衆議院

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第8号 平成28年4月22日(金曜日)

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平成二十八年四月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 山際大志郎君 理事 伴野  豊君

   理事 升田世喜男君 理事 富田 茂之君

      石川 昭政君    尾身 朝子君

      大西 宏幸君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    塩谷  立君

      関  芳弘君    平  将明君

      武村 展英君    寺田  稔君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      野中  厚君    福田 達夫君

      古田 圭一君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山口  壯君

      大畠 章宏君    奥野総一郎君

      落合 貴之君    篠原  孝君

      田嶋  要君    高井 崇志君

      中根 康浩君    本村賢太郎君

      中野 洋昌君    藤野 保史君

      真島 省三君    木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       林  幹雄君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 宮地  毅君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原 章夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           梅田 珠実君

   政府参考人

   (林野庁林政部長)    牧元 幸司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房政策評価審議官)       丸山  進君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     井内 摂男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           保坂  伸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           松本 年弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三木  健君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          安藤 久佳君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 吉野 恭司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        藤井 敏彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     長坂 康正君

  尾身 朝子君     古田 圭一君

  落合 貴之君     高井 崇志君

  田嶋  要君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  長坂 康正君     大西 宏幸君

  古田 圭一君     尾身 朝子君

  奥野総一郎君     田嶋  要君

  高井 崇志君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山本哲也さん、総務省大臣官房審議官宮地毅さん、文部科学省大臣官房審議官藤原章夫さん、厚生労働省大臣官房審議官梅田珠実さん、林野庁林政部長牧元幸司さん、経済産業省大臣官房政策評価審議官丸山進さん、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官井内摂男さん、経済産業省大臣官房審議官保坂伸さん、経済産業省大臣官房審議官松本年弘さん、経済産業省大臣官房審議官三木健さん、経済産業省通商政策局長片瀬裕文さん、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀さん、経済産業省商務情報政策局長安藤久佳さん、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長松尾剛彦さん、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官吉野恭司さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長藤井敏彦さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘さん、中小企業庁長官豊永厚志さん及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤ゆかりさん。

佐藤(ゆ)委員 おはようございます。自由民主党の佐藤ゆかりでございます。

 本日は、十五分間ということですので、簡潔に質問させていただきたいと存じます。

 私も与党ですので、質問時間がない中、一年ぶりに質問時間をいただきましたことを感謝申し上げたいと存じます。

 さて、日本経済の成長に関する基本的施策に対する質疑ということでございますが、今、日本経済が抱える最大の課題は、少子高齢化の圧力に対する潜在成長率の低下をいかに克服していくかということだというふうに考えております。そしてまた、労働人口などを考えますと、今、労働人口の低下の中で、供給制約が生じているという問題がございます。また、これから高齢化の先行きを考えますと、今、年金受給開始年齢の引き上げという問題もありますし、特に定年退職の方々の第二雇用の受け皿づくり、これが非常に課題となってきていると思います。

 そうしたときに、定年退職後の第二雇用の受け皿、これは、やはり政府が、安倍内閣が二〇一四年の日本再興戦略プランでも掲げておりますとおり、開業率を上げていく。開廃業率でいいますと、日本は大体同じぐらいである。ただ、欧米諸国では開業率は一〇%ぐらいあるということで、日本も一〇%ぐらいを目指していこうという方針が打ち出されているとおりでございます。まさに、第二雇用の受け皿づくりということでは、この開業率を上げて企業の数をふやしていくこと、これは喫緊の課題であると思います。

 ミクロ的には、開業率を上げて企業をふやす、起業家精神を養って企業をふやしていくということはあり得る施策でありますが、ただ、労働人口の減少というマクロ的な制約の中でこれがどう成り立つかということを考えますと、企業の数はふえる、そして労働人口は減る、すなわち、企業の数がふえるけれども企業一社当たりの社員数というのは当然減ってくる、そういう状況のマクロ的な制約のもとで企業をふやしていくということだと思います。

 そうしますと、これから定年退職の方々の受け皿づくりとしての企業数の増加、開業率のアップ、これは日本経済の行く末、あり方として、社員の人数の少ない小規模事業の方々が数多くふえていかなければいけない、そういう社会構造になっていくのだろうという展望が見渡せるわけでございます。

 そうしますと、三、四人の社員の方々で三百、四百万の収益ではなくて、三、四人の社員の方々の小規模事業で三十億、四十億をいかに稼ぐか、そういう成長戦略というものが小規模事業の経営者の方々にもこれからますます求められてくる時代だというふうに、まず基本的に私は認識をいたしているわけでございます。

 そこで、政府のこれまでの設備投資支援策に目を振り向けてみたいと思いますが、これまで政府としては、どちらかといいますと、先端技術の導入を支援するような、いわゆるTFP促進型の設備投資支援策に力点が置かれてきたということであります。

 しかしながら、目下の供給制約、労働人口の減少を考えますと、同じ生産量を維持するにはどうするか。今、中小企業は、人手不足で人手が足りない、生産量を下げなければいけない、そういう時代でありますので、生産量を維持するためのいわゆる従来型の機械化投資、陳腐な言葉で言えば従来型の機械化投資でありますが、省人化をして機械化をしながら、いかに生産量を維持していくか、そういう旧来の設備投資に対する支援策というものも今こそ必要になっているのではなかろうかというふうに思うわけでございます。

 そこで、この従来型の機械化投資、それからTFP型の新しい技術を導入して、小規模企業の方々にも、三百万、四百万の年収ではなくて、三十億、四十億を稼いでいただく、そういう経営手法の革新といったものに対する投資の支援策、両輪が必要ではないかと思われますが、このあたりの設備投資のあり方、支援策のあり方について、こうした少子高齢化時代を踏まえた大臣の御見解というものをまずお伺いしたいと思います。

林国務大臣 我が国の中小企業、小規模事業者は、地域の経済と雇用を支えている大変重要な存在だと思っておりますし、我が国経済の牽引役だというふうに考えております。

 これらの中小企業の生産性は、大企業と比べて半分にとどまっておりまして、機械設備などへの投資、あるいはまた事業主のマネジメント改革が必要なことについては、佐藤先生御指摘のとおりだというふうに認識をしているところでございます。

 機械設備の投資につきましては、これまでは、ものづくり補助金あるいは中小企業投資促進税制によりまして、設備投資の推進に取り組んできたわけでございます。

 今国会に提出しております中小企業等経営強化法案においては、機械装置についての固定資産税の軽減をする措置を盛り込んだところでございます。

 佐藤先生御指摘のマネジメント改革については、これまで、よろず支援拠点でさまざまな経営課題の相談にきめ細かく応じる、こういう支援を行ってきたところでありますけれども、今回の強化法案においては、政府が、小売業、運送業、製造業といった業種ごとに生産性向上の優良事例を指針の形でわかりやすく示す、その上、そのときに、商工会、商工会議所、地域の金融機関等は計画の策定などを支援するという措置を盛り込んだところでございます。

 サービス業を初めとする中小企業者等の生産性向上のため、関連施策を総動員して、経済の好循環を確かなものにしていきたいというふうに考えております。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 確かに、経産省が主眼となって、今年度、税制改正で固定資産税の半減措置というのが初めて導入されたということは評価すべき点であったというふうに私も認識をしております。

 そこで、具体的に設備投資促進のため、金融面で、今、日銀はマイナス金利を導入して頑張っていただいているわけであります。これを、日銀の政策から、経産省の方に政策のバトンタッチをしていただいて、うまく波及させるためにどうしたらいいかという点をお伺いしたいと思います。

 信用保証の問題でございます。

 今、住宅ローンは借りかえがおかげさまで進んでいる、ミクロ面での効果は出ておりますが、これを設備資金ですとか事業用資金の借りかえ、安い金利で借りかえをしていただいて、その浮いた金利負担で、消費活動やさらなる設備投資あるいは人件費に還元をしていただくというような経済効果を目指していくための借りかえというものをもう少し産業施策的に背中を押していく必要があるのではないかと思われます。

 そこで、借りかえになりますと、これは金融機関によって違うのですが、金融機関の中での顧客との協議によって単に金利を変えるだけであれば、借りかえという扱いにならず、追加的な信用保証料は発生しないということでございます。

 しかしながら、新たに事務的に借りかえという手続をとって、一から、ローンを早期に完済して、また新規のローンを借りかえて、そして安い金利で、同じローンの期間、延長せずに同じ期間で、同じ事業内容で、全く同一で単に金利が変わるだけである、そういう借りかえであっても新規の信用保証料は発生するということでございます。

 このような信用保証料の発生の有無についてばらつきがあるのが現状でございまして、信用保証料もリスクが高いものであれば、融資額の二%ぐらいかかってくる、平均一%ぐらいでありますが。

 ですから、そういうことを考えますと、同じ条件で、これまで債務履行能力がきっちりと示されている、そして債務履行の道筋が全く同じである場合には、単なる金利の低下でありますから、信用保証料を、追加的なものを減免する措置ですとか、これは大臣告示でできるというふうに伺っておりますが、この辺、経産省のお考えを伺いたいと思います。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 信用保証は、百四十万社、中小企業の三分の一以上の利用がある大変重要な、しかも小規模事業者の利用が多い制度と考えております。

 その保証料でありますけれども、先生の御質問にありましたけれども、実は融資契約の金利によって左右されません。融資期間や元本の償還条件という形で規定されることになっております。したがいまして、条件変更や借りかえという形を伴ったときに新しい保証料が設定されるということになってございまして、その際に今先生のおっしゃったような事態が生じると思います。

 しかし、細かいことを見ますと、実は、新しい契約の保証料を納める時期と前の条件変更もしくは繰り上げ償還で変わったときの保証料を返す時期のラグの問題がむしろ大きいかと考えてございまして、この間が前後して、あるとき、二重払いになっている状態が一カ月ほど生じると承知してございます。その点については問題意識を共有してございまして、ぜひ、ここの負担軽減が解消される、例えば相殺するとかいうことができるようにしたいと考えてございます。

 そういった観点から、今審議会の場で協会の方々の御参加もいただきながら検討してございますけれども、多分に、協会の方針もございますし、またシステムの問題もございますので、少しお時間をいただきまして、改善の方向で努力したいと考えてございます。

佐藤(ゆ)委員 信用保証借りかえは、赤字企業でも払わなければいけないものでありますから、その点は十分に御配慮をいただいて、改善策をお願い申し上げたいと存じます。

 時間が限られていますので、急いで、最後の質問に参りたいと思います。

 こうした中で、先ほどの設備投資ですが、高齢化時代で生産性を上げるためには、いわゆる経営手法を改善するということが、今や中小・小規模企業にも求められているであろうという認識でございます。

 その中で、IoTの技術を、物をインターネットでつなぐ技術、これは、中小企業、小規模企業の方々にお話ししますと、一部の方々では、何か宇宙の世界だみたいな反応をいただくわけでございます。

 これが身近なものとして受け入れられるように、例えば、大阪市の企業でサンコーインダストリーというものがありますが、これはねじを二次卸で販売する専門問屋さんですが、この五年間でねじの扱い種類が二十万種類増加して、七十一万種類のねじを扱っている。在庫管理をデータ化してビッグデータとして管理するようになったところ、職員の方々の残業時間が半減できて、非常に残業代の効率化にもつながったということでございます。

 こうした具体的な例を導入しながら、IoT促進中小企業支援策というようなものも今後中小企業庁としてお考えいただきたいと思いますが、最後に大臣の御所見をお願い申し上げたいと思います。

林国務大臣 AIやIoTのような先端技術を、大企業のみならず中小企業で推進することは大変大事なことだと思っておりまして、これを促進していく観点から、経産省においては、ハードとソフト両面で支援してまいります。

 今後二年間で一万社以上の中小企業を、IT化、カイゼン活動、ロボット導入の専門家がよろず支援拠点によって支援をするというのが一点。加えて、ものづくり補助金によりまして、ITを活用して生産工程を全面的に入れかえるような、生産性向上に効果がある投資も支援していきたいと思っています。

 さらに、IoT活用の具体事例をわかりやすく示すことも重要でありまして、このためにスマート工場予算といったものを、モデル事業を支援していきたいと思っております。

 これらの取り組みを通じて、人工知能やIoTといった技術を中小企業が活用していく取り組みを、政府としても強力に応援していきたいというふうに考えております。

佐藤(ゆ)委員 今、大臣からスマート工場予算というものを検討というふうにおっしゃっていただきました。ぜひこれは検討を進めていただきまして、中小企業にとって身近なAI、IoT政策の実現を早期にしていただきたいと思います。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、福田達夫さん。

福田(達)委員 自由民主党の福田達夫でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 私がここに立ちますと大体が中小企業に関係することで、中小企業マニアと呼ばれて、本当に誇りに思っております。

 それにおきましても、今般の熊本の地震、けさ七時までの震度一以上の地震の回数も累計七百八十五回ということで、毎日の地震の回数はちょっと減ってきたかなと思いますけれども、まだまだ皆さんは非常に不安な中で過ごしていらっしゃることと思います。まずは、この方々がとにかく生き延びるということをしっかりと支える、そしてあすへの希望を持っていただくということが、今一番我々がやらなければいけないところであります。

 ただ、やはり気をつけなければいけないのが、今現在、実際、生活自身が危なくなっている、難しくなっている方々もいらっしゃいますが、少し離れれば、その同じ熊本県でもふだんの生活を送っていらっしゃる方がいらっしゃる。また、我々がしっかり支えなければいけない経営体については、例えば、被害があるけれども経営ができるところ、もしくは、なかなか難しいけれども、とにかく毎日稼がなかったらば、自分たちの従業員に御飯も食べさせられない、こういう厳しい現実を背負っている方々がいらっしゃる、このことも我々はしっかりと見据えて、また、今から準備をしていくということが、今現在の危険もしくは不安というものを取り除いた後の、次の希望をつくるという意味においても、やはり我々はつかさつかさでやるべきことがある、そういうふうに思っております。

 そのことにつきまして、やはり経済産業委員会において、大企業については体力があるから自分で何とかできるだろう、中小企業、小規模事業者はなかなかそういうことができない、そういうところに対してしっかりと手を差し伸べていく、その必要があると思っていますが、今現在、熊本地震に関して、どういう体制を政府がとっていらっしゃるか、御説明いただきますようにお願いします。

鈴木副大臣 まず、被災地における中小企業、小規模事業者に対する情報収集についてお答えしたいと思います。

 被災中小企業への対策としまして、熊本県内に災害救助法が適用されたことを踏まえて、まず、十五日金曜日、熊本県の公的金融機関や中小企業団体に特別相談窓口を設置いたしました。また、十八日月曜日には、大分県にも相談窓口体制を整備すると同時に、全国四十八カ所の下請かけこみ寺に特別相談窓口を設置いたしました。これらの相談窓口を通じて、被災中小企業の現状やニーズを収集しているところであります。

 さらに、被災地域における中小企業の窮状を直接把握し、その対応策を政府一丸となって進めるために、被災者生活支援チームとの連携のもと、林大臣を本部長とし、私は副本部長でありますが、総合中小企業対策本部を十八日に設置いたしました。

 早速、同日、職員数名を現地に派遣しまして、被災地域の企業や支援機関を訪問させております。現地からの報告によりますと、ある被災企業からは、工場の設備自体が損壊しており、修復には膨大な資金と時間が必要だという嘆きの声や、あるいは金融機関からは、顧客は当面の決済資金を緊急に必要としているなどの声が聞こえてきていると聞いております。

 引き続き、同本部の活動を通じて、現場の声をよく聞きながら、関係省庁や地元地方自治体とも連携しまして、被災中小企業の支援に全力で取り組んでまいりたいと思います。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 まずは現状の把握、そしてそれに対する緊急的な対応というふうに進んでいくと思いますけれども、ぜひ、これについては遺漏なく、よろしくお願いしたいと思っております。

 この日本という国は、火山の上に住んでいる、地震が非常に多い国であります。記憶に新しい中でも、九五年の阪神・淡路、〇四年の中越、〇七年の中越沖地震、〇八年の岩手・宮城内陸地震、また、あの一一年の東日本大震災等々、さまざまな大きな震災を我々の国は乗り越えてきたと思っております。

 この体験というのを、我が国として、また政府として、また我々政治の側もしっかりと踏まえた上で、これを体系化して次に生かしていくということは、大きな経験を得てしまった我々からすると、ぜひ必要なことだと思っています。

