衆議院

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第7号 平成26年11月7日(金曜日)

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平成二十六年十一月七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 鈴木 淳司君 理事 田中 良生君

   理事 牧原 秀樹君 理事 三原 朝彦君

   理事 若宮 健嗣君 理事 田嶋  要君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    池田 道孝君

      石川 昭政君    石崎  徹君

      大岡 敏孝君    大見  正君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    今野 智博君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      新開 裕司君    助田 重義君

      田畑  毅君    武村 展英君

      津島  淳君    辻  清人君

      冨樫 博之君    中谷 真一君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    細田 健一君

      前田 一男君    松島みどり君

      三ッ林裕巳君    宮崎 謙介君

      八木 哲也君    山田 賢司君

      山田 美樹君    生方 幸夫君

      大畠 章宏君    岸本 周平君

      近藤 洋介君    木下 智彦君

      小池 政就君    椎名  毅君

      國重  徹君    杉田 水脈君

      柏倉 祐司君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   平井 興宣君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   太田  充君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   西田 安範君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中山 峰孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         荒川  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            黒田 篤郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         山田 邦博君

   政府参考人

   (観光庁次長)      山口 由美君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     藤丸  敏君

  岩田 和親君     中谷 真一君

  黄川田仁志君     田畑  毅君

  佐々木 紀君     今野 智博君

  関  芳弘君     山田 賢司君

  細田 健一君     津島  淳君

  宮崎 政久君     助田 重義君

  山田 美樹君     三ッ林裕巳君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     佐々木 紀君

  助田 重義君     池田 道孝君

  田畑  毅君     鬼木  誠君

  津島  淳君     細田 健一君

  中谷 真一君     新開 裕司君

  藤丸  敏君     穴見 陽一君

  三ッ林裕巳君     山田 美樹君

  山田 賢司君     前田 一男君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     宮崎 政久君

  鬼木  誠君     神山 佐市君

  新開 裕司君     岩田 和親君

  前田 一男君     関  芳弘君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     石川 昭政君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     大岡 敏孝君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     黄川田仁志君

    ―――――――――――――

十一月七日

 原発からの撤退を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第六号)

 国に原発ゼロ・自然エネルギーへの転換を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第五〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官平井興宣君、総務省大臣官房審議官橋本嘉一君、財務省主計局次長太田充君、財務省主計局次長西田安範君、厚生労働省大臣官房審議官中山峰孝君、厚生労働省大臣官房審議官苧谷秀信君、農林水産省大臣官房総括審議官荒川隆君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官井上宏司君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、経済産業省製造産業局長黒田篤郎君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、中小企業庁長官北川慎介君、中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君、国土交通省大臣官房技術審議官山田邦博君及び観光庁次長山口由美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本周平君。

岸本委員 おはようございます。民主党の岸本周平でございます。

 本日も、引き続き質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 きょうは法案審議なんですけれども、たまたま先週、宮沢大臣とアベノミクスについて御議論をさせていただいた日といいますか、ハロウイーンの日に、黒田日銀総裁のハロウイーン・バズーカ砲第二弾というのが打ち出されまして、世の中様変わりをいたしましたので、引き続き、アベノミクス関連の質疑をさせていただきたいと存じます。

 ハロウイーン・バズーカ砲は大変なサプライズを持って受けとめられました。戦術的には、旧来の中央銀行のあり方からすれば、非常に上手になさったのだろうと思います。

 マーケットにサプライズを与えるという意味では戦術的にはよかったのかと思いますけれども、内容が、例えば従来六十兆円から七十兆円ペースのマネタリーベースの増加を思い切って八十兆円に拡大をされる。その際に、中長期国債の買い入れペースを何と年約八十兆円ということになさる。現状五十兆円でありますから、三十兆円の増加であります。その結果として、平均の残存期間を延ばさないと無理でありますから、現状の七年から十年ということになさったわけであります。そのほか、ETFあるいは不動産投資信託などを買う購入額も三倍ということになっておりまして、大変大きなショックをマーケットに与えた。株式のマーケットにはいい影響を与えたと思います。

 為替については、私は、先週申し上げましたように、円安は日本経済に対して現状では決してプラスではないと思っておりますので、この点も後ほど聞きたいと思いますが、なかなか賛同しにくい。

 一方で、国債のマーケットにつきましてはこれは相当なことでありまして、株式の投資家の間では評判がよかったですけれども、私の周りの国債マーケットの投資家の皆さんは大変残念がっておられました。

 実は、五十兆円のときも、大臣御存じのとおり、新規発行額の七〇%を購入するということにプラス、セカンダリーマーケットから相当買っていました。つまり、毎月七〇%を購入する以上の国債保有を日銀が続けてきておりまして、そうしないと実は五十兆というのはなかなか達成できないということもあって、これを八十兆円にしますと、日本の政府が発行する国債をほぼ全額日本銀行が結果的に引き受けるということになろうかと思います。これはどう考えても、財政ファイナンスということになろうかと思います。

 私も、昭和五十五年に霞が関に入りましたときに、よもや自分が生きている間に日本政府が財政ファイナンスをする、第二次世界大戦前と同じような状況が起きるということは全く想定しておりませんでしたけれども、それから何年かたった今、そのことを目のあたりにしたわけでありますが、この財政ファイナンスである日銀の行動についての、まずは宮沢大臣の御所感をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 十月三十一日。岸本委員と議論をしながら、ある意味で私としては大変楽しい議論をさせていただいたなと思っておりました。たしかあの日の午前中、昼過ぎ、きょうは株が随分上がっているなと思っていましたら、GPIFの関係の情報で上がっている、こういうような話で、しばらくしたら日銀の緊急記者会見があるということで、私も中身を初めて知りました。

 そして、会見の終わった後、総裁からお電話をいただきまして、いろいろな御説明を受けました。私は総裁に対して、大変タイムリーな時宜を得た政策だったと思います、それから、やはりこのサプライズ、よく秘密が守られたというのは大変大事なことだったと思います、大変市場とうまく対話をしていただきながらサプライズも与えるということで本当に評価をしていますということを申し上げまして、何とかこれが、総裁が一番気にされているのは恐らく物価だろうと思いますけれども、物価について、ある意味では下支えをしてもらえる、こういうことになればいいし、また、アベノミクスをさらに加速する原動力になってもらえれば大変ありがたいと思っております。

 もちろん、金融だけで日本がよくなるわけでは全くなくて、いわゆる成長戦略というものをどういう実のあるものにして、そして、特に中小・中堅企業を中心に、将来に希望を持ってもらえるような政策を実現していくかということが我々の肩にかかった一番重い話だろうと思っています。

 そして、日銀による財政ファイナンスという話になりますと、正直言って、市中が買えないから日銀が買っているという状況でないことは恐らく岸本委員も御承知のとおりだろうと思います。役所的に言えば、これは日銀の判断として、金融政策の判断として市中から買っているものであって、そういった懸念には当たらない、こういう話だろうと思いますけれども、大変な金額で、異次元といえば本当に異次元だなというのが率直な印象であります。

岸本委員 前段は賛同いたしますけれども、後段のお答えはちょっと、大臣もにやにやしながらお答えになっているので、本心ではないのかと存じますが。

 それは、国債のマーケットを壊しているわけですよ。日銀が、直接は引き受けていませんけれども、結果として引き受けているわけですよ、全額。これは日銀がお札を刷っているのと同じことでありまして、過去どの歴史書を読んでも、一国の政府がお札を刷り続けてうまく着地した国はないと思います。そういう国を私は知りません。その状態まで入ってしまっているということなんだろうと思うんですね。その理由は、今いみじくもおっしゃいましたけれども、物価なんですよ。

 日本銀行の十月三十一日のステートメントにはしなくも出ているんですが、ここで、物価の下押し要因があるんだ、それは原油価格の大幅な下落だと。原油価格の大幅な下落は、日本経済の購買力を高めますから景気をよくするので、長期的には物価の押し上げ要因になるとまで書いた上で、しかし、短期的には、結局原油の値下がりは物価の下押し圧力になるので、したがって、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある、だからやります、こういうことですね。つまり、何が何でも物価二%を達成するんだという意思表示を、頑固なまでに言い続けているだけのステートメントなんですね。

 これは、黒田総裁が、期待に働きかけるという、一辺倒のその政策にスティックされているということだと思うんです。前回も議論しましたけれども、いろいろな指標を見ても既に完全雇用はほぼ達成されている、完全雇用が達成されているときに、何が何でも二%の物価上昇にスティックするということにどんな意味があるのか。

 これは、いや、何が何でもデフレマインドを払拭するんだという強い意思の表示をし続けるんだということになるんだろうと思います。それは、黒田さんがそう思い込んでいらっしゃるし、彼はそれを戦術、戦略として正しいと思っていらっしゃるんだろうと思うんです。

 きょうは日銀を呼んでいませんのは、そんなことを聞いたってつまらない答えしか出ませんので、ここは国務大臣宮沢洋一さんとして、完全雇用は達成されているのに二%の物価上昇にこだわるのに意味があるのかどうか。どう思われますか。

宮沢国務大臣 私は、新聞によれば財務省より財務省寄りと言われておりまして、財政健全化派でありまして、決してリフレ派では全くないわけであります。

 一方で、過去十五年の、二十年と言ってもいいのかもしれません、デフレだった時代を考えてみますと、やはり、物価が上がるということに、本当に日本の国民は今なれていないといいますか、物価は変わらない、下がるものだということになれ過ぎてきてしまったということは大変問題だと思っております。

 二%かどうかということはいろいろ議論はあるかもしれませんけれども、やはり、物価が上がり続けていくんだということを国民の皆さんがある程度意識していただくということは、実は大変大事なことだろうと思っているんです。きょうよりあしたの物価が下がると思っていればあした買った方がいいわけですし、きょうより来年の物価は上がっていると思えば少し早目に買っておこうという、いいサイクルを回すということは大変大事だと思っておりまして、総裁が物価目標、大変強く、大事に思っておられるということは、私は一つの識見だと思っております。

岸本委員 黒田さんの立場からすればそういうことは言えると思うんですけれども、しかし、これも先週御議論させていただきましたように、労働力人口が減っている、そして民間の投資が減っているわけですね。その状態が続いてきていて、物価だけにスティックする、その期待だけに望みを託すというのはいかがなものかというふうに私は思います。

 一%じゃなぜいけないのか、なぜ二%じゃなきゃいけないのか、三ではないんですか。なぜ二なんだというのはよくわかりませんし、実際、これまで確かにデフレになれていたかもしれませんけれども、少なくとも実質的な購買力は毎年ふえておったんですね。物価は下がるけれども、実質賃金は上がっていたわけですよ。皆さん誰も困っていなかった。今は困っているんです。原油が上がり、円安でどんどん輸入物価が上がり、それが実質賃金を下げ、いまだにやはり総雇用所得といったって実質は下がっているわけでありまして、困っている。

 それで、安倍さんに言わせると、二、三年待ってくれ、二、三年待ってくれれば、必ず後からデフレマインドが払拭されて景気がよくなって、賃金もいずれ、遅行指数ですから上がっていきますと。では、この二、三年、私たちはどうしたらいいんですか。私たちは前はもっと幸せだったんですという意見だってあるわけで、二、三年我慢してくれと言われましても、なかなか、上澄みの世界、株式投資でもうかる人の世界、国債投資でもうかる世界、先物を売ってもうける世界の人たちの論理と、普通に暮らしている九九%の国民の実感というのは、やはりそこはかけ離れているのではないかと思いますが、これはこの程度にさせていただきます。

 もう一つ、今おっしゃいましたGPIFの発表もありました。これも非常に大胆な変更だったと思います。株式の投資を二五%プラス・マイナス・アルファ、これは国内がそうですけれども、海外も株式を二五%プラス・マイナス・アルファというようなこと。

 債券が五〇%。その中の内訳は、幾つかあるわけですけれども、ラフに計算しますと、債券から株に移るお金が三十兆なんですね。ちょうどGPIFが、もちろん時間軸はありますけれども、日銀が買われる三十兆円というのは、GPIFがお売りになる国債の三十兆円とたまさか数字は一緒になるわけであります。

 そして、中長期的にハイリスクだけれどもリターンの高いものにシフトするという議論は私はあってもいいと思います、今じゃないだろうという気はいたしますけれども。というのはガバナンスの問題なんですね。今のGPIFの、非常勤の運用委員がやっていて、専ら執行部が圧倒的な権限を持ってやっているガバナンスのきかない運用状態は、誰も責任をとれないんですよ、今のGPIFのガバナンスでは。

 ガバナンスを変えずに運用のリスクのとり方だけを変えるというのは、非常識きわまりないと私は思います。まずガバナンスを変えて責任をとれるようにしてあげないとどうしようもないというふうに思うわけですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 その問題にお答えする前に、先ほどの実質賃金の話なんですが、私も正直言って、ある意味で不思議でしようがないのが、バブルがはじけてデフレになって、実質賃金が実は上がり始めた、そういうときに、地元でいろいろな方と話していると、大変だ大変だとおっしゃるわけですね。いや、実はこういうことだから実質では上がっているんですよと言っても、そんなもの名目で見ているんだから実感がないんだ、こういう話が実はずっと来ていて、今回のように、ある意味では、物価が上がり始めると逆に実質賃金論がわっと出てくるというのが、なかなかさっと頭に入ってこない。名目なのか実質なのか、経済というのはなかなか難しいなというのが率直な思いでございます。

 それで、GPIFの方の話ですけれども、私も大臣になる前は、税制以外でも、年金についても自民党の責任者でございましたので、実はこの問題にかなり首を突っ込んでおりました。

 ちょうど大臣の内々示みたいなものを受ける直前も、村木次官とこの話をいろいろ相談したりしまして、そのときにはいろいろなことを考えておりましたけれども、こういう立場になりますと実は大変答えにくい質問を受けておりまして、私の所管でもありませんし、また一方で、GPIFは独立行政法人ですから、大臣も実は中期計画だけであって、それ以外に口を挟めるというような制度になっていない。

 こういう制度をつくったことがよかったか悪かったかということは、おっしゃるようにいろいろな問題があると思います。そういう問題があることは大変承知しておりますけれども、なかなか私の立場から、問題があるとかないとか言うことではないなと。

 ただ、ちなみに株式につきましても、基数はぐっと上げましたけれども、プラスマイナスでいえばかぶっている部分があるといえばある、こういう状況だろうと思っています。

岸本委員 所管はいろいろあるんでしょうけれども、国務大臣としてお答えいただきたかったんですが。これは過去の歴史が物語っておりまして、年金福祉事業団、これは理財局におられましたので御存じのとおり、自主運用というのをやっておられました。

 これは当時、もちろん自主運用ですので、余りきついことを言ってあげては気の毒なのは、運用部からお金を借りて利息を払った上での運用だったわけです。けれども、昭和六十一年から平成十二年までやった自主運用の結果、御存じだと思いますけれども、何とマイナスですよ、皆さん。運用は損しているんですよ。

 年金福祉事業団がやった自主運用、株式を含めた投資は、計算によりますけれども、何と一兆七千億から一兆八千億円の損を出してピリオド、終わりました。誰も責任をとっていません。誰も給料を返していません。誰も責任をとらないまま、国民の、私たちの年金のお金を、一兆八千億円近い損を出して終わっているんです。それでおしまい。これが官がやる運用の結末であります。

 公的年金を世界じゅう見てください、みんないろいろなリスク資産に投資していますよというときの公的年金というのは、カリフォルニアの有名な学校の先生たちとか公務員の方の年金で公的年金とおっしゃっているわけであって、例えばアメリカ政府の公的年金、つまり国が運営している公的年金は、法律によって国債以外の運用は禁止されています。アメリカ政府は国債しか運用していないんです。

 理由は簡単で、国債の金利はその国の経済力を反映させる、したがって、国債の金利で十分年金が賄えるように政府はきちんとした経済運営をすべきであるという理念のもとに、もちろんハイリスクはいかぬということもあって、アメリカ政府の公的年金は国債以外運用していないんですよ。国債だけ運用していれば人は要らないんですよ、満期まで保有しますから。デュレーションは考えて、二年物、三年物、短期の国債を持っていれば、キャッシュフローは簡単にマネジメントできますから、ほとんど手数料も要らない、そういうやり方もあるわけであります。

 今GPIFになりました。独法化後の運用利回り、市場運用分二・三七%です。決して高いとは言えません。だから株をやるんですと。株価は上がると下がることもあるんですけれども、それはいいです。二・三七%。一方で、財投債を引き受けていらっしゃいます。これは国債です。一・三〇%。これは独法化後、十八年から二十五年の七年間の運用実績です。一・三と二・三、変わるといえば変わりますけれども大きくは変わりませんよね。ほかの運用機関の利回りと比べると相当低いです、市場運用分は。

 この人たちに、ガバナンスを変えずに、リスクをとらせるんだろうかということについて、私は非常な違和感を感じております。これについての御答弁は求めませんけれども、そういうことであるということをぜひ同僚議員の皆さんにはわかっていただきたい。これで損したって責任とれないんですよ、今のGPIFでは。

 しかも、これも皆さん御存じのとおりですけれども、今回、株が上がっています。バズーカ砲で今上がりましたけれども、きょうも上がっています。少なくとも、しかし、一昨年の解散前後、十一月からことしの十月までの二年間を見たときに、株価は上がっています。そのうち、外国人投資家の買い越しが十六兆円、日本の個人の売り越しが十一兆円、企業の売り越しが五兆円。端数がありますので一応ラフに言いましたけれども。委託もありますので端数は合いませんが。どういうことか。外人しか買っていないんですよ、日本の株は。

 東証の統計を見たいんですけれども、先週、今週、誰が買っているのか楽しみにしているんですけれども、外人しか買っていない。日本の個人投資家は売り越しです。だから、百貨店で高級時計が売れたんです。外車が売れたんです。日本の企業も、幸い塩漬けしていた株式を全部売り払って利益を出す。含み益はまだありましょう。日本人は買っていないんです。株式というのは日本の未来を映す鏡です。日本の未来を日本人は誰も買っていない。

 そこで、外人投資家はこの十六兆円、金もうけのために突っ込んでいるんです。必ずこれは引き揚げます、利益をもとにして。過去、何度も何度も、戦後、繰り返されたパターンです。マーケットに詳しい同僚議員もいらっしゃいますけれども、日本の生保、損保が買い出したら外人は売るんです。あるいは日本の個人が買い出したら売るんです。そして、高値で売って、その後暴落というのが繰り返されてきました。しかし、今回、日本は学習しています。生損保は手を出していません。個人投資家は売るばかりです。買いません。逃げようがないんです。

 そこで、さっきの三十兆円が出てくるんですよ、大臣。GPIFが三十兆円を差し出します、株式のマーケットに。十六兆円買い越した外人は、十四兆円の利益を乗せて、はい、さようなら。三十兆円の我々国民の国富をそういうマーケットに差し出すリスクが非常に高い。だから、今じゃないだろうというふうに私は思うわけでありますけれども。お答えにくいとは思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 私も財務省時代、証券関係の仕事を長くやっておりましたので、なかなか、正直言って、普通の人からは理解しがたい部分が随分あるマーケットであることは確かだろうと思っております。

 そして、今のお話ですけれども、私はそこまできれいには割り切っておりませんで、GPIFが株をこれから買い増すことになると思いますが、決して短期で売買しようというような発想で買うわけではなくて、極めて長期の保有を前提として買うわけでありますので、では半年後にどうだ、一年後にどうだという話ではなくて、五年後、十年後、二十年後の日本の経済がまた大変よくなって、買った対象の企業もよくなっている、こういう状況を我々はつくっていかなければいけないんだろうと思っています。

岸本委員 ありがとうございます。

 それでは、また少し話題をかえまして、消費税の再引き上げとプライマリーバランスの問題について、これも国務大臣としての御見解を伺いたいと思うんですけれども。

 再引き上げについては先週も少しお答えをいただきました。お答えは模範答弁だったと思います。状況を見ながら内閣で御決定をされるということだと思いますが。二〇一〇年度比、来年度二〇一五年度にプライマリーバランスを半減する。二〇一〇年はマイナス六・六ですから、マイナス三・三にしなければいけない。これは国際公約です。

 麻生財務大臣もいろいろな国際会議でコミットメントをされています。コミットメントというのは非常に強い言葉であります。約束より強いです。コミットメントは公約と訳されるぐらいの意味があります。そのコミットメントがあるから、私的に言わせると、財政ファイナンスをしていても、まあまあマーケットは揺るがないと思うんです。このコミットメントが崩れるというのは大変恐ろしいことではないかと思います。

 この際、再引き上げをしない場合、明らかにコミットメントは崩れます。来年度再引き上げしない場合、もちろんその分社会保障の充実もないにしても、どう計算してもこれは難しい。

 仮に引き上げましょう、来年十月、予定どおり。しかし、今政府・与党で御検討されているような補正予算を仮に打たれる、二兆円から三兆円の補正予算を打たれる。実は、ことしの夏の中期計画の見直しの試算で、すき間は実は〇・七兆、七千億なんです。一応達成できるんです。今の計算ですよ、今の内閣府の計算では、来年の二〇一五年度ぎりぎり、プライマリーバランスはマイナス半減できるという計算になっています、計算上、相当蹴上げていますけれども。ところが、七千億円なんです、すき間は。

 ということは、これはちょっと難しくなりますけれども、大臣は御理解いただけると思うんですけれども、補正予算を打ちます。補正予算は今年度です。二〇一四年度です。したがって、歳入は二〇一四年度に立ちます。一方で、補正予算ですから、来年一月、通常国会冒頭に通します。当然、執行は年度内にはできません。最近の景気対策は全部そうです。繰り越します。つまり、執行は二〇一五年度なんです。歳入は二〇一四年度なんです。そして、プライマリーバランスは新SNAベースの決算ベースではかられることになっています。

 ついでに言いますと、これも同僚議員の皆さんに申し上げておきますが、民主党政権下では、プライマリーバランスは決算ベースでは改善しています。当初予算ベースで、安倍さんはけしからぬことを言っておられて、民主党になってバランスが崩れているとおっしゃいますけれども、決算ベースでは実は着実に改善をしてきています。それはぜひ覚えておいていただきたいんですが、それはそれとして。

 では、大臣、仮に引き上げた場合でも、補正予算を打ってしまうと、プライマリーバランスが半減するかどうかは非常に微妙。そのときに知恵はあるかもしれませんね。だけれども、それは、例えば歳出を実は二〇一四年にやったことにするなんてこそくなことは多分内閣府だってしないと思いますから、七千億のすき間があって三兆の補正を打ったときのプライマリーバランス達成目標が実現できない可能性がある、あるいは、引き上げない場合はさらに確実になる。このコミットメントと再引き上げの問題についての御所見をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 二〇一五年度にプライマリーバランスの赤字を二〇一〇年比で半減させること、また、二〇二〇年度にプライマリーバランスを回復するということは、私は、公約かどうかはともかくとして、やはり国際的に、できなかったときには日本の信認が問われるような事態になることだと思っております。

 一方で、今のお話、岸本委員は大変詳しいので、おっしゃるとおりで、SNAベースの決算でございますから、正直言って、二年後ぐらいにマルだったのかバツだったのかがわかるということで、過去にも民主党政権下でプライマリーバランスが決算ベースで回復していたというのは初めて知りまして、ああ、そうかなと思って伺っておりました。

 一方で、予算ベースでやはり、いずれ二年後に出るので、そのときにごめんなさいと言えばいいやというわけには当然いかないわけでありまして、予算ベースでしっかりしたまさに来年度の半減目標というものを達成するような形をつくらなきゃいけない。そして、それは当然のごとく、今年度の補正をやったとすれば、その補正も入れたところでしっかりとした見通しを立てられるようにするということだろうと思っていまして、いずれにしても、来年の一月には内閣府の方で財政見通しを出すはずでございますので、そこでしっかりと達成できるというような形になっている。

 恐らく、補正予算、また来年度の予算で一五年度中にどれぐらいのお金が民に出ていくのかとかいうことをかなり詳細にチェックした上でつくると思いますけれども、予算ベースでやはりしっかりとこれを守られるようなものにしていくということが、補正をつくるにしても、そういうことも考えながらやっていかなければいけない話だと思っています。

岸本委員 ありがとうございます。

 ぜひ、閣内におられて、そこの財政規律はきちんと、財務省より財務省らしい国務大臣として頑張って、本当に財務省は財政規律が緩いですからね、言っておきますけれども、彼らは。とても柔軟な方々なので、ぜひ宮沢大臣に期待したいと思います。

 次なんですけれども、これからの経済運営を考えていきましたときに、今はやりの格差論というのがございます。格差が広がっているということですね。

 今、ベストセラーのトマ・ピケティーの二十一世紀の資本論というのがありまして、これぐらいの分厚さがありまして、私もアマゾンで買ったんですけれども、とても読み始める勇気がなくて、お飾りにしてあるんですけれども。

 いろいろなダイジェストを読みますと、基本的には格差は第一次大戦ごろに戻っていると。あるいは、OECDでも、一八二〇年代ぐらいまで戻っているというレポートもあるぐらいでありますが、トマ・ピケティーさんの論旨は、要すれば、お金を稼ぐには二つありますねと。賃金を得る、労働によって、働いて得る方法と、あるいは、資産を引き継いだり、資産を運用して得る利益でお金を得る、二つありますねと。

 どんな統計を、彼は随分、何百年もさかのぼり、日本の税務統計まで使われて推計されているようですけれども、百年単位で統計をとると、どの国も、特に先進国は、賃金の上昇率よりも資本の収益率の方がどうも高い。したがって、長期的に考えれば、単に働く人よりは資本を持っている方の方がどんどん持ち分がふえていって、格差が広がる。

 それが、たまたま第二次世界大戦後、いろいろな経済が完璧に破壊されて、ある程度平等になったものですから、その後しばらくは、世界的には、そうはいいながらある程度平等な社会が実現し、逆に、日本が特に典型ですけれども、この二、三十年、まさにデフレもあって、経済が停滞したところほど、資本の収益率が賃金を上回るものですから、どうしても格差が広がってきている、こういう分析であります。

 当然、これに対しては、彼は全部その推計方法をホームページにアップされていますので、反論もたくさんあって、そうではないという説もありますけれども、直観的に私たちの実感には合うところもあります。

 それに対する処方箋というのは、彼は、例えば累進課税を強化するとか相続税をきちんと取るとかいうことでありましょうし、またある別の方は、いや、そこはさわらずに、むしろ最低賃金を上げることによって下を上げればいいんじゃないかというような議論がかまびすしいわけです。

 いずれにしても、お伺いしたいのは、そういう格差論がある中で、今回のハロウイーン・バズーカ、あるいはそもそものアベノミクスの金融政策というものは、実際やはり格差を広げる方向に行っているんじゃないだろうかというふうに思うわけでありますけれども、ちょっと大きな視点から、宮沢大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 恐らく、経産大臣として答弁するとしますと、そういうことが起こらないように、中小企業の資金繰りとか、また価格の転嫁に最大限配慮します、こういうことなんでしょうが、ピケティーの話というのは、私も、数カ月前に日銀の幹部から、今、国際会議に出るとこれが話題になっているということで話を聞き、概要みたいなものは読みましたけれども、とてもとてもこんなものを買う気にもならずに、やっておりませんし、何か資料分析の価値としては大変なものだという話を聞いております。非常に注目をしております。

 そういう中で、今回の円安といったものが格差拡大につながるかというお話ですけれども、いろいろな意味で、前回も議論しましたように、円安のメリット、デメリットというものがあることは間違いなくて、やはり輸入物価が上がることによって消費者物価が上がるとか、また、輸入したものを加工等々している中小企業からすると非常に厳しい状況がある。

 一方で、輸出している大企業、中小企業にはある程度の恩恵が来るし、また、そこに勤めている方についても恩恵は来るし、また、そういう企業の下に、例えば自動車産業であれば大変裾野の広い産業ですからそういう裾野にいる方たちにもある程度の恩恵が来るというようなことで、なかなかメリット、デメリットということは申し上げにくいんだと思っております。

 そして、では今回の円安で格差が広がるかどうかというと、非常にこれは、どおんと百五十円とかいう話になったときにいろいろな話があろうかと思いますけれども、それでは、では百八円が百十円、百十五円になった、格差が広がったかという検証はなかなか難しいんだろうなというふうに思います。

岸本委員 円安だけではなくて、では株式。例えば、アメリカですと、個人の金融資産に占める株式の比率は非常に高うございます。日本もそのためにNISAをつくらせていただいて、これは民主党政権時でありましたけれども、ともかくNISAをつくって、これは今売れています、私はいいことだと思います。個人が幅広くリスク分散をして金融資産のダイバーシティー化を図っていく。しかし、途上であります。ほとんど日本の家計は株式を持っていません。一方で、今の安倍内閣は、株式市場主義とは言いませんけれども、株式にスティックされている気配があって、どんどん上がっていく。そのことによる格差論というのはいかがですか。

宮沢国務大臣 先日、予算委員会で総理等々にそういう趣旨の質問がありまして、もちろん株を持っている方は資産がふえていく、一方で、年金等々といったものもいい影響があるので一般の方にも恩恵が来る、また一方で、資産効果ということで消費等々がふえていってもらえれば経済全体にいい影響がある、こういうことが政府の公式答弁でありまして、では、持っていない人よりはたくさん持っている人がある意味で得する、有利になるということは、これは間違いないわけですので、そういう方にはぜひお金を使っていただきたいということを私から申し上げなきゃいけないと思っています。

岸本委員 それもいわゆるトリクルダウン説なんですけれども、トリクルダウンは起きていないんですね、いろいろな意味で今や。ピケティーさんも言っていますけれども、結局、彼の分析によると、お金持ちはお金持ちになっていいじゃないか、しかしトリクルダウンは起きていないという分析もされています。もちろん、サッチャーさんが言うように、お金持ちを貧乏人にしても、貧乏人はお金持ちにならない、それは本当にそのとおりなんです。

 そのとおりなんですけれども、トリクルダウンは起きていません。それは、マクロ的にもそうですし、日本の産業構造的にもです。昔は製造業中心でしたから、製造業の親会社がもうかると、まさに売り上げがふえ、販売がふえ、数量がふえますから、トリクルダウンで下請まで行ったんですけれども、今は製造業の比率は非常に小さいです、GDPに占める非製造業は七割ですから。しかも、先週の議論ではありませんけれども、海外に工場を移されていますので、製造業の世界のトリクルダウンもないし、あっても経済の中で占める規模は非常に小さい。

 そういう意味では、お金持ちがお金持ちになっていただくのはいいんですけれども、それがトリクルダウンにならないとは思うんですけれども、そのトリクルダウンについてはいかがですか。

宮沢国務大臣 サービス業等々というところでそういう状況だろうということは私もそう思いますけれども、例えば、自動車産業だけ見ても、やはり六百万人近い方が従事している。恐らく日本の労働者の一割が従事しているわけでありますので、それなりの効果はあるんだろうと思っています。

岸本委員 時間が参りましたので、そろそろやめたいと思いますが、いずれにしても、経済産業省というまさに日本の経済産業政策を担っている皆さんに対しては、ぜひ、安倍内閣の中の政府でありましょうけれども、一つ、これまでの経験、いろいろな蓄積をもとに、少しはオーソドックスな経済政策をやっていただきたいと思うんであります。

 生意気を言うようですけれども、エドマンド・バークというイギリスの保守政治家がおられました。私は私淑しているわけですけれども、彼は、フランス革命は絶対失敗するとおっしゃったんです。理由はなぜか。人間の理性を一〇〇%信ずるのかどうかが保守主義の分かれ目だと言うんですね。

 人間の理性は完璧でないと思うのが保守主義だ、私はそう思います。だから、過去に戻る必要はないんです。過去は愚かな人間がつくった制度ですから、反動主義に陥ってはいけない、復古主義に陥ってはいけない。

 今の制度は、不完全な私たちがつくっているのだから、ますますこれにスティックしてはいけない。そんな明るい未来を描けるほど私たちは賢くない。だからこそ、伝統と地域の力によって、少しずつ改善していくのが保守主義だということであります。私はその意味で保守政治家でありたいと思っています。

 アベノミクスは冒険主義です。これは保守主義ではありません。黒田さんの理性に一〇〇%信頼を置き過ぎている。そのことを申し上げて、質問を終わります。

 以上です。

江田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 おはようございます。

 きょう、私は、今、岸本先生がおっしゃったトリクルダウンのような、いつ訪れるかわからないような議論ではなくして、むしろ直截的に、目指すべき社会の実現に向かって役立つような御提案をさせていただきたいと思っております。

