衆議院

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第28号 平成27年7月29日(水曜日)

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平成二十七年七月二十九日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石川 昭政君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    佐々木 紀君

      白石  徹君    助田 重義君

      関  芳弘君    武村 展英君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      福田 達夫君    細田 健一君

      前田 一男君    宮崎 政久君

      若宮 健嗣君    神山 洋介君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    渡辺  周君

      落合 貴之君    木下 智彦君

      吉田 宣弘君    藤野 保史君

      真島 省三君    野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 兵谷 芳康君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   前川  守君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (気象庁地震火山部長)  関田 康雄君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十九日

 辞任         補欠選任

  塩谷  立君     前田 一男君

  福田 達夫君     助田 重義君

  國重  徹君     吉田 宣弘君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     福田 達夫君

  前田 一男君     塩谷  立君

  吉田 宣弘君     國重  徹君

    ―――――――――――――

七月二十八日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)

同月二十四日

 原発からの撤退を求めることに関する請願(藤野保史君紹介)(第三五六三号)

 同(志位和夫君紹介)(第三六七八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三六七九号)

 即時原発ゼロを求めることに関する請願(真島省三君紹介)(第三五七九号)

 同(志位和夫君紹介)(第三六七七号)

 即時原発ゼロに関する請願(斉藤和子君紹介)(第三六一四号)

 同(池内さおり君紹介)(第三六四二号)

 原発の再稼働を中止し、原発ゼロへの決断をすることに関する請願(池内さおり君紹介)(第三六四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案につきましては、去る十日質疑を終局いたしております。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木淳司君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び日本共産党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。神山洋介君。

神山(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 遺留分に関する民法の特例措置については、制度創設以来地域や企業規模毎に活用件数の差があることを含め、全体として必ずしも十分に活用されているとは言えない状況を踏まえ、中小企業支援を担う各関係機関とも協力しながら、制度の存在や利点及び手続方法等について中小企業に十分認知されるよう周知徹底に努めること。

 二 相続税及び贈与税の納税猶予制度等については、その利便性に対して様々な指摘があったところ、本年一月の適用要件緩和後における中小企業者及び関係者の評価を踏まえつつ不断の検証を行うとともに、必要に応じて更に適用要件を変更する等の措置を講ずること。

 三 小規模企業共済資産については、安全かつ確実な運用を行うとともに、加入者数の増加に努めながら、収支の安定化ひいては制度の長期的安定の確保に最大限の努力を払うこと。また、予定利率の改正や付加共済金の支給率の決定等については、加入者のニーズに応えるとともに、共済財政への影響を十分に検討した上で行うこと。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、宮沢経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮沢経済産業大臣。

宮沢国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

江田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官兵谷芳康君、内閣府政策統括官前川守君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、中小企業庁長官北川慎介君、気象庁地震火山部長関田康雄君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山洋介でございます。

 これまで何度もこうして大臣と議論させていただきましたが、どちらかというと私は法案審議がほとんどでございまして、一般質疑という形でなかなか議論をしていなかったので、きょうは二十分という時間なんですが、三点ほど、ちょっと雑多な形になりますが、質疑をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いを申し上げます。

 まず、東シナ海における中国の資源開発についてということでございます。

 委員の皆様御案内のとおりですが、先週二十二日の午後の記者会見で官房長官から、東シナ海における中国の資源開発についてということで幾つかリリースがありました。内容は、ここで細かくそれをなぞることはいたしませんが、一つだけ申し上げれば、これは今外務省のペーパーを手元で見ておりますけれども、中国は東シナ海において資源開発を活発化させており、政府として、日中の地理的中間線の中国側で、二〇一三年六月以降、要はこの二年間ぐらいで新たに十二基、それ以前から確認をしてきたものも含めると合計十六基の構造物を確認しているということでございました。

 この日中中間線近辺をめぐる資源開発、ガス田の開発も含めて、これまでもずっと議論がさまざまな形でなされてきて、これは我が国における海洋資源の開発という観点でも重要性は当然ありますし、片や外交及び安全保障という観点での、中国との対外関係という観点での重要性もいろいろあろうかなというふうに思っておりまして、私は個人的に海洋資源開発というのは極めて大事だという思いを持って、これまでも熱水鉱床の話を小笠原諸島の方の話で取り上げてみたりという形でやってまいりましたので、ここはやはりちょっと一度は大臣に御見解を伺わなきゃいけないなというふうに思っております。

 まずは、今回発表された件も含めて、中国の資源開発について大臣はどういう現状認識をお持ちでしょうか。

宮沢国務大臣 今委員の御質問にもありましたけれども、東シナ海において中国が資源開発を活発化させております。地理的中間線の中国側でございますけれども、二〇一三年六月以降で新たに十二基、それから、それ以前に確認したものを含めると十六基の構造物を確認しております。

 一方的な開発を行わないように求めてきておりますけれども、こういう動きが続いているということは極めて遺憾なことでございます。二〇〇八年六月に日中間で合意をしておりますけれども、その合意を早く実施するように、さまざまな機会を捉えて強く求めていきたいと考えております。

神山(洋)委員 こういう平場ではありますので、言えること言えないこと、いろいろな部分があろうということは重々承知をしております。これはこれまでも議論がされていろいろな指摘がされてきたことですが、日中中間線というまだ画定をしていない境界線の向こう側とこっち側というところで、いろいろな分析はあるかもしれませんが、ある意味では抑制的な対応をしているという考え方もできるんでしょうし、いやいや、そもそも海の下はどこまでつながっているかわかりませんよねという話はこれまでもあるわけです。引き続きそこは今おっしゃっていただいたスタンスで御対応いただきたいんです。

 一点だけちょっと関連で、追加で確認をさせていただきたいんですが、公表された、この二年間ぐらいで新たに十二基プラスで構造物が設置をされているという件は、大臣はいつ御報告を受けられているんでしょうか。

宮沢国務大臣 当然報告は受けてきておりますけれども、極めて機密性の高いことでございますので、いつということは申し上げられない、御勘弁いただきたいと思っております。

神山(洋)委員 外交問題であるとか安全保障問題であるとか、そういう観点の中で一定の情報をリリースするタイミングが留保されるということは、私はこれはやむを得ないというふうには思っております。ですので、それがいつあったかということでぎゃあぎゃあ、どうこうということを申し上げるつもりはないんですが、一つ、これは御指摘するだけにします。

 外交上の配慮の中でタイミングをいろいろ考えるということであれば、そこは場合によってはありだなと思うわけですが、このタイミングで出てきているというのが、どうも何か国内政治要因なんじゃないかという指摘もありますし、そういうお話もあります。それがどっちなんですかなんという議論をここでしても余り意味がありませんからやりませんが、純粋に外交戦略であり、外交戦略も念頭に置いた資源戦略の中でこういうことのタイミングをはかるべきだということはこの場で改めて指摘をさせていただいて、本当はもっと突っ込みたいんですが、時間の関係もありますので、次の議論に移らせていただきたいと思います。

 がらっとかわりまして、産業総合研究所に関連をして質問させていただきたいと思います。

 産業総合研究所の話は、大臣とのこれまでのいろいろな質疑の中でも、時折、大臣からもその言葉が出てきたなという記憶があるわけです。例えばナノテクの研究であるとか、経済産業省所管ならではだなという研究テーマがいろいろ並んでいて、実は、これは不勉強で恥じ入るところでありますが、余り今まで細かくウオッチをしておりませんでした。

 きょうここで取り上げさせていただいたのは、大臣からまたかというふうに言われるかもしれませんが、やはりここで箱根を中心とした火山活動の経済産業省の関連の質疑をこれまでも幾つかさせていただいてきた中で、この産総研の中にもかなりきっちりとした火山研究のグループというかセクションがあるということを、実は私はこれまで知らなかったんですけれども、正直、初めて知りました。

 これは質問というより、大臣はそれはもう御存じだったんでしょうかね。

宮沢国務大臣 昨年の就任した後、秋に、暮れに近い方ですけれども、産総研に私は行ってまいりまして、鉱物資源というものは我が省の担当で大事なものでございまして、そういうセクションがあるということは知っておりました。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 おっしゃっていただいたように、前段の話とも関連をしますが、地下資源であるとか、場合によっては地熱発電云々といった意味での地質調査、研究という観点からもやはり必要な分野なので、だからこういう形であるんだなというのを事後的に私も理解をさせていただいたところです。

 中身を見ると、上から目線で申し上げるわけじゃないですけれども、結構しっかりしたことをやられているんだなということを初めて知りましたので、簡単にで結構なんですが、どういう形で、体制であり研究内容でありということで研究が行われているか、少し披瀝をいただけますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 産業技術総合研究所地質調査総合センターは、地質情報部門、活断層・火山研究部門、地圏資源環境研究部門、地質情報基盤センター等の六部門、全体で二百二十八名の研究者から構成をされておりまして、主に地質図の作成、過去の火山噴火あるいは断層活動といった調査研究を実施しており、その成果を公表することによりまして、安全、安心な社会基盤の構築に資することを目的としております。

 御質問の、活断層・火山研究部門というところがございます。ここは六十五名の研究者から構成をされておりまして、具体的には、火山の地質図の作成、過去の噴火の年代や噴火の規模、火山灰や火山ガスから噴火の状況を把握する手法、それから、過去の地震、津波、活断層活動等の発生履歴といった調査研究を行っているところでございます。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 きょうここで余り深く議論する話ではないですけれども、火山研究とかという部門の人材が非常に、人材というか体制も含めてですけれども、我が国はやはりおくれているんじゃないかという指摘があって、これは別の委員会でも議論がなされているところで、ぜひこれはきちんと前に進めていただきたいなというふうには思っているわけです。

 この点を取り上げさせていただいたのは、私は、自分の地元で質問を受けるような絡みでいろいろ調べたりという中で、実はこの産総研の調査に至ったがゆえにきょう取り上げさせていただいているんです。

 ホームページにも公表されていますが、六月の末から七月にかけて、いろいろな形で、産総研の地質調査総合センターの部門で現地を調査していただいた結果が公表をされております。一通り全部見てみました。私は文系でして、理系の、特に地学の知識がないというところはあるかもしれませんが、三回ぐらい全部通読してみたんですが、全然頭に入らないわけです。

 それは、別に私が個人的にお伺いして聞けばいいんですが、なぜここでそれを伺うかというと、今は局所的な火山活動の話でありますが、例えば震災のときもそうでしたけれども、こういうときになると、ふだんは接しないような専門的な知識を、一般で暮らしている方もやはり欲しいと思うわけです。

 実際この先はどうなるんだろう、現状はどうなっているんだということを知りたい。メディアや新聞報道等で知られる情報もやはり限られてきて、いろいろ追っかけていったときに、では、実際どうなんだどうなんだという、いろいろな情報がやはり欲しいというのが、実は現地で暮らしている方々の率直な思いなわけです。

 私は、それなりにいろいろな形を教えていただいて、多少わかるようになってきたかなと思っていたけれども、読んでみたらちんぷんかんぷんということは、やはり地元の方からも、こういう関連で、実際これは何を意味するんだという話になると思うがゆえに、ちょっとここで教えていただきたいと思っています。

 細かくこれは読みませんが、例えば一部分だけ紹介をすれば、いろいろ前段のリサーチ結果があって、結論的な部分で、これは七月十五日のペーパーなんですけれども、「熱泥流と火山灰を比較した場合、地下での温度や深度などの違いを積極的に示すような根拠はまだ乏しいが、熱泥流試料のほうがより酸性環境で形成されたものと考えることができる。比較的地下浅所で酸性環境が」、もうこれ以上読みませんけれども、わからないわけです。少しここを簡単に解説していただけませんか。

星野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、具体的には六月三十日に、三サンプルの噴出物、火山灰の提供を受けて産総研が分析を行いまして、同日中の回答も含めまして、複数回、分析結果を回答していただきました。その結果といたしましては、火山灰の構成鉱物、物質、あるいは構成粒子の分析結果からしまして、今回の噴出物は水蒸気噴火によって放出されたものであるということを確認して報告をしたということでございます。

神山(洋)委員 そうなんだろうと思って伺っているわけです。

 ここで、問題というか一つの課題がやはりあると思うんですね。というのは、例えばこの産総研から出たペーパーもそうですし、あと国土地理院から出ているペーパーあたりもそういう傾向を感じるんですが、当然ですが、そこで研究をされている方は、研究をしている日常の用語でありテクニカルタームを使って、分析をして、そのリサーチ結果をリリースするということであっていいと思うわけです。それは、その専門性の中でのお仕事として、やはりプロフェッショナルにそういう仕事をされる。そこはそれでいいわけですが、それはやはり一般の我々にはなかなか理解はできない。

 通常であれば、それは特定の研究分野の方々の中でそれをやっているということでいいんだと思いますが、こういう、有事とまでの言葉は使いませんけれども、いざそのことが必要とされる局面においては、ふだんはそういう分野の言葉には接しない一般の方もその情報に触れるニーズが出てくるわけです。だとすると、研究の部分は当然これはあってしかるべきだし、これからも体制は強化をしていかなきゃいけない。ただ、それを一般の方にどう伝えるかという、どちらかというと防災的な観点という部分の接続というところがやはり私は大事なんじゃないかと思うわけです。

 これは、よく言われる災害時のリスクコミュニケーションが大事ですよねという話に一言で言えばなってしまうわけですが、そこの部分というのは一つ大きな課題があるんじゃないかなと思うんですね。

 今御説明いただいたようなことであり、もっと言うと、これは資料を読んでいくと、スメクタイト、カオリナイトとか、いろいろな岩石の名前とかもいっぱい出てきて、もうわけがわからないという感じではあるんですが、そのことを踏まえて、では一体、その地域での安全性であり、若干の見込みでありという観点で、どういうことを住民の方々が必要としているのかという観点に立って情報をリリースするというのは、やはりすごく大事じゃないかなと思うんです。

 きょうは内閣府にも来ていただいていると思いますので、あわせて、今の話を踏まえて、どういう形で、今の産総研のデータだけじゃないですけれども、いろいろなものを解析してそれをリリースするという形でコミュニケーションを相互でとられているのかというところを少し教えていただけませんか。

兵谷政府参考人 お答えいたします。

 産総研の地質調査総合センターの例えば火山噴出物の分析結果、そういったことの情報は、まさに火山活動の推移を評価する上で非常に重要な情報でございますし、また、産総研では地質調査というのも実施されておりますので、そういった過去の噴火履歴を把握するためにも必要な情報だと考えております。

