衆議院

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第18号 平成25年6月5日(水曜日)

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平成二十五年六月五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      青山 周平君    秋元  司君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝俣 孝明君    小林 史明君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      田野瀬太道君    平  将明君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    藤井比早之君

      藤原  崇君    星野 剛士君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    宮澤 博行君

      武藤 貴也君    八木 哲也君

      山田 美樹君    吉川 貴盛君

      枝野 幸男君    大島  敦君

      岸本 周平君    後藤  斎君

      田嶋  要君    馬淵 澄夫君

      木下 智彦君    重徳 和彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      井坂 信彦君    小池 政就君

      三谷 英弘君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業副大臣      菅原 一秀君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           舘  逸志君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      中島 秀夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 村中 健一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           鬼澤 佳弘君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            實重 重実君

   政府参考人

   (林野庁次長)      篠田 幸昌君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           宮本  聡君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          鈴木 英夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            新原 浩朗君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        鈴木 千輝君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局水資源部長)    小池  剛君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  櫻田 道夫君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     武藤 貴也君

  根本 幸典君     青山 周平君

  福田 達夫君     田野瀬太道君

  宮崎 政久君     藤井比早之君

  山田 美樹君     小林 史明君

  枝野 幸男君     田嶋  要君

  大島  敦君     後藤  斎君

  三谷 英弘君     小池 政就君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     藤原  崇君

  小林 史明君     山田 美樹君

  田野瀬太道君     福田 達夫君

  藤井比早之君     星野 剛士君

  武藤 貴也君     辻  清人君

  後藤  斎君     大島  敦君

  田嶋  要君     枝野 幸男君

  小池 政就君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  藤原  崇君     宮澤 博行君

  星野 剛士君     宮崎 政久君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府規制改革推進室次長舘逸志君、公正取引委員会事務総局経済取引局長中島秀夫君、総務省大臣官房審議官村中健一君、文部科学省大臣官房審議官鬼澤佳弘君、農林水産省農村振興局長實重重実君、林野庁次長篠田幸昌君、経済産業省大臣官房審議官宮本聡君、経済産業省産業技術環境局長鈴木英夫君、資源エネルギー庁長官高原一郎君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長新原浩朗君、資源エネルギー庁資源・燃料部長安藤久佳君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長鈴木千輝君、国土交通省水管理・国土保全局水資源部長小池剛君及び原子力規制庁審議官櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細田健一君。

細田(健)委員 皆さんおはようございます。自由民主党の細田健一でございます。

 本日、まず、改めまして、富田委員長また我が党の塩谷筆頭理事、鈴木理事を初めとして、私にこのような機会を与えていただいた関係者の皆様方に厚く御礼を申し上げます。また、茂木大臣、菅原副大臣、日ごろから懇切丁寧に御指導いただいておりますことを改めて御礼申し上げますとともに、本日、御出席いただいたことを改めて感謝申し上げます。

 本日、電力システム改革の議論でございますが、この議論を行う前に、まず、足元の電力需給に関連する問題について、一点、まず問題提起をさせていただきたいと思っております。

 二〇一〇年に、原子力発電所の発電量は、資源エネルギー庁の資料によれば、約三割を占めておりました。これが、今のところ、一部の例外を除きほぼゼロになっておるわけですが、これはやはり、電力の需給から見ますと非常にタイトな状況になっております。もちろん、あれだけの大きな事故があったわけですから、当然、原子力発電所の再稼働については安全第一が当然でございます。

 ただ、規制委員会が審査を行って、工学的に安全性が確認をされれば、当然、国の責任で再稼働を可及的速やかに進めていく、安倍総理、また茂木大臣を初め安倍内閣の方々が累次お話しになっておられますが、これはもう当然のことであると思います。

 昨日、中小企業の代表の方が参考人でいらっしゃいましたが、経済の活性化には安価で安定的な電力が当然必要でございまして、安全な原発はできるだけ早期に再稼働させる必要があると思います。

 この観点から、ことしの夏に原子力発電所のいわゆる再稼働に対する新しい安全基準ができて、規制庁が審査を開始するわけでございます。その審査は、当然厳正にやっていただくのが大前提でございますが、可及的速やかに行っていただく必要がございます。

 これについては、五月十六日、本院の原子力問題調査特別委員会で私の方から規制委員会の田中委員長に質問を行いまして、議事録を引用しますと、田中委員長からは、「規制施行後できるだけ速やかに事業者の申請については審査を進めるように最大限の努力を払っていきたい、そういうふうに申し上げている」という御答弁をいただいたところでございます。

 そこで、きょう規制庁にいらしていただいています。

 まず、この七月以降の再稼働審査の審査期間といいますか、これはそれぞれ一基ごとに行われると思いますが、この審査期間の見込みというのはどのようなものか。また、田中委員長は累次、規制庁の審査チームというのは三チームでやるというふうにおっしゃっておられます。この三チームの数をふやす、これは先日、原子力問題調査特別委員会でも私は問題提起をいたしましたが、三チームの数をふやすという点についてはどのようにお考えになっておられるのか。まずお伺いしたいと思います。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのございました、七月以降の審査にどのくらいの期間を要するかといった点につきましては、これは事業者からの申請の内容がどのくらいの熟度に達しているかといったことにも大きく左右されますので、現時点におきまして一概にどのくらいの期間というふうに申し上げるのはなかなか難しいかなという感じがしてございます。

 あわせまして、新しい今般の規制でございますが、いわゆるシビアアクシデント対策といったようなこれまでにないような要素もたくさん盛り込まれてございまして、そういう意味で、その審査自身がなかなか容易なものではないというふうに考えてございます。

 一方で、御指摘がございましたように、新しい規制施行後の審査、これは事業者からの申請を踏まえて速やかに対応するということが重要であるというふうに考えてございます。したがいまして、原子力規制庁の全体のリソースを踏まえまして体制を検討いたしまして、約八十名をこの業務に投入するということで検討してございます。

 さらにこの体制を増強するといったことについては、例えば行政機関においてこういった審査にすぐ投入できるような即戦力的人材がどのくらい確保できるのかといったようなことも含めて検討していくことが必要かなというふうに考えてございますし、また、規制庁全体の体制といったものにつきましても、九月に発足した以降の状況も踏まえまして、引き続きしっかりと精査していくことが必要かなというふうに考えてございます。

細田(健)委員 済みません、三チームの数をふやす、三チームを四チームあるいは五チームにするという点についてはいかがでしょうか。

櫻田政府参考人 先ほどお答えいたしました、その八十名を投入するというのは、いわゆるプラントの審査と地震とか津波とかそういった審査は専門性も違いますので、三チームと言っているのはプラントの審査のチームの数でございまして、それと地震、津波も合わせてこのくらいの人数が必要かなと。それで、振り分けていくとやはり三チームぐらいしかできないかなというのが現状でございます。

 お尋ねの、もう少しふやすことができないかということにつきましては、今、原子力規制庁の中で審査に投入できる人材をほぼ全てここに投入してこの数字になっているという形でございまして、これを中でふやしていくとなると、ほかの業務にも影響するということもございますので、なかなか難しいかなと。

 それで、先ほど申し上げましたように、ほかの行政機関などで審査に投入できるような人材がいるのかどうかとかといったようなことも含めて検討していくことが必要かなというふうにお答え申し上げたところでございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 基本的には、やはり三チームということだと理解しております。

 これは、本当にある意味大変なことだと思います。今、我が国の商用炉、福島の第一を除きますと四十八基あるわけなんですが、仮にこの審査期間が一基当たり一年とすると、三チームだと一年当たり三基しか審査ができないわけですね。そうすると十六年かかります、全ての原発について審査が終わるのは。仮に半年に審査期間を置くとしても一年で六基しか審査できませんから、これでも八年かかるわけです、全ての既存の原子力発電所の審査が終了するのに。

 私は、アベノミクスの成否といいますのは、いかに安全だと審査された原子力発電所を早期に再稼働させるかということだと思っておりますが、この審査期間の問題というのは本当に非常に大きい問題だと思っております。

 ですから、ここでぜひ同僚議員の皆様方に申し上げたいんですが、今後、規制庁を含む政府のさまざまな定員管理、あるいは機構定員要求の議論が行われると思いますが、規制庁の人員を大幅に増強する、そして審査チームをふやすという方向の議論にぜひ参加していただきたい。これはぜひ、特に与党の同僚議員の皆さんにお願いをしたいと思います。

 それでは、電力システム改革の議論に入らせていただきますが、まず改めて、茂木大臣のリーダーシップに心から敬意を表します。

 私は、記憶をたどりますと、自民党の部会に大臣が出席されて、予定の時間の一時間を超えて、大臣がみずから議論をリードされた、私自身も二十年近く霞が関から永田町でうろうろしておりましたが、こういう経験というのは初めてでございまして、そういう意味で、この改革にかける大臣の御熱意に本当に打たれました。ある意味、あそこで勝負あったというところでございましょうか。改めて、本当に深く敬意を表したいと思います。

 私自身も、この案については、非常にバランスのとれたいい案だと思っております。また、与党の一員として、当然のことながら、内閣がベストのものであるというふうに提出された法案でございますので、これを全力で支えていきたいと思っております。

 ただ、先日来、与野党の委員の皆様方からさまざまな論点提起がなされておりまして、特に第二段階、第三段階の具体的な制度設計に当たっては、さまざまな論点に留意しつつ、また、現実的に安定供給、あるいはコストの面で大きな障害が生じるということが起これば、何のための改革かということにもなりかねませんから、これらの点については継続的に議論をする、また、この委員会、あるいは与党としても引き続き関心を持って見ていくということだと思っております。

 この関連で一点だけ。

 現在提出されております法案の附則の第十一条一項三号におきまして、いわゆる継続的に検証を行うという条項がございます。「当該改革を行うに当たっての課題について十分な検証を行い、その結果に基づいて当該課題の克服のために必要な措置を講じつつ、当該改革を行うこと。」ということで、各段階での検証について規定されたわけなんです。

 これを実際にいつ誰がどういうふうに行うのか、また、この検証の結果については、当然、国会にある種の報告があったり、あるいはこの場で議論が行われるべきものだと思いますが、この点についてどうお考えになっておられるのか、経済産業省の御見解をお伺いしたいと思います。

糟谷政府参考人 附則第十一条第一項第三号の検証についてのお尋ねでありますけれども、具体的には、経済産業省において、今後の詳細な制度設計の検討、また、第二段階以降の法律改正について検討を行う中で、この課題についての検証、検討を行っていくということを考えております。

 例えば、実務に詳しい専門家を含めた検討、検証を公開の形で透明性を持って行うといったようなことが考えられるわけでありますが、具体的には、これから固め、速やかに始めていきたいと思っております。

 国会との関係につきましては、第二段階、第三段階の法律の改正案をまた御審議いただくことになるわけでありまして、その御審議いただく過程の中で、検証の過程で明らかになった課題ですとか、それに応じて講じる措置について御説明させていただき、御審議を賜りたいと思っております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 公開の場での審議ということですので、また私も関心を持ってウオッチしていきたいと思いますが、ぜひ、国会の方にも、折々に御報告いただくような御配慮をいただきたいというふうに考えております。

 これまでの質疑でさまざまな論点が出ました。本日は、これまでの質疑で出た論点に加えて、やや違った視点から議論をしてみたいと思うんです。

 電力システムそのものと関連をして、いわゆる地域独占の九電力体制を前提にしたさまざまな制度がございます。あるいは、電力業界あるいは電源立地地域に関連をしたさまざまな制度がございます。当然のことながら、電力システム改革が大きく進展すれば、これらさまざまな制度の見直し、あるいは議論は不可避でございまして、また、電力システム改革そのものと同等、あるいは場合によっては同等以上の複雑な連立方程式を解く作業が必要になってくると思います。こういう観点から、本日は幾つか問題提起をさせていただきたいと思っております。

 まず、電源開発立地交付金制度でございます。

 これについては、原子力を含む電源立地に大きな役割を果たしてきたと思いますが、納税義務者は一般電気事業者とされておりまして、当然、システム改革が進展すれば、この点を含めてどうするのか、どうすべきかという議論が行われるかと思います。

 ただ、着実な電源開発を進めるためには、将来とも、電源開発促進税及び電源立地地域対策交付金の制度は必要だと考えられますし、これについて経済産業省の中で見直しが行われるかと思いますが、この制度の将来像を仮に検討する場合には誰がどこでどういう形で行うのか、この制度の将来像の検討をどういう形でやるのかについて、経済産業省の見解をまずお伺いしたいと思います。

高原政府参考人 電源開発促進税でございますけれども、発電施設の設置の促進などを図るための措置につきまして、その費用に充てるためのものでございます。そのうち、特に電源立地地域対策交付金は、電源開発促進税を財源といたしまして、発電施設の立地自治体に交付をさせていただいているものでございます。

 電力システム改革とこの電源開発促進税及び電源立地地域対策交付金とは、別途の課題であるというふうに考えております。電力システム改革を行うことが、電源開発促進税及び電源立地地域対策交付金の支援のあり方を見直すことに直結するものではないというふうに考えておりますし、今御指摘の電源立地地域対策交付金の重要性というものは変わらないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、電源開発促進税制でございますとか立地地域の対策交付金などの今後のあり方につきましては、必要があれば、今後しっかりと検証し、検討していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 制度の根幹については、当然、今お話があったように、維持されるという理解をいたしました。

 ただ、ぜひ、大臣、副大臣にお願いしたいのは、また必要があればというお話がありましたが、仮にその制度の見直しが行われる場合は十二分に立地自治体関係者の意見も聞いていただきたいと思います。

 この点について、政務三役の御見解をお伺いしたいと思います。

菅原副大臣 細田委員の御指摘のように、電源立地の自治体における御理解と、そしてまた御協力があってこそ、今日までの我が国のエネルギー政策が推進してこられたんだ、このように思っておりまして、その汗に対して、そのことを多としなければならないと思っております。

 したがって、電源立地地域対策交付金に関する今後のあり方、あるいはこれまでの検証は、よくその自治体の声を受けとめなければならないと思いますし、意見交換のあり方、方法を含めて、今後よく検討していきたいと思っております。

細田(健)委員 副大臣、ありがとうございました。

 立地地域に対する非常に温かいお言葉、改めて本当に心を打たれました。本当にありがとうございます。

 次に、いわゆる原子力発電所の事故の賠償との関係についてお伺いをしたいと思います。

 これ自体も非常に複雑な連立方程式を解く作業が必要になってまいりますが、いわゆる前政権が支援機構というのを設立して、原子力事業者である電力会社にある種の負担を求めるというスキームをつくりました。これ自体についてもさまざまな議論がございますが、この点については本日は深入りいたしません。

 いずれにせよ、やはり同様に、電力システム改革が進めば、原発の賠償のスキームについても何らかの見直しを行わなければならないのではないかというふうに考えられるわけでございますが、この改革のプログラムが完全に終了した、完全自由化が行われた時点で、例えば、機構への負担金の支払い義務というのは誰が負うのかというような論点がございます。

 このような電力改革プログラムを踏まえた原発賠償のスキームの将来像について、誰がどこでどういう形で検討を行うのかについて、御見解をお伺いしたいと思います。

糟谷政府参考人 電力システム改革はしっかり進めるわけでありますが、基本的な考え方といたしまして、同時に賠償にも万全を期するということは、何をおいても重要な課題であります。賠償、それから廃炉、生活再建、こういった問題を全て事業者任せにするのではなくて、国がしっかりと前面に出て、果たすべき責任を果たしていくという考え方でございます。

 電力システム改革後の原子力損害賠償支援機構法に基づく負担金の納付の主体でありますけれども、改革の進捗を踏まえて今後検討するわけでありますが、現時点での一つの想定といたしまして、まず、一般負担金につきましては、原子力発電所を保有する発電会社が納付の主体となること、また、東京電力が納付する特別負担金については、賠償等に万全を期す観点から、持ち株会社等が納付の主体となるということが想定されるものと考えております。

 いずれにしましても、この具体的な検討でありますけれども、原賠機構法については、内閣府、文部科学省及び経済産業省、この三府省が所管でありますので、この三府省を中心に政府内で検討いたします。その際、我が国のエネルギー政策における原子力の位置づけの検討ですとか、現在進行中の福島の賠償の実情等を踏まえた上で、電力システム改革とは独立して検討を進めるべき課題であるというふうに考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 この点についても、また引き続き、必要であれば議論をいろいろさせていただきたいと思っております。

 さらに、今回、論点の芽出しということでお話をさせていただきますが、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の関係がございます。

 この制度、昨年からスタートしたということで、経済産業省からお話を伺いますと、大体年間約三千億円ほどのコスト、賦課金が発生しているということで、再生可能エネルギーを導入するためにこれだけの負担を消費者にかけているわけですが、この三千億円という負担は、やはり現下の経済状況を見ますと、かなり大きいものだというふうに考えております。

 それで、電力システム改革が進展をすれば、恐らく、今後、消費者が電源種とその料金の組み合わせを自由に選べるということになると理解しているんですが、例えば、クリーン電力の小売というような会社が再生可能エネルギーだけを販売したり、あるいは、きのうもお話がありましたが、中小企業の方であれば、安定供給を前提として、相対的に安い電力を買うというようなことが市場メカニズムを通じて可能になるということだろうと理解しております。非常に環境に敏感な方であれば、高いけれども俺はその再生可能エネルギーを使いたいということで、そういう消費行動を行われる方も恐らく多数出てこられるのかなと思っているんです。

 ただ、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度は、ある意味、マーケットに政府が介入しているということでございまして、私は、今回の改革の基本的な観点というのは、政府はマーケットに介入しない、マーケットに任せるんだというのが基本的な考え方であると思っておりまして、この観点から、この固定価格買い取り制度の哲学とはある意味相入れないものではないかというふうに思っております。

 この改革が進展すれば、いわゆる再生可能エネルギーの需要がマーケットを通して明確になるわけでございまして、その意味から、電力システム改革の進展に応じて再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度は、あくまでもこれは私の個人的な見解でございますが、廃止すべきではないかというふうに考えておりますが、経済産業省としてはいかがお考えでしょうか。

菅原副大臣 細田委員のこの電力システム改革への御理解と、そしてまた御自身のお考えを披瀝いただきました。

 この電力システムの改革が進んで自由化が進みますと、当然、今例示がありましたように、例えば環境問題に関心の高い方はそうした電力会社を選ぶ、そういう意味では、値段が必ずしも安くなくてもそういう電気料金でいいという考えもあれば、企業によっては、なるべくコスト削減のために安いところを選ぶ、こういうバリエーションが出てきて当然だと思います。また、そのことを市場の原理、メカニズムに委ねるというお考えも私は一つの考え方だと理解はできます。

 しかし、御案内のとおり、一九九八年、ドイツで自由化を実施したわけですけれども、結果的に、再生可能エネルギー電源による電気料金メニューは、小売事業者が新たにどんどんふえてきたり、こういう傾向があるんですけれども、実際に、二年たった二〇〇〇年からは、ドイツにおいては、この固定価格買い取り制度に基づいて再生可能エネルギーの導入拡大を進めているものの、実際に、需要家による選択という市場原理に任せていくことの限界も議論されているところであります。実際、水力を除く再生可能エネルギー、ドイツにおいては一八・六%あるんですが、我が国においてはまだ一%という現状がございます。

 したがって、政府として、茂木大臣の指導のもとで、これから三年間、最大限、再生可能エネルギーの拡充、普及を加速していく。そうした中にあって、この固定価格買い取り制度の着実かつ安定的な運用を通じて再生可能エネルギーの導入の拡大を図っていきたい、こういうことが政府の基本的な考えであります。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 現在の考え方、政府のお考えについては理解をいたしました。ただ、再生可能エネルギーのいわゆる制度にはたしか見直し条項もあったと思いますので、またこの辺について、当然、今は私の個人的な見解をここで申し上げているだけでございますが、政治的ないろいろな議論もまた必要かと思いますので、ぜひ引き続き議論をさせていただきたいというふうに考えております。

 最後に、茂木大臣、今、さまざまな問題提起をいたしました。全体としての方向性については当然御支持をいたしますし、私も与党の一員でございますから、改革に向けて、また微力ながら力添えをしたいと思っておりますが、やはりさまざまな論点がございます。電力システム改革自身の問題、あるいは派生する問題がございます。ですから、さまざまな論点について、先ほど申し上げたように、複雑な連立方程式を解くような作業もまた必要になってまいるわけでございます。

 ぜひ細心の注意を払って、大胆に、細心に改革を進めていただきたいと思いますが、最後に大臣の御決意を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 今回の電力システム改革は、委員御指摘のように、恐らく六十年に一度の大改革ということであります。改革は大胆に、しかしスケジュールは三つのステップを踏みながらきちんとやっていかなければいけない、このように思っております。

 今回は、第一弾の法案、そして全体のプログラムについてお示しをしてございますが、第二弾、第三弾の法案、来年、再来年と提出をさせていただきたいと思っておりまして、そこでも、さらに委員御指摘の点も含めて議論を深めてまいりたいと考えております。

 固定価格買い取り制度についても、三年ごとに見直しを行い、十年で抜本的な見直しを行うということになっております。もちろん、今回の改革の主眼、一つはやはり競争環境をつくっていく、そしてもう一つは、委員御指摘のように、消費者が、需要家がさまざまなメニューを選べるような形にしていく。基本的には、マーケットメカニズムに委ねるということを基本にしたいと思います。

 一方で、違った政策目的、再生可能エネルギーを最大限に導入したい、また、電力の安定供給、こういったことを考えたときには、送配電会社には安定供給の義務を課す。幾つかの、やはり電力の特徴も考えながら、改革といったものをしっかり進めていきたいと思っております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 いずれにいたしましても、本当にエネルギー政策、国の経済社会の制度の根幹でございますし、また、先ほど申し上げたように、アベノミクスの成否がかかっている部分であると思います。私も、立地自治体の出身議員として、また、過去、経済産業行政に携わった人間として、そしてまた与党の一員として、引き続きこの問題について、茂木大臣、また菅原副大臣の御指導を賜りつつ、頑張って取り組んでまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 昨日は、参考人の先生方から、競争を通じて電力料金を安くする、また安定供給を保つ、この電力システム改革の目的を達成するために、それを実現するようなしっかりとした制度設計が重要なんだというようなことを承りました。

 公明党、我が党も、今回の電力システム改革をしっかりと進めてまいりたいと思いますが、そのためにも、本法案について、以下何点か、質疑、確認させていただきます。

 まず初めに、これは昨日参考人にも質問させていただいたことなんですけれども、電力の自由化が進んで競争が激しくなると、どの電力会社も余分な発電設備を持たなくなるんじゃないか、そうすると、いざ、どこかで発電所トラブルが起こったり、自然災害に見舞われたりして供給力が大きく失われた場合に、最後の供給予備力を賄ってくれる存在がいなくなってしまうんじゃないかというようなことを懸念する声がございます。

 アメリカで最も自由化が進んでいると言われるテキサス州、またヨーロッパの中で最も自由化を進めてきたイギリスのいずれも、電源予備率が急落してマイナスになるおそれがあるというふうに、ここでも懸念されております。

 そこで、電力システム改革を進めるに当たっては、電源予備力を確保する体制を整えることが必要になってくると思いますが、では、一体誰がこの電源予備力を確保する担い手となるのか、またそのためのコストを誰が負担することになるのか、この見解についてお伺いします。

菅原副大臣 國重委員御指摘のとおり、三・一一以降、電力の供給のあり方が変わってきた中で、予備率あるいは予備力確保は、まさに至上命題として今日まで来たわけであります。

 このシステム改革を進めることによって、安定供給が損なわれたり、あるいは予備力が不足をするということは、まさにあってはならないことでありまして、今回の法案附則の改革プログラムにおきましては、小売事業者に対して、その事業における電気の安定供給を確保するために必要な供給能力を確保する義務を課すこととしておりまして、これはいわゆる空売り規制でございますが、この予備力についても、当然、この枠組みの中で小売事業者が確保することを想定しているものであります。

 実際の発電所の建設につきましては、供給力の確保義務を負っている小売事業者からの要請に応じて発電事業者が建設することとなっております。そのための建設の費用は発電した電気を購入する小売事業者から回収する、こういうスキームにしているところであります。

 また、仮に、小売事業者への規制だけでは将来的に発電所が不足することも考えられますゆえに、こうした中においては、広域的運営推進機関が発電所建設を募集する仕組みをつくりまして、最終的に必ず発電所が建設される仕組みとなっているところであります。

 その際、発電した電気の販売により投資回収ができないコストが生じる場合には、賦課金などの形で、需要家から広く薄く回収することとなっておりまして、このような仕組みによって、今後とも、電力の供給確保、そして予備力がしっかり確保される制度設計を行っていきたいと考えております。

國重委員 しっかりと予備力の確保もしていただいて、停電などが起きないように、そういうような体制をしっかりと整えていただきたいというふうに思います。

 続きまして、電力の自由化が進んだとしても、新規参入が進まなければ、実質的な消費者の選択肢がなくなって、価格だけが上がるおそれがあります。新規のプレーヤーが入ってこないと、競争にはなりません。一方で、送配電設備は、現在、一般電気事業者が保有して、発電設備、また発電の電力量、いずれにおいても約九〇%は一般電気事業者が占めております。

 既存の電気事業者と同じ土俵で新規のプレーヤーが競争するということは非常に困難です。そのために、今回、発送電分離、また送電部門の中立性など、具体的な競争環境の整備が必要になってきますし、改革は大胆にということは非常に大事なことなんですけれども、大臣は、改革は大胆に、スケジュールは現実的にということをよくおっしゃられますけれども、新規参入者が安心してビジネスをするためには、いついつまでにこういうことをするんだというような予測可能性、これが見えないことには、安心してここに参入してくるということは難しいと思います。

 そこで、この競争環境の整備、また予測可能性を担保するために、具体的に今後どのような施策を打っていくのか、これについて見解をお伺いします。

茂木国務大臣 大変重要な御指摘でありまして、今回、基本的には、広域系統運用の拡大、このための法案を御提示しておりますが、第二段階、第三段階のいわゆる料金の自由化、そして、最終的には発送電分離まで含めて二〇二〇年までの改革のプログラムの全体像、これをお示しさせていただいたところであります。そして、送配電部門の中立化、これが一層進むことによって、小売部門においても、そしてまた発電部門においても、さまざまな形の新規参入というのが期待できると考えております。

 一九八五年に電気通信の分野の自由化を進めたわけであります。トランスパラントな通信網をつくっていく、その結果として、一社独占であった日本の電気通信の世界、今、これは圧倒的に変わっております。変わっているというのは、単純に参入者がふえただけではなくて、さまざまなサービス、こういったものも生まれる、そしてさまざまな機器も生まれるという形であります。

 恐らく、全く電気通信と電気事業は一緒にならない部分もありますけれども、基本的な形態をイメージしますと、大きな改革のプログラムを示すことによって、これまで電気事業と自分が考えていなかった事業にもさまざまなスキル、技術、能力を持った企業からの参画が進んでいく、こういったことを期待したいと思っております。

國重委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 発送電が分離されて、また、発電部門にも新規の参入者がふえていきますと、これまでに比べて発電会社というのが小さくなっていってしまう。そうしますと、日本のように化石燃料を全量輸入に頼っている国では、燃料調達の交渉力が格段に落ちてしまう。小さな会社ごとに、相手国政府や、また国有企業と燃料調達の交渉、これを行っても、有利な条件をかち取ることは難しいんじゃないかということを言われております。

 そこで、各発電会社に交渉を単に任せるだけではなくて、政府としてもやはり何らかのバックアップ措置をとっていくことが重要なんじゃないかと私は思っておりますが、これについての大臣の見解をお伺いします。

茂木国務大臣 恐らく、今、化石燃料に九割を依存する、こういった中におきまして、できる限りエネルギー源の多様化を図る、そして、調達先にしましても、石油でいいますと八三%までが中東に依存する、こういう状態でありますから、調達先の多角化を図っていく、こういったことが極めて重要だと思っております。今、電力会社を中心に行っておりますが、やはりオール・ジャパンでこういったバーゲニングパワーをいかにつけるかということは極めて重要だと思っております。

 今、LNGの国際市場も、アメリカのシェールガス革命によって、決定的に変わっております。私も、先日、シェールガスの生産サイトの一つ、マーセラスというピッツバーグのそばのところを見てきたわけでありますけれども、ここは二〇〇六年から生産を開始してまだ七年でありますけれども、七千万トンの生産があるんですね。日本が一年間に輸入しているLNGは九千万トンですから、いかに大きなポテンシャルがあるか、こういったこともおわかりいただけるかと思うんです。

 既に、日本企業が参画をしておりますアメリカでのシェール、このプロジェクトのうち一つにつきましては、輸出許可が出ました。残り二つについてもできる限り早い輸出許可が出るように、政府としても働きかけを強めていきたい、こんなふうに思っております。

 同時に、日本企業が参画をして、上流部門のいろいろな資源開発の取り組みをいたしております。オーストラリア、モザンビーク、そしてまたロシア等々でそういった日本企業が上流部門の資源開発に参画をしていくことについて、国としてもさまざまな、JOGMECであったりとか、支援をしていきたい、こんなふうに考えております。

 同時に、消費国、日本であったりとか韓国であったり、こういった消費国の間の連携を強めることによって消費側全体のバーゲニングパワーをつける、こういったことも重要だと考えておりまして、LNGの産消会議を初め、そういった場を通じて消費国側のバーゲニングパワーをつける、こういったことも進めていきたい。

 御懸念の点というのは、私もよく理解できます。これからさまざまな発電事業者が入ってくる中で、個々の小さな事業者がそれをやろうと思ったら、なかなか限界がある、オール・ジャパンでどう取り組むか、こういう視点が極めて重要だと考えております。

國重委員 大臣、ありがとうございます。

 さまざまなことをお考えいただいていると思いますので、またしっかりとよろしくお願いいたします。

 次に、今回の電力システム改革においては、送電部門の中立性をいかに図るか、独立性をいかに保つか、これが改革の最大のポイントではないかというふうに考えております。

 送電会社に中立性を持たせる目的で、今回、機能分離とか法的分離、また所有権分離、さまざま議論された中で法的分離でいこうというようなことになっておりますが、この法的分離にした場合に、具体的にどのようにして今後中立性を確保していこうとお考えになっているのか、答弁を求めます。

高原政府参考人 まさに委員御指摘のとおり、法的分離の方式の場合は、送配電部門の一層の中立性を確保するために、人事でございますとか、あるいは予算などに係る行為を規制する、いわゆる行為規制が必要になると考えております。

