衆議院

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第32号 平成27年12月4日(金曜日)

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平成二十七年十二月四日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 丹羽 秀樹君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 落合 貴之君 理事 富田 茂之君

      秋本 真利君    穴見 陽一君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      木村 弥生君    工藤 彰三君

      小松  裕君    今野 智博君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      関  芳弘君    平  将明君

      武村 展英君    冨樫 博之君

      西村 康稔君    野中  厚君

      橋本 英教君    福田 達夫君

      星野 剛士君    細田 健一君

      前川  恵君    神山 洋介君

      近藤 洋介君    鈴木 貴子君

      田嶋  要君    渡辺  周君

      木下 智彦君    國重  徹君

      藤野 保史君    真島 省三君

      野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (産業競争力担当)

   (原子力経済被害担当)

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      林  幹雄君

   国務大臣         河野 太郎君

   内閣府副大臣       松本 文明君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   内閣府大臣政務官     酒井 庸行君

   経済産業大臣政務官    北村 経夫君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 重夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           保坂  伸君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     高田 修三君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省電力取引監視等委員会事務局長)    松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           島村  淳君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 笠原 俊彦君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月九日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     星野 剛士君

  白石  徹君     山際大志郎君

  鈴木 淳司君     西村 康稔君

  若宮 健嗣君     平  将明君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  鈴木 義弘君     太田 和美君

同日

 辞任         補欠選任

  太田 和美君     鈴木 義弘君

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     丹羽 秀樹君

十二月四日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     工藤 彰三君

  勝俣 孝明君     秋本 真利君

  佐々木 紀君     今野 智博君

  西村 康稔君     橋本 英教君

  宮崎 政久君     前川  恵君

  山際大志郎君     木村 弥生君

  篠原  孝君     鈴木 貴子君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     勝俣 孝明君

  木村 弥生君     岩田 和親君

  工藤 彰三君     大見  正君

  今野 智博君     佐々木 紀君

  橋本 英教君     西村 康稔君

  前川  恵君     小松  裕君

  鈴木 貴子君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     山際大志郎君

  小松  裕君     宮崎 政久君

同日

 理事鈴木淳司君十月九日委員辞任につき、その補欠として丹羽秀樹君が理事に当選した。

同日

 理事鈴木義弘君十月二十二日委員辞任につき、その補欠として落合貴之君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

九月二十五日

 一、経済産業の基本施策に関する件

 二、資源エネルギーに関する件

 三、特許に関する件

 四、中小企業に関する件

 五、私的独占の禁止及び公正取引に関する件

 六、鉱業等に係る土地利用の調整に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      丹羽 秀樹君 及び 落合 貴之君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

江田委員長 この際、林経済産業大臣及び河野国務大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。林経済産業大臣。

林国務大臣 先般の内閣改造におきまして、経済産業大臣に就任いたしました林幹雄でございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

江田委員長 次に、河野国務大臣。

河野国務大臣 このたび、公正取引委員会の事務を担当することになりました河野太郎でございます。

 一生懸命努めてまいりますので、江田委員長を初め理事、委員各位の皆様の御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。(拍手)

江田委員長 次に、鈴木経済産業副大臣、松本内閣府副大臣、星野経済産業大臣政務官、北村経済産業大臣政務官及び酒井内閣府大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。鈴木経済産業副大臣。

鈴木副大臣 このたび、経済産業副大臣を拝命しました鈴木淳司です。

 高木副大臣そして北村、星野両政務官とともに、林大臣を支えてまいりたいと思います。

 江田委員長そして理事、委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

江田委員長 次に、松本内閣府副大臣。

松本副大臣 河野大臣のもとで、副大臣として務めることになりました。

 御指導方、特段の御高配をお願いして、挨拶といたします。(拍手)

江田委員長 次に、星野経済産業大臣政務官。

星野大臣政務官 政務官に就任いたしました星野剛士でございます。

 林大臣、高木、鈴木両副大臣、また北村政務官とともに一生懸命努めてまいりますので、委員の皆様方には御指導、御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

江田委員長 次に、北村経済産業大臣政務官。

北村大臣政務官 同じく経産大臣政務官を拝命いたしました北村経夫でございます。

 皆様には御指導をよろしくお願い申し上げて、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)

江田委員長 次に、酒井内閣府大臣政務官。

酒井大臣政務官 酒井でございます。

 このたび、河野大臣、松本副大臣とともに、皆様とともに一緒に勉強しながら、またこの委員会でお世話になると思いますけれども、ぜひとも皆様方の御指導、御鞭撻をお願い申し上げ、御挨拶とします。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

江田委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官時澤忠君、外務省大臣官房参事官山田重夫君、経済産業省大臣官房審議官保坂伸君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長高田修三君、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀君、経済産業省電力取引監視等委員会事務局長松尾剛彦君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、中小企業庁長官豊永厚志君、国土交通省航空局安全部長島村淳君及び防衛省大臣官房審議官笠原俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 林大臣、おくればせながら、経産大臣御就任おめでとうございます。

 おくればせながらということになってしまったのは、これは私どもの責任ではなく、与党の皆様、政府が、私たちが、野党がそろって憲法五十三条の規定に基づいて臨時国会の召集を強く求めさせていただいているにもかかわらず、一向にそれに応えていただけない。通常国会が早く開かれるからそれでいいというわけではなく、憲法五十三条を素直に読めば、もう明らかに臨時国会が開かれなければならない、今の状況は明確な憲法違反であると言わざるを得ないということをまず指摘させていただきたいと思います。

 そして、林大臣にお尋ねをいたします。

 このたび、経済産業大臣に御就任をされた、総理から任命をされたというわけでありますが、若干、ホームページ等々で林大臣のこれまでの御活躍ぶり、御実績を拝見いたすわけでありますが、ただ、これまで経済産業行政には必ずしも深くかかわってきたというわけではないような気がいたしております。

 そういった中での経産大臣への御就任ということについては、御自身で、総理から何を期待されて、そして、どんな適性があって、このたび、経産大臣に御就任をされたというふうに御自覚をされておられるか。まず、お尋ねを申し上げたいと思います。

林国務大臣 総理からは、まず福島再生、次には、やはり希望を生み出す強い経済を実現する、そのために、TPPを我が国の経済成長へつなげるために総合的な政策を展開する、そして、国民生活に責任を持てるエネルギー政策を展開して、しっかり取り組むような指示がございました。

 福島の復興と福島第一原発の廃炉・汚染水対策は、最も重要な課題であると思っております。福島の復興なくして日本の再生はない、こう言われております。引き続き、一丸となって対策を進めてまいりたいと存じます。

 デフレからの脱却と経済成長のための取り組みでありますけれども、TPPを大きな飛躍の機会とするために、新輸出大国の実現などに取り組んでまいります。加えて、我が国の成長を支える中堅あるいは中小企業の賃金や最低賃金の引き上げに向けた支援などを実施していきたいというふうに考えます。

 また、責任あるエネルギー政策の実現も大変重要でございまして、エネルギーミックスの実現に向けて、エネルギー革新戦略を具体化していきたいと存じます。安全性の確保を大前提として原発再稼働を進めてまいりたい、このように考えております。

 こうした点を含めて、強い経済の実現に向け、経済産業大臣として全力で取り組んでまいりたいと存じます。

中根(康)委員 ありがとうございました。

 ただ、残念ながら、今、強い経済あるいは経済成長、デフレの脱却という御表明はあったわけでありますけれども、その中に、今から取り上げる税制、特に自動車関係税制についての林大臣からの決意はお聞かせをいただけなかった、こういうことでございますので、今から、この点について御質問を申し上げていきたいというふうに思います。

 十二月の十日ころまでに、総務省が言い出した環境性能割というようなこと等について、取りまとめていくというか、結論を与党の中で出していくというようなことも聞いておりますので、これは林大臣の直面する喫緊の課題の一つであろうと思いますし、大臣が本気で地域経済のこと、日本の産業のことを考えて経産大臣として仕事をしていかれるかどうかの試金石の一つになるものだというふうに捉えさせていただいているところでございます。

 私ども民主党は、この数日、自動車関係諸税、特に環境性能課税と言われるものについて、経産省からも、あるいは国交省からも、さらには関係する諸団体からも、さまざまな御意見を承ってまいりました。もうほとんどというか、全ての方が、役所も団体も、環境性能課税に対しては反対だというような表明をされておられます。経産省も反対、国交省も反対、そして日本自動車工業会、自販連、軽自動車協会、中古自動車販売連合会、日本自動車会議所、日本自動車連盟も、みんな反対だというわけであります。これはもう当然のことでありまして、強い経済をつくる、あるいは地域経済の再生とか、あるいは国民生活を考えたときに、この税制は導入してはならないものだから、当然、反対されて当たり前のことなんです。

 前の宮沢経産大臣も、ことし三月二十日の私の質問に対して、環境性能課税が自動車取得税の単純なつけかえにならないよう、しっかり対応していきたいと思っておりますということを御答弁されておられますし、引き続いて七月二十九日にも、同じような質問をしたときに、単なるつけかえになるようでは、これはしようがないわけでありますというふうに御答弁をされておられるわけであります。

 現在、総務省から出されているような案を見ると、これはつけかえと言われても仕方のない内容になっております。これは、宮沢前経済産業大臣が懸念をされておられて、否定をされたそのものということになっておりますので、ぜひ、引き続き林経産大臣におかれましても、今出されているような新税の新設、国民負担増ということについては、断固としてこれを阻止していただく、こういう姿勢で職責を果たしていただきたいというふうに思うわけであります。

 きょうは総務省にもお越しをいただいております。総務省が導入しようとしている環境性能課税、これはたまたまけさの日経新聞の朝刊一面で結構大きく取り上げられておりましたが、ここには「車購入時、負担軽く」などと書かれているわけでありますが、しかし、この書き方は国民に大きな誤解を与える書き方であると私は直観をいたしたわけであります。どんな制度設計をしたとしても、これは減税なんかではないんです。本来、かける必要のない、国民から見れば支払う必要のない税金を、名前をつけかえ押しつける、こういうことであって、増税そのものであるというふうに言わなければなりません。

 国民が求めているのは、自動車に関する税金の古い考え方から改革を求めている、車に関する税金を簡素化、軽減化してほしいという思いが強いわけでありますので、この国民からの期待に逆行するものであると言わざるを得ないというふうに思っておるところでございます。

 自動車取得税を廃止して、車を買うときにかける税金は消費税だけで十分であって、どんな理由やどんな名目であろうと消費税以外の課税をすべきではないということで、消費税を一〇%に上げるときに自動車取得税を廃止するということになっているわけであります。

