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第1号 平成28年2月24日(水曜日)

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本国会召集日(平成二十八年一月四日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 三原 朝彦君 理事 八木 哲也君

   理事 落合 貴之君 理事 中根 康浩君

   理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      尾身 朝子君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      関  芳弘君    平  将明君

      武村 展英君    寺田  稔君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      福田 達夫君    星野 剛士君

      宮崎 政久君    山際大志郎君

      山口  壯君    太田 和美君

      神山 洋介君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      野間  健君    渡辺  周君

      國重  徹君    藤野 保史君

      真島 省三君    木下 智彦君

    ―――――――――――――

一月四日

 江田康幸君委員長辞任につき、その補欠として高木美智代君が議院において、委員長に選任された。

平成二十八年二月二十四日(水曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 山際大志郎君

   理事 落合 貴之君 理事 中根 康浩君

   理事 伴野  豊君 理事 升田世喜男君

   理事 富田 茂之君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      石川 昭政君    尾身 朝子君

      大見  正君    岡下 昌平君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      塩谷  立君    関  芳弘君

      平  将明君    武村 展英君

      寺田  稔君    冨樫 博之君

      野中  厚君    星野 剛士君

      宮崎 政久君    山口  壯君

      小山 展弘君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    中島 克仁君

      本村賢太郎君    中野 洋昌君

      清水 忠史君    真島 省三君

      木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (産業競争力担当)

   (原子力経済被害担当)

   (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当)      林  幹雄君

   国務大臣         河野 太郎君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    北村 経夫君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府特別補佐人

   (公害等調整委員会委員長)            富越 和厚君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月四日

 辞任         補欠選任

  太田 和美君     升田世喜男君

  神山 洋介君     大畠 章宏君

  野間  健君     本村賢太郎君

  渡辺  周君     伴野  豊君

  江田 康幸君     中野 洋昌君

  國重  徹君     高木美智代君

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     青山 周平君

  大畠 章宏君     小山 展弘君

  田嶋  要君     中島 克仁君

  藤野 保史君     清水 忠史君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     福田 達夫君

  小山 展弘君     大畠 章宏君

  中島 克仁君     田嶋  要君

  清水 忠史君     藤野 保史君

同日

 理事丹羽秀樹君平成二十七年十二月二十四日委員辞任につき、その補欠として佐々木紀君が理事に当選した。

同日

 理事三原朝彦君、八木哲也君、落合貴之君及び中根康浩君同日理事辞任につき、その補欠として山際大志郎君、神山佐市君、升田世喜男君及び伴野豊君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月十八日

 即時原発ゼロを求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第六六号)

 同(畠山和也君紹介)(第六七号)

 同(藤野保史君紹介)(第六八号)

 同(堀内照文君紹介)(第六九号)

 同(真島省三君紹介)(第七〇号)

 原発からの撤退を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九五号)

 同(池内さおり君紹介)(第九六号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第九七号)

 同(大平喜信君紹介)(第九八号)

 同(笠井亮君紹介)(第九九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇〇号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一〇一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇二号)

 同(清水忠史君紹介)(第一〇三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇四号)

 同(島津幸広君紹介)(第一〇五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一〇八号)

 同(畠山和也君紹介)(第一〇九号)

 同(藤野保史君紹介)(第一一〇号)

 同(堀内照文君紹介)(第一一一号)

 同(真島省三君紹介)(第一一二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一三号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一四号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一五号)

 即時原発ゼロに関する請願(梅村さえこ君紹介)(第一三一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三二号)

 同(清水忠史君紹介)(第一三三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三四号)

 同(島津幸広君紹介)(第一三五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三六号)

 同(畠山和也君紹介)(第一三七号)

 同(堀内照文君紹介)(第一三八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三九号)

 同(本村伸子君紹介)(第一四〇号)

二月四日

 直ちに原発ゼロを求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二三一号)

 即時原発ゼロに関する請願(本村伸子君紹介)(第二五一号)

同月十七日

 原発からの撤退を求めることに関する請願(堀内照文君紹介)(第四〇五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件

