衆議院

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第5号 平成27年3月27日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十七年三月二十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      石川 昭政君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    佐々木 紀君

      塩谷  立君    白石  徹君

      関  芳弘君    田野瀬太道君

      武村 展英君    津島  淳君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      細田 健一君    宮崎 政久君

      若宮 健嗣君    神山 洋介君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      馬淵 澄夫君    渡辺  周君

      落合 貴之君    木下 智彦君

      國重  徹君    藤野 保史君

      真島 省三君    野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三木  健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           土井 良治君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          片瀬 裕文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小川 晃範君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官)   竹内 大二君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     田野瀬太道君

  福田 達夫君     井野 俊郎君

  渡辺  周君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     津島  淳君

  田野瀬太道君     佐々木 紀君

  馬淵 澄夫君     渡辺  周君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

三月二十六日

 株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官三木健君、経済産業省大臣官房審議官土井良治君、経済産業省産業技術環境局長片瀬裕文君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君、環境省大臣官房審議官小川晃範君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君及び原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官竹内大二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山洋介でございます。

 きょうは一般質疑ということで、冒頭、私に二十分しかお時間をいただいておりませんので、少しはしょりぎみになるかもしれませんが、よろしく御答弁のほどをお願い申し上げます。

 さて、エネルギー基本計画が改定をされまして、そしてこれからエネルギーミックスの議論が深まっていく、そんな段階であろうかと思っております。やはり、一つのきっかけは二〇一一年の震災以後ということになるわけですが、私も、二年ちょっと、落選をして戻ってまいったところですが、前に与党の中におったときも、実は地熱発電が大変重要だということを考えておりました。

 ベースロードをいかに確保していくのかという観点の中で、原発に関してはさまざまな意見があることは承知しておりますが、いずれにしても、日本が持っているさまざまな資源をより有効活用して、ベースロードをきちっと維持、確保していくということが大事であるという前提に立てば、やはり、私は、地熱発電、地熱の活用ということは極めて大事な課題であろうというふうに基本的に認識をしております。

 きょう御出席の委員の方々にはもう御案内のとおりかもしれませんが、我が国は資源がない国であるということがよく言われるわけですが、事地熱に関して言えば決してそういうことではないということはもう御存じのとおりかと思います。資料によって一番がアメリカだったり二番がアメリカだったりというのはありますが、いずれにしても、インドネシア、アメリカ、そして我が国が三番目にあるというその事実はもう厳然たる事実であろうと思います。

 しかし一方で、では、我が国はそれだけ、世界第三位の地熱大国でありながら、どれだけそれを有効活用できているかという意味においていえば、二%とか三%とか、そういう数字しかないわけです。やはり、これはこれからの大きな課題として、私は、積極的に推進、そして加速をしていくべきであるというふうに考えております。

 加えて申し上げれば、エネルギーとかベースロードの問題もさることながら、これから我が国が経済成長をどういう領域で確保していくのかということを考えたときに、では、地熱発電に使用されている例えばタービン類は我が国の企業が七割ぐらいのシェアを持っているという意味においても、これは産業面においても大事な、そして十分推進を図るべき理由を持っている分野であろうというふうに考えております。

 きょうは、この後、それに関連をして、いかに前に進めていくかという議論を少しさせていただきたいわけですが、まず前提として、大臣に、地熱発電についてどういう御認識であるか、この件の御見解をいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 地熱発電は、委員おっしゃったとおり、安定的な再生可能エネルギー、しかも、おっしゃるように我が国は世界第三位の潜在力があるということでありまして、大変大事なエネルギー源だと私も思っております。そういう観点から、事務方にはしばらく前から、地熱については徹底的に知恵を出せ、こういうことを指示してまいりました。

 一方で、導入に当たっては、温泉事業者を初めとする地域の方々の理解を促進しなければいけないという課題とか、また高い開発リスク、コストといった課題が存在することは事実でありまして、これまでも経産省といたしましては、地域の理解促進のための支援とか、また開発業者が実施する地表調査、掘削調査に対する支援などということを行ってきておりまして、来年度の予算では総額二百五十億円を計上しているところでございます。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 ぜひ積極的にこれは進めていただきたいと思います。この点、よろしくお願いを申し上げます。

 この地熱発電が、ではこれまでなぜ、諸外国に比べても、そして我が国のポテンシャルと比しても、余り進んでこなかったのかということに関しては、さまざまな分析や意見、見解があろうかと思います。

 いろいろな部分があるんだと思いますが、やはり一つ、我々、政治の部分で頑張らなきゃいけないのは、規制の部分なのであろうというふうに考えております。自然公園内での開発に関して規制がさまざまかかっていたことも一つの要因であったということは、これは疑いようのない事実であろうかと思うわけです。

 お配りをさせていただいた資料の一枚目の下の方に、「自然公園内における地熱開発」ということで、ざっくりまとめたものを掲載させていただきました。

 ここはお目通しをいただければ結構なんですが、基本的には、平成二十二年あたりから、閣議決定を踏まえて、徐々に徐々に自然公園内での開発規制が緩和をされてきたということであるとは承知をしております。

 例えば、今まででいえば、自然公園内での開発が極めて厳しく規制をされていたわけですが、第二種、第三種の特別地域に関しては、幾つかの条件、制約はあるものの、そこでの開発を一定の制約のもとでは認めるということになって、少しずつ前進をしてきているという状況かと思います。

 ただ、では、この規制の緩和の状況が果たしてこれで十分なのであろうかということに関しては、私は少し問題意識を持っているところです。

 もちろん、自然保護をしなければならない、環境保護をしなければならない、自然公園内での景観等々を守らなければならないということは私は正しいと思っています。ですから、自然公園の中に例えばマンションを建てられるようにしましょうという議論は、私は違うと思っています。

 しかし、では、地熱発電所をつくるという目的において開発をするという観点の中で、マンションを規制するとかいうことも含めたところで一律に議論していいかというと、やはりそこは違っていて、一定の要件の中で開発を促進するという部分はあっていいんだろうと思うわけです。

 例えば、最近、ジオパークという取り組みが環境省さんの方でもあると思いますが、そういう観点で考えれば、その地域が持っている太古の昔からの我が国の国土がどういう特徴を持っていて、どういう可能性を秘めているのかということを理解するということも大事なわけです。

 そこに地熱という大きな資源が眠っていて、それを活用するということが我が国の国土のポテンシャルの有効活用に資するのだということを理解していただくという意味においても、地熱開発をしていくことに対しての自然公園内での規制に関しては、やはりもう少し緩和をされてしかるべきではないかということを私は考えているところです。

 さはさりながら、ここ数年の規制緩和の取り組みの中で、傾斜掘削ということは認められて、少しずつその事業は進み始めてきているという状況かと思います。

 まず環境省にお伺いをしたいんですが、傾斜掘削が認められたということによって、どれだけ新規の開発案件が出てきているのかということが一点。もう一つは、傾斜掘削をする、つまりは、垂直に掘削をするのではなくて自然公園外から斜めに掘っていって井戸を掘るということによって、当然コストアップになるわけですが、どの程度、これは物によりけりではありましょうが、コストアップになるというふうに踏んでいるのか。この二点について、環境省の方にお伺いをさせていただきます。

小川政府参考人 お答えさせていただきます。

 環境省におきましては、平成二十四年に通知を出しまして、それまで地熱開発が認められておりませんでした国立・国定公園内の第二種、第三種特別地域内においても、自然環境と調和した優良事例については地熱開発が認められるという規制緩和を行ったところでございます。

 この後でございますけれども、現在、優良事例の形成に向けて、地熱の開発の事業者におかれまして、八地域でこの検討に取り組まれておられるというふうに聞いておりますが、今の時点では、各地域におきまして、地元との調整や地表の調査、それから調査井の掘削調査が実施されている、そういう段階であるというふうに承知しております。

 このため、現時点では、具体的に傾斜掘削をするという段階まで実際に至った事例がまだないわけでございますけれども、ただ、今後、この八事例の中で、傾斜掘削をするという計画の事例が出てくる可能性はあるというふうに考えております。

 もう一つ、コストに関する御質問でございますけれども、傾斜掘削によってコストがどのようになるのかということにつきましては、環境省としては具体的な情報は有していないというところでございます。

神山(洋)委員 特に傾斜掘削のコストに関して具体的な数字を有していないというのは、私は余りよろしくないんじゃないかなというふうに思います。

 もちろん環境省の立場という意味ではそうならざるを得ないのかもしれませんが、地熱発電を少なくとも前向きに進めていきましょうということを考えていく中では、コストというのはやはり極めて大事な話ですし、この後少し議論させていただくかもしれませんが、地熱発電の開発が進みにくい理由の一つはやはりリードタイムが非常に長いということがあるわけであります。

 そういう観点の中で、投資に資する事業案件であるということがなければこの世の中でオンビジネスとして地熱開発が進んでいくという形にならないわけですから、コストを見積もっていないというところはぜひ改めていただかなきゃいけないということはこの場で申し述べさせていただきたいと思います。

 今のコストの話でいえば、お配りさせていただいた資料の三枚目の一番下のところに、これは新エネルギー財団の資料からお借りをしてきたものですが、「傾斜掘削技術とコスト」というグラフがございます。これは恐らくいろいろな条件の中で変動余地は大きいものだと思いますので参考程度だとは思いますが、ここにありますように、この下のところに偏距と書いてありますのは斜めにどのぐらい伸ばしていくかという意味ですが、グラフの一番右側でいえば、斜めに二千メートル伸ばしていくような傾斜掘削であれば、このグラフが正しければですが、参考数値としては少なくとも三割ぐらいのコストアップになるということになるわけです。

 井戸を掘るということに関して、コストをきちんと見積もって、オンビジネスで地熱発電を開発へ回していかなければならないということを考えたときに、やはり、傾斜掘削はそれはそれでいいわけですが、それもできればない方がいいよねという話もあるわけです。

 お配りさせていただいた資料の一枚目の真ん中の表をごらんいただきたいんですが、先ほど来、少し議論がありました規制緩和の中で、この表でいうと、特別地域のうち第二種、第三種のところに関しては、傾斜掘削等の条件を満たせば、場合によっては開発が認められるように今はなっています。ただ、この表でいうと、特別地域の第一種及び特別保護地区の部分に関してはいまだに認められていないわけです。

 さすがにこの特別保護地区のところまで開発を自由化しろなんということを申し上げるつもりはありませんが、少なくとも現時点において、特別保護地区に特別地域の第一種を足せば四一・六%。我が国の地熱の賦存量の四割はまだ開発することすらできないという状況にあるわけです。

 せめてこの特別地域の例えば第一種だけでももう少し要件を緩くするとか、第二種、第三種の部分についても、今は傾斜掘削のみですが、さまざまな条件を付すことは必要かもしれませんが、例えば一定の条件を満たせば垂直掘りも可能ですとか、もう少しこれは前向きに私はプッシュをするべきではないかなというふうに考えているところです。

 これ以外にも、本来、時間があれば、例えば施設を設置するに当たっての高さ規制の問題であるとか、さまざま規制を見直すべき部分は私は大きいと思っています。

 まずはこの点、改めて環境省に対してですが、この開発規制に関してのさらなる緩和を検討する余地があるのか、どうしようとしているのか、またはするつもりがないのか、この点の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 地熱開発の促進につきましては、地球温暖化対策等を進める上でも重要であると認識しておりますが、一方、国立公園、国定公園内におきましては、自然環境との調和を図る形で進めることが不可欠であると考えております。

 そのため、まず、さきの通知で行われましたように、優良事例を形成していくということが今後の円滑な進展のために非常に重要なことだと考えております。このため、優良事例の形成を円滑に進めるための考え方ですとか、それから、今御指摘がありました、その他自然環境との調和を図る上での課題等につきまして検討するということを考えておりまして、去る三月二十日に有識者から成る検討会を立ち上げまして検討を始めたところでございます。

 これにつきましては、まだこれから御検討いただく段階でございますので、十分専門的な観点から御議論いただきたいと思いますけれども、今のところの予定としましては、夏ごろまでに検討会に取りまとめをいただきまして、地熱開発についてどういうふうに取り扱うか取りまとめていきたいというふうに考えております。

神山(洋)委員 実は、今の議論は、数年前ですが風力に関しても同じような議論の流れがございました。風力に関しても、例えば景観にも関連をするところがありますし、国立公園等々に関連するところもある中で、優良事例を形成して、いろいろな形で前に進むスキームをつくりますと言われながら、実は、現場から話を聞けば、そこで新たにかかった規制的なものによってなかなか開発をしづらくなったという話も聞く状況もあります。

 ぜひここでお願いをさせていただきたいのは、優良事例についてのさまざまな議論をこれから行っていくということではありますが、その中で、結果的に地熱の開発を、自然環境の保護はもちろん大事ですよ、大事ですが、必要以上にそれを加味することによって開発を抑制してしまう、ブレーキをかけてしまうということにはならないような御配慮をぜひしていただきたいと思います。

 ここは、環境省としては、もちろんそういった自然環境という観点からの規制をということを考えるのは当然ですが、やはり、きょう宮沢大臣にもお越しをいただいていますが、経産省の側から、もちろん両方の観点からではありますが、今の冒頭おっしゃっていただいた趣旨に基づいてきちっとここはプッシュをしていただくということは、私はこれはある意味、政治の領域で大事なことだと思っていますが、大臣、そのあたりはいかがでしょうか。

宮沢国務大臣 恐らく、環境省の立場、自然公園を守るという立場がある一方で、やはり地球温暖化対策でしっかりとした日本としての目標を打ち出すという立場をお持ちですから、そういった意味では地熱発電というのは大変大事な発電だと環境省自身もお思いだと思っております。環境省の幹部と個人的に会うときにはそういう話をしておりますけれども、やはり地球温暖化対策において、我が国としてもそれなりのレベルの方針を打ち出すという観点から、環境省において最大限いろいろ知恵を出していただきたい、そういうことを期待しております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 優良事例形成の円滑化に関する検討会ということで、これからまたさまざまな検討が進んでいくことだと思いますが、我々もそこはしっかりウオッチをさせていただきたいと思います。

 残念ながら、二十分という時間枠の中ではなかなか全てを網羅することができませんので、また改めてさまざま議論を深めさせていただきたいと思います。

 あと二点ぐらいだけ、何とか質問したいなと思います。

 地熱発電がなかなか進まない理由の一つとして、地域で、これは温泉が出なくなっちゃうかもしれないから勘弁してくれという話があるというのは、私も経験上、よく承知をしております。

 その温泉に関して言えば、実は最近、温泉で発電をすることができるという新しい技術が次々と開発をされておりまして、私もバイナリーの発電機を見に行ったりとか、いろいろな形で深めさせていただいているところです。

 それに関連して質問させていただきたいんですが、全国で源泉がどのぐらいあって、かつ、これが大事ですが、そのうちどれぐらい使われていない源泉があるかという事実関係について、まず御答弁をいただきたいと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、毎年度、都道府県に対して温泉の利用状況について調査しておりまして、この中で源泉数の報告も受けているところでございます。

 この調査の結果によりますと、平成二十六年の三月末の時点におきまして、全国で約二万七千の源泉がございまして、そのうち利用されていない源泉の数は約九千八百となっております。

神山(洋)委員 二万七千ぐらいあって、そのうち一万ぐらい使用されていないというお話でございました。

 温泉発電とは何かという話でいうと、地熱発電はもちろん地熱発電用に井戸を掘って、そこに建物やタービンをつくって地熱発電をするわけです。温泉発電は、温泉として活用されていたり活用されていなかったりですが井戸は既にあって、そのお湯なり蒸気なり、場合によっては両方を活用して発電をするということですから、新たに井戸を掘って温泉が出なくなっちゃう、そういうリスクを減らすことができるわけです。

 実は、温泉を使って発電をする仕組みにもいろいろな種類があって、そもそもの地熱発電と同じような仕組みのコンパクトなものもあれば、熱交換器を使って発電をするバイナリー発電というのもありますし、添付をさせていただきました資料の一番最後の四枚目のところに、実に情緒豊かな表現ですが、「湯けむり発電」というのもあって、これもまた少し発電の仕方が、技術が違うということで、これはいろいろな技術が開発をされているということです。

 冒頭お話をさせていただいたベースロードとは必ずしもマッチする話ではありませんが、しかし、例えば、これから大事な地域の経済を元気にしなきゃいけないという話であるとか、地域のさまざまな資源を有効活用しようという中では、私は、すごく夢のある、しかし大事な話だなと思っていますが、これもやはり、先ほど来申し上げている規制との絡みの中で、なかなか導入が難しいという話もよく現場で聞きます。

 きょうはもう一点だけにしますが、これも平成二十二年、二十三年ぐらいだったかもしれませんが、例えば、温泉旅館を経営している方が、ではうちの源泉で機械を設置して発電しようとしたときに、何千万か投資をする。加えて、ではどういう規制があるのかなと調べていったときに、当時でいうと、ボイラー・タービン技術者を選任して、常設で置かなければいけなかった。その人を雇うのに年間五百万円ぐらいかかりますと。それじゃそのコストは見合いませんといってなかなかオンビジネスにならなかったということの中で、これは、少しずつ規制緩和して、なくてもいいようにしましょうとか、一定の条件までにしましょうよということで、徐々に徐々に緩和をされてきた経緯があります。その内容を承知していますが、まだもう一息やってもらいたいという声も実はあります。

