衆議院

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第3号 平成27年3月20日(金曜日)

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平成二十七年三月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石川 昭政君    大岡 敏孝君

      大見  正君    岡下 昌平君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    黄川田仁志君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      白石  徹君    白須賀貴樹君

      瀬戸 隆一君    関  芳弘君

      冨樫 博之君    長尾  敬君

      野中  厚君    福田 達夫君

      藤井比早之君    細田 健一君

      宮崎 政久君    山田 賢司君

      若宮 健嗣君    神山 洋介君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    渡辺  周君

      落合 貴之君    木下 智彦君

      國重  徹君    藤野 保史君

      真島 省三君    野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府地域経済活性化支援機構担当室次長)    西田 直樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 青木 信之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 豊田 欣吾君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            田中 正朗君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 石井 淳子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           黒澤 利武君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 高橋 泰三君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官)   竹内 大二君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     長尾  敬君

  佐々木 紀君     白須賀貴樹君

  白石  徹君     山田 賢司君

  武村 展英君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     佐々木 紀君

  瀬戸 隆一君     藤井比早之君

  長尾  敬君     勝俣 孝明君

  山田 賢司君     白石  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     大岡 敏孝君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     武村 展英君

    ―――――――――――――

三月十九日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地域経済活性化支援機構担当室次長西田直樹君、総務省大臣官房審議官青木信之君、外務省大臣官房審議官豊田欣吾君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、文部科学省研究開発局長田中正朗君、厚生労働省政策統括官石井淳子君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官井上宏司君、経済産業省大臣官房審議官黒澤利武君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、経済産業省産業技術環境局長片瀬裕文君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁次長高橋泰三君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、中小企業庁長官北川慎介君、中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君、原子力規制庁長官官房審議官大村哲臣君及び原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官竹内大二君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介であります。

 きょうは今国会の大臣所信に対する質疑の機会を、貴重な時間をいただきまして、委員長、理事の皆様に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 まず、本論に入る前に、大臣にちょっとお伺いしたいことがございます。

 それは、今国会、残念ながらと言うべきだと思うんですが、昨年の臨時国会に続いて、いわゆる政治とお金をめぐる問題について、安倍内閣の閣僚が辞任を引き続きされたということであります。昨年は、当委員会でも議論をいたしましたが小渕優子前経産大臣、そして松島法務大臣が辞任をされている。それで、今国会では西川農林水産大臣も辞任をされました。

 西川農水大臣は、実は、私、個人的なことを申し上げますと、内閣委員会時代、私は野党筆頭で、西川農水大臣は当時与党の筆頭理事で、一年間、筆頭間でずっと御指導をいただきましたので、お人柄等については私も重々承知しておりますし、大変苦労人であられて、そして、TPP交渉も非常に精通をしておられて、そういう意味では私もその辣腕ぶり、力量には、TPP交渉が大詰めを迎える中で期待をしておりました。海外でも大変、もちろん宮沢大臣もTPP交渉関係閣僚であられますけれども、甘利大臣、宮沢大臣と並んで、西川大臣もその交渉においては非常に重要な役割を期待されていた方であります。この大臣も辞任をすることとなりました。

 第一次安倍内閣、第二次安倍内閣を通じて見ると、この二十年間、いわゆる政治とお金にまつわって辞職をした大臣は非常に多いということも指摘をされているところであります。こうした事態について、まず、閣僚のお一人として、宮沢大臣はどのようにお受けとめになっていますでしょうか。

宮沢国務大臣 辞任に至られたことは大変残念なことだと思っております。

 一般的に申し上げて、やはり一人一人の政治家が、国民の信頼を得られるように、みずから襟を正し、そして説明責任を果たしていくということが大変大事なことだと思っております。

近藤(洋)委員 今大臣から御答弁いただいたように、襟を正し、きちっと説明責任を果たすことが必要である、全くそのとおりだと思うんですね。大臣の職を辞された後も国会議員であられるわけでありますから、やはりきちっと説明する責任を果たすべきだ、こう思うわけであります。

 そこでお伺いするわけでありますが、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいております。一枚目と二枚目でありますけれども、これは平成二十六年十月十七日の経済産業委員会の質疑の議事録であります。

 私と当時の小渕大臣との議事録でありますけれども、このときに、いわゆる小渕大臣の後援会が主催をされた観劇について、開催状況または参加人数、費用の明細が平成十九年以降どうであったのかということに対して、当時小渕大臣は、週明けには提出したいということをこの委員会の場でお答えになっております。

 さらに、政治資金規正法九条に示されている会計書類。会計簿、明細書、領収書、振り込み証書の保管が義務づけられているわけでありますけれども、こうした関係書類についても、保管を義務づけられている以上提出できるはずであるということで、提出をお願いしたいということで、こちらについても、提出させていただきたいと考えておりますとこの場で御答弁をされておるわけであります。

 委員会で質疑をした翌週の月曜日に当時の小渕大臣は職を辞されましたけれども、少なくとも、提出をしたいということをこの場でお答えになっておるわけでありますけれども、その後は、残念ながら、委員会への提出はおろか、御自身で資料を対外的に公表してあるとか、また記者会見で公表したということもございません。また、事もあろうに、重要な書類が入っていると思われるコンピューターのハードディスクを事務所の関係者が処分したという報道もされております。

 こうした小渕前大臣の行動について、宮沢大臣は、現時点において説明責任は十分に果たされているとお考えになりますか。

宮沢国務大臣 まず、資料提出の件でございますけれども、これにつきましては、当委員会の理事会において与野党間で協議をされていると伺っておりますので、私からはコメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

 それから、小渕前大臣につきましては、司直の捜査に協力し、またこれに配慮しながら第三者委員会の調査を進めていくと述べていられますので、しかるべきときに、国民から負託を受けている議員として説明責任を果たされるものと考えております。

近藤(洋)委員 果たされるものと考えている、こういうことであって、私が伺っているのは、現時点で、では、小渕議員は前大臣としてその説明責任を果たしていないというふうに宮沢大臣はお考えですか。

宮沢国務大臣 司直の手が入っていられるわけでありますし、相当な資料も押収されているということも伺いますので、果たそうにも果たせないというのが現状ではないかと思っております。

近藤(洋)委員 私は、小渕前大臣は大変有望な政治家であると思うわけであります。だからこそ、昨年末の総選挙でも再選をされた、地元の方の御期待もあった、こういうことだろうと思うんですね。だから今現在も国会議員であられる、こういうことだと思うわけであります。

 しかしながら、では選挙をすればみそぎが全て済んだのかというと、それはやはり違う、こう思うわけですね。国会議員であるという立場を持つ話と道義的な責任というのはやはり別の話なんだろうと思うんですね。少なくとも、きちっと、小渕優子議員は大臣当時に、ここで資料を提出し、説明責任を果たすと。

 資料提出云々は、確かにこの委員会の運営の問題ですから、それはよしとしても、では、御自身できちっと公の場で会見をするなり、適宜こういう状況であるといった説明は、少なくとも我々の関知するところでは一切ない。別の後援会の身内の集まりで説明をされているのはあるのかもしれませんし、選挙期間中、何らかのことをおっしゃったのかもしれません。

 しかし、いわゆる一般的な国民に対して、きちっとできる限りの、今の時点ではこうなっていますということはやはり姿勢として示すことが、私は政治家として当然あるべき姿だと思うんですね。そのことが、やはり国会議員の信用、政治の信用を高める大事なことではないか。

 私は、大臣、これは二つの意味において、一つは現大臣として前大臣を見る立場として、あともう一つは自由民主党、政権与党の有力議員のお一人として、やはり小渕前大臣に対して説明責任を果たすよう促すべきではないか、このように思うわけでありますが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 もちろん、選挙で当選したから全てが終わるということではないわけでありまして、やはり資料などが戻ってきて説明できる状況になったときには説明責任を果たされるものと承知している、こういうふうに申し上げたわけであります。

 一方で、経産大臣の後任ではありますけれども、何か私が促すという立場でもないような気がしておりまして、やはり小渕前大臣は立派な方でありますから、間違いなく説明責任は果たされると思っております。

近藤(洋)委員 私は、経済産業省というのはやはり大事な役所であるし、その大臣というのはやはり日本の経済閣僚の代表格であるわけであって、その代表格である方が少なくともこういう問題で職を辞されたということは、経済産業行政の信用を回復する上でもやはり大事なことであるという観点から、あえてこの委員会の場で申し上げさせていただきました。

 私どもは、小渕前大臣は説明責任を全く果たしていないという認識でありますし、こういう状況は非常に、また同じ国会議員として残念であると言わざるを得ません。引き続き、国会の場はいろいろございますので、きっちり説明責任を果たしてもらうべく求めていきたいということを申し上げて、本論に入りたい、こう思います。

 それでは、経済政策の全体のマクロ政策についてまずお伺いしたい、こう思うわけであります。

 有名な、大ベストセラーになった「二十一世紀の資本」、ピケティ氏の本でありますが、私も年末に買いまして、読んだか読まないかは、読むべく調整をしました。しかし、解説本もたくさん出ております。なかなか読むのは、移動中に読むと大変、精神安定上いい本でありますけれども、ただ、あれだけの本が売れている、大変なことだな、こう思うわけであります。

 まず、大臣はあの「二十一世紀の資本」を読まれたかどうか。多分大臣はお読みになったのかな、こう思うわけでありますけれども、このピケティ氏の、いわゆる資本収益率は成長率よりも大きいという主張。しかし、あれだけ難解な本が売れている。私の地元の山形県でも本屋にあるということは大変なことでございます。

 それだけやはり、私は、格差論というのが日本人の中にもどこか感じているところがあるんだろうと思うんですね。それに対しての答えを政治なり行政が示していないから、あれだけ難解な本が、難解というか分厚くてしかも安くはない本が売れている背景なんだろう、こう思うわけであります。

 この格差論でありますけれども、予算委員会でも随分、我が党の岡田代表、さらには前原衆議院議員と安倍総理との間で、また甘利大臣との間で議論が交わされましたが、宮沢大臣にもお伺いしたいのでありますけれども、少なくとも安倍首相や甘利大臣は、余り格差の存在を正面からお認めいただけない御答弁なのであります。

 この資料の四ページ目をちょっとごらんいただければと思うんですが、これは我が党の岡田代表が予算委員会に出した資料でありますけれども、相対的貧困率の年次推移、とりわけ子供がいる現役世帯の世帯員の相対的貧困率の推移であります。

 相対的貧困率は、昭和六十年から平成二十四年まで、長いトレンドで見ればやはり上昇している。そして、子供の貧困率も、この二十五年間の推移で見るとやはり上昇している。何も我々は、短期の、安倍政権がどうだとか、この二、三年の数値のことを言っているのではなくて、長いトレンドの中で、少なくともこの二十五年間の中で、やはり貧困率というのは上昇しているのではないか。また、子供の貧困率というのは、やはり五〇%で、しかも、右手のグラフでありますけれども、一人親家庭の貧困率は五四%になっている。これはOECD加盟国の中では最悪の数値で高どまりしているということ。

 こういうことから、日本社会全体の格差がやはりじわじわと広がっているのではないかという御認識は大臣御自身お持ちでしょうか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、ピケティの話ですけれども、私が最初その話を聞きましたのは、たしか昨年の五月の終わりか六月だったと思いますけれども、日本銀行の幹部から、今国際会議に行くとこの本の議論が大変多いんだという話を聞きまして、そこで三枚紙ぐらいで中身の説明を受けました。

 そして、彼が言うには、本の方は、ともかく長いですし資料がたくさんあって、読まなくていいですよと言われて、読んでおりません。解説本といいますか、日経ビジネスか何かで出ております、ピケティさんが新聞にずっと投稿していたものをまとめたものが非常にわかりやすいという話で、いただいたんですけれども、実はそれもまだ読めておりません。

 それで、ピケティさんの話でいいますと、いわゆる資本所得の伸び率が労働所得の伸び率より高いということですけれども、そのとき、去年の六月の段階でふっと頭をよぎりましたのは、いわゆる労働所得というのは、GDPの名目の伸び率にかなり近い数字だろうな、一方で、資本所得というのは、例えば金利の水準とか、いわゆるROEといったような水準にかなり近いんだろうなと。ここのところの日本の状況を見ていますと、足元ではちょっと違いますけれども、やはり金利の方が、ROEの方が、両方ともGDPの伸び率よりは高いという状況がかなり続いてきたな、だから何となくわかる理論だなという思いがまずいたしました。

 ただ、一方で、格差の話につながりますけれども、その後、ジニ係数等がいわゆる手取りベースで見ますとそれほど上がっていないということになりますと、例えば、千兆円を超える金融資産を一般の家庭も含めて持っているというような日本の状況というのが、アメリカなんかとはかなり違ってきているのかなという思いがいたしております。

 格差の話につきまして、私も予算委員会にずっと出ておりましたので、ずっと聞いておりました。先ほど申し上げたように、ジニ係数についていえば、手取りベースでいえばそう変わっていない、アメリカ、イギリスは違うんだというような議論があり、また、相対的貧困率につきましても、厚労省の数字と総務省の数字で違っているといったような議論がされておりましたけれども、直観的に言いまして、やはり、かなり貧しい家庭がふえてきているということは事実だろうと思います。

 例えば、足立区に生活保護の世帯が相当たくさんいるとか、それから、地元の保育の関係者と議論をしていたときですけれども、我々自民党の多数意見は、例えば、ゼロ歳児保育というものは、やはり母親が見るべきであって保育所に預けるべきではない、こういう議論をしているわけでありますけれども、そういうことを地元の保育の関係者に言いますと、正直言って、我々だってゼロ歳児保育をしたいわけじゃないんだけれども、とてもじゃないけれども育児を任せておけないような母親がたくさんいる、これをなくすわけには恐らくいきませんよという話を聞きますと、やはり、そういう大変貧しい家庭がふえてきているというのは、実感としてあると思っております。

 そういった意味で、そういう方に対する対策というものはやはり相当やっていかなければいけないんだろうと私自身は思っております。

近藤(洋)委員 大臣も政治家として、やはり全体として格差がある、しかもそれもだんだん広がりつつあるという日本社会全体の認識はお持ちなんじゃないかということでよろしいでしょうか。

 要するに、総中流社会。これは世論調査でも明らかなんですが、これは正確なデータを持っていないのであれですけれども、かの読売新聞ですら、一億総中流と。見出しは九〇%が中流意識を持っていて、十数年前と変わらないと書いています。

 しかし、中を見ると、中の下と思っている人の比率はふえているんですね。中の中、中の上、中の下、みんな中なんですけれども、中の上が減って、中の中がふえて、中の下がさらにふえている。それは少なくとも五年前よりは明らかにふえているというのが、読売新聞の調査でも明らかなんですね。だから、感覚として、自分は中流だけれども中の下だなと思っている人がふえていると世論調査でも出ているというわけであります。

 ですから、ちょっと看過できない貧困層も、今大臣の御答弁で、若干出てきているという御答弁がございました。私は、やはりこれは大きな問題なんだろう、こう思うんですね。

 余談ながら、余りこの話をすると、これは厚労委員会でやれという話になっちゃうのであれなんですが、たまさか私、ことし子供が大学受験でありますが、これは受験料だけでも大変ですよね。受験するだけで大変です。五校を受けたらウン十万というか大変な額がかかるわけですね。

 これは、本当に、地方の子供たちは、普通の一般家庭でどこまで大学受験できるのかというのを実感として感じるわけです、同級生の御父兄ともお話をしても。ですから、いろいろな意味で、教育、大学を受験するということ、また大学に通うということも含めて難しくなっている家庭がふえているというのは、地元でも感ずるわけです。

 そこで、話を本論に戻しますが、これを経済社会に戻すと、今、ベアを各社が回答しております。資料の五ページでありますが、トヨタ、ホンダ、マツダと、ベアの回答をしております。トヨタ自動車が四千円、日産自動車が五千円等々でありますけれども、こうした回答をするということが報じられております。

 大手企業、いわゆる超大手企業のこの回答についての受けとめを、まず大臣、お答えいただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 安倍政権におきましては、一昨年以来、政労使の会合などで、給与を上げてほしいということ、また、納入業者に対してもこれが均てんするような措置をしてほしいということを言ってまいりまして、昨年末の政労使会合でもそういう合意ができまして、その結果というだけではないかもしれませんけれども、今回、昨年を上回る賃上げがこれまでのところ実現しているということは、大変喜ばしいことだと思っております。

 私も、昨年末、またことしの初め、いろいろな会合でお話しする機会がございましたので、全ての会合で、しっかりと利益を働いている方に還元してほしい、そして、納入しているいわゆる下請企業等々にもしっかりと均てんをし、さらにそれがその下の下請、二次下請、三次下請にも均てんしてほしいということを申し上げてまいりました。そういうことが、ある意味では昨年に引き続き実現しているんだろうというふうに受けとめております。

近藤(洋)委員 政労使の会議等の経過もあるということでお答えがございました。

 これだけの為替の水準でありますから、特に輸出企業は空前の高収益を得ているわけですし、もちろん、企業側の努力もあろうかと思うんです。

 私は、ここで格差論の中でお伺いしたいのは、ベアは企業側やその労働組合双方、働いている方々の努力の結果でもあり、これ自体は大変喜ばしいことだ、こう思うわけであります。ただ、先ほどの、大臣もお答えいただいた、資本収益率は労働よりも上回るという観点でこの議論を引き直しますと、やはり大資本、巨大資本というのは強いというのも言えるんだろうと思うんですね。

 次のページをごらんいただければと思うんです。売上高経常利益率の推移でありますけれども、大企業と中小企業の差であります。これで明らかなとおり、九〇年から二〇一三年までの数値、折れ線グラフでありますけれども、やはり景気がよくなると大企業と中小企業の差が、今回もどんと広がっているわけであります。売上高経常利益率で大企業は六・二、中小企業は二・九。前の二〇〇六年も、これはリーマン・ショックの直前でありますけれども、どんと広がっているわけです。

 要は、景気がよくなる局面においては、大企業と中小企業の差はどっと広がるということだろうと思いますが、今回また、大企業と中小企業の差が大きく広がっているのが、このグラフで読み取れると思います。

 次のページは欠損法人の割合でありますけれども、こちらも国税庁の調査でありますけれども、ずっと中小企業は七割が赤字法人。大企業は二九・九%となっていますが、恐らくこれは直近で言えばもっと減っているでありましょう。大企業は黒字化が進んでいるのは間違いないところであります。

 次のページをごらんください。労働分配率でありますが、労働分配率、要するに、もうけのどれだけを労働者に還元しているかという数字でありますけれども、大企業は五六、中小企業は七六・一。中小企業は七六・一ですから、大変多くを従業員に配分しているということなんですね。赤字法人にもかかわらず、経営は苦しいけれども、中小企業は利益のかなりの部分を歯を食いしばって配分している、大企業はそうでもないというのが、企業別の労働分配率の数値。

 この三つのグラフをごらんいただいた上で、大臣にお伺いしたいのですけれども、要するに、ピケティ論でいくと、この局面は、ますます大企業と中小企業の差が広がるのではないか。過去においても、やはりリーマン・ショックのときも、特に売上高経常利益率を見ても明らかなわけですけれども、ますます大企業と中小企業の差が広がってしまうのではないかということを強く感じるわけであります。

 赤字企業の割合が高どまりしているのはそのあらわれでありまして、こういう格差を縮める必要があるのではないか、こう思うわけでありますけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。

宮沢国務大臣 大変おもしろい表を見せていただいたと思っておりまして、私はこの表を見てふと思ったのが、欠損法人の割合が、中小企業で九〇年には五〇%だったものが今は七〇%になっている。一方で、経常利益率は九〇年の二・二に比べると上がっているわけですね、二・九と。これはどういうことなのかなと実は思っておりまして、一方で中小企業の利益率といったものが、リーマン・ショック後、民主党政権の時代もまたその後も上がってきているということは、大変いい数字を示しているなと実は思っておりました。

 そして、今、景気がよくなると差が大きくなるという話でありますけれども、例えば労働分配率についていえば、恐らく大企業の方が設備が大変大きいというようなことで、いわゆる設備等々で上がってくる利益が大きいといったようなものが恐らくかなり影響しているんだろうと思います。

 一方で、まさに、景気がよくなると、ある意味では、大企業、特に輸出型の大企業等々といったものに利益がかなりたまって、中小企業はそれほど伸びないということは間違いなくあって、大企業、中小企業といった意味でいえば、大企業の利益の方が大きくなるということは、それはあるんだろうと思います。

 では、中小企業に対してどうするかといいますと、まず一つは、恐らく経済全体をさらによくするということ。それは大企業の利益の方が相対的に上がるかもしれないけれども、中小企業の利益も上がってくるわけでありますから、経済をまさにデフレから克服するということがまず一点だろうと思います。

 そしてまた、先ほどもちょっと申し上げましたように、すぐに下請企業、納入業者にもやはりしっかりと、親企業のよくなった部分が移転していくようなことをやっていかなければいけないと思っております。

 そうした意味で、我々も、政労使等々で働きかけをしてきておりますし、また、昨年来いろいろな、下請法に基づきまして、四十万社ほどにアンケートみたいなものをお送りしまして、問題があるとなったときには、公取と一緒になって立入検査をする、さらにさらに問題がある場合には、それを指摘するというようなことをしっかりとやっていくことによって、親企業の利益がしっかりとその下にも回っていくようなものをつくっていくということが、我々がやっていかなければいけないことだろうと思っております。

近藤(洋)委員 大臣が今おっしゃった部分は全くそのとおりだと思うんですね。公正な取引をきちっとしてもらうということは、我々の政権時代も強く言ってまいりましたし、そのとおりだと思います。公正取引委員会がきっちりチェックするということ、また、公取といっても人数が限られておりますから、中小企業庁と連携をして、ぜひチェックをしてもらいたい。これはこれで大事なことだ、こう思います。

 価格転嫁力が落ちているということも明らかでありますから、泣き寝入りをしないように、また、公正な取引をつくること自体は、日本経済の底上げにもつながるので、これは大事な論点。

 ただ、それはそれとしても、本当に大企業の利益が中小企業にきちっと還元される仕組みづくりということは大事なんですが、それと同時に、ちょっとお伺いしたいのは、今回そういう中で、あえて政府は法人減税を実行されたわけですね。

 この法人減税でありますけれども、資料の九ページ目をごらんいただければと思うわけでありますが、二・五一%法人減税をされた、引き下げたわけであります。この法人減税によって、これは黒字企業じゃなきゃ減税効果が出ないわけですが、主に大きな企業、大企業がいわゆるメリットを受ける。

 何となれば、中小企業はほとんどが赤字法人、七割が先ほどのグラフのとおり赤字法人でありますから、大企業の方が恩恵を受けるわけであります。

 では、この法人減税は、今回やったことというのは、全体としてどういった経済効果を生むというふうに思い、経済産業省としては要求をし、取り組まれたのか。もっと言うと、これによって、具体的に、例えば雇用をこれぐらい生むであるとかいったものがあるのかどうか、ちょっとお答えいただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 今回の法人税改革につきましては、今委員は減税とおっしゃいましたけれども、基本的な発想は税収中立、要するに、最近イギリスで行われ、ドイツで行われ、課税ベースを広げる一方で、いわゆる表面税率を下げていくということでございますので、減税と言えるのは二年分の前倒しといった部分、ここに書いてあります二十七年度、二十八年度、それぞれ二千億ちょっとといったところが前倒し効果という意味で減税と言えば言えるというような状況だろうと思っております。

 ですから、そういう中で、一方で、ここにありますように、受取配当益金不算入ですとか、租特といったものは、正直言って、中小企業よりは大企業が恐らく負担する部分が多い。繰欠の縮小につきましては、これは恐らく大企業にも中小企業にも影響がある、こういうことだろうと思っておりまして、一概に大企業に有利になる税制改革をしたということは我々考えておりません。

