衆議院

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第19号 平成26年5月28日(水曜日)

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平成二十六年五月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      岩田 和親君    越智 隆雄君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      菅野さちこ君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      田中 良生君    田野瀬太道君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    岸本 周平君

      近藤 洋介君    辻元 清美君

      上西小百合君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      三谷 英弘君    小池 政就君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   参考人

   (全国商工会連合会会長) 石澤 義文君

   参考人

   (中小企業家同友会全国協議会副会長)       国吉 昌晴君

   参考人

   (板橋区立企業活性化センターセンター長)     中嶋  修君

   参考人

   (ダイヤ精機株式会社代表取締役)         諏訪 貴子君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     國場幸之助君

  越智 隆雄君     岩田 和親君

  菅原 一秀君     田野瀬太道君

  伊東 信久君     上西小百合君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     越智 隆雄君

  國場幸之助君     菅野さちこ君

  田野瀬太道君     菅原 一秀君

  上西小百合君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  菅野さちこ君     石崎  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 小規模企業振興基本法案(内閣提出第五一号)

 商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、小規模企業振興基本法案及び商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、全国商工会連合会会長石澤義文君、中小企業家同友会全国協議会副会長国吉昌晴君、板橋区立企業活性化センターセンター長中嶋修君、ダイヤ精機株式会社代表取締役諏訪貴子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず石澤参考人にお願いいたします。

石澤参考人 全国商工会連合会会長の石澤であります。

 私からは、中小・小規模企業者の立場から意見を述べさせていただきます。

 御承知のとおり、今、小規模企業をめぐる状況は極めて厳しい中にあります。人口の減少、高齢化、需要の低迷、空洞化等に直面をいたしておりまして、現在の日本の中小企業の総数は三百八十五万社でありますが、長引くデフレ不況の中で、倒産あるいは廃業が続出をいたしました。この十年間に八十万社が減少をいたしております。特に、直近の三年間では三十五万社が減少をいたしております。私たちは大変強い危機感を抱いておるところであります。

 特に問題なのは、その減少のほとんどが従業員二十人以下の小規模企業であるということでございます。

 申し上げるまでもありませんけれども、小規模企業は我が国の経済発展の原動力であります。加えまして、自営業者が多いわけでありますので、防犯や消防団活動、あるいは高齢者支援、また祭りなどの伝統文化、地域社会の担い手であります。また、我々の商工会のエリアでは多くの中山間地を抱えておりますので、この地域は、人口の流出を初め、過疎化が進んでおりますし、買い物難民あるいは限界集落などに直面をいたしておりまして、地域コミュニティーの崩壊が続いておるところであります。

 小規模企業の振興と地域の発展は表裏一体であります。そういう意味で、小規模企業政策の展開については絶えずこのことを念頭に置くべきではないか、このように考えておるところであります。

 私どもは、日本経済を再生させるため、また地域社会、コミュニティーの衰退に歯どめをかけるために、全国の小規模企業者が将来に希望が持てるように、そして安心して事業に励むことができるように、今までどちらかといえば光の当たらなかった小規模企業の国並びに地方自治体の政策に、大きな光を与えることが、今何よりも緊急の課題であると思っております。そういう観点から、私たちは、小規模企業政策のよりどころになります、恵まれなかった小規模企業対策に特化した小規模基本法の制定に、全国の組織を挙げて今日まで取り組んできたわけであります。

 昨年末に、会員に呼びかけて署名運動を実施いたしました。十一月と十二月のわずか二カ月の間に百万人分を超える多くの署名が集まりました。このことは、一生懸命頑張っておる小規模企業者の皆さんがいかに小規模基本法の制定に期待をかけているかということのあらわれであろうと思っております。

 こうした中、国では、昨年九月に、中小企業政策審議会の中に小規模企業基本政策小委員会を設置していただきました。その委員長に私を任じていただきまして、小規模企業の振興のためにとるべき政策のあり方について取りまとめをいたしまして、ことしの一月に茂木経済産業大臣に答申をいたしまして、今国会で審議をいただいておるところであります。

 私は、この一連の流れの中に、今、間違いなく小規模企業に光が当たり、流れが大きく変わっているということを実感いたしております。

 このような基本法の審議に当たりまして、私から、この基本法について二点述べさせていただきたいと思っております。

 第一は、中長期的な視野から政策を着実かつ効果的に実施するために、少なくとも五カ年間の基本計画の策定が必要である、そして、その実施状況を評価する仕組みをつくることがまず肝心である、このように考えております。小規模企業政策の計画、実行、検証、そして改善のいわゆるPDCAを仕組むことにより、私は、その政策の継続性、一貫性が担保されるものと思っております。

 第二は、国並びに都道府県など地方公共団体の小規模企業振興についての責務を明確化することであります。地域の疲弊が進んでいる中、地域を支える小規模企業の振興を実効あらしめるためには、国と地方自治体の連携が何よりも必要であります。今回の小規模基本法の中にこのことは明記していただいておりますので、このことによって、この政策が全国の隅々まで行き渡る、このように考えております。

 この二つの問題点を今度の基本法の中に織り込んでいただきましたことを感謝し、高く評価いたしておるところであります。この二点は、小規模企業政策に極めて重要でありまして、地域経済社会を活性化させるために今後大いに役立つものと考えております。

 また、今回は、小規模基本法に魂を入れるべく、小規模事業者への経営支援を規定する小規模支援法の改正案が上程をされております。

 我々商工会は、昭和三十五年に商工会法が制定されまして、発足いたしましてから今日まで五十年余り、小規模企業を中心とした経営支援機関として、地域経済の振興、また地域の活性化のために全力を挙げてまいりました。

 特に、「商工会は、行きます・聞きます・提案します」のスローガンのもとに、全国四千二百人の指導員を総動員し、商工会のもともとの使命は巡回訪問を通じて会員また非会員のいろいろな相談を受けるということでありますが、そのことに努力をしてまいりました。実績は、年間三百四万の相談案件、また一指導員は平均して七百件の相談に従事をいたしておるところであります。

 また、今回の小規模支援法では、現在商工会、商工会議所が取り組んでおります小規模企業の支援を充実させるために伴走型の支援を整備すること、もう一つは、小規模基本法で定める地域活性化を進めるために商工会、商工会議所が中核となって市区町村並びに金融機関と連携して支援を行う、このことが審議をされておるところであります。

 このように、小規模企業振興の正面に私ども商工会を位置づけていただきましたことに心から感謝を申し上げます。これにお応えするために、我々は、多様化、複雑化する会員のニーズに対応するために、高度な、かつ専門的な技術を習得するよう、指導員の資質向上のために人材育成や体制の強化に全力を挙げていきたい、このように思っております。

 以上が両法案に対する私どもの思いでございます。ぜひ御理解を賜りまして、一日も早い両法案の実現をお願いいたします。

 今回、このような機会をいただきましたので、少し要望を申し上げたいと思っております。

 世間では、アベノミクス効果によりまして、景気が回復基調と言われております。しかしながら、どちらかといえばそれは大都市あるいは大企業が中心でありまして、全国の中小企業、とりわけ地方の小規模にとっては実感として得られておらないのが現状であります。確かに、消費税の駆け込み需要等によりまして明るさが一時見えましたけれども、終わればもとのもくあみであります。極めて厳しい状況に置かれております。

 我々の月例の小規模企業景気動向調査によりますと、非常に好調であると言われております建設業におきましても、人手が不足して、仕事があっても受けられないという意見、あるいは、仕入れ価格が上がって利益につながらない、せっかく景気回復の兆しがあったとしても、利益は減少し、現状を維持することで精いっぱいだという意見が寄せられております。

 しかし、このせっかくの景気回復の兆しを全国隅々にまで行き渡らせるために今回基本法の制定に取り組んでいただきましたことは、まさに小規模企業者にとっては歴史的に画期的なことであると大変喜んでおるところでございます。

 私は、この基本法の制定をスタートラインに、小規模企業元年と位置づけておりまして、日本の企業を元気にする、小規模企業を元気にする好循環を実現して、毎日歯を食いしばって頑張っておる小規模企業者に本当に基本法ができてよかったと実感してもらえるように、新たな小規模企業政策の展開、充実を特にお願いいたしたいと思います。

 そのために、具体的に次の五つの点を小規模企業政策としてお願いいたしたいと思っております。

 第一点は、税、社会保障に関する小規模企業の負担感の軽減であります。

 第二点は、何といっても小規模企業者にとって最大の課題は資金繰りの心配であります。信用力が乏しい小規模企業の悩みであります日々の運転資金の調達、確保などに支援の一層の充実をお願いいたしたいということ。

 第三点は、もう一つの課題は、いいものがつくられてもなかなか売ることができないという悩みであります。このために、思い切った販路開拓の支援をお願いいたしたい。

 第四点は、地域経済活性化、地域コミュニティーを維持するために今必要なのは、地域課題解決型ビジネス、つまり、コミュニティービジネス、ソーシャルビジネスの取り組みであります。全国ではそういう挑戦が行われておりますが、この解決型ビジネスの立ち上げ時に支援をいただきたい。

 第五点は、廃業の半数の原因は後継者の不足であります。新たな後継者の発掘あるいは育成に、事業承継支援の取り組みの強化をお願いいたしたいということであります。

 本日は、小規模企業の立場で意見を述べさせていただきました。

 御承知のとおり、日本の全企業の九割近くを占める小規模企業の振興なくして日本経済並びに地域社会は成り立ちません。この苦しい状況に耐えております小規模企業が、もし耐え切れずに廃業に至るとなれば、我が国の経済社会の崩壊につながることを懸念いたしております。その意味では、全国の小規模企業がこの基本法にかける期待は極めて大きいものがございます。

 安倍総理は、今国会の施政方針演説の中で、小規模事業者がどんどん活躍できる環境をつくるための基本法を制定して、小規模事業者支援に本腰を入れて乗り出すと宣言をしておられます。

 また、茂木経済産業大臣は、私たちの委員会の冒頭に当たりまして、長い間本当に苦しんできた小規模企業者に倍返しをしたいと、かたい決意を述べられております。

 我々商工会としても、それに応えるために、支援能力を一層向上いたしまして、多様化する小規模企業の課題、ニーズに十分対応できるように、そして、小規模企業者の頼りになる、信頼に応えられる組織となるように、全力を挙げて努力をしていきたいと思います。

 どうか先生方には、小規模企業の現状と重要性をよく御理解いただきまして、今申し上げた意見、要望をしっかりと反映していただきますことをお願いして、私の意見とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、国吉参考人にお願いいたします。

国吉参考人 中小企業家同友会全国協議会の国吉でございます。

 まず、小規模企業基本法制定への期待とお礼から申し上げたいと思います。

 このたびの小規模企業基本法制定及びその具体化にかかわる法案の改正は、一九九九年の中小企業基本法の抜本改正以降の中小企業を取り巻く環境の大きな変化に対応するもので、まことに時宜を得たものと歓迎いたします。富田本委員会委員長を初めとする委員の皆様、経済産業省、中小企業庁の御担当の皆様、さらには冒頭に意見陳述をされました全国連石澤会長様の御尽力に敬意を表するものでございます。

 とりわけ、本法案が二〇一〇年六月十八日に閣議決定されました中小企業憲章にうたわれた基本理念、「中小企業は、経済やくらしを支え、牽引する。」「中小企業は、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な機能を果たす。」さらには、行動指針にあります「中小企業への影響を考慮し政策を総合的に進め、政策評価に中小企業の声を生かす」ということの具現化であると思います。

 次に、簡単に当会の紹介をさせていただきます。

 袋の中に資料が入っておりまして、一番上の五枚つづりをごらんいただければと思います。ここに当会の簡単な紹介がされております。

 一九五七年に創立されまして、六九年に全国協議会が生まれ、現在四十七都道府県全てに中小企業家同友会は存在しております。全国の会員数は四万三千名を少し超えたところでございますが、おかげさまで、この五年間少しずつですけれども、最高の会勢を維持しております。企業規模は、平均資本金一千五百万円、従業員数約三十人となっております。

 会の目的でございますけれども、第一には、よい会社をつくっていこう。そのために異業種同士、切磋琢磨して学び合おう。第二は、よい経営者になろう。つまり、経営者としての総合的能力を高めて、企業体質の改善を図っていこう。第三は、よい経営環境をつくろう。中小企業の努力が正当に評価される政治的、経済的環境をつくっていこう、そのために力を発揮していこうということでございます。

 とりわけ、私ども、企業の発展の鍵は労使の信頼関係の構築にある、そのかなめとしての経営指針及び人材の育成には最も力を入れているところでございます。昨年度一年間に全国の支部、地区で開かれた例会の総計は六千百回というふうに集計されております。

 続きまして、当会の経営環境改善の取り組みでございます。

 これはお手元の資料の三ページ、四ページに、間もなく全国会議員の皆様、関係する省庁に冊子としてお配りさせていただきますが、その中の重点要望、提言をここに二ページにわたって提示させていただいております。

 当会がこの十年余りの間、最も精力的に取り組んだ経営環境改善の活動は、九〇年代後半のバブル崩壊に伴う金融危機への対応でございました。全国の中小企業で貸し渋り、貸し剥がしが横行し、まさしく存亡の危機に直面しました。

 そのとき、当会は、多くの方の助言もいただきながら、アメリカの地域再投資法に学びつつ、仮称でございますが、二〇〇一年に金融アセスメント法の制定を提唱し、国会請願署名を百一万筆、地方議会からの国への意見書決議を一千九議会から提出していただきました。法案そのものは成立をいたしませんでしたけれども、その後、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムがつくられるなど、中小企業の金融環境が大幅に改善されたことは皆様御承知のとおりでございます。

 私たちは、この運動を通じまして、金融問題に限らず、中小企業政策の抜本的強化の必要性を強く認識いたしました。EUでは既に二〇〇〇年に小企業憲章を制定しており、その理念は、シンク・スモール・ファースト、どの政策を考える場合もまず中小企業を第一に考えよう。これはすばらしい、これをぜひ日本でも実現しようと、EUに視察団を派遣したり、運動に取り組んで、二〇一〇年には閣議決定を見るに至るわけでございます。

