衆議院

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第8号 平成13年3月28日(水曜日)

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平成十三年三月二十八日(水曜日)

    午前十時十八分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 大村 秀章君

   理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君

   理事 玉置 一弥君 理事 樽床 伸二君

   理事 河上 覃雄君 理事 山田 正彦君

      今村 雅弘君    木村 太郎君

      木村 隆秀君    倉田 雅年君

      佐藤 静雄君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    田中 和徳君

      中馬 弘毅君    中本 太衛君

      西野あきら君    林  幹雄君

      福井  照君    古屋 圭司君

      堀内 光雄君    松野 博一君

      松本 和那君   吉田六左エ門君

      阿久津幸彦君    大谷 信盛君

      川内 博史君    今田 保典君

      佐藤 敬夫君    武正 公一君

      永井 英慈君    伴野  豊君

      細川 律夫君    前原 誠司君

      吉田 公一君    井上 義久君

      山岡 賢次君    大幡 基夫君

      瀬古由起子君    日森 文尋君

      保坂 展人君    松浪健四郎君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   国土交通大臣政務官    今村 雅弘君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岩橋  修君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房領事移住

   部長)          小野 正昭君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君

   政府参考人

   (国土交通省航空事故調査

   委員会事務局長)     中島 憲司君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    浅井 廣志君

   政府参考人

   (海難審判理事所長)   松井  武君

   参考人

   (航空事故調査委員会委員

   長)           佐藤 淳造君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  今田 保典君     武正 公一君

  二階 俊博君     松浪健四郎君

同日

 辞任         補欠選任

  武正 公一君     今田 保典君

  松浪健四郎君     二階 俊博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)




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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省鉄道局長安富正文君、航空局長深谷憲一君、航空事故調査委員会事務局長中島憲司君、海上保安庁次長浅井廣志君、海難審判理事所長松井武君、内閣官房内閣審議官岩橋修君、防衛庁運用局長北原巖男君、外務省大臣官房領事移住部長小野正昭君、外務省北米局長藤崎一郎君及び外務省経済局長田中均君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として航空事故調査委員会委員長佐藤淳造君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大村秀章君。

大村委員 おはようございます。自由民主党の大村秀章でございます。

 本日は、議題となりましたこの航空事故調査委員会設置法等の一部を改正する法律案につきまして、順次御質問をさせていただきたいと存じます。明快な御答弁をお願いしたいと存じます。

 これは、昨日も参考人の四人の先生方にお越しをいただきまして、鉄道の関係がお二人、航空の関係がお二人ということで、御意見を、そしてまたお考えをお伺いしたところでございます。そのときにも申し上げたわけでありますけれども、現代の社会経済は、まさしく航空、鉄道、人も物も大量に、高速に、速く運ぶ、移動するということが前提になって今の社会が成り立っていると思うわけでございます。今のこの不景気の中にも、右肩上がりの需要というのは、まさしく航空需要ぐらいのものじゃないかというふうに言われるのでございます。

 そういう意味で、私は地元が愛知県でございますので、ついでに申し上げておきますと、そういう需要にこたえるということで、中部新国際空港をつくっていただくということで今お願いをしているわけでございまして、順調にやっていただいておりますことをこの場をおかりして厚く御礼を申し上げようと思います。ぜひ、二〇〇五年の三月開港に向けて、さらにピッチを上げてやっていただきたい、そのこともお願いをさせていただければというふうに思うわけであります。

 そしてまた鉄道も、戦後モータリゼーションが進んで、今は自動車交通の時代で、特に近郊輸送の鉄道は乗客の確保等々苦労しているというところもあると思いますし、また、過疎、ローカル線の問題もあるわけでありますけれども、やはり中距離の都市間の輸送でありますとか、日本の新幹線なんかは世界で最も成功した例だと思うのですが、中長距離、定時でそれも大量に輸送するこの鉄道の能力というのは、今の我々の社会にはもう欠かすことができないものだと思うわけであります。