 行為規制の具体策でございますけれども、例えば、送配電会社と発電・小売会社の間の役員の兼職を禁止する、あるいは会計を独立させる措置を講じることなどが必要だと考えております。また、他の発電・小売会社に比べてグループ内の発電・小売会社を優遇しないように、行政がしっかりと監視していくということも必要だと考えております。

 行政による監視機能の強化も含めまして、実質的に送配電部門の中立性、独立性を確保すべく、今後、法的分離を行う第三段階の実施に向けまして、行為規制の具体的な検討を進めていきたいと考えております。

 以上でございます。

國重委員 ありがとうございました。

 この中立性確保が非常に重要になると思いますので、よろしくお願いいたします。

 また、今も答弁の中に一部出ましたけれども、附則十一条六項にもあるように、送電部門の独立性確保のための独立した監視機関をつくる必要があると思います。その際には、独立した監視機関は、できるだけ電力会社の息のかかっていない専門性ある人材を構成員とする必要があると考えますが、これについての大臣の見解をお伺いします。

茂木国務大臣 委員御指摘のとおりだ、このように考えております。

 法案附則の改革プログラムにおきまして、電気事業の規制に関する事務をつかさどる行政機関について、そのあり方を見直し、二〇一五年をめどに、独立性及び高度な専門性を有する新たな行政組織に移行させる旨が定められております。

 小売及び発電の全面自由化や、法的分離によります送配電部門の中立性の一層の確保等、今回の一連の電力システム改革を進める中で、政府が監督等を適切に行うためには、電気事業に係る規制をつかさどる行政機関のあり方を見直し、その機能を一層高めていくことが必要になっております。

 例えば、自由化された市場における電力取引の監視、モニタリングのルールの整備であったりとか、さらには、送配電事業に関する料金規制や中立性確保のための行為規制の厳格な実施、さらに、安定供給確保のための緊急時の供給命令の的確な実施など、国の規制業務に万全を期すことが必要でありまして、この分野には、独立性と高度な専門性を有する人材の確保が必要だと考えております。

 例えば、電力会社のOBであったりとか実務に詳しい人を全く排除するということではありませんけれども、基本的には、やはりそういうところじゃないところから専門家を持ってくる、こういったことが必要だと思っております。

國重委員 私も以前、何かの番組で見たんですけれども、ドイツでは、一九九八年、電力の自由化をしたんだけれども、なかなかそれが進まなかった、新規の参入者が入ってこなかった、それは送電のところがなかなか開放されていなかったからだということでありまして、それが、二〇〇五年に規制機関をつくって、私も弁護士ですけれども、ローヤーとか、電力会社とはまた違うさまざまな関係者の方をそこに入れて、しっかりとした監視機関をつくったら、新規の参入者がふえたというようなことが放映されておりました。

 また、そういう点でも、今回いただいた資料の中にもありましたけれども、諸外国の例も参考にしながら、よりよい独立した監視機関をしっかりとつくっていただければと思います。

 次の質問に移ります。

 先ほど細田委員の方からも、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の質疑がありました。細田委員の御見解としまして、将来的にはマーケットに任せるべきじゃないか、固定価格買い取り制度というのは、将来的にはやめる方向で考えた方がいいんじゃないかというような意見もあり、また、それについての大臣、政府の見解もお伺いしました。

 その上で、現在の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度というのは、電力事業者が法律上の買い取り義務を負っております。小売全面自由化が進んだ場合の買い取り義務者というのは、小売事業者になるのか、それとも送配電事業者になるのか、将来的な見通しというのはどのようにお考えでしょうか、答弁を求めます。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、改革が進んだ後の義務者については、小売事業者と送配電事業者、この二つの選択肢があり得るというふうに考えております。

 それについては、実際にこのシステム改革の詳細設計とのかみ合わせの問題があると思っておりまして、そのときには、買い取り義務が確実に履行されて、再生可能エネルギーへの安定的な投資が確保されるというような観点から、詳細設計と並行して、どちらの方がいいのかということを議論させていただきたい、こういうふうに思っております。

國重委員 では、よろしくお願いいたします。

 続きまして、ちょっと視点を変えて、今回、電力システム改革というようなことで打ち出して今進めておりますけれども、他方で、ガス事業の自由化はどうなんだというようなこともあります。

 現実には、電力と都市ガスでは業態には大きな違いがある。電力会社は全国に十社しかない、しかもそれぞれが地域の大企業なんだ、でも、ガスは二百九事業者があって、中小零細企業が大部分を占める、発送電分離に相当する対象もないということなんですけれども、これまでもガス事業の自由化というのは進められてきたと思います。

 今回、電力システム改革というのが進んでいる。では、今後のガス事業の自由化の見通し、これについては政府としてどのように今お考えなのか、答弁を求めます。

菅原副大臣 ただいま國重委員お話しのとおり、都市ガス事業者、二百九ございまして、中小・小規模事業の方が大半であります。したがって、大きな規模の格差ですとか料金の格差が存在しておりまして、需要家がいわば低廉で安定的なガス供給を行う事業者を自由に選ぶことは今のところできない状況になってございます。

 今般、電力システム改革の議論によって、ガス事業者に関する国民的な議論も出てきているのも事実でありまして、私どもとしても、ガス事業に関しましても改革が必要であると認識をいたしております。

 また、電力システム改革専門委員会の報告書におきまして、電力システム改革を貫く考え方は、同じエネルギー供給システムであるガス事業においても整合的であるべき、小売全面自由化などのガス市場における競争環境の整備が必要、こういう指摘もなされております。

 こうした議論を踏まえまして、今後、ガスの卸売市場及び小売市場における需要家の選択肢の拡大と、競争活性化に資する制度面の取り組みに関する検討を行う必要があると私どもは考えております。

 その第一歩といたしまして、競争に必要なインフラであるパイプライン網の整備を進めるために、国としての考え方を整理してまいりたいと思っています。また、制度全般の検討を行う間もガス料金の値上げの抑制を図るために、ガス料金制度の審査基準の明確化や情報公開の拡大等、現行制度下における見直しも行ってまいります。

 その上で、ガスの小売全面自由化を含めた制度改革につきましては、電力システム改革の進展や中小・小規模事業者の多さといった、いわゆる今の都市ガス市場の特性を踏まえて検討を行ってまいりたいと考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 これまで七問で、大体私の言いたいことは言いましたけれども、一応質問をあと二つ、予備で用意しておりますので、それについてお伺いいたします。この七問で三十分いくかなと思っておりましたけれども、簡潔に、てきぱき答えていただきまして、時間ができましたので、あと二つお伺いします。

 今回、競争によって電力料金を安くするんだというようなことが目的の一つですけれども、いやいや、これは今の現状、原発のかわりにコストが高いLNG、また石油火力をフル稼働させている、年間に三兆円ものコストが今余計にかかっている、こういうような現状において電力自由化を進めたとしても、これはかえって電力料金が上がっちゃうんじゃないかというような声もございます。

 一九九五年以降に我が国で発電部門の参入自由化、また二〇〇〇年以降の小売部門の参入の一部自由化がなされました。これによって電力料金は安くなったんでしょうか。もし安くなったとすれば、それがどの程度安くなったのか、これについてお伺いします。

茂木国務大臣 具体的な数字につきましては、この後、事務方の方からお答えをさせていただきたいと思うんです。

 今、さまざまな変化というのがこのエネルギーを取り巻く環境で起こっておりまして、率直に申し上げまして、これまで例えば石油であったりとかLNG、調達価格、もう少しバーゲニングパワーを発揮すべきだったんじゃないかな、こんなふうに思います。そして、今、そういったチャンスがまさに生まれる中での競争環境の整備ということが行われてまいります。

 そして、今回の改革におきましては、まずは、一般電気事業者につきましては料金規制というのは当面置きます。そうなると、そこより高い料金での参入というのは恐らく起こらずに、それより低い料金での参入というのが進んでくる。

 そういったことを考えますと、もちろん先ほどの議論の中にありますように、自分は無農薬野菜ではないけれども再生可能エネルギーがいいんだという方で、それをあえて選ばれるという方はいらっしゃるかもしれませんけれども、一般的に申し上げますと、現状における、例えば原発がどれだけ使えるのかとか、それから例えば安い石炭火力、高効率のものがどこまで進むのか、こういう条件の変化を一定のものとした場合には、電力料金は一般的に下がっていくということになると考えております。

糟谷政府参考人 過去の改革の前後の電気料金でございますけれども、電力九社の電灯電力料金の平均でありまして、一九九四年にキロワットアワー当たり十九・四円でありましたのが、二〇一一年にキロワットアワー当たり十六・八円となりまして、電気料金は一三%低下をしております。

 ただ、これには燃料費が含まれております。燃料費を除外して見るためには、届け出のあった年でそろえて見る必要があります。少し年がずれますけれども、一九九六年に十四・八三円でありましたのが、二〇〇八年に十一・三四円ということで、こちらは二三・五%の減少ということでございます。

國重委員 よくわかりました。ありがとうございました。

 次に、最後の質問をさせていただきます。

 発送電分離をしますと、発電部門の会社が小さくなる。発電部門というのは、やはり発電するためのさまざまな設備投資をしていかないといけない、資金が必要になる、資金調達が重要になる。でも、なかなか金融面でも資金調達が難しくなるんじゃないかというようなことで、今回の法案の附則の中にも、送配電部門の法的分離の実施に当たっては、電力の安定供給に必要となる資金調達に支障を来さないようにするというような旨の規定がありますが、具体的にどのような措置を講じていくつもりでしょうか。答弁を求めます。

糟谷政府参考人 御指摘のように、電力会社の資金調達が発送電分離に伴って困難になるのではないかという懸念があります。他方で、改革には相応の時間がかかります。現在とまっております原子力発電所についても、安全性が確認されたものは再稼働するとか、シェールガスの輸入など燃料調達コストの低下といった環境変化によって、資金調達環境は現在より改善するということを期待しております。

 また、改革の各段階で十分検証しながら必要な措置を講じていくことにしております。すなわち、資金調達環境に問題があるのに、何もせずそのまま確定的に進めるということにはいたしません。

 具体的には、万が一、発送電分離の際に資金調達環境が改善しない場合、例えば一般担保を含めた金融債務の取り扱いですとか行為規制に関して必要な経過措置などを講じることを考えております。

國重委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 電力システム改革についての質問の機会をいただきました。

 まず冒頭、電力システム改革、この専門委員会の報告書の位置づけについてのお尋ねをさせていただきます。

 東日本大震災及び原発事故、この後に、民主党政権で電力システム改革に関する議論を進めてまいりました。二〇一二年一月には、経産省において、電力システム改革に関するそれまでの論点整理で示されました基本的方向性に沿って改革の専門的な制度設計を行うとして、総合資源エネルギー調査会のもとに電力システム改革専門委員会を設置いたしました。そして、二〇一二年の七月ですが、この電力システム改革専門委員会において、「電力システム改革の基本方針 国民に開かれた電力システムを目指して」といういわゆる中間報告書が取りまとめられたわけであります。ここでは、改革の基本方針として、小売の全面自由化、あるいは卸電力市場の活性化、また送配電の広域化、中立化等、柱を示したというわけであります。

 その後、電力システム改革専門委員会は議論を続けまして、ことしの二月です、政権がかわりました安倍政権のもとで、茂木大臣が所管のトップとして、さきの基本方針、るる申し上げたものを具体化する形でこの委員会の報告書を取りまとめられたわけであります。

 これを拝見いたしますと、この二月の会合で茂木大臣も冒頭御挨拶をされておられます。大変、一年以上の長きにわたって議論をされてきたと。その委員の皆さん方が、よくここまで来たと感慨深いものがある、このように松村委員がおっしゃっておられたり、従来ではとても考えられなかったような大きな改革を盛り込んだ報告書であると、非常に委員御自身も高い評価をされておられます。

 私も、内容に関しては、さまざまな立場からの意見を踏まえた内容として、非常に課題と具体的方法また工程を示しておりまして、評価できる内容だと思っています。

 そこで、この報告書の位置づけなんですが、このような形でまとめられました。そして大臣は、これが出された後に、ことし四月に電力システムに関する改革方針が閣議決定されたわけでありますが、今回法案を提出されておられます。

 大臣にお尋ねをしていきたいんですが、この報告書の内容を踏襲するということが実は閣議決定には明確に記されておりません。もちろん、閣議決定にこの五十五ページに及ぶような報告書をそのまま盛り込むのではないことはよく承知しておりますが、大臣には、この報告書の位置づけというものをどのようにお考えなのか。

 二月八日の会議で、大臣が、「取りまとめていただきましたご報告をベースにいたしまして、政府の方針を決定して、この国会に電気事業法の改正とパッケージで出したい、」と述べられています。パッケージで出てまいりました。またさらには、安永電気事業制度企画調整官が、そのときにも、「基本的にはできるものから順次、先ほどの大臣の言葉にもありましたけれども、現実的なスケジュールのもとで確実に進めていくということ」と述べられております。

 報告書に書かれた内容、改革実現の必要な措置、これらを、法制化作業が必要なもの、そうでないものも含めて、政府として、できるものから順次具体的に実施していくという認識でよろしいでしょうか。大臣、お答えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 電力システム改革の議論に入る前に、馬淵委員に一言御礼を申し上げたいと思っております。

 先日、この経済産業委員会におきまして、福島第一原発の地下水の流入の問題、さまざまな御意見をいただき、御提案をいただきました。今回、凍土方式によりまして地下水をとめるということを決めさせていただきました。馬淵委員が本当に中心になって取り組んできた問題について、これからでありますけれども、一定の方向性を示し、具体策をまとめることができた。改めて御礼を申し上げたい、このように考えております。

 その上で、この電力システム改革の専門委員会、民主党政権下でおつくりをいただきまして、十回以上にわたる議論を重ねて、この二月に報告書を取りまとめていただきました。これを最大限尊重して改革を進めることとしておりまして、本年の四月二日に閣議決定した電力システムに関する改革方針及び今回の電気事業法の改正案に盛り込んだ改革プログラムもこの専門委員会の報告書を踏まえたものとなっている、私として、報告書の内容から後退したものは一つもない、このように考えてございます。

 ただ、今回の閣議決定そして法案附則のプログラムは政策の大きな方向性であったりとか具体策を示したものでありまして、例えば、消費者の保護策であったりとか市場の活性化策、さらには送電線利用制度の具体化策、御案内のとおり、送電線の利用制度は、これまでの三十分の同時同量制度を見直して、今後は計画値同時同量制度に変えていく、こういったこともあるわけであります。

 そういった詳細な内容、今回の法案に落としていないものにつきましても、委員御指摘のとおり、この報告書を最大限尊重いたしまして、政府として、できるものから順次速やかに改革に取り組んでいきたいと考えておりまして、閣議決定させていただいた、法案も提出させていただきました、しかし、そこの中でまだ、報告書の内容は相当のものにわたっておりますから、残っているものにつきましては順次実行してまいりたい、このように考えております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 冒頭に、福島第一原発の地下水汚染対策に対してということで、お礼を言われるということはむしろ恐縮いたします。国会というのは、まさに行政の監視並びに国民の生活、安全を守るための機関でありますから、政府がしっかりと受けとめていただいたということで、私の方からも感謝を申し上げたいと思います。ただ一方で、その是々非々に関しては、またこの場でしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 本題の方に戻りますが、今、大臣から、報告書の細かなこと、これについては当然ながら閣議決定に全て盛り込むことはできないが、後退はさせないんだということ、そして順次速やかに、できるものから実施していくという明確な御答弁をいただきました。民主党政権下で進めてきたということで、まさにそれを受け継いでという言葉もいただきましたが、この報告書は、私ども民主党政権でのある意味電力システム改革の議論の到達点でもございますので、これをしっかりと自民党政権下でも実施していただくということを明言いただけたというふうに受けとめます。

 その上で、電力の小売の全面自由化という一つの柱について、お尋ねを進めていきたいというふうに思います。

 我が国では、この自由化というのが二〇〇〇年以降、これはもう委員の皆さん方もよく御理解されている、段階的に実施をして、小売の自由化を進めてきた。工場、デパート、オフィスビル、スーパーなど大口需要について自由化され、二〇一一年度時点では、自由化部門は電力量の六二%を占めている。お手元に配りました資料は、皆さんよく、何度もごらんいただいている資料です。現時点においては、電力量の六二%が自由化。

 しかしながら、その中での新規参入者のシェアというのは、自由化された部分の三・六%、全需要では二・二%と非常に低い値にとどまっている。また、東電、関電といった一般電気事業者、ここではわかりやすく申し上げたいので既存大手電力会社と言いかえますが、ここがエリアを越えて供給するようなことも可能ですが、現実にはこれらの実績というのはごく一部に限られております。

 お手元の資料にも、2で示しましたが、九電が広島の大手スーパーに、これは中国電力から切りかわって、域外の供給を行ったということが一件あるということであります。

 こうした状況の中で、なぜこの小売自由化が広がらないのかということについて、また、自由化されているにもかかわらず新規参入、競争促進が生じないのかという問題について、少し議論を深めてまいりたいというふうに思います。

 まず、三・六%、全体でも二・二%、この広がらない理由、進まない理由ということについて、その理由の一つは、既存大手電力会社と新電力、あえてわかりやすくするために新規参入事業者、このように言いかえますが、ここでは、電力の供給能力、この確保のための能力に差が余りにもあるということではないかと思っております。

 新規参入事業者は、顧客の要望に合わせて変動する電力需要に応じて、発電事業者との相対取引、あるいは卸電力取引所における取引、これによって電力を調達する必要があるんですが、取引に応じる発電事業者、あるいは卸電力の取引所での取引量は限られておりまして、顧客の需要があっても、供給する側が、時期に応じて電力を自由に供給する、調達することが困難な状況である、このような状況が現時点も続いております。

 そういう状況の中でどのように電力供給を高めるために調達を確保するかということなんですが、こうした新規参入事業者、この確保のためには、一つ考えられることが、地方公共団体が経営する発電事業からの仕入れであります。これは新規参入事業者にとっては、調達先としては非常に期待されるものでありまして、地方公共団体が行っている水力発電、これは県などがよくダムを持っております、あるいは廃棄物発電、これはごみ焼却場などの熱によるもの、また風力発電、こういったものもございます。

 都道府県が主な経営主体となっている公営電気事業、今三つほど例を挙げましたが、この中での中心はやはり水力です。この水力発電、全国では二百三十八・七万キロワット、原発の二、三基分に相当いたしますが、これは非常に発電が安定しています。そして、その稼働率が高いということで、いわゆる安定的なベース電源となっていく。原発と同様に、水力は安定したベース電源。特に新規参入事業者にとっては、原発によるベース電源なんというのは到底無理ですから、地方公共団体の電力事業から仕入れるということは非常にメリットが大きいということになります。

 また一方で、新規参入事業者が国などに入札によって電気を売却しようとする場合には、ここではある法律がネックとなります。環境配慮契約法というのがございます。ここでは、入札資格要件として、CO2の排出係数や再生可能エネルギーの導入状況などが条件として課されます。

 したがって、再生可能エネルギーの一種である水力、電気を売る側にとっては非常に魅力的な仕入れ先ではありますが、この環境配慮契約法、こうした縛りの中でも、地方公共団体から仕入れる水力というのは、何としてでも調達したいという電力の一つである、このように考えられます。

 こうした中で、資料3をごらんいただきたいと思いますが、報道によりますと、現状はどうかというと、実は、入札による新規参入事業者との売電契約は東京都だけだということが報道でも上がっております。具体的には、報道だけではなく、経産省からの資料もいただきました。

 現状、東京都だけが入札によって、この資料の新聞の記事でございますが、エフパワーという会社、新規参入事業者と入札で契約を結んだということでありますが、その他の自治体は随意契約になっております。すなわち、その他の自治体は、随意契約によって、東電を初めとする大手の既存の電力会社と契約を結んでいるということになります。

 ちなみに、東京都は、ことしの三月に入札を行ってこのエフパワーになったわけでありますが、その新規参入事業者エフパワーの落札価格は、資料4をごらんいただきますと、キロワットアワーで十四円五十銭、これが新しい落札価格であります。それまでの東電との随意契約における単価は、資料5にありますように八円七十四銭ということで、入札を課すことによって高く売れたというわけです。これによって、東京都は、売電収入が年間で約九億六千万円から十七億円にふえる見込みとなっています。

 このように、入札ということによって、当たり前ですが、地方公共団体の事業としてもより収益が上がる形になっているわけでありますが、なぜこれが進まないのかということであります。

 そこで、一般競争入札ということについての整理をしていきたいんです。

 地方自治体が行う売買契約に関しまして、地方自治法の二百三十四条一項及び二項の規定で、これは一般競争入札により締結することが原則とされています。随意契約は、地方自治法施行令または地方公営企業法施行令で定められた事由に該当する場合にのみ締結されることになります。

 このような状況で、民主党政権では、行政刷新会議でこの検討を行いました。そして、二〇一二年の四月、エネルギー分野における規制・制度改革に係る方針ということで閣議決定をいたしております。

 資料6をごらんください。

 これは閣議決定ですから、政府としてこのことを認識しているということであります。「公営の発電事業における新電力の買取参入の実現」として、「地方公共団体に対して、地方公共団体が行う売電契約について、一般競争入札が原則である旨を改めて周知する。また、各地方公共団体における売電契約の状況について実態調査を行う。」としています。ここの抜粋にありますように、規制・制度改革事項としては、これらに関して、実施時期は平成二十四年度早期措置となっております。

 これを受けて総務省は、平成二十四年四月二十五日、四月三日の閣議決定を経て三週間後に通知を発出しております。「地方公共団体が行う売電契約について」という通知でございます。これは資料7をごらんください。内容については、ただ単にお知らせという形であります。

 この通知を出された。問題意識は政府として持っている。総務省も、所管する立場として通知を出した。

 そこで、総務省の事務方にお尋ねいたします。

 総務省として、この通知を出されて、その後、地方公共団体の売電契約の実態把握やさらなる周知を行ったでしょうか。端的にお答えください。

村中政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地方公共団体の契約締結の方法については一般競争入札が原則ということでございまして、先生御指摘のとおり、昨年四月に、総務省といたしましては、売電契約についても一般競争入札が原則である旨を再度周知させていただいているところでございますが、その後の状況については経産省さんの方で把握をされておりまして、総務省としては独自に把握はしておらないところでございます。(馬淵委員「さらなる周知は」と呼ぶ)さらなる周知も行ってはおりません。

馬淵委員 ありがとうございます。

 当時の閣議決定では、お手元の資料にありますように、一般競争入札が原則である旨の周知に加えて、各地方公共団体における売電契約の状況について実態調査を行う、二十四年度早期措置としたわけですね。これは、今総務省がお答えのように、経産省のお仕事だということであります。総務省さんは、さらなる周知は行っておられない。

 では、経産省の事務方にお尋ねいたします。

 実態調査はどういう状況でしょうか。また、これはまだ終了していないというふうに私は認識しておりますが、取りまとめがおくれている理由について、端的に、短くで結構ですから、お答えください。

糟谷政府参考人 この調査でありますが、昨年十月から十二月にかけて郵送で調査票を送りました。また、必要に応じて電子メールで送付いたしまして、延べ八百八十六の地方公共団体から回答がありまして、そのうち売電契約の実績がある地方公共団体が百四十五ありました。この取りまとめを年度内に終えまして、今、そこで挙げられた具体的なものについて、どう対応するかということの議論をちょっと始めているところでございます。(馬淵委員「おくれた理由」と呼ぶ)

 一つには、数が多くて取りまとめに時間がかかったということと、その対応について、どうするかということについての議論に時間を要しているということでございます。

 調査自体は、昨年の十月から十二月に行い、結果も年度内に認識をしております。

馬淵委員 数が多いということで、また、まとめただけで発表するわけにはいかぬですね、政府としては。次の対応を示さないかぬ、準備せないかぬ。よくわかりますが、これまでも、総務省さんは四月に閣議決定した後に即対応されているわけですよ。そして、今回、この電力システム改革の審議に当たっては、これは極めて重要な資料になるはずです。年度内の早期措置、はっきりこれを閣議決定しているにもかかわらず、それが間に合わない状況でこの法案の審議にかかるというのは、私はいかがなものかと思います。

 経産省さんは、それこそ電力システム改革という極めて重要な法案を国会の審議に付しているわけでありますから、本来であるならば、これらの資料を整理されて、民主党政権下の閣議決定だからかもしれませんが、申しわけないですが、これはぜひ整理をして出していただかないかぬものだと思います。

 申しわけないです。ここは、私としては指摘だけにとどめたいんですが、消極的な態度ととられないように、今百四十五自治体ということでありました、数が多いということもよくわかりますが、これは一刻も早く、この委員会の場でもしっかりと御説明をいただく部分だというふうに思います。

 その上で、こうした取り組みを、どういう状況なのかという実態調査を行っているということでありますが、行政刷新会議におけるヒアリングや、電力システム改革専門委員会の事務局の提出資料、これは8をちょっとごらんいただきたいと思います。

 ここでは、一般競争になぜならないんだという理由に、この8の資料、四角囲みの下の方を見ていただくと、「各地方公共団体は、地方公営企業法逐条解説に基づき、卸供給契約を締結。」と書いてあります。これはどういうことかということであります。これは、地方公共団体の担当者が、逐条解説というもの、これを私は探してきました、もう絶版なんですが、地方公営企業法逐条解説、この本を見て判断されているということ。

 これが、経産省の中での専門委員会の資料として出ているんですが、この本に書いてあるのは、地方公共団体が経営する電気事業とは卸供給をいう、このように解説してあって、さらに、電気事業法上、卸供給とは、既存大手電力会社との間での電力の供給とされている、そのため、地方公共団体は既存大手電力会社と随意契約を結ぶことが法律で求められていると解釈しているようだということが、この資料でも実は提起されているわけです。

 国会では地方自治体の担当者がどのように判断したかというのを詰めることはできませんが、こうした逐条解説に基づいて、しかもこれは古いんですね、このようなものに基づいて判断されているという指摘がなされているわけでありますから、ここは少し、担当する総務省、このことについては改めるように周知を徹底していただかなきゃならぬのじゃないかと思います。

 この本を見ますと、旧自治省の職員が個人名で書いておられるんです。これはよく役所でもあります。個人名で書いて、一般書籍にすぎないんですが、政府の公的な見解ではないんですが、現実には、地方自治法の中での一般競争入札の原則を否定していることになっちゃうんですね。今までの慣例だったかもしれませんが、これが改まらずに来ている。これが書かれたのは九八年です、小売自由化の前なんです。その逐条解説をもって、今もって判断して随意契約が現実にずっと続いている。東京都以外は随意契約なんですよ。

 これはやはり、総務省さんとしては、ここは明確にきちっと指示をおろさないかぬと私は思うんです。ここは経産委員会ですから、これ以上は申し上げませんが、総務省さん、ちょっとお答えいただけませんか。こういった逐条解説の記述にかかわらず、現行の法令上、地公体の経営する電気事業、これは卸供給であることが義務づけられていないということ、一般競争入札が原則であるということ、これは国会の場ですから、きちっと答弁で、議事録に残してください。

村中政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございまして、その本というのは非常に古いものでございまして、電力自由化の前の逐条解説でございまして、仮にまだそれにのっとって、地方自治体の方に誤解があるようですと、それはいかぬことでございまして、我々としても、そこは考え方を改めていただくべく周知を図りたいと思っております。(馬淵委員「一般競争入札が原則ですね」と呼ぶ)原則でございます。

馬淵委員 ありがとうございます。

 これは国会図書館にもない本なので、私は探すのに苦労しましたが、出てきました。これは財務省の図書館にありました。

 そこで、まだほかにも理由がないかということなんですが、地方自治体の随意契約、既存大手電力会社と売電契約を結んでいるもう一つの理由として、電源立地地域対策交付金の交付規則があるということを少し指摘したいと思います。

 この電源立地交付金は、平成二十五年度予算で九百六十八・二億円が計上され、うち六十億円が水力なんですね。この交付規則では、発電用施設等の定義として、卸供給事業者が設置する水力発電施設と規定しております。これは資料9に書いております。これはわかりにくいので、私は括弧書きを抜いて簡単に説明しましたが、この交付金の交付規則に、水力発電に関しては、一般電気事業者、すなわち既存大手電力会社に対して売電を行っている事業者を指すことになっているんです。

 したがって、もし自治体が新規参入事業者、新電力などの事業者に売電をした場合には、地元自治体はこの交付規則にのっとっての交付金は受け取れなくなるんです。これは、幾ら全面自由化ということを言っても、今の状況では、この規則によってそれがゆがめられてしまいます。これは誰が考えても容易に想像できることであります。

 そこで、これも経産省の事務方にお尋ねいたします。

 交付規則が、卸供給事業者が設置する水力発電施設に対象を限定している、この理由は何なんでしょうか。言いかえれば、なぜ公営発電所がいわゆる一般電気事業者、既存の大手電力会社に供給していないと電源の立地対策交付金を交付されないのか。それについて、これも手短に、端的にお願いします。

糟谷政府参考人 実は、この交付金が一般競争入札を実施する上での課題、問題点になっているという御指摘は、先ほど御答弁いたしました調査の中で、二十六の公営水力を持っておられる地方公共団体のうち四つの地方公共団体から挙げられておりまして、今回の調査において、我々も認識するに至ったところであります。

 どういう理由でこういうことになっているかということでありますけれども、これについては、従来、一般電気事業者と長期契約を締結することが長年の慣行として定着しておったために、それ以外のものが実態としてなかったということが背景にあるというふうに考えております。

馬淵委員 これも先ほどの逐条解説と同じですよ。長年の慣行の中でこのような状況が続いているんです。二〇〇〇年から全面自由化あるいは一部小売自由化で、それをどんどん逐次展開、拡大していくといっても、これでは進むわけがないんです。

 こういった状況、なかなか細かなところで、先ほどおっしゃったように、調査の中で見えてきたということでありますが、これは極めて重要なことです。電力システム改革を行う上で、幾ら大臣がそれこそ、法整備を行う、前に進めるとおっしゃっても、こういった本当にわずかな規則のところで縛られているということが現実に起こり得るんです。

 大臣は、五月二十八日の衆議院本会議で、新規参入の促進と競争環境の整備を行う電力システムの改革は、今すぐ、しっかりと進めていく必要がある、このように述べられています。