 この間、この法律、先週の議事録を読み返してみますと、大臣はいみじくもおっしゃいました。地域資源活用促進法という小さな枠組み、こういう言い方をされましたね。

 まさに、そういう小さな枠組みの法律を大臣自身がお認めでございますけれども、そういう中で私がつくづく思ったのは、やはりそれぞれのセクションに文化があり、今までのやり方があり、しかし、ほかの役所とか、あるいはほかの部署とのつながりということをもう少し意識することがやはり霞が関にとっては極めて大事ではないかなというふうに思います。

 そこで、きょうは、朝、資料を一枚追加させていただきましたのが、日経新聞のつい先日の一面トップでございますが、私はいつかこういう記事が日経新聞の一面トップを飾ることを心待ちにいたしておりまして、ようやく出てまいりました。ごらんください、「電力、「地産地消」広がる」と。

 これ自体、今まで考えにくいことですね。地産地消というと、普通は農産物とかそういうことでございまして、電力なんというのは地産地消と無縁かもしれない。まさに、電力というのはエネ庁の世界であり、地産地消というのは中小企業あるいは農業の関係だったわけでございますが、こういう一見矛盾したものが日経の一面トップ記事になるような時代。そして、そこにバイオマス、風力そして雇用など、創生の核になってきているということですね。

 これは、今までの延長線上の、中小企業庁の発想からはなかなか出てこない。そして、ハイブリッドと私は申し上げたいんですが、やはりエネ庁との連携もこれから必要な時代がやってくる。たまたまこれは総務省のことがたくさん書かれている記事でございますけれども。

 そこで、私の最初の質問は、水曜日にも申し上げさせていただきました、法律の地域の資源という中に、エネルギー、再エネの資源ということが触れられていない。そして、それに対する大臣の御答弁は、先ほども申し上げましたが、大臣はこうおっしゃいました、私は正直言って、この法律という小さな枠組みの中ではなくて、やはりエネルギー政策全体の中で対応していく方が正しいと。これは、私は、今までの発想に立つとそのとおりだと思うんですね。

 しかし、私が申し上げたいのは、今、立ちどまって、時代が激変している中で、エネルギー政策などというものは、もう実は、中小企業や地域の小さな一人一人が、自分たちが出資できるかもしれない、自分たちの電力会社をつくれるかもしれない。ドイツの町、村でもそういうことが実際起きた。

 本も読みましたけれども、そういう時代になってきているということをやはりむしろ先取りして、こういう中小企業庁中心の法律の中身にも書き込むことが、今までの政策の取り組みの延長線上ではない取り組みができる一つの突破口になるんだろうというふうに私は思うんです。だからこそ、おとといそういう御提案をさせていただきました。

 改めて、この中にそういう言葉を入れた方がいいんじゃないかということを申し上げさせていただきます。小さい枠組みの法律ではございますけれども、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 先日も委員から御質問を受けまして、まさにそのように答弁をさせていただきました。

 まず、地産地消が広がるという流れは、私は大変大事なことだと思っておりまして、こういう動きを我々としても本当に積極的に応援をしていかなければいけないと思っております。

 そして、今回の法律でありますけれども、地域産業資源といいますと、今回も法律改正等々しておりますように、ふるさと名物を応援するとかというようなことになると、何となく私のイメージでいうと、それと同列なのは、のどかな田園に水車があって、水車があって発電していて、それを観光等々で応援していく。これは対象になるけれども、では、地熱発電、これも大事な話ですけれども、私は地熱発電そのものの発電所を見たことはないんですけれども、恐らくかなりコンクリートの建物なんだろう、こう思うので、ちょっと違うんじゃないかなというのが、正直、この法案を提案している担当者としての感じでございます。

 そういった意味で、そういうことについてはぜひとも応援していかなければいけないので、エネルギー政策全体の中でしっかり対応していく必要があるということを申し上げました。一方で、今、資エ庁と中小企業庁と一緒に、これはおっしゃるとおり、少しアイデアを考えてみなきゃいけないなということを今思っております。

田嶋委員 私は、党のエネルギー環境総合調査会の事務局長で、この間ずっとこのテーマをやってまいりましたので、若干思い入れがあるのはそのとおりでございます。私は、今、安倍内閣で地方創生と言っているときの大きな切り札の一つが、やはりエネルギー・環境分野だと思います。それは恐らく、与党の先生の中にも賛同していただける方は大勢いらっしゃると思います。

 「里山資本主義」という本も大分読まれたようでございますが、あそこに書いてあることが全部正しいかどうかはわかりませんけれども、一つここはかけるに値するおもしろい分野であり、そして、現に、私が意を強くするのは、いろいろな地域が沸き上がっているんですね。おとといのNHKでも会津電力の方が出ておられましたけれども、沸き上がっているんです。久々に地域が元気になっているんです。先ほどの岸本先生の話の、全体の人口が減っている、格差が広がっている、何となくアベノミクスはいつまでたってもトリクルダウンしてこない、こういう状況の中で、やはり明るい話題だと思うんですよね。

 だからこそ、それをエネ庁だけの所掌とせずに、やはりこういう小さな枠組みの中でも、位置づけることがまさに町の一人一人の、あるいは町の小規模企業、まさに小さな企業も着目をする分野なんだということのメッセージを発信していただきたい、そのことをお願いさせていただきたいと思います。

 続きまして、官公需法のところに関しても一つお伺いします。

 これも、私は、他分野との連携ということ、そしてよりいい社会を実現するために、経産省が経産省だけで、あるいは中小企業庁が中小企業庁だけで考えていると、もっといい社会をつくるには限界があるということの具体例として、きょうは若干思いの強い部分に関して、最後に質問させていただきたいと思うんです。

 まず、その前提として、政府参考人にお伺いします。

 年間一兆円規模の少額随意契約というのがあるということでございますが、契約件数と平均契約額はどのぐらいあるのか、それから、その一兆円のうち現在どのぐらいが十年未満の中小企業に発注されているのか、そのことを御答弁ください。

北川政府参考人 お答えいたします。

 少額随契は、今おっしゃったとおり一兆四十五億円ございます。件数が五百八十八万件。したがいまして平均契約額は約十七万円となります。

 一方、この約一兆円のうち、新規中小企業者への発注割合は、いろいろなデータをもとに我々なりに推算しますと一・五%程度になろうかと思います。

田嶋委員 この一・五%をもっとこれから上げていかなきゃいけないということで、中小企業全般に関しては今五割を超えてきているということでございますが、特に新規の企業を応援するということでございます。今の御答弁でございましたとおり、やはり契約単価は非常に小さいですね、十七万円。しかし、相手が小規模事業者であれば、そういった小さな契約がいろいろなところに届くようになることがやはり大切ではないか。

 恐らくデータはないのかもしれませんが、どのぐらい中小企業、特定の企業に集中しているかという、企業数というのはわかりますか。それはわかりませんか、今は。それは通告しておりませんので、また教えていただきたいと思います。

 恐らく、こういうちっちゃな契約が繰り返し繰り返し同じところにばかり行っている傾向もあるのではないかなと思うんですが、それをできるだけ新しい企業に広げていっていただければと思います。

 そこで、いわゆる競争入札の方は、手を挙げてもらって、入札したい人が入札するという、それだけのことでございます。この少額随契というのは、やはり若干、私も先回懸念を申し上げさせていただいた、恣意性というか、いわゆる運用というか、そういう部分が働くわけでございますが、考慮というキーワード、考慮する、小規模企業あるいは新規の企業に考慮するというのが実際に実務上はどう行われるかという点に関して、副大臣、御答弁をお願いします。

高木副大臣 今御指摘がありました少額随契におきまして、発注担当者が相見積もりをとる際にはできる限り新規中小企業者を相見積もりをとる相手先に加えるようにするなど、広く新規中小企業者の受注機会を増大できるよう、国等の契約の基本方針などを通じて各省庁に求めていくこととしたい、このように考えております。

 しかし、各発注担当者が新規中小企業者を知らない場合には、新規中小企業者との契約の機会がなくなってしまいますので、今後は中小企業基盤整備機構が官公需に関心のある新規中小企業者の情報を収集し、各省庁等がこの情報を相見積もりの際に活用することを検討しております。

 中小機構による新規中小企業者の情報収集に当たっては、中小機構のホームページ上での募集に加え、各省または商工会、商工会議所、地方公共団体とも連携をしまして、新規中小企業者からの情報提供が行われるよう広く発信してまいりたいと思っております。

 また、こうした取り組みによりまして、各省庁等の発注担当者が少額随契の際に新規中小企業者を相見積もりをとる相手先に加えるよう努めることで、新規中小企業者の受注機会の増大を図っていきたい、このように考えております。

田嶋委員 法律をつくっても、最後はそれぞれの発注の担当の方がわかっていないとそういう意識ができないわけなので、そこが非常に大事になってこようかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 せんだっての参考人の先生の方からも、バランスが大事である、バランスとは何かといえば、公正なルール、透明性ということはまず原則としてあるけれども、しかし一方で、地場をどう育成していくか、政策的配慮が必要であるという御指摘がございまして、全くそのとおり。これは正解がこれというんじゃなくて、本当に現場の感覚が大事になってこようかと思います。

 そこで、私、きょうは個人的に関心を持っていることで、先ほどほかの役所ということを申し上げました。厚生労働省とどう連携をとっていくか、もう一つは法務省とどう連携がとれるかという点を指摘したいと思います。

 先週もお配りしました資料の第一でございますが、これは、おととい申し上げたとおり、既に昨年から施行されている法律でございまして、議員立法でつくられたもので、全会一致でございましたが、障害者就労施設というのが地域にたくさんございます。

 私は、先ほどの参考人の言葉でいうと、いわゆる政策的配慮ということでは、まさに新規の会社を応援する中で、やはりこういうある意味細々と頑張っている方々をもっと応援することが、おくれていると言われている日本の障害者政策を前に推す大きな力になる。私の地元にも、物すごくアイスクリームを売っている障害者施設があります。そういうところにどのぐらい役所から発注が出ているのかというのは、ちょっと思うわけでございます。

 そこで、ちょっと懸念ということで、こういった法律からの政策的要請とのバランスというのは、少額随意契約の発注の実務上ではどのように行われるんでしょうか。

高木副大臣 今委員御指摘のように、バランスの問題は大変重要だと思っております。

 国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律、いわゆる障害者優先調達推進法、この議員立法、同法に基づく基本方針によりまして、各省庁において、随契に際しては障害者就労施設からの見積もり取得に努めることとしている。

 こうした取り組みは、新規中小企業者または障害者就労施設の官公需への参入を促進し、その受注機会の増大を図るものであり、結果まで担保するものではないので、どちらか一方が優先されるものではないと考えております。

 ですから、両方が出た場合、ここはあくまでも単価の問題ですとかそういうことになると思いますけれども、やはり担当者がしっかりと障害者の施設を意識しながらやっていただくということが大変重要であると考えております。

田嶋委員 経産省のお役所の方からは、今回の法の提案をするに際して、この議員立法はちゃんと意識をしてつくったというお話も伺いましたので安心をいたしましたが、一にも二にも現場の発注者がこういう組織の存在を知らなければ、今回経産省からこういう法律が来たから、これからは十年未満、十年未満、こういうわけですが、その障害者施設が十二年目の会社だったら無視されちゃう部分もあるんじゃないかという懸念もございますので、ぜひともそこはしっかりと情報共有をお願いしたいと思います。

 次の御質問でございますが、ページの二でございます。

 これは、昨年、超党派で議員連盟をつくらせていただきまして、私も役員をやらせていただいております。出所者を雇用する企業のことを協力雇用主と呼んでございまして、全国に一万二千社以上が登録をされてございますが、残念ながら、実際に出所者を雇っている企業は何と四百七十二社にとどまっている。そこで働いている方が一千二百三十名ということでございます。

 まず、協力雇用主という言葉もまだまだ余り知られていないということで、大臣、こういう言葉は御存じでしたか。

宮沢国務大臣 初めて知りました。

田嶋委員 私も、一昨年か昨年、法務委員会の理事になって初めて学びましたけれども、やはりなかなか、こういう話は一部の強く思いを持っている方以外には知られていないところです。実は、私も地元の協力雇用主の方、二十社ぐらいと意見交換もさせていただいた。まず知られていないんですね。そして、その現実がこういう状況にあるわけでございます。

 次の三ページをごらんください。

 これは法務省からの資料でございますけれども、地方公共団体に働きかけて、協力雇用主に対する支援を、これも義務ではございませんが、任意でいろいろと取りつけられております。三十二自治体、十八自治体と下の方に書いてございますけれども。これは地方公共団体でございます。

 法務省に確認しますと、これから、政府との関係、いわゆる国等からの発注、官公需ということにも検討していきたいというふうにおっしゃってはいたわけですが、きょうは経済産業委員会でございますので、ぜひ、私が思いを持っておりますこの分野に関して、成長戦略とか、あるいは地域活性化という、この提案の本来の趣旨とは若干ずれる部分もあるかと思うんですが、私は、今のこの日本をさらに多くの国民にとって幸せな国にするためには、まさに経済産業省だけの発想に立っていると、どうしても大事な政策が前に進みにくい。そこで、我々かすがいのような存在がやはり役割を果たすんだろうと思っております。

 そこで、大臣に、この協力雇用主に対する支援策として、少額随意契約を活用する検討ができないか。

 これは、先ほどの障害者の部分も同じでございますけれども、協力雇用主に関しては今まだ法律があるわけではございません。しかし、法務省も頑張っておるわけでございまして、ぜひ、経済産業省の側からも、今まで接したこともほとんどないという話も聞きましたが、法務省とちゃんと連携しながら、そして、こういったことが進めば、町の犯罪も減り、そして地域の方々や地域の企業にとっても環境がよくなるわけですね。商売をされる環境もよくなるということであれば、CSRという観点からも、やはりこれは大臣の頭の隅にも置いていただきたいとは思いますが、大臣、前向きな御答弁をお願いいたします。

宮沢国務大臣 障害者施設からの優先的購入については、私も、たしかあれは参議院のもうやめられた坂本先生が中心になってつくられていまして、随意契約できるようにするところなんかは財務省と交渉してくれと言われて、随分働いた記憶があって、まだ何か随意契約の実績がないということを先日聞いて、びっくりしたところなんですけれども。

 それは別にしまして、今の話でございますけれども、協力雇用主ということは初めて勉強させていただきました。再犯を防止するといった意味で、本当に大事な制度だろうと思っております。そして、昨年の十二月には政府の閣議決定で、協力雇用主に対する支援を推進する旨は、十二月、一年前に盛り込まれているところでございます。

 今回、先生からこういう話を承りました。また、大変大事な話であることは私も認識しておりますので、今後、この法律を成立させていただければ、国等の契約の基本方針を策定しなければいけませんけれども、その策定過程で検討してまいりたいと思っております。

田嶋委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 そして、最後の一問でございますけれども、中小機構法の改正も今回御提案されておりますが、直接、改正の部分に関係している話ではございませんが、実はこれはかつて私ども事業仕分けの中で、この中小機構法の海外進出を考える企業さんの御支援という観点から、ちょっと取り上げさせていただいたことがございました。

 私も、ぜひ日本の中小企業、小規模企業は、私は千葉県でございますが、もう東京に出ていくとかという発想じゃなくて、アジアにもっと出ていこうと。いわゆる最近はやりの本の言葉で言えば、GとLのうちのGの企業は、どんどん小さな規模でもやはり出ていく。

 そのときに中小機構等の支援が本当に大事なわけでございますが、若干ジェトロとの関係では相重なっているような、そして、同じ資源の活用という意味では若干無駄がまだまだあるような認識を私はいたしておりまして、その点は事業仕分けでも指摘をされたわけでございますが、どのように最近なっているのか、あるいは、現在どういうような改革の方向になっているのか、そのことを政府参考人から御答弁いただきたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 中小企業の海外展開に当たりまして、政府としても、中小機構、ジェトロ、それぞれと連携しながら支援するということが重要と思っております。また、それぞれ特色、強みがございますので、それぞれの中小企業、小規模事業者の段階に応じて支援を分担していくという考えでございます。

 主に中小機構の場合は、国内での支援、出かけていくまでの御支援ということでございまして、ジェトロにおきましては、現地での専門性、現地のネットワークを生かして、海外との関係に関する支援というふうに考えてございます。

 例えば、中小機構が専門家によります出展計画の策定支援をした後に、現地でジェトロが海外の展示会に設置するブースへの出展、商談を応援する。あるいはまた、海外展開を検討されておられる中小企業、小規模事業者の方に対しまして、中小機構が国内で実現可能性調査の支援を行った後に、ジェトロが現地パートナーとの商談あるいは現地法人設立、こういったことを支援するというふうに、それぞれ強みを生かしながら分担して支援をしていくというふうに考えてございます。

田嶋委員 当然、国内でやってから海外への企業が多くて、いきなり海外に行くという日本の企業は余りないわけでございますので、中小機構のホームページを見ていると、海外の関係はこちらにといって、ジェトロにぱっと飛ぶように、そのぐらいきちんと連携もしていただいて、資源の無駄のない形での取り組みをしていただきたいと思います。

 最後に一点だけ。

 非常にいいお話なんですが、四ページの資料に、中小企業ニュースとして、機構の最新の情報が載っていました。十月からメール配信で中小向けの官公需情報サイトを稼働したと。これは法案の関係で私は見つけたんですけれども、大臣はこういうのは多分御存じないですよね。

 こういうのはもったいないと思いますよ。私は、ビッグデータ、オープンガバメントも時々あちこちの委員会で取り上げていますけれども、これはすごくいい一歩だと思うんです。こういうことをせっかくやっているのに余り宣伝されていないということで、まさにこれは法案にもぴったりの中身ですよね。そして、情報提供がなかったら、そもそも中小企業の支援はやはり難しいということがあるので、こういうのがやっと先月稼働したわけですから、ぜひそういうことも、アピール不足が否めませんので、頑張っていただきたい、そういうことを申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介です。

 大臣、まず、法案の審議に入る前に、ちょっと一つお伺いしたいことがあるんです。ちょっとお聞きしにくい話ではあるんですが、三日、大臣は鹿児島県、九州電力の川内原発に視察をされておりますね。その際に、職員の皆さんへの訓示の折に、川内原発の名称を誤ってカワウチ原発というふうに訓示されたという報道がありますが、これは事実ですか。

宮沢国務大臣 十一月の三日でございますか、川内原発の視察に参りまして、その後で、九電の関係者、また薩摩川内市長などもいらっしゃる前で少しお話をさせていただきました。そのときに何回か川内原発絡みの話をした中で、一回、カワウチ原発と言ってしまったことは事実でございますが、その場で直ちに修正をさせていただきました。

 正直、その前の前の日に福島に行っておりまして、川内村があるわけですけれども、ああ、川内村と川内、これは同じで間違えちゃいけないなというのは実はそのときに思っていましたけれども、本当に面目のない話だと思っております。

近藤(洋)委員 大臣も面目ない話であるという御答弁でありましたけれども、数日前に川内村、福島県に行かれて、若干混同したのかもしれない、こういう話でございました。余り言葉尻を私もつかまえたくはございませんが、やはりこれについては、御案内のとおり、今鹿児島県は川内原発をめぐって重大な判断の局面にあるという認識は、当然大臣はお持ちでありますよね。

宮沢国務大臣 請願、陳情の処理のために県議会が開かれていることは承知しております。

近藤(洋)委員 非常に大事な局面を県として迎えておる、県の一つの判断が間もなく示されようとしているとの報道もあります。大変大事な局面であるから、まさに担当大臣として宮沢大臣は川内原発を訪れた、こういうことだと思うんですね。

 この件について、官房長官はこうお答えになっております。やはり大臣を擁護されましたが、しかし同時に、川内村と川内原発、私も防災訓練等のときに危うく間違えそうになったことがございました、こういうふうに御答弁されました。しかし、官房長官は、間違えそうになったけれども間違えなかったんですね。

 大事なところでというのは、本当にここは、中央政府と地方政府の信頼感というのが何よりも大事なんですね。どこまで信用できるかというのを我々が思う以上に地域の方々は注視している。そこをどこまで心にたたき込んでいるかという認識の問題なんです。かつて、漢字を読めない、読めないというか読み間違える、多々間違えた大臣が今も閣内にいらっしゃいますが、そういうレベルの話じゃないですよ。これは心にどこまでその問題をたたき込んでいるかという認識の問題であります。ですから、私はあえて、大変聞きにくい問題でありますけれども、この場で取り上げさせていただいた。

 大事な局面だから、きちんとこの場でもう一度謝罪をされるべきだと思いますが、いかがですか。

宮沢国務大臣 その場で訂正はさせていただきましたし、ともかく、謝罪というよりは面目のない話だったなと思っております。

近藤(洋)委員 面目なく情けない話だ、こういうことだろうと思います。聡明な大臣におかれては、ぜひ、現大臣であられるわけでありますから、ここは二度とこのようなことがないように、大事な局面ですし、別の委員会でも、福島になぜ三年半行かれなかったかということを、このようなことを私も宮沢先生と政策論を前に議論するのは本当に残念でありますけれども、せざるを得ないポジションに指名をされた内閣の問題を私は指摘せざるを得ない、こう申し上げます。

 さて、政策の話を伺います。

 先月末に決定した日銀の異次元緩和の追加対策について伺います。

 市場は大変大きく反応をしております。私なりに見れば、まともな第三の矢が出ないうちに第一の矢が再び放たれた感があるわけであります。

 こうした量的緩和の有効性を強く主張する考え方に対して、東京大学の吉川洋教授、私なりに言うと、非常に正統派の経済学者だ、こう思いますが、委員長のお許しを得て、添付資料一枚目でありますけれども、日経新聞の「大機小機」というコラムに紹介されていますが、吉川教授は「日銀の異次元緩和の有効性を強く主張するリフレ派の考え方を「オカルト」と断じた。」こういうふうにしています。

 オカルト映画で有名な「エクソシスト」というのがございますが、これは、悪魔に取りつかれた娘さんを、近代医学では手の施しようがないと悟った母親が、カトリック教会のエクソシズム、悪魔払いに頼るというところから、映画「エクソシスト」、手の施しようがないから悪魔払いに頼るというところから。これはオカルト映画の代表作でありますが、吉川教授に言わせると、こうした異次元緩和の有効性は一種のオカルト的である、こういうことなんだと。

 私も、実は、やや禁じ手的なこの異次元緩和の拡大が続くなんて異常と思うわけでありますが、こうした批判に対して、実体経済を預かる経済産業大臣としてどのようにお受けとめになりますか。

宮沢国務大臣 近藤委員のお父様は役所の先輩であって、大変お世話になり、また、近藤委員とも復興庁の設置法等々でいろいろ交渉させていただいて、大変政策に明るい方だ、特に経済産業政策に明るい方だと伺っておりますが、こうやってこういう議論をさせていただくのは、大変いい機会を得たなと実は思っております。

 吉川教授は、私は、クラスは違いますけれども大学の同期でございまして、よく知っておりまして、いろいろな意見がかなり共通する先生でありますが、若干、この点についてだけは少し違っております。

 先ほど岸本委員からのお尋ねもありましたけれども、私は、今回の緩和策というのは、かなりタイミングがよく、適切なことを日銀でお決めいただいたなと思っております。しかも、黒田総裁、マーケットともうまく対話をされた上で、うまくだましてというか、サプライズでやって効果も大きかったということで、私自身は、この政策については適宜適切な措置をされたと思っております。

近藤(洋)委員 これは、出口をどう手じまいするかのことも含めて、いろいろな形で歴史的な評価を受けるだけの大きなものなんだろうと思います。

 まず足元のことでぜひ伺いたいんですが、マーケットは大変大きく反応した、サプライズであった。問題は、株はいいのですが、円・ドルが一時的に百十五円台となるといった、急激な円安に拍車がかかっている、こういうことですね。これは、もう既にこの場でも何度も指摘をされているとおり、内需型企業、特に小規模・中小企業は大打撃を受けている、こういうことだと思います。また、生活者にとっても大打撃を受けている。

 大臣も以前御答弁されたように、そもそも自国の通貨が安くなって喜んでいる国はおかしい、私も全くその思いで、大体、自国通貨が安くなってよかったよかったというのは、基本的にはあり得ないことだろうと思うんですね。しかも、それが急激に安くなって、それほどいいはずがないわけで、副作用は当然あるわけであります。

 この局面、特に、実質所得も下がっているわけでして、これは、幾ら原油が市場価格が下がっても、これだけ円安が続けば、国内にとっては市場価格も相殺されてしまうわけでありますから、WTIが下がっても相殺される。非常に厳しい状況が続くということだと思います。

 そこでお伺いしますが、これは二ページ目でありますけれども、政府は下支えするための商品券配布に交付金をやろうといったことも、報道ではもう既に先行して出ております。これは朝日新聞の十一月六日の記事でありますけれども、経済対策をするということがあちこちに散見されます。これは一体どういうことなのか。

 緊急経済対策を打ち出すべきだということは、私も、この政策がどうであるかは別にして、率直に申し上げて、今次通常国会で、政府の法案の中でまともな経済対策は一切なかった。国会では、経済対策の中身の議論ができておりません。しかし、経済対策は必要である。しかも、アベノミクスの弊害によって、その必要性はますます高まっている、こういうふうに認識しておりますけれども、大臣は、こういった報道もございますけれども、いかがお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 円安ということで、いろいろな問題が起こってきていることも確かでございますし、また、円安がプラスに働く方向のものがあることも確かでございまして、その辺、先ほど岸本委員ともいろいろ議論させていただきましたけれども、なかなか一概には言えない部分があるんだろうと思います。

 それこそ、一ドル七十円台をつけたときもそう遠くないわけでございまして、そのときにいろいろメリットを受けた方、デメリットを受けた方と、今回、百十円を超えるようになってまたメリットを受けた方、デメリットを受けた方、いろいろ違って、その時々にメリット、デメリットを受けていることもあるんだろうという思いがいたします。

 そして、今の経済状況の中で緊急経済対策という話がございました。まだ緊急経済対策につきましては、今いろいろな問題が生じているという認識は我々持っておりますけれども、いずれにしても、七―九のQEの速報などを見て機動的に対応していくということになろうかと思います。

 そういう中で、今報道されました商品券につきましては、私は正直、そういうことが検討されているかどうかすら、いま一つわかっておりませんが、どちらにしても、経済対策を打つとなったときにいろいろ具体的に検討される話なんだろうと思います。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

近藤(洋)委員 七―九のQEが出てからというのは、もうされません、政府としてはそういうスケジュール感なんだろうと思いますけれども、それをまつまでもなく、今の為替の水準が続けば、特に地方においては大変な打撃を受けているということは明らかでありますし、ぜひ対策に着手すべきだということを申し上げたい、こう思います。

 また、商品券の方式がいいかどうかは別にして、やはり、エネルギー価格の高騰に対してどのように対処するかということ。これは、我々としては、いわゆるトリガー税制をどうするかという議論も含めて検討をいろいろしておりますけれども、エネルギー価格の高騰に対して、この二年間、少なくとも政府は無策でございました。

 これに対しては、やはりもう限界値に達しているということを申し上げたいと思います。何らかの措置が必須であろうかということを申し上げたい。特に、これから冬場を迎えるに当たって、また後ほど申し上げますけれども、自動車関連の税も上がり、今大変な状況になっている、こういうことだろうと思います。

 さて、この法案について幾つか伺いたいと思います。

 中小企業対策、そうした認識、地域も含めて全体の中小企業、小規模企業が厳しい経営局面にあるという認識に立ってのこの法案だろうか、こう思うわけでありますけれども、一つは、この法案は法案で一つの手だてだと一定程度私も理解をいたします。

 ただ、抜本的に、中小企業対策としては、競争力、すなわち価格決定力というのをどう中小企業が持つかということが肝要であります。その基本となるのは技術開発力なんだろう、中小企業の持つ技術力だ。メーカーでいえば、特にそうだろうと思うんですね。

 そういう観点から、資料の三枚目でありますけれども、政府は、中小企業技術革新制度、日本版SBIR制度というのを設けておるわけです。要は、中小企業に対して積極的に政府の技術開発に加わってもらおうという措置の制度でありますけれども、これを、新技術補助金のうち中小企業向けの機会をふやす方針を示しております。

 この中には、もう既に、官公需法に先駆けて、創業十年未満のベンチャー企業に対して優遇するといったことも技術開発の分野では盛り込まれているんですね。だから、この話に即した形で、官公需法が今回十年未満という形で平仄を合わせた、こう私は理解をしております。

 そこでなのですが、この日本版SBIRでありますけれども、資料を、ちょっと次、めくっていただければと思うんですけれども、残念ながら、ここ数年、目標額を実績額が大きく下回っておるんですね。

 改めて、二十五年の状況、二十六年の見通しをあわせてと、そして、なぜこの歴年、実績が目標額を下回ってきたのか。この制度も官公需法と同様に目標値を設定してきたわけでありますけれども、目標額を残念ながら実績値がずっと下回っている状況が続いております。その理由はどういうところにあるのか、お答えいただけますでしょうか。

高木副大臣 ただいま委員の御指摘がありましたように、中小企業の技術、これは本当に重要な要素だと思います。

 そういった中で、日本のSBIR制度、御指摘のように、新技術補助金等における中小企業に対する支出の目標を閣議決定することで、中小企業の研究開発を促進しております。

 今御指摘のありました二十五年度におきましては、中小企業向けの支出の目標額を四百五十五億円に設定いたしました。しかしながら、二十五年度の実績見込み額というのは三百五十六億円となっておりまして、二十六年度においては、前年同額の四百五十五億円を目標額として設定しておりますが、現在、目標達成に向けて事業を実施しつつあるところでございます。

 なぜ目標額を下回ったのか、この理由でございますが、二十五年度は九十九億円下回りましたが、要因を大別いたしますと、まず一番目に、新規に登録した補助金で、目標額を高く設定し過ぎた、二番目が、中小企業者の不備により確定検査時における対象外経費の否認があった、いわゆる、補助金とは違う使われ方という状況がございました、また、中小企業者への広報不足等により目標額に達しなかったこと、これらが主な要因と考えております。

 このような乖離を改善するためには、今、二十六年度交付の方針では、認定支援機関等を活用して中小企業等への周知を一層強化、いわゆる、状況ですとかそういったことを丁寧に認識してもらった上で、これをしっかりと、目標に達するように努力してまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 今御答弁いただきました。さまざまな理由で目標額を下回ってきた、こういうことで、それなりの理由があるとは思うんですけれども、ただ、下回っているのは事実であって。

 大臣、このSBIR制度、やはり技術力を中小企業というのは、大企業は、大技術陣も持っていますし、自前で多くの技術者を抱えることができる。中小企業というのはなかなかそういうチャンスがない、それに対して支援をしていく、一つの知恵なんですね。

 米国などは相当手広くやっております、この制度を。もちろん、軍事予算というのを大変多く持っていますから、そこに中小企業が入るということもあるんですけれども、いずれにしろ、米国などはこういった制度を非常に活用している。

 これは、もうちょっと制度の使い勝手のよさも含めて、制度の見直しを検討してもいいんじゃないかと思うんですね。率直に言って、我々民主党政権、短い期間でしたけれども、三年半あったときに、何とかこのSBIRをもう一回見直せないかということをちょっと着手した経験が私も政務官、副大臣時代にありましたが、着手して、政権が終わっちゃったものですから終わってしまったわけですけれども。ぜひこちらの、官公需は出口ですけれども、技術開発のところでちゃんと育てていくということも一つの車の両輪としてあろう。

 制度ができて十数年でありますけれども、こういった見直し、こういった状況も踏まえてお考えいただければと思うんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 これは委員御承知のことでありますけれども、欧米では、SBIR、特定テーマを決めて、その研究開発予算の一定比率を中小企業に向けて拠出するということで、政府調達につながる仕組みであります。

 一方で、日本は、テーマを特定せずに中小企業者等からの提案を広く公募する、こういう形でやっておりまして、政府調達になかなかつながりにくいという部分があります。したがって、欧米の事例等々も勘案しなければいけないと思っております。

 特定テーマに限定すると幅広い中小企業がなかなか手を挙げにくくなるというような問題も考慮しつつ、やはり政策課題に基づいたテーマを設定するというようなことも、そして、政府調達につながりやすい仕組みというものを、また、議員のお知恵もかりながら検討していきたいと思います。

