衆議院

メインへスキップ



第14号 平成27年5月15日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十七年五月十五日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      大見  正君    岡下 昌平君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    黄川田仁志君

      小松  裕君    佐々木 紀君

      斎藤 洋明君    塩谷  立君

      白石  徹君    白須賀貴樹君

      関  芳弘君    田所 嘉徳君

      武村 展英君    冨樫 博之君

      野中  厚君    福田 達夫君

      細田 健一君    堀内 詔子君

      宮川 典子君    宮崎 政久君

      村井 英樹君    若宮 健嗣君

      神山 洋介君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      福島 伸享君    渡辺  周君

      今井 雅人君    落合 貴之君

      木下 智彦君    國重  徹君

      藤野 保史君    真島 省三君

      野間  健君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   環境副大臣        小里 泰弘君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三木  健君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     宮川 典子君

  勝俣 孝明君     秋本 真利君

  黄川田仁志君     村井 英樹君

  白石  徹君     斎藤 洋明君

  冨樫 博之君     田所 嘉徳君

  福田 達夫君     白須賀貴樹君

  近藤 洋介君     福島 伸享君

  木下 智彦君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     勝俣 孝明君

  斎藤 洋明君     白石  徹君

  白須賀貴樹君     堀内 詔子君

  田所 嘉徳君     小松  裕君

  宮川 典子君     大見  正君

  村井 英樹君     黄川田仁志君

  福島 伸享君     近藤 洋介君

  今井 雅人君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  小松  裕君     冨樫 博之君

  堀内 詔子君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気事業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二九号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、経済産業省大臣官房審議官三木健君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君及び環境省地球環境局長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。八木哲也君。

八木委員 おはようございます。自民党の八木哲也でございます。

 本日、一番バッターの御配慮をいただきましたことに、委員長並びに理事の皆さんに感謝申し上げたいと思います。

 さて、今回、電気事業法の改正につきましては、第一段階で広域機関の創設、第二段階で小売全面自由化、そして今回の第三段階として送配電部門の法的分離及びガス事業法、熱供給事業法等、それぞれの段階で丁寧に議論をしてまいりました。

 今回の第三段階の審議も、参考人の意見をお聞きし、約三十時間、慎重に議論を重ねてまいりました。本日、安倍総理に御出席いただきましたけれども、私に与えられた時間は十五分という限られた時間でございますけれども、エネルギー政策及び本法案について、総理の基本的な考えをお聞きいたします。

 エネルギー価格を光熱費と言うように、エネルギーは光と熱であります。私は、日本を明るくする会に入っていますので、エネルギーの明るい未来に向けて質問をいたしますので、総理におかれましては、エネルギー改革についての熱い思いの答弁をお願いしたいと思います。

 さて、質問に入ります。

 トヨタ自動車の今期の純利益が二兆一千七百三十三億円と国内上場企業初の二兆円超えとなりました。それには、経営者の努力、従業員の皆さんの努力、さらに協力企業の努力がありますけれども、アベノミクス効果も明らかであります。経済の好転、デフレからの脱却が見えてまいりました。

 しかし、日本企業の九九・七%を占める中小企業のエネルギー費用の経費圧迫も否めないところであります。特に鋳鍛鋼などのエネルギー多消費産業にかかわる企業にとって、アベノミクスの賃金上昇の流れに乗り切れない企業が多くあることも事実であります。

 これらは、東日本大震災でのエネルギーの喪失や福島第一原子力発電所事故に端を発しましたことは言うまでもありませんけれども、その反省と教訓から、エネルギー政策を国土強靱化の重要な位置づけとして抜本的見直しをしなければなりません。しかし、震災前の日本経済をしっかり支えてきたエネルギー政策を否定するものではなく、震災を機に日本の経済を支えてきたエネルギー政策の弱点が見えてまいったわけでございます。

 その反省と教訓から、持続可能な経済の安定成長、すなわちアベノミクスの着実な推進のため、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合、すなわちSプラススリーEをどのように考えておられるのか。改革断行国会の象徴ともいうべき法案の一つであり、総理の熱意をお聞きいたしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今、八木委員から御指摘があったように、我が国が直面するエネルギーをめぐる環境変化を踏まえれば、安全性の確保を大前提とした上で、安定供給、低コスト、環境適合を実現していくことは一層重要となっていると認識をしています。

 このため、今般のエネルギーミックスについては、こうした考え方のもと、安全性の確保を大前提といたしまして、自給率はおおむね二五%程度まで改善すること、そして、電力コストは現状よりも引き下げる、そして、欧米に遜色のない温暖化ガス削減目標を掲げることなどを具体的な目標として掲げ、これらを同時達成するよう検討し、現実的かつバランスのとれたエネルギーミックスの骨子案を策定したところでございます。

八木委員 ありがとうございました。

 ただいまの答弁の中にもありましたように、エネルギー政策の第一に安全性を挙げたことを大変評価するところであります。しかし、安全性と安心感が必ずしもイコールとなっていない。原子力規制委員会が世界で最も厳しい規制基準に適合して安全と言っても、なかなか安心感まで至っていない、そういう現実もあるわけでございます。このギャップをなくすよう、今後、我々も努力を重ねていかなければいけないというふうに思っております。

 さて、二つ目の質問でありますけれども、東日本大震災以後の電力コスト上昇の影響は甚大であります。

 震災前に比べ、産業用は約三割、家庭用は約二割も高騰し、中小企業、とりわけ電力多消費の中小企業の電力コスト負担は限界に来ており、電力コスト上昇が中小企業の収益改善や地域経済の回復の大きな足かせになっていると、悲鳴が聞こえてまいります。持続可能な経済成長をするには安価で安定的な電力供給が必要であり、そのために、ベースロード電源の安定化を基準とし、ミドル電源、ピーク電源の確保を図らなければならないと考えます。

 持続可能な経済成長を視野に入れたベストミックス電源構成の考え方について、お伺いをいたします。

安倍内閣総理大臣 今回のエネルギーミックスについては、現在把握できる状況や実現可能性を踏まえた、十分に合理的な想定の中で検討をしております。他方で、こうした想定が今後大きく変化すれば、エネルギーミックスの姿も変わり得るものであります。

 このため、少なくとも三年ごとに行われるエネルギー基本計画の検討に合わせて、必要に応じてエネルギーミックスの変更も検討していくことになるわけでございます。

 また、電力料金についてでございますが、震災後、家庭用で二割、そして産業用で三割上昇している中にありまして、中小企業からは悲鳴にも似た声が聞こえてきているわけでありまして、国民生活や産業に大きな負担となっております。

 こうした状況の中で、今般のエネルギーミックスの骨子案は、電力コストは現状よりも引き下げることを目標として掲げまして、ベースロード電源を国際的に遜色のない水準で確保するなど、低廉かつ安定的なエネルギー供給を実現する電源構成を検討したものでございます。

八木委員 ありがとうございました。

 先日、経済産業省の方から、経済成長を年一・七%とした場合の二〇三〇年の電源構成案が示されたところであります。

 二〇三〇年でございますので、今から十五年先になるわけでございます。しかし、その十五年先だけではなく、二〇三〇年以降についても、今回のエネルギー改革法案成立後において、やはり、大震災があったように、また、世界経済、日本経済を取り巻く環境の変化や施行後における問題点も多々出てくるのではないか、こんな懸念もあるわけであります。

 したがって、大切なのは、その都度タイムリーな検証及び修正の必要性があるように考えますけれども、SプラススリーEの検証システム、このところをしっかりしていかないとタイムリーな電源供給になっていかない、まして、今のような状況になってはいけない、こういうふうに思うんですけれども、そこの検証システムをどのように考えておられるのか、お伺いしておきます。

宮沢国務大臣 先ほど実は総理が少し御答弁をされたわけですけれども、まず、現在想定し得る、ある程度現実性のある将来ということで、今回、二〇三〇年という姿を想定してエネルギーミックスをつくらせていただきました。

 一方で、今、先ほど総理から御答弁がありましたように、エネルギーの状況というものはまたいろいろ変わってくるわけでございまして、エネルギー政策基本法におきまして、エネルギー基本計画を基本的には三年ごとに見直すということが定まっておりまして、エネルギー基本計画を見直した際にエネルギーミックスについても変更を加える必要がある場合には、そのような検討を行っていきたいと思っております。

八木委員 エネルギー基本計画の三年ごとの見直し、こういうことを言われました。

 しかしながら、いつ何どき、世界情勢が変わってくるかもわかりません。そういう意味においては、しっかりタイムリーな動きをしていただきたい。一番困るのは国民であり、企業の皆さんでございますので、その点を十分御配慮いただきたいというふうに思っております。

 さて、四つ目の質問でありますけれども、今回の電気事業法、電力の問題、そしてガス、そして熱供給に関するエネルギー分野の、今回、一括の法案が出されております。

 このエネルギー分野の一体改革によって、今まで縦割りであったエネルギー市場の垣根を外して、総合的なエネルギー市場を創出する可能性が出てきたわけであります。それに伴いまして、科学技術も当然のことながら進展していくと期待されておりますし、そのことはまさに持続可能な経済成長とも結びついていくような形になろうか、こういうふうに思います。ひいては、電力及びエネルギーを使われる消費者の皆さんにも利益向上につながっていくというふうに私は確信しているわけでございます。

 そういう中で、戦後六十年以上続いてきたエネルギー供給体制を抜本的に見直すことにより、岩盤規制にドリルで穴をあけるということになるわけでございます。そうしたときに、総理、その岩盤を取り除いた向こうに総理の目には何が見えますか、お伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 岩盤規制を取り除く、これは岩盤規制を取り除くこと自体が目的ではなくて、まさに、今、八木委員が御指摘になったように、その結果、国民生活がどうなっていくかということがとても大切なんだろう、このように思います。

 電力システム改革を最後までやり遂げるとともに、ガス事業でも小売を全面自由化し、あらゆる参入障壁を取り除いていくことで、家庭に届けられるエネルギーを自由に選べるようにします。

 このように、エネルギー市場の垣根を越えた改革を一体的に進め、革新的な技術の導入や異なるサービスの融合など、ダイナミックなイノベーションを生み出すとともに、エネルギー選択の自由度の拡大や料金の最大限の抑制を実現します。

 改革後のエネルギー市場において、エネルギー産業が、我が国の強みである人材や技術の蓄積も生かしながら、経営基盤の強化や新たな市場の開拓を進め、経済成長を牽引していくことを期待しております。

八木委員 ありがとうございました。

 いずれにしましても、この電気事業法及びガス及び熱供給事業法、これは垣根を取っ払う大事な法案であると思いますし、それによる科学技術イノベーションが相当進むものというふうに期待をしているわけであります。

 そうした中で、やはり、今回の発送電の法的分離におきましても、先進諸国は既にやっていることでありまして、そこにおけるメリット及びデメリット等もあろうかと思います。そういう中で、我々日本としては、やはり、それに追従するのではなく、それを超えた電力・エネルギーシステムを構築していかなければいけないと思います。そういうことにおいて、今回のこの法案成立に向けてしっかり議論を重ねてまいりました。

 いずれにしましても、明るい未来のために我々もしっかり国民の目線に立って頑張っていくことをお約束申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 私も八木理事と同じで十五分しか時間がありませんので、簡潔にお答えをいただきたいというふうに思います。

 まず、長期エネルギー需給見通しと温室効果ガス削減目標について総理にお伺いをいたします。

 五月十二日に、公明党の総合エネルギー対策本部・経済産業部会といたしまして、経済産業省より長期エネルギー需給見通し骨子案の説明を受けました。その内容は、エネルギー基本計画を踏まえ、中長期的な視点から、二〇三〇年のエネルギー需給構造の見通しを策定する。具体的な政策目標として、自給率は震災前をさらに上回る水準、おおむね二五%程度まで改善する、電力コストは現状よりも引き下げる、欧米に遜色ない温室効果ガス削減目標を掲げ世界をリードする。これらの政策目標を同時達成する中で、徹底した省エネルギー、再生可能エネルギーの導入や火力発電の効率化などを進め、原発依存度は可能な限り低減させるものとするとのことでございました。

 この基本方針は、四月十七日に公明党の総合エネルギー対策本部・経済産業部会名で菅官房長官に対しましてエネルギーミックスに関する申し入れをさせていただいた趣旨に沿う方向であるというふうに考えます。

 五月二日付の日本経済新聞によりますと、温室効果ガス削減目標とその裏づけとなる二〇三〇年時点の電源構成に関しまして、安倍総理が、まず、電気料金を上げないために発電コストを今より下げるんだ、そして、再生可能エネルギーの比率は原子力発電より高くする、また、温室効果ガスの削減目標は欧米と遜色のないようにという具体的な三点を指示されて、経済、環境、国際世論、この三方に配慮してぎりぎりの着地点を探られた、そういうふうに評価する記事が載っておりました。

 総理は、六月の七日、八日、ドイツのバイエルン州で開催されるサミットで温室効果ガスの削減目標を表明する予定というふうに報道されておりますが、現段階、今の時点で、この削減目標とその裏づけとなる二〇三〇年時点での電源構成についてどのようにお考えなのか、御所見をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 温室効果ガスの削減目標、すなわち、我が国の約束草案についての基本的な考え方として、まず、COP21に向け、国際的に遜色のない野心的なものとすると同時に、エネルギーミックスと整合的なものとなるよう、裏づけのある対策、施策、技術の積み上げによる実現可能なものとすることが重要であると考えています。これが基本的な考え方でございまして、こうした考えに沿って策定した約束草案の要綱案をもとに、審議会の議論や公明党の御意見も踏まえ、政府部内で検討を進め、パブリックコメントを行った上で約束草案を決定いたします。

 G7の際には、当然、気候変動、そして各国のCO2削減目標等々が議論になるわけでございますが、私から、国際的に遜色のない野心的な目標に関する日本の考え方をしっかりと説明したいと考えています。

 また、二〇三〇年時点での電源構成案を含めたエネルギーミックスの骨子案については、公明党からいただいた御提案も踏まえまして、安全性の確保を大前提とし、安定供給、コスト低減、温暖化対策に関する具体的な目標を同時達成するよう検討されたものでございます。

 こうした考え方のもと、徹底した省エネを行い、再生可能エネルギーの最大限の導入も行っていく。そして、火力発電の効率化策を進めつつ原発依存度を低減させる。現実的かつバランスのとれた案をお示ししたものでございます。

富田委員 先ほど、八木委員の方からも御指摘ありましたけれども、当委員会の参考人質疑におきましても、電力多消費産業の代表の方から、利益の大部分が電気料金の増加で失われているという切実な訴えがありました。この方は、できれば東日本大震災前の電気料金を目指してほしいというような御要望もありました。そこまでは無理にしても、やはり発電コストを抑えて電気料金のこれ以上の値上がりを防ぐことは大切なことだというふうに思います。

 また、二〇三〇年時点で再生可能エネルギー三〇%を目指せとの意見もありますけれども、四月二十二日の当委員会における質疑で、私は、ドイツでは二〇一四年に再生可能エネルギーの発電電力量比が二五%に達し致命的な問題が発生している、その旨指摘をさせていただきました。

 この指摘、また、太陽光、風力は自然条件に応じて変動するために調整火力が必要なことを考慮しますと、今回の二二から二四%という数字はよく考慮された数字であるというふうに私ども公明党としても評価をしたいというふうに思います。

 次に、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針の改定についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 資源エネルギー庁の方から説明を受けましたが、高レベル放射性廃棄物の処分地選定が進んでいない状況を反省し、政策を抜本的に見直すべく、一昨年から最終処分関係閣僚会議を立ち上げるとともに、総合資源エネルギー調査会でも審議を進め、今般、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針を改定するということであります。

 私は、一昨年、昨年と、スウェーデンのエスポ岩盤研究所、フィンランドのオンカロ地下施設、フランスのビュール地下研究所、ドイツのゴアレーベン地下研究所、スイスのモンテリ岩盤研究所、アメリカのハンフォードサイトと、これを自費で視察してきました、ここを強調しておきたいと思うんですが。

 一昨年暮れに、自民党の河村建夫先生、そして民主党の増子輝彦先生らとともに、高レベル放射性廃棄物等の最終処分に関する議員連盟を立ち上げ、勉強を続けてきましたので、今回の改定はまことに時宜にかなったものだというふうに思います。

 高木副大臣にきょう出席いただいていますが、ゴールデンウイーク中に、ヨーロッパの研究施設の視察や原子力政策にかかわる方々と意見交換を行ってきたというふうに伺っております。日本より進んだ取り組みを体験されての感想をお聞かせ願えればと思います。

高木副大臣 ただいま委員がお話しになられましたように、富田委員が国会議員の中で最も最終処分場の視察をされて一番詳しい方であろう、このようにも認識しておりますし、その上で、私も、今回ゴールデンウイークで視察をさせていただきました。

 この最終処分場に関しましては、やはり時間をかけながら丁寧に、地下を掘りながら、断層等も確認をして、さらにそこでの、使用済み核燃料を置いた場合に温度も高くなりますので、地層の変化の仕方、そういったものもしっかりと研究をしながらやっております。特にこの場合には土木技術が大切になると思いますので、日本のトンネルを掘っていく土木技術を見てみますと、これは日本でも可能である、こういうように確信をいたしました。

 いずれにしても、脱原発を唱える方も、反原発を言う方も、または原発を推進する方も、今日本には四十八基の原発がございます。また、福島第一で六基を廃炉にするということも決まりましたし、浜岡の二基もございます。そういったことを考えますと、いずれにしても高レベルの最終処分場は必ずつくらなければいけないということで、ただ単に反対をするだけではなくて、どうやってこれをつくっていくのか、これは与野党超えて考えていかなければいけない問題と強く確信をいたしました。

富田委員 ありがとうございました。

 私は、先般の当委員会で、スウェーデンの四十年近くにわたる取り組みを紹介させていただき、今回の改定で予定されております、全国的な国民理解、地域理解の醸成、そして国が前面に立った取り組みの重要性を指摘させていただきました。

 今回の改定で、最終処分事業の実現に貢献する地域に対する敬意や感謝の念や、社会としての利益還元の必要性が広く国民に共有されることが重要だ、また、国から全国の地方自治体に対する情報提供を緊密に行い、丁寧な対話を重ねる、国が科学的により適性が高いと考えられる地域、科学的有望地を提示するとともに、理解活動の状況等を踏まえ、調査等への理解と協力について関係地方自治体に申し入れを行うということが指摘をされております。

 実は、昨日の朝日新聞で、本日開催される総合資源エネルギー調査会放射性廃棄物ワーキンググループに対して、処分場を受け入れる自治体に対し、最終処分事業の関連研究機関の誘致や原発関連の研究開発拠点づくりに財政支援を検討する旨提案するというふうに報道されております。事務方に伺いましたら、これは誤報だと。こういう意見もあるという一つの例として示すだけであって、今後ワーキンググループで検討していただくということのようであります。

 実は、オンカロが所在しますエウラヨキ自治体というところの自治体の長ともお話をしてきたんですが、ここにはそんな財政的な支援はされていないんですね。処分場をつくっている会社、また規制庁と地元の皆さんの信頼関係に基づいてずっとやってきている、何かお金をもらったからやっているのではないというようなお話もありました。

 そういったことも含めて、今後どういうふうに処分地選定に向けて検討を進めていこうとされているのか、経済産業大臣の御所見をまず伺いたいと思います。

宮沢国務大臣 今お話があった点につきましては、決めたというわけではなくて、関連する研究開発施設の誘致が複数の団体、日本学術会議などから提言がされておりますものですから、本日午後に予定されている審議会、ワーキンググループにおきまして一つの例として紹介をさせていただくということで、決定したものではございませんし、今後、具体化を検討していきたいと思っております。

 そして、最終処分地の問題でありますけれども、やはり現世代の責任として解決すべき大変重要な課題だと承知しております。

 二〇〇〇年に最終処分法が施行されて以来、今に至るまで、処分地選定の最初のプロセスであります文献調査にも着手できていないという状況、こうした状況を反省して、昨年四月のエネルギー基本計画の中では、いわゆる手挙げ方式から転換し、科学的根拠に基づき、国からいわゆる科学的有望地を提示するなど、国が前面に立って取り組みを進めていく方針を決定いたしました。

 こうした点も含めまして、その後の審議会における議論を経て、最終処分法に基づく基本方針の改定案を取りまとめたところでありまして、来週にも閣議決定をしたいと考えております。

 そして、御指摘のとおり、処分地の選定は、特定の地域に関心を持ってもらうだけでは進まない、周辺地域を含め全国的な国民の理解と支持を得ていくことが重要だと考えております。処分の実現が社会全体の利益であるとの認識に基づき、処分地選定調査に協力する地域に対する敬意や感謝の念が国民に広く共有されることを国としては目指していかなければいけないと考えております。

 このため、今後、国として全国各地を訪問し、地域の方々や自治体に対する理解活動を積極的に展開する予定でございます。シンポジウムや説明会の開催などを通じまして、地層処分の必要性や今後の進め方について全国の国民、地域の御理解を得ていくために最大限努力をしていきたいと考えております。

富田委員 最後に総理にお尋ねしますが、今、宮沢大臣の方で、国が前面に立つという具体的ないろいろ御指摘がありましたけれども、やはりこの問題は政治家がきちんと前面に出て国民の信頼を得る、そして、国が全責任を持ってやるんだということを国民の皆さんに本当に理解していただく必要があると思うんですね。

 そういった意味で、安倍総理は安倍内閣としてこの問題にどういうふうに取り組んでいくんだということを最後にお聞かせ願えればと思います。

安倍内閣総理大臣 先ほど高木副大臣からも答弁をさせていただきましたように、既に我が国は相当量の使用済み燃料を保管しておりまして、原発の再稼働の有無にかかわらず、高レベル放射性廃棄物の最終処分場が必要であることから逃げることはできません。廃棄物を発生させた現世代の責任として、将来世代に負担を先送りしないよう、最終処分場をしっかり確保していくことこそ政治の責任である、こう認識をしております。

 最終処分場の選定について、これまでのやり方を見直し、国が前面に立って、国から科学的有望地を提示し、調査への協力を自治体に申し入れることといたします。そのためにも、国として広く全国各地域を訪問し、住民や自治体に対して理解をしていただくための活動を展開し、国民や地域の御理解をいただきながら、一歩ずつ責任を持ってしっかりと進めていく決意でございます。

富田委員 総理、ありがとうございました。

 各委員に資料二で配らせていただいておりますが、こういう世界じゅうのいろいろな放射性廃棄物の処分についての資料をエネ庁の方でつくっております。ぜひ、当委員会所属の先生方、ごらんになっていただいて関心を持っていただければと思います。