 加えて、車は税制によって販売が大きく左右される。消費税やあるいは軽自動車税を引き上げたときに車の販売が大きく落ち込んだということは、これは政府も林大臣もよく御承知のとおりであろうと思います。落ち込めば、これは景気、賃金、あるいは雇用、そして、ひいては地方税収にも悪影響をもたらすわけでありますので、ぜひ総務省としてお考えをいただきたいのは、地方税収を心配するならば、車が売れるように、車に関する税金を簡素化、軽減化するということが第一であるということである、こういう認識に立った税制のあり方を総務省としても御検討いただきたいというわけであります。

 そして、総務省にお尋ねをしたいのは、自動車取得税を廃止した上で環境性能課税を導入し増税をした場合と、導入しないで取得税分だけ減税をした場合とで、車の販売台数あるいは雇用、賃金、地方税収にどのような違いが出るか、試算をしているのか、いないのか、お尋ねをしたいと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 税制抜本改革法第七条におきまして、自動車取得税につきましては、安定的な財源を確保した上で、地方財政にも配慮しつつ、見直しを行うというふうにされております。

 また、平成二十五年度与党の税制改正大綱におきまして、自動車取得税は二段階で引き下げ、消費税一〇%の時点で廃止する、必要な財源は別途措置する、消費税一〇%段階で、一層のグリーン化の維持強化及び安定的な財源確保の観点から、環境性能等に応じた課税を実施し、他に確保した安定的な財源と合わせて、地方財政へは影響を及ぼさない、このように与党税制改正大綱はなっておりまして、二十六年度、二十七年度の与党税制改正大綱におきましても、同様の方針が示されているところでございます。私どもといたしましては、これらを踏まえまして、環境性能課税の具体的な制度設計を行っているところでございます。

 このため、環境性能課税を導入した場合でありますとか導入しない場合、こういったことを区別して車の販売台数あるいはその雇用、賃金等への影響に関する試算を行っていないところでございます。

中根(康)委員 安定的財源を確保した上でというようなことが税制改正大綱に書いてあるから、だから、新しい税制を導入したときも、どのような影響が及ぶかということを調査しない、試算しない、これは理由にならないんじゃないですか。

 まずは、安定的財源ということを言った場合に、なぜ車の中だけでつじつまを合わせようとするのか。安定的な財源といえば、これは税制全体で、あるいは歳入全体で見るべきであって、決して、車の中だけのつじつま合わせ、つけかえというようなことだけで考えて、こちらを減らすからこちらで取って、それが安定的な財源だというようなことは、これは到底国民から納得されるものではないというふうに思います。

 この税制が、先ほど申し上げましたように、消費税を上げたとき、あるいはことし軽自動車税を上げたとき、それぞれ駆け込み需要が起こり、そしてその後、大幅に販売が落ち込んで、しかもそれがなかなか、今なお回復をしていないということであれば、ここで新しい税を導入したときに、環境性能課税を導入したときに、車の販売あるいは地方経済、そこで働く人たちの賃金あるいは雇用にどのような影響が及ぶかということは、きちんと国民に納得されるような具体的な数字を示して、だからこそ導入がやむを得ないとか、導入すべきだとか、こういう御説明が行われなければならないのに、大綱に書いてあって、やっていいと書いてあるから、だからやりますよということでは、余りにも無責任な御答弁ではなかったですか。

 もう一度お答えください。

時澤政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、あくまでも与党の税制改正大綱におきまして書かれましたプロセスに従いまして、今、制度設計を行っております。

 ただ、具体的な環境性能割の規模をどうするかとかいうのは今からの議論でございまして、現在、先ほど申し上げましたように、環境性能課税の導入は、要は自動車取得税の廃止とセットで行われるということでございます。

 したがいまして、自動車取得税の廃止、それから環境性能課税をどのような規模で行うのか、そういったことはいろいろな経済状況等も踏まえながら決定していかなければならない、そういった状況は認識しながらも制度設計をしていく、このように考えているところでございます。

中根(康)委員 同じような答弁の繰り返しで、全く納得できるものではありません。

 この数日中に環境性能課税の導入を決めてしまうということでありますけれども、これはじっくり、今私が提言したような、経済に対する、雇用に対する影響を十分調査して、吟味して、本当に導入してもいいのかどうかという観点から考えていただいて結論を出すということで、この数日中に拙速に決めてしまうということではなくて、むしろ、年をまたいで、百歩譲って、二〇一七年の四月から導入するとしても、それに自治体の準備等が間に合うような形で、例えば、来年の夏ごろまでにやれば再来年の四月には間に合うわけでありますので、まだまだ時間をかける余地は当然残っているわけであります。なぜこの数日中に決めてしまおうとしているのか。

 その理由の一つに、今申し上げましたように、自治体の課税準備が間に合わないというようなことも報道等されているわけでありますけれども、自治体の準備が間に合わないということでことしじゅうに導入を決めてしまう、こういう総務省の考え方に対して、経産省としてどのようにお考えになられるか。本当に準備は間に合わないのかどうかということ、間に合うようにやることはできるはずだと思いますけれども、いかがですか。

糟谷政府参考人 環境性能課税の導入に当たりまして、地方自治体からは、第一に、税務情報システムの改修に時間を要するため、改修に着手するため必要な内容はことしじゅうに決めてほしい、第二に、来年末に詳細が決まるのでは、新税にもかかわらず条例の改正を専決処分で行わざるを得ず、地方議会で十分な議論のないまま施行することになるので、ことしじゅうに決めてほしい、こういった意見が出ているというふうに伺っております。

 他方、経済産業省といたしましては、ユーザー負担の軽減を図る観点、また、消費税率引き上げに伴う駆け込み、反動減の対策など、マクロ経済対策の観点から、環境性能課税だけではなく、車体課税全体について、負担減と負担増をパッケージで見直すということを従来から要望してきているところでございます。

 現在、与党において、環境性能課税の具体的内容について議論が税調でなされているところでございますけれども、その中では、地方自治体の事情だけではなく、経済全体への影響、こういった観点も踏まえて議論がなされていると承知をしておりまして、経済産業省としましては、我々の考え方をしっかりと説明してまいりたいというふうに考えているところでございます。

中根(康)委員 きのう自販連さんから御意見を承ったときにも、来年の今ごろ決めたとしても、十分諸手続というか、準備は間に合う、間に合わせるようにするというふうにおっしゃっておられましたし、増税を国民に課すことを、行政の都合で間に合うとか間に合わないとか、こんな観点で拙速に決めつけられてしまっては、国民はたまったものではないということで、絶対にこれは国民の理解を得られるものではないということは申し上げておかなければなりません。

 最後に、林大臣にお伺いをいたしますけれども、ユーザー目線で自動車関係税制については抜本改革を行う、簡素化、軽減化をし、そのことをもって地方の経済を活性化する、雇用を確保する、賃金を上げる。つまりは、損して得とれという言われ方もありますけれども、車が売れるようになれば、日本の景気はよくなって、雇用がふえて、賃金が上がって、好循環が実現する。アベノミクスが目指しているのはそういうところじゃないんでしょうか。

 大臣、最後に、この自動車関係税制、環境性能課税の導入に対して、総務省が、余りにも身勝手なといいますか、自分たちの都合だけで、つじつまを合わせ、そして手続も間に合わないとおどしをかけて、拙速に決めつけようとしている、こういう姿勢に対して、経産大臣として、強い姿勢で臨んでいただき、じっくりと時間をかけて議論をすべきだということを御指導いただきたいと思いますが、御決意をお聞かせいただきたいと思います。

林国務大臣 御指摘の環境性能課税の具体的内容につきましては、今、与党内で議論を詰めているところでございますので、コメントは差し控えたいと思っておりますが、先ほど局長から答弁があったように、ユーザー負担を抑制するためには、やはり燃費のよくない車に課税対象を絞る、そしてまた、自動車税の減税と一体となって導入するということをこれまで要望してきているところでございまして、この実現に向けてしっかりと対応してまいりたいと思っております。

中根(康)委員 どんな税制であっても、新しい税金は国民にとって増税であるということを改めて申し上げさせていただき、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。田嶋要でございます。

 林大臣、私からも、御就任おめでとうございます。同じ千葉県でございますので、いろいろこれからもお世話になると思います。

 先ほどエネルギーの話も出していただきました。私からは、また、きょうもエネルギーの話を質問させていただきたいと思います。

 大臣はエネルギーの現地に行かれましたか、いろいろ、休会中も含めて。どうですか。行っていますか。

林国務大臣 まだまだ田嶋先生ほどは行っていませんけれども、福島第一原発だとか、あるいはまた伊方の原発だとか、それなりに視察をしてきているところでございまして、先般は六ケ所村の方へ出向いてきたところでございます。

田嶋(要)委員 現場に行くとすごい情報量ですよね。私も本当にそう思って心がけていますが、行かなきゃいけないところが余りにも多過ぎて、私も本当に一部でございますが。

 ただ、大臣に今回私は期待申し上げたいのは、銚子に風力発電が三十四基ですか、今、動いていますね。きのう、きょう、おとといと、三日続けての読売新聞の連載は読まれましたか。読んでいない。

 銚子も、財政も厳しいということで、両方あるんです。銚子もなかなか今厳しい状況で、増田さんのレポートだと、二〇四〇年消滅の一つに入っているんですね。そういうような町と言われながら、片方で再生可能エネルギーの風力のメッカでもあるということでございます。

 私は、ことし、休会中にデンマークに自費で行ってきました、自費で。エコノミーはきつかったですけれども、行ってよかったですよ。これは、幾ら日本で資料を読んでいても、迫力として違いますね。それは皆さんも視察で感じられると思うけれども、五感、六感でびんびん感じて、そしてその危機感を持って、きょうは大臣に向き合いたいと本当に思います。と同時に、やはり日本は本当に頑張らないといけないなと。銚子はその先頭に立ってほしいと僕は思うんです。

 デンマークも、寂れかかっていた漁村が、再生可能エネルギーで今や世界の注目になっている。ロラン島、ボーンホルム島、そういうのがあるんです。

 だから、私はぜひ大臣に現地に行ってほしいと思うんです。それで、挑戦をする、そのことを御期待申し上げたいと思います。

 その関係で、きょうは午前中に表示の問題の第三回の会議が行われたということでございます。せんだって、直嶋先生らと一緒に大臣に申し入れをさせていただきまして、お時間をいただき本当にありがとうございました。

 そういう中で、きょうが第三回の専門会合ということでございましたけれども、大臣にもう既に御報告が上がっているのか、事務方か、わかりませんが、どういう結果だったんでしょうか。質問通告はしていませんが、もしわかったら教えてください。

林国務大臣 本日の電力取引監視等委員会のもとでの専門会合では、開示そのものに、罰則を伴う、義務づけるのではなくて、ガイドラインで望ましい行為と位置づけて政策的に促していくことが適当との方向性が示されたものというふうに聞いております。