 これも私の地元のことを申し上げて恐縮でありますけれども、二〇〇五年には愛知万博というのもございまして、瀬戸、長久手という、名古屋から東の方に一時間ぐらいのところに会場を予定しておるわけであります。もうあと四年です。シャトルバスを直通して運行して半年間で千五百万人を運ぶということで今計画をしておるわけでありますが、ただ、これもバスだけで本当に運べるのという話が地元であるわけでございます。私も地元の人間として、確かに近くに高速道路はあるのでありますけれども、ただでさえ土日でも渋滞をする、そこにシャトルバスを連ねていって、本当に半年間で千五百万人を運べるのかということを、端的に大丈夫かなという心配をしている者の一人であります。

 そのときに、要は、名古屋の都心部から地下鉄で行って、そして今長久手町のちょっと入ったところでとまっておるのですが、そこからさらに青少年公園まで行く東部丘陵線という計画がございます。ここにHSSTのリニアモーターカーを走らせる、新交通システムとしてリニアモーターカーを走らせて輸送するという計画がありまして、これも何とか間に合わせられるんじゃないかというぎりぎりのところで今やっていただいておりますが、まさしく安定的に一定の数のお客さんを大量に運ぶための手段としては、やはり鉄道というのは欠かすことができないと思うわけでございます。こういうイベントをやる段階において、改めて鉄道の重要性というのが再認識をされているんじゃないかというような気もいたします。

 そういう意味で、鉄道も航空もこれからの日本の社会経済の中で欠かすことのできない重要な交通手段だと思います。

 そこで、問題は、やはり安全でなければいけないわけでございます。大量に速く運ぶ、だんだんだんだん、少しでも速く少しでも速く、少しでも大きく少しでもたくさんということになりますと、これが技術の進歩なんだろうと思うんですが、それをどんどんやっていきますと、どうしてもダイヤというか運航スケジュールが過密になる。それから、航空の、空の状況も過密になる。今、日本の上空なんというのは、本当に超過密だというふうにもお聞きをいたしておりますし、ついこの間はニアミス事件も起きました。

 そういった、だんだんだんだん過密で無理をしてくる、そういう中で安全をどういうふうに確保していくかということが、我々の今の社会を考える上で、交通手段を考える上で一番重要な課題じゃないかなと私は思うわけであります。

 そういう意味で、もう三十年近い歴史がある航空事故調査委員会にさらに鉄道の事故も加える、そしてまた、調査するのも、事故だけではなくて、その事故に至る前の重大インシデントもその対象に加える、そして、その調査を行って、事故の未然防止、再発防止に役立てるという今回のこの法律案の趣旨というのは、まさしく時宜にかなったものと思うわけでありまして、私は大賛成でございます。これも予算関連でありますので、ぜひ、一日も早い成立と、そして法律が通った暁には、すぐこの組織を立ち上げてどんどん進めていただきたいと思うわけでございます。

 そこで、幾つかの点をお伺いさせていただきたいと存じます。

 まず、鉄道についてであります。

 先ほど来申し上げておりますように、鉄道輸送も、日本国内でも百十年、二十年の歴史があると思いますし、世界ではもっと歴史があるわけで、二百年近い歴史があると思うのでありますけれども、その歴史の中でどんどん進化をしてきたわけでありまして、まさしく今、日本の国内、先ほど申し上げたように、都市間の中長距離輸送、そして毎日毎日の通勤の輸送に欠かすことのできない手段であるわけでございます。

 ただ、残念ながら、この法律案を審議するというこの時期に、なぜか最近鉄道関係の事故が幾つか起こっているような気がいたします。

 昨年三月に、日比谷線中目黒駅の事故で五人の方がお亡くなりになり、四十人の方が重軽傷を負われたという痛ましい事故がありました。ちょうど一年ということでございまして、きょうここに新聞を少し持ってきておりますが、たまたまきのうの夕刊で「営団職員五人書類送検」、きのう、事故の調査を受けて警察当局がこういった形をしたということの報道もございます。そしてまた、けさの朝刊を見ますと、これは日本ではありませんけれども、ベルギーで列車が正面衝突をして、少なくとも、乗員乗客八人が死亡し、二十人が負傷した、そういった事故の記事もございます。それから、ことしの一月二十六日でございましたか、JR山手線の新大久保駅におきまして、これは鉄道事故ではありませんけれども、乗客の方がホームから転落をして、韓国人の留学生の方とカメラマンの方お二人が助けようとしてはねられて死亡したという痛ましい事故もございました。そしてまた、今月になりまして、これはJRの貨物でありますけれども、鶴見駅で脱線をしてしばらく運行がとまるという事故もございました。この何年か、毎年毎年大きな事故が起きているわけでございます。

