衆議院

メインへスキップ



第4号 平成27年3月25日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十七年三月二十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 三原 朝彦君 理事 八木 哲也君

   理事 中根 康浩君 理事 鈴木 義弘君

   理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      小田原 潔君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    古賀  篤君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      白石  徹君    関  芳弘君

      武村 展英君    冨樫 博之君

      野中  厚君    福田 達夫君

      細田 健一君    務台 俊介君

      若宮 健嗣君    神山 洋介君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    渡辺  周君

      落合 貴之君    木下 智彦君

      國重  徹君    藤野 保史君

      真島 省三君    野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   外務大臣政務官      宇都 隆史君

   財務大臣政務官      大家 敏志君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  片山 一夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 杵渕 正巳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 吉利君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省欧州局長)    林   肇君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 可部 哲生君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          宗像 直子君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     坂口 利彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           松原  裕君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     古賀  篤君

  神山 佐市君     小田原 潔君

  宮崎 政久君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     神山 佐市君

  古賀  篤君     石川 昭政君

  務台 俊介君     宮崎 政久君

    ―――――――――――――

三月二十四日

 原発からの撤退を決断しエネルギー政策の転換に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六三九号)

 同(池内さおり君紹介)(第六四〇号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第六四一号)

 同(大平喜信君紹介)(第六四二号)

 同(笠井亮君紹介)(第六四三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六四四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第六四五号)

 同(志位和夫君紹介)(第六四六号)

 同(清水忠史君紹介)(第六四七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六四八号)

 同(島津幸広君紹介)(第六四九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六五一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第六五二号)

 同(畠山和也君紹介)(第六五三号)

 同(藤野保史君紹介)(第六五四号)

 同(堀内照文君紹介)(第六五五号)

 同(真島省三君紹介)(第六五六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六五七号)

 同(宮本徹君紹介)(第六五八号)

 同(本村伸子君紹介)(第六五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官片山一夫君、法務省大臣官房審議官杵渕正巳君、外務省大臣官房審議官山上信吾君、外務省大臣官房審議官中村吉利君、外務省大臣官房参事官滝崎成樹君、外務省欧州局長林肇君、財務省大臣官房審議官可部哲生君、経済産業省貿易経済協力局長宗像直子君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長坂口利彦君及び国土交通省大臣官房審議官松原裕君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。民主党の渡辺でございます。

 限られた時間ですので、ぜひ簡潔にお答えをいただければと思います。今回の承認を求められている輸出入禁止の延長は当然のことでありまして、しかし、実効性の上でぜひ伺いたいわけです。

 もう既に御承知のとおり、二〇一〇年以降、財務省の貿易統計で明らかになっているとおり、我が国と北朝鮮の輸出輸入はともにゼロでございます。そもそも、北朝鮮との輸出輸入というのは、他国との貿易額に比べれば大変少ないものでございます。

 当然、御存じのとおり、北朝鮮は中国に依存をしている部分が大変大きい。これは、貿易量の八割以上はもう中国でありまして、いろいろな物資が中国からどんどん入ってくる。当然、西側のものも含めて、我が国の例えば菓子であるとか我が国製品のものも、行った人間は、外貨ショップに行くと、なぜこんなものが既にあるのかと、製造年月日を見たらつい最近の話。もう瞬時にして入ってきているということで、実際、実効性はどうなのかということについては、これはかねてから言われているところでございまして、北朝鮮に対する制裁という意味においては、もうほとんど輸出入の禁止措置というのは効果を失っている。

 問題は、昨年の五月に日朝がいわゆる拉致問題を最優先とする再調査で合意をしてから、制裁を解除いたしました。我が国独自の制裁を解除した。この制裁解除をした後、解除された対象となった人の行き来あるいは金の問題、この点についてどういう変化があったのか、最新の状況について確認をしておきたいと思います。

杵渕政府参考人 北朝鮮措置解除以降の人的往来に関してでございますが、北朝鮮からの新規入国者は一名でございます。また、在日の北朝鮮当局の職員及びその活動を実質的に補佐する立場にある者で、再入国許可を受けて再入国をした者は六名となってございます。

