衆議院

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第8号 平成26年11月12日(水曜日)

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平成二十六年十一月十二日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 鈴木 淳司君 理事 田中 良生君

   理事 牧原 秀樹君 理事 三原 朝彦君

   理事 若宮 健嗣君 理事 田嶋  要君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      岩田 和親君    大見  正君

      勝俣 孝明君    黄川田仁志君

      今野 智博君    佐々木 紀君

      笹川 博義君    白石  徹君

      助田 重義君    関  芳弘君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    中谷 真一君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      牧島かれん君    松島みどり君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      山田 美樹君    生方 幸夫君

      大畠 章宏君    岸本 周平君

      近藤 洋介君    木下 智彦君

      小池 政就君    椎名  毅君

      國重  徹君    杉田 水脈君

      松田  学君    柏倉 祐司君

      山内 康一君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   環境副大臣        小里 泰弘君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房政策評価審議官)       石田  寿君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           土井 良治君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            鈴木 英夫君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            黒田 篤郎君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         山田 邦博君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官)   竹内 大二君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     助田 重義君

  佐々木 紀君     務台 俊介君

  白石  徹君     牧島かれん君

  根本 幸典君     笹川 博義君

  宮崎 謙介君     今野 智博君

  宮崎 政久君     中谷 真一君

  杉田 水脈君     松田  学君

  柏倉 祐司君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     宮崎 謙介君

  笹川 博義君     中村 裕之君

  助田 重義君     穴見 陽一君

  中谷 真一君     宮崎 政久君

  牧島かれん君     白石  徹君

  務台 俊介君     佐々木 紀君

  松田  学君     杉田 水脈君

  山内 康一君     柏倉 祐司君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     根本 幸典君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案につきましては、去る七日質疑を終局いたしております。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木淳司君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党、次世代の党、みんなの党及び日本共産党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。田嶋要君。

田嶋委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 国等の契約の基本方針の策定及び毎会計年度又は毎事業年度の終了後の契約実績の概要の公表に当たっては、官公需契約の総発注量に占める創業十年未満の新規中小企業者の割合等を明示すること。

 二 官公需における中小企業者の受注率を高めることにより、随意契約や一社発注などの比率が必要以上に高まり、競争が後退することのないよう、契約の競争性・透明性の確保と適正化により一層努めること。なお、官公需の発注に際しては、国等は小企業者(おおむね従業員五人以下)を含む小規模事業者の特性を踏まえた配慮を行うほか、官公需適格組合制度の活用促進に努めるとともに、国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律に基づき適切な調達業務がなされるよう、当該法律をはじめとする官公需に関係する法制度・施策を個々の発注担当者に十分理解させるべく周知徹底に努めること。併せて、刑務所出所者等を雇用する協力雇用主に対しては、国等の契約の基本方針に協力雇用主に対する配慮を盛り込む等、政府全体で支援の推進に努めること。

 三 ベンチャー企業の支援策については、従前の施策が必ずしも十分な成果を挙げられなかったことに対する評価及び検証を十分に行った上で、ベンチャー企業が起業準備段階に始まり、起業、成長の各段階においてその成長過程に応じた支援を受けられるよう、資金、経営ノウハウ、人材、情報等、適切かつ総合的な支援に努めること。

 四 地域産業資源活用事業及び地域産業資源活用支援事業の実施に際しては、各事業の効果を測る評価指標を確立するとともに、事業の実施状況を適切に把握すべく関係自治体等と密に連携しながら適切なフォローアップを行うこと。

 五 地域におけるエネルギーの地産地消を実現するための分散型エネルギー社会の構築が地域経済の活性化や雇用の創出につながることに鑑み、再生可能エネルギー資源の導入促進に加え、関係府省で協力し、林業や農業等の他産業との有機的な連携の推進を図るなど、中小企業者を中心とした地域における産業資源としてのエネルギー資源の開発及び利活用の取組に対し、十分な支援を行うこと。

 六 本法に盛り込まれた官公需に係る情報の集約・提供、市町村への協力業務を含め、近年、独立行政法人中小企業基盤整備機構の役割が拡大していることに鑑み、同機構が求められる役割を着実に果たすことができるよう、適切な指導・支援を行うこと。同時に、同機構の貸付け業務に当たっては、従来から指摘されている高度化融資の課題及び会計検査院の指摘を踏まえ、国民負担を増大させることがなきよう債権管理に努めること。

 七 中小企業者に対する各種支援施策については、非常に多数の施策が用意されている上、施策が短いサイクルで頻繁に変更されることから、事業者にとって分かりにくいものとなっていることに鑑み、施策の積極的な周知に努めるとともに、種々の施策の再評価を行った上で類似した施策の統合や整理を行い、利用者にとって簡素で利用しやすい体系に再構築すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、宮沢経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮沢経済産業大臣。

宮沢国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

江田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山本哲也君、農林水産省大臣官房総括審議官荒川隆君、農林水産省大臣官房政策評価審議官石田寿君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官井上宏司君、経済産業省大臣官房審議官土井良治君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、経済産業省通商政策局長鈴木英夫君、経済産業省製造産業局長黒田篤郎君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、国土交通省大臣官房技術審議官山田邦博君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君、環境省水・大気環境局長三好信俊君、原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官竹内大二君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。生方幸夫君。

生方委員 おはようございます。

 まず、委員長に、毎度の質問で申しわけないんですけれども、お伺いいたします。

 小渕前大臣から本委員会に対して、調査をして調査書を提出するという約束があります。これは、果たされましたでしょうか。

江田委員長 引き続き、これは理事会で協議をしていくことになります。

生方委員 ぜひ引き続き努力をしていただいて、当委員会でその調査書を見て議論をするように、ぜひともお願いを申し上げます。

 それでは、一般の質問に入らせていただきます。

 おはようございます、大臣。

 まず、鹿児島県の川内原発の再稼働というのが新聞紙上をいろいろ騒がせております。政府が、安倍総理もたびたび使っている言葉で、日本の安全基準というのは世界で最も厳しい安全基準である、それを規制委員会が許可したんだから、もう動かしても大丈夫だというのが再稼働に向けての政府の基本的な立場だというふうに私は理解をいたしております。

 これは何を根拠に世界最高水準の安全基準というふうに言っているんですか。

宮沢国務大臣 新規制基準につきましては原子力規制委員会が設けておりますけれども、新規制基準につきましては、まず、福島第一原発の教訓を踏まえ、IAEAや諸外国の規制基準も確認した上で、重大事故を発生させない対策や、万が一重大事故が発生した場合にも対処できる対策を要求しております。これらによって、世界で最も進んだ規制基準を定めている米国やフランスと比較しても遜色のない規制基準になっていると考えております。

 さらに、我が国の地震、津波、火山といった自然条件の厳しさ等も勘案し、加えて、いわゆるバックフィット制度を新たに規定しているということで、全体として世界最高水準の規制基準であるというのが政府としての認識であります。

生方委員 川内原発の原子炉は、ほとんど三十年近くたっているわけですよね。最近つくられている原子炉というのは、大臣も御承知のとおり、格納庫を二重にする、これは例えば飛行機なんかがぶつかったとき、炉心が損傷しないようにという形で格納庫を二重にするとか、あるいは、原子炉の底にコアキャッチャーと呼ばれるような、日本では炉心溶融が起こってしまったわけですから、それが起こらないようにコアキャッチャーを置くとか、そういう新しい炉ができているわけですよね。

 その新しい炉に比べれば、世界最高水準の安全だというふうに言っても、それに比べれば明らかにもう三十年近くもたっているわけですから、炉も当然それなりの損傷というか経年疲労しているわけですから、そう言い切れないと思うんですよね。それは、最新のものに比べれば落ちるけれども、三十年ぐらいたっているものとしては安全な方だよと言う方が、より私は国民の皆さんにわかりやすいと思う。

 これまで日本は、福島の原発事故が起こるまで、原子炉が爆発するとか原発が事故を起こすことはあり得ないという前提でやってきたわけで、その根拠になったのは安全だという思い込みだったわけですよね。だから、あの事故を受けて我々は、事故は起こり得るんだ、だから慎重の上にも慎重な判断をしていかなければいけないというとき、国民に対して世界一の安全基準をクリアしたんだと言っても、いや、実際になれば、それは二重のものがあるところとかコアキャッチャーがあるところに比べれば安全とは言えないんじゃないんですかという指摘も当然来るわけで、世界一番の安全基準だというふうに余り言い過ぎるとまた安全神話に戻ってしまうんじゃないかという危惧があるので、その辺はぜひ気をつけて発言をしていただきたいと思うんですが、それはいかがでございましょうか。

宮沢国務大臣 原子力規制委員会で安全性については確認をしたわけでございますけれども、おっしゃるとおり、一〇〇%の安全ということはないわけでありまして、安全神話に陥ってはいけない、常に安全というものを考えていかなければいけないわけでございますので、バックフィット制度等もございますけれども、やはり不断の安全に対する取り組みということは徹底してやっていかなければいけないと思っております。

生方委員 規制庁の方でも、別に安全と言っているわけではないよということも言っているわけで、ぜひともそこは踏まえてこれからの政策を決めていただきたいというふうに思います。

 先日、薩摩川内市の市議会では原発再稼働に向けての請願を決議し、市長も再稼働に同意を示したというふうに報道されております。

 川内原発の五キロ圏内にある市は薩摩川内市しかないんです。しかし、三十キロ圏内の市町には避難計画をつくれということが命じられているわけです。五キロ圏内ではなく、三十キロ圏内に大体二十一万人ぐらい住んでいるわけで、これらの町の中には再稼働に慎重な姿勢を示しているところもあるわけですよね。

 地元の理解、これは鹿児島県が多分言っているんだと思うんですけれども、地元の理解というときは薩摩川内市と鹿児島県の同意があればいいんだというふうに今言っているようですが、私は少なくとも、三十キロ圏内に六市二町があるわけですよね、その六市二町もきちんと了解を得る、当然そうあるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。

宮沢国務大臣 これはもう委員御承知のとおりでございますけれども、地元自治体の同意というのは、法令上は原発の再稼働の要件ではありません。

 一方で、地元の理解を得るということは大変大事なことでございます。立地自治体は全国にあるわけでございますけれども、各地の事情はさまざまでございまして、各地とよく相談して対応することが大変大事だと思っております。

 そして、おっしゃるように、では、全ての方が納得しているかというと、そういう状況ではないことは確かでありまして、先日も鹿児島県の伊藤知事が池畑議長と一緒に来られましたけれども、私からも、さらにさらに引き続いて、やはり地元の理解を深めることを努力してほしいということを申し上げました。

生方委員 住民の全員が賛成するというのは不可能でしょうから、少なくとも市町については、そこの議会なり首長なり、全員が納得をして、再稼働をするなら再稼働するということにしないと。

 福島の事故が起こってから再稼働をするのは初めてなわけですから、これがいわば前例になるわけで、そうすると、これでいいよということになったら、もう原発の立地市とそれから県だけオーケーすればいいよということになったら、では、隣の市はどうなんだということにも当然なってくるわけです。

 福島の事故を見れば、当該市だけじゃなくて、周りの地域の人も避難せざるを得なくて、いまだに帰れないというような状況が続いているわけですから、万が一のことがあった場合は、当然その被害も及ぶような可能性がある。それを引き受けて、なおかつ再稼働いいよというふうに言うのか、いや、それはやはりだめだ、もっとこれをやってくれなければ我々は同意できないというようなことがあれば、それを丁寧にしないと。

 動かしてはみたけれども、では、また周りから大きな反対が盛り上がっちゃって、またとめなければいけないというような事態になる可能性もあるわけで、今現在、電力が不足して、どうしてもすぐに動かさなければならないという状況には少なくとももうないわけですよね、二年間ももう原発なしでやってきたことは事実ですから。

 だから、その辺は丁寧にやっていただかないと、立地市は、いろいろなお金が落ちたり助成金が来たりして、それはそれなりに潤うし、仕事もあるから、なかなか反対しづらいという状況はあるとしても、周りの市は、いわば迷惑だけ受けて、何もないのに同意しろ、でも、何かあったときのための避難計画はきちんとつくれというのでは、やはり余りにも差があり過ぎるというふうに思うので、もう少し大臣も、一回行っただけじゃなくて、その周りの市にも行って、どんな意見があるのかをぜひとも聞いてきていただいて、それに対しては国としてはこうやりますよというようなことで、納得をしてもらってから再稼働するのなら再稼働するべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 私は、今回の川内原発の件が、今後の再稼働、安全を確認された原発の再稼働についての前例になるとは実は申し上げておりません。各地の事情はさまざまでございますから、それぞれの各地とよく相談して今後やっていきたいというふうに思っております。

 そして、鹿児島につきましても、立地の市がほかにあるわけでございます。私も、先日、鹿児島県に伺ったときに記者会見でも申し上げましたけれども、それぞれの自治体の首長さんがぜひ話がしたいということがあればいつでもお目にかかりますということを申し上げておりますので、そういう努力をしていきたいと思っております。

生方委員 今大臣おっしゃったように、いろいろな地域でいろいろな事情がありますから、これを前例とすることなく、仮にもっとほかのところで再稼働するというのであれば、その地域の実情に応じた許可というんですか、国の方できちんとそれなりの精査をしていただきたいというふうに思います。

 国は、三十キロ圏内の市町に避難計画を策定するように義務づけておりますよね。策定をしなければいけないというふうに義務づけている。

 今回は、政府の原子力防災会議で避難計画を総理が了承したというふうにしております。しかし、了承には何ら法的根拠はないわけですね。市町で避難計画を立てても、市町間の連携や県との調整は当然国がやらなければいけないというふうに私は思うんです。

 きちんと国が精査をして、実現できる避難計画なのかどうかということがわからないと、市町は隣の町がどういう避難計画を立てているのか一〇〇%把握しているわけじゃないですから。隣の町から避難するときに自分の町を通るかもしれないというようなときに、本当にその計画で自分の町の避難計画とマッチするのかどうかということをやるのは、県だったり、最終的には国が安全には責任を持つというふうに言っているわけですから、国がやらなきゃいけないことだと思うんですよね。

 それをやっているのかどうかということと、了承ということだけではなくてやはり法的な根拠をきちんとつけるべきだというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 避難計画を含む防災計画につきましては、法令に基づいて自治体が作成するということになっております。一方で、おっしゃるように、政府としても全く無関係ということではなくて、昨年九月の原子力防災会議の決定に基づきまして、関係省庁によるワーキングチームを地域ごとに設置して、計画の充実のための支援をこれまでしてきております。

 特に、川内地域につきましては、ことしの九月に開催されました原子力防災会議におきまして、避難計画を含む地域防災計画が具体的かつ合理的であるということを政府としても確認したという経緯であります。

 もちろん、これで完璧ということはないわけでございますので、政府としても引き続き、避難計画等々につきまして改善強化を図っていきたいと思っております。

生方委員 今、避難計画が具体的かつ合理的であるというふうにおっしゃいましたが、その具体的かつ合理的な避難計画についてお伺いしたいんですが、薩摩川内市では、警戒事態になったときに、バスで安全な場所に移動するために一時避難所というのを指定しているというふうになっています。この中に一時的に避難をして、そこへバスが来て、どこか安全なところへ行くという、その一時避難所に指定をされているところが、津波のハザードマップ上で赤になっている。すなわち、津波にそこがやられてしまう可能性があると。

 そういうところが指定されているというのは、これは適当なんですか。それが合理的かつ具体的に、そこへ集まれと言っても、実際にもし津波が来れば集まりようがないわけで、では、一時的に集まるところがだめになっちゃった場合はどうするんですかという措置がないと思うんですね。

 それは大臣、いかがお考えですか。

山本政府参考人 御指摘の避難施設の関係でございますが、まず、五キロ圏内におきましては、屋内の退避施設を五カ所用意しているところでございます。

 基本的な設備の構造などを見ますと、当該地域の想定津波よりも高いところに基本的にはあって、大きな問題はないと思っておりますが、ただ、御指摘のように津波あるいはそれ以外の災害も当然ございますので、そういった設備が仮に使えなくなった場合も当然考えておく必要がございます。

 それで、先ほど言いましたように、五つの施設がございますので、仮にそれらのうち幾つかがだめになった場合は使える施設を優先的に使うというのは当然であります。それから、特にこれらの施設は、医療関係、病院で入所されている方とか福祉関係の方が避難されますので、中には御自宅で療養されている方もおられますから、一時的にはまず自宅で退避いただくということが必要になります。

 いずれにしましても、そういった場合でもきちっと最終的には安全なところに避難をしていただくことが必要でございますので、万が一の災害の場合には、国と県の方の災害対策の本部がございますので、そちらの方から避難経路、避難先を確保して安全に避難をしていただく、こういう対策をとっていきたいというふうに考えてございます。

生方委員 少なくとも、津波のハザードマップ上、赤になっているところに一時避難所を置くべきではないと私は思いますよ。市内全部が赤になるというのならそれはしようがないとしても、多分そうじゃない地域もあるはずなんですね。

 遠過ぎて行けないというようなこともあるのかもしれないですけれども、少なくとも、津波でやられる可能性があるところへ避難しなさいよという避難計画を地元住民が納得するかどうか。あそこへ行けないじゃないのと。今おっしゃったように、どこか違う場所に行くというのであれば最初から違う場所を指定しておけばいい話であって、それは非常に不親切だと思いますよ。いや、あなたがつくったわけじゃないからあれでしょうけれども。

