衆議院

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第26号 平成27年7月3日(金曜日)

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平成二十七年七月三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石川 昭政君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    佐々木 紀君

      塩谷  立君    白石  徹君

      関  芳弘君    武村 展英君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      福田 達夫君    細田 健一君

      務台 俊介君    神山 洋介君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    渡辺  周君

      落合 貴之君    木下 智彦君

      國重  徹君    藤野 保史君

      真島 省三君    野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   環境副大臣        北村 茂男君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   国土交通大臣政務官    青木 一彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  林  伴子君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      田中 茂明君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室室長代理)         富屋誠一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 日下部 聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大橋 秀行君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            鈴木 英夫君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月三日

 辞任         補欠選任

  宮崎 政久君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     宮崎 政久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官林伴子君、内閣官房日本経済再生総合事務局次長田中茂明君、内閣府地方創生推進室室長代理富屋誠一郎君、経済産業省大臣官房長日下部聡君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官井上宏司君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、経済産業省大臣官房審議官平井裕秀君、経済産業省大臣官房審議官大橋秀行君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、経済産業省通商政策局長鈴木英夫君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、中小企業庁長官北川慎介君及び環境省地球環境局長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。民主党、田嶋要でございます。

 成長戦略の改訂版が出まして、きのう話を聞かせていただきました。大臣にまずお伺いしたいんですけれども、私、第三の矢というのは、これが成長戦略ということですが、ほぼイコール岩盤規制改革だという話も聞いておりましたし、よくその一番に電力改革という話を安倍総理も言われておりました。

 今回のこの国会で第三ステージが成立をしたということでございますが、しかし、私、不思議に思うのは、これまでの経過に、第三の矢で岩盤規制改革、そしてその大きな一つが電力システムですけれども、きのう説明を受けたこの成長戦略の改訂版にエネルギーという言葉も環境という言葉も一言も出てこないんですね。この経産委員会でも、やはりエネルギーにかかわる質問が圧倒的に多い、きょうは環境省からもお越しいただいていますけれども。

 大臣、今の政府はエネルギー・環境分野というのは成長戦略の余り中心的な産業じゃないというふうにお考えなんですか。確かに、詳細には説明がありまして、詳細には載っているんですよ、詳細には。それは詳細に載っているけれども、この紙に一言もエネルギー、環境と出てこないんですよ。ちょっと変ではありませんか。

 では、何のために電力改革、しかもどさくさに紛れてガスまで加えて、それで熱まで加えて、全部改革だと言っていたのに、岩盤規制改革をやっておいて、成長戦略に何も出てこないというのは、これは私は本当に矛盾をしていると思うんですよ。何のための岩盤規制改革なんですか。あれだけ総理が海外に行って力を入れてしゃべっているのに。

 大臣は見ているんですよね、成長戦略を。経産省が成長戦略の中心でしょう。きょうは電ガ部長も、それから省エネ・新エネ部長もお見えですけれども、何か私は変だと思いますよ、やる気があるんですかね。大臣、御答弁お願いします。

宮沢国務大臣 私も、その概要版にエネルギー、環境が全く入っていないというところは全く気がついておりませんでしたが、当然のことながら、まさに電力、ガス改革、エネルギー市場の改革というのは成長戦略の大変大きな柱でございます。

 そして、一方で、何で書いていないかということになりますと、終わったから書かなかったとは申し上げませんけれども、ある意味では、法律を何とか成立させていただきまして大変感謝をしておりまして、この法律に基づきまして、まさにおっしゃるように成長戦略の一助となるように、電力業界、ガス業界が変化していっていただくことを我々としてもしっかりと支援をしていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 アメリカも、例えば電力とか通信とかそういう世界は、改革前はお父さん、お母さんが持つ株の代表例と言われていまして、それはなぜかというとリスクが一番少ないんですよ。つまり変化しない、もうずっと安定しているから。ということは、逆に言えば、いろいろな新しいビジネスとかがなかなか生まれない、独占でずっと安定しているから、ずっと持っているには一番いい分野とよく言われました。

 しかし、岩盤規制改革したんだから、これから成長戦略の一丁目一番地じゃないですか。私はがっかりしました。まさに危機感が全く足りない、すなわち、ずっと電力も地域独占と総括原価でやってきた、そのままの発想が残念ながら今の政権のリーダーの皆さんの中には残っているというあかしじゃないかなと。私は、こういうことに大臣が気づかなかったというのは、それもびっくりですけれども、これはお願いしますよ。

 これからベンチャーがいろいろ参入し、海外からもいろいろな新しいビジネスモデルが入ってくるのがこのエネルギーの分野じゃありませんか。そのことをぜひお願いしたいと思います。

 ちょうどきのう、私の部屋に、これは「エネルギーフォーラム」です、大臣もごらんになったことがあるかもしれませんけれども、届きましたら、タイトルが「電気がおまけで売られる時代」。

 これを見て、今から三十年前の通信と一緒ですよ。電話がただになる日が来る。まさに今、スカイプとかでも電話はただですよね。今、通信といえば電話じゃないじゃないですか。通信といえばインターネットが普通ですよね。それだけ激変した、今そのとば口に電力があるんですよ。電力がやがておまけで売られる時代がやってくる、私はそう思いますよ。

 しかも、ドイツの方の報告を先週聞きましたけれども、ドイツは、新エネをつくっている主体の中で電力会社の占める割合はどのぐらいだと思いますか、大臣。わかりますか。

宮沢国務大臣 新エネをつくっている中の……(田嶋(要)委員「再生可能エネです」と呼ぶ)再生可能エネ。電力会社の割合は、三割とか四割とかいうんじゃなかったか、違いましたかね。

田嶋(要)委員 低いという認識はあると思いますけれども、説明を受けたときは、ドイツで一割ありません。つまり、電力会社が再エネをやっているケースというのは多くない。そして、圧倒的多数、過半数まではいきませんけれども、一番大きい部分というのは個人が所有しているんです、発電を。

 つまり、発電はもう電力会社の専売特許じゃないということですよね。これからは分散型になってきて、小さい規模でみんな自分のところで必要なものをつくる地産地消になっていくわけですから。そういう時代です。だから、電力会社もうかうかしていられないし、だからこそイノベーションが求められているということで、まさにそこに新たな雇用がつくられる、ヨーロッパのように。そして、新ビジネスが出てくるわけですよ。

 成長戦略に入れてください。これは、改訂版をつくっていただくことを御期待申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。お願いします。

 それで、質問に入らせていただきます。

 そういった中で、石炭火力の話がいろいろと出ておりますが、環境大臣が大変危機感を持って意見をされましたけれども、経産大臣からも少しだけ前向きな御発言もございました。十一・二五未満でございます。ただ、一方で、全体像を把握していないとおっしゃっているんですね。これは政府とのかかわりがなくつくれちゃうということでしょう、アセスがないから。だから、経産省も環境省もよくわかっていない。NPO団体とかが持っている資料か何かを見ながらやっているわけでございましょうけれども。

 それでは、大臣、一体どうやって、省エネ法の適用とかとおっしゃいましたけれども、新設の抑制を行っていくんでしょうか。そして、至急検討すると私に答弁していただきましたけれども、至急と言ってからもう一カ月、二カ月たっていますね。この間にどのぐらい進捗したのか、そして、やはりこの十一・二五以下は基本つくらせないということになるのかどうか、そこを教えていただきたいと思います。

宮沢国務大臣 委員からの御質問で、十一・二五未満については至急に検討をして、ある意味では制限する措置を導入しなければいけないということを申し上げました。

 そして、実は、総合資源エネルギー調査会省エネルギー小委員会のもとに有識者から成る火力発電に係る判断基準ワーキンググループを設置することとしておりまして、若干その委員の人選等々に時間がかかっておりましたものですから、七月中、今月中に具体的な制度設計について検討を始めることとしております。できれば秋までには結論を得たいというふうに思っておりまして、その結論を得た上で所要の措置を講じていきたいと思っております。

 そして、当然のことながら、今後検討していただくわけですから、中身について私からあれこれ言うのは適当ではないと思っておりますけれども、やはり相当、エネルギー効率としていいもの、例えば十一・二五未満だけれども、コジェネと一緒にして熱供給もしているといったものについては、これはある程度認めていいんだろうというふうに思いますけれども、熱効率が現在はたしか三五%ぐらいでしょうか、というようなものについては、やはり今後の温暖化対応等々という観点からは適当ではないというふうに考えておりますが、これから委員に御判断をいろいろしていただきます。

田嶋(要)委員 全部つくらせないということは、もちろん今の時点では言えないと思うんですが、恐らく相当な条件がつく、今コジェネの話もありましたが、そういうようなことではないかなと思います。

 いずれにしても、非常に規制リスクが事業者側からすればあるという状況の中で、当面決まらない、秋までにということでございますが、では、今いろいろな計画があって、アセスも要らない、こういう方々は、言ってみれば、やった者勝ちになるということでよろしいですか。急いで設置をしてしまえば、それはそれで、遡及して後から規制強化ということはできないんじゃないかなと思うんですが、そういう状況ですか、今。

宮沢国務大臣 恐らく、やった者勝ち、早い者勝ちと言われればそうかもしれませんけれども、全体として、やはり小さいものでも計画段階からでき上がるまで二、三年はかかるということを考えますと、ある意味では、その二、三年前に予定された人がぎりぎりのところで間に合うか間に合わないか、こういうことになるんだろうというふうに思います。

田嶋(要)委員 これは私、きのう聞いていても、例えばUSCで始めたのが、IGCCが出てきたからといって途中で切りかえるということはできないという話も聞いておるんです。二、三年かかるという話ですけれども、建設を始めた途中で、では、先ほど大臣がおっしゃったように、コジェネしか認めないよなんという新たな規制が加わったら、その人たちはひっくり返っちゃいますよね。だから、そういう人はコジェネじゃなくても建設していく、そういうことになるんじゃないんですか。遡及して規制を強化して、建設が始まっている方が途中で断念するということが起きるんですか。そこはどうなんですか。

宮沢国務大臣 これからの制度の仕組み方になろうかと思いますけれども、省エネ法をどういうふうに使っていくかということでありますので、新たにつくるところが間に合わなかった方は、そこである程度設計変更等々をしなければいけないという状況は出てくる可能性はあると思っております。

田嶋(要)委員 設計変更の可能性もあるということですけれども、これは、いずれにしても、早く結論を出していただかないと、七月に立ち上がったワーキンググループが結論を出すまでの間というのは、事業者から見れば非常に事業リスクの高い、規制リスクの高い状況が続くわけでございますので、そこは本当に急いで結論を出していただきたい、環境省もセットでございますけれども、お願い申し上げたい。

 ただ、物の本質は、十一・二五以下かどうかというのは余り関係ない話でございまして、これは全般にかかわる話でございますが、環境省にお尋ねをいたしますが、このままいくと、これは大丈夫なんですかね。環境省は頑張っていただかなきゃいけない立場でもあるんですけれども、このままいくと、政府が発表した二〇三〇年のエネルギーミックス、これ自体、私どもは極めてよろしくないものだと思っておりますけれども、それから温室効果ガスの削減目標は達成できると環境省はお思いなんですか。NPOからは、このままいくと石炭火力が四〇%を超える、こういうことも言われているんですけれども、環境省いかがですか。

北村副大臣 発電効率や、あるいは利用率等によってCO2排出量が異なることから、CO2排出量への定量的な影響を今算出することは困難ですが、CO2排出量が多い石炭火力発電所の立地、運転開始が今後進んでいった場合には、電力部門におけるCO2排出量が相当程度増加することは否定できないというふうに考えております。

 このため、温室効果ガス削減目標とエネルギーミックスを達成できるよう、この目標と整合する実効性のある電力業界全体での自主的枠組みの早期構築が不可欠だと考えております。

 環境省としても、業界任せにすることなく積極的に検討、協力をするよう、望月大臣から事務方に改めて指示を出しておりまして、引き続きしっかり検討させてまいりたいと考えているところでございます。

田嶋(要)委員 環境大臣からはそういった危機感を表明する御意見も出ておるわけでございますが、やはり、それを受けて、主管といいますか、経産大臣、本当にしっかりしていただかなければいけないと思います。

 これは、大規模の火力発電ですから、先ほどの小規模以上に事業者から見ると投資判断はリスクが大きい。そして、これからどういう規制強化が行われるか。きょう添付させていただきましたけれども、資料一は経産省からいただいたもので、これだけいろいろな新設、リプレース。リプレースの中も、私はこういうのをリプレースと言うのかわかりませんけれども、二十五万を廃止して六十万キロを二つつくるとか十五・六万を廃止して五十万キロをつくるというのは、これはリプレースと言うのかなと。私はこういうのは増設と言うんじゃないかと思うんですけれども、こういうようなものもございます。

 そして、次の資料二を見ていただくと、今から九年前に自主的に計画を撤回した例がこれですね。もう既にこのときに、大丈夫かと、石炭火力の新設はあり得ない選択ではないかということを言われているときに、今から十年前ですよ、まだ京都議定書の世界ですけれども、その中でこういうような自主的撤回がありました。

 そうしたら、次のページでございますが、その四年後、二〇一〇年、これも同じように自主的に撤回をしたということで、経産大臣が環境対策の追加を求める勧告を出して、それに基づいて自主的撤回をしているんですね。

 だから、この資料の一にありますリストに関しても、今回、いろいろ出てくる可能性もあるということだというふうに思います。

 なおかつ、資料四の最近の日経新聞に載っております山口の計画、まさにこれが環境大臣が意見を出された、これは、資料二と同じ場所で別の投資家がやろうとしている話だから、ある意味では少しこだわっていらっしゃるというか、一度断念した、いわくつきの場所でもう一回やろうなんとしているということなわけですよね。だから、これは本当に、事業者から見ても、私はリスクが大きいと思います。

 大臣にお尋ねしますけれども、私への答弁、大きな十一・二五以上に関しては個別の環境アセスの中で全体を捉えながら審査というふうにおっしゃっているんですが、要はこれは、過去にこの勧告を出しているように、おたくのそれはちょっと無理だよ、やめた方がいいよということを選択的にイエス、ノーを言っていくことを考えておられるのか。

 それとも、そこまではなかなか無理だけれども、全体の排出量としてのコントロール。例えば、環境省が試算されたら、今は八割ですけれども、六割ぐらいの稼働率になっていくんじゃないか。ただ、六割ぐらいの稼働率になるとLNGより石炭が割高になってくる、なぜならば初期投資が石炭の方が二倍ぐらいでかいからですね。

 そういうような状況を考えると、それだったら無理だねと思って断念する企業がいろいろ出てくると思いますが、経産大臣、これからどういう方向の規制を考えておられるか。これは先ほどの十一・二五未満と同じように今全部を結論的にはおっしゃれないかもしれませんが、お考えを述べていただきたいと思います。

宮沢国務大臣 まず、今おっしゃったような環境アセスのもともと対象となっている十一・二五以上のものにつきましては、全体的な取り組みを通じて高効率化を促進していくということだろうと思っておりまして、現段階、何より大事なのは、国の地球温暖化対策の計画目標の策定とあわせて、その目標と整合的な形で電力業界全体の自主的な枠組みの構築というものができるということだと思っております。

