃料電池車も課題がたくさんあって、本格的に普及するかどうかというのは、インフラの整備と対になってやっていかなきゃいけないところだと思います。

 日本は小型化は得意なんですが、基本的に水素を使うだけだったらCO2は出ませんから、生成過程でCO2は出ますけれども、やはり燃料電池の大型化ということも私はやっていく必要があると思うんです。

 先ほどの余剰の部分をどう使うかということよりも、最先端のものを、今プラント輸出というのは原子力発電所がメーンでお進めになっているようでありますけれども、やはりクリーンで高効率ということになれば、地域分散の、要するに分散型電源という一つの大きな柱に、燃料電池の大型火力発電所の推進というのが私は必要だと思うんです。

 大臣も、御地元は内陸というか海がないところですし、私の山梨も海のないところです。海のあるところに今火力発電所はほとんど立地をしていますけれども、燃料電池大型発電所みたいなものができると、別に栃木と山梨で競争しようとは思いませんけれども、ぜひそういうふうなことの技術、人材も含め支援をしていくべきだと思うんですけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

茂木国務大臣 後藤委員御指摘のとおりだと思っておりまして、大型の燃料電池を使うとなりますと、恐らくトリプルコンバインドシステムというものを開発していくということで、まさにそれに着手したところであります。

 この技術は、燃料電池で発生した熱をガスタービン及び蒸気タービンにより多段階で活用する、これによりトリプルという言葉を使うわけでありますけれども、これで既存の火力発電システムの発電効率、四五%程度でありますが、これを六〇%程度まで引き上げることが期待されるということでありまして、二〇二〇年ごろに数万キロワット級の実用化を目指していきたいと思っております。

 国としては、このトリプルコンバインドシステムの実用化に向けて、NEDOを通じて今支援を行っているところであります。山梨にできるのか、栃木にできるのか、両方にできるのか、しっかり頑張っていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、この問題点、ちょっと私が思っているのは、今、三菱重工さんが燃料電池をつくり、日立製作所さんがガスタービンをつくっている。もう少し違ったグループもちょっとつくりながら、競わせた方が私はいいと思うんですよ。例えば山梨型、栃木型みたいな形で。

 ぜひそういうこともNEDOに、十億ちょっとぐらいの補助らしいですから、少しそこを拡充しながら、やはりできるだけ早くできるようにしていただくと、本当に分散型の新しいタイプの火力発電所が内陸部にできますので、これから事務方も含めて御指導をよろしくお願いします。

 以上で終わります。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 全てを行政が引っ張り上げていくという従来型の行政手法が昨今難しくなっている状況におきまして、新しい領域の産業振興や手法が必要な時代だと私は思っております。皆さんも同様の御認識をお持ちだと思います。

 そうした中で、政府としてもさまざまな取り組み、例えばトップランナー方式と言われるような省エネ法改正の話、また、いろいろ議論はありますが、クール・ジャパン法案等、今国会で審議が進んでいくということでございます。

 そうした中で、官民どちらがどこまでやるのかというバランス感覚といいますか、全てが行政ではない中で、ではどこまでを政府がやるべきで、そしてどこからが民間がやるべきラインかというところが一番議論の根本の部分に存在するような時代になってきているように感じます。今後、クール・ジャパンの話もかかってまいりますが、本会議の質疑では、大臣は、呼び水という御表現もされました。

 そうした中で、大臣としての、官民の役割分担、バランス感について御認識を伺えればと思います。

茂木国務大臣 安倍政権で進めております経済政策、よく三本の矢と言われますけれども、一本目が大胆な金融緩和、そして二本目が機動的な財政政策、そして三本目の成長戦略には、民間投資を喚起する、こういう前置詞がついております。

 我々としては、消費であっても、そして投資であっても、民間を中心に、それが継続的、持続的なものになることによって初めて日本経済がしっかり回り出す、このように考えております。

 ただ、例えば民間投資の呼び水にするために官が最初の段階で役割を果たす、こういったことは必要だと思っております。同時に、本当に民間が自由に活動できる環境を整備していく、規制緩和であったりとか、さまざまな、基準のつくり方であったりとか、環境を整備していく。こういった意味でも、官の役割というのは大きいのではないかなと思っております。

 アーリーステージで果たすこと、また民がしっかり走れるように道の整備をすること、さらに申し上げると、大きな将来のビジョン、こういったことを描くことによって、国民全体が、また日本の企業も、そういったビジョンを共有して、それに向けて走り出す、こういった役割は官にもある、そんなふうに思っております。

丸山委員 お答えありがとうございます。

 この後にビジョンについてもお伺いしようと思ったんですが、今のお話を聞きますと、まさしくこれは日本維新の会の理念も同じことでございまして、やはり民の力をどうやって使っていくかということでございますので、しっかりと改革を進めていただきますようお願い申し上げます。

 そうした中で、第三の矢ということでございまして、先ほどいみじくも大臣がおっしゃった、また、先ほど後藤委員への山際政務官の御答弁でございましたけれども、成長戦略におきまして、競争力会議で今議論されている規制改革について、我々も報道だけじゃなくていろいろなところから情報を伺っておりますけれども、例えば法人税率について、日本はまだまだ高いんじゃないか、シンガポール等、ほかの国に比べて高いというところにおいて、この引き下げの問題だとか、また農業の問題でも、企業の農地所有の自由化の問題等、一番民間の活力を活性化させていくようなときに、必要だと民間から声が多く上がるようなところに関しまして、なかなか踏み込めていないんじゃないか、特に、具体的に参院選に向けて、痛みを伴う改革にはなかなか手が出せていないんじゃないかというお声も上がっているように聞いています。

 そうした中で、今具体的に挙げた点も含めまして、どのように政府としてお考えなのか、御答弁を伺えればと思います。

山際大臣政務官 基本的な理念といたしましては、規制改革そのものは非常に幅広なものですね。しかし、安倍政権における規制改革、特に規制改革会議というのは、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、成長にいかに資するか、ここの部分に重点を置いて、まずは改革するべきところを改革していこう、こういう考え方に基づいて、規制改革会議が進んでおります。

 総理からの御指示もございまして、健康・医療の分野、そしてエネルギー・環境の分野、雇用の分野、そしてもう一つ、創業等に係る分野、まずはこの四つの重点項目についての規制のあり方について検討が進められております。

 そして、その中では、例えばですが、一般用の医薬品のインターネット等販売について、あるいは石炭火力発電に対する環境アセスメントにつきまして、そして保育に係る規制改革、あるいは再生医療、医療機器について、このような項目につきまして、まさにこれは経済成長に資するという観点から、規制改革会議としての見解を取りまとめまして公表したところでございます。

 また、四つのワーキンググループにおいて、検討課題について、鋭意、精力的に今議論も進めておりまして、六月上旬を目途に、この重要な項目については、出して、成長戦略に盛り込んでいくというところでございます。

 また、今委員から御指摘がありました、法人税の問題、農業の問題等々も、もちろんそれは規制改革会議の議題として取り上げていく問題でございますが、例えば、法人税に関しましては、産業競争力会議の中で、特区を利用して、その法人税の問題、どうにかできないかという話であったり、農業の問題に関しては、産業競争力会議でも、規制改革会議でも、あるいは経済財政諮問会議でも、全ての会議において、農業を成長産業としてどのように捉えて改革をしていけばいいかということは、今鋭意議論をしているところでございまして、決してそれに後ろ向きだということではございません。

丸山委員 しっかりやっていただけることを、我々としても望んでおります。

 どうして今安倍内閣がこれだけ支持率が上がっているのかということは、やはり、TPPにしましても、また金融政策にしましても、今まで切り込めなかったところに大胆に切り込んでいかれていることに国民の期待が集まっているものだと思います。

 我々は、維新の会は野党ではございますけれども、きちんと改革がされていることに関しましてはきちんと賛成してまいりますので、そのあたり、踏み込み不足だと言われないように、きちんとやっていただけますようお願い申し上げます。

 そうした中で、実は二十一日の閣議後記者会見で、大臣から、この秋に予定される臨時国会に、産業競争力強化法案、仮称ということでございますけれども、法案を出したい、具体的に成長戦略に盛り込む内容を打ち出したいという会見がございました。

 その中で、民間投資拡大策の一環としまして、先ほども太陽光パネルの話がありましたけれども、屋根を借りて太陽光パネルを設置するような企業を低利融資で支援していく政策を盛り込みたい、いわゆるクリーンエネルギーの新しいファイナンス方式といいますか、そういったものを盛り込んでいきたいということが出ておりました。

 ただ、その記事等では、そのことのみが載っていたんですが、この法案ではこれを打ち出すつもりということでよろしいのか。また、その他にはどういったものを打ち出すのか、この強化法案の位置づけも含めまして、御答弁いただければと思います。

茂木国務大臣 今の日本経済を見ると、三つのよどみがあるんだと思います。それは、人がなかなか成長分野に移動しない、物、技術、さらには、資金が十分に活用されない。

 こういった三つのよどみを解消するためには、そのよどみの原因となっている三つのゆがみ、これを是正していかなければいけない。その一つは、過少投資の問題であります。そして二つ目が、過剰規制の問題であります。三つ目が過当競争の問題でありまして、これらを直していくことが極めて重要であります。

 全部お話をすると一時間ぐらいかかってしまうんですが、過少投資の部分に絞ってお話をさせていただきますと、この一―三の経済成長率は三・五%ということで、消費そして輸出を中心に拡大しましたが、設備投資は、改善したとはいえ、これがまだマイナスの状態にあるわけでありまして、これを促していくようなさまざまな政策をとっていきたい、そんなふうに思っております。

 その中の一つとして、新しいリースの方式であったり、さらにはファイナンス。そういった屋根に設置する場合にも、個人であるとどうしても初期投資がかさんでしまう。それにつきまして、それをやっているビジネスの方から屋根を賃借りするというんですか、そういった形でビジネスをやる人に対して公的なファイナンスを行う、こういったことも必要になってくるのではないかな、こんなふうに考えております。