 ただ、その情報は、先生おっしゃるように非常に難しい情報もございます。今回、先月公布されました活動火山対策特別措置法、いわゆる活火山法の改正がございまして、その中で、火山災害警戒地域を含む地方自治体に避難計画の策定が義務づけられております。これは、火山防災協議会でそういったことを協議していって、いわゆる専門家の情報を得て、共有しながら、いろいろな警戒レベルを設定したり、あるいは避難計画をつくっていくというものでございまして、そういった中で産総研の地質調査結果というものを生かさせていただいているということでございまして、これからも、そういった意味では、こういった調査研究というのは火山防災対策を推進していく上でも非常に重要なものと認識いたしております。

神山(洋)委員 一点、これは大臣にお伺いをしたいんですが、組織いじりをすぐにして、いろいろあるのをがっちゃんこしましょうというのはよく出てくる話で、すぐそれをやるべきなのかどうかは私はわかりませんし、そこはいろいろな検討があってしかるべきだと思うんです。

 経産省の中にも産総研があって、こういう形で研究が行われている。よくこういう話で出てくるのは気象庁だったりもする。一方、文科省の中には防災科学技術研究所というところがあって、そこでも同じようなことがやられている。かつ、それぞれの中で、専門的見地から研究をするセクションと、一方で、これは気象庁が中心になるのかもしれませんが、情報を国民に対してリリースするというセクションとあって、うまく接続していないような気がするわけです。

 一つの参考事例ですが、イタリアですと、今から十六年前、一九九九年に、INGVという略称で国立研究機構という組織が、実はこれは火山対策、研究を中心にやる組織として一元化されて、つくられているらしいんですね。それまではイタリアも四個か五個に分かれていてそれぞれやっていて、重複があったり接続がうまくいっていなかった。一方で、それじゃまずいよねということでそれが十六年前にできて、専門家の方に聞くと、今、イタリアでの火山に対しての研究及び対応の体制というのは、日本とは桁が一つ上ぐらいの人員の中で、世界でもトップクラスで行われているという話もありました。

 すぐ組織いじりをしろという話ではないんですが、何らかの形で、そういう形で分散している情報をきちっとぎゅっとまとめる。これは内閣府がもちろんあるじゃないかという話はあるんですけれども、事火山ということに関しても、産総研の中に一セクションを抱えられている所管大臣として、もうちょっとうまく接続できないかなという問題意識を共有していただけるんじゃないかなというふうに思いまして質問させていただくんですが、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 産総研のまさにこの分野の研究の過去の経緯を全て知っているわけではありませんけれども、産総研でこういうことをやっているというのは、当然のことながら、まさに、おっしゃったような鉱物資源であり地熱等々、ビジネスの観点からこういう研究を産総研としてしてきている、こういうことだろうと思います。正直言って、派生的にそういう分析能力が身についているのが産総研であります。

 一方で、災害について、先ほどの産総研のレポートがわかりにくいというのはある意味では当たり前のことでありまして、わかりやすくなると正確性に欠けるということがあって、非常に正確な情報を気象庁にお渡しをして、そして気象庁がそれをそしゃくしていただいて、わかりやすく住民の方、国民の方に説明する、こういう組織形態になっていると思っておりまして、私自身は今の体制で特段の問題があるとは思っておりませんが、一桁違う予算というのは大変魅力的な御提言だと思っております。

神山(洋)委員 言質をとろうとしてどうこうということではないので、そこはぜひそういうことで御理解をいただきたいんですが、確かに、鉱物資源がオンビジネスになるか否かという話をすることと、火山の数万年にわたる活動を分析して安全に資するようにするというところは目的が違うのかもしれないんです。

 ただ、一方で、我が国では、火山であり地面の下についての研究分野が本当は世界一じゃなきゃいけないぐらい火山が多いのに、体制整備も含めて全然おくれちゃっていますよという問題意識は、極めて大きいと思うんですね。これをやはりセクション、セクションでこうやってやっているといつまでたっても進まないので、ちょっと時間もないのでこの場でもう繰り返しません。

 何かちょっとこれはうまくできないかなという問題意識だけは持っていつつ、また議論をさせていただきたいと思いますが、今、質疑が終了しましたという紙が来てしまいました。本当は、この後ものづくり補助金についてということで議論させていただこうと思っていたんですが、申しわけありません、時間が足りませんでした。また改めてこの点は取り上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩です。

 きょうも、国民の声、中小業者の声、地方の声をお届けしたいと思います。

 日本工業規格、JISの洗濯表示の記号が全面的に改められたということであります。一九六八年に制定されたものが見直されて、今回、新たなものは日本語の文字説明がなくなったり、種類も二十二種類から四十一種類にほぼ倍増するというようなことでありまして、消費者ももちろんですけれども、クリーニング業者の皆様方からも戸惑いの声が聞こえてくるわけであります。

 平成二十六年十月に経産省が新しい表示記号を制定して、施行されるのは二十八年の十二月一日からだと聞いておりますけれども、消費者はもとよりなんですが、クリーニング業者の方々への周知というもの、これは経産省が担うということになっておるようでございますので、ぜひ、二十八年の十二月一日の時点では業者の方々にも十分な周知がなされているという状況をきちんとつくっていただきたい。

 もともと、クリーニング業者、高齢化やあるいは後継者難、こういったもので大変厳しい状況にあるわけでありますので、この表示というものが何か一つのきっかけになって廃業が助長されるようなことになってしまっても気の毒だというふうに思います。ぜひ、この表示に関する経産省の取り組みをここで一度まとめて御説明いただきたいと思います。

星野政府参考人 お答えいたします。

 新たな衣類等の繊維製品の洗濯表示につきましては、御指摘のとおり、消費者庁が所管する家庭用品品質表示法に基づきまして繊維製品品質表示規程というのが本年三月に改正をされまして、来年、二十八年の十二月一日から施行される予定になっております。この内容自身につきましては、消費者庁からプレスリリース等で周知に努めていると承知しております。

 同規程では、経済産業省が平成二十六年十月に制定をいたしました洗濯表示に関する新たなJISが引用されております。当省としましては、これらの新しいJISの原案策定の委員会に、繊維業界やクリーニング業界、消費者団体の方々、関係の方々に広く参加をしていただいて取りまとめを行い、そのJIS策定後も説明会やセミナー開催を通じて周知徹底の啓発を推進してきてございます。

 具体的には、策定段階から、セミナーを、平成二十五年では十五回、平成二十六年では十七回の複数回にわたりまして、全国各地で、主婦連合会や全国地域婦人団体連絡協議会、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会等々の関係の方々の御協力をいただきまして標準化セミナーを開催してきております。

 こうしたセミナーの開催に加えまして、本年度、消費者への協力依頼を関係方面にもお願いしながら、さらに、セミナーの開催を強化するとともに、消費者向けのリーフレットや小冊子、現在作成中でございますので、関係方面にもお配りをして周知徹底を図ってまいりたいと思っているところでございます。

中根(康)委員 消費者向けのという最後のお話がありましたが、私がきょう質問しているのは業者向けの周知ということでございまして、もちろん消費者向けも大事なんですが。

 業者向けのセミナー等も行われているということでありますが、セミナーへの参加状況であるとか、あるいは、二十八年の十二月の前の段階でどれぐらい業者の方々が把握しておられるか、十分確認をした上で二十八年の十二月一日を迎えていただく、そのことが消費者と業者との間のさまざまなトラブルを予防するということにもつながると思いますので、これはくれぐれもよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。

 続きまして、二十八年度の税制改正に向けての議論も間もなく、もう既に始まっているのかもしれませんし、始まっていくんだろうと思います。

 車体課税について、今の段階でお願いを幾つかさせていただきたいと思います。

 複雑で、またユーザー負担が重いとかねてから指摘をされているのが、車に関する課税のあり方。これを軽減することで、まさに生活減税にもなる、内需拡大にもなる、雇用創出にもなる、依然として日本の基幹産業である自動車産業、ものづくりの後押しということにもなるということでございますので、二十八年度の税制改正におきましては、車体課税を抜本的に見直して、簡素化、負担の軽減をさらに図っていただく必要があるんだと思っております。

 その中で、自動車取得税でありますけれども、もともと道路特定財源の一般財源化による課税根拠が喪失されているということ、あるいは、自動車購入時の消費税との二重課税、こういう税制上の不条理さが残っているわけでありますけれども、自動車取得税は、消費税の引き上げということとは関係なく、かかわらず、平成二十八年の三月三十一日をもって廃止をすべきだというふうに考えますけれども、いかがかということが一つ。

 それと、消費税一〇%段階で導入する方向性が示されている環境性能割でありますけれども、これは取得税を廃止することの単なるつけかえというふうにも見られるわけであります。環境性能割を導入するということは、何らユーザー負担の軽減にはならない、さらに税制を複雑化するということになるわけでありますので、導入に対しては我々としては断固反対という立場で主張していきたいと思っております。

 この取得税の早期の廃止、環境性能割は導入しない、このことをぜひお約束いただければと思います。御見解を承りたいと思います。

宮沢国務大臣 まず、取得税の廃止につきましては、平成二十五年度税制改正大綱、当時私はこれを書く側におりましたけれども、におきまして、消費税率一〇%への引き上げ時に廃止するということが決定されておりますので、当然のことながら取得税の廃止が着実に実施されるように、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 一方で、自動車税の取得時課税につきましては、平成二十六年度の税制改正大綱におきまして、「消費税率一〇%段階において、」「自動車取得税のグリーン化機能を維持・強化する環境性能課税を、自動車税の取得時の課税として実施することとし、平成二十七年度税制改正で具体的な結論を得る。」とされておりましたが、一〇%への引き上げが延期された関係で、二十七年度の税制改正において、平成二十八年度以降の税制改正において具体的な結論を得るということに、タイミングを変更させていただいております。

 したがって、性能割というものを導入するということについては経済産業省としても同意をしておりますが、単なるつけかえになるようでは、これはしようがないわけであります。

 一方で、例えば二千万、三千万するような、いわゆるスーパーカーといったものについて、環境性能が余りよくないものが多い。そういうものについて、やはり取得時に課税しないと非常にいろいろな問題が起こってくるといった点にも、当然のことながら配慮していかなければいけないと考えております。

中根(康)委員 自動車取得税については一〇%のときに廃止ということを改めて今大臣はお話をされたわけなんですが、もともと我々は、民主党は、消費税との二重課税あるいは課税根拠が失われているということでありますので、消費税の引き上げとは関係ないところでの議論をさせていただいておりまして、一〇%引き上げ云々とは関係なく、これは早期に、可及的速やかに廃止をすべきものである。

 本来国民から納めてもらわなくてもいいものを納めてもらっているという考え方でございますので、必要ないものを国民に負担を押しつけているということでございますので、これは経産省としては、ぜひ、消費税一〇%云々ということではなくて、もう来年度の税制改正で取得税の廃止ということを求めていっていただきたいという改めてのお願いでございます。

 それから、環境性能割につきましては、これはやはり、取得税を廃止した、そこで穴があいたものを何とか埋め合わせようとする、車関係の税制の中だけでつじつまを合わせようとすると、こういう発想になってしまうということであります。

 穴埋めのための新しい税制を無理やり国民に押しつけるということも、ユーザー負担の軽減という観点からは全く逆行することになるわけでございますので、こういうものはやはり税制全体で考えて、そして、できれば車を買いやすく、売りやすくという税制面からの環境を整えることを通じて、経済の活性化、雇用の確保、増大ということに結びつけていくべきだと考えておりますので、とりわけ経済産業省の立場からすれば、こういうつけかえというふうに見られるような税制のあり方に対しては、ぜひ毅然とした立場で、導入に対しては反対という立場で臨んでいただければということでございます。

 それと、自動車重量税、これも道路特定財源の一般財源化により課税根拠は喪失されております。自動車重量税については本来直ちに廃止すべきだという考えでありますけれども、少なくとも、平成二十八年度の税制改正では、いわゆるかつて暫定税率と言われていたもの、今、当分の間税率と呼んでいるもの、これを確実に廃止して、これまたユーザー負担の軽減につなげるべきだと思いますけれども、経産省はいかがお考えでしょうか。

関大臣政務官 自動車重量税ですが、これは、とりわけ当分の間税率、旧暫定税率の部分でございますが、創設の経緯や負担の軽減等の観点から廃止を求める声がたくさん上がっているのはよく承知をいたしております。

 我々経済産業省といたしましては、これまで自動車重量税の負担軽減に取り組んできているのも中根議員もよく御存じだと思いますが、二十七年度税制改正大綱におきましては二点ございます。

 一つは、エコカー減税についての二〇一五年度燃費基準達成車の一部を引き続き減税対象とする、そして、基本構造、これはエコカーについては減税を講じるという制度の基本的な仕組みのところでございますが、これを恒久化しよう、これが一点でございます。

 二点目は、当分の間税率につきまして、二年間は二〇一五年度の燃費の基準達成車の初回の車検時にも適用しないということ、本則税率が適用されるということでございます。

 この二点をやってきているわけなんですけれども、中根議員のおっしゃる点、今後とも、ユーザー負担の軽減、そして簡素化、グリーン化等の観点から、税制改正大綱を踏まえまして、自動車重量税につきましては、当分の間税率を含めまして、総合的な自動車課税の見直しについて検討はしっかりとやっていきたいと思っております。

中根(康)委員 今、政務官も、ユーザー負担の軽減、簡素化、グリーン化という観点から見直しをしっかりとやっていきたいと御答弁をいただきました。

 そうであるならば、経産省としては、やはり自動車に関する税金を抜本的に見直すことが、日本経済にとって、日本の雇用にとって極めて効果的であるという観点から税制についての議論に臨んでいただきたい。

 そういう観点からすれば、今申し上げました取得税にしても、重量税にしても、あるいは環境性能割にしても、これはもう結論はおのずと見えてくる。取得税は廃止すべきである、重量税も廃止すべきである、環境性能割は導入すべきではない、これが日本経済の振興につながるということは明らかだというふうに思いますので、ぜひそういった観点で税制論議に臨んでいただきたい、心からお願いを申し上げるところでございます。

 もう一つは、軽自動車税についてなんですけれども、もう御案内のとおり、ことしの四月から軽自動車税が引き上げられておりますが、二十八年の四月から、さらに、十三年経過した軽自動車について重い税金が課せられるということになっているようであります。

 例えば、四輪の軽自動車、自家用の場合、ことしの三月までは七千二百円だったものが一万八百円になった。そして、十三年経過したものについては、二十八年の四月以降、一万二千九百円にはね上がるということであります。

 また、二輪車についても、五十cc以下のいわゆる原付、これが、二十八年の三月までは千円のものが二十八年の四月以降は二千円になる、こういうふうに大幅な引き上げ、つまり、取りやすいところから取るというような引き上げが行われるということになっているようでありますけれども、こういう取りやすいところから取るということについてはぜひやめていただきたい、撤回をしていただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

関大臣政務官 軽自動車でございますが、女性とか高齢者が大変広く活用しておりますし、また、地方におきましては本当に、買い物そして通勤、いろいろなところに欠かせない日常の生活の足という点は十分我々も認識をいたしております。