 この点、大臣、最後になるかと思いますが、もう少し緩和をお願いできませんでしょうか。

宮沢国務大臣 もう委員御承知のとおり、温泉発電というのは決して大きな規模ではないわけでありますけれども、ちりも積もれば山となるという言葉もありますから、やはり私はこれを推進していくことは大事だと思っておりまして、これまでも規制緩和を行ってきておりますけれども、この想定問答を読んでいるときに、事務方というのはなかなか渋いものでありますけれども、もっともっと規制緩和できるような知恵をともかく出せ、俺は相当前向きの答弁をするからなということを申し上げておきました。

神山(洋)委員 ありがとうございました。

 ぜひ期待をさせていただきたいと思いますので、全国各地が、地域の温泉を含めた地熱、そして温泉の源泉も含めた財産をしっかり活用して元気になるように、私どももこれからも前向きに取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 以上です。

江田委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。民主党の篠原孝でございます。

 神山委員に続いて質問させていただきたいと思います。

 経産省の関係のいろいろな問題は多々あると思います。エネルギー問題が一番大事じゃないかと思います。その中でも、やはり国民が関心を持っているのは原発じゃないかと思いますので、私は原発の問題に絞って質問させていただきたいと思います。

 資料をお配りしてあるので、資料を見ながら、大臣にお答えいただきたいと思います。

 御嶽山というのは、長野県に、私の選挙区じゃないんですけれども、あります。私は登ったことが当然あります。長野では御嶽教というのがありまして、御嶽教というか、神棚がありますけれども、それの御本尊というか一番もとが御嶽山なので、我々の地域では、一生に一回は必ず御嶽山に行かなくちゃいけないということで、私も大学生のころ、おやじから強制的に連れていかれて登山いたしました。そこが噴火している。

 資料を見ていただきたいんですが、全国の活火山の地図。ほかの新聞も特集していましたけれども、世界じゅうの活火山の七%が日本にある。地震なんかもっとひどいわけですけれども、火山列島、地震列島なんですね。

 それで、一般的に取り沙汰される原発等の立地の条件のときに、活断層、活断層とやたらに出てくるわけですけれども、火山との関係というのは余り出てこないんです。

 ただ、資料の四ページ目、一番後ろのところを見ていただくと、これは規制庁につくっていただいた資料をちょっと私が加工しているんです。外部自然事象というのがありますけれども、そこの中に、ほかの国は洪水だとか地震だとか、さすがに地震はみんなあるわけですけれども、極端な天候状態とかがあるんですけれども、日本はちゃんと火山が入っているんですね。

 火山については、一体どのような条件でもって立地を認めているんでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制委員会が策定しました新規制基準におきましては、火山の影響により安全機能を損なわないことを要求しております。

 具体的には、原発から半径百六十キロメートルの範囲の火山を調査しまして、火砕流などの設計対応不可能な事象が発電所の運用期間中に影響を及ぼす可能性が十分に小さいかどうかを確認した上で、可能性が十分小さくなければ立地不適としております。

 また、火山灰など火山事象の影響が原子力施設に及んだ場合に、安全機能の一斉喪失を引き起こす可能性があることから、その影響をあらかじめ評価して、必要な対策を講じることを求めているところでございます。

篠原(孝)委員 御嶽山の爆発のときには、登山客との関係ばかり取り沙汰されました。幸いにして、山の中ですし、長野県には原発はありませんけれども、川内原発なんかは近くに阿蘇山はあるし、霧島があるし、桜島があるし、非常に危ういんじゃないかと思いますけれどもね。そこが再稼働とかいうので、手続が、着々かどうかは知りませんけれども進んでいるというのは、やはり国民は心配するんじゃないかと思います。

 これは多分、この地図をドイツ国民に示したらびっくり仰天するんじゃないかと思いますよ、こんなに活火山があるとは。そのすぐ近くに原発が今も四十八基もあるということ、やはりこれは相当深く考えていかなけりゃいけないことだと思います。

 その下、米国の西部地域の原発がどこにあるかという地図です、あったかというのもあります。これは、世界の原子力発電開発の動向二〇一四年版からとってきたものです。よく見ていただきたいんですが、この黒いのが運転中のものです。運転中のは一体どれだけあるか。アメリカには百基前後あるんです。ロッキー山脈の西側にはたった三カ所しかないんです。

 ここに富田委員おられますけれども、富田委員と去年の九月、二週間をかけて最終処分場を視察に行ってまいりました。最終処分議連というのがありまして、私そこの事務局長でして、廃炉した後、あるいは廃炉する前に使用済み核燃料があります、それをどうやって処分するかというので、あちこち見て回っているわけです。

 その中で、途中で、カリフォルニア大学のバークレーのローレンス・バークレー研究所という地質の研究所に立ち寄りました。それは、最終処分場を、地層処分するんだけれども、どういった土が一番いいのかというのを世界じゅうが研究しているわけです。岩塩がいいとか、いや花崗岩のがちがちのがいいとか、それから、普通の土というか、オパリナス粘土層とか言っていましたけれども、スイスの場合は。

 そういうことを聞きに行ったわけですけれども、そこの雑談の中で、このことがちらっと問題にされたんです。地質学者あるいは地震学者からすると、日本に五十基近く原発があるのは信じられないということなんです。おわかりになりますでしょうか。

 アメリカは、環太平洋地震帯があります。そういったところには、そもそも危ないから原発はつくっていないんですよ。カリフォルニア州だとかオレゴン州、日本の面積の何倍もあるところにこれだけしかない。知っているか、アメリカは百基以上原発があるんだけれども、全部地震のないところだ、火山のないところだ、それを、日本は何を考えているのかと。

 我々は最終処分場の適地がどこかということで聞きに行ったんですけれども、その話よりも、最終処分場はもちろんだけれども、その前に原発の適地かどうかというのを問題にされたんです。

 次のページを見ていただきたいんです。気象庁の方に作成してもらったのですけれども、ややこしい領域の面積比というのはいいです、年にどのくらい地震が起きているか。二つあります、右と左、ほとんど同じルールでつくってあるんですけれども。

 二〇一〇年というのは、東日本大震災の前です。その前でもマグニチュード五・〇以上の地震というのがこんなに。もう頻度がほかの国と違うわけですね。ヨーロッパの国々なんて、地震なんてほとんどない岩大陸です。イタリアは火山国ですから地震があるわけですけれども。

 それで、日本ではどんな感じで地震が起きているかというのを下に数字を出しました。アメリカの西海岸との比較です。アメリカの西海岸も結構起きているんですよね。しょっちゅうずれが生じているんですよ。活断層が物すごくあるわけです。でかいのがいっぱいあるわけです。

 では、今度は右側に、一二年というのは、最新じゃないんですけれども、東日本大震災の後、この地震の後の余震が続いていますから、見てください、真っ黒々ですよ。日本の北、東北の海岸ぺたですね。これだけ地震が多い国なんです。

 これから考えると、日本に原発があること自体がおかしいというアメリカの地質学者の警告、本当に深刻に受けとめなくちゃいけないんじゃないかと私は思います。日本に旅行に来た人たちが、ちょっと揺れてもびっくら仰天するんですね。そんな地震なんか遭遇したことがないからなんです。我々はしょっちゅう地震に遭遇しているんですよ。

 この点について、大臣、どう思われるでしょうか。

 やはり原点に立ち返って考えなくちゃいけないと思う。日本の常識と世界の常識は違うわけです。今、安全保障問題をめぐっては、普通の国になるんだといって普通の国になろうと盛んにしているわけです。では、原発についても普通の国になっていくべきじゃないか。日本は異常な国なんです、これから見ても。この間来られたメルケル首相も、同じ考えを持ってお帰りになっただろうと思います。私は、政治が相当リードしていかなくちゃいけないと思っておるわけです。

 先ほど、神山委員の質問に対する答えの中で、事務方はしみったれている、けちなことを言っているけれども、私は大臣として違う答弁をしていくぞと。その意気で、あっちは前向きなんです、私も地熱発電はどんどんやっていただきたいと思いますよ。原発に換算すると、百万キロワットぐらいの二十三基分もある。いつも原発はベースロード電源、ベースロード電源と言いますけれども、日本にはもっと違うベースロード電源になるものがあるんです。そっちをほったらかしにしておいて、原発、原発と言っているわけです。だから、原点に立ち返って、考え直していただきたいんです。

 地震と原発のことについて、大臣、どのようにお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 篠原委員とは、たしか篠原委員が農水省の現職のときに私の勉強会に来ていただきまして、エネルギーではなくて、食料の自給自足が大変大事だという話を、本当におもしろい例を挙げながら御説明いただいたのを今でも中身は克明に覚えております。ありがとうございました。

 この御質問に対しては余りいい答弁ができないわけでありますが、今、規制庁から話がありましたように、世界最高水準と我々が思っている新規制基準には、おっしゃったような火山の話、地震の話に対する規制も入っているわけでございますけれども、そういう規制に適合すると認められた原子力発電所については再稼働を進めるというのが政府の方針であります。

 一方で、なぜ再稼働を進めるかと申し上げますと、やはり今、日本のいわゆるエネルギーの安全保障というものは大変厳しい状況。エネルギーの自給率はわずか六%、九四%を化石燃料の輸入に頼っている。しかも、ずっと進めてまいりました中東依存度の低下というのが時計の針が逆に回ってきているという中で、では、中東で何かが起こったときにということを考えますと、石油、原油の備蓄は百八十日しておりますけれども、まあ半年分。一方で、大変大事なエネルギーでありますLNGは基本的に備蓄ができないというような状況を考えますと、大変危機的な状況に我が国のエネルギー安全保障というのはあると思っております。

 それからまた、COP21がことしの十二月から開かれます。各国がいろいろ方針を決めている中で、我々も速やかに決めなければいけないと思っておりますけれども、そういう中で、では、原子力発電なしにそれなりのものが言えるかどうか。

 恐らく、原子力発電がないということになりますと、ベースロード的な電源としては石炭火力ということにならざるを得ませんけれども、これは世界最高水準の技術を日本は持っておりますけれども、それでもCO2排出量というのはかなり大きいということで、恐らく、ほかの国とは比較にできないような寂しい方針しか提言できない。やはり、原子力発電というものがある程度ウエートを占めていないと、COP21で地球温暖化に対する我が国の姿勢というものは示せないと思います。

 それからもう一つは、これはもう御承知のとおりでありますけれども、産業用で三割、そして家庭用で二割、既に電力料金が上がってきておりまして、特に中小企業を中心に悲鳴が、先生のところにも恐らくあると思いますし、私のところにも随分あるという中で、これらを勘案すると、やはり再稼働というものは、先ほど申し上げましたように、規制委員会の審査に適合したものについては進めていくというのが方針でございます。

篠原(孝)委員 それはわからないではないんです。どこに線を引くかということですけれども。

 今大臣は、電力料金が上がっている、これでどうするんだ、やはり日本はエネルギーの安全保障も考えていかなくちゃいけないと。私はそのとおりだと思います。

 ですから、エネルギーの安全保障も、食料の安全保障も、正真正銘の安全保障、軍事安全保障というんですかね、パラレルであるべきなんですけれども、日本の今の現状を見ると、どうも軍事安全保障だけが突出してにぎやかで、食料安全保障なんというのはどこかへ吹っ飛んじゃっている。その中間にあるエネルギーの安全保障について今大臣が言われたわけですけれども、だから、再生可能エネルギーを自前でやっていくために、地熱とかいうのもあるわけです。矛盾しているわけです。そっちに相当シフトしていかなくちゃいけない。

 原発は、いろいろ再処理とかいうのがあるんだから、ウランなどは日本にそんなにないはずなのに、自給の計算に入れるというのは、そこは根本からおかしいと僕は思いますよ。自給の中に入れるべきではない。CO2の問題というのはあるとは思います。それはあるとは思いますけれども、やはり考え直さなくちゃいけない。

 次の三ページの表を見ていただきたいんです。

 最近の原発の世論調査で、再稼働と、もう一つ、原発の輸出。どの数字も、再稼働について、大体倍半分、ダブルスコアで反対の方が多いんですね、わからないという人もいますけれども。反対の方が大体五〇%を超えている。

 国民の半分以上は再稼働してほしくないんだと。この根底にはどういうのがあるかというと、少々不便になっても、少々電力料金が高くても、住んでいるところを離れなくちゃならない、あるいは、子供が放射線に侵されて子や孫が困る、そういうことはやめてほしいというのがあるんだろうと思うんです。この国民の声をちゃんと聞いていただかなくちゃいけないんじゃないかと私は思います。

 そういう点では、一つ、一歩前進、五原発を廃炉に決定したというのは、それはいいことだと思います。私は当然だと思います。

 ドイツの例を出しますと、ドイツは原発の寿命を、世界によって何で違うのか知りませんけれども、三十二年と決めて、非常に計画的にやっているわけですね。だから、私も、原発をすぐ全部やめろなんというのは極論だと思います。

 では、何で国民が不安になるかというと、全然道筋が明らかになっていないわけです。ドイツの場合は三十二年と決め、一番新しい原発が三十二年に達するのは二〇二二年なんです。そのときにやめる。日本は四十年というのを決めました。決めましたけれども、これは我が民主党政権時代ですけれども、私は内部でも怒ったわけですけれども、何か、アメリカがそこに二十年特別に認めているから六十年だとか、いいかげんなのを決めるわけです。そういうやり方をしちゃいけないと思います。

 四十年なら四十年で新増設はしない、ほかのところに力を入れていくんだ、そういうふうにすれば、今の世論調査の結果は違ってくるはずなんです。いつまでたっても、再稼働だ、でっかいのだと、またつくるんじゃないか、そういう不安があるからです。

 廃炉は廃炉でいいんですけれども、小さな炉で安全基準を達成するようにしたりしたら再稼働できないという経済的な面が働いたんだろうと思います。いいです、動機が不純でも。やめていくのはいいことですから、結果がよければいいんですね。だけれども、廃炉にしたんだから、片っ方で再稼働させてくれと。

 しかし、日本では、相当老朽化した原発が多いわけですね。私がちょっと調べたら、これは大臣も御存じだろうと思いますけれども、四十年の運転期間でいったら、二〇三〇年には、今四十八基動いているうちの三十基が廃炉になるんです。二十基が今でも三十年以上です。だから、ドイツの基準からしたら、あと数年でばたばたと廃炉にしていかなくちゃいけないんですよ。そういう道筋が全然示されていないのが問題なんです。

 原発依存度を下げていくと数字で示せばいいんです。日本人は数学が得意ですから、数字を示してもらえれば納得するんですよ。ふわっとしたのでやっているからいけないんですね。僕は、そこのところが、どうも政治がぐだぐだしていると。新増設はしない、リプレースは想定していないと。今のところは言っていない。想定していないと。想定外の事態が起きたから、やはりリプレースはするし、新増設はするんだ、そういうふうになっていっちゃいけないんだろうと思うんです。

 四ページの表を見てください。各国の姿勢の違いが明らかになっております。さまざまなんですよ。一番上のバツとか二重丸というのは私の判定です。

 もう何にもないし、やることもしないイタリア。イタリア国民というのは、今を楽しむ国民だと誤解されている、誤解かどうか、されているようですが、イタリアも火山国だし、地震国だし、危なっかしくてやっていないという意味では、一番下、今後の方針のところにありますとおりに、一一年の六月、福島の原発の後、国民投票をして、原発をなしにするという道をきちんと進んでいるわけです。スイス、ドイツも同じです。

 ほかの国は迷っています。フランスは、建設中の新世代型のものがあるそうですけれども、非常に金がかかって困っている。七〇%を超えているんですけれども、二〇二五年までには、済みません、下はちょっと間違いですね、一番下のところ、七五%から五〇%に依存率を下げるというふうに明確に示しているんです。

 日本も一五%ぐらいにするとか言っていますけれども、プロセスが不明確なんです。やはり、そこのところはきちんとしていかなくちゃいけない。

 私は、こういうのは国の方針だけでやっていったらよくないと思いますよ。国民全体の意向を酌んで、国民の世論が全て正しいというわけではありませんけれども、相当学習をしているんですよ。ですから、私は、国民の声をちゃんと真摯に受けとめて、再稼働は慎重にすべきだと思います。

 だから、再稼働をするときに、こういう事情で再稼働するんだ、だけれども、そのときに、何年後には廃止する、それまでだ、それまで原発に頼らなくちゃいけないんだ、その間に再生可能エネルギーでこれだけ電源を拡大する、ほかのいろいろな多様性のある電源にする、そのかわり省エネもやってくださいということをお願いしていけばいいんだろうと思いますけれども、そういう姿勢が見られないんです。

 宮沢大臣の間にぜひそういうことをしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 世論調査をいたしますと、委員がおっしゃったように、再稼働反対という声が大変大きいということは承知をしております。それにつきましては、先ほどの答弁で申し上げましたような、本当の再稼働の必要性また原子力規制委員会の審査の厳しさといったものを、しっかり我々としても発信をしていかなければいけないと思っております。

 ただ一方で、昨年の暮れの選挙におきましては、自民党の政策集でございますけれども、「原子力については、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源との位置付けの下、活用してまいります。」「いかなる事情よりも安全性を最優先し、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原発の再稼働を進めます。」こういうことをしっかり政策集に書き込ませていただきまして、全ての国民が読んだとは申し上げませんけれども、結果的には三百議席近い議席をいただいたということも事実でございます。