 もちろん、それ以外にも、業種によっては過当競争になっている、こういうところがありまして、そこら辺の業界の再編。これはもちろん、基本的には企業の経営者がすぐれて判断することだと思っておりますけれども、それを後押しできるような税制面の施策等々も全体として盛り込んでまいりたい、こんなふうに考えております。

丸山委員 今のタイミングではまだまだ検討中ということで、恐らく、この夏以降どんどん出してこられることと思います。具体的なところは、また委員会等で質疑させていただきたいと思います。

 今大臣がおっしゃいました三つのゆがみの中の一つに、人が成長分野に移動しないということ、また、過当競争というものがあるというお話がございました。

 また、世界に目を向けてみますと、やはり産業構造だけじゃなくて世界の構造が大きく変わっている。日本の中では、少子高齢化はもちろん変わっております。世界的に見れば、IT化も進んでおりますし、なおかつ、さらに一層のグローバル化という形で、大臣は過当競争とおっしゃいましたが、かなり熾烈な競争が海外との企業でも起きているのが現状でございます。

 そうした中で、日本の企業がかつて勝っていたものが、今では、技術では勝っているんだけれども、残念ながら、販売戦略等、戦略のところで負けているんだというような声が出始めて久しい状態でございます。また、海外製造メーカーの躍進がかなり著しい中で、しかも、日本企業においても海外に生産を移している状況もございます。

 そうした中で、雇用についてのお話を伺いたいと思います。日本国内での雇用がなかなか確保しづらくなっている、こういった現状の中でどのようにして雇用を確保していくのかというお話でございます。

 競争力会議でも転職支援等の議題が出ているというふうに報道等で伺っておりますが、それらを含めまして政府としてどのようにこの点をお考えなのか、お伺いしたいと思います。

黒羽政府参考人 労働移動の関係について御説明申し上げます。

 産業構造が変化する中で、成熟産業から人材を必要とする成長産業への労働移動が求められておりますけれども、こうした課題につきましては、魅力ある成長産業を創出しつつ、移動する労働者についてスキルアップやスキルチェンジをしっかり行って、失業なき労働移動によって対応していくことが重要だと考えております。このために、これまでの行き過ぎた雇用維持型の政策から労働移動支援型の政策にシフトしていくことが重要だと思っております。

 現在、労働者の再就職を支援した中小企業の事業主に対しまして労働移動支援助成金という制度がございますけれども、今度、この対象を大企業にも拡大いたしまして、また、送り出し企業による再就職に向けた訓練や受け入れ企業による訓練を新たに助成対象とするといった抜本的な拡充を図ってまいりたいと思っております。

 また、出向、移籍のあっせんを行っております産業雇用安定センター、ここの出向・移籍支援機能の強化等々の対策にも取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

丸山委員 若い世代の方々にとって、この問題というのは非常に重要な問題だと感じております。例えば、いわゆるアベノミクスにおいて、このデフレの原因は何かというときに、量的な緩和が足らないことが一つだということで、今政策を打ち出されております。

 そういった説もある中で、一方で、デフレの原因の部分に雇用や賃金の問題があるんじゃないかとおっしゃる専門家の方もいらっしゃいます。やはり、現在の日本の雇用が、雇用を守るがゆえに、高齢者まではいかなくても、若い方よりも、現役、もっと上の世代の方々の雇用が維持されたり優遇されることで、若い世代の方々は雇用がなかったり職がなかったり、もっといけば非正規雇用になるという形で、世代によって不遇な状態が生じているというふうな説もございます。そうした中で、なかなか消費につながっていかない、将来に対する不安が高まっているというお声もあります。

 私も若い世代の議員としまして、同世代の声を聞いておりますと、常にやはり雇用の不安ということを聞きます。時代のニーズに合致したような人材の育成というのが、この国にとってかなり急務な、非常に大切な問題だと感じるところでございますけれども、具体的に、どのような人材の育成が必要で、これらの点をどのように考えて経済産業省として取り組んでいかれようと考えていらっしゃるのか、政府の見解を伺いたいと思います。

平大臣政務官 まず、時代のニーズに合致した人材を育成していくことは極めて重要であると考えております。特に、我が国経済の競争力強化のためにも、いわゆるイノベーション人材、グローバル人材などの育成を図ることが不可欠と考えます。

 例えば、真に市場のニーズを捉え、技術を事業の創造につなげられるような事業創造力、構想力を有する人材、または付加価値の高い技術の創出をリードする研究開発人材等の育成が必要であろうと認識しております。

 我が省といたしましては、このため、本年度の予算でも、理系修士課程、博士課程在籍者等を対象に、企業の研究現場における中長期研究インターンシップの枠組み創設等により、イノベーション人材育成、活用を支援しております。

 また、経済がグローバル化する中で、新興国等の市場を開拓するグローバル人材の育成、活用も不可欠であります。若手社会人、学生の新興国における海外インターンシップなども実施をしているところでございます。

丸山委員 ありがとうございます。

 しかしながら、やはり、今お話を伺った点というのは、もうかれこれ何十年も前からやられている点だと思います。私も経済産業省の末席を汚させていただいていたときもやはりありましたし、過去の資料を見ても同じものが続いている中で、金融の方は量的緩和というお話でやっておられます。

 やはり、絶対量が足らない、予算も足らないんじゃないかというふうに感じている次第でございますので、何とぞ、そういった若い世代のために投資していく、これこそ未来の日本をつくっていく大事な要素だと思いますので、経産省としましても、しっかりこの問題により重きを置いていただけますようお願い申し上げます。

 人材という点では、今申し上げた点をお聞きしたかったんですが、また一方で、産業的な分野のお話、人材というよりも業種別のお話を少しさせていただきたいと思います。

 というのは、先ほど申し上げた産業構造が大きく変化している中で、対外的な競争の中で苦境に立たされている業種というものがたくさんあると思います。もちろん、経済産業省としてもいろいろ各業種を見られていると思いますけれども、私も地元を回ることが多いので、地元でのお話をよく聞くんですが、例えば地元大阪の泉州では、タオル産業を含みます繊維産業というのがもともと歴史的に大きな業種でございました。このタオル産業も、もう御承知のとおり、かなり苦境に立たされている。特に、中国や他国、アジア産のかなり安い製品に押されている状況でございます。

 そうした中で、地元でお話を聞いていますと、原産地表示についてのお話をよく伺います。というのは、現在、例えばタオルにしてもほかのものにしてもそうなんですけれども、原産国の表示がされていない製品というものがありまして、もっとひどいものに関しましては、海外でつくった製品を日本に輸入しまして、それをビニールだけ、さも日本語で国産かのように偽って、国産とは書かないんですけれども、売っている。買った方も国産だろうと思って使っている。でも、実際は海外産というものがあるということでございます。

 いろいろ工場の方のお話を聞いていますと、品質や価格での勝負だとそれは仕方がない、市場原理もあるんだ、けれども、ひきょうといいますか、わかりにくい状況が起きているんだったら、それはおかしい状況じゃないんですか、何とかそれをきちんと是正してもらえるような形はできないでしょうかというお声を多く伺います。

 これはタオルだけじゃないのかもしれませんが、まずはここではタオルの例を挙げさせていただきましたけれども、公正な、消費者の利益ということも考えますと、そうしたことに対する規制や取り締まりということは非常に重要な観点だと思いますけれども、その点に関しまして、政府はいかにお思いでしょうか。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 原産国に関します不当な表示につきましては、景品表示法の規制の対象となります。

 景品表示法は、商品の原産国表示を義務づけるものではないわけでございますけれども、商品の原産国に関する不当な表示、例えば外国で生産された商品でございますれば、その原産国ではなくその他の国で生産されたものであるかのように表示すること、例えば外国で生産された商品を日本製であるかのように一般消費者に誤認される表示をすること、これを商品の原産国に関する不当な表示ということで禁止しております。

 これまでに、タオルに関してではございませんが、繊維製品に関しまして、中国原産であります衣料品について日本製と表示したという件で、景品表示法に基づきます措置命令を行ったことがございます。

 消費者庁といたしましては、商品の原産国に関しまして一般消費者に誤認される不当な表示に対しましては、景品表示法に基づきまして厳正に対処いたします。

丸山委員 今、くしくも食品に関しましては、食品表示法という形で審議されておりまして、きちんとした表示がされるようにということで進んでおりますが、やはり商品に関しましても、同じ消費者の安全というものは消費者が一番求めているところでございます。

 また、原産国表示の話につきましても、きちんと進めていっていただければ、その業種に関しましては一つの力強い支えになると思いますので、また御検討をいただけますようお願いしたいと思います。

 そうした中で、タオル業界を含め繊維業界が非常に苦境に立たされている、原産国に対する表示のお願いの声も上がっている、そうしたことに関しまして、繊維業を所管される経済産業省の一番トップの経済産業大臣としてどのようにお考えか、その点をお伺いできればと思うんです。

茂木国務大臣 委員の方から、御地元の産業の実態も踏まえて、貴重な御提言をいただきました。きちんと踏まえて今後対応していきたいと思いますし、消費者庁におきましても厳正な対応をしていくものだと思っております。

 その上で、そのことはやっていくんですけれども、私は、繊維産業そのものについて、これから成長産業だと思っています。最先端加工技術であったりとか、さまざまなすぐれた技術を持っておりまして、人材もいます。そういった中で、炭素繊維であったりとか、新しいものをつくれる。やはり、繊維産業そのものを成長産業としてどう育てていくかという観点が一つ必要だと思っています。

 同時に、虚偽表示をするのはよくないことです、それ以上にもう一つ、こういう日本のすぐれた製品をブランド化していく。このためにもっと支援をして、やはり日本のブランドというのはいいなというものをつくっていくということがもう一つ重要な視点ではないかなと思っております。

丸山委員 前向きな御答弁をありがとうございます。

 ブランド化していくという点、クール・ジャパンのお話も今後進んでいくと思いますので、きっちりと議論をさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 最後に、エネルギー関係に関して御質問して終わりたいと思います。