可部政府参考人 委員お尋ねのお金の動きにつきまして御答弁申し上げます。

 外為法では、原則として、三千万円を超える海外送金に対しまして報告義務を課しており、また、百万円を超える現金等の携帯輸出に対して届け出義務を課しておりますが、北朝鮮向けの送金に関しましては、昨年七月四日に報告義務の対象を三百万円超から三千万円超の原則に戻したところでございます。それ以降本年一月末までの報告件数はゼロでございます。なお、これは、それ以前も、二〇一三年十月以降、ゼロでございました。

 また、現金等の携帯輸出の届け出に関しましては、昨年七月四日に届け出対象を十万円超から百万円超の原則に戻したところでございますけれども、昨年七月以降本年一月末までに届け出のございました北朝鮮向け現金等の携帯輸出は百十四件、二億四千九百万円でございまして、件数、金額は若干減少しておりますけれども、これは対象を狭めたことも影響していると思っております。

 以上からいたしますと、昨年七月に報告及び届け出金額を原則に戻して以降、お金の流れに大きな変化があったとは認識してございません。

渡辺(周)委員 そこで、今お話がありました、三千万円を超える送金はゼロと。しかし、三百万円から三千万円に引き上げたことによって当然捕捉できなくなっているということですから、実際、そこのところは、ゼロといって喜ばしいのかといったらそうではない。実は、小口に分けて送金をすれば、それは全く把握できていないことになる。

 実際、制裁が一部解除されたことによって、北にしてみれば、成果を得ずして、行動対行動という形で、成果が出る前に前倒しで制裁解除をやった。

 御存じのとおり、七月四日の制裁解除にもともとは条件がございました。

 当然のことながら、北朝鮮の、いわゆる我々の同胞が拉致をされて、いまだに助けを求めている拉致された被害者、この消息について、当初、外務省は、遺骨の話から始まって、そしてその後、日本人妻の話や拉致被害者の話になった。

 これは一体どういう順番で、優先順位としては拉致問題が後になっているじゃないかということを我々も何度も言いました。その際に言われたのは、いや、これは時系列的に書いたことで、別にどっちがプライオリティーが高いとか低いとかの問題じゃないんだというふうに苦しいことを言っていましたけれども、その後、日本側が、拉致は最優先だと。私も拉致議連の会長代行を務めておりますけれども、拉致議連からも強い申し入れをして、拉致が最優先であるということになった。

 今、先ほど数字にもあらわれていますように、制裁が緩和されたことによって再入国が六名あった。あるいは、お金の流れも、二億四千九百万円という金額が、把握しているだけで行っている。そのことを考えれば、当然何らかの見返りがあってしかるべきなんですが、残念ながらそれがない。

 そのことについては、当初、北朝鮮の国防委員会が、全ての機関を調査できる特別な権限を付与した特別調査委員会というものを発足させた。これは今までにない動きだということで、行動対行動だということで、前倒し解除になったわけです。

 当時、夏の終わりから秋の初めには最初の報告があるのだろうと言われながら、引き延ばされて進展がない。今になって、昨年の夏を起点として考えれば、夏までもうあと数カ月で、五月の日朝合意から、再来月、五月になると丸一年、そして、めどとしている夏まであともう三、四カ月の話でございます。そうなりますと、この点については甚だ、向こうのペースに乗って交渉して制裁を解除した、そのことについても我々は大変な懸念を感じます。

 もう一つ申し上げれば、二〇一五年の一月、ことしの一月、マルナカホールディングスから山形県酒田市のグリーンフォーリストというところに朝鮮総連の本部が転売をされました。結果的には、債務者である朝鮮総連の人間はそこに今もい続けて、そして、結果として朝鮮総連の既得権益というのは維持されているわけですね。

 これも、実は、在日朝鮮人の地位向上という名のもとに、北朝鮮が強く求めてきたこと。制裁の解除と合わせて、朝鮮総連のこの競売にかかっている案件をとにかくどうするかということについて、非常にこれは交渉のテーマだったんだと私は思います。

