衆議院

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第15号 平成27年5月20日(水曜日)

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平成二十七年五月二十日(水曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石川 昭政君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    佐々木 紀君

      塩谷  立君    白石  徹君

      関  芳弘君    武村 展英君

      冨樫 博之君    中谷 真一君

      野中  厚君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮崎 政久君

      若宮 健嗣君    神山 洋介君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬淵 澄夫君

      渡辺  周君    落合 貴之君

      木下 智彦君    國重  徹君

      藤野 保史君    真島 省三君

      野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            小野  尚君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 石井 淳子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  宮崎 政久君     中谷 真一君

  篠原  孝君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     宮崎 政久君

  馬淵 澄夫君     篠原  孝君

    ―――――――――――――

五月二十日

 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気事業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官小野尚君、厚生労働省政策統括官石井淳子君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根(康)委員 おはようございます。民主党、中根康浩でございます。

 宮沢経済産業大臣におかれましては、安全保障法制におきまして電力不足が存立危機事態になる、こういうことになりますので、来週からはとても経済産業委員会にお越しになれないということになるのかもしれませんが、今週は、きょうと金曜日、しっかりとおつき合い賜りますようによろしくお願い申し上げます。

 まず、電源ミックスについて、確認を含めて質問していきたいと思います。

 電源構成について、民主党の議員が再三にわたって主張してきたのは、原発ありきではなく、まずは再エネ、あるいはコジェネ、熱、省エネ、節電の最大化を図るべきだということであります。そして、これから我が国は節電によって電気を生み出すという発想に転換すべきだということ、つまりは、節電や省エネも電源の一つだということをお訴えしてきたということでございます。

 スマートコミュニティーづくりなど、電力消費削減と経済成長を両立させることができるはずであるということも提言をしてまいりましたし、また、各党から、ネガワット取引については推進をすべきだという要望があったというふうに理解をしております。

 今回のシステム改革で、これからは使う電源を消費者が選択できるようになれば、電源構成は、政府や供給側が上から決めるということではなくて、使う側、消費者側が下から決めていくということになる、これが必然であるということだと思っております。

 したがって、あるべき電源構成のあり方づくりということについては、民主党は、供給側の論理ではなく、消費者側の、使う側の意見を十分反映させるべきだと主張しているわけであります。

 もちろん、再エネを含む全ての電源には長所や短所があって、例えば、太陽光や風力は天気に左右されやすい、しかし、地熱やバイオマスは安定的である、こういうことであるわけでありますが、それにしても、再エネはもっとふやせるというのがこの議論を通じての核心であります。

 例えば、送電網の能力についても、四月からスタートした広域運営推進機関、こういったものを十分活用し、電気を融通し合えば、新たな送電網をつくらなくても再エネを十分導入できる、そういう余地が増大をするということであろうと思いますし、各地でエネルギーの地産地消を推進すれば、送電網は使わなくても済む部分もあるということでありまして、地域地域で状況はそれぞれ異なるということであって、役所の机上の考え方だけではなく、電源構成を決める上でも、地域のデータを一つ一つ積み上げていく必要もあるということがこの間の議論で明確になってきたというふうに考えているところでございます。

 ここで一つ質問でございますけれども、今回のエネルギーシステム改革の目的は、電力の安定供給や料金の抑制ということでありますけれども、この改革で、エネルギーの地産地消が促進されて、新規事業者の参入が促進されたということになった場合に、これは地方創生にもつながるわけでありますけれども、この改革によって雇用がどれぐらい創出されると経産省は見込んでおられるのか、お答えをいただければと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の雇用の件でございます。

 現在、一般電気事業者は二〇一四年三月末で十二万九千人、ガスの関係で、一年前でございますけれども、一三年十二月末で三万二千人、こういった形でございまして、電力、都市ガス会社は、全国各地で多くの従業員を抱える会社でございます。加えて、電気工事業、こういう関係でも、二〇一二年、これもちょっと古いデータでございますが、約四十万人働いておられるなど、電力、ガスなど、エネルギー産業を取り巻くところで多くの方々が働かれている、このように認識をいたしております。

 私ども、エネルギーのシステム改革によって、電力におきましては八・一兆円、ガスにおいては二・四兆円、こういった市場が開放されるということはこの場で御説明させていただいたかと思いますけれども、市場の垣根の撤廃によって、こうしたことを実現していきたいと思っております。

 今先生からも御指摘がございましたけれども、こうした分野におきまして、エネルギー企業の相互参入、あるいは異業種からの新規参入、それから関連産業との融合、連携等々、場合によっては、地産地消だけではなくて、海外市場の開拓、獲得、こういったこともあろうかと思っておりまして、こうした分野が成長産業へ進化することを期待しているところでございます。

 既に自由化されている市場と合わせますと計二十兆円、こういった規模の市場がこれから変わっていくということで、この場でも御議論がありましたように、イノベーションといったようなこと、あるいは活発な競争といったようなことが進んでいく。その中で、コジェネでございますとか、あるいは御指摘の再生可能エネルギーなどを中心といたしました分散型発電、あるいは次世代自動車、さらには省エネ家電、多くの周辺分野で新しい市場の革新が刺激される。これまでになかった雇用機会が生まれることも考えられると思っております。

 私ども、政府の成長戦略、一昨年つくりました日本再興戦略の中では、クリーンかつ経済的なエネルギー需給の実現ということで、戦略分野の一つと位置づけておりまして、さまざまな効果を含めまして、この分野における雇用効果、二〇二〇年で百六十八万人、二〇三〇年で二百十万人、現在の三倍あるいは四倍に広がっていく可能性のある分野というふうに位置づけているところでございます。

中根(康)委員 エネルギーの地産地消、分散型エネルギーシステム改革で、人口が減り存在自体が危機に直面している地方の雇用の創出、活性化ということにぜひつなげていっていただきたいと期待をいたしております。

 附則七十四条に基づいて、電気事業に係る制度の抜本的な改革の実施に係る検証にあっては、検証の結果、電気の安定供給の確保、小売料金の最大抑制、これは今までの議論の中で必ずしも値下げを意味するものではないということがわかってはおりますけれども、などが不十分な場合、その際とられる必要な措置の中には、法的分離の停止や延期も含まれるということでしょうか。電事連の八木会長は参考人質疑で延期も含んでほしい旨の発言をなさっておられるけれども、政府の見解を改めて確認したいと思います。

宮沢国務大臣 本法案におきましては、送配電事業者の法的分離の施行時期を二〇二〇年四月一日としております。

 御指摘のありました附則の検証規定につきましては、この検証規定に基づいて検証を行った結果、課題や懸念があれば、それを解消するための環境整備に全力を尽くすということが検証規定の趣旨であり、実施時期の見直しは想定をしておりません。

中根(康)委員 次に、スト権について改めてきょうも確認をしてまいりたいと思います。

 前回、十三日の質疑で、厚労省、石井政策統括官からの御答弁だったと思いますけれども、例えばこういう御答弁があったんですね。さまざまな観点から議論をいただいた結果、スト規制法につきましては、現在の段階では、電力需給が逼迫をして供給への不安が残っていることに加えて、電力システム改革の進展と影響がまだ不透明なところがあって、現時点では存続することでやむを得ないという結論がなされたところでございますということですね。

 そのときも申し上げたと思いますけれども、電力システム改革の進展と影響がまだ不透明なところがあってという厚労省の御見解なんですけれども、経産省からすれば、今回のシステム改革というのはそういう不透明なところがあるのかということで、ある意味、大臣としては、厚労省に対して、そんなことはない、電力の安定供給はきちんとこの改革で確保されるんだ、こういうふうに、厚労省の不安をある意味政府の中で解消するというか払拭してもらわないといけない、こういう御答弁がこの法案の審議の中においてすらというか、まだ厚労省から懸念が表明されているということについては、ある意味、経産省としては何か反発を感じていただかなくてはいけないのではないかというふうに思うわけであります。

 これについては、時間がないので御答弁は要りません。

 石井統括官の御答弁をさらに改めて御紹介申し上げますと、電力については、やはりほかと違う特殊性がある、一つはほかのインフラを支える重要なインフラであるということ、それから、事業に高度の独占性があって代替が困難だ、貯蓄が不可能だといった重要性、特殊性があって、この辺がほかの事業体と違う点がある、だからスト規制は引き続き存続をする、こういうことになるわけであります。

 これもまた、経産省としては、高度の独占性があって代替が困難だ、独占性をある意味変えていくというか、分散型エネルギーシステムに変えていくというのが今回の目的の一つに含まれていると思いますし、貯蓄が不可能だということについても、今までの御答弁の中で、蓄電池の技術の開発の推進ということについても全力で頑張っていかれるというようなお話をいただいているわけであります。

 こういった、代替を可能にするとか、あるいは電気をためることができるようにするとか、こういう特殊性をある意味解消するための改革でもあるということであろうと思いますので、厚労省のこういった今御紹介を申し上げたような懸念はこの質疑の中である意味解消されつつあるということを、ぜひ厚労省の皆さんは、この審議を通じて御確認いただいたということであろうと思いますので、それをお持ち帰りいただきたいということでございます。

 スト規制法については、改めて申し上げますが、附則七十四条の検証規定に基づいて、二〇二〇年の発送電分離の実施前の検証時期に合わせ、厚労省の労政審のスト規制法あり方部会の報告書に、再検証規定に基づいて結論を得る、つまりは、遅くても発送電分離の実施時期に合わせて廃止をする、これを含めた検討を行っていただくということであろうと思います。

 もともと、憲法二十八条で保障されている団結権、団体交渉権と並ぶ労働三権の一つということでありますので、本来あるべき労働者の権利を労働者の手元に返していただきたい。厚労省は、廃止を含めた検討を約束してもらえますか、改めて御答弁いただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省の労働政策審議会、これは関係労使にお入りいただいたわけでございますが、本年二月二日の報告書の中で、スト規制法のあり方について、電力システム改革の進展の状況とその影響を十分に検証した上で、今後、再検討すべきというふうにされたわけでございます。

 この報告を受けて、現在御審議いただいております本法案が成立をした暁には、その施行の後に、スト規制法のあり方について、電気事業、先ほど中根委員から幾つか御指摘がございましたが、業者間の競争環境、これは高まっていくんだろうと思いますが、そのことによって労使関係にどのような影響を及ぼすか、そういうこともございます。それから、業務への影響等、これもシステム改革の中で少しオペレーションが変わってくるということがございます。そうしたことを十分に検証した上で再検討する考えでございます。

 この再検討に当たりましては、今回行いましたのと同様、関係労使を含めて御議論いただくことになりますが、スト規制法の廃止につきましては、前回も申し上げましたが、当然選択肢の一つとなるというふうに考えているところでございます。

中根(康)委員 電力システム改革が失敗をしたら、これはある意味経産省が何らかの形でまた別の責任のとり方はあるかもしれませんが、これは成功するという前提で話を申し上げれば、いろいろな懸念は払拭をされるということでありますので、発送電分離の時期に合わせて廃止をするという理解をさせていただいたところでございます。

 法的分離に伴う行為規制については、過度な規制によって職業選択の自由や人材の育成に支障を来し、ひいては電気、ガスの安定供給や保安の確保を損ねるものとならないように最大限留意すべきであると考えております。

 法的分離に伴う従業者の人事管理規制については、「従事させてはならない」という法律の文言になっておりますけれども、これは、政府の審議会で検討されたような異動や再就職の一定期間の、例えば二年間の禁止は含まず、兼職の禁止に限るものと理解してよろしいでしょうか。確認をさせていただきたいと思います。

山際副大臣 委員御指摘のとおり、いわゆる兼職禁止と同義でありまして、その趣旨に沿った制度の運用を行ってまいりたいと存じます。

中根(康)委員 「従事させてはならない」という文言は兼職の禁止に限る、そういう御答弁であったと理解をさせていただきます。

 また、兼職禁止を除く、今申し上げました例えば二年間の異動、再就職禁止など人事管理規制については、法的な根拠が不明確なまま、例えばガイドラインとか通達などの行政指導等によって事後的に制約されることのないように約束をしていただきたいと思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。

山際副大臣 委員御指摘の点はこれまでも繰り返しのやりとりになってございますので、委員の問題意識は十分理解してございます。

 他方、これも我々の方からずっと申し上げているとおりでございますが、グループ会社等々において人事異動の規制が全くないというふうに、中立性について疑念が生じるのではないかという御指摘に対しまして、どのような対応があり得るのかについては、検討していかなければならない課題と認識してございます。

 先日も大臣から申し上げておりますとおり、一般送配電事業者の送配電部門の中立性確保の観点から、現在、経済産業省、公正取引委員会の共同のガイドラインである適正な電力取引についての指針において、望ましい行為として、一般電気事業者に対し、人事異動について行動規範の作成、遵守を求め、これを受けて、一般電気事業者各社が人事異動について一定の制限をしている事例も見られます。

 もっとも、人事異動に関する規制によりまして電力の安定供給の確保等に不可欠な人材の育成等に支障が生じることがあってはならない、こういう問題もございます。

 人事異動につきましては、罰則つきの規制を設けないとの整理に従った上で、事業者自身が中立性確保に疑念を持たれないよう、実質的な中立性が確保される方策について、事後的な監視で十分か否かを含め、電気事業の実態や関係者の意見を踏まえながら、今後、法的分離の実施までに精査を行いまして、必要な措置の内容を検討してまいります。

中根(康)委員 働く人たちに関する制約を役所がつくるということについては、法的な根拠がしっかりとしているということ、あるいは労働者の意見をその際には十分聞いていただくということをぜひ約束していただきたいと思います。

 次に、ガス導管部門の法的分離の対象事業者を決める基準、これは導管の公平中立な開放という目的のために適切な範囲とするため、ぜひ外国の事例も参考にしながら決めるべきであって、今まで議論の中で示されているように、導管の総延長の一割というところで線引きをする、だから、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの三社のみということになって、他方、重要なパイプラインを持つINPEXとかJAPEXとか、こういうものについては導管のシェアが一%以下であるから法的分離の対象外、こういう仕分けになっているわけでありますけれども、こういう考え方は適切ではないのではないかという議論を我が党の議員が重ねてここでも指摘をさせていただいてきたわけであります。引き続き適切な基準づくりの検討を行っていただきたいというふうに思っております。