 憲章運動と並行して力を入れてまいりましたのが、各自治体における中小企業振興基本条例の制定でございます。振興条例の先駆けとなったのは、一九七九年の墨田区の条例制定でございます。

 お手元の資料では、五ページ以降に中小企業振興基本条例の制定一覧ということで御紹介をさせていただいております。

 六ページでございますが、特に、二〇一一、一二、一三年、急速に条例が制定されているということがおわかりかと思います。これは何よりも、地域経済の衰退、疲弊に対する危機感が、行政、地方議会、中小企業団体に反映し、条例制定につながっているというふうに考えるわけでございます。

 県別の方をごらんいただきたいわけですが、八ページのずっと下の方でございます。三重県では、つい三月でございますが、三重県中小企業・小規模企業振興条例。小規模企業というのを県レベルでは初めて入れてございます。

 次の九ページでございますが、真ん中あたりに愛媛県がございます。愛媛県では、二〇一三年、東温市中小零細企業振興基本条例を制定してございます。零細企業という名前を入れるのはいかがなものかということで、一緒に運動されました金融機関の皆さんはちょっとその命名に心配したそうでございますが、当の中小企業家の皆さんは、いや、零細企業なんだから零細企業ということをもっと認識していただこうということで、こういう命名にしたと伺っております。

 一番下の沖縄でございます。沖縄も、昨年、名護市中小企業・小規模企業振興基本条例、こういうふうになってきておりまして、自治体においても従来以上に小規模企業施策に重点を置こうという姿勢のあらわれであろうというふうに思うわけでございます。

 次に、今回の小規模企業振興基本法案について、三点、意見を申し上げたいと思います。

 第一は、要綱の「第一 総則」の「六 地方公共団体の責務」のところでございます。

 小規模企業の振興に関して、地方公共団体の責務を、国との適切な役割分担を踏まえて、その区域の諸条件を生かした施策の展開をうたっているわけでございまして、これは中小企業基本法第六条「地方公共団体の責務」と一致するものです。今回の法案ではさらに踏み込みまして、小規模企業の地域社会への貢献を地域住民の理解を深めるよう努めるとしておりますのは、大きな前進と考えるわけでございます。

 そのためにも、地方公共団体が日常的に、地元小規模企業の実情を統計的にも、具体的な企業内容も把握しておくことが必要であろうというふうに思うわけでございます。私どもは、振興条例を制定するとき、できれば自治体に全事業所の悉皆調査を大学等と協力してやってもらえないかという提案もしているところでございます。

 東日本大震災のときにも、行政が地元の企業の実情をよく把握しているところは、生活必需品の在庫をどこが緊急放出できるのか、また復旧工事も地元企業にどれくらいこなせる実力があるのか、これを即座に行政が判断できるわけでございます。

 そうした意味でも、この案文に、地元企業の実情を総合的、具体的に掌握する責務というものを挿入していただけないかということでございます。

 第二は、「第三 小規模企業の振興に関する基本的施策」の「三 小規模企業の創業の促進及び小規模企業者の事業の承継又は廃止の円滑化」のところでございます。

 ここでは、小規模企業の創業促進のため、情報の提供、研修の充実、資金の円滑な供給等を国の責任として挙げております。そのとおりでありますけれども、ここでも、地元で密着度の高い地方公共団体の役割について踏み込んではどうかと思うわけでございます。

 同友会では、多くの同友会に青年部が設けられて、ほぼ同じ世代の青年が交流し、学び合ってございます。お手元の資料の中で、昨年東京で開かれました青年経営者全国交流会、これは一千名を超える大変なにぎわいだったわけでございますが、その報告集を配付させていただいております。

 十六の分科会で青年経営者が報告をしているわけでございますけれども、この十六人の報告者の内訳を見ますと、後継者、二代目、三代目の方が九人、創業者が七人となっているわけでございます。

 ここで創業者について見ますと、皆さん法人化しているわけですが、会社設立が一番古い方で一九九八年、社歴十五年、一番新しい方は二〇〇九年、社歴四年でございます。これから事業をどう維持し発展させるかということで懸命に頑張っているわけで、ここのフォローというのが大変大事だと考えるわけでございます。

 もう一つは、女性経営者の集いでございます。これは来月に熊本で開かれる女性経営者の全国交流会のチラシでございまして、どこで開かれるか一目瞭然というつくりになっております。私どもの会員は女性経営者が毎年ふえてきておりまして、現在は会員数の一割をほとんどの同友会が超えております。各地に女性部を設けているわけでございますが、現在、県レベルで女性経営者の創業支援に取り組むところがふえてきております。

 埼玉県の例でございますけれども、以前から女性起業家支援に県は取り組んでおりまして、そこに埼玉同友会の女性部が常時協力体制をとっております。県は、専門家によるセミナー、助言とあわせて、現場の女性経営者の体験談、これは受講される起業を目指す女性の皆さんに非常に参考になっているわけでございます。

 したがいまして、あすを担う青年経営者、そしてどんどん力を発揮していただきたい女性経営者の創業支援、促進に地方自治体がシステム化して取り組む、そこに地元の企業家の力をかりることにもっと熱心であっていただきたいなというように考えます。

 第三に、法案の「四 小規模企業に必要な人材の育成及び確保」についてでございます。

 企業は人なり。まさに経営者とともに育ち合う職場環境がどう整うかが、企業の発展、成長のかなめでございます。中小企業憲章の「三 行動指針」の二に、「人材の育成・確保を支援する」というのがございまして、「人材が大企業信仰にとらわれないよう、各学校段階を通じて健全な勤労観や職業観を形成する教育を充実する。」と学校教育の重要性に言及しております。

 同友会では、共同で採用活動を行う共同求人活動を通して高校、大学などとの交流を深めており、そこで地元企業への認識を広げる努力を続けているところでございます。

 徳島県の同友会の例でございます。ここは、一年前に同友会、徳島県、県教育委員会の三者が連携協定を結び、若い人材が地元に残ることを目指す取り組みを進めてございます。

 その第一弾でございますが、今春、県で採用された小中高の教員百四十名の方の職場実地研修を七月、八月の夏休みに行うそうです。そこには同友会の会員企業四十社が参加して、企業ごとに先生方のカリキュラムを組み、丸二日間、新任の教員をお預かりして、中小企業の職場体験をしていただく、こういう試みを県と協力してやっているわけでございます。こういう試みがもっと広がるよう、この項目は、学校教育へのかかわりをぜひ入れていただきたいと思います。

 最後に、お配りした資料の一番最後の十ページでございますが、中小企業憲章の国会決議のお願いでございます。

 冒頭に申し上げましたとおり、閣議決定していただき、政府は中小企業の経済的、社会的役割を正確に位置づけ、この理念のもとで中小企業のさまざまな施策を進めることを約束していただきました。まさに画期的なことと感謝しております。

 私たちは、この内容を国民自身が認めることによって、中小企業、小規模企業の経済的、社会的役割を認識し、日本社会におけるまさに誇るべき存在として国民の皆さんが認識し、そう位置づける、そのためには、立法府における決議、国会決議を強く願う次第でございます。よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、中嶋参考人にお願いいたします。

中嶋参考人 板橋区立企業活性化センターの中嶋と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は、資料をお手元にお配りしたと思いますが、そのレジュメに沿って御説明をさせていただきたいと思います。

 私ども企業活性化センターは、中小企業をお助けする立場、支援する立場から、きょうはいろいろな御意見を申し上げたいなというふうに考えております。

 まず、最後のところに雑誌のコピーと新聞記事がございます。実は、その雑誌の記事にちょうど昨年の今ごろ出まして、それでなぜか全国的に有名になってきたという板橋モデルという形で、中小企業をしっかりと支える板橋モデルが今回注目されているわけです。きょうはその辺の説明をさせていただきたいなと思います。また後ほどじっくり見ていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、レジュメに戻りまして、二ページから御説明させていただきます。

 まず最初に、中小企業を救う板橋モデルというところでございますが、私ども板橋区では、二〇〇九年から、経営に困って悩んでいる経営者をより具体的に支援していくために、中小企業の再生を目的とした経営改善チームを立ち上げております。今までの行政機関でやっていないこと、できなかったことにチャレンジしているところでございます。ここが一つ、きょうの一番のポイントでございます。

 今、二百五十社以上御相談に来ている、困っている経営者の悩みというものを抜粋しました。

 経営不振に陥っている経営者が相談する場所がないということが一番大きいです。孤独でございます。社員にも話せない、家族にも話せない、そういった経営者がたくさんいらっしゃいます。

 続きまして、自治体にも相談窓口があるんですが門前払いされる、これはちょっと言い方、表現は余りよくないんですが、難しい案件を相談に行っても断られます。特に、資金繰りが悪化していたり、資金調達が困難な場合は、そこまでで帰っていただくというパターンが非常に多うございます。

 続きまして、金融機関に本音で話せない、これは、経営者の誤解もあるんですが、やはり債権者と債務者の関係というのが実は深くありまして、実態を話すと取引を切られるのではないかとおそれをお持ちの経営者が多うございます。

 一番問題なのは、経営者自身が財務知識に疎く、金融機関に行くのが怖い、経験が乏しい、そういう経営者が非常に多うございます。ただし、光るものは必ずございます。過去の成功体験もございます。

 特に中小企業、小規模事業者の問題ですが、人員の関係や、能力的な問題で、企業単独ではいろいろな計画がつくれないという会社がほとんどでございます。

 また一方で、経営努力が足りない中小企業、いい会社の場合には本当に経営努力をしているんですが、実際にはどうしてよいかわからないという現実もございます。

 ほとんどの経営者が、仕事が忙しいとか、リストラをやったりいろいろなことの痛みを伴うのは嫌だという意識が非常に多くて、問題を先送りしている現実もございます。私ども経営改善チームは、この問題点を指摘しまして、道筋を明らかにしてあげようと、経営者の覚悟づくり、よき相談相手になることを目標にして活動しております。

 次のページに行きます。

 板橋区の宣伝になりますが、我々活性化センターは板橋区の産業経済部の所管でございまして、中小企業の皆様の経営相談システムというのは非常にうまくできております。これは、うちの区長の全国ナンバーワンを目指すという宣言のもとでやっております。

 左下の矢印の上のところなんですが、うちの区役所に経営相談窓口というのがございます。ここには診断士が常駐しておりまして、いろいろな経営相談、融資相談をやっております。右側に行きまして、区役所の同じフロアに産業振興公社というのがございます。ここは、プラットホームの代表機関をやったり、いろいろな事業もやっている。

 今まではそこまででございました。どこの自治体に行ってもここまでは多分あると思うんですけれども、先ほど申し上げました、本当に経営不振に陥った企業さんが相談する場所がなかった。今までお帰しをしていたんですが、それが、一番左下に私どもの企業活性化センターというのがございます、ここに来るのが経営不振に陥っている企業さん、全部私どもに来ます。

 続きまして、次のページに行きまして、経営改善チームの紹介という形で簡単に御説明させていただきます。

 二〇〇九年四月というのはリーマン・ショックのときでございまして、百年に一度の経済危機と言われて、私どもが緊急経済対策の一環として始めた事業でございます。

 中小零細企業の悩みに応える経営改善チームという形の中で、一番から十一番まで、何でも相談を受けています。特に三番、計画がつくれない、四番、相談する場所がない、あっても門前払いという先ほど申し上げたところについて、重点的に私どもは御支援しています。

 経営改善チームの特徴でございますが、どんなに悪い状況の企業でも御支援します。今月の手形が落ちない、そういった企業さんでも積極的に御支援しています。ただし、経営者の合意と覚悟が条件になりまして、後で説明しますが、弁護士先生も五、六人いますし、最悪、だめな場合もございますので、ソフトランディングできるような御支援をしております。

 それから、土日、祭日、夜間の相談にも対応しています。予約制でございます。金融機関へも一緒に行きます、同行いたします。資金繰り表、経営改善計画など計画書も一緒につくります。ネットワーク登録専門員の相談を全て無料でやっております。完成するまでのモニタリング体制ができております。

 それから、これが大きいんですが、区内の全金融機関との連絡網が構築されていまして、板橋区では三十二支店ございますが、全ての銀行を回りまして、支店長それから融資担当者との連絡網ができております。関東財務局、経済産業局、最近では中小企業庁さん、金融庁さんも協力いただきまして、定期的な勉強会を開催しています。現在、二百十社の経営改善策を支援しております。

 次のページに行きまして、経営改善チームの実績というところでございます。

 これはことしの三月現在のデータでございますが、今、板橋区内で二百十社、その他区外から三十社が来ております。先ほどお見せしました雑誌に出ておりましたので、見たお客様が、区外のお客様もたくさんいらっしゃるというものですから、できるだけ断らないでやっております。

 あとは、回数と実績でございまして、分類のところでございますが、正常先から清算と書いてございますが、これは金融機関の言っているいわゆる分類ではなくて、活性化センターに来ているお客様の分析をした結果です。正常先が六十六社で、厳しい状況が七十一社、私どもはリスケの予備軍と申し上げて、リスケという言い方はまた後で御説明いたしますが、まだリスケしていないんですけれども資金調達が困難な企業が七十一社ございます。それから、リスケ中、実際にリスケしている企業が五十社、代位弁済が二社、残念ながら清算した会社が二十社という形になってございます。

 次に行きまして、経営改善計画の進め方という形です。

 これは、全ての案件がケース・バイ・ケースということで進めておりまして、どんなに悪い状況の企業でも断らないでやる、何とかなります、手おくれはないという精神でやっております。よく、もっと早く来ればいいのにという言い方をするんですが、全く私どもはそういうことはありません。今だからこそ、できることがたくさんございますので、やっております。それから、公的機関の事業再生支援というのは公平性と公明性が大切、当然でございます。それから、金融機関では限界がある事柄も支援可能になる、債権者と債務者の立場を超える。例えば、もちろん役員報酬は削りましょうとか、大変申しわけないけれどもリストラをやりましょうとか、資材を売却しましょうとか、そういったことも積極的に、会社を残すためにはやっておる現状でございます。