 大臣、少なくともそれを不安に思っている人がいるんですから、国として、それはちょっと変えた方がいいんじゃないかという指導はした方がよろしいんじゃないですか。

宮沢国務大臣 今詳細は内閣府の方から御答弁したわけでございますけれども、原子力で万が一こういう事故が起こったときというのは、恐らく津波の後ということだろうと思うんです。

 したがって、残ったところもあれば使えなくなる可能性もあるというようなところ、一方で、やはり緊急に避難をしなければいけないというのは大変急ぐということで、そんなに遠いところというわけにも恐らくいかないというような事情を考えて計画をつくり、そして、ある意味では、実際に実行するときにはかなり柔軟に対応していかなければいけない話だろうと思います。

生方委員 地震そのもので原子炉が、爆発をするんだか何だかわかりませんけれども、何かしらの事故が起きるという場合もあるわけで、その場合は津波と同時に逃げなければいけないというようなこともあるわけです。いろいろな事態を想定して、そこに住んでいる方に一〇〇%安全はないわけで、それは危険をある程度もう覚悟していただいてということになるんでしょうけれども、それでもやはり、最低これならば大丈夫だろうというぐらいのところまではぜひとも詰めていただきたいというふうに思います。

 それから、先日の東京新聞によれば、重大事故時に避難者を受け入れる自治体のほとんどで、受け入れ先に指定した施設に避難所となることを知らせておらず、施設側も自分のところが避難所になるということを把握していないことが調査の結果明らかになったというふうに報じております。

 福島第一原発のときの混乱は、事前に避難計画がきちんとできていなかったし、どういうふうに逃げたらどこに渋滞が発生するかなんてこともわかっていなかったわけですね。だから、今回はこういうことを教訓として各市町に避難計画をつくらせたのに、実際には、自分のところが避難所になることも知らなかったというんじゃ、計画つくって魂入れずということになっちゃうんだというふうに思うんですね。

 内閣府原子力災害対策担当室がつくったものを見ると、緊急時対応に住民を避難させるのにバス何台が必要だとか、具体的に、確かに書いてあるんですね。しかし、ではそのバスはどこから行って、どのバスがどこへ行くんですかということを聞くと、それはまだ決まっていないということになるんですね。

 バスはもちろん一カ所に、いつも同じ場所にいるわけじゃないわけで、いろいろな場所に多分いるんだと思うんですね。そのバスをどういうふうに動かすのかというのは、実際にあの計画だけを見たら、大臣ももちろん見たと思うんですけれども、何十台と書いてあるだけで、何十台がどこにいて、どこからどういうふうに来るのか。道が例えばここが混んでいたら、このバスが来れない場合はどうするんだ。確かに、道が混んでいる場合はこういう迂回路がありますよというようなことも書いてございますけれども、やはり私は具体性に欠けると思うんですよ。

 とりあえず、まず急いで避難計画をつくって、避難計画ができていますよということで再稼働しようというのが先に来ているんじゃないか。本来であれば、その避難計画に基づいて避難する訓練をして、いや、これはだめだからこういうふうに修正をしてこういうふうにして、これだったらばちゃんと避難できるよというのが確認されてから再稼働するのかどうかという判断をするべきだと私は思うんですね。

 余りに拙速で、さっき言った一時避難所が津波に襲われる可能性があるとか、今言ったようにバスがどうやって行くのかということが実際にはわからないとかいうことが発生してきているわけですから、ぜひともそれはきちんともう一回やっていただきたいし、住民も本当に、では自分がこういうふうに重大事態になったときにどうすればいいのかということを十分に理解していない人もいっぱいいるわけですね。

 薩摩川内市の場合は、少なくともある程度の人数は把握をしているでしょうけれども、そのほかの地域の方の場合は、自分が万が一のときにどうしたらいいのか、これは福島のときの事故を見ればわかりますように、どうしたらいいかわからなくなっちゃう方がたくさんいるわけです。少なくとも自分が重大事故があったときにどうする、どこへ行くんだということがわかっていて初めて、魂が入った避難計画というふうになると思うんですけれども、余り拙速にやっちゃうと、わからないうちに出ちゃって、結局、今の時点でわからないと、また後は日常に戻っちゃいますから、わからないままで来ちゃって、起きたとき、またおたおたしてしまうというようなことが起こるわけで。

 ぜひともそれは、そういうことを周知徹底させるためには、一度、実際に避難訓練をやって、弱点があったら、それをちゃんと補って、これなら大丈夫だということまでやるべきだと私は思うんですけれども、いかがでございましょうか。

山本政府参考人 御指摘のとおり、原子力防災の実効性を上げていくことは極めて大事でございます。

 幾つか御指摘いただきましたけれども、例えば避難先につきましても、遠方の施設に入所いただくようなこともございます。当然、受け入れ先の施設の管理者あるいは自治体におきましても、それを受け入れていただくための準備が極めて重要でございますので、特に私ども、原子力防災の実効性を上げるという観点から、もう既に避難先は指定されておりますので、そういう管理者の方々ときちっとお話をして、実際、起きた場合、では、どういう形で受け入れるのか、食料をどうするのか、さまざまな課題がございますから、そういったものを一つ一つ解決していきたいと思っております。

 それから、避難に当たってのバスの確保についても、鹿児島県が、県内の民間バス事業者と協定を結ぶべく、今調整してございます。避難用のための必要なバスの確保をきちっと行っていくというのは極めて大事でございますし、実際、どのバスを使うのかということもあります。

 一応、鹿児島県では、それぞれの会社の緊急用に使えそうな車両のリストが今上がってきてございますので、それを具体化していくということになるかと思います。

 それから、避難訓練は当然極めて重要でございます。たまたま、昨年度、国の総合防災訓練を薩摩川内地域、川内原発を対象に訓練を昨年は行いましたけれども、国の訓練を一回やれば終わりではありませんで、恐らく自治体の方では毎年さまざまな形で訓練がなされてまいりますので、御指摘のように、訓練を行うことによって、防災上のさまざまな課題、教訓を抽出して、それを改善し、実効性を上げていく、こういう継続的な取り組みに努めてまいりたいというふうに考えてございます。

生方委員 一番大事なのは、住民が避難計画をきちんと理解していて、何かあったときはきちんとそれに基づいて行動ができるということが一番大事ですから、ぜひともそれを再確認していただきますようにお願いいたします。

 もしあれば。

宮沢国務大臣 万が一、事故が起こる可能性があるということでこういう対応をしているわけでございますが、一方で、いつ起こるか、随分先かもしれないということになりますと、やはり住民の顔ぶれもどんどん変わっていく可能性もあるということを考えますと、常に住民の方にお知らせしながら、それの繰り返しを、また、それなりにいいものにしながら繰り返していくということが本当に大事だろうと思っております。

生方委員 私の基本的な考え方は、再稼働には反対なんですけれども、これは見解を異にするのでしようがないんですが。

 ドイツの場合は、福島の原発事故を受けて、もう原発に頼るのはやめようという決定をいたしましたよね。メルケル首相は、その前は当然原発推進論者だったんですけれども、すぱっと切りかえて、もちろん今現在は動いているんですけれども、何年後かにはきちんと全てを停止するという発表をした。

 これはドイツ大使館が出している本なんですけれども、大臣もごらんになったかどうかは知りませんけれども、これをこの間、説明していただいたんです。

 ドイツがどうして原発に頼らなくしたのかといったら、原発以外の再エネできちんとこれから国として生きていかなければいけないということをドイツが決意したと。それは、いろいろな新聞で言われているように、確かにFITを取り入れて、買い取り価格が高くなり過ぎて、まただんだん安くしているというような状況もあるようでございますが、ドイツの場合は、再エネに取り組んで、再エネを新たにつくっていくことによってドイツの新しい産業にしようという考え方があるんですよね。

 大臣も御存じだと思いますけれども、日本でオイルショックが起こったとき、私はオイルショックのことを、前、よく取材をして話を本に書いたことがあるんですけれども、あれも、日本はあの当時、オイルはほとんど水と同じ値段だった。今だったらもう水も高くなりましたけれども、あの当時は水はただで我々は飲んでいたわけです。水と同じ値段だったのが、もう急に高騰して、これではもう日本の産業はやっていけないというときに日本の産業はどうしたのかといったら、当時の重厚長大型から加工組み立ての方にかえていくというシフトをし、それから省エネの努力を大変したわけですね。

 それで、第二次オイルショックが七九年に起こって、七九年以降、日本は、製品そのものに、当時ICというふうに言ったかどうかわかりませんけれども、制御装置を取り入れることによって、当時のコマーシャルでいえば、使い勝手のいい洗濯機とか、使い勝手のいい掃除機とかというような形で、非常に製品のIC化を進めたことによって、日本は八〇年代に少なくとも製品づくり、物づくりということに関しては世界一になったわけなんですね。

 だから、私も、今回は非常に不幸な事態ではあったけれども、これを機に、地震もあるし、津波もあるし、いろいろ台風も来るような国に原発を四十基も置いておくのは、これはもうおかしい。我々は二〇四〇年代には原発をゼロにしよう、政府もなるべく原発に頼らない国づくりをしていこうということはもう表明をなさっているわけですから、ただ単に今原発を動かせば経済界は安い電力が使えるからいいんだというふうに言っちゃうと、革新が起こらないと思うんですね。だから、高い電力を使わなければいけないというのであれば、ではどうやって電力の消費を少なくするのかということをやはり考えていかなければいけない。

 どうも経産省の場合は、再エネの場合、安定性がないとか信頼性がないとかというようなことを言っていて、だからベースロード電源にはやはり原発が必要なんだということをおっしゃっているようですけれども、ドイツは、一〇〇%再エネでやっても、これは揚水を使うとか蓄電池を使うとか地熱を使うとか風力を使うとかという、いろいろな再エネをミックスすることによって、一〇〇%が再エネであってもきちんとできるような措置をとっているというんですね。

 大臣の立場は再稼働を今しなきゃいけないという立場だというのは私は理解しておりますけれども、こういう契機に日本はオイルショックを乗り切って、八〇年代にはアメリカにももちろん勝って、ジャパン・アズ・ナンバーワンというふうに言われたような変革ができたわけで、そういうきっかけがあったのはオイルショックで、今回のことは非常に不幸なことではあるけれども、日本のエネルギーを抜本的に変える。

 しかも、再エネというのは、御承知のように、地産地消で、一番近くで発電をするわけですね。政府は地方創生というふうに言っているわけで、今までの電力会社というのは、地域独占で、大きい電力会社が原発を中心として百万キロワットというのをわっと流して、それを使うということから発想を転換して、地域の地場産業が自分たちのところで電気をつくって、自分たちのところでそれを消費しましょうと。もっとずっと進んでいけば、恐らく、うちは全部うちの屋根に太陽光をつけて、自分のところで賄うというようなことにすれば、今のような電線も必要なくなってくるようなことになるし、そうすると、町自体も変わってくるし、地方創生にも非常に私は役立つと思うんですね。

 だから、安易に今もう再稼働しちゃって、どんどん再稼働しちゃうと、すぐ忘れてしまって、まだ使える、それは電力会社にしてみれば、減価償却をまだしていないんだからもっと使えということになると思うんですけれども、それでは何にも、教訓を得て日本の経済構造が変わる、あるいは産業構造が変わるということにならないと思うんですね。

 だから、ぜひその辺も配慮しながらこれからの政策を進めていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。

宮沢国務大臣 幾つか申し上げなきゃいけないなと思いながら伺っておりましたが、まず、ドイツと日本とでいいますと、かなり状況は恐らく違うんだろうと思っております。

 ドイツの場合は、もちろん再生可能エネルギーに大変力を入れていますけれども、一方で、石炭火力がたしか四割ぐらいあって、これをベースロード電源として使えるというような状況が異なるのと、また、大陸でございますから、電力の輸入もいざとなればできるといったようなところが恐らく日本とは違っているんだろうと思います。

 一方で、日本の今の状況を見ますと、今、私は、本当にエネルギー政策全般に責任ある大臣としては、正直言って大変危ない状況があると思っています。エネルギーの安全保障の件、それから温暖化対策、また経済性といった問題もありますけれども、やはり一番心配しておりますのはエネルギーの安全保障でありまして、実際、今エネルギー自給率が六%、逆に言うと輸入が九四%、そしてそれは全て化石燃料という状況であります。

 化石燃料のうちでLNGについては基本的に備蓄ができない。原油につきましては備蓄しておりますけれども半年分というような状況ですから、ホルムズ海峡で何かあったときには、日本の国民生活、また経済活動、大変な事態になるということが、本当に頭から実は離れないというのが正直なところでありまして、そういう中で、安全性が確認された原子力発電所については再稼働を進める、こういう基本方針をとっております。

 もちろん、再生可能エネルギーにつきましては最大限導入するということで、特にこの三年間は強力に促進するということにしておりまして、これはどんどん入れていかなければいけないと思っておりますが、一方で、地熱のようなものがどんどん出てきてくれれば別ですけれども、太陽光発電に偏った状況ですと、なかなかこれは相当な技術革新が今後出てこないとベースロード的にはちょっと使えない、相当の時間がかかるんだろうなと思っております。

 こんな状況で、安全が確認されれば再稼働を進める、こういうことであります。

生方委員 時間が来ましたのであれですけれども、少なくとも再生エネルギーはホルムズ海峡を通って原油を持ってくる必要はないわけですね。太陽と風力と地熱でやれば、日本だけでエネルギーが十分賄えるようになるわけです。

 今まだまだだと言いましたけれども、これはどんどん普及していけばどんどん技術革新が起こって、例えば一枚のパネルで発電する量の十倍を発電できるようなことだって十分あり得ると思うんですね。そのためにも、やはり安心しちゃうんじゃなくて、そっちも常に進めて、シフトは、最終的にはそっちへ全部移っていくんだよというようなことを産業界全体もわかっていれば、そっちの方向に向かえるというふうに思います。

 それは、大臣のお立場とすれば今現在のエネルギーの安定供給というのが一番大事なことかもしれませんけれども、これはもう言うまでもないことですので、事故が起こってしまえばもうそれどころの騒ぎじゃなくなるわけで、その危険なものに頼るよりも自然のエネルギーに頼っていけば、私は、日本にふさわしいエネルギー源の確保になるのではないかということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

江田委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 おはようございます。民主党の大畠章宏でございます。

 きょうは一般質問ということで、宮沢大臣を初め関係の皆さんにお伺いをさせていただきます。

 ただいま生方議員からエネルギーの問題についての質疑がございました。大臣からはエネルギーの輸入関係は九四%という話もございましたが、輸入は円安という話になりますと非常にコストがかかるということにもなりまして、日本国内の経済はどんな状態にあるのか、こういうことを中心として、経済閣僚の一人であります宮沢大臣に御質問をさせていただきます。

 けさの新聞でありますが、参考資料を席上配付させていただきました。これはけさの毎日新聞の記事でありますが、「消費者心理悪化」ということでありまして、安倍政権誕生のころからの現状判断指数というものと消費者態度指数というもののグラフが示されました。これは内閣府が十一日、昨日発表したものであります。

 この動向を見ますと、非常に安倍政権に対する経済的な期待というのは大きく膨らみましたが、現在ではかなり落ち込んできておりまして、特に地域経済の指標というものにおいては、消費者心理というのは非常に大きいんですね。この消費者態度指数というものを見ますと、ほぼ安倍政権誕生以前の水準まで落ち込んでいる。これは私は重大な関心を持って見なければと考えているところであります。

 そういうことからすると、今、株式市場は一万七千円をつけているんです。ですから、株価と国民の心理との間に大きな差ができている。

 この背景は、十月三十一日に発表しました黒田総裁の追加金融緩和措置というもので、プラス三十兆円しました。一方で、先日も質問をさせていただきましたが、年金基金関係では株式に投資する割合を増加させる、こういうことにいたしましたが、その背景で、国債の割合は六〇%から三五%に引き下げる。すなわち、国債を大体三十兆円規模売って株式に回すということなんですが、そういうことで株式市場は高騰しているわけなんです。その三十兆円分、国債を誰が引き受けるのかといったら、日銀が引き受けるという話なんですよ、つじつまを合わせると。

 だから、どうもそういうことで、株式市場を揺さぶって株価を高位置で維持したいという安倍政権の思惑だと思うんです。私も余り株式投資というのはやったことがないんですけれども、政府を挙げて株価をどうするかという介入をし始めているということになると、これは世界各国いろいろ政府がやっていますが、何か異常事態と見る。

 そういうことが、ひいては消費者心理のところに、アベノミクスというのは、株式市場は一万七千円ぐらいまで上がっているけれども、円安になって物価が上がって、結局、地域の生活が苦しくなるんじゃないか、そういう心理が私は働いているんじゃないかと。そうすると、アベノミクスとは何なんだ。第一の矢、第二の矢、第三の矢の成長戦略がほとんど見えない。

 日銀がいろいろ操作して、円安誘導をしながら株価をただ高く維持しているというだけではないか、そんな見方が今広がってこの消費者態度指数というものにあらわれているんじゃないかと思いますが、経済閣僚としての宮沢大臣のこの問題についての御認識をお伺いします。