 アベノミクスによりまして、今、急激な円安が進んでいると思います。現状では百二円前後ということでございますけれども、そうした中で原材料の輸入価格も同時に上昇しておりまして、企業や家計への負担が増しているという声もございますが、この四月にちょうど値上げになりました電力料金に関しましても、たしかあの当時、資料を拝見しますと、七十九円という為替相場での電力料金の算定をされて、それでも足らないから値上げだという形で出されておりました。

 この電力料金に関しまして、昨今、円安を含め、エネルギー等の原材料の輸入価格が上昇しておりますが、この点に関しましての経済産業省の見解と、そして対策等はどのようにお考えなのかをお伺いいたします。

糟谷政府参考人 電気料金でございますけれども、燃料費調整制度というのがありまして、これで輸入燃料価格の変動が料金に反映される仕組みになっております。輸入燃料価格は、為替相場の動向だけではなくて、燃料自体の価格によっても変動いたします。御指摘のような円レートの変化、それに加えまして、例えば三月の貿易統計を見ますと、石油については燃料市況の上昇によるというものもあります。こういうことを受けて、値上げ申請あるなしにかかわらず、月々電気料金は変動いたします。

 それから、一昨年以来、原子力発電所の稼働停止に伴いまして、火力発電の比率が今九割まで上昇しております。火力燃料費が増大したことで複数の電力会社から料金値上げが申請をされて、それを逐次審査しております。将来の燃料調達の効率化努力を先取りするなど、厳正な査定を行って、値上げ幅を圧縮するということをやっております。

 それから、中長期的には、やはり電気料金を抑制する上で、競争による効率化、安定供給を両立する電力システム改革も大事だと思っております。

 また、シェールガスを北米からLNGの形で輸入する、これを拡大するということなどを通じて、少しでも安価な燃料の輸入ができるように官民挙げて努力する、こういったことを総合的に取り組んでいきたいと思っております。

丸山委員 もう時間ですので終わりますけれども、これから夏にかけて電力の需給は逼迫するというのが容易に予想される中で、原発の再稼働を含めた電力需給の問題について、やはり審議が必要だと思います。今後も、エネルギー価格の問題も含めまして、きっちりとエネルギーの安定供給に向けましても対策をとっていただけますようお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 きょうは、質問のお時間をいただきましてありがとうございました。

 きょうは、一般質疑ということでございますので、少し個別の問題についても御質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ことし、今国会ですね、四月二十五日の参議院の予算委員会で公明党の魚住裕一郎委員が取り上げておられます亜炭鉱の問題について最初にお伺いをしたいと思います。

 このとき茂木大臣も御答弁に立たれておられますので、御事情はよくわかっていらっしゃると思いますけれども、東日本大震災の際に、かつて国策として進められました亜炭鉱の跡の穴のところが四百七十件陥没をしたということに対して、現在の復旧状況について魚住委員が御質問されまして、茂木大臣が御答弁いただいたというふうに承知しております。

 きょう、資料ということで写真を皆様にお渡ししておりますけれども、実は、この亜炭鉱は岐阜県あるいは愛知県にもたくさんございまして、いろいろさまざまな事故が起きております。この五月の十二日に、私の選挙区であります御嵩町の亜炭鉱の跡が陥没した写真を皆様にお見せしております。

 この亜炭鉱の問題、少し過去を整理させていただきますと、亜炭が日本の資源として注目されるようになったのは、発見されたのは明治の初めだったと思いますけれども、それから昭和に入りまして、ちょうど戦時中あたりから昭和三十年代にかけまして、大変貴重なエネルギー源だということで、全国でこの亜炭を掘ることが進んだわけですね。東北にもたくさんあるという話でありましたが、中部にもありますし、それから九州にもたくさんあるというふうにお伺いをしております。

 戦時中においては、軍が一時期統制をしまして、航空燃料が足らないということで、この亜炭を使おうということで、軍が管轄して、要するに国策としてどんどんこれを掘らせていったわけであります。

 その後、エネルギーが転換して、今度は石油に向かっていったわけでありまして、この亜炭の存在価値がどんどんなくなっていって、昭和四十年代にほとんどのところが閉山になっていったということで、この御嵩の亜炭も、実は昭和四十二年に全て閉山となっております。

 これは、資源エネルギー庁、経済産業省がずっと所管でやっておられたわけでありますけれども、平成十四年の四月に、特定鉱害復旧事業ということで、簡単に言えば、一応、国の責任は一回ここで閉じましょうということで、平成十四年に基金をつくって、それぞれの都道府県にその基金を渡して、この範囲内で修繕してくださいという幕引きをしたというのが経緯であります。言ってみれば、ちょっと言葉は悪いですけれども、手切れ金を渡して、あとは自分たちでやってくださいねということで、国はある意味の線引きをしてしまったというのがこの問題に対する経緯だというふうに私は承知しております。

 それで、まず、この事業は国が国策としてやってきたことであって、やはり国にいろいろな問題解決をする責任があると私は思っているんですが、そのことに関して、大臣の基本的な御見解をいただきたいというふうに思います。

茂木国務大臣 国が石炭政策を推進して、昭和二十七年以降、累計一・五兆円の予算を投入して、この鉱害復旧工事を実施してきたわけであります。そして、平成十三年度になるんですけれども、国内石炭政策を終了させる。

 実は、私、当時、当時は商工委員会でありましたけれども、理事をやっておりまして、この政策の終了に当たり、北海道の北村直人議員が、とうとうと、国のこれまでやってきた政策、そして、これから、石炭の産地といいますか、どうしていくのかとお話しされた最後の演説というのは、極めて印象に残っております。

 委員御指摘のように、基金をつくって、その基金の中で鉱害復旧工事を行っていくということでありますけれども、五月にも、御地元で大きな陥没が発生した、このようなお話も伺っております。本当に、これからきちんと復旧をする意味で、今の仕組みでいいのか、今の予算で十分なのか、こういったことも改めて検討する必要がある、こういう時期に来ていると思います。

今井委員 どうもありがとうございます。

 少し具体策についてお話をしたいと思うんですが、もともとこの基金は、想定は、この基金を積んで、その基金の運用益で修繕をしていってくださいというたてつけになっておりました。最初のところでは陥没事故が余り多発しませんでしたので、それで運用が回っておりましたが、最近、この陥没事故が多発するようになりまして、この基金の運用ができなくなってきております。

 具体的に言いますと、実は、平成二十二年、当時私はまだ民主党でありましたけれども、やはり御嵩町でこういう陥没が起きて、そのときに、この基金の運用のルールが非常に硬直的で、例えば、基本的にはこれは原状復帰にしか使えない、なので、どんと家が穴で落ちた、そうしたらそれを戻すということには基金を使ってもいい、ただし、穴があいてしまったら、住民の方は、ここに住むのはもう嫌だからほかに移りたい、こういうケースは支援ができないというようなことになっておりましたので、政府の方にいろいろお願いいたしまして、運用を変えていただいて、そういうことにも適用できるというようなことをしていただきました。このこと自体は、大変ありがたかったというふうに感謝をしております。

 ただ、岐阜県の基金は、スタートは四億九千万で始まっておりますが、この平成二十二年のときに二億五千万円ぐらいかかったんですね。ですから、今残っているのがもう二億五千万ぐらいしかないはずなんです。

 今後、この写真で見ていただいたとおり、こういう事故が多発する可能性が非常に高いんです。なぜかといいますと、穴の中がいわゆる経年劣化をしているということなんですね。

 私も中に入って見てまいりましたけれども、もともと穴を掘るときに、要するに、土の柱を幾つか残しながら穴を掘っていくわけです。この土の柱がどんとあるうちは、ある程度太い間は周りのところも押さえるんですけれども、最近、この柱がだんだん劣化して細くなっているんですね。これをこのままほっておきますと、どすんといろいろなところで落ちるということがこれから起きる可能性が非常に高くなっているということなんです。

 実は、全国的には、どの自治体もこの問題にさわろうとしておりません。なぜかというと、この問題を表に出すと、地価がどんと落ちて、地権者の人たちに大変問題が起きるということで、あえて見て見ぬふりをしているところがほとんどです。

 ところが、この御嵩町は非常に勇気がありまして、わざわざそれを町民に公開して、今、自分たちなりに調査をして、正確じゃありませんけれども、ハザードマップをつくって全部町民にお渡ししています。一番危険なところは赤色とか、だんだん色を変えて渡したりしておりまして、独自の取り組みをしておりますけれども、これもしょせん、町にできることには限度がありまして、抜本的な解決にはなっていないんですね。

 そこで、まず一点目ですが、この基金なんですけれども、もう枯渇することがほとんど確実視されている中で、一つの要望としては、この基金の積み立ての引き上げをしてくれないかということ。これはもう御嵩町だけの問題ではなくて、同じ問題を抱えている地域が全国にありますから、同様の要望は必ずあるはずだと思いますので、この点について資源エネルギー庁のお考えをお伺いしたいというふうに思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 まさに御嵩町の皆様方には、こういった事故が多発しておるということで、私どもといたしましても、さぞかし大変御心配であろうという思いでいっぱいでございます。

 今、委員御指摘のとおり、この経緯をたどりまして、現在、全国で十二県におきまして、基金、当初四百十一億円でございました。二十三年度末の数字でございますけれども、約三百四十六億円の残高ということになっております。御案内のとおり、大半が福岡でございますけれども、そのうち岐阜県におきましては、今御指摘のとおりの数字だというふうに認識をしております。

 これまでの、平成十三年度末の経緯も踏まえまして、この基金で最大限の対応をやっていくことがまず肝要であるというふうに思っております。その上で、各県の基金残高の状況につきましては、先ほど御指摘がありましたように、運用の実態も含めまして細心の注意を払って把握をしてまいりたいというふうに思っております。

 それから先のお話につきましては、先ほど大臣がお答えになったとおりであるというふうに認識をさせていただいております。

今井委員 ここで積み増すということははっきりおっしゃれないということもわかりますけれども、ぜひ切れ目のない対応をしていただきたいということをまず一つお願い申し上げておきたいと思います。