 やり方としましては、こういった感じで大体二、三回ヒアリングをやりまして、問題点を把握して、資金繰りを確認して、優先順位を決めていくという形です。特にここでは、経営者の皆さんに全て正直にお答えいただくようにしています。最初はやはりうそをついている経営者の方が多いんですけれども、二回、三回やっていくと本音が出てくる。そうすると、気が楽になってきて信頼関係が構築できる、そういうやり方で進めております。

 実は、ヒアリングからデューデリ、金融機関に同行する、こういった人材が今非常に不足していると思われます。全国的に育てていく必要があろうかと思って、今、私ども板橋区でも今度養成学校をつくってやるような形で考えていますので、こういうやり方を、全国の支援機関でもぜひ板橋モデルを取り入れてほしいなというふうに思っております。

 困っている企業を助ける任務というのは、その気になれば簡単なことなんです。私自身も別に資格を持っているわけではございません。ただ、何件かやっていくうちになれていきまして、だんだんスキルが身についていくということで、ここまでやるのは無理だとか、責任がとれない心配、そういった形で避けているのが現状ではないかと思いますので、この辺をできるだけ変えていくような姿勢が望ましいというふうに考えております。

 次のページは、ちょっと時間が余りないので、リスケについてはもう先生方が御存じのとおり、今円滑化法が切れた中で、今まで一年間継続してずっと頑張ってきている中小企業が非常に多いんですが、これからはやはりある程度いろいろな、廃業がふえたり、そういう形が出てくるだろうと思われます。そこでは、リスケをやっている企業をどうやって助けるかというところも大切な問題ではないかなというふうに考えてございます。

 最後に行きまして、本日のテーマというところです。

 全国を見まして、先ほどもお話がありましたけれども、経営不振の企業がたくさんございます。今後ますます増加するというのは、やはり信用保証協会も今なかなか厳しくなってきている状況でございまして、そこでは、新たな資金調達が難しくなるということ、またリスケ企業がふえてくるというような形も考えられます。この辺の対策が一番必要だ。

 二番目に、創業の促進について、重点施策で、私も大切だと思っていますが、失敗者が多いのも物すごい現実です。私どもも千五百人ぐらいの創業者の支援をやりましたけれども、かなり失敗する危険があります。ですから、安易な創業を勧めない、できるだけ準備期間をしっかりとって、自己資金もためた上でやりなさいというふうに指導しています。それと、なおかつ継続的な支援が非常に大切で、活性化センターでも、九年以上、創業者を支援している体制になっております。

 また、創業も大切ですが、廃業させないような支援策も重要だというふうに考えていまして、長年培ってきた実績と、社員を含めた貴重な経営資源を守ろうとしている経営者の皆さんをやはり支えていかなきゃいけないんだという形で板橋は頑張っております。

 最後になりますが、よろず支援拠点に期待しております。実は、私どももよろずの全国本部に今度入ることになりまして、全国に板橋モデルあるいは富士市の小出さんのモデル、これらを進めていくという形の中で、新しい支援策をどんどん取り入れていくような形でお役に立ちたいなというふうに考えてございます。

 特に、下の5でございます。ABL、MアンドA、第二会社方式とか転廃業、これは避けられません。ここら辺をやはり新しい施策ということで研究して、実際に廃業するのを避けられないお客さんのために、ソフトランディングできるようなやり方でこれから役に立っていきたいなというふうに考えております。

 時間になりましたので、これで私の説明を終わります。ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、諏訪参考人にお願いいたします。

諏訪参考人 ダイヤ精機株式会社の諏訪と申します。大田区の町工場の二代目となります。

 今回は、このような発言の場を設けていただき、深く感謝申し上げます。

 基本法、支援法の一部改正においては、小規模企業、小企業の枠組みを明確にすることにより、企業規模に応じた支援が期待できると考えております。

 今回は、なぜ支援が必要なのかということ、中小企業を含めた小規模企業の現状、そして問題点と課題についてお話をさせていただきたいと思います。

 資料がお手元にあると思います。

 まず、一ページ目。ダイヤ精機の紹介をさせてください。

 一番上の左端の写真なんですけれども、職人さんの写真でございます。その道四十年以上の職人さんでございまして、鉄を一ミクロン単位で手で磨き上げております。これは、日本の終身雇用制が生んだ日本の技術、先輩方がつくり上げた技術だというふうに私は思っております。二〇〇九年のリーマン・ショックのときに、我々の協力メーカーさん、三名から五名の会社さんが次々と廃業されました。そこの技術を守るために、当社では受け入れも行いました。この技術を後世に残すことが我々の今の使命であるというふうに考えております。

 また、真ん中の写真ですけれども、やはり、石垣に例えるように、大きな石と小さな石があって強い石垣ができるのと同じように、企業も、大きな企業と小さな企業がそれぞれの役割を果たすからこそ強い技術が生まれてきたというふうに感じております。当社では、ザ・町工場を目指そうということで、小さな企業の役割をしっかり果たしていきたいと思っています。

 当社の製品については、自動車業界の部品を測定する精密加工を行っております。精度として一番厳しいものですと、プラス・マイナス一ミクロンの単位で磨きをかけております。日本の車の技術を支えてきたという誇りを持って仕事をしております。

 二ページ目をお願いします。

 大田区のものづくり、こちらは有名でございますが、昭和五十八年には九千百九十社ございました。現在は四千社を割り込んでおります。やはり、創業者の高齢化と先行き不安からの廃業が特に目立っております。ただ、四千社を割り込んだ状況においても、集積地としての機能は失われていないと思っております。しかし、この状況が続きますと、日本でのものづくり自体が危機的状況になるという懸念をしております。

 また、日本国内の仕事についてなんですけれども、十年前と比べ、かなり変化を起こしております。大手企業のグローバル化による現地調達化が進みまして、国内に残る仕事というのは、高付加価値製品と呼ばれる仕事でございます。これは大変リスクが高い商品となっております。こちらに書いてありますように、製品精度が高い、ライバル企業が少ない、ノウハウが必要。やはり、製品が変わっていくと、対応設備も変えていかなければなりません。ただ、小規模企業となりますと、体力がないためにそこにまだ追随できていないのが現状でございます。

 また、中堅企業と大手企業のかかわりについても変化を起こしております。以前は、大手企業のティア1、一次下請というものはメーカーが多数を占めておりました。協力会なども存在し、ともに成長していこうという構図が見られました。しかし、リーマン・ショック以降、そこに元請制というものが導入されまして、やはり価格競争が激化しております。

 三ページ目をお願いします。

 また、前記でも触れたように、現在では情報の流れが一方通行となっております。我々がメーカー様、お客様から情報を得るというのは非常に困難になっております。この情報の一方通行とピラミッドの崩壊により、やはり先が読めないという状況が生まれてきているものだと思います。

 大田区は、町工場とよく言われるんですけれども、シティーの町ではなくて、ウエートの待ち工場というふうな言い方がされます。ただ、そういう状況ですと今後生き残っていけませんので、ここでも改革が必要だというふうに感じております。

 また、考えるものづくりを実践するためにというふうに書いてありますけれども、高度成長期は物をつくれば売れた時代でございました。しかし、現状は、客先の目線に立って、コスト、品質、納期を念頭に入れ、客先目線で考えるものづくりを実践しなければ生き残れません。当社では、二〇〇四年から七年、そこに追随するために三年の改革を行いました。ただ、小規模企業さんはそういうノウハウを持ち合わせていませんので、こういったところの支援も必要かと思われます。

 また、当社では、ダイヤ会、それこそ小規模企業の連携を持っております。製造業、小さい企業ですと、社長さんも一人の工数として働いている場合が多いです。そこの営業業務の負荷の軽減ですとか、技術交流、後継者育成支援などを行っております。また、価格競争を起こさせないために、単一工程であること、競合しないことを条件として、ダイヤ会を構成しております。

 四ページ目をお願いします。

 また、人材育成についてもお話しさせていただきたいと思います。

 二〇〇四年から私は代表になりまして、二〇〇八年から、後世に残すためにということで、人材確保と育成というプロジェクトを立ち上げました。ただ、当社も中小企業ですので、全く人気のない企業でした。そこで、プロジェクトチームを立ち上げて対応をいたしました。その結果、応募数がふえまして、優秀な若い人材を得ることができました。

 人材育成に関してもそうです。未経験者からダイヤ精機プログラムで人材にしていこうというプログラムを立ち上げました。

 人材育成に関しても確保もそうなんですけれども、やはりここにもノウハウが必要でございます。現在、就労支援という形で未就労者の支援は盛んに行われていると思います。しかしながら、採用する企業にもノウハウが必要でございます。現場レベルでのミスマッチを解消するためにも、小規模企業の支援が必要であるというふうに考えております。

 また、二〇〇八年より取り組んだ人材確保と育成の経験から、どのような人材が財産となり得るのかを分析した結果、技能継承の問題点であるギャップを埋める人材が成長が速いということがわかりました。それはつまり、ヒューマンスキルが高い人間でございました。

 昨年、実験的取り組みとして、ものづくり未経験者でサービス業経験者という基準で三名を採用しております。その結果、彼らの成長は非常に速いことがわかりました。これらに基づき、学校教育の過程から、ヒューマンスキル、自己表現力強化を含む強化をお願いしたいと思っております。

 本当にこれは一部の事例でございまして、小規模企業というものはかなり問題が山積しております。もちろん、各企業の自助努力も必要だと思います、歩み寄りも必要だと思います。しかし、産業構造のこの劇的変化を自助努力だけではどうにもできない状況があることも明白でございます。

 基本法においては、法の改正によってどのような支援策が講じられるのかまだわかりませんが、ぜひ現場目線での支援策と仕組みづくりをお願いしたいと思っております。

 また、支援法に関しては、我々の身近な存在である商工会、商工会議所の役割が非常に重要だというふうに考えております。現状においてもさまざまな支援をしていただいておりますが、さらなる支援をお願い申し上げます。

 日本の技術を守るために、これから一番重要な時期だと思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 以上となります。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより質疑に入ります。

 まず、参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武村展英君。

武村委員 おはようございます。自由民主党の武村展英でございます。

 本日は、参考人の皆様の御意見をお伺いできるということで、大変楽しみにしておりました。短い時間でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、小規模企業基本法案について質問をさせていただきたいと思います。

 この基本法は、小規模企業に光を当て、そして新たな施策の体系を構築するための基本法でございますが、地元では大変期待が大きいものというふうに感じております。その一方で、この法律ができることによって、商売、経営がよくなるのか、こうした声も耳にするわけであります。

 そこで、四人の参考人の皆様に御質問をいたします。この法律が成立した後に、どのような施策が特に必要となるのか。先ほどのお話に含まれているところもございますが、改めてお伺いをいたします。よろしくお願いいたします。

石澤参考人 商工会の立場からお答えをいたしたいと思っております。

 先ほども申し上げましたけれども、この基本法の中に、一つは、地方自治体の責務が明確化されておるということがございます。したがいまして、例えば、法人税の引き下げの特例、小規模へ特例の対応をとっていただきたい。それから、何といいましても、資金繰りのお願いをするために金融機関の支援が必要である。それから、なかなか自分の力で販路開拓できない人のために、国も行政も一緒になって道を開いてやる。それから、特に後継者の対策。後継者を求める小規模企業と、それを望む人たちのマッチングにぜひ強力な支援をしていく。こういうことを通じてフォローをしていきたい、このように考えております。

国吉参考人 私どもの会内でも、一体、自分たちが使える施策って具体的に何があるのかなということに関しましては、そういう施策を経営者自身がある程度ゆとりを持って、さまざまなことを御自身で調べたり、そういう人たちというのは自分でよくつかんでいるんですね。役員クラスなんかも、発言の中で、今、皆さん、すごい中小企業の活用できる支援策が出ているのよ、私のところなんかもこういうものとこういうものを一億だか五千万だか設備投資する、その何%は今の施策を活用すると使えるのよというような話をするわけですね。

 しかし、残念ながら、まだまだ我々の会内でも、へえという話だけで、日ごろの仕事に追われて、施策そのものを調べるとかなんとかというゆとりがやはりないんですね。これは、我々も会内で、できるだけ行政の方をお呼びして勉強会をする。先ほど板橋モデルのお話がございまして、多分、そうした対応はすごく板橋区なんかにはあるんだろう、こう思うんですね。

 ですから、実際に中小企業のさまざまな団体等に分け入っていただく、行政側の積極的な後押しをやっていただけるような、これが施策としては大変期待されるところだというふうに思うわけでございます。

 以上でございます。

中嶋参考人 先ほど申し上げましたが、創業についてはかなり手厚くできていると思いますので、継続支援をしていくということが一つだと思います。

 もう一つは、我々自治体、区ですけれども、東京都と連携をもっと深める、それから商工会ともっと連携を深める、いろいろな支援団体との連携を深めていくこと、これが一番大切ではないかなと思って、まさしく今年度からそれをやっていきたいなというふうに考えております。

 以上です。

諏訪参考人 今までは、中小企業支援といってもどこか遠い国の話であって、どうせ大きな中小企業の支援でしょうというような感覚で我々はいました。ただ、基本法の中でやはり小規模企業というふうな位置づけをしていただくことで、自分たちにも支援の手が回るかもしれないというところは効果が非常に大きいというふうに思います。

 また、どのような支援が必要かというお話なんですけれども、先ほど述べたようにさまざまな支援が必要だと思いますが、やはり現場目線での支援策というのをお願いしたいというふうに思っております。

武村委員 ありがとうございました。

 次の質問に移りたいと思います。石澤参考人にお伺いをいたします。

 今、地元を歩いていまして最も感じますことは、さまざまな前向きの施策も必要だということも感じるんですけれども、それ以前に、公正な取引環境を整備してほしい、そういったことを特に中小事業者の方々からよく耳にしました。