 もちろん、その関係者の方は最大限の御努力をされておられるというふうに思っております。昨日、参考人として、東京大学教授の家田参考人、そしてまた国鉄出身の佐藤参考人にもお聞きをいたしました。鉄道の技術は、まさしくこれまでの歴史の積み重ねで、ずっと積み上げてきたものであり、関係者の努力、英知を結集してやっているということもお聞きをいたしました。そういった関係者の英知を結集して、こうした事故の原因をしっかり究明して、再発防止そして事故の未然防止に役立てていかなければいけないと思うわけでございます。

 そこで、少し前置き、話が長くなりましたけれども、こうしたいろいろな鉄道事故に対しまして、国土交通省の対応、どういうふうに対応されてこられたかということを、まず冒頭、お聞きをしたいと思います。

安富政府参考人 これまでの鉄道における事故調査でございます。

 先ほど先生の方から幾つかの事例が出されましたが、従来、基本的に、鉄道事業者に対して国土交通省の方から具体的な原因究明とか再発防止対策について指示をしまして、それを報告するということをしておりましたし、さらには、特に重大な事故の場合には臨時の調査組織を立ち上げるというようなことをやってまいりました。

 ただ、やはり公平中立の立場から国が直接事故等の調査分析等を行う必要があるということで、平成十一年の六月に鉄道局の中に鉄道技術の専門家から成る事故調査検討会を設けて、常設という形、行政組織としての常設ではございませんけれども、いわゆる私的懇談会という形で検討会を設けたわけでございます。

 この後、実は日比谷線の中目黒駅の事故がございまして、この検討会を設けていたこともございまして、直ちにこの検討会が立ち上がって、具体的な現地での調査ということが行われたわけでございます。

 この中目黒の日比谷線の事故につきましては、昨年の十月に最終報告書が出まして、幾つかの指摘事項、原因究明、それから再発防止対策が出されました。運輸省において、全国の鉄道事業者に対して再発防止対策の通達を行って、対策の徹底を図ったところでございます。

 それから、先ほどございました山手線の新大久保駅の事故でございますが、これは事故というよりも、ある意味では原因自体が非常にはっきりしているものですから特に事故原因究明ということは行っておりませんけれども、このホーム転落の実態調査等を各事業者に指示しまして、先般、例えば非常停止押しボタンあるいは転落検知マット等の整備を進めるといった必要な再発防止対策を講じているところでございます。

 それから、先ほどお話がございました、三月十七日に発生しましたJR東海道線の貨物線の鶴見駅構内での貨物列車の脱線事故、これにつきましては、事故発生後、関東運輸局の職員が直ちに現地に調査に入るということと、さらには、関東運輸局長から、JR貨物、JR東日本に対して、速やかに原因究明を行うことを指示しておるところでございます。これについてはまだ具体的な対策は講じておりませんけれども、今後、その原因究明の中身によりまして、国土交通省としてもその安全対策について万全を期していきたいというふうに考えております。

大村委員 その中で、特に新大久保の駅の事故の話は、これは確かに今回のものとは直接関係のないことなのかもしれませんけれども、今局長言われましたように、原因がある程度はっきりしておりますし、再発防止という点からして、確かに東京もそうでありますけれども、大都市圏の鉄道の駅、ラッシュ時は大変混雑します。ちょっと押されただけで落ちてしまうというような、別に珍しいことでもないということでもないですけれども、常にそういった可能性と隣り合わせだと思います。

 それで、今言われたように、もし不幸にしてそんなことが起きたら、非常停止ボタンで電車をとめるとか、下に退避できるようなところをつくるとかいうようなことで十分これらの再発防止は可能だと思います。そういう点で、ぜひこの点は、国土交通省挙げてお取り組みをいただいて、こうしたということをしっかりと対外的にアピールをしていただければと、国民はやはりこの間の痛ましい事故に大変心を痛めておりますから、ぜひできるだけ早く、こういうふうにしています、安全なんですということを一般の利用者の方にも周知をしていただくということが必要だと思いますので、これはぜひお願いをしたいと思います。