 また、先ほど申し上げた閣議決定、四月二日、電力システムに関する改革方針でも、全面自由化に当たって、小売電気事業者の供給能力確保や、必要な制度を新たに措置することで、安定供給に万全を期す、このように書かれていますし、関係法令の見直しとしても、小売の全面自由化に伴い、一般電気事業、卸電気事業等の事業類型を見直す、これに伴い、小売電気事業者、発電事業者といった各主体が安定供給上の責任を果たすことも踏まえ、必要な措置を講ずる、このように書かれています。

 慣例的にやってきた。私が担当者にお聞きすると、それだけじゃないんですね。要は、既存の大手電力会社が安定供給の担い手であるということから、まさに立地交付金の、この法の趣旨から、安定供給を確保するためにこうした規則ができているということも認識されておられるようです。しかし、既存の大手電力会社だけが安定供給の担い手かというと、実はそうではない。

 先ほど大臣がおっしゃった同時同量ルール、こういったもので、既存の電力会社以外の新規参入者も、十分に実は安定供給の責任を背負わされているんですね、間接的ではありますが。

 託送の供給約款、これは各電力会社にございます。託送供給約款というものがございまして、これは例えば東電のものでありますが、この供給約款上、同時同量ルール、三十分間で同時同量というものを担保するんだ、刻々変化する電力量に対して供給能力をしっかりと確保せよということであります。

 この約款を見ると、やはり厳しいんですよ。同時同量を達成できない場合、変動範囲超過電力の場合は、変動範囲内の託送料金十五円が四十五円にはね上がるんです。新規事業者は大変苦しい。だから、ここはある意味、大臣の権限によって、託送供給約款で十分に安定供給の責を負っている、私はそのように解釈をいたします。

 その上で、この交付規則、先ほどお話がありました、私は問題点だというふうにお伝えをしておりますが、この交付規則というものについて、これは告示であります、したがいまして、この告示というものは立法行為は要りません、大臣の判断で変えることができるんです。

 これは事務方に確認をいたします。

 電源立地地域対策交付金の交付規則に関しては、告示であり、大臣の判断で変えることができるという理解でよろしいでしょうか。いかがでしょうか。

糟谷政府参考人 お尋ねの交付規則でありますが、経済産業省と文部科学省の共管の告示でございます。

 告示は所管府省の大臣が制定するものでありまして、この交付規則については、経済産業大臣と文部科学大臣の判断で変更することができるものでございます。

馬淵委員 今、重要な御答弁をいただいております。

 自治体は、既存の大手電力会社に随契で出していく、そしてその随契の理由というのは、地元自治体に交付金が交付規則に定められたとおりおりるからだということでありましたが、この交付規則というのは慣例であり、かつ従来の安定供給の責を担う既存の大手電力会社に供給するということがかつては何ら疑わしいものではなかった、こういうことからの慣例だという御答弁でもありました。

 そして、現状は、まさに電力システムの改革の中で、大きくそれがさま変わりしようとしているわけです。進めるためにはこの交付規則を見直さなきゃならない、私はそのように思っているわけであります。

 今、事務方の答弁でありました。この交付規則は告示ですから、大臣の判断で見直すことが可能です。大臣、地方自治体が一般競争入札によって売電契約をちゅうちょする理由となっているこの交付規則を見直すと、この場で御発言いただけるんでしょうか。いかがでしょうか。

茂木国務大臣 今、糟谷部長の方からも文部科学大臣との調整という話がありましたが、私としては、必要な見直しは行っていかなければいけない、このように考えております。

 現在、約九割の自治体が随契ということになっているわけです。その一方で、地方自治体の発電事業者が新電力への売電を拡大すれば新規参入の拡大につながるということで、一般競争入札の実施は重要であります。

 委員の方から何点か問題点を御指摘いただきました。実は、先日、私は東京都の猪瀬知事ともいろいろな議論をさせていただきました。

 一つは、多くの自治体で、委員御指摘のように、卸供給に関する料金規制のもとで、一般電気事業者との長期契約を締結することが長年の慣行として定着していた問題。

 それから、今御指摘いただきました、一般電気事業者以外の者に売電すると電源立地地域対策交付金の対象外になる、こういうことがあるわけであります。

 それ以外にも、例えば長期契約を解約した場合、違約金が発生する。結構大変だったらしいんですよ、違約金の額を幾らにするというのが。その問題と、また、自治体によっては条例で売電先を一般電気事業者に限定している、こういう場合も結構ありまして、幾つかの課題があるわけでありますけれども、方向は明らかなんです。

 やはり、新規参入が進んでいくような形でいろいろな見直しを行えばいい、こんなふうに思っておりまして、文科大臣とも調整の上、必要な見直しを検討したいと思っております。

馬淵委員 もちろん、文科大臣との共管でありますから、茂木大臣お一人の判断で進められないということはよく承知をしております。

 必要性も認識している、そして必要な見直しを検討していくということでお答えをいただきましたが、御指摘のとおりなんですね。私は、この交付規則が全てだとは申しておりません。これが非常に大きな要因になっているとお伝えをしたところであります。

 先ほど大臣御指摘の部分というのは、先ほど私がお示しをした資料3の記事にも載っております。ここでは、東京都が入札を行ってエフパワーが落札をしたということでありますが、この記事では、落札によって長期契約を解除した東京都に対して東電が五十二億円の補償を求めたということで、これは相当な争いなのか、なかなかまだ決着がついていないんだとは思いますが、こうした状況も各自治体が及び腰になる大きな理由であるとは思います。

 しかし、まず優先順位ですよ、大臣。自治体の条例もあるでしょう。こうした民間事業会社が、それこそこれは、自分たちの収益を守るために訴訟も辞さずということも出てくるでしょう。しかし、何よりも、所管する役所の大臣が、電力システム改革、小売の全面自由化を進めるんだという強い決意のもとに進められるのであれば、優先順位の第一位はまさにこの交付規則の見直しであるはずです。

 大臣、私は言ったから、もう言ったじゃないかなんということを申し上げる、そんなくだらない質問をやったことはありません。これからもそのつもりです。私は大臣に御決意を伺っております。

 交付規則は大臣の権限で見直しているんです。私も、かつて国交省において、大臣権限でできるもの、事業評価の仕組みなどは法定事項ではありませんから、全てそれは大臣の決裁でできるんです。

 やはりここは大臣としての判断を示していただく場だと思います。見直すということも含めて、御決意のほどを再度お尋ねさせていただきたいと思います。

茂木国務大臣 先ほどは、若干、全体の御指摘をいただく中で幾つかの課題を網羅的にお話をいたしましたが、見直しの必要性は十分認識をいたしております。そして、見直しの検討をしなければいけない、このように思っております。

馬淵委員 大臣からは、見直す、その思いを伝えていただいたと思います。議事録には、しっかりと見直しを検討していくというふうに言っていただきました。

 なぜ私がこのことに強く思いを込めてお伝えするかというと、私も民間におりました。先ほど卸供給というお話をしましたが、卸供給の定義というのは、既存大手電力会社との間で十年以上ないしは五年以上の期間にわたり行うことを約している電気の供給、このように定められているわけです。したがって、この見直しを早急に行わなければ何が起きるかなんです。

 今回の法案では、附則の十一条第一号にプログラム規定が盛り込まれております。ここは、「平成二十八年を目途に、電気の小売業への参入の全面自由化を実施するものとし、このために必要な法律案を平成二十六年に開会される国会の常会に提出する」、こういうプログラム規定が附則の十一条一号に書かれています。

 つまり、来年の通常国会で法案を提出するということになるんですが、この状況の中で、大臣がこの規則を、私はすぐ見直してほしいということを申し上げているんですが、これが仮に時間が延びた場合に何が起きるかです。電力事業会社は、十年以上です、十五年にわたるような長期の契約を更新することを、当然ながらこれは駆け込みで行いますよ。経営する側としては、民間の側としては、収益の確保のためには当然そういった交渉を行われるわけです。

 ですから、私は、大臣が検討する、あるいは前向きだということについては十分評価をさせていただきますが、明確にそのことが見えないと、一斉に地方自治体に対して電力事業会社が契約の更新を申し出ていく、十年、十五年という長きにわたってというものを。こういったことがなされたときに、地方公共団体は、申し上げたように規則で定められていますから、ほかの選択肢がとれないというようなことになりかねないんです。

 そうすると、電力システム改革をうたった茂木大臣のもとでこの法案審議をしているにもかかわらず、十数年間は小売の全面自由化がこの交付規則によって実は前に進まないということが起きかねないんですよ。だから、私は、これは一刻も早く、強い決意のもとで御判断をいただかなければならないことである、このように申し上げているわけであります。

 ぜひこのことを踏まえた上で、繰り返しで恐縮ですが、大臣、再度御答弁をお願いいたします。

茂木国務大臣 馬淵委員、先ほど、どうして一般競争入札が進まないかにつきまして詳細に答弁を申し上げました。それだけこれが大きな問題だと私が考えているということであります。長々と検討を続けるつもりは全くございません。

馬淵委員 ありがとうございます。

 長々と検討はしないんだということを国会の場でも発言いただきました。

 大臣は、冒頭にお話もいただきました地下貯水槽の廃止、中止、そしてさらなる検討結果の提示というもの、これも非常にスムーズに迅速に取り組んでいただいております。そのお言葉を私はしっかりと受けとめて、国会の監視機能を高めながらやっていただけるということを、ここの場で私も確認させていただきたいと思います。

 その上で、済みません、私、老婆心ながらなんです。大臣がどんなに頑張っても、いろいろな意味で、それこそ既得の、既存の利益を守ろうとする集団、誰とは言いません、どことも言いません、そういうみずからを守ろうとする勢力というのはやはりいますから、なかなかに進まないということが起きてしまいかねないんです。

 私は、一つだけ、これも老婆心で御指摘を申し上げたいと思うんですが、内閣府をきょうは呼んで、来ていただいておりますが、内閣府の事務方にお尋ねします。

 民主党政権では、行政刷新会議で、地方公共団体が行う売電契約については、規制・制度改革事項ということで措置を行ってきたわけであります。しかし、安倍政権になって、規制改革の議論において、地方自治体の売電における一般電気事業者との随意契約の問題、交付規則の問題、これについては、五月二日に政府の規制改革会議で示された、これはちょっとお手元には用意していないんですが、エネルギー・環境ワーキング・グループの中間報告という表がございます。

 そこで、規制改革の議論の中に、今議論させていただいている随意契約の問題、交付規則の問題、これが入っていないという認識でよろしいでしょうか。事務方、お願いいたします。

舘政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の公営の発電事業における新電力の買い取り参入の問題につきましては、閣議決定したもののフォローアップはしておりますが、新たな議論は行われておりません。

馬淵委員 ここの、規制改革会議の中間報告の中で落ちてしまっているんですよ。これは経産大臣の所管ではありません。でも、往々にしてこういうことが起きるんです。既に我々の政権のときにはこれを挙げていました。しかし、今回、規制改革会議のワーキング・グループの中間報告から落としているんですよ。こういう形で既存の利益を守るという勢力がいるということを肝に銘じていただきたいと思いますし、これは内閣府の問題ですから、大臣に御答弁をあえては求めません。

 最後になりますが、お手元の資料に、私の事務所でまとめた、「地方公共団体における電力売却について」という簡単なポンチ絵を用意しました。これは改めての整理で、皆さん、どなたかにお話しするときに使っていただいたら結構です。

 現状というのは、地方公共団体が経営する発電事業、主に水力、これが既存の大手電力会社に売電されている、卸供給契約されている、随意契約で。本来ならば、原則は一般競争入札であり、地方自治法二百三十四条一項、二項の定めに基づかなければならない。にもかかわらず、随意契約がなされている、なぜか、地方公営企業法の逐条解説によるものであり、電源立地対策交付金の交付規則によるものである。新規参入事業者にはほとんど売られていない。

 この新規参入事業者というのは供給電力の確保が課題なんです。これができなければ、新規参入事業者が全体で二・二%というのがふえることはなかなかない。だからこそここを、この上の矢印ばかりになっているものを断ち切らなきゃならない。顧客に自由な電力を供給するという体制をつくるためには、この二本の矢印の下が点線であってはならないということなんです。

 改めての整理であります。

 このように、電力システム改革は、小売の全面自由化一つ取り上げても、多岐にわたって、長年にわたる安定供給の名のもとによる既存電力事業会社の寡占体制、地域独占体制の制度、仕組みが複雑に入り組んでいる。それをひもとかなければ、実は、改革というそれこそかけ声だけでは何も解決しないということを私はこの場で申し上げ、そして大臣には、長々と時間をかけないとおっしゃっていただきました、しっかりと前に進めていただくことをお願い申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、よろしくどうぞお願いします。今の馬淵さんとは若干論点が違う面もありますが、お許しをいただきたいと思います。

 今から五年ほど前だったと思いますが、Jパワーの上場問題で、外資規制という、外為法の発動をしながら対応した。これは大間の発電所の問題もあり、また、全体の電力というのは、ほとんど外国資本が入らない前提で今の電力事業のシステムはできているというふうに思っています。

 今回のこの改正で、今、外為法を中心にある意味では外資規制をしながら対応している電力供給の仕組みがこのシステム改革でどのように変化するのか、自由度を高めるという部分で外資の方々が発電部門をたくさん持てるようになっていくのかどうか、それも含めて見通しをお聞かせいただきたいというふうに思います。

茂木国務大臣 いずれにしても、この電力システム改革を進めるに当たりましても、電力の安定供給、これは絶対に確保していかなければいけない、そう思っております。

 そこの中で、どこまでの外資の参入が安全保障を侵さないか、こういう観点から検討してまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 まだ、今回の法律改正のベースでは、今後の検討課題だというお答えでありました。

 せんだって、ロシア政府が原発四基分の電力を日本に送電するという大きな記事が日経新聞にありました。この記事は事実でしょうか。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 ロシアから北海道への電力の供給計画につきましては、日ロの企業でそのような検討を行っておられる方があるということは聞いております。

 ただ、今御指摘の新聞記事、報道にあるような、ロシアから四百万キロワットの電力を供給するといった具体的な提案がロシア政府から日本政府に対してなされたということはないと承知しております。

後藤(斎)委員 大臣がちょっと中座をされたので、長官、今回の電気事業法の改正によって、仮にこの計画が実現して電気の輸入ができる、相互融通ですから輸出もできるということですが、そういうことは可能になるんでしょうか。

高原政府参考人 大臣からも御答弁申し上げたとおり、現在の電気事業への外資の参入につきましては、従来から、外為法に基づき、公の秩序の維持を妨げるおそれがないかという観点からの検討がまず必要だと思っております。

 今御指摘のような構想については、電力輸入のために電力系統を海外と接続するということについては、電力の調達の多様化に資する、こういったメリットがあるという考え方はあると思います。

 他方で、国際連系線を通じまして、仮に電力供給の一部を海外に依存するということになります場合には、相手国の政策変更による供給途絶のリスクでございますとか、大規模停電が起こった際の影響が伝播することによって安定供給上の問題等々の課題があるというふうに認識をいたしております。

 以上でございます。

後藤(斎)委員 これも以前から懸案というか話がありました、日韓間の、韓国と日本の間の電力融通計画については、今どのような状況になっておりますでしょうか。

高原政府参考人 韓国と九州の間の電力融通計画でございますけれども、これは、日本創成会議や自然エネルギー財団などによりまして提唱されておりますアジアスーパーグリッド構想の一つであるというふうに理解をいたしております。

 他方で、先ほどロシアの件について申し上げたと同じように、本件につきまして政府間での議論があったということは承知いたしておりません。

 以上でございます。

後藤(斎)委員 これはちょっと長官に質問通告していないんですが、せんだっての報道で、韓国政府は日韓連系線について技術開発を正式にするというふうな、要するに事業可能性調査、フィージビリティースタディーに着手するという報道がありますけれども、これは事実でしょうか。

高原政府参考人 現時点で私は承知をいたしておりません。

 以上でございます。

後藤(斎)委員 ぜひ、長官、ちょっと調べて、またお教えいただきたいというふうに思います。

 確かに、安全保障上の問題もある。ただ、外資規制というのは、一〇〇%日本の子会社にした場合、その適用は当然かからなくなってくるというのが普通の考え方だと思うんです。そして、アジア電力網構想にしても、ロシアとの電気の輸出入も含めてですけれども、一番問題だったのは、送電網が今までは地域独占をされているということが非常に大きなネックだった。今回、発送電分離という大きなものに着手するわけですから、そういう意味で、発電の主体がどこか、要するに、国内で外資一〇〇%ではないものの子会社化した会社が発電して供給するのとある意味では同じ目線で考えていく必要があると思うんですね。

 どうしても国内で電気を供給するんだということも当然一つの考え方ですし、やはり発送電分離をして、発電の部分は日本の国内にはないということで、後ほどお伺いしますけれども、いろいろな、送電線での送電ロスが、非常に長距離を電気を移動させる場合は当然多くなるわけですから、そういう技術開発もかなり進んでいるというふうに聞いています。

 私は、そういう意味で、こういう計画が具体化するかどうかは、ひとえにこれからのシステム改革で、外の電気を国内に持ってくる、逆の場合も当然あるわけですから、輸出するということもあるわけですから、そういう視点も含めてきちっと制度設計を今後この法案が通っていけば考えてほしいと思いますが、改めて大臣の御見解をお伺いします。

茂木国務大臣 ヨーロッパにおきましては、当然そういったことは既に、地続きということもありまして、起こっているわけであります。今まで日本の場合は、地域独占の体制の中で全くそういうことはございませんでした。

 今後について、あらゆるオプションを否定するものではありません。その中で、今御指摘いただいたような技術的な課題の解決の問題、そしてコスト的に見合うのかどうか、そしてまた長期安定的な供給が本当に確保できるのか、こういう観点から検討していきたいと思っております。

後藤(斎)委員 ぜひ中長期の視点も含めて、後ほどお伺いしますが、これは企業もそうですが家計も、やはり安価で、きちっとした供給をしてほしい、この二つを、企業も家計も当然のことながら欲しているところです。

 発電会社、送電会社、小売会社という部分はそれぞれ今度分割されるわけですから、そういう意味では、それぞれの思惑が変わってくる。発電事業者としての、輸入とか、外にあるというふうなことも含めての視点というのは、今ちょっと触れましたけれども、送電ロスというのは五%くらいある。ですから、五%分の送電ロスがゼロに近くなっていけば、その分、供給余力が増していくというか、途中でのロスがなくなるわけですからふえていく。要するに、需要に応えるには、一つはやはり送電ロスをどうするかということだと思うんです。

 これもちょっときのうエネ庁の方々とお話をして、いろいろな仕組みが、実用化に近いものやその手前のものがありますけれども、まず、文科省として、いろいろな大学や研究機関でたくさんの送電ロスを減らしていくという研究開発が進んでいると承知していますけれども、重立ったものは今どの程度のところまで来ているのか、具体的にちょっとお示しをいただきたいというふうに思います。

鬼澤政府参考人 お答えいたします。

 送電ロスの低減技術に関しましては、文部科学省において、特にエネルギー変換効率、これを飛躍的に高めまして、省エネ化あるいは低コスト化、こういったものに資する材料開発を進める観点から、東北大学を拠点といたしまして、東北発素材技術先導プロジェクトを実施いたしまして、送電等に伴う電力損失の大幅な削減を実現し得る金属ガラスの創製に関する研究開発を支援しているところでございます。

 また、先端的低炭素化技術開発におきましては、送電等に伴う電力損失を大幅に削減する超電導送電技術に関する研究にも取り組んでいるところでございます。

 今後とも、産業界のニーズ、あるいは大学における研究開発の進捗状況なども踏まえながら、こうした取り組みを進めていきたいと考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 エネ庁の方では、どのような実用化に向けての取り組みをされていますか。

鈴木(英)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、送電過程の電力損失の大部分は、送電線での送電ロスと変電所等での転換ロスという二つの課題がございまして、まず、送電ロスを低減する取り組みとしては、経済産業省としては、平成十九年度から高温超電導ケーブルの実用化に向けた技術開発を進めております。

 具体的には、横浜市にある変電所で、全長二百四十メートルの超電導ケーブルを設置し、昨年から、実際に電力実系統に接続することで信頼性、安全性の検証を行っているところでございます。

 実用化に当たっては、さらなる送電容量の増大、建設コストの低減などが必要でございまして、本格的な実施までにはもう少し時間を要すると考えておりますけれども、引き続き実用化に向けて努力をしてまいります。

 また、変換ロスを低減する取り組みとしては、先ほど御答弁がありましたとおり、金属ガラスの技術を用いた変圧器の技術開発等についても、過去、経済産業省としても支援をしておりまして、ただ、本件については引き続き開発中というふうに伺っております。

 他方で、経済産業省としては、さらに進んだ技術として、平成二十二年度から耐熱性、耐圧性が高いシリコンカーバイドを用いた新たなパワー半導体の開発を進めておりまして、これを用いたインバーターでは消費電力を約四割低減したという成果も出ております。

 今後、この量産化、高電圧への対応など、課題はございますけれども、産学官の連携により実用化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 大臣、今みたいにダブっている部分も実はあるんですが、それは、基礎研究に近い部分と実用化に近い部分というその差はあるんですが、もう少し研究部門と実用化でもやはり連携を、いつもお話ししているんですが、してほしいと思うんです。

 なぜならば、きょう、安倍総理が成長戦略について会見を開くというふうな報道が一部ありますけれども、その中で、今回の電力システム改革の問題も含めて、これからの電気事業者、これは発電も含めてだと思いますけれども、十年間で三十兆円の設備投資という報道があります。

 三十兆円というのは非常に巨額ですから、平年ベースの、トータルすると大体一・五倍だということもお聞きしていますけれども、そういうものに、技術開発の要素を見据えて、五年後、十年後、どういうふうな送電網にするのか、発電の仕組みにしていくのか、年末までに大臣がお決めになると繰り返し御発言されているエネルギー基本計画も、そういう要素をやはり取り込んだ中でないと意味がないと思うんですね。

 既存のままですと、今停止している原子力発電所を再稼働するのか否かというのが当然大きな論点の一つではあるんです。それ以外に、仮にそれが非常に難しい場合にどうするかというのは、先ほど、輸入も含めたものも視点に置いてほしいというふうにお話をしたのは、やはり発電会社は発電したものを高く買ってもらいたいと当然思うわけですね、生産側としたら。でも、需要家である企業や家計は安く欲しいというのが当然の理屈で、その解というのは、今までは総括原価方式というものが全てに勝っていましたから、そういう意味で、コストに応じた料金というものが形づくられていたんです。

 やはり技術開発をし、スマートグリッドみたいなものを全国に張りめぐらせるということも当然あるんでしょうから、その三十兆の設備投資計画というのは、本当に成長戦略に書き込むのであれば、ぜひそういう視点を持ちながら対応を、要するに民間企業がやる部分ですから、応援すべきは応援する、そして経産省の方からもそういうメッセージを出しながら、日本国全体としての計画というものにしてほしいと私は思うんですが、その点についていかがでしょうか。

茂木国務大臣 まず、きょう総理は会見は行わないと思います。講演をする。講演の中でさまざまなお話をして、その中で、若干今後の成長戦略についてお触れになるのではないか。具体的内容について私がここの場で申し上げることはできませんが、恐らく、その三十兆円の投資、そういったことを中心にした議論ではない、そのように承知をいたしております。

 ただ、いずれにしても、技術開発等々を進める上で省庁間がもっとこれから連携していく必要がある、こういう御指摘についてはごもっともだと考えております。

後藤(斎)委員 もう一点、二年前に再生エネルギーの普及の促進の法律の形をつくり、そこに、普及するために、一般の需要家に対する賦課金を乗せながら、それで高くなっている部分のエネルギーの費用を賄っているわけですけれども、一番普及しているのは、せんだってのこの委員会でもお話をしましたように、ソーラー発電であります。

 ただ、二年前もいろいろな議論があって、これは巨大なごみになるんじゃないか、二十年から二十五年というのが基本的な耐用年数のようでありますから。やはり処理する技術をきちっと確立し、そしてそれを実用化していかないと、鉛とかいろいろ有害なものも入っているということのようですから。

 その部分の現状について、どの程度まで開発が進んで、実用化はどういうふうになっているのか、ちょっとお示しいただきたいと思います。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員はまさに固定価格買い取り制度自体の起草者で、私もずっと御指導をいただいているところでございまして、問題意識も共有させていただいております。

 実際、使用済みの太陽光パネルの中には、ガラス、それから電極材、これは銀を含んでおるわけでございますが、アルミといった有用資源が含まれておりまして、これを何とか廃棄するものと分けて回収する技術を確立したいというふうに私どもとしても思っております。

 その場合の問題点として、シリコンのような太陽電池のセル、それから電極材を固定している封止材というのがありますが、これを取り除く技術の確立が非常に重要だと思っております。その技術をできるだけ、いろいろな形のパネルがありますので、汎用性を備えていくようにしたいというふうに思っております。

 その技術開発を、平成二十二年度から国の予算を計上してやっております。

 今どこまで行っているかというと、平成二十四年度までに、一応今申し上げたような有用材料の分離、回収を行う試作機の製作を終えました。今年度から来年度にかけてその稼働試験と検証を行うということを想定しておりまして、回収に必要な基礎的な技術の開発は来年度で完了させたいというふうに思っております。

 あと、委員よく御案内のとおりですが、大体この廃棄物として出てくるのが、二十年ぐらい耐用年数がありますので、二〇一八年前後かというふうに思っております。それに向けて、あとは経済性、民間の方でこれを使って、実際に実用化していただくということをお願いしたい、この技術については民間が使えるようにしたいというふうに思っております。

 以上でございます。

後藤(斎)委員 文科省は、この件で経産省と何らかの協力をしていますでしょうか。

鬼澤政府参考人 文部科学省におきましては、ソーラーパネルの処理技術に関して、大きなプロジェクトとして立ち上げているものはございませんけれども、引き続き、経済産業省あるいは産業界のニーズをよく伺いながら進めていきたい、そういうふうに考えております。

後藤(斎)委員 鬼澤さん、どうぞお帰りください。

 では、別の話を大臣とさせてもらいます。

 今、水防法及び河川法の一部改正ということで、参議院でそろそろ成立を多分していくのではないかなと思うんですが、河川法の一部改正の中に、従属発電についての登録制の導入というのが非常に大きな柱で、小水力発電の導入促進に資するということになっています。

 ただ、田舎の方というか、地方の方に行くと、いわゆる慣行水利権という問題についてはこの法では手当てが十分されていないのではないかということで、きちっと法的手当てをし、小水力発電の導入に資するべきだという議論がすごく多いんです。

 この河川法の今回の改正で、慣行水利権の問題についてはどのように対応が進むんでしょうか。

小池政府参考人 再生可能エネルギーの普及の中で、小水力発電の導入の促進を図ることは非常に重要であるというふうに認識してございます。

 河川から取水いたしました農業用水等を使いました小水力発電、いわゆる従属発電に関しましては、委員御指摘のとおり、今般、今国会に河川法改正案を提出いたしまして、従属発電につきましては登録制を創設することとしているところでございます。

 登録制につきましては、既に許可を受けている水利権を利用した従属発電を対象としたものでございまして、従属元になります水利権の審査において、下流の利水者の皆さんとか河川環境への影響について既に確認していることから、手続の簡素化が可能になったということでございます。

 慣行水利権に関しまして、この慣行水利権を利用しました従属発電につきましても、期別に取水量が明確であるというような場合につきましては、従属関係が確認できるということで、登録制の対象とすることができるというふうに考えてございまして、これによりまして、申請者の負担は大幅に軽減されるものというふうに考えてございます。

 また、従属関係が不明で、登録制の対象にならずに許可を要するという場合もございますが、慣行水利権の農業用水路などを利用しました新規の発電につきましても、手続の簡素化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 国土交通省といたしましても、水利使用手続の簡素化、円滑化ということに関しましては、今後とも小水力発電の導入を積極的に促進してまいりたいというふうに考えてございます。

後藤(斎)委員 部長、最後にお答えいただいたように、若干の自治体等では不安視するところもあるので、今のような発言の趣旨をきちっと地方自治体にも通知してください。何が最後に残るのかということについて、新たに法的担保が必要なのか、それとも運用でできるのかどうかは別としても、導入促進が図られるような環境づくりはぜひ、規制緩和ということがあるかないかは別としても、小水力というのは、私の地元もそうですけれども、中央に比して非常に重要なツールだと認識していますので、ぜひこれからもそういうふうな周知徹底等をお願いしたいと思います。

 大臣、今は供給責任というのは、一体ですから電気事業者にあるというふうなことですが、これから発送電が分離された場合、需給調整の責任というものはまず誰が持つんでしょうか。

茂木国務大臣 基本的に、送配電事業者が持つということになります。そして、全国レベルでの需給調整といいますか、こういったものにつきましては広域系統運用機関。

 基本は送配電事業者ということであります。

後藤(斎)委員 そうなんでしょうけれども、先ほどもお話ししたように、発電と、当然発電が供給力です、それと小売の部分、要するに需要家とつなぐ部分では送配電事業者ということに当然なるんです、それをつなぐものは。

 ただ、送配電事業者は、量の確保をどうするかというのは、経産大臣に対して供給計画をこれからも、今は十年ですか、当然義務づけをしていくんでしょう。そういう意味では、つなぐのは送配電事業者かもしれませんけれども、需要家が欲しいというもの、発電事業者がそれを踏まえてやるかどうか。

 これも、前回お話ししているように、やはり全体のエネルギー需給計画が、それも全国一律ではなくて、ある意味では自治体、都道府県ごとくらいのエリアでそういうものを示していかないと、たくさんつくり過ぎて、ではどうするのかということもあるでしょうし、安く買われるんだったらそんな設備投資にかけないよということで、発電事業者がやはりブレーキをかけるのか。

 少なくとも、この前の電力システム改革をしたときには、小売の完全自由化以外の部分は自由化されたものの、いわゆる新電力という部分のシェアはやはり伸びずに今に至っているというのが現状ですから、そういう意味での主体が、送配電事業者が需給調整をする主体ではなくて、主体かもしれませんけれども、最終責任を負うのは違うんじゃないですか、大臣。

茂木国務大臣 まず、電力システム改革後の供給量の見通しでありますけれども、専門的組織であります広域的運営推進機関が、日々の電力需給の状況を監視すべき送配電事業者から情報を収集して、全国レベルで需給の見通しなどを取りまとめ、それに応じて長期的に必要な供給量の見通しを作成することになる。その際、ディマンドレスポンスの活用の状況や再生可能エネルギーの普及状況など、最新の電力システム改革の成果も当然織り込まれることになっております。