田嶋(要)委員 予想されたとおりでございまして、これからパブコメということでございますが、林大臣、私は本当に申し上げたいのは、現地を見ると危機感が強まるんです。私は、日本は二十年はおくれていると思います。そして、日本の議論はそもそもがガラパゴスの中での議論だというふうに理解をして、外の議論を聞きに行かないと、日本の中で幾ら有識者で議論しても、有識者も含めて全体がガラパゴスなんだ、そういうふうに思った方がいいと私は思いますよ。

 例えば、ベースロード電源といいますね。デンマークで何を言われたと思いますか。風力発電が我が国のベースロード電源だと断言されたんですよ。火力発電のエンジニアですよ。昔は火力発電のエンジニアだったけれども、政治がもう方向を変える、こっちだと言ったら仕方がない、我々は二十年前に腹をくくって、風力発電がベースロードで、今は世界一の風力発電、二〇二〇年に風力発電が五〇%です、すごいですよね、こんなようなことをおっしゃっておりました。

 私は、今のような、審議会の専門家と言われている方々の議論は本当にこれでいいのかなと。しかも電力自由化、法律は成立しましたが、これも大体先進国で最後ですよね。一番最後に始めるということは悪いことばかりじゃないです。先進国のいろいろな事例を見ながら、参考にしながら手を打つ。しかし、おくれて始めていることは間違いありませんから、そこはやはり果敢な政治判断が僕は要ると思っているんですね。

 そこで、次の質問をさせていただきますが、電力取引監視等委員会、まさにここがポイントでございますけれども、ここはどういうミッション、使命を持っているのか、御答弁ください。

林国務大臣 電力取引監視等委員会でありますけれども、ここは、電気事業者間で健全な競争が促されるよう、市場の監視機能を強化するというようなことをするために、私の直属の組織としてことし九月に設立したところでございます。

 適正な取引が行われているのか、消費者対応あるいは新規参入者対応など、市場の番人として厳正な監視を行うのが一点であります。もう一つは、これからルールづくりをしてもらって、積極的な意見、建議を行うということに対して期待をしているところでございます。

田嶋(要)委員 監視を行うということは、最終的には使用者の利益、電気の使用者の保護、そういうことだろうと思います。そういう言葉は使われませんでしたけれども、事前に事務方からもそういうことをおっしゃっていただきましたが、利用者の保護なんですね。やはり利益にならなきゃ、何のための自由化かわかりません。

 それでは、もう一つ確認しますが、電力システム改革、改めて、大臣はその法案は御担当されませんでしたので、もう一度、その目的は何なのかということを端的に御答弁ください。

林国務大臣 これは先生からの資料にも出ておりますけれども、電力システム改革の目的は、電気の安定供給の確保、そして電気料金の最大限の抑制、並びに電気の使用者の選択の機会の拡大及び電気事業における事業機会の拡大を実現する、こういうことでございます。

田嶋(要)委員 私は、このお配りした資料の一の閣議決定の下の下線の部分でございますが、「電力会社、料金メニュー、電源等を選びたいという需要家の様々なニーズに多様な選択肢で応えることができる制度に転換する。」こういうふうに書いてあるんですね。

 私は、この閣議決定をした段階で、もう与党の皆さんも含めて、これはほかの先進国に倣って、基本は需要家が選べるように見せていく、その項目の一つに電源等とはっきりうたっているわけです。したがって、罰則を設けるかはともかく、私は、それは必要があるかどうかははっきりわかりませんが、しかし、見せることは絶対やってもらわなければ、これは需要家が選べないじゃないですか。

 だから、私が危機感と申し上げるのは、二十年も三十年もおくれて自由化にやっとたどり着いた日本が、またここでガラパゴスの議論で、専門家と言われている人たちの多数がそう言っているからといって、国民はそう思っていないと思うんですよ。消費者団体は、すべからく開示してほしい、義務づけしてほしいと言っているのにもかかわらず、いろいろな理由をつけて開示をしないことに流れていってしまったら、また周回おくれが輪をかけてひどくなると私は感じるんです。大臣、これはパブコメにかけていただくということなんですが、その危機感をぜひとも共有していただけないでしょうか。

 ここにもう閣議決定で書いてあるから、これはどう読むんですか。それはどっちでもいいような、これは事業者の判断に任せる、自然エネルギーで発電しているところは積極的にそれを開示するでしょうから、それはほっておいたってそうなるでしょうというような話じゃなくて、これは電源等を選択肢で応えることができる制度に転換する、そういうふうに言い切っているわけですよ。この閣議決定は今の政権で皆さんがつくった文書ですよね。私は、変なことになりはしないかと、少なくともきょうの午前中の結論を聞いている限り、非常に憂慮しておるところでございます。

 それでは、この専門家の会議でございますけれども、資料の二が専門家会議でございます。大臣も御存じかと思いますが、この資料二の専門委員会や委員の間できょうの第三回の会議が開かれたわけでございますが、私は、これが本当に公平性を担保した形になっているのかというところに若干の心配がございますが、いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のございました制度設計専門会合でございますけれども、こちらは、電源構成の開示のあり方に限りませず、電力システム改革の着実な実施のための具体的な制度設計を広く御審議いただいているものでございまして、そのために、この監視委員会のもとに設立されたものでございます。

 このため、同会合の委員につきましては、資源エネルギー庁において類似の法案に係る詳細設計を行ってまいりました制度設計ワーキンググループからの継続性にも留意しつつ、中立公正な御議論をいただくため、学識経験者や弁護士、消費者団体の顧問など、さまざまな分野の専門家によって構成をさせていただいております。

 なお、電源構成の開示に関しましても、この会議におきまして、消費者団体の方からの御意見も伺いながら、まさに消費者の方々の電源選択のニーズというお声も踏まえながら、その開示を、まさにおっしゃいますように、罰則を伴うような強い形で求めていくのかどうかというところについて御議論をいただいてまいりました。

 そういう中で、今回の結論ということでございまして、今回の専門会合の結論になりました望ましい行為でございますけれども、これは、従前のガイドラインにおきましても、非常に広く事業者の方には遵守いただいておりました。(田嶋(要)委員「短くでいいから」と呼ぶ)申しわけございません。

 そういう意味では、これは、実質的には罰則のない、いわゆる努力義務にかなり、ほぼそれに同視し得るような、そういう規範性の高い位置づけであるというふうに考えております。

田嶋(要)委員 私はちょっと論点がずらされている感じがするんですけれども、先ほどの大臣の答弁も。

 罰則をつける義務というふうに私は申し上げているわけじゃなくて、まず義務化をきちんと明記するということだと思うんですよ。

 罰則がない義務化は、それは守らなくても罰則がないというのはそのとおりですけれども、でも、そういうことというのはあるわけなのです。ただ、明文として義務づけるかどうかが私はポイントだと思うんですね。だから、私は、一番高目の、罰則つきの義務化を主張しているわけでは必ずしもなくて、義務づけてほしいということを申し上げさせていただいておるんです。

 この二の資料の後ろの、次のページに親会議の資料がありまして、三つのチェックを入れた方々は両方の兼任でございますけれども、意思決定というのは、基本、この二の資料の専門委員会の皆さんも意思決定に入っている、そういう説明を聞いております。

 そして、資料の四で、ちょっと心配をするのは、親会議の方だけはこういう委員による申し合わせというのがあるんです。これは、今おっしゃった公平中立、李下に冠を正さず、そういうようなことで、公平中立のためにこういう申し合わせをされておるところでございますけれども、要は、意思決定に加わるはずの資料二の専門委員会の六名の方には、こういう申し合わせもないということなんですね。

 何か悪いことをやっているということを言っているんじゃないですよ。ただ、李下に冠を正さずだったら、同じ意思決定の中に入っている専門家の皆さん、こういう人たちも、やはりこういう申し合わせを私はきちんとすべきだと思いますよ。

 そうじゃないと、本当に公平中立、誰の利害も代表していない、そういうことを胸を張って言えるような状況にしておいた方がいいんじゃないかなと一つは思っておりますが、大臣、いかがですか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 電力取引監視等委員会におきましては、今先生からも御指摘ございましたように、特に服務に関する法令上の規定はございませんけれども、電力、ガス事業者等からの寄附の受領の自粛等、申し合わせを行っておるところでございます。

 一方、本委員会のもとに設置されております専門会合につきましては、これは、委員会とは異なりまして、まず一つには、専門会合で最終的な意思決定ではございませんで、あくまでも委員会で最終的な決定をするということ、それから、この委員会自身は業務改善命令等の処分も決定をする機関でございますけれども、そういう機能をあわせていないことというふうなこともありまして、申し合わせを行っていないということでございます。

 ただ、専門会合におきましては、その議論の様子を毎回インターネットで同時中継いたしますなど、公正中立的な議論が行われるよう、高い透明性を確保しているところでございます。

田嶋(要)委員 私は、やらないよりもぜひやっていただきたいというふうに申し上げたいと思います。

 それから、新規参入の発電事業者が、負担だから義務化はやめてほしいということをおっしゃっているという話も聞きましたけれども、実際に反対しているんですか。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの専門会合におきます議論におきましては、新規参入の小売電気事業者の方もオブザーバーに入っておられますけれども、その方から、消費者の求めるものは多様でありまして、まずは各企業の営業戦略に委ねていただきたいというような意見がございました。

 加えて、現在、既に百七十社を超える事業者が小売電気事業への参入を目指して登録申請をいただいております。非常に小規模な事業者も含めまして、多様な事業者が参入をしてくるということでございますけれども、この小規模事業者の方々の中には、進んで開示を行いたいというお声の方もいらっしゃいますし、他方で、開示に伴う負担が心配だというお声も伺っているところでございます。

 こうした状況も踏まえて、本日の整理になったというふうに承知をしております。

田嶋(要)委員 答えていないですよね。

 だから、これこれこういう理由で絶対反対だという事業者はいないはずなんですよ、きのう、事務方に聞きましたけれども。

 資料五をごらんください。

 では、先ほど言った、日本はもう何周もおくれている、二十年おくれてこういうことにようやくたどり着いて、大臣、この資料に、では、先進国はどうやってきたかというのを、簡単な話ですよ、全部義務化なんです。イギリスは罰則規定があります。だけれども、先ほど私が言ったように、ドイツなんかは罰則規定はないです。でも、これは義務なんです。では、義務じゃない国を探してくれと言ったら、なかったですよね、アメリカのどこかの州で何かあるとか言っていましたけれども。だから、義務づけていない国はまずないんです。

 それに加えて、中小のところがやめてくれとかなんとかいろいろ言ったことによって、最初は義務化されていなくて、後々義務化に変わった国があったのかということはどうですか。