 どうもありがとうございました。

江田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要でございます。

 今の富田先生の関連質問のようになってしまいますけれども、冒頭、ちょっとシステム改革と別の質問を総理にさせていただきたいと思います。廃棄物の問題でございます。

 昨日、私、宇都宮の方に夜行ってまいりまして、環境省主催、栃木県の指定廃棄物の県民集会、これは昨年の七月に候補地が決まって、今回初めてこういったものを開催しているという現場に行ってまいりました。今どういうような県民の皆さんの反応か、まさにそれを実感して、きのう戻ってきたわけでございます。

 廃棄物はいろいろございますが、指定廃棄物の問題もこれは悩ましい問題でございまして、総理、これは通告なしでございますから一般論で結構でございますが、富田先生の御質問の中にも、相互信頼、これは極めて大事でございます。これなくして前に進むはずがない。そして、今総理もそのことを強調されましたが、指定廃棄物の問題であれ、どういう廃棄物の問題であれ、地元の同意なくして事を前に進めることはないということを確認させていただきたいと思います。

 地元の理解を求めるというところまでは、きのうも環境副大臣がおっしゃっておりました。理解を求めるのは当たり前でございますが、地元の同意なくして事を前に進めることはないんですね。この一点に関して、総理が一国のトップでございますから、これはいろいろな問題に共通する問題だと思いますが、この一点、どういう御答弁をいただけるか、お願いいたします。

小里副大臣 指定廃棄物につきましては、特に私が担務としておるところでございます。

 先日も、千葉県の指定廃棄物の問題で、千葉市にお伺いをしてまいりました。熊谷市長からも、地元の意向を尊重してしっかりやってほしい旨、御要望をいただいたところでございます。

 当然のことながら、選定の経緯、施設の必要性、安全性等について、市当局はもとより、市民の皆様、議会の皆様へしっかりと説明を行いながら、その御理解をいただく努力をしてまいりたいと思います。そういった努力を行わずして詳細調査等を行っていく考えはございません。

安倍内閣総理大臣 ただいま副大臣から答弁をいたしましたように、当然、地元の当局、そしてまた議会、住民の方々に丁寧に説明をし、理解を得る努力を積み重ねてまいりたい、このように思います。

田嶋(要)委員 その努力をするのは当たり前なんです。大事なことは、同意をしていないのに前に進めることがあるのかどうか。その一点が、みんな心配している。

 きのうの栃木も同じです。空気は大変緊張感に満ちているんですね。やはりこれは、相当な時間がたっても、栃木も状況は一緒なんですよ。全く前に動いていない。これはやはり信頼関係が崩壊しているんです。千葉もいきなり失敗しました。同じようなことをやはり繰り返してはいけないと思う。

 だから、努力は当たり前なんです。同意をちゃんと取りつけて前に進むんですねということを確認させてください。

安倍内閣総理大臣 当然、我々が行う努力というのは住民の皆様の理解を得る努力でございまして、そうした努力をしっかりと積み重ねていく考えでございます。

田嶋(要)委員 それ以上何も言えないのかもしれませんが、とにかく、その含意ということで、しっかりと地元の同意が取りつけられるというふうに私は理解をいたしました。

 それでは本論に入らせていただきますが、これも本論関連でございますが、昨日、いわゆる安全保障に関しての閣議決定がなされたわけでございます。その中身に関して質問等をするものではございませんけれども、十本の法案を束ねて閣議決定をしたということでございますが、これは、私、余りこういう数は聞いたことも見たこともございません。

 総理ですからちょっとお尋ねしたいと思うんですが、これは逆の立場だったらどうですか。これは、立法府で詳しくこれから審議をしていくわけでございますが、賛否というのは一本一本することになる、本来はあるべきだと思うんですが、十本まとめてということでは、九本反対、一本賛成、あるいは、九本賛成、一本反対、これはどういう判断をしたらいいのか。

 これは、立法府のみならず国民の判断が本当にいいかげんなものになってしまうという心配をするんですが、どういうふうに考えておられるんですか、総理は、この束ねるということに関しては。

安倍内閣総理大臣 この委員会のテーマとは異なるわけでございますが、昨日閣議決定を行ったこともございますので、お答えをさせていただきたいと思います。

 安全保障にかかわる課題というのはさまざまでございますが、今回の平和安全法制につきましては、まさにグレーゾーンから、そして集団的自衛権の一部行使容認に至るまで、切れ目のない対応を可能とするものでございます。

 かつて有事法制について法案を提出した際には、むしろ逆に、全てまとめて法案を出すべきだという御意見を野党から随分いただいたものであります。そこで今回は、そうした趣旨も踏まえまして、我々が進めていこうとする国民の命と幸せな生活を守って、幸せな暮らしを守っていくための切れ目のない対応を可能とする、どういう全体の法制を考えているのかということについて、党内で議論を進め、今回それを法案としてお示しをするわけでございます。

 その際、いわばこれは切れ目のない対応を可能としなければならないわけでございますから、これはまさに全体像として一括してお示しをさせていただいたところでございます。

田嶋(要)委員 審議はできるかもしれないけれども、採決ということになると、本当にこれは立法府の権限を損ねる形ではないのかなと非常に心配をいたします。

 そして、残念ながら、同じようなことが実は今回のシステム改革もやはりあるんですね。十本ではございませんけれども、私は、最後の最後の大事な第三ステージで大きな失敗、ミスを犯してしまったというふうに考えておるんです。

 総理にお尋ねしますが、詳しいことは御存じないかもしれませんけれども、電力のシステム改革が、三年越しに審議をしてきて、ようやく今回最終段階。ある日突然ガスが乗っかってきたんですよ。ガスは刺身のつまですかと言いたいですよ。何でそういう扱いをするんですか。ガスもやはり同じようにステップで慎重に審議をしなきゃいけないんじゃないですか。国民の安全もかかわる問題ですよ。

 いわゆる広域的運営推進機関なるものはガスにはありませんから、第一ステップはまあいいでしょう。しかし、それだったら、第二、第三と電気をやってきたんだったら、当然ガスも第一、第二ステップでやはり慎重審議をするのが、それは国民に対する責務だと私は思いますが、総理、いかがですか。

宮沢国務大臣 事実関係だけ、まず私から御説明させていただきます。

 電力システム改革につきましては、東日本大震災とこれに伴う原子力事故を契機にいたしまして、まさに抜本的な改革が急務となりました。

 これに対しまして、ガスシステムにつきましては、一昨年十一月から審議会での検討を開始し、ことし一月までに報告書が示されました。ガス事業者や新規参入者など幅広い参加を得て、丁寧に議論を進める一方、電力システム改革で既に先行的に議論が進んでおり、電力とガスの違いを中心に議論することで効率的に検討を進めることができました。このため、今回の改正では、ガスシステム改革全体について具体的な法案準備ができたため、提出をさせていただきました。

 審議会では、法的分離の実施を最終的に判断する時期について複数の意見があったことは事実でありますが、法的分離の実施時期がおくれることのないよう明確化すべきということについては多くの意見が一致をいたしました。

 そして、その後、開始時期ということについて一番影響を受けるのはまさに法的分離をするガス事業者になるわけでありますけれども、安定供給や保安確保のためのルールやシステムを十分な時間をかけて整備すべき、そういう意見をいただいておりましたものですから、今回の法案では実施までに七年間の準備期間を設けるということでガス事業者からも納得をいただいたところでございます。

安倍内閣総理大臣 まず、電力とガスをなぜ一緒に自由化について進めていくのかということでございますが、エネルギー市場の垣根を越えた改革を一体的に進めていくことによって、革新的な技術の導入や異なるサービスの融合など、ダイナミックなイノベーションを生み出すことができます。エネルギー選択の自由度の拡大や、料金の最大限の抑制の実現にもつながっていくと考えます。

 そしてまた、都市ガス導管の法的分離を一度に行う理由につきましては、先ほども大臣からも答弁をさせていただきましたが、都市ガス市場における活発な競争のためには、誰もがガス導管を公平に利用できることが不可欠でありまして、小売の全面自由化とガス導管を中立化するための法的分離は、車の両輪として進める必要があると考えています。

 今回の法案では、改革実行のスケジュールを明確にし、そして新制度の全体像を早期に示したことは、新規参入者も含め、事業者の早期の事業計画の検討を可能にするなど、都市ガスを含めたエネルギー市場全体の競争促進のためにも、国民利益にとって望ましいと考えております。

田嶋(要)委員 総理、総合エネルギー産業とか会社とかそういう概念は、これは残念ながら、今回、後づけなんです。

 過去の資料をいろいろ見せていただきましたけれども、例えば、電力の第一とか第二は、そんな発想はないんですよ。だけれども、最後にガスをくっつけるときに、それを正当化するためにそういう考え方を急に第三ステップで出してきているんですね。

 これは、過去を調べると、民主党政権のときにはそういう発想はうたっていました。しかし、実際に具現化された閣法で出てきていないんですね。そして、第二段階、すなわち昨年の茂木大臣のときの答弁で、総合エネルギー会社、そういう考え方も大事だということはおっしゃっています。しかし、やはり法案上は非常に唐突感がある。これはやはり、最初から最後まで、終始否めない現実なんですよ。だから、まとめてやっちゃえということで本当に国民の利益を損なうことはないのか、大変私は懸念をいたしております。

 お手元の資料の三、これは自民党のエネルギー基本計画ですけれども、五十二ページのところですね。電力のところはこれはきちんと書いていますよ、第一ステップ、第二ステップ、第三ステップ。ガスの方は、法的分離なんということも入っていないんですよ。これは何も入っていないんです。それで、総合エネルギー会社なんという概念は当時考えてもいなかった、こういうふうに理解するしかないんですよ。

 大臣、総理、これは本当に、余り慌てる必要はないですね。先ほどの経済産業大臣の御答弁でも、電力の方は急がなきゃいけない理由がある。逆に言えば、ガスはもうちょっとじっくりやった方がいい、私はそう思いますよ。

 資料の二枚目をごらんください。

 これも経産省からいただいた資料ですが、これは専門家の皆さんの御意見が最終集約されているんですけれども、この間参考人でお越しいただきました一番下の松村先生、たった一人ですから、一年先延ばしすることなくと言っているのは。要するに、今回全部まとめてやれとおっしゃっているのはたった一人ですよ。少数意見ですよ。民主主義では、こういうことというのは余りないですね。

 皆さんが選んだ人選ですから、そういう人選の中で、この全ての方は、色の濃淡はありますよ、1は、余り法的分離に賛成していない人たちです。3は、法的分離はいい、そして法的分離を前提とする、しかし、一年期間を区切ってじっくり考えろということを言っているんです。

 何でこういうふうに少数意見が通っているんですか、今回。理解できないです。御答弁をお願いします。

宮沢国務大臣 先ほどもちょっとお話をいたしましたけれども、まさに今回の法案と同じことをおっしゃったのは松村委員だけということは事実でありますけれども、一方で、法的分離の実施時期がおくれることのないよう明確化すべきということについては、多くの委員の意見は一致していたものと承知をしております。

 そして、先ほど申し上げましたように、まさにガス事業会社がこれに対応できるかどうかということが一番肝心な点だったわけでありますけれども、ガス事業者ともいろいろお話をさせていただきました。安定供給や保安確保のためのルールやシステムを十分な時間をかけて整備すべき、こういうお話をされていたものですから、今回の法案で実施まで七年間の準備期間を設けるということで、ガス事業者も、それならば可能であるということで御納得をいただいた。その結果、今回の法案を提出させていただきました。

田嶋(要)委員 資料の九をごらんください。

 これも政府からいただいた資料ですが、今回、法的分離はトップの三社だけやろうということなんですね。こういうふうにして関係者の皆さんも無理やり納得させられたのかもしれませんけれども、上の方の二行目に、要するにこの大手三社はでかいんだ、でかくて、シェアが一割を超えて、三社合わせて五割以上を占めるんだと、導管総延長が。何か誇らしげに言っていますけれども、私から見ると、市場の半分は法的分離しなくて半分だけ法的分離するって、一体これは何なんですか。

 電力事業だったら、沖縄を除いて全部、全国津々浦々、法的分離をするわけでしょう。だからこそ、全国のいわゆる重要なインフラの部分が共通の資産として、そして広域推進機関がそれを束ねるということで、非常に意味があると思います。ガスのこの中途半端な改革は、本当にこれでいいのか。私も、これが答えだという答えは言いませんよ。ただ、本当にこれでいいんですか。

 全然法的分離をしない選択、それから、次のページをごらんください、ヨーロッパの基準を当てはめると、資料十、これだけの会社の規模が全部法的分離の対象になるんです、顧客十万人以上の企業ですから。ヨーロッパ流の法的分離だったら、これは全部法的分離しなきゃいけない。別にヨーロッパのまねをしろとは言いません。しかし、本当にいいんですか、こういう中途半端な改革で。私は疑問です。どうですか。

 総理、どうですか、これは。今初めてごらんになっても結構ですけれども。

安倍内閣総理大臣 法的分離については、長い導管網を保有する事業者は、ガス供給量や需要家が多い、これは委員も御同意できると思いますが、新規参入する可能性が高いため、中立化の要請が高いのも事実であります。一方、規模が小さい事業者は、会社分割に伴う情報システムなど設備投資の費用や法的手続の費用などの負担が大きくなるおそれがあります。このため、分離の効果と費用を勘案して、法的分離の対象を大手三社とすることは適当である、このように考えます。

田嶋(要)委員 一人二役やっているから大変だ、コストがかかる、小さい事業体では大変だ、そういう話は理屈としては聞きました。しかし、企業の数で本当に考えるんですかね。ネットワークの半分しか法的分離しないんですよ。理解できないですよ、こういう改革は。改革になっていないと私は思います。

 それで、これはやはり、もうちょっと慎重にやるということを御提案します。そして、法的分離のお尻の期限は変えずとも、立法府で来年もう一回法案を出し直してください。私はそういう提案をしたい。

 少なくとも、ガスの法的分離は一年おくらせて、そして、今回の閣法の附則の中で、しっかりとプログラム法として、電力がスリーステップ、ガスは広域推進機関がないからツーステップで、ことしと来年、ことしは全面自由化、来年は法的分離、こういうふうにツーステップで慎重に考えましょうよ。そうすると、多数意見の専門家の意見の主張とぴったりですから、松村先生以外は。ぜひそういうことを私はお願いしたいと思います。御答弁はここに関しては結構でございますが、ぜひよろしくお願いいたします。

 それで、もう一つ、ガスの関係ですから、やはり人命に関する心配、ガス事故が絶対ふえちゃいけないと思うんですね。したがって、これは、自由化をしたからこうなった、法的分離をしたからこうなった、こういうことがくれぐれも起きないようにぜひしていただきたいと思います。

 資料をごらんいただきたいと思います。十二の資料でございますが、たまたまこんなニュースも流れておりまして、今、全国の老朽化八万本、そして公共の建物では八千三百カ所、合計、日本全体で、ある日突然爆発をするかもしれないような古いガス管が九万カ所もあるという状況があるんです。

 これと同じようなタイミングで自由化をどんどん前へ進めて、法的分離を進めて、それで、あれのせいだったというふうに言われるのは、やはり総理だってしゃくにさわりますよね。そういうことが起きないようにしなきゃいけない。だから、私は、やはり人命にかかわることでありますから、この点に関しては少し前倒しで。

 問題は、内管というところは、資産はお客様の資産なんですよ、需要家の。ガス会社じゃないんです。だから、さわりにくいという話はあるんですが、そこはいろいろ仕組みを工夫していただいて、例えば耐震化に関しての、民間の建物だって、耐震化に補助率の非常に高い補助金をつけたりしています。

 今、このガス管に関しては、八億円ぐらい、補助率三分の一か何か、四分の一でやっているそうでございますが、これではやはり追いつかないと思いますね。もっとお金がかかる。お金を出すのを渋っているうちに人命にかかわる事故が起きたらどうするんですか。私は、この点は電力とは大きな違いだと考えているんです。

 ぜひ総理、ここは思い切った判断をしていただいて、とにかく安全最優先でやっていただけないでしょうか。総理の前向きな御答弁を求めます。

宮沢国務大臣 特に社会的に使われている施設において、老朽管というものを早くかえなければいけないということはまさにそのとおりでありまして、補助事業として行ってきているわけであります。

 ただ一方で、今回の改正案との関係で申し上げますと、ガス設備につきましては、これまで培ってきた実績を踏まえ、基本的にガス導管事業者が引き続き保安を担うこととし、消費機器の安全性調査などにつきましては、需要家と直接接点を有するガス小売事業者が担うこととしておりまして、法的分離後におきましても、それぞれが担う役割をしっかりと果たすとともに、両事業者が連携協力を行うことで保安の維持向上が図られるものと考えておりまして、そのためにも七年間という猶予を持ったものでございます。

田嶋(要)委員 今おっしゃっていただいたのは資料の十三の関連でございますが、確かに、今回の仮に法的分離があったとしても、内管部分と外管部分で同じ事業者がしっかり見るというのは安心材料だと思います。

 ただ、おっしゃっていただいたとおり、最終の末端の消費機器に関しては別の会社がやるということで、これが理由で多くの事故が始まった。今、実際、日本は過去三年ぐらい事故がちょっとふえている傾向にある。そして、ヨーロッパの例やアメリカの例であるように、やはりあんなふうになってはいけない。日本は一桁二桁事故率が低いという、これは私は世界に誇る日本のガス産業のすばらしい価値だと思うんですね。これは値段以上のものがある。だからこそ、ここをしっかりと揺るぎのないものにしていく対応をぜひ強くお願いしたいというふうに思います。

 それから、残りの時間でガスの料金。これは私は余り期待できないと思うんです。これは電力も同じですけれども、料金の最大限の抑制ということは、料金を最大限下げるということとは似て非なるものですね。最大限抑制というのは、仮にこれから三割料金が上がっても、四割は上がらなかった、それは改革のおかげだ、最大限抑制できた、こういう理屈になるわけで、誰も責任をとらされない仕組みだと思います。

 そういう中で、電力もガスも、突き詰めると上流部分を強化しないと話にならない。値段の一番根っこのコスト、コストの一番でかい部分は燃料、原料費なんです。だから、そこを強化する仕事を本当にしっかりやってくれているのかということが、やはりシステム改革以上に大事になってくるんだと私は思うんですね。

 そこで一つお伺いしたいのは、資料の十四でございますが、INPEX、JAPEXという二つの組織があります。国策会社でございます。去年も質問をさせていただきました。

 私は、この二つの会社、まあ世界の中では大して大きくないかもしれないけれども、両方ともトップに経産省の天下りがいて、こういう二つの組織を二つのままにしておくメリットは本当にあるのかなと。

 今回も、どれを法的分離するかで、この二つは法的分離の対象にしないということでありますが、私は、ここはみずから身を切る改革でもあると思っているんです。何でこの二つを温存するんですかということを言われないためにも、この二つはやはりしっかり改革をしてほしい。法的分離するなら、この二つは外しちゃいけない。

 次のページをごらんください。

 次の十五で、高圧導管だけで見たら、東京ガスを上回るのがINPEXだ。もう皆さん御案内のとおりです。高圧ガスで見たらでかいんですよ。そういう意味では、この二つは、一番経産省がやりたくない、やりにくい改革であれば、まずここをやってください。

 そして、もう一つ私がお願いしたいのは、一年前も聞きました。何でこの二つを一緒の会社にしないんですか。一緒の会社にしないことによる国民のメリットを御説明ください。

宮沢国務大臣 一緒にするというお話を委員はずっとされているわけでありますけれども、INPEXにつきましては、豪州、インドネシア、アブダビ、JAPEXは、国内、イラク、カナダに強みがあって、ある意味では切磋琢磨しているという状況だと私は考えております。

 そして、この両社ともに、それなりに国が株式を持っていることは事実でありますけれども、一方で上場されている企業でありまして、私どもが一方的に合併しろとかするなとか言う立場ではなくて、やはり上場企業としてそれぞれが判断していくことが適切だろうと考えております。

田嶋(要)委員 天下り先だとかそういうことを言われるのは多分不本意だと思います。だからこそ、総理、やはりこれはもうずっと言われているんですよ。上流部分の強化なしに、そんなに簡単に値段は下がってこない。日本は、ジャパン・プレミアムで高い値段をつかまされているというのは御案内のとおりですね。だからこそ、やれることは全部やらなきゃいけないと私は思うんです。INPEXとJAPEX、これは統合の余地もある、少なくとも検討してみるということぐらい、総理、おっしゃっていただけませんか。

安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になったように、我が国の上流開発企業等の強化については、資源の安定的な確保に加えて、調達費の削減を図るための重要な取り組みである、このように思います。

 まさにその意味におきましても、資源外交を積極的に現在展開をしているわけでございますが、例えばJOGMECによるリスクマネー供給の強化等を行っているところでございまして、先般も、こうした資源外交の成果によって、先月末、国際石油開発帝石、INPEXがアブダビの陸上油田の権益獲得に成功したところでございます。

 この二つを一緒にせよということでございますが、その理由については既に宮沢大臣から答弁をさせていただいておりますが、INPEXにおいては政府が持っている株は一八・九%、JAPEXについては三四・〇%でございまして、いわば上場している企業について、政府としてそれを一緒にするということについては、それはいかがなものかと。事実、そういうことはできない、このように考えております。

田嶋(要)委員 もちろん、民間ですから、そういう面はありますけれども、ぜひ指導力を発揮して、検討はしていただきたいと思います。今のままの状況にメリットは私は余りないし、統合すれば少なくとも今よりは上流部分が強化される、これは間違いないと思うんですね。ぜひ天下りの方によく御相談していただいて、決めていただきたい。どうぞよろしくお願いします。

江田委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 民主党の篠原です。

 少ないですが質問時間をいただきましたので、総理に出席していただいておりますので、総理に大所高所の問題点をお伺いしたいと思います。

 例によって、四ページほどの資料を配らせていただいております。一ページ目、三ページ目、四ページ目、いろいろ考えてつくりましたので、よくごらんいただけたらと思います。

 三ページ目の資料をお開きいただきたいと思います。

 今度の電力改革は非常に重要だと思います。日本には重要な問題がいっぱいあります。農政改革も大事でして、安保法制改革も大事だと思いますけれども、この電力改革も大事だと思います。

 この電力システム改革ですけれども、どこに関連しているかというと、原発をどうするのか、再生可能エネルギーをどうするのか、温室効果ガスをどれだけ削減するのか、これと深くかかわっていると思います。

 表をちょっと見ていただきたいんですが、原発をどうするか、これがどうも余りきちんとせずに今度の電力改革は行われているような気がしてならないんです。表の下の方にちょっと小さい字で書きましたけれども、私があっちゃこっちゃのをいろいろしながらつくりました。原表を私がつくり、おさまらないところを経産省にお願いしましたら一時、二時ぐらいになっちゃって。それで、ちょっと整合性がとれていない部分があるんですが、世界の潮流は、もう原発はやめていこうというふうになっているんですね。原発削減目標というのは、別に温室効果ガスと同じようにあるわけではありませんけれども。