 例えば、小規模企業者の方々は、取引先との力関係が弱い方が多いように思います。運送業を営む事業者の方が燃料代を価格に転嫁できない、そういった事例も聞きますし、先日の消費税増税の際には消費税の増税分を転嫁するための施策がとられたわけですが、裏を返せば、そういった施策をとらなければならないのは、やはり力関係に差があるからではないかというふうに思います。

 この基本法案にそうした公正な取引環境を整備することを明記するかどうかは別といたしまして、公正な取引環境を整備することの重要性についてお伺いをいたします。

石澤参考人 今御指摘になりました、消費税増税に伴う価格転嫁が十分でない、弱い立場がさらに痛めつけられておるという現状は我々も認識をいたしております。

 価格転嫁ができないのは、規模が小さければ小さいほど転嫁できない。恐らくは、今までは六〇%は転嫁できなかったであろう。小さなお店を例にとりますと、消費税分を要求しますと、まけてくれと。いや、それはできないと言えば、お客さんを失う心配がございますので、本来は消費税というのは消費者が負担をすべきものなのでありますが、肩がわりをせざるを得なくなる。また、逆に、仕入れ先からも同じようなことを要請されている。両方から負担をという、非常に不公平な、弱い者がますます痛めつけられるという状況であります。

 我々も、そういう立場で消費税の増税には反対をしてまいりました。それは価格転嫁ができない現状からであります。ヨーロッパのようにかなり歴史があればそれなりの理解がありますけれども、日本ではまだまだそういうことが十分ではありません。

 今、国では転嫁Gメンを設置してそのことに努力をいたしておりますが、私はやはり、国も県も消費税の意味を十分に消費者に知らしめる努力も必要でありますし、我々商工会も指導員を総動員してその運動を展開していく、不公平にならないように努力をしたい、こう思っております。

武村委員 ありがとうございました。

 次に、小規模企業支援法についてお伺いをいたします。

 中嶋参考人にお伺いいたします。

 センター長を務めておられます板橋区立企業活性化センターは、創業支援そして経営改善支援について徹底的なサポートをされています。相談者と銀行へも同行され、計画書も一緒に作成されるというお話がございました。この法律が目指す商工会、商工会議所、まさにそのモデル、理想形ではないかなというふうに思うところでございます。

 現在、国では認定支援機関という制度もありますが、金融機関であれば、融資の業務の範囲内でしか、なかなか時間もとれませんし、サポートを徹底的に行うのは難しいだろうというふうに思います。また、専門家、税理士、中小企業診断士、そういう方を活用しようとした場合には、やはりコンサル料がかかってまいりますので、小規模事業者の方が多額のコンサル料を払って支援を受けるというのは、現実問題、なかなか厳しいのではないかなというふうに思います。

 そういう意味では、今回の法律の中で、商工会そして商工会議所を中核として伴走型の支援をしていくというのは、まさにすばらしい方向性ではないかなというふうに思います。

 そこで、お聞きをいたします。商工会や商工会議所を中核として小規模企業を支援していく上で、今後さらに必要となってくる施策についてどのようにお考えになっておられますか。お聞きをいたします。

中嶋参考人 認定支援機関とかいろいろな施策がたくさんあるんですけれども、そろそろまとめていく時期だと思うんですね。

 今回の法案が通ることによって、よろずとかが始まりますと、やはり総合的に、うまく組み合わせ、マッチングができるというふうに考えていますので、先ほど申し上げましたが、いろいろな支援機関との連携も含めて、認定支援機関の先生、いろいろな先生もうまく使っていく、それには経営改善のいろいろな、策定支援事業を使うとか、個人事業主の皆さんが負担にならないような形の施策もありますので、そういうものをどんどん利用していくことができるようになっていると思います。

武村委員 ありがとうございました。

 最後になりますが、産業の新陳代謝という観点からは、創業のためだけの支援ではなくて、廃業を円滑に行う施策も必要であるというふうに考えます。

 そこで、中嶋参考人にお伺いをいたします。再チャレンジを見据えた上で、廃業に当たってどのような支援策が必要になってくるか、お考えをお伺いいたします。

中嶋参考人 原則的には、最初から廃業ありきということは全くあり得ない話で、残るところは残っていただきたい。ただ、どうしても年齢の問題でやめていかなきゃいけない場合も出てきます。そういう場合に、ある程度、先ほど申し上げましたMアンドAとか事業譲渡を含めてソフトランディングできるような体制をつくっていくという形ですから、そこにはきめ細かな対応が必要で、全部ケース・バイ・ケースになってくると思いますので、やはり支援機関の役割が重要になってくるというふうに感じます。

武村委員 貴重な御意見をありがとうございました。これで……(石澤参考人「よろしいですか。質問にお答えしたいことがあるんですが」と呼ぶ)

富田委員長 それでは、石澤参考人。

石澤参考人 今度、経営支援機関の認定を受けました。ただ、商工会に果たしてその能力があるのか、相談業務をどれほど受けているのかというようなことをおっしゃる方もおいでになります。確かに、金融機関のように高度な技術を持ち、また経験を持つ人から比べますと、その点は甚だ問題がありまして、金融機関の方に御相談に行かれるケースが出てくると思います。

 しかし、基本的には、それは有料にもつながり、我々は無料で、会員であろうとなかろうと相談を受けております。特に、何かありますとまず商工会に行って相談をしよう、そこで出てきた相談について、指導員は、これが自分でやれるか、やれなければ上部の専門指導員につなぐか、あるいは金融機関にもつなぐという役割があります。

 これは、私は、商工会のはだしの医者と申しますか、大病院へ行く前に相談を受けて指導する、それも商工会の役割だと。むしろ、地元に根差した役割としては大きなものがある。しかし、それに満足しているわけではありません。もっと早くそれに応えられる技術を身につけるために資質向上に全力を尽くしたい、こう思っております。

武村委員 これで質問を終わらせていただきます。貴重な御意見をありがとうございました。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、御多用な中、四名の参考人の皆様に本委員会までお出ましいただき、貴重な御意見を賜りましたこと、心より感謝と御礼を申し上げます。

 今、武村委員から幾つか質問がございました。最後に答弁に立っていただきました石澤参考人にまず初めに、ちょっと私も順番を変更して、先ほど答弁いただいた内容に関連してお伺いしたいと思います。

 石澤参考人は、先ほども少し、商工会、商工会議所の経営指導員の巡回指導を徹底して行っていかないといけない、こういうようなものが大切だというふうにおっしゃっております。ただ、先ほど商工会、商工会議所に相談に来られる方もたくさんいるということでおっしゃいましたけれども、帝国データバンクの企業アンケートによりますと、経営課題の相談相手として商工会、商工会議所を挙げる回答は一割にも満たないというような結果が出ております。また、一部の経営指導員ですけれども、その中には、経営相談を受けても、商売経験もない自分たちが適切な相談なんてできないというような方もいらっしゃいます。

 核となる経営指導員というのをいかに育てていくかというのが非常に重要な課題になってくると思います。私も地元は大阪でして、いろいろと回っても、今、人件費の関係で、なかなか新たな経営指導員を雇っていくこともできないというような声も聞きます。また、だから若手の経営指導員を採用できないというような声も聞いております。

 今後、いかに核となる経営指導員を育成していくか、また確保していくかということが重要になると思いますけれども、これについてのお考えを石澤参考人にお伺いしたいと思います。

石澤参考人 今ほど委員から、相談を受けている商工会、商工会議所は一割程度ではないかという帝国データバンクの資料もお話しになりました。しかし、それは約七百社を対象にしたものでありまして、都市部が中心であります。郡部におきましては、税理士だとか会計士などがいない地域、あるいは金融機関もない地域がありますので、そういう地域の人たちはとりあえず商工会へ相談に来ておるというケースがあるわけです。特に、我々商工会の調査によりますと、資金繰りの相談の割合は六九%に上っておる、このような報告も実はございます。

 それで、今ほどお話しになりましたように、指導員が徹底して巡回をする、そのことが今、商工会が抱えております試練を乗り越える、私にとりましては唯一の解決策ではないか。

 事実、先ほどもお話がありました沖縄県が、ここ三年間、会員が五百名ずつ増加しております。どうして増加したかというと、一にかかって徹底した巡回訪問でありまして、会員であっても、会員でない人にも、こういう資金繰りの方法がありますよ、融資の方法がありますよと、今まで恥ずかしながら十分それが徹底しておらなかったことを足まめにお話をして、それなら入ろうという会員がふえました。また、岐阜県のある商工会では、合併した商工会でありますけれども、支所を廃止して指導員を一カ所に集めて、徹底した専門的な指導員をフル活用したという例もございます。

 今、我々は、すぐ二年、三年で効果の出るものではありませんけれども、資質向上の、経営支援マネジャー制度、いわゆる中小企業診断士に準ずる資格を取らせるように実はいたしております。その中で特にすぐれた指導員をカリスマ指導員といたしまして、そういう若い人たちを育てていって、早急に対応できるように頑張りたいと思っております。

國重委員 ありがとうございました。

 今、人材育成ということでおっしゃっていただきました。育てて、また彼らにも、やりがいというか、やった成果として、事後評価、頑張った人には評価をするというようなこともまた張り合いとして大事になってくるかなと思いますので、政府また国会議員一体となって、しっかりそういうことも推し進めてまいりたいと思います。

 次に、中嶋参考人と諏訪参考人にお伺いします。

 今回の小規模企業振興基本法案というのは、これまでの中小企業支援策とまたちょっと一線を画して、製造業その他であれば二十人以下、商業、サービス業であれば五人以下の小さな、小規模企業に光を当てる、そこを基本に据えた初めての基本法になります。

 先ほど来、諏訪参考人も現場目線でということでおっしゃっておりました。中嶋参考人も、御自身が一度、会社の倒産、自己破産という経験を経て、また今、企業支援として活躍されている。非常に皆さんの希望になる御活躍をされていると思いますけれども、小規模企業の、今の現場目線で、どのような課題のポイントがあって、どのような支援を彼らが必要としているのか。単なる中小企業の支援ではなくて、特に小規模企業に特化したものとして、感じられていること、どういう支援が必要だと考えているか。これについてお伺いしたいと思います。

中嶋参考人 お答えします。

 私どもでは、個人事業主の皆さんはたくさんいらっしゃいます、商店の皆さんもおります。中小企業から小規模事業者を分けては考えていません。例えば、創業した場合には、もっと大きな会社を目指す場合もありますので、余りそこで縛っては考えていません、現実には。

 ただ、いろいろな意味で悩んでいることは事実でございますので、そこに、何回も繰り返しになりますが、ケース・バイ・ケースですので、やはりお客様と同じ目線で相談を受けるという姿勢が必要ではないかなというふうに考えます。

諏訪参考人 小規模企業の目線ということでお答えさせていただくと、まず一例なんですけれども、本当に国としても我々企業のことを思っていただいて、ものづくり補助金とかを設定していただいて、支援をしていただいたんですけれども、そこの申請書、今回も、これだと枚数が多い、もっと簡単にということで、枚数を減らすという形で対応をしていただいたんですけれども、実は、簡素化していただきたいというのはそういうところではなくて、枚数が多くてもいいんですが、その内容自体が、この事業の目的は、この事業の概要はというふうに書かれてしまうと、やはり、小規模企業の経営者さんは論文だとかを書いた経験がありませんので、それを見た時点で諦めてしまうというところが多々ありました。

 なので、アンケートのように、誰でも設問に答えていけば申請書ができるだとか、自分たちの事業の目的は本当は何なのかと、逆に経営者も勉強できるような申請書のあり方だったりだとか、そういったところで、声を聞いていただけるのは大変ありがたいんですけれども、現場目線をもっと受け入れていただけたら幸いだなと思っております。

國重委員 ありがとうございました。

 非常に参考になる御意見を頂戴したと思います。私もしっかりと、またこれも政府に申していきたいと思います。

 続きまして、中嶋参考人が今後期待するというようなものとして、よろず支援拠点がございますけれども、これが六月二日から全国で、まず六月二日に四十拠点が開設されまして、その後順次開設されることになっております。このよろず支援拠点も、先ほどお話しいただきました板橋モデルも一つの参考になっております。このよろず支援拠点、これからスタートすることになりますけれども、私はこれが非常に重要になると思いますし、期待もしております。このよろず支援拠点が成果を上げるための重要なポイント、中嶋参考人はどこにあるとお考えでしょうか。お伺いいたします。

中嶋参考人 お答えします。

 今回、コーディネーターの皆さんとアシスタントの皆さんが各地域に入るわけですね。その人たちがいかに県内あるいは道内のネットワークをつくるかということが大切だと思います。板橋モデルとか小出モデルというのは一つの手法でございますけれども、やはり地域によってまた違う問題もあろうかと思いますので、その人たちが掘り下げて、なおかつ金融機関のネットワーク、あるいは先ほど申し上げましたいろいろな支援機関の皆さんとの連合を、まず体制をつくることが一番だと思います。

 細かなスキルについては、例えば板橋モデルを少しずつ覚えていってもらう形になろうかと思いますので、まず協力体制をつくる、特に拠点が中心になってうまく体制をつくることが一番最初に必要なことではないかというふうに思います。

國重委員 ありがとうございました。

 昨年十月に我が党公明党の経済産業部会で、静岡県富士市にある市産業支援センターエフビズ、先ほども中嶋参考人のお話の中でも出てきましたエフビズですね、そこの小出宗昭センター長とお話をしてまいりました。視察もさせていただいて、るるお話を伺いました。その中で、今、国にさまざまな中小企業の支援策がある、ほぼ完璧と言っていいほどさまざまなものができている、ただ、それでも思ったような結果が出ない最大の原因というのは何なのかということでおっしゃられていたのが、成果の出せる人材不足なんだというようなことでした。