 導管の法的分離についての基準づくりについて引き続き検討を行っていただきたいということについて、いかがでしょうか。

上田政府参考人 ガス導管の法的分離の基準につきましては、私ども、これも政令で定めることにしているところでございます。

 また、この基準につきまして、この委員会におきましてもるる御議論をいただいて、御主張というものは、私ども、十分に理解をさせていただいているところでございます。

 現在、私どもといたしましては、政令の中で、一般ガス導管事業者と特定ガス導管事業者につきましては対象基準を同一と。その理由につきましては、ガス供給の量あるいは需要家数、こういったものは変動するデータでございまして、より客観的、安定的な判断が可能な導管総延長が適当ではないかと考えているところではございます。

 また、東京、大阪、東邦の都市ガス大手三社というのが実際に対象になることを考えておりますが、小売販売量の全国の六割を担う、大規模なLNGの基地を複数接続している、競争も実際相当起こっているということで、導管部門の中立化に対する要請というのは非常に高いのがやはりこの大手三社ではないかというのが現状でございます。

 もちろん、海外の事例というものも十分参考にする必要はあると思いますけれども、欧米においてはやはり導管網の整備状況が日本とはかなり異なるということも踏まえますと、海外の事例というものをそのまま適用するというのも慎重な検討が必要なのかなと思っているところでございます。

 また、INPEX、JAPEX、いわゆる特定ガス導管事業者につきましても多々御議論をいただいております。例えば、今の基準、販売量あるいは需要家件数で見たらどうかというのも、我々、検討しているところでございます。

 例えば、INPEX、JAPEXの販売量。INPEX、JAPEXの場合は卸が多いわけでございますので卸の販売量ということになりますが、INPEXの場合は十四億立方メートル、JAPEXの場合は七億立方メートルということで、大手三社の東邦ガスの、これは小売の販売量になりますが、それが三十六億立方メートルということで、販売量につきましては、卸、小売との差が若干あるわけでございますけれども、東邦ガスの半分にも満たない水準にある。

 それから、需要家件数で見てみましても、これはこの間御議論ございましたけれども、INPEXの需要家件数、これは卸をした上で、その卸供給を受けている地方ガス事業者の需要家件数の合計でありますけれども、INPEXの場合で百十四万件、それからJAPEXの場合で六十二万件。東邦ガスの需要家件数が二百三十三万件でございますので、需要家件数という点でも半数に満たないという状況であります。

 私ども、今後、もちろん、政令の策定に当たりまして、さまざまな御意見をしっかりと参考にしながら検討をしていきたいと考えておりますけれども、正直なところ、特定ガス導管事業者につきまして、一般ガス導管事業者と異なる、より厳しい基準を適用する合理的な理由というのは今のところなかなか思いつかず、同じように扱っていくのが適当なのかなと思っているところでございます。

 さまざまな御意見につきましては、今後ともしっかりと拝聴をしてまいりたいと思っております。

中根(康)委員 さまざまな御意見につきましては今後とも拝聴していきたいという長官の最後の御答弁でありましたけれども、この点につきましては、我々、民主党は修正案を提出させていただいておりまして、電事法と同じように、全面自由化と導管の分離をプログラム化して、ガスの導管分離については、この一年間、いろいろと精査をしていただいて、まだまだこの委員会での質疑ではある意味生煮えの御答弁であったというような印象も持っておりますので、十分な議論を積み重ねる中で、もう一度来年の通常国会に改めて法案を提出していただく、こういう内容の修正案を提出させていただいているところでございます。

 この中には、当初、国の資本が入って、経産省の大物OBが天下っておられるINPEXとかJAPEX、これも導管分離の対象にする方向で議論があったというようにも仄聞しておりますが、最終的にはそれが対象から外れたということで、こういう点については、これまでも、この質疑の中で、我が党の田嶋議員あるいは福島議員が、身内のところだけ甘い規制では世の中に受け入れられないのではないか、こういう厳しい指摘もさせていただいているところでございます。

 この導管分離、法的分離を含めたガス事業の改正については、さらに、ある意味、これも私どもの表現で言えば、電気に道連れにされた、巻き込まれた、こういった中で、拙速な議論の中でガス事業法の改正案が今回出されてきたという印象も拭い切れないわけであります。

 そういったことを含めて、修正案を提出させていただいておりますけれども、民主党の修正案、大臣もごらんいただいたと思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 議員立法につきましては政府として極力コメントすべきでないと思っておりますが、御質問でございますので、お答えをさせていただきます。

 修正案のポイントは、ガス導管事業の法的分離に係る規定を今回の法案から削除した上で、ガス導管事業の中立性確保措置を法的分離の方式を前提として実施するための法案を来年の通常国会に提出するよう政府に求めるプログラム規定を置くというものと承知をしております。

 小売の全面自由化と法的分離、これはまさに車の両輪というところは恐らく共通した上で、まだ詰めるところが詰まっていないのではないか、こういう御指摘だろうと思いますけれども、今回のガスに関する法案につきましては、電力改革システムが先行しておりましたので、その議論の成果を踏まえ、また、都市ガス会社、新規参入、それぞれの事業者の意見を聞いて検討した結果、ガスシステム改革について、電力に比べてかなりスピード感を持って具体的な内容が準備できたと考えております。

 このように改革のスケジュールを明確にし、新制度の全体像を早期に示すことは、新規参入者も含め事業者の早期の事業計画の検討を可能にするなど、都市ガス市場の競争の促進のためにも、国民の利益にとっても、私は一どきに示す方が望ましいものだと考えております。

中根(康)委員 私どもの修正案は、このシステム改革の全体のスケジュールに影響をもたらすものではなくて、さらに精査をして詰めるべきところを詰めて丁寧な作業をするということでございますので、決して政府の考え方と相入れないものではないと思っておりますので、ぜひ各党の御賛同を賜りたくお願いを申し上げておきたいと思います。

 ガス事業においては、特に安全確保が最重要となるわけでありますが、都市ガスの場合、民地の設備や機器については、点検もガス漏れ対応もガス会社が行う。今回の改革後、ガス会社が小売会社と導管会社に分かれるわけでありまして、ガス栓までの検査、保安は導管会社、こんろなど消費機器の調査は小売会社という整理になるわけです。特に、災害時、導管部門と新規参入業者を含めた小売部門との間の連携が極めて重要になるということでありますけれども、この連携についてどのようになるか。

 そしてもう一つ、敷地内の老朽ガス管の更新については、耐震と同様に補助金等を充実してスピードアップすべきだという提言もこれまで我が党からも申し上げさせていただいておりますけれども、具体的な支援策について経産省としてどのように考えているか、あわせてお答え願いたいと思います。

関大臣政務官 ガス事業につきましては、法的分離後、災害時に導管部門と小売部門の連携がどのようになるのか、非常に重要な点でございまして、法改正後は、緊急時対応、ガス漏れ等につきましては、基本的にはガス導管事業者が担うこととなっております。

 一方で、需要家と直接接点があるというふうな、消費機器の安全調査などを行うなど需要家が所有するガス機器の情報を有するのはガス小売事業者でございますので、ガス導管事業者とガス小売事業者の間の連携協力が不可欠であるのは本当に大事な点だと思います。

 今般、このため、全てのガス事業者が法案に関し連携協力する義務を課したところでございまして、今後、審議会等におきましてガイドラインを検討していきます。そして、託送供給約款とか保安業務規程によりまして、連携協力の実現を担保してまいりたいと思います。

 そして、ガス機器の設置状況等の情報共有、これを両者できちんとやることによりまして、緊急時はガス小売業者が需要家との連絡窓口を務めさせていただく形となります。

中根(康)委員 きょうはいろいろと確認をさせていただきました。

 最後に、やはり一番の問題は、安保法制もそうなんですけれども、十本を一束にする、今回も重要な法律四本を一束にして賛成か反対かを強いてくる。こういうやり方、これはぜひ、宮沢大臣もあるいはほかの役所も、もうやめてもらいたい。本当に国会を軽視したやり方であるということを御指摘申し上げながら、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 きょう、再度の質疑の時間をいただきました。法案に関しては、今、同僚の中根理事より詳細な質疑をされました。

 私は、二点ばかり、前回質疑で、いわゆる自由化後の競争環境下における原発の運営のあり方についてお尋ねをいたしました。それについての確認をさせていただきたいのと、また、去る四月二十三日、宮沢大臣に、大臣室におきまして、私どものエネルギー環境総合調査会長直嶋会長と、そして渡辺周経済産業NC、また私と事務局長田嶋さんと四名で、民主党のエネルギーミックスに関する提言を提出させていただきました。これに対しての政府の考え方についても確認をさせていただきたいというふうに思います。まとめの質疑ということで、よろしくお願いいたしたいと思います。

 さて、前回私は、原発については、いわゆる電力自由化後の原発のあり方ということについてお尋ねをいたしました。特に、第五回の原子力小委員会、ここで資料として提出をされた、CfD、いわゆる差額決済契約制度について、着々と優遇措置、いわゆる固定価格買い取り制度のような、ある意味、総括原価方式をなくすとする自由化の後にも、総括原価方式の復活のような形で進めているのではないか、こういう指摘をさせていただいたところでありました。

 このような形で、原発は低コストである、そして消費者の負担は少なくなるんだということを理由に進めておられることと矛盾するのではないかということでお話をさせていただいたところ、大臣からは、議事録から拾いますと、FITのような対応策というものは一切考えておりませんと答弁をいただきました。また、このCfDについても、現在、具体的な制度の導入に向かっての検討というものは一切しておりません、さらに、検討しろという指示は出すつもりはございません、こういった答弁もいただきました。これは非常に重要な答弁であると私は受けとめているわけでありますが、改めての確認です。

 大臣として、このCfDまたはそれに類する、原発のコストを、いわゆる全消費者が負担する制度の導入、検討、これは全く考えていない、今後検討しろという指示を出すつもりもないとお答えをいただきましたが、今申し上げたように、CfDでなくてもこれらに類するような、総括原価方式と何ら変わらないような、消費者に負担を求めるような、こうした制度の導入検討指示は今後もしないということでよろしいでしょうか。改めての確認です。

宮沢国務大臣 まさに昨年八月の審議会において、CfDについて、各国において直面している課題や制度制定時の考え方の参考ということで、公聴会をいたしました。

 そして、先日の質疑がございまして、私の方からは、現時点で具体的な制度の導入に向けた検討を行っているわけではないということ、そして、そういう指示をすることはないということを申し上げました。

 まさに、CfDであり、原子力の発電コストを何らかの形で消費者に負担させるという制度について、少なくとも私が経済産業省の責任者である間に、そういうものの検討を指示するとかいうことは一切行うつもりはございません。

馬淵委員 ありがとうございます。明確な御答弁をいただきました。

 国民に向けて、自由化という大きな改革の中では総括原価方式は廃止ということでありますから、それに類するような制度ということは全く矛盾するということを大臣に御理解をいただいているということだと受けとめさせていただきました。

 小委員会では、資料の提示であり、説明だということでありましたが、前回も私、質疑で言いましたが、それこそ、その場では委員の方々から、こういった制度をやはり導入すべきだという御意見が出ておりました。前回質疑でも取り上げた委員の方です。ある意味、平仄を合わせたかのような委員の御意見が出るわけですね。これはもう、役所の中でいろいろなことがあるのは私も想像はできますが、やはり、国民に開かれた議論という意味においては、今いただいた答弁、それをしっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 そして、前回、これも積み残しといいますか、副大臣には陪席いただきながら質問ができませんでしたので大変申しわけございませんでしたが、電力自由化後の原発のあり方について検討しなければならない課題としては、実はもう一つは廃炉の問題がございます。

 廃炉でありますが、今後、自由化のもとで競争環境下に各電力会社が置かれるとなりますと、相当厳しい状況が生まれてくるのではないかということ、これは想像にかたくないと思います。

 すなわち、自由化後は国の支援策なくしては事業継続困難なのではないか、これは、私はそのように感じる部分が多いということでありますが、こうした状況で、今後まさに自由化が進む、自由競争下で原発の維持が困難になり、今後も廃炉は進んでいくというふうにお考えでしょうか。これは、副大臣、お答えいただけますでしょうか。

高木副大臣 もう既に、福井等で廃炉に決定をした原発もございますし、今後、廃炉につきましては、事業者がしっかりと責任を持ってやっていく、こういう流れに変わりはないと思います。

 その一方で、福島第一原発のような現在進行形の廃炉と汚染水の問題については、国が前面に立ってしっかり取り組んでいきたい、このように考えております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 最終的には事業者の判断であるということは、お立場としてはよくわかります。ただ、廃炉決定というのはやはり今後も進んでいく可能性は十分に考えられると私は思いますし、客観的な情勢で見れば、四十年運転制限制にどんどん到来していくわけですから、その制限期間が来るということですから、そのような状況になっていくということだと思います。その上で、この廃炉というのは極めて重要な課題です。

 現状はどうかということでありますが、この現状、これは廃炉にかかわっている、今、福島第一原発がありますが、こうした廃炉にかかわっている機関、企業、これはどういう状況なのかということを、これも、済みません、事務的なことかもしれませんが、副大臣の方からお答えいただけますか。

高木副大臣 今現在の福島第一原発の廃炉の進行状況でございますが、政府の立場としては、中長期ロードマップ等の方針を策定し、東京電力による対策の進捗管理、研究開発等の支援を行っている。

 今、原賠・廃炉機構が設置されておりますけれども、その機構が、政府の方針に基づいて、東電が行う福島第一原発の溶融したいわゆる燃料デブリの取り出し、または廃棄物対策等の廃炉に関する技術的支援を行う。先日も、戦略プランを発表していただきました。