 どこを見ていただきますかね。フランス。フランスは現在の電源構成の中で七七%も原発に今頼っているのに、二〇二五年には五〇%にすると言っているんです。これは御存じのとおり、隣のドイツは二〇二二年には全廃です。アメリカはどうかというと、一九七九年、はるか昔にスリーマイル島の原発事故があったので、今まで三十六年間新しくつくられたのはなし、四基建設中だそうです。

 それで、マル・バツが書いてありますけれども、これは私の判定でして、ちょっとバツをつけ忘れたので、四基建設中だというので、四つバツにしておいてください。隣のイギリスは十一建設計画中だというので、十一バツしておかなくちゃいけないと思いますけれども、ほとんどの国は、もう原発はやめていこうとしている。

 宮沢大臣は、現時点では新増設は考えずと。現時点なんて言わないで、もう新増設は考えずと言っていただきたいんですけれども、そうじゃないんです。だけれども、百基以上あるあのアメリカで三十六年間も一つもつくられなかった、廃止の方向を向いている、この背景というのは、総理、何だと思われますか。

 世界はそういう方向に動いているんです。世界の潮流に合わせて、普通の国に安全保障でもなろうとしている。TPPでも一緒にやっていこうと。僕は反対なんですけれども。そうやっておきながら、原発についてはどうも後ろ向きのような気がするんですが、世界はこういうふうになって、脱原発で動いている一番の理由は何だと思われますか。

安倍内閣総理大臣 日本としても、政府としても、福島第一原発の過酷な事故、あの過酷な事故を経験しているわけでございまして、安全第一に考えるという中において、原発依存度をできる限り低減していくという中において、今回、エネルギーのベストミックスの構成について検討したところでございます。

 そこで、今委員が、世界の潮流はもうみんな原発を新増設はせずに低減しているんだという基本的な認識を示されたわけでございますが、しかし、今委員も御指摘になったように、例えば米国では四基の建設が進んでおりますし、英国では、政府が新規建設サイトを八カ所選定し、建設計画が進んでいると承知をしております。そのほか、ポーランド、チェコ、フィンランド、ハンガリー、ブルガリア等においても原発計画が進展をしています。したがって、多くの欧米諸国が原発の新増設を行わない、原発削減ないし廃止に向けて進んでいるという、それは少し違うのではないか、このように思います。

 一方、ドイツ、イタリア、スイスでは脱原発を決めたということは承知をしておりますが、しかし、それは、それぞれの国にはそれぞれの国のエネルギー事情があるわけでございまして、単純に比較することは適切ではないと思います。日本は海に囲まれているわけでございまして、欧州各国のように隣国から電気を調達するということは容易なことではないわけでございます。

 いずれにせよ、電力料金の上昇や温室効果ガス排出量の大幅な増加を考えますと、国民生活や産業活動、中小・小規模事業者を守り、責任あるエネルギー政策を実現するためには原発ゼロというわけにはいかない、こう考えるわけでありまして、その上で、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入などを進めつつ、原発依存度を低減させていくことが政府の方針でございます。

篠原(孝)委員 総理は、潮流じゃないと言う。全部とは言っていませんよ。潮流は明らかに原発は少なくしていこうということなんですよ。それは認めていただかなくては困ります。

 それで、一番の理由は、電力料金の抑制というのが今度の目的の一つになっていますけれども、アメリカがずっと三十六年間もつくらなかったのは罪の意識があるからです。失敗したと。一九七九年から今まで三十六年間ないんだから、日本は二〇一一年に福島原発事故が起きたんだから、二〇三〇年まではまだ十九年しかたっていませんから、アメリカの例に倣うんだったら三十六年間新増設はゼロですよ。

 別にそんなに何でもアメリカに合わせる必要はないんですけれども、それは僕は嫌いなので、別に合わせる必要はないと思います。ですけれども、やはり潮流というのは考えなくちゃいけない。

 それで、経済合理性なんですよ。採算が合わないからなんです。日本は何だかんだ言って優遇しているからなんです。

 フランスでつくっているフラマンビルのは当初の二倍のお金がかかっている。オルキルオト、これはオンカロのあるところです。その原発は当初の予定よりも三倍かかって一兆円だと。日本では約七千億円と言われていますけれども、一兆円もかかっちゃっているんです。

 経済合理性なんです。採算が合わなくなっているんです。まして、事故を起こした処理費用を考えたら合わないんですけれども、経産省はまた変なことをやり出している。二番目のところです。

 四ページ、表を見ていただきたいんですけれども、一番後ろのページの表。

 今、エネルギーミックスというのが大前提になっていると思います。四月中だとか五月上旬だとか言っていたのに、おくれている。

 そうしたら、原子力が一番安い。十・一円とか言っていたのが、いつの間にか十・三円になっています。

 また三ページ目の表に戻っていただきたいんですけれども、二〇三〇年には二〇%から二二%になっています。経産省や原発関係者がどうしても二割にと。私だったら逆に、このやろうどもめと、やろうどもめというのはちょっと言葉が悪いですね、一〇%台に抑える。それで、何か計算して、再生可能エネルギーを、これより多い二二から二四にしている。これもやはりおかしいと思いますよ。

 では、潮流はそうじゃないと総理はおっしゃいますけれども、再生可能エネルギーの目標のところをちょっと見てください。

 再生可能エネルギー、一番優等生はどこですかね。アメリカは州ごとになっていて、アメリカのカリフォルニア州は三〇年に五〇%にすると言っているんですよ。ドイツは、二五年に四〇から四五、三五年には五五から六〇にするんだと。フランスも正直ですよ、今少ないんですけれども、二〇年には二七%に持っていくと。イギリスも三〇%にしている。日本だけがしみったれているわけです。唯一、二〇%台ですよ。もっと意欲的に取り組んでもらわなきゃ困ると私は思います。

 表一を見てください。この表も経産省がちゃんとつくらなくちゃいけないんですが、僕がいろいろつくって、わかりやすくしたんですよ。字が小さいのがちょっと難点ですけれども、全部で五十もあるからこうなっちゃうんですよ。もっと少なければ、もっとすっきりした表になるんですよ。見てください。

 では、二〇三〇年に四十年になるかどうかという線、柏崎刈羽第五号までが四十年なんです。それを二十年先に延ばすとか言っていますよ。

 だけれども、左側を見てください。福島第一、第二というのを。福島第一の一、二、三号機。福島第二の方が被害に遭わずに、第一が被害に遭ったのは、ああいうふうになったのは、やはり古い原発だったからなんですよ。

 それで、まあそこそこ真面目にやっていますよ。古い順に、バツは、もう廃炉が決まっているわけです。点線は何かというと、ドイツの三十二年です。ドイツの三十二年でやると、ここでもう終わりなんです。

 それで、二〇三〇年で、四十年以上たっているのでやったら、それを全部足したって、どうやって計算するのか知りませんけれども、いろいろなところによると、原発の比率は、大体一〇%からせいぜい一五%だと。新増設するか延長しなかったら、とてもじゃないが、原発の割合を二〇%から二二%なんてできないと言われているんですよ。

 そして、一番後ろのページのエネルギー基本計画のところを見ていただきたいんですけれども、再生エネルギーの導入を最大限加速し、一年前ですよ、省エネ、再エネ導入や火力の効率化などにより、原発依存度を可能な限り低減させると言っているんです。全然これに反しているような気がするんですけれども。

 これこそ総理の一声で、いや、再生可能エネルギーを三〇%にして、原発は一五%、その半分ぐらいにと。これこそ総理が指導力を発揮してやっていただいて、世界の潮流に合わせていただきたいと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 総理がこの後、御発言になると思いますけれども、エネルギーミックスにつきましては、まず、当然、安全性を大前提とした上で、三つの目標をクリアしたいということで目標を立てております。

 そして、その目標は、自給率をおおむね二五%程度まで改善する、そして、電力コストは現状よりも引き下げる、そしてさらに、欧米に遜色ない温暖化ガスの削減目標を掲げる、こういう三つの目標を掲げた上で、それぞれのコストについて分析をした上で、まさにいろいろな状況を勘案しながら、今回、原発については二〇から二二、再生可能エネルギーについては二二から二六というふうにしたものでありまして、まさに何か大づかみでぽんと乗せたものでは決してありません。

 逆に言えば、まさに今申し上げた、自給率を二五%程度にする、電力コストは現状よりも引き下げる、さらに、温暖化について欧米に遜色ない目標を、おっしゃるような例えば再生可能エネルギーを三〇%にしてできるかといえば、私どもには、それができる自信は全くございません。

 したがって、いろいろ御提言をしていただくのであれば、例えば、自給率はどうなのか、コストはどうなのか、また、温暖化目標はどうなのかというところを、逆に、我々よりはもっと国民にはよくない方向の目標を立てるということであれば可能になるかもしれませんけれども、まさにそういうきっちりとした計算を立てた上で、国民生活のことも考えてつくったものであります。

 そして、再生可能エネにつきましては、各国いろいろ状況が違います。しかし、これはもう委員御承知のとおりでございまして、例えばドイツなどにおきましての風力発電というものはかなりコストが安い。アメリカにおいても非常に安い。そして、そういう適地がたくさんあるという国と、風力について、もちろん今いろいろ努力はしておりますけれども、適地がなかなか見つからない。

 済みません。再生エネを二二から二六と申し上げましたが、二二から二四の間違いでございます。

 見つからない。そして、太陽光に極めて偏った導入がされた結果、太陽光はかなり高くついているといったような状況を勘案すると、やはりまさに最大限導入してこういう形になったということを御理解いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今大臣から答弁をさせていただきましたように、それぞれのエネルギーにはそれぞれの特性があるわけでございまして、その中で、我々は、まず安全が第一、これは基本的な考え方でございまして、その上において、CO2を削減していかなければならない。あるいは当然、コストは、これは国民生活、また、中小企業、小規模事業者の皆さんにとっては、これは生存がかかっているといってもいいんだろう、このように思うわけでございます。

 そして、自給率も上げていく必要があるわけでございまして、自国でガスが出る国、あるいはまた電力を電線で融通し合うことができる地域とは違うという観点からも考えなければいけない、こう考えるわけであります。そして、もちろん、過酷事故を経験しておりますから、原発依存度をできる限り低減していくという中におきまして、三割から二割程度まで引き下げることとしているわけでございます。

 そこで、再生可能エネルギーについてもっともっとふやせ、そういうお気持ちはわかりますが、しかし、例えば、先般もカリフォルニアに、ロサンゼルス、サンフランシスコに参りましたときに、カリフォルニアでは再生可能エネルギーがたくさんあるという話でございましたが、例えば太陽光については、カリフォルニアでは、まさに「カリフォルニアの青い空」という歌があったぐらいでございますから余り雨が降らないという安定性がございます。風力についても、日本とは状況が違うということもあるわけでございまして、責任の持てる、実現可能性のある、我々はエネルギーミックスを考えなければならないということにおいて検討しているわけでございます。

篠原(孝)委員 事情があるし、自給率ということも。

 自給率を考えるといったら、食料自給率ももっとちゃんと考えてもらいたいんですけれども、余り考えておられない。エネルギーの安全保障も軍事の安全保障も食料の安全保障も同じですよ。自前でやる、安全でやると。そうしたら、再生可能エネルギーが一番いいんですよ。

 日本の自給率はインチキですよ。原発を自分の自給ということにしているんです。だけれども、安全でいったら、国民はどういうことに不安を感じているかというと、やはり他国の攻撃も不安です。よくない。それに備えるのは大賛成ですよ。悪いことじゃないと思うんですよ。それから石油が足りなくなって、電力料金が上がるというのも不安だ。だけれども、原発事故の不安というものも国民にとっては大不安なんです。この不安を取り除くのが、私は総理の役割だと思います。

 メルケル首相が三月に来られたときに、総理と親しく話されているはずです。総理はちゃんと覚えておられると思います。新聞に書いてありますよ。どういうお話だったかというと、ドイツは、このぞっとする福島原発事故を連帯感を持って受けとめ原子力から撤退する道を選んだ、ドイツは今再エネへの転換を進めている、日本もドイツと共同して同じ道を進むべきだと言ったんです。

 いいんです。日本に事情があるから、日本の事情。だけれども、そんな中で最大限の努力を私はしていただきたいと思います。こっちの方にも相当エネルギーを費やしていただきたいと思います。

 温室効果ガスの質問は、丁寧にお答えいただいたのでできなくなってきましたので、最後のページの表を見ていただきたいと思います。

 エネルギーミックスのいろいろな人のをつくってあります。長期エネルギー需給見通し委員会、重立った先生の、さっき田嶋議員が松村先生だけがというふうに言われました。だけれども、この長期エネルギー需給見通し委員会も、私は安保法制懇よりはましだと思いました、いろいろな人が言っているので。だけれども、やはり原発推進派の人たちが多くて、何か変なふうになっているんじゃないかと思いますよ。だけれども、そこそこの数字ができてきていると思います。

 次に、総理。

 来週から安保法制。そこに総理の政策エネルギーを相当費やしておられると思いますけれども、ちょっと一番下を見ていただきたいんです。総理の政策エネルギーミックスの試算というのを私もしてみました。

 見てください。わかりませんよ、私が勝手に計算したんです。今は、どうも偏向ミックスで、外交防衛に相当力を入れておられる、入れ過ぎておられる。入れ過ぎちゃいけないというわけじゃない。ほかのところもやってください。ベストミックスだと、下に、私はこうなるんじゃないかと思う。

 ついでに、下に亀井さんのと私のを入れたんです。亀井さんみたいな人は好き勝手やっていいんですよ、一〇〇%地方創生で。私は被害をこうむっていまして、超党派の地域活性化協議会とかつくって、自分が会長になられて、言うことを聞く私を幹事長にして、私はこれに相当エネルギーを費やしていますよ。ですけれども、経済産業委員会の委員の一人ですから、これをやっています。

 総理、もっとバランスをとってやっていただきたいと思う。私は、総理は何でもできると思うんですよ。安保法制が典型的な例ですよ。よくこんな強引なのをできるなと思うぐらいやっておられます。だから、そっちだけじゃなくて、エネルギー面でも、総理の鶴の一声というのはきくんですよ。ぜひやっていただきたいと思います。

 それで、将来こういうふうになると。

 総理は、アメリカの演説、これもなかなか英語の演説は立派だったと思いますよ。安保法制についての意欲についてどうこう言っていますけれども、私は、あんなところは、総理は意欲的なことを言ったっていいと思う。

 しかし、問題だったのは農業のところですよ。これはほかのところでもちらっと誰かが言っているかもしれません。二十年以上前、血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとったと言っている。これはわかります。松岡さんとか松下さんとか、この人たちといろいろやられたんだと思う。僕は間違っていないと思います。

 原発も、そんなふうになるかもしれませんよ。十五年後ですね、まあ十五年後も総理をやっておられないと思いますけれども、大宰相の道を歩んでおられると思いますよ。十五年前、二〇三〇年です、まだ元気過ぎた首相時代に、私は原発を推進してしまったと。そして、いいですか、ここからよく聞いてください。皮肉ではないですよ。安保法制ができて、領土、領海を守ろうとした、守った、そうなると思うんです、なってほしいと思う。しかし、足元で原発事故がまた起きて、三%どころじゃなくて、三〇%の我が愛する日本の国土が住めなくなっているかもしれない、こういうことが起こるかもしれない。こっちの方にもぜひ思いをはせて、政策をやっていただきたいと思いますよ。

 政策エネルギーのベストミックスをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

江田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 昨年末の衆議院選挙で初当選をいたしました、維新の党の落合貴之でございます。

 本日は、お忙しい中、総理にもお越しいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、電気事業法の一部を改正する等の法律案の審議ですので、電力自由化のあり方について、そして、政府のエネルギー政策の方向性について、国民の代表の一人として総理にお伺いをさせていただければと思います。

 まず、各電源の発電コストについて、総理にお伺いします。

 総理は、原発は最も安い電源であるというふうにお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今回のコスト検証においては、二〇一一年当時と同様、外部の専門家、有識者から成るワーキンググループにおいて検討が行われたものであります。その結果を尊重すべきものと認識をしています。

 原発コストの試算には、賠償費用や除染、中間貯蔵等の事故対応費用、そして、追加的安全対策費、核燃料サイクル費用等の最新の数値を全て含んでいると承知をしています。

 その上で、原子力のコストについては、その他の主要電源のコストと比較して低い試算結果となっております。

落合委員 今、資料で、総理がおっしゃった電源コストの政府のワーキンググループによる試算、お配りをさせていただきました。これは、五月十一日の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会長期エネルギー需給見通し小委員会の発電コストワーキンググループで、発電コストについての見解の案が出されたものでございます。

 この数字、お配りをさせていただきましたが、これを総理も尊重するということでございます。

 原発はキロワットアワー当たり十・三円、ほかの数字と比べても最も低い数字ですので、幾つかの新聞にも、最も安い、最安という言葉が出てきました。

 しかし、これをよく見てみますと、原発の部分だけ十・三からというふうに下限値になっておりまして、ほかの数字は上限値が示されている、またはピンポイントに金額が示されています。この、からの部分、ワーキンググループも説明はしているわけですけれども、ここに注目しなければならないのではないか、ここをしっかりと国民に説明しなければならないのではないかと思います。

 この、からという部分は何なのかというふうに思いまして、ワーキンググループの報告書の別のページを拝見しました。これは、損害賠償費用、除染費用がもっとふえるかもしれないということで、からにしてあるということでございます。

 この費用、ほかの、政府でないシンクタンクなどがどれぐらいの試算をしているのか調べてみますと、最大で六円ぐらいプラスになるものも、大手のシンクタンクでも出ています。これに六円を足してしまうと、ほかの石炭火力ですとかLNG火力、水力、それどころか太陽光の方が安くなってしまう。そういう意味で、下限値だけを示したということになっているんだと思います。

 そして、原発に関しては、この金額の中に入っていないいろいろなコストがかかるのではと、多くの人が指摘していますが、最終処分場が決まらない、どれぐらい金額がかかるのかわからない。あと、廃炉に当たって、高レベルではなくて低レベルの廃棄物が物すごい量で出る。また、高レベルの放射線を出し続ける核のごみ、これをどこに捨てるのか、どうやって保管するのか。そしてまた、福島の汚染水の問題も追加で指摘がされております。そしてまた、日本は世界最高レベルの安全基準をクリアしないと再稼働はできない、この費用もさらにかかってくるわけでございます。

 アメリカでは、どんどんどんどん安全基準が厳しくなっていったがために、先ほど篠原委員からも指摘がありましたけれども、続々と廃炉に、そして新設もおくれております。イギリスでは、原発は民間で維持できないということで、価格保証が入りました。

 あと、このコストの計算をよく見てみると、設備利用率が七〇%になっています。世界最高水準の安全基準で、今の設備の七〇%、稼働率がいけるのか、これも十分な検証が必要であると思います。

 ということを勘案しますと、新聞が原発が最も安いと報道しているのは間違いではないか、追加でかなりお金がかかる可能性が、少しというかかなりある、原発は必ずしも最安ではない、そのことを国民の皆様に理解してもらうために総理から説明をする必要があると思うんですが、総理、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 いろいろこれから費用がかかるではないか、ひげがついているという御指摘でありますけれども、正直、例えば賠償といったものについては、二〇一一年に比べて、二〇一五年現在ですから、相当ふえてきて、そういうものは織り込んでおりますけれども、では、最終的に幾ら賠償がかかるかということは今後の推移を待たなければいけない。これが恐らく一番大きな要素だろうと思います。

 また、例えば追加的安全対策といったものにつきましても、これまでのところ規制委員会の指摘を受けていろいろ手直ししたものについてはきっちり入っておりますけれども、また新たなものがあった場合には少しふえる可能性があるだろう。また一方、核燃サイクル等々については、一定の予想のもとで費用を計上しておりますけれども、これも今後の状況で若干ふえる可能性がないわけではない、こういう状況でございます。

 一方で、そういうものが全て、今確定できないものが全て例えば倍になる、今予定しているものよりも倍になるといった状況においても、まだ原子力発電所の発電コストは十一円台でありまして、ほかの電源に比べて安いものになっていると考えております。

落合委員 倍になっても十一円台というのは、私も、もう少し今後調べて勉強していきたいと思っています。それを改めて質問させていただきます。

 今週、台湾の、農産品の日本からの輸入の問題もございました。海外での日本の全国の農産品に対する風評被害、これも広義の原発事故のコストでございます。

 また、福島レベルの事故の想定を四十年に一回にするのか八十年に一回にするのかという議論もありますが、これは想定のコストの計算の問題ですけれども、万が一もう一回あんなような事故が起こってしまったら、もう電力の問題だけではない。発電コストはそれでも安いですと言われても、国民が納得できるものではありませんし、経済にも大打撃を与えることとなると思います。

 したがって、発電コストの問題、そして原発のあり方は、一民間企業の電源の選択の問題ではなく、もっと責任を持って総理また政府がかかわっていかなくてはならない、責任が大変重い問題であるというふうに考えます。

 そこで、総理に質問をさせていただきます。

 今、原発の再稼働についていろいろな手続が各地で進め始められました。原発再稼働、国民の間では多くの反対意見もございます。誰の責任で原発再稼働をするのか。原発再稼働には、いろいろなリスク、問題点があります。政府の責任、総理の責任で原発の再稼働をするのか、お伺いできればと思います。

安倍内閣総理大臣 法令に基づいて実際に原発の再稼働を行うのは、事業者であります。

 ただし、原子力の利用においては、いかなる事情よりも安全性を最優先するのは当然のことであります。

 このため、個々の原子力発電所を再稼働するには、原子力規制委員会によって、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められ、工事計画認可や使用前検査等の法令上の手続を経る必要があります。

 また、万が一事故が起きた場合には、国は関係法令に基づき、責任を持って対処するという方針を閣議で決定しています。

 いずれにせよ、原発については、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく方針であります。

落合委員 先ほども申し上げましたが、万々が一福島レベルの事故が起こってしまったら、国にとっては大変な損害になります。事業者の責任で最終的には再稼働する、その前に規制委員会が審査をする、あとほかにもいろいろな手続、手順がありますが、結局、規制委員会の判断の責任をとる人は誰なのか国民にはわかりませんし、やはりいろいろな手順を踏むからこそ責任の所在が明確ではなくなってしまう、そういう点が見られると思います。

 万が一事故が起こった場合、政府もかかわってきますが、原発事故の賠償は、今の法令では電力会社の無限責任となっています。電力会社もこれは困ると言っていて、原発は経営のリスクになっています。

 そして、責任を明確化して、万が一事故が起こって、電力会社が潰れました、しかし、もしもその事故が福島レベルであったら、電力会社一個の価値と日本の国土の価値、これが引きかえでいいのか。私はそれは大変疑問に思います。

