衆議院

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第2号 平成25年9月27日(金曜日)

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平成二十五年九月二十七日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大西 英男君    大見  正君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      今野 智博君    佐々木 紀君

      白石  徹君    新谷 正義君

      平  将明君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      牧島かれん君    宮崎 謙介君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      渡辺 孝一君    大島  敦君

      岸本 周平君    後藤 祐一君

      馬淵 澄夫君    木下 智彦君

      重徳 和彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    井坂 信彦君

      三谷 英弘君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十七日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     今野 智博君

  武村 展英君     新谷 正義君

  冨樫 博之君     神山 佐市君

  宮崎 謙介君     牧島かれん君

  宮崎 政久君     大西 英男君

  吉川 貴盛君     渡辺 孝一君

  枝野 幸男君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     宮崎 政久君

  神山 佐市君     冨樫 博之君

  今野 智博君     佐々木 紀君

  新谷 正義君     武村 展英君

  牧島かれん君     宮崎 謙介君

  渡辺 孝一君     吉川 貴盛君

  後藤 祐一君     枝野 幸男君

    ―――――――――――――

八月七日

 一、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十三回国会閣法第七二号)

 二、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、第百八十三回国会承認第五号)

 三、経済産業の基本施策に関する件

 四、資源エネルギーに関する件

 五、特許に関する件

 六、中小企業に関する件

 七、私的独占の禁止及び公正取引に関する件

 八、鉱業等に係る土地利用の調整に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 経済産業の基本施策に関する件(東京電力福島第一原子力発電所汚染水問題)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件、特に東京電力福島第一原子力発電所汚染水問題について調査を進めます。

 本委員会は、去る九月十二日に、福島県において東京電力福島第一原子力発電所における汚染水の状況等の調査のため視察を行いましたので、その概要について御報告いたします。

 このたびの視察は、福島第一原子力発電所の事故に伴って発生した汚染水問題に対する現場における取り組み状況等を視察するとともに、福島県漁業協同組合連合会との意見交換を行うことにより、現地の実情等をつぶさに把握することを目的として行われました。

 最初に、福島第一原子力発電所において、東京電力より、一号機から四号機の廃炉措置の取り組み状況や、汚染水の漏えいの状況及び汚染水問題への東京電力の取り組み等について説明を聴取した後、免震重要棟内を視察いたしました。

 その後、事故を起こした一号機から四号機の状況を車中から視察いたしました。特に、汚染水漏えいを起こした貯留タンクと、汚染された地下水が海側に流れている箇所では、実際に現場におり立って、間近な場所からその状況と現在講じられている対策について詳細に視察いたしました。

 このうち、汚染水漏れを起こしたタンクについては解体して原因を調査することとされている状況を、また海側地下水対策現場では港湾への流入防止措置に向けた遮水壁の工事や汚染水のくみ上げ等の対策が講じられている状況を、それぞれ確認してまいりました。

 また、現地では、いまだ震災の爪跡を色濃く残しておりましたが、その復旧に取り組みつつ、困難な作業状況の中、汚染水対策のため現場の作業員の方々が懸命の努力を続けていることを見聞するとともに、汚染水処理の切迫した現状を目の当たりにいたしました。

 次に、福島県漁業協同組合連合会に赴き、野崎会長を初めとした複数の関係者から、汚染水の海洋流出による影響等について意見を聴取いたしました。

 汚染水問題については、既に風評被害の域を超え、試験操業の延期を余儀なくされるなどの実被害であるとの認識等を伺い、漁業者の方々がなかなか生業に戻ることができない状況に対して大変な苦しみを感じられていることを再認識いたしました。このような漁業者の方々の意見を伺うことにより、改めて早急な汚染水対策の必要性を認識したところであります。

 今回の視察を踏まえて、汚染水問題はもはや猶予できないものとの認識のもと、一刻も早い問題解決のために、国会での審議を通じて状況を明らかにし、問題の解決に向けて尽力していきたいと考えております。

 最後に、全体を通じて有意義な調査となったことに対して、御協力いただいた関係の皆様に謝意を表し、視察の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

富田委員長 本日は、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君に御出席をいただいております。

 この際、廣瀬参考人から発言を求められておりますので、これを許します。廣瀬参考人。

廣瀬参考人 東京電力の廣瀬でございます。

 私どもの事故から二年半が過ぎておりまして、今なおたくさんの皆さんに大変な御迷惑、御心配、御不便をおかけしておりますことを、この場をおかりいたしまして改めておわびを申し上げたいと思います。

 また、特に昨今、きょうも議題となっております汚染水の問題につきましては、新たな御心配、御不便をおかけしているということで、これにつきましても本当に申しわけなく思っているところでございます。

 今、富田委員長からお話ございましたように、先日、経済産業委員会の皆さんに私どもの発電所を視察いただき、また発電所の中で職員に対して激励のお言葉を頂戴しました。職員一同、大変励みとなって、今なかなか厳しい環境下ではございますけれども、改めて汚染水を含めて原子力発電所の安定化、廃炉措置に向けて取り組んでいるところでございます。

 本日は、こうした機会を与えていただきましてありがとうございます。私の方から、汚染水の対策の現状について、特に先日御視察いただいた皆さんには少し話がかぶるかもしれませんけれども、ちょっときょうはお時間をいただきまして御説明をさせていただきたいと思います。

 では、お手元のパワーポイントの資料をおあけいただいて、裏側にきょうの大体の説明がございます。全体の状況から始まって、汚染水が今、港湾に漏れているかどうかということが大変問題になっておりますけれども、これについての状況、それに対する対策、それと、大変これも御心配をおかけしておりますけれども、汚染水がタンクから漏れてしまったということ、それの対策、そうしたことを中心に御説明させていただきたいと思います。

 それでは、ページの二、原子炉冷却状況というところからスタートします。

 これは皆さん既に御存じのところと思いますけれども、原子炉それから使用済み燃料などに水をしっかりかけて冷却をしていくというのが一番必要なことでございまして、これをずっとやっているわけでございますけれども、事故直後の状況から、汚染された水が建屋の下の方にかなりたまっているというのが現状でございます。このたまっているものを出してきれいにしていくという循環の冷却をしております。

 建物から右の方に行っていただいて、青い線で、セシウムの除却、これはサリーであるとかキュリオンであるとかおなじみの名前かと存じますけれども、ここでセシウムをまず取っております。

 そこから下の方に来まして、塩分がまだ残っておりますので淡水化をしております。それから、少しきれいにした状態で注水タンクというところに一旦ためまして、大体一日四百トンを原子炉の冷却のためにまた注入しているということでございます。

 この四百トンとはまた別の、たまたま数字が同じですので紛らわしいんですけれども、これとはまた別の四百トンが、左側から入ってきている地下水の四百トンでございます。これも当然、季節によったり天候によったりして多少違うわけでございますけれども、このぐらいの量が入ってきているということでございます。

 したがいまして、先ほども申しました、セシウムの除去といったような右の方に来るのは大体八百トンの処理をしておって、そのうちの四百トンをもとに戻しているということです。したがって、残りの四百トンはどうなっているかというと、その下の段の方に行って、これも問題となっておりますが貯蔵タンクにとにかくためているということです。

 これは多核種除去設備のCラインというところをきょうの零時から運転再開、ホット試験を始めさせていただきましたけれども、下の方にございます多核種除去設備というところでトリチウム以外のいろいろな核種を取り除くということ、そしてまた少しきれいになった水をタンクにためていく、こういう工程を今やっているところでございます。

 ページをめくっていただきまして、そもそもこの地下水の四百トンという流れ込みでございます。上の方が海です、下の方が山ということで、発電所の建物が、ちょっと見にくいですけれども、海側にちょっとグレーで建屋と薄く書いてあるところでございますが、ここが発電所の建物でございます。地下水は、山側から海に向かって流れておりまして、解析をした結果、海に出ていくであろう、発電所の建物からさらに海の方に向かっているだろうという数字が、一日当たり四百トンぐらい入ってきているというのがわかっております。

 先ほどのように、毎日、八百出して四百入れているという残りの四百トンは建物の中に流れ込んでいるということから、四百足す四百で約八百トンの地下水が、建物の幅約八百メートルの中ではこうした移動、山側から海側に流れているだろうということを解析しております。

 次に、ページをめくっていただきまして、四ページの絵は、これはもう本当の海側のところでございます。先日、御視察いただいた皆さんには一旦おりていただいた、水ガラスの打ってあるところでございますが、図の一番上側が海でございます。本当にもう海の突先でございます。下側が、建物のタービンビルが一号機と二号機ございます。

 この一号機と二号機の間のちょうど正面のやや右側のところに、二十三年四月二日漏えい確認箇所とございますが、ここで三月十一日の事故直後の四月の二日に漏えいがございまして、その結果、この地域が、このあたりが汚染されております。以降、観測孔等を設けまして、どういう状況で汚染が広がるかというようなことを確認してきたということでございます。

 ただ、それで全部が全部、どういうふうに水が流れて、どこでどういうふうに汚染されて、汚染源はどこなのかというようなところは、完全にはまだまだつかみ切れていないという状況がございます。

 めくっていただきまして、シートの五は公表までの経緯でございますので、これはちょっと飛ばさせていただいて、シートの六をごらんいただきたいと思います。

 幾つもの観測点で海の汚染の状況については観測しておりますけれども、このうちの二つ、先ほどのタービン建屋の前の部分と、それから右側の方の、これは完全に外洋、岸に近いですけれども外海というところでございまして、それぞれセシウムの経緯を上の方のグラフで示してございます。

 両方ともそうでございますけれども、事故直後に非常に高かったわけですけれども、これは対数の目盛りですのでグラフ的には余り大したことないですけれども、実際の数字的にはかなり劇的な低下を初期には示しました。

 ただ、左側の方は、それ以降は余りそう大きな下がりが見えなくなって、百ベクレル内外あるいは少し超えたところで今とまっているという状況でございます。したがって、当然、ここから考えられるのは、何らかのまだまだ汚染があるのではないか、なければどんどんどんどん希釈されて薄まるのではないかというふうに見ているところでございます。

 一方で、外側の外洋の方は、これは対数目盛りですので、かなり小さな数字になっているという状況でございます。

 めくっていただきまして、これもまた、さらにいろいろな観測点での観測のデータをプロットしたものでございまして、一つ一つ御説明いたしませんけれども、一番下側の右側というんでしょうか、二つ緑色の箱がございますが、右側の緑色の箱の下の部分、ここは放水口の前のある程度限られた部分でございますけれどもここがやはり一番高くて、湾内ですけれどもその外に行きますともうほとんどなくなります。さらには、その外、いわゆる外洋になりますと、もうほとんど数字はないという状況がここで見てとれます。

 続いて、めくっていただきまして、ページの八でございますが、これからは、これらの汚染水に対する対策を全体的に御説明いたします。

 大きく申し上げまして、緊急的な対策と少し時間のかかる抜本的な対策とございます。

 緊急的な対策はオレンジのところでお示ししておりますが、まず一つ目としては、先ほどのパワーポイントにもありました、一番海側に近い突先の、地図でいいますと上側のオレンジ色の斜めの部分でございます。ここについては、地盤を改良したり、地下水をという、こういう対策をしております。二つ目の、その隣に緊急対策二というのがございますが、これがトレンチ。ここが一番汚染されているものが残っておりますので、これを何とかしようと。それから、下に行って、地下水バイパス。それから、青い方の抜本的な対策として、海側の遮水壁であるとか陸側の遮水壁であるとか、あるいはサブドレーンというのを挙げております。これを一つ一つ今から御説明いたします。

 まず、緊急的な対策の一でございます。次のページ、九でございます。

 これはまた同じ場所の絵でございますけれども、先ほどの二年前に漏えいがあったという部分でございます。そこの一番海側のところに青い二重のビーズのような線がございますが、ここに今、水ガラスを打って、ごらんいただいたと思いますけれども、ここで海側に行くのをとめようとしております。

 一方で、どんどんどんどん地下水が流れてまいりますので、それを防ぐためにも、下の方のオレンジ色の部分で全部囲って、ここを完全に区切ってしまおうというようなことをやっております。

 真ん中辺に、ウエルポイントといって、緑色のラインがございますが、これは実際は一つ一つは穴を掘って、井戸を掘っているんですけれども、当然、青いところで遮蔽しておりますので、どうしても地下水がたまってまいります。その部分を今くみ上げているというところでございます。

 こうした対策で、外へ出ないようにということを考えております。

 それから、十ページ目に行きまして、汚染水の緊急対策の二番目でございます。これはちょっと絵が逆さまになっておりますけれども、これは海側から建物側を見ております。今までの絵と逆さまでございます。

 御存じのように、建物からはパイプであるとかケーブルであるとかいろいろなものが出ておりますので、それが設置されている部分にダクトのような、トンネルのようなものが幾つかございます。それがこの緑色の、通称トレンチと呼んでいる部分でございます。ここに汚い水がたまってきてしまっております。

 これを何とかしなければいけないということで、建物とトレンチがどこかでつながってしまっておりますので、そこをとめませんと、幾らここを抜いても建屋の中からまたどんどんどんどんこちらに押し寄せてまいりますので、赤丸をしてあるところ、この辺を何とかとめたいということを今考えているところでございます。

 次に、緊急対策の三つ目で、これも皆さん、お聞きになったことが何度もおありになると思いますが、地下水バイパスと称されるもので、先ほど一日に四百トンぐらい入ってくるだろうという、その量を何とか少なくしようということでございます。

 全体的な絵がございますが、建物の山側に青い穴が十二個あいてございますけれども、ここで井戸を掘って、ここでくみ上げて地下水のレベルを少し落として、建物の中に入るのを少しでも減らそうという取り組みでございます。

 続いて、十二ページ。これからは抜本的な、少し時間のかかる取り組みでございます。

 まずは、海側の遮水壁が上の方にございます。これもごらんになっていただきましたけれども、真ん中に写真がございますが、基本的には、くいを打ってしっかり水をとめるということで、さらなる海に出ていくのを防ごうという対策でございます。ごらんになっていただいたと思いますが、半分ぐらいまでできてきておりますが、来年の九月までかかるというものでございます。

 それから、対策の二としては、ぐるっと一周凍土壁を、囲おうということで、凍結方式でできないかということを今フィージビリティースタディーをやっているところでございます。これは、ここに絵がございますように、何本か棒を刺していって、そこに冷却材を入れ、その周りを凍らせて、最終的にはそこをつなげていこうという形で、これは今フィージビリティースタディーをやらせていただいているところでございます。

 続いて、抜本的な対策の三番、十三ページでございます。

 これは、模式的に断面図というのが書いてございますが、一番左側が先ほど申しました地下水バイパスでございます。山の上で地下水をくみ上げて、地下水位という青い薄い線がございますが、これを下げて建物の中に入る水を少しでも減らそうということでございます。

 それに加えて、サブドレーンというものが建物の両側にございます。ここはもともと地下水を事故前からくみ上げて建物が持ち上がらないようにということでやってきた、そういう設備がございますので、それを使ってさらに水位を少しでも下げて、今、御存じのように建物の中の汚染水の水位と地下水の水位というのはそれなりにコントロールされておりまして、建物の中の水位を地下水よりも絶えず下げておいております。

 したがって、汚れたものは外には出ないんですが、逆にどんどんどんどん入ってきてしまう。これは大変難しいところでございましたけれども、両方ともこれから下げていって、行く行くはタービン建屋の中、原子炉建屋の中の汚染水を全部取り出そうということを考えております。

 続いて、タンクの話でございます、ちょっと時間が押してきましたけれども。

 タンクは、御存じのようにたくさんのタンクにためておりますけれども、今タンクの、入れ物としては四十一万立米ぐらいございますけれども、既に三十五万立米ぐらいが、その中に汚染水が入っているという状況でございます。

 そこにグラフがございますが、赤いグラフが入れ物の量、タンクの量でございまして、どんどんどんどんふえていく。一方で、青い線が一日四百トンという流れ込みの量を傾きにとっていますので、ほとんど直線状に延びていきます。これが赤いところにくっつきますと足りなくなってしまうということで、一生懸命赤いのをつくっていくという状況は続けていくということでございます。

 続いて、最後、タンクのどこから漏れた。これも皆さん御案内と存じますけれども、十五ページの絵にございますように、タンク群の中のナンバー五というタンクから推定三百立米が漏れたということで、この位置は、海からは直線距離では五百メートルぐらい離れている高台にあるところでございます。

 それを少し大きくしてお示ししたのが十六ページの絵でございまして、これも実際にごらんになっていただきましたけれども、ナンバー五というところから漏れて周りが汚染されたという状況でございます。

 めくっていただきまして、今、そのタンク、まさにナンバー五のタンクの原因を調査中でございます。十七ページの絵は、これは少し漫画的に描いてはございますけれども、タンクはフランジ型のタンクでございますので、五つのパーツをくっつけて、底面の真ん丸い底部、底板をつくっておりますが、そこから空気を入れまして、バブリングと称していますけれども、もし漏れがあれば少しでも水がぶくぶく、自転車のタイヤのパンクを直すのと似たような話ですが、やりましたが、なかなか見つかりませんでした。