 一方で、その効果ということになりますと、今申し上げましたように、二千億円ずつの前倒しの効果ということでありまして、正直言って、経済産業省としてそれ自体を、前回、民主党が法人税を引き下げられたときには、委員が大変大活躍で効果を計算されたということは聞いておりますけれども、今回は、そういった意味で、税だけの効果ということは計算をしておりません。

 一方で、法人税改革を含んで、政策全体の効果によりまして、民間設備投資や消費支出等への効果、経済全般の成長率の見通しといったものが発表されておりまして、民間設備投資については平成二十七年度には前年度比で五・三%程度増加する、また、民間最終消費支出については賃上げの効果等によりまして二十七年度には前年度比二・〇%程度増加する、また、全体として雇用者数が前年度比〇・三%程度増加する、そういう見通しは公表はしております。

近藤(洋)委員 大臣、今のその効果というのは、二千億円の効果ということじゃなくて、全体のということですよね。(宮沢国務大臣「経済対策です」と呼ぶ)経済対策全体の効果ということですよね。わかりました。

 そうすると、基本は税制中立であって、ただ、そうはいっても先行減税はしたんだ、こういう御答弁でございました。

 ちょっと確認なんですが、外形標準課税を入れていますよね、まさに税制中立の中で。これは私はちょっと危険な香りがしているんですね。一億円以上の企業だ、こういうことですけれども、ちょっとこれは通告にないんですが、もう大臣はお答えいただけると思うんですけれども、よもや、これがアリの一穴で、将来的にこの範囲が拡大するといったことは間違いなくないというふうにこの場で断言していただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 外形標準課税の拡大につきましては、たしか昨年の夏前、春だったと思いますけれども、政府税制調査会がいろいろな議論をした中で、中小企業も含めて外形標準課税を拡大しようというような報告がまとめられまして、その後、恐らく委員のところにも随分来られたと思いますし、私のところにも、地元の商工会、商工会議所を初めとしてかなり反対の動きがございました。

 したがって、昨年のたしか六月に、与党として、自民党、公明党で法人税改革についての議論をまとめましたけれども、そのときにはもう、中小企業に対しては極めて慎重な言いぶりでまとめさせていただきまして、結果的に、昨年末の与党税制調査会におきまして、一億円未満の中小企業については適用しないということが決定されたわけであります。

 理屈としましては、私は、中小企業に拡大するという理屈は、見方としては、そういう理屈もあるだろうと思っておりますのは、要するに、大企業におきまして行ったことは、伸びる企業にもっと伸びてもらう、赤字のある企業にも少し負担していただくということでありまして、今後の中小企業、伸びていく企業をどんどん応援するといった意味では、中小企業の伸びていく企業の負担を軽くして、その分をほかの企業で持っていただく。そういう政策は理屈としてはあるんだろうと思いますけれども、委員もおっしゃいましたように、中小企業全体として、商工会議所を挙げて反対という状況の中で、そういう政策を実現する余地は私はないと思っております。

近藤(洋)委員 大臣がおっしゃられたように、理屈はありますよ。理屈があるのは間違いない。あることがここで前に進んだものですから、これはやられるんじゃないかと危惧するわけでございまして、しかし現状、私どもの認識では、これからますます巨大企業とそうでない裾野の中小企業の差がどんどん広がるのではないか、こういう危惧を持っているものですから、そうなると、ここでさらに外形標準課税が広がると、巨大資本だけはどんどん巨大な利益を得るけれども、本当に中小企業がどうなるんだという危惧を持つ立場からすると、これは非常に問題が大きいと思うわけです。

 ちょっともう時間がなくなってしまって恐縮ですが、では、だとすると、この先行減税二千億円はごく一部の企業しかメリットを受けなくて、ある意味で、我々のときの法人減税というのは、おっしゃったとおり、確かに全体のネット減税がもっと大きかったですから、経済効果も試算したんです。そして、これだけのマクロの効果があるということで、当時、財務省と意見をやり合いました。もちろん、財務省はなかなか認めてくれなかったけれども、最後は押し切りました。ただ、経済効果があるという趣旨で、法人減税を経済対策として位置づけてやったんです。

 今回は、もしかしたらそうじゃないのかもしれない。少なくともそういう説明を経済産業省がきちっとしていない、政府としても先行減税二千億円の効果を余り明示的に言わないということは、税の組みかえ的な思いでやられたのかもしれない。だとすると、私は、余り今回の法人減税は意味がなかったな、政策目的というのがよくわからぬなと言わざるを得ないんです。

 そこで御提案、提起なんですけれども、ちょっと資料をごらんいただければ。

 我々は、それこそ同僚議員が民主党経済産業部門会議で、中根筆頭理事などが中心になって、今、こういう政策を考えております。というのは、実際にお話を聞くと、中小企業にとって、むしろ社会保険料というのが極めて重たい負担になっている。これは赤字法人も負担を受けるわけですから。この中小企業の社会保険料の負担を軽減することが極めて大事ではないか。

 我々は、正規労働者を雇い入れした場合、助成をしたらどうだという政策を今研究しております。百人以下の中小企業を対象にして、正規雇用を一人ふやした場合、その半額を助成金とする。もちろん、社会保険料自体には手を入れません。これはあくまで中小企業対策費として助成するというたてつけでございます。

 そういう整理の中でやった場合、我々の試算でやるとしますと、仮に助成期間を十年とした場合、これによって正規社員が百万人ふえたと仮定する。非正規だった人が正規にかわり、失業者の方が五十万人ふえた、こういうふうに内訳を変えた場合、一体どれぐらいの費用が必要かというのを試算しております。

 二分の一補助した場合、この十一ページ目の右側の試算でありますけれども、一つの仮定を置くと、一年間に必要な予算額、助成額というのは大体二百億円、累計していくと十年目では二千億円、こういうことでありますけれども、消費税分の増による経済効果、所得税の増といった収入の増、歳入の増を見込むと、十年間、ネットで約三千六百四十億円の費用で済むという試算を我々は出しています。

 ここでお伺いしたいのは、我々は、法人減税、あえて申し上げます、この政策目的がちょっと経済効果がはっきりしない部分で二千億円を使う、減税するのであれば、我々は、初年度でいえばわずか二百億円で済む助成金でありますけれども、一つの仮定を置けば、トータルで約三千億円なり二千億円かかる方がよっぽど中小企業にとっては雇用を生むという効果からすると明確ではないか、こう思いますし、中小企業対策としても、格差拡大に歯どめをかける、また中小企業の体質強化、正社員を皆、中小企業はこれだけ労働分配率が高いわけですから、支援する。中小企業の体質を強化するという意味からも考えるべきではないか、こう思いますが、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、今回の法人税改革の目的ですけれども、これは恐らく政府としてはかなり大きなをかじを切って変えたんだろうと私は思っております。

 これまでの全般的な法人税制政策というのは、やはり政策誘導をどんどんしていくというようなこと、要するに、まさに傾斜生産方式から始まったような話でありますけれども、政策誘導が必要な分野に政策的な減税をして、ある程度誘導していくということがかなり大きなウエートを占めていたわけであります。

 その結果、例えばサービス産業といったものについてはなかなかこの税制の恩典が行かないというようなことがあって、やはりここは少し民間の力に委ねる部分を出そうということで、一般的な表面税率を下げる一方で、政策誘導的な税制に手を入れていくということで、実はかなり大きな転換をしたつもりであります。

 したがって、経済対策としてやったわけではなくて、やはり、表面税率を下げることによって我々の手が届かない産業に伸びてもらうというようなこと、それから、一般的な税制を下げることによって国際競争力を増していきたいというようなことを考えて行ったものであります。

 そして、一方で、今御提案がありました正社員をふやしていくということにつきましては、これは大変大事な政策だろうと私も思っておりまして、正直言って、二百億という数字自体、二百億は二百億かもしれませんけれども、中小企業の対策費はたしか千八百億円ぐらいの予算ということを考えると、二百億だけでもこれは財政当局との交渉はとてつもなく大変だよなという気はいたしますけれども、いろいろな意味で、いろいろなことを私どもは検討していきたいと思っておりますので、少し検討させていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 ぜひ前向きに御検討ください。

 エネルギーの話は、今度、電気事業法の議論もございますが、そのときにとっておくとして、ちょっと最後、お伺いしたいんです。

 大臣、ただ、中小企業、これは経済の専門家である宮沢大臣に言うのは釈迦に説法でありますけれども、事実上、やはり社会保険料の負担というのは企業にとっても税と一緒でございますから、これの負担というのは、この表にもお示ししているとおり、二百八十万円の正社員の場合は大体四十万円ぐらいが雇用者負担なわけでありまして、これはどんどん大きくなるわけですね。ここをどうするのか。

 ここに対する手当てというのを、いろいろ経産省にも補助金とかさまざまな手当てがございますが、やはり、人を雇い入れたときに、人に対してどうと。設備投資補助金は、これまで経済産業省はかなり手広くやってまいりました。我々政権の当時もやってまいりました。企業のことを考えると、設備も大事ですけれども、それ以上に人が大事でありまして、人というときに、やはり中小企業は本質的には正社員志向だと思うんですね。正社員をできたら雇い入れたい、雇い入れて教育をしたい、そして伸ばしたいというのが中小企業の全体の流れだと思うんです。

 ここをどう後押しするかという政策は、これは厚生労働省よりもむしろやはり経済産業省が着目をしてやるフィールドではないかと私は強く思います。中対費は確かに千八百億円でありますが、しかし同時に、補正予算のたびに巨額な金融対策費を積んでいるのも事実でございまして、年でならすと三千億円ぐらい使っている。大体こういうのが中対費の実態でありますから、そこから考えるとそれこそ組みかえではないか、こう思うわけであります。ぜひ、我々もこの政策をブラッシュアップしてまいりますので、御検討いただければと思います。

 最後に、もう一度ピケティ論をちょっと伺って終わりにしたいと思うんですが、ピケティは、全ての資産から負債を差し引いた純資産に累進税を課して国境を越えて全世界で行うという、いわゆる世界的資本税というのを提案している。これはなかなか実際どうかというのはありますが、ただ、一つの考え方かなという気もしているわけであります。

 国境を越えて全世界で行う税という意味では、ちょっと性質は違いますが、トービン税という議論もございました。資本に対して税をかけるトービン・タックス。これは私は一つの考え方かなと思うわけでありますが、こうしたピケティの世界的資本税、ちょっと性質は違いますけれども、トービン・タックスについても、もし大臣のお考えがあれば伺って、時間ですので私の質問を終わりたいと思います。

宮沢国務大臣 世界的資本税というのは、もしもできたらば、それは大変すばらしいことだろうと私も思います。

 ただ、我が国のようなある意味では相当進んだ社会においても、正直言って、資産の把握というのはほぼ全くできていない。固定資産については、住んでいる市町村は知っているけれども、では、私の地元の広島の方が東京に持っているマンションについては誰も把握できていない。いわんや金融資産、金融所得といったものはほぼ全く把握できていないということを考えますと、相当道は遠いなという思いがいたします。

 一方で、トービン税につきましては、私も大変おもしろい税だと思っております。といいますのは、最近の、まさに国際的な経済が乱高下するときに資本が大きく動くわけであります。余りにも資本の動きが大き過ぎていろいろな混乱をもたらしていますから、その資本の動きに負荷をかけるということは一つの視点だろうと私自身は思っております。

近藤(洋)委員 私もトービン税については同感でございます。

 終わります。

江田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。田嶋要です。

 きょうは所信に対する質疑で機会をいただきまして、ありがとうございます。

 三・一一から四年が過ぎたところでございます。せんだって私も式典に出させていただきまして、改めて、政治家が特に国民の代表として風化をさせてはいけない、そういう思いを新たにしてまいりました。

 また、今週は、日経新聞に、原発の廃炉の時代に入った、そんなようなことも書かれておりまして、刻々情勢は動いている、そういう印象も強くしたわけでございます。

 一方で、現地に入ったりしますと、町が全く変わっていないというふうに、とまってしまっているところも感じるわけで、その落差に驚くことも間々あるわけでございます。

 大臣、昨年もそんなテーマで議論も少し出ましたけれども、福島第一は行かれたんですね。

宮沢国務大臣 はい、参りました。

田嶋(要)委員 一度ですか。

宮沢国務大臣 福島第一の中に入ったのは一度であります。外には二度ほど参りました。

田嶋(要)委員 お忙しい大臣でございますから、そんなに、限られた時間の中で有効にということだと思いますけれども、しかし同時に、今私申し上げたとおり、情勢が刻々変わっている面もございますし、やはり行くたびに新たな発見というのもありますから、ぜひ、限られた時間をうまくやりくりしていただいて、現地に行っていただきたい。

 と同時に、現地というのは、福島第一の現地だけでは当然ないわけでございまして、例えば、私、福島市から何度も向かいましたけれども、途中、飯舘村というところを通ると、人っ子一人いない、そういう状況を見るにつけ、これが事故の現実なんだな、そういうことを思い新たにするわけでございます。

 そういった意味でも、定期的とは申しませんけれども、やはり時々行っていただいて、復興の加速、そういったことにお力添えを賜りたいというふうに思っております。

 今回の所信も、初めに、福島の復興と福島第一原発の廃炉・汚染水対策は、経産省が担うべき最も重要な課題です、このように言っていただきました。

 最近見ていましたら、私、まさに第一に入りまして、町に入って一番強烈に今でも覚えている、当時、現地の対策本部長をやっておりまして、福島第一に入って最初に強烈に覚えているのが、「原子力 明るい未来のエネルギー」という大きな看板なんですね。私、それを見たときに、これはまさに安全神話の中にあった当時の、ある意味高揚感のあるスローガンだなと。そして、そういう場で、そういうスローガンが大きく掲げられている町が今、人が誰も住んでいない町になっている。これは未来に受け継いでいくべき、やはり、人間の謙虚さ、戒めでもある大変大事な言葉ではないかなと当時思った次第でございます。たまたまニュースで、この原発PR看板保存をと、撤去に反対というようなニュースが、これは大臣、御存じですか。御存じないですか。

 これをちょっと私、見て驚いたんですが、この言葉をつくられたのは小学校の六年生なんです、当時の双葉北小。そして、学校の宿題で優秀賞をとったということであります。この方が、実際、その事故の後、避難生活で全国を転々として、そして、原発は明るい未来どころか、故郷の町をずたずたにしてしまった、そして、間違った過去と向き合わないことはよくない、そういう意味で、この看板撤去はやめて、そのまま残した方がいい、こんなようなことをおっしゃっておるわけでございます。

 もちろん、撤去には予算もかかるし、保存するにも予算がかかるわけでございますが、私も、将来、廃炉が進んでいけば最後は形もなくなってしまうという状況が恐らく考え得る中で、何らかやはり、先ほど申しました、人類の、私たちの謙虚さ、そして安全神話に二度と入ってはいけないという思いを形として残すことも大事ではないかなというふうに思っております。

 チェルノブイリを見に行きましたら、今、大きな展示場になっていまして、事故の形のすぐ横にいろいろなものが置いてありまして、実は、温度の完全にもちろん冷めた、デブリというんですか、相当な大きさのデブリも、我々があそこへ行ってさわれるような状況であるわけでございます。そういう事故の模型、事故の観光化ということではなくて、やはり忘れちゃいけないという意味でそういう形を残しておるわけでございます。

 もし、大臣、差し支えなければ、何らかこういったものを残していってほしいなと私も思うわけでございますが、大臣、何か御感想ございますか。

宮沢国務大臣 今おっしゃるように、我々が本当に、未来永劫に忘れてはいけない事故だと私自身も思っております。

 私は広島の出身でありますけれども、原爆ドームというものがありまして、行くたびに、まさに、戦争はしてはいけない、平和というのは大事だということが常に頭をよぎるわけでありますけれども、それと同じように、まさに記憶が薄れないように、常に心新たに、福島の事故を二度と起こしてはいけないということを考えるような、そういうモニュメントというのかどうかは別ですけれども、何らかのものはしっかりと後世に伝えていかなければいけないと私自身も思っております。

田嶋(要)委員 モニュメントというふうにもおっしゃっていただきましたが、私は、この言葉を出された方が、当時、子供だった。当時の町は、多分、原発によって非常に活気があったんだろうと思うんですね。そういう方が、家を失い、今こういう状況に置かれる中で、当時の思いを形として残すことが今後二度と同じ過ちを犯さないためにも大事だ、そういう思いがあってこのような運動をされておられるんだろうと思います。

 私も、私たちに対する戒めとしての何かシンボル、モニュメントのようなものがやはり今後必要なのではないかなというふうに思っております。

 それでは、次の質問に入ります。

 先ほど、近藤委員とのやりとりの中でも、中小企業の話がいろいろ出てまいりました。この資料の三番のところをごらんいただくんですが、この国会が始まって、私どもの部門会議でも、中小企業庁の政策、そういうふうな話を、いろいろと改めて解説をしていただいたんですが、この下の資料を見て、私、若干違和感を感じたわけでございます。

 これをごらんいただくと、分野は違えど、どれも製造業なわけでございます。もちろん、製造業が悪いとかそういうことではございませんが、どの中小企業政策の事例も、食品関係も含めての製造業のお話だということ。折しも、昨年、冨山さんのこの本が大分読まれたようでございまして、私も拝読いたしましたけれども、経産省の職員の方も大分読まれているということを、私も聞いたら、そういう答えでございました。

 どうも、日本の中小企業庁、あるいは中小企業といったときのイメージが、二十世紀の中小企業のイメージと今日大分姿形を変えているにもかかわらず、中小企業庁のマインドセットといいますか、あるいはアプローチが、若干、製造業にまだまだ軸足を置き過ぎているのではないか、そのような印象も私は受けておるわけでございます。

 改めて、三百八十五万社と言われている中小企業の中で、経産省所管の製造業というのは何社あるのか、大体何割あるのかということを御答弁ください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、平成二十四年経済センサス活動調査によりますと、二〇一二年における中小企業の数は約三百八十五万社、従業員数は約三千二百十七万人となっております。

 このうち、日本標準産業分類の大分類の製造業の中小企業は約四十三万社ありまして、このうち経済産業省所管の製造業は約三十八万社で、三百八十五万社に占める割合は一〇%ということになります。また、従業員は、製造業全体ですと約六百五十五万人でありまして、三千二百十七万人のうちで約二〇%、経済産業省所管ということになりますと、従業員数は約五百二十九万人であり、一六%を占めるということになります。

田嶋(要)委員 ちなみに、国土交通省の所管の建設業等は、どのぐらいの数と割合でしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 標準産業分類上の大分類、建設業、あと運輸業を足させていただきますと、中小企業は約五十四万社であり、一四%を占めます。従業者は約五百五十七万人でありますので、一七%ということになります。

田嶋(要)委員 大臣、今の数字を見ていただいても、もちろん中小企業の中の製造業は大変重要でございますけれども、そこに余りフォーカスし過ぎると正しい政策が打てない可能性もあるのではないかなというふうな心配を私は最近しておりまして、特にこの冨山さんの御指摘は、非常に傾聴に値するのではないか。

 資料の二枚目をごらんください。

 大企業対中小企業という対置が本当にどれほどの意味があるのかなということで、先ほど近藤先生の御質問の中にも、例えば、労働分配率の話とか利益率、それぞれ当然差があるとは思います。しかし、中小企業の中には、まさに輸出関連大企業の下請のようにセットになって企業行動する企業もたくさんあって、恐らく今のような円安傾向になってくると、そういったところは大企業と同じように、かなり経営が回復しているというか、そういう状況にある。

 一方で、私たち政治家が地元に帰りますと、出会う中小・小規模企業というのはどうもちょっと違うんじゃないかなということを、いつもそのずれを感じるわけでございまして、この冨山さんの御指摘、むしろ、中小と大企業というよりは、LとGというふうに分けた方がいいのではないかなというような感じ。これが絶対ということではないですが、一つのいい御提案をいただいているような感じが私はいたします。

 その前のページをごらんいただきたいと思います。

 規模別の企業数ということを見ていただいても、そこの大きな数字で右の端っこに書いてある八八・四%というのが、全体の九割近くを非製造業の中小企業が占めている。従業員の数になると、若干数字は下がるわけでございますが。

 いずれにしても、私たちは、特に経済産業、日本のこれからの成長ということを考えたときに、やはり中小企業の中でも、特にサービス産業、製造業ではない部分、そういったところにもっともっと光を当てていかないと間違えるのではないかということを私は最近危惧いたしております。

 これは経産省に対するエールとして私は政務官時代からいつも申し上げておったんですが、成長の余地が多いところは、経産省の伝統的な所管でないところにたくさんある。例えば農業であり、医療であるわけですね。そういったことを含めて、やはり中小企業庁のあり方、人員の増強のみならず、私は連携という意味でも、何か、先ほどの事例で四つとも製造業が出てくるところを見るにつけ、やはり遠慮というか、少しアウエーな感じの中で中小企業政策をとられている。

 したがって、例えば、これからの可能性のある、私の好きな言葉でエネルギー兼業農家、こんなようなことをやっていくに際して、大変ほかの役所に遠慮しているような状況があったら、それは非常に大きなチャンスを失うことになる、私はそのように感じておりますけれども、大臣、いかがですか。

宮沢国務大臣 まず、サービス業が大事だというのは、まさにおっしゃるとおりだろうと思っております。

 先ほどの近藤委員との質疑でも申し上げましたけれども、今回の税制改正で、表面税率を下げて、その他を上げるというようなことにしたのは、やはりサービス業等々ということをかなり意識しておりまして、サービス業にともかく頑張ってもらうということが大変大事でありますし、特に、今後の生産性を日本全体として上げていくというときに、サービス業の生産性向上というのは、やはりキーであります。しっかりと対応していかなければいけません。

 そういった意味で、例えば、かつてものづくり補助金と言われたものにつきましては、昨年度から、ものづくり・サービス補助金という形で、まだまだサービスの方が少ないといえば少ないんですけれども、しっかりとサービス業の生産性向上といったものもやっていかなければいけないと思っております。

 それから、他省庁のまさにサービス関連の中小企業というお話がございましたが、中小企業庁というよりは、恐らく、本省の方のそれぞれの分野を持っている局であり課というものは、決して大企業だけを見ているわけではなくて、産業全体を見ておりまして、この辺は、逆に言いますと、他省庁からはよくやり過ぎだという話ばかり言われるぐらい、他省庁の話にも首を突っ込んでいる部分はございます。

 今おっしゃった医薬、医療関係なんかも大変大事な分野でありまして、これは厚労省ということになっておりますけれども、私どもから交流人事で人を派遣したりしながら、しっかりとフォローしていかなければいけないと思っております。

 また、農業の分野といいますのは、残念ながら輸出についても実は経産省の所管ではないわけですけれども、その分野につきましても、農水省と、例えばジェトロをどう使っていくかみたいなこともありますので、しっかりと連携を深めながらやっていかなければいけないと思っております。

田嶋(要)委員 いろいろな可能性、成長のポテンシャルがあるにもかかわらず、霞が関の縦割りの壁に阻まれてしっかりとした手が打てないというようなことがあるならば、やはり組織の位置づけも含めて、見直すことも排除せずというふうにした方が私はいいと思います。例えば、仮定の話ですが、中小企業庁はもう経産省の中に置いておくんじゃないというようなことも、私は、議論の、検討の対象にしてはどうかなというふうに考えております。