 それから、日比谷線の事故、そしてまたJRの貨物事故につきましても、素早い対応をしていただいていると思います。どうか引き続き、この委員会ができましたら、さらにこうしたものでしっかりと原因究明をしていただければというふうに思います。

 次に、航空についてもお聞きをいたします。

 先ほど私申し上げましたように、まさしく航空は遠隔地を短い時間で移動するというためには不可欠な輸送機関でありますし、日本においても特にこの航空需要はどんどん右肩上りということでございます。

 そこで、先々月、一月三十一日に例の日航機のニアミス事故が起きたわけでありますけれども、これも、報道等、第一報というか、まず御報告ということで、とにかく、管制の関係のいろいろな不手際があったというようなお話もお聞きをいたしておりますし、いろいろなことも言われているし、中には、日本の空域自体にやはり問題があるのではないかということを言われる方もおられるわけでございます。

 いろいろな要因があると思いますけれども、改めて、この一月三十一日の日航機のニアミス事故につきましての現段階での調査の状況、そして対応の状況もお伺いできればと思います。

中島政府参考人 御説明申し上げます。

 航空事故調査委員会におきましては、一月の三十一日、航空局から事故通報を受けまして、直ちに航空事故調査官七名を現地に派遣し、調査を開始いたしました。その後、他の航空事故調査官の応援態勢をとりながら、全力で調査を進めているところであります。

 これまで、航空事故調査委員会におきましては、関係者からの口述の聴取とその整理、機体の調査及び整備、飛行記録装置、航空機衝突防止装置等のデータの分析及びこれら異なる記録装置の時刻合わせ、シミュレーションによるデータの入手、分析など、あらゆる角度から調査を進めております。いずれにいたしましても、本件事故の重大性にかんがみ、全力で調査に取り組んでいるところでございます。

大村委員 今まさしく調査中だということもございますし、ぜひ早く対応をしっかりとつくっていただきたいと思っております。再発防止に努めていただければと思います。

 それでは、航空・鉄道事故調査委員会についてお聞きをいたしたいと思います。

 こうしたいろいろな、航空関係のニアミスからそうした形の事故、そしてまた鉄道関係の事故といったものが最近よく目につくようになってきたわけであります。そういったものも一つの契機になりまして、今回この調査委員会を国として創設をするということになったと思うわけであります。

 先ほど鉄道局長の方からお話がありましたように、事故調査検討会というものを当時の運輸省の中におつくりになって、それで進められてきたというふうにもお聞きをいたしております。これを今回、法律にして、組織にして位置づけるということをお考えになったその一番の理由ということにつきまして、泉副大臣にぜひお聞きしたいと思います。

泉副大臣 鉄道事故に限るわけではございませんが、国民の生命財産を守るという立場からしましても、安全な輸送を心がけなければならない、それはまた国の使命でもあるという考え方を私どもは持っておるところでございます。

 国みずからがこうした再発防止、原因究明をやる立場にあるという考え方でございまして、先生御指摘のように、省内に事故調査検討会というものを立ち上げまして今日まで努力をしてまいりましたが、日比谷線の中目黒駅におきます脱線事故、このことを一つ踏まえまして、それはそれなりに成果を上げましたけれども、事故のたびごとに検討会を立ち上げるということでは、系統的な、あるいはいろいろなノウハウの蓄積等が必ずしも十分ではない、こういう反省を踏まえまして、今回私どもは事故調査委員会というものを立ち上げさせていただきたいと、この法案を出したところでございます。

 今申し上げましたように、ノウハウあるいはデータの蓄積、あるいは円滑な事故調査を行う、必要な報告を求めるし、物件の留置の権限を持たせていただく、こうした力と申しましょうか、権限を持ち合わせた委員会をぜひ設立させていただきたいということで、新たに法案を提出させていただいたところでございます。