 環境大臣からの意見もいただいた上で、私どもとしてもそういう自主的な枠組みの構築を促しているところでありますけれども、これにつきまして、できるだけ多くの小売事業者に参加をしていただく、カバレッジを大変広いものにしていくということ、そして、先ほど申し上げましたように、温暖化目標と整合的な枠組みをつくってもらう、こういうことをやっていただく。

 それがまさにできたらば、そういうものがうまくワークすれば、おっしゃったように、個別ということではなく、その枠組みの中で建設される石炭火力発電所というものについては、まさに温暖化目標と整合的なものでありますから、そういう形でお認めしていく、こういうことだろうと思っております。

 そして、恐らく、その枠組みが動かなかったらどうだ、こういう話もあろうかと思いますけれども、我々としては、現段階ではしっかりとした動くものをともかくつくってもらうように促していくという努力をする一方、万が一それが動かない、うまくいかないということになりますと、恐らく、おっしゃるように、個別の申請のアセス段階においていろいろ判断をしていく、こういうことも最終的には可能性としてはゼロではない。しかし、その前にしっかりとした枠組みをつくっていくということを我々としても促していく、支援をしていく、そういうことだろうと思っております。

田嶋(要)委員 経産大臣の意見というのを拝読しましたけれども、非常にソフトというか、皆さんで努力してくださいみたいな中身でございますが、それではちょっと進まない状況にあるのではないのかなという懸念が各方面から出されております。

 昨日、私、これもまたヨーロッパの報告を電源開発御出身の方からお伺いしましたけれども、その報告だと、新しくつくった火力発電が、できた後にいきなり運転をとめざるを得ないような状況に追い込まれている、こういう話もあるんですね。そうすると、会社は傾くリスクもある。これから電力会社は極めてリスクの高い産業になっていくというのも、自由化をする、規制改革をする一つの結果だと思います。

 先ほどの、電気がおまけで売られるようになれば、電気だけ売っていたって食えなくなるということですから、そういうこともぜひお考えの上、慎重に、そしてスピーディーに判断をしていただいて、規制リスクをなるべく排除する方向でお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移ります。

 きょうはLEDに関して、一つの例としてお尋ねをさせていただきますが、省エネの有力な手段であるLED、高効率照明は、エネ基の中ではどう定めているか、現状の進捗はどうかということをお尋ねします。

木村政府参考人 LEDなどの高効率照明でございますけれども、昨年四月のエネルギー基本計画におきまして、LED照明を含みます高効率照明につきましては、「二〇二〇年までにフローで一〇〇%、二〇三〇年までにストックで一〇〇%の普及を目指す。」という目標を掲げているところでございます。

 現状のストックベースの普及率はまだ一割程度というふうに考えておりますが、LEDの性能の向上、あるいは価格の低下を背景にいたしまして、照明器具に占めるLED照明器具のシェアは近年急激に上昇しておりまして、出荷ベースでは、二〇一〇年度の七・四%から、二〇一四年度で七六・八%にまで達している、そういう状況であると認識してございます。

田嶋(要)委員 今のような数字でございますけれども、きょう私は、いわゆる世間一般の立ち上がりということは時間もかかるけれども、国はどうなんだということを申し上げたいんですね。

 そこで、お尋ねしたいのは、国土交通省がきょうお越しでございますが、国が管理している道路の照明灯は全国で幾つあり、それがどれだけLEDが完了しているか、そして、年間幾らぐらいの節約をそれで生んでいるのか、御報告ください。

青木大臣政務官 お答えいたします。

 国の管理する道路では、省電力化及び維持費の低減を目的に、新設時及び既設照明の更新時において積極的にLED照明の導入を現在進めております。全国約六十万基の道路照明灯のうち、平成二十六年三月末時点では、約一割強がLED照明となっております。

 今後も、省電力化及び維持費の低減のため、道路照明のLED化を着実に進めてまいります。(田嶋(要)委員「もう一個、費用がどれだけか」と呼ぶ)

 費用の問題が出ました。

 現在、LEDの平均寿命は十五年程度となっておりますが、更新費用と電気代の合計値を比較したコスト縮減額は、十五年間の合計で約六十億円との試算結果となっております。近年、LED照明の価格は低下しつつあることから、今後、縮減額はさらに大きくなるものと考えております。

田嶋(要)委員 一年間でどのぐらい節約になったかと聞いているんですけれども、割り算をすればいいんですか、年間四億円ということですから。大体でいいんですけれども。

 では、お手元の資料六、私の地元の千葉市が一応完了しましたという報告が来たんですよ、一万三千百の千葉市が管理しているものを全部取っかえましたと。

 やりましたら、年間二億七千百万円の節約ができていると言っているんですね。私は非常に大きいと思うんです。電気代ががくっと三億以上下がり、保守費も下がるんです、壊れないから。リース代は当然発生しますね。その足し引きで毎年二億七千万も、人口が九十六万人の千葉市で発生した。私、これは少ない金額じゃないと思いますよ。

 なおかつ、これはリースを組み込んだことで初期投資ゼロなんですよ。ということは、何一つお金が出ていかないから、予算が小さくできるということで、二億七千万、福祉に回せるんですよ、あすから。こういうことで、なぜできたかというと、落札率が実は四一%だというんですね。つまり、大量まとめ買いですから、民間よりも官が主導できるんです、こういうことは。

 私たちは、国とか自治体がどんどんこういうことを率先してやっていく中で市場形成につなげていく、つまり価格低減効果をもたらす先導役になれるということをずっと主張しているんですね。

 次のページをごらんください。これも千葉市からですが、昨年二月から四月に物品調達、三月から八月の五カ月間でやっちゃったんですよ、全部、この一万三千。それに比べて、国はいまだに一割しか進んでいないというのはどういうことですか。

 つまり、千葉市のやった取り組みで、千葉市に二億七千万の節約ができていると言っているんだから、それの何百倍というのが日本全国で出せるんじゃないんですか。きのう私の部屋で試算していましたけれども、ひょっとしたら一千億を超えるんじゃないか。

 要は、それは電気会社の収益減になるんですよ。だからこそ苦しい時代がやってくるかもしれないけれども、国民の税金がそれだけ今無駄に払われているんですよ。だって、LEDがもうそこにあるのに。しかも初期コストゼロですから。千葉市がリースでできるんだったら国だってリースでできるんじゃないですか。

 なぜこういうことを間髪入れずに一斉にやらないのか。供給が追いつかないのかもしれない、それをやると。しかし、本当にそういう問題意識をしっかり持っているのかということなんです。

 経産大臣に最後の質問をします。

 要は、大臣、これはたった一個の事例ですが、例えば日本のいろいろな役所の断熱一つとったって、今のような状況が続くことで、毎年毎年大変な電気代を払っている可能性はありますよね、気づかないだけで。しかし、一つの町がこうやって取り組んだから、わかりやすいんですよ。私、だからこれを大臣にお伝えしたいときょう思ったんです。わかりやすい。一万三千入れかえたら二億七千万節約できた。

 これは大臣、成長戦略の柱である、エネルギー分野の省エネ、新エネですね。日本のイノベーションで出てきたLEDが、市場に出回ってもう相当月日が流れて、いろいろなガイドライン、国交省もつくっていただいていますよね。それに基づいてやってみたら、一瞬のうちにこうやって国民の税金が節約できる。これは、半年、一年、先送りしたら、国民の税金を無駄遣いしているのに私は等しいと思いますよ。

 そういう意味では、期限を設けて、これはやはり経産大臣、関心を持ってくださいよ。道路の話だから国交省というわけにいかない。どれだけ我が省の関与しているこのLEDが日本の中で一気に普及していくか、そして官がそれをリーダーシップをとっていけるかということで、ちゃんと定点観測してほしいと思うんです。

 私は大臣に、期限を切って、国それから全国の自治体、道路、全部物すごい利益が出ますから、一気にやってほしいということを申し上げたいんですが、大臣、最後に一言お願いします。

宮沢国務大臣 まさに今伺っていて、ああ、リースだと日本の予算制度の中でも柔軟に対応できるのかなという思いをしておりました。

 私の立場から申し上げますと、まさにこの委員会などでは、省エネ目標の中で、産業用、家庭用ともに、二〇三〇年にはLEDが一〇〇%になっているという前提でいろいろ議論をして、皆さん御存じなわけですけれども、恐らくほかの省庁の方はなかなか知っていない方の方が多いだろう。ただ、そういう目標を立てているということは、政府の中で共有をまずしなければいけないなということを今思っておりました。

 それと同時に、なかなか一つ難しいのは、おっしゃるようにLEDの照明がどんどん安くなってきているという中で、どこでやるのがいいかというところは、まさに早くやった方がいいという部分と、遅ければ遅い方が恐らくリース料が安くなるという部分をどの辺で見きわめるかということも恐らく考えていかなければいけないけれども、おっしゃったように、リース方式というものは一つの方式だと思いますので、恐らく、こういうことは財務省等々と、いろいろ予算のつくり方で、私の方でも相談してみたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 はい、お願いします。

 リースは、今回、航空機リースをやりましたね、貿易保険。

 要は、私が思うのは、役所というのはリースという発想は疎いと思うんですよ、伝統的に。余り考えたことがない、財務省も。だから、規模の小さい千葉市は、柔軟にこういうことをやってみたら初期投資ゼロでできたということなんですね。

 今大臣がおっしゃった一点、要はいつ買うか、どんどん安くなる。それは確かにあろうと思います。個人だって同じですよね、今買うよりもうちょっと待った方がいいんじゃないかとか。それはあるけれども、落札率四一%というのは、これはすごいことですよ。つまり、まとめてやるからできる。

 だから、一つの意思決定で、経産大臣の意思決定、総理の意思決定、それぞれトップの意思決定でまとめてやれるのが国や自治体の強みですから、ぜひこれは一気にやっていただくことで、やはり省エネの先導役を果たしていただきたい。

 先ほどお約束いただきましたので、ぜひこれは、立案する経産省と現場を持っている国交省とやはりばらばらではいけないと思うんですね。結果を出していただくように、また後日、定点観測の質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。民主党の渡辺でございます。

 まず冒頭、今非常に直面している問題として、箱根山の大涌谷の火山の活発化について伺いたいと思います。

 これは、もちろん経産委員会ですからそこのところはよく承知の上で、特に地元周辺の商工業の方々、宿泊業の方々はもちろんなんですけれども、そこに納入をされている商店の方々もいらっしゃいます。食材やサービスを提供している方々もいらっしゃる。

 そこで、きょうここに御地元の神山洋介議員もいます。彼も、大変精力的に国会と地元を行ったり来たりしながら、地域の要望をとにかく聞いている。私もいろいろ教えていただいている。といいますのも、私は静岡県の東部が選挙区ですので、実は箱根と静岡県の東部というのは一緒になっていまして、近接しています。ですから、富士箱根伊豆という名前で国立公園の名称がついているわけでございます。箱根の今の状況について大変心配をしている一人であります。

 当然、我が静岡県でも県庁や県警がこの状況については非常に、情報収集をしながら、隣県として、特にここで行政として協力できることがあれば、要請があれば行うと。また、県境をまたいで箱根にお勤めに行っている方もたくさんいらっしゃいます。

 そういう意味では、この箱根の大涌谷における火山の活動の活発化ということについてちょっと経過を話しますと、四月二十六日に、ちょうど連休のさなかでございました、大涌谷の付近を震源とする火山性の地震が増加して、五月五日に有感地震が発生した。噴火警戒レベル、火口周辺の規制をレベル2に引き上げて、半径三百メートルが立ち入り規制、ロープウエーが運休する。そして、小規模な噴火が六月三十日に確認をされまして、噴火警戒レベル3、入山規制に引き上げられました。これによって、半径千メートルの立ち入り規制が今行われているということでございます。

 私も、地元紙などを見ますと、今回のことで、特にこれから夏休みの観光シーズンを控えて、今たくさん、それこそ外国の方々も東京から日帰りで行かれるということで、箱根も大変な景勝地として外国人にも有名なんですが、今大変に先々の心配を皆さんがしていらっしゃるところでございます。

 現状、こうした地元の商業関係者等々からどのような要望が寄せられているのか、これをまず伺いたいと思います。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 現地の中小企業、小規模事業者からの声、またその影響につきましては、私どもといたしましても、地元の商工会議所あるいは自治体を通じてお話を伺っているところであります。

 現在、一部の事業者の方では、休業あるいはキャンセル、こういった影響も出ておりますし、また、風評被害ということでこれからのことも心配されているというように伺っております。それに応じまして、経営相談あるいは資金繰り相談、こういったことも寄せられているというふうに考えております。

渡辺(周)委員 今の答弁は何か伝聞みたいな話ですけれども、直接それは、今、箱根の地元の方々からそういうことが中小企業庁に寄せられていると。

 それはあくまでも地元の商工会議所、あるいは県だとか箱根町が、緊急支援という形で新しい制度を急遽立ち上げていることは私どもも知っておりますけれども、中小企業庁としてこの問題をやはり深刻に捉えているのかどうか、我が事として捉えているのかどうか、そこをちょっとお答えいただけますでしょうか。何か伝聞で承知しているみたいな話じゃなくて、どうなんだということでございます。

北川政府参考人 これから長期化ということも考えられますので、大変深刻に受けとめております。

 具体的には、御地元とお話をしながら対策も考えております。既にセーフティーネット貸し付け、こういったことも何件か始めてございますし、さらに、こういった自然災害によりまして売り上げが減っていくような場合は、セーフティーネット保証四号というものを特別に用意しております。これにつきましても、今、神奈川県あるいは箱根町と相談しながら、適用について検討しているということでございます。

 現在、県から箱根町への指定の要請があれば、直ちに国としても対応していくという態勢をとって待っておりますし、常に地元の商工会議所と一緒になって対応していきたいと考えております。

渡辺(周)委員 今回の箱根に限らず、非常に今、日本全国がどうなっているんだろうかというような、私は思うんですけれども、小笠原の西之島というところから海底火山が小笠原近海で爆発をして、今も溶岩を噴き出しながらどんどんどんどん新しい島ができている。そして、御嶽山の記憶も新しいわけでございますし、最近では浅間山であるとかあるいは蔵王も、今ここへ来てまた活発な兆候が見られる。何かすごく今、日本列島自体が活性期に入っている、我々がはかり知れないところで何か不気味な胎動が起きている、そんなふうに言わざるを得ない状況なのかなと思います。

 我々は、三・一一を初めとしてさまざまな自然災害を経験してまいりました。また、これは火山の、今長官おっしゃいましたけれども、長期化するということで、質の違う影響がまたあらわれてきている。もちろん、三・一一のような、いまだに復興途上にある、未曽有の、千年に一度という大災害も経験しましたけれども、今回の箱根山のようなケースは、これはずっともし長期化した場合、しかも、箱根と一言で言いますが、大涌谷なんですね。神山さんがいるから余り、言葉を選んで。いや、実際そうなんです。全体では箱根と。