 そして、一点でございますが、三ページの上のグラフ、先ほどの近藤先生の話とも若干重なりますけれども、法人税ということをそれぞれの業種ごとに見てまいりますと、やはり、いろいろな特典がついている分野とついていない分野にかなり差がありまして、下の方の小売業二二・二%、サービス業二二%、この二つが実質的な税負担率が二割を超えているわけでございます。

 したがって、こういったところにもちろん中小企業が多いわけでございますが、全てローカル企業と言ってもいいと思いますね、冨山さんの言い方では。

 したがって、やはり一律に法人税をどうするという議論ももちろん大事でありますけれども、こうやって見ていくと、当然こういう分野の方々は不満を持っていらっしゃると思うんですね。そういった声をしっかりと受けとめて、やはり今後なお一層、こういった非製造業の分野、それはイコールローカルの中小・小規模企業に対してどのように支援をすると効果的か、そういったことにもう少し軸足をシフトするということが私は必要だと思いますけれども、改めてこの観点から大臣に御答弁いただきたいと思います。

宮沢国務大臣 先ほど、そういったことも含めて法人税改革を進めているという話を申し上げましたけれども、私も、恐らく委員と同じような感じを持っておりまして、小売、卸も含めて、サービス業に対する政策というものが政策的に余りなされてこなかったという反省はございまして、やはりサービス業のまさに生産性向上といったものを徹底的にやるように、事務方には指示を出しているところであります。

田嶋(要)委員 やはり長い歴史があって、日本は、もちろん車や家電、そういった製造業の輸出を中心とした成長を二十世紀に遂げてきたわけでございます。しかし、これだけ大きな数字上の変化があらわれているにもかかわらず、やはりマインドセットがなかなか変わっていないんじゃないか。旗振り役の役所の方々のマインドセットをやはり変えていただくということを、ぜひ大臣、配意していただきたいというふうに改めて要望いたします。

 それでは、総論でもう一つお伺いしますが、分散型エネルギーの関係でございます。

 エネルギー基本計画の三十八ページというところを少し見ておったわけでございますが、こういった分散型エネルギーシステムの構築をさらに加速していくために、個人や小規模事業者も参加しやすくするための支援というようなくだりがあるわけでございますが、具体的にどういったものを考えておられるか、御答弁いただきたいと思います。

関大臣政務官 田嶋委員が今御指摘されました、個人や小規模事業者の参加をしやすくするという観点、これは本当に我々も大切なことだと考えております。

 現状を申し上げますと、今、十キロワット未満の住宅用太陽光発電でございますが、これは六十四万件、二百八十万キロワットを二十六年十一月末時点で導入され、十キロワット以上五十キロワット未満の比較的小さな太陽光発電につきましては二十一万件、四百八十万キロワットということで、これは個人、小規模事業者から導入されているような状況でございますが、本当にこれをする際に、それぞれの方々が、やはり非常に知識やスキルを習得しないといけないという点が一つ大事な点と思っております。

 それに際しましては、平成二十五年度からでございますけれども、地域のビジネスリーダーを育成するための人材育成事業に取り組んでおりまして、全国の十地域で三百名が今の段階で受講しているところでございます。これに加えまして、各府省庁の施策の情報や活用事例を集約いたしましたガイドブックの作成とか、また、事業者からの相談に対応しやすいようなワンストップ窓口を地方経済産業局及び希望いたします都道府県等に設置するような取り組みを進めているところでございます。

田嶋(要)委員 まさに、ローカル企業や、今与党も言っております地方の創生、こういったところの鍵となる切り札の分野だというふうに私は思っておりますが、受ける印象としては、非常に取り組みが鈍いような印象も感じております。

 地域の多様な主体がこれから事業を行っていくというふうに表記があるわけでございますが、例えば、コミュニティーが共益の目的でお金を出し合ってエネルギーを創出する法人、そういうものは現在設立ができるんでしょうか。

上田政府参考人 コミュニティーの、人々が共益目的でお金を出し合ってエネルギーを創出する法人ということでございます。

 どういうものか。いろいろなイメージがあり得ると思うんですけれども、例えば、もちろん現在でも、株式会社もあれば、有限会社もあれば、それからまたNPO法人もございます。あるいは合同会社、有限責任事業組合、民法組合、こういった多様な事業者が現在でもさまざまな再生可能エネルギー事業に取り組まれておられるわけでございます。

 御案内のとおり、例えば、農業協同組合が小水力発電に取り組まれたり、NPO法人が、みんなでお金を出し合ってNPO法人を設立した上で、さらにそこから事業体を設立して太陽光発電をみんなでやる事業を行ったり、さまざまな事業というのが行われているわけでございまして、市民あるいは事業者の方々から資金を集めまして再生可能エネルギー事業を行うという事業体は、現在のところ相当数が存在をしてきていると考えております。

田嶋(要)委員 相当数存在しているのは全くそのとおりでございまして、私どもの千葉県でも、決して先進県ではないかもしれませんが、調べたところ、数十、かなりのものがあちこちで動いている、小水力から風力から。

 ただ、現在、株式会社でやるにしてもNPOでやるにしても、あるいは農協での取り組み、やはりまだ若干不自由な部分もあるというふうに伺っております。

 例えばNPOですと、出資をすることの制限があるわけでございますので出資はできないというようなこともあり、共益目的で組合の方に例えば電気の提供を受けられるような、そういう仕組みをするには、今おっしゃっていただいたような、株式会社からNPOから、いろいろな法人の形もあるわけでございますけれども、それでもまだ、私は、今いろいろ制約が残されているというふうに感じておるわけでございます。

 それでは、資料の四ページをごらんください。

 これも本からのコピーでございますけれども、この本も昨年相当読まれたというふうに聞いておりますが、里山資本主義という言葉も大分知られるようになりました。

 これは、例えば高知県、上の図で一番右側でございますが、都道府県の収支が一番きつい。東京のような状況と全く逆に一番きつい高知県の、下の表ですね、その細目を見ると、では一体どこが一番県からお金の出ていく分野かというふうに考えたときに、石油、電気、ガスなんだということですね。つまり、その県の収支を悪化、赤字にさせている最大の要因がこういったエネルギー分野にある。それはとりもなおさず、国全体で見たときに、日本が貿易赤字で多くのお金を中東に支払っている構図、その四十七分の一つであるということになるわけであります。

 私だけではなくて、今、例えば高知県や長野県、いろいろな県の首長さん方、あるいは市町村も含めて、こういった考え方に非常に共鳴をして、分散型のエネルギー社会をつくっていきたいということが、まさに国が旗を振る以前から取り組みがどんどん今始まっていて、私は大変これはおもしろいし、勇気の出る流れだというふうに感じております。それぞれの県単位で、自分の県はどんな状況にあるか、そしてどの辺のところにやはり問題があるのか、こういった収支の分析ということも私は大変大事なことではないかなというふうに思っております。

 それで、時間の節約でもう一つですけれども、こういったことも含めて、分散型のエネルギー社会を強力に推進していくための旗振り役はやはり経産省ではないかと私は思っているわけでございますが、役所の説明ですと、いや、国土交通省からは一本法律ができました、それから農水省からも法律が一本できました、そういう説明は受けたわけでございますが、皆さん方はどう思っているんですかという部分がいま一つはっきりしない。

 私は、これは時代の歴史的な転換点に今差しかかっていると思っておるんです。そういう意味では、いわゆる電力システム改革も第三ステージということでございますが、それはパーツとして、一つの部分として、もっと大きな絵を描く、時代の転換を指し示すような、そういう立法措置も含めて必要ではないか。

 そして、こうやってそれぞれの都道府県が、自分たちのところはどうなんだ、だから分散型エネルギーをやることによって資金を自分の県内に循環させることが大事なんだということを数字でも認識していただくことが私は今極めて大事だと思っておりますけれども、大臣、その点はいかがでしょう。

宮沢国務大臣 この表を拝見しながら、高知県の場合、石油、電気、ガスのお金が出ていく方が一番大きい、その後入ってくるのは、四国電力がある高松か何かに入っていくということなんですかね、これはきっとそういうことなんだと思うんですね。したがって、今のまさに九電力というような体制でやっておりますと、恐らく本社がある地点にお金が入って、その他の地点から出ていっているということだろうと思いまして、こういうことになってしまうのかなという思いをしながら見ておりました。

 おっしゃるように、分散型エネルギーというのは大変大事なことでありますし、まさに地産地消といいますか、特に分散型エネルギーでそのコミュニティー全体が賄われるというようなことが実現できるということは大変大事なことだろうと思っております。先ほど、幾つか、NPO等々まだまだ問題があるという御指摘がありましたので、この辺はどうやったら解決できるかということをやはり徹底的にこれから我々としても考えていかなければいけないと思って拝見をしておりました。

 一方で、新たな立法措置というお話でございますけれども、固定価格買い取り制度そのものがそういう分散型エネルギーを促進するためにできた法律でありまして、これをしっかりやっていくということ。また一方で、農水省は農水省で新たな立法等々やっているようでございますけれども、そういうものを組み合わせながら当面やっていって、なかなか、新規の立法といっても、すぐに実は正直言ってイメージが湧かないものですから、その辺につきましては、それこそ委員からいろいろ具体的に提案していただいて、検討していかなければいけないというふうに思っております。

田嶋(要)委員 私どもは立法も提案をしていきたいというふうに考えておりますけれども、やはり、今まさにこのエネルギーが日本の成長戦略の大きな鍵を握っている一分野であるということ。それから、どこの地域に行っても、やはり人々が盛り上がっているんですね。新たな挑戦を始める、特に農業の盛んな地区などのように、過疎化が進んでいるようなところでも、例えば高知県のある町に行ったときも、やはりみんなが自分たちの町をどうやって活性化していくかというときに、このエネルギー分野は大変な着目をされておるわけでございまして、もっと明確に国が方向を指し示して、そしてこういった挑戦の背中を押すような、そういった役割を果たしていかなきゃいけない。どうもやはり若干弱いような印象を私は受けておるものですから、そういったことを申し上げさせていただきます。また、提案もさせていただきたいというふうに考えております。

 それでは、各論に入らせていただきまして、まずは、電力労働者の労働基本権ということについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 次は資料の五ページをごらんください。

 これは、昨年の春に衆議院の方でも参議院の方でも法改正があったときの附帯決議でございますけれども、労働者の争議の関係については、改革の趣旨と整合性を図る観点から、電力システム改革に関する法体系の整備にあわせて、今後のあり方を見直していくというようなことでございます。

 労働者の労働基本権に関しましては、こういった附帯決議を受けて、二月二日の部会から結論が出されたわけでございますが、この問題に関しましては、現時点で存続はやむを得ないというような回答、御指摘だったというふうに聞いております。

 それで、諸外国の労働関係法制で、電力事業に限定して争議行為を規制するような事例というのがあるのかどうか、お尋ねします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国の労使関係法制には、先生が御指摘になられましたような、公益事業に対して争議行為を規制する法制はございますけれども、電気事業に限定をして争議行為を規制する法制は承知をしていないところでございます。

田嶋(要)委員 同じく、諸外国の労働関係法制で、電力事業に限定せずとも争議行為を事前規制する事例はあるんでしょうか。

石井政府参考人 例えば韓国でございますけれども、電気事業に限らず、鉄道、航空、水道、ガスなどの公益事業について、一定の場合、これはかなり具体的にかつ広範に定められておりますけれども、争議行為を行うことができないと法令に規定があると承知いたしているところでございます。

田嶋(要)委員 労働関係調整法、この資料の五ページの下でございますけれども、こういう調整法に基づく規制ではなぜ不十分なんでしょうか。

石井政府参考人 議員の御指摘、恐らく推察するところでございますが、まず、労使関係の事柄はできる限り当事者の自主性に委ねるのが適当という考えを私どもは持っております。

 ただ、電気事業につきましては、昭和二十七年、電産ストが国民経済や国民生活に対し甚大な影響を与えた、そういう経緯、そして、電気が他のインフラを支える重要なインフラであること、そして、事業に高度の独占性があり代替が困難であること、さらには貯蓄が不可能であることなどの重要性あるいは特殊性があることから、正当でない争議行為を規制するスト規制法が昭和二十八年に制定をされたということでございます。

 確かに、御指摘の労働関係調整法に基づく公益事業に対する規制、とりわけ緊急調整については、国民生活などへの影響の観点から争議行為を制限する点で、スト規制法と共通する点がございます。

 ただ、スト規制法は、正当でない争議行為の範囲を明らかにしてその防止を図るということが主眼である一方、緊急調整は、正当な争議行為、これも含めまして一定期間禁止をして、その間にあらゆる手段を講じて労働争議を調整、解決することを狙いとするという点で異なっていると考えます。もともとこうした労働関係調整法がある中で、一定の争議行為の未然防止を図るスト規制法が設けられたところでございます。

 今般、労働政策審議会におきましては、スト規制法のあり方を検討して、現時点で存続することはやむを得ないと結論を得たところでございます。労働基本権の保障は大変重要でございますが、その一方で、現状では電力需給が逼迫をして供給に対する不安が残っていること、そして、電力システム改革の進展と影響が現時点で見きわめがなかなか難しいということによるものでございます。

 また、これとあわせまして、この審議会におきましては、禁止行為に関する解釈通知を現在の電気事業の状況を踏まえて見直すとともに、あわせまして、今後、電力システム改革の進展の状況を見て、スト規制法のあり方を再検討するべきと提言しているところでございますので、私ども、これを踏まえて必要な対応をしてまいりたい、かように考えているところでございます。

田嶋(要)委員 まだそんなに遠い昔じゃないときにこのように附帯決議にしっかり盛り込ませていただきましたけれども、早々とこういう回答をいただきまして、大変残念な印象でございます。

 世界の中でも例のない、こういった状況に今置かれておるわけでございますが、大臣、これは世界に例のない形で労働者の権利が制約されている、そういう認識はお持ちでしょうか。

宮沢国務大臣 今、厚労省からの答弁を聞いておりまして、電気事業だけに限って、そういうものはほかの国にないというような話ですから、そういう認識を持っております。

田嶋(要)委員 今回、ゼロ回答ということでございますけれども、ぜひこれを一日も早く変えていただけるように、検討をさらに進めていただきたいと思います。

 大臣、今回、ゼロ回答でございますけれども、そういう状況を受けて、改めて感想をもう一度いただきたいと思います。

宮沢国務大臣 労政審の場で六回審議が行われて、スト規制法は現時点では存続ということでやむを得ないが、電力システム改革の進展状況とその影響を十分検証した上で、今後、スト規制法のあり方を再検討すべき、こういう指摘を受けているわけでございます。

 今後、労働基本権に関することや労働関係の調整を所掌しております厚生労働大臣が、電力市場の実態や労使関係等の状況を検証しながら適切に判断されると思いますけれども、私どもからもしっかりと、電力市場の状況また労使関係等々については適宜厚労省に報告をしていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 ぜひ進展を期待したいと思います。

 それでは、次のテーマでございますけれども、昨日、ある委員の方からもう既にカバーをされましたので簡単に済ませますが、いわゆる展示場のビジネスというものがございます。エネルギー関係もよく開かれますので、私も有楽町、ビッグサイトに時々足を運ぶわけでございますが、私が政務官のころも、やはり日本はもっと頑張らないと負けちゃうよという話を盛んに言われていまして、もう相当昔ですけれども、状況は相当変わったんじゃないかと思ったら、全く変わっていませんと。

 この間、エネルギーのスマートコミュニティーですか、行ってきましたら、今の状況じゃまずいという話で、資料をつけておりますので、ごらんください。

 これは五年前も余り変わっていない資料でございまして、今さらでございますけれども、昨日の委員からの御指摘もございました。これを見ていただくと、日本だけ非常に、いろいろな角度から見て貧相なんですね。これは、成長戦略、大分訪日客の数もふえて、私どももビザの関係とかをいろいろ改革しまして、それを今の与党も引き継いでいただき、そして、一千数百万やがては二千万というところを目指していく中で、非常に大事な受け皿でもあるんじゃないかなと。

 特に、これは経済産業省とも密接な関係のある分野でございますが、この六ページをごらんいただくと、アメリカや、ヨーロッパのフランス、ドイツ、イタリア、そして中国ですね。下のランキングを見ていただいても、日本においては、東京ビッグサイト、幕張メッセ、それから大阪、この三カ所でございます。これはやはり、もう少し成長戦略、特に海外から訪日客を呼び込む、いろいろな観点から、日本が主導権を握るための一つの鍵となる分野なんだ、そういう認識を私は持たなければいけないのではないかなというふうに考えております。

 成長戦略の必須のインフラ、そういう位置づけで国が位置づけて、世界トップレベルの広さを、広さだけじゃないかもしれませんが、例えば広さも確保していくんだ、そういうメッセージをちゃんと発信していくべきではないかなと私は改めて考えておりますが、いかがですか、大臣。

宮沢国務大臣 この六ページの表を改めて見ておりまして、本当に重立った国で日本より下の国は恐らくないんだろうなと思って、愕然として実は見ておりました。

 もちろん、昨年の日本再興戦略におきましても、「国際的な情報発信力の強化を図るべく、海外において発信力・影響力のある人の招へい、展示会場の新設・拡張の促進を行う。」こう記してありまして、本当に、国際レベルの展示会場をやはり持って、そして、日本で展示会を開くことによって世界の方々に来ていただく、そして、国際会議等々もやっていただくということは大変大事なことだろうと思っておりまして、しっかりと応援をしていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 しっかりと応援するのは、五年前もやはりそういうことだったわけでございます。

 例えば、千葉のメッセは千葉県千葉市も出資をし、そして、東京であればビッグサイトには東京都がかなりの出資をしておりますが、やはりこれは国家戦略として位置づけないと、七ページをごらんいただきたいんですが、経済効果というのはいろいろなところに及ぶわけでございまして、浅草もこれで景気がよくなるんじゃないか、銀座も景気がよくなるんじゃないかということで、ビッグサイトの主催者だけの問題じゃないわけですね。

 そういったことで、全体から見て、これは国としてやるんだと。これをほっておけば、いろいろなビジネスチャンスを生む可能性の、産業の人の集まる場が中国にどんどんとられていってしまうということも十分考えられますね。ここはもうちょっと踏み込んだ支援を、そんなに私は金額の張るものじゃないんじゃないかと思うんですよ。だから、やはりこれは種をまいたら大きく育てられるチャンスだと思いますので、ここは余り軽く見ない方がいいのではないか。

 やはり、人がそこに集まってくるということは、加えて観光者にもなるわけだから、メッセだけ来て帰る人ばかりじゃありませんから、ついでに北海道に行くとか、そういうことで、いろいろな意味でこれはある意味おいしい投資ではないかなと私は思いますので、もう少し国として真剣にここをてこ入れする、そのようなことを考えていただきたいというふうに思っております。

 それでは、話はかわりますけれども、FIT制度の賦課金の減免についてお尋ねをいたします。

 資料八ページをごらんください。

 昨年度の減免の対象企業数と減免の総額はお幾らですか。

上田政府参考人 平成二十五年度の対象事業者数と減免総額でございます。千三十一の事業者が賦課金の減免の特例措置の対象となっておりまして、減免総額は百八十四億円でございます。

田嶋(要)委員 その減免分というのは誰の負担になるんですか。

上田政府参考人 これは、再生可能エネルギー特別措置法十八条に基づきまして、政府の予算にて手当てを行っておるところでございます。

田嶋(要)委員 つまり、国民の税金ということでございますけれども、これは、もともとFITの法律に賦課金に係る特例というのがございまして、第十七条でございますが、そこのくだりを読ませていただきますと、「賦課金の負担が当該事業者の事業活動の継続に与える影響に特に配慮する必要がある事業所として認定する」ということで、そういうところに関してはこのような措置がとられているというわけでございます。この八ページに載っている企業を幾つか拾って調べてみましたら、円安という流れの中で、例えば株価も右肩上がりの会社が大変多いです。

 要は、制度設計の当時と、今の現実の経済情勢の中で、こういったエネルギーを多消費している産業であっても、やはりそこをしっかりと見きわめをして支援していかないと、単なるばらまきになってしまっていることが十分考え得ると思うわけですね。そういった意味では、今も同じような計算方式といいますか、機械的な支援が本当に必要なんだろうかというふうに私は感じておるわけでございます。

 支援を受けている一番多いところで十億円ですね。こういった形の支援があるわけでございますが、これは恐らく、もう制度として決まってしまって機械的に行われて、こういったリストを改めてごらんいただいているということはないのではないかと思います。

 大臣、これは、円安傾向の中で、もともとは、海外に拠点を移してしまう、そういうことを避けるためにも、ぜひ日本に踏みとどまってほしい、雇用を守ってほしいという思いから制度がつくられたということは私は多としたいと思いますが、やはり現実の状況をよく見きわめて支援を考えていかないと、国民の税金ということでございますので、使い道を少し誤ってしまっているのではないか、そういう印象を受けますけれども、いかがですか。

宮沢国務大臣 この制度は、もう委員御承知のとおり、民主党政権時代につくられた制度でありまして、私どももいい制度だということで維持をしてきておりますが、恐らく委員の御指摘は、つくった当時と、あの当時は円高だったけれども、今円安になったんだから、もうけているんだから少し減免をまけたらいいじゃないか、こういう御指摘だろうと思います。

 電力多消費産業というのは、例えば電炉で特殊鋼をつくっていたりということで、ある意味で日本の産業の中でかなり大事な部分もございます。そういうことも配慮して、国際競争力という観点から導入された制度だろうと思っておりまして、先ほど申し上げましたように、いい制度だろうと私自身は思っております。

 今、円安になって随分企業の業績もよくなったから減免を少なくしろというお話でしたけれども、やはり為替の状況でそれを減免するしないということは、私自身はいかがなものかなというふうに思っております。

田嶋(要)委員 今の情勢の中でこういった制度を機動的に対応していかないと、私としては、やはり限られた財源、国民の税金でございますので、大変今説明しにくいような状況になっているのではないか。それぞれの会社の株価情勢などもぜひごらんいただきたいというふうに思います。右肩上がりの会社が大変多くございます。

 それでは、その指摘だけをさせていただきまして、次の質問に移ります。

 私は、日本の原発事故を受けて、今後のことを考えると、ほかの近隣諸国の原発の問題もやはり無関心ではいられないというふうに思うわけであります。やはり国境は関係ないわけですから、ひとたび近隣諸国で事故があっても、日本も多大なる被害を受ける可能性は十分あるということでございます。

 そこで、最初に外務省にお尋ねしますけれども、対中国のODAの現状と実施の方針ということをお伺いします。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 中国は経済的に発展し、技術的な水準も向上しておりまして、ODAによる中国への開発支援は既に一定の役割を果たしてきたと認識しております。こうした認識のもと、対中ODA供与につきましては、その大部分を占めていた円借款及び一般無償資金協力の新規案件は終了しております。

 一方、例えば、越境公害、感染症、食品の安全等、日本国民が直接裨益し、協力の必要性が真に認められる分野も、限定的ではあるが引き続き存在しておりまして、こうした分野に対する協力には一定の意義が認められるものと考えております。

 現在実施している協力の九割近くを占めているのは、こうした分野に対する技術協力でございます。これらにつきましては、日中間の新たな協力のあり方として、日中互恵の案件について日中双方の適切な費用負担のもとで行う方式の導入について両国間で合意しておりまして、今後、段階的に実施に移していきたいと考えております。

田嶋(要)委員 中国にODAなんてもう要らないという意見も地元でもよく言われます。

 それはそれとして、しかし、今御説明いただきました国境を越える環境の問題、例えばPM二・五など、いろいろ、日本は無関心ではいられない情勢がやはりあるわけでございます。そうしたことを考えますと、やはり原発の事故ということに関しても、なければないにこしたことはございませんけれども、万々々が一そういったことが起きたときに後悔しないためにも、今の技術協力といったこと、知見の共有、とりわけ、福島の知見というのは福島と日本しか持っていないわけでございますので、その辺の共有をするということは、私は、どの国にとっても非常にメリットが大きいのではないか。