 そこで、十八ページのように、今度は中をあらかた解体しまして、先日ごらんになっていただいたときはまだ解体できてはおりませんでしたが、どんどんどんどん解体しまして、左の絵、これも大体その外形の図ですけれども、四つのパーツから輪切りになっていますけれども、上の三つぐらいを外しまして、たらいのような状態にして、そこの中に入って泡を塗りまして、今度は下から、前回のものは空気を入れてみたんですけれども、今度は空気を抜いてみました。そうしたところ、丸い場所、この二カ所のボルトの間あたりから吸い込みが見られましたので、どうもここから水が漏れたんではないかなと。まだ確定的に、断定的には申し上げられませんけれども、どうもここではないかというところが今わかってきたという段階にございます。

 そうした原因を調査して対策をこれから打っていきませんといけませんが、それまでの間はしっかりとしたパトロールをして、二度とこういうことがないように、あってもすぐ見つけられるようにという対策をしております。その辺が十九ページにございます。今までのパトロール要員は確かに脆弱でございましたので、ここら辺にしっかり人を投入して、今しっかりとした、一日四回、一回三十人ずつのパトロールで、それも自分の受け持つ地域を決めまして、ただぐるぐる回るのではなくて、そういうやり方をやらせていただいております。

 それから、そもそも、二十ページですが、フランジ型の接合したタンクではどうしてもその接合部分から漏れるという可能性がございますので、溶接型にこれから変えていこうという対策をとってまいります。

 それから、二十一ページ。そもそもある程度の汚染水をためなければいけませんので、ためるんであれば、ためなければいけないんであれば、いかに安心した、少しでもきれいな形でためようということで、ALPSを、きょう以降、動き出しましたけれどもさらに加速していこうということで、真ん中辺に三つの丸がございますが、一つ目の丸、二百五十掛ける三系列、これはもう現存するものでございます。二つ目の高性能ALPSというのを経済産業省の補助事業としてやらせていただいて、三つ目の増設ALPSというのは、一つ目の丸と全く同じものをもう一系統つくろうということで、こうしたことでどんどんどんどん処理量を多くして、少しでもきれいな形で、ためざるを得ないんであればきれいな形でためていこうということを考えております。

 二十二ページ以降はその他の事項ですけれども、一つ、皆さんごらんになっていただいておわかりのように、免震重要棟というところには席が八十しかございません。つまり、東京電力の社員は、あそこには八十人しかおれません。もちろん、日中は二百人ぐらいの人間が来ておりますけれども、どうしてもほとんどの人間は第二原子力発電所にいまして、八キロの間をバスで移動して、要するに通って、そこで仕事をしておりますが、やはり現場からどうしても遠くなるということがあって、ここを何とかしたいと思っております。矢印のように、少しずつ発電所の中にそうした執務スペースをつくっていって、行く行くは、約千人が、全員がそこで働いて、何かあればすぐ現場を見られるという状況にしていきたいと思っております。

 それから、二十三ページは、汚染水・タンク対策本部というのを東京電力の中につくりましたが、そこの上の真ん中辺に、社外専門家というので、社外の知見を積極的にお願いして助言いただこうということで、その次のページにレイク・バレットさんという方、この方はNRCのもとの職員でいらっしゃいますが、スリーマイルアイランドのときに現場で指揮をされた、大変いい方に来ていただけることが決まっておりまして、もう早速、発電所に入っていただいております。こうした外国あるいは国内、国内外問わず専門家の方に入っていただいて、そうした方の御助言や御指導をいただきながら、今後ともしっかりやってまいりたいというふうに考えております。

 最後のページは、先日、安倍総理大臣に一Fにお越しいただいたときに、これももう御案内のことと思いますが、三つの御要請をいただき、それに対して私どもの方からお答えをしたということで、しっかり資金を手当てして、発電所の職員が、要は、金をけちけちして、やるべきことをやるのをやめるとか、遅くするとか、そういったようなことのないようにしっかり手だてをしようということ、それから、先ほどのALPSをしっかり動かして、何とか二〇一四年度中にほとんどのタンクの汚染水をきれいな形にしていこうということ、それから、五号機、六号機の廃炉に向けた決定を検討し、年内に結論を出していこうということをお答えしたところでございます。

 済みません、長くなりまして。私からは以上でございます。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淳司君。

鈴木(淳)委員 自由民主党の鈴木淳司であります。

 廣瀬社長、きょうは大変お忙しい中、おいでをいただきましてまことにありがとうございました。

 また、先日、私も原発の視察をさせていただきました。ちょうど総理が行かれる一週間前だったと思いますが、白い防護服を着て、保冷剤を三つもつけて、線量計をつけて、また防護マスクをつけて、完全装備でお邪魔をしましたけれども、今またこの時間、この瞬間に極めて過酷な状況の中で現場の作業員が頑張っておられる、これについてはまずもって感謝と敬意を申し上げたいというふうに思います。

 さて、幾つかの場所を見せていただきましたけれども、海側にお邪魔をして、改めてあの巨大津波の過酷さというものを実感した次第であります。現場の皆さんは頑張ったと思います。しかし、残念ながら事故は起こってしまいました。いかなる理由があるにせよ、これほどの、絶対起こしてはいけない事故が起こってしまった。津波による電源喪失の危険性というものは、この国会でもかつて指摘されたことがありました。また、東電でもそうした問題意識を持った方があったと聞いています。しかしながら、結果的に対策が打たれず、この事故が起こってしまいました。

 東電の責任は極めて重い、これだけの重大事故を起こした以上は、その第一当事者たる東電の責任は免れない、それはもちろんであります。しかし、同時に、ある種、安全神話により、我々推進をしてきた側ももちろんその責任があるというふうに思います。

 さて、第一原発に向かう途中、人影がない町並みを通りました。あれから二年半、今なお苦しんでおられる方がたくさんおみえになります。そして、今日のまた汚染水の問題であります。

 この事故から二年半、東電の最高責任者として、この二年半を述懐して、一言御所感をいただければありがたいです。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 本当にこの二年半の間、もう二年半も過ぎてしまいましたけれども、本当に長きにわたって、特に避難を余儀なくされた方々を中心に、また漁業関係者やあるいはその他の産業、農業の方々を含めて、避難はされていらっしゃらないけれども、大変な、いろいろな御迷惑をおかけしていることにつきまして本当に申しわけなく思っております。

 今、振り返ってみまして、今まさに、皆さんからよく御指摘を受けますけれども、モグラたたきのような状態が相変わらず続いているというのはもう全くの事実だというふうに思います。

 そのモグラたたきの状況、一つ一つにはそれなりに言いわけ的な説明は可能だとは思いますが、やはりなかなか、そのときそのときの優先順位というんでしょうか、例えば二年前であれば、何が一番必要であったのか、何を一番最初にしなければいけないのかということから、どうしても、気がついていた部分についても、リストアップをして、どれを先にやろうかということから後ろになってしまったようなものも確かにございます。

 必ずしもそれがということではないですけれども、そうしたものが幾つかあって、時間の経過とともにそれが顕在化していくということが幾つか見受けられております。特にネズミのあれなどは、本当に、あのときも言いわけを申し上げましたけれども、一週間後に本設に移すようなところで起きてしまったような、あれはまさにそうしたことの象徴的なことだったと思っております。

 なかなか、気がついてほっておいたわけではないんですけれども、手が回っていないというようなところがまだまだあって、そうしたものにだんだん、ただ、ごらんいただいたように、以前に比べますと線量も下がってまいりましたし、少しずつやれることが、瓦れきの撤去等々もできてきましたので、やっと少しずつ手が届くようになってきた。ここで一生懸命やらなきゃいけないなというふうに思っているところでございます。

鈴木(淳)委員 ありがとうございました。

 さて、今回の汚染水問題であります。

 ある面で、三・一一の事故発生以来最も厳しい局面かもしれません。ふえ続ける汚染水とその流出、これを防げないようでは、事故はいまだに続いているということになります。

 福島の一号機から四号機は廃炉が決まっております。しかし、この汚染水問題に解決の道筋がなければ、廃炉そのものが進みません。汚染水問題は、かねてオリンピックの招致段階でも大変な話題になりましたけれども、まさに世界が注目をしている。この汚染水問題はもはや東電だけの責任ではない。もちろん、第一義は東電であります。しかし、もう東電だけの批判をしている段階ではない、そうした状況にあるかと思います。世界から見れば、もう東電も国もありません。いかにしてこの汚染水問題に早く解決の道筋をつけるか、そして廃炉の工程をしっかりやるか、それが大事であります。

 今、日本には五十基の原発がありますけれども、そして、これから原発の再稼働はどうなるか、まだもちろん予断を許しません。しかし、いずれにせよ、これらの原発は、中長期的には、最終的には廃炉にしなければなりません。とすれば、この廃炉の技術をしっかりと持たなければいけませんし、その第一歩が今回の汚染水でありましょう。同時に、仮に日本が原発の再稼働をしないとしても、近隣諸国では原発ができていく。とすれば、いかなる状況にせよ、日本は常に最高レベルの技術を持たなきゃいけない、こういう状況にあろうかと思います。

 ぜひ、この機会に、この問題に取り組む中で、しっかりと技術的な向上もして、人材も含めてぜひとも充実をしていきたい、そう思う次第であります。この問題はもはや日本の安全保障上の問題と言っても過言ではない、それほど重要な問題である、そういう認識のもとにぜひ対策に取り組んでいただきたいし、我々も応援していきたいと思っております。

 何としても今までの汚染水問題をクリアして、過酷事故からよみがえって、最高水準の技術力を持った日本だ、そうあれるようにぜひしたいと思いますし、それがなければ福島の方々は浮かばれません。ぜひよろしくお願いします。

 さあ、汚染水であります。

 現場をあちこち見せていただきました。ふえ続ける汚染水の問題、この核心は、何といっても、今もお話がありましたけれども、原子炉建屋内への地下水の流入をどうとめるか、そして同時に、タービン建屋から海への流出をどうとめるか。汚染水をふやさない、そして漏らさない、この二点に集約をされる。もちろん、その先の除去はありますけれども、まずはこの二点に集約されると思います。

 先ほどの説明にもありましたけれども、何と、一日に八百トンもの地下水が流入をして、そのうちの四百トンが建屋に入る、そして四百トンがまた海へ流れ出る、この状況。建屋への地下水の流入の阻止、建屋から海への流出の阻止、この課題のうち、海への流出の防止については、既に、お話がありましたとおり、途中段階ではありますが手を打たれています。しかし、陸側遮水壁、かつて検討されたと聞いておりますけれども、これについては見送られました。これは後ほど多分ほかの委員がされますので深くは言いませんけれども、この背景について、簡単にお願いします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 二年前に、陸側にも遮水壁をつくってというか、ぐるっと回してということを検討されたということでございます。

 その当時、いろいろな検討がされましたけれども、やはり一番難しかったのは、先ほどのお答えにも関連しますけれども、二年前の状況を今振り返りますと、かなり瓦れきがあって、線量もあって、ましてや一番問題だったのは、我々が一番プライオリティーを高くとっていたのは、ちょうど二年前ですと、まだ、先ほどの、ぐるぐる回って循環をして冷却をするという仕組みができ上がったかでき上がらないかのころでございます。

 ですので、それを優先して、現場の線量を何とか下げていかないといけないということがあったと思っておりまして、そういうものと、それから先ほども言いましたように、いろいろなトレンチであるとかいろいろなパイプであるとかというものが出ておりますので、そこをどうやってよけてぐるっと囲むのかという施工面、そうしたものの課題があって、なかなかそこにいきなり着手できなかった。むしろ、それよりは海側を先にしっかりつくろうではないか、そういう議論があって、そういう経過をたどっている、そういうふうに承知しております。

鈴木(淳)委員 次に、トレンチの止水についてお尋ねします。

 建屋地下のトレンチは、事故発生以来、今なお高濃度の汚染水が存在をし、また、このトレンチにはクラックがあって、ここから漏れたりあるいは地下水が入ったり、こういう状況であると思いますが、廃炉に至る作業で、どうしてもこのトレンチは止水しなければいけない。その止水に至る過程についてお話しください。

廣瀬参考人 先ほどのパワーポイントのページにあったと思いますけれども、赤い丸がついていて、そこを凍結させてとめたいということを書いたところ、十ページでございます。

 これはなかなか難しい技術でございます。今まで水をとめたという実績もございませんし、それから、そこに当然またいろいろな支障物がございますので、その辺をうまくやっていかなければいけないということから、これを一生懸命今やっておりまして、この八月の下旬から凍結の模擬試験をちょうど始めております。その結論を、十月ごろに結果が出てくるということでございますので、それで大分フィージブルかどうかということが見えてくると思いますので、ぜひこれは、そこの結果を踏まえてしっかりやっていきたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(淳)委員 次に、漁協の皆さんとの懇談の中でこんな話が出ました。とにかく、モニタリングの結果を国としてオーソライズして、共有化をしてほしい、まさしく同感であります。その結果に、そのモニタリング数値に信頼が持てなければ、何の議論も始まりません。

 このモニタリング結果のオーソライズについて、そして共有化について、お考えをお聞かせください。

廣瀬参考人 お答えします。

 これは漁業関係者の方々から私どももお聞きしております。私どもももちろん、先ほど幾つかお示ししましたけれども、いろいろな場所でモニタリングをして報告しておりますが、本当に私どもの信頼のなさといいますか、これまでのことで漁業関係者の方から、あるいは一般消費者の方から、私どもの発表では本当かどうか、また東京電力はうそをついているのではないかというふうに思われるというお声があったというふうにお聞きしております。

 現在、環境省さんや水産庁さんや、さまざまなところの御協力をいただいて、それぞれの分担を決めてモニタリングをして公表しておりますけれども、まさにお国の信頼といいますか権威といいますか、それは大変大きなものがございますので、ぜひそうしたお力をいただきながら、少しでも皆さんに御安心いただけるような情報の提供、発表を心がけていきたいというふうに思っておるところでございます。

鈴木(淳)委員 次に、地下水バイパスについて少しお尋ねします。

 陸側遮水壁の山側にドレーンを掘って地下水を抜く、その思いはわかります。しかし、残念ながら、現実に今貯水タンクから漏れている。とすると、あえてその貯水タンクより上側から、その段階で地下水を除去する、こうした必要性はないのか、またその検討はされているのかどうかということです。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 これも、先ほどの私のお配りしたものをごらんになっていただいた方がよろしいかと存じますが、三ページが一番わかりやすいかもしれません。失礼、それよりも、申しわけございません、八ページをごらんいただければと思います。

 地下水バイパスの場所というのは、ごらんになっていただいた海抜三十五メートルの崖の上といいますか、そこにございます。先生の御指摘は、もっとこの下の方、タンクよりもさらに下の方がよろしいんじゃないかという……

鈴木(淳)委員 逆です。タンクより上側です。つまり、タンクの下をくぐる地下水が汚染される可能性があると思われますので、その部分で。

廣瀬参考人 もっと離れた場所という意味だと思います。

 したがって、例えばもっとずっと、この絵でいいますと下の方ですね。海から離れた方につくれということですね。タンクはこの後の、この地下水バイパスよりもさらに下にございますので、それよりもさらに下ということ、でなくてですか、もっとタンクの、通る前にという意味だと。

富田委員長 もっと山側につくられたらどうかというような御質問ですが。(鈴木(淳)委員「そうです、そういうことです」と呼ぶ)

廣瀬参考人 はい、山側ですね。そういうことも、実際には我々シミュレーションとして検討させていただきました。

 ただ、地下水バイパスの狙いが、地下水を建物の中に入れないようにするということでございます。当然、建物と距離が離れたところでくみ上げるということになりまして、そこでくみ上げたものがすぐそこの建屋の水量に影響できるのか、またその間にいろいろな流れが出るのではないかということから、やはり距離が離れるとなかなか難しいのではないかなというふうに今考えているところでございます。

鈴木(淳)委員 わかりました。

 先ほど申し上げたように、この汚染水対策というのは、何としてもこれは成功させなければいけませんし、これをもってして日本の廃炉に向けた技術を高めなければいけません。もうこれは国家的な命題でありますし、東電を非難して済む話ではありません。東電の方にはもちろん頑張っていただかなければいけません。

 しかし、ここであえて問います。

 東電の皆様は今なかなか物が言いにくい状況だと思います、国に対して、あるいはメディアの前でも。もちろん、当事者ですからその責任はあります。しかし、これからオール・ジャパンで対策を打つ場合に、一番現場を知る立場として、やはりしっかりとした発言はしていただかなければいけません。この先、東電は果たして何ができるか、何をするか、そして同時に国に何を求めるのか、このあたりも実は真摯に議論しなければいけないと思います。

 今、現場では、残念ながら原子力人材が流出していると聞いています。それではもういけません。これからまさに日本がこの過酷事故を克服して、世界最高の技術を持たなければいけない中で、今まさにこの汚染水問題はその転換点です。

 どうぞここで、あえて問いますから、東電が果たして何ができる、何をする、責任を持つ、そしてその上で国に何を求めるのか、期待するのか、それをぜひ率直にお聞かせください。

廣瀬参考人 ありがとうございます。

 やはり社長として一番心配しているのは、社員の使命感といいますかモチベーションといいますか、賠償にしても除染にしても廃炉の作業にしても、結局は人間がやるわけですので、そこが一番心配されるところでございます。