 鉱業等に係る土地利用の調整に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言御挨拶申し上げます。

 このたび、経済産業委員長に選任されました高木美智代でございます。

 御承知のとおり、我が国の経済及び産業は、原油安や新興国経済の減速、アメリカ経済の先行き不安に基づく年初来の円高、株安など、依然として厳しい情勢にあります。

 このような現状を踏まえ、我が国の将来を見据えたとき、デフレからの確実な脱却により、超少子高齢化に対する社会保障の充実や大震災からのさらなる復興などを図り、経済成長をより力強いものとしていくために、解決すべき問題は山積しております。

 かかる重大なときに、適切な施策を推進し、国民生活の安定と向上を図るため、本委員会に課せられた責務はまことに大きく、改めてその職責の重さを痛感いたしております。

 理事並びに委員各位の御指導と御協力を賜りまして、公正かつ円満なる委員会運営に努め、本委員会の使命を果たしてまいりたいと存じます。

 何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

高木委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事三原朝彦君、八木哲也君、落合貴之君及び中根康浩君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が五名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      神山 佐市君    佐々木 紀君

      山際大志郎君    伴野  豊君

   及び 升田世喜男君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する事項

 資源エネルギーに関する事項

 特許に関する事項

 中小企業に関する事項

 私的独占の禁止及び公正取引に関する事項

 鉱業等に係る土地利用の調整に関する事項

以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

高木委員長 経済産業の基本施策に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件並びに鉱業等に係る土地利用の調整に関する件について調査を進めます。

 この際、経済産業大臣から、経済産業の基本施策について所信を聴取いたします。林経済産業大臣。

林国務大臣 第百九十回国会における経済産業委員会の御審議に先立ち、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取り組みにつきまして、経済産業大臣、産業競争力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)として、所信を申し述べます。

 初めに、福島第一原発の廃炉・汚染水対策と福島の復興は、引き続き、経済産業省が担うべき最も重要な課題です。

 来月十一日には、東日本を襲った大震災から丸五年となります。昨年九月には、全町避難となっていた楢葉町の避難指示が解除されました。福島復興に向けた取り組みはこれからが正念場です。官民合同チームによる事業再開支援、イノベーション・コースト構想の具体化、企業立地による雇用創出など、福島復興に向けた取り組みを着実に進めます。

 また、福島第一原発の廃炉・汚染水対策については、昨年九月にサブドレーンが運用開始、十月には海側遮水壁の閉合工事が完了しました。引き続き、中長期ロードマップにのっとり、国も前面に立って、安全かつ着実に対策を進めます。

 第二に、アベノミクスをさらなる経済の好循環につなげ、希望を生み出す強い経済を実現します。

 アベノミクスのもとで、GDP、就業者数は増加し、賃上げ率も十七年ぶりの高水準となるなど、年明け以降の原油価格の下落や世界的な金融資本市場の変動にもかかわらず、経済の好循環は着実に回り始めています。他方、地方や中小企業を中心に、いまだ実感がないとの声があることも事実です。この経済の好循環を揺るぎないものとし、国民に広くアベノミクスの果実を実感してもらうことが最大の責務です。

 まず、デフレ脱却に向け、過去最高の企業収益を、賃上げを通じた消費拡大や設備投資の拡大に結びつけていくことが重要です。昨年末の税制改正大綱に盛り込んだ、法人実効税率二〇%台の来年度からの実現と、史上初の固定資産税の投資促進減税制度の創設によって、政府としても後押しする考えです。

 同時に、中小企業、小規模事業者、中堅企業がアベノミクスの成果を実感し、攻めの姿勢に転じることが我が国の成長に不可欠です。今後グローバル化が進めば進むほど、日本に根をおろして頑張る中小企業、小規模事業者、中堅企業が日本経済を支える屋台骨としてより重要になります。

 このため、地域のサービス業などの生産性向上を支援する、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案を提出します。業種ごとに生産性向上に向けた方策をわかりやすく示した上で、商工会、商工会議所、地域金融機関などの地域支援機関が一体となって、固定資産税の軽減措置を初めとする金融、税制措置を含め、きめ細かな支援を行います。

 下請取引の適正化を図ることも不可欠です。本年度末までに、大企業一万五千社以上、中小企業一万社程度を対象に価格転嫁の状況などについて大規模な調査、三次、四次下請などの立場の弱い事業者に対する聞き取り調査を行い、きめ細かに実態を把握して、下請取引対策に万全を期します。