大村委員 まさしく今、泉副大臣言われたとおりだと思いますし、これは、昨日の参考人、特に家田参考人がまさしくこの責任者としてやられた。家田参考人のお話では、私が質問したところ、最初、事故調査検討会でやって、まさしく今言われたように立ち上げに苦労した、だれが何をやってどういうふうにやるかということだけで非常に手間取った、たまたまあれが東京だったから、みんな在京の人で、集まれと言えばぱっと集まって役割分担をやって検討できたけれども、あれがもし遠隔地だったらと思うと絶対こんなふうにはうまくいっていません、もっと倍ぐらいの時間がかかっていますというようなことをきのう言われておったのが印象に残っております。

 ですから、そういう意味で、ノウハウを蓄積していくという意味で、やはりこうした常設の検討会を調査会に格上げといいますか、つくっていくというのは、まさしく時宜にかなったものだと思いますし、あとはこれをどういうふうにうまくワークさせていくか、機能するものにしていくか、それには、国土交通省として、また泉副大臣の腕の見せどころがあるんじゃないかと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、今回のこの法律改正におきまして、航空でいえば、例えばニアミスでありますとかオーバーラン、鉄道でいえば車体の損傷、列車の分離といった、いわゆる事故には至らないけれども事故の原因となる、それをそのままほっておけばといいますか、そのことによって事故の原因になるような重大インシデントが新たに調査対象に加わったわけでございます。これも、ある意味でまさしく時宜にかなったものと思うわけでありますけれども、改めて、この重大インシデントについて調査をするその理由をいま一度ここでお伺いできればと思います。

泉副大臣 一つの重大事故には二十九の中事故があり、三百の小事故があるというふうに言われておるところでございまして、重大なインシデントについて調査を行うということが未然に大事故の発生を防ぐという考え方を、私どもは従来から持っておるわけでございます。

 例えば、飛行機でありますと、滑走路から外れたとかオーバーランをしたというような、そうした、事故にはならないけれども、何らかどこに原因があるかをきわめることによって次の重大事故につながることを排除するということでございます。列車が他の列車と衝突しそうになった事態というようなことも、恐らく何らかの原因がある。大きな事故にはなっていないわけですが、そうした兆候を事前にとらえて大きな事故になることを未然に防ぐという考え方から、このインシデントについても調査をさせていただきたい。鉄道、航空の事故調査委員会で、今後こうしたものの積み上げの中で未然に事故発生を防止できるような体制をとりたいという考え方でございます。

大村委員 まさしくそういうことだろうと思いますし、ぜひこれも、調査のやり方といいますか、先ほど言われましたように、そのノウハウの蓄積を積んでいっていただいて、そして機動的に調査できるような、そういう体制をおつくりいただければというふうに思うわけでございます。

 そして、今回、この航空・鉄道事故調査委員会ということで新たに衣がえをするわけでありますし、今言われましたように、重大インシデントも含めまして事故の調査を的確に行って、徹底した原因究明を行っていくということになるわけでございますが、この航空事故、鉄道事故、それぞれいろいろな形態があると思うのであります。そういう意味で、原因究明には、ある程度の短期間で原因究明ができて報告書という形でまとめられるものもあれば、そうでないものもあるというふうにお聞きをしておりますし、まさしくそういうことだろうなというふうに思うわけでございます。

 私、こういう事故調査につきましては、当然のことながら、原因究明そして報告という形で取りまとめることにつきましては、できるだけ速やかに行って、そして利用者である国民そしてまた関係者に、再発防止という意味でも、こういうことでしたということをできるだけ早く、そして情報をオープンにしていくということが必要だと思うわけでございます。そのために、関係者の皆様の御努力をお願いしたいと思います。

 そういう中で、報告をつくるということで、例えば一年という期限を設けるべきだという御意見もあるわけでございます。この意見も私は一理あるとは思うのでありますけれども、確かに、私申し上げたように、速やかにこの報告をつくるということも必要だと思うわけでありますけれども、さはさりながら、事故の原因というのは、まさしくそれは千差万別であり、その施設なり設備に原因をするものから、やはり人の操作ミスといいますか、そういったことに原因するものから、またその複合したものから、いろいろだと思います。