 中国での原発事故の可能性、まあ、そういったことを言うのは大変失礼かもしれませんけれども、そういうことはあり得るわけでございますので、それは中国だけではございませんが。しかし、そういったことに備えて日本の知見、経験を共有する必要性ということに関しまして、大臣、どのようにお考えですか。

宮沢国務大臣 大変大事なことだと思っております。

 我が国は、福島の第一原発の事故の経験から大変多くのものを既に学んでおりますし、これからも恐らく学ぶことになろうと思いますけれども、こういう我々の経験、知見といったものを世界各国にお知らせしていくということは我々の責務だろうと思っております。

 そういうこともありまして、まず、IAEAの場では、しっかりとIAEAにおきましても福島の事故に関する報告書がまとめられておりまして、こういうものを各国に学んでいただいているということに加えまして、相手国からの要請に応じまして、日本においてセミナーを開いたり、また相手国における講演等をやっておりまして、例えば、セミナーにつきましては二〇一三年までやっておりましたけれども、中国も参加をされております。また、中国におきまして、福島事故以降の原子力発電所における安全管理をテーマとした講習も二〇一二年、一三年と行ってきております。

 我々の経験また知見を、中国を初めとする国にやはりしっかりと伝えていきたいと思います。

田嶋(要)委員 ODAも、我が国が裨益をするという点が強調されているわけでございますが、外務省にお尋ねしますけれども、こういったことで、その可能性に備えたいろいろな知見の共有あるいは技術的な助言、そういったことにODAを活用するということは可能なんでしょうか。

豊田政府参考人 原子力分野でのODAの協力につきましては、国際ルールを踏まえた上で、案件ごとに可否を判断する必要がありますが、これまでにも途上国に対して原子力安全に関する研修を実施した例は存在いたします。

 中国側から協力の要請があれば、中国に対するODAの基本的考え方も踏まえつつ、個別具体的に判断することになります。

田嶋(要)委員 要請があればというのはODAの建前だと思いますけれども、いずれにしても、課題そしてリスクは共有するわけでございまして、私は特に福島におったときにもいろいろ聞いたんですが、やはりあの事故のときも海の方に相当落ちたという話で、大変な甚大な人的、物的被害をもたらしたものの、恐らく、あの海の端っこにある、海岸にある原発が内陸にあったらもっと大変なことになっていたわけで、そういう意味では、海を相当汚してしまった。

 中国は日本の西側にあるわけでございますので、特にこれからたくさんの原発ができていく中で、日本は人ごとではありません。だから、そういう意味では、中国の原発はイコール日本の原発と思って考えないと、それは韓国も同じですね。

 そういう意味では、やはりこれは要請があればというか、これはみんなにとって極めて大事なことだし、絶対に問題が起きないように、そして、もし問題が起きたときもリスクを最小化するという観点から積極的にやっていただきたいというふうに思うわけでございますが、大臣、いかがですか。

宮沢国務大臣 ODAの要請主義というのは恐らく崩せない原則でありますので、できれば中国から要請してもらえれば、我が国にとっても大変ありがたいなと思っております。

田嶋(要)委員 ちょっと時間が過ぎていますが、あと一点、お伺いします。

 今回の所信の中でも、環境エネルギー技術などのインフラシステム輸出ということがございます。原発ではなくて今度は石炭火力のことでございますけれども、中国での新規の石炭火力発電に対する我が国の最先端の技術による協力、これは所信の中のインフラシステム輸出に入っているのかどうか。これは今、非常に悩ましい問題がいろいろあって、アメリカなどは、こういうのをやめていこうということで、かなり高い環境基準の中で実質的にとめているわけでございますが、大臣、これはどのようにお考えになっておるんでしょうか。

宮沢国務大臣 中国との間では、一般財団法人石炭エネルギーセンターが中国電力企業連合会との間で合意書を締結しておりまして、二〇〇七年から、石炭火力の効率向上、環境対策に関する意見交換を実施してきております。

 ただ、一方で、今のインフラ輸出との関連でいいますと、中国も実は輸出側に回っておりまして、日本の企業と相当競合をしているという状況がございまして、実は、協力をするにしても、敵に塩を送るわけにはいかないといったところがあって、なかなか実は厄介な状況でございます。

 一方で、今、OECDにおきまして、石炭火力発電所のいわゆる輸出に向けての公的支援のあり方について議論が随分されておりまして、フランス、アメリカ等々、かなり前のめりの国がある中で、日本としては、やはりCO2の排出削減に資する、特に低開発国等々においては、石炭という一番安価な発電所しかつくれないわけでございますから、そういう国が、まさに中国のような効率の低いものではなくて、やはり我が国が持っているような高いレベルの、高効率の石炭火力発電が導入できるような、そういうことが制約を受けないように、ともかくしっかりと今後交渉していかなければいけないと考えております。

田嶋(要)委員 私もさらに研究したいと思いますけれども、まさに国際社会では、石炭火力というのは風当たりが大分強く今なってきております。そういう中で、日本のすぐれた技術によって、相対的にはこっちの方がいいという話ができると思うんですが、なかなかそれは国際社会に受け入れてもらえるかどうか難しい問題がありますので、引き続き、そこは慎重に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。近藤議員、田嶋議員に引き続き、質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、近藤議員から御指摘のあった小渕前大臣にかかわることでございますが、宮沢大臣も御答弁の中で、選挙でみそぎが済んだわけではないということ、あるいは小渕前大臣に引き続き説明責任があるという御趣旨、さらにはその説明責任が果たされていないという御趣旨、こういった御答弁があったわけであります。

 小渕前大臣におかれましては、この委員会で必要な関係資料を提出するとみずからお約束をされたにもかかわらず、司直の手が伸びた、強制捜査の対象になった、こういったことを理由に依然として関係書類が提出をされていない。説明責任が果たされていない、証拠が示されていない、こういったことによって小渕前大臣の政治資金にかかわる問題はうやむやになってしまって、選挙がその間にあったものですから、何となくみそぎが済んだという空気がつくられてしまっているわけでありますけれども、改めて振り返ってみると、何ら問題は解決していない、明らかになっていない。

 観劇会や野球観戦の収入と支出の食い違いが、なぜそういうことになったのか。あるいは、ネギを贈った、ワインを贈った、こういったものが利益供与になったのではないかということ。いずれの問題も全く明らかになっていないということでありますので、私ども経済産業委員会といたしましては、この問題はこのまま、きょうの質疑で、あるいはこれまでの不十分な資料提出でよしとするわけにはまいりません。

 大臣自身も、説明責任は果たされているわけではないということでございますので、ぜひ小渕前大臣にこの委員会に、あるいは国会のそのほかの場所でも結構でございます、資料はなくてもみずからの言葉で説明できるものはあるということであろうと思いますので、お出ましをいただいて、みずからが潔白だとおっしゃるならそういうことを、そして、国民が依然として抱いている疑問に対してはきちんと説明責任を果たしてもらう、こういうことでお願いをしていきたいというふうに思っております。

 改めて、大臣、このことについて御見解をお示しいただけないでしょうか。

宮沢国務大臣 私は、小渕前大臣が説明責任を果たしていないと申し上げたわけではなくて、果たそうにも果たせない状況にあると申し上げておりますので、そこは若干のニュアンスの違いがございますので、正確に言っていただければありがたいと思います。

 その上で、国会の場でどういう弁明をされる、しない、説明をされるということにつきましては、まさに経産委員会であり国会の中で対応することでありまして、私自身がコメントする立場にはないと思っております。

中根(康)委員 本当に果たそうにも果たせない状況なのかということなんですよね。

 確かに、捜査にかかわることについては、それは言えないこと、言いにくいこともあるかもしれませんが、政治的、道義的な問題については、小渕さんのみずからの言葉で十分説明責任の一端を果たすことはできるのではないかというふうに思っておりますので、引き続きこれは要求をしていきたいと思っております。

 それから、近藤議員の質問をかりて、少し私も中小企業の社会保険料負担に対する支援策について触れさせていただきたいと思います。

 近藤議員の資料をお借りする形になりますけれども、先ほどの私どもの独自の試算のところでございますけれども、近藤先生は先ほど、助成額を社会保険料負担の増加に合わせて増額をして、十年間、二分の一助成した場合にどうなるかという効果をお示しされたわけですが、私はこのもう一つの方、助成額を初年度に助成した額で固定して、二分の一助成して、それを十年間続けた場合にということでございます。

 そうすると、近藤先生の資料の十一ページの左側の表をごらんいただくとわかるように、歳入歳出収支千九百七十六億円。この千九百七十六億円で、近藤議員が先ほどお示しをした大変大きな効果が得られる。これはたまたま法人税減税の二千億円とちょうど重なるような数字となるわけであります。

 厚労省が中小企業にアンケート調査をしても、あるいは大手のシンクタンクが調査をしても、中小企業にとって正社員を雇う際の大きなハードルは社会保険料負担なんだということ。中小企業は七〇%以上が赤字だということも先ほど示されましたけれども、赤字であれば法人税は負担しなくてもいいんだけれども、しかし、社会保険料は、これは赤字であろうがどうであろうが負担をせざるを得ない。そこで、正社員を雇いたくてもちゅうちょしてしまう。

 中小企業は、事業承継とかあるいは技術承継とかあるいは第二創業とか、こういった意味合いで、本来、正社員を雇いたいんですね。あるいは、学生さん、若い人が大企業にばかり目を向けるときに、ぜひ、正社員として雇ってあげるから我が社に来てほしいという思いは持っておられるわけであります。

 したがって、正社員にすることに対するこのハードルを下げてあげるということは、中小企業にとって極めて恩恵をもたらす政策であると思っておりますし、正社員をふやせば、これは今問題になっている格差の解消にもつながるし、賃金が安定して入ってくれば、結婚できなかった人が結婚できるようになる。結婚できるようになれば、日本の社会においては、結婚できるようにならなければということにもなるかもしれませんが、結婚すれば子供がふえていくという可能性も大いに高まってきて、少子化対策にもなる、将来の社会保障制度の維持、安定ということにもつながるということで、正社員をふやしていく。

 今の政府は、労働者派遣法の改悪などを通じて、むしろ、正社員を減らしていく、派遣労働をふやしていくという方向にかじを切っておられるようでありますが、私どもは、正社員をふやしていく、そのために中小企業を支援していく、こういう観点が必要だということで、こういった立法作業を進めさせていただいておりますので、改めて御紹介を申し上げたところでございます。

 それで、私の質問につきましては、きょうは自動車関係税制のところを中心に進めてまいりたいと思います。

 これまでも、予算委員会あるいは総務委員会等々で車に関する税金のあり方については議論されましたが、一番の本丸のこの経済産業委員会、やっと議論がスタートいたしましたので、やはりこの経済産業委員会においても自動車に関する議論はやっておかなければならない。衆議院で予算案が、あるいは税制法案が通過をしたから、参議院に行ったからということで衆議院でやらなくていいということでは当然ありませんので、きょうはこの点について議論をさせていただきたいと思っております。

 これはもう言うまでもないことでございますけれども、我が国がデフレからの脱却、あるいは経済の好循環、そのために何が有効なのかということでいえば、今申し上げましたように、法人税を減税して、これは黒字企業、大企業にしか恩恵がないという見方もできる中で、今御紹介を申し上げた中小企業に対する社会保険料負担の軽減策というのも必要なことでございます。

 そしてもう一つ、裾野が広く、経済波及効果が大きく、雇用の創出効果が大きい生活必需品でもある車に関して、税金を、ユーザー目線で、生活減税という意味合いで抜本改革を行う。つまりは、車を買うこと、持つこと、走らせること、この全ての局面における負担の軽減を図るということがかなめであるというふうに思っております。

 車はもはやぜいたく品ということではなく生活必需品であるがゆえに、車に関する減税は、今申し上げましたようにまさに生活減税ということにつながり、消費の拡大、内需の拡大、そして国内雇用の維持と増大ということに直結をするわけであります。したがって、消費税を上げるから車に関する税金をどうこうする、消費税絡みでつじつまを合わせるような内容のものではないということもあわせて、この車に関するユーザー目線からの負担の軽減ということは必要不可欠なことであると考えております。

 にもかかわらず、依然として、車には、不条理で納得できない時代おくれの税金が、複雑に数多く重く課せられているということでございます。

 これはもう重ねてということになりますけれども、配付をいたしました資料一をごらんいただくと、自動車産業が支える日本の雇用、全就業人口の一割、関連部門、製造部門、販売・整備部門、資材部門、利用部門、もう各般に、広範にわたっているわけであります。

 こうした広範な関連産業を持つ我が国の経済や雇用を、まさに安倍総理がよく使う、日本の津々浦々まで景気の回復、雇用の安定を図るという意味でいえば、極めて自動車産業というのは重要な位置づけであるということは間違いありません。しかし、この重い税金、複雑な税金のために、この自動車産業が、実はまだまだ伸び代があるにもかかわらず、本来の力を発揮できない状況を余儀なくされているというふうに考えることもできるのではないかと思っております。

 それは、昨年四月の消費税の引き上げだけではなくて、もともと、これも重ねての話になりますが、自動車にかかわる税金が、余りにも国の税収確保という観点に偏り過ぎていて、ユーザー目線になっていないということに起因をするのではないかと考えております。

 自動車産業の位置づけについては資料の二ページ、製造品出荷額、設備投資額、研究開発費、商品別輸出額、いずれの分野においても二〇%程度の存在感を示しているわけであります。

 引き続き資料をごらんいただきたいと思いますが、そういった中において、では、これからの自動車産業の行く末はどうかということでありますけれども、資料三、四、五、これはもうまとめてごらんをいただければいいわけなんですが、特に資料五がわかりやすいと思いますけれども、国内の新車販売台数は、前年同月比マイナスの状況が続いているわけであります。

 たまたまけさの朝刊各紙にも同じような記事が載っておりまして、日本自動車工業会の昨日の発表によると、一五年度、来年度ですね、四月から始まる年度の新車販売は五百万台割れが予測をされている、これは四年ぶりだということ、東日本大震災の年並みになってしまうということでございます。

 その理由として、消費税もそうかもしれませんけれども、エコカー減税の厳格化、あるいは軽自動車税の増税ということが大きく影響していると。消費税についても、もちろんこれは影響があるとは思います。しかし、消費税というものは、将来の社会保障を安定させていく、充実させていくために国民みんなでその負担を分かち合っていくという意味合いで御理解をお願いしている税金でございますので、これはもう必要なものだということでお認めをいただいているわけでありますので、ここは、この消費税負担については何とか乗り越えていかなくてはいけないということでございます。

 しかし、一方で、車にかかる税金については、これは改革をすればできる、負担の軽減は十分政治的な判断で可能だということでございますので、これはぜひやっていただきたいという思いで今お話をさせていただいているところでございます。

 引き続き、ちょっと前置きが長くなっておりますが、資料六をごらんいただきたいと思います。改めて、車に関してどんな税金がかかっているかということでございます。

 買って持つだけで、自動車取得税そして消費税、自動車重量税、自動車税、軽自動車税、こういった五種類の税金がある。そして、走らせるということになると、さらに揮発油税など五種類の税金がかかってくるということでございます。資料七をごらんいただいても、我が国の車に関する税金のあり方は、諸外国と比べても極めて重いものになっているということでございますので、これはぜひ改めていかなくてはならないということであろうと思います。

 自動車取得税と自動車重量税は、それでは本当に国民が納めなくてはいけないものなのかどうかということでございます。

 自動車取得税というのは、一九六八年に市町村の道路拡充のために創設をされた、そして、自動車重量税というのは、一九七一年、道路整備の財源確保のために創設をされたということでございますが、いずれも、二〇〇九年には一般財源化されて、課税根拠というものは失われているということ。つまりは、もう本来国民は納めなくてもいいものを納めている、納めさせられているということではないかと考えます。

 この一般財源化された自動車取得税と自動車重量税を依然として国民が納めなければならない理由は何なのか、大臣、御説明をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から、自動車取得税、自動車重量税の課税根拠がなくなっているのではないかという御質問がございました。

 まず、国税の自動車重量税でございますけれども、これは、自動車の走行が道路損壊、大気汚染など多くの社会的費用をもたらしていること、また、道路等の社会資本の充実の要請が強いことを考慮いたしまして、広く自動車ユーザーに対して負担を求めるものとして創設されたものでございます。

 道路特定財源見直し後、一般財源化された後におきましても、自動車ユーザーは、道路整備等によりメリットを受けていること、自動車の走行が道路損壊やCO2排出などの社会的費用を発生させていること、それには変わりはございません。引き続き課税すべき理由はあると考えております。

 また、総務省の所管でございますけれども、地方税の自動車取得税につきましても、特定財源の目的でございました道路整備等の需要、これは依然として大きいなど、自動車重量税と同様、引き続き課税すべき理由はあると考えているところでございます。

中根(康)委員 それならなぜ一般財源化したのかというようなことになると思いますけれども、引き続き質問していきます。

 自動車取得税については、消費税との二重課税になっているという状況は全く解消されていないわけであります。この税金に税金が課せられて国民が余分に税金を納めているという状況は速やかに解消すべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、最初に委員が自動車産業の重要性をおっしゃっておりましたけれども、全く同感でございます。

 本当に、日本の今産業のリーダーであり、経済を引っ張っていただいている産業でありますし、リーマン・ショックのときに、ともかくあれだけ自動車産業の影響が大きいということは本当に実感したわけでありまして、しっかりと産業として、日本国内でまさに雇用を確保していただき、そして輸出につなげていただくということを引き続きやっていっていただかなければいけないと思っております。

 二重課税の話でありますけれども、まず一点、取得時に自動車取得税がかかり消費税がかかっておりますが、これはいわゆる、例えばたばこですとか酒とかまたガソリンがそうですが、タックス・オン・タックスにはなっておりません。それぞれが独自にかかっているということでありまして、タックス・オン・タックスよりは若干優遇されているという言い方も変ですけれども、という状況がございます。

 私どもは、かねてより、こういう二つの種類の税金がかかることは問題であるということで、その解消ということをお願いしてきていたわけでございますけれども、平成二十五年度の税制改正大綱において、消費税一〇%への引き上げ時にこの取得税については廃止することが決まっているということでございます。

中根(康)委員 もう一つ、これは通告をしておりませんで、しかも極めて事務的な話でありますので、御答弁いただければいただきたいと思うんですけれども、私が、きょう自動車関係税制について質問するとフェイスブックでちょっとお知らせをいたしましたら、ではこの点について確認してくれということが一つありました。

 自動車取得税について、その方なんですが、私は領収書をもらったことがないんだけれども、自動車取得税は領収書を発行しないのか、どうなんだというような話なんです。これはわかりますか、いかがですか。

青木政府参考人 取得時に、税の負担も含めて、ディーラーさんとの関係で対応するような場面もあろうかと思いますが、そうしたことも含めて、実際にどういう対応になっているのかについて、別途御報告申し上げたいと思います。

中根(康)委員 済みません。突然のお尋ねで申しわけありませんでした。ちょっと、私も定かでないところでございますので、ぜひ一度、御確認をいただきたいと思います。

 自動車税ということでございますけれども、自動車税の創設の理由というものを伺いたいと思います。自動車税というのはなぜできたのでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車税は、財産税的な性格と道路損傷負担金的な性格をあわせ持つ税であるとされておりまして、自動車の保有に対する税として、排気量等に応じて毎年度課税されているものでございます。近年におきましては、環境性能に応じた、初年度の軽課あるいは後年度の重課といった措置が講じられているなど、環境損傷負担金的な性格もあわせ持つものとされております。

 自動車に係る行政サービスにつきましては、道路の整備、維持管理、環境対策、事故発生時の救急対応等さまざまなものがございます。自動車の保有について、それに見合った負担をいただくことについては合理的な理由があるものと考えているところでございます。

中根(康)委員 今御説明があったように、自動車税には財産税的な性格もあってということのようでございますが、つまりはそれは、かつては自動車を、車を持つということが、ぜいたく品を持つということで自動車税というものが課せられるようになったということでもあろうと思います。

 今、車を持つということは、ぜいたく品を持つというふうに考えますか。私どもは、車というのはまさに生活や産業の足であって、生活にとっても産業にとっても必需品であって、決してぜいたく品ではないというふうに思っておりますが、大臣、車はぜいたく品ですか必需品ですか。

宮沢国務大臣 最近、随分高価な車が売れているようでございまして、それは間違いなくぜいたく品でありますけれども、一方で、私どもの地元広島県でも、一家に四台あって、最後はおじいちゃんの軽トラというようなことでありますから、必需品であります。

 ただ、ぜいたく品だからかけるかどうかということではなく、恐らく、今議論を伺っておりまして、固定資産税というのがあるけれども、あれはどんな本当にみすぼらしい家にもかかるものだなというような思いをしながら聞いておりました。

中根(康)委員 資料の八あるいは九もごらんいただければ、もうこれは、特に公共交通機関の整備されていない地方に行けば行くほど、車というのは生活必需品であって、場合によっては命をつなぐ、命を守る必需品であるということでございます。

 特に、その中でも軽自動車というものは、全く、今大臣がおっしゃったように、高級車ということでは当然ないわけでありますので、生活必需品そのものであるわけで、軽自動車というものがなければ地方創生などということも全くあり得ないということにもなってしまうわけであります。ぜいたく品という側面が若干でもあるということであるならば、軽自動車に対して自動車税、つまりは軽自動車税をかけるということは全く理屈が成り立たないことではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 軽自動車が公共交通機関が不十分な地域などで生活の足として使われている、実情は確かにそうであるというふうに思います。しかし、地方においては、相当厳しい財政状況の中で、道路関係の財政需要も多いわけでございます。

 そうした中で、軽自動車税については、平成二十六年度税制改正におきまして、自動車税制全体について与党税制調査会で議論を行っていただき、車体課税全体として、税収中立の中で、地方団体の要望を踏まえて、小型自動車との均衡を図るといった観点からの対応をさせていただいたところであります。

中根(康)委員 続いて、資料十をごらんいただきたいと思いますが、これは二十七年度の税制改正についてでございますけれども、自動車取得税と重量税について。

 これはエコカー減税の二年延長という表記だと、一見減税が拡大しているように錯覚をいたしますが、先ほどけさの朝刊の記事を御紹介申し上げましたけれども、燃費基準を厳しくしているため、自動車取得税と自動車重量税はさらにわかりにくくなって、しかも実質増税ということになってしまっているわけであります。

 資料十一をごらんいただきたいと思いますけれども、現行の例えば二〇一五年度基準プラス一〇%達成車というのは、八〇%減税だったものがこの四月からは四〇%減税ということで、減税幅が半減する。つまりはその分だけ負担が重くなるということでございます。

 資料十二については、これは自動車重量税でございますが、同じように、現行の二〇一五年度基準達成車は、五〇%減税であったものがこの四月からは本則の税率に戻ってしまうということでございます。

 私ども民主党政権においては、自動車重量税は、三千三百億円だったと思いますけれども、減税をいたしております。安倍内閣においては、車について、自動車産業の重要性と、車を売りやすく、買いやすくするということが日本経済を活性化し、雇用を守るという意味合いが極めて大きいということを先ほど宮沢大臣もお認めいただいたにもかかわらず、車が売れなくなってしまう、そのことを通じて日本の雇用や産業にブレーキがかかってしまうことにもつながりかねない政策が打たれているわけでございます。

 こういったことは先ほど紹介したけさの朝刊でも示されておりますが、私が配付した資料十三あるいは十四、十五、これをごらんいただければ、ある意味、売れ筋の人気の車が、燃費基準が厳しくなって増税になってしまうということでございます。