 そして、これが二台目そして三台目とか皆さん買っていただいているような状況があります中、こういうふうな軽自動車税、我々、二十七年度改正におきましては、経産省としましても、燃費の性能に応じた軽課措置の導入を要望して実現することができたわけですけれども、地方の足、そういうふうな観点を踏まえた上で、今後も対応はしっかりと考えていきたいと思っております。

中根(康)委員 地方の足、生活の足、特に地方においては必要不可欠なものであるということであるならば、これもまた経産省の立場からすればおのずと答えは見えてくる。いたずらな、取りやすいところから取るような引き上げは厳に慎むべきである、考えているとするならば撤回すべきである、こういうことでお願いをしたいと思います。

 愛知県の幸田町に先月、ものづくり研究センターというものが発足をいたしました。

 株価が上がってもなかなか日本経済の明るさが感じられないというのは、ものづくりあるいはサービス提供の現場に明るさがもたらされていないということであろうと思っております。明るい現場というのは、生産性が向上される、企業利益が増大する、顧客満足に貢献をしている、雇用の創出が図られている、また所得の増大に確かに結びついている、人材の育成がきちんと行われている、こういうことが行われていることにより、真の明るい生産現場となり、地域の成長戦略にも結びつくということであろうと思います。

 こうした発想のもとにつくられたのが幸田ものづくり研究センターということでありますけれども、幸田ものづくり研究センターの発足に当たっては、中小企業庁の小林次長もオープニングセレモニーに御出席をされておられるわけであります。幸田ものづくり研究センター、ここに参画をしておられるというか深くかかわっておられる東京大学のものづくり経営研究センターの藤本所長も、この幸田の事例をかなり完成形に近いものだというように御挨拶の中でもお話をされておられたわけなんですけれども、経産省として幸田ものづくり研究センターに対する評価はどのようなものであるか、お聞かせをいただければと思います。

 それから、時間がありませんのであわせてお尋ねをいたしますけれども、幸田ものづくり研究センターの一つの肝は、インストラクターを育成するということ、そしてこのインストラクターが中小企業の現場に入るということ、そして大企業のものづくりノウハウを中小企業にも伝授をしていくということに一つの肝があるわけでありますけれども、このとき発生するのが、中小企業が負担しなければならないのが指導料などを払うというようなことになるわけでありますけれども、こういったところに政府が支援をするということも極めて有効なものであるというふうに思います。

 経産省として、幸田ものづくり研究センター、かなり完成形に近い、中小企業庁も注目している、このことに対する評価と、そして政府から何か支援策というものを考えておられるのかどうかということについて、御答弁をいただければと思います。

糟谷政府参考人 御質問の愛知県幸田町のものづくり研究センターにおきましては、ものづくり分野の指導者の育成ですとか地元の中小企業の生産性向上を目的に、ものづくり人材の育成、ものづくりの経営改善といった事業に積極的に取り組まれているというふうに承知をしております。このような地域の中小企業の生産性向上に向けた取り組みは、非常に意欲的かつ先進的なものとして高く評価をしておるものでございます。

 経済産業省といたしましては、今年度、平成二十七年度から、製造現場の経験、現場改善のノウハウを持っておられる企業のOBの方々を指導者として育成し、中小企業に派遣する活動を補助する事業を実施しております。カイゼン指導者育成事業ということで、今年度から予算事業として始めさせていただいております。

 これは、大企業のOBの方をカイゼン指導者として育成するスクールを運営したり、また、その指導者の方を中小企業に派遣するときに、必要な経費の三分の二を補助申し上げる制度であります。この制度については、先月、六月に、幸田町を含む十一団体の取り組みを支援するということで決定をいたしております。

 今後とも、この事業を通じて、幸田ものづくり研究センターを初めとする、地方の中小企業の生産性を高める取り組みを後押ししてまいりたいというふうに考えております。

中根(康)委員 地方創生ということでございますので、地方のこうした積極的な取り組みに対しては政府、経済産業省からも積極的な支援を心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。民主党の篠原孝でございます。

 一般質問ですが、原発シリーズの質問を続けさせていただきたいと思います。本当はハワイのTPPの会合の行方が気になるんですが、気にしてもしようがないので、こちらも大事な問題なので、質問させていただきたいと思います。

 原発再稼働のことが新聞等にも載るようになりましたけれども、いろいろな問題があると思いますけれども、一番の問題は、よく言われておりますトイレなきマンション、最終処分の問題だろうと思います。

 いろいろありますけれども、使用済み核燃料の問題が大問題なんですが、その前に、廃炉に伴う廃棄物の問題もあるんですね。廃炉もしていかなくちゃいけないということで、「ふげん」、東海、浜岡一、二ですか、それがもう廃炉の作業に入っていますけれども、昨年、敦賀第一、美浜一、二、島根一号、玄海一号と、五つの原発が廃炉を決められています。これについてはどのように進めていくのか。

 これだけだって大変だろうと思うんですけれども、どういうふうに経産省の方は考えておられますでしょうか。

高木副大臣 今委員御指摘ありましたように、廃炉がこれからさらに進んでいく中において、特に廃炉に伴って発生する放射性廃棄物については、処分が着実に行われることが大変重要であると考えております。

 まず、低レベルの放射性廃棄物について、廃棄物を発生させた事業者がそれを適切に処理処分する責任を負うとするいわゆる発生者責任の原則は、あらかじめ責任の所在を明確にして、処分に要する資金または技術の確保等を着実に進めていく上で極めて重要であると考えています。従来から国の方針として定めてきたこの原則のもとで、事業者が処分場所の確保などにしっかりと取り組むことは必要不可欠である。

 国は、事業者がその責任を果たせるように、制度の整備また監督などの役割を担っております。このため、規制基準が未策定の部分がございますけれども、その策定を行うことが大変重要であり、原子力規制委員会において検討を開始したところでございます。

 また、処分の円滑な実現に向けて、国として研究開発を推進するなど、必要な取り組みを進めていきたいと考えております。

 なお、事業者が処分場を確保する上では当該地域の理解を得ていくことが大変重要でございますので、国としても政策上の重要性を丁寧に説明するなど適切に対応してまいりたい、このように考えております。

篠原(孝)委員 つくるときにはみんな威勢よくやるわけですけれども、廃炉というのは難しい問題だと思います。準備金も積み立てておくことになっているのに積み立てていない。よくわかりませんけれども、日本では、規模によるんでしょうけれども、数百億。大きさにもよるというか、八十万キロワットぐらいだと五百億ぐらい、百万キロを超えるようなのは六百億円ぐらいかかると言われていますけれども、何か外国では、ドイツでは先んじてやっているんですけれども、そうじゃなくて、二千億、三千億かかるということでやっているんですね。日本はちょっと手を抜いているんじゃないかと思います。ですけれども、これはいずれ顕在化してくると思います。

 次に、大問題の使用済み核燃料です。

 これについてこそ問題でして、これをどうやってやっていくのか。再稼働を急いだらますます使用済み核燃料がふえてくるわけです。そのことを考えずに再稼働だけ先走ったってだめなんです。

 これについての基本的な考え、まあ、いろいろ苦労してやってきておりますね。宮沢大臣になってからも、五月二十二日に閣議決定されております。それの基本的な考え方を変えられたんですけれども、ちょっとよくわからない部分もあるんです。

 一体どのように場所を選定していくのか。それから、東洋町の件で、応募がありましたけれども全然だめでして、住民から反対されてだめになっています。それでまた頓挫しているわけです。だから、地域住民の合意プロセスをどうやってしていくのか。

 それから、主体、NUMOというのをつくってあって、それを中心にやっていくということになっていますけれども、本当に、どこまでを電力会社にやらせ、どこまでがNUMOでやるのかというのを、僕はよく見ているんですが、わからないんですね。取り出して、ガラス固化体にする、持っていったりするのはどこが責任を持つのか。

 国が相当関与しなければいけない分野だと思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。基本的な考えをお聞かせいただきたいと思います。

高木副大臣 今、これも委員御指摘になりましたように、大変重要な問題であるというふうに認識をしております。

 その上で、まず、高レベルの放射性廃棄物の処分場の選定をしていかなければいけない。こういった中で、御存じのように、二〇〇〇年に最終処分法が施行されて以来今に至るまで、処分地の選定の最初のプロセスである文献調査にも着手できない、こういう現状でございました。

 これに関しまして、ただいま御指摘ありましたように、一昨年から最終処分政策の抜本的見直しに向けた検討を行い、今般、最終処分法に基づく基本方針を七年ぶりに改定いたしました。

 これは、今までの手挙げ方式から転換して、国が前面に立って科学的有望地を提示するなどの方針を決めさせていただきまして、その中で、現在、国として、全国各地を訪問しながら、地域の方々また自治体に対する理解活動を積極的に展開しているところであります。

 そういった中で、責任の所在というふうにございましたけれども、まず、廃棄物を発生させた者が適切に処理処分する、冒頭にも答弁させていただきましたけれども、いわゆる発生者責任の原則に基づいて、一連のプロセスについてはそれぞれの電力会社が責任を持って行う。そうした中で、使用済み燃料由来の高レベル放射性廃棄物の処分は最終処分法に基づいてNUMOが実施義務を負っている、こういうような形になっております。

 選定の問題も含めまして、国が前面に立って国民の理解を得ていく、こういった作業、まさに政治がしっかりと取り組んでいかなければいけない問題だと捉えております。

篠原(孝)委員 大臣も閣議決定した後の記者会見で意欲的に取り組んでいくということをおっしゃっていますし、スケジュールと聞かれても、ぴしっとは答えられないですよね、コンセンサスを得なければいけないんだと。

 だけれども、問題も生じてきている。僕はよくわからないんですが、貯蔵能力、トイレが満杯になりつつあると。閣議決定でも、貯蔵能力を拡大していくというようなことをうたわれておりますし、学術会議も提言をしてきています。国がやっているのはちょっと足りないことになるんじゃないかと。だから、暫定保管という言葉を出してきて、三十年をめどに、やはり電力会社に相当責任を持たせて、五十年ぐらいは乾式貯蔵をしろとかいう提言をしています。

 私が見ていますと、地層処分というのがあって、もう確実にこれ一本でいくんだというふうになっているのかなと思うと、乾式貯蔵で、しばらく燃料プールから取り出して置いておいて、そうしないともう間に合わないんじゃないかというのもあると思うんですけれども。

 この貯蔵能力について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 現在、国内の原発の敷地には、全体で一万四千トンの使用済み燃料が貯蔵されております。一方で、各原発の貯蔵容量は全体で二万一千トンとなっておりまして、したがって、能力の約三分の二が貯蔵されているということでありますので、一定の貯蔵余地が確保されているということは事実でございます。

 ただ一方、原発によりましてはその余裕が小さくなっているという問題はもちろんございまして、使用済み燃料の貯蔵能力の拡大が重要な課題であると考えております。

 先月、五月二十二日の最終処分関係閣僚会議におきまして、使用済み燃料対策の強化に向けた国としての基本姿勢や、国や事業者による具体策を盛り込んだアクションプランを策定することとし、現在そのアクションプランを検討中でございまして、そう遠くないときにこのアクションプランを決定いたしまして、国としても積極的に関与していきたいと考えております。

篠原(孝)委員 まだ最終処分場のことを解決しないでどんどん先に進んでいるんですよね。非常によくないことだと思います。

 資料が小さな字で恐縮でございます。本当はでかい字のものがあったんですけれども、経産省にそれをつくってくれと言ったら、何か出し渋ってつくらないので、しようがない。これは私のせいではありませんので。全くけしからぬと思うんですけれども。

 単純にこのエキスだけをやったのは、審議会の資料に提出してあるんですよ。そこのところをちょっとやってくれと。与党の筆頭理事にだけはお見せしておきます。こういう資料があったんです。この延長線上でちゃんとやれば簡単に、ここに日本が入っていない、フィンランドとスウェーデンが入っていないからこれをつけ加えてというのをさっぱり持ってこないからこれにしたんです。

 ちょっと目を凝らして字を見ていただきたいんですけれども、各国ともいろいろやっているんです。それで、アメリカですけれども、アメリカのところをちらっと見ていただきたいんですが、ネバダ州のユッカマウンテンというところにやることになっていたんですが、リードという民主党のかつての院内総務がここのところなので、この人がぎゃあぎゃあ騒いだりしたものだか知りませんけれども、これは撤回されているんですね。

 これで、僕はこれは事実関係を完璧に承知しているわけじゃないんですが、アメリカの場合は、電力会社に、最終処分場のめど、使用済み核燃料をどうするんだ、そのめどをちゃんとつけるというか、計画の中にきちんとそれを書き込まなければ新規増設は認めないというふうになっている。それが、新増設がスリーマイル島の事故の後全然なかった理由の一つだと言われているんですね。僕はこれはなかなかのものだと思います。

 どういうことかというと、日本で原発の再稼働とかになると、活断層、これは大事だと思います、日本は地震ばかり起きたりするので。ですけれども、そこのところに今度は避難計画というもの、これも大事ですよ、大事です。きちんとつくってもらわなきゃいけません、事故が起きたときに。訓練をしたり、川内原発もしています。当然のことだと思いますよ。ですけれども、もう一つ、やはりこの部分、最終処分場をどうするかというのを電力会社に真剣に考えさせてもいいんじゃないかと思います。

 学術会議がそれについて提言していまして、先ほどちょっと触れましたけれども、各電力会社一カ所、きちんと、どこでもいいんでしょうけれども、途中の暫定的な保管施設をつくるのを条件としろと言ったりしているんですね。僕は、これはいいことだと思います。それぐらいの厳しい条件をつけなかったら、それで国に、NUMOに全部ツケを回すとか、これもよくないですよ。やはり電力会社に責任を持たせるということ。

 だから、管理主体、責任の所在がどこにあるんだと申し上げているのはそういうことでして、電力会社にきちんと責任を持たせる、最終処分場についてどう考えるのか、どうするつもりかというのを、これを再稼働の条件の一つにしたって私はいいと思うんですが、この点について、いかがでしょうか。

高木副大臣 まず、御指摘いただいたアメリカの件でございますが、アメリカは原発の新規建設に最終処分場の明確な特定を条件とするということについては、承知しておりません。というよりも、まずそういう義務はない。一方で、アメリカは、最終処分の実施主体はDOE、エネルギー省となっており、最終処分の時期のめど等を計画として提示している。

 ただ、委員御指摘のありましたように、発生者責任ということで、やはり電力会社がしっかりと考えていくということは必要であると考えておりますし、一方で、原発の再稼働につきましては、いかなる事情より安全性を最優先する、これはもう大前提であると思います。

