衆議院

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第5号 平成26年3月28日(金曜日)

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平成二十六年三月二十八日(金曜日)

    午後二時十六分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大西 英男君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      工藤 彰三君    小松  裕君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      白須賀貴樹君    末吉 光徳君

      菅原 一秀君    田中 良生君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    中村 裕之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      細田 健一君    三ッ林裕巳君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山下 貴司君

      山田 美樹君    枝野 幸男君

      岸本 周平君    近藤 洋介君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      伊東 信久君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      三谷 英弘君    小池 政就君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業副大臣      松島みどり君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  大内  聡君

   政府参考人

   (内閣府地域活性化推進室室長代理)        富屋誠一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            小野  尚君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            長谷川 靖君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    岡田 則之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       田中 繁広君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          横尾 英博君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (特許庁長官)      羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山本 哲也君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     大西 英男君

  大見  正君     工藤 彰三君

  佐々木 紀君     白須賀貴樹君

  冨樫 博之君     小松  裕君

  宮崎 謙介君     秋本 真利君

  宮崎 政久君     中村 裕之君

  八木 哲也君     末吉 光徳君

  枝野 幸男君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     宮崎 謙介君

  大西 英男君     穴見 陽一君

  工藤 彰三君     大見  正君

  小松  裕君     冨樫 博之君

  白須賀貴樹君     三ッ林裕巳君

  末吉 光徳君     八木 哲也君

  中村 裕之君     山下 貴司君

  玉木雄一郎君     枝野 幸男君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     佐々木 紀君

  山下 貴司君     宮崎 政久君

    ―――――――――――――

三月二十七日

 福島原発事故の収束に責任を果たし、原発推進政策の中止、再生可能エネルギーへの転換に関する請願(笠井亮君紹介)(第三六〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三六一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官大内聡君、内閣府地域活性化推進室室長代理富屋誠一郎君、金融庁総務企画局参事官小野尚君、金融庁総務企画局参事官長谷川靖君、国税庁課税部長岡田則之君、経済産業省大臣官房総括審議官兼資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、経済産業省通商政策局通商機構部長田中繁広君、経済産業省貿易経済協力局長横尾英博君、経済産業省産業技術環境局長片瀬裕文君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、特許庁長官羽藤秀雄君及び原子力規制庁長官官房審議官山本哲也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。穴見陽一君。

穴見委員 自民党の穴見陽一でございます。

 本日、一年ぶりに質問の機会を得まして、大変力が入っております。きょうは、三十分もお時間をいただきましたので、たくさん準備をしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 アベノミクス、本当に正念場に差しかかろうとしていると思います。とりわけ、地方ではまだアベノミクスの実感がなかなか感じられないという厳しいお言葉を地元でもいただいているのが現状でございます。アベノミクスで最初の大成功をおさめたのは、やはり金融の緩和であったと思います。これによって円安、株高が進みまして、これが基本的に日本の経済を大きく浮揚させたわけでございますけれども、これを今度は地方でも考えてみてはいかがかなという提案も含めた質問を本日はさせていただきたいと存じております。

 金融庁は、バブル崩壊後の膨大な不良債権を解消いたしましたし、金融機関の健全化を推進することで日本の金融システムの安定化に大きく寄与をしてまいりました。しかし、その際に拡大された権限によって、地方の多様な金融機関の貸し出し判断の画一性を生んだのではないか、そして金融機関の独自性や多様性を損なってきており、実際にこのような話を地方の金融マンにいたしますと、大きくうなずいてくれるわけでございます。

 金融庁は業務改善命令の権限や、役員更迭というような強い権限を持つとも聞いておりまして、こういった巨大過ぎる権限のもとには、過剰な自主規制によって金融機関が萎縮せざるを得ない状況が生まれているのではないか。

 とりわけ、地方の規模の小さな金融機関につきましては、個々諸般のいろいろな、会社の子細な事情を察知しまして、やはり、大きな銀行ではできないような日ごろからの細やかなおつき合い、また、裏事情も含めたいろいろな情報を入手して、建前上の言葉ではなかなか説明のしがたいような、そういった事情も判断をした上で、ある意味でリスクの高い貸し金も行っていく、そういうチャレンジを行わなければ規模の大きい金融機関に太刀打ちできないような状況があろうかと存じます。

 金融機関はそれぞれ自己責任でリスクをとって、リスクと金利の見合いで貸し金判断をしておるわけでございますから、貸し金判断の自由は確保されなければならないのではないかと思います。

 金融庁は、日本の金融システムに致命的な影響を与える規模の金融機関に対しては、これからも金融システムを守るという観点からしっかりと検査監督をしていくべきと存じますけれども、地方の小規模金融機関について、金融システムへの影響がそれほど大きくないと思われるものに対しては検査や監督を極小化して、地方金融の自由を再生すべきであると考えております。

 実際、ある種の画一的な判断における貸し金を行うということになってきますと、やはりバンカーとしてのマインドであるとか能力であるとか、そういうことも随分以前と比べると萎縮してきているのではないかというふうに思うんですけれども、そのあたり、どのようなお考えをお持ちなのか、お聞きしたいと思います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁には、銀行の業務の公共性に鑑み、信用を維持し、預金者等の保護を図るとともに金融の円滑を図るとの観点から、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、銀行法上、一定の権限が与えられているところでございます。

 ただし、その運用に当たりましては、銀行の業務の運営についての自主的な努力を尊重するよう配慮することが求められているところでございます。

 金融監督を行うに当たっての重点事項を明確化しております私ども金融庁の監督方針、この監督方針というものは毎年度作成、公表されておりますが、本年度の監督方針におきましては、金融機関の自主的な経営改善、経営判断に資する行政対応に努めることを掲げるとともに、金融機関には、適切にリスクを管理しつつ、新規融資を含む積極的な資金供給を行い、顧客企業の育成、成長を強力に後押しするという金融機関が本来果たすべき役割を一層発揮することを求めているところでございます。

 例えば、そのような観点から、資金需要の掘り起こしや中小企業向けの融資の審査に際しては、各金融機関が創意工夫を凝らした取り組みを積極的に行っていくよう促しているところでございます。

 また、金融検査の基本的な取り組み姿勢などを示しております金融モニタリング基本方針におきましても、小口融資先の資産査定に関しては金融機関の判断を極力尊重する旨を明示しておりまして、そのような取り組みを行っているところでございます。

 今後とも、金融行政といたしましては、金融機関が目きき能力を高め、地域において積極的な金融仲介機能の発揮を促していくことによりまして、デフレ脱却へ向けた取り組みを金融面からサポートしてまいりたいと存じます。

穴見委員 御答弁ありがとうございます。

 ただ、地方には実際にそういう声もございますし、確かに金融庁も大きくここ一年で方向を転換されてこられたということはお聞きしております。

 この後、御質問しますけれども、日本の経済の三つのゆがみとして、一つが過剰規制と言われております。そういう意味では、企業活動の自由度というものをしっかりと制度的にも担保していかなければ、かつて、戦後、GHQの規制に対して、政府もしくはマスコミも過剰な自主規制を通じていろいろな報道もゆがんできたというような話も聞いたりしております。自主規制というのが一番恐ろしい規制でございまして、そういうものを恐れる必要のない環境づくり、ぜひ検討していただきたいと思っております。

 また、平成十八年の貸金業法等の改正で上限金利の引き下げや貸し金の総量規制が行われたことによって、これも地方の金回りを悪くしておりまして、またかえって闇金業者の暗躍を助長している面もあるのではないかと疑われている面もあると思います。ですから、地方の金回りをよくするためには、この貸金業法も緩和の方向で見直しをすることが地方の経済活性化に通じるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の平成十八年の貸金業法等の改正につきましては、当時、社会問題化しておりましたいわゆる多重債務問題への根本的対策として検討されまして、国会において全会一致の賛成により成立したものと承知をしております。

 改正法の施行後の状況について見ますと、日本信用情報機構によれば、貸金業者から五件以上の無担保無保証の借り入れの残高がある人数は、平成十九年三月時点で百七十一万人だったのが、足元、平成二十六年一月時点で十八万人と相当減少していること、また、警察庁統計によります多重債務が原因と見られる自殺者数についても、平成十九年に千九百七十三人だったのが平成二十五年には六百八十八人と、これも相当減少していることなど、現に多重債務問題に対する相応の効果があらわれているというふうに認識をしておりまして、現時点で制度につき直ちに見直す必要はないと考えております。

 いずれにしましても、金融庁としましては、引き続き、貸金業の借り手、貸し手の状況をよくフォローしてまいりたいというふうに考えております。

穴見委員 おっしゃることはよくわかるんですけれども、ただやはり、本来、リスクと利息の見合いでの自己責任で金融機関も行っておりますし、そしてまた、実質の金利の上限引き下げが行われたことによって、なかなか通常の金融機関では金融ができない方々はむしろ、表に出てこない闇の世界でいろいろなことが行われていることも、いろいろと身近で見聞することもございますので、これは地方の景気、活性化のためにも前向きに検討していただきたいと存じます。

 続きまして、先ほど私も申し上げましたが、日本経済の三つのゆがみで、過剰規制、過少投資、過当競争の是正というものを経済産業省でも標榜されていらっしゃいますけれども、そのうち、過当競争を是正するには産業の新陳代謝の促進が必要との御見解があるようですが、これについてお伺いをしたいと思います。

茂木国務大臣 穴見委員、一年ぶり、満を持しての御質問ということでありまして、しっかりと御答弁をさせていただきたいと思います。

 アベノミクス、三本の矢、大胆な金融緩和、そして機動的な財政運営から始まりまして、まさに経済の好循環を実現し、そして景気回復の実感を全国の地方、大分にもしっかり届けていく、こういったためには、今三本目、成長戦略、それも民間投資を喚起する成長戦略というのが何よりも重要だと思っておりまして、そのためにも、今委員からお話のありました日本経済の三つの課題、ゆがみ、過少投資、そして過剰規制、さらには過当競争、こういったものを是正していかなければならない。

 特に、過当競争の是正に関しましては、産業の新陳代謝といったものをしっかり進めていくということで、今、複数の企業に分散している経営資源を効率的に一つのところに集めることによって、国際競争力、こういったものもつけていくことが極めて有効な手段だ、これは委員も実際にビジネスをやっていらしたのでよく御案内なのではないかな、こんなふうに思っているところであります。

 いろいろなやり方があるかと思うんですけれども、例えば、ヨーロッパの場合は、EUの統合が産業再編であったりとか事業再編にとって大きなきっかけになったと思います。また、アメリカの場合は、八〇年代以降、MアンドAの技術が発達をする、また株主がより高い収益を求める、こういうプレッシャーからさまざまな再編が進んだ。韓国の場合は、一九九七年、アジアの金融危機を踏まえて、IMFからの要請を受け、ある程度強制的といいますか、産業の再編が進められた。

 日本としては、できる限り企業が主導で、民が主導でこういった産業の新陳代謝、事業再編を進めていきたい、そして、国としてはそのための環境整備を行っていきたいと考えておりまして、まさにそのキードライバーになりますのが、昨年の秋、この国会で成立を見ました産業競争力強化法案であります。

 一月二十日から施行、これが進んでおりまして、過剰規制に関します企業実証特例であったりとか、グレーゾーンの解消、こういったことも行っておりますが、事業再編に向けまして、資金的な支援、それから同時に税制上の優遇策をとっておりまして、御案内のとおり、火力発電の事業におきましてGEやシーメンスと対抗できるような、こういった統合案件、既に生まれている、実績も上がってきているのではないかな、こんなふうに考えております。

 ただ、強調させていただいたように、あくまでこれは企業の自主的な判断によって行われることが望ましいと考えておりまして、国としては、それを後押ししていくような環境整備を進めたい、そんなふうに思っているところであります。

 そういった官民の役割分担のもとで、日本におきましても、産業の新陳代謝、そして事業再編、しっかり進めて、世界に勝てる産業構造、事業構造、こういったものをつくってまいりたいと考えております。

穴見委員 ありがとうございます。

 そうお聞きした上で、一つ申し上げたいことがございます。

 私も企業経営者としてMAの経験もあります。立派な会社であればMAもそんなに大きな問題はないんですけれども、やはり中小企業、また地方のMAというと、いろいろとデューデリジェンスも難しい面があります。しっかりやったつもりなんですけれども、経営者が債務を隠していたりとか忘れていたりとか、いろいろなことで、後から何かとんでもない爆弾が出てくるリスクというようなこともあって、それが潜在的なMAの阻害要因になっているんじゃないかな。

 MAに関しては、もちろん、統合した後の企業文化の融合とか、そういった難しさもございますけれども、何らか、やはりMAというのが産業再編の大きな方法となろうと思いますので、そういったこともぜひお考えをいただきまして、スムーズにMAが進んでいくように。特に、オーナー企業、親族経営が中核になっている経営になりますと、経営の合理性というよりも、むしろ会社のオーナーシップに対する愛着というものから再編が進んでいかないという面もあるようでございますので、そういったこともぜひお考えをいただきたいなというふうに思っております。

 続きまして、過当競争を是正するという面に関して、実は公正な競争環境を整える必要があるのではないかなということを感じております。それは、労働基準法違反や各種法令違反が放置されておりますと、とりわけ、今サービス産業が七割を超える時代となっておりまして、サービス産業の大勢、また建設業のような労働集約型産業の場合は、悪徳業者が不当廉売可能となる、そうすることによって善良な事業者の意欲や仕事がそがれて、デフレ圧力を高める結果となっているように感じております。

 厚生労働省に聞いたところによりますと、四百二十万事業所のうち、毎年、その三・二%に当たる約十三万事業所に定期的な労基法違反の監督等を行っており、その約七割の事業所が何らかの法令違反を犯しているそうでございます。また、その約三割の事業所が労働時間や割り増し賃金の違反を起こしているということでございます。これでは違反が常態化していると言わざるを得ない面もあろうかと思います。

 やはり、公正な競争環境を整えるために、各種法令の遵守状況、これはちょっと調べようと思っても範囲が広過ぎてできなかったんですけれども、これを放置しておりますと、正直者がばかを見ると申しますか、真面目に法令を遵守して真面目に商売をやろうという者がかえって不当に低い売価またはいろいろな単価を受け入れざるを得ない、そういったマーケットの環境に陥ってしまっているのではないかというふうに感じます。デフレと労働生産性の停滞の根源ではないかとも思いますので、ぜひ、こういった各種法令の取り締まりによって公正な労働環境をつくる必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

菅原政府参考人 委員御指摘のとおり、長い目で産業競争力を強化していくためには、適正な競争環境を整備して、事業者が公平な条件でちゃんと競争していくということが非常に重要だと思っております。

 今御指摘にありました労働規制、これについては厚労省が可能な限りその違反の取り締まりをやっていると思いますが、先生も例に出されました例えば不当廉売、こういうものについては、公正取引委員会とも協力しながら、我々もしっかりコンプライアンスを求めていくということが重要だと思っております。

 特に、来週火曜日、四月一日から消費税率が五%から八%に上がります。やはりここで、例えば事業者からの買い取りの際に、消費税転嫁分を買いたたいたり減額したりして、そういった人が得をするというようなことは決してあってはならないと考えておりまして、消費税転嫁対策特別措置法のもとに、こういった事態をしっかり取り締まるということがまずはイの一番に求められていることだと思っておりまして、全精力を挙げて消費税の適正な転嫁、悪質な行為を取り締まるということに全力を傾けたいと考えてございます。

穴見委員 ありがとうございます。

 それでは続きまして、過少投資の是正について質問をしたいと思います。

 円安や株高によって大企業の内部留保資産は拡大しております。これを国内投資に向かわせて国内の仕事量をふやすことは賃金の上昇に効果があると考えておりますけれども、このためには、期間限定の大型投資減税や補助金を効果的に投入する必要があると思います。期間を限定することである意味で納期の縛りをきかせ、景気浮揚と賃金の上昇に資すると考えます。今、納期がおくれるのが許容されているのは建築現場で、随分散見されると思いますけれども、やはり期間限定という中に呼び水があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

菅原政府参考人 委員御案内のとおり、昨年取りまとめました日本再興戦略では、今後三年間を集中投資期間と位置づけまして、その間に投資を促進するための施策を総動員するということになっています。

 こういった考えに基づきまして、大臣からもありました、産業競争力強化法に基づいて大胆な設備投資減税を講ずることとしておりますが、これも三年間の限定で、過去にないような深掘りの措置、大企業であれば五%、そして即時償却、中小企業、小規模事業者であれば一〇%への深掘り、あと幅も広げるというようなことをやっておりまして、期間限定でこういった大胆な税制措置を講ずること。及び、ものづくり補助金、これも、平成二十五年度では一千七億円だったものを一千四百億円へと拡大し、しかもサービス業も幅広く対象にするというような措置、二年間連続して大胆な措置を講じております。

 こういった税制、補助金を集中的に投下することによって、この三年間の集中投資期間に設備投資が現に動くことになるように全力を挙げたいと思ってございます。

穴見委員 ありがとうございます。

 そのような減税や補助金という呼び水を政府が一生懸命準備いたしましても、実際にそれを使う経営者や投資家がリスクを恐れたり短期的な収支に拘泥しているようでは、ダイナミックな投資活動は期待できないと思います。

 日本の大企業経営者は、リスクをとる投資に消極的過ぎているのではないかとも思えます。中長期的、戦略的投資に挑戦する経営者を多く誕生させるために、新しいコーポレートガバナンスや、積極的経営者を評価するスチュワードシップを鼓舞することで、大企業経営者を積極投資に向かわせる必要があるのではないかと思います。

 特に、経営者の任期が短過ぎて、中長期的な実際の取り組みができない。また、日本の資金量の大勢を占めているのは政府、銀行、機関投資家などでございまして、彼らの投資家マインドと能力を育てていかなければ、大型の有効な投資が生まれず、国内景気を刺激できないのではないか。大企業から中小企業まで含めて、そういった優秀な経営者また投資家というものを育てていくような仕組みが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

菅原政府参考人 御指摘のとおり、積極的な経営を促すためには、攻めの企業経営に向けた経営者の思い切った判断を促すことが重要であると考えておりまして、その意味で、コーポレートガバナンスの強化が経営者の判断を大胆に促す一つの大きな役割を果たし得るというふうに考えてございます。

 このため、独立性の高い社外取締役の導入を促進するための措置を講ずるなど、少なくとも一人以上の社外取締役の確保に向けた取り組みを強化することなどを盛り込みました会社法改正案を昨年の臨時国会に提出し、現在継続扱いで、今国会で審議される予定となってございます。