 前回の三・一一東日本大震災のときも、実は私の群馬県は、特に群馬県の西側は、震災の影響は直接的にはほとんどございませんでした。しかし、実際には、群馬県、栃木県、茨城県、この北関東三県というものはサプライチェーンでつながっていました。ですので、群馬県が経済の落ち込みを支える最前線だというふうに言っていたんですが、結局、このサプライチェーンの関係で、群馬県も、主に製造業の経済活動がとまっていった、そういうこともございます。

 やはり、点で考えるだけではなくて、線で考える必然性、また、社会の中に中小企業というのは生きていますから、面で考えていかなければ、中小企業に対する対応というのは、大企業と違って、なかなかうまくいかないというふうに思っております。

 これまでの大きな災害、大きな震災等の経験を踏まえて、これまでの経験から、これから先、あした必要なもの、あさって必要なもの、一カ月先に必要なもの、多分、この辺についてはいろいろな知見がたまっていると思います。ぜひ、ここにつきまして、これから先どういうことが必要だと思われているのか。こういうことを準備しているから、立ち上がった皆さん、元気にやってくださいということをメッセージとして伝える意味でも、そこの備えについて御説明いただければというふうに思います。お願いします。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま鈴木副大臣からお話がありましたように、初期動作としては、私どもは五点セットと申し上げておりますけれども、特別相談窓口の設置、それから低利融資、保証等々の措置は既に講じたところでございます。これも過去の地震や台風のときにはいち早く講じた措置でございます。

 その上で、まだ記憶に新しい東日本大震災やほかの震災などの経験を踏まえて、こういうことを今講じているところでございます。一つには、さらなる資金繰り支援、二つ目には、先生のお話にありましたように、サプライチェーンに巻き込まれた、かかわっている下請中小企業の方の留意事項、また、かけこみ寺での相談体制の整備でございます。

 いずれにしましても、こういう情報が届かなきゃいけないという観点からは、東日本大震災に倣いまして、中小企業向け支援ガイドブックなるものを頻度を多く出してございまして、他省庁の情報も含めて手近に届くようにしております。既にバージョンツーまで来てございますけれども、引き続き配布していきたいと思っております。

 今後でございますけれども、林大臣をトップとします総合中小企業対策本部が設置されてございまして、現地に数人規模で巡回対策をつくっております。現地の被害状況の把握、解明を通じて適時適切に対応していくべきだと考えてございます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 大切なことは、そういう情報がしっかり届くということも大事だと思っております。準備をする、それに備えるというだけではなくて、必要な方に必要なときに届くような体制の整備の方も、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。

 また、震災を経る中で、我々、いろいろな分析をするツールも随分ふえてきたと思っています。

 先般つくっていただきましたRESASというのも、もともと、これはNHKがつくりました「震災ビッグデータ」という番組から出てきた。つながりがよく見える。北海道で起きた地震の影響が九州に出るということ、これが見えるようになってきました。

 また、このRESASをつくるときに、東京工業大学の高安先生という経済物理学の方が試算等をしていますけれども、こういう震災が起きたときに、どういう影響が、いつまでの間に、どのレベルでもって起きていくのかということもある程度予測ができる世の中になってまいりました。

 ぜひ、こういうことも踏まえて、前のめりというか、前に前にしっかり準備をした体制をとっていただきたい、切にお願いいたします。

 というわけで、次に参りたいと思います。

 中小企業、小規模事業者の経営環境ということを考えるときに、仕事が来るけれども、それに見合ったお金がいただけていないということを、現場を回っていますと非常に多く聞きます。

 実は党の方でも、こういう形で党の議員にお願いしまして、地元の企業の方から、これは非常に難しい問題なので、匿名でいろいろな話を伺っております。国際経済の激化でありますとか円高の促進とか、いろいろな事情によりまして、いわゆる親事業者さんから仕事をもらうんだけれども、いろいろな形でコストとリスクのツケ回しというのがあるという実態がこれを通じてもわかってまいりました。

 ただ、公取さんにお願いをしましても、これはなかなか把握ができない。簡単に言いますと、証拠がないということが多うございます。

 やはり、中小企業者の社長さんというのは、とにかく仕事が来たらすぐやる、すぐお返ししますという、その気概でやっていらっしゃる方も随分いらっしゃるものですから、書類をつくって自分たちの経営を守るというところがちょっと不足する部分はあるのかなと。そういう関係で、まず証拠がない。また、正直申し上げますと、仕事を出す方のやり方が非常に巧妙になっているというのも正直言ってあると思います。そういうことが、こういうヒアリングを通じて、随分明らかになってまいりました。

 実はこのことについて、党の方でも提言をつくらせていただきまして、大臣の方にも先般お持ちいたしましたけれども、それにつきましての受けとめを、まず大臣の方から、一言よろしくお願い申し上げます。

林国務大臣 最初に、改めて、今回の熊本地方の地震でお亡くなりになりました方々に対しまして、心から御冥福をお祈りしたいと思いますし、負傷された方々あるいは被災された方々、全ての方々にお見舞いを申し上げます。

 福田議員は、自民党の中小企業・小規模事業者政策調査会の中心メンバーとして御活躍でありまして、先般、自民党から提言をいただいたわけでありますが、内容は、大企業への政労使合意の一層の浸透や、問題行為に対する厳正な対処など、幅広い内容でございました。

 私も、下請中小企業をめぐる状況については、福田議員あるいは党と同じ問題意識を持っております。

 このたびの提言を踏まえまして、まず、政労使合意の趣旨を徹底する。そのため、自動車関連産業と建設業の大企業に対するヒアリングを行いまして、合意の実施状況をフォローアップしていきます。二つ目は、下請ガイドラインをさらに普及させる。そのために、取引上の問題点をわかりやすくするために、事例集を作成して周知徹底をしていく。三点目は、下請代金法の運用を徹底することによりまして、不適正取引への対処を厳正にしていくということでございます。

 今後とも、中小企業、小規模事業者の取引条件の改善にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 しっかりと正面から受けとめていただいたというふうに理解しております。

 とにかく、この問題で、ちょっと難しいのは、政治がどこまで商慣行の中に入っていくのかという問題もあります。

 ただ、これまであらゆる手を使って大企業の方、親事業者の方にわかっていただこうとした、その中ではどうにもならない社会構造になりつつあるなというふうに思っておりますので、社会構造が流動化して動き出すまでは政治の出るべきところがあるのかなと思っています。

 また、これは大企業をいじめればいいという話では全くございません。大企業がしっかり稼いでいただく、そののりの中で、やはり回すべきものは回していただきたいという話でございますし、また一方で、中小企業、小規模事業者の方におきましても、やはり自分自身の経営力というのを上げていただいて、自分で値づけができるという力をつけていただく、このことについても我々は応援をしていくということもしっかりと言っていきたいと思います。

 この辺、ただ唯一言いたいのは、信義則に反することはしないでくれと。今現在生き残って何とか経営が回っている中小企業は、信義則に反するようなことがなければ、しっかりと仕事を回していく、少しでも利幅が出てくる、そういう企業だけが残っていると思っています。そこに、新しいことを始める、そういう余力をつくっていただくためにも、ここについてはぜひよろしくお願いしたいと思っています。

 済みません、時間がなくなってまいりましたので、最後に、これは提案みたいな形になりますけれども、一つさせていただきたいと思います。

 資料を一枚配らせていただいております。

 説明いたしますと、縦軸に企業の今現在の状況について書いております。1から4まで分けております。右側に、いわゆる稼ぎの場、どこの市場を主に活躍の場にしているかということで分けておりまして、右側の軸は、いわゆる地域で稼ぐ会社、一番右側が世界で稼ぐ会社、その真ん中に国内で稼ぐという概念も入れています。これは、実は、LとGというのは某冨山さんという方が出した概念でありますけれども、そこにDというものを入れております。

 縦軸は、1から4まで。一番上がいわゆるグローバルニッチトップ、世界でもシェアを三〇%以上握るような中小企業。一番下が町、村等で、このパパさんママさんストアとかがなければ、この社会、コミュニティーがどうしても成り立たないと言われるような小規模事業者。その中の2と3が、2は、今現在黒字も出ています、自律的に回っていますという会社であります。三番目が、今現在、何かの理由で赤字である、黒字が出ない状態が続いている。そういう企業の状態に合わせて、それを市場に合わせてつくったマトリックスでございます。

 何を申し上げたいかといいますと、今現在、我々は、中小企業、小規模事業者の区別というのを、資本金だとか産業だとか、雇用者の数だけでやっておりますけれども、これは入り口の話でありまして、我々が中小企業者、小規模事業者に求めるのは、最終的には、雇用であり、税を納めていただく、かつ、地域における生活の基盤をつくっていただいて、地域の資源を見出していただいて新しい宝にしていただく、このことなんですけれども、この機能で見た方が政策誘導がしやすいのではないか、そういう問題意識を持って、実はこういう図をつくらせていただき、また党の中での議論もこういう形でしたいと思っております。

 済みません。時間がなくなってまいりましたので、簡潔に、こういう新しい中小企業の捉え方、そして、そこへ向けての政策のつくり方について長官の方から御意見をいただければと思います。

豊永政府参考人 全国三百八十万者、規模も業種も、また置かれている状況、ステージも、それから対象とするマーケットも違います。委員の御指摘のとおりでございまして、そうした置かれている状況、また事業者の実情を踏まえまして、きめ細かに対応していく覚悟で臨みたいと考えております。

福田(達)委員 ありがとうございました。

 以上です。

高木委員長 次に、大畠章宏さん。

大畠委員 民進党の大畠章宏でございます。

 きょうは、地域経済というものを中心に質問をさせていただきます。

 その質問に入る前に、先ほどもいろいろ大臣も述べておられましたけれども、熊本を中心として大規模な地震災害が発生しました。きょうは雨ということで、地域の方々も懸命な努力をいろいろされておりますが、亡くなられた皆さんに対して心から御冥福をお祈り申し上げますと同時に、被災者の皆様方にお見舞いを申し上げます。

 大臣におかれましても、経済産業省を挙げて、また政府を挙げて、この被災者の方々の救済、そしてまた、先ほども中小企業対策という話がありましたが、全力を挙げて、国というものは何のためにあるのか、こういう姿をぜひ示していただきたいということを冒頭に申し上げさせていただきます。

 さて、先ほど地域経済のお話もございましたが、私の地元日立市でも、いろいろ町の中を見ますと、変化が起きております。変化が起きておりますというのも、あそこの角にあった魚屋さんがなくなってしまって、建物も整理されて更地になっている。また、日立市には銀座通りというのがあるんですが、大変にぎやかな通りでありましたが、その一角を占める、戦後ずっと頑張ってきたカメラ屋さんが突然閉店をする、こういうことでございます。

 これは全国各地で同じようなことが起きているんじゃないかと推察するわけでありますが、この地域の現状、いわゆる地域経済というものが今どんな状況にあるのか、こういうことについて、まずお伺いしたいと思います。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の経済に関するお答えでございますが、先生御案内のとおり、日本経済全体といたしましては、企業の経常利益が最高水準でございますとか、倒産件数が低水準でございますとか、そういった状況にございますが、各地域の経済につきましても、一部に弱い動きが見られるものの、総じては緩やかに改善しているというふうに認識をしているところでございます。

 例えば、有効求人倍率などを見ましても、ブロック別に見ましても、全ての地域におきまして高い水準になっている、上昇している、そういう状況のように認識をしております。

 ただ、地域や業種によって、もちろんばらつきがあるというのは御指摘のとおりかと思っております。

大畠委員 ただいまの御認識は多分平均値だと思います。東京も含めての平均値かもしれませんが、地域の方では、多分大臣の御地元もそうだと思うんですが、どうも明かりが消え始めている。先ほどちょっと象徴的に、中核として頑張ってきたカメラ屋さんが閉店をする、あるいは街角の魚屋さんが閉店をする、これに象徴されますように、今少しずつ明かりが見え始めたという平均値の話がありましたが、どうも地域の方は、そんな空気が正直言って全くない。その状況の捉え方を間違えてしまうと、施策も間違えるんです。

 ですから、日本全体の平均値ではなく、東京の状況を見て物事を判断すると間違えますので、ぜひ経済産業省としても、地方の出先機関があるわけですから、どんな状況にあるのか、そういうものを実感として捉えて対策をとっていただきたい。二〇三高地の例がありますが、やはり現場の実態を見ないで大砲を撃ってもなかなか状況が回復しないんですね。

 そこで、大臣は余りこういう本はお読みにならないかもしれませんが、「国民なき経済成長」この副題の方は特に読み上げません。浜矩子さんの本でありますが、皆さんも余り読まれないとは思いますが、アベノミクスというのは地域経済あるいは地方経済にどんな影響を与えたのか、この受けとめ方について、大臣、もしも所見がありましたらお願いしたいと思います。

林国務大臣 今ほど政府参考人が答弁したわけでありますけれども、地域経済は、一部に弱い動きがもちろん見られるわけでありますけれども、穏やかに改善しているのではないかという認識でありまして、ただし、地域や業種によってはばらつきがあることも事実でございます。

 例えば、有効求人倍率については全地域で改善傾向にあるわけですが、一方、鉱工業生産指数については、例えば、東海地方の自動車は鉄鋼メーカーの事故の影響による工場稼働停止を背景に低下しておりますし、北陸地域のジェネリック医薬品は需要の増加を背景に高い水準を逆に維持しているというところもございます。

 設備投資につきましては、四半期ごとに約八百社の企業から業況ヒアリングを行っておりまして、地域経済の現状判断の補足材料としておりまして、こういった企業の生声からしますと、例えば北海道地域では、北海道新幹線の開業や外国人観光客の増加を受け、ホテルやドラッグストアなどの設備投資も増加しているということもございますし、関東地域では、人件費や建設費用の高騰などからスーパーなどの出店が抑制されているということなど、地域や業種によってそういったばらつきがございます。

 このように、アベノミクスの影響は、地域や業種によって異なるものだというふうに認識をしておるところでございまして、経済の好循環が各地域で進むよう、経済産業省としても全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。

大畠委員 ただいま林大臣から、アベノミクスの地方経済に対する波及といいますか影響についてのお話がございましたが、確かに、御指摘があった点についてはそのとおりだと思います。外国人の観光客も、東京都内であれば随分すれ違うようになりましたし、そういう意味では、外国人観光客が訪れる地域については経済的な影響が出ています。

 それから、円安、株高の影響も出ています。円安は輸出産業にはかなりプラスになっておりまして、企業努力がないとしても、円安で利益がふえるということですから、これは企業にとっては歓迎すべきものだと思いますし、株高については、株を持っている人については利益を上げていることも事実であります。

 しかし、輸出産業でもない、あるいはお金を持って株を買ったり売ったりしていない、あるいは外国人の観光客が訪れるようなところではない、こういう地域にとっては何の変化もない、逆に言えば、物価が上がって地域経済は非常に厳しくなっているというのが実態だろうと私は受けとめております。

 もちろん、自由民主党や安倍政権の見方と野党の見方の双方でやらないと、実像というのは出てこないと思うんですね。したがって、アベノミクスで大成功なんだという視点だけではなく、アベノミクスが及ばないところはどうなのかということをよく考えて経済産業省としては対処していただかなければならないんじゃないかと思います。

 異次元の金融緩和、これは一言で言いますと、日銀が総動員で一万円札をたくさん刷って、市中の銀行から国債を買い入れるという話。あるいは、財政出動、十兆円を投入して地域の経済を上げよう。そして、一番大事なのは成長戦略。

 これは、第一次アベノミクスの三本の矢の成長戦略というのが最近ほとんど聞こえなくなっちゃったんですね。あの成長戦略はどこに行ってしまったんだろう、そんな感じすらいたします。どうもアベノミクスは失敗したのではないか、こういうような空気が出始めたときに、第二のアベノミクス、六百兆円のGDP、希望出生率一・八、介護離職ゼロを目指す、これでカバーをして、アベノミクスが失敗ということを覆ってしまって、何とかしのごうというような感じすらどうもするわけであります。

 成長戦略というのは一体どこに行ってしまったのか。これは、当然ながら経済産業省が中心となってやらなければならない分野だと思うんですが、どうも目立つのは、二千五百億の交付金を発行して、地域振興券みたいなものを発行して、何とか地域で経済を立ち上げよう、これぐらいで、あとはどうも目立たないんです。