 きょうは時間がありませんからそこのところまで踏み込みませんけれども、この点について、ここも異例の対応なんです。

 何で異例の対応かといいますと、拉致問題という国家的問題、拉致問題の交渉進展に大きな影響を与える、このマルナカホールディングスという高松の会社が落札を一旦して、そしてそれが山形県の会社に移った。

 この会社というのは、もう御存じのとおりですけれども、従業員三名です。資本金も小さな会社であります。この会社がどうして、こんな国家的な判断を左右するようなことに、民民の問題であるといって、司法上は残念ながらそういう手続は違法ではないんだけれども、これは法律家も認めるところですが、できるわけがない。当然、政府の了解のもとに、あるいは政府の関与のもとにやったと言わざるを得ないことですが、そこまでやって、いまだに対応に進展がない。

 この点について、緩和をしたこと、最初の、我が国独自の制裁解除を前倒しでやったこと、そしてまた、異例の対応として、今回の朝鮮総連ビルの所有権の移転についても、ここまでやっている。それについて、これは非常に大変な、考えられないような譲歩をやった。こんな大甘なのかというふうに私は思うわけですが、このことについて、今後の進展について、もうあと残りわずかな時期です、兆しは見えてきているのかどうか。その点について伺います。

宇都大臣政務官 お答え申し上げます。

 北朝鮮の拉致問題に関しては、今委員がおっしゃったように、安倍政権の最重要課題と捉えて、現在も対話と圧力、行動対行動の原則に基づいて臨んでいるところでございます。

 圧力につきましては、従来政府として行っておりますとおり、国連安保理決議に基づく制裁に加えて、独自の北朝鮮措置を実施しているところですが、対話に関しましては、昨年三月に一年四カ月ぶりに対話を再開して以降、五月のストックホルムでの日朝政府間協議、七月の北京での日朝政府間協議、九月の瀋陽での日朝外交当局間会合、十月の平壌での特別調査委員会との協議と、さまざまな機会を通じまして、拉致問題が最重要課題である旨を繰り返し伝えるとともに、迅速に調査を行い、速やかにかつ正直にその結果を日本に報告することを強く求め続けているところでございます。

 また、先ほど、朝鮮総連中央本部ビルの件につきまして御質問がございましたが、これに関しても、裁判所による競売手続を経て所有者が移転しているところでございますけれども、政府として、仮に違法行為等があれば、それに目をつぶって交渉を進めるということなどはございません。

 いずれにいたしましても、北朝鮮の措置に関しましては、政府として、北朝鮮側から諸懸案の解決に向けた前向きな具体的行動を引き出す上で何が最も効果的かということを常に考えながら、不断の検討を行いつつ対応しているところでございます。

渡辺(周)委員 今申し上げた、マルナカという会社からグリーンフォーリスト、山形県酒田市、社員は三人、資本金が三百万円、年商はわずかに千四百九十万円です。このグリーンフォーリストという会社に四十四億円で転売をされた。自民党の元参議院議員の山内さんという方が関与したことは、これは御本人も発表していることなんです。

 この一月二十八日に転売をされて、そして、同じ時期、一月末に上海にて日本の政府が北朝鮮当局と非公式の接触をしているわけなんです。時期がまさに重なっている中で、当然、そこまで日本側はやったのだから、北朝鮮、あなた方は誠実な態度を示せ、答えを出せということを言ったと思うんです。

 今のをぜひ政務官にももう一回伺いたいんですけれども、そのときに少しは前向きな回答を引き出せたのかどうか、そして、今後、残された時期の間で北朝鮮とこの問題についてどのようにやるのか、この進展についてさらに念押しをしていくかということについて、いかがですか。これは政務官が答えるのか副大臣が答えるのかわかりませんが、ぜひ明確な答弁をいただきたいと思います。