宮沢国務大臣 今の経済の動向というのは、確実にアベノミクスが進展をしてきていると私は考えております。

 この消費者心理悪化というものも、これはある意味では絶対水準ではなくて前月比の相対水準でありまして、若干今足踏みしているというようなところがこういう数字に出てきているんだろうと思います。

 一方で、絶対水準ということになりますと、やはり二年前の今ごろを考えてみますと、六重苦と言われているような中で、消費者心理も冷え込んでいるし、一方で、企業の方も元気がないという状況だったのが、やはりこの二年間で随分絶対水準としては上がってきているんだろうと思います。ただし、相対水準でこういうことが出ているということは、やはり我々も地方とか中小企業とかということに相当これから気を配っていかなければいけないということは事実であります。

 第一の矢、第二の矢、第三の矢とあるわけですが、正直言いまして、やはりロケットスタートできたのは第一の矢の影響が大変大きくて、その結果、自動車産業を中心に裾野の広い産業が急激に元気が出てきたというところがロケットスタートの遠因だったと思います。

 しかし、第三の矢というのは、すぐに効くもの、また長くかかるもの、いろいろあるわけでありまして、その効果がやはりじわじわと出てきた結果、設備投資というのが本当に久しぶりにかなり出てきておりますし、また、実質賃金は下がっているといっても、賃金の方も何年かぶりの上昇を見ているということでありますので、私自身は、大きな流れとしては順調に来ている、ただし、こういう消費者心理等々を見ましても、この場は少し小さな流れとして足踏みしているということも事実でありますから、相当注意深く政策運営をやっていきたいと思っております。

大畠委員 今、宮沢大臣から、日本の経済、特に地域経済に対する現状についての御認識を伺いました。

 私は、確かに、ロケットスタートというのはそのとおりだろうと思います。これは非常に即効性があるものだと思いますが、ただ、日本全体を見ていると、きょうは小里環境副大臣もおいででありますが、私も副大臣から随分責め立てられました、東日本大震災のときに。遅い、遅い、何をやっているんだ、被災者のことを考えよということを随分厳しく予算委員会でも言われたわけでありますが、東日本大震災の復興のために、二十兆円の予算をつくって、必死になって私たちもやってきました。この東日本大震災の復興対策ということで巨額なお金がおりたということで経済が地域では回り始めたということと、今のロケットスタートといいますかアベノミクスというものの心理的な効果が相乗して今日まで引っ張ってきたんだと思うんです。

 ただ、ここで考えてみると、東日本大震災の復興は、私も言わざるを得ないんですが、皆さんがおっしゃっていたほどスタートといいますかスピードを上げていますか。どこかに復旧復興というのは置いてきぼりを食って、アベノミクスに集中して、さあ、株価が上がった、日本はよくなるんだというメッセージを盛んに安倍総理が出していますが、復旧復興というのは、何か社会的に、政府としても関心が薄れてきているんじゃないかと。

 私は、あの当時、皆さんからも責め立てられましたが、東日本大震災の復旧復興なくして日本の再生はないということを皆さんと意識は共有していました。ところが、最近、復旧復興の問題についての政府の熱意が私は薄れてきているんじゃないかと思うんです。

 みんな、株価が上がればいい、アベノミクスでトリクルダウンで地域に広がるというけれども、結果的には、この消費者心理を見ると、日本全体としては先行きはどうなるんだろう、円安で輸入品が高騰してきて結局消費者物価も上がってきた、そして物価が上がるけれども実質賃金は上がらない、これからどうなるんだろうに加えて、非正規労働者をふやそうという派遣労働法の改正まで踏み込んでいるわけです。

 だから、全体的に落ちついて見ると、何か、安倍政権のやっている経済政策はこれからどうなってしまうのかという心理が私はここに働いているんじゃないかと、これは私の見解ですが。

 せっかく環境副大臣もおいででありますから、現在の一番の課題であります瓦れき処理、あるいは、これは質問通告はしておりませんが、仮設住宅がもう三年ぐらいになっていたり、それから、復興公営住宅もなかなか進んでいないんですが、関連する大臣として、あれだけ予算委員会で強く主張されているんですから当然関心があると思いますが、そこら辺をひっくるめて、今副大臣をされている感想なりあるいは状況なり、お伺いしたいと思います。わかる範囲で結構です。

小里副大臣 東日本大震災が発災をしましてから、時の大畠国土交通大臣と気持ちを同じくして復旧復興に向けて取り組んだな、そういう感想を持っております。また、現政権になりましてからも、東日本大震災からの復興なくして日本の経済の回復はない、そういう信念でもって、一丸となって取り組んできたという認識でおります。

 御指摘をいただきました汚染土壌、瓦れき等につきましても、余り詳しく申し上げると時間がかかってしまいますが、それぞれ取り組んでいるところでございます。

 ポイントだけ申し上げます。汚染土壌につきましては、鋭意除染を進めておりまして、平成二十七年、二十八年度内には大半の市町村で終了する計画でございます。また、仮置き場などの除去土壌については、中間貯蔵施設の整備ができ次第、同施設に搬入していくという段取りでございます。当の中間貯蔵施設は、関係県、各関係長の御指導、御理解をいただきながら進めているところでございます。

 実際の搬入開始までには、法案の成立を初め、確認すべき事項が五項目あるところでございますが、それぞれ、今その取り組みを進めながら、早期の搬入開始に向けて最大限努力をしておるところでございます。

 なおまた、一般的な、土壌以外の瓦れき処理につきましても、当時、この汚染に関係しない廃棄物処理につきましては、災害廃棄物の処理特別措置法、これもまた時の国土交通大臣の御指導をいただきながら制定をした経緯があります。

 また、汚染された廃棄物につきましては、汚染廃棄物対策地域として指定されている中で処理を急いでいるところでございます。昨年十二月に改定した処理計画に基づきまして、仮置き場への搬入を進めるとともに、仮設焼却炉を建設し、減容化処理を開始したところでございます。減容化処理によって発生した焼却灰のうち、十万ベクレルを境にして、中間貯蔵施設に持っていく、あるいはエコテックに持っていくというものがあるわけでございます。

 残された大きな課題としましては、最終処分に向けて三十年のうちにこれを解決しないといけないということでございますが、それぞれ技術開発を急ぎながら、なるべく円滑な処理に向けて、今一生懸命頑張っております。当時と気持ちは全く同じくして、それ以上に頑張っております。

大畠委員 今、小里環境副大臣から御所見を伺ったわけですが、阪神・淡路大震災のときにも大変尽力されたというのは伺っておりますし、これからまたさまざまな困難が来ると思いますけれども、それをぜひ、あの当時、野党時代を思い起こしながら、情熱を持ってしっかりと被災地の皆さんの立場に立って取り組んでいただきますようよろしくお願いしたいと思います。

 副大臣には、どうぞ仕事の方に戻っていただいて結構でございます。

 さて、そういうことで、経済政策でございますが、なかなかうまく私は進展していないのではないか、地域の実態からするとそういう感じを持っているわけですが、もう一つ、デフレの問題ですが、どうも私は、安倍政権のデフレの要因というものについての認識が間違っているんじゃないかという思いがあるんです。

 それは、日銀の一万円札を刷って、無理やり二%の物価上昇まで持っていけばそれでいいんだというんだけれども、実体経済が全くついていっていないんですよね。だから、トリクルダウン、トリクルダウンといいますが、株を持っている人が現金を手にして高額商品を買えば日本の経済がよくなるのか。少なくとも私の選挙区の農村部なんかには全く影響がないですよ。かえって物価高で生活費が困っている。

 あるいは、農業問題についても、戸別所得補償制度をやめちゃうというんでしょう、自民党政権。では、農業政策をどうするんですかというものの、手がないままで、ただ、民主党政権のときにはばらまきだったから、こんなのはやめちゃうんだという乱暴な手法だけで、農村部の生活がよくなるわけがない。

 私は、このままいきますと、何となくアベノミクスの三本の矢は効果があると世界じゅうに安倍総理は宣伝して回っておりますが、では、日本の中の農村部に行って話してみてくださいよ、皆さん、三本の矢が効果があって、農村部も明るい農村になるんですと話をしたって、聞いている人は、どこでそういう話になるんですかという話になると思うんです。

 そこで、お伺いしたいのは、経済閣僚としての宮沢大臣は、デフレ要因というのはどういうふうに捉えて、アベノミクスを投入すれば、それがひっくり返るんだというふうに認識されているのか、そこをちょっとお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 私は、デフレというのは相当根の深いものだと実は思っております。恐らく、世界が大きく変わる中で、日本がそれについていけなかったということなんだろうと思うんです。

 世界が大きく変わることの象徴は、恐らく冷戦が終わったということ、ちょうど八九年にベルリンの壁が崩れたのが象徴ですけれども、その前に日本の経済はどうだったかと申し上げますと、東西が分かれている中で、西側陣営にいて、そして、比較的に安い労働力だった。

 そしてもう一つ、アメリカに次ぐ大変大きな国内市場を持っていたというところで、高度成長から始まって、ずっといい状況で来ていましたけれども、冷戦が終わった途端に世界ががらっと変わってしまって、世界が一つの大きな市場になった。したがって、中国の安い労働力と競争しなければいけない。

 一方、国内市場といった意味でも、中国は十三、四億ですし、EUができて四億を超える、アメリカも三億を超えているという中で、日本は一億三千万という大変小さな国内経済になった。

 そういう中で、過去の成功例に引っ張られ過ぎて変わってこられなかったことが、実は日本のデフレの一番大きな要因だと私は思っています。

 そうした意味では、アベノミクスの中でいえば、第三の矢をどうやって成功させるかということが一番大事だろうと思っておりまして、例えば農業であれば、農商工連携等々とか、また農産物の輸出とか、そういう付加価値の高いものをどういうふうに生産していくかというふうに変えていくということが、恐らく一番大事な政策ではないかと思っております。

大畠委員 確かに、大臣がおっしゃるように、そういう側面はあるんだろうと思うんです。

 もう一つ考えなきゃならないのは、藻谷さんが「デフレの正体」という本を出版されて、非常にみんなに受け入れられていますが、少子高齢社会というものがその根底にあるのではないか。すなわち、若い人が減ってくると、住宅はなかなか建てようとしない、少子化ですから人口も減ってくる、おのずから、経済を支える基盤そのものが弱くなっているんだ、だから、少子高齢社会に対して手を打っていくことがデフレの脱却のベースじゃないか。特に、市町村、地域、地方の都市に対して、どうやって再生させるかというのは非常に大事だ、こういうことを主張されていたわけです。

 そこで、農水省にきょう来ていただいていますのでお伺いしますが、地域における農業の実態、あるいは農村の実態、林業や漁業の再生策を農水省としてはどう考えているのか。特に、私ども民主党政権時代に六次産業化というのを一生懸命導入しましたが、その状況についてお伺いします。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生から、農林水産業、それから農山漁村の状況についての御質問がございました。

 御指摘にございますように、農林水産業、農山漁村は大変厳しい状況にございます。高齢化の進展、それから耕作放棄地の増大、燃油高騰など、いろいろな課題がございます。

 そういう中で、一方で、私ども農山漁村には隠れた潜在力というものもあるというふうに認識しておりまして、そういうものをしっかり引き出して、成長産業につなげていくということが大事だと思っております。

 一昨年以降、総理を本部長にいたしまして、関係閣僚から成ります農林水産業・地域の活力創造本部という場を政府全体として設けていただきまして、農林省の中にも、攻めの農林水産業の推進のための実行本部というものを設置しております。

 では、具体的に何をやるのかということでございます。

 まず、農業につきましては、需要をしっかり拡大していくということで、これまで余り目が向いておりませんでした輸出といったようなものについてもしっかり取り組んでいこうということ。

 それから、国内市場でも、余り今まで私どもが目を向けてこなかった医療ですとか福祉ですとか介護ですとか、そういったいろいろな業種との連携というものも大事だろうと思っております。

 それから、生産現場をしっかり強くしていくということは欠かせないことでございまして、昨年秋に臨時国会で通していただきました中間管理機構というものを通じて、農地の集約化というものを進めていこうと思っております。

 それから、先生御指摘ございました六次産業化でございます。これもいろいろな道具立てをつくっていただきまして、今、A―FIVEという出資というスキームを通じまして、六次産業化を進めていこうということで、ことしの二月から本格的に取り組んでおるところでございます。

 こういったような取り組みによりまして、少しずつではございますけれども、芽が出てきておると思っておりますので、これを強力に進めてまいりたいと思っております。

大畠委員 ただいま農水省から御答弁がございましたが、宮沢大臣、私は、日本の経済再生の一つの鍵が、経産省と農水省の連携。要するに、お互いに壁があったわけです。農水省は農産物をつくるのが得意ですが、売るのはどちらかというと不得意だったんですよ。付加価値を高めるという意味でも不得意だったので、六次産業化の中で経済産業省と農水省が手を組んで、農家の所得をいかに上げるかという知恵を出そう、そういうことを進めてきましたので、ぜひ経産大臣にはそういう観点から取り組んでいただきたいと思いますが、この件についての御所見をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 大変大事なことだと思っております。

 やはり経産省というのは、付加価値を高めるとか、例えば品質をしっかりと管理するとか、そういうところはずっと専門家としてやってきた役所でありまして、そうした意味でいいますと、例えば農水省とかまた厚労省というのは、余りそういう意識を持たないでやってきた部分は間違いなくあるわけでございます。ついつい出過ぎるのが経産省の悪い癖である部分もあるわけでありますけれども、その辺、しっかりやっていきたいと思います。

大畠委員 このほかに、福島の原子力発電所の課題についてもいろいろ質問したいと思いましたが、なかなか時間的に難しくなりましたので、また次回にさせていただきます。

 最後に、実は私の選挙区の、都市名は言いませんが市の青年会議所がありまして、昭和四十年代には大体六十人ぐらい青年会議所の会員がいたんです。今は九人になってしまったんです。単独でなかなか活動もできないというので、近隣の青年会議所と連携して一生懸命頑張っていますが、大臣、これが地域の現状なんですよ。要するに、後継ぎがいない、したがって、若い方々の青年会議所の会員がどんどん減ってしまう、これが現状なんですよ。

 ここのところに、私がこの間、中小企業庁の皆さんに申し上げたのは、何のための経済産業省なんですか、そういう状況のときに、官公需の一部を新しい企業が受注できるようにしようとか、ふるさと名物をつくろうとかという話だけではこの問題は解決しない。

 そこで、私は知恵を出してもらいたいと思うんですが、その一つが、農村部にいかにしててこ入れをするか。丸亀町が、中心部の土地の所有権と使用権を分けて、使用権はある公共団体が持って再開発をするということで町の活性化をしようということをしておりますが、そのくらいやらないと。本来はそういうものを出してきてほしいんですよ、町の状況を見ると。

 きょうは、そういうことで、経済産業省には、ぜひ、地域の現状というものをよく見て、どうしたらそういうデフレの原因である地方における少子高齢社会が改善されるのか、長期的な展望に立ったものを次回の通常国会のときには出していただきたいと思いますが、この問題も、ぜひ大臣、多分大臣の地元も大体同じような状況だと思います。シャッター通りと言われましたが、シャッター通りじゃなくて、今、シャッターが閉まっていた建物が取り壊されて、中心部から駅が直接見られるような町になり始めているんですよね。これはあちこちあると思うんです。ですから、その現実をぜひ直視して、経済産業省らしい仕事をしていただきますよう要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 維新の党、椎名毅でございます。

 本日、一般質疑ということで、四十分質疑時間をいただきました。非常に感謝を申し上げたいと思います。

 本日は、原子力政策、それから再エネ、そして昨今話題の系統接続保留問題、そして日本の経済の動向等について網羅的に質疑をさせていただこうかというふうに思います。

 まずは、先ほどの生方先生の質疑に対して、大臣から原子力発電所の再稼働についてお話がありました。エネルギー自給率が六%である、九四%が輸入である、エネルギー安全保障という観点から、原子力発電所の再稼働をすることが必要であろうというふうにお考えであると。

 さらには、ホルムズ海峡を封鎖されたとき、ホルムズ海峡で原油の八〇%以上を日本は輸入しておりますので、封鎖されたときに困るんじゃないかというようなお話がございました。

 ホルムズ海峡、確かにイラン・イラク戦争のときに封鎖されたことがあるわけですけれども、一番狭いところで大体三十キロ超ぐらい、これを実効的に封鎖することがどこまで可能なのかというのはちょっと私自身もよくわからないですけれども、さらには、ホルムズ海峡自体の戦略的な重要性ということに鑑みて、原油の海峡を迂回して走行するパイプラインというのも今現状で建設されているわけでして、そこ自体を強調するというのは私は余り適切ではないんじゃないかなというふうに思っております。

 エネルギー安全保障という観点から、多様性を確保するというのは非常に重要だと思いますけれども、まず、やはり一番最初に考えるべきは石油備蓄法に基づく備蓄なんだろうというふうに思います。今現状、官民合わせて六カ月分ぐらいは備蓄がなされていますけれども、これを拡充していくとか、そういう観点を先に議論した上で、それで再エネを進めていくということを考えた上で、それでもどうしようもなければ原子力という選択肢を考えていくというふうに思うわけですけれども、改めて、再稼働についてどのように考えているか、御所見をお願いできればと思います。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