 そこで、農林水産省がきょう来ておられますし、総務省も来ていただいておりますが、いわゆる八百九十六の市町村が二〇四〇年代に消滅可能性のあるという指摘を総務省の元大臣がされているわけでありますが、この要因は何か。あるいは、私の感じでは、この八百九十六の市町村の中心産業は農林水産業だと思っておりますが、農林水産業の衰退あるいは農林水産業の回復のためにどんなことを考えておられるのか。総務省と農水省にお伺いします。

宮地政府参考人 お答え申し上げます。

 元総務大臣の増田寛也氏が著作の中で、一定の仮定のもとではございますが、二〇四〇年に若年女性の人口が五割以上減少する市区町村を消滅可能性都市と定義いたしまして、その数を八百九十六と試算しているものと承知をしております。

 この著書の中では、地方における人口減少の要因といたしましては、地方と大都市、特に東京圏の経済雇用格差によります地方から大都市への若者の流出や、また近年の低出生率による少子化が指摘されているものと認識をしております。

伊東副大臣 おはようございます。大畠委員の御質問にお答えしてまいります。

 御指摘のとおり、農政を取り巻く環境は非常に厳しい状況にありました。必要な施策を講じてきたところでありますけれども、近年、農業所得の減少あるいは担い手不足、さらにまた高齢化の進展ということなど、農業、農村をめぐる状況は大変に厳しいものが続いているところであります。

 その背景といたしまして、バブル経済の崩壊によるデフレの進行など、日本経済をめぐる状況の変化があります。また、高度経済成長期における農村から都市部への若年労働力の流出というのも挙げられております。また、社会的事情の変化でありますけれども、一方、農政面におきまして、食生活が変化する中で、例えばお米のように、需要が毎年八万トン減少していくような作物の生産転換が円滑に進まなかったこと、また、水田農業などにおける担い手への農地集積のおくれなどの面もあった、このように認識しているところであります。

 こうした状況を一つ一つ克服し、我が国の農業の活性化を図っていくため、平成二十五年に策定をされました農林水産業・地域の活力創造プランに基づきまして、農地中間管理機構の創設、あるいはまた、こういう産業政策としての農業政策、さらに日本型直接支払制度の創設などの地域政策を車の両輪といたしまして農政改革に取り組んできているところであります。

 今般、特にTPP合意を受けまして、これまで進めてまいりました農政改革に加え、昨年末に取りまとめをいたしました総合的なTPP関連政策大綱に基づき、体質強化対策あるいは経営安定対策の充実など、万全な対策を講ずることといたしているところであります。

 これらを通じまして、生産者の方々が安全、安心で高品質な、世界にも通用する農林水産物を生産しているとの自信を持ち、このような意識の転換が図られていることで、新たな国際環境のもとでも、夢と希望を持って経営安定に取り組んでもらえるような農業にしたいと考えております。

 以上でございます。

大畠委員 総務省からも答弁いただきましたし、また農水省については、伊東副大臣からお話しいただきました。

 まず、総務省のお話、これはそういうことで受けとめますが、ただ、危機感が全くないですね。八百九十六の市町村が消滅するということを元総務大臣が発表したわけですから、総務省としては、これは大変だ、自分たちの視点と言ってはなんですが、そういう自治体が消えるかもしれないというんだから、もっと深刻に捉えて、対応策も総務省だけではできないでしょうから、農水省とか経産省とかいろいろなところを総動員して対策を打たないと、そうなりましたということになってしまいますよ。もっと深刻さを持って、危機感を持ってやっていただきたい。

 それから、農水省の伊東副大臣からは、万全な対策というお話がありましたが、本当に万全な対策ができているんでしょうか。もしも万全な対策というのであれば、なぜ戸別所得補償制度なんというのをやめちゃうということを自民党として打ち出したのか。まあ、あれは民主党の政策だからといってやめちゃう。子ども手当も、民主党の政策だからやめちゃう。

 そういうことじゃなくて、やはり地域を見て、いいものだったら、どんなにいろいろあったとしても、それを継続するとか何かあって、万全な対策というのであれば、私は当然取り上げるべきだと思うんですが、ここら辺は、副大臣、もう一回農村に行って、農家の話を聞いてみてくださいよ。百円玉一個を得るためにどれほど苦労をしているか。ビニール袋にナスを三個入れて、百円では売れない、九十八円ぐらいの値段をつけないと売れないのが実態だと思います。

 そうやって一生懸命頑張っているところで、TPPも万全を尽くしますと言いますが、今、TPPの特別委員会も、結局、本日で凍結といいますか閉店みたいな話になってきておりますが、実態がわからないんだから、農家の方だって不安をどんどん大きくしているのが実態です。それに対して、農水省として万全を尽くしますと言ったって、そうですかという話になりませんので、これは、副大臣、もう一回、地域の実態を踏まえて、どうしたらいいのかということをぜひ御検討賜りたいと思います。

 農水省関係は終わりました。どうぞ御退出いただいて結構でございます。

 それから次に、中心市街地の商店街対策について伺います。

 これは、先ほど申し上げましたように、きょうこの委員会に出ておられる皆さんの地元でもそうだと思うんですが、どうも中心市街地がどんどん衰退をしている状況にございます。これをどうするかということで、各自治体も工夫しながら、例えば丸亀町の例がありますが、中心市街地の土地を五十年間借地契約をして、青年たちが頑張って会社を起こして、ある程度のにぎわいを取り戻した。あるいは、高齢化が進んできて、団地あるいは地域には高齢の方がおられますが、なかなか町の中心部に行く足がない。そこで、これは長野市だったと思いますが、おでかけパスポート制度というものを設けて、六十五あるいは七十歳以上でしょうか、そういう身分証明書みたいなものを渡して、それをバスの運転手さんに提示すれば百円ぐらいで町の中心街に行ける、こういうことをやったら、お年寄りの方は行って何か買い物をする。それで、お孫さんを連れていればより買い物をするという傾向らしくて、お孫さんもおおよそ百円ぐらいで乗車させるという制度をつくったそうです。

 こういう地域においてはいろいろ工夫を始めているんです。これは自治体がやればいいんだというんじゃなくて、先ほど申し上げましたように、全国の八百九十六の市町村がそれぞれ苦労しているんですから、いいものは、こういう事例がありますから、皆さんのところでもやってみてはどうですかと、やはりいろいろな形で提言をしていくことが必要だと思います。

 それからもう一つ、前から申し上げているかもしれませんが、イタリアの商工会議所はまちづくりの権限を市から委ねられて、商工会議所とか商工会が中心となって、店舗の配置ですとか、いろいろなまちづくりの計画を実際に権限を持ってやる、こういうことで、非常に整然とした町ができているということですが、こういう幾つかの地域における工夫というものをぜひ全国展開して中心市街地の商店街対策をとるべきと考えますが、この件について経済産業省の御意見をいただきたいと思います。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、高松の丸亀商店街の件でございますが、商店街の関係者が長期の定期借地権によりまして、土地の利用権を高松丸亀町まちづくり株式会社に集約いたしまして、その会社が、その上に商業、医療、居住に係る複合施設を整備する形で再開発が実施されました。

 その結果、中心市街地として魅力的な町並みが形成され、空き店舗率が低下するとともに、来訪者が増加いたしました。

 この取り組みにおいては、大きな成果が得られましたのは、強力な商店街のリーダーによって地権者の説得が実現したことによるものと承知しております。

 高松丸亀町商店街のような、土地の所有と利用の分離の手法を活用した再開発は、いずれの地域でも簡単に実現するものではございませんが、まちづくりの有効な方策の一つであると考えております。

 経済産業省といたしましては、引き続き、そうした手法による施設整備を含め、中心市街地の活性化に向けた民間事業者の先駆的な取り組みを支援するとともに、地域のまちづくりの関係者への情報提供等を通じて、丸亀商店街のような先進事例の横展開を図ってまいりたいと考えております。

 また、長野市のおでかけパスポートの話がございました。

 これは、高齢者を中心とした買い物弱者対策ということで我々は捉えさせていただいておりますが、近年、人口減少等を背景といたしまして、食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれている、いわゆる買い物弱者が増加してございます。

 そうした買い物弱者の方々に対しましては、民間事業者、行政等が緊密に連携いたしまして、日常の買い物を円滑に行えるよう、きめ細かく支援していくことが重要でございます。

 経済産業省におきましては、従来から、買い物弱者に対する支援の裾野拡大に取り組んできております。具体的には、民間事業者の先進的な取り組みをまとめた買物弱者応援マニュアルを作成いたしまして、民間事業者、NPOや自治体関係者を対象とする説明会を通じて、ベストプラクティスの普及を図っているところでございます。

 また、毎年度、買い物時の送迎など高齢者に寄り添う市町村の取り組みを含め、全国各地で行われている買い物弱者対策を取りまとめて公表しているところでございます。

 今後とも、これらの取り組みを着実に推進いたしまして、買い物弱者にとって身近な存在である市町村の積極的な対応を促してまいりたいと考えております。

 最後に、商店街、商工会議所のまちづくりに対するかかわり方でございますが、まちづくりを成功させるためには、市町村だけでなく、住民、民間事業者、経済団体、金融機関など、地域の幅広い関係者が、その目標、方向性を共有しながら、一体となって取り組むことが重要でございます。

 御指摘の商工会議所につきましては、地域経済の重要な担い手でございまして、まちづくりにおいても中核的な役割を果たすことが期待されております。

 中心市街地活性化法におきましても、地域の関係者がまちづくりの狙いや、実現するための方策を検討する協議会を構成する者として、商工会議所を明確に位置づけているところでございます。

 実際のまちづくりの現場におきましても、具体的には、商工会議所が御当地グルメの商品の開発や販売とともに、新たな集客拠点の運営に取り組む、あるいは、町並みのコンセプトを設定し、それに対応する形で個々の店舗の改修を促すなど、強力なリーダーシップを発揮しているケースもございます。

 今後とも、中心市街地活性化対策などにおきまして、各地の商工会議所を巻き込みながら、町のにぎわい創出を強力に推進していきたいと考えております。

大畠委員 そういう成功例というか、こういうふうにしたら何とかなるだろうと工夫をして頑張っているところがありますから、そういうのを全国展開して、少しでも地域が活性化するように、ぜひ御努力をお願いします。

 それから次に、八百九十六の市町村もそうだと思うんですが、地域の問題として、お医者さん不足、医者不足というのがあるんですね。自治体も、非常にお金がない中で、お医者さんを一人呼んでくるために年間一千万ぐらい補助しますからというので、乏しい財政の中から、一生懸命工夫して、お医者さん確保に努力をしているんですが、私は、これは自治体の責任でやるというのではなくて、国の仕組みが、従来の医局制度がなくなってしまってからこういうことになったと思うんです。

 厚生労働省として、やはり税金を投入してお医者さんも育てているんですから、医者の資格を取ったら、五年間は国が指定したところで執務すること、従事することぐらいに規制を強化して、地域における医者不足対策に寄与すべきと思います。

 それから、小学校なんかも、地域の方で廃校が続きますと、その地域から子供さんがいる家族が別なところに引っ越してしまって、地域の弱体化の推進に寄与しちゃっているんですね。ですから、小学校なんかも、子供の人数が減ってきたから廃校にして統合しちゃおうという単純な発想じゃなくて、地域を支える一つの大きなポイントでありますから、ぜひそういうことを考えるべきだと思いますが、厚生労働省、文科省から、その件についてお伺いします。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 過疎化や高齢化が進む中においても、住民が地域で安心して暮らしていくことができるよう、地域の医師確保を図っていくということは重要な課題と認識しております。

 このため、地域における医師確保対策として、都道府県内の特定の地域等での勤務を条件とした地域枠を活用した医学部入学定員の増加、地域枠の医学生に対する都道府県の修学資金の貸与への財政的支援、地域の医師不足病院への医師派遣等を行う地域医療支援センターを医療法に位置づけまして、運営に対する財政的支援を行うこと、そして、医師臨床研修制度において都市部に研修医が集中することがないように、全研修希望者に対する募集定員の割合を徐々に縮小することなどを通じまして、対策に取り組んでおります。

 また、昨年十二月から医療従事者の需給に関する検討会を設置いたしまして、その中で、医師需給分科会で、医師の中長期的な需給推計、医師の地域偏在、診療科偏在の是正策について議論を行っております。

 一昨日、四月二十日に開催しました同分科会会議におきましては、医師不足地域で診療に従事するということを診療所等の管理者、開設者になる際の要件としてはどうかということなども論点として議論が行われました。

 今後、分科会での議論を踏まえ、医師の地域偏在、診療科偏在の対策等を講じてまいりたいと考えております。

藤原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、学校は地域コミュニティーの核でございまして、これをどうしていくかというのは地方自治体の大変大きな課題であるというふうに存じております。

 一方で、少子化の進展による学校の小規模化に伴いまして、児童生徒が、集団の中で切磋琢磨しながら、学んだり社会性を高めたりすることが難しくなるなどの課題が顕在化しておりまして、教育的な視点でこうした課題の解消を図っていくことが必要であるというふうに認識をしております。

 その際、地域コミュニティーの核としての学校の役割を重視する観点からは、学校統合によって魅力ある学校づくりを行い地域の活性化を図るといった方策に加えまして、地域の実情に応じ、小規模校のデメリットの克服を図りながら学校の存続を図るということも含め、さまざまな選択肢があるというふうに考えておるところでございまして、文部科学省といたしましては、市町村のいずれの選択も尊重し、きめ細かな支援を行いたいというふうに考えておるところでございます。

 このうち、学校を存続させるということにつきましては、昨年の一月に策定をいたしました公立小中学校の適正規模・適正配置等に関する手引というものがございますけれども、その中で、小規模校のメリットを最大化し、そしてデメリットを最小化するための方策につきましてもきめ細かく示しておるところでございます。

 また、平成二十八年度の予算におきましても、必要な教職員の配置や施設への国庫補助、またスクールバスの購入の補助などに加えまして、小規模校の教育活動の高度化を図るモデル事業やICTを活用したネットワーク構築による双方向型合同学習に関する実証事業などを盛り込んでおるところでございまして、今後とも必要な支援の充実を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

大畠委員 ありがとうございました。

 お医者さんの話は、きのうだったですか、たしか青森あたりで八十三歳の高齢なお医者さんが、もう腕が上がらなくなっちゃったので、本日でお医者さんを引退しますと。弟さんがおられたので、多分七十歳代かもしれませんが、診療所は続けていますが、あの弟さんも高齢になってきた場合にはあの診療所がなくなる、こういうのも地域の実態だと思います。

 したがって、医局制度がよかったか悪かったか、私は内部はよくわかりませんが、いずれにしても、地域からお医者さんが消え始めている。お医者さんもいない、学校もなくなるというと、地域はもう疲弊して、まさに限界集落的な形になってしまうのは事実ですから、ここら辺を、厚生労働省も国民の立場に立って、お医者さんはどうあるべきかというのを再度よく考えて、適正配置ができるように、権限を強化してもいいんですよ、規制強化してもいんですよ、そういう国民の立場に立つのであれば。それはぜひ検討していただきたいと考えるところであります。

 そこで、次に地場産業の問題について質問したいと思いましたが、少し時間が迫ってまいりましたので、これはまた次回のことにさせていただきまして、中小企業対策を最後に質問させていただきます。

 地域の中小企業経営者の高齢化が進んでおりまして、私の知っている優秀な技術を持っている中小企業なんですが、子供さんが後を継がないというので、結局その企業は閉鎖せざるを得ない、こういうことになるようでありますけれども、非常に残念なんですね。戦後七十年間培ってきた技術がそこでついえてしまう。

 そこで、中小企業のMアンドA的な形で、やりたいという人ともっとつないでやったらどうかなという感じを持っておりまして、こういうところの強化策。

 もう一つ、皆さんのお手元に参考資料をお配りさせていただいておりますが、「世界の展示会(会場の規模)」と書いた資料がございます。この資料は何かというと、世界ではどんな展示会、国際展示会というんですか、そういうものの規模が書いてありますが、一番大きいのはドイツのハノーバー、四十六万平米。日本の場合はどうかというと、八万平米ぐらいの会場があるのみであります。

 そういう意味では、大臣も国際展示場、展示会へ行っておられると思うんですが、すごい熱気なんですよね。あれはまさに中小企業の出会いの場、あそこでいいアイデアを、あるいはお互いに切磋琢磨したり、こんなことをやってみようか、そういうことも気づく場なんですね。

 ですから、私は展示会というのは大変大事だと思いますので、経済産業省として、国際展示場というのはどういう位置づけと考えているのか、あるいは経済効果はどう考えておられるのか。