近藤(洋)委員 今大臣が御答弁されたように、まさにそのとおりです。ですから、この官公需法とSBIRが多分セット、どこかつなぐ何かが必要なんだという問題意識だと思うんです。私も全くそう思うんですね。ですから、その辺の政府調達とリンクした部分も含めて、そういう形で技術を持った中小企業が巣立っていくような仕組みというのがあっていいのではないか、こう思うわけであります。

 次でありますが、この官公需法の改正、先ほどの田嶋委員の御質問で、全体の一・五%が創業十年以内の受注額であるという御答弁がございましたけれども、これは、本法の改正により、何年後にはどれぐらい拡大するという形の目標値を設定されているのか。御答弁いただけますでしょうか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

宮沢国務大臣 現在、官公需は総額で約八兆円、そして新規中小企業者との契約が大体その一%、八百億程度と見込まれております。これを数年のうちに倍増を目指すというような指標を入れていかなければいけないわけでございますけれども、現時点でいえば、三年で倍増といったようなことができればというか、まだこれは決定ではございませんけれども、頭の中にございます。

近藤(洋)委員 わかりました。三年程度で倍増を目指していこう、一つの目標値を持って取り組まれる、こういうお話でございました。ぜひそういうことでやっていただきたい、こう思うわけであります。

 続いて、時間の関係上、質問を一個飛ばして、大臣、話題を若干かえて、大変幅広い、日本の中小企業にも大変影響のある自動車産業についてちょっとお伺いしたいんですね。

 これから年末に向けて税制の議論が大変山場を迎えてくるわけでありますが、昨年の与党の税制大綱ですが、最後の五ページ目、これは宮沢大臣は、つくられた大綱ですから、見なくてもわかる大綱だと思いますが、資料を配付させていただいていますけれども、消費税一〇%段階において、自動車の環境性能課税の導入が明記されました。

 そもそも、自動車取得税は長年消費税との二重課税が指摘をされ、消費税一〇%引き上げ時の廃止が決められたものなんですね。しかしながら、この与党大綱には書かれている、取得時の課税、取得価格を課税標準とする、税率が三%。明記されたこれだとすると、廃止された自動車取得税のつけかえ、生まれ変わりにほかならないと見られてしまうんですね、このままだと。さらに、複雑な制度が設計されてしまうと、中立、公平、簡素を旨とする税制のあり方にも反するのではないかと思うわけです。

 この具体論がまだ見えてきませんから何とも言いようがないのですが、少なくともここから類推される環境性能課税というのは一体どういうものなのか。税の専門家でもあられる大臣の御所見、お答えいただきたいんです。

宮沢国務大臣 自動車関係の諸税につきましては、二十五年度改正、二十六年度改正とも、二年にわたってかなりいろいろな議論をしてまいりました。そして、最終的には、今お示しになったようなところが政府・与党の共通の土台になっているということであります。

 いろいろなことを考えなければいけなかったわけでありますけれども、自動車取得税はなくすけれども、自動車取得税が果たしてきた、環境性能等々について、ある意味では政策的に誘導するという機能はやはり必要なんだろうというようなこと、それから一方で、これは地方のかなり重要な財源となっておりますから、地方の財源にも配慮しなければいけないということで、こういうまとめが昨年の十二月にできました。

 私自身、こういう立場になってみますと、ある意味では楽になったと言っては妙な話ですけれども、地方のことは地方で考えてもらって、後は交渉する、こういう立場になったわけでございまして、ともかく、取得税のつけかえとはならないように、燃費性能のすぐれた車を非課税とし、それ以外の車に対して課税を行うという、いわゆるVAT課税という考え方でまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 まさにVAT課税の考え方で頭をシンプルに明確に、やはり税というのは目的が明確でわかりやすいということが、私はそんな専門家ではございませんけれども、これは基本なんだろうと思いますし、仮に環境性能課税がされるとしたら、そこの目的意識がしっかり合ったものであって、ゆめゆめ、何か取得税のつけかえという形に結果としてなるようでは全く意味がない、こうだろうと思うんですね。

 重ねてまたお伺いしますけれども、やはり、大臣も百も承知のとおり、大臣は広島の選出の政治家であられますから地方のことはよくわかると思うんですけれども、広島もそうでしょうが、山形県も車は三台、二台が当たり前。二台は普通ですね。二台、お父さんが一台、お母さんが一台、じいちゃんは軽トラ、こういう形が普通です。私ども、最近は四台という家もあるわけでありまして、これは完全に足なわけですね。生活の足であります。不可欠なものとなっているわけであります。

 ですから、そういうことから考えましても、ユーザーの意見ということもしっかり耳を傾けていただきたいということであります。これは間違いなく大衆課税ですから、そこにもしっかり耳を傾けていただきたい、こう思いますし、改めて、そういう中で国民生活というものに耳を傾ける。

 かつ、裾野の広い大きな産業、車の販売というのも各社出しておりますけれども、大変、下方修正というんでしょうか、非常に厳しい見立てをしておりますね。これは消費税の反動だけの問題ではない、国内市場が非常に小さくなっている、こういうことの裏返しだと思いますし、そういう産業政策的な側面、さらにもっと言えば、やはり生活に直撃をするということを踏まえた上で、財務省、また、私に言わせれば、とりわけこの自動車関係諸税をめぐっては時折不可解な動きをする総務省に対して堂々と物言いをして行動していただきたいと思うわけでありますけれども、改めて大臣の立ち位置をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 自動車産業というのが我が国の経済を支えているということを本当に身をもって体験しましたのが、リーマン・ショックのときであります。

 リーマン・ショックのとき、私は内閣府の副大臣を与謝野大臣の下で務めておりましたけれども、当初は金融の話、日本の銀行は無傷である、日本にとって大した話ではないという認識を実は持っておりましたが、アメリカ経済、ヨーロッパ経済がおかしくなって車が売れなくなった途端に、日本に一番大きな波及が来て大変な景気の悪さになった。自動車産業の裾野の広さというものを本当に痛感したのがそのときであります。

 一方で、今回のアベノミクスの最初の時点におきましてもやはり円安に振れたということで、自動車の輸出がふえてきたということが大変アベノミクスのスタートダッシュに貢献してきたこともまた事実でございます。

 そして今、若干、車の販売、トヨタは最高益の発表をしましたけれども、やはり海外が主でありまして、そうした意味では、国内販売は弱含みでありますし、生産も弱いというところは相当気をつけていかなければいけないことだと思っております。

 ユーザーの視点も本当に大事でございまして、それこそ三台、四台あるのが普通の田舎でありますから、そういうこともしっかり頭に入れながら政府間の調整に臨みたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひこの辺は、我々は野党の立場でありますけれども注視をしていきたい、こう思います。

 続いて、本法案の対象である中小企業、小規模企業にも大変大きな影響を与えるTPP交渉についてお伺いしたいと思います。

 先日、米国の中間選挙が行われまして、オバマ政権率いる民主党の敗北が、新聞によっては歴史的敗北とも評する新聞もあるほど、上院、下院ともに過半数を失った。上院で失った、下院では既に失っているわけでありますが、オバマ政権が失ったということになりました。TPP交渉にも少なからずといいましょうか一定の影響があろうかと認識しております。

 そもそも、大臣、このオバマ政権は、議会から一括交渉権を、ファストトラックというのでしょうか、持っていないんですね、これまた異例なんですが。一括交渉権を持たないで交渉に臨む米国政府を相手にしている日本政府も容易じゃないな、こう思うわけであります。

 かつて、ちょっと温暖化交渉を思い出すんですけれども、合意したはいいけれども議会で否決されてしまって、日本だけ、あれだけ大騒ぎをして何とか合意をしてここまでこぎつけたけれども、当の米国がいなくなってしまったということが温暖化交渉であったわけであります。

 まさか、よもやTPPもと思わざるを得ない状況に今、一括交渉権がないわけですから、議会からの委任状を持っていない政府が今の状況であります。したがって、仮に合意しても覆される、交渉権を持っていないわけですから、可能性は大だと思うわけであります。

 そこで、直接の担当は、甘利国務大臣がきょうから北京に行かれますけれども、自動車を含む分野でも、私は今の状況で、年内、もし仮に合意であるとか、これは一〇〇%ないと確信しておりますけれども、いずれにしろ、こういう状況で余り合意を急いでも不必要な譲歩を迫られる、こういう懸念もありますし、ここはきちっと相手の状況が落ちつくのを我が国としても腰を据えて見るべきだ、様子を見るべきだ、こう思います。

 経済産業、通商も所管し、かつ産業界も見るお立場として、大臣、どのようにお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 中間選挙の結果を受けていろいろな報道がされているということは私も承知はしておりますけれども、いずれにしても、これは他国のことでございまして、私から何か申し上げるという話ではないと思っております。

 TPAといいますか貿易促進権限の話については、まだないということも事実ですけれども、ある程度の中身が固まれば、そう違わない段階でそれを獲得していただけるんだろうと私は信じております。

近藤(洋)委員 いずれにしろ、やはり貿易促進権限を持ってもらうことがまず第一であって、それがないとなかなかきちんとした交渉ができないということは指摘をしたいと思います。

 最後に、大臣にちょっと、これはなかなか聞く機会がないので伺いたいのですけれども、今、安倍内閣、アベノミクスというか第三の矢の一つに、成長戦略の目玉として、いわゆるカジノ解禁ということをおっしゃる方がいらっしゃいます。成長戦略の目玉だということを、一部、政府の中にもいらっしゃる、与党の中にも強くいらっしゃるということであります。

 いわゆる賭博の例外、公営ギャンブルの例外として認める、こういうことなんですけれども、これに対して、弊害もあるという声もございます。

 そこで、大臣にあえて伺いたいのは、カジノ解禁というのが、果たして日本の産業構造の好循環をつくり出す、マイルストーンといいましょうか、ものになり得るのかどうか、そういう認識をお持ちなのかどうか。これはいろいろな考え方があろうかとは思うんですけれども、どうお考えかというのを伺いたいんです。

 本当にカジノ解禁で成長戦略になるのかということでございます。いろいろな識者ありますけれども、そういうふうに、成長戦略の目玉だとおっしゃる方もいらっしゃるので、果たして大臣の見識は、産業界を見る見識、また、経産大臣は公営ギャンブルも監督をしているので、公営ギャンブルの実態も御存じでありますから、大臣としても一定の御見解をお持ちかと思いますけれども、それを伺いたいと思います。

宮沢国務大臣 私は余り賭博とは縁のない方でございまして、競馬の馬券というのも大学のときに一回買ったことがあったかな、パチンコというのも、大学から若いころに二回入って、千円やったけれども十分で終わってしまって、出てきたぐらいのあれでございまして、正直、カジノについてもそれほど見識があるわけではありません。

 したがって、カジノ、そんなたくさん人が来るのかなという個人的な思いがある一方で、いろいろな方の話を聞きますと、やはりカジノがあって総合型リゾートということになると、外国を含めて大変人が来られるので、観光産業を初めとする産業活性化に大変役立つ、こういうことをおっしゃる方も多くいらっしゃいます。そうあってほしいと思っております。

近藤(洋)委員 これは大変奥の深い話だと思っておりまして、私も実は大臣と同じように、パチンコも、私は、やや、余りできがよくなかったので高校時代にちょっとのぞいた程度で何もしておりませんが、はるか昔のことですからもう時効かと思いますが、のぞいた程度でありますから、実際やったかどうかは、やっていないという程度のレベル。しかも、残念ながら、競馬も全くというレベルなものですから、全くカジノ、賭博を語れる者ではないのですが。

 ただ、いずれにしろ、本当に日本の経済にとってこれがマイルストーンかという議論はやはりあってしかるべきではないかと思いますし、経済産業省として、もうちょっときちんとした、エンターテインメントならエンターテインメントとしての産業論を、もうちょっときちっと確立をすべきことがあるのではないか。

 カジノしかない、成長戦略の目玉にカジノかというのは、これはカジノ資本主義がお好きな安倍総理の、株価が上がって楽しいと思われる安倍首相のブラックジョークになってしまいますよということを指摘して、私、時間ですので、質問を終わります。

江田委員長 次に、生方幸夫君。

生方委員 民主党の生方でございます。

 最初に、委員長にまた質問をせざるを得ないんですけれども、小渕前大臣から調査結果をこの委員会に出すという答弁がございましたので、調査結果、小渕大臣から届いておりますか。

江田委員長 調査結果は届いておりません。

生方委員 委員長も御承知のとおり、この委員会で小渕前大臣が、当委員会に調査結果を出すということを明言されているわけです。当委員会、あと、普通にいけば、もう半月しかないわけでございまして、その調査結果を受けて当委員会でしっかり議論をしなければいけないというふうに思いますので、重ねて委員長に、小渕前大臣に調査結果を早く出すようにぜひとも言っていただきますようにお願いを申し上げます。

江田委員長 後刻、理事会で協議をし続けます。

生方委員 大事な問題なので、ぜひともそれはずっと心に置いていただかないと、言いっ放しで終わっちゃったんじゃ、この委員会は何を果たしたのかということになってしまいますので、ぜひともよろしくお願い申し上げます。

 それから、前回、九電の接続拒否のことを質問させていただきました。そのとき経産省は、接続申し込みの回答留保を、例えば認めるとかあるいは指示したりという権限はございませんというふうに答えております。これは、接続拒否をしたのではなく、あくまでも回答を保留しているだけだから経産省は何もできないという、いわゆるお役所答弁だったわけです。

 FIT導入に際しては、買い取りをしなければいけないということが電力会社に義務づけられていて、例外措置として、例えば停電が起こるとか、安定的な電力の供給ができなくなってしまう場合には接続を拒否できるというふうに規定をされている。だけれども、あくまでもそれは例外であって、基本的にはきちんと接続をしなければいけないというのがあの法律の建前ですね。

 回答を保留された業者にしてみれば、回答保留といっても、事実上は接続拒否なんですね。回答を保留して、とにかく、申請をしているのに、申請をして経産省ではオーケーされているのに、接続はできませんよ、接続するかしないかの回答を留保しますよということを言っているだけの話で。

 だから、もう一歩踏み込んで聞きたいんですけれども、もし接続を拒否ということを九電が、今は回答留保という形の状態だと思うんですけれども、接続を拒否したという場合には、経産省は、その判断が適切か不適切かという判断ができるんですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 電力会社は、再生可能エネルギーの接続の請求に応じる義務というのがあるわけでございまして、それに対して、電力会社が電気の安定供給に支障を来すおそれがあるという場合については、接続を拒否できる、こういう状況でございます。

 先生御指摘のとおりでございますけれども、今回、ことしの三月に大変巨大な申し込みがあったということでございまして、現在、その回答を保留しているということでございます。

 最終的に接続を拒否するかどうかということにつきましては、御案内のとおり、現在、私ども、系統ワーキンググループという作業部会を設けまして、そこで接続可能量について厳しく検証を進めるという作業を行っているところでございまして、年内を目途にその検証というのを終わらせたいと思っております。それに従いまして電力会社が回答することになる、そういうふうに考えております。

生方委員 大臣にお伺いしたいんですけれども、これは事実上の接続拒否なんですよ、回答を保留といっても。だから、業者にしてみれば、いつまで回答が留保されるかわからぬということになりますと、事業計画も立てられないわけですよ。むしろ、接続拒否というのであれば、いろいろな手段がきっとあると思うんですね。本当に接続を拒否していいのか。この間も指摘したように、本当に停電が起こるおそれがあるのかどうか、今の段階では、非常にこれは少ないわけですね。

 太陽光の接続業者でつくる団体なんかで調査をしても、本当にそういうことが起こる可能性があるのは最低でも三年先だ、普通でいけば五年先じゃないかというような指摘もある中で接続を拒否されて、回答保留という形ですけれども、事実上の接続拒否をされていて、接続の拒否じゃないんだから経産省は少なくとも今の段階では電力会社に何も言えないということを、さっきワーキングチームをつくってやっているというふうに言いましたけれども、でも、これは経産省として、回答留保というのは業者にとっては接続拒否と一緒の効力を持つ、実際は接続拒否と一緒なんだからいつまでに回答留保をやめなさいとか、早くきちんとした処理をとりなさいと。

 一部、五十ワット未満は認めるとかなんとかという措置をとっていますけれども、だけれども、全体から見れば非常に少ないわけですから、この間も副大臣も答弁したように、太陽光発電を含めた再エネを普及させなければいけないというのは、もう経産省としても方針として出しているんだというふうに言っている中で、これによって大混乱が起こってブレーキが今かかろうとしているわけですから、大臣がしっかりとこれは指導するべきだと思うんですが、いかがですか。

宮沢国務大臣 今長官からお話ししましたように、系統ワーキンググループで検討しておりまして、年内には検討結果を得るということで、ある意味では結論がある程度出てくるということでございますけれども、議員からのお話でございますので、年内といっても、どれだけ急がせられるかはまたわかりませんが、極力急いでやるようにさせます。

生方委員 急いでやるように、ワーキングチームでいろいろ検討はしているんでしょうけれども、その間にもいろいろな報道がなされているわけですね。報道によれば、経産省では再エネの買い取り価格の決め方を見直す方針だというようなことも報道されている。

 これはどういう方法になるのか、まだ決まってはいないようですけれども、現在では申し込んだときの買い取り価格で、それが仮に三年後に本当に電力を起こすようになってからも値段は変わりませんよという今の仕組みを改めて、電力会社に接続を決定したときの価格とか、あるいは発電事業者が実際に運転を始めたときの価格を適用するというようなことなども検討しているということが報じられております。

 今現在、いっぱい太陽光の業者が出てきているというのは、価格が決まっているからですね。何キロワット供給すればこれだけのお金が入るんだから、これだけの設備投資をしようという計画が、非常にわかりやすい計画、だから、ある意味いっぱい業者が参入したわけです。

 だけれども、今度こういうことになると、では、実際に本当に接続をしたときの料金が幾らになるのか。今は三十二円ですけれども、これが仮に二年後には十円になってしまうとか十五円になってしまうということだと、とてもじゃないけれども採算に合わない。その見通しまで立てなければいけないとなると、業者側でどこまでそれが判断できるのかというのは非常に難しいと思うんですね。

 そうなると、一部の大企業、資金的に余裕があるところは参入することはできるけれども、資金的に余裕がない中小、これはまさに地産地消で、できるだけ地方で、地方の労力で電力を起こして、そこで使おうというのが再エネの基本的な考え方だと思うんですね。そうすると、それにも反してしまうんじゃないか。それを非常に私、心配しているんですけれども、今現在決まっていないということですけれども、見直すこと自体は決めているんですか、どうなんですか。

宮沢国務大臣 見直すこと自体はまだ決まっていないと申し上げた方が正確だろうと思いますけれども、今、新エネルギー小委員会で、委員がおっしゃったようなことについていろいろ御議論をいただいております。

 やはり、この制度で、幾つか問題点は出てきておりますけれども、認定時から開始時まで相当の期間があるので、調達コストが大きく下がった後で実際に設備を調達する、その前に権利だけ持ってというようなことがかなり出てきておりまして、いろいろな問題を解決していかなければいけないと思っております。

 また、そもそも、おっしゃったような大手、資金調達力のある方からいいますと、極めて低金利で資金を調達できる方にとってみますと、この制度というのは、二十年のかなり高い固定金利の商品に投資するぐらい、ある意味ではわかりやすい制度になってしまっておりまして、幾つかそういう点もいろいろ考えていかなければいけないなと思っております。

生方委員 料金制度そのものを見直すか見直さないか決まっていないということですけれども、今おっしゃったように、二十年というのはかなり長い期間ですよね。二十年後に今の太陽光パネルが幾らでできるのかというのは、素人が考えたって、多分価格は十分の一ぐらいにはなるだろう。だけれども、それがもうこの段階で価格が決まっているというのは、問題といえば問題なんです。

 でも、さはさりながら、やはり再エネを普及させなければいけないというときは、最初はそういう大胆な政策をとらざるを得ないんですね。これはヨーロッパを見ればそのとおりであって、そのとおり再エネが非常に普及している。日本は今現在まだ二・二%しかない段階で、接続を拒否する会社が出れば、ほかもみんな倣えで、私のところも拒否だと。東電なんか、別に拒否をしてはいないんだけれども、なかなか接続をオーケーしないというようなことが起きるとか、いろいろなことが起きてきちゃうわけですね。

 だから、ある程度そういう混乱が起きることは予想しながらも、まず三年間で爆発的に普及させるんだという方針のもとにこれはやっているわけですから、まだ二年しかたっていないで制度の根幹部分を見直すというようなことになれば、今おっしゃったように、それは大企業で余裕があるところはいいとしても、そうじゃないところでも自分のところできちんと電力をつくってやろうという志を持った人たちが先へ進めなくなっちゃうんですね。

 だから、見直すのは結構ですよ、結構ですけれども、まだ二年しかたっていないで見直すというのがいいのかどうかというのは判断をしていただかないと、最低でも新しく取り入れた制度であれば五年程度はやってみて、五年たったので見直しましょうというならわかりますけれども、二年で、しかも九電側から投げられて、回答留保という事態がほかに起こってから経産省が慌ててばたばたというのは、これはおかしな話でね。

 この間も指摘したように、もう二〇一〇年には、千キロワット以上太陽光が普及したらいろいろな問題が出てくるよというようなことは言っているわけで、ヨーロッパを見れば、日本でも恐らく爆発的に普及するだろうということはわかっていたわけで、そうなったときには、例えば蓄電池を設置させることを義務づけるとか、あるいは電力会社間の送電網をきちんと整備するとかということも、もともとやっておかなければいけないことをやらないで目標だけが先走っちゃったのでこういう混乱が起きているので、経産省の責任は大きいと思うんですよ。

 そこは、業者に対しても、経産省としても、我々の見通しがちょっと甘かったということを謝っていただかないと、いろいろな計画をいろいろなところが立てていたのが、今一旦全部保留になっちゃっているわけですね。保留になったって、土地は買わなければいけない、お金を借りちゃったからどうしようかとか、いろいろな問題が起きているわけですから、経産省としてもちょっとこれは見通しが甘かったんじゃないかなということを私は思うんですけれども、いかがですか。

宮沢国務大臣 再生可能エネルギーを早くたくさん導入しなければいけないということで、そういうことについて言えば、この制度は大変効果的で、本当にたくさんの太陽光発電中心に再生可能エネルギーの発電が行われ、また行われる見込みとなってきていまして、ただ、導入量一千万キロワットと言っておりましたのが、現在は、全国で七千万キロワット、九州だけでも二千万キロワット近い設備の導入が将来において見込まれるというような状況が、ある意味では、もう大変なスピードで進んでいるということであります。

 今、経産省、いろいろ見通しを間違えただろうとおっしゃるが、恐らくそのとおりだろうと思います。恐らく制度の導入時からしてもう少しいろいろなことを想定しながらやっていかなければいけなかったし、また、例えば蓄電池につきましても、これは大変大事な、今後の電力といったものを考えたときには、やはり次世代の蓄電池のようなものをどうしていくかということはもう避けて通れないというか、どうしても必須でございますが、なかなか技術的に進歩しないし、コストが高どまりしているといったような問題があって、これを今後どういうふうに解決していくかということも大変大事な話であります。

 かなりいろいろな甘い見通しの上に立ってやってきてしまったことをもう少し、本当に、再生可能エネルギーは相当程度これから入れなければいけない、三年間は集中的に入れますが、その後もきっちりふやしていかなきゃいけないことである一方で、やはりしっかりと地に足のついた政策でやっていかなければいけないということで、いろいろな反省に基づいて今後のことを考えていきたいと思っております。

生方委員 大事なことは、二・二%を二〇%にするんだ、まあ、二〇%が別に上限というわけじゃなくて、それからさらにふやしていかなければいけないというふうに思いますし、CO2の排出面から見ても、再エネはCO2を出さないわけですから、ドイツのように六〇とか七〇とかになっても私は別におかしくはないというふうに思いますので、その兼ね合いはまさに経産省がやらなきゃいけないわけですから、きちんとやっていただきたいというふうに思います。

 次に、時間が余りないんですけれども、川内原発の再稼働について伺いたいんですが、先ほど大臣、川内をカワウチというふうに読んだという、私も川内原発の記事を最初に見たときは、センダイとは読めないで、川内という議員がいましたので、カワウチかななんというふうに思った経緯もありますけれども。

 ただ、一言言いたいのは、この間質問のときに、私は大臣が福島に行っていないことについて質問しませんでした。私が思ったのは、大臣になってから福島に行っていないんだと思ったわけです。大臣になってすぐこんな問題が起きちゃって、福島へ行く暇というか時間はなかったろうと。だから、それを行かなかったからといって責めるのはちょっと酷だなというふうに思ったんですけれども、よく聞くと、発災後行っていないということを聞きまして、これはやはりちょっとおかしいんじゃないかと。

 この間も、南相馬の桜井市長が参りまして、発災直後はたくさん議員の方が南相馬へ来た、それがことしになったら非常に少なくなっちゃった、議員がもう我々のことを忘れてしまったんじゃないかと非常に心配だということをおっしゃっているんですね。

 だから、私も何回も行きましたが、何回も行ったら、あのとき、発災直後はこうだった、一年たったらこうだった、二年たったらこうだったというのを見ながら、では、何をしなければいけないのかということがやはり自分なりにわかるわけですよ。

 宮沢さんは、自分の担当は岩手と宮城だったから、自分は福島へ行く必要はないというふうにこの間おっしゃっていましたけれども、福島へ行かなくても正しい判断ができるんだとおっしゃっていましたけれども、やはり私は、このことは認識を間違えていると。やはり、行かなかったのは福島の県民に対しても失礼だったし、一番の被害を受けたのは福島なわけですから、原発があったわけですからね。いまだに十万人以上の方が避難しているわけで、それらの人の話を行かなければ聞けないわけですよ。

 東京に出てきた話を聞くんじゃなくて、現地に行って話を聞いて、何が問題かというのがわかるのが政治家の一つの大事な役割であるはずなのに、あたかも福島へ行かないのは当たり前だ、それで、私は復興計画を立てたんだから大丈夫だという、あの考え方を改めていただかないと、これから川内原発の再稼働をするときだって、三十キロ圏内にいろいろな市町村があるのに、今現在やろうとしているのは、もう薩摩川内とそれから鹿児島県がオーケーすれば再稼働が進み出しちゃうようなことを言っている。

 きのうの原子力問題特別委員会で、東電の常務が、最低でも三十キロ圏内の市町の同意はとるべきだということを言っているわけですよね。だから、今のまま見切り発車でいくと、三十キロ圏内には現実に避難計画を立てさせておいて、そこに同意も得ないでいきなり再稼働というのは、私はあり得ないと思うんです。

 時間がないので一緒に質問しちゃいましたけれども、大臣が行かなかったことが正しいんだという判断を私は撤回をしてほしいということが一つと、もう一つは、川内原発は、もし再稼働するのであれば、やはり最低でも避難計画をつくらせている三十キロ圏内の市町の同意は必要だというふうに考えるんですが、いかがですか。

宮沢国務大臣 福島に私が伺わなかったということにつきましては、いろいろな委員会で御質問があって答弁してまいりましたが、それを今さら繰り返してもしようがないと思います。

 十一月一日に、早速福島第一原発に行かせていただきました。これは大臣として初めての視察でありました。そして、先日、佐藤知事が御挨拶に来ていただいていろいろな話をして、そして内堀知事、もうすぐ御就任になると思いますけれども、なるべく早いときにお目にかかって、またいろいろお話をさせていただいて、そういう、今まで何も経験なくて知らないだろうというような御疑問を払拭するように私は努力をしていきたいと思っております。

 それから、三十キロ圏内の自治体までの同意という話でございますけれども、各地、立地自治体があるわけでございますけれども、それぞれの各地の事情はさまざまでございまして、川内につきましても、鹿児島県等々とよく相談しながら、地元と相談しながら今回の話を進めてきております。

生方委員 質問時間が終わりましたのでこれでやめますけれども、やはり私は、行かなかったのは間違いだというところからしか始まらないということだけ指摘して、質問を終わらせていただきます。

江田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 維新の党の小池政就でございます。よろしくお願いいたします。

 私も冒頭、触れるつもりはなかったんですが、先ほどの近藤委員、また、今の委員から御指摘がありました川内の言い間違いということに対して、先ほど、大臣からは、福島の川内村と間違えたという少しにやにやしながらの御答弁と、それに対して笑いが起きたということに対して非常に違和感を持ったということを申し述べさせていただきたいと思います。

 また、その説明の中で、御自身で即座に気づいて訂正されたというようなお話もあったわけでございますが、時事通信によりますと、直後に同席者から間違いを指摘されて釈明したというような報道もある中で、やはりそのような説明の仕方というものが現地においても不信感をもたらしてしまうということをしっかり認識をしていただきたいと思います。

 そこで、法案について、もう時間もありませんから質疑をさせていただきたいと思います。

 先日の参考人質疑をぜひごらんになっていただきたいと思います。当然中身を確認していただいていると思うんですけれども、非常にそれぞれの立場から有意義な発言をいただきました。

 特に、武雄市の市長からは、全国的にかなり注目されながらこの法案について自分はここへ参考人質疑に来たというお話をされていらっしゃいまして、ユーモアも交えながら大変有意義な話だったと思います。今、多分地元で、市長がアピールされておりました、いのしし課の課長、イノシカチョウと何回も言っていましたけれども、大変有名になっているんじゃないかなということを感じているところでございます。

 ただ一方で、法案の評価に関しましては、総論としては認めるところは多かったわけでございますけれども、中身とそれから実効性については、このままだったら今までと何も変わらないんじゃないかというような悲観的なコメントがあったということも印象的でございました。

 そこで、まず政府調達についてでございますけれども、これも参考人のお一人からは、単に需要をAからBに移すだけにとどまってしまうんじゃないかというような指摘があったところでございます。

 また、ほかの委員からも、やはりこのような政府調達も含めて、発注におきましては発注者の責任等もやはり考えていかないと、結局、発注して、もしくは調達をお願いして、そこで全部終わってしまったらもう何もその先つながらないというふうな指摘があったところでございます。

 そこで、改めてお聞きさせていただくのですけれども、今回、政府から役務及び物品等、十年未満の企業に対しても発注をこれから広げるというか考慮していくわけでございますけれども、その結果に対しての責任でありますとか、また、その結果がどのような影響を与えたかというような評価に対しての反映というものを考慮すべきではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 御質問の趣旨が、いま一つ私、つまびらかではないのでございますが、落札したいわゆる新しい企業、十年未満の企業がその後どういうふうに育っていったのかとか、どうなってしまったのかという話となりますと、正直言うとこれを全部フォローするのは、莫大な数であろうと思いますので、なかなか難しいのかなという気がいたします。

 一方で、落札した者が、ある意味ではいろいろな不適当なことがあったということになりますと、その後の契約の相手としては一般競争入札等々に参加させないということができますし、また一方で、落札した方がそれなりのすばらしい結果を残していただいたのであれば、例えば経産省でありますと一般競争入札のうちの七割は総合評価方式でやっておりますので、その中でそういうことも勘案させていただく、こういうことだろうと思っております。

小池(政)委員 私は、発注者側に対する反映というか評価というものがどうなるかということをお聞きしているわけでありまして、今大臣がおっしゃいました、例えば、発注した内容について不適当なことがあったということであれば、落札者に対しては今おっしゃったようなことでありますけれども、では発注者側はどうなんだということでありますとか、また逆によい影響があった場合、例えばそれによって産業のイノベーションが生まれたとかいうことに対して、その発注を行った省庁側にも何かインセンティブを与えることができるんじゃないかということを考えているわけであります。

 例えば、アメリカですと、企業がサービス改善をしたということでありますと、これは企業にボーナスが与えられたりという制度があるところでありますが、英国とかですと、企業の創意工夫で成果が向上した場合、これは発注者側の省庁にもそれに報いられるような、そんなような評価制度もあるということでございます。

 ですから、単に、発注して落札されましたよという形で全部あとは任せてしまうんじゃなくて、ある程度こちらも何かしらの責任、インセンティブを持つような、そんなような取り組みが必要ではないかというのが私の質問の趣旨なんですけれども、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 正直言って、なかなか難しい話だなと思います。

 といいますのは、そこそこの額のものは、当然、全部一般競争入札、もしくは、特殊な技術があるといったような形の契約で随契になるわけですけれども、一般競争入札ですと、ある意味では、発注者の担当職員が、いい仕事をしたか悪い仕事をしたかというのは、正直言うとなかなかわかりにくいわけでございます。

 一方で、少額随契等々ということはもちろんあり得るわけですけれども、ある意味ではうまくやってもらって当たり前のようなところがあって、少額随契で妙なところに契約をさせてしまったら、どういう形になるかは別にしても、若干のペナルティーがいろいろな面である、こんな状況が今の日本の状況ではないかと思います。