 そういう意味で、今般、国が一歩も二歩も前へ出ていただく、前面に立っていただけるということで、さまざまな取り組みが予算措置も含めて始まるということ、これは社員にとっても大変心強いことでございますし、先ほどの漁業関係者の方の御指摘にもありましたように、やはり国が責任を持って数字を出していただけるということからの信頼度も全然違うと思っております。

 もちろん、東京電力が責任を果たして、中心となって、除染も賠償も、それから廃炉に向けた措置も、これは我々がしっかり最後までやっていく、そこの中心にいるというのは、全く、これからも私どももその覚悟でやってまいりますけれども、そうした中で、むしろそうした精神的な支えといいますか、そうしたことは大変むしろありがたいのではないかなというふうに昨今感じているところでございます。

鈴木(淳)委員 ありがとうございました。

 求められるのは結果であります。とにかく一日も早く汚染水問題の処理にめどをつける、それがまさに肝要であります。ぜひ頑張っていただきますようにお願いをして、質問を終わります。

富田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、大変喫緊の課題である汚染水対策、また廃炉対策に向けて全力で取り組んでおられる社長にこの委員会においでいただきました。御苦労さまでございます。

 九月十二日、私も経済産業委員会による福島第一原発の視察に参加させていただきました。御協力ありがとうございました。

 本日は、この汚染水問題に関しまして、現地視察の結果も踏まえて質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 改めてでございますけれども、汚染水漏れにつきましては、事故直後の二〇一一年四月、原発建屋の海側にあるトレンチからの流出を初め、浄化装置の配管また地下貯水槽など、各所から汚染水漏れが見つかってきたわけであります。ことし八月には、貯水タンクから三百トンもの汚染水漏れが発生して、一部は海洋に流出したともされるところであり、原子力規制委員会からは、原子力事象尺度のレベル3と認定する重大な事態になっている、そういう状況であるかと思っております。

 なぜこうも次々と汚染水をめぐるトラブルが発生して、そのたびに東電の対応が後手後手に回るのか。今回の汚染水漏れも、一カ月ほど前から始まっていたけれどもそれが見落とされていた。もはや、厳しい言い方ではございます、東電一社の能力を超えつつあるのではないかと言わざるを得ないところもあるわけでございます。

 福島の復興のためには、この第一原発の廃炉を安全に着実に進めることが必要不可欠であります。特に汚染水処理は、廃炉作業と福島再生の大前提でございます。ここでもたつけば、住民の皆さんの帰還はおくれて、風評被害も広がる。また、事故収束が遠ざかり、廃炉計画の破綻にもつながりかねない。日々ふえ続ける汚染水への対応は時間との勝負であって、まさに国家の非常事態であると思っております。

 このような中で、安倍総理が、東電任せではなく国が前面に出て汚染水対策を講じるとして、九月三日には四百七十億円の予算措置を含めて国が前面に出る基本方針と総合対策を発表したのは、適切な判断だったと評価しております。

 そこで、廣瀬社長に改めてお伺いをいたします。

 この汚染水問題をめぐる東電の対応、それは責任であり、能力であり、その対応について、どのように今現在認識をされて、今後どのように対応をされていくのか、その見解をまずはお伺いいたします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 大きく今考えておりますのは、いわゆる汚染水問題に対して二つ大きな問題があるというふうに認識しております。

 一つは、今般ありましたようなタンクからの汚染水漏えいというようなことでございます。

 これは、現場のオペレーションやマネジメントの問題に起因するところが非常に多くて、まことに我々の責任大でありまして、改善すべき点も多々あったというふうに思っております。なかなか手が回らなかったとかいろいろ言いわけはございますけれども、これは本当に我々の責任としてしっかりやっていかなければいけないというふうに思って、また改めて、人もたくさん投入しまして、しっかりとした予算もつけて、監視あるいはパトロール、そういったものを強化して、しっかり見ていきたいというふうに思っております。大変御迷惑をかけて申しわけございません。

 もう一方は、地下水の挙動であるとか、それから、今度の例えば凍土壁のような新たな技術であるとかといった、かなり大がかりなといいますか、難しい問題があると思っています。これはもちろん我々が中心となって現場で汗をかいてやっていかなければいけないと思いますけれども、そこについては、やはり専門的な知識も我々には全く足りていないと思っておりますし、国内外問わず、いろいろな新しい技術、新しいものをぜひ取り入れたいというふうに思っています。

 そういう中で、廃炉推進会議があり、それから汚染水処理対策委員会があり、そうしたことで、今、国も、あるいは専門の大学の先生方もたくさん入っていただいて、そうした体制、特に汚染水に関して体制を今整えていただいて、大変ありがたいと感じております。

 本当にそうしたいろいろな力をいただきながら、しっかり私どもが現場で頑張っていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

江田(康)委員 今申されましたように、その責任、またその能力、それから国とのこれからの協力等についても認識をされているということでございました。

 改めてお伺いをさせていただきたいんですが、先ほどもございました。東京電力では、震災直後から、日々ふえ続けるこの汚染水が今後重大な問題になる、そのように認識されていたはずであります。山側遮水壁の設置も、そこで議論も検討も行われていたと報道もなされております。

 報道によれば、事故直後の五月には既に当時の民主党政権と東京電力は国費の支出による遮水壁の設置を協議していた、当時の菅首相の合意のもとでその方向性も決まっていた、しかし、当時の勝俣会長が市場から債務超過と見られかねない、こういうような主張により、当時の民主党政権でも財政支出による政策の先送りを認めた経緯があると。これは報道されているところでございます。

 先ほども御説明はなされましたけれども、このことが事実であれば、自社の経営への影響を優先してこの重大な汚染水問題を先送りした、また、国の財政支出の機会もおくらせたということにもなるわけでありまして、今まさに、凍土遮水壁並びに第二ALPS等、大変難しい問題については国が前面に出てやる。今、予算措置も含めてこの対応を決定してきたところでございます。

 当時のこういう意思決定について、改めて私は、東電の組織体質がそのようになっているのか、国民の皆様の疑問もございます。また、これから本当に東電が前面に出て、また国も前面に出て、東電も国も、そして規制委員会もない、力を合わせて前面に出ていくためにも、ここのところは確認をさせていただきたいと思うわけでございます。

 なぜ遮水壁の設置を先送りするような事態となったのか、当時この対策を講じていれば現在のような状況はとめることができたのか等々について、非常に重要な問題でもございますが、再度、社長の、当時の東電の見解をお伺いさせていただきたい。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの鈴木先生の御質問にかぶりますけれども、いわゆる地下バウンダリーと称されていたと承知しておりますが、そうしたことをしっかりと検討があったというのは全く御指摘のとおりでございます。

 その中で、当時の、二年前の状況をしっかり振り返ってみますと、あの段階で、技術的にも、技術的というか施工的に、施工面から、特に環境面、被曝の量も大変多うございます。そういうエリアがまだまだたくさんあって、瓦れきもたくさん残っていた、そういう状況があり、またそのプライオリティー、これも繰り返しでございますけれども、プライオリティーをつけていかなければいけないということもあって、当時は、そうした検討の結果、まずは海側の遮水壁をつくっていこうということが、これは政府と東京電力の統合対策室という組織の中で決定されたというふうに承知しております。

江田(康)委員 先ほどの答弁と一緒でございますが、これからの対応、大変に喫緊の課題で重要かと思います。

 その点についてまたお伺いをさせていただきたいと思っておるわけでございますが、まず貯水タンクの汚染水漏れ、その対応についてです。

 現場において私どもも見ました。溶接型ではない、ボルトで締めつけて固定するいわゆるフランジ型のタンクが相当数設置されておるわけで、三百基以上が汚染水漏れを起こしたタンクと同型のフランジ型だ。これを早急に溶接型の安定したタンクに切りかえていくという方向、また計画を実施されていこうとされているわけでございます。

 ただ、溶接型ではなくてこのタイプのものを採用することとしたその理由なんですけれども、当時から汚染水の貯水に対しては脆弱性が指摘されていたかと思うわけでございますが、その理由について、また当時の評価、そして今後の対応について、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 これも当時の状況をしっかり頭に入れなければいけないと思いますけれども、とにかく、水が出てくるというのが明らかになって、その水をためなければいけないということが、もう最大、喫緊の課題でございました。したがいまして、とにかく早くつくるということが、もう最大のポイントでございました。

 フランジ型のタイプと、それから溶接型のタンクの決定的な違いは、施工面のスピードでございます。フランジ型のタンクは、どうしても圧倒的にスピードが速いものですので、たくさんそれをどんどんどんどんつくっていかなければいけないというところから、フランジ型の方をまず優先してつくったということでございます。もちろん、その段階で、一般的に寿命が五年程度というふうに言われておりますので、当然そうしたことを検討の上でフランジ型のタンクを、もちろん溶接型のタンクもその後つくってきているわけですけれども、まずはスピードを考えてフランジ型のタンクを優先してつくったというふうに承知しております。

江田(康)委員 溶接型タンクへの、安定なタンクへの切りかえとを同時並行していくわけでしょうけれども、今まさに汚染水漏れが生じたタンクが現存するわけでありまして、それに対してはしっかりと監視していく必要があるわけで、それを同時並行していくというのが先ほどもあったかと思います。

 その点において、パトロールを初め、その監視にかかわる人員、またその回数も大幅にふやすということで、先日もこの対策をお伺いいたしました。

 私どもも先日入ってみて、大変過酷な中での作業員の皆さんの状況を、もう私ども実感したわけであります。我々は視察だけで動くわけでありましたけれども、防護服、重装備の中で動く、大変この中は暑くて、また我々も、視察して動くだけでも相当苦しい思いがいたしました。

 作業員の方は、さらに体を動かして対策を逐次とっていかなくちゃいけない。こういうような環境の中で作業をする方々への肉体的な精神的な負担、これは非常に大きいものが、相当なものになっている。また、その作業環境を見せていただきましたけれども、やはり、適した環境になっているのか、冷静に、対応を迅速にできる、そのような態様になっているかといいますと、ある方に言わせれば、野戦病院的なまだ状態にあるかと思っております。

 そういう意味で私どもは質問をさせていただいたんですが、ただ単純に増員しても、その分うまくいくとは限らないと高橋所長はおっしゃっておられました。しかし、このパトロールの充実を含めて、これから安定なタンクへの移送と並行して脆弱なタンクをしっかりと監視していく、これがこれ以上に汚染を広げない大事なことであるかと思いますが、そういう人員の増員、また作業環境の改善についてはどのように計画をなされているか、お伺いをさせていただきます。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 九月の初めから、本当に急遽、ああした事態が発生してパトロールを強化いたしました。社員を投入し、今まで二人で日に二回ということですので延べ四人でございましたが、現在は三十名体制で四回ですので百二十ということですので、四が百二十になりまして、そういう意味では三十倍の目で今見るようにしております。当初は社員でそれを急遽かき集めてやったわけですけれども、今は、しっかりとした契約をすることができまして、委託の方に切りかえてきております。

 一方で、監視の方も、やはりずっと人力でやるというのもなかなかこの事態で余りに非効率な部分もございますので、しっかりとした水位計をつけて、それを入っていただいた免震重要棟で集中管理をして、何かあったらすぐモニターが鳴ってというような形にしていきませんと、なかなか全部が全部ずっと人力というのも厳しいものがあるというふうに考えておりますので、そういう対策も打っております。

 一方で、全体的な人の労務環境の改善というのは、随分昔から比べると大分よくなってまいりましたけれども、やはりまだまだよくしていかなければいけなくて、皆さんに入っていただいた、最初にあの青い服に着がえられたところの建物、新しいものができてきたと思いますが、ああしたところを、上を、今内装をつくっておりますけれども、ああしたところで、協力会社の方々も含めて、少しでも休憩できたり、そうしたような環境を今、やっとですけれども、少しずつ整え始めているというところでございます。

江田(康)委員 最後に、地下水対策について、関連するところは大きいんですけれども、残された時間で御質問させていただきたいんです。

 先ほど訂正もあった数字でございますけれども、敷地内には毎日一千トンの地下水が流れ込んで、このうち四百トンが原子炉建屋に流入して、それを地上の貯水タンクに貯蔵している、そういうような状況。そういう中で、その残りの、かつては六百トン、そのうちの三百トンがトレンチなどの高濃度汚染水に触れて、これが海に流出しているということがこれまでも言われてきました。その六百トンが今回四百トンであるということだと思いますが、このような状況、ここが抜本的に対策がとられてこないと、もう汚染水との闘いは永遠に続くわけであります。

 そういう意味で、今回、国も前面に出て、凍土遮水壁を設置していく、また地下水のくみ上げ、さらには海側の遮水壁の完成等々、こういう対策がとられていくことになるかと思いますが、今後の対策をとる上においても、このデータが、その信憑性が問われるわけでございます。

 当時においても私も随分と質問をさせていただきましたけれども、このようなデータ、先ほどは六百トンが四百トンに訂正されております。この調査、そしてこの正確性といいますか、どの程度明確にこれを把握されているのかを確認させていただきたい。

 特に、三百トンといいますか、今は四百トンなのでしょうか、高濃度汚染水として、地下水として海に流出している可能性があるというこの視点は、この数字の根拠について、どこまで科学的に捉えておられるか、その点についてお伺いをさせていただきたい。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 私の使用させていただいた資料の三のところに、左側に注が書いてございまして、以前、先生御指摘のように、六百と言われていたものを今回の解析で四百に見直したというところでございます。

 これも含めてですけれども、特に、先ほども申しましたけれども、地下水の挙動というのをしっかり把握していくというのは、これはまたこれでなかなか難しいものがございます。したがって、コンピューターでの解析、したがって、そのためにはどういうパラメーターを入力するかということ、そういうことをだんだんだんだんよくしていきませんといけないと思っております。

 そういう意味で、今回、数字を見直したということについては、本当にまた信頼性、信憑性を疑わせるようなことにつながってはいけないとは存じますけれども、またそれでも新しいデータ、新しい実証といいますか、そうしたものをしっかり把握して、解析の精度を高め、再現性を高めていくということは、これはこれからもずっとやっていかなければいけないと思っております。

 そういう意味では、本当に、しっかり社外の方々の知見も入れて、先ほどの話に戻りますけれども、私どものクレジットだけでなくて、しっかりとしたそうした信頼に足る、皆さんに御理解いただけるような解析結果を出していきたいというふうに今後とも考えております。

江田(康)委員 時間となりました。

 汚染水対策は国家の最重要課題でございます。これから、国の基本方針、総合対策、国が前面に出てこの汚染水対策に取り組む。そのことについては、また三十日にも政府への質疑がございます。あわせて、東電、国そしてまた規制省庁、しっかりとこれを一つの力で対応してまいらねばならぬと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございます。

富田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 きょうは、汚染水問題の参考人質疑、廣瀬社長に質疑をさせていただくことになります。よろしくお願いいたします。

 今から二年半前です。二〇一一年三月二十六日、私は、官邸からの一本の電話を受け、出先からすぐさま官邸に向かい、そして、その場で菅総理より福島第一原発事故対策担当の総理補佐官を命ぜられます。以来九十四日間、私は、まさにこの汚染水問題を含め、当時の原発事故対策の責任者としてプロジェクトを率いてまいりました。いわゆるこのチームの中には、役所も含め、東電も含め、まさにこの事故収束のために全力を尽くしてきた、こうしたチームを構成していったわけであります。

 この三月二十六日、当時つくられましたのが、福島原子力発電所事故対策統合本部、このもとに放射線遮蔽・放射性物質放出低減チーム、いわゆる遮蔽プロジェクトと呼んでいるものでした。これは、後に中長期対策チームというふうに名前は改組されます。私がその二十六日初日、全体プロジェクトの中でこのチームの責任者として与えられたミッションは、まずは陸海空で漏れ出ている放射性物質の汚染拡大を防止することでした。

 陸は、目に見えて明らかなこと。それは、三度の水素爆発等によって起きた粉じんが土壌を汚染します。これが、雨が降れば海に流れ、逆に、風が吹けば宙を舞う。静岡のお茶葉からセシウム137が検出されたのはその当時だったと記憶しています。さらに、空は原子炉建屋からもくもくと水蒸気が出ています。炉体は保持されているといいながらも放射性物質が漏れ出ている、これもとめなければなりません。

 目に見えるこれらの対処というのは、それこそオール・ジャパンで、さまざまな知見を集めて取り組みをしたところであります。各所、全省を初め、さらにはNRCまたIAEA、JAEAを含め、さまざまな知見を集めました。

 その中で、今申し上げた陸や空への汚染拡大防止は、飛散防止剤の散布で封じ込める、あるいは建屋をカバーするカバーリング工事、これらで一定の方向性は見出せました。しかし、海への流出、いわゆる汚染水がどのような状況であるか、これに対しては当時大変な議論があったことを記憶しています。

 私どもは、二〇一一年の三月の初動から翌年の十二月まで一年九カ月、事故収束に当たってきた。民主党は何もしなかったじゃないか、こうした御批判に関しては、事実とは異なります。しかし、今日、この汚染水問題が大きな課題となっている。事実として私たちが防ぐことができなかったこと、これは大いに反省をしなければならないと思っています。そして、そのことに関しては、海江田代表も、我が党において、遮水壁の問題を含めて早急な検証作業を行うとして指示を出されています。