松尾政府参考人 失礼しました。

 もう一度御質問の趣旨を……

田嶋(要)委員 だから、制度の導入時は、義務化はしていなかった、いろいろな配慮で、事務負担とかで。後で義務化にした、そういう国はあるんですか。

松尾政府参考人 そのお答えにぴったり合う例かどうかはあれでございますけれども、EUにおきまして、電源構成開示を求めたEU指令が出ましたのは二〇〇九年でございます。小売の全面自由化自身はその六年前に指令が出ているということでございまして、そういう意味では、段階をおいてこうした規制が行われてきているということではあろうかと思っております。

 あと、もう一点だけ。申しわけございません。

 望ましい行為という言葉の問題はあろうかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、望ましい行為というのは、ガイドラインに書かれておりますのはほぼ広く遵守をしていただいているという意味では、かなり努力義務にも近いような規範性を持ったものだというふうに私どもは思っております。

田嶋(要)委員 もう時間ですけれども、大臣、とにかく何周も何周もおくれてやっとここまで来た日本が、また、こういう入り口から、消費者の反対していることを決着させようとしている。

 資料はお配りしていないですけれども、四十七団体ですよ、団体、個人じゃないですから。これは、大学の先生方は個人の意見ですよね。だけれども、これは四十七団体、全国のいろいろな消費者団体、生協さんとか、エネルギーの、いろいろやっていますよ、今はもう発電から何から。そういう方々が皆さん異口同音におっしゃっている、その義務化がなぜできないんですか。

 日本は、議論ばかり延々やって、結論は何か中途半端なことしか。小出し小出しにしか前に進めない。だから、どんどん背中が遠くなっているんじゃないかという危機感を僕は本当に強くします。

 もういろいろな国が、こういうふうに全国、全世界で、義務化でやっているんですよね。まず、この最初の一歩、ボタンをかけ違いがないようにしてほしいんです。専門家に任せるというのは本当によくないと思いますよ。今までもいろいろ課題はありましたけれども、この消費者団体の代表の方は個人の意見じゃないですよ。国民、消費者の意見です。

 そして、閣議決定をもう一度しっかり見てください。「電源等を選びたいという需要家の様々なニーズに多様な選択肢で応えることができる制度に転換する。」と言っているんですよ。表示されていなかったら選択できないじゃないですか。私は、それはおかしいと思いますよ。そういう最初の一歩を、いろいろな意見があるけれども、先進事例がたくさんあるんですから、どこも割れている選択肢じゃないんですよ。みんなそうしているんですから。だから、少なくとも、最初の一歩から何か中途半端な開示をするなんということはやめていただきたいと思うんです。

 時間になってしまいましたので、ミャンマーの火力発電は心配がたくさんありまして、一言だけ。

 私はこの場で、海外に日本の火力発電技術を売り込むなとは一度も言っていないんです。日本が火力発電で世界一の技術を持っていることはわかっていますが、しかし、慎重にいかなきゃいけない。ミャンマーは天然ガスがたくさん出る国で、何で火力発電で石炭なんですかということを問いたかったわけですが、少し時間がございませんので。

 最後に、この開示の問題、本当に、最初から何かつまずくような、ほかの先進国より何周もおくれているにもかかわらず、さらにおくれを加速するような判断はやめていただきたいということを申し上げます。

 大臣、一言お願いします。

林国務大臣 先ほども答弁で申し上げましたように、この委員会は、ルールをこれからつくっていくということで、今真摯な議論を重ねているわけでありまして、その中に、小売の営業に関するルールだとか、あるいはまた小売電気事業者の登録の審査だとか、あるいはまた託送料金の件だとか、さまざまなものがございますので、そういったもののルールもやはり利用者の目線で捉えてやるということも大事な視点でありますので、そういったことも含めて、これからルールづくりによくきちっと対応させてもらいたいと思っています。

田嶋(要)委員 ぜひ、閣議決定の文章をしっかり読んで、それに忠実な結論を出していただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 きょうは、一般質疑の機会をいただきまして、委員長、理事の皆様に感謝申し上げます。

 林大臣、どうぞよろしくお願い申し上げます。国会は議論の場でございますし、その流れの中で多少厳し目のことを申し上げる場面もあろうかと思いますけれども、これはともに国をよくしたいという思いの中からの話でありますので、ぜひ受けとめていただいて、また誠実にお答えいただければ、このように思います。

 きょうは最初の質疑でございますので、私も税の問題を取り上げたいと思うんです。

 税は政治、政治は税でございます。自動車関係諸税については、同僚の中根議員が大変意味のある御提言も含めて御主張されたかと思います。私も全く同様の思いでございますが、私が取り上げたいのは、今、政府内で佳境を迎えております税制改正の中でも、法人減税といいましょうか、企業にかかわる税について経済産業大臣のお考えを伺いたい、このように思うわけであります。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますので、ごらんいただければと思います。

 一ページ目。これは十二月三日の日本経済新聞の朝刊一面トップ記事でございますが、いわゆる企業の利益にかかわる税金の税率、法人実効税率について、政府といいましょうか、自民党、公明党さんを中心にした政府・与党は、来年度二九・九七%に引き下げる方針を固めたという原稿が出ております。

 もちろん、政府税調で最終的な議論を進めておられる最中でありますから、この場で、国会の中で具体的な数字についてどうだということを聞くつもりはございません。しかし、夏以来の政府税調の中でも、この法人実効税率の引き下げについて、経済産業省として強く政府内でも調整を図っておられる立場だ、このように思うわけであります。

 そこでお伺いしたいわけでありますが、この法人実効税率を現在の経済状況に鑑みて二%程度下げるということに、具体的に日本の経済産業、社会についてどういう意味があるのか、効果があるのかということを私はお伺いしたいと思うわけであります。

 経団連は、政府と与党の官民対話の中で、十兆円設備投資がふえるというようなことをおっしゃいました。法人実効税率が下がれば十兆円設備投資がふえる、これまたちょっと私は、本当にそうかな、この因果関係はどこにあるのかな、こうも思うわけですが、この十兆円の積算の根拠は経団連に聞けということなのかもしれませんけれども、恐らく、経済産業省産業政策局と一緒に経団連もすり合わせをしてつくられたことだろうと思います。

 さて、二%下げることによって、一体どのような効果が我が国の産業の競争力強化、また経済産業、社会にとって見込まれるのか、報道どおり二・一四%下げられたとして効果があるのか、まずお答えいただけますでしょうか。

林国務大臣 今先生御指摘のように、経団連会長から、今後三年間で設備投資を七十兆円から八十兆円程度に拡大するという見通しが、例の未来投資に向けた官民対話で打ち出されたわけでございます。

 その見通しは、やはり法人税減税だけじゃなくて、設備に対する固定資産税の軽減やらTPPやら、あるいはまた安い電力の供給だとか、いろいろとあるわけでございまして、国内の事業環境というんですか、そういったものが整備されることがまず前提だというふうに思っております。

 設備投資は、ここ二年間で約五兆円増加しております。今年度は例年よりも高い設備投資の伸びが計画されておるわけでありますし、賃上げも十七年ぶりの高水準ということになっておりまして、我々は、やはり一刻も早く法人税を二〇%台にするのを実現できるようにすることが国内事業環境の改善になるというふうに思っておりまして、これは引き続き、そういった意味で、今、党税調で進めておりますけれども、しっかり捉えていきたいな、こういうふうに思っています。

近藤(洋)委員 大臣、今お答えいただいたとおり、設備投資の増には法人実効税率を下げることだけではない、こういう御答弁だったと思います。あわせて、ただ同時に、法人減税をすることは国内の事業環境整備であるという御答弁だったと思うのです。

 そこで、ただ、あえてここは申し上げたいと思うんですけれども、資料の三ページ目をごらんいただきたいと思うんですが、今我々が問題にしなければいけないのは、法人実効税率を下げて、本当に企業が的確な行動をするかということだろうと思うんですね。

 これは経済財政諮問会議で財務相が出した資料でありますけれども、ごらんいただきたいと思うんですが、安倍政権になってからというか、安倍政権下のこの三年間でありますけれども、経常利益は確かに十六兆円、上の表でありますけれども、ふえました。設備投資は五兆円、大臣お答えのとおりふえていますが、驚くべきことは内部留保なんですね。内部留保が何と四十九・九兆円、五十兆円もふえている、ここが大問題なんです。

 他方で、従業員の給料はどうか。かけ声、笛吹けど踊らずということが明らかなのですが、わずか〇・三兆円しかふえていない。そして現預金が二十兆円。このことは、すなわち、企業は為替の利益をどんどん内部にため込んでぶくぶく太っている、こういうことだと思うんですね。外に出していないということが、この数字で明らかなんです。

 何を言いたいかというと、今我々に必要なのは、この内部留保をどうやって設備投資、すなわち日本の産業力強化につながる企業の設備投資にするか。そして同時に、我々民主党も強く主張しておりますけれども、どうやって一人一人の生活を豊かにするか、賃金を上昇させるか、従業員の給料、賞与に反映させるか。この二つが重要なのにもかかわらず、内部留保をため込んでいる。ここをどうするかというのが極めて重要な課題なんですね。そのための税制改正がどうあるべきかということだと思うんです。

 そこでお伺いしたいんですが、その問題意識をまず大臣はお持ちかどうか。内部留保をどうやって生き金にかえるかという。異常にふえている。内部留保するなとは言いません。しかし、これは異常です。この内部留保水準は異常ではないかという問題意識をお持ちかどうかというのが第一点。

 第二点。お持ちだとするならば、内部留保をきちんと生き金にするためには、具体的には、例えば設備投資減税であるとか、将来に対する研究開発投資減税であるとか、こうした税制上の措置が速やかに必要だと思いますが、大臣、いかがですか。

林国務大臣 御指摘の内部留保が異常だということでありますけれども、私は、企業が成長して自前の資産がふえていくこと自体は健全なことだというふうに思っておりまして、それをいかに設備投資やらいろいろな人的投資にかえるかということは、同じ問題意識を持っているところでございます。

 したがって、どう使われるか、どう使ってもらえるような方向にするかということが大変大事なところだと思っておりますし、五十兆円、過去二年間でふえているわけでありますけれども、このふえた利益はそのままにしているんじゃなくて、何らかの形でやはり事業投資は行っているんですね。株を買ったり、あるいは海外に投資をしたり、いろいろやっています。それを、やはり海外に振り向けるものを何とか国内に取り戻すということをするのが重要じゃないかというふうに思っておりまして、そういった意味では、国内の事業環境をよくする、その一環がやはり法人税減税だというふうに考えております。