宮沢国務大臣 再稼働につきましては、規制委員会の新規制基準のもとで厳しく審査をしていただいて、許可がおりた、安全性が確認されたものについては再稼働を進めていくというのが政府の方針であります。

 なぜ再稼働が必要かといいますと、先ほど生方委員にも少しお話をいたしましたけれども、エネルギー安全保障といった意味で大変今脆弱になっているということ。

 それから、来年COP21というのがあって、地球温暖化の対策を進めるということは、これは世界で、みんなで協力していかなければいけないといったときに、例えば、鳩山政権のときにはかなり大胆な温暖化の目標を立てた、その裏腹で原子力発電所の比率を五〇%にするというようなことがあったように、大変環境にいいエネルギーであるということ。それで、温暖化の対策を進める以上、ある程度やはり原子力というものが必要になってくる。

 そして、もう一つがやはり経済性といった問題で、もう既に中小企業等々から悲鳴が大変上がってきているという状況の中で、エネルギーコストをどうやって低くしていくかということが政府として大変大事だというようなことから、再稼働を進めていかなければいけない。

 一方で、再生可能エネを最大限導入するということも当然政府の方針でありまして、この辺についても、幾つかやはり固定価格買い取り制度等々につきましてはほころび、問題が出てきていることも確かでございますので、その辺もしっかり対応しながら進めていきたいと思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 エネルギー安全保障という観点からは、多様性を確保するということは非常に重要ではありますけれども。せんだって小渕大臣にも質疑を十分だけしました。そのときにもちょっと申し上げたんですけれども、やはり、再エネをどうする、原子力発電所をどうする、それから石油をどうする、石炭をどうするという、このエネルギーの問題については、未来の方向性を国で、政府でつくっていき、ビジョンを提示した上で政策誘導していくということが必要だというふうに思うんですね。

 そのビジョンの提示そのものの中に原子力発電所をどう位置づけるかというシナリオを、恐らく幾つか、原子力発電所数%シナリオ、一〇%シナリオ、〇%シナリオとか、そういうシナリオをつくった上で考えていくということが重要かなというふうに思います。

 あと、コストの話ですけれども、従前からいろいろなところで僕または我々の同僚議員等も指摘をさせていただいていますけれども、原子力発電所のコストというのは、二〇一一年でしたか、コスト等検証委員会の中で一応八・九円前後ぐらいということで落ちついたわけですけれども、これは本当にそうなのかということを改めて検証していただきたいということを政府の方にもお願い申し上げているところだと思います。

 実際、政策経費、それから廃炉の経費、除染等の経費等々を考えたときに、もっと高いんじゃないかという疑問があるわけですから、目に見える電気料金と、要するに税という形で取っている事実上の原子力のコストというのは、両方を改めて考えた上で原子力のコスト全体を考えていくということが必要なのではないかなというふうに思う次第でございます。

 以上より、原子力発電所の再稼働については、私自身は、別に理論的に反対するつもりももちろんなくて、必要であればやればいいと思うんですけれども、やはり慎重に、かつ、ほかのものを見ながら考えていくべきではないかなというふうに思っています。

 もし仮に原子力発電所の再稼働を進めるときにやらなきゃいけないことというのは、手続論だというふうに思うんですね。累次、いろいろな委員会でも私も指摘させていただいておりますけれども、原子力発電所の再稼働が法的な構成としてどうなっているかというと、炉等規制法に基づいて、それぞれ、規制庁、規制委員会の認可、設置・変更許可、それから保安規定認可、こういった認可を三段階経た上で、そのような認可が出た上で、事業者がみずからスイッチを入れることができるという状況になるわけですね。

 避難計画の整備というのは、原子力災害対策特別措置法という法律に基づいて、自治体がみずから整備をする。ここの連動は法的にはなされていないわけですね。原子力防災訓練というのもそうです。

 原子力発電所については、必ず電力事業者が、どこの原子力発電所についても、おおむね公聴会というものを任意でやってはいると思います。今般の川内原発の再稼働に関しても五回ほど九電が行ったというふうには聞いておりますけれども、やってはいるんです。

 しかし、それが全て法的に稼働の条件にはなっていないということで、やらせ公聴会だったりとか、実効性の担保されない避難計画だったりとか、こういったものの中でスルーされてきて、原子力推進という形で進んできたのが今までだったと思うんです。

 三・一一の事故以降、原子力発電所を次に再稼働するときには、やはり手続的な適正性を確保していくという観点が必要なのではないかというふうに思います。

 すなわち、原子力に対する民主的なコントロールという意味ですけれども、それは何かというと、避難計画をきちんと規制庁、規制委員会でチェックして認可をする、訓練の実施を定期的に、法的にまたは政令上義務づける、それから、公聴会の実施自体も定期的に法令上義務づける。こういったことを全て条件とした上で、さらには、どこの範囲の自治体の同意をとるかについても、一応、政令ないし告示ないし何なりの形で法的にきちんと義務づける。最後、原子力規制委員会の安全性審査という形で、工学的な判断ではなくて、当面の間、政治的に意思決定をし、この原発についてはこれこれこういう理由があるので政治的に稼働が必要であるということを意思決定するという、民主的なプロセスをとって原子力発電所の稼働をしていく。

 そういう手続的な担保をしていくことがこれからの時代は必要なのではないかというふうに思います。

 時間的なコストとかいろいろあるので、なかなか難しいというのはよくわかりますけれども、これこそがまさに、原子力に対して反対をする人たちに対する向き合い方でもあり、不安に対する向き合い方でもあり、適切な科学的コミュニケーションなんだろうというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

上田政府参考人 原子力発電所の再稼働に当たって、しっかりとした手続を踏むべきであるという御指摘かと思います。私ども、基本的にはそういった方向で考えております。

 御案内のとおり、原子力の安全性、今政府は大きく三つの部門に分かれていまして、安全性につきましては原子力規制委員会が責任を持つ体系になっております。

 もともと、資源エネルギー庁に原子力保安院というのがあったわけでございますが、これを、三・一一事故を契機といたしまして、より独立性を高めるということで、いわゆる独立行政委員会という形でつくったわけでございまして、安全性につきましては、基本的には、専門家集団であります原子力規制委員の方々がしっかりと判断をしていくということに委ねるというのが今の政府の基本的な方針でありまして、余りそこのところを行政的あるいは政治的にコントロールするのがいいかどうかという論点もあろうかと思います。

 二番目に、エネルギー政策につきましては、私どもが経済産業省として責任を持っているわけでございまして、原子力の位置づけ等々につきましては、エネルギー基本計画の中で、これは閣議決定という形で原子力の位置づけをさせていただいたところであります。もちろん、今後さらにこれをブラッシュアップしたり、エネルギーのミックスというのをつくっていかないといけないわけでございますが、エネルギー政策につきましては経済産業省で責任を持っているわけでございます。

 避難計画につきましては、法令上は、御案内のとおり、災害対策基本法等に基づきまして地方自治体がこれを作成するということでございます。その点につきましては、内閣府、この間も体制を大変強化させていただいたところでございまして、そういったところが必要に応じましてワーキングチームをつくりまして、地元の避難計画を指導させていただいたり、それから、本部におきましてその後具体的な合理性を確認したりという手続を踏んでいるわけでございます。

 より総合的に、体系的にという御指摘もあろうかと思いますが、今の基本的な政府の手続は、それぞれのつかさに応じながら、きちっとした手続を踏まえながら原子力の再稼働を進めていく、そういうような状況になっていると考えております。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

宮沢国務大臣 委員御指摘の点というのは、かなり大事なところであると私も認識はしております。

 ただ一方で、例えば今の鹿児島県、川内原発をめぐる状況でも、公聴会等々、知事さん、また市長さん、いろいろ努力していただいて、かなり再稼働についての理解は進んだと思っておりますが、一方で、当然のことながら、反対だという方、また絶対反対だという方もいらっしゃるわけでありまして、いっときまでにどうだということではなくて、やはり計画等々も常にブラッシュアップする必要がありますし、そして、常に理解していただくための努力を地方自治体においても我々もやっていくということが何より大事なのかなというふうに思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 エネ庁の参考人からいただきましたお話も、つかさつかさで決めていくという話、これが日本のお役所のシステムだと思うので、それはよくわかっているんです。

 しかし、結局、政治側は、これは規制庁、規制委員会の決めることである、工学的安全性それから科学的安全性に依存をする話であるということで、政治側は役所側に責任を寄せて、役所側は役所側で、エネルギー基本計画によって、閣議決定できちんと判断されている、これは政治的なものである、十分に政治的意思決定がなされていると言い、責任を寄せ合って何だかんだ言って、さらには地方自治体も、国が責任をとってくれるのはありがたいと言い、電力事業者も、再稼働に関しては公に認められたことであるというふうに言い、責任を言葉の上で他者に寄せるわけですね。

 自分たちの責任でこれを再稼働するとは誰も余り言いづらい状況ができているわけです。役所的に言うとデマケという話なのかもしれませんけれども、そういう話で、要は、責任が分散されているんです。これを私は、勝手に称しているんですけれども、政治的無責任の構図というふうに呼んでいるんです。

 アメリカのNRCは、NRCの下に実務部隊がいっぱいいるわけですけれども、NRCは日本の規制委員会のように専門家の委員会の方で議論をする場ということになっているわけですけれども、NRCの議決の前に事務方部隊で決議をとって、その上で公聴会を開いたりとかすることが法律上定められているわけですけれども、その上で、NRCが最後、政治的意思決定に近い決断をするわけですね。

 そういう意味で、要は、私が提示しているような、要するに政治的な意思決定をするということ、その上で一応法的なプロセスをとるということを、アメリカでは割と実現されているんじゃないかというふうに思うからこそ、私は御提言を申し上げているわけですね。

 実際に、各役所の方々、電力事業者の方々が頑張られているのはよくわかりますけれども、やはり、誰がどういった責任で、何を考えて、全て統括して責任をとるということを明示的にやっていくことがこれからの時代は必要ではないかなというふうに思います。

 法律上定められていなかったんですけれども、二年前ですか、大飯原発を再稼働したときに、時の野田総理が記者会見をして、原子力発電所を自分の責任で再稼働するというような話をしたわけです。あれは別に法律の根拠に基づくものでも何でもないですし、私は民主党政権の原子力事故に対する対応というのは全く評価していません。しかし、少なくとも政治家として、ああいう記者会見をして、原子力発電所の再稼働をするというふうに、自分の責任で、この原発が必要だからやるんだと言ったことについては、リーダーという意味でいうとかなり評価できるのかなというふうに思っておる次第でございます。

 やはり、これからの時代はこういうプロセスをとっていきたい、いくべきであろうというのは、原子力発電所についてそう思う次第でございます。ぜひ御検討いただきたいなと思います。

 次に行きます。

 条件づけという意味でいうと、もう一つ、実は条件づけをしてほしいと私自身が思っていることがあります。それは、原子力発電所に直接関係する話ではもちろんないわけですが、間接的にというか、非常に大きく関係のある最終処分の話ですね。

 今現状、最終処分については、六ケ所村のサイクル事業そのものも、新規制基準の適合性審査を受けているという状況で基本的にはとまっていますし、さらには、放射性廃棄物の最終処分について、大きな、グローバルな方向性自体は決まっている、最終処分計画書というもので決まっているんだと思いますが、実際にどこでどのように最終処分をするかというところまで決まっているわけではないわけですね。

 いわゆるトイレのないマンション論という議論が、巷間、いろいろやはり原子力については言われるわけですね。最終処分の仕方をきちんと決めないで原子力を走らせ続ける時代では既にもうないんじゃないかというふうに思うんです。原子力を走らせるとなると、やはり最終処分の方法を決めて、将来に向けて責任をとるという意思表示をすることが大事じゃないかと思うんですけれども、今の現状のサイクル事業それから放射性廃棄物の最終処分についてどうすることになっていて、それから今後どうすることになっているのか、原子力の再稼働とどう連動してくるのかについて、御意見をいただければと思います。

関大臣政務官 現在、高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題でございますけれども、まず、そちらの方の件につきましては、原発の再稼働の有無とかいうふうなことにはかかわらず、本当に現世代の責任として解決すべき課題である、その点については委員と思いを同じくしておる次第でございます。

 そのように、原発につきましては、いかなる事情よりも安全性を最優先して、今度、新規制基準に合わせまして再稼働を進めようとしている中におるわけですけれども、最終処分地というのは、その問題とはまた別途おいて、しっかりと考えていかないといけないというふうな捉え方をしておりまして、最初の調査にも今に至るまで着手できていなかったような状況でございまして、その点については反省するべきと素直に考えておる次第でございます。

 昨年の十二月に、最終処分の関係閣僚会議を開催させていただきました。そこで、国がより適性が高いと考えられます地域を科学的な有望地ということで提示をいたしまして、重点的な理解活動等を行っていくという方針を決定させていただいたところでございます。

 また、ことしの九月に開催されました同会議におきまして、科学的有望地の具体的な基準等につきまして専門家のさらなる検討を進めていこうということを決め、さらに、十月には総合資源エネルギー調査会での議論を開始したところでございます。

 本当に、次の世代にこのような課題を先送りしないように、国民の方々や地域の御理解を得ながら進めてまいりたいと思うわけでございます。

 今、もう一つ、サイクル施設のことにつきましても言及がございました。

 六ケ所再処理工場など、日本原燃株式会社のサイクル施設につきましても、本年一月なんですが、同社が原子力規制委員会に新基準の適合性確認を申請したというところでございまして、現在、同委員会による審査が継続しているところでございます。

 いずれにしましても、原子力規制委員会によります安全性の確認ということがしっかりと実施されまして、また、日本原燃におきましても、新規制基準に係ります同委員会の審査に適正に対応していくことによりまして、できるだけ早い時期に再処理の工場が竣工していくことを期待したいと考えておる次第でございます。

椎名委員 御丁寧な答弁ありがとうございます。

 重要であるとおっしゃっていただけるのは非常にありがたいんですけれども、重要であるがゆえに、要するに、再稼働するかしないかとは関係なく、重要だから取り組むと。要は、それは裏を返すと、再稼働はこれと関係なく行われるということなんですね。

 結局、今現状、使用済み核燃料というのがどこにあるかというと、日本全国五十基ある原子力発電所の使用済み核燃料プールの中にある。一部取り出されて、乾式キャスクの中に入って、キャスク保管庫にある。要はサイトの中に、オンサイトにあるわけですね。使用済み核燃料プールの中に、全体の容量が大体二万一千トンぐらいの容量で、そのうちの三分の二ぐらいは既に埋まっているわけですね。やはり、稼働するしないということと燃料の問題というのは、かなりきちんと連動させて考えなきゃいけないんだと思うんですね。

 サイクル事業を維持するのか、しないのか。直接すぐ処分するのか、しないのか。サイクル事業を維持するとしても、では、維持した後、サイクル事業のでき上がった後のもの、これを、最終処分をどこでどのようにやるかということの方向性が決まっていないわけですね。

 今、政務官がおっしゃられたとおり、最終処分法という法律ができたのが今から十数年前ですね。それから約十四、五年ぐらいですか。要は、最終処分地の選定というのは重要であると、恐らく僕でなくても質問していると思いますし、皆さんでなくても、大臣それから事務方が答弁されていると思いますけれども、この間、十五年来、多分重要であると言ってきたんだと思うんです。

 にもかかわらず、やはり非常にハードルの高いものであり、恐らく、最終処分地に選定された場所の周辺住民の反応というのが非常に厳しいがゆえに、見て見ぬふりをしてきたというか、先送りをしてきたんだろうというふうに思うんですね。要は、これは同じことの繰り返しになりませんかということです。

 実際、ワーキンググループをつくってこれから検討していきますと。要するに、科学的に理想的な地層処分地の条件というものの基準を出すというところまでは言われているわけですけれども、そこから、では、何県何市、どこどこ町に最終処分地をつくりたいと思うので、周辺住民の公聴会をしたいと思いますというところに踏み込むか踏み込まないかでやはり全然違うんだと思うんです。

 今まで十五年放置してきて、これから同じように一生懸命頑張りますとおっしゃっていただいていますけれども、同じようにまた放置されたら、結局、トイレのないマンション論が引き続き続くわけですね。そのあたりについて、要するに、今までとこれからとをどう変えていくのかについて、もう少し御説明いただければと思います。

上田政府参考人 最終処分法をつくりまして十年以上が経過しました。御指摘のとおりでございます。

 過去十年間の大きな反省は、それぞれ最終処分地になっていただく市町村に基本的にまず手を挙げていただく、その手を挙げたところにつきまして国がいろいろな理解活動をやっていく。御存じのとおり、幾つかのところで手を挙げる動きはあったわけでございますが、周辺の反対であるとか、都道府県の反対であるとかといったことから、最終的に処分地が決まらない状況が今まで続いているわけであると思います。

 私ども、これではいけないというのは本当にそのとおりだと思っておりまして、昨年末に関係閣僚会議を、十二月に開催したわけですが、そのときに最終処分に関する関係閣僚会議をつくったわけであります。これは何のためにつくったかといいますと、政府全体の意思としてしっかり最終処分を進めていこうということを、行政府全体の意思としてしっかりやっていこうという意思のあらわれでございます。