 反省をしながらも、一方で、当時の過去の対応も含めて事実を明らかにしなければ、まさにこれから行わなければならない汚染水の流出防止に対して、過ちを二度と繰り返してはならないという意味で、きょうは私は廣瀬社長にまず一点、これは簡単なことですが、当時、誰が何を理由にどのような判断を下したのか、その事実経緯を確認する、このことを、事実を事実として受けとめて検証するということについて、社長からは包み隠さずお話をいただけるということをお約束いただけますでしょうか。これは一言で結構です。

廣瀬参考人 はい。私の知る限り、しっかりお答えしたいと思います。

馬淵委員 社長からも、包み隠さず知り得る限りとお話をいただきました。

 まず、当時、どういう状況だったか。

 この汚染水の対策も含めた遮蔽チームで、汚染水が漏れ出ているのではないかという議論も当然ながらありました。

 四月の二日、二号機の取水口からトレンチ、ピットに水が出ているのが発見されました。この状況の中で、汚染水が地下水とまざることはないのかという議論が出てまいりました。

 私自身は、土木技術者の端くれであります。当時の設計図を見ると、海抜から三十五メートルの断崖を切り土して原発がつくられた。三十五メートルを二十から二十五メートルぐらい削っているんです。当然、地下水より低い位置につくられる可能性があった。建設当初から、これは地下水との闘いではなかったのか。したがって、地下水がどのような状況かということを確認しなければならないということを強く、当時のチームの中の東電メンバーに求めました。

 しかし、残念ながら、それはすぐには対応が進みませんでした。地下水は大丈夫です、このような回答が繰り返しなされました。現場の方々の責任ではありません。そのような状況だということしか説明されなかったのかもしれません。

 そのうちに、私自身は、一向にこの地下水対策が前に進まない状況の中で、何とか地下水と汚染水がまざり合っているということの確認はできないんだろうかと。当時は高線量下ですから、誰も入ることはできません。私に浮かんだのは、過去の工事の事象を確認することでした。

 不適合事象というものが報告をされています。一九七一年の開始以降、不適合事象は公開基準に照らし合わせて出されています。これらを過去にさかのぼって全て検証していくと、実は、一号機から四号機まで、原子炉建屋、タービン建屋の地下に対して、地下水が逆にしみ出している、中に水が入っている、こうした事実が明らかになりました。当時、止水工事を行っています。

 ならば、当然ながら、地震によって発生したこのような事故、逆に、汚染水が地下水とまざり合って出ていく蓋然性は高いのではないか。このことをようやく東電の皆さん方にお示しした上で、浸透流解析がスタートいたしました。

 この浸透流解析の結果を見て、私は愕然といたしました。阿武隈山系から流れ出るこの地下水は、それこそ一号機から四号機までを洗い流すかのように流れ出ていました。こうした状況の中で、この浸透流解析をもって、汚染水が地下水を汚染している可能性がある、そしてそれが海に漏れ出る可能性があるということを私たちチームとしては認識したところであります。

 当時のデータでいえば、いわゆる理論値でいう流速は最大で一日八・八センチ。これは大変速いものです。そして、これが最も近い海岸部に到達するであろう原子炉建屋の端部から、どれぐらいの日数がかかるかという計算においては百七十四日でした。半年たてば海に流れ着く可能性がある。この状況の中で、私たちは地下水汚染の可能性を認識した、このようにチームの中では確認しています。

 そこで、廣瀬社長にお尋ねします。

 このように、五月上旬、浸透流解析の結果、東電の皆さん方も含めて、地下水汚染の可能性を認識していたということでよろしいでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 当時、タービン建屋の水位をモニターしておりますし、それから、タービン建屋の海側のサブドレーンの水位もモニターしております。この水位同士を見比べておりまして、この水位がほとんど同程度であるということを確認しております。したがって、汚染水が地中に大量に出ているということはない、そういう認識だというふうに承知しております。

馬淵委員 当時、その議論はあったんです。しかしながら、私はそのときも東電の技術者の皆さんと議論をしましたが、地下水位の差によって、いわゆる動水勾配、水圧によって水が流れ出る、これはないという説明でありました。

 しかし、小学校の理科の教室あるいは授業でも実験します。濃い塩分の塩水と真水、ビーカー、これがつながっている、その中で真ん中の仕切りを取れば、水が動くことはありません、しかし、拡散という効果で、塩分は均等になるまで広がっていきます。当時、このような拡散という効果もあるではないかということから、東電の皆さん方も、この可能性はあるということを認識されました。

 これに関しては、今社長は、事実として、知り得る限りとおっしゃいましたが、当時いらっしゃらなかった。私は、これははっきり申し上げます。当時、遅くともこの五月上旬には、汚染水、地下水の汚染の可能性を認識しておられた。後にそのこともお話をしますが、認識しておられた、知っておられたということは断定すべきだと思っています。

 その上で、これら浸透流解析の結果を受けて、私どもは中長期対策チームの中で、どのようにこの汚染水を封じ込めるかという議論を行いました。

 この議論の中では四つの工法がありました。汚染部分をキャッピングとして上から覆いかぶすもの、あるいは凍結バリアとして汚染部分の全てを凍らせるもの、また鉛直バリアとして壁をつくるもの、透過性反応バリアとして、ある材料を通してそこで吸着させていく。こうした四つの工法の検討を行いながら、最終的には、汚染範囲が狭いものに限られるという凍結バリアは却下されました。鉛直バリア、壁をつくって封じ込める以外にない、このことを、先ほど申し上げたNRC、アメリカの原子力規制委員会地質・水文チームの検証結果も踏まえて決定いたしました。

 あるいは、こうした鉛直バリア、地下三十メートルまで掘り下げて壁をつくるということを決めていく中で、その壁の材料をどうすればいいのか、こうした議論もありました。その材料に関しては、さまざま言われておりましたが、鉄筋コンクリートがいいのか、あるいは粘土のようなものがいいのか、さまざまな検討が行われましたが、これもJAEAの研究の結果、いわゆるベントナイトと称される粘土が適当との判断に至りました。

 このようにして、私どもは、鉛直バリア、地下三十メートルまで掘り下げて四方を囲むということを、中長期対策チームで工法として決定いたしました。

 そして、このときの凍結バリアという工法に関しては、今回政府が出された凍土壁とは、これは工法としては鉛直バリアです、材料が凍土にかわったものだという認識であります、凍結バリアと凍土工法は別のものであります。ただ一方で、凍結させるということについては同じ技術を使っているということで、これはまた月曜日にでも政府に対して質疑をさせていただきたいと思います。

 こうした状況で、私はその責任者として、地下遮水壁は四方を囲む、いわゆる粘土の壁をつくるということ、先ほど社長ははっきりとおっしゃいませんでしたが、繰り返しますが、水位差はなくとも、汚染水が地下水とまざり合って出ていく可能性があることを認識したからこそ、その決定をいたしました。

 その上で、六月十一日です。当時、責任者である私と東電の吉田所長、お亡くなりになられましたが、吉田所長と私は、発災から三カ月のときに二人で現地のサイトに入り、まだ高線量下でありました、国会議員として私はただ一人、初めて高線量下の中に入ることになりました、現場を走りながら、いわゆる地下バウンダリーと当時称していた遮水壁の位置の境界を画定してまいりました。

 そこで、社長にお尋ねをします。

 こうした経過を踏まえて、お手元の資料の6というのがありますが、これはロードマップです、中長期対策チームとして掲げた中のロードマップ、ここに「地下水の遮へい壁の検討(対策六八)」と記述し、地下水の遮蔽壁の構築を行うこと、これを統合対策室として決定したということでありますが、この認識は共有されているということでよろしいですね。

廣瀬参考人 はい。私は、確認させていただきましたけれども、六月十七日、これは、毎月十六、七、八日ごろにずっとやっていた、四月十六日からだったと記憶しておりますけれども、三回目のロードマップの進捗状況を会見で報告しているというその場だったと思いますが、その場で配られた説明用の資料の一つだというふうに認識しておりますが、この中で……(馬淵委員「一言で結構ですよ」と呼ぶ)はい。武藤がこの資料を使って、これから遮水壁の検討をしていくというふうに述べたというふうに聞いております。

馬淵委員 社長、大事なことなので、もう一度確認です。

 いいですか。ここでは、遮蔽壁の検討、ステップ2と中期的課題、このように、前回からの追加点を赤字で書いてあります。地下水の遮蔽壁の構築というのを中期的課題として決定しています。その認識はおありですかということです。

廣瀬参考人 私の聞いておりますのは、まさにステップ2の、これは六月十七日が、真ん中辺に赤い三角のあれがございますが、これはこの時点での紙でございます。それ以降、まさに検討した結果、十月ごろだったと記憶しておりますけれども……(馬淵委員「そんなことは聞いていないんです」と呼ぶ)海側遮水壁をつくるというふうに決定したと聞いております。

馬淵委員 聞いていることだけにお答えください。

 地下水の遮蔽壁の構築ということが、中期的課題でこれは決定したんです。六月の十七日です。したがって、このことは赤字で書かれているわけです。こうしたロードマップの変更を私たちは行ったわけでありますが、一方で、この状況の中で、皆さん方にお配りをした資料、これもごらんをいただきたいと思います。

 先に、資料に入る前に、一点だけ私の方から追加させていただきます。

 社長、今、構築の話も決定したということで確認をさせていただきましたが、先ほど、鈴木さんやあるいは江田さんからの質疑にもありました。社長の方からは、雰囲気線量が高くて、当時、施工の干渉があるということで、なかなかに難しかったんだということはお答えされました。

 これも確認を私の方から申し上げれば、当時、この課題は当然ながら認識しておりました。しかし、施工性の問題あるいは工事の干渉の問題というのは、あくまでも施工時の問題であります。私たちは、四方を壁で囲むということを決定し、そしてそれを前に進めなければならないとして、設計の実施に踏み込まなければならない、このように考えていました。したがって、課題であることは認識しています。しかし、それが理由で先送りということではありませんでした。

 そのことを踏まえて、お手元の資料の1をごらんください。

 これは、地下の遮水壁構築が計画実施段階に至ったということを受けて、中長期対策チームで、六月十四日、実はプレス発表を予定しておりました。これがそのときの資料であります。十三日の日付があります。

 時系列で申し上げれば、私が中長期対策チームの責任者として地下バウンダリーの構築を決め、実施の設計を進めていくということから、十一日に現地に入り、境界を画定しました。その上で、十三日には、十四日のプレス発表の準備のこの資料をつくりました。これは東電側でつくっていただいたものです。ここにありますように、「このたび、早急に対策工事に着手するために必要な、地下バウンダリ構築にあたっての基本的な考え方と基本仕様を示すことにいたしました。」と書いてあります。

 2をごらんいただくと、「基本的な考え方」として、「具体的な設計に着手する。」「設計がまとまり次第、統合対策室の承認をいただいた上で、対策工事に着手する」、こうなっています。

 また、「地下バウンダリを設置する目的」は、「これ以上海洋に流出させないために、「後追いにならない備え」とすること。」。これはまさに、今回の政府側、安倍政権においても、後追いにならないようにということを繰り返しおっしゃってこられた部分でもあります。

 こうした状況の中で、私どもは、後追いにならないようにということから、さらにこの中をごらんいただきますと、「三、地下バウンダリの基本仕様」ということで、一号機から四号機建屋及びタービン建屋の周りに遮水壁を構築する、基本的にはスラリー連壁として、難透水層に、深さ三十メートルほどです、到達させるといたしました。

 こうした対策をしっかりと基本仕様として固めて、その上で、私どもはこのことを前に進めるとしてきたわけであります。資料の3はその平面図であります。そして、資料の4は断面図でもあります。

 社長に確認させていただきます。

 二〇一一年の六月当時、東京電力としてこの「地下バウンダリの基本仕様について」と題する文書をまとめていたということはお認めになりますね。イエスかノーでお答えください。

廣瀬参考人 はい、そのとおりでございます。

馬淵委員 今お答えいただきました。

 この文書をまとめて、そして基本仕様まで固め、ここには課題が書いてあります。先ほど社長がおっしゃった課題と同様のことがあります、工事の干渉等。しかし、繰り返します、これはあくまで施工段階の問題です。設計を実施する計画段階においては、これは何ら問題にはなりません。前に進めることがまさに急がれる状況でありました。

 そして、六月の十三日、翌日に記者発表を控えているそのときに、お手元にあります5、「「地下バウンダリ」プレスについて」、この一枚のペーパーによって、プレス発表が実は見送られることになります。

 これもイエス、ノーでお答えください。「「地下バウンダリ」プレスについて」、このペーパーは東京電力が作成した、よろしいですね。イエス、ノーでお答えください。

廣瀬参考人 そのとおりでございます。

馬淵委員 当時の議事メモもございます。

 この「「地下バウンダリ」プレスについて」というものをごらんいただきますと、「現在、最も有力な対策と位置づけ。」「一千億円レベルとなる可能性もある。」ということでありました。

 しかし、ここで4、「現在、二十二年度の有価証券報告書の監査期間中であり、会計監査人から、当該費用の見積もりが可能な場合は、その記載を求められる虞が高い。しかし、極めて厳しい財務状況にある現下で、仮に一千億円レベルの更なる債務計上を余儀なくされることになれば、市場から債務超過に一歩近づいた、あるいはその方向に進んでいる、との厳しい評価を受ける可能性が大きい。これは是非回避したい。」ということから、「十四日にプレス発表とする際には、次のスタンスで臨むことについてご理解をいただきたい。」。これは、今回は実現可能性調査、先ほどの基本仕様書の公表ではなくて、あくまでも実現可能性のフィージビリティースタディーとして公表したい、このようにこの文書に書いてありました。

 六月十三日午前九時半に、ちょうど統合対策本部で行われた全体会議の終了後に、この紙を東電の元副社長が海江田経済産業大臣にお見せされた。そのことを私は耳にし、すぐに海江田大臣のところに飛んで行きました。先ほど申し上げた「基本仕様について」がプレス発表される予定であるにもかかわらず、実現可能性調査ということで後退を余儀なくされるような公表になることは決してあってはならない、このことから、海江田大臣にそのことについて説明をさせていただきました。

 ただ一方で、資本市場の混乱を起こしてはならないと、高次な判断があるということも私は理解はできます。当時、東電は救済スキームもなく、スタンドアローンの状態でした。そのことを踏まえて、海江田大臣からは、公表は差し控えるけれども遅滞なく進めなければならない、その旨を武藤さんに伝えてくれということで、私は同日十時三十五分、御社の十二階の会議室で武藤さんにそのことをお伝えしました。武藤副社長からは、ありがとうございますということと同時に、遅滞なく進めますとの確認をいただきました。

 こうした状況で、プレス発表は見送られてしまいました。しかし、私は、遅滞なく進めるという武藤副社長の言葉、私が政府側の代表者、東電側の代表者は武藤さんでした、両トップで決断をしたことでありますから、その後も私どもは作業を進めておりました。

 しかしながら、こうした状況の中で、私は、六月の二十七日、総理補佐官の任を解かれます。それによって、結果的には、四方を囲むという遮水壁は棚上げとなってしまいました。それ以降のことについては、先ほど申し上げたように、党内でも、しっかりとこれは事実を明らかにしていく、早期に明らかにするということに取り組んでいるところであります。

 私自身は、ここで申し上げたいのは、このような状況で、いわゆる公表は先送りになったが、遅滞なく進めると約束していたものがなぜ逆転してしまったのか。なぜ、四方を囲むという、地下水の流入をとめるという山側の遮水壁までもがなくなってしまったのか。私はそのことが最大の課題だと思っています。

 この課題に対して私が今思うのは、このメモにもありますように、当時の東電が、事業継続、一方で安全管理、事故収束、この議論の中でジレンマに陥ってしまったのではないか。そして、このジレンマの中で、結果的には、みずからが事業継続という任を負わされている中で、事故収束のためのその手だてというものがどうしてもおくれてしまう。

 私が申し上げたいのは、当時、誰が、どのようなことを判断し、どうしたか、その責任者捜しを申し上げているのではありません。東電が置かれている状況というのは、常にジレンマを抱える状況である、そしてそれは今も一緒です。私は、その部分について、新たな凍土壁、この問題についても、そこは東電が実は非常に困難な場面に直面するのではないかと懸念をしております。

 と申しますのは、これに関しては予備費を適用するということを茂木大臣は表明されました。しかし、この予備費については、大臣の会見の中で、技術的難易度が高いということで説明をされています。国費を使う場合は技術的難易度が高い場合だ、このように称されている。

 そして、凍土壁、これで完全に遮蔽ができればよろしい。しかし、今回の政府の汚染水の対策検討委員会の報告書では、平成三十二年ごろに、凍土遮蔽壁ができ上がっても、その先は粘土による遮水壁へと入れかえを行うことも検討すべきだとおっしゃっています。さらには、もし凍土壁による遮蔽が困難な場合は、粘土による遮水壁の設置も検討すべきだと書かれています。

 繰り返しますが、ベントナイトスラリーウオールです。これは決して難易度の高い工法ではありません。これがもし行われることになる、あるいは多重の防御を必要とするならば、今回これを行おうとすると、技術的難易度が高いとは言えないものに対して、国費の投入は困難になりかねません。