 こういった形で、企業の経営者の後押し、背中を押すような形のコーポレートガバナンスの強化を図っていきたいと考えてございます。

 また、幅広い範囲の機関投資家が企業と建設的な対話を行い、適切に受託者責任を果たすための原則、いわゆる日本版スチュワードシップ・コードをことしの二月に取りまとめたところでございます。

 こういったことをしっかり普及促進することによって、コーポレートガバナンス強化とあわせて、機関投資家が積極姿勢をもって経営者の背中を後押しする役割を果たせるよう、我々としてもこの広報、普及に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

穴見委員 ありがとうございます。

 ぜひそのような方向で力を入れていただきたいのと、もう一点は、やはり中長期的な取り組みが企業にできる、そしてそういった大きなビジョンのもとに投資を勇気を持ってやれる、それを支えていくガバナンス、またはスチュワードシップということが肝だと思っておりますので、ぜひ国として取り組める分は取り組んでいただきたいと存じます。

 最後の五分になりました。

 申し上げたいことは、まあ私も実は経営者としてやっていく中で、自己資金でエンジェルのような創業支援等も何社もしてまいりました。その中で感じましたのは、日本のベンチャー企業の経営者というのは、営業であるとか商品開発、製品開発の面での天才を持たれている方がやはり成功されている。最初のスタートはいいんですけれども、そういう方々が途中でつまずかれる多くのポイントは、財務面でのいろいろな知見の不足によってつまずかれる、資金繰りを中心につまずかれるということが大変多いように感じております。

 振り返ってみますと、日本にはCFOと言えるような、財務担当経営者というものを生み出す仕組みがないなというふうな気がいたしております。

 例えば、公認会計士にせよ、税理士にせよ、または経理担当者、こういう方々を養成する仕組みは十分にあるんです。そういった知識というのは財務担当をやっていく上での技能的な知識の一部ではあるんですけれども、あくまでCFOというのは経営能力が重要なのであります。

 経営者自身に財務面の知識を身につけさせることも必要ですけれども、財務という切り口を持った経営者という、ある意味でのスターダムとか活躍する場、経営者として注目される場があるというようなところを鼓舞することでCFOを育てていけば、日本のベンチャー企業も相当力強く成長していけるんじゃないかなというような気がいたしております。

 実際に、創業して大成功した経営者というのは、すべからく財務に明るい方々でございます。自分のことを言うのもなんですけれども、我が父も、無学ながら、中卒でありますけれども、やはり財務については相当勉強しまして、財務の強さでビジネススキームをつくって、それで闘ってきたということがあります。

 そういう意味では、ぜひCFOを生み出す仕組みというものを国として考える必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

菅原政府参考人 我が国におきまして、財務面の知識を含めて、ベンチャー企業の経営を支援する人材が不足して、これが、なかなかベンチャーが育たない、数もそうですけれども、大きく成長できない阻害要因の一つになっているというのは全くおっしゃるとおりだと思います。

 この関係で、ベンチャー関連の人材育成に関して、経産省もさまざまな対策を講じてございます。

 例えば、現在、大学、大学院の起業家教育を実施している教員のネットワーク、今八百名存在しておりますけれども、この八百名が、現実的な教材やカリキュラムを提供するような仕組み、それぞれの大学に派遣する、もしくは個別の相談に応ずるような仕組みを講じておりますのと合わせて、平成二十四年度補正予算及び平成二十五年度補正予算、それぞれ七・三億円の予算を用いまして、ベンチャー支援の経験のあるベンチャーキャピタリストや弁護士、公認会計士などの専門家が連携した総合支援体制を構築、運用しているところでございます。

 こういったことを通じまして、レベルの高いノウハウを広く横展開できるような仕組みを、CFOの育成という観点からも積極的に進めていきたいと考えてございます。

穴見委員 時間が参りましたけれども、最後に一点だけ指摘させていただきたいんです。

 経営者というのは、決して資格があってやっている仕事ではありません。ただ、そういう人たちに、一国一城のあるじに勉強してくれというのは大変難しいことでありまして、今の枠組みでそれができるのかなと。

 むしろ、彼らが必死になって勉強しなければならないと感じる瞬間がありまして、それは、お金を借りたいときであります。

 ですから、銀行を通じて借り入れのタイミングで一体何を経営としてやらなければいけないのか、そのときに十分な財務的な知識、財務のノウハウを使っていかに闘っていけるか、生きた勉強ができる機会というものをぜひ検討していただきたいということを申し添えまして、私の質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 一昨日質問させていただきました、汚染水タンクの配管弁のいわゆる識別タグの問題に絞って質問したいと思います。

 お手元の資料をごらんいただきたいと思います。これは、前回も配った資料を少し直してきたんです。当委員会での質問の際に私がこれを配ったんですが、あえて、前に書いていたのがわかるように、少し直して持ってきたんです。

 一昨日聞いたときには、汚染水のタンクがたくさんありまして、そこにたくさんの弁があります、この弁の数が一体幾らあって、弁の開閉管理をしっかりするためには識別するタグをきちんと付することが大事だ、こういう話をしました。

 その中で、今現在、どれだけ弁があって、その弁にタグがどれだけついていて、どれだけついていないのか、この質問をしたところ、前回は東京電力からお越しいただけなかったんですけれども、規制庁の事務方から、五千あるうちのまだ千五百がついていません、つまり三割が未設置ですという答弁があったんですが、その後、どうやらこれが逆でありまして、三割ついていないんじゃなくて七割ついていないということを、後で東京電力の方から電話がかかってきまして、そういう話が委員会の後にあったんです。

 改めてこの点を、ちょっと事実確認をまずしたいと思いますけれども、廣瀬社長、いかがでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 つけるべき弁の数が約五千ございますけれども、そのうち完了したものが約千五百、未完了のものが三千五百ということで、先日こちらから御報告した数字と全く逆さまということでございます。

 玉木先生を初め経済産業委員会の先生の皆様、また規制庁を初め関係各所に本当に大変な御迷惑をおかけしておりまして、まことに申しわけなく思っております。

玉木委員 私は、間違ったことに目くじらを立てるつもりは実はなくて、幾ら数がついているんですかという極めて単純な問いに対して、それがある種、間違ってこの国会で報告されたわけでありますけれども、その間に幾つか関門があったと思うんですね。

 現場の業者から福一の現地の担当の東電の職員、東電の職員から本店の担当者、そして本店からエネ庁なり規制庁なり、ずっとたどって、それがどこもチェックされずに、どこも修正されずにそのまま国会で報告されてしまう。このこと自体は単純なことなんですけれども、凡事徹底という言葉がありますが、私は、単純なことがきちんとできていないということは、もっと難しいこと、複雑なことはさらにできていないのではないかなという疑念が生じるわけであります。

 カラーの資料の右側を見ていただきたいんです。

 これは東京電力から一連の流れということで出していただいたんですけれども、二十六日のAM、玉木議員、私が質問したということが真ん中よりちょっと上に書いてありますが、その次です。前回答弁をいただいたのは実は東電ではなくて、規制庁からお答えいただいたんですが、私の質問の後、規制庁から東電本店に数量確認依頼。あれで本当に正しかったのかなというので、多分質問されたんでしょう。ここから、本店から一F、福島第一原発の現地に問い合わせして、関連の委託企業や東電で調べてみて、それがもう一回本店に戻ってまいります。この時点で、間違いの可能性があることを認識、説明というふうになっていて、その後、規制庁に報告が上がるということになっております。

 私は、これは二つ大きく問題があると思っています。

 一つは、東電、これはたまたま私が質問して、たまたま規制庁があのとき、エネ庁の事務方も手を挙げていましたけれども、規制庁からお答えいただいたんですが、規制庁が東電本店に問い合わせなければ、今回、千五百が未設置じゃなくて三千五百がついていないということは、この問い合わせがなければ東電もずっと気づかなかったんじゃないですか。私は、まずここに問題があると思うんです。

 二つ目は、この後ずっと来ますけれども、実は私の事務所には、間違っていましたという電話を東電からいただきました。間違っていましたという報告がずっと関係のエネ庁なり規制庁に上がっていくんですけれども、私の一昨日の質問に答えていただいた規制庁からは、こちらから問い合わせをするまで何の連絡もないんです。

 質問したいのは、今私がちょっと申し上げましたけれども、まず廣瀬社長にもう一回聞きたいんですが、報告が間違っているかもしれないというふうに気づいたのは、やはりこの規制庁からの確認依頼があって初めて気づいたんですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生の経済産業委員会での御質問の前の日でございますけれども、二十五日にそもそも間違えた情報を出してしまった段階で、大変お恥ずかしい話でございますけれども、担当者が思い込みで間違えた数字を言って、その上司に当たる一Fの人間も、あるいは本社の人間も含めて、エビデンスを確認せずに、そのままその数字がずっと行ってしまったということでありますので、御指摘のように、次の日に先生からまた再度のお問い合わせ、規制庁からの再度の問い合わせがなければ、そのまま行ってしまったという可能性はございます。

 本当に、今後とも、しっかりエビデンスを確認して、大変重要な国会の質疑にそうしたことのないように、しっかりやってまいりたいというふうに思っております。まことに申しわけございません。

玉木委員 廣瀬社長、冒頭申し上げましたけれども、これは単純な話なんですけれども、ここに潜む根本的な問題は私は重大だと思っているので、そういった情報の伝達のルートであるとか、事実をしっかり確認する。

 思い込みという言葉がありました。人間は思い込みますし、間違えますので、いわゆるヒューマンエラーというのは各所で起こる。ただ、そのことを前提に物事を組み立てていかなければいけないというのは、まさに福一の事故が教えてくれていることだと思いますので、この件、単に報告のミスの問題ではなくて、根本に掘り下げて、また、他に及ぶ問題でもあると思いますので、ぜひ対策をしっかりやっていただきたいというふうに思います。

 田中委員長にきょうお忙しい中お越しいただきましたので伺いたいと思いますが、先ほど少し伺いましたけれども、こちらが問い合わせない限り、規制庁からは何の説明もなかったんですね。東電からはありましたから、そのうち規制庁からあるかなと思ってしばらく待っていたんですけれども、いつまでたっても、待てど暮らせど何の連絡もないんですね。

 これは、そもそも規制庁としては、配管のタグの管理について、あるいはそれを東電がどうやって行っているのかについては、そもそも自分の規制の対象外だという認識なんでしょうか。

田中政府特別補佐人 一般的なことで申し上げますと、無数のバルブがあるわけですが、そういったものについて、どういう管理をするかということについては規制の外にあります。ただし、今回の場合に、そういったバルブの開閉の管理が、非常に安全上の問題がある場合には、そういうことについては、例えばタグをつけるとか、そういったことを求めるというような指導をしているということでございます。

玉木委員 何かすごく人ごとな感じがしますし、余り緊張感がないように、今のはちょっと。どうですか、皆さん。

 もちろん、タグそのものをするのは規制庁の所管じゃないと思いますが、ただ、二月十九日に明らかになったH6エリアのタンクからの百トンの漏えい、この一つの原因は、これは東電も認めていますけれども、弁の開閉管理が不十分だったということですよね。適切に弁の開閉管理をすることの前提は、きちんと識別タグが弁に取りつけられていることが、やはり適切な管理の前提なんだと思います。

 ですから、関係ないというのではなくて、もちろん、ここからこうというふうに明確に分かれるものではないと思いますけれども、これだけ、弁の問題、あるいは弁の管理の問題が漏えいの一つの原因だと言われているわけでありますから、これは規制庁もぜひ当事者意識を持って、しっかりと規制なりチェックをしていただきたいと思いますけれども、最後にもう一回、いかがですか、委員長。

田中政府特別補佐人 今回の事例のように、こういった弁の開閉のミスによって大きな事故につながるようなことについては、極力防がなきゃいけないという認識は私どもも持っておりますので、今回の経験を踏まえて、きちっとそういったことについての指導を徹底させていきたいと思います。

玉木委員 ありがとうございます。

 規制の、誰も拾わない、ぽてんヒットの領域がないように、ぜひ関係の省庁等で連携をよくとっていただきたい、このことを最後にお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平でございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私は、きょうは、昨年の秋の臨時国会で、私どもの委員会で審議をさせていただき法律となった、産業競争力強化法のその後の運用状況、実施状況等について確認をさせていただきたいと思います。

 従来、私ども立法府として法案の審議をいたしますけれども、法案の審議が終わればそれっきりということが多うございますが、法案が通った後、大事なことは政令に書かれ、省令に書かれ、さらに告示の段階で、例えば民間の方が対応される場合には、最も大事なことが実は告示に書かれているわけであります。

 しかし、法案が通った後、役所は、政省令の中身や告示の中身について、きちんと立法府の一人一人の委員会のメンバーに説明をするということはほとんどありません。勝手に役所で、もちろん法律の授権のもとでやるわけでありますが、そこは非常に甘くなっているということでありますので、私は今後、この委員会で一般質疑の際には、できる限り、通った法案の政令レベル、省令レベル、告示レベルでの運用について問いただしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず一つ目は、一月の中旬にこの法律が施行されました。二カ月たったわけでありますけれども、聞くところによりますと、なかなかいいスタートをされているというふうに聞いております。これは大変喜ばしいことでありまして、あれだけ真剣に議論して、与野党を超えてつくり込んでいった、議論していった法律がうまく動き出したということであります。

 これは、スタートダッシュで、担当の官僚の皆さんも当然かなり、大きな法律でしたから、国会の手前、大臣の手前も、成果を上げなきゃいかぬということでなさっているんだろうと思いますし、役所の仕事とすれば、これだけ重要な法案を通す前には実は実際の玉も、具体的な事例も幾つかあるからこそこういう法案が出てくるわけですから、その具体的な事例が早速出てきたというようなことでもあろうかと思います。

 そこで、副大臣にお聞きしたいんですけれども、目玉であります企業実証特例、グレーゾーンについて、現状、どんなところまで執行されているか。御報告をお願いします。

赤羽副大臣 岸本委員には、昨年の秋の臨時国会に引き続きましての御質問をいただいたこと、まず感謝を申し上げたいと思います。

 まず、規制改革を推進する企業実証特例制度、またグレーゾーン解消制度についてお答えをさせていただきます。

 今お話がございましたように、本年一月二十日の法律施行後から昨日までの間に、両制度の合計で九件の申請を受理いたしまして、そのうち七件について、関係省庁間の協議を経まして、省令に定める一カ月の期限内に、申請者に対してそれぞれ結果を通知したところでございます。

 具体的に一つずつ御報告させていただきたいと思いますが、まず、企業実証特例制度につきましては、宅配を行う事業者と電動アシスト自転車の製造事業者から共同で申請をいただいております。

 これは、物流用のリヤカーがついた電動アシスト自転車につきまして、現行では踏力の二倍までとされておりますアシストの制限を三倍に緩和するという申請でございまして、警視庁との間で協議を行った結果、申請を許可するということになりました。

 これによりまして、脚力の弱い高齢者ですとか女性の雇用機会の拡大、また、物流の現場においてのCO2排出量の削減などに資することが期待されていると承知しております。

 次に、グレーゾーン解消制度につきましては、ちょっとこれはわかりにくいかもしれませんが、血液の簡易検査の結果に基づいて、健康関連情報の提供サービスを行う事業者から申請をいただきました。

 これは、利用者にみずから血液を採取させる場所を提供した上で、血液検査の結果の事実を通知することに加えまして、より詳しい検診を受けるよう勧めるようなこと、これが医師のみに認められている医業には該当しないということが、厚生労働省との間の協議で確認されたものでございます。これによりまして、みずから健康管理を行う機会が身近に提供され、病気の早期発見に資することが期待されるところでございます。

 以上でございます。

岸本委員 どうもありがとうございます。

 大変エンカレッジングな御報告だと思いますが、やはりこれだけの法案ですから、一年で百件、二百件、三百件と実例が出てくるように頑張っていただきたいと思いますし、これまた役所の常でして、一年たって課長がかわりますとこういう数字が激減するわけでありまして、これはなぜなのか、毎回繰り返すんですね、このサイクルが。そういうことのないように、ぜひ大臣、副大臣からも御指導をお願いしたいと思います。

 もう一つの目玉ですけれども、事業再編。これも事業再編計画と特定事業再編計画があったと思いますけれども、これについては、もし実例が出ていましたら、簡単に御報告いただければと思います。

赤羽副大臣 まず、事業再編につきましては、事業再編計画につきましては三件、また、特定事業再編計画につきましては、実は本日認定分も含めまして二件の認定を行っております。

 具体的には、経済産業省所管の、特定事業再編計画の第一号案件として、三菱重工業と日立製作所の火力発電システム分野における事業統合を認定させていただきました。これはもう言うまでもないんですが、両社が強みを有する製品のラインナップですとか、海外販路を統合するシナジーによりまして、グローバル市場で総合的な競争力の強化を目指すところでございます。

 以上でございます。

岸本委員 ありがとうございます。

 それから、関連で、この産業競争力強化法に基づきまして、創業支援事業計画の各認定自治体、自治体レベルでどれだけのことができるかというのは、恐らく、中小企業なんかは地方にあるわけですので大変大きなことだと思っているんですけれども、これについても、現在のところの認定状況について御報告をいただければと思います。

赤羽副大臣 地域における創業を支援する創業支援事業計画につきましては、共同申請を含めまして八十七件、九十四の市区町の認定をさせていただいておりまして、官民の支援機関による創業支援が行われているところでございます。

岸本委員 ありがとうございます。

 いただいた資料で出てきている地方公共団体の名前をずっと見ますと、ケース・バイ・ケースなんですが、経済産業省から若手が出向しているようなところがやはり入っていて、さすがよく働いているなということでありますが、出向しているにもかかわらずまだ名前の出ていない都道府県もございますので、その辺はぜひ大臣、副大臣の御指導で、せっかく経産省から出向しているわけでありますから、そういうところから広げていくということで、それが成功事例を生んで、隣の都道府県、市町村がそれを見て、ああ、これは頑張らにゃいかぬということで、全国に広げていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 そういう意味では、私どもが与野党を超えて議論したこの産業競争力強化法が非常にうまくスタートしているということについては、感謝を申し上げたいと思います。

 その一方で、ちょっと残念なことがありまして、これも余り大きな声で言うつもりもないんですが、ベンチャーファンドが、これもとても大事なことだということでありまして、昨年十一月十三日のこの委員会でそればかり質問させていただいたんですけれども、実はこれまで、エンジェル税制もそうなんですけれども、税制は、制度はつくるけれどもなかなか実施されないということが多々あるということを申し上げました。

 これは、いろいろな要因がありましょう。エンジェル税制であれば、実際に適用できるかどうかは後なんですよね、申請しても、本当に適用かどうかわからない。後で、やりましょう、当たりました、当たりませんと。にもかかわらず膨大な資料が要るということも、かなりの原因の一つでありましょう。