近藤(洋)委員 大臣、問題意識は同じだとしても、ちょっと手段が違うと思うんですね。設備投資をさせるなら、やはり設備投資減税を直接的にする方が、これはダイレクトにきくわけでありまして、これの方が大事だと思うんですね。

 お伺いしたいんですけれども、まさか法人減税の見返りに、言われている外形標準課税の拡大、これはまた私はとんでもないことだと思うんですが、加えて設備投資減税の縮小、RアンドD減税の縮小ということはゆめゆめ考えていない、少なくとも設備投資減税は拡大するということが正しいと思いますが、その点についていかがでしょうか。

林国務大臣 設備投資減税は、その有効性には異論はございません。しかし、賃上げだとか雇用拡大だとか人的投資とか、そういったものに関しては、やはりより幅の広い法人税を減税した方が効果を発揮できるというふうに考えております。

 設備投資減税は、確かに製造業、インフラ産業には相当有効だというふうに思っておりますけれども、やはりGDPの七割を占めるサービス産業だとかそういったもの、より幅広い産業に恩恵をもたらすということにすれば、やはり法人税減税は有効だというふうに考えているところでございまして、そういう意味で精力的に取り組んでまいりたいと思っています。

近藤(洋)委員 大臣、何か財務大臣と議論しているみたいな気がするんですけれども。恐らく、経産大臣がそういうふうにこの時点で言うというのは、税制改正で、やはりある程度財務省のペースに議論が入ってしまっている、佳境を迎えているからこう答えられているんだと思うんですね。

 それは、すなわち、法人減税を二%やろうとすると、大体一%四千億円と言われていますから、八千億円が必要だ。この八千億円を経済産業省のいわゆる税の中から捻出しなさいよ、こういうことを財務省から言われているから、全部が全部取るわけにいきません、こういう背景になると思うんです。これは、いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴー原則、こういうわけですね。

 でも、大臣、私はこれはおかしいと思うんですよ。ペイ・アズ・ユー・ゴー原則などというのは、税の教科書とか税の議論には全くありません、論理には。税は、簡素、中立、公正、この三つだけなんです。ペイ・アズ・ユー・ゴー原則などというのは財務省のへ理屈でしかないんですね。予算配分においては確かにありますけれども、要するに税の議論ではこんなのはないんです。財務省の理屈なんです。

 何となれば、法人減税は民主党政権で方針を決めて、そして五%という目標を立てて合意をしたんです。その際は、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則を破って、法人減税の不足分はそのまま、仕方ないということで実行をさせたということがあるわけであります。

 本来、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則というのは経済産業省としては認めるべきではない、このように思うわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。お答えいただけませんか。

 保坂さんで結構ですよ。元企業行動課長、ぜひお答えください。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 法人税減税、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、より幅広い産業に恩恵をもたらすということで、ぜひ達成したいと思っておりますとともに、財政健全化も政府全体の目標でございますので、全体の中で考えさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 いや、情けないですね、審議官。この状況でこの答弁しかできないというのは、これでは、何というか、今の安倍内閣は財務省の言いなりになっているとしか言いようがありませんね。

 本来、法人減税の議論というのを経済産業省の枠内だけでやったら、これは出口がないんです。何のための減税なのか、何のために必要なのかという、もう一回原点に立ち戻って議論すべきだと私は本当に思います。非常に残念な結果になるのではないかと思いますし、また、法人減税が果たして内部留保の問題についてどうかかわるのかということも含めて、引き続き議論を深めていきたい、こう思います。

 時間がないので、軽減税率についてお伺いをしたいと思います。

 資料をごらんいただければと思うんですが、四ページ目です。軽減税率について、今まさにいろいろ議論が与党間で行われているというのは新聞報道で仄聞するのですけれども、この対象範囲について、生鮮食品に限定しないで加工食品まですると再来年の四月には間に合わないといった趣旨の御発言を麻生財務大臣が記者会見でされておられます。下線の部分です。加工食品までだというのであったら、どこで区分するかでごちゃごちゃするということを考えると再来年四月には間に合わない、こういう発言を財務大臣が会見でされております。十二月一日の財務大臣記者会見でございます。

 さて、産業を所管する経済産業大臣にお伺いしますが、産業を所管する大臣として同様の御見識でありますか。

林国務大臣 今、御案内のとおり、与党内では軽減税率についていろいろと議論をしているところでございます。事業者の負担などに留意しながら、具体的な制度設計に対しての検討が続いているというふうに理解をしているところでございます。

 詳細についてはコメントを差し控えたいと思いますけれども、どういう制度設計であれ、それは一定の準備期間が必要というのは大半の事業者の声だというふうに認識をしておりまして、経産省といたしましては、中小事業者の現場に混乱が生じないよう、与党内の議論を注視しているところでございます。

 関係省庁とも密接に連携をとりまして、事業者の準備が円満に進むように取り組んでまいりたいと思っています。

近藤(洋)委員 間に合わないという認識を財務大臣はお持ちであるわけだけれども、経産大臣はその認識についてはどうなのかと質問したんですけれども、それについてのお答えをいただきたいんですが。

林国務大臣 間に合わせるように最大の努力はいたしますけれども、なるべく事業者に軽減されるような対応を与党内でとってもらいたいというふうに要望しているところでございます。

近藤(洋)委員 大臣、与党内でとるとか、実際にやるのは政府でございますし、政府でどういう対応をするかということだと思うんです。

 私は、インボイス方式の導入も取り沙汰されているわけでありまして、簡素な方式といっても、どうであれ、中小事業者に負担がかかることは間違いない。これは間違いないんですね。これは大変な混乱を招くおそれがあると私は危惧いたします。

 同時に、益税の問題も当然生ずるわけでして、益税という言葉は何となくよいことのように聞こえますが、ある意味で、税金逃れというか、ごまかしでございます。税金の公平感、信頼感ということから見ても、これは大問題なんですね。

 中小企業には混乱を与え、かつ、税の公正というか信頼性ということから見ても問題がある。私は、率直に申し上げて、軽減税率というのは、大変な問題を生じる、混乱あり、かつ、公平性からも問題がある、こういう立場でございます。

 この問題については、政府でお考えということでありますけれども、私は、どう考えても解決策はないのではないかという主張でありますし、もう時間ですのでやめますが、先日、中小企業の団体の全国商工会連合会、私も呼ばれました。全国大会でございました。大臣も行かれましたけれども、私も座っておりました。各党代表で、なぜか私が民主党代表で御挨拶をさせていただきました。谷垣自民党幹事長、山口公明党代表、続いて私がなぜか挨拶をさせていただきましたけれども、率直に言って軽減税率はおかしいと申し上げたところ、万雷の拍手を私はいただきました。それが中小企業の声だということを申し上げて、時間ですから、質問を終わります。

江田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 維新の党、落合貴之でございます。

 大臣、御就任おめでとうございます。先ほど中根理事も指摘をされていましたが、本日は、まず大臣に、内閣の一員としての見解を伺いたいと思います。

 ことしは臨時国会が開催されそうにない状況です。憲法五十三条、「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」

 去る十月二十一日に、衆議院議員百二十五名の連名で、総理大臣に対して臨時国会を召集するよう求めていますが、この要求に応じない姿勢が示されています。

 この臨時国会開催の要求に応じない、国会を開催しないことは憲法違反だと思わないでしょうか。大臣、お聞かせください。

林国務大臣 臨時国会召集につきましては、総理の外交日程、あるいは来年度の税制改正やら予算編成、さらに補正予算の編成作業とか種々の要素を考慮いたしまして、年内の国会召集は事実上困難であるというふうに判断したものと承知をしております。

 今の違憲ではないかという御指摘でありますけれども、一般的な考え方といたしまして、臨時国会の召集要求について定める憲法五十三条後段は、「内閣は、その召集を決定しなければならない。」と規定するにとどまっておりまして、召集時期については何ら触れられておりません。

 召集時期の決定は内閣に委ねられているというふうに承知をしているところでございまして、国会で審議いただく事項などを勘案いたしまして、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に国会を召集すれば、憲法上の問題は生じないものというふうに承知しているところでございます。

落合委員 憲法違反ではないということで、時期も委ねられているわけですが、ことしは、夏のあたりは安保法制一色でした。ことし開かなかったら、閉会してから三カ月以上、国会が開かれないということです。タイムラグが生じる、空白が生じている、これは大変重大な問題だと思います。二〇一五年が、国会の役割が劇的に下がってしまったということになりかねないと私は思います。日本の立憲主義を守る上でも、内閣の一員として、ぜひ大臣に総理に進言していただければというふうに希望を伝えさせていただきます。

 衆議院のホームページには、昭和二十二年からの国会、百八十九回全部、何が開かれて、いつからいつまでかが載っています。一年間で一回しか国会が開かれなかったことは、戦後一回もありません。それから、常会の後に臨時会も特別会も開いていないということもありません。これはやはり異常なことだということを指摘させていただきまして、次の質問に入らせていただきます。

 まず、武器輸出について、林新大臣、どういう姿勢で臨まれるのか、お伺いをさせていただきます。

 私は、さきの安保法制だけでなく、武器輸出がなし崩し的に拡大しているということは重大な問題であると考えまして、ことしの五月に委員会でも取り上げさせていただきました。昨年四月の閣議決定で、武器輸出三原則が防衛装備移転三原則にかわりました。そして、本年十月、武器輸出の窓口にもなります防衛装備庁が発足しました。そして、大型案件である豪州の潜水艦受注へ向けての努力ですとか、インドと情報保護協定を結ぶ交渉に入ることも報道がされています。

 私がこの経産委員会で五月に行った質問では、これまでと同様、武器輸出は抑制的な状況ですという答弁を前の大臣からもいただいています。しかし、そのときも指摘しましたが、八〇年代、九〇年代は、ブルドーザーを海外に出すことも武器輸出だということで、慎重に審議がされていました。それが、安倍内閣で同じ慎重だといっても、出てくるものがブルドーザーではなくて、戦闘機や潜水艦にかわっています。

 これは、一目で見ても、はっきりと武器輸出も一線を越えたのではないでしょうか。新大臣も、林大臣もこれまでの安倍内閣の路線を引き継いでいくんでしょうか。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

林国務大臣 武器輸出のルールを定めている防衛装備移転三原則では、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の平和及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していくというふうにされておるところでございます。同時に、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念、そして、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持していくというふうに示されているところであります。

 私としても、この考え方に沿って、これまでと同様、関係省庁とも連携して、外為法に基づく厳格な審査等に万全を期しつつ適切に対応していく所存でございます。

落合委員 積極的だという言葉はおっしゃらなかったですが、これも先ほどの立憲主義にもかかわってくる問題なのではないかなと思います。

 日本国憲法三大原則、平和主義というものを掲げています。今の武器輸出の状況、これは平和主義には反していないと大臣ははっきり言えますでしょうか。

林国務大臣 今申し上げましたとおり、平和国家としての基本理念と平和国家としての歩みを引き続き堅持する上での対応でありまして、これに沿って、外為法に基づいて厳格な審査等に万全を期しつつ適切に対応していくということでございます。