小池(政)委員 競争入札等についてはそのような状態かとは思うんですが、政府調達だけではなくて、例えば、今回は地域産業に対する支援という形でも政府また自治体が関与していくということでございまして、これも参考人から強力に指摘をされたところではありますけれども、自治体及び政府の関与に関する応分の責任またインセンティブを持たせなくてはいけないんじゃないかというようなことの指摘を受けたところでございます。そうでなければほとんど効果が見込めないというようなことまでおっしゃられたところでございますから、ぜひ、さっきの入札の話とは少しずれますけれども、そのような観点というものを持っていただきたいと思います。

 それから、前回、Eコマースについてお聞きいたしたところ、五件ありましたよということでありました。

 その五件を調べてみましたが、経産省で昨年五件、インターネットを使ってハードディスクを買ったりとかタブレット型端末を買ったりとか、合計で約十万円程度。これは調達というかお買い物みたいな、そんなような五件であったわけでございます。

 それでも、その前が一件だったから、ふえてよかったねというような評価がされているところでございますけれども、そのようなあり方でこれからも進めていくつもりなんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、二十五年度では五件で、二十六年度では最大十件程度になるように目標を立てておるところでございます。

 ただ、これは何分にも効果検証の段階というところでございますので、二十六年度上半期で、Eコマースによる調達は既に四件を実施したところでございますが、今後の方針につきましては、上半期の結果とその効果検証をさせていただいた上で、どのような方針にするか検討していきたいというふうに考えております。

小池(政)委員 やはり今までのお買い物のあり方がこのまま続いてしまうんだろうなというようなことを、今拝見して心配したところでございます。

 前に指摘したように、特に、十年未満かつ小規模の企業におきましては、店舗も持たないで販売している人たちがいっぱいいるわけでございまして、私の地元も、例えば、若い職人さんが家具とかそれからインテリア等について店舗を持たないでネットで何とか販売しようということもやっているわけでございます。

 そのようなところをぜひ加味していただいて、今までのようなお買い物じゃなくて、もっともっと大きな観点からしっかりと取り組んでいただきたいということをお願いさせていただきます。

 また、今回の改正におきましては、中小機構の役割の拡大ということがございます。

 その中小機構について幾つか確認をさせていただきますが、前回の小規模事業に関する法改正におきましても、この中小機構は情報提供等を行っていくよということでございましたが、今回は、この情報提供に加えまして高度化融資を、今まで都道府県にやっていたものを今度は市町村にも拡大していくということでございます。しかも、無利子ということでございます。

 では、今まではどうなんだということをちょっと振り返らせていただきます。

 といいますのは、過去、会計検査院でありますとかまた総務省でありますとか、そういうところから、不良債権が中小機構は多いということが指摘されているところでございますが、現在、中小機構が保有する不良債権はどの程度あるか、まず教えてもらえますか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 中小機構の高度化事業にかかわる不良債権の規模のお尋ねでございます。

 平成二十五年度末におきまして、貸付残高は六千八百四十五億円ございますが、いわゆる不良債権額は八百九十九億円となっております。

小池(政)委員 八百九十九億円ということでございます。

 また、先ほど紹介しました総務省政策評価・独立行政法人評価委員会というところも、ここはちょっと定性的でありますけれども、指摘しているのは、高度化融資事業の不良債権比率については依然高い水準にとどまっているということを言っているわけでございます。

 この不良債権、ではこれからどのように減らしていくのか。今までの検証も含めて、その方針について大臣からお聞きさせていただきます。

宮沢国務大臣 不良債権、先ほど長官から答弁したとおりあるわけでございますけれども、中小企業基盤整備機構の事業というのは、ある意味で大変大事なことをやっていただいております。

 高度化融資の対象は、個人ではなくて組合とか団体ということになります。そうしますと、各地の商店街がこういう状況になっているところが多い、また、卸売団地等々についてもいろいろ苦しい状況にあるところがある。そういうところが実は融資先であるということで、ある意味では非常に注意深く債権の回収をしているということであります。

 担保処分等の強制手段ではなくて、償還猶予や最終償還期限の延長などを柔軟にやったり、また、返済が困難な貸付先については、外部専門家の派遣を機構が行って経営改善計画をつくったり、こういうことで、ある意味では相当気配りをしながら回収をしてきているという中で、この十年で、十年前、十六年度の二千二百五十四億円の不良債権額を何とか八百九十九億円までしてきておりますけれども、おっしゃるとおり、不良債権をそのままにしていいという話ではありません。

 ただ、いろいろ政府としてもお手伝いをしながらさせていくということはやらせていただきたいと思っております。

小池(政)委員 ぜひ、なぜここまで膨らんだのかということをしっかり検証していただきたいと思います。といいますのは、後で触れますけれども、これからのスキームにも非常に関連するところでございますから、よろしくお願いいたします。

 今おっしゃいました取り組みは、例えば総務省が、去年の十二月でありますけれども、審査を強化すべきであるということでありますとか、また、回収に、今は都道府県が主導でありますけれども、政府が積極的に関与すべきだ、それから償却の審査プロセスを事業報告書で明らかにしろということを指摘しているわけでございます。

 また、不良債権だけにとどまらず、今般、十月二十三日、会計検査院から示された報告によれば、この中小機構に対しては、基金が見直されない状態の中で非常に多額が残ってしまっている。ここでは、二千四百四十八億六千万円、事業にかかわる貸付金総額のうち適時適切に基金の規模の見直しが行われていなかった額ということで飛び抜けて大きな金額がここで指摘をされているわけでございます。

 かつ、中小機構は出資も行っているわけでございますけれども、これはことしの三末ですか、出資は八十一社行っているんですが、五十二社は繰越欠損金を出している。八十一社の中から五社だけ過去に配当があったということでございますけれども、その配当の累計も一千五百万にとどまっているというような状態でございます。

 そこからさらに、今度は官民ファンド。ファンド出資で、機構の約束分だけで二千百九十一億円という、今そのような規模になっているところでございます。

 そのような機構にさらにまた役割、リスクを持たせるということを改めてここで真剣に考えなくてはいけないということでございますけれども、今回のこの法改正によりまして、市町村への高度化融資、この貸し付けの範囲というのはどの程度を考慮されているんでしょうか。全体の規模ということだけではなくて、市町村がどの程度リスクを持つような仕組みになっているのか。その点、お伺いさせていただきます。

北川政府参考人 お答えいたします。

 今回の市町村への高度化融資の貸し付けでございます。

 高度化融資は、そもそも、地域の実情を踏まえて都道府県が貸し付ける、こういった事業に対しまして機構が財源の一部を貸し付ける、こういう制度でございます。

 今回は、本法改正によりまして、特例といたしまして、市区町村の貸付業務というものを追加したところでございます。具体的には、組合等の中小企業グループが地域資源を活用するために行う例えば共同の食品加工施設の整備、支援事業者である一般社団法人あるいはNPO法人が行う共同販売施設、こういったものの整備に必要な資金に対する貸付業務を高度化融資の支援対象としたものでございます。

 貸付範囲は、市区町村が中小企業等に対して貸し付けを行うのに必要な資金でございます。この貸付範囲の具体の条件のようなものを申し上げますと、貸付対象施設は、認定を受けました地域資源活用事業、そしてまた地域資源活用支援事業を実施するために必要な土地、建物、構築物、設備であって資産計上されるもの、先ほど申し上げましたような共同食品加工施設あるいは共同販売施設等でございます。

 それから、貸付割合は貸付対象施設の八〇%以内、償還期限は二十年以内といったことを想定しております。

小池(政)委員 今の提案も踏まえて、今回考えなくてはならないのが、都道府県に対する高度化融資というのが、中小機構から都道府県に貸して、都道府県から企業に貸していった。そんなようなスキームの中で、責任の所在が曖昧な中で大きな金額が不良債権となっていった。

 しかも、中小機構におきましては、債権管理体制というものが非常に小規模で行われておりまして、これは平成十六年でありますけれども、そのときは、非常勤、嘱託職員を含めて十一人しかいない。しかも、それが発足当初の十年前から変わっていないということも指摘されているところでございます。

 そのような体制を残したままで、かつまた都道府県向けの高度化融資の現状が改善されないまま、その上で、この問題が再燃しないような対策を打った上でこのような法改正というものを考えられているのかどうか。その点、最後に大臣に確認をさせていただきます。

宮沢国務大臣 今長官からお話ししましたように、基本的に責任が市町村にある貸付事業でございます。

 だからといって、機構は何もしないというわけではなくて、市町村からの御相談に対して、専門家によるアドバイスや債権回収業務の支援ということを実施しております。

 おっしゃるように、不良債権を極力減らすということはもう当然のことでございますので、いろいろな意味で努力してまいりたいと思います。

小池(政)委員 責任が市町村にあるということで、政府はモラルハザードみたいに無利子でお金をどんどん貸していって、しかも返ってこなくても市町村の責任だみたいになってしまっては、これからまたさらに大きな国民負担が発生するということが予想されますので、その点をしっかり踏まえた上で取り組んでいただきたいと思います。

 これで終わりにいたします。ありがとうございました。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 何か委員長、上がっていますね。おとといもそうだったんですけれども、参考人というふうにおっしゃられて。少しリラックスしていただいて。

 きょうは、三原筆頭に大変御配慮いただいて、私も質問に立たせていただきました。まあ、少し名前を間違えたとかなんとかといって余り目くじらを立てるのもどうかなというふうに私自身は思うんですけれども、ただ、やはり正式な場所ではきちっとやらなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 まず初めに、いろいろな数字の中で、最初に大臣にお尋ねをしたいんですけれども、日本でも、ほかの国でも、GDPをいろいろな経済指標に使っていると思うんですね。あとは、国債の発行額の対比をするとか、いろいろな雇用の関係だとか、医療だとか福祉だとか教育、そういったものにGDPを使うんです。

 これはちょっと古い数字なんですが、二〇一二年のGDPの内訳が、民間消費が二百九十兆、民間投資が七十三兆、政府消費が九十八兆、政府投資が二十四兆、輸出が十兆円の赤字、こういう結果が出ています。

 安倍総理が総理大臣になってから、この十二月で約二年近くたつんですけれども、今申し上げました五つの分野で、大体どのぐらい伸びてきたのか、減ってきたのか。その辺をもしわかればお示しいただきたいなと思います。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 今委員が挙げられました数字は、二〇一二年の名目GDPの内訳だと承知しております。直近でいいますと、二〇一四年四―六月期の四半期のGDPのデータがございます。

 これは年率換算いたしますと、委員が挙げた民間消費でいいますと、委員は二百九十兆円と申されたんですけれども、それについて言いますと二百九十二兆円でございます。あとは、民間投資は七十三兆円と述べられましたけれども、我々の手元の直近のデータで八十三兆円でございます。政府消費は、九十八兆円と言われたと思いますけれども、百兆円。同じく政府投資のところでありますが、二十四兆円が二十五兆円になっております。あとは純輸出、輸出と輸入の差額をマイナス十兆円と言われましたけれども、これがマイナス十三兆円という数字になってございます。これは、四―六月期の四半期を年率換算した数字でございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 この数字と同じように、よく議題になりますGNIという指標もあると思うんです。私も、農林水産委員会に所属していたときにこの話もさせてもらったんですけれども、バブルのころ、GDPが四百八十兆で、GNIに相当するかどうかは別として、海外で稼いだ金が国内に戻ってきているのが約三兆円と言われた時代がありました。リーマン・ショックのときに、四百八十兆のGDPで、海外から戻ってくるのが十五兆というふうに言われていたんですね。

 これも、二〇一二年のときの日本のGDP、USドルのデータを見たんですけれども、それとGNIで指標を出している。差し引きすると約二十兆円ぐらい、単純に百円ぐらいでドル換算したときに、二十兆円ぐらい海外から二〇一二年度で戻ってきている計算ができるんですね。

 本来だったら、この稼いできた金がきちっと国内で還流されているのであれば、もっと景気がよくなっているはずなんですよね。それが、どういうわけだか、やはりその還流がきちっと、だから、中小だとか地方、そういった個人業主の方のところにアベノミクスの恩恵が行き渡っていないんじゃないかというふうに私は思うんです。

 ですから、私は地元を回っていても、メーカーさんの部品をつくっているところの社長さんの話を聞けば、鈴木さん、昭和四十年代から工賃が変わらないんだよと。四十年間も工賃が変わらないで、古ぼけた機械を使って一生懸命加工品をつくっているわけですね。

 では、海外で稼いできて、これからも、日本はどちらかというと、今アベノミクスがいろいろ議論になっていますけれども、海外に出ていった企業さん、そこからもうかったものが日本に戻ってきて、それで日本の国内を、内需を拡大していくような形をつくっていかなければ、では、それがいきなり内需ばかりばっとふえるような時代になるかといったら、そうじゃないんだと思うんですね。稼ぎ頭はどんどんやはり海外に出ていかなければならないだろうし、それを経産省も一生懸命後押ししようとしているんだと思うんですね。

 そのときに戻ってきたお金を、なぜ国内にきちっと、経済の活性化に役立つような仕組みになっていないのか、そこの御認識を先にお尋ねしたいと思います。

山際副大臣 今委員が御指摘された二十兆円という数字は、いわゆるGDPとGNIの差額だというふうに認識してございます。直近のデータによりますと、二〇一二年の差額は約十五兆円というふうになってございます。

 これも事実関係でございますけれども、その内訳を見ておりますと、差額の十五兆円のうち、国内に還流した配当金以外に、海外子会社に内部留保されているものを全部合わせて十五兆円でございますので、それの中で、二〇一一年には二・五兆円、国内に還流をされております。さらに、二〇一三年には三・六兆円還流されておりまして、国内還流という意味においては少しずつふえているという認識でございます。

 しかし、委員が御指摘されたように、これが十分かといえば我々も全く十分ではないという認識を持っておりまして、ですから、国内に還流をしてくるように、今、成長戦略に基づいて、例えば、成長志向の法人税の改革であるとか、あるいは設備投資減税による民間投資の拡大、研究開発投資の強化等によるイノベーションの加速化などを行うことで、国内還流をさらにふやしていきたいと思ってございます。

宮沢国務大臣 今のGNI、GDPの話でありますけれども、たしか、そう昔ではありません、何年か前に、海外の子会社等からの受取配当については、それまで課税されていたものを課税しないというふうに変えまして、かなり入りやすくなってきたんだろうと思います。

 ただ、一方でまた、海外で得たお金だけではないかもしれませんが、やはりここのところ、大手の企業を中心に海外にMA等で投資をするということが結構多くなってきておりまして、これは恐らく、いずれ将来のGNIといいますか、をふやす要素でございまして、またそれが戻ってくるという要素も考えなきゃいけないと思っています。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 ところが、ブラジルみたいな国は、そこに日本が投資をして工場をつくったりしてもうけても、全て一〇〇%戻させないんですね。そういう国もぽつぽつ出てきちゃっているんです。

 だから、日本が、どんどんどんどん海外に出ていこうと後押しをしたとしても、そこで一生懸命知財も含めて投資をしても、そこでもうかった金は置いていけと。一番端的な言い方をすれば、中国がそれをやったわけです。だから、日本の企業が三十年も四十年も前から中国にどんどんどんどん出ていったわけです、トヨタも含めて。でも、そこでもうけた金は、日本に戻ってこない、そこで置いておけ。では、何をやったか。工場をつくったんです。またもうかったんですね。また工場をつくったんです。

 だから、そういうふうにやられちゃう国もありながら、海外投資を呼び込むんだと言っても、私は限界があるような気がするんですけれども、それについて、とりあえず簡単にお答えいただければと思います。

菅原政府参考人 御指摘のとおり、海外へ投資したお金が戻りやすい国、戻りにくい国、あるのは確かでございまして、投資協定の不備であったり、もしくは、銀行決済上のルールが現地の方で大分日本とは違う状況になっているというのが大きな原因になっているというところで、これはいろいろ議論の中で解決するべき課題だと思っております。

 ただ、一言申し上げれば、大臣が申し上げたように、海外への投資そして収益でございますけれども、先ほど委員の方から、十七兆円ほどの差額があるにもかかわらず還流額が少ないのではないかというふうな御指摘がありましたけれども、その中の収益の内訳を見ますと、十兆円超が証券投資における収益でございまして、いわゆる直接投資の収益というのは、大体直近のデータでいいますと五・四兆円、直接投資収益がございます。そのうちどれぐらい日本に還流をしているのかという国際収支データを見ますと、三・六兆円が日本の収益に還元、返ってきまして、収益のうちの一・八兆円が現地でまた再投資に使われているという関係になっております。

 今のところ、大臣が申し上げた、こちら側の税制上の措置によって直接投資の七割の収益は日本に還元しているというマクロデータがあるということも事実でございまして、個別の国については、その国ごとにしっかり課題を解決していく必要性があるというふうに認識しております。

鈴木(義)委員 何を言いたいかといったときに、やはり、売ってくれというのと買ってくれというのは大きく違うということなんですね。商売上、海外の消費地に近いところで生産するというのはコストを下げる意味ではよかったんだと思うんですけれども、やはり、国内を活性化させるのに、海外に出ていく企業を後押しするよりは、売ってくださいというふうに、海外の人が日本に買いに来て初めて国内の需要というのは活性化するんだと思うんですね。

 一つは、制度上、税制でいけば、保税庫みたいな形をとっていたりしますよね。海外から材料は輸入したとしても、そこのエリアの中で、国内に出さなければ、そこで幾ら加工して付加価値を上げたとしても、外に出す分にはタックスフリーだというような制度もあるわけですから、それをもっともっとやはり活用して、国内にやはり生産拠点を戻すような考え方がなければ、今御答弁をいただいたように、直接投資の七〇%は戻ってきているといいながらも、逆に、現地生産してしまって、そこで雇用も生まれて、もうけも置いてくるという話を一生懸命後押ししても、広い意味での安全保障にはなるかもしれませんけれども、日本国内でこれからの時代を担う人たちの夢が広がっていくようには思えない。そこのところはぜひ御一考いただければなと思っております。

 次に、法律が三法ありますので、それについて細かいところから御質問をしていきたいというふうに思っております。

 いただきました資料の中で、二十五年度の中小企業、小規模事業者向けの契約実績という一覧表がありました。物品で五七・七%、工事で五五・六%、役務で四六・八%というふうな数字があったんです。これは二十五年度の契約実績です。衆議院だとか参議院だとか各省庁別に並べられた一覧表だったんです。

 まず初めに、十年未満の開業企業数のうち、今お話ししたのとは別なんですけれども、十年未満の、ベンチャー企業というんですか、新規に商売を始めた上位五業種というのはどういう業種なのかお尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 民間信用調査会社のデータによりますと、二〇一四年十月時点における、お尋ねのありました創業十年未満の企業数のうち上位五業種は、第一位がサービス業、第二位が建設業、第三位が卸売業、小売業、飲食店、第四位が不動産業、第五位が製造業でございます。

鈴木(義)委員 今、五つの主な業種を述べていただいたんですけれども、そうしますと、官公需法に基づいて、昨年も同じような趣旨で、中小・小規模事業者向けの契約実績、先ほど私が述べた数字があるんですけれども、この実績から推測して、この五業種というのはどのぐらい入っているものなんですか。

佐藤政府参考人 実績というか、今の民間調査会社のデータによりますと、この上位五業種の全体に占める割合でございますが、第一位のサービス業が三六%、建設業が約二三%、卸売、小売、飲食店が約二二%、不動産業が約七%、製造業が約六%となっております。

鈴木(義)委員 私はちょっとしつこい人間なので。

 これから中小企業、小規模事業者をもっと育成していこう、特に今回の法律の趣旨というのは十年未満をふやしていこうということですね。

 そうすると、今教えていただいた三〇パー、二三パー、二二パー、七パー、六パー。この数字を、これに三年とか五年をかけるのか、来年なのかわかりませんけれども、上げていこうとするのか。そういう計画があるのかどうか。もしあれば教えてもらいたいと思います。

佐藤政府参考人 まだ計画自体は決めておりませんが、経済産業省として考えておりますのは、現在、十年未満で約八兆円の官公需のうち一%程度を占めておりますが、私どものあくまで考えでございますが、三年間で倍程度になればというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 もう一点お尋ねしたいんです。

 中小企業とか小規模事業者のうちに、今、二十五年度の実績の中で、もともと一〇〇%自分の株を持っているような親会社が、大手企業だとかもしくは関連会社、グループ会社と言われているんでしょうけれども、そういった企業というのは、五七・七%だとか今三つ数字を並べたんですけれども、どのぐらい入っているものなんですか、お尋ねします。

佐藤政府参考人 中小企業庁が全国の中小企業、小規模事業者を対象として実施しました中小企業実態基本調査というのがございますが、この中で、御指摘いただきました、大企業の子会社または関連会社である中小企業の数は、我が国における法人格を持つ中小企業全体の約一・二%に当たる四万一千社と推定しております。

鈴木(義)委員 今私がお尋ねしたのは、その四万一千社の中で、仕事をとっているかとっていないか、その確認なんです。

北川政府参考人 まず、答弁の訂正からさせていただきますと、今、法人格を持つ中小企業と申し上げましたが、法人格を持たない個人事業主も含めた中小企業全体でございます。まず一点、おわび申し上げます。

 それから、これがどれほど官公需をとっているかということでございます。

 私ども、中小企業の官公需に当たりましては、まず、中小企業基本法、そもそも三条に戻りますと、独立した中小企業者ということを施策の対象としてございます。その下にあります官公需法におきましても、基本的な考え方は独立した中小企業者ということで、基本は、大企業の子会社または関連会社は想定していないということでございます。

 一方で、たくさんの企業がございますので、具体にどれぐらいあるかというのは把握しておりませんが、それぞれの現場におきましては、そういった大企業の関連会社あるいは子会社というものは基本的に配慮する対象にならないという運用をしていると考えております。

鈴木(義)委員 例えば建設業で、大手さんがあって、ビルメンテナンスをする子会社があったときに、一〇〇%子会社になるわけじゃないですか。そこが官公需の中の仕事をとっておられるかどうかを確認したいだけなんですよ。

 だって、もともと親会社があって、子会社にあって、別に官公需に入ってこなくたって親会社の仕事をやればいい人はそれをやればいいんです。何のためにこの官公需の法律をつくって中小零細の人たちに受注の機会を与えるかというのは、別に、いつも仕事をもらえる、大手さんの下請の仕事をいつもやっている人たちに入ってくださいと言っているわけじゃないんだと思うんですね。だから、この実績のところを細かくお聞きするんです。

 そこのところはどうでしょう。

北川政府参考人 まず、官公需全体につきましては、それは入っている可能性はあると思いますが、私どもが配慮を各省にお願いしている中小企業、小規模事業者の中には、基本的な考え方としては入っていない。

 ただ、議員の御指摘がありますので、ちょっと確認をしてみたいと思います。

鈴木(義)委員 では、よろしくお願いいたします。

 次に、物品、工事、役務は一般競争入札ですね。あと、随意契約の割合がどのぐらいになっているのか。

 なぜそれをお尋ねするかといったときに、その割合をいじることによって、結局、中小零細の人でも受注機会がふえてくる部分も多くなっていくし、いただいた資料の中では、契約を受けた実績に関してはわかるんですけれども、どの入札の形態をとったのか。特命なのか随契なのか一般なのか、総合評価でやっているやり方もあるでしょうし。その辺の割合がどのぐらいになっているのか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年度の契約では、金額ベースで一般競争入札が約六八%、指名競争入札が約三%、随意契約が約二九%というふうになっております。

鈴木(義)委員 なぜ細かい話を聞くかといったときに、アリバイ工作をしていてもしようがないと思うんですね。明確な目的があるんだったら、その目的に向かって手段だとか方法があるでしょうし、それをやったことによって結果が出れば検証する、これは当たり前な話なんだと思うんです。そうすれば、議会でどうだこうだというふうに質問されることも少なくなっていくでしょうし、やはりもう少し透明性のあるようなデータの出し方をしていただければありがたいなというふうに思っています。

 ちょっと質問を飛ばしますけれども、この官公需法をスタートさせたときに、一番の懸念材料が、各省庁がみんな協力してくれるのかということなんです。

 例えば、行政は基本的に実績主義が主体でありますので、実績があるから入札の機会を認めよう、条件を上げようとか緩和しようとかというのは別にして、何もないところには仕事を発注してこなかった。物品でも役務でも、基本的には同じだったと思うんです。

 それが、十年未満の、実績がなくても今回の法律では入札資格を認めたとするのか。それを緩和するんだということであれば、経産省は受注の機会をふやすので、十年未満のところを拡大していこうというのはいいんです。国土交通省だとか農林水産省、ほかの省庁が同調してくれなければ、これは全然拡大にならないんですね。

 だから、実績主義でやっていながらも、バブルがはじけたときもそうなんですけれども、細かい工法、工種を分けて、大手企業さんにとりやすいような、極端に言えば中小ではできないような工法を一つの工種にするとか、ランクをぱっと上げたんです。だから、それに基づいて仕事をやったことのない中小は全部排除された。それは二十年前の法律の改正のときにあったんですね。

 だから、それと同じように、幾ら経産で十年未満の企業をサポートしようとなっても、ほかの省庁が協力してくれなければ、これはなかなかかなわないと思うんです。そこのところ、大臣に御答弁いただけるのか副大臣なのか、ちょっとわかりませんけれども。

北川政府参考人 実際に各省庁そうなるのかということでございます。

 今般、法律改正を行いまして、国会の意思をお示しいただいた上で、閣議決定ということで国等の契約の基本方針を定めます。法律、閣議決定という段階を踏まえまして、各省はそれに従って行うこととなると考えております。

 先般、宮沢大臣から御答弁申し上げましたとおり、このように、法律、閣議決定という形式を踏まえますと、各省がそれをしっかりとやっていくというふうになりますし、しかも、数字を公表していきますと、各省それぞれ達成度がわかっていきますので、それぞれ努力していくものと考えております。

宮沢国務大臣 手続はそういうことでございますけれども、ともかく、ベンチャー企業、若い企業を育てていくということは成長戦略の中でも大変大事なことでありますし、また、地方創生といった意味でも大変大事なことでありまして、各大臣に私からも強くお願いをしたいと思っております。

鈴木(義)委員 私の認識がちょっとずれているのかもしれませんけれども、実際に先端の仕事をしているとか、それは一部の企業であって、実際は、今までと同じ、ローカルビジネスと言われているんですかね、ハイテクじゃないところの仕事をされている人がたくさんいると思うんです。

 経産の考え方は、十年未満のベンチャーを育成しよう、新しいビジネスにトライをしていこうというところに日を当てる法律なんだと思うんです。でも、実際は違って、自分の勤めていた会社が倒産してしまったがために自分で独立した建設業者さんもたくさんいるわけです。その人たちがいろいろな形で入札に参加してきて、過当競争になっている部分もある話も正直聞くんです。

 ですから、確かに、理想としているところに日を当てるのはいいんですけれども、実体経済はそうじゃないところで頑張っている人がたくさんいる。そこに日を当ててあげないと、やはり底上げというのはなかなか難しいんじゃないかなというふうに思っています。

 それと同じように、実績を公表していただくのはありがたい話なんですけれども、例えば、十年未満の企業さんと契約をして、物品を納入してもらったり、サービスを提供してもらったり、建設工事に参加してもらったりしたときに、納入のチェックだとか完成検査、これはやはり手心を加えられないんだと思うんですね。そのときどうするかということなんです。

 受注の機会はふやしてあげた、契約までしました、さあ仕事をやりました、品物はいただきました。そのときにうまくいっていなかったら、ちょっとふぐあいがあるものを納入されたといったときに、そうじゃない今までの業者さんと差別化をするというのは、まず無理だと思うんです。その辺のことは想定のうちに入っているのか、お尋ねしたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 官公需は税金に基づく事業でございますので、結果は、特に差異を設けることはできないと考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 今、各省庁と同じように、自治体にもやはり官公需というのはたくさんありますので、最初、説明を受けたときには、市町村、地方自治体は別なんですと言うんですけれども、やはり協力を仰いでいただかないと、これは浸透していかないと思うんですね。

 国としての市町村に対するアプローチというんですか、お願いの仕方というのをどのように考えていくのか、お尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 まず、法律的な書き方でございますが、現行の官公需法第七条、改正した場合は八条になりますが、地方自治体は、国の施策に準じて、中小企業者の受注機会を確保するために必要な施策を講ずるように努めることと法律上はなっております。

 それで、実際にどうさせていただくかということでございますが、二十六年度は、都道府県知事、全市町村の長宛てに経済産業大臣名で、中小企業、小規模事業者の受注機会の増大に努めるよう要請を実施いたしました。また、全都道府県五十の会場で、都道府県、市町村の発注担当者を含めまして二千二百人を超える説明会を開催させていただきました。

 こうした取り組みに加えまして、官公需法改正に当たりまして、地方自治体における取り組みをさらに促すため、国と四十七都道府県との間で、新たに新規中小企業者調達推進協議会を立ち上げたいというふうに考えております。ここで地方自治体における新規中小企業者からの調達の推進方策等について協議をしたいというふうに思っております。

 こうした取り組みをさせていただいて、地方自治体と連携して、新規中小企業者の受注機会の拡大を図ってまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 ぜひ地方にも御協力いただくように、きちっと伝達をしていただければなというふうに思っております。

 もう時間が午前中、まあ午後もまた出張ってまいりますので、名前を間違えないでもらえればなと思うんですけれども、一つだけお尋ねしたいんです。

 今、アベノミクスで矢継ぎ早にいろいろな施策を打ってきたのはいいんですけれども、確かにデフレを、インフレターゲット二%ということでやっていますけれども、それがゆえに、特に公共事業については、御案内のとおり、不調、不落が続出しています。

 復興地域も含めて、復興の方に行って、私も、お世話になっている人、復興の方で福島だとか宮城の方に仕事を下請で行っている社長の話も聞いたことがありますけれども、人はいないし、資材はないし、まずダンプカーがない、こういう話があります。そこに輪をかけたのが東京オリンピック・パラリンピック。今度はリニア中央新幹線も通すんだと。次のいろいろな公共事業に準ずるものが、大きなプロジェクトがメジロ押しなんですね。

 そうすると、需要と供給のバランスの中で、やはり仕事がいっぱいあるときは人手不足で品薄になるから価格が高騰する。そうじゃないときは安くダンピングが横行する。そのたびに行政としてはいろいろな対応をしてこなくちゃいけなかったんだと思うんですけれども、今、もう見込まれている需要増に十分な対応ができていないんじゃないかという考え方があります。

 一つは工事量の平準化。今回の官公需もそうだと思うんですね。景気をよくするんだ、一〇%に消費税を上げるためにもっと内容をよくするんだと、どんどん補正予算を組んだり、公共事業を膨らませて、国土強靱化の名のもとで工事をやらせるんです。それはいいんですけれども、実際、二割も三割も現場では単価が上がってしまって、不調、不落が続いている。

 あとは変動に対応できるような制度設計になっていないんじゃないかということですね。専門職員がいないとか、リスクは回避したい、もうかる仕事だけやりたい、これはどの業者も同じなんです。中小だって小規模事業者だって同じなんです。さあ、やってくださいと門戸は広げたとしても、役所が積算した単価じゃ、合わなければ入札に参加してこないんです。

 それでどうやって受注の機会をふやすのかというのが今の社会状況の中でありますから、経産省としてそこのところをどう考えていくか。経産だけではこれは難しいと思うんですね。国交だとか農水だとか、いろいろ働きかけてもいかなくちゃいけないと思うんですけれども、大臣にお尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 私の地元でも随分不調、不落があって、大変心配をしておりましたけれども、公共事業だけ見てみますと、二十三年度から急激に不調、不落といったものがふえてきて、二十五年度では、都道府県の工事で七・六%。これは不調の数字です。直轄で一七・四%となっておりますが、二十六年度に入りまして少し落ちついてきておりまして、都道府県では七・六から四・三。これは二十四年度よりも低い数字。そして、直轄であれば一七・四から九・三%、これも二十四年度よりは低い数字に落ちついてきております。

 私どもの関係で見ますと、経済産業省としては、直接あるのは建設資材等でありますけれども、これはもちろん、少しことしに入って安定してきておりますけれども、需給が逼迫したり緩くなったりしないような注意というのはよくしていかなきゃいけないと思っております。