 そして、一番最後に、オリンピックの期間、七カ月間ビッグサイトを使えない、こういう話が来ております。使えないと大変な経済損失、こういうことも聞いているわけであります。

 中小企業経営者の高齢化対策と国際展示場の問題について、現在どのような御見識をお持ちか、お伺いしたいと思います。

林国務大臣 まず、中小企業でございますけれども、我が国雇用の七割を支えておりますし、地域の生活や産業を支えている大事な存在であるという認識をしております。

 御指摘のように高齢化が進んでおりまして、二〇一二年の調査では、経営者の五二%が六十歳以上、そして平均引退年齢は七十歳ということになっておりまして、二〇二〇年過ぎには約半数が引退期を迎えるという形に数字の上ではなります。その中には、後継者不在により廃業を余儀なくされる事業者が少なからずあるというふうに考えられます。

 大畠先生御指摘のように、後継者の確保が困難な場合の中小企業の事業承継の実現のため、MアンドAが有効な方策の一つであるというふうには考えておりますが、手間がかかる一方、手数料収入が十分見込めないことから、民間のマーケットが育っていないというのが実態でございます。

 このため、経産省では、平成二十三年度から、後継者不在の中小企業に対しまして、MアンドAによる後継者マッチング支援を行っております。

 具体的には、都道府県ごとに事業引継ぎ支援センターを設置しております。茨城県にも、三月、水戸商工会議所に設置をしたところでございます。発足以来、一万社超の相談に応じまして、三百六十一件の事業承継を実現しているところでございます。

 今後とも、MアンドAを含めまして、できるだけ多くの中小企業の事業承継が実現できるよう努めてまいりたいと思います。

 次に、例の展示会における国際展示場をどう考えているかということでございます。

 展示会というのは、国内外の需要を開拓するわけでありますし、展示会に関連する事業者に対する幅広い経済波及効果が見込まれるということもございます。さらには、出展、商談などを動機とした外国からの訪問客の増加による経済効果も見込まれます。

 千葉にも幕張メッセというのがございまして、いろいろと活用をされているところでございますが、経済の活性化に重要な役割を担うものというふうに思っております。

 特に、中小企業にとっては、自社の製品や技術を国内外にアピールする大変重要な商談の場となるというふうに思っておりまして、先般、明日の日本を支える観光ビジョンにおいても、展示会の誘致の促進が掲げられているところでございまして、大規模な展示会の開催に当たっては、国際展示場が重要な役割を果たすため、年内に関係府省連絡会議を立ち上げまして、展示会向け施設等の拡充に取り組むことになっております。

 今後とも、自治体、産業界の意向を踏まえまして、関係府省とも連携して、展示会や国際展示場への支援のあり方を検討してまいりたいと思っております。

 東京オリンピックの期間中に展示場が使用できなくなるという問題に関しましては、今、経産省が軸になって関係自治体と連絡協議会みたいなものを設置しまして、いろいろと協議を進めているところでありまして、今の段階ではまだ新しい打開策は見当たらないということでございます。

 これからもいろいろな観点から、対応がどこまでできるかを含めて、進めていきたいというふうに考えてございます。

大畠委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後に大臣が御答弁をされた、七カ月間、展示会場が使えない、あそこはどうもオリンピックのマスメディアのセンターにするということなんですが、一方では、中小企業が困ってしまうんですよ。いろいろお話を伺うと、東京都内あたりに仮設のそういうところをつくったらどうか、こういう具体的な提案もございますので、改めて、また大臣にはその件について御検討いただきたいということを要望して、質問を終わります。

高木委員長 次に、本村賢太郎さん。

本村(賢)委員 民進党の本村賢太郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、熊本震災に関する経済産業省の取り組みについて数点お伺いしてまいりたいと思っております。

 新聞でも報道がございますが、避難所の格差の問題やら、それから、地震発生から十日以内に完了する危険建物の判定の審査がなかなか進んでいないとか、まだまだたくさんの課題がございます。経産省が関連する、例えば、食品の流通、コンビニやスーパー、都市ガス、ガソリンスタンド、電力、さらには、厚労省の関係でしょうが、水といったさまざまな問題がございますが、その中でも、被害対応状況を見てみますと、都市ガスの復旧が非常にまだおくれているんじゃないかなと思っております。

 その中で、ガスの供給停止について、復旧のためにどのような取り組みを行っているのか、また今後の復旧見通しについてお伺いいたします。

林国務大臣 熊本市周辺におきまして、ガス供給が停止中の世帯は十六日時点で十万五千戸だったんですが、西部ガスが全国のガス会社から応援を受けまして、ガス導管の確認、補修作業などの取り組みを加速しているところでございまして、結果、きのう、二十一日の時点では約九万二千戸まで減少いたしました。

 こうした復旧作業と並行して、病院、避難所などの重要施設、あるいはホテルなどの生活支援施設については、合計で五十二施設において、ガス供給車の活用などによる機動的な供給を行っているところでございます。

 今後、西部ガスは、四月二十六日までに供給停止世帯のうち三割、四月末までに六割を復旧し、五月八日までの全面復旧を目指すこととしているところでございます。昨日、どの地域がいつごろ供給を再開できるかの具体的な見通しを公表したところでございます。

 こうした取り組みを支援いたしまして、復旧をさらに加速させるため、昨日、私から、東京ガスの広瀬社長に対しまして、西部ガスへの一層の支援を要請したところでございます。今後、西部ガスは、東京ガスを含む他のガス会社から追加的に五百人の派遣を受けまして、合計四千百名体制で復旧に取り組む予定でございます。

 経産省としては、引き続き、ガス協会など関係団体と連携して、復旧に全力で取り組んでまいります。また、被災された皆様にわかりやすくタイムリーな情報提供がなされるよう、努力してまいりたいというふうに考えています。

本村(賢)委員 熊本市内のLPガスの普及率が六六%、十八万三千六百三十九戸、都市ガスが三四%の普及率で九万五千七百二十一戸ということでございます。そういう中で、やはり都市ガスの復旧というのは非常にまた注目をされている点でありまして、大臣の強いリーダーシップによりまして、五月八日に全面復旧の方向ということで、ある程度の方向性が見えてまいりましたので、そこに向かって、ぜひとも強いリーダーシップをお願いしてまいりたいと思っております。

 次の質問に入ります。

 ガス管の耐震化の取り組みというのは現在どのぐらいになっているのかをお伺いしたいのと、耐震化をするために経産省はどのような取り組みを行っているのかを伺います。

三木政府参考人 お答え申し上げます。

 ガス管の耐震化は、耐震性の低いガス管からポリエチレン管などの耐震性の高いガス管への取りかえなどの方法によりまして、地震発生時におけるガス管の損傷を防止しようとする取り組みを行っているところでございます。

 ガス事業者が所有しておりますガス管のうち、基幹となります高圧ガス管、中圧ガス管の耐震化は既に完了しております。残りは末端の低圧ガス管でございますけれども、平成二十六年末時点におきまして、低圧ガス管の耐震化率は全国平均で八五・九%となっております。

 低圧ガス管の耐震化率の向上につきまして、政府では、ガス安全高度化計画というのをつくっておりまして、平成三十七年度末までに九〇%を実現するという目標を掲げ、これは平成二十六年二月にガス安全高度化計画の中で目標策定をしているところでございます。

 ガス事業者は、現在、耐震性の高いガス管への取りかえを順次進めております。経済産業省としましては、毎年、耐震化率の進捗状況のフォローアップを行うなど、目標達成に向けて、引き続き、ガス事業者の耐震化の取り組みを督励してまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 今の答弁だと、ガス管の耐震化率、非常に高い数値をお話しされまして、大分頑張っていらっしゃるんだなということは評価しなきゃいけないと思うんです。

 ただ、今回都市ガスが供給停止になっているということは、耐震化がこれだけ進んでいてもやはり課題があったということでありまして、その課題は何だったんでしょうか。

三木政府参考人 ガス管の安全対策につきましては、一定程度の地震でガスの供給がストップいたします。ガスの供給を再開する場合に、やはりガス管の損傷がないかということをチェックいたします。漏えいがないか、それから、例えば水道などが壊れていまして水が入っていないかということを確認します。

 やはり、二次災害を起こさないということは非常に重要でございまして、閉栓あるいは開栓の段階におきましては、需要家の方々に立ち会いをいただいて開栓をいたしますので、そういう意味では時間がかかるということだと認識をしております。

本村(賢)委員 閉栓して、そこで調査をして開栓するということでありますけれども、ぜひ、二次災害がないようにしっかりと取り組みをお願いしてまいりたいと思います。

 まだまだやはり余震が非常に続いておりまして、一週間に七百回を超える余震があったということであります。想定できない地震が今起こっているわけでございますが、熊本の中では、先ほどお話ししたように、LPガスが大変普及をしているわけでありまして、東日本大震災の際も、岩手、宮城、福島と、やはり被災三県のLPの普及率が、非常に寒い時期に温かいものが食べられたとか、暖房がたけたとか、自動車が走ったとか、さまざまな利点を伺っているわけであります。

 今後、例えば避難所とか学校などを中心にLPガスへの切りかえを進めていくことが防災の観点上必要かなと思っているんですが、経済産業省の見解をお伺いいたします。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 LPガスでございますが、各家庭に約一カ月程度の軒下在庫が通常確保されている、品質が劣化せずに長期の備蓄が可能である、こういった長所がございます。このため、委員御指摘のとおり、災害時に避難所となる地域の学校、病院などにおいてLPガス備蓄を十分に確保することは、危機対応の観点から重要であると考えております。

 こうした観点から、平成二十五年度以降、経済産業省といたしまして、災害時に地域の避難所となる施設等に対して、大型タンクと自家発電設備等を備えたLPガス供給システムの導入支援を実施しております。これまでも、都市ガス供給エリアを含めて本システムの導入が行われて、三百件以上が設置をされているところでございます。

 引き続き、災害に強いLPガスの特徴を生かすため、本システムの設置を促進してまいりたいと考えております。

本村(賢)委員 避難所になる場所、学校や、そして福祉避難所も含めて、やはりLPガスの特性を生かして、ぜひとも経済産業省として、今、平成二十五年度以降鋭意取り組んでいただいていることは理解しましたが、さらに、想定できない地震が国内である可能性も高いわけでありますので、取り組みをお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入ります。

 やはり私が非常に心配しているのは、トヨタ系列の例えばアイシン九州とか日産自動車九州など、大手メーカーも現在操業を停止しているということでありまして、大手でも、体力というか、流通などのいろいろな問題があって操業を停止しているという実態があるんですが、現地、現場の中小企業や小規模事業者の皆さんの体力がこれから心配なわけですね。

 そういった中で、東日本大震災の教訓を生かして、中小・小規模事業者が廃業に追い込まれたというケースもございますが、そういったことがこの熊本地震でないように、中小企業や小規模事業者に対する支援について現在どのような取り組みを行っているのか、そしてまた、東日本大震災のときに取り入れましたグループ補助金は現在検討されているのか、お伺いいたします。

林国務大臣 被災された中小企業への対策として、熊本県内に災害救助法が適用されたことを踏まえまして、十五日に熊本県の公的金融機関や中小企業団体に特別相談窓口を設置しました。そして、十八日には大分県にも相談窓口体制を整備いたしました。と同時に、全国四十八カ所の下請かけこみ寺に特別相談窓口を設置したところでございます。これらの相談窓口を通じまして、被災中小企業の現状やニーズを収集しているところでございます。

 さらに、被災地域における中小企業の窮状を直接把握しまして、その対応策を政府一丸となって進めるため、被災者生活支援チームとの連携のもと、私が本部長を務める総合中小企業対策本部を十八日に設置したところでございます。

 また、現在、熊本の災害対策本部に中小企業庁次長を常駐させまして、現地の中小企業団体等と連携をしながら、被災中小企業のニーズの把握を行っているところでございます。

 現場の声も丁寧に集めて、本村委員御指摘のグループ補助金のような施策も含めまして、どのような支援が実施できるのか、実施していくのか、適切な支援策をおくれることなく検討してまいりたいというふうに考えております。

本村(賢)委員 このグループ補助金ですが、グループ化が難しいとか、書類の熟度で認定が有利になるので結果として零細企業は認定されにくいとか、幾つかの課題も、東日本大震災以降、浮き彫りになっておりますので、この点も鑑みながら、中小企業支援を力強くお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、この熊本地震に関連しまして、川内原発、伊方原発、あとは玄海原発ですか、半径百五十キロ以内に三つの原発がございます。これは本会議でも丸川大臣から答弁いただいておりますが、被災地は余震が続いておりますし、気象庁も今までの経験則で言うのは難しいと言うような地震だということでございまして、震度七が二回、一週間に七百回以上の余震があったということでありまして、どこでどうなるのか。

 例えば、熊本の震源から離れた八代市でも震度五弱ですか、これは川内原発から半径八十キロ以内のところでありますし、そういった余震が続いているようであります。私自身は川内原発は停止する必要があるんじゃないかなと思いますが、改めて、この川内原発を停止する必要はないのか、そして想定外の事故は起こり得ないのか、お伺いいたします。

田中政府特別補佐人 同様の御質問を何度も受けておりますので、少し時間をいただきまして、まず、事実関係を少し丁寧に御説明させていただきたいと思います。

 新しい規制基準では、地震動については、敷地内に十二万年から十三万年より新しい時期に動いた断層がないことをまず確認しております。その上で、周辺の動き得る断層というものについて、全て調べるというか、影響のあるところを調べるということを行っています。

 今回地震が発生している布田川断層帯と日奈久断層帯については、川内原子力発電所の審査において、これまでの文献調査等の結果から、二つの断層帯を全部合わせると、当時は長さ九十二・七キロメートルになりますが、それが一気に動いた場合、これが最大のマグニチュードになりまして、八・一という評価をしております。

 地震動評価においては、マグニチュードと震源から発電所までの距離によってその影響が変わってまいりますが、この断層帯の連動による地震の影響は、川内原子力発電所に対しては百五十ガル程度ということであります。実際には、それより近いところの断層の方がさらに大きい影響を与えるということがわかっております。

 さらに、その上で、必ずしも全ての断層帯がわかっているわけではないだろうということもありまして、震源を特定しない断層というものについての地震動評価も行っています。これは、過去、我が国で起こった、十数カ所で起こった、震源を特定できなかった地震動の中から大きい方から選びまして、川内の場合は、比較的最近起こった留萌の地震、これによる地震動が六百二十ガル、これが実際には特定している地震動より大きい値を示しました。

 したがいまして、川内の基準地震動としては、六百二十ガルというのをベースにいろいろな施設の安全上の設計を行っています。

 前置きになりましたけれども、次に、今回の熊本地震による川内原子力発電所への影響でございますが、実際に稼働中の川内原子力発電所においては、今回の地震による地震加速度が数ガルから最大で十二・六ガルです。ですから、先ほどの値から見るとずっと小さいわけです。

 なおかつ、原子炉は、事前に、地震によって自動的にとまるようになっておりまして、縦揺れ、鉛直方向については八十ガル、水平方向、横揺れについては百六十ガルでとまるようになっています。それよりもずっと小さい値であるということで、今そのまま稼働しているわけでございます。

 想定外というお話がありましたけれども、ただいま御説明申し上げましたとおり、布田川、日奈久断層を含めて、サイト周辺の地震動については極めて保守的に想定して、それに対する対策を求めておりますので、想定外の事象が起こるとは今考えてはおりませんが、四月十八日に原子力規制委員会臨時会を開きまして、現状においてなおかつ川内原子力発電所を停止する必要がないかどうかを議論いたしまして、停止する必要はないという判断をさせていただきました。

 今後とも、地震の動向を注意深く見ながら、情報発信に努めるとともに、適切な対応をしてまいりたいと思います。

本村(賢)委員 田中委員長から大丈夫だというお話も聞いたわけでありますが、火山学者からすれば、川内原発は、全国の原発の中でも、いわゆる活火山の周りに位置している関係で、非常に危険性もあるんじゃないかという指摘もありますし、二〇一四年の十一月には、日本火山学会から、巨大噴火の観測例が少なく兆候の把握は困難として、新基準の見直しを求める提言も規制庁に出されたということを伺っております。

