衆議院

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第2号 平成27年3月18日(水曜日)

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平成二十七年三月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石川 昭政君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    佐々木 紀君

      塩谷  立君    白石  徹君

      関  芳弘君    武村 展英君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮崎 政久君    若宮 健嗣君

      神山 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    落合 貴之君

      木下 智彦君    國重  徹君

      藤野 保史君    真島 省三君

      野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           若井 英二君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           田村  計君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           舟引 敏明君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

三月十二日

 原発からの撤退を決断し、エネルギー政策の転換を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第一八三号)

 直ちに原発ゼロを求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第一八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 この際、高木経済産業副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高木経済産業副大臣。

高木副大臣 おはようございます。

 引き続き経済産業副大臣を拝命いたしました高木陽介でございます。原子力災害現地対策本部長も引き続き仰せつかっております。

 また、先日の経済産業委員会におきまして、当日、福島におきまして慰霊祭がございましたので、その出席のために委員会を欠席させていただきましたこと、改めておわびを申し上げたいと思います。

 その中にありまして、東日本大震災から四年が経過をいたしました。引き続き、福島第一原発の廃炉・汚染水対策や被災地の復興、中小企業、小規模事業者の支援など、経済産業政策を取り巻く課題の解決に向けて全力を尽くしてまいりたいと思います。

 昨年の九月に経済産業副大臣、現地対策本部長を拝命して以来、この半年間、十一月から十二月は解散・総選挙もございましたので、実質五カ月の間に四十三日間、福島に入らせていただいております。

 そういった中で、被災者の一人一人に寄り添うような、そんな思いでこれからも取り組んでまいりますので、江田委員長を初め理事、委員の皆様の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げたいと思います。(拍手)

     ――――◇―――――

江田委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官若井英二君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、国土交通省大臣官房審議官田村計君及び国土交通省大臣官房審議官舟引敏明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上貴博君。

井上(貴)委員 おはようございます。

 質問の機会をいただきました、自由民主党の福岡一区、井上貴博でございます。

 まず、先日の宮沢大臣の所信には、経産省が担うべき多くの課題が盛り込まれておりました。この中で、経済の好循環の実現と成長戦略の着実な推進を挙げられておりまして、積極的な海外企業の誘致、海外市場の獲得といったグローバルビジネス戦略の拡充を初め、ベンチャー企業の創出やオープンイノベーションの促進等、企業の稼ぐ力を高めてアベノミクスの成果を全国津々浦々に届けていくということが盛り込まれております。

 このためにも、本日は、昨年六月二十四日に閣議決定されました日本再興戦略の中で、政府の国際展開戦略の一つに「展示会場の新設・拡張の促進を行う。」というふうに記述をされておりまして、MICE、展示会場のことについて質問させていただきたいというふうに思います。

 現在、我が国は、安倍総理が掲げる世界一ビジネスのしやすい環境の実現に向け、法人税の引き下げや国家戦略特区を初め、さまざまな施策を行い始めたところであります。この目標達成に向け、グローバルビジネスにおける競争環境の整備をすることが重要だと考えています。

 しかし、その環境として、海外との商談が大規模に行える展示会の開催がまだまだ我が国は世界に比べておくれをとっている、抜かれていっているというふうに言ってもいいかもしれませんが、そういう実情にあるというふうに思っています。

 商談はビジネスの足元だと考えています。展示会場がないとか手狭だとか、この機会が我が国ではなく中国を初めとする諸外国に流出しているというような状況が今起こっています。このような状況を踏まえて、世界一ビジネスのしやすい環境実現のために、本日は、展示会場、国際見本市についての質問をさせていただきたいと思います。

 展示会は、企業に売り上げ拡大、イノベーション等の機会を与え、そしてそこに出展している企業間に刺激を与えるものでもあり、各産業界の活性化を図ることができます。開催都市は、毎年、世界じゅうから多数のビジネス客が訪れるため、巨大な経済効果をもたらしてもいます。

 このように、展示会は各方面に大きなメリットをもたらすため、世界各国の展示会を経済活性化策として重視し、大規模展示会場の建設と展示会産業の育成に力を注いでいます。中国や韓国では法律まで制定しているというふうに聞いております。

 我が国にとっても、展示会が開催されれば、日本の先進的な技術や製品を買い付けに海外から多くのバイヤー等が来日し、訪日外国人等も増大し、インバウンド施策の一つの柱にもなり得るというふうに考えています。日本の中小企業が海外に出ていってビジネスをするのは非常にハードルが高くて、国内の展示会に出展して、そこで海外に向けてのビジネスができるならば効率的であり、日本の文化、伝統産業を正しく理解し広報していくクールジャパンを本質的に推進することも並行してできるというふうに思っています。

 私も、昨今、幾つかの展示会を実際に訪れさせていただきました。それで、展示会が我が国の経済にもたらす役割の大きさを痛感しました。最初は展示会というふうに思っていたんですけれども、展示会場を訪れて、これだけのマーケットをつくって、ビッグサイトもそうですけれども、これだけでは手狭だ、二百カ所ぐらい断っているというような実情も目の当たりにさせていただきました。

 我が党で展示会産業議員連盟が昨年に結成され、我が国を展示会が盛んに行われる国にするために精力的に取り組ませていただいております。

 そこで、まず初めに、展示会産業の重要性について政府はどのようにお考えかを経産省にお聞きしたいというふうに思います。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきました展示会でございますけれども、国際的な発信力の高い展示会は、我が国のすぐれた製品あるいはサービスを世界に向けて情報発信していく、そしてそれがブランド力の向上や海外需要の開拓につながっていくという意味で大変重要な意義があるものだと思っております。

 また、訪日外国人の増加あるいはそれによる消費拡大にもつながっていくものでございまして、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、我が国の経済活性化を図る上でも大変重要でございます。