篠原(孝)委員 大臣、お言葉ですけれども、我が方のマニフェストもそうですけれども、マニフェストを読んで、ほかの党のものと比べて、きちんと投票している人はそれほどいないと思いますね、残念ながら。だから、マニフェストに書いてあるからというので、それで信任を受けたからというのは、二百九十一議席を得たからもう何でもやっていいんだといって、ほかの同僚議員がいろいろなところで安倍総理に苦言を呈していますけれども、それと同じになると思います。

 やはり、単純な世論調査で、おかしいんだということで言っているわけです。私は、この民意というのは相当酌んで物事を進めなければいけないと思います。

 その右、原発輸出も見ていただきたいんですけれども、これも恥ずかしい話なんですけれども、日本人のモラルというのはだんだん悪くなっているんじゃないかなという気が僕はする。僕なんか、まじめですからね。僕は農家、百姓の生まれ育ちです。劇薬を使っていますよ、農薬。ひどいのは、こんな農薬をぶっかけて、手がしびれてくるようなものをほかの人のところへ出荷できないというふうになってやめていく。私は日本有機農業研究会の会員です。昔から、農林水産省に虐げられながらやってきました。そこは筋を通しているんですけれどもね。そういうのからすると、やはり放射能もよくないんです。

 それで、中国がそうだそうですけれども、これは断定できませんけれども、とてもじゃない、こんなものは嫌だ、しかし、日本はきれいなものを好むから輸出すると。中国人自身が、日本へ輸出する野菜を毒菜と呼んでいるわけです。自分たちは食べない。それは恥ずかしいことだと思う。自分たちが食べないものをほかのところへ輸出するなんてことは、それはしちゃいけないと思う。安全で云々と言っていますけれども、それは日本が安全とか言っているだけでして、ほかの国は安全だなんて思っていないんじゃないでしょうか。

 私は、原発輸出というのも絶対すべきじゃないと思います。はるかかなた、昔、池田勇人首相が、トランジスタのセールスマンとどこの大統領からも嫌われた。私は、今でいうとCEOですか、先頭に立って日本製品を売り歩くというのはいいんですが、原発輸出を総理が先頭に立ってセールスして歩くのは抑えるべきだと思います。民間企業が一生懸命やるんだったらいいですけれども、国策として原発を輸出するとかいうのは抑えるべきだと思います。これも、大臣、抑えていただきたいんですけれども、いかがですか。

宮沢国務大臣 我が国の原子力発電所建設の技術につきましては、いろいろな国から実は期待が寄せられております。具体的には、ベトナム、トルコといった、まさに新興国で電力需要が大変多くなっている国、それからイギリス、アメリカといった、これから地球温暖化対策の観点から新規の原発を建設しようといった国から大変多くの期待の声が寄せられております。

 私どもは、福島の第一原発の事故という大変な事故を起こした。一方でいろいろな経験を得ているわけでございまして、この教訓を国際社会と共有するということは、ある意味では我が国の責務だろうというふうに思っております。

 一方で、原発輸出の必要十分条件ではありませんが、恐らく必要条件ということでしょうけれども、原子力協定というのがございまして、昨年の四月に、日本とトルコ、また日本とUAEの原子力協定が承認されましたけれども、委員はどうも欠席をされたと伺っておりますが、民主党は賛成をしていただいた、こういうことでありまして、やはり我が国としても、そういった意味の安全な原子力発電所を世界でつくっていただくということについては、我が国の置かれた立場ということで、一種の責務ではないかと私自身は思っております。

篠原(孝)委員 そこで価値観が大きくぶつかるんですよね。

 大臣は、答弁の中でも、被爆国の、それを選挙区とするところの国会議員だと。広島、長崎、有名です。そこへ持ってきて、福島というのが入ったんですよね。二重の被爆国というか、二重の被害を受けている国ですよ。そこの国が自制をしていくのは私は当然だと思います。だから、メルケル首相が、日本に来られる前の日の自分のホームページに、やはり脱原発の方向に日本も踏み出していかなくちゃいけないんじゃないかと言ったのは、私は当然だと思います。

 私は、初めて経済産業委員会に所属させていただいておりまして、いろいろな大事な法案があると思いますけれども、原発問題についてこれから真摯な議論をさせていただきたいと思います。

 次回は、富田委員と一緒なんですが、最終処分問題について質問させていただくことを通告いたしまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 大臣所信の質疑の機会をいただきました。よろしくお願いいたします。

 昨晩、私、ちょっと遅い時間になりましたが、昨日行われました発電コスト検証ワーキングのグループでの議論、出席は当然かないませんが、ユーストリーム等で拝見、拝聴することができました。それにつきまして、一、二点、済みません、昨晩遅くに通告で恐縮でしたが、お尋ねさせていただきたいと思います。

 新聞でも報道が出ています。原発事故の確率が減じられるということで、「コスト抑制 経産省強調」あるいは「原発事故確率下げ検討 経産省想定 発電コスト再検証」ということで、本日、報道で上がっております。

 私は、予算委員会の補正予算のときでしたか、基本的質疑で大臣にこのことをお尋ねいたしました、事故確率の問題ですね。さすがに私が指摘をしたいわゆる十万炉年という議論はそこでは出てこなかったようでありますが、少なくとも、我々が政権時代、四十年の運転制限期間で当時五・八兆円以上、これは現実には十兆円以上ということになるわけですが、それだけのお金を積み立てていくと考えたときに、疑似的な保険の要素で計算した場合に、結果的に一キロワットアワー当たり〇・五円となった。これが、換算すると、事故確率は二千炉年に一度、こういう確率になったということで、私は指摘をしました。

 まさか十万炉年などという、確率ゼロなどという、そんな数字にはならないでしょうねということでお尋ねしたところ、大臣からは、「五名の委員の方は前回作業に参加されているということを考えますと、基本的な考え方は私は維持されるのだろうというふうに思っております。」こう御答弁いただいております。「一一年の検証と基本的な考え方が異なる方向には行かないと思っております。」と、重ねて二度御答弁いただいたんですね。

 しかし、昨日は、今申し上げたように、二千炉年というものから、十万炉年にはいかなくても、もっと確率が下がるのではないか、こういう議論が出てきたようであります。

 これは、今まで四十年間やって一回事故が起きた、千五百炉年に一回の計算になる、こういうお話をされているわけであります。一回しか事故が起きていないもので炉年を計算するというのは、方法論上問題がある、不確実性が大き過ぎる。さらに、安全対策が進み、それなりの費用が計上されると思うが、そういったものを積んでいる以上、それなりに評価すべきであるから、正しいところは千五百炉年と十万炉年の間。一万なのか五千なのか三千なのかわからないが、その辺にあるだろうと。まるでバナナのたたき売りのように、どうだこうだと。

 ここら辺の議論というのはまだこれからなのかもしれませんが、私は、繰り返し申し上げますが、この十万炉年は当然想定外としても、二千炉年というのは、我々としても、当時は五・八兆円でした、現実的には十兆円以上かかるような状況の中から換算した数値として出してきたわけです。

 コスト上、安全対策がなされていくということで、それが付加されること自体は否定はいたしませんが、確率というのはかた目に見るということが極めて重要である、このことは大臣も予算委員会で御答弁いただいたと思っています。

 これはあの一月二十九日の御答弁から何ら変わらないものであるかということの確認と、現在、昨日のコスト検証ワーキンググループでの議論、これからだと思いますが、誤った方向に導かないようにということでの注視をいただけるかどうか、この二点、確認させてください。

宮沢国務大臣 まさに、審議会、ワーキンググループで議論をしていただいているところでございますので、私から予断を持って申し上げるわけにはいかないと思っておりますけれども、昨日の議論、私自身は出席もできませんでしたし、正直、国会対応等々ありましてそのユーチューブ等も見ることができなかったんですが、事務方から報告を受けましたけれども、あらゆる方向からいろいろな意見が出た、こういうことは伺っております。

 そういう中で、今後議論を進めていただいて結論を得るということになろうかと思いますけれども、おっしゃったような、やはり、十万炉年というような、ある意味では前回と全く違う方向の議論ではなくて、基本的には前回の流れの中での議論が進んでいるというふうに思っております。

 そういう中で、おっしゃったように、やはり確率というのはかなり安全性を見ていくことの方がいいんだろうと個人的には思っております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 繰り返し言いますが、十万ではないだろうから一万から五千、あるいは三千、そんな議論ではないはずですから、そこは大臣、しっかりと政治的なリーダーシップをとっていただきたいということを付言させていただきます。

 それでは、お手元の資料に基づいて質問させていただきます。

 現在、政府は、総合資源エネルギー調査会の中の長期エネルギー需給見通し小委員会の中で、二〇三〇年、エネルギーミックス策定の議論が行われているということであります。お手元には1と書いた資料をお配りさせていただきました。これは三月十日に行われた第四回の会合における事務局提出資料の資料四、「再生可能エネルギー各電源の導入の考え方について」の五ページをお示ししたものであります。

 私は、この資料は、再エネ導入の主力となる太陽光、風力と原子力の比較という中で、極めて再エネ導入に後ろ向きなミスリーディングを招きかねないような資料ではないかという問題意識を持っております。

 その上でお尋ねをさせていただきます。ここは事務方でお願いします。ここ十年の国内の原発の設備利用率の推移はどのようになっていますか。端的にお答えください。

上田政府参考人 原発の設備利用率でございますが、二〇〇三年度五九・七%でございますが、その後、二〇〇五年度に七一・九%が最高でございまして、福島第一原発事故まで六〇%台で推移いたしまして、最新の値であります二〇一二年度は三・九%となっております。

馬淵委員 今お答えいただきました原発の設備利用率は、もう当然、フルで動いているといっても六割、七割だった、そしてその後、東日本大震災の原発事故によって、極めて低下した状況にあるということであります。

 お手元の資料2に電事連の資料を載せました。今、上田長官からお答えいただいた数値が、この中ほどの折れ線グラフ、設備利用率で示されております。最大でも七割ちょっと超えるぐらいで、六割ぐらいのところの間を推移していた、こういうことであります。

 その間、ではどのようにしていたかというと、当然バックアップは火力なんですね。火力発電によってバックアップを行うということでありますから、エネルギー自給率は悪化してCO2の排出が増加するということになります。

 この資料の2をごらんいただきますと、二〇一三年度は火力が八八・三、これは過去最高の火力比率ということになりまして、当然、温室効果ガスも十三億九千五百万トンという大変大きな数字になるということになります。

 こうした状況で、実はこのように、原発も自給率あるいはCO2といったところでまさるというふうに説明をされがちなんですが、すぐれるとされていますが、実際はそうではないのではないか。このミスリーディングが起きかねないような資料1をごらんいただくと、後でまた細かいところは申し上げますが、原子力を太陽光、風力に代替すると、足らず前のところを火力でたき増しする必要があるということで、自給率はバツがついていますね、CO2もバツがついている。火力によってふえるからだ、こういうことであります。

 さて、この内容についてまた細かく入っていきますが、事務方にお尋ねします。

 原子力の位置づけというものは昨年四月のエネルギー基本計画の中でどのような位置づけとなっているか、該当のところを端的にお読みいただければありがたいです。

上田政府参考人 昨年四月に閣議決定いたしましたエネルギー基本計画では、原子力につきまして、「燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる低炭素の準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である。」と位置づけられているところでございます。

馬淵委員 重要なベースロード電源、準国産のエネルギー源、安定供給性を有して、コスト低廉、このように書かれているということであります。

 一方、では、太陽光、風力に関しては、このエネ基においてはベースロード電源として位置づけられておりますでしょうか、イエス、ノーでお答えいただけますでしょうか。

上田政府参考人 太陽光、風力につきましては、ベースロード電源として位置づけられておりません。

馬淵委員 これは位置づけられておりません。

 ところが、資料の四、1をごらんいただくと、太陽光、風力の拡大により、原子力を代替していくケースと示されているわけですね。

 そもそも政府としては、太陽光、風力と原子力というのは異なる性質の電源なわけです、これはもう言わずもがなで。この二つを適切に組み合わせていく、ベストミックスですよね。このことが議論の出発点であったはずなんですね。しかし、この資料は、全く性質の異なる電源を比較して、足らず前は火力によるたき増しが必要だと言っているんですよ。

 大臣、ちょっとお尋ねしますが、大臣は、原子力、太陽光、風力、これは互いが排他的な関係に立つというふうにお考えですか。どうでしょうか。

宮沢国務大臣 原子力につきましては、先ほども言いましたようにベースロード電源として位置づけておりますし、また一方で、太陽光、風力につきましては、再生可能エネルギーとして最大限の導入をしていくということを位置づけておりますから、排他的な関係にあるとは思っておりません。

馬淵委員 おっしゃるとおりで、私が先ほど申し上げたように、これは全く性質の違う電源なわけですね。どのように組み合わせていくかという議論が大切なわけです。二項対立ではない。そのような議論は逆に誤解を招きます。だから、私はミスリーディングと申し上げてきているわけであります。

 そこで、準国産という言葉も使われておりました。この準国産という意味は何かといいますと、これは、ウランは実は全量海外から輸入なわけでありますが、それにもかかわらず準国産という表現をなされているというのは、一つは備蓄が容易であるということ、そしてもう一つは使用済み燃料を再処理するということで資源燃料として再利用できる、これがエネルギー白書に書かれております。平成二十四年度のエネルギー白書には、この二点、使用済み燃料を再処理可能だから資源燃料なんだ、備蓄が容易だと。大体五年ぐらい、二・五年、装填して、そして二・五年、燃え尽くすまでということで五年ぐらい。だから、準国産だと。

 何となく、この説明を聞くと、ふっと流れていくような言葉なんですが、これは実は非常に重要なことがありまして、準国産と言っているけれども、その根拠の一つであります核燃サイクル、これについては何ら動いていないですよね。国費十兆円もつぎ込んでいるにもかかわらず、これは準国産と言いながら、その理由が再処理、再利用だと言っている、でも、これは動いていないんです。

 こういうところから見ても、原子力を準国産だと位置づけて、片や、先ほど申し上げたように、性質の違う電源を比較して、足らず前は火力をたいて、そして火力は当然国産ではない、輸入だからコストがかかる、この議論というのは、非常に矛盾するような議論になりませんか。ミスリーディングするような議論となりませんか。大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 恐らく、私も審議会等に出している資料は私自身がチェックすることはないわけで、きょう、こうやって見せていただきましたけれども、これは、ミスリーディングといえばミスリーディングかもしれませんが、ベースロードの電源として太陽光、風力を使った場合にはこういうことが起きますよ、こういう資料なんだろうなと思って拝見をしておりました。

馬淵委員 先ほど長官からも答弁をいただきましたよ。原子力はベースロードなんです。そして、片やベースロードではないという性質の異なるエネルギー、これをあたかもそのまま代替するかのごとく示すというのは、完全にミスリードですよ。

 御自身もごらんになられなかったということでありますが、こういうことが起きるんです。審議会などは、私も政権におりましたときによく見ていましたが、それこそ、ある意味審議会の議論をリードさせていくような資料が出てきて、一定の方向に向かせてしまうようなことが起きるんです。私は、このことで誰かを責めようという話をしているのではありません。本当に公正な、公明正大な議論を行うための資料になっていないということを申し上げているわけであります。

 その上で、先ほど来このことを申し上げて、自給率に関しては、そもそも、長期間の備蓄が可能だということとあわせて、再処理で燃料として再利用、このことを理由に挙げておられますが、この一つ、五年が長期間だというのは比較論の話なので、あえてそれを認めたとしても、再利用に関しては、これは理由にならないんです。自給率についてはバツとつけていますが、バツの理由にならないです。

 そして、もう一つ、CO2でありますが、これに関して、先ほど上田長官からも、設備利用率、稼働ということでお話を伺いました。実際には六割、七割。最大でも、七割を超えたのは一回だけですね、過去十年。それ以外は火力で補っているわけです。

 こうした状況の中で、柏崎刈羽、これは東京電力の主力の発電所でありますが、これも平均設備稼働率というのは非常に低いものであります。これは、二〇〇五年から二〇〇六年度で七、八割でありましたが、二〇〇七年の新潟中越沖地震によって稼働を停止することが多くなり、二〇一二年度以降はゼロとなりました。

 こういう状況で動いている。つまり、原発というのは、さまざまなリスクがそこにあった場合に、この設備利用率、稼働率というのが高位に推移しているという状況は、東日本大震災だけではないんですよ、今日においてもそれが続いているということなんですね。それは、たき増しで化石燃料に依存をするということになっていく。

 つまり、CO2の排出についても、このような比較の中で、明らかに原発に対して太陽光、風力がCO2でバツだとするのは、これはミスリードするような内容になりませんかということを私は申し上げているんですが、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 原子力の稼働率、七割弱ということを前提にいろいろ考えているわけでありますけれども、それをさらに意識的に下げて、太陽光、火力といったもの、火力のバックアップを含めて導入した場合にはこういうことになるということが、恐らく書かれていることではないかと思っております。

 それが実際起こるかどうかということであれば、先ほど言ったようなそれぞれの電源の特性ということを考えますと、起こり得ないことだと思っておりますので、ミスリードといえば本当にミスリードだったと思います。