 その意味では、今回のファンドについては適用されるかどうかは事前にわかるわけですから、その辺はエンジェル税制よりもさらに改善されている。だとすれば、エンジェル税制も、そのような形にしていく方向も御検討いただきたいわけであります。

 ともかく、これだけ安倍内閣が力を入れて、全く新しいファンド支援のあり方を追求されて、しかも、私は何度も申し上げましたけれども、その要件が非常に厳しい。どうせやるのであれば、まあ、認定なしというわけにはいかない、私は認定なしでもいいと思っている方なんですけれども、そこは、大臣も答弁されましたように、公平な観点というのが要るでしょう。何でもかんでもというわけにはいかぬ。

 公平にするためにはある一定のメルクマールは確かに必要かもしれませんが、そのハードルが高過ぎることによって本来出るべき申請が出てこないというのであれば、これは何をか言わんやでありますし、金融庁があって金商法というのもあるわけですから、金融庁としてファンドなり、その運用なり、それについての監督もあるわけで、全く金融庁が野方図にしているわけでもない。とするならば、最低限の監督がある分野であるならば要件は緩和した方がいいのではないかということを申し上げました。

 例えば、有限責任組合、これは経産省所管のLPSに限るというような要件もございました。それから、出資金額の基準というのもございました。さらには、ファンドの存続期間、これが十年以下であるというような要件。それから、ファンドをやっている方々が特に一番問題にしていましたのは、IRRの基準が物すごく高い、一五%以上を目標にすることが要件になっている。

 一五%というIRRを出せるところというのは、この前の審議でも申し上げましたが、経産省の調査でも、調査対象四百二ファンドのうち二十七ファンドしか達成していない。わずか六・七%です。真面目にやっているファンドのうち六%程度のファンドしか達成できない、一五%という高い目標値を要件にされるのはいかがなものかと申し上げました。あるいは、ベンチャーキャピタルの出資割合についても、ファンドの規模が少し小さい方でもやれるように御配慮いただけないかというようなことも申し上げたわけであります。

 そういう意味で、それぞれの要件を緩和することを十一月の審議では申し上げたわけであります。

 これについて、当時、赤羽副大臣も一生懸命答弁していただき、その結果として、茂木大臣からはとても前向きな答弁をいただきました。議事録を読みますと、「一つのメルクマールを出させていただきましたが、確定しているものではありません。今後さらに詰めていきたい。議員の御指摘に加え、現場の声、こういったものにも丁寧に耳を傾け、使い勝手のいいものとならなかったら意味がない、そのように思っております。最低限の要件にしたい。」あるいは「間口は広くしたいと思っております。」という意味での答弁をいただいております。

 赤羽副大臣にお伺いしますが、この要件の緩和はどの程度していただけましたか。明快にお答えいただきたいと思います。

赤羽副大臣 これまた昨年十一月十三日の委員会で丁寧に御質問いただきました。あのやりとりも、私も改めて議事録を読ませていただきながら、いろいろ思うところもございます。

 今の岸本先生の趣旨に対して、茂木大臣の答弁に尽きていると思います。省内でもいろいろ検討させていただいて、現時点での御報告をまずさせていただきたいと思います。

 当初、ファンドの規模要件を二十億円以上としておりました。これは、さまざまな政府内での議論がありまして、それをおおむね二十億円以上というふうに緩和させていただいた。

 これはどれだけの意味があるかといえば、ただ、私は、二十億円というところで紋切り型にするのではなくて、景気の影響で二十億円に満たない理由等々が出てくると思いますので、とりあえずは、下回ると認定できないといった基準は設けていないといった意味では第一歩になるのではないかと考えておりますし、直近の業界の調査では、平成二十五年に設立されたベンチャーファンドの平均規模は七十二億円という発表も出ておりますので、おおむね二十億円以上という要件は必ずしも大き過ぎるものではないのではないかという認識がございます。

 加えて、ファンドの規模の計算につきましては、中小企業基盤整備機構ですとか自治体などの公的機関からの出資も含めて計算することを可能としておりまして、比較的規模の小さなファンドにも配慮させていただいているものでございます。

 ファンドの存続期間の十年以下の要件につきましても、岸本委員から御指摘がございました。成長させたベンチャー企業の株式を売却するときにたまたま景気が悪くて、円滑に売却ができないというようなことも想定されておりますので、存続期間を最大十三年まで延長するということを可能にさせていただきました。

 加えて、これは、その方向でという答弁をあのときにさせていただきましたが、投資先を中堅、中小規模のベンチャー企業に限定する要件につきましては、ファンドがそのベンチャー企業に最初に投資した時点での資本金、従業員の規模を基準としたものでありまして、その後、うまくいって、資本金、従業員が拡大しても再投資を行うことが可能な、柔軟な要件設定にしている。これは、岸本委員の御指摘に沿った改革をさせていただいたと思います。

 これから、スタートしたところでございますし、私は、岸本委員のように原則なしに始めろという考えも、それは別に全く否定もしておりませんが、とりあえずこういった一定の基準をつくらせていただいて、スタートさせていただきながら、状況をよく見、また、業界の皆さんの生の意見も聞かせていただきながら、目的は、岸本委員の思いと今の経産省の思い、私は合致していると思いますので、より使い勝手のよい制度にしていくということに柔軟に対応していきたい、こう考えておるところでございます。

岸本委員 赤羽副大臣の真摯な御答弁をいただくと、なかなかきついことは言えないのでありますけれども、ちょっと意を奮って申し上げると、二十六年一月十七日の経済産業省告示の第六号なんです。

 私が質問したのは、八項目について要件を緩和してくれということを申し上げまして、二つから三つ、これは省令の方もありましたので、告示だけではなくて、省令の第一号にも入っているところで、十三年にしていただいています。そこは評価したいと思いますが、このおおむね二十億円以上、私も長く役人をやっていましたけれども、告示レベルの数字を限定する表現でおおむねをつけるということは、私のところは余りなかったですし、今はあるかもしれませんけれども。おおむねというのは何なんですか、おおむねなんて。おおむね二十億円以上というのを告示に書くというのは、余り例がないと思います。

 これこそ、いいか悪いかは別にして、霞が関の官僚同士の思いやりのようなことなんですよ。そういうことをやって積み重ねてきた部分は確かにあるんですけれども、やはり政治主導という中で、大臣、副大臣がおられるわけですから、おおむねというのは何だと。

 それから、これは告示ですので、告示の要件で、直観的に言うと、これは課長補佐マターです。課長には上がりません、財務省主税局では。課長はこの程度のことは決裁しません、はっきり言って。十億であろうと五億であろうと、ここは課長補佐が決めて、さっと通します。局長までめくら判を押します、説明しません。そういう要件です。

 安倍さんが、岩盤規制、ドリルで穴をあけるとおっしゃっていますけれども、経済産業省は主税局の課長補佐ごときの権限にも穴があけられないのかという思いで、私は残念でありました。憤るとかというよりも、大変残念なんです。

 それは、課長補佐同士で、おおむねだからわかっているよね、おおむねだ。だから、十九億はこれで入るよね。では、十六はどうなの、四捨五入すれば入るじゃないですか。では、十四は、それは目をつぶりましょう、そういう話になっているわけですよ。だけれども、それを告示にしてお茶を濁すという行政のやり方について、私はおかしいと思っているんです。もっとわかりやすく、もっと透明性を持って、もっと政治主導でわかりやすくやっていただきたい、そういう思いがありまして申し上げているわけであります。

 これが十億円なら十億円でもいいわけでして、みんなで知恵を絞っておおむねという、その御努力は従来のパラダイムのもとでは私は多としますし、私もそれを長年やってきましたし。しかし、それをやるために、やはり時間がかかるんです。多分、主税局の課長補佐と経産省の課長補佐で二日や三日はやっているんです。長い時間、夜やっているんです。こんなことのために、ここにおおむねを入れるかどうかで日本の優秀な官僚に二日も三日も時間を使わす。ここはおかしくないですか。

 こんなのは、大臣がもう自由にしろと言えば、やってくれ、五でもいいじゃないかと。そうすると三秒で済むんです。三秒で済むことを若い優秀な官僚に、三十代の課長補佐に二十時間も三十時間もかけさせるということについては、どうか、彼らの能力を使うためにも、これから、私たちが立法府含めてお願いしますのでぜひ御検討いただきたいと思います。

 最後に、ということで、言葉遣いはおとなしいんですけれども、万感の思いを込めて、これまでの一連の経緯について、茂木大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。

茂木国務大臣 私は、今、日本は人口が少子高齢化というふうに言われるんですけれども、経済そのものも少子高齢化だ、こんなふうに思っていまして、設備年齢はこの二十年で一・五倍になっています。高齢化が進んでいる。

 一方で、少子化、ベンチャーが育たない。開廃業率を見ても、ヨーロッパ、アメリカやイギリスに決定的に劣後している。例えば、世界のランキング二千の企業をとりまして、アメリカが多分四百五十社ぐらい入ると思うんですけれども、そのうちの三分の一は一九八〇年以降にできた企業なんですね。一方、日本は百八十四社ですよ。そこの中で、ベンチャーというか、一九八〇年以降に起こった企業というのは二十四社しかない、八分の一なんですね。やはりもっとベンチャーを育てていかなきゃならない。

 そのためには、そういった全体の機運を高めることも重要なんですけれども、資金供給と人だと思います。基本的にはそういった分野にいかに資金や人を供給していくかということが重要でありまして、今回のベンチャーファンドにつきましては、委員の御指摘も踏まえながら、今後はできる限り柔軟な運用をしていこうと思っていますけれども、比較的事業拡大期にあるベンチャーを対象にしております。

 ただ、全体のベンチャーに対する資金供給を考えた場合には、まだまだ足りない。資金供給は、税制も含めて、今のエンジェルの使い方で十分かと言われると、私は十分だと言えません。そういった思いで、しっかり取り組みをしていきたいと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 少し厳しい質問になりましたけれども、思いは同じでございますので、ぜひ今後とも立法府と行政府で力を合わせてやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 辻元議員の質問時間をふやすために、ここで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

富田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 民主党の辻元清美です。

 本日、私は、福島第一原発周辺の海水や地下水に含まれるストロンチウムの誤計測があった経緯及び海水や地下水のサンプル採取、そして放射能の測定などがどういう体制でなされているのか、質問させていただきたいと思います。

 今後、地下水バイパスでくみ上げた地下水を海に放出するとの計画ですが、その際に、漁民の皆様を初め国民の皆さん、近隣諸国の皆さんにとりまして、データの信憑性ということが一番基礎になっていて、そこが崩れてしまうと、一挙にこの計画も、たった一つの間違いがあったら崩れていくと思います。そういう意味で、過去の失敗をしっかり今後に生かしていただくためにも、一つ一つ経過をお聞きしたいと思っております。

 本年の一月八日に、福島第一原発の海水や地下水に含まれるストロンチウムについて、昨年の六月から十一月までの半年分の、約百四十件の計測値を公表していないということが発覚いたしました。

 これは、ベータ線を出す放射性物質全体の全ベータよりもストロンチウムの値が大きく、つじつまが合わなかったのでなかなか発表できなかったということだと承っております。

 その後、二月の六日に、海側の観測用の井戸で、昨年七月に採取した水から、過去最高値となる一リットル当たり五百万ベクレルのストロンチウムが検出されていたということも、七月に検出されていたのですが、二月にそのことが明らかになっている。随分時間がかかっているんですね。

 ここでえらく高いストロンチウムが観測されたので、これは間違っているんじゃないかということで、この一連の経過が進んでいると思われます。

 というのは、当時、ストロンチウムを含む全ベータの値を一リットル当たり九十万ベクレルと発表していたわけですね。五百万ベクレルのストロンチウムという観測値が七月に出ているわけですけれども、もしもこれを参照して全ベータを推測するというか考えると、九十というのはあり得ない話で、一千万ベクレル前後になるんじゃないかと思われるわけです。誤計測の可能性がある。

 実は私は、一月におかしいなというのが発覚する三カ月前の十月に、東電と経産省の方に来ていただいて、専門家の人と一緒にいろいろなデータの説明を受けていたんです。

 このとき、ストロンチウムの値が公表されていないので、なぜなんだ、九十万ベクレルのはずがないんじゃないかとか、そこでも疑問に思って指摘させていただいていたんですね。

 実は、私が指摘していたときにはもう誤計測だということがわかっていて、後でこれはわかるわけですが、どうしよう、どうしようと東電の中でやっていた時期にちょうど当たるわけですよ。

 ですから、私たちが専門家の方も含めて見ても、これはちょっとおかしいよねと思ったようなことがなぜ、東電の計測で誤計測のようなことがあり、さらには、十月に私は部屋に来てもらって分析を聞いていたわけですけれども、そのときにどうしよう、どうしようとやっていたのに、いや、問題がないとか、時間がかかるんですとか、いろいろ言われていたのか、ちょっと怒っているわけですね。

 そこで、まずお聞きしたいんですが、この誤計測の可能性を認識したのは七月二十四日と、後の報告を見たら出ております。そこから翌年一月八日に誤計測があったと公表するまで約半年かかっているわけです。その間に、私が来てもらって説明を受けたときもそうだったわけですが、どういう理由で半年かかったんですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 六月に海水から採取したサンプルが、先生御指摘のように、本来上回るべきでない全ベータの数字をストロンチウムが上回っているということで、これはおかしいということがありました。それを七月の二十四日、二十五日に。以降、これはまことにお恥ずかしい話でございますが、御記憶のとおり、昨年の夏、地下水から漏れたものが海に行っているのではないかということを発表して皆さんに大変御心配をおかけして、また八月には、三百トン、タンクの底から水を漏らすということもございましたし、その後、台風がたくさん来て、雨水が堰から漏れたり天井から漏れたりということ、この一連、かなり現場は大変な状況になりまして、そのたびにサンプル数がふえてまいりました。

 したがって、そのサンプルをしっかりそれぞれ、一つ一つはかっていくということもあわせてやっておりましたので、おかしいと思った七月の末から、原因を究明するということに、これは甚だ申しわけございませんけれども、時間を要したということでございまして、先生のお部屋で御説明させていただいた十月のころはまさにそのてんやわんやの最中でございまして、そこにまで行くのに時間を要してしまったということでございます。

 二月以降は、もちろん、新しいやり方、しっかりしたやり方で逐次、その間ございました百四十、それは六月から十一月までが百四十ですので、もうちょっと多いのでございますけれども、それを今鋭意、しっかりはかり直して、正しい数字で出して、それを公表しているというところでございます。

辻元委員 ちょうど夏にてんやわんやだったというお話なんです、大臣。てんやわんやであっても、誤計測はあってはならぬことですね。

 ちょうどそのころ、安倍総理が、福島第一原発の海水、汚染水漏れはコントロールされていると、オリンピックを控えて発表する時期なんですよ。そして、夏にてんやわんやで、誤計測もあったと。

 大臣には後でお聞きしたいと思うんですが、規制庁にお伺いしたいんですが、誤計測があるかもしれない、やり直さなきゃいけないという報告があったのはいつですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、誤計測そのものがあったという報告につきましては、今御指摘がありましたストロンチウムの計測については、装置の検出効率という一つの設定値の問題によりまして誤りがあったという口頭の報告を受けておりますが、これは二月の四日でございます。これは、東京電力と面談を行いまして報告を受けたものでございます。

 それからもう一つは、全ベータといって、ストロンチウムを含みます全ベータの核種については、同じく二月の六日に東京電力と面談を行いまして……(辻元委員「ことしの」と呼ぶ)はい、ことしでございます。いずれもことしでございます。これは数え落としといいまして、検出効率が少し落ちるという要因によるものでございますが、そういうことで誤りがあったという報告を受けておるところでございます。

辻元委員 今、二月の四日ということは、昨年の六月から十一月までの百四十件で七月に気づいていたわけですよ。ところが、大臣、規制庁に報告しているのは二月の四日なんですよ、ことし。そうですね。誤ったデータがあったということが昨年七月にわかり、規制庁に報告しているのがことしの二月四日。こういう事態を、所管の大臣としてどのようにお考えですか。

茂木国務大臣 報告等々は速やかに行うべきだと思いますが、委員も御指摘のように、正確な数字等々について確認を行うということはより重要だ、こんなふうに考えております。

 八月がてんやわんやであったという話でありますけれども、総理の発言は九月のことでありまして、これにつきましては、港湾内また外洋におけますモニタリング調査の結果をもとにしまして、汚染水の影響は制御されている、アンダーコントロール、このように発言されたと私は承知いたしております。

辻元委員 これはずっとこの委員会でも指摘してきたところなんですけれども、そのアンダーコントロールの話はもういいです。

 私は、結局、東京電力で、いろいろな数値の信憑性について、誤った計測をしているかもしれない、またはしているということを速やかに規制庁に、ここの部分については疑問があるとか、それに対して今どうしているとか、そういうことを速やかに発表しないと、同じようなことが地下水バイパスの今後やるところのデータについてあったら、一発で終わりだと思います。

 規制庁としては、可能性があることも含めて速やかに報告すべきであるという指導をすべきだと思いますが、いかがですか。

山本政府参考人 御指摘のとおりだと思っております。

 私ども規制委員会としましても、東電の報告を受けて、それぞれの原因と対策の技術的な検討については、専門家のワーキンググループで検討いたしましたが、二月の報告の前、一月にデータがおかしいという状況を漏れ聞いておりましたので、同じく汚染水対策のワーキンググループ、これは一月に開催したところでありますが、原因が不明であってもデータを公表すべしということで、東京電力からデータをワーキンググループに報告してもらい、公表したという経緯がございます。

辻元委員 それにしても、一月ですから、半年かかっているわけですね。

 なぜこれを言うかというと、ストロンチウムというのは、社長もどういう放射性物質か御存じだと思います。これは非常に国民の関心が高い。今、国民はいろいろな放射性物質についての知識を持っています。何と何がキーポイントかということがわかっているわけです、人体に。その一つですよね。これは、一旦摂取すると骨にたまって、人体に有害な放射線を出し続けるとか、白血病や骨自身のがんを引き起こす可能性が高いと言われていることや、半減期が二十九年で、一度汚染すると一生にわたって内部被曝が続くんじゃないかとか、生物濃縮を引き起こすというような性質を持っているということを国民はもう知っています。

 特に、地元の住民や、漁協の漁民の皆さんは、幾つかの物質についてのデータは非常に敏感に見ているわけです。ですから、十月に私の部屋に来てもらったときも、ぱっとストロンチウムとかを見るわけですよ、どうなっているのかと。そういう物質であるという認識は社長にはございますか。そして、住民にとっては非常に関心が高い物質についての誤計測というだけではなく、半年以上にわたって公表してこなかった、こういうことをしているという認識はありますか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおり、半年間、計測の数字が本当に正しいものかどうかということをおもんぱかる余り発表してこなかったということでございますけれども、今回の場合は、ストロンチウムが実際の数字よりも高く出ていたということがわかったわけであります。したがいまして、正しい数字、発表するに値する数字をしっかりつかまえるということのために、おっしゃるとおり、半年というのは大変長いとは思いますけれども、時間を要したということでございます。