 さらに、委員御指摘いただきましたとおり、展示会の開催は、その地域において集客効果による消費を誘発し、地域経済への波及効果を広げるという意味でも大変重要だと思っております。

 そういう中で、「日本再興戦略」改訂二〇一四におきましても、国際会議等いわゆるMICEの誘致、開催の促進と外国人ビジネス客の取り込みなどが盛り込まれているところでございますけれども、私どもといたしまして、展示会はもとよりでございますけれども、もっと広い意味で、MICEの一環としてこれを推進していくということがより大きな経済効果を生んでいくためにも有効であるというふうに考えてございます。

 今後とも、展示会産業の活性化につきまして、関係府省庁が連携をして取り組んでいくべき大変重要な課題であるというふうに認識しております。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 現在、ちょっと調べてみますと、発展を妨げている重大な問題があるというふうに思っています。それは、展示会の開催に不可欠である展示会場が、数もそれから規模も圧倒的に不足しているという事実であります。

 例えば、我が国最大の東京ビッグサイトですけれども、展示面積は八万平米ですが、これは世界の展示会場の中で七十一番目の広さにすぎません。

 これに対して、中国では、広州に三十三・八万平方メートルを持つ世界第四位の展示会場を初め、重慶に二十・四万平方メートル、それから上海に二十万平方メートルの巨大な展示会場があります。そのほかにも、アジアでは、バンコクに十四万平米、シンガポールに十・九万平米、それからソウルに十・八万平米といった巨大な展示会場があります。ビッグサイトよりもはるかに大きな展示会場がありまして、そういった会場でないとできないというようなもので、日本には来ないというようなことも幾つか起こっているというような実情がございます。

 希望どおりに予約がとれない会場が多かったり、新しい展示会の立ち上げや既存の展示会の拡大が著しく困難になっているということも聞いています。大きな経済メリットをもたらす展示会が自由に開催されないわけですから、ビジネスの足元である商談の機会の損失を引き起こしているということも考えられています。これでは世界一ビジネスのしやすい環境を実現することはできないというふうに思っています。

 冒頭に申し上げましたとおり、昨年六月二十四日に閣議決定された日本再興戦略の中で、政府の国際展開戦略の一つに「展示会場の新設・拡張の促進を行う。」と記述されています。このことから、安倍総理は、日本の成長戦略として、大規模な展示会場が必要であるという認識を持っていらっしゃるというふうに承知しております。

 展示会場の絶対数が不足している中、大規模な展示会場設置のための具体的な予算や計画はあるでしょうか。国土交通省にお聞きしたいというふうに思います。

田村政府参考人 お答えいたします。

 大規模な展示会場の整備は、今御指摘のございましたような、日本再興戦略の具体化でありますとか、大都市の国際競争力の強化という観点から、非常に重要なものだと認識をしております。

 このための具体的な措置ということでございまして、二つほど申し述べたいと思います。

 一つは、都市の国際競争力の強化を図るべき地域ということで特定都市再生緊急整備地域というものが指定されておりまして、これが今、全国に十一地区ございますけれども、その地区内におきまして、一定の規模の展示会場でありますとか国際会議を行えるような施設でありますとか、そういったものを整備する際に金融面から支援をする制度がございます。

 具体的には、一般財団法人であります民間都市開発推進機構から、いわゆるローンをする、ミドルリスクのメザニン部分のローンを執行するというものでございまして、最近の具体例といたしましては、昨年オープンいたしました虎ノ門ヒルズ、これはビルの中にいろいろ展示や会議ができる大きな施設がございますので、そこに着目しているわけでございますけれども、虎ノ門ヒルズに対して貸し付けを行っているのが一点目でございます。

 もう一つは、展示施設だけに限りませんけれども、そういったものも含めまして、国際競争力の強化の拠点となるようなエリアの施設のアクセス道路等、周辺の関連公共施設の整備、そういった整備を支援するための制度も措置しております。

 国土交通省といたしましても、このような制度の活用を通じまして、大規模な展示場も含めた国際競争力強化の施設の整備におきまして、積極的に支援してまいりたいと考えております。

井上(貴)委員 ありがとうございます。

 東京モーターショー一つをとっても、実際に自動車の展示会が行われていますけれども、これではもう全然スペースが足りない、大きなモーターショーをやるためには、もう上海とか北京とか、そっちの方に行かざるを得ないというのが現状で、日本の基幹産業である車であってもそういう実情がありまして、今のビッグサイトであってもそういう状況になってしまっている。

 商談につながったり、それから技術革新や企業の刺激にもつながる展示会場でありますので、本当に、ある程度のスペースは必要だ、それがペイしなくても、日本の場合はその展示会場がそれでやりくりしていくことができるという状況でないとなかなかつくりませんが、世界ではそのうちの二〇%ぐらいペイできればいい、残りの八割は経済効果の方が大きいんだという物の考え方に切りかわっています。

 そういう面では、こういう大きな商談を伴うような会場は不可欠だというふうに思っています。我が国最大の展示会場であるビッグサイトですけれども、そのビッグサイトの拡張が必要だと私は思っています。近年、一・六万平米の拡張が行われるというふうに聞いておりますけれども、世界のトレンドからいえば、その二倍、三倍といった大幅な拡張が必要だというふうに考えています。

 具体的な提案をさせていただきたいと思います。

 東京ビッグサイトの北側には、災害時に備えて、東京臨海広域防災公園が隣接しています。実態は十三・二万平米の巨大な土地であります。例えば、この公園を利用して東京ビッグサイトを拡張すれば、少なくとも五万平米の増床が可能だというふうに聞いております。

 同時に、展示会場は、雨風をしのげる防災施設にもなり得ると考えています。事実、東京ビッグサイトは、東日本大震災の際には避難場所としても使われております。

 広大な土地を放置するのはもったいないというふうに思っています。雨風をしのげて、そして避難場所としても機能を有することができる展示会場をつくることは、国民の利益に資すると考えますが、いかがでしょうか。この拡張案に対する政府としての御見解、どのような考え方を持っていらっしゃるか、国土交通省にお聞きいたします。