 それと、具体的に、ではここをどういうふうに埋めていけるのかとか、そういう技術的な研究、こういうことについてもぜひやっていただきたい。いろいろ、こういう土木の技術も発達をしていっているでしょうから、何か手段があるんじゃないかと思うんですね。だから、そういうことの研究ということも取り組んでいただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

安藤政府参考人 御嵩町の議会の皆様方、首長の皆様方、累次お越しいただきまして、御同様の御指摘をいただいております。

 御案内のとおり、学校施設において、他省庁の施策を活用して同様の効果を上げるような施策を組み合わせているのは御案内のとおりでございまして、そういったところの知見も十分生かしながら、私どもとしても最大限、研究をさせていただきたい、かように思っております。

今井委員 よろしくお願いします。

 今、学校の話が出ましたけれども、実はこの件は、町の方から、せめて公共の施設あるいは避難場所ぐらいは何とかできないかということで、これは経産省ではちょっとできないということで、いろいろ協議いただいて、文科省の予算で共和中学校のところをやっていただいた、そういう経緯もあって、そのこと自体は大変ありがたいんですが、大臣、ちょっと最後にお伺いしたいんです。

 この魚住委員が質問されている中で、国土強靱化担当の古屋圭司大臣にもお伺いをして、経済産業省だけでは当然やれることは限られていると思いますから、きょうは閣僚のお一人としてぜひお願いしたいんです。

 今も申し上げた文科省、あるいは国土強靱化にいろいろな省庁が絡んでくると思いますから、国土強靱化を進めるに当たっては、こうした、過去、国がいろいろ取り組んできたことに起因している問題についてもぜひ取り組んでいただきたい、横串で横断的に取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思うんですけれども、この件についての大臣の御見解をお願いしたいと思います。

茂木国務大臣 まず委員に申し上げたいのは、基金が終わったから事業をやめますということはいたしません。その上で、御指摘のように、さまざまな省庁にかかわってまいりますので、横串で各省庁連携しながら対応してまいりたいと考えております。

今井委員 どうもありがとうございます。

 しっかりやっていただきたいということをお願い申し上げて、次に移らせていただきたいと思います。

 少し細かい話なんですけれども、昨年の衆議院選挙の自由民主党の自民党政策バンクを拝見しますと、最初のところに、「まず、復興」という欄がありまして、そこに「事前防災を重視した国土強靱化」とあります。その中に、「本社機能、研究開発機能、データセンター等の地方移転を促進します。」ということが書かれております。

 少しページをめくりますと、「地方の重視・地域の再生」というところで、「地方産業・雇用など」という欄がありまして、そこにもやはり、本社機能、研究開発機能、データセンター等の地方移転及び地方への企業新規立地への導入を促しますということがあります。

 私は、実は、このデータセンターを地方にどんどん移すというのは非常に重要な観点だなと思っておって、個別政策で見ておったんですけれども、これについて、現在、政府としてどのような取り組みをされていらっしゃるか、まず御説明いただきたいというふうに思います。

永塚政府参考人 データセンターの地方分散に関する政府としての取り組みでございますけれども、まず、委員御指摘のとおり、顧客情報など、ビジネスの過程で取得する大量のデータを確実に管理し、経営資源として活用するということがビジネスの成否につながり得る状況となっております。

 したがいまして、このデータセンターを分散化することによりまして、信頼性の高いクラウドサービスの活用環境を整備するということが地方の活性化及び我が国産業競争力の向上にとって大変重要な課題だというふうに考えてございます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、今、実態といたしましては、現時点では多くのデータセンターが首都圏に集中している状況にございます。いろいろなデータがございますけれども、大体七割ぐらいが東京、神奈川、埼玉、千葉などの首都圏に集中している、こういう状況にございます。

 こういう中で、経済産業省といたしましても、この分散化を図るという観点で、さまざまな施策をとっております。

 具体的に申し上げますと、まず、データを預ける企業から遠く離れた場所でもデータの保管、分析のサービスを提供できるクラウドサービスというものが大変に有効でございますので、この活用を促すために、クラウドコンピューティングの技術開発の支援、これを行っているところでございます。これは、各地域に分散をしてサーバーが存在していても、あたかも一カ所でデータセンターサービスがスムーズに提供できるような技術開発でございます。

 それから、同じく、クラウド事業者の信頼性を向上させる、地方に分散していたとしても、しっかりとセキュリティーが守られて、安心して御利用いただける、そのようなための、信頼性向上のためのガイドラインの策定を進めているところでございます。

 このような取り組みを通じまして、データセンターの分散化をしっかりと促していきたいというふうに考えてございます。

茂木国務大臣 一言だけ追加をさせていただきますと、もともと、その自民党の公約をつくったときにデータセンターの分散化を書き込みましたのは、当時の政調会長の私でありますけれども、本社機能以上に、データセンターが首都圏に集中している。

 大きな災害があったときに、データセンターが全部やられてしまったら日本の機能が麻痺してしまうということから、分散化、さらにはバックアップ化を進めるということで、今、永塚局長の方からも答弁させていただいたように、経産省としての取り組みもやっておりますけれども、同時に政府全体としても、IT総合戦略本部におきまして、このデータセンターの分散化についての検討を鋭意進めているところであります。

今井委員 まさにそういうことなんだと思うんです。

 私、この政策は四つの意味があると思っています。

 今おっしゃっているみたいに集中を防ぐということで、危機管理のために分散するというのが一つですね。

 二つ目は、いわゆるエコデータセンター、寒冷地の方に行って、冷ます熱をできるだけ減らす。実は、サーバーというのは熱を冷やすのが一番電力を食いますので。あるいは、既にある地下空間を利用する。こういうところは大体一定の、十度とか十五度とか年じゅう変わりませんので、こういうところを利用するということで、省エネ効果もある。

 そして今、これは釈迦に説法ですけれども、日本のデータセンターというか、アジアのデータセンターはどんどんシンガポールに行ってしまっておりまして、国外に流出しちゃっているんですね。ですから、やはりデータを集めるセンターをシンガポールにとられているというのは私は国益に反すると思っておりますので、そういう観点もあると思います。

 それから、先ほど申し上げたように、地方の活性化という観点もあって、さまざまな面を含んだ政策だと思っております。

 大臣、今おっしゃられたとおり、総務省、いろいろな省庁が関連をしておりますので、今お伺いしているところによりますと、IT戦略本部で来月にも取りまとめをするというふうにおっしゃっておられますが、ぜひここのところにもこれを取り上げておいていただきたいということをお願い申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 まさに今、取りまとめの途中でありますが、大変重要な視点だと思っておりまして、私の方からもお話をさせていただきたいと思います。

今井委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 もう時間もありませんので、きょうは文科省に来ていただいていますので、先日、原子力規制委員会が、いわゆる「もんじゅ」の点検漏れ、昨年の十一月だったと思いますけれども、点検漏れを非常に重要視して指摘をした後、理事長が辞任をされるという経緯があったと思いますが、このあたりの経緯について、文部科学省から御説明をいただきたいというふうに思います。

戸谷政府参考人 御説明申し上げます。

 本件の問題につきましては、昨年来から、点検漏れの問題がありまして、ずっと調査を続けていたところ、報告した後にさらに見つかる等の不備がございまして、改めて今月の十五日に、原子力規制委員会から原子力機構に対しまして、原子炉等規制法三十六条第一項あるいは原子炉等規制法三十七条第三項に基づきまして、各種の措置命令等が出されたということでございます。

 具体的な内容を申し上げれば、保守管理体制及び品質保証体制を再構築すること、それから、本年一月に原子力機構から原子力規制委員会に対しまして一旦報告はいたしておりますけれども、その時点でまだ措置が完了していないものにつきまして早急に措置を講じること、さらに、原子力規制委員会がそれを確認するまでの間は、使用前検査につきまして、五つ事項がございますけれども、そのうちの一つの原子炉施設の性能に関する事項を進めるための活動を行わないこと、そういったことでございます。

 それから、三十七条の関係につきましては、経営層も含めまして、コンプライアンス、あるいは安全文化の一層の徹底を図ること、そういったような御指摘を受けているところでございます。

 実は、文部科学省といたしましては、独立行政法人に対しまして措置要求として初めての事例でございますけれども、独立行政法人通則法第六十五条に基づきまして、違法行為もしくは違法行為のおそれがある場合に対しまして、独立行政法人に対しまして是正措置を要求するということに基づきまして、大臣からさらに機構に対して指導するということをいたしたところでございますが、その後につきましても、文部科学省としても対応してまいりたいというふうに存じております。

今井委員 時間が参りましたので終わりますけれども、この「もんじゅ」についてもこれだけの問題点があります。それから、六ケ所村の方に関しても、これは十二月にできる基準までは動かせるかどうかが判断できないということであって、核燃料サイクルのいわゆる根底が非常に揺らいでいるわけでありますので、今後、この委員会で、果たしてこの核燃料サイクルが本当に実現性があるのかどうかについてまた議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 では、これで終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 みんなの党の井坂信彦です。

 本日は、主に起業ということについて質疑をさせていただきます。

 私が初めて本会議の壇上に立たせていただいた二月十四日ですが、アベノミクスの三本の矢ということについて討論させていただきました。金融緩和には賛成です、そして、財政出動は公共事業に偏っているので反対です、しかし、いずれにしても、三本目の矢である成長戦略、とりわけ規制緩和を本当にできるかどうかが鍵であるというふうに申し上げたところです。

 先週、五月十七日に、安倍総理の成長戦略第二弾スピーチがありました。規制緩和の例として挙げられておりましたのは、燃料電池自動車の水素タンクや水素スタンドの規制緩和、あるいはビッグデータ利用のガイドライン作成などでありました。異次元の金融緩和、そして大型補正や国土強靱化など、我が党は賛同できませんが、ある意味、異次元の財政出動に比べて、最重要とされる規制緩和がやや小粒に感じたものであります。