 原発は、大変大きなリスクも抱えています。メリットもありますが、民間企業では責任がとれない、謝るだけで済まないような大きなリスクがある。だからこそ、今後は、法令も改めて、政治家の誰の責任で再稼働するのか明確にするべきであると思いますが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 現在の制度は御承知のとおりでありますけれども、これは、事故の後、民主党政権時代につくられた制度でありまして、恐らく、まさに規制委員会というところで、純粋、科学的、技術的な見地から判断をしてもらうということが、政治家が政治的判断を加えるのではなくて、科学的、技術的判断をしてもらうということが一番大事だということでつくられた制度だと思っておりまして、これはそれで意味のあることだと私は思っております。

落合委員 今までも科学的な見地と安全基準に立って原発が運営されてきて、残念ながら福島のような事故が起こってしまいました。こういう責任が大きい、損害が大きくなってしまうような問題は、やはり政治が責任を持つべきである。そして、原発のような大きな問題は、自治体だけでなくて、ほかの自治体、先ほどの農産品の問題も日本全国に影響が及んでいるわけですから、私は、総理が責任を持つべきである、経産大臣や総理が責任を持つべきである、そのように明確化するべきであるというふうに考えます。

 時間があと三分の一しかありませんので、一問飛ばしまして、エネルギーミックスの問題に行かせていただきます。将来の電源構成がどうあるべきか、エネルギーミックスについてお伺いします。

 先ほども議論がありましたが、先進国は日本より先に進んでいます。一方で、中国は、昨年一年間で千三百万キロワットの太陽光、そして風力も二千三百万キロワットもふえております。風力は既に一億二千万キロワット、これは稼働率ですとか容量で計算すると、原発に換算すると約五十二基分になります。中国はもうそれだけ風力発電の設備を持っています。

 五月八日、中国政府の研究機関が、二〇三〇年に再エネ五三%拡大可能である、二〇五〇年には再エネ八六%可能である、安全保障上もそういう政策を進めていくべきである、そのような報告書をまとめております。

 一方、日本は、再エネの目標は、先進国ほかと比べて半分ぐらいの二〇%台に決まりそうであるという状況でございます。

 再エネは、普及をすればするほど初期コストが低減していく、そして安全保障上もいい。原発も再エネと同じくエネルギー自給率の中にカウントがされていますが、こちらは、原発自体がテロの標的になる可能性もあります。

 経済的な問題を考えても、安全保障の問題を考えても、ここはもう少し背伸びをして、もっと再エネの目標を高く掲げるべきではないでしょうか。今の政権の勢い、安倍総理の指導力ならそれも可能であるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 再エネの最大限の導入を図るということは、安倍政権のまさに大事な課題、重要課題であります。

 ただ、一方で、再エネといいましてもいろいろな種類の電源がありまして、世界的に言えば、やはり水力、風力、そして太陽光が大きな電源であります。

 そして、日本のケースを考えますと、水力につきましては、まだ中小水力等々といったところの可能性は今後いろいろ追求しますけれども、大きなダムをこれ以上建設するという状況にはないという状況。そして、風力また太陽光につきましても、正直言って、日本の気候というものは向いていない部分がたくさんございます。

 中国の例がございましたけれども、奥地の砂漠のようなところで太陽光をやれば、ほとんど雨が降らない、雲も出ない、そうすると日中どれだけ発電するかということは大体予想ができて、それに合わせていくことができるわけですけれども、日本の場合は、突然曇り、突然雨が降るという中で、太陽光の発電の実際の率というのは一三%程度にしかすぎない。

 そして、風力につきましても、北海道及び東北の日本海側等々、一部それなりにいい場所はありますけれども、ヨーロッパまたアメリカのように、本当にそういうものが陸上にだあっと広がっていて、常に一定の風が吹いている、強くもなければ弱くもない、そういう場所がたくさんあるところとはかなり違っておりまして、なかなか、正直言って、導入できる場所が少ない。

 こういう状況の中で、我々としては、最大限の導入を図ろう、こういう方針を持っているわけでございます。

安倍内閣総理大臣 ただいま大臣から答弁をさせていただきましたように、再エネの導入については最大限の努力を進めていく考えでございます。

 しかし、日本の風力あるいは太陽光をめぐる状況というのは、今大臣から説明をさせていただいたとおりでございまして、しかしその中でも最大限の努力をしてまいりますが、同時にエネルギーのコストの問題もございます。そうしたことを勘案しながら、今回、ベストミックスについて検討したところでございます。

落合委員 私は、今の政権の指導力があればもっともっと伸ばせる、ぜひそれをやっていただきたいと切に思っております。

 今回、質問に当たりまして、諸外国の発送電分離の前、電力自由化の前はどうだったのか、いろいろな記事も調べました。そうしますと、一九九三年のドイツの新聞には、再エネは四%以上にはふやせないと、二十二年前ですが、大手の電力会社が広告を出しています。しかし、各国が電力自由化をして、そして発送電分離をしたら、飛躍的に再エネの比率を伸ばしています。

 ヨーロッパは、国境をまたいで電線がつながっているので、系統接続がたくさんされているので、再エネが参入しやすいという御答弁も大臣からもありましたが、日本の各電力会社の管轄している各地域、これはヨーロッパ一国並みのGDPを多くの地域が有しています。その今分割されている各地域を広域連系でつなげていけば、ヨーロッパと同じように、より再エネは参入しやすくなるはずでございます。

 ことしの四月に始まった電力広域的運営推進機関、そして、今審議されている法案成立後六カ月以内にできる電力・ガス取引監視等委員会、そして来年四月からの小売の全面自由化、そして二〇二〇年の発送電分離、これを確実にしっかり行って、公正な競争が行われるようにしなければならないというふうに考えます。

 そして、この電力自由化を果たしていくために、今回の法案も読ませていただきますと、最も重要なのは監視機関である、そのように考えます。

 電力自由化とは発電や電力供給に競争を導入することであって、当然のことながら、公正な競争環境が整っていることが必要でございます。それを担保するために、今回、この監視機関が設置される。公正な電力市場における競争を維持発展していくために、この機関の独立性、中立性、これは大変重要な、今回の改正案の肝であると考えています。

 本当に独立性が保てるのか、中立性が保てるのか、大きな電力会社からの圧力がたとえあったとしても、いや、違いますと行司役になれるのか。省庁のいろいろな問題も、行司役になって、そしていろいろな施策を実行できるのか。

 この監視機関、事務局のあり方、委員のあり方、権限のあり方、いろいろありますが、今回の電力自由化を達成させるために監視機関はどうあるべきか、見解を伺えればと思います。

宮沢国務大臣 電力・ガス取引監視等委員会の、まさにおっしゃるとおり、中立性、独立性というものはしっかり担保をしていかなければいけないと考えております。

 一点、独立性といった意味では、八条委員会という御議論もございましたけれども、私どもは、やはり、エネルギー政策の枠組みから離れて市場監視や料金規制を行う仕組みということになりますとエネルギー政策上の問題が出てくるということで、三条委員会にせずに八条委員会といたしましたけれども、そういう中で、しっかりとした権限が行使できるような法制度とさせていただいております。

 一方で、独立性、中立性という観点から、やはり委員というものを、まさに独立して判断ができる、そして中立的な方ということで、そういう委員をしっかりと選んでいかなければいけないと思っておりまして、まさにこの監視委員会がしっかり中立的な、そして独立した判断ができるような運営ができる委員といったものを任命していきたいというふうに考えております。

落合委員 総理、法案の中身を読みますと、この監視機関の中身が、政省令で定めるという部分が大変たくさんあります。ぜひ、独立性、中立性を持った監視機関であるべきである、これから政省令をつくっていくためには、それを絶対になし遂げなきゃいけない、この日本の総理として、そのことを今ここでおっしゃっていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 御指摘のとおり、全面自由化を行うに当たっては、市場の監視を行う機関の役割が非常に重要であると認識をしています。

 今般設立をする委員会は、公正中立な判断をすることができる専門家を委員に任命することとしています。その上で、委員は独立してその職権を行う旨を法律に規定して、個々の職務遂行について独立して判断を行うことを明らかにしています。また、事業者に対する業務改善勧告などの権限を独自に行使できることとしています。

 今後、適切な監視などを通じてダイナミックな競争が生まれていくよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

落合委員 答弁いただいた内容がほとんど今までの大臣の答弁と一緒でしたが、最後に、取り組んでまいりたいと総理から言葉がありましたので、それは受けとめていきたいと考えております。

 時間になりました。

 この電力自由化により日本経済にイノベーションが起こって、そして新たな経済のフロンティアを広げていく、そのためのこの法案であるように、私も今後も注視していきたいと考えております。

 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございました。

江田委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、四月十六日の本会議に続いて、安倍総理に質問をさせていただきます。

 本会議では大変多くのテーマを取り上げたわけですが、きょうは原発に絞ってお聞きをしたいと思います。

 先ほど来出ておりますが、先日、経産省が、二〇三〇年度時点での原発比率について、二〇から二二%という数字を示された。この数字についてお聞きしていきたいんです。

 配付資料の一の下の方の図を見ていただければと思うんですが、これは経産省の数字であります。二〇から二二というのを発電電力量でいうとどうなるかということでお示ししたんですが、ここにありますように、二〇%の場合は二千百六十八億キロワット時、そして二二%の場合は二千三百十七億キロワット時ということになります。つまり、経産省案によりますと、二〇三〇年度時点で二千百六十八億から二千三百十七億キロワット時の電力を原発で生み出す、こういうことになります。

 では、このために原発がどれぐらい動く必要があるのかということになると思うんですが、それに関する資料が配付資料の一の上の方に関連してまいります。

 現在、規制委員会で適合性審査の原発は二十四基ということで、これに、建設しています中国電力島根三号機、東京電力東通原発を入れれば二十六基と、あえて建設中のまで入れているわけですけれども、これらの原発について、認可出力に、前提として稼働率七〇%、八〇%ということをもとに試算をさせていただきました。

 そうしますと、この二十六基、稼働率七〇パーで動かした場合、これはおおむね、事故発生前の長い目で見た場合ですけれども、こういう数字になるわけですが、この二十六基を稼働率七〇パーで動かしても、実際に生まれるのは千六百三十八億キロワット時しかありません。仮に、先日委員会で、宮沢大臣、稼働率も高めていくんだ、こういうお話もありましたので、もうちょっと高目の稼働率八〇パーも試算してみたんですが、それでも千八百七十二億キロワット時しかないわけですね。これは、トータルが一兆六百五十億キロワット時です、二〇三〇年度。ですから、これは比率ではじきますと、稼働率七〇パーでも一五・四%、八〇パーでも一七・六%。

 ですから、今一生懸命審査されている、あるいは、この中にはもう審査済みのも入れております、審査済みの四基も含めて、要するに、審査中のもの、審査済みのもの、そしてこれから建設するもの、こういうものを全部ひっくるめて動かしても、はっきり言って一五から一七というオーダーにしか達しないということになってくるわけです。

 ここで、総理にお聞きしたいと思うんです。

 総理は、本会議で、私の質問に対しまして、原発比率について、今審議会による議論がされている、ですから、審議会による議論を見た上で、政府として適切に判断をしていきたい、こう答弁をいただきました。

 そこで、もう今この審議会のあれが出たわけですから、総理の方にボールが移っているということであります。この二〇から二二%というのは、今審査中、そして審査済み、建設したもの全部動かしても到底達し得ない数字であります。これは一体どうやって達成するのか。新増設あるいはリプレース、運転延長を想定されているんじゃないでしょうか。総理、御答弁お願いします。

宮沢国務大臣 事実関係だけ、まず私の方からお答えさせていただきます。

 まさに、審査中二十四原発プラス新設扱い二、こういうことで計算されていますが、恐らく違いは、震災前、日本に原発は五十四基ございました、動いていますものが。そして、東京電力福島第一の六基は廃炉が決めてありまして、四十八ということになり、そしてその後、関電等々から廃炉の見通し予定ということで五基上がってきておりますので四十三基。そして既設扱いが、二だけではなくて、もう一つ、電源開発の青森の炉がございますので三。四十三プラス三、四十六というものの中で、今審査中、審査済みのものが二十四ということで、今後、その間にあるものにつきましても当然審査を行うというようなことになってくる。その辺の違いがあるんだろうというふうに思います。

安倍内閣総理大臣 エネルギーミックスの骨子案は、徹底した省エネそして再エネの最大限の導入、火力発電の効率化等を進めつつ原発依存度を低減させるとの政府の方針に沿って、原発も含めた各電源について、二〇三〇年時点における電源構成上のあるべき姿を示したものであります。

 原発比率は二〇%から二二%という数字は、この方針に沿って、安全性の確保を大前提に、電力コストや安定供給、そして環境負荷低減を総合的に考慮した上での現実的な案と考えております。

 また、従来より申し上げているとおり、現在、既存の原発の安全確認が進められているところでありまして、現時点で新増設、リプレースは想定していません。

 このような方針のもとでも、法令上認められる運転期間延長や、安全性向上の取り組みにより期待され得る稼働率の向上などのさまざまな要因を考慮すれば、二〇%―二二%という数字は達成し得るものと考えております。

藤野委員 私の質問は、その二〇から二二、これは、達成するには、よく四十年たったらという話があるんですが、今審査しているものあるいは建設中のものを入れてもだめなんじゃないかということなんですね。

 一方で、昨年四月に、政府は、エネルギー基本計画の中で、原発依存度を可能な限り低減させるという方針を出されている。可能な限り低減させると一方で言いながら、今、審査中や建設中のものを含めても到底足りないという方針が出されているということで、これは、ほかの審査も進めるんだという話ですけれども、やはり今この閣議決定されているエネルギー基本計画の、可能な限り低減させるということと全く反する方向だというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 何でこういうおかしなことになるかということなんですが、今、安定性とか経済性というお話がありました。エネルギーについては、スリーEプラスSということがよく言われるんですけれども、私は、それだけでいいのかというふうに思うんですね。

 先ほど欧米各国のお話がありました。そして、相互信頼や地元の同意というお話もありましたけれども、結局、エネルギーの問題というのは、単に経済の問題とかそういう問題だけじゃなくて、地域社会の自治の問題あるいはエネルギーの民主的な改革の問題でもあるというふうに思っております。

 私は地元が北信越ブロックで、長野県もあるんですが、長野県の飯田市というところでは、自治体や金融機関、NPO、住民が一致して太陽光発電を進めるということで有名であります。そこでお聞きしたのは、自然エネルギーを進める上で、ハード面も大事だけれども、大事なのはやはり人材であり、ネットワークであり、ソフトインフラだというお話をお聞きしたんですね。私は、そのとおりだというふうに思います。

 今必要なのは、やはりエネルギーシステムの改革、上から進めるだけではなくて、住民や国民を主体として巻き込んでいく、こういうやり方だというふうに思います。

 総理にお聞きしたいんですけれども、エネルギー改革といった場合に、そうしたエネルギー自治の観点、民主主義の観点というのが必要なんじゃないでしょうか。

安倍内閣総理大臣 エネルギー自治というのは、どういう意味で用語を使っておられるかは私も十分に承知をしておりませんが、エネルギー政策を進めていく上において、先ほど省エネそして再生可能エネルギーの導入等のお話もさせていただきました。

 省エネという観点からいえば、これは国民的な理解と協力が不可欠であろう、このように思います。そういう中におきまして、国と自治体、そして住民の皆さんとともに、力を合わせながら進めていくことも必要なんだろう、こう思うところでございます。

 同時にまた、再生可能エネルギーを進めていく上において、太陽光あるいは風力を進めていく上においても、住民の皆様の了解は必要になってくるわけでございます。風力につきましても、景観を毀損するという意見も強いわけでございまして、そういう中におきましての理解をどう進めていくかということも重要ではないか。

 いずれにいたしましても、エネルギーのベストミックスの構成についての御理解をいただきながら、その中で各電源を確保していく上においてそれぞれの地域の住民の理解を得る努力をしていくのは当然のことであろう、このように思います。

藤野委員 総理はよく、取り戻すという言葉が好きなんですけれども、私は、エネルギーシステムについて言えば、発送電一貫だとかあるいは地域独占、大手電力体制からやはり住民や国民の手にエネルギーシステムを取り戻していくことが必要なんじゃないかというふうに思うんですね。

 そして、それとも関係するわけですが、やはり今、原発につきましては、民主主義という点からいえば、日本にとっても非常に画期的な動きが生まれていると思うんです。

 きょうはくしくも金曜日なんですけれども、今、毎週毎週金曜日、官邸前でも抗議が行われております。そして、私の地元である北陸信越五県でも、もう既に百回を超えて行われている。ちなみに、官邸前はきょう百四十九回目です。そして、全国でいえば、これは私たちしんぶん赤旗の調査ですけれども、二百七十九カ所で定例、定時の宣伝や抗議行動が行われている。まさに全国津々浦々で原発のない日本をつくってほしいという声が定期的に上がっている。これは、私は、日本の民主主義史上、あるいは国民運動史上、かつてなく創意的で画期的な広がりだというふうに思うんですね。

 やはりエネルギーシステム改革の原点は、まさにあの東日本大震災であり、福島原発事故であります。そして、四年たってもまだ見通しの持てない福島の今のこの現実、これがあるからこそ、そうした粘り強い国民の運動が各地で繰り広げられている。

 私は、エネルギー改革を考える場合には、この原点に立ち戻って、やはり二〇三〇年度に二〇パーから二二パーなんという目標を三・一一を経験したこの日本が掲げるべきじゃない、大もとから再検討すべきだということを強く要求したいと思います。

 その上ででありますけれども、配付資料の二枚目と三枚目に当たるわけですが、この資料は、要するに、なぜエネルギーが住民のもの、国民のものにならないのか、なぜ一部の、今発言力の強い人たちのための改革になってしまうのかということの一端だというふうに思うんですね。もちろん、大企業の改革はいろいろ進める必要はあると思うんですけれども、そして、先ほど篠原委員からも、経済合理性がそもそもないんだというお話があるわけですけれども、私は、やはり政治と金の関係でも大きな影響があるのではないかと。

 我が党の塩川鉄也議員がことしの二月の予算委員会でこの問題を取り上げまして、そのときは、いわば自民党全体の献金といいますか、国民政治協会全体の献金を、二〇一二年から二〇一三年、つまり野党時代の自民党から政権復帰後の自民党ということで比べてお示しをしました。そのときは一・五倍にふえているというお話でしたけれども、きょう私が配付資料で配らせていただいた資料二の一というのを見ていただいて、その一番下になりますと、一・七倍。

 これは、全企業ではなくて、ここにありますように日本原子力産業協会会員企業からの献金になるわけですね。ですから、一般的な企業からの献金ではなくて、まさに原発利益共同体からの自民党国民政治協会への献金ということになります。これについては一・七倍。

 しかも、原発御三家と言われる三菱重工は三倍、あるいは二倍という数字ですし、総理が力説される総合エネルギー企業のかなめになると思われる総合商社、これは軒並み四倍なんですね。

 ですから、総理にお聞きしたいんですけれども、なぜ自民党全体よりも原発利益共同体からの献金が伸びが大きいのか、どのように御認識でしょうか。

安倍内閣総理大臣 このような浄財を寄附していただいている企業に対しては感謝申し上げたい、このように思います。

 なぜという御質問でございましたが、私も初めて、自民党総裁ではございますが、このようにふえているという状況を確認したところでございます。

 ですから、ということは、ふえたから、減ったから政策的にどういう影響があるかということではもちろんなく、基本的には、いわば日本経済の状況が好転をしている中において、各企業が、余裕を持って、いい政策を進めてもらいたい、いい政治をしてもらいたいという思いの中で献金をしていただいているのではないか、このように思います。

藤野委員 もう時間も来ておりますが、国民の浄財といいますけれども、やはり企業からの献金ですから、これは全然性質が違うと私は思うんですね。

 予算委員会のときに総理は、政策が評価されたんだというふうにも答弁されております。私は、そっちの方が正しいんじゃないかなとある意味思うんですね。原発回帰政策をばんと出されると、それに対して原発利益共同体からの献金が通常、平均よりもさらに多く入ってきているということで、やはりこういう形ではいけないし、やるべきは国民から評価される改革だというふうに思います。

 そういう意味でも、そうした国民から評価される改革を強く求め、とりわけ原発ゼロへの政治決断を強く求めて、私の質問を終わります。

江田委員長 次に、野間健君。

野間委員 無所属の野間健です。

 持ち時間が四分でありますので、一問だけ総理に質問させていただきます。

 私は、九州電力川内原発の立地しております鹿児島県の薩摩川内市の住民であります。今回の電気事業法の改正、電力自由化で、今後、私たちの地元もそうですけれども、原子力発電事業、原子力産業が一体どうなるのか、大きな不安や懸念が生まれております。ほかの立地自治体でもそうだと思います。

 もう御承知のとおりですけれども、従来の原子力発電事業は、立地から考えれば、七十年、八十年あるいは百年単位で巨額の、数千億、数兆円の投資を回収していくという事業でありました。

 これはもちろん、総括原価方式、地域独占という仕組みで支えられておりましたけれども、来年四月からこれが全面自由化されるということで、この仕組みがなくなるということは、巨額のこれだけの投資をする、万が一のときの無過失責任あるいは無限責任、またバックエンドの廃棄物の処理をどうするかという巨額の投資をしていかなければならない、それを長期で回収することがもはやできないとなりますと、新規で原子力産業に、原子力発電事業に参入してくる企業、そういったところはもうほとんど皆無になるのではないかと思われます。

 現に、先ほど富田委員からも資料が出ておりましたけれども、九州電力、関西電力、中国電力、各社競って、この自由化をにらんで首都圏に原発十三基分という石炭火力の新増設の計画をもう出しているわけであります。原子力産業はペイできないということで、こうやってどんどん業態の変化が起きております。

 今後、私たち原発とともに生きている地域にとって、現にある原子力発電所の安全性の確保、また今後四十年、六十年後の廃炉をどうやっていくのか、また廃棄物の問題もそうでありますけれども、こういったことを担う企業あるいは技術、人材、これはきちっと、民間任せではとても負い切れないものであると思いますので、ぜひこういったことは民間事業者、原子力業者任せではなくて、国としっかり役割分担をして早期に具体的な措置をとっていただかなければならないと考えておりますけれども、総理の御見解をお聞きしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 昨年四月に閣議決定を行いましたエネルギー基本計画において、電力システム改革によって競争が進展した環境下においても、原子力事業者が円滑な廃炉や安全対策、そして安定供給などの課題に対応できるように、事業環境のあり方について検討を行うこととしております。

 この方針を踏まえまして、政府としても、原子力を支える高度な技術を維持する観点から、原子力発電所の安全対策高度化に向けた技術開発や人材育成の取り組みなどを支援しています。

 今委員が御指摘になったように、今後とも、民間事業者のみに責任を負わすのではなく、必要に応じ、事業環境整備について具体的な政策措置の検討を進めていく考えでございます。

野間委員 ありがとうございました。これで終わります。

江田委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十二分開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。神山洋介君。