 私は、だからこそ、きょうは社長に覚悟をお尋ねしたいんです。凍土壁は国費が投入されます。しかし、難易度が高いという条件がついています。これは無尽蔵に使われるものではありません。この対策委員会の報告書でも、粘土壁の設置も検討すべきだとされています。

 社長、決意はお持ちですか。国費が出なくてもこれを行っていくという、その覚悟はお持ちでしょうか。これも端的にお答えください。

廣瀬参考人 凍土壁につきましても、今まさにフィージビリティースタディーをやっているということでございますので、そうしたことを踏まえてしっかり判断をしていかなければいけないというふうに思っています。

馬淵委員 現在、東電側は、引当金九千六百億、さらなる引き当てをするとおっしゃっておられましたが、現状では、電気事業からのコストカットあるいは投資抑制等によって一兆三百億円、これを安定化に振り向ける、このように伺っております。その上で、投資キャッシュフロー、約半分で、六千四百億ほどありますが、これから十年間で三千億円程度は十分に使える対策費、このように私は伺っています。

 東電として、それこそ技術的難易度が高いとは判断されないかもしれないこのベントナイトの遮水壁をみずからの費用でも行うという、その覚悟はお持ちでしょうか。

廣瀬参考人 一兆円を新たに用意するということにつきましては、これから十年間でございますので、キャッシュについてはもう少し精査をしませんと、今ここに手元で一兆円ぽんと出せということではございません。まずそれが一つ。

 それから、繰り返しになりますが、技術的課題もあって、効果のことも含めて、まさに今フィージビリティースタディーをやらせていただいておりますので、まずその結果を見てから判断するべきだというふうに思っております。

馬淵委員 すぐに使うとはおっしゃれないのはよくわかりますが、国が前面に立つ、このように総理も大臣もおっしゃっていますが、実は課題があるんですよ。技術的難易度という課題があります。

 繰り返し申し上げる。遮水壁をベントナイトスラリーウオールで行うこと自体は通常の在来工法です。したがって、これが技術的難易度が高いとは言いがたい。その場合には、まさにみずからが行う覚悟を持っていただかなければ、先ほど申し上げた事業継続と経済効率のジレンマの中で、安全と企業の利益、このことがてんびんにかかってしまうおそれがあるんです。そのことが絶対にあってはならない。私は、二年半前にまさに担当責任者としてプロジェクトを指揮してきた者として、そのことは教訓として今からの対策に振り向けていただかなければならない、そのことを強く申し上げておきたいと思います。

 時間も参りましたようですが、繰り返し申し上げるように、今回のこの課題というのは、民間事業者が安全と事業継続のジレンマの中に陥ることのないようにすることです。それを国会という場でしっかりと明らかにし、その場をオール・ジャパンでつくっていくことを私もお手伝いさせていただきたい、そう申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井でございます。

 きょうは、大変お忙しい中、国会においでくださいましてありがとうございました。

 今、お三方の質疑を聞いておりましていろいろ感じるところがあったんですけれども、実は、先日の視察の方はちょっと私は行けませんでしたので、その後の報告書を拝見させていただきました。そこで、先ほども御答弁があられましたけれども、実はこの汚染水の問題は二年前から認識はしていた、ただ、原発の収束、こういう優先課題があって、あるいは汚染度が高くて近寄れなかったので遅くなったというふうに書いてありました。

 それ自体も、優先順位というのは全部優先順位が高いんじゃないかなと僕は思っておりますので、この書き方もどうかなというふうに思いましたけれども、さらにきょうお話を聞いておりましたら、私はこの言葉は使っちゃいけないと思ったんですけれども、二度、手が回らなかったというふうにおっしゃられました。手が回らないからやらなかったというのは、やはり理由にならないと思うんですね。

 今、馬淵委員のところのペーパーには、資金的な問題、経営上の問題ということも指摘されておりましたけれども、もろもろの話を聞いていると、余りに問題意識が低い。この汚染水の問題は大したことがないという認識がもともとあったんじゃないかなというふうに、私にはきょう今質疑を聞いていて聞こえたんですけれども、社長、いかがですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 汚染水の問題は、御指摘のように、最初からこれは大変な問題だという認識をしておりました。手が回らないという表現については、本当に適切でない表現でございます。優先順位をあくまでも考えて、その場その場で何が一番、とにかくまず手をつけなければいけないかということから判断してきた、そういう意味でございます。

今井委員 もう一度確認します。

 もし、本当にこの問題が大変で、東電として十分対応ができるかどうかもわからない非常に難しい問題の場合は、やはり政府なりに事情をちゃんと相談しながら対応をしっかり考えていかなければいけなかったと思うんですけれども、この点はどういうふうにされておられたんですか。

廣瀬参考人 これは先ほども馬淵先生の御紹介にもございましたように、すぐ、事故の後に統合対策本部というものが立ち上がりまして、本部長は菅総理でございます。それで、海江田大臣であるとか馬淵補佐官、細野補佐官等々、皆さん入っていただいて、私どものいわゆるオペレーションルーム、そこに本当に毎日毎日入っていただいて、そうした大きなものの決定、それから状況の判断、それからプレス、そうしたものを含めて、統合対策本部として、途中で統合対策室と名前が変わりましたけれども、そうした中で、そのもとでずっと行われてきたということでございますので、そういう意味では、政府との情報の共有化、あるいは問題点の共有化といいますか、認識の共有化はされていたというふうに思っております。

今井委員 今後のこともありますから、先ほど馬淵委員がまさしくおっしゃっておられましたけれども、今回国が四百七十億を出すという話も、実は、予備費を使うに当たっては、高度な技術という、科学技術を推進するという名目で使っているということで、かつてもそういう支出をしているみたいですけれども、これは月曜日に恐らくうちの委員がまた改めてこの問題は質問させていただきたいと思いますが、きょうは政府の方がいらっしゃらないので問題提起だけにさせていただきたいと思います。

 国の責任、あるいは国が財政を出すに当たって、どういう考え方で何に基づいて出すかということをきっちりもう一回整理をしないと、いつまでも技術の推進という名目で予算を使うということをすると、やはりどこかで、緊急の場合に、ではどうするんだというようなことで困る場合があると思うんです。これは東電というよりは政府の方の問題なので月曜日に議論させていただきたいと思いますけれども、それも含めてもう一度お伺いしたいんです。

 先ほど馬淵委員から御質問がありましたけれども、もちろん国も財政はしっかり出すということでありますが、この問題を解決するということは、経営も重要ですが、人の命にかかわる問題ですから、それを超えた問題だと思いますので、そこには東電の皆さんも、やはり社運をかけてというか、それをしっかりやっていただきたいと思うんですが、その点について、もう一度覚悟をお伺いしたいと思います。

廣瀬参考人 まさに御指摘のとおりだと思っております。

 一部、私ども、お金を、言葉は正しくないかもしれませんが、けちってやるべきことをやらなかったのではないかというお叱り、御批判を頂戴しておりますけれども、決してそんなことはないと思っておりますし、今後もそういうことがあってはならないということから、さきに安倍総理に訪問いただいたときに、そうしたことのないように、少なくとも、ゆめゆめ現場の方々が、これはコストダウンをやっている中でこんなことに使えないだろう、あるいはことしは無理だろう、そういうような判断がされては本当にいけないと思っておりますので、しっかりとした枠を確保して、存分に使えというのはまた語弊がありますけれども、しっかり使わなければいけないお金については使っていける、そういう判断ができるような体制を整えていきたいというふうに思っております。

今井委員 過去は過去として、やはり問題を解決するということが一番重要ですから、過去の反省も踏まえてしっかり行動していただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 きょう、今回、閉中審査ということで、我々も早く審査をしてほしいということで委員会の中でもお願いをしてきたわけでありますが、実はこの一連のことは通常国会が終わってからずっと起きていることでありまして、本来であればもっと早い時期に時系列の経緯がどうだったのかということを確認する場があるべきだったんですが、それがこの国会の中ではありませんでしたので、きょう私はその点について、一度、経緯について確認をさせていただきたいと思います。

 悪者扱いをするというよりは、今後のこともありますから、ガバナンスをきちっと、あるいは情報開示をしっかりやる、そういうことをやはりこれからもやっていただかなければいけないので、それを踏まえて今回のことを少しお伺いさせていただきたいというふうに思います。

 御社の七月の二十六日に出されていますプレスリリースがございまして、「汚染水の発電所港湾内への流出に関する公表問題について」というものが出ておりましたので、これに沿ってちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 六月の十九日に福島の第一原子力発電所第一号、二号のタービン建屋東側の地下水から高濃度のトリチウムを検出したことを公表しました、しかし、七月二十二日まで公表がされませんでしたというふうに書いてありますけれども、これはまず事実でよろしいですね。事実確認です。

廣瀬参考人 先ほど私の資料で一枚飛ばしましたが、五ページにその辺を詳しく書いてございますけれども、五ページをごらんいただきたいと思います。年表みたいなものがございますが、六月十九日にデータが出てまいりまして、このデータを発表しております。その際に、これは海に出ているんじゃないかというような記者さんからの質問をたくさんいただいております。そこで私どもがお答えした、そのお答えの仕方の問題も多少あったんだとは思いますけれども、断定はできないというお答えをしております。ただ、可能性もないというふうには申し上げておりませんで、可能性は否定できないけれども、まだここでは断定できない、なぜならば、海側の観測データはまだ何ら有意な動きを見せていないということでございました。

 以降、私どもが次に、今御指摘の七月十九日、二十二日に、実際に、これはどうも間違いなく海に出ているだろうということを認めて発表するわけですが、その間も、私どもは、観測孔をどんどんどんどんたくさんつくってそれのデータを集めるなり、あるいは、先ほど御説明した水ガラスの注入を、工事を始めて、対策をとって、本当に可能性については私ども否定しておりませんので、やるべき対策はとっておりましたが、ただ、本当に漏れたのかということを私どもが宣言するということは、またこれはこれで漁業関係者の方々に大変な衝撃が出るというのはこれまでも何度もございましたので、そこについて少し判断を慎重にしてしまったというところは大変反省すべきだと思っております。

 ただ、その間、漫然とデータが出てくるのを見ていたわけではなく、新たな観測の穴を掘ってそこからデータをどんどんどんどんとるなり、あるいは水ガラスで、水際でとめようという工事も開始するなど、それなりの対策はとってまいりましたが、ただ、断定ということには至らず、もう少し新たな、そういう意味では決定的な動かぬデータが出るまで待ってしまったというところが大変な反省点だと思っています。

今井委員 ちょっと今の点をもう少し詳しくお伺いしたいんですけれども、このプレスによりますと、六月の二十九日あるいは七月七日に、海側により近い地点から高濃度汚染水が検出されている。これに対して、これも東電のホームページに出ておりましたけれども、マスコミから御質問を受けておりますね、定例会見で。七月の定例会見で受けておりますが、その際に、海側データに変化はありませんということを何度かお答えになっておられますね。

 それから、これによりますと、七月十八日に出た調査ですか、これをもって規制庁の方に報告をしておられるということでありますが、この間でデータがどういうふうに変化して、ここで断定するという、その経緯に至ったんですか。

廣瀬参考人 この間もしばしば、会見が週三回行われておりますので、データはどんどんどんどん出てまいりますので、そのたびに発表し、その挙動によって、もうこれならば絶対出ていると言えるんじゃないかというような記者さんからの御質問を幾つか受けている、そういうことを続けておりました。

 ただ、今先生御指摘のあったように、実際、では、海側のものにどういう変化が出ているんだというところ、そこに、何というのでしょうか、よってしまった、そこが動いていないのでまだまだ断定はできないのではないかというふうな判断をこの半月ぐらいの間しておりました。

 七月十八日、今御指摘のデータは、地下水とそれから海側の潮の満ち引きの連動に関して、ここに、七月十九日のところに書いてありますが、データが出てまいりまして、もちろん、一〇〇%と言われるとこれまた難しいんですけれども、こうしたデータから推測されるのは、海に出ているということをむしろ積極的に認めざるを得ないデータが出てきているというところから、海に出ているという判断をここの時点でさせていただいたということでございます。

今井委員 済みません、ちょっと僕は頭が悪いのでよくわからないんですけれども、同じような調査をずっとやっておられるわけですよね。それで、十八日に出てきた数値を見て判断されたとおっしゃっていましたけれども、その前と何か数値の変化はあらわれたんですか。

廣瀬参考人 失礼いたしました。

 幾つものデータがございます。ただ、毎回毎回の記者会見で発表しているものは、もちろん多少は動くわけですけれども、決定的な、私どもがこれはもう海に間違いなく出ていると断定できるというふうなデータが見つからずに、いたずらに三週間近くの時間がたってしまった。

 一方、七月十八日に発見されたデータは、地下水とそれから海の、湾内の水位の連動を見ますと、実によくシンクロしているというデータが出てまいって、これは行ったり来たりがどうしても否定できないというデータから、そのデータに基づいて、これは海に出ているということを認める必要があろうということで、その時点で東京電力としてこれは海に出ているという判断をしたということでございます。

今井委員 もう一つ聞きます。

 七月十八日、先ほどお話ししたように、原子力規制庁に報告をしておられますね。それで、公表になったのがその四日後です。七月二十二日であります。(発言する者あり)今指摘がありましたが、参議院選挙の翌日であります。

 メディアの人間でも、これは何かあったんじゃないかという報道が結構ありましたけれども、ここを読みますと、なぜ二十二日になってしまったかということで、こう書いてあるんですね。「十九日の段階では、既に実施中以外の対策も含めて説明できる資料の準備が間に合わず、週末の作業を経て、結果的に七月二十二日に公表することとなった。」。

 規制庁に行かれたときには何もペーパーを持たずに行かれたんですか。

廣瀬参考人 規制庁にお持ちしたのは、いわゆるコンピューターの打ち出しのような、まさに生データで、これを持って漁業協同組合に行って、このとおりですと言うのは無理だったと思いますので、少なくとも、いわゆるプレゼンテーションができるようなものにいたしませんと御理解いただけないのではないかという判断を十九日にしたということで、二十日、二十一日が参議院選挙だったということで、土曜、日曜を挟んでしまったということから、月曜日になってしまったということでございます。

今井委員 東京電力さんともいう優秀な社員がたくさんおられるところで、資料をつくるのに三日も四日もかかるなんということはあり得ないですね。一日でできると思います。

 週末を挟みましたとおっしゃいますが、こんな大事な話、土曜日も日曜日も関係ありませんよ。営業日じゃないから発表しないなんというのは理屈が通らないんです。十九日に間に合わなければ、二十日にできたはずですね。だから、これは、なぜできなかったかというのは、本当にそういう手続上の問題なんですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 その間でいたずらに時間をかけたのではないかという御指摘だと存じますけれども、私が十九日の夕方にこの状況を聞きまして、まず一番最初に心配したことが漁業関係者の方への御説明でございます。これは先ほども御答弁させていただきましたけれども、これまでも何度も海に流すというようなことがあって、そのたびに、風評被害を初め大変な御心配をおかけしております。

 漁業関係者の方々に、とにかく自分たちにまず教えてくれというようなことを何度も何度もお叱りを受けているというのは、私、個人的にも幾つか経験をしておりまして、別に言いわけを申し上げるわけではないですけれども、まずは漁業関係者の方々にしっかりとお伝えするようにという指示を十九日の夕方にいたしました。

 どうして土日の間にアポイントがとれてやれなかったかということについては、もっともっと努力をしてやればよかったということはあったかもしれませんけれども、結果的に、二十二日の月曜日に、明けてお約束がとれて、そこの段階で説明したというふうになっております。

今井委員 では、もう一度確認します。

 これは、そういう気の緩みというか、本来ならもう少し早くできたんだけれども、土日はいろいろあるから営業日に回した、つまり、政治的な部分に配慮をしたのか、あるいは行政からそういうことを受けてやったのか、そういうことはないということでよろしいですね。

廣瀬参考人 はい。決してそういうことではございません。

 これは、また同じ説明であれですけれども、結局、どれだけ漏れているかということは、今でもいわゆる情況証拠の積み重ねでございます。したがって、これが我々がどうも漏れていると言うか言わないかということによって、風評被害等々には決定的な影響が出ます。事実は変わりませんけれども、我々が漏れると言おうが言うまいが、出ているものは出ていますし、出ていないものは出ていないわけでございますけれども、ただ、そこについては、これまでの経験からして、本当に大変な御迷惑をかけてきたということがあって、そこで慎重になったということが本当のところでございます。

今井委員 ここは国会の場ですから、今御証言されたことはそのまま信用するということで、御意見をいただきましてありがとうございました。

 では、それを踏まえまして、今るるいろいろ御答弁いただきました。もう少しこうすればよかった、ああすればよかったということがありますので、その点を全部もう一度踏まえまして、今回のこの一連の情報公開あるいは報告、この経緯を鑑みて、今後どういう姿勢で臨まれるか、その点について御所見をいただきたいというふうに思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 この件に限らず、これまでの間も、随分メディアの方々あるいは一般の方々から、東京電力の情報の出し方については大変厳しいお叱りを受けておりますし、実際、そのお叱りを受けるだけのまずい対応を幾つもしてきたのは事実でございます。