 実施主体である東京電力は、政府の方針のもと、機構の支援を受けつつ、廃炉・汚染水対策を進めている、こういうような状況でございます。

馬淵委員 ありがとうございます。

 原賠機構法の改正によって廃炉部門ができたことにより、原賠・廃炉支援機構、そして廃炉推進カンパニー、さらには、日本原電もそこにかかわって、いわゆる委託を受けて、民民の契約で助言を行っている、この三者での推進という体制だということであります。

 しかし、これも後ほど付言しますが、こうした三者での推進が本当に十分に進んでいくのかということについて、私はこれを大変憂慮しております。

 そこで、政府として、副大臣にお尋ねいたしますが、この三者体制で本当に、現状このまま対応していくことで十分だとお考えでしょうか。いかがでしょうか。

高木副大臣 今、委員御指摘のように、この三者の連携というのを大変密にしていくことが、今後の廃炉にとって大変重要であるというふうに私どもは認識しております。

 そういうような中で、本年三月、東京電力と日本原電は、福島第一原子力発電所の廃炉事業に関しまして、日本原電グループ社員の東京電力への出向、派遣等を含む基本協定を結びました。

 これによりまして、東電が実施主体として進めている福島第一原発の廃炉に、長年にわたる原子力発電所の廃止措置等で培った日本原電の知見が生かされることを期待しております。正直、これまでの四年間の廃炉の進め方というのは、あれだけの事故となりまして、例えば汚染水の問題が二年前からも出てまいりました。そういう部分では、トラブル等も続く中で、ようやくここまで来たという実感がございます。

 これからいよいよ、まさに廃炉を加速化させていくために、この三者の協力をしっかりやっていくということが最も肝要である、また、それを進めていくために政府としても全面的にバックアップをしてまいりたいと考えております。

馬淵委員 この三月十七日の協定は、二〇一五年度上期中に百人規模を東電へ派遣、このようにされているということであります。

 ただ、これも前回にも前々回にも申し上げた、東京電力、新総特の進みぐあい、さらには、東電本体そのものが、KK、柏崎刈羽の再稼働、このことがやはり収益の重要なかなめになっています。それが進まない状況の中で、かつ、汚染水問題もまだ課題としてある。私は、非常に困難な状況が近づいているのではないかということを繰り返しここでも述べさせていただいています。

 その意味では、これも大臣には前回もお話をしたところ、B株、少なくとも政府が保有するB株の転換によって政府が管轄下に押さえる、もちろんそれはさまざまな意見があるということでありましたが。むしろオール・ジャパンで、この三者を一体化させていくということ。B株への転換はその次の段階でもよろしいのかもしれませんが、三者の一体化ということについても、実は考え得る一つの方策ではないか、私はそのように考えるわけでありますが、まさに一体となってオール・ジャパンの廃炉体制をつくるということについて、政府として検討する意思はおありでしょうか。いかがでしょうか。

高木副大臣 今委員の御指摘のような、株を通じての一つの支配関係も含めて、そういう一体化、こういう考え方もあろうかと思います。

 ただ、大切なことは、廃炉作業の実態が、この三者がしっかりと協力して情報を共有しながらやっていくことが最も肝要であると考えております。

 先ほど申し上げましたように、この四年間の混乱する時期におきまして、なかなかそういう密接な連携がとれなかったという現実もあったと思います。ようやくここに来て、例えば、昨年の十二月に、四号機の使用済み核燃料プールからの燃料棒の取り出しも終わりました。一号機の建屋カバーも取り外し始め、また、一号機の中の格納容器の中、蛇型のロボットでございますが、これも投入して、状況把握に進捗が見られます。

 そういう観点から申し上げますと、現段階では、そういう一体化というよりは、その情報共有の中で確実に進めていくということに取り組んでまいりたい、このように今考えております。

馬淵委員 なかなか、そうはいいながらも、私が担当補佐官のときも、目に見えるところは比較的一生懸命やられるんですよ、目に見えるところはやりやすいんです。見えないところはなかなか遅々として進まないんです。それが汚染水問題を招いたわけです。茂木元大臣もそのことは大変憂慮されておられました。

 だから、一つの、ある意味、これら東電を初めとする事業者に対するプレッシャーも含めて、検討というのはやはりされるべきだと私は思いますよ。大臣、これはいかがですか。前回は傾聴に値するという御意見をいただきましたが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 廃炉・汚染水対策というのは、これはどうしても成功させなければいけない、まさに我が国にとって最も大事な政策の一つだと思っております。

 そうした意味では、まさにおっしゃるような、三者を本当に密に協力させるということは大変大事なことでありまして、正直、株云々という話になりますとなかなか難しい面はあろうかと思いますけれども、やはり、できれば与野党の壁を越えて、民主党の委員の方からもいろいろな提言をいただきながら、一体的な運用がしっかりできて、廃炉・汚染水対策を着実に、安全に、成功裏に完成させるということをやっていかなければいけないと思っております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 もうこれ以上申し上げませんが、本当に一体的に動かなかったのが現状なんですよ。だから、原賠機構もつくり、原電も協力をさせという、これは政府が進めてきた流れだと私は思っていますが、あと一歩の踏み出しが必要だと思います。

 繰り返し申し上げているように、二〇一六年度評価は、少なくとも、二〇一六年度末をもって評価を始めるのではなくて、もう半期が過ぎれば見えるわけですから、決算も読めてくる、新総特の結果が見えるわけですから、繰り返しですが、政府としては、新総特の評価を待ってなどということではなく、その評価と並行して次のステップに踏み出していただきたい、これを改めて申し上げておきます。

 その上で、最後の質問ということになります。

 細かなところを少し聞かせていただきたいんですが、民主党提言について、お配りした資料、これは大臣に四月の二十三日に手交させていただきました。大臣からは、しっかりと受けとめさせていただくという御答弁も当時、大臣室でもいただきました。

 我々としては、やはり東日本大震災の福島第一原発事故の反省と教訓を踏まえて、これはお配りした資料の一ページ目にありますように、大きくは四点。原発ゼロ社会に向けた道筋、分散型エネルギー普及、さらには省エネ、再エネのグリーン分野を通じた社会変革、温室効果ガスの削減目標達成。こうした四点をもとに、具体的な施策ということで、これを皆様方にお示しした、この提言に記したわけであります。

 その中でも、我々民主党がやはり政府・与党の皆さん方との考え方の中で一定の開きがあると思われるのは、一つは再エネであります。我々としては、再エネの推進というのは、エネルギー基本計画にも記し、今日もそれが受け継がれているわけであります。

 その再エネ推進の中で、ここにも、四ページ目に記してあります「再エネ推進のための政策手段」「ソフト的な対策」というのでありますが、ソフト面についてまず伺います。

 現状の送電網、これらを前提とした系統運用のあり方の見直しについて、国が主導する必要な施策として、どのように考えておられるか。我々の提言を受けたという上で、大臣から御答弁いただきたいと思います。

宮沢国務大臣 再生可能エネルギーの最大限の導入を進めていくということは、私どもの方針でございます。

 その観点から、系統運用のあり方については、本年四月に設立されました広域的運営推進機関が策定した地域間連系線の利用ルールにおきまして、これまでは年度ごとでありましたものを、地域間連系線の運用容量を三十分ごとできめ細かく算定すること、さらに、発電設備設置者にも地域間連系線の利用申し込みを認めるというようなことで、運用改善を図ってきております。

 また、加えて、再生可能エネルギー発電設備や蓄電池の低コスト化、高効率化のための技術開発、環境アセスメントの期間短縮化の規制緩和などに取り組んでおります。

 今回のエネルギーミックスとの関係でいいますと、系統運用の制約というものは実は考慮をしていない、逆に言えば、きっちりそれができるということを前提といたしまして、需要と供給のバランスをとるという観点からのみ計算をしておりますので、そうした意味では、まさに系統運用というものが徹底的に行われるということを前提として計算をしております。

馬淵委員 我々の提言ではまさにこの部分を一番強く訴えているところでもあります。私も予算委員会でも再三質問させていただきましたが、やはり、国として、東西日本のみならず全国規模での系統の広域融通、これがやはり一体運用、系統運用ルールの見直しということが求められるということを強く訴えてきたわけであります。これに対しても、政府としてはしっかりと取り組んでいただくということでよろしいでしょうか。これはもう端的で結構です。

宮沢国務大臣 きっちり対応してまいります。

馬淵委員 提言を受けての前向きな御答弁をいただけたというふうに受けとめさせていただきます。

 そして、加えて、「ハード的な対策」ということで、これは五ページにございます。これも我々としては、ハード面の整備ということも必要であるということで、ここは国費の投入も含めた国のリーダーシップということも記したわけであります。なかなか国費の投入というのは困難である、事業者ということを常に言われるわけでありますが、一方、ハード面から政府が具体的に検討されている対策ということについて、我々の提言を踏まえて御答弁願えたらと思います。

宮沢国務大臣 まず、主要な系統インフラ、地域間連系線及び地域内での基幹送電線でありますけれども、これにつきましては、広域的運営推進機関におきまして、広域運用の観点から、設備増強計画を策定する予定でございます。この際、広域的運営推進機関は、エネルギーミックスなど、国の政策方針を踏まえ、設備増強計画の検討を行う仕組みとなっております。

 加えて、経産省では、系統制約の克服に資すべく、地域内の送電網整備の実証、系統側に設置する大型蓄電池の実証、それから電力系統の運用技術の高度化などについて予算措置を講じてきております。

 こういう形で応援するので、直接、系統増強に国費を投入するということについては慎重であるべきと我々は考えております。

馬淵委員 我々は、国がリーダーシップをとるべきであるということからこうした提言をさせていただいているわけであります。大臣も、国会でも、風力に関してはもっと推進したいんだというお話をされました。

 この場合にやはりハード面の整備というのは欠かすことができません。その意味で、我々としては、風力発電増加にとっても必要な北本連系線の整備、これらもしっかりと前倒しをするべきだということでありますし、やはり二〇三〇年までには全国五地域としての一体的な系統運用を確実にするべきだということも、加えて検討のお願いをしてきたところであります。

 実証実験という形で、私どもとしては、実証よりも踏み込んだということを常にお伝えしてきたつもりなんです。実証の結果によって当然さらに具体的な推進ということになるかと思いますが、今は実証実験という形での進め方にとどまっているということではあります。

 大臣、これは当然ながら、実証事業の評価をすれば、それにも伴ってさらなる推進、具体的な実施の計画ということが大きく前進するということで、大臣の御判断はお持ちだということでよろしいですね。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 今回の再生可能エネルギー最大限導入という点からいたしますと、制度としては大変すばらしい制度ができたわけでありますけれども、太陽光に偏ってしまったという点が残念なことだったと思います。

 一方で、我々といたしましては、例えば大型風力というのは、ヨーロッパ、アメリカにおいては大変コストが安く、主要な電源になっているというようなこと、また、地熱とかバイオマスといったものについては恒常的に発電できるといった点があって、こういうものをやはり徹底的に推進していくということは大変大事だと思っております。

 では、実証実験の後どうなるかということを今の段階で申し上げることはできませんけれども、やはり、日本にある数少ない適地で大型風力がしっかりと主要な電源として発電できる環境を整えていくということは、政府としてしっかり応援していかなければいけないと思っております。

馬淵委員 これはもう大臣はよく御存じだと思いますが、これは、実証をつけないと、後年度負担が発生するような予算というのは財政当局はうんと言わないんですよ。ですから、最終的には、上げた段階では実施ということを掲げても、実証実験という形で一旦はワンクッションを置かざるを得ないんです。

 ですから、今、財務当局、財政当局の立場を考えれば、それは結果を見てからだということしか答えられないのはよくわかりますが、少なくともここは政府の意思なんですね。強い意思を持って進める以外にないんです。実証実験の形で進めて、その上で具体的な実施計画、拡大した実施計画、そこに結びつけていただくのが本来の予算の意味でありますから、そこはお立場上なかなか難しいのかもしれませんが、しっかりと推進していただくということを確認させていただいたということでよろしゅうございますか。改めての確認です。

宮沢国務大臣 将来の予算のことをこの段階で申し上げるわけにはいかないわけですけれども、当然、新たな事業がふえてくると、ではどこを減らせということを恐らく向こう側は言ってくる。そういう中で我々として、今使っているお金の中でどこが減らせるのかどうかという検討を恐らくやった上でこういうものを応援していくということになろうかと思います。

馬淵委員 もちろん、御出身の省であるということもよく承知しておりますが、今は経産省の大臣ですから、お立場としては、経産省を率いるリーダーとして、今私はそこは本当に力強く発言していただきたいなと願っておったわけですが、お立場のことなので、これはよく理解をいたします。ぜひ、そこは前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 そして、省エネ推進、これも我々としては非常に強く取り組みをしていこうということで、政府案に対してはかなりここは差別化をしているところだと思います。

 省エネ推進の中で、とりわけ我々としても伝えてきたのが、いわゆるエネルギー供給サイドによる省エネ推進、これをしっかりと、需要家に我慢していただくという省エネではなくて、しっかりとインセンティブを供給サイドにも与えて、みずからが省エネを進めていく、こうした取り組みが必要だということをこの提言の中にも書かせていただきました。

 これに関して、大臣、こうした我々の提言、ネガワット取引など、電力システム改革の中で、当然、需要管理施策というものを強力に推進するということ、これも受けとめていただいたということでよろしいでしょうか。いかがでしょう。

宮沢国務大臣 ディマンドレスポンスということは、私ども大変重要なことだと思っております。直近の省エネ法改正でも、電気事業者から消費者への情報提供を求めることとしております。

 さらに、欧米で実施されているような、エネルギー供給事業者が家庭部門の省エネに取り組むことに対しインセンティブを与える措置については承知しておりますけれども、対策の効果やそのコストの負担のあり方等、諸外国の事例をまずしっかりと勉強しつつ、検討していかなければいけないと思っております。

 また、御指摘のネガワット取引につきましては、御承知のとおり実証事業等を実施しているところでありますし、また、小売の自由化の中で、当然のことながら、時間帯ごとにきめ細かな価格設定がされることによって、ディマンドレスポンスが図られることになろうかと思っておりますけれども、ネガワット取引につきましても、また、そういう事業者の取り組みを促すことにつきましても、しっかりと我々の政策の中心に位置づけてやっていきたいと思っております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 いわゆるインセンティブ、報奨金制度やあるいは義務量制度、こういったものをぜひ検討していただきたいということも我々の提言の中に書かせていただきました。