宇都大臣政務官 現在の、委員がおっしゃった、どのような回答が向こうからあったかというのは、外交に係る件ですから、この委員会での発言に関しては控えさせていただきますが、いずれにしましても、政府として引き続き、迅速に調査を行い、速やかにかつ正直に結果を出し、具体的な行動を引き出すように、全力で取り組んでまいります。

渡辺(周)委員 外交交渉の詳細について我々が聞こうというのは、これはなかなか難しい問題だとはわかっておりますが、ただ、もう日本は前倒しで既に譲歩したわけです。行動対行動と言いながら、向こうの行動は全く見えていない。この不誠実な態度については、言語道断、我々としても怒りを禁じ得ないわけであります。

 回答の期限を区切るべきだと。一年程度と言っていますね、前回も。夏から秋にかけてと言ったときに一年程度と言っている。一年程度というのは、程度というのはどれぐらいの意味なのか。またここで一年程度先送りされて、結局はこちら側が、今、万景峰号の入港についてはまた追加の、いわゆる制裁解除の要請は当然来ていると思うんです。

 その点について、これはもう期限を区切るおつもりがあるのか、期限を区切ってここまでやらなかったら、もう一回制裁を再発動するというところまで覚悟があるのかどうなのか。追加制裁を新たに考える、その点についてはどうなのか、確認をしておきたいと思います。

宇都大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、委員がまさに御質問されたように、調査は全体で一年程度を目標にしている旨の連絡が昨年九月にありまして、もう期限が迫っているような状況にございます。また、昨年の夏の終わりから秋の初めごろに中間報告のようなものを行うことが望ましいとの認識の共有があったのでございますけれども、北朝鮮側からは、調査は初期段階であり、具体的な調査結果を通報できる段階にはないとの、今現在のところでは説明がございました。

 政府としましては、全体で一年程度を目標にしていることを念頭に置きながらも、引き続き迅速に調査を行い、速やかに回答をするよう強く求めてまいります。

 今後の対応につきましては、先ほども申しましたが、北朝鮮の具体的な対応を引き出すのに何が最も効果的かというのをよく検討しながら進めてまいります。

渡辺(周)委員 ぜひ、これは回答の期限を区切って。あの国は、これまでも、金日成、金正日、そして今の金正恩と三代にわたって、中国やロシア、アメリカという大国を相手に軍事国家としてここまでやってきた。大変高度な交渉術の中で生き延びてきた国です。資源もなければ食料もない国が、あそこまでなぜ生き延びてこれたか。まさに瀬戸際外交の繰り返しによってここまで来た。

 今回のこの問題についても、上手に、結局は北朝鮮の望む成果を得て、日本側に譲歩をさせて、結果として答えはちっとも返ってこない。これは回答を区切って、ぜひその後に、もう不誠実な対応がこれ以上続くのであれば、当然、向こうにとって、はっきり言えば一番嫌なことを制裁としてやる、ぜひその覚悟を持ってやっていただきたいと思います。

 さて、時間もなくなります。

 最後に大臣に伺いたいのですが、いわゆる中国主導で進められているアジアインフラ投資銀行、AIIB。このAIIBは、きょうの日経新聞にも出ておりましたけれども、日本サイドとしては、現在は参加することについては検討していないということであります。

 既に、もう韓国あたりも、アメリカが配備しようとしている最新鋭の地上配備型迎撃システム、THAADと呼ばれるものです。北朝鮮のミサイルを高高度で撃ち落とすというミサイル配備と、しかし、中国が主導するアジアインフラ投資銀行の中で、将来的には北朝鮮のインフラ整備もその金でやってもらえば韓国としては助かるではないかというようなことが、実は韓国の新聞の中でも書かれています。板挟みになって、アメリカと中国の。

 その上において、やはり北朝鮮のインフラ整備ということも、当然この投資銀行は検討をしていくと思うんです。そうしますと、我が国の北朝鮮に対するさまざまな制裁も含めて、果たしてどれだけ効果が将来あるのだろうかということをまた懸念するわけですけれども、改めて経済産業大臣に伺いますが、AIIBに対して我が国はどのような態度で臨むのか、そして将来にわたってどのような影響が、アジアの中で中国のプレゼンスが大きくなるということで、どのような御認識をお持ちなのか、ぜひ伺いたいと思います。