 こういったことは経産省も御認識はされておられまして、資料十六、取得税で三百七十億円、重量税で三百四十億円の増税だということは、試算をされておられるわけであります。

 こうした、本来、車に関する税金というのは軽減をしなければならない、そのことを通じて、車を売りやすく、買いやすくしなければならないにもかかわらず、新車販売に影響を与えるというような増税を実質行うということでありますけれども、大臣、このことが、もうこれは重ねてのお尋ねになるかもしれませんけれども、日本の景気あるいは雇用に与える影響はどのようなものだとお考えになるでしょうか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

宮沢国務大臣 エコカー減税というのは、まさに政策減税そのものでありまして、燃費性能のいい、環境に優しい車に、ともかく需要をシフトしてもらう、それを促進するというために設けている制度であります。

 一方で、今お話がございましたように、燃費基準といったものも五年に一回かえられておりまして、目標値を定めていくわけでございますが、二〇二〇年度基準というのが今回採用されることになったわけです。

 したがって、新しい基準になると、やはり少し対象が少なくなって、それが、徐々に徐々にその方が売れてくるわけでございますから、広がっていく。二〇二五年基準になるとまた下がってと、こういう政策減税でありますので、基準切りかえのときに、ある程度、減税幅が小さくなる、逆に言えば、これまで思った以上に政策効果があって燃費のいい車がたくさん売れてきたものが、燃費基準がかわることによって少しその部分が下がってくるというのは、ある意味でいたし方ないことだろうと思っております。

 今回、先ほど、表にありましたように、二〇二〇年基準に全面的にかえるという御主張が、税を持たれている方からあったわけでありますけれども、やはり、今、議員のおっしゃったような自動車の重要性等々ということもあって、二〇一五年基準を下にくっつけてというようなことで、最終的に今回の案ができ上がったということでありまして、政策目的を達成するということと、一方で、まさに車の販売がなるべく落ちないようにということの両方に配慮した結果、こういう形に落ちついて、それなりの落ちつき方だったなというふうに思っております。

中根(康)委員 二十八年度から導入が、もくろまれているというふうに言いますが、環境性能税制でありますが、これは、たとえ自動車取得税を廃止したとしても、それを無意味にしてしまうような税収の穴埋めにすぎないのではないかというようなことを考えます。

 時間がありませんのでまとめてお尋ねいたしますが、社会保障と税の一体改革に伴う税制抜本改革法の七条には何が書いてあるかといえば、簡素化、負担の軽減及びグリーン化の観点から見直しを行うということが書いてあるわけであります。二十六年、二十七年の改革、あるいは二十八年に予定されているもの、こういったものを見ると、いずれも、簡素化というよりもさらに複雑化し、負担の軽減というよりもさらに増税が行われるというようなことになっているわけでありまして、この法律の意味するところと、実際に行われていることは、全く逆の方向を向いているということになるのではないでしょうか。

 それともう一つ、軽自動車に環境性能税制をとか、あるいはそういったことを行うことによって、自治体の事務負担というもの、もちろん、自治体に増収効果というものはあるわけであります。しかし、自治体は今まで、軽自動車は軽自動車として、単一の税率というか課税をしていたところを、性能によって税金を変えるということになると、これはもう自治体の事務負担が増大するということになるわけであります。こういったことに対して、国の支援策というものも求められているというふうにも聞いております。

 法律に反するのではないかということ、環境性能税制の導入は自動車取得税を意味のないものにしてしまうのではないかということ、そして自治体の負担というものをどう考えるかということについて、まとめてお尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 私の方からいわゆる環境性能割についてお話をさせていただき、その後、抜本改革法七条については財務省、また、軽自動車のグリーン化特例については総務省から後で答弁をさせます。

 環境性能割につきましては、私が税調の幹部をやっていた平成二十六年度の税制改正大綱におきまして、自動車取得税が果たしてきたグリーン化機能を維持強化する観点や地方財源の確保等の観点から、消費税一〇%時点で、自動車の取得時において燃費性能に応じて課税を行う環境性能課税を導入するということが決定されております、与党におきまして。

 経産省といたしましては、環境性能課税を入れるということについてはもちろん同意をしておりますけれども、一方で、環境性能課税が、おっしゃったように自動車取得税の単純なつけかえにならないように、しっかりと対応していきたいと思っております。

星野政府参考人 先生から税制抜本改革法七条との関係のお尋ねがございました。

 先生御指摘のとおり、税制抜本改革法七条には、簡素化、負担の軽減及びグリーン化の観点から、見直しを行うとされております。また、あわせて、安定的な財源の確保ですとか地方財政への配慮といった点、こういったさまざまな観点の規定がなされているところでございます。

 先ほど大臣からも御答弁ございましたとおり、エコカー減税につきましては、グリーン化の観点から、より環境性能の高い自動車に対象範囲を重点化していく必要があるということ、それから、燃費基準の向上に応じて対象範囲が拡大して税収が減少していくということで、安定的な財源の確保の観点からは対象範囲の見直しを行う必要があるといった観点も考慮する必要があると考えております。

 そういった中で、二十七年度の改正でございますけれども、エコカー減税対象車が新車の九割程度を占める中で、エコカー減税の対象範囲について、最新の二〇二〇年度燃費基準に置きかえるとともに、足元の自動車の消費を喚起することにも配慮する観点から、二年間の経過的な措置として、現行の二〇一五年度燃費基準によるエコカー減税対象車の一部を引き続き減税対象とするといった措置を講じたものでございまして、税制抜本改革法七条を踏まえた対応と考えております。

 こういった改正の結果として、二十七年度の減税対象車は新車の九割程度と足元と同程度となると見込まれておりまして、負担の軽減にも十分配慮した措置となっていると考えております。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきました軽自動車税のグリーン化特例でございますけれども、平成二十七年四月から平成二十八年三月までに取得される新車について、平成二十八年四月に保有課税としての軽自動車税が課税される際に、燃費性能に応じて一定の割合で税を軽減するという仕組みでございます。

 このグリーン化特例に係る事務を含めまして、軽自動車税の課税事務の効率化を図るため、市町村からも要望がございましたことから、登録車について自動車税で実施している都道府県への車検情報データの提供と同じ仕組みを市町村の軽自動車税についても導入することとしておりまして、現在その準備を進めております。

 このシステムができますと、軽四輪全体の課税実務の効率性、正確性が向上すると思いますし、グリーン化特例等に係る課税事務についても、車検情報に含まれる燃費等の情報によりまして、正確に確認し、効率的に課税することが可能となるものでございます。

 このシステムを利用するために情報提供の負担がございますけれども、自動車税のシステムにおける料金と同程度で実施できるよう、現在、調整しているところでございます。

中根(康)委員 いろいろ御説明をいただきましたけれども、車に関する税金はやはり軽減をすべきだというふうに、そのことが日本の産業や雇用に資する、経済産業政策に資するということを確信いたしておりますので、御要望申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 先日の衆議院選挙で初当選をいたしました落合貴之でございます。

 本日は、維新の党のトップバッターとして質問をさせていただきます。まず、前半は電力自由化、そして後半は商工中金について伺えればと考えております。

 まず、電力自由化についてでございます。

 大臣にぜひお伺いしたいんですが、二月十二日の安倍総理の施政方針演説、それと先週の宮沢大臣の所信表明演説を読み比べてみますと、三段階の電力システム改革の意義、総理は、誰もが公平にアクセスできるように電力システム改革を行うとおっしゃっています。一方で、宮沢大臣の演説では、低廉で安定的な電力供給を実現するために電力システム改革を行う、そのようにおっしゃっています。

 私は、この二つの言葉は、新たな電力業者の参入を促すということの積極性において、意味するところが違うというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 御指摘のとおり、私の所信では、低廉で安定的な電力供給を実現すべく、三段階の電力システム改革の総仕上げを行うということを申し上げました。

 この三段階の電力システム改革には、改革の第三弾として、送配電部門の法的分離を行い、送配電網の利用の公平性、中立性を向上させることももちろん含まれております。おっしゃられた総理の方針と異なることではございません。

 総理が施政方針演説でおっしゃった、送配電ネットワークを、発電、小売から分離し、誰もが公平にアクセスできるようにするという方針を具体化すべく、送配電部門の法的分離の実現に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

落合委員 総理のおっしゃっていた演説と違わないということですが、今大臣がおっしゃった、重要な、送配電ネットワークに誰もが公平にアクセスできるようにしますと総理の施政方針演説にあったこの文言自体も、大臣の演説にはありません。違わないと今答弁でおっしゃっていますが、わざわざ演説の中からこの言葉が外されている。

 大変重要な言葉が外されていると思うんですが、こういうのは誰が外すんでしょうか。新人の私にも、また国民にもわかるように、これは要は一番重要な部分だと思うんですが、大臣の演説には入っていません。どうして、誰が外しているんでしょうか。

宮沢国務大臣 外す、外さないということではなくて、総理の施政方針演説ですから、当然、閣僚である経産大臣を含めて全閣僚が、従うといいますか、そういう方針で内閣を挙げてやっていくという方向でございますから、当然、総理のおっしゃったことということは私の立場も全て縛っているわけであります。その上で、私は、そういう総理の施政方針演説の傘の中で先日所信を表明したところでございます。

落合委員 それでは、具体的に電力自由化について、電力会社間で電気を融通し合う広域連系について伺います。

 来月から広域運用機関ができますが、大臣、この機関は何のためにつくるんでしょうか。

上田政府参考人 広域的運営推進機関の創設の目的でございます。

 この電力システム改革でございますけれども、東日本大震災あるいは原子力事故を契機といたしまして、多様な電源の活用あるいは需要家のニーズの多様化、そういったことが求められているわけでございまして、従来の電力システムの抱えるさまざまな課題に対応するために、地域ごとに独占的な事業者が供給する仕組みというのを見直しまして、さまざまな事業者の参入や競争の中で、電力の低廉かつ安定的な供給を一層進めていくということでございます。

 電源の広域的な活用に必要な送電インフラの整備を進めるとともに、全国大で平常時、緊急時の需給調整機能を強化するということで、広域的運営推進機関を創設することといたしたところでございます。

落合委員 今の答弁で、前半に多様性を持たせるということがありましたが、後半は、やはり低廉で安定ということが強調されています。

 安倍総理がおっしゃった、誰もが公平にアクセスできるように、これは、いろいろな経産省の施策を縛っているはずです。三段階の、電事法をそのために改正した。そして、その中に広域連系も入っているわけですから、大臣、これは新しい電力業者が参入することを妨げないように広域連系は行われる、そういうことでよろしいですね。

宮沢国務大臣 ちょっと質問の趣旨がいま一つわからなかったものですから、もう一回質問していただけますか。

落合委員 広域運用機関、広域連系は、新しい電力会社が参入しやすくするためにこれを行う、そういうことでよろしいですね。

上田政府参考人 今回の広域的運営推進機関の主要な業務の一つといたしまして、新規電源の接続の受け付けあるいは系統情報の公開に係る業務というものがございます。もちろん、需給逼迫時のたき増し、電力融通、あるいは送配電網の強化、こういったことが全体として広域的運営推進機関の主たる業務になっておりまして、新規参入者の参入を妨げないという形で広域運営をしっかりやっていくということが一つの大きな業務となっているところでございます。

落合委員 ありがとうございます。

 新しい電力業者の参入を、しっかりと広域連系すれば進めることができるわけですから、私も、これがどのように四月以降行われていくのか、しっかりとチェックをさせていただきたいと考えております。

 それでは次に、指定電気事業者制度について伺います。

 これは、東電、関電、中部電力を除く電力会社が、再エネ事業者に対して無制限に無補償の出力抑制を行うことができるというようになりました。今まで、最大三十日間、一年間の八%までは無償で出力抑制、拒否をすることができるというふうに書かれていたわけですが、今回は、その八%という数字がなくなって、無制限になりました。これはどうして無制限になったんでしょうか。今のところ、これまでも、出力制限した、発動したことはないと思うんですが、なぜこれを拡大したんでしょうか。

上田政府参考人 今回の指定事業者制度で、無償で出力制御を行う基準を緩めたというか、指定事業者制度というものを、新たに北海道電力のみならず九州電力等々にも適用するということにいたしたわけでございます。

 委員、恐らく御承知だと思いますけれども、今般の指定につきましては、昨年の九月以降、九州電力を初めといたします電力会社六社につきまして、電力系統への接続の申し込み量が非常に急増したという事態がございます。このまま放置をいたしますと、電気の安定供給に支障が出る、停電を起こすという可能性があるということが判明したために、それぞれの各社におきまして、いわば接続の保留ということを行ったわけでございます。

 私ども、接続をさらにふやして保留を解除することに、どうすればいいかということについて知恵を絞ってまいりまして、系統ワーキンググループという審議会の下の組織を設けまして、そこで接続可能量の上限というものを検証した上で指定を行ったわけでございます。

 もし仮に従前のルールで、三十日という上限を維持していたということを、今回、指定電気事業者制度ではこうした一定の上限を設けないわけですが、仮に一定の上限を設けたままにいたしますと、確かに一定の数の再エネ事業者にはこの上限の日数内で出力制御が保証されることになるわけでございますが、その後に来る再エネ事業者の出力制御日数が非常に大きくなること、それで、そうした再エネ事業者間に不公平が生ずる、さらに、電力系統の系統運用が複雑になり過ぎる等々の理由から、無制限、無補償という形で指定電気事業者にした上で接続を引き続き行っていく、こういう制度を導入したわけでございます。

落合委員 前の前の質問で広域連系のことにも触れましたが、広域連系が活発に行われるようになれば、安定性は増すわけですね。

 普通、電気事業者が新しい事業を行う際はお金を集めたり借りたりしますが、その事業単体で採算が計算されてお金が集まってくることになると思います。これはプロジェクトファイナンスでもコーポレートファイナンスでも変わりませんが、今まで、この八%という数字があったからこそファイナンスができた、リスクの計算ができた。これを無制限にしてしまえば、ファイナンスができなくなってしまいます。リスクの計算ができません。要は、事実上、外部からの資金調達ができなくなる。余剰金のある企業しか参入できるようになりません。

 これについて、大臣、これは、安倍総理のやりたいことと、ここでやっていることは違うのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 今回の三十日を超える出力抑制ということにつきましては、これまでいろいろ御質問を受けてまいりましたけれども、今の状況を申し上げますと、例えば九州電力でありますと、出力抑制を行わなければならない日というのが九十日を超えております、予想といたしまして。その中で、既に発電を始められている方で五百キロワット以上の方については三十日以内の出力抑制をお願いできることになっておりまして、そういう方全員に三十日ずつやっていただいて、ちょうど九十日を超えた部分が何とか需要の中におさまる、こういう形になっているわけでございます。

 そして、今回、延ばすということをやりましたのは、要するに、需要が大変少なくて供給が多いときに出力抑制をお願いするわけでありますけれども、それ以外のときは自由に接続ができるわけでありまして、新たな方に入っていただくためには、まさに需要が供給を下回るときには出力抑制をしていただくけれども、それ以外のときにはしっかり発電をしていただいて売電をしていただくということで、新たな方にまさに入っていただくための措置でありまして、そういうことを考えた上で導入いたしました。

 そういう中で、八%というのは、恐らく三十日のことを八%とおっしゃっているんだと思いますけれども、ビジネスの判断に当たっては、金融関係者を含めてしっかりと判断が可能であることが重要でございますので、今度改正した省令の中で、出力制御の見込みについて適切に情報提供を行うことを規定しております。

 さらに、出力制御を実際に行うに当たっては、電力会社の運用によりまして、発電事業者間や家庭間で不公平が生じないように、どの電力会社においても公平かつ透明な出力制御が行われるよう、適切かつ公平なルールやその遵守状況をチェックする仕組みなども早急に構築していきたいと思っております。

 こうした取り組みを行うことによりまして、事業者の予見可能性の確保をすることによりまして、再生可能エネルギーの最大限の導入の実現に尽くしていきたいと考えております。

落合委員 この三十日という数字を外したことは、決定的に新規参入が起こらなくなってくる、その決定打になると思いますので、ぜひ、そこは考慮するということでしたので、数字を入れることを私は検討するべきだと思います。

 今、九電のことを例に挙げられましたが、一つの地域で電気をつくり過ぎてしまう、そういうものを調整するために広域運用機関があり広域連系があると思いますので、ぜひその運用をしっかりとやっていただくよう、私からも要望させていただきます。

 では、続きまして、今回の電事法の改正での電力会社の法的分離についてお尋ねします。

 電力会社を発電、送電、小売に分けるということで、私は、先日の予算委員会の分科会で、この法案の内容では送電事業者の中立性の確保は確実でない、そのように申し上げて幾つかの質問をしました。その答弁は、発電、送電、小売のそれぞれの会社の資本関係を認める法的分離という手法でも、そして監視機関の規定でも、独立性、中立性、大丈夫ですということでした。

 そこで質問ですが、送電部門の独立性について、会計の独立性についても、今後、法案の審議で深めていきたいと思っていますが、まず確認ですが、会計はしっかりと分離するんでしょうか。例えば欧州などでは、鉄道事業の上下分離、インフラと運行の分離では、会計の独立性によって、会計分離、組織分離、制度分離というふうに整理して分かれています。

 今回の電力会社の分離によって、もちろん収支もしっかり中立性、独立性を持った形で分けるということでよろしいでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、会計分離という制度を行っているわけでありますけれども、これは、送配電部門の会計をほかの部門の会計とは別に作成し、公表するということで公平性の向上を図るという仕組みでございます。

 ただ、こういった会計分離では、発電と送配電事業の間が社内のやりとりになってしまいますので、これは法人間の契約にならないということでございます。したがって、外部からこれが中立的かどうか、なかなか検証をするのが難しいという状況にあります。それから、託送ルールというのも当然社内の取引になりますので適用されないということでございまして、今回は法的分離ということになったわけでございます。

 法的分離といいますのは、これは別会社にするということでございますので、当然ながら、一般送配電事業者の会計は別会社になるという意味におきまして、発電、小売部門の会計とは完全に分離をされることになるわけでございます。

 なお、分離をした後の送配電事業者がそれ以外の附帯事業を行う可能性もあるということでございますので、法的分離の実施後におきましても、一般送配電事業に関する会計を他部門の会計とは別に作成し、公開することを法律上義務づけることとしておるところでございます。

落合委員 完全に分離をしますという御回答もいただきました。

 今、新聞などにも書いてありますが、電力会社が幾つかの原発の廃炉を発表しています。その廃炉費用は、普通に考えると、これは発電会社が全部請け負うべきである、そのように思いますが、小売会社や送電会社も廃炉費用を負担するということはないということですね。

上田政府参考人 今のお問い合わせは、法的分離後のことかと存じます。

 御案内のとおり、今回の法案では電力事業者に関する法的分離は二〇二〇年ということを想定しているわけでございますけれども、その後、送配電事業が独立の会社になるわけでございます。

 やり方といたしましては、例えば、持ち株会社のもとに発電、小売、送配電をぶら下げるといった方法か、あるいは発電、小売事業を親会社としまして、送配電事業を別会社にする、幾つかの方法があろうかと思いますけれども、こういった方法におきまして、原子力事業に関する例えば廃炉の費用というものは、その原子力事業を行う会社が負担することになると考えております。

落合委員 この会計の独立性、中立性は本当に重要なところですので、今後も私も監視をさせていただきたいと考えております。

 確認ですが、先日の予算委員会の分科会での私の質問に対しまして、多田政府参考人が、今回定めた法的分離ではなくて、資本関係を持たないで別会社にする所有権分離にした場合は、資金調達への障害あるいは財産権の侵害のおそれがあるというふうにお答えしておりました。これはどういうことか、もう少し詳しく御説明いただければと思います。

上田政府参考人 法的分離が今回の法案の中身になっているわけでございますが、委員御指摘の所有権分離という方法がございます。

 所有権分離というのは、まさに委員お話しいただきましたように、発電会社または小売会社と送配電会社との間に資本関係を認めないというやり方でございます。

 イメージで申し上げれば、例えば、東京電力株式会社が送配電部門を全くの第三者に売却いたしまして、その人が第三者として今の東京電力とは資本関係が全くない形で送配電部門を保有するというのが所有権分離というイメージになるわけでございます。

 法的分離の方は引き続き資本関係がございますので、例えば、東京電力が東京電力ホールディングスという会社をつくった上で、その子会社として送配電部門を持つということは可能になるわけでございます。

 どのように違うかということでございますけれども、一つは、所有権分離を行った場合には、法的分離の場合と異なりまして、やはりグループ一体としての資金調達を行うことはできません。全くの別の資本系列の別会社になるわけなので、グループ一体、東京電力グループという形で資金調達は当然できないわけでございますので、電力の安定供給を確保するために必要な資金調達に支障を生ずるおそれがあると考えております。

 それから、所有権分離でありますけれども、一般電気事業者の株主という方が今いらっしゃるわけでございますけれども、その株式価値の毀損などが発生する、全くの別会社になるわけなので、販売してしまった残った会社の株式の価値というものが毀損するというおそれがあるわけでございまして、これが憲法二十九条で保障されるところの財産権の侵害に当たる可能性も否定できないわけでございます。

 そういったことから、所有権分離まで行った場合には、安定供給の確保のための資金調達の問題、それから財産権の侵害の可能性があると考えておりますので、今回は法的分離を行うことにしたということでございます。

落合委員 これはまた改めて、法案の審議の際も質問させていただければと考えております。

 次に、発送電分離がしっかり行われているか、電力自由化がしっかり行われるか監視する監視委員会についても、電事法に、今回の改正案に定められています。六十六条の九に、事務局について書かれています。事務局長と所要の職員を置く、それしか書かれていないわけで、事務局の内部組織は政令で定めるということとなっています。

 ここは、電力会社の分離と同じぐらい、この監視機関の独立性に注目しなければいけないところですが、事務局の人事、電力会社や経産省と癒着しない人事を行う仕組みはつくるんでしょうか。

 本気で監視するなら、電力会社や経産省の担当部局とけんかになるようなことも多いと思います。電力会社や経産省から派遣されたスタッフがもとには戻らない、組織に戻らない覚悟で監視委員会に来る、そういう人事は、しっかりと独立性のある、中立性のある人事は行うんでしょうか。

山際副大臣 お答え申し上げます。

 電力取引の監視等に当たりましては、電気事業、そして法務、会計、金融といった専門的な知見を持った、まさに専門家が不可欠でございます。このため、委員会事務局では、弁護士、公認会計士等の外部人材を積極的に採用するなど、多様な人材を確保することとしてございます。

 また、例えば、電力行政に知見を有する資源エネルギー庁の職員が委員会事務局に異動して電力取引の監視を行うことや、逆に、委員会の事務局職員が資源エネルギー庁に異動して、市場監視を通じて得たノウハウを生かして電気事業制度の企画立案に当たることも有益である、このように考えてございます。

 このため、委員会事務局と資源エネルギー庁との人事交流を制限することは考えてございません。

 なお、委員会は委員長及び委員のみで意思決定を行うとともに、事務局職員は委員長の指揮監督下にあることを条文上明らかにしてございます。これにより、独立性を有する委員長及び委員が事務局職員に対して十分なガバナンスをきかせることができる組織設計としているため、委員会の独立性に影響がないと考えてございます。

落合委員 電力自由化法案、電事法の改正案、これが、マスコミが言っているように本当に電力自由化法案なのか。中身が確かでない部分、政令や省令でこれから決めるという部分がかなりたくさんあります。政省令で法案の中身が大きく変わってしまう可能性もありますので、私は、これからもこの部分を監視させていただきたいと考えております。