 そういった中で、これは民主党も自民党も公明党も賛成をしましたが、原子力規制委員会という第三者委員会をつくって、その委員会によって新規制基準をつくらせていただきました。さらに、それに適合すると認められた場合には、その判断を尊重して再稼働を進めていくというのが今の政府の方針でございます。

 ただ、最終処分場の問題は、私もこのゴールデンウイークのときにオンカロを視察してまいりました。このときに感じたのは、最終処分場というのはなかなかそう簡単に決まらないというこの十数年の日本の現実のある中で、やはり政治がしっかりと前面に出て主体的に取り組んでいかなければいけない問題だと思います。

 特に、オンカロの場合には、オルキルオトでフィンランドも七〇年代に原発をつくり始めてから議論を重ねてきて、いわゆる政府と国民、または電力事業者と国民、そういった中での信頼関係がかなりつくられているな、そういうことを感じました。

 やはりそこのところで、ただ単に説明をするだけではなくて、信頼をしっかりとかち得ていく、これが最も重要な部分であるとも考えますし、そういった部分では、再稼働をするしないにかかわらず、現在日本にある原子力発電所の中には使用済みの核燃料というものがございますので、そういった部分を最終的にどう処分するかは、原発を推進する側も、または原発を反対する側も含めて国民全体で考えていかなければいけない問題だ、そのために政治がしっかりとリーダーシップを発揮することが大変重要であると考えております。

篠原(孝)委員 高木副大臣のおっしゃるとおりだと思いますよ。

 御存じかどうか、最終処分議連というのがあるんです。富田さんが共同代表の一人でして、穴見さんは事務局次長で、私が事務局長をやっています。

 それは、今いみじくもおっしゃいましたけれども、僕は反対して、こんなものは早くやめた方がいいと思っているんですよ。だけれども、推進しようとする人の方がもっと必要ですし、だめだという人たちも、やはり廃炉がありまして、もう使用済み核燃料があるわけですから、これを何とかするというのが絶対必要なんです。ですから、私のような絶対的な反対者も入って、やらなくちゃいけないというので入って、やっているんです。僕も当然オンカロには行っています。これは大事なことでして、きちんとやっていかなくちゃいけないと思っているんです。

 それで、今コンセンサスが大事だと。そのとおりだと思いますが、日本はどうもよくなくて、応募というのでやったわけですね。それでだめだった。僕は、悪いことではない、いいことなんです、説明会を開いてとかいうのを地方レベルでやっていますけれども、国レベルがどうも決め方がよくないんじゃないかと思う。だから学術会議からも何か言われる。

 結局、これは今、政治が絡まなくちゃならない。技術的にこういうふうに確立されたというのは、技術のことは、さっき、よくわからないですよ、神山さんは別のところで言っていましたけれども。ごちゃごちゃ書かれている長い文章を見てもわからない。これは国民が不安を持っている、だから国民的な議論をして、国民の皆さんにも納得していってもらわなくちゃいけない。原発で安い電気を使ってきたのでもうツケは来ちゃっている、それは何とかしなくちゃいけないので、日本国民全員でもって考えなけりゃいけないということで、国全体で議論しなけりゃいけないと思うんです。

 ドイツは一つ先行しているので、高濃度の廃棄物についての委員会をつくって、それは技術者じゃないんですね、社会学者や労働組合や住民や何かが入って、政治家も絡んでいるんですけれども、よくわからないんですが、政治家は決定には参加せずに議論には参加するけれどもということで、それで最終処分場を決めようとしている。ドイツは一旦、ゴアレーベンという岩塩層のところに決めたんだけれども、白紙撤回して、また議論し始めている。

 日本も似たような状況で、日本はまだ決まっていなくて、またやり方を変えて、今まで応募方式、受け身だったのを、積極的に、まあ立派な言葉を、言葉だけが先行していると思いますけれども、科学的有望地とか、いかにも立派な名前ですけれども、そういうふうにして、いいですよ、そうやっていこうとしている。

 だけれども、もう不信感が生まれてしまった。フィンランドとスウェーデンは小さな国ですし、ある程度の規模だし、国民のコンセンサスも得やすい。日本の場合は、ばかでかい国ですし、なかなか難しい。しかも、福島第一原発で、原発関係者はもう信頼を失っていますよ。この人たちが、原発関係の学者や電力会社ともにいろいろ議論して、電力会社がやっているからいいんだと言ったって始まらないですよ。

 そしてまた、これは皆さんが悪いわけじゃないですね、安保法制懇のように、集団的自衛権の行使を容認するという人だけを集めた懇談会というのをやったって、結論を得るなんて無理ですよ。そうかと思えば憲法審査会みたいなのをやってきて、みんな反対とか憲法違反だとか言われてごちゃごちゃしている。だから、きちんと議論しなければならない。

 副大臣がフィンランドに行かれたのはオンカロだと思いますが、あれはコンセンサスを得るのに三十年ぐらいかかっているわけです、決めるのに。それだけエネルギーを費やしているんですよ。技術的にどうこう研究というのも必要なんでしょうけれども、これはみんな国民が相当関心を持っていることですから、コンセンサスを得るのに時間を割かなきゃならないと思います。

 学術会議は、やはり先生方は立派だと思います。核のごみの問題を解決する会議を設けて議論していこう、私は非常にいい提言だと思いますけれども、これについてどう思われますでしょうか。

高木副大臣 この問題につきましては、科学的知見、これがまず大前提になると思います。そういった意味では、学術会議を初め、さまざまな専門家の皆様方が議論を重ねていくということは大変重要である、このように考えております。

 その一方で、今委員がお話しになりましたように、コンセンサスを得るためには、専門家、いわゆる科学的知見、これはもちろん大丈夫だけれども、安全だけれども安心を得るということが大変重要であるなというふうに考えております。

 私、福島の方の担当をしておりまして、原子力災害の現地対策本部長で、毎週一回は福島に通っている中で感じるのは、例えば放射線の値で、これは安全だと科学的知見を示しても、やはり心の部分、それぞれお立場によっても違いますし、それで不安を持っている、そういうのをどう理解を得ていくかというのが大変重要であろうなと。そういった部分では、専門家の方々の意見、一方で、そうではない一般の国民の方々の感覚、こういったものを絶えずやりとりをしながら合意をつくっていく作業、これが最も重要であるな、このように考えております。

篠原(孝)委員 そのとおりでして、では、地下に埋めて、日本は三百メートル以上の地下に埋めると言っているんです。ほかの国は、先行しているところがいっぱいあります。だけれども、もうやっていて事故が起きているところもあるわけですね。

 御存じだと思いますが、アメリカのニューメキシコ州のWIPPというところですよ。我々というか、富田さんや僕が行こうとしたんですが、アメリカが受け入れてくれませんでした。核兵器のこと、広島、長崎、ロスアラモスの研究所のところ、いろいろなのが絡んでいて。

 これは大丈夫だと言っていたら大丈夫じゃなくて、漏れていた。しかも、プルトニウムやアメリシウムというのは、私はよくわかりません、これは半減期が何千年、何万年じゃなくて数百万年という気が遠くなる話ですけれども、そういう危険な物質が漏れている。しかも、それをWIPPじゃなくて第三者機関から指摘されて初めてわかる。こういう状況ですから、そう簡単に住民は受け入れるはずないんです。

 それから、僕は、かわりにワシントン州のロッキー山脈の東側にある、砂漠のところに設けられたハンフォードという施設にも行ったんです。そこも問題になっている。漏れている。

 日本的な感覚からすれば、砂漠で人家なんか一軒もないわけです、こんな恵まれた最終処分場があるのか、日本にあったらすぐ決まっちゃうだろうなと。人が住んでいないんですよ。そこで何かトラックが行ったり来たりする。何をしているかというと、水をまいて走っているんです。昔やったのがだめだったので、掘り起こして、放射能をレベルで分けて、もっときちんと処分しようと。でたらめにやっていたのが、今にツケが回ってきているわけです。

 工事するときに、何十キロぐらいしか離れていないんです、人家は。その砂ぼこりが行くといけないからというので、工事車よりも水まき車の方がいっぱい走っているんです。それだけ住民に気を使ってやっているんですよ。日本はそういう配慮が足りないなと思うんですよ。

 そういう点ではいいことなんですよ、経産省が全国各地に行き出したというのは。これは農林水産省はとっくの昔からしょっちゅうやっていることなんです。この霞が関ばか農政とかきつく嫌なことを言われているわけですが。経産省は大企業にずっと号令をかけていればいいみたいな感じの、中小企業行政を除けば。だけれども、これは国民的な理解を得る必要があるので低姿勢できちんと理解してもらわなくちゃいけないんですね。

 全国シンポジウムを開く、都道府県に説明に行く。だけれども、ちょっと違うんですよね。私がもといたところと違うんですよ。

 これはちょっとだけお話ししますと、地方の農政局長が農家のおじさんたちといろいろ話して、そして夜も懇親会をやる。料亭でやるんじゃないですよ、酒を酌み交わすんですよ。私の同期のが県庁に出向していてびっくり仰天したと言うんです。これは悪口みたいで、経産局長たちは大企業の人たちとやるけれども、地方の人たちとそんなことしない、農林水産省の地方農政局長は大変だな、一介の農家のあんちゃんに、それこそ農政問題だけではなくて教育問題から核問題まで議論している、そういうことをしているわけです。それがどうこうというんではなくて、そういうのを吸収しなくちゃという姿勢が必要なんです。

 だから、これはぜひやっていただきたいと僕は思いますけれども、どうもやり方がだめでしてね、前ほかの省庁が、何か発言した人にお金を出すところがありました。やっていたのを覚えておられますね。経産省は何をしているかというと、やる場所もあれしていない。その市町村が行っていたら受け入れるみたいになると思われるから、場所もあれしないし、どの市町村が来ていたかも公開しないとかいって、TPPの秘密交渉と同じようなやり方をしている。これじゃ国民的理解を得られるはずがないです。

 いいんですけれども、このやり方を改めてもらえたらと思いますけれども、今までの成果はどんなぐあいなんでしょうか。

宮沢国務大臣 最終処分につきましては説明会を開いてきておりまして、実は二種類の説明会がございまして、一般の方を対象にするものと自治体を対象にするものというもので、同じ説明をしてきております。一般の方を対象にしている場合には完全にフルオープンでやっておりますが、自治体の方を対象にしてきたものについては、やはりマスコミがウの目タカの目でいろいろ狙っているというような状況もあって、出席すること自体についてある意味では前向き、積極的に検討していると受けとめられかねないというような危惧が自治体側にもおありだということで、非公開ということでさせてきていただいておりますけれども、今後またさらにいろいろやっていく段階で、どういうふうにするかは今後また検討させていただきたいと考えております。

篠原(孝)委員 今度は資料の二ページ目を見ていただきたいんですが、これが最近公表された交付税の不交付団体です。これで黒丸が原発立地市町村ですね、赤丸が火力発電所の市町村です。

 これは大体電源三法の交付金とか固定資産税とか核燃料税とかいうのでメリットを受けてきて、そういうもので原発立地を認めさせてきたんですね。言ってみれば便宜供与、あめでもってやってきたんです。こんな姿勢を最終処分場についても持ち続けるというのは、多分お考えになっていないだろうとは思います。だけれども、文献調査を受け入れたら何十億円、概要調査を受け入れたらそれに上増しして何十億円とか、これはやっちゃいけないと僕は思いますよ。その点はくぎを刺しておきたいと思います。

 外国でそんなことまでしてやっているところはないですね。ちゃんと時間をかけて納得していただくということにお金を注ぐべきであって、お金をばらまいてというのはやめていただきたいんですが、この点について、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 今おっしゃいましたように、電源三法交付金制度というものがございまして、文献調査段階では年間最大十億円、期間最大二十億円、概要調査段階では年間二十億円、期間最大七十億円という予算制度というものは持っておりますけれども、残念ながら、これを今まで使用したことはないわけであります。

 当然のことながら、お金で自治体に、札束を切って自治体に同意していただくということはもちろん本意ではなくて、処分事業に協力いただける地域に対して国全体が敬意や感謝の念を持つとともに、社会として適切に利益を還元していく必要があるとの認識を広く国民に共有していただくという作業、おっしゃるように、簡単ではありません、期間が随分長くかかると思いますけれども、しっかり国民との会話、対話をしていかなければいけないというふうに思っております。

篠原(孝)委員 では、次に、三ページ目を見ていただきたいんです。地学の知識の部分がちょっと出ていましたけれども、これは簡単な知識ですから、皆さん、すぐおわかりいただけると思います。日本に最終処分場の適地があるかどうかということについて考えていただきたいんです。

 日本の地層は若いという。一番下の方で、五億六千四百万年前、先カンブリア紀と古生代、ヨーロッパの岩大陸はこれなんです、スウェーデン、フィンランド。花崗岩でがちがちなんです。

 高木副大臣も聞かれたと思いますけれども、フィンランドは自信満々ですよね。では、同じ岩大陸の、ヨーロッパは基本的に岩大陸なんだから、フランスでもドイツでも、花崗岩のところ、これは大丈夫かと言ったら、大丈夫じゃないと言うんです、北欧だからできるんだと。これは単純なんですね。何でこっちはかたいんだと言ったら、三千メートルの氷河に何万年も押しつけられていたからかたくなっているんだ、あっちはそんな氷河がないから、やわらかいからだめなんだと。

 ただ、正直に言っていました。また氷河期が来たら、また押しつけられて、減量してリバウンドと同じですね、リバウンドがあって、また持ち上がったりするので問題だと。だから、日本も、それはわかっていて、三百メートル隆起したところにはしない、火山の近くはだめというふうにやっていますけれどもね。

 これを見ていただくと、幌延は若いんです、全然桁が違う。それから瑞浪も、ヨーロッパの岩大陸から比べたら十分の一の期間しかたっていない花崗岩ですよ。だから、やわらかいんだと。

 私が行ったゴアレーベンは岩塩で、これは単純だと思いますけれども、ちょっと皆さんにも、岩塩のところがなぜいいかというと、水が入ってきて生物界と接する、岩塩のままあるということは水が全然入っていないから、生物界と遮断されているというのでいいんだということになっているんですね。

 スイスのモンテリ、オパリナス粘土層というところにも行きましたけれども、粘土層でも、日本のいろいろな青銅器や何かがそのまま出てくるのは、粘土というのは、ぎっちりやって変えない、外にも出ていかないというのでいいんだそうです。

 ですけれども、これを見ておわかりのとおり、だめなんですね。若いんです。だから生物界と接する。オンカロは、閉じてから十万年間、生物界と接しないようにと。日本にそんなところはないという説明を小泉元首相が聞いてびっくり仰天して、だめだと言って、まあ、その前に考えておられるんですけれどもね。

 それから次に、次が問題なんですよ。見てください、マグニチュード六以上の震源分布とプレート境界というのを。これからいきますと、日本に原発適地があるのか。原発適地以上に、最終処分場の適地があるのかというのが一目瞭然じゃないかと私は思います。