宮沢国務大臣 AIIBにつきましては、これは財務省においていろいろ検討されていると思いますけれども、きのうも記者会見で私も聞かれました。

 財務省の対応というのは、まずAIIB自体のガバナンスがしっかりしているかどうか、また、ちゃんと融資の審査ができて、それ以外の債権国に損害が生じないようなしっかりとした融資の審査ができるかというところをまず見きわめなければいけないけれども、残念ながら、今の時点では、両方とも、ガバナンスがある、また融資審査能力がしっかりしているというような見きわめはできていないということが今の状況でございまして、慎重に対応されているということだと思っております。

 一方で、今後、中国が、北朝鮮云々というところまでは私は存じ上げませんけれども、やはり我々の対応としましては、アジア開発銀行というものを日本が主導してつくったわけでございますから、これは、しっかりとアジアの国の信頼を得て、今後、これまで以上にアジアの開発また発展のために寄与していくということが、我々にとってもアメリカにとっても大事なことだと思っております。

渡辺(周)委員 AIIBの創設メンバーの中には、G7のうち、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアという四カ国。つまり、通貨であればユーロとポンド、この世界の基軸通貨を持つ国が創設メンバーになる。

 そこで、質問時間がなくなりましたのでお尋ねしませんが、中国の影響力がどうなっていくかということについて、これは当然、産業界からも大変な要請があると思います。その上でぜひ御判断をするように政府の方では取り組んでいただきたい、我が国の国益に資するような形で、いろいろな形で、どうあるべきかということを検討していただきたいと思います。

 時間が来たので、終わります。

江田委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 まず、今回の北朝鮮に対する輸出入の全面禁止措置の期限延長につきまして、我が党としては賛成をいたします。

 その理由ですけれども、この間、北朝鮮は、三回の核実験を初めとして、さまざまな挑発的行為を繰り返してまいりました。これらの行動は、国連を初めとして国際社会の繰り返しの警告、そして国連安保理のさまざまな決議に反するものにほかならないというふうに思いますし、国際社会のこうした警告に反して、北朝鮮が繰り返し挑発的行為をとり続けている。この姿勢を見るならば、やはり、日本政府が独自に実施をしている現在の輸出入禁止措置を期限延長することは、北朝鮮を対話のテーブルにのせていく、平和的、外交的解決につなげていくという点で、引き続き必要だというふうに考えております。

 その上で、幾つか御確認させていただきたいんです。

 今後、やはり大切になってくるのは、先ほどもお話がありましたけれども、この問題を解決するために、平和的、外交的な道を切り開いていくという道筋のつくり方だというふうに思います。この点で、二〇一二年の二月に行われた北朝鮮の核実験に対して、国連は同年の三月七日に国連安保理決議二〇九四号を全会一致で採択していると思うんです。

 ちょっと外務省にお聞きしたいんですけれども、この安保理決議二〇九四号は、どのような措置を行うことを定めているでしょうか。

山上政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねの安保理決議二〇九四号でございますが、これに先立つ決議といたしまして、安保理決議の一七一八号というものがございます。この決議によりまして、北朝鮮への輸出輸入を禁止するということが定められておったわけでございますが、お尋ねの二〇九四号におきましては、この輸出輸入の対象となる具体的な品目をリスト化して、詳細に定めているということでございます。

藤野委員 その根拠についてもお聞きしたいんです。

 二〇九四号が、前文において、国連憲章第七章の第四十一条に基づいていると思いますけれども、この四十一条に基づく措置の性質として、非軍事的ないわゆる兵力を伴わない措置ということが規定されていると思いますが、この点を確認させてください。

山上政府参考人 お答えいたします。

 まず、国連憲章四十一条でございますが、これは委員御案内のとおり、国連の安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができる、この旨を定めておるところでございます。