 それでは、次は商工中金についてお伺いさせていただきます。

 今国会に商工中金法の改正案が出ています。

 今まで、商工中金法には、政府が持っている四六%の株を、ことし四月から、五から七年後を目途に全て処分すると規定がされておりました。今回の改正案では、民営化する期間の記載がなくなって、そして早期処分義務という言葉になっています。それから、商工中金が危機対応を行うことが責務であるということが明記をされています。

 危機対応とは、リーマン・ショックや震災を理由に、中小企業向けに政府からの利子補給などがある特別な貸付業務ですが、民間の金融機関が一社もその危機対応を引き受けない、そういった中で、その危機対応の役割が終わるまでは商工中金は民営化しない、そういうことであると解釈をしております。

 質問ですが、先日の予算委員会分科会で、私の質問に対して北川政府参考人が、商工中金の注意を要する債権、これが民間の普通の金融機関の三倍くらいはございますけれども、経営自体にはまだ問題がないというお答えがありました。

 この注意を要する債権が三倍という点について、具体的な数字で説明をお願いいたします。

北川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の点でございます。これは、商工中金と総資産規模の大きい上位の地方銀行五行につきまして、それぞれ、自己査定の債務者区分に基づきます要注意先の比率を比較したものでございます。

 これによりますれば、平成二十六年三月末時点におきまして、商工中金は約三一・六%、地銀五行の平均が約一二・一%となっております。したがいまして、おおむね三倍の水準となっている旨を申し上げたところでございます。

落合委員 大臣、私も、商工中金のディスクロージャー誌、二百ページ近くありましたが、全部読みました。

 平成二十五年の三月末の時点で、不良債権の比率が前年度より上がっている。この不良債権比率も地銀の平均より大きい。それから、今お答えいただきました、全債権のうち三分の一以上が要注意債権となっています。この三分の一という数字に破綻先と実質破綻先、破綻懸念先、不良債権を足すと、四割近くに債権の中身がなっている。

 不良債権がふえていて、しかも、不良債権になる可能性のある要注意債権の割合がもともと高かったこの商工中金、民営化の前にもっと財務内容をよくしなければという意思は大臣にございますでしょうか。

山際副大臣 委員御指摘のとおり、要注意先への融資が三〇%を超えている、これは事実でございます。しかし、その中身、なぜそうなったかということをしっかり捉まえれば、過去二回の危機において、商工中金がセーフティーネットの役割というものをしっかりと十全に発揮させました。その結果としてそうなっているわけでございます。実際に、一万六千者に対して新規の融資を実施いたしまして、約九十五万人の従業員の雇用維持に貢献してまいりました。

 ただし、商工中金の危機対応業務利用先約四万七千者の約九五%が、この間に売り上げ増加や従業員数増加等の改善を実現してございます。また、その約三四%が信用格付をランクアップさせているということでございまして、もちろん商工中金みずからが収益性を高めていくことは必要でございますけれども、その途上にあるというふうに私どもは認識しているところでございます。

 また、これに加えまして、今回の法改正では、商工中金に対しまして、完全民営化に向けた財務基盤強化の取り組みについて業務報告書に記載することを義務づけることにしてございまして、今後とも、商工中金が危機対応業務を的確に実施できるよう、商工中金に対しまして、財務基盤の強化の取り組みを促してまいりたいと存じます。

落合委員 それでは、今、商工中金の株、四六%を政府が持っていますが、今の時価でこれを全部売った場合は幾らぐらいになるんでしょうか。

北川政府参考人 数字をお答えいたしますと、今、政府が保有する合計百一万六千口、一口千株でございますが、これは簿価一千十六億円でございます。これにつきまして、現在の店頭の価格が百五十四円ということでございまして、仮にこれを当てはめますと、その時価が千五百六十五億円となります。

落合委員 もう時間が迫ってきてしまっていますが、商工中金のように民営化が決まっている金融機関、これは民間と同じように独自の経営判断ができるようにして、そして、かわりに信用保証制度や公庫の危機対応機能を拡充するべきである、私はそのように思います。

 後で急に大きな国民負担が発生をしてしまう、こういうことがあってはなりません。一方で、よく言われているのは、天下り先を確保したいから民営化させないということも言われてしまっているわけで、やはりその懸念は払拭しなければならないと思います。

 この問題については来週も質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日はありがとうございました。

江田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。木下智彦君。

木下委員 維新の党、木下智彦でございます。

 今国会、本委員会もいよいよ本格的に始まりましたので、またよろしくお願いいたします。

 きょうの質疑の前に、たまたまなんですけれども、午前中、田嶋委員の方から資料の提出があったのを、きょう実は私は全く同じ資料を使って質疑をさせていただこうと思ったんですけれども、直前で回避いたしました。内容がかぶっていたので。ちょっと一言お話しさせていただきたいんですね。

 何のお話かといいますと、冨山和彦先生の著書の中で、日本の企業の九割方が中小企業の中でサービス業に属する非製造業というふうに言われていますと。それから、全体の六割を非製造業の中小企業が占めているんだというお話があって、そういう意味で、大臣も御答弁されていたんですけれども、サービス業の生産性の向上というのが重要になってくる、こういうお話をされておりました。

 私、きょう、通告になかったので、こちらからお話しするだけなんですけれども、もう一つ、あの著書の中で、一つというか二つなんですけれども、重要だなと思ったのがありまして、それは何かというと、あの著書の中で、グローバルな経済の中で活躍するような企業と、それからローカルなところで活躍するような企業、それを二つに分けて言っている。当然、サービス業に当たるようなところはローカルな部分ですねというお話だったんです。

 そういう意味でいうと、これは政府も否定されているかと思いますけれども、大企業と言われるところに対するいろいろな施策をしても、特に製造業に関してそういう施策が行われたとしても、なかなかトリクルダウンというのが実現しないというような感じのことも少し書いてあったことが一つ。

 そういう意味では、その著書の中で書いてあったのは、世界のオリンピックで金メダルをとれるような企業に対する規制緩和であるとかいろいろな施策と、それから、ローカルで頑張っていて雇用を安定化させるような、そういったところの施策という二本立てを明確にしていかなければいけないというような話が書いてありました。

 今、政府でそういうふうなことをしっかりと目指してやっておられるのかなと私は思うんですけれども、どうしても、ローカルな部分での施策というのが、まだまだ明確にやり切れていない部分があるんじゃないかなというのが一つ。

 それからもう一つは、ローカルな部分で生産性の向上と言われたんですけれども、あの本の中で書いてあることで一番のポイントだと私が思うのは、ローカルなサービス業をやっているところは生産性の高いような企業に集約をさせるべきだというふうに書いてあるんです。

 これはなぜかというと、同じローカルの中で生産性の高いような企業にどうやって集約させるかというのがポイントなんですけれども、とにかく集約をさせることによって雇用が安定化する。雇用が安定化すれば、ローカルに人が居つくわけですから、新たなサービスというものについての消費活動が行われ、そこにも生産性の高い産業が生まれてくるんだというようなことが書いてありまして、そこで一番ポイントなのは、では、政府が施策として、どうやって、生産性を持った会社に集約させるような誘導的な施策というのができるのか、これが一番政治的に難しいところだろうと思っております。

 これは、ちょっと言いっ放しで申しわけないんですけれども、また次回以降でこの辺について大臣の御所見をいただければと。お話ししていただけますか。では、よろしくお願いします。ありがとうございます。

宮沢国務大臣 本当に、今おっしゃったことは大変大事なことだと思っておりますし、また、冨山さんとは私も何度かお話ししたことがあって、本自身は読んでいないんですけれども、随分その点を議論させていただいたことがあります。

 まさに、生産性を向上させる、集約化とおっしゃいましたけれども、大変大事なことでありまして、恐らく今、金融庁がやろうとしていることは実はそのためだろうと思っていますのが、地方の特に地銀以下、第二地銀以下といっていいか、地銀以下につきまして、もちろんしっかりやっているところはあるんですけれども、やはり、昔からの土地の担保があって保証人がいて、それがあれば、業績自体が悪い企業であってもずうっと貸していて何の指導もしない、こういうことが随分いろいろなところで起きているんだろうと思うんです。

 したがって、やはり、きっちりとキャッシュフローを金融機関が見て、そしていろいろな判断ができるような金融機関に生まれ変わってくれというのが、実は今、金融庁がいろいろやっていることの裏にあると思っておりまして、そういうことを進めて、やはり生産性の向上というものを徹底的にやっていく必要があろうかと思っております。

木下委員 ありがとうございます、通告にないことをお話しいただいて。安心して御議論させていただけるなと。

 ちょっとだけつけ加えさせていただくと、やはり金融機関がそういう自律性を持ってやっていかなきゃいけない、そこは一つ大きなポイントだろうと。そうなると、きょうの議論の中でもうちの落合委員も言っていましたけれども、商工中金の話であるとか、政府系金融機関が融資しているからということで、その他の一般金融機関が、ぶら下がって、余りリスクを実際に考えずに、まあ政府がやっているから貸しても大丈夫だという状態がここ二十年ほど続いてきている、こういった構造も含めてまた考えていかなきゃいけないのかなと思っておりますので、その辺もまたよろしくお願いいたします。

 それでは、本題に入らせていただきます。

 三月三日に予算委員会がございまして、我が党の松野委員の方から、廃炉、汚染水の話をさせていただきました。その中でいろいろお話があったんですけれども、きょう少しそのおさらいと、それからもう少し細かい部分について、きょう田中委員長にわざわざ来ていただいていますので、お話しいただければと思います。予算委員会の中で、続きは経産委員会でというお話でしたので。

 では、ちょっとおさらいになりますけれども、その三月三日予算委員会で松野委員の方から、例のK排水路の排水に関して、放射性物質の濃度は法令で定める告示濃度限度を超えているのではという質疑をさせていただきました。その際、田中委員長の方からは、まずは、一般的に、三カ月間平均してその値をとるとか、希釈するとか、そういったことも法的に認めて通常は行われているというふうなお話があったかと思うんですけれども、この答弁でこの認識に間違いないかどうかということについて、もう一度お聞かせいただけますか。

田中政府特別補佐人 初めにお断りしなければいけないのは、雨水は放射性廃棄物という分類に入っておりません。放射性廃棄物としての液体廃棄物ですが、これについては今おっしゃったとおりであります。

木下委員 ありがとうございます。

 きょうの質疑の最後のところに出てくる話を先にお話しいただいたようで、簡潔であれだったと思うんですけれども、ちょっと順を追ってお話をさせていただきます。

 それで、もう一つが、規制の対象の方になると思うんですけれども、セシウム134が一リットル当たり六十ベクレル、それからセシウム137が同じく九十ベクレル、ストロンチウムに対しては三十ベクレルというふうになっていますと。ただ、昨年四月以降の最大値を見てみると、セシウム134が千五百ベクレル、それからストロンチウムが千五百ベクレルというふうになっているということなんですけれども、平均値は果たして幾らぐらいなのかということを再度認識したいと思いますので、お話しいただけますでしょうか。

田中政府特別補佐人 今、先生がおっしゃっているのは、いわゆるK排水路からの雨水のことですね。

 正確な値はちょっと記憶はないんですけれども、大体平均して二倍ちょっと超しているような状況があったということは認識しております。

木下委員 ということは、もともとの炉規法の中に書いてあるその基準よりも二倍ほど、そういうことだと思います。それでも問題はあるんだと思っているんですけれども。

 それで、松野委員からは、瞬間値ではオーバーしてもいいと規制委員会の規制要求などのどこに書いてあるのかというような質問をさせていただいたんですね。先ほどの答弁の中でも、どこでとは言われていないかと思うんですけれども、具体的にどこにそういうことが書いてあるのかということを教えていただきたいんです。これはちょっと、質疑を松野委員の方からしたんですけれども、それについて答えをしていただいていないと思いますので、お願いします。

田中政府特別補佐人 原子炉規制法の規則の中に、いわゆる濃度限度というのがございまして、これについては、水中の濃度限度についてはもう定められております。その中に、三カ月平均をする、希釈廃棄するとかそういうことが、もって、平均濃度として管理するというようなことになっておりますので、法的にはそこに定められているというふうに御理解いただければと思います。

木下委員 ということは、書き方にもよると思うんですけれども、瞬間的にオーバーしたらいいかどうかということは書いていないけれども、実際に三カ月の中でやるべきものだ、そういう解釈ができるということだ、まとめさせていただくとそういう話になるのかなと思います。

 それで、さらに、この質問に対してお話があったときに、松野委員がそういう話をしたら、違う答えをされたんですね。違う答えというか、ちょっと違う話だろうなと思ったんですけれども、冒頭お話ししたのと同じような話で、K排水路の排水は、東電からの報告によると、雨水とともに出ているとのことで、通常は雨水は規制の範囲外だが、一Fの状況を踏まえて、雨水についても、できるだけ制御できる範囲では管理するようにと東電に求めているというお話がありました。

 そこで、そもそも雨水が規制外だということが明文化されていないんじゃないかなと思うんですね。そういう認識もあるけれども、特に福島第一については、何らかのことをしなきゃいけないというふうにおっしゃられていたので、そういった部分について、何らかの文書をやはりつくるべき、もしくは文書があるべきだと思いますということが一つ。

 それから、福島の場合は、雨水と、もともと規制対象であるべき放射性物質がまざってこれだけの高い数値が出ているということだと思うんですね。ということは、出てくる最後の雨水自体は規制の対象外じゃないですよというふうに言っていますけれども、それは明らかに、福島第一原発の中にある放射性物質、規制の対象となるような放射性物質がその中に入っていることを示しているんだと私は思っておりまして、だからこそ、福島の場合は特別な措置をやるようにと東電に求めているというふうなことだと思うんです。

 となれば、法律の範囲内ではない、雨水はそうじゃないというふうに言っているけれども、そういう意味では、その放射性物質自体は、規制の対象だと私は思っているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。ここはちょっと難しいところだと思うんですけれども。

田中政府特別補佐人 今、先生からの御指摘のとおり、東京電力第一原子力発電所のサイトというのは、あの事故によって広範囲に、部分的には高濃度の汚染があります。

 ですから、雨水が流れることによって、大なり小なり放射能がまじって出るという可能性は我々もずっと認識しておりまして、昨年来、とにかくその濃度をきちっとはかるようにということは、実は、炉規法の中の特別に特定施設として福島第一原子力発電所を規制する枠組みを持っておりまして、その中で、法的には実施計画ということで出していただいて認めていくわけですけれども、その過程でいろいろ、評価監視検討会で随分議論をしてまいりました。そういうことの中で今回のような事態が起こりました。

 今後、法的には先ほど申したとおりでありますけれども、福島第一原子力発電所においても、一般排水路に流れる水の放射性物質による汚染ということを考慮しまして、通常の、施設の放射性廃棄物とは違いますけれども、実施計画という中できちっと管理をしていくことを求めていきたいということで、今、どういう管理ができるのか、東京電力ともよく話し合って、求めていきたいというふうに考えております。

木下委員 私は思うんですけれども、今お話しいただいたようなこと、ここで言ってもしようがないのかもしれませんけれども、我々、松野委員が質問をされたときに、今のお話を私は一発でしていただきたかったですね。

 ちょっと話の流れをあれしますと、まず最初に、松野委員が質問したときに何と言ったかというと、いや、雨水は規制の対象外ですよというような話、それから、瞬間値ではなくて平均値ではかって、濃度規制するものじゃないから大丈夫だ、そういうふうな形のことを言って、それを突き詰めていったときに、炉規法の中なんかでも、実質的に刑事罰もあるようなところに抵触する状態にあるというふうな認識はしている、だから福島第一原発に関しては別ですよというふうな話になったんです。

 これは、大臣、私は思うんですけれども、これは御本人がいる前で言うのはちょっと申しわけないんですけれども、規制委員会委員長が言うところのお話ではないんじゃないかなと思うんですね。いや、こういう状態にあります、ただ、福島第一原発については問題があるので、こういうふうなことを東電に求めていますと端的にお答えいただければ私はいいんだと思っているんですけれども、いやいや、平均値は上回っていたんですね、さっきのお話だったら結局。平均値も上回っているし、それから、瞬間値じゃないんですよというようなお話をして、その経緯でどんどん突き詰めていったところ、福島第一原発についてはそういう問題がありますというふうな話になっている。

 これは、本当に御本人の前であれなんですけれども、規制委員会のあり方自体が、もう少し何らかの考え方をするべきなんじゃないかな。これは、私もそうは思っていなかったんですけれども、やはり、今まで過去いろいろなところで質疑がある中で、原子力特別委員会なんかでもそうでしたけれども、そういった中でも、こういった規制委員会のあり方自体が議論されることが非常に多かったと思っているんですね。その辺について、大臣、今思っていらっしゃることを端的に述べていただければと思います。

宮沢国務大臣 まず、規制委員会自体は、あの原子力災害の後で、民主党政権ではありましたけれども、私どももいろいろ協議をしながらつくった委員会で、三条委員会ということで、まさに政治からは隔絶したところで仕事をしていただこうということでつくられたものであって、それはそれで私は一つの識見だったと思いますし、いい制度ができたと思っております。

 一方で、田中委員長のいろいろな御答弁というのを私も先日も聞いておりましたし、何度も伺っておりますけれども、極めて専門知識をお持ちな識見のある方だと思っております。恐らく私もそうでありますし、松野先生も文科系だろうと思いまして、文科系の人間からすると、やはり、専門知識が御豊富なだけに、いま一つぱっと我々のレベルの頭には入りにくい発言はあるとは思っておりますけれども、それはまさに識見豊かな証拠だろうと私は思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 私も実際はそうは思っております。ですから、そこは難しいところだと思うんです、誠心誠意答えていらっしゃるんだというふうに思っているんですけれども、どうしても議員からの責めに対してそういう形に見えてしまうところがあると思うので、そこを何とか、改善と言ったら申しわけないですけれども、うまい方法を考えていただきたいなというふうに思っております。

 私ども維新の党も、基本的に原子力発電に頼らないような社会の実現を目指しているということはあります。ただ、持続的な日本経済の成長とか、国民生活への影響、それから代替エネルギーの安定供給などへの見通しが立たないという中では、やはり原発即ゼロと声高に叫ぶのは政治的な責任ある対応とは言えないというふうに思ってはおります。

 ですから、逆に言うと、安全性をしっかり確保しているものであれば再稼働もやむなしということも一つ考えられるとは思ってはおりますが、今のこういう状態の中で、どうしても、国民もそうだと思うんですけれども、なかなかクリアにできない部分があると思っているので、こういった言葉の使い方であるとか、そういう部分も含めて御留意いただければなというふうに思っております。

 冒頭、ちょっと余計なことを話しましたので、もう時間がなくなってしまっておりますが、もう一つ通告させていただいたことが、今現在、政府から福島第一原発に常駐する人員はそれぞれ何名で、どんな内容の仕事をしているかという質問を、まず、通告させていただいたのでお答えいただけますでしょうか。

高木副大臣 福島第一原発事故の原子力災害対策本部の現地対策本部長として、また、二年前から廃炉、汚染水の問題が出てまいりまして、そこで廃炉・汚染水対策チームができましたので、その事務局長という立場でお答えをさせていただきたいと思います。

 今委員が御指摘になりましたように、まず、廃炉・汚染水対策現地事務所ということでJヴィレッジに対策事務所をつくっておりますけれども、ここには現在二十名がおります。これは平成二十五年の九月に廃炉・汚染水対策現地事務所を設置いたしまして、仕事の内容としましては、福島第一原発の現場の状況、作業進捗の把握、確認。二番目が現場における課題の把握、対応策の検討、工程管理。三番目が地元の自治体を初めとした関係者への情報提供、コミュニケーション。四番目が廃炉・汚染水対策に係る作業環境の課題把握。こういった業務を実施しているところでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 今のとおりだと思うんですね。

 ただ、これは今週になってから、私の聞き方というか聞いたルートも悪かったのかもしれませんが、まず最初に経済産業省の国会連絡室に連絡させていただいて、部署と業務内容を聞いたら、人数は確認にちょっと時間を要します、エネ庁から八名か九名程度ですかねというお話があって、その後、規制庁に聞いてみたんですね。規制庁も、同じく部署と何人というふうに言ったら、人数がちょっとわからないというお話。政府全体では誰が知っていますかねという話を言ったら、東電さんじゃないですかと言うんですよ。

 回り回って今度はエネ庁の方に行って、全体で何名だというふうな話がわかりましたと。では、そうしたら各部署からどれぐらいですかと言ったら、エネ庁からはこれだけですけれども、ほかの省庁については自分のところからは答えられませんと。では、誰に聞いたらと言ったら、それぞれに聞いてくださいという状態だったんですね。大臣、僕は、これは余りよろしくないなとまず思うんです。

 それからもう一つ、これも提言なんですけれども、さっきの排水路の話もそうなんですけれども、検査するというのを、これは前にも言ったことがあるんですけれども、政府の人間がやるべきなんじゃないかなと。

 先ほど田中委員長も言っていましたけれども、東電に求めているところです、もしくは、東電から報告を受けましたというようなお話があったんですけれども、自分たちがやったミス、これも以前お話しさせていただいた話なんですけれども、自分たちがやったミスを報告する、政府の人間は何をしているんだろうと私は思ったので、これを聞いたんですね。

 だから、そこをやはり、大臣は所信の中でもお話しされていますけれども、前面に立って、これは長年言われてきております。前面に立ってという前面というのは、そういった部分についてもやっていくべきなんじゃないかと思っておるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

高木副大臣 その議論というのは、ずっと今までも、いろいろな方々に御指摘をいただいてまいりました。

 その中にありまして、今現在、第一原発の中で廃炉・汚染水工程で毎日活動している人が、作業員で約七千人おります。では、この七千人のある意味では人件費を含めて、これは国が前面でできるかどうかというのが一つ。そういった部分では、まず第一義的には東京電力が事業者としてしっかりと責任をとって解決していく。

 しかしながら、国も指導監督をしなければいけない。しかも、二年前の汚染水の問題を受けて国が前面に出ますというような中にありまして、例えば凍土遮水壁の問題といったものは国費を投入してバックアップをしよう、こういう形をとらせていただいております。

 現在二十名のメンバーですけれども、私も毎月一回、現地調整会議と申しまして、これは東電も入って、国の方も、先ほども指摘されたように、エネ庁だけではありません、例えば規制庁も入りますし、農水、国交省、さらには環境省、関係部署、さらには県も入って、そういった中でしっかりと工程管理をしながらやっているという現状の中で国が前面に出る。

 しかしながら、K排水路の問題で情報開示の問題がありました。そこで、すぐに私も、廃炉カンパニーの増田プレジデントを呼びまして、東電に対してまずはリスクの総点検をしなさいと。今までは、高濃度の汚染水ということで、地下水が燃料デブリに触れて、それで海に流れる、こういった問題に特化してやってきた部分があります。

 ただし、雨水というのは、一Fのサイト全体に降りますし、それがあらゆるところから、先ほど御指摘ありましたように、放射性物質、飛び散ったものに触れて流れくる可能性がある、そういったリスクも全て総点検をしましょう、こういう形にして、先日も途中経過でございますが東電から報告がありました。これをしっかりとリスクを管理して、しっかり公表したいと思います。

 規制委員会の方は法律に基づいてしっかりと安全性を確認していただきますが、そういったリスクに対する発表の仕方は、私たちが、国が前面に立ってこれから指導しながらやっていきたいと考えています。

木下委員 最初から高木副大臣に聞いておけばよかったなと今思いました、本当に。

 遮水壁の話とか、きょう本当は質問を用意していたんですけれども、また今度その辺についてももう少し深い議論ができればと思います。今の高木副大臣のお話を聞いていて少しは安心しておりますので、ぜひとも今後もよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございます。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 昨年に引き続きまして経産委員会で質問ができることに厚く御礼を申し上げたいと思います。