 そして、最後になりますが、原発に関する提案なんですが、ここは真っ向相入れないという御答弁しか返ってこないと思います。

 ただ、これは与党であります、これは報道ベースで恐縮ですが、昨日、エネルギーミックスめぐり自民党紛糾ということで、十九日の会議で議論が紛糾する中、責任者への一任を取りつけたと。会議では、二〇三〇年、比率を二〇から二二という数字に対して、原発依存度は低くする余地があると反発し、議論は紛糾。この中で、この議論はまとまらず、反対派の意見表明が続く中、打ち切られた。今後、パブリックコメントなどを経て最終決定されるということであります。

 私から言えば、大臣、与党の中でもまだこういった意見が出ている状況ですよ。

 そして、少なくとも、国民的議論というものについて言えば、私は、もっと開かれた議論をすべきだと繰り返し申し上げてきました。十分ではないと思います。その中でのパブリックコメントのお話もありますが、足元の中の与党の議論ですら、やはり納得されない声が出てくるわけです。

 やはり国民的議論、これはパブリックコメントということでありますが、私は不十分だと感じております。大臣、この国民的な議論ということについて、やはりここはもっと踏み込んだ方策が必要だと考えますが、これに関してはいかがでしょうか。

宮沢国務大臣 新聞各紙、それぞれいろいろな立場がありまして、その立場によって、若干報道されている内容が違っているように感じております。

 国民的議論というのは、おっしゃるとおり大変大事でありまして、例えば、立地自治体の首長さんからもそういう要請を受けてきております。

 そういう中で、まだ我々の説明が足りないということであれば、やはりしっかりと説明をし、理解をしていただく努力をしていきたいと思っております。

馬淵委員 国民の理解なくしては、これは成立し得ない。特に、エネルギー問題は、まさに原発の事故があったということから、非常に皆さんナーバスになっているところもあります。

 これも今までの議論の中で、パブリックコメントを含めてどうするのかという中では、一部には、パブリックコメントすらもう行わないのではないか、こうした話が飛び交ってもいました。結果的にはパブコメだということでありますが、これも繰り返し、与党の中の議員、特に河野太郎議員は、このパブリックコメントすら十分でないということも指摘をされてきました。各省においては、それこそパブコメを集約した日に答えを出しているようなところもあった。

 私も、それは再三予算委員会でも指摘をしてきたところでありまして、広く開かれた議論ということについては少し踏み込みが足りない、私はそのように思わざるを得ないんです。ここもぜひ大臣のリーダーシップをもって取り組んでいただきたい、このように思います。

 その上で、こうした民主党の提言も踏まえた今回の議論をさせていただいて、最終的には我々としては修正の議論をさせていただくわけでありますが、また、それを踏まえた上で、与党の皆さん方、政府の皆さん方の御理解をいただきたいというふうに思っております。

 ぜひとも、繰り返しになりますが、こうした国民的な声を背景に、この場でも引き続きエネルギー問題に私は取り組ませていただきますので、御対応をよろしくお願い申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 以上です。ありがとうございました。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 質問通告が前後しますけれども、一番最初に、東京電力のホームページを見ていましたら、「ホールディングカンパニー制の概要と一般担保付社債の取扱いについて」、五月一日付でこれをオープンにしているんですね。これをずっと見ていったら、本当は資料としてお配りする方がよかったのかもしれないですけれども、大した中身の話じゃないので、一ページ目のところに、「二〇一六年四月の小売市場全面自由化、二〇二〇年の送配電部門の法的分離など、わが国の」云々と書いてあるんですね。

 今まさに発送電分離を審議している中で、東電が何でこういうホームページを出しちゃうのかというのが不思議でならないんですけれども、これはもう政府と一民間企業が、確かに基幹産業としては大事かもしれませんけれども、余りにも近づき過ぎちゃっているコマーシャルじゃないかと思うんですけれども、それについてちょっとコメントをいただければと思うんです。

宮沢国務大臣 そのホームページはもちろん承知はしておりませんけれども、まず、事実誤認がございますのは、小売の自由化というものは、第二弾で決めていただきましたけれども、一六年中ということでありまして、一六年四月一日と決まっているわけでは実はございません。

 法的分離につきましては、言わずもがなでございまして、今御審議をいただいているわけでございますが、一方で、東電は、いずれにしても、早く、たしかことしの株主総会でそういう方向で決めるという意向も持っているというようなことは承知しております。

 いずれにしても、事実はしっかり書いていただきたいし、決まっていないことは書いていただきたくないというふうに思っております。

鈴木(義)委員 この中に、日にちが云々というのは後でよく東電の方に大臣からか担当の部長さんからか言ってもらえればいいんですけれども、いろいろなカンパニー制の移行の、これは、私がつくったんじゃなくて、東電のホームページにあるので。これを見ていくと、有利子負債というふうに言われている、カンパニーの方に移行したときの借金が六・六兆円あるわけです。それとは別に、分割したときの燃料・火力発電事業者が〇・九兆円、一般送配電事業者が四兆円、それと小売電気事業者が〇・三兆円なんです。これを足すと五・二兆円なんですね。これとは別に、カンパニーの方で、ホールディングスとして、これは仮称なんでしょうけれども、六・六兆円予定しているんだという話なんです。こういうものをもう堂々とネットで流しちゃっているということは、誰の目にも、見ようと思えば見られるんです。

 なおかつ、この中に、ああ、そうなのかなと、確かに今大変な状況なのでわかるんですけれども、各社の財務状況についてというのが載っているんです、一覧表で。ホールディングスはホールディングス、発電は発電、送配電は送配電、収支計算ですね、ざっくりしたもの。そういうものを載せている。

 要するに、今、福島の原発の対応も含めて、国が東電を介して賠償をやっていると思うんです。ことしだったか去年の国会でも、結局賠償額の上限を九兆円ぐらいまで上げたと思うんですけれども、では、仮にその九兆円を返そうといったときに、各電力事業者から五百億ずつお金を出してもらって、あとは株の売買か何かで利益を出して返済に充てていくといったって、ある人の試算でいっても三十年かかるというふうな言われ方をされています。九兆円というのはすごい額なんです。

 そこで、そういう状況に置かれていながら、細かい話になるんですけれども、今回の電気事業法の改正に伴って何点か御質問していた中で、再度お尋ねしたいことがあるんです。

 一つ目は、総括原価方式、これが送配電事業者に残るんですね。先ほど申し上げましたように、送配電事業で約四兆円ぐらいの借金が東電が分割した中で残るわけですね。

 ちょっと古い話です。平成二十四年七月に、消費者庁は、このときに東電が電気料金を値上げしたいという申請に基づいて消費者庁のコメントを経産省の方に送っているんだと思うのです。

 その中で、電気料金の値上げがされる中で、総括原価方式、まだ発送電分離していませんから今までと同じようなやり方なんでしょうけれども、それの中を見ますと、調達についてさらなる徹底的な合理化を求める、競争入札の導入比率について東京電力は五年間で六〇%の水準を達成するとの目標を表明したんだけれども、それをもっと前倒ししたらどうだろうかということですね。

 では、六〇%を達成していないということは、何をやっているかといったら、随契なんだと思います。競争入札の導入状況について、一定期間ごとに公開を求めたらどうだというふうにこのとき指摘されているんですけれども、私の探し方が悪いのかもしれませんけれども、公開しているような情報が出てこないんですけれども、今どういう状況になっているのか教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の件でございますが、ちょっと経緯を申し上げます。平成二十四年五月十一日付で東京電力から料金の改定の申請がございまして、その後、私どもの総合資源エネルギー調査会の電気料金審査専門委員会で審査を、十回ほど審議を重ねた次第であります。七月になりまして、その査定方針案がまとまるというところで、並行して消費者庁と協議を行った際に、今先生御指摘のような御意見を頂戴した、こういうことでございます。

 その後の状況でございますけれども、料金認可の後ですけれども、新・総合特別事業計画、新総特と申しておりますが、東京電力がその中で、今お話のありました、五年以内に六割以上とするという、調達の件に関しまして、目標の前倒しをするということなんでございますが、これを二〇一五年度、つまり一年前倒しをするということを新総特の中でうたっております。

 公表の件につきましても、毎年ホームページにおきまして、競争調達比率の公表を行ってきておりまして、料金値上げの申請前の二〇一一年度は七%にすぎなかったわけでございますが、これが、二〇一四年度、つまり昨年度でございますが、五五%まで上昇してきている、こういう事実がございまして、これはホームページ上で公表をさせていただいているところでございます。

鈴木(義)委員 そのときに指摘されていた、修繕費だとか委託費、これも一〇%削減してくれとか、これで四十四億円も削減されるとか、日本原電からの購入電力料を含めて、子会社、関係会社との随意契約の取引について、一般管理費等のコスト削減が可能と見込まれる費用について、もっと深掘りしたら六十億ぐらいできるんじゃないかというのも指摘されているんですね。

 それをトータル積み上げていくと百億を超えるお金ができるんですけれども、そうすると、今までの議論の中で、これから送配電事業を今の一般電気事業者に残して地域独占をさせるということになったときに、それは認可制を残すわけですよね。私は、個人的な考えかもしれませんけれども、託送料金を下げる努力をやはりしていかなければ自由な競争にはなっていかないとさんざん議論してきたと思うんです。ということは、認可制を残している託送料金の総括原価方式をもっと厳格にやっていかなければならないんだというふうに思うんです。

 そこのところをもう一度、今のお考えで結構ですから御答弁いただきたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今二点御指摘いただきました件、四十四億円、修繕費、委託費について、その一〇%を削減すると言っているけれども、それ以外の費目も随契について一〇%削減できるのではないか、こういった点、それから、日本原電からの購入電力量を含めて、子会社あるいは関係会社との随意契約取引について、一般管理費等のコスト削減が可能と見込まれる費用、これもさらに深掘りできるのではないか、これで六十億円できるのではないか、こういった指摘を受けまして、私ども、料金の認可をするに際しまして、それぞれ、四十四億円、それから六十億円が削減されていることを確認いたしました上で、平成二十四年七月二十五日に認可をさせていただいているところでございます。

 私ども、こういった総括原価主義のもとでの料金査定を厳格にやっていかなければならない、こういう認識は強く思っているところでございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 もう一つ言わせていただければ、消費者目線に立っているかどうかということなんだと思うんですね。

 ここの資料の中にうたってあって、やはりこれはちょっと常識から外れているし、これは原価に換算するのがいいのかなというふうに個人的には思うんです。東電病院の設備投資関係費も原価から除外したらどうだと言っているんですね。それとか、社宅賃料の周辺物件の平均的賃料水準を上回る部分を原価から外した方がいいんじゃないかというふうにもうたっているんです。諸経費のうち年功慰労金等人件費に含めるもの、こういったものは本当に託送料金として認めていいものなのか。

 結局、何を申し上げたいかといったときに、総括原価方式を今までずっと、確かに日本の経済を支えていたり国民生活を支えているという観点から、戦後の復興期が始まっているのはわかります。でも、その時代の原価主義だとか公平の原則に基づいていろいろなものを拡大解釈してきて、どんどんどんどん総括原価方式の中の項目に入れてきたんだと思うんですよね。そこをどこまでが総括原価として認めていいか。

 これはちょっと今の時代は納得してもらえないだろうなというのを消費者庁から指摘される前にきちっと経産省が精査してやらないと、国民に納得してもらえないし、企業も、さんざん電気料金を下げてくれと言っても、誰が何をやっているかよくわからない、でも、知らないうちに電気料金が上がっていってしまうというのが今までだったと思うんですね。まあ、下がったときもありますよ、正直。

 そこのところをもう一度、政府参考人か、大臣でも副大臣でも結構です、いい方のヨシヒロさんでも結構です。

多田政府参考人 私は事実関係だけ申し上げます。

 先生から御指摘のございました東電病院の件、それから社宅の賃料の件、それから年功慰労金等人件費に含めるもの、これらを原価から控除せよ、こういった御指摘につきましては、いずれも私ども料金原価から削減されていることを確認いたしました上で、先ほど申し上げましたとおり、二十四年七月二十五日に認可を行っているところでございます。

鈴木(義)委員 そこで、電力・ガス監視等委員会の話に持っていっちゃうんです、無理くり。

 なぜかといったら、今、消費者庁から指摘されて初めて控除しますというふうに参考人が答えているということなんです。ということは、内部監査かどうかわかりませんよ。結局、経産省の中でのきちっとした審査がされていないから、消費者庁から指摘されて、そうですよね、では控除させますよということで、認可料金からそれを除外して計算し始めたわけじゃないですか。それにもかかわらず、今回の、監視委員会を八条のまま残すということは、同じことが起きないかということなんです。

 どなたでも御答弁いただければ。

宮沢国務大臣 お答えする前に、一点、ちょっと修正をさせていただきたいんですが、小売料金の全面自由化につきまして、二〇一六年中にと申し上げたんですけれども、正確に言いますと、公布の日から二年六カ月ということでありまして、公布が平成二十六年六月十八日でございますので、正式に申し上げますと、二〇一六年十二月十七日までに、こういうことでございました。

 今の御質問にお答えいたしますけれども、事実関係をまずお話しさせていただきます。

 前回の引き上げのときでありますけれども、まず、電気料金審査専門小委員会、これはエネルギー調査会にございますが、において、専門的かつ中立的、客観的な観点から、個々の原価内容の妥当性について厳正に審議された上で、委員会としての査定方針案が取りまとめられ、そして、経済産業大臣に提出いただくこととなっております。経産大臣はこれを踏まえて認可を行いますけれども、それに先立ちまして、消費者庁に対し協議を行うということになっております。