 そこで、質問をいたしますが、特定の産業や特定の状況を対象にした個別具体的な規制緩和ももちろん大事でありますが、より多くの産業を直接対象とした、骨太で異次元の規制緩和が今重要なのではないでしょうか。大臣の御所見を伺います。

茂木国務大臣 井坂委員のおっしゃるように、より幅広い多くの産業に効果が生じるような規制緩和というのが重要だと思っております。

 もちろん、総理もそういう意味で発言、そしてまた講演等をされているんですが、新聞の報道、マスコミの報道を見ますと、どうしてもその中のキャッチーな部分だけ出てしまいますので、何か特定のことを捉えている、こういう印象を与えるのかもしれません。

 規制緩和、大きく言いますと、三つのポイントがあると私は思っております。

 その一つは、新規参入を促して健全な競争環境をつくること。まさに、きょう、近藤委員もすぐにも審議を始めたいとおっしゃった電力システム改革、これなんかはそれに当たるんじゃないかな、こんなふうにも思います。

 それから二つ目には、事業化までのスピードを上げていく。iPS細胞、研究では日本は進んでいるんですけれども、事業化がおくれている。そのために、関連する薬事法等々も改正するという政府の方針も固めましたが、こういったことを進める。

 そして三つ目には、やはり制度の国際化を進める。日本だけガラパゴスになっていてはやはりだめだ、こんな思いを持っておりまして、そういった観点から大きく制度改革を進めていく必要がある、そんなふうに思っているところであります。

 例えば、再生可能エネルギー、これを導入していくということになりますと、その普及に伴ってまた新しいビジネスというのがさまざまなところで生まれてくるということもあるわけでありまして、それに伴うさまざまな規制の緩和、こういったことも、風力の分野であったりとか、進めていかなければいけないと思っています。

 例えば、医療の分野でいいますと、これから予防医療、こういったものを相当やはり重点化していかなきゃならない。そして、そこはかなり成長の余地もある。そして、それを行うことによって医療費全体の伸びも抑制できるのではないかなと思っていますが、今の市場規模でいいますと一兆円です。これを二〇二〇年には九兆円ぐらいに持っていきたい。

 今、問題になるのは、いわゆる保険の隣接分野、保険でやれるところの周りにある分野について、一体これは民間がやっていいのか、それともやっちゃいけないのか、はっきりしないグレーゾーンというのが多くて、民間が参入するのをちゅうちょしている、こういう部分がありまして、そこを、これから国としては早急にホワイトゾーンをつくっていく、ここはやっても全く問題はないんです、こういったこともやろうと思っておりまして、先ほど申し上げた大きな規制緩和の方向性のもとで具体的なものを詰めていきたいと考えております。

井坂委員 まさに今大臣がおっしゃいました、例えば電力改革などは、我が党もよりドラスチックに進めていきたいと思っているわけでありますし、また予防なども、私、地方議員時代から、もう本当に二言目には予防予防と言う、大変思い入れのある分野であります。こういった分野の規制改革、規制緩和、ぜひ一層進めていきたい、また私どももそのために働いていきたいと思うものであります。

 さて、こういった骨太で多くの産業を対象にした規制緩和という流れで、本日の起業というテーマで、まさに開業規制の緩和ということを質問申し上げます。

 私のメーンテーマは、日本を新しいことに挑戦する人であふれる国にするということであります。三月の委員会質疑では、創造的な人材をどう集めてくるかということで大臣と議論をさせていただきました。

 本日、起業というテーマで、開業規制を緩和して起業しやすくするというのは、まさにほぼ全ての産業を対象にした規制緩和であると考えております。

 本日、配付資料を一枚だけ用意いたしました。ごらんいただきたいと思います。

 上の棒グラフ、各国の起業活動率ということで、一位のアイスランドは一一%、次にアメリカが九・三%、三位のオーストラリアが九・二%、ずっと来て、もう本当に一番下位の方に日本は三・九%というランキングがされております。

 また、下の方のグラフを見ていただきたいわけですが、これは世界銀行のランキングであります。一番左端の日本は、開業規制における起業しやすさの国際比較で順位が百十四位ということでランキングをされてしまっています。

 どういう物差しで百十四位とされているかといいますと、開業に要する手続の数が多過ぎる。日本は八つもあるではないか。カナダは一つだけ。オーストラリアは二つ。そして、スウェーデン、フィンランドは三つ。アメリカは六つ。フランスは五つ。こういう中で、手続数が多い。それに伴って、開業に要する日数も、日本は非常に長くかかっている。まさに、先ほど大臣がおっしゃった、スピードということについてもおくれをとっている。

 さらには、開業コストも、日本はほかの先進国に比べて、やはりまだまだ高どまりをしているのではないかというふうに思うわけであります。私も、開業、会社設立の手伝いを、仕事をしてまいりましたが、例えば、日本で株式会社を設立する手続、これはもう設立するだけで、公証役場と法務局に二十万円ないし二十四万円のお金を払わなければいけない仕組みになっています。

 大臣にお尋ねをいたしますが、こうした起業のコストをまず下げるべきではないかと考えます。いかがでしょうか。

茂木国務大臣 委員と全く同感です。

 いろいろな、この開業だけに限らず、起業だけに限らず、書類が多過ぎますよ。

 例えば、平成二十四年度の予算で、我々として一千億円を計上して、町の工場に眠っているさまざまな技術、こういったものに光を当てて商品化をしていく、そのためには試作品をつくる、こういったことがまず重要で、試作品、相当のお金がかかりますから、それについて国として支援をしていこうと。

 申請の手続の書類があるんですね。これがかなりのものなんですよ。十五ページぐらいだったんですね。これは、平政務官、御自身でもビジネスをやられていましたから、簡素化してくれということで要請をしまして、全体で六ページのものにしました。そういった形で、簡素化できる部分については簡素化していかなければいけない。

 それで、起業に対しての手続でありますけれども、会社設立の登記の問題、税務署に対する開業の届けの問題、年金に関する手続など、さまざまなものがあるわけであります。ビジネスアイデアを有する方が起業を行う際、これらの手続について熟知していない場合には、手続やその準備のために手間やコストがかかるという問題がありまして、今後、これらのコストを低減すべく、起業に萎縮せずにチャレンジできるよう、規制制度改革、さらには税制であったりとか金融支援などの施策を総動員して起業を後押ししていくことが重要だ、このように考えております。

 恐らく、新しい事業を起こそうと思う人、事業のことで頭がいっぱいなんですよ。次に何やりたい、何やりたいと。そういう人じゃないとだめなんですね。書類をうまく書けるような人では、ろくなビジネスができないと私は思うんですよ。やはり、そういったことをきちんとやっていくことが必要じゃないかなと思っています。

井坂委員 私ども、実は、連休中に、再生エネルギーの視察で、ドイツ、デンマークを訪れてまいりましたが、まさにデンマークで、水素燃料の進んでいる島に行きましたところ、水素のことをやるだけで七千枚の書類が要る、ほっておいたらもう絶対進まないので、役所がそこを簡素化し、あるいは書類を書くのを役所が代行したり、そういったことをして、一気に導入が進んだというような事例も見てまいりました。

 手続の簡素化、おっしゃるとおり。そしてまた、私が先ほど申し上げた、金銭的なコストの低減ということも、もちろん、公証役場、法務局というのは経済産業省の直接の所管ではありませんが、まさに起業の一つのハードルとなっている部分でありますから、ぜひ連携してやっていただきたいというふうに思います。

 次に、資金調達ということについて伺います。

 インターネット時代の新しい資金調達法、起業や新規事業の実現を目指す個人や企業などが、インターネットを通じて、その事業の趣旨に賛同する不特定多数の投資家から小口の資金を集めるクラウドファンディングという手法があります。銀行でもない、株式市場でもない、全く新しい資金調達のルートでありまして、アメリカでは早速JOBS法という法律がつくられました。ベンチャーや個人事業主のお金の集めやすさと、そして一方で、個人投資家、小口の投資家がたくさん出てくるわけで、そうした投資家の保護と両立するための新たな制度設計がなされたところであります。

 日本では、この分野に対するルール、法律はいまだできておりません。ルールがないので、したがって、クラウドファンディングは、現状、日本ではほぼ不可能ということになろうかと思います。日本でもこのクラウドファンディングのための法整備が必要ではないでしょうか。お伺いをいたします。

茂木国務大臣 産業に対する資金供給のあり方というのは、時代とともに変わってくるんだと私は思います。

 例えば、かつてのアメリカ、鉄鋼業が盛んな時代、ちょうどオハイオ川の下にピッツバーグがあります。そこには石炭があるということで、カーネギーが鉄鋼業を始めるわけですね。そして、そこに対してはメロン銀行が全面的に支援をすることによって、一大鉄鋼産業をつくっていく。アメリカは、当時は間接金融だったんです。

 それが、一九七〇年代から八〇年代、ジャパン・アズ・ナンバーワンとか言われまして、なかなかアメリカが苦しい状況になる中で、アメリカではヤング委員会というのが立ち上がって、新しいアメリカの産業のあり方、ベンチャーの育成、そしてコアコンピタンス、さまざまな政策を打ち出すんですけれども、ここでベンチャーキャピタルを育成しようという、直接投資を中心にした新しい動きが出てくる。

 そして、インターネットの時代になりますと、今までお客様から取っていたいわゆる料金というのを広告主から取る、全く違った課金のやり方によってビジネスモデルというものをつくっているわけであります。

 委員御指摘のクラウドファンディング、これは、インターネットを活用して不特定多数の投資家から少しずつ資金を集める、新たな資金調達方法の一つだと思っております。

 通常、新規事業の立ち上げ時には民間金融機関から資金調達することがなかなか容易ではない、本来だったら、民間もやったらいいと私は思うんですけれども、実態としてはそういうところがありますので、そういった資金調達手段の多様化というのは重要だと思っております。

 このクラウドファンディングの実現に向けては、制度上どのような手当てが必要であるかについて、今後、投資家の保護など、さまざまな観点から課題や論点を整理していく中で判断すべきものでありまして、現在、金融庁が精力的に検討を進めているところであると承知しておりますが、経済産業省としても、ベンチャー政策をより充実する観点から議論に貢献してまいりたい。