 私もちょっと廃炉について御質問をさせていただきたいと思うんです。

 昨今、新聞で、先々週だったと思うんですけれども、五基、四十年経過したので、再稼働はしないで廃炉にしますよ、今週だったですか、三基、合計八基、原発を再稼働しないというような新聞報道がありました。きょうの新聞なんかを見ますと、七月に川内原発を再稼働する手続の申請を九州電力さんがするとかしないとか、そういうことなんです。

 私が物心ついたときに、茨城の東海村というところで日本で初めて原子力発電所がスタートしたと思うんですけれども、いただいたパンフレットを見ると、すごいお金をかけたパンフレットがあって、これを見ますと、昭和四十一年から三十年余り順調に稼働してきたのが第一号炉というふうにパンフレットには載っているんです。

 そもそもの話、通告には出していないんですけれども、大臣が所信で述べられたときに、「高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題は、国が前面に立って取り組むことが必要な国家的課題です。」と述べられているわけですね。ということは、今、福島の原発の問題も含めて、発電をメーンにした戦後の原子力政策、それは、国がやろうと言い出したのか、それとも電力会社がやろうと言い出したのか、そこのところを先にちょっと確認だけさせてもらいたいんです。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 日本で原子力を導入するということになりましたのは、原子力基本法が制定をされまして、その大きな方針のもとに日本として原子力を導入するということで、研究開発等の政府の取り組みがございましたけれども、実際に商業炉の原子力発電所を導入するに当たりましては、民間事業者の事業として導入が進められたということでございます。

鈴木(義)委員 そうしますと、基本法をつくって、国が最初にやって、商業炉については追随して電気事業者がやるという話になったわけですね。

 では、それで質問をさせていただきたいんですけれども、東海村の原発の廃炉の取り組みが、平成十年からスタートしているというふうにパンフレットでもうたってあるんですね。これが、平成十年、ことしは平成二十七年になるわけですから、着手してから約十五年がたっている。三十年で廃炉に向けていこうというふうに当初の計画ではあるんだと思うんですけれども、この間で結構ですから、どのぐらい今、廃炉に向けた費用がかかっているのか、この十五年間で、それをまず初めにお尋ねしたいと思います。

大村政府参考人 廃炉の費用に関するお尋ねでございますが、原子力規制庁が確認できるものといたしまして、平成十八年に廃止措置計画認可申請書というのを受理しておりますけれども、その中には約八百八十五億円ということで記載をされてございます。

鈴木(義)委員 そうしますと、それは、十五年たって八百八十五億円なのか、あと十五年かかるということは、倍なんですか。トータルで八百八十五億円ということですか。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 トータルで八百八十五億円という数字というふうに承知しております。

鈴木(義)委員 このパンフレットの中にもうたっているんですけれども、「廃止措置とは?」というので、クエスチョンマークがついて、この中に、アメリカでは二十二基だとか、ドイツだと十五基、フランスで十一基など、廃炉措置をとるんだということで、これはパンフレットに書いてありますからね、私が言っていることじゃなくて。

 では、日本の廃炉措置というのはどういうものなのか。外国でやっている廃炉措置と、日本が独自にやろうとするものなのか、それをまずお尋ねしたいと思います。

大村政府参考人 廃止措置の仕組みについての答えということだと思います。

 原子炉施設を廃止するに当たりましては、原子炉等規制法に基づいて規制をするということになってございまして、事業者は、廃止措置計画を定めまして、原子力規制委員会の認可を受ける、こういう仕組みになってございます。

 この認可を受けた事業者は、廃止措置計画に従いまして、施設の解体、核燃料物質の譲り渡し、汚染の除去、それから汚染されたものの廃棄、こういうものを実際に行っていくということになるわけでございます。

 廃止措置の実施中におきましては、廃止措置計画に基づき適切に行われているか、これは原子力規制委員会の方で、保安検査という仕組みがございますので、これを通じて確認をしている、こういう仕組みになっているところでございます。

鈴木(義)委員 二十六年の七月に資源エネルギー庁が出している、原子力依存度低減の達成に向けた課題という、庁が出している資料の中にうたってあるんですけれども、ここで出てくるJPDRという一番最初の動力試験炉がもう廃止措置を完了していると、ここのパンフレットにもうたってあるんですね。

 そうすると、私の記憶が間違っていなければ、国土交通省にコンクリートの耐用年数というのはどのぐらい見るんですかと尋ねたら、はっきり答えられないと言われたんです。それは、気象状況によって、海のそばでいけば三十年でコンクリートがぼろぼろになるし、そうじゃない状況であれば百年もつところもあるし、では、仮にダムみたいなのはどうなのかと聞けば、八十年だ百年だという考え方もあるし。財務省では、使っている耐用年数というのはあくまでも会計上の耐用年数で、それはどこに根拠があるかというのは定かでないわけですね。通常で堅固なものだったら五十年、非堅固だったら三十五年、これは税務会計上そういうふうに規定しているだけの話で。

 そうすると、高レベルの廃棄物については、国が責任を持って処分するんですよということを大臣が所信で述べられているんです。特に、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づく基本方針を速やかに改定してまいります。」と大臣所信で述べられているんです。

 でも、このパンフレットを見る限り、使い古しの燃料棒とか、廃棄しなくちゃいけないものはいいとしても、それ以外の容器だとかコンクリートで放射能に汚染されちゃっているものは、どこに誰が責任を持って処分するのかという話なんですね。

 ですから、JPDRの廃炉措置が完了しているというふうに、昨年、エネルギー庁の方でこのペーパーをいただいているんですけれども、では、そのときのコンクリートだとか容器だとか、放射能に汚染されている低レベルのものはどういった処理の仕方をされたのか、お尋ねしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お尋ねのJPDRは、旧日本原子力研究所、現在の日本原子力研究開発機構の動力試験炉でございまして、発電炉の特性把握や燃料照射、発電所建設と運転保守の経験取得など、軽水炉の国産化に貢献した実験用の原子炉でございます。

 JPDRの解体自身は、昭和六十一年から開始いたしまして、平成八年に終了してございます。解体後の敷地自身は、最終的には更地となってございまして、解体に当たって発生いたしました炉内構造物や放射化コンクリート等の放射性廃棄物の量につきましては、全体で約三千七百七十トンでございます。

 この放射性廃棄物のうち、放射能レベルが比較的高いもの、約二千百トンでございますが、につきましては、ドラム缶、遮蔽容器に収納しまして、敷地内の保管廃棄施設で保管をしてございます。また、放射能レベルが極めて低いもの、約千六百七十トンでございますが、につきましては、埋設の安全性実証のために、廃棄物埋設実地試験に利用しているところでございます。

鈴木(義)委員 パンフレットをよく見ますと、今御答弁いただいたんですけれども、「運転を終了した原子力発電所を、最終的に解体撤去し、跡地を原子力発電所用地として引き続き有効に利用できる状態にすることです。」とうたっているんですね、このパンフレットには。写真まで載っているんです。

 ということは、ここから出た低レベルの放射性廃棄物、放射能が付着しているコンクリートだとか鉄だとかいろいろなものは、最終的にどこに持っていくのかなと思うんです。今御説明いただいた中では、千百トンで、この敷地のどこかに埋めていて、上を芝生でやっているんだと思うんですけれども。

 それで、大臣にお尋ねしたいんですけれども、では、今、廃炉をしますというふうに、八基、方針が出されているわけですね。これを解体したときの低レベルの、高レベルはいいですよ、国が前面に立ってきちっと処理をしていくんです、処分先も確保するんですというふうに答弁でいつも大臣、総理もおっしゃられると思うんですけれども、では、解体によって出た低レベルの放射性廃棄物はどうするのかということですね。

 特に、海っぺりのところで、下が、どちらかというと、私が住んでいる三郷というのは地盤がよくないから、六十メーターも基礎を打たないと高速道路が通れないようなところに私はお世話になっているんですけれども、なるべく岩盤の、余りいろいろな状況が変化しないようなところに、大体、原子力発電所というのは建っているんだと思うんですけれども、低レベルの放射性廃棄物が、今、実験炉だけで一千百トン出ているということになりますと、相当な量がこれから出てくると思うんですけれども、それはどういう処分の仕方をお考えなのか、大臣にお尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 低レベルの放射性廃棄物につきましては、発生者責任の原則のもとで、事業者が処分に向けた取り組みを進めることが基本であります。したがって、事業者におかれましては、処分場所の確保にしっかり取り組んでいただく必要がございます。

 昨日、夕方ですか、廃炉を決められました関電、中国電力、九州電力、それから日本原子力発電の社長さん方が来られまして、報告を受けたわけでありますけれども、私からも、しっかりと着実に、まさに低レベル放射性廃棄物の処分先を含めて、廃炉を進めてほしいということを申しまして、各社リーダーの方は、そういう方向でしっかりやっていきたい、こういうことをおっしゃっておりました。

 もちろん、国といたしましても、円滑な処分ということにつきまして、必要な研究開発ですとか、また周辺との関係等々も少し出てくるかと思いますけれども、安全確保のために我々としても取り組んでいきたいと思っております。

鈴木(義)委員 そうしますと、再度のお尋ねなんですけれども、ここに「廃止措置とは?」というふうに書いてあった中で、「最終的に解体撤去し、跡地を原子力発電所用地として引き続き有効に利用できる状態にすることです。」というふうにうたっているんですね。

 ということは、またそこに原子力発電所を建てるということでいいんですか。だって、「廃止措置とは?」「運転を終了した原子力発電所を、最終的に解体撤去し、跡地を原子力発電所用地として引き続き有効に利用できる状態にすることです。」とパンフレットにうたっているんですよね。「東海発電所・東海第二発電所」という日本原子力発電株式会社が出しているものなんです。だから、エネルギー庁の方で答弁していただいたんです。それをお尋ねし直しているだけの話なんです。再度お願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 廃止措置につきましては、既存の原子力発電所の設備を撤去し、必要な対応をするということでございますけれども、その跡地についてどのような形で利用するのかというのは各社の判断でございますので、それを再利用するということが廃止措置ということではないというふうに政府としては考えております。

鈴木(義)委員 それで、冒頭、一番最初に、通告にはなかったんですけれども、原子力発電という仕組みを誰が一番最初にやろうとしたのかということなんです。

 それは、先ほど御答弁いただいたように、国が基本法をつくって、商業用は各事業者がやったんだといっても、結局、この東海村の原子力発電所というのは、一番最初はやはり民間がやったんじゃないんだと思うんですよね。政府が大分関与していなければ一号炉というのはできるわけないと思うし、この炭酸ガス炉というタイプのものと今問題になっている軽水炉というのは全然別の原発の施設です。ですから、それは国の方策でスタートしたのであれば、低レベルのところも、民間事業者にお願いするばかりじゃなくて、やはり国がきちっと責任を持ってやらないと。

 なぜそういうことを言うかと申すれば、私が住んでいる三郷市というところに下水処理場と浄水場があるんです。三・一一のときに高レベルの放射線が降り注いだがために、下水処理場の汚泥焼却灰が、レベルが高過ぎちゃって、どこにも移動できない状態になっているんです。環境省に尋ねても、それは埼玉で処分してくれ、こういう言い方をするわけです。埼玉が悪いことをしたわけじゃないんですよね。

 人災だ天災だ、いろいろ考え方はあったとしても、原子力政策というのは誰が最初に言い出してやり出したのかということが、一番やはり大事になるんだと思うんです。だから、国が最初にスタートしたんだということであれば、やはり、いろいろなところの責任も含めて、高レベルのものばかりじゃなくて低レベルのものも国が責任を持って取り組んでもらいたいというふうに思っているんですけれども、大臣にもう一度御答弁いただければと思います。

宮沢国務大臣 商業炉以前の話は私もつまびらかに存じ上げておりませんけれども、商業炉につきましては、先ほど申し上げましたように、事業者が処分に取り組むということでありますけれども、その処分の仕方につきましては、規制委員会の方でレベルごとに処分の仕方を決めていく。その方針に、そういう方針といいますか水準といいますか、規制委員会が決めた処分の仕方に基づいて各事業者がそれを実行していくということで対処させていただいております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 では、質問をかえさせていただきたいと思います。

 中堅・中小企業施策についてのうち、大臣が所信で述べられました、「我が国の」云々で、「新たな研究開発や新分野への挑戦を促すために、これまでの成功例や失敗例を分析し、成長戦略の見える化を図るなど、支援の充実を図ってまいります。」と述べられたんですね。

 それで、時間がないので、このことを私が質問に立つ立たない以前に経産省の方にお尋ねしたら、まだ、正直、失敗例も成功例も取りまとめていなくて、では見える化がどこまでできているのかと言われると、今まだ検討し始めているところなんだと。こういう答弁をされちゃうと、なぜそれを大臣が所信で述べられるのかなというふうに思うんです。

 成長戦略の見える化、現時点で結構でございますので、大臣の所見をお尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 私は、成長戦略というのは、かつての薄利多売型から少量生産、高付加価値型に変えていくということだろうと思っていまして、まさにこれは、少量生産ということになれば、中小企業に相当大きな役割を担っていただかなければいけないと思っていますが、残念なことに、中小企業、中堅企業の側からしますと、まだ人ごとであって、自分のこととなかなか思っていただけない。そういう中で、ともかく見える化をしていこうということでございます。

 おっしゃったように、今、失敗例も含めていろいろなケースをお示しし、そして、例えば、研究開発が自分のところでできない方が多いわけですから、そういう方たちと研究開発機関をつなぐとか、また、まさに高付加価値でありますから、これから伸びるアジアの富裕層というものがかなりターゲットになりますから、中国十五億を相手にするのではなくて、上海のお金持ちたちはこんなものを欲しがっているよとか、大連のお金持ちたちはこうだよ、ハノイのお金持ちはこうだよと、こういう情報も、農産品も含めてしっかりと我々が把握して、ああ、そういうものだったら自分たちもできる、こういうようなことをまず思っていただいて、行動に移していただく。こういうことが大事だと思っておりまして、作業を昨年の秋以降進めてまいりまして、私のところでも、関係者に集まっていただいて、もう三回ほど実は関係課長たちと私とで議論をしております。

 したがって、恐らくこれは、一回つくってそれで終わるというものじゃなくて、それを常にリバイズしていくという作業になると思いますけれども、夏前には、六月ぐらいには、いわゆる成長戦略の改定等々といったようなことが行われると思いますけれども、その辺までにはしっかりと中小企業、中堅企業の方にお示しをしていきたいと思っております。

鈴木(義)委員 例えば、予算の分科会で私は農林水産大臣にお尋ねしたんですけれども、輸出がたしか六千億ぐらい昨年度あって、それを一兆円にしようということなんですけれども、最終的に、農林水産省が掲げるのは、一兆円のうち、日本国内でつくった農産物をどれだけ使っているかということをお尋ねしたんですね。そうしたら、約七〇%を超えるぐらい国産の原材料を使っていると言うんですけれども、その根拠が余り明確じゃなかったんですね。それも、統計のとり方によって、平成十七年、十年前の資料が七三%ぐらいだったんです。

 ですから、見える化をするときに、数字の出し方を、ただ貿易の収支だとか、使った使わないだけじゃなくて、やはり、もう少し内容のある、なるべく分野を絞ってといったらおかしいんですけれども、わかりやすいデータのとり方をして示していただいた方がいいのかなというふうに思いますので、ぜひそこのところはお願いして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私も、落合委員と同じく、昨年末の総選挙で初当選させていただきました。先日、予算委員会で質問させていただきましたけれども、当委員会ではきょうが初質問となります。先輩方には、どうぞよろしくお願いいたします。また、大臣には、ぜひ真摯な御答弁をいただきたいと思います。

 大臣は、先日の所信表明で、原発について、長期的には依存度を低減させていくと表明をされました。私は、この問題についてお聞きしたいと思うんです。

 私は北陸信越ブロックの選出でありまして、福井県の若狭湾の原発、新潟県、そして石川県と、多くの原発があります。とりわけ、新潟の柏崎刈羽には七基、福井県の若狭には十五基ということで、多くの原発が集中しているというのが特徴でございます。

 私たちは、安全性が担保されようもない原発については即時ゼロという立場ですけれども、現場を回っておりますと、再稼働賛成だよという方でも、この小さな狭い地域に原発という危険な施設がこれだけ集中している、このことについては、本当に多くの方が悩んでいらっしゃいますし、責任ある考えが聞きたいという声に接してまいりました。

 例えば、配付資料でもお配りさせていただいているんですが、東京電力の柏崎刈羽原発が立地しております新潟県の柏崎市は、福島の原発事故を受けて、原子力規制委員会に対して、二〇一三年、一四年と二回にわたって要望書を提出しております。

 これをちょっと読ませていただきますと、二〇一三年五月のものでいいますと、柏崎刈羽原子力発電所は七つの号機が立地しています、原子力規制委員会として、福島第一原子力発電所の事故の検証の中で、複数基の集中立地については事故対応上の大きな課題として取り上げられていましたが、この集中立地に対する考え方を明確に説明してください、こういうものであります。

 そこで、規制委員会にお聞きします。この柏崎市の要望に対して、どのように回答されたんでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 柏崎市からの二〇一三年五月十日付の要望書につきましては、同年七月十日に文書で回答しまして、また、七月二十五日には、市長に対しましてその内容を説明させていただいております。その内容としましては、新規制基準においては、一つのサイトに複数の号機がある場合には、全ての号機で同時にシビアアクシデントが発生した場合にも対応できるような対策を求めているというような内容でございます。

 また、二〇一四年八月七日にも要望書がございましたけれども、その際には、柏崎刈羽原子力発電所設置変更許可申請を受けて、同発電所の安全確保に当たっての課題について説明を……(藤野委員「そっちはいいです」と呼ぶ)それはよろしいですか。

藤野委員 今答弁なさらなかった部分でもう一度確認したいんですけれども、二〇一三年七月十日のお答えの中で、今おっしゃった部分の後になお書きがあると思うんですが、そのなお書きのところは何と書いてありますか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの要望書の文書で御回答したものの中には、なお書きといたしまして、なお、原子力発電所の集中立地を行うかどうかについては、原子力規制委員会が申し上げることではなく、事業者の判断によるものと考えていますというふうに記載しています。

藤野委員 ありがとうございます。

 念のため確認しますけれども、原子力発電所の集中立地を行うかどうかについては、原子力規制委員会が申し上げることではなく、事業者の判断によるもの、こういう回答であります。

 そこで、委員長にお聞きしたいんですが、田中委員長は、二月二十五日の予算委員会で私の質問に対して、集中立地については、そう簡単に結論が出る話ではないんですと答弁をされました。私もそのとおりだというふうに聞いて思っておりました。確かに、集中立地というのをどう考えるのか、どう対応していくのか、大変重いテーマであると思います。

 ところが、今、規制委員会の柏崎市に対する回答、御答弁いただきましたけれども、集中立地については、規制委員会が申し上げることではなく、事業者の判断ということなんです。

 田中委員長、そう簡単に結論が出る話ではないとおっしゃっている話が、そういう大事な集中立地の問題を事業者の判断に委ねていいんでしょうか、御答弁ください。

田中政府特別補佐人 御指摘の集中立地の問題ですけれども、実際には、今そこに原子炉が存在しております。それで、これについて私どもが、これをやめなさいとか動かしなさいとかと言う立場ではありません。まず、事業者からの申請に基づいて、きちっと審査をしていく。その過程で、今先生が御心配のように、いわゆる重大事故、シビアアクシデントが起きたときに、それが大きな環境汚染とかそういったものにつながらないようにするということで、審査基準もつくりましたし、そういう意味で事業者にもその対策を求めております。

 ですから、まとめて言いますと、幾つ以上が複数なのかという問題もありますし、ここの原子力プラントできちっとそういった対策がとれるというところの対策、ハード的だけじゃなくて、人も、いろいろな技術も含めて、そういうことを求めているという意味でございます。

藤野委員 今、私の質問というのは、委員長自身が、そう簡単に結論が出る問題じゃないんだ、大変な問題なんだという御認識だと思うんですが、それを事業者の判断に委ねる、これはおかしいんじゃないかという質問なんです。ですから、今の答弁ではお答えになっていないと言わざるを得ないというふうに思うんです。

 そして、今度は大臣にお聞きしたいんですけれども、要するに、事業者の判断に委ねるというようなことをやっていくと、どうなるのか。では、その事業者は今一体何を言っているのかということなんです。

 今、経済産業省では、将来の電源構成比率についての議論をなさっていると思います。私も読ませていただいているわけですが、電源構成比率の議論につきまして、三月十六日に、関西電力の会長で、かつ関西経済連合会の会長でもある森詳介会長が、記者会見でこう発言されています。原発比率のことですけれども、二〇%などに決めて、新安全基準に適合したプラントを再稼働させないのはおかしな話だ、審査を加速し、適合するプラントは再稼働させるべきだ、こういう発言でございます。

 つまり、今経産省でやられている将来の電源構成比率の議論はおかしな話だ、比率なんか気にせず審査をどんどん通してどんどん再稼働しろ、こういう主張だというふうに報道もされております。

 これは経産省で行われている議論についてのコメントですので大臣にお聞きしますが、この発言、どのように思われますか。

宮沢国務大臣 まず、原発依存度につきましては、可能な限り低減させるということが政府の方針であります。

 そして、お尋ねのエネルギーミックスにつきましては、一月の末から審議会において、現在、具体的な検討を進めていただいております。

 いわゆる発電価格といったものにつきましても、そこのもとで検討していただいておりまして、各エネルギーの特性とかバランスに十分に配慮しながら検討をしていただいておりまして、現時点で私どもから何%というようなことを言ったこともございませんし、そういう立場でもございません。

藤野委員 別に、私は今パーセンテージを聞いたわけではなくて、そういう構成の議論そのものがおかしな話だというコメントなんです。しかも、一個人の話ではなくて、関西電力のトップですから、東電が事実上国有化されているもとで、日本最大の民間原発事業者であります。そのトップが、今経産省がやっている議論はおかしな話だと。これはやはり本当に、所管大臣としてしっかりした御見識を示していただきたいと思うんです。

 それも後でお聞きしますけれども、そのもとで、先ほど来お話もありますけれども、廃炉がこの間発表されております。幾つかされているわけですけれども、五つの原子炉の廃炉がされたと同時に再稼働の申請もされている。さらには、建設中の原発もあるということなわけです。

 廃炉される五つの原子炉、私も出力をちょっと調べてみましたら、五つ足しますと二百二十一万六千キロワットなんですが、今つくられている島根の三号機あるいは大間原発、この二つだけで、合わせますと二百七十五万六千キロワット。これに、私の地元にあります、北陸信越ブロックにあります敦賀の三号、四号なんかを合わせますと五百万キロワット近くなるということで、廃炉、廃炉とマスコミは廃炉の時代のように言っているわけですが、一方で、進んでいるのはリプレースなわけであります。逆に言うと、そちらの方が新しくて、出力も大きくて、でかくなってしまうということで、これでいいのかという話になると思うんです。

 私が言いたいのは、廃炉を決めたのも、そしてリプレースあるいは再稼働申請を決めるのも全て事業者の判断であります。先ほどから事業者の判断ということを言われるわけですけれども、それでいいのかというふうに思うわけですが、大臣の御見解をお聞きします。

宮沢国務大臣 今、島根また大間というお話をされましたけれども、島根の三号機、それから大間、さらに東通につきましては、これは民主党政権時代から既に設置許可がおりておりましたので、既設扱いということで対処させていただいてきております。