 それも踏まえて、現在、新たな公表ルールというものを決めまして、それに基づいて三十分以内に出すということでございます。簡単に申し上げますとそういうことでございますが、通告をして、その後三十分して公表するというルールに基づいてやっておりますし、それを地元の自治体の方々とも連携をしませんといけませんので、そうしたルールで今やらせていただいているところでございます。

今井委員 では、これは今後はしっかりよろしくお願いします。

 きょうは閉中ということもありまして、恐らく国民の皆さんも関心を持って見ていらっしゃるんじゃないかなと思いますので、少し基本的な御質問をしたいんですが、皆さん御案内のとおり、先日、東京にオリンピック招致が決まりまして、大変喜ばしいことでありますけれども、その際に、安倍総理が委員会の総会で、状況はコントロールされているというふうに発言をされました。

 その後、猪瀬知事がインタビューに答えておられて、状況は必ずしもコントロールされているわけではない、ただ、これからちゃんとコントロールしていきますという意思表示を総理が世界でされたことが大事である、そういう発言をされておられたように承知しています。

 九月の二十四日、これは日本外国特派員協会ですね、先ほどレイク・バレットさんがNRCから専門家として来られると言いましたけれども、まさにそこの元の委員長、グレゴリー・ヤツコさんがこの問題を問われたときに、現場は努力しているものの事態は制御不能なところまで来ているという御所見を述べておられます。

 いろいろな責任者の方、関係者の皆さんあるいは専門家の皆さん、それぞれおっしゃることが違うので、この問題をよくわからない一般の国民からすれば、果たして今この問題はコントロールされているのかされていないのか、よくわからないんです。

 ですから、当事者の東電の皆さんから見て、先ほどからいろいろな、緊急のものと根本的なものを三つずつ、それを説明していただきました。そこはわかりましたけれども、それを受けて、やはりその内容もよくわからない国民の方もいらっしゃいますので、現状をどういうふうに捉えておられるか、その辺を説明いただきたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 安倍総理の発言につきましては、私ども、湾の外に影響が及ぶということは全然ないという御主張だというふうにお聞きしております。これについては私どもも、先ほどの私のプレゼンテーションの資料にもございましたように、全く同じ考えを持っております。

 もちろん、そうはいってもトラブルは発生しております。そうしたことをしっかりコントロールしていかなきゃいけないという意味ではまさに御指摘のとおりですけれども、総理大臣のおっしゃった海への影響という意味については、しっかりコントロールできているというふうに思っております。

今井委員 では、もう一度確認します。

 物事に一〇〇%はありませんので、絶対に大丈夫ということは言い切れないと思いますけれども、現在の緊急的な対策においても、よほどの不測の事態がなければ、海水に高濃度の汚染水が流れ出るということはないというふうに考えてよろしいですか。

廣瀬参考人 先ほどの地図や絵でもごらんいただいたとおり、しっかり湾の中、さらにその放水口のところにとどめておるというふうに考えております。

今井委員 しっかりと答えていただきまして、ありがとうございました。

 もう時間も迫ってまいりましたので、あと二点簡単に。

 先ほどタンクの話をされていました。根本的に言うと、やはり溶接型にどんどんシフトしていくということが大事だと思うんですが、その間はパトロールをしていくということで、いわゆる人的にこうやって防いでいくというお話がありました。

 先ほど私が名前を言いましたグレゴリー・ヤツコさんが朝日新聞の記事に書いておられますけれども、そもそも、こんな人的にチェックするんじゃなくて、そういうチェックするシステムができていないこと自体が私には非常に驚きであるというふうに書いておられますけれども、これはそういう対応というのはもともとできなかったものなんでしょうか。

廣瀬参考人 先ほど江田先生の御質問にもお答えいたしましたけれども、今まさに、もちろんある程度人力でやらなければいけない部分というのはございますけれども、水位計をしっかりつけて、十一月完成というふうに聞いておりますけれども、全てのタンクに水位計をつけて中央で制御する、監視するという仕組みを今つくっているところでございます。

今井委員 ちょっと時間がないので、最後に、先ほど御説明をいただいたペーパーの一番最後を見てちょっと感じたんですが、安倍総理が九月十九日に福島第一に視察に行かれまして、廃炉のことについて御要望された。その辺についての社長の答弁は先ほど御紹介いただきました。一番ですね、先ほど馬淵委員からもありましたけれども、今約一兆円を引き当てて積んでいるということでありますが、これからさらに一兆円を確保していくということでありますが、現在の経営状態あるいは経営計画の中でこの一兆円を確保していくというのが果たして本当にできるんだろうかというのを単純に私は疑問に思うんです。

 これは意気込みをおっしゃっているのか、経営計画の中でこの一兆円をちゃんと確保できる見通しが立つのか、その辺はいかがですか。

廣瀬参考人 御指摘のように、私どもの財務状況、経営状況は大変厳しいところでございます。しかし、十年間で一兆円を確保していくという目標でございますので、まず、もちろん最後の一円まで全部積み上がってできているのかということでは今時点ではございませんけれども、しっかりとした計画の中でそうしたものをしっかり確保して、先ほどの繰り返しになりますが、現場の判断が、コストダウンだ、これはやめておこう、そういったようなことでやるべきことがやれなくなるというようなことのないように、しっかりと確保していきたいというふうに思っております。

今井委員 今、経営計画とおっしゃいましたが、それは柏崎は再稼働前提の経営計画ですか。

廣瀬参考人 御存じのように、私どもの今オーソライズされている経営計画というのは総合特別事業計画でございますが、今年度既に柏崎が動くという計画になっております。今まだ、きのう申請させていただいたという段階でございますので、当然見直していかなければいけないと思っておりますが、もちろん、大きな考え方の中で、これからもまた、見直した計画の中で、今申し上げたような一兆円の確保もしっかり盛り込んでいく所存でございます。

今井委員 時間が来ましたので終わりますけれども、今までの反省を踏まえて、ここから仕切り直ししなきゃいけませんから、先ほど情報公開の話も申し上げましたし、それと、経営のこととかあるいは資金的な面ということじゃなくて、やはりこの問題は本当に国として最重要に解決しなきゃいけない問題ですから、誰が悪いとかそういうことを言っている場合じゃありませんので、今度、政府も含めて、東電の皆さんももう一度ねじを巻き直して頑張っていただきたいと思います。我々国会議員もとにかく全力で支援をして、この解決に向けて頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 本日は、大変お忙しいところ、廣瀬社長にお越しいただきましてありがとうございました。

 まず、この原発事故で苦しまれている方々を考えると本当に胸が痛むと同時に、福島第一原発の現場で事故収束のために日夜汗水垂らされて本当に頑張られている作業員の方々には心から敬意を表したい、このように考えております。

 本日は、この原発事故の現状についてもろもろ御質問させていただきたい、このように考えております。

 汚染水ということでこの閉中審査が開かれたわけですけれども、実は、おととい、きのうと、経済産業委員会では九州に視察に行ってまいりました。その中では、これからとにかく伸びるであろう再生可能エネルギーを中心にいろいろ勉強してきたという中ではございますけれども、実は、その帰りの空港で、先ほど話にもありましたけれども、柏崎刈羽原発についての安全審査の申請が条件つきで承認されたというようなニュースを拝見いたしまして、非常に複雑な心境に陥ったわけでございます。

 ですので、この汚染水の質問に先立ちまして、柏崎刈羽原発について若干伺いたい、このように考えております。

 まず、二点、ちょっとお伺いしたいというふうに考えております。

 泉田知事というのは、いろいろな方が変人変人というようなことをおっしゃるわけですけれども、中身を見ているとそこそこしっかりとしたことを本当にしゃべられているなと思っているので、それについて若干伺っていきたい、このように考えております。

 まず一点目なんですが、今回の原発です。冷却材喪失事故が起きたとき、メルトダウンまで具体的に何時間かかるんでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 二時間というふうに言われております。

 それから、済みません、先ほどの最後の御質問で、私、昨日申請をしたと申しましたけれども、本日でございます。申しわけございません。

三谷委員 二時間ですね。

 二時間でメルトダウンをしてしまうということなので、冷却材が基本的に全部喪失したというような状況になってから、メルトダウンを起こさないようにするためには、どうしてもベント、今回でいうとフィルターベントを行っていくという形になると思うんですけれども、その二時間の間に住民の避難は完了しているというふうに想定されますでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 まず、その二時間のことでございますが、先生もおっしゃったように、冷却材が喪失した後から、要するに燃料が空だきになった状態からのスタートの二時間でございます。

 では、冷却材がいきなりすぐなくなるか、あるいはなくなったときに何も入れられないかというのが前提にございます。今回の福島の事故でも実際それが起こっていったわけですけれども、そうした反省を踏まえて、そこに至らないような対策というのは幾重にも、特に柏崎においてはまた新たな対策をとらせていただいております。

 したがって、もちろんそこからですと二時間ですけれども、いきなりそこにいくわけではなくて、冷却材が例えば漏れ出したとか、あるいはそれに対して注入をすることが、幾つもの冷却系がございますので、一つ一つのものが、福島の場合はかなり、ほとんどだめになったわけですけれども、そうしたことが時間の経過とともに参ります。

 したがって、おとといの知事との会談でもお話にあったんですけれども、どのタイミングで避難のお願い、私どもからすればお願いを出すかというのは本当に難しいところだと思っていますが、基本的に早く出しませんといけないと思っています。

 また、風向きによっても違いますし、特に新潟の場合は、例えば豪雪の日で本当に交通機関もないとか、自家用車でも出られないというようなことも想定しなければいけませんので、そうした幾つかのシミュレーションの中で、できるだけ早く、それを皆さんにやっても、交通渋滞になってしまうとか、パニックになってしまうということもありますので、しっかり風向き等々を見て、そうしたシミュレーションをして、的確なお願い、御指示をさせていただく必要があると思っております。

 それを当然、その場であたふたとというふうにはいきませんので、事前に幾つかのシミュレーションをやって、それを自治体の方々と共有して、何度も何度も訓練をやってということが必要だと思っておりますので、そうした上で、そうしたことのないようにしっかりと対応できるようにしていきたいというふうに思っています。

三谷委員 ありがとうございます。できるだけ住民に危害が及ばないような段階での避難を呼びかけていただけるというふうに受け取らせていただきました。

 もう一点、お伺いしたいと思います。

 今回の柏崎刈羽原発の安全審査申請、これは報道等では条件つき承認というような話でございました。このフィルターベントを、二つ目、もう一つ増設するんだというような話がありましたけれども、その内容というのは設計から固まった上で、安全審査というものを申請されたのでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 今回は、設置変更許可申請というものと工事計画許可というものを出しておりますけれども、設置変更許可の方については、現時点で、第二フィルターベントの方もですけれども、書き得る限りのことを網羅して書かせていただいております。工事の方はまだ着工も何もしておりませんので、そこの方については、新潟県さんのいわゆる条件と称されているものですけれども、そこにしっかり書かせていただいております。

三谷委員 今、書き得る限りのことというふうにおっしゃいましたけれども、現実問題としてはかっちりと計画、設計等々が固まっていない状態という中で申請されたというふうに理解してよろしいでしょうか。

廣瀬参考人 もともとの書類の様式として、設置変更許可に設計のるる細かいところまで全部書くようなものではございません。したがって、そういう意味では十分満たしていると思います。

 ただ一方で、まだ設計も終わっておりません、それも事実ですし、それからもちろん第二の方は着工もしておりませんので、それも全くのおっしゃるとおりですが、書類として何か不備があるのかということであれば、書類としては要件を十分満たしているものをきょう出させていただいたということでございます。

三谷委員 あと一点だけ、この点について伺いたいと思います。

 このフィルターベント、二つ目という点ですけれども、今まさに内容まで確実に全て決まっていないというような話がございましたけれども、結局これが計画倒れに終わってしまった、いろいろな計画は立ててみたけれどもなかなかうまい二つ目のフィルターベントがつくれなかったよという場合でも、今の新安全基準だと安全審査は通ってしまいますね。その辺の認識を伺いたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 これは知事にもお話し申し上げてありますので、知事も御了解だと思いますが、今回、第二の方につきましてはバックフィットというものでやらせていただきます。したがって、いわゆる再稼働の要件ではございません。もちろん、何年かという、この第二フィルターベントは巷間言われているように五年以内というはっきりした決めはまだ今のところございませんけれども、しかるべき一定の期間をいただいて、その間に第二フィルターベントの方はつくっていくということです。

 第一の方は、これがなくては審査は通りませんので、これはこれでしっかりと審査をしていただくということになると思います。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう意味で、この二つ目、フィルターベントを増設された分というものをしっかりとつくった上で、当然ながら再稼働をしていくということになろうかと思います。当然、この設置にこれからあと何年かかるかということはわかりませんけれども、基本的には、それまでこの柏崎刈羽原発については再稼働をされないという理解でよろしいでしょうか。

廣瀬参考人 繰り返しになりますけれども、私どもは、第一の、一つ目のフィルターベントというのをあわせてやって、それは要件でございますので、それがないと審査は通らないというふうに思っております。

 したがって、今はまだ再稼働のお話をする段階にはないと思いますけれども、規制委員会との関係でいえば、今回の書類の、中身はともかくとして、要件という意味からでは、一つ目のフィルターベントで要件としては満たしているというふうに考えております。

三谷委員 さっきの質問で質問を終えるはずだったんですけれども、今のお答えだと、もう一回聞かないといけないかなと思っております。

 そういうことですと、一つ、フィルターベントがもう既にあるという前提ですから、その意味では、今回、二つ目はつくれませんでした、でも安全審査は通りました、では再稼働したいというような判断に傾くことはあり得るということでしょうか。

廣瀬参考人 これも繰り返しになりますが、そうした御心配を抱く必要のないように、しっかり書き込んだわけです。第二フィルターベントもつくりますよということは書きました。

 ただ、バックフィットです。したがって、再稼働の要件ではございません。再稼働するときに二つ目がなければいけないということではございません。

三谷委員 そうすると、再稼働の要件ではないということなので、二つ目ができようができまいが、再稼働についての判断は別途行っていくというふうに受け取らせていただいてよろしいでしょうか。

廣瀬参考人 繰り返しになりますが、まだ再稼働のことについて私どもがお話しする時期ではないと思っております。これまでの私の答えは、あくまでも適合申請に係るプロセスについてお話し申し上げたい、そういうつもりでございます。

三谷委員 今のお答えですと、泉田知事がフィルターの増設に応じてくれたんだというふうに思って喜んで、ある意味、渋々なのかもしれませんけれども安全性審査に承認をしたという気持ちに応えていないような感じが非常にするのが残念なところではございますけれども、この問題につきましては今後も質問させていただきたい、このように考えております。

 それでは、今回の汚染水に移らせていただきます。

 この汚染水ですけれども、現在、聞くところによりますと、全部でタンクに三十五万トン貯蔵していると言われておりまして、毎日四百トンずつ汚染水がふえている。計画で最大八十万トンまで貯蔵可能なタンクを設置するけれども、あとおおよそ三年程度で満杯になるというような計算だと言われております。

 さて、先ほど来いろいろな方が聞かれているので、もうこの期に及んでというところはあるんですけれども、今般ようやくこの汚染水に関して抜本的な対策を講じようというような動きになっているわけですけれども、このタイミングにそのような判断がなされているのは具体的になぜでしょうか。

廣瀬参考人 これも、きょう一日ずっと同じような話をして申しわけございませんけれども、やはりそれぞれのタイミング、タイミングに応じて対策というのを、プライオリティーも当然変わってくると思っていますし、物理的にできないというケースもございます。

 今、ここ二年半たって、先日もごらんになっていただきましたけれども、大分状況はよくなってきております。そうしたところで作業環境も整ってきましたし、工事のとり合いというのも結構難しいものがあります。ほかのことをやっているときに、そこに例えば凍土壁といっても、それはなかなか難しいものが物理的にはございます。

 そうしたことを考えて、それから全体の線量の問題も当然絡みますが、そうしたことから、この時点でそうした抜本的な対策まで踏み込んで、そろえていくことができるようになったというのも一つあるというふうに思っています。

三谷委員 ありがとうございます。

 その中で、今回、三十五万トン貯蔵している中で、そこから比べるとたかだかという数字になるのだろうとは思いますけれども、三百トンの汚染水が漏れた。その中で、二十四兆ベクレルもの放射性物質が漏出して、これがレベル3の事故というもの、事象に該当するというような評価がされているわけでございます。

 そもそも、今回使われているタンク、耐用年数の上限が五年間だと言われているものでございますけれども、そろそろいろいろなところから漏れてくるなというような想定はあらかじめされていたのでしょうか。

廣瀬参考人 急いでつくったというのは全く事実でございますが、とはいえ、それを一年で壊れるものでいいからということでお願いしているわけではなく、五年のものということでございます。それにしても、まだ二年ぐらいで今回三百トン漏れたというタンクについてはそうした事情があったのも事実でございます。

 もちろん、そうしたことがないようにパトロールをして、これまでにも、たしか二回だったと思いますが、外側から、ぽたぽたという程度でございますけれども、それを発見して、増し締めをするといったようなことは確かにあったのは事実でございます。

 したがって、大量にだあっと漏れてしまうというところまで、完全な想定をしているかというと、そうした想定よりもむしろ、恐らく漏れるとしても、少しずつ漏れるということは全く想定していないということではなく、むしろそういうものを早く見つけて、大事に至らないうちにしっかり対応しよう、そういう考え方でやってきております。