神山(洋)委員 神山洋介でございます。

 午前中に引き続きまして質疑をさせていただきます。

 今回の電事法改正、ガス関連も含めたところでの議論も大分終盤に差しかかってまいりまして、二度目の質疑に立たせていただくということになりました。

 ただ、前回質疑に立たせていただいた際は、いわゆるエネルギーミックスについてはまだあの段階ではオープンになっていないという未了の段階でしたので、きょうはその点も絡めて少し質疑をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まずは長期エネルギー需給見通しということについてですが、エネルギー政策全体において、この長期エネルギー需給見通しがいかなる位置づけにあるのかということをまずは確認させていただきたいと思っております。

 つまりは、自然体で今のエネルギー政策を進めていったときに結果的にこうなるでしょうという見通しではなくて、これはあくまでも目標ということであると理解をしていますが、それでいいですよねという確認でございます。

 ちなみに、文言の中にも、達成すべき政策目標を想定した上で、政策の基本的な方向性に基づく施策を講じたときに実現されるであろう将来のエネルギー需給構造の見通しであり、あるべき姿を示すものという表現があります。

 この長期エネルギー需給見通しについては、エネルギー政策全体に関しての目標値でありゴールであるという理解でよろしいでしょうか。まずはこの点を確認させてください。

宮沢国務大臣 私はこれまで、エネルギーミックスにつきましては、将来、二〇三〇年のエネルギー及び電源の構成の見通しであり、あるべき姿ということを申し上げてまいりました。

 そして、見通しというのはやはり非現実的なものであってはならない、達成可能なものでなければならないということ、そして、あるべき姿というのは、しかしやはり政策的にいろいろな要素がありますので、政策目的と合致した形に仕上げていかなければならない、こういう意味で申し上げてまいりました。

 御承知のとおり、SプラススリーEというものがありまして、安全性、安定供給、経済効率、環境適合、こうした政策目標を想定した上で、政策をいろいろ講じたときに達成できるという見通しが立つ、そして、あるべき姿をある程度実現できるというようなことで、今回お示しをしたものでございます。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 目標というか、その見通しであり、あるべき姿ということですが、これはいろいろな表現にもよりますが、目標という言葉に置きかえた場合は、目標にも高い目標もあれば低い目標もあるということで、いろいろな見方があるのかなというふうには思っております。

 ひとまず、エネルギー需給見通しの位置づけというものはそういった意味でのあるべき姿を提示したものであるという大臣からの今の御答弁もありましたが、全体を見通したときに、これは一点だけではないんですが、あえてここで取り上げるのは一点という意味で、一点、残念な点がございます。

 それは何かといいますと、過去、何度かここで大臣と議論をさせていただいた際にも、数度、地熱発電の議論をさせていただきましたが、極めて位置づけが弱々しくて、少なくて、今回提示をされた長期エネルギー需給見通しの位置づけの中でも、きょうの午前中の議論の中でも何度か関連の資料の中にも幾つか類似の数字が出てきましたが、二〇三〇年度のウエートは一%であるという数字が出ているわけです。

 これまで議論させてきていただいた中でも、もちろん、これはエネルギーの中における電力の話で、電力の中でも、かつベースロードの部分というのはやはり大事であって、そのベースロードの部分をどういう形で賄っていくのか。今までは原発が大勢であったわけですが、そこは極めてこれから重要になるという観点の中で、地熱発電というのは、世界全体の中でも我が国が三位のポテンシャルを持っているということであり、これまでそれが余り直接利用に付されてこなかったという意味においても、これは大事だと思っているよということを、大臣もこれまでも重ねておっしゃっていただいておりました。

 いろいろな理由があるのだとは思いますが、もうちょっとこれは何とかならなかったものかなというふうに正直思っておりますが、まずはこの点、いかがでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地熱発電はCO2を出さない、安定的に発電が可能なベースロード電源であるということでございまして、また、我が国の地熱の資源量は世界第三位であるため、我々が積極的に導入をすべき電源であるという位置づけは変わっておりません。

 今回のエネルギーミックスの見通しの二〇三〇年の数字は、約百五十五万キロワットを見込んでいるわけでございます。これは、現在が五十二万キロワットでございますので、現状のレベルの約三倍という目標になっているわけでございます。

 これは、なおかつ、一%から一・一%ということでございますので、十分ではないのじゃないかという御指摘もあろうかと思いますけれども、今の三倍の数字を実現するためにも、私ども、さまざまな政策措置をとっていかなければならないと思っております。

 例えば、開発リスクというのは非常に高いわけでございますが、現在でも、既に、ヘリコプターを活用いたしました資源量の調査というのを始めさせていただいております。また、さまざまな環境規制があるということは先生も御承知のとおりでございますが、こういったものの緩和につきましても関係省庁と相談を始めさせていただいております。

 また、温泉事業者を初めとする地域との共生といった課題もございまして、私ども、地熱を活用したハウス栽培等々について、その理解を得るための補助金あるいはセミナーの開催に対する補助金等、さまざまな政策措置を用意させていただいておりまして、こういった政策を動員して、何とかこの百五十五万キロワットという数字を目指して努力したい、こういう位置づけの数字でございます。

宮沢国務大臣 委員おっしゃるとおり、私も、地熱に関しては本当に最大限導入しなければいけないということで、事務方の尻をたたいてきたわけであります。

 当然のことながら、今回のエネルギーミックスというのは、経産省だけではなくて、環境省も了解しているものでありまして、御承知のとおり、地熱のポテンシャルが高い地域というのはかなりの部分が国立公園の、しかも第一種指定という、環境省からすると大変大事な地域にあるという中で、それなりに向こうも配慮をしてくれて、ここまで何とか積み上がってきたということなわけですけれども、何とか、目的でありますから上回ってもいいわけでありますので、今後いろいろ努力をしていきたいというふうに思っております。

神山(洋)委員 大臣、力強い御答弁をありがとうございます。おっしゃる意味はよくわかっているつもりでございます。

 今、その前段で長官からも御答弁をいただきましたが、百五十五万キロワットという数字をいただきました。これも、今の大臣のお話を踏まえつつではありますが、現行でさまざま、国立公園、自然公園内での規制がかかっているところに関して、ある意味では、いろいろ突破しないと、この数字までたどり着かないわけで、それがあって、それでもまだまだ一%という現状を考えると、これはよっぽどのブレークスルーというのが必要なんだろうなと思うわけです。

 もちろん規制緩和も必要だと思いますし、地熱発電に関して言えば、リードタイムが極めて長いということがある意味での制約要因としてこれまでも認識をされているわけですから、いろいろな意味での技術開発であるとか、きょうはここは深く議論はいたしませんが、実際の開発着手に至るまでのさまざまなリサーチ関係の部分というところも含めて引き続きこれは御努力をいただいて、ふたをあけてみれば、二〇三〇年、一%から一・一%ではなくて、大分進んできて、ベースロードの部分を、我が国のポテンシャルをきちんと活用することができてこんなにカバーできていましたという、どこまでできるかわかりませんが、でき得る限りの御尽力をいただきたいということをこの場で御要請させていただきます。ありがとうございました。

 続いて、長期エネルギー需給見通しに関連してもう一点だけなんですが、今回出されたペーパー、資料をいろいろ読ませていただきました。御説明もいただきました。いろいろ気になるところもあるわけですが、もちろん、ああ、いいなと思うところもあるわけです。

 中でも、もちろんこれは当然ですが、今後の、二〇三〇年までのエネルギー全体の需要増大ということを見込んで、一方で、では、そのふえるであろう需要全体に対してどうカバーするかではなくて、まずは省エネルギーという観点でどのぐらいまで圧縮をすることができるだろうかということをかませた上で、ではそれをどうやって実現をしようかということで思考プロセスが練られている。先ほど大臣からもお話がありましたとおり、実現可能性ということも重視をされていることはよくわかりました。

 確認をさせていただきたいのは、このペーパーのまさに今お話を申し上げた点を見ると、これは私自身の思いにもつながる部分なんですが、今までは、エネルギー全体であっても電力であってもそうなんですが、エネルギーをユーザーにいっぱい消費をしてもらうと収益が上がる、電力をいっぱいユーザーに消費をしてもらうと収益が上がるという構造がもちろんあるわけです。果たしてこれで本当にいいのだろうかということについても、私は疑問を抱くわけです。

 我が国が無限のエネルギーを持っていて、エネルギー自給率は一〇〇%ですというのであれば、それはまさにそれでいいのだと思いますが、これについてはもう御説明をするまでもないわけです。だとすれば、エネルギーをどんどん消費すれば、電力をどんどん消費すれば、それが収益増につながるのだという基本的な思想、発想そのものに少し変化を加えるべきではないかなというのは、これは私個人の考え方でもあります。

 その意味でいうと、今回出された発想の中にも、今申し上げたような思想の一端が入っているのかなとも読み取ることはできますし、それが明言をされて明文化されてびっと書いてあるわけではありませんので、実際、そのあたりをどうお考えなのか。省エネルギーであるとか我が国のエネルギーに対しての根本的な思想についてどうお考えかという点について、お聞かせをいただければと思います。

宮沢国務大臣 省エネルギーということは我が国にとって大変大事なことでありまして、かつて第一次オイルショックがあったときに、大変、燃料価格の高騰によって我が国の経済は打撃を受けたわけでありますけれども、まさに省エネルギーということを徹底的に進めた結果、これを乗り越えてきたという過去がございます。

 そして、今回につきましても、二〇三〇年で現在に比べて五千万キロリットルという、正直言ってかなり達成するのに大変な部分はあると思いますけれども、何とかやり遂げなければいけないという思いで、ある程度の数字を積み上げながら、五千万キロリットルの省エネというものを見通し、またあるべき姿と考えて御提示をし、それに基づいてエネルギーミックスというものを計算したわけであります。

 そして、この五千万キロリットルというのは、それぞれの個別の項目、ちょっと今手元にはございませんけれども、例えばテレビの省エネをさらに二〇%、三〇%増していくとか、また、例えば燃料電池車、昨年出たばかりでありますけれども、二〇三〇年には一年間に六十五万台売れる、買う人がいるというような状況をつくるとか、エネファームにつきましても、たしか五百万台以上導入を見込むというような相当思い切った省エネ施策を盛り込んでおりまして、これを何とか達成するように、あらゆる政策手段を我々は講じていかなければいけないと思っております。

 そうした意味で、やはり電力を使わない方が安く上がるということを、まさに国民が、また経済界、産業がしっかり受けとめていただいて、それに向かって、ある意味では我が国一丸となって突き進んでいかなければいけないことではないかと思っております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 エネルギーを使わないといいますか、必要なことは当然使わなきゃいけないわけですが、効率的に使うということが収益につながるのだ、ビジネスにつながるのだという、そこの後押しをする、そこにマーケットを創出するということが私は極めて大事なんだと思うわけです。

 単純に電力を、省エネだから使っちゃだめなんだよ、みんな省エネしましょう、しましょうと。これはもちろん大事なわけですが、そういうただの我慢だけではやはりなかなか難しいというのは、少なくとも震災以降この数年間の経験でも明らかなわけでありまして、やはり、そうではないことがきちんと収益を生むのだ、ここが大事だと思っておりますので、それは今大臣もまさにそういう方向感だというお話はいただきましたので、今後とも後押しをいただきたいと思います。

 電力システム改革に関連をしてということで、今まさにおっしゃっていただいた発想の一つを体現するのが、前回も少し議論をさせていただきましたが、ネガワット取引、ディマンドレスポンスということではないかなというふうに思うわけです。

 そもそも使うはずだった、例えば夏の一番暑いときのピーク電力をカットする、ではエアコンを切りましたということが、使うはずだった電力を使わなかったということを発電とみなすんだ、それを市場で取引することができるというある種のマーケットメカニズムの中で、こういう発想に、先ほど申し上げたようなエネルギーの効率的な活用、もしくは使わないということそのものが収益につながるというビジネスに持っていく意味では、私は大変大事な発想であろうというふうに思っておりまして、前回も取り上げさせていただきました。

 まず、前段で確認させていただきたいんですが、これは、小さくではあるかもしれませんが、既にいろいろ取り組みが始められると思っておりますが、現在の具体的な取引状況、事業者数とか数量及び今後どういうスケジュール感の中で展開をしていこうとしているのかという点についてお聞かせをいただければと思います。

木村政府参考人 ネガワット取引でございますけれども、確かに御指摘のとおり一部の小売電気事業者におきまして活用が始まりつつございます。ただ、どれだけ本当に需要を抑制できたのか、例えば量をどうやって測定するのか、そういう指針がないといったようなこともございまして、まだ本格的な動きにはなってきておりませんでした。

 このため、これまで全国四地域のスマートコミュニティー実証というのをやってございましたけれども、そこにおける技術的な検証でシステムの構築とかを進めてまいりまして、需要抑制量の測定方法などに関する統一的な指針をガイドラインで定めさせていただいたところでございます。

 加えまして、平成二十六年度の補正予算で、より厳格な需要調整が求められます送配電事業者によるネガワット取引について実証事業を実施するという手はずにしてございます。ネガワット取引の導入ポテンシャルを見きわめていく、それから関係事業者のネガワット取引への習熟を図っていきたいと考えてございます。

 この実証事業でございますけれども、電気事業者の協力も得ながら、アグリゲーターと呼んでおりますけれども、十八社の具体的な需要抑制事業者が参加することで、おおよそ十四万キロワット分の需要削減容量を確保してございます。今後、さらに市場の裾野を広げるべく、さらなる参加を呼びかけていきたいと考えてございます。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 ただ、この実証実験が、もちろんうまくいってほしいと思っていますし、うまくいくべきだと思うんですが、どの程度の効果が実際問題あるかということは、これは実は今後の、特に発電事業においての供給能力をどうやって設けるかということも含めて、極めて大きなインパクトを持つと思いますし、持つぐらいまでこのマーケットを広げる必要が私はあると思うわけです。

 そこでお伺いしたいのは、では、このディマンドレスポンスによるネガワット取引は、どういう形で今後取引されていくことを想定されているのかという話です。

 要は、これは余り活用されていないという反省点もあるようではありますが、既存の卸電力市場というところもあってそこでやろうとしているのか、新たにマーケットをつくろうとしているのか。これはどういう形の取引を今後想定して、先ほど加えたところでもう一度申し上げますけれども、どういうスケジュール感でこれを進めていこうとしているのか、この点をもう一度、重ねてお伺いさせていただきます。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのネガワット取引の今後の拡大に向けての方策でございますけれども、私ども、二つのルートを考えております。一つは相対取引の場、そしてもう一つが卸電力取引所という、二つのルートを考えている次第でございます。

 卸電力取引所の現状でございますけれども、現在、託送ルール等の各種のルールが、売り手が発電場所を特定する、こういう前提になった仕組みになってございます関係で、ネガワットにより生み出された供給力を取引所で取引することが難しいというか、できない仕組みになっている状況でございます。

 御存じのとおり、今回の法案の中で、電力量調整供給という形でネガワット取引を位置づけたわけでございますが、これを発電と等価なものとして扱うという考え方で、供給力として卸売をする際に、一般送配電事業者が調整供給を行うことを義務づけたわけでございます。

 この改正に伴いまして、一般送配電事業者がネガワット取引に対応した託送ルールというものを整備することとなりますので、この機会に、卸電力取引所におけるネガワット取引が実現できるように、必要なルール整備を進めていくことを予定しているところでございます。

 なお、既に第二弾の改正におきまして、卸電力取引所を指定法人化して、国の関与を強めていくということも仕組みとして盛り込んでおります。今後、この動きについて、国としてもしっかりと積極的に取り組んでいきたいと考えております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 続きまして、電力価格の見通しについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の電力システム改革の一つの大きな主眼は、これまでの御答弁の話、言葉もおかりをすれば、料金の最大限の抑制ということが目的の一つであるというお話で、これは、午前中であるとか、これまでの議論の中でも、数度議論をさせていただきました。再度確認をさせていただきたいと思っています。

 もちろん、資源の価格変動というところが極めて大きな変動要素になるということは前提としても、この電力システム改革の結果として電気料金がばんばん上がってしまいましたという話だと、一体何のための改革だったんだろうという話になるわけです。

 安くなることが目的だという表現は使わないなどというその意図はよくわかっていますが、実際、では、価格がこれからどうなるということを見通していらっしゃるのか、この点をまずはお伺いさせていただきたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生、既に御指摘いただいておりますけれども、電気料金は、資源価格の動向ももちろんでございますし、そのほかに、エネルギー諸税、あるいは賦課金、こういったさまざまな要因により影響を受けるものでございますので、私どもとして、これらの動きについて将来の見通しを申し上げることは困難であるという点は御理解をいただきたいと思っております。

 ただ、私ども、今回のシステム改革におきまして、送配電部門につきましては、総括原価主義を残しまして地域独占という形でやらせていただきますが、そのほかの発電あるいは小売という分野におきましては、コスト競争力のある事業者の参入促進ということを行っていきたいと思っておりまして、その結果として電気やガスの料金が最大限抑制される、こういうことを目指しているところでございます。

 もちろん、総括原価主義におきましても、私ども、厳格な査定ということをやっていくことはもちろんでございまして、競争による料金の低減効果とあわせて、料金の最大限の抑制を図っていきたいと思っております。

 なお、既に自由化を進めている諸外国での反省といったことも私ども考えてございまして、イギリスの電気料金のように、全面自由化後に上昇してしまった、こういう例もあるわけでございまして、こうした経験を踏まえた制度設計とすることが必要だ、こう考えているわけでございます。

 そのために、今回の法案では、監視等委員会を創設いたしまして適切な市場監視を行っていくことに加えまして、一般家庭向けの電気料金につきましては、競争が十分であると確認されるまでは国の認可等を経過措置として残すことにしているわけでございます。

 改革後におきまして、エネルギーの価格というものが、国民の生活あるいは産業活動、こういったものに重大な影響を及ぼすということを肝に銘じて、競争的な市場の中で適切な価格形成がなされるように、私どもとして、不断の取り組みをしていきたいと考えております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 価格というのはやはり極めて大事な要素だと思いますので、今御答弁いただいた内容も含めてしっかりと御対応いただければと思います。

 一方で、価格ももちろん大事なわけではありますが、昨今のいろいろな消費者の志向ということを考えても、必ずしも、では価格だけなのかといったらやはり違う、これは食べ物でも同じだと思うんです。

 これまでも同僚の田嶋議員からも何度かお話がございましたが、では一体我が家が使っている電気はどういう電気なのだ、食べ物だとすれば、これはどこで生産をされたものなのか、どういう素材によってつくられているものなのかということを、やはり消費者が選好するという時代に入ってきているものだと私は思っています。

 その意味で、これまで数度この委員会でも取り上げられてきたお話ではありますが、再度確認をさせていただきたいわけですが、再生エネルギーの普及を念頭に置けば、やはり小売事業者から購入をする際に、その電源の構成比率、どの電源からおたくの電気はつくられているんですか、うちの電気は全部火力です、うちの電気は全部地熱ですと言ったら私は買いますけれども。

 これはやはり消費者の側からしたら知りたいと思うと思いますし、それは事業者の任意に任せるべきなのかといえば、やはり、我が国のエネルギー政策の、電力政策の総体としては、再生可能エネルギーは普及をさせていこうという基調にあるわけですから、その中にどの程度どういう内容が入っているんだということは明示をされてしかるべきだと私は思っています。

 これまでの、大臣を含めて経産省側からのいろいろな答弁を改めて確認させていただきましたが、審議会で議論をしているという話等々ということではあるわけですが、実際その後どういう議論が展開をされていて、そして、では、具体的な論点なり問題点として何が指摘をされていて、なぜこれが難しいと思われているのか、やろうというつもりはどの程度あるのかという点を確認させていただきたいと思います。

宮沢国務大臣 総合資源エネルギー調査会の電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループで今回の制度について御議論をいただいたわけでありますけれども、その中では、開示を義務づけるべきという意見ももちろんございました。一方で、法的に規制せずに電源構成を消費者にアピールしたい事業者の創意工夫に委ねるべきという御意見もございました。

 法的に規制すべきではないという意見の理由というのは、電源構成は、小売電気事業者にとって電気の調達先であって、企業戦略そのものにかかわる可能性が高いというようなこととか、複雑な電気の取引を行っている事業者を含め、例えば取引所で買ってきたときに、その取引所が大変活性化したときに、果たしてその取引所で自分が買った電力が何の電力かということをしっかりフォローできるかというようなこともあるでしょう。そういうようなことで、全ての小売電気事業者に電源の仕分けの負担を課すことになるといった、負担が重くなるといったような点だったようでございます。

 どちらにしましても、昨年、第二弾の改正電気事業法が成立いたしましたけれども、その中で、小売電気事業者に対して、消費者への説明義務を課しております。この説明義務の中に、御指摘の電源構成などの開示のあり方を含めて今後検討して、小売の自由化までに決めていきたいというふうに考えております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 たまたま私の今手元にある、これはミンティアというあめなんですが、その後ろを見ても、エネルギーが二十二キロカロリーで、たんぱく質が何グラムでというのが入っているわけですね。これは入っていませんが、例えばジュースのこっち側にはそういう表示があって、こっち側には何とかフリーなんということも書いてあったりする。

 企業戦略として、その点をどの程度強調するかというのは、これはやはりビジネス戦略であって、私もしかるべきだと思うわけですが、最低限の部分で、ではどういう原材料が入っているんですかということは、食べ物であれば今や当たり前のように我々は見ているわけです。やはりその感覚をこの中にも持ち込んでいただきたい。今、それに対しての最終的な回答はもちろんここではいただけないとは思っていますが、ぜひその点はよろしくお願いします。

 最後に一点、電力システム改革の中での兼業禁止規定に関してということなんですが、これは、今回から三会社にそれぞれ発送電の部分が中立化をされて、ばらばらになります。ばらばらになるのはいいんだけれども、では、いざ緊急時はどうなんだということを考えたときの対応というのは、やはりこれは大事なんだと思うんです。これはガスの話でも一緒なんですが、今、まず電力の話でお伺いをします。

 では、実際に大規模災害が起きて停電が起きましたということを想定したときに、発送電の事業者は、当然ですけれども、供給をどうしようかということを考える、発電事業者は設備をどうやって復旧させようかということを考える、それぞればらばらになってしまいかねないという議論もあります。

 この点、どういう形で今後の自由化後の対応の起こり得るであろう不備を補完して、これまでどおりのいわゆる一体的な対応等々を担保しようとされているのか、この点をお伺いさせていただきます。

山際副大臣 法的分離を行った場合でも、送配電事業者と発電事業者が協調して、災害時における停電からの復旧などに迅速な対応を伝えることが重要であることは論をまちません。

 このため、平時から情報共有することを含めまして、本年四月に発足をいたしました広域的運営推進機関において、事業者が協力して対処する仕組みを整備することとしております。