 また、さらに申し上げれば、リプレースではなくて新設でございます。

藤野委員 私はカテゴリー的にはどこでもいいと思っているんですけれども、要は、おっしゃったように、東通を含めますと、さらに大きくなってくるわけです。

 私の質問の趣旨というのは、事業者の判断、事業者の場合、判断の基本に何が据わるか。住民の安全が据わるのか、損得勘定が据わるのか、この問題だと思うんです。

 今回の廃炉が決まったのも、要は、補強して耐震基準を通るのには時間もかかるしお金もかかる、そういうそろばん勘定が先に立っての決断だというふうに事業者の方も認めていらっしゃいますし、そのようにも報道されている。ですから、事業者の判断ということになってくると、要は、安全というものが退いていくんじゃないのか。あるいは、今経産省で議論されている電源構成比率というのもどうなっていくのかというふうになるわけです。

 出力の面からいえば、率直に言って、今、目の前で起きている、計画も出されているものだけで見ても、はっきり言って、出力的には大きくなると思うんです。こういうのを焼け太りと言うんじゃないでしょうか。

 私たちは、今、事業者の判断に任せていたら、こうした大事な議論が、住民の安全とか構成比率といった問題が脇に置かれてしまうのではないか、こういう質問なんです。もう一度御答弁ください。

宮沢国務大臣 まず、再稼働につきましては、また、先ほどありました島根とか大間の新しい炉を実際に稼働させるに当たりましては、まさに規制委員会におきまして新しい規制基準のもとで適合性を審査していただいて、先ほどおっしゃった安全性等々の確認をしていただく、そして、適合していると認められた場合には再稼働する、また新規に動く、こういうことでありまして、事業者の判断ではなくて規制委員会の審査ということだろうと思っております。

藤野委員 規制委員会というお話なんですけれども、私、予算委員会でも伺ったんですが、要は、先ほど、冒頭確認させていただいたんですけれども、なお書きのところで、集中立地についてどう考えるんだという柏崎の質問に対して、原子力規制委員会は、それは原子力規制委員会ではなく事業者の判断によるものだという回答なんです。

 ですから、新規立地だとか集中立地だとか、あるいは再稼働だとか廃炉だとか、大事なところで事業者の判断ということになると、それでは、先ほど言ったように、安全というものが後景に退くんじゃないか、こういう質問なんです。

 もう一度、済みませんが、お願いいたします。

宮沢国務大臣 予算委員会のやりとりをあのとき聞いていて、うろ覚えでございますけれども、たしか、委員長は既設と新設で少し分けた答弁をされていたような気がいたします。

 この件について、私どもといたしましては、まさに規制委員会が新規制基準で判断するものと考えておりますが、複数原子炉で同時に重大事故が発生した場合でも、それぞれの炉で独立して事故対応に当たれるよう、十分な数の要員や必要な資機材を原子炉ごとに整備することを事業者に対して要求し、そのもとで審査、確認されているものと考えております。

藤野委員 確かに予算委員会のときは、田中委員長は既設と新設を分けて御答弁をいただきました。

 ただ、住民の安全という観点からは、原発が動き出すという観点からは、新設の場合も、既設の再稼働の場合も同じではないかというふうに私も質問いたしました。

 さらに言えば、例えば、集中立地というのが幾つまでなのか。そういう総合的な判断が下されたとすれば、例えば、柏崎刈羽なんて七つもあるわけです。それを、上限を超えているといった場合に、その七つのうちのどれを再稼働するかじゃなくて、どれを廃炉にするかというのが審査の優先順位で上に上がってくるんじゃないか、こういうことを私も質問させていただきました。

 ですから、集中立地とは何なのか、住民が許容できるリスクというのはどこまでなのかというのを先に議論すべきだ、そうしなければ再稼働なんて議論できるはずがないというふうに思うわけです。

 そういう意味では、規制委員会に任すと今大臣はおっしゃいましたけれども、それはあくまで規制委員会がやっている仕事の中では私はいいと思うんですが、規制委員会がやれないと言っていることだとか、規制委員会がそれは事業者の判断だと言っていることについては、政治が、やはり重いテーマなわけですから、しっかり責任を果たすべきだ、これが私の質問の趣旨であります。この点では、経済産業省だけではなくて政府全体として、この問題はまさに知恵と力を尽くして取り組んでいくべき問題だというふうに思います。

 最後になりますが、北陸信越ブロックには、原子炉でいえば日本の原発の約半分が集中しております。廃炉も今回幾つか決定をされましたが、まさにこういうブロックだからこそ、原発からの転換についても全国に先駆けて進めていきたい、その道を切り開いていきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

江田委員長 次に、真島省三君。

真島委員 九州沖縄ブロック選出、日本共産党の真島省三でございます。

 本日、結びの一番でございます。よろしくお願いいたします。

 二月二十四日に東京電力が公表しました福島第一原発K排水路の問題について、これが本当に国が前に出た結果なのかということについて質問いたしたいと思います。

 この間の汚染水問題の経過をまとめた資料を配らせていただいておりますので、これをごらんになりながら、よろしくお願いします。

 港湾外の外洋に面するK排水路の排水口から、放射能汚染水が事故の後四年間ずっと海に排出されていた。とりわけ重大なことは、この事実を知りながら東京電力が一年近くにわたって情報を隠し続け、原子力規制委員会が何の対策もとってこなかったことだと思います。

 この姿勢は福島の皆さんの大きな怒りを買って、二月二十六日には福島県議会が全会一致で断固抗議する決議を採択しております。そして、この間、試験操業が三魚種から五十七魚種に拡大するなど順調に来ていただけに、漁業関係者の皆さんから、裏切られたと怒りの声が上がっているのは当然のことだと思います。

 大臣にお聞きします。

 東京電力は、K排水路の排出口が港湾外だと知っていながら一年間もデータを公表していなかった理由をどのように説明しておりますか。

高木副大臣 大臣と私と、同じような形で情報を共有しておりますので、私の方から申し上げたいと思います。

 まず、K排水路の放射性物質濃度については、東京電力から昨年の二月、廃炉・汚染水対策の現地調整会議、これは副大臣が議長を務めておりますけれども、私の前任の赤羽副大臣が当時は議長を務めておりました、その会議におきまして説明され、資料が公表されました。その後、東電は、原子力規制委員会から示された目標達成に向け、排水路の清掃などを進めてまいりました。この間、東電が測定したデータは公表されず、原子力規制庁に対しても経産省に対しても報告がありませんでした。

 測定したデータをなぜ東京電力が公表することがなかったのかについては、率直なところ、よくわからないというのが現状でございます。ただ、今御指摘ありましたように、漁業者の皆様方は、海洋に汚染水が出ている出ていない、またはそういったうわさも含めまして、大変気を使っておられます。

 そういう点から申し上げますと、私どもも、漁協の皆様方とも何度もお会いをさせていただいておりますけれども、やはりそういう漁業者の方だけではなく、被災者の皆様方、または福島県民、もっと言えば国民の皆様方に対してこういう不信感を抱かれないような形で情報公開というものをしっかりするべきだ、このように考えております。

真島委員 よくわからないとおっしゃいましたけれども、国として、やはりそれで済ませちゃいけないと思うんです。

 東京電力は、二〇一三年の五月から地下水バイパス計画について地元漁協と協議を続けております。そこで浄化処理した地下水は放出しても大丈夫ですと説明しているんですね。その一方で、黙って外洋に汚染水を流し続けていたんですよ。これ以上海を放射能で汚さないでほしいという漁業関係者の思いに寄り添っていないじゃないですか。

 二〇一三年の夏に、タンクからの汚染水漏れが大きな問題になりました。同年の九月三十日に、当委員会の汚染水問題に関する閉会中審査で、東電の相沢副社長は、「今後は、迅速でかつ率直なデータの開示ということ、それについて我々として、十分な解析が必ずしも行われていなくてもデータとして御報告する、公表してまいるということを第一の原則といたしまして、対応してまいりたいというふうに思います。」と答弁されております。

 国会答弁というのは国民に対する約束ですよ。今なお東電は、データの公表を第一の原則として対応していない。

 大臣、政府はなぜ一年間もこの情報隠しを見逃してきたんですか。

宮沢国務大臣 情報隠しを見逃してきたわけではなくて、私どもに東電の方から、K排水路、これは濃度が高いということは二月の資料で出ていたわけでありますけれども、これについて、いろいろやってみるんだけれどもなかなか濃度が下がらないという報告があって、私どもの方からその時点でしっかり全部総チェックをしろという指示をして、二月二十四日に至ったという経緯であります。

真島委員 福島第一原発では、事故の直後からずっと汚染水の処理が問題になってまいりました。特に、先ほども言ったように、二〇一三年の八月、タンクからの高濃度汚染水の漏れ、これは国際原子力事象評価尺度レベル3相当の重大な事故。

 その場しのぎの対策に終始する東電に当事者能力がないということが誰の目にも明らかになって、東電に事故対策の主体を任せていいのかということが問われる中で、政府が策定した汚染水問題に関する基本方針を二〇一三年九月三日に発表しました。その中で、「基本的考え方」として何を書いてありますか。

糟谷政府参考人 平成二十五年九月三日に原災本部で決定しました基本方針の「基本的考え方」でございますが、読み上げさせていただきます。

 福島第一原子力発電所における事故以降、流入する地下水によって毎日増加する汚染水への対応を継続してきたが、未だ解決には至っておらず、福島県の皆様や、広く国民の皆様に不安を与えている状況にある。一日も早い福島の復興・再生を果たすためには、深刻化する汚染水問題を根本的に解決することが急務であることから、今後は、東京電力任せにするのではなく、国が前面に出て、必要な対策を実行していく。その際、従来のような逐次的な事後対応ではなく、想定されるリスクを広く洗い出し、予防的かつ重層的に、抜本的な対策を講じる。また、徹底した点検を行うことなどにより、新たに発生する事象を見逃さず、それらの影響を最小限に抑えるよう適切な対応を行う。

以上でございます。

真島委員 その基本方針を出された後、タンクからの汚染水が流れ込むB、C排水路の対策が急がれるということで、暗渠化、港湾内へのつけかえが行われました。同年の十一月ごろから、A、Kそして物揚げ場というほかの排水路についても水質調査が行われています。

 そして、昨年の一月二十四日、第十回汚染水対策検討ワーキンググループで、K排水路など港湾外に出口のある排水路のつけかえについて、東電が検討している中身を次回なりに報告するということが確認されています。

 規制委員会は、東電が今回の問題を公表した二月二十四日までの間にK排水路のつけかえの検討結果の報告を求めていなかったんですか。これはイエスかノーだけで結構です。

田中政府特別補佐人 イエスかノーかということでありますけれども、昨年一月二十四日に、汚染水対策検討ワーキンググループで、東京電力より、全体の排水路計画についての切りかえができるかどうかも含めて検討を進めているという報告を受けております。その際、当方から、その結果については次回なりに報告を行うことという要請をしております。それで、わかりましたという発言がありましたけれども、その後、排水路の除染とか、そういうことをやっているということは報告がありましたけれども、高い濃度の雨水が流れているというような報告はありませんでした。

 それで、ことしになりましてK排水路の問題が出てまいりました。

 K排水路の取り扱いについては、検討会において、K排水路だけではありませんけれども、継続的にずっと議論を何度もやってきておりまして、その対策の進捗状況についても適宜報告を求めてきたところでありますけれども、先ほど高木副大臣からもありましたように、実際に濃度の測定結果とかということについてもこちらから要望していたんですが、その報告がなかったということで今回の事態を招いたというふうに認識しております。

 これは今後、やはり我々としては、実施計画の中できちっとその対策を求めていくということにしております。

真島委員 だから、規制委員会の方でつけかえについての検討結果を次回なりに示してくれと確認しておきながら、言った側も報告させていないんですよね。その後のいろいろな会議とかの資料も見ましたけれども、つけかえについての具体的なやりとりは一切見つかりませんでした。

 田中委員長は、三月三日の予算委員会の答弁で、K排水路の湾内へのつけかえについて、東電から規制委員会に対して、排水を高いところに持っていくような操作が要りますので難しいという回答が議論の中であったとおっしゃっていますけれども、これはいつの何の会議の場であったんでしょうか。

田中政府特別補佐人 本年に入りまして、二月二十七日に原子力規制庁が東京電力と面談を行って、その中で東京電力から、切りかえを行うためには大体四・数メートルの高さまでルートを変更しなきゃいけないということで、直ちに対策は非常に難しいというお話があったと聞いております。とりあえずは、できるだけ汚染が少なくなるようにと清掃の方を優先させたいという報告がありました。

真島委員 今、二月二十七日に話があったというんですね。これは大問題ですよ。二つ問題があると思うんです。

 一つは、昨年の一月二十四日に、東電が規制委員会にK排水路のつけかえの検討結果を次回なりに報告すると約束をして、十三カ月もたってK排水路からの汚染水の外洋流出が明らかになった直後に、まずこの問題を言ったわけですね。しかも、公開されている今おっしゃった面談記録の中には、そのことは一切書かれておりません。

 そしてもう一つ、東電は、二月二十六日の経産副大臣の指示を受けて、まず港湾内に移送するポンプの設置を行う、その後、排水路も港湾内につけかえをしていくということを表明しています。その一方で、そう言いながら、二十七日に、つけかえは非常に難しいということを言ったというのは、非常に矛盾していますよね。

 大体、政府は、汚染水対策について、二〇一三年の九月に、汚染源を取り除く、汚染源に水を近づけない、汚染水を漏らさないという三原則を掲げておりますけれども、K排水路から外洋に汚染水を漏らさない対策を一年以上講じさせなかったということは、二〇一三年の九月に国が前面に出て洗い出したリスクの中にK排水路というのは含まれていなかったんですか。

高木副大臣 まず、第一原発内の排水路の問題でございますが、先ほど委員も御指摘がありましたように、B、C排水路、これについては速やかに手を打ってまいりました。

 というのも、そもそも二年前に山側から一日四百トンの地下水が流れ込んでいる、それが溶け出した燃料デブリに触れて、それが外洋に出るということで、この問題を何とかしなければいけないということで汚染水対策はスタートいたしました。それによりまして、建屋に集中する地下水の対策ということでこの汚染水対策が進んできたことは事実でございます。そういった観点からいうと、B、C排水路のつけかえという形で、港湾内にこれが流れ込む。

 一方、A、Kの排水路につきましては、これは直接的に燃料デブリに触れてそして汚染された水が流れ込む、こういう形ではございませんでしたので、その経過等々を調査してまいりました。その点、昨年の一月の段階でこの数値が少し高かったということもありましたので、東電は、それを清掃していくということで取り組んでまいりました。

 一方で、清掃をしながらも、雨が多く降ったときの数値が高くなっているという現象があった、それはどこからなんだろうかということで、さらにその汚染源たるところを探しておりましたけれども、そういう中で、ことしの二月の段階で、二号機のところの屋根のところから、これが汚染源であるな、こういうのがわかったということで公表した経緯がございました。

 しかしながら、このK排水路ですけれども、私も、今週の月曜日、その排水路の中に入ってまいりました。中は、いわゆる下水管と同じような形でありまして、ちょうど人間の高さ、身長ぐらいの直径で、それが五百メートルにわたって続いております。そこに山側から雨水が流れ込んでくる、これの場合には汚染源に触れるという形はありませんが、ただし、反対側からは逆に、爆発のときに飛び散った汚染物質に触れて雨水が流れ込む可能性がある。

 そういうような段階の中にあって、このつけかえの問題でございますが、つけかえ自体は、先ほど言った下水管と同じような大きさのものをそのままつけかえるという作業、しかも水位が違いますので、そう簡単な工事ではない、こういう判断の中でまず清掃を中心にやってきたと思われます。

 しかしながら、今回、このような事象に至ったことによりまして、私もすぐに東電に対して、まず、さまざまなリスク、地下水で、汚染源に触れるだけではなくて、爆発のときに飛び散った放射性物質に雨水が触れた場合に、ではどこに流れ込むかも含めまして、あらゆるリスクを総点検しよう、こういう指示を改めて出しまして、これについては、東電だけがやるのではなくて、国がしっかりとその点検も一緒にやっていこうということで、今前面に乗り出してやらせていただき、それを公表し、対策を組んでまいりたいと考えております。

真島委員 今副大臣が言われた二十五日に出された指示というのは、二〇一三年九月の政府の基本方針、先ほど紹介されたものを、今言われたとおり、文字どおり、改めておっしゃったということなんですね。ところが、その間に、去年の一月の時点で測定して、濃度が高い、雨が降ったらもっと濃度が高いということがわかっているのに、なぜそれをリスクとして認識して、漏らさないという手だてを直ちにとらなかったのかということなんですよ。

 このK排水路は原子炉建屋の近くを通っております。地図を見ただけでも、誰が見ても高濃度の汚染水や汚染土壌が流れ込むんじゃないかと思いますよ。汚染水を漏らさないという原則に立ったならば、排水口が外洋に面しているわけですから、国も東電も、ポンプでくみ上げるとかつけかえをするとか、少なくとも汚染水を港湾内に導く対策を講じるべきだったと思うんですね。

 しかし、東電は、昨年の一月二十四日に規制委員会からつけかえの検討を指示されたのに、それさえしてきませんでした。

 三月四日の特定原子力施設監視・評価検討委員会で、東電原子力・立地本部の姉川本部長が、K排水路の水量の八割から九割程度を港湾内に導けるものなら一カ月ぐらいでできるという計画を持っていたので、あの時点で早い行動をとるべきだったと思っていると発言をされています。

 規制委員長、東電の姉川本部長がおっしゃった、昨年の春の時点で持っていた一カ月くらいでできる対策、この内容について簡潔に御紹介ください。

田中政府特別補佐人 これは、先日の監視検討委員会で、東京電力の方から、いわゆる排水路のつけかえには一年程度かかるけれども、ポンプアップをして湾内の方に持っていくことができるということで、それなら一カ月ぐらいでできそうだということで、まずそれをやるようにということを申し上げてあります。

 それから、もう一つ申し上げますと、先ほど高木副大臣からもありましたように、汚染水問題というのは非常に多岐にわたっておりまして、この一年間、最大の課題は、いわゆる海側にあるトレンチにたまった水をどうするかということ。これは、今回のK排水路、決して流していいということではありませんけれども、六桁から七桁ぐらい高かったんですね。これを何とか早く切り離して処理しなければいけないということ。

 それから、B、C排水路については、H4タンクの水漏れがありまして、そういったところが漏れた場合にはそちらに流れるので、そこの対策をするとか、そういったことをやってきておりますので、ぜひその辺も、今の福島第一の状況というのを御理解いただければ幸いだと思います。

真島委員 事故処理に優先順位があるというのは理解します。ただ、政府の二〇一三年九月の基本方針は、「リスクを広く洗い出し、予防的かつ重層的に、抜本的な対策を講じる。」というふうに言っているんですね。だから、K排水路を、今ごろになってこんなにばたばたするんだったら、なぜそのときしていなかったのか。できるような体制をなぜとらなかったのかということも含めて、ぜひ検証していただきたいと思います。

 一年前に東電の社内でK排水路のつけかえを検討していたのは、もう隠しようのない事実ですね。先ほどの姉川さんが三月四日におっしゃったのは、K排水路の水を港湾内に導く一カ月くらいでできる計画を、あの時点、つまり一年前につけかえの検討を指示された時点で持っていたので、これを暫定的にでもやれなかった、とれなかったということは私たちの組織の問題点だといって、その場で謝罪をされているんですね。

 そして、政府がそのことを一年前に知っていたことも事実ですよね。昨年の一月二十四日のワーキンググループで東電の原子力・立地本部の都築さんが、B、C排水路のつけかえにあわせて、出口が港湾の外になっている残りの排水路もつけかえができるかどうかについても今検討を進めているところですとはっきりおっしゃっています。

 東京電力は、K排水路について、二月二十四日に問題が明らかになって、ようやく港湾内に移送するためのポンプの設置などを始めておりますけれども、なぜ、一年前に暫定的にでもこうした対策を実行させられなかったんでしょうか。

高木副大臣 先ほどから申し上げておりますけれども、まず、汚染水対策、いわゆるリスクの優先順位だと思われますけれども、そういった中で、リスクはいろいろある中で、例えば、燃料本体、このデブリ、溶けたものをどうするか。しかし、これは格納容器の中に入っているということで、最終的に取り出すという形で今検討を進めています。

 もう一つは、使用済み燃料のプール、これは水に浸されているだけでございますので、しっかりと取り出さないと危険度が高いということで、四号機は昨年の十二月に約千五百本の取り出しをさせていただき、一、二、三号機については、瓦れきの撤去をしながら、それを終えた後に取り出すという計画です。

 一方、汚染水の問題ですが、一番のリスクは海洋に出ることである。その中で最も大変なのが、燃料に直接触れる、そういった部分での地下水で、いわゆる建屋内、建屋に触れるということが一番問題であるということで認識をしてやってまいりました。ですから、委員が御指摘をされている、汚染水対策がスタートした、この方針については、まさに重層的に、その建屋内に流れ込んでくる、先ほど規制委員長もお話しになられました、特にトレンチの問題は喫緊の課題ということで今重点としております。

 そういうような中にありまして、それぞれが一つ一つリスクが減っていく中で、雨水という自然の現象の中でできてくるものでございます。ただ、先ほどから御指摘のありましたように、では、なぜつけかえを行わなかったのかということでございますが、それは、東電の方がいわゆる清掃という段階でやってきた、それを経過を見てきたという経緯もございます。

 ただ、先ほどから申し上げているように、やはり、漁業者の方々、被災者の方々、そういう方々から見れば、少しでも、汚染されている、またはベクレルという数字が出るような、その水が海洋に流れるということに対しての不安感、これは大変な問題であると思いますので、ここはやはり十分な情報公開、そしてポンプのくみ上げ、さらにはそれに続くつけかえということで指示をしながら、今後も全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。

真島委員 もう時間が来ましたので、もう一問あったんですけれども、それはまた今後してまいります。

 先ほどから申し上げていますように、政府が、国が前に出ると言って、一年前の時点で、K排水路などの問題は、東電も、国も、すぐに、漏らさない対策としてできるということはわかっていたわけですよ。今まさにそれをやろうとしているわけでしょう。誰が見ても、では、この一年間何をしてきたんだ、なぜ後回しにしたんだと、なかなかそこが釈然としませんよ。

 だから、そういう意味で、二〇一三年の九月に基本方針を出して、その後に起きた問題ですから、もっとしっかりこの問題、政府としても、みずからの姿勢、東電の問題も含めてしっかり検証して今後の対策に臨んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。宮沢経済産業大臣。

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 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

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宮沢国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日より、八度の延長措置を経て、平成二十五年四月十三日までの間、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による二度目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日より、三度の延長措置を経て、平成二十五年四月十三日までの間、北朝鮮への輸出の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。

 しかし、北朝鮮は、国際社会の強い反対にもかかわらず、平成二十四年四月十三日及び十二月十二日にはミサイルを発射し、平成二十五年二月十二日には三度目の核実験を強行し、その後も緊張を高める言動を繰り返しております。

 また、拉致問題に関する具体的な進展は一切見られないなど、北朝鮮をめぐる情勢を総合的に勘案し、北朝鮮がこれ以上の挑発行為を控え、諸懸案の解決に向けた前向きで具体的な行動をとるよう強く求めるため、平成二十五年四月五日の閣議において、従来の一年間の措置にかえて、同年四月十四日から平成二十七年四月十三日までの二年間、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することとしました。

 これらの措置のうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十五年四月五日の閣議決定に基づき、同年四月十四日より平成二十七年四月十三日までの間、北朝鮮への全ての貨物の輸出及び北朝鮮からの全ての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたこと、及び北朝鮮と第三国との間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借または贈与に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十五日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十八分散会


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