 そして、前回でありますけれども、まず、十回にわたりまして電気料金審査専門委員会が開催され、それ以外にも、事務局による事業者へのヒアリングなどが行われ、査定内容の大枠が固められました。そのように取りまとめられた査定方針案に対して、既に盛り込まれている事項も含めて、消費者庁として強調されたい点について御意見をいただいた。消費者庁が書いてある意見につきまして、実は既に盛り込まれていた事項もたくさんございました。それらを踏まえまして、盛り込まれていなかったところが、人件費の削減のさらなる深掘り、また、先ほどの競争入札の導入比率に関する目標の記載等の対応を行いました。したがって、基本的には、委員会による査定方針案をベースとして査定方針が取りまとめられ、それに基づいて認可が行われたというのが事実関係でございます。

 今後の託送料金の総括原価につきましては、電力・ガス取引監視等委員会が厳格な審査を行う、そして、その審査結果を踏まえて経済産業大臣が料金の認可を行う仕組みとしております。

 この電力・ガス取引監視等委員会は、法律、経済、工学などの専門性を有する多様な人材から構成される組織とすることが必要であると考えております。また、事務局職員につきましても、弁護士とか公認会計士といった外部人材を積極的に採用していくということで、組織としての専門性を高め、適切な料金水準を確保していきたいと考えております。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(義)委員 専門的な人ばかりじゃなくて、全然の素人を入れた方が意外と違った視点で物事を見られるかもしれないんですよね。くどいようなんですけれども、電気料金を安くしてもらいたいということなんですよ。

 次に移りたいと思うんです。

 そろそろ、来月、みんな胸躍る時期が来るんです。ボーナスの時期なんですね。違いますか。みんな何か、きょうは乗りが。

 東電が平成二十四年と二十五年の二期連続で黒字になっているんですね。この中で、先ほど、質問の内容は違うんですけれども、来年の四月以降、小売の自由化がスタートするんですけれども、燃料費調整制度による電気料金の上昇のためというふうに言われているんだそうです、二期連続で。

 この制度は、平均燃料価格が基準燃料価格を上回る場合はプラス調整をして、下回る場合はマイナス調整をすると。この平均燃料価格は、原油、LNG、石炭の直近三カ月の貿易統計価格に基づき算定されるんだそうです。ですから、燃料の輸入業者の実績価格を計上したというふうに言われていて、東電が、ほかの電力会社でもどこでもそうなんですけれども、この平均値よりも安く仕入れることができたのであれば、貿易統計価格で算定された電気料金の値上げにさせるわけです。平均値で値上げしていくわけです。

 でも、実際はそれよりも安く仕入れることができたら、その差は利益になりますよね。それで二期連続黒字じゃないか。

 来月、楽しいボーナスの時期なんです。それでボーナスをぽっと上げられちゃったら、これから来年小売の自由化が進んでいくということになれば、本来であれば、東電が仕入れたり関電が仕入れた燃料の仕入れ価格で上下するんだったらわかるんですけれども、全国で平均値を出してしまって、高いところは、それより上回ったんだからプラスで料金下さいよ、下がったところは、しめしめ、もうけちゃいますよというのは、ちょっと違うんじゃないかと思うんです。

 この制度はやはり来年以降は見直しを図るという考えなのか、お尋ねしたいと思います。

高木副大臣 今御指摘の燃料費調整制度、これは、為替レートや国際的な燃料市況の変動によりまして燃料価格が変動した場合に、その変動分を毎月自動的に電気料金に反映するものでございます。

 また、委員御指摘いただきました変動分の算定に当たりましては、当該電力会社の実際の燃料の輸入価格ではなくて、日本全体の平均的な輸入価格を算定指標として用いている。具体的には、公表された直近三カ月分の全日本通関統計価格を指標として用いております。

 輸入燃料価格が刻々と変動する中で、自分の会社が平均よりも安い価格で輸入できなければ費用を電気料金に転嫁できないため、個々の会社に対して安い燃料を調達するインセンティブを与える仕組み、このようになっている。この結果、電力会社全体が燃料調達の効率化に取り組むことが期待できる。

 なお、小売全面自由化以降、経過措置として課せられる料金規制の中では、燃料費調整制度が維持されることになりますが、自由料金につきましては、事業者の創意工夫によりさまざまなメニューが設定される、このように考えております。

鈴木(義)委員 では、そうしますと、来年から小売自由化がスタートしながらも、そこのところで競争の原理は働かないということでよろしいんですか。

高木副大臣 この制度は、先ほど申し上げましたように、直近三カ月の数値をもとにしている。各電力会社それぞれが、これは東電だけではありませんね、いろいろな調達ルートを持っています。そうなりますと、安く調達しようというインセンティブは働いていると思います。それは企業として利益を出すために。

 ただ、逆の場合、もし高い原油、LNGを調達した場合には、その平均の価格がベースになっていますから、これまでは、そういうような形でプラスマイナス、相殺していく、このような考え方でございました。ただ、今後、料金自由化の中で、メニューの多様化によってそういう選択肢をふやしていく、このようになっていると思います。

鈴木(義)委員 わかりました。

 要するに、高くなったときは高くなったで、でもそうなれば逆に、利用者である消費者の方が、知恵を使ってコンセントを抜くとか小まめに電気を消すとか。だって、ここの蛍光灯だってまだLEDでも何でもないんですよ。ここの建物の中、これだけ省エネだとか地球温暖化が大事だと言いながら、議員会館もLEDじゃない。ちゃんちゃらおかしいと思うんですね。それで、CO2の削減どうだとか省エネだとかと私たち言わざるを得ないんですね。でも、実際やっていないんですよ。

 やろうとすれば、イニシャルコストがいいのかランニングコストがいいのかの考え方になるんですけれども、ぜひそこのところはやはりインセンティブを働かせるようにする。なおかつ、来年からはガスも電気も自由化になっていくということは、今ガスの六割の、結局、使っている需要家というんですか、それは電力会社じゃないですか。ガスをそのまま売るのか電気にして売るのかで、全然コストが変わってくると思うんですね。

 そこのところは、ぜひ、来年に向けて、制度の見直しなり指摘をしていただきたいと思います。

 もう一つ、しつこいんですけれども、一般担保つき社債について、ちょっと角度を変えて御質問させていただきたいんです。

 これは私が聞く範疇なんですけれども、これは一般には余り売り出さないんだという話なんですね。金融商品取引法上の定められた者だけが売買できるということで、これは、金融庁の方で適格機関投資家と私も初めて聞いた言葉なんですけれども、俗に言うプロの投資家の人しかこういったものは売り出さないんだと。

 ここでずっと見ていったら、私は買えるかなと思ってずっと見ていったんですけれども、該当項目が最後の方にあったんです。二十四項目めのところに、直近日における当該個人が保有する有価証券の残高が十億円以上だったら売ってもいい、なおかつちゃんと金融庁に届け出を行った者というふうに規定がされているんですね。

 さんざん、担保つき社債を五年延ばすの延ばさないのと私どもも言ってきたんですけれども、結局、通常は、この社債、担保つき社債も一般の社債もそうなんでしょうけれども、実物はほとんど市場に出回らないんだそうです。通常出すときには数億円から数十億円単位で一部の投資家間で売買されているという話で、市場関係者が市場活性化のために取引価格の公表を求めても公表されないんだそうです。

 維新の党にももともと金融のOBの人たちもいますから、どうなっているんですかと尋ねたら、日本の社債はほとんど余り市場に出ないんだそうですね、そういう習慣でやってきたんですって。だから、一般担保つき社債は、私たち、私は十億円の有価証券を持っていないから、だから関係ないんです。関係がないことを一生懸命議論してきたのかなと思うんですけれども。

 なぜそういう、公表されないとか市場が形成されないような状況になっちゃっているのか。これは通告があったと思うんですけれども、よろしくお願いします。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの先生の御質問は、一般担保つき社債を含む社債の売買状況と、その取引価格の公表の二つのお話があったと思います。

 まず、社債の売買状況についてでございますが、一般担保つき社債、その他の社債、いずれにいたしましても、その発行、売り出しの方法といたしましては、広く一般の投資家の方々に取得の勧誘を行う公募という方法と、対象となる投資家を限定して勧誘を行う私募という方法があります。

 公募により社債を発行する場合は、有価証券届出書を出していただきますが、広く一般投資家に発行、売り出しが行われまして、発行後につきましては、市場において自由に売買が行われることとなっております。

 一方、私募により社債を発行する場合には、有価証券届出書などの発行開示書類を提出する義務はございませんけれども、このような開示義務の免除を受けるために、発行会社が、当該社債を取得し、売買できる者につきまして、例えば今先生御指摘ございました、適格機関投資家、有価証券に対する投資に係る専門的知識や経験を有する者に限定するなどの制限を設けることが必要となっておりまして、発行後につきましても、そのように限られた投資家の間で売買が行われることとなっております。

 次に、価格のお話でございますけれども、株式のように取引所で広く売買が行われるものと違いまして、社債は通常、投資家の間で相対で売買されておりますので、どうしても値段というものが個別性の強いものとなっております。

 ただ、社債の透明性を確保するために、日本証券業協会におきまして、東京電力が発行する一般担保つき社債を含めまして、公募で発行された全銘柄の公募債につきまして、毎日、売り気配と買い気配の中値というものを公表しております。

 さらに、社債市場の活性化を図るという観点から、本年十一月より、日本証券業協会におきまして、銘柄の格付がダブルA格以上で取引数量一億円以上の社債につきましては、取引価格の公表を開始するということとなっているところでございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 これは一年前の資料で、これが正しいかどうかというのは確認していないんですけれども、社債利回りランキングというのが公表されているんですね。これに一番に出ているのが、利回りが六・七五一%ついていて、日本原子力発電なんです。一番、二番、三番。次に、シャープが四、五、六、七。その下、八番が東京電力で四・一九七、からずっと五十六番目まで東京電力なんです。

 百番まで行きますとほかの企業さんも出てくるんですけれども、今御説明いただいたんですが、一般にはほとんどこれは売り買いされるわけじゃないんですね。本当のプロの人たちしか売り買いできない。

 それにもかかわらず、資金調達をしやすいがために五年間延長させるという法案を今回お出しになられているんですけれども、一番最初に御質問した東京電力の収支、試算書みたいなものですね、ここに立ち返るわけです。

 結局、ホールディングス全体で四つの会社になるんでしょう。その中から利益を出して、先ほどの廃炉の方の費用も出しながら、あとは中身を充実させて、株価をなるべく高目にして、その株を売った利益によって九兆円にならんとするお金を返していこう、こういう計画なんだと思うんですけれども、そのもともとの原資は全部、消費者、企業が払う電気料金だということなんですね。

 相対している、矛盾しているところもあるんです。でも、やはり、これから電力の自由化をしていって、再エネもどんどんふやしていきましょうという話になったときに、送配電の部分に関しては、もっとコストを下げる努力をしながら自由化を促進していって、では、全体でどうしていくかというのは、これから、今回の法律が改正した後も、一年後なのか、二年後なのか、きちっとやはりもう一回検証するなり精査をして、要らないところ、また直さなければならない法律であれば改正していくべきだと思うので、最後に大臣の御決意をお聞かせいただいて、終わりにしたいと思います。

宮沢国務大臣 東電の、まず社債につきましては、利回りが高いというのを伺いまして、投資家がそれだけリスクを高く評価しているんだなということが利回りにあらわれているんだろうと思います。

 そうした意味で、リスクが高い東電でありますけれども、やはりしっかりと東電を再生させていくということ、そして、廃炉・汚染水対策をやっていくということは、我々も大変大事なかなり難しい作業だと思っておりますけれども、廃炉・汚染水対策もやり、一方で東電の株価もそれなりの水準で一般に売却できるような状況をつくっていくということをしっかりやっていかなければいけないと思っております。

 一方で、今回の法改正でありますけれども、検証規定も置かせていただきました。実際に法的分離をするまでの間にしっかりと検証をして、問題が起こらないような体制を私どもとしてとっていかなければいけないと思っております。

鈴木(義)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

江田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時二十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 きょう、本法案の最後の質疑ということで、改めて大もとからお聞きしたいんですけれども、今回、法的分離による発送電分離ということで、先取りと言われる東京電力は持ち株会社方式を選択した。配付資料を配らせていただいておりますけれども、五月一日のプレスリリースでの、東電の前と後といいますか体制、これを見ますと、はっきり言ってほとんど変わらないというのが私の印象であります。

 このほかに、本法案では、ホールディング形式のほかに、発電と小売一体のいわゆる親会社方式も認められるということであります。

 この点で、四月二十八日の参考人質疑で、八木誠電事連会長の言葉が私大変印象に残っているんですが、いみじくもこうおっしゃいました。「他地域に我々が出ていくときには、いわゆる新電力の立場になっておりまして、つくづくとそのときに感じましたのは、新電力の立場で、例えば首都圏の東電さんと競争しようと思うと、やはり、安価な電源をみずから持つということが一番大きなポイントだ」、こうおっしゃいました。

 みずから電源を持つ、つまり発電・小売一体ということであります。まさに本法案は、この発電・小売一体方式を可能にしているということで、自由化後の関西電力さんのビジネスモデルに極めて親和性が高いのかなと思っております。

 その点でいいますと、大臣にお聞きしたいんですが、このホールディング形式、東電の場合はこういう感じで、ほとんど変わらない。関電さんについても、八木社長おっしゃるように、みずから電源を持ってやりたいといった場合の発電・小売一体型も可能になるということで、結局、法的分離といいますけれども、その分離の中身というのは、東電や関電が受け入れられるレベルの分離にしかならないんじゃないのか、それにとどまっているんじゃないかということなんですが、どうでしょうか。

宮沢国務大臣 審議会で長く議論をしていただきまして、最終的には一般電気事業者を含めて納得をしていただいたということでありますから、受け入れられる範囲の分離と言われれば、そのとおりだろうと思います。

藤野委員 おっしゃるとおりだと思うんですね。実際、そういう意味で、八木会長がつくづくと感じたと、電力を持ってやりたいということでありますので、そういう分離のレベルといいますか、電事連などが受け入れられる分離にとどまっているということなんですね。

 この点で、ちょっと時間の関係でこちらで御紹介させていただきたいんですけれども、公正取引委員会が、二〇一二年の九月二十一日に「電力市場における競争の在り方について」という提言をされております。