 私は、やはり、こういった手段というのは、きちんと、よほどの問題点とか課題がない限りは推進していくということが重要だと思っております。

井坂委員 投資家保護と集めやすさ、そのさじかげんはもちろん非常に真摯な検討が要るものでありますが、法整備をしないという選択肢は私はあり得ないというふうに思っておりますので、大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、起業支援政策の整理整頓ということについて伺います。

 起業支援や中小企業施策の種類、よく言えば、きめ細かく、隅々まで行き届いている、しかし、マイナス面を申し上げれば、非常に多過ぎて、自分の会社が今の段階で本当に必要とする政策を見つけ出すのが難しいという現状があろうかと思います。いろいろな政策ができて、そして似たような政策も、要は隣接政策もどんどんできてきている。そこで、使われていない政策、利用頻度が減った政策は、廃止統合するなど、やはり、一方で本数を絞ってわかりやすくする必要があるのではないかと考えます。

 この点についてと、それからもう一点。ネット上では、より検索がしやすいようにということで、ポータルサイトをつくっておられます。私もしばらく使わせていただきました。いろいろ工夫はされていると思います。さらに加えて、このポータルサイト、非常に多くの商品を扱って、それをうまく検索性を高めている理想のサイトの一つとして、アマゾン、本屋から始まって今いろいろなものも売っておりますが、アマゾンのサイトのように、あらゆる切り口から検索をできるようにして、なおかつ、あれは一つ本を選ぶと、この本を買った人はほかにこんな本も見ていますよというような、要は、類似近接のものも出てくるんですね。そういった仕組みも含めて、ポータルサイトはさらなるブラッシュアップが要るのではないかと思います。

 この二点、お伺いをいたします。

茂木国務大臣 中小企業の支援であったりとか起業の支援について、本当に中小企業をよくする、起業を活発にするために必要な施策というのは積極的に進めていきたい、こんなふうに思っていますが、利用されていないものについては、まず、状況を聞いて、何らかの改善ができて利用ができるんだったら、そういうオプションもあると思いますけれども、改善してもどうにもならない、もしくは、もう既にほかの施策を利用しているので同種のものがある、そういったものは当然改廃をすべきだ、こんなふうに考えております。

 例えば、利用実績が減っている施策の一例でありますけれども、小規模企業者等設備導入資金助成制度については、近年の利用状況でいいますと、平成四年、二十年前がピークなんですね。現在は、ピーク時の七分の一に利用状況が減ってきております。

 その要因として、無利子融資だけれども担保や保証人が必要とされる、それから設備投資額の半分までしか融資を受けられない制度である、こういった要因がある。

 このため、ほかの低利融資の制度が充実してきた、こういった状況も踏まえて、今般、この制度については廃止することを決めさせていただいたところであります。

 また、ポータルサイトの利用、これは極めてこれから有望だと考えておりまして、平成二十四年度の補正予算、十五億円を措置いたしまして、一つは、中小企業、小規模事業者を対象とした支援施策情報のワンストップでの提供、同時に、中小企業、小規模事業者と専門家等とのマッチング等を支援するポータルサイトの構築を進めているところでありまして、これにつきましては、二カ月後、七月中に運用を開始したいと思っております。

 また、ポータルサイトの使い勝手につきまして、私は、改善の余地はあるのではないかと思っておりまして、使いやすいポータルサイト、こういったことをしっかりと確立してまいりたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、企業の新陳代謝ということについて伺います。

 成長戦略の第二弾スピーチでは、既存の企業が設備を更新したり、あるいは新しい事業分野に進出するなど、要は、既存企業が脱皮をして生き残るタイプの新陳代謝については触れられております。しかし、こういった新陳代謝だけでなく、退場すべき会社と新規参入の会社のマクロな新陳代謝についても考える必要があると思います。

 茂木大臣は、産業競争力会議で、ゾンビ企業の安易な延命を避けるルールづくりも必要だというようなことをおっしゃっています。

 役割を終えた企業は市場から退場し、そこに新たな企業が参入してくる、企業は幕をおろしても、そこで働いていた経営者と従業員はダメージを受けずに次の企業に移れるような社会というのが理想形ではないでしょうか。

 企業の新陳代謝を進める最大のポイントは何かということについて、大臣の御所見を伺います。

茂木国務大臣 企業の新陳代謝につきましては、今の日本経済の停滞の原因であります人、物、金、こういうゆがみを是正していくために、一つは過少投資の問題、それから過剰規制の問題、そして過当競争の問題、これを解消していきたい、このように考えているところであります。

 それぞれ、既存の企業だけを対象にするのではなくて、例えば、過当競争の業種の中で、A、B、Cという会社があって、そこの中のAダッシュ事業部、Bダッシュ事業部、Cダッシュ事業部、これが一緒になって新しい会社をつくるということもあり得るんだと私は思います。

 ただ、そのときには、設備としてはAダッシュ、Bダッシュで十分で、Cダッシュまでは使わなくてもできるようなものになっている。ただ、人材についてはそうはいきませんから、これは、そこで雇用を維持するのではなくて、新しい産業なりに円滑に移れるようなことをしていかなければいけない。

 同時に、そういった新陳代謝を図る過程においては、スピンオフであったりとかカーブアウトであったりとか、そういったことも進めていきたい、こんなふうに考えております。

井坂委員 おっしゃったように、企業の新陳代謝ということを考えると、人材の流動化ということもやはり外せない論点になってまいります。

 確かに、一つの企業で長く働きたい、これは多くの方が思うことであります。しかし、一般企業はそうでありますが、では、創業期、スタートアップ期はどうなのか。要は、そういった企業を本当に共同経営者に近いような形で起こすような時期、あるいは開業間もない時期というのは、私は、これはまた違うルールがあってもよいのではないかと特に思うものであります。

 ベンチャー企業がスタートアップ期、創業期の少人数の時期に人材の流動化を図るための規制緩和について、お考えを伺います。

山越政府参考人 解雇など、労働にかかわる規制の見直しにつきましては、多くの労働者が賃金によって生計を立てております、また、雇用を通じてさまざまなつながりを労働者は持っているわけでございますので、そういったことも踏まえていく必要があると考えております。

 とりわけ、最低の労働基準に関する規制でございますけれども、これは、労働者の健康の確保でございますとか労働者を保護する観点から法律により一律に定められているものでございますので、この規制のあり方については、創業間もないベンチャー企業であるかどうかということで差を設けることにはなかなかなじみにくいのではないかと考えております。

 他方で、ベンチャー企業、今後成長が期待される産業、企業に向けて、ベンチャー企業などの、そういった分野に人材が円滑に移動していくことは重要と考えておりますので、厚生労働省といたしましても、雇用調整助成金を中心といたしました雇用維持型の労働市場政策から、労働移動支援助成金の抜本拡充などを通じた失業なき労働移動を積極的に推進する政策を強化することによりまして、ベンチャー企業に意欲と能力のある人材が集まっていくように取り組んでまいりたいと考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 人材の流動化に加えて、海外人材の集積ということで伺います。

 高度人材のためのポイント制というものが始まっております。要は、日本に誘致したい一定のタイプの海外の方を優遇するという制度でありますが、この制度が始まって一年近くたった現在、高度人材はおよそ何人認定をされているんでしょうか。また、既存の在留外国人が認定されたパターンと、望ましい、日本が狙っている、ターゲットの外国人の方、新規に入ってきた方とどちらが多いのか、あるいはどのような比率なのか、おわかりになる範囲でお答えいただきたいと思います。

榊原政府参考人 お尋ねの高度人材ポイント制に関しましては、昨年五月七日の制度発足から十一カ月が経過した時点における集計中の概数でありますけれども、約四百人程度の外国人が高度人材外国人として認定されております。

 内訳につきましては、既に在留中の外国人が高度人材認定を受けたケースの方が、新規入国外国人よりも多い状況になっております。この中で、集計中でございますので、多少数字が動くかもしれませんけれども、新規入国外国人の割合につきましては、一割以下ではないかというふうに考えているところでございます。

井坂委員 四百人というのは、やはり政府の政策のターゲットとしては少ないかなと。しかも、本来の狙いである外からそういう望ましい方に来ていただくという目的に対しては、一割か、もっと少ないのではないかということであります。

 ただし、これは所管の法務局さんを責めるつもりは私はなくて、やはり経済成長ということに向けての政策でありますから、ぜひ大臣もこの数字を御認識いただいて、また、後押しをいただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、最後の質問に移らせていただきます。

 クリエーティブ、創造性というキーワードについて伺います。

 成長戦略第一弾スピーチの中で、安倍総理が三つのキーワードをおっしゃいました。その三つ目のキーワードこそが創造ということでありました。今、クール・ジャパンということも言われておりますが、その元祖であるイギリス、クール・ブリタニアからやがて政策がさらに進化をして、今はクリエーティブ・ブリテンというような巨大な政策体系となっております。

 このキーワード、クリエーティビティー、創造性、創造といったことこそが、私は、次世代の日本の経済成長、社会発展の必須条件ではないかと考えます。

 創造というキーワードについて、大臣の思いを最後にお伺いいたします。

茂木国務大臣 全ての面において創造的であることが極めて重要だと思っておりますし、委員御指摘いただきましたイギリスにおきましては、国が文化産業戦略、これを国家戦略として進めている。九七年、トニー・ブレア政権時代でありますが、クール・ブリタニアを宣言いたしまして、英国における経済成長の柱と位置づけて、官民が連携して英国の商品であったりとかサービスを積極的に海外展開し、これが英国経済の成長の一因にもなったと言われております。

 私は、例えば食文化を見ても、イギリスと比べて、別にイギリスがどうだとは言いませんが、やはり日本はすごいですよ。ファッションにおいてもそうでありますし、コンテンツにおいてもやはりクールなものが日本には相当ある。それをクリエーティブに国際展開していく、それも、民に任せるのではなくて、官民一体になりそういった戦略を展開していく、こういったことが極めて重要だと思っております。