 具体的には、業務規程におきまして、会員である電気事業者は維持、運用する電気工作物に加え電源車、携帯用発電機、資機材等の保有の状況を同機関に提出すること、同機関は年一回以上会員及び関係者の協力を得て訓練を実施すること、同機関は災害発生時等の緊急時にその災害規模に応じて非常態勢を構築すること等が定められてございます。

 また、今後、法的分離の実施に向けまして、災害時等における一般送配電事業者と発電、小売事業者との間の協調に関するルールを追加するなどの改定を行う予定でございます。

神山(洋)委員 ありがとうございました。

 本来はガスシステム改革についてもお伺いをする予定だったんですが、予定の時間が来てしまいました。この後、専門の同僚、福島議員からガスについても集中的に質疑があろうかと思いますので、よろしくお願いします。

 以上でございます。

江田委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民主党の福島伸享でございます。

 二度目になります。またリーズナブルな宮沢大臣と議論することを楽しみにしてまいりました。前回の引き続きをちょっとねちっこくやらせていただきたいと思っております。

 政府は、ガスシステム改革で、約二・四兆円の市場が開放され、約二千六百万の需要家が潜在的な顧客になるとしております。これは、非常にすばらしい大きなビジネスの大転換だと思うんです。前回も申し上げましたように、私は、今回のシステム改革は評価するものであります。

 しかし、制度の幾つかを欠くと、これが絵に描いた餅になりかねないと私は考えておりまして、それらの点について何点かきょうは御質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、導管部門の法的分離の話でございます。

 これが義務づけられるのは、改正ガス事業法第五十四条の二で一般ガス導管事業者、第八十条の二で特定ガス導管事業者、つまりこれまでの導管事業者、INPEX、JAPEX等が規定されておりまして、条文は同じなんです。導管の総体としての規模が政令で定める規模以上であることその他政令で定める要件に該当するものに法的分離が義務づけられるとされております。

 五月十三日の自民党の武村委員の質問で、政府は、一般ガス導管事業も特定ガス導管事業も、そのいずれの場合も対象基準につきましては同じと言っています。根拠条文は違いますけれども、ここで定める政令は、まだ政令はつくっていないんでしょうけれども同じと。多田部長、うなずいておりますので、そう答弁されています。

 ガス供給量や需要家数は年々変動するものであるため、より客観的かつ安定的な判断が可能な導管の総延長というものを判断基準にしたというふうに答弁されております。とりわけ、特定ガス導管事業、INPEX、JAPEXについては一般ガス導管事業と異なる基準を設定することについて、特定ガス導管事業者、これは地域独占が認められた事業者ではございません、こうしたことも考慮いたしまして、バランスを欠くのではないか、適当ではないのではないかと答弁されておりますが、言葉じゃなくて実際の事業を見た方がいいと思っておりまして、きょうは資料をお持ちしました。

 一枚目のページは、日本のガスの導管網でありまして、ピンクの線がINPEXのパイプライン、緑がJAPEXでありまして、エリアで見ても、東京ガスのエリアをはるかにしのぐ長い線、しかも、日本海側と太平洋側を結ぶという、まさに基幹的なパイプラインを持っているというのがINPEX、JAPEXです。

 ガスの導管の総体の長さとなりますと、高圧導管から毛細血管のような導管までの全ての長さになりますけれども、自由化によってより大きな効果を上げるのは、毛細の導管もありますけれども、やはり基幹的な導管なんですね。言ってみたら、国道を開放するのと私道を開放するのでは全然違うわけです。このJAPEX、INPEXの持っている導管は、国道というか高規格の高速道路というべきものであります。

 ですから、導管の総体ではなくて、その高速道路である高圧導管の長さで見ればどうかというのが次のページでございまして、実は、高圧導管を一番長く持っているのは、先ほどのピンクのラインのINPEXなんです。東京ガスは二番目、大阪ガスは三番目、今回、法的分離が義務づけられるより長い距離をJAPEXが持っているということです。

 ガスというのは、これらの導管を通って卸販売をやっております。その先には、当然、需要家がついております。卸販売の量で見ましても、一位が東京ガス、二位は東京電力、三位がINPEX、四位がJAPEX、大阪ガス、東邦ガスはその下ということであります。例えば、INPEXは三十三の一般ガス事業者に卸しております。その卸している先の一般ガス事業者の需要家の総数は二百四十万世帯。JAPEXは、十九の一般ガス事業者に卸して、その需要家の総数は約百二十万世帯。

 政府は、地域独占が認められた事業者ではないと言っておりますが、この導管を通らないと、この二百四十万世帯の需要家はガスが供給されないわけです。そういう意味では、今まで地域独占が認められていないからいいということではなくて、今までの制度の方が逆におかしいわけですね。

 諸外国は、この導管の法的分離をどのような基準で義務づけているか、ちょっとその事実を確認したいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、諸外国における法的分離の基準、これはどうなっているかという点でございます。

 欧州の例を申し上げますと、二〇〇三年にEUの指令が出ております。小売全面自由化とともに導管部門の法的分離を実施するよう加盟国に義務づけをした指令でございますが、その中で、需要家数十万件未満の事業者は法的分離の対象外とできることとされておりまして、このことは新しい二〇〇九年の指令でも踏襲されております。

 一方、アメリカでございますけれども、州によって規制が違いますが、例えばニューヨーク州を見ますと、二〇〇四年に小売全面自由化と法的分離、これは同時に実施されたわけでございますが、こちらでは、家庭、小規模需要家全体の一%未満を対象とする小規模事業者は法的分離の対象外とされているところでございます。

 欧州と米国の例でございますけれども、これはやはりガスの……(福島委員「その先なら結構です」と呼ぶ)よろしいですか。

福島委員 恐らく、導管の延長の状況が違うということを理由にしておっしゃるんでしょうけれども、そこは私の言いたいことではなくて、やはり、導管の延長でやっているんじゃないんですね、需要家の戸数なんですよ。どれぐらいの需要家を抱えているかという規模で、どこの国もやるのが当然なんですね。

 このJAPEX、INPEXは、確かにみずからは供給していませんけれども、二百四十万世帯ですよ。欧州は、十万戸以上のところに供給していれば法的分離になるわけですよ。二十四倍ですよ。どんなに導管の状況が違うといったって、むしろINPEX、JAPEXの導管があるところは、きちんと欧州並みとは言わないまでも、それに近いほどに導管網が広まっているところですよ。そこを、この導管の総体の延長数をもとに入れないというのは、私は非合理だと思います。

 しかも、今の法案は、一般ガス導管事業者と特定ガス導管事業者でわざわざ条文を書き分けているということは、それぞれの政令を別に書くことができるわけです。政令というのは法律の条文を根拠につくられますから、導管の総体数の規模が政令以上というのは、一般ガス導管事業者の場合と特定ガス導管事業者の場合で別の数字を書くことを当然予定しているからこそ、このような条文になっているわけですよ。

 ですから、私は、政令を書き分けるときに、導管の総体で見るのは、一般ガス事業者は供給区域を持っているからそれでいいでしょう。しかし、これまで導管だけでやっていた事業者は、その導管の長さの基準を一般ガス導管事業者と同等なものにしない、政令に書き分けられるし、そうすべきだと思いますけれども、大臣、どうお考えですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、需要家数に着目したらどうか、あるいは販売量に着目したらどうかという点でございます。(福島委員「いやいや、そうは言っていないです」と呼ぶ)

 それで、事実を申し上げますと、先ほどから出ております数字でございますが、需要家件数、それから小売の販売の量、いずれにしても、これは、もしおっしゃっているように、卸供給の話で、それを一つ固定してしまうということは、それは競争が起きた場合どうなるのか。例えば、INPEXが供給している量、今、二百四十万世帯とおっしゃいました。これは、そのまま供給し続ける、卸先の都市ガス会社に供給するもとは一体誰になるのか。私ども、これは競争で変えようとしている、あるいは変わることを期待しているというものでございます。

 先生がそこを固定してお考えになられるというのは、ちょっと私どもには理解ができないところでございます。

福島委員 強気の反論をありがとうございます。

 かつての上司ということで叱られているような気分で答弁をお伺いいたしましたが、いや、しかし、導管がある限りは、誰が供給したとしても、そのガスはいろいろな会社のガスでしょう、でも、その導管を通ることには変わりないんですよ。その先には二百四十万戸の需要家がぶら下がっているんですよ。しかし、このINPEX、JAPEXの導管の託送料は、ほかの一般ガス導管事業者は認可料金にもかかわらず、こっちは届け出なんですよ。私はこれは明らかに規制としておかしくて、政令も書き分けられるわけです。

 私がなぜ大臣に答弁をお願いしたかというと、もしそれができないというんだったら、今ここで条文の修正を求めたいと思うんです。

 与党の武村議員にも同じ趣旨の説明をしているんですよ。私は、これは規制のやり方がおかしいと思う。政令におろしています。政令でおろして、その両方の検討の可能性の余地を残すんだったら今の条文のままで結構ですよ。しかし、その余地がないと答弁されるのであれば条文を修正すべきだと考えますが、大臣の政治家としての御判断をお答えください。

宮沢国務大臣 この国会で何度かINPEX、JAPEXの話が取り上げられて、ずっと聞いてきております。

 そして、認可料金、また認可料金ではないという話については、地域独占が認められているかどうかといったところで、認められていない会社であるのでと、こういう答弁は非常にわかりやすいなと思って聞いておりました。

 そして、問題は、政令で書き分けろというお話でありますけれども、やはり、INPEX、JAPEXというのは、既に自由化されてきている部門で卸売をやっているというわけでありまして、そうした中で、では、法的分離をしてまで導管を保有している人の中立性を確保する必要があるかどうかという問題についていえば、INPEX、JAPEXともに、プロの、ある意味ではガス会社のほかに十数社という大口の顧客を持っていると聞いておりまして、そういう中でいえば、ある意味で、法的分離をしなくても、もちろん導管を使用させる義務は負うわけでありますし、また、LNGのタンクを使わせる義務も今度は出てくるわけでありますので、そうした問題からいえば、役所側の答弁で的を得ているのかなということをずっと考えてきております。

福島委員 とても頭がいい宮沢大臣がそう思っているとは思えない。だって、逆に言えば、小売もやっているわけですよね、大口に売っているわけですよね。その大口をとりに行ったときに、自分の会社の導管を通さなきゃならないわけだから、よその人が来たら値段を上げるということだってできちゃうんですよ。

 ますます法的分離をするという根拠にしかならないことに恐らく大臣はすぐお気づきになるでしょうが、なかなか前向きの答弁を得られないようでありますので、次に行って、場合によったら、仲間とも相談して法案の修正を求めるかもしれませんし、そうしたことで対応したいと思っております。

 次に、また最初の一ページ目を見ていただきたいんです。

 例えば、あるガス会社が新規参入をして、私の地元の日立市というところに今タンクをつくっております。東京の上の方の海沿いの、ちょっと見づらいですけれども、白い丸のところが日立市で、そこからぽんぽんぽんと点線が引いてあります。その先にずっと東京ガスのパイプラインがあって、その後、INPEXのパイプラインを使って新潟の人に売りたい、お客さんをつかんで売りたいとなったときに、東京ガスとINPEXのパイプラインを使わないと運ぶことができません。

 こうした場合に託送料というのはどのようになりますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの複数の事業者の導管網を用いてガスを供給する場合でございますけれども、ガス事業法におきましては、ガス導管を維持、運用する事業者ごとに料金を含みます託送供給約款を策定することとなっておりまして、それぞれの事業者に対して、それぞれの事業者の託送料金を加算して支払うことになっております。

 この問題につきましては、複数の事業者のネットワークを利用する際に託送料金が複数重なっていくということで、いわゆるパンケーキ問題というふうに言われているところでございます。

福島委員 今度は丁寧な説明、どうもありがとうございます。

 つまり、JRと私鉄を乗り継ぐとそれぞれの運賃がかかるのと同じように、しかも、また嫌みで言うと、INPEXは認可料金じゃありませんからよくわからない料金がかかって、乗りかえるごとに料金が加算されていきます。

 電気はそうなっていないんですよね。電気は振りかえ供給という制度があって、例えば東京電力管内から関西電力管内まで電気を送る場合でも、東京電力管内で東京電力だけの線を使う場合でも、料金は定額なんですね。

 ガスもやはりそういうことをしないと、これから導管の開放というものをやるわけですから、特にガス会社は供給区域が細かく分かれていて、お互いがつながれて、隣の隣の隣の隣というところをやると、三つも四つもガス会社を通じないと目的地まで到達しない場合がありますので、そうした点、これは法律でできるのか、政省令でできるのかわからないですけれども、何か工夫するつもりはおありでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、電気の方にはそれがないという御指摘でございます。これもかつてはあったわけでありまして、この問題を電気については、平成十七年だと思いますが、解消したところでございます。

 電気の事業におきましては、全国を網羅する送配電網がございまして、どちらからでも双方向に電力の融通が想定されるということでございまして、遠隔地の発電所からの電力流通を活性化するためにはこのパンケーキ構造というものを解消しなければならない、このように考えたわけでございます。

 他方、ガス事業につきましては、これまでもこの場でも議論されておりますけれども、導管網がなかなかつながっていない、こういう状況でございます。したがいまして、ガスの流れがどうしても沿岸部のLNGの基地から需要地への一方方向であるということでございまして、双方向の融通も限られているという状況認識のもとに、これまでパンケーキ構造の解消というものを行ってきていないという状況にあります。

 今回の法案では、導管がなかなか結ばれていないという状況認識に立ちまして、全てのガス導管事業者に導管の相互接続に係る努力義務を課すということをさせていただきました。それに加えまして、それがなかなかうまくいかない場合ということを想定しまして、国が導管整備に関しまして事業者間の協議の開始等を命令、裁定できる制度を創設する、これも盛り込んだところでございます。導管の整備が進むことによって、卸取引を広い地域で行うことが可能となるというふうになっています。

 私ども、御指摘のパンケーキの問題が、広域的なガスの流通の妨げになるということがあってはならないというふうに考えております。したがって、こうした問題認識に立ちまして、ガス導管網の整備の状況も見据えながら、パンケーキ構造の見直しについても必要性があるか否か、研究していきたいと思っています。

福島委員 最後の点だけおっしゃってください、それだけの答弁を求めているんですから。

 なぜこれを言うかというと、またこの図に戻っていただきますと、東京ガスのガス管内の横には、埼玉とか群馬とか中小のガス事業者がいっぱいあって、しかも、結構このあたりは工場地帯でありまして、そういうところに新規参入するという要望は大きいんです。今回、ある一定の自由化が進んでいるとみなされる地域については料金規制がなくなっちゃうわけです。

 それは、LPとの競争というのもありますけれども、都市ガス間だけの競争ができるには、自由に導管を通じて海沿いから内陸部まで運べるというのが必要だし、さっきから導管が整備されていない、されていないと言うけれども、少なくとも関東平野はされているんですよ。もう既にされつつあるわけです。

 そのときに、このパンケーキ問題を解決しないまま、LPに需要をとられているとかなんとかという理由をつけて料金規制を外したら、内陸部の中小ガス事業者は料金値上げし放題ですよ。それで、値を上げて、天然ガスをほかからもらおうとしたって、ローリーで運んでくればできるでしょうけれども、導管を使ってやろうとしたら託送料だけでもう高くて買えないということになるんです。

 つまり、この問題は、今回やろうとしている導管開放の問題と軌を一にする問題だからこそ私は取り上げているんです。冒頭申し上げたように、二千六百万の需要家数が開放されると宣言しているんだから、それに当たるだけの魂を入れることを一緒にやらないと、電力よりも、ガスの自由化というのは絵に描いた餅になると思いますよ。その点をぜひとも御認識いただきたいから、私はこの話をしたわけです。ぜひもっと真剣に、前向きに御検討いただければと思います。

 二点目は、簡易ガス事業です。

 これまでの議事を見ていると、簡易ガス制度というのは余り議論になっていないようでございます。都市化の進展で直ちに都市ガスの導管を広げられないけれども、住宅団地をつくって、そこの供給区域にだけ、簡易なガス発生装置を置いて導管に乗って供給するというのが簡易ガス事業です。

 小規模な事業であるけれども、導管により生活に必需のガスを供給する事業である点で、一般ガス事業と同じような観点から公益性を有しているということで、これまで簡易ガス事業として七十戸以上の供給は規制対象になっていたわけですが、今回、許可制は廃止され、料金規制も経過措置を経た後、原則として廃止されるということになっております。

 ガスシステム改革小委員会報告書では、「十分に競争が生じていない地域において規制なき独占が生じる事態を防止するため、小売料金規制の経過措置を置くべきとの意見があった。」とされて、経過措置も置かれております。

 そこで、例えばマンションを考えてください。七十戸のマンションがあって、これは簡易ガス事業です。でも、この六階の住人が、俺はこの簡易ガスは嫌だからボンベから供給すると言ったって、そんな六階の廊下にボンベなんて置けません。事実上、この人たちは供給者を選ぶことができないんですね。

 今回、経過措置の書き方次第ではあるんですけれども、一方、同じ法律の熱供給の方は、附則第五十条で、熱供給にかわる熱源機器を選択することが困難である等の場合で経済産業大臣が指定するものは、規制料金が残ることとなっております。

 簡易ガスも同じだと思うんです。七十戸以上でこれまで簡易ガスでやって、特にマンションの場合は一人だけやはり変えられないんですよ。そういう人たちは、経過措置としてもそうですし、ある程度、ずっと料金規制を残すべきではないかと思いますけれども、御認識はいかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 簡易ガス事業の経過措置に関してでございますけれども、御指摘のとおり、簡易ガス事業につきましては、ガス小売事業者間の適正な競争関係が確保されていないことその他の事由により、当該供給地点のガスの使用者の利益を保護する必要性が特に高いと認められるもの、これを指定しまして、そこには経過措置を残す、このようにいたしております。

 この指定に関しましては、各地点ごと、簡易ガスは各団地を地点と言っておりますが、各団地ごとに競争状況を判断していこうと思っております。LPガスやオール電化など他のエネルギーとの競争状況など、こういったものを個別具体的に評価した上で行うこととしております。

 御指摘のような場合で、需要家が実質的に当該簡易ガス事業者が提供するサービス以外のサービスを選択することが困難な状況にある、こういったことなどによりまして、まさに簡易ガス事業者による規制なき独占というふうな状況が生ずる可能性があるかどうか、その懸念といったところは、個別の簡易ガス団地ごとに判断をしていかなければいけない、このように考えております。仮にそのような懸念があるという団地につきましては、小売料金規制の経過措置を設ける、こういうことが適当であろうと考えております。

福島委員 ありがとう。ぜひ前向きに検討いただければと思います。

 一方で、住宅団地というか、うちの地元にはよくあるんですけれども、一戸建てがいっぱい並んでいるような団地、これは一般ガス事業に近いというか、それ以上のものもあるんですね。

 三ページ目の資料をごらんになっていただきたいんですけれども、左側の大規模な簡易ガス事業、例えば北海道の北広島団地というのは、七千三百八十二戸にガスを供給しております。右を見ていただきますと、例えば寒河江ガスなんという山形のところは、八百二十戸に供給しているだけでも一般ガス事業者です。数だけ見れば、北広島団地は立派な一般ガス事業に類するものなんですね。

 先ほど多田部長がおっしゃった自慢の接続供給義務、これは今回、簡易ガス事業にはかかりません。こういった団地でまとまった需要があって、すぐそばまで一般ガス事業者の導管が来ているところが、そこの団地全部をこれから天然ガスに転換して、新しいエネルギー、熱供給型の地域分散型電源を入れましょうなんというのをやっても、その簡易ガス事業が一般ガス事業者とつなぎませんと言ったら、この接続供給義務はかからないんですね。

 私は、これはある意味、法律の抜け穴というか、忘れちゃったのか、簡易ガスというのを、今回制度をなくしちゃったから生じたことなのかわかりませんけれども、私はここにも接続義務をかけるべきだと思いますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。短く答弁をお願いします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 簡潔にということでございますので、簡易ガス事業者、これは原則、LPガスを供給しているところでございます。それで、接続した場合に、どのガスを流すのか、ここで大きな問題が生ずるわけでございます。御存じのとおり、天然ガスとLPガスでは熱量の違いがございます。したがって、つないだ後どちらのガスを流すのかということを決めないと、つながらないということになります。

 私ども、接続の努力義務ということを法定上課すということをもってしますと、これは国が、どちらかのガスを選びなさいということを二人で話し合いなさい、こういったことを意味するということになりかねないということから、そのようなことをすることを避けたものでございます。

 もし仮に、簡易ガス事業者がガス種を天然ガスにかえるということをすることになりますと、簡易ガス事業者の方ではガス発生設備を変更する、あるいは需要家もガス器具を交換する必要があるなど、事業者、需要家両方に相当の負担を強いることになるため適当ではない、このように考えているところでございます。

福島委員 いや、だから、そういう答弁をされると、非常にがっかりしちゃうわけですよ。

 この簡易ガスの大規模なところを見たって、五千件近くのところはこれだけいっぱいあるわけです。これから多分、我々の親ぐらいの世代がつくった団地というのが、みんな老朽化していくんですよ。そこをもう一度再開発をして、むしろ天然ガスを使って、これだけエネルギー供給システムが変わるんだから、地域で熱とか電気とかガスとかを一体として分散型で提供しようなんという事業がいっぱい起きることを期待して、今回の法律改正をしたんじゃないですか。今の答弁を聞くと、とてもそうは思えない。既存の簡易ガス事業者を守るために改正しませんでしたと言っているに等しいじゃないですか。私はがっかりしますよ、そういうことを聞いたら。

 ですから、そこはもっと前向きに、先ほど言ったように二千六百万の需要家、二・四兆円の市場が開放されると言っているんだから、そのためにできることは前向きにやってください。ぜひその点をお願いしたいと思います。

 このように、私は、今回のガス事業制度改革、物すごく頑張ってここまでこぎつけた、上田長官そして大臣を初めとする御決断には大いに敬意を表するものです。ただ、もうちょっと、いろいろ検討しなきゃならないことがいっぱいあると思いますよ。ガスの法的分離は電気の二年後なわけです。逆に言えば、まだ多少の時間的余裕はあるわけです。先ほどのJAPEX、INPEXの法的分離も含めて、施行の前に、考える時間があるわけですから、そこでもう一回考えたらいかがでしょう。

 これだけ、私だけじゃなくて、これまでの議事録を見ても、多くの人から議論が出ているんです。私は、いろいろな業界との調整の関係で苦労して、継ぎはぎで、ガラス細工でつくっている事情も理解はいたしますよ。するけれども、これだけ多くの需要家に選択のチャンスが生まれ、新しいビジネスのチャンスが生まれると言っているんだから、そのために必要な検討はぜひ前向きに行っていただきたいと思っております。