 これは、要するに、この間、小売の自由化はされてきたけれども一向に競争が進んでいない、こういう問題意識から、公取が調査をして一定の結論を出されたわけですけれども、そこでこうおっしゃっているんですね。要するに、発電と小売が一体のままでは、「小売分野において参入が自由化されたにもかかわらず、有効な競争が行われていない。」「たとえ小売分野への参入を完全自由化した場合であっても、上記の状況」、上記の状況というのは、つまり発電と小売が一体ということですね、「上記の状況について対処がなされない限り、」「現在の自由化分野と同じ状況となるにとどまり、有効な競争の実現は困難である。」こういう指摘であります。

 つまり、本法案で認められている、ホールディング形式はあれですけれども、この公取でいえば、発電と小売一体の親会社方式というのでは有効な競争の実現は困難である、こういう指摘なんですが、大臣、この指摘をどのように思われますか。

宮沢国務大臣 御指摘の公取委員会の報告書は、競争政策の観点から電力市場についての考え方を整理したものと承知しております。その大部分は、今回の電力改革システムの中で具体化されていると思っております。

 一方、公取の報告書におきましては、「発電・卸売部門と小売部門が、少なくとも法人として分離されれば、」云々という記述もございまして、これは、実質分離というよりは法的分離を前提にした議論を行われていたものと考えております。

 先ほどのお話で、二類型があるとおっしゃっておりました。ホールディングの形式と親会社の形式。ホールディングの形式であれば、法的な分離が発電と小売の間にされているわけでありますので、これは公取の指摘どおりの形。一方で、親会社と子会社という関係になりますと、発電と小売が分離されない場合があるということも事実でございますが、こういうことにつきましては、電力取引監視等委員会が、既存の事業者の発電部門や小売部門の取引関係などもしっかりと監視をしていくということで、誤解を招かないように対応していきたいと思っております。

藤野委員 確かに、ホールディングスの方の場合は、発電と小売の一体ということは形式上はないわけですけれども、そういった場合でも、実際に子会社や孫会社のところに行ってどうなるのかという話も、松村参考人の方から、いわゆる審議会の方では意見も出されているということでありますし、親会社の方については、今大臣がお認めになったようにこの分離の問題は残っているということでありますから、これはやはり引き続きの課題だというふうに思うんです。

 もう一つ、参考人質疑で私は大変興味深く聞いたのは、橘川参考人が、自由化後は二つのビジネスモデルの戦いになるだろうというお話をされておりました。その二つのビジネスモデルのうち、橘川氏が一つ目に挙げたのが、いわゆる発電・小売一体型で他地域に乗り込んでいって、電源を抱えて戦いを挑むという、橘川さんは八木会長のことも引いて、先ほど八木さんがおっしゃったのはこちらのタイプだとまでおっしゃっていましたけれども、そういうのが一つのタイプ。

 もう一つは、そうではなくて、システムインテグレーターという言い方をされていましたけれども、まさにネットワーク主体で、そこで供給先が不安定なところでも自分たちのシステムを通せば需給関係を安定させるよということをビジネスとして売りにするというビジネスモデル。この二つの戦いになるだろうというふうにおっしゃっていまして、なるほどなというふうに聞いていたわけです。

 本法案でいいますと、八木会長がおっしゃるように、発電を持って関東に乗り込んでいきたい、いわゆるこういうビジネスモデル、一つ目のビジネスモデルには非常に親和的なんですけれども、二つ目、橘川氏がおっしゃる、ネットワーク、再生可能エネルギーを含めて普及させていく、こういうビジネスモデルにとっては冷たいんじゃないかというふうに思うんですね。

 いろいろ手は打たれているというのはあるとは思うんですけれども、法的分離というところから見ますと、結局はホールディングスのときも下にぶら下がっている、ホールディングスの下にぶら下がって独立性が担保されていない。発電、小売の方に至っては、まさに発電、小売という巨大なものの下にまたぶら下がっている、子会社ということでぶら下がるわけで、結局、ネットワーク本体はどちらの形態であっても独立性が弱いということをやはり参考人の方も心配されていたと思うんですね。

 高橋参考人は、同じ日ですけれども、こうおっしゃっておりました。将来的なことを考えれば、将来、再生可能エネルギーを統合していくことを考え合わせれば、送電会社が子会社ではなく独立した会社になることが最も経営合理的であると。経営合理的だということですね。政府も所有権分離にインセンティブを与えるような施策をというふうに、期待といいますか、注文もつけられておりました。

 ですから、本法案は、現状は法的分離だとしても、大臣としても、将来的に、例えば親子会社でいえば発電と小売の分離だとか、もっと進んで所有権分離というようなものも視野に入れて、あるいは、高橋参考人が言うようにインセンティブを与えていくというようなこともやはり検討すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 所有権分離につきましては、もちろん検討はしたわけでありますけれども、幾つかの問題点があった。特に、既存の株主の財産権といった問題がございまして、とらないこととしたわけでありまして、その考え方に将来変わるかといえば、変わらないと考えております。

藤野委員 やはり物事は動いていくわけですし、高橋参考人がドイツの例を紹介されていて、ドイツも確かに初めは所有権や財産権の問題で法的分離にしたんだけれども、結局、経営合理性の観点から所有権分離を選択したということも紹介されておりました。ですから、やはりそこは、考えが変わらないというんじゃなくて、大いに検討していただきたいというふうに思います。

 そして、ちょっと論点を変えていきたいんですけれども、経済産業省にお聞きしたいんですが、総合資源エネルギー調査会の第四回専門委員会で各国の電気事業の概要が説明されまして、その中で、ドイツにつきまして、四大電力、あそこも四大電力があるわけですけれども、シェアが発表されておりました。発電市場では四大電力が八割のシェアを持っているんだけれども、小売市場では三分の一というふうにも紹介されております。

 この小売市場でのそれぞれの大手と地方自治体などの企業数や、あるいはシェアについてお答えいただければと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 ドイツにおきましては、御指摘のとおり、大手電力会社が占める小売分野全体のシェアは約三分の一、小売部門ではシェアは三分の一にとどまっております。その一方で、残りはどうしているのかということでございますが、小売分野全体で見ますと、シェアの半数弱を占めておりますのは、地方自治体が出資等の形で運営する企業体、これをシュタットベルケと言っておりますけれども、そういったシュタットベルケというものが全体のシェアの半数弱を占めておりまして、残りの二割弱をその他の小売業者が占めているというふうに認識をしております。

藤野委員 ありがとうございます。

 そういう意味で、配付資料の二でもお示ししているんですけれども、ドイツでは、やはり小売、要するに、発電から下に行って小売の段階に行けば行くほど、地方の関与、あるいは自治体、地域密着型の企業というのが大きな役割を果たしているということだと思うんです。

 要するに、私、総理質問のときにも提起させていただいたんですけれども、大規模集中型から小規模分散型にエネルギーシステムを転換していくという場合に、実際の担い手、実際の運営というのが、こうした地域密着型の自治体が経営する企業や、さまざまな住民が出資する企業だということだと思うんです。

 経産省からいただいた資料では、シュタットベルケというのは約九百社以上もあるそうで、ですから、やはり本当にもう草の根で、配電と一体になって小売も担っていらっしゃるということですから、本格的に小規模分散型にエネルギーシステムを転換していこうと思ったら、やはりここを支えていく、ここを育てていく、こういうことが必要だと思うんです。

 総理質問のときはエネルギー自治という言い方をさせていただきましたけれども、スリーEプラスSという観点にとどまらず、やはりこうしたエネルギーの、どういう言い方をするかはあれですけれども、民主的な運営というものも、そういう視点が必要じゃないかというふうに思うんですが、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

宮沢国務大臣 今回のシステム改革におきましては、これはエネルギー基本計画の中でもお示ししているところですけれども、電力、ガス、熱供給を一体的に改革することで、これまで縦割りだったエネルギー市場の垣根を越えて、多様な主体がエネルギー供給構造に参加できるようになると考えております。こうした中で、地域におきましてもさまざまな取り組みが進展し、地域活性化に貢献することも期待をされております。

 経産省といたしましても、これまで、地域エネルギー事業活性化に寄与する観点から、分散型エネルギーの導入を後押ししているところでありまして、二十六年度補正予算におきましても、コージェネレーションなどの分散型エネルギーから生じる電気や熱を一定の地域内で面的に活用する取り組みに対する支援措置を盛り込んでおります。

 一方で、ドイツの例でありますけれども、私も中身を詳細に存じ上げているわけではありませんけれども、自治体が主体になって電気、ガス、熱等々を供給していくということが盛んに行われていると聞いております。

 ただ一方で、日本におきましては、少しこの方向が逆で、恐らくここは委員と私の考え方が全く違うところだろうと思いますけれども、例えば地方の公営交通にしても、民間委託とか、民間会社が進められるとか、また、指定管理者制度を使って民間の力を利用するといった方向で地方の行政が行われておりまして、やはり地方自治体がまさに主体になって行うとかなり非効率な面が出てくるということの反省のもとにいろいろ行われておりまして、私は、分散型電源にしましても、これはやはり民の力を使ってそういうものを育てていくということが正しいんだろうというふうに思っております。

藤野委員 そこはやはり考え方が違うと思いますし、その上でですけれども、例えばドイツでは、公から民に一旦移管して、しかし、やはりこれは公的な問題だということで、再公有化あるいは再自治化という言い方をする専門家もいますけれども、これがこの間非常にふえていまして、約百九十の事業体が民から公という形に変わってきているというのが最近の流れだと思うんです。

 そして、ドイツでは協同組合がこの十年間で十倍にふえているというのも、やはり電気事業の性格からいって、公的なところが担うべきだというのが世界の流れだというふうに私は思うんです。

 そこは、やはりしっかりそういうインセンティブを政治が与えていくし、そういう視野を持って取り組んでいく。民間にお任せではやはりいけないんだろう。せっかく二十年おくれて電力自由化に進むわけですから、その二十年の各国の経験をしっかり踏まえるべきだというふうに私は思うんです。

 そして、この点で一つ具体例として紹介したいのが、今お話もありましたけれども、熱供給の問題であります。

 維新の鈴木委員の話でも、熱供給がやはり最終エネルギー消費の五〇パー、日本もそうですし、ヨーロッパも大体そうだと言われております。先ほどの民主党の提言の中でも熱供給に大変高い位置づけが与えられていると思うんですが、私もそれは非常に重要なことだと思うんです。しかし、この法案でそれだけの位置づけが熱供給に与えられているかというと、非常にやはり低いものがあると言わざるを得ないと思うんです。

 ヨーロッパというのはおもしろいなと思ったんですけれども、欧州ヒート戦略という戦略をしっかり持って、二〇五〇年には普及率三五から四〇%を目指すという、すごいなというふうに思うんですね。日本の場合、普及率という概念ではありませんけれども、カバーしているのは〇・〇一%ということですから、本当に全くレベルが違う。

 結局、ヨーロッパなどでは、熱というのは水道と同じ、水と同じ必需インフラだという哲学がしっかりあって、それに基づいて先ほど言ったヒート戦略もあるし、具体的な優遇策もかなり充実している。

 配付資料でお配りさせていただいている三枚目はまさにその優遇策でありまして、ちょっと字が潰れていて恐縮なんですけれども。

 デンマークのものだけを紹介させていただきますと、デンマークというのは、熱供給法というもので自治体に対して地域熱供給計画の策定を義務づけておりまして、いわゆる自治体が、わざわざ電気を使うなと、そのエリアにおける電気を使う暖房を禁止する権限だとか、需要家に導管接続を義務化する権限なども与えているということで、もちろん各国、歴史的な背景も違いますし、制度の成り立ちも違いますので、これを日本にという趣旨ではないんですけれども、いずれにしろ、やはりこうした位置づけの高さというのを私は感じるわけです。

 同時に、熱供給でいいますと、運営のプロセスも大変おもしろいものがありまして、例えばデンマークでは、公聴会やパブリックコメントというのを実際実施して料金を決めていくとか、ドイツでも、しっかり熱供給を地方自治体が推進していく、スウェーデンでも、需要家と事業者が話し合って料金を決めて、その中身は書面で公開するとか、そういう民主的なプロセスをやっている。

 他方で、本法案で日本はどうかというと、電気・ガス料金を公共料金の範疇から外して、公聴会もなくしていくということで、これはやはり逆行しているというふうに思うんですね。

 最後になりますけれども、やはり、こうした欧州を初めとするさまざまな運営から学ぶべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、熱供給という点につきましては、私は、熱供給というのは大変大事な位置づけだろうと思っております。

 例えば、私の地元の中小企業ですけれども、昔、屋根の上につけていた、ヒートポンプじゃないですけれども、屋根の上で温めるというようなものにつきまして、かなり新しい技術を開発して、熱効率が大変いいというようなものをつくり始めておりまして、そういうものはしっかり後押ししていかなければいけませんし、また、ヨーロッパの寒い国と違うのは、熱というのが恐らく今まで最も大事なものではなかった部分が日本にあったからだろうと思っておりますけれども、やはり今回の規制緩和によりまして、熱供給といったものがさらに盛んに行われていくことを期待しているところであります。

 一方で、官がかなり主体的にというお話がございましたけれども、日本においては歴史的に電気、ガスを民間が行ってきたということでありますけれども、民間といいながら若干頭がかたくなっていたといいますかダイナミズムに欠けている部分があったのを、今回の改正によりまして、三段階の改正によりまして、まさにダイナミックな産業、ダイナミックな企業にまず変えていく、こういうことをやりたいと考えております。

藤野委員 最後になりますけれども、やはり、せっかく世界からおくれて始まるわけで、世界のそういった到達点をしっかり踏まえるべきだと思うんですね。

 結局、大企業の利益がどうしても優先されるとか、原発がどうしても優先されるということの前提に沿う範囲で、ある意味いいとこ取りをしているのでこういうことになっているんじゃないかと思います。そういう点では、前向きに先進的な例を取り入れることを求めて、質問を終わります。