辻元委員 それで、現在、もう半年以上たっていますが、全ての数字を公表したんですか。

廣瀬参考人 現時点で三分の一ぐらい終わって、公表させていただいているところです。

辻元委員 現時点に至っても、三分の二が公表されていないわけなんですね。これは体制に問題があるんじゃないかと思います。

 実際に、新機種を導入されて、今体制を整えていらっしゃるようなんですけれども、この解析の新機種についても、測定については、非常に高い場合は数え落としがあるんじゃないかということを外から指摘されて、規制委員会や技術参与と聞いておりますが、指摘がされたのは九月と聞いておりますけれども、外から指摘されて初めて、東電では、ああそうか、数え落としがあったかもしれない、新機種を導入しなきゃいけないということになったと聞いていますが、それでいいですか。

廣瀬参考人 今先生の御指摘の件は、全ベータの測定に関する数え落としでございます。

 御存じのことと思いますけれども、放射線の濃度を測定する場合は、高くなればなるほどいわゆる数え落としというのが発生して、これは広く知られているところでございますので、当然、私どももそうしたことを踏まえて、例えば濃いものについては千倍に薄めてということでございますが、したがって、その数字について、これはおかしいというのは、御指摘をまつまでもなく、みんながわかったところでございます。

辻元委員 数え落としというのは、一般的な、専門家の方でもよく使われる言葉です。しかし、なぜそれが七月の段階で、数え落としがあると指摘されなかったのか。これは、東電がこの測定を委託している東京パワーテクノロジー、東電の子会社が全ベータとストロンチウムについては測定していると聞いていますが、それでいいですか。

廣瀬参考人 おっしゃるとおり、東京パワーテクノロジーという会社が分析しております。

 採取の方は一部を東京パワーテクノロジーがやっておりまして、そのほかの大半の部分につきましては地元の企業にお願いしているところでございます。

辻元委員 この東京パワーテクノロジーは、昨年の七月に、東電環境エンジニアリング株式会社、東電工業株式会社及び尾瀬林業株式会社の三つが経営統合した会社だと承知しております。この三つ統合した会社は、それ以前から放射能の測定などを専門にしていた会社なんですか。

廣瀬参考人 私どもは今、総合特別事業計画に基づき関係会社の整理統合を行っておりまして、その過程で今御指摘の三社を統合して東京パワーテクノロジーという会社にいたしたわけですが、その中の一つである東電環境エンジニアリングという会社が、まさにずっとこうした測定、分析をやってきた会社でございます。

辻元委員 いろいろ調べると、ほかの二社も含めて、廃棄物の処理とか土木工事、山林、土地管理などもやってきたと聞いております。今まで、原発の作業員不足も含めて、問題はこの場で質問を多々させていただいていたんですが、このサンプル採取と測定の体制ですね。そして、数え落としというのは、おっしゃったように、専門家であればぱっと大体わかる、それがもたもたもたもたしているわけですよ。

 この測定を、実際に計測をする人員が一体何人いて、そして、サンプルの採取にはどのような人が何人いて、どういう体制で行われているんですか。最初の御答弁で、汚染水漏れが出てきたり、いろいろなことがあってばたばたして、サンプル数もふえてとおっしゃっていました。十分な体制でなされているのかどうか。

 そして、子会社に丸投げというか、そういう形にされていますが、東電の社員の関与はどのようになっているわけですか。そのデータについての信憑性をダブルチェックでやっているのかどうか。いかがでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 現在、サンプルの採取であるとか分析であるとかということに携わっている人間は百名近くおります。御承知のように、だんだんだんだんそのサンプル数が、試料する機会もふえておりますし、頻度もふえておりますので、四月以降、またこの体制を強化すべく、今検討しておるところでございます。

 東京電力の社員の関与は、出てきた分析結果をしっかり管理して、チェックするという役割でございます。

辻元委員 それぞれサンプルを採取してきます、そして、それぞれ数値を出します。全部をトータルして見ている人はいるんですか。

 例えば、この場合もそうですけれども、一定のところから高い数値が出た場合に、そこだけを見ている人、またこっちだけを見ている人じゃなくて、全体を見ないと、こちらで高い数値が出た場合は、関連して、ほかのところにもひょっとしたら問題があるんじゃないか、では、そちらの数値も点検していこうというようなことになるかと思いますが、トータルに管理しているのはどこの部署がやっているんですか。

廣瀬参考人 御指摘のように、サンプル数が大分多くなってきておりますので、発電所、それから本社、それぞれに放射線物質の管理責任者というのを置いて管理しております。

辻元委員 それぞれにというのがどうなっているのか。サンプル数が多くなればなるほど、結局、そこの部分の、個別のところの管理の責任だけを負って、トータルに一体どういうふうになっているのかということがわからなくなってきているんじゃないですか。

 関連してちょっとお聞きしたいんです。

 というのは、地下水バイパスで、県の漁連が国と東電というか計画に対して了承したという報道がありました。漁連から出ている要望の中で、モニタリングの遵守、安全性の第三者監視と県民への広報、風評被害に対する損害賠償の堅持などを言われているわけです。

 そして、その中で、これは経産大臣にお聞きしたいんですけれども、漁民の皆さんは、はっきり言えば、東電のデータだけでは信用できないと。クロスチェックで、東電が出してきたデータが正しいかどうか、第三者にきちんと点検してもらいたいというような要望が出ていると聞いているんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 辻元先生は非常に質問の仕方がお上手なんですね。ずっと今、福島第一の観測井戸、これは建屋よりも海側ですから、そこの数え間違い、確かにこれはあってはいけませんけれども、その話と、急にこれは山側の地下水バイパスですから、まだ当然汚染源に触れていない、こういうものにつきまして、汚染水対策上どうしてもそういった水を海に放出したい、こういったことから取り組む措置でありまして、観測井戸から海に流すわけじゃないですから、そこのところはぜひ……(辻元委員「そんなことは言っていないですよ」と呼ぶ)そういうふうに聞こえますから。(辻元委員「だから、東電のデータが信頼されていないからダブルチェックを言われているんじゃないかと言っているわけですよ」と呼ぶ)それにつきまして今お答えしますので、お待ちください。

 まず、放出の仕方でありますが、東電は、くみ上げた地下水を一時貯水タンクにためた後に水質検査を行いまして、セシウム134、137、全ベータ、トリチウムの濃度が、現在漁協の皆様にお示ししている運用目標案の濃度より低いことを確認して放出することとしております。

 その際、東電によります水質測定結果を客観的にチェックしますために、日本原子力研究開発機構が定期的に水質を分析、確認することになっております。また、東電も、資本関係のない二つの民間分析機関に水質分析を依頼することとしております。

 こういった形の第三者機関の定期的な測定を通じまして、測定体制の信頼性の確保に十分努めていきたい、こんなふうに考えているところであります。

辻元委員 私が申し上げたのは、先ほどの、半年以上データを出さなかったり、専門家が見ればすぐ気づくようなことにも気づいていなかった、そして、昨年の六月からのデータについて、まだ三分の一しか解析が終わっていない状況が一方にある。

 そういう中で、今大臣の御答弁の、この地下水バイパスのとは違うということは認識しています。しかし、データ管理であったり、それぞれの測定や、解析や、そういうことについての信憑性がやはり疑われかねない。だから、先ほど二つのことを大臣はおっしゃったんです。今度の地下水バイパスについては、東電だけではなく、第三者的な、独立した人の目を通す、そして資本関係のないところがしっかりとチェックするんだと。

 これは、測定も含めて、東電の子会社がずっとやっているんですよ。さらに、合併したりいろいろで、今までやっていなかったようなところも、それは人手不足だし、考えられますけれども、合体させて丸投げのような形でやっています、実態を聞きますと。

 データの測定も含めて、採取までは非常に難しいかもしれませんが、データの測定全てについて、私は、資本関係のないところの専門家の関与であったり、そういうことをやはり通さないと、今回のバイパスの話だけではなくて、ほかのことについても、やはり近隣諸国などにも信用を得なきゃいけないわけですから、そういうお考えはないですか。廣瀬社長、いかがですか。

 そして、規制庁にもお伺いします。

 もう一度、このデータの問題について体制をしっかりチェックしていただきたい。でないと、今聞いているだけでも心もとないです。いや、どんどんふえてきているんですとか、そういう話ばかりですので。しっかりできるのか、チェックしていただきたいと思いますが、お二人にお聞きします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 東京パワーテクノロジーが所有している技術に、御存じのように、放射性物質というのはたくさんの核種がございまして、それを分離して測定するという技術がございます。これは、これまでずっと培ってきた技術でございます。さらに、試料したサンプルを発電所の外に持ち出さずに、発電所の中で検査ができるという能力もございます。したがいまして、これは大変大きなことでございまして、外に出せば、またそれだけリスクが高まる、こういうことから東京パワーテクノロジーにお願いしているということがございます。

 ただ一方で、御指摘のように、私どものデータに関しての信頼性、これは本当に、大変残念なことですが、私どもに信頼がないというのも十分認識しておりますので、先ほど大臣の答弁にもありましたように、資本関係のない会社さん、あるいはJAEAさん、こうした方にチェックしていただくということをこれから進めてまいるということでございます。

山本政府参考人 御承知のように、規制委員会は規制の立場でございますので、東京電力並びに今御指摘のありました第三者による調査測定が行われましたら、その方法であるとか結果などについては、技術的な観点から、規制の立場からしっかり確認してまいりたいと思ってございます。

辻元委員 終わりますけれども、東京パワーテクノロジーのことを社長はおっしゃったわけですが、しかし、それにしても、昨年の六月から十一月までの、百四十件も見落としている事実があるわけですよ。ですから、私は、今おっしゃったように、東電のためにも、第三者的な、そして子会社に丸投げという体制も含めてしっかりと見直すことが、信用を高めていくことにつながると思います。

 今まだ三分の一のデータの公表しか、この三月に至ってもなされていないということです。残り三分の二のことも関心がありますので、引き続き質問していきます。その後の体制について、またお答えいただきたいと思いますので、しっかりやってください。

 終わります。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 きょうは、ちょっと質問の順番を変えまして、東京電力の廣瀬社長、きょうはバッターとして何度も立っていらっしゃるようですので、最初に御質問させていただきたいと思いますが、よろしいですか。最初に質問させていただいて、あとは御退室していただいて結構です。

 まず、三月十九日にALPSが故障したということが明らかになった。実際は三月十八日にとまったんだと思いますけれども。その後、再開したり、白い何か濁ったのが出て、またとまったりと、いろいろ起きているようであります。

 報道ベースでは確認しているんですが、今、どういうことが起きていて、現状のめどというのはどうなっているかということをまずここで説明していただきたいんですが、よろしくお願いします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 ALPSの稼働については、本当にトラブルが続いておりまして、大変御心配をおかけしておるところでございます。大変申しわけございません。

 御存じのように、多核種除去装置というのは、フィルターのような、吸着塔というものを幾つも幾つもカスケード状につなげてまいりますので、これまでもどういう構成が最も上手に取れていくかというようなことをずっとやってきておりますし、それから、さびの防止対策等々も今大分進んできております。

 ここに来まして、今先生の御指摘のとおり、十八日のトラブル以来、Bの系統がとまっております。一昨日、Aの系統からちょっと、白濁したというお話がありましたが、これについては、すぐ吸着塔のフィルターをかえるような形、その辺を今ちょっと考えておりますけれども、直していきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、全体としては稼働は進んできております。既に七万トン近くの水の処理をALPSが済ませておるという実績も出てきておりますので、今後とも、しっかりトラブルを一つ一つたたいて、再発防止をしっかりして進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

今井委員 ありがとうございます。

 それで、気づかずに流していたことによってタンクが何基か汚染をしたというふうに伺っていますが、当初は二十一基ぐらい汚染していたんじゃないかということでありましたけれども、報道では九基ぐらいだったというふうに伺っています。ちょっとその事実関係と、それから、そのタンクは一度汚染されたら、その後それを例えば除染して使うことができるのか、もうそのまま使うことはできないのか、そのあたりについてお伺いしたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 タンクというのは群管理をしておりまして、二十一個ある群に対して送っておりましたので当初二十一という数字が出ましたけれども、実際に汚れていたのは九で済んでいるということでございます。九で済んでいるのも、全部が全部満タンに入っているわけではございませんので、その一部にそうしたものが流れ込んでしまったということでございます。

 したがいまして、もちろん、当然、本来の形よりも汚染された量になっておりますけれども、それでもALPSの処理をする前の水に比べますとはるかにいいレベルになっております。ただ、当然、一旦汚染されておりますので、もしそのタンクを全く真っさらにするということになれば、また新たな除染なり洗い流しなりというのをしなければいけないというふうに思っております。

今井委員 ありがとうございます。

 まだ発生して十日ぐらいということですので、今はいろいろと努力をされていると思いますけれども、ちょっと今後の経過を見ながら、また進捗状況をお伺いさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、今皆さんのお手元に資料をお渡ししていますけれども、これは朝日新聞のことし一月九日の記事です。東電工事なお高値発注、実際の二倍から五倍もということです。

 二〇一二年の十一月だったと思いますけれども、調達委員会というのが外部の有識者を入れてできまして、いろいろ中での調査をしていらっしゃると思うんですけれども、この報道によりますと、人件費が一人一・五万円でできるものが、見積もりが三・一万円になったという例があった。ほかの報道を見ますと、一・二万円のを四・九万円、四万九千円にまでというケースもあったというふうに伺っています。

 実は、メディアの方にこのあたりについて詳細をお伺いしたんですけれども、取材の関係もあるということで、なかなかお答えいただけませんでした。調達委員会にも少しお話を直接聞かせていただけませんかとお伺いしたんですけれども、なかなかお答えいただけなくて実態がよくわかっておりません。きょうは、国会の場でもありますので、調達委員会から、こういうような指摘がどういうふうにあったのかということを社長から伺いたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、私ども調達委員会という組織を立ち上げ、社外の第三者の方に入っていただいて、我々の調達慣行であるとか抜本的なところまで踏み込んで、今、大きく直して成果を上げているところでございます。

 そうした中で、先ほどの朝日新聞の記事につきましては私どもも承知しておりますが、そこでぜひ御注意いただきたいのは、二倍とか五倍とかというのは、実勢価格に対して高いという記事でございますけれども、それはあくまでも取引先、工事をお願いする業者さんでございますけれども、その方々の見積額、つまり言い値でございます。したがって、我々はそのままそれを契約するということではございませんので、そうした見積額をいただいたとしても、当然私どもの方でしっかり確認をし、査定をし、適正な価格で契約をするということでございましたので、決して二倍から五倍の、そのままの値段で契約をしているということではございません。

 そうしたことがわかってきたのもまさに調達委員会のおかげもございまして、先方のコスト構造に踏み込み始めてきております。したがって、そうしたことがわかるようになり、それならば我々としてもこういうことでしっかり交渉をして、適正な価格で契約をしていこうということになってきたんだなというふうには思っております。

今井委員 今、見積もりイコール最終的な発注の金額ではないというふうにおっしゃっておられましたけれども、そうなのかもしれませんが、であれば、例えば今この記事にありますように、本来これぐらいであるというような、その妥当なところまでしっかりと実際の契約をした段階までに下がっているということでよろしいんですか。これは単に見積額が高かっただけで、それは契約上高過ぎるものが存在したということではないということでよろしいんですか。

廣瀬参考人 もちろん契約事でございますので、そこはしっかり私どもとしてもぎりぎりやらせていただかなければいけないというふうに思っておりますので、決して不当な、適正でない価格で我々は契約を結ぶということはないように、これはしっかりやっていかなければいけないというふうに思っています。

今井委員 ちょっといろいろ詳細を調べながらまたお話をしていきたいと思いますけれども、私も、別に東京電力憎しではないんですが、やはり経営努力をきちっとやるということが非常に重要であり、今後電力の自由化が進むということであれば、生き残りのためには、やはり会社自身も徹底的に経営改革をしていかなければいけないのは当然でありますので、方向的には一緒なんだと実は思っているんです。

 問題は、そうはいっても、ある意味守られた既成の業界に長くいた人たちの中で、いろいろグループの取引もあるでしょうし、今までつき合いのあったところもあるでしょうし、当然そういうところからの抵抗というのはあるのが普通に想像できるわけです。

 ですから、そういうところの岩盤を打ち破っていって、どんどん経営改革をしていかなければいけない。新しい会長も今非常に気合いが入っていらっしゃるようですけれども。それは当然やっていかなければいけませんし、そうでなければ、今度電力料金をまた上げさせてくださいと値上げの認可申請を出したとしても、それは、まだそんな状態が残っているのであればとてもだめですねということで、やはりユーザーの方もなかなか納得がいかないということだと思いますから、そこをぜひやっていただきたいという観点で今ちょっとお話ししているんです。

 それで、もう一枚の資料で、実は東京電力の皆様に、では、最近、コストが高いということに対しての問題意識と、どういう取り組みをされておられますかということでいろいろ質問させていただいたんです。

 これはほかの公共事業でもよくある話ですが、随意契約になっていて、そこがコスト高になっているので、ここに競争の原理を入れましょうと。いわゆる入札方式でやっていきましょうということですね。これがまずは一番手っ取り早いというか、そういうやり方が足らぬということで、競争調達がどういう状況になっていますかとお伺いしました。

 上の図が、まずグループ会社取引、それから外部取引ごとに競争調達がどれぐらいの比率を占めているかということを見せていただきました。二〇一一年度は、グループ取引は二%でありますから、もうほとんど随意契約だったということですが、それが一六パーになり、二〇一三年度の第三・四半期には二四パー。

 確かにふえてはおりますけれども、逆に言いますと、まだ四分の三は競争調達になっていないということでしょう。四分の一しか競争調達になっていないということですよね。これは余りにスピードが遅過ぎるんじゃないでしょうか。いかがですか。

廣瀬参考人 私どもの総合特別事業計画、それに基づいて今会社の再建を図っているところでございますけれども、そこでも、二〇一四年度までに競争入札を三割にしていく、それから一六年度までに六割にしていく、そういう目標を立ててやっておりますが、それをさらに一年前倒しにしようと。先生の御指摘にもありますように、今年度の第三クオーターで、既に全体で三二%、約三分の一まで来ておりますので、一年前倒し。目標は一四年度に三割ということでございましたので、それに向けて、今スピードアップをしてやっているところでございます。