舟引政府参考人 お答えいたします。

 東京臨海広域防災公園は、平成十八年四月に中央防災会議が決定した首都直下地震応急対策活動要領において、広域的な応急対策活動の調整などを行う政府の緊急災害現地対策本部が設置される基幹的広域防災拠点として、国及び東京都が整備、管理を行っているものでございます。

 この公園につきましては、関係省庁と関係八都県市から成る首都圏広域防災拠点整備協議会の決定において、首都圏の広域防災のヘッドクオーター、広域支援部隊のコア部隊のベースキャンプや緊急輸送物資の中継地点、さらには、隣接しているがん研有明病院とも連携した災害時医療の支援基地としての機能を担うこととされております。

 このため、災害発生時においても十分な機能が発揮できるよう、ヘリポートや主要園路には液状化対策を講じた上で、大型ヘリコプターの発着、警察、消防、自衛隊の大型車両が展開可能な広場などを設けているところでございます。

 災害発生時には広域的な応急対策活動のための大型ヘリコプターの発着や大型車両の通行が行われるということから、避難地としての位置づけを有してはいないところでございます。したがいまして、本防災公園の機能を阻害することとなるような展示場などの建築物を設けることは困難であると考えているところでございます。

井上(貴)委員 それはもうよくわかっているんですけれども、いろいろちょっと議論したいところがあるんですけれども、時間がありませんので。

 本当にそのことはよくわかっているんですよ。わかっているんだけれども、それを多様的に使うことができるような状況をつくっていく、それは避難場所でも使えて、ヘリポートは上につくればいいわけですから。そういう面では、そういう多様性を持って、そして今の状況を鑑みて、有効に活用されることを望みます。

 それでは、時間もありませんので、最後に、展示会場の状況は今お話ししたとおりなんですけれども、今、錦織選手がATPのマスターズ一〇〇〇というのに出られております。これは四大メジャーの下の九つのうちの一つなんですね。これは日本は九つのうちの一つもないんですよ。昔は、セイコースーパーテニスとか、そういったものがありましたけれども、今では上海に九つのうちの一つがある。それから、ホンダもF1復帰をしたけれども、上海でグランプリがやられている。

 中国とかがもう主要なところというのはどんどんやっていっているんですね。それは、ビジネスに関しても、世界的な貢献という面でもそうなんです。ですから、そういう面では、世界一ビジネスがしやすい環境を整備するためにも、絶対、展示会場というものはきちっと設けておく必要があります。

 それと、これを東京だけではなくて地方につくらせることによって、これは地方創生にも生きてくるのではないかというふうに思っています。

 細かいことを聞きたかったんですけれども、最後に経産大臣に展示会場の推進についての考え方をお聞きして、終わりたいというふうに思います。

 以上です。

宮沢国務大臣 今思い出したんですけれども、私が小学校のときですか、当時は展示会というのは、有明も台場もないときですから、晴海にありまして、晴海の国際見本市というのに行って本当にびっくりした、世界のものがいろいろ来ていて大変感激したのを今思い出しておりまして、本当に展示会の整備というのは大変大事なことだと思っております。

 一方で、この国会で実は展示会の整備について質問を受けるのは三回目でありまして、一回はたしか愛知・名古屋市にどうか、もう一回は山梨県にどうか、地元にぜひというお話だったわけですけれども、井上委員は福岡かなと思っておりましたら、有明だというので、大変御見識があるなと思いながら承っておりました。

 また、東京だったら国よりは財政的に豊かだから、余りお手伝いしなくても、助かるなと思っていましたら、今、国交省の審議官が割合冷たいことをおっしゃるので、ちょっと残念だなという気がいたしました。

 いずれにしましても、MICE政策は大事な政策でありまして、PFIファンドの活用なども念頭に置きながら、各自治体、地元産業界の意向などを伺い、関係省庁とも連携しながら、今後、具体的な支援のあり方について検討してまいりたいと思っております。

井上(貴)委員 僕はおしとやかなので、間接的に言っているだけです、福岡のことは。

 MICEは一生懸命取り組んでおりまして、この展示会場を本当に真剣に考えていかないと世界じゅうから取り残されるというような状況にならないとも限らないので、この問題は、ぜひ、経産並びに国土交通省でも、防災はわかりますけれども御理解いただいて、つくっていただければありがたいというふうに思います。

 以上です。終わります。

江田委員長 次に、石川昭政君。

石川委員 おはようございます。

 引き続きまして質問に立たせていただきます、自由民主党の石川昭政でございます。

 先般、予算委員会の分科会で宮沢大臣と一度、質疑に立たせていただきまして、本当にありがとうございました。

 今回は、経済産業の基本的施策ということで質問させていただきます。私は、三点、三分野に絞ってお話をお伺いしたいというふうに考えています。

 まず第一点は、やはり経済産業の重点施策の第一に挙げていただいております東日本大震災からの復興の取り組み、次に、エネルギー基本計画に関連する、それと第三点にはインフラの海外輸出、この三点についてきょうは議論させていただきたいというふうに考えております。

 まず、国内施策からお話をお伺いいたします。原子力災害の収束、そして福島、被災地の復興加速について。

 震災から四年が経過したと高木副大臣から先ほどお話があったところでございます。だんだんと復興のフェーズも、インフラの復旧復興から、被災者の皆さんのなりわいの再生、生活の再建というところに徐々にシフトしてきただろうというふうに考えております。

 これまで、経産省では、グループ補助金それから企業立地補助金などによって被災地の企業進出や雇用創出にいろいろ取り組んでこられたということを承知しております。しかし、私の地元でもお話を聞きますと、やはり、風評被害により失った販路の回復がなかなか進まない、これによって雇用や設備投資がなかなか進んでいかないという問題も一方で抱えているところでございます。