 特に、私のところ、長野県の北部。では、最近大地震がどれだけ起きているかというと、二〇〇四年、中越地震です。二〇〇七年、中越沖地震です。二〇一一年、東日本大震災のときに長野県北部地震。そして二〇一四年、三年置きぐらい、神城断層地震です。四つのプレートがひしめき合って押しくらまんじゅうしているところ、そのすぐ近くに柏崎刈羽原発があるんです。

 そういうことを考えたら、原発はもうやめていく以外にないんじゃないかと私は思います。この地図を見たら、皆さんそう思われるんじゃないかと思います。ウクライナとかというのは全然地震なんというのはないんです、震度六なんという地震は。ヨーロッパ大陸もほとんどないんです。

 これは前に申し上げたと思いますけれども、アメリカでも、百基以上あった、今もありますけれども、その原発の大半、ロッキー山脈より西側には三カ所しかない、いずれやめていく。みんな地震のない東側にあるんです。

 それからしたら、地震のことからいっても、地層の若さからいっても、日本には適地はなかなか見つからないんじゃないかと思うんです。

 それで、次の問題なんです。

 私は真相はどうかわからないんですけれども、最後の際どい問題ですけれども、こんなことをしているとだめだから日本はもう諦めよう、盤石なユーラシア大陸のど真ん中に使用済み核燃料の処分場をつくってもらおうと。モンゴル政府とアメリカと日本が手を組んで、モンゴルには世界一のウランの埋蔵量があるそうで、その開発をする、お金を出す、原発技術も提供する、そのかわり最終処分場は受け入れてくれという。

 私は、これはいかがわしいことだと思います、人のところに持っていくなんというのは。これはやっちゃいけない、倫理にもとると思う。道徳道徳と安倍総理は言っていますが、道徳の教科書にこれがいいかどうかと書いてみてください。そんなことが許されるはずないと思いますよ。

 だけれども、これは、一時こんな話があったとかと言っていますけれども、ないんでしょうねということ。こんなことは絶対やっちゃいけないと思いますけれども、大臣、いかがですか。

宮沢国務大臣 地質学の専門家の意見は篠原委員とは少し違っているようでございまして、七〇年代から地層処分について研究が行われてきておりますけれども、地層処分に必要な条件を満たす地質環境が我が国に広く存在するという結論が得られていると聞いております。

 まさに、火山や断層活動など、封じ込め機能に著しい影響を与えるような天然現象は回避しなければなりませんけれども、詳細な調査により、こうした影響を適切に避けることが可能とされているというところで、委員とは少し見解が違っておりまして、憲法学者とも少し違っているようでございます。

 モンゴル云々という話がございましたけれども、基本的に、使用済み核燃料だけではなくて、ごみについて、海外に輸出するということ自体はもちろん当然禁止されているわけでございますが、特に放射性廃棄物につきましては、発生した国において処分されるべきというのが使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約でもうたわれておりまして、共通認識となっておりまして、いずれの先進国においても自国内での最終処分を行うべく処分地選定を進めているところでありまして、我が国においても当然そういう方向で検討を進めております。

篠原(孝)委員 ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。

 フィンランドでも、僕が行ったときにはフィンランドが余り威張るので、では日本のも受け入れてもらってもいいんじゃないですかねと言ったら、絶対に自分の国のしか受け入れないことにしていると。当然のことだろうと思います。

 最後のページ、これは聞いていただくだけでいいですけれども、「霧の中のチェルノブイリ」という非常にポエティックなタイトルが書いてある、私の十年前のブログです。

 そこで、写真を見ていただきたいんですけれども、左が当時の原田義昭外務委員長です。外務委員会の視察で行ったんです。九時にキエフのホテルを出るんですけれども、六時に起きて一時間半車を飛ばして、行ったって中に入れないんですけれども、なぜそんなことをしたかというと、私はずっと原発が気になっていたんです。バードウオッチャーというのがいますけれども、私は原発ウオッチャーの一人なんです。これは本当に大丈夫なのかとずっと気になっていたんです。だから見ておきたかった。

 右は、二〇一一年、農林水産副大臣のときに行ったときは建物ができていて、今度は中に入れたんです。見て、石棺のところまで行って写真を撮ったりしてきました。非常事態省の人に案内してもらいました。余り外にいるといけないから早く車に乗れとか言われましたけれども、六十過ぎているからもうどうでもいいと減らず口をたたいて、いっぱい見てまいりました。

 大事なのは、この下のところ、ちょっと手前みそになりますけれども、私も気がつかなかったんですけれども、このブログの中の、下に線が引っ張ってあります、「日本にも、そして世界にも起こる可能性はいくらでもあるのです。」と、私はこのときにもう心配していたんですよ。

 これはどういうことかというと、原発をやって、どんちゃかどんちゃか物をつくって、汚して、次の世代にツケを回す。学術会議が、世代責任、世代責任と言っています。これもまた手前みそになりますけれども、私は「原発廃止で世代責任を果たす」という本を書いているんです。これは私のやったことを自慢げに書いたんじゃなくて、原発政策はどうあるべきかということを書いているんですね。こういう考え方が私は必要なんじゃないかと思うんですよね。時間がなくなったので、大臣にお答えいただけたらと思っていたんですが、これはやめます。

 大臣と私、三原さんもそうですけれども、大体高度経済成長の恩恵に浴して育った世代ですね。でも、今三十代、四十代の人は、高度経済成長なんか知らないと思う。だから、もう一回ああいうのになりたいと思っている人がいっぱいいるかもしれないんです。だけれども、あれは夢物語だったので、これからはもっと地道に、今の朝ドラじゃないですけれども、地道にこつこつ生きていくことも必要なんじゃないかなと思います。

 だから、私はしつこく、原発はだめじゃないか、もう諦めた方がいいんじゃないか、トイレなきマンションということで袋小路に入っているからやめた方がいいんじゃないかということをこういう場を通じて申し上げている次第でございまして、ぜひ皆様方もそういうことをお考えいただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

江田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 維新の党、木下智彦でございます。本日もお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 冒頭、お時間をいただいてということであれなんですけれども、私がこういうことを言うのもなんなんですけれども、きょうの委員会の立て方、ちょっと私は、えっと思っているんです。きのうのお昼の理事会で、法案質疑の間に一般質疑を入れるということで、きょう、急遽こういうふうな質問の機会になった。これは提案する側が、野党が提案しているのかもしれないので余りあれなんですけれども、野党も野党だし、それを受ける与党側も、もう少し理論的に委員会を立てていくということにしていただきたいなと思います。双方がうまい理解ができるような、そういう委員会を運営していっていただきたいと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 それでは、きょうのお話をさせていただきます。

 六月三十日に閣議決定された部分で、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針というふうに言われている部分についてお話を聞きたいと思います。といいながら、時間がないので一部分になるかと思いますが、ぜひともお話を聞きたいなと。

 まずお話を聞かせていただきたいところ、これは、以前から私は一般質疑でいろいろとお話を聞かせていただいておりますが、「サービス業の生産性向上」というふうなことが今回の閣議決定の中に入っております。

 それを見ていると、ちょっと読ませていただきますと、「「稼ぐ力」の強化に向けた事業環境の整備と成長市場の創造」、ここの中にいろいろ書いてありますけれども、今の状況の中で、「個人にとっては成長分野や処遇のより良い仕事に移動する、企業にとっては新陳代謝を進めて高収益を実現する好機である。良好なマクロ経済環境を持続するとともに、労働移動の円滑化や企業の新陳代謝の取組を強化する。」と。

 これは私は非常にすばらしいなと。今までの政府の中でやはり余り声を大にして言われていなかったところ、しかし、皆さん、心の中では、こういったことにしっかりと取り組んでいかなきゃいけないといったことが、こういうところにどんどんと言葉として出てくるというのは非常にいいなと思っておりますので、ぜひともこれは進めていただきたいなと思うんです。

 ただ、中身を見ていると、まだまだ、そうはいいながら、まだ優しい、優し過ぎるかなという部分もある。もっとアグレッシブに、この中身について、もう少し掘り下げたことを書いていただければなと思うので、そういった観点でお話を聞かせていただきたいと思います。

 まず最初なんですけれども、「サービス業の生産性向上」の中で、いろいろな形の施策をする、その中で、まずは「サービス業の生産性向上協議会において、小売業、飲食業、宿泊業、介護、道路貨物運送業の五分野で、製造業の「カイゼン活動」のサービス業への応用」というふうに書かれている。

 これについてもう少し詳しく見ていくと、日本経済再生本部において策定されたサービス産業チャレンジプログラム、こういった中でいろいろなことが書かれてあります。

 こういった方向性は先ほど言ったとおりいいなと思うんですけれども、ここで思うのが、こういったサービス業への展開といったところに、なぜわざわざ、製造業で行われていたカイゼン活動、こういったものがキーワードとして出てくるのか、どういう形でそれを反映させていこうとされているのかといった部分についてお話を聞かせていただきたいと思います。きょうは内閣府の方からお話しいただければと思います。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

前川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、本年の骨太二〇一五において、確かにそのような記述をしております。

 これは、本年四月二日の政労使会議の決定を受けまして、経団連と意欲ある事業者等が協力して、生産性向上を図る枠組みとして、サービス業の生産性向上協議会を官民で立ち上げまして、六月十八日に第一回の協議会を、総理御出席のもと、首相官邸で開催したものです。

 その際、サービス業側から、生産性向上に向けた課題として、具体的に以下の四つのような関心が示されました。

 一番目は、従業員の役割分担の見直し、いわゆる多能工化的なものでございます。二番目が、後工程に応じた前工程の作業、いわば在庫管理のあり方のようなものでございます。三番目として、従業員の動線設計及び最適な設備配置。それから、四番目として顧客価値の向上ということでございます。これらは製造業とも共通の課題でありまして、製造業のカイゼンのノウハウ活用が有効と考えられたところから、六月十八日の協議会においても、病院や旅館などのカイゼンの好事例が報告されたところであります。

 このように、サービス業の生産性向上に当たりましては、同じ業種からのノウハウの移転のみならず、異業種、とりわけカイゼン活動などに代表される生産性向上に取り組んできた製造業からのノウハウ移転も有効であると考えることから、今後、政府としても、こうした取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。

 以上です。

木下委員 言われていることはわかるんですね。ただ、カイゼン活動、これは世界的にこのごろ有名になってきています。だからといって、わざわざ製造業というふうに、まあ、ほかでは縛っていないというところもあるのかもしれないですけれども、ここに、わざわざ製造業の活用、カイゼン活動というふうなものをやっていこうというふうにすれば、逆にそういった部分で範囲が狭まってしまうんじゃないかなというふうに思っているんですね。

 そんなことを言いながら、ほかのことも書かれていましたので、日本サービス大賞などによるベストプラクティスの普及を図る、これも一つの方法。こういったことを考えていくと、まだまだ製造業というふうに縛る必要はない、ベストプラクティスと言われているものはどこからでも学べるんだと私は思うんです。

 これは、日本政府、今までのやり方というと、日本オリジナルのものを何とか前面に押し出していこうというふうになると、こういうキーワードがどうしても出てしまう。こういうふうな体質ではなくて、何でも貪欲にベストプラクティスを学んでいくといった、そういう環境を醸成していくことの方こそ一番重要と。

 やはり、進んでいる企業は、例えばITを活用しているようなところは、業種によらず同じようなソフトウエアを使っていらっしゃる。そういったところを見ていると、もう全く別業種、そういったものでも同じように活用できるような事例がたくさんある。そういったところでベストプラクティスを企業同士が学び合う。それをハブにしているのがそういったソフトウエア、システム会社であったり、そういったこともやられている。そういった形をつくっていくことの方が重要だ。

 ひとつ、これ自体がもう全然だめだというわけではないですけれども、もう少しここの言葉の使い方、工夫をこれからもしていっていただきたいなと思います。

 どんどん次に行かせていただきます。

 そうしたら、次なんですけれども、サービス産業全体に係る目標について。

 今のサービス産業チャレンジプログラムの中で、サービス全体に係る目標として、サービス産業の労働生産性の伸び率が二〇二〇年までに二・〇%というのを目指すと。ちなみに、二〇一三年が〇・八%だったというふうに言われております。これについてなんですけれども、実際に、この二・〇%、どういうふうな形でこの伸び率を算出したか、この根拠を少しまず教えていただきたいと思います。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 目標の根拠についてのお尋ねでございます。

 成長戦略等におきましては、我が国の中長期的な実質GDPの成長率を、二%程度の成長を目指すというふうにされております。これを達成するために、これは経済全体、製造業等も含めて、二%以上の労働生産性の向上を実現する活力ある経済の実現を目指すということが必要でございます。他方、サービス産業の生産性につきましては、製造業に比べて生産性が相対的に低いという問題が指摘されてございます。

 したがいまして、製造業との生産性格差を是正していくという観点も含めて、経済全体の生産性の伸び率をサービス産業についても当てはめて目標とするという考え方でございます。

木下委員 そうなんですよね。

 結局、経済成長率、これを実現していくためにはこれぐらいの生産性向上をしていかなければいけないという意味でいうと、これは逆算なんじゃないかなと私は正直思っております。

 というのは、サービス業の中で代表的なものは何かというと、小売業それから飲食業といったものだと思います。

 小売業を見てみますと、二〇一三年、プラス二%の伸び率だった。リーマン・ショック以降、小売業については大体平均して二%程度の伸び率プラスという形なんですけれども、対して、飲食業の方を見てみますと、飲食業は、リーマン前後、二〇〇九年くらいから読み上げますと、マイナス〇・六%、その次マイナス二・九%、マイナス一・五%、マイナス一・九%、マイナス一・六%、ずっとこれはマイナスの状態なんです。これをやはり伸ばしていかないと、二%、相当私は難しいと思っているんですね。それが一つです。

 それからもう一つは、では、小売の部分についても、もう少し詳しく、深く、これはいろいろなところに資料があったので見せていただいたんですけれども、ここもおもしろい傾向があるんですね。

 というのは何かというと、ローソンは小売業で今すごく伸びているところです。ここは二〇〇六年度以降、急速に伸びている。七年間でおよそ六割上昇しているという状態です。ここで数字を見ていると、例えば伸び率だけでいうとなかなか比較はしにくいので、従業員一人当たりの付加価値額という形で見てみますと、二〇一三年度は何と四千二十七万円。対して、それ以外の小売業、例えば高島屋一千万円、それからスーパー大手のライフが五百万円、これから比べて四千万円は物すごいでかいです。こういう形で、今の小売をある程度支えているというのはコンビニになりつつある。