 具体的にどうやっていこうかということでありますけれども、過去の反省に鑑みますと、やはりそれぞれの市町村に、私、やりたいと手を挙げていただく方式というのは必ずしもうまくいかなかったということでございます。

 今考えているやり方は、まず、科学的有望地につきまして、例えば火山から何キロか、十キロ、二十キロといったところは最終処分地として適切ではないとか、活断層から周辺どれだけはだめであるとか、そういったさまざまな科学的な知見の上で、最終処分地として適当ではないというようなところを除外しながら、日本全国でどういうところが科学的有望地であるかということをまず国の方でお示しさせていただきたいと思います。そのための基準づくりというのを今審議会の方で御議論いただいているところでございます。

 それを踏まえた上で、かつ並行しながら、今、都道府県知事会あるいは市町村会等々にも、最終処分はまさに先送りをしてはいけない問題でございますので、私ども、知事会の方々、市町村会にも、こういうことをしているんだと、どうしても最終処分地というのはいわば迷惑施設みたいなところがございますので、知事会、市町村会にもそういったプロセスの御理解をいただきながら、適切なタイミングで、そういった形で国の方からこういったところが適切であるということをお示しさせていただいて、今度はそこにむしろ理解活動をやりながら、その地域について御理解をいただきながら最終処分地の選定を進めていく。

 やや、地方自治体のイニシアチブから、国がむしろ前面に立ったイニシアチブに変更するというのが今の私どもの考え方でございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 手挙げ方式だったと聞いて、ちょっとびっくりしたんですけれども、それはだめですよね。最終処分場が近くに欲しいというのは、過疎地で交付金が欲しくて、活性化のために手を挙げたいという自治体のトップの方はいらっしゃると思いますけれども、周辺住民の反対を押し切ってまでそれができるだけのポリティカルキャピタルを持った自治体の首長というのはなかなかいないわけでして、手挙げ方式でやってきたということは反省をして、国からやるということで考えていかなきゃいけないだろうというふうに思います。

 やはり非常に政治的にもタフな決断になるでしょうし、なかなか、だから、今すぐ、ここの何県何市で、どこでということを決めるわけにはもちろんいかないわけですけれども、早急に最終処分ということについて決めていかなきゃいけないだろうと思います。

 私自身は、やはり最終処分の大きな方向性と、こういうところにやりたいという国の方向性を出すこと自体を条件とした上で原子力発電所を稼働していくというのが一つのあり方だとは思いますが、ハードルが高いということもよくわかるので、別々に切るということは、それはそれで基本的には理解はします。ただ、引き続ききちんと並行的に考えていただかないと困る問題でありますので、じっくり取り組んでいただければと思います。

 引き続き、さらにもう一点。福島の廃炉・汚染水対策ですけれども、廃炉・汚染水対策について、国が前面に立つとずっとおっしゃっていただいております。実際、国が前面に立つということで、いろいろな形でお金を出して、さらには廃炉・汚染水対策チームをつくってやっていただいているのは理解をしています。

 しかし、例えば、何で凍土遮水壁をやったのか。これが一番短期に、一番即効性の高い形で壁をつくることができるとか、いろいろな御説明があるとは思います。

 しかし、やはりこれは、理屈の上でいうと、私有財産である東京電力の敷地の中の東京電力の建物に雨水が流れ込んでいく。そこに恐らく、土地に付合するか建物になるのかわからないですけれども、建物に近い、要するに建築物になるのかわかりませんけれども、東京電力の私有地の中に、国有財産でそのような東電の所有に帰するような構造物、壁をつくってやるというのがなかなか難しかった結果、最先端の研究に対する補助金という形でお金を出したんだというふうに思うんですね。その結果、三百二十億でしたか、かけて、凍土遮水壁という難しいプロジェクトに取り組むということになったわけですね。

 私は原子力特委の中でもよく提言しているんですけれども、例えば堀を掘って雨水が流れ込むのを防ぐとか、もっと端的に、さらにコストが安く、同じ効果を発生するようなことができるんじゃないかというふうに思うわけですね。そういうことを考えたときに、やはり国が前面に立つということの意味をどこまで求めるかという問いに恐らくなると思っていて、私自身は、予算委員会の中でも何度か提言させていただきましたけれども、もう国有化した方がいいんじゃないかなというふうに思って、東電の福島のあそこを国有化した上で、国が所有者、国が委託者となって、東京電力、それ以外の海外の事業者等々に委託をした上で処理をする。

 これは、東京電力に対して、もし仮にふぐあいがあったらいつでも別の事業者にやってもらえるんだという、契約を切れるんだという委託者パワーを持って東京電力には国が当たっていただくということがいいんじゃないかと累次提言をして、主張しているわけです。

 国が前面に立つ廃炉政策というのにどこまでコミットするかというところについて、改めて御所見をいただければというふうに思います。

高木副大臣 今委員御指摘のような考え方というのもあると思うんですね。

 まず、廃炉・汚染水対策については、炉の設置者が、現場に精通して、これまでさまざまな作業に取り組んできた東電が実施主体として責任を引き続きしっかり果たしていくことが必要である、このように考えています。

 これは、あれだけの事故を起こして、では後の尻拭いというか解決は国がやりますよ、こういう形になった場合には、事業者の方は、これは東電以外も含めて、この問題に対して責任を放棄していく、こういうふうになりかねない、こういうこともあると思います。

 その上で、昨年末の閣議決定で、そのような観点から、政府として、廃炉や汚染水対策などの福島第一原発の事故収束は、東電が責任を持って取り組むことが基本である、こういう方針を固めました。ただし、あれだけの事故でございますから、では東電がやったんだから東電が全部やれよと言ったって、なかなか無理な部分がございます。

 仮に福島第一原発の事故炉を国が買い取る、そうなれば、現場に混乱が生ずるとともに、結果として全ての費用が国民全体の負担になりかねない。

 また、単に原発を国有化すればこうした課題を解決できるというわけではなく、逆に、行政の肥大化、事業の非効率化、新たな懸念も生ずるということです。

 現在、御存じのように、廃炉・汚染水対策現地事務所において、国として日々発生するさまざまな問題点を把握しながら、私自身も現地対策本部長として廃炉・汚染水対策現地調整会議というのを毎月一回開かせていただいて、現場に行きまして、各省庁、そして東電またはメーカー等も集まっていただいて、そこでしっかりと管理をする、チェックをする、そういう形で前面に出ている、こういうような形をとらさせていただいております。

椎名委員 ありがとうございます。

 行政の肥大化というワーディングは、大体、我々みたいな、いわゆる第三極という野党が使って、政府を批判するときに使うワーディングなんですけれども、僕が言われるとちょっと思わなかったのであれですけれども。

 行政の肥大化という観点で申し上げますと、基本的にはアセットがふえるだけだと思っていて、アセットに伴う責任というのを国がとるということなのかなと思っています。コストについても、関東一円に住んでいる東京電力を使っている人が負担をするのか、それとも日本全国、国民が負担をするのかの違いに基本的にはすぎないと思っていて、今回の事故は東電が起こした事故であり、東電が責任を持つというのはそのとおりだとは思いますけれども、国策として原子力を進めてきた結果でもあり、これによってメリットを受けてきたのは日本国民全員だと思うので、やはり日本国国民が負担をするという発想の方がむしろ正しいかなというふうに私は思います。

 さらには、確かに事業者責任というのが第一義的には正しいと思いますけれども、要は、賠償責任というのと片づけの責任というのは分けて考えた方がいいと思っていて、事業者が負担をするのは、優良事業と不良事業を例えば仮に切り分けたとすると、優良事業をやっている東京電力が賠償責任という形で負担をするというのが恐らく適切だろうと思いますし、逆に、事故の収束というのはもう本当に世界的な一大事ですので、東電が一義的に責任を持つといって、そこで切り捨てるわけではなくて、やはり日本国が世界に対してやっていかなければならない、責任あるべき仕事であるという認識を持って国がやるのが妥当かなというふうに私自身は思います。どうぞ御検討をさらにいただけると非常にありがたいなというふうに思います。

 ちょっと時間の不安があって、一つ一つを丁寧にやってきたら、もうあと五分ぐらいになってしまったので、幾つか飛ばして、最後、今後の経済の動向等について伺いたいと思います。

 大分飛ばしますけれども、大臣がせんだって、つい数日前だと思いますけれども、法人実効税率は二・五%ほど下げた方がいいだろうと。これは今後の成長という意味も恐らくあるかとは思いますけれども、しかし、それは課税ベースを拡大するという意味、課税ベースを拡大して景気をもう少しよくしたいという発想も恐らくあるんだろうと思って、今の景気の動向等を含めて伺いたいんです。

 今の景気、特に、来週ですか、十七日に七―九月期の指標が速報値で出るという話になっておりますけれども、今の景気動向というのをどう見ていて、特に投資と消費という意味ですけれども、先ほど大畠先生からも消費動向についていろいろ御意見がありましたけれども、今どう見られているか。

 さらには、経済閣僚として、消費税の増税を、今ここで法律に定められているとおり、来年の十月一日に施行することについてどう思われているか、御意見いただけると非常にありがたいなと思います。

宮沢国務大臣 経済全体の流れとしては、アベノミクスが成功して、一年前、二年前と比べてよくなってきていると思っておりますけれども、設備投資はかなり出るようになってきておりまして、大変心強く思っておりますが、やはり消費の動向が、夏の気候が少し、不順であったというようなことがあって、消費がいま一つ足踏みしている。それが九月に入り、十月に入っても続いているというところは相当、注視していかなければいけない、それなりの対策が必要であれば、対策を打っていかなければいけないことだと思っております。

 一方で、消費税の引き上げにつきましては、十一月十七日に七―九月の四半期の第一次QEが発表されまして、そういう数字等々を見ながら、総理が最終的な御判断をされることになろうかと思います。

 経済が弱含みの中で、来年の十月一日に引き上げた場合に、さらに経済が悪くなるというようなリスクをどう考えるのか。一方で、引き上げを延期した場合には、財政の健全化に対する不安というものが少し出てきて、それが金利に与えるリスクといったものをどう考えるのか、その辺をよく御判断されることになろうかと思います。

椎名委員 時間も来たので終わりますけれども、恐らく消費は、多分、天候要因だけでは説明し切れないだろうと思います。この七―九月期の状況というのは、かなり落ち込むことが想定されているわけです。やはり、このまま来年の十月一日に消費税の増税を法律に定められているとおり施行するとすると、実質賃金が低下している中で、さらに消費が冷え込むことは恐らく間違いないだろうというふうに思います。消費が冷え込めば、トータルのGDPが減ることは間違いないわけでして、やはり、そのあたりについて考えるべく考えて、きちんと消費税の増税をするかしないかの判断はしていただかなければならないというふうに思うわけです。

 消費税の増税については、我々の党で先送りのための法案というのを出したんですね。つるしもおりていなければ、議論の対象にも恐らくなっていないと思いますけれども、こういう法案を出しているので、やはりこういう法案の議論をすることが本筋なのではないかというふうに私は申し上げた上で、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございます。

江田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 小池政就でございます。

 おはようございます。私もきょうは二十分質問時間をいただきまして、こんなときではありますが、感謝して質問させていただきたいと思います。

 エネルギー政策を中心に改めてお聞きさせていただく点が多いかと思いますが、まず原発についてでございます。

 老朽原発の延長申請でありますとか廃炉でありますとか、それをどうするかということに関しまして、申請等を考えると、そろそろそれを決定しなくてはいけない時期に近づいている原子炉が七基あるわけでございますが、それについて、経産省として扱いをどうされるか、まずお聞かせいただけますでしょうか。

上田政府参考人 御案内のとおり、法律上、原子力発電所の運転期間は原則四十年ということになっておりますが、その満了に際しまして、原子力規制委員会の認可を得た場合には、一回に限り上限二十年まで、つまり六十年までは延長することができるという制度でございます。

 それで、来年の四月から七月の間に、四十年超の運転申請を行うとすれば、その対象となるのが御指摘のように七基あるわけでございまして、先生御指摘のとおりでございます。

 それで、小渕前経済産業大臣の時代に、電事連会長の八木会長と面談をさせていただきました。その際、特に今の七基につきまして、どのようにしていくのか、廃炉にするのか延長申請するのか、そういう対応方針をしっかりとお示しいただきたいということをお願いさせていただいたわけであります。

 もちろん、廃炉するかどうかは各事業者の判断ということでございますけれども、こういった来年四月から七月に申請をする必要がある炉につきましては、期限を見据えた上で、適切なタイミングで御回答いただけるものと承知しております。

小池(政)委員 制度と事業者の判断ということは理解しているところでございますが、大臣にお聞きしますが、政府として、延長についてどう考えるかということを伺いたいと思います。これまでも、小渕大臣からは新設、増設は検討していないということでございましたが、延長は果たしてどうなんですか。お願いします。

宮沢国務大臣 延長につきましては、今長官が答弁したように、まず事業者が御判断いただく必要があるわけですが、延長するという判断をした炉につきましては、規制委員会の方でしっかり安全性のチェックをしていただく、こういうことになろうかと思います。

 そして、その場合、安全性が確認されれば、それなりの延長をしていくということになると思います。

小池(政)委員 そうすると、延長に関しても、安全審査を経ればそれは認めるということでございますけれども、地元の同意というものも、これは恐らく再稼働とまた違った観点からの許可を得ることが必要だと思いますし、また、私たちは、その前に、まずは自分たちで電力を選択できる仕組みをつくっていくべきだということを常々訴えておりますので、その点については、ぜひ、地元、それから電力の自由化、まずそれを最初にやるということにしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 また、小渕大臣からは円滑な廃炉を進めるという話もありました。これは九月五日の閣議後の会見でございまして、宮沢大臣もそれを踏襲する意向ということでありましたけれども、廃炉を円滑に進めるということでありますけれども、その環境整備、方針とか内容について、具体的にどのようなことを考えているんでしょうか。

宮沢国務大臣 原発依存度を可能な限り低減させていくということが方針でございますから、廃炉となる炉というものがそれなりに出てくるということが当然前提でございます。

 一方で、廃炉の判断につきまして、事業者が基本的にするわけですけれども、やはり幾つかの環境整備というものが必要でございますので、十月に原子力小委員会におきまして、会計も含めて専門家による詳細な検討が必要であるということになったことから、今後、さらに具体的な対応策について技術的な検討を開始する予定であります。

 これらを踏まえて、どのような措置が考えられるか、しっかり検討してまいります。

小池(政)委員 会計の話は前から出ていまして、それは会計をゆがめるという方針であると思います。

 一方で、例えば、今ほかの委員会でも議論されておりますけれども、廃炉とか汚染水対策を円滑にする上で、国外からの協力を求めるという際に重要な取り組みが本来はあるはずなんです。CSCでありますけれども、まずその関連といたしまして、事実確認をさせていただきたいと思うんです。

 アメリカの裁判所で、福島事故において、米兵がそれに対してトモダチ作戦という形で救助、援助をしてくれた、その損害賠償を求めた訴訟というものが米国の方で検討されているということでございますけれども、その点、今どうなっているか教えてください。

上田政府参考人 東京電力の福島第一原子力発電所の事故に関しまして、アメリカのカリフォルニア地区の連邦地方裁判所におきまして、トモダチ作戦に参加をした原子力空母の乗員等々の方から、東京電力に対して提訴が行われているところでございます。これもまた、アメリカの連邦地方裁判所において審理が係属されている状況であると承知をしております。

小池(政)委員 今の点、金額がどの程度かということと、それから、その場合に訴訟はどこで行われるか、その点も教えてください。

上田政府参考人 ちょっと今手元に、金額等々正しいかどうかわかりませんけれども、訴訟そのものは、今申し上げました米国の南カリフォルニア地区の連邦地方裁判所に係属をしているわけでございます。当初の請求内容は、原告らの医療検査、あるいは治療の費用を賄うために約一千億円程度の基金の設立等々であったと承知しておりますけれども、ちょっと、現状、詳細はよく把握しておりません。

小池(政)委員 今おっしゃったように、一千億円以上、十億ドル以上の訴訟、かつ米国で行われるかもしれないというような状況であるわけでございます。だからこそ、今回CSCというものが大事だということでもありますし、また、これから汚染水対策また廃炉対策を行う上でも、このCSCは早急に条約を私たちが認めていかなくてはならないということで、国会でも真摯に取り組んで、かつ中身が不十分であればそれに附帯等をつけながら審議を行ってきたわけでございますけれども、これが今の状況でいいますと、もしかしたらこの国会で廃案になってしまうかもしれない。衆議院も通るか通らないかわからない。

 その状況で、果たして本当に政府が円滑な廃炉とか汚染水対策とかを進める気があるのかということが非常に私たちにとっては疑問に思えるところなんですが、その点、大臣いかがですか。

上田政府参考人 CSC条約でございます。これは、裁判管轄を集中いたしたりというような非常に重要な条約であると考えておりまして、現在、外務委員会におきましてCSCの条約の御審議をいただいているところでございます。