 ぜひとも、今回やはり想定がつかない地震がある可能性もあるわけですから、万全な体制をしいていただきたいと思っております。

 また、ガルのお話をされましたが、ガルが大きくても震度が大きいとは限らないということでございます。確かにそのとおり、震度六弱でも、大船渡で一千百五・五ガル、浦河で三百四十八・九ガル、そして、今回の熊本地震の震源地でも揺れの大きさが千五百ガルを超えたということであります。私も、専門的な話は、何とかガルといってもなかなかわからない部分もありますが、ぜひとも、やはり原発再稼働で非常に不安に思っている地域の住民の皆さんもいらっしゃるので、そのことを考えてみた中で、また御検討いただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 四月二十日に、岡田代表らが安倍総理に対しまして、平成二十八年熊本地震災害に関する緊急申し入れを行いました。その中に、この川内原発でもし事故が起こった場合、「本当に想定通りの避難が出来るのか、避難先の受け入れ態勢は十分なのか等を再検証すること。また、それらの情報提供を十分にはかること。」ということでございまして、岡田代表から安倍総理に向けて、いわゆる提言を出させていただいたわけであります。

 私も昨年、国土交通委員会で、この川内原発の周辺の市町村道の約七割の橋梁が耐震化をされていないということで指摘をさせていただきましたが、こういった避難ルートが本当にしっかりしているのか、そして受け入れは可能なのかどうか、お伺いしてまいりたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 川内地域の避難計画につきましてでございますけれども、川内原発を中心として半径三十キロ圏内、ここにはPAZと言われる五キロ圏内と、五から三十キロ圏内のUPZ、この二つの地域がございまして、全体として三十キロ圏がこの避難計画の対象になっているわけでございます。

 それで、川内地域につきましては、薩摩川内市を初めといたしまして七市二町が対象になってございます。これらの避難先につきましては、まず主として鹿児島県内に避難先を設定しているところでございます。今回の地震によりまして、この鹿児島県内の避難先におきましては、地震による影響はないということは現在確認をしているところでございます。

 それから、避難手段でございますけれども、これらの住民の方々が避難される際には、自家用車、あるいは自家用車がない方はバスなどを利用していただく、要は、車によります避難を基本としてございます。

 避難経路につきましても、それぞれの避難先に当たりまして複数の経路を設定しているところでございますが、今回の地震によりまして影響があったかどうかということを確認したところ、現時点では、通行どめなどの問題はないということを承知しているところでございます。

 それで、このUPZ、五から三十キロ圏のうち、阿久根市と出水市の一部の住民の方については、熊本県の芦北町、津奈木町それから水俣市の三市町に、国道三号線を利用した避難を予定しているところでございます。現時点においては、この三号線を初めとします避難経路については影響は出ておりませんけれども、熊本県は現在被災もされているところでございますので、熊本県に受け入れがもし困難であるような場合には、まず鹿児島県におきまして、鹿児島県内であらかじめ登録されております複数の避難施設から避難先を選定する、こういう運用を考えておるところでございます。

 いずれにしましても、引き続き余震が続いておりますので、注意深く見ていく必要があるというふうに考えておるところでございます。

本村(賢)委員 私ども民進党から総理に提言した避難経路のお話もまた真摯に受けとめていただき、情報の開示も引き続きお願いしてまいりたいと思っております。

 次の質問に入ります。

 電力自由化についてお伺いいたします。

 きょう、資料一でお配りしました、発電方法を示してという声が拡大ということでございまして、既に東京都の武蔵野市議会では、開示の義務づけを求める、国に対する意見書が全会一致で可決されているようでございますし、あとは、内閣の一員である河野消費者担当大臣は、消費者の選択が社会を変えていく観点から電源の開示は絶対必要と述べられていることも含めまして、私も、この電源構成の表示については、ぜひとも、この新聞のとおり、一国民として、どのような電力を自分で買っているのか、見える化が必要かなと思っております。

 その点において、政府においては、表示の義務づけなど、開示を進める方法を検討していただきたいと考えておりますが、御見解を大臣にお伺いいたします。

林国務大臣 電力システム改革の目的であります電気の使用者の選択の機会の拡大を実現する上で、電源構成が開示されることは意義がありまして、事業者が開示に積極的に取り組むことは望ましいというふうに考えています。

 他方、規制は極力排して事業者の創意工夫に委ねることで競争を促し、消費者の利益を向上させることも電力システム改革の趣旨でございます。

 電力取引監視等委員会の専門会合での御議論を踏まえまして、一月に制定した指針では、小売事業者による電源構成の表示を望ましい行為と位置づけまして、事業者の自主的な取り組みを促す努力義務としているところでございます。

 指針の制定後、事業者向けの説明会を開催するなど、その内容について周知を行うと同時に、現在、開示状況の調査を行っているところでございます。開示が進むよう、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

本村(賢)委員 望ましい行為として位置づけることで努力義務としたということでありますが、大臣、ぜひとも発電方法を国民の皆様にお示ししていただけるようなことをお願いしてまいりたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 消費者トラブルについて、これまでどのような事例があったのか、また消費者庁、国民生活センターとの連携はどのように行っているのか、お伺いいたします。

松尾政府参考人 私ども、四月からの小売の全面自由化に当たりまして、経済産業省におきまして、消費者からの相談窓口を設置して、いろいろな苦情あるいは御相談を承っております。

 相談窓口には、これまで、例えば、無料で設置されるスマートメーターの設置につきまして切りかえの特典として宣伝をする、あるいは、三月末までに契約を決めないと電気がとまってしまいますよというような誤った説明をする、あるいは、設備の点検のために家庭を訪問したということなんだけれども、十分な説明をしないままに電気の営業活動を行う、こういうような行為についてさまざまな相談が寄せられておりまして、必要に応じ、事実関係の確認あるいは指導などの対応を行っております。この結果、既に事業者の方々の方でも再発防止に取り組んでいただいております。

 また、消費者はもちろん、他の事業者にも、ほかの方々にもこうした点について注意を促すという観点から、これらの情報は遅滞なく公表もさせていただいているところでございます。

 また、消費者庁や国民生活センターとの関係でございますけれども、当省から、今申し上げましたような相談事例や指導事例について情報提供を行います一方、国民生活センターから、センターに寄せられております全国の相談事例に関する情報を提供していただきまして、これを私ども監視等委員会の事業者の監視にも活用させていただいているところでございます。

 また、消費者へのアドバイスにつきましては、国民生活センターと私ども共同で公表するなど、関係機関と連携した上で、消費者保護の取り組みを進めているところでございます。

本村(賢)委員 今の答弁のように、消費者庁や国民生活センターとの連携というのは不可欠かなと思っております。

 そして、大臣にお伺いしますが、地方創生の観点から、今、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターが徳島に移転をされるという話があります。消費者庁と経済産業省の共管する法律は五本、関係の深い法令は十本以上あるわけでありますが、大臣、これで消費者庁や国民生活センターが徳島に移転してもいいと思いますか。

林国務大臣 通告もございませんし、所管外のことでございますので、コメントは差し控えたいと存じます。

本村(賢)委員 いや、大臣、これは地方創生の柱の一つでありまして、さまざまな委員会で大変議論になっている話であります。

 そういった中で、これは消費者庁と経済産業省が共管する法律が五本があって、関連の深い法令が十本あるわけでありますから、お答えください。

林国務大臣 そこは消費者庁なり消費者大臣なりがいろいろ御判断されるものだというふうに考えております。

本村(賢)委員 経済産業大臣として、消費者庁が、そして国民生活センターが徳島に移転しても問題ないというお考えでよろしいですね。

林国務大臣 冒頭申し上げましたように、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。

本村(賢)委員 大臣、これは経済産業省とかかわりのある省庁なんですよ。それで答弁ができないというのは、ちょっとこれは情けない話ですよ。しっかりとやはりこれは、必要なら必要、移転すべきなら移転すべきというふうに大臣の考えを示してください。これは地方創生の、安倍内閣の大きな柱の一つじゃないですか。

 次の質問に入ります。

 次の質問は、皆さんにお示ししております資料二の中でございますが、大臣が、二〇一二年の衆議院の総選挙の際、「農業の活性化」のところで、農政連からも御推薦いただいている大臣みずからが、「例外なき関税撤廃のTPP交渉参加に反対します。」とあります。

 TPPに対して、大臣、今現在どのようなお考えですか。簡潔にお願いします。

林国務大臣 TPPによりまして、世界のGDPの四割、日本からの輸出の三割を占める大きな経済圏におきまして、工業製品の九九・九%の関税が撤廃されるというのは、大企業だけじゃなくて、中堅・中小企業の受注拡大にもつながるというふうに考えております。

 また、このTPPは、関税撤廃のみならず、模倣品対策やら通関手続の迅速化など、幅広い分野で新しいルールがつくられているわけでございます。

 この活用によって、中堅・中小企業も含めまして、我が国企業による輸出の拡大や海外展開、イノベーションの促進などを通じて、我が国の経済成長が加速することが期待されるところでございます。

 そういった中で、中堅・中小企業も含めた我が国企業がTPPで開かれる新しいチャンスをつかんで飛躍できるよう、そして地域が元気になるよう、政策を総動員して支援してまいりたいと思います。

本村(賢)委員 では、端的に聞きますが、二〇一二年の総選挙時にはTPPに反対というお話をされておりますが、現時点では賛成ということでよろしいですか。

林国務大臣 この平成二十四年の選挙公報の記載ですけれども、例外なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉の参加に反対するという趣旨で記載したものでございます。

 安倍政権発足後間もない二〇一三年二月には、オバマ大統領との首脳会談で、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められないことなどが直接確認されたため、交渉参加が決断されたものと承知しております。

 我が国は、厳しい交渉の中で、農林水産品の約二割について関税などによる保護を維持し、国益にかなう最善の結果を得ることができたというふうに思っております。

本村(賢)委員 ただいまの農水品目二割で維持ができたというお話、非常に残念だなと思うし、農政連の皆さんもこれは非常にがっかりしているんじゃないかなと思います。

 次の質問に入らせていただきます。

 経済状況について、今、二〇一四年の実質成長率はゼロ、二〇一五年は〇・四%、足元の二〇一五年十月から十二月期の実質成長率は年率換算でマイナス一・四%でありまして、実質賃金も何と四年連続マイナスということでありますが、大臣から見て、経済はよくなっているという認識でいらっしゃるのか。

 また、あわせて、今回資料三で示した、二〇一四年の総選挙の際には、大臣が、消費税を二〇一七年四月に一〇%にしますということが書かれておりまして、これは私どもももちろん賛同するところでありますけれども、今の段階で、大臣の見解で結構ですが、消費税一〇%を予定どおり行うべきかどうか、お伺いいたします。

林国務大臣 まず、経済がよくなっているかどうかというお尋ねであります。

 日本経済は、アベノミクスのもとで、二〇一五年の企業の経常利益は過去最高水準でありますし、倒産件数は二十五年ぶりの低水準、有効求人倍率は二十四年ぶりの高水準、失業率は十八年ぶりの低水準となるなど、経済の好循環は回り始めております。

 景気は、新興国経済の減速などを背景に生産や輸出が横ばいとなっているものの、総じて言えば、緩やかな回復基調にあると考えております。ただ、地域によって、あるいは業種によって、ばらつきはございます。

 中小企業の業況についても、中小企業庁の調査においては、業況感が、二〇一二年十―十二月期のマイナス二四・六から二〇一六年一―三月期のマイナス一八・一へ、六・五ポイント改善しておりますし、中小企業の経常利益は、二〇一五年に二十・七兆円で過去最高水準になっております。

 アベノミクスの進展につれて着実に改善傾向にあるものの、先ほど申し上げましたように、地域や業種、事業者の規模によってはばらつきがあるというふうに認識しております。

 このため、経産省としては、成長戦略の強化、あるいは中小・小規模事業者の生産性向上の支援、あるいは下請中小企業の取引条件の改善など、あらゆる施策を総動員して、経済の好循環の拡大に全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。

 それから、消費税に関しまして、二〇一七年四月に予定されております一〇%への引き上げでございますが、政府としては、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、予定どおり実施する方針でございます。

本村(賢)委員 これで質問を終わりにしますが、大臣、公務がお忙しいとは思いますが、ぜひ御地元の中小企業とか商店街の皆さんの声を聞いていただきたい、そのことをお願いして、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、高井崇志さん。

高井委員 岡山から参りました民進党の高井崇志でございます。

 きょうは、この経済産業委員会で質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私も、今、本村委員が質問された川内原発あるいは伊方原発の問題からまず取り上げたいと思います。

 今、九州地方、熊本そして大分を中心に、被災されている皆様は、本当に不安な思いを持ちながら避難生活を送っておられると思いますが、ただでさえ本当に不安な中で、この川内原発のこともやはり大変気になる、心配であろうというふうに思います。

 今、本村委員からの、避難計画、避難経路は大丈夫かという質問に対して、内閣府からお答えがありました。確かに、その避難計画上は、鹿児島県内、一部熊本県にもということでありました。そして、自動車での移動を想定しているということでありますが、ただ、薩摩川内市長は新幹線も使いたいということをはっきりおっしゃっている。あるいは、熊本も、先ほどの説明ですと、水俣市や一部は被災している可能性があるので、鹿児島県から優先したいということだったと思うんです。

 そもそも、この避難計画というのは、鹿児島県を中心とした地震が起きたときにつくっているものであって、やはり今回、先に熊本県があれだけの被災を受けて、そして、さらにその後、鹿児島県を震源とする被災が起こったときにどうなるか、こういった計画というのは私はまだできていないんだろうと思います。

 そういう意味では、我が党からも、安倍総理に対して岡田代表から、本当にその避難計画は大丈夫なのかという要請をさせていただいていますが、私は、やはり新たな避難計画というのを早急に検討してつくって、そして、それに基づいて、川内原発を稼働していることが適当なのかということを考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山本政府参考人 川内地域の避難計画につきましては、先ほども御質問ありましたように、現状では避難計画に大きな支障があるような状況ではないということはお答え申し上げたところでございますが、先生お尋ねのように、鹿児島県で大きな地震があった場合にどうなのかということだと思っております。

 原子力災害におきましては、原子力発電所から三十キロ圏内を避難の対象範囲として設定しているわけでございますが、その避難先は三十キロ圏の外側に設定することを基本にしてございます。

 ですから、これは、仮に鹿児島県で地震があったときにその範囲がどこまで及ぶかということは当然あろうかと思ってございますけれども、まずは避難先を非常に広範囲、広域のところに求めるということで、ある意味では地理的には分散をさせるという形でございます。

 したがって、地震によって、三十キロ圏の外側でございますけれども、全ての避難先が全てだめになるということではなくて、もちろん、地震があれば被災するところは当然ございますので、その中で使えるところ、使えないところをきちっと選定いたしまして対応していくというのが基本的な考え方だと思っております。

 ただ、御指摘のように、複合災害といいましてもいろいろな事態が当然ございますので、想定外のないように、いろいろな事態に対応できるように、避難計画の充実といいますか高度化というものに引き続き取り組んでいくことが必要であろうというふうに考えているところでございます。

高井委員 今答弁いただきましたように、三十キロ圏外に避難をするということですが、その三十キロ圏外がもう既に被災しているというのが今回の地震ですから、つまり、こういうふうに複合的に、広域的に起こったという事態は、私はこれはなかなか想定しづらいというか、そういった避難計画というのはつくり得ないんだと思うんですね。ですから、こういう事態が起こってしまった以上、私は、この避難計画の点においては、川内原発を稼働し続けるということは大変疑問を感じます。

 もう一点疑問を感じる点があります。

 これは三月二十六日の朝日新聞の記事なんですが、今回の震災が起こる前ですね。

 九州電力は、川内原発の重大事故の拠点施設について、免震構造でなく、耐震構造にすると正式発表したということで、免震重要棟を撤回している。それに対して、原子力規制委員会では批判をしているということであります。これについては、なぜ急に計画が変更になったかということで、原子力規制委員会からも、変更の根拠が不明確であり、計画を再検討しなさいということでありまして、この記事によれば、原子力規制委員会は今後、九州電力の申請内容を確認し、審査会合で議論をする考えと。

 まさに結論が出ていないと思うんですね。これは議論している最中じゃないか。それが十分であれば稼働してもいいということになるんでしょうけれども、こういったものがまだ審査中の、議論中の段階で今回のような震災が起きてしまったわけですから、私は、この点からいっても、川内原発の稼働というのはとめるべきじゃないかと考えますが、緊急時対策棟という名前なんですかね、これで十分だと考えているんでしょうか。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員からお話がございましたとおり、ことしの三月に九州電力から、緊急時対策所について変更したい、こういう申請が出ておりまして、これについて現在審査中ということはそのとおりでございます。