 委員がおっしゃった東京オリンピック等々という話は、リニアはかなり息の長い工事ですから少し違うかもしれませんけれども、二〇二〇年ですから、一八年ぐらいには大体終わってしまわないとということで、ともかく、今回、建設業界に起こったことというのは、まさに専門職の話でありまして、長らく不況の中で工事がなくなってくる、この業界にいてもしようがないねということで、まさに働き盛りといいましょうか、若手がどんどん、ごそっと抜けてしまって、いなくなってしまっている。そして、今回、少し戻ってきてくださっているようですが、それでもまだまだ足りないというのが正直なところ。

 大事なことは、例えば災害が起こったときの対応も、地域の建設業界にお願いしなきゃいけないとか、大震災もそうでしたけれども、小さな洪水でもそうですけれども、そういうこととか、やはり建設業といったものが日本にしっかり根づいていなければ、我々にとって困ることばかりでございます。

 そうなると、やはり、例えば東京オリンピックまではあるけれども、そこからはなくなるよということであっては恐らく若い方は戻ってくることはないわけなので、しっかりその辺の、断然多くなくていいので、しっかりと将来的に一定の工事量というものがあるんだよということを政府全体として示していくということが恐らく何より大事なことだと思っております。

鈴木(義)委員 昔は、公共事業をやっている業者さんというのは信用力が高いから、ぜひ公共事業をやって民間の受注をふやそうという時代が過去ありました。今はもう関係ない。公共事業をやっても、一般競争入札でたたくだけたたいて、もうかるかもうからないか、やれるかやれないかわからないけれどもやってみようという、だから、民間は民間、公共は公共で完全に分けちゃっている中小企業が多いという話も聞きますので、ぜひこれからも、景気の上がり下がりがありますから、平準化するというのはなかなか難しいと思うんですけれども、ぜひ、目標を定めて、今までの失敗例を成功例に変えられるようにプログラムしていただければなと思います。

 午前中最後の質問に、あと五分もたたないで終わりますので、中小企業の地域産業資源法について一点だけお尋ねしたいんです。

 参考人質疑のときも何人かの参考人の方からお話があったんですけれども、なぜこの法律の中に、海外に展開していく、海外に物を売ろうという発想が入っていないのかなと不思議でしようがないんです。

 売り上げというのは、釈迦に説法になるかもしれませんけれども、単価掛ける数量なんです。日本は、どっちかというとこれからは、数量の部分はどんなにたくさんつくっても、人口減少になっていくということは単価を上げるしかない。数量を上げようとすれば、食べる量はもう減ってきているわけですね。じゃあ海外に出すしかないというところが、やはり地方にもその発想がないと、国内の中で需要を喚起させるんだというのでは限界値が見えてきてしまうと私は思います。

 それと、物をお客様が買うときに、外国の方も日本人も同じだと思うんですけれども、商品やサービスを買うときに、プライス、クオリティー、サービス、この三つのうち二つの組み合わせを選んで、プライスを中心にして買うのか、質の高いものを求めて、高くてもいいから質がいいものがいい、アフターサービスがいいというものもあるだろうし、そういうふうに言われています。

 そこのところも含めて、やはり中小企業の地域産業資源の活用とかサポートをしていくといったときに、本当の根本をやはりわかってもらわないと、幾ら税金で三分の二を補助していろいろ頑張りましょうとやっても長続きしないんだと思うんです。その辺を最後に大臣に聞いて、午前中の部は終わりにしたいと思います。

宮沢国務大臣 これまでも何度か委員会でお話しさせていただいておりますけれども、今おっしゃった付加価値を高くするということは大変大事でして、やはりこれから、まさに少量生産であって、そして付加価値の高いというものをどう、これは中小企業が中心になりますけれども、そういう事業をしっかりやっていただいて、これはある意味では、アジアの一定所得以上の方たちに売っていくということは、恐らく我々のこれからの政策の中で最も大事な政策の一つだろうと思っております。そうした意味で、この法律とは別に、海外展開を行う事業者の取り組みの支援ということは当然含まれております。

 したがって、この法律を使ってそういうことをやっていただくことももちろんできるわけですけれども、恐らく、今おっしゃったような話は、国全体として、クールジャパン戦略のようなものの中でどう取り上げていって、どう応援していくかということだろうという気もいたしますけれども、本当に、ともかく、少量生産、高付加価値、担い手は中小企業、そして恐らく地方だと思いますけれども、これを精いっぱい応援していきたいと思っております。

鈴木(義)委員 以上で午前中を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 午前中に引き続きまして、短い時間ですので、手短に質問をさせていただきたいと思います。

 午前中の中小企業の地域産業資源法、これにかかわるものを一点だけ、再度お尋ねしたいんです。

 この法案で、主務大臣は、経済産業大臣、総務大臣、財務大臣、厚労大臣、農水大臣及び国交大臣とあるんですが、例えば、木質バイオマスを使って、それを熱源として発電をして、エネルギーを使い、ハウス栽培をしたとします。それでイチゴをつくって、加工品をつくり、商品化しようとすると、バイオマスを使って、いろいろな表現の仕方はあるんですけれども、焼却ということになると、大気汚染防止法だとか水質汚濁防止法だとか、いろいろな環境法令が絡んでくるんですね。中には、規模の大きさによっては環境アセスをとれとか、こういう話になってくるんです。環境アセスをとるだけで、最低でも一年、二年かかるものもあれば、もっとかかるものもある。

 地域振興で地場産をしながらいろいろな地域資源を活用してやるんですといったときに、環境省にかかわるものというのはどうしても絡んでくるときもあるんです。そうすると、その関係間で、もともと、国の中で、これはイレギュラーな話なんだから認めてよという話をきちっととっておかないと、現場で結局同じ手続をしなくちゃいけないので、何年もかかってしまうというのが過去の事例にありました。

 それについて、大臣として、整理をするという御答弁をされると思うんですけれども、その辺がいつも、経産だけで法律をつくったり、午前中の話と同じなんですけれども、国交省の協力ももらわなくちゃいけない、どこの協力ももらわなくちゃいけないという話なので、あくまでも協力なんですね。そこのところの考え方をお示しいただきたいと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、地域資源法の運用におきましては申請窓口を都道府県に一元化していただいておりまして、複数の主務大臣に係る申請につきましては都道府県から関係省庁に回付するということで、まずは入り口の手続の一本化を図っております。

 さらに、委員御指摘の規制省庁との関係でございますけれども、本省及び地方支分部局におきまして、規制を所管している省庁に対しまして、その申請に関する事業と規制の関係を個別に確認を行って、きめ細かく対応してございます。

 今御指摘の、例えば、環境省の自然保護関係、あるいは文部科学省の文化財保護、いろいろございます。これらにつきましては、本省から文書により関連する案件についてその都度関係省庁に協議を進めるように働きかけをしております。

宮沢国務大臣 おっしゃるところは非常によくわかる気がするんです。

 縦割り行政の弊害というのがいろいろなところに出て、最近は昔ほどではなくなったものの、やはりいろいろなところで、実際、国民が不便を受けているということは確かでございまして、今、県を通じることによって、国民からすればある意味ではワンストップでやってもらえるという説明がありましたけれども、スムーズにいくように努力していきたいと思っております。

鈴木(義)委員 それに付随してなんですけれども、今回上程されている法律に似通った法律があと二法あります。農商工連携促進法、六次産業化法、あと今議題になっている地域資源活用促進法、こういうものがあるんですけれども、私は、もうそろそろ、平成十九年からスタートしているものもあれば、もっと前からやっているものもあるんだと思うんですけれども、一本化していった方がいいんじゃないかなと思うんですが、いかがお考えか、お尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 今回お願いしている法律は、地域経済の活性化を図るということが目的。また、農商工連携につきましては中小企業と農林漁業者の連携による新事業の促進ということが目的であり、そして六次産業化は農林漁業者等の事業の多角化の促進ということで、それぞれ目的は違うわけですけれども、似たような部分がかなりある。私どもの法律というよりは、農商工と六次産業のところなどは特に似たようなところがあるんだろうと思います。

 そういった意味では、今、例えば経産省と農水省の連携というのは大変うまくいっていると思いますけれども、やってみて、その結果、いろいろなところで一緒にした方がいいということがいろいろ出てくるのであれば、それはもちろん、いずれ法律改正ということになると思いますけれども、そういうことも頭に入れながら、しっかりとりあえずやっていきたいと思います。

鈴木(義)委員 今お聞きしますと、法律が一千三百法案あるんだそうですね。私もわかる法案というのは幾つもないんです。ですから、私たちは日本国の中で生活したり産業活動したりしているんですけれども、やはり、もう似たような法案は五年をめどで一つにしていくというのが今の時代に合っているんじゃないかと思います。

 役所は必ずワンストップサービスという言葉を使うんですね。ワンストップサービスにしながら、国は国で勝手にばらばらにした法律をつくっているわけです。出先に行って、県だったり市町村はワンストップでやりましょうと声高らかにやって、相矛盾したことをいつまで推し進めるのかということなんです。だから、五年で一つめどをつけるというぐらいな気概で御答弁いただければなと思いますが。

宮沢国務大臣 正直言いまして、一本化した方がいい場合ももちろんありますし、幾つかに分かれた方がわかりやすいといったところもあるんだろうと思うんです。

 今回お出ししている法律は、六次産業等々と全てが重なっているわけではありませんから、そうした意味でいいますと、正直、法律同士を一緒にして一本の法律というのはなかなか難しい。そういうことも含めて、これから検討したいと思います。

鈴木(義)委員 私の後に椎名議員が控えていますので、ちょっと視点が違うかもしれませんけれども、もう一点、中小企業基盤機構法の改正に関してお尋ねしたいと思います。

 中小企業はもともと、もう御案内のとおり、資本や人材や技術力が大手にはちょっとかなわないから支援していこうというのが中小企業、小規模事業者の振興策なんだと思うんです。今回の法案の中に、高度化事業も含めて、市町村、都道府県が関与しているんですけれども、でも、必ずリスクをとらない方向に行っているんだと思うんです。審査も債権管理も、極端に言えば高度化事業なんかは県に持たせているわけですね。

 今回、市町村を支援策の中に入れていこうということになれば、そこでも審査するだろうし、頑張れ、責任も持て、義務も持てという話になっていくんだと思うんですけれども、そうじゃなくて、やはり国がリスクをとらなくちゃいけない部分というのは私はあるんじゃないかと思うんです。国会の経産委員会なら経産委員会で十分に審議をして、これはリスクが高くてもしようがない、やっていく事業だろう、これは融資という考え方でやっていった方がいいじゃないかというのをやはりすみ分けしていった方がいいんじゃないかという考え方ですね。

 先ほども私の前の小池議員の方から話があったように、来年から金融庁の監査が入るとか、あとは評価委員会にかけて今やっている事業をチェックするんだというふうになるんですけれども、もう最初から、投資をしようという部分のリスクは国がとる、融資の部分は何年かで回収させてほしいというのをきちっと打ち出した方が、私はもっとすっきりするんじゃないかと思うんです。今までの行政のやり方というのは、どっちかというと、国は、都道府県や市町村、また外郭団体、独法みたいなところに投げて、その先はリスクをとらないようにずっとしてきたんだと思うんですけれども、そうじゃない考え方でやる。

 私が先般大臣に、投資と融資は違うんじゃないかというふうにお尋ねしたことがあったと思うんです。それと同じ考え方を今回の機構の中にも取り入れた方が私はすっきりするんじゃないかと思うんですが、その辺のお考えをお示しいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 いわゆる政策金融一般に言えることでありますけれども、やはり民間でできることであれば民間にやってもらえばいいわけで、民間がリスクをとりにくいものを民間と一緒になって民間も出やすいようにするとか、リスクがあるもので、どうしても政策的に投融資していかないところを対象にやっていくというのが、政策金融全般にわたるあり方だろうと思っております。

 そうした意味でいいますと、整備機構自身も、先ほど不良債権比率が大変高いというようなことの御質問がありましたけれども、逆に言えばこれはある意味ではリスクをとった結果だろうと思っておりまして、それ自体で非難されるべきことではないだろうと私は思っております。

 リスクの高い投資もあれば、リスクの低い融資もあるわけでございまして、そこで投資と融資を完全に分けるということもなかなか難しいのかなと。ただし、やはり政策金融であるからには、リスクがある分野をしっかり政策的に応援していくということをきっちりやっていく必要があるんだろうと思っております。

鈴木(義)委員 最後になりますけれども、前段の地方の産業振興をしていこうといったときには、三分の二の補助金を出すんですね。片や、中小企業基盤機構の方は融資をするわけです。だから、物によっては、融資もあれば、補助でくれっ放しもある。そういうことを申し上げたいわけなんですね。そこのところは国が一つの方向をやはり定める時期に私は来ているんじゃないかなと思いますけれども、もう一度御答弁いただいて、終わりにしたいと思います。

宮沢国務大臣 境界線ではいろいろ難しいことがあると思いますけれども、やはり補助金というのは、個別のそれぞれの事情といいますか、個別に見ていくこと。政策金融というのは、個別の判断は、国でなくて例えば独法であるとか、それ以外に判断していっていただくといった意味で、少し性格が違っているんだろうというふうに思います。

 補助金と政策金融をそれぞれ、両方受け取るということももちろんあるわけでありますけれども、その役割分担というのはやはりしっかり我々としても区別していかなければいけないなと思います。

鈴木(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 椎名毅でございます。

 経済産業委員会は二回目なんですけれども、一回目は、小渕大臣に、さらに言うと、諸般の事情があって十分間ということになってしまって、今回が初めてのような気持ちで臨ませていただいております。

 宮沢大臣には本当に初めてなので、ぜひいろいろやりとりをさせていただきたいなというふうに思っています。

 きょうは、経済政策、それから中小企業政策、そして本法についてということで、五十分ありますので、なるべく丁寧に聞いていこうかなというふうに思っております。

 まず、安倍政権が発足して二年弱たっているわけですけれども、これに対する僕自身の評価を述べた上で、大臣の御評価というのを聞いてみたいなと思うんです。

 よく最近、日本の、特に安倍政権の経済政策にフレンドリーな学者の先生方が海外で講演をされるときに、大体よく同じ冗談をみんな使うんですけれども、第一の矢、金融政策についてはA評価だ、第二の矢、財政出動についてはB評価だ、第三の矢の規制緩和についてはE評価だ、全部並べてABE、安倍だというくだらない冗談を毎回毎回みんな言うんですね。

 この評価は、おおむね僕自身も当たっているなと実は思っていて、金融緩和自体は非常に、私はみんなの党という党で立候補しましたが、そのときからずっと金融緩和をするべきであるということを申し述べてきて、それなりに、安倍政権が始まる前、東証平均八千円台ぐらいだったと思いますけれども、徐々に上がって、倍ぐらいには今なっているわけですね。安倍政権が始まる前、ちょうど野田総理がいつか解散すると言ったころぐらいから東証のインデックス投信を買っておくと、多分倍にはなっているわけですね。そういう感じで、それなりに意味があったかなというふうに思います。円安、株高状況がもたらされているわけで、非常にいい影響がある部分も事実かなと思います。

 財政出動については、需要不足があるので政府で需要創造するという理屈自体はわかります。私は、政府で需要創造するということ自体が非常にネガティブな考え方をしているので、余り評価はしたくないですけれども、財政出動するという理屈自体は理解をしています。

 本丸はやはり、最後、規制緩和なんだろうと思いますけれども、要は、それについてはほとんど何も進んでいないというのが現状かなと思います。

 実際、安倍政権の金融政策のおかげで何が起きているのかというと、結局、インフレになって資産インフレが起きているという状況までは正しいと思います。これがちゃんとさらに影響が起きているのかということなんだろうと思うんですけれども、輸出系の企業に対してそれなりに一定程度影響があるというのは、それはそうなんだろうと思います。

 ただ、やはり、現実的に既にこの三、四十年の間に日本の産業構造がすごい転換をしていて、要するに、製造業中心からサービス業中心の産業構造になっている中で、さらに言うと、製造業も海外展開をかなり進めている中で、いわゆるトリクルダウンというか、しみ出し効果が余り起きていないというのが現状なのかなというふうに思っています。

 さらには、資産インフレが起きて、機関投資家なり金融機関がお金をいっぱい持っている状況になっていても、結局、投資と消費がないので、金融機関の中にお金がブタ積みになっている、そういう状況があり得るのかなというふうに思っています。こういう状況の中で、実質賃金が低下しているという状況もまああるのかなというふうに思っています。

 この中で、大臣の所信の中でもありましたけれども、ローカルアベノミクスは経済の好循環を全国に波及させるためにやるんだ、そのローカルアベノミクスの話の流れの一環として本法がそれぞれあるということなんですけれども、経済の好循環というのがどう起きていると、どう考えているのか、どう評価されているのかということについて御見解を伺えればというふうに思っております。

宮沢国務大臣 三本の矢でございますが、きょうのこの委員会でも何回か申し上げましたけれども、やはり、一つ目の大胆な金融政策というのは、ある意味では大変即効性のある効果があって、円安方向に揺れる、そうしたところ、日本の経済の今は屋台骨を支えると言っていい自動車を中心として大変元気になってきて、大変裾野の広い産業でありますから、大変いい雰囲気になり、そしてそれを財政政策が支え、そして最後に成長戦略ということでありまして、E評価とおっしゃいましたけれども、正直言ってまだ途中でありまして、いろいろこれからさらにさらに知恵を出してしっかりやっていかなければいけないと思っております。

 それで、ここに至るまで二年弱でございますが、アベノミクスがどういう好循環をもたらしているかということについて言いますと、やはり、設備投資につきましては、間違いなくそれまでの流れとは違って、明らかにふえてきていると思います。

 例えば、昨年度は設備投資三・五%増加、今年度につきましても、九月の時点の日銀短観では四・二%増加でございますから、昨年同期がたしか三・三、四%だったのに比べると、昨年度よりも見通しとしてはいいというようなこと。さらに、私も自民党の税制調査会で創設にかかわりました設備投資減税の申請も九月末までで六万件以上に上がっているということで、設備投資について言えば、私は、明らかに流れは変わってきたなという思いがいたします。

 問題は消費でありまして、消費につきましては、駆け込み需要があって、四―六でかなり落ち込んだ、そして八月ぐらいまで悪い。これは天候のせいかなと思っておりましたところ、そうでもなさそうな雰囲気が少し今出てきている。これについては相当心配をしていかなきゃいけないけれども、やはり消費のもとは恐らく二つあって、一つは給与、所得の問題。

 所得の問題につきましては、昨年の秋口から政府を挙げて経済界にお願いした結果、もちろん、実質所得が落ちているとおっしゃるかもしれませんが、これまでにないような賃上げというものが成功してきているということは事実であります。したがって、この流れをさらに進めていって、物価が上がるときに、所得、給与というのは遅行指標ですから二年ぐらいはかかるんだろうと思いますけれども、なるべく早く物価上昇に追いつくように我々としても努力をしていかなければいけないと思っております。

 それから、もう一つ消費について言いますと、ある意味では物価の先高感といいますか、物価上昇があるということは、間違いなく、あした買うよりはきょう買った方がいいということでありますから、そういうような物価について、やはりデフレが克服しそうだというような感じを国民の皆さんにしっかり持っていただくということが一番大事なのかなと思っております。

椎名委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 設備投資が数値上ふえているというのはそのとおりかなというふうに思いますが、これで、銀行、特に地方の銀行の預貸率が上がって、ちゃんとお金が本当に流れていくようになればいいんだろうというふうに思っています。

 給与の話は、実質賃金はやはり低下はしているんだと思います。企業の生産性が上がらないと、どうしたって賃上げ自体は、政府がお願いベースでお願いしますと言ったところで、上げられる企業というのは限られているわけだと思いますし、生産性はどこに帰着するかというと、基本的には、多分、三本目の矢の規制緩和とか、それから事業統合とか、そういうところに帰着するんだろうと思うので、やはり、これから規制緩和をしていくとか、特に労働規制だと思うんですけれども、こういったところの規制緩和とかを進めていくということが重要なのではないかなというふうに思っています。

 引き続いて、いろいろ中小企業政策について伺っていきたいというふうに思います。

 中小企業政策についていろいろ調べようと思って、まず一番最初にグーグルで検索したら出てきたのが、二〇一一年九月の「日本の中小企業政策」というパワーポイントで、別にこれ自体にはほとんど意味はないんですけれども、見ると非常に多くの法律が、「政策の変遷」と言いつつ、ちょっと数えられないんですけれども、三十本ぐらいの法律が時系列に並んで、非常にわかりづらいんです。

 このパワーポイントを見ていくと、数ページ目に、「主な中小企業政策」として「(一)中小企業を守る」、社会をつくると書いてあるんですね。ポイントは、1に「中小企業を守る」から入っているところがポイントなんじゃないかなと思っているんです。「中小企業を守る」というのは、要は弱者救済という意味なのではないかと思います。

 やはり、今までの中小企業政策、決してうまくいってこなかっただろうと思います。これは、中小企業振興策という名のもとの実は社会政策なんじゃないか。要するに、国民の生存権を保全するための憲法二十五条に裏づけられる社会政策なんじゃないかという気がするわけですね。

 だからこそ改めて問い直したいんですけれども、こういう中小企業立法、従前からのあまたある中小企業政策、立法を含めてですけれども、これらに対する評価ということを含めて、そもそも社会政策なのか、経済政策、振興策なのかということ、それから、その評価について御意見を伺えればと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 中小企業政策は、昭和二十三年ぐらいから始まって現在に来ておるんですが、昭和三十八年に中小企業基本法ができました。

 その後、最近の非常に大きな変化は、平成十一年の中小企業基本法の改正におきまして、それまでありました中小企業を弱い存在として捉える社会政策的な規定を削除いたしまして、市場での競争を前提としつつ中小企業者の自主的な努力を支援する、こういう考え方に基づきまして、多様で活力ある中小企業の成長発展、これを基本理念として位置づけておるわけであります。

 今般お願いをしております地域資源法、これは平成十九年に制定されておりますが、これもいわゆる社会政策的な措置を実施する法律ではございませんで、我が国の経済の基盤を形成する中小企業者の事業活動を促進するということで、ひいては国民経済の健全な発展を図ることを目的としております。

 そのほか、多くの中小企業政策に関する法律あるいは施策がございます。これは、先ほど申し上げた基本法の目的でございます国民経済の健全な発展及び国民生活の向上を実現すべく、経済政策として立法されております。

椎名委員 ありがとうございます。

 理屈上、そのとおりかなというふうには思います。一応、中小企業基本法三条に「基本理念」というのがあって、確かに、おっしゃるとおり、「市場における競争を促進し、地域における経済の活性化を促進する等我が国経済の活力の維持及び強化に果たすべき」云々かんぬんというワーディングも入っていて、おっしゃっていることは一応そのとおりなんだろうとは思います。

 ただ、やはり、従前から、僕が政治のコミュニティーに入る前からずっといつも気になっていたことの一つなんですけれども、日本の国の政策立法、特に経済政策立法というのは、特定の分野に特定の資源を配分して、そして政策効果を高く上げようとすることが物すごく下手であるというふうに私は思っていて、それは多分、恐らく裏にある原理は、日本国憲法十四条に書いてある平等権というので、特定の者を支援するということに過度に傾注できないからなんだろうとは思いますけれども、そのおかげで、こういう基本理念を定めて中小企業振興策とかをやっても、やはり、事実上、運用の中で絞り込みができなければ、ピンからキリまで来てしまって、弱い企業を救っているという側面が現実、正直あるんじゃないかなというふうに私自身は思っております。

 だからこそ、やはり中小企業政策というのは、恐らく、グローバルに活動している経済企業に対して効く経済政策と若干違う政策を打たなきゃいけないのは間違いないので、やはり特定の、言葉で言っているだけじゃなくて、本当に認定、運用のレベルでかなり厳格に絞り込んで、成長分野に絞り込んで支援をしていくというやり方をしていかないといけないんじゃないかなというふうに私自身は思っております。

 そろそろ、本法について聞いていきたいと思います。

 まず、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律、これの改正案について聞いていきたいんですけれども、一応、ことしの概算要求の経産省から出した資料とかもちょっと見ると、ローカルアベノミクス、五つの戦略とかいうのが書かれていて、そのうちの地域のブランド化という第四の戦略というものをどうやらこの法律は実現する法律らしいんですけれども、実際、ブランド化を図ることによって、どのように地域活性につなげていくのかということだと思っています。

 中小企業というのは日本の国のGDPの約六割から七割で、結構大きなポーションを占めているわけですね。今までやはりグローバルの経済に効く経済政策ばかり中心でやってきたということで、中小企業にほとんど効果がおりてこなかったわけです。

 どういう中小企業を生き残らせて、どういう社会をつくっていきたいか、そういうビジョンがこの法律を読んだ限りだと余り正直見えてこなかったので、実際目指すビジョンというか、それから、本改正によって体験型農業とかそういうのが地域産業資源活用事業に入るわけですけれども、本改正の拡大によって、どういう需要掘り起こしというか、どういうことが期待されているのかということを、では、実際これをどうやって検証していくんですかという、その達成目標と検証方法等についてお伺いできればなと思っております。

北川政府参考人 御答弁申し上げます。

 中小企業政策全体の中でどういう位置づけで、何をしようとしているのかという御指摘だと思います。

 最近の立法例を見ましても、昨年の臨時国会では、産業競争力強化に基づく地域における創業支援というものを市町村ベースに引っ張ってもらおうというのを立法しまして、前回の通常国会におきましては小規模企業振興基本法ということで、グローバル、ローカルのローカルの方で、地域に根差して持続的に頑張る、こういう小規模企業の方を応援するということといたしたわけでございます。

 それに引き続きまして、今回の地域資源活用法でございます。

 これは、まさにそれぞれの御地元で新しい取り組みをされて、それを全国に発信したり、あるいはお客さんを呼んでくる、こういう取り組みを応援しようということで、平成十九年からやっておるんですけれども、やってみましたところ、やはりこれまでは個別の会社の取り組みであって面的には広がっていなかった、あるいは、実際問題、ビジネスとしての販路開拓や情報発信力が弱いというようなことがだんだんわかってきましたものですから、今般改正をお願いしまして、面的な広がりを持った地域資源を活用したふるさと名物の開発それから販路開拓を促進したいということでございます。

 地域地域それぞれで、市区町村を中心に、商工会、商工会議所、あるいは農協、観光協会、地銀、信金、こういったところと一緒になって地域ぐるみでふるさと名物を応援するということをお願いしたいと思っておりますし、また、つくり手の方としても、NPOあるいは一般の社団などと一緒になって、消費者との接点を持ちながら消費者に好んでいただけるようなものをつくっていく、こういったものを促進したいと思っております。

 具体的な目標といたしましては、五年間で約千の市区町村に、こういったふるさと名物応援宣言をしていただきながらビジネス化を図っていただきたいというふうに考えております。

 また、検証方法でございます。

 これは、先ほど申し上げた五年間で千というのがいくかどうかというのがまず一番にございますけれども、それ以外につきましても、例えば、補助金投入の結果、どれだけの売り上げが上がってきているのか、あるいは個別の認定事業の売り上げがどれぐらいになっているのか、あるいは試作開発にとどまらず事業化というのがどれぐらい進んでいるのか、こういったものを指標としながら、これから検証の方も考えてまいりたいと考えております。

椎名委員 ちょっと確認なんですけれども、地域産業資源活用事業計画の認定というのは、今までだと二〇〇九年から一〇年にがたんと落ちて、それから大分件数が減っているようですけれども、それは、要は今おっしゃった課題というものがあるからこれが件数が減ったという意味なのか、それとも、そもそも大きな流れとして、この件数が減ってきている流れなのか。

 今回、これを改正するとふえることは見込まれるという理解でよろしいのか、もう一回ちょっと確認したいんです。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 減ってきた理由はさまざまあろうかと思いますが、まず、当初の考えておられた取り組みが大分出てきたんだろうということがございます。その後は、個社の取り組みというよりも、ある程度グループ化といいますか、面的に取り組んでいくところのなかなかその弾みがつかないといいますか、ブレークスルーがなかなかできなかったところがあろうかと思いますので、今回そのようなことを申し上げました。

 そして、これまでの個社の取り組みベースですと、法律を制定してから大体千二百ぐらいの取り組みが認定されておりますけれども、先ほど五年間で千と申し上げましたが、これは市区町村ベースで千ということでございまして、それぞれグループをつくる、恐らくグループのような格好で複数社が参加されるだろうと思いますので、その一つの取り組みに例えば数社入るとすると、これまでよりは相当、会社ベースではふえてくるというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 きのうも聞いたんですけれども、検証はとりあえず件数で検証すると。大体認定件数がこれだけになるということなんですけれども、恐らく本質的には、やはり日本の国のGDPの六割から七割ある地方の経済規模が円ベースで拡大していくことが多分ゴールであるはずなんだと思うんですよね。件数がふえたからそれでいいのかという話なんだろうというふうに思うんです。

 恐らくそれは、それではよくなくて、やはり件数がふえて、個社それから事業集団の取り組みがきちんと売り上げを上げていって、経済拡大に貢献してくれるように検証しなきゃいけないんだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 さまざまな側面から効果を測定しておるのでございますけれども、売り上げという御指摘がございました。

 これは二面やっておりまして、一つは、補助金の効果がどれぐらいあるかということでカウントしているんですけれども、これまで、本法律に基づきまして補助金が七十二億円投入されております。その結果、市場における販売達成累計が八百五十九億円となっておりますので、十二倍ぐらいの市場取引額となっているというのが一つでございます。

 それから、個別の認定事業の売り上げというものも把握しておるんですけれども、先ほど約千二百余と申し上げましたが、そのうちの一一%ぐらいが一億円超の売り上げを上げております。それに達しないものも幾つかありますけれども、一社当たりの平均というのを見てみますと、七千百万円ぐらいとなっております。このような把握をしております。

 それから、もう一つは事業化ということでございます。事業化につきましては、先ほど申し上げました、単なる試作開発にとどまらず事業化ということで、私どもとしては、市場取引達成率八〇%を目標としておるんですけれども、現在、平成二十五年度末で八二・二%の認定企業が市場取引まで達しているということでございます。

 委員御指摘のように、経済全体、特に地方経済が厳しい中で、これだけで地域のGDPが大きくなるというようなことにはもちろん至っていないわけですけれども、それぞれの地域の取り組みを活性化するという趣旨で御理解願えればと思います。

椎名委員 話の流れ上、幾つかちょっと順番を入れかえます。今、補助金の話があったので、ちょっと順番を入れかえますということですけれども、この間の参考人の方で、補助金をもらったらキャッシュバックの規定を入れた方がいいんじゃないかというような話があったわけですね。要するに、成果が上がらなければキャッシュバック、お金を返すということなんです。

 では、現状はどうなっているかというと、今回の中小企業による地域産業資源を活用した事業促進法、これに基づくと、一応、二十七年度の概算要求で自治体に幾つかの交付金をお願いしていて、その交付金から自治体ベースで市町村の補助金という形でおりる、それから、経済産業省経由の補助金という形で認定事業におりる、こういう形で促進をされることも想定されているわけですね。

 実際、それが想定されているんですけれども、補助金というのは何なのかというと、補助金等適正化法というのを読んでみると、七条二項に、各省庁がそれぞれ、補助金の交付に際して、いわゆる収益納付というものを定めることができると書いてあるわけですね。収益納付というのは何かというと、利益が上がると補助金の一部をペイバックしろという話なんです。

 これは、要はインセンティブ構造としては逆なわけですね。努力して売り上げが上がったら、罰というか、お金を返さなきゃいけないわけですね。あめとむちというのは、大体、努力をして報われたらあめを上げるんですね。だめだったときにむちでたたくんですね。でも、これは逆なんですね。補助金というのは、利益が上がらなかったら、事業化できてもそんなうまくいかなくても、溶かしちゃって、それで返さなくてもよくて、事業化してうまくいったら、それは返さなきゃいけない。

 一応これは、法文上はできる規定にはなっていますけれども、例えば経産省の、この間やっていた小規模事業者活性化補助金というものを見てみたら、それには普通に収益納付規定が入っているわけですね。こういうものが入っているおかげで、もうかるとやはりお金を返さなきゃいけないんですねという話になるわけですけれども、こういうものは、やはりインセンティブがどう考えても逆だと思うんですね。

 それはやはり頑張るインセンティブがなくなると思うんですけれども、きょうは財務省の参考人の方に来ていただきましたが、この収益納付の話についてちょっと御意見をいただければと思います。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のありました補助金等適正化法の規定でございますが、同法の第七条第二項には、「各省各庁の長は、補助事業等の完了により当該補助事業者等に相当の収益が生ずると認められる場合においては、当該補助金等の交付の目的に反しない場合に限り、その交付した補助金等の全部又は一部に相当する金額を国に納付すべき旨の条件を附することができる。」と規定をされてございます。