 我々も実は経験していまして、ちょっと余談ですけれども、伊豆諸島で地震がある。そうすると、全国の地図に伊豆が出てくるわけですね。そうしますと、震度が三とか幾つか、網代は三だとか、伊豆諸島でありました、伊豆大島近海でありましたと。伊豆というと伊豆諸島と伊豆半島の区別がつきませんから、あそこで今何か群発地震が起きているらしい、では、もう観光はキャンセルしようと。実は伊豆半島と伊豆諸島というのは距離も離れているし、もともと大分離れているところではあるんですよと言っても、なかなか、では関西の人や九州の人に理解していただけるかといったら、そうではない。

 ですから、多分箱根という呼称も、これは大涌谷と限定しても、近くに住んでいる人はわかるんですけれども、まさに全体、それ自体が何かとても、マスコミ報道等でそこだけが切り取られてクローズアップされ、白煙を上げている姿を見ますと、何か箱根全体が今にも噴火するんじゃないかというようなやはりイメージを持たれてしまいますと、その周辺までの影響たるや、それはもうはかり知れない損失になるということでございます。

 火山、これは事が起きてはいないんだけれども、それによってじわじわと、当然売り上げは減るし、そこで働いている方々も、仕事がありませんから、しばらく家で待機していてくれということになるわけでございます。そうしますと大変な影響を、実はこれは神奈川県だけじゃなくて、このまま長引きますと我々静岡県の、通っている方々やあるいは納入している方々にも影響があるだろうという懸念があるわけなんです。

 もう一遍伺いますが、こういう長期化しそうな、これは質の違う、つまり、事が起きてからの対応、応急ですとか復旧に対しての支援措置はいろいろありますが、これから続いていく場合、ある意味では法のグレーゾーンのようなところがございます。これに対して、今地域の経済を支えている方々に対してどのように支援策を講じていくのか。

 改めて、大臣、もしこの災害国日本の中で予期せぬことに遭った場合、それは、商業者あるいは事業者、影響を受けるわけでございます。どのような対応を今後していくことが考えられるのか。その点について、大臣、ぜひ何か仕組みを考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 今長官から御答弁しましたように、経産省、中小企業庁としましても、まさに金融面から、被害を受けられている業者の方についてはしっかりとした対応をしていきたいと思っております。

 ただ、新しい仕組みとおっしゃいますと、福島の場合には完全に新しい仕組み、特に東電という、責任がはっきりしているということもあって賠償等々対応したわけでありますけれども、天災の場合は責任というものがどこにあるかという問題があって、今あるいろいろな仕組み、例えば家が潰れた場合にどうだとかというようなもの以外の、例えば商工業者の被害を補償するというシステムは、なかなか今の法体系では正直言って難しいと思いますけれども、我々としては金融面からしっかりとした対応をしていきたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 この点については質問をまた改めてしますけれども、箱根も日本を代表する景勝地であり、そして浅間山もどうなるかわからない。一度箱根も鎮静化するのかなと思ったら、またここへ来て活発化をした。何せ自然が相手ですから、人知を超えた部分が自然の世界にはあるわけでございます。

 軽井沢へ行きますと、この浅間山を望むような、大変ここもすばらしい景勝地。日本は、やはり温泉地というのは、火山の恵みを受けながら古くから栄えてきて、そこに観光地としての名をはせてきた部分が、その恵みを受けてきた部分は否めません。

 しかし、一たび自然が、三・一一でも我々は経験しましたけれども、共存してきた自然というものが一度コントロール、人知を超えた形で事が起きますと、これは制御できない。逆に言うと、共存してきたものが突然怒り狂うこともある。

 そんな中で、ぜひとも今のこの現状を、経済産業省、中小企業庁という枠だけで考えて、我々はここまでしかできませんとか、我々はこういう分野でしか貢献できませんということではなくて、今後活発化していくであろう、これは学者も言っています、今やはり日本は、三・一一以降いろいろな、今まで予期せぬことが起こり得るであろうという方もいます。ですが、その上で暮らしている我々が、とにかく、何かあった場合、最悪の事態を考えてどのような対応をするかということは、各省庁、横で連携しながら対応を柔軟にできるように、ぜひとも取り組んでいただきたいというふうに私は思います。

 ちょっとここから質問が変わります。

 そのような、地元の行政関係者、本当に寝ずの番でウオッチしている方々もいます。そして、非常に今後の行く末に苦労しながら、金融機関や、まさに商工会議所等に相談している方々もいます。とにかく夏休みどころじゃないという反面で、今ここで、この七月から、ゆう活というのが始まります。片っ方で、本当に、自然災害に見舞われて寝ずの対応をしている中で、このゆう活というのが非常にタイミング悪く始まったんじゃないのかなと私は思うんです。

 実は、ゆう活というのがきょうから始まりましたというのをテレビで見て、ちょっと意外だったんです。実は、あれは余り知られていなかったんじゃないかと。一部メディアの中には、日本版サマータイムといって報道しているところがありますけれども、かつて導入しようとしたサマータイムと違って、まずは役所でやってみようという話です。

 これは経済産業省も当然ゆう活というこのプロジェクトに対しては参加をしているというふうに思うんですが、導入をしている、そしてどのような形で今取り組んでいるのか、ぜひ伺いたいと思います。

日下部政府参考人 今、ゆう活についての経済産業省の取り組みです。

 七月一日から始まっております、七月、八月ということで。経済産業省では、職員の約八〇%が、一時間早く出て、一時間早く帰るという取り組みを今始めました。その中で、不要不急な業務についてはなるべく合理化をし、一時間早く帰る努力をしようということを今一生懸命やっている最中でございます。現状、そういう感じでございます。

渡辺(周)委員 それで、これは経産省が始めようというよりも、総理が、三月下旬の閣僚懇談会ですか、ここで、生活スタイルを変革する新たな国民運動を政府を挙げて展開するということで号令があり、まずはこの七月、八月に一時間から二時間早めてやろうということですけれども、国会は延長されて、本当なら、延長されなければ六月に終わって、国会で七月、八月、恐らく国会議員もいないし、官庁としては一番そうしたテストを導入しやすかった時期だと当時は思ったのかもしれませんが、残念ながら、今、国会が延長されてしまった。現実問題としては、そんなに言うほど簡単にできていないという話だと思います。

 この目的というのは、今申し上げたように、生活スタイルを変革するんだと。夕方、夫婦でテニスをしたり、子供を保育園に迎えに行ったり、バラ色ですよみたいなことが書いてありますけれども、現実問題として、準備期間が足りなかったんじゃないかと思います。それが証拠に、もう既に民間でやったところがありますけれども、なかなか全部足並みをそろえてできない。

 経済産業省では八〇%といいますけれども、なかなか、これが民間にまで浸透するには随分時間がかかると思うんですね。

 ここで伺いたいのは、政府を挙げてというんだけれども、これは役所はできるかもしれない。しかし、これを民間に導入するには相当なハードルがあると思います。まず、従業員の住環境を考えれば、とてもじゃないけれども、そんなに早く出るとなると俺は五時に起きなきゃいけないとか、子供を預けるといったって保育園はまだあいていないし、保育所にいる保育士さんだって、ここから来るとなったら、これはもうとんでもない早い時間から来なきゃいけない。

 そういう環境ができていないのに、まず役所だけ二カ月やってみようということなんですが、ここで伺いますけれども、今回限りですか、それとも、これは続けるんですか、このゆう活というのは。それはいかがですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも、ゆう活の考え方でございますけれども、我が国では、長時間労働で……(渡辺(周)委員「考え方は要らないですから、続けるんですか」と呼ぶ)はい。そういった長時間労働を変えていこうという試みでございます。長時間労働を抑制していくためにはいろいろなことをやらなければいけませんけれども、そのきっかけになればということで、この夏から、まず隗より始めよということで、国家公務員から始めておるというところでございます。クールビズのときもそうでございましたけれども、まずは国家公務員からやってみようということでございます。

 民間企業に対しては、例えば、ことしの四月に日本経団連に対して厚生労働大臣及び経済産業大臣連名の要請書を手交するなど、いろいろな形で主要な労使団体に要請をしたり、あるいは、各府省から所管の業界団体に対しても御説明、要請をしたりしているところでございます。この結果、現在、ゆう活に取り組む民間企業も徐々ではございますけれどもふえてきております。また地方公共団体でもふえてきているというところでございます。

 先生御指摘のとおり、これによって国民サービスの水準が低下するということが絶対にあってはならないというふうに私ども考えておりまして、例えば、官庁執務時間というのがございます。こちらは……(渡辺(周)委員「そんなことはいいです、だから続けるんですか、この制度、来年もやるの」と呼ぶ)はい、そうです。これについては、まずことしやってみて、その状況をきちんとフォローしながら、また来年も続ける方向で私ども検討しております。

渡辺(周)委員 七月と八月の二カ月。

 では、ちょっと聞きますけれども、夏の日の出た時間、早くからやりましょう、それはわかりました。それで頭が、脳が活性化している時間にやった方が仕事の効率は上がるだろうというふうに言うんですけれども、では冬はどうするんですか、冬はもとに戻すんですか。冬は、逆に言うと、おくらせて、遅くまで働いたっていいじゃないですか。朝早く起きるのはつらいし、寒い中早くから、暗いうちに出てくるんだったら、では逆に、それはそれでおくらせてはどうですかという話になるんですよ。だから、二カ月やってみて、本当にこれはどういう成果が出るのか。

 ここで質問します。そもそも、では成果を何ではかるんですか、効果を。それをちょっと教えていただけますか。それと、今回の結果次第では、来年もまたこの七月、八月に限ってやるということで、今お答えされたということで確認してよろしいですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 まず効果をどう見るかということでございますが、民間企業については、個々の民間企業では効果を既に把握されていたり、それから検討されたりしているところがあると聞いております。国全体ということになりますと、ゆう活のやり方は民間企業それぞれのやり方、一時間前倒すというところもございますし、あるいは残業するならもう夜はやめて朝に残業しますとか、いろいろなやり方がございますので、国全体の効果の把握というのはなかなか難しいかなというふうに考えております。

 他方、国家公務員については、私ども現在フォローアップの調査をするということで考えております。このフォローアップの調査も踏まえながら、来年どうするか、七、八月がよろしいのか、それとも期間をどういうふうに考えるのかも含めて、きちんと検討してまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 やはり、国を挙げてやるというからには、何かしらの大きな目標があって、目的があって、それが例えば働き方を変えるということで言うならば、何らかの定量的な結論を出さないと制度は持続しないと私は思うんですよ。ただ同僚と飲みに行く時間がふえて、コミュニケーションの時間がふえましたとか、あるいは家族で団らんをする時間がふえました、それはあるでしょう。ただ、そういうのをよく役所というのは例を出して、主な声といって何かいいところだけ三つ四つ出して、いかにもそれが全てみたいにやるけれども、それは皮膚感覚的にそれぞれが感じて主観的に出したって余り意味はない。

 例えば、では、それによって何が変わったのかということ。私は、やはり残業時間が本当に減るのか、もっと言えば、実は個人の一人当たりの消費が、アフターファイブとは言わないですね、四時半に終わるんだったら四時半以降個人の消費がふえたとか、やはり何らかのことを、一定の成果があったとやらなきゃいけないんですけれども、その準備が本当にできているのか。

 つまり、三月に唐突に総理が言って、七月にやったんだけれども、一体化されていない。つまり、国会が延長されれば、我々に対して、例えば、これから官庁がいわゆるゆう活というプロジェクトを導入するから国会議員の質問はこの時間以降出すなとか、役所の方で四時十五分以降ですか、会議はやるなと言っていますけれども、逆に言うと国会にもお達しを出して、やるなと。いやいや、本当に国として、総理が号令をかけてやるのであればそこまでやる。クールビズのときはそうだったんですから、これはみんなでやりましょうと。

 つまり、何か、準備と覚悟ができていないけれども、とりあえずやってみたという感じのやっつけ感がとっても否めないんですよ。だから、このゆう活が導入されたときに、決して、別にメディアの言っていることが絶対とは言いませんけれども、中には否定的に言う人たちも結構あって、結果、こんな急に、役所はできるかもしれないけれども、それのまだ準備ができていない、受け皿ができていないのにやったということで、私は非常に今回のやり方について唐突感が拭えないわけです。

 もう時間もなんですから伺いますけれども、これは、将来サマータイム制を導入するということをやはり将来的には考えていくのかどうなのか。つまり、民間も一緒になってやらなければ意味がないわけです。その効果たるや、やってみたら実はそれなりの成果が出ていたということを、やはり理屈が立ってやるのかどうか。やらなきゃいけないと思うんですけれども、そこはどうなんですか。

 何か、パフォーマンス的にことし二カ月だけやってみました、だけれども、やはりなかなかうまくいきませんでした、来年以降は白紙ですというんじゃなくて、やるなら、それなりの覚悟を持ってやるべきだと思いますけれども、どうなんですか、そこは、その心構えというのは。

 逆に、サマータイム制をかつて導入しようとした経産省にも伺いたいんですが、いかがですか。

宮沢国務大臣 私は、留学と勤務でアメリカに結構長くおりまして、サマータイムというのは実は大変いい制度だと。仕事が終わった後、日が長いですから、ゴルフですらできるようなところがありまして、いい制度だと思っております。

 一方で、サマータイムにつきましては、戦後すぐに導入されて、そのときに労働強化につながったというような経験があって、その後、なかなかサマータイムといったものが政策の俎上にはのってきていないというのが今の状況でございます。

 したがって、今回のゆう活、おっしゃるように、例えば国会との関係等々、難しい話はいろいろありますけれども、やはり早く帰るということを大臣以下率先してやって、その時間を、飲む時間がふえるのか、体を鍛える時間になるのか、家族の団らんになるのか、それぞれいろいろあると思いますけれども、一夏やってみて、その結果をいろいろ分析するということはまず大事だと思っておりますが、一方で、それがサマータイムに関連しているものだとは考えておりません。

渡辺(周)委員 では、この質問でもう一つだけ伺います。

 これによって、残業しないでどんどん帰って、職場の仲間や家族と時間を楽しむような、それは大変いいことだと思うんです。反面で、だから、残業はなくなるから残業代ゼロでいいんだという伏線に実はなっていて、いわゆる残業代ゼロ法案と我々は言いますけれども、この前段階として、朝早くにやって、夕方早く終わって残業というものがない世の中になるのだから、残業代ゼロという法案を出していったときに、いや、残業そのものが減るから余り影響はないんですよということにつながりかねない。私は、その伏線にされるんじゃないかという懸念を実は持っているんですけれども、今後、我々はこの問題についても少ししっかりと見ていかなきゃいけないというふうに思います。

 その点については改めて議論をしますけれども、時間がなくなりましたので、最後の質問にします。

 きょうの閣議で通商白書を閣議決定、大臣が出された、けさの報道に出ておりました、時事通信のネットでございますが。ここに出てくるのは、稼ぐ力が非常に落ちているということが指摘をされているということでございます。アジアと大洋州の幾つかの事例を挙げながら、ほかの国に比べて日本の稼ぐ力が落ちていると。

 先ほど田嶋議員も取り上げました今回の「日本再興戦略」改訂二〇一五にも、幾つも「稼ぐ力」という言葉が出てくるんですが、そこで伺います。この稼ぐ力というものを一つ考える。この間、私取り上げましたけれども、クールジャパンの戦略というものも一つなんだろうと思います。