馬淵委員 大臣にお認めいただきました。

 事務方にも確認させていただきたいですが、答弁は要りませんが、ミスリードといえばミスリードだということでありますので、次回の長期需給見通しの中では、必ずこのミスリードの資料は撤回ということで確認をしていただきたいと思います。よろしいですか。短くお願いします。

上田政府参考人 この資料の趣旨は、私ども、原子力の依存度を減らしていくということを一つの目的としているわけでございます。原子力の依存度を減らしていく中では、原子力の依存度を減らした分、何かで代替をしていかなければいけないということでございまして、さまざまな代替の可能性について検討をしているわけでございます。

 委員御指摘のとおり、太陽光、風力、それから原子力、それぞれ電源の性質が違うわけでございまして、それらを組み合わせていくということがエネルギーのベストミックスをつくる上での大きな目標ではございますけれども、仮に、原子力発電というものをさまざまな形で代替していく、当時の資料には、太陽光、風力で代替した場合、地熱で代替した場合、さまざまな資料をお出しさせていただいておりますけれども、太陽光、風力につきましては、これらと火力の組み合わせで代替をしていくということにならざるを得ないということをお示しさせていただいた資料でございます。

 資料の点につきまして、今後どのように取り扱うかについては、大臣の御指導をいただきながらしっかり考えていきたいと思います。

馬淵委員 大臣はミスリードをするというふうにおっしゃったわけでありますから、これは撤回をお願いしたいというふうに思います。大臣の御指導をお願いいたします。

 さて、では、太陽光、風力はベースロードではないということで、エネ基でもそこはベースロードとは記されていません。しかし、太陽光、風力というもののベースロード的な運用の可能性はないのかということについての議論を少しさせていただきたいと思います。

 まず、大臣、今申し上げたような需給見通しの中で、太陽光、風力発電については、実は明確な見込み量というのが示されておりません。これにつきまして、なぜ太陽光と風力の導入量の見込みを明確に示さなかったのか。その他はあるんですよ、その他の再生可能はですね。これはなぜなんでしょうか。お答えいただけますか。

宮沢国務大臣 審議会では、まずは、電源の導入に当たって、開発可能地域とか燃料確保等の一定の外的な制約条件が存在する地熱、水力、バイオマスについて、その制約の中で導入できると見込まれる量の試算を議論の材料として審議会に提出したと聞いておりまして、御指摘の太陽光、風力については今後提出するというふうに聞いております。

馬淵委員 日本風力発電協会は、導入目標値、二〇三〇年には八百四十億キロワットアワーというのを見込んでおられるというのはもう発表されておりますが、ただ、繰り返しになりますが、こういった資料が出てくる中で、第四回の長期エネルギー需給見通し小委員会では、山地委員などは、発言として、風力導入量は百億キロワットアワーぐらいではないかなどという御発言もありました。

 やはり、ここは見込み量というものをしっかりと示さないとならない。現時点においてはまだ議論の途中だからということだとは思いますが、これは極めて重要だということをちょっと申し上げておきたいと思います。

 その上で、太陽光、風力というものをどのようにベースロード的な運用で行うかということなんですが、一つ、揚水、この発電の活用が挙げられると思います。

 これは事務方に、答えだけで結構です。我が国の揚水発電所の合計出力というのはどれぐらいでしょうか、お答えください。

上田政府参考人 揚水発電の設備容量でございます。

 平成二十六年三月末時点で、全国に四十一地点、二千六百七十二万キロワット存在しております。

馬淵委員 二千六百七十二万キロワットということであります。国内原発の合計出力、これは一Fを含むと四万八千八百四十七メガワットで、およそそれの半分、五割に相当いたします。揚水に大変な規模があるということを申し上げたい。

 その上で、揚水発電設備の利用率、設備利用率はどれぐらいでしょうか。端的な答えで結構ですので、事務方でお願いします。

上田政府参考人 委員御案内のとおり、揚水というのは、需要が多いピークの時間帯の供給力を確保するために、高いところに水をためて待機しておりまして、必要に応じてその水を落としながら発電していくということでございまして、他の電源のように稼働率のみをもって活用しているかどうか、そういうことで判断し得るかという問題はあるかと思いますが、仮に、年間稼働率等々を、実際の発電量を分子といたしまして今の設備容量等を分母として試算いたしますと、年によって変動はございますけれども、おおむね三%程度となっております。

馬淵委員 大臣、これは大変低いんですね。

 よく御存じのように、揚水発電というのは原発のインフラの一つなんですよ。ベースロードとして夜間も動きますから、その間に揚水で上げていくというバックアップ、蓄電的な設備なんです。それが三%とか数%と非常に低い数値で今日あるということであります。

 これに関しましては、「再生可能エネルギーの利用拡大に向けて」という日本学術会議の報告の中にも、世界最大の容量を持つと言われる揚水発電がどの程度利用できるかなどの客観的分析が必要だ、こういう指摘もあります。

 大臣、今後、再エネは変動するエネルギーだというふうに言われますが、こうしたものの組み合わせによって、いわゆるベースロード的な運用というのは可能になるんです。大臣、揚水発電を、原発のバックアップではなくて、原発の必要なインフラではなくて、再エネに、出力変動がある太陽光、風力などの調整に活用していくという考えはおありでしょうか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 今長官から答弁しましたように、委員もおっしゃいますように、これまでの揚水発電というのは、夜間に上に揚げて、そして需要の多いときに発電する、こういうことだけに使ってきたわけでございますけれども、今委員がおっしゃった点は大変大事な点だと思っておりまして、再生可能エネルギーの導入を促進するために、電力会社において、当然、余剰電力が生じた際には、太陽光や風力の出力抑制を行う前に、自社の火力発電所の出力を抑制することをまずやるわけですが、余剰電力で揚水発電の上の池に水をくみ上げることに対応するということにもしたいと思っております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 こうしたものを使えば、いわゆるベースロード的な運用が可能になっていきます。さらには、系統外の大型蓄電池の設置、こういったものも一つ手だてとして考えられるかと思います。

 我々政権時代に、蓄電池戦略というのを策定いたしました。これは、分散電源の核となる重要技術と位置づけて、原発依存度を低減して、かつ化石燃料依存度を下げるべく、再生可能エネルギーや蓄電システム等にエネルギー構造の重点を大きくシフトしていくという方向性を打ち出したものであります。これは現政権においても変わりないものだというふうに私は認識しております。こうした状況で、予算もつけていただいているということであります。

 今申し上げた蓄電池の戦略を踏まえながら進めていくということと、さらに、系統の広域運用、これに関しては、お配りした資料の3のところをごらんいただきますと、系統の資料ということで載せておりますが、例えば、系統の運用のところは、東京と東北、ここについては広域連系というのが可能なインフラがございます。したがいまして、こうした広域連系のところをうまく使えば、系統運用で今申し上げたようなベースロード的な運用というのは可能になっていく、東北は特に風力のポテンシャルの高いところでありますから。

 今申し上げたような蓄電池を初め広域の系統運用、これらを合わせてベースロード的な電源の扱いができるということ、あるいはそのことに取り組みをするということについては、大臣、いかがお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 蓄電池が大事だという政策につきましては、我々も、民主党政権時代の方針を大変すばらしい方針だと思って維持をしております。

 そういう中で、平成二十四年度予備費を活用いたしまして、北海道、東北の電力会社の変電所に大型蓄電池を設置し、蓄電池の制御・運転技術などの確立に向けた実証事業を行っております。ただ、東北電力におきましてはことしの二月から、そして北海道電力におきましてはことしの暮れから運転を開始するということで、実証事業自体はこれからまさに実施をしたいと思っております。

 一方で、広域運用の話でございますけれども、これも大変大事なことだと認識をしておりまして、四月に広域的運営推進機関が出まして、そこで、まずはルールをもっと広域運用がしやすいように見直そうと。例えば、年度で固定していたものを三十分ごとにきめ細かく算定するとか、さらに、小売事業者等に加えて発電設備設置者も地域間連系線の利用予約ができるというようなことをして、広域運用をしっかりと図っていきたいと思っております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 そこで広域運用を図っていくということも含めて前向きな御答弁をいただきました。ぜひやっていただきたいんです。

 そして、私、つい先ほど、環境委員会で望月大臣に質疑をしておりました。

 資料4をごらんください。これは環境省が三菱総研に委託をした途中段階のものということで、この数値に関しては、三月三十一日、納品後に公表されるということでありました。四月の初めには公表したいということであります。

 これをごらんいただきますと、導入見込み量ということで、太陽光、風力、それぞれあります。再エネの部分でいいますと、低位、中位、高位というのは、推計が進んだ場合、中ぐらい、はるかに進んだ場合、こういうことであります。この三つのケースで、中位推計であっても二千五百三十六億キロワットアワー、ほかに大規模水力二百五十、足して約二千八百、これだけの規模が導入の見込みとして考えられるという資料なんですね。これはまだ環境省としてはコンクリートしていませんが、恐らくはこれに近いものが出てくるでしょう、途中段階のものでありますから。

 そこで、こうしたものに対して、経産省、これが今後どういう数値になるかなんですが、私は大事な質問をしてきました。

 このように、関係閣僚がバイで、少なくとも事務方も含めて調整をしていくという場が必要なんです。現在、ありません。温暖化対策推進本部しかないんです。それは二年前に開かれたり、あるいは去年一回開かれたりで、あくまでも排出削減の目標の進捗状況の確認だけなんです。しかし、温暖化対策の排ガスの排出抑制目標の設定とベストミックスは表裏一体なんですよ。

 環境省では、電力会社を所管できないのでコントロールできません。大臣はそれができる。一方で、排出抑制目標に関しては環境省の所管です。まさに、この両大臣がともに関係閣僚として議論をして、そして突合させていく場が必要なんです。我々、民主党政権時代にはこういったことをやってきました。

 大臣、望月大臣は、宮沢大臣とは同じグループだとおっしゃっていました。よく話をするとおっしゃっていました。派閥やグループの中で話をされるだけでは足りません。大臣、ぜひこれは、私、望月大臣に、そのようにしたいと先ほど九時からの質疑で答弁いただきました。大臣も当然それをお受けいただけますでしょうね。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 恐らく、二つの点があるんだろうと思います。

 太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの接続の問題というのがございます、固定価格買い取り制度のもとで。これをどの程度接続することが実際可能かということにつきましては、これはまさに経産大臣の仕事そのものだと思っております。

 また、温暖化目標につきましては、これは内閣としてしっかり対応しなきゃいけない話でありますけれども、ベストミックス自体も私の責任で経産省でつくるべきものだと思っております。もちろん、その過程において、環境省の御意見を賜ることは適宜いたしますけれども、基本的には、経済産業省、経済産業大臣の仕事だと思っております。

馬淵委員 突合させることが重要なんです。決められるのは最後は大臣でいらっしゃいます。環境省も最後は環境大臣が決められます。しかし、その途中の過程で両者が調整をするということが重要、それも内々ではなくて、バイナリー、少なくとも場の設置が必要だということを改めて申し上げて、本日、私の質疑の終了とさせていただきます。大臣、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 維新の党、木下智彦でございます。

 先週に引き続きまして質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、先週途中で終わってしまったので続きをということで、主に福島第一原発の廃炉・汚染水対策についてお話をお聞きしたいと思います。

 まず最初に、先週、三月二十日の本委員会におきまして、田中規制委員会委員長の方からいろいろ御答弁いただきました。

 前回の中では、委員長の方に私が、予算委員会での答弁であるとか、そういうところで、いかにももう全てが安全であるかのような印象を与える、そういうお話が特に多くて、現実的に見たときには、状況を踏まえ、非常に遠回しにお話しされている印象があると。こういうやり方をしていると、一般的に原発に関して、今の国民はどういう印象を持っているかというと、やはりどうしてもまだ不信感を払拭できないという状態にある。まず、原発が今再稼働、いろいろ申請があったりしておりますけれども、それが実際に稼働するというふうな一番の条件にならなきゃいけないのは、国民の不信感というのをしっかり私は払拭していく必要があるんじゃないかなということをお話しさせていただきました。

 それで、大臣の方からもいろいろと御答弁をいただいたんですけれども、その延長線上でもう少しお話をさせていただきたいんです。

 きょうは田中委員長はいらっしゃっていないんですけれども、田中委員長は、私の方からお話しさせていただいた例のK排水路の炉規法における告示濃度限度、これについては瞬間値ではなくて平均値であらわす、それを言われていたんですけれども、K排水路というのか、特に汚染水に関しては。

 では、K排水路については、昨年の四月以降でどれぐらいの平均値を示していますか、告示濃度限度に対してどれぐらいですかというふうに聞かせていただいたら、告示濃度限度の倍程度だろう、そういうことを御答弁されたんですね。やはりそういうのを聞いていても、結局は、そういうことはアンコントロールという状態にあると私は思っているんです。

 これは、今まで国会で、いろいろなところで話がされているので、余り深くはちょっと聞きたくはないんですけれども、というのは、安倍総理が、もしくは政府が言っている、港湾内への汚染水の影響は完全にブロックされている、状況はコントロールされているという認識に変わりはないと、これは菅官房長官がことし二月二十五日の会見で言われているんですけれども、これは認識違いなんじゃないかと思っているんですけれども、これは端的にそれをあらわしているんじゃないかな、告示濃度限度が倍になっていますので。その辺は大臣はどう思われていますでしょうか。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

宮沢国務大臣 菅長官も総理もまた私もこう申し上げてきております。汚染水の影響は港湾内に完全にブロックされているということ。そして、それは港湾外でモニタリングをずっとしてきております。例えば、今おっしゃったK排水路に近いところにもモニタリングをする場所がございますが、そこの数値につきましては、継続して告示濃度限度と比べて十分に低い水準にあるということは事実でございまして、そういう観点から申し上げてきております。

木下委員 一貫してそういうお話だと思うんですね。一貫してというふうに言いましたけれども、実は私は微妙に変わっているんじゃないかなと。それを各メディア、報道も今までずっと取り上げてきている。では、メディアが言っていることがおかしいのかというと、そうでもないのかなと。メディアも予測の範囲内でお話をしているんだと思うんですけれども。

 例えば、昨年の九月八日、例のオリンピック・パラリンピックのIOCの総会で、安倍総理は、汚染水による影響は第一原発の港湾内の〇・三平方キロメートル範囲内で完全にブロックされているというふうなお話をされました。その後、翌九月九日、菅官房長官は、シルトフェンスによってコントロールしていると言うのは当然という形になった。十月二十一日の予算委員会では、安倍総理は、全体として状況はコントロールされている、汚染水の影響はブロックされていると。これは報道が言っていることですけれども、完全にという言葉がなくなっているというふうにしたり、あとは、コントロールについても、全体としてコントロールしている、一旦弱まったというような感じのことを書いているメディアもあるんですね。

 そういうのを考えてみると、どうしても、やはり必要以上にと言ったらあれですが、政府もより一層、国民の不安を払拭させるようなことをやっていかなきゃいけないんだろう。どうしても、IOCの総会であったり、そういうところはパフォーマンス的に話しているんじゃないかとか、そういうことを言われてしまうんですよね。

 だから、私は思うんですけれども、もう少し、例えば前回のときもありましたけれども、予算委員会の中で、これは規制委員会の方がという話ですけれども、例えば、平均値はもう上回っています、瞬間的にじゃないから大丈夫ですというふうなのじゃなくて、もう平均値は上回っています、非常に憂慮するような状態だ、ただし、周辺海域にて汚染物質が希釈されているのでほとんど影響ないと考えています、ただ、影響があると思われるのは何と何とか、ちゃんとしたことを端的に示していくような、こういう形に変えていかなきゃいけないんじゃないかなと。そこが私、一番大きなポイントなんだろうと。

 ここではあえて申しませんけれども、何も原発自体が悪だとか、そういうのではなく、ほかの原発も含めて、もしも再稼働させるにしても、そういったときに、こういったことから着実に政府が表現も含めてやっていかなきゃいけない。

 ただ、何か今の感じを見ていると、これは私たち野党側にも問題があるのかもしれないですけれども、余りにも揚げ足をとるように追及をするということではなくて、まずは、本当の意味で、今何が起こっていて、国民の不安のある要素はこれだけれども、政府がこういうことをしているんだとはっきりと言っていくことが一番必要なのかと思うんですけれども、大臣、その辺はどうお考えでしょうか。

富田委員長代理 木下先生、今、昨年の九月八日と言われましたけれども、ブエノスアイレスの発言は一昨年です。

木下委員 済みません、申しわけございません。委員長、ありがとうございます。

宮沢国務大臣 規制委員長の御発言、私も聞いておりましたけれども、私の印象といいますか受けとめ方は、サイト内の水、雨水の放射性物質濃度についておっしゃったと思っておりまして、当然、サイト内はまさに汚染をされているわけであります。そして、サイト外でありますけれども、港湾内というものも汚染水の影響がある地域であります。そして、それ以外の海の地域、港湾外につきましては、先ほど申し上げたような状況であるということを申し上げてきております。

 また、こういうことをしっかり申し上げることによって、例えば、福島の漁民の方等々大変心配されている方がいらっしゃいますので、毎日しっかりはかって、告示濃度限度よりはかなり低い値であるということはしっかりとお知らせをしていくことが我々としての務めだろうと思っております。