井坂委員 終わります。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、原発事故の汚染水対策について質問をいたします。

 一昨日、私は、福島第一の現地調査に行ってまいりました。汚染水の処理設備を中心に、設備を実見し、運用状況の説明を受けてまいりました。事故が収束していないということを改めて痛感いたしました。

 そういう中で驚いたのが、冷却水を原子炉に注入する注水ポンプがトラックの荷台に据えつけられたままということなんですね。まさにその冷却機能を果たす注水ポンプが荷台の上ということで、これはどうなのかと東電の担当者の方に、仮設対応ではなく本設をしないのかと聞くと、そういうことは考えていない、ポンプは複数箇所あるので対応可能だというお話でした。しかし、トラックの荷台ということで思い出すのが仮設の配電盤の話でもあります。そういう停電の事故の事例もありますので。

 そこでお尋ねしますが、冷却水を注入するこのポンプが、実態があの仮設のような状況で本当に大丈夫なのか、この点についてお答えください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、トラックの荷台にポンプが載っているということでございますけれども、この意味合いにつきましては、トラックというのは、ごらんのとおり、四つの車輪があってタイヤがあり、そしてばねとダンパーがあるということで、トラックの荷台に載っているということは、一定の、耐震性の観点からいいますと、地べたに置くことに比べてトラックに載せた方が耐震性は有利であるというのが一つの考え方でありますので、そういう考え方で今やっているということでございます。ただ、これが長期的にそのままでいいのかどうかというのは、今後よく議論をしていく必要があろうかと思っております。

 それからもう一つの、冷却注水の安定性という問題でございますが、先生がごらんになったのは恐らく常用系というものでありまして、これは通常送っているもので、これがまず一系統ございます。そのほかに予備の系統が一つ。それから、建屋内にもう一つポンプがございますので、都合、常用系が三系統ございます。さらに、非常用の注水ポンプがございます。これは、電源がなくなった場合でも、非常用ディーゼルがくっついてございますので、電源なしでもディーゼルでポンプを回して注水する、こういう複数の形での供給系統は設けております。

 さらに、信頼性を高めるために、今申し上げましたポンプは、建屋から少し離れたところ、あるいはタンクから供給してございますので、タービン建屋の近くに復水貯蔵タンクというのがございます、そこのタンクから、建屋の中にポンプを置いて水を冷却する、すなわち供給するラインの距離を短くすることによってリスクを低減させる、そういう信頼性の対策を今計画しているところであります。これは、三号機はこの夏ぐらいからそれを運用する、続いてほかの号機もやっていくということでございます。

 いずれにしましても、多重性を持たせることによって原子炉の冷却を安定的に図っていくというのが基本的な考え方でございますし、私ども規制の立場から見ましても、そういうものがきちっと設備として運用がなされているかどうか、それからそういったものの点検、保守とか、そういったものも含めて対応がきちっとなされているかどうか、これをしっかり確認していきたいというふうに考えておるところでございます。

    〔委員長退席、渡辺(博)委員長代理着席〕

塩川委員 現状が仮設対応ということの話であるわけであります。予備ポンプもトラックの荷台でしたから、常用のところもシートで覆われているだけですから、安定性という点で、現状が仮設状況ということは明らかなわけで、そういう意味でも、仮設対応のままでの安全対策に大きな疑義があるということは言わなければなりません。

 次に、汚染水の処理設備の循環ラインの配管を見てまいりました。汚染水処理設備の循環ライン配管には、耐圧ホースやポリエチレン管、また炭素鋼ですとかステンレスといった鋼管などが使用されていると承知しております。

 そこで、耐圧ホースについてお尋ねをします。

 いわば仮設のホースであります耐圧ホースは、汚染水漏れなどのトラブルをこの間も起こしてまいりました。具体的にどんな事例があったのか、あわせて、耐圧ホースからの汚染水の漏えい、そういう事故がこの間何件ぐらいあったのか、この点についてお答えいただけますか。

    〔渡辺(博)委員長代理退席、委員長着席〕

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、耐圧ホースの漏えいの事象でございますけれども、これまで規制側に報告がございましたのが十五件でございます。

 その中で、主なものとしましては、昨年、二十四年の三月それから四月に起きたものでありますが、耐圧ホースの接続部が外れて中の汚染水が漏えいしたという事象が大きなものとして一つございます。

 それから、もう一つは、同じく二十四年の八月と十月、二回ありましたけれども、冷却した水を建屋内に今滞留してございますけれども、セシウムなどを取る処理をするために、一号機から四号機、さらにはセシウムを処理しますところに持っていく配管、ここに耐圧ホースが使われておりまして、そこで作業している作業員が踏むなどいたしまして漏えいした、こういうふうな事象がございました。

 耐圧ホースは、先生御指摘のように、信頼性の面では非常に問題がございます。今申し上げたもの以外にも、微小な漏えい事象であるとか、あるいはチガヤという草が刺さったりとかいうようなことで漏えいが起きたとか、いろいろなことがございました。

 そのために、耐圧ホース、これは当初、応急のために敷設したものでございますけれども、より信頼性の高いものということで、今、ポリエチレン管の配管に順次取りかえを行っております。屋外を引き回します配管については、ポリエチレン管への取りかえがほとんど終わっているというふうに考えているところでございます。

 耐圧ホースの構造強度などでございますけれども、一応これは市販の耐圧ホースを使っているわけでございますが、当時は、構造強度上の試験の評価の結果とか、それからあと、放射線によりまして、プラスチックでございますので脆化をいたしますと強度が弱くなりますので、その耐用年数は試験の結果大体十一年である、そういうような結果を踏まえながら耐圧ホースを使っていたということでございます。

 ただ、先ほど申しましたように、耐圧ホース自身の信頼性が極めて低いことがわかっておりますので、ポリエチレン管に順次取りかえて、これをしっかり維持管理していく、こういう対応を今しているところでございます。

塩川委員 今お答えがありましたように、耐圧ホースからの汚染水の漏えいというのがこの間十五件もある、つなぎ目が外れるとか、あるいは作業員が踏みつけて、それによって損傷が生じるとかいうことがありました。

 信頼性の面で問題があるとおっしゃいましたけれども、そもそも、使うということになった際に、その評価として、市販のものを使う、耐用年数は十一年ぐらいという評価を国としてもしていたわけですから、そういう点でも国のこの問題についての安全対策の姿勢が問われたというのが、今回の耐圧ホースの問題であります。

 そういった汚染水漏れなどの重大な事故を繰り返していた耐圧ホースについてですけれども、要するに仮設対応に限界があるということです。先ほど、耐圧ホースについてはポリエチレン管に取りかえを行っている、ほぼ屋外は終わったという話ですけれども、汚染水の循環ライン配管において、耐圧ホースの使用というのは全てやめることにしているんでしょうか。

山本政府参考人 御指摘のとおり、基本的にはやはり、信頼性の低さから、耐圧ホースからポリエチレン管にかえる、これが基本方針でございます。

 ただ、構造的に、今、汚染水を蒸留するために蒸発濃縮装置とかいうものが仮設の小屋の中に入ってございますけれども、例えばそういう設備の機器の間を引き回す配管については、一定の湾曲性とかそういったものが必要になりますので、物理的にポリエチレン管が使えないところがございます。ですから、そういったところは耐圧ホースを残さざるを得ないというふうには考えてございますが、基本的に、屋外を長距離で引き回す主要な配管、これはポリエチレン管にかえるというのが基本的な考え方でございます。

 なお、先ほど言いました建屋内のそういう引き回しのための設備については、中で漏えいの検知であるとか、カメラとかそういったもので点検を行いながら漏えいがないかどうかを確認していく、そういう対策と組み合わせて対応しているところでございます。

塩川委員 建屋内であっても、ふぐあいが生じれば汚染水の移送そのものに支障が出てくるわけですから、そういったところを含めてしっかりと取りかえていく、そういうことはなさらないんですか。

山本政府参考人 できるものはポリエチレン管の信頼性の高いものにかえるのが基本だろうということは先ほど申し上げたとおりでございますが、先ほど言いましたように、弁の周りとか機械の周りをつなぐという接続部になりますと、ポリエチレン管は御案内のとおり非常にかたい構造のものでございますので、なかなか引き回しが耐圧ホースでないと物理的にできないところもございますから、そこのところは引き続き使わざるを得ないのかなというふうには考えております。

 ただし、先ほど言ったように、信頼性がやや劣るところがございますので、そういう点検とか監視であるとか、それから万が一漏えいした場合には、先ほど仮設の小屋も申しましたけれども、堰を設けて、外部への漏えいがないような構造にしている、そういう発生防止と起きた場合の対応というものを組み合わせて対応しているところでございます。

塩川委員 信頼性が劣ると認めているわけですから、私は、こういう部材について、信頼性のあるものに、そういう配管に取りかえていくという姿勢でこそ臨むべきだと思います。

 それと、ALPS、多核種除去設備の中でも、この耐圧ホースというのは使う部分があるんでしょうか。

山本政府参考人 正確なものはあれですが、先ほど言いましたが、多核種除去装置は、沈殿させたり吸着させたり、いろいろな化学的な装置の組み合わせで放射性物質を除去する、一種の化学プラントのような構造をしてございます。ステンレス製の配管などを用いているものが多いわけでございますけれども、一部、場合によっては、引き回しの関係上、ホースを使わざるを得ない部分がもしかしたらちょっとあるかもしれませんけれども、基本は、ステンレス系の配管といったもので構成されているものでございます。

塩川委員 規制庁の説明の中でも、部分的には耐圧ホースを使う部分が残るということなども指摘している。そういう点でも、私は、そもそもの信頼性に欠ける耐圧ホースの使用について、それを継続するということ自身を見直す必要があると思います。

 そういう意味でも、改めて、循環ライン配管、要するに汚染水を移送する、それにかかわるようなところに、信頼性に欠ける耐圧ホースの使用はもう取りやめる、こういうことこそ必要だと思うんですが、いかがですか。