 この規定の趣旨は、国民の税負担によって賄われた補助金の交付を受けて行った事業が相当の収益を上げた場合に、その収益を事業者に全て帰属させるということは妥当でない場合もあるということから、公の利益と私の利益の調整を図るといった趣旨にございます。

 実際、この補助金の交付について収益納付条件を付することとするか否か等につきましては、先ほどの規定に基づきまして、当該補助金等を所管します各省各庁の長の判断に委ねられているというところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 ちょっと本の名前は忘れちゃったんですけれども、財務省の方にはぜひ、福島の原発事故が起きた後に出された東大思考のわなというような名前だったような気がしますけれども、そういう本を読まれたらいいとお勧めします。

 いかにも法律を学んできた人的な発想で、それは、理屈としては、べき論としては正しいと思います。税金である以上、税金を使ってもうけたんだから返さなきゃいけないというのはそうだと思うんですけれども、エコノミクスとして考えたら、明らかに間違っているわけですよ。やはり努力したらあめで、努力しなかったらむちなんですよ。努力したらむちだったら、やはりだめなんですよ。そうしたら努力するインセンティブがなくなっちゃうわけです。

 ここで改めて、この間の参考人質疑の中で武雄市長が指摘していた、要するに、補助金等をもらって、もし成果が上がらなかったら、キャッシュバックをした方がいいんじゃないかという御提言に対して、経済産業省としてというか大臣として御意見をいただければと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 先日の参考人質疑で市長がおっしゃっていたキャッシュバック、私も聞いておりましたけれども、市長の御主張は、市町村が責任を持ってやるべきだ、だから、市町村としては国から補助金を一旦預かって、事業がうまくいかなかったら、市長さんは市区町村から補助金を返すべきだと。だからキャッシュバックだとおっしゃっておられたと私は理解しておるんですけれども。

 今般、私どもの提案しておりますこの法案に基づく補助金、これは市区町村に国から行くものではございませんで、中小企業、小規模事業者の方に交付するというものでございます。こういった性格上、市区町村が返還するということも余り妥当ではないと思いますし、また、実際問題、補助率三分の二でございまして、事業者の方も自己負担三分の一されておられます。したがいまして、事業がうまくいかないというと、もちろん自分もやはりうまくいかなくなるわけでございますので、そういったビジネスに対するスタートアップ補助金という観点からしますと、うまくいかないからといって、キャッシュバックというものを中小企業の方に求めるのは余り適当ではないのではないかと考えております。

椎名委員 わかりました。

 少なくとも、収益納付の話はちょっと、やはり考えた方がいいかなというふうに思います。

 キャッシュバックというのは、僕もちょっと頭の体操で、要するに、どうするのが一番人間のインセンティブにかなうのかというのは、短い時間の中で考えてみたんですけれども、正直余り、確かに答えはないんです。本当に答えはないんですよ。これは何なのかというと、だから、国がやるからだめなんじゃないかという結論にやはりなるわけですよ。

 話をちょっともとに戻すと、通告しておいた四番に話を戻すけれども、結局、経産省を通じてなのか自治体を経由してなのかはさておき、国からもらったお金というのは、事業を活性化していくという意味において、事業者そのものの責任感というのも、関与していくという意味においてはやはり問題はあるのかなと思っております。

 国、自治体、それから事業者は民間人という、この三つのレイヤーで考えたときに、国よりは自治体がやるべきだろうし、自治体と事業者という意味で、公と民間という意味でいうと、やはり民間でやった方がいいと私は強く確信をしていますけれども、この間、武雄市の市長の話を聞いてみると、人口五万人規模の非常に小さな町で、その自治体が一番大きな産業である、だから自治体が旗を振らなきゃいけないんだという話には、やはりそれは肯首し得るものがあって、必ずしも全て、一〇〇%事業者だけでやるべきかと言われると、そこは確かに少し疑問符がつくなと私はあの話を聞いていて思いました。

 少なくとも、国よりは自治体、自治体よりは、特に僕の住んでいる川崎市みたいなところだと非常に大きいので、自治体よりは民間企業でやるべきだと思うわけです。

 要するに、こういう法律をつくって中小企業の支援をするというよりは、民間企業で自立的にやらせるとか、国と自治体という意味でいうと、税源移譲をするということで、自治体にフリーハンドで、なるべく自治体のやりたいように任せるということの方がよろしいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 幾つかのお問いかけがあったと思うんですけれども、まず中小企業の方の支援に誰が一番適しているかということでございます。

 私どもといたしましても、やはり経営の支援でございますから、それは先輩経営者がほかの経営者の方をいろいろガイドしていくというのが一番よろしいんだろうとは思っております。もちろん、そういうお取り組みをされているさまざまな団体ですとか地域の集まりもあることも承知しておりまして、そういった方々とも連携をとっておるわけでございます。

 それはそれとして、その次に、やはり一番近いところは市町村、あるいはその地域の商工団体、こういったところだろうと思っていまして、先ほどから説明申し上げましたとおり、例えば、最近の創業支援であれば市町村ベースでお願いするような法律立てにしておったり、あるいは小規模企業の振興においても地元でいろいろ頑張ってもらいたい、こういう仕組みをとっております。

 ただ、そうは申しましても、市区町村はいろいろでございますので、そこでなお足りないところがあれば国が全国的な観点から応援していく、こういったことではないかというふうに考えているところであります。

椎名委員 ありがとうございます。

 言葉では国は最後に出てくるんですけれども、法律上のたてつけとそれから補助金のたてつけとかを見ると国が出てきているわけですね。都道府県が認定をして国から補助金をもらう、こういうたてつけになっているわけです。なかなか難しいなと思いますけれども、やはり民間でできることは民間でやるということなのかなと思っています。

 やはり、僕自身が今地方の中小企業のマーケットという意味で考えたときに、実は一番足りないのが、小さな中小企業の生存戦略をつくってくれる、民間のマッキンゼーとかボストンコンサルティングみたいな、ああいう高級な戦略コンサルタントではなくて、それを中小企業向けに比較的平易にやってくれる、そういう民間のコンサルタントが必要なんだろうというふうに思うんですね。

 今現状、それを基盤機構がやっているわけです。基盤機構がローンという形でデットガバナンスをしながら、基盤機構がそのコンサルティング業務をやっているわけですけれども、結局、先ほどうちの小池委員からも指摘があったとおり、溶かしちゃうこともあって、不良債権化することもあるわけですね。

 また何かちょっと入れ子になってしまっていますけれども、通告で十番に書いておいたものを聞きますけれども、基盤機構とか政策金融公庫とか、基盤機構が相談に乗って、政策金融公庫がローンを出していく、こういう形でやってくれているわけですけれども、事実上、今、中小企業がとり得る選択肢というのは、自費でお金を出すという選択と、補助金をもらうという選択肢、官民ファンドから出資をしてもらうという選択肢、それからローンという選択肢があるんです。自費の手金を除いては、これにはそれぞれ、基本的には全部国から何かしらの形でお金が入っているわけですね。

 幾つかの選択肢の中で、恐らく補助金が一番、人間のインセンティブから考えるとモラルハザードが起きやすいものであり、官民ファンドというのは恐らく、一応エクイティー投資なので、株という形で株主によるガバナンスがきくということなんだろうというふうに思いますし、さらには、ローンという形でいうと、デットガバナンスがきくということで、本質的には一番ガバナンスがきくはずです。

 そうだとすると、やはり事業者の自立性、独立性というものを重視して企業経営をやってもらうように自立を促していくとすると、なるべく補助金よりはデットで、補助金よりは官民ファンドで、官民ファンドよりかはデットで、こういう流れで資金調達というのを支援していくというのが正しいやり方なのかなというふうに思うわけですけれども、こういったところについて御意見をいただければと思います。

宮沢国務大臣 中小企業政策というのは本当に大変難しい政策だと私は思っておりまして、一言に中小企業と言いましても、中堅企業と言われるようなところもあれば小規模事業者もあるという、規模の大きさ等々も違いますし、また、いずれ、それこそ株式公開をして大企業になっていくような企業もあれば、中小企業にしかできない分野をやっている企業もあれば、また、大企業の下請の下請、下請、下請というようなことをやっている企業もあればということで、それぞれまたこれが縦横に入り組んでいるということです。

 では、何をターゲットにどういうことをやっていくかということになると、総論となりますと、中小企業が日本にとって大事であって、これを元気にしていくということになるわけですが、正直言って、いろいろな政策の組み合わせをやっていかなければいけない。

 そして、恐らく、おっしゃるように、一番の基本は政策金融だと思います。政策金融が中小企業政策の一番の基本であって、それの少し変わった形で、金融でなくて出資みたいな形もある。そして、もちろん、ポイント、ポイントということで補助金というものも出てきますけれども、やはり一番の背骨は政策金融だろうと私は思っています。

椎名委員 そうすると、あとはガバナンスをどうきかせるかという話なんだろうと思うので、政策金融それから基盤機構等々で、きちんと、要するに目ききのきく貸し手それから出資者みたいなものを育てていくということが恐らく必要になるだろうと思います。

 今般の法律改正の中には別に入っていないですけれども、要するに、人を育てていくということにも、これから経産省の方でも流れをぜひくんでほしいなというふうに思います。

 さらに、幾つか行きます。

 この法律そのものが何かあるわけでは恐らくないんだろうと思いますけれども、やはり、それぞれ中小企業のどんな産業と何について、何を目的としてその法律を定めるかというのは結構重要だと思うんですね。付加価値を上げる、その結果として労働生産性が上がるとか、そういうことを先ほど大臣がおっしゃったとおり複合的にやっていくことによって、最終的には、日本の国のGDPの七割を占めるこの中小企業に、全体にきいていけばいいのかなというふうに思うわけです。

 この法律、改正前の条文と改正される改正案とかを見ても、実際、何にきいて、要するに、どういうことが期待できるのか、実際に生産性を上げるためにきくのかというのがいささか疑問だったんですね。でも、最終的にはやはり生産性を上げるということを目指していかなきゃいけないし、そのために中小企業の自立を促すということをしていかなきゃいけないんだろうなというふうに思います。

 この点について、実際、特に製造業とか生産性が低い、まあ、製造業は生産性はそれなりに高いですけれども、特に生産性が一番低い、地域の中でもかなり多くある小売とか宿泊とかサービス業とかそういったところにきいて、そういった産業の付加価値を上げていく、生産性を上げていく、こういう形で使っていってほしいと思うんですね。

 そのあたりについて、この法律についてどういうことを考えていらっしゃるのか、教えていただければと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地域におきましては、やはりサービス業のシェアが大変高うございまして、農林漁業、宿泊、小売、飲食、こういったところが大変多うございます。

 これをどうするか。この付加価値をどうやって高めるかということでございますけれども、大きく言うと二つでございまして、まず一つは、市区町村が中心となって、何度も申し上げますが、うねりを起こして、お客さんをつくる、お客さんを呼んでくる、こういったことをやっていただければということで、参考人質疑でいらっしゃった武雄市長、ああいった非常に先端的な方もいらっしゃるので、ああいった方が日本じゅうに出てくるようなことをまず期待したいということであります。

 もう一つは、消費者の嗜好といいますか消費者ニーズに合った商品、サービスを開発しないと、売り上げも伸びませんし生産性も上がりません。こういったところを、今般、協力者というふうに位置づけまして、そういう消費者ニーズを非常に熟知している方と一緒に組んでこのプロジェクトをやっていくというようなことを法律に書き込んでいるところでございます。

椎名委員 わかりました。

 やはり、今、役所が頑張ってやろうとするよりは自立的に民間企業が頑張ってやってくれる方がいいなと、どうしても思ってしまうのが正直なところです。

 恐らく最後になると思いますけれども、最後に一点だけ。

 我が国の、特に地方で活動している中小企業ですけれども、これの生産性を上げていくとともに、生産性の低い中小企業は、やはり御退場を願うか、それから合従連衡してもらうかということによって、なるべく地域の経済が安定化していき、それで健全な企業がふえてきていただけると一番いいかなというふうに思っています。

 先ほど、うちの鈴木委員からも話がありましたけれども、過当競争でダンピング競争が起きて、さらに言うと、差別化が難しい産業の中で、地方が疲弊しているという声もあるという話があったわけですね。こういったものについては合従連衡を促していくというのが非常に重要ですし、他方で、地域のパパママショップみたいなところで、非常に生産性が低いけれども何とか事業をやっているみたいな、そういう中小企業が地方にやはりいっぱいあるわけですね。

 廃業とそれから合従連衡、こういったものを重点的に行っていかないと、やはり産業の新陳代謝というのは進まないと思うんですね。だから、開業支援だけを取り上げて華々しく法律として定めるというだけではなくて、やはり廃業を容易化する取り組みというのを明確化していくということが非常に重要であるというふうに思うんです。

 やはり、廃業するのが簡単になるには、廃業したことによって事業者が負うリスクみたいなものを減らしていくことが最大限、一番必要なことだろうというふうに思います。レピュテーショナルなリスクだったり、それから倒産による経済的なリスクだったり、いろいろなリスクがあると思いますけれども、廃業をしやすくする取り組みということについて、最後に御所見を伺えればと思います。

北川政府参考人 委員御指摘のとおり、新陳代謝を促すという観点からも、廃業しやすい環境をつくる、これは一つの重要な課題だと思っております。

 そのため、廃業を検討されている事業者の方をサポートするために、個人保証あるいは相談のあり方、こういったものをいろいろ議論しているわけでございますが、具体的には、本年二月から始めております経営者保証に関するガイドラインを運用いたしまして、早期に廃業を決断した場合には経営者に一定の資産を残すように、個人保証がネックになっていつまでもやめられないということがないように、制度的に整備をしております。

 それから、さまざまな経営課題を御相談したいといっても、相談するのも自分のレピュテーションにかかわりますけれども、そういったことを配慮しながら、よろず支援拠点を六月から七月にかけて全国に設置しました。そういうところでも廃業を含む点についても御相談していきたい。

 それから、セーフティーネットといたしまして、小規模企業共済制度というのをやっております。これは、おやめになったときに共済的な機能を果たす、あるいは廃業資金を貸し付ける。こういった制度もやっておりますので、こういったものを充実しながら、廃業の円滑化を図っていきたいと考えております。

椎名委員 個人保証というのは非常に大事だと思います。

 あとは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、街角相談所みたいなのを国がやるというか、要するに、公でやるというよりは、やはり、時間はかかるけれども、質のいいコンサルタントと質のいい法律事務所というか、中小企業の廃業にきちんと相談に乗ってくれる人たちをふやした方が基本的にはいいんじゃないかなというふうに私は思っております。

 その上で、やはり最終的には個人保証の問題と、それからあとは信用保証協会の信用保証の問題だというふうに思っています。この信用保証というのは、やはり私的整理をするにしても民事再生をするにしても信用保証協会の保証というのがネックとなって、再生計画だったりそういったものがまとまらないということがよくあるので、これは金融庁マターだと思いますけれども、そういったこともこれから検討していかなければならないんじゃないかなというふうに思います。

 時間になりましたのでこれで終わりますけれども、引き続き、これからもどうぞよろしくお願いします。

江田委員長 次に、杉田水脈さん。

杉田委員 次世代の党の杉田水脈です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 今回の法改正に関しまして、創業間もない中小企業の官公需への参入を促進するというようなことが目的となっております。

 その中で、具体的には中小企業基盤整備機構というのがあるんですけれども、ここが必要な情報をいろいろ整理して情報提供したりとか、また融資をしたりとかというようなことになっておるんですけれども、そもそもこの中小企業基盤整備機構というのはどういった団体なのか、まずそこをお尋ねしたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 中小企業基盤整備機構でございますが、これは平成十六年七月に、かつての中小企業総合事業団、またかつての地域振興整備公団、そしてまたかつての産業基盤整備基金という三法人が統合いたしまして、それによって設立されました独立行政法人でございます。

 中小企業等の事業活動の活性化のためにさまざまな支援策を講じるということを大きな目的としてございまして、この目的を達成するために、三つの分野を考えながら各施策を実施しております。

 三つのうち一つ目が、具体的には創業、新事業展開の促進ということでございます。創業、ベンチャー支援、あるいはファンド組成によりますリスクマネーの供給、あるいはビジネスマッチングを通じた販路開拓支援、こういったものを行ってございます。

 二番目が経営基盤の強化ということでございまして、中小企業のさまざまな経営課題を解決するための相談、助言、専門家の派遣、あるいは中小企業の連携、共同化のための資金支援、そしてまた中心市街地あるいは商店街の活性化支援、こういったことを行っております。

 三つ目が経営環境の変化への対応の円滑化ということでございまして、小規模企業の共済制度、そしてまた中小企業倒産防止共済制度、こういったものの運営によりましてセーフティーネット対策の充実を図るということを主な業務といたしております。

杉田委員 先ほども三つの大きな事業について御説明いただいたんですけれども、もともとそういった形の活動をしておりますこの中小企業基盤整備機構なんですけれども、では、今までできていなかったことで、こういう形で今回のこの法改正によってできるようになりますよ、このように中小企業の方々のお役に立ちますよというところのポイントを御説明いただけますでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、法改正をお願いしております一つは官公需、もう一つはふるさと名物の開発、販路開拓ということでございます。こういうところで中小企業の需要創生をしていきたいという全体の考えでございまして、この中で中小企業基盤整備機構法を改正いたします。

 一つは、官公需に係る情報の集約、提供ということでございます。これは、官公需法自体が昭和四十一年制定以来の大きな抜本的な改正となりますので、これに伴いましてこういった業務をやっていきたい。

 それから二つ目が、地域資源を活用する事業者に貸し付ける市町村への高度化融資、先ほど諸先生の御質問がありましたけれども、高度化融資あるいは情報提供という官公需法あるいは地域資源法にかかわります協力業務を書いてございます。

 それから、先ほどから申し上げておりますが、市区町村がだんだん中小企業者の支援の大きな役割を担ってきているという現状に鑑みまして、市区町村に対する中小企業支援、これを中小機構の協力業務として定めております。

 さらに、高度化融資につきまして御議論がございました。今般、金融庁が民間金融機関に対して検査を通じて得たノウハウを活用しまして、中小機構が行う高度化事業にかかわるリスク管理体制の適切性を検証できるように、金融庁検査の導入規定を新たに定めているところでございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 やはり新規の中小企業がどんどん官公需の方に参加していけるように進めていくということは、我々も非常に大切なことだというふうに思っておるんですけれども、前のときの質疑でも申し上げましたけれども、それだったら、そういった官公需を発注する、例えば国であったり自治体であったりに直接的に働きかけて、そういう新規のところもどんどん活用するようにしていくのが一番即効性があるということなんです。

 今回、この趣旨は非常にいいと思うし、やはり新規の中小企業もどんどん官公需に参入してきてもらいたいとは思うんですけれども、改正の内容というのが、中小企業基盤整備機構というところが情報を収集して、その情報を提供するというだけではなかなか本当に実質的に新規の参入が進むとは思いにくいなというのが、我々の党の中の議論でも出てきた意見でございます。

 それから、新規中小企業者への配慮というところに、創業十年未満の中小企業者というような形で説明が書かれているんですが、普通の感覚で、今これだけいろいろ起業している方々がいろいろ新しい分野でもベンチャーも育ってきている中で、創業十年といいますと、もう一事業終えて、一山当ててまた次の事業に行こうかという、そのぐらいのタイムスケジュールで世の中というのは動いていると思うんですけれども、創業十年というのが新規となっている、ここからして本当に何か今の社会のシステムに追いついていないなというようなイメージを率直に持ちました。

 それから、もう一点が、こういった地域の特産品なんかの地域産業の資源を活用した事業活動の促進というようなことももう一つのテーマだという形で言われているんですけれども、もともと中小企業庁さんは、地域資源、地域の特産品とかを販路開拓してどんどん売り出していこうということを今までにいろいろしていらっしゃるんですよ。

 きょう皆さんのお手元に資料をお配りさせていただいておるんですけれども、例えば地域産品販路開拓機会提供支援事業というのがあったり、新事業創出支援事業というのがあって、二枚目はどういう事業が採択されているかという、これは平成二十六年十月十五日に認定された事業ですね。ことし二回目の農商工連携事業の計画として認定されたものがこれだけたくさんあるんですね。

 だから、地域の産業資源を活用してどんどん販路開拓とかもして、中小企業もそれを活用してどんどん頑張ってまいりましょうというようなことは全然目新しいことではないんです。

 そこでお尋ねしたいんですが、今までも同じような事業を幾つもやってきたと思います。今回の法改正がなければできないことというのは一体何なんでしょうか。今までできなくて、この法改正があったから今度からこんな新しいことができるようになるよという何か変わったことはあるのかどうかというのをお尋ねしたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 地域の特性を活用して中小企業の経営の向上を図ろうという取り組みはさまざまございまして、農林漁業と一緒になるとか、あるいはさまざまな出展を手伝うとか、今先生がおっしゃったいろいろな方法をとってきたわけでございます。即売会などもやってきたわけでございますが、今までの政策のある意味での限界といいますか、個社はそれぞれ個別の会社さんの事業を応援するというところでございました。

 やはり、創業支援でも同じですけれども、面的に地域地域の課題に向き合って、地域全体で解決するということが特に小さな市区町村ほど有効ではないかというふうに考えるに至りまして、今回の法改正では、市区町村がさまざまな事業者、関係者と一緒になって地域ぐるみでやっていく、こういう面的な取り組みを促すというところがこれまでと違う大きな点でございます。

杉田委員 今までの取り組みの中では地域全体での取り組みができなかった、今回の法改正によって面的な取り組みが促進されるというような御答弁だったんですけれども、それはどのあたりを、どれをどうすれば面的な取り組みになるんでしょうか。

北川政府参考人 具体的に市区町村の役割、地域の役割というものを少し申し上げますと、今般、地域資源の活用によります地域経済の活性化を進める上で、いわば地域に根差して事業者あるいは住民に密着した行政をやっておられる市区町村の果たす役割は非常に大きいと思っております。先般、市長もおっしゃっておられましたように、市区町村が地域のリーダーシップを発揮しまして、民間の主体的な取り組みを支援するということが重要だと思います。

 具体的なことを少し申し上げますと、まず、市町村におきまして、中立的な立場を生かされて、地域で協議会なり取り組みの集まりを主催する等によりまして、地域の事業者、団体、金融機関、NPOあるいは住民の皆様に至るまで、地域のさまざまな関係者を広く巻き込んで地域ブランドを育てる、一つの方向性に向かって協働でいくようなうねりをつくっていくということでございます。

 それから次に、地域経済活性化の推進力となり得るような地域資源を発掘あるいは選定、市長のお話でもイノシシですとかいろいろなお話がありましたけれども、その地域に根差す歴史、文化、こういったストーリーによって組み合わせて、磨き上げて、魅力的な地域ブランドとして域外に発信、PRするということでございます。

 地域ブランドというのは個社それぞれではなかなかできがたいということでございますので、こういった地域的な取り組みが大事だろうというふうに考えているわけでございます。

 今後、法改正をお認めいただきました後には、基本方針を考えていって、地域ぐるみで応援する地域ブランドを効果的に発信するような取り組みをお勧めしてまいりたいと考えております。

杉田委員 前回の質問のときも申し上げたんですけれども、確かに、そういった地域資源を活用してさまざまなヒット商品が出ているような地域が今日本にたくさんあります。本当に地域の人たちを巻き込んで、商工業とかも全部巻き込んで、いろいろな方々が努力してそういったヒット商品を出してこられています。今回いただいた資料にも、今治タオルとか馬路村のゆずドリンクとか、これは話題になったのがもう随分前の話なので、かなり古い事例だなというふうに思わざるを得ないんですけれども、あります。

 ただ、我々の党の中に首長経験者もたくさんおりまして、その中で一緒にこの問題を議論しているときに、やはり、これはそれぞれの地域の人たちが地域を何とかしないといけないぞと思って、いろいろな分野の人たちが一緒になって地域を巻き込んでやっていくから生まれてきたものであって、国から、こうしなさい、ああしなさい、こういうことをするんだったらこういう支援をしてあげますよというようなことでは、逆に今度はどんどんそういった取り組みが減っていくんじゃないかというようなことが懸念されるんですけれども、そのあたりはいかがお考えですか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 基本的なところでちょっと考え方を申し上げますと、別に、この地域はこうしなさいとか、この町はこうしなさいとか、こういうものがいいんじゃないですかとか、そういうものを国が示すものではなくて、それぞれ地元地元で、うちはこういうものをやりたいということを言っていただいて、そうであれば国としても応援していきます、こういうようなものです。市町村は別にやる気もないのに、国が何か、あなたはこれをやりなさい、こういうようなものではまずないという前提でお考えいただきたい。

 もう一つは、全国でやっておられる、それはそのとおりだと思います。ところが、全ての地域でやられているとはなかなか言えませんで、成功しているところもありますし、うまくいっていないところもありますし、未着手なところもございます。我々としては、成功事例を参考にしながら全国横展開をして、それでそれぞれの地域でお取り組みになっていただければ、こういうようなことで考えているわけであります。

杉田委員 特区の議論をするときにも、いやいや、これは国の、上からの押しつけじゃないんだ、地域の手挙げ式だから、それで頑張る地域を応援するシステムなんだというような形で御答弁を何回もいただいてきたわけなんですけれども、なかなかそういうところが、実際には、頑張る地域を応援する形になってこない、単なるばらまきに見られてしまう。今回も、地域の元気創造プランとか、地域創生の方と一緒になってやっていく部分がかなり大きいと思うんですけれども、そのあたりが本当に頑張る地域を応援するような形になるのか、それとも単なるばらまきで終わってしまうのかというようなことは、今後きっちりと見てまいりたいというふうに思います。

 もう一点なんですけれども、よくそういった地域の特産品の販路開拓というのが課題になってくるんですけれども、外に向けての販路開拓だけではなくて、その地域での地産地消のシステムというのもしっかり考えていく必要があるんじゃないか。特に農産物、林産物についてはそういうふうなことが言えるかと思うんですけれども、そのあたりはいかがお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 議員御指摘の地産地消というのは大変大事だと思っております。

 今回の法改正も、そうした意味でいいますと、市町村が地域の事業者や支援機関などを巻き込みながら、ふるさと名物を地域ぐるみで取り組んでいくというようなことでございます。例えば、そういうことであれば、農産物等々をそういうふるさと名物にした上に、優先的に学校給食等々で使うというようなことは当然行われることだろうと思います。

 また、農業体験とか、工芸とか林業体験という体験型の観光サービスということで新たに支援対象に加えておりますけれども、まさに地域のものを外から入ってきた人にもその地域で消費していただくというようなことで、地産地消、これからもいろいろやっていかなきゃいけないと思いますけれども、今回の法律も地産地消という観点は持っております。

杉田委員 今回の法律の改正においても地産地消という考え方は入っているというふうに大臣から御答弁いただいたんですけれども、よく言われることが、これは経済産業省で議論することではないと思うんですけれども、例えば学校給食に使ってもらおうと思っても、給食センターの方がいろいろな文句を言ってくるんです。例えば野菜の大きさは、全部、これで均一じゃないとだめだとか。本当に、そういったところに入れていこうと、地元の業者の人たちがせっかく子供たちに食べてもらおうと思って、学校給食センターに納入をしようとすると、さまざまなことをいろいろ言われて、なかなか敷居が高くて入れない。

 結局、そんな面倒くさいことをするんだったら、外に売ってしまおうというような形になって、そういうのが進まないというような事例も、これは全国的にあることなので、こういったことは経済産業省の中で課題として取り組んでいってもらうことではないと思います。文部科学省の方ともよく連携をとりながら、やっていっていただかないといけないことだと思うんですけれども、そういったことも実際のところではあると思いますし。

 あと、私の地元の兵庫県の方でも、間伐材を使って公共施設を建てるといったような、それぞれの役場とかを新しく、例えば合併したので新しく庁舎が必要になったというようなところは間伐材を使用して木造のものを建てるとか、そういった取り組みも一生懸命やっている地域とかもありますので、そういったことも生かしていっていただきたい。

 それから、私はいろいろな地域を見せていただいて思うことは、地元の方が、自分のところのよさがわからない方が多いんですよ。そこが持っている特産物とかそこの地域が持っているポテンシャルに気がつかない。自分の地域はもうとんでもない田舎で、何もいいことがなくて、こんなところは嫌だ、早く大人になったら出ていきたいと思っている子供が多くて。

 でも、そこにほかの地域から訪ねてきたら、こんないいところないじゃないですかとか、ここの特産物、こんなおいしいものがあるじゃないですかと、外から来た人がすごく発見をしてくださる。よく地域活性化は、よそ者、ばか者、若者がキーワードだというふうに言われますけれども、やはりよそ者という方々が発見するまで、中の方がなかなか、自分の土地のよさ、そこが持っている特産物のよさ、そこが持っている力というものが認識できていないという課題があります。

 ここも、単に、本当によそ者に頼らざるを得ないというのをよしとするのではなくて、やはり地域の方が一番自分の地域のよさを知っている、そこの特産物でおいしいものがあれば、そこの子供たちが一番たくさんその特産物を食べている。おいしいということをみんなに言えるというような形に持っていくというようなことも大事じゃないかなというふうに感じております。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 私、順番を間違えてしまいまして、申しわけございません。また官公需法の方に戻るんですけれども、今までの議論の中でも何度も出てきております八兆円とも言われている官公需の分野なんですけれども、ここへ新規のところが入ってくる。先ほども申しましたが、新規というのは十年未満なんだそうですけれども、そこの中小企業が入ってきている割合が一%未満だということがあるんです。

 ただ、これまでも、現行の官公需法に基づいて、実績の乏しい企業に発注したことによって、施工不良であったりとか再入札になったりとかした例が多分たくさんあるんじゃないかとは思うんですけれども、逆に、こういった事例、こういった実態というのはどのように把握をしていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 施工不良によって指名停止になった事例などは、各省庁において把握しているものと認識しております。私どもも、指名停止になったようなものは、ホームページに出ておりますので、それで把握を一定程度はさせていただいております。

 それで、施工不良ということですので、工事が念頭におありになると思いますが、一般に、工事においては、これは御指摘のように一定の実績が今まではやはり求められることが多いということもあって、過去に指名停止になったケースを見ますと、過失により工事を粗雑にしたと認められるようなものでありますとか、不正または不誠実な行為をして、工事の請負契約の相手方として不適当と認められるといった理由などが、ホームページ等で確認したところ、また、あと私どもの役所で指名停止になったようなケースを分析したところ、このような例があるというふうに承知をしております。

杉田委員 先ほど省庁ごとにとありましたが、省庁ごとに多分こういったことは、国土交通省とかそういったところも占める割合が大きいと思うんですけれども、それは、省庁ごとに把握をして、経済産業省でその事例というのは十分その実態を把握した上で、十分それを分析して、今回のこの法改正のために研究をなさっていらっしゃるということでしょうか。

佐藤政府参考人 一応、指名停止になったようなものというのは、どこかの省であった場合、私どもの省も当然これを参考にして指名停止等をやることになりますので、当然、他の省で指名停止になったような事例に関しましては、私どもの役所の担当部局のところは把握をして発注をするということになると思います。

杉田委員 いや、発注に関しての把握ではなくて、今回、新規のところが入りやすくするというような形の法改正でありますよね。こういった法改正をするに当たって、今までそういった実績とかというのは、ちゃんと原因とかを分析して、それを全部把握した上でこういった組み立ての法改正をされるのですかという意味の質問なんですけれども。

佐藤政府参考人 舌足らずで申しわけございませんでした。

 当然、そういったことも把握をいたしまして、新規の中小企業をどのように、能力をどう見ていくかというのは、今度新しくつくります国等の契約の基本方針でも当然反映をしていきたいというふうに思っております。

杉田委員 それでは、具体的に教えていただきたいんですけれども、実績はないが能力がある新規参入の中小企業というのは、どうやって見きわめるんでしょうか。

佐藤政府参考人 これはもちろん、今度の法律でございますから、機会均等の観点から、広く参入を促進することが重要であります。

 しかしながら、一方、適正な履行の確保を図っていただかなければならないということですので、いろいろ分析をいたしまして、特に役務提供や工事など、一定期間労働者の確保が必要な契約については、継続的な人件費の手当てが困難となって工事等に支障が生じる可能性があるということで、私ども分析したところ、このようなチェックポイントが出ております。