 また、関連の国内法につきまして、原子力損害賠償法の改正等々の法案も出しておりまして、政府といたしましては、これらの早急な御審議、成立をお願いできればと考えております。

宮沢国務大臣 私の立場としては、早期に成立をさせていただきたいと申し上げる以外にはないと思います。

小池(政)委員 こういうようなことを置き去りにしてまで、なぜか今、総選挙の動きが高まっているということは本当に納得できないところでありますし、かつ、被災地の声、大臣は一回行かれたということでございますけれども、しっかりと聞いた方がいいと思いますよ。その上で、やはり今の現状を考えて、かつ、彼らの生活というものも含めた上で再検討すべきだと思います。

 また、今回、このCSCに当たりまして、当委員会でも審議されました原賠機構法でありますとか、また、その前提となる原賠法についても、それを一部修正しなくてはならないということで議論が行われてきたところでございますけれども、それも結局はかなりマイナーチェンジというところにとどまってしまいました。

 この点も、被災者の方々がやはり心配をされているのが、今の原賠の賠償の制度ですと、国が一番先にいるというか、遠くにいるわけなんです。東電がいて、原賠機構がいて、それで国がいる。それも結局は、今の原賠法自身が事業者に無限責任を課して、足りなければ政府が援助してやるよというような仕組みになっているのを、抜本的に本来、今回見直すべきだという時期であったにもかかわらず、それが全くなされずに、しかもたなざらしになっているという、非常にここは私たちは懸念する、そんな課題だと思っております。

 そこで、原発について、大臣にこの件もまだお聞きしていなかったので確認しますけれども、CfDと言われますイギリスの原発に対する差額決済契約ということが検討されているんじゃないかという報道が一部ありましたけれども、この点、導入するつもりはあるのでしょうか。

宮沢国務大臣 エネルギー基本計画におきましては、電力システム改革によって競争が進展した環境下において、原子力事業者が円滑な廃炉や安全対策、安定供給などの課題に対応できるよう、事業環境のあり方について検討を行うということとされております。これを受けまして、現在、原子力小委員会において検討を行っているところであります。

 経済産業省として、CfDといった制度の導入を提案したわけではなくて、そういうイギリスで行われている事実の御紹介をしたということはございますけれども、現時点で何らかの措置をするということを決めているわけでは全くありません。

小池(政)委員 検討されているかもしれないけれども、それを決めていないというような話で、ちょっとよくわからなかったんですが、もともと政府が言っていたのは、原発はコスト競争力がある、安価で安定した電源であるということから、自由化においても当然消費者が選ぶことになるだろうというようなことかと思いましたら、このような差額決済契約という形で収入を安定化させる、そのような制度が出てきているというのが非常にこれも理解しがたいところであります。

 その点につきまして、今までの安定、安価ということを、今回、試算を再度行うという話もありましたので、ぜひそこを見直していただきたいと思うんですが、その試算の今の検討状況はどうなっているか、教えてもらえますか。

宮沢国務大臣 エネルギーミックスを早く決めなければいけないわけでございまして、その検討の前提としては、そういう試算というものをもう一度やり直すということになろうかと思っておりますけれども、まだ試算を改定するような状況にはなっておりません。

小池(政)委員 CfDとか持ち出す前に、まずはこの原発の事故を踏まえた試算の再検証というものが必要だと思います。特に、賠償でありますとか事後対応、それから安全対策、前回の試算から大分状況が変わってきておりますので、その上でしっかりと示すべきだと私は思っております。

 また、今、エネルギーミックスという話がありましたけれども、少し関連するところかと思いますが、現在、全国で再エネの接続が保留されているという事態がございまして、これも何回も当委員会で幾つか確認をさせていただいてきたところでございますが、今、接続の保留につきましては、拒否事由という中に優先給電を行うというような事項がございまして、それについて前、今そもそも優先給電を行う前に保留されてしまっている、では、いつ優先給電をやるんですかということをお尋ねしたら、今は答えられる時点ではないということで、この実効性そのものも非常にわからないところでございました。

 そうしたら、この優先給電、ほかの電源の出力抑制ということが求められてくるわけなんですけれども、その程度でありますとか、どの電源を出力抑制を行うか、その判断というのは誰がどのようにするんでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 優先給電ルールに関する御質問でございますが、この優先給電ルールと申しますのは、御案内のとおり、再生可能エネルギー等々を出力抑制する前に、まず、石油、石炭、LNG等々の火力発電の出力を抑制する、そういう抑制の順番を定めたルールでございまして、これは、電気事業法に基づく電力系統利用協議会が策定するルールで定められておりますし、また、固定価格買い取り制度を規定する再生可能エネルギー特別措置法においても同様に定められているところでございます。

 この出力抑制の程度でございますけれども、今のルールに基づきまして、これは電力会社の判断のもと、需要に応じて、安定供給に最低限必要な出力まで絞るといいますか抑制するという形になっているところでございます。

小池(政)委員 ESCJルールに基づいて電力事業者がやるということでございますけれども、そうすると、結局、再エネをどれだけ入れるのか、また長期固定電源をどれだけ保持するか、全部これは電力事業者が判断することになるんです。

 だから、先ほど大臣はエネルギーミックスと言いましたけれども、結局は、その積み上げがエネルギーミックスになるんです。政府が幾ら言おうと、そのような、電力会社が自分たちで決めたものが積み上がって、そこで再エネがどれぐらい入るかということを政府が追認するだけにすぎなくなってしまうんですよ。

 本来は、エネルギーミックス、政府が方針を示して、また、前も紹介しましたけれども、総務省を中心として、全国にどれだけの再エネの賦存量があるかということは調査されていますので、それをしっかり活用できるように、送電網からそのインフラを、政府がグランドデザインを描いて進めていきながら、どれぐらい導入しようということを決めていくはずでありましたけれども、それが全くなされずに、結局は電力事業者に全て委ねられて、その積み上げで恐らく決まってしまうというような、全くリーダーシップが見当たらない。そんな中でのエネルギーミックス、果たしてこれでいいんですか、大臣。

宮沢国務大臣 エネルギーミックスにつきましては今後検討するわけでありますけれども、政府の方針といたしまして、例えば、原発については依存度を低減するとか、また再生可能エネルギーについては最大限導入するというような基本的な方針がございまして、それとやはり合致したようなエネルギーミックスとなるのは当然のことだと思っております。

小池(政)委員 今のままですと、政府が原発をベースロード電源ということを規定して、電力事業者に対して長期固定電源として原発を保持する理由を与えただけにすぎないわけでございまして、結局は、先ほども申し上げましたけれども、この余力を全然自分たちで広げようともしない、政府はそれに対して支援しようともしない。その中で、果たして、このまま本当に、原発の次に、私たちが自分たちで選んで、安全で安価な、安心できる、そんなエネルギー体制ができるかどうかということは非常に不安に思っております。

 自民党の中ではFITも廃止すべきじゃないかとかいう話も出ておりますけれども、ただ、その中でも、一部の自民党議員の方でも、やはり今までの、政府が電力事業者に責任を転嫁してきた、そのやり方を見直すべきじゃないかという話も出ているところでございまして、ぜひ、その点、しっかりと示していただきまして、その点をお願いしまして私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、松田学君。

松田委員 次世代の党の松田学でございます。

 経済産業委員会では初めての質問になりますが、杉田委員が女性活躍で活躍してもらうために、急遽差しかえということで質問に立たせていただきました。よろしくお願いいたします。

 経済産業省といえば、戦後、日本の経済を引っ張って戦後システムを主導した、いわゆる日本株式会社という言葉がありますが、かつては業界と官庁とが縦割りで日本の経済システムをつくってきた時代において、私も大臣も大蔵省の出身でございますが、通産省というのは大蔵省と並ぶスーパー官庁、時には大蔵省を上回る人気官庁という役所だったんですけれども、どうも近年、この経済産業省は大きく役割も変わっているんじゃないか。

 かつてはそうやって産業を引っ張ってきたのに、これから、今は個別の産業を育成するとか、ターゲティングポリシーという言葉がありますが、そういう形で経済成長を追求する時代ではなくて、どちらかといえば、戦後システムが生産者を起点に形成されてきたシステムだとすれば、これからは消費者、エンドユーザーを起点にして社会システムを大胆に再設計しなければいけない、そういう時代に入ってきているように思いますし、従来、パターナリズムの日本だと言われてきたんですが、これからは自立という観点も入ってきています。

 聞くところによると、経済産業省もいろいろと自由化が進んで、本省でいろいろな仕事をするよりは内閣官房とか内閣府にどんどん人を送り込んで、いわゆる国家戦略スタッフ排出官庁だというふうな見方もありますけれども、そういった大きな時代の転換を踏まえて、これからの経済産業行政のあるべき姿について、大臣、どういうふうにお考えになるか、お聞かせいただければと思います。

宮沢国務大臣 大蔵省で一緒に仕事をしました松田議員とこうやって議論ができるのは、大変楽しみにしておりました。

 経済産業省は、いろいろ今お話がございましたけれども、私も、外から見ていたときには、内閣、内閣府にたくさんの経産省の人が出ていく、ほかの役所はもうとても出せる人員がありませんというような話で、結構経産省というのは人繰りに余裕があるのかなと思っておりましたけれども、実際に中に入ってみますと大変でございまして、それはもう、今いろいろ御質問があります廃炉・汚染水対策等々からエネルギーの問題、また、通商の問題、産業政策の問題等々、本当に忙しく働いているので、外から見ているのと随分違うなという印象を受けました。

 そして、通商産業行政という話からしますと、一番わかりやすいのが今回の法人税改革ではないかと思っておりまして、法人税の実効税率、表面税率を下げる、そしてその一方でいわゆるターゲティング的な租税特別措置等々といったものの見直しを行うということは、ある意味では国が誘導するのを少し緩めて、一方で、税率を下げることによってサービス産業を含めていろいろな産業が、我々が知らないような産業も伸びていっていただける、ダイナミズムが出てくる、そういうことを実はやろうとしていると思っております。

松田委員 エネルギーは非常に重要なハードコアだと思いますので、そこはいろいろとお忙しいんじゃないかと思いますが、一方で、個別のターゲティングよりは全体の設計というか、そっちの方が非常に重要になっているような気がいたしております。

 経済産業省に、省庁再編で二〇〇一年に名前が変わりまして、従来の通商産業省から経済という名前になりますと、産業だけじゃなくてマクロ経済もという大変野心的な名前になったんじゃないか。他方で、大蔵省は解体をされて、財政と金融に分離がされた。経済産業省は省庁再編でも無傷で生き残った役所だというふうに私は捉えております。

 そういった意味で、ちょっと経済のことを、マクロ的な観点からの質問をさせていただきます。

 近年のデフレの原因として、いろいろな学者も、日本の交易条件の悪化というのを非常に強く指摘していると思います。いわゆる同じ数量でも高く売れない、高く買わなきゃいけない、稼ぐ力が低下している。

 かつて、二〇〇二年から七年にかけて、いわゆるイザナギ超えと言われるような、当時は、当時も円安だったんですが、やはり国内では実体経済に伴って株価も高くなったということがありました。

 今回は、円安でも、株価は高くなっているけれども、なかなかこれは、実体経済がそれに伴って動いているかどうか。そのリンケージも緩くなっているんじゃないかという意味で、日本経済の実力が下がっているという見方もされています。

 かつて、二〇〇二年から七年の五年間の戦後最長のイザナギ超えのときも、結構、当時も交易条件が悪化していて、生産活動は活発だったけれども、所得が海外流出して、それに比して手取りが悪いという感じの経済だったという指摘もあります。

 自分たちの実入りが悪いという感覚というのは、やはり、景況感は、生産活動の数量よりも、実質の実入りで感じるということも言われていますので、そういった意味で、今回のアベノミクスの景気回復も、なかなか実感が伴っているところが広がってこないという面があろうかと思います。

 ただ、この交易条件の悪化というのは、基本的に、国際競争力の低下、高く売れないといいますか、そうだとすると、ここ二十年ぐらいにわたる産業政策が成功していなかったということになるのかどうか、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 おっしゃるとおり、長期的に見ますと、我が国の交易条件は悪化傾向にありました。ごく最近でいうと、それほど悪化はしていないようでございますけれども、企業が為替の変動を価格に転嫁できないというようなことが指摘されてきております。そういった意味では、このことが企業の利潤を圧迫するとか、また、設備投資意欲を阻害していたというようなことで、日本経済を弱くしていたというところの可能性があり、恐らく否定できない面はあるんだろうというふうに思います。

 ただ、一方で、長期にわたって低迷しておりました設備投資が、かなりここのところに来て改善傾向にあるということは大変心強いことでありまして、このまま日本経済は沈むわけにはいかないわけでございまして、我々としても、そういう傾向を助長するような政策をさらに進めていかなければいけないと思っています。

松田委員 それから、日本がこれから何で食っていく国になっていくのかということなんですが、キンドルバーガーの国際収支発展段階説、お手元の資料にも書いてございますが、一国の経済は六段階ぐらい順々に経ていく。

 日本の場合は、これまで、未成熟の債権国ということで、対外純資産も増加する、経常黒字も増加していく、それから、貿易・サービス収支も黒字であった。それが、対外競争力が低下して、貿易・サービス収支が赤字になって、所得収支の大幅な黒字に支えられて経常収支は黒字というのは、これは成熟した債権国だということで、こういう国になりますと、いわゆる対外投資で食っていく国になるという段階に移行しているのかどうか。

 もしそうだとすれば、TPPというのは、私は、対外直接投資とか、日本が海外で稼いで国内に雇用を生んでいくというのは、非常に大きな意義があると捉えているんですけれども、このあたりについて、大臣はどういうふうにごらんになっているか、お答えいただけますか。

宮沢国務大臣 ここのところずっと海外投資がふえてきた結果、非常に資本収支がプラスになって、ある意味で成熟した債権国というのは、まあ、そうだろうなという気がいたします。

 ただし、では、ここのところでどうかといいますと、貿易収支は赤字なわけでありますけれども、やはり一番大きな原因というのは、何といっても、燃料の輸入がふえてくる、そしてそれが円安効果もあって大変大きいということで、たしか二〇一三年で貿易収支が十一・五兆ぐらいの赤字ですけれども、ここ三年ぐらいで化石燃料の輸入が十兆円ぐらいふえてきているといった状況を見ますと、まだまだ衰える国では全くないと思っております。

 そして、この場でも申し上げましたけれども、成長戦略を成功させる、そして、その成長戦略というのは、日本経済のエンジンを取りかえる作業だと私は思っておりまして、これまでのような、大きくて排気量は大きいけれども環境に悪い、そして燃費も悪いということではなくて、少し小さいかもしれないけれども、燃費のいい、そして環境にいいエンジンに載せかえていく。

 例えて言えば、富士山のような第二のトヨタをつくるということではなくて、小さい山を全国にたくさんつくっていく。特に、中小・中堅企業、地方に頑張っていただきたい。そういう政策を実現することがやはり何といっても大事だと思っておりまして、それこそ日本経済のこれからのエンジンで、少量生産で付加価値の高い産業、企業というものをどうしても育てていくことによって、衰退することではなくて、もっと元気をよくしていかなければいけないというふうに思っています。

 そして、TPPにつきましては、おっしゃるように、大変大事であります。やはり貿易の輸出輸入の総額のGDPに占める割合というのが、ドイツ、韓国あたりにははるかに劣っているわけでありまして、それをふやしていくということは日本のまさに成長のエンジンでありますから、TPPを初めとするそういう国際連携というものはどうしても進めていかなければいけませんし、特にTPPの場合は、これがかなり進んできたということもあって、EUとの関係とか、また中国、韓国との関係等々といったものにも進展が少しございますので、ぜひとも成功させなきゃいけないと思っております。

松田委員 次に、ちょっとエネルギーの問題について経産省にお伺いしたいんです。

 私は、原発をこれからどうしていくか、あるいは理想のエネルギーミックスはどうなるかというのは、これは基本的に技術的な方程式で決まるんじゃないかと思っていまして、いわゆる四つの変数があって、安全と安定を極大化し、そして経済的コストと環境負荷を最小にしていく。極大、極小にやっていく。その方程式の形というのは技術的な要件によって決まってくるというものではないかと思っているんです。

 この中で、今後、再生可能エネルギーというのは、基幹エネルギーにとてもならないというのが今の考え方だろうと思いますが、将来的に見てどうなのか、どの程度の可能性があるのかというのは一度きちっと見きわめをしておく必要があろうかと常々思っています。

 先般、沖縄に出張しましたときに、沖縄科学技術大学院大学が潮流発電を研究していまして、お手元の資料に写真が出ていますが、これは人間の背丈よりもうちょっと大きいんですけれども、この三十倍の大きさの装置を三百基ぐらい海中に設置するだけで原子炉一基分の発電量が賄える。海面下百メートルほどの比較的潮流の安定した位置に置きますと、潮流の速さは秒速一メートル、つまり、人間の緩やかな徒歩に近い速度程度で十分だそうなんです。この潮流発電を実用化できるのは、世界でもカリブ海と、それから極めて潮流の速い日本周辺海域の二つぐらいだという話もございます。

 例えば、日本という国は海洋に非常に恵まれていますので、徹底的に海洋ということを活用していくと、ある程度、再生可能エネルギーで新しい体系を築いていく、その先導者に日本がなれるんじゃないかと、これを見て非常に実感がしたんです。