 これまで経産省として、被災地の復興に復興予算の中でさまざまな取り組みをされていると承知しておりますけれども、現状を含めまして、今後の明るい見通し等もぜひお伺いしたいというふうに考えております。

宮沢国務大臣 私は、震災直後に、当時の石破政調会長に呼ばれまして、復興基本法の原案をつくれということで、復興基本法の原案を自民党でつくりました。そして、最終的には、民主党と協議をして、我々の案が九五%ぐらい取り入れられた形で基本法をつくっていただきました。

 本当に復興し、そして再興するということが大変大事でありまして、そういう中で、今御質問にありました、中小企業のいわゆるグループ補助金とか立地補助金というのはかなり成果を上げてきたのかなと思っております。

 福島県について申し上げますと、いわゆるグループ補助金では、これまで二百二十七グループ、三千五百八者。また、立地補助金につきましては、六百件を支援採択しております。補助金の効果は、少なくとも約七千人の雇用が創出される見込みということでございます。

 具体的な事例といたしましては、相馬市の縫製業者などのグループでは、グループ補助金を活用して工場や工場内のミシンなどを復旧いたしました。共同事業として新たに立ち上げたブランドでの婦人服などの販売を平成二十五年三月から開始いたしまして、売り上げは震災前の水準まで順調に回復したと聞いております。

 また、飯舘村に工場を有しております菊池製作所は、川内村にも工場があって、これは私、見せていただきましたけれども、介護、医療機器やロボット産業などへの参入も視野に入れて、立地補助金を活用して新規設備を導入いたしました。その結果、震災前二百五十名だった従業員が二百名まで減っておりましたけれども、現在は二百四十名まで回復していると聞いております。

 さらに、今、明るい見通しをということで、前の副大臣でありました赤羽副大臣が中心になられまして、いわゆるイノベーション・コースト構想というものをつくらせていただきまして、ロボット関連産業の集積とか再生可能エネルギーの利活用を推進していくということで計画を今実施しております。

 さらに、後ろに座っています高木副大臣、高木プロジェクトと私は言っておりますけれども、福島県への企業立地促進プロジェクトを経産省内に立ち上げまして、中小企業は幾つかもう出てきておりますけれども、残念ながら大企業、中堅企業が少ない。一方で、大企業、中堅企業の方が雇用の面では貢献が大きいということで、省を挙げて、ともかく福島県への立地を促進しようということで、それぞれの担当課がそれぞれの担当下にある企業に当たりまして、福島県に行くとこういうメリットがあるよというようなことを徹底的に御説明して、福島県への立地を進めていきたい、こういうことも今始めております。

石川委員 ありがとうございました。

 七千名の雇用が生まれたというお話でございましたけれども、これは非常に大きな希望が持てる話だと思いますし、こういった明るいニュース、話題が被災地や日本全体に広がるような、そういうPR活動もぜひ行っていただきたいというふうに思います。

 やはり、アベノミクスを地方や中小企業にいかに届けるかというのが今の経済産業政策の重要な視点だと私は考えております。

 ちなみに、我が茨城県でございますけれども、昨年一年間の企業誘致件数、それから面積、こういったものを含めまして日本一でございました。これは、経産省の企業立地補助金に加えまして、茨城県でも独自で施策をやった結果でございます。ぜひともこういう施策をPRしていただいて、まだまだ都心、都内には企業がたくさんありますので、そういったところへのPRもぜひ行っていただきたいというふうに考えております。

 次の質問に移ります。

 この夏ごろまでに、エネルギー基本計画、ベストミックスということで、省内で検討が進んでいるというふうに承知をしております。まず、エネルギーに関しましては、言うまでもありませんけれども、スリーEプラスSという観点、それから、バランスよく、多層的に、多様なエネルギーを組み合わせて構築をしていくという観点で、今、議論が進んでいるものと承知をしております。また、今国会には電力システム改革の関連法案が提出されるというふうに承知をしております。その中で、今後は、再生可能エネルギーというのが、一定割合、約二割を超える水準ということがうたわれているわけでございます。

 現時点でございますけれども、とりわけ今集中しておりますのが、御案内のとおり太陽光発電事業でございます。平成二十六年三月末時点で、これはエネ庁の資料ですけれども、太陽光発電は、住宅の屋根、それから地面に敷かれたものを含めまして、合計で七百万キロワットが導入されたと。昨年一年間で総計が七百十八万キロワットですから、ほぼ九割以上は太陽光にシフトしている、集中してしまっているという現状がございます。また、九州電力では、一部の太陽光発電事業者からの買い取りを一時保留するということもございました。

 こういう状況でバランスよく多様なエネルギー需給体制が構築できるのか、私は非常に危惧をしているところでございます。この再生可能エネルギーの著しくバランスを欠いている状況を今後どのようにリバランス、あるいは是正をしていくおつもりか、これについて見解をお伺いします。

関大臣政務官 石川委員の方から、今、太陽光のいわゆる急激な導入によりますいろいろなバランス関係について、どのように今後対応をとっていくのかという御質問をいただきました。

 本当に今委員おっしゃるとおりで、固定価格買い取り制度が導入されましてから二年なんですけれども、その中で再生可能エネルギーの導入量というのは約七割増加と非常に多く増加しているわけなんですが、そのほとんどは、委員も御指摘のとおり太陽光なんですね。これは事実でございます。

 例えば風力とか地熱発電、太陽光とはほかの、そういうふうな再生可能エネルギーは、開発期間が最低でも数年かかるということでございます。環境アセスメントにも時間がかかるんですけれども、風力では七年とか、地熱発電では九年ぐらいかかったりと、非常に長い時間がかかるのが背景にございます。ただし、事業の多くは計画しているような段階に入っておりますので、今後、こういうふうな計画が着実に進んでいきますように、我々もこのような積極的な導入を図っていこうと考えているところでございます。