 また、その際必要になります発電所の建設につきましても、当然、小売事業者に空売り規制を課すことにしております。また、小売事業者の要請に応じて必要な発電所が建設される仕組みとしております。仮に、小売事業者への規制だけでは将来的に発電所が不足すると考えられる場合には、広域的運営推進機関が発電所建設者を募集する仕組みにより、最終的には必ず発電所が建設される仕組みをつくる形としております。

 恐らく、余り過ぎるということというのはそんなに起こらないんだと思います、競争との関係でいうと。足りなくなる、これによって安定供給が侵される、こういうことがないような仕組みは十分取り入れているつもりであります。

後藤(斎)委員 最初の部分に入る前に、ちょっと飛ばさせてもらいますけれども、いわゆるスマートグリッドの仕組みというのは、言われて久しい部分もありますけれども、なかなか導入が進まない。三十兆かどうかは別としても、これから電力会社が、新しい方も含めて、三十兆の設備投資を十年間でする中で、やはりこのスマートグリッドの仕組みというのをどうしても確立していく必要があると思うんですね。

 そういう中で、スマートメーターの問題も、もう二年間くらいいろいろそのベースになる部分を議論しているんですが、現状がどうなっているかということと、あわせて、ことしも、災害対策基本法の抜本改正も含め、いろいろな災害対策の法律を審議し、もう成立したものもあります。

 先ほど大臣が、供給力はそんなに過剰にならなくて、むしろ不足の方が心配だと。ごもっともだと思います。二年前に、今でもそうですが、痛切に感じているのは、大規模災害のときに電気がちゃんと来るのかということ。多分、栃木もそうだったと思いますけれども、山梨でも計画停電で三週間ほどは本当に大変なことになりました。

 そういう部分で、スマートメーターの導入というのを、これから最終的に判断すると思うんです。やはり大規模災害のときに有効である仕組み、すなわち、とめたりつけたりというのを、スマートメーターが全体に普及すれば、その需要管理というのがある程度できるわけですから、そういう意味での危機管理対応も含めた、今は電波で、普通の携帯電話でできる仕組みになっておりますけれども、それも強い電波も含めて内蔵させて、一つの電波帯が途切れたら違う電波帯で操作するというようなことも含めて、スマートメーターの導入は最終的に御判断すべきだと私は思うんです。

 その点についてはいかがでしょうか。

糟谷政府参考人 スマートメーターにつきましては、これまで、スマートメーターが満たすべき基本的な要件を取りまとめたり、検定手数料を引き下げましたり、ソフトウエアの書きかえに関する計量法上の取り扱いを明確化するといったようなことをやり、導入促進のための環境整備を進めてまいりました。

 東京電力においては、スマートメーターの仕様について、内外の企業等に広く提案募集を行った上で、国際標準に基づく仕様を決定し、オープンな調達手続を進めております。

 これをほかの電力会社とも共有いたしまして、ほかの電力会社においても仕様の共通化を図りながら、オープンで公平公正な競争発注により調達を進めるという方針を示しているところであります。

 先ほどの通信の方法でありますけれども、東京電力の定めた仕様においては、携帯電話の通信帯域、電力線通信、それからパケット方式の通信、こういったものを組み合わせて通信を行うということになっております。

 このあたりの通信方法についても、各電力会社とも共有しながら、どういう組み合わせがいいのかということも含めて、今後、まず一義的には各電力が努力する、導入するということでありますので、まずはその取り組み状況を見守り、必要に応じて導入加速化のための追加的方策を講じてまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 糟谷部長のおっしゃるとおりで、平時の部分だけではなくて、やはり非常時の部分も、仮に予見可能であれば仕様の中に入れてやるというのは危機管理の対応の一番重要なことだと思うので、その点については、エネ庁としてもきちっとチェックをしながら対応していただきたいというふうに思います。

 時間がそろそろなくなってきたので、まとめに入ります。

 この法律、システム改革が五十年ぶりだということは、非常に大きな英断、私たちも含めてその準備をし、大臣の主導で今対応していることは本当に敬意を表しますが、先ほどから繰り返してお話ししているように、需要家、要するに企業や家計から見れば、できるだけ安くて、今よりももっと安くなって、供給もちゃんと豊富なんだという二つの要素がなければ、このシステム改革をやる必要は多分ないと思うんですね。それをどう担保するかというのがやはり一番必要だと、最近いつも言っているんです。

 では、あと十年後、二十年後、成長戦略の目標が二〇三〇年めどですから、大臣、その時点で、電気代はどの程度安くなって、供給力はどの程度余裕があるというふうに見通されているでしょうか。

茂木国務大臣 最終的に電力料金がどうなるか、これはエネルギーコストにもよってまいります。電源構成の問題もありますけれども、そのときに、例えばLNGであったりとか石炭であったりとかその国際価格がどうなっているか、またどれくらいの価格で調達できるか、こういったなかなかコントロールが難しい要因が一方にございます。

 それを一定とした場合に、電力システム改革によりまして競争が促進されるということ、さらにはさまざまな選択のメニューが出てくるということによりまして、基本的に料金は一定の条件のもとでは下がる方向に働く、このように考えております。

 そして、これから進めていく改革におきましては、一般電気事業者には当面の間、規制料金を課すわけでありますから、それ以上での参入が起こるということは一般的には考えにくいんだと思います。それ以下の価格での参入が進んでいく。

 あと、安い高いというのはある意味個人の評価でもある部分もございまして、例えば昨年行いました実証実験におきましても、ピーク時の料金は高くさせていただく、そのかわりオフピークの料金は安くさせていただく、こういった北九州の実証実験の結果でも、ピーク時の電力需要を二割削減して、電気料金についての支払いは三割ダウンさせることができた。

 全体的には電力料金の抑制の方向にしっかり働いていく、このように考えております。

後藤(斎)委員 所得によっても、基本的には一律ですから、高い安いという評価は大臣がおっしゃるとおり当然あると思うんです。

 ただ、将来の方向感として、これだけの大きな改革をするときに、今よりも供給が不安定になったり料金の値下げも見込めないということであれば、それは多分、全面自由化と銘打った以上、やはりそこで大きなプラスが消費者にはあるんだろうということで、このシステム改革を支持する方もたくさんいらっしゃると思うんです。だから、不安の部分というものは、法的担保も含めて改正をちゃんとしておかないといけないと私は思うんです。

 例えば今、十電力会社がベースとして持っているものが一〇〇として、これからの需要の増大や、省エネで減る部分もありますけれども、やはり新規参入の方々にもきちっと競争をして発電能力も高めてもらわなきゃいけないわけですから、さきの改正のように一〇%もいかないということでは、これは不安定にするためにやるのかということになってしまうので、ある程度、供給予備力みたいなものが、今は数%くらいしかありませんけれども、以前の水準であれば一〇とか二〇とかというもので、そこを発電会社が調整し需要に合わせたということだと思うんですね。

 ですから、そこの新たな部分では、ここまでは結構自由ですよ、でも、ここはちゃんと今の十電力会社がきちっと供給余力は守るんだよと、二段階の仕組みをまず提案し、それを検証する中で完全に自由にするというような仕組みに、段階論でいかないと、何か不安感だけが、本当にちゃんと供給してくれるのかと。だって、供給力がなくなれば、価格が上がるのは決まっているんですから。

 今は、原子力発電所をとめている分、化石燃料のコストをどう賄うかということで上がってしまっている。それがある意味で、平準化したり技術開発や省エネ努力をしている中でコストが下がっていくことも踏まえて、どの程度下がっていくんだということを明確にすることが必要なんです。その前提を当然置いていいと思うんです。三割は下げましょうとか、二割は下げましょうという前提の中で仕組みをつくるというのは、やはり千載一遇のチャンスだし、これを逃したらもうないと思うんですよ。

 ぜひそういう部分でこれから具体化を私はしてほしいんですけれども、大臣、最後にいかがでしょうか。

茂木国務大臣 大変重要な御指摘だと思っております。

 段階を踏みながら改革も進めていきますが、改革の進捗ぐあいによって、委員のおっしゃるような形の将来の見通しもきちんと出てくるのではないか、また、出していかなければいけない、そういった思いで改革に取り組みたいと思っております。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 田嶋要です。よろしくお願いいたします。

 今、後藤委員からの御質問をいろいろ聞いておりまして、冒頭、質問通告はございませんけれども、大臣、今回の電気事業法の改正というのは、今後日本が進むべき改革の全体の第一ステップではないかなというふうに私は思っておるんです。

 私どもの政権のときにも、ほかの国との連携、協調をどうしていくかという少し壮大なテーマもいろいろ議論をしてまいりました。今は基本的に、LNGで運んできて電気にするとか、そういうことが中心的なわけでございますが、いわゆるガスパイプラインの議論や、あるいはアジア電力網なども議論をしてきたわけでございます。

 今回、国内で、いわゆる今まで部分最適をしてきたそれぞれの地域独占型から面でつなぐことを強化することで、より国民にとっての安定供給を確保していきたいということが主眼であろうと思いますが、私は、その先に、やはり今、後藤委員からの御質問にもございました、ほかの国々との連携というのは当然視野に入れていかなきゃいけないし、安全保障の課題はあるものの、それを上回るメリットということも場合によっては十分考え得るのではないか、技術革新も目覚ましい、そのように考えてございますけれども、質問通告なしで恐縮ございますが、茂木大臣は今どのように考えられておるか、その点を御答弁いただければと思います。

茂木国務大臣 今回の改革の主眼をなしますのは、広域系統運用の拡大であったりとか料金の全面自由化、そして、送配電部門の分離によります送電網の一層の中立化の推進ということで、言ってみますと、この部分、電力の発電から小売、需要までは、基本的には国内の改革が中心になっていると思っております。

 ただ、その一方で、今の日本の置かれているエネルギーの新たな制約を考えたときに、エネルギー源そのものは国内にはなかなかないわけでありますから、それを多様化し、そして調達先の多角化を図っていく、こういった観点も極めて重要だと考えております。

 そして、この調達先の多角化といったときに、どこまでのものを持ってくるか、単に一次エネルギーで石炭であったりとか石油なのか、向こうで発電したものを日本に持ってくるのか、そういった議論というのは将来の課題としてはあるんだろうと思っております。

 もちろん、ヨーロッパと若干違いますので、そのまま簡単に送電網をつなげることができないという問題であったり、実際に本当に電力が足りないときに、たき増し要請を海外の発電会社にしてきちんと応えてくれるか、さまざまな安全保障上の要請も考えなければいけませんけれども、全く、今委員が御指摘したような課題といいますか検討事項というのが排除されるものではない、そのように考えております。

田嶋委員 ありがとうございます。

 よくドイツの電力事情と我が国を比較し、ドイツは原発はもうなしでいくんだと言っている、いやいや、原発をいっぱいやっている隣のフランスから電気を輸入したり輸出したりいろいろしている、こんな議論があるわけでございます。

 いずれにしても、電気というのは水と同じようなものでございますので、どこにどういうふうに移動するか、面的に広がれば広がるほどお互いにとって助け合いができるのは言うまでもないわけであります。島国であるイギリスでも、やはり、ヨーロッパのメッシュのネットワークの中で生きているわけでありますから、おっしゃっていただきましたが、やはり排除することはないと思います。

 いろいろな課題はあろうかと思いますが、やはり、アジアの中で日本が貿易のみならずいろいろな形で連携することが、将来、必ず我が国の国益につながるというふうに私は思っておりますので、ぜひ安倍政権でも、しっかりとそこも中長期的な課題として研究をしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、今回、電気事業法の改正ということで、大々的な五十年ぶりの改革、私は個人的には、茂木さんと机を並べて、一時、電気通信の方の大改革のときに一緒にやらせていただいた懐かしい思い出がございますが、あのときも、競争環境をどう導入するか、昭和六十年だったと思います、そんな議論をたくさんいたしました。

 それと比較をして、一つやはり大きく違うのは、地域独占が電力会社の場合はそれぞれあって、なおかつ、既にその会社が上場会社だということですね。公社とかそういう形じゃなくて、もう既に上場会社であって、あるいは社債を発行したらマーケットが敏感にいろいろな国の動きによって反応してしまうというところが、今回、この改革をするに当たって大変難しいところだと私は思います。何か大きく形を変えると、それで債券の価格が暴落をしたり、いろいろな心配の声があるわけでございますが、今回、段階的アプローチということをとられていますね。

 これは三つに分けて、今回はその頭の部分ということでございますが、さらに詳しく見てみますと、第二段階の法案を提出するタイミングというのは、今回の第一段階の推進機関ができる前に法案を出すということですから、その法案の中身は、この第一段階の機関が動き出すよりも前に法案を出すということで、中身が固まるということになります。

 同様に、第三段階の法案の提出のタイミングというのは、第二段階の小売の全面自由化が始まる前に出すという、非常に混乱を生むようなずらし方をされている印象も受けるわけでございます。

 先ほど申し上げました、電気事業の現在のあり方、マーケットの反応、さまざまな難しいことも考慮してこういうことになっているのか、今回、なぜこういう形の改革の進め方をしようとしているのかということを改めて御答弁いただきたいと思います。

茂木国務大臣 今回、三段階での改革を進める、そして、その三段階での改革を進めるに当たりまして、それぞれの法案、今回お願いする法案、来年お願いする法案、再来年お願いする法案と分けてございます。

 第三段階、これが、料金の全面自由化、そして法的分離によります送配電部門の中立性の向上ということになってくるわけなんですけれども、特に第三段階は準備に相当時間がかかるだろう、こういうふうに思っております。

 発電部門と送配電部門の連携のあり方をどうするか、さらにはそのためのシステムの設計、システムの設計だけでも、田嶋先生よく御案内のように、一年ぐらいかかると思います。そして、その開発をするのに、やはり三年からもう少しの時間がかかるだろう。

 そういったことを考えると、二〇一八年から二〇年に改革がきちんと実現できる、こういうタイミングを見据えて法案の方は出させていただいているという形でありまして、かかる準備期間、それを前倒ししながら法案をきちんと出すといったことで、順序立てて改革というものが進んでいくようにしたい、こんなふうに思っております。

 電気通信の自由化のときもそうだったと思います。ある程度、そういった将来の自由化というのがどう進むかというものを考えながら、一九八五年から進めさせていただいた。結果として、今、当時と比べると、やはり日本の通信市場は、新たなサービスであったりとかシステムが加わって、いいものになっていると思います。

 ああいった改革を一緒にやらせていただきましたので、今回も連携して電力システム改革に取り組めればと思っております。

田嶋委員 ありがとうございます。

 基本的には、このシステム改革も、私ども、民主党政権も強力にやっていこうと思っていたものでございますから、方向としては全くずれていないというふうに私自身も確信をいたしております。

 改めて、確認でございます。

 外のいろいろな方々とお話をしていると、しかし、今回もやはり骨抜き改革になりかねないというような懸念の声もいろいろ出ておるところでございます。いろいろなこれまでのおつき合いの中から、自民党政権としても、やはりこういった改革は少しでも起きない方が都合がいいと思っている方々も大勢いらっしゃると思います。

 そういうことによって、既得権益の保護みたいな方向に少し妥協するようなことはないということを大臣に改めて確認させていただきたい。

茂木国務大臣 ございません。

田嶋委員 違う聞き方をいたしますが、こういった改革を行って競争環境を導入するときには非対称規制ということがよく言われるわけでございますが、今回のシステム改革によって、電気事業におけるいわゆる非対称規制というのは強化される方向になるのか、それとも非対称規制は小さい方向に行くのかということ、これはちょっと質問通告しておりませんけれども、方向としてはどちらになるのかということを御確認いたしたいと思います。

糟谷政府参考人 昨年から電力システム改革の議論をいろいろする中で、例えば常時バックアップのあり方とか料金のあり方とか、そういうことについても一般電気事業者に新たな取り組みを求めております。

 そういう意味では、競争条件を確保するために必要な一般電気事業者に特有の取り組み、そういうことは求めていくということであろうかと思っております。

田嶋委員 非対称規制というものは、この改革によって減るのかふえるのかという点はいかがですか。

糟谷政府参考人 例えば、今回の法案でも、第二段階の後、料金の規制を今の一般電気事業者についてのみ残すという形になっております。

 そういう意味では、新規参入される方は自由な料金のもとで参入ができる中で、一般電気事業者の方は第二段階からしばらくの間料金規制が残るわけでありまして、少なくともその部分を含めて必要な非対称規制というのが導入されるということであります。

茂木国務大臣 恐らく、今の状況で見ると、新規参入者というのは極めて少ないんですね。そうなりますと、非対称規制が多いか少ないかというよりも、一本のもとで、地域独占のもとで、一つの法律でやってきた、最終的には、あらゆるもの、例えば送配電部門の安定供給義務とか、残る部分もありますけれども、自由化できるものについては、どの事業者であっても自由化されていく、ただ、そのプロセスに持っていく段階においては、当然、競争を促進する観点から、そういった新規参入が進むような方向での改革というのを考えていきたいということであります。

田嶋委員 ありがとうございます。

 その点も、本当に当面ということであろうと思いますが、最終、行き着くところは、みんなが同じ土俵で競争できる、しかし、それを言っても、スタートラインが全然違うわけでございますので、当面、そういった形の非対称な規制も必要になってこようかという共通認識は確認をさせていただきました。

 ただ、先ほど馬淵委員がるる御質問をしていただいた点にもかかわりますけれども、自治体による発電に関しては、現状、非常に残念な状況にあるという私自身も同じ問題意識でございます。

 これは、先ほど大臣からも御答弁いただきましたが、せっかく東京都が先鞭をつけて、あのようにやり切っていただいたわけですね。それが、今日まで、まだ九割以上が随意契約として残ってしまっているということ。きのうもおとといも事務方とはいろいろ話をさせていただきましたが、どうも、総務省の仕事じゃないかみたいな意識が少しかいま見えるような認識を私は感じました。

 まさに新電力を育てなきゃいけないという立場にある経産大臣、副大臣、ぜひこの点は改めて、どんどん先送りをするのではなくて、やはり年内とかそういう形で、あらゆる自治体が本来の原則に戻った競争的な決定をしてもらえるようにリーダーシップを発揮していただきたいと思います。大臣、お願いいたします。

茂木国務大臣 経済産業省がやる、総務省がやるということより、国として進めなきゃならない問題だ、こんなふうに思っております。ずるずると検討を延ばすことはいたしません。

田嶋委員 ずるずると検討を延ばすことはしない、おっしゃるとおりです。

 まさに、何省、何省なんという発想は本当によくないんですけれども、やはり、それでも出てくるのが霞が関の弱いところだと思います。だから、全く考え方は同じでございますので、自治体の話というとすぐ総務省という発想じゃなくて、電力の自由化に資するこの大きな部分が非常に長い間放置されているという点はしっかりと改善をしていただきたいと思っております。

 今後も引き続きウオッチさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、法案の中身の少し細かいところも含めて確認をさせていただきたいと思います。

 やはり、今回のこの法案の一番の肝の部分が推進機関の部分にあるのは言うまでもないと思いますが、この推進機関の役割というのは、非常時と平時と両方あるんだろうというふうに考えております。

 まず非常時の方が、よく言われている電力の逼迫状況の中における役割だと思いますが、このような横の連携を強化することによって、垂直的な連携の部分と、言ってみれば、意思決定にそごが生じるような心配はないのか。

 今まででしたら、地域独占型の事業体の中での意思決定で、需給の逼迫に対していろいろな措置を講じ、あるいは経済産業省がアクションを指示する、そういう構造でできたわけでございますが、これに横串を通すことで、もちろん、需給の逼迫にはより対処できるように改善は進むと思いますが、具体的に、垂直での適時適切な意思決定を阻害する可能性は起きてこないというふうに考えておられるかどうか、その点、御答弁いただきたいと思います。

高原政府参考人 御指摘のとおり、システム改革によりまして、安定供給の確保というものに万全の措置を講じるということが必要だと思っております。

 現在は、一般事業者の方々が、各エリア内で日々の需給状況を監視いたしまして調整を行っておりますけれども、この改革後は、この役割は送配電事業者が担うことになります。

 他方、今御指摘の広域的運営推進機関は、送配電事業者がエリアの中の発電所への指令を最大限行っても発電能力が足りない場合のような緊急時には、電源のたき増しでございますとか、あるいは地域を越えた融通の指示を行います。

 すなわち、改革後は、まずエリア内の安定供給に責任を持つ送配電事業者が需給逼迫解消への取り組みを行って、その上で、各エリアの需給状況も踏まえまして、必要に応じて、この広域的運営推進機関による取り組みが行われることになります。

 したがって、御指摘のような、広域的運営推進機関の設立によってエリアの安定供給が害されたり、あるいはその間のコーディネーションがうまくいかないといったような事態にはならないというふうに考えております。

 以上でございます。

田嶋委員 今、長官から、まずエリア内というふうにおっしゃっていただきましたけれども、そういたしますと、エリア内で、三・一一の後も起きました節電要請、それから、当時は使用制限命令でございましたけれども、今回、使用制限勧告ということで新設されようとしておるわけでございますが、こうしたものというのは推進機関がファーストアクションをとる前に必ず行われる、そういう認識でよろしいですか。

糟谷政府参考人 その計画停電とか節電要請、そういうことが広域的運営推進機関がアクションをとるための条件とは考えておりません。

田嶋委員 そういたしますと、前提条件とは考えていないけれども、先ほど長官は、まずエリア内でやるんだという話で、若干、私は矛盾を感じるんです。そこはどのように整理されているのか。

 現場で混乱が起きると、結局、強化したつもりが、どっちも相手がやると思っていたみたいな話が起きかねないと思うんですけれども、いかがですか。

高原政府参考人 まず、平常時におきましては、その地域の送配電事業者が責任を負っています。

 それで、いわゆる緊急時でございますけれども、これは緊急時の規模によると思います。例えば、一時的にその地域内で比較的小さな電源が落ちたような場合、これは当該エリア内で対処することができると思います。

 ただ、御指摘のような、この前の三・一一でございますとかああいった場合は、それが今回のシステム改革の出発点の一つとも言っていいと思いますけれども、やはりエリア間で大規模な融通が必要だといった場合には、先ほど部長からも御答弁申し上げましたとおり、域内でのことが前提になるのではなくて、直接的に、広域的な運営機関がエリア間の融通を発動するということが必要になるというふうに考えております。

 以上でございます。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

田嶋委員 今のお二方の御答弁をまとめて考えれば、やはり節電要請や計画停電あるいは使用制限、今回の勧告、こういったことは前提にはならない、しかし、ケース・バイ・ケースでそれはやっていかなきゃいけないということでございます。

 こういうことというのは、机上のプランと現場というのは大分乖離があって、結果的に何でこんなことになったんだということが、強化したつもりが、結局、みんなの無責任状態をつくるということになりかねませんから、ぜひとも、これは法律事項ではないと思いますけれども、例えばフローチャートみたいなものを今後しっかりつくっていくというような具体的なアクションは役所の方でとっていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 今、平時はというお話がございました。今のお話というのは、まさに三・一一の経験から大変弱点として認識されたので、今回の立法措置によって強化していこうということだと思います。いろいろお話を伺っていますと、今回のこの推進機関というのは、平時、電力逼迫時でないときにもかなりの役割が期待をされている、想定されているというような理解をいたしました。

 まず最初にお伺いしたいのは、まさに送配電網の部分でございますけれども、総括原価が今後も担保されるということを聞いておりますけれども、この送配電網の建設計画、そして設備投資に関してこの推進機関の権限というものはあるようでございますが、その権限というのは各電力会社の意思決定に優先される仕組みになるのかどうか、あるいは電力会社にそれに対する拒否権があるのかどうか、その点を確認したいと思います。

糟谷政府参考人 電気事業者が、送配電設備などの建設計画を盛り込んだ供給計画を、広域的運営推進機関を経由して国に届けることにしております。その計画を取りまとめる際に、広域的運営推進機関は、計画を取りまとめつつ、妥当性をみずから検討した上で、意見があれば、意見を付して国に送付をするという段取りになります。

 仮に、各電気事業者の供給計画が送配電等業務指針などに照らして不適当だという場合には、その計画を取りまとめる段階で、広域的運営推進機関は、その会員である電気事業者に対して、指導とか勧告を行うことができるたてつけになっております。

 ただ、これは法律上の強制力があるというものではありませんので、事業者がこれを拒否することも想定されるわけであります。その場合には、国が広域的運営による電気の安定供給その他の電気事業の総合的かつ合理的な発達を図るため適切ではないと判断した場合には、供給計画の変更を勧告することができる、そういうたてつけでございます。

田嶋委員 供給計画とおっしゃっているのは、今お伺いしているのはまさに送配電網の設備投資の部分でございますから、発電ではなくて、例えば本州と北海道の話とか、五十キロヘルツ、六十キロヘルツ、こういうところの設備投資を言っているわけでございますが、そういうことで間違いございませんか。

糟谷政府参考人 その前提といたしまして、この法案の第二十九条第六項第五号で、広域的運営を図るために必要な措置として経済産業省令で定めるもの、これが命令が出せる範囲でありますけれども、この省令で、何について命令が出せるかということを定めることになります。その省令の中に、実際に、送配電設備の建設について命令が出せることというふうに規定をすることが前提となるわけであります。

 実際に省令で規定するかどうかということについては、今後実際に検討しながら判断をしていくわけでありますけれども、先ほどの需給逼迫時と比べまして、設備投資の場合は、実際に対象設備が建設されるまでに時間的余裕がありますので、実態としては、国が命令を行うということの前に、広域的運営推進機関が調整を行う、または、その過程に国もいろいろ指導を行うということで対応が可能な場合が多いのではないかというふうに考えております。

 いずれにしても、そのあたりは検討いたします。送配電設備であります。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

田嶋委員 おっしゃるとおり、緊急性はないと思うんですが、やはり、大変これまでも課題だ、例えば五十キロ、六十キロのあのボトルネックがあるからとか、そういう議論はずっとしてきているわけでございます。

 そういたしますと、推進機関の役割は当然あるわけでございますが、これはどこかに物理的に設備を打つわけでありますから、それはどこかの電力会社の管内とか、どこかとどこかの間とか、そういう話になってくるわけでございますから、設備投資はどこかの会社に局部的に集中する可能性があると思うんですね。当然そこは株主が反対するとか、いろいろなことを言って、なかなかそこは合意に行かない可能性があります。

 これは、最後は誰が決めることになるんでしょうか。

糟谷政府参考人 送配電設備の建設は広域的な系統の運営の推進のために行われるものでありまして、設備投資を行う電力会社だけではなく、広くそのメリットを受けることになるわけであります。

 したがいまして、そのコストは、広域的運営推進機関が定めるルールに基づきまして、建設者以外の人も含めて電気事業者が広く薄く負担をするように求めることも想定しておるところでございます。

田嶋委員 では、法律事項ではないけれども、今後、詳細のルールづくりの中で、特定の地域での送配電に係る設備投資、あるいは周波数の問題等々に対処するような設備投資を全国の事業者が薄く広く負担していく、そういう仕組みになっていくから、今まで以上にそういった設備投資は全体最適のもとに加速をする、そういう認識でいいですか。

糟谷政府参考人 おっしゃるように、これまで、系統線の整備ですとか、それから周波数の変換設備については、整備をしなきゃいけない、整備の必要性があると言い出した電力会社がその費用の大半を負担しなきゃいけない、そういうような仕組みでありました。したがって、系統線とか周波数変換設備をつくるよりも、自社の供給区域の管内に発電所をつくった方が合理的であったわけであります。

 今後は、全国を見渡して、広域的運営推進機関が定めるルールに基づいて、全国的に最適な状況になるように図っていくということであります。

田嶋委員 だから、そこでもやはり意見が食い違う。要するに、部分最適を求める電力会社と全体最適を見ようとする推進機関はコンフリクトが起き得ると僕は思うんですけれども、最後は大臣ということになるんですか。最後は、全体最適を見て、嫌がる事業者にもそれはやらせ得るということですね。

糟谷政府参考人 これは、広域的運営推進機関のガバナンスを中立的にしていくということが必要であります。一社がこうだということにこだわったから全体の最適が図れないということでは困ります。まずは、推進機関においてそういう中立的、公正なガバナンスを働かせて、そこで決めていただくというのが一義的なものであります。万一それで決まらないという場合に、国が何らかの関与をするという可能性は残っておると考えております。

田嶋委員 そこは今後に期待したいと思いますが、大変難しいところだと思います。

 今まさに、糟谷部長から出ました推進機関のガバナンスが私は命だと思うんです。法案では現在の支援機関に比べて権限は強化されますが、強化される分、ガバナンスが中立でなければ、逆な方向にもなり得るわけでございます。

 これは、先ほどの話ではありませんが、ドミナントなプレーヤーの代弁者に集中するようなことが絶対あってはならないと思います。

 具体的には、定款というものが国の認可対象でございますけれども、会員の議決権の平等が担保されない定款は認可されないのでしょうか。

高原政府参考人 御指摘のとおりだと思います。

 すなわち、広域的運営推進機関は、既存の電力会社だけではなくて、新規参入者などのあらゆる電気事業者が会員となる組織でございますけれども、特定の事業者の利益を代弁することがないように、議決権の配分などにおきまして、広域的運営推進機関の意思決定の実質的な公平性が確保される仕組みが求められます。

 こういったことにつきましては、国の監督のもとで公平中立に運営することを担保するために、定款あるいは役員の選任、解任などを国の認可事項といたしております。

 以上でございます。

田嶋委員 いろいろ法律に決められていることは限られているような印象で、まだ本当にそういう意味でフェアな形でこの推進機関なるものが、方向としては間違っていないし、応援したいと思いますが、結果的には逆の方向になり得るのではないかという懸念は持ってございます。

 きょうは時間がなくなってしまいましたけれども、例えば、再生可能エネルギーを拡大していく、今最大のネックの一つが、つなぎ込もうとしても系統側がいろいろな理由を言って全然つなげない、だから、投資家はたくさんいる、発電キャパをふやそうという人たちはたくさんいるけれども系統側が拒否するということをたくさん聞いております。

 ここに関して、推進機関というのは解消に役立つ機関になっていくという認識でよろしゅうございますか。

茂木国務大臣 例えば、風力なんかを考えましても、最適地というのは北海道であったりとか東北に限られる。それに対して、消費地というのは大都会であったりするわけであります。そういったところで、広域的な系統運用を行うことによりまして、再生可能エネルギー等々につきましても、その拡大に資するものになっていく、このように考えております。

田嶋委員 これから本当に見きわめていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 きょうも質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。