 最後に一点だけ、電力のことをお聞きします。最後のページです。

 今回の発送電分離は、二つの方式で分離をされることができることとなっております。一つは、持ち株会社方式。持ち株会社のもとに、発電、送配電、小売の三つがぶら下がる。これは、東京電力さんはこういう事業形態をとろうとしております。それ以外の多くの電力会社は、ぶら下がり方式というんでしょうか、発電・小売会社を親会社として、その子会社として送配電部門を持っていくというものであります。

 左側と右側は全然違うと思うんですね。左側は、発電会社、送配電会社、小売会社は、ある意味対等ですから、お互い子会社同士ですから、情報の遮断やいろいろなものはできます。

 確かに、行為規制はしくと言っておりますけれども、送配電会社は発電・小売会社の子会社でありますから、どんな行為規制をやったとしても、親会社、子会社の関係で、何かあるんじゃないか。親亀がこければ子亀もこけちゃうわけです。送配電は公的なものだから、こけるわけにいきません。子会社をこけさせないためには、親会社をこけさせてはいけないということで、発電、小売がある意味特権的な地位を得ているとも見られないわけではありません。

 さらに言えば、今回、皆さん方の改正は、総合エネルギー企業をつくると言っているんです。総合エネルギー企業というのは、分野ごとのいろいろなアライアンスが起きることだと思っているんですよ。

 小売分野では、電気とか、ガスとか、携帯電話とか、電気自動車とか、いろいろなものを売る会社ができる。発電部門では、上流からの権益を持ってきてプラントをつくる会社も出てくるであろうし、それを使った熱を供給する、さまざまな、我々が想定し得ないようなことも含めたいろいろなビジネスが生まれるんです。

 それは、この左側の持ち株会社のように分野ごとに分離されていれば、そういう再編は起きやすいんですよ。でも、右側のぶら下がり方式だと、なかなかそういう再編は起きないです。恐らくこれは、世界的な分離の仕方を見ても特異なケースだと思います。

 私は、こういうものを認めるのであれば、法的分離じゃなくて資本の分離も行う、親会社、子会社は認めず、ということを本来やるべきだと思うんです。その点について、どうお考えでしょうか。

 総合エネルギー企業を目指していくというのであれば、左側の持ち株会社を基本とすべき。当初は右側でもいいかもしれませんよ。でも、いずれは左側に行くんだと。右側のものの弊害があるとするのであれば資本分離も検討するんだ、そのことによって、既存の電力会社を核として総合エネルギー企業を生み出していくんだ、そうした方針を出すべきではないかと思うんですけれども、大臣、御答弁をいただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 今回の法案では、まさに来年から小売の全面自由化をするという中で、両輪としての法的分離を実施するということでございますので、あくまでも送配電やガス導管部門の中立性が確保されるということが一番大事なことだと思っております。

 持ち株会社方式でも、発電・小売親会社方式でも、中立性の懸念は恐らく同様なんだろうというふうに思っていまして、左側の方式でも、発電が持ち株会社の下に入りますが、持ち株会社の権限といった意味では、恐らく右側にある発電、小売の権限と同じ権限が送配電等に対してあるわけでありまして、右の方式をとると、どうも子会社感が大きくなるということでもないんだろうと私は思っております。

 また、アライアンスの話がございました。早速、東京電力と中部電力は火力等々についてアライアンスを組むということにしたわけでありますけれども、私は中部電力が一の方式なのか二の方式なのか知りませんけれども、アライアンスが、左の持ち株会社方式の方が組みやすいということが、私は恐らく余りないのではないかと思っているんです。あるんだとすれば、恐らく持ち株会社方式を選択されていくことになるので、そういうことでいいのではないかというふうに思っております。

福島委員 ありがとう。

 時間が来ましたのでやめますが、まあそうだと思うんです。今の大臣の答弁のとおりだとは思うんですけれども、そこも見ながら、要は、今回の発送電分離、導管分離をやるだけでは、新規参入が進んだり新しいビジネスが生まれるということにはならない部分もあるので、そこは、さまざまな政令、省令をつくることも含めて、しっかりと新しいビジネスを生むような制度にすることを期待申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 おととい質問に立たせていただいて、いろいろと内容について詰めたかったんですけれども、ちょっとエネルギーミックスのところで時間をかけ過ぎてしまいまして質問が残りましたので、きょうはその続きをやらせていただきたいということで経産委員会の方に参りましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 おとといも申し上げましたけれども、電力の自由化というのは、我が党も公約の中に入れて、ある意味一つの党是みたいな感じで政策として上げてきましたので、基本的な方向性としては非常に賛同しております。

 ガスのところまで踏み込まれたというところも、スケジュール感はともかく、非常に大きな決断をされたんじゃないかなということで、その点は非常に評価をしておりますけれども、先日も申し上げたとおり、やはりこれを成功させるためには、早く公平な、公正な競争環境を整備することが何よりも不可欠であるということを思っておりまして、それは先日、大臣ともその思いは共有させていただきました。

 その上で、先日のところも少し重なるところで幾つか確認をしてまいりたいというふうに思っています。

 最初に、先日、電力取引監視等委員会を我々はもっと独立した三条委員会とすべきではないかという問題提起をさせていただきました。政府案としては、経産省の中にある最も独立性の強い八条委員会で対応するというお答えでありました。

 この辺は、我々はやはり三条委員会でやるべきだという主張はそのまま持っておりますけれども、八条委員会でやるんだとしても、今の政府の考え方では、これで十分中立性が保てる、そういう自信を持っておられるんだということだと思うんですけれども、物事というのはやはりやってみないとわからないという部分が当然あるわけでありまして、今後実際に始められたときに、いろいろな中立性に疑義が生じるような問題が仮に起きた場合に、当然、いろいろなあらゆる可能性を検討しながら、新たな対応あるいは新たな措置、こういうのをやはり講じていく必要が私はあると思っているんですが、この点について大臣はどうお考えか、まず御答弁いただきたいと思います。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

宮沢国務大臣 まず、その中立性、公平性というものが疑われるようなことがあってはならないわけでありまして、委員の任命につきましては、相当注意をして任命をしていかなければいけないということを思っております。

 その上で、委員は独立してその職権を行うということを法律に規定しておりまして、個々の職務の遂行について委員が独立して判断を行うことを明らかにするなど、今回の法案は独立性にも配慮した設計となっております。

 さらに、独立性を十分に担保するために、委員会は意見や勧告等を経産大臣に出せるわけでございますけれども、経産大臣として、委員会の意見や勧告などについては当然のことながら最大限尊重して私どもの政策に反映していくということが大変重要だと思っております。

 そうすることによりまして、八条委員会ではありますけれども、非常に独立した形の委員会の運営ができるのではないかというふうに期待をしております。

今井委員 それが政府の今の考え方だと思いますから、そこは尊重するんですけれども、やってみないと、やってみたときにいろいろな問題が起きるかもしれないですね、現実的には。だから、そのときに余り当初のことにこだわらないで、改善点があったら改善をしていく、そういう余地があるかどうかというのをお聞きしているので、その点についてもう一度お伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 もちろんあってはならないことではありますけれども、いろいろな問題がもし生じてきたというときには、やはりそれなりの制度の手直しをしていくというのは、不磨の大典ではございませんから、当然のことだろうと思います。

今井委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 それで、この前申し上げましたけれども、これは、行政府だけの問題ではありませんので、立法府の問題でもありますから、やはり、どういう形がいいかというのはまたこれから議論していただきたいと思いますけれども、国会の方でもこれはしっかりと運営がされているかということをチェックする、そういう機会を、特にこの経済産業委員会を中心にして定期的にチェックするということをぜひやっていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 それと、先日、卸売電力取引所について御質問をしました。副大臣の方からは、今後いろいろないい方法があれば検討していきたいというような御答弁もあったと思います。ぜひやっていただきたいと思うんです。

 その上で、やはり、まずこれは期限というのが大事だと思うんですね。いつまでもずっと、とりあえずやらせてみますということではなくて、本来は小売の自由化がスタートした時点でもう活性化が十分満たされていなきゃいけないんだと思うんですね。そうしないと、そちらの方がうまくいっていないとどうしても小売の自由化が進んでいかない、こういう弊害が起きる可能性は非常に高いわけです。

 かつ、ある程度、今全体の一・五%ですけれども、これぐらいの量がないとなかなかやはり自由化が進まないんじゃないかというのは、経済産業省のお役所の皆さんは、皆さん賢いですから、大体それぐらいの予想はされると思うんですね。

 ですから、そういう期限とか目標値とか、これは別に法律に書かなくていいんですけれども、そういうものを設定してそこに向かってやる、仮にそれができないのであればまた新たな措置を検討する、こういうお考えはないでしょうか。

山際副大臣 これは、今回の改正あるいはエネルギー事業の改革の最大の目的の一つに、自由で適正な競争を促すことによってエネルギービジネスにイノベーションを起こしていくということ、これがあるわけですね。ですから、できれば自由な競争環境が確保されるということが望ましいわけでございまして、そういう意味でも、卸売市場においても、本来はこれは自由に取引が行われるということが望ましい姿であって、そこに政府が定量的な目標値を定めていくというものはやはり慎重であるべきではないかと思っております。

 さはさりながら、期限を区切るべきではないかと。明確な期限ではないでしょうけれども、それは、十年、二十年という長い期限ではなくて、やはり、自由化はもう迫っておりますし、それから先どうなっていくかということを、そう長い時間を置かずに、きちんとモニタリングをしながらトレースしていくということは重要なことではないかと考えております。

今井委員 そこまでしか踏み込めないのかもしれませんけれども、この市場が活発化していないと小売の自由化はうまくいかない可能性が高いというのは、副大臣、それは認識は一緒ですよね。

 であれば、やはり、具体的にここを活性化させていくというイメージは、当然役所は持っていなきゃいけないと思うんですね。最終的には自由化を全部していくわけですけれども、大体、ほかのところを見れば、経過措置、経過措置といろいろ入っているわけですよ。例えば、料金が上がってしまうかもしれない、あるいは不当なダンピングがあるかもしれないというので、では総括原価方式を当面残しましょうという措置をするわけですね。

 それから、後でお聞きしますけれども、一般担保つき社債でも、一定期間調達が困難になるかもしれないからということで経過措置をするわけじゃないですか。いろいろなところでそうやって経過措置をして、最初に行政が育てようという措置をされるわけでしょう。

 では、そうしたら、この卸売電力取引所だって同じ話なんですよ。このキーになっているところもやはりある程度育てるということを、行政が最初のところは、最後はそれは市場に任せるべきですけれども、これだけ今の現状が、十年間やってもこの数字しか上がっていないという事実は、皆さん、非常に危機感を持っておられるんじゃないかと思うんですね。

 であれば、所管官庁としてはやはり何らかの目標、期限というのを、どういう形でもいいのでつくっていく必要が私はあると思うんですけれども、そのあたりの認識、もう一度お願いしてよろしいですか。

山際副大臣 問題意識は共有させていただいていると思います。また、関係業界団体と話をしていないわけでもございません。実際に、我々といたしましても、さまざまな場所で意見交換なり、審議会を通してなり、さまざまなことをやっています。

 例えば、任意ではございますけれども、今やっている取り組みとしても、既存の電力会社が余剰電力を取引所に供出する自主的な取り組みを促しつつ、国としてそれをモニタリングするであるとか、あるいは、卸電気事業者である電源開発株式会社の電源について、一般電気事業者との長期契約を見直して、新電力や卸電力市場への売電を拡大させる取り組みを推進するであるとか、また、来年の四月からは卸電力取引所で土日や、一時間前市場を創設するなど、工夫は順次やってまいります。

 しかし、数字というものを定量的に出した瞬間に、それはやはりひとり歩きするものでもありますし、我々としては、同じ方向を向いているということを確認しながら一歩一歩前進させるということが重要だと思っております。

今井委員 ちょっと私は日程の都合で行けませんでしたけれども、我が党の委員の皆さんが取引所へ行って、直接いろいろお伺いして、いろいろな改善策を打たれているという話は伺ってまいりましたので、自助努力は当然されているということは理解しております。

 その上で、数字を、なかなか目標をつくりにくいというのもわからなくはないですけれども、方向性は同じだということですので、もう来年、実際に全面自由化が始まるわけですから、その段階でどれぐらいの取引量になっているかというのはやはりここでしっかり捕捉をして、足りなければ何らかの措置をしていかなきゃいけないと思いますので、引き続き、その議論は結果を見ながらやらせていただきたいというふうに思います。

 では、次に、今申し上げた一般担保つき社債の経過措置についてなんです。

 今回、五年間の経過措置を設けるということでありますけれども、実際に経過措置がスタートするのが二〇二〇年ですから、つまり、経過措置は今から十年後まで続くわけですね。もともとのレクでは、社債の満期が大体十年なので、ワンラウンドで十年ぐらいかかるんですというような話をされていましたけれども、ロールオーバーするさらなる発行がまた十年物を発行するということになると、今から二十年後、二十年先までの資金調達を優遇してあげるということなんですよ。二十年先です。幾ら何でも私はそれは長過ぎるんじゃないかなというふうに思いますけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 経過措置の必要性については御理解をいただいているという前提で、二十年までということになるのではないかという御指摘のところだけお答えをさせていただきます。

 確かに、委員御指摘のとおり、現在から十年後も制度的には経過措置の期間中でございますので、既存の電力会社が十年債を発行することは可能となるわけであります。

 ただ、今回私どもが経過措置を設けるその理由が、社債というものが、電力債の新規社債を発行するときに、その弁済資金というものがまた次の社債発行によってされる、こういう実態があることに着目をいたしまして、社債の投資家の多くが弁済時期の社債発行能力を見据えながら判断をしている、こういう実態があるわけでございまして、弁済時期に一般担保がついているかどうかというのが非常に重要なメルクマールになるというふうに考えております。

 したがって、経過措置の期間中に、十年後に発行するときには、そのとき発行する社債には次の弁済のときには一般担保つき社債がないという前提で投資家が判断をされる、こういう状況になっているかと思います。

 したがいまして、私ども、そのときの一般担保がないことを前提として発行される社債、これが、今仮に一般担保がついていることに伴います優位性があるといたしましても、その時点で同じ優位性があるということにはならないというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、市場関係者におかれましても、恐らくこれから十年後には一般担保つき社債がなくなるということを踏まえまして、新しい資金調達のあり方、どういうふうな形になっていくのかということで、この一般担保つき社債を取り巻く市場関係者の見方というものが変わっていくということを私どもとしては期待をしているところでございます。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

今井委員 ちょっと確認したいんですけれども、例えば十年後に、二〇二五年に十年債を発行しましたと。そうしたら、その十年間、満期が来るまでは、満期の段階までは優先の弁済権利は持っているわけですよね。ということは、そのお金が返済されるというのはそこで担保されているわけなので、今までと何も変わらないと思いますよ。その先がさらに一般担保つきかどうかわからないということで優位性が下がるということは、それはないと私は思いますけれども、いかがですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私の説明がちょっと拙かったのかもしれませんが、私ども、今回経過措置を設けるその理由でございますけれども、今まさに一般担保つき社債を電力会社は発行することができるわけでございます。これは、例えば十年社債を発行するときに、十年後リファイをするというときに、それは何の弁済資金で充てられるだろうかといったときに、それが次の社債でまたローリングされる、こういうふうな前提で投資家は判断をされているという状況にございます。そのときの次のものに一般担保つきがあるかどうかということは、特に今現在の電力会社の資金調達環境に着目いたしますと、そこに非常にセンシティブな感覚を持たれる市場関係者がおられるという前提がございます。

 したがいまして、その前提を踏まえて、今回、二〇二〇年の法的分離に伴って、直ちに一般担保つき社債を発行するのをやめるというわけではございません。

 その上で、今井先生がおっしゃっております、十年間は確かに、一般担保つき社債でございますので、その間、弁済期間が来るまでは社債権者の地位は十分保たれますが、その十年が終わった後に、その資金をどうするのかという、次のときをどうするかということを気にするわけでございます。社債権者はそれを買うときに、十年後、自分が終わったときにそのお金がどうなるかということを考えて判断していくということを申し上げたかった次第でございます。

今井委員 私は銀行で運用をやっていたんですけれども、今の話は全く理解ができないですね。何をおっしゃっているのかさっぱりわからないんですが。お金を次、ロールオーバーで調達できるからまたそれに投資しようというか、満期が来て返してもらえるのであれば、次はどこに投資をしようかはまた考えればいいだけの話で、それはちょっとなかなか説明になっていないと思うんですけれども、ここはスルーします、これをやり出すとまたとまらなくなってしまうので。

 もう一点なんですけれども、今の一般担保つき社債についてなんですが、今回、イコールフッティングをある程度維持しなきゃいけないということで、今までこれを認められていた一般電気事業者にも発行は続けさせるけれども、新規の人たちにもそれは認めるということを措置したということで一応イコールフッティングを保ちましたというのが今回の体裁になっております。

 しかし、一つ問題なのは、今回社債を発行できる人たちは、事業者もありますけれども、持ち株会社もありますね。持ち株会社が発行できる場合もあります。持ち株会社の下にはいわゆる送配電業者もくっついているわけですよね。そこのクレジットを持っているわけですよ。そこは総括原価でもうかるようになっているわけですから、そこの信用力を持っているわけです。その信用力をプラスで持っている持ち株会社が発行する条件とそれから新規で入ってくる事業者の条件は公平ではないと思います。

 この点についてはどういうふうに措置をされるつもりですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、私ども、グループ一括での資金調達ということを可能としておりますので、送配電会社の信用力を利用した資金調達というのも可能だというふうに申し上げられると思います。

 しかし、その信用力、あくまで間接的な活用ということでございまして、送配電会社自身がみずから調達する場合と同等の条件で調達できることにはならない、このように考えております。

 また、グループ一括で資金調達をするということを通じまして、グループ会社全体として、スケールメリット、これは資金調達面でですが、スケールメリットを追求するということも、ほかのグループ会社、グループ経営というもの等を考えますと、それは許容されてもいいのではないかというふうに考えております。

 その上で、一般担保制度、これは先生よく御承知のとおりかと思いますが、かつては担保設定コスト面で有利でございましたけれども、昨今、金融規制緩和によりまして、民間企業の社債発行の主流が無担保社債に移行している、こういう現状では、新規参入者から見た場合に、その価値は相対的に減じている、こういうふうなことと理解をいたしておりまして、経過措置期間中に既存の電力会社が送配電会社の信用力を活用して一般担保つき社債を発行したとしても、それが新規参入者の方から見て公平性を大きく阻害することにはならないのではないか、このように考えているところでございます。

 むしろ、見方といたしましては、安定供給を確保したい、こういう観点から申し上げますと、一定期間に限定した上ではございますけれども、既存の電力会社が、今非常に厳しい資金調達環境の中で、一般担保つき社債によってグループ一括での資金調達を行えるように手当てする、こうしたことの方が改革を着実に進めていく上でも重要ではないか、このように考えているところでございます。

今井委員 今、大変矛盾したことをおっしゃっておられます。

 もう一度お伺いしますけれども、マーケットは今、無担保社債の方にどんどん行っていて、一般担保つき社債の優位性がなくなっているとおっしゃっていましたね。だったら、こんな経過措置は要らないじゃないですか。なぜそれを残すんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 これも先生よく御案内のとおり、一般担保つき社債、これが電力債について発行できている、発行していることの意味というものが非常に実感されたのは、恐らくこの震災の前後からではないかと思っております。資金調達面の実際の条件面で、一般担保つき社債の存在が非常に市場で認識されたという意味を申し上げております。

 その意味で、今、この震災後の非常に電力需給が不安定な状況の中、そして各社の経営状況が厳しい中で、今これから改革を進めていく中で、各社債を、社債権者あるいは社債管理者も含めまして、この電力債の動向については非常に関心が高まっている、こういうふうに考えているところでございます。

 その中で、私ども、改革にあわせて直ちに一般担保つき社債というものを打ち切るということにいたしますと、これは先ほど答弁で申し上げませんでしたけれども、我が国市場で二割を占める電力債というものが持つ社債市場におけるインパクトということも非常に私どもとしては考慮しなければならない、このように考えておりまして、この点につきましては、審議会の中でも金融関係者等々からもさまざまな御意見をいただく中で、こうした五年間の経過措置、今からでいきますと十年間の経過措置が適切ではないか、このような結論を得た次第でございます。

今井委員 それでは、もう一度確認したいんですけれども、この制度でやって、実際に、今の一般電気事業者の人たちが発行する社債のスプレッド、それから新規に入られる方の発行のとき、まあ、発行される実績ができるかどうかすらも僕は疑問なんですけれども、できた場合のスプレッドを見て、これは明らかに調達に不公平があるということが見てとれるときは、それは行政として何か措置をされるおつもりはありますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、私、ちょっと手元に数字を持ち合わせておりませんけれども、現在の電力会社の一般担保つき社債の発行、最近のスプレッドもそれほどではないというふうに考えておりまして、今先生御指摘のような状況が起こることを私は余り想定をしておりませんけれども、そのようなことは恐らくないのではないかと思いますが、余り市場に対して何か私が申し上げるのは適切ではないと思っております。

今井委員 いやいや、市場に対して何か申し上げていただきたいということではなくて、中立公平性が保てているかどうかというのは、あらゆる面でやはりチェックをしていただきたい。ビジネスですから、資金調達能力だって当然出てくるわけですよ。だから、そこのところもよく見ていただきたいということです。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、グループ会社が送配電の信用力を活用してという話からこの話になっておりますけれども、私ども、グループ会社としての一括調達は許容しておりますけれども、その中での資金の流れが通常の取引の条件で行われていることは確認をしたいと思っております。

 その点で、調達した後の話でございますが、送配電会社の信用力を使って調達した後、そのグループ会社内で不適切なことが行われているということがあれば、これは行為規制の中できちんとチェックがされていく、このようになると理解をしております。

今井委員 私の聞いたことと答弁がずれているんですが、私は、ほかの会社との競争環境が整っているかを見てくれということを申し上げているので、実際に始まってみてそれはまた確認すればいいと思いますけれども、なかなか実際は確認できないんじゃないか、そういう社債を発行する新規業者が出てこないんじゃないかなと思いますので、ちょっと確認しようがないと思いますが、状況を見ながら、またこの点についても議論をしてまいりたいというふうに思います。

 次に、法的分離の施行の期日について、ちょっとお伺いしたいんです。

 これは第一段階、第二段階、特に第一段階のときに僕は茂木大臣とずっと議論していたんですが、第三段階が二〇一八年から二〇二〇年になっていますけれども、どうせ一番最後になるんですよねと言ったら、できる限り早くやりますという答弁でしたが、出てきたら、やはり予想どおり一番後なんですけれども。

