衆議院

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第2号 平成28年3月9日(水曜日)

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平成二十八年三月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 山際大志郎君 理事 伴野  豊君

   理事 升田世喜男君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      尾身 朝子君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    塩谷  立君

      助田 重義君    関  芳弘君

      平  将明君    寺田  稔君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      福田 達夫君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宮崎 政久君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      山口  壯君    大畠 章宏君

      落合 貴之君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      中根 康浩君    本村賢太郎君

      中野 洋昌君    藤野 保史君

      真島 省三君    木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       林  幹雄君

   内閣府副大臣       松本 文明君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房消費税価格転嫁等対策推進室内閣審議官) 枝元 真徹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中西 宏典君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   原  敏弘君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 嶋田  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     井内 摂男君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          柳瀬 唯夫君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省電力取引監視等委員会事務局長)    松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 高橋 泰三君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    田中 繁広君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 亀澤 玲治君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  武村 展英君     宗清 皇一君

  八木 哲也君     助田 重義君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     八木 哲也君

  宗清 皇一君     武村 展英君

    ―――――――――――――

三月三日

 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求めることに関する請願(真島省三君紹介)(第七三〇号)

同月九日

 中小企業支援策の実施、エネルギー政策の抜本的見直しに関する請願(藤野保史君紹介)(第七九三号)

 同(真島省三君紹介)(第七九四号)

 原発からの撤退を決断し、エネルギー政策の転換を求めることに関する請願(逢坂誠二君紹介)(第八八五号)

 原発再稼働をやめ、再生可能エネルギー中心の社会への転換を求めることに関する請願(逢坂誠二君紹介)(第八八六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房消費税価格転嫁等対策推進室内閣審議官枝元真徹君、内閣府大臣官房審議官中西宏典君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長原敏弘君、総務省大臣官房審議官時澤忠君、厚生労働省職業安定局次長苧谷秀信君、経済産業省大臣官房長嶋田隆君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官井内摂男君、経済産業省経済産業政策局長柳瀬唯夫君、経済産業省通商政策局長片瀬裕文君、経済産業省産業技術環境局長井上宏司君、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀君、経済産業省電力取引監視等委員会事務局長松尾剛彦君、資源エネルギー庁次長高橋泰三君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監田中繁広君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、中小企業庁長官豊永厚志君及び環境省大臣官房審議官亀澤玲治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介さん。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介です。

 本日は、林大臣の所信に対する質疑ということでございますが、貴重な機会をいただいたことに、まず高木委員長を初めとする理事の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 通常国会最初の質疑でございますので、きょうは、大臣に基本的なことを中心にお伺いをしてまいりたいと思いますので、どうぞ明瞭な御答弁をいただきたい、このように思います。

 まず最初に、エネルギー政策についてお伺いしたいと思うのです。

 三・一一の東日本大震災、そして東京電力福島第一原発の過酷事故から間もなく丸五年がたとうとしております。三月十一日の十四時四十六分ですか、あの大地震を受けて、日本は大きなショックを受け、そしてまた傷跡もまだ残っているわけであります。

 当時、国内全ての原子力発電所が、その後、停止をしたわけであります。昨年から、規制委員会の基準に合格し、地元の合意が得られた発電所の再稼働が始まりました。

 そこで、林大臣にお伺いしたいわけであります。

 三・一一による福島第一原発の過酷事故によって、エネルギー政策をつかさどる経済産業省も、その行政のあり方についてさまざまな反省をし、そして総括をし、現在に至っているわけでありますけれども、行政の責任大臣のお一人として、この福島原発の過酷事故によって得られた最大の教訓は何であったと思いますか。お答えください。

林国務大臣 今御指摘にありましたように、我々は、まず深い反省だと思っておりまして、なぜこの悲惨な事故を防ぐことができなかったかというような反省をひとときたりとも忘れてはならないのではないかと思っております。担当大臣として、五年目の節目を迎えて、これを踏まえてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 事故から得られる教訓はさまざまあるわけでありますけれども、まずは、安全神話に陥ってはならないというのが最大の教訓だったかなというふうに思っております。

 原子力の利用に当たっては、何よりも安全を最優先させなければならないということでございまして、原子力規制委員会も、独立したこの委員会を設置したわけでありまして、その判断を尊重してまいりたいと思っております。この教訓を踏まえて、諸外国の規制基準も確認して、我が国の自然条件、つまり地震だとか津波だとかいったものを勘案して、世界最高水準の新規制基準を策定したというふうに考えております。

 そうはいっても、安全にはゴールというものはないのではないか。やはり常に安全性の向上に向けて、英知を結集して、不断に努力していかなければならないものというふうに考えております。

 また、万が一の事故に備えた避難計画につきましても、実践的な避難訓練などを通じて、改善に努めていきたいと思っております。

 福島の復興、そして福島第一原発の廃炉・汚染水対策に総力を挙げて取り組むことは当然でございまして、事故の教訓を忘れずに、何よりも安全最優先の意識を徹底させることを大前提に、責任あるエネルギー政策、原子力政策を実行してまいりたい、このように考えております。

近藤(洋)委員 大臣にお答えいただきました。

 全体的にはそうなんだろうと思うんですが、確認をしたいんですけれども、私は、あの三・一一の教訓は、まさに大臣が御答弁された、安全神話に陥ってはいけない、このことは、裏を返すと、原子力発電所は絶対安全というのはないのだ、要は、万が一の事故は起こり得るのだということをある意味で前提にした体制も当然のごとく組むんだ、このことを行政は常に持つということが私は教訓なんだと思うのですが、この点について、もう一度確認です。

 原子力発電所に、もちろん安全を最優先し、厳格な基準をクリアする、しかしながら同時に、事故は起こり得るのである。その場合、どうしていいのかということも常に考えるべきであるということを教訓として踏まえるべきだと思いますが、大臣、この点はいかがですか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、もう安全神話はない。ですから、いかなることが起こっても、常に安全に対する対応を怠らないということで取り組むのが大事だと思っております。

近藤(洋)委員 余り言葉尻をつかまえたくありませんが、安全に対する対応というか、事故が起きた場合の対応だ、こういうことだろうと思うんですね。

 その上で、二点目をお伺いしたいんですが、そうだとすると、やはり、原子力発電所というのは、事故が起きたときのリスクに向き合うとすると、相当のコストがかかる発電所になるわけであります。そのコストというのは、今までよりは大変大きくなるということだと思うんですね。金額的なコスト、また地域に与えるコスト、さまざまなコストです。これにもかかわらず、大臣は我が国において原子力発電所は必要だとお考えになる理由を伺いたい。

 それは日本国経済に対する経済的な合理性なのか。それともエネルギー安全保障上の必要性なのか何なのか。原子力発電所を我が国が稼働させる、さらには、安倍内閣において新増設も含めて否定していないわけでありますけれども、その理由は何ですか。

林国務大臣 やはり安定供給が一つでありますし、電力コストの引き下げ、それからCO2排出の抑制、この三点は、やはり我が国経済を支えるエネルギー政策としては欠かせないところだと思っております。

 そういった意味でいけば、今は停電もないし、電力は足りているじゃないかと言われるかもしれませんけれども、古い火力発電をフル稼働して進めているところでありまして、これから先どうなるか、不安定要素はあるわけでございますし、また、九〇%以上を火力発電に頼っているという現状でありますから、そういう中で、バランスある対応をしなければということでエネルギーミックスを打ち出しているわけでございます。

 そういう意味では、先ほども申し上げましたように、原発への依存度はできるだけ低減させるという中であっても、自給率をおおむね二五%程度まで改善する、そしてまた電力コストは現状より引き下げる、そして欧米に遜色ないCO2目標を掲げる、こういう三つの具体的な目標を達成しながら、徹底した省エネ、あるいは再エネの最大限の導入、今申し上げましたように、火力発電の効率化を進めつつ、可能な限り原子力は低減させるということで進めていくわけでありまして、原子力への依存度は、我が国の経済あるいはエネルギーの政策において、ゼロにすることはできないのではないかというふうに考えております。

近藤(洋)委員 低減するけれどもゼロにすることはできないということは、恐らくリプレースは排除していないというのが安倍政権のスタンスなんだろう、こう受け取れるわけですね。

 我々民主党は、いろいろな党内の議論はありましたけれども、三〇年代ゼロを目指していくということで、あらゆる政策資源を投入するというフラッグ、旗印を立てているわけですから、その点においては安倍政権とは考え方が違うわけでありますが、いずれにしろ、今の御答弁は、エネルギーの安定供給上必要であるということを主眼に置いての答弁でありました。

 では、安定供給上必要であるということであるとするならば、三・一一の教訓を踏まえつつ、かつ四月から本格的に始まります電力の自由化という時代の変化にも合わせつつ、どういった政策体系にするのか、私はもう一回総点検する必要があると思うんですね。

 そこで、お伺いをしていきたいと思うんですけれども、資料の四ページをごらんいただければと思うんです。

 この四ページに書いている資料は、沢昭裕さん、経済産業省の元官僚で、一九八一年に御入省された、菅原次官と御同期の入省であられて、シンクタンクの研究員をされておられましたけれども、残念なことに病魔に侵されて亡くなられてしまいましたが、極めて優秀な、また志の高い人物であられました。その沢さんの「福島後の未来をつくる」という週刊エコノミストの企画記事に掲載をされた論文の抜粋でございます。昨年の十月六日に発売されまして、沢さんは恐らくこの時点では病魔に侵されたことを御存じでありましたから、大変すぐれた論文を幾つも提出されているんですが、ある意味では遺言のようなものだと私は受けとめております。

 その沢論文で指摘された点を中心に、ちょっと大臣にお伺いしていきたいと思うんです。

 電力の自由化とかかわる原子力事業環境整備や核燃料サイクルについては、現在、政策検討が進行中である、キーワードは官民のリスク分担であるといったことを書かれた上で、沢さんは、原子力はある程度必要であるという立場に立つ中で、その中で、下線を引いておりますけれども、いずれにしろ、政府は、電力自由化を見据えた原子力政策において、問題点をわかりやすく総括的に説明する必要がある、具体的には、一、発電とバックエンド全体を含めた原子力政策を俯瞰的、整合的に進める方針を提示するという政策責任の主体を明確にすることが必要だということを指摘されております。

 一番は大変重要な指摘なんですけれども、現在、政府において、まさに発電とバックエンド、今国会でもバックエンド、核燃料サイクルにかかわる法案が提出されますから、このバックエンドについては法案提出のときにさらに突っ込んだ議論をしていきたいと思いますが、再稼働された中で、政府が進められた中で、政策責任の主体が一体どこにあるのかというのは今不明確だと沢さんは指摘をしているわけであります。

 かつては原子力委員会でありました。原子力委員会が原子力政策大綱というものをまとめて、そしてトータルの政策責任の主体として原子力委員会が機能していたわけでありますが、御案内のとおり、現在、原子力委員会は、規模も縮小され、政策大綱というのもつくらない、政策のまとめをしないという位置づけで姿が変わりました。したがって、政策の司令塔という役割は、今、外形的にはない形になっております。

 そこで、安倍政権において、まず林大臣、この役割は、政策体系、全体の責任の主体は一体どこなのか。経済産業省、資源エネルギー庁なのか。それとも規模の小さくなった原子力委員会なのか。はてまた規制委員会なのか。一体どこなのか。お答えいただけますか。

林国務大臣 我が国の原子力政策は、エネルギー利用、研究開発、放射線利用など幅広い分野にわたっております。関係省庁がそれぞれ分担に従って、責任を持って施策を実施しているものと承知しております。

 御指摘のとおり、原子力委員会は、平成二十五年に内閣官房の有識者会議であり方を見直したところでありまして、その結果、委員会自体は存続するものの、関係行政機関の経費の配分計画の策定など、実態に即していない所掌事務を廃止縮小したものと承知をしております。

 しかしながら、関係各省が原子力政策を進めるに当たって、内閣府及び原子力委員会は、原子力利用に関する重要事項について、引き続き、関係各省の事務の調整を行う役割を担っているものと承知をしております。

近藤(洋)委員 大臣、利用に関する総合調整は委員会です。では、パッケージ、全体の責任主体はどこなんだということを聞いておるんです。

 内閣府からも来ていただいていると思うんですが、副大臣、これは内閣府が責任を負うんですか、全体の責任は。原子力委員会がこうなった時点で、では、どこが負うんでしょうか。お答えいただけますか。

松本副大臣 先生、なかなか厳しい御質問であります。

 御指摘のとおり、原子力委員会は、平成二十五年に実施されたあり方の見直しによりまして、形骸化している事務等は廃止縮小するということになりました。また、設置法改正後の原子力委員会というのは、原子力政策大綱のように、原子力政策全体にわたって、実施官庁が担うような具体的な計画を作成することはなくなりました。

 他方、原子力委員会は、引き続いて、原子力利用に関する重要事項を含む原子力政策全体について、企画、審議、決定することとしておりますし、原子力に関する諸課題の管理運営の視点から、実施官庁とは異なる立場で役割を果たすということになったところであります。

 現在、原子力委員会においては、エネルギーに関する原子力利用、研究開発、放射線利用等の幅広い分野を対象とした「基本的考え方」の検討を進めているところでありまして、これが策定をされた後、関係行政機関における具体的な施策の推進を促していくものとしております。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 副大臣、今、「基本的考え方」をまとめている最中だ、こういう御答弁でした。

 しかし、それは、かつての原子力政策大綱のような、まさに最終処分場をどうするであるとか、こういったことまで含めたことは多分入っていないんだと想像できるんですね。最終処分をどうする、バックエンドの問題ですね。かつ、発電の計画をどうする、エネルギー基本計画も取り込んだ形の、発電から最終処分まで全体をまとめたものは、恐らく、それは「基本的考え方」に含まれるんですか。それはどうなんでしょうか。

松本副大臣 原子力委員会は、原子力政策に関して企画、審議、決定する合議体組織、第三者的立場で、原子力の平和利用、それから放射性廃棄物に関する法定事務、それから関係行政機関等からの原子力利用に関する取り組み、これについてしっかり聴取をして、必要に応じて見解を示すという活動を行っているところであります。

 これに加えて、これまで果たしてきた重要な機能としては、例えば現行のエネルギー基本計画の議論の経過において、エネルギー基本計画を実施していく際に留意すべき点等を見解として取りまとめ、提示をする、こういった仕事をしてきたところであります。

 また、設置法改正後の原子力委員会においては、引き続き原子力政策全体を包含する基本的な考え方を示す役割は重要である、こう考えておりまして、エネルギーに関する原子力利用、研究開発、放射線利用等の幅広い分野を対象として「基本的考え方」を策定することとしており、今現在、それを進めているところであります。

 「基本的考え方」策定後は、これに基づいて、関係行政機関における施策の実施状況を聴取して、必要に応じて、今後の取り組み等に関する考え方を示す、このことによって具体的な施策の推進を促すこととしており、これらの活動によって原子力委員会に期待される機能を果たしてまいりたい、こう考えているところであります。

近藤(洋)委員 副大臣、御丁寧に答弁いただいたんですけれども、私もちょっと何か腑に落ちていない部分があるんです。それはまた別途やりましょう。

 私は、トータルの政策体系をまとめ切るだけの原子力委員会、事務方も含めて、そんな体制に全くなっていない、これが現実だと思っています。私はそこをもう一回再構築する必要があるということを指摘したいと思います。

 林大臣にお伺いしたいんですけれども、もう一個、沢さんが指摘をされている官民のリスク分担についてお伺いしたいと思うんですね。

 実は、添付資料の五ページ目に、同じ雑誌の週間エコノミストの先週号に、「福島後の未来をつくる」というコーナーで、私も駄文というか寄稿させていただいております。沢さんの遺言に応えるつもりで、汗をかいて書いたつもりでありますけれども、ここで書いている問題は、いわゆる原発事故の賠償制度、または非常事態対応がまだ整っていないということを私は指摘をしておるわけであります。

 ここでお伺いしたいんですけれども、原子力発電の事故が起きた際の賠償金の積み立てであります。現在は、原賠機構があって、それに対して、原発を持っている発電各社が負担金という形でお金を拠出しています。しかし、これは建前上は将来の事故に対する積立金という建前になっていますが、実態は既に起きてしまった東京電力福島第一原発に対する損害賠償への支払いに現実は充てられております。

 何を言いたいかというと、もし、どこかで再稼働された原子力発電所で、考えたくはありませんよ、しかし、何らかの過酷事故が起きて、また損害が発生した場合、今の金額では全く対応できないんだろう、こう思うんですね。今の形では対応できていないんです。

 今のスキームというのは、福島第一原発に対する事故の資金繰りを対応しているだけであって、今後のものについては、少なくとも現在、私は耐え切れない金額になっていると判断しておるわけでありますけれども、大臣はそのような認識を持っておられますか。今後も今のスキームで大丈夫だとするならば、その数字的な根拠を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 近藤先生御指摘の原子力損害賠償に関する現行の制度ですが、被害者への賠償の支払いについて、国が原賠・廃炉機構を通じて、事故を起こした事業者に対して資金援助を行うという仕組みでございます。

 この制度を定めた原賠・廃炉機構法においては、賠償金額の多寡にかかわらず、適切な賠償がなされる仕組みとなっております。先生御指摘のように、何らかの額が積み立てられていることを求めている制度ではございません。

 万が一、将来の事故が起きた時点でも、被害者が賠償の迅速かつ適切な実施を受けることが可能な制度になっているところでございます。

近藤(洋)委員 今、毎年一千数百億円、負担金を電力各社が積み立てていますが、現時点の負担金は全て東電事故に使われているんじゃないんですか。どうですか。全額続けられているんじゃないですか。事実関係だけをお答えください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の制度では、先生御指摘のとおり、機構にはお金がたまる仕組みにはなってございませんで、福島第一事故の賠償に充てられているという制度になってございます。

近藤(洋)委員 ですから、これが問題ではないかと申し上げているんです。

 お金がたまっていない。たまっていない保険制度というのはあるんですか。これは制度として欠陥だと思うんですが、大臣、いかがですか。大丈夫だという数字的な根拠は、金額の根拠はないということなのではないんですか。いかがですか。

林国務大臣 将来の事故の規模や状況等によって必要額が変わってくるわけでありまして、将来の事故への備えに充てられる定量的な金額はお示しできないわけでございます。

 いずれにしても、国が機構を通じて、事故を起こした事業者に対し資金援助を行うことによって、賠償金額の多寡にかかわらず、適切な賠償がなされる仕組み、このようになっているわけでございます。

近藤(洋)委員 そうだとすると、民間事業者は、どこまでどう負担がおりてくるかわからないという、民間事業者の立場に立てば、そういう不安定な状況が続くということなんですね、要するに。不安定な状況が続く中で置かれているという制度の不安定性。そして、将来の被災者の方々の立場に立ってみれば、これも、現実にお金があるのかどうかわからないという不安定性があるわけです。

 国が保証しているのは、交付国債という形で五兆円、そして十兆円強ですか、この交付国債という枠しかないわけであって、これとて全て福島第一原発に対するお金として使われているわけですから、今、将来に見合った交付国債ということはないわけですね。ですから、何ら資金的な手当てというのはされていないんじゃないですか。いかがですか。

林国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、電力会社が積み立てたお金をそのまま賠償に充てるという仕組みじゃありませんで、国がそこは補っているということになっておりまして、賠償・廃炉機構に、国が間に入ることによって、被害者の賠償には穴があかないというふうなことを申し上げているところでございます。

 ただ、先生が言ったように、もしも、仮にどこかで事故が起きたときには、各電力会社、事業者が、今までの金額よりも、その事故によっては、負担金というんですか、その支払い額が変わる、上がっていくということは想定されます。

近藤(洋)委員 もう時間もあれなので、繰り返し指摘をしませんが、やはり私は不安定な制度だと思うんですね。沢さんも、自由競争下での原子力発電所のコスト回収システムというのが大事ではないかということを指摘されています。まさに、今の議論の話ではそのことも含めて言っているんだろうと思うんですね。

 大臣、これはこの場でも何度か、以前、私は指摘をいたしましたけれども、原賠法と原子力機構法は、したがって、あのとき、制定した当時、我々民主党が政権をとっておりました。自民党さん、公明党さんとも話し合いを通じてスキームをつくりました。緊急避難でありました。

 これは、あのときとしてはベストのスキームだった、私はこう思うわけでありますけれども、事故から五年たって、やはり将来にわたって安定的な制度かというとそうではない。それは法律制定時からわかっていたことであって、早期に見直すという附則が書かれているわけであります。附則にその条項が盛り込まれていて、加えて、衆参両院の経済産業委員会の附帯決議では、一年以内に見直すということを書いているわけであります。

 この一年以内に見直すということからもう既に四年たっているわけですね。この四年たっている中で、見直し作業が、原賠法の見直し、さらには機構法の見直しというのがきちんと進んでいないのではないか、私はこう言わざるを得ません。

 内閣府において四副大臣会合が行われたと聞いております。原賠法の見直しについては、例えば、世界標準である事業者の有限責任を導入するのかしないのか、無限責任を採用するのであれば、しからずんばどういうことにするのかといったことも含めて多分議論が進んでいるんだろうと思いますが、どうであれ、いつまでにこの見直し作業を終えて法案を提出するのか。内閣府の担当副大臣、お答えいただけますでしょうか。

松本副大臣 先生御指摘のとおり、損害賠償制度の見直しについては、原子力委員会のもとに設置をされた原子力損害賠償制度専門部会において検討が進んでおります。

 これまで計七回の審議を実施しているわけでありますが、原子力損害賠償制度の見直しに当たっては、先生御承知のとおり、さまざまな課題があることから、引き続き同部会において、専門的かつ総合的な観点から十分に議論を尽くして結論を導き出していただかなければならないと考えておりまして、専門部会での審議を尽くすためにはもう少し時間を要する、時間が必要だということをぜひ御理解いただきたい、こう思うわけでございます。

近藤(洋)委員 もう少しというのは、そうすると、まだ法案をつくるめどは立っていないという認識で、副大臣、よろしいんですか。提出のめどは全く立っていないということでよろしいんでしょうか。

松本副大臣 まだ、先生言われるとおり、具体的に法案の中にまとめるというところまでは進んでいないということ、残念ですが、そういう状況にあります。

近藤(洋)委員 私は、やはり原子力の再稼働がこうやって現実化していくのであれば、これは政府において衆参の附帯決議を真摯に受けとめて、一年ということで切られていて、もう四年たっているわけですから、附則には見直しという条項があるわけですから、これは私は不作為の罪だと思いますよ。これは非常に問題だと思います。

 加えて、時間もあれなので大臣に伺いたいんですけれども、沢論文でも書いています、この五番目の、ゼロにならない事故リスクへの対応。私の論文で示したのでは、シビアアクシデント、想定を超える過酷事故の際のプラント運転を誰がするのかということも私は重要だと思っているんです。

 最後、要するにメルトダウンをして、もうどうしようもなくなったときに、民間の人が本当に最後まで現場にいることができるのかという問題なんですね。これは、福島のときは、吉田所長以下、決死隊が最後まで頑張られました。しかし、これからは本当に大丈夫かということなんです。

 私は、これは、最後の最後は軍というか、アメリカでは軍がやっています、NRCがやっています、一緒になって。これは公、例えば自衛隊と規制委員会が一緒にチームを組んで、最後はその発電所の中に入って、メルトダウンを阻止するための部隊としているということが必要であって、民間企業に最後まで任せるという代物では私はないと思うんですね。

 こういう体制も早急に急ぐべきだと思いますが、担当大臣として、認識はいかがでしょうか。

林国務大臣 万が一、原子力事故が起きた場合には、原子力災害対策特別措置法に基づきまして、国は、原子力災害対策本部を設置しまして、事業者が実施する事故収束の支援や住民の避難等を実施することになります。この際には、自衛隊等の実動組織も最大限生かすなど、国として、全力で対処することになっております。

 福島第一原発事故の経験を踏まえれば、重大事故の際には、事業者が対応することはもとよりですが、国も体制を整備して、総力を挙げて対応することになるというふうに認識しておりまして、どのような体制を整備しておくべきかについては、今後、関係省庁において、さまざまな観点から検討すべきものと考えております。

近藤(洋)委員 この問題ばかり長くやると時間がなくなっちゃうんでありますが、ただ現実に、今、原子力プラントを運転できる人が公務員でおりますか。多田さん、お答えいただけますか。公務員で原子力プラントを運転できる、ないしは、最後、民間会社の方がいなくなった後、できる人が今おりますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問が実際の発電所のオペレーションを行うことができる経験を持っている公務員がいるかということだとすると、もしかして途中でといった方がおられるかもしれませんが、基本的にはそういった人材育成は行われていないというふうに認識をいたしております。

近藤(洋)委員 私は、やはりそういうことも含めてちゃんと最後まで対応するという、それがないから、いつまでたっても不安を消し去ることができないんだろう、こう思うんですね。この点だけ強く指摘をしたい、こう思います。

 次に、経済の話に移りたいと思います。

 資料の一ページ目をごらんいただければと思うんですが、アベノミクスの、私どもに言わせると失敗というか失速が明らかになってきた、こう思うんですね。

 これは、一ページ目で、過去三年間の経産大臣の所信表明を抜粋しているんですけれども、茂木大臣、宮沢大臣、そして今回の林大臣。

 茂木大臣、宮沢大臣の所信では、それぞれ、景気はよくなっているということ、企業収益の増加がつながり、消費が拡大し、さらに企業収益が増加するという景気好循環の二巡目を目指してということをうたっていますね、宮沢さんは。

 ところが、林大臣は、経済の好循環は着実に回り始めています、他方、地方や中小企業を中心に、いまだ実感がないとの声があるのも事実ですと。ここに来て初めて、経済産業省もこれがまだ広がっていないということを、所信の演説においてようやく認められた、こう思うんです。

 いかがでしょうか。この好循環が滞っている、失敗している、失速しているという認識、改めてお認めになりますか。

林国務大臣 アベノミクスが始まって三年が経過するわけでありますが、経済の好循環は着実に回り始めているというふうに考えています。また一方で、各地の中小企業の皆様から、地域や分野あるいは事業所の規模によってばらつきがあるというふうにも感じているところでございまして、そこで先般の所信表明において、地方や中小企業を中心にいまだ実感がないとの声があることも事実と述べたところでございます。

 しかし、アベノミクスが成功しているか、失敗しているのかと問われれば、中小企業の足元の状況はアベノミクスの進展につれて着実に改善傾向にあるというふうに考えております。二〇一五年の法人企業の経常利益は大企業、中小企業ともに過去最高水準でありまして、倒産件数は二十五年ぶりの低水準でございます。アベノミクス失敗との指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。

 なお、前大臣の宮沢前大臣も、国会審議の中で、中小企業の景況感の改善が大企業に比べて出おくれている旨を述べておりまして、私もその認識を示したところでございます。

 いずれにしましても、回り始めた経済の好循環を揺るぎないものとして、国民に広くアベノミクスの成果を実感してもらうことが重要だと思っております。中小企業、小規模事業者への支援あるいはローカルアベノミクスの推進に全力を挙げてまいります。

近藤(洋)委員 失敗と言うと言い過ぎだと。

 ただ、先日発表されました四半期経済調査、いわゆるQEでも、二〇一五年十月―十二月期は実質マイナス一・一%、そして、ことしに入っての一―三月期も恐らくマイナスであろうということが大方の見方になっているんですね。ですから、明らかに失速しているのは数字が、データが示しているところなんだろう、これは謙虚に認められた方がいいんだろう、私はこう思うわけです。

 そこでお伺いしたいんですが、大臣がお答えしたように、中小企業や地方にまだ行き届いていないという中で、なぜ中小企業予算を平成二十八年は減少させたのか、なぜそういう認識を持ちながら中小企業予算をカットしたのか、お答えいただきたい。

林国務大臣 政府全体の平成二十八年度予算案の中小企業対策費は千八百二十五億円でありまして、対前年比で三十一億円の減少となっています。

 減額については、景気回復に伴い信用保証の代位弁済が減少したことによりまして、日本政策金融公庫に対する出資金を減額することができたことなどによるものでございます。

 これ以外にも、平成二十八年度から創設されました地方創生のための新型交付金に対しまして、中小企業対策費から五十一億円が拠出されております。これは地方を通じて中小企業支援に資する取り組みに活用することを期待したものであります。

 したがって、政府全体の中小企業対策費が減少しているということをもって、中小企業対策の優先順位を下げたものではないかといった御心配には当たらないのではないかというふうに思っております。

 いずれにしても、中小企業、小規模事業者に対しては、予算に限らず、法律や税制などあらゆる手段を総動員して多様な支援に努めているところでございまして、経産省として、引き続き万全を期してまいりたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 私は、これから中小企業へのてこ入れが極めて大事になると思うんですね。とりわけ消費税の引き上げが来年の四月に控える中で、我々は反対しましたけれども、複数税率が入るとなると、これまた中小企業に対して大きな影響が出る。

 また、法人減税の見返りとして、外形標準が中堅企業に対しても広がる、こういうことから考えても、中小企業に対しては逆風の政策がこれからどんどん打たれるわけです。逆風の政策が打たれる中で、私は、もっと中小企業に対して手厚い政策が必要ではないかということを指摘したいと思います。

 マイナス金利について伺いたいと思います。

 資料の三ページ目をごらんいただければと思うんですが、日本銀行の政策審議委員である木内登英さんが、二月二十五日の講演で、マイナス金利の副作用は大きいという趣旨の講演をされております。

 「「マイナス金利」の副作用については、貸出利鞘の縮小や金融資産の運用利回り低下などを通じて、金融機関の収益に追加的な悪影響を及ぼすことで、金融システムの安定を潜在的に低下させる可能性があります。」「金融機関は、収益の悪化を補うため、預金金利の引き下げに加えて、貸出金利の引き上げや手数料の引き上げなどを通じて、預金者や与信先にコストを転嫁する可能性があり、逆に金融引き締め効果に繋がる惧れもあります。」こうおっしゃっている。