 また、来年四月からの消費税の軽減税率制度の導入に向け、中小企業、小規模事業者の準備が円滑に進むよう、複数税率に対応したレジの導入支援など、事業者支援にしっかりと取り組みます。

 こうした取り組みと同時に、日本が直面する中長期の構造的課題に挑み、未来を見据えた新たな国づくり、一億総活躍社会の実現に邁進します。戦後最大となる名目GDP六百兆円の達成に向け、希望を生み出す強い経済を実現することは、経済産業省の大きな使命です。

 世界に先駆けて第四次産業革命に取り組み、さまざまなイノベーションを生み出します。新産業構造ビジョンの策定を通じ、未来像を官民で共有し、自動走行やロボット、ドローン、医療・健康などさまざまな分野で、IoTを活用した、世界をリードできる先駆的事業を生み出します。

 世界最先端の研究開発環境の整備や大胆な規制緩和により、我が国に海外トップ人材や投資を呼び込む内なる国際化を進めます。また、産学連携や、ベンチャー企業の支援などを通じたオープンイノベーションの促進、知財戦略の強化、我が国発の国際標準獲得などに取り組みます。

 攻めのイノベーションを実現するためには、守りを固めることが不可欠です。独立行政法人などのサイバーセキュリティー対策強化や、人材育成、重要インフラのセキュリティー対策などに全力で取り組み、我が国の経済、産業を支えるサイバーセキュリティーを確保します。

 第三に、世界の成長を取り込んだ経済発展の実現です。

 去る二月四日、TPP協定が署名されました。昨年十二月には、日本が議長国であったITA拡大交渉が妥結しました。今後も、日・EU・EPAを初め、経済連携協定の早期妥結に全力を尽くします。

 TPPによる巨大な自由貿易圏の誕生は、多くの企業に新たな成長の機会を提供します。特に、TPPを中堅・中小企業にとってのチャンスとすることが最も重要です。今般の補正予算も活用し、支援機関を結集させた新輸出大国コンソーシアムを形成し、現地での商談や海外店舗の立ち上げなどを専門家がサポートできる体制をつくります。

 TPPは、農業を成長産業とするチャンスでもあります。関係省庁の英知を結集し、新商品開発の促進、コンビニエンスストアなどの小売流通業者などと連携した販路拡大などにより、農産物の輸出力強化に取り組みます。

 また、我が国が世界の成長エンジンであるアジアに位置するという地の利を生かし、アジアの課題にともに向き合い、ともに成長していくことが重要です。急成長するアジアでは、エネルギー、都市、交通などにおけるインフラ建設や産業人材育成が急務です。ERIAを活用しつつ、質の高いインフラパートナーシップを着実に実施し、二〇二〇年までに約三十兆円のインフラ受注を目指します。また、アジア域内の二十大学程度に寄附講座の設立を行うほか、AOTS、HIDAが培ってきた研修生ネットワークを強化することなどを通じ、アジアの人材育成に貢献しつつ、企業の海外進出を支援していきます。

 インバウンドも重要です。外国人観光客は、我が国経済の起爆剤となる存在です。我が国の地域には魅力的な観光資源がまだまだあります。外国人目線に立った観光地づくりを行うため、ファイナンスやマーケティングなどの支援を行い、強靱な観光産業を育成し、地域経済を活性化します。

 第四に、責任あるエネルギー・環境政策を推進してまいります。

 昨年末、COP21でパリ協定が採択されました。全ての国が参加する、公平で実効的な枠組みに合意したことは、大きな歴史的転換点です。エネルギー・環境分野の革新的な技術開発を強化し、我が国の強みを生かしたアジア太平洋地域などでの国際貢献を進めます。五月のG7エネルギー大臣会合においても、世界経済が直面するリスクに対応したエネルギー安全保障の強化に向け、議長国として議論をリードします。