 そこで伺いたいのは、ミラノ万博を今やっています。残念ながら、国内外に大きいニュースがあり過ぎて、ミラノで何が起きているか、万博をやっていることというのは実は余り取り上げられていない。

 かつて、一九七〇年、大阪万博のときは、人類の進歩と調和というテーマで、それぞれの国が進歩を競い合っているような、未来都市のようなパビリオンがたくさんあって、その中で、未来といいますか世界に初めて我々は直面した。ある意味では、私どもの子供のころの大きな人生を変えた瞬間でもあったんですが、残念ながら、ミラノはもう何か成熟した、今、テーマは食ですけれども、その中で私一つ懸念しているのは、もう時間がありませんから最後に言います。

 ミラノ万博のいろいろな紹介の中に出てくるのが、展示、放映、発信と書いてあるんですね。実際、ビジネスのマッチングとか、そういうことで稼ぐ力を、やはり当然、国の信用を背景にしてやらなきゃいけないと思います。

 ですから、展示と放映と発信だけで一方通行で終わってしまって、やっていたね、私もちょっと試食したよ、おいしかったね、写真を撮ってフェイスブックに載っけたよみたいな、何か一過性のイベントで終わっちゃいけないわけでして、このミラノ万博をビジネスにつなげるという意味ではどんな取り組みをしているのか、まさに稼ぐ力を具現化するためにどうしているのか、最後に伺いたいと思います。

寺澤政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、万博をビジネスにつなげていくことは非常に重要でございます。

 そうした観点から、今回、万博と連動して六月二十五日から七月十三日まで、ミラノ市内でジャパンサローネというイベントを開いています。そこで、個別企業が展示を行うことに加えて、個別のBツーBの商談会を行っています。

 さらに、七月十日、来週の金曜日ですけれども、EU、欧州委員会と連携をして、ヨーロッパと日本企業が集まって、セミナーと大規模な個別のBツーBの商談会を行います。

 したがいまして、委員御指摘のとおり、万博を日本のビジネス拡大にもしっかりとつなげていきたいと考えている次第でございます。

渡辺(周)委員 とにかく、展示しています、放映をして理解をふやす、そして発信しています、こんなことをいっぱい書いてあるんですよ。問題はその後。

 だから、それが本当に、これだけ多額のお金を使ってやっているわけです、それでいて、やはりちゃんとしたビジネスにつながるということを、ちゃんと成果として後で報告してください。ただイベントをやって人がいっぱい来たということだけで終わらないように、そのことをまた今後も追及していくことをお約束申し上げまして、質問を終わります。

江田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。衆議院議員の近藤洋介です。

 本日、私は、六月三十日にまとめられました経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太方針と、また、三十日に決定されました日本再興戦略、いわゆる成長戦略についてお伺いをしていきたいと思います。

 これは、経産省といいましょうか政府がまとめられた成長戦略、実態的には経済産業省が相当深くかかわってつくられた戦略だ、こう認識しております。私も民主党政権下で成長戦略を、当時は政務官でありましたけれどもかかわってまいりまして、経産省の職員の方々と一緒につくった記憶がございます。

 そういう意味もあるので、大変優秀な官僚の皆さんと一緒につくらせていただいた記憶があるものですから、多少この成長戦略には、多少というかかなり思い入れがございますので、きょうの質問は逆にやや厳し目になるかもしれません。それは愛情の裏返しだ、大臣、こう思って受けとめていただければ、こう思います。

 さて、この成長戦略、「日本再興戦略」改訂二〇一五でございますが、しっかり読み込ませていただきました。時間も限られているので、きょうはポイントだけになるんですけれども、この「日本再興戦略」改訂二〇一五、副題が「未来への投資・生産性革命」、こう銘打たれております。ことしのテーマは「未来への投資・生産性革命」である、こういうことです。

 革命という言葉を使われました。役所がつくるペーパーですから、言葉は十分吟味をされているだろう、こう思います。私も成長戦略をつくるときに言葉を十分吟味してつくりましたので、よくわかります。革命という言葉を今回使われたか、なるほど、こう思ったわけであります。

 革命。広辞苑によりますと、「天命があらたまること。」そして、いろいろ意味がございますけれども、「従来の被支配階級が支配階級から国家権力を奪い、社会組織を急激に変革すること。」といった意味から「ある状態が急激に発展、変動すること。」恐らく、使われているのは、「ある状態が急激に発展、変動すること。」という意味での革命だろうな、こう思うわけであります。

 さて、生産性、投資の状況が急激に発展、変動することを目指してつくられたこの成長戦略でありますけれども、最初のところの主要施策例というところ、「未来投資による生産性革命」の中で、本文でいうと二十八ページでありますけれども、そこの一番最初のところに、いわゆる経産省用語で言うところの一丁目一番地なのかもしれませんが、そこには、「「稼ぐ力」を高める企業行動を促す」という項目があり、「i)「攻め」のコーポレートガバナンスの更なる強化」という項目がございます。恐らく、この項目からして、経済産業省経済産業政策局が総力を挙げてつくられたと思われる項目であります。

 さて、この成長戦略をつくるに当たって、経済産業省経済産業政策局がこれぞといって出された施策でありますが、委員長のお許しを得て配付をさせていただいているこの紙に書かせていただいております。左側のところであります。それぞれ本文をそのまま写させていただきました。

 ここに書いているそれぞれの項目、攻めのガバナンス体制の強化、取締役会の、いわゆる決定事項の中身の範囲の明定化というんでしょうか、であるとか、企業と投資家の対話の促進という、具体的には情報開示ルールを統一しようといったこと、さらには金融機関における経営支援の強化等の一層の推進ということでありますが、よく読むと正直申し上げて一体何を言っているのかよくわからない中身なのですが、そして最後に法人税改革、こう書いております。

 さて、大臣、ここでお伺いしたいんですが、ここの幾つかをやって、生産性を急激に発展、変動させることに直接どのようにつながるのか、私はちょっとイメージが湧かないのであります。一体どういう革命が起こせると考えていらっしゃるのか、お答えいただけますか。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

宮沢国務大臣 革命といった言葉、今御説明がありましたけれども、恐らく、中国からの流れの革命とフランス革命の流れの革命、こういうことであるんだろうと思います。そして、この我々が使ったまさに革命、生産性革命は、どちらかというと恐らくさっき解説をされたような意味合いで使っております。

 経産省は、実は去年はロボット革命推進会議というのをつくっておりまして、やはりロボットを通じて、IoTの時代に対応する、まさに大きく変わっていくということを目指して始めておりまして、今回は生産性革命という言葉を使わせていただきました。

 そして、やはり一番大きな意識といたしましては、この二十年というデフレの時代の間に、特に大企業を中心に、全てとは申し上げませんけれども、企業経営といったものが、相当、前向きの投資を怠るなど、なかなかしっかりと前を向いた経営ができてこなかった、デフレになれ過ぎてしまった、またそれがデフレの要因になっている、こういうことを反省しております。

 そうした意味で、やはり企業経営者にしっかりと今後対応していただく。例えば、資本といった意味でも、内部留保でためてそれだけでおくのではなくて、それをやはり、しっかり効率的に資本を運用していただくことによって、生産性向上に資するような大きな投資をしていっていただきたいということで、各方面から、経営者、少し気持ちを入れかえてくれ、こういうような意識でまさに生産性革命という言葉を使わせていただいたということであります。

近藤(洋)委員 大臣、おっしゃるとおり、問題意識は全くそのとおりだと思うんです。今必要なのは、生産性を向上させなければいけない、人口が減る中で余計その問題は極めて重要だ、この問題意識は全くそのとおりだと思うんですね。

 したがって、大臣がお答えもいただきました、では生産性を高める上で何が問題かというと、恐らく、お答えいただいたように、企業の行動でいうと内部留保ではなくて積極的な生産性を高めるための投資をしてもらうようにしてもらわなければいけない、かつ、中長期的には、生産性とは直結しないけれども、RアンドDにお金を振り向けてもらわなければいけない、こういうことなんだろうと思うんですね。

 その問題意識のために出た答えが、この取締役会の要件、議論する中身を明定化するといった程度の話なんですかということなのであります。そしてもう一つは、東京証券取引所と会社法の情報開示のルールを統一化しますなどというレベルの、いや、やるなとは言いませんよ、このレベルの話しか出てこないのですかと、余りに寂しくはないですかということを申し上げたい、こう思うんですね。

 そこで、例えば、もしそういう企業経営の問題点があると大臣が御認識されているのだとするならばお伺いしたいんですが、あえて申し上げると、配当のお金を、短期的な株価の維持ではなくて、長期的な企業の価値の向上、すなわち投資に回すような経営を促すという観点からすると、例えば長期保有の株式の優遇であるとか、例えばストックオプション、これは経営者が自社株の向上のみを言う、ややもするとそこのみに観点が行き過ぎになってしまうという弊害が過去指摘されているわけです。ですから、ストックオプションを制限するとか、こういったことを、私は、ある意味で革命を起こすのであれば、盛り込む、研究すべきではないかと。

 既にこうした問題点については政府の中においても研究をされてきたはずであります。この点についてしっかり研究をすべきだし、打ち出すべきではなかったか、こう思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

宮沢国務大臣 おっしゃるように、長期保有の安定株主がいるということは、経営的には中長期の判断ができる、また、ストックオプションを付与された経営者というものは、短期的なまさに株価を上げることについつい専念してしまうといったような弊害はあるんだろうと思っております。

 一方で、長期保有自体が、安定株主ということで、ある意味では持ち合いのようなことも実はあったわけでありまして、これ自体の弊害といったものもあります。また、ストックオプションということで大変やる気になる経営者、経営陣がいることも確かでありますので、どちらがいいのかというのはなかなか難しい話だろうと思います。

 そして、長期保有を優遇するという政策は実はこの前までやっていたわけでありまして、株の長期譲渡所得については税制で優遇するということをやっていたわけでありますけれども、正直言いまして、この税制自体も、持ちやすくする税制ではなくて、ある意味ではどこかで売らなければいけないという税制でありまして、そういった意味で、長期保有に資してきたかというと、なかなか難しいところがあろうかと思います。

 そういう中で、ストックオプションについて言えば、アメリカに比べれば日本の企業ははるかにちゃんとしたストックオプションといいますか、一円上げますよみたいなことではなくて、ちゃんとしたストックオプションを導入している企業はそれほど多くはないわけであります。

 私は、ですから長期保有をなるべくふやす観点というのは大事だと思っておりますし、また、過度なストックオプションというものも問題が多い。ただ、それぞれに反対側のデメリットがあるということは考えながら、今後政策を進めていかなければいけないと思っております。

近藤(洋)委員 大臣のおっしゃっているプラスの面、マイナスの面、よく私もわかるのですが、ただ、あえてこの場で申し上げると、今、日本の経済の状況全体で考えると、相当配当がふえているんですよね。個人の所得税の中を因数分解すれば、この間決算というか、全体が出ていると思うんですけれども、個人所得の増加分を見ても、例えば個人に引き直しても、給与所得の増というよりは、ほとんど配当収入でふえているのが実態のはずです。企業の収益の状況を見ても、円安のメリットのところと、そして、海外からの配当でもうかっているはずなんです。だから、今の日本の経済の状況を考えると、相当配当というところでもうかっている、これが現実なんです。

 そこをもう少し是正して、まさに、何でこんなことを強く言うかというと、やはり生産性革命ですよね。投資を促すわけですよね。そのためには、内部留保ではなくて投資を出すということであるならば、やはり配当というものではなくて、投資を相当後押しする制度をやはりこの中で入れるべきではないか。そうでなければ、ちょっと担当局長が後ろにいらっしゃるので私は言いにくいんですけれども、一体何が経済産業政策局がここで革命を起こすためにプラスになるのか、全くわからないわけであります。

 もう一つ伺います。税です。

 法人税を書かれておりますが、法人減税を速やかにということをやるなとは言いませんし、私もやったらいいだろうと旗を振ってきた人間ですから、それはそれとして。ただ、あえて言うなら、生産性革命をおっしゃるならば、前から申し上げているとおり、投資を促す、償却資産の固定資産税の減免等、こうした税制について踏み出すべきではないのか。

 まさに、これは経済産業省のペーパーでしょうけれども、製造業の設備年齢は非常に高齢化している、国内の人間と同じように設備も高齢化しているという問題意識を持つならば、こうした設備投資減税も頭出しをすべきではないか、こう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 私どもが政権に戻りました二十四年の暮れからですから、二十五年度税制改正が一月にすぐありました。そこでまず設備投資減税の頭出しをさせていただきまして、そして、二十六年度の改正で設備投資減税、しっかりしたものを導入したという経緯の中で、これはかなり使われてきております。

 ただ一方で、こういう制度というものはずっと続くとなるとついついインセンティブ効果がなくなるわけでありますので、やはり期限が参りましたら、それをやめますと言うこと、そろそろアナウンスすることによって当面の設備投資をふやすということが大事だろうというふうに思っております。

 一方で、固定資産税、償却資産課税につきましては、私も税調の幹部をやっているときから問題視をしていた立場でありまして、かなり総務省とはやり合ってまいりました。少し頭出しぐらいするかなというような状況もあったんですけれども、大きな波の中で、とりあえずは、地方をめぐる税制の問題が、例えば東京と地方といったような話がかなりあったものですから、二十六年度改正では実は間に合わなかったという部分がございます。

 そして、二十七年度の税制改正大綱におきましても、固定資産税についての問題意識といったものが大綱に記されているところでありまして、私自身もかなり問題意識としては持っております。

 ただ、これは委員御承知のとおり、そういう話を始めると、恐らく委員がそうおっしゃったということになると、すぐに山形の地元の市町村長さんから、財源はどうしてくれるかという話が来る中で、いいあんばいのものを見つけていかなければいけないんだろうと思っております。

近藤(洋)委員 私は、この点については確信犯でございまして、地元の自治体は、やはり稼ぐところがなくなればますます疲弊するだけですから、ここの部分は腹をくくってやれ、やった方がいい、こういう立場に立つものであります。

 さて、時間も限られてきたので、あえて申し上げると、ちょっと通告した部分をある程度はしょりますけれども、ただ、このペーパーは多少先のことも埋め込んでいるところがあるんですね。

 開廃業率のところで聞こうと思ったんですが、あえて聞かないでおこうと思います。ここも、要するに、開廃業率、非常に当初の数字から低いままです。ただ、大事なのは廃業しやすい環境をつくることだと私は思っているんですね。

 そういう中で、これの百四十ページ、中小企業の稼ぐ力の確立に向けた金融機能の強化というところに、「信用保証制度の在り方について本年中に検討を進め、あるべき方向性を示し、その後必要な措置を講ずる。」とぴょろっと書いているんですね。

 私は経産省、中小企業庁がどんな思いでこれを入れたかはわかりませんが、恐らく、この信用保証制度、成長戦略にこれを入れているということは、各省の合い議の中で入れているんでしょうから、ぜひ信用保証制度をきちんと見直しをして、企業が適正に退出しやすい環境づくりの上でも信用保証制度を見直すというところに踏み出してもらいたい。そういう決意を持ってやっていただくと革命的なことが起こり得るんだろうという期待を持ちたい、これは指摘だけにしたい、こう思います。