 このことは、わかりやすく言うと、金融機関、特に地方の金融機関は収益が悪化して、その分、貸し剥がしとは言わないけれども、引き締めに入るおそれがありますよということをおっしゃっております。逆に金融引き締めに入る、だから私は反対票を投じたんだということを日銀の審議委員は明確におっしゃっているわけですね。

 そこでお伺いしたいんですが、このマイナス金利政策によって、中小企業の資金繰りにどのような影響が出ると大臣はお考えですか、お答えください。

林国務大臣 今回のマイナス金利の導入は、日本銀行のデフレ脱却に向けた強い決意が示されたものというふうに考えています。

 マイナス金利の効果につきましては、議論があることは承知しております。マイナス金利政策によって、中小企業、小規模事業者への融資に係る金利が低下をし、投資の拡大につながることを期待しているところでございます。

 ただし、二月十六日から導入されたばかりでありまして、マイナス金利導入後の中小企業の資金繰りの状況について、現時点では定量的な把握は難しいと思っております。現場の声を聞いているところでは、今のところ、目立った影響が生じているという話は聞こえてこないわけでございます。

 いずれにしても、今後、中小企業向けの貸し出しの減少、縮小が起きることがないよう、引き続き金融庁とも連携して中小企業をめぐる金融動向を注視し、円滑な資金繰りに万全を期してまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 私は、大臣、このマイナス金利というのは禁じ手をやられたと思うんですね。私は、これは大変危ない橋を渡っている、こう思います。

 やはり、水は高いところから低いところに流れるのと同じで、金利というものは、マイナスというのは異常な世界。この異常な世界をやるということは、必ずどこかにゆがみが生じるわけでありまして、それは間違いなく、この日銀の木内審議委員が指摘をされているように、中小企業を含めた金融システムにひずみが生じる懸念、これは正論だと思うんです。

 ですから、大臣、極めて注意深く中小企業を見る必要があると思いますし、やはり為替とか、あと、金融政策だけで経済を引っ張ろうとするのはもう限界なんだろう。日本銀行頼みの一本足打法は限界なんだろう。これはアベノミクスの第一の矢なのかもしれませんけれども、これはもう限界なので、だからこそ、意味のある中小企業対策予算をしっかり検討し、打ち出すべきだ。それがなかったら、経済産業省がある意味がないわけでありまして、経済産業省の存在意義が問われる、こういうことを申し上げたいと思います。

 そこで、最後に、これは恐らく同僚の議員からも質問があると思うので詳しくは譲りますが、我々民主党は、大規模な法人減税よりも、法人減税も我々の民主党政権下で一歩踏み出した政策ですから否定はしませんが、しかし、今の時期の法人減税よりは、むしろ中小企業の社会保険料の負担の軽減の方が大事ではないか。社会保険料の雇用者側の負担を軽減してあげる。法人税は、黒字企業しか恩恵を受けないわけです。でも、社会保険料は赤字企業でも取られてしまう。しかも、中小企業のほとんどは赤字なんです。だけれども、正社員を雇いたいけれども雇えない。だとするなら、期限限定つきでいいから、中小企業の社会保険料を軽減してあげるという措置が必要ではないかということで法案を提出しております。

 ぜひ大臣、我々の提案している中小企業支援のための社会保険料の負担軽減措置、いかがでしょうか。特許料は要求しませんから、経済産業省、中小企業庁で検討していただきたいんですが、いかがですか。

林国務大臣 社会保険料の支払いにつきましては、中小企業、小規模事業者から、赤字でも支払い続けなければならず、雇用を守る上でも重荷であるという声も聞いておるところでございます。

 民主党が提案されている議員立法の内容についてはよく精査できていないところでありますけれども、まず社会保険料の負担は雇用者義務でございまして、現行制度は従業員が二分の一負担する制度でございまして、事業者の負担のみ減免することは社会保険制度の根幹にかかわる可能性があるのではないか。それから、これを実施するためには多額の国費の投入が必要になる可能性があるということなど懸念があるのではないかというふうに考えております。

 経産省としても、正規労働者の採用の拡大は非常に重要であるというふうに考えておりまして、小規模事業者の販路拡大などを支援する小規模企業持続化補助金におきまして、新たに正社員を雇用する場合には、補助上限を五十万円から百万円とする特例を設けるなど措置も講じているところでございます。

 また、法人減税の恩恵を受けられない赤字中小企業にも税の減免の恩典が受けられるよう、固定資産税の軽減措置を講ずることにしておるわけでございます。そのため、今国会に中小企業の生産性向上を支援する法案を提出したところでございます。

 いずれにしても、赤字中小企業を含めた中小企業、小規模事業者のためにどのような措置を講ずるべきかについて、さまざまな御知見を伺いながら検討を進めてまいりたいと考えています。

近藤(洋)委員 とにかく、今、経済の状況、景気の状況は非常に厳しい状況を迎えつつあるんじゃないかという認識が立っています。あらゆる政策の可能性を探っていただきたいと思いますし、また、同僚議員もいろいろ質問されると思いますけれども、民主党は積極的に提案をしてまいりますので、政府においても受けとめていただきたいということを申し上げ、時間ですので、質問を終わります。

高木委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は北陸信越ブロックから選んでいただいておりまして、このブロックには、新潟県の柏崎刈羽原発、石川県の志賀原発、さらには福井県の集中立地原発群がございます。

 そこで、きょうは、原発の問題に絞ってお聞きをしたいと思っております。

 先日、二月の二十二日には、九州の鹿児島県、川内原発も視察をさせていただきました。稼働している原発の視察というのは私も久しぶりでして、新潟県の柏崎刈羽六号がまだ動いている時期に視察して以来です。やはり動いている原発は違うなと。ゴゴゴゴゴというタービンの音と振動を体全体で感じますし、その熱、そういったものも感じてまいりました。また、補機冷却水ポンプ室にも行ったんですが、そちらでは、水の音がさらさらさらさらとしておりました。上の階ではゴゴゴゴゴとタービンが物すごいエネルギーを発しているのに、それを制御しているのがさらさらさらさらと。本当に、何といいますか、危うい均衡だというのを肌で感じてまいりました。

 九州電力といいますのは、昨年の八月に川内原発一号機を稼働しまして、同じ十月には二号機を稼働しました。ところが、再稼働のわずか二カ月後に、免震重要棟をつくらないと言い出したわけであります。

 九電とすれば、規制基準、いわゆる新規制基準では免震等となっておりますので、免震でも耐震でもいいんだ、こういう理屈かもしれませんが、しかし、免震重要棟というのは私はそんなに軽いものじゃないというふうに思うんです。といいますのも、これは、実際に起きた原発事故の教訓、経験に基づくものだからであります。

 二〇〇七年、北陸信越ブロックの新潟県中越沖地震で、柏崎刈羽の緊急時対策室のドアがゆがんであかなくなった、こういう教訓から、免震重要棟をつくろうということで、柏崎刈羽にも、福島第一原発にもつくられた。これがあったから、極限状態でも一定の作業ができた。当時の清水社長も、なかったらと思うとぞっとすると、国会事故調の意見聴取で述べられております。

 配付資料をお配りさせていただいておりますので、ごらんいただきたいんですが、一枚目の上の方に事故調の指摘を載せております。「事故対応の最前線となる中央制御室は、機能性と居住性が最も高い場所でなければならない。精神的、肉体的に過酷な環境の下、限られた人数の運転員が長時間にわたって中央制御室にとどまり、事故対応を行わなければならないためである。」と。これは中央制御室に関する指摘ですけれども、同じようないわゆる対応を行う場所。

 それで、同じ国会事故調の報告書は、まさに国会による継続監視が必要な事項として、幾つかある中で、免震重要棟の整備というものも挙げております。まさにあの事故の教訓だと思うんですね。

 昨年の三月には原子力学会が行われまして、この原子力学会に出られた福島県の原子力対策監を務めていらっしゃいます角山茂章氏、会津大学の元学長でもいらっしゃいますが、この方も、あの事故の際に大熊のオフサイトセンターが機能しなかった事例などを紹介した上で、免震重要棟がなかったら東日本は崩壊していたのではないかと指摘をされている。

 海外でも、国際原子力機関、IAEAのレンティッホ事務次長が、先日、共同通信のインタビューでこうおっしゃっております。極度の自然災害に耐え、過酷事故であっても、緊急対応する適切な要員や設備を展開できる強固な拠点を建設することは重要だ。福島第一原発では免震重要棟が地震や津波で破壊されず、事故に対応する施設となった。事故から学んだ大きな教訓の一つだ。こうおっしゃっております。

 大臣にお聞きしたいんです。これが国内外の専門家の声だと思うんです。免震重要棟をつくらないということは、まさにこうした福島の痛切な教訓、これを踏まえていないということになるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

林国務大臣 川内原発の緊急時対策所に関する今回の計画変更につきまして、九州電力の説明が不十分だったため、関係者を初め多くの方の理解を得られていないことは残念でございます。

 経産省としても、九州電力に対して、安全を大前提に計画の内容を再検討した上で、丁寧に説明を尽くすよう指示したところでございます。

 なお、原子力規制委員会は緊急時対策所について、免震でも耐震でも、性能基準を満たした上で、それをさらに上回るものであればよいとしていると承知しております。これを踏まえ、現在、九州電力が計画の具体化へ向けて真摯に検討しているものと認識をしております。

 今後、計画が具体化した際には、原子力規制委員会によって厳格な審査が行われることとなるものでありまして、同委員会による審査を見守りたいと思います。

藤野委員 これは説明が足りないとかそういう話ではなくて、後でも言いますけれども、つくると言っていたものをつくらないと言い出している性質の問題なんですね。ですから、これは全く説明云々という話ではないというふうに思うんです。

 そして同時に、これは審査だけの問題ではなくて、やはりもっと広い意味があると思っております。というのは、地元合意を含めまして、再稼働の大前提になっている、もちろん審査もですけれども。私も改めていろいろ考えまして、これをつくらないというのであれば、再稼働の合格、審査の大前提なんですから、これはやはり再稼働をやめるべきだというふうに考えております。それほど重い問題だと。

 例えば、合格証と言われる川内原発の審査書、私も改めて読ませていただきましたけれども、何と免震重要棟あるいは免震というような言葉が二十六回も出てくるんです、審査書の中に。ですから、もう大前提、これがあったから合格しているわけですね。地元合意の大前提でもある。

 九州へ行きましたら、九電は、住民説明会に出てきて、そこでも、免震重要棟をつくりますからという説明をしている。あるいは、薩摩川内市議会あるいは鹿児島県議会、ここにもいろいろな資料を出して、そこには、免震重要棟をつくります、こう書いてあるわけですね。あるいは、自治体である県や市に対して提出した事前協議書というものがありますが、この中でも免震重要棟をつくると約束しているわけです。

 ですから、これは地元合意の大前提ということになっております。

 そして、これは大臣にとっても実は関係しておりまして、配付資料の二を見ていただきますと、これは、審査書が出てきましたといって、最終的に判こを押す、要するに、動かしていいよというのは経産大臣の判こが要るわけですね。規制委員会から貴職に対して求めるというのがありまして、当時茂木大臣でありましたけれども、判こを押されて、ようやく動かす、こういうプロセスにもなっている。ですから、これは大臣そのものにもかかわってくる話であります。

 ここでお聞きしたいんです。免震重要棟というのは、審査ももちろんそうですが、地元の合意、信頼、もうまさに安心、安全の信頼、そして大臣の合意、二重三重に再稼働の大前提だと思います。これをつくらないというならやはりやめるべきだ、再稼働自体をやめるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。

林国務大臣 今ほども答弁いたしましたけれども、原子力規制委員会も緊急時対策所について、免震でも耐震でも、性能基準を満たした上で、さらに上回るものであればよいということにしておりまして、これを踏まえて、現在、九州電力が計画の具体化へ向けて真摯に検討しているものと認識しております。

 そして、計画が具体化した際には、原子力規制委員会によって厳格な審査が行われることとなるものと思います。今、その委員会による審査を見守っているところでございます。

藤野委員 大臣、原発が動いていなければ、審査を待ってという話もあるかもしれません。しかし、動いているんです。物すごいエネルギーを動かしているわけですね。いつ事故が起こるかもわからない、こういう状況であります。ですから、審査を待ってという話では私はないというふうに考えているわけですね。

 そして、私は、現地で、九電がいわゆる免震重要棟にかわるものと言っている緊急時対策所というのも拝見してきました。

 緊急時対策所というのは百七十平米ありまして、お聞きしますと、この十二委員室が百九十平米あるらしいんですね。この委員室よりちょっと狭くて、天井はかなり低いです。六十センチのコンクリートに囲まれて、非常に圧迫感がこの委員室よりもあるわけですけれども、そこで百名の方が七日間作業するという説明を受けました。

 実際には、物すごい数のテーブルと椅子が並んで、モニターやパソコンがずらっと並んで、非常に狭い。横になるスペースはあるんですかと聞いたら、ありませんと。トイレはどこですかと聞いたら、隅っこに、よくお祭りなんかにある簡易トイレが一個だけある。私がそれをちょっとあけてみたら、中にいろいろなものが詰まっていて使えない、こういう状況なんです。

 大臣、これは動いているんです、川内原発。今まさにそういう対策が必要になるかもしれない。にもかかわらず、本当に対策所がそういう状況。いろいろな機能はあるかもしれませんが、しかし、そういう状況なんです。

 大臣、これでいいと率直にお感じになりますか。

林国務大臣 答弁を繰り返すようでございますが、川内原発では、緊急時対策所は既にございまして、機能しているわけであります。稼働には問題ないというふうに考えております。

藤野委員 別の原発の審査の会合では、いろいろなやりとりがありまして、規制委員会の方から、そんな狭いスペースに百人入ると、要するに七日間椅子でしか休めない、そういうことかと言ったら、そのある電力会社はそういうことだと答えている、そういうやりとりもあるわけです。椅子でしか休めない。

 大臣、配付資料の三を見ていただければと思うんですが、これは、福良昌敏さんという、福島第一原発で故吉田所長と御一緒に元ユニット所長として大変な御苦労をされた方のインタビューが朝日新聞に載っておりました。

 ここで福良さんがおっしゃっているのは、黄色いところで示してありますけれども、「三、四日目になると、みんなロボットではないので休まないといけない。」、飛びますけれども、「いくら想像力をかき立てて想定を考えても、想定外は間違いなく起こり得る。そのときに頼りになるのは、手順書とかマニュアルでなく、人の力。」こういうふうにおっしゃっております。私は、本当にこれは現場の声だというふうに思うんです。

 大臣、やはり現場というのは、ロボットではない人の力が求められると思うんですね。それが、本当に狭いスペースで休む場所もない、トイレ一つ、百人が七日間。これで人の力を発揮できると大臣はお感じになりますか。

林国務大臣 やはり過酷な対応というのはよろしくないと思いますけれども、今委員から指摘されております緊急時対策所に関しましては、繰り返すようですけれども、免震でも耐震でも、性能基準を満たした上で、さらに上回るものであればよいとされておるわけでありますから、今、九州電力が計画の具体化に向けて真摯に検討しているものと認識しております。

藤野委員 冒頭紹介しましたように、国会事故調の報告書は、こういう場所は、機能性だけでなくて居住性が最も高い場所でなければならない、なぜなら、精神的、肉体的に過酷な環境のもとで事故対応を行わなければならないからだというふうに指摘しているわけですね。

 ですから、私は、本当にそういう意味でのものにはなっていないというのを、現場に行きまして強く感じましたので、これは本当に大変な事態だというふうに指摘をしたいと思います。

 そして、あわせて、関西電力が動かしました高浜についてもお聞きをしたいと思います。

 まさに私の地元にある原発で、私も何度も高浜へ行ったわけですが、ここは、一月に三号機、二月に四号機が動きまして、いろいろな事象も起きております。

 前提として規制委員会に確認させていただきたいんですが、高浜の三、四号機の再稼働では、当時、一、二号機は動かさないという前提で審査をされていた、これは間違いありませんね。

田中政府特別補佐人 先生御指摘のように、平成二十七年二月十二日の高浜発電所三、四号機の設置変更許可は、一、二号炉の原子炉圧力容器内に燃料が装荷されないことを前提として、三、四号炉の安全確保の基本方針が基準に適合していることを確認したものであります。

 その後、平成二十七年三月十七日に、高浜発電所三、四号炉の運転に加えて、一、二号炉についても運転することを前提とした設置変更申請がなされており、現在、三、四号機の先ほどの設置変更許可の見直しも含めて、審査を行っているところでございます。

 原子力規制委員会としては、事業者からの申請があった場合、法に基づいて審査を行う義務がございますが、基準への適合性は厳正に確認することとしております。

藤野委員 今御答弁いただいたように、三、四号が審査をパスしたときには、一、二号は動かさないという前提だったんですね。にもかかわらず、今答弁いただいたように、二月十二日に出た一カ月後です、三月十七日、わずか一カ月後に、一、二号機をやはり動かします、こう言い出したわけですね。つまり、川内原発が再稼働した後に免震重要棟をやはりつくりませんと言い出したのと同じように、高浜原発は、三、四号機を動かすときには一、二号機は動かさないと言っていたのに、審査をパスしたわずか一カ月後にやはり動かしますと言い出した。

 これは、二カ月とか一カ月とか、要するに、審査を受けているときとかのタイミングでやはり動かそうと考えていたとしか思えないと私なんかは思うんですけれども、大臣、いかがですか。

林国務大臣 現在、一、二号機に関する原子力規制委員会の審査が進んでいるわけでありまして、それを再稼働しようとする場合にはやはり厳格な審査を経てということになるものですから、そこは見守っていたいと思っております。

藤野委員 私がお聞きしたのは、審査の前提として、こういう電力会社が原発という重大な電力を動かしていいのか、そういう資格があるのかという問題なんです。一カ月後に、動かさないと言ってパスしたものを動かすと言い出すんです。

 こういう電力会社、こういう会社が原発という重大なものを動かしていい、大臣、こういうふうに思われますか。

林国務大臣 高浜原発三、四号機では、緊急時対策所を一、二号機の建屋内に設置しております。先ほど答弁しましたように、現在、原子力規制委員会の審査が一、二号機に対して進んでおるところでございまして、それを再稼働しようとする場合は、その建屋内に設置した三、四号機のための緊急時対策所を外部に移設することが必要となります。

 藤野委員の御指摘はこのことを指していると思うんですけれども、現在のところ、一、二号機の再稼働の見通しは立っていないわけでありますから、当面は問題が生じないものと理解をしているところでございます。

藤野委員 私の質問はそういうことではなくて、会社の姿勢として、一カ月後に今までの審査で言っていたことと全く違うことを言い出す、こういう会社に原発というような重要な機器を扱う資格がないという話なんです。

 大臣、もしこれを認めますと、これからどの原発を動かすかとか、あるいはどういう形態、免震重要棟があるかないかで動かすかとか、こういうことが全部電力主導で決まっていくことになるんです。それに、基準適合という形とか、あるいは大臣が最後に判こを押されるとか、いろいろな形で後追いで、後出しじゃんけんにくっついていくような形での原発行政になっていく、規制になっていく、こんな流れがつくられつつあるんじゃないかという指摘なのであります。ですから、これでは全く原発に対する国民の信頼も得られるはずがないというふうに思うんですね。

 そして、もう一つ指摘したいのは、こんな形で再稼働しますと、どんな形でもですけれども、核のごみが出てまいります。核のごみを再処理しますと、プルトニウムが出てくる。

 私は、二月五日の予算委員会で、大臣に対して質問させていただきました。そうしましたら、大臣は、プルトニウムは着実に減っていくとお答えになられたので、ちょっと確認させていただきたいんです。

 これは経産省の事務方でも結構なんですけれども、これまでプルサーマルで稼働実績がある原子炉は幾つか、そして、今、設置変更許可を申請あるいは受けている原発は幾つか、そして、地元の自治体の事前了解を得ているあるいは得ている最中の原発は幾つか、それぞれお答えください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、これまでにプルサーマルを行った実績のある原子炉でございますが、これは高浜原発の三号機、伊方原発の三号機、そして玄海原発の三号機、この三基に加えまして、既に廃止を決定いたしております福島第一原発三号機、合わせて四基と申し上げます。

 それから二点目でございますが、プルサーマルを行うことを予定している原子炉の中で規制委員会に申請中のもの、審査中のものはどこかということでございます。

 現在、プルサーマルかどうかにかかわらず、全体としては二十三基の原発が審査中でございます。その中で、プルサーマルを行う計画を有しております原発は九基となります。これに、既にMOX燃料を装荷して、使用前検査を全て終了の上で営業運転に入っております高浜原発の三号機を加えますと、合計で十基となるわけでございます。

 これがどこであるかも申しますか。(藤野委員「それはいいです」と呼ぶ)よろしいですか。十基でございます。

 もう一つは、地元同意ということについての御質問があったかと思います。

 結論から申し上げますと、これまでに安全協定に基づきましてプルサーマルの地元了解を得たものは、たまたま十基で同じ数字になります。

 ただ、ちょっと中身が異なっておりまして、高浜原発三号機は入っておりますが、現在審査中の中で東海第二それから敦賀原発はまだ了解がとれておりません。他方で、了解はとれているけれどもまだ申請していないものとして女川原発があります。その外数に福島第一原発の三号機がある、こういう状況でございます。

藤野委員 そういうことで、ざっくり言うと十基がプルサーマルに手を挙げているという状況なんです。

 大臣、六ケ所村はまだ稼働しておりませんが、これが稼働しますと核分裂性のプルトニウムが四トン生まれるということなんですが、これを消費していく電事連のプルトニウム計画というのはどのようになっていますでしょうか。

多田政府参考人 事実関係でございますので、私の方から申し上げたいと思います。

 電力業界がつくっておりますプルトニウム利用計画は、十六基から十八基の炉をプルサーマルで動かす、このようなものになってございます。震災前につくられたものでございます。

藤野委員 ですから、十六から十八ですから、十基が手を挙げているとしますと、単純に言えば六から八基新たに手を挙げる必要があるということになります。足りていないわけですね。

 しかし、やはりこれは、新たに電力会社が手を挙げるのか、あるいは、電力会社が手を挙げたとして地元の了解が得られるのか、幾つもハードルがあると思うんですね。

 といいますのは、まず、経済的に見ましても、MOX燃料というのはウランよりも高い。やはり、わざわざ再処理して、プルトニウムをくっつけていろいろな手間暇をかける、いろいろなコストもかかるということで、先日、朝日新聞では、高浜の場合ですけれども、MOX燃料というのはウランよりも値段が九倍高いという報道もありました。経営者からすると、安いウラン燃料があるのに、同じ原発を動かすのに何でわざわざ高いMOXを使わなきゃいけないんだと。当然の経営判断だと思うんですね。こういう問題がまずあります。

 そして、お答えいただいた地元了解の問題。これも大変な問題で、確かに了解は幾つかあるわけですが、三・一一後、既に了解していた北海道の泊とか、あるいは浜岡、島根で、白紙に戻したいとか、あるいは慎重に考え直したい、こういう声も出てきているわけであります。そして、話のあった東海第二、ここは、地元了解どころか、協議にも入れていないという状況であります。

 ですから、プルサーマルというのはお金もかかるし、何より危険だ、より危険だという認識は非常に広がっておりますから、そもそも電力会社が手を挙げるのか、そして、挙げたとしても地元了解という大変高いハードルがあるというもとで、今、そういう計画を電事連は出してきているという状況であります。

 大臣、お聞きしたいんですが、プルサーマルに新たに電力会社が六基から八基手を挙げるのは大変困難じゃないですか。いかがでしょう。

林国務大臣 十基以外の六基から八基ですか、これは電事連でそういう計画をしているということでありますので、それを見守っていきたいと思っています。

藤野委員 見守る、そうですね。ただ、大臣はいろいろ延長が必要だとかということも含めて二〇から二二とずっとおっしゃっているわけですし、要するに、私の質問は、見守っているかどうかじゃなくて、困難じゃないか、経済的にもペイしないし、そして地元同意も大変厳しいと。

 もう一つお聞きしたいのは、アメリカでもMOXプロジェクトというのは長年行われてまいりました、予算委員会でも指摘しましたけれども。しかし、アメリカ自身がもうこのMOXから撤退し始めている。

 配付資料の四枚目を見ていただきますと、その経過も紹介しているんですが、アメリカのMOX燃料製造工場というのはずっとやっているんですけれども、二〇〇二年段階では十億ドルちょっとと見込まれていた建設コストが、二〇一四年には七十八億ドルということで七倍にはね上がっている。建設だけです。これに、運営とか、あるいはつくった後の使用済みMOXの再処理とかいろいろ考え出しますと、とんでもないということで、アメリカはもう手を引いている。

 実際、配付資料にありますけれども、二〇一四年段階では、現在のプルトニウム処理アプローチはコストの上昇と財政難のために負担し切れないかもしれないと、ちょっと腰の引けたといいますか、かもしれないという言い方なんですね。

 しかし、二〇一五年には、もう既に、ここにありますように、凍結状態にすると。単に負担し切れないだけじゃなくて、もう凍結しちゃおうと踏み込んでいるわけですね。ほかのオプションを検討するように要請しているという段階であります。

 大臣にお聞きしたいんですが、こういういわゆる核燃サイクル、プルサーマルを含めて、こうしたアプローチというのは、経済的に見ましても、明確に破綻するんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 核燃料サイクルにつきましては、使用済み燃料を直接処分する場合よりもコストが高くなります。

 しかし、資源の有効利用、あるいは高レベル放射性廃棄物の量の減少、放射能レベルの低減などの観点を踏まえて取り組むこととしておりまして、この方針はエネルギー基本計画で閣議決定をしております。これに従って、再処理等による核燃料サイクルを進めていくことにしておるところでございます。

藤野委員 経済面だけでなくて減容化などいろいろな効果があるんだ、だから閣議決定を進めるというお話ですが、減容化、量を減らすとか有害度を低減していく、こういうお話だと思いますけれども、確認ですけれども、こういう効果というのは、MOX燃料を一回使うだけじゃなくて、使用済みMOX燃料を再処理していく、これが前提じゃないでしょうか。経産省、いかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御質問に簡単に答えますと、使用済みMOX燃料の再処理ということとは切り離して、独立して考えられるということでございます。

 既に、これまで何度か、核燃料サイクルをなぜ進めるのかというときに御説明した中で、今の減容化、有害度低減といったお話が出てまいります。重ねての御説明になってしまうかもしれませんが、軽水炉で使用した後の使用済みウラン燃料を再処理した場合には、直接処分する場合に比べまして、高レベルの放射性廃棄物の量が約四分の一となります。また、廃棄物の有害度に関しましても、発電に要した天然ウラン総量の有害度レベルまで低下するのに要する時間が約十万年から約八千年へと短くなります。

 繰り返しになりますけれども、この点につきまして、この効果といいますものは、使用済みMOX燃料の再処理とは独立したものでございます。

藤野委員 再処理ではなくて、いわゆる再利用を繰り返さなければならないんじゃないですか。いかがですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の四分の一あるいは十万年から八千年といったものにつきましては、これは軽水炉で使用済みウラン燃料を一回使ったことに関して出てくる数字でございます。

 先生の御指摘は、そのほかに、使用済みMOX燃料、その後のことについてどう考えるのかということについて考えますと、それは、もう一度使っていけば、またそのときに同じように効果が出てくるということになろうかと思います。

藤野委員 いわゆる今の理屈というのは、大臣が、プルトニウムは着実に減る、こうおっしゃったことにかかわってくると私は思うんですね。

 これも経産省に確認したいんですが、日本原子力研究開発機構が、平成二十二年度プルサーマル燃料再処理確証技術開発成果報告書というのを、これは経産省の委託事業ですけれども、やられている。これで、現在運用されている仕様をもとに試算すると、軽水炉でMOX燃料を使用した場合、MOX燃料中のプルトニウムの割合は、発電前が八・九%であるのに対して、発電後は六・九%となる、こういうふうに指摘しておりますが、間違いありませんか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、先生が引用されました報告書の中では、使用前につきましてはパーセントで表示がされております。使用後のものにつきましては絶対的なキログラムであらわされておりまして、これを百分率に直しますと、先生御指摘のとおり、六・九%になるということでございます。

藤野委員 ですから、大臣、要するに、例えば一トン当たりでいうと、パーセントでいうと、使用する前のMOX燃料に八・九%プルトニウムが入っている、一回燃やしました、使用後には六・九%残っているんです。

 ですから、大臣がおっしゃった、例えば着実に減っていく、六ケ所村で年間四トン生まれますと。電事連は、十六から十八動かせば五・五から六・五使いますと言うんですね。けれども、五・五から六・五を装填、装荷したとしても、一回では八・九から六・九、ざっくり言って四分の一弱しか減らないんです、大臣。

 それで、原発というのは十三カ月で必ずとめますから、年に一回しか装荷できません。何よりも、使用済みMOXを二回使うのか三回使うのかというのはまだ決まっていないわけです。

 大臣、八・九から六・九にしか減らない、それしか減らないんです。だから、五・五といっても、減るのは一・幾つです。六・五といっても一・六ぐらいです。ですから、四トンには到底及ばないんですね、大臣。これをお認めになりますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。数字の点でございます。

 先生御承知のとおり、先般の予算委員会でのやりとりは、分裂性のプルトニウムに着目しての数字でございまして、再処理工場が稼働した場合には約四トンのプルトニウムが発生する、それに対しまして、十六基から十八基やった場合にはそれを上回るプルトニウムの消費がある、こういう御説明をさせていただいた、大臣が御答弁をさせていただいた、こういうことでございます。

藤野委員 いや、だから、減る確率は二三%なんです。八・九から六・九に、それしか減らないんです、大臣。だから、大臣、五・五が一回の使用で丸ごとなくなるのなら、確かに四トン生まれても五・五使えますから、使えるとすればそれは減っていくということになるかもしれません。しかし、四トン生まれるのに、五・五は減らないんです、せいぜい二ぐらいしか減らない。だから、一年単位で見れば、着実に減るどころかふえていく。