 国内においては、四月からいよいよ電力の小売が全面自由化され、全ての家庭や事業所で、自由に電力会社や料金メニューを選べるようになります。今後も、電力システム改革を着実に実行しつつ、昨年夏に決定したエネルギーミックスの実現を進めます。エネルギーへの投資を大胆に拡大し、経済成長とCO2排出抑制を両立していくため、徹底した省エネと再エネの導入拡大などを柱とするエネルギー革新戦略をこの春までに取りまとめ、成長戦略や地球温暖化対策計画の策定に貢献します。

 再生可能エネルギーについては、国民負担を抑制しつつ、最大限導入を進めます。国民負担の増大の懸念や電力系統への受け入れ制約の発生といった課題に対応するため、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を提出しました。

 原子力については、原発依存度を可能な限り低減させることが基本方針です。同時に、資源に乏しい我が国が、経済性、気候変動の問題にも配慮しつつ、エネルギー供給の安定性を確保するためには、原子力はどうしても欠かすことができません。そのため、国民の原子力に対する懸念に真摯に応え、その信頼を高めてまいります。安全性を全てに優先させ、原子力規制委員会によって新規制基準への適合を認められた原子力発電所に限り、地元の理解を得ながら、再稼働を進めます。

 また、高レベル放射性廃棄物の最終処分についても、国が前面に立って取り組みます。国民や自治体との対話を丁寧に重ね、冷静に受けとめていただける環境を整えた上で、平成二十八年中に科学的有望地を提示することを目指します。

 使用済み核燃料の再処理などについては、電力自由化後も必要な資金が確保され、着実かつ効率的に実施される体制を整備するため、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案を提出しました。

 足元の資源価格が低迷し開発投資環境が厳しさを増す中においても、石油、天然ガスなどの中長期的な安定供給に必要な開発事業を着実に進めるべく、積極的な資源外交とともに、JOGMECを通じた我が国企業への投資資金供給を進めてまいります。また、メタンハイドレートを含む国内資源の調査、開発を進めます。

 このほか、期限の到来のため、京都議定書に基づくクレジット取得業務を廃止する、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案を提出しました。

 今こそ、日本経済の成長軌道の確立に向け、目線を上げて挑戦するときです。今後とも、経済産業行政を取り巻く諸課題の解決に邁進してまいります。

 高木委員長を初め理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

高木委員長 以上で大臣の所信表明は終わりました。

 この際、河野国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。河野国務大臣。

河野国務大臣 公正取引委員会に関する事務を担当する大臣として、一言御挨拶を申し上げます。

 公正かつ自由な競争のもとでの経済活動は、社会の活力を生み出し、経済の成長力を高め、ひいては国民生活を豊かなものにします。我が国経済の健全な発展を実現し、国民全体の福利を確保するためには、経済実態に即応した競争政策を展開することが必要です。

 そのために、公正取引委員会による、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用が確保されるよう全力で当たります。カルテルや入札談合を厳しく取り締まることはもとより、特に、我が国の景気は緩やかな回復基調が続いているものの、中小企業の多くにとっては依然厳しい事業環境が続いている状況に鑑み、優越的地位の濫用行為や下請法違反行為など、中小企業に不当に不利益を与える行為の取り締まりを強化し、これらの行為を未然防止することも重要です。これに加えて、企業の独占禁止法遵守の推進、政府規制、公的制度等の見直しに向けた調査、提言等による競争環境の整備も必要です。

 また、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、政府一丸となって、消費税転嫁対策特別措置法に基づいて、迅速かつ厳正な対処に努めます。

 このため、これらの業務を担う公正取引委員会の機能、体制の充実強化に努めます。

 高木委員長を初め理事、委員各位の皆様の一層の御理解、御協力、また御指導を賜りますようにお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、平成二十七年における公正取引委員会の業務の概略について説明を聴取いたします。杉本公正取引委員会委員長。

杉本政府特別補佐人 平成二十七年における公正取引委員会の業務についてその概略を御説明申し上げます。

 公正取引委員会は、以下に述べる施策に重点を置いて、独占禁止法等の厳正な執行及び競争政策の積極的な推進に取り組んでまいりました。

 重点施策の第一は、厳正かつ実効性ある独占禁止法の運用であります。

 課徴金減免制度などを活用しつつ、独占禁止法違反行為に対して引き続き厳正に対処し、私的独占、価格カルテル事件、入札談合事件、受注調整事件及び不公正な取引方法に係る事件八件について法的措置をとりました。また、課徴金額は、延べ二十二名の事業者に対して、総額二十二億八千六百二万円となっております。