 海からの送電をどうするか、それから実用化に向けた資金をどうするか、いろいろな課題もあるんですが、しかし、可能性は十分あるような気がいたします。今後のエネルギー体系の構築に当たって、こういう潮流発電の可能性も含めてどういうふうにお考えか、お聞かせいただければと思います。

上田政府参考人 潮流発電等々、日本は海に囲まれているわけでございまして、その海洋エネルギーをどう活用していくのかということでございます。

 まだまだ技術開発の段階ではございますけれども、非常に楽しみなエネルギー源であることは間違いないわけでございます。今、先生御指摘の潮流発電のみならず、海洋エネルギーの中には、例えば波の力を利用した波力発電というやり方もあれば、海洋温度差発電と申しまして、海の表層と深層の温度差を利用した発電もある。あるいは、潮汐力発電といいまして海の潮の干満の差で発電する。さまざまな発電技術の可能性というのが検討されています。

 私どもも、予算をいただきまして、特に潮流発電、潮流発電といいましても、着床式という海底にプロペラみたいなものを置くものから、浮体式として底に垂直にプロペラをぶら下げるやり方とか、あるいは橋の下にプロペラをぶら下げて、そこで潮流発電をするとか、実はいろいろなやり方がございます。

 ただ、これは海の中のことでございますので、耐久性、信頼性、こういうものが非常に重要になってくるわけでございまして、私ども、平成二十六年度に二十七・五億円ぐらいの予算をいただきまして、こういったさまざまな技術開発を進めております。

 私どもとしましては、今の御指摘のとおり、日本は海に囲まれている国でございまして、こういったものが将来本当に実用化されることになれば、また一つエネルギー政策の大きな選択肢になるものと考えております。

松田委員 それから、私、原発については、日本は、福島の大事故を起こした国として、世界の原発の安全に徹底的にこれから貢献していくべき責務を負ったんじゃないかというふうに思っています。それが日本の世界の貢献の一つだろうと思います。そういった意味で、原発技術を維持していくというのは、私は不可欠のこれからの前提だろうと思っています。

 この点は多くの野党も共通だろうと思うんですが、問題は、原発技術を維持するために、今のような大型の商用原発、事故を起こしかねないと言われている、そういうものが必要なのか、トリウム発電とか地下小型原発とか、いろいろな可能性も言われていますが、どうしても商用原発を稼働させる必要があるものかどうか、経産省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

上田政府参考人 特に技術、人材の観点から、これは非常に世界に対して貢献をしていく。エネルギー基本計画の中でも、福島の経験を生かして、世界に原子力発電の安全性、技術等々の面で貢献をしていくというのは記載させていただいているところでございます。

 では、その原子力発電をやるために、今の商用原発の技術を維持することは必要かどうかという点でございますけれども、正直申し上げまして、原子力発電所の安全というものは、やはり運転しながら、あるいはメンテナンス、保守をしながら、そこで得られた知識あるいは経験を技術開発にフィードバックしながら安全性を高めていくということが重要であると考えておりまして、原子力発電所の運転、保守、そういった具体の現場での作業が結果として安全確保に必要な高いレベルの技術や人材の維持につながり、これが結果として世界においても安全性等々で貢献していく場合のベースとなるものであると考えております。

 それから、御指摘のトリウム発電、地下原発、これはいろいろな将来の技術としてはあるわけでございますけれども、もちろん、私ども、現在では原子力発電所の新増設というのは想定していないわけでございます。

 トリウム塩炉といいますのは、トリウムとウランをまぜた、特色は液体燃料なんですね。液体燃料をくるくる回しながら発電をしていくという技術でございまして、いざとなったときには、その液体を固化させることによって安全性が高まる、そういう技術であります。他方で、その液体をしっかり緊急時にも閉じ込めておく技術であるとか、耐久性等々の課題があると考えております。

 また、地下原発、これも、地下なので、いざとなったときに安全性が高いのじゃないかということでもございますけれども、逆に、その地下に対するアクセスをどうしていくのかとか、地下空洞内で、やはり水の問題があるので水のコントロールをどうしていくのか、さまざまな課題があると思いますが、こういった、未来の幾つかの技術の可能性かと思っています。

松田委員 もうそろそろ時間ですので、大臣に最後に一問。

 カジノの解禁、IRというのは、私も推進している議員の一人で、内閣委員会でもやってきた議員なんですが、ただ、よくよく考えてみると、カジノというのはかけごとで、勝った人から負けた人にお金が移転するだけで、何の付加価値も生まない。

 これが成長戦略の柱になっているというのは、どうも本当に、日本は付加価値を上げていって成長するということとちょっと外れているんじゃないかという疑念もあるんですが、もちろん、海外から人が入ってお金を使えばいいということがあるかもしれませんけれども、先ほど大臣も、新しい日本の産業の姿に変えていく、その柱がカジノということではどうかという気もするんですが、大臣はどういうふうにこれを産業政策の立場でお考えか、お伺いします。

宮沢国務大臣 私もかけごととは余り縁がない方でございますけれども、通称カジノ法案と言われておりますけれども統合型リゾート法案でありまして、カジノも一つの目玉でありますけれども、やはり、いろいろな娯楽施設、ホテル、国際会議場等々合わさって、国際的に人に来ていただきやすいものをつくっていく、また国内からも人が行くということで、私も十年ほど前にラスベガスは家族連れで参りましたけれども、なかなか楽しい、子供たちと一緒でも楽しい町であります。

 ですから、そういうものをつくっていくということはやはり一つ成長の大きな柱になるということ、カジノだけではなかなか難しいと思いますが、全体としてやはりそれなりに意味を持っているんだろうと思っております。

松田委員 どうもありがとうございました。

 私もIRを推進する立場として、IRとして成長戦略をやるということで今確かめさせていただきましたが、どうか今後ともIRの推進、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

江田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、製鉄会社の精錬の過程で出てくる鉄鋼スラグが群馬県内におきまして道路などの公共工事に使用される、これに環境基準値を超える有害物質が含有されているということが大きな問題となっております。この問題を取り上げます。

 この鉄鋼スラグは、大同特殊鋼の渋川工場で生成されたものです。このスラグは強アルカリ性で、弗素や六価クロムなどの有害物質が含まれ、環境汚染、健康被害が懸念をされております。

 これまで、大同特殊鋼渋川工場の鉄鋼スラグに起因する土壌環境基準値以上の有害物質が検出された場所として、例えば水資源機構の調査においては、前橋市内の群馬用水と言われる用水路、農業用水などに使われているような。この群馬用水の脇に設置をされた管理道路に使われているですとか、国交省においては渋川市内の国道改良工事とか、また渋川市においてはスカイランドパークと言われる遊園地などでも、こういう有害物質、基準値を超える鉄鋼スラグが使用されているということが明らかとなっております。

 このように、現時点でも多くの箇所で環境基準を超える有害物質を含む鉄鋼スラグが公共工事に使用されてきたことがわかります。

 大同特殊鋼渋川工場の鉄鋼スラグの使用場所というのはさらに広い場所にありまして、国道のバイパス工事ですとか八ツ場ダムの代替地の造成地にも使われておりますし、前橋市内で土地改良を行ったような水田に接するような市道においても使われておりますし、渋川市では、先ほど言った遊園地の駐車場に限らず、保育所の駐車場ですとか自然公園の遊歩道とか土地改良事業の市道など、広範囲に及ぶ極めて重大な問題であります。

 そこで、まず国交省にお尋ねをいたします。

 大同特殊鋼渋川工場の鉄鋼スラグの出荷が始まった平成三年度以降、群馬県内で国交省の直轄工事が三千八百カ所行われているということですが、この三千八百カ所において、渋川工場の鉄鋼スラグの使用実態については全容を把握しているのか。露出している部分についての一部の調査ということもお聞きしたんですけれども、露出していないような場所の調査を行っているのかどうか。この点を教えてください。

山田政府参考人 お答えいたします。

 関東地方整備局が大同特殊鋼株式会社に対して聞き取り調査を行ったところ、同局が施工いたしました四十七工事の施工箇所に対して鉄鋼スラグを出荷した記録があるということと、出荷先不明の鉄鋼スラグがあるということが判明をいたしました。

 鉄鋼スラグは必ずしも有害というわけではありませんけれども、このことを踏まえまして、関東地方整備局におきましては、同局が群馬県内で実施しました約三千八百工事のうち、砕石等が現時点で露出した状態となっている九十二工事の施工箇所につきまして、鉄鋼スラグの混入を確認する調査を実施しているところです。

 このうち、鉄鋼スラグと類似する材料が確認された二十六工事、それから鉄鋼スラグの出荷記録がある四十七工事を合わせ、重複の十七工事を除きます五十六工事の施工箇所につきまして、現在、群馬県の環境森林部からの助言を踏まえまして、有害物質の含有量などについて分析を実施しているところです。

 これらの取り組みは関東地方整備局が先行して実施しているところですけれども、鉄鋼スラグに関する課題については、このスラグが群馬県内の公共事業等に広く使用されてきたことから、今後、国、県及び関係市町村が一体となって取り組む必要があるというふうに考えております。このため、関係者が相互に情報共有を図りまして、連携して対応等を行うため、関東地方整備局と群馬県及び渋川市が共同で連絡会議を設置することとしております。

 御指摘の点も含めまして、今後につきましては、群馬県の環境部局を含む関係機関と情報共有を図って、連携して適切に対応していきたいというふうに考えております。

塩川委員 私、質問で、鉄鋼スラグの出荷を大同特殊鋼渋川工場が始めた平成三年度以降、群馬県内の直轄工事三千八百カ所について、露出していない場所の調査も行っているんですかと聞いたんですけれども、イエスかノーかでお答えください。

山田政府参考人 現在、出荷先不明の鉄鋼スラグの場所等を調査するかどうかにつきましても、今後、国、県及び関係市町村が一体となって取り組んでいく必要があるというふうに考えているところでございます。

塩川委員 第一次の調査では露出していない部分のところも一応やっているわけですけれども、今度広げたわけですから、そういう点で、まだそういう全容の解明に至っていないという状況があります。

 鉄鋼スラグが必ずしも有害というわけではないというお話もありました。その面ももちろんありますけれども、ただ、この大同特殊鋼渋川工場の鉄鋼スラグについては問題があったということは、既に、土壌環境基準を超えるそういう鉄鋼スラグがあったということは、調査、分析で明らかなわけであります。

 そういうのも、渋川工場でつくっているものが、愛知の知多工場などの自動車製品に対して、この渋川工場では航空機用品の特殊な製品をつくるということになりますと、当然、ステンレスなども多いものですからクロムを使うことになる。それが結果として生成過程の中で鉄鋼スラグに六価クロムを含むということにもなります。また、溶かす電炉でいろいろなものを入れますから、流動性を高めるために蛍石という石を入れると、弗素がたくさん出てくるわけですよね。それが結果として、弗素や六価クロムがたくさん出るということにもなっているわけであります。

 こういったものが広く、道路用の資材など公共工事に使われてきた。経産省が大同特殊鋼側にこの面で問い合わせもし、聞き取りした調べの中でも、公共工事だけではなくて民間工事でも使われているということもあるそうであります。影響が広範囲になる懸念があるわけであります。

 そういう意味でも、繰り返しますが、全容が明らかになっていないので、こういった大同特殊鋼の鉄鋼スラグ使用場所の全容を明らかにすることに対して、国の方が群馬県や当該市町村と連携して、この取り組みをさらに進めることを改めて強く求めておくものであります。

 そこで、環境省にお尋ねをいたします。

 鉄鋼スラグのリサイクルの使用との関係でお聞きしますが、土壌環境基準を超えるような有害物質を含む鉄鋼スラグというのは、廃棄物の定義における物の性状という面から見れば、当然、廃棄物に当たるのではないかと考えますが、いかがですか。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の鉄鋼スラグが廃棄物に該当するか否かという点でございますけれども、個別具体的な判断につきましては、産業廃棄物の適正処理に関する指導監督権限を有する、この場合ですと群馬県において適切に判断するということになりますが、その判断の考え方について申し上げますれば、物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無、占有者の意思を総合的に勘案して判断するということになります。

 御指摘の土壌環境基準については、そのうち、物の性状の判断の要素ということになるということでございます。

塩川委員 総合的に判断する、それぞれの要素の一つとして物の性状があります。

 この物の性状という面から見た場合に、土壌環境基準を超える有害物質を含む鉄鋼スラグというのは、当然のことながら、廃棄物ということにつながるのではないかと思うんですが、改めていかがですか。

鎌形政府参考人 繰り返しになりますが、個別具体的な判断につきましては、産業廃棄物の指導監督権限を有する群馬県においてなされるということでございますが、物の性状に関しましては、例えば、生活環境保全上の支障が発生するかどうか、そういう観点から吟味するということになりますので、土壌環境基準を超えているかどうかというのはそういう判断の材料になるということでございます。

塩川委員 まさに水田に接するような農業用水の管理道路に使われている、そういうことについての懸念というのも当然ありますし、遊園地や保育園の駐車場にあるという点においても、健康面についての不安が広がるという点での問題点も当然あるわけであります。

 そういった意味では、実際にそれが、物の性状という面で見れば有害物質を含む鉄鋼スラグというのが、これをそのままリサイクルしていいのかという問題にもなってくるわけであります。

 個別具体的な話と言われるんですから、一般論として、土壌環境基準を超える物質が含まれる鉄鋼スラグについて、有害物質を薄めるというような目的で自然砕石とまぜ合わせて再生砕石をつくり、販売、使用するような場合というのは、当然廃棄物の投棄に当たると考えますが、この点はいかがですか。

鎌形政府参考人 御指摘は、廃棄物と認識されるものを廃棄物でないものと混合するという行為についてということだと解釈いたしますけれども、廃棄物につきまして処理という行為がございますが、廃棄物の処理につきましては、物理的、化学的または生物学的な手段によって形態、外観、内容等について変化させるということでございますので、御指摘のようなスラグを希釈目的で自然砕石と混合する、このような行為は廃棄物の処理には当たらないということでございまして、混合されたものにつきましては、廃棄物と廃棄物でないものを混合したものとして取り扱っていくべきもの、こういうことと解釈してございます。

塩川委員 廃棄物ということを前提でのお話です。

 そういう点でいいますと、過去、建設汚泥の処理物の廃棄物該当性の判断基準指針というのが出されております。建設汚泥に対して、廃棄物に土砂をまぜて、いわば土砂との混合物にすることで土砂と称して埋立処分をするという問題について、要は、廃棄物と土砂をまぜても、それは土砂にはならない、土砂のまざった廃棄物でしかない、こういう通知も出されているわけです。

 そういう趣旨でいえば、鉄鋼スラグが廃棄物ということになれば、当然のことながら、鉄鋼スラグを薄めるような目的で自然の砕石とまぜ合わせて再生砕石と称しても、それはいわゆるリサイクル品にはならないよねということだと思うんですが、この点はいかがですか。

鎌形政府参考人 今御指摘の通知におきましても、建設汚泥または建設汚泥処理物に土砂を混入した場合のことの御指摘がございました。これにつきましては、混入させた場合には、廃棄物と廃棄物でないものの混合物として取り扱われたい、こういう通知を出して対処しているというところでございます。

 その意味で、先ほど、鉄鋼スラグが廃棄物と認識される場合のことでございますが、鉄鋼スラグと自然砕石とを混合するということになりますと、廃棄物と廃棄物でないものの混合物ということでございますので、廃棄物でなくなるということではございません。

塩川委員 まずは、鉄鋼スラグそのものが、具体の話でいえば群馬県における大同特殊鋼渋川工場の鉄鋼スラグが廃棄物ということになれば、それを自然砕石とまぜ合わせて再生砕石ですよということにはならない、廃棄物に当たらないということは言えないということであります。現に、廃棄物であるかどうかの判断基準の重要な要素である物の性状の面で見れば、有害物質を含むわけですから廃棄物に当たることは当然だ。加えて、逆有償取引も行われていたわけですね。取引の面においても実際には問題のある行為を行っていたわけです。

 ですから、実際、群馬県が適切に判断するということであるわけですけれども、その際に、総合的に判断して、結局、この大道特殊鋼渋川工場の鉄鋼スラグというのは廃棄物に当たるということは明らかではないでしょうか。改めていかがですか。

鎌形政府参考人 申しわけありません、繰り返しになりますけれども、個別具体の事例の判断につきましては、産業廃棄物の指導監督権限を有します群馬県において適切に判断されるということでございますが、先ほど来るる申し上げましたとおり、鉄鋼スラグが廃棄物に当たるかどうかの判断、そして混合物が廃棄物に当たるかどうかの判断については、先ほど来申し上げたとおりの考え方に従って判断されることと考えます。

塩川委員 群馬県の適切な判断という際に、やはり廃棄物処理法に基づいた廃棄物としての認定の作業をしっかり行ってもらう。その点で、国の方が必要なアドバイスなどを行うことを改めて求めるものです。