 一方で、川内原子力発電所につきましては、一昨年の九月に設置変更許可を行っております。この際には、緊急時対策所について、まずは代替緊急時対策所というものをつくって、これで設置変更許可の基準である新規制基準に適合する、その上で、免震重要棟をその後つくって、そこに緊急時対策所をつくって移しかえる、こういう計画でありました。

 したがいまして、現時点においては、一昨年九月に設置変更許可を行った際に確認したとおり、規制基準には適合しているという状況でございます。先ほど申し上げました代替緊急時対策所も、現在運用に入っております。

 この点につきましては、私どももちゃんと確認をしてございますし、現時点において、この代替緊急時対策所を緊急時対策所として運用しながら運転を継続するということについては、全く問題はないというふうに考えてございます。

高井委員 現時点においてという言葉、前提がありましたとおり、私は、万全な対策というわけではないんだ、現在やむを得ずこの形でいる、暫定的な措置だと思っておりますので、そういう意味でも、これは万全な、十分な対策がとれているとは言いがたいと思います。

 それから、これは西日本新聞の記事、四月十九日の記事なんですが、やはり今回の川内原発の稼働については、さまざま有識者の中でも意見が分かれている。

 特に、大阪府立大の長沢名誉教授のコメントでは、今回、観測値をもとに原発があるような強固な地盤での揺れを試算すると、約五百三十ガルの揺れが地層部で発生していたと。先ほど、六百二十ガルにはるかに及ばない数十ガルだという数字が示されましたけれども、この長沢教授の試算では、強固な地盤であったとしても約五百三十ガル、かなり六百二十に近い数字であるということが言われています。

 それから、明治大学の勝田准教授は、地震や火山など、新しい知見が得られた場合、迅速に規制基準や評価に取り込むことが規制委に求められている、事故を予防する観点から、空振り覚悟で政治が停止する仕組みが必要だということも書かれています。

 先ほど、本村委員が火山の話をしましたけれども、本当に火山は予知不能なものでありまして、これは、過去起きた噴火を想定して、火山灰が十五センチぐらい積もっても大丈夫だというふうにされていると聞いていますが、しかし、火山灰が十五センチ積もったらもうだめだろうと言う有識者もたくさんいます。

 それから、さらに、火砕流が降ってきた、過去にはそういった原発の地域まで火砕流が押し寄せてきた、地層の調査からそういった過去の歴史も明らかになっています。火砕流というのは六百度から七百度のものが飛んでくるということで、建屋、建物も壊れるし、また、人も、とても六百度から七百度が入っているところに入っていけない。だから、ベントとかそういった人間の作業はできないわけです。

 こういったことも想定をすると、私は、今、この川内原発というのは、いろいろな客観的データに基づいても非常に危険があると考えていますけれども、この点はいかがでしょうか。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員が今お示しになりました四月十九日の西日本新聞の記事、これは私どもも拝見しております。いろいろな方々がさまざまな御意見をお持ちだということはわかるんですけれども、この中でおっしゃっていること、見解の詳細についてはちょっと承知していないので、これについての見解は控えさせていただきたいと思いますが、一つだけ申し上げますのは、先ほど委員長も答弁してございましたように、現在発生している地震は、以前から活動性のある断層帯として知られていた布田川断層帯と日奈久断層帯、ここで発生しているものであります。

 一方で、川内原子力発電所については、調査をしておりまして、そういった、以前から活動性のある断層帯は存在しないということを確認してございますので、そこで発生したような大きな地震がすぐ川内原子力発電所の直下で起きるというようなことを想定する必要はないというふうに考えてございます。

 その上で、あえて、存在がわからないような活断層もあるかもしれないということを仮定して地震動評価を行っているというのが、先ほど田中委員長が御答弁していたことでございますが、その結果として六百二十ガルというものが設定されている、こういうことでございます。

 それから、火山についても御質問がございました。

 火山灰については、十五センチ降り積もるということを前提にした形で、それでも原子力発電所の安全に影響がない、要するに、放射性物質が発電所の外に出ていって周辺の方々に御迷惑をおかけするようなことがないような対策を講じる、こういうことを確認しているところでございます。

 火砕流につきましては、以前に川内原子力発電所の近くまで火砕流が到達していた形跡はある、こういうことでございます。これは、今私どもが見ているような規模の火山の噴火ではなくて、九州地方全体が大変な被害を受ける、壊滅的な被害を受けるような、カルデラというものを生じさせるような本当に巨大な噴火でございます。九州地方の鹿児島県の中に姶良カルデラというのがございますけれども、これができたときの話でございまして、そういったカルデラを起こすような火山活動が原子力発電所が運用している期間の間に発生する可能性は十分に低い、このように考えてございます。したがいまして、火砕流が到達することを考える必要はない、こういうことでございます。

高井委員 今、熊本、大分で被災されている方が、十分に低いという説明で安心しますかね。

 現に、過去そういった地震があったわけでありますし、特に火山というのは、本当に予知がしにくい、できない、火山学会がそう言っているわけです。そういう意味では、そもそもこの川内原発の立地にも問題がある、これはずっと火山学会からも言われてきたわけですけれども、まさに今こういう状況にある中でどうなのかということを御質問しているんです。

 もう一つ、伊方原発についても御質問したいと思います。

 これも御承知のとおり、半島の岬の先にあって、五千人規模で大分に海を渡って避難をするという計画であります。大分県で二百七十カ所の避難所を設けて、ただし、一週間たったらまた愛媛に戻るというような想定。大分も、本当に苦肉の策というか、受け入れているわけですが、今度は大分が被災をしているわけでありますので、とても五千人を受け入れる余地はないと私は思いますが、伊方原発でもし不測の事態が起きたときに、避難計画は大丈夫なんでしょうか。

山本政府参考人 伊方地域の避難計画の現状の確認でございますけれども、まず、伊方原発を中心としまして、五市二町が避難の計画の対象になっておるところでございます。

 まず、避難先でございますけれども、これは、愛媛県内を基本として避難先を確保しているところでございますが、これらについては、いずれも地震による影響はないということを現在確認してございます。

 それから、避難手段については、バスや自家用車ということを基本としておりまして、現状、愛媛県内の避難経路については問題がないことは確認してございます。

 それで、今お尋ねのありました佐田岬半島のところでございます。これは発電所の西側の狭隘な地形の地域でございます。この地域におきまして、陸路が使える場合はもちろん陸路による避難をいたしますけれども、地震災害等によりまして陸路が使えないという場合には、海路避難あるいはヘリなどによる空路避難などの組み合わせを行うことにしてございます。

 それで、現時点におきましては、愛媛県と大分県を結ぶフェリーの運航に影響は出ておりませんけれども、ただ、御指摘のように、現在、大分県におきましては被災もされているところでございますので、受け入れが困難な場合には、海路を大分県というわけにはいきませんので、愛媛県内の港の方に向かわせまして、愛媛県内の避難先を確保してそちらに避難をいただく、こういう方針にしているところでございます。

 したがいまして、さまざまな状況がございますので、そういう手段を多様化し、避難先も多様化いたしまして、その状況に応じて適切な判断をしていくということで対応していきたいというふうに考えているところでございます。

高井委員 やはり、本来想定していた避難計画とはまた別なものをいろいろと考え、それはもちろん臨機応変に考えていくことが必要なわけですが、しかし、いずれの策も、これだけ広域的に地震が中央構造線沿いで起こる、そしてまた、中央構造線でこういった事態が起こることは南海トラフの予兆であると言う専門家の方もいるわけですね。こういったことが起こって、かつ、今これだけの方が避難生活を送っていて不安な思いをされているということを考えたら、先ほどの西日本新聞の記事にも、政治的判断で一時とめたらどうかという指摘があるわけです。

 確かに、規制庁の立場ではそれはできない。けれども、やはり大臣の立場で、被災地の皆さんの気持ちも考え、あるいは避難計画のいろいろな点も考えて、大臣としてそういった判断を下すという余地はないですか。

林国務大臣 原子力規制委員会は、川内原発も含めて、個々のサイトごとに、最新の科学的知見に基づきまして、基準地震動や津波想定を定め、その上で、これに見合う十分な安全対策と、事故が生じた場合の対策を原子力事業者に求めているわけでございます。

 また、実際に地震が生じた場合に備え、基準地震動よりも余裕を持った自動停止の仕組みを設けることも求めております。

 さらに、災害発生の急迫した危険がある場合においては、原子力規制委員会が、災害を防止するために緊急停止を求める権限も有しております。

 その上で、今回の地震の場合、規制委員会は、川内原発において設定した基準と実際の地震の強度を比較した上で、十分安全が保てると判断し、緊急停止を求める必要はないとしたところでありまして、政府としても、この規制委員会の判断は妥当であり、行政として稼働停止を求める必要はないというふうに考えております。

 なお、原発の安全性については、独立性の高い原子力規制委員会が専門的な見地から下した判断を尊重することを基本としておりますが、この点は、原子炉規制法改正や規制委員会を発足させるための国会審議の過程で、福島事故の検証と反省を踏まえた上での、与野党を問わず一致した考えだというふうに認識しております。

高井委員 今、役所の皆さんが書いた答弁を読まれたと思うんですが、これは改めて、大臣、被災されている、今、避難所、あるいは避難所にも入れずに車の中で生活をされている、本当に不安な思いを持っているその皆さんの前で同じことが言えますか。

 もう一度、その方々の顔を思い浮かべて御答弁ください。

林国務大臣 そういった署名が提出されたということは承知しておりまして、こうした国民の不安の声に応えるためにも、原発の状況に関する的確な情報発信が重要だろうというふうに考えます。

 原子力規制委員会は、現状において、川内原発の安全性は十分保てるというふうに判断しておりますし、緊急停止を求める必要はないとしておりますから、その判断を尊重すべきだというふうに考えております。

 九州電力には、正確な情報を迅速にわかりやすく発信するよう指導しておりますし、規制委員会も情報発信を強化していると承知しております。政府全体で的確な情報提供に努めてまいりたいと思います。

高井委員 原発の話なので、大臣、もう一問聞きたいんですけれども、今、経済産業省は、二〇三〇年の原発の比率を二〇から二二%にするという目標、計画でありますよね。

 しかし、今の新規制基準の四十年廃炉というのを当てはめたら、これは一三%にしかならない。大間と島根三号機を入れても一五%です。これは、二〇から二二を達成しようと思ったら、リプレースするか四十年を超えて稼働するしかないと思いますけれども、大臣、どうやってこの目標を達成するお考えなんですか。

林国務大臣 原子炉等規制法においては、原発を運転できる期間を四十年と定めておりまして、一回に限り二十年を上限に延長を認めているというふうになっております。この運転延長に当たっては、通常の再稼働に求められる審査に加えて、経年劣化の状況の確認など、原子力規制委員会による追加的な審査、運転延長認可を必要とするわけであります。したがって、通常の再稼働よりも高いハードルが課せられております。

 昨年策定した長期エネルギー需給見通しにおいては、これを踏まえて、二〇三〇年度時点での原発比率を二〇から二二%としておるわけであります。この数字を達成するために、現段階において、新増設、リプレースは想定しておりません。

 規制委員会の審査を経て既存の原発を再稼働して、一部の炉については今言った法令で定められた四十年を超える運転期間延長を行い、震災前の平均七割のところを例えば八割程度まで稼働率を向上させることによってエネルギーミックスの原発比率は達成可能であるというふうに考えております。

高井委員 我々民進党は、二〇三〇年代原発稼働ゼロに向けてあらゆる政策を投入する、この目標を掲げております。そして、その達成のためにはやはり再生可能エネルギーを今三〇%以上、私は実は旧維新の党の出身ですが、維新の党時代には四〇%という目標を掲げております、二〇三〇年時点で。

 今、政府の目標は、私はまだまだ足りないと。ある意味、原発を推進していくがために、この再エネの目標もそもそも目標値も小さいし、そしてまた、今回FIT法の改正がありますけれども、これも再エネに抑制的に働く。

 本当に、再エネ、再生可能エネルギーを本気で進める気があるのかということを私は大変疑問に思うわけでありますけれども、大臣、いかがですか。

林国務大臣 再エネについてはしっかりと進めていきたいと思っておりまして、導入比率については、風況などの自然条件あるいは送配電ネットワークの状況など、我が国の実情を踏まえることが重要でございます。

 エネルギーミックスで示しました二二から二四%という再エネの水準は、導入拡大の余地が大きくない水力の八%を除けば、足元の四%から四倍も導入拡大をするという極めて野心的なものでありまして、決して低い水準ではないというふうに認識しております。

 今後とも、この水準の実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

高井委員 今の日本の現状から四倍は意欲的、野心的という説明ですが、やはり世界の潮流からすれば、私は明らかにおくれていると思います。

 それから、再エネとあわせて、やはり省エネが非常に大事で、私もずっと、これまでITを専門にしていることから、スマートコミュニティー、スマートグリッドというものに注目をして、経済産業省も四百億近いお金をかけて、四つの地域で実証事業をずっと行ってきた。

 ところが、最近の、今年度あるいは昨年度ぐらいの予算から、このスマートコミュニティーとかスマートグリッドという言葉は消えてしまっています。言葉は使わないけれども中身は継続しているんだ、そういう説明を事務方から受けているんですけれども、この経済産業省という組織の中で、一方で原子力を推進していく部隊がある、一方で省エネと再エネをやっていく部隊がある。何か、よく言うんですけれども、アクセルとブレーキを両方踏んでいるような感じがしてなりません。

 本気で、省エネそして新エネ、再エネ、こういったものに取り組むお気持ちがあるのか。私は、原発を優先して、こっちは少し手を抜いているんじゃないかというふうに感じるんですけれども、大臣、いかがですか。

林国務大臣 スマートグリッドやスマートコミュニティー、この技術は、再エネあるいは省エネの実現に向けて、鍵となる技術だと思っております。

 経産省では、これまで、北九州など国内四地域において、スマートグリッドやスマートコミュニティー関連技術の実証を行うなど、取り組みを進めてきたところでございます。

 こうした成果をさらに発展させて、例えば、地域におけるエネルギーの利用、電力取引などにおいて、実際に導入を図ってまいりたいというふうに考えています。

 こうした観点から、スマートコミュニティーの技術を活用して、地域のエネルギーを地域で賢く消費する、地産地消型のエネルギーシステムの構築を支援しております。現在までに、全国約二十カ所でシステム構築が完了しているわけでございます。

 また、蓄電池などをまとめて制御して、実際に需給バランスの調整に活用する取り組みも進めております。

 今後も、こうした取り組みを一層加速化して、スマートグリッドやスマートコミュニティーの技術の活用を進めてまいりたいというふうに考えています。

高井委員 もう時間が来たようですので終わりますが、FIT法の改正案も間もなく審議になると思いますので、きょうはそのことも聞きたかったんですが、また機会を改めたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

高木委員長 次に、真島省三さん。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 熊本、大分両県を中心に九州地方を襲った地震災害は、依然、強い余震や誘発された地震が続き、被災者の皆さんは不安や疲れが累積しております。

 私も、地元の比例ブロックでもありますので、十五、十六の両日、益城町と熊本市に入り、あしたとあさっても、熊本、大分に入ることにしております。

 これから九州は、晴れれば大変蒸し暑い、そして雨が降れば土石流などによる二次災害というのが心配をされます。まず、何よりも、残された行方不明者の捜索と救出に全力を挙げるとともに、被災者の実態を踏まえた救援の体制を強め、助かった命が避難生活で損なわれることが決してないように、政府としても全力を集中していただきたいと思っております。

 経産省は、先ほども紹介がありましたが、総合中小企業対策本部を設置し、現地にも入って、被災中小企業、小規模事業者のお話も聞いて、直接状況を把握して、対応策を政府一丸となって進めるという体制をとっているとお聞きしました。

 昨日、私、質問通告をした後に、被災地の中小企業の方から、壊れて使えない機械のリース代が口座から引き続き引き落とされている、何とか支払い猶予ができないものだろうかという相談を受けました。

 経産省に直ちに聞きましたけれども、二〇一〇年に金融円滑化法とあわせてリース事業協会宛てに発出したリース代支払い猶予通知は一四年度末で終了した、震災ということで、実態をつかんだ上で、それに応じた対応はしていきたいというふうにお答えがありました。

 しかし、大臣、こういう震災のときというのは、実態をつかんだらどんどん手を打っていく、その政治決断のスピードが大事だと思うんですね。リース代の支払い以外にも、融資の返済期限、建設業や労災保険の手続など、期限を守りたくても守れないんだという相談がたくさん寄せられております。