 具体的には、開発期間はもともと時間を短縮しないといけないと思っております。そのためには、環境アセスメントの手続の迅速化を一つ考えておりますのと、あと、北海道や東北におけます地域内での送電網の整備とかその実証をやらないといけないというのを考えているのが二つ目です。また、昨年に発表いたしましたけれども、電力会社の接続保留問題への対応、地熱や小水力といったベースロードに当たるところの電源の優先的な受け入れも図っていこう、このようなところ、これは三つ目で考えているところでございます。

 これらを非常に前向きに取り扱いまして、再生可能エネルギーにおきましては、委員御指摘のとおり、バランスをしっかりと考えながら導入してまいりたいと考えております。

石川委員 政務官、おっしゃることはよく私も理解できるわけでございます。資源のない我が国ですから、無駄なく、効率よくエネルギーを活用して、生産に、あるいは生活に使っていくことは非常に大事だというふうに思っておりますけれども、やはり、再生可能エネルギーを導入する補助金を調べましたら、各省合わせて六十数本、それぞれ省庁で取り組んでいるわけでございます。これは経産省だけでなくて、農水省も、いろいろなところもやっているわけでございますので、やはり経産省が音頭をとって、適正なエネルギーの導入について、ぜひ取り計らっていただきたいというふうに考えております。

 あわせまして、太陽光パネルの廃棄の問題でございます。

 今後、将来的に大量な廃棄が予想されるわけでございます。設置運営業者に対しまして、現時点で、撤去費用の積み立てや、そういう義務化のようなものが実際あるのかどうか、今後検討課題にもなってくるというふうに私は思っておりますが、この件についていかがでしょうか。

上田政府参考人 御指摘の太陽光パネル、廃棄された場合どうするかというお話でございます。

 私ども、まずは、太陽光パネルをできるだけ長期にわたって使っていただきたいということで、実は、ことしの二月から、外部有識者による検討会を設けまして、ヒアリング、事例調査を通じまして、太陽光発電設備の長期的な健全性評価、こういったものにつきまして、ガイドラインを策定するといったことも視野に入れながら議論を行っておるわけでございます。

 その上で、さらにその先に、おっしゃるように廃棄ということがあるわけでございますけれども、私ども、こういった廃棄の到来に備えまして、廃棄における適切な処理ということが重要でございますので、一つは、技術開発でございます。太陽光パネルから、例えばガラスあるいは銀といった有用資源、こういったものをどのように分離回収していくのかという、そのリサイクルの技術の開発というのを行っているところでございます。

 それから、平成二十五年度から、環境省と共同で、廃棄された設備につきまして、どの程度、例えば排出量の見込みがあるのか、費用対効果があるのか、それから使用済みの設備をどう処理していくのかということにつきまして、実は実態調査ということを行っているところでございます。

 撤去費用につきましては、現在義務化ということはございませんけれども、実は、買い取り価格の中には既に一部、撤去費用を含めさせていただいているところでございます。

 御指摘のとおり、長期的な大量廃棄時代に備えて、リサイクル、それからさまざま今申し上げましたようなことも含めて実態調査をしながら環境整備というものに取り組んでまいりたい、このように考えております。

石川委員 過去には、PCBや石綿とか、そういったものが処理処分で問題になりまして、環境省が必死になって取り組んでいるわけでございますので、今からぜひとも省を挙げて取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 それでは最後の質問でございますが、これからは海外に目を向けようということで、インフラシステム輸出を重要施策の一つに掲げていらっしゃいます。

 先日、日立製作所の製作したイギリス向けの高速鉄道車両が引き渡されたというニュースがあったことは御案内のとおりでございます。八百六十六両ということでございますが、鉄道発祥の地の英国を走り回るという非常に夢が広がるようなお話でございます。また、これに関連して、新たにスコットランドでも受注に成功したというふうに伺っております。これは、今後非常に大きなビジネスに育っていく予感がするわけでございます。ただし、日立製作所も何度か受注に失敗をしているわけですね。それを乗り越えての今回の受注獲得でございます。

 今後、経産省として、どういう市場を狙っていくのか、あるいはどういう分野に力を入れていくのか、基本的な方針をお伺いしたいと思います。

高木副大臣 世界のインフラの需要でございますけれども、特にアジアを中心にして拡大をしておりまして、日本経済の持続的な成長を実現していくためには、日本が有するすぐれた技術、また運営ノウハウを生かして、日本企業の国際展開を支援することで、このような海外の旺盛な需要を獲得することが重要であると認識をしております。

 その上で、インフラの問題でございますが、政府としては、閣僚級の経協インフラ戦略会議を設置しておりまして、平成二十五年にインフラシステム輸出戦略を決定させていただきました。

 そこにおきましては、分野を絞り込みまして、エネルギー、交通、情報通信、基盤整備、生活環境、新分野、これは医療ですとか宇宙だとかそういったところでございますが、それらの主要な六分野を設定して取り組んでいこう、これがまず一つ。

 その上で、地域別にその取り組みの方針を策定しております。例えば、ASEAN地域については、サプライチェーン強化につながる経済回廊や、ミャンマーのティラワ経済特区等の面的開発案件への支援を実施することとしております。

 経済産業省としましては、円借款、貿易保険等の公的ファイナンスを活用しながら、また、総理や閣僚による積極的なトップセールスを展開するなどあらゆる施策を総動員いたしまして、官民一体となった取り組みをさらに強力に進めてまいりたいと考えております。

石川委員 今お話ありました安倍総理のトップセールス、これがやはり非常に効いているというふうに考えております。

 また、情報を持っているのは、実際は外務省なんですね。外務省に聞くと、やはりどういう国で何が必要なのかということを一番わかっているのが外務省ということでございますし、日本製品の規格のグローバル化戦略にもつながっていくというふうに考えております。それによって国内の生産や雇用につながっていく、設備投資が喚起されるわけでございますので、ぜひこれは力を入れてやっていただきたい、このようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