 お尋ねの安保理決議の第二〇九四号でございますが、この決議におきましては、規定ぶりでございますが、前文において、安保理が国連憲章第七章のもとで行動し、憲章第四十一条、先ほど御説明した条文ではございますが、その四十一条に基づく措置をとることが規定されておるわけでございます。

 したがいまして、安保理決議二〇九四号に基づく措置と申しますものは、御指摘のとおり、憲章の四十一条に基づく兵力の使用を伴わない措置と位置づけられるかと考えております。

藤野委員 その上で大臣にお聞きしたいんですが、今回の制裁がそういう兵力を伴わない措置ということでありますので、やはり平和的、外交的な解決に向けた努力というのが求められていると思います。

 その点で、制裁のための制裁ではなく、今回の措置というのが北朝鮮を対話のテーブルに着かせるということを目的とするという点につきまして、大臣の御認識をお伺いいたします。

宮沢国務大臣 この制裁を決めました、平成二十五年四月に検討したわけでありますけれども、当時は、北朝鮮は、国際社会の強い反対にもかかわらず、先ほどおっしゃいました二十五年二月には核実験を強行するなど挑発行為を繰り返すとともに、拉致問題に関する具体的な進展も一切見られなかったということでございます。

 北朝鮮をめぐるこうした情勢を総合的に勘案し、北朝鮮がこれ以上の挑発行為を控え、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向けた前向きで具体的な行動をとるように強く求めるため、当時の措置を二年間延長することとしました。

 北朝鮮をめぐる諸懸案の包括的解決に向けて、国際社会とも協調しながら、政府を挙げて対話と圧力の方針のもと、北朝鮮に対して毅然とした姿勢で臨むべく、本措置についても厳格に実施してまいりたいと考えております。

藤野委員 そういう点では、根拠となっている国連憲章の精神に基づいて、対話のための解決に向けた制裁ということを実施していくことが必要だというふうに思います。

 そして、もう一つ別の角度からもお聞きしたいんです。

 北朝鮮にしっかり対話のテーブルに着かせるという上で、核兵器のない世界をつくっていくということがやはり大きな力になってくると思うんですが、この点で、ことし四月には五年ぶりにNPT再検討会議も開かれます。そして、今、世界でもさまざまな核兵器のない世界に向けた動きが起こっているわけですが、とりわけ、ここ数回の国連総会では、核兵器禁止条約の交渉開始を求める動きが出されて、圧倒的多数で毎回採決をされております。

 そこでお聞きしますが、核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議について、主要な核保有国の態度、そして日本政府の態度についてお答えください。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国といたしましては、核兵器のない世界に向けまして、委員御指摘のとおり、四月からニューヨークで開催される二〇一五年NPT運用検討会議などにおきまして、これまでにも核兵器の廃絶に向けまして、我が国が主導するグループであります軍縮・不拡散イニシアチブ、NPDIと言っておりますが、これを中心に、現実的かつ実践的な観点から努力を積み重ねてきておりまして、引き続き積極的に取り組んでいく決意であります。

 一方で、委員御指摘の、核兵器そのものを禁止するといういわゆる核兵器禁止条約でございますが、こちらにつきましては、現時点で、核兵器国を含む多くの国が受け入れておらず、直ちに交渉を開始することができる状況にはないものというように認識しております。

 主要な核兵器国、アメリカ、イギリス、ロシアにつきましては、核兵器そのものを禁止する核兵器禁止条約に関しましては反対をしているというように認識をしております。

 日本政府につきましては、核兵器そのものを禁止する核兵器禁止条約を直ちに交渉を開始するという決議につきましては棄権をしているところでございます。

藤野委員 核兵器禁止条約の交渉開始を求める、交渉を始めようじゃないかという決議にまで唯一の被爆国である日本が棄権をしているというのは、私は恥ずべき態度ではないかというふうに思います。

 交渉を開始して、それぞれの国の立場で議論をしていくというふうに国連が圧倒的多数で決めているわけですから、ここは日本が被爆国政府としてイニシアチブを発揮すべきだというふうに思います。