 大臣、これが事実じゃないですか。

林国務大臣 六ケ所再処理工場がフル稼働した場合ですけれども、年間四トン強の核分裂プルトニウムが発生いたします。

 一方、プルサーマルを行う計画を有している原発十基がこれまでに原子力規制委員会による審査を申請しておりまして、この十基でMOX燃料として年間約四トンの核分裂プルトニウムを利用する見込みでございます。

 そして、先ほど申し上げましたように、電事連は、十六基から十八基の原子炉でMOX燃料としてプルトニウムを利用することを目指しているわけでございます。この場合、先生から話がありました五・五トンから六・五トン程度の核分裂プルトニウムを利用することとなるわけでございまして、こうした電気事業者の取り組みが適切に実施されれば、プルトニウムの消費が供給を上回ることとなり、核分裂プルトニウム三十二トンは着実に減っていくことになるわけでございます。

 そもそも、核燃料サイクルに関する諸課題は、短期的に解決するものではございませんで、中長期的な対応を必要といたします。したがって、その一つであるプルトニウムの利用についても、核燃料サイクルの推進やその進捗の中で、中長期的な視点に立って着実に進めていくことが大切であると思います。

藤野委員 では、ちょっと聞き方を変えますけれども、一回使ったら使用済みMOX燃料というのが出てくるわけですが、その使用済みMOXを次にどうするんだというのはもう決まっているんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済みMOX燃料の取り扱いについては、現時点では、具体的な場所、方法については決まっておりません。

藤野委員 ですから、今、MOX燃料というのは一回しか使えないという前提なんですね、大臣。

 一回では、わずか二三%しかプルトニウムは減らないんです。だから、十六から十八基、全部手を挙げて、地元も全部同意したという大前提ですけれども、今はその半分ぐらいしかありませんが、大前提として計画が履行されたとしても、五・五トンしか装荷されない。しかも、そのうち二十数%しか減らない、一回しか使えないんですから。二回、三回使えるということは決まっていないわけですね。

 ですから、五・五は減らないことになるんです、大臣。私の質問は、着実に減ると大臣はおっしゃったけれども、減らないじゃないかという質問なんです。この点に絞ってお答えください。

林国務大臣 先ほども答弁したように、短期的な対応じゃなくて、中長期的に対応していくとそういう形に持ち込めるという考えでございます。

藤野委員 ですから、私は、長期的とおっしゃるから、では使用済みMOXはどうするか決まっているのかと聞いたんです。けれども、決まっていないわけですね。ですから、全く見通しがないもとで、しかも一回では減らないにもかかわらず、減ると。今後はこういう答弁はやはりしないでいただきたいというふうに私は思っております。

 もう一つ言いますと、政府は、プルトニウムが減るどころか、ふえることばかり今検討しているというふうに思うんですね。

 例えば、大臣は、予算委員会でもおっしゃいましたけれども、先日、二十三日の記者会見ではこうおっしゃいました。原発比率二〇から二二%を達成する上で、一部の原発については、法令で認められるような四十年を超える運転延長を行うことは必要だということは事実でありますとおっしゃいまして、もうあっけらかんとお認めになっているんですが、二〇から二二を掲げた政権が、老朽原発の延長が必要だと強調されている。これはもう、はっきり言って露骨な誘導じゃないかと私は思うんですね。

 さらに、経産大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会基本政策分科会では、リプレース、リプレースというのはいわゆる現在動いている原子炉を廃止してそのかわりに原子炉をつくるということをリプレースというわけですけれども、この検討まで始めている。

 二月の二十二日の議事要旨を読ませていただきますと、ある委員から、原発のリプレースやLNG電源の位置づけ、水素など、次のエネルギー基本計画やエネルギーミックスを想定した議論に入るべきではないか、こう意見が出されて、前後はあれですけれども、坂根正弘分科会長がこう言っている、その辺の議論に入っていかない限り、いわゆる二〇から二二は実現できないことには同意する、こう報じられております。

 大臣は、たびたび新増設やリプレースは想定していないとおっしゃるんですけれども、大臣の諮問機関でも、実際にこういう議論が始まっているんじゃないでしょうか。いかがですか。

林国務大臣 答弁しているとおり、現段階においては、新増設、リプレースは想定していないところでございます。

藤野委員 想定していないとおっしゃっても、大臣の諮問機関でこういう議論が始まっている、実際にいろいろな議論がこういう形でやられ始めている。私は、震災五年目に当たって、本来であれば原発ゼロの方向に向かっていくべきときに、大臣の諮問機関でこういう議論が始まっているというのは大変な問題だというふうに思うわけです。

 そこで、もう一つお聞きしたいんですけれども、政府がいろいろな形で原発政策を進めていかれるということでありますが、原発あるいは核燃サイクル、こうした日本のさまざまな原発政策の土台にあるのが日米原子力協定だというふうに私は思っているんですが、この認識でよろしいでしょうか、大臣。

林国務大臣 日米原子力協定は外務省の所管でありますが、エネルギー政策の観点から申し上げれば、日米間の円滑かつ緊密な原子力協力を確保することは、エネルギー安全保障上極めて重要であります。

 したがって、その協力を推進するために日米原子力協定を適切に運用していくことが重要だと考えています。

藤野委員 しかし、日米原子力協定が二〇一八年にはいわゆる期限切れを迎えるということになっております。この協定をどうするかをめぐって、さまざまな議論がやられていると思っております。

 その議論の中でも最も焦点が当たっているのが、先ほど申し上げた日本のプルトニウム、ふえ続けるプルトニウムをどうするんだというところだというふうに認識しておりますが、大臣もこの認識は一緒でしょうか。

林国務大臣 プルトニウムは平和利用でいくわけでありまして、日米間の円滑かつ緊密な原子力協力を確保することはエネルギーの安全保障上極めて重要でありまして、政府としては、日米原子力協定を適切に運用して、この協定のもとで協力を推進してまいりたいと思います。

藤野委員 では、今、さまざまな議論の中で、サイドレターをつけるとかいろいろされているんですが、適切な協定というのはどのような中身だというふうに大臣は考えていらっしゃるんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 協定自身の交渉につきましては、これは外務省の方でやっておりますので、私の方から申し上げることはございません。

 今大臣の方から申し上げましたように、この日米原子力協定の適切な運用ということが原子力政策にとってもエネルギー政策にとっても極めて大切である、こういう認識のもとに、政府全体としてアメリカとの関係で取り組んでいる、こういうことを申し上げておきたいと思います。

 それから、ちょっと一点申し上げておきますが、先ほど、使用済みMOX燃料についてのやりとりの中で、私は、具体的な方法、場所は決まっていないと申し上げました。しかし、使用済みMOX燃料についても再処理をやっていくというのは我が国の政府の方針でありますので、誤解なきように申し上げたいと思います。

林国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、日米原子力協定は外務省の所管でありますけれども、エネルギー政策の観点から、我が国が輸入する濃縮ウランの約半数はアメリカに依存しております。こうしたウラン等の移転には原子力協定等の担保が必要とされておりまして、日米原子力協定は燃料調達等の観点からも重要と言えるわけであります。

藤野委員 しかし、アメリカ側からは大きな懸念も寄せられております。

 配付資料の五枚目を見ていただきますと、大統領補佐官、科学技術担当のジョン・ホルドレン氏は、日本は既に相当量のプルトニウム備蓄があり、これ以上ふえないことが望ましい、分離済みプルトニウムは核兵器に使うことができ、我々の基本的な考え方は世界における再処理は多いよりは少ない方がよいというものだと。

 あるいは、ジョセフ・ナイ、対日政策のプロですけれども、この方を含めた十四名の学者、研究者は、昨年九月に、日本は六ケ所の大型再処理工場の運転をまさに始めようとしています、米国のMOXプログラムを中止し、それによりプルトニウムには経済的価値がないと明確に示すことは、運転開始の決定を延期するように日本を説得する上で、米国をずっと有利な立場に置くことになります、こういう指摘をしているわけです。

 こういう意味で、相手方のアメリカからもこういう批判が出てきている。私は、この日米原子力協定は、きっぱり期限切れと合わせてやめるべきだというふうに思います。

 最後になりますが、ことしは、まさに原発事故から五年目の節目でありますし、チェルノブイリからでいえば三十年目の節目であります。原発は人間社会と共存できない、これが福島とチェルノブイリの教訓だというふうに思います。原発ゼロを決断すべきと強く主張して、私の質問を終わります。

高木委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 林大臣の所信に対する質疑をさせていただきます。

 大臣に質問するのは初めてですので、大臣御就任おめでとうございます。私の銚子第四中学校の七年先輩、郷土の誉れでございますので、しっかり質問させていただきたいと思います。

 大臣は、所信で、再生可能エネルギーについては、国民負担を抑制しつつ、最大限導入を進めますというふうに御指摘をされておりました。この再生可能エネルギーについて質問をさせていただきたいと思います。

 公明党の経済産業部会と省エネ社会推進本部合同で、二月の五日、菅官房長官宛て、そして十日には大臣宛てに、FIT法改正に関連しまして、再生可能エネルギー等関係閣僚会議を有効に活用するよう申し入れを行いました。

 申し入れの中で、「再エネ導入に向けては経産省、環境省、国交省、農水省等の複数省庁にまたがる課題が多く、省庁が強力に連携し施策を推進する必要がある。このため、ワンストップサービスの提供を目指して許認可手続きの簡素化・迅速化を図ること。また、再エネの適正かつ更なる導入促進に向けて、政府の司令塔機能を強化するとともに、再生可能エネルギー等関係閣僚会議を有効に活用すること。」ということをまず申し上げさせていただきました。

 この関係閣僚会議が昨日開かれたということで、これから動き出すんだと思いますが、昨日の関係閣僚会議でどういった方向性が示されたんでしょうか、まずお示しをいただきたいと思います。

林国務大臣 いろいろ激励をいただきまして、ありがとうございます。

 富田先生御指摘のように、再生可能エネルギーの導入拡大には、関係省庁の連携が不可欠であるというふうに認識をしております。そのため、再生可能エネルギー等関係閣僚会議を、御指摘のように、官房長官のもと開催させていただいたところでございます。

 きのう、まさにその第三回の会合を開催したわけでございまして、公明党の申し入れを踏まえまして、再生可能エネルギーの導入拡大を図る、このために、許認可手続の迅速化、規制・制度の改革、それから関係府省庁の連携によるプロジェクトの推進というのがまず第一点でございます。二点目は、総理が今月五日に表明しました福島新エネ社会構想の具体化でございます。三点目として、現在策定中のエネルギー革新戦略につきまして、関係大臣と連携して春ごろまでに取りまとめを行うこと。こういったことに対して、関係府省が協力して取り組みを進めていくことを確認したところでございます。

 経産大臣はエネルギー政策を所管する大臣でございまして、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、官房長官のもとで関係省庁の連携を図りつつ、引き続き責任を持って取り組んでまいります。

富田委員 ぜひ推進をしていただきたいというふうに思います。

 今大臣が言われましたけれども、許認可手続の簡素化等、大事な点が含まれていると思います。

 その中で、特に私は、今回、FIT法の見直しの法案が提出されておりますけれども、今後の法案の審議の中でも具体的な問題等を指摘させていただきたいと思いますが、この見直しのポイントの一つとして、地熱等のリードタイムの長い電源の導入拡大をどうやって図っていくかということが大事になるというふうに思います。

 その中で、まず地熱開発に関する自然公園法の規制改革につきまして、環境省を含めて質問したいと思うんです。

 二〇一一年の九月三十日に超党派の地熱発電普及推進議員連盟が設立されました。自民党の二階先生、民主党の増子先生を共同代表として、各党から参加して、大臣も当初一緒にシンポジウム等に行かせていただいた覚えがあります。僕は、この後質問されます田嶋先生も一緒に福島に行った覚えがあります。

 その地熱の議連で、二〇一二年の二月の十六日から二十日まで、アイスランドの地熱資源利用を現地調査してまいりました。当時のアイスランドの首相にもお会いしましたし、外務通商大臣等にもお会いして、どんなふうに地熱利用をしているか、また、レイキャビクの地熱発電所も視察をさせていただきまして、アイスランドでどういった形で地熱開発がされているかを見てまいりました。

 現地の担当の方といろいろ話していましたら、日本はどんなふうに地熱開発をしているんだと聞かれて、日本も地熱の熱源があるところは国立公園や国定公園が多いので、なかなか直接掘りができない、斜めから掘っているんだということを話しましたら、その場でいきなり笑われました。斜めから掘っていってどうやって熱源に当たるんだ、アイスランドでは真っすぐずっと掘っていって、熱源の近くになったら六方向、十二方向に斜めに掘っていってやっと当たるんだ、そんな斜めに掘っていたら一点しか当たらないんじゃないかということを言われたのを痛烈に覚えております。

 これを受けて、戻ってまいりまして、二〇一二年の三月十三日、超党派の議連から、当時の細野環境大臣と南川環境事務次官宛てに申し入れをさせていただきました。申し入れの主な点は三点あったんですが、まず、国立・国定公園の特別保護地区、特別地域を含め、どのエリアでも地表調査を行えるようにしてくれ、二点目として、現在開発が計画されている地域を念頭に、先行事例として、国立・国定公園の第二種、第三種特別地域の中からの垂直掘削と地熱発電所の設置が可能となるよう、関係省庁と協力して、優良案件の形成に努めてもらいたい、そして三点目として、国立・国定公園の特別保護地区及び第一種特別地域の外からの傾斜掘削については、今後の検討課題とすることを明記してもらいたいというような申し入れをさせていただきました。

 これを受けて、環境省の方で規制改革に関する通知を出していただいたんですが、環境省、これはどういう内容でしたでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 平成二十四年三月の超党派地熱発電普及推進議員連盟の地熱開発に関する申し入れを踏まえまして、二十四年の三月末に通知を発出しておりますが、一つは、それまで開発が制限されていた国立・国定公園の第二種、第三種特別地域内における地熱開発について、自然環境と調和した優良事例であれば認めること、さらに、特別保護地区及び特別地域の地表調査については、地表部に影響がないことを個別に判断して認めること、そういう内容の通知でございます。

富田委員 その後、環境省の方でもいろいろ審議会等に諮っていただいて、昨年の十月にも地熱開発に係る新たな通知を発出していただきました。これはどういう通知でしたか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 その後、環境省として、検討会を設置して議論を重ね、昨年の十月に、地元の合意形成が図られることを前提といたしまして、一つは第一種特別地域について、地表への影響がないこと等を条件に地下部への傾斜掘削を認めることといたしました、さらに地熱発電に係る建築物の高さ規制について、風致景観との調和が図られる場合には、十三メートルにとらわれずに運用できることを明示する、そういうさらなる規制緩和を行ったところでございます。

富田委員 超党派議連の申し入れをきちんと真摯に検討していただいて、規制改革をしていただいたことは本当に感謝申し上げます。この二つの通知によって、かなり地熱発電について開発が進んでいくというふうに思います。

 実は安倍総理が、去年の五月の三十一日、日本の地熱発電所で最大の出力六万五千キロワットを誇ります福島県柳津西山地熱発電所を視察されております。視察の後、総理はこんなふうに決意表明をされました。地熱発電が持っている大いなる可能性を日本として生かしていかなければならない、そのためには、日本全国において地熱開発のための補助率を引き上げます、地元やあるいは自然への配慮を前提として、規制緩和を行ってまいります、温泉事業者の方々の不安に応える財政支援を導入してまいります、この三点を総理の方で決意表明されております。

 総理がこのように言われていますし、きのうは関係閣僚会議が開かれたということで、総理のこういう発言を受けて、林大臣としては具体的にどのように取り組まれますか。

林国務大臣 今、富田先生御指摘の、総理の昨年五月の柳津西山地熱発電所視察の際の決意表明についての対応でありますけれども、まず経産省としては、その総理指示を踏まえて、具体的な取り組みを進めているところでございます。

 第一に、大規模開発を推進するため、地熱資源量を把握するための掘削調査への補助率を、平成二十八年度から、今まで二分の一だったものを四分の三に引き上げるというのが第一点でございます。

 第二に、地熱開発が原因で温泉の湧出量が減少したという例はないんですが、温泉事業者の方々の不安に応えるために、万が一そんなような状態が生じた場合には、かわりとなる温泉井戸を掘削する際の費用を国が全額補助するということにしました。

 また、環境省において、昨年十月に、国立・国定公園内において開発し得る地熱資源の範囲を広げる規制緩和を実施いたしました。今後は、その運用基準が明確になるよう環境省に働きかけてまいりたいと思います。

 加えて、地元理解を得ていくことが必要でありますから、まず、自治体等への地熱開発の技術面、安全面の情報提供、そして自治体間での地熱開発の好事例の共有にしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

 引き続き、自治体も含めた地熱発電の関係者が一体となって、我が国の地熱資源の最大限の有効活用が実現するよう、政府としても全力を挙げて推進してまいります。

富田委員 ぜひよろしくお願いします。

 資料をお配りしているんですが、資料一で、「リードタイムの長い電源(地熱等)の導入拡大」という経産省の資料を配付させていただきました。これを見ますと、地熱の開発は事業化を検討開始してから実際に運転が始まるまで十三年近くかかる。この図の真ん中の2、「環境アセスメント手続きの迅速化」で、「通常三、四年かかるとされている環境アセスメント手続き期間の半減を目指す。」というふうにされていますが、これは半減を仮に実現したとしてもまだ十年以上かかるということになります。

 実は昨年の十月、イタリアのトスカーナ州にありますラルデレロという地熱発電所を民主党の増子先生と一緒に視察してきました。当然自費で行ったんです。ここを強調しておきたいと思います。

 このラルデレロの地熱発電所は、世界最古の地熱発電所です。一九一三年から発電を始めまして、当時二百五十キロワットの発電に成功した。今でもずっとやっている。

 このラルデレロの発電所を経営していますエネル・グリーン・パワー社の所長さんにお話を聞いたんですが、このエネル社は、北米、南米、アフリカ大陸でそれぞれ地熱発電所を経営しています。御自身の経験から、例えばアメリカでの地熱発電の開発には、掘削二年、発電所建設二年、全て五年間でできたというふうに説明をしていただきました。また、チリでは、二〇〇九年に掘り始めて、二〇一〇年にマグマだまりを見つけた、二〇一七年から発電開始の予定だ。こういうふうに、世界でいろいろ頑張っている会社のこれを見ると、五年から六年で、最初から実際に発電するまでの期間がこういうふうな形になっているんですね。

 日本の場合、十三年というのは余りにも長過ぎると思うんですが、もう少し経産省の方で力を入れるなり、地表調査とか掘削調査の期間が短くなるような何らかの支援をするとか、このリードタイムをもう少し短くするような方策というのは何か経産省の方では考えていないんでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 地熱発電の開発期間は大変長くなっているわけでございますが、これを短くしていくためには、今御指摘ございましたように、一つは環境アセスメントを短縮していくということで、この手続の迅速化、例えば今まで百五十日くらいかかっていた審査期間を四十五日程度に短縮するとか、あるいは環境影響調査の前倒しといったようなことをやっていかなければならないと思います。

 ただ一方で、それだけでは今おっしゃったような短縮というのはなかなか困難でございますので、あわせまして、地熱開発の多くの時間を占めます掘削の期間の短縮、あるいは調査期間の短縮ということに取り組まなければならないと思っております。

 そのためには、地下数千メートルの地熱の分布をより正確に把握して、調査、探査の成功率を高めるということが一つございます。それから、掘削機器の先端部分の強度を高めて、これで掘削速度を速めるといったような技術開発、こういったようなものも重要だろうというふうに思っております。

 それぞれ、私ども経産省の方で、こういった調査あるいは研究開発といったものをバックアップして、地熱発電の開発期間をできるだけ短縮していくといったようなことに取り組んでまいりたいと思っております。

富田委員 ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、先週、三月二日に、公明党の経済産業部会で福島第一原子力発電所を視察させていただきました。委員長、私、そして中野委員と三名で行かせていただいたんですが、一年半前に委員会として視察して以降、久しぶりに伺ったんですけれども、本当に汚染水対策が進んでおりました。

 資料の二として、そのときに経産省からいただいた敷地内配置図というのをカラーでお示しさせていただいておりますけれども、地下水バイパスとかサブドレーンが本当にうまく機能して、流れ込んでくる水の量も半分ぐらいに減ってきた、また、凍土遮水壁も全部設置が完了していて、これから動かしていくんだというようなお話でした。

 ただ、この配置図を見ていただいてわかるように、左側にタンクがかなりの数で並んでいるんですね。入っていきますと、本当にこのタンクの数に驚きます。汚染水対策が進めば進むほど、セシウムとかそういうのを全部除いていっても、トリチウムの入った汚染水がこれだけタンクとして並んでいる、ここをどうにかしなければなかなか大変だなというような印象を持ちました。

 今、このタンクの状況がどうなっているのか、資源エネルギー庁としてはどのように把握しているんでしょうか。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 本年二月末の時点で、汚染水を浄化いたしました水を貯蔵するためのタンクの総容量が約八十四万トンございまして、このうち約七十八万トン分の貯水を行っておりますので、現在六万トン分の余力がある、そういう状況になっております。

富田委員 余力があるという話じゃなくて、現場では三日ぐらいでタンク一基がいっぱいになるということですので、このまま放置していくと、ずっともうタンクだらけの福島第一原発になってしまうと思うんですね。

 経産省としても、トリチウムを除く技術開発について公募をしたり、いろいろ取り組んでいると思うんですが、この点については今どんな状況にあるんでしょうか。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 福島第一原発の汚染水を多核種除去設備、いわゆるALPSで処理をいたしました後に残ります水素原子の放射性同位体でありますトリチウムを含む水、いわゆるトリチウム水の取り扱いが課題の一つであるということは十分に認識をいたしております。

 現時点では政府としての方針を何ら決定しているという状況にはございませんけれども、まずは、原子力災害対策本部のもとに汚染水処理対策委員会という専門家の場を設けまして、その下にさらにトリチウム水タスクフォースというものを設けまして、そこにおいて、このトリチウム水の取り扱いに係るさまざまな技術的な選択肢についての検討を行っております。

 また、そのほか、分離技術等につきましても、これは国の補助事業としてトリチウム分離技術実証試験事業というものを実施いたしておりまして、こういう中で、国内外の事業者に対して補助事業を行い、さまざまな技術の検討を行っているということがございます。

 それを踏まえまして、こちらはロードマップの方にも盛り込んでおりますけれども、二〇一六年度上半期までに、その長期的取り扱いの決定に向けた準備を開始していくという方針を明らかにしておりまして、漁業関係者を含む関係者の御理解もしっかりと得ながら検討を進めていきたい、かように考えております。

富田委員 今、最後に漁業関係者の御理解を得ながらという発言がありました。今後、このトリチウムが含まれた水を除去していった上でどうするのかという問題もあると思いますので、漁業に関係する皆さんは大変心配されていると思います。ぜひ、資源エネルギー庁も、東電任せにしないで、そういった取り組みをしっかり行っていただきたいと思います。

 ぜひ委員長にもお願いしたいと思いますが、委員会として第一原発を視察していただいて、今回行きまして、やはり働いている皆さん、議員が視察に来てくれるということを大変ありがたがっていました。今回、大型休憩所もできて、そちらで食事をさせていただいたんですが、前回から比べると本当に廃炉対策に向けての準備ができてきたなという感じを受けていますので、委員会としても、今後もしっかり取り組んでいただきたいということをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高木委員長 ただいまの件は、引き続き理事会で協議をさせていただきます。

 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。午前中最後です。

 あと二日で三・一一、五年ということでございます。きょうは、そういうタイミングでもございますので、改めて福島、被災地、東北全般の皆さん、被災地の皆さんのことを頭の隅に置きながら質問をさせていただきたいと思っております。

 質問通告はございませんが、大臣は就任されてから福島には入られましたか。

林国務大臣 三回ほど福島を訪問しております。

田嶋(要)委員 大臣は、御地元も津波の被災地でもございますし、本当に御苦労されておると思いますが、三回行っていただいているということ。これは、政治家は形だけで行くというようなことで批判されることもあると思うんですが、私は、今の富田先生の御発言でもございますとおり、やはり現地に行くことの大切さということを身にしみて思っております。

 私の地域から、御地元の方も、最近被災地を見に行きたいと言って行かれて、南相馬までわざわざ自動車で行って、やはり人けのない町とかを見ることによっていろいろ思うところがある。私の地域にも、福島から逃れてこちらに住んでいらっしゃる方は大勢いらっしゃいます。

 そういったことで、一般の方にとってもそうでございますし、いわんや我々国会議員、特に内閣の皆さんにとっては、これからも努めて現地に行くということを旨としていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それで、きょうは所信に対する質疑ということでございますので、この大臣の所信、改めて文章を読ませていただきましたが、大臣、所信というのは誰に向かって発信しているのかということですが、これは、国会議員が聞いているわけでございますけれども、それだけではなくて、国際社会に対して、御自身のあるいは政府のスタンスというのを明確に、高らかにうたい上げている、発信しているものだというふうに私は思っておるんですが、大臣はどういう認識ですか。

林国務大臣 田嶋先生がおっしゃるとおりでありまして、国会から国民、そしてまた国際社会に発信しているというつもりでございます。

田嶋(要)委員 そういうお考えのもとに所信を表明されたということで、安心すると同時に、この文書を読むと、本当にそんなことを言っていいのかなとか、ちょっと言い切るのは無理じゃないかなとか、余り論理的じゃないような記述があるものですから、私なりの思いですよ。それは、いろいろな役所が束になって、特に総理なんかのときもそうでしょうけれども、寄せ集め文章というか、もう一度虚心坦懐に読み通してみると、余り論理的じゃないようなところがやはり散見されるんですね、無理もないのかもしれませんが。そういう思いでちょっと質問させていただきます。

 まず、二ページのところに、アベノミクスのもとでというような話で、先ほど近藤先生からも、初めてここで、実感がないという声もあるのも事実だということをお認めになった、過去にはこういうのがなかったそうでございますが。

 最初に、大臣に御認識を、これは大臣が読まれているんだから、事務方が作文しても、読んでいるのは大臣ですから、大臣がわかってなきゃおかしいですよね、お伺いします。

 原油価格の下落にもかかわらず、経済の好循環は着実に回り始めていますとおっしゃるんですが、原油価格が下落するということはどういうことなんですか。逆に言えば、原油価格が上がる下がるは経済の循環とどういう関係にあるのかということを御答弁いただきたいと思います。

林国務大臣 もう先生御案内のとおりですけれども、プラスとマイナスの影響があると思っていまして、原油の大部分を輸入する我が国の経済にとっては、原油価格の下落はプラスの影響もございます。

 例えば、昨年の原油、LNG等の輸入金額は対前年比で九・五兆円減少しておりまして、貿易収支の改善につながっております。

 ほかにも、燃料価格が下がることなどによりまして支出が抑えられることで、中小企業も含む企業収益や家計所得を実質的に押し上げる効果も考えられます。

 また一方で、マイナスの影響もございまして、既に昨年一年間で世界の石油、天然ガス開発への投資額が約二割減少している。将来に向けた石油、天然ガス開発が世界的に停滞しておりまして、将来的な需要増に伴う原油価格高騰リスクが指摘されているところであります。

 また、原油収入に依存する産油国の財政リスクを高めておりまして、アメリカ株式市場を初めとする世界の株式市場の下落要因にもなっているという指摘もございます。

 いずれにしても、原油市場の情勢と、世界経済、日本経済への影響を注視してまいりたいと思います。

田嶋(要)委員 注視するのは結構なんですけれども、上がる下がるがいろいろな複合的な影響を及ぼすと、前半と後半に分けて今御説明をされました。であれば、ここの書きぶりとして、原油価格の下落にもかかわらず、経済の好循環は着実に回り始めていますというのは、何か私は変な感じがするんですよね。

 特に、先生の御地元に銚子がありますよね、漁業の方々、皆さん、燃料の関係では悲鳴を上げていると思うんですよ、原油価格が上がれば。だから、私から言わせれば、原油価格の下落は、今の大臣の御答弁の前半、すなわち地域の中小企業、多くの方が輸入の油に頼っていて、むしろうれしい話だと受けとめている人が多いんじゃないかな、私はそう感じるんですね。

 これは作文をちょっと早まりましたですかね。何でこういうふうに書くのかな。こんなふうに論理が確実につながる話なんでしょうか。私は全くそう思わないんですけれども、大臣、これは変だと思いませんか。

林国務大臣 先ほども答弁したように、プラス面とマイナス面があるわけでありますから、それは双方につながることだと思っております。

田嶋(要)委員 だから、答弁ではそうおっしゃっているのに、文章はそう書いていないんですよ。

 これは、先ほど言ったように、国際社会に大臣の御認識を発信している場ですから、だから、我々国会議員だけが聞くんじゃなくて、世界の人が注目をして、大臣はどういうお考えなのかな、今の経済認識、アベノミクス。

 そして、原油の価格が下落しているにもかかわらず、経済の好循環は着実に、これは一般の中小零細企業の人からすれば、逆じゃないかな。原油の下落によって喜ばしい面も当然あるわけでありますよね。そこは十分御認識の上、最終チェックに臨んでいただきたいんですよ。行政の皆さんがちょっと短絡的にこうだからこうという論理構成は変だと私は思っております。

 そこで二点目ですけれども、大臣、先ほども近藤先生から出ていましたけれども、ここに書いてある、ようやく認めた、地方や中小企業を中心に、いまだ実感がないとの声があることも事実、非常に控え目な書き方なんですが、こんな控え目な状況じゃないと私は思っているんですよ。