落合委員 具体的には、潜水艦や戦闘機、ミサイル、そういったものが議論に上っているわけでして、これは本当に大きな変更であると思います。

 この武器輸出、これは大きな目で見れば兵たんと同じである。今回、フランスは大きなテロが起きましたが、フランスは、ISに空爆の実績を重ねてきたことで、戦闘機が売れていました。経済効果がこれぐらいあって、新しい雇用がこれぐらい生まれた、そういうふうにフランスの政府は一生懸命宣伝していました。そして、このテロが起きた。

 武器の輸出ですとか共同開発を積極的に行っていくことで、我が国がテロや攻撃の対象になるリスクを高めると思いますが、武器輸出の問題とテロ、攻撃の対象になるリスク、この関係について、大臣、どう思いますか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

林国務大臣 先ほどから答弁しているように、外為法に基づいて厳格な審査のもとで対応していくわけでありますし、直接武器を輸出しているわけではございませんので、そこは慎重に進めていけるというふうに思っております。

落合委員 外為法で定めているわけですが、その上にやはり憲法というものもあるんだと思います。日本が武器輸出の市場に参入することで、世界に出回る武器の量もふえていくかもしれない、これがテロリストにも回っていくかもしれない、そういう影響がある重要な決定をしていることをやはり認識していかなきゃならないと思います。

 安保法制の名前も平和安全法制というふうな名前になりましたが、武器輸出三原則も防衛装備移転三原則にかわって、武器という言葉もなくなりましたし、輸出という言葉もなくなりました。この変更は、私は大変危険なことだと思っています。

 武器輸出は、経済効果、これは、フランスが今まで強調していたように、幾ら売れましたというふうに効果は確かにあるかもしれませんが、武器商売に大きく踏み込むかどうかは、今までやってこなかったんですから、日本の進路にとって大きな選択であるはずです。これを閣議決定だけで変えてしまった。何人の国民がこの変化を認識しているでしょうか。これでいいのかということを私はこれからも訴えさせていただきたいと思います。

 私は、日本人が今まで武器商売にここ数十年手を染めてこなかった、それで信頼を得てきた、倫理が高いと言われてきた、このブランドを簡単には捨ててはならない、ほかの商売にも影響を与えてくる、そのように考えております。

 それでは次に、核燃料サイクル事業についてお伺いをさせていただきます。

 大臣が先週六ケ所村に行かれたということを拝見しました。私も夏に行かせていただきまして、私のような一年生議員が一人で行っても、働いている方々が丁寧に案内してくださいました。現場の皆さんは本当に一生懸命頑張られていると思います。そして、技術者の方からいろいろな夢を聞かせていただきました。

 お伺いしますが、まず、この核燃料サイクル事業の原資は今までどのような形で賄われていたのか、お聞かせいただければと思います。

鈴木副大臣 まずは、日本原燃六ケ所再処理工場の視察、ありがとうございました。また、その対応についての御評価もありがとうございます。

 御案内のとおり、再処理事業は極めて長い期間を要するものでありまして、その費用は極めて巨額になるものであります。このため、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律、いわゆる再処理等積立金法に基づき、必要な資金を長期にわたり電力会社が積み立てることとしております。

 このように積み立てた資金を原資として、電力会社と日本原燃との契約に基づき、再処理事業を行うために必要な資金の支払いが電力会社から日本原燃に対して行われるものと承知いたしております。

落合委員 電力会社からということで、その収入は、多くは消費者からの電気料金が入っているというふうに理解していいと思います。

 最近、これは文科省の管轄ですが、高速増殖炉「もんじゅ」のことが新聞紙上をにぎわせています。「もんじゅ」はこれまで、予算額一兆二百二十五億円、毎年の運営費約二百億円、毎年の電源三法交付金約二十七億円、これだけ使っても、今行き詰まっています。稼働ができない。「もんじゅ」は文科省の管轄ですが、経産省のこの六ケ所村、年内にも経産省が核燃料サイクル事業の見直し策をまとめるという報道も出ています。私が夏にこの経済産業委員会で質問した質問に対しても、運営形態の見直しは検討をするということでございました。

 では、この報道にも出ている見直し、どのようなものになりそうでしょうか。

鈴木副大臣 本年七月より、審議会、原子力事業環境整備検討専門ワーキンググループでありますが、これは総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会のもとにありますけれども、その審議会において、電力システム改革により競争が進展し、また、原発依存度が低減した新たな環境下においても使用済み燃料の再処理等が滞ることがないよう、必要な措置について検討が進められておるところであります。

 審議会におきましては、これまで、現行の積立金制度を拠出金制度に改め、再処理等の実施に必要な資金を安定的に確保する、また、新たな環境下においても、再処理等の事業実施に責任を負う認可法人を設立するといった方向で議論がなされているものと承知いたしております。

 ただし、現時点で審議会の中間報告が取りまとめられたわけではありませんで、政府としては、この具体的な対応につきましては、審議会の正式な取りまとめを受けて検討をしてまいりたいと思います。

落合委員 自由化がされる、電力自由化の中でも安定的にファイナンスができるようにする、そのために、ある程度国の関与を今までよりも強めていくというような話であると思います。

 六ケ所村の歴史を振り返ってみますと、建設が始まってから、もう二十年以上たっています。多額の電気料金、税金、国民負担ですが、これがつぎ込まれてきた。建設費も、当初七千六百億円だったそうですが、今はもう二兆円ぐらいに膨らんでいます。それでも再処理工場は稼働できていない。この中での制度の変更。

 これは、今もう二十二回稼働が延期されているわけですが、二十三回目、稼働が延期され、また二十四回目となった場合に、何が何でも稼働するという政府の方針は、少し見直す、延期をするならもうやめるということを検討する選択肢は持たなくていいですか。選択肢ぐらいは持った方がいいんじゃないでしょうか。

林国務大臣 六ケ所再処理工場の竣工を含めまして、核燃料サイクルについては、エネルギー基本計画で閣議決定したとおり、推進する方針に変わりはございません。

落合委員 推進する方針は変わらないということですが、今後、延期が繰り返された場合、やはり撤退というのは民間やお役所の役人レベルでは決められない問題だと思います。これは政治マターであると思います。これは重要な、政治家にしか決められない、責任のとれない問題だと思いますので、今後も、この核燃料サイクルの問題、私も見させていただきたいと考えております。

林国務大臣 先生御指摘の、二十三回目の竣工延期のことに触れられておりましたけれども、実はこれは、二〇一八年度上期へ変更すると発表したのを承知しているんですが、中身はトラブルによる変更ではございませんで、新規制基準への対応など、工事がそれだけ時間がかかるということでございまして、一層の安全性向上の観点から延期をしたというふうに認識しておるわけでありまして、そういった安全確保のための課題を一つ一つ解決しながら核燃料サイクルを推進してまいりたいと思っております。

落合委員 わかりました。

 どちらにしても、新規制基準ができる前にも稼働できなかったわけですので、やはりいろいろな問題があることとは思います。私も、今後この問題もまた見させていただきたいと考えております。

 それでは、原発の問題について、大臣新しく就任されましたので、いろいろと基本的な問題について見解を伺いたいと考えております。

 まず、原発のことを考えるに当たって、やはり四年半前、福島第一原発で大きな事故がありました。東日本大震災、いまだに二十万人以上の方が避難生活をしていて、七万人の方が仮設住宅で暮らしています。この震災復興のおくれ、福島第一原発の事故も、大きな問題を原因として抱えている。原発は、事故を起こせば大きな問題が起きることを我々は目の前で体験をしました。この事故で人生が変わってしまった国民もたくさんおります。

 日本の原発行政を指揮してきた経済産業省として、この福島の事故の総括、どのようにしているんでしょうか。

林国務大臣 福島第一原発の事故については、既に国会や政府などに設置されました事故調査委員会によって、その原因などについて報告を取りまとめているところでございます。

 これらの事故調の指摘は多岐にわたるわけでありますけれども、一点は、重大事故は起こり得ないという安全神話にとらわれていたこと。そして、その結果として、重大事故対策が、例えば電源の喪失だとか津波対策だとか、そういう規制の対象になっていなかったこと。そして、推進組織から安全規制組織が独立していなかったことなどが指摘されているところでございます。

 こうしたことを踏まえて、政府としては、独立した原子力規制委員会を設置したわけでありますし、安全神話と決別して、重大事故対策やバックフィットを盛り込んだ世界最高水準の新規制基準を策定しているというふうに思っております。

 これを担当する大臣としては、このような政府の方針に従いまして、安全神話に陥ることなく、世界最高水準の安全性を不断に追求するということが、エネルギー、原子力政策を進めていく上で不可欠であるというふうには考えているところでございます。

落合委員 それでは、具体的にですが、原発再稼働、今、川内が再稼働しました。次は伊方がするかもしれないと言われています。

 原発再稼働、これはどうあるべきでしょうか。大臣の見解をお聞かせください。

林国務大臣 再稼働に関しましては、宮沢前大臣も答弁していたとおりでございまして、エネルギー基本計画に基づきまして、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には再稼働を進めていくというのが政府の一貫した方針でございまして、この方針には変わりはございません。

落合委員 基準に達したものは再稼働していくということで、それでは、四十年廃炉については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 運転期間延長認可制度については、原子炉等規制法において、原発を運転できる期間を原則四十年と定めております。同法において、一回に限り二十年を上限に延長を認めておるわけでございます。

 原子力規制委員会が法令に定められた基準に適合するかどうか審査を行いまして、その判断が尊重されることになるというふうに承知をしているところでございます。

落合委員 安全かどうかをチェックするのは違う組織でございますが、原発の減価償却というのは四十年になっているはずですので、延長すれば、その分経済性は高まります。やはり安全基準が軽くならないように、これは経産省もしっかりと厳しく見ていかなければならないと思います。

 それでは、大臣、原発の新設について、これはどのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 現段階では原発の再稼働に集中すべきであって、新増設、リプレースについては想定をしておりません。

落合委員 新設は想定していないというお答えでございました。

 冒頭伺いましたが、福島の事故、これから我々は多くのことを学ばなければならないと思います。そして一方で、多くの方が指摘をしているのは、電力会社への天下りの問題ですとか自民党への献金の問題、こういう指摘もありますが、天下りや献金でエネルギー政策が左右されることはない、これをしっかりと大臣が断言できるように、私はそれを求めていきたいと思います。