 ただ、コンビニはどういう形でやられているかというと、全てがそうではないんですけれども、フランチャイズ方式でやられている。そういう形で見てみると、従業員一人当たりといいながら、ローソンの本部、本社、そこの人たちの付加価値額は高いかもしれないけれども、実際にお店で物を売られている方、フランチャイズを受けてやられている方の労働生産性がそこまで高いかというと、必ずしもそうではないという状態。ただ、こういう業種があるために、小売業の伸び率というのは、一定程度、非常に平均値は引き上げられているという状態であると思うんです。

 この状態も、何とかこれを底上げ、それ以外の業種というんですか、業種は同じだったとしても、それ以外の企業についてもこういうふうなことを考えていかなければいけないと言いながらも、単一的なこういう業態、これをやっていくと、末端の人たちの労働生産性は余り伸びないという形になるので、こういうことを考えていくと、労働生産性の伸び率を、しっかりと数字を見ていくと、二・〇%プラスというのは相当私は難しいんじゃないかなというふうに思っております。

 これについてはいろいろ御意見があるかと思いますけれども、先へ行かせていただきますので、よろしくお願いします。

 次に、IT利活用とグローバル化、こういうこともこの中に書かれてあるんですけれども、いろいろ書いてあります。よくあるパターンですけれども、ITもしくはICTの利活用、こういったことで生産性を伸ばしていきましょうというようなこと、それからグローバル化についても書かれています。

 ただ、ここに書いてあることが、先ほどのカイゼン活動というのと私は同じだと思っているんですけれども、クラウドなどのIT利活用の促進というふうに書いてあるんです。具体的に、クラウドなどのIT利活用といったものでどんな効果があると思われているのか。私、ここに書いてあることだけではちょっと理解がしにくかったので、その辺、どういうふうなものを具体的に考えられているのかということについてお話しいただければと思います。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 ITの利活用がサービス産業の生産性向上に非常に重要であるという認識でございます。

 一口に申し上げまして、サービス業もさまざまな業態がございますし、それから、サービス業の中でも中小企業の割合も非常に多いという現状がございます。そういったことから、IT利活用を進める際に、大手の企業さんであれば、新しいシステムを導入して、自前のビジネスモデルに合ったようなシステム開発をするということも可能なわけでございますけれども、なかなか、中小企業の皆さん方にそれを期待するというのは非常に難しい部分がございます。

 したがいまして、ITの利用の際のコストを抑えながらパフォーマンスを上げていくということを考えたときに、最近非常に普及をしているクラウドコンピューティングの技術、これを活用していくというのは大変有効な施策なんだろうというふうに思っております。

 具体的には、これはもちろん、企業のバックオフィスの業務を改善していく。会計処理であるとか税務処理であるとか、そういったものをITをうまく使って効率化をしていくといった面での生産性向上ももちろんございますし、それから、顧客情報のようなものをうまく収集して、それを分析して新しい商品開発に結びつけていくというような活用のやり方もあろうかと思います。

 さまざまな取り組みが先行的な企業でも行われておりますので、そういったものをベストプラクティスとして横展開をしていくというようなことを政策としても力を入れていきたいというふうに考えております。

木下委員 大体イメージはわかるといえばわかるんですね。ただ、では、例えばそのクラウドを誰が運営するのかといったこと、これも一つ大きな問題。当然のことながら、一社でITを導入してやるというのは相当難しいことなので、クラウドを利活用していくというのはあると思うんです。

 ただ、その骨組み、どうやってつくっていくのか。ここにこう書かれているんですから、政府が主導でやられるのかもしれません。ただ、そういったものを本当にうまく政府がやっていくようなものなのかどうなのかというところも、ここがまだ漠として見えない部分が私はたくさんあると思うんです。

 そんな中で、先ほどのカイゼン活動と同じように、クラウド、クラウドと世の中で言われている中で、こういったまだ漠としたような形のものを言葉の中に入れ込んでいくというのは、一種、見方によってはまやかしというふうに言われてしまう部分も私はある程度否めないと思っておりますので、こういったことも含めて、もう少し具体的なそういう枠組みというものが見える形にこういった文章の落とし込みをやっていっていただきたいなと。ちょっと細かい話をして非常に申しわけないんですけれども、こういったことをやっていかなきゃ、実際これはワークしないんだと思っているんです。

 それと同じように、先ほど言っていたグローバル化についても少しお話しさせてもらいますけれども、サービス産業のグローバル化として、オリンピック、パラリンピックに向けたインバウンド、アウトバウンド双方に対する促進をするというふうになっている。インバウンドについてはわかるんです。ただ、アウトバウンド、これは非常に難しいんじゃないかなと私は思います。

 というのは、サービス産業の特性について、政府も当然のことながら分析されていますし、世の中でも言われています。その分析、特性について書かれている部分、これは内閣府だったかどこかの文書に書いてあったんですけれども、私も前から言わせていただいていますが、サービス業の特性がいろいろ書いてあります。

 在庫が存在せず、輸送費用が高い、これが一つ。そういったところも含めて考えると、空間的に市場が限定している、グローバル競争にさらされにくい、地域的に競争が限定されている、金融サービスの一部など空間的に限定されないものもあるけれどもというようなこと。生産物は大半が非貿易財だ、なぜならば、労働生産性が高まって価格が低下しても、需要全体は地域需要に制約され、成長余地には限界がある、こういった分析が書かれています。

 確かにそうだろう。そんな中でもアウトバウンドをやっていかなきゃいけないとは思うんですけれども、これは実際、どういったもの、何をするつもりなのか、これについて少しお話しいただければと思います。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、サービス業の海外展開は非常に難しい側面がございます。議員御指摘いただきましたようなサービス業固有のいろいろな構造的問題がございますので、海外展開についてはさまざまな工夫が必要であろうかと思っております。

 私どもがこれまで取り組んできた取り組みといたしましては、例えば、事業者の方々が海外拠点においても日本同様の質の高いサービスが提供できるような施策、現地の人材を育成していくとか、あるいは現地の制度づくりをいろいろサポートしていくとか、こんなことに取り組んでいるところでございます。

 具体的な例を一つ挙げさせていただきますと、今、ベトナムにおきまして、日本の理美容業が非常に高く評価をされております。日本の企業さんの中でも、ベトナムでそういった事業をやってみたい、あるいはやっていこうという取り組みが始まりつつございます。

 ただ、やはり日本流のサービスが、現地でサービスの質をどういうふうに評価するのか、どういうふうに見える化をするのか、こういったところが非常に大きな課題でございまして、日本では理美容の関係ではいろいろな評価の仕組みがございますけれども、現地の事業者の方々とも協力をしながら、ベトナムにおける理美容の検定、認証制度のようなものを立ち上げる、そういったインフラの上で日本の事業者の方々が質の高いサービスを提供できるようにしていく、こういったところのサポートをジェトロ等とも組みながら進めてきているところでございます。

木下委員 お話を聞かせていただくと、具体的なものはあると。ただ、こういう政府の閣議決定を見ていると、どうしても漠としてしまう。やはりほかでも、人材育成の話とかもいろいろ書いてあったんですけれども、もう少しめり張りをつけたことをやってもいいんじゃないかと思っているんですね。

 きょうはちょっとお話ししませんけれども、ある国ではこういったものに特化したような人材育成ができているとか、こういったものについてはどこどこの国が一番だというのはやはりあると思うんです。ただ、政府がこういう形に文書を落とし込むと、めり張りがやはりきかないので、これを変えていかなければ、本当に成長産業をうまく後押しするというのはまだまだ難しいのかなと私は思います。そういった殻を破っていただきたいなと思っているんです。

 何よりも、最後に大臣にちょっとお話をいただきたいんですけれども、今回のところはお題目としては私は非常に評価できるところだと思うんです。ただ、そのかわりに、余りにもとげが抜かれている。もともとのこの骨太の政策の中身というのは、前からちょっとお話をさせていただいておりますけれども、冨山和彦さんがいろいろと書かれている、そういったものが色濃くこの中に反映されていると思うんです。

 ただ、冨山和彦さんは言われています。中小企業をこれから先どういうふうにしてやっていかなければならないか。今までは産業の二重構造論で、中小企業とはすなわち大企業の下請という発想が法制に組み込まれていた、それを何とかしなきゃいけないと。生産性の高い企業に事業と雇用を集約化させ、それが安定した雇用を生むように進化させるべきだ、攻めのローカル企業政策へと転換するべきだとか、ローカル経済圏の課題は長期にわたって新陳代謝がないこと、まず、中小サービス産業における穏やかな退出、つまり代謝を促す必要がある、こういうふうに言われていて、私は根幹はここにあると思います。

 これは、やはり政府が書くとなかなかそうはいかないとは思うんですけれども、本当に目指すべきところはそこだと思っておりますので、最後に、そういった部分も踏まえて、大臣の御決意等々を聞かせていただければと思います。

宮沢国務大臣 サービス産業につきましては、まさに委員がおっしゃるように、GDP、また雇用で約七割を占めている、特に地域の中小企業というのはほとんどがサービス産業、こういう中で、世界に比べてもサービス産業の生産性が低いというのが日本の状況でありまして、残念ながら、この部分について余り政策的な手をこれまで打ってこなかったということは我々の反省点だと思っております。そういう中でサービス産業チャレンジプログラムなどをつくったわけでありまして、私もこの部分は徹底的にやっていかなければいけないと思っております。

 しばらく前に、サービス産業といってもいろいろな業種が入っているわけでございますから、もちろん、正直言いますと、経産省の担当している業種は逆に言ったら少ないわけでありますが、業種ごとに、我が省の担当でないものも含めて各国との少し比較をして、どういう点に問題があるのかというようなことをまず洗い出してから政策を進めようということで、そういう比較をしてくれということを事務方に頼みました。

 まず第一回、先日報告があったんですけれども、要は統計が十分に整備されていないというのが最初の報告でありまして、これをどういうふうに統計を整備しながらつくり上げていくか、こういうことをこれからやっていかなければいけないということで指示をさらに出しております。

 ともかく、卸売、小売は経産省の担当でございますので、まず第一に我が省の担当であります卸売、小売について、徹底的に世界との比較を行って新たな政策を打ち出していくということを今宿題として出しておりまして、私も積極的に参加しながら、サービス産業の生産性の向上に全力を挙げていきたい、こういうふうに思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 まだまだいろいろこの辺についてお話をお聞かせいただければと思いますので、また今後よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 時間がないので質問に入らせていただきたいと思います。先日、役所の方から通商白書というのをいただいたんですね。その中から何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 アベノミクスで景気を、経済再生が一番の重要な政策の課題だということで、今その途中にあるんだと思いますし、また、昨年の衆議院選挙のときは、道はこれしかないんだということでやっておられたんですけれども、デフレをとめて、インフレ政策でターゲットを二%にしようということで、国もそれに向けてやっているんだと思います。

 デフレがとまらない一つの要因で、いろいろな本が出ていたりしたんですけれども、私は、生産労働人口が減ったというのも一部あると思いますし、それにも増して、やはり円高が一番きいてきたんだと思います。これは前にも質問申し上げたときに、二十四、五年前の一ドル当たりの円の相場が二百四、五十円だったのが、今、円安に振れたといっても百二十三円、四円ぐらい。ということは、海外から入ってくるものは二分の一で入ってくるし、こっちから出そうとすれば二倍の価格になってしまう。

 今、お隣の韓国がいい例だと思うんですね。スマートフォンだとか車だとか、ほかのいろいろな製造品もそうなんでしょうけれども、ウォン安でどんどんどんどん日本との競争に勝って、スマホは世界の五〇%を凌駕するぐらい売れた時期もあったんですけれども、今、ウォン高で四苦八苦しちゃって、このまま低成長が続いてしまうんじゃないかというようなマスコミの記事も目にしたんです。

 では、この白書の中で、他国のグローバル企業が日本を投資先としてどのように見ているのかというのを分析した表が入っていました。アベノミクスの一つとして、国家戦略特区をつくって、東京を中心に海外の投資を呼び込もうじゃないかというような話で、では、投資先としての日本が外国から見たときにどういうふうに見られているのかというのが、デメリット、メリットとしてわかりやすく表になっていたところで、そのうちのデメリットとして、近年、日系企業のカスタマーの数が減少していて、産業集積の低下が懸念されている。

 これは、いろいろな業種が日本の国内にあったんですけれども、今申し上げましたように、海外にどんどん、中国を初め製造業が外に出ていって、ついてくるんだったら来てくれということで、それに付随した中小企業で、ついていかれたところは出ていったんでしょうけれども、ふたをあけてみたら、ほとんど外に出てしまって、国内で回せるだけの企業が残っていない。

 例えば、私がお世話になっている地元の製造業というんですか、加工をやっているんですけれども、バフがけというのを聞いたことはありますか。こういったアルミだとかステンレスだとか鉄を、研磨剤を使ってぴかぴかに磨くんです。そうするとさびない。

 今どうですかと先日訪ねていったら、おかげさまで仕事はあるんだけれどもと言うんですね。じゃあいいじゃないですかと言ったら、でも、俺ももう年だから、あと何年やれるかなという話なんです。バフがけの仕事をしている人がもうほとんどやらなくなってしまった、やめてしまったということですね。そこも後継者がいません。旦那さんが一人でやっているだけです。

 それで、なおかつ、同じような仕事をやれるところが、粗悪、ちょっとやはりグレードが落ちちゃうんだと思うんですね。そこでできなかったふぐあいのあるものを自分が受けてやっているから、仕事は腐るほどあるんだ、でも、もう自分がやめちゃったら、じゃあ誰がやるかな、そこまで自分が心配できないよな、そういったことを言われているんだと思うんですね。

 ですから、製造業が海外にどんどん出ていってしまって、本当はそれを支えていたのは暗黙知と言われている熟練工の人たちだったんですけれども、もうそろそろ本当にギブアップして卒業する時期に来ているんだと思います。そういうふうな状況の中で、結局、どうやって投資を呼び込むのか、海外の企業に来てもらうのか。

 ある企業は、これはもう何年か前の話ですけれども、携帯電話の部品をつくっている私の先輩の企業さんなんです。本当に小さい部品、一個何円です。どこに納めているんですかといったら、カシオなんです。カシオは、もう携帯電話をつくっていないにもかかわらず、モトローラのOEMをしていたんです。今は何の部品をつくっているかはわかりません、これは四、五年前の話なんです。

 そういう状況の中で、今までの施策のあり方がちょっとやはり違うんじゃないかというふうに認識するんですけれども、大臣のお考えを示していただくのと、それに伴う今後の対応策ですね。