 ただ、スピードが遅い、あるいは、何で三割か、五割か、六割かということにつきましては、これは若干やはり電気事業の特殊性というのはございます。例えば電柱を立てるというような工事は世の中一般にはございませんで、すぐれて発注者は電力会社でございますので、やはり急にそうした会社がどこかからあらわれて電柱を立てるということもなかなか難しかろうと思っておりますし、ある程度の時間がかかると思います。

 またさらに、やはり夜中や週末に停電の事故というのはどうしても発生いたします。そうしたときに、すっ飛んできて、それをとにかく早く直す、やはりそういうような体制もしいていかなければ、なかなか皆さんへの安定供給というのは図れないと思っておりますので、そうしたことをしっかり担っていただける、信頼の置ける会社の協力を得て、しっかり電気の安定供給を果たしていくということのために、若干時間がかかっておりますけれども、先ほども申しましたように、今後とも競争調達の率は高めていこうということで取り組んでいるところでございます。

今井委員 二〇一六年の六割というのを一年前倒しするということは、二〇一五年に六割にするということですね。そういう目標でやっていただくということ。

 専門性が必要な部分があるというのも理解しますけれども、これから自由化になっていろいろな人たちが入ってくるわけですから、やはりそういう新規参入者の人たちをどんどん取り込んでやっていくということを、ぜひやっていただきたいと思います。

 下の段の、グループ会社の取引比率、全体に対する。これは全然変わっていないんですね、三七パーから三五になって、また三七ということでありますから。つまり、事故が起きた後、グループ会社に対する発注の比率というのは全然変わっていないというのが数字上あらわれていますので、そういうところも、グループ会社が全部悪いというわけではありませんけれども、やはり公平にほかの会社と競争させてやっていくということを、ぜひやっていただきたいというふうにお願いしておきます。

 それと、もう一点、ちょっと時間がないので先に行きますけれども、昨年の十二月二十日、公正取引委員会の方で、東京電力株式会社が発注する架空送電工事の中でいわゆるカルテルが行われていましたということ。まあ、談合なんですけれども、ここで一番の問題は、東京電力の社員がこれに加担していたということです。中でこれを指示して、そういうことを皆さんに口外しないようにと、そういう社員がいました。

 これは非常に問題でありまして、幾ら競争調達を入れていったとしても、こういうことをやっていれば結局何にもならないわけでありますので、これはやはり改善していかなきゃいけないとは当然考えていらっしゃると思いますが、この命令を受けて、今どういう改善をしていらっしゃるか、教えていただきたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、私ども、それまでは随意契約をやっておりまして、新しい東京電力ということで、二十四年度からそれらを全部、競争にしていくということに変えて、変えた途端に、一挙になかなか、担当者も含めてついていけていなかったということが大いなる反省点でございます。

 したがいまして、御指摘を受けて、まずはそもそも契約に対する意識の改革という面と、それから仕組みというんですか、制度に対する二つの側面からやらせていただいております。

 仕組みの方につきましては、当然、監査体制や審査体制を強化する、あるいは社内のマニュアル等々をしっかり整備する、それから、同じ人間が同じ仕事を長くやらないでジョブローテーションをしっかりやる、そういったようなことを既に始めておるところでございます。

 一方で、意識の改革につきましては、しっかり我々の中で基準を決めてそれを徹底させる、あるいは社外から専門の方に入っていただいて独禁法の勉強会をする、そうしたようなことをあわせて、意識の面それから仕組みの面の両方から、こうしたことが二度と起こらないように対応していきたいというふうに思っております。

今井委員 ぜひ、その辺もしっかりやっていただきたいと思います。

 きょうは余り時間がございませんので、今後とも、これはしっかり見ていきながら、またいろいろと御議論させていただきたいと思います。まだ多分次の質問もあると思いますから、御休憩なさっていただいて結構です。

 続きまして、ビットコインについてちょっとお伺いしたいんです。

 これは、我が党でも大変問題だと思って、いろいろな方、省庁の方に来ていただいて議論しているんですが、簡単に言うと、監督官庁がいないのでみんな逃げるんです。うちじゃありません、うちじゃありませんというオンパレードでありまして、誰に聞いたらいいのか、どの委員会で聞いたらいいのか、さっぱりわからなかったんですが、一応、物という整理だということでありましたので、この経済産業委員会でもいいかと思って今質問させていただきます。

 このビットコインの問題は社会問題化しましたけれども、言ってみれば日本に拠点のあるところで起きている問題でありますので、日本はある意味最も早く取り組まなければいけない国であるんです。

 まずちょっとお伺いしたいんですが、今、諸外国はこの問題について、規制あるいは課税の問題について、アメリカのIRSが二十五日にガイドラインを出していましたけれども、どういう取り組みをしているか、まず教えていただけますか。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 ビットコインに対する各国の取り組み状況でございますけれども、金融庁として必ずしも詳細に把握しているわけではございませんけれども、報道等によりますと、例えば米国では、マネロン防止の観点からビットコインの取引所に登録の義務を課しているほか、去る三月二十五日には内国歳入庁がビットコインに対する課税の指針を公表しております。

 また、ドイツ、カナダではビットコインが課税の対象となることを公表しておりまして、また、フランスではビットコインの取引にはリスクが伴う旨の警告の声明を公表しております。さらに、中国では金融機関等がビットコインの売買等を行うこと、また、ロシアでは一般にビットコイン等の仮想通貨を使用することをそれぞれ禁止している、こういった状況にあるものと承知をしております。

今井委員 各国それぞれの取り組みが始まっているんですが、実はこの問題に対して民主党の大久保勉議員が二度にわたって質問主意書を出しております。二つとも拝見させていただきましたが、最初の段階でも、簡単に言うと、まだ決まっていません、所管はありません、よくわかりません、これしか書いていないのでもう一度再質問ということで出してきております。それも拝見させていただきましたが、何も決まっていませんという回答が多いんですね。

 実は、一九九八年に外為法が改正になりましたときに、当時はちょっと目的が違ったんですけれども、為銀主義というのがありまして認められた銀行でしか扱えなかったものが、一般の方にも使えるということになって、外国為替証拠金取引、いわゆるFXですね、これが非常にはやったわけでありますけれども、当初は監督官庁がありませんでしたから、いろいろな詐欺事件が起きました。

 預かっているものをぐちゃぐちゃにして持ち逃げしてしまったり、ひどいのは、沖縄だったと思いますが、二百億ぐらい海外に持って行ってしまった業者もありました。ほかの取引のところでも業者が悪質な売買のやり方をしたりとか、いろいろな問題が起きて社会問題になってから、犯罪がいっぱい起きてから、やっと数年たって、誰かが面倒を見なきゃいけないということになりました。

 誰がやるんだということで、私は当時民間でしたから正確なところは知りませんが、これは経済産業省でしょう、いや、これは金融庁でしょうという押しつけ合いがあったというふうに聞いております。最終的には、原資産が外国為替ですから、これは金融庁でやろうということに恐らくなったんだと思いますけれども、対応がおくれたことによって被害者がいっぱい出たわけです。それからいろいろなルールができて、一番私がよかったと思うのは、やはり信託分離をするということで、きちっと、預けている財産はちゃんと守りましょうということまでやったということは、今非常に健全な市場になっているわけです。

 私はこれは他山の石だと思っていまして、ビットコインにしても、倒産して被害をこうむっている方が既に出ているわけです。であれば、やはりこれは政府として、うちの省じゃないとか、これは縦割りの典型なんです。縦割りの典型ですよ、うちは関係ない、関係ない。そうではなくて、政府としてこの問題にやはり取り組んでいかなければいけないんです、当事者意識を持って。

 きょうは内閣官房も来ていただいていると思いますけれども、やはりここは、押しつけ合いをしないで、この取引の法規制をどうするか、課税の問題はどう整理するのか、早く政府としての見解を出していただきたいんですが、いかがですか。

大内政府参考人 お答え申し上げます。

 ビットコインにつきましては、まずは実態を把握することが重要であると考えております。ビットコイン取引所のマウントゴックス社は、現在、民事再生手続という司法手続に入っておりまして、引き続き、関係省庁等におきまして、同社の民事再生手続などを見守りながら、連携して情報収集に努めていく必要があると考えております。まずは実態を把握した上で、必要があれば対応を検討していくことになると考えております。

今井委員 今の答弁、わかりますよね。まずは実態を把握してと、一体どれだけたったんですか。問題が発覚してまだ一週間ですか。日本の政府は、何ですか、実態を把握するのにこんなに時間がかかるほど能がないんですか。無能なんですか。私は、もう実態なんてとうに把握できていると思いますよ。それを、これからまず実態を把握してという答弁をされるのは、余りに私は当事者意識がないと思うんですが、いかがですか。もう一度お願いします。

大内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたけれども、取引所のマウントゴックス社は現在司法手続中でございますので、そこもしっかりと見ながら、それ以外の情報も関係省庁が鋭意情報収集に努めておりまして、そこがちゃんと連携をしながらやっているというふうに考えております。

今井委員 多分、お聞きになっている方は、誰も何も答えていないなということがよくおわかりになると思うんです。

 結局、きょうは国税庁さん、済みません、時間がないのでもう聞けないんですけれども、課税はどうですかということをお伺いしても、現行法では、一般論としては、所得税、法人税、あるいは消費税の対象になり得るみたいな話で、よくわからないとお答えされていますけれども、規制としてはどうかと言ったら、そこもまだよくわかりませんと。

 少なくとも、一つだけはっきりしているのは、通貨ではない、このことだけははっきり答えておられますけれども、では、それは何なんだ、これは決済手段なのか。そういうことについても、よく承知しておりません、これからですということを言っておられるわけで、とにかく、誰もかかわりたくないんですという気がしてしようがありません。

 ぜひ大臣にお願いしたいんです、経済産業大臣としてではなくて、内閣の一員として。

 やはり、こういう問題が一番縦割りの弊害なんです、やりたくないですから。大体、監督するというのは面倒くさいので、どこも引き受けたがらないというのはよくあることなんでしょうけれども。ただ、これだけの問題が起きて、しかも日本で起きていて、ほかではもう課税の考え方まで発表している国もあり、余りに私は日本の対応が遅過ぎると思うんです。

 それをやれるのは、やはり内閣なんですよ。内閣でちゃんとまとめて、これは一体ですから、省庁縦割りじゃありませんので、そこのところで。茂木大臣を私は尊敬しておりますので、リーダーシップをとって、これはこういう問題で、こういうふうに片づけようということをぜひやっていただきたい。要は、整理していただきたいんですね、どうするかというのを。把握なんというのは、正直、かなり進んでいると思いますし、そろそろ見解を出す時期に私は来ていると思いますので、ぜひその点をよろしくお願いしたいと思います。

茂木国務大臣 このビットコインについて、何も決まっていないということではなくて、少なくとも、強制通用力を持っていないわけでありますから、これは、現行の法制上、通貨とは認められない。当然、キャピタルゲイン、そして売却益等については課税の対象となる、そのように考えております。

 そして、担当省庁が決まっていないから何か問題が起こっているという話がありましたけれども、恐らく、このビットコインの場合、大きな問題というのは匿名性の問題です、基本的には。匿名性があるためにこれがマネロンに使えるということでありまして、今、実態調査をするというときに、全部個人が特定できれば、どういう実態で、どれぐらいの人間がどういう使い方をしていた、こういうことがつかめるわけでありますけれども、そこに匿名性が絡んでまいりますから、このマウントゴックスの問題が起こったにせよ、完全に実態がつかめていない、今調査中である、さまざまな観点から調査をしていきたい。そういったビットコインとしての取引の実態、匿名性を乗り越えた実態の調査、これが必要だと思っております。

 一方で、ネットを通じてお金が、お金といいますかビットコインが引き出されてしまったのではないか、こういう問題があるわけでありまして、これにつきましては、情報技術、セキュリティーという意味から、どんな対応が必要かを検討していくのは、経済産業省としての所管だと考えております。

今井委員 また引き続きやりたいと思いますけれども、このビットコインは、決済手段を持っているということと投機商品になり得る、この二つを持っているのでややこしいんですね。その整理が非常に難しいことはわかっているんですけれども、ただ、このままほっておくとまたいろいろ問題が起きると思いますので、早くこれを整理していただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久です。

 経済産業の基本施策全般にわたる件につき質疑の時間をいただき、ありがとうございます。

 私は、先日の内閣委員会にて、科学技術政策担当、内閣府特命担当大臣の山本一太大臣に、今後の科学、医療分野の質疑をさせていただきました。本日は、冒頭はその関連で、茂木大臣に質疑をさせていただきたいと思っております。

 本日のテーマといたしましては大きく三つありまして、科学関連の質疑、そして新エネルギーに関する、そして最後は所得税の質疑をさせていただきたいと思っております。何分、与えられた時間が三十分なので、早速質疑させていただきたいと思います。

 そして、質疑に関する資料なんですけれども、科学分野、特に科学、医療分野についての資料を七枚御用意させていただきました。

 日本の再生、持続的経済成長や、市場、雇用の創出を果たす技術の開発などの科学技術イノベーションを支援する具体的な計画、昨年、産業競争力強化法案にて、茂木大臣から、死の谷を横断する、省庁間を横串にする意欲をお聞かせいただいたんですけれども、この科学技術イノベーションを経済成長に結びつける具体的計画に関して、まず経産省の取り組みを聞かせてください。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 科学技術の振興を進め、その成果であるものを実用化にしっかり結びつけていくということは大変重要な課題だと思っております。

 私どもといたしましては、政府全体の科学技術計画のもとで、経済産業省の関連する例えば医療の分野であるとか、エネルギーの分野であるとか、あるいはものづくりの分野であるとか、そういった分野につきましてしっかりと実用化を進めていくということを念頭に置きながら、研究開発の振興に努めているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 いろいろな分野に関して、さまざまな取り組みを今まさにやっているところだという御答弁だと思うんですけれども、特に医療分野に関する産業化、幾つか、現在の現場での視察、意見をこの資料にまとめてきましたので、まずざっと紹介させていただいて、医療分野に関する産業の取り組みの問題点を質疑させていただきたいと思います。

 まずは、再生医療の分野での日本の製品は、世界における状況におきまして、一昨年、山中教授がiPS細胞の研究にてノーベル賞をおとりになりましたけれども、まだ日本では自家培養表皮と自家軟骨細胞の二品目しかございません。アメリカの八品目、ドイツの九品目、そして韓国でさえも七品目ございます。アジアの中でも、日本がリードしているとは到底言えない状況でございます。

 次のページをおめくりいただきますと、これは山中先生の弟子である青井教授が神戸大学でiPS研究所を開かれまして、そのときの再生医療に関するストラテジーをペーパーにまとめたものなんですけれども、最後、再生医療は今日の先進的医療のシンボル的なキーワードでありますが、幅広い革新的な医療の推進を可能にするような、規制改革及び研究開発支援などの総合的施策がなされる必要があると書いてあります。

 これはどういうことかといいますと、再生医療の分野というのは原材料なんですね、材料をつくるわけで、昨年、茂木大臣が半沢ネジのお話をされましたけれども、ねじも一つの部品なんです。だけれども、そこで例えば車であったりとか、いろいろな製品がある。今、ハンドルの段階、ねじの段階で議論するのではなく、製品まで持っていくのにまだまだ遠い道のりがあるのではないかということです。

 次のページをおめくりいただきますと、これは東京女子医科大学での取り組みでございまして、月曜日に私は視察してまいりました。

 いろいろと書いてありますけれども、ベーシックリクワイアメンツというところと、最後の、システムのTファクトリーというところを見ていただきたいんです。

 これは細胞をオートメーション化して製品としてつくっていこう、そういう取り組みなんですけれども、工場のラインでやっていくと、どこかがストップするとそこができなくなったり、もしくは、心臓であったり肝臓であったり、いろいろな臓器をつくるのに、それぞれのラインごとでつくっていくと効率が悪いので、ハブ的な組織、つまり、真ん中にロボットアームをつくって、ここのユニット、細胞を培養するところから細胞をとって、ここで試薬を渡して、次にこちらでそれをまたふやしていく、このユニットをかえることによっていろいろな取り組みができる。そして、このユニットを今度は世界に輸出できるように、つまり、このシステム自体も製品となってくる。これが東京女子医大の試みでございます。

 そして次に、今、訪問看護というのが厚生労働省の中で推奨されていっておりまして、経産関連でいいますと、精神疾患を持つ患者さんへの訪問看護で、一昨年か、もう一昨年か、N・フィールドという会社が上場を果たしました。

 介護の分野も株式会社が参入しているんですけれども、訪問看護というのは普通の看護師さんに比べてどうしても賃金が少ないということで、効率が悪いということでなかなか新規参入が入ってきません。それを、このiBowというシステムを使ってナビゲーション、つまり、それを見ながら働くことによって、熟練した看護師さんじゃなくても一・五倍の場所を回れることによって、普通の看護事業と同じようになれるというシステムでございます。

 そして、次をめくっていただきますと、ロボットスーツのHALというのがあります。

 これは介護用ロボットです。これは二つの意味合いがありまして、一つは、ちょっと年配の方であるとか女性の方でも、このロボットスーツHALを着ることによって力が強くなるので、患者さんを運んだりするのに楽に運べるという意味合いが一つと、これを患者さんにつけた場合、歩いたりするのが困難な患者さんの場合、これがアシストしてくれるわけですね。つまり、この機械自体がリハビリのシステムとOTであったりPT、理学療法士である働きもあるということです。

 次をめくっていただきたいんですけれども、これは大阪大学の臨床医工学融合研究教育センターがやっている取り組みでございます。私はここの招聘准教授をやっているんですけれども、スーパー・SMEs・フォー・アドバンスト・メディカル・リサーチ・アンド・イノベーション、SMEというのは中小企業ということです。

 これはSAMRAIというんですけれども、何のことかというと、実は、これも昨年私が指摘させていただいたんですけれども、日本は医療の治療機器がほとんどつくられておらなくて、医療の現場で使われている治療機器というのは全部が輸入である、これは日本の国としてはとてもまずいのではないかということで、スタンフォード大学がやっているシステムで、大阪大学の場合、医学と工学と産官で連合して医療機器をつくる人材を育てよう、そういうプロジェクトでございます。もちろん、そのために産官学全てが連携する、そういうことが書いてあります。

 そして最後は、ちょっと問題になりましたけれども、これは理化学研究所の取り組みです。

 若手研究者の育成ということで、最後の、若手PIの積極採用ということで、積極的に若手、女性研究者を登用するというのが理化学研究所の取り組みでございます。このことに関して答弁は要りませんけれども、小保方さんという方がここでこのシステムに従って登用されて、そしてSTAP細胞というのがありました。