 もう一点、小泉政務官にお越しいただいているので、高度人材の話を伺いたいと思います。

 高度人材。このペーパーによると、二〇一七年までに五千人の高度人材認定を目指すとありますけれども、我々民主党政権時代に取り組んできたときには、この程度の人数じゃなかったと思っているんです、認識として。

 世界じゅうから高度な人材を入れて、まさに生産性を上げる、日本の稼ぐ力を強化するため、もっと多くの高度人材を入れるためにポイント制の導入に踏み込んだわけでありますけれども、なぜこの程度の、この五千人という根拠は一体何にあるのか、政務官、お答えいただけますか。この程度にとどまった理由をお答えいただきたい。

小泉大臣政務官 近藤先生から、この程度という、目標に対して低いという御認識での御質問が今ありましたけれども、九百九十五というのが、今回の再興戦略でも、まずそこが数字としてありますけれども、足元でいうと三千人を超えたと聞いております。そして、二年後の二〇一七年に五千人を達成するために、関係省庁が連絡、連携をとって頑張っていこうと。

 ただ、五千人をどう見るかというのは、先生からすると低いと思われるかもしれませんが、民主党政権時代は三桁の数字です。それから比べれば、今二千七百ぐらいというのが二月の数字ですけれども、この五千というのは、私は必ずしも低いとは言えないのではないのかなと。

 関係省庁が連絡、連携をしっかりとって、しっかりとその目標を達成して、なぜ高度人材が外国からも必要なのかといえば、日本の経済成長のために、多様性、そして新たな活力、こういったものを日本の経済の成長に生かしていこう、そういった考えですので、先生御指摘の五千人が低いのであれば、もちろんそれが最後の目標ではありませんから、そういった目標を達成し、さらに日本の活力につなげていけるように頑張っていこう、そういうふうに思っております。

近藤(洋)委員 時間が来たので、最後の質問にします。

 小泉政務官、我々のときは、ほとんど鎖国をしている自民党政権を引き継いで、これは何とかしなきゃいかぬというので法務省なり厚労省を徹底的に説得して、そしてポイント制度をつくったんです。その経緯をちゃんと勉強していただきたいと思うんですね。その結果、ある程度ふえてきた。ただ、もっとふやさなきゃいかぬのですよ、革命的に起こすのであれば。いいですか。

 そして、まだまだこのポイント制でいろいろ問題があるんです。細かいことはいろいろ言いませんけれども、厚労省は、この制度をつくるために何か社会保障制度が壊れるとか、めちゃくちゃな理屈を言って抵抗してきたんです。ですから、もっともっとふやそうと思えばふえるはずなんです。

 その上で、五千人程度の高度人材じゃまだまだ足りないと思います。違った意味で、違う制度も含めて外国人の活用というのが必要かと思いますが、経産大臣、最後にそのことを伺って私の質問を終わりたいと思います。

宮沢国務大臣 まさにこれから人口が減っていく、労働人口がさらに減るという状況の中で、外国人の方の労働力、それはいろいろな現場での労働力という意味もありますし、おっしゃるような高度人材といった意味もあって、大変大事なことだと思っております。

 ただ、五千人が高過ぎるか低過ぎるかは別にしましても、なかなか日本がまだ魅力的でないといったところが恐らくあることも事実でありまして、私も五月にインドに行ってまいりましたけれども、インド工科大学というところに行きまして、IT関係のまさに最先端の学生を集めていただきましてリクルートをしてきたというのが最初にやったことでありまして、そういう努力の積み重ねが今後必要になってくると思っております。

近藤(洋)委員 終わります。

江田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 落合貴之でございます。

 本日も維新の党のトップバッターとして質問をさせていただきます。

 今、近藤委員も取り上げられていらっしゃいましたが、六月三十日に「「日本再興戦略」改訂二〇一五 未来への投資・生産性革命」が閣議決定されました。これは安倍内閣の成長戦略の方針をまとめたものですので、産業政策をつかさどる経済産業省も大きくかかわるところですので、本日は、この日本再興戦略に関した質問をさせていただきます。

 また、本日は、内閣委員会も開かれている中で西村副大臣にもお越しいただきまして、まことにありがとうございます。

 今回の日本再興戦略の中身は、アベノミクスの第二ステージというふうにうたわれています。第一ステージ、アベノミクスの第一の矢が金融政策、第二の矢が財政政策、これは、マクロ経済学的にも経済対策としてオーソドックスなものを深化させるということで、大変意義があるものと思います。しかし、金融政策、財政政策、ずっと積極的な状態を続けることはできません。緊急的な経済対策から自律的な経済成長につなげていく、第三の矢、規制改革、これが重要な問題だと思います。

 そこで質問ですが、安倍内閣が始まって二年半ちょっとたちました。規制改革、第三の矢の成果は具体的に出ていますでしょうか。

田中政府参考人 アベノミクスの第三の矢でございます成長戦略につきましては、二〇一三年六月の策定以降、これまで二度にわたって改定を行ってきているところでございます。既に多くの施策について実行、実現に取り組んでおりまして、その成果もあらわれているというふうに認識してございます。

 具体的には、一兆円規模の設備投資減税、これを実施させていただいておりまして、二〇一二年に設備投資額六十四・九兆円であったものが二〇一四年には六十九・三兆円までふえているところでございます。

 また、会社法の改正、それからコーポレートガバナンス・コードの適用、こういったことを開始させていただいておりまして、社外取締役の導入を促進し、コーポレートガバナンスの強化に当たっているところでございます。独立社外取締役を選任する企業が、東証一部では二〇一三年に四七%であったものが二〇一五年には八五%にふえているところでございます。

 また、ビザ要件の緩和などによりまして訪日外国人の旅行者数も増加をしておりまして、二〇一二年には八百三十六万人であった訪日外国人旅行者数が、二〇一四年、千三百四十一万人にもふえておりまして、二〇一五年の一から五月の累計では前年同月比で四四・九%増にふえる。

 こんなことも含めまして、目に見える形で成果が上がり始めているところでございます。

 先生の方から構造改革というお話がございましたけれども、法律改正を伴うものが多い施策でございまして、既に、再興戦略策定以来、昨年の臨時国会までに四十本を超える成長戦略関連法案が成立したところでございます。また、この通常国会におきましても、昨年の成長戦略改定に盛り込まれておりました施策の実現のために、二十五本の成長戦略の関連法案を提出させていただいているところでございます。

落合委員 安倍内閣が国民にうたっているのは、岩盤規制に穴をあけていって、そして日本の経済成長を牽引するような新しい成長セクターをどんどんつくっていくというレベルの話を安倍総理もされていますので、これはもっともっと規制改革を進めていかなければならない問題だと思います。

 全てにおいて法改正が伴うということで、大変難しい問題ですが、この成長戦略、こちらに書かれているものも実行して、アベノミクスの恩恵を受けていない国民はまだまだたくさんいますので、成長戦略の実効性については我々もしっかり見ていかなければならない部分だと思います。

 さまざまな論点がある中で、今回は、人や生活に焦点を当てて質問をさせていただきたいと思います。

 この一枚紙の右側の方に、「長時間労働是正による労働の「質」の向上」と。労働生産性において労働の質の向上というのも重要だと思うんですが、先ほど渡辺委員も質問されていましたが、報道などによりますと、七月一日から国家公務員の朝型勤務が始まって、七月、八月は出勤時間を一、二時間早める、夕方の退庁を励行して、ゆう活という言葉も使われています。

 先ほど同じ質問がありましたので質問は割愛をしますが、これは、早く出勤するだけではなくて、やはり長時間労働を是正する、残業を減らす、勤務時間を減らすということが目的ですので、七月、八月が終わったときに実際に勤務時間を削減できたのか、これは我々の質問通告もあり方を考えなきゃいけないですが、出勤時間を早めたことなどで勤務時間は少なくなったのか、これは実際どうだったのかが重要ですので、また八月が終わった時点でお伺いをできればと思います。

 先ほど渡辺委員も保育所をどうするんだという話がありましたが、この長時間労働の是正は、女性の社会進出にとっては欠かせない、重要なことだと思います。

 母親が八時間以上働くとなると、預ける場所はもっと長い時間預けなきゃいけませんので、結局は、正社員として働いても、追加の保育料が取られて経済的にペイしない。正社員じゃ無理だからパートにしたら、また今度は、時給が低いので経済的にペイしない。だから、女性の進出は妨げられてしまう。

 この問題、女性の社会進出のためには、いわゆる子育て産業の育成、特に十五年ぐらい前から、構造改革の、成長戦略の柱とされてきました。しかし一方で、私の地元は世田谷区なんですが、まだ待機児童が千人います。毎年毎年保育の充実を区長も掲げていますけれども、待機児童千人が続いている。私の家もゼロ歳児がいるんですが、預ける場所がなくて妻が育休を続けている状況です。

 今まで、この子育て産業育成、小泉内閣あたりからはかなり柱として挙げているんですが、どのぐらい成果は上がっているんでしょうか。

田中政府参考人 先生御指摘のとおり、成長戦略におきましては、我が国最大の潜在力でございます女性の活躍推進を重要課題として位置づけてきたところでございます。

 その上で、先生御指摘のとおり、子育てと仕事の両立を図ることが大変重要でございまして、二〇一三年から二〇一七年の五年間で約四十万人分の新たな保育の受け皿を整備する、待機児童解消加速化プランを成長戦略の一環として位置づけて、これまで実行に取り組んできたところでございます。

 厚生労働省が昨年九月に公表いたしました待機児童解消加速化プランの集計結果によりますと、二〇一三年度と二〇一四年度の二年間で十九・一万人分の新たな保育の受け皿が整備される見込みでございます。

 以上でございます。

落合委員 今までもされてきましたけれども、厚生労働省のというふうにおっしゃいましたが、子育て産業と成長戦略などでは言われているんですが、現状は、保育は産業ではなくて福祉に分類をされている。

 例えば、私の友人で、夫婦ともに銀行員の総合職で、子供を預けるのに二十万でも三十万でも月払っていいと言っていても待機児童になってしまっているんです。地元の保育所とかに聞きますと、百人待ちだから無理だと。三十万円払っても入れられないということなんです。

 これは、今までの福祉という概念から外れて、やはり産業政策として、サービス産業として捉えていっていいんじゃないか。少子化を克服することが、マクロ経済で考えても国家の将来を考えても、子育て産業の育成というのは、やはり国家的な重点産業に位置づけられるべき、安倍総理がやりたいことを実現するには子育て産業の発展は欠かせないと思うんですが、これは福祉の分野から踏み出すぐらいまでやるということに関してはいかがでしょうか。

田中政府参考人 現在、成長戦略に盛り込んでおります待機児童解消加速化プランでは、先ほど申し上げましたように、集中的に保育の受け皿を整備するということで、各般の施策を実行しているところでございまして、その中には、五つの柱で緊急プロジェクトをやっておるところでございますけれども、認可を目指す認可外保育施設への支援ということも含めまして対策を講じているところでございます。

 さらに、子ども・子育て支援新制度、この中で、保育所以外にも認定こども園、それから小規模保育、事業所内保育、さまざまな保育の形態をふやすことによってキャパシティーを拡大していこう、こういう政策を実行しているところでございます。

落合委員 ここから先は、厚労委員会ですとか内閣委員会でお伺いをできればと思います。

 成長戦略の中に、働き方を変える、在宅ワークですとかテレワークの促進もこれまでもうたわれてきました。その成果はいかがでしょうか。

田中政府参考人 女性や高齢者も含めまして、働きやすく、また、意欲のある、能力のある方々が働きやすい環境をつくることで、労働力人口を維持し、また労働生産性を上げていくということが、日本が成長を持続していくかどうかの鍵を握っているという認識のもとで、先生御指摘のとおり、再興戦略のもとで働き方改革を進めてきたところでございます。

 具体的には、働き過ぎ防止のための取り組みの強化、それから、時間ではなく成果で評価される高度プロフェッショナル制度の創設、企画業務型裁量労働制の見直し、フレックスタイム制の見直し、職務等を限定した多様な正社員の普及拡大といった取り組みを進めているところでございます。

 特に、働き過ぎ防止のための取り組み強化につきましては、厚生労働省におきまして、月百時間を超える時間外労働を把握した全ての事業所などに対する労働基準監督署による監督指導の徹底を、本年一月から実施しているところでございます。

 また、多様な正社員の普及拡大に向けた雇用管理上の留意事項等の取りまとめ、通知の発出、周知等を実施しているところでございます。

 高度プロフェッショナル制度などの労働時間改革に関しましては、労働基準法等の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただいているところでございます。

落合委員 これも、労働基準法ですとか、いわゆる福祉的な観点から脱却して、やはり生産性の向上などにもつながっていきますので、ぜひ枠組みを超えて取り組まなければならない問題だと思います。

 それから、高齢者の就労促進、これも年々重要性が高まっていると思います。定年制をなくすべきという労働経済学者もいらっしゃいますが、この点、高齢者の就労促進、どのような成果を上げていますでしょうか。

田中政府参考人 御指摘のとおり、人口減少社会におきまして、働く意欲のある高齢者が社会で活躍し、その可能性を発揮できるような環境に取り組んでいくことが大変重要だと認識してございます。

 このため、高齢者の活躍促進についても、日本再興戦略の重要課題として位置づけてございまして、厚生労働省におきましても、成長戦略を踏まえまして、高齢者の継続雇用に取り組む中小企業に対する職域開発の支援、それから高齢者の再就職支援の充実、シルバー人材センターの活動範囲の拡充などの施策に取り組んでいるものと承知しております。

 また、今回の改訂二〇一五におきましても、高齢者の就労マッチング機能の強化、それから、高齢者の多様な雇用、就業機会の飛躍的向上を図る観点から、職業訓練の受講の促進、退職後も働くことを希望する高齢者に対するハローワークや民間職業紹介事業者への求職情報の登録の促進、職務可能地域、職務可能日、職務上可能な作業などの求職情報のきめ細やかな情報の提供などを進めているところでございます。

 高齢者の就業率は、六十歳から六十四歳の層で約六一%、六十五歳以上で約二一%でございまして、近年上昇傾向にございますけれども、働く意欲のある高齢者等がさらに活躍できるよう、引き続き取り組みを進めていく必要があると考えてございます。

落合委員 こういった女性の社会進出、高齢者の就労、多様な働き方を認めるには、同一労働同一賃金という考え方、これがある程度社会に浸透しなければならないと思いますが、政府は同一労働同一賃金をどのようにお考えでしょうか。

田中政府参考人 これまでの産業競争力会議の議論や、それから成長戦略の策定の議論におきまして、同一労働同一賃金については議論されてきておりません、また盛り込まれてもおりませんので、担当としてちょっとお答えできる立場にはないことをまず御理解いただきたいと思います。

 なお、今国会における質疑におきまして、内閣総理大臣から、同一労働に対し同一賃金が支払われるという仕組みは一つの重要な考え方と認識しているということ、しかし、ある時点で仕事が同じであったとしても、さまざまな仕事を経験し責任を負っている労働者と経験の浅い労働者との間で賃金を同一にすることについて、我が国で直ちに広い理解を得るということは難しいものと考えているということ、また、諸外国における均等待遇の制度や運用状況等については不明な点も多いことから、均等・均衡待遇の確保のあり方について検討するため、諸外国の制度などにつきまして調査研究に取り組んでいくことについて、答弁がされているものと承知してございます。