 そして、こういった政策の決定において安全性はないがしろにしない、これをきっぱりと、大臣、約束をしていただけますね。

林国務大臣 先ほどから答弁しているように、安全確保が第一で進めているところでございます。これからもそうしたいと思っています。

落合委員 福島第一原発の廃炉、これは政府の見解としては三、四十年が目標であると。しかし、復興特でも私は質問しましたが、三、四十年でできるかどうかはわかりません、今燃料がどこにあるかもわからないので、はっきりとは言えませんというのが今の政府の見解でございます。

 では、海外の専門家は福島の原発についてどう考えているのか、いろいろ調べてみました。百年かかると言う専門家もいますし、六十兆もかかると言う方もいます。二〇一一年の三月二十八日に、ウクライナのチェルノブイリ原発の管理当局であるボブロ第一副局長が、チェルノブイリの原発の解体でもあと百年かかるというふうに四年前おっしゃっています。したがって、燃料がどうなっているかわからない、チェルノブイリはどうなっているかはある程度わかっています、この福島の廃炉、やはり、この百年かかるという海外の指摘も、もしかしたらそういうこともあるという可能性はあると思います。

 我々は、今後生まれてくる、将来に生まれてくる日本人に対しても責任を負っているわけですから、大臣、福島の事故をしっかりと踏まえて、その教訓を生かしてエネルギー政策を行われるように、ぜひ陣頭指揮をとっていただければと思います。

 では次に、同じ電力で、電力自由化について質問をさせていただきます。

 来年四月に電力の小売自由化が始まります。しかし、例えば日経新聞の十月二十八日に、東京電力のシステム開発がおくれていて、自由化の際の契約切りかえに影響もあり得るというような報道もされています。このシステムの問題に限らず、ほかにも小売自由化に向けてやらなくてはならない準備はたくさんあると思います。

 大臣、もちろん来年四月の電力小売自由化は遅滞なく、混乱なくできると言えますね。

星野大臣政務官 落合委員にお答えを申し上げたいと思います。

 今御質問をいただきました来年四月の小売の全面自由化に向けまして、現在、小売電気事業の登録を行うとともに、小売料金を設定する上で必要となる託送料金の審査を行っております。これは、年内をめどに認可の予定でございます。

 それから、これらを踏まえまして、来年一月以降になりますけれども、家庭などの、現在、規制部門の需要家、需要家というとちょっとわかりにくいんですが、消費者が電気の供給を現在の電力会社から新たな事業者に変更するための申し込みを行うことが可能となっております。

 あわせて、電力各社も、切りかえを希望する需要家、消費者に対してスマートメーターを優先的に設置していく予定でありまして、切りかえが円滑に進むと期待をしております。引き続き、着実に準備を進めてまいりたいと思っております。

 ちなみに、御指摘いただきました一部の新聞報道でありますけれども、これはいずれにしても東京電力のシステムについてということなんですが、実は、東京電力のみは今三つの分社化をしておりまして、その際に、それぞれ分社化をするシステムを今導入している最中でありまして、一部のこういう報道が出たと想定をしております。

 いずれにいたしましても、来年の四月、小売自由化を目指しまして、しっかりとこのスケジュールは守ってもらわなければ困ります。そこの部分についても経済産業省としてしっかりと監視をしていきたい、このように思っております。

 以上です。

落合委員 小売自由化のスケジュールは大丈夫であるというようなお答えをいただきました。

 先ほどの質問にもありましたが、小売自由化をするに当たって、再エネ業者が不利にならないようにするというその中立性、公平性、こういったものもやはり自由化をする上では注意しなければならない問題だと思います。

 ことしの電力自由化法案、電気事業法改正案の審議の際も私も再三質問をさせていただきましたが、一番重要なのは監視機関であると思います。

 先ほどの原発行政もそうでしたが、規制の委員会の中立性に問題があったのではないかというような話もございましたが、電力自由化においても、監視機関の独立性、中立性は重要な問題だと思います。法律には書いていなくても、指定電気事業者制度というのも実際にできて、それが行われているということで、やはり、中立性、独立性、これは我々野党の議員がしっかりと見ていかなければ問題が生じる可能性があると思いますが、この点についてもしっかり、大丈夫だ、準備をしてある、そういうふうに言えますでしょうか。

星野大臣政務官 御指摘をしっかりと受けとめまして取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 さまざまな小売事業者の登録申請が今順次進んでおりまして、ちなみに、十二月三日の時点で、百七十三件の申請がありまして、うち六十六件が登録済みであります。この登録をしっかりと、今後も、審査を終えたものから順次登録も行っていきますし、ただいま委員が御指摘になった点を十分受けとめまして、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

落合委員 電力自由化は、アベノミクスの重要な目玉の一つであるとも思います。これは経済成長にも、やりようによってはつながっていきます。新規事業を起こしていくということにもつながっていきます。地方創生にもつながっていきます。この法律の趣旨がしっかりと実行されていくように、私もこれからも見させていただきたいと考えております。

 それでは次に、経済産業省の所管の中でも重要なものの一つである中小企業金融、中小企業政策についてお伺いをさせていただきます。

 十一月十一日の日経新聞などにもありましたが、「中小融資 保証見直し 企業の成長段階でメリハリ ベンチャーは手厚く」といったような報道もされています。こういったベンチャー育成に経済産業省は積極的に取り組んでいく、この保証制度だけでなく、そういう方向であるということで、大臣、よろしいでしょうか。

林国務大臣 日本経済再生のためには、ベンチャー企業や新規創業を後押しすることが大変重要であるというふうに思います。起業への意欲が低い、あるいは起業を担う人材が不足、あるいはベンチャー企業を支えるリスクマネーの不足などなど、多岐にわたる課題が存在をしているわけでございます。

 このため、金融面の支援といたしましては、新たに始める者や再チャレンジを目指す者に対する日本政策金融公庫による融資、ベンチャー企業への融資に対する信用保証、そして中小企業基盤整備機構が出資する民間ファンドによるベンチャー企業への投資支援などを実施しているところでございます。

 引き続き、こうした取り組みを通じてベンチャー企業や新規創業を後押ししていきたいと思います。

落合委員 融資、保証、投資、あらゆる面からバックアップをしていきますということでございます。ベンチャー企業の育成に力を入れていくこと、これは重要なことです。

 二〇〇〇年代の政府系金融機関の改革などでは、なるべく政府の役割は少なくしていこうという方向でした。最近だんだんそれが少し変わってきていると思うんですが、重要なベンチャーの育成に関しまして、こうやって融資でも保証でも投資でも政府が積極的にやっていきますということになりますと、特に融資ですとか投資ですとかは、民間の銀行ですとか民間のベンチャーキャピタルとの競合というのもだんだんと出てくるのではと思います。

 基本的な姿勢として、ベンチャー育成、民業圧迫はある程度あっても仕方ない、それでもどんどん政府はやっていくという立場なのか、もしくは民業圧迫という点に関しては細心の注意を払って、なるべく民業圧迫しないように、できる限り少なくしていく、こういう立場なのか、どちらの立場で大臣は指揮をとっていくのか、この基本姿勢を教えていただければと思います。

林国務大臣 御指摘のように、やはり民業圧迫にならないように対応するというのは基本だと思っております。

 昨年、経済財政担当大臣、財務大臣、そして経産大臣のもとで、成長資金の供給促進に関する検討会で取りまとめられました、創業時の資金供給を円滑にすることが必要であり、リスクが高く民間金融機関が独自で融資しにくい際に、政府系金融機関が民間金融機関を補完、協調していくとされたところでございます。

 こうした民業補完、協調の考え方にのっとって、政府系金融機関を通じたベンチャー企業や新規創業への資金繰り支援を引き続き行ってまいります。

落合委員 民業補完という言葉をいただきました。

 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。来年もぜひ質問に立たせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、ありがとうございました。

江田委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 先ほど来触れられておりますけれども、我が党を含む野党共同で、憲法五十三条に基づいて臨時国会の開催を求めております。安倍内閣が応じない、これはもう明確な憲法違反であって、強く抗議をしたいと思います。そして、改めて臨時国会の開催を強く求めたいと思っております。

 その上で、きょうは、林大臣には初めてになるんですが、原発の問題について質問したいと思います。

 とりわけ、原発施設の上空を本来は飛んではならない航空機が多数飛んでいる、この問題についてお聞きをしたいと思います。

 前提として国土交通省にお聞きしたいんですが、国交省は、航空機による原発関連施設の災害を防止するために、通達を過去二回出されていると思います。一九六九年は、原子力施設付近上空の飛行はできる限り避けさせる旨、そして二〇〇一年は、この六九年通知の徹底に加えて、自家用の小型航空機運航者に徹底させる旨の通達を発出していると思うんですが、この事実に間違いないでしょうか。

島村政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのとおり、航空局では、一九六九年と二〇〇一年に、運航者に対し、原子力関係施設の上空の飛行を規制する通達を発出しております。

藤野委員 重ねて、外務省にも確認したいと思います。

 一九九九年、日米の合同委員会におきまして、原発関連施設などの上空で米軍機の飛行を回避するということについての合意がなされております。こちらで読み上げますと、「在日米軍の航空機は、原子力エネルギー施設や民間空港などの場所を、安全かつ実際的な形で回避し、人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物に妥当な考慮を払う。」という合意だと思いますが、この事実は間違いないでしょうか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました合同委員会合意、一九九九年の在日米軍による低空飛行訓練についての日米合同委員会合意でございますが、かかる合同委員会合意がございまして、その合意自体は現在も有効でございます。

藤野委員 要するに、日本政府も、そして日米両政府も、原発の上空は航空機を飛ばさないということで通知や合意を重ねてきたということであります。

 しかし、大臣、これは現実には全く守られていないという状況が続いております。

 資料をお配りさせていただいておりますが、一枚目から三枚目を見ていただければと思います。

 これは、電力事業者から原子力規制庁に対しまして、施設の上空や施設付近を航空機が通った場合に報告を行う、いわゆる報告書の、確認連絡票と正式にはいいますけれども、一覧と、その中身を分析したものであります。一覧といいますのも、二〇一三年の四月一日から二〇一五年十一月三十日までの二年八カ月の間ということになります。原本はこちらにありまして、非常に大部なんですけれども、全部で百四十八件ということになります。

 資料の一枚目を見ていただきますと、そのうち、伊方原発が五十九件で四〇%を占めている。非常に多いわけですね。二番目の「もんじゅ」、これは三五%ですけれども、五十二件のうち三十六件余りが県警による恐らくパトロールだと思われますので、県警によるヘリの飛行というものも鑑みますと、伊方原発というのはもう圧倒的に多いというふうに言えると思います。