 茂木大臣には本会議のときにこの電力の自由化、システム改革について全体的な御質問をさせていただきましたので、きょうは少し細かいお話をいろいろとお伺いしてまいりたいというふうに思います。よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 最初に、今回の法案は、いわゆる三段階の改革の一番入り口の法案ということであるかと思います。もちろんこの電気事業法の一部を改正する法律案も大事でありますが、きのうもいろいろ参考人の質疑の中でも出ておりましたのは、やはり二番目と三番目、小売の自由化の部分、あるいは発送電分離、ここが今回のシステム改革の本丸になるんじゃないかなというふうに思っております。

 そういう意味におきましては、今回、この法案の中にはいろいろ重要なものがありますけれども、附則にプログラム規定が書いてあります。ここの部分が実はこの法案は非常に重要であるという認識を持っておりますので、まず附則のところについてちょっと不明確な部分を一つ一つ明らかにしてまいりたいというふうに思います。

 まず最初に、スケジュールのお話なんですが、それぞれ第一段階、第二段階、第三段階というふうにスケジュール感が書いてあります。目途という言葉、あるいは目指すという言葉が入っていて、こんな曖昧でいいのかという批判もありますけれども、私はそういうことは申し上げるつもりはなくて、大臣は現実的なスケジュールでやるべきだというふうにおっしゃっておられますので、これは通告しておりませんが、考え方だけちょっとお伺いしたいんです。

 一般的にめどということは、いざという場合は先に延ばすというふうに皆さんが当然捉える、あるいは、目指すということは、そこを目指しているんだけれども、場合によってはもうちょっと延びることもある、そういうイメージを持っておられると思いますけれども、今から詰めていった中で、今考えているスケジュールよりももう少し前倒しできそうだ、早くできそうだという場合には、これは前倒ししてやるという可能性はあるということでよろしいんでしょうか。

茂木国務大臣 今回の改革は三段階で進めさせていただく、また、法案につきましても、ことし、そして来年、再来年とお願いできればというふうに思っております。

 そして、現実に出しております今回の法案、これも重要な柱だ、私はこのように考えておりますが、ことしにやること、そして来年にやることについては、明確に期限を区切らせていただきました。恐らく、それについてはそれほどぶれないであろう。そして、再来年以降のことについては、法案の時期についても、それから実際の改革の時期についても、めど、もしくは目指す。ある程度期限は区切っておりますけれども、そこにはアローアンスを置いております。

 そこの中で、めどであったり目指すというものが、必ずしも後ろ倒しだけではない。もちろん、例えばシステム開発にかかる時間等々も考慮しながら時期を入れさせていただきましたが、早く進むものでありましたら早く進めることについてそれを否定するものではない、そのように考えております。

今井委員 ありがとうございます。

 前倒しもあり得るということで御確認をさせていただきました。

 私どもの党は、この電力自由化をもう一日でも早く進めていただきたいという立場でありますし、一方で、私も余り非現実的なことを申し上げるつもりはありません。やはりこれだけ重要な改革でありますし、昨日の参考人質疑の中でも、安定的に供給してもらうことが本当に大事だということを需要者の方たちがもうしきりにおっしゃっておられましたので、そういうことが担保できないうちに拙速にやるのは決して国家にとっていいことではないと思いますから、そういうことを申し上げるつもりはありませんけれども、できる範囲で、とにかくできるだけ早くやるという姿勢でぜひ取り組んでいただきたいと思います。本会議のときに申し上げましたけれども、そういうことであれば、本当に全面的に協力をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、附則の十一条のところでちょっとお伺いしたいんですが、発送電分離のところの話であります。

 法的分離というのは基本的な考え方でありますけれども、状況によっては、機能分離に見直しをすることもあり得るというような記述があると思います。この場合によってはというのは、例えばどういうような状況になったときのことを想定しておられるのかという点と、それから、所有権分離の話もいろいろ出ておりましたけれども、今回、法的分離で整理した後、その後また見直しして、うまくいかない場合はまた違う方法も考える、そういうこともあり得るのか、この二点についてお伺いをしたいというふうに思います。

茂木国務大臣 附則の第十一条について御質問をいただきましたが、改革は、法的分離の方式を実施する前提で推進したいと考えております。その過程でその実施を困難にする新たな課題が生じた場合には、必要に応じて、機能分離の方式を検討することとしておる。

 新たな課題でありますから、新しいものなんですね。ということは、今の段階で、いや、こういうことがあるんだということであれば、逆にそれを取り込んで、時期を考えたり対処方針を考えるということでありますから、今の時点で、特段、何か特定の事態というか、そういったものを想定しているわけではございません。

 また、いわゆる所有権分離という話でありますが、電力システム改革専門委員会の報告書を引用させていただきますと、「中立性を実現する最もわかりやすい形態として所有権分離があり得るが、これについては改革の効果を見極め、それが不十分な場合の将来的検討課題とする。」このようにされておりまして、専門委員会の結論としても、まず法的分離の方式で中立性をしっかり進めていく。我々もそうしたいと思っております。

 法的分離とは、株式会社等のもとに、送配電部門を子会社化することを求めるものでありますけれども、各会社、株主の自主的な判断によって、資本関係を解消する所有権分離を将来的に選択する、そのことを妨げるものではありません。

今井委員 ありがとうございました。

 まだ状況によっていろいろ変わり得るということを確認させていただきましたし、機能分離の話は確かに大臣のおっしゃるとおりでありますから、今後、この委員会でいろいろ審議をしていく中で、この点についてもまた議論をさせていただきたいというふうに思います。

 では、附則の続きをお伺いしていきます。

 附則の中に、「電気事業を営む者たる会社の社債権者に、その会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を与えるための経過措置、」とございます。

 いわゆる、社債を持っている人たちに、優先弁済を少し図ってあげようということだと思いますが、ここにある他の債権者というのはどういう方たちを想定しておられて、記述のケースというのはどういうケースを想定しておられるんでしょうか。

糟谷政府参考人 御質問は、電気事業法三十七条で認められている、いわゆる一般担保でありますけれども、一般担保の規定は、そもそも、電気事業の長期資金調達の円滑化を図るために、一般電気事業者の社債権者に対して、他の債権者に対する先取特権を認めているものであります。

 これが効果が出ますのは、会社を清算して、清算した後、残った財産を分配するときに初めて出るものでありますけれども、そういうことが起きるということではなくても、将来的にそういう先取特権が担保されているということをもって、長期資金調達の円滑化が図られるということで導入をされた制度だというふうに理解をしております。

 それで、他の債権者とはどういう人かということでありますが、弁済の優先順位というのがございまして、まず、動産または不動産の先取特権、いわゆる特別の先取特権を有する者、この方が一番最初に弁済を受けるということになります。その次に、抵当権とか質権といった、登記をした物件を持つ第三者であります。その次に、この電事法の一般担保に基づく一般の先取特権を有する者が弁済を受けるということで、それ以外の債権者の誰よりも優先を受ける。

 申しわけありません。不動産について登記をした第三者の次に、民法上の一般の先取特権というのがありまして、その次がこの一般担保つき社債権者であります。

 すなわち、特別の先取特権、抵当権、質権の登記をした人、一般の先取特権を有する者、それ以外の債権者の誰よりも優先的に弁済を受ける、そういうことになるわけであります。

今井委員 済みません、よくわかりました。ありがとうございます。

 では、次なんですが、この附則の五の六、スマートメーターの導入を促進する措置をこれから講じていくというように書いてあります。

 昨日の参考人質疑の中で、柏木参考人だったと思いますけれども、今回の電力の自由化の三段階の中で、あわせてどうしてもやらなきゃいけないことがある、それは、ディマンドレスポンス、ここをしっかり担保して、同じスケジュールで、自由化に全部なった時点にはそれがきちっともう普及しているという段階に、それをちゃんとスケジュール感を合わせてやらないとこの自由化は大変うまくいかないリスクがありますということを御指摘なさっておられまして、そのとおりだなというふうに思ったわけであります。

 となると、やはり、スマートメーターの導入というのは、自由化とともに本当に本格的に普及させていかなければいけない、とても重要な政策ということになるんだと思いますね。

 ですから、二〇二〇年までに向けて、スマートメーターをどういうふうに本格的に導入していくのか、国は一体どういう具体的な施策を今後考えていかれるおつもりなのか、この点についてお伺いをしたいというふうに思います。

茂木国務大臣 具体的に細かい項目は、この後参考人の方からお答えをさせていただきたいと思うんですけれども、これまで見ていますと、例えば、省エネとかいいましても、電力会社は本気にやろうとしてきていたのかな、そういう思いも持っております。

 やはり、省エネなりをしっかり進めて、いろいろなメニューが使える、このためにはスマートメーターの導入は極めて重要な課題だと思っておりまして、電力システム改革と連動して、さまざまな措置をとっていきたいと思っております。

糟谷政府参考人 スマートメーターの導入については、各電力会社が、具体的な年次ごとの数値を目標として示しまして導入するということを表明しております。これをまずはよく見ながら、ただ、他方で、耐用年数が来ていないものを前倒して取りかえるということの誘因、インセンティブについて、本当にそれが十分なのかどうかという点がございますので、そういう何らかのインセンティブ措置について、どういう措置が適当かということをちょっと検討してまいりたいと思います。

 その上で、それでもなお電力会社の自主的取り組みによるスマートメーターの導入が進まないという場合には、小売全面自由化の制度設計とあわせて、導入加速化のためのそれ以外の追加的方策について、あらゆる可能性を検討してまいりたいというふうに考えております。

今井委員 ちょっと私も勉強不足ですけれども、きのう、辰巳参考人が、ほかの国の例で、スマートメーターを導入することによってかえってメリットが出るようなインセンティブを与えている国があるというようなお話をされていました。ぜひ、そういうところも研究されて、遅滞なくこれが広がっていくようにしていただきたいと思います。

 この間も申し上げましたけれども、電力会社からすると、電気を使わないように使わないようにするものを普及させていくという自己矛盾を起こしてしまうわけなので、私が例えば電気事業者だったら、それを広げるというのはううんという気持ちになるのもわかりますので、やはり、そこを促していくような対策を今後ぜひ考えていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それと、附則の同じ箇所に、卸電力取引所における電気の取引量を増加させるための措置ということが規定をされております。この間、私、御提案を申し上げたんですけれども、例えば、一定量を出すことを電気事業者に義務化、義務づけしたらいかがかということをお話しさせていただきました。

 昨日の参考人質疑のところで、電事連の八木会長が参考人として来ておられまして、このお話をちょっとさせていただいたんです。二月の報告書の中に、今後、自主的な取り組みをしていきます、二〇一三年の三月から試行的に始めて、ことしの夏までには本格的に開始したいというようなことが書いてあったと思うんですけれども、そのことについてお伺いをしましたら、ただいま鋭意取り組んでおりますということで、今、五十億キロワットアワーとおっしゃっていましたか、それぐらいまではふえたということですが、これは両建ても含めてだと思いますけれども、目標は三百七十億キロワットアワーということであります。

 もちろん、自主的な取り組みでこの目標が達成できて活性化できるというのが一番いいわけでありますので、それをまずは優先するということは私としても好ましいというふうに思うんですけれども、仮にこの取り組みが十分に進まなかったとき、このときは、ある程度、行政側も、そういう義務づけをするなりなんなり次の措置を考える、こういうことをやっていく必要があるんじゃないかなというふうに考えておるんですが、この点についてはいかがでしょうか。

糟谷政府参考人 この三月から、電力業界で、一般電気事業者の方々が余剰電力を卸電力取引所に売電するという自主的な取り組みを始めております。これは、電力システム改革専門委員会において、先ほど御指摘のような義務づけの措置をとるかどうか、そういう議論がありましたところ、自主的にまずやらせてほしい、それでどこまで成果が上がるか見てほしい、そういう御議論がありまして、始めたものであります。

 我々としては、これをしっかりモニタリングしていき、当初想定したとおりの効果がちゃんと上がっているかどうかを見ていく必要があると思っております。万一そこで、これでは十分でないということになりましたら、その自主的な措置を超える何らかの対策を講じなきゃいけないという議論になり得るものだと考えております。

 それから、もちろん、そういった努力とあわせまして、卸電力取引の活性化に向けてさまざまな制度の見直し、例えば、先渡し市場の商品を多様化することですとか、卸電力市場に需要家が直接参加できるようにすることですとか、それから、将来的に電力先物市場をつくることですとか、そういうことは制度面でしっかりと進めながら、とにかく供給力が十分、取引所で取引がされるような事態をつくり出していきたいというふうに考えております。

今井委員 きのうの参考人質疑の中でも、新電力の参考人が、やはり、卸電力取引所のところで出していただければ、それとあわせてどんどん売っていけるので、ぜひこれは必要な措置であるということを力説しておられましたので、ここの部分は一つの大きな肝だと思いますから、ぜひ、この点も考慮いただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。

 あと二点、附則で御質問したいと思います。

 ちょっと細かい話なんですけれども、附則十一条の五の七に、「原子力政策をはじめとするエネルギー政策の変更その他のエネルギーをめぐる諸情勢の著しい変化に伴って特定の電気の小売業を営む者又は特定の電気の卸売業を営む者の競争条件が著しく悪化した場合において」この「競争条件を改善するための措置」ということが書いてあります。

 これは、具体的にはどういうことを想定しておられて、改善するというのはどのような措置を考えておられるのかをお聞かせいただきたいと思います。

糟谷政府参考人 お尋ねの附則の第十一条第五項第七号の競争条件が悪化した場合でありますけれども、例えば、過去に行った多額の発電投資が政策の変更によって投資の回収が不可能となって、その結果、競争条件が著しく悪化をした場合、こういった場合に、これを緩和するために必要な政策的措置を講じるという規定でございます。

 その具体的な内容、またはその措置を講じる必要性については、そのときの状況に応じて検討するということでございます。

今井委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、では、これはまた今後の審議のところでいろいろと話をしていきたいというふうに思います。

 では、最後、附則の十一条の六のところですけれども、「電気事業の規制に関する事務をつかさどる行政組織について、その在り方を見直し、平成二十七年を目途に、独立性及び高度の専門性を有する新たな行政組織に移行させるもの」とあります。

 これは、ほかの委員も御質問されていたんじゃないかなと思うんですが、改めてもう一度お伺いしたいんですけれども、そもそもどういう問題意識でこういう項目を入れて、どういう観点で見直しをしていくというふうにお考えであるか、この点についてお伺いをしたいと思います。

高原政府参考人 今回の一連の電力システム改革を進める中には、例えば、小売及び発電の全面自由化でございますとか法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保などが含まれております。したがいまして、こういったものを政府が適切に監督などを行っていくためには、電気事業に係る規制をつかさどる行政組織のあり方を見直しまして、その機能を一層高めることが必要である、そういった問題意識によっております。

 例えば、今回の改革によりまして自由化の市場が拡大をすることになります。当該市場におきまして、既存の電力会社の方々に加えまして、新規に参入する事業者の方々による適切な電力取引を確保しながら健全な競争を確保する、そして、低廉で安定的な電力供給体制を実現するためには、これまで以上に、市場の監視でございますとか、モニタリングでございますとか、あるいはルールの整備などの取り組みが重要になります。

 また、法的分離の実施について申し上げますと、人事や予算などに係る行為規制が必要であります。例えば、送配電会社と発電・小売会社との間の役員の兼職を禁止するとか、会計を独立させる措置を講じることなどが必要と考えられます。

 これらの措置の遵守状況を含めまして、分離された送配電会社が他の発電・小売会社に比べ、グループ内、身内の発電・小売会社を優遇しないように行政が厳格な監視をしていくということも必要になると思っております。

 このため、規制組織につきましては、独立性と高度な専門性を有する組織とすることが重要と考えておりまして、具体的な業務内容、権限、規模、組織設計等につきましては、今後さらに検討していきたいと思っております。

 以上でございます。

今井委員 いろいろな方が入ってこられるわけですから、管理はしっかりしなきゃいけないというのは当然でありますが、一方で、行政の肥大化にならないように、やはりこのバランスをとることが大事だと思いますから、その観点でぜひ考えていただきたいですし、今後そういうことが議論になってくるわけでありますので、この委員会でもその部分はちゃんとチェックをしたいと思います。

 これは、何度も御答弁いただいているのでもう一回確認したいんです。私も二度、これは問題点を指摘したんです。

 法的分離でやると、株式会社の下に送配電会社と発電会社が並立することになりますので、どうしてもやはり株主から見れば、株主利益ということを考えれば、自分の傘下の発電会社を使ってくださいというインセンティブが当然働いてもおかしくないよなということが想像できるので、その辺の行為規制についてしっかり監督をなさるというふうにおっしゃっておられましたので、そこの部分もしっかり監督できるようなたてつけにする、そういうことでよろしいですね。

高原政府参考人 まさに御指摘のとおり、そういった部分につきましてもしっかりと監視できるような組織にするということが重要だと思っております。

今井委員 ありがとうございます。

 これは非常に重要なポイントだと思いますから、どういう監視ができるようになるのかというのは、今後、この委員会でもしっかり確認をしてまいりたいというふうに思います。

 それでは次に、広域的運営推進機関のガバナンスについてお伺いをしたいというふうに思います。

 この委員会でも質問が何度も出ていましたけれども、やはり全ての者が中立であるということがいろいろな競争をちゃんと担保できる、これが大原則でありまして、そのためにまず一番大事なことが人事だということは言うまでもないわけであります。

 新しくできる広域的運営推進機関の役員あるいは職員の方たちもやはり中立性をきっちり担保しなきゃいけないと思うんですけれども、恐らく、選定基準あるいは採用基準、これを今後つくっていかれると思いますが、その考え方、どういう考え方をしっかりとここに盛り込んでいくのか、その点についてお伺いしたい。

 もう一点、いわゆる天下りですね。天下りの温床機関になってはいけない、こういう御指摘もいろいろなところで伺っていますので、その点をどういうふうに防いでいくおつもりなのか、この点についてお伺いしたいと思います。

菅原副大臣 今井委員の問題意識についてお答えをいたしたいと思います。

 広域的運営推進機関は、既存の電力会社だけではなく、新規参入の事業者も会員となる、いわば民間の組織とする予定となってございます。したがって、お話がありましたように、中立性をしっかり担保しなければならない。

 また、高度な公益性を有するという意味において、定款ですとか役員の選任、解任等は国の認可事項とすることといたしておりまして、国の強い監督権限が及ぶいわゆる認可法人として、国の監督のもとで公平性、中立性をしっかり担保していきたい、こう考えております。

 また、同機関は、電力需給の状況を日常的に監視して、例えば、需給逼迫時には、個別の発電所へのたき増しの指示や、あるいは電力会社の区域を越えた、いわば広域的な電力融通を指示する、こういったこともすることとなってございます。いわば電力供給の実務そのものを行う機関でありまして、こうした業務の性格からいたしますと、やはりその職員については、高度な専門性や技術的な知見を有していることが大事である、また、実務に精通した人材を確保することが極めて重要であると認識をいたしております。

 したがって、今後二年後までに、この推進機関立ち上げの間に、お話があったように、中立性の担保を含め、また、そのディテールに関して、専門的な知見も含めた、高度な人材も確保すべく、さまざまな詳細な検討を行っていきたいと思っております。

 また、最後にお話があった国家公務員の認可法人への再就職については、現行の国家公務員法上、職員があっせんをして再就職させる、いわゆる天下りあっせんが禁止をされておりますが、推進機関に対する天下りが行われることがないように努めてまいります。

今井委員 それに関しまして、もう一点お伺いしたいと思います。

 先ほど民主党の田嶋委員がこの点を御質問されていましたけれども、二十八条のところに総会の規定があって、各会員の議決権は平等であるというふうにある一方で、定款に別段の定めがある場合にはこの規定は適用しないという規定があります。

 確認しておきますが、基本的に一社一票で、規模が大きいからといって議決権がふえる、こういうことはあり得ないですね。

糟谷政府参考人 基本的に、平等の一社一票ということが原則であります。

 ただ、ここの別段の定めというのは、その上で、さらに議決権の実質的公平性が確保されるようなことが可能になる、できるようにするということで設けられたものであります。

 例えば、現行法であります送配電等業務支援機関、ESCJにおいても、一般電気事業者のグループ、それから卸、自家発のグループ、新電力のグループ、有識者のグループ、それぞれが一対一対一対一の議決権を保有することとしておりまして、こういう形で、立場の違う人たちがそれぞれ実質的に公平な意思決定ができるための議決権を持つようにするということが、平等の原則を超えて、別段の定めを置けばできるという旨の規定であります。

今井委員 よくわかりました。

 同じ事業者同士のということではなくて、いろいろな業態の人たちが実質的に公平な立場で議決権を持てる、そういう意味ということで確認をさせていただきました。ありがとうございます。

 次に、ちょっと再生可能エネルギーの話をさせていただきたいと思います。

 これは、先ほど後藤委員も少しお話ししておられました。昨年から再生可能エネルギー固定価格買い取り制度ができたわけでありますけれども、現在の各発電ごとの普及状況、まずこれについて教えていただきたいと思います。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の七月の制度開始以降、本年二月末までに新たに運転を開始した発電設備の出力合計が、百三十五・二万キロワットとなっております。

 内訳でございますが、太陽光が百二十五・七万キロワット、風力が六・三万キロワット、バイオマスが三万キロワット、水力が〇・一万キロワット、地熱が〇・一万キロワットとなっております。

今井委員 聞いていただいたとおり、ほとんど太陽光なわけでありますけれども、ほかのものはアセスが必要だったりとか、施設をつくるのに何年もかかったりというのもあると思います。

 次に、今後予定されている発電設備というかその発電容量、これは今どういうふうになっているでしょうか。

新原政府参考人 これは、委員御指摘いただいたとおり、アセスとかいろいろなものがありまして、まだ計画途上のものというのはいろいろあると思います。

 私どもがきちっと申し上げられる数字で申し上げますと、経産大臣が技術的に設備の認定を行っているものというのがございます。これは比較的直近のものになってしまうんですが、その認定数から先ほど申し上げた既に稼働したものを除いてみると、固まっているものの一応の数字が出てまいります。その出力の合計が、今後のものとして千百七十・七万キロワットございます。

 この内訳で申し上げますと、やはり直近ですから、どうしても太陽光が多くなるんですが、太陽光が一千百・一万キロワット、風力が五十五・九万キロワット、バイオマスが十一・七万キロワット、水力が二・二万キロワット、地熱が〇・三万キロワットとなっております。

今井委員 現状でも、計画されているものも太陽光が多いということでありました。先ほど後藤委員が、太陽光は将来的にごみになっちゃうんじゃないかという心配があるというふうにおっしゃっておられましたけれども、その点も、なるほどそうだなと思ってお伺いしておりました。

 もう一点申し上げたいのは、他産業への波及効果ですとか、あるいは雇用の話なんです。

 私の選挙区でも、太陽光発電のパネルをばあっと張ってやっているところがありますけれども、結局、あれは張って終わりなんですよね。多少その土地の利用代か何かが入るんでしょうけれども、基本的に、それを貸して、発電して、あとはどこか違うところにある会社がそれを売って終わり。

 これは、その地方自体にはいろいろな波及効果は生まれないわけですよ。それは私が申し上げるまでもなくおわかりになると思うんです。ところが、そのほかのものというのは結構いろいろと波及効果があると思うんですね。

 私は岐阜県の山奥の方ですから、林業、農業、こういうものが盛んなところで、今、与党あるいは政府でも、農業、林業を再生しなきゃいけないということでいろいろやっておられると思うんです。

 例えば、今度、未利用材を使った発電は、一キロワットアワー三十三円以上で買い取ってくれるということで、昨年の秋には会津の方で一件始まって、また、ほかでもいろいろ始まっていると思いますけれども、私がちらっと聞いている限りでは、五千キロワットの発電で五十人ぐらいの雇用ができていて、かつ間伐材をおろしてきて発電しますから、当然、林業の方にも波及するわけですね。ですから、これは地方の活性化には一つ大きな役割を果たすんです。

 あるいは、農業でも、畜産なんかは、堆肥、ふん尿、こういうものを燃やしてやるということをすれば、それがまた農業とのシナジーを生むということもあって、多少、発電効率がいいのかどうかという議論は一方でありながら、やはり地方とか、あるいは第一次産業を活性化させるためには、こういうものをどんどん推進していくことが、いろいろな成長戦略の中でうまく絡まっていくと思うんです。

 だから、こういうところをどんどん推進していくような支援策を国がもっとやっていかないと、今見ていただいたとおり普及が非常にできていないので、このままだとずっとこの状態が続きますから、何とか対策を打っていただきたいと思うんですが、この点について、いかがですか。

菅原副大臣 今井委員御指摘のとおり、太陽光が先行している現状、これは、お話がありましたように、スペースがあって、架台を置いて、その上にパネルを置けば、一定の発電につながるということであります。そして、いわば工事に関する期間も短うございますし、また、立地に関しての支障となる規制も少ない、こういったことで先行している現状があります。

 今お話がありましたバイオマス、特に、林業や農業、畜産、その他のもろもろの業界、産業に波及していく、いわゆる雇用においても非常にいい効果があるという御指摘がありましたが、それはそれで全くそのとおりだと思っております。特に、間伐材を集める、そこに人的投資も必要でありましょうし、雇用にもつながっていく。

 そうしたことでありますけれども、実際に、本法律におきましては、まずは、エネルギーミックスを構築する中において、いかにしてエネルギー源をふやしていくか、供給体制を拡充していくかということが一番の根本にあると思っております。

 したがって、こうした太陽光、あるいは太陽光以外でも、風力あるいは地熱、こうしたものも環境アセスが四年と長うございますので、これも環境省と今しっかり検討を進めて短縮させることや、あるいは小水力発電なんかも、水の流量調査、あるいは水利権の取得、こうしたものも二、三年かかっていますから、こうしたことも関係省庁とよく協力をして、短縮して、規制改革を進めていく。

 こうした中で、さまざまな太陽光以外の発電についても努めていきたい、このように考えております。

今井委員 またこれは今後やりたいと思いますけれども、ぜひ、この点、考えていただきたいと思います。

 もうあと二分ですので、最後の質問です。ちょっと細かい質問ですが、きょうは農水省に来ていただいています。

 私の選挙区で、この間、農業用水を使って発電をしようということで、地元の方たちと少し研究したんですけれども、結果的には、農業用水を使って発電をする場合は、その電力は農業に関するもの以外は使ってはいけません、それからもう一つ、もし売電をして受け取った収入は、用水路の修繕とか、そういう目的以外には使ってはいけません、こういうふうに言われたんですね。であるとすると、やはり非常に使途が制限されて、皆さんやりにくいんですね。

 だから、こういうところのいわゆる要件の緩和とか、こういうのをぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

實重政府参考人 小水力発電についての御質問を頂戴いたしました。

 農業用水路などの農業水利施設を利用して発電を行う小水力発電につきましては、農村の豊富な資源を活用いたしまして、我が国のエネルギー事情に貢献すると同時に、農村の活性化に寄与するところがありますので、私どもも積極的に推進しております。

 特に、小水力発電の場合には、適地の調査ですとか設計、こういったことが重要でございますので、これらに対する助成を行っているところでございます。

 今委員御指摘の、農業用水路の管理者として、土地改良区の場合もありますし、それから市町村や農協等、いろいろ考えられるわけでございます。

 土地改良区の場合でございますが、土地改良区は、土地改良事業を行う公共的な団体でございます。実施することのできる事業の範囲、土地改良区という団体の行為能力の範囲が限定されておりまして、そのために、小水力発電によって生じた電力、あるいはその売電収入につきましては、土地改良施設の管理に用いるということにしているものでございます。

 他方、市町村とか農協その他の団体が小水力発電を行う場合においては、土地改良区のような限定はございませんので、それぞれの団体の性格、事業範囲に応じて利用することができるものでございます。

 今後とも、こういった小水力発電によって生じた電力とか売電収入が有効に活用されることが大事でございますので、発電主体の業務の性格とか範囲において適切に利用されるよう努めてまいりたいと思っております。

今井委員 もう時間ですから終わりますけれども、土地改良区の話だって、行為の制限は別に、今決めているものを変えればいいだけの話なんですよ。できますから。これからどんどんやっていきたいと思いますので、次のこれからの委員会でこの点は議論していきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 先週に引き続きましてお時間をいただきまして、大変ありがとうございます。

 先ほど今井議員がお話ししていましたが、この電力システム改革は、しっかりとやるということと、あとスピード感も重要になってくるだろう。その点におきまして、大臣の方から、スピードアップもあり得るというふうなお話をいただきましたので、大変心強いお言葉だったなというふうにまず最初にお話しさせていただきます。

 といいますのも、三月に一度、同じように私の方から、時間がかかり過ぎじゃないか、もっと早くどんどんやっていくべきじゃないかというお話をさせていただきまして、その際、茂木大臣の方からは、環境整備であるとか、その他条件をしっかりと踏んでやっていくべきものだというお話がありました。

 ただ、ちょっと一つだけお話をさせていただきますと、やはり一つは状況が整備されていくこと、それから競争市場ができてくることというのも重要かと思うんですけれども、やはり制度を変えてやることで、新規の参入が促され、自由化されることもあるだろうと思っておりますので、ぜひとも、今回の法案の後、第二段階、第三段階というふうになってまいりますので、その際には、しっかりと状況を見きわめて、スピードアップできるものはスピードアップしていただければというふうにお願いをさせていただきます。よろしくお願いします。

 まず最初に、供給地域がまたがる託送契約の前提についてということでお話をお聞きしたいと思います。

 今回の電力自由化に伴って、新たな参入事業者が遠隔地の需要家との託送契約を締結した場合、需要家は、遠隔地の契約事業者が電力をジェネレートしたものをそのまま直接的に供給を受けるわけではなくて、需要家の近隣地で発電された電気の供給を受けて、広域系統運用などの機能によって、発電事業者間でいわば玉突き融通をするということを聞いておるんですけれども、この認識で正しいかどうかをまずお話しいただければと思います。

糟谷政府参考人 電気というものの性質上、系統の中の電気は一体となっております。つまり、電圧、周波数、これは、いろいろな発電所から流れ込みますけれども、系統の中の電気は周波数、電圧が一緒に上がったり下がったりいたします。そういう意味で、いろいろな由来の電気があるわけでありますけれども、これが系統の中で一体となっているということであります。したがって、何か融通をしますときには、実際問題、玉突きのような形になるというような見方になるということだろうと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 ただし、今の前提というのは、私が考えるに、全国各地、ふんだんに、不足なく電力があるという状態が前提になっているんだ、そういう考え方があって、いわば安定供給電源が確立されているということが前提となったお話だというふうに思っております。