江田委員長 次に、野間健君。

野間委員 無所属の野間健です。

 電力システム改革法案の最終、最後の質問者になりますので、よろしくお願いいたします。

 今回の電力システム改革で、発電、送配電、小売、全て全面自由化がこれから起きてくるわけですけれども、一番心配されること、それはやはり、大規模な災害、地震、津波もそうですし、台風、豪雨災害などなど、いろいろな災害が起きた際の、有事の際の復旧をどのようにしていくのか。

 従来であれば、一貫体制の中で一社で対応することができたわけですけれども、これから分離されるということになりますと、発電ではプラスだけれども、送配電ではこっちを優先した方がいいとか、いろいろな各社の利害も対立してくることも予想されますし、経営方針もそれぞれ違うということで、復旧にいろいろ支障を来すおそれ、懸念も考えられるわけですけれども、どのように各事業者を協調させて、連携をさせて災害復旧に当たるのか、基本的なお考えを教えていただきたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、大規模災害発生等の場合におきます発電、送配電、それから小売の事業者間の連携、協調というものは、対応においても復旧においても非常に重要なことであるというふうに認識をしております。

 ことしの四月に広域的運営推進機関というものが発足をいたしましたけれども、その機関を中心といたしまして、事業者が協力して災害等に対処するルールというのを整備しております。

 これはまた、確かに災害等の場合、それぞれの経営方針や利害が違うじゃないかという御指摘もあろうかと思いますけれども、こういったルールの整備に当たりましては、このルールそのものがいわば制裁つきのものになっておりまして、広域的運営推進機関は、そのルールに従うということを事業者に命じて、それに対して従わない場合には制裁、この制裁の中には、譴責であるとか過怠金の賦課であるとか会員資格の停止であるとか、そういったことが含まれておりますが、制裁つきのルールということを整備いたしているところでございます。

 さらに、こうしたルールに基づきまして、平時からそれぞれの事業者の協力を得ながら定期的な訓練あるいは情報共有、こういうことを行うことによりまして、災害の発生時における対応、復旧等について遺漏なきを期していきたい、こういう仕組みにしているところでございます。

野間委員 制裁つきルールで統御をしていく、コントロールしていくということなんですけれども、実際に災害復旧の現場で働く人たちにとって、自分たちの判断で復旧をしたことで後で問題が起きた、あるいは停電等で最終的に人命の損害あるいは企業の操業ができなくなった、いろいろな損害賠償とか責任の問題が出てくると思うんです。

 そうした場合の責任の分担の仕方、あるいは現場で働く人たちがとった判断が、おまえがこうやったからおくれたじゃないかとか、こっちを優先したからこうなったんじゃないかというようなことで、いろいろと問題が後で生じる場合、どのようにコントロールをして判断をしていくのかということの見解を教えていただきたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、法的分離を実施した場合、災害時における停電からの復旧などにつきまして、迅速な対応、そして現場の方々がある意味安心してそうした作業に取り組んでいただけるといったことが非常に重要だと思っております。今長官の方からも申し上げましたように、広域的運営推進機関、ここで事業者が協力して対処する仕組みということを整備することにいたしております。

 今制裁のお話がありましたけれども、そのほかにも、ふだんからの協力を進めるという観点から、会員である電気事業者に対しまして、維持、運用する電気工作物に加えまして電源車あるいは携帯用の発電機、さらには資機材等の保有の状況をきちんと広域推進機関の方にあらかじめ提出をしておくこと、あるいは、年一回以上、会員と関係者の協力を得て訓練を実施する、そして、緊急時には災害規模に応じて非常態勢を構築する、こういったルールを広域機関の業務規程という中で定めているところでございます。

 これにつきましても、今後の電力システム改革の進展に応じまして、一度決めてそれで終わりということではなく、法的分離の実施もございます。災害時等における一般送配電事業者と発電、小売事業者、これらの間の役割あるいは責任分担、こうしたことにつきまして、その制裁つきのルールということを含めまして改定を行っていくところでございます。

 いずれにいたしましても、これまで培われた現場の方々の現場感覚というものをどういった形でこれから維持をしていくのか、そうしたことが非常に大事なことだと思っておりまして、我々としても真剣に取り組んでいきたいと思っております。

野間委員 現行体制と比較して同等以上の協調体制を構築するということもうたわれているわけですけれども、ただ、やはり、会社が変われば、それぞれ、従来顔を合わせていた人たちもなかなか顔を合わせられない、いろいろな協調がとれなくなるおそれもあるわけであります。

 私は九州でありますので、山間部、離島も多いんですが、やはりそういうところで現場で働いている電力の社員、労働者の人たちは、例えば、どうも二日後に台風が来そうだとなると、自発的に、週末でも自宅待機をしよう、そしてまた、きょう本当は一杯やる機会があるんだけれども、きょうはアルコールを控えて、台風が上陸したときにいつでも備えられるようにしよう、こういう有事に対応する文化というかカルチャーがあって、それは発電であろうが、送配電であろうが、小売でも、一体となってみんなで有事に対応しようという一つの文化があるわけです。

 そういう一貫体制の中で培われてきた有事の対応能力ですとか責任体制、これがいろいろな形で分離せざるを得ないわけですけれども、この辺のことは、そういったいいカルチャーはぜひ残していけるような施策、考え方をまた政府としてもとっていただきたいと思いますので、最後に、大臣からそのあたりについて見解を伺いたいと思います。

宮沢国務大臣 委員がおっしゃるように、災害等の発生時に迅速な復旧や安定供給が損なわれることがあってはならない。そういった意味で、おっしゃいましたような現場のカルチャーといったものをしっかり残していくということが大変大事だと思っております。

 その観点から、まず、第二弾の電気事業法におきまして、一般送配電事業者に対し、現行制度と同様の料金制度により投資回収を保証するとともに、引き続き高品質な電気の安定供給義務を課すこととしております。

 また、先ほど政府参考人から御説明したとおり、今回の法案に基づく法的分離の実施後においても、発電、送配電、小売の各事業者が協力して迅速な復旧や安定供給のために対処する具体的な仕組みやルールを整備することとしております。

 さらに、実際に災害等が発生したときには、第一弾法に基づき安定供給を強化する目的でことしの四月に発足いたしました広域的運営推進機関と国が連携し、他の地域の供給力の積み増しや電力融通による供給力の確保、需要家への節電要請による需要対策といった需給両面での対策を講じていこうと思っておりまして、しっかりとした体制を築いていきたいと考えております。

野間委員 ぜひとも、有事の際、災害復旧の責任体制、そして安定供給は確保していただくことをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 この際、本案に対し、田嶋要君外二名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案、また、鈴木義弘君から、維新の党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 両修正案について、提出者から順次趣旨の説明を求めます。田嶋要君。

    ―――――――――――――

 電気事業法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田嶋(要)委員 ただいま議題となりました電気事業法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案につきまして、民主党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 ガスの小売自由化やガス事業における事業機会の拡大を推進していくためには、ガス事業に係る法的分離を推進していく必要があるという点においては、政府案と認識を同じくするものであります。

 しかし、政府案では、ガス事業に係る法的分離について、十分な議論が尽くされないまま、また、インフラの整備状況など、ガス事業と電気事業との間のその状況をめぐる差を踏まえないまま、拙速に制度設計がなされたのではないかと懸念しているところです。

 そこで、まず、ガス事業に係る法的分離に関する規定を削除することとしております。

 次に、ガス事業に係る法的分離の進め方及びその内容について、次のような規定を設けることとしております。

 第一に、政府は、平成三十二年から平成三十四年までの間を目途に、ガス導管事業に係る業務の運営における中立性の一層の確保を図るための措置を講ずるものとし、このために必要な法律案を平成二十八年に開会される国会の常会に提出すること。

 第二に、この措置は、原則として、法的分離によって実施することを前提とし、この場合において、法的分離の対象となるガス導管事業者の範囲等については、諸外国の動向を踏まえること。

 第三に、政府は、法的分離を実施する場合には、ガス導管事業者の役員の兼職規制等の必要な規制措置、ガスの安定供給を確保するために必要な措置、ガスの調達及びガス工作物の保安を確保するための措置を講ずること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

    ―――――――――――――

 電気事業法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木(義)委員 ただいま議題となりました電気事業法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案につきまして、維新の党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案は、電力システム改革をより望ましい姿で推進し、電気の安定供給の確保と小売に係る電気の最大限の抑制を図り、ひいては国民の利益となるよう、原案に足らざる点について、以下のように修正を加えるものであります。

 第一に、電力・ガス取引監視等委員会については、電力等の適正な取引及び一般送配電事業等の業務の運営における中立性の確保というその職務の遂行に当たり、高度の独立性と専門性が求められることから、これを、審議会等ではなく、独立行政委員会として経済産業省に設置することとしております。

 第二に、一般担保つき社債の発行については、原案では、これを廃止後も経過措置として認定会社による発行を一定期間認めることとしておりますが、このような経過措置を設けることは、実際的には一般電気事業者と他の電気事業者との間の競争条件の差をさらに拡大させることになると考えられることから、この経過措置に関する規定を削除することとしております。

 第三に、託送供給等に係る料金の額について、分散型エネルギー利用の促進に資するよう、いわゆる地点料金制の導入、すなわち、地域ごとの電気の需給の状況に応じて算出される趣旨を明記することとしております。

 第四に、卸電力取引市場における電力の売買取引の活性化に資するよう、政府に対し、電力の買い手に係る優遇措置等について検討を加え、必要な措置を講ずる義務を課すとともに、一般電気事業者に対し、いわゆる法的分離がなされるまでの間、できるだけ多くの量の電力を卸電力取引所に供出するなど、電力の取引に当たって卸電力取引市場を積極的に利用するために必要な措置を講ずる義務を課すこととしております。

 第五に、いわゆる法的分離に係る規定の施行期日を、電気については平成三十年四月一日に、ガスについては平成三十二年四月一日に、それぞれ二年前倒しすることとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を心からお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

江田委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

 この際、鈴木義弘君提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。宮沢経済産業大臣。

宮沢国務大臣 衆議院議員鈴木義弘君提出の電気事業法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案につきましては、政府といたしましては反対でございます。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山(洋)委員 民主党の神山洋介でございます。

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、民主党提出の修正案に賛成、修正部分を除いた政府提出の電気事業法等の一部を改正する等の法律案に賛成、維新の党提出の修正案に反対の立場から討論を行います。

 政府案には賛成いたしますが、懸念する点について申し述べます。

 まずは、スト規制法の関係です。

 争議行為の禁止を定めるいわゆるスト規制法については、これまでの衆参の附帯決議などで、自由な競争の促進を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性を図る観点から再検討を行うものとなっていたにもかかわらず、政府から実質ゼロ回答の状況が続いています。既に労働関係調整法の公益事業規制がある中で、さらに電力分野のみに規制を設けている根拠はないと考えます。政府に速やかな検討と廃止を求めておきます。

 そして、今回、第一弾、第二弾の議論には全くなかったガスシステム改革が突如として盛り込まれていることについても触れておかなければなりません。

 電力システム改革については三段階にわたり議論を深めてきた中、ガスについては完全に後づけ、今回の第三弾に束ねた形で提出してくるなど、その唐突感は否めません。特に、ガス導管事業の法的分離については、審議会における議論の不自然さ、その対象や効果の検討の是非、保安体制が確実に整うのかなど、委員会審議を通じても懸念を払拭するには至っておりません。

 民主党は、検討に検討を重ねた結果、ガス事業における法的分離については、その効果や対象などをしっかりと検証した上で、来年の通常国会に出し直すべきだと主張してまいりました。保安の問題などを初め、国民の生命財産に影響が出てからでは遅いことは言うまでもなく、民主党提出の修正案の趣旨を実現することこそ立法目的を達成するための最善な手段であることは明らかであります。

 その上で、私たちは、電力システム改革の第一弾と第二弾には賛成をしてきました。そして、今回の第三弾にも賛成することを決めました。それは、この改革が民主党政権で道筋をつけたこと以上に、東日本大震災や福島原発事故を経験した我が国にとって、この改革が不可欠であると考えているからであります。事故を風化させない、そして、事故を一つの契機として、地域の資源を生かし、環境負荷の少ない分散型エネルギー社会を根づかせること、これは今を生きる我々の使命であると考えます。この点をもって、今回の政府のやり方に不満はありますが、本法律案には賛成することといたします。

 なお、維新の党の修正案につきましては、お考えに共鳴する点はあるものの、改革に向けた視点が少し異なることから、反対いたします。

 以上で討論を終わります。(拍手)

江田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 維新の党、落合貴之です。

 私は、電気事業法等の一部を改正する等の法律案の採決に当たり、維新の党を代表して、賛成の立場から討論させていただきます。

 本委員会での審議を通じて、電力自由化を目指すという基本的な方向性は同じであると確認することができたものの、我々の質問に対する政府の答弁では、我々の要望の実現や疑問点の解消につながるような前向きな回答をいただくことは必ずしもできませんでしたし、法案の修正までにも至りませんでした。

 法律案にもっと私たち維新の意見を取り入れたならば、よりよい方向へ電力システム改革、電力自由化を進めることが可能であることは確実です。

 さはさりながら、一方で、第一段階、第二段階に続く、電力システム改革の最終段階である本法案の成立をおくらせることは、電力システム改革、電力自由化そのものの停滞につながりかねない。これらを着実に進めることで、我が国のエネルギー産業のイノベーションを促進し、さらに、競争を通じた原発のフェードアウトにつなげていく観点から、党内の議論を重ねた上で、本法案について賛成との結論に至ったものであります。

 今後、政省令によって定められるとされている規定も多く見られるところ、本委員会における質疑等を通じて課題を明らかにするとともに、積極的に改善のための提案を行ってまいりたいと考えております。

 本法律の施行後、種々の検証の中で、電力取引監視等委員会の組織のあり方を、中立性、独立性が保障された上で、公正な競争を担保できるより強い権限を付与された委員会に位置づけること等についても、引き続き御検討いただきますようお願いいたします。