 世界では今、この禁止条約のほかにもさまざまな動きがございます。昨年の九月二十六日には、核兵器全面廃絶国際デーというものの記念式典が国連本部で初めて開催をされました。また、核兵器の人道的影響に関する国際会議は、二〇一三年のノルウェーに続きまして、メキシコとオーストリアで開かれております。そういう意味では、まさに今、核兵器のない世界づくりに向けて世界が真剣に向き合っているというふうに思います。

 そこで、大臣にも御認識をお伺いしたいんですが、この核兵器禁止条約、交渉開始にすら日本政府が棄権しているということにつきましての大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 私も広島の出身でございますけれども、日本政府としては、悲惨な惨禍をもたらす核兵器は二度と使用されることがあってはならない、こういう立場でございます。

 交渉等々につきましては、今外務省から報告がありましたけれども、私と同じ広島出身の岸田外務大臣が適切に対応されるだろうと思っております。

藤野委員 核兵器のない世界をつくっていくというのは、北朝鮮を交渉のテーブルに着ける上でも非常に大きな力を持つと思いますので、今後も政府の努力を私たちも求めたいと思っております。

 最後になりますけれども、核兵器のない世界とも関連するんですが、先日、ロシアのプーチン大統領の発言がありました。三月十五日のロシアのテレビの中で、昨年三月のクリミア併合の際に核兵器の使用を準備するよう指示したということであります。

 そもそも、軍事的な圧力のもとで、ウクライナ憲法も無視して強行されたクリミア併合は、国際法を無視した侵略行為そのものであって、断じて許されないと思います。その上で、しかもそこで核兵器使用を準備したということで、これは二重、三重に許されないというふうに私たちは考えております。我が国でも、広島や長崎の被爆者の方が強い怒りの声を上げているのは当然だというふうに思います。

 そこで、このプーチン大統領の発言に対する日本政府の見解をお聞きしたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 ロシアのプーチン大統領は、三月十五日、ロシアのテレビで放映されたドキュメンタリー番組の中で質問に答える形で、昨年三月のクリミアのいわゆる併合に際しまして、あらゆる事態に備えてロシア軍に指令を出した、核戦力も即応態勢に入らせる用意があった、こういう趣旨を述べたものと承知しております。

 ロシアによるクリミアの一方的併合などの力による現状変更の試みは、我が国として断じて認められないものでございます。我が国といたしましては、G7の連帯を重視しながら、ウクライナ問題の平和的、外交的解決に向けて、引き続き、ロシアに対して、建設的な役割を果たすよう働きかけを行っていく所存でございます。

 いずれにいたしましても、核兵器の使用はあってはならないと考えております。引き続き、核兵器のない世界に向けた取り組みを進めていく考えでございます。

藤野委員 核兵器の使用はあってはならないということで、本当に大事なお立場だとは思うんですが、一方で、先日、このプーチン発言について聞かれた菅官房長官は、こう発言していると報じられております。この問題について、みずから発信をすることはないと。国会で聞かれたら今のような御答弁があるんですけれども、こちらからみずから発信することはないということで、唯一の被爆国の政府としては、やはり、単にあってはならないということではなくて、実際にそういう発言があったわけですから、その点についてしっかりみずから発信すべきではないかというふうに思うんです。

 大臣、広島の御出身ということで、ちょっとコメントがあれかもしれませんが、御認識をお伺いできればと思います。

宮沢国務大臣 この件につきましては、外務省を中心に、また内閣とも相談しながら、適切に対応されると思っております。

藤野委員 ことしは、戦後七十年の節目の年であり、被爆七十年の年でもあります。被爆国政府として、プーチン大統領に対する強い抗議を求めたいと思っております。

 そして、今、世界では核兵器の廃絶を求める流れが広がっております。だからこそ、日本政府の役割が大きいと思います。

 日本政府が積極的にイニシアチブを発揮することを求めて、質問を終わります。

江田委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時三十七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.