 通告はしておりませんけれども、これは緊急の対応が必要ですので、ちょっと大臣にお聞きしたいんです。

 被災中小企業、小規模事業者の皆さんが倒産や廃業に追い込まれることがないように、また、なりわいの再建の道を閉ざされることがないように、融資の返済猶予などは対応するわけですから、このリース代の支払い猶予という問題も、一昨年までやっていたわけですから、こういうふうなことを、経産省として打つべき手を速やかに打つ、そういう対応をしっかりやっていただきたいと思うんですけれども、大臣の決意をお聞かせください。

高木委員長 まず、リース代について、豊永中小企業庁長官。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 リース代につきましては、実は、東日本大震災のときにも、別途の対策がとられたこともございます。今御指摘のございましたのは円滑化法対応でございますので、今回そのまま適用ができるかどうか、議論の必要があろうかと思っております。

 一方で、政府のかかわる、いろいろな期限のあるものについては猶予を設けておりますし、金融庁からは、金融関係についても猶予を出してございますので、幅広い観点から実態を把握して、関係者とも相談したいと考えてございます。

真島委員 大臣も同じお答えだと思いますので。

 そういう制度を準備しているということで、今、中小企業向けの支援策ガイドブックというのを出されているわけですね。その表には、「政府では、被災された中小企業者の皆さまが事業の復旧、再開に向けて、立ち上げる際のお力になれるよう、最大限努力してまいります。」という政府の決意が書かれておりまして、相談窓口や、すぐに役立つ支援制度などを大変わかりやすく紹介されていると思います。

 今いろいろ準備しているとおっしゃったんですが、その情報が個々の被災中小企業、小規模事業者の皆さんに届かないと意味がないわけで、ぜひ、こうした事業者の皆さんの実情を、一人一人の実情はさまざまですから、それを把握して、直ちに一人一人に応じた必要な対応をしていくというのが今大事になっております。

 私は提案したいんですけれども、このガイドブックをぜひ増刷していただいて、地元にいろいろな商工団体があります、あるいは業種団体もあります、全てのそういう団体の力もおかりして、一人一人の被災中小企業、小規模事業者にこれをお届けしながら、声をかけて、そして、その中で実情をつかんでいただいて、それをまた政府にお寄せいただく、こういう取り組みが必要なんだと思いますけれども、いかがでしょうか、大臣。

林国務大臣 真島委員御指摘のとおり、被災中小企業の方々に対して、必要な情報を的確に、かつまた迅速にお届けして、できるだけ早く再建に取り組んでいただくことが重要でございます。このため、経産省では、早速、今般の地震で被災した地域の中小企業、小規模事業者が利用可能な支援策をまとめたガイドブックを現地にてお配りしているところでございます。

 このガイドブックでは、他省庁の施策も載せまして、冊子の配布だけでなく、中小企業支援サイトのミラサポにも掲載するなど、できるだけ多くの中小企業に速やかに情報をお届けできるよう工夫をしているところでございます。御指摘いただいたとおり、今後も、ガイドブックを増刷して、被災地域に幅広く配布してまいりたいと思います。

 中小企業への被害の現状に関しましては、熊本県の公的金融機関や中小企業団体等に設置しました特別相談窓口を通じて情報を収集しているところでございます。加えて、現在、熊本の災害対策本部に中小企業庁次長を常駐させまして、現地の中小企業団体などと連携しながら、中小企業のニーズの把握と必要な情報提供を行っているところでございます。

 既に、特別な貸し付け、保証の実施などの初動措置は行ってきたところでございます。今後は、収集した情報をもとに、私が本部長を務める総合中小企業対策本部において、関係省庁や地元自治体とも連携しながら、速やかに、被災された中小企業への支援策を講じてまいりたいと考えます。

真島委員 ぜひ、あらゆる手だてを尽くしていただきたいと思います。

 これも同僚議員の皆様からも再三出ておりましたが、九州というのは、自動車、電機などの大手製造会社の現地工場が被災しておりまして、操業停止が相次ぎ、そして、全国のサプライチェーン全体に影響が及んでおります。

 四月十五日、経産省から日本自動車工業会を通じて、自動車の各メーカーに対して、操業停止や震災の影響に伴って下請企業等に一方的に負担を押しつけることがないようにということで、東日本大震災の際に公正取引委員会が出しましたQアンドA、これを周知徹底して注意喚起をしていただくように要請をされております。

 これを拝見しましたが、内容は非常に大事なもので、ただ、現状、重層下請構造があるもとで、メーカーさんに渡しただけでこれが果たして全体に徹底するんだろうかというふうにちょっと私は心配しております。

 ぜひ、下請中小企業の皆さんにもこのQアンドAをお渡しいただいて、下請の皆さん自身が、公取のQアンドAではこう書いていますよ、交渉の際にそういう話ができるし、あるいは、これに照らして、不当なことを押しつけられた場合、経産省、行政に訴えられるという状態にしていくことが大事だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 御指摘のQアンドAについても、当然、下請企業にも御活用いただけるものということで進めています。

 既に、四月十五日には、経産省の主な所管団体約三百七十団体を通じて周知したところでございます。周知の対象には、下請中小企業を中心とする団体も含まれております。

 また、四月十八日には、下請中小企業からの相談にきめ細かく応じるために、全国四十八カ所の下請かけこみ寺に特別相談窓口を設置いたしました。QアンドAの内容についても相談員に周知しているところでございます。

 さらに二十一日には、資金繰りの相談時にも御活用いただけるよう、日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫、信用保証協会などにも周知を行ったところでございます。

 今回の地震に伴う操業停止などによって下請企業が一方的に不利益をこうむることがないよう、周知と相談対応をしっかりと行ってまいりたいと思います。

真島委員 次に、私は、こういうときだからこそ、この間、政府も挙げて進めておられる下請等中小企業の取引条件の改善の取り組み、これをぜひ実効あるものにしていくことが被災した皆さんにも御支援になるというふうに思いますので、その問題についてお聞きしていきたいと思います。

 中小企業庁は、中小企業、小規模事業者の取引条件の改善の状況や課題について具体的に把握しようということで、三月に、大企業向けの書面調査、中小企業向けのウエブ調査を行った。特に、今回初めて、取引上立場の弱いおそれがある中小企業、小規模事業者、いわゆる三次、四次下請等の事業者にヒアリング調査というのをされています。

 中小企業庁の幹部の皆さんを先頭にこのヒアリングを行われたというふうに聞いたんですけれども、長官は、その御報告をお聞きになってどういう感想をお持ちでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 下請等取引条件でございますけれども、毎年、二十万件に及ぶ書面審査、また一千件の立入調査などを行ってきております。

 しかし、下請事業者の中には、取引への影響を心配しまして、必ずしも、不当な状況にあっても、それを申し出ることは難しいといった事案があったのではないかと推察いたします。

 こうした中で、今回は、秘密保持を前提に、約二百社でございますけれども、職員を直接中小企業の方々に派遣しまして、聞き取りをしました。これまで行ってきた書面審査や申告を補う効果があったと承知してございます。

 中身については委員御承知のとおりだと思いますけれども、私といたしましては、その具体的な声を伺いまして、中小企業が厳しい取引条件に直面している実態を改めて認識いたしました。

真島委員 配付資料一をごらんいただきたいんですけれども、これは、自動車産業の下請企業のヒアリングの結果とウエブ調査の結果をまとめたものですね。ウエブ調査の方は自由記述欄の内容をまとめてあります。

 これを見ますと、今長官もおっしゃったように、非常にはっきりしている、書面調査では把握できない取引の実態がヒアリングでたくさん出されているなというふうに思います。

 私もそういうヒアリング調査が大事じゃないかということは昨年からずっと言ってきたわけですが、その際には、中小企業庁の皆さんは、下請事業者からの自発的な情報提供が期待しにくいという実態を考えたら書面調査の方がいいんだというふうに去年までおっしゃっていたんですね。それがやはり踏み込まれて、政府の方から下請企業に出向いて、膝を突き合わせてお話をして、そうしてこそ、末端の皆さん、下請の皆さんの実態、本音が出てくるんだということが非常にはっきりしたと思うんですね。

 そういう点で、九十二社ですからね、今後、もっともっとその対象を広げて、継続的に実態をつかんでいっていただきたいというふうに思っております。

 これは九十二件のヒアリングの結果なので、非常に氷山の一角だと思うんですが、一つ一つの訴えの背後に、自動車産業の重層下請の末端にあるたくさんの中小企業者の皆さんの実態が示されていると思うんです。

 これを見ますと、一律何%、総額幾らとかいう合理的説明のない原価低減要請、あるいは、人件費・労務費、電気料金、原材料価格などの高騰分を転嫁できない、量産品、量産時と同じ価格で製作をさせる、円高時にそれを理由にコスト削減を要求されたが円安になったのに還元がない、短納期発注にもかかわらず残業代などコスト増を無視した価格決定となっていると。

 私もこの間いろいろな質問の場でトヨタ自動車などの下請の取引実態をお示ししてきましたけれども、本当にそのままの実態がここに出てきております。

 ほかにも、型の保管や廃棄に関し委託事業者が費用を負担しない、指し値発注や一方的な単価の切り下げ、割引困難な手形交付、監査による型などの開示強要による技術・ノウハウの流出懸念、いろいろ書いてありますけれども、本当に、見たら、明らかに独占禁止法違反の優越的地位の濫用とか、あるいは下請二法違反のものがあると思うんですね。

 聞いたからには正さなきゃいけないと思うんですが、どうされるんですか。

林国務大臣 今回のヒアリング調査は、取引条件の実態あるいは課題をよりきめ細かく把握するために行ったわけでございます。日ごろ、親事業者からの不公正な取引に直面しても、取引を停止される心配から言い出すことができない下請事業者も多いわけでございます。こうした実態に配慮しまして、今回は、直ちに立入検査のきっかけとはせず、また必要であれば親事業者の名称や具体的取引を伏せていただくということを前提に、調査に御協力いただいたものでございます。

 一方で、下請代金法の執行に当たっては、先ほど長官が説明したように、年間二十万件以上の書面調査によって法令違反の疑いのある具体的な情報を収集し、年間約一千件の立入調査、改善指導を行っているところでございます。

 今回のヒアリング調査も含め、下請事業者が立入検査を希望する場合には、下請事業者の立場を守りながら、事実関係の調査を行った上で厳正に対処してまいります。

真島委員 秘密保持を理由にやったのでこれで直接動けないということでしたが、要は、こういう実態を把握してどう動くかというのが今は問われていると思うんですね。

 昨年の十一月に林大臣は、経団連との懇談会の席で、政労使合意を踏まえて、取引先企業に対して仕入れ価格の上昇等を踏まえた価格転嫁の配慮にしっかり取り組んでいただきたいというふうに要請をされています。

 ところが、中小企業庁の大企業向けの調査を見ますと、そもそも政労使合意を知らないという企業が六割もあります。取引実態の把握は自社のみあるいは一次取引先のみというのを合わせますと八割で、四次取引先以降まで把握しているという大企業は一・三%しかないんですね。経団連とかメーカーにお願いしているだけでは改善は進まないということがはっきりしていると思うんですね。

 ですから、こういう調査結果全体を踏まえて、今後、どう実効あるものに取引条件を改善していく取り組みを進められるのか、ぜひお聞かせください。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の大規模なアンケート調査、また下請中小企業に対する聞き取り調査によりまして、依然として不適正な取引慣行が存在するということがわかりました。

 こうした実態を踏まえまして、今後は次のように進めたいと思っております。

 まず、大企業向けでございますけれども、自動車関連産業、建設業に対しまして、調達方針や取引適正化について個別に聴取いたします。その上で、政労使合意の趣旨を踏まえた対応を促していきたいと考えてございます。

 次に、中小企業の方々についてでありますけれども、価格交渉ノウハウを中小企業の方々に身につけていただく、そういうお手伝いをしたいと思いますし、あわせて、下請中小企業の方々の多角化、また、新商品、新サービスの開発を支援してまいりたいと考えております。

 また、両者の間の理解の促進という観点からは、今後、取引上のわかりやすい事例集をつくりまして、下請ガイドラインの周知とともに、いい方向で両者の協議が進むような環境づくりに資してまいりたいと考えてございます。

真島委員 今言われたのは、今までやってきたことをさらにやるということだと思うんですが、政労使合意に基づく取り組みの第一に政府が挙げられているのが、下請ガイドラインの普及啓発という問題なんです。

 これは業種別につくられているんですけれども、自動車産業適正取引ガイドラインというのは、〇七年の策定以来、四回改定が行われています。その普及啓発によって、そういう不適正な実態をなくす、取引条件を改善するとおっしゃっているんですが、では、このガイドラインの普及啓発によってどのような実効ある成果があったのか、そのフォローアップはされているんでしょうか。

糟谷政府参考人 自動車産業適正取引ガイドラインにつきましては、発注側、受注側それぞれに対してヒアリングまたはアンケートを実施することによって、フォローアップを行ってきております。その中で、問題視されやすい行為の類型ごとに、現状や課題、具体的な改善事例等を把握した上で、ガイドラインを充実させてきております。

 先ほど御指摘がありましたように、補給品の価格の決め方とか、型保管の費用の負担とか、原価の低減要請などについて、問題のある取引が依然として存在しているという声も報告されております。こうした点については、素形材メーカーや部品メーカーの意見という形でガイドラインに反映し、これに応じて、望ましい取引慣行の記載を随時改定してきておるところでございます。

 加えまして、去年のアンケートから、アンケート結果を発注側と受注側とに分けて集計いたしまして、それぞれの認識のギャップを定量化して把握できるようにいたしました。

 今後もこれを続けることで、実態の改善が進んでいるかどうか、より正確にフォローアップができるようになろうというふうに考えておりまして、引き続きフォローアップを続けてまいります。

真島委員 今おっしゃった去年のフォローアップ調査結果というのは、発注側、受注側というのを比較できるようになっておりまして、ちょっとその中から抜粋したものを資料二でお配りさせていただいておりますが、これは非常にギャップが大きいんですね、発注側と受注側で。

 例えば、納得した価格で取引できているが、発注側は五一%、受注側は二一%。納得できる価格決めはできていないが、発注側は五%、受注側は三二%。何と、交渉さえ行っていないという、もうこれは下請振興基準に反すると思うんですが、発注側が四%、受注側が一四%、あるというふうに答えているんですね。

 発注側、受注側ともに七割が原価低減の要請があると答えておりますが、その内容は、ほぼ寄与度に応じて配分しているというのが、発注側は九三%、受注側は五八%。寄与度に応じて配分されていないというのが、発注側は六%、受注側が三八%ということです。

 原材料、エネルギーコストの転嫁についても、ほぼ転嫁したというのは、発注側は六九%で、受注側は三三%。ほぼと八割程度を合わせても、発注側は七八%、受注側は四九%です。

 また、発注側の九五%が合理的な理由の説明を行いましたと言っているんですが、受注側は、説明があったというのが三九%で、合理的でない理由の説明があったというのが三二%。何と、理由の説明がなかったという方も一七%いらっしゃるんですね。

 このギャップというのは非常に問題だというふうに思います。

 もう時間がないので、そのことについては聞きませんが、こういう重層下請構造のもとで、多くの下請事業者の皆さんが非常に不当な単価の引き下げの押しつけに泣き寝入りをさせられているという実態にあると思います。

 そういう中で、このガイドラインというのを繰り返し改定して普及啓発するんだとおっしゃっているんですが、これは、そういう美しい取引事例はこうですよということを繰り返し示すだけでは改善できないということがこのフォローアップ調査でもうはっきりしてきていると思うんですね。

 公取が一四年度に親事業者、下請事業者合わせて約二十五万余の書面調査を行って、下請法に基づく指導が五千四百六十一件で、勧告が七件、独禁法の優越的地位の濫用に対する注意が四十九件で、法的措置は一件にとどまっております。

 こういう、従来の申告待ち、書面調査頼みというやり方を転換して、抜き打ち調査をやる、あるいは主導的に検査に入っていく、そういうことをやらないといけないと思うんですが、専任の検査官は、公取、中企庁を合わせて全国でたったの百五十八人しかいないんです。

 最後に、ちょっと二つ提案をし、大臣の見解を聞きたいと思います。

 こういう違法な、下請いじめと言ってもいいような状態をなくすためには、公取や中企庁の下請検査官を抜本的に増員して、訴えがあるないにかかわらず、系統的に下請企業や親企業の取引に関する実態調査をしていく、監視と指導を強めるということがまず必要だと思います。