 その上で、なかなか国民の理解を得ていないという御指摘がございました。それは、いろいろな発信の仕方をさらに検討していかなければいけないと思っております。

木下委員 基本的にはそうだと思うんですね。

 ただ、きのうの報道を見ていたら、排水路の外洋に流れたベータ線放射性物質は昨年四月からことしの二月までで計二千三百億ベクレル、セシウム137が千五百億ベクレルと推計されている。規制委員会、東電とも、外洋への影響が少ないという見方をしているというふうになっているんです。ただ、一つポイントがありまして、そうはいいながら、四月からは外洋ではなく港湾内へ流す計画だというふうに言われているんです。

 これは私、結構ポイントだと思っていまして、ということは、今まではある程度コントロールされていたと思いながらも、やはり、外洋にそのまま流れて希釈されているにしても、影響があるおそれがあるから、だからこそ、よりコントロールをさせようということで港湾内に流すんだということだと私は理解しているんです。これは恐らく正しいと思っております。

 そういうことを考えても、やはり正確性を期さないと、どうしても、何億ベクレルとか、億とか兆とか、そういうふうな数字が出てくると国民は相当不安を感じます。だから、そこはやはりしっかりと払拭していくというのが必要なのかなと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、時間がもうほとんどないのでお話しさせていただきますと、きょうは高木副大臣が来られていないんですけれども、私の方から、福島第一原発の中で政府の人間がどれぐらい働いていますかというふうな質問をさせていただきました。

 高木副大臣からはいろいろきちっと御説明いただいたんですけれども、その中で一つ、ちょっと気になったところがありまして、国が前面に立ってという意味では、サイト内七千人の人員から、第一義的には東電が責任を持って作業することと、国が費用面も含めて前面には立ちにくい、そういう御答弁がありました。

 私はそういう形で聞いたのではないんですね。何かというと、やはりミスであったりとか、こういった形で汚染水が流れ出てしまったりとか、そういうことをしたときに、これはもう前の前の茂木大臣のときからお話しさせていただいているんですけれども、ミスを撲滅するためには特別のチームをもって当たらなければ、これはなかなかうまいぐあいにいかない。ましてや、東電が作業して、東電がチェックをして、それを報告するということをやっていてはいけないんじゃないですかということを言わせていただきました。

 ですから、七千人全部が政府の人間というのではなくて、チェックをする人間については独立性を保つ、もしくは東電の人間ではなく政府の人間がやるべきではないか。そうやってやることによって、チェック体制、プロセスが見直しされるのではないか。それをやらなければ、いつまでたっても同じことの繰り返し。今回のK排水路の話も、もともと東電側は報告をするというふうな認識を持っていなかったということを言われているんですね。ここを直していく必要があるんじゃないかと思っております。

 そこで、もしわかればお聞きしたいんですけれども、これは東電の方じゃないとわからないかもしれないんですけれども、その七千人のうち何人が、そういったミスを専門的に見つけたり、汚染状況を検査する役割だというふうに政府側は認識されているかということをお聞かせ願えますか。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 政府としては、廃炉・汚染水対策全体を進める上で不可欠となっております全体の進捗の管理を行っております。

 それから、議員御指摘の作業員の数に関しましては、毎月一回開催されております廃炉・汚染水対策チーム会合事務局会議におきまして把握しておりまして、例えば、一月であれば六千五百七十人、二月であれば七千百三十人というふうな数字になっております。また、各種の作業に当たる作業員の分野別の概数につきましては、必要に応じ東京電力から聞き取るというようなことをやってきております。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

木下委員 相当な人数である。これは作業と組み合わせでやられている部分も多いかと思うんですね。ただ、そうであれば組織体制としてしっかりと報告をさせる、もしくは二重のチェックを主要部分についてはやっていく、もしくは機動的な検査体制、今も既に政府はとられていると思いますけれども、より一層そういうことについては政府が前面に立っていくべきだというふうに思っておりますので、これもよろしくお願いいたします。

 最後の質問になります。

 これも以前からずっと私の方から言わせていただいているんですけれども、遮水壁であるとか、今もうそろそろできるというふうに言っていますが凍土壁、それから多核種除去装置、こういったものについては、今までも原子力賠償機構法の中で規定をされている補助金として、政府が東電に対して補助金を出して行っている事業という形になっています。政府が前面といいながら補助金という形なんですけれども。ということはどういうことかというと、東電の資産になっているのは私は余り好ましくないのではないかなということを前々から何度も、宮沢大臣は初めてなんですけれども、今まで政府側にお話をさせていただきました。

 なぜならば、例えば周辺国で何か同じような事象が起こったとき、原発事故が起こったときに、日本がやはり世界から期待されている部分というのは大きいと思うんですね。では、すぐに対策チームをつくって、日本政府がそういった対策を、対策チームとして派遣をすることができるかというと、恐らく今の状況では東電側にノウハウが集約されている状態だ、これではなかなかうまくいかないでしょうということを、今までお話しさせていただきました。

 これについては、また出てきますが茂木元大臣がお話しされていたのは、とにかく事態を収束させる、一丸となって事態を収束させることに注力していきたいんだ、ですから、まだそういうふうなことを考える時期にないというような、そういった感じのお話をされてきたんですね。ただし、もう四年たちました。だんだんそれなりの整理ができてきていると思うんです。

 ここでもうそろそろ見直しの時期に入っているのではないかなというふうに思っておるんですけれども、その辺は宮沢大臣はどうお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 同じような事故がほかの国で起こって、そのときに日本の知見を活用するということは、これは恐らく大変大事なことだろうというふうに思います。

 ただ、一方で、今の状況だけ見ますと、東電の所有のものを国の所有にかえても、今の状況が大きく変わるというわけでは恐らくないと思います。恐らく、ほかの国で同じようなことが起こったときには、いろいろな知見が東電にもたまっています。我々にもたまっています。そして恐らく関連するメーカーにはもっとたくさんたまっていると思いまして、そういうものを総合的に国としてまとめ上げてお手伝いをする、こういうことになろうかと思います。

木下委員 そういう言い方をされるかと思いますけれども、今度、福島第一原発以外にも廃炉の問題が出てきたときに、フランスのアレバであるとかウェスチングハウスの技術協力を得ながらやっていくという話も聞いています。それが悪いわけではないんですけれども、やはりもう少し機動的なことをそろそろ考える時期にあるのかなと思っていることが一つ。

 それから、今ちょっと私の方からもお話しさせていただきましたが、原子力賠償機構法の中で決められた形で補助金を出しているといいながら、機構法もそうですし、原子力賠償法も含めて見直すというふうなことが機構法の中にも書いてありますので、そうやって考えたときに、まずは、福島第一原発を一番の実例として、まず率先して、もう少し政府が前面に立つというのが、言葉だけではなく、もっと機動的なやり方を、これは前向きに考えていただきたいと思いますので、ぜひこれからもよろしくお願いいたします。

 以上で終了いたします。ありがとうございます。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 先週に引き続きまして、大臣所信とは言わなくても、一般質疑の方で先週お尋ねしたかったことを、引き続き質問させていただきたいと思います。

 もう一カ月ぐらい前になるんですけれども、理工系の大学の先生と昨年に引き続いてディスカッションする機会がありました。先生、今何が足らないと思っていますかという話をさせていただいたら、今、いろいろな補助メニューがあったり助成金があったり、いろいろな制度があって、国も含めて、国の研究機関とかもいろいろなサポートをしてくれているんだろうけれども、結局目ききが育っていないんじゃないかと。

 そういう視点に立って、今までの、国だけで何とかなるものでもないと思うんですけれども、メーカーはメーカーで、やはり、どういうものをつくれば売れるか、どういうものをつくればサービスを買ってくれるかというのを常日ごろ考えながらやっているんですけれども、確かにいろいろなメニューは国も持っていて、審議会をつくってそこで審査をして、補助金を交付しましょう、助成金を出しましょうというふうにやっているんですけれども、でも、実際それが本当に当たっていたのか当たっていないのか、その審査をする人自体が大学の先生だったりメーカーのOBだったりしているだけの話で、本当にその人たちが目ききなのかというのを問いかけ直さなければならない時代に私は入っているんじゃないかと思います。

 これからの日本を牽引する研究や分野、一昨年話題になりましたiPS細胞の山中教授も、失敗からノーベル賞をいただいたようなもので、結局、今までノーベル賞を受賞された先生方というのは、普通にやろうと思ってできなかったことが、失敗して、それを丁寧にやったらまた失敗したんだそうです。失敗の再現性があったから、もともとの理論が違うんじゃないかというところに立ち返って、新しいものを生み出した。

 大体、私と違って、ここのいい人というのは違うんだそうですね。私たちは、当たり前にやらなければと思って、何回も何回も、正しく、正しくとやるんですけれども、なぜ正しくいかないかというところに立ち返って物事を考えなきゃならないというのが、いろいろな発明、発見をした、功成り名を遂げた先生方だとお聞きします。

 ですから、研究や分野を見出すための目ききをいかに育てるかという視点を捉えて、大臣としてのお考え方をお尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 目ききという言葉は、私にとっては、お宝鑑定団じゃありませんけれども、古美術の目ききみたいなことだろうと思っておりましたのが、十年ぐらい前からでしょうか、まさに科学技術の分野で目ききが必要だ、アメリカは、目ききの人とベンチャーキャピタリストが組んで、大変いろいろな企業を育てているというような話を聞いて、ますます目ききの重要性というものが、ここ数年、年を増すごとに重要になってきております。

 目ききというのはどういう人かといいますと、ニーズに応える提案ができる人材とか、研究開発の目標実現に向けて柔軟かつ機動的なプロジェクト管理を行う人材とか、また、社会とイノベーションとの橋渡しを担う、要するにイノベーションをしっかりとした現実の社会に使えるようにする人材とか、そういう方たちだろうと思っておりますが、科学技術イノベーション総合戦略二〇一四におきましても、このような考え方に基づいて、さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。

鈴木(義)委員 そうすると、経産省の中ですと、目ききを育てる分野というのは、どこのセクションになるんですか。

宮沢国務大臣 経産省におきましては、NEDOにおきまして、内外の技術開発動向をしっかりと把握する、要するに、まさに新しいものはどういうものがあるかということをしっかり把握して戦略的に企画立案をするシンクタンク的なものとして、技術戦略センターを昨年四月にまず置きました。

 また、NEDOというのは、いろいろな開発資金等々をお配りするところでありますけれども、事業のプロジェクトマネジャーに、かなり権限と裁量を個人に付与いたしまして、柔軟かつ機動的にマネジメントを行えるようにしております。

 また一方で、これは予算でございますけれども、修士や博士課程在籍者を対象に、企業の研修現場における中長期のインターンシップを実際にやっております。要するに、学者先生に現実の社会を勉強していただいて、その間の目ききになる可能性がある方にそういう経験をしていただく、こういうこともやっております。

鈴木(義)委員 今御答弁いただいたんですけれども、もう七、八年ぐらい前だったと思うんですけれども、福岡県に、国と福岡県とあと企業が出資した、高性能のLSIを開発する振興センターみたいなものをつくってあったんです。そこに視察に行ったんですね。

 各メーカーさんの研究所に就職をした学生さんというんですか、若い研究者の卵の人たちが、そこに出向というよりも派遣をされて、そこで研究開発のベースの基礎を習うような。そこへ視察をさせてもらったときにはっと思ったんですけれども、ハンダごてをやっているんです。えっ、何で今さらハンダごてなんですかと尋ねたら、今の若い人たちというのはハンダを使ったことがないんですと。

 幾ら頭の中で、あとはパソコンを使って一生懸命シミュレーションしたとしても、実際に自分で物をつくった経験が指先にないものですから、そこで初めて、優秀な大学を出ているんでしょうね、大手のメーカーさんに勤めて、そこから二、三年、出向で来るんでしょうけれども、そんなことをやっていて、その人たちが訓練されていけばいいんでしょうけれども。

 NEDOの今の事例を出されたと思うんですけれども、NEDOの、一年間、いろいろなプロジェクトを採択したものがインターネットで全部公開されていますけれども、ほとんど名の知れた大学か、もしくは大手の企業さんに絡んでいるところが採択されているんですね。

 あとは、学会というのがいろいろな分野であると思うんですけれども、学会の頂点に立つ方というのは、どういう選ばれ方をされているかはその学会によって違うんでしょうけれども、大体、名立たる大学か、もしくはメーカーさんの研究者のOBの方がなっていますよね。

 そうすると、その人たちが本当に目ききであるんだったら問題ないんですけれども、では、目ききだったかどうかの検証を誰がするんだという話なんですね。それはやはり、国が税金を使って補助金を出すということであれば、やはりそれを、目ききを育ててきたんだ、それも過去に問題になったんだからそれに対応してきたんだけれども、それを検証するシステムをやはりあわせてつくっていかないと、トレンドを間違ってしまうんじゃないかと思うんですね。

 これはちょっと前後する質問で、大臣も後半は退席されるというお話を聞いておりますので、例えば過去に、もう三十年ぐらい前に話題になったんですけれども、農業分野でいえば、お米、F1と言われているハイブリッド米、これを一番最初に研究開発したのは日本の琉球大学の先生だと言われているんです。中国に渡って、最終的にはアメリカに行って、今のカリフォルニア米になったんですけれども、もとは日本の研究者だったんです。大学の先生です。

 ヒトゲノムでも、これはバブルのときにふんだんに研究開発費があったからなんでしょうけれども、一番最初に手がけたのは日本の研究所だったという話なんですね。それが、バブルがはじけたことによって研究開発費をどんどんどんどん削られてしまって、ほとんどのパターンを特許を出されてしまったのがアメリカ。私の記憶が間違っていなければ、アメリカで六千パターンぐらい特許を申請されてしまって、日本は六百パターンぐらいしか特許を申請されていないんです。

 では、それをどういうふうに医療だとかそのほかの分野で活用していくかというのは、これからの研究開発になっていくんですけれども、そういったことも当時きちっとサポートできていれば、海外に流出しないで、日本の中でコア技術として育てることができたんだと思うんですね。

 ちょっと古い話をしてもしようがないと思うんですけれども、そういった意味での目ききをやはり育てていかないと、そこは経産が責任を持つのか農水が責任を持つのかわかりませんけれども、やはりもう何年も前から言われている国家戦略局というんですか、室みたいなものできちっと把握して、大事に大事に新しい芽を育てていかなければならないと思っていますので、ぜひ、目ききの検証の仕組みをお考えになっているかどうか。

 それと、今申し上げましたように、いろいろな先端というふうに、今は、今の時点ですから過去を振り返って先端だったというふうに認識しているだけの話でありますから、そういった補助金だとか助成金の採択、こういったものの改善をされていく考えがあるのか、お尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 政府といたしましては、昨年五月に総合科学技術会議を改組いたしまして、総合科学技術・イノベーション会議ということで、これが政府全体、科学技術の司令塔として、重点分野の設定等を行っているわけであります。

 そして、まさに目ききというのは、おっしゃったように、本当に少ない人だろうと思うんですね。先日もテレビを見ておりましたら、私の地元の広島県東部にはコイの養殖の最大手がありまして、まさにたくさんふ化した稚魚の中から、目ききですよ、何段階かに分けてこうやって、最高級は自分のところで育てる。そうすると、全部が当たるわけではないけれども、それこそ三年、四年たったら一千万、二千万といったようなものが生まれてくる。

 まさに自分の目でチェックして、そしてまた一方で、結果が全部出る、それが正しいことでありまして、おっしゃったような評価ということ、事前評価、中間評価そして事後評価ということをしっかり実施して、先ほど言いましたNEDOにしても、補助金等々について全て評価をしながら、そして、目ききの成果みたいなものもしっかりわかるような、そういう仕組みというのがどうしても必要だなというふうに思っております。

鈴木(義)委員 ぜひそこのところを、ちょっと答弁が足らなかったなと思うんですけれども、評価を誰が最終的にしていくのかということなんですね。これは難しいと思います。

 今、ロボットだとか医療だとかゲノムだとかというのがトレンドに位置づけられています。工業系でいけば、素材でいえば炭素繊維が一つのトレンドになっていると思うんですね。ではそれが、炭素繊維というのがもう二十年も三十年も前から開発はされていたけれども、実際は高くて誰も使えない。でも、今少しずつそれが、いろんな加工をするとか、飛行機に使ったらどうだ、車に使ったらどうだ、そのほか建材に使ったらどうだとかというのは応用の話なんですね。だから、応用になってからだったらいろんなところが、メーカーも飛びついてきますし、研究所も開発して、大学もとる。

 だから、そこのところの、もう一歩、二歩手前のところの芽をどうやって目ききの人が探していくか。また、それを、十年かかるか二十年かかるかわかりませんけれども再評価していくというような仕組みをつくっていかないと、日本の中でのコア技術というのは育っていかないんじゃないかと思います。

 ITを駆使していろんなソフト産業が今謳歌していますけれども、それはあくまでも応用にしかすぎないと言われているんです。機械メーカーだって、今いろんな素材もそうですけれども、これからどういうふうに使っていかれるか、どういうふうに事業展開されていくかというものはあくまでも応用で、その一歩でも二歩でも手前のコアな技術のところを、目ききの人が新しいものを生み出していかなければ、日本はやはり応用でしか食べていかれない、そういった国になってしまうんじゃないかと思います。ぜひそこのところを、もう一度、御答弁は結構ですから、お考えいただけたらありがたいなと思っております。