山本政府参考人 御指摘のように、汚染水を大量に移送する、しかも屋外で移送するような場合、もし万が一漏れますと周辺環境への影響というのが出てまいりますので、そういった移送配管はポリエチレン管にするのが基本でございます。

 私が先ほどから何度も繰り返し申し上げているのは、建屋内とかそういう機器周りのところで、どうしても非常に湾曲させなければならない、構造的、物理的に難しいところは一部使わざるを得ないということを申し上げておりますけれども、先生が御指摘のような大量移送に使う大きな配管につきましては、ポリエチレン管にしていくというのが基本的な考え方でございます。

塩川委員 地下貯水槽からタンクへの移送というのは耐圧ホースを使っているわけですから、屋外における汚染水の移送に当たっても実際には使用されているわけです。このことを含めて問われてくる。

 私は、おととい、事故の現地調査の後にいわき漁協に寄りまして、役員の方からもお話を伺いました。

 そこでも、原発の放射能汚染水漏れで使っているオレンジのパイプ、耐圧ホースのことですけれども、これは自分たちが船で使っているようなものだ、あれは日に当たると劣化してひび割れる、こういう言い方をしていて、一年か二年しかもたない、そういうものがカバーもしないではい回っていた、こういうことについて、東電の汚染水対策を厳しく批判しておりました。

 そういう点でも、汚染水を扱うのに欠陥のある耐圧ホースを使い続けたままでは、国民の信頼を大きく損なうことになるということを改めて指摘しておくものであります。

 次に、ポリエチレン管についてお尋ねします。

 この間、耐圧ホースをポリエチレン管に取りかえてまいりました。東電及び国はこのポリエチレン管の信頼性についてどのような評価をしてきたのか、過去、こういったポリエチレン管というのは、原子炉建屋など高放射線量の場所に使用してきたということがあるんでしょうか、この点についてお答えください。

山本政府参考人 まず、ポリエチレン管の安全性といいますか、構造強度の評価でございますが、これは一般的に、先ほど先生が御指摘のような、原子力発電所の重要な設備にポリエチレン管を使うということは今までございません。

 今回使用しておりますのは、原子炉のような高温高圧状態での配管ではなくて、汚染水、常温状態の圧力もそれほど高くない液体を移送するための配管としてポリエチレン管を使うということでございます。

 この構造強度については、従来、このポリエチレン管というのは主として水道などで使われているものがございますので、日本水道協会の規格などといったものにきちっと適合しているようなこと、特に、使用いたします圧力に対して十分構造強度上の強度があるかどうかということは確認してございます。そういう構造強度上の劣化に鑑みますと、十年程度の寿命があるというふうに評価されております。

 それからもう一つは、放射線によります材料の劣化でございます。これも、材料の照射試験のデータなどを見ますと、約二十三年耐えるというようなことがわかってございます。

 ただ、一番問題なのは、こういう放射線以外に、日光、いわゆる紫外線によります劣化、これが一番心配でございます。これに対しては、今、ポリエチレン管の表面を被覆して、日光が直接当たらないように対策をしているところでございます。

 日光によります劣化というのはまだ詳しくわかっていないところがございますので、長期の暴露試験といいますか、そういう影響評価の試験をしながら、どういった劣化事象があるかというのをきちっと把握して、それで必要な取りかえなどをやっていく、こういう保全の考え方で今対応しているところでございます。

塩川委員 大臣にお尋ねします。

 仮設対応での移送というのがこの間も行われてきたわけですけれども、耐圧ホースをポリエチレン管に切りかえていく、こういう作業なども行われてきたわけです。このポリエチレン管の信頼性の問題についても、十年とかというお話が今ありますけれども、もともと地下貯水槽についても、十年大丈夫だというのが一カ月で漏れてしまったわけです。

 そういう点でも、私は、こういった仮設対応ではなくて、恒久的、恒設的な設備による抜本的な措置こそ行うべきで、このポリエチレン管についてもステンレス管に切りかえるなどを行っていく、こういうことが今求められていると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 仮設でないものにしていく、これが基本であると思いますし、置きかえられるものについては置きかえる。

 ただ、実際に、技術的な問題とか、私も炉の内部に入ったことがありますけれども、なかなか難しい部分もあります。そこにつきましては、監視体制、モニタリング体制を強化したり、どうやって補強するかということも含めて、安全には万全を期していきたいと考えております。

塩川委員 現場の作業員の方のお話などで、コスト削減が行われている中で、仮設のホースをステンレス管などにする計画があったんだけれども見送られた、こういう話なんかもあるわけで、私は、この東電のコスト優先という姿勢が安全対策の軽視につながっているのではないか、こういうふうに考えますが、大臣はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 原子力の安全性、いかなる事情よりも優先して考えてまいります。

塩川委員 事故収束作業を事業者に任せるということは、一刻も早い事故収束ですとか安全確保策よりもコストを優先するということになりかねない。だからこそ、事業者任せにしないで、国が責任を持って対処することが必要だと思います。その点についてはいかがですか。

茂木国務大臣 福島第一原発事故からの収束、そして廃炉の問題、事業者任せにせず、研究開発初め、国が前面に出る部分につきましては前面に出て、この加速を進めてまいりたいと考えております。

塩川委員 最後に、地下水バイパスによる地下水の海洋への放出計画です。

 漁民の方が強く反対し、私がお話を伺ったいわき漁協の役員さんも、強くこの点について指摘しておられました。

 低レベルだから、地下水だからと言うけれども、汚染水もまぜて流そうとしているんじゃないかと疑いたくなる、一般の消費者は納得しない、漁業者はそう思っている、風評被害だけではない、漁業者としての命にかかわる事態となっていることをわかっていないのじゃないか、国や東電はここに来て、ただ頭をぺこぺこ下げれば済むと思っているのではないか、もう二年も漁ができていない、やはり漁業はだめだということに特に若い人などはなってしまう、そうなればこの漁場を捨てないとならない、このように訴えておられます。

 こういった国と東電への不信感について、大臣はどのように受けとめておられるのか、お聞きします。

茂木国務大臣 地下水のバイパス、私は必要だと思っています。

 やはり、毎日四百立米の水が阿武隈山系、山側の方から流れてくるわけでありまして、これが汚染水の増大につながっているのは間違いない。さまざまな形でこの汚染水の問題については取り組まなければいけない。

 もちろん、山側からの、最終的には水が入らない状態をつくる、ただ、その場合は、建屋内の水位の問題で逆流しないようにしなきゃならない、このことも考えていかなきゃなりません。

 そして、バイパスを行うことによって、今四百入っているのを三百にする、二百にする。こういった形になりますと、これは汚染水ではありませんから。しっかりこの水質についても検査をしております。必要なことだと思っております。

 同時に、こういったことを進めるに当たっては、地元の皆さんの御理解を得る努力が必要であります。この水質がどうなのか、きちんと説明し、御理解を得る、そして同時に、定期的にその後もモニタリングを行いながら、安全に万全を期していくということが必要だと思っております。

 問題は幾つでも指摘できます、率直に言って難しい問題です。それをどうやって解決していくかということが、私は政治の責任だと思っています。

塩川委員 もともと、地下水の流入について防ぐという点では、そもそも大量に流入していたということはわかっていたわけですから、そういう意味でも、二年前に陸側の遮水壁の話が出たときに、結果としてはそれが立ち消えになって、今回改めて出てくるということを考えても、そもそもの国の姿勢の問題が問われているということであります。

 そういう意味でも、海への放出などは行うな、このことを改めて申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、内閣提出、株式会社海外需要開拓支援機構法案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。茂木経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 株式会社海外需要開拓支援機構法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 株式会社海外需要開拓支援機構法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 今後、我が国が経済の持続的な成長を実現していくためには、著しい経済成長を背景として需要を拡大させる新興国を初めとする諸外国の旺盛な外需を獲得していくことが必要となっております。

 我が国の生活文化の中で育まれたコンテンツ、ファッション、日本食、地域産品、観光サービス等は海外において高い人気を博しているものの、具体的な海外展開が進まないため、収益に結びついていないのが現状です。一方で、諸外国は官民を挙げて文化産業の海外展開を支援しており、我が国としてもこれを強力に支援することが重要です。株式会社海外需要開拓支援機構は、こうした状況を打開するため、民間資金や外部人材を最大限活用し、官主導ではなく、民間主導で投資案件の目ききを行い、民間の投資を促す呼び水となる資金供給を行うものであります。この機構による出資その他の支援を通じ、我が国の生活文化の特色を生かした魅力ある商品等の海外における需要の開拓を行う事業活動等の促進を図ることを目的として、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 本法律案は、株式会社である海外需要開拓支援機構について、会社法に定められていない特別な規定等を整備するものであります。

 第一に、機構の設立等に関するものであります。機構は、経済産業大臣の認可により一を限って設立される株式会社とし、政府は、機構に対し出資することができるとするとともに、常時、機構の発行済み株式総数の二分の一以上を保有することとしております。

 第二に、機構の組織に関するものです。支援の対象となる事業者や支援内容、株式や債権の処分等の決定を客観的、中立的に行うため、機構に海外需要開拓委員会を置くこととしております。

 第三に、機構の業務に関するものです。機構は、出資や、資金の貸し付け、専門家の派遣や助言等の業務を営み、経済産業大臣が定める支援基準に従って、支援の対象となる事業者や支援の内容を決定することとしております。また、機構は、平成四十六年三月三十一日までに、保有する全ての株式や債権の処分等を行うように努め、業務の完了により解散することとしております。

 第四に、機構の財務及び会計に関するものであります。政府は、機構の社債や資金の借り入れに係る債務について保証をすることができることとしております。

 第五に、機構の監督等に関するものです。経済産業大臣は、機構の役員の選任や予算の認可のほか、必要な監督を行うこととしております。また、機構に対し、報告の徴収、立入検査等を行うことができる旨の規定、機構の役職員等による贈収賄や秘密漏えいに対する罰則規定等を措置しております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十四日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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