 私は先生のお地元の銚子に結構行くんです。風力発電の関係で行くんですけれども、まあ、しいんとしていますよね。先生の方がよっぽど詳しいと思いますよ。こういう、何か遠慮がちに、好循環は着実に回っているけれども、しかし実感がないとの声があるという書きぶりなんでしょうか。私は、実感があるなんという声はほとんどないんじゃないかなと。それが正確な書き方じゃないんですか。

 お配りしている資料をごらんください。

 全国の数字がこの表の一でございます。そして、千葉県の表が次のページでございます。

 先ほどどなたかの御答弁で、大臣は、地域、分野、事業所規模によってもばらつきがあるとおっしゃいましたけれども、二ページの千葉県の地域、分野、事業所規模というのはまさにここなんですよ、都道府県DI、業界DI、規模別DI。こうやってやっているから、先ほどのような、要するに役所の方の準備された作文の文言はそういう意味だと思うんですが、ばらつきはないんですよ。みんな悪い。ばらつきなんてないんです。みんな悪いんです。千葉県の先生の選挙区も含めて、これは一色悪いんですよ。だから、こういう書きぶりは、認識として、この大臣はわかっているのかなというふうに世界が思うんじゃないですかね。失礼な言い方かもしれません。

 役所の準備の仕方が余りにも、まだ非常に、何というか、まだアベノミクスはいいけれどもというふうな感じで、ちょっと空元気を出しているような感じがするんですけれども、大臣、改めて、御自分の選挙区に帰られると思うんですけれども、どういう認識をされていますか。そこがずれていると、対策も後手に回ると思うんですよ。いかがですか。

林国務大臣 私は地元が銚子なんですけれども、銚子は地方都市の一つなんですが、言ってみれば、結論から言うと、アベノミクスは着実に波及しているのではないかというふうに思います。というのは、業績が非常によくて好調であるという人も現実にいるんですよ。例えば、千葉県の建設業の有効求人倍率は四倍を超えています。

 また一方、分野、事業者の規模によってばらつきがあるというのは、言ってみれば、銚子でいえば農業だとか漁業だとかもそうですけれども、まだまだ非常に厳しいというのも実態で、事実なんですね。ですから、そういう中で、銚子地域の有効求人倍率は現在〇・八二で、極めて悪いです、そういった意味では。しかし、安倍政権発足時の〇・七四と比べれば上昇しておりまして、全国平均の一・二八を下回っています。千葉県では、先生御案内のとおり、一・〇七でございます。

 地域経済にアベノミクスを波及させるためには、地域を支える中小企業の活性化が不可欠でありまして、いろいろな政策資源を投入して支援をしていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 先ほども出ましたけれども、失敗ということを認めるかどうかはともかく、余り空元気みたいなことを続けていると、本当に対策が鈍るんじゃないかと私は心配なんですね。それはいい会社もありますよ。だけれども、木を見て森を見ずになっちゃいけないと思うんですね。やはり、全体としてはこういう統計データが雄弁じゃないですか。五〇を全然下回っているんですよ。これは五〇が境目ですね。五〇が境目で、景気がよくなる、悪くなる。ずっと四〇台で、しかも、だんだん数字がさらにちっちゃくなっていく。

 大変厳しい状況にあるんじゃないのかなというふうに私は考えるわけでございますので、少し悲観的に見ていた方がいいんじゃないですか、大臣は。銚子はいいよ、いい会社がたくさんあるからなんて思っていたら、これは絶対失敗しますよ。だから、厳しい厳しいと言っているのが一般の多くの声なんだ。これは与党の先生からの発言でもたくさん出ています。地元の、首都圏の千葉県でも同じだと私は考えております。

 それでは、二点目でございますけれども、所信の一ページ目に戻らせていただきます。

 一番最初に、先ほど言った、初めに、福島第一原発の廃炉・汚染水、こうやって福島のことを書いていただいたのは、スタンスとして私は正しいと思います。もうすぐ、あと二日で五年でございます。そして、これを経産省が担うべき最も重要な課題、そのように言い切っていただきました。大変ありがたい、大事なことだというふうに思います。

 そこで、私は思うのでございますが、お配りした資料の三をごらんください。二十五年三月二十五日付の福島県議会議長からの意見書です。

 私も現地の本部長を三カ月やらせていただきましたけれども、現地にいればこれが当たり前ですね。これが県民を代表する議員たちの声、つまり県民の声ということで、この事故を契機に大転換が必要だ、全基廃炉、そして脱原発によるエネルギー政策の転換を図る。上から五段目、さらにのところですが、エネルギー政策の転換を図る、新しいエネルギー社会構築の柱となる再生可能エネルギーの導入と。

 先ほども、大臣、今度また新しい動きが政府の方で再エネに関してはあるということで、結構なことだと思いますけれども、やはり原発に関しては、当事者は、福島の皆さんの大変苦しんだ当事者の方々はこれが素直な思いだと思うんです。だから、大臣は、冒頭にこうやって、廃炉・汚染水、福島の復興は最も重要な課題というふうにおっしゃるわけでありますが、私は、やはり、この原発事故という人災と向き合って、福島県民の気持ちに寄り添う姿勢、すなわち、原発の利用をとめていくという決断こそ最重要なのではないか。そこがないと、ほかのことを一生懸命福島についてやるといっても、本当に福島の、こういった県民の気持ちに寄り添うことにはならないんじゃないかな、私はそのように思うわけでありますが、大臣はいかがですか。

林国務大臣 所信で申し上げましたとおり、福島第一原発の廃炉・汚染水対策と福島の復興は、経産省が担うべき最も重要な課題だというふうに認識をしております。

 まず、福島第一原発の廃炉・汚染水対策を安全かつ確実に進めること、二点目は、福島の住民の方々の生活の場と働く場を確保すること、三点目は、福島を未来の新エネ社会のモデルに創出する拠点とすること、これなどについて、県民の皆様のお気持ちを考えながら、真剣に取り組んでいるところでございます。

 五年前にこの事故という経験をいたしまして、先ほども答弁いたしましたけれども、安全神話に基づく原子力に安易に依存してはならないという教訓は得ましたけれども、やはり、先ほどから答弁しているように、原子力発電への依存度は可能な限り低減させるという目標を掲げておりますけれども、ゼロにはできないということでございます。

 我が国を取り巻くエネルギー環境に目を向けると、どうしても考慮しなければならない課題がございます。

 国内の原発が事故後、全て停止しておりまして、火力発電の依存度が九割にもなってしまいました。停電がないから何とかなっているじゃないかというふうに思いがちですけれども、これからどういう状況に、供給がどういう形になるかはまだわかりませんし、トラブルが多発すれば停電が起きる可能性も十分あるわけでございまして、そういった脆弱な状態になっております。

 第二に、化石燃料の輸入がふえたことによって、電気料金が家庭用で二五%、産業用で四〇%程度上昇しているということでございまして、国民生活にも、あるいは中小企業を初めとする産業も圧迫してくるのではないか。

 第三に、やはりCO2の排出量が、震災前に比べて、年間約〇・八億トンふえている。これは日本国内の総排出量を約六%押し上げているというふうになっているわけであります。

 こういう課題を踏まえて、原発への依存度は可能な限り低減させますけれども、まず安定供給の確保、そして電力コストの引き下げ、CO2排出の抑制の三点を実現しようとすれば、先ほどから申しているように、原子力への依存度をゼロにすることはできないのでありまして、責任あるエネルギー政策を実行できないということになりますので、こういう形で取り組んでいるところでございます。

 もちろん、安全性は最優先でありまして、原子力規制委員会によって再稼働に求められる安全性が確認された原発についてのみ、地元の理解を得ながら、再稼働を進めるということにしているところでございます。

田嶋(要)委員 もちろん、温暖化のような、私も大臣と共有する将来懸念はございます、それはいろいろ考えて知恵を絞らなきゃいけないんですが。

 この所信の中で、冒頭一番に大臣が、福島の復興は経産省の最重要だ、こういうふうに言い切るのであれば、震災直後に出た、こうした意見書の福島の県民の思い、この思いに寄り添うことが政治の姿勢ではないかと私は思っていて、見た目、物理的にどれだけ復興しようとも、原発、原子力政策に関する国の方向が、この意見書に書いてあるような大転換を行わなければ、本当の意味で、復興に力を入れて最重要で頑張っているというメッセージにはならないんじゃないか、苦しんでいる人に報いることにならないんじゃないか、私はそう思うんですよ。思いませんか。

林国務大臣 福島の方々の意を酌みつつ、寄り添って対応していくというのが基本でございまして、その辺で若干先生とは意を異にするところはありますけれども、進めていくところは、福島県民の意を体して取り組んでいくということでございます。

田嶋(要)委員 所信の十一ページにまたちょっとひっかかるくだりがあるんですけれども、資源に乏しい我が国が、経済性、気候変動の問題にも配慮しつつ、エネルギー供給の安定性を確保するためには、原子力はどうしても欠かすことができません、こういう論理というのは本当に成り立つんですか。

 資源に乏しい我が国にとって原子力はどうしても欠かすことができません、何でこんなふうに断定できるのか、私には理解できないんですよ。資源に乏しい国はたくさんありますよ。だけれども、原子力がどうしても欠かすことができないと何で言い切るのか。

 そこまで事務方が大臣に言わせようとして、大臣はそれをおっしゃられたわけでございますけれども、なぜこういうことが論理的に言えるんですか。

林国務大臣 先ほどから答弁しておりますけれども、エネルギー政策の観点から、経済性を確保しつつ、安定的に供給できるエネルギー源がどれだけ確保できるか、これが重要でございまして、そういった意味で、エネルギー源が国内で十分に確保できていない状況を指して、資源に乏しいということを申し上げたものでございます。

 現時点では、我が国は、石油や天然ガス、石炭など、化石燃料のほぼ全量を海外に依存しなければなりません。また、自然エネルギーについても、例えば、木材などのバイオマスは国内に豊富に存在するものの、低コストな形で活用するためにはまだまだ多くの課題が残されております。

 といった状況もございまして、化石燃料、自然エネルギーを含めたエネルギー全体について、我が国は資源に乏しい状況にあると認識しているところでございます。

田嶋(要)委員 余り思い込みで決めつけない方がいいと僕は思うんですね。資源に乏しい我が国は当面原子力がどうしても欠かせないとか、まだそういう表現だったらわかるんですよ、現実的に見ているなと。だけれども、私は、逆にこんなふうに思い込みの文章を大臣が世界に発信されたら、ほかのオプションを真剣に考える危機感が持てないと思うんですよ。

 現に、高度経済成長時代に原発がふえていって、例えば賦存量の多い地熱発電なんかは新規が全くできなかった。その一つの背景は、先ほど富田先生がおっしゃられたような規制の問題もありますが、四番バッターが余りにも強力だから、みんなそれに頼ればいいというマインドができちゃう。一基建てれば百万キロワット、もうそれで楽勝ということで、ほかのいろいろな技術を伸ばす余地が小さくなってしまったんじゃないか。それは風力だって、地熱だって、小水力だって、そうだと思うんです。

 しかし、今、こういう事故が起きて、そして同時に、いろいろな技術分野でのイノベーションが進んできております。

 私は、そういう意味で、大臣に、一言こうやって、また資源に乏しい我が国とおっしゃっていますけれども、資源というのは、一体何を定義されているのかということを教えていただきたい。

林国務大臣 先ほどの繰り返しになるんですけれども、やはりエネルギー源の大半が今は化石燃料なんですね。ですから、その全量を海外から輸入しているということを考えれば、我が国は資源に乏しいということが言えるのではないかというふうに思っております。

 そういった意味で、我が国資源の木質バイオマスの発電やら、水力やら、あるいは風力やら、それはどんどんこれからも進めていくという姿勢には変わりありません。

田嶋(要)委員 姿勢は評価を申し上げたいんですが、私は、資源に乏しいではなくて、資源の可能性を十分手に入れてこなかったというか、やはり我々の、日本の持てる資源を十分生かし切ってこなかった日本というのが正直なところじゃないかなと思うんですね。

 お配りした資料の四をごらんください。

 これは有名になった増田レポート関係でございますけれども、消滅可能性自治体。先生のところでいくと、成田市以外は全部色塗りですね、もうよく御存じのとおり。人口消滅の町の集積みたいになっちゃっているわけですね。大変厳しいですよ。

 私はこれを踏まえて、日本を今後どうしていくか。房総半島だけ見たって、ほとんど外房はこういう状況ですね。一番余裕があるのは、空港のある成田と、ディズニーランドのある浦安と、火力発電のある袖ケ浦、それから南房総だと、亀田病院のある鴨川、非常にわかりやすい形になっているわけで、これを見て、どうやって、まさに地域を本当に元気にしていけるのか、いくのかということを考えなきゃ私はいけないと思っています。

 次の五ページをごらんください。

 資源の代表格が日本の森ですよ。先ほどもバイオマスのことを言われましたけれども、日本というのは、僕も政治家になる前はこういうことかというのは知らなかったんですけれども、日本というのはやはり森がすごいんですね。比率が世界第三位のみならず、戦後一生懸命植林をして、日本の森の賦存量、そして、森ですからどんどん成長します。一年間に一億立方メートルずつ森が大きく育っている。ということは、ほかの有限資源と違うのはずっと使えるんです、うまく育てていくことで。持続可能なんですね。

 だから、大臣がこの中で言われている資源の乏しい我が国の、多分、資源は化石資源のことを中心に言われておりますが、もはや資源の定義は広がっている。当時は化石資源しか使えるものがなかったからそういうことになっているけれども、よくよく考えたら、昔の木の、炭の文化から始まって、日本の森の資源、それもあるし、今は都市部におけるごみだって資源なんですよ。ごみ処理場なんて海外では言わない。資源をエネルギーにしていくエネルギー製造工場なんだ、そういうことも言われて、はっとすることもあるわけであります。

 そういう意味で、私は、大臣に、今の厳しい銚子、房総半島の状況なんかも見て、どのようにして、この地域活性化として分散型エネルギーの推進、私たちが言っているところの推進を活用できるか、これが、私は非常に大事なことになっていくのではないかというふうに思っております。

 次の六ページをごらんください。

 私たち民主党は、昨年国会に分散型エネルギー利用の促進に関する法案を提出させていただきました。今回も、一度廃案になりましたので、もう一度出させていただく予定でございますが、大臣、私が危機感を持っているのは、全国を回りまして、北海道の下川町、それから先日は山形市にも行ってまいりました。全国を見てまいりまして、昨年はデンマークにも自費で行ってまいりました。そういういろいろなところを見る中で、つくづく思うんだけれども、やる気のある首長のところはもうやっているんですよ、こんな法律がなくたって、やる気のある首長のところは。しかし、それでは跛行性が起きるわけです。そして、日本の持てるポテンシャルを最大限全国で力を発揮させるためには、やはりトップダウンと申しますか、ある意味の法律というものをつくると、県の職員も突然目の色を変えて動くというのは世のならわしだと思うんです。

 そういう意味で、こういう法律をつくって、分散型で、それぞれの地域の持てる資源は何なんだ、そういうことを考えるきっかけをつくるのは何より大事。銚子にとっても、そして成田にとっても大事だと私は思っておるんですね。

 次のページも参考でごらんください。

 七ページの資料は林野庁の資料です。もう、これは言い古されていることでございまして、里山資本主義なんという言葉もあります。今までの地域外の大規模発電、これは、典型的には、福島で百万キロワットつくって千葉の人たちがその電気を消費するだけの側にあるという、まさに供給と消費が分断されて、一体どういう御苦労があって遠いところで電気ができているかということを使う側も一向にぴんとこない、そういう時代から、今はテクノロジーの発展のおかげで、地域の分散型のエネルギー供給がさまざま可能になってきた。その代表格が、先ほど言った国土の七割を占める森をもっと生かせる木質バイオマスもやれるんじゃないかということでございます。

 次のページが資料八、今度は、これは総務省です。

 総務省からもこういう資料をいただいておりまして、関係省庁のタスクフォース、エネ庁が入っていてほっとしましたけれども、とりあえずこういうのも去年八月にできたそうでございますが、まさにこれこそが、今まで何にもないと思っていた、例えば農村部に物すごく、足元に資源があるということを発見し、風がある、川がある、そして地熱がある、あるいは森がある、それで自分たちのところでどれぐらい自給ができるかということをみんなが競うようにして、まずは定量化が必要だ。そして、前のページに戻っていただいて七ページ、ポイントは、そうすると産油国に払っていた燃料代が節約できるんです。そんなことは当たり前のことじゃないですか。

 だから、冒頭、私は質問しました。原油が上がるか下がるかということに振り回されない強靱な地域経済をつくっていくために、額はわずかかもしれないけれども、住んでいる人もわずかな地域がこれからふえていく中で、インパクトはでかいですよ。岐阜県の石徹白というところもありますね。そこも百世帯のほぼ全てが出資者になって小水力をやっている、こういうところもあるわけであります。

 大臣、大変な房総半島の状況も踏まえて、こうやって所信の中で、原子力はどうしても欠かすことができないとか、アベノミクスは基本うまくいっているけれども届いていないところもあるとか、そういう何かちょっとずれた記述で御自身を信じ込ませるんじゃなくて、この現実を人口減少社会の中でどうやって乗り越えていくか、私はこれが切り札だと思っているんです。

 総務省も真剣、林野庁も真剣。だけれども、本家本元の経産省は、火力と原発を所管しているがゆえに、ここに関する力がどうしても鈍っているんだと私は思うんですよ。今まで、エネルギー政策は集中型国家戦略でやってきたから。

 だけれども、今や農村部で、分散型で取り組みが物すごく広がっているんです、全国、北は北海道から南は沖縄まで。このことをまずよく知っていただいて、福島に行くだけじゃなくて、お忙しくなると思いますけれども、全国を見に行っていただいて、そして、これをやってほしいんですよ。どうですか。

林国務大臣 田嶋先生からもちょっと発言がありましたけれども、今、銚子市でも風力発電をやっていますし、成田市や香取市では、自治体の出資によって地域電力会社を設立して、そしてごみ処理発電や太陽光発電からの電力を地域で活用するという取り組みが計画されておりますので、しっかり応援していきたいな、支援していきたいなと思っております。

 再生可能エネルギーなどの分散型エネルギーは、エネルギーの効率的利用やエネルギーシステムの強靱化、あるいは地産地消による地域活性化に寄与するものとして重要でございまして、エネルギー基本計画においても利用を促進することとされております。

 このため、経産省では、再生可能エネルギー設備やコージェネレーション等の分散型電源の導入支援や、先導的な地産地消型エネルギーシステムの構築支援など、政策を進めているところでございます。

 分散型エネルギーは、地域の特性に合わせた形での普及拡大を図ることが重要でありまして、例えば事業者が地元自治体と連携し、地域に根差した取り組みを進める場合に、より手厚い支援を行うなど、今、工夫を行っているところでございます。

 こういった分散型エネルギー政策の重要性については田嶋先生とも認識を共有しておるというふうに考えておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

田嶋(要)委員 共有する部分もございますけれども、原子力はどうしても欠かすことができませんなんというふうに思い込まずに、ひょっとしたら化石も原子力もなくすことが日本もできるかもしれないぞ、そういう高い目標を掲げてやってほしい。デンマークは確かに五百六十万の人口ですよ。だけれども、状況が違うから日本は絶対無理だなんて最初から思わない方が私はいいと思う。

 私は、今の地域の動きを全国に行って見てきますと、山形の知事も森林(モリ)ノミクスと言っていますよ。成田それから香取の動きに大変注目して、私も今度行こうと思っています。銚子も頑張っている。そういうのを見ていると、総務省や林野庁が先行しちゃっている感じがしますよ。お株をとられますよ、本当に。経産省が余り集中型にこだわるといけないという懸念もございます。

 地域がそれぞれ自分たちの地域、足元を見直す取り組みが今全国で広がっている、ぜひそのことを一生懸命経産省にバックアップしていただきたい、そのことをお願い申し上げます。

 次の質問でございますけれども、これは所信に記述が明確にはございませんが、では、国内の新規の石炭火力の計画でございます。

 これは、いろいろと去年ございました。そして、かなり経産省と環境省の間でスタンスのギャップがあり、日本の国内でもう石炭も難しいんじゃないかというのが国際世論だったというふうに思います、かなり批判もあったと思いますけれども。その後、新聞記事等によりますと、何となくすっと話が合意に行ったというような感じで、私の受けとめは、何か環境省が腰折れしたのかななんて思っていたら、そうじゃないという話も環境省からありましたけれども、その経緯と合意内容を簡単に御報告ください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 決してすっといった話ではなくて、本来であれば経緯を事細かく御説明申し上げたいんですが、時間の関係で簡単に申し上げます。

 御案内のとおり、昨年の七月にエネルギーミックスを含む長期エネルギー需給見通しを決定しました。これを受けて、翌日に、電力業界が自主的枠組みというものを公表しました。

 私どもといたしましては、この公表につきましては歓迎しながらも、他方で、政府としても補完的な取り組みが必要じゃないか、こういう認識に立ちまして、同じ十七日に、省エネ法に基づく措置につきましての検討を始めたところでございます。

 ただ、その後も、環境省さんの方からは、個別の石炭火力の新設のアセスの過程におきまして、自主的枠組みの具体的な仕組みやルールづくり等が必要不可欠だ、こういった御意見をいただきまして、この過程におきまして、環境省さんの関心として、自主的枠組みの実効性、透明性の確保、これが大変重要だということを私ども十分理解をいたしました。

 一方で、十一月の下旬には、総理の方から、官民対話の中で、発電事業者及び小売事業者に対して、発電効率の向上あるいは低炭素化を求める制度を、来年の春、これはことしの春、今の春でございますが、これまでに具体化するよう御指示をいただいたところでございます。

 こうした総理からの御指示も踏まえまして、相前後する形ではありましたけれども、発電段階に焦点を当てた省エネ法だけではなくて、小売段階に焦点を当てた高度化法、これにつきましても追加的に審議会の方で議論を開始した、こういう経緯がございます。

 審議会の中では、これは規制強化につながるのではないかといったさまざまな御議論がございましたけれども、最終的に、二月の九日に、省エネ法それから高度化法、それぞれの措置につきまして取りまとめが行われたところでございます。

 この過程の中で、環境省様の方から御要請のありました透明性を高めるための追加的な措置三つ、具体的には省略いたしますが、そうした御要請についても応ずることとした次第でございます。

 この審議会の取りまとめの前日に、二月の八日になりますが、電力業界の方で自主的枠組みの具体的な仕組みづくりあるいはルールづくりというものを正式に公表いたしました。この中では、業界として、PDCAサイクルを含めて、個別の企業に対しまして見直しの要求も含めた措置を講ずる、こういったようなルールが公表されたところでございます。

 この枠組みが公表されたその同じ日に、林経済産業大臣と丸川環境大臣との間で会談が持たれまして、業界による自主的な枠組み、それから政府によります省エネ法、さらには高度化法、こういった三つの措置によりまして、業界全体としての取り組みの実効性、透明性につきまして一定の理解が環境省の方から得られたということかと理解をいたしております。

 以上でございます。

田嶋(要)委員 新設の石炭火力発電を認めないという、いわゆる入り口規制ではなくて、業界の自主的な行動を尊重しつつ、チェックとアクションで事後的に規制をしていく。そういうことで、大臣、理解してよろしいですか。

林国務大臣 そのように理解してもらって結構でございます。

田嶋(要)委員 そうすると、国際社会に対しては、責任はどのように果たしていけるというふうに考えておられるのか。その点をもう一つ御答弁ください。

高木副大臣 今御指摘ありましたように、今回の措置について、国際的に約束をした二六%の分もございますので、これについてはしっかりと発信しなければいけないと思います。

 ただ、役所の発信というのは、どうしても、ホームページだとかいうような形だけでございますので、今後、さまざまな国際会議等も通じて、例えば、ことし五月にはG7のエネルギー大臣会合もございますし、そういったさまざまなツールを通じて、今の日本の状況、体制というものはしっかりと発信していくべきものだろう、このように考えています。

田嶋(要)委員 さまざまなツールを通じてというのは御評価いたしたいと思います。

 あとは、リアルタイム制があるべきであるし、それから、専門家にしか解読できないような情報開示ではなくて、やはり国民、世界が心配をする温暖化でございますので、ああ、日本の電力会社はよくやってくれている、非常にわかりやすい情報発信をしてくれている、私たちが間々、ドイツとかの電力の会社のいわゆるお客様に向けての発信方法を見ると、非常に手の込んだというかきめ細やかな発信をされている、そういうようなことに近づくような努力をぜひお願いしたいというふうに思います。

 ただ、そういう意味では、石炭火力発電の新規も当然出てくるわけですが、それでも、私はいつも申し上げております懸念を二点申し上げます。

 それは、将来、電力会社にとって逆に重荷になってしまう可能性でございますが、一つは、先ほどの地熱と同じように足が長い、初期投資の大きい発電所です、ガスに比べても。したがって、固定費が非常に高いわけでありまして、固定費が高いということは、オペレーションの稼働率が高くないと利益が出ない構造にあるということだと思います。

 現在、政府の方では石炭火力も七〇%という想定を置いておりますけれども、これが七〇パーから六〇パーに下がってくれば、構造的に石炭火力事業は赤字になる。石炭が安いから大丈夫といったって、将来どういう値段になるかわからない不確実性もあります。

 そういう意味で、入り口規制はしないということで建設しても、将来は逆噴射する可能性も十分あるし、現にヨーロッパで聞いてくると、化石の発電所が調整電源になってきている。ベースロードを風力発電として目いっぱい使って、場合によっては、デンマークは、一年のうちの特定の日にちは風力だけで一〇〇%以上出ているから、その余った分はためているか、隣の国に売っているというようなことをやっているわけでありまして、まさに、石炭火力やガス火力が調整電源として本当に必要なときだけ動かすようなことをやっているわけですよ。そうすると、元が取れないんですよ。私はそっちの方が心配です。

 だから、民間企業が、石炭が環境省もオーケーしてくれたからつくりましょうとなったとしても、後で自分で自分の首を絞めるんじゃないのかなという懸念を持っておりますけれども、副大臣、何か御意見はありますか。

高木副大臣 今、ベースロード電源のお話がございました。

 委員御指摘のように、デンマーク等の風力等の動きというのがあるんですけれども、一方で、送電網がEU圏内で張りめぐらされております。例えば、ドイツ等も原発を停止するという決断もしましたけれども、現状のドイツの発電に使っている部分、例えば、風力だとか再生可能エネルギーの発電は他国に売っている、不安定だから。逆に、原発はまだ完全にとまっておりませんし、石炭をたいている、こういう現状もございます。

 いかにその国で消費するのかといった場合に、日本のような経済の大規模な国の場合には、こういったベースロード電源をどう考えるかというのは、またしっかりと捉えていかなければいけないのであろうなと。そういうような中で、今御指摘のような再生可能エネルギーに対してはやはりふやしていくという方針、その一方で、このベースロード電源もしっかり考えなければいけないということだと思います。

田嶋(要)委員 違いをいろいろと並べて、だから日本はできませんという思考方法は非常に危険だと私は思っております、副大臣がそうだということを言っているわけじゃなくて、そこは本当に私は気をつけなきゃいけなくて。

 私がよくある反論に対してもう一度反論するならば、国と国との間でつながっているかどうかは問題じゃないんです。デンマークというのは人口五百六十万人ですから、房総半島と一緒なんですよ、大臣。それから、北海道とも大体近い。ということは、日本国内の十電力だって沖縄を除いて全部つながっているんだから。だから、人口規模で見れば、デンマークが隣とつながっているということは、いわば、東電は中電とかいろいろなところとつながっているという話と同じなわけですね。

 だから、ほかの国とつながっているからデンマークはできる、だけれども、日本は全くほかとつながっていないから何もできませんみたいな発想はおかしいし、加えて言うならば、日本は市場だって全然できていないわけですよ。そういった長い蓄積のある部分は、日本がまだできていないからやれないだけで、これからシステム改革も四月一日からスタートするわけです。そういう中で、ぜひ日本でもやろう。そして、原発に依存しなくてもやり切ることが可能かもしれない。ぜひ内閣の皆さんにもそういうマインドでお願いしたいと思います。

 今は国内の方の話でございますが、続きまして、途上国への石炭火力も悩ましい話で、私も海外インフラ輸出の一翼を担ってもらいたいなと昔は思っておりました。今も全くそう思わないかどうかはちょっと微妙なところなんですけれども。これはどういう状況でございますか、新規売り込みの政府のスタンス、それから、国際社会からどう受け入れられているか。これはかなり日本が指弾されている部分もあろうかと思うんですが、何か合意があったのか、その辺もお願いします。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 今、委員お尋ねをいただきました海外の点についてですが、経済性やエネルギー安全保障の観点から、石炭をエネルギー資源として選択せざるを得ない国も多く、アジアの新興国を中心に石炭火力の利用拡大が見込まれております。こうした国にとっては、可能な限り高効率な石炭火力技術を導入することこそが実効的な気候変動対策であると認識をしております。

 昨年十一月にOECDにおいて、石炭火力発電技術の輸出に対する公的輸出信用の供与のあり方をめぐりまして、輸出信用アレンジメントの改訂に合意をいたしました。この合意は、高効率石炭火力発電の輸出を通じて気候変動対策への貢献を進めるという日本の考え方が認められ、それを可能とする内容となったところでございます。

 政府といたしましては、インフラシステム輸出戦略に基づき、相手国のエネルギー事情を踏まえた上で、我が国で培われた高効率石炭火力発電技術の海外展開をより一層推進し、国際的な課題である地球温暖化対策にもしっかりと貢献をしていく所存でございます。

 以上です。

田嶋(要)委員 海の向こうのことですから、なかなかわからないわけですが、私もかつて国際機関におりました。プロジェクトをやるときに、必ず環境経済の専門家が一緒に行って環境評価をしながら、このプロジェクトにお金をつけるかどうかということを判断しておったわけであります、それは二十五年も前の話ですが。当時から国際機関はそういうことに大変神経をとがらせて、そして地域のNGOとかの反対がないプロジェクト、私がやったエストニアのタリンという町のセメント工場は着いたら雪が降るような粉雪、それはよく見たらセメントが降っていたわけですね。それは、古い共産主義のもとでの技術を西の技術に取りかえる、そういったプロジェクトファイナンスをやっていたわけであります。