 先ほど中嶋参考人も、全国でいかに人材を育てていくかということが非常に重要なんだということをおっしゃられましたけれども、人材育成についてはどのように取り組んでいけばその実効性が上がるとお考えか、お伺いします。

中嶋参考人 診断士さんとか税理士さんとか、認定支援機関の皆さんもそうなんですけれども、やはり商売も考えていかなきゃなかなか伸びないと思うんですね。

 ですから、ボランティアではなかなかできない部分がありますので、いろいろな施策の中で、ミラサポですとか経営者の無料派遣とか、板橋区でもございますけれども、そういうところでスキルを身につけていただいて、できれば、先ほど申し上げましたように、資金繰りがわかって、銀行にも同行できて、経営改善もできるような人であれば、会社に顧問として入ることも可能だと思うんですね、税理士さん以外に、例えば月二万でも三万でも。そういったような可能性を秘めていると思うんです。

 ですから、そういった方向で全国的に、こういう形の支援が必要ですよ、それができる方を求めていくことがいいのではないかなというふうに考えます。

國重委員 ありがとうございました。

 私も、一昨年に初当選するまで弁護士としてさまざまな相談を受けてきました。特に小規模企業の皆さんが非常に多くて、雑多な相談を受けておりました。

 また、きょうは四名の参考人の皆様にお越しいただきましたけれども、きょうだけではなくて、また今後もさまざまな御指導を賜りまして、私も、しっかりと小規模企業に光を当てる、元気にするように政策を打ち込んでいけるよう頑張ってまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 本日は、本当にありがとうございました。

富田委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 おはようございます。民主党の岸本周平でございます。

 本日は、四人の参考人の先生方、本当にありがとうございます。お忙しい中、貴重な御意見を聞かせていただきましたし、また質疑にもお答えいただきまして、感謝申し上げたいと思います。

 早速なんですけれども、まず国吉参考人にお聞きしたいんです。

 中小企業憲章について積極的にお取り組みをいただいております。いただいた資料の最後にも、国会決議を目指そうということをおっしゃっていただいております。私は民主党でございますので、民主党政権時代にできた憲章でもありますが、党派は関係なくこの委員会で総意として国会決議を目指すということは確かに私どもは思っておるんですけれども、ぜひ委員長の御指導をいただきながら国会決議を目指していきたいと思います。

 そこで、国吉参考人にお聞きしたいんです。

 この中小企業憲章が出まして、国吉さんが所属される中小企業家同友会全国協議会、あるいは地方の同友会の皆様、中小企業の経営者の皆さんにとって、どういう意味を持たれているのか。そして、なぜ国吉さんのところではこの中小企業憲章の推進を図られているのか。お答えをいただきたいと思います。

国吉参考人 私どもも、基本の理念としては日本の経済を支える、数字の上であらわしましても、企業の九九%は中小企業であり、働く人たちの七割以上が中小企業である。ですから、中小企業というのは日本経済の欠かせない重要な柱なんだという認識を我々の組織としては持っているわけでございます。

 しかし、現実に企業経営を行っておられる方、会社の社員の皆さん、そして一般社会の人たちを含めまして、この中小企業というのはある意味では空気みたいな存在でございまして、ふだんの生活の中でその存在価値とかありがたみというのはほとんど認識しないでいらっしゃるというのが、やはり日本のこれまでの現実ではなかったのかなと思うわけでございます。

 本当に恥ずかしながら、私も大学を卒業させていただいたわけでございますけれども、大学時代に自分の将来ということを考えたときに、中小企業にかかわる仕事とか中小企業に入社するというようなことは一切考えたことはなかったですね。どういう人生のめぐり合わせか、今はこうして中小企業なくしてはということで、使命感を持ってやらせていただいているわけでございますけれども。

 これは、日本の近代化の中でつくられた、まさに官主導型で日本の経済を主導していく、官はその主導する大手さんにどんどんお金も人材も投入していくということです。ですから、官民一体で大きなところ。そうしますと、中小企業に対して目を向けるゆとりもやはりなかったんだろうなということと同時に、それは国民の意識の中で根強くいわば醸成されてきているというふうに思うわけでございます。

 これはやはり、欧米における中小企業及び企業家になっていくということの価値意識とは格段に違うわけでございます。ですから、一億二千万の国民の人たちの認識をどうやって、中小企業の大切さ、そして何といいましても働くことを通じて人間は成長するわけでございますから、とりわけ教育機関等を通じて人間が育つ中で、別に中小企業だけでなくてももちろんいいわけで、農林漁業、第一次産業、もちろん大企業も公務員のお仕事も全て大事なわけでございますけれども、そうしたいわばバランスのとれた感覚の中での勤労観、職業観というものを社会全体で醸成していくことがやはり大事ではないかということです。

 私どもも、これは専門家の皆さんを前にして失礼かもしれませんけれども、閣議決定というのは、政府がこれをやっていきますよと、大変ありがたいことです。国会で、国民の総意で決めていくということは、主語が国民になるという認識でございます。つまり、国民が中小企業をこう考えてやっていくんだということを認識していただくというふうに考えておりまして、したがって、要望を掲げているところでございます。

 ありがとうございました。

岸本委員 ありがとうございます。

 ぜひ、私ども、国会決議を目指して頑張っていくことをお誓いしたいと思います。

 次は、石澤参考人にお聞きしたいと思うんです。

 御説明の中で、事業承継支援への御要望がございました。今回の中小企業白書もそうですし、今回の基本法などの考え方もそうですけれども、小規模事業を応援するには、一つは事業承継の問題、もう一つは車の両輪ですけれども創業支援、この二つだと思うんです。

 石澤参考人が事業承継OJT制度の創設ということをおっしゃいましたけれども、これはとても大事なことだと思います。OJT制度というのは具体的にどのようなものなのかも含めて、事業承継制度に対しての御意見を賜れればと思います。

石澤参考人 小規模企業にとって最大の問題点は、資金繰りと後継者、後継ぎの問題であろうと思います。

 しかし、大変それが難しいことでございますので、先ほど申しましたように、経営者を求めている人と、それを希望する人のマッチングの仕組みをぜひつくらなきゃならない。そして、そこにコーディネートする人が必要になると思いますけれども、OJT、オン・ザ・ジョブ・トレーニングと申しますか、同行しながら、先輩の経験者に教わりながら技能を習得していくという仕組み、制度というものでこれからも十分に鍛えていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 きょうは諏訪参考人もいらっしゃいますけれども、私の地元の中小企業の経営者の皆さんでも、実は女性の経営者がふえています。明らかに女性の経営者がふえていまして、諏訪参考人と同じように、突然のお父様の御逝去で、悩みながら、別の仕事をしていて、後を継がれて、成功されている方もいらっしゃいますし、あるいは事前に、後を継ぐんだと思って、お父さんの会社に入って着々と後継者の訓練をされている女性の経営者もおられます。もちろん、男性の経営者もおられます。そういうことをぜひこれから、小規模企業基本法をもとに応援していきたいわけであります。

 中嶋参考人と諏訪参考人にお聞きします。

 事業承継のみならず、中嶋参考人は指導される立場、諏訪参考人は実際に御自分が中小企業の経営者であり、またダイヤ会のまさに小規模のところを支援される立場で、国がやる施策、いろいろあります、税制があり、金融があり、あるいは専門家を雇ってくる謝金を上限三万円で出してくれたりと非常にきめ細かな施策はあるんですけれども、それぞれが本当にヒットしているのかどうかということについては、いろいろ御不満の声も地元で聞きます。

 お二人から見て、本当に役に立つ支援、やってほしい支援、今はないけれどもこういうのがあるとうれしいなというような支援がもしあれば、順番にお答えいただいて、教えてください。お願いします。

中嶋参考人 事業承継とかは、いろいろな細かな問題がたくさんございます。ケース・バイ・ケースです。できれば、私は、顧問税理士さんとか、その方に一番頑張っていただくのが、一番実情をわかっていると思うんですね。だから、そこら辺をうまく情報を入れて、金融機関に話をしたり、あるいは板橋区なら活性化センターに相談に来る、あるいは商工会議所に行くとか、そういうような流れをつくっていって、その人たちが施策をよく理解して利用するということがやはり大切ではないかなというふうに考えます。

諏訪参考人 事業承継に関しては、私も本当に突然に二代目になったというところで、全く無知な状態から始めましたので、一番最初に何が困ったかというと、やはり株の、父の個人所有でしたので、そこの法的知識が全くない。弁護士さんを探さなければいけなかったんですけれども、最初にお訪ねしたところは離婚専門弁護士だからということでお断りをされて、十一年前でしたので、そういうところから情報が全くない状況でした。また、どこに何を相談すればいいのかというのも全く、逆に情報があり過ぎて、どこの情報が自分に合っているのかが全くわからない状況だったというのが非常に困ったところです。

 あと、本当にさまざまな支援が必要だと思うんですけれども、やはりその中で我々が一番最初に期待したのが中小企業診断士さんの存在です。ただ、中小企業診断士さんはかなり幅広くお勉強をされていて、私も一度当社にお招きしてお話しさせていただいたことがあるんですけれども、専門を余り持っていない方もいらっしゃるという形で、そこの専門家という形での勉強の仕方だったり、資格のあり方だったり、そういったところもお願いしたいなというふうに思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 確かにおっしゃるとおりで、細かな制度は使えばいいんでしょうけれども、それをアドバイスしたり、つないでくださる人的な存在が一番大事だという御指摘だったと思います。

 そういう意味では、まさに商工会の経営指導員の方も、これは本当に名物経営指導員というのがいらっしゃるんですね。そういう方がいるところはうまくいっているみたいなところがあって、中嶋参考人がそのスーパースターなんだろうと思うんですけれども、そういう人材が必要なんだろうなという御指摘だと受けとめました。

 最後に、もう時間がありませんので、申しわけありません、順繰りに聞きたかったんですが、中嶋参考人にお聞きしたいと思います。

 実は、中嶋さんの資料にも、雑誌にもありましたけれども、個人保証の問題です。

 中嶋さん自身が御経験されていることもありますのでお聞きしたいんですが、欧米では余りこういう制度はありません。個人が株式会社であるにもかかわらず株式を超えて責任をとるというのはないわけでありますし、ベンチャーなんかはベンチャー支援でお金をファンドがくれるわけでありますが、日本はどうしても個人保証ということで、これが場合によっては中小企業経営者の自殺にもつながるようなことになっています。

 一方で、では個人保証をやめますかとなると、金融機関の方はなかなか貸しにくくなるというようなことがあるんですけれども、ここの兼ね合いが難しいと思います。

 これからの中小企業、小規模事業者を応援するためにこの個人保証を本当にどう考えたらよいのか、中嶋参考人の御見識を伺いたいと存じます。

中嶋参考人 私自身も経験しておりまして、モラルハザードの問題がやはり一番大きい。社長をやっていますと、いい生活をしたり、いろいろなこともやっているのは事実です。ですから、全てをなくすというのはまだ無理な話。

 一つは、創業の方、あるいは事業承継をやる、そういった場合には連帯保証人を外すというような方向性は非常にいいと思いますし、やはりケース・バイ・ケースになってきますので、全般的にこういうふうにしたいというのはなかなか難しいなというふうに思います。

岸本委員 きょうは、短い間でしたけれども、本当にありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 きょうは、貴重な意見をいただきまして、ありがとうございます。

 十五分という時間ですので、全員の方に御質問できるかどうかちょっとわかりませんので、最初に御了承いただきたいというふうに思います。

 まず、諏訪参考人にお伺いしたいんです。

 先ほど人材の話をしておられまして、ヒューマンスキルが高い人間が必要だと。私は全く同意見でありまして、日本語で言えば人間力というんですかね。やはりそういう人間は何をやらせてもできるということなので、こういう教育をやることが本当に必要だなということは全く同感でありました。

 一つお伺いしたかったのは、先ほど、自分の会社がなかなか人材が受け入れられないので、PTを立ち上げていろいろ対応したことによって人材がある程度確保できるようになったとおっしゃっておられましたけれども、具体的にはどのような対策をおとりになられたんでしょうか。

諏訪参考人 当社も小さな企業ですので、やはり求人にお金を割けない、予算が立てられないというのが現状でございました。ですので、ハローワークさんに求人票を出してという形で最初は人材募集を始めましたが、全く人気のない企業でございまして、これでは優秀な人材がそろわないということで、資料の四ページをごらんいただきたいんですけれども、「ダイヤ精機の人材確保1」、一番上の左端ですね、プロジェクトチームということで、パンフレットの作成。これは、ものづくりイコール格好いいというようなイメージを持っていただくためのパンフレットの作成、話せるパンフレットづくりというものをやりました。

 あとは、ホームページの作成も行いました。今、当社のホームページは人材確保のためのホームページになっています。それはなぜかといいますと、今、最終的に誰が就職先を決めるのかというのは、保護者の皆さんなんです。保護者の皆さんは、どういった仕事というよりも、逆に、どういう人の下で、どういう人たちと働くのかが非常に気になりますので、当社のホームページは私の笑顔の写真がちりばめられております。

 あとは、やはり現場で問題は起こっていると思いましたので、これはちょっと後で怒られてしまったんですけれども、私がニートになりまして、Tシャツとジーパンになって、実際にハローワークさんに行って職探しをした結果、やはり昔とは全然違う。昔は求人票を探した時代だったんですけれども、皆さんパソコンに向かって仕事を探す。

 そこで、検索条件などを全て分析いたしまして、そこを変更することによって、求人数。我々も、まず私がハローワークに行って探したときに、当社は求人票を出しているにもかかわらず、ニートのつもりになって検索しても当社が出てこなかったんですね。なので、やはりそこに問題があるということです。

 ほぼ、中小企業、小規模企業というのは求人票をハローワークさんに提出すれば終わりというような状況があるんですけれども、やはりそこにミスマッチが起こって、せっかく若者も、私もものづくりに興味がある若者は少ないであろうというふうに思っていたんですけれども、全然そんなことはなくて、ただ、敷居が高いと思われている子たちはたくさんいるんです。