江田委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 二十分時間をいただきましたので、大臣、よろしくお願いいたします。

 大臣は所信表明で、「高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題は、国が前面に立って取り組むことが必要な国家的課題です。特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づく基本方針を速やかに改定してまいります。」というふうに述べられました。

 昨日、運転期間が法定上限の四十年前後となった原発七基のうち、関西電力が美浜原発一、二号機、日本原子力発電も敦賀原発一号機の廃炉を正式決定しました。中国電力の島根原発一号機や九州電力の玄海原発一号機も、本日、廃炉を正式に決めるのではないかというふうに報道されております。核のごみの行き場所がないまま、日本は廃炉時代に突入したと言えます。

 こういった状況の中で、基本方針をどのように政府としては具体的に改定していかれようとしているのか、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

宮沢国務大臣 まさに、高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題というのは、現世代の責任として解決すべき問題であると考えております。残念ながら、今に至るまで、処分地選定の最初の調査にも着手できていないという残念な状況であります。

 こうした状況を反省いたしまして、一昨年の十二月に、最終処分関係閣僚会議を、議長は官房長官で私が副議長でございますけれども、立ち上げて、最終処分政策の見直しに着手したところであります。

 その上で、放射性廃棄物ワーキンググループ、専門家や消費者代表から構成されておりますけれども、ここにおいて議論をしていただきまして、今般、最終処分法に基づく基本方針の改定案を取りまとめさせていただきました。そして現在、パブリックコメントにかけている最中でございます。

 案の中身、具体的には、地層処分を前提に取り組みを進めつつ、将来世代に再選択の可能性を残すというのが一点。二点目は、これまでのいわゆる手挙げ方式から転換して、科学的有望地を提示するなど、国が前面に立って取り組むということが二点目。そして三点目が、全国的な理解活動や自治体との丁寧な対話を重ねていくといった内容でございまして、将来世代に先送りしないように、まさに着実に進めていきたいと考えております。

富田委員 今大臣がおっしゃった三点目の、国民の理解をきちんと醸成していくんだというところが今一番欠けているんじゃないかと思うんですね。

 原発推進派、反原発派、いずれにしろ、高レベル放射性廃棄物の処分はせざるを得ないわけですから、そこの部分をきちんと議論を進めていかないと、なかなか最終到達点まで行くというのは大変じゃないかなというふうに思います。

 今、改定作業を進めてパブリックコメントにかけているということですけれども、特に国民の理解、また、現実に処分地となるような地域との個別の交渉とか、そういったところをどういうふうに経産省またエネ庁として考えているのか、長官の方からちょっと具体的に教えていただきたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 これは委員御指摘のとおりでございまして、私ども、科学的な知見ももちろんのことながら、最終処分地の選定に向けて、どのように、いかにして国民と地域の御理解をいただくかということがむしろ最大の課題ではないかと考えております。

 私ども、特に、この最終処分の必要性につきましては多くの国民の方の御理解を得た上で、最終処分地の選定の実現に貢献いただける地域に対しましては、敬意あるいは感謝、こういった念を抱くとともに、その利益についても適切にその地域に還元をしていく、そういう認識が国民一般に広く行き渡る、こういうことが重要であると考えております。

 現在、最終処分地選定に向けた閣議決定をパブコメ中でございます。それを踏まえまして、私ども、これはその後でございますけれども、全国規模で、なぜ最終処分が必要なのか、どういう形で最終処分を行うのか、地域に対してどういうメリット、デメリット、いろいろなことがあるのか、さまざまな問題につきまして、国が前面に立ちまして、例えば、全国規模のシンポジウムあるいはさまざまなメディアを通じた情報発信を行いまして、さらに、全国の自治体に対しても情報提供を行いまして、最終処分というのがどういうものかについて国民の理解がいただけるよう努力をしてまいりたいと考えております。

 また、地域の合意形成に向けて、住民同士の情報共有あるいは対話活動、これが地域で主体的に行われることも非常に重要であると考えておりまして、NUMOという原子力発電環境整備機構、これが処分の実施主体であるわけでございますが、こことともにそうした地域の活動を支援してまいりたい、このように考えております。

富田委員 今、長官の方からNUMOとともにとありましたけれども、二〇〇〇年に法律ができて、なかなか、十五年かけても全く進んでいないというような状況です。

 一昨年、昨年と、世界の最終処分場を幾つか視察させてもらいました。

 昨年は民主党の篠原先生とも御一緒させていただいたんですけれども、一昨年、九月の十七日にスウェーデンのストックホルムに参りまして、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社、SKBというふうに略称で呼ばれていますが、そこと、放射線安全機関、これは監視機関ですけれども、SSMというふうに呼ばれていますが、それぞれ意見交換をしてまいりました。その次の日に、ストックホルムからオスカーシャムに移動しまして、使用済み核燃料中間貯蔵施設、CLABと、エスポ岩盤研究所も、地下四百五十メートルから五百メートル、ずっと回らせていただきまして、全部見せていただきました。

 委員長また理事の御理解をいただいて資料配付させていただいていますが、このスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社社長クリストファー・エッカーバーグさんという方が昨年の五月に来日されまして、五月二十二日に、高レベル放射性廃棄物等の最終処分に関する議員連盟の第三回総会で講演をしてくださいました。その際の資料が、お手元に配付させていただいた資料でございます。

 最終処分場というと、すぐフィンランドのオンカロの話が出てきて、小泉元総理がオンカロを見て反原発に突然かじを切ったというのは有名な話ですが、私もオンカロも見せていただきましたが、このエスポ岩盤研究所の方が、さまざまな実証実験をやっていまして、日本にとっても一番参考になるのではないかなというふうに思っておりましたら、国際会議の機会にエッカーバーグさんが、国会の方でも話をしていいということで、こういう資料を自分でつくってきてくれました。現地では英語のプレゼンテーションだったものですから、なかなかよく理解できない部分もあったんですけれども、日本語をこういうふうにきちんと書いてきてくれました。