 私は、この点、総理も大変格調高いことを言っているような気がするわけであります。これまでは緩い環境規制のもとで新興国に投資した、しかし、より安くやったことで公害も起きた、今後はイノベーションによって、より安くではなく、よりよいに挑戦する、そういったことをうたっておるわけでありまして、これは海外インフラのこともであります。

 そういう意味では、日本がくれぐれも世界の足を引っ張るのではなくて、世界の最先端の技術を努めて売る、これはいろいろな環境の中で難しい面もあろうかと思いますが、それをぜひお願いしたい。

 お配りした資料の十一をごらんください。

 これはある団体からいただいたレポートでございますが、JBICが支援した設備と世界で建設された同じ時期の設備を比較すると、今の話で、高い効率性の、よりすぐれた技術と言われている超超臨界圧、この比率が日本のJBICの方が少ないというふうに発信されているんですね。これでは日本が世界の水準を引っ張り上げていく先頭に立っているとは思えないんです。

 今のような御説明がございましたので、やはりこういう状況は改めていってほしいし、今後、超超臨界以上のすぐれた技術しか絶対売らないかというと、それは難しい局面もあろうかと思うけれども、これは、侮れないのは、その下、中国だって韓国だってインドだって、そういう技術がないわけではなさそうなんですね。前の経済産業大臣も中国のような悪い技術ではとかと答弁されたんですけれども、それもやはり決めつけない方がいい。やはり時々刻々と動いているんですよ。

 だから、みんなでいい技術を競って、どうしても石炭火力しかその国ではアプライできないんだったら、ベストなものを売るという矜持を、やはり日本の企業、そしてJBICさんには私は持っていただきたいというふうに考えております。

 最後に、大臣、これはちょっと私も資料をつけましたけれども、ひょっとしたら事実誤認が含まれているのかもしれませんが、しかし、もしこれが事実だとしたら、これをおかしいと思うんです。日本が先頭を走って、いろいろCO2がガスの二倍も出る、超超臨界だってガスの二倍もCO2を出しているから問題だと世界的に言われているこの石炭火力を推進し、仮に海外に売るとしても、この部分は絶対に、その高い、最高のものしか売らないという矜持を持って商売をやる、それを国も応援する、そういう形にしていただきたいんですが、大臣、一言お願いします。

林国務大臣 地球温暖化対策と石炭火力の関係について有意義な議論をいただきました。

 本日の議論を踏まえて、環境省を含む関係省庁とも連携しつつ、石炭火力を含むエネルギー政策を着実に推進してまいりたいと思っております。

田嶋(要)委員 ちょっと大事なことを一つ。

 私も政治家になる前からの友人である沢さんが先日お亡くなりになって、心から御冥福を申し上げると同時に、沢さんが最後に書かれた文章がちょうど新幹線の中にございましたので、ちょっとそこだけ読ませていただきますけれども、原子力は大事だということを彼はおっしゃるわけですが、私も地元のシンポジウムで来ていただいたり、お世話になりました。

 沢さんも、電力安定供給の主軸というよりも、他電源でトラブルが生じた際のラストリゾート、リスクバッファーとして、当面は原子力の維持が欠かせないと考えているというのが彼の御生前の最後の御主張だったというふうに感じるわけですね。

 それから、こういうふうにも言っております。

高木委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。

田嶋(要)委員 わかりました。

 原発に関してはいろいろ難しい問題がございますけれども、私は民主党の掲げた政策をしっかりと推進していくことが本当の意味で日本の再生につながると考えておりますので、ぜひこれからも御協力をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時四十分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。落合貴之君。

落合委員 維新の党、落合貴之でございます。

 民主・維新・無所属クラブの時間の範囲内で質問させていただきます。

 先週、衆議院では税制改正の法案が本会議を通過しました。来年四月から、消費税一〇%、そして食料品や新聞については軽減税率、複数税率が導入される内容です。

 本日は、消費税にまつわる問題について質問をさせていただければと思います。

 まず、消費税増税についての経産大臣の見解、これは先日の予算委員会の分科会で林大臣に伺わせていただきました。来年四月の消費税増税はリーマン・ショック級のことがない限りは行うべきだ、同時に、中小企業への配慮というのは必要であるというような御見解をお聞かせいただきました。

 きょうの日経新聞の一面を見たら、アジア企業がリーマン・ショック以来の減益になったということで、だんだんとこのリーマン・ショック以来の数字というのが出始めているのですが、ロイターのおとといの配信を見ますと、二〇一七年四月に予定されている消費税一〇%への引き上げをめぐり、一部経済官庁で、延期した場合の経済効果や実施した場合の経済への打撃について非公式に検討を始めたと複数の政府関係者が明らかにしたというふうに報じております。

 一部経済官庁とあるのですが、経済産業省も、消費税増税を延期した場合の経済効果や実施した場合の経済への打撃について検討を始めた、または始める予定でしょうか。

林国務大臣 消費税引き上げを延期した場合の効果の検討についてはしておりません。

落合委員 一年半前に増税を延期した際は、景気条項を外してしまいました。しかし、五%から八%に上げた際の経済への打撃が大きかったことは、マクロの数字を見ても確かだったと思います。

 今の経済状況、そして身を切る改革の進展ぐあいなどを考えると、私は来年の消費税増税は凍結するべきだと思います。これから経済関係の大臣で集まって話し合うこともたくさんあると思いますので、ぜひ慎重な検討をお願いいただければと思います。

 では、各論に入りまして、来年の消費税増税は、今までとは違いまして複数税率の導入が予定されています。まだ税制改正案、予算案については参議院で審議中ですが、それらの中にも複数税率に向けた準備項目が幾つか入っています。その中で、経済産業省が中小企業政策などでかかわる点について伺えればと思います。

 今、例えば町のおそば屋さんは、お客さんから八%の消費税を取っています。今回の税制改正案が通れば、出前が消費税八%、軽減税率で据え置き、店内で食べると消費税が一〇%になるというふうに、複数税率に対応しなくてはなりません。同じように出前をやっている中華料理屋もそうですし、イートインコーナーのある町のパン屋さんもそうですし、町の焼き鳥屋さんやすし屋も、お土産で持って帰ると八%、店内で食べると一〇%というように、税率が複数税率になります。要は、政府の政策変更、税制の改正によってレジを複数税率に対応させなければいけない、そういった個人商店、小規模事業者がたくさん出てきます。

 それで、先月の衆議院財務金融委員会におきまして私が中小企業庁長官にお尋ねしたところ、中小・小規模事業者に対するレジ導入・システム改修等支援に今年度九百九十六億円を予定し、原則三分の二をレジの交換等に対して補助しますということでした。

 そこで質問ですが、試算に当たって、一つのレジ当たり大体幾らぐらいだというふうに試算をされているんでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 導入や改修の支援の対象となります複数税率対応のレジにつきましては、私どもといたしまして、小売業や卸売業の実態を調べましたり、また、レジメーカーからの聞き取り調査を行いました。その結果でございますけれども、複数税率に対応したレジは、最低限の機能を有する簡易なものから、商品ごとに価格や税率が設定できるものまで広きにわたりますけれども、値段的には、一台当たり数万円のものから数十万円のものが多いように見受けます。これらをある台数を見込みまして、先ほどの予備費を積算したところでございます。

落合委員 数万円から数十万円ぐらいで試算をしていますということで、これは、小売段階の場合は補助の上限は一台当たり二十万円ということになっています。

 レジの値段を私も調べました。ネットに載っているものだと定価よりも大分安いので、安い金額ばかり出てくるんですが、やはり簡単なものでも数万円ぐらいは、ネットで大手の量販店が売っているものでもそれぐらいしました。また、先ほどおっしゃった、商品ごとに少し複雑な、複数税率に対応すると同じようになると思うんですが、複雑な計算ができるようにするレジは、一番安くても十万円前後ぐらい、高いものは数十万円のものも、そういったネットで売られているものでもありました。

 要は、一番安く見ても、例えば十万円したとしても、三分の二の補助で三万三千円ぐらい負担があるわけです。三万円の負担、これは個人商店からしますと、小さい焼き鳥屋さんでしたら、三百本売らないと売り上げ三万円にはならないわけですし、利益で換算するともっと売らなければなりません。

 これは、焼き鳥屋やおそば屋さんの努力の問題ではなくて、政府の政策の変更でレジをかえなければいけない。こういった場合に、しかも上限二十万円しか援助しない、負担額がそれなりにある。これは、全額負担するという検討がなされるべきではないでしょうか。検討されなかったんでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 まず事実関係から少し補足させていただきますと、安いものに対する補助率は四分の三、三万円以下のものについては四分の三となっており、それ以上のものについては三分の二となっております。また、単体のものは上限二十万円と設定しておりますけれども、あわせて、商品マスターという、品目と税率を個別に整理する機能を持ったものについては、その設定費用としてさらに二十万、結局、トータル四十万というものが上限になるということでございます。

 それらにつきまして、定額といいますか、丸々全部を補助する、ある意味では定額で給付するという形に近いことについても、考えられるものとして検討したことはございますけれども、その機能、レジを入れることによって業務の効率性が上がる、また、かなり長期にわたって使用することにもなりまして、いろいろな業務の改善にも資することが予想されたものですから、一定の自己負担を求めることが適当であろうということで、四分の三ないし三分の二という形にさせていただいた経緯がございます。

落合委員 四分の三、三万円以下のレジというのは、私が調べた限りではほとんどないのと、今、飲食店をやっている若い方はiPadに連動させてとかやっていますので、そういう場合ぐらいしか四分の三は適用されないのではないかと思いますね。

 とにかく、低所得者対策としての軽減税率なわけですが、特に小規模事業者に対してやはり負担が大きいということは、我々は認識をしなければならないと思います。これはごく一例のレジの問題を挙げたわけですが、ほかにも複数税率の導入に当たって事業者が対応しなければならない問題はたくさんあります。

 まずは、今回、複数税率導入に当たって、インボイス制度、適格請求書等保存方式も導入されます。これも小規模事業者にとっては大変なことだと思いますが、このインボイス制度導入への対応のサポートはどのように準備しているんでしょうか。

高木副大臣 今御指摘ありましたインボイス制度でございますが、平成三十三年の四月に導入することとなっておりますけれども、この導入に当たりまして、御指摘の、中小企業、小規模事業者の現場に混乱を生じないように、事業者の準備の支援に全力で取り組んでまいりたいと思います。

 具体的には、幅広い事業者にインボイス導入のための準備を行っていただく必要があることから、軽減税率制度は来年の四月から導入でございますが、それから四年間準備期間がございます。特に中小企業、小規模事業者の事務負担の実態、また準備の状況、事業者間取引への影響、これらについて十分調査、意見聴取を行いながら、四年間、平成三十三年の四月までに、課題そして解決策、これをしっかりと決めた上で取り組んでまいりたい、このように考えています。

落合委員 これも、導入のために税理士さんに頼む代金がふえるかもしれない、事務負担もふえるでしょう。変更するに当たって、かなり丁寧に対応しなければならないと思います。

 それで、小規模事業者の事務負担それから税務執行コストへの配慮から、現在では、一定の条件のもと、一定期間の課税売上高が一千万円以下の事業者については消費税の納税義務が免除されています。さらに、現行では、企業間の取引において、免税業者から仕入れる場合は、仕入れ税額控除の対象になっています。要は、免税業者と課税されている業者が取引しても問題が起きないようにしている。ただ、これはインボイス制度を導入すると、免税業者からの仕入れは仕入れ税額控除の対象にはならなくなってしまいます。

 そこで、大臣に伺います。仕入れ税額控除がなくなってしまいますので、その分、今まで消費税ゼロ%でよかったのが、仕入れる側が一〇%払わなきゃいけないから、一〇%まけてよという可能性はあると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 免税事業者が、いわゆるインボイスを必要とする課税事業者と取引を行う場合、今御指摘のような値下げ要求を受けることも想定されるところであります。

 そこで、このような場合の免税事業者への影響を軽減する観点から、まず、インボイス制度の導入については、先ほど高木副大臣から御答弁ありましたように、軽減税率制度の導入から四年間の準備期間を設けております。さらに、この導入から六年間は、免税事業者からの仕入れについて、課税事業者側に一定の仕入れ税額控除を認めます。平成三十九年三月までですけれども、そういうことにしておるところでございます。

 また、一般的に、取引価格の決定に当たりまして、優越的な地位を利用して、当事者間で十分に協議することなく、一方的に著しく低い価格での取引を強制することは、下請代金法等の法令違反のおそれがあると考えます。

 今般の税制改正法案の附則では、インボイス制度の導入に係る事業者の準備状況及び事業者間取引への影響の可能性などを検証し、必要な対応を行うこととされております。

 インボイス制度の導入によりましてどのような影響があって、どのような対応が必要か、幅広い観点から検討して、関係府省と連携して対応してまいりたいと思っております。

落合委員 四年間あるということと、一方的にそういった優越的地位を使ったような価格の決め方は法令に違反する可能性が高い、仕入れ税額控除も平成三十九年三月までやりますということですが、やはりその四年後以降、今まで課税業者でなかったところが消費税を払うことを決断するか、もしくは取引をやめさせられてしまう可能性があるという大きな問題があると思います。

 免税事業者というとごく一部なのかなというふうに感じるんですが、実は、日本の事業者のうち免税事業者は六割に及んでいます。我が国には事業者数が八百万事業者あるんですが、五百万事業者も今は免税されている。それなのにこういった制度が導入されるということは、大変大きな混乱を生むでしょうし、事業にも大きな影響があると思います。

 今まで免税されていたわけなので、消費税を払っていないわけですから、それを、免税事業者をやめるということは、一気に一〇%も納税のコストがかかる。それから、変更に当たる事務のコストもある。これは六割の事業者の死活問題にかかわる、本当に日本の中小企業、零細企業、小規模事業者の存続にかかわる問題であると思います。

 特に、私も財務金融委員会でも申し上げましたが、町のこういった商店それから小規模事業者が、町で消防団を引き受けたり、町会の役員をやったり、行政がやるような町のお世話もやってきたわけですから、我々政治の側が、複数税率を導入することでそういった方々が商売をやっていけなくなるようなことにしてはならないと思います。

 導入までに四年間ありますので、これは必ず経済産業省でも対応しなければならない大きな問題だと思いますので、適宜私も質問に立たせていただきたいと考えております。

 続きまして、消費税が五%から八%に平成二十六年に上がりましたが、その数カ月前に、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法が施行されています。

 いろいろと勉強させていただいたんですが、この法律が施行されたことによって価格転嫁の問題はより適正になったんでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業庁では、二十六年四月、前回の引き上げがあった以降、毎月、四万者の中小企業者を対象に、消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査を行っております。

 それによりますと、最近の調査であります二十八年一月の調査結果でございますけれども、「全て転嫁できている」という回答をした事業者が、事業者間取引で八六%、消費者向け取引では七二%という回答になってございます。一方、「全く転嫁できていない」という方もおられて、事業者間取引で三・四%、消費者向け取引で五・四%となっております。

 このように、八割の事業者から転嫁できているという回答をいただいておりますその一方で、依然として転嫁ができていない事業者も一定程度存在することは事実でございますので、消費税率の引き上げ分を適切に転嫁できるよう、今後とも対策を講じることが必要だと考えております。

 なお、この措置法の施行に合わせまして、私どもであれば、全国に四百七十四名の転嫁Gメンを配置しまして、積極的に転嫁拒否行為に対する監視、取り締まりやパトロールを行っているところでございます。

落合委員 これは、「全く転嫁できていない」が三・四%。三・四というのは、少ないと感じるかもしれませんが、八百万者にもしも掛け算すれば、一%が八万者なわけですから、その三倍もあり得るわけです、全く転嫁できていない事業者が。

 それで、今回……

高木委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、御協力願います。

落合委員 はい。

 今回、その仕組みを知らせる広報のパンフレットもいただきましたが、これは、内閣官房、内閣府、公正取引委員会、消費者庁、財務省が管轄で、やはり重要な問題だけあって、かなり多岐にわたってしまっています。電話してくださいという電話番号が五カ所も書いてあって、この場合はここ、この場合はここと、これは恐らく、本当に困っている人はどこに電話していいかもわからないと思います。

 ですから、これは一元化も検討しなければならない。特に、複数税率を導入する際は、一元化を検討しなければならない重要な問題だと思います。これはまた改めて取り上げさせていただきます。

 本日は、ありがとうございました。

高木委員長 次に、升田世喜男君。

升田委員 民主・維新・無所属クラブの升田世喜男であります。

 本日、質問の機会を与えていただきまして、感謝申し上げたいと思います。先般の大臣所信を受けての質疑でありますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まず、電力の自由化について何点か質疑をしたいと思います。

 電力自由化は、一九九〇年代の規制緩和の世界的な流れの中で、一九九三年、当時の総務庁のエネルギーに関する規制緩和への提言を契機に、電気事業審議会での審議を経て、一九九五年四月に、三十一年ぶりに電気事業法が改正されました。さらに電気事業審議会で審議を重ねた結果、三度の法改正によって、新規参入や既存の電力会社以外の特定規模電気事業者の小売が認められたわけであります。

 まさに二十年以上かけて審議が行われた結果、二〇一四年の六月十一日に、電気小売業への参入の全面自由化を実施するため、電気事業法等の一部を改正する法律が成立したわけであります。そして、いよいよ来月から、一般住宅、店舗に向けての電力自由化が解禁されることになったわけであります。

 電力自由化とは、電力を提供する会社を自由に選べること、その結果、競争によって電気料金を引き下げることができるため、一般の消費者にその恩恵があるというような大きな意味があると思います。

 まずそこで、質問の第一点目であります。電力取引監視等委員会というのが設置されていると思います。この目的についてお伺いをしたい、そしてまた、今後の取り組みについてもあわせてお伺いしたいと思います。

松尾政府参考人 今お話のございました電力取引監視等委員会でございますけれども、電力システム改革の実施に当たりまして、事業者間で健全な競争が促されますよう、市場の監視機能を強化するというために、経産大臣直属の組織として、昨年九月に設立されたところでございます。

 当委員会といたしましては、適正な取引が行われているか、市場の番人といたしまして厳正な監視を行いますとともに、必要なルールづくりなどに関して経産大臣に積極的に意見あるいは建議を行うことが期待されているというふうに承知をしております。

 これまでも、小売営業に際しまして守るべきルールについて建議をいたしましたり、あるいは小売電気事業者の登録に関する審査を行いますとともに、消費者トラブルにつながりかねない営業事例に対する指導を行いますなど、小売の全面自由化に向けた準備を進めてまいりました。

 引き続き、電力システム改革の着実な実施に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

升田委員 今答弁でルールづくりというお言葉が出ましたけれども、その肝は何でしょうか。

松尾政府参考人 今回の小売の全面自由化に先駆けまして、小売の営業に関するルール、これは小売営業の指針と呼んでおりますけれども、こちらを決定いたしまして、これを経済産業大臣に建議いたしました。

 内容としましては、まさに、しっかり情報を開示していくとか、あるいは解約等に不当な制限をかけないとか、そうしたことについてのルールを定めたものでございます。

 これとあわせて、公正取引委員会とともに、適正取引のための指針というものを建議させていただいております。

升田委員 ルールづくりは大事だと思います。

 電力自由化に大半が期待するところは、安くなるかどうかということでありまして、これは後ほどお伺いしたいと思うんですが、いよいよ来月から始まるわけでありますが、うまくいくのかなというのは素朴な、誰しもが持つんだと思うんです、システムが変わることで。まかり間違って一時期でも停電なんかがあったりするとこれは不安になるわけでありますから、その辺の備えというか対応は大丈夫でございますか。

高木副大臣 まず、電力広域的運営推進機関におきまして開発してまいりました小売電気事業者の契約変更、いわゆるスイッチングを円滑に行うためのシステムにつきましては、電力各社のシステムと連携の上、三月一日から稼働しております。

 この小売全面自由化に向けてのスイッチングの手続が現在進んでいるところでございますが、電力各社において必要となる料金精算システムの対応につきましても、おおむねスケジュールどおり進んでいるものと承知しております。

 経産省としては、今後も継続的にシステムの準備状況を確認するとともに、システムトラブルが発生した場合の対応についても電力各社に検討を求め、混乱が生じないように万全を期してまいりたいと考えております。

升田委員 副大臣、答弁ありがとうございます。

 率直に、停電なんか起こりようがないというような受けとめ方でいいですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御質問に端的に答えれば、停電が起こりやすくなるといったようなことはございません。

 これは消費者の方々にもぜひ御理解をいただきたいと思っておりますのは、例えば、切りかえの手続をしないと突然四月一日に電気がとまってしまうのではないかとか、そうした御懸念は全く当たりません。また、事業者によって電気の質が異なる、停電しやすいとか、しやすくないとか、こういったこともございません。

 こうしたあたりは、システム改革の法案審議の中でも御議論がありましたけれども、私ども政府を挙げてしっかり周知、広報していかなければいけない、そうした課題だと思っております。

升田委員 停電というのは極めて大きな不安だと思うんです。

 二〇一一年、東日本大震災がありました。間もなく五年目を迎えるわけでありますけれども、あのことによって、停電による恐怖というのはいかに大変なものか、あるいは生活もということでありますので、ここはぜひ万全にしてほしい、こう思います。そうでないと、これからいろいろなことをやろうとしていることが果たして大丈夫なのかというさらなる不安をつくってしまいますので。

 そこで、不安に関連してもう一つなんですが、このことで、スマートメーターですか、何か新しいものをつけないといけないということでありますけれども、世間には悪いやからがいるもので、こういうところに便乗して、詐欺的な商法で、あなたの電気は必ず安くなるからこれをつけてください、多少そこにお金を払ってくださいねみたいな、そういうことがあろうと思うんですね。そういう詐欺的なトラブルに対してどんな対策をとっているんでしょうか。

星野大臣政務官 お答え申し上げます。

 小売全面自由化に当たりまして、消費者がトラブルに巻き込まれることなく電力自由化のメリットを享受できることが極めて重要だと考えております。

 このため、経済産業省では、全国各地での説明会開催などを通じて自由化の周知、広報を行うとともに、電力取引監視等委員会が国民生活センターと連携協定を締結するなど、消費者保護のための取り組みを強化しているところでございます。

 また、消費者トラブルにつながりかねない一部の営業事例につきましては、電力取引監視等委員会が指導をまず行います。事業者による速やかな改善措置が講じられていると承知をしておりますが、今後、悪質な場合には、法律に基づく業務改善勧告の発動などによる対応も行っていく考えでございます。

 引き続き、問題事例が生じた場合には迅速な適正化を図ってまいりたいと考えております。

 以上です。

升田委員 周知徹底が大事ですので、そこのところをお願いしたいと思います。

 さて、この電力自由化、多様性、しかし、その電力がどうやってつくられているかということは、公開の義務が今回はなされませんでした。本来はこれは義務化した方がよかったんじゃないですか。いかがでしょうか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 電力システム改革の目的でございます電気の使用者の選択の機会の拡大を実現していきます上で、おっしゃいますように、電源構成が開示されるということは非常に重要なことだと思っておりますし、事業者が開示に積極的に取り組むということは非常に望ましいことだというふうに思っております。

 他方で、電気事業のあり方につきまして、規制は極力廃止して事業者の自由な創意工夫に委ねることで、活発な競争を促し、消費者の利益を向上させるということもまた電力システム改革の趣旨でございます。

 また、先生も御案内のとおり、そもそも、電気という商品の性質といたしまして、発電所で発電されました電気は送配電網を経由して需要家に届くまでにまざってしまいますので、需要家が契約している電力会社の電源構成が実際にお手元に届く電気の品質に影響するということではないわけでございます。

 我が国におきまして、一般に罰則を伴う形で開示の義務化が行われておりますのは、安全の確保でございますとか、あるいは消費者への不測の損失を予防するというような場合でございまして、こうした他の消費者保護のためのルールとのバランスも考慮する必要があるだろうというふうに考えております。

 本件につきましては、電力取引監視等委員会のもとに設置されました専門会合におきまして、こうした点について御議論いただきました。その結果を踏まえまして、先般、電力の小売営業に関する指針が制定をされまして、この中で、小売事業者による電源構成の開示を望ましい行為というふうに位置づけまして、事業者の自主的な取り組みを促す、いわゆる努力義務という形にしたものでございます。

 指針の制定後、私ども、事業者向けの説明会を開催しますなど、その内容について周知を行っているところでございまして、この指針を踏まえまして、今後、開示もしっかり進めていただけるだろうというふうに考えております。

 他方で、電源構成の情報に関する需要家のニーズが高まるのに事業者の方が自主的に開示をされないというような場合には、この開示のあり方についても改めて検討する必要があるだろうというふうに思っております。

 そういった意味で、引き続き、この状況についてはしっかり注視をしてまいりたいというふうに思っております。

升田委員 スタートラインで義務化というのはいろいろ壁があるんだろうなというのは私も理解できます。

 ただ、時間の経過とともに、また消費者の声を聞きながら、あるいはまた対応するいわゆる供給側もだんだん進歩していくと思うんですね。そういう状況ができてきましたら、やはり世の中には、私はもう再生可能エネルギーにこだわりたいんだよな、そういう人もたくさんいると思うんですね。そういう思いもまたかなえていくために、将来的には考えてしかるべきかな、そういう見解を持ってもらいたいなと思いますが、いかがですか。

松尾政府参考人 今、各事業者の一般的な電源構成のことについて申し上げましたけれども、まさに先生おっしゃいましたように、例えば、私の電気は再エネ一〇〇%ですとかいう形でお売りになるということもあるだろうと思っております。そうしたものはもちろん可能でございまして、例えば、では、どういう根拠であなたの電気は本当に再エネ一〇〇%と言えるんですかとかいうところをしっかり示していただいて、私どもももしうそがあればチェックをしていくという中で、そうした売り方も積極的に認めていきたいというふうに思っております。

 まずはそこをしっかり、まさに需要家の方々のニーズに合うようにメニューをつくっていただけるように、私どもも必要があればアドバイス等もしながら、事業者の方がうまくそういうメニューをつくれるように取り組んでいきたいと思います。

升田委員 無農薬の農産物なんかにこだわる人もいるんですね。そういう食材でレストランなんかを経営する、こうなりますと、うちは食材は全部無農薬ですよ、電気も再生可能、自然がテーマのレストランですからとか、こういうエコレストランみたいな発想で、それを売りにしたいという人も出てくるというのは予想されると思うんですよ。

 ですから、そういうこともありますので、やはり多様な需要をかなえるように、柔軟的な心を持って経過をしっかりと見てほしいな、このように思います。

 次に、冒頭申し上げさせていただきましたけれども、安くなってもらいたいんですね、自由化で。いろいろな状況があるにしても、聞くところによれば、アメリカの二倍、韓国の三倍、日本の電気は高い、世界で三番目、四番目。確かに、石油はとれない、資源がない、いろいろ理由はあるでありましょうけれども、事実として、アメリカの二倍、韓国の三倍、世界で三番、四番に高い。こういうことでありますので、これからの日本の活力をつくるために、少しでも電気料金が安くなった場合、私は生産能力というのは格段に上がっていくと思うんですね。

 と同時に、一般の生活者も、ああ、自由化なのね、今度は安くなるといいねという期待をしている人はたくさんいると思うんですが、これは本当に安くなるんでしょうか。その辺のところを御答弁願いたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 電力の自由化の結果、料金が本当に安くなるか、こういうお尋ねでございます。お答えは非常に難しいものだと思っております。

 私ども、電力自由化、三段の改正法案の審議の際にも、三つの目的というのを掲げさせていただきました。安定供給の確保、そして料金の最大限の抑制、それから需要家の選択の拡大あるいはビジネスの拡大、こういったことを申し上げてまいりました。

 その料金の最大限の抑制、こう申し上げてきた背景でございますが、もちろん、私ども、自由化の中で競争が促進される、新規参入がふえていく、こういうことで、競争の結果、料金について下方圧力が出てくるということを期待しております。他方で、料金自身につきましては、これは先生方御案内のとおり、もちろん資源価格の水準でありますとか、あるいは為替の影響も受けるものでございます。さらには再生可能エネルギーの賦課金の影響も受けるということでございまして、さまざまな要因の影響を受けるものでございますので、自由化したら直ちにどうこうということを申し上げるのはなかなか難しいことかと思っております。

 他方で、今、現実に目をやりますと、これも報道されておりますけれども、四月の全面自由化に向けまして、各小売電気事業者から新しい料金メニューが発表されていることは御承知のとおりかと思います。この中には、電力需要の多い御家庭について、例えば現在よりも五%から一〇%割安になりますよ、こういった形で提供されているものもあるか、こういうふうに承知をしておりますので、その意味では、確実に事業者間の競争というものは進展しているのかなというふうに前向きに受けとめているところでございます。

 他方で、自由化すると、海外の事例で、その後どんどん上がっていってしまうんじゃないかというふうな御議論も実は審議の過程でございました。この点につきましては、私ども、規制なき独占にならないように、自由化をした後も一定期間は料金規制を残す、経過措置を残すといった措置も盛り込ませていただいております。

 いずれにいたしましても、こうした点につきまして、今後、規制料金のメニューが撤廃された後であっても、先ほど御答弁のありました電力取引監視等委員会の方でしっかりと競争環境を監視していくといったようなことも含めまして、事業者が競争の中で変なことをしている場合には是正措置を講じていくということにしております。