落合委員 この成長戦略の生産性革命の三本柱の「個人の潜在力の徹底的な磨上げ」、これを実現するには、最終的にはこの部分を解決していかなければ進まないところがたくさんあると思います。ぜひこの同一労働同一賃金についても、政府の柱として検討をいただければと思います。

 済みません、きょう準備してきた質問はほとんどできなかったんですが、一個、経産省の関連で、Iターン、Uターンを進めていくという上で、地方に雇用をつくっていかなければなりません。今回、電事法を改正いたしましたが、エネルギーの地産地消、地域に合わせてエネルギー産業を興していくことで、今までなかったビジネスをその地方に生んでいくということが可能であると思います。

 これについて、電事法は全国に対する法律ですけれども、特に、経産省として地方の地産地消を進めていく上で気を使っている施策、具体的にどのように取り組んでいますでしょうか。

関大臣政務官 落合議員御指摘のとおりでございまして、地方の活性化におきまして、再生可能エネルギー等を活用しました分散型エネルギーの推進は非常に重要と思っております。

 固定価格買い取り制度が開始して以来、約倍ぐらいに取り組みがふえておりますが、我々の方も、地元企業や自治体等にわかりやすく情報提供するためのガイドブックをつくったり、また相談窓口の設置、そして広報活動、また、地域での事業化の中核を担う人材育成とか、そういうところをしっかりと今力を入れて進めているところでございます。

 またさらには、固定価格買い取り制度での売電を前提とせずに、いわゆるFITを使わずに、再生可能エネルギー由来の電気や熱を地域で消費する形の事業につきましても、発電設備等への導入補助、これらのところに力を入れて支援してまいっております。

落合委員 三段階の電事法改正案、ことしで全部通りました。具体的にどれぐらい進んでいるかがこれから数字で出てきますので、それをもとにまた質問させていただければと思います。

 きょう、西村副大臣に来ていただいていますので、率直にお伺いしたいんですが、やはり、省庁横断的につくる成長戦略はどうしてもパッチワークになってしまう、寄せ集めになってしまう、そういうふうに言われることが多いと思いますが、こういった寄せ集めにならないようにするためにどのような工夫をされているのか、お聞かせいただければと思います。

西村(康)副大臣 大変大事な御指摘でありまして、ややもすると、各省からの政策を総花的に寄せ集めてホッチキスでとめるということになりがちでありますけれども、今回、安倍内閣ができてから、民間議員が集まっての産業競争力会議、特に、それぞれの働き方改革、イノベーション、幾つかのワーキンググループもつくりながら、今回は、そこで民間議員の提案を中心に議論をさせていただきました。各省からの提案を待つことなく、むしろこちらから民間議員の提案を各省に投げかけていくというような形で進めてきております。

 特に、委員御指摘のありました働き方改革とか、それから子育て支援とか、これはどこか一つの省庁、厚労省だけでできるわけではなくて、全省的に取り組んでいかなきゃいけない、まさに省庁横断的なそういう課題について、今回、提案を民間議員から出していただいて、そしてそれを取りまとめていったということでございますので、生産性を上げていくとか、そのために働き方を変えていくとか、全省的に横断的なプロジェクトをぜひ大いに進めていきたいというふうに考えております。

落合委員 時間になりました。

 内閣が打ち上げていることを実行するには、実際にやろうとしたら足りない、打ち上げていることはいいんだけれども、実際にはできないということが大変多いですので、各省庁の末端まで内閣のやりたいことが行き渡るように、ぜひ御尽力をお願いしたいと思います。

 本日はありがとうございました。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 もうこんにちはの時間になったと思いますが、(発言する者あり)いや、十一時ちょっと前なものですから。

 にこやかな顔をするのがやはり福が舞い込む一つのすべだというふうに小さいときから教わってきたんですけれども、苦虫を潰していても自分に幸せは舞い込んでこないというふうに言われて、いつもにこにこしなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思ってきたんですが、なかなか、土日、国会がないときに地元に帰ったときに、製造業の方のところに訪ねていくと、やはりにこやかな顔をしていないんです。だめだよ、鈴木さん、アベノミクスはやっぱりうちまで来ないよと。二年半たっても、やっぱりうちまで来ないと言うんです。十二月にならないとサンタクロースは来ないのとわけが違うんですよ。

 だから、確かに、きょうの議論を聞いていてもそうなんですけれども、優秀な人の、大手企業の人たちにわかるようなこととか、その人たちがやっていることを幾ら支えたとしても、その人たちはいいんでしょうけれども、中小零細はやはり違うんだと思うんですね。

 それで、六月二十九日に第百四十回の中小企業景況調査というのが中小企業庁から発表されたんですけれども、やはりここにも同じような数字が出ています。きょうの日経新聞、「ユニクロ「脱デフレ」黄信号 再値上げ控え困惑」こういう記事が出ているんです。ちょっと息切れしてきちゃったのかなということなんですね。

 リフレ派というふうに言われる方々の発想なんでしょうけれども、国債をいっぱい発行して日銀に買ってもらって、お金をじゃぶじゃぶ市中に出すことによってインフレを呼び込んで、デフレからインフレにして、インフレになれば何か給料も上がるんだから幸せなんだというふうな形で、バラ色の絵を描いたんですけれども、実際は一部の人にとどまっちゃっている。

 そのところを、今、約八カ月ですか、大臣御就任されていろいろ手だては打ってこられたんだと思うんですけれども、率直な御意見を大臣からお聞かせいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 恐らく、中小企業、地方にはまだまだアベノミクスの効果が行き渡っていないところがある一方、地域によっては、例えば私の地元の広島県などは、マツダがあるせいもありますけれども、かなり中小企業に至るまで景気が、景況感はいいと言っている方が多いというような状況も起こってきていることも確かであります。

 そして、おっしゃるように、中小企業の業況判断DIは、一―三月期がマイナス一七・八ポイント、そして、さきに発表いたしました四―六につきましてはマイナス一八・七ポイントと、〇・九ポイントの悪化となっております。一方で、企業倒産といったものは減少しているといったような側面もあります。

 ともかく、中小企業全部が、皆さんがいいという時代というのは恐らくないんだろうと思っておりますが、かなりの割合で好況を感じていただくような政策をこれからやっていかなきゃいけないし、そのためには、中小企業のまさに生産性向上といったことを我々が支援していかなければいけない。

 その一助といたしまして、私は、大臣になったときにすぐ指示を出しましたけれども、成長戦略の担い手はまさに中小企業、中堅企業だろうと。と申しますのも、やはりこれからの時代は、大量生産、付加価値が低いものから、やはり少量生産、高付加価値型の産業、企業に変えていくということになりますと、少量生産ということでありますから、中小企業、中堅企業がまさに担っていける分野ということになる。

 これを、まさに中小企業が自分が主役だということに気づいていただいていないという中で、しっかりと成長戦略の中心の一つに、この成長戦略を中小企業、中堅企業のために見える化するといったものを具体的にやろうということを指示を出しまして、恐らく今月の半ばまでには第一弾を発表できると思いますけれども、こういうことをやって、とてもよかった事例、また悪かったけれども、失敗例だけれども、こういうところを直せばよかったというようなものをかなりたくさん今集めてきております。

 そして、そういうものを見てやる気になった中小企業につきましては支援をするプラットホームをつくっていく。それはコンサルタント的なものもあれば、金融的なものもあれば、また補助金とか政策金融の施策もいろいろ複雑にあって、特に経産省以外の役所がやっているものもありますから、そういうものをしっかりと一覧性のあるものをつくっていくとともに、また、例えばこれからのターゲットはアジアのお金持ち層、中流階級以上となりますけれども、北京の人たちはどういうものを欲しがっている、ハノイの人はどうだ、ジャカルタはどうだというような、海外のまさにニーズといったものも直接中小企業にお届けする。

 さらに、研究開発などにつきましても、中小企業は自社ではできないわけでありますので、そういう企業と公設の試験場等々をしっかりとつないでいくような方策といったプラットホームを用意して、お示しをして、全国展開をしていきたい、こういうふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 これは新聞の記事なんですけれども、景気がよくならない理由は案外単純だったというんです。ここで二つ述べているんですけれども、一つは恐怖心、それを取り除くことだというんですね。それともう一つは、恐怖心を和らげる効果があるのがインスピレーション効果だ、この二つだというんです。余り、お金持ちは意外とお金を使わないからお金持ちなんです。わかりますよね。お金持ちは国内で物を買わないんです、海外へ行っちゃう。だから景気がよくなっていかない。

 確かに、世界に先駆けて勝負ができるような中小企業さんがあるのも事実であります。先ほどの話じゃないんですけれども、製造業で金型の会社さんなんですけれども、絞りの金型をやっているわけです。よそができないものをうちはやっている、よそからすればうちは高い見積もりを出しても、よそがやれないんだからうちに仕事が来る。その社長さんが、アベノミクスはうまくいっていないよと言うんです、それだけの技術を持っている人がです。結局、やはりもっと単価をもらわなくちゃだめなんだろうということなんだと思うんです。

 それともう一つ、私、頭が悪いものですから、もう一つ記事を見たんですけれども、株だけ上がって景気がよくならないのはなぜか、見せかけの超金融緩和の本質なんだというような記事なんです。

 金融緩和でQEをやって、量的緩和でどんどん国債を発行して日銀に買ってもらって、お金をじゃぶじゃぶ出したのはよかったんですけれども、個人に直接ゼロ金利で融資するような制度があれば別なんですけれども、結局、お金が金融機関にとどまっちゃっているんじゃないかという考え方です。だから、これは日本でも欧米でも同じような構図になっちゃっているから、景気が上がっていかない、株だけは上がったとしても。

 結局、量的緩和をやっても景気刺激効果はないという意見が当初から出ていた。借金をしている張本人の国が借金の利上げをしたくないから量的緩和をしたんじゃないかと言うようなエコノミストもいるんだというんですけれども、もともと財務省、大蔵省の御出身の大臣ですから、同じ問いかけなんです。なぜ景気がよくならないのかというのと同じで、今大臣から御答弁いただいたんですけれども、でも、景気がよくなっていっていないんだと思うんですね。こういう発言をされる方もいらっしゃるわけですから、そこのところをこれからどう展開していくか。

 入り口があれば、必ず出口を見ていかなければならないんだと思うんですね。アメリカは、やはり出口が見え切れないから、ぐずぐずぐずぐずしていて利上げができない。ことしの九月に利上げをするんじゃないかということで、円安になったり円高になったり為替は動くし、株価が上がったり下がったりします、ギリシャの件もあるんでしょうけれども。でも、日本は、最初から入り口には入ったんだけれども、出口を目指しているわけじゃなくて、とりあえず入ってみようといって入っちゃったんです、お化け屋敷に。でも、出口が、今でも、二年半たっても全然見えてこない、一生懸命やっているんだと思うんですけれども。

 その辺、どうお感じになっているか、お聞かせいただければと思います。

宮沢国務大臣 まず、株式につきましては、日本の株式はかなり堅調に来ているわけであります。そして、その水準については政府が申し上げるわけにはいかないわけでありますけれども、いろいろな報道等がなされておりまして、日本の中の金融緩和というよりは、やはり外国人の買いが今の上昇を支えているというようなことが言われているわけであります。

 そして、おっしゃるように、金融だけでまさに景気が回復するわけではなくて、実体経済がしっかりついていかなければいけないということで、いわゆる日本再興戦略、成長戦略というものを打ち立てて、毎年改定をして、実体経済の成長を促していく方策を行ってきておりますし、先ほど中小企業について申し上げたのもそういう中の一端でありまして、やはり実体経済をよくしていくということが何よりも大事なことだと思っております。

 そして、出口の話をされましたけれども、これまた、これは日銀の専権事項でありますから、私どもが申し上げるわけにはいきませんけれども、一般論として、出口を考えずに入り口に入るという中央銀行は恐らくないんだろう。しかし、出口というものをにおわせた途端に、一般論として言えば、金利が先取りして上がってしまう。こういう問題があるという中で、出口については、中央銀行としては、なかなか、ほのめかすこともできない、こういう状況なんだろうというふうに思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 時間がないので、景気回復の前提として、幾つか地元の、私は埼玉の出身ですから、埼玉からの要望をいただいております。それについて何点か、経産委員会にかかわる案件でありますので、御質問をさせていただきたいと思います。

 地域経済の担い手である中小企業、特に埼玉県は九八%ぐらいは中小企業、全国的にも同じだと思うんですけれども、資金の融資や経営革新、技術開発の支援を埼玉県としても行っているんです。

 一方、経済産業局においても、中小企業の人材開発だとか、人材育成等の事業の高度化、経営の向上、新事業の創出の支援、中心市街地の活性化など、かぶるような施策を同じようにやっているんですね。

 今まで私は二年半しか国会にはお世話になっていませんけれども、本当に、省の中でも局が違うだけで、わかりませんと平気で答えてこられます。部が違っても、いや、私は担当じゃありませんからと。そこは徹底しています。それがいいのかもしれません。

 でも、地方に行けば行くほど、地方公共団体で、市町村になればなるほど、それでは住民の方からいろいろな苦情があるし、スピーディーに物を運んでいかなくちゃいけないので、やはりワンストップサービスというのをここ何年も前から口に出して言うようになってきたんですね。

 ですから、国の権限もまた財源も移譲してほしいというような要望が毎回毎回続いてきているんですけれども、国は、全国的な視点から国の重点施策に合致した提案を採択する必要があるんだとか、都道府県単位では専門の人材や十分な事業量を確保できず非効率なんだとか、全国どの地域においても統一的に事務処理されることが必要なんだとか、全国レベルの最先端モデル事業の支援が必要なんだということを一つの理由にして、地方への移譲はできないというふうにおっしゃるんです。

 でも、平成二十六年の地方分権改革に関する提案募集というのをするようになりました。中小企業の支援の地方への移譲について、国から都道府県への情報提供、連携強化を実施するというような回答をいただいたんですけれども、事務移譲、権限の移譲はされていないんですね。

 ですから、景気が悪い、では、どうしましょうかと大臣はお答えになったんですけれども、まだまだ二重三重、市もやれば県もやるし国もやるし、それを審査、審査、審査、やりながらお金を出していくんですね。そうじゃなくて、もう国内の景気回復は、それは国も一部責任もあるんでしょうけれども、地域の産業政策についてはどんどんお願いしたっていいんじゃないかと思うんです。

 確かに、今、私が、国が渡せない理由の四つの項目の中に挙げていますけれども、都道府県によっては、いや、そんなのは国でやってください、うちは結構ですからという県もあるんだと思うんです。でも、どんどんやって地域を元気にしていきたいんだという知事がいたり職員がいれば、それはやはり全国一律という考え方でなくてもいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺について大臣のお考えをいただきたいと思います。

山際副大臣 基本的には、国といたしまして、地方分権を進めていくというその方向性は共有させていただいていると考えてございます。

 平成十一年に地方分権一括法というものをつくりまして、今委員御指摘いただいたような観点から、地方でできることは地方にどんどんやっていただこうというような形になっていると思います。