 今申し上げましたように、海外から投資を呼び込むんだといいながら、お金だけ来てくれればあとは自分たちでやるという話も投資なんでしょう。でも、そういった製造業の集積が低下しちゃっているという現況を見たときに、次の打つ手というのはおのずと見えてくるんじゃないかと思うんですけれども、まずお尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 おっしゃいますように、ことしの通商白書におきまして、日系企業の顧客数の減少と産業集積の低下を投資先としての日本のデメリットであると指摘する外資系企業の声を書いたことは事実でございますが、一方、同じ通商白書のアンケート調査では、七割以上の外資系企業は、産業集積の度合いが高いと日本のマーケットをポジティブに評価しているというのが現状でございまして、決して日本の産業集積の度合いが近年低下してきているということでは恐らくないんだろうというふうに思っております。

 ただ、一方で、一時期、それこそ五重苦ですとか六重苦というようなことが言われた。おっしゃったような円高であり、燃料高であり、法人税率が高い、また経済連携交渉が進まない、労働制約がある等々といったことが日本の経済の問題点として指摘されてきたわけでありますけれども、円高につきましては、まさにアベノミクスの結果、円安に大きく変わりましたし、法人税率も二〇%台を目指して引き下げている途中であります。

 また、例えばEPA、経済連携交渉につきましても、今TPPが最終局面に来ている、こういう状況であります。TPPというものがもしも合意に達することができるということになれば、恐らく、韓国からアメリカに輸出するよりは、日本で物をつくってアメリカに輸出する方が有利になるものがかなりふえてくるだろうというふうに思っておりまして、そういうことを通じまして、まさに日本の産業集積であり国内雇用を守っていくということが大変大事だと思っております。

 日本企業につきましても、一部の日本企業が海外展開していたものを日本国内で生産するというような動きも、自動車関係また家電関係、見えてきておりますので、こういうものをしっかり我々としても支援していかなければいけないと考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 その中でもう一つだけ。品質の要求が高過ぎるということは、少し詳細に分析すれば、グレードを下げて輸出用、例えば、日本では当たり前なグレードの車が、インドに行ったら高過ぎて買えないわけですね。インドの方は、車は走ればいいと思っているから、エアコンも何も要らないんです。安ければいい。でも、そういったことを国内で、例えば、私はがらくた携帯、ガラ携なんですけれども、もう国内のメーカーさんは、結局……(発言する者あり)わかって言っているんですから。

 なぜそうなってしまったのかというと、もう日本の携帯のメーカーさんは、日本の国内だけしか見ていないというんです。もういろいろなものが盛りだくさんにこの中に入っちゃっているものですから、高コストになってしまっていて海外では売れない、買えないんですよね。だったら、なぜ売れるものをつくらないのかという発想なんだと思うんですけれども。

 例えば、今、自動車でいえばハイブリッドの車が売れているように見えるんですけれども、大体一巡したと言われています。結局、メンテナンスにえらい金がかかります。特に電池、バッテリーを交換するのに三十万も四十万もかかる。ですから、距離を乗る人はハイブリッドの車を買うんですけれども、実際は、もう大体蔓延してきているんじゃないか。

 その中で、日本は新しい技術を創造して、どんどん新しい、環境に優しい車で、水素自動車を売るんだとか、電気自動車を推奨するんだとかというふうにやるんですけれども、実際、ここのところで原油が一バレル五十ドルを切り始めたわけですね。例えば、車でいえばエンジンはダウンサイジングといって、排気量を小さくして、スーパーチャージャーをつけるかターボチャージャーをつけて馬力を上げて、性能は維持しながら燃費のいい車をつくる。メーカーさんもどんどん変わってきたわけですね。だから、スペックがすごくいいものをつくれば世界で売れたということは一時期あったんでしょうけれども、そうじゃないんじゃないかと思うんです。

 そこのところを、二極化を完全にするのならするような形をとるというのも一つの考え方だろうし、結局、国内の産業政策であっても、もし輸出で勝負するというところでやっていったときに、ハイスペックの、グレードの高いものでも買ってくれる層と、中か、もう少しローでもいいんだというところと、切り分けた政策の打ち方をしていかなければならないんじゃないかと思うんですけれども、その辺についてお考えをまたお尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 恐らく、委員の御質問と私の考えは若干違うんだろうと思っておりますが、私はこれまでこの委員会でも申し上げてまいりましたけれども、やはり、まさに高度成長期から一九九〇年ぐらいまでの日本というのは大量生産、低付加価値、薄利多売であったもの、それをこれからまさに少量生産、高付加価値のものに変えていかなければいけない。そうでなければ、中国でできる、ベトナムでできるといったものを日本国内でつくっても、これは恐らく競争にはならない。少量生産、高付加価値といった産業であり企業を育てていくということが成長戦略の大変大事な点だと思っております。

 そういう中で、まさに日本の消費者、特にお母さんの目というのは大変厳しい目がありまして、恐らく、日本で売られているものは世界の非常識のようなものが、ガラ携だけではなくて多々あるわけでありますが、そういうものを日本国内だけではなくてアジアで、今まさにおっしゃるような富裕層、また、中間層もかなり豊かになったところもございますから、例えば、一割、二割性能がよいものに対して一・五倍、二倍のお金を払うといった方たちをターゲットにして日本の企業が、産業が姿を変えていくということが大変大事なことだろうというふうに思っております。

 ただ、おっしゃるように、一方的に日本の思いだけでそういうものが売れるわけではありませんので、例えば中国といっても、一言で言えば、地域によって随分嗜好が違いますので、上海でどういうものが求められている、大連でどういうものが求められている、そして広州ではどうだというような情報、ハノイでどうだ、またジャカルタでどうだというような情報をしっかりジェトロを中心につかまえてきて、情報をとってきて、それを中堅企業、中小企業の方にもしっかり情報として流していく、こういうこともやっていかなければいけないというふうに思っております。

 自動車につきましても、まさに今ハイブリッドにつきまして、これはアメリカ中心に輸出しておりますけれども、インドで昨年一番売れたのは、インドの新車の購入台数の四割はスズキであります。スズキが、軽自動車から始まって、その発展型のものを生産しておりますが、インドのある意味では豊かになってきたという層がふえてきたことにあわせて、若干大きなものもインドで生産しようというような動きが出てきております。

 まさに各国の、ある程度の資産、収入がある層をターゲットにして日本のよさを売り込んでいくということがこれから一番大事なことだろうというふうに思っております。

鈴木(義)委員 時間がないのでちょっと質問を飛ばさせていただいて、先日発表になられた「クールジャパン政策について」、これは七月に経産省が出している資料なんですね。あれから二年たって、このときもクールジャパンというのは本来何なのかという議論がずっとされてきたんだと思います。いろいろな審議会を通して議論をされてきたんだと思うんですけれども。

 さて、コンテンツ輸出額という意味では、先進国の中ではびりに近い状態が今の日本の状態だと。ここに書いてあるのは、いろいろなものが全部てんこ盛りなんです。日本酒まで入っているんですね。クールジャパンというのは日本酒を売ることだったのか、私はちょっと疑問なんですけれども。ポップカルチャーを外に出していきましょうということがクールジャパンの本当の主眼だったんだと思うんですけれども、民間のお金も出してもらって、五百億までいっていなかったと思うんですけれども、四百億を超えるお金を投じて、約二年たってきたんですけれども、クールジャパンといって、目的や戦略がはっきりしていない中でスタートをしてしまった事業だと私は認識しているんです。

 こういう指摘をする人もいるんですね。過去に、戦前と言っていいのかどうかわかりませんけれども、結局、いろいろな日本の文化を国際社会に発信していこうというのは今に始まったことじゃないんだと思うんですね、万博も含めて。日本側がよいと一方的に日本文化を伝えようとするばかりの上から目線で押しつけて、相手がそれをどう受容するかという想像力を欠いていたのではないかというふうに言われる、これを指摘する人もいるんですね。

 あくまでも日本の文化なんだからいいんだといって、日本の価値観と考え方で外にどんどん出していったんですけれども、実際にそれで外国の人に受けているのかというのをやはり検証して、また次のステップに行かなければならないと思うんですけれども、この政策についてというペーパーを見ていくと、だんだんだんだん、クールジャパンと言えば何でもいいんじゃないのという話で、何かずれてきちゃっているような気がするんですけれども、その点について御答弁いただければと思うんです。

宮沢国務大臣 おっしゃるように、クールジャパンというものにつきまして、何でこういうものが出てきたかといいますと、やはり一番の基本は、韓国がかなり、まさにKポップなどと言われるように、音楽を初めとして国を挙げて文化の、カルチャーの輸出をしようということで、大変成功をしてきたということ。かつては中国において山口百恵だったものが、今は韓国の歌手にかわってきてしまったようなところが結構あって、やはり、日本の誇るべき、いろいろ付加価値の高い、また文化性の高いものを海外に売り込もうということがクールジャパンの基本だったと思います。

 したがって、コンテンツ等々といったところから始まってきているわけですけれども、しかし、私は、クールジャパンというのは、まさに日本のよさを全て海外に売り込むということだろうと思っておりまして、何かに限るという必要は恐らくないんだろうというふうに思います。

 例えば、ウォシュレットなどというものがかなりアジアでも広まってきておりますけれども、これはまだできておりませんけれども、日本の風呂のシステム、循環させて多人数で少量の水で入れるといったようなものも、恐らく今後はクールジャパンの一つとして世界に紹介をしていかなければいけない、そういうものなんだろうと思っております。

 私は、クールジャパンというものが政策的に採用される前に、私なりに、ガラパゴスからの輸出大作戦、こういうネーミングをしておりまして、ガラパゴス化をしている、しかし一方で、付加価値としてはかなり高いものをどうやって世界の人に理解してもらって、それを売り出すかということ、日本のもの全てが恐らく売り込めるのではないかと思っております。

 なかなかわかりにくいとおっしゃればそうだろうと思いますけれども、やはり、日本が二千年、三千年の歴史で培ってきたものをいろいろな広い意味で世界に御紹介して、受け入れてもらうということを政府を挙げてこれからやっていかなければいけないと思っております。

鈴木(義)委員 ウォシュレットの機能はクールジャパンじゃないと思うんですけれども、やはり基本に立ち返った方がいいと思いますので、そこのところは、国の予算を使うので、ひとつよく検証して進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

江田委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 川内原発再稼働に係る住民説明会について質問します。

 大臣は、川内原発一号機への燃料装荷が始まった七日の会見で、最初の再稼働がやっとここまで来たなという感じと感慨を口にしていました。通告した質問の前に、大臣に川内原発再稼働についての民意をどう見ているのかお聞きします。

 四月の南日本新聞の鹿児島県民への世論調査では、川内原発一、二号機の再稼働に反対、どちらかといえば反対が、前年よりもふえて約六割、女性では七割です。一方、賛成、どちらかといえば賛成は三七・三%、女性は二八・四%にとどまっています。日本世論調査会が先月行った全国世論調査では、原発再稼働反対が六三%で、賛成の三一%の倍以上です。

 世論調査では、鹿児島県民も日本国民も約六割が川内原発の再稼働に反対しておりますけれども、大臣は、住民、国民の理解は得られていると思っておられますか。

宮沢国務大臣 川内原発につきましては、昨年の九月に設置変更許可が規制委員会からおりまして、私も、大臣に就任して、十一月の初めでありましたけれども、鹿児島県を訪問いたしまして、伊藤知事や岩切薩摩川内市長とお話をさせていただきまして、国の考え方につきまして丁寧に御説明をさせていただきました。その上で、昨年、伊藤知事また岩切市長から、川内原発の再稼働を進める政府の方針を理解する旨の表明をいただいたところでございます。

 再稼働の、まさに地元の同意といったものは、条件ではありませんけれども、理解をしていただくことは大変大事でございまして、今おっしゃったような世論調査の詳細について私は承知しておりませんけれども、立地自治体とともに、私どもも、さらに理解が進むように努力をしていかなければいけないと考えております。

真島委員 理解を進める努力をしなきゃいけないとおっしゃっているんだったら、私は、世論調査の結果にもっと目を向けるべきだと思います。

 南日本新聞の同じ世論調査で、鹿児島県民の賛成理由、複数回答で聞いておりますけれども、トップが、雇用、経済活動、地域の活性化維持に不可欠だから五五・二%、次いで、再生可能エネルギーへの移行まで当面必要という方が五二・二%。複数回答であるにもかかわらず、原子力規制委員会が安全性確保を条件にしているという方は四人に一人しかおりません。安全に不安はあるけれども仕方がなく賛成という、非常に消極的な賛成が多数なんですね。

 一方、反対理由の最多は、安全性に疑問があるが五四・九%。次いで、福島の事故原因が究明されていないが五〇・九%。重大事故時に半径三十キロ圏内の住民を避難させるための避難計画が有効かどうかという問いには、事故の想定は多岐にわたるため計画に沿った対応は困難だと思うという方が五七・一%で最多になっています。

 大臣は、再稼働に向けて安全第一で地元の理解が得られるように丁寧に対応すると言ってきましたけれども、多くの住民が現に安全について不安を抱いているということをどうお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 日本をめぐるエネルギーの状況も含めて、やはり住民の方、国民の方にさらに理解をしていただく努力を続けていかなければいけないというふうに考えております。

真島委員 それでは、エネ庁と規制庁に聞きますけれども、再稼働認可の後、経産省、規制委員会、九州電力、それぞれが主催する公開の場での住民説明会は何回開かれていますか。主催している分だけで結構です。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 原子炉の設置変更許可の後、当省、経済産業省が主催する形での公開の住民説明会というものは特に開催をしておりません。

 しかしながら、住民説明会全般につきましては、安全性に関する説明を目的として、鹿児島県、五市町村共催により、昨年の十月九日から二十日にかけまして、県内五カ所で開催されているといった事実がございます。(真島委員「九州電力は」と呼ぶ)九州電力自身が主催された公開の説明会というものは開催されていないと承知をしております。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 九州電力川内原子力発電所一、二号炉に係る原子炉設置変更許可を行った後に、原子力規制委員会が主催して住民説明会ということを行ってはおりません。

真島委員 今おっしゃったように、経産省、規制委員会、九電が主催した住民説明会は一度も開かれておりません。

 そして、先ほど言いかけられましたけれども、鹿児島県と四市一町の主催で昨年十月に規制委員会の審査結果の質問に限った住民説明会が五回開かれましたが、そこでは、避難計画や再稼働の是非にかかわる質問は受け付けられずに、どの会場でも抗議の声が上がりました。

 それで、昨年十月二十九日に県主催の補足の説明会が開かれて、そこにはエネ庁、内閣府、県の担当者、九州電力などが出て、説明をされております。エネ庁、内閣府、県の担当者、九州電力などが出た住民説明会は、この一回だけなんですね。これでは、地元の理解が得られるように丁寧に対応したとは言えないと思うんですよ。