 当社はその当時、三次面接まで行うぐらい、一回の面接に三十名以上集まるというような状況になりましたので、やはりこういったノウハウですとかやり方が重要なのかなというふうに思っています。

今井委員 ありがとうございました。大変参考になりました。多分、いろいろな小規模企業の皆さんに参考になると今感じました。

 次に、中嶋参考人にお伺いしたいんです。

 いただいた資料の中で、私、イメージがちょっとよく湧かないんですが、板橋区では、まず行政の中に相談を受ける方がおられて、今専門員というのが二百二人おられるというふうになっています。

 確認なんですが、まず、六ページに書いてある「ここまで出来る人材が不足している」、この人材のことですね。この人材は、プロパーで役所の中におられて、そこから必要に応じてこの二百二名の専門員のところにおりていくという仕組みになっているのかが一点。それから、これは無料相談になっていますけれども、この方たちには報酬が発生するんだと思うんですが、それはどういう体系になっていらっしゃるんですか。

中嶋参考人 お答えします。

 先ほどの専門員二百二名というのは、活性化センターに登録している専門員です。そこに弁護士さんとか企業再生のスキルを持っている方たちがたくさんいらっしゃいます。謝金になっていまして、年間、板橋区の方から、出来高といいますか、やった分だけ払うような形の謝金制度になっています。

 経営改善チームですので、いろいろな転換があります。先ほど申しました、もう破綻に行かなきゃいけない場合は弁護士先生に相談してつないだり、デューデリでちょっと厳しいのは税理士さんに頼んだり、あるいはリストラの場合は社会保険労務士さんに頼んだりする専門員として活用しているんですね。実際に全部コーディネートするのは私ともう一人しかいないので、あくまでも、専門家を使う、ヒアリングからいろいろな計画ができる人の人材が足りないという意味で申し上げているということです。

今井委員 イメージはわかりました。

 なぜこの質問をしたかといいますと、これは石澤参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほどから議論になっていますいわゆる経営指導員の問題ですね。今、四千二百人ちょっとぐらいいるんじゃないかなと思いますけれども。

 今回の法案では、今までは税務とか、そういう類いの相談が多くて、主に経営に関する専門知識というのをこれからどんどん広げていこう、そういうような目標というのが出ていると思うんですけれども、今までできなかった人が、これから果たして研修を受けたりとか、そういうことができるようになるんだろうか。

 多分、中小企業支援というのはここが一番肝だと思うんです。指導者がきちっと指導できるかどうかというのが肝だと思うので、何を目指すかということで、先ほども、例えば、つなぐという役割に徹する、話を聞いて専門家につないでいく、ネットワークを使ってそれに徹するというやり方もあると思うんです。もっと高い目標を持てば、その方たちに全部、経営の指導までできるというところまで持っていく、これもあると思うんです。しかし、後者は、私は非常にハードルが高いと。なかなかやはり、現実は、私の商工会を見ても、できる方もいらっしゃいますけれども、公務員のOBの方が当て職でぽんとついているところも正直あるわけです。

 ああいうところの方たちにそこまでやれと言ったときに、果たしてできるだろうかということで、ぜひ僕はこの法案によって実効性が高まっていただきたいのでこの話をしているんですけれども、であれば、経営指導員の目標を、ネットワークをきちっとつくって、専門家につないでいく能力を高める、そこに集中した方がかえっていいんじゃないかなというふうに思っているんです。そのあたりについてはいかがでしょうか。

石澤参考人 御指摘のように、つなぎをする役割もあります。また、できるだけ早く専門的な支援ができる体制をつくりたいと思いますが、資格があってもすぐ間に合うものではありません。やはり、経験というものには非常に貴重なものがあると思っております。

 したがいまして、今我々が商工会で考えておりますのは、先ほど申しましたカリスマ指導員のような指導員を早急に、また、かなり名物指導員というのがおりますので、ぜひ待遇等も考慮して活用したいと思います。もう一つは、そういう経験を持った人が、会社をリタイアされた方にはたくさん有望な人材がおいでになります、そういう人たちを公募で受け入れる。そして、先ほどお話が出ましたOJTを通じまして、若い指導員を同行しながらそれを経験させ指導していく。そういうシステムで、いわゆるリタイアした経験者を、専門家を雇用できる仕組みができないものだろうか。

 数は多くなると思いますが、そのうちに指導した若い連中も成長すると思いますので、国においてそういう仕組みがとれればぜひ御検討をいただきたい、こう思っております。

今井委員 ありがとうございました。

 いろいろ考えるんですけれども、結局、一番はそこの部分に集約するんじゃないかなと私は思っておりますので、また皆さんの御意見をお伺いさせていただきながら、支援をしていきたいというふうに思っています。

 次に、国吉参考人に、大体皆さん同じような質問になってしまいますので、ちょっと全然違う観点の話を質問したいと思うんです。

 いただいたペーパーの中で、エネルギーシフトをしていこうというような話で、エネルギー政策を大転換して、原子力、化石燃料に依存しない持続可能な社会を創造するというようなことを書いておられます。

 電力の自由化に今取り組んでいるわけでありまして、電気料金が上がるということは事業者にとって大変大きな問題でありますので、ここはしっかり見きわめていかなきゃいけないと思っているんですけれども、ただ一方で、新エネルギーあるいは再生可能エネルギーなどをやることによって、さまざまなイノベーションが起きて、新しい商売が生まれてくる。そういうことによって、小規模なり中小企業の事業者にいろいろな新しいビジネスのチャンスが出てくるんじゃないかなという部分も期待されている声もあるんですが、そのあたりについてのお考えはいかがでしょうか。

国吉参考人 私どもは、従来から、いかに省エネでエコ企業をつくるかということは、もう十年来、会の中に環境問題を考える委員会をつくりまして、一定のCO2削減で評価のあるところについては全国で表彰してモデル企業にしていく、そういう取り組みはしてきたわけでございます。

 しかし、過酷な原発にかかわるああしたものも契機にしまして、ヨーロッパにも視察団を送りまして、ドイツとかオーストリアなんかの実際のエネルギー状況を見てまいりますと、これはやはり中小企業の仕事として、もっともっと地域で仕事づくりにつなげていく発想が必要ではないか。

 現実に、見てみましたら、既に太陽光発電なんかを建設業の会員の方がもう何年も前からやっているとか、そういう事例はあるわけでございますけれども、政府の方のそういう施策、新電力事業、ああしたものを拝見しましても、再生エネルギーということにどんどん力を入れていこうと。

 これは、私ども中小企業にしましたら、まさに地域で、地域の資源を使って、それをエネルギー化して、またその地域で新たな仕事づくりにしていく、まさにエネルギーの地産地消、ある方は地消地産だと。つまり、地域で消費するエネルギーをどう地域で生み出していくのか、そういうことにもっともっと知恵と力を使っていこうということで、我々としては今、全国でそうしたビジネスを研究し、交流していこうというふうに考えているところでございます。

 しかし、新聞紙上を見ますと、やはり日本の大手さんはすごいなと思うんですね。どんどん日本じゅう至るところに、さらに外国の資本も来ておりますね。私どもはこれを見ますと、中小企業も負けておれぬなと。ですから、その点でも一層、行政とも協力しながら進めていかなくてはいけない、そう思っているところでございます。

今井委員 どうもありがとうございました。

 本当はもう一問、私はもともと銀行員でありまして、先ほどから資金繰りの話がいろいろ出ていまして、私は、日本の金融機関はけしからぬと思っておるんです、ちっともリスクはとらないし。やはりここの部分を直していかないと、今本当にマル保も含めて公的なものに頼らざるを得ないというのは金融機関の怠慢だと僕は常々思っておりまして、そのことをちょっと実は言いたかったんです。

 青年の主張みたいに最後はなってしまいましたが、もう時間が来ましたので、これはまた別の機会にやらせていただきたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 本日は、本当に貴重な御意見をありがとうございます。虚心坦懐に、きょうは勉強のつもりでずっと聞かせていただいておりました。

 きょうはその延長ということで、参考人質疑と名目は仰々しいものではございますが、率直に皆さんの御知見を披露、披瀝いただければというふうに考えております。

 まずは、ちょっと時間も限られておりますので皆様にお伺いできるかわからないんですけれども、諏訪参考人から伺いたいと思います。

 ウィキペディアで拝見したんですけれども、ウーマン・オブ・ザ・イヤーを以前受賞されているということも知りました。女性経営者として、非常に今いろいろな御活躍をされているというところではあるかと思いますが、もちろん、中小企業、小規模企業、その中に女性経営者の方も数多くいらっしゃるとは思いますが、いわゆる女性経営者としてよかったこと、そして難しかったことというのがあれば、それをぜひとも教えていただければと思います。

諏訪参考人 私、十一年前に社長に就任したんですけれども、そのときは専業主婦からの社長就任ということで、先ほどもお話にあったように、銀行さんは認めてくれたんですけれども、なぜ認めてくれたのかなと思ったら、合併の話をすぐに持ち出されました。やはり、対外的評価は、女性、二代目、娘ということで、会社はだめになるだとか、そういうところがかなりあられました。そこで銀行さんに話したのは、とにかく半年で結果を出す、結果を出したら私の単独でやらせていただくということで、たんかを切って始めたのが始まりでございます。

 私は自動車業界で仕事をさせていただいていますが、まだまだ女性の経営者というのは非常に珍しく、就任した当時は、秘書に間違えられたりだとか、会議室に入れてもらえなかったりだとか、隣に席がずっとあいたままだったりだとか、恐らく、男性ばかりの世界が通常だったところに私一人が入るということ自体が皆さんふなれで、私もふなれで、どうしていいのかわからない状況だった。それが五年、六年、今十年になるんですけれども、なれてきまして、一緒に情報交換とかもさせていただけるようになりました。

 本当に、女性の経営者ですとか管理職、まだまだこれからふえていかなければいけないと思うんですけれども、大手企業も、やはりまだまだ実益部門での女性の管理職の起用というのは少ないと思いますので、初めは大変だと思うんですけれども、積極的にそういったところも対応していただきたいなと。

 あとは、女性というのは本当に人それぞれで、さまざまな環境がありますので、国にお願いしたいことは、やはりインフラ整備を早急にお願いしたいというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございます。さまざまなお話、本当に参考になります。

 次の質問に移る前に、今ちょうどお話にありましたインフラ整備というのは、例えば育児とか、そういったことでしょうか。その点についてもう少しお答えください。

諏訪参考人 私自体が、会社を継いだのは息子が小学一年生のときでしたので、待機児童の問題ですとか、やはり仕事がなかなか、男性のように思い切り仕事がやりたいといっても、昔のようにばりばりキャリアウーマンでできる状態だったかというと、そういう状態ではありませんでした。そういった問題もたくさんありますし、ようやく子育てが一段落ついたなと思うと、今度は親の介護が出てきたりもします。

 なので、女性は本当にそれぞれ、さまざまな問題だとか課題を持っていますので、一概にこれ、この支援、この支援と私の口からは言えないんですけれども、そういったところもしっかりと分析をしていただいて、何が足りないのかというところで支援をしていただきたいと思います。

三谷委員 ありがとうございました。

 引き続き諏訪参考人に伺いたいんですけれども、いただいているこの資料、一つ一つ見ると勉強になることが多いんですが、中でも、先ほどの質問にもヒューマンスキルというのは非常に重要だという話がありました。この中で、どのように人材確保をしているのかということで、いろいろと資料の中にもありましたので目を通させていただきましたし、これもまたウィキペディアで見たことではあるんですが、ここにも書いてあることなので、ちょっと伺いたいと思います。

 交換日記を新人とされるということなんですが、それは具体的にどういうことを狙われているのかを含めて、教えていただければと思います。

諏訪参考人 交換日記なんですけれども、私は、大手企業でエンジニアをやっていました。やはり、小規模企業だからできる教育というものがあると思います。

 私は、とにかく経営に関しては、物事には原理原則があって基本があり、基本があるからこそ応用ができるという考えのもとで経営を行っています。ただ、人材育成に関しては、人というのはさまざまですので、原理原則が通用しないんですね。

 そこで考えたのが、彼らの性格、能力から、個別にプログラムされた、個々に適した教育プログラムをつくっていくべきではないかといったときに、私は、真っさらな新入社員さんが入ってきたら、真っさらなノートを渡して、きょうから私と交換日記をしますということを告げます。

 そうすると、人の文字と文章というのは、その人の性格と能力を非常によくあらわします。この人は細かいのか、神経質なのか、おっとりしているのか。あとは、何にも指導していないにもかかわらず、先輩方の話を聞いて、そこの中からポイントを抜き出してくる子もいます。こういう子は重点をちゃんとつかむことができるですとか、あとは、失敗したことに対して、なぜというふうに追求することができる子もいるんですね。そういう子に関しては検査に向いているだとか、その子その子に合ったプログラムを組んでいます。

 やはり、今の若者はというふうに言われがちなんですけれども、逆に、我々大人がしっかりと彼らに合った教育というものを入れてあげると、本当に卵の殻を割るように成長してくれる子たちがすごく多いんですね。

 なので、そういう形での交換日記の活用、我々からのメッセージも発信するという意味でも使わせていただいています。

三谷委員 ありがとうございました。非常に参考になりました。

 政治家、国会議員は特にそうかもしれませんけれども、小規模事業主に該当するんだろうというふうに思っております。基本的には、一つの事務所に経営者としての政治家が一人と、そのスタッフが数名、そういう中でコミュニケーションをどう図っていくのかというのは私自身も課題ですので、そういうふうなところでも非常に参考とさせていただきたいと思っております。