 また、私も常々思っているんですけれども、これは経産省とは全然違っちゃうんですけれども、融資にかかわる目ききというのも本当は大事なんです。

 ある金融関係の方と話をしたら、なかなか融資が厳しいんですね、何でですかと尋ねたら、いや、私たちが若いころ外回りしていたときには、なるべくお金を集めてこいというのが厳命されていたから、何でかんでお金だけは集めてくるんだと。その人たちが今度は融資の審査の対象になってくる。だから、お金しか集めたことがない人が融資審査したって、これは無理なんですよ。

 今でも日本は担保主義です。お金を借りるのに、例えば、百万円の担保があるから八十万円貸すというのが今の融資の仕方なんです。投資なんて口では言うけれども、ほとんど融資、それも担保主義。なおかつ、担保がなけりゃ保証協会をつけろ。事業計画に基づく目ききが全然育っていない。それがずっと続いているんです。

 これは経産委員会で尋ねてもちょっとお門違いだと言われるから、きょうは金融庁の関係の方に来ていただいたんですけれども、ちょっとその辺どうなっているのか、御答弁いただけますか。

越智大臣政務官 鈴木委員から金融機関の目きき能力の点について御質問いただきました。

 まず、金融庁の取り組みでございますけれども、金融機関が担保、保証に必要以上に依存することなく、さまざまなライフステージにある企業の事業の内容やあるいは成長の可能性などを適切に評価した上で、それを踏まえた解決策の提案、実行支援に取り組むことが重要であると考えておりまして、この点につきましては、昨年の九月の金融モニタリング方針で、事業性評価という言葉を使っておりますけれども、事業性評価を重視した融資をするということを掲げてございます。

 その中で、このために、御指摘のとおり、各金融機関において目きき能力を発揮することが重要であるということでありますが、これをどうやって育てていくかということでありますが、組織としてのノウハウの蓄積なども含めた金融機関の取り組み状況について、検査、監督を通じて双方向で議論を深めることによって、各金融機関による積極的な取り組みをまずは促しているところでございます。

 具体的な施策としてどんなことをしているかということについて言いますと、目きき力を発揮した無担保無保証の運転資金融資の円滑化を図るための金融検査マニュアルの明確化、これはことしの一月にしたところでございます。

 また、REVIC、地域経済活性化支援機構の、事業性評価などをサポートする特定専門家派遣機能などの活用推進なども行ってきているところでございます。

 金融庁としては、引き続き、金融機関に対して、組織を挙げた目きき能力の向上のための、自主的な創意工夫を凝らした取り組みを促していきたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(義)委員 では、例えた言い方をします。

 これは私がつくったんです、これは私がつくった。これを量産してどんどん売っていきたいといったときに、これがもう、世界で私しかつくったことがないんです。それを、ある大手の都市銀行の方に、では、本部で審査してほしいと言って、これを出したんです。返ってきた言葉が、これは二、三年前の話ですから今御答弁いただいたこととはちょっとずれるかもしれませんけれども、これに対しての評価はできませんと言うんです。あなたの会社の総合評価で、なおかつ担保と保証協会をつけてくれれば、あなたがやろうとしている事業にお金を貸しますと。

 私は食い下がったんです。では、あなたの本社、本部でどういう審査をしたんですかと尋ねたら、その本部から返ってきた言葉が、うちにはこういったものをきちっと審査する部門がないから外注するんですと。外注して戻ってくるんです。その銀行はトータルでしか評価できない、こういう話なんです。

 これに対して、一万冊これをつくりたいといったときに、では、これがどれだけ売れるかというのをきちっと見定めなくちゃいけないから、今御答弁いただいたような話で、これも目ききなんです。それを育てていかなければ、どんなに産業政策で新しい芽を出すんだ出すんだといって尻をたたいて補助金を出したって、いざ商品化されました、事業を、小さいロットから量産していきますよといって規模を拡大するときに、金融機関に融資を申し込んだときに、売れるか売れないかわからない、あなたの小さい規模じゃだめだから融資できませんといったら、これはもう売れないんです。これが現実の話だと思うんですね。

 そこのところをわかって、もう一回御答弁いただきたいと思います。

越智大臣政務官 今の鈴木委員の御指摘に対して御答弁いたします。

 まず、ビジネスに対する目ききということと、あと融資をする際の目ききという点と、それぞれあるというふうに思いますが、金融庁の立場で、融資をする際の目ききという観点から御答弁をいたします。

 この点につきましては、先ほど答弁させていただいたとおり、一年前の金融モニタリング方針で事業性評価というのを正式に打ち出しましたが、その前、一年半前の金融庁の指針の中で、この事業性評価という言葉を使い始めたところでございまして、その趣旨というのは、先ほど申し上げたとおり、各企業のライフステージに応じた事業内容あるいは成長可能性などを適切に評価した上で解決策を提案するということでございます。

 その中に、それぞれのプロダクトの将来性等々も入ってくると思います。そういったことを促す意味でも、先ほど申し上げましたのは、今まで運転資金につきましては短期の転がしが多かったわけでございますが、短期について、それは長期にした方がいいんじゃないかというような考え方のもと、金融庁は取り組んできたわけでございますが、ことしの一月からは、短期の転がしをすることで、その都度その都度、金融機関が事業者と向き合うタイミングをつくることで、目きき力を高めるというようなことをする。

 また一方で、昨年の二月でありますけれども、経営者保証に関するガイドラインというものをつくりまして、このことによりまして、保証を前提とした融資慣行から脱するという融資の慣行が浸透、定着していくということを目指しているところでございまして、そんな中から、今委員がおっしゃったような案件について、より積極的に判断ができる環境をつくってまいりたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 最後に一言。もうお帰りになりますか。今の状況を聞いて、経済産業省の大臣としてちょっと一言だけ言ってお帰りいただければと思います。

宮沢国務大臣 大蔵省、財務省の出身者として申し上げますと、随分よくなってきたな、昔はひどかったな、こういうのが印象でございます。

鈴木(義)委員 ベンチャーキャピタルという言葉が、もう随分前から騒がれていたと思うんですね。これは金融機関とはまた別の取り組みなんだと思うんですけれども、こっちの人たちの方がまだ目ききなのかなと思うんですね。特に民間。だって、死活問題ですからね。何とか牧場とは全然違うと思うんですよ。

 だって、お金を人様から集めて、それで、ある研究だとか商品開発をしているところに融資みたいな形をしてリターンを求めて、またその配当を戻すわけですよね。今、銀行にお金を預けて、〇・〇三ぐらいしか定期預金はつかない。でも、ベンチャーキャピタルでリターンの多いところは二〇%を超えるところもあるし、通常平均しても六、七ぐらいはパーセンテージのリターンがあるんだそうです。やはりそれだけの目ききが育っているんだと思うんですよね。

 だから、そこのところは、金融庁になるのか内閣府になるのかわかりませんけれども、やはり、経産と農水と、事業部を持っているところと連携をとってやっていかないと。大臣がお帰りになってからですけれども、よくなったなと言って笑ってお帰りになりましたけれども、そういうことじゃないんだと思うんですね。

 やはり、オール・ジャパンでやるんだというんだったら、そこのところもきちっと横串を刺していくような政策をとっていかないと、これからベンチャー企業、若い世代の人たちがチャレンジをして企業化していくというような土壌がつくり出せないんじゃないかと思うんですけれども、お二人の政務官がいらっしゃるので、お一人ずつ御答弁いただければ、大体時間になると思いますので。

関大臣政務官 鈴木委員から、本当に日本のこれからの景気回復を初め、今後長い時間をかけて世界との経済競争に勝つためにどうするべきかという、非常に大切な御質問の内容だと私も受けとめました。

 このような目ききのところにつきましては、経済産業省の方では、新事業創出のための支援人材育成事業等で、予算も二十四年度では補正で七・三億円、二十五年度では補正で七・三億円を張りましたり、また、ベンチャー企業の支援等につきましては、二十六年度で十一・六億円とか張ったりしているんです。

 そして、過去に成功した人たちが新しい人たちを育てようということで、踏み込んだことがないという未踏会議とかいうふうなところを開きまして、学術研究者とか、今新しい技術を自分たちで発明したIT関係者が協議できるような場をつくったりしておりますが、そういう点で、今後大きな技術開発等のところを進めないといけないわけでございます。

 ちょっと私も個人的な経験を簡単に申し上げますと、昭和の金融恐慌で全然世の中にお金がないときに、住友銀行の福島支店の支店長が、たった三人だけが四畳半でやっている会社に行きまして、まだ会社をつくったばかりなんですけれども、その会社の社長の、私はこんな夢があってこういうことをやりたいんだという夢を聞きました。その夢が余りにも壮大で余りにもすばらしくて、これは大丈夫だと思って、金融恐慌で日本に全くお金のないときに、好きなだけここに金額を書いてくれという白紙小切手を渡したんですね、住友銀行の福島支店の支店長さん。その白紙小切手に金額を書いたその三人だけの会社の社長、それが松下幸之助さんでございました。そのときのお礼で松下幸之助さんは初めてできた第一号のラジオを福島支店に寄贈されて、それが今でも飾られております。

 こういうふうな、いわゆる金融機関の目ききの部分、これは本当にこれからも大事にしていかないといけないと思います。

 そして、金融機関の担当者も、よくできる担当者というのは、私も売り上げ日本一に二回ほどなったことがありますが、財務部、お金の流れのところに行かないんですね。本当によくできる営業マンというのは、新規商品開発部のところに話をしに行きます。どういう話をするかといいますと、これは例なんですが、本当に具体的にあった実例なんですが、ペプシとコカコーラが競争していました。それで、ペプシコーラがどうやってコカコーラを抜いたらいいか。そのときに住友銀行の一営業担当者は、それだったら、キャップの裏のところをいろいろ開発をしたら、おまけつき、十円とか五十円とか当たりにしたらどうですかと。これはいいやということで、ペプシはそれを開発した。

 そのときにお金が当然開発費で要るようになるからそこにお金を貸すのであって、本当の銀行の仕事というのは、そういうふうに、その企業がいかにもうかるようにするかというのをみずからが開発者としてアイデアを出して、その企業に採択されたら、そこで初めて必要になってくる資金に対してお金を貸す、それでお金が回っていく、こういうふうな考え方が本当に一番大事なことであって、鈴木委員のおっしゃっているのもこういう点じゃないかと私は受けとめました。

 そういう点をどんどんと、あらゆる分野、技術の開発だけでなくて、サービスの開発も含めまして全部進めていく、これが本当に大事なところだと私は受けとめております。

越智大臣政務官 金融庁として答弁させていただきます。

 ベンチャーキャピタルに対してどう向き合うかという観点で答弁させていただきます。

 総論としましては、成長資金の供給、そして国民の金融資産形成ということでありますけれども、成長資金の供給というところでベンチャーキャピタルの重要性というのは認識しております。

 そんな中で、今国会でもプロ向けファンドに関する制度の改正を含みました金商法の改正案を提出させていただく等、今金融庁としては取り組んでいるところでございますので、よろしくお願いいたします。

 以上であります。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

江田委員長 次に、岡下昌平君。

岡下委員 自由民主党大阪十七区の岡下昌平でございます。

 初当選から初めて質問に立たせていただきますので、ぜひ心温かい御答弁を賜りますように、また、一回生の私にこのような機会を与えていただきましたことを心より感謝申し上げます。

 それでは、まず初めにガソリンスタンドについて質問させていただきたいと思います。

 二十年前には日本全国に約六万カ所あったガソリンスタンドでありますけれども、今では半数近くに激減しております。私の地元の大阪におきましても、ピーク時に比べて半数以下の約千カ所まで減っております。特に大阪では価格競争が厳しくて、消費税がまた再び引き上げられれば、さらに中小の石油販売業者の経営が苦しくなります。

 一方で、東日本大震災を契機に、地域に根差したガソリンスタンドの重要性というものも見直されてきております。

 私の友人は今でも被災地でガソリンスタンドを経営しておりますけれども、あの大震災の中、大変強固なつくりであったがために、スタンドの設備がしっかりと保たれ、停電下でも手動で、手にまめをつくりながらバルブを回して給油をした、そして何とかライフラインを維持することができたと聞いております。

 皆様方も、車を給油する際にあの長い渋滞をつくっておられた光景というものはいまだに記憶に残っていらっしゃると思います。

 そんな中、三月四日に国土強靱化計画の第一号を策定した徳島県の計画、あるいは北海道の計画には、あの大震災を経験したことで、ガソリンスタンドの重要性や位置づけがしっかりと記載されております。

 私は、震災を教訓として、今激減しているガソリンスタンドを守ることこそが、国土強靱化にもつながり、今政府が取り組んでいる地方創生にもつながっていく、そのように確信をいたしております。

 既に政府は来年度予算におきまして、国土強靱化地域計画に基づいて実施される取り組みに対する関係省庁の支援を取り決めました。ガソリンスタンドの関係事業では、地下タンクの入れかえをする地域エネルギー供給拠点整備事業、石油製品販売業の人材育成などを支援する石油製品流通網維持強化事業、そして災害時に利用可能な石油製品を貯蔵するタンクの導入を支援する石油製品利用促進対策事業の三つの事業に対して、交付の判断に当たって一定程度配慮されることとなっております。

 そこでお伺いいたしますけれども、昨年の臨時国会で解散のため廃案となっておりました、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律等の一部を改正する法律案が今国会に提出されております。参議院先議と聞いておりますけれども、この法案の基本方針に、地方公共団体と緊急車両や病院などに災害時には優先的に燃料を供給すると協定を結んだ地元の販売業者に配慮すると、二十七年度の基本方針にしっかりと明記していくべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。

関大臣政務官 岡下委員に、今、官公需法等改正に際しまして、国等の契約の基本方針の中に、地方自治体と災害時の燃料供給のこととか、そういうふうな中小販売事業者に対する配慮をもっと明記したらどうかという、これは非常に重要な質問でございます。今、ちょうど地方創生のことが旬になっておりますが、そういうこととも非常に関連する項目だと深く認識をいたしております。

 このような内容で、先ほど委員もおっしゃられたように、徳島県そしてまた北海道なんかも、こういうふうな災害時の燃料供給協定というのを、いろいろ協定を結んでいるわけなんですけれども、改正の官公需法に基づきます国等の契約の基本方針の内容につきましては、本当に、今、岡下委員がおっしゃったことをしっかりと政府の内部でも検討してまいるに値する非常に重要な内容と受けとめております。

 そして、国等の契約の基本方針につきましては、各都道府県で国に準じた取り組みが実際になされていくことが本当に重要だと我々も思っておりますので、徳島県、北海道だけに限らず、全ての都道府県及び市町村、いわゆる自治体、全国千八百ぐらいございますけれども、その自治体に対しまして、大臣名で文書によりまして、国に準じた取り組みを図ってくださいと求めていきたいと思います。

 また、加えて、各都道府県では説明会等を開いてもらって、そういうふうな周知徹底を進めてまいりたいと思います。

岡下委員 どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 昨年の衆議院選挙におきまして、自民党の政策バンクにもこのことが記載されておりますし、やはり地域に根づいたガソリンスタンドというものをどう守っていくのか、これから過疎地域の問題もございます、限界集落のガソリンスタンドもどうしていくかという問題もございます。こういった地域のガソリンスタンドを国策としてしっかりと守っていくということこそが、やはり、国土強靱化につながり、地方創生につながっていくと私は考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、エネルギーミックスについてお伺いをいたします。

 現在、原子力を何%にするのか、あるいは再生可能エネルギーをどのぐらいふやすのか、我が国のエネルギー政策の最大の課題でありますエネルギーミックスの議論がスタートしております。

 経済産業省が設置した有識者会議、長期エネルギー需給見通し小委員会では、本年の一月三十日に第一回目の会合が開かれまして、三月三十日には第五回目の会合が開かれると聞いております。また、この小委員会のもとに発電コスト検証ワーキンググループを設置して、検討を開始されております。

 そこでお伺いいたしますけれども、我が国のエネルギーミックスの割合、これを六月のドイツで行われるサミットまでに、ある程度、一定の方向性が示されるのか、あるいは十二月のCOP21までに結論が導き出せるのか。やはり、これは各界各層から非常に注目度の高い問題でございますので、今お答えできる範囲で、進捗状況と今後の見通しというものをお聞かせいただけますでしょうか。

関大臣政務官 けさも、一番初めの御質問を委員の方から、いろいろなエネルギーに関する重要な質疑がずっと続けられております。

 今回、岡下委員の方から御質問をいただきましたエネルギーミックスの時期の提示も非常に大切な項目と思っておりまして、我々もできるだけ速やかに出したいと思っております。

 ただ、いかんせん非常に重要な項目でございますので、審議をしっかりしたいと思っておりまして、ことしの一月三十日から、長期エネルギー需給見通し小委員会という名前の審議会でございますけれども、そこで具体的な検討を進めております。

 専門家によるワーキンググループなんですが、発電コストの検証の議論等、安全性とか供給に対するいろいろな項目、いろいろな角度から見ながら、今後の日本のエネルギーのあり方、その大きな方針になると思いますので、時期はちょっと提示は、出させていただくのはまだ差し控えさせていただきたいと思いますが、岡下委員おっしゃってくださったように、できるだけ早く出していければと思います。