 ここまで延ばさなきゃいけなかった。もともと幅を持っていたわけですよね。大臣答弁でも、できる限り早期にやりたいという答弁をいただいています。その中で、やはり結果的には一番けつになってしまったという、その辺の検討状況についてまずお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 茂木大臣とどういうやりとりをされたか私は存じ上げませんけれども、恐らくそのときには、送配電部門から発電所に指令を行うためのルールの整備に大体一年、システム設計に同じように一年、実際のシステムの開発に三年から五年かかるというようなことを考えると、一八年から二〇年、こういうようなことをおっしゃったのではないかと思っております。そして、結果的には一番長いところにおさまったわけでありますけれども。

 これにつきましては、それは、大変やる気のある会社はできるわけです。東京電力は来年からですか、ともかく今度の株主総会でそういう方向の動きを決めるわけでありますから、準備をして走っているところについてはできるわけでありますけれども、一方で、現実を見ますと、やはりきっちり法的分離ができる体制がほかの電力会社において整うというのは、やはり二〇二〇年四月一日ということが適切といいますか可能なところだろうということで、二〇二〇年四月一日としたところでございます。

今井委員 茂木元大臣の口癖は、改革は大胆に、スケジュールは現実的にということでいつもおっしゃっていましたので、システム開発も加味して、ここはしようがないという御意見なんだと思うんですけれども、私は、何でもかんでも早くやれということを申し上げているのではないんですね。問題としているのは、競争環境を整えるまでに時間のずれが生じてしまうということが問題だと思うんですね。

 つまり、来年の四月から小売の自由化が始まるわけです。法的分離をする一番の意味は中立性を保つということですよね。競争環境を整えるために中立性を保つというのが法的分離の目的です。しかし、それが始まるのは二〇二〇年。つまり、四年間、競争環境が中立ではない状態が存在してしまうわけです。存在するんですね。この四年間の状況をどうするかという問題なんですよね。

 今、ここをどう中立性を担保するというふうに対応されるお考えでいらっしゃいますか。

宮沢国務大臣 まさにその法的分離が実際に行われる二〇二〇年四月までの間の中立性をしっかり維持していくということは大変大事なところでございまして、このため、実施前でも、二〇二〇年の四月一日よりも前でも、まず、送配電事業者に対し特定の発電及び小売電気事業者を差別的に取り扱うことを禁止しております。そして、これに違反した送配電事業者に対しては国が是正命令を出すということとしております。

 また、御承知のとおり、これまで届け出制だった託送料金につきましては、第二弾の改正によりまして、託送料金の値上げについては経済産業大臣の認可制とするということで、厳正な査定を通じて料金水準の適切性を確保していくこととしていることに加えて、これらの措置の実効性を十分担保していくために、この法案で電力・ガス取引監視等委員会を創設するということにしておりますけれども、施行後六カ月以内に創設するということで、これは法律が本国会で成立をするということであれば、年内にもこの監視委員会は動き始めますので、しっかりとそこで監視をしていく、こういうことになっておりますので、中立性を確保していきたいと思っております。

今井委員 ぜひ、そこの部分はエアポケットになっているのは間違いないわけですから、法的分離がなくても中立性が保てるなら法的分離する必要があるのかという議論になっちゃうかもしれませんが、それはさらに、かぶとを強化するという意味ですから、そこに向かっていっていただきたいんですけれども、その間の分も中立性が保てるような監督はやはりしっかりやっていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 それと、ちょっと気になっておりますが、大体こういう法案をつくると、いろいろやっているうちに、問題があった場合はスケジュールを見直す可能性があるというような条項が、必要な措置を講ずるようなことが大体入るんですけれども、今回も入っておるんですが、法的分離を二〇二〇年からさらに先に延ばしてしまうなんということはまさかないと考えてもよろしいですか。

宮沢国務大臣 実施時期の延期については、全く想定をしておりません。

 附則に検証規定がございます。検証規定に基づき検証を行った結果、課題や懸念があれば、それを解消するための環境整備に全力を尽くすという意味で検証規定が置かれているものでありまして、実施時期の見直しは想定をしておりません。

今井委員 明確な答弁をいただきましたので、この点については安心をしたというか、確認をさせていただきました。

 次に、これは競争環境の問題ではないんですけれども、地域活性化という意味も含めて少し我々も提案なんですが、託送料金についてなんです。

 まず、託送料金に関して、済みません、中立性の問題で一つ最初にお伺いしたいんですが、託送料金に何を乗せるかということであります。これは多分今までも議論があったと思うんですが、具体的に言いますと、原発の廃炉費用をどうするかという問題なんです。

 つまり、託送料金に廃炉費用を入れてしまうということは、原発で発電をしていない人にも原発の費用を負担しろということになってしまうわけですから、明らかに不公平になるわけです。

 これはやはり原発をやっている事業者に負担をしてもらう問題であって、それをほかの方に賦課をするというのは、基本的には私は競争環境としては正しくないと思うんですが、このあたりのところは、大臣、どうお考えですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年三月、ことしの三月の審議会の報告書におきましては、廃炉を円滑に進めるに当たりまして、廃炉に係る費用を、当分の間、小売部門の規制料金によって回収するということとしておりますけれども、自由化が進められる中、この会計措置を継続するためには費用回収の確実性を確保する必要があるということで、将来的には、託送料金の仕組みを利用して費用回収を行うことが適当とされておるところでございます。

 このワーキンググループの議論におきましては、その費用負担のあり方につきまして、今御指摘のように、新規参入者から電気を購入する需要家を含めた需要家間の公平性、あるいは受益と負担の関係を考慮すべきという意見もありました一方で、原子力事業から国民が享受してきたメリットについても考慮すべき、こういう双方の御意見があったところでございます。

 こうした点を踏まえまして、三月に省令を手当てしておりますが、これは託送料金ではございません、現在の料金の中でございます。こうしたことを踏まえまして、具体的な制度設計につきましては、費用負担のあり方やその際の原子力の電気の利用のあり方などにつきましても考慮しつつ、今後、適切なタイミングで検討することとしているところでございます。

今井委員 今後検討ということですから、これは私の意見として申し上げますけれども、両論あるというのはわかりますけれども、私は前者の意見でありまして、とにかく、競争をするのに、自分がやっていないことを負担させるというのはやはりフェアじゃないというふうに思いますので、その点をお願いしたいと思います。

 それと、託送料金の料金設定なんですけれども、政府の方でも御検討されたという話も伺っているんですが、我々、地点料金制度のようなものはできないのかなという、これはつまり、それぞれの地域でエネルギーの地産地消を進めるために、そこで発電してそこで消費をしている、つまり託送の距離が非常に短いというところの人たちは少し託送料金を下げて、できるだけ地域で使うということで、細かい、小さい、ドイツのような、ああいう、いろいろなところに発電所があるというようなことをやって、さらにそれがその地域の地方創生の一つの柱になるというようなことができないかなというふうに思っているんですけれども、その点についての考え方はいかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 その地点料金制度の具体的な内容がわからないところではございますが、私ども、現状におきましても、限定的な制度ではございますけれども、需要地に近い地域に設置されました高圧以上に連系する電源を用いる場合には託送料金の割引を行うという、需要地近接性割引制度と申しておりますが、そのような制度が導入されているところでございます。

 他方で、託送料金を発電所の需要地からの距離などによって異ならせることにつきましては、一方で、先生御指摘のように、送配電網の効率的な利用でありますとか、あるいは、都市部など需要地近傍の分散型電源の活用促進などの点ではメリットがある、このように考えるわけであります。

 他方で、託送距離が逆に長くなるほど割高になってしまうというふうなことになりますと、これは供給区域を越えました競争の促進という点でちょっとデメリットになるかなと。それから、御案内のとおり、北海道、東北地方の再生可能エネルギーを首都圏まで持ってこようというふうなことにすると考えますと、これは託送料金は割高になってしまう。このようなマイナスの側面があるということも考えられるところでございます。

 したがいまして、私ども、これらメリット、デメリット、あるいは、今御指摘がございました地産地消の要請といったものが社会的にあるということも踏まえながら、発電所の立地によりまして、送電網の混雑状況など系統運用状況を改善できる場合などにおきまして、発電所の立地地点別に託送料金を変えるという考え方につきまして、これまで認められていなかった、低圧に連系する電源を用いる場合への割引制度の適用、これは先ほど申し上げましたように、今までは高圧に限られているわけでありますが、これを低圧に連系する電源を用いる場合にも適用を認める方向で、今回の改革の一環として検討を行っているところでございます。

今井委員 時間が参りましたので終わりますけれども、一つ私がまだイメージが湧かないのは、電力の自由化をすると、例えばドイツのように、三百カ所も四百カ所も、いろいろな地域に発電所ができて、それがその地方の活性化になるというパターンもあるかもしれませんし、逆に、今の地域独占はなくなってしまうけれども、結局、集約してみると、ドコモとソフトバンクとauじゃありませんが、三社ぐらいになって、その中でのジャイアントが余計できてしまうという形になるのか、それがどっちの方に向かっていくかというのは非常に制度設計によっても変わってしまうと思うので、その辺のイメージもしながら、ぜひまたいろいろ議論させていただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 皆さん、大変お疲れさまです。午前中に引き続いて質問をさせていただきます。

 午前中の答弁の中で宮沢大臣が、この配付資料一に関連しまして、何かこの二十六基以外の原発も申請してくるんだというようなニュアンスの答弁をされました。これはちょっと聞き逃せないというふうに思うんです。新増設については、現時点、現時点ということでかなり慎重な御答弁を繰り返されている。ところが、こちらについては、現状ではなく、さらに踏み込んだ発言だというふうに思うんですが、これはどういった御趣旨なんでしょうか。

宮沢国務大臣 再稼働をするかどうかということについて、まず一義的には電気事業者が判断をするわけでありますけれども、現在までのところ、再稼働をしたいということで判断をしたというのがこの原発二十四基ということでありまして、それ以外の原発について、再稼動をしないという判断をしたものは、東電の福島の六基に加えて、関電等の五基については廃炉の方向ということで方向性を出しておりますけれども、それ以外につきまして再稼働を申請するかどうかというのは、今後事業者が判断することとなります。

藤野委員 ですから、事業者が検討する、それを規制委員会が審査する、これはいい制度だときょうもたしか答弁されていたと思うんですけれども、それを乗り越えて大臣が、何か二〇%―二二%の関係で物事をおっしゃったので、これは相当踏み込んだ発言だというふうに思うんですね。

 より具体的に聞くために、資料に基づいてちょっと議論したいんです。

 お配りしている配付資料の四枚目なんですけれども、三に当たるんですけれども、これは配付資料の一枚目で、先ほどからお話のある二十六基、審査中が二十四基とあと建設中の二基を足した、これの二〇三〇年度末時点での運転期間を示しているわけですが、赤いところは要するに四十年を超えている、そういう表であります。

 つまり、審査のお話をされましたけれども、日本の原発は大体古いわけですので、審査を通ったとしても、審査のハードルを越えたとしても、すぐ目の前に四十年という新しいハードルが出てくるということなんですね。

 ですから、今審査中のこの二十四基に限って見ても、仮に審査を通ったとしても、四十年という新たなハードルが少なくともこの十基にかかってくるわけです。その中には、泊の二号のように三十九年十一カ月二十三日、はっきり言ってあと一週間ぐらいしたら四十年になっちゃうというのもあるわけですね。それとか三十八年とか、そういうのもあって。

 要は、今議論されている二〇%から二二%を達成する場合に、私は、この表でいわゆる審査の部分についてお聞きをしたわけです。審査についても全部通ったって一五から一七じゃないか、できないじゃないかというお話をしまして、それで先ほどの答弁もあったわけですが、まあそれはあれとしつつも、審査を通ったとしても、そのうち、わざわざせっかく審査を通ったのに四十年というハードルが越えられずに、ぽろぽろぽろぽろ電力供給から抜け落ちていく。くしの歯が抜け落ちるように、せっかく審査を通ったのに電力供給ができなくなっちゃうかもしれない。こういうことが実態としてあるわけですね。

 こういう実態があるのに、どうやって二〇から二二%を達成するのか。これはちょっと、ぜひお聞きしたいんですけれども、どういうふうにやるんでしょうか。

宮沢国務大臣 もちろん、この委員会で何度も申し上げてきておりますけれども、法律上、四十年を超える場合に、二十年を限度に延長することができる。そのためには、これも規制委員会において、そういう炉であるということと再稼働をするという両方の審査を越えなければいけないわけでありますけれども、恐らく既に関電の高浜の一号機、二号機はそういう方向で動いておりまして、そういうものも当然今後出てきて、その中において、当然、審査で適合性を認められないものも出てくるかもしれませんし、認められるものも出てくるだろう。そういう中で、原発比率を二〇から二二、こういうふうに見通したものでございます。

藤野委員 何か非常にやはり実現可能性が感じられないといいますか、審査については、おっしゃるとおり、既に高浜一号、二号は、運転期間延長申請とあわせて、普通の適合性審査の申請も両方出していらっしゃる。

 きのうきょうの報道では、美浜の三号についても運転延長も審査をあわせてやるというような報道もあるわけですけれども、しかし、国会の答弁などでは、安倍総理の前の野田総理は、二〇一二年一月二十七日の本会議で、四十年を超えて運転をするというのは極めて例外的なケースに限られるとおっしゃっているんですね。

 田中規制委員長自身も、つい先日、二〇一五年四月十六日、原子力特別委員会の中でも答弁されているんですけれども、なかなか大変なハードルだ、なぜなら、新規制基準に係る審査で新たに要求することになった津波、火災防護、重大事故対応、こういったものが非常に高いハードルであるとおっしゃっているんですね。それに加えて、期間最大二十年ということになると、その間の劣化、その二十年の間に劣化するということも検討しなければならないので、大変厳しい、大変なハードルだ、非常に高いハードルである、規制委員長自身がこうおっしゃっているわけですね。

 ですから、何か審査しているから、その審査を二つやるんだという認識ではなくて、これは全然質の違う審査をしなければならないし、本来であれば非常に厳しいハードルになってくる。

 ですから、そういった運転延長だとか審査を仮に通っても、通ったらすぐ四十年が来るわけですから、今やっている審査、あるいは新たに審査を申し込んでもすぐ四十年というのが来るというふうになりますと、やはり運転延長というルートというのは大変厳しくなってくるんじゃないか。

 結局、リプレースや新増設については、今あるのは現時点という留保だけなんですね。この現時点という留保が取れれば、そういうルートが開けてくる。

 しかも、私、重大だと思いますのは、本法案にそれをしっかりと担保する仕掛けもあるということなんですね。本来であればお聞きをしたいところなんですけれども、時間の関係で、ちょっと読ませていただきます。

 本法案の附則七十四条、これに一項と二項とございますけれども、皆さんはもう御承知のことだと思うんですが、同一項では、この施行後、適当な時期に施策の実施状況などについて検証を行うと、いわゆる検証規定であります。

 そして同条二項は私は重要かと思うんですけれども、ちょっと長いんですが、紹介させていただきたいんです。

  政府は、前項の検証の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、原子力政策をはじめとするエネルギー政策の変更その他のエネルギーをめぐる諸情勢の著しい変化に伴って特定の電気の小売業を営む者又は特定の電気の卸売業を営む者の競争条件が著しく悪化した場合又は著しく悪化することが明らかな場合において当該特定の電気の小売業を営む者又は当該特定の電気の卸売業を営む者の競争条件を改善するための措置、電気の小売業を営む者の間又は電気の卸売業を営む者の間の適正な競争関係を確保するための措置、電気の安定供給を確保するために必要な資金の調達に支障を生じないようにするための措置等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

必要な措置を講ずるという規定であります。極めて具体的だというふうに思うんです。

 私も膨大な条文を読ませていただいているんですけれども、法案の中で、附則も含めてですけれども、「原子力政策」という言葉が単語として出てくるのはこの附則七十四条二項だけなんですね。

 ですから、この七十四条二項で、まさに原子力政策で著しい変化が起こったら、あるいは著しく悪化することが明らかな場合というところまで広げて対応ができる仕掛けになっている。

 これは、二〇一三年の国会審議の中で、もともとは著しく悪化した場合というだけに限られていた、それが、いや、悪化した場合だと電気事業者は遅くなるんじゃないか、もっと早目に助けてあげなきゃいけないんじゃないかということで、この著しく悪化することが明らかな場合ということがつけ加わっていたわけであります。

 つまり、はっきり言って、明らかな場合ですから、政府が明らかだと認定すればいつでも検証して必要な措置がとれるんじゃないか。大臣、そういう仕組みなんじゃないでしょうか。

宮沢国務大臣 恐らく、この条文がなくても必要な措置というのはとれるだろうというふうに思います。法的、例えば新法をつくるというようなことも含めて、この条文がなくても必要な措置は講ずることができるわけでありまして、逆に、私は質問の意味がいま一つぴんときておりません。

藤野委員 私は、附則七十四条二項についてお聞きしているんです。ほかの法律のことを言っているんじゃないんです。

 この附則七十四条二項に基づいて、ほかの法律をつくる必要は全然なくて、政府が、著しく悪化することが明らかだ、悪化することが明らかと認定すれば、必要な措置がとれるじゃないかと。しかも、この条文だけに「原子力政策」という言葉が、あれだけ膨大な条文の中でここにだけ書かれている。これは、やはり原子力事業者を、ある意味、必要な措置としてフォローしていく、そういう仕組みなんじゃないか、こういう質問なんです。

宮沢国務大臣 まさに御質問の趣旨がまだそれでも実はよくわかっていないのでございますけれども、「原子力政策をはじめとするエネルギー政策の変更その他のエネルギーをめぐる諸情勢の著しい変化に伴って特定の電気の小売業を営む者又は」云々ということで、最後に、いろいろな「措置等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」こういう法律の附則の条文でありますけれども、私が申し上げたかったのは、この条文がなかったとしても、必要な措置を講ずることはできるだろうということを申し上げたんです。

藤野委員 それはどうやってやるんでしょうか。新しい法律をつくるということ以外にどうやってやるんでしょうか。

宮沢国務大臣 それは、新しい法律を国会に提案するということは当然できるわけでございます。

藤野委員 第一回目の審議のときに、この条項がまさに問題になって、明らかに悪化した場合だけではだめだ、それでは原子力政策に係る事業者が困るじゃないかということで、明らかにという言葉をわざわざつけ加えたわけですね。

 ですから、恐らくこの法律に基づいてやりたいんでしょう、そういう法律なんです。それをわからないとおっしゃるのは非常に問題だと思います。

 この条項こそまさに、三年とかそういうエネルギー基本計画の見直し云々にとらわれずに、この法律そのものに基づいて、著しく悪化した場合だけでなく、悪化することが明らかな場合に直ちに、機敏に原子力事業者を助けることができる、まさにそういう法律ですよ。そういう条項です。そのことが認識されていないというのは、私は大変な問題だというふうに思うんです。

 もう一回、答弁をお願いします。

宮沢国務大臣 まだ恐らく委員と私においては共通の認識の土台ができていないんだろうと思いますけれども、まず申し上げなければならないのは、この「必要な措置」というものについては、恐らく幅広いものが含まれております。そういう中で、では、新しい立法が必要ということになったときには、この条文があるなしにかかわらず、新しい法律を政府なりが提出をして御審議をいただく、こういうことになろうということでございます。

藤野委員 法案審議ですので、まさにこの法案そのものについて審議すべきなんじゃないでしょうか。

 私は、解釈を今大臣にお聞きしたのであって、この意味は何ですかということをお聞きしたんですね。ですから、お答えいただくのは大臣の責任だというふうに思うんですけれども。

 その上で、先ほどから繰り返しおっしゃっている新しい立法ということは、私はこの際関係ないというふうに思うんですね、法案審議ですから。まさにこの法案の附則にかかわって私が質問しているわけで。ですから、共通の認識がないとおっしゃいますけれども、ですから答弁で共通の認識をつくっていただきたいんです。私が聞いているのは、これはどういう意味ですかということですから。

 申しわけありませんが、もう一度答弁をお願いします。

宮沢国務大臣 繰り返しになりますけれども、まさにここに書いてあるとおりでございまして、

  政府は、前項の検証の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、原子力政策をはじめとするエネルギー政策の変更その他のエネルギーをめぐる諸情勢の著しい変化に伴って特定の電気の小売業を営む者又は特定の電気の卸売業を営む者の競争条件が著しく悪化した場合又は著しく悪化することが明らかな場合において当該特定の電気の小売業を営む者又は当該特定の電気の卸売業を営む者の競争条件を改善するための措置、電気の小売業を営む者の間又は電気の卸売業を営む者の間の適正な競争関係を確保するための措置、電気の安定供給を確保するために必要な資金の調達に支障を生じないようにするための措置等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

こういうことでありますが、私が申し上げたかったのは、必要な措置というものが立法措置である場合には、この条文があるなしにかかわらず、まさに政府が提案するということであります。

 そして、立法措置でない場合には、私どもの政府の権限内にあることは、この条文がなくても実は既にできる、権限として認められているものはできる、こういうことを申し上げたわけです。

藤野委員 今ので少しわかったような気がいたします。

 おっしゃるとおりなんですね。立法措置が必要になることもあるでしょう、この必要な措置の中には。そういう意味だとすればそのとおりであって、まさにこの二項に基づいて新たな立法措置が行われるかもしれない、立法措置なくできることもあるかもしれない、こういうことなんですね。わかりました。私もそういう条項だというふうに思うんですね。

 しかも、今読み上げていただいたように、最後の「必要な資金の調達」のところの後に「等」がついている。ですから、はっきり言って幅広いわけですね。

 別の部分で、はっきり言って、期間も公布の日からということですから、すぐできちゃう。ですから、いつでもできるし、どんな問題でも対応できる、こういうことじゃないでしょうかというのが、今の答弁をいただいて、踏まえての次の御質問なんです。

宮沢国務大臣 例えば、政府であり、経済産業省もしくは経済産業大臣が、既にある法律に基づいて授権されていることについて言えば、もちろんできるということであります。

藤野委員 やはりそういうことだと思うんですね。

 この法案の中でただ一つ「原子力政策」という言葉が書かれている、その条文で、いつでも、どんな問題でも、原子力事業者を、競争条件を改善するとか、適正な競争関係を確保するとか、資金調達に支障を生じないようにするとか、それ以外にも、などなどという、いろいろなことができるということで、これは大変な条文だというふうに思うんです。

 もう時間が来ましたので終わりますけれども、実際、四月二十八日の参考人質疑では、八木電事連会長が、早速と言ってはなんですけれども、それこそ現時点での要求、核燃サイクルの問題だとか原子力損害賠償の問題だとか、早速繰り返していらっしゃいました。今々は多分それが必要な措置ということになると思うんです。しかし、これからどんどん別の状況になっていったら、また新たにそういった形でいわゆるこの条項に基づいた必要な措置が業界から出てくる。この条項に基づいてできるということになるわけですね。

 ですから、私は、そういう意味でも、原発回帰路線を担保する、こういう条項である、これは本当にもう削除すべきだということを求めて質問を終わります。

江田委員長 次回は、来る二十日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.