 続きまして、中嶋参考人に質問させていただきたいというふうに思います。

 板橋モデルというもの、私の周りにも、企業の経営者で、非常に資金繰りに困っていてどうしようもないというような状況で苦しんでいる方が数多くおりますので、そういったときにどこに相談をしたらいいのかよくわからない。先ほどの諏訪参考人の中にも、情報があり過ぎてどこに相談したらよいのかわからないというような話もありましたが、その中で、こういう板橋モデルのようなものがどんどん全国に広まっていけばいいなというふうに思うところでございます。

 一つ、ちょっとこの点でぜひとも御知見を伺えればと思ったところが、基本的には事業というものは継続をさせていくべきだというようなことを先ほどおっしゃったと思うんです。継続をしていくというのと、場合によっては生産性が上がらないということで会社を畳んだ方がいい、廃業すべきだというような二つ、どこかで選択肢を選ばなきゃいけないときがあると思うんですが、そのときの見きわめ、どういったことに留意されて見きわめられているか、教えていただければと思います。

中嶋参考人 非常に難しい御質問です。やはり、どうやってもだめだという会社は確かにございます。ただ、資金繰りが目いっぱいでだめでも、そこで企業が努力していけば立ち直るという場合もございますので、難しいところがすごく多いです。

 最悪は、私どもは、結構危ない会社とかは倒産シミュレーションをやりまして、こういうふうになったら、自己破産も含めて、私財もこうなりますよね、どうしますかというような形も選択をしていただくようにしています。ただ、やはり高齢の従業員を雇っていたり、取引先もたくさんあったりする場合が多いものですから、こちらから積極的に廃業しなさいということは言わないし、言えません。そういう形で現状は進めています。

三谷委員 それから、事実関係についてもう少し中嶋参考人に伺いたいんですけれども、板橋区外からの相談も受けられているという話も先ほどありましたが、現状、処理能力というか相談対応能力というのは、もういっぱいいっぱいなのか、それとも、どれぐらいの状況なのか。

 これは本当に全国に広めていかなければいけないというふうに思っておりますし、かといって、箱さえあれば誰でも何でもこういったことができるかというと、そうじゃないと思うんです。先ほど来カリスマ指導員の話もありましたが、そういった、人が大事なところもあると思うんですが、板橋区の現状というのはどのようになっているか、教えていただければと思います。

中嶋参考人 結構忙しいです。土日も休めない状況もありますし、いろいろ資料もつくったりしなきゃいけません。

 ただ、あくまでも私の場合、全部わかっちゃうというか、いろいろ経験してきたのでわかるんですけれども、これから始める場合は、経営者の経験のある方とか税理士さんとか、チームでこなしていけば十分できると思うんですね。

 だんだん積み重ねていきますと能力もふえていきますので、最初の本当に始めて五件目、十件目は物すごく大変、時間もかかったんですけれども、もう二百件を超してくると、一応そういう面ではヒアリングも簡単にわかってきますし、だんだんスキルが向上してくるということがありますので、どんどん、まだまだ大丈夫です。

三谷委員 ありがとうございました。心強い回答をいただきました。

 続きまして、国吉参考人に質問させていただきたいというふうに思います。

 中小企業家同友会さんは、本当に数多くのいろいろなことに取り組まれていらっしゃいますし、その中でも、中小企業憲章は本当に重要だったんだろうというふうに思っております。

 先ほども質問の中にありましたけれども、国の政策として、昭和三十八年から、まず中小企業基本法ができて、その後、平成十一年に同法が抜本的に改正された、平成二十二年に中小企業憲章が閣議決定されて、平成二十五年に小規模企業活性化法ができて、ことし平成二十六年、小規模企業振興基本法へつながっている。

 中小企業だけではなく小規模企業というところへ目が向けられているというような状況の中で、中小企業憲章をどのように日本全体に広めていくのか、そして、広めたことによって何を目指していくのかということについて、御見解をお聞かせいただければと思います。

国吉参考人 私ども、やはり中小企業憲章の理念を一億二千万の方にどうお知らせするか。

 中小企業庁さんの先ほどの青いリーフでございますが、あれはたしか版が五版か六版にかわっているのではないか。最初は、少し大きかったり、ポケットに入りづらいなと。そのうち、紙がぺらぺらっとして、ちょっとこれは経費節約じゃないかなと。それぐらいさまざまで、今のは我々にも大変好評でございます。

 例えば、私どもの会は、事あるごとに憲章のリーフを皆さんにお配りして、改めて、そこの何か一カ所でもいいわけです、ここにこういうことを書いてあるではないか、このことを政府はやるというふうに約束してくださっている、それを私どもは大事にして、実行部隊は我々、現場が主体なんだから、一体それを我が社でどう実行していくのかと。

 つまり、憲章に書いてある一つ一つの項目は自社に置きかえるとどうなるのか、あなたは建設会社としてどう地域社会に責任を持つのか、文化と書いてあるじゃないか、建設の文化を担うのはあなたの会社ではないか、印刷でもそうではないかというふうに、全て自社に置きかえて考えていこうというふうにしているわけでございます。

 それから、大学ともいろいろ連携しておりますので、大学で出張講義をやるときには全部の学生の皆さんに配ってお示しするとか、現在、ある金融機関さんでは、各支店の窓口に数部置いてお客様に見ていただく、さっき金融機関に多少批判もございましたけれども、そんな大変立派な金融機関もあるわけでございまして、私どもはやはりそれを本当にどんどん広げていきたいなというふうに思っております。

 ですから、私も常時かばんに二十部ぐらい入れておりまして、とにかく知り合いと会う。親戚の法事に行きましたら法事の席で配って、私はこういう仕事をやっているのよということで御案内するとか、やはりそれぐらい徹底してこの理念を広げていきたいというふうに私どもは思っている次第でございます。

三谷委員 ありがとうございました。本当にその熱意というのは伝わってくるかと思います。ぜひとも国会決議に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 まだまだ質問はありましたけれども、ちょうど質疑の持ち時間が終了したということで、これで終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。

 きょうは、小規模の事業についてお話をいただきまして、本当にありがとうございます。私たちも実は小規模政党でありまして、大変参考になるお話を聞かせていただきました。特に、交換日記は前からやっておけばよかったなと今反省しているところであります。今度はちゃんとやりたいなと思っています。

 まず、諏訪参考人にお伺いさせていただきたいと思うんです。

 お話を聞いている中で大変厳しいなということを感じさせていただいたのが、やはり小規模企業というのは、低付加価値だと価格競争で大変厳しくなるし、高付加価値に対しても、かなりリスクが高いということを言われる中で、それに対してどう取り組んでいくかということが恐らく共通する課題だと思うんです。

 その際に、リスクが高いということについてもう少し御説明いただきたいのと、それについて、もしかしたら社外内製とか、そういう取り組みにつながるかとは思うんですが、どのような工夫、取り組み等をなされているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

諏訪参考人 高付加価値製品に関しては、例えば、当社の製品は一ミクロン単位で精度を保っています。最終段階で一ミクロンでも磨き過ぎればNGになってしまうんです。それはいろいろな工程を通ってきていますし、高度成長期は、実はリスク単価というような形で、倍の値段で取引がされていました。そこが、やはりグローバル化競争の中で、この高付加価値製品においても同様に価格破壊が起こってしまいました。そういう状況の中で、やはりリスクが高い製品をやっていかなければならない。

 恐らく、高度成長期からバブル崩壊までの間にはこういう生産品目の変化というのは多々あったと思うんです。ただ、そういうときに、銀行さんとの円滑な関係と融資、バブルのときまでは銀行さんに会社の経営指導までしていただいたような時代がありました。なので、やはりそういった関係がかなり経済成長に寄与したのではないかなと思いました。

 ただ、バブル崩壊後、これは企業の責任でもあるんですけれども、その一部の責任を銀行さんにも押しつけてしまったせいでそこの関係が仲たがいしてしまった。二〇〇四年から七年にかけては、プチバブルと呼ばれた時期なんですけれども、銀行さんが、皆さんパソコンを片手に、決算書を見せてほしいという形で、どんどん打って、そこで融資可能か不可能か判断するというような状況がありました。なので、そういったところが逆に、本当に経営指導できる人材が今いなくなってしまったのかなと。

 なので、ここをまた銀行さんにお願いするのは負担ですので、中間的役割の方がいて、円滑な設備投資というのがやはり成長の鍵だというふうに思っています。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 次に、中嶋参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 参考人の資料等を拝見させていただきますと、やはり経営者と相談することが非常に大事なんだということが特に強調されているところであります。

 その際に、先ほどもちょっと話が出たんですが、相談相手として商工会、商工会議所というのがあるんですが、その利用率がなかなか上がっていない。帝国データバンクですと一割、中小企業の審議会のデータによりますと大体三割ぐらいということで、それは地方、都会の別はあるかとは思うんですが、経営者と接しておられる中で、なかなか商工会、商工会議所に行けないというか使いづらい、そういう理由というのは何かお伺いしたことはあるんでしょうか。それについて、もしあれば紹介していただきたいと思います。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

中嶋参考人 私どもは経営改善に特化して結構やっておりまして、それぞれの持ち味があると思います。板橋区では、商工会議所と連携して女性セミナーとかいろいろやったりしていますので、あとマル経融資とかいうのはそちらでやっていて、我々は区の保証とかいう形でやっていますので、そこら辺はすみ分けができているのではないかなと思います。

小池(政)委員 それでは、相談についてということなんですが、評価の面で、先ほども出されたのが実績ということで、相談件数というのはよく出されるんですが、これは石澤参考人と中嶋参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 その評価の際に、相談後の、例えば経営が改善されたとか、事業承継がうまくいったとか、そういうことを踏まえた評価というものは取り組まれているんでしょうか。お二人にお伺いさせていただきたいと思います。

石澤参考人 検証、評価がなければある意味では意味がないことになりますので、今そのことに力を入れております。しかし、今までの経過からいいますと、訪問の数は多いけれども、こんにちは、どうしておられるというような感じのこともありますので、今お話しの検証、評価について今後十分に進めていきたい、このように考えております。

中嶋参考人 企業再生の場合には、回数は制限がないんです。一カ月で、もう毎日やらなきゃ間に合いません、二十回連続とかあります。成果がどうなったかというのはなかなか難しい。今継続して頑張っていらっしゃる、アンケートをとっても、感謝していますということでしか把握ができていない状況です。

 あと、例えば新規の融資ができたとか、そういうのはカウントはしております。むしろ今、何社が来て、やっている回数と、従業員の数がどのくらいあるのか、それから、負債総額も含めてどうなっているかという書類等の分析はできております。

石澤参考人 まだ具体的にあれは出ておりませんが、例えばさっき申し上げました岐阜県の郡上市商工会は、指導員を一カ所に集めて、それぞれの専門的なテーマを持って対応をしておりますが、相談ケースを七人が寄ってお互いに検証して評価する制度を実はつくっております。

 これも一つの今後の我々の大きな方向だと思いますので、そういうシステムが広がるように努力をしたいと思っております。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 次に、諏訪参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 主に取り組まれているのは自動車分野ということでありますが、医療分野にも進出をされているという中で、その経緯を少し御紹介していただいて、また、それがもう少し制度として普及した方がよいというのであれば、それを少し、制度化に向けてどのような取り組みが必要かということをお話しいただきたいと思います。

 ちょっと調べさせていただいたところでは、大田区の産業振興協会というところで、大学から医療分野のこういうニーズがあるんじゃないかという話があって、うまく諏訪さんのところとマッチングされたという経緯があったかとは思うんですが、それの経緯と、もしそれが一般的じゃないのであれば、どこが課題となっているのかということについてもちょっとお伺いさせていただけますか。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

諏訪参考人 当社は自動車業界オンリーで今までやってきましたが、グローバル化、これから仕事量が減少していくだろうということを想定いたしまして、やはり異業種との取引も開始した方がいいというふうに感じました。そこで、医療分野だとかは魅力がありましたので、まず説明会とかに行ったんですけれども、大学の先生方が話す言葉というのは我々にとってかなり専門用語が多くて、あと規制も厳しくて、本当に、一回聞きに行っただけで嫌になってしまう、全然参入なんて無理だなというような感覚でおりました。

 そういった中で、大田区の産業振興協会さんで医工連携というものができまして、まず第一番目の事例として、鶴見大学さんから、こういったものがつくれないだろうかということでお話をいただきました。当社の方で提案をさせていただいて、それが採用されて、自動車の技術というものがまだまだ違う分野でも役に立つということが実証されました。

 プロジェクトを御紹介というような形で小規模企業が呼ばれて、こういうことに参入できるかもというふうに言われて、セミナーとかに行ったりもするんですけれども、とても具体的ではないんですね。なので、そこを翻訳してくれる誰かがやはり必要で、仕事の見える化をして、我々がそれに対応できるような仕組みづくりというのをお願いしたいなというふうに思っています。

 あとは、我々企業もそうなんですけれども、小規模企業、中小企業含めて、井の中のカワズなのかもしれないんですけれども、自分たちの毎日やっていること、持っている技術というのが当たり前過ぎて、実は、何が強みなのか。実際、私も、えっ、こんなこと、普通のことでしょうということが案外と強みだったりもするので、やはりそういう自社の強みを逆に知っていただくこと、そういったところにも支援が必要だと思います。

 あとは、展示会とかで当社がやった事例といたしましては、やはり業界を超えなければいけませんので、展示会において最終製品を今まで見せていたんですけれども、そうすると、それしかつくれないと思ってしまうので、逆に、途中経過を見せることによって来場者の人にインスピレーションを与えて、異業種に参入していくという取り組みもやりました。

 ですので、やはりそういった支援だとかノウハウだとかが必要だというふうに思っております。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 それでは、最後となりますけれども、石澤参考人と国吉参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 中小企業政策と小規模事業への政策を分けなければいけないということについてなんですけれども、石澤参考人から、平成十一年の中小企業基本法の改正によって小規模企業振興というものが後退した、そういうお話が資料の中ではありました。そのような相反関係もあるのかなということを感じたわけでございまして、そういう観点からぜひお話しいただきたいのと、国吉参考人からは、果たしてそういう関係にあるのかどうか、また、あえて小規模に対してスポットライトを分けて当てて取り組まなくてはならないのかどうか、その点についてお伺いさせていただきたいと思います。