岡下委員 まだ現時点では原子力は一基も稼働しておりませんし、再稼働するかもわからないというのが今の現状だと思います。

 そのような中で、識者の方々がいろいろなところの意見交換をする際に、例えば原子力が一五%必要だ、あるいは三〇%だ、そういった数字が出てくるだけで、周囲が、それは再稼働ありきだとか、いろいろと批判をされます。そうなってくると、自由闊達な議論というものがとまってしまって、我が国のエネルギーの安全保障というものは全く進まない、このように考えております。

 エネルギー政策は国民生活や産業を支える基盤であるということから、政府は日本国の将来を見据えてやはり数字を早く明確に出す責任があるということを申し添えて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 そこで、先ほど申し上げたエネルギーミックスでございますけれども、やはり中小企業にとっては、電気料金の上昇が経営をさらに圧迫しているという現状がございます。

 先日、経済産業省では、固定価格買い取り制度に基づいて電気料金に上乗せされる利用者の負担金を、二〇一五年度は前年度の約二倍に引き上げると発表されました。ちなみに、平成二十六年度は一キロワットアワー〇・七五円、それが二十七年度には一キロワットアワー一・五八円となり、多くの中小企業にとっては、やはりこの固定価格買い取り制度の負担額というものがかなりおもしになってくると思います。

 私の地元、堺でありますけれども、堺におきましても、地場産業である刃物、あるいはさらし、これは多くの電力を消費します。そして、それにより、固定価格買い取り制度による厳しい経営を強いられてしまうということになりかねません。

 そのような状況下であるにもかかわらず、三月十日に開かれました第四回目の小委員会では、再生可能エネルギーが主要テーマとなりまして、経産省の事務方からは、二〇三〇年における再エネの導入見込み量を約二〇%以上にするという試算が示されました。

 私は、エネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの数字というものは、やはりコスト面というものをしっかりと考えて検証していただいて、実現可能な数字という形で示さなければ、中小企業に負担だけがのしかかってしまって経済が失速してしまうおそれがある、このように考えます。

 この件について、どのような方針で今後取り組まれようとされているのか、お聞かせください。

上田政府参考人 委員御指摘のとおり、現在、エネルギーミックスに関しまして検討を進めさせていただいております。

 その再生可能エネルギー、少し状況を申し上げますと、委員まさに御指摘のとおり、再生可能エネルギーは、一方で自然エネルギーでございまして、CO2を出さない、国産エネルギーという利点がございますが、他方でコストが高いという問題がございます。このコストにつきましては、賦課金という形で、国民の電気料金に上乗せする形で回収をさせていただいているという状況にございます。

 この賦課金の水準でございますけれども、キロワットアワーでいいますと、〇・七五円から、平成二十七年度では一・五八円となる。国民トータルでいいますと、日本全国でいいますと、昨年度の国民負担総額は六千五百億円でありまして、これが平成二十七年度は一兆三千二百億円になるという見通しを持っております。

 私ども、再生可能エネルギーに対する国民の期待というのが非常に高いということも承知しておりますし、また、現政権の方針といたしまして、省エネ、再エネを徹底的に進めて、再エネについては特に最大限の導入を図るという方針でいるわけでございますが、他方で、またこれも委員も御指摘のとおりでございますが、エネルギー政策の基本を、私ども、スリーEプラスSと従来言っておりますけれども、そのように考えております。

 このスリーEと申しますのは、エネルギーの安定供給性、エネルギーのコスト面、経済性でございます、それから環境。加えてSの安全性ということでございまして、特に再生可能エネルギーの負担の問題につきましては、中小企業の方々からも大変厳しい御指摘をいただいているところでございまして、最大限の導入と、一方でコストの抑制、こういったことを踏まえながら、エネルギーミックスというものの検討に当たっていきたいと考えております。

岡下委員 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。日本の産業を下支えしているのは中小企業であります。私の地元大阪も中小企業の町。中小企業の今置かれている現状を踏まえて、ぜひ慎重に検討されるよう要望しておきます。

 最後に、電力システム改革についてお伺いをいたします。

 今後、この法案が審議されるに当たりまして、電力の発送電分離がなされ、国民生活や中小企業にとってどのような利点があるのか、具体的な例を挙げながら説明していくことが重要になってくると考えます。

 先日、自民党の部会におきまして、大阪ガスなど三社が出資をしているエネットという会社の、電力システム改革をきっかけとした取り組みを聞きました。中身は、電気の見える化サービスや節電ポイント制度などでございました。

 これは非常に、電気の使用している量が見える化になれば、国民の節電意識というものも大きく変わってきますし、節電することでポイントが加算されるようなことであれば、さらに節電意識が向上していくと思っております。

 したがって、経済産業省といたしましても、法案の趣旨や具体例をわかりやすく国民に説明していくべきであると思います。今後の方針についてお聞かせください。

上田政府参考人 電力システム改革に関するお尋ねでございます。

 私ども、この電力システム改革、これはまさに、電気料金の上昇など、直面するエネルギー制約を克服していって、低廉で安定的な電力供給を実現するということのためのものでございまして、安倍政権の成長戦略にとっても非常に重要なものであるということでございます。

 また、委員御指摘のとおり、電力のみならず、今回はガスそれから熱供給の分野の改革をむしろ一体的に進めるということで、縦割りのエネルギー市場の垣根というのを取り払いながら、競争的でダイナミックなエネルギーの市場をつくり上げていくということが目的でございます。

 幾つか、具体例というお話でございましたので、申し上げます。

 今、エネットの話を委員の方から御指摘いただきました。エネットは大変先進的な取り組みを行っている企業でございまして、電力料金の見える化をコンピューターで行います。その見える化によりまして、消費者は、今は電力料金が高いので少し抑制しようかという気分になりまして、この見える化を行うだけで相当な節電意識の喚起ができる。

 加えまして、ポイント制というのも実施しておりまして、例えば、あした非常に電力の需要が高く見込まれるときに、事前に電話で、あした少し電力を抑制してくれればポイントを差し上げます、そのポイントはエネットに対する電力料金の支払いに充てていただいて結構ですと。ある種、節電効果が、いわば貨幣と同じような形に機能し始めているというのが、エネットのおっしゃったような取り組みであるわけでございます。

 こういう事柄は、例えば、現在は家庭に対する電力料金は、御案内のとおり、自由化がまだされておりませんので、規制料金になっておりまして、なかなかこういう取り組みは難しいわけでございますが、自由化が行われまして、電力システム改革が進展していくと、そういった企業あるいは個人の省エネ努力といったものが、見える化により、あるいは今のポイント制により、ある種、エネルギーをつくることと同じような形になってくる、このように私どもは考えているわけでございます。

 また、ガスあるいは熱供給も含めまして競争が進み、あるいは、さまざまな分野との融合が進むわけでございます。御案内のとおり、電力会社がガス領域に入ってくる、あるいはガス会社が電力領域に入ってくるという動きが既に実施はされておりますけれども、こういった動きがさらに加速されると思いますし、加えて、通信会社、ハウスメーカー、さまざまな事業者が、特に電力市場に対する参入に対しては非常に関心をお持ちの状況でございます。

 こういう中で、安い燃料の調達に努力された事業者が、業態やエリアを越えてシェアを伸ばしていくということになるわけでございますが、これは、消費者あるいは中小企業にとりまして最適なコストということになりますし、場合によっては、中小企業であれば、電力の利用の状況に対応した電気料金のあり方というのを提案することも可能になるわけでございます。

 あるいは、電気、ガス、通信ということをあわせたセットによる販売、あるいは割引ということも可能になるわけでございまして、こういったことを通じまして、エネルギーコストが最大限に抑制されることが期待されているわけでございます。

 電力システム改革、やや抽象的な法律でございますけれども、私どもといたしましては、今申し上げました具体例をできるだけ国民にわかりやすい形でお示しさせていただくことにより、しっかりとシステム改革の意義を世の中の多くの方々に御理解いただくよう努力してまいりたいと考えております。

岡下委員 新しい、おもしろい試みだと思います。ぜひ頑張っていただきますように。

 以上で終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 まず、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水対策についてお尋ねしたいと思います。

 一昨年、昨年と、この委員会で現地を視察させていただきました。

 昨年の六月に伺った際には、凍土遮水壁の実証実験がちょうど終わって、工事に着工した日に現場を見させていただいたんですが、凍土遮水壁の工事は今どんな進捗状況なんでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生のお配りいただいている資料にもございますように、凍土壁というのは、一号機から四号機の建物の周りをぐるっと一周取り囲むような氷の壁をつくって、地下水の流入をとめようという工事でございます。全体として、穴を掘って、そこに凍結管というのを入れて、そこに冷却液を流すということですが、全体一周で千五百五十一本の穴を掘り、冷凍機は全部で三十台を置いて、そこに冷却液を流していこうという取り組みでございます。

 まず、山側の三辺、コの字、ロの字でなくてコの字で進めようという計画で今取り組んでおりまして、この山側の三辺の連結工事の進捗状況は、三月二十五日時点で、全体、穴をあけるべきと計画しているもの千三十六本に対して、今、千二十四本、九九%が完了しておりまして、そこに凍結管というのを挿入するわけですが、その挿入も九百五十七本完了しておりますので、これは九二%に相当いたします。冷凍機は三十台を置く予定にしておりますが、これは全て設置が終わっておる、そういう状況でございます。

富田委員 設置状況はかなり進捗しているというようなお話でした。

 実は、二月九日に特定原子力施設監視・評価検討会の第三十一回会合が開かれて、その席で原子力規制委員会の更田委員の方から、この凍土遮水壁は要らないんじゃないかというふうに思われるような発言がありました。

 議事録を全部読ませていただきましたけれども、更田委員はこんなふうに何点かおっしゃっているんですね。

 地下水を汚染している部分に触れさせないという観点からすると、サブドレンというのは非常に大きな役割を担っていると理解をしているんですね。

  そうすると、サブドレンの運用を行った時点で、地下水位なり、それから原子炉建屋、タービン建屋への地下水の流入がどうなるかという確認はしないのか。これが一つ目の質問です。サブドレンの運用によって、地下水の流入が目標となるだけ抑制されたら、もう遮水壁要りませんよね。だけど、これは割と様子を見るまでもなく遮水壁の運用に入るような計画に見えるんだけども。これは主役の一つではあると思うんですけど、サブドレンにそこまで期待できないのはなぜなのかというのが一つ目の質問です。

  二つ目の質問は、陸側遮水壁の海側のものはある程度透水性があるんだと、流入を抑制するためのものだと。それから、海側遮水壁は遮断するためのものだと。だったら、海側遮水壁があれば、陸側遮水壁の海側は要らないんじゃないかという、なぜ海側遮水壁があるのに陸側遮水壁の海側をつくるんだというのが二つ目の質問です。

ということで、この発言を捉えて何社かのマスコミは、凍土遮水壁は不要だということを規制委員会の方が提言したというふうに書かれていましたけれども、実際これは、このときから二回開かれたと思うんですが、どういうふうに議論は収束していっているんでしょうか。

田中政府特別補佐人 今、先生御指摘のように、凍土遮水壁については、規制委員会の中にある特定原子力施設監視・評価検討会においてずっと議論を重ねております。

 本年二月の特定原子力施設監視・評価検討会においては、一―四号機を長方形状に囲む凍土遮水壁の海側の一辺について、メリット、デメリットを比べて次のステップへ進むべきではないかといった議論が行われております。

 これはちょっとわかりにくいんですが、凍土遮水壁は、港の方にもう一つ遮水壁がありますので、そちらがあって、そこは今、水が完全にたまらないように一部あけてあるんですが、いずれそこをとめないと、汚染した水がずっと出ておりますので、そういったことを含めて、そうすると、当然水がたまってきますので、それでサブドレーンで引けばいいのではないかというような、そういった趣旨の指摘だったと思うんです。

 それで、そういったことについて、一昨日の議論で、五時間ほど議論をしているのを私も拝見してきたんですが、いろいろまだ不確定要素もあるので、十分議論して詰めていくべきではないか。

 それで、もう一つ、凍土遮水壁をつくるときに、なかなか凍らないという部分も考えられるので、そういった点について、まずテスト的にそこを凍らせることをやりたい、やらせてほしいという提案がありまして、それについては、やってくださいという結論になっております。

 こういったことですので、いずれにしても、そういった排水についてのきちっとした対策を設ける必要がありますので、それについては、原子力規制委員会としても引き続き、きちっと監視をして指導してまいりたいと思います。

富田委員 詳しい資料をお配りしていないので聞いている委員の方はわからない部分があると思いますが、今委員長おっしゃったように、コの字型で十分じゃないか、四角く囲む必要がないんじゃないかということを多分、更田委員は、海側にも遮水壁があるんだからということで言われたんだと思うんです。

 廣瀬社長、この会議で配られた資料が二通りあって、私ちょっと見たんですけれども、陸側遮水壁による建屋への地下水流入量抑制効果という参考資料の方では、こんなふうに書いてあるんですね。サブドレーン稼働により、一から四号機の建屋流入量全体は一日百二十トンまで減少する。陸側遮水壁の四辺閉合により、一―四号機の建屋流入量全体は一日三十トンまで減少する。こういう資料が一つあって、これだと、サブドレーンを先にやれば、今四百トン流入しているものが百二十トンになる、結構流入量は減るというような資料なんですが、もう一つの陸側遮水壁山側閉合という資料には、遮水壁の方を先にきちんと動かして、できるだけ流入を減らした後に、サブドレーン、地下水ドレーンは必要に応じ稼働というような記載があるんですね。

 これは両方を見ると、言っていることが逆なんじゃないかということで、多分、規制委員会の方でも、サブドレーンがそんなに、これだけの効力があるんだったら遮水壁は要らないんじゃないかというような議論になってきてしまうと思うんです。

 そういったところをきちんとやはり規制委員会とも、きちんと説明した上で、今後の汚染水対策を進めていく必要があると思うんですけれども、そこはいかがでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 もとより、これらの対策は、一日四百トン入ってきていると言われている地下水の建物への流入を抑制するという観点からやっていこうということでございます。

 御存じのように、地下水バイパスというので、既に、当初四百トンと言われていたものが、今三百トンぐらいになっているという評価をしております。したがいまして、こうしたものを幾重にも重層的にやっていって、できれば本当に水の一滴も入ってこないようにしたいということだと思っています。

 したがって、どちらが先でどちらが後ということよりも、幾つかの対策を準備して、効果のほどを見ながら、次から次に打っていくということではないかと思っておりますので、今後とも、規制委員会、規制庁との協議の場で、私どもの考えをぜひ丁寧に御説明させていただいて、進めてまいりたいというふうに考えております。

富田委員 ぜひよろしくお願いします。

 もう一点、汚染された水をいろいろな形で処理していますけれども、その処理した水を今後どうするのか。今、タンクにずっとため込んでいますけれども。

 資料として配付させていただいた資料の二の方で、規制委員会が考えているリスクの低減目標マップというのがありますが、その一番左側をずっと下の方に見ていきますと、「多核種除去設備処理水の規制基準を満足する形での海洋放出等」という記載があります。これは点線で括弧書きされているので、実施時期が不確定のものという前提つきですけれども、平成二十九年度あたりにそういったことも規制委員会としては考えているというふうな資料として捉えていいんでしょうか。

田中政府特別補佐人 これも先生御存じだと思いますが、汚染水をため続けることによって、今、千基ほどのタンクでもう敷地が満杯になっている状況です。先ほどもありましたけれども、一日三百トンとかという水がたまってきますと、今、千トンタンクがつくられていますけれども、三日か四日でいっぱいになっていくというような状況があります。この状態をいつまでも続けることは不可能です。

 それで、実際にああいったところの廃止措置で、水を使わないで廃止措置を進めるということは事実上できませんので、汚染水は必ず出てまいります。そういった汚染した水については、やはりきちっと処理をして、排水の告示濃度基準がありますので、そのレベル以下になったものについては排出させていただく、そういういわゆる持続性のある水処理をしないと、廃止措置がどこかで行き詰まってしまうということを私どもは指摘しています。

 実は、一Fは、このリスクマップにありますように、たくさんのリスク要因を抱えております。そこは非常に重要なリスクもたくさんあります。ですから、そういったことを踏まえて、やはりそこは住民にきちっと説明することはもちろん当然ですけれども、そういう御理解をいただきながらやっていただきたいという意味であります。決して、ただ捨てればいいということを私が申し上げているわけではございません。

富田委員 住民の理解というふうに委員長はおっしゃいましたけれども、一昨年九月のこの委員会での現地視察の際には、漁業組合の皆さんとも意見交換をさせていただきました。そのときの資料をちょっと読み返していたんですが、こんな意見があったんですね。

 いわゆる地下水バイパスへの対応について、地下水バイパスについては、昨年十一月に東電と話し合ったとおり、近隣の河川と同程度のセシウムレベルになり、ストロンチウムは非検出となったら認めようと動いていた、あるいは、東京電力との関係について、東京電力からあらゆる情報を出してもらっている、信頼をなくすわけにはいかない、話し合いながら対策を講じていきたい、こういうふうに会長さんが言われていました。また、その情報発信のあり方について、毎日のように汚染水が出ているのを我々もどう受けとめてよいかわからない、正しい情報を発信してほしい、消費者にどう理解されているか考えてほしいと。