 そういういろいろなケースがあることを考えますと、できるだけ早く報告をまとめる、公開するということは当然必要だと思うわけでありますが、一定の期限を、いついつまでということを設ける、期限を切るということは、やや私は硬直的に過ぎるのではないかと思うわけでございます。

 そういう意味で、そういったことを踏まえて、具体的にこの鉄道の事故調査をどんな手順そしてまた手法で進めていかれるのか、そのことについても今回改めてお伺いができればと思います。

泉副大臣 事故調査報告を一刻も早くという先生のお思い、そしてまたそれが再発防止につながるというお考えでございます。そしてまた一方では、先生も、時間を例えば一年に切ることについての問題を御指摘いただきました。全く御指摘のとおりに、事件がいろいろな多様な面に展開をしてまいりますので、一律に時間を切ってというのは私どももいかがかと思っておるところでございます。

 具体的な手順といたしましては、さまざまな形がございますが、重大な事故の場合には、再現実験をする、あるいはシミュレーションを行う、あるいはまた海外のメーカーから情報を収集するというような検討を積み重ねなければならないわけでございます。当然、現地調査あるいは関係者からの事情聴取等も行わなければならないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、ある時間がどうしても必要であり、複雑な事件であればあるほど時間を必要とする面がございます。

 ただ、そうはいいましても、日々の交通機関としての役割を果たしておるわけでございますので、できるだけ速やかに、そしてまた必要に応じまして調査の経過等についてその都度情報を公開する、皆さん方にも承知をしていただいて、再発の防止に努めていかなければならないことは当然なことだと思っているわけでございます。

 繰り返しになりますが、私どもとしましては、速やかに報告をさせていただく、しかし、期限を切られることは、必ずしも本来の事故原因の究明にはつながらないおそれがあるということで対処させていただきたいと思っておるところでございます。

大村委員 その点について、昨日私が質問して、家田参考人の発言が大変印象に残ったのでありますが、中目黒駅の事故ですね。四カ月で中間報告をし、七カ月で最終報告をした。

 何でこんなに、短期間といいますか、順調に最終報告までまとめられたかというと、この中目黒の事故はまさしく技術的な問題だった、いわゆる人為ミスとかそういったものがその操作の段階ではなかったというようなことで、ある意味ではその調査が技術的にやれたということでその時間でできた。例えば、担当した人の操作ミスだとかなんとかとなった場合に、その人の、実際にどういう行動をとったかとかそういったことまで分析をしようとすると、やはり時間がかかる。なかなか人の行動まで踏み込んでいくというのは、やはりいろいろな意味で非常に時間がかかるということを言っておられたのも印象に残りました。

 私もそう思いますので、できるだけ速やかにはやっていただきたいと思いますけれども、期限を切るというのはちょっとどうかなというふうに思います。その点も申し上げておきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思います。

 こうした事故の調査、とにかく再発防止、未然防止のためには、徹底的な原因究明を行うということが必要であるわけでありますが、そのためにも、昨日の佐藤参考人の御意見でも印象的だったわけでありますけれども、佐藤参考人は、国鉄の技術の御出身ということでいろいろな事故調査もやってこられた。そのときの経験、そして今研究所でそうした形のこともやられ、いろいろな事故調査にも携わっておられるわけでありますけれども、要は、自分のところにあるスタッフだけでやるというのはどうしても限界があるということでございます。できるだけ多くの、技術関係の方、そういった管理、マネジメントをやっておられる方、そしてまたそういった者を監督する方、いろいろな方の幅広いサポートがあって初めてこうした十分な原因究明ができるということも言っておられました。

 そういう意味で、この航空・鉄道事故調査委員会で調査をするということは必要であるわけでありますけれども、それに加えて、国土交通省には、鉄道、航空に関する技術部隊の方もたくさんおられるわけでありますし、そこからさらにいろいろな研究機関そしてまた大学といったところ、また事業者に対する監督権限もお持ちなわけでございます。そういった方々に対しまして働きかけをしながら、そういった方を巻き込んで調査をしていくということが必要だと思うわけでございます。きのうの佐藤参考人はそういうことを強く言っておられたわけでございますし、また私もまさしくそのとおりだなというふうに思うわけでございます。