 こういった画期的な日本のイノベーションに関してはオール・ジャパンで本来は支援していかなければならないんですけれども、昨今のマスコミの報道は余りにもひどい。オール・ジャパンで支援する。全てが決まってから、全てがわかってからコメントするのは構いませんけれども、途中で足を引っ張るようなことは日本の国益に反するのではないかと思っております。

 ざっとお話ししましたけれども、例えば、東京女子医大の試みでは、日本ではそのシステムが認可されるまで時間がかかったのでフランスの方からオファーがあった、そして、介護用ロボットのサイバーダインに至っては、山海教授、筑波大学は、日本ではだめだったのでドイツからオファーがあったということです。日本のものづくりの技術はすばらしい、しかしながら、日本でこういったイノベーション産業が認識されるのにますます時間がかかるというのが、このペーパーでまとめた資料です。

 さて、先ほど経産省の方にこの科学技術イノベーションを支援する具体的計画をお聞きしたんですけれども、医療の産業化に関する今までの資料を踏まえて、もう一度、経産省のこれからの取り組みを教えてください。

茂木国務大臣 伊東委員から、御自身の経験も踏まえて、さまざまな事例を御紹介いただきました。

 資料の中にもありましたロボットスーツのHAL、私も直接拝見したことがありますけれども、すばらしい製品だなと思っておりまして、医薬品であったりとか医療機器、さらには再生医療など、医療関連の産業は我が国の経済成長にとっても極めて重要な分野である、このように認識をいたしております。

 ただ、日本の産業全体で、技術で勝ってビジネスで負ける、こんなことがかねてから言われてきたわけでありますけれども、基礎研究の成果というのが実用化に必ずしも十分結びついていないのではないか、こんな思いも持っているところでありまして、経済産業省としては、これまでにも、高度な産業技術を医療分野に応用する研究開発や実証プロジェクトを推進してきたところであります。

 具体的にちょっと御紹介申し上げますと、例えば、医療機器分野におきまして、微小ながんをピンポイントで治療する放射線治療機器といった、世界最先端の医療機器の開発であったりとか、医療機関と連携した中小企業、小規模事業者によります医療機器の開発に対する支援ということで、平成二十六年度の予算におきまして、それぞれ、三十五億円、三十億五千万円、こういった予算措置もとっているところであります。

 さらに、最初のページで、iPSの製品化の関係のものを拝見させていただきました。iPS、インデュースト・プルリポテント・ステム・セル。プルリポテントですから、複数の可能性というか力を持つということになるんだと思うんですけれども、いろいろなものに化けていく。

 研究については、おっしゃるように、日本は最先端なんですけれども、実用化になりますと、日本の場合はまだ二つしか製品ができていない。韓国にも、もちろんヨーロッパにも、アメリカにも劣後している。今の状況は恐らく、委員の資料よりもう少しアメリカなんかは進んでいまして、治験でもう八十八から九十ぐらいいっているのではないかなと思うわけであります。

 こういったところで、もっと日本も、研究は進んでいるわけでありますから、それを実用化するようなことをやっていかなければいけないと思っておりますし、また、日本の場合は高度なものづくり技術というのがあるわけでありまして、こういった分野にもものづくり技術が使える、こんなふうに考えておりまして、京都大学と連携をいたしまして、より高品質のiPS細胞を大量に培養するための装置の開発などに取り組みますために、平成二十六年度予算におきまして二十五億円を措置しているところであります。

 再生医療の培養に関しましても、去年、法改正をやらせてもらいました。もちろん、経産省、文科省、そして厚労省、省庁にまたがる部分はありますけれども、政府一体としてやはりこういったものを育成していく、こういった思いで取り組んでまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 iPS細胞は結構、政府の中でも、iPS細胞は一体何の略だという質問から始まるところが多い中、茂木大臣には正確におっしゃっていただいて、ありがとうございます。

 ですけれども、一つだけちょっと気になる点がありまして、日本の二品目に関しては、まだiPSにもなっていないわけなんですよ。つまり、これは細胞治療というんですね。ステム・セルということをおっしゃっていただいたということは、十分御理解していただいていると思っているんですけれども。

 細胞治療と幹細胞の治療、またiPSというのは違っていまして、iPSは今、研究段階でありまして、さきに厚労省ででき上がった法案によって三つのグレードに分けて、一番規制が厳しいのがiPSなんですけれども、一番規制が緩やかなのが細胞治療で、細胞治療の方でどんどんどんどん再生医療製品をつくっていって、前例をつくっていこうというのが今の現場での試みですので、その辺をまず御理解いただければと思います。

 さて、時間も限られていますので、科学技術イノベーションの中に医療もございますけれども、エネルギーもございます。そして再三、原発に関する質疑が本日はありましたけれども、どうしても三・一一以降、原発に関するいわゆる汚染水の問題であるとか、廃炉の問題であるとか、そういった議論がされていますけれども、では、安定した電力供給をする中で、新エネルギーはどうなのかということになるんですね。

 我が国の一次エネルギーの供給の推移を見ますと、石油を中心に供給量は増加の一途をたどっておりまして、一九七〇年以降、天然ガスと原子力の活用が進み、その後は太陽光などの新エネルギーの導入が進んでいます。

 新エネルギーと言っておりますけれども、風力であっても水力であっても、特に新しいソースではないわけです。だけれども、太陽熱、バイオマス、地熱、風力などの我が国における供給体制の推移、状況、進捗状況は今現在どうなっているのかというのをお聞かせください。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 再生可能エネルギーでございますけれども、御指摘のとおり、国産エネルギー資源の拡大、地域活性化にも資する分散型エネルギー、あるいは低炭素社会の創出、あるいは新たな関連産業の創出、雇用拡大という、成長戦略の観点からも非常に重要なものと考えてございます。

 再生可能エネルギーにつきましては、電気の分野でございますけれども、二〇一二年の七月から固定価格買い取り制度を、御存じのとおり、施行させていただいております。その中では、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスというものが対象になってございます。

 発電事業者の投資に予見可能性を与えます固定価格買い取り制度の開始によりまして、異業種からの参入あるいは個人単位での取り組みといったものも進んでおりまして、全国津々浦々で、現在、再生可能エネルギーへの投資が拡大しているという状況が見られるわけでございます。

 導入の程度でございますけれども、再生可能エネルギー由来の電気の総発電量に占める割合でございますが、直近の二〇一二年度の数字で約一割でございます。水力を除きますと一・六%となってございます。

 固定価格買い取り制度が追い風になりまして、設備の導入量だけで見ますと、制度開始前の約二千万キロワットというものが、平成二十五年末までで七百四万キロワットふえている。一年半でそれだけふえたということが現在の状況でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 今お答えになったのはシステムの問題でありまして、固定価格買い取り制度によって、システム、つまり安定した供給を担保していくものであると。

 実際の新エネルギーの研究開発情報というのは、科技特で、私の方でまた視察を含め調べさせていただきたいと思うんですけれども、あえて、いわゆる新エネルギーの中でもいわゆる燃料に関することを外したわけです。

 といいますのは、大臣が所信表明の中で、「燃料調達費の低減には、供給源の多角化が重要です。従来からの資源供給国との関係を維持しつつも、ハイレベルな資源外交により、新たな資源供給国との関係強化を積極的に行い、米国からのシェールガス、LNG供給の実現や、我が国企業による権益獲得に向けた取り組みを支援してまいります。」と。

 つまり、新エネルギーの中でもいわゆる環境エネルギーとこういった燃料のエネルギーというところに分かれるわけなんですけれども、火力における最重要な石油を初め、発電量当たりのコストが安い石炭もありますし、それでも発電効率が向上し、CO2の排出量が少ないクリーンなエネルギーである天然ガスなど、化石燃料でもいろいろあるんですけれども、まず、供給体制の状況をお聞かせ願いたいと思います。

 化石燃料、新エネルギーの調達状況、エネルギーの調達に関しては長期の基本計画が必要なので、その長期の基本計画も含めて、供給体制の状況をお聞かせください。

住田政府参考人 御質問の点でございますけれども、御案内のとおり、我が国の一次エネルギー供給というところで見ますと、過去から、石油への依存度を少しずつ低めてこようということで一生懸命努力してまいりました結果、石油への依存度というのは、まず、第一次オイルショックのございました一九七三年には七五%程度を石油に依存しておりましたが、現在では四〇%強という数字になってきておるわけでございます。

 一方、石炭あるいは天然ガス、さらにはそのほかの再生可能エネルギーも含めまして、我が国全体としての一次エネルギー供給におけるバランスをしっかりと確保していくべく、これまで資源の多角化、多様化というのを進めてまいったところでございます。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

伊東(信)委員 具体的に、天然ガスであるとか、シェールガスであるとか、LNGに関しての現在の供給状況というのはどのようになっているのでしょうか。

住田政府参考人 現在の供給の状況でございますけれども、まず、二〇一一年度のデータで見てみますと、石油が四〇%、石炭が二二・六%、天然ガスが一九・二%。二〇一一年の段階でございますと、原子力が全体の一一・三%程度ということになってございまして、そのほか、再生可能エネルギーで、水力も含めまして全体で約一〇%強という数字になってございます。

伊東(信)委員 その他のエネルギー供給に関しては、これからというようなことで解釈をいたします。

 エネルギーに関して、長期的な基本計画というのはやはり必要不可欠になってきますので、政府としての方針を決める上でも、こういった環境エネルギー、新エネルギーの長期基本計画というのをしっかり立てていただきたいと思うところであります。

 最後に、本日はせっかくの機会でありますから、冒頭申し上げた三つのテーマについてお聞きしたいので、甚だ駆け足でありますけれども、消費税のことに関しても質疑をさせていただきたいと思います。

 言うまでもなく、四月一日からの消費税引き上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する対策を経産省として講じているかということです。特に、中小事業者が消費税を価格に転嫁しやすい環境づくりが重要でございます。昨年十月に施行されました消費税転嫁対策特別措置法による転嫁対策調査官などの配置体制、調査方法を含め、措置の内容などの現在の状況はどのようになっているかをお教えいただければと思います。

松島副大臣 委員がおっしゃいますとおりに、この消費税率の引き上げが、中小企業、小規模事業者に対して、それをいじめるというようなことになっちゃいけない、しわ寄せが来ちゃいけない。そういう観点におきまして、経産省では、昨年十月の初めに、四百七十四人の転嫁対策調査官を一年間の任期つきで新たに採用いたしました。そして、全国に配置して、いろいろな調査を行っているところでございます。

 昨年十一月に、中小企業庁と公取が合同で十五万の事業者を対象に書面調査をいたしましたところ、七百五十社から、既にもう買いたたきをされているとか、買いたたきのおそれが、これからやられそうだということがございまして、七百五十社のうち二百六十八社がちゃんと相手先も示してくれましたので、こういったところも含めて、転嫁対策の調査官独自の調査も入れまして、三月二十日までに五百十三件の立入検査をいたしました。

 その中で、違反行為、法律に違反しているということが明らかになった事業者に対して、これも三月二十日時点で四百六十八件の指導。どういう指導かといいますと、被害額を全部返還するように、きちんと転嫁するようにということの指導を行ったところでございます。

 きょう理事会の御了解をいただいて持ってきたのがこのポスターなんですけれども、女優の米倉涼子さんがきりっと美しい顔でにらみつけている状況なんですけれども、とにかく下請いじめは許さないと。下請いじめというのはどういうことかというと、弱い立場の取引先、それは納入業者、下請、運送、トラックなども狙われますから、こういった業者に対して消費税の引き上げ分を押しつけることは違法ですという形で、これを現在十七万部つくりまして、全国の商工会議所などに張っていただくように呼びかけて、きちっと転嫁を進めていくようにと考えております。三月二十日には日本商工会議所の全国の総会で、私もこれについてお願いをしたところでございます。

 四月以降も取り締まりなりアピールというのをしっかり続けてまいりますので、委員各位におかれましても、ぜひ周りにお広めいただきますように、よろしくお願いします。

 以上でございます。

伊東(信)委員 そのポスター下さい。同じようなヘアスタイルをされていますので、どっちがどっちかちょっとわかりにくかったんですけれども。

 時間になってきたんですけれども、この経産委員会でアピールしてもちょっと仕方がないことかもしれないんですが、我々医療というのは、いわゆる保険診療に消費税を足すことができないんですね。ところが、原材料は消費税がかかってくるわけなんです。その分の価格高騰はあるんですけれども、残念ながら、きちっとした転嫁がなされるのはいいんですけれども、例えば手術で使う注射針であるとか、穿刺針というんですが、体の中にぶすっと、椎間板まで刺してしまう針を使うんですけれども、単価が大体五百円だったのが、原材料が上がって、消費税も上がるということで、三倍の千五百円になってしまったという、びっくりするような出来事もございました。

 どうしても、末端というか隅々までそういったところの監督というのはなかなか難しいと思いますが、必要な価格転嫁もございますし、下請の企業の皆様が困窮するようなことになっては困りますけれども、やはりここで弱者と強者というのがいろいろな形で出てしまうので、そういったことも政府として御留意願えたらというところです。

 本当はいつも最後は茂木大臣に締めていただきたいのですけれども、時間になりましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 先ほどの伊東委員の発言、私も全く同じことを考えておりました。どっちがどっちだか、ポスターを見て、非常に似ていらっしゃるなというふうに思った次第でございます。本人が今いらっしゃらないのが非常に残念なところでありますけれども、ぜひともポスターもいただきたいと思います。

 それでは、本日は二十分という限られた時間でございますので、しっかりと質問させていただきたいというふうに考えております。

 本日、大きく二つ質問したいというふうに考えておりまして、二つ目、特許庁長官にお越しいただいているということではございますけれども、恐らく、ちょっと質問の時間の関係上、一点目でタイムアップとなってしまうかと思いますので、あらかじめおわびを申し上げておきます。

 それでは、本日伺わせていただきたいのは、福島第一原発の状況、汚染水対策を含めてというところでございます。

 先日、三月二十日になりますけれども、福島第一原発の緊急安全対策進捗状況という報告書をまとめていらっしゃいまして、東京電力の廣瀬社長が同日、原子力規制委員会の田中委員長と改めて面談されたというようなことが報道されております。

 面会された趣旨について、まずお答えいただければと思います。お願いいたします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 今回の面談は、昨年の十月二十八日に田中委員長とお会いいたしまして、その際、ちょうどいろいろなトラブルが続いていた時期でございまして、田中委員長から、これから、難しい、厳しい環境の中で、たくさんの作業員の方が長期間にわたって、福島の汚染水対策であるとか、あるいは廃炉に向けた安定化対策であるとか、こうしたことをやっていく中で、いろいろ御指摘いただきましたけれども、特に労働環境をしっかり整えないと、人も来られないし、なかなか作業環境も厳しい、長期的なプランをしっかり立ててほしいと。あるいは、四号機の使用済み燃料の取り出しの直前でございましたので、そうしたことの御指摘をいただきました。

 それらを踏まえて、私どもも、十一月八日に緊急安全対策という、比較的網羅的なパッケージの対策を発表したところでございます。

 このたび、三月二十日、ちょうど四カ月たちましたので、その間の進捗状況について御説明させていただくという趣旨でお会いさせていただいて、いろいろな進捗をしておりますので、特に、発電所の中の線量を全体的に押し下げて、御存じのように、全面マスクをしなければいけないエリアがたくさんありましたけれども、そのエリアを小さくしていって、もちろん一号機から四号機の建屋の周りはまだちょっと無理でございますけれども、それ以外のところについては、最終的に、全面マスクがなくても作業できるようにというようなこと、あるいは、休憩所をつくるであるとか、給食センターをつくるであるとかといった作業員の方々の厚生の部分についても、この四カ月間でどれだけ進捗してきたかというようなことを御説明させていただいたということでございます。

三谷委員 今、詳細にお答えいただきましたけれども、四カ月たった、何から四カ月かというと、先ほどまさに社長がおっしゃった福島第一原発の緊急安全対策というものを立てられたというところから四カ月ではございますが、そもそもこれをつくるに至った経緯と申しますか、つくらざるを得なくなった経緯があったわけでございます。その点、簡単にその経緯について私から、こういうことがあったよねという話をさせていただきたいんです。

 昨年の十月四日に原子力規制庁から指示があって、それを受けて、十月十五日、「福島第一原子力発電所で発生した汚染水漏えいに関する貴庁長官指示に基づくご報告について」ということで、「漏えいの問題点と現場管理の強化について」という報告書をまずはまとめられたということでございます。

 しかしながら、それを原子力規制委員会に渡したところ、余りにも危機意識が低いのではないか、そういった趣旨のことだったと私は認識しております。実際起きたことに対して対応するということはできるけれども、事前に何か起きるかもしれないような環境でしっかりと対策がとれているのかという観点から、十月二十八日に原子力規制委員会の委員長と廣瀬社長が初めて面談をされたということでございます。

 面談をされたということで、それを受けて改めて十一月八日に先ほどの緊急安全対策を立てられたわけですけれども、この十月二十八日の面会の場で社長が求められたことというのは具体的に何だったかというのを覚えていらっしゃいますでしょうか。

廣瀬参考人 若干繰り返しになりますが、規制委員長からは、長期的なドラスチックなプランを立ててほしいと。それから、特に、御指摘ありましたように、十月十五日の対策が、いろいろな、汚染水の漏れに対する局所的な対策を私どもは最初に御報告いたしましたので、そういうことではなくて、もっと全体の、作業環境をよくするとか、労働環境をよくするとかといったようなことにしっかり取り組んでほしいということ、それから、繰り返しになりますが、四号機の使用済み燃料プールをちょうどやるところでございましたので、それについても注意してやってほしいというようなことを御指摘いただきました。

三谷委員 それを受けて十一月八日の緊急安全対策をつくって、四カ月たって、進捗状況について御報告に伺われたということだと思いますけれども、その際、委員長からどのように評価されたか、簡潔にお答えいただけますでしょうか。

廣瀬参考人 委員長のお言葉ですので、そのままお話し申し上げますと、四カ月で一定程度の進捗は得られたという評価はいただきました。一方で、もちろんまだまだやらなければいけないことはたくさんありますし、何より長い計画でございますので、それについてはしっかりやってほしいと。それから、東京電力の社長としての取り組み、コミットメントは国民の皆さんに対する約束だというふうに認識してほしいというようなことをおっしゃられましたので、しっかり受けとめてやりますというふうに申し上げたところであります。

三谷委員 一定の評価をいただいたということなんですけれども、実は、十月二十八日に、田中委員長との面談の際に求められたことの中で、先ほどの答弁の中では触れられなかったことがあるんです。

 それは何かといえば、その十月二十八日の面会の際には、F一、福島第一原発の現場で作業されている現場作業員の方々の、実際の賃金面、労働の待遇というものについて聞かれたということでございます。この際に廣瀬社長が何と答えられたかというと、除染作業の方が賃金が高いから作業員の確保が困難ということは認識している、そういった旨の回答をされているということでございます。