 また、経済産業省といたしましても、従来より、国から都道府県への事務、権限の移譲というものを行ってきたところでありまして、ことしの六月に成立させていただきました第五次の分権一括法におきましても、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律及び中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に関しまして、これは課税の特例に係る認定事務を、先ほどもありましたけれども、国、経済産業局から都道府県に移譲すること等を措置したところでございます。

 また、おっしゃるように、国が統一的に補助金等々を出すというようなことは当然あるわけでございますけれども、そういった場合におきましても、事業の実施に際しましては、その地域の実情をよく把握しております県や市町村と連携することで、より効果的な事業実施が実施可能になる、このように認識してございまして、今後とも、地方自治体からの提案内容等々を真摯に受けとめて取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 もう一点、同じような、権限移譲してもらいたいというふうに思っているんですけれども、これは、国が都道府県を介さずに市町村や民間事業者等に直接交付する補助金があるんだそうです。空飛ぶ補助金、命名した人は大したものだなと思うんですけれども、自分たちの上を通り越しちゃっている。

 これを地方に任せるんだったら、やはり都道府県にするか、私たち維新の党は道州制というふうに言っていますから、もっと大きな単位の、道なり州なりできれば、そこに権限を預けて、人も金もというような考え方なんですけれども、すぐにそれは一足飛びにはいきません。そういったことをやった方が、効率のいい、また、元気を出そうとしなくちゃと思っている意欲、モチベーションのある県とそうじゃない県と、やはり差がついてしまうのはいたし方ないと思うんですね。

 例えば、これは過去にあった事例で、経産省ではそういう事例はないんですよというふうにきのうレクを受けたときに言われたんですけれども、最初から補助金の交付先が、国から事業者さんが決まっているんです。お金だけは国から都道府県を介して事業者さんに行くんです。でも、県はこの事業者さんを選定する決定権は全然ないんです。

 経産省ではそういうやり方はしていないというふうにきのう説明を受けましたから、これ以上のことは言いませんけれども、でも、ほかの省ではそれをやっていたら、やはり二重行政、三重行政、どこに責任の所在があるのかというのは不明確になるんです。

 はっきり言っちゃうと農林水産省の所管だったんですけれども、県の中では十五億の補助金を出さないように全部白紙に戻しましたよ、おかしいと。途中から、選定の仕方を毎回ゼロからスタートしますということで答弁をいただいて、そういうふうにやったんですけれども、当時担当の部課長さんは国から怒られたんだと思うんですけれども、そういうことをやっていて景気が上がらないの、上がるのというのは、やはりちょっと時代錯誤だと思うんですよね。

 だから、そういったことも含めて、やはりもう一歩でも二歩でも、権限を、財源も人も含めて渡していただければありがたいなと思うんですけれども、もう一度、もう時間も少なくなってきましたので、副大臣、よろしくお願いします。

山際副大臣 もちろん、経済産業省としては、今委員御指摘いただいたようなことはやっていないということを明確に答弁させていただければと思っておりますけれども、地方でできることは地方で、権限を移譲して、実施する一番近いところでやっていただくというのは、これは原則として私たちも同じ方向を向いているものですから、移譲してしっかり地域経済が活性化するのに資するのであれば、よりそのような方向で進めさせていただきたいと考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

 もう時間が来ておりますので、ちょっと飛ばさせていただいて、最後に一問だけ。

 循環型社会の形成と言われてもう何年もたつんですね。景気が悪くなると、リサイクルという言葉自体が聞こえなくなってきます。本来だったら環境省の所管なんでしょうけれども、デポジットをやろうとすると、これは経産省の所管になるんだそうです。きのう確認しました。

 それで、結局、どんどんどんどん製造業の拠点が海外に移っていきました。海外からいろいろなものを輸入して、私たちは豊かな生活を送るように今やっているんですけれども、物を使って廃棄物が出ます。それをリサイクルしたいといっても、リサイクルする事業者さんがもう既に日本に少ないんです。だから、人も、物も、お金も、水も、高いところから低いところにしか流れないと私は思うんですね。

 ですから、安いところでつくって、それは安い労働力ということですね。日本に入ってきて、では、それが日本で高コストになってしまったものをまた外に出せるのかというと、これはバーゼル条約という条約があって、廃棄物は外に出せないんです。でも、国内でリサイクルしようとすると、コストが上がってしまってリサイクルがなかなかうまくいかない。核廃棄物の処分場もしかりですけれども、今は余り話題になっていませんけれども、廃棄物の最終処分場も、もうだんだん適地と言われるところがなくなってきているんです。

 環境省では、リサイクル、リサイクルと声高にやるんですけれども、物をつくる、またそれを所管する経済産業省が、リサイクルしやすいものはリターナブルにするのかデポジットを取り入れていくようなことを積極的にやって制度化していかないと、言葉ではリサイクル、リサイクルと言うんですけれども、もう経済ベースでリサイクルをやって高コストになったら、誰も商売をやる人はやらないんです。だから、やはり国がメンテナンスをするなり制度をつくってきちっと手だてしていかなければ、これはなかなか根づいていかないんだと思うんですね。

 例えば、ドイツでは、ペットボトルは二回、三回使って、結局、飲料水の容器として使いますけれども、日本は、法律があるがために、ペットボトルを全部粉砕してもう一回練り直したものじゃないと容器として使わせないんです。その法律を変えない限りは、ペットボトルを二回、三回使いましょうという業者さんは出てこないんです。それをぜひ産業政策の位置づけでやったらどうかという御提案なんですけれども、いかがでしょうか。

関大臣政務官 基本的に、スリーRと呼ばれるリデュース、リユース、リサイクル、こういうふうな循環型社会の形成のところにつきましては、経済産業省も非常に大事なものだということで考えているところでございます。

 例えば、先ほどお話も出ましたけれども、容器包装リサイクル法は、平成十八年の改正法の附則に基づいて、今現在、経済産業省の方で産業構造審議会と、また環境省の中央環境審議会の合同会合におきまして、見直しの審議を行っているようなところでございます。

 そのような中におきまして、リターナブル容器の普及促進というお話も先ほど出ましたけれども、このような容器包装リサイクル法につきましては、インセンティブをいろいろ与えておりまして、例えば、回収量に係るリサイクル義務を、リターナブル容器などのように自主回収するような場合につきましてはそのリサイクル義務を免除するとか、おおむね九〇%以上回収できているようなときには、経済産業大臣の認定によりましてリサイクル義務全量を免除するインセンティブ制度を設けておりましたり、その状況によっては表彰しているような状況でございます。

 また、先ほどお話もありましたデポジット制度のところなんですが……

江田委員長 時間が過ぎておりますので、簡潔に御答弁ください。

関大臣政務官 はい。このデポジット制度のところにつきましては、実効性の確保の困難さや社会的なコストの大きさ、先ほど委員もおっしゃっていましたけれども、そういうところをいろいろ考えながら、審議会の方でまたよく詰めてまいりたいと思います。

 ただ、大きな観点としましては、このようなスリーRのところについては、非常に重要な、項目としては法律もあるところでございますから、有効性のあるような考え方をとって、今、審議会の方で審議をしていこう、そのように考えております。

鈴木(義)委員 しゃべりたいんですけれども。

 これを持っていけば一円で買ってくれると言えば、みんなごみに捨てない、そういう発想だと思います。

 どうもありがとうございました。

江田委員長 午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十分開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 きょうはコンビニの問題についてお伺いをしたいと思っております。

 今や私たちの生活になくてはならないインフラということで、私も一日に一回は必ずお世話になっているような状況でありますけれども、そのコンビニで今人手不足が大変深刻な問題になっているというふうに伺いました。

 先日、全国フランチャイズ加盟店協会の会長さんにお話をお伺いする機会がありまして、この会長さんは宮城県仙台市で実際にコンビニを経営されていらっしゃる方でもあります。

 二十四時間営業の場合は大体二十人ぐらい従業員が必要だそうですけれども、この会長さんのお店では十二名しか確保できなくて、会長さん自身がシフトに入らざるを得ないということでありました。一生懸命人手を集めるということで、例えばタウンワークという情報誌にアルバイトを募集する広告を四年間ずっと出して、大体二百万ぐらい四年でかかったそうですけれども、それでもやはり希望する人数は集まらないということです。

 この間、経済産業省がコンビニエンスストアの経済・社会的役割に関する研究会というのを設置されて、報告書もことし三月に発表されている。有意義な中身だと思うんですけれども、ちょっとお聞きしたいんですが、この報告書で人手不足についてはどのように指摘をされているでしょうか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 御指摘のございました、コンビニエンスストアの経済・社会的役割に関する調査、そこでアンケート調査を行ったわけですけれども、従業員の過不足感についての調査がございました。その結果ですけれども、まず従業員が不足して補充のめどがないとする店舗は一八・六%。今はぎりぎりの状態であり何かあれば確実に運営に支障が出るという店舗が三五・九%。ある程度足りているけれども何かあれば運営に支障の可能性があるとした店舗は三三・八%。以上を合計しますと、約九割の店舗が従業員不足によって何らかの形で運営に支障を感じているということになっております。

 したがいまして、委員御指摘のとおり、コンビニエンスストア業界におきまして、人員の確保は非常に重要な課題となっているのが現状でございます。

藤野委員 ありがとうございます。

 御指摘のとおり、九割が何らかの人手不足を感じているということで、大変深刻だというふうに思うんです。

 問題は、なぜこうなっているかということで協会の会長さんが幾つか指摘されていたわけですけれども、一つは、やはりコンビニ大手が大量に出店戦略をとっているということで、コンビニ業界は二〇一四年度、昨年度の店舗純増数が約三千二百店舗ということで、これは過去最高の新規出店数だと伺っております。

 二十四時間営業とすると、先ほど一店舗当たり二十名と言いましたが、新規出店が三千二百だとしますとその分だけで六万四千人の新規アルバイトが必要になってしまうということで、もちろんコンビニ以外の他業種もあるわけで、本当にいわゆる顧客の奪い合いだけでなく、新規出店によって従業員の奪い合いまで起きてしまっているというのが実態だとお聞きをしました。

 二つ目の要因として指摘をされていましたのは、サービスの多様化ということを言われておりました。

 経産省にまたお聞きしたいんですが、この報告書ではコンビニの多様な役割ということで幾つもの点を挙げていらっしゃると思うんですが、端的に、どのような項目が挙げられていたか教えていただければと思います。

寺澤政府参考人 お答えします。

 御指摘がございました、コンビニエンスストアの経済・社会的役割に関する研究会、コンビニエンスストアは全国で五万店舗に達しており、まさに委員も御指摘があったように身近で生活にとって必要不可欠な存在になっていることを踏まえて、コンビニエンスストアの今後の役割について、コンビニエンスストアのトップだけではなくて有識者も交えて議論をしていただいたというのが研究会の提言でございます。

 検討した中身でございますけれども、まず経済的課題については、地域における雇用の創出や多様な人材の育成、地域産品の発掘を通じた地産地消の推進、そして、海外の旅行客の需要を取り込むというインバウンド需要の確保、また、日本のすぐれたビジネスモデルを海外に展開するということなどについて、経済的課題として検討していただきました。

 また、社会的役割としては、地域の一員でございますので、防犯とか、あるいは高齢者の見守り活動に対する貢献、買い物弱者に対する支援、それから東日本大震災における経験を踏まえた災害時における対応、そして物流効率化、省エネ、食品ロスの削減などを通じた環境負荷の低減など、さまざまな課題について検討いたしました。

 また、こうした経済的、社会的役割を果たしながら、本部と加盟店が共存共栄できるような、そうしたフランチャイズシステムのあり方についても検討し、提言をいただいたところでございます。

藤野委員 ありがとうございます。

 まさに経済的にも社会的にも多様な役割を果たされている、総合生活産業と言ってもいいような状況だと思うんですが、そのコンビニが人手不足にあえいでいて、本当にそれではコンビニに期待される今言ったような役割が果たせない。それどころか、もっとひどい状況だというのを現場でお聞きしまして、会長さんがおっしゃっていたので私は忘れられないんですけれども、要するに、今、コンビニは従業員同士が交流する場も少なくて、成長あるいはやりがいが感じられなくなっていると。そして、長時間労働で、ある意味、店員から見ればブラック企業になってしまっているという言い方もされておりました。

 大臣にちょっと簡単にお聞きしたいんですが、コンビニは今や社会的インフラの一つだと思うわけですが、その九割が人手不足で、そしてやむを得ずブラック企業になっているというような状況が広がっているというのは、放置できない深刻な問題だと思うんですが、御認識をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 もともと、地元で聞いておりますと、コンビニというのは結構オーナーが大変で、まさに小規模の店と同じで、オーナーが先頭に立って家族でやらないとなかなかできないというのが、人手不足以前の話としてあった話であります。

 一方で、おっしゃるように、コンビニというのは、私も地元でも東京でもよく使わせていただいておりますけれども、今となっては本当に、なくては困る存在になってきている。

 さらに、人手不足の中で、しばらく前でありますけれども、東京のコンビニは時給二千五百円を出してやっと人が来るかどうかというような話も耳に入ってくるような中であります。

 ではどうしたらいいかといいますと、コンビニ以外でもいろいろ必要な産業で人手不足というものが生じていることは確かでありまして、根本的に言えば、恐らく産業全体の生産性をどう向上していくかということが一番王道の攻め方だろうと思っておりまして、サービス業につきまして、やはり徹底的に生産性向上を図る政策といったものを今検討させておりまして、こういうものを実現していかなければいけないと思っております。

 また、コンビニかどうかは別にしましても、外国人労働者といった問題も恐らく将来的には出てくるんだろうというふうに思っております。

藤野委員 今御指摘があったように、家族でやらないといけない。人手不足以前と言いましたけれども、人手不足だから家族がやらないといけないという側面もあって、お話を伺うと、店舗に寝袋を持ち込んで仮眠をとって勤務しているという例もあるそうで、やはり深刻な人手不足状況が背景にあると思うんですね。

 今大臣もどうするかという対策のところもお触れになったんですが、私が会長からお聞きしたのは、今、協会としても三つの緊急提言を出しているということでありました。その緊急提言の一つ目は、本部社員です。いわゆるフランチャイズの本部の社員を大量に加盟店に無償で派遣してほしいという要求でした。

 考えてみますと、コンビニ大手というのは、今、加盟店に対して、チャンスロスというものを徹底して減らすように指導をしているんですね。チャンスロスというもの。お聞きになった方はいらっしゃるかもしれないですが、要するに、チャンスはある、売れているのに人手が足りないとか、売れているのに商品が届いていないとか、こういう形で機会を逃しているのをチャンスロスだと言って、これをいかに減らすかというのはまさに生産性のお話につながるのかもしれませんが、大手は今一生懸命このチャンスロスを減らすことをやっているんです。

 しかし、考えてみれば、人手不足でレジが一個動かないとか、人手不足で業務ができないとか、これも立派なチャンスロスだというふうに思うんですね。ですから、本部がチャンスロスだ、チャンスロスだと言うのであれば、人手不足もしっかりそうした問題として対応すべきだというふうに思います。