 そのため、御指摘いただきました国等の契約の基本方針、今度つくろうとするものには、具体的に、まず、人件費等を適切に含んだ予定価格を作成すること、事業者に人件費等を適切に見積もるよう求めること、仕様を可能な限り明確化するとともに契約の進捗管理を徹底すること、内容に応じて総合評価落札方式の適切な活用に努め価格以外の要素を適切に評価すること等を盛り込んでチェックをしていきたいというふうに思っております。

 個別の入札においてこういった事項を確認することで、新規中小企業者の受注能力を適切に見きわめてまいりたいというふうに考えております。

杉田委員 実際に、私も自治体職員をやっていたときに経験したことがあるんですけれども、ただ単なる競争入札で入札したところに依頼をしておりますと、どうやらそこのところが余りにも人件費を低く見積もり過ぎじゃないか、これでは最低賃金を割ってしまっていて、役所が最低賃金を下回るような形の企業に出したということになると、これまた大変なことだからということで、また追加の事業とかをつくって、そこに追加で請け負わせて、何とかそれをとんとんにしたというような、苦し紛れにやったというようなことがあったりしました。

 国は、きっちりと、先ほどもありましたが、それぞれの省庁で過去の事例も実態を把握していらっしゃって、分析をしていらっしゃるということなんですが、それぞれの市町村とかそういうところにおりてまいりますと、なかなか、どの企業がいい企業なのか、今は確かに安いからというだけでいい事業だとは限らないというようなこともありますし、でも、そこがただすごく革新的な技術を持っていて、だから安く済ますことができるのかとかいったところの、その見きわめが本当に難しいと思うんですね。

 そのあたり、きちっと信頼が置ける形で情報提供していただけるということが一番大きなポイントとなってくると思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 この間の参考人質疑の中で、四名の参考人の方々にさまざまな示唆に富んだ御指摘をいただいたところなんですけれども、その中で、中小企業が、特に新しい中小企業が官公需とか自治体の仕事とかを請け負おうというふうに思ったときに、大きな壁になってくるのが会計の違いではないかと。企業会計と自治体が利用している会計が違う。

 具体的には、単年度で予算を執行してしまわないといけないといったようなことが挙げられたんですけれども、今回、私も、参考人の方のお話を聞きながら、こういったことを改善していこうと思ったら、やはり公会計の会計制度を改めていく必要性があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、そのあたりどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

太田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘いただいたことですが、国の予算につきましては、国民の皆様からお預かりした税金を一年間にどういうふうに使う予定なのかということを明確にお示しをして、それについて民主主義という原則のもとで国会の議決を得なければいけないというふうに考えておりますし、国の決算につきましても同様に、一年間に何に使ったかということを明確にして、国会の議決を得るということが大事であるというふうに考えております。

 こうした観点から、国会における財政の確実なコントロール、それから一般の国民の方々にとってわかりやすいという観点から、一年間の現金の出納を網羅的に示すという現金主義を今のところとっておるということだと思っております。

 ただ、先生御指摘ありましたような、企業会計の考え方というのが重要であるというのは私どももそういう認識をしておりまして、私どもとすれば、国の財務状況に関する説明責任を向上するということ等を目的として、平成十五年の決算分から、企業会計の考え方なり、手法なりというものを取り入れた国の財務書類というものを作成して公表はさせていただいているということだけ申し上げさせていただければと思います。

杉田委員 企業会計と公会計のことについて質問をしても、毎回同じ答弁しかできませんよということは前もって説明も受けておったところではあるんですけれども。

 やはり一般にあります企業は、いわゆる企業会計で動いていますよね。だったら、負債のところもきっちり資産として見ていくということで、長期的な計画が立てられたりとかしていくところがあるんですけれども、やはり公会計がそうなっていない。

 何度も何度も、十五年の決算からはそういう考え方を取り入れて透明性を上げていますというようなことを言われますが、そこの部分がやはり十分ではないというふうなことは、我々一番の問題意識として持っておりますし、また、これは国だけの問題ではなくて、こういった問題点に気づいて、きっちりと企業会計を公会計の方に入れてきているような自治体もあります。例えば東京都はそうなんですけれども、そういうふうなところではなくて、なかなか、企業会計を入れている自治体というのが多くなっていかない、これが広がっていかないという日本の現状にあると思います。

 これからはどんどんどんどんやはり官公需に対してもいろいろな企業が参入してくるでしょうし、前も話題にさせていただきましたが、PFIとか新しい手法が広まってくるときに、やはりここの会計の部分というのは非常にネックになってくると思うんですね。

 やはり、今のままで十分だというのではなくて、がらっと丸ごと公会計というものを企業会計と同じレベル、同じもので、どこのところもそれを開けば同じように比較ができる、ここの企業も、ここの中小企業も、ここの役所も、ここの官公庁も全部同じようにできるというような形が、私は今の日本では一番求められていることじゃないかというふうに思うんですね。

 この間の参考人の先生のお話の中には、会計が単年度会計になってしまっているということが非常に使いにくいというようなこともおっしゃっていました。前も、どこかの委員会に来られたときに、ノーベル賞を受けられた山中教授も、補助金が一年ごとという形なのは本当に使いづらいと。例えば、実験用のマウスとか餌代とかというのも、一年ごとに終わらせてゼロにしてまた予算を要求してとらないといけないというのが、非常に研究の継続性という意味において使いにくい会計であるということを指摘されていたことを私も思い出したんですけれども、同じようなことをこの間の参考人質疑のときにおっしゃっていました。

 今回も官公需のことについて、国がそのまま、こういった工事とか、そういうことを発注することもあるでしょうし、それぞれの自治体が発注することもあると思うんですけれども、やはり一年間で会計が終結してしまうと思うような部分について、ここはどのように改めていったらいいんだろうかというようなことが参考人の方からの問題提起だったと思いますが、この点についてはどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

宮沢国務大臣 詳しいことは後で主計局次長が答えると思いますけれども、今のお話を承っていまして、単年度主義の話と、それから公会計、企業会計の話は、完全に分けてお考えいただいた方がいいと思っているんです。

 まず、今の国の予算、地方の予算というのはどういうものが予算書に並んでいるかというと、歳出と歳入が並んでいまして、これはある意味ではキャッシュフローが並んでいます。したがって、国のお金の使い方で、出資であっても、また、補助金であっても、貸し付けであっても、それは歳入では同じように扱える、まさにキャッシュフローです。

 そして、企業の場合はPLとBS、こうあるわけですけれども、では、国で、地方でPLがつくれるかどうか、利益を書けるかどうかというと、恐らくこれは不可能に近い話であります。そして、その結果出てくるBSは、ある意味ではPLを除いてBSだけ、ある程度、推計等々をしながら国が出しているというのが今の状況。

 それから、単年度主義については、いろいろな工夫をやってきておりまして、それこそ、評判の悪い基金なんというのも、実はそういう中で柔軟に扱っていることでありまして、この辺は補足的に主計局次長から説明させます。

太田政府参考人 大臣からお答えをいただけたので、もうほとんど補足することはないと思っておりますが、単年度主義というのは、先ほど大臣からもお話がありましたとおり、我々とすれば、基本的にやはり国会で議決をいただかないといけない、それを単年度ごとにチェックをしていただくということからそういう格好になっておると思っております。

 それで、さまざまな工夫ということで、先ほど大臣から基金というお話がございました。もともと制度的には国庫債務負担行為ですとか、あるいは繰り越しですとか、そういう制度がもともとありまして、しかもそれをできるだけ今活用しやすいようにするということで、委員から御指摘のあったような問題点について、一方で国会できちんと御議決を単年度ごとにいただくということは果たしつつも、できるだけ対応できるようにという工夫は常々やっておるつもりでございますが、さらにということは引き続き努力をしていきたいと思っております。

杉田委員 本当に、先ほどのお話にもありましたように、繰り越しとかというのが本当に使いにくいんですよ。なかなか難しい。これは、実態として、自治体の会計の中であるんですね。

 よく、工事とかになりますと、一年で終わるような工事ではなくて、例えば五年にまたがるような工事があったとしまして、一番最初の年は例えば調査をやります、その次の年は設計をやります、それから次に工事にかかっていきますというときに、それぞれとっていったとして、例えば、調査が延びました、一年で終わらなかったから二年目も調査になりますとか、設計がなかなか難しくなったので、一年と思っていたのが今度は二年になりますとなったときに、なかなかそれをまたいでやりにくいというような部分が非常にあります。

 だったら、その五年間の工事を全部トータルで見て、調査から設計からその後の実際の工事というような形で見ていけるような契約が望ましいですし、もっと言えば、その後の補修だとか維持管理などというような部分も全部含めてずっと考えていけるような、そういった形で契約ができることがやはり一番望ましいことかなというふうに思うんです。

 なかなかそういう形の方に、移っていきつつある部分もありますし、まだまだ単年度で、一々そういうことをちゃんと報告して一年で終わらせないといけない、延長になった部分についてはまた新たに予算をとり直さないといけないというような部分が多いと思うんですけれども、このあたり、今後どのような展望になっていくのか、お教えいただけますでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今ほど先生の方から御指摘のあった点は、我々としても、そういう御指摘をいただくことが大変多くなっているというふうに思っておりますので、大変気にはしております。

 かつては、今おっしゃった例えば国庫債務負担行為とか繰り越しのときの手続がある意味では非常に厳格で、基本的に予算は単年度ごとに国会で御議決をいただくんだから、議決をいただいたものを勝手に変えるわけにはいかないという観点から非常に厳格にやっておったんですが、一方で、現実の要請として今ほど御指摘があったようなこともあるので、かつてに比べれば、いろいろな意味で繰り越しのやり方なんかも随分やりやすくはなってきていると思います。

 まだ不十分だという声があるのは重々承知をしておりますので、一方で国会できちんと御議決をいただいてやるということを守りつつ、どこまでできるかということは引き続き努力をしていきたいというふうに思っております。

杉田委員 結局、まだまだ使いにくいという部分についてはこれからも考えていくというような御答弁だったんですけれども、これはもう早くやっていただかないと、今、さまざまな公共工事をこれからもまた頑張ってふやしていこうということだとか、東日本大震災の復興の話もございます。東京オリンピックの話もございます。

 それから、工事の部分だけにしても、すごく公共事業というのがふえていくと思うんですね。その中で根本的な部分が解決できていないままだったら、今、なかなか請け負う業者が少なくなってきているとか人材不足とかという部分もいろいろ報道はされておりますけれども、単に人材不足というだけじゃなくて、そういったテクニカルな部分でなかなか手が挙げにくいというようなところも多いんじゃないかというふうに考えるわけです。だから、会計に問題があるとするのであれば、これは本当に国とかが改めていけばいい問題だと思います。

 先ほども、そういった意見をたくさん聞くようになってきたので今後努力をしてまいりますというような御答弁をいただいて、非常に前向きな御答弁でうれしいんですけれども、何とかそのスピードをアップしていただいて、早くそういう使い勝手のいいような会計に変えていただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。

 この後、発注者のインセンティブについての質問を用意しておったんですけれども、私の前の維新の党の椎名議員の質疑とほとんどかぶりますので、私の質問は、ちょっと早いですけれども、これで終わりにさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

江田委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、大臣がAPECにお行きになるということで、杉田議員も気をきかせて早く終わらせたんだと思いますので、私もしっかりと、負けじとスピードアップをしていきたいと思っております。

 まず、官公需、中小企業支援ということで、中小企業の方々、これは地方地方でやはりかなり青息吐息というところが現状でございます。私も、地元がやはり地方でございますので、支援者さん等からそういった声をダイレクトに聞くわけでございます。

 その中で、きょうはまず中小企業の人手不足の問題について質問させていただきたいと思います。

 民間の調査会社によりますと、二〇一三年十二月から本年の一月にかけて調査を行ったところ、正社員について不足感があると答えた企業が全体の四〇%弱あるということでございました。厚生労働省が六月中旬に発表した労働経済動向調査でも、労働者の過不足感というものは少しは緩和されているけれども、一八ということでDIの方は高どまりしているということでございます。

 いろいろなことがあって、やはり足らない。九割近くが、このまま慢性の人材不足が続くと、中小企業は事業運営に支障がある、もう現在でも支障を来しているというところがほとんどだということでございます。資金が回らなくなって事業を続けられなくなるというのが一般的な倒産だとすれば、人がいなくなってしまう、仕事はあるけれども人がいない、それで倒産をしてしまうというような人材倒産というような事態も起こりかねないというところが現状だと思います。

 私の地元の鹿沼市というところは木工の町ということで、非常に木工細工の中小企業は多うございます。その中で、やはり人手不足というのはもうずっと言われてきていまして、特に若い人はなかなか少ないものですから、なおかつ、勤めてもすぐやめてしまう、こういうのが今の世相でございます。

 定着しないといって困っている事業者さんが多い、こういう実情を受けて、この中小企業の人手不足の問題を包括的にどのように政府は認識してどのように対処していくのか、まず伺いたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 中小企業の人手不足の件でございます。

 おおむね昨年の中ごろぐらいから、中小企業、小規模事業者の方でも人手不足を訴える方がふえてきておりまして、特に昨年年末、ことしに入りますと大変人手不足感は強まっております。現実問題、さまざまな調査を見ましても、悪化している状況にございます。

 こうした中、経済産業省といたしましては、中小企業、小規模事業者の方におきまして多様な人材が確保できますように、例えば合同説明会の開催、あるいはインターンシップといいますか職場体験の実施、こういったことを幅広く行いまして人材との関係をつくっていただいて、職場定着というものを図ってきております。

 今後もこうした動きをもっと強めようと思っておりまして、例えば最近よく話題になっているUターン人材、Iターン人材、Jターン人材、こういった若者、女性、シニア、さまざま多様な人材を地域外から発掘するということを含めまして、もちろんハローワークとも連携しながら、人材マッチングそして定着まで一貫して応援して、人材確保、定着を支援していきたい、かように考えております。

柏倉委員 いろいろな説明会を開いたりマッチングをしていったりということなんですけれども、もともとこれはずっとやられていたことなわけですよね。ただ、今、特に若い人たちの職業観というのはどんどんどんどん変わってきて、こういった通り一遍なリクルートのスタイルでは残念ながら定着しないというのが実情なわけです。

 もちろん、価値観の多様性というのがベースにあるのかもしれませんけれども、民間ではなくて公の、官の新しいリクルートのスタイルをやはり模索すべきなんじゃないでしょうか。そこのところの問題意識、民間のリクルート会社に任せるということではなくて、しっかりと当事者意識を持って、特に中小企業関係はやっていただきたいというふうに思います。

 この先、ちょっと通告していなかったんですが、この人材倒産というものをいろいろと調べていきますと、これは中間管理職という方がキーパーソンで、ひずみが一身に集まっているということでございました。

 景気が悪かったのでなかなか人件費が計上できない。若い人も入ってこないから、中間管理職がマルチプレーヤーとしてとにかく働く。そういう中で、忙し過ぎて、本来であれば若手の人材育成というものにしっかりと従事すべき中間管理職の人が、仕事に追われてそれもままならないという現状があるようです。

 これは企業で考えろということなのかもしれませんけれども、中間管理職の方をやはり後押しするような施策、政策がこの時代に求められてきているのかなというふうに私は思うんですが、大臣、もし御所見があれば伺わせていただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 中間管理職の方に大変しわ寄せがあるという現実はある程度知っておりましたけれども、直接そういう方を支援するというのはすぐには思いつかなくて、逆に、柏倉委員にいろいろなアイデアをいただければ、いろいろ試行錯誤してみたいと思います。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

柏倉委員 漠とした質問にお答えいただいてありがとうございます。

 基本的には、企業企業で考えて、しっかりと手当等を見直していくということから始めなきゃいけないのかもしれません。ぜひ、政府においては、中間管理職の人にしわ寄せが行かないような職場環境づくり、何かワーキンググループ等をつくって一つ、二つ工夫していただけると。ちょうど我々の年代、中間管理職でやっているんですが、違う仕事の人と一緒に飲むと、やはりつらいと、中間管理職は。

 山際副大臣も多分同じ年ぐらいで、朝一の新幹線でよくお見かけしますけれども、中間管理職のつらさ、心の叫びというのが実際我々の年代からどんどん上がっていくということでございますので、その辺の御認識をまた改めて持っていただいて、政府の方も新たな対応を模索していただければと思います。

 それで、人手不足の問題について。

 これもちょっと通告はなかったんですが、今、労働者派遣法が厚生労働委員会で審議されております。この是非はともかく、労働者派遣法というのが中小企業にどのように影響を及ぼすのかということに関して、やはり経済産業省の中でも議論は活発にしなければいけないのかなというふうに私は思います。

 この労働者派遣法が中小企業に及ぼす影響というものについて、御所見があれば伺いたいと思います。ぜひ、大臣と山際副大臣、ございましたらよろしくお願いします。

宮沢国務大臣 派遣法につきましては、私も大臣になる前は社会保障、厚労省関係の仕事もしておりましたので、大体中身は知っております。

 派遣法につきましては、二十六業種云々とか、いろいろ制度が複雑になってきておりましたのを単純化して、また、長くいてもいいような制度にするということですので、ある意味では派遣がしやすくなるといったことは、恐らく、禁止事業がなくなったりでわかりやすくなり、しやすくなりということなんだろうなと私は思っています。

 そうした意味では、では、中小企業からいいますと、いろいろな意味で、パートの方とか派遣の方を使っている企業がそれなりにありますから、そういうものが、今までいろいろ一緒になった部分が解けて、ある意味では使いやすくなるといった面もあろうかと思いますが、一方で、中小企業ということになりますと、やはり、一緒につくった仲間が社員にいて、それが中心になって経営を支えていくという構図は、しっかりこれは持っておいていただかないといけない。

 だから、中小企業の経営者それぞれ、法改正が実現したとすれば、制度の内容を見て、それぞれの会社が、ある意味では持続的に成長していくように、このような制度も使っていかれるんだろうというふうな思いがいたします。

山際副大臣 もう大臣の御答弁がありましたので、私自身の考え方として申し上げるならば、憲法にも規定されているように、極力、働きたい人が働きたいような仕事につけるという制度になっているのがベストだと思っております。

 ただし、そういう中において、どうしても労働者としてある意味弱い立場に立たされて、それで少しそこの部分でのバランスを欠くというようなことがありますので、そういう形で労働法制というものがつくられている。

 その中においても、やはり今の日本の経済のことを考えますと、今までの伝統的な産業から、さらにこれから新しく発展していく成長産業に人が移動していくということがどうしても必要になってくると思います。そういうことを促すような形で労働法制というものは変えられていくことが望ましいと考えております。

柏倉委員 突然の質問でもお答えいただいてありがとうございます。

 流動性の確保というところと人権との兼ね合いが問題になる法案ではございますけれども、これが施行された折は、中小企業にも日の当たるような配慮を、政府の方にはぜひ工夫していただきたいというふうに思います。

 次は、外国人技能研修制度の運用改善についてお伺いしたいと思います。

 冒頭申し上げました、私の地元は木工の町ということで、同時に農業の町でもあったりして、外国人技能研修制度で来られている海外の方はたくさんおります。不満も多く聞こえてきます。当然、雇用主の方、そして外国人労働者御本人から、両方あるわけですね。

 雇用者の方からいいますと、本来はもっと柔軟な、そこで育てて、残ってほしい人に残ってもらえるような制度にしてほしいというのが本音だということでございます。それで技能研修生側も残りたいなと思っていればどんどん残れるようにできないものか。

 望み望まれる間柄になった雇用主と技能実習生の雇用、三年目以降、現状はどのようになっているのか教えてください。

中山政府参考人 労働省でございます。お答え申し上げます。

 先生の言われるとおり、雇用者並びに技能研修生双方からいろいろ不満があるという話は私どもでも理解しております。

 外国人技能実習制度につきましては、日本再興戦略二〇一四におきまして、国際貢献を目的とするという趣旨を徹底するために、管理監督体制の強化をするとともに、技能実習制度を拡充することを指摘されておるところでございます。

 もう少し具体的にお話しさせていただきますと、管理監督体制の強化策として、関係省庁の連携による全体として一貫した国内の管理運用体制を確立すること、送り出し国と政府間の取り決めを作成すること、新たな法律に基づく制度管理運用機関を設置することなどが指摘されております。

 では、一方、制度の拡充策でございますが、これに関しましては、制度の趣旨を踏まえ、移転すべき技能として適切なものについては対象職種に随時追加していくこと、優良な受け入れ機関に対して実習期間の延長や受け入れ枠を拡大すること、こういうことが日本再興戦略で指摘されているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これらの事項の実現に向けまして、法務省等関係省庁、これには経産省も入っております、と密接に連携しつつ検討を進めているところでございます。

柏倉委員 延長も考えているということだと思うんですけれども、東京オリンピックに関連して、建設分野の労働力確保という観点から技能実習制度を幅広く活用しようということの流れがあるのは存じていますけれども、そうではなくて、一般に三年目以降は技能実習生はどのようになっているのか。簡潔に教えていただければと思います。

中山政府参考人 現状では三年たつと帰国していただくことになっております。

柏倉委員 三年よりももっと長く優秀な方には残ってほしいという、人手不足の地域、人手不足の中小企業の経営者の方はかなり多いわけですね。国際貢献を旨とした制度とはいっても、やはり地域に根差してもらうというところもしっかりと勘案して、今後の柔軟な拡充を図っていただきたいと思います。

 先ほど、双方に不満があるということを申し上げました。特に、国際貢献というのであれば、技能実習生さんの満足度といいますか、一義的には収入になるのかもしれません。ただ、労働環境の整備が物すごく大事になってくるわけですね。非常に問題が多い。

 監理団体さんがあっせんをし、不正をチェックするという役割が今あるわけですけれども、この監理団体さんも結局、事業主さんから手数料や監理費をいただいて監理をするわけですから、中立公正な立場で判断をするというのは実際にはなかなか難しいというふうに思います。

 そこで、労災事例、パワハラ事例、不正行為、例えばタイムカードを押すなとか、休日が年間六十日と言われているのに実際には十日しかないとか、現実にあるわけですね。これは通告していませんけれども、技能実習生の保護に、今後やはり真剣に、国際貢献であるのであれば取り組んでいかなきゃいけないと思います。今後どのように取り組んでいくのか、ちょっと教えていただけますか。

中山政府参考人 御指摘のとおり、技能実習制度の現場におきまして、監理団体とか実習機関で不正行為、法律違反が依然として多く見られるのは事実でございます。国内外からも批判が上がっていることも事実でございます。

 こうしたことを踏まえまして、管理体制の抜本的強化を図るべきと日本再興戦略に盛り込まれておりまして、それを踏まえまして、新たな法律をつくりまして、新たな管理運用機関を設置したい、こういうことを今検討しているところでございます。

柏倉委員 新たな特化した技能研修生を保護するものをつくっていくということですけれども、いつまでにということは具体的にもう決まっているんでしょうか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

中山政府参考人 先ほどから言っていますとおり、日本再興戦略二〇一四に基づきますと、平成二十七年度中の新しい制度への移行を目指して、今、法律をつくろうと検討しているところでございます。

柏倉委員 平成二十七年ということですから、もうすぐですよね。東京オリンピックを目指して、技能実習生の方々にも汗を流していただくということを考えますと、一日も早い、そして中身のあるそういう制度化をぜひ急いでいただきたいと思います。やはりオリンピックですから、こういった国際色豊かな方々に汗を流してもらう、これはすばらしいと思うんですね。だからこそ、こういった方々を、しっかりと労働環境、衛生も含めて、守っていくということが不可欠だというふうに思います。ぜひ精力的に進めていただきたいと思います。

 次に、先日、参考人質疑がありました。いろいろユニークな、市長さんから多種多彩な方々の意見を拝聴して、目からうろこというところがあったわけでございます。

 そこで、それに関連して幾つか質問させていただきたいと思います。

 まず、自治体通販というもの、佐賀県武雄市長の樋渡参考人が積極的に取り組んでいるということでした。ネット上のヤフーショッピングの中で、自治体特選ストアが開設されて、武雄市を初めとして二十一自治体がお店を出されている。私の地元の栃木県のある市も、牛のA5ランクステーキというものとか黄金ゆば、スイーツを売っているということなんですね。私も、このゆばは多分私の地元だと思うんですけれども、食べたことはないんですけれども。ただ、非常に魅力的なコンテンツをそろえて、ネットショッピング、自治体通販をやっているということなんですね。非常にセンスもいいわけでございます。

 ただ、これは参考人がおっしゃっていましたけれども、やはり、自分たちの力では限界があるんだ、国の積極的な後押しが欲しいということをおっしゃっていました。特に、知名度、注目度を高める部分において手助けが欲しいんだということをおっしゃっていましたね。広報の場。この委員会も広報の場として積極的に活用する、そういったハングリーなやり方、時代にマッチしたやり方だなと思うわけでございます。

 そこで、自治体通販、今後、国がどういう具体的な後押しをしていくのか、今現状やっているのか。実例があれば教えていただきたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 インターネット取引は、一般的に中小企業、小規模事業者にとっても大変可能性がある、今後の課題だというふうに思っております。先般、市長から御説明がありました自治体通販、こういったものを使って地域の特産品の販路を拡大する、これは極めて時宜にかなって重要だと思っております。

 さまざまな取り組みがございます。私ども中小企業庁でも、これまで全国商工会連合会というところが地域産品の普及、販売を行うためのネット通販として、ニッポンセレクトというものをつい最近、立ち上げました。こういった立ち上げも支援してございます。

 一つに限らず、たくさんのものを応援して、普及させていくのが肝要だと考えておりますので、今般、自治体通販に関しましても、私どものポータルサイトでありますミラサポ、これは大変アクセス数がふえておりますけれども、こういったところに載せたりしていきたい、このように広報に努めてまいりたいと考えております。

柏倉委員 ネット媒体において後押しするということだけではなくて、やはり現場力でもって売る、例えば国会を上手に使うとか、そういったことを樋渡市長なんかは具体的に想定していると思うんですね。発信力の高いものをとにかく国に何とか用意してもらえないか、国の工夫で。そういったことなわけでございます。

 今聞いたところによりますと、これは言い方として適切かどうかわかりませんが、通り一遍の後押ししかしていないんじゃないかなというふうに思います。もっとハングリーに、市長もやっているわけですから、もっと創意工夫を凝らして、どんと売れるような、私が今こうだというようなことは申し上げられませんが、何がしか必死に考えていただいて、広報の場をぜひ創造していただきたいと思います。

 次は、ベンチャー支援についてお伺いしたいと思います。

 私の友人でベンチャー支援のコンサルタントをしている人がおりまして、今回の創業十年未満の新規中小企業者を優先して政府調達の対象とすることに対しては、大変いいんじゃないかというような評価でした。でも、十年というのはちょっと長過ぎるかもねというような意見もありました。

 地方において毎年ビジネスプランコンテスト等を自治体とともにその友人は開催しているんですけれども、毎年、これは物になるといったシーズは出てくるけれども、いざビジネスとなると最初にぶち当たるのが資金調達の壁だということを言っていました。ベンチャーをやろうという方は、まず最初、お金がないということでございます。例えば、国、地方自治体へ提案する段階で現物を作成する、資金を借りられなければ採用されないという現実があります。

 資金調達を初め、国、県とのパイプ役になるコンサルタントの育成といったものも真剣に考えていかなきゃいけないと思います。そこのところ、コンサルタント育成に関する政府の今の所見、今後の政策を教えてください。

宮沢国務大臣 本当に、アドバイザーといいますかコンサルタントといいますか、こういう方が大変大事な役割を果たすわけであります。そして、今回、ベンチャーと一応言っておりますけれども、いわゆるイメージ的なベンチャーだけではなくて、新しく全ての十年未満の企業を対象として、ともかくまず官公需の方を呼び水にして、そして民需の方に移っていただく、こういう趣旨で法律を出させていただいたわけです。

 さらに、もう一つ大事なのは、いわゆるベンチャーと同時に、第二の創業といって、ある意味では既に実績のある企業が、例えば代がわりをするとか、いい技術者を雇ったとか、そういうことの中で新しいビジネスに入っていただく。ということは、ある意味で、ある程度の経理、総務的なことをやってきた会社ですから、そういった資金的基盤も、借金は多いかもしれませんけれども、ある程度ノウハウはある。そういう企業に新たな分野にチャレンジしていただくということも同じぐらい私は重要なことだろうと思っています。

 そして、その中に共通してありますのが、おっしゃったコンサルタントという方が正直言って大変少ないようであります。厳密に数えれば何十人しか全国でいないんじゃないかというような話もあるようでございますけれども。ですから、そこまでのレベルでなくても、ある程度アドバイスができるような方というのをどうやって育てていくかということは大変大事な話になってきております。

 我々が今やっておりますのは、ベンチャーキャピタルが行う経営支援のノウハウを、ある意味では、プロはこうやっているよ、こういうやり方をやっているんだよということを学んでいただく、そして、そういうノウハウを共有していただいてアドバイザー的にやっていただくというようなことを事業費をつけて今実施しております。

柏倉委員 ありがとうございます。

 やはりゼロから立ち上げる苦労、お金の苦労だけじゃなくて、いろいろなノウハウもなければいけないわけです。そういった中で、かゆいところをかいてくれる、スイートスポットに当ててくれるコンサルタントというのは絶対的に私は必要だと思います。今大臣おっしゃったように十数人しか本格的な人がいないというのであれば、やはりそれを十倍、百倍、特に地方地方に配置していただけるような、そういった政策をぜひつくっていただきたいと思います。

 大臣に御答弁いただいて、次の質問の答えももう既にいただいてしまったので、二つぐらい飛ばさせていただきます。

 私は内科医、医者として地域医療に従事をしているわけでございますけれども、介護領域の起業、これがやはり非常に皆さんが壁にぶち当たることが多いわけですね。介護士の方、割とすぐ入ってくるんですが、すぐどうしてもやめてしまう。そういった、言葉で言えば新陳代謝がかなり高い、ただ、現実的に言えば長く続かないということなんです。

 窓口は広いですから、ほかの人は、特段の資格が今必要ない、そういうところもありますので入ってはきやすいんですが、なかなか続かない。つらいわけです。あと、お金の部分でも、基本的には余り国の方からそう大した後押しもない、こういう現実があって、地域の医療、特に介護を支える介護従事者の方々は非常に今つらい思いをしながら歯を食いしばってやっているわけですね。

 そこで、介護分野における起業、創業、この新たな担い手の創出に向けた今後の政府の取り組みをお聞かせください。

苧谷政府参考人 お答えいたします。

 ひとり暮らし高齢者や認知症高齢者が増加する中で、医療や介護が必要な状態になってもできるだけ住みなれた地域で生活を継続できますように、医療、介護、住まい、介護予防、生活支援が包括的に確保される地域包括ケアシステムの構築を全国的に進める必要があると私ども考えてございます。

 その中で、定期巡回・随時対応サービスや小規模多機能型居宅介護など、御自宅で生活できる可能性を高めるためのサービス基盤の整備等の取り組みが重要でありまして、そのために、地域におきまして新たな担い手を創出するといった視点も必要というふうに考えてございます。

 このため、現在、定期巡回・随時対応サービスを提供する事業所の立ち上げ時の機器の購入に対する補助、それから、複合型サービスを提供する事業所に対する介護報酬における事業開始後一年未満につきましては報酬を加算する、そういうようなことを通じまして、事業の立ち上げのための支援を行っているところでございます。

 このほか、独立行政法人福祉医療機構によります融資、あるいは一部の都道府県において実施しております、いろいろなサービスを立ち上げようとする事業者に対する企業セミナー、こういうような支援も行われているところでございます。

 引き続きましてこのような支援に取り組むとともに、さらなる普及促進が図られるよう、平成二十七年度の介護報酬改定に向けまして、社会保障審議会において御議論いただきながら、推進策を検討していきたいと考えてございます。

柏倉委員 私も厚生労働委員会に属していたときもありまして、どうしてもこの地域包括ケアシステムの構築というのは議論になるんですけれども、居宅、居宅というかけ声の中で、今、医療全部が人的資源がそちらの方に回されているわけですけれども、なかなか居宅では全員が全員、やはりお年寄りをしっかりと、しかも最後まで見るということは不可能な状態なわけですね。

 中途半端な状態でお年寄りが置かれてしまうと、確かに日中のケアはやることはできるんです、こういう介護の方でも。ただ、なかなか、お年寄りの立場に立ってみると、しっかりとしたケアは受けられていないのが現状なわけですよ、二十四時間ですから。