 ただ、現状を見てみますと、三月十一日のお話があり、それから今の原子力発電がこれからどういうふうになっていくのかということもあって、考えてみると、どうしても、今の状態で安定供給電源がしっかりと確保できているのかというところが一つ問題になると思っています。

 もう一つ考えられるのが、需要家の選択の自由という部分では、例えば、再生可能エネルギーを自分は使いたいんだといったときも、その近隣地で発電されている再生可能エネルギーは全くないという状態で、原子力による発電もしくは火力による発電などしかないといった場合には、契約としては、遠隔地にある再生可能エネルギー、例えば太陽光発電をやっているような事業者と契約をするんだけれども、直接的には需要家は近隣の、原子力であったり火力であったり、そういうふうなところで発電されている電力を使うと私は考えているんです。

 その点は間違いないかどうかを確認させてください。

糟谷政府参考人 先ほどお答えしましたように、系統の中の電力、電気は混然一体となっておりますので、どこのもので発電されたものかということが全部合わさっておるわけであります。

 ただ、再生可能エネルギー由来の電気を使いたいという方がふえれば、やはりそれだけ再生可能エネルギーの発電というのもふえるわけでありまして、実際に使っている電気というのはまざり合っておりますけれども、再生可能エネルギー由来の電気を使いたいという人がふえればふえるほど再生可能エネルギーの拡大につながる、そういうことは言えるんだろうと思います。

木下委員 そうなんです。マクロで考えたときには、再生可能エネルギーを使いたい、近隣地になくても使いたいんだという方が遠隔地にある事業者の方と契約すれば、どんどんそういうニーズも高まってくる。ただ、ミクロな形で考えたときには、近隣地の、実際に原子力それから火力などでジェネレートした電源を使わざるを得ないという状態なのかなと思っております。

 立ち返ってみますと、三・一一の事故であったりとか、核燃料サイクルがいまだにしっかりと確立されていないという状態の中で、今の世の中を見ると、人類として本質的に考えると、経済的インパクトのみを最大ポイントとしたような原発利用というのは、少し原発依存という部分ではやはり低減していくというのが今の国民の意思なのかなと思っております。その中で、安定供給電源確保ということを考えたときに、実際に今の玉突きをして電力を使用するというやり方がここ数年の間にしっかりと確立できるのかどうかという心配を少し持っております。

 その辺について、大臣、御所見があれば一言お願いいたします。

茂木国務大臣 先ほど糟谷部長の方から答弁させていただいたように、送配電網に入れば一緒になるわけでありますけれども、需要家で再生可能エネルギーが欲しいという方がふえれば、当然、それに見合った発電量というのは生まれてくる。同時に今、固定価格買い取り制度等々によってこういった再生可能エネルギーの最大限の導入の政策をとっております。さらには、風力でいいますと発電の適地と消費地が違っておりますから、それに向けた送電網の整備であったりとか、そういったことを含めて、できる限り再生可能エネルギー、コストの問題もありますけれども、導入の拡大を図っていきたいと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、今回の電力システム改革が達成された以降というところで、先週金曜日に私の方から質問させていただいたんですけれども、電力システム改革は二〇一八年から二〇年ごろにある程度確立されて、それ以降も含めてベストミックスという部分で、どういった電力が使われていくべきなのかということを感覚的にで結構なのでと大臣の方から御所見をいただいたんですけれども、今のお話はまさしくそういうことなのかなと思っております。

 ただ、私は、やはりスピードアップしてどんどん物事をやっていくと考えたときに、今の状態では、原子力発電自体を解決するのには、この電力システム改革とは別に相当な時間がかかってくるだろう、その中で安定供給電源をしっかりと確保するというのは相当困難ではないのかなと思っております。

 そこでお話をさせていただきたいのが、これも前回、次回にお話ししますと言った話なんですけれども、安定的かつ安価にというポイントを考えたときに、やはり電力の輸入ということについて本格的な検討を早期にしていかなければならないのではないかなと思っておるんですが、そういう点について、今の現状等々をお話しいただければと思います。

茂木国務大臣 電力の輸入の問題、それから電気事業への外資の参入の問題は、従来から、外為法に基づいて、公の秩序の維持を妨げるおそれがないかどうか、すなわち、電気事業について申し上げますと、我が国の電力の安定供給の確保などに支障を生ずることがないかどうかといった観点から、個別に審査を行っていくということになると思います。

 電力システム改革を行った後においても、引き続き、我が国の電気の安定供給の確保の観点から問題がないと認められる限り、多様な事業者の参入が認められる方向で対応してまいりたいと考えております。

 そして、電力輸入のために電力系統を海外と接続することについてでありますけれども、電力調達の多様化に資するというメリットもあります。ただその一方で、国際連系線を通じて、仮に電力供給の一部を海外に依存するということになった場合に、そのポーションがどれくらいになるかとかいろいろなことはありますけれども、相手国の政策変更によって供給が途絶してしまうリスクがどれぐらいあるのか、また、相手側で大規模停電が起こって、それが伝播することによって安定供給が妨げられる問題はどうなのか、費用対効果の問題であったりとか、そもそもコスト負担を誰がするのかという問題がある、それから、遠くから送電線を運んできたりしますから送電ロスの問題であったりとか、さらにはそれを技術的にどう解決するのか、さまざまな課題はあると思っております。

 ただ、先入観を持たずに、いずれにしても、電源の多様化、そして調達先の多角化というのは図っていきたいと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 実は、私が本日用意していた質問のお返事がほとんど今の中に入っているのかなというふうに思っておりまして、今のお話を逆に私が少し補足するような感じで質問を続けさせていただければなというふうに思います。

 先ほど三月にも質問しましたと言ったんですけれども、四月に質問した際、外為法の問題で、同じようなケースが一回ありましたと。

 それはどういうことかといいますと、電源開発株式会社、Jパワーの発行済み株式の二〇%取得方針を出したケイマン諸島の投資ファンドが入ってこようとした際に、投資ファンドでケイマン諸島の会社だということで、国内の安定的な電源供給がしっかりとできるのかとか、安全の保障に支障を来すことがないようにと規定している、その規定に抵触するだろう、該当するだろうということで否決されて、その株式が取得されなかったというお話がありました。

 その際にも少しお話しさせていただいたんですけれども、私は、外為法だけで、今後自由化がなされたときにしっかりとそういったものを判断できるのかどうかというと、これはそうではないんじゃないかなと思っております。

 例えば、外資が入ってきて国内のものに投資するといった場合にそういうことはあり得るんですけれども、逆に言うと、海外に日本の資本が出ていって、一〇〇%出資で事業会社、電力会社をつくって、それで電力を日本に対して送出してくるといった場合、これは外為法でどういうふうにやるのかというと、なかなか判断がしづらいんじゃないかなということを考えておりまして、その他も含めていろいろなケースが考えられると思います。

 これについても、茂木大臣に前回お話をいただいた中では、いろいろなケースが出てくるだろう、その都度その辺はしっかりと検討されるということをお話しいただいておりました。

 そうはいいながら、先ほど言われたように、送電ロスの問題であるとか、安定的な供給がなされないおそれがたくさんあるだろうということをおっしゃられていたので、その辺について、実は、前回もちょっとさわりはお話しさせていただいたんですけれども、調べてまいりました。

 これは、私の出身の三井物産という会社とソフトバンクさんが今、ロシアのサハリンとか、あっちの方で発電したものを日本に出してこようというふうなことを考えております。茂木大臣に前回お話しいただいたように、コストの問題であるとか、送電ロスの問題であるとか、安全保障上の問題であるとか、そういった部分についていろいろとお話を聞いてまいりました。

 まずコストの話なんですけれども、彼らが考えているのは、まず最初に、サハリンに風力及び天然ガス由来の電気を発電するというものを一つ考えていて、それからずっと日本、北海道の方へ来るまでの間にシベリアを通るんですけれども、シベリアでは水力であるとか石炭由来の発電所設備をつくる、そこを両方あわせて、北海道経由で日本の方に電力を入れていこうということを考えている。

 彼らが試算している中で見ると、発電費用と送電費用の両方を合わせて、一キロワットアワーが、今算出されているのではおよそ九セントでできるというふうに言われています。この中には営業費用であるとか国内の託送費用というのは入っていないということなんです。

 これを単純比較するのは難しいのかもしれないんですが、東電の今の小売価格を見てみると、平均しまして一キロワットアワーが二十七セント、九セントと二十七セントという違いがあります。なお、その中には当然営業費用なんかがいろいろ入ってくるので、そこはある程度差は縮まってくると思いますが、明らかな違いがまずここにはあるかと思っています。

 それから、割合の問題も先ほどちょっとお話をいただきましたけれども、ロシア・サハリンルートで、今、我が国の年間電力消費量が一・一兆キロワットアワーというふうなことになっていますが、最大でその六%程度、六百六十億キロワットアワーの電力を供給することができるだろうと彼らは考えているということです。

 もう一つ話があったのが、送電ロスなんです。

 送電ロスに関しては、皆さん御存じだと思いますが、直流の高圧送電線というのを使えば、三千キロメートルで五%程度のロスで何とかなる。これは非常に大きな問題です。三千キロメートルというと相当長い距離です。それを五%ほどのロスで何とかしていくということを言われていて、これは中身の精査がやはり必要になるだろうと思うんですけれども、今出てきた事実を考えると、彼らも事業性があると思ってやっていますから、相当現実味があるんじゃないかなというふうに思っております。

 もう一つは、ちょっとしゃべりっ放しで申しわけないんですけれども、御報告をさせていただきたいんですが、安全保障の問題なんです。

 安全保障の問題に関しては、前回、金曜日にもどなたかが質問されておりましたけれども、石油であるとか天然ガスであるとか、その辺の輸入の経路の話を、大臣もお話しされていましたが、ほとんどのものがホルムズ海峡を通ってくる。原油は八〇%ぐらいがその海峡を通ってきますし、LPガスでも八三%、天然ガスでいいますと二四%ぐらいがそこの海峡を通ってくる。

 そこからまたずっと船が日本に来るときに、インドネシアを通って、マラッカ海峡かスンダ海峡、それかロンボク海峡、この三海峡を通ってくる形になって、いずれもルートがすごく限定されている、政情不安もあるところだということを考えますと、ロシア経由でやること自体は、いろいろなオプションを持っておくという意味では非常にいい考え方なんじゃないかなと思っているんです。

 ちょっとこの辺で内容を切らせていただきまして、今の事実、私の方からお話しさせていただいた点について御認識があるかどうか、もしよろしければ。

茂木国務大臣 お考えとしてはわかりますし、よく研究をされたなと思っております。

 我々も今、例えば石油等々が地域偏在性がある中で、ホルムズの問題を初め地政学的なリスクもあると考えておりまして、ですから、やはり資源調達先の多角化といったものもLNGも含めて考えていかなければいけない、そんなふうに思っています。

 実は、同じような試算、これは、電力を海外で発電して日本に持ってくるものでなくても、今よりもう少し安いコストで持ってこられる、そういうビジネス上の試算をされている企業はたくさんあるわけでありまして、そういったことは大いにやっていただきたい。それがビジネスにつながっていくということはいいことなんだと思っております。結果的に、安定供給に資する、そして低廉なエネルギーコストに資するといったことであれば、進めていただきたいと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 そうなんです。今のお話のとおりです。今のお話だと、日本の全電力の六%程度だということなので、こういったものを、オプションというのか、いろいろな選択肢をたくさん持っていくことがうまくできれば、安定的な供給という部分で、実際の発電という部分での安定的な供給もそうですし、それから安全保障上の問題についても考えた上での、実質的なバランスがとれた安定供給というのがなされてくるのかなというふうに思っております。

 そうはいいながら、お話を続けさせていただきますと、普通に一般企業なんかは、どうしても一番最初に利益を考えて、そういうことを考えていく。これは確かに一般的な企業としては当然だと思っているんですけれども、その一般的な企業が、利益を考えるのと同時に、相当強く思っているところが、一つは、社会貢献という部分についてもあわせてしっかりと考えていきたい、それを相当彼らは言っております。

 これも先週金曜日に近藤委員がおっしゃられていたんですけれども、例えば三井物産は、七〇年代から八〇年代後半にわたってイランのIJPCというところで投資をして相当な失敗をした、失敗というのか、安全保障上の問題があって、イラン・イラク戦争などに巻き込まれて、投資を放ってそのまま日本に戻ってこなければならないという状況があった会社です。

 彼らは、そういう意味では、エネルギーに関して手を出すということは、通常で考えたら相当慎重にやる、やらなければならないということをしっかり考えているんですね。

 私は、会社に入ってしばらく、二十年ほど勤めていたんですけれども、その間にもやはりいろいろなことがありまして、例えば、何年になるか、十年にもなっていないですね、あるときに、またこれも同じように、日本の北の方の、その当時の国会議員さんの絡んだ小規模の発電設備の入札で談合事件がありまして、そういう不祥事がいろいろと重なって刑事事件に及んだということがありました。

 その際に、それ以外にも不祥事が三井物産は重なったんです。重なったときに社長が交代しまして、社長が言ったのが、もうけ至上主義というのはやめよう、やらなきゃいけないのはいい仕事、いい仕事とは何なのかということをもう一度考え直してみよう、それで、自分たちが何をするべきなのかということを考えて、仕事を立て直していくんだという話をされました。

 その際に、私たちその当時の社員は何をやれと言われたかというと、考える際に、過去の先人たちの教えをしっかりと見てみろというふうに言われまして、そのときに、三井物産の過去の経営者の言葉を嫌というほど読まされました。

 読まされた中にあったのが、初代の社長、およそ百三十年から百四十年前、益田孝という二十九歳で三井物産を起こした人間なんですけれども、彼が言っているところが、眼前の利に迷い、永遠の利を忘れるごときことなく、遠大な希望を抱かれることを望む、こういうふうなことであるとか、あとは、戦後、財閥が解体されて新生三井物産ができたときに二代目社長だった水上達三さんとおっしゃる方、この方がすごくいいことを言われているんですけれども、変化する社会、経済の要請に応え、世界規模での諸問題の解決にも積極的に関与し、豊かな社会の実現に向け、その機能を十分に発揮すべきである、こういう言葉を残しております。そういう言葉をどんどんたたき込まれまして、まず最初に、もうけ至上主義じゃなくて、しっかりと社会貢献をした上で利益が生まれるようなものを考えていけと教え直されました。

 そういった彼らが、ソフトバンクさんと組んでこういうことを考え出して、やろうとしています。

 もっとすばらしいなと思ったのは、実は、ロシアから電力を北海道経由で回していくことだけを考えていないで、彼らは、サハリンであるとかそういったところで発電されたものを、今度は中国を通って韓国側からも電源を供給したいということまで頭の中に入れている。

 これはなぜかというと、今の二カ所の発電設備だけじゃなくて、韓国内であるとかモンゴルであるとか、ああいったところの発電設備についても投資をしていって、全体的な構想として安定的な電源供給ができるようにしようと。もう一つ言いますと、日本に対してだけじゃなくて、その中継地点にある中国に対しても電気を出していこうというふうなことも考えているんですね。

 この意味合いというのは実は私はすごく大きいと思っていまして、なぜならば、日本として安定供給電源を確保するということだけではなくて、中国に対してもするんだ、そこは、アジア全体として電力の相互依存関係をつくっていくんだということを考えている。

 それは、一つ、私なんかは単純なので、中国は今大気汚染の問題もあります、そういったときに、我が国の発電の技術がしっかりと中国に入っていくということができれば、環境に対しても優しいし、アジア全体の電力の相互依存関係というのができ上がれば、非常に大きな威力を発揮するのではないかというふうに思っております。

 この点について、非常に長く話してしまって申しわけないんですけれども、茂木大臣の方から御所見をいただければと思います。

茂木国務大臣 委員も商社出身でありますが、私も菅原副大臣も同じように商社出身でありまして、先達のすばらしいお言葉も聞かせていただきました。もちろん、企業でありますから、ビジネスを通じて収益を上げる、そしてその収益を株主また社員に分配していくということは重要でありますが、同時に社会貢献ということを日本の企業は考えているんだと私は思います。

 特に、地方においてそういう企業がかつては多かったんですね。旦那衆という言葉があります。この旦那というのは、もともとサンスクリット、梵語です。ダーナ、お布施をするというところから来ておりまして、やはり自分が出した利益を地域のために使っていく、こういった発想を持つということは極めて重要なんだと思っております。

 私は、日本の企業は、余り短期的な目先の利益にとらわれずに、エネルギーの問題もそうでありますけれども、中長期的に国益のことも考えてしっかり事業を推進していると思いますし、またそうしてほしいと思っております。

 さらに申し上げると、これから発展するアジア大洋州地域において、さまざまな形で、経済そしてエネルギー等々、相互依存関係、ネットワークを強めることによって、もちろん、いろいろな課題、それぞれの国の間に問題というのはあるわけでありますけれども、それを乗り越えるような協調関係をつくっていくということは極めて重要だ、このように考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 もうあと五分ほどなので、今の点、そのままもう少しお話をさせてください。

 相互依存関係はやはり大きなところだと思っていて、一つは、どうしても考えなきゃいけないのは、今の原油の輸入ルートもそうですし、電力もそうなんですけれども、政情不安があったり、カントリーリスクの高いところを通ってくることを考えなきゃいけないということ自体がやはり一番大きな問題だと思っております。それをしっかり正していくことというのが、本来、一番最初に私たちが望むことであり、やっていかなきゃいけないことなんだろうなと思っているんですね。

 そういうところから立ち返って、今回の電力システム改革を考えたときに、まず最初に自由化するんだとかいうことはあります、当然そういうことはしっかりと整備をしていかなきゃいけないんですけれども、もう少し目線を広く見ていくことが私たちがやらなきゃいけないことなんじゃないかなと思っております。

 そういう考え方に基づいて彼らに話を聞いてみると、相当遠大な計画を立てておりまして、本来であれば私たち政治家が言っていかなきゃいけないようなことを彼らがばんばん言ってくる。逆に、話を聞いていると圧倒されるような状況だったんです。

 今後の、政情不安も含めて考えていったときに、一つは、ロシアの場合は北方領土の問題があり、中国もさまざまな問題があります。そうなったときに、今世の中でよく言われていることというのは、武力的な解決方法はどうなんだとか、そういうことはいろいろと話がされているところです。これを日本が言っているかどうかというのは別としても。

 ただ、我が国としてやらなきゃいけないのは、特に経済の面で相互依存関係というのをしっかりつくっていくこと、これによって今の状況を打破しなきゃいけないんじゃないかと私は強く思っておりまして、恐らく茂木大臣も同じ御意見だと思うんです。

 やはりそういうことを考えたときに、この電力システム改革というのは国内だけの話ではなくて、将来にわたってどういうことをやっていかなきゃいけないのか、そういうことをしっかりと大臣からもっとお話しいただいて、しかも、経済的な相互依存関係で平和的な解決方法で臨んでいくんだという意味では大臣の肩にかかっているんじゃないかなと私は思うんですけれども、最後に一言、その点についてお話しいただければなと思います。

茂木国務大臣 今後のエネルギー政策を考えるに当たって、先生御指摘のグローバルな視点は極めて重要だ、私はそのように考えております。

 同時に、国内においてこれまで六十年間続いてきた制度にさまざまな限界が見えているわけでありますから、そういったものもこのシステム改革によって変えていきたい。

 それから、ほかの先生からもいろいろ御指摘がありましたが、もう一回コミュニティーというものも見直して、電力についても地産地消といったものも考えていかなければいけない。かつて、中江兆民がルソーの民約論を訳すときに、ソサエティーという言葉が日本になくて訳せなかったんですね。それで、神社で会う、社で会うというところから日本の社会という言葉は来ています。小さなコミュニティー、これが日本のコミュニティーなんですね。グローバルな視点を持ちつつ地域のコミュニティーを大切にする、こういったことも重要だと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 私は、この経済産業委員会に属させていただきまして、本当によかったなと。先ほどの旦那のお話もそうですし、社会のお話も、どんどん知見が広がっていくので、ここへ立つのが毎回うれしくてしようがないんですけれども、大臣、またこれからもぜひともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦でございます。

 きょうも、茂木大臣、菅原副大臣、本当にありがとうございます。各省の幹部の皆様方、本当にありがとうございます。

 さて、きょうのテーマは、電力システム改革によります森林バイオマス発電の可能性についてであります。

 先般は、豊田市のスマートハウスの話題が出ましたが、これは、燃料電池、太陽光、スマートメーターなどの最新技術の粋を集めた最新鋭システムだったと思います。

 一方、今度は、同じ愛知県三河地方でも、額田という山林がありまして、そこで額田バイオマス火力発電所プロジェクトというものがございます。これに触れながら、愛知県人というのはやはり机上の話より現場に根差した泥臭い面もございますので、そういう風土のもとで議論をさせていただきたいと思います。

 これは、町を挙げて、地域を挙げて、潜在する木材エネルギーをさまざまな段階、分野で最大限発揮させる、こういうプロジェクトでありまして、このプロジェクトに参加される方々というのが、たまたま原発の問題がきっかけではありましたが、本当にエネルギーについて真剣に向き合うようになりました。

 単に脱原発だとか再稼働反対とか言っているだけで、誰かが何かやってくれるんじゃないか、こういう人任せの改革ではなくて、自分たちの暮らしを守るには、自分たちで社会を変えるために具体的な実践的な行動を起こしていかなければならない、こういうことであります。

 私自身も、決して単純な脱原発派ではありませんが、逆に、原発推進というのは、今までどおりですし、ある意味で楽なことだと思います。新しい社会を構想することが政治家の役割でありまして、その意味で、前の政権の反動だということはわかっていながらも、できることしか言いませんという、どこかで聞いた公約もちょっと夢がないなということは思い続けておりました。

 やはり、世の中、やってみなきゃわからないことは幾らでもあると思います。リスクをかけてやるという民間事業者のとうとさというのは、こういうところにあるのではないかと思います。

 また、これまでの日本社会では、過疎地域とか、少子高齢化が進んで人口が減っていく、そういう寂れていく地域、これはもうどうしようもないんだ、疲弊したってもうこれはどうしようもない、そういうぐらいの雰囲気がありました。

 しかしながら、前回の質疑でも申し上げましたとおり、例えば、生ごみのバイオマス発電をやるとなれば、生ごみの分別がきちんとできるコミュニティーが、まさに茂木大臣が言われたソサエティー、地域社会がしっかりとしている、コミュニティーがしっかりしている地域の方が可能性があるわけですし、こうした地域の力というものを信じて、人を信じて地域社会で生きていく、こういうありがたさを感じることができるのがやはり真の地域社会だと思っております。

 今回の電力システム改革は、一言で言えば、こうした田舎と言われる地域の可能性をも最大限引き出すものだと信じております。

 一昨年の東日本大震災がもたらしました大問題、原発、エネルギー問題が私たち人類に投げかけた課題には、私たち人間が、謙虚に、流されることなく、自然と共生しながら主体的に社会を変えていく、こういうテーマが与えられた。電力システム改革というものも、こういうものにのっとった大きな社会変革でなければその名に値しないのではないか、このようにも感じている次第でございます。

 さて、前置きはこのぐらいにいたしまして、森林には多面的な機能があるとよく言われております。もう釈迦に説法でございますが、単に木材資源というだけではなくて、防災だとか水源の涵養、水質を保全する、そこから里山、そして平地、海へと、豊穣の海までつくり出すのが森林だと思っております。

 ほぼ全国的に、多分都道府県税が多いと思うんですが、森林環境税というものも地方税として整備されまして、大切な森林が保全をされている次第でございます。

 しかしながら、現代を生きる忙しいビジネスマンの皆さんにこういう理念的なことを幾ら言っても、どうしても届かない部分がある。やはりビジネスとしてやっていく以上は、数字というものを大事にしていかなければならないと考えております。

 きょうは、一つ具体的な例といたしまして、一本の樹木、ここをベースに議論させていただきたいと思います。

 まず、林野庁の次長に御質問させていただきますが、一本の樹木というのは、樹木は当然水を含んでいるので、乾燥重量という単位が使われるようですが、平均一本当たり大体何キログラムでありましょうか。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 規格化するのがなかなか難しい部分がございますけれども、例えば三十五年生の杉を例にとりますと、百三十五キロぐらいということになります。大きいもの、太いものがございますので、若干そこはアローアンスがあるというのは御承知おきいただければと思います。

重徳委員 三十五年で百三十五キロということでありました。

 この後数字をいじりますので、簡単に、もうちょっと巨木で、二百キロあったというふうにちょっと無理やり設定させていただきます。

 樹木というのは、私がきょう整理したいのは、三つ効用があるかなと、つまりエネルギー面で。エネルギーを創出する面と、それから省エネ効果、あるいは環境とか、そういういろいろな意味でエネルギーというものに着目しますと、三つの局面があるのではないか。

 まず一つ目は、木が育ちます。三十五年、最終的には五十年ぐらいの杉の木になると思いますが、二百キログラムの樹木一本は、一体どのぐらいのCO2の吸収効果があるのでしょうか。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 樹木一本二百キロというふうに仮定した場合、炭素が大体百キログラム含まれるということでございます。ですから、それだけの炭素を含んでおりますし、二酸化炭素トンで換算して申し上げますと、〇・三七二酸化炭素トンをその樹木が吸収しているということになろうかと思います。

重徳委員 今〇・三七とおっしゃったのは、〇・三七トンということでよろしいでしょうか。

 つまり、元素記号を久しぶりに分解しますけれども、炭素Cが百キロ。そうすると、Cが十二でCO2が四十四になりますから、十二分の四十四を掛けて三百七十キロというふうに理解をさせていただきます。この分だけ森林はエネルギーを、例えば化石資源が燃やされたときのCO2を吸収する効果があるということであります。

 そして、次の局面は、その生えた木を伐採します、そして木材として使います。百キロの炭素を吸収しました木材が切り出されて住宅に使われる。

 このときに、きょうはちょっと恐らく数字は用意できていないのかもしれませんけれども、最近ある有識者の方がおっしゃっていたのが、最近は、公共施設を中心に、鉄筋コンクリートの建物が非常に多いです。

 コンクリートをつくるには、原材料を山から掘り出して、水とまぜて形をつくってというところからやります。鉄は、鉄鉱石を輸入して、コークスですか、石炭とかと一緒に燃やして、莫大なエネルギーを使って精製されるわけですから、これにも非常に大きなエネルギーが使われている。

 これに対しまして、木材というのは、もう既にあるわけです。物はそもそもできている。その形を少し変えて成形して、そのまま建材に使われるということでも、エネルギー的には、外国のものをわざわざ運んできたらエネルギーはかかっちゃっているんですが、地元の森林の木材を使う限り、これは昔から、もう何千年もの営みの中でやられてきたことですから、全く余計なエネルギーがかからないということでありますし、日本は特に昔から木材建築が中心だったわけでありまして、これについてもうなずける話ではないか。つまり、使うに当たっても、かなり省エネルギー的な建材として木材は使われるのではないかということであります。

 本当は、鉄筋コンクリートでつくった建物と木材でつくった建物を比べると、どのぐらいそこに使われるエネルギーが違うんでしょうか、そういう問いかけをしてみたかったんですが、きのうの打ち合わせでは、ちょっとそこまではきょうのあしたではできないということで、大変恐れ入りますが、国交省さんとの御関係もあると思いますので、ちょっとそこでまた私も一緒に勉強させていただきたいと思っております。

 そして、第三の局面に移りたいと思います。

 今言いました一本二百キログラムの大きな木が、百キログラムの炭素を吸収した形で建材として使われます。それから数十年がたちまして、もうそろそろ建てかえだというふうになりますと、取り壊しをします。そうすると、廃材が出てきますので、今度はこれを燃やして、その焼却熱を効率的に使えば、お湯を沸かすのに使えたり、もちろん暖をとるのにも使えますし、最終的に、さらに二次利用で発電に使うということもあると思います。

 この廃材を一次エネルギーベースで考えると、化石燃料と比較したときにどのぐらいのCO2を排出するか、あるいは、どのぐらいの化石燃料のエネルギーと同じぐらいであって、そのときに生まれるCO2はどのぐらいなんでしょうか。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 木材一キログラムを燃焼させた場合にどれぐらい発熱をするかという係数がございます。そちらを使いますと、先生が先ほどおっしゃいました二百キロの樹木で想定をいたしますと、約九十二万キロカロリーの熱量ということになろうかと思います。

 もう一方で、重油を燃やすというのが、今までのむしろ多いケースがございますけれども、こちらが大体一リットルで九千三百四十キロカロリーということになっております。

 そういった係数を使いますと、樹木二百キロで大体A重油百リットル、A重油百リットルを燃やしますと大体二百七十一キログラムのCO2を排出するということになろうかと思います。

重徳委員 ありがとうございます。

 今のは重油との比較ということでよろしいですね。重油の場合は百リットル分が使われるのと同じ、ちょっと大き目の巨木、二百キログラムの樹木を燃やすのと百リットル分が同じぐらいで、重油を燃やした場合は、これは化石燃料ですから、もともと地下に眠っていて、世の中に出てくるはずじゃなかったCO2が二百七十一キロ分空中に排出される、そして排出されっ放しです。

 これに対しまして、木材の場合は、後ほど申し上げますけれども、循環していくということなんですが、ちなみに、重油百リットルというと、一般家庭で使うどのぐらいの熱量なのでしょうか。御参考までにお願いします。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般家庭は一年で大体六百リットルの灯油を使うということでございますので、若干計算上のあれはございますけれども、A重油百リットルと申しますと、一般家庭で申し上げますと、大体二カ月分の灯油に相当するであろうということでございます。

重徳委員 承知しました。大き目の樹木一本を燃やすのと同じエネルギーは、重油で換算すると一般家庭で二カ月分ということでございます。

 これはもう釈迦に説法と思いますが、木材を燃やしたときのCO2は、そのまま次の世代の樹木が育つときに吸収されていくわけですから、全くこれはカーボンニュートラルということであります。

 そういうことで、申し上げたいのは、今のような数字で、環境に非常にニュートラルな形で木材は循環する。しかも、一つの新しい提案としては、木材を使うことによって、鉄筋コンクリートづくりよりも環境に優しい、逆に言うとエネルギーを使わずに済む。省エネという観点からすると、これは経済産業委員会の非常に重要なテーマに入ってくるのではないか、このように考えております。

 そういう意味で、今回の電力システム改革は決して今の話と無縁ではない、社会システムの転換まで構想するのが私ども政治家の役割ではないかと考えております。

 少し切り口を変えていきたいと思うんです。

 今でこそ、自動車産業というのは、大変なアベノミクスの円安で大幅に利益がアップしてきているということでございますが、つい最近まで非常に円高に苦しんでおりました。そういうこともありまして、特にエコカーに対しましては、環境配慮型の技術への転換を支援するという意味も込めまして、エコカー補助金という制度がございました。