 これは非常に役に立つなと思うんですが、ちょっと二ページを見ていただきますと、処分場建設予定地フォルスマルクというふうに書いてあります。そして、下にキャニスター封入施設建設予定地オスカーシャム、ここにエスポ岩盤研究所があるんですが、これはそれぞれ、処分場予定地はストックホルムから北に約百二十キロ、エスポ岩盤研究所はストックホルムから南に三百キロぐらいのところでありまして、これがどういうふうにできてきたかを丁寧に、三ページ、スウェーデンの原子力事情から始まりまして、直接処分技術、五ページに研究開発と処分地選定とありますが、四十年かけてこれだけのことをやってきている。これからまた、実際に開始するまでまだ十四、五年かかるということで、五十年単位のスケジュールを組んでいかないと、なかなか日本も大変だろうなというふうに思います。

 七ページを見ていただきますと、真ん中に、地下にちょっと白い線が入っていますが、これがエスポ岩盤研究所の地下坑道をあらわす図でありまして、こういうふうにずっと入り組んで、このそれぞれのところでいろいろな実証実験をやっていました。

 ちょっと八ページをごらんいただきたいんですが、八ページは、使用済み核燃料最終処分場の用地選定の進め方ということで、具体的な絵も描いてありまして、地質調査から始まって建設まで。残念ながら、日本は、この地質調査の前段階の文献調査もまだオープンにはできていないという段階ですので、これから全部これをやっていかなきゃならない。

 二〇〇九年にフォルスマルクに決定というふうに八ページに書いてありますが、実は、フォルスマルクは原発が三基稼働している地域なんですね。住民に住民投票をしたら、七五%が最終処分場をつくっていいというふうに賛成したということを社長さんからお伺いしました。良質な花崗岩の地質で、水が一切出てこない岩盤だということで、本来、エスポ研究所の方でもできるんですが、それよりもさらにいい地域が見つかったということで、このフォルスマルクに決まったというふうなお話でした。

 その後に、九ページ以降、国民の関与促進と会話、用地選定プロセス成功の鍵というふうにありますけれども、九ページの右側にちょっと船が写っているんですが、この船は広報用の船なんですね。最終処分場がどうして必要なのか、また、どういったところがいいのかというのを、この船に乗ることによっていろいろ国民が見られる。こんなものまで準備して、そこに書いてありますが、有望候補地自治体との集中的な会話実施とか、地元自治体自前の専門知識取得のための特定用途資金供与、こういうことまでやってきた。これは、自治体は原子力の専門家はいませんので、原子力の専門家を自治体に雇ってもらうための資金を国の方で提供している、こういうことまでやったんだということで説明をいただきました。そしてやっとこういうふうにできてきたと。

 次の十ページでは用地選定での重要要件というふうに書いてありますが、この中でも社長さんが強調していたのは、信頼できる規制機関の存在だと。スウェーデンは、先ほどお話ししました放射線安全庁、SSMがありまして、高いレベルできちんとこういうことを理解して、安全性を追求できるような機関があったと。

 また、地元自治体との緊密な連携というのは、スウェーデンの法律では、地方自治体が最終的に、処分地を国の方が決めても、自治体などで拒否権を持っているというような制度になっているようです。それでも自治体がちゃんと了解してくれたと。そのために、地元の地方の政治家が大変こういうことを理解してくれて、やってくれたんだというような御説明がありました。

 こういったことも、ぜひ、政府の方で今後基本方針の改定をしていく中で検討していただきたいというふうに思います。

 SKBやエスポで、実はこういうお話も聞きました。SKBで地域合意形成に向けてどんな取り組みをしているんだというふうに尋ねましたら、最終的に決まったエストハンマルでは、当初は現地調査を行うことも難しかった、でも、机上検討をきちんと六年間やって、その後に実地調査を六年間やった、地元のペースに合わせて取り組みを進めることが大切であり、地元出身者が事業に取り組むことが重要だと。

 SKBでは、原子力と関係のない仕事をしていた三名の地元出身者を雇用して、プロのコミュニケーターとして育成し、取り組んでもらった、技術スタッフがおり、サポートすることもあったが、大抵のことは地元スタッフが行ってきた、現地事務所で待っているのではなく、みずから出かけていって説明を行ってきたと。

 先ほどお話しした輸送船を使ったイベントとか、オスカーシャムの見学ツアーも行っており、エストハンマルの十八歳以上人口約三千二百名のうち二割程度がオスカーシャム見学ツアーに参加している。四百二十キロ離れたところまで見に来ているわけですね。そういう努力を重ねてきてこうなったんだというような話がありました。

 また、エスポ岩盤研究所では、地域とどういうコミュニケーションをとっているんだというふうに質問しましたら、エスポ岩盤研究所の建設に向けてボーリング調査を行った際、調査対象地域の所有者は五十名、周辺住民は二千七百名ほどだった、住民とのコミュニケーションには研究者も参加し、住民に来てもらうのではなく、自分たちの側から出かけていった、コミュニケーションに当たっては、特に中学生くらいの子供さんたちとの対話を重視して取り組んだと。長いスパンですから、そういうところから理解を広げようとしたんだと思うんです。

 そして、最終処分場を建設するフォルスマルク周辺の住民によるエスポ岩盤研究所の見学ツアーも行ってきた、見学ツアーは、飛行機などでばらばらに移動するのではなく、バスで行動をともにしながらいろいろな話をすることも大事だ、地元の人たちに対して、教えてあげるというスタンスではなく、同じ立場に立つことが必要だ、信頼をかち取るために必要なことはスウェーデンと日本でも共通するのではないか、そういう指摘までいただきました。

 こういうふうに、SKBやエスポ岩盤研究所でこれまで積み重ねてきたいろいろな知見があるわけですけれども、こういった知見を今後日本ではどのように活用していくべきだというふうにお考えになりますか。