 だから、ことしに入って、九州の地方議会が、九州電力に対して、公開の場での住民説明会の開催を求める決議や陳情を相次いで採択しております。そうした決議や陳情を採択した自治体はどこで、九州電力はそれに応えた住民説明会をやっているんでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、九州電力に対しまして、公開の住民説明会を開催するよう求める陳情を採択した自治体は、全部で十ございます。出水市、日置市、伊佐市、屋久島町、肝付町、南種子町、大津町、荒尾市、水俣市、高原町の十自治体でございます。

 これにつきまして、九州電力の話では、公開の住民説明会というのは開催はしていない。しかしながら、フェース・ツー・フェースで地域の住民の皆さん方にしっかり説明をするということで、例えば自治会あるいは婦人会、こういったところに訪問する説明、あるいは発電所見学会というのを非常に数多く開催し、コミュニケーションというものをしっかりとっているというふうに承知をしております。

真島委員 私は九州電力に直接聞いたんですけれども、何と、どの議会から決議や陳情を受領したか、幾つの自治体から受領したかも言えない、どこにどんな返事をしたかもお答えできないというふうに言うんですね。なぜだと聞いたら、公表していない議会もあると言うんですけれども、地方議会の決議や陳情の採択は全てオープンです。報道もされています。九州電力が隠そうとする意味が私は全然わからないんです。

 地方議会の決議や陳情の採択は、そこの住民の声を代表する意思表明です。非常に重いですよ。ところが、九州電力は、その議会決議などを受け取っていながら、立地自治体の薩摩川内市を含めて、公開の場での住民説明会を一回もしていない。再稼働にそのまま突っ走っています。

 九州電力は地方議会が求めている公開の場での住民説明会をことごとく断っているんですが、その理由を何と言っているんですか。

上田政府参考人 公開の住民説明会をなぜ断っているのかというお尋ねでございます。

 九州電力からは、別に断っている断っていないということではなくて、むしろ、直接住民の皆様方にお伺いをして御説明をするというフェース・ツー・フェースのコミュニケーション活動というものが非常に重要である、こういったことによって地域の皆様方の不安や疑問に丁寧に応えていくという方針をとっていると。そういったことで、自治会や婦人会等々への訪問による説明や、発電所見学会を相当程度開催しているところでございます。

 先生御承知かもしれませんが、平成二十六年度におきましては、こうした対話活動を約七万九千人の方に、見学会を約一万二千人の方に御参加いただいております。平成二十七年度五月末でも約一万三千人の人たちにこういうことを行っているわけでございます。

真島委員 九電は、フェース・ツー・フェースが会社の方針なので公開の場での住民説明会はしないと言っているんです。おかしいですよ。フェース・ツー・フェースも住民説明会も相反するものじゃないじゃないですか。両方やったらいいじゃないですか。

 私は、九電は県主催の日置市の住民説明会には出席しているわけですから、住民や自治体から求められたら説明会に出向くんですかと聞いたら、それはケース・バイ・ケースでと言って、非常に消極的な態度なんですね。

 ちょっと紹介しますけれども、熊本県水俣市議会が、七月二日、水俣市での住民説明会開催に関する決議書を全会一致で採択して、議長も市長も住民説明会の開催を求めております。決議書では、川内原発の再稼働について、「国民の同意が得られているとは到底言えません。」「地震問題、火山問題、過酷事故対策、使用済み燃料、避難計画など、安全上の問題が数多く指摘されています。」とした上で、「四十キロメートルの距離にある水俣市民は、再稼働されることに不安を持っています。」「住民への十分な説明がないままに、再稼働に踏み切ることは、公的責任を負う電力事業者として、責任のある態度とは思えません。」と厳しく批判をしております。

 また、川内原発から六十九キロの宮崎県高原町議会で全会一致で採択された陳情書は、「川内原発で重大事故が起これば、壊滅的被害を受けます。」と警告をし、汚染が万一及ばなくても避難者の受け入れの問題などが生じるとして、公開での住民説明会の開催を求めております。町議会がこれを九電に要請したんですが、最後まで九電は説明会をやると言わなかったと高原町議会議員の方は大変怒っておられました。

 鹿児島県の日置市議会では、再稼働に当たって住民の理解と協力が必要だという九電の言い分を引いて、市民の生活圏が三十キロ圏内外という至近距離にあることを考えれば、市民に対して公開の場で事業当事者である九州電力が説明会を開催するのは当然のことだという陳情を採択しております。これを採択した後に、九電に住民説明会開催を求める要望書を議会が持っていっているんですけれども、後日、九電から断りの返事が来たそうです。

 経済産業省として、九州電力に対して、地方議会の求めている公開の場での住民説明会を行うように促しているんですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、原子力発電所の再稼働に当たりまして、地域の住民の理解をいただくようにさまざまな努力を行うことが必要であるというふうに考えておりまして、そういった活動を行うよう、電力会社に対しても促しているところでございます。

 しかしながら、それをどういった形で行うのか。今先生御指摘のような住民説明会というやり方もあろうとは思いますが、あるいは、九州電力がやっているようなフェース・ツー・フェースのコミュニケーションをより重視するやり方もあろうかと思います。その具体的なやり方につきましては、それぞれの電力会社におきまして適切に対応されているところであると考えております。

真島委員 先ほども言いましたけれども、地方議会の決議や陳情の採択というのは重たいですよ。それは公開の場での住民説明会をやってくれというものばかりなんです。フェース・ツー・フェースというのは九電の方針だから、それはもうやり方はこちらとしては何も言っていませんというのは、何も言っていないのと一緒じゃないですか。九電任せじゃないですか。

 昨年九月十八日に、水俣市議会は、国に対して、川内原発再稼働に当たっては、拙速な再稼働を行わず、住民の安全安心の確保を最優先し、対応するよう求める意見書を出しております。

 そこにはこうあります。「水俣市は川内原発から五十キロ圏内。福島県でいうと飯舘村と同じ距離になり、風向きによっては、避難地域となります。出水市との協定では、避難者を受け入れるということですが、避難しなければならない者が避難者を受け入れることができるのか、地域住民としては混乱しているのが現状です。」「一たび原発の事故が起これば、全てが水俣病の惨禍以上の状態となってしまいます。そして、何より孫や子どもたちの故郷がなくなることは、許しがたいことであります。」

 経産省は、これは出されていますのが去年の九月ですから、この意見書を見ているはずです。九電に住民説明会の開催を促すことさえしていないというのは、本当に許されないことだと私は思います。

 一九九三年、日本で初めて世界自然遺産に登録された屋久島、その屋久島の町議会も、陳情採択後、川内原発で事故が発生した場合、大きな打撃を受けるのではと危惧をしているとして、住民説明会の開催を求める要望書を九州電力に出しています。

 私は四月七日の屋久島町議会の代表と九州電力の意見交換のやりとりを文書にしたものをいただきました。そこで九州電力は、日本は世界でも厳しい新基準を定めて、もし事故が起こった場合でも大きく広がることはないと断定をして、規制委員会が出席した説明会が川内原発周辺の五つの自治体に限られているということをもって、国もそれ以外の自治体での説明会は必要ないと線引きしているようなことを言って、屋久島町に説明する予定はありませんと断っているんです。

 これはちょっと時間がないから、聞こうと思っておりましたけれども、もう事前に聞いているので。規制委員会はそういう線引きをしていることはないというふうにおっしゃいました。ですから、九州電力が屋久島町に説明した内容というのは、虚偽の内容で断りを言っているんです。うそを言って、屋久島町に。本当に許しがたいことだと思います。

 福島の事故の直後、二〇一一年七月に発覚しました玄海原発二、三号機の再稼働にかかわる国主催の説明番組における九州電力のやらせメール問題。ここで、九電の第三者委員会の最終報告書は、再発防止、信頼回復、九電の反省のあかしとして、地元住民だけではなく、利用者、消費者との直接対話を提言しております。

 経産省は、九州電力がこの提言をしっかり受けとめて実行していると思っているんですか。

上田政府参考人 御指摘の提言は、平成二十三年当時に、玄海原発の再稼働に向けた動きに関連しました一連の問題につきまして、九州電力の社外有識者で構成されます第三者委員会というものが設立されまして、二十三年九月にその報告書がまとめられました。その中で、消費者等との直接の対話を通じた透明な企業活動の徹底を行うべきであるとの提言が、この第三者委員会によりなされているところでございます。

 九州電力は、この報告書を基本的には受けとめまして、先ほどから御説明申し上げていますフェース・ツー・フェースのコミュニケーション活動を非常に重視して、年間何万人という方々に御説明をされる等、この理解活動を積極的に実施されているものと承知をしております。

真島委員 九州電力のやらせメール問題での第三者委員会、その最終報告書は次のように指摘をしています。

  これまで九州電力の原発問題への対応は、原発立地地域での「理解推進活動」が中心で、幅広い消費者に対して、真に不安や要望に十分応えるものになっていなかった。そのような消費者とのコミュニケーションの希薄さが、今回のような事態を招いたとも言えるのであり、そのような姿勢は、原発問題に限らないと思われる。そこで、今後は、消費者や住民の声を率直に聞き、その要請に応えていけるよう、対話や説明の場を拡大し実質化していくことが必要だと考えられる。

 これを受けて九州電力は、CSR報告書二〇一一の中で、この第三者委員会の提言を正面から受けとめる、そして、再発防止と信頼回復に向けて、「お客さまとの積極的なコミュニケーションのため、」「お客さまのご意見やご要望を真摯に受け止め、全社で共有する仕組みを強化します。」と。

 地方自治体の決議や陳情の採択さえも受けとめていないじゃないですか、九州電力という会社は。これでいいんですか。大臣、地方議会が求めている公開の住民説明会も行わずに再稼働に突き進んでいる九州電力は、住民や国民に対する説明責任を果たしていると思われますか。

宮沢国務大臣 先ほど長官から答弁をいたしましたように、当然のことながら、九州電力には住民の方の理解を得るために最大限努力する責務があると考えておりますが、一方で、公開の住民説明会にするのか、どういう形にするのかということは、当然、九州電力において判断をしていただかなければいけないことであります。

 例えば、フェース・ツー・フェースで九電はコミュニケーションを図るということで努力をしてきているわけでありますけれども、平成二十五年度におきましては、対話活動、見学会を含めて、合わせて約八万一千人の方、二十六年度には九万一千二百人の方、そして、ことしは四月、五月の二カ月間で約一万二千九百人の方とフェース・ツー・フェースのコミュニケーションを図ってきているということで、それなりの努力はしてきているんだろうと考えております。

真島委員 フェース・ツー・フェースがだめだとか、そんなのやめてしまえとか言っているわけではないんですよ。相反するものではないでしょうと。なぜ地方議会がやってほしいと言っているものに正面から応えようとしないのか。それを断っている理由が全くわかりません。経産省もそれは会社の方針ですからと言って、それをおかしいとも思わずに、ただしもしていない。こんなことでいいんですか。

 新聞報道を見るだけでも住民の皆さんの怒りの声があふれております。

 薩摩川内市の山之口自治会長の川畑清明さん。「住民が説明を求めているのに無視するのは本当に許せない」。

 屋久島町の渡辺博之町議。「住民の代表である議会の意思表明に応えないのは、屋久島すべてを無視したのと同じ。せめて声を上げた議会の求めには応じるべきではないか」。

 全会一致で説明要求を決議した種子島の南種子町の日高澄夫町議。「二百五十キロ圏内は事故の影響を受ける恐れがあり、住民の理解が必要。(九電が)赤字続きだからといって、説明不足のままの再稼働は強引だ」。

 事故のときには原発周辺からの避難者を受け入れる計画になっております肝付町の太鼓重義町議は、「避難者の受け入れや放射能対策に、町では何の備えもできていない。町、住民が危機意識を共有し、正しい危機管理をするためにも、九電は誠意を持って対応してほしかった」。

 五月には、鹿児島県内の百近い市民団体で組織しました「ストップ再稼働! 三・一一鹿児島集会実行委員会」が住民説明会の開催などを求めて十一万二千人分余りの署名を九州電力本店に提出しております。

 最後に、もう一度大臣に聞きます。

 九州電力は、公益事業者として、地方議会の意思に応えて、公開の住民説明会を開くのが私は当然だと考えますけれども、大臣は、九州電力に対して再稼働の前に公開の住民説明会を開くように促す考えはありますか。

宮沢国務大臣 九州電力に対して、さらに地元の理解を得られるように努力をしろということは申し上げますが、その方法につきましては、私企業でございますので、九州電力に任せたいと考えております。

真島委員 私企業の方針にもうそのまま任せると。電気事業法、経産大臣の責任は何なんですか。そして、公の地方議会で決議が上がっていることは無視をして、大臣が指導監督すべき電気事業者には会社の方針に任せます、こんなことでいいんですか。

 七月十日の東京新聞の社説、「川内原発 なぜ説明できないの?」という表題ですけれども、こう言っています。「避難計画のあいまいさ、予知不能の火山…。多くの不安や疑問を置き去りにしたままで、九州電力川内原発は再稼働へ突き進む。安全に自信があるなら、なぜ、説明に応じないのか。」「噴火の予測はかなうのか。核燃料を運び出す余裕はあるか…。素朴な疑問に十分な答えが出せない限り、再稼働は許されない。」

 九州電力の姿勢は、まるで福島の事故もやらせメール事件もなかったような横暴な姿勢です。再稼働を中止して住民説明会実施を促すことは、私は、経産省、経産大臣の国民に対する最低限の責任だということを強く指摘いたしまして、質問を終わります。

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。宮沢経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮沢国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日より、九度の延長措置を経て、平成二十七年四月十三日までの間、北朝鮮からの輸入の禁止などの措置を厳格に実施してまいりました。また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による二度目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日より、四度の延長措置を経て、平成二十七年四月十三日までの間、北朝鮮への輸出の禁止などの措置を厳格に実施してまいりました。

 しかし、北朝鮮は、我が国を初めとする国際社会による働きかけにもかかわらず、引き続き関連する国際連合安全保障理事会決議に違反し、挑発的な言動を繰り返しています。平成二十六年三月には、新たな核実験の可能性を示唆する声明を発表したほか、同年三月、六月、七月及び平成二十七年三月には、国際連合安全保障理事会決議に違反して、弾道ミサイルを発射しています。

 また、北朝鮮に対して、拉致被害者を含む全ての日本人に関する調査を迅速に行い、その結果を速やかにかつ正直に通報することを強く求めてまいりましたが、調査結果の通報はありませんでした。

 こうした拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応を初めとする諸般の事情を総合的に勘案し、平成二十七年三月三十一日の閣議において、同年四月十四日から平成二十九年四月十三日までの二年間、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止などの措置を実施することとしました。

 これらの措置のうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十七年三月三十一日の閣議決定に基づき、同年四月十四日より平成二十九年四月十三日までの間、北朝鮮への全ての貨物の輸出及び北朝鮮からの全ての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたこと、及び北朝鮮と第三国との間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借または贈与に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十五分散会


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