三谷委員 私は、東京電力の方々が、安倍首相が言う、コントロールされているんだというような発言に全てくみされているわけではないというふうに、これは推測ですけれども、思っているんです。表向きにはそうは言われないかもしれませんが。

 ただ、具体的に、事故を考えた上で、これからどれぐらいの放射性物質が漏出する可能性があるんだということを、これは試算でもしない限りはなかなか、事故が制御されているというような評価は難しいんじゃないかと思うんです。

 今回のいろいろな抜本的な対策、近づけないだとか漏らさないだとかさまざまありますけれども、そういったべき論というのはあるんです、こういったことをやっていきましょうと。でも、こういったことはやるけれども、どれぐらいの放射性物質はそれでもなお漏れてしまう可能性があるというようなことを表に出していただかないと、安全に事故が収束されているんだ、コントロールされているんだというようなことを判断するのはなかなか難しいんじゃないかと思うわけでございます。

 そこで、実際、海に流れ出ている放射性物質について少しお伺いしたいと思います。

 経済産業省ですとか、規制庁もそうですし、東京電力さんにおいて公表されている資料によれば、外洋はもちろん、港湾内でもある程度の濃度におさまっているというようなことは見てとれるわけでございますけれども、しかしながら、そこで考えなければいけないのは海水の移動なんです。

 港湾、三角の中で一部開口部があるというような港がありますけれども、ここの中の水の入れかわりというのは一日で具体的にどれぐらいのレベルでしょうか。何%ぐらいかわっているか、教えてください。

廣瀬参考人 これは、潮の満ち引きによって水の移動というのはどうしてもあるわけでございますけれども、では正確にどれだけそれが出ているのかということはもちろんつかめないんですけれども、我々がいろいろな解析をして、先ほど先生がおっしゃったように、どのぐらい放射性物質が出ているのか、出ていないのか、そういった解析をする場合は、半分が一日で入れかわるという前提で、そのパラメーターでいろいろなことを試算し、それに基づいた対策を立てていくというふうにしております。

三谷委員 半分、五〇%が入れかわると。私も確認したところによると、一回の潮の満ち引きで二〇%、それが二回なので四〇%、それから、五号機、六号機で水を使って、湾というか、港の外に出す分が一〇%、それを合計して五〇%というふうに理解しております。

 その中で、セシウムですとかストロンチウムがどのような挙動をするかというのを考えなきゃいけないんです。どうしても、我々の常識から考えると、セシウムとかストロンチウムは重金属だろう、重いだろうということで、海に漏れ出たら、漏れ出たそのパイプのすぐ下に沈んでいるんじゃないかなというふうに考えがちなんですけれども、具体的に、海洋中でセシウムとかストロンチウムはどのような形で存在しているんでしょうか。

廣瀬参考人 核種によって当然挙動が変わってまいります。皆さん御存じのように、トリチウムは三重水素でございますので、これは全くの水と考えて構わないと思っております。

 一方で、セシウムやストロンチウムはイオン状で存在すると言われておりますけれども、それでも、土にくっついてしまったり、それこそシルトフェンスにくっつくとか、護岸にくっつくとかいうことは多いというふうに言われておりますので、その辺についてはしっかり、それぞれ本当は分析ができるといいんですけれども、ただ、これも、我々がいろいろな対策を打つために、分析、解析をしますけれども、その場合は当然保守的に見る必要がございますので、全てのものが水と同じように挙動するという前提での試算を行っているところでございます。

三谷委員 つまりは、港の中にある放射性物質は、一日に五〇%の水が入れかわることに伴いまして放射性物質も半減するという理解になるかと思うんです。もちろん、水がよどんでいる部分に関しては、放射性物質というのはイオンの状態でも残りやすい。先ほど馬淵委員もおっしゃっていましたが、拡散みたいな話はあろうかと思いますけれども、それ以外の部分は基本的に拡散するということだと思うんです。

 今、資料として、東京電力さんにいただきましたモニタリング結果推移というのを見ても、ここの黄色い部分に高濃度のいろいろな放射性物質が検出されたというような話がありますけれども、その前後を見ると、ND、検出されずという話になっているわけでございます。

 これは何も放射性物質が蒸発したというわけでもないですし、何でこれが検出されなくなったのかといったら、常識的に考えれば、水が移動してどこかに行ってしまった、流れてしまったというふうに考えることが妥当ではないか、このように考えるわけでございます。沈殿していくというようなことでしたら、どんどんどんどん濃度が高まっていくんでしょうけれども、今の時点ですと、それは、漏れ出たものがどんどんどんどん港湾の外に流れ出ている、そのように考えるべきなのではないか、このように考えているわけでございます。

 このような状況で、今原発の事故が果たしてコントロールされていると言えるのかどうかということを考えていかなければいけないんだろうと思います。

 オリンピックの招致に関しては、私もきょう、胸にバッジをつけてまいりました。東京オリンピックの招致を本当に心から祝っております。

 しかしながら、この招致に関して、国際舞台の場ではもちろん、うそも方便というふうにはならないわけであります。トラスト・ミーという言葉で潰れてしまった内閣というのも過去にはあったかと思いますけれども、レット ミー アシュア ユー ザ シチュエーション イズ アンダー コントロール、アシュアというのは保証する、受け合うということなので、それはぜひとも、これはもう日本としての国際公約にもなっているところなんだろうと思います、まさにその最前線に立っていらっしゃる東京電力さんには、今まで以上に本当に頑張っていただきたいということを改めてお願いさせていただきたいと思います。

 続きまして、残る時間は、先ほど馬淵委員がおっしゃったジレンマです。事業継続と事故収束、このジレンマがあるんじゃないかというふうな言葉がありましたけれども、私は、もうちょっと強い言葉で言うと、東京電力としての存続というものと事故収束というもののジレンマなのではないかと考えております。

 東京電力は、今なお上場企業といたしまして、その株式が投資の対象となっているのは公知の事実でございます。もちろん、発行済み株式総数の過半数を原子力損害賠償支援機構というものが有しておりますので、事実上は国営企業というふうに評価することもできますけれども、その残りについては多くの一般企業や個人の投資家が持っているわけでございます。

 二〇一〇年から一一年、事故の前はおよそ二千円台だった平均株価が、三・一一の事故を受けて百二十円ぐらいまで下がって、今は五百六十円まで値を戻しているという形になっておりますけれども、上場企業の代表取締役、社長ということであれば、自社の株式の価値を高めることに責任を感じるのが一般的だと思いますけれども、これは東京電力さんの場合はどうなんでしょうか。

廣瀬参考人 もちろん、私どもの株主の皆さんに対してしっかりやっていかなければいけないというのは、当然経営としての立場だと思っております。

 そういう意味で、大変株価も事故によって下がってしまいましたし、何より配当をしておりません。また、しばらく配当する見込みもなかなか立てられないという状況で、大変難しい、大変申しわけない状況にあるというふうに思っております。

 ただ一方で、現状、今私どもが最大限配意をしてしっかり取り組まなければいけないのは、まさに福島の復興であり、福島の再生であると思っております。

 したがって、原子力発電所の、きょう御議論のある汚染水対策であるとか、あるいは廃炉に向けたいろいろな措置ももちろんそうですけれども、福島の避難をされていらっしゃる皆さん、あるいは御商売や農業、漁業をやっていらっしゃる皆さんにとにかく一日でも早くもとの姿に戻っていただけるように、我々は社員一丸となって一生懸命やっていかなければいけないと思っておりまして、まずはそれを、私どもの今の責任、ミッションとしてやっていきたいというふうに思っています。

三谷委員 まさにそこなんだと思うんですね。上場企業の代表取締役、つまり経営者といたしましては、一株当たりの資産額とか利益率をできるだけ多くしたいというふうに考えるのは当然だし、むしろそうあるべきなんだろうと思います。しかしながら、その一方で、今回の原発の事故というものを考えると、しっかりできることは全部やっていく、被害者の方にはできる限り誠意を持って対応していくという公的な役割というのは、まさに矛盾した側面があるのではないかというふうに考えられているわけでございます。

 少し汚染水の問題とは離れるんですけれども、もうすぐ震災から三年が経過するというところになって、消滅時効の援用という問題ももちろん出てくるわけでございます。

 東京電力さんからは、プレスリリースの中で、消滅時効の援用については柔軟に対処するんだというようなこともおっしゃられておりますけれども、もちろん企業としては、投資家をたくさん抱える上場企業の立場としては、できる限り賠償額を制限しようというふうに考えることも、ある意味当たり前なんですね。そうだとすれば、消滅時効を援用するのではないかというような疑念を持たれる方が数多くいるのは当然なんだろうと思うわけでございます。ましてや、本来、消滅時効を援用できるのに援用しなかったというようなことでは、取締役としての責任というものも場合によっては問われかねないような状況もあろうかと思うんです。

 それから、今回、福島第一原発の五号機と六号機、これは安倍総理大臣が先日、廃炉にするように要請し、年内、それに向けて検討するんだというようなお答えをいただいておりますけれども、あの事故の現状を見れば、すぐ横に建っている五号機、六号機を将来的にも再稼働させていきますなんということは到底考えられないわけでございます。

 そういう意味で、ではなぜあの五号機、六号機をすぐにでも廃炉というような処理をしなかったのかというと、やはり資産額を何とか維持したい、債務超過を免れたいということが出ているのではないか、こういうふうに考えるのが当たり前なんです。この上場企業としての性質というものは、やはり全ての投資家からそのように見られるということであるわけでございます。

 廣瀬社長は本当に温厚なお方だ、非常に人望が厚いというような話も伺っております。その中で、廣瀬社長がやっていることだからそういうことなんだろうというふうに納得できる部分もあるんですけれども、例えば、汚染水が漏れているんじゃないかという話が参院選の直後に出てきたことだって、実際問題として誰が一番原発にお金を出してくれるのかというようなことを考えたら、そういったお金を出してくれそうなことに一番有利なように行動したというふうに評価されても、それはある意味仕方がない部分もあるわけでございます。その意味では、李下に冠を正さずという部分も非常に重要ではないかと考えております。

 先ほど話としてありましたが、これから汚染水対策として一兆円捻出されるという話があるわけでございます。でも、この一兆円捻出する、そもそもどこから捻出するかという話ですけれども、設備投資ですとか経費節減、そういったことによって一兆円捻出される、これは本当に事実でしょうか。

廣瀬参考人 繰り返しになりますが、十年間でということですので、明確に何年に幾ら、何年に幾らというところまでまだ固まっておりませんけれども、基本的には、削るものは、設備投資であったり修繕費であったり、そうしたコストが中心になろうと思います。ただ、もちろん、我々は電気を発電して送り届けるというのが一つの使命でございますので、安定供給等々に支障のない範囲でということになろうと思っております。

三谷委員 設備投資とか経費節減によって一兆円捻出する、これは大変なことです。

 せっかく再生可能エネルギーの視察に行ったばかりだから言うわけでもないんですけれども、これからいろいろな形でエネルギーを供給していかなければいけないときに、今までのエネルギー源以外のものに手を伸ばしていく、そういう研究開発にお金をどんどん使っていかなければいけないような予算がもしかしたら圧迫されてしまうのではないかという懸念を持たれたり、ほかにも、安定的な電力供給という意味では、送電網を拡充していくことに対してお金を使っていくということだって、計画どおりには進まなくなるということになってくる。

 これは、将来的に電力の自由化が進んだときに、再生可能エネルギーによって生み出された電力を受け入れられるかどうかというところに大きくかかわってくるところなんですけれども、そういった日本の将来が今回の事故の対応ということで左右されかねないようなところに、まさに今本当に分岐点にあるのではないかというふうに考えております。

 そういう意味で、もちろん東京電力さんが今まで一生懸命対応されてきたというのは十分理解をさせていただいてはいるんですけれども、ただ、今まで国際的には国としての対応というものも行っている以上、一企業で対応していくというような建前論は捨てまして、ぜひとも東京電力さんには一旦破綻処理をしていただいて、それはもちろん債務超過というようなことが明らかになったらという前提ではありますけれども、東京電力を存続会社と清算会社に分離して、清算会社の方では一生懸命賠償に当たっていく、その中で足りない部分は国が負担していく。

 そして、存続会社、これはまさにニュー東京電力というふうに名づけたらいいのかもしれないんですけれども、そっちの方でこれから一生懸命未来に向けて頑張っていただく。そのような方向に向けて、ぜひとも頑張っていただくことも考えていただければというふうにお願いをさせていただきます。

 時間になりましたので、最後の点、しっかりと先ほど申し上げた損害賠償をしていくんだという公的な部分、そして企業として利益を上げていかなければいけないという部分、これが矛盾する場合はそのどちらを優先するかということについて質問させていただいて、最後の質問としたいと思います。

廣瀬参考人 大変難しい問題だと思っておりますけれども、冒頭にも申しましたように、基本的には社員、人間がやっていくものでございますので、彼らがしっかりと仕事ができるような体制のもとで、しっかりとした賠償や除染や廃炉に向けた対策という我々のミッションを、もちろん安定供給を果たしながらしっかりやっていきたいというふうに思っております。

三谷委員 以上です。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 福島第一原発事故の汚染水問題について、東電の廣瀬社長にお尋ねをいたします。

 汚染水に関する現状把握について、まず伺います。

 汚染水対策の前提条件であります、地下の地質構造の把握と地下水の動向の把握の問題であります。地下地質構造におきましては、上部透水層と下部の透水層、水が通る層があるということが知られておりますけれども、そこでまずお尋ねしたいのが、浅い透水層を通って、その汚染水が堤防の下をくぐって外洋に流れている、こういうことがあり得るのではないかと思うんですが、この点については東電としては把握、確認をされておられますか。

廣瀬参考人 どこをどういうふうに通ってということについての完璧な把握というのは、もちろんなかなか難しいものがございます。

 したがって、今我々としては、それぞれの対策に対して、モニタリングをしながら、その成果というか対策の効果というんでしょうか、それをしっかり見きわめながら、一つ一つやっていくということかと思っております。

塩川委員 現状把握についてお尋ねをしているんですけれども、例えば、防波堤の海側の海底に地下水が湧き出る場所があるんだ、こういう事実を指摘される方がいらっしゃいますが、こういう事実については把握をしておられるんですか。

廣瀬参考人 そういう御指摘を仄聞したことはございますけれども、具体的には把握しておりません。

塩川委員 そういう点では、海岸の地下におきまして地下水の部分と海水が交流している、行き来をしている、こういう事実もあるんだという指摘もありますけれども、このような事実については把握をしておられますか。

廣瀬参考人 水位によって、地下水の水位と潮の満ち引きというのは連動するというのは先ほどの御質問にもありましたけれども、底の方というところまではまだ把握できていないと思っております。

塩川委員 上部の透水層、浅い透水層におきまして海水と地下水の交流がある、あるいは浅い透水層を通ってそのまま堤防の外に地下水が流出する、こういう事実についての把握、確認はまだされておられないという点は今確認をいたしました。

 それから、深い透水層、下部透水層についてですけれども、トレンチの立て坑があります。このトレンチの立て坑が、浅い層からさらにその下の粘土層を突き抜けて深い透水層まで貫いている、深い透水層まで貫通していると思うんですが、その点については承知をしておられますか。

廣瀬参考人 済みません、ちょっと今、絵を探したんですが、いいものがございませんでした。

 一部そこまで行っているということはあると思っております。

塩川委員 東電が出されている資料の中でも、トレンチの部分で、立て坑が、例えば一号機、二号機におきましては海水面からマイナス十二メートルのところ、あるいは三号機においてはマイナス十七メートルのところまで達している。これは、いわゆる浅い透水層の下の粘土層の、さらにその下の深い透水層まで立て坑が及んでいるということですね。そういうことでよろしいですか。

廣瀬参考人 一部そういうところがあろうと思っております。

塩川委員 そうなると、トレンチの立て坑で、あの地震、津波の直後にトレンチそのものも破断するというような状況もあるわけですから、そういう点でいいますと、その深い透水層まで汚染が広がって、それが結果として外洋を汚染する、こういうことが生まれているということはあり得ると思うんですが、その点についてはいかがですか。

廣瀬参考人 これは御存じのように、深い透水層の水圧というのはかなり高うございます。したがいまして、そこにもし到達して、何らかの穴があいていれば、噴き上げてくるということになると思います。

 したがって、仮にそのトレンチなるものがそこまで行っていたとしても、底はとまっているというふうに判断しておりますし、下の水圧から上に上がってきているという事象はつかんでおりません。

塩川委員 そういうものを調査で確認はされたんですか。

廣瀬参考人 水位等を見て判断しているところでございます。

塩川委員 深い透水層の汚染状況について、データで把握をされておられるということですか。

廣瀬参考人 私が水位と申し上げたのはトレンチの水位等々でございますが、深いところはこれからでございます。

塩川委員 ですから、これまでもずっと汚染が広がっているかもしれないという状況が浅い透水層の場合も深い透水層の場合もあるということであるわけで、海洋に汚染水が流出している可能性が現在でも続いているということが言えるような状況になっているわけであります。これで外洋への影響はブロックされているということなど言えないということも、また明らかではないでしょうか。