 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、国交省の通知でも日米間の合意でも原発上空は飛ばないことになっておりますが、実際にはこれだけ多くの航空機が飛んでおります。きょうは時間の関係でそんなに詳しく紹介できませんが、原子炉の真上とかタービン建屋の真上とか、これを見ますと、矢印でこう飛んだということも描いておりまして、もう本当に、そういうまさに中枢施設の上を飛んでいる。そして、資料の一にもありますように、四〇%が伊方原発ということでございます。

 伊方原発については、避難の問題や活断層の問題、住民合意の問題、いずれも深刻なんですけれども、やはり原発上空の飛行という点については、私はこれは日本の原発の中でも最も危険な原発の一つと言えるんじゃないかと思うんですが、大臣、この点はどのように思われますか。

林国務大臣 原発の安全性については、原子力規制委員会が新規制基準に基づいて判断することになっております。

 この基準には航空機対策も規定されております。そして、こうした対策も含めて、原発の安全性について確認されているものというふうに認識をしているわけでございます。

 いずれにしても、原発については、安全性を最優先でありまして、新規制基準に適合すると認められた場合には、再稼働を進めるという方針には変わりはございません。

藤野委員 私の質問をちょっと繰り返しますと、そういう質問ではなくて、伊方原発に四〇%集中している。ほかの原発は、私も六ケ所再処理工場に行きましたけれども、あそこもすごいんですね。視察中、すごい爆音がずっとしている。何ですかと聞いたら、三沢基地があって、射爆場というのがあって、始終飛んでいますと。年間二万回から三万回離着陸をやっていますと。ですから、本当に怖いなと思ったんですが、そこでさえ、この資料によると、原発上空、五件なんですね。

 伊方というのは、まさに米軍普天間基地と米軍岩国基地の途上にありますので、もうひっきりなしに飛行がされているし、自衛隊の訓練空域に行く道筋でもありますので、非常に多いんです。そういう状況にある。

 ですから、私の質問は、上空の飛行という点から見れば、伊方原発というのは日本で最も危険じゃないか。この点について、もう一度お答えください。

林国務大臣 その辺は、先ほど答弁したように、原子力規制委員会が基準を定めているわけですから、それを遵守してやるべきものというふうに理解しています。

藤野委員 そのことはまた後で聞きたいと思うんですが、要するに、お答えにならない。

 私は、これは上空の飛行という点でいえば、伊方は最も危険だし、だからこそ対応が必要だというふうに思っております。

 この問題というのは、二年前に当委員会でまさに我が党の塩川鉄也議員が質問しておりまして、いろいろ明らかになっております。例えば、米軍機が飛んでいることもこの質疑を通じて明らかになりましたし、つまり、そういった米軍機を含め、自衛隊機がのべつ幕なく飛んでいる。

 自衛隊機について一点だけちょっと確認したいんですけれども、配付資料の四枚目と五枚目。

 これは、二〇一三年の十一月二十七日、まさに伊方の敷地上空を、写真がありますけれども、こういう写真も撮られている、こういうものが飛んだということであります。資料二枚目の通し番号でいえば六十八番に当たります。

 防衛省にお聞きしたいと思います。

 この航空機について米側に問い合わせたところ、米軍機ではないという回答がありました。では、自衛隊機じゃないのかということなんですが、これはどこの基地に所属するどこの航空機か、簡潔にお答えください。

笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊機につきまして、お尋ねいただきました日時、場所における航空機の飛行につきましては、詳細な情報が残存しておりませんので、調査することが困難な状況であり、該当する自衛隊機の有無について明確にお答えすることは困難でございます。

 なお、一般的に申し上げますと、従来から、自衛隊の航空機の運航に当たっては、内部通達により原則として原子力施設の上空を避けて飛行するということにしております。

藤野委員 わからないということなんですが、大臣、この確認票、資料の四枚目を見ていただきますと、日時もわかっているし、時間まで分単位でわかっております。飛んできた方向も、南から北へ行ったということもわかっている。写真も撮られている。

 岩国基地に所属する自衛隊機で、四つのプロペラがある、ちょっとこれは見にくいですけれども、前方に黒い丸がある、こういう機影を持っている自衛隊機を私は調べました。そうしますと、ほぼ三つしかないんですね。EP3というものとOP3CというものとUP3D。私は、この羽根の先のちょこっというものからすると、EP3じゃないかというふうにも思うんですが、いずれしろ三つしかなくて、しかも日時もほとんどわかっている。しかし、認めないわけですね。

 逆に言いますと、わずか数カ月後に、これは二〇一三年の十一月二十七日ですが、その数カ月前に同じ伊方を飛んだものでも、空自、航空自衛隊のものと認められている。電力会社がはっきり特定したら、それは否定しないんです。しかし、わからないもとで今聞いたら、答えない。原発という危険な施設の上を飛んだことを認めようともしない。

 大臣、こういうことを放置していていいんでしょうか。ちょっと御感想をお聞かせください。

林国務大臣 実際に確認していないものですから具体的なことは申し上げられませんけれども、自衛隊そのもので認めることが困難だということについては、ちょっとコメントは控えたいと思っています。

藤野委員 やはり、私は危機感の問題は指摘せざるを得ないと思うんです。これは大変危険な状況です。

 伊方だけではなくて、これを見ますと、川内原発では一号機と二号機のタービン建屋を突っ切って飛行しているとか、玄海原発では一号機と二号機の原子炉の真上を飛行しているとか、東通では原子炉タービン建屋の真上を飛行しているとか、六ケ所村ではウラン濃縮工場の真上を飛行しているとか、女川では一号機原子炉のすぐ脇、「もんじゅ」でも原子炉のすぐ脇と、もう枚挙にいとまがないわけですね。

 そのほかにも、敷地上空でホバリングしたりとか、六回もジグザグに敷地上を飛んだりとか、本当に背筋が寒くなるような状態なんです。

 私がお配りした表というのは極めて限られた期間、二〇一三年四月一日からですが、先ほど言った塩川議員は前に質問しているんですね。そのときの茂木大臣は、政府を挙げて対策すると答弁されたんですが、二年以上たっても事態は全く改善していないというのが実態で、全国各地で、それこそ多くの原発で、真上をそういう飛行機がばんばん飛んでいるというのが実態であります。

 改めて大臣にお聞きしたいんですが、やはりこういう危険な状況というのはもう一刻も放置できないんじゃないか。地震とか津波とか、こういうものは天災であります。なかなか事前に対応するということも難しい。しかし、飛行というのは、飛行機を飛ばすというのは、人間がやることですから対応できると思うんです。

 先ほど規制委員会のお話を言いましたけれども、規制委員会が一生懸命審査しているのは、落ちた場合にどうなるのか。十のマイナス七乗の確率を超えて落ちる可能性がある場合は防護設計をとらなきゃいけない。その設計がいろいろできているかどうかという審査であります。

 私が問題にしているのは、そもそも落ちない、事故が起きないようにする、そのためには上空を飛ばさないことだということなんですね。ですから、規制委員会の話とは全く違う。そもそも飛ばさなければ墜落しないわけだし、そういう意味での、しかも、それは人間がやることですから十分対応できるじゃないかということなので、この点について、大臣はどのように思われますか。

林国務大臣 飛ばさないのが一番いいというのは当然だ、こう思っておりまして、こういう実態がどこまでなのか、調査を含めて検討してみたいと思います。

藤野委員 今、大変重要な答弁をいただきました。実態がどうなのかは、調査を含めて対応したいと。(林国務大臣「検討する」と呼ぶ)これは、本当に私もお願いしたいと思うんですね。やはり実態調査、これだけの資料がありますけれども、あくまで電力会社が、気づいたといいますか、電力会社からの申請であります。

 そして、もう一つありまして、防衛省がつかんでいる資料はこれなんですけれども、きょうは出しておりませんが、米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表というのもございます。これはいわゆる苦情等受付状況でありますので、済みません、これは配付しておりませんが、これだと七件しかないんですね、平成十九年からでいいますと。これは苦情ですから、苦情が出て初めて確認してというもので、米軍機が原発上空を飛んだのが今のところ七件ということで、実態としてはもっともっとあるんだろうというふうに思います。

 その点で、今大臣がおっしゃった実態を調査するというのは私は大変重要だと思いますので、ぜひこれはやっていただきたいと思います。

 そして、改めて認識の点も確認したいと思うんですが、先ほど規制委員会のお話をされましたけれども、そこもちょっと確認したいと思うんですね。やはり規制委員会の仕事というのは、あくまで十のマイナス七乗を超えた場合に防護設計がとれているかどうかということでありまして、塩川議員が二〇一三年に質問したときに、当時、茂木大臣は、正確に言うとこういう答弁をされているんですね。

 規制委員会のことを先におっしゃって、「規制委員会において本日策定した規制基準におきましても、航空機落下等によりプラントが大規模に損傷した状況において、消火活動の実施や、炉心や格納容器の損傷を緩和するための対策を求めていると承知しております。」その上で茂木大臣は、「その他の対策につきましては、政府全体として検討してまいりたいと考えております。」こう答弁されておりまして、ここのその他に係る部分ですね。そもそも飛ばさないということであります。

 ですから、この点についても、大臣の先ほどの調査するということも、まさに政府全体の取り組みということにもかかわってくると思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、原発の立地道県で構成しております原子力発電関係団体協議会というのがございます。会長は福井県の西川知事、副会長は、私は北陸信越ブロック選出なんですが、新潟県あるいは石川県などの知事もなっていらっしゃる。

 ことし十一月十七日にまとめた原子力発電等に関する要請書で、こういう要望をされております。配付していないので、ちょっと読み上げさせていただきますけれども、「航空機落下のリスク低減のため、原子力施設周辺上空の飛行禁止及び飛行禁止区域周辺の航空機の飛行に係る最低安全高度の設定について、法制化を図ること。」法制化の提案なんです。

 これは冒頭確認しましたけれども、国交省の通達とか日米両政府の合意というのはあるわけですけれども、それがあるもとでも、なかなかこれが守られていないというもとで、原発立地道県のまさに皆さんがこういう要望を繰り返しされているということなんです。

 ですから、この立地道県の声に応えて飛行禁止を法制化すべきだと思うんですが、大臣はどのように考えられますか。

林国務大臣 そういったものも検討をしてみたいと思います。

藤野委員 ぜひ、これは検討していただきたいというふうに思います。

 原発再稼働につきましては、先ほど来他の委員からもありましたけれども、やはりいろいろな問題があります。避難計画の問題、あるいは活断層の問題、住民合意の問題、いろいろありますけれども、この上空を飛行するという問題は人の対応で防ぐことができるわけでありますから、これは何としてもやっていただく、逆にこれをやらずに再稼働をやるなんということは到底許されないということを指摘して、私の質問を終わります。

江田委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五分散会


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