国吉参考人 私も、一九九九年の中小企業基本法の大改正、あのときは、たしか中小企業国会をやるんだというような意気込みも感じられたわけでございますが、案外、基本法の議論そのものは短時間で一気呵成にいったなという感じがするわけでございます。

 清成先生とか専門家の先生の研究会とか何かに出る機会もございまして、いろいろな中小企業団体がそこで意見を述べるのを私も聞かせていただいたんですけれども、記憶に残っておりますのは、当時、ベンチャーがどんどん勢いづいていくといいますか、もてはやされる、そういう部分もあったわけでございまして、要するに、零細小規模企業は切り捨てられるのではないか、はっきりそういうことを研究会の中で御発言される団体の方もいらっしゃいました。

 私どもは、時代の動きとして、中小企業基本法は、その点では、どんどん企業を後押ししていくという意味では役割を果たしたと思うわけでございますが、しかし、日が当たらないと言うとなんでございますけれども、圧倒的多数の小規模零細企業については、積極的な意味では、基本法をどうさらに意味あるものにしていくのかというのは、これは絶対手を入れることが必要であるなというふうに思うわけでございます。

 そうした点で、二〇一〇年の憲章は、基本法もそうなんですけれども、中小企業、小規模企業というものが日本経済に果たす役割ということは評価するわけですけれども、憲章はさらに進みまして、国民生活、地域の人々の生活、あるいは伝統文化というところまで踏み込みまして、二十四時間三百六十五日の国民の生活になくてはならない存在という形で進めていただいたわけで、それに基づく今回の小規模基本法の制定というのは、まさに時代に合ったものとして大いに評価されるわけでございます。

 私どもは、実際に現場で企業に携わる人たちが、そういう応援を国はやっておるんだよ、では、それをどう利用するかもさることながら、自分たち自身が本当になくてはならない事業者として、地域そしてお客様にその存在価値を認められるものとして頑張っていくという、そこの力をどうつけていくのかということは、本当に各団体に要求されるとても大事なことだというふうに考える次第でございます。

 以上でございます。

石澤参考人 御指摘のように、平成十一年に中小企業基本法が改正をされました。昭和三十八年に初めて中小企業基本法ができましたときは、大企業と中小企業の格差の是正がその主眼でありました。しかし、平成十一年の改正によりまして、成長を将来志向する企業、つまり中堅企業に光が当たるようになったわけであります。したがいまして、補助金や施策も、どちらかというと小規模企業向きではなかった。

 加えまして、平成十三年には、それまで中小企業庁にありました小規模企業部が廃止になってしまった。さらに、平成十八年には、三位一体改革によって一般財源化、税源の移譲がされた。これは、財政規模の差異によりまして、それぞれの都道府県の小規模企業対策に大きく差異が出てまいりました。補助金を減額したところ、指導員を削減したところ、こういう状態が続いておったわけであります。

 したがいまして、今度の基本法の制定は、これを払拭して、今まで苦しんできた、光を与えようということでありますので、私は、役割が非常に大きく、今回の基本法の制定は高く評価をいたしておるところであります。

小池(政)委員 ありがとうございました。これから参考にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 四人の参考人の皆様から貴重な御意見、本当にありがとうございます。

 まず、石澤参考人にお尋ねいたします。

 小規模企業、つまり現状維持、持続志向型の小規模企業をしっかりと支援する意義についてお尋ねしたいんです。

 石澤参考人は、法案の特徴として、法案の基本原則において、成長志向型の小規模企業の支援とあわせて、特に現状維持、持続志向型の小規模企業も施策の対象としている、事業の持続的発展を支援するという発想は現行の中小企業基本法の理念にはありませんでしたと述べておられますけれども、こういう現状維持、持続志向型の小規模企業を施策の対象とすることの重要性、意義について、ぜひお聞かせください。

石澤参考人 先ほどもお答えいたしましたように、平成十一年に改正された中小企業基本法は、いわゆる成長株に光を当てようと。しかし、事業経営には二つありまして、大きく飛躍する企業、それから現状を何とか継続して次の世代に伝えていこうという二つがあります。その持続のところに光が当たってこなかったという意味であります。

 したがいまして、将来志向するところに光を当てなくてもいいわけじゃないので、それと同等以上に、持続をする、地域コミュニティーを守る、そういう大事な企業に光を当てていこう、そのことを商工会が後押ししていこうということでありますので、商工会の使命と考えております。

塩川委員 地域経済を支え、雇用を守る、そういう意味では地域コミュニティーを支える役割が小規模企業にあるんだというお話でございます。大変重要なポイントだと思っております。

 関連して、法案では、小規模企業者とともに小企業者が定義あるいは基本原則に盛り込まれております。その意義についてですけれども、基本原則では、個人事業者を初めとした小企業者の振興に当たっては、円滑かつ着実な事業の運営の確保を掲げております。

 ここに小企業者と言うのは、当然、個人事業主、家族経営が含まれておると思いますけれども、小企業者を取り上げた、こういう積極的な意義づけというのはどのようなものなのか、この点について御説明をいただけないでしょうか。

石澤参考人 いわば零細企業の部類に入ると思いますけれども、実は、廃業をする、そういう現象のあれは、主としてそのような立場の人たちであります。もちろん、そういう人たち、そっち側へ行くとなかなか相手にされない小さな企業を支えるのが我々商工会の役割だ、このように考えております。その人たちの一番の課題は、実は資金繰りに頭を痛めておる、あるいは後継ぎがいないという状況でありますので、これは商工会がお世話する以外にはないであろう、そういう使命感を持っておりますので、頑張りたいと思っています。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、国吉参考人にお尋ねいたします。

 中小企業憲章については、他の委員からの質疑にもございまして、改めて理解を深めたところであります。

 あわせて、今回の法案は地方公共団体の責務の規定もありまして、中同協におきましては、地方公共団体の取り組み、中小企業振興基本条例の取り組みなどについてのお話もいただきました。

 この点で、国吉参考人は、中小企業振興基本条例と、中小企業の実態調査、悉皆調査、それに加えて産業振興会議、このいわば三点セットで自治体における中小企業振興策が重要だということを指摘されておられますけれども、この三点セットの意義といいますか、このことについて御説明いただけないでしょうか。

国吉参考人 私ども、振興条例、全国の同友会、いろいろな形で頑張っているところでございますけれども、やはり、つくられている過程、プロセスがさまざまでございます。一つは、首長選挙において、条例をつくるよということを公約に掲げたところは、首長主導のもとで一気につくられる。それから、議員さんが、中小企業関連に熱心な方があちこち視察に行って、議員立法といいますか、そこが主体になってつくられているという形態もございます。

 最終的には議会で決議していただかなくてはいけないですし、首長さんがその気になって、そして行政の皆さんを動かして、うちの首長は勝手にあんなものを公約に掲げて、俺らの仕事がまたふえるばかりではないか、そんなふうな担当の行政マンが多いようでは条例の心がやはり伝わらないわけでございまして、そうした点で、私どもは、おっしゃった第一番目は、振興条例をつくるプロセスが極めて大事だ。

 それは、主体になる会議所さんや商工会さん、あるいは我々のような同友会、あるいはJCなんかも入っていただいて、さらにはそれに関心を持つ市民団体の方も加わっていただいて、この地域をどうするのかという議論をしながら、そして当然、議員の方も加わって、うちの地域にはこんな中小企業があるんだなということを議員の方も御理解いただいて、行政の方はさまざまなデータを持っておりますから、それも勉強させていただきながら条例として制定していくということがまず大事かと思うわけでございます。

 そのプロセスでもその後でもよろしいわけですけれども、全国いろいろございますけれども、まず三十数年前に墨田区が、区の職員を商工部に限らず三、四百人動員して、数千社の事業所の悉皆調査をやって、それを全部データ化するわけですね。そうしますと、その調査にかかわった行政の方の意識が変わるわけですね、墨田にはこんなすばらしい中小企業がたくさんあるんだと。ですから、いざ、さまざまな苦境に陥ったとき、あそこの会社にはあっちの方から仕事をとってきたらいいのではないかということに実際に墨田の行政の方は、前ですけれども、動いているわけですね。

 したがって、私どもは、先ほど愛媛の東温市の条例のお話をちょっと紹介させていただきましたけれども、ここは愛媛大学と連携をしまして、そして愛媛大学の学生さんや行政の方も加わって、数百社にわたる悉皆調査をやって、それをデータにして、次の施策につなげていく。これは私は、大学生を悉皆調査に動員すると、まさしく実地の勉強にもなるというふうに思うわけです。

 三番目は、やはり行政、施策を進めていく上での恒常的な機関として振興会議は絶対必要でございます。さまざまな名称がございますけれども、行政、議員の方、そしてさまざまな経済団体が加わって、定期的に、できれば毎月ぐらい会議を開く、その中に部会もつくるとか、そういったところで施策に反映させていくことが大事だというふうに思う次第でございます。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、中嶋参考人にお尋ねいたします。

 参考人は、開業率を高めるよりも廃業率を低くする施策が第一優先だ、全国中小企業四百三十万社の半数近くが経営不振に陥っていると思われると述べておられ、同時に、全国から視察団の方がたくさん板橋にいらっしゃるということで、そういう視察団の方の関心というのも、創業をあおるよりも廃業させないという板橋モデルに学びたいということでお見えだということも、お話として紹介されておりました。

 その点で、開業率を高めるよりも廃業率を低くする施策が第一優先だ、このことの意義について、視察団の皆さんの関心の持ちどころも含めて、少し御紹介いただけないでしょうか。

中嶋参考人 私も含めて、皆さん開業が、廃業がふえていきますので必要だということで、冒頭に申し上げましたけれども、やはり創業自体の失敗も多いということもまず認識していただいて、ですから、今やっと、廃業させないことの方が従業員を守ったり地域のいろいろなものも守れるという形で、できるだけ廃業させないようにという形で我々は力を入れていきます。

 いずれにしても、自然に縮小していく場合もございますので、開業はできるだけ力を入れてやっていくんですけれども、だからといって廃業をあおるようなことは、我々、区の立場としてはできないので、そこはしっかり守っていくという形で区ではやっております。

塩川委員 ありがとうございます。

 それでは、諏訪参考人にお尋ねいたします。

 諏訪参考人は、大田区、そして日本の町工場と一緒に勝ち残っていきたいというふうに述べておられるということで、大田区では九人以下の町工場が九割を占める。そういう意味では、非常に産業集積も大きな大田区ですが、お話にありましたように、事業所の数はどんどん減っているという現状でもあります。ものづくりのネットワークを強みとして生かす、そういう点でも小規模企業の果たす役割は大変大きいと思います。

 冒頭のお話の中で、大企業とのかかわりについて、やはりこの間、変化が生まれているというお話がございました。この辺について教えていただきたいんですが、当初より、ティア1、メーカーがあって重層下請構造があった、それが崩れてきて元請制が導入される、商社なども入ってくる、こういう構図というのが、どのような変化が生まれており、下請の小規模企業、小企業者にとってどんな影響が出ているのかについて、現場の話をお聞かせいただけないでしょうか。

諏訪参考人 大企業とのかかわりについては、我々中堅企業とのかかわりが本当に変化をしておりまして、昔は商社さんというのは、ある意味、いろいろな商材を、いろいろなルートを使ってお客様に提供するというのが本来の業務目的であったにもかかわらず、今はやはり元請制というところで、我々みたいな小さな企業を抱えて、そこに一斉に図面を流して、一番安いところを選定する、そこをお客様に値段を提示するというところでやっております。

 そうなってきますと、我々は昔は直に購買さんと御連絡をとって、どこから仕事が出てくるのかというのも把握できましたので、現場におりていって、今何が困っているのかだとか、そういうことのニーズだとか、どういう動向に行くのかだとか、そういう情報が入ってきたんですね。また、こういう製品開発が始まるというのも入ってきました。

 ただ、やはり、元請制が導入されますと、メーカー様と我々の距離ができてしまいますので、現場になかなか行くこともできない。本当に昔は顔が見えたんですけれども、今は全く見えない、情報が入りづらい状況です。ですので、我々は逆に協力メーカーさんの方から、どうなっているんだ、どうなるんだと言われるんですけれども、我々も今、先が読めないという状況が生まれています。

 なので、価格競争とコストに関しては、原価低減活動などもあった上での元請制になっていますので、利益を出すのが非常に厳しい状況、プラスアルファ原価の高騰などもございますので、本当に小規模企業、中堅企業というのは今厳しい状況に置かれている。

 あと、二極化ともよく言われるんですけれども、二極化も、こういうピラミッドの崩壊が招いているものだというふうに考えています。

塩川委員 そういう点では、生き残っている企業自身は、非常に強みもあるようなところではあるんでしょうけれども、しかし、もともとの発注者、大手企業の発注がどういう意図なのかということも読み取れない、そういう構造の変化というのもやはり背景にあるんだろうなということを改めて感じました。

 あわせて、ダイヤ会についてなんですけれども、これだけではなかなかよくわかりませんで、私も、済みません、ウィキペディアは拝見しておりませんので、この辺について、その特徴、ポイントについてもうちょっと説明していただけますか。

諏訪参考人 これは大手の協力会と同じような考え方で、地域の九人以下の工場を支援していこうという先代からの流れでございます。ここでグループ化をつくっていただくことにより、我々がオーバーフローしたものを手伝っていただく、そこで横流しをしていただいて連携をとっていただく。

 また、後継者支援ですとか、二人、三人でやられていると、忘年会だとか旅行会だとか、そういったところもなかなかできないので、そういったものも当社で一緒にやっていただくだとか、あとは技術発表会などに来ていただいたりして情報の共有だとか、そういうことで、技術の維持と継承と発展という形でこういう会を持っています。

塩川委員 大手が協力会を壊しているような時代でありますので、そういう流れというのに改めて注目したいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

富田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、来る三十日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


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