 ちょうど、漁組は操業をやめていて、試験操業を始める直前でしたので、やはりきちんとした情報が欲しいということでこういうふうに言われていたんですが、今回、雨水がまた漏れていたということで、漁組の皆さんは大分怒っていらっしゃって、今度は、何か五十人規模で現地を視察させてもらうというような報道もありました。

 そういった現場をきちんと見ていただいて、東京電力としてもできる限りのことをやっているということをきちんと説明していただいて、住民の理解を得た上で、先ほど委員長がおっしゃっていたような形にどうやって持っていくか、ここが大事だと思うんですけれども、東京電力としてはどのようにお考えでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘いただきましたけれども、地下水バイパスを御理解いただいて私どもは今やらせていただいておりますけれども、その際も、十分に、何度も何度もお時間いただいて御説明をさせていただいた。その上で、まさに苦渋の決断ということでお認めいただいて、さらに次にはサブドレーンを御理解いただくべく、昨年、ずっとその説明を続けてきたところでございます。

 そうしたところに持ってきて、御指摘のように、今回、雨水が排水路から外に出ているということ、これに対する公表の問題で、せっかく今までいろいろ信頼関係を築きつつあったのかもしれませんけれども、そうしたことを我々みずからが壊してしまったという形になっておりまして、大変申しわけなく思っておるとともに、本当に残念でございます。

 まさに、かくなる上は、まずとにかく、K排水路の問題についても、これは現地の様子を見ていただくことも含めて、時間をいただいて丁寧に御説明をさせていただくということ。そこからまた、時間がかかるかもしれませんけれども、信頼関係をぜひ構築していきたいというふうに考えておるところでございます。

富田委員 ぜひよろしくお願いします。

 終わります。ありがとうございました。

江田委員長 午後零時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時十二分開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 二十日に続きまして、福島第一原発K排水路の問題について質問いたします。きょうは東京電力の廣瀬社長にも御出席いただきました。

 二十日の当委員会で、東電が高い放射性物質濃度の雨水がK排水路から外洋に流れていることを昨年の一月に政府に報告して以来、ことしの二月二十四日まで一年間もデータを公表しなかった理由について、高木副大臣はよくわからないと答弁されました。

 社長、よくわからないじゃ済まないと思うんですね。東電は、なぜ一年間もK排水路のデータを公表しなかったんでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のとおり、K排水路の問題につきましては、原子力規制委員会のもとにございます特定原子力施設監視・評価検討会というところで昨年の一月から議論がされ、その段階では私どももデータを出しておったわけでございますが、その三月の検討会で、これから一年程度かけてK排水路の濃度を下げていこう、そのために、いろいろな場所、どこに汚染源があるのかといったようなことを調べていきましょうという御指示をいただきました。

 したがいまして、ここからがいけないわけですけれども、私ども、四月から、原因を見つけて、そこの対策をとろうということで、そちらに集中してしまったということで、以来、その検討会で状況を御説明するのをやめてしまったということでございます。

 ことしになりまして、ちょうど一年程度ということのタイミングがそろそろ来ているというところで、また改めて、それまでにわかったことも含めて、報告をさせていただいたということでございます。

 本当に、漁業者の方々等々、海に放射性物質が流れているということに関してどれだけ御心配されるかということに思い至らなかったということで、大変反省をしているところでございます。

真島委員 今言われたのは経過であって、なぜデータを報告しないということが一年間も続いたのかという自己分析が全くないですよね。

 二〇一三年の夏にタンクから汚染水漏れがあったことが大きな問題になりまして、同年の九月三十日に当委員会で御社の相沢副社長が、「今後は、迅速でかつ率直なデータの開示ということ、それについて我々として、十分な解析が必ずしも行われていなくてもデータとして御報告する、公表してまいるということを第一の原則といたしまして、対応してまいりたいというふうに思います。」と答弁されているんですよ。

 ところが、今なお東電は、データの公表を第一の原則として対応していないじゃないですか。国会答弁というのは国民に対する約束ですよ。データ隠しの体質と言われても仕方ないと思うんですけれども、なぜ国会で約束したデータの公表さえできないんですか、社長。

廣瀬参考人 本当に、一昨年の七月に海側にトリチウムが漏れているのではないかというデータについて、データの公表がおくれ、大変皆さんのお叱りを受け、また、漁業関係者初め皆さんに大変な御心配をおかけしたというところの反省から、今御指摘のありましたような形に改めよということで、以来やってきたわけでございますが、今回、それができていないということでございます。

 原因は、繰り返しになりますし言いわけになりますが、この一年程度という期間は、汚染源を見つけて、それを対策する期間というふうに受けとめたということだと思います。決して隠すということではなかったと思いますし、現実にその前のデータは公表させていただいていたわけですが、そこで見つける方に切りかわってしまったということだと思っています。

 いずれにいたしましても、そうした我々の考えた対策が徹底できていなかったということは事実でございますので、改めましてしっかりとした策を施して、今後そうしたことのないように、データの開示を速やかに行っていくという方向に持っていきたいというふうに思っております。

 本当に申しわけございませんでした。

真島委員 二十日の委員会で田中規制委員長が、K排水路について、「実際に濃度の測定結果とかということについてもこちらから要望していたんですが、その報告がなかったということで今回の事態を招いたというふうに認識しております。」と。つまり、一年前に東電に報告を指示したのに、東電が報告しなかったからこうなったんだと。政府の方も、データの公表さえ東電任せ。一年間報告もないのにほったらかす。

 それで、ちょっと政府の情報の開示ということに対する姿勢を別の例でお聞きしたいんですけれども、昨年四月の当委員会で、我が党の塩川鉄也議員の質問に対して原子力規制庁の山本審議官は、福島第一が事故を起こした二〇一一年の三月十一日から本年二〇一四年二月二十五日現在で、トラブルまたはトラブルに準ずるものということで抽出した件数は全体で百七件、このうち、汚染水関係のトラブルは八十七件と答弁をされています。

 それでは、昨年の二月二十六日以降では、トラブルまたはトラブルに準ずるものの件数、そのうちの汚染水関係の件数はどうなっているでしょうか。

山田政府参考人 御質問いただきましたトラブルまたはトラブルに準ずるものということにつきましては、はっきりとした定義をしておりませんので、その後ということの御質問でございますけれども、現在そのような整理はしてございませんけれども、東京電力から、二〇一一年三月十一日以降、原子力災害対策特別措置法の第十条、第十五条及び第二十五条に基づいて、日常的な活動を含めて、原子炉の状況ですとか事業者の措置、こういったものについて報告を受けてございます。その件数は、二〇一五年三月二十五日現在で、累計で約一万一千件になってございます。これは公開をさせていただいているところでございます。

真島委員 一万一千件と今言われましたけれども、それはホームページ上で公開されておりますよね、この通報リストのことでしょうか。

山田政府参考人 そのとおりでございます。

真島委員 昨年の四月の委員会で塩川議員が質問したときにいただいた、トラブルまたはトラブルに準ずるものというリストは非常に整理、仕分けがされておりまして、どういう内容のトラブルなのかというのも表題を見ればある程度わかるような内容になっています。

 しかし、今言われた、ホームページで掲載しているものは、タイトルは書いてあるんですけれども、それが何を意味するのかというのは国民の皆さんが見てもわからないんですよ。

 そしてもう一つ、規制委員会のホームページに、原子炉等規制法または放射線障害防止法に基づく報告ということで出ているんですけれども、これは非常に件数が、トラブル全体の中では少ないんですけれども、昨年の四月に答弁された百七件、八十七件との関係では、数字はどうなるんでしょうか。

山田政府参考人 昨年お答えさせていただきました件数については、抽出の仕方というものが必ずしも明確な形になってございませんでしたので、現時点では、報告を受けたものについては全て公表するということでやらせていただいているところでございます。

真島委員 今言ったものは、もうホームページに出ているから答えは出ているんですけれども、百七件と昨年言われていたトラブルが、その内容で仕分けしたら、わずか五件なんですね。多くのものがその中から除外されています。

 例えば、除外されているものの中には、二〇一一年四月四日の五、六号機のサブドレーンピットからの高濃度汚染水の意図的な海洋放出、二〇一三年四月に大問題となりました地下貯水槽からの汚染水の漏えい、二〇一三年十月の台風二十六号に伴う豪雨によるタンクエリアのたまり水の計画外排水、あるいは堰からの溢水というものも含まれております。

 そういうものも含めて、よくわかるように公開すべきだと思うんです。例えば、先ほど言われた通報されたものの概要リストでいきますと、今回のK排水路の問題はこの中に出てこないんですね。だから、本当にそういう公開の仕方でいいのかというふうに思います。

 大臣にちょっとお聞きします。

 二〇一三年の九月、政府の汚染水問題に関する基本方針で、「想定されるリスクを広く洗い出し、予防的かつ重層的に、抜本的な対策を講じる。」「徹底した点検を行うことなどにより、新たに発生する事象を見逃さず、それらの影響を最小限に抑えるよう適切な対応を行う。」と言っているわけですから、国民にわかりやすく、どういうことが起きているのかということ全体をやはり国民に公開して、そしてそれにどういう対策をとっているのかというのをやはり見えるようにしてやっていく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 法律に基づきまして、東京電力が原子力規制委員会にトラブル等につきましては報告をしております。そのほか、廃炉・汚染水対策現地調整会議などの場で、必要に応じて東京電力から報告を受けており、その資料は公表されているわけであります。

 そして今、適切な公表というお話がありましたけれども、これは正直、三条機関である原子力規制委員会がどういう形で公表するかというのは、なかなか政府の側から申し述べにくい話でございまして、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

真島委員 国民に対する情報の公開ということが、先ほど来、当委員会でも議論になりましたように、今回、一年間データを出していないことによって大きな不信を招いているわけですよね。国が前面に出てこの汚染水問題もやっていくんだということを言っているわけですから、情報の公開というのは非常に大事な問題だと思うんですよ。ですから、国としても、こうあるべきだということをきちっと示すべきだと私は思います。

 昨年の一月二十四日の汚染水対策検討ワーキンググループで、K排水路など港湾外にある出口のつけかえについて、東電が検討している中身を次回なりに報告すると確認をしたのに、回答があったのはことしの二月二十七日の規制庁と東電の面談のときだということが前回の委員会で明らかになりました。

 そして、三月四日の特定原子力施設監視・評価検討会で、東電原子力・立地本部の姉川本部長が、K排水路の水量の八、九割程度を港湾内に導けるものなら一カ月くらいでできるという計画を、これは一年前に持っていたので、あの時点で早い行動をとるべきだったと思っている、K排水路の水を港湾内に導く対策を暫定的にでもとれなかったことは私たちの組織の問題点だというふうに発言をされているんですね。

 二十五日のまた同じ会議では、東電の報告を見ますと、この一カ月でポンプの設置が終わっています。そして、四月から、K排水路から港湾内につながるC排水路への移送が始まる。東電の松本部長は、これで九九%くらいは、降雨が多いときでも港湾内に導けるというふうに発言をされています。

 一カ月でできることを一年前に実行しなかったためにどうなっているかということで、その二十五日の検討会で、昨年四月十六日からことし二月二十三日までの、K排水路から外洋に放出された放射性物質の総量が示されておりますけれども、これは核種ごとに何ベクレルでしょうか。

廣瀬参考人 ただいま先生御指摘の報告は、一昨日、私どもから特定原子力施設監視・評価検討会に御報告したものでございまして、昨年の四月十六日からことしの二月二十三日までの三百十四日間のデータでございます。

 K排水路についての核種ごとの総排出量は、セシウム134が五百億ベクレル、セシウム137が千五百億ベクレル、それからストロンチウム90が百五十億ベクレル、そしてトリチウムが四千億ベクレルという報告をさせていただいております。

真島委員 なぜ、汚染水を漏らさないという一カ月でできる対策を一年前にやらなかったのかということで、二十日の当委員会で、規制委員長はその理由を、K排水路から決して流していいということではないけれども、この一年間の最大の課題は、六桁から七桁くらい放射性物質の濃度が高かった海側トレンチの水や、H4タンクから漏れた水が流れるB、C排水路の対策だったというふうにおっしゃいました。

 副大臣も、汚染水対策のリスクの優先順位の中で、雨水という自然現象については清掃ということでやってきたというふうにおっしゃいました。

 政府は、二〇一三年の九月に、汚染水を漏らさないということを汚染水対策の三原則の一つに掲げていたのに、リスクの優先順位が低いという理由で漏らさない対策をさせなかったということなんでしょうか。もう一度確認します、大臣に。

宮沢国務大臣 漏らさないという対策をさせなかったということではなくて、少し時系列で御説明をさせていただきますと、昨年二月の廃炉・汚染水対策現地調整会議において、K排水路の放射性物質濃度が高いということの資料が公表されました。

 その後、東電におきましては、原子力規制委員会から示された目標達成に向けてやってきたわけですけれども、昨年十二月になりまして、思ったより濃度が十分下がらないという報告を経産省としても受けたものですから、事務方よりさらなる調査、対策を行うように指示したところ、結果として、今回、高濃度のたまり水が見つかったというのが経緯でございまして、汚染水対策をさせなかったということではございません。

真島委員 汚染水対策をしていないとは誰も言っていないんですよ。漏らさない、今度は一カ月でできた対策を、その時点でなぜ、しなさいと言わなかったのかということなんですよね。

 二〇一三年の九月に、政府が、汚染水問題に関する基本方針で、一日も早い福島県の復興、再生を果たすためには、深刻化する汚染水問題を根本的に解決することが急務だということで、東電任せにするのではなく、国が前面に出て必要な対策を実行すると宣言した直後にこうした問題が起きてきているんですよ。

 大臣、二十日と本日の質疑で明らかになりました、データの公表、そして必要な対策、両方とも東電任せで、従来のような逐次的な事後対応を繰り返しているじゃないですか。これで国が前面に出ているなんて誰も思いませんよ。政府の汚染水問題の基本方針の根幹にかかわる、今回のこのK排水路の空白の一年、しっかりと総括して反省すべきじゃありませんか、大臣。

宮沢国務大臣 しっかりと現地対策本部におきましても、当省の職員も参加いたしまして、まさに正面に立って廃炉・汚染水対策をやっているところであります。

 一方で、このK排水路の排水口からの、水が漏れていたという件につきましては、やはり、港湾外のモニタリングを相当精密にやっておりまして、K排水路の近くにもモニターがあるわけでございますけれども、そこの数値というものが一貫して告示濃度限度に比べて十分低いということから、港湾外への影響はないという判断をずっとしてきたわけでございます。

 ただ一方で、そのK排水路は港湾外に直接つながる排水路であるということに鑑みますと、地域の皆様のお気持ちにやはりもう少し思いをはせて、しっかりと情報公開を行い、不安を与えないように対処すべきだったのかなという気持ちがございます。

 今回、そういうことを受けまして、まさに総点検をさせておりますけれども、これは、させているというよりは、経産省の職員等々、国がまさに前面に立って総点検を行って、洗いざらい網羅的に問題点を見つけだそうということで今行動しております。

真島委員 今回のK排水路の問題で改めて浮き彫りになったのは、まさに今答弁されたように、汚染水を薄めて海に流せば、大量の海水で放射能濃度は果てしなく希釈されるから問題ないという政府の姿勢だと思うんですよ。だから、東電任せを続けて、相次ぐ汚染水漏れと情報隠蔽という最悪の事態を繰り返しておりますし、そのたびに、港湾外の海水の放射能濃度が法令告示濃度よりも低いから、汚染水の影響は完全にブロックしている、状況はコントロールされている、こんな無責任な言葉を皆さん繰り返しているわけですね。

 福島第一原発の事故は、ふるさとを奪いました。家を奪いました。健康を奪いました。なりわいを奪いました。人生を奪いました。家庭を奪いました。コミュニティーを奪いました。日本の歴史上、最大の人災ですよ。

 国と東電は、その人災の加害者なんです。被災者の皆さんの、時間も空間も超えたこの苦しみと被害に向き合うというんだったら、放射能で海は汚さないという基本原則、これをしっかりと守って、国がしっかり前面に出て汚染水対策を進めていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、内閣提出、株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。宮沢経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮沢国務大臣 株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 中小企業、小規模事業者は、全国に三百八十五万者を数え、それぞれの地域における多様なニーズに対応したさまざまな事業を行い、地域の経済、雇用を担う重要な存在であります。

 一方、人口減少、少子高齢化の進展等を背景として、中小企業、小規模事業者を取り巻く事業環境は厳しさを増しております。このような情勢下において、地域の活力を取り戻すためには、地域の経済、雇用の担い手である中小企業者の事業の持続的な発展を支えるための環境整備が重要であり、特に、中小企業者に対する金融の円滑化を図ることが必要不可欠であります。

 このため、経済危機時の安定的な資金供給に万全を期し、企業の潜在的な成長力を引き出すために、株式会社商工組合中央金庫が危機対応業務等を的確に実施する措置を講ずる必要があります。また、中小企業者と同様に事業を行い、地域の経済や雇用を担うNPO法人の事業資金の調達を支援する必要があります。

 以上が、本法律案を提案した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、株式会社商工組合中央金庫に危機対応業務の実施を義務づけることとし、その的確な実施のため、政府が株式会社商工組合中央金庫について、当分の間、必要な株式を保有することとします。

 第二に、中小企業者と同様に事業を行い、地域の経済や雇用を担うNPO法人を中小企業信用保険の対象とします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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