 あわせて、次に国交省にお尋ねしますが、前橋市内の上武国道の工事であります。

 上武国道の工事に当たって、再生砕石を使用することになっているのか、なっていないのか。その点について、道路の場合には、アスファルト舗装面の下に路盤があって、その下に路床があって、さらには路体という盛り土部分があるわけですけれども、こういった路盤、路床、路体というのは、この上武国道の工事においては材料はどのような仕様を指定しているんでしょうか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 道路に使用する材料の仕様につきましては、それぞれの工事ごとに定められているわけでありますけれども、例えば上武道路の小神明地区ほか改良工事におきましては、国が示した契約図書のうち、工事数量総括表で、路体部分の材料の仕様はれき質土というふうに記載をされているところでございます。(塩川委員「路床、路盤はどうですか」と呼ぶ)路盤のデータは持っておりません。済みません。

塩川委員 少なくとも路体部分はれき質土ということですから、再生砕石、つまり、鉄鋼スラグも含めたリサイクル品をまぜ合わせたものということになっていないわけであります。

 実際に国交省の調査においても、盛り土部分に相当する路体の部分に鉄鋼スラグが使用されているという事例があったわけであります。これは、路体はれき質土だという仕様の指定に反している事例ではありませんか。

山田政府参考人 れき質土という仕様でございますので、仕様には合っていないということが言えると思います。

塩川委員 仕様で指定されたもの以外を実際は使用しているということになるわけであります。

 その上で、このように仕様書に反するような事案が既に発生している。こういった鉄鋼スラグは、路体部分だけではなくて路床部分にも使われているという指摘もあって、それのエージングの措置がきちっと行われていないために、膨張して、結果、壁面が膨れ上がるような事態が現に上武国道などで生まれているんですよね。そういったこともしっかりと調査が求められておりますし、そもそも仕様に違反するような事例があるのであれば、撤去を含めた必要な是正措置を行うべきだと考えますが、いかがですか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 まず、一般論といたしまして、発注者は、工事目的物に仕様に反した材料の使用などの瑕疵がある場合には、受注者に対してその瑕疵の補修を請求するか、損害の賠償を請求することができます。しかしながら、実際にどのような請求をするかということにつきましては、瑕疵の程度を総合的に検討し、判断することになります。

 今回の案件等につきましては、廃掃法に基づく調査が今群馬県において行われております。この結果も瑕疵の程度を判断する材料の一つになると考えておりますので、群馬県の調査結果あるいは対応を踏まえて、関係機関と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。

塩川委員 最後に大臣にお尋ねします。

 群馬県内において、広範囲に大同特殊鋼渋川工場の鉄鋼スラグが使われておりました。その中には、今の国交省の工事のように、仕様に合わないものを使うという形での、仕様に反するような事例も現に起こっている。これはこれとしての是正が必要であります。さらには、何よりも、土壌環境基準を超えるような有害物質を含む鉄鋼スラグというのが、住民の生活の身近なところで大量に使われているという問題があるわけであります。

 こういった鉄鋼スラグがリサイクルとして使われてきたということがそもそも問われるわけで、この点での大同特殊鋼自身の責任というのが大いに問われるということについての大臣のお考えをお聞きしたいのと同時に、こういったリサイクル品の活用を促進する政府の政策そのものがこのようなひずみを生み出したんじゃないのか。結局は、コストダウンを図るために、廃棄物に回すと金がかかるからリサイクルにしてという形でコスト削減を図るような企業のこういう行動を、政府のリサイクル推進の姿勢が結果として後押しをするようなゆがみになっているんじゃないのか。

 こういう二点についてお答えください。

宮沢国務大臣 私も、地元が広島県の福山市で、JFEの大変大きな工場がありまして、鉄鋼スラグというのはある意味で大変大事なものだということだと私自身は思っております。

 ただし、今回の事案というのは、あってはならないことが起こったわけでありますので、まず一点、大同特殊鋼自身については、国交省、環境省とも連携しながら、しっかり指導監督をしてまいります。

 また一方で、同様の事案の再発というようなことが一番いけないわけでございますので、再発防止のために、業界に対して、今、自主管理基準の見直しをお願いしております。それでしっかり対応していきたいと思います。

塩川委員 コスト優先の企業体質とリサイクル品の使用拡大を進めてきた政府、国の意図というのがこういう結果につながったんじゃないのかということを改めて強く指摘して、質問を終わります。

江田委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。

 きょうは、再生可能エネルギー関連につきましてお伺いしたいと思います。

 電力会社における電源接続の問題等々、盛んに議論がされておりました。ただ、大枠でいえば、大きな方向性でいえば、太陽光発電に偏重しているという嫌いは政策としてはあったものの、やはり、再生可能エネルギーの導入が積極的に進んでいるという観点では、ある意味、好ましくはないけれども、前向きなトラブルシューティングであるという捉え方もできるのかなというふうに考えております。

 この再生可能エネルギーの導入促進に関して、私の地元栃木では、昨年三月に農山漁村再生可能エネルギー導入可能性等調査を実施しておりまして、非常に栃木県は再生可能エネルギーのポテンシャルが高いのではないか、どんどんこれはやっていこうということをまとめられておるわけでございます。そういった報告書、これは県の報告書になりますが、これを土台にきょうは議論をさせていただきたいと思います。

 まず、農業用水路を用いた小水力発電についてお伺いいたします。

 栃木県では、農業用水路による導入ポテンシャルが愛知県に次いで全国二位ということで、非常に高い。やはり、田園地帯がかなり広くありますので、資源量は多いわけでございます。特に県北の那須野ケ原土地改良区というところでは、国営土地改良事業として、平成四年に全国で初めて小水力発電が計画設置しております。

 このほか、いろいろなところでこの小水力発電、農業用水を使ったものが使われて、しっかりと進められているわけでございますけれども、一方で、固定価格買い取り制度、どうしてもここに行き着く議論になってしまうんですけれども、毎年見直されているわけです。だんだんと、八円から十円といった程度になっていったり、これはコスト負担、国民負担の低減という趣旨だと思いますけれども、この買い取り価格がどんどん減ってしまうというような状況になっているわけでございます。

 農業をしっかり保つという観点からも、農業用水の活用というのをどんどん、この電力部分、進めていくべきだというふうに思っているんですけれども、農業用水を中心にした小水力発電に係る今年度の買い取り価格改定の趣旨をお伺いしたいと思います。

 そして、今後の農業用水路による中小水力発電の今後の見通し、政府に見解を尋ねます。

上田政府参考人 農業用水路等々を活用した小水力発電の件でございます。

 まず、水力価格の改定の趣旨ということでございますが、平成二十六年度の買い取り価格の決定におきまして、中小水力の価格のうち、既設の導水路というものを使ったものの価格帯を新設いたしました。中小水力ですが、導水路という河川から水を引き込む水路があるわけでございます。従来は、この水路そのものは水を流す道でございますので、長期にわたり活用できるわけでございます。

 他方で、発電するための電気の設備、あるいは水圧が増すため水圧鉄管等々があるわけですが、これが二、三十年程度で更新するということでございまして、実は昨年度までは、電気の設備、それから水圧鉄管を更新する場合に、その更新に伴う発電量の増加分のみを固定価格買い取り制度の対象としていたわけでございます。

 ところが、発電量の増加を伴わなくても、導水路がある場合に、その導水路を活用して、電気設備、水圧鉄管を更新する、発電量は変わらないんだけれども電気設備なんかを更新する、そういう場合についても固定価格買い取り制度の対象とすべきという御意見をいただいておりました。

 それを踏まえまして、今年度から、既設導水路活用型と言っておりますけれども、導水路が既にあって、そこに設備があってそれを更新する場合に、発電電力量が仮に変わらない場合についても固定価格買い取り制度を実施するということで、そういった設備更新型の中小水力の活用を後押しするということで、新たな既設導水路を活用した中小水力に関する価格が新設されたわけでございます。

 この価格帯は、従来のものと比べて少し安いわけでございます。これは当然といいますか、既設導水路を活用するということでございますので、導水路のコストというのが、その約半分が導水路の建設コストでございますので、既にある導水路を活用している場合にはそのコストというのを差し引くということで、新設の区分についてはやや安い形になっている、こういう状況でございます。

 それから、農業用水全体につきましては、私ども、かなりのポテンシャルがあると考えておりまして、平成二十年度の調査でございますけれども、農業用水路を活用した中小水力発電については、約八メガワット、八千キロワットぐらいのポテンシャルがあるのではないかと考えております。

 平成二十四年度に固定価格買い取り制度を導入いたしましたが、それ以来、約百九十件の中小水力を全体で設備認定をしたわけでございますが、そのうちの約四分の一が農業用水路等を活用した事業でございまして、今後の中小水力を考えた場合、農業用水路の活用ということは非常に重要であると考えております。

 私ども、この固定価格制度に加えまして、例えば、落差が小さなところでも発電量を確保できるような、例えばらせん形の水車みたいなもの、こういったものの技術開発も現在支援をさせていただいておりまして、そういったものを通じまして、農業用水路を活用した中小水力発電の導入拡大というのを図ってまいりたいと考えております。

柏倉委員 よくわかりました。

 無理に高く買い取れという声が別に大きいわけじゃないんです。ただ、制度としては非常にわかりにくいということは、この買い取りの部分に関して言いますと、常に地元の方から我々も説明を求められます。

 ことしは栃木の米一俵八千円ということでかなり安い、どうやってこれから食べていくんだというときに、用水路による小水力発電で事業転換するというようなことはありませんけれども、ただ、やはり、一つの明るい光をこの電力の部分で農業にも当てられればいいなという思いで質問をさせていただきました。ぜひ、わかりやすい、農業用水路もついた小水力発電の開発、これを農業地域にしっかり説明していただきたいというふうに思います。

 次は、のり面を利用した太陽光発電について伺います。

 貯水用ダムののり面、そこに太陽光パネルを設置するわけでございますが、兵庫県の神谷ダムにおいて検討されているということでございます。

 これを踏まえて、我が栃木県でもいろいろな目で分析をしております。そこで、結構いいところがあるんじゃないかなというようなことで、県の方でも一つ二つ把握している、矢の目ダムとか塩田ダム、そういったところをこれは有望なんじゃないかなというようなことで考えているということでございます。

 ただ、のり面ダムというのは、皆さんなかなか、やはり個人でできないですから興味がないというところはあって、話題性にちょっと乏しいような気はするわけでございます。一方で、やはり土地活用という点では、狭い日本、川がいっぱいある日本ですから、ダムもある、そういう中で、積極的にこれを後押しすることは非常に実利のある取り組みだというふうに評価したいと思います。

 先ほど申し上げました兵庫県の神谷ダムでしっかり今稼働しているということですけれども、この神谷ダム、発電開始は十一月ということなんですね。

 神谷ダムの今の稼働状況をちょっと教えていただきたいと思います。あと、神谷ダムの建設費用はどれぐらいかかったのか、固定価格買い取り制度適用の有無も含めて教えてください。

上田政府参考人 委員御指摘の兵庫県の神谷ダムでございます。

 神谷ダムの太陽光発電の建設状況という御質問かと存じますけれども、御案内のように、神谷ダムにおきましては、ダムがちょうど斜めにコンクリがなっておりまして、その斜めの傾斜のところに太陽光パネルを張りつけていくというタイプの太陽光発電の建設を進めていると聞いております。

 兵庫県によりますと、この発電容量は約五メガワットでございまして、建設費が約十六億円ということでございます。

 既に固定価格買い取り制度の設備認定というのは終わっておりまして、設備認定を取得され、さらに、接続承諾も既に終わっているということでございまして、現在、連系線の工事というものを待っている状況であると承知をしております。

柏倉委員 あとは、買い取り価格制度を整備するということでございますね。

 とすれば、五メガワットも発電量があるということですね。栃木県にも数カ所その候補地があるわけですけれども、今後、のり面を用いた太陽光発電の全国への普及に関して、政府の認識、取り組みを聞かせてください。

上田政府参考人 神谷ダムのケースが非常にいいのは、神谷ダムそのものが、水を蓄える堤の部分が日当たりのよい傾斜になっておりまして、太陽光パネルがぴしっと上手に張れているということでございまして、もちろん、全てのダムがこうした条件を備えているわけではないと考えていますが、こういうダムののり面等の傾斜地を活用した、従来利用されてこなかった未利用地を活用した再生可能エネルギーの導入ということは、基本的には、私どもはぜひやっていただければありがたいと考えております。

 ただ、ダムの場合は、所有者が大体、地方自治体等々である場合が多いので、地方自治体との連携、調整というようなことが必要であるわけでございます。神谷ダムが一例でございますけれども、私ども、こうしたダムにおけるさまざまな太陽光その他の再生可能エネルギーの発電事業を行う場合には、所有者である地方自治体等々と連携しながら、さまざまな仕組みの適用の可能性等を御相談に応じながら進めていくといった作業をしておりまして、未利用な場所の活用ということは今後とも進めていきたいと考えております。

柏倉委員 しっかりと、これは技術的に、かなり太陽光発電はトップを走っているということですから、フィルム式の太陽光発電もできるということです。本当に、時代は太陽光だけでもう普通の家庭は賄えるようになる、それは間違いないという声もございます。

 ぜひ、あらゆるのり面において検討していただきたいというふうに思います。やはり、一番進んでいるのは太陽光ですので、そこの利用を生かした自然エネルギー戦略を御検討いただきたいと思います。

 それでは次に、木質バイオマス発電について、やはりこれは県内のネタなんですけれども、伺いたいと思います。

 先ほど申し上げた栃木県でつくった報告書、そこでバイオマス発電もやはり当然検討されております。各市町村及びその隣接地域別のポテンシャル、これは独自の判断になりますが、そこを検討して、有望なのかどうかというところのランキングをしたわけでございます。

 そこで、宇都宮市というところ、これは栃木県の県庁所在地でございますが、単独の市町村としては、建築廃材を中心に有効利用可能熱量で県内で唯一千キロワットを超えるポテンシャルを有したと。もう断トツで高いわけでございます。しかし、さりながら、結論的には、バイオマス発電所誘致、ここにつくろうというようなところに挙げられていないわけですね。ほかの地域を挙げられているんです。ほかの地域は申し上げませんけれども、ポテンシャルは低いわけです。ポテンシャルというのは有効可能熱量ですね、これは余り高くないけれども、その土地がバイオマス発電において将来有望だと。

 ただ、宇都宮は一番ポテンシャルが高いのに、有効可能熱量が一番高いのに位置づけられていない。これは、よく話を聞きますと、宇都宮市内に木質バイオマスを利用する既存の発電所の施設がないということなんですね。ですから、木質をチップ化する加工場がないというところも含めて、力はあるけれども、なかなかその先認定できない、こういうミスマッチがあるわけでございますね。

 このミスマッチをどう解消していったらいいのか。やはり発電所や加工設備等の誘致、運送用林道等の環境設備を国や地方公共団体において進めることが、私は再生可能エネルギーをさらに一押しするというふうに考えます。

 こういったミスマッチがあるから、その力はあるけれどもできないんだ、そういうところをどうやってなくしていくのか。ポテンシャルの有効利用、これをどういうふうに政府は認識して後押ししていくのか。見解を聞かせてください。

宮沢国務大臣 一般的なバイオマスに対する考え方を私の方から申し上げまして、宇都宮の件につきましては、長官に後から答えさせます。

 バイオマス発電というのは、安定的な電源として私たちも大変ありがたいものだと思っております。それに加えまして、林業等の産業の活性化とか雇用を生み出すということで、ぜひ進めていきたいと思っておりまして、そうした意味で、固定価格買い取り制度では三十二円というかなり高い価格をつけておりますし、また、農水省と共同で幾つかのモデル事業をやっておりまして、応援をしていきたい再生可能エネルギーの一つであります。

 それだけ申し上げまして、あとは長官から。

上田政府参考人 私ども、木質バイオマスを進めるために林野庁と相当協力をしておるところでございまして、今お話しの、例えば、木材はあるんだけれどもペレットをするような設備がない、あるいはボイラーがない、こういった場合におきまして、経産省の方でも林野庁と一緒に実証事業をやっておりますけれども、例えば、林野庁の事業の中で、まさにこの木質バイオマスの供給、利用を促進するための木質ペレット等の木質燃料製造設備等々の整備に対する補助事業というのがございます。

 それから、さらに、間伐材等を取り出す場合の林道の整備事業等々につきましても林野庁の事業でございまして、こういう事業を活用しながら、あるいは経産省の実証事業を活用しながら、林野庁と協力して進めてまいりたいと考えております。

 個別の案件につきましても、御相談いただければ、私どもとして最大限対応をさせていただきたいと思います。

柏倉委員 そういったミスマッチ、恐らく、探せば至るところに出てくるんだと思います。

 物はあるけれども、それを使うことはできない、これは地域資源を野ざらしにしてしまうということになりますので、特に地方創生という観点からすれば、やはり、こういった地域地域のミスマッチ、交流がないがゆえに大切な光っている地域資源が使えない、こういうものをまず掘り起こす、リスト化して、それを有機的に地区地区でつなげていくというような作業が私は必須なんだと思います。

 やはり地方創生というのは、我が党は、ばらまきではなくて、地域が持っている力を一つの有機体としてつなげて、一足す一は二ではなくて、一足す一は三にする、四にする、こういった観点からのエネルギー政策の今後の政府の政策、検討、見通しをお願いいたしまして、時間が参りましたので、本日は終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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