 私どもといたしましては、先ほど申し上げました改革の三つの目的を、実際に改革を進めていく中でしっかり実現できるように万全に取り組んでまいりたいと思っております。

升田委員 少なくとも今の電気料金より高くなっては、これはまずいと思うんですね。ですから、そこはしっかりとそうならないようにしていかなきゃいけない、こう思います。

 また一方では、企業がいろいろなアイデアを出して、いろいろなパッケージでトータル的に安くするんだというお話がありましたが、全くそのとおりだと思います。ただ、そこで、いろいろな規制とかなんとか、まだ私も勉強不足ですけれども、そういう壁があるなら、そこは柔軟的に、ここはもっと壁を取っ払うと企業のアイデアでもっと安くなるねということがあるならば、それはそれで進めてやるべきかな、そういう考え方はぜひ持ってもらいたいなと思います。

 本当に、先ほども言って恐縮でありますけれども、今、安倍内閣で、一億総活躍社会だ、あるいは地方創生だといういい言葉が並んでいるんですが、稼いでお金をふやすというのはそう簡単でないですね、地方では特に。そうなりますと、例えば水道代であれ電気代であれ、そういう生活コストといいますか、そういうことが少しでも安くなるということは大変助かることなんですね。

 ですから、自由化とともに恩恵を受けるということでなくては、いろいろなこれからの自由化論に歯どめがかかってくる可能性があるなということを私は危惧しておりますので、そこのところをしっかりと頭に入れてほしいなと思います。

 さてそこで、電気料金に今度は格差が出ないかなという懸念があるんですね。これは、都会、都市部だと、大企業がいっぱいいる、あるいは需要がたくさんある、よっていろいろなパッケージが提供できる。地方で人口が少ないところはそうはいかない。こうなる。この辺の格差に対する懸念に対する対応策というのはどんなふうになっていますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大前提といたしまして、現在の電気料金の水準は各電力会社によって異なるわけでございますが、一般の御家庭の料金で見ますと、一番安いのが北陸電力さんでございます。

 そういった状況がまずございますことを申し上げた上で、今御指摘の点でございますが、この自由化に伴うベネフィットといったものを、全国で格差なく、地域で格差があることなく全ての消費者が享受できるという可能性、これを我々としても追求しているわけでございます。

 ただ、お住まいになっている地域あるいは電力の使われる量などに応じまして、個々の消費者それぞれ状況が異なりますので、具体的にどのような形でメリットを受けられるか、これはそれぞれ異なってくるというのもまた実際のところかと思っております。

 これまで報道でもお目にされているかと思いますが、大消費地でございます関東圏あるいは関西圏を中心とした競争が注目されておりますけれども、ただ、現実には、地方の方でも、例えばプロパンガス事業者などの方々が、地域に根差している、それを売りにいたしまして取り組まれている。あるいは、きょう午前中にもちょっと議論がございましたけれども、地産地消のエネルギーを供給する事業者があらわれてくる。こういった取り組みは現にございまして、地方でも多様な担い手があらわれてきていると思っておりまして、私どもといたしましては、こうした地方での動きといったものも加速されることを期待したいと思っております。

 また、一言加えますと、先ほどから料金というところに非常に着目されております。料金も確かに大事かと思っておりますが、需要家の方々のさまざまなニーズという議論もございました。いろいろな意味での付加価値のあるサービス、そうしたものとの組み合わせ等々で、料金とは異なる価値を見出される、こういった新しいビジネスも出てこられることを期待したいなというふうに思っております。

升田委員 格差是正に対しては、私もこれから現場の声を聞きながら勉強してまいりたいと思います。

 あと二、三分程度残っているかなと思います。きょうは大臣がお見えでありますので、大臣に聞かずして終わるのは心残りですので、一つ。

 水素エネルギーに関連しまして、福島県で二〇二〇年までに燃料電池一万台分を再生可能エネルギーからつくるという福島新エネ社会構想というのがあるわけでありますが、これがどんな内容かお伺いしたいということなんです。

 実は、私は、県会議員の二期の時代もございまして、我々青森県というのは原発、核燃料サイクルを引き受けている県でありますから、だからこそ水素を研究すべきだというのを十数年前に県の議場で発言させていただきました。まあ、そのときは議場から笑い声が出たんですけれども、十何年前に、水素と言ったってと。でも、これからはやはり、エネルギーのキーワードは、水素は欠くことができない分野だと思うんですね。

 ですから、福島に対する構想と同時に、大臣にお伺いしたいのは、私は、東北全体に、水素をキーワードにしながら経済の底上げができる、そういう仕組みを考えてもらいたいなという気持ちを持っているんですね。今、いろいろ政府側からお話を聞きますと、どうしても、費用対効果、需要の面で、都市部、都市圏に水素の展開がなされておりますが、東日本大震災、それを受けて頑張ろうとしている福島初め東北でありますから、東北にそういう未来の種でもって地域経済を高めていくという視点を持っていただきたい。御見解をお願いしたいと思います。

林国務大臣 福島の思いをしっかりと受けとめて、福島が再生可能エネルギーや未来の水素社会を切り開く先駆けの地になるよう、自分としても最大限尽くしていきたいと思っておりますし、エネルギー分野で福島復興に貢献することは担当大臣として当然の使命だと思っております。

 お尋ねの福島新エネ社会構想は、水素分野において、二〇二〇年には再生可能エネルギーから燃料電池自動車一万台分に相当する水素をつくる、これを県内のみならず東京オリンピック・パラリンピックで利用していただくというのが、去る五日、総理が福島に入ったときの発言でございまして、それを受けて、今月中にも官民一体の構想実現会議を設置、開催するという運びで、今、実行に移しているところでございます。

 升田議員から、福島に限らず東北においても云々ということがございました。今、ロードマップの改定に向けた議論をして検討しているところでございまして、この構想を大きな推進力として、東北の方でも水素の利活用が進むよう全力で取り組んでいければと思っております。

升田委員 終わります。

高木委員長 次に、平将明さん。

平委員 自由民主党の平将明です。

 経済産業委員会で質問に立つのは、多分、野党の時代にやらせていただきましたけれども、久々の質問の機会をいただきまして、皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 時間は短いんですが、ICTとかビッグデータを活用して政策の効率を上げようという話をきょうはさせていただきたいと思います。RESASとかミラサポとか、そういう話をさせていただきたいと思います。

 まず、ICT、ビッグデータを活用して行政の実施する政策の精度を飛躍的に向上する、そういう時代が来たと思います。

 昨年の四月、まち・ひと・しごと、地方創生で、RESAS、リージョナル・エコノミー・アンド・ソサエティー・アナライジング・システム、地域経済分析システムというポータルサイトをつくりました。これは、政府の持っているデータや民間の持っているデータ、民間でいえば、例えば帝国データとかナビタイムだとか携帯電話会社のGPS情報とかを集めて、人、物、金の流れを見える化した。すぐれたデザインを導入して、見える化をしました。

 昨年、地方創生で地方版総合戦略をつくっていただく際も、私は担当副大臣をしていましたが、地方自治体に対しては、RESASというビッグデータを活用してKPIを設定して、PDCAを回してくれ、何を言っているかよくわからぬと言われましたが、そういうことをお願いしてきたところであります。石破大臣、また私や小泉進次郎政務官が一生懸命RESASの宣伝はしたつもりでおりますが、しっかりと、やはり経産省、中小企業庁との連携も必要かと思います。

 そもそも、RESASを副大臣は知っていましたか。

鈴木副大臣 はい。RESASは、経済産業省が開発しました、地域経済にかかわるさまざまなビッグデータをわかりやすく見える化するシステムでございまして、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局とともに、昨年四月から提供を開始したところであります。

 当時、私も自民党の経済産業部会長をやっておりまして、その経緯も承知いたしておりますが、また、委員と同じ問題意識のもとに、地元におきましても、各自治体の首長さん、あるいは商工会議所の会頭さん、商工会の会長さんたちを集めて説明会をやったこともございます。

 RESASを使うことで、全国の自治体は産業構造や観光客の動向を簡単に把握して、地域の強みや課題を客観的に見える化することができます。

 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局では、地方創生において、各自治体が地方版総合戦略の策定や効果検証に活用するよう積極的に普及促進をしているところと承知しております。

 経済産業省としましても、勘や経験や思い込みではなくて、客観的データに基づく政策立案を行うべく、RESASを積極的に活用してまいりたいと思っております。

平委員 本当にすごい時代が来たなというふうに思います。

 資料を用意しましたので、ごらんいただきたいと思います。

 RESASを御存じない方は、グーグルでRESASと検索していただくとポータルが出てきます。グーグルクロームで見られますので、ぜひ見ていただきたいと思います。

 コネクターハブ企業という概念があります。資料一でありますけれども、二〇一四年中小企業白書から持ってきましたが、コネクターハブ企業というのは、まずはハブ度というのは、どれだけ地域につながっているかということ、コネクター度というのは、どれだけ域外につながっているかですね。簡単に言うと、地域のものをたくさん仕入れて域外にたくさん売ると、その地域経済に対して大変貢献度が高い。

 RESASを使うと、初めて、概念であるコネクターハブ企業をビッグデータをベースに検索して、例えば、コネクター度のつまみをマックスにして、ハブ度のつまみをマックスにすると、コネクターハブ企業が具体的に抽出できるようになりました。

 一枚めくっていただいて、資料二が、イメージですが、これを見ていただくと、例えば、帝国データで、こういうような形で出てきます。真ん中にあるA社をコネクターハブ企業と想定すると、うっすら丸い円があるのが域内、例えば大田区だったら大田区、何とか市だったら何とか市、この黒い外縁が域外になるわけでありますが、こういうコネクターハブ企業の業績が上がると地域の取引先の業績が上がる、下がると下がるという相関関係にあるわけであります。これは、便宜上、A、B、C、Dで振ってありますが、実は具体名が全部見られるようになっているということなんです。

 ここで、提案は、今まで中小企業政策というと、税制優遇とか補助金とかを用意するんですが、あくまで向こうから言ってくるのを待って、その上で、一定の要件の上で出すわけでありますけれども、こういうビッグデータが整備をされると、コネクターハブ企業を抽出することができるわけですから、そこに対してピンポイントで政策を打って、そのコネクターハブ企業の売り上げが上がると、そこにぶら下がっている中小企業の売り上げが上がって、地域経済が底上げをできるということになります。

 さらに言えば、そのコネクターハブ企業が輸出対応型の企業で、さらにその輸出先がTPP参加国である場合は、そこの売り上げをふやすことによって、TPPに入った果実を、自分では輸出をしていない、自分では海外展開も考えていない地域企業に裨益することができるということだと思います。

 ぜひ、こういうRESASを使ってコネクターハブ企業を抽出して、ピンポイントで中小企業政策、TPP対策などを打って、地域の底上げを図るべきだと思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。

鈴木副大臣 委員御指摘のとおり、RESASは、地域企業の域外への販売状況あるいは域内からの仕入れ状況など、企業活動の地域経済への貢献を定量的に示す点で極めて有益なものと承知いたしております。

 そして、コネクターハブ企業のような地域経済を引っ張る中堅・中小企業を重点的に支援することが地域経済を活性化させるためには極めて有効であると思います。

 このため、経済産業省では、平成二十八年度予算案における地域中核企業創出・支援事業、これは予算規模二十・五億円でありますが、これを通じまして、これらの企業に対し、支援人材を活用して、新製品の開発体制づくりから国内外の販路開拓に至るまで、段階に応じた支援をすることといたしております。

 今後は、RESASももちろん活用して、地域経済の活性化に貢献できる企業を発掘するとともに、中小企業施策やTPP対策等を効果的に活用することを検討してまいりたいと存じます。

平委員 コネクターハブ企業を抽出して、コネクターハブ企業もいろいろなカテゴリーがあると思いますからカテゴライズして、そのカテゴライズごとにコネクターハブ企業を例えば中小企業庁なり経産省に呼んでもらって、何に困っているかを抽出して、ピンポイントで、そのカテゴリーごとに焦点の合った政策を打つことによって、少ない資金で大きな効果が得られると思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 続いて、ミラサポの話をしたいと思います。

 中小企業政策をいわゆるディマンドベースで、例えば研究開発がしたいとか海外拠点だとか資金繰りだとかそういったものを、何が欲しいかというディマンドベースで検索できるポータルサイトをつくりました。当時、私、佐藤ゆかりさんも一緒に大臣政務官をやっておりましたが、そういうポータルサイトをつくったところです。今までの役所のポータルサイトというのは、タイムラインがあって、時間がたつとどんどん下に行ってしまう、欲しい政策になかなかたどり着けないということがあったと思いますが、初めてそういう形の、使い勝手のいいポータルサイトをつくりました。

 ただ、なかなか知名度が上がらないということがあって、実はここに中小企業庁長官豊永さんの名刺があるんですが、裏にミラサポと入っているんですね。当時、私はこれを入れろと言って、いまだにちゃんと入れているので偉いなと思いますが、入っているんです。ですから、ぜひ引き続きこういうことを政務も協力していただきたいと思います。

 三年ぐらいたちました。実際ミラサポをやってどうだったのか、副大臣、よろしくお願いします。

鈴木副大臣 ミラサポは、中小企業、小規模事業者の方々に、国の各省庁や自治体の支援制度等を検索していただくためのポータルサイトであります。

 利用者は順調に増加をいたしておりまして、平成二十五年七月に運用を開始して以来、現在では、月平均約八万人の新たな利用者が加わっておりまして、合計でこれまでに二百五十三万人に御利用いただいております。

 また、ミラサポメールマガジンを送って支援情報を毎日お届けしているところでありますが、現在、月平均三千人の新規登録がありまして、これまでに合計七万人に登録いただいている、こういうことであります。

 このように多くの方々に御利用いただいているところでありますが、今後も内容を充実させまして、中小企業、小規模事業者の目線に立ってわかりやすい情報発信を心がけてまいりたいと思います。

平委員 ぜひ、ミラサポも、利用者の視点に立ってどんどん使いやすくしていただきたいと思います。役所がやっているから使い勝手が悪くていいというわけではなくて、いろいろなポータルサイトとの競争ということなので、しっかり対応してもらいたいと思います。

 さらに、時代が進んできて、先ほど言ったように、ビッグデータ、ICTを活用して行政の政策の精度を飛躍的に向上することができるようになった、RESASのところでもお話をしましたが。

 例えば、ことしからマイナンバーが入りました。マイナンバーというのは、ある意味、行政サービスを受ける側に付番をするわけですよね。ビジネスでいえば顧客の側に付番をするわけでありますから、本来、顧客に付番をする以上は、商品の方もカテゴライズをして付番をして、マッチングをしたり余計な在庫がないかとか販売ロスがないかとかいうのをやるべきである。私は、マイナンバーは今後は、例えば社会保障サービス、子育て支援だとか介護支援だとか、そういうものはちゃんとカテゴライズをして、都道府県、市町村、国、全部がカテゴライズをして付番をした上で、来年から利用可能なマイナポータルでマッチングをする、もしくは、プッシュ型で、そろそろ子供が保育園に上がる時期だったらそれに合った政策をプッシュ型で提案するということをやるべきだと思っていて、これは今党でも議論していますし、ぜひやっていきたいと思います。

 一方で、中小企業政策も、企業版マイナンバーが入るわけですから、法人の方にも付番をされるわけで、同じことが言えると思うんです。中小企業政策というのは、今、ミラサポで、国と都道府県と市町村、一覧できるようにしました。しかし、名前がみんなばらばらなので、カテゴライズはしていますけれども、もっと細かいカテゴライズをした上で付番する、その上で中小企業の方とマッチングをする、そういうポータルサイトとか、いわゆるマイナポータルのようなアカウントをつくるべきだと思うんです。

 その際は、せっかくミラサポがあるわけですから、ミラサポを活用してアカウントをつくる。そのことによって、こういう政策をやりたいといったときに、ビッグデータを分析して、まさにきくところにちゃんとその政策が迅速に届くように、特に経済対策や補正のときなんかは早く効果を出さなければいけないわけなので、そういう役割を今後ミラサポで検討すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

鈴木副大臣 委員御指摘のとおり、中小企業が必要とする支援情報を、ミラサポの側から選んでお届けすることは極めて重要だと思います。

 現在、ミラサポでは、毎日、ニーズの高い情報を選んでメールマガジンを配信して、情報は欲しいけれども毎日インターネットを見るのは大変だ、あるいは忙しくて時間がない、こういう中小企業の方々にも支援情報をわかりやすくお届けしているところであります。

 さらに、マイナンバー制度やTPP協定など多くの中小企業の興味、関心の高い案件を選んで、特設ページを設置して、必要な情報がワンストップで入手できますように、最新の情報を整理してわかりやすく発信しているところであります。

 今後は、例えば、利用する中小企業にあらかじめ支援内容や分野、目的を選んでもらって、それに応じてメールマガジンを配信する仕組みをつくるなど、中小企業の個別のニーズに合わせて施策を紹介する取り組みができないか検討してまいりたいと思っております。

平委員 今、党で行革を担当していますけれども、経産省とか中小企業庁は経済官庁なので、ぜひ、こういうビッグデータとかICTを使ってしっかりKPIを設定して、PDCAを回して費用対効果を見るということで、他の省庁の模範となっていただきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 中小企業の海外進出支援というのを今一生懸命やっているところですが、これは中小企業政策の大転換でありまして、今まで、中小企業が外に出ていっちゃうとGDPが減っちゃうので、余り積極的でありませんでしたが、逆に、外に出ていくぐらいの中小企業の方が国内でも雇用をふやしているし元気だということで、転換をして、中小企業といえども海外に出ていくように応援しようということになりました。

 そこで、中小企業海外展開現地支援プラットフォームというのが、これも我々のときにつくったんですが、そのときから私は問題意識を持っているんです。

 私たちのときは十拠点でした。今は世界十四カ国に二十カ所あります。それで、国によって違うし、多分コーディネーターの能力によって大分結果が違うし、動き出してもう二、三年たちましたから、ベストプラクティスも出てきたでしょうし、悪い事例も出てきたと思います。

 ここで、政務三役が海外出張に行ったときに、たまたま近場にあるから行きましょうとばらばら行くんじゃなくて、山際副大臣時代にも申し上げたんですが、政務の一人がちゃんとこれを担当して、その一人がちゃんと十四カ国二十カ所を回るというのが実は大事で、一人が回るから何がよくて何が悪いのかがはっきりわかるし、さらに言えば、各国のコーディネーターが年に少なくとも一回は一堂に会して情報共有するというのが大事だと思います。

 これは結構急速に今拠点が広がっていて、ジェトロがやっていますが、ジェトロ任せにしていると結構やばいんじゃないかなと、ちょっと言葉は不適切だと思いますが、これはちゃんと政務が見るべきだと思います。

 あわせて、これも私は政務官時代から言っているんだけれども、進出を支援する以上は撤収のところもちゃんと支援してあげないと、なかなかぐるぐる回らない。特に中国のような特殊な国は、出たはいいけれども帰ってくるのはえらい大変だと。何か行政もよくわからぬし司法もよくわからぬ、予見可能性がないということにもなるので、特に中国を含めですが、進出支援する以上は撤収の支援もパッケージでそろえていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

鈴木副大臣 まず、御指摘の中小企業海外展開現地支援プラットフォームでありますが、これは、海外のジェトロ事務所に専門家を配置して、現地に進出した中小企業に法務、労務、知的財産等に関する助言を行うものであります。

 現地のJICAを初めとする公的機関、法律事務所等の協力を得て、今、十四の国・地域で二十カ所のジェトロ事務所に約七十名の専門家を配置したところであります。平成二十五年の四月からことし一月までに、既に四千百件の相談に応じております。

 例えば、ベトナムにおいては、法律の専門家の助言や大使館への取り次ぎによって、販売する製品の認可取得に成功した事例など、成果が生まれております。

 TPPの合意を踏まえて、今後、TPP参加国に重点を置いて、専門家の増員や、あるいはジェトロ事務所に新たに専門家を配置することを検討いたしております。

 先ほどの事業再編の支援でありますけれども、本年二月に、東南アジアに配置される専門家をベトナムに集めて、中小企業庁の担当者や各国のジェトロ職員などが、成功事例の報告に加えて、現場で肌で感じる課題や提案を聴取したところであります。

 今後、聴取した課題等を踏まえまして、評価と実践のサイクルを回して、現地のニーズを踏まえた事業となるように努めてまいりたいと思います。

 御指摘のとおり、海外展開を実現した中小企業の中に、進出先での撤収を余儀なくされる、こういう場合があることは十分承知をいたしております。

 このため、我々経産省としましては、撤収を含む海外での事業再編を支援するために、中小機構の専門家が海外に赴き、経営診断や市場調査等を通じた支援を行っておるところであります。また、政府系金融機関による海外展開、事業再編のための融資制度、あるいは進出先での事業再編に当たって留意すべき事項等を整理した事例集の公表等を行っておるところであります。

 今後とも、中小企業の海外展開だけではなくて、進出先での撤収を含む事業再編についても、我々政務も関与する中でしっかりと支援を行いたいと思います。

平委員 ベトナムでコーディネーターを集めた会議をされたというのはいいことだと思いますが、やはりそこに政務がちゃんといるのが大事なので、ぜひ副大臣、国会が終わったら全部回ってきていただければというふうに思います。これはすごく大事なので、やはり政務がちゃんと見るということは極めて重要なので、ぜひ、鈴木副大臣、期待をしたいと思います。

 終わります。

高木委員長 次に、宮崎政久さん。

宮崎(政)委員 自由民主党の宮崎政久です。

 きょうは、大臣所信という大変貴重な質疑の機会をいただきました。高木委員長を初め皆様に感謝を申し上げます。

 きょうは朝から、アベノミクスの評価が質疑の対象とされております。私は、このアベノミクスの三年間で、デフレ脱却は道半ばでありますけれども、物価がプラス基調に転じている、名目GDP、実質GDPともに増加していることから、十五年以上続いてきたデフレ状況が転換したというふうに考えております。過去最高水準の企業収益からしても、経済の再生に向かっている。

 これからは、この収益をどう活用していくのかということで、賃金にどうやってつなげるのかという局面に来ているんだというふうに考えております。平成二十七年の賃上げ率は十七年ぶりの水準である、最賃もこの三年間で四十九円上昇している、有効求人倍率も全都道府県で上昇していて、アベノミクスがしっかりと成果を出している。

 ただ、課題ももちろんあるわけでありまして、需要サイドであれば、デフレの脱却にはまだ至っていない。供給過剰でありますから、個人消費であるとか、設備投資であるとか、民需のエンジンを温めていくということで、内需の拡大が必要でありますし、きょうも議論になっておりますけれども、地方経済の縮小均衡のような状況をどう反転させていくのかというのも大変大きな課題であるわけであります。

 一方、供給サイドも強化をしないといけないというふうになっておると思います。我が国は構造的な人手不足に直面をしている。人手が少ないところで経済を成長させる必要があるわけでありますので、必然的に生産性の向上を図らないといけない。製造業はもちろんなんですけれども、私は、とりわけサービス産業、ここの生産性の向上というのが極めて重要だというふうに思っています。

 この生産性の向上に正面から取り組む、そしてこれを全国津々浦々まで及ぼすという意味で、今国会に提出を予定している中小企業等経営強化法案、これは非常に意義が高いんだと私は考えております。

 私の地元にも、車が通るのがやっとという裏通りにも、小規模事業者さん、個人事業者さん、零細の事業者さんというのが多々あるわけでありまして、こういうところにもアベノミクスを届けていって、成果を手にしていただかないといけないわけであります。

 我が国経済を支えている事業者、これは改めて言うまでもないですけれども、三百八十二万者あるわけであります。うち中小企業は九九・七%、三百八十万者だということです。この三百八十万の中小企業の大部分、三百二十五万者が小規模事業者である。事業者全体の八五%は実は小規模事業者だ。ここに十分に手当てができなければ、事業者を支援する経済政策というのは功をなさないということになるわけです。

 この法律案について少し議論したいんですけれども、一番アプローチをしないといけない小規模事業者に届くのかというところです。

 この法律案の名称ですけれども、中小企業等経営強化法というふうにある。そして、第一条の目的の条項にも、中小企業等の経営強化を図ると書いてある。そして、第二条は定義規定が新設されているんですけれども、ここでも中小企業者という言葉しか出てこないんですね。これはもちろん中小企業基本法の定義を受けているからでありますけれども、やはり小規模事業者にこそ光が当てられるべきだと私は思うんですね。

 実は、我が党の経済産業部会が開催されて、この法案が審議されたときに、最初に質問で出たのは、この法案の名称を、中小企業等ではなくて、中小企業、小規模事業者等経営強化法とすべきじゃないかという指摘があったんですね。これは我々の同期の八木哲也先生が真っ先に指摘をした、御自身で拍手をしているという状況でありますけれども、これは私は非常に的を射た御指摘だったと実は思っています。

 今のこの段階で、法案の名称を変えろということを私は申し上げているわけではございません。ただ、さはさりながら、小規模事業者というところに手当てが十分にされているのか、ここが実はこの法案の肝でありますし、アベノミクスを行き渡らせるという意味で非常に重要なところでありますので、鈴木副大臣からこの辺の基本的な考え方を教えていただきたいと思っています。

鈴木副大臣 委員御指摘のとおり、八五・一%を占める小規模事業者の生産性向上を支援することは極めて重要な課題であります。

 このため、固定資産税の軽減措置を初め、先週金曜日に閣議決定をいたしました、また国会に提出しました中小企業等経営強化法案、これを中心とした支援策を小規模事業者等に幅広く利用いただけますように配慮したいと思っております。

 具体的には、政府が業種別の指針として示す生産性向上の優良事例を小規模事業者でも容易に取り組めるものを含めて豊富に示す、あるいは、計画認定や軽減措置等の恩典の適用に係る申請書自体の記載内容をできる限り簡素なものにするとともに、作成に当たって支援機関からサポートを行う、軽減措置につきましては、各業種で用いられることの多い対象となる機械装置等を幅広く紹介することにしたいと思います。

 本法案が全国津々浦々の小規模事業者に利用され、それらの方々の生産性向上に資するよう取り組んでまいりたいと思っております。

宮崎(政)委員 副大臣、ありがとうございます。

 今の点は、言ってみれば、政策というか法案の名宛て人との関係で御指摘をさせていただいたんですけれども、次に、プレーヤーという点でどうなんだろうというところをちょっと議論してみたいというふうに思います。

 この法案では、実は、主務大臣が優良事例を事業分野別の指針として策定する、そして、中小企業者は経営力向上計画を申請して認定を得て支援措置を受ける。では、この申請事業者とかかわるプレーヤーは誰なんだということであります。

 もちろん、今現在も各地で商工会議所、商工会の皆さんが活動していただいております。私の地元沖縄、浦添、宜野湾を初め各地でも商工会議所、商工会が努力をしていただいておるわけでありますし、さまざまな取り組みもある。例えば経営セミナーみたいなものもやっていただいているわけですが、今回、本業を支援していく、そして地域の隅々までアベノミクスの成果をとってもらおうということでありますので、実は、忙しいとか関心がなかなか高まらないということで、こういう既存の支援の体制になかなかアプローチしていただけないような方にどうやってアプローチをしていくかということが重要なんじゃないかと思うんです。

 例えて言えば、地域で社会保険料を下げたいということで、市民の皆さんに特定健診を受診してほしいということで、市が健康セミナーなどを開催して、皆さん、特定健診を受診しましょうというふうなことを言ってみる。ところが、健康セミナーに来る人というのは健康に関心があるものですから、皆さん、実は特定健診はちゃんと受診をされている。健康セミナーに来ないような人に健診を受診してほしい、そのためのアプローチを考えていかなければいけないというのとある意味似ているんじゃないかなというふうに思うんです。

 つまり、よろず支援拠点の相談を利用されている数は上がっている。上がっているけれども、そうではなくて、忙しいとか人手が足りないとか、そういうようなさまざまな理由から、こういう既存の場所を自社の経営とか稼ぐ力の関係で十分活用していただけていない方にどうしたら活用していただけるのかということを考えてみると、どんな事業者もかかわっている人、例えば金融機関、税理士さん、こういう人たちの役割が非常に重要になるわけです。

 この人たちにも今回認定支援機関となっていただくということのようでありますが、これがプレーヤーとして十分に機能していかないといけない。ここにどういう配慮がされているのかということを教えていただきたいと思います。

鈴木副大臣 委員御指摘のとおり、中小企業、小規模事業者に経営力強化に取り組んでいただくためには、まずは、地元の商工会や商工会議所を通じた働きかけが有効でありますけれども、全ての事業者に働きかけを行えるわけではありません。このため、資金調達や税務面でほとんどの中小企業と直接の関係を持つ、お話しのとおり、地域金融機関あるいは税理士等による働きかけが極めて重要になろうかと思います。

 先週金曜日に閣議決定をして国会に提出しました中小企業等経営強化法案では、認定支援機関が、各事業者が行う経営力強化に係る計画の策定等を支援することとしております。関係省庁とも連携をしながら、地域金融機関や税理士がこの認定支援機関として積極的に活動いただけますように働きかけを行ってまいりたいと思います。

 また、認定支援機関に対しまして、必要に応じて、中小企業基盤整備機構から専門家の派遣を行い、活動の支援を行うこととしたいと思っております。

 これらの取り組みによりまして、中小企業、小規模事業者の実効性ある計画策定を促し、本法案による経営力の強化を効果的に機能させてまいりたいと思っております。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 これは冒頭申し上げたとおり、アベノミクスは、供給サイドの強化という非常に大きな役割を担っていると思うんですね。ですから、私は、この法案をちょっと読ませてもらったときに、事業分野別推進機関ということで、業界団体だ、組合だというところがプレーヤーで出てきているというところからしても、こういう人たちの役割をもっと強めていって、税理士さんとか金融機関としっかりとタッグを組んでいけるような配慮をしてもらいたいというふうに思っております。

 次に、電力システム改革についてお尋ねをしたいと思っております。

 この四月から、電力の小売全面自由化が始まっていくわけであります。平成二十五年以降、三年連続して電気事業法の大改革を行って、ここに至るということです。私もこの経済産業委員会での質疑に立たせていただいて、きょうを迎えさせていただきました。