 それで、今回出ている緊急安全対策進捗状況というものを見ると、この点についての対応がどれぐらいされているのかなということが非常に疑問であります。

 前回、昨年の臨時国会の場において、私がこの経済産業委員会の場で社長に伺ったことの一つに、現場作業員の賃金というものはどういうふうになっているんだという質問をしたところ、それはアンケートで聞いているんだということで、しっかりと状況を把握しようというふうにしていると。その中で、実態を一人一人に聞いて、問題の事例がもしそうした調査の結果浮かび上がってくれば、発注者として元請会社に待遇を改善してもらうというような答弁をされているわけですけれども、この点について、どういう調査をされて、そしてどういうような対応をされているのか、お答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 もとより、十月二十八日に、先生御指摘のとおり、賃金についてもというお話、やりとりがありまして、先ほどは全部申し上げませんでしたが、十一月八日の私どもの緊急安全対策の中に、いわゆる労務費の増分という、危険手当みたいなものですけれども、それを増額するということを発表いたしております。

 その内容は、いろいろなカテゴリーがございますので、例えばの例ですけれども、いわゆる危険手当という労賃の増分ですけれども、それを例えば今まで一万円だったものを二万円にするというふうなことを十二月発注分から行うということで、以来やらせていただいております。

 当然、作業者の方々のお一人お一人にまで渡るのは、工事が完了してからのお支払いということになりますので、全部が全部その恩恵を受けているかどうかというのはまだ、工事の進捗によりますので、そうしたことには当然違いが出てくると思いますので、ある程度のタイミングで、今回の施策が隅々に最後まで行き渡っているかどうかということについては、また改めてアンケートをしていかなければいけないというふうなことも考えているところでございます。

三谷委員 今のお答えですと、そうやって危険手当なりをふやしていくよという話ではあるんですけれども、二〇一二年のアンケートをとられた際には、最低賃金法を下回るかどうかというようなアンケートの内容があった。二〇一三年のアンケートの中ではその最低賃金法を下回るかどうかという問いすらなくなっているというような状況があったわけですけれども、これは実態を把握された上でそういう対策をとっているのか、そして、それが実際に反映されているのか。

 実際に反映されているか、実際に現場作業員の手元に届くかどうかということについては、これはまだだという話であればそれはそれで構わないんですけれども、実態把握をした上でそういう対応をされているのかということについて、お答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 アンケートは、先生御指摘のとおり、やらせていただいておりますし、そのアンケートの結果を受けて、また元請会社さんにお願いするべきことがあればお願いをさせていただくということでございます。

 私も、実は元請会社さんの方を、三十数社いらっしゃると思いますけれども、お招きして、じかに、今度こういうことでやっていくのでお願いするということも直接伝えたことがございますし、そうしたことで、これからも元請の方々の御協力をいただかないと、私ども発注者側が全て、全部の下請の方々お一人お一人まで確認するのはなかなか難しいことでございますので、それらの協力を得ながら、しっかりと、私どもの意図したお金がしっかり最後のお一人お一人まで行き渡るようにという取り組みはしていきたいというふうに思っているところでございます。

三谷委員 昨年伺ったときもそうだし、本日伺っている内容でも、結局そのお答えかということで、これはもう残念に思わざるを得ないんですけれども、御社として具体的に現場作業員にどれぐらいお金が行くのかということを把握することは困難だというふうな話をされたら、はっきり言えば、現場で作業に当たられている方の士気が向上することを本気でやっているというふうになかなか言えないんだろうと思うんですね。そのためのアンケートなんだと思うんです。

 年に一回アンケートをされている。そういう意味では、二〇一二年にやりました、二〇一三年にやりました、二〇一四年の何月にやるかはわかりませんけれども、例えばこれが、全国に広がっている、国勢調査みたいなことだったら四年に一回というのは当然わかりますが、この福島第一原発というところの現場にいらっしゃる方々からアンケートをとる、それは、毎日アンケートをとることはできないでしょうけれども、例えば、その月に働いている方から幾らですかとアンケートをとることは、別に難しいことではないわけです。

 そういう意味で、先日もALPSがとまったりとか、弁が開放されて汚染水が漏えいしたりとか、そういったことが今なお起きているという中で、どれぐらいの待遇で実際に現場作業員が働かれているか。別にこれは、現場で働いている人が苦労するから何とか高いお金を払ってくれということではないんです。そうじゃなくて、しっかりとした、それだけ重要な任務であり、危険な任務に対しては、これは資本主義の世界ですから、そこについてはそれだけの高いお金を払っていくということは当たり前のことだと思うんです。

 そういうことが実際に担保されているかどうかということを、では、去年の秋にそういう対応をしてから現在に至るまで四カ月ありましたが、まだ確認されていないということでよろしいんですね。

廣瀬参考人 今回の、十二月から新しく私どもが増額したということの結果を見るには、タイミングとしてはまだアンケートは早いと思っていますので、それらがしっかり行き届いたというふうに判断される段階でやりませんと、恐らく、今まだお手元に届いていない方もいらっしゃるということでございます。

 一方で、元請各社に対しても、それぞれの雇用の条件をお一人お一人にしっかり理解してもらった上で、その条件を示し、一体幾らで、どういうようなことをというのを、お一人お一人に納得していただいて雇用契約を結んでいただくように、そういう指導というか、そういうお願いも私どもはさせていただいているところでございますので、そうしたことも含めて、今後しっかり見ていかなければいけないと思っています。

三谷委員 今後しっかりという話なんですけれども、先ほど、十月二十八日の規制委員長との面会の際に認識されていた、除染作業の方が賃金が高いから作業員の確保が困難だというような状況というのは解消されたんでしょうか。

廣瀬参考人 お仕事の内容が全然違いますので、単純な比較は難しゅうございますけれども、ただ、今後、人をしっかり確保していくということは、長期にわたる廃炉の取り組みの中で極めて重要だというふうに私どもも認識しておりますので、今現在それが足りないという状況にはありませんけれども、賃金だけでなくて、先ほど申し上げた労働環境の改善、とにかく安心して、少しでも気持ちよく働いていただけるというような環境づくりも大事だと思っておりますので、それらもあわせて総合的に対策をとっていきたいというふうに思っています。

三谷委員 総合的な対策という意味では、では具体的に、いつぐらいにそういうアンケートをとられる予定なのか。実際に現場で、二〇一二年は、最低賃金法に定める価格を下回っているんですか、上回っているんですかというような質問でした。そこまで低い金額を想定しているということ自体がそれはそれで驚きなんですけれども、二〇一三年の時点ではそういう質問すらなかった。二〇一四年は、いつ、どのような内容の質問を現場作業員の方に対してする予定か、お答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 これは、先ほども申し上げましたように、元請会社さんと協力していかないといけないと思っています。一部には、なかなか正直なことを書けないんだというお声も一部伺っております。

 したがって、どういうような形でやっていくのが一番その正直なところをお聞きできるのかというようなこともあわせて、元請会社の方々といろいろと相談させていただいて、タイミングを含めて、しっかりとしたタイミングでやっていくべきだと思いますので、その辺も含めて今後検討させていただきたいと思っています。

三谷委員 具体的には、いつぐらいにそのタイミングが出るというふうにお考えでしょうか。

廣瀬参考人 ちょっと今の段階ではまだ、何月にということを確定的に申し上げられる段階にはございません。

三谷委員 結局、いつもそうやって、ゼロ回答というような形になってしまっているというのが現状ではないかと思うんですけれども、引き続き状況というのは確認させていただきたいと考えております。

 現場で実際、士気を上げて作業に当たっていただく、これは非常に重要なことではないかと思いますけれども、そこら辺の、東京電力の現場作業員の待遇条件の把握ということ、それをしっかりと、ぜひとも経済産業省としても、経済産業大臣においても指導監督していただきたいというふうに思っておりますけれども、この点について大臣の御認識をお願いします。

茂木国務大臣 そのようにさせていただきたい。これまでも答弁をしてきたところでありますけれども。

 福島第一におけますさまざまな作業は長期を要する、また危険も伴うものでありまして、しっかりした人材の長期的な確保、こういう観点から東電として取り組むように指導してまいりたいと考えております。

三谷委員 この問題については長期の取り組みが必要だ、おっしゃるとおりで、私自身も非常に危機感を持っています。しっかりとした給料を払う、その中で危険な任務に当たってもらう、これは当たり前のことでありますから、それに向けて、東京電力さんに今まで以上にしっかりと取り組んでいただきたいということをお願いさせていただきます。

 原発については幾つもまだ質問がありましたけれども、これで時間が終了いたしましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。

 お疲れさまでございます。

 きょうは与党の方から、大臣との質疑は一年ぶりだという話がありましたが、うちは小さいので、大臣とは二日ぶりの質疑になりまして、ですから、答弁もそんなに長くなくて結構ですので、よろしくお願いいたします。

 テーマは貿易保険についてであります。

 法律は通ったわけでありますが、ただ、この件につきましては、特会のあり方でありますとか国とNEXIのあり方でありますとか、もう少し議論しなくてはいけない点があることから、少し、この機会をおかりしまして、幾つか確認または指摘をさせていただきたいと思います。

 この貿易保険のスキームにつきましては、NEXIが保険を対象につけるわけでございますが、その裏には、大体、国から再保険がつくわけでございます。

 その経緯というのは、必ずしも独立しているわけではなくて、これまで確認したところでありますと、ほとんど一体となって、NEXIが審査して国が判断して保険また再保険を行っていくということから、果たしてこれが独法としての意義があるのかどうか、また、しっかりと客観的な別の評価がされているのかどうかということから幾つか指摘がされて、それで、これからどういう形で特殊法人化も含めて考えていくかという方向になっていると思います。

 まず、特会の中身について少し確認をしていきたいと思うんですが、特会の中には積立金というものがあります。これは、保険が返せなくなった場合に、これを積み立てておいて、急な支払いに備えるというものでございますが、これも、果たしてこの金額が妥当なのかどうかという議論があるところであります。この点について、この規模の基準でありますとか、また、大き過ぎるという評価に対してどのようなことを思っていらっしゃるか、お聞かせいただけますでしょうか。お願いします。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 貿易再保険特別会計の積立金でございますが、二十四年度決算によりますと、八千八百億円でございます。これを踏まえて計算したいわゆるソルベンシーマージンの比率でございますが、二二四・二%ということになっております。

 積立金は、保険事故が発生した際の再保険金の支払いなどに充てるための支払い準備金的なものでございます。民間の保険会社においてもこうした支払い準備金が必要とされておりまして、一般に、民間の保険会社では、ソルベンシーマージン比率が二〇〇%を超えていれば一定の健全性があるというふうにされております。ただ、貿易保険は、民間では引き受けられない高いリスクを引き受けるための保険でありますので、支払い準備金の必要性はより高いのではないかというふうに考えております。

 実際、八〇年代から九〇年代にかけまして二兆円もの保険金の支払いもございますし、各国の保険引受残高の現状も踏まえますと、この規模は過大ではないというふうに認識をしております。

小池(政)委員 外国の同様の貿易保険機関と比べたら、どうでしょうか。

横尾政府参考人 外国の、国が運営している保険関係機関のソルベンシーマージンの比率ないし積立金の水準、今手元にございませんので、必要なら、後でお届けをしたいと思います。

小池(政)委員 よくおっしゃられるのは、外国の貿易保険機関は責任残高の大体一〇パーぐらいを基準としているわけでございますが、ただ、日本の場合はそこまで行っていないから適正じゃないかという話をされるわけであります。それから、先ほど答弁のありました、民間のソルベンシーマージン、これが大体二〇〇パー、それに近い数字だから妥当じゃないかというお話があるわけでございます。

 そこで、少し確認をしていきたいと思います。

 きょうは配付資料をお渡しさせていただいておりますが、この一ページ目は、再保険積立金が棒グラフになりまして、それから、これはちょっと後で触れますけれども、NEXIの純資産の部の合計額、もう少し下の薄い棒グラフになりまして、線グラフは債務削減に係る一般会計からの繰り入れということで、過去、パリ・クラブ等の債務免除によって、今一般会計から繰り入れられている金額でございます。

 この一番濃いのが特会積立金になりまして、今大体九千億ぐらい積み上がっているわけでございます。これが、ではソルベンシーマージンということで見ると、先ほど二二四%とおっしゃいましたが、その計算がどういう形でされているのかなということも確認しなくてはいけないわけでございまして、資料の二ページ目をごらんください。

 これは特別会計ガイドブックからの資料でありますが、ソルベンシーマージン比率二二四%、この下の四角のところでございますが、これは分子は積立金でありますけれども、分母の基準というのは、先ほどもおっしゃいました、過去の保険の支払い金というものをベースにしているわけでございます。この過去の保険金の支払いが、特に保険の支払いが集中した十二年間ということをもって計算しているわけでありますが、この十二年間というのはどういう期間だったのかということを次の資料でごらんになっていただけますでしょうか。

 この十二年間というのが、九一年、支払い保険金のピーク三千四百十九億円、ここを大体中心としまして前後という、大変保険金の支払いが多かった時期でございます。ですから、常にこの期間をベースにしながらソルベンシーマージンというものを計算されているわけでございます。

 では、民間というのは果たしてどうしているかというと、民間は、その期間も、例えば直近の数年間という形で、特に昔の特定した期間ではなくて常に更新しているわけでございます。かつ、この期間をベースにするとしても、今の持っている保険の中身がこのときと果たして同じような中身なのかどうか。対象の地域も違いますし、また種類も、それから保険の期限というものも異なっているわけでございます。

 その基準の中で、果たしてこのソルベンシーマージンというものを積立金の規模の正当性に使うべきか、もしくは、その計算の根拠を改めるべきじゃないかということを特に感じているわけでございます。それから、もう一点の理由としまして、ほかの国の貿易保険機関、これと比べて日本はまだ余裕があるんじゃないかという話をされるわけでございますが、これは資料の最後、四ページ目になります。

 ほかの国の保険の制度を見てみますと、短期においてはリスクを国は負わないというところがほとんど、それから、中期の貿易保険というところは、これは日本も同様に国がリスクを負担するわけでございますが、ただ、国からの保険金の支払いの制約といいますのは、日本の場合は契約ごとに再保険をやっているわけでございますから、何かあったらその再保険に応じてお金が出ていくわけでございます。

 ほかの国というのは、その機関そのものの例えば支払い能力でありますとか、かなり制約が高いわけでございますし、また、日本の場合は一般会計から繰り入れられているパリ・クラブの債務免除というところからの支出というものも、かなり日本に比べてハードルは高い、だからこそ、彼らはそれだけの積み立てを必要としているわけであります。その中で、単純にほかの貿易機関、また先ほどのような民間との比較でこの積立金の規模というものをこれからも維持していいのかなということを、私は非常に懸念を持っているわけでございます。

 そこで、大臣にちょっと御意見をお伺いさせていただきたいと思うんですが、このような規模をもう一度見直すべきではないでしょうか。

茂木国務大臣 確かに、国際情勢も変わってきております。そして、貿易保険法の改正につきましては、衆議院は御可決いただきましたが、新たな形態の資金調達であったりとか、また事業というのが起こっているわけでありまして、当然、公的な保険制度もそういった実態に合わせて常に見直しが必要だと思っております。

 御提言いただきましたことも含めて、今後、すぐにあしたからということにはなりませんけれども、少し長いスパンの課題として検討してみたいと思っております。

小池(政)委員 ぜひ、できたら短期、中期的なスパンで考えていただきたいと思います。

 また、この積立金については、先ほどの資料の一ページ目にもありますように、NEXIにも約三千億ぐらい。NEXIの場合は、経産省にお聞きしたら、大体、純資産がそれに相当するものだということでありますから三千億ぐらいということでありますが、果たしてこのNEXIにこれだけの金額は本当に必要なんでしょうか。これは事務方で結構ですので、お答えいただけますか。

横尾政府参考人 先ほどのソルベンシーマージン、貿易再保険特会の計算においてでございますが、今、NEXIが引き受けたときに再保険を掛けますけれども、リスクの比率はおおむね一〇%NEXIが引き受け、再保険特会が九〇%を引き受けるという構造になってございます。

 したがいまして、先ほどのソルベンシーマージンの計算における分子に当たるリスク額、これは通常の予測を超える危険に相当する額というふうに言われてございますが、これは想定される額の〇・九掛けにしております。したがって、一〇%分はNEXIが負担をするということで、合計して一兆二千億円になるわけでございますが、おおむね適当な規模ではないかというふうに考えております。

小池(政)委員 〇・九掛けということを確認しましたので、それは結構でございます。ただ、先ほどのような計算の問題点というものは残りますから、これもぜひ検討していただきたいと思います。

 また、線グラフは一般会計からの繰り入れになりますが、これは、過去のパリ・クラブでの債務免除によって、本来、国が政策判断で行ったものということから、一般会計で繰り入れがずっと行われているものでございます。これも、積立金がこれだけふえているにもかかわらず、引き続きずっと一般会計からの繰り入れが行われていまして、累計で今二千五百億円ぐらい入っているわけでございます。

 これは、果たしてこれからも続けるのかどうか、また、総額に対して残りあとどのくらいあるのか、教えていただけますか。

横尾政府参考人 貿易再保険特別会計は、再保険料の収入と回収金を原資としまして、長期的に収支がバランスするように運営を行っているところでございます。

 委員御指摘のとおり、政府は、昭和六十三年のトロント・サミット以降、国際合意に基づきまして、援助政策の一環として、重債務貧困国等に対する債務削減を行ってきております。

 まさに国の政策判断によって実施された債務削減によって生ずる影響が貿易保険制度の財務基盤を損なうことのないようにということで、特別会計に関する法律の規定第百八十六条に基づきまして、一般会計の財政状況を勘案しながらでございますが、貿易再保険特別会計への繰り入れを行ってございます。

 この金額の水準でございますが、貿易保険が付された債権について、国際合意によって債務削減されたことの影響は、総計では一兆二千億円ございます。ただし、このうち約三千億円程度は民間企業が持つ債権でございますので、これを除いた額が、言ってみれば国ないし日本貿易保険が持つ債権の削減額でございまして、約九千億円というふうに承知をしております。

 また、今後でございますが、貿易再保険特別会計を廃止することになっております。その場合の一般会計からの繰り入れの法的根拠、先ほど申し上げました特別会計に関する法律に今あるわけですけれども、この法的根拠をどうするかは、今後、廃止のための法案を検討していくに当たって、関係省庁とも協議しながら、具体的な検討を行っていくということにしてございます。