 それから、関連して、こういった汚染水について、建屋周辺に流入している地下水はシミュレーションで日量八百トンということを改めて確認した、これをベースにしているというお話がありましたけれども、汚染されている地下水の総量というのはどのぐらいとして見定めているんですか、日量で考える場合。

廣瀬参考人 したがって、先ほどございましたように、八百流れてきて、四百が中にたまって、そのほかの四百が出ていくということでございますので、そういう意味で、海の方に流れていっている、汚染する可能性のあるという意味でいえば、その日量の四百トンが対象になるというふうには思いますが、ただ、それが全部汚れているということではないと思っています。

塩川委員 もともと、地下水の総量の八百トンというのも検証が必要だと思いますけれども、そうしますと、建屋の四百トン、それから海側に流れ出す四百トン、合わせて八百トンが汚染されている可能性があるということを前提に対策をとる、そういうことになっておられるわけですか。

廣瀬参考人 繰り返しになりますが、建屋の中に入ってくる四百トン、これはもう入った途端に汚染水、汚れてしまいます。海の方に行っている四百トンについては、先ほども言いましたけれども、汚染されている部分があるかもしれませんけれども、すなわち四百トン全部が汚染されているということではないと思っています。

塩川委員 それはなぜわかるんですか。

廣瀬参考人 もちろん、一つ一つ、たくさんの井戸を掘ってどういう状況なのかというのを日々モニタリングしておりまして、それの日々の移り変わり等々で絶えずチェックをさせていただいております。

塩川委員 東電としては、対策をとられているこの現状においては、汚染水の総量、最大の想定量、これをもって対策をとっておられるんですか。

廣瀬参考人 したがいまして、現状は、建屋の中に入ってきている四百トンを、しっかり対策をとって、タンクにためるなり、ALPSをやるなりということをやっていくということだと思っています。

塩川委員 汚染水の最大量の想定がないままでやれば、モグラたたきがずっと続くんじゃないのか、これでは抜本的な対策にならないんじゃないのかということが強く危惧される、これが現在進行している問題ではないでしょうか。

 その上で、二次的な汚染の防止の問題であります。

 タンクの漏えいというのはあり得るということで、この点につきましては、フランジ型だけではなくて溶接型のタンクも漏えいする可能性もあり得るということをおっしゃっておられます。

 配管についてなんですけれども、配管は当初、耐圧ホースでしたけれども、それを今、ポリエチレン管にかえております。本来はSUS管、ステンレス管で対応すべきものだと考えますけれども、このポリエチレン管の現状というのは汚染水が漏れないと言える状況なんでしょうか。

廣瀬参考人 当初の、いろいろ漏れがあったり、植物によって傷がついたりというところから、今のポリエチレン管にかえてきておりまして、それについて、もちろんそれも恒久的にそれということではないと思っておりますけれども、現状、しっかりパトロールもしながら管理をしているという状態だと思っています。

塩川委員 この前、現地視察へ伺った際にバスの中でやりとりしました、高橋センター長のお話。私、この質問をしましたら、高橋センター長が、ホース配管は必ず漏れると考えている、U字形の管の中に配管を通す、そういう努力をしているけれども、まだそれも途上だとおっしゃっておられましたが、そのとおりですか。

廣瀬参考人 バスの中で高橋が御説明したとおりでございます。

塩川委員 ですから、配管も漏れる可能性がある、その対策はとっているけれどもまだ途上ということであれば、その対策の妥当性も検証が必要ですけれども、現状でも汚染水が漏れるという可能性が配管においても起こり得るということをお認めになったわけであります。

 タンクの設置についてですけれども、私はやはり、基本的に汚染水はため続けるということが必要だと考えています。そういう点でも、東電としても、もちろんタンクのリプレースの問題もあります、私は、五、六号機の北側に東電の所有地、敷地もありますから、この五、六号機の北側に汚染水タンクのスペースを確保する、こういう取り組みというのは可能だと思うんですが、その点についてはいかがですか。

廣瀬参考人 御指摘のように、五号、六号の双葉町側にはまだまだ土地はあるのは事実でございます。ただ、御存じのように、タンク群というんでしょうか、タンクの固まりをあっちやこっちに置くというのも、なかなか管理上も難しいというところがあると思っておりますので、その辺も含めて今後考えていきたいというふうに思っています。

塩川委員 タンクを設置する場所がないかのような指摘などがあったわけで、そういう点では、タンクを設置するだけのスペースはあるということをお認めになったわけで、私はこの点でも、しっかりとタンクを設置する、地下水バイパスやあるいはALPSの処理水についても海に流さずため続ける、これこそ国民が求める対策だということを指摘しておきます。

 次に、九月十九日、安倍総理が現地視察をされました。その際に、総理から三つの要請があり、この要請に対する東電の対応について廣瀬社長がお答えになりましたし、その旨、東電のホームページに掲載されております。

 該当部分を紹介しますが、一つ目の「廃炉に向けた安全対策に万全を期すため、現場の裁量で使用できる資金・予算の枠を確保すること」というのに対して、東電は、「これまでに手当てした約一兆円と同程度の支出が必要になっても対応できるよう、コストダウンや投資抑制により、今年度から十年間の総額として更に一兆円を確保してまいります。」と述べています。二つ目の「しっかりと期限を決めて汚染水を浄化すること」という要請に対しては、「多核種除去装置のさらなる増強も含め、二〇一四年度中に全ての汚染水の浄化を完了できるよう取り組んでまいります。」と述べております。三番目はちょっと省略しますが、このように回答されているというのはそのとおりですね。

廣瀬参考人 きょう私がプレゼンテーションに使って、お配りした資料の一番最後に書いてあるとおりでございます。これは事実でございます。

塩川委員 そこで、これまでの既存の一兆円の中で、今稼働に向けて取り組んでおられるALPSの経費は計上しているということですね。

廣瀬参考人 今でき上がっております施設には、もちろん、もう工事してできておりますので、当然できております。

塩川委員 積み増す一兆円の使途、使い道についてですけれども、私がお話を伺っている範囲では、タンクのリプレースや、溶接型の建設とか、さらなる多核種除去装置の増設などが入っていると承知しておりますが、そのとおりですか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 私の資料の一番後ろにもございますが、総理からの要請は、「安全対策に万全を期すため、現場の裁量で使用できる資金・予算の枠を確保すること」ということでございます。

 したがいまして、先ほど来、私、何度かお答え申し上げましたけれども、現時点で、新たな方の一兆円について、これが幾らで、これが幾らでということで積み上げて一兆円ということがまだ全部出ているわけではなく、現場の方々がコストダウンであるとかあるいは資金繰りの問題を憂慮されて、やるべきことをやめてしまったり、あるいは先延ばしにしてしまったり、そういうことのないように、まずはとにかく枠をしっかり確保していくということ、そういうことに対してまずはお応えしたいというふうに考えております。

塩川委員 お尋ねしたのは、これから積み増す一兆円の中に、多核種除去装置の増設の経費を含むということでよろしいですか。

廣瀬参考人 当然、お金がかかるわけですから、それはそうした、これからの汚染水対策も含めた、福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた、いわゆる特別損失、債務の中から出していくということになると思います。

塩川委員 今回、国が予備費なども投入して、陸側の遮水壁をつくるとか、高性能の多核種除去装置、私は第二ALPSだと言っているんですけれども、いわば現在稼働に向けて東電が取り組んでおられる第一ALPSに対して、国が第二ALPSをつくる。さらに、この前の九月十九日に、東電として、第三ALPSをつくりますという表明をしたわけであります。

 国の高性能多核種除去設備、いわゆる第二ALPSについては、処理容量については一日当たり五百トン、これは五百トンで一系統ということで発注に向けた作業をしておられると承知しております。

 そこでお尋ねしますけれども、東電によるいわゆる第三ALPSの処理能力というのは現行の第一ALPSとどう違うのか、同じものなのか、教えていただきたい。

廣瀬参考人 私どもの今の全体の考え方といたしましては、第二ALPSは高性能のものというふうに認識しておりまして、これはこれから公募されると聞いております。一方で、第三ALPSは、とにかくスピードを上げて早くつくって、早く一定の処理量を確保して、処理すべき水はたくさんあるわけで、それを優先しようということで、今あるいわゆる第一ALPSの三系統、いろいろトラブルが出ておりますが、きょうの未明から動き出しましたけれども、それと全く同じようなものをつくる、そのかわりスピードを上げられる、そういう利点を活用しようと思っております。

塩川委員 東電がつくるALPSというのが一日二百五十トン処理できる、それを三系統つくる。実際に回す場合には、トラブル対策もあるので予備で一つ置いておいて、二つを回します。つまり、一日五百トン。これと同じものを第三ALPSとしてつくるということであるわけです。

 そうなると、国が五百トンを一系統でつくるというんですけれども、そもそも処理すべき総量というのはどのぐらいと見定めてこういう作業を行うのか、国との分担とか、それはどういうふうな相談をしておられるんですか。

廣瀬参考人 これは、いわゆる汚染水の水バランスでございますけれども、現在、タンクに約三十五万トンの今後ALPSで処理すべき水がたまっております。

 問題は、一日四百トンずつ入ってくる、ふえてくる量ですけれども、それによっては総量が変わります。今、地下水バイパスであるとかサブドレーンによるくみ上げであるとかして、入ってくる四百トンをいかに小さくするかというのが一方であります。

 ですので、現時点でということであれば、たまっている三十五万トンがまずやるべきものでございますけれども、それが一日ずつ四百トン今現在はふえてしまいますので、したがって、早くスピードを上げることによって、三十五万トンがふえないうちにどんどんどんどん処理をしていくという考え方でございます。

塩川委員 国との役割分担をどうするつもりなのか、どういう相談を国としているんですかということなんですが。

廣瀬参考人 これはでき上がってからのお話だと思いますけれども、処理する分担の量というのはそれぞれの性能にもよると思いますし、国のものは高度なものとお聞きしていますので、まだ正確なスペックまで私は存じ上げませんけれども、当然、その処理量、処理すべき量というのも違ってくるのかと思います、スピードという意味ですけれども。

 したがって、そうしたことを踏まえて、とにかくどんどんやっていかなきゃいけませんし、やるべき対象となる汚染水は残念ながらありますので、使えるものをどんどんどんどん使って、とにかく少しでも安心した形で水をためておくということだと思っております。

塩川委員 役割分担がよくわからないんですよ。

 高度なと言うんだけれども、スペックだってよくわからないと東電の社長がおっしゃっておられるんでしょう。それがなぜ高度と言えるのかというのもそもそもありますし、そもそも、今のALPSであっても今までにない知見を踏まえて開発されておられるということですから、そういう意味では、技術的にはなかなかの高みにあるような状況でやっているわけで、そういう中で国がお金を出してやる、そういう中で国と東電との役割分担というのはどんな相談をされたのかというのを聞きたいんです。

廣瀬参考人 私どもは、お話をいただいて、現在、スペック等々は、国の方での公募ということでございますので、役割分担と先生がおっしゃるのはよく私はわからないんですけれども、処理すべき汚染水はここにございます。したがって、これはあなたの分だ、これは私の分だなんてやっている間はないと思っています。でき上がり次第、稼働できればどんどんどんどん、今あるものも含めてですけれども、処理すべきだというふうに思っています。

塩川委員 そもそも、汚染水の最大想定量というのがよくわからない中で、こういうALPSを幾つつくるかという話をしていること自身が、対策としては大問題だと思いますよ。

 その上で、要するに、国の方が、じゃ俺がつくるよと茂木さんが言い出して、あるいは安倍さんが言い出して、東電の方は、わかりましたという関係なわけですか。

廣瀬参考人 現状で三十五万トンもあります。これは地下水バイパスや陸側遮水壁にかかっているんですけれども、現在、今のところ日に四百トンずつふえているという状況があります。

 したがって、とにかく早くALPSを稼働させて、できればたくさんの処理をして、少しでも安心した形で保管をしておくということ、全てそこにかかっていると思っております。どういう性能のものであれ、とにかく早く、もちろん高性能のものがよろしいわけですけれども、早く処理をする、少しでも安心した形で保管をするということに向けての対策だというふうに思っています。

塩川委員 第三ALPSをつくるともう表明しているわけですから、第二ALPSだって東電がつくればいいじゃないですか。そういう考えはないんですか。

廣瀬参考人 これは国の予算でやっていただけるということで、私どもは当然、それは大変ありがたいことでございます。ただ、それよりも、さらに三つ目があった方がより早く処理ができる、これも当たり前のことでございます。そうしたことで、我々としてできることをやってまいり、国としても御支援いただけることについてやっていただけている、そういう認識でおります。

塩川委員 では、国民の税金でつくってもらうということはありがたいということなんですね。

廣瀬参考人 私どもとしましては、国民の血税でということにはなりますけれども、とにかく、汚染水の対策というのは喫緊の課題で、国も一歩も二歩も前へ出て、東京電力にはなかなか任せておけないという御判断でございますので、私どもとしてはありがたくお受けしたいというふうに思っているところでございます。

塩川委員 東電に任せておけないと国が判断したという話ですけれども、一兆円積み増すんでしょう。その一兆円で出せばいいじゃないですか。

廣瀬参考人 お金に色はございませんので、どこのあれであろうと、必要なものについてはこれからやっていかなければいけません。もちろん、我々としても、今ある、今まで引き当てた一兆円、それからこれからの一兆円で全部が足りるということを申し上げているのではありません。御支援いただけるのであれば大変ありがたいと思っています。

塩川委員 いやいや、国民が納得するかという問題なんですよ。そういう点では、当面、国が出すかもしれないけれども後で返しますよ、東電の方がその分を穴埋めする、国に入れる、そういうことも考えないんですか。

廣瀬参考人 これは、今回の仕組みについて私どもがどうこう申し上げる立場にはないと思っております。国の予備費なり国の予算でおやりいただけるのは大変ありがたいことだというふうに思っております。

塩川委員 現在のあのスキームは、東電が責任をとり、東電が負担をするというのが筋になっている。そういう点で、そもそも汚染水対策の責任の主体は東電なんじゃないんですか。

廣瀬参考人 もちろん、私どもが主体的に現場でやっていかなければいけないと思っております。

 ただ一方で、お金がかかるのも事実でございます。これは、今、きょうは汚染水対策の話だけでございますけれども、事故に絡んで多額のお金がいろいろなところで出ているのも事実でございます。それらを全て東京電力で負担するというのは大変難しいというふうに思っています。

塩川委員 利害関係者にきちんと負担を求めることが必要じゃないでしょうか。

 例えば、貸し手責任があるメガバンクに何らかの負担を求める、そういう考えなんかはないんですか。

廣瀬参考人 私どもは、現在、原子力損害賠償支援機構法に基づいて、こうしたたてつけが二年前にできて、そのもとでしっかりと責任を果たしていく、できれば早い時期にしっかりと資本市場に戻っていきたい。そういうたてつけの中で、今一生懸命に事業を展開しているところでございます。また、福島についての責任も一生懸命やっていきたいと思っています。

塩川委員 メガバンクに求めるという考えはそもそもないということですか。

廣瀬参考人 私どもは、二年前にお決めいただいた法律のもとで今事業を運営しているということでございます。

塩川委員 第二ALPSをつくる、あるいは陸側遮水壁をつくる、国費を入れるということについて、東電の廣瀬社長としては、それは国の方が東電には任せておけないと受けとめているからだという趣旨のことをおっしゃいました。私は、そこに、そもそもこういう汚染水対策において、東電の事故処理の対応能力そのものが問われているということが言えると思います。

 そういう点でも、事故に何らの責任もない国民の税金投入というのは筋が通らないんじゃないのか。そういうお金については、いや、東電で責任を持ってやらせてもらいます、これこそ事故を起こした東電の責任じゃないですか。この点、改めてお答えいただきたい。

廣瀬参考人 もともと、国でおやりになるいわゆる第二ALPSと称されているものは、高度なものを対象にしてやっていただけるということと聞いておりますけれども、私どもとしては、おっしゃるように、そういうふうに申し上げるということをできればよろしいんですけれども、まだまだお金もかかりますし、御支援いただけるというのは本当に大変ありがたいことだというふうに思っているところでございます。

塩川委員 先ほども言いましたけれども、何ら責任のない国民の税金の負担でこの事故対応を行うということは全く筋が通らない。

 私は、その前にやるべきことがある、東電の経営責任を問い、株主責任を問い、そしてメガバンクなどの貸し手責任を問う、これこそ行うべきことじゃないのか。こういう立場について、こういう国民の声があることについては社長としてはどのように受けとめておられますか。

廣瀬参考人 繰り返しになりますが、今現在、私どもは、支援機構法という法律のもとで現状の形がつくられて、そのもとで責任を果たしていっているということでございます。

塩川委員 要するに、機構法のスキームそのものが破綻したということなんですよ。だからこそ、東電の破綻処理に進んで、必要な経営責任や株主責任や貸し手責任も問う、これこそ今行うべきことだ、この立場でこそ抜本的な対策につながるということであります。

 安倍総理は、状況はコントロールされている、影響は港湾内に完全にブロックされていると言いますけれども、事故はコントロール、ブロックどころか放射能汚染の拡大という危機的状況にあるということを指摘し、放射能で海は汚さない、このことを基本原則にした取り組みを行うことを強く求めて、質問を終わります。

富田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 次回は、来る三十日月曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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