 新たに自由化される電力市場だけでも市場規模八兆円、契約の数として八千五百万件。この電力市場に、実は二百を超える会社が新規事業者として既に登録されている。電力を消費者自身が選べる時代になってくるわけですね。競争が生じて電気料金が安くなる、さまざまな割引メニューがある、国民の関心も非常に高いということです。

 この電力の小売自由化というのは、安倍内閣にとってもとても大きなテーマでもありますし、規制を改革していくという意味で六十年ぶりの大改革、非常に重要なことでありますが、一般の方にはちょっとわかりにくい側面があることも事実なんですよね。

 私、新聞でちょっと見たんですが、鈴木副大臣が何と真鍋かをりさんと一緒に新聞に写っておりまして、電力自由化キャラバンというのをやっているのをきのうの新聞の朝刊で拝見いたしました。この大改革の意義を国民の皆さんにしっかり伝えていただくことは非常に重要だと思っております。

 これはどういう方向性で周知を今図っているのか、御説明いただきたいと思います。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 まさに宮崎委員が御指摘のとおりでございまして、電力システム改革の目的は、電気料金の最大限の抑制のみならず、電気の安定供給の確保、並びに電気の使用者の選択の機会の拡大及び電気事業における事業機会の拡大を実現することにあると考えております。

 一言で言ってしまえば、しっかりと競争環境を確保して、そして、今申し上げさせていただいた目的にたどり着くための一つの方法であるというふうに考えております。

 政府としては、これまで、全国各地での説明会の開催や、テレビ、新聞、雑誌などのメディアを通じた広報、先ほど鈴木副大臣のお話もいただきましたけれども、私自身もテレビのBS放送に二時間生出演してまいりまして、さまざまなことも御説明をさせていただきました。また、パンフレットやポスターの自治体への配布、専用ポータルサイト、コールセンターの設置などを実施いたしまして、電力システム改革の狙いや意義を積極的に発信してきたところでございます。電力自由化に関する報道も、ここに来て急増していると認識をしております。

 その結果、消費者であります国民の認知度も高まってきていると認識をしていますが、一方で、一層の理解の促進に向けて、引き続き、周知、広報に万全を期してまいりたいと考えております。

宮崎(政)委員 星野政務官、ありがとうございました。

 この電力システム改革、小売自由化がされるわけですが、電気料金の抑制、選択肢多様化、これは当然重要な柱なわけですが、やはり私は第一義は安定供給の確保だと思っています。

 これまで、地域独占、総括原価方式で、過疎地、私たち沖縄の離島であるとか、日本各地にある山村、山奥の方まで電気をきちんと届けているわけでありますけれども、これからは、一般送配電事業者が独占の規制部門として残って、採算困難地域に対してもしっかりと送電の責任を負う、そういう意味から、託送料金の設定をしていただいている、昨年十二月にも認可されたということであります。

 ちょっと私の地元の話だけをさせていただきますと、沖縄は、やはり広域の電力融通というのは非常に難しいわけであります。実は、沖縄本島以外とってみても十一系統、三十八有人島に責任を持って電力供給をしなければいけない。亜熱帯地域であるものですから、毎年毎年、台風災害というのがありまして、台風が来て電柱が折れる、電柱が倒れる、停電が起きるということであります。停電というのは毎年毎年必ずあるものであります。

 こういう災害リスクにも対応した上で、安定供給というものはしっかりとしていかないといけない。だから、過去に電気事業法を改正していただいたときにも、そういう特殊事情に配慮するという文言を附則の中でも入れていただいていることは承知をしているところであります。

 ただ、一方で、このリスクも勘案した上で託送料金の設定をするので、どうしても託送料金が高くなってしまったんですね。この十二月の認可料金、低圧、高圧、特別高圧、いずれも全国一番高いのが沖縄電力になってしまったわけです。そうすると、今度、産業競争力も必然的に弱まってしまう。沖縄においても電気料金の抑制という目的は達成されないといけないわけでありますし、沖縄県民にも全国共通の自由化メリットも享受させてほしい。

 この小売自由化のメリットが離島県でもしっかりと享受されるべきだというふうに思っております。この点についての政府の取り組みとかお考えを聞かせていただきたいと思っています。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、沖縄地域は本土から独立した小規模な電力系統でありまして、需給調整で生じるリスクを他地域からの電気の広域融通を通じて低減させることが困難であります。このような特殊性に配慮した上で、送配電設備の維持運営や離島における電力供給に必要な費用を確保いたしまして、電力の安定供給を図ると同時に、競争の活性化を通じて、電気料金の最大限の抑制を図ることが重要であると考えております。

 安定供給の確保につきましては、沖縄地域で電力系統を運用する際には、個別の需要家の電力需要の状況に応じまして、本土より弾力的な電源の運用を求めるなど、需要家や発電部門との連携において、本土と異なる特殊な運用を行う必要があることから、法的分離の例外としているところでございます。

 加えて、託送料金の認可に当たりましては、安定供給確保のために必要な費用の計上を認めた上で、最大限の経営効率化を踏まえた料金水準となっているか、厳正に審査を行ってきたところでございます。

 他方、小売分野における競争の促進については、電源開発株式会社の電源について、沖縄電力との長期契約を見直し、新規参入者への売電が拡大しますよう、沖縄電力による自主的取り組みを促してきたところでございます。

 こうした取り組みに加えて、今般の小売全面自由化によって、沖縄地域における電力各社の競争が活性化をいたしまして、電力料金の抑制につながることを期待しております。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 この国会でアベノミクスの進展をしっかりと図っていく、その大きな力を担うのがこの経済産業政策であると思いますので、私もともどもにしっかりここに取り組んでいくことをお誓い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高木委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後二時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 五十分間、お時間をいただきましたので、質疑を行ってまいりたいと思います。

 まず、障害者優先調達法という法律があって、それに基づく各省庁の障害者就労施設等との調達実績というのが平成二十六年度まで、二十七年度はまだ集計なされていないということで二十六年度まで出されておりますけれども、経産省におきましては、平成二十五年度が三十六件で二百十万六千円、二十六年度が五件減っているんですね、三十一件で、しかし額はふえて五百八十七万六千円、件数が減って額がふえている。

 内訳をぜひ教えていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、約六百万円の総額で三十件の契約ということになれば、一件当たり二十万円程度。細々とした物品の購入ならそれはかなりの量なのかもしれませんが、例えば清掃業務の委託であるとか、あるいは印刷の発注であるとかということを含めれば、一件当たり平均二十万円、総額六百万円というのは、決して多いとは言えない、この法律の趣旨を十分反映しているとも言えないような額ではないかと思っております。

 障害者の貧困率は、残念ながら二五%程度だと言われておりまして、障害をお持ちでない方に比べても、その貧困率は高いわけであります。障害者の就労支援だとか、あるいは所得保障だとか、こういったところを支援するというのは、地域経済の発展あるいは消費の拡大ということにおいても非常に大切なことだと思っております。

 また、こういういろいろな事業所と仕事とのマッチングというのは、経産省、中小企業庁が得意とするところのはずでありますので、もっともっとこの法の精神を反映して、ぜひ経産省におかれましても、障害者就労施設等との契約を積み上げていっていただきたい、ふやしていっていただきたいというふうに思っております。

 現状、例えば二十六年度の五百八十七万六千円、三十一件というものの内訳とか、あるいは、今後ふやしていくお考えがあるのかないのかというようなことをお示しいただきたいと思います。

嶋田政府参考人 御質問の国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律、これは平成二十五年度にできまして、これに従って各省、経産省も含めまして拡大に努めております。

 委員御指摘の調達実績でございますが、平成二十六年度の内訳を申しますと、五百八十七万六千円のうち、役務が五百三十二万四千円、それから物品が五十五万二千円でございます。

 御指摘の、件数が減ったということにつきましては、事務用品と書籍につきましての件数が減りまして、金額も減った。これは、実はオープンカウンター方式というある種の入札でやったものですから、こういう結果が出たので、二十七年度からは障害者就労施設間の相見積もりという形で、むしろ、それをふやすような工夫を始めているところでございます。

 お話がございましたように、この法律に従って、障害者就労施設等への情報提供、あるいは履行期限の配慮、こういうものも行いまして、受注機会の拡大に努めていくというのは極めて大切な課題だと思っていますので、引き続き万全の努力を図ってまいりたいと思っております。

中根(康)委員 役務が大宗を占めているということですが、役務というのはどんなものがあるか、ちょっと教えていただけますか。

嶋田政府参考人 役務は、五百三十二万四千円のうち、五百二十六万五千円が印刷でございます。残りはクリーニングでございます。

中根(康)委員 そうすると、省内の建物というか設備とかの清掃業務なんかは、まだ発注していないというか契約していないという状況でもあります。こういったところもまだ余地が残されているような気がいたしますので、そういうことも含めて、今年度はもうそろそろ集計されるということだろうと思いますが、あるいは来年度に向けて、できる限りふやしていっていただければありがたいとお願いを申し上げておきます。

 もう一つ、同じ分野の話なんですけれども、四月一日から障害者差別解消法という新しい法律が施行されます。そのために、経済産業省においても、経済産業省の職員の皆様方向けの、障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領というものを去年の十一月ごろに既につくっておられるわけであります。

 私は、余談になりますけれども、憲法を変えるとしたならば、この障害者差別解消法あるいは障害者権利条約に含まれている考え方、合理的配慮とかあるいは社会的包摂とか、こういうところを、新しい憲法にと言ってはあれですが、変えるとしたら、そういうものに盛り込みたいなというふうに思っている一人なんですけれども、この合理的配慮という考え方は、四月以降、これが着実に社会に浸透していけば、社会の風景を変え得る力を持つ法律であったり考え方だったりするというふうに思っておりまして、ぜひ経産省におかれましても、この新しい考え方を積極的に周知啓発、実践をしていっていただければというふうに思っておるんです。

 この対応要領の中に、例えば監督者の責務ということで、職員のうち、職員を監督する地位にある者を監督者とするという規定があるんですけれども、これはどういう立場の人がなるか。あるいは、相談窓口を設けるというふうに書いてあるんですが、この相談窓口に当たる人たちはどのような専門性を持つか。あるいは、この相談窓口は、本省だけではなく、全国の経産局などもその窓口の役割を果たすということになっておりますので、それぞれ、全国どの局においてもきちんと同じような対応がなされ、そこに集められた情報とか事例とか、そういうものが本省にきちんと集約をされて、その後の対応に反映されるという体制を整える必要があるし、そういう体制がどのようになっているか。あるいは、現在、四月一日から始まるこの法律のスタートに当たって、研修あるいは啓発、そういうものが省内でどの程度行われているかというようなことを教えていただきたいと思います。

 大事なことは、合理的配慮という言葉は難しい話じゃないんです。他人様を思いやる、ちょっと手を差し伸べる、困っている人を助けてあげるということ、当たり前のことを行うということでございますので、決して職員の皆様方が萎縮してしまうようなことではないわけでありますので、ぜひ経産省の隅々までこの合理的配慮という考え方が正しく浸透されるように期待をしているわけでありますけれども、それに向けての取り組みを、今申し上げたような点を中心にお示しいただければと思います。

嶋田政府参考人 障害者差別解消法、本年四月に施行でございますが、経済産業省の職員が本法の趣旨を理解し対応するために必要な事項を定めた対応要領を、委員御指摘のように、策定しているところでございます。

 それに基づきまして今研修をしておりまして、研修についてはいろいろな階層がございます。係員、係長、課長補佐、そういう階層別の集合研修、あるいは全職員を対象にしたEラーニングを通じて実施する服務規律の研修、これらにおいて対応要領の内容を追加しております。

 研修を通じまして、不当な差別的取り扱いの禁止、これは、例えば正当な理由なく、障害を理由に窓口対応を拒否する等は禁止されているとか、こういったもの、それから委員御指摘の合理的配慮の提供の考え方、これは筆談等の意思疎通の配慮を行うなどなどいろいろございますが、それらを周知いたしまして、職員の意識向上に努めているところでございます。

 それから、相談窓口につきましては、本年四月より設置予定でございまして、これは対面のほかに、電話、ファクス、Eメールに加え、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意し対応するという予定でございます。

 各局、それから経産局も含めまして、それぞれの総務企画部の総務課、あるいは本省におきましては大臣官房の秘書課、これが取りまとめ責任者になって、障害者差別解消法の施行に努めてまいります。

中根(康)委員 合理的配慮というのは、今申し上げましたように、決して特別なことではない、それと同時に、大変個別的で、多種多様な、その場その場の、ケース・バイ・ケースによって必要なことが異なるということでございますので、相談窓口を中心に得られた事例をたくさん集めて、それを十分検証して、いろいろな角度から検証して、合理的配慮が適切に提供されるように、経産省として、ぜひ御尽力を、努力をいただけますように、心からお願い、期待を申し上げるところでございます。

 次に、地方法人課税について取り上げていきたいと思います。

 平成二十八年度の税制改正における地方法人課税の見直しによって、法人住民税法人税割の一部国税化がなされて、県分、市町村分とも一部国税化の割合が拡大されるとともに、実質的な法人事業税の国税化となる法人事業税交付金が創設されることになったということでございますけれども、これは、やはり地方分権に反するのではないかとどうしても思えてしまうんです。

 自治体が懸命に稼いだお金を、税の偏在の解消だという理由をつけて勝手に召し上げていってしまうということは、地方分権に反するのではないかというふうに思いますし、さらに、一部国税化による減収が法人事業税交付金及び地方消費税率の引き上げによる増収を上回ることによって、結果的に大幅な減収となる自治体が複数生じているということであります。

 私の選挙区にも幸田町という人口四万人の町があるんですが、ここは年間の予算が百三十億円程度でありますが、そのうち、今回の見直しで四億七千万円も税収が召し上げられてしまうというわけでありまして、これでは、今までやっていた住民サービスが継続できない、予算が組めないということになってしまっているわけであります。

 そして、こういうことは、まさに経産省、中小企業庁が後押しをしてきた、工業団地の開発であるとか、あるいは企業立地、企業誘致、産業振興、その町が今まで営々として築き上げてきたことに対する背信行為ではないかというふうにも思えるわけであります。

 地域経済を損なう、地域経済の成長をそぐことにもなる税制の改悪というふうにも当該の自治体は憤っているわけでありまして、これは総務省の話でありますけれども、中小企業の立地、企業の誘致ということにかかわる問題でありますので、経済産業省としても十分関心をお寄せいただいて、本当にこの税制の見直しが適切なものなのかどうかということを一つ二つお尋ねしていきたいわけであります。

 これは二月二十五日に、予算委員会の分科会の総務分科会で、私は高市総務大臣にもお尋ねをいたしました。

 私は、地方税の国有化を進めるものであって、地方分権に逆行するものではありませんかとお尋ねをしたところ、高市総務大臣は、交付税化ということになりまして、交付税は、御承知のとおり、地方の独自の財源でございますので、地方分権に逆行するような形にはならないと存じますという御答弁であったわけであります。

 これは繰り返しになりますが、例えば、今の幸田町が創意工夫、努力をして獲得してきた法人住民税を、独自に幸田町としてトップセールス、町長さんが全国を駆けめぐって、うちの町に工場をつくってもらえませんか、うちの町に本社を置きませんかとか言って、営業所を置きませんかとか言って一生懸命努力して得られてきた、獲得してきた法人住民税でありますので、独自の財源ではなくて、交付税化をするということが、まさに努力をして、企業を立地、誘致して、そこから得られた法人住民税こそが幸田町にとっての独自の財源だということになるはずだと私は思うんですけれども、このあたりの考え方、大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。

林国務大臣 先生お尋ねの自治体間の税収の偏在是正に向けた法人住民税の地方交付税への原資化への拡大については、おっしゃるとおり、総務省の所管でございますが、詳細についてお答えする立場にはおりませんけれども、あえて委員からのお尋ねでありますので申し上げれば、御指摘のとおり、愛知県では多くの市町村が長年にわたって企業誘致や産業振興に熱心に取り組まれてきたというふうに承知しております。その努力に深くまずもって敬意を表したいと思います。

 大半の市町村は、今回の偏在是正措置や法人事業税交付金の創設に加え、消費税率の一〇%への引き上げにより、増収になる予定と聞いておりますが、中根先生御指摘のとおり、法人住民税の割合が非常に大きい市町村の場合、減収となることもあり得るというふうなことを承知しているところでございます。

 こうした市町村に対しては、今般、当初の減収を軽減する措置や特例的な地方債の発行措置が認められる、また、産業振興などに主体的かつ先駆的に取り組まれる場合には、今年度補正予算の地方創生加速化交付金や来年度予算の新型交付金などを御活用いただけるものと承知しております。

 経産省としても、市町村がこうした交付金を活用して産業振興などに取り組まれる際には、各地区の経済産業局が全面的にサポートを行います。

 引き続き、各般の施策を総動員しまして、企業誘致や産業振興に頑張る地方自治体を全力で支援してまいります。

中根(康)委員 産業振興に頑張る自治体を全力で応援していただくということであるならば、頑張った成果として得られた独自の財源である法人住民税をぜひ守っていただきたい、これはぜひ経済産業省として総務省と戦っていただきたかったところだと私は思っているんです。

 この新しい税制、新しいというか今回の見直しが、もう企業を誘致したってどうせとられてしまうんだからということで、自治体、特に不交付団体における企業誘致に対するインセンティブを損なうということになりはしないか。大臣、この点はいかがお考えですか。

林国務大臣 そういう考えも当然ありまして、ならないように、しっかりと経産省として、できるところは後押ししていきたいというふうに思っています。

中根(康)委員 ぜひ、経産省としてできる限りのことをお願いしていきたいと思います。

 きょうは、総務省にもお越しいただいております。

 今も大臣からの御答弁の中で、地方債の発行は可能になるということでありますが、召し上げられてしまって無理やり借金を押しつけられるような、そういうやり方というか、したくもない借金をしなきゃならないということを押しつけられるような今回の見直しであるわけでありますけれども、税の偏在解消ということも、これは私も認めないわけではありませんので、ぜひ、こういう頑張った自治体に対する激変緩和対策みたいなものを、何か有効なものを打ち出していただきたいと思いますが、その御用意はあるかどうか、お尋ねしたいと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、法人住民税法人税割の税収の割合が非常に大きい団体には減収となりますので、それに対する配慮措置といたしまして、法人事業税交付金というものを交付いたしますが、それをまず激変緩和、急激に変わらないようにということで経過措置を講ずるということをいたします。また、それでも減収が生じますので、地方財政法上、特例措置を設けて地方債を発行できるというふうにいたしております。

 また、企業努力につきましては、これまでいろいろなところで自治体が頑張ってこられたというのは私ども承知をしております。

 その面も含めまして、例えば法人事業税交付金につきましては、市町村の従業者数を基準に交付をするということといたしております。これは、市町村の産業の集積度合い、すなわち税源の涵養努力が反映されるというものでございまして、そういう措置も講じながら、偏在是正の意義あるいは配慮の内容につきまして、関係の自治体の方々に御理解をいただけるよう、引き続き努めてまいりたいと思っておりますし、また、個別の市町村の声というものもしっかりと耳を傾けてまいりたいというふうに考えているところでございます。

中根(康)委員 今、この部屋には自民党の大見先生もいらっしゃいますが、大見先生のお地元ではもっと厳しい状況に直面するということになるわけです。

 それから、八木先生のところもそうですね。豊田市なんかは百二十億円ぐらいでしたか。数字が違いますか。百億円程度減収されるということになってしまって大変なことでありまして、今のことも含めて、それでもなおかつそれぐらいの減収になってしまうという愛知県の試算の数字が出ているわけであります、総務省の数字は違うのかもしれませんけれども。

 いずれにいたしましても、もともと、例えば幸田町にしたってどこにしたって、初めから工場があるわけじゃないんですよ。そこの住民や行政が大変な努力をして誘致してきて、その結果、潤沢な法人住民税なり税収が確保できているということでございますので、この頑張った自治体が頑張った分、報われるということならばいいんですけれども、そうではない今回の見直しであるということでございますので、ぜひ有効な激変緩和対策、激減対策というものを総務省はお考えをいただきたいと思いますし、経産省として、これを指をくわえて見送っていたということについては、少し責任を感じてもらわないといけないのかなというふうに思っているところでございます。

 それともう一つ、今の内閣は、安倍内閣は経済産業内閣だと言われているわけでありまして、総理の周りには経産省の官僚が幾らでもいらっしゃるということであるにもかかわらず、どうも軍配は総務省の方に上がってしまったのではないかと感じられるのが自動車に関する税制のあり方であります。

 今回導入されることが決まった環境性能割、自動車税における環境性能割につきましては、これは総務省の言い分としては、自動車による環境負荷の低減を図るため、環境性能にすぐれた自動車の普及等を促進する税制上の仕組みとする一方で、自動車販売への影響も考慮いたしまして制度設計をさせていただき、本年度の自動車取得税に比べまして約二百億円の負担減となる、そういう設計になっているところでございます、これも二月二十五日の予算委員会の分科会での私の質問に対する総務省の局長さんの御答弁であるわけであります。

 私たちは、自動車に関する税制のあり方は、ユーザー目線で簡素化、負担の軽減化を図るべきだとずっとお訴えを続けているわけでありますけれども、この簡素化と負担の軽減という観点から、今回の環境性能割の導入はどうかということでございます。

 総務省は二百億円の負担減ということになると言っているんですけれども、私たちは、消費税が一〇%に上がるときには自動車取得税を廃止する、もう自動車取得税は廃止をして、ユーザーの、車の購入者の負担を軽減する、ここを目指していたわけでありますけれども、いつの間にか、自動車取得税を廃止する、それと同時に自動車税に環境性能割が盛り込まれてしまったということでありますので、これは二百億円の負担減ということにはとても思えないわけであります。

 一千百億円ぐらいでしたか、自動車取得税。私たちは、これをなくす、一千百億円程度の負担減、減税を行うということを目指していたんですけれども、自動車税の環境性能割が九百億円程度、その差し引きで二百億円ということになってしまうわけであります。

 もともと自動車取得税を廃止するということは決まっていたわけでありますので、そこに環境性能割を導入するわけですから、私たちは九百億円の負担増だというふうに捉えざるを得ないと思っているんですけれども、林大臣は、このあたり、この環境性能割、やはり総務省と同じように負担減だとお思いになるのでしょうか。それとも、私たちが言うように負担増だというふうにお考えになるのでしょうか。いかがでしょうか。

林国務大臣 環境性能割の導入に伴い廃止される自動車取得税の平成二十七年度の税収規模は、先生御指摘の千九十六億円と見込まれています。これに対して、平成二十九年度から自動車税及び軽自動車税に導入される環境性能割の税収規模は、八百九十一億円と見込まれています。

 このように、環境性能割は自動車取得税に比べ、税収規模が二百億円程度縮小する結果となっておりまして、ユーザー負担の軽減は一定程度図られたというふうに考えているところでございます。

 また、廃止される自動車取得税では、エコカー減税制度により、燃費性能に応じて減免があり、乗用車の場合、登録車、軽自動車とも六段階の税率区分が存在しております。これに対して、新たに導入される環境性能割では、なるべくユーザーにわかりやすく、一%刻みの税率で、登録車で四段階、軽自動車で三段階の税率区分となっております。一定程度簡素化が図られたというふうに考えております。

 経済産業省といたしましては、平成二十九年度税制改正においても、与党税制改正大綱等を踏まえ、さらなるユーザー負担の軽減や簡素化が実現するよう最大限努力してまいりたいというふうに考えております。

中根(康)委員 やはり林大臣も、総務省と同じように、二百億円の負担減だとおっしゃる。とすると、経産省もユーザー目線には立っていない。私たちが求めるユーザー目線での税制の簡素化や負担の軽減、それが車を売りやすくする、あるいは買いやすくする。

 自動車産業というのは日本の基幹産業なんですよ。雇用を相当程度受けていただいておりますし、車が売れるか売れないかというのは、日本の経済、景気にとって大きな影響があるわけで、地域経済、自治体の税収にとって、多少の損はあっても、回り回って、車が売れて景気が拡大して雇用が確保されれば、結果的には得をするという考え方にぜひ立ってもらいたいと思います。

 それよりも何よりも、もともと課税根拠が失われた税金を国民に押しつけることはやめるという、根本的な考え方を改めていただきたいというふうに思います。自動車取得税を廃止するだけでよかったんです。そこに、自動車税に環境性能割という新しい税制、これは自動車税の中だから新しい税制ではないという言い方をされる方もありますけれども、やはりこれは新しい税制で、新しい負担増だというふうに私は思うわけなんですね。繰り返しになりますが、経産省も二百億円の負担減になるということを言っているようでは、先が思いやられるということになります。

 それと、簡素化ということについても、もともと入れる必要のない新しい税制を入れて、今までが六段階だった、今は四段階になったから一定程度の簡素化になっている、これも私は詭弁だと思いますね。簡素化というのは、自動車取得税を廃止する、このことが簡素化にほかならないというふうに思っているところでございます。

 では、今も、今後全力で頑張るとお約束をいただいた、今後のことなんですけれども、税制改正大綱においては、地方の「安定的な財源を確保し、地方財政に影響を与えないよう配慮しつつ、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる。」と書かれているわけであります。いわゆる、これが玉虫色だと言われるような書きぶりであるわけでありますが、ここでその玉虫色を解消したいと思います。

 地方の安定的な財源を確保しというところでありますけれども、これは、財源をまた今回、環境性能割の導入と同じように、車の税金の中だけでつじつまを合わせるようにするのか、あるいは財政全体、税制全体で考えて、ユーザーの負担の軽減と簡素化につなげていただくことになるのか。この地方の安定的な財源を確保しというところは何を意味するのかということ。

 それから、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行うということは、これは素直に読み取れば、何らかの減税をしていただけるというふうに国民は思うと思うわけでありますけれども、これはきちんと減税をする、例えば自動車重量税を軽減するとか、何か減税をしていただくことを検討していただけるのかどうかということ。

 この二点についてお尋ねをしたいと思います。

糟谷政府参考人 地方財政に安定的な財源を確保し、地方財政に影響を与えないようということの解釈についてのお尋ねでございます。

 これは与党の文書でございますので、政府からこの文言がどういった内容を意図して書かれているのか、そういう解釈を申し上げることは差し控えたいと考えますけれども、経済産業省としては、二十八年度税制改正では、消費税が一〇%に引き上げられるタイミングにおいて、ユーザー負担の軽減を図る観点から、第一に自動車税の税額の引き下げ、第二にエコカー減税やグリーン化特例の軽減税率の深掘りなどの要望を行ったところでございます。

 これは二十八年度税制改正では実現しなかったわけでありますけれども、こういったことも踏まえながら、ユーザー負担軽減のために、与党税制改正大綱等を踏まえながら、負担の軽減をどのように実現するか、ユーザーの負担を少しでも軽減できますように、また、少しでもさらなる簡素化ができますように、今さまざまな検討を行っておるところでありまして、ぜひそういう結果が実現できるように取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

中根(康)委員 今御答弁のあったことをぜひ実現していただきたいと思います。

 これは、この二月二十五日のときの総務省の局長さんの御答弁の中に含まれていることでありますけれども、この大綱を踏まえて、関係者の御意見を伺いながら議論をしていく必要があろうかと思いますが、今回の税制改正を受けて、全国知事会からは、環境性能割の導入に伴う負担軽減に加えて、今後のさらなる減税は容認できないといったような意見が早々に出されているところでございます、総務省の局長さんはもう既にこういうことを御答弁されておられるわけでありまして、もう総務省と知事会とは連携し合って来年度に向けて取り組みを始めているわけなんですね。

 そうすると、経済産業省、おくれをとってはなりません。知事会等々の御意見を論破できるような理論武装をして、今御答弁のあった減税、簡素化、これを実現していただきたいと思いますけれども、何もしていないわけではないですよね。もう何かしているはずです。何をしていらっしゃるでしょうか。

林国務大臣 今ほど局長が答弁したように、経産省としても、自動車税の税額の引き下げ、あるいは、エコカー減税やグリーン化特例の軽減率の深掘りなどを次の二十九年に求めて、これからも実現を求めていろいろ検討を行っていきたいというふうに考えております。

中根(康)委員 ちょっと答弁が弱いような気がするんですね。

 総務省は知事会にこういうことを言わせているんですよ。言わせているというのは、総務省の方もいらっしゃるので、御無礼かもしれませんけれども、そういう感じなんですよ。

 経産省、努力していきます、実現したいと思っています、これだけじゃだめでしょう。どうするんですか、局長。では、答弁を。

糟谷政府参考人 二十八年度税制改正要望に当たりましては、消費税率の引き上げに伴いまして、駆け込み反動減というのが起きるのではないか、そういう懸念のもとにいろいろと先ほど申し上げたような要望を申し上げたわけでございます。

 また、一昨年、消費税率が五%から八%になりましてから、自動車の国内販売は二カ月を除いてずっと対前年比を割り込んでいる状況が続いているわけであります。

 こうした経済情勢をしっかりと見守って、分析をいたしながら、どういうところに税制的な対応をするのが一番経済的にも効果があるか、そういうところを、業界または販売店、ユーザーに日々接しておられる販売店などとも話をよく聞きながら、どういう形の提案、要望が二十九年度税制改正に向けて一番効果的なのか、そういうあたりを業界とともに今議論をし始めておるところでございます。

中根(康)委員 業界は経産省の味方ですよ。だから、早く味方に、しっかりとタッグを組んで総務省グループと戦っていかないと、これは本当に戦いですよ。戦っていかないと勝ち取れませんよ。本当に、これは、知事さんたちの御意見を優先するか、もしくは車を買う人や乗る人、使う人を優先するかの問題ですから、どっちを見ていくかの問題ですから、これはぜひ、環境性能割だって、来年の今ごろ、要するにことしの年末に決めればいいのかなと思っていたら、総務省の方は意表をついて去年のうちに決めてしまおうということでやってきたわけですから、あらゆるケースを考えて、絶対来年度は、次の税制改正においては経産省に頑張っていただきたい。