 これは、研究会自身でもこの点はある程度の方策が示されていると思うんですが、経産省にお聞きしますけれども、この対策についてどのように指摘していますでしょうか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、先ほどいろいろ申し上げました経済、社会的役割を果たす上で最大の課題は人材の確保でございまして、加盟店のうち七割が、そうした役割を果たす上で、やはり人材不足の問題が重要だということでございます。

 したがって、人材確保というのは非常に重要な課題でございまして、御指摘がございましたコンビニエンスストアの経済、社会的課題に関する……(藤野委員「対策のところは。端的にお願いします」と呼ぶ)対策ですね。対策について、まず、加盟店の皆様が、女性、高齢者、外国人材の活用も含めて、みずから努力することが基本です。これは、提言の中でもしっかり位置づけられています。

 その上で、本部としてもサポートすることが重要だということで、本部については三点提言をしています。

 一つは、本部が、例えばコールセンターとかホームページを通じて、本部みずからが加盟店の採用活動を手伝う、補完するということでございます。

 二つ目は、先ほどオーナーの家族のお話がございました。オーナーも冠婚葬祭とか病気があって働けないというときがございます。そうしたときに、業務代行制度というのがあって、本部の方からスタッフを派遣する、そういう仕組みがございます。それを一層積極的に活用するというのが二点目です。

 三点目は、人材を確保してもそこから育成をしなきゃいけないということで、これはなかなか難しいので、人材育成プログラムについては、本部がしっかりと準備し、さらに、やりがいという意味では、スキルアップがちゃんと評価される、そういう仕組みが重要なので、そうしたものを本部としてきめ細かく提供する、こういうことが重要だという提言をいただいています。

藤野委員 ありがとうございます。そのとおりだというふうに思うんですね。

 概要でいいますと、その三つおっしゃったうちの二つ目を強調されていまして、冠婚葬祭等とおっしゃいましたが、要するに本部から派遣する。これは業務代行制度ということで、この報告書にも書かれておりまして、それを一層積極的に行うことが望ましいと提言しております。

 この研究会には、実は、コンビニ大手五社、当時ですけれども、五社の代表取締役社長全員、五人が参加されているわけで、ある意味、大手のトップ五人全員が入っているところで、本部から代行の制度を一層積極的にという提言をされたというのは、私はこれは大事なことだと思いますので、大臣にも、そういう意味では、もうトップみずからがそう言っているわけですから、ぜひこれを大いに活用して、加盟店の人手不足を本部一体となってやる。この報告書が強調していますのは、ウイン・ウインの関係とか共存共栄という言葉なんですけれども、そのためにもこの制度の活用は大いにやっていただきたいというふうに思っております。

 そこで、ちょっと時間の関係で、こちらで話させていただきますけれども、協会の提言の第二は、新規出店、要するに拡大戦略なんですね。大手というのは、拡大して、拡大してという。このやり方が、顧客の奪い合いだけでなく従業員の奪い合いを生んでいると言いましたけれども、これはやはりもう放置してはならない状況なのじゃないかなというふうに思うんですね。

 かつては、たばこや酒類販売、タクシーなどについて、規制を緩和して、また規制を強化するという動きもありました。自民党の中でも、四月の総務会で、こうしたたばこ、酒類販売、タクシーで規制強化の動きもあるというふうに伺っております。

 ですから、コンビニについても、本当に五十メーター置きにコンビニがあるというような状況、これを放置していたらどんどん悪循環になっていくというふうに思います。コンビニに求められる役割も掘り崩されていくというふうに思いますので、この点についても御検討いただきたいと思います。

 そして、二十四時間営業の見直し、これが三つ目なんですけれども、これもやはり加盟店とオーナーの合意がないもとで二十四時間営業が押しつけられているということもありますので、ここもしっかり見直していただきたい。

 以上が協会の緊急提言と言われる部分なんですが、私がきょうお聞きしたいのは、これはこれで急いでやるべきなんですけれども、より抜本的な、より構造的な問題について幾つかお聞きしたいと思うんです。

 一つは、本部の徴収するロイヤリティーの問題です。資料をお配りさせていただいておるんですけれども、これはやはりちょっと高過ぎるんじゃないか。それで、高過ぎるだけじゃなくて、おかしいんじゃないかというふうに思ったのでちょっと御紹介しているんです。

 コンビニ市場というのはどんどん伸びているわけで、二〇一〇年には市場全体でいえば売上高七・六兆だったものが、二〇一三年には九・四兆に伸びております。例えば、セブンイレブン・ジャパンというのは、二〇一一年度は売上高三兆二千八百五億円が、翌年度は三兆五千八十四億円、二〇一三年度は三兆七千八百十二億円と順調に伸びているわけです。

 しかし、加盟店や個々の労働者というのは大変悲惨な実態で、コンビニ労働者の賃金というのは最低賃金に張りついている。リクルートが出しています毎月のアルバイト・パート平均時給調査によりますと、コンビニというのは本当に、三大都市圏でも最低か二番目ぐらいというのを行き来している状況であります。

 一方で、本部へのロイヤリティーというのはどうなっているかということなんですけれども、ちょっと配付資料を見ていただければと思うんですが、例えばセブンイレブンで、物件の所有者がオーナーか本部かによって違うんですけれども、物件所有者が本部の場合のところの欄を見ていただくと、大変恐縮なんですが。粗利益が二百五十万円以下の場合はロイヤリティーが五六%なんですが、二百五十から四百万円だと六六%、四百万円から五百五十万円だと七一%で、どんどん上がっていくんですね。売り上げが、粗利が上がれば上がるほど本部に納めなきゃいけないロイヤリティーの割合が上がっていく。

 ちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、よく、頑張った人が報われる社会というお話があるわけですけれども、オーナーが一生懸命工夫して頑張って自分の店を魅力的にして、もうけをふやせば、そのもうけを上げたオーナーの取り分がふえるというのが通常だというふうに思うんですね。頑張った人が報われる社会というわけですから。

 ところが、コンビニの場合は、売り上げが上がれば上がるほど、本部に納めるロイヤリティーの割合が上がってしまう。私はこれは逆じゃないかと思うんですけれども、大臣、これはどのように思われますか。大臣にちょっとお聞きしたい。

宮沢国務大臣 まさにこれは民民でございますので、実際、コンビニのロイヤリティーを払って、やられている方からすれば、この契約内容で納得されて契約しているわけでありますので、私の方から、おかしいとかおかしくないとかというような話ではないような気がいたします。

藤野委員 私は、これはやはりおかしいと思うんですね、率直に言って。頑張れば頑張るほど本部に持っていかれる。頑張れば頑張るほど自分の、オーナーの取り分がふえるんなら、これは本当にウイン・ウインだと思います。しかし、それはウイン・ウインじゃないですよね。頑張ったら、そこに行かずに本部に行くわけですから。これは全然ウイン・ウインじゃないし、共存共栄じゃないと思うんですね。

 これがどういうふうに影響してくるかというと、結局、給料が上げられないという形になるんですね。別にオーナーがもうけて、よしというのではなくて、結局人手不足の問題にもかかわってくる。私がお話を伺ったFC協会の会長さんも、時給を上げたい、時給を上げれば人が集まるかもしれないけれども、本部へのロイヤリティーが五〇パーを超えているもとではとても上げられないというふうにおっしゃっていました。

 ですから、こういうロイヤリティー問題というのは民間任せでやっておりますと、この資料でもわかりますように、ローソンは若干違いますが、ほぼ、大手のところ、五社でいえば、売り上げが上がれば上がるほどロイヤリティーも上がっていくという状況はもう共通しているんですね。

 ですから、民間だけでやってくださいということをやってもなかなか進まない。これはやはり一定、政治がルールをつくる必要があると思うんです。この点での大臣の御認識をお願いします。

宮沢国務大臣 頑張れば頑張るほど生活が厳しくなるというようなことであれば、恐らく、それぞれのお店は頑張らなくなって、全体として、そのチェーン全体の元気がなくなるということだと思いますから、そういうことにはなっていないんだろうなというふうに思います。

藤野委員 これは、経産省自身が設置した研究会でも人手不足問題が指摘されております。

 私、なぜそういう認識が出てくるかといいますと、この研究会には加盟店のオーナーが一人も入っていないんですね。先ほど言ったように大手の社長は入っております。ですから、どうしても本部目線になって、それで大手というのは人手不足となかなか認めないんですね。ですから、やはりそういう背景というのが今の大臣の答弁にも反映されているかなと思います。

 結局、売り上げを上げないといろいろなペナルティーもかかってくるというもとで、本当に家族が命を削って働いている。奴隷契約という指摘もあるわけですね。本当に、そうした実態をぜひつかんでほしいというふうに思います。

 そして、例えば新しいサービス多様化の話もしましたけれども、フランチャイズ契約というのは、本部と加盟店のオーナーが合意してやるというのが大前提、フランチャイズの本質であると思うんですね。

 しかし、実態は、新しい業務をやりますよというのがメール一通でぽんと来て、いやも応も言わさず新しい業務がどんどんどんどん積み重なってくる。人手が足りないからできないと言っているのに、あれをやれ、これをやれがメール一本でやられる。こういう実態があるわけです。こうしたやり方というのは、フランチャイズ契約という、合意でもって成り立つという本質にも外れている、こういう点でも、やはり実態をしっかり踏まえていただきたいというふうに思います。

 そして、最後に取り上げたいのが、社会保険加入の問題であります。

 現行制度では、法人事業主、あるいは五人以上の従業員がいる個人事業主の場合は、原則として社会保険に加入する義務が生じるということになります。しかし、私がお話を聞いたFC協会でいいますと、事務局長さんは、ほとんどのコンビニが社会保険に加入していないんじゃないか、こうおっしゃっておりました。ある労務士さんは一割前後だという指摘も。

 だから、これはいろいろぶれはあるわけですけれども、大手に聞くとまたいろいろ違った言い方をするわけです。しかし、公的なデータというのが全くないというのが実態であります。

 社会保険の問題というのは、要因というのもさまざまですし、私も、何か一筋縄でぽんと対策が出るというふうにも考えているわけではないんです。非常に難しい問題だと思っております。

 加盟店オーナーにしてみれば、まともに保険料を負担したら一気に破産してしまうとか、あるいは、コンビニ本部としても、経営ノウハウの提供はしますけれども、労務管理とか社会保険管理、福利厚生というのは店主の方に契約上お任せしていますなんというようなことになるわけですね。あるいは、働いているパートやアルバイトの方にしてみても、手取りが減ってしまうという問題になってしまえば、単純にやらないでくれという声もあるのは私も認識をしております。

 ですから、一筋縄にはいかないと思うんですけれども、しかし、これを放置しておきますと、これはいずれ社会問題化すると業界専門誌でも指摘をされております。

 結局、親御さんにしてみれば、社会保険も整っていないような職場に自分たちの息子さんやお孫さんを働かせるか、やめておけという話になるんですね。そうしたらまた人手不足になって、悪循環になっていくというお話もお聞きしました。

 ですから、やはりこういう実態をまず踏まえる必要があるんじゃないかというふうに思うんですね。公的なデータとして、今どれぐらいコンビニは社会保険に加入しているのかというのは誰もわかっていない。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、済みません、その前に経産省にお聞きしましょうか。この研究会に厚生労働省からも確かに人が来ておりますが、来ているのは老健局の人なんですね、老健局。社会保険の問題というのは一行も出てきません。この研究会では社会保険の問題は議論していないですよね。

寺澤政府参考人 お答えします。

 この研究会では、社会保険についての問題は議論していません。

 その背景でございますけれども、この研究会において、いろいろアンケート調査をしたり、加盟店のオーナーにヒアリングして、社会保険の問題というのは特段重要な問題だということでは浮上してこなかったということでございます。

藤野委員 いや、ですから、加盟店のオーナーがメンバーに入っていて、その方がそうおっしゃるならまだいいですけれども、本部しか入っていなくて、本部は加盟店に社会保険とか労務管理を丸投げなんです。ですから、そういう中で声がなかったなんというのは、本当に実態を踏まえていない。私、ちょっとびっくりしました。

 その上で大臣にお聞きしたいんです。

 声がなかったというのは、聞いていないだけの話で、実態は大変なんですね。入りたくても入れない、社会保険に入れたくても入れられないという加盟店がたくさんあるわけです。しかし、実態がわからない。私はこれは実態を調査すべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

宮沢国務大臣 コンビニの勤務なりオーナーなりが大変だということもよくわかりますが、一方で、例えば私の地元を見ていますと、商店街はもっともっときついところがたくさんあるわけでありまして、どちらかというとコンビニは全体としては恵まれている方ではないかと私自身は正直思っております。

 そういう中で、社会保険の話につきまして、今伺っていて、社会保険にもっとちゃんと入れろという御質問なのか、社会保険が高過ぎるという御質問かよくわからなかったわけですが、社会保険料が実態としてどうだという話は、これは当然のことながら、私どもというよりは厚生労働省がそれなりに把握をしなければいけないものだろうというふうに思っております。

藤野委員 最後になりますので終わりますけれども、こういう研究会を立ち上げていらっしゃるわけで、これは貴重な研究会だと思うんですね。こういうものが既に経産省にあるわけですから、コンビニそのものに特化した研究会であります。コンビニの社会保険の問題をやはりこういう研究会がつかんで対応していく。もちろん厚労省と連携してもいいと思いますけれども、老健局だけ呼んで連携というのは私はちょっとよくないと思うんですね。

 最後に申し上げたいのは、昨年成立した小規模企業振興基本法の採決に当たりまして、当委員会、そして参議院の経産委員会でも附帯決議が付されまして、小規模企業の社会保険料負担軽減措置というものの実現を図ることということがわざわざ衆参両院で決議されております。この決議の観点からも、今の心ならずもブラック企業になっているという加盟店オーナーの声に応えるためにも、ぜひ具体化を求めて質問を終わります。

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、内閣提出、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。宮沢経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮沢国務大臣 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 全国三百八十五万者の中小企業、小規模事業者は、さまざまな事業分野において特色ある事業活動を行い、多くの就業機会を提供するなど、雇用の確保や地域経済の活性化に重要な役割を果たしています。

 しかしながら、中小企業、小規模事業者の経営者の高齢化が進展し、今後、多くの経営者が引退期に入ることから、事業の承継が重要な経営課題となっています。

 中小企業、小規模事業者がその活力を維持しつつ事業活動を継続し、その経営が次の世代へと円滑に承継されていくことは、我が国の経済の持続的な発展を図る上で極めて重要であり、中小企業、小規模事業者における経営の承継を円滑化するための措置を講ずる必要があります。

 以上が、本法律案を提案した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、親族外承継の割合が増加しつつあることを踏まえ、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律を改正し、遺留分に係る民法特例の対象を親族外などへ拡大することとします。

 第二に、小規模事業者の事業の承継を円滑化するため、小規模企業共済法を改正し、個人事業者が親族内で事業を承継した場合の共済金を引き上げるなどにより、引退後の生活の安定を図るための環境を整えます。

 第三に、独立行政法人中小企業基盤整備機構法を改正し、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う業務に、中小企業者の経営の承継の円滑化を図るための旧代表者や後継者などに対する助言業務を追加します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時九分散会


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