 このエコカー補助金というのは、どのぐらいの期間にわたって、どのぐらいの金額が投じられてきたか、これについて教えていただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答えを申し上げます。

 エコカー補助金については、まず、平成二十一年度補正予算におきまして、二十一年四月から二十二年九月までの期間、予算額でいうと六千三百億円。それから、もう一度ございまして、平成二十三年度補正予算におきましては、二十三年十二月から二十四年九月までの期間で、予算規模で申し上げますと三千億円。この二回のエコカー補助金制度がとられております。

重徳委員 済みません、ちょっと期間を正確に言っていただけますか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 一度目は一年半、一年六カ月でございます。二回目が九カ月でございます。

重徳委員 失礼いたしました。

 一年半、その次が九カ月、それぞれ六千三百億円と三千億円ということですから、合わせまして、二年三カ月で九千三百億円という数字になるかと思います。そうしますと、一年当たり四千億円程度という数字になります。

 私の父親も自動車会社で働いておりましたので、私も生まれ育ったのは自動車会社のおかげだと思っておりまして、本当にありがたい制度だったということを前提に申し上げながら、一方、この補助金の一つの成果指標、単に自動車会社を応援するというだけではないと思うんです、あるいは、購入する手助けをするというだけではなくて、やはり公共的な目的があったという意味では、成果指標、CO2の削減効果がどの程度あったのか、これが問われることになると思いますが、どうでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げた二つの制度のうち、前者の方にしか推計がございませんが、平成二十一年度から実施されましたエコカー補助金などの施策の効果について、環境省におきまして、対象車種とか走行距離など、一定の仮定を置きまして試算をした結果、二十一年度、二十二年度の二年間で約百万トン、年間の平均で申し上げますと約五十万トンのCO2の削減効果があったという推計になってございます。

重徳委員 さて、ここからなんですが、エコカー補助金は、一年四千億円で五十万トンのCO2が削減されたということでございます。

 では、同じだけの効果を生み出すために樹木何本分の、これは実際の数、さっきの巨木ばかりが世の中にあるわけではないので、一本二百キログラムじゃなくて、一本百三十五キロですね、一本当たり平均三十五年生の樹木、百三十五キロという前提で構いませんので、樹木何本分に相当するか、そして森林でいうと平均して何ヘクタール分に相当するかをお答えいただきたいと思います。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどの質疑でございましたように、エコカー補助金で削減された二酸化炭素量でございますけれども、年間約五十万トンというふうに承知しております。

 これも一つの規格化で計算をいたしますと、百三十五キロの立木一本分で、これがA重油で大体六十六リットルという二酸化炭素の排出に相当するわけでございますけれども、それで計算をしてまいりますと、立木で二百八十万本がエコカー補助金で削減された二酸化炭素の量であろうというふうに計算上なろうかと思います。

 それから、こちらの森林面積でございますけれども、一ヘクタール当たり一千本、仮に植栽されているという前提で計算をいたしますと、二千八百ヘクタールということになろうかと思います。

重徳委員 わかりました。

 要は、エコカーは、一年分四千億円が五十万トンのCO2削減に貢献し、それは森林に換算すると二百八十万本で、およそ二千八百ヘクタールに相当するということなんですが、二千八百ヘクタールといっても想像がつかない方もいらっしゃると思います。

 冒頭申し上げました、岡崎市の六割ぐらいを面積的には占めるんですが、額田の森林というのは、これは組合長によりますと二万三千ヘクタールです。ですから、岡崎市の中の森林面積二万三千ヘクタールのうち二千八百ヘクタール分、一割強の木材に対して四千億円を投じた、そういうことなんです。

 ここは恐らく、私の間違いでなければ、エコカーだったので一年間四千億円の効果、CO2削減効果なんですが、木材というのは三十五年とか五十年ぐらい、四十年ぐらいかけて一本成り立つわけですから、そういう意味では、四千億円を三十五年とかそういう数字で割るとしたとしても、それにしても、一年当たり百億円が岡崎市の額田の山の一割分ぐらいに投じられてもおかしくないという、ここだけ見ればですね、ここは現場第一と言いながら机上の計算なんですけれども、そういう数字になってくるわけでございます。

 そういう意味で、今、篠田次長とされましては、この場でお答えできるかどうかわかりませんが、エネルギーと環境保全という公的な費用対効果だけを考えたときに、今、森林に投じられている予算というのは、それに見合いますか。どういう感触をお持ちでしょうか。

篠田政府参考人 大変お答えが難しい御質問でございますけれども、先生が冒頭でおっしゃいましたように、森林の多面的機能ということで、災害防止でありますとか、あるいは水資源の涵養でございますとか、いろいろな機能を担っているということだと思います。

 経済的な物差しだけではなかなかはかり切れない部分があろうかと思いますので、そういうことを含めて、どれくらいの価値があり、どれくらいの投資が望ましいかということになっていくんだろうと思いますので、よく勉強させていただきたいと思います。

重徳委員 恐縮でございます。

 これはやはり業態も違いますし、何よりも就労人口が全く違います。ちょっと地元の話ばかりで恐縮なんですが、岡崎市の例でいいますと、四十万人近くの人口、就業人口は十七万人ぐらいです。その中で林業従事者は、統計のとり方によるとは言われますが、八十人ぐらいと言われています。百人を切っています。森林組合の職員がたしか四十人ぐらいです。そんなレベルです。

 ですから、現時点でエコカー補助金と全く誰も比べたことがないというのは、そういう意味でも至極もっともなことだと私も思いますが、一方で、森林の所有者というのは何と三千人ぐらいいるんですね。そのぐらい、山の所有権はばらばらになっているわけです。これを管理するのが八十人。恐らく、年齢も高い方が多いと思います。こういう状況の中で、森林の使い方について改めて考えるべきではなかろうかと思っております。

 ところで、また話をかえますが、先ほど、公共建築物を中心に鉄筋コンクリートばかりだというふうに申し上げました。公共に限りません、民間のビルなども鉄筋コンクリートのものがどんどんふえております。実際、私の手元の数字、平成二十三年度の数字によりますと、建築物全体における木材利用度は四三・二%、半分ぐらいは木材です。それに対しまして、公共建築物はたったの八・三%という数字がございます。

 そして、最近学んだことなんですが、歴史的に、戦時中に空襲で焼け野原にされたという反省から、戦後は、燃やされにくい都市をつくろうということで、昭和二十六年、一九五一年に耐火建築促進法というものができまして、特定地域を耐火建築にするための政策が進められた時期がありました。これは十年間限定だったようであります。

 いずれにしても、いろいろ歴史的な背景、それから耐震性を強化するんだというようなことから、鉄筋コンクリート建てが進んできたと思われます。

 一方で、つい近年は、公共的な施設を初めとして、木材建築が見直され始めました。今申し上げましたような趣旨なのかもしれません。

 木材促進法というのが制定されたと聞いておりますが、この法律に基づきます施策の進捗状況をお伺いいたします。

鈴木(千)政府参考人 お答えいたします。

 公共建築物の木造化に当たりましては、一般的な木造住宅に比較しますと部屋の広さですとか床荷重が大きいなど、施工上の条件が厳しい、こういうことで、木造の住宅とは異なる技術的な知見が必要となります。

 このために、国交省におきましては、木造の官庁施設の設計手法を規定しました木造計画・設計基準、こういったものや、木造工事に使用する材料などを規定しました公共建築木造工事標準仕様書を整備してまいりました。

 また、地方公共団体と連携しまして、公共建築物における木材利用の取り組みをまとめました事例集を作成し、周知するなど、木材利用の拡大のための環境づくりを進めております。

 引き続きまして、技術基準の整備ですとか、木材を利用した官庁施設の整備、また地方公共団体への情報提供などを行い、木材利用をさらに促進していきたいと考えております。

重徳委員 ありがとうございます。

 せっかくできた法律ですので、どんどん進めていっていただきたいと思いますし、最近ニュースでもかなり、木材を使った強度の高い建物もできる、こういうこともやっております。そういった意識が国民的に広まってくるのにあわせて、こういった取り組みも進めていくことができればと思っております。

 次に、今回の電力改革の本丸の一つですけれども、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度、いわゆるフィード・イン・タリフの仕組みについて、再生可能エネルギーの今のところの代表選手であります太陽光発電、それから、まだまだこれからというバイオマス発電を比べてみたいと思います。

 まず、太陽光発電というのは、一般のイメージではどうかわかりませんが、稼働率は低いと言われております。夜間はもちろん、雨や曇りの日もあり、稼働率一二%という数字があります。

 そして、雇用の効果というものも、もちろん、太陽光パネルを生産し販売するわけですから、そういった効果は生まれると思いますが、導入した地域における雇用効果というものは、さほどないというか、ほとんどないんじゃないか。設置したら、あとは原料供給も必要がないわけですから、晴れた日を待って、あとは、フィード・イン・タリフによります一キロワットアワー当たり四十円前後の収入が入るということでありまして、あくまで私は推進派ですが、そういう意味で、地域に雇用効果というのは必ずしも発生しないのではないか。

 一方で、バイオマス。今のような森林、あるいは前回議論いたしました生ごみのバイオマス発電、これは全く違うと思います。まさに発電設備を置いただけでは何も進まない。そのかわり、生ごみの場合は七〇%の稼働率が想定されているように、毎日毎日ごみを投入する、あるいは木材資源を投入する、こういう営みが地域に根差していなければバイオマスというものは成り立っていかない。こういう意味で、かなりここは違うと思うんですね。

 そういう意味で、新エネといいましょうか、再生可能エネルギーによります雇用効果を政府としてどのようにごらんになっているかということについて、御答弁いただけたらと思います。

新原政府参考人 御指摘のとおり、太陽光発電の稼働率は大体一二%と私どもとしても認識しております。

 それから、雇用なんですが、先ほど今井委員の方からも御質疑がございましたけれども、基本的には、太陽光の場合には、地元に落ちている雇用というのは建てるところだというふうに認識しています。

 私どもが一つの指標としているのは、実際に、発電事業者が支払っている金額のうちで、地元の工務店とか建設業者に行っている分がどのぐらいあるかということでございます。これは私どもの数字ですと、大体四割強から五割弱でございます。この部分が地域に基本的には貢献している部分。

 これが、千キロワットのメガソーラー一件当たりで、千キロというのはサッカー場二面程度ですが、これで数十名程度が設置工事に必要、こういう感じになっております。運転開始後は大体、保守管理でございますけれども、これは一、二名ということに限定されてくる。

 そういう意味では、農水省さんも答弁を御用意されていると思いますけれども、雇用というところに限って言えば、確かにバイオマスは非常に大きな潜在可能性があるというふうに考えております。

篠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもの森林関係のバイオマスでございますけれども、未利用の間伐材を主な燃料といたします発電施設につきましては、まだ実は現時点で一年間稼働したという例がないわけでございます。

 ただ、調達価格等算定委員会、これは昨年でございますけれども、そこにおきまして事業者の方々から提出いただいた資料によりますと、稼働率が九三%ぐらい、年間三百四十日ぐらいいくだろうと。

 それから、雇用の方のお話でございますけれども、五千キロワット級の発電施設の場合でございますと、発電所自体の運営で約十人ぐらいは雇用ということで必要でしょうし、またその原料も、材料でございます間伐材等がございますけれども、そちらの入手まで含めると五十人ぐらいの地場の雇用効果というものは見込めるのではないかというふうに考えているところでございます。

重徳委員 御答弁ありがとうございました。

 性格がおよそ全然違うということは非常によくわかりました。そういうところに着目しながら、木質バイオマスについて、これからも推進していける地域はどんどんと推進していくべきではないか。制度をつくっただけで、参入するのかという議論がこの委員会でもさんざんやられていますけれども、参入したいとおっしゃっている方は、やはりいろいろなところにいるわけです。ですから、そういう方々をできるだけ後押しする仕組みが必要だと思っております。

 それから、木質バイオマス固定価格買い取り制度の単価は、リサイクル木材、すなわち廃材の場合は十三・六五円、未利用木材、すなわち間伐材は、切ってきたものを山からおろしてくると当然コストも余計にかかりますので、三十三・六円ということになっております。単価だけ比べると二・五倍です。

 それだけかかって山からおろしてくる、これはもう林業そのものの生産性というかコストがまだまだかかるということでありまして、林業そのものが活性化すれば、副次的なものとしてバイオマスも発展していくと思いますし、これからの将来ビジョンによっては、このバイオマスを一大産業にするとすれば、林業だけじゃない、相並ぶ産業の創出ということにもつながっていく可能性は大いにあると思います。

 その意味で、最後に、茂木大臣、ここまでお聞きいただいて、これは本当に経済産業政策と密接不可分な地域の雇用を生み、新規参入したいという多くの方々の力を感じながら今後の経済産業政策を進めていただきたいと思うんですが、最後に御決意をいただければと思います。

茂木国務大臣 電力システムの改革によりまして新たな発電事業への新規参入が進む中で、バイオマス発電も極めて重要だ、またこれが地産地消にもつながっていく、このように考えております。

 きょう、御議論を伺いまして、エコカー補助金と森林等々を比べていただいて、大変興味深い御議論だと思っております。

 一点追加させていただきますと、あのエコカー補助金、私はつくったときの責任者の一人でありまして、リーマン・ショックが終わった後、急速にやはり景気を回復しなければいけない、こういう政策目的を中心にやらせていただいた、このことも御理解いただければと思います。

重徳委員 認識不十分です。ありがとうございます。

 本当に、自動車産業も大事ですし、地域の林業も、森林も大事です。そういう認識で、日本全国が元気になりますように、これからも私自身も努力してまいります。どうか、経済産業省の皆様方、林野庁の皆様方、これからもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 みんなの党の小池政就と申します。

 きょうは、経済産業委員会で質問の機会をいただきまして、委員長、また幹事の皆様、また委員の皆様、本当にありがとうございます。

 きょう初めて経産委員会に出席させていただきましたが、大変高尚な答弁を先ほどもお聞かせいただきまして、ふだんは財務金融委員会で麻生大臣と質疑をさせていただいていますけれども、ちょっと種類が違うなということを感じさせていただきました。

 きょうは、電力システム改革におきまして、この設計が本当に目的をしっかりと達成できるかどうかという点につきまして、何点か確認をさせていただきたいと思います。

 まず一点目ですけれども、再生可能エネルギーはこれから本当に導入が促進されていくかということであります。

 大臣は、常々、今回のシステム改革において再生可能エネルギーを進めていくんだ、きょうの午前中の質疑の中でも、この法案によりましてもそれが進んでいくというような答弁をされておりまして、その根拠をちょっと確かめさせていただきたいと思います。

 まず、現状でありますけれども、再生可能エネルギーの発電事業者、この接続に関しましては、いわゆるFIT法、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法というものの中に、接続の義務というのがありまして、その中でしっかり、義務が達成されなければ経産大臣が指導助言、勧告を行うことができる、ただし、この法律の中では接続を拒むことができる理由というものも三つ規定されておりまして、その中の一つが、系統能力が足りない場合ということであります。

 結果として、現在でも例えば北海道でメガソーラーが導入されようとしても計画が見直されてしまったり、広島その他の地域でも接続を拒否されている、福岡では、近くまでの送電網の敷設で二億を請求されたという事例もありました。

 これが現状だと思うんですけれども、これがこれからの法案の進行によって果たして改善されるのかどうか、まずお聞きさせていただきたいと思います。

高原政府参考人 今回の電力システム改革の中では、まず第一段階として、広域的な運営推進機関を設立させていただくことを考えております。

 御指摘のとおり、いわゆる再生可能エネルギーの事業者の方々がその接続をしようとするときになかなか困難だったという問題はございます。私どももそういう苦情も承っております。今回、再生可能エネルギーの事業者の方々は、この広域的運営推進機関に対しましていわゆる苦情の申し立てが可能になります。申し立てを受けた広域的運営推進機関は、必要に応じまして電力会社に対して指導、勧告が可能でございます。

 それからまた、そもそもの問題といたしまして、送電インフラが十分でなかったという問題点があったわけでございますけれども、今回、再生可能エネルギーの導入を促進するためということも含めまして、送電インフラの増強につきまして、広域的運営推進機関がその中核となってこれを進めていくということが可能になります。したがいまして、そういう観点からも再生可能エネルギーの導入促進というのは図られるというふうに考えております。

 以上でございます。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 その中で、広域的運営推進機関が本当に機能するかという点でありますけれども、いただいた答弁のように、供給計画をもとにして系統の能力強化ということは、確かに今回の法案の本則の中にも入っておりまして、恐らく第二十八条、こちらの中で規定されていると思うんです。

 ただ、この広域的運営推進機関が、そもそも電気事業者を機関の会員としておりまして、彼らに対して計画の提出というものを求めておりますが、PPSでも一般電気事業者でも卸でもない発電事業者というものはこの機関の会員になるんでしょうか。

高原政府参考人 今回の広域的運営推進機関には、今のいわゆる一般電気事業者の方々のほかに、御指摘のような新電力等々、全ての発電事業者が入るということになると考えております。

小池(政)委員 全ての発電事業者ということであれば、例えば、メガソーラーを数十キロワットやっているような会社でありましたり、また個人でありましたり、そういう方々というのは機関の会員になるんでしょうか。

高原政府参考人 実際にどの規模のところまでお入りいただくかということは今後の検討課題でございますけれども、原則としては皆さんにお入りいただくということになると思います。

 以上でございます。

小池(政)委員 その点をちょっと確認させていただきたいんですが、今回の法案、電気事業者の定義といたしまして、そもそも、参照条文の方で電気事業者の定義というのが一般電気事業者、卸電気事業者、特定電気事業者及び特定規模電気事業者ということになっておりまして、これに当てはまらない発電事業者というものも実際あるのではないでしょうか。

高原政府参考人 これは、いずれ第二段階でライセンス制の規定を置きますので、そのライセンスをお取りいただく方ということは、皆さんお入りになるということになると考えております。

小池(政)委員 それでは、個人も、それからメガソーラーの数十キロワットのような小さな会社も全て会員に入って、この機関の中で会費を払って、こちらの中で計画をされて、それに対して送電の能力強化等が進められるという理解でよろしいですか。

高原政府参考人 そのような理解でよろしいかと思います。

糟谷政府参考人 一点補足させていただきますと、会費はそれぞれの事業者が一人一人払うということでは決してございません。広域的運営推進機関というのは、広域的な系統の運営に役割を果たす機関でありますので、このために必要な会費というのは、一般電気事業者の、例えば託送料のようなところから薄く広く回収するというようなことを想定しております。

小池(政)委員 そこら辺が少し混乱しているんですが、会費は払わない、そういう事業者もいるという話もありまして、また、前回からも、先ほどの機関の運営に関する議決権の問題で、一対一対一対一という話の中で、その中に、個人でありますとか、それから小さな電気事業者というものは入っていなかったように見受けられるんですが、本当にその理解でいいんでしょうか、今おっしゃられたような理解で。

糟谷政府参考人 発電事業者というのは発電の事業を行う方でありまして、事業を行う方というのをどういうふうに捉えるかということによると思います。

 発電事業として行われる方であれば、これは個人であろうが法人であろうが、そこは発電事業者としてこの会員になってくるということでありますけれども、事業と言わないような形で発電機を設置されるような方が万一おられれば、それは発電事業者には入らない。

 このあたりの区分けは、今後、詳細な検討をやっていく中で、第二段階の法案の中で、もしくはそこの規則の中で定めていくという形になろうかと思います。

小池(政)委員 そこら辺を明確にしていただいた方がいいと思います。

 懸念は、機関に所属していない発電事業者がいた場合に、彼らの声が届かず、結果として、機関が彼らのために系統の能力の強化等を怠る可能性もあるということは考えられるわけですから、そこを明確にしていただきたいと思います。

 またもう一点、機関に関しましては、本当に経営の独立性というものが担保されるのかということも少し懸念を持っております。本会議でも少し触れましたけれども、人員の質の問題、系統の内容をわかっている電力会社の人たちが集まって、結局、支配力を高めてしまうんじゃないかということは、参考人の中からも声がありました。

 また、先ほどの会費の問題。こちらは、この委員会の答弁の中では、一般電気事業者の託送料金から賄うことも考えられているとおっしゃいましたけれども、そうした場合に、また一般電気事業者の力が強くなってしまうんじゃないかという懸念も考えられるわけであります。また、託送料金に乗せるということで、今、そもそも新電力等の参入が困難になっているのは、託送料金が高いからというのが一つのネックでありまして、それをさらに高めるということが本当に彼らの参入を促すことになるのかなという懸念を持っております。

 また、系統情報に関しましても、今なかなか公開が進められていないということから、少なくとも、系統情報の公開というものも不可欠だと思います。発電事業者が、いざ申請してみたら、系統能力が足りなくなって断られたというケースが多々ありますので、その点もぜひ、これからしっかりと改善していただきたいと思います。

 次に、今の再生可能エネルギーの促進策である固定価格買い取り制度、これまで何回か質疑がありましたけれども、これがこれから実際に自由化、発送電分離が進む際にどうなるかということで、買い取り義務に関しましては、答弁の中で、小売もしくは送配電事業者のどちらかが選択されるという話でありました。

 では、この費用の負担、納付というのはこれからどうなるのか、教えていただけますでしょうか。

高原政府参考人 委員御指摘のとおり、今回、電力システム改革を進め、小売の自由化範囲を拡大した場合でも、小売業者あるいは送配電事業者のいずれかにこれまでと同様買い取りを義務づけるということで、この制度を維持することができるというのは御指摘のとおりでございます。

 また、現在、賦課金については、我が国では現状、全国一律に単価設定された賦課金を、電気の小売を行う全ての事業者が、電気料金にいわゆるサーチャージという形で上乗せして徴収いたしまして、これを第三者中立機関である費用負担調整機関に納付いたしまして、この機関が改めて、再生可能エネルギーを買い取った電気事業者に対して、それぞれの買い取り実績に応じて再分配する、そういう仕組みとしております。

 今回、電力システム改革が進んだ場合におきましても、現在の仕組みに変わりはなく、全ての電気の利用者の方々から小売事業者を通じて賦課金を徴収し、そして、その買い取り実績に応じて、徴収された賦課金を最終的には再生可能エネルギーの発電事業者の方々に配分するという仕組みは維持されるというふうに考えております。

小池(政)委員 今の制度というのが、これから二十年ほど、恐らく今の一般電気事業者が残るだろうというような想定のもとにつくられておりますので、自由化になった際、発送電分離になった際どうするかということをしっかり明確にしていただきたいということ。

 また、その交付金の算定におきましては、先ほどのFIT法の第九条に規定されております。今の固定価格買い取り制度で決められたタリフから、「当該電気事業者が特定契約に基づき再生可能エネルギー電気の調達をしなかったとしたならば当該再生可能エネルギー電気の量に相当する量の電気の発電又は調達に要することとなる費用の額として経済産業省令で定める方法により算定した額」という形で規定されておりまして、この額が非常に重要でありまして、自由化の際には小売事業者というのはこの額を基準にして料金を設定することになります。その設定方法等もこれからしっかりと詰めていただきたいと思います。

 次に、原発について少し伺いたいと思います。

 原発につきましては、廃炉の費用をどうするんだという話が委員会の中でもこれまでありまして、週末に廃炉費用を電気料金に乗せるというような記事も出ましたけれども、今ワーキングチームをつくっていらっしゃるということであります。

 それを料金に乗せるのか、託送料金に乗せるのか、どのような方針を今お考えなのか、もしくは、その二つの可能性はあるのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 廃炉に係ります費用を電気料金に乗せるという発言を、少なくとも私は申し上げておりません。

 廃炉に係る費用につきましては、現行の解体引当金制度について、原発が運転することができなければその期間引き当ては進まないわけであります、また、早期に運転が終了する、こういうことになった場合は必要な廃炉費用が確保できない、こういった課題が生まれておりまして、この点は先週の委員会でも私は答弁申し上げたところであります。

 バックフィット制度の導入を初め新たな規制、そして、運転終了後も実は、普通の工場と違いまして、原子力発電所というのは、例えば一定の電源を保ったりいろいろな形で動かさないと、とめました、あしたから廃炉にしますというわけにいかない、こういう特殊性を持っておりまして、そこの中での放射性物質の安全管理等々も進めていくということを考えますと、廃炉に係る現行の会計制度が廃炉に必要な財務的な基盤を確保する上で適切なものとなっているか検証し、必要な見直しを行いたいと考えているところであります。

 具体的に申し上げますと、原子力発電施設解体引当金制度のあり方、もう一つは原子力発電設備の減価償却制度のあり方、それと電気料金の関係などについて、設備利用のあり方も踏まえた検証が必要だということで、総合資源エネルギー調査会の電気料金審査専門委員会のもとに廃炉に係る会計制度ワーキンググループを設置することとし、昨日これを発表させていただいたところでありまして、この場で御議論いただき、速やかに結論を得たいと思っているところであります。

 一定の費用を料金原価に上乗せすることが妥当という結論になったとしましても、それを反映して料金改定を行うかどうかは一義的に電力会社の判断ということになります。そういう判断を電力会社がして、料金の値上げ申請が行われた場合においても、それが本当に最大限の経営効率化を踏まえたものかどうか、これについては厳正に審査を行いたいと思っております。

小池(政)委員 一点、お願いは、まだ決まっていないとは思いますけれども、これも託送料に賦課されるという話も新聞等で出ておりましたが、何でもかんでも託送料に入れるという話がちょっと出過ぎなような気がしまして、先ほど申し上げたように、託送料をまた上げて、結局、自由化でありますとか新規参入を妨げることになりかねないということをぜひ御検討いただきたい。

 また、この点は日本原電におきましても同じです。販売電力、昨年度、一切ないにもかかわらず、電力会社の基本料金で売り上げが伸びております。一千五百億。こちらも、例えば発送電分離になった際に、総括原価方式が残る送電会社から、仮にまた託送料に乗っけるような形でこの基本料金が払い続けられるということになりますと、結局、新規参入を妨げて、かつ原発を維持するというようなことになってしまいますので、そこもぜひ御検討いただきたいと思います。

 最後に、発送電分離につきまして、これから井坂議員が内容をしっかり御質問されるということで、一点だけ確認したいのが、所有権分離の中で、大臣は財産権の問題等を理由に挙げておりましたが、例えば国有化の状況にあります東京電力につきましては、この所有権分離ということを、財産権の問題なく考えられるのではないかなと思いますが、その検討をされたのかどうか、また、その内容についてお聞かせいただけたらと思います。

茂木国務大臣 東電につきましては、まずは最優先で賠償、廃炉、そして電力の安定供給を実現する、こういう考え方のもとで、原賠機構スキーム、これは国が決めたものであります、これに沿ってそれぞれの運営を行っております。

小池(政)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 みんなの党の井坂信彦です。

 残された時間、今度は私が質問をさせていただきます。

 順番が前後いたしますが、まず初めに公正取引委員会にお尋ねをしたいというふうに思います。

 公正取引委員会が既に公表しております「電力市場における競争の在り方について」という報告書についてお伺いをいたします。

 この報告書でいろいろ提案をされていた内容の中で、今回の改正案や電力システム改革専門委員会の報告書に盛り込まれなかった主な内容としてどういうものがあるか、お伺いをいたします。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、公正取引委員会は昨年の九月に、電力市場の現状について競争政策の観点から調査検討を行い、報告書を公表しているところでございます。

 その報告書における私どもの考え方あるいは提言の多くは、今回の閣議決定や法案の中に反映されていると考えておりますが、一方で、今先生の御質問にありました、報告書の考え方あるいは具体的な提言のうち、今回の閣議決定あるいは改正法案に盛り込まれていない主要なものとしては、例えば、発電・卸売部門と小売部門の分離、我々、発小分離と申しておりますが、その提言がございます。

 この提言は、一般電気事業者と新電力の間で、電源構成の違いに起因しましてコスト競争力の面において格差がある現状を踏まえまして、一般電気事業者につきまして、新電力に電力を供給する発電・卸売部門を新電力と競合している小売部門から分離することによりまして、一般電気事業者の発電・卸売部門が新電力に価格競争力のある電力を供給するインセンティブが生じるようになるのではないか、それによりまして小売分野で有効な競争が機能することを目指すということとして提言させていただいたものでございます。

井坂委員 競争という観点から、小売部門の分離というところまで提言をされたということであります。

 重ねて公正取引委員会にお伺いをいたしますが、実はこの委員会で、私は、発送電分離の分離の形について議論を重ねてまいりました。

 さきの「電力市場における競争の在り方について」という報告書の中では、所有権分離をしない場合、送電部門が、いわゆる新電力にとって、不利に扱われる可能性は除去できない、その場合は、公正取引委員会としては厳正に対処していくということだったかと思いますが、これでよろしいでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、所有分離をしない場合は、送配電部門におきまして、小売分野または発電・卸売分野において競合する事業者を不利に取り扱うということのインセンティブが完全には排除できないということが考えられますので、送配電部門により差別的な取り扱いが行われる場合には、公正取引委員会といたしましては、独占禁止法に基づいて厳正に対処していく所存でございます。

井坂委員 続きまして、大臣にお尋ねをいたします。

 先週の金曜日のこの委員会で、法的分離と所有権分離についてということでお尋ねをいたしましたところ、逆に大臣の方から、ありがたく御質問いただいた経緯がございます。

 確かに、おっしゃったのは、所有権分離はやはり憲法上の財産権の侵害に当たるのではないかという御見解であったわけですが、実は私、その後、きのうの参考人質疑でも、午前中も午後も、この問題についてそれぞれ専門家の方にお尋ねをいたしました。

 改めて、この間の議論を踏まえて私が考えますのは、所有権分離にしろ、法的分離であっても、既存の民間事業者の組織変更をもしも強いるという形であれば、やはり同じような財産上の問題が実はあるのではないかというふうに思うわけですが、所有権分離には憲法上の問題があって法的分離には全くないということなのかどうか、お伺いをいたします。

茂木国務大臣 昨日の参考人質疑の中でも、井坂先生に対して東京大学の松村教授がお答えになったかと思うんですが、ほかの手段は全て尽くしたけれども、この公益的な目的を達成するためにはこれ以外の手段では絶対にできないということを明らかにした後でないと所有権分離は難しいという旨の答弁をされていたように思います。