 合併等の企業結合事案につきましては、引き続き、企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針等に基づき、届け出会社との意思疎通を密にしつつ、必要に応じて国際的市場環境をも十分に考慮しながら、迅速かつ的確な企業結合審査に努めてまいりました。

 審判制度の廃止、排除措置命令等を行う際の処分前手続として実施される意見聴取手続の整備等を内容とする独占禁止法の一部を改正する法律につきましては、平成二十七年四月一日に施行されていますが、その施行に向け、公正取引委員会の意見聴取に関する規則を制定するなど、関係法令について所要の整備を行いました。

 また、同法附則第十六条に関しては、独占禁止法審査手続についての懇談会が取りまとめた報告書の内容を踏まえ、平成二十七年十二月二十五日、行政調査手続の標準的な実施手順や留意事項等を明確化した、独占禁止法審査手続に関する指針を定めて公表いたしました。

 第二は、中小事業者に不当に不利益を与える行為の取り締まり強化であります。

 市場における公正な競争を確保するため、石油製品小売業者による不当廉売について警告を行うなど、中小事業者に不当に不利益を与える優越的地位の濫用、不当廉売といった不公正な取引方法に該当するおそれのある行為等に対し、厳正かつ積極的に対処いたしました。

 下請法に関する業務につきましては、下請代金の減額、返品、買いたたきといった違反行為に対処し、四件の勧告、公表を行ったほか、六千四百六十二件の指導を行いました。

 また、中小事業者と取引先大企業との取引の公正化を一層推進するため、その必要性が高い分野について実態調査を実施するとともに、各種講習会を開催するなど、優越的地位の濫用規制や下請法の普及啓発に関する各種施策を実施しています。

 消費税転嫁対策については、消費税転嫁対策特別措置法に基づき、悉皆的な書面調査等を実施し、消費税の転嫁拒否等の行為に対して十八件の勧告、公表を行うなど迅速かつ厳正に対処するとともに、事業者等に対する広報や説明会の開催等による普及啓発等を行いました。

 今後とも、中小事業者等が消費税を円滑かつ適正に転嫁しやすい環境の整備を行ってまいります。

 第三は、競争環境の整備への取り組みであります。

 公正取引委員会は、各種のガイドラインを公表し、独占禁止法上の考え方を明らかにするとともに、政府規制、公的制度等についてさまざまな調査研究等を行ってきております。

 平成二十七年におきましては、平成二十六年六月二十四日に閣議決定された規制改革実施計画を踏まえ、垂直的制限行為に係る適法・違法性判断基準についての考え方の明確化を行うため、流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針を一部改正し、平成二十七年三月三十日に公表しました。

 以上、簡単ではございますが、業務の概略について御説明申し上げました。

 今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます。

高木委員長 次に、平成二十七年における鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について説明を聴取いたします。富越公害等調整委員会委員長。

富越政府特別補佐人 公害等調整委員会が平成二十七年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務について御説明申し上げます。

 第一に、鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定に関する事務についてでございます。

 鉱業法に基づく特定の許認可などの処分に不服がある者は、一般公益や他の産業との調整を図るため、当委員会に不服の裁定を申請できるものとされております。

 平成二十七年に当委員会に係属した事件は、福岡県筑紫郡那珂川町地内の岩石採取計画不認可処分に対する取り消し裁定申請事件の一件でございます。

 第二に、土地収用法に基づく意見の申し出等に関する業務についてでございます。

 土地収用法に基づく不服申し立てに対して国土交通大臣が裁決を行おうとする場合などには、当委員会の意見を求めること等とされております。

 平成二十七年に当委員会に係属した土地収用法等に基づく意見の照会は二十八件であり、そのうち、同年中に処理した事案は十件でございます。

 以上が、平成二十七年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要でございます。

 なお、以上のほか、当委員会は公害紛争の処理に関する事務を行っており、平成二十七年には六十六件の公害紛争事件が係属しております。

 公害等調整委員会といたしましては、今後とも、これらの事務を迅速、適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

高木委員長 以上で両委員長の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十七分散会


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