 そこのところ、この質問は趣旨には沿わないかもしれませんが、居宅、居宅、このかけ声を続けているうちは、幾ら補助金、融資、セミナー等をやってみても、地方は人がいないんですから、その人たちをしっかりとしかるべきところに集約して、きっちりとした介護のサービスを提供する。居宅で全て見るということはできません。ちゃんと施設というもので見る、そういう体制に私は国はシフトする時期に来ているというふうに思っております。

 ちょっと委員会の趣旨とはずれましたが、厚生労働省に関しては一言言わせていただきました。

 最後に、これも参考人質疑でお話をさせていただきました、地域を元気にする、特にキーワードは訪日観光だという御教示をいただいたわけでございます。

 いろいろと今まで漫然と観光業は集客をやっていた、そういった段階から、スポット、スポットで経済圏、観光圏を新たにつくって、そして、そこにインフラも安い料金で提供できる。具体的には、飛行機、茨城空港のお話が出ました。上海から茨城まで七千円で行ける、ワンコインのバスで空港から東京まで行けるということです。そういったものを最大限生かして、何とか観光圏の再構築をやはり私は日本は目指してやっていかなきゃいけないんだと思います。

 これからオリンピックを迎えるに当たって、この観光圏の再構築、これはいろいろなサービスの充実もしていかなきゃいけないと思います。道路標識等々、そういったところもそうですし、バリアフリー化、これも当然やっていかなきゃいけないと思います。

 それはそれとして、先ほど申し上げた、スポット、スポットの経済圏をつなげて観光圏に再構築していく、こういったコンセプト、地域の相互連携による観光圏の再構築、これに政府はどのような支援を、そしてその認識を持っているのか聞かせてください。

山口政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年、二〇一三年は、初めて訪日外国人の旅行者数が一千万人を超えましたけれども、本年も、九月まで、九百七十四万人が訪日をしておりまして、大変好調に推移しているところでございます。

 特に、外国人の観光客は、特定の場所とか地域だけではなく、広域的なルートをめぐることが多いため、ただいま御指摘いただきましたとおり、非常に複数の地域が広域的に連携をして、多様で魅力的な観光ルートをこれから構築していくことが外客誘致の観点からは大変重要なことだというふうに考えております。

 観光庁では、訪日旅行を促進していくために、ビジット・ジャパン事業を実施いたしておりますけれども、その中でも、地方が広く連携して外客誘致をやっている取り組みを、ビジット・ジャパン地方連携事業として支援いたしているところでございます。

 具体的には、複数の地域と連携をいたしまして、海外の旅行会社を日本に招請することによりまして、広域ルートを組み込んだ、実際に来ていただくための訪日旅行商品の造成を促進いたしましたり、あるいは、海外のメディアを招請して、外国人の目線を活用して、都道府県の枠を超えた広域の地域の多様な魅力を発信したり、あるいは、地域がまとまって海外での旅行博へ出展することなどにより、広域の観光圏としての取り組みを支援しているところでございます。

 今後とも、二〇二〇年、訪日二千万人に向けて、広域的な外国人誘客の取り組みを積極的に支援してまいりたいと思います。また、外国人の方は、平均して滞在する日数が通常の日本の旅行者の方より長いですので、そういった長期滞在のニーズに応えるために、地域の点としての観光資源をつないで線とし、さらには面へとネットワーク化して世界に発信していくことが必要かと思います。

 例えば、中部、北陸九県をまたがるエリアで進められている昇龍道というプロジェクトがございますけれども、そういった広域な観光周遊ルートの形成も今後積極的に支援をしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

柏倉委員 時間が来ました。

 ぜひ積極的に、既成概念にとらわれず、新しい目、新しい価値観を入れて観光圏の再構築に取り組んでいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

江田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、地域資源活用促進法に関連しまして、企業立地政策の総括と自治体の地域経済振興策について質問をいたします。

 地域資源活用促進法は、二〇〇六年六月に取りまとめられた新経済成長戦略大綱で、地域資源を活用した新事業を五年間で一千創出するとされたことを受けて、翌二〇〇七年の通常国会で、経済成長戦略大綱三法案として産活法の改正案と企業立地促進法案とともに提出されたものであります。第一次安倍内閣のときでありました。

 当時、我が党は、この地域資源活用促進法には賛成しながらも、地域産業集積活性化法を廃止するかわりに提案された企業立地促進法は、地方自治体を大企業の工場誘致競争に駆り立てるものとなっており、全体として一握りの多国籍企業が成長すれば日本経済がよくなるとした誤った成長神話を加速させるものになっていることを指摘しました。地域ブランドの取り組みも、単に個社支援にとどめずに、産地全体の取り組みにつなげることで、地域経済の活性化につなげるよう求めてきたところであります。

 今回、この地域資源活用促進法の改正案が提出されたことを踏まえ、これらの施策の総括と今後の政策方向について議論をしたいと思っています。

 十月十四日の本会議で、私、地方創生法案の質問をいたしました。このときに、企業立地促進法についても取り上げたわけであります。私は、「企業立地促進法は、都市と地方の格差縮小、地方の所得と雇用拡大を掲げましたが、多国籍企業の地方進出を後押しし、自治体の企業誘致の補助金競争をあおるものとなりました。肝心の雇用は、非正規がふえるばかりで、最後には、シャープなど大企業の身勝手な工場の縮小、撤退が繰り返され、その結果、産業の空洞化や産地の崩壊を招いたのです。」このように指摘をしたのに対し、安倍総理は、企業立地促進法では、「産業空洞化という課題に対して、地域の強みを生かした地域経済の活性化と産業集積を図るため、企業の立地計画に対して支援を行っています。 現在、四十七都道府県が百九十三の基本計画を策定し、この計画のもと、四千社が六・三兆円の設備投資計画を進めています。これらの企業が、地域の雇用を支える中核企業となって、取引関係のある協力企業とともに地域経済を底上げしていくものと考えております。」と答弁をされました。

 そこでお聞きします。現在策定されています百九十三の基本計画のうち、一期目の計画を更新して二期目に入っている百四十六地域の基本計画においては、一期目の基本計画終了時に評価レポートが自治体から国に提出されることになっています。そこには、基本計画に掲げた目標に対する実績も記載をされているわけです。その目標と実績についてお尋ねします。

 この基本計画に基づく付加価値額の伸び率の目標と実績はどうだったかをまずお答えください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 企業立地促進法、平成十九年に施行されて以降でございますけれども、これに基づいて地方自治体におきまして策定をされた基本計画は、委員先ほど御指摘のとおり全部で百九十三ございまして、この中で計画の当初の目標期間が到来をしました計画が全部で百四十六ございます。この百四十六の計画の全体につきまして、集積を目的とした産業の付加価値額の伸び率でございますけれども、目標が一八・二%の伸び、実績はマイナス一・八%ということになってございます。

塩川委員 法の目的が産業集積ということでありまして、その度合いをはかる指標としてこの付加価値額の伸び率を示したわけですけれども、今お答えありましたように、目標一八・二%に対して実績はマイナスの一・八%ということです。

 次に、製造品等出荷額の増加額についての目標と実績を教えてもらえますか。

井上政府参考人 同じく計画期間が到来しました計画につきましてのトータルの製品等出荷額の増加額の目標でございますけれども、この合計が二十七兆九千七百三十二億円が目標でございまして、実績はマイナス五兆七千六百六十二億円でございます。

塩川委員 目標が約二十八兆円の増加額に対して、実績はマイナス六兆円ということです。

 総理の本会議答弁に、六・三兆円の設備投資計画額とあります。これは、基本計画をベースにしまして、企業立地計画、事業高度化計画を事業者が出します。その際の事業者の設備投資計画額の総計だと思うんですけれども、この六・三兆の設備投資計画額に対する実績がどうかというのはわかりますか。

井上政府参考人 企業立地促進法でございますけれども、企業の立地を通しまして付加価値の増大を目指し、雇用を生み出すことを目指しておりまして、先ほど申し上げましたように、付加価値額、製造品等出荷額のほか、企業立地件数や新規の雇用創出についての数字はございますけれども、投資額の実績については集計をしてございません。

塩川委員 どういうことでしょうか。本会議でわざわざ総理が答弁をされて、六・三兆円の投資計画があるんですと言っているんですよ。それなのに、実績を調べていないんですか。まさに総理の答弁に根拠がないということを言っているようなものじゃないですか。

 加えて、基本計画に基づく目標と実績を続けてお聞きしますけれども、新規企業立地件数の目標と実績はどうなっておりますか。

井上政府参考人 新規の企業立地件数の目標は九千四百十四件、実績は七千七百七十五件でございます。

塩川委員 この間、大企業の工場の進出もあったわけですけれども、同時に、短期間での撤退も相次ぎました。

 こういった企業立地促進法の支援を受けた計画の中で、このような大企業の工場の立地、それが直後に撤退をした、こういう事例というのは把握できているんでしょうか。

井上政府参考人 基本計画ができて以降進出をして、その後撤退した企業の件数というのは把握をしてございませんけれども、当初計画をされたものの中で、企業の立地が実際には行われなかったというような点につきましては、先ほどの企業立地件数の目標値と実績との差分の中に含まれているという状況でございます。

塩川委員 例えば、大阪府堺市における企業立地計画を出して進出をしましたシャープは、その後撤退をしているわけです。こういう事例があるにもかかわらず、目標と実績で、これだけ立地しましたということは言うけれども、立地したけれども撤退した、こういう数というのを把握していないということでは、実態を反映できるのかということを極めて疑問に思わざるを得ません。

 もう一つお聞きしたいのが、新規雇用創出数についてですけれども、この目標と実績はどうなっていますか。

井上政府参考人 新規の雇用創出数でございますけれども、目標値が三十五万三千六百三十六人、実績が十七万六千四百七十七人でございます。

塩川委員 目標に対して実績が半分です。

 こういった企業立地において、特にこの間、二〇〇〇年代などにおきましては、製造業の地方の立地が行われた際に、確かに雇用は一時的にふえるけれども、非正規ばかりだということが大問題となりました。派遣もそうですし、請負もそうですし、もともと期間従業員という形での直接雇用ではあっても非正規、こういったものも多数あったわけですけれども、例えば、実績でいう十七万人余りのうち、正規雇用がどのくらいで、非正規がどのくらいか、こういうのはわかりますか。

井上政府参考人 新規雇用創出件数の中での正規と非正規につきましては、計画の中でもそのような区分がされない形になっておりましたので、そうした区分での把握は現時点ではしてございません。

塩川委員 要するに、安定した雇用を生み出すということが問われているのにもかかわらず、正規雇用がどれくらいかということについてはつかんでいないんですよ。

 やはり、企業が進出し、特に大手の企業の事業所ができた場合に、実際には非正規が中心で短期の就労を繰り返す。ですから、住民票も移さない。ですから、実際の自治体の住民がふえていかない。結局、事業所が撤退でそういう人もいなくなる形で、結果とすれば、自治体にとってみれば、何が残ったのかということが問われているわけであります。

 こういった基本計画に基づいて、今言った評価リポートが出て実績がわかる百四十六地域について、今丸めてお答えいただいたわけですけれども、実際には一つ一つの計画においてどうかという検証が必要なわけですよね。それが現時点ではまだいただいておりませんので、個々の計画に基づく検証というのは引き続き求められているということを申し上げ、それにかかわる資料の提出を引き続き求めたいと思っております。

 お話ししましたように、個別の計画を見れば、進出した大企業の工場が撤退をしたり、雇用創出といいながら正規雇用がほとんどなくて非正規ばかり、それも工場撤退によって失われるという事態も生じています。

 例えば、兵庫県尼崎市、ここも基本計画もつくられておりますけれども、パナソニックのプラズマディスプレイの工場がつくられました。御存じのとおり、非常に勢いがあるときはもてはやされたところでありますけれども、二〇〇五年に第一工場が稼働をし、二〇〇七年に第二工場が稼働をし、二〇〇九年に第三工場が稼働をする。ところが、ことしの三月末で閉鎖、撤退、パナソニックとしての閉鎖、撤退ということです。

 ですから、この間の雇用といえば、正規の採用はほとんどなくて、本社から異動で来るような人、出向で来るような人だけに限られていたわけですし、実際、大半の非正規の方々は雇用を失って、現状、再就職もままならない、こういうことを兵庫県議会において我が党の議員も取り上げ、県も認めているところでもあります。

 大臣にお尋ねします。

 二〇〇七年の企業立地促進法の審議において、私は、設備投資減税ですとか立地の規制緩和などが盛り込まれているけれども、安定した雇用を確保する方針が示されていない、また、進出企業の撤退への歯どめ策もないと指摘をしたわけですけれども、実際、今七年たって見たときに、まさにそのとおりになっているんじゃないでしょうか。大臣の認識をお聞かせください。

宮沢国務大臣 今いろいろやりとりを承っておりましたけれども、正直、この間は大変日本は大変動の時代で、十九年の次の年、平成二十年の秋がリーマン・ショック、二十三年の三月が大震災ということで、大変な大変動で経済が大揺れに揺れた中ですので、なかなか思いどおりにいかなかったということもあったんだろうというふうに思います。

 そういう中で、今おっしゃった企業がやめるのも自由というところは、まさにそれが地域経済に及ぼす影響というのは本当に大きなものがあって、そうはいっても、税制の優遇といったものもありましたけれども、では、税制の優遇に撤退しないことを条件にするというのも正直言ってなかなか難しいのかなと。逆に、地方が、いろいろ地元が補助を出したりしている条件としてはあり得たのかなというような思いで伺っておりました。

塩川委員 進出企業の撤退の問題について、実際、まさに産業集積ですから、産業集積を行うときにその中核となるような大手の企業の事業所がなくなるということ自身が本来あってはならないはずでありまして、そういうことが想定されるような仕組みということであれば、それ自身が問題だったと、そここそ総括して問われているんじゃないのかと思うんですが、いかがですか。

宮沢国務大臣 リーマン・ショックにしましても大震災にしましても、これは想定外といいますか、本当に史上空前のようなことが二回起こっているわけでございまして、なかなかそこまで責め切れないだろうなという思いがいたします。

塩川委員 実際には、もともと撤退の話というのはリーマン・ショック前から含めても現にあったわけですから、そういったところも含めて、改めてこういった企業立地政策のあり方そのものが問われているということを申し上げたいと思いますし、やはり大企業の工場誘致を競い合うような企業立地政策というのは、そもそもそういう方向では、地元事業者の仕事づくりとか安定した雇用につながらないんじゃないのかという声が上がっているということを正面から受けとめる必要があると思います。

 その点で、自治体が雇用の確保などのために補助金を出すということなどはあり得るという話もされました。でも、それは国の方としても応援してきたわけですね。

 総務省の方にお尋ねしますけれども、こういった自治体における企業誘致に対しての優遇策に関して、地方交付税措置がとられているわけであります。

 一つが、企業立地促進法に基づく措置として、財政力の弱い自治体が企業誘致のために不動産取得税または固定資産税の減免を行った場合に、普通交付税において当該減収分の補填措置を行っております。この実績がどうなっているのかについてお答えください。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 企業立地促進法に基づく普通交付税の減収補填措置についてですが、地方団体が基本計画に定められた集積区域内に工場等を設置した事業者に対して不動産取得税または固定資産税の課税免除または不均一課税をした場合、これによる減収の一部を普通交付税で補填する仕組みでありまして、平成十九年度に創設をいたしました。

 その実績についてですが、平成十九年度及び平成二十年度は実績がございません。平成二十一年度は、不動産取得税が〇・一億円、固定資産税が二億円、平成二十二年度は、不動産取得税が七億円、固定資産税が五億円、平成二十三年度は、不動産取得税が十三億円、固定資産税が十三億円、平成二十四年度は、不動産取得税が十七億円、固定資産税が二十億円、平成二十五年度は、不動産取得税が二十二億円、固定資産税が十九億円、平成二十六年度は、不動産取得税が二十四億円、固定資産税が二十億円、このようになっております。

 以上です。

塩川委員 企業誘致のために自治体が地方税の減免措置を行う場合に、その減収補填という形での支援策というのを国としてつくっているというのがこういう数字にあらわれております。

 もう一つ、立地促進法に基づく措置とは別に、特別交付税において、企業立地に伴う地方税の増収分、企業誘致をして地方税が増収になりました、しかし、増収になっても財政需要との関係で、それは一方で地方交付税が減るだけということでは頑張りがいがないじゃないかという声なども踏まえて、地方税が増収となった場合でも、それに対応する一部については特別交付税で措置しましょうという制度がつくられたわけですけれども、その実績はどうなっておりますか。

橋本政府参考人 お尋ねの特別交付税の関係ですが、企業立地に伴う固定資産税の増収分の一定割合を財政需要として算定する措置を講じております。

 その実績ですが、平成二十年度は四百万円、平成二十一年度は一億円、平成二十二年度は四億円、平成二十三年度は六億円、平成二十四年度並びに平成二十五年度はそれぞれ七億円となっております。なお、二十六年度分については、現在、算定作業中であります。

塩川委員 このように、自治体が企業誘致のために地方税の減免を行うですとか、あるいは誘致をした際についての結果として、それがきちんと財政に反映できるような仕組みというのを特別交付税でもとるということを行ってきたわけですけれども、これは、そういった地方税の減免措置と同時に補助金の引き上げ競争というのが大々的に行われたというのが二〇〇〇年代のことでありました。

 この点については経済産業省の委託の調査があります。平成二十三年度地域経済産業活性化対策調査、平成二十四年三月の取りまとめですけれども、その中で自治体と企業へのアンケートを実施しています。

 その中身について教えていただきたいんですが、このような自治体による企業誘致のための補助金、地方税減免競争についてはどのように指摘をしておるでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省におきましては、企業立地促進法、これは十九年度に制定されて以降、十年後に見直しを行うという条項がございまして、その十年間の中間に当たる五年目の平成二十三年度に、地域経済産業活性化調査という名目で、自治体に対して、それからまた企業に対して、企業誘致施策として最も効果のあったものは何かといったような項目を初めとするアンケート調査をしてございます。

 その中では、自治体の回答として、最も効果があったとする企業誘致の施策としては「税制・補助金等の優遇措置」というのが挙げられておりまして、一方、企業の回答の中におきましては、最も重視する事業所の立地理由は「労働者の確保が容易である」といったことが挙げられているところでございます。

塩川委員 ですから、自治体側と企業側にアンケートをとってみると、そこでもう乖離があるわけですね。自治体の方はとにかく補助金とか税の優遇でといいますけれども、企業側は必ずしもそれをインセンティブとして立地をしないということがはっきりと見てとれるわけです。

 二〇〇七年の企業立地促進法案の審議のときにも、あの時点で、自治体の補助金による企業誘致制度というのは、都道府県レベルで見ましても全国四十三の道府県でありました。補助金の引き上げの動きも加速をして、例えば、大阪府などは百五十億円とか和歌山県は百億円とか、補助金の上限額が百億円を超えるような、そういう自治体なども生まれたわけであります。兵庫県は上限なしというものなんかもあったわけであります。

 それがその後どうなったか。

 三重県亀山市のシャープの亀山第一工場に対しては、当時、北川知事だったと思いますけれども、企業立地補助金をつくりまして、三重県が九十億円、それから亀山市が四十五億円、これは固定資産税相当分についての補助金を出すというやり方だったと思いますけれども、合わせて百三十五億円という上限での補助金がシャープに示されて、しかし、結果とすれば、今はもうシャープの亀山工場はないわけであります。

 ですから、その後、補助金を出したのに撤退したということで、県としては補助金の返還要求をして、一部ではあれ、六億四千万の返還を行っているというのが実態でありまして、補助金を使っても結果としてはうまくいかなかったという実態が残った。

 同様に、兵庫県の尼崎工場、先ほど言ったパナソニックのプラズマディスプレイ社についても、県の補助金総額は約九十五億円に上りました。それが結果として撤退をしたということで、県への返金が現時点で約三十億円余りということだそうであります。

 大臣にお尋ねしますけれども、こういった事例を見ても、自治体の企業誘致における補助金競争、いわば企業誘致を競わせるようなやり方というのは結果として失敗だったんじゃないのかと思いますが、大臣はどのようにお考えですか。

宮沢国務大臣 幾つか今のやりとりを伺いながら考えておりましたけれども、企業側は労働力確保が最優先、一方で、自治体は、ある意味では金目の話。

 企業というのはやはりずるいんじゃないかなと正直思ったのは、労働力をある程度安定供給できる会社というのが幾つかあって、それを優先するんだけれども、あとは金目の話を実は競わせたんじゃないかなという想像をしながら実は承っておりまして、なかなかずるいことをやっているんじゃないかなという思いがいたしました。

 そして、補助金の話でありますけれども、やはり地域の雇用をつくりたいということ、我々は、日本国内の雇用をどれだけ確保するか、ふやすかということが恐らく最も大事な仕事であるのと同時に、地方の首長さんからいいますと、自分の地域の雇用をどれだけ確保するかということは本当に一番大事な仕事で、ある意味では、背に腹はかえられなく、そういうことをされたんだろうと思います。

 今考えてみれば、大量生産で、ある意味では付加価値の低いものをつくっている企業がなかなか日本で続けていけないという状況は、今となってみればある程度わかりますけれども、その程度は恐らく、そういうことも考えられなかった。

 そういう中で、首長さんが、ともかく千人の雇用、二千人の雇用というのは町にとっては大変大きな話でありますから、本当に必死の思いでやられた。経済状況等々が悪くて結果的にこういうことになっているわけですが、当初の目的等々からすれば、ある意味では当然のことをされたんだろうと私は思います。

 そういう中で、もう少し、撤退したときに補助金等が返ってくる条項をもうちょっとちゃんとやって、たくさん返ってくるようなことにしておかれたらよかったなという思いがいたします。

 ということですから、競い合うといいますか、今でも、私の地元でも、やはり首長さんたちは企業誘致をしたいということで、ある意味では走り回っておりまして、それ自体が悪いことであるとは私は思っておりません。

塩川委員 でも、巨額の補助金の引き上げ競争というのはやはり間違いだったんじゃないのか、その点はどうですか。

宮沢国務大臣 少なくとも、三重県も亀山市も、シャープの工場が来てくれたときには大変うれしかったし、ある意味では、我々も成功モデルとして承っておりましたから、一概にそれが悪いとは言えないと思っております。

塩川委員 でも、亀山市に私はその当時行きましたけれども、まだ撤退する前ですけれども、住民票を移していないんですよ。ワンルームマンションとかはたくさんできているんですよ、アパートとか。そこにたくさんの人が来ているんだけれども、みんな期間工の方ですとか派遣の方で、住民票を移していないんですよ。落とすのはごみばかりだと。そういう意味で、自治体の負担ばかりがふえていたというのが実態ということで、補助金を出したけれども、撤退しちゃったじゃないかと。要するに、これが今の企業誘致競争のてんまつだということをしっかり受けとめていただかないと、今後の地域経済の振興策を過つことになるんじゃないのかということは申し上げておきます。

 こういうときだからこそ、要するに、大企業の工場の誘致競争というのは失敗だった、こういう立場から今後の地域産業振興策を考える必要がある。その点で、やはり小規模企業振興基本法などを生かした小規模企業への面的な支援を行っていく、こういう取り組みこそ重要だと考えております。地域資源の活用を最大限に進める立場で、小規模企業や産地支援に全力を挙げるべきときであります。

 そこで、今回の地域資源活用促進法の改正案についてですけれども、この改正案では、もともと二〇〇七年につくった法律の効果というのが個別の企業、個社の取り組みで地域経済への波及も限定的だったということを受けて、地域全体での取り組みと販路の開拓への支援策を拡充するために、市区町村の関与や小売、ネット業者等との連携を図ろうとするものが今回の法案の改正の趣旨であるわけです。そういう意味では、地域全体を面として支援することが重要だというのが強調されている。その意義が再認識されているというところがポイントだと考えております。

 そうであるならば、私は、産地に対してのしっかりとした実態調査を踏まえた支援が必要なんじゃないのか、産業集積、面としての支援。もともとやっていたわけですよ。この地域資源活用促進法が制定されたときには、産地を面として支援してきた地域産業集積活性化法が廃止をされているんです。そのために、年間生産額がおおむね五億円以上の産地を対象とした産地概況調査も廃止になってしまいました。ですから、法の廃止をもって調査も廃止をされているということで、産地の生産額ですとか従業員数とか輸出額などの基礎的データがつかめなくなっている。

 大臣にぜひこの点を要望したいんですけれども、地域全体の取り組みを支援するというのであれば、このような産地概況調査の、同じ形とは言いませんけれども今日的な復活も含めて、産地の実態を正確につかむための調査を行う、こういうことが必要なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

北川政府参考人 御答弁申し上げます。

 六月に指摘をいただきまして、そのときは検討しますと申し上げました。今後、御指摘を踏まえて復活して、また調査をしていきたいと思います。

宮沢国務大臣 十七年度に終了しましたけれども、五年後、二十二年度に調査を一回いたしまして、また五年後ということを考えております。

 これは、言いますと、産地の状況というのが毎年毎年大きく変化するような状況ではなくなってきたというようなことがあるという話で、考えてみますと、私の地元は備後表という日本で一番いい表の産地ですけれども、もうほとんどイグサをつくらなくなって、熊本につくっていただいて持ってくるとなってしばらくたっていますし、熊本ももうかなり中国にいっているみたいな、そういう産地も結構多いんだろうなと思いますが、ともかくやらせていただいて、しっかり調査してみたいと思います。

塩川委員 ぜひ、その点については、産地概況調査に相当するものとして要望したいと思っています。

 それと、小規模企業振興基本法の基本計画では、地域における魅力の面的、横断的な掘り起こしを強調しています。

 自治体はこの点での取り組みの具体化が求められているんですけれども、国としてどのような支援を行っていくのか、このような地域における魅力の面的、横断的な掘り起こし、こういうことについて考えておられることについて、お答えいただけますか。

宮沢国務大臣 面的ということになりますと、商工会や商工会議所が地域の小規模事業者と連携して行う特産品開発や観光集客の取り組みなど、面的に地域全体の活性化を図る取り組みを国としても支援してまいります。

 また、今回の改正におきまして、市町村が旗振り役となって地域ぐるみで、ふるさと名物の製造や販売に取り組む中小企業、小規模事業者を応援する面的な取り組みを促進する、こういうことで面的、地域ぐるみの応援をしていきたいと思っております。

塩川委員 商工会議所、商工会の役割をぜひ積極的に果たしていただきたいと思いますし、それにとどまらず、市町村自身が事業者をしっかりと把握し支援を行っていく。まさに自治体としての面的な支援というところに大きく踏み出す。ですから、ふるさと産品にとどまらず、まさに地域の産業の集積の状況を把握した、そういう取り組みが必要であります。

 その点で、中小企業白書では、地域経済活性化の鍵を握るコネクターハブ企業、地域中核企業と言っています。ちょっと時間が押していますので少し飛ばしますけれども、このコネクターハブ企業、地域中核企業が地域経済活性化の鍵と言っているんですけれども、私は、小規模企業振興基本法の基本計画の中にも書かれている小規模企業の振興と地域経済の活性化は表裏一体だ、こちらがそもそも大もとなんじゃないのか。つまり、地域中核企業が鍵というのではなくて、小規模企業の振興というのが地域経済の活性化の鍵なんじゃないのか。

 その点についてはいかがですか。

北川政府参考人 地域活性化の際に小規模企業が鍵であるということは、前回、通常国会におきまして、私どもが小規模企業振興基本法を御提案したときに強く申し上げ、お願いしたところでございます。そういう意味では、それぞれの地域地域で持続的に頑張っていく、これがまず第一義だろうと思っております。

 ただ、そのときに、域外の需要を取り込んで域内に持ってくる、あるいは域内のものを外に売り出すというのも一つの地域の活性化のやり方ではないかというふうに考えまして、地域中核企業ということを申し上げました。

 地域中核企業につきましては、中と外をつなぐだけではなくて、自治体それぞれのようでございまして、外へ売り出すのを地域中核と思っている場合、あるいは中、地域内で仕入れる、そういったことをしているところをハブ企業と呼んで重視しているところ、あるいは雇用をたくさん生み出しているところ、あるいは利益を生み出して納税という格好で地域に貢献している、四つぐらいのパターンで地域ではお捉えのようでございます。

 いずれにいたしましても、小規模企業の活性化の観点から、地域中核企業のみならず、全体が面的に発展していくような方法をとっていきたいと考えております。

塩川委員 地域経済分析システム、ビッグデータを活用して、まさに地域の活性化の鍵となる地域中核企業を見出して、あるいは育て上げていくということを今経産省としては強調もされ、地方創生法案の総合戦略でも、そういう経済分析をやりましょう、自治体にデータも提供しましょうとなっているわけです。

 そのときに、そういった地域中核企業に大いに頑張ってもらいたいと思っています。同時に、それにとどまらずに、実際、自治体に所在をする、まさに雇用を維持し、仕事をそもそも維持することに積極的な意味がある小規模事業者への支援を行う上でも、その実態はしっかりと把握する必要があるんじゃないのかということなんですね。

 そういう点でも、ビッグデータで、帝国データバンクの企業情報を活用するということなんですけれども、三百三十四万社の小規模事業を全部網羅できないと思うんですけれども、この点で、小規模事業のそういった実態を把握して自治体が施策に生かしていくというのに、この地域経済分析システムというのは十分活用できるんでしょうか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 地域経済分析システム、今委員は、帝国データバンクの七十万社のデータを軸としてというふうにおっしゃられました。それは一つのデータの塊ですけれども、それに加えまして、公的なデータ、例えば、私どもといたしましては、経済センサスあるいはさまざまな大型統計、そしてまた観光に関しますれば人の移動のデータ、こういったビッグデータも活用しながら、組み合わせてやっていきたいというふうに思います。

 具体的には、それぞれ、経済センサスによりますれば、各地の小規模事業者の構造もわかりますし、それと中核企業がどう結びつくのかというのも推測できていくと思います。また、観光地における人の動き、こういったものが、それぞれの小規模の商業、サービス業、こういったものへ与える影響というものも見えてくるのではないかというふうに考えておりまして、さまざまなデータを組み合わせて小規模企業の活性化を図れればというふうに考えております。

塩川委員 最後に、大臣に一問お尋ねします。

 今、帝国データバンクの資料も活用し、経済センサスなどいろいろな経済統計なども活用して地域の実態を把握する、そういうのを提供しよう、これ自身は大いに活用が求められていますし、もちろん企業情報ですからいろいろな制約もあり、そういった機微情報などについての配慮というのが必要だということは当然の前提であります。

 そういうときに、実際、帝国データバンクが集めた七十万社の情報というのも、千七百人の調査員の人が足で歩いて取引情報なんかは集めているんですよ。実際には現場で回っているんです。これと同じことを自治体が行えれば、まさに自治体の企業情報をしっかりと把握して産業政策に生かすことができるんじゃないのか。

 例えば、墨田区が早い時期から中小企業振興条例をつくってやったことは、悉皆調査なんですよ。全事業所訪問をして、そういう事業所の取引先の情報なども集めて、それをカタログにしているわけですね。そのカタログを持って、うちの企業を使ってくださいと区の職員が営業で回る、こういう活動にもなっているわけで、まさに、区の職員が調査で地元企業を回って、その企業の大変さ、あるいは、こういう得意分野、魅力があるということをつかんで、そこに誇りを持って実際にその地域の産業政策に生かしていく、こういうことこそ必要なんじゃないのか。

 ですから、中小企業振興条例も重要です、各分野、階層の事業者を集めた産業政策会議、こういうのも立案の上では重要です、あわせて、その前提が、こういった全事業所の実態調査なんじゃないのか。こういう取り組みが行われてこそ、自治体の産業政策を生きたものにしていく。小規模企業振興基本法に基づく、まさに小規模企業が地域経済の活性化の鍵となるような、こういう役割を発揮することにつながるんじゃないのか。

 この点をしっかりと、自治体にも応援をするような、こういう取り組みで旗を振っていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まさにおっしゃるとおりだろうと思います。

 中小企業振興条例も大事でありますし、また、悉皆的といいますか、商工会、商工会議所を通していろいろやるのではなくて、やはり自治体の職員が自分の足で企業の生の姿を見ていただいて、そして、それを応援していく。それは前向きの話もあれば、後ろ向きな話からどうお助けするかという話もいろいろあると思いますけれども、まさにそういうことを自治体の方でやっていただくように、私も、国としてどういう方策があるか、考えてみたいと思います。

塩川委員 大企業や外資の誘致への依存ということじゃなくて、やはり、小規模企業の面的な支援、こういうことこそ内発的な発展と地域経済循環の力だということを改めて申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時一分散会


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