小池(政)委員 お聞きした話ですと、そうすると、残りまだ大体六千億円ぐらいあって、それを一般会計から繰り入れていくかどうかということだと思います。

 おっしゃる話の中で、国の政策判断だからこれは一般会計から出すんだということでありますけれども、そもそも、このNEXI自体が、国の信用をもとに保険を行って、そこで保険料と支払いのバランスの中で利益を得ているわけでございますから、普通に考えたら、その利益からも充当を考えるべきじゃないか。

 だからこそ、ほかの貿易機関を見れば、一般会計とか予算から出すことに対して制約を持たせているわけでございまして、これを自動的に、国が政策判断で債務免除したから、だからこれは予算から出すんだということも、これは一方また考えなくてはいけない問題だと思います。

 今回もウクライナに対して枠を広げるわけでございますが、将来的に、リスクを拡大させて、国が政策判断するということになったときに、では、今度はまた一般会計から繰り入れるのかという話にもつながっていくわけでございますから、ぜひここをまた検討していただきたいと思います。

 そして、その際に、国のリスクの低減ということで、日本からだけではなくて、対象の国の政府からも、例えば対象先に対して債務保証するとかそのような取り組みというものも、過去、例えばヨルダンでありますとかそういうところで検討されているわけでもございますし、これからのインフラ輸出についてもそのような取り組みということも、国のリスクのヘッジ、国民のリスクの低減ということに資するためにも、ぜひ考えていただきたいと思います。

 時間もなくなってきましたので、もう一点確認をさせていただきたいと思います。

 特殊法人化をこれから進めていくということでございますが、その際に、果たしてその特殊法人の組織が改善されるのかどうかということも非常に重要な視点でございまして、これまでですと、例えば事業仕分けの話を聞いてみると、経産省の担当者からも、余り実質的な差はないんじゃないかということもコメントとして出されているわけでございます。

 そうなっては余り意味がないわけでございまして、これから改革を進めていく際に、例えば民間の視点を入れる、それから、しっかりと客観的な、リスクを管理、審査できるような体制をつくっていくということが大事だと思いますし、また、特に取締役、理事長におきましては、今まで経産省の官庁OBの指定ポストでありましたが、そこにぜひ民間の力を入れていくべきだとは思います。その点について大臣の方針をお聞かせいただけますか。

茂木国務大臣 この日本貿易保険、平成十三年から独法化されたわけでありますけれども、それ以降、プロパー人材の育成であったりとか、海外で起こりますさまざまなリスクに対する評価であったりとか、組織としてのスキル、こういったことを積み上げてきたわけでありますが、今後、特殊会社化していく。さらにそういったスキルを組織として蓄積していかなければならない。当然、民間でそういった経験のある方、そういった知見も十分生かしていくことが極めて重要だと考えております。

小池(政)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、福島原発の構内作業員の賃上げ問題について質問いたします。

 この件については、昨年の十月、十一月、構内作業員の方々の労働条件、大変過酷な中で、厳しい状況のもとで、実際に日当が非常に低いということが大きな問題となって、この改善ということを求めてまいりました。

 そんな中で、昨年十一月八日に廣瀬社長が記者会見で、設計上の労務単価を一万円から二万円という例示で示したわけですけれども、十二月以降の契約においてこのことを具体化していくというお話でありました。このことについてお尋ねをいたします。

 資料を配付いたしましたが、これは、茂木大臣をチーム長とします廃炉・汚染水対策チーム、その会合の第三回事務局会議、二月二十七日に東電が配付をした資料であります。「設計上の労務費割増分の増額に関する取組み」、その内容について質問をするものです。

 具体的な施策として、一、二、三と書かれております。これがどのような中身となっているのかについて、まず廣瀬社長からお答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 それでは、先生のお配りになった資料に基づきまして、御説明差し上げます。

 具体的な施策、御指摘のように、真ん中よりやや下に、一、二、三と書いてある、このことでございます。

 一というのは、これは、私どもが工事をお願いする際に請負工事会社さんから見積もりをいただくわけですが、その際に留意事項としてお願いしますということの内容でございます。

 これは、まさに先ほど先生から御指摘がありました、いわゆる労務費の割り増し分を今回私どもはどういう考え方で設計上の単価として考えていますよということを一つ一つ明記いたしました。例えば、全面、半面マスクをつけている場合には二万円ですよとか、これはちょっと例えばなのであれですけれども、それからあるいは、ボンベをしょわれたりアノラックを着られたり、そういうようなカテゴリーごとに違いますので、そうした場合は三万円。今回、これは増分した後に、例えば、一万円を二万円にしますよといった場合は二万円ですよ、アノラックを着たりしたものを、二万円を三万円にした場合は三万円ですよということを一つ一つ明記いたしました。

 この狙いは、請負会社さんから私どもに見積もりをする際に、私ども発注者側はそう考えているんですよ、したがって、それを踏まえて見積もりをしてくださいよ、つまり、それをしっかり反映させてくださいよということで、お願いする意図を持ってこうしたことをいたしました。それが一つ目であります。

 二つ目は、三つポツがございますけれども、一つ目は、これはまさに、適切な賃金が末端のお一人お一人までちゃんと行き渡るようにいろいろな対策を考えてください、その対策の進捗状況もちゃんと結果を教えてくださいと。これは、そのまま、そのとおりのお願いでございます。

 それから、二つ目のポツは、そうした対策をとられたとしても、例えばよろしくない事例が出てくるというようなことがあった場合には、私ども発注者側としてもしっかり対策をとらせていただきますよ、御社がやられた対策を、ちゃんとPDCAを回して、ちゃんとできているかどうか、私どもとしてもしっかり関与させていただきますよという意味でございます。

 三つ目は、皆さんから御指摘いただいているいわゆる多重の下請構造についても、私どももしっかり把握をしておくべきだということで、元請各社さんに、それぞれの、一次、二次、三次といく施工の体系図を出してくださいというお願いをした。これが二つ目であります。

 そして三つ目は、例えば、私どもが今度発注をさせていただく総額一億円の工事があったとしますと、今回のいわゆる労務費の増分はその中に一千万円入っていますよと。ここは、一万円から二万円、二万円から三万円にふえる、その一万円の分、ふえた分については、今回、総工事費一億円の中に例えば何百万円入っていますよ、一千万円入っていますよということをしっかり明記したことで、これもあわせて、そうしたものをしっかり踏まえてくださいよという意味を込めて、こうしたお願いを三つ差し上げたということでございます。

塩川委員 わかりました。

 先ほど、割り増し額の明記のところがありましたけれども、これはカテゴリーとして、今お話しになったような、アノラックがどうとか全面マスクがどうとか、それは後でいいんですけれども、目安となるのはどのぐらいなのかというのを教えてもらえますか。

富田委員長 後で資料をいただくということですか。

塩川委員 ということで要求したいんですが、よろしいですか。

廣瀬参考人 例えばということで今御説明させていただきましたけれども、一つ一つは個別の民民の契約ですので、お示しすることは、申しわけございませんが、御勘弁いただきたいと思います。

塩川委員 例示でわかるような形で整理してもらうので結構なんですけれども、考え方について、改めてこれは要求したいと思います。

 それから、三のところですけれども、このような、「各契約件名における割増分の増額金額など、元請会社が施策を実行するにあたって必要な金額情報を、可能な範囲で当社から元請会社へ提供」。ここにありました、一億円のうち数百万とか一千万とか、別枠で明記をするということであります。

 「可能な範囲」と書かれているんですが、基本はきちんと明記をすることなしには現場ではわからないわけですから、原則全て行うという立場だと承知していますけれども、その点はよろしいですか。

廣瀬参考人 可能な限りというふうに書いてございますけれども、私どもとしては、全て書こうと思っております。繰り返しますが、例えば一億円の工事の内数でございます。それらを積み上げて一億円の工事になるということでございます。

塩川委員 十二月以降、新たな契約については、そういう形で明記もしていくということで、周知も含めて図っていくということですけれども、実際、現場で働く作業員の方の賃上げというのは行われているんでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 私どものお支払いは、工事の完了をもってお支払いさせていただくということになりますので、十二月以降、もう工事が終わっていれば、当然お支払いをされておりますので、その分が正しく最後の方まで行っていれば、もちろんそこへは届いておりますけれども、まだ工事が終わっていないと、そこまで届いていないということはございます。

塩川委員 ですから、実際に届いているという実感があるのかどうかというところなんですけれども、そういう点でいいますと、十二月以降、新規の契約に入ったという案件がどのぐらいあって、対象になるような作業員の人、実際に賃上げになるだろうと推定される人がどのぐらいなのかというのは、件数を含めてわかりますか。

廣瀬参考人 十二月以降の発注分で、二月末まででございますけれども、四十八件ございました。そのうち、工事が小さいものは当然その間で終わりますので、四十八件のうち三件は、既に工事が完了しており、お支払いもされておりますので、そうした方々のところにはもう手元に届いているというふうに考えられると思います。

 人数は、ちょっと申しわけございません、今手元にございません。

塩川委員 人数についても、わかるところで後で教えていただきたいんですが、三件完了で支払っているということですけれども、そういった方々がちゃんと十二月分から上乗せされているのかというのがあるわけですよ。つまり、十二月からの新規契約が三カ月で終わりました、検査を三月でやって支払いましたということでいえば、それは十二月からちゃんと賃上げになっているということを求めるわけですよね。

廣瀬参考人 私ども、もとより、そうした金額を含めて総額を決め、元請会社さんにお願いしておりますので、当然、途中で中抜きされるようなことがなく、我々の意図に沿って末端の方まで届くというのを我々としては意図しているところでございます。

塩川委員 新規契約時に労務費割り増し分の増額を図るということになりますと、長期の契約で、十二月以前から契約があって、この先さらに長期にわたるという場合があります。かなり多くは一年以内の契約での作業なのかもしれませんけれども、お聞きしたところによりますと、作業の中身によっては、非常に長期になる、二年、三年になるのもある。そういった場合には上乗せ、割り増しが適用されないままいくんじゃないのかということでは、実際に長期に働いている方々の賃上げにつながらないということになるんじゃないのか。その点はどうなんですか。

廣瀬参考人 そうしたケースにおきましては、元請会社さんと協議をさせていただいて、しかるべき対策をとっていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

 なお、先ほどの御質問で人数というのがございましたけれども、私どもは、直接的には雇用契約でございませんので、この工事をやってくださいというお願いですので、私どもの設計上十人でお願いしていても、それが五人でされたり二十人でされたりということについては、私どもの方では把握できないというところを御了解いただきたいと思います。

塩川委員 現場の方では、実際には賃上げにつながっていない実態があるわけで、賃金が上がると期待していたのに結果として上がらないということが、モチベーションを上げるどころか、かえって下げているという、現実にあるわけです。

 ですから、十二月以降の新規契約の場合ということは言っていたとしても、多くの労働者は引き続き働いているわけですし、そういった方々についてしっかりと賃上げが図られるということこそ、東電が発注者としてしっかり、現場の構内作業が確実に、迅速に、安全に行われる上でも不可欠のことだと思うんですが、先ほど、そういった長期の契約の元請との間では今後対応を考えていきたいということですけれども、そこは何か踏み込んでやる話というのは今あるんですか。

廣瀬参考人 まさにこれは具体的な個別のケースでございますので、そうしたケースに対して元請会社さんと協議をするということになると思います。

 今の段階でそうしたことではございません。

塩川委員 ですから、そういう場合に、いつからは上がるというようなことを作業員の人に言えるのか。そういうことこそ意欲を引き出す力になると思うんですけれども、その辺で東電として考えていることはないんですか。

廣瀬参考人 今回のこの割り増し分の増額というのは、十二月発注分、既に契約が確定して工事をお願いしてしまっている分というのももちろんございますので、今回の割り増し分については十二月からの分ということで当初より適用させていただいておりますので、それ以降のおっしゃったような長いものについて、そういうケースが出てきましたら、それについては元請会社さんとしっかり協議をしていくということだと思っております。

塩川委員 例えば、ことしの六月に切れて、そこから先、新たな契約を結ぶというような場合に、昨年の十二月からことしの六月分については、過去の契約分ですけれども、その期間も働いた人がいるわけですから、その人たちについては上乗せがされるということを新規の契約の際にきちっと組み込んだ、そういった契約を図るということも当然考えられると思うんですけれども、それがまた意欲を引き出すことにもなると思うんです。

 そういうことも含めて、やはり十二月以降に賃上げが図られるという、意欲につながるような対策として考えるというのはないのか、その点についてお聞きしたいと思います。

廣瀬参考人 御指摘の趣旨はわかりますが、ただ、例えば、六月からやる工事が単純に、それまでの工事の継続、全く同じものなのかどうなのか。やはりどうしても、いろいろな工事がございますので、新しい工事であれば、新しいボンベをしょう方の人数であるとか、マスクをする方の人数であるとか、当然、全部変わってしまいます。

 したがいまして、新しい契約は新しい契約ということでやらせていただいて、これまでの分については、そうしたケースがある場合には協議をさせていただくということにさせていただきたいと思っています。

塩川委員 であれば、やはり外出しでしっかり支給するような仕組みこそ考えるべきだ。

 それは、作業内容ですとか作業環境によって、例えば四万円とか二万円というのを現場の実態を踏まえて決めて、その額を支給しますよということを契約の中にはっきりと明記する。そういう形でいわば危険手当分ということを明記して支払うということであれば、現行の契約においても、それを付加するという形でやることも可能であるわけです。

 私は、そういうことも含めてやらないと、現場のモチベーションを上げる、安全な環境で確実に作業を進めていく、そういうことにつながらないと思うんですけれども、そういう外出しでの支給を含めるような契約というのは考えないんですか。

廣瀬参考人 まさに請負契約の中でそうした私どもの考えを反映すべく、先ほど先生のお配りになった紙の三ですけれども、総額の工事費の中に私どもは今回こういうことを考えていますよということを明記させていただいて、その中で、それぞれの方にそうしたものがしっかり届くような取り組みに改めたわけでございます。

塩川委員 それで、実際にはその既存の契約が続く限りは賃上げになりませんねということでは、多くの方々は今大変厳しい環境の中で働いている、実際には除染作業の方が賃金が高かったりする、それでは一層確保が困難になるでしょう。そもそも、それが出発点だったわけですから。

 確実に賃上げになるような、除染よりも厳しい環境で働く構内作業員の方の賃金の方が高いと少なくとも言えるような、そういうことこそ行うべきであって、既存の契約部分についても何らかの対策が必要じゃないですか。

廣瀬参考人 まさにこれから、工事に対してしっかりとした作業員の方々を確保していくというために、これからの工事に対して、十二月以降、取り組みをしてまいっております。

 もちろん、繰り返しになりますけれども、引き続き協議をさせていただくということはやっていきたいと思いますので、ただ、基本的には、これからの工事をしっかり確保してやっていくために、労務費の増額を今回新たに取り入れて始めているということと御理解いただければと思います。

塩川委員 とにかく、本当に賃上げができたと言えることこそ必要なわけで、それにつながるような取り組みというのを強く求めるものですし……(発言する者あり)もらっていないんだよ、現場では。

 宇徳についてお尋ねします。

 元請の一つの宇徳について、福島第一ではどのような業務に従事しているのか。また、宇徳は、現場に対して、設計上の割り増し額の支給は受けていないと主張していましたけれども、東電はどのように対応されたのか。宇徳が元請となった業務に従事する作業員の賃上げは図られたのか。この点について確認したいと思います。

廣瀬参考人 宇徳さんは、御存じのように、運送事業を営まれている会社でございます。私どもも、特に重量物の搬送等の作業をお願いしております。

 それで、先生御指摘になった、割り増し分を我々は受け取っていないと御主張になったという宇徳さんのお話ですけれども、これについても、しっかり宇徳さんと話をさせていただきました。そこにちょっと我々と認識の違いというか誤解があったようで、今回の増分の話になったときに、宇徳さんは、そもそもの労務費の増分というのが、例えば、さっきの例でいえば、一億円の工事のほかに別途割り増し分というのが東京電力からあたかも出ているがごとく受け取られたようでありまして、そういうことは受け取っていないとおっしゃったというふうに認識しております。

 そこについては、我々のあくまでも設計上の考え方であって、それは総額の工事費の中の分ですよという話を御説明させていただいたとともに、今回の割り増し分の増分、例でいえば一万円を二万円にするという、その部分についても御理解いただいて、今後、宇徳さんの中の部分についてもそうしたことを反映していただくということをお願いして、おやりになっていただいていると期待しております。まだ確認をとれているわけではございませんけれども。

塩川委員 改めて確認もしていただいて、実際に現場で賃金が上がったと言えるような状況をぜひつくっていただきたいと思います。危険手当の支払いを求めるような従業員、下請の方に対して、いや、かわりは幾らでもいるんだというような言い方もされたという現場の話も聞いているものですから、とんでもない話であって、こういうことは許されない。しっかりと賃上げにつながる取り組みをやっていただきたい。

 こういう取り組みにしっかりと政府としても後押しをするということで、大臣に一言いただいて、終わりたいと思います。

茂木国務大臣 しっかりと指導してまいりたいと考えております。

塩川委員 終わります。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、内閣提出、中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。茂木経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 中心市街地の活性化については、平成十年に中心市街地活性化法を制定し、平成十八年に同法の見直しを行うなど、着実に取り組んでまいりました。しかしながら、少子高齢化の進展や商業施設や病院などの公共施設の郊外移転により、中心市街地に対して十分な民間投資が行われておらず、中心市街地における空き店舗や未利用地の増加に歯どめがかかっておりません。

 こうした状況を踏まえ、民間投資の喚起を通じた中心市街地の活性化を図るため、まず、効果が高い民間プロジェクトを絞り込んだ上で、従来より手厚い支援を重点的に行うことが必要であります。あわせて、少子高齢化に対応した持続可能なまちづくりを進めるため、中心市街地におけるコンパクトシティー化の取り組みを幅広く支援することが必要であります。

 以上が、本法律案を提案した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、民間投資を喚起する重点支援制度の創設であります。中心市街地への来訪者を増加させるなどの効果が高い事業を経済産業大臣が認定した上で、同事業に対し中小企業基盤整備機構による市町村を通じた無利子融資、大規模小売店舗が中心市街地へ立地する際の手続の簡素化といった支援策を講じてまいります。

 第二に、中心市街地の活性化を図る措置の充実であります。中心市街地の商業の活性化に向けたまちづくり会社等の町おこし事業を経済産業大臣が認定した上で、同事業に対し資金調達の円滑化といった支援策を講じてまいります。

 第三に、市町村が作成する中心市街地活性化基本計画が認定を受けた場合に、道路占用の許可の特例や中心市街地において活動が認められる特例通訳案内士制度の創設などの措置を講じてまいります。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る四月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十五分散会


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