宮沢国務大臣 富田委員におかれましては、昨年、一昨年と、スウェーデン、フィンランド、フランス、ドイツ、スイスと全部回られて、本当に敬意を表したいと思っております。また、きょうお話しいただいたことは、本当に、我々がこれからやらなければいけないことについての示唆に富んだお話をしていただいたと思って、大変感謝をしております。

 私どもも、今、ワーキンググループにおきまして処分地として適当な基準といったものを審議していただいておりまして、それが出た後、それに基づいて全国の地図でこういうところが可能性があるということをお示しした上で、それぞれの自治体と話し合いを進めていく、こういう手順でございますけれども、今おっしゃったスウェーデンの例というのは大変参考になります。

 日本の場合はNUMOがこういう役割を果たすわけでありますけれども、しっかりと住民との対話をしていく、そして、NUMO任せにせずに我々国も前面に立ってそういう作業を進めていくということで、きょうお話しいただいた内容を参考にしながら今後取り組んでいきたいと思っております。

富田委員 ありがとうございます。

 最後に一点、ちょっと提案というか御質問したいんです。

 今月の四日に、江田委員長が本部長を務めます公明党の総合エネルギー対策本部と経済産業部会の合同会議で、田中伸男前IEA事務局長に来ていただいて、エネルギーミックスの話をしてくれというふうにお願いをしまして、一時間ほど御講演いただきました。

 大変示唆に富む講演をしていただいて、最後に田中さんの方から、提案だけれどもということで、これは福島の被災された皆さんの本当に御理解が大前提ですけれども、福島第二原子力発電所を活用して、第一のデブリ処理とか使用済み燃料、高レベル廃棄物処理システムの実証実験を行ったらどうだというような御提案をいただきました。

 その中でも、電解型乾式再処理システムがデブリ処理に有効なんじゃないかという、これも一度は九〇年代に日本も開発に参加したようですが、途中でクリントン政権の方がとめてしまったということで最終段階まで行っていない、こういったものをやったらどうだとか、統合型高速炉での燃焼実証をしたらどうだと。これはGEの方で開発を進めていて、小型のこういう機械もできるというようなことを田中先生はお示しいただいて、図も見せていただいたんですが、五年間ぐらいの期間で、三千億から四千億ぐらいでこういうものができる可能性がある、だから、ぜひ経産省の方でもこういったものも、最終的にどうなるかは別として、研究対象としてすべきではないかというような御提案でした。

 大変示唆に富む提案だなというふうに思いましたので、エネ庁の方で今どういう考えでいるか、最後にお聞かせ願いたいと思います。

上田政府参考人 最初に、福島第二原子力発電所を活用しながらデブリ処理、使用済み燃料処理等々を行ってはどうかという御提案についてでございます。

 私ども、まず、今、福島第一原子力発電所内の使用済み燃料につきましては、これは燃料そのものが海水あるいは瓦れきの、処理を受けているということでございまして、通常とはかなり異なる環境のもとにあるということで、使用済み燃料プールから取り出した後は、当分の間は敷地内の共用プールで保管をし、その後、状態を監視していく。その後どのように処理をするかということにつきましては、技術的な検討の結果を踏まえた上で、二〇二〇年ごろを目途に決定をいたしたいと思っております。

 それから、デブリの取り出しそのものにつきましては、これは世界でもめったにない、類を見ない作業でございますので、内外の英知を結集しながら研究開発を行っているところでございますが、そういったことも踏まえて、二〇二一年の末までに取り出しを開始しようと思っております。

 その中心的な、廃棄物あるいは燃料デブリに関する分析、研究の拠点でございますけれども、私どもとしましては、今、第一原子力発電所の敷地の横でございますけれども、そのための施設を設置するという方向で進めておりまして、現在、日本原子力研究開発機構、JAEAでございますが、そこが準備作業を進めているところでございます。

 福島第二原子力発電所をどのように進めていくかということは、さまざまな課題を検討しながら事業者において御判断されることだと考えておりまして、私ども、現在、燃料デブリの処理そのものに第二原子力発電所を活用するということを想定しているわけではございませんけれども、中長期的にどのようにしていくかという問題については、真剣に、内外の英知を集めて検討をしてまいりたいと思っております。

 それから、もう一つ御提案いただきました、いわゆる統合型高速炉、IFRというものについて申し上げたいと思います。

 これはもう先生御承知のとおりでございます。IFR、インテグレーテッド・ファスト・リアクターということで、統合型原子炉で、いわゆる原子炉と再処理施設を一体的に運用するというものでございます。今御提案がありました、アメリカでGE等が研究していますPRISM炉というものもこのIFRの一つでございます。現在、アメリカにおいてはこの研究というのは停止されているわけでございます。

 それから、IFRと日本が進めております再処理とはやや技術が異なる点がございまして、私ども、ちょっと技術的な話で恐縮ですが、いわゆる酸化物燃料、六ケ所等々ではそういった形で再処理を進めるわけでございますが、この高速炉におきましては金属燃料を使うことになっておりまして、金属燃料と酸化物燃料とはやや技術体系が違うということもございます。

 私どもは、高速炉等の研究開発につきましては、これから、エネルギー基本計画の中におきましても、いわゆる核燃料サイクルを推進していくということを基本方針としながら、アメリカあるいはフランス等々との協力を進めながら高速炉等の研究開発に取り組むということにしているわけでございますが、フランス、アメリカ等との国際協力も含めまして、着実に推進をしていきたいと思います。

 しかしながら、このIFR、技術的にはかなり私どもも関心を有している技術でございまして、技術体系の違い、さまざまな課題はありますけれども、将来の高速炉のあり方につきましては、国際協力の進め方、あるいは「もんじゅ」、こういったものの状況も踏まえながら、今後、十分に検討していきたいと考えております。

富田委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次回は、来る二十日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三分散会


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