 また、先日、私の方から、質問したわけではなくて、所有権分離が憲法第二十九条で保障される財産権を制限するに足る積極目的規制に当たるという検証をされた上で質問されているんですかということを確認させていただいた上で、お答えをさせていただいたということであります。

 きょうの御質問を伺いますと、所有権分離が積極目的規制に当たるという御説明をされないままに、今度は、法的分離についても財産権の侵害に当たり得る、そういう主張をされるということは、先生として、現行制度もしくは機能分離がいい、こういう主張で質問されているのか、ちょっと確認させていただいてからお答えをさせていただければと思います。

井坂委員 法的分離も問題があるんじゃないかというふうにお尋ねしているのではなくて、要は、所有権分離は問題がある、でも、法的分離は問題がないというお考えなのですかということをお尋ねしているんです。

茂木国務大臣 所有権分離の問題点につきましては、前回お答えをさせていただいたと思います。

 まず第一に、所有権分離と法的分離、実態面で大きな相違がございます。法的分離の場合、一〇〇%子会社あるいはグループ会社であれば、引き続き一体的な経営が可能でありまして、グループ一体で資金調達を行うことができる一方、所有権分離ということになりますと、これがどうしてもできないという問題が、当然、委員も御案内のとおり、発生するわけであります。

 第二番目に、今申し上げた実態面の相違に伴いまして、所有権分離では、強制的に分離される、こういうことになりますと、経済的不利益を免れず、その結果、金融機関であったりとか株主、また社債権者などから違憲の訴えを起こされることがあり得る。そして、法的分離では、分離による不利益を回避することが可能であり、訴訟を招かない設計をすることが十分可能であると考えております。このように、実態面と違憲訴訟の可能性の両面で、所有権分離と法的分離は結果的に異なるものと考えております。

 ただ、その一方で、法的分離を行った後に株主なりが自主的に所有権分離に持っていく、このことについては私は全く否定をいたしておりません。

井坂委員 昨日の参考人と私とのやりとりも、後でチェックしていただいているかと思います。

 実はそのときも、松村参考人がおっしゃっていたことでありますが、今御答弁のとおり、法的分離をまずしないと、最初から所有権分離をやったらこれは大変やり過ぎだと。

 そうであれば、前置的に、メーンディッシュの前のオードブルというような立場で、まず法的分離、やれることからやっていきましょう、行為規制もやる。それで、本当の意味で競争性が担保されればもちろんいいわけでありますが、しかし、それが担保されない場合は当然所有権分離まで次は目指しますよということは、私はもう現時点で法律に書くべきではないかというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 今回の電力システム改革は、今回の第一弾の法案から始まりまして、附則の中でも、二〇二〇年までにやるべきこと、これを書かせていただいております。

 そういった意味で、我々として、必ずお出しをする、こういう料理のメニューはお書きをしております。ただ、出すか出さないかわからないメニューは料理のメニューには載せることができないということであります。

井坂委員 出すか出さないかわからないメニューという意味では、私は機能分離もそうではないかなというふうに思うんですね。要は、そういう想定外のことが起こったときは機能分離ということはしっかり書いておられるわけですから、私は、これは金曜の議論の繰り返しになりますが、そういう重みづけでいっても、機能分離を書けるなら所有権分離も書いていいのではないかということは金曜日に議論したところであります。

 また、本日、別の方向性でも、所有権分離は、おっしゃるように、強制をしてそして無理やりということであれば御心配のこともあろうかというふうに思いますが、一方で、民間の事業者に当然任意による対応を求めていく、さらにはそこに誘導していくような政策を政府として積極的にとっていく、こういうことについては何ら問題ないのではないかなと思いますし、また、そういったことを法律にも書くべきではないかなと思うわけですが、その点についていかがでしょうか。

茂木国務大臣 法的分離を中心に考えますが、予想外の事態、こういうものに備えてこういう措置も検討の中には入れますということは書いてございますけれども、先ほども申し上げたように、株主がみずから選択する可能性のあることにつきましては、まさにこれは株主の判断でありますから、メニューの中には載せられないということであります。都合によって、料理のメニューが何らかの事情で変わることはあるかもしれません。こういう御用意はできますということですけれども、あとは、お客さんの方でどう選ぶか。お客さんの方でどう選ぶかということについては、お客さんにお決めをいただくということであります。

井坂委員 そのメニュー論はわかるんですが、今お尋ねしたのは、促す措置をするということについては書いてもよいのではないかということでありますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 何をもって促す措置というかということですけれども、経済産業省としては、また私としては、今の改革はなかなか大変な改革です、これをまずしっかりと進める、電力の安定供給、そこの中でできるだけ低廉なコストでの供給、このことを最優先に進めていきたい、こう考えております。

井坂委員 この法的分離と所有権分離のことについては、もう三日連続で議論をさせていただいております。多少見解の相違という部分で、最後残る部分はありますが、本日はもう一つテーマを用意しておりますので、移ってまいります。

 公正で透明な競争環境をいかにつくるかというテーマであります。

 卸売市場へのいわゆる玉出し、要は、余った電気を積極的にそこに出していきましょう、市場を活性化していきましょうという議論の中で、中には、三〇%はもう強制的にそこに出すんだというようなことをおっしゃる専門家もおられます。現状では、各事業者が、なるべく余った電気は卸売市場に出していきましょうという自主的な取り組みが始まっておりまして、玉は出ている、市場には電気は出ている、でも、実はそれを買う方の取引が余り活発ではないという現状を伺っております。

 要は、玉出しができているのに今度は買いが少ないという状況があるとするならば、今後どうやってこの売り買いを活性化させていただくのか、お伺いをしたいと思います。

糟谷政府参考人 買いが少ないということは、売りの価格は一体どういう形で出ているかということも関係あると思います。自主的に、必要最低限の供給予備力を超える電源の全量市場投入を行っていただいているわけでありますが、今後、これについてのモニタリングを行っていく中でそのあたりを検証していく必要があると思います。

 それからまた、卸規制は今後撤廃していくわけでありますが、それに加えて、先渡し市場の活性化、これは具体的に、もっと取引のニーズにかなった商品設計、市場設計ということを図っていく、または卸電力市場への需要家の直接参加をさらにできるようにしていくとか、あるいは中期的には電力先物市場を創設する、こういったことについて具体化を進めていきたいと考えております。

井坂委員 また違う話題になりますが、地点料金制ということについても考えているところです。

 特に託送料金、送電網がまた今後別会社になるに当たって、要は、発電所ばかりある地域、そして需要家ばかりいる地域、一方的に大量の電気を流さなければいけない、こういう状況をマーケットメカニズムを使って解消していこうという趣旨の制度かというふうに思いますが、専門的な話ですので、また参考人に御答弁いただきます。

 地点料金制の導入ということについて、どういう御検討の状況なのか伺います。

糟谷政府参考人 二月にまとめられました電力システム改革専門委員会の報告書におきましても、託送料金制度に潮流や需要地近接性をどのように組み込むのかが論点であり、今後、国や広域的運営推進機関において検討を行う必要があるという指摘がされております。

 この地点別料金制でありますけれども、これを導入した場合、需要地の近くに設置した電源を活用した電力供給が相対的に割安になります。

 ただ、そういう意味で、これを導入することは、送配電網の効率的な利用ですとか、都市部など需要地の近くの分散型電源の活用を促すという意味ではメリットがあります。

 他方で、託送距離が長いほど割高になるということでありますれば、エリアを越えた電力の供給による電気事業者間の競争を促す、または北海道や東北における再生可能エネルギーの導入促進を図っていく、全国レベルでさまざまな発電設備を有効活用していく中で、託送距離が長いほど割高になるということが本当にプラスにならないという面もあります。

 こういうメリット、デメリット両方を勘案しながら、今後の託送料金制度の中で具体的に検討を進めてまいりたいと思います。

井坂委員 今おっしゃった中で、きのう、参考人質疑の中で、横綱対横綱の戦いもしっかり起こしていくべきだと。これは私も全くそのとおりに思っておりまして、逆に、地点料金制を導入しなかったら起こるのかといったら、起こるための仕組みが本当に必要だと思っていますから、これはまた金曜日にでも議論させていただきたいと思います。

 最後に一点だけ、自然エネルギーの優先接続ということについてお伺いいたします。

 EUの再生エネルギー指令などから始まって、今、ドイツ、スペインなどでは、自然エネルギーはもうとにかく優先的に接続をしていく。日本でも、特殊な場合以外断れないとなっておりますが、しかし、現実は、本当にいろいろな理由で断られてしまって、事業を断念している再生エネルギーの会社が後を絶ちません。

 自然エネルギーの優先接続について、見解をお伺いいたします。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回の電気事業法の改正で広域的運営推進機関ができますので、送配電網の広域的な運用ができるようになる、それによって接続可能性が高まる部分は私どもとしてあるというふうに考えております。これがまず第一点です。

 委員御指摘の点は、電気事業法の違いではなくて、実は、固定価格買い取り制度を規定している法律の規定のしぶりが異なっております。

 御指摘の、例えばドイツの場合ですと、仮にこの系統、電線の増強を行わなければ再生可能エネルギーを接続させることができない場合は、この系統運用者、つまり電力会社は、合理的な範囲内でですけれども、電力系統線を増強する義務を負っております。これは明確に書かれているわけですね。

 これに対して、日本の固定価格買い取り制度を規定している法律の方では、電力系統線が受け入れ可能な量を超える場合には、電力会社は接続の拒否が可能という規定となっているわけです。これは、実は、運用の違いというよりは規定の違いがあるわけですね。

 なぜこうなっているかということなんですが、まず、ドイツのような規定を我が国に取り入れるということは、再生可能エネルギーの導入拡大という点ではプラスになる、こういうふうに思います。

 一方で考えておかなければならないのは、接続に必要な設備増強コスト、これは、総括原価を通じて電力料金の方に転嫁されていくことになるわけですね。これはどれぐらいかというのはちょっと運用してみないとわかりませんけれども、今、FITが入ってまだ十カ月ぐらいですから。両面の効果があるということはあるわけで、この核の部分はかなり国会で御議論をいただいて、もう委員よく御案内のとおり、かなり核のところを国会で規定して、修正して成立したものでございます。

 ですので、この両面について、実際の施行状況を見ながら判断していく必要があるのではないかというふうに考えております。

井坂委員 終わります。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 電気事業法の改正案について質問いたします。

 最初に、ちょっと確認でお尋ねです。

 日本の電力体制につきまして、日本は民営で、発送電一貫という電力体制で行ってまいりました。こういった仕組みは、世界を見渡して、主要国においてほかにあるのかどうか、その点についてお尋ねいたします。

糟谷政府参考人 まず、ヨーロッパでありますが、欧州委員会が送配電部門の分離を求める指令を出しております。一部、マルタとかキプロス、ルクセンブルクという例外はありますけれども、それ以外の国では全て、所有権分離や法的分離の方式による送配電部門の分離が進められております。

 ロシアにおいても、電気事業体制が再構築される過程において、送配電部門の分離、民営化といったことが進められております。

 他方で、アメリカやカナダにおきましては、州によって事情が異なります。自由化されている州を中心に、機能分離の方式により送配電部門の分離が行われているという現実がある一方で、発送電一貫体制が維持されている州もございます。

塩川委員 国単位ということでは、ヨーロッパの例を挙げて、発送電一貫ではなく送配電分離が行われているということですし、実際、発送電一貫をやっているような国を見渡しますと、国営だったりという状況が残されているという点でいっても、九電力民営会社の垂直統合による地域独占体制というのはほかにはないあり方という点での、制度設計での特別な工夫が必要だと考えております。

 この間の電気事業制度改革を振り返ってみたいんです。

 電気事業制度改革、前回は二〇〇八年に具体的な措置が行われました。このときは法改正を伴わなかったわけですけれども、二〇〇八年の総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の報告書では、小売自由化範囲の拡大の是非について、現時点で小売自由化範囲の拡大を行うことは適切ではないとして、五年後を目途に再検証を行うとしたわけであります。

 このときに掲げました五年後の再検証というのはやったんでしょうか。

糟谷政府参考人 実は、五年後の再検証の作業でありますが、震災の直前、二〇一一年の二月に検証作業に着手いたしました。

 新規参入者のシェアについては、自由化された需要が二〇〇八年で二・五%でありましたけれども、これが二〇一〇年は三・四%へとやや拡大したものの、一般電気事業者による地域を越えた直接的な競争はほとんど生じていないなど、活発な競争が行われているとは言いがたい面がある、そういう状況でございました。

塩川委員 競争はほとんど生じていないということであります。

 実際に、市場シェアもわずかにとどまっておりますし、一般電気事業者の他のエリアへの供給実績も一件のみということです。この間の自由化では、小売市場における新規参入事業者のシェアが伸び悩んで、需要家の選択肢は広がっておりません。

 この電気事業法改正を伴う電気事業制度の改革は、今回の前に行われたのは二〇〇二年のときであります。この二〇〇二年二月、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会報告「今後の望ましい電気事業制度の骨格について」においては、送配電部門の公平性、透明性の確保方策について、構造規制によらず、行為規制で担保するとしたものであります。いわば発送電一貫体制の維持を前提に、二〇〇三年の電気事業法の改正が行われました。

 そこでお尋ねしますが、この政府の発送電一貫体制の維持の方針が、その後の再生可能エネルギーの普及や需要家の選択肢の拡大、これへの障害となっていたのではないのか、このように思いますが、いかがでしょうか。

糟谷政府参考人 二〇〇二、三年の改革におきましては、一貫体制を維持しながら、その中で、会計の分離、情報を遮断する、そういう形の規制を入れることによって送配電網の中立化を図ろうということでトライをしたわけであります。

 ただ、二〇〇八年三月に取りまとめられた電気事業分科会の報告書において、その後まだ五、六年であったということから、新規参入者、すなわち新電力の数や市場シェア、一般電気事業者によるほかのエリアへの供給件数など、需要家の選択肢の確保状況等を検討した結果、小売自由化範囲の拡大を二〇〇八年の段階では見送りまして、まずは既に自由化された範囲において競争環境整備に資する制度改革を実施する、その上で、先ほど御質問にありましたような、五年後を目途の再検証を行うということにしたものであります。

 その間、時間がかかったではないかという御指摘であろうと思いますが、様子を見ながら、再検証した上で再度制度の見直しをするという判断を二〇〇八年の段階で行ったものであります。

塩川委員 二〇〇二年の報告を取りまとめた分科会の会合においては、電事連の会長が、一年余りの議論の結果、安定供給確保のための発送電一貫体制を堅持した、この報告取りまとめについて感謝申し上げたいと述べています。発送電一貫体制の維持を求めてきた電事連の要望も反映されているわけであります。

 大臣にお尋ねしますけれども、午前中の委員会でも同僚委員が、こういう発送電一貫体制は地域独占のもとでさまざまな長年の慣行があって、新規参入の妨げになったり、需要家の選択肢の拡大の妨げになっている、こういう状況があったわけであります。そういった発送電一貫体制を中心とした地域独占、こういう枠組みそのものを断ち切ることなしに、再生エネルギーの普及ですとか需要家の選択肢の拡大は進まないのではないのかと考えますが、お考えをお聞かせください。

茂木国務大臣 電力システムのあり方も時代とともに当然変わってくるんだと思います。戦後の日本においては、発電そして送配電網を早急に整備することによって経済発展を遂げていかなきゃならない、その時代にあって、発送電一貫体制のもとで設備の増強等々を図ってきたことは、日本の経済成長に資する面が大であったと思っております。

 しかし、現在、新たなエネルギー制約に直面する中で、より賢くエネルギーを使っていく、より広域的に供給体制をとっていく、こういったことを考えたときに、発送電の分離、そして料金の自由化、広域系統運用の拡大、こういった一連のシステム改革は待ったなしだ、こういう思いで、今回、法案の提出をお願いしているところでございます。

塩川委員 そういう点でも、電力会社にとっての規制なき独占とならないような措置が求められているわけで、送配電部門の中立性の確保がやはり課題となってまいります。

 そこで、今回の電力システム改革のプログラムについて、十一条の関係でお尋ねいたします。

 このプログラムで、最初に広域系統運用の拡大の話が一つありますけれども、小売に関しての全面自由化と発送電分離、今回の場合は法的分離ということですが、この前後関係について、小売の全面自由化より発送電分離の方が後になるというのはどういう理由からなんでしょうか。

糟谷政府参考人 送配電部門の中立化は、競争を確保するための必要な条件であるというふうに考えております。ちゃんとした競争が確保できませんと、消費者にとって、自由化した場合に電力価格が逆に引き上げられるとか、そういうおそれがあり得るということで、そういうおそれがある場合については、電気料金の自由化について時期を見直すことができる旨の規定を置いているものでございます。

塩川委員 いや、小売の全面自由化があって、その後に発送電分離、参入の自由化があって、その後に法的分離、そういう流れとなっているのはなぜですかということです。

茂木国務大臣 三段階の中で、まず広域系統運用の拡大を行います。そして、参入を促しながら小売の自由化を行いますけれども、料金につきましては、その段階で、一般電気事業者につきましては料金規制を残します。そして、第三段階になりまして、発送電分離を行うことによって送配電部門が中立になる。こういったニュートラルな状態をつくって、最終的には全ての料金の自由化を行う、こういう順序立ったプロセスを考えております。

塩川委員 送配電部門の中立性の確保によって自由化を促していくということに……(茂木国務大臣「最終」と呼ぶ)ええ。

 そういう趣旨でいっても、前回の五月三十一日の大臣の御答弁の中で、このプログラムの関係についてお話があったときに、まず広域系統運用を拡大して、全国レベルでの電力需給の安定化の仕組みをつくっていく、そして次に法的な分離によって送配電部門の一層の中立化を図る、これによって発電部門等々にも参入が促進されると述べておられるわけですが、これは、広域系統運用の拡大、参入の自由化、法的分離という順番と異なるような説明に受け取れるんですけれども、その点についてはいかがですか。

茂木国務大臣 言っていること自体は三つの柱なんですけれども、言っている順番を、ポイントごとで言っていなかったというか、最初に広域系統運用の拡大のお話をしまして、最終ゴールの話をしまして、実は、料金の自由化の話と小売の自由化の話、どちらかといいますと需要家にかかわる問題ですからまとめてお話をした方がいいかなということで、その部分は最後にいたしました。

 ですから、私としても、順番として、広域系統の運用から始まって、それから次に発送電分離をやって、最後に小売の自由化をやっていく、こういう答弁にはなっていなかったと思いますけれども、先生がおっしゃるように正しく言うとしたら、小売の自由化の方がもちろん先に来るわけであります。

塩川委員 そういう点で、私は、こういう説明の方がかえっていいんじゃないかなと思うのは、やはり発送電分離が行われてこそ参入の自由化も促されるし、小売の自由化にもつながってくるということこそ本来あるべき姿ではないかなと思うんですが、その点、いかがですか。

茂木国務大臣 料金の自由化、これも進められる部分から進めたいと考えておりますが、先ほども申し上げましたように、この第二段階におきましては、一般電気事業者につきましては、規制料金を残す予定であります。もちろん、自由化料金の部分も出てきますけれども。そして、中立化がなされた段階において、ドミナントな事業者であっても、競争条件が整えば完全に自由化をするということで、需要家にとって不利にならないような設計を行ったという形であります。

塩川委員 需要家の選択肢の拡大につながるようなこと、これは一方で、再生可能エネルギーの普及という側面も当然あります。そういった自由化を進めるためには、やはり送配電部門の一層の中立化を図っていく、この措置が先行してこそ全体も促されていく、こういう流れになるのではないのかと思うんです。

 まさに送配電部門の中立化の確保を先んじて行うということこそ大事ではないかと思うんですが、改めて、いかがですか。

茂木国務大臣 送配電部門の中立性の一層の確保、二〇一八年から二〇年に行うということをやりますけれども、言ってみますと、電力システム改革はそこで全部終わるわけではないんです。そこからさらに進んでいくといいますか、さらなる競争が入り、さらなる参入が入り、こういうことが起こっていきます。

 ただ、例えば発送電の分離を行っていくということになりますと、発電会社と送配電会社の間のいろいろなルールの整備というのがやはり必要であります。そしてまた、それをつなぐシステムの設計が必要であります。恐らく、システムの設計だけでも一年ぐらいかかるのではないかなと想定しております。

 そして、実際には、システムの開発をしなきゃならない、これに三年から五年かかるという形でありまして、最終的に、この発送電の分離、同時に料金の全面自由化、これが二〇一八年から二〇年ということになっておりますけれども、もちろん、それ以降の段階においても、恐らく、新しい参入業者が発電部門にも小売部門にも出てまいります。そこでさらなる競争が進んでいくということになるんだと思います。

 NTTが民営化しましたのが一九八五年でありますから、二十年ぐらい前のことになると思いますけれども、それで全ての改革が終わったわけではなくて、まさに新しいサービスとか新しい参入というのがどんどん起こっている、それが現状であります。電力システムにつきましても、一つの改革としては二〇二〇年に完了しましても、本当の意味での競争とか、本当の意味でのさまざまなサービスの展開というのはそれ以降もたくさん出てくる、そういったことを期待いたしております。

塩川委員 二〇〇〇年代の改革を見ても、発送電一貫体制を維持したままでは、結果として自由化は進まなかったねということが教訓であるわけで、そういう点でも、この発送電の分離ということについて、踏み込んだ対応が先んじて行われるべきだ。そういう意味では、システム開発の問題なんかもあるでしょう。そういう点では、ぜひとも、そこにこそやはり国が積極的な役割を果たしていく。

 大臣は、国が前面に出るというのが大分お好きで、この間、強調されておりますが、こういうところでぜひ国が前面に出て、この発送電分離体制を実際に整備していく、こういうところこそ先んじて行って、需要家の選択肢の拡大や、また再生可能エネルギーの普及拡大につながるような電力システムの改革こそ行うことが求められていると思います。

 自由化が進まないというのは、この間の電力会社の地域独占の問題もあったわけで、この電力会社のガリバー支配を打ち破る、そういう取り組みこそ必要だということを申し上げておくものであります。

 大臣、今、NTTのお話をされました。昨日、参考人質疑がございまして、エネットの池辺社長がおいでで、意見陳述をいただきました。エネットの池辺社長のお話で、私も紹介したんですが、昨年の雑誌のインタビュー記事の中で、インタビュアーから、通信自由化にあって電力自由化にないものはという問いに対して、池辺さんが、非対称規制だと。この規制は、独占企業に対して規制を課すことによって他の事業者の事業を営みやすくするものだ、通信の場合、自由化から二十七年がたって、ようやくNTTグループのシェアが六割まで下がった、非対称規制を導入し、独占企業が占めるシェアをこれくらいまで落とさないことには、本物の競争は起きない、現在の電力市場には、当社の自助努力だけではどうにもならない壁がある、本気で競争を起こすのかどうかは、国の決断にかかっているということを述べておられました。

 お聞きしますが、今回の法案で、この非対称規制というのはどのように措置されているんでしょうか。

糟谷政府参考人 第二段階から第三段階までの間、一般電気事業者について規制料金を維持するということは、一つ明確に書いてございます。

 それ以外、法律上の規制と言えるかどうかはあれですけれども、一般電気事業者に対して、必要最低限の供給予備力を超える電源の全量市場投入を今自主的に行い、それのモニタリングを行っております。

 今後、卸電力取引所における電気の取引量を増加させるための措置、これがまさに競争の条件の統一化ということにもつながるということであると思っておりますし、こういう措置を検討する中で、具体的にどういう措置が適切であるか、そういうことを検討していきたいと思っております。

塩川委員 法文で見ると、適正な競争関係を確保するための措置とあるだけで、来年、再来年の法案に預けるという形になっているわけですから、今回の法案での具体的な規定はないわけです。

 現行、運用でいろいろな取り組みをやっているということもあるわけですけれども、これは、電力会社の自主的な取り組みということがスキームになっているわけです。

 きのうの参考人質疑での池辺参考人の配付された参考資料で、例えば、卸電力取引所の活性化についての説明の資料もありました。この中で、必要な予備率を超える電源の取引所への投入とかいった今回の改革について、課題として、既に電力会社が表明しているこのような自主的取り組みが確実に実行されることを期待している、同時に、今後、電力会社の取り組みをしっかりとモニタリングし、競争が十分に促進されない場合には、電力会社による取引所への一定規模、例えば三〇%以上の売買を義務化などの制度的措置が必要ということも述べているわけです。

 このような制度的措置というのを検討されることはあるんでしょうか。

糟谷政府参考人 まさに今行っておられる自主的な措置をモニタリングいたしまして、もし、それでは不十分である、制度的措置が必要であるということになりますれば、検討を行っていくことになると考えております。

塩川委員 必要な場合での義務化、こういうものも伴った形で、非対称規制によって、ガリバーの手足を縛るような役割を果たしていくということが国の対応としても求められてくると考えます。

 再生可能エネルギーの普及や消費者の選択肢の拡大につながる独占の規制策として、非対称規制などを初めとした踏み込んだ対策を進めるべきだと考えます。

 その上で、こういった具体的な取り組みを行っていく際にも、ガリバーをしっかりと監視していく、こういう取り組みが必要なわけで、そういう点でも電力会社の取り組みをモニタリングするという重要性が指摘されたわけですが、この点で、国が電力会社をチェックすることなしには進まないわけですけれども、それが実際には不十分だったというのがこの間の経緯じゃないでしょうか。

 新規の参入促進や独占の規制策として、規制機関の重要性が大きいわけであります。今回の法案においては、新たな規制機関というのが掲げられていますけれども、これはどのようなものになると想定しているんでしょうか。

高原政府参考人 今回の改革プログラムに、御指摘のとおり、規制に関する事務をつかさどる行政組織について、そのあり方を見直して、二〇一五年を目途に、独立性及び高度な専門性を有する新たな行政組織に移行させる旨を定めております。

 この具体的な仕事といたしましては、自由化された市場における電力取引の監視、モニタリング、あるいはルールの整備、そして送配電事業に関する料金規制や中立性確保のための行為規制の厳格な実施、そしてさらには安定供給確保のための緊急時の供給命令の的確な実施など、国の規制業務に万全を期すことが必要でございます。

 このため、先ほど申し上げましたとおり、独立性と高度な専門性を有する組織とすることが重要だと考えておりまして、このシステム改革の実効性がしっかり確保されるように、具体的な業務内容でございますとか、権限、規模、組織設計などにつきまして、さらに精査をしていきたいと考えております。

 以上でございます。

塩川委員 閣議決定された改革方針、その中身に沿っての御答弁だと思いますが、そもそも、現在、電気事業の規制に関する事務をつかさどる行政組織というのはどこで、どういった権限や体制で行っているんでしょうか。

高原政府参考人 現在は、資源エネルギー庁の中に電力・ガス事業部という部がございまして、そこで今御指摘のような業務を行っております。

 しかし、電力システム改革の場合には、より高度な観点からの監視ですとかモニタリング等がいろいろ必要になると思いますので、先ほど申し上げたような新しい規制組織というものが必要になるのではないかというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 電ガ部でやっているということで、実際その規制に携わっている人というのは、今はどのぐらいなんですか。

高原政府参考人 これはちょっと、私、人数を精査してみないとわかりませんので、今お答え申し上げられないんですけれども、いろいろな規制業務がございますけれども、それ以外に、振興的な業務もございますので、ちょっとその数等については、今ここで持ち合わせておりません。不正確になってもいけませんので、お答えは差し控えさせていただきます。

塩川委員 諸外国の比較で、ドイツなんかが二百人ですとか、数百のオーダーでの規制機関という話をお聞きするわけですけれども、そういった実効性があるような規制機関になるかどうかということが内容としても問われているんじゃないでしょうか。

 先ほど小池委員の質問を聞いていてなるほどと思いましたのが、託送料金へのいろいろな上乗せの話がございました。そういう意味では、広域的運営推進機関について、その会費については託送料金に上乗せするという話もありましたし、先ほど大臣にもお尋ねしていましたけれども、廃炉の費用などについても報道では託送料金の上乗せなんということも出てくるわけですから、そういった総括原価方式で行われるようなこの託送料金の仕組みのところに何でもかんでも上乗せするというのはどう考えても納得がいかないわけで、そういった点でも規制機関の役割が重要なわけです。

 そういった点について、どういう役割を果たすのか、その辺の制度設計はどうなっているのか、これはどのようにお考えですか。

高原政府参考人 まず第一に、託送料金に入る範囲というのは、やはりこれは送配電に関するコストでございますので、報道も含めて、もう少し正確に議論をしていただくことが必要だと思います。

 その上で、どういった形のものを、正確に送配電業務に関するものを託送料金に乗せるか、これを総括原価主義のもとに置くかといったようなことにつきましても、しっかりと精査していくことが必要だというふうに考えております。

 以上でございます。

塩川委員 詳細も明らかにならないところでの実効性というのは見えてこないということを申し上げておきたいと思います。

 最後に、広域的運営推進機関の関係ですけれども、この会員構成と現行のESCJの会員構成には違いがあります。ESCJにおいては、四グループの一つとして学識経験者が入っているわけですけれども、広域的運営推進機関には入っておりません。こういった仕組みで、需要家や新規参入者の立場でのチェック機能を果たすことができるのか、こういう懸念もあるわけですけれども、この点について御説明いただけますか。

糟谷政府参考人 現在のESCJでありますが、これは送配電等業務の円滑な実施を支援することが目的でありまして、電気事業者に加入義務を課しておりません。

 今回つくられます広域的運営推進機関につきましては、広域的運営のために協調することが電事法上義務づけられておりまして、これを効果的に実現していくことを目的としておりますので、全ての電気事業者に加入義務を課すということであります。

 中立者である学識経験者が会員として参画していないのが問題ではないかという御指摘でありますけれども、今回の広域的運営推進機関におきましても、理事長を初めとする役員ですとか、運営に関する重要事項を審議する評議員について学識経験者が就任して、公正な運営を確保したり、第三者的な専門的知見を取り入れていくということは十分可能なたてつけになっておりまして、こういうことを活用しながら、引き続き中立性をうまく確保していきたいと思っております。

塩川委員 最後に大臣に、こういった規制機関の役割は極めて重要だと考えていますけれども、現行の制度設計ではなかなか中身が見えてこない、こういう点で、どのようなものをつくるお考えなのかについて、大臣のお言葉でいただきたいと思います。

茂木国務大臣 今後、第二弾、第三弾の法案の設計もしてまいります。その段階におきまして、具体的なものをお示ししたいと思っております。

 厳格な監視が行える機関にしなければいけない、同時に、それが組織の肥大化につながることになってもいけない、そういう思いで取り組みをさせていただきたいと思います。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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