 また、電気料金の抑制や電力の効率的利用を促進し、エネルギーの地産地消や電力多消費産業の地方展開等を通じた地方創生に資するよう、事業者が地域ごとに電気の需給の状況等に応じて託送料金を設定できる地点別料金制の積極的な導入を可能とするための認可のあり方について、御検討を行っていただきますようお願いいたします。

 さらに、電力の供給者、需要者の新規参入を促すため、卸電力取引市場における取引活性化に向けた施策をこれまで以上に進め、多くの電力の買い手の参入を促すための多様なメニュー構成や適切な卸電力価格の形成等を通じた、魅力ある卸電力取引市場のあり方について検討を進めていただきますよう、以上三点を申し添え、賛成討論といたします。(拍手)

江田委員長 次に、真島省三君。

真島委員 私は、日本共産党を代表して、電気事業法等の一部を改正する等の法律案に反対の立場で討論します。

 本法案は、東日本大震災と東電福島原発事故の教訓に立ち、発送配電一貫の九電力独占体制を民主的な電力システムに改革するという、国民が求める改革の原点に背くものです。

 以下、四つの理由で反対します。

 第一は、法案が狙う電気、都市ガス、熱供給事業の一体的全面自由化は、電力、石油、商社など巨大資本が十兆円規模の総合エネルギー市場を支配する、規制なき独占の危険があるからです。

 持ち株会社等によるグループ一体経営を認める発送電の法的分離や、一般担保つき社債による資金調達の当面継続など、自由競争とは名ばかりの、東電救済、電力優遇策です。

 第二は、政府が、エネルギー基本計画で、原発と石炭火力をベースロード電源とする古い発想に固執し、原子力の事業環境整備と称する国策民営の原子力政策に踏み出そうとしており、本法案が、附則第七十四条を根拠にその実行を政府に迫り得るものだからです。

 これは、電事連、原子炉メーカー、メガバンク等、原発利益共同体の強い要求に応え、再生可能エネルギー最優先、温暖化ガスの野心的排出削減という世界の流れに逆行するものです。

 第三に、都市ガス事業には性急に改革せねばならぬ固有の理由はなく、多数の中小事業者が担うガス市場の寡占化を招く懸念や、長年培った一体的な保安体制を後退させるおそれなど、消費者利益の侵害をもたらすからです。

 第四に、公共料金である電気・ガス料金について、説明会や電源構成を含む原価情報の開示義務づけは曖昧なまま、従来の公聴会などの民主的手続を廃止することが、知る権利の保障や消費者参画を望む国民の願いに背を向けるものだからです。

 先行した欧米の経験を見ても、自由化したから料金が下がるという保証はありません。ところが、新設される電力・ガス取引監視等委員会の任務は市場監視のみで、原価査定には踏み込みません。

 この間の部分自由化の中で大口需要家への安売りのツケを家庭や零細企業に押しつけてきたことを経産省自身が見逃してきたことや、かつての原子力安全・保安院が規制のとりことなってきたことを踏まえれば、強い独立性を持った規制機関が必要です。

 欧州諸国から学ぶべきは、市民、地域共同の再生可能エネルギーや地域熱供給を最優先にする取り組みなど、巨大企業のためではなく、国民のためのエネルギーシステムの改革です。

 なお、民主党及び維新の党提出の修正案は、いずれも以上の反対理由を根本的に変えるものではなく、賛同できません。

 以上を指摘し、反対討論とします。(拍手)

江田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する等の法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、鈴木義弘君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、田嶋要君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木淳司君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党及び公明党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。神山洋介君。

神山(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    電気事業法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、電力・ガス・熱供給システムの改革を着実に推進するため、本法の施行に当たり、以下の点に留意すべきである。

 一 附則第七十四条に基づく「電気事業に係る制度の抜本的な改革の実施に係る検証」に当たっては、電力システム改革の目的である「電気の安定供給の確保」と、「電気の小売に係る料金の最大限の抑制」及び「電気の使用者の選択の機会及び電気事業における事業機会の拡大」を実現するため、各段階での検証を適切な場で行うものとすること。また、附則第七十五条に基づくガスシステム改革に係る検証についても、天然ガスの安定供給を確保しつつ、「ガスの小売に係る料金の最大限の抑制」、「ガスの使用者の選択の機会及びガス事業における事業機会の拡大」を図るという改革の目的を実現するため、改革の各段階での検証を適切な場で行うものとし、電力・ガスのいずれについても、あらゆる可能性を排除することなく、検証の結果に基づき目的達成のために必要な措置を講じて着実に進めること。

 二 電力システム改革後においてもあるべきエネルギーミックスの姿を実現するため、必要な政策措置について総合的に検討し、政府として責任を持ってその実現に向けた取組を強力に推し進めること。

 三 電力システム改革後も再生可能エネルギーの導入が最大限加速するよう、固定価格買取制度を安定的かつ適切に運用するとともに、東日本・西日本、更には全国大での系統の広域融通による一体運用や系統運用ルールの見直し等のソフト面での対策や、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い地域における地内送電線の整備実証を含めた再エネ系統関連事業の成果を踏まえた更なる推進、電力広域的運営推進機関主導による地域のポテンシャルを踏まえた適切な系統整備の検討等のハード面での対策に加え、再生可能エネルギー発電設備の高効率化・低コスト化に向けた技術開発、再生可能エネルギー電源の導入促進に向けた規制改革・手続簡素化、安定的な再生可能エネルギー電源である地熱の支援強化による開発加速化、蓄電池の低コスト化に向けた研究開発等を積極的に行うこと。

 四 徹底した省エネルギー社会を実現するため、先端省エネ技術の普及拡大、中小企業に対する省エネ診断の実施、スマートメーター設置の最大限の前倒し実施、建物の断熱化対策の加速や需要家への働きかけも含めたエネルギー供給サイドにおける省エネの推進等に注力するとともに、電力システム改革を着実に進めることで、ネガワット取引等の新たな需要管理施策を強力に推進すること。

 五 我が国の最終エネルギー消費量の過半を占める熱利用の効率性を高める観点から、コージェネレーションの普及拡大、太陽熱や地中熱等の再生可能エネルギー熱及び工場排熱等の未利用熱の利用促進のための施策を講じること。

 六 原子力発電の稼働が進んでいない中で海外からの化石燃料の輸入が増加し、国民負担の増大が懸念されていること、特に、電力が市場に十分に供給されることが市場における競争環境上重要であることに鑑み、平成二十八年を目途に電力の小売全面自由化の実施が予定されていることを踏まえ、必要となる電力の需給状況の安定が確保されるための有効な措置を講じるべく努めること。

 七 原子力事業者において今後国内において増加する原子力発電所の廃炉の円滑な実施や新規制基準への対応、使用済核燃料の処理、地球温暖化対策及び電力安定供給への貢献等の課題への適切な対処が可能となるよう、事業環境の整備に向けて、平成二十八年を目途に電力の小売全面自由化の実施が予定されていることを踏まえ、必要な措置について速やかに検討し、遅滞なく実施するものとすること。また、原子力政策を含むエネルギー政策が国民の理解なくしては成り立ち得ないことに鑑み、その制度的な選択肢や負担の在り方等も含め、十分な国民への説明と議論、理解のもと慎重かつ丁寧に行われるようにすること。

 八 原子力事業者が共同で実施してきた再処理等の核燃料サイクル事業や原子力損害賠償制度については、小売全面自由化により競争が進展し、また、原子力依存度が低減していく中においても、安定的・効率的な事業実施が確保される必要があることから、国と事業者の責任負担の在り方を含め、遅滞なく検討を行うこと。特に、核燃料サイクル事業については、民間企業の活力の発揮を前提としつつ、実施主体である認可法人に対して拠出金の形で資金が支払われる最終処分の仕組みを参考として遅滞なく検討を行い、電力市場における小売全面自由化が平成二十八年を目途に開始されることを踏まえて、措置を講じること。

 九 電力の小売全面自由化に伴って電力の安定供給が決して損なわれることのないよう、本年四月に設立された電力広域的運営推進機関の機能の適正な行使等を通じた必要な供給予備力の常時確保を図ること等により、万全の措置を講じること。また、発電事業者、送配電事業者及び小売電気事業者が連携して災害時など緊急時における電力の安定供給を確保するための仕組みについて、経験と技術を身に着けた人材が関係事業者に確保、育成されるよう、十分な検討を行い、適切な措置を講じること。

 十 電力の小売全面自由化に伴う新規参入事業者の電源調達を容易にするため、卸電力取引市場における電力取引の活性化に向けた施策をこれまで以上に進めるものとし、電力の小売全面自由化に間に合うようできるだけ速やかに、従前の一般電気事業者等による余剰電力の供出促進策に加え、多くの電力の買手の参入を促すための多様なメニュー構成や適切な卸電力価格の形成等を通じた、魅力ある卸電力市場の在り方について検討を行うものとすること。

 十一 送配電部門の法的分離に当たっては、電力の安定供給や、従業者の作業安全が損なわれることのないよう、一般送配電事業者が需給調整、周波数維持等の最終的な安定供給責任を果たすために必要かつ十分な調整力・予備力を確実に確保できる仕組み及びルールを適切に整備するものとすること。

 十二 電力市場における適正な競争を通じて、電力システム改革の目的の一つである「電力料金の最大限の抑制」が確実に達成されるために必要な措置を講じるものとし、規制料金の撤廃は、需要家保護の観点から電力・ガス取引監視等委員会の意見を聴いてその時期を十分に見極めて行うとともに、新規参入事業者が公平な条件で競争できるような価格形成が図られるようにするなど、適正な電気料金実現のための措置を講じること。また、「広域系統運用の拡大」という電力システム改革の目的を踏まえつつ、電気の地産地消等を通じた地方創生にも資するよう、託送料金制度において、発電所の立地地点別に託送料金を変えるなど、混雑状況など系統運用状況を改善する効果にも着目した料金体系とするべく検討を進めること。

 十三 ガスの保安の確保がガスシステム改革の大前提であることに鑑み、小売の全面自由化及び導管部門の法的分離に係る詳細な制度設計及びその実施に当たっては、導管部門と新規参入者を含めた小売部門の連携が十分に図られ、経験と技術を身に着けた人材が確保、育成されるよう、また、あらゆる可能性を想定しながら、不安の払拭に遺漏なきよう万全を期すこと。

 十四 LNGの低廉かつ安定的な調達が、ガスの安定供給の確保とガス小売料金の最大限の抑制の実現の上で重要であることに鑑み、導管部門の法的分離に係る詳細な制度設計及びその実施に当たっては、LNGの調達に悪影響を及ぼさないよう、十分に配慮すること。あわせて、事業者による天然ガス利用拡大の取組が損なわれないための仕組みについて、遅滞なく検討を行うこと。

 十五 ガスの導管部門の法的分離の対象となる事業者の範囲に関しては、法的分離が公益的観点から導管部門の公正中立な開放を担保するものであるとの趣旨を踏まえ、欧米の動向等も参考にしつつ、適切な基準を設定すること。

 十六 電力及びガスの小売全面自由化の趣旨に照らし、規制料金に係る経過措置の対象事業者については、需要家保護の観点に十分留意しつつ、エネルギー間の競争状況等についても慎重に見極め、電力・ガス取引監視等委員会の意見を聴いた上で指定するものとすること。また、経過措置の対象となる場合でも、委員会が競争状況等について継続的に監視・検討を行い、必要がなくなった時には、可及的速やかに規制料金を撤廃すること。

 十七 熱供給システム改革について、その実施後における需要家保護に万全を期すこと。

 十八 電力・ガス取引監視等委員会については、エネルギー市場における十分な競争条件が整うとともに安定供給及び厳格な保安体制が確立し、小売の全面自由化が健全かつ定常的に実現され、市場取引が一層公正・適切に進められるよう、強力に監視を行うものとし、その独立性を十分に確保するため、経済産業大臣は委員会の意見を最大限尊重し、経済産業大臣が委員会と異なる判断を行う場合には、十分に説明責任を果たすこと。また、委員会運営の公正性及び中立性に疑念を抱かれることがないよう、その選任に当たっては、法の趣旨を踏まえ、電力会社及びガス会社に在職する者並びにこれらの会社の経営に影響力を与えてきた者の委員長及び委員への任命は厳に慎むとともに、その事務処理の状況について、毎年、広く国民に公表すること。さらに、電力・ガス・熱の取引の監視等のために必要最小限な組織とし、肥大化は極力避けること。

 十九 電気事業及びガス事業の法的分離に伴う行為規制については、従業員の人事異動等の規制は労働者の権利の制約であるとの懸念から法律に明文規定が設けられていないことを踏まえ、特定の従業員を特定の業務に「従事させてはならない」とする規定については、「兼職を禁止する」という規定の趣旨に沿った運用を確保することとし、今後の詳細な制度設計や電力・ガス取引監視等委員会における基準やルールの検討・運用に際しては、電気事業及びガス事業の実態や関係者の意見を踏まえるとともに、客観性、透明性や中立性について十分な確保を図ること。また、過度な規制によって従業者の職業選択の自由や電力・ガスの安定供給及び保安の確保等に不可欠な人材の育成等に影響を与えないよう、兼職禁止の対象や範囲については、中立性確保の観点から必要かつ合理的な限度にとどめるものとすること。

 二十 電力・ガス・熱供給システム改革の遂行に際しては、今日まで電力・ガス等の安定供給を支えてきた電力・ガス等関連産業の労働者の雇用の安定や人材の確保・育成、関連技術・技能の継承に努めるとともに、改革の過程において憲法並びに労働基準法に基づく労使自治を尊重するものとすること。また、電気事業の労働者について一定の形態の争議行為の禁止を定める「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律」については、自由な競争の促進を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性を図るとともに、憲法で規定される労働基本権の保障も踏まえ、附則第七十四条の検証規定に基づく第三弾改革に係る改正法の施行後の検証時期に併せ、「労働政策審議会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会」報告における再検討の指摘に基づき、その廃止も含めた検討を行い、結論を得るものとすること。

以上であります。

 附帯決議の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、宮沢経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮沢経済産業大臣。

宮沢国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

江田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

江田委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時散会


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