 もう一つは、独禁法の厳格な運用や課徴金の引き上げなど、改正、強化も検討して、中小企業に係る全ての取引について、大企業による優越的地位の濫用をなくすということにやはり踏み込んでいく必要があると思うんですけれども、大臣の御見解はどうでしょうか。

林国務大臣 真島委員御指摘のとおり、下請取引の適正化は重要な課題だろうというふうに考えています。

 経産省では、従来から対策の充実を進めているところでございまして、まずは検査官の人数については、国家公務員全体の人数が減少する中で、経産省で下請代金検査に専任する検査官の人数を、平成十八年度の四十六名から平成二十七年度の五十七名に増員してきているところでございます。

 実態の調査については、従来からの下請代金法に基づく二十万件以上の書面調査に加えて、近年では、原材料、エネルギーコストなどの価格転嫁の状況等について調査を行っております。これらの結果については、公表しているところでございます。

 大企業による優越的地位の濫用をなくしていくことについては、経産省として、下請代金法に基づき、年間約一千件の立入調査や指導を行うなど、厳正に対処してきているところでございます。

 引き続き、対策の充実に努め、下請取引の適正化に万全を期してまいります。

真島委員 時間が来ましたから終わりますけれども、中企庁の調査でも、下請中小企業の七二%が、単価が上がったら従業員の給料を上げると答えているんですね。だから、本当にこれに応える、政府を挙げた実効ある取り組みを、経済の好循環を取り戻すためにもぜひ強く求めまして、私の質問を終わります。(発言する者あり)

高木委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高木委員長 それでは、速記を再開してください。

 次に、木下智彦さん。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 本日もお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょう一般質疑ということで用意していた質問はあるんですけれども、冒頭に、これは通告になかった話なんですけれども、一昨日に明るみになりました三菱自動車の燃費のデータ操作等々の話で、きのう大臣は会見をされていたので、その話を少しお聞かせいただきたいんです。

 会見の中では、まだ事実の調査が完全にされていないという中だったので、遺憾に思われるということと、あとは厳正に対処、対応していくというふうな感じのお話をされていたと思うんですけれども、一日たちまして、何かわかったこと、それから厳正に対応というところで、政府、経産省として、どういった感じの対応、対処というのがあるのかといったところを、今の範囲で結構ですので、お話しいただければと思います。

林国務大臣 今回の三菱自動車の不正行為については、まことに遺憾に思います。

 既に事務方を通じて、三菱自動車に対しまして二点指示をいたしました。

 一点は、ユーザーや取引先、販売店などへの対応に万全を期すこと、もう一点は、対応状況に加えまして、詳細な事実関係、原因について速やかに報告すること、これを指示したところであります。

 また、不正の対象車の生産、販売が停止になることに伴い、取引先や販売店への影響の把握を直ちに開始するよう事務方に指示をしたところでございます。

木下委員 突然のお話でもちゃんと対応していただきまして、ありがとうございます。

 ちょっとあれなんですけれども、三菱自動車さんというと、私は前の仕事で海外に相当いましたので、三菱という名前はトヨタさんと並んで日本の車の代名詞、そういうふうに言われるような会社です。そういったところで、こういう話があったときには明確な対応を望んでおりますので、国としても、そういったことをぜひ進めていっていただきたいなと思います。

 ちょっとついででお話しさせていただきますと、三菱自動車さんは以前にもそういういろいろなお話があって、会社が相当大変な状態になった中、立て直しをされ、今回、相川社長、技術屋の生え抜きの方が社長になられて、非常に思い切った戦略を立てられて、車の車種なんかも相当絞られて、今までの三菱の看板から変えていこうというふうにされていたやさきにこういうお話があったので、私としても、全く関係はないですけれども、非常に残念だなと思っております。

 そのときに思い起こすのは、実は、私も前にサラリーマン時代が二十年近くあったんですけれども、その会社が、私が在職中に不正行為を何度か連発いたしまして、一度会社が相当大変なことになりました。

 その際に、十年ほど前なんですけれども、皆さん御存じかもしれませんが、鈴木宗男先生の北方四島に関する自家発電設備の入札疑惑であったり、それから、東京都を中心としたDPF、ディーゼルエンジンの排気ガス規制に対応する装置のデータ読みかえというふうな話があって、そういった不正があった企業に勤めておりました、名前は三井物産というところなんですけれども。

 そのときに、会社は相当騒然として、その中で、当時の社長は槍田さんとおっしゃる方なんですけれども、とにかく会社を立て直していこうと。その中で、会社の中で、私の手元にあるんですけれども、寺島実郎さんが編さんの責任者になられまして、「三井物産のこころ」という本を出した。

 何が書いてあるかというと、今から百四十年ぐらい前の、三井物産がつくられたときの益田孝さんのお言葉であったり、その他歴代の社長のいろいろな思いが詰まっている。その中で、どういう思いで会社を起こし、そして、どういう思いで仕事をしていくかということが相当書いてある。

 これを全社員に配って、読みまして、しかも管理職になるときの研修などでも、こういった話をもとに相当ディスカッションをする。よい仕事とは何かということをしっかりとたたき込んで会社を再生してきているという状態にあって、それを見ていて、三菱自動車さんも一回こういうことがあって、また二回目、今度立て直すのは相当大変だと思います。

 その中で、政府として、やはり見守っていくこと、指導していくことはたくさんあるんだ、当然罰するところもなきゃいけないとは思うんですけれども、そういったところも含めて、御指導を大臣としてもしっかりとやっていっていただきたいなと思います。

 大分長い時間お話をさせていただきましたが、では、本題の方に入らせていただきます。

 これもそういった話の一連で、シャープの買収のお話を少し取り上げさせていただきたいんです。

 今回のシャープ買収、台湾の企業の鴻海のことについて、大臣もいろいろと御発言されております。記者会見なんかでもいろいろお話をされているんですけれども、去る二月二十六日の会見で、記者が、大臣もかねてから日本の液晶には競争力があると認識を示されてきましたが、その競争力を維持するために企業や政府はどう取り組むべきか、こういう聞き方をしているんですね。

 でも、これは大臣に対して言うわけじゃないんですけれども、記者さんももう少し考えた方がいいんじゃないかなと思うんです。なぜかというと、大臣が言われたという言い方をされていますけれども、日本の液晶の競争力が今あるのかというと、実質、私はもうないと思っているんですね。本当にあるのは何かというと、あるのは、技術的な競争力をもう一度発揮できる時期が来るかもしれない可能性があるだけだ、私はそういうふうに認識しているんです。なのに、定例の会見だと思うんですけれども、大臣に対して記者がこういうふうな話をするというのが、私はもう信じられないんですね。

 そこで、大臣にちょっとその辺の御認識を、この液晶事業をどういうふうに思われているのかということをおさらいとしてお話しいただければと思います。

林国務大臣 液晶事業というよりも、このたびの鴻海、シャープの問題で申し上げれば、各社の経営については、やはりグローバルな事業環境の変化などを踏まえて、各社がみずからの責任で判断していくものではないかというふうに考えています。

 鴻海提案の受け入れについても、シャープもさまざまな観点から検討した上、みずから判断したものというふうに思っています。

 一方で、我が国経済全体の活性化の観点からは、企業が事業の選択と集中、事業の連携、再編、研究開発などへの前向きな投資に果敢に取り組むことが重要だろうというふうに思います。

 経産省としては、競争力強化法の枠組みなどを通じて企業の積極的な投資を後押しすると同時に、革新的技術開発への重点的支援、国際的な事業環境整備など、これらに取り組んでいくという考えでございます。

木下委員 ありがとうございます、次の質問の部分もちょっとかぶってお話をいただいたと思うんですけれども。

 というのは、まず最初に、液晶部門というのは、どんどん開発が進んでいって、コアの技術があって、規模の経済がだんだん成り立つようになってきて、投資がやはり大きな問題になる。日本は、そこのところでタイミングをずらしてしまったために相当難しいことになったというところなんです。

 そこに関連して、今ちょっと御答弁いただいたところも関連するんですけれども、去る、これも二月二十五日の昼の会見というふうに書いてありますけれども、記者がいろいろ言っているんですね。その中で、大臣が、経産省としては、産業革新機構、ジャパンディスプレイという会社をやられている、そこのバックボーンになるところですね、産業革新機構の提案の方がいいと思っていたというふうな発言をされた、ただ、それが外国企業の対日投資を促す政府の推進策に逆行するのではないかというふうに海外メディアを中心にして批判されているんだというふうにありました。

 私は、これをそのまま端的に大臣に聞く気はないんです。ただ、記者が、ここに日本の国益という言葉を使って、再度大臣に聞かれているんですね。私はここがちょっとポイントだと思っていまして、日本の国益、これは実際何なんだろうと思うんです。

 というのは、先ほど大臣の御答弁の中にも少し散りばめられていたし、私がなぜこの三菱自動車の話、それから三井物産の話を出したかというと、今の、現代の一般企業の企業理念の中に国益という考え方があるのかどうか、ここが一つ大きな問題だと思うんです。

 あと、外資に買収されるようなことが本当に国益に害することなのか、これは当然どうなのかというふうな話、それから企業判断が自社の国籍を重視したり、それとか、政府の考える国益重視の理念に合致していたら別ですけれども、経済的に考えたときに、域外から国内に投資されることが新たな経済的な好影響を生み出す場合だってあり得るし、ここはすごく難しい判断をしなければいけないというふうに考えたときに、今日本に国籍を有する一般企業が国益ということを実際どれぐらい考えているかということ。

 それからもう一つ、国として、政府として、そういった期待をどこまで一般企業にしているのか。ここを大臣はどう思われているかという御見解をいただきたいんです。

 というのは、今の三菱自動車の件に関しても、やはり世界に冠たる日本の技術として、三菱という名前は相当誇らしいものだったと思うんですね。そういったときに、政府がどこまで何をしていくのかというところは相当これから難しい問題だと思いますので、その辺を少しお話しいただけますか。

林国務大臣 まず、御指摘の発言についてですけれども、産業革新機構の提案について、我が国のオープンイノベーションを推進する観点から評価できるとの趣旨で申し上げたものでございます。シャープにとって、鴻海の提案と比較して、産業革新機構の提案がすぐれているというような趣旨で申し上げたものではございません。

 産業革新機構の提案については、液晶という事業に着目しまして、再編等を通じた我が国でのオープンイノベーションの促進を目的として行われたものでございまして、シャープという企業を救済する目的で行ったものではございません。

 我が国経済の活性化という観点からは、やはり資金の出し手が外資かどうかということじゃなくて、我が国において、最先端の研究開発が行われて、それをベースに新たなイノベーションが生まれることが大事であり、重要だろうというふうに考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 最後の言葉が、もう本当に端的にそれをあらわしている私の質問のお答えだったと思うんですね。

 やはり、どうしても今の日本の中で、国籍であるとか日本の企業だから云々というところ、非常に、何か凝り固まったというふうに言うとまた語弊を生むのかもしれませんけれども、そういう考え方を持ってしまう人たちが多いんだと思うんです。これは国会議員の中にもたくさんいるんだと思っているんですね。

 そうじゃないんだ。いろいろ複合的な要素はあるけれども、実際に我が国に利益を本当に生み出すものは何なのかということを、大臣がしっかりと明確にいつもお話をいただくことが意識を変えていくことにつながるんだと思っていますので、今後もそういうスタンスでお願いしたいなというふうに思っております。

 最後に、もう一つお話をさせていただきたいんですけれども、今までのお話とは全然別ですけれども、今回文化庁が京都の方に移るというふうな話が出ておりますけれども、同じように、特許庁それから中小企業庁の移転という話が、ひところずっとお話がありました。私の選出の大阪の方からも、大阪府として中小企業庁の移転について常々御要望させていただいていたというふうに皆さん御認識はあるかと思うんです。

 そういった中で、大臣、これも記者会見等々でお話しされているんですけれども、特許庁については独立行政法人の工業所有権情報・研修館、それから中小企業庁に関しては近畿経済産業局のワンストップサービスの充実、推進といった形で、中身は充実させるというふうに言われている。それはわかるんです。ただ、なぜ本体を移転しないか。その理由がそれだけではちょっと不明確なもので、なぜ決定的に移転しないというふうな理由になっているのか。ここをもう一度お話しいただきたいと私は思っているんです。

林国務大臣 中小企業庁につきましては、東京に所在する各支援機関の全国団体、そしてまた国会あるいは関係府省と日々調整、連携することが不可欠でございます。

 特許庁につきましては、審査拠点を分散すると、効率や審査スピードの低下を招くおそれがございます。今、世界でもスピードが一、二と言われて充実して対応しておりますので、そういう理由から、本社機能というか、東京が望ましいということでございます。

 今先生が御指摘されたように、そのかわりじゃありませんけれども、近畿産業局でそういった機能を抜本的に強化する体制を中小企業庁としては進めていくということと、特許庁に関しましては知財総合支援窓口を近畿地方の統括拠点として整備していくという構えで進めていこうと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 迅速に対応するためには必要だというところなんでしょうけれども、そうはいいながら、大臣もほかでも言われていたと思うんですけれども、地震などになったときに、やはり分散していることで対応できることもあります。

 それから、何よりも、やはり経済産業省なんですから、ITをもうちょっと使って、どこにいても、どの場所にいても、時間的なロスのないように、同じように仕事をしていく、それを率先していくところこそが経済産業省の力の見せどころだと私は思うんです。

 ですから、これで、まだ諦めることなくというのか、最後の決定という形ではなく、これからも引き続きこの中小企業庁等々の移転については積極的に検討していただき、あらゆる技術、それから知見を使ってそういうことを考えていただきたいと思いますので、それを再度御要望させていただきまして、きょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。林経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 ただいま議題となりました電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できるエネルギーであることから、その最大限の導入を進めていくことが必要です。

 平成二十四年七月に開始された固定価格買い取り制度のもとで、再生可能エネルギーの導入は着実に進展しておりますが、昨年七月に策定した長期エネルギー需給見通しの実現に向けて、今後ともその適切な運用を図っていくことが必要です。

 固定価格買い取り制度については、太陽光発電の急速な導入が進む中、国民負担増大の懸念や電力系統への受け入れ制約の発生といった課題が顕在化しております。また、固定価格買い取り制度の認定を受けながら稼働していない未稼働案件が大量に発生するといった問題も生じております。

 本法律案は、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制の両立に向け、これら現行制度の課題に対応するために必要な措置を講ずるものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 まず、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の改正に関するものであります。

 第一に、未稼働案件の防止や適切な事業運営を確保するために、再生可能エネルギー発電事業者が固定価格買い取り制度の適用を受けるに当たり、経済産業大臣がその事業の実施の確実性や適切性を確認し、事業計画を認定する新たな制度を創設します。加えて、この制度を実効的なものとするため、経済産業大臣が改善命令等を行えるようにいたします。

 また、現行制度のもとで既に発電を開始している案件や系統への接続について一般送配電事業者の同意を得ている案件について、新たな制度による認定を受けたものとみなす等の経過措置を講じます。

 第二に、新たな調達価格の決定方法を導入します。

 具体的には、現行制度においては経済産業大臣が算定する調達価格について、固定価格買い取り制度の賦課金の負担を軽減する上で有効である場合には、入札を実施し、その結果により定めることを可能とします。また、開発期間に長期を要する電源などについては、事業の予見可能性の確保の観点から、あらかじめ、複数年にわたる調達価格を定めることを可能とします。

 第三に、再生可能エネルギーのさらなる導入を可能とするため、再生可能エネルギー電気の調達義務者を小売電気事業者から一般送配電事業者に変更する等の措置を講じます。また、これにあわせて、一般送配電事業者が調達した再生可能エネルギー電気について、卸電力取引市場において売買取引を行うことや、あらかじめ経済産業大臣に届け出た約款に基づき小売電気事業者に対して供給すること等を義務づけます。

 第四に、電気を大量に消費する事業者に係る再生可能エネルギー電気の賦課金を減免する制度について、我が国の国際競争力を強化するという制度趣旨を明確化するとともに、この制度の対象となる事業者の省エネルギーに向けた取り組みを確認することができるように制度を見直します。

 加えて、再生可能エネルギー電気の調達義務者を一般送配電事業者等に変更することに伴い、電気事業法などの関係法律について、所要の改正を行います。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十七日水曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時八分散会


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