 もちろん、総務省が自治体の税収のことを考えるという、これも当然ではありますが、車の税金の中だけで考える必要はないんですよ。だから、車は車。しかも、車に関する税金は、かつて車がまだぜいたく品だったころにつくられて、既に課税根拠が失われているものがほとんどなんです。それを存続させること自体がおかしな話であるわけでありますので、抜本的な改革を今度こそやっていただきますように、心から御期待を申し上げるところでございます。

 もう総務省の方はここまでで結構でございますので、聞いていただければそれで結構だったんです。

 次は、朝から出ているアベノミクスに関することなんですけれども、過去の経験からすると、消費税を引き上げると、残念ながら税収は減るわけなんです。経済は落ち込むんです。

 二〇一四年十二月の衆議院選挙は、二〇一四年の四月に五%から八%に消費税を引き上げた、そして、二〇一五年の十月に一〇%への引き上げが控えていた、こういうタイミングで行われたということでありまして、安倍総理は一〇%への引き上げを見送るという判断の是非を国民に問うものであったわけであります。

 つまりは、五%から八%に引き上げて消費が落ち込んだことに恐れをなしてしまったということでありますけれども、それと同時に、消費税法から景気弾力条項を外して、二〇一七年の四月には必ず消費税を一〇%に引き上げるということも国民と約束をしたわけであります。

 あえて景気条項を外したというのは、その意味するところは、アベノミクスで増税できる経済環境を整えるという自信があった、そういう考えがあったということであっただろうと思います。

 つまりは、消費税を一〇%に引き上げても景気は悪くならない、消費は落ち込まないようにするのがアベノミクスであるわけでありまして、アベノミクスの成功とは、消費税を一〇%に引き上げても景気がよくなり、税収がふえるということのはずであるわけでございます。

 しかるに、菅官房長官は増税しても税収が上がらなくては意味がないと発言をされておられるわけであります。この発言は、アベノミクスにおいても税収はふえないということがあり得るということ、そして、アベノミクスは決してうまくいってはいない、むしろ失敗しそうである、失速しかけていると言っているようなものではないかと感じるわけであります。

 大臣、この菅官房長官の言う税収が減るということは、アベノミクスの失敗を意味して、アベノミクスが今その危機に瀕している、直面しかかっているということを意味するということではありませんか。

林国務大臣 消費税率の一〇%への引き上げについては、政府としては、リーマン・ショックのような重大な事態が発生しない限り、実施する方針としておるところでございます。

 中根先生お尋ねの官房長官の記者会見での発言については、その後、官房長官御自身が、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生した場合には、消費税を上げても税収が上がらないこともあり得るが、それでは意味がないといった趣旨であるとの認識を示されているわけでございます。

 したがって、従来の政府の方針を何ら変更したものではないというふうに考えております。

 いずれにしても、消費税率の引き上げを行うことができるだけの経済状況をつくり出すことが重要であるというふうに思っておりまして、経産省としては、経済の好循環を確固たるものにするため、引き続き全力で取り組んでまいりたいと思っております。

中根(康)委員 今またささやかれているのは、安倍内閣は来年の一〇%への引き上げを延期したり、あるいは凍結することを国民に問う形での解散・総選挙、ダブル選挙をもくろんでいるということでございます。

 確かに、増税延期、あるいは一〇%への引き上げ凍結ということが争点であるならば、国民はこれは嫌と言うはずはなくて、安倍内閣の判断を支持することになると思います。しかし、そのような解散戦略というのは、アベノミクスの失敗の責任を国会や国民に押しつけるものになるのではありませんか。

 消費税引き上げ、あるいは引き上げの凍結や延期を国民に問う形での解散・総選挙戦略というものについて、林大臣はどのようにお考えになるでしょうか。

林国務大臣 仮定に基づく御質問に答えるのは適当ではないと思っておりますし、また、今先生お尋ねの衆議院の選挙につきましては、総理の解散権に関するものでありまして、私がコメントする立場にはございません。

 いずれにしても、繰り返しになりますけれども、政府としては、消費税率の一〇%への引き上げにつきまして、これはリーマン・ショックのような重大な事態が発生しない限り、実施する方針としております。そのための経済状況をつくり出すべく、全力を挙げていくということでございます。

中根(康)委員 大臣に御答弁していただいたとおり、アベノミクスの目指すところは、消費税を一〇%に引き上げてもなお、雇用も守れる、景気も守れる、税収も確保できるというところであるはずでありますので、それを、途中で挫折をして、凍結だとか延期だとかいうことを争点に、争点といっても、それが本当に目指すところじゃなくて、実はそういう形で、さっきも言ったように、それを争点にしてやれば、安倍内閣、自民党は勝つに決まっているんですよ。勝つに決まっている。

 勝って何をやりたいかといえば、消費税の引き上げを凍結するということをやりたいわけじゃないんですよね。それでやりたいのは、憲法の改正を、改定を行いたいというところであるわけでありますが、その本音を隠して、ずらしたところに争点を持っていって、選挙をやって勝つということをもくろむというのは、これはまさに国民や国会に対する背信行為であるし、欺くことであると思います。しかし、そういう形でやりたくはないんです。選挙になれば、それは堂々と戦いますけれども、そういう形での選挙というのは望ましいものではないと私はここではっきり申し上げておきますので、そういう解散戦略はぜひやめるべきだ、国民に申しわけが立たないということを、林大臣、安倍内閣の重要閣僚として、ぜひ御進言をいただきたくお願いを申し上げておくところでございます。

 次に、軽減税率ということでありますけれども、消費税の引き上げを、要するに一〇%にすると、おのずと宿命的に出てくるのが、必要になってくるのは逆進性対策、低所得者対策ということでありますけれども、では、低所得者対策、逆進性対策として、軽減税率というのが本当に最も望ましいものであるのかどうかということは、まだまだ議論の余地があると思っているんですね。

 私たちは、それよりも給付つき税額控除の方が本当の意味での低所得者対策になるはずだというふうにお訴えを申し上げているわけでありまして、問題の多過ぎる軽減税率を導入するようならば、消費税の一〇%への引き上げは残念ながら容認することはできないということを、民主党と維新の党は既に党の決定をしているわけであります。

 それで、軽減税率の問題点ということでいうと、例えば、複数税率に対応したレジの導入であるとか、商品を入れかえるたびに商品名、税率、税額などをレジに登録しないといけないとか、客とのトラブル防止のため、適用税率を商品の値札などに記載しなきゃいけなくなるとか、値引きの際の税率区分が煩雑になるとか、あるいは、仕入れ先ごとに一カ月間の納品書と請求書について、各品目の税率や請求金額などを確認しなきゃいけなくなるとか、返品の際に品目や価格、税率などを確認しなければいけないとか、インボイスの発行や保管をしなければならないとか、こういうさまざまな問題が生じてくるわけであります。

 こういう問題の多過ぎる軽減税率ということでありますけれども、導入が決まれば、業者はそこに対応していかざるを得ないということでありますが、もう時間が来ましたので、これを最後の質問といたしますけれども、軽減税率を導入したときの中小・小規模事業者に対するコスト増に対する支援策、それからインボイスの導入における免税業者の取引排除の問題、これについて、経産省としての対応をお伺いしたいと思います。

高木委員長 恐縮ですが、簡潔に御答弁願います。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 軽減税率の導入、運用に当たりまして、中小・小規模事業者に混乱が生じないように支援いたします。

 まずは、予備費を使いまして、複数税率に対応したレジの導入を支援するとともに、電子的な受発注システムを用いる小売、卸売事業者に対するシステム改修の補助を行います。

 それぞれ補助率は、三分の二を原則としておりますけれども、安いレジの購入に関しましては、四分の三といたしております。

 また、これらの申請に当たりましては、手続を簡便なものにして、小規模事業者の負担にならないように準備をしたいと考えております。

 最後に、お尋ねのインボイスにつきましては、私が答えるのは適当であるかどうかという気はしますが、既に何回か大臣、副大臣からも回答があるとおりでございまして、法律の中に幾つかの負担軽減措置、また経過措置が講じられているところでございますし、附則の百七十一条におきまして、直前までの調査によって準備状況を確認するということになっていることを申し添えたいと思います。

中根(康)委員 終わります。

高木委員長 次に、木下智彦さん。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 本日は、大臣におかれましては、参議院の予算委員会等々に出られたりとかでお疲れのところ、最後までおつき合いいただきまして、ありがとうございます。

 きょう最後の質問になりますけれども、私の方からは、きょうは大臣の所信に対する質疑ということで、所信で述べられているところをいろいろと見させていただきますと、当然のことながら、主にエネルギーに関する内容というのが入っていたわけです。

 特に、エネルギーミックスの実現を進めるという言葉、それから、エネルギー革新戦略をこの春までに取りまとめて成長戦略に貢献するという言葉、さらには、原子力について言及する部分で、エネルギー供給の安定性確保のために不可欠であり、国民の懸念に応え、その信頼を高めるというような感じのことをおっしゃられておりました。

 ただ、私は見ていまして、それらの言葉がかすんでしまうんじゃないかなという思いがしてしまうような話が、先日の参議院の予算委員会で我が党の東徹議員の方から質問があった内容でありましたので、その辺をなぞらえまして、きょうの質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 その参議院の予算委員会であったことと、ほぼほぼ同じ質問を繰り返させていただきます。というのは、そこからもう少し掘り下げて、大臣の御所見等々を聞きたいからということでございます。

 まず最初に、石油コンビナート事業再編・強靱化等推進事業ということで、次年度、平成二十八年度の予算で百三十億円つけられている。その中で、千葉県の京葉コンビナート、二つの石油コンビナートをパイプラインで結び統合化するという事業について補助金を手当てするとなっております。この二つのコンビナート、二社、これは東燃ゼネラルという会社とコスモ石油、いずれも業界のトップファイブに入る会社になっております。

 ここでお尋ねさせていただきたいんですけれども、こんな大企業にそもそも補助金を出して強靱化や再編を促す必要があるのかというところなんです。これは、どれぐらいの補助金をこの事業だけで出そうとされているのかということも含めてお答えいただきたいんです。お願いいたします。

林国務大臣 木下議員御指摘の石油コンビナート事業再編・強靱化等推進事業のうち、京葉コンビナートに補助金を交付している石油産業構造改善事業では、製油所や石油化学工場の連携による設備の共用化など、企業単体の取り組みを超えたコンビナート全体での生産性向上、また国内の安定的なエネルギー供給基盤の維持強化という政策目的を実現する投資を支援しておりまして、事業目的に沿った取り組みであれば、企業規模の大小にかかわらず採択することとしているところでございます。

 国内の石油需要が減少していく厳しい経営環境の中では、製油所や石油化学工場への投資が行われにくくなっておりまして、設備共用化に必要な海底パイプラインの建設のような企業間の調整が困難な案件については、企業の大小にかかわらず、企業による自発的な投資が十分に進みにくい状況にあると認識をしております。

 このため、こうした支援を通じまして、企業規模の大小を問わず、政策目的に沿う投資を促していくことが必要であるというふうに思います。

 金額に関しては政府委員から。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 来年度の予算につきましては、十八億円を計上しているところでございます。

木下委員 今お話しいただいたんですけれども、事業の目的に沿っていれば、企業の規模にかかわらず補助するというお話なんですね。

 そうはいいながら、もう少し深く見ていくと、東燃ゼネラル石油さん、ここは資本金三百五十一億円、売り上げが何と三兆四千五百十一億円もあります。すごいところなんですよ。営業利益を見てみますと、直近でいうと七百二十九億円の赤字、これは原油安による在庫評価損が増大した。しかし、これは二〇一〇年から連続で四期見ていきますと、それぞれ、三百三十五億円、その次の年、二〇一一年が千三百二十八億円、次が五百四十八億円、二百二十九億円という黒字が出ています。

 一方、コスモ石油、これはホールディングス会社になっていますけれども、資本金が千六百七十二億円。売り上げが、私の手元の数字では三兆三百五十八億円。営業利益も、直近は三百八十四億円の赤。ただ、二〇一〇年から見ると、千四十一億円、六百三十六億円、五百二十四億円、三百九十七億円の黒字というすごい利益を出している会社です。

 これぐらいのところに、今、今期は十八億円というふうに言われましたけれども、補助金相当額、これは企業努力で十分吸収できることは明らかだというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 それから、御答弁ありました、巨大地震などの場合は自発的な投資を促せないと。果たしてそうかと思うんですね。

 なぜならば、企業としても、こういった事業者は十分にその対策を講じるべきものなんですよ。地震があったときに対策を講じていませんなんということは、こういう企業にあっては、特にあってはならないものなんです。ましてや、東日本大震災後の状況からも、企業が自発的に事業のリスクの回避、それから従業員の保護など、さまざまな観点からこういう対策投資を行わずに事業を継続するということは全くもってあり得ないし、あってはならないことです。わざわざそういうことに補助金を打つということはナンセンスきわまりないというふうに思うんです。

 もう一度聞かせていただきます。そういった観点から見て、大臣、そういったことを常識的なことだと感じられませんでしょうか。

林国務大臣 先ほどもちょっと答弁しましたけれども、本補助事業は、大企業支援を目的にしているわけではありませんで、巨大地震発生時にも石油供給を速やかに回復し得る強靱な石油サプライチェーンの構築、あるいは貴重な資源である原油のさらなる有効利用という政策目的の実現を目指しているものでありまして、国内の石油需要が減少していく厳しい経営環境の中、この補助事業によりまして、民間企業による政策目的に沿った投資を促しているところでございます。

 この執行団体につきましては広く公募しておりまして、例えば民間シンクタンクなどの応募は可能でございまして、石油連盟やRING組合のみを執行団体として念頭に置いているわけではございません。

木下委員 御答弁ありましたけれども、ならば、これだけの利益、売り上げを誇る企業なんですから、護岸工事などだけではなくて、今言われていました、強靱な石油サプライチェーンの構築といった政策目標の実現ということも含めて、こういった事業は、補助金じゃなくて、規制で行うということで十分足りるんじゃないでしょうか。これは、なぜそういう考え方がないんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘ありました両社の決算の状況でございますけれども、東燃ゼネラル社につきましては、二〇一四年、これは一月から十二月の決算になりますけれども、最終利益で百四十億円の赤字ということになります。二〇一五年度は、一月から十二月で、最終利益で一億円の黒字ということで、非常に厳しい状況にございます。

 それから、コスモ石油につきましても、これは二〇一四年四月から二〇一五年三月の決算ですけれども、最終利益で七百七十七億円の赤字、それから二〇一五年の、これは通期の予測でございますけれども、最終利益で二百七十億円の赤字という状況でございます。

 御案内のように、石油需要は毎年相当減ってきておりまして、この十五年で二割ぐらい減ってくる、今後もそういうことが予想されるという中で、なかなか企業として新しい設備投資ができないという状況にございます。一方で、石油製品は、国民生活に欠かさざる製品でございますので、より設備の効率化をすることによって最終的には国民の利益になるということで、このような政策もとっているところでございます。

木下委員 私の質問したことに答えておられるんじゃないんだと思うんですね。

 数字は訂正していただいたので、そうだろうというふうに思うんですけれども、当然ですよね、結局、ニーズがどんどんなくなってきている。これはなぜかというと、エネルギーミックスなんかでも、石油からどんどん転換していこうとされているわけですから、そういうふうになるのは当然です。

 ということは、これは経済全体の考え方からすると、当然、自然の摂理というのか、政府の政策にもよるところはあるかもしれませんけれども、ニーズがなくなってくるところは、そういうふうになる。そのかわり、強靱化して、守らなきゃいけないところは守っていく。そこはある程度わかります。ただ、今のお答えではわからなかったのは、なぜ適正な規制という形でできないかというふうなことなんです。

 ここで、もう一つお話しさせていただきますと、大臣が参議院の予算委員会で、そういった一連の質疑に対してお答えされているところは、企業規模にかかわらないという事実説明をされたんですね。そのときに大臣は、そもそも石油コンビナートを形成する企業は大企業だというような趣旨の答弁をされている。

 その認識があったら、最優先で必要なのは安定性の確保だというふうなところでいうと、こういった大企業にやって効果が高いのは、資金の供給じゃなくて、適正な規制だということは明らかだと思うんです。これが、そうじゃないと言い切れますか。どうですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の石油供給インフラ強靱化事業でございますけれども、首都圏直下型地震あるいは南海トラフ地震クラスの巨大地震が発生した場合でも石油の安定供給を早期に回復できるよう、石油会社が進める製油所、油槽所の耐震、液状化対策工事の支援をするというものでございます。

 この補助対象は、巨大地震の発生後に石油の出荷を速やかに再開させるべく、製油所の設備を高圧ガス保安法などの耐震基準をさらに上回る強度まで強化する工事に限って対象にしているというところでございまして、当然ながら、安全性に関しては保安規制がございますけれども、それを上回るところについて重点的に助成をしているというところでございます。

木下委員 上回るというのは、なぜかというと、上回るようなことが起こったときのことを考えて、上回るようなことの対策を講じろと。ということは、企業の努力でやらなきゃいけないことなんじゃないかということなんですよ。

 ここは余り長い間突っ込んでいるとほかができないのであれですが、一言で言うと、企業が一番怖いこと、守らなきゃいけないことは規制の方だろう。そういったところで、適正な規制を行いながら、補助金の効果よりも明らかにそちらの方が効果はあるんだろうと思うので、この辺をしっかり検討していただきたいと思います。

 ここで見えてくることは何かというと、金の供給、補助を考えること自体、本来の目的を逸脱しているんじゃないのかと思ってしまうんです。なぜならば、そこに利権が生み出されるような温床をつくっているんじゃないかというふうなことを考えてしまうのが、配らせていただいたこの資料なんですね。

 この資料は、右側の方は総務大臣を呼んでお話ししたいような話なので、余りここの部分については話さないようにしますけれども、これは、平成二十六年度、それから二十七年度に繰り越しの、これに関連する予算の執行状況と金の流れについて示したものなんです。

 特に、この真ん中の列、経済産業省から下に流れている、石油連盟とその下の石油精製業者の部分です。これは、補助事業者として石油連盟がいて、業務管理費という形で六千四百万円が政府から投じられている。石油精製業者には補助金として百八十七・八億円入っている。補助金をどこに入れるかということを決めているのはこの石油連盟という形になっているかと思うんですね。

 この関連性を見てみると、石油精製業者と石油連盟の関係は何かというと、石油精製業者によってつくられた任意団体が石油連盟だということなんです。これはどう考えても実質的に同一化して見ることのできるような組織だというふうに決めつけても過言ではないというふうに思うんです。

 こういったところに、要は、補助金を決める側ともらう側が同じというような構造が読み取れるようなところに補助事業としてやるのは不適切じゃないかというふうに思うんですけれども、これはどうお答えされるでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 石油連盟は、御指摘のように、我が国の石油会社で構成される業界団体でございます。

 今回、石油連盟を補助金の執行業務を担う団体として指定しておりますけれども、この補助金の執行に当たりましては、製油所設備の保守管理、あるいは耐震、液状化対策に関する技術的知見を持っていること、また事務体制がきちっと整っていることということでこの執行団体を活用しているということでございます。

 また、具体的な補助金の選定に当たりましては、外部の専門家の委員のもとに決定をしているという状況でございます。

木下委員 外部の専門家の委員が決めているというふうに言いながら、実態は同じものとみなしてもいいような団体なんですね。

 しかも、先ほど大臣もちょっと触れられていましたが、この左側のRINGというところも含めて、経産省のOBの方々が役員という形で天下りをされています。そういったところに補助金事業を、一体として行っているようなところに、やっていいんですか。これはどうなんですか。

林国務大臣 石油連盟に経産省のOBが在籍しているのは事実でございます。RING組合の方もそうでありますが、これは例えば石油連盟が団体にとって有為な人材を求めた結果でありまして、本補助事業の執行業務を石油連盟が受託していることとは全く無関係であるというふうに認識をしております。

木下委員 参議院の予算委員会でも同じお答えを大臣はされたんですけれども、これはどうやって無関係だと証明されますか。どうやったら実際に無関係だと調査して説明できるか。これはどういうふうなところで無関係だとおっしゃられているのか、その辺の根拠も含めてお答えいただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 この執行団体の選定に当たりましては、事務の実施に必要な経営基盤を有する団体を公募しておりまして、例えばそのほかの団体が応募していただければ、その方たちでも結構でございますけれども、今回、石油連盟になりましたのは、応募が一件だけだったということと、あと、この事業に必要な技術的知見、人員体制を整えているかということの要件に照らして審査をした結果、決定したということでございます。

 OBの在籍等々については、この執行団体の選定に当たっては関係ございません。

木下委員 それでは証明不十分だと思うんですね。たまたまそうでした、一件でした、だから関係ありません、入っている人とそれは関係ないと。

 普通はそうじゃなくて、石油連盟の中で補助金事業にかかわっているか、かかわっていないかをしっかりと証明できてこそ、無関係だというふうなことが一義的にこれは証明されることになると思います。

 それから、そんなことをしなくたって、何があるかというと、例えばそれが全く別だというふうに言っても、OBが行って、業務は別にしておいてもいいけれども、その分こういう業務管理費を出すんですというふうに言ったら、全く業務が違ったとしても、関連性がないというふうには言えないと思うんですよ。

 だから、そういうところも含めて、何を証明してそういうふうなことが言えるんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 この補助金の執行に当たりまして業務を委託しておりますけれども、この執行管理に係る費用につきましては、実費ということで支払っておりまして、利益が計上できない形になっております。

 また、この補助金の執行に当たる費用の中に、経産省のOBの人件費等は含まれてございません。

木下委員 余り、それだからといって証明がされたとは思いませんが、時間がないので、またこういうことを少し突っ込んでお話しさせていただきたいと思うんです。

 もう一つ、ちょっと言わせていただきますと、先ほど言ったとおりに、石油精製業者は大企業だということは大臣も含め政府は既知の事実だと思うんですね。

 そうしたら、もともとそういう業務に相当な規模で従事していなかったら知見は持ち得ないわけで、そういった大企業に深い関連のあるような人材や組織でなかったら、広く公募をしていると言いながらも、先ほど言われた要件を満たさないことは事実認識として物語っているんじゃないですか。こんなのは一者になるのは当たり前だと思ってやっているとしか思えないんですよ、そうやって考えたら。

 それを物語っているのが何かというと、そういう大企業になることは、そうだというふうにして言われたことと、私はそれはしっかりと関連づけられているんじゃないのというふうに思ってしまいます。だから、そういうことを考えると、応募もそれぞれ一団体ずつだというふうなことを言ったら、これはいわば、できレースを公募でやったというふうに言われてもしようがないんじゃないかなというところです。

 納得のいく説明にならない答弁が返ってくることは当然明らかで、なぜというふうなことなんですね。そこはもう一度お話しいただけますか。

林国務大臣 実は、民間のシンクタンクなどもありまして、応募の資格が十分ございます。

 しかし、広く公募をしておっても、言ってみればもうからない、あるいは専門分野じゃないということだと思いますけれども、応募してこないというのが実態でございます。

木下委員 ということは、この公募自体に意味がないということを物語っているんじゃないですかということなんです。

 少なくとも、それはそれでいい、いいことはないんですよ、でも、それはおいておいたとして、では、補助金を決める側と補助金をもらう側、これをそもそも公募のときに分離するような条件をつけないのはなぜかということなんです。

 お金がこんなに入っているんです。百八十七億円も入るんです。そこを決めるのが実質的に同じところになっちゃっているわけですよ。明らかに、今言っていたように、そんなのは一者しか来ないんですよ。来ないのに、来ないのがわかっていて、お金を入れるところも一緒にしてしまう。これはもう完全なできレースとしか思えないんじゃないかということを私は言っているんです。

 これは、大臣、どう思われますか。どちらでも結構です。

高橋政府参考人 今大臣からも御答弁ございましたけれども、私ども、広く団体を募集しておりまして、この業務執行に当たり、利益というのが乗せられれば広く来ると思いますけれども、実費を払うということになっておりますので、応募される方が限られてきているというのが実態かと思っております。

 ただ、この補助金の執行に当たりましては、選定プロセスに当たりまして外部の専門家を入れて審査をするというような客観性を持たせた形でできるかどうかということを業務執行団体の選定に関しては私どもはチェックしているところでございます。

木下委員 わかりましたというか、わからないですけれども、次へ行きます。

 先ほどの資料にちょっと戻りますけれども、ここのところ、一番右側のところは話さないというふうに言ったんですけれども、ちょっとだけ関連があるので話をします。

 要は、献金がされています、これは自民党の政治団体だと思うんですけれども、そこに寄附がされていますというところで、総務大臣に対して我が党の東議員がいろいろと質問をしていて、この石油連盟という団体は一体どういうところなのか、企業・団体献金をされている形になっているんじゃないかというようなことを言ったときに、総務大臣が答弁されているんですね。何と答弁されているかというと、この石油連盟は法人格を持たない団体だ、任意団体だから別に構わないんじゃないですかというような答弁をされていました。

 これは、寄附をするといった側面ではそれはあり得るかもしれません。でも、これは任意団体、法人格を持たないような、登記されていないような団体だということなんでしょうね、私の理解ではそうだと思うんですけれども、そういったところに対して補助金をどういうふうにするか差配させる、しかもその業務管理費を払うというふうになっている。これはどういうことなんですかね。

 私の認識では、では、例えばこの業務管理費六千四百万円を、お金を政府から払うときに、ここの石油連盟の口座というのはどういう口座なんですか。個人名なんですか。だって、法人格を持っていなかったら、口座の名義は団体の名義にできるんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、石油連盟は法人格を持たない任意団体でございます。したがいまして、銀行口座につきましては、その口座ごとに、それについて団体を代表する人間を名義人としたものが開設されてございます。

 石油連盟に対する御指摘の補助金につきましては、石油供給インフラ強靱化事業、その他の事業、それぞれの補助金ごとに開設された銀行口座で管理をされているというふうに承知しております。

木下委員 管理はされているんでしょうけれども、実際にそういうふうにして管理された、代表者といいながら個人名の名義のところから、この年度だけでも百八十七億円入っていく。これは問題じゃないですか。

 大臣、これはどう思われますか。大臣に御所見をいただきたいんですけれども、余り好ましいことではないと思いませんか。

林国務大臣 高橋次長からも答弁しておりますけれども、この団体においてそういったお金に関して厳重に管理されておりまして、補助金の執行管理上も確定検査等を行っておりまして、問題があるものとは思っておりません。

木下委員 これはそちらでお答えいただいていいんですけれども、管理しているのは誰ですか。

高橋政府参考人 先ほど申しましたとおり、それぞれの補助金ごとに専用口座を設置しておりますけれども、その管理は経理部門において組織的に管理をしておりまして、個人が自分で管理しているということではなくて、やはり組織でございますので、管理をしております。

 また、大臣からも御答弁ありましたとおり、国としても、毎年、補助金の確定検査をしておりまして、帳票等を踏まえて支出が適正であったというのを確認しております。

 また、これは石油連盟によりますと、監査法人の会計監査を毎年受けているということでございます。

木下委員 一応いろいろなことはやられているということですけれども、今の答弁だと、そういうふうにして管理されていれば、実質的に代表者という名前の個人口座であっても補助金が流れてもいいということをお認めになったということになるんじゃないかなと思うんです。

 最後に、私、これはちょっとやはりおかしいなと思って調べてみたんですよ、もう一つ。何かというと、昨年度の同様の事業の公募の要件が経済産業省のホームページに載っていたんですよ。公募の要件の中に書いてあるんです。応募してくる資格、そこには何て書いてあるかというと、法人格を有していることと。これが応募の資格と書いてありました。私の読み間違いかどうかわかりませんけれども、明らかに書いてありました。頭の中で覚えています、平成二十七年の二月二十七日付です。書いてありました。

 何でそんなことがあるんですか。石油連盟だけがいいんですか。石油連盟だけが法人格を持っていなくていいんですか。それとも、まずいと思ったからそういうふうなことをやっているんだったら、今までの答弁の理屈が通っていないということになると思うんですけれども、それはどうなんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘の公募の要綱についてちょっと私も確認できておりませんけれども、石油連盟に交付している補助金についての交付の募集要綱については、法人格を有するという要件は課されておりません。一方、最初に御指摘になった京葉コンビナートの補助金、RINGという研究組合を通してやるものについての交付要綱については、御指摘のような記載があったかと思っております。

木下委員 そうですよね。ちゃんとお答えされたと思います。

 何でですか。というのは、最初から法人格を有していない石油連盟に決め打ちしているからじゃないですか。だからそういうふうなことになっているんですよ。これは公募じゃないですよ、そういうやり方をしているんだったら。

 何で右側の方は法人格を有していない公募をしていてオーケーで、左側の方は要るのか。左側の方は法人格を持っているからでしょう。最初からそれをわかっていて、そういう公募の仕方をしているとしか思えないですよ。ましてや、この右側のお金の流れなんかがある。だから、こういうことはおやめになった方がいいんじゃないですかということで、私はきょうこういうふうな話をさせていただきました。

 もう時間がないので、最後に、大臣、ちょっときょうは厳しいお話をさせていただいたかと思いますけれども、一言お願いします。

林国務大臣 答弁していると思うんですけれども、法人格に関して違いがあるものの、法人格の有無は事業の成否に影響を与えるものではないというふうに考えておりまして、今後は、石油産業構造改善事業、石油供給インフラ強靱化事業、いずれの補助事業についても法人格を有することを特に求めない方向で統一することを検討していきたいというふうに考えております。

木下委員 ありがとうございました。

 これは、東議員が引き続き参議院の方でもやられると思いますので、ぜひともこれは善処してもらうようによろしくお願いいたします。

 以上です。

高木委員長 次回は、来る十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十三分散会


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