 そういう意味で、この航空・鉄道事故調査委員会に対しまして、国土交通省としてどういう支援といいますか、協力、関係をしていくのかということを今回お聞きしたいと思います。

 それとあわせて、この委員会は独立性を持った機関にすべきだという御意見もございます。もちろん私も、事故の原因究明、これは行政とは切り離した形での独立性そして公正性というのは当然必要だと思うわけでございまして、その点は異論はないわけでありますが、一方で、実際に行政に携わっておられる国土交通省、そこにスタッフをたくさん抱えておるわけでありますから、それと車の両輪としてやっていくということが早期な原因究明、そしてまた客観的な原因究明に役立つと思うわけでございます。そういう意味で、この独立性ということにつきましても、あわせてお聞きできればというふうに思います。

扇国務大臣 先ほどから大村先生のお話を伺っておりまして、昨日も委員会では参考人聴取ということで御意見をお聞きいただいて、今回のこの法案に対して慎重な審議をしていただいているということに、まず委員長を初め皆さんに心から敬意を表したいと思います。

 また、今るるお話を伺っておりまして、私どもの事故に対する態度というもの、事故というのは、予測できなくて起きるのが事故でございまして、どんなに研究しまして予防体制を張ろうと思っても、し切れない部分が事故でございます。

 そういう意味では、心ならずも起こった事故に対しては速やかに対処する。また、いかに対処方法を考えるかということも私どもにとっては大きな懸案の一つでございますので、日ごろ、平時の折からこれに対する対応というものを最大限に考えて、国土交通省としては、陸海空でございますので、その対処の仕方に関しては万全を期していく。けれども、一〇〇%安全ということにはならないということを私ども心がけながら、それに対して慎重に、なお迅速に対処するというのが基本でございます。

 ただ、今先生がおっしゃいましたように、先日のあのニアミスの航空事故のときも、我々としては速やかに対処しようということで、先ほど事故調の事務局長からもお話がございましたけれども、すぐ現地に調査官を派遣し、なおかつ私どもは、枢要な先任の航空管制官を全国から集めまして、どう対処しようかということも申し上げました。

 そして、今大村先生は、民間あるいはそれらの事業者に対しても勧告すべきでないか、注意すべきでないかというお話もおっしゃいました。私も、航空各社の社長をお呼びいたしまして、私たちは素人ですけれども、あの管制官のシミュレーションを見ておりましたら、あの画面の中で同じような九百何番というのが重なっておりますので、せめて国内線と国際線の番号をうんと離すことはできないのか、あるいは二けたと三けたにするとか、三けたでも、小さい台数は国内線、大きな台数は国際線というふうに、一目で国内線と国際線を分けるようなこともできないのかというようなことも検討していただきたいことを私からも直接申し上げました。

 そのように速やかに対処するようにしておりますけれども、何よりも私たちは、各委員会からも御報告があろうと思いますけれども、今先生は、迅速に、なるべく早く委員会の報告をしろという御下命でございました。そのとおりだと思いますけれども、急いで不備なものをつくってはならないと私は思っておりますので、先ほども副大臣が申し上げましたように、情報公開に関しまして、今すぐに手をつけられるもの、あるいは中長期に対応をしなければいけないもの、分類をしながらしていかなければいけないと私は認識をいたしております。

 また、先生がおっしゃいました事故調査委員会の独立性はどうなのかという御下問がございましたけれども、私どもは、事故調査というものは科学的かつ公正な見地から行うことが必要であるために、委員会の独立性は、先生がおっしゃるまでもなく、十分に確保するということが必要であると考えておりますし、きのうの参考人のお話でもその話が出たように私も拝聴しております。

 私どもは、そのために、従来より、航空事故調査委員会設置法におきまして、委員会の委員長及び委員は独立して職権を行うと規定してございます。そのために、私どもは、委員の任命につきましても、国会の同意を得て国土交通大臣が行うこととするなど、委員会の独立性と公正性については十分に担保できていると思っております。

 また一方、委員会が円滑に事故調査を行う場合には、本省のみならず、海上保安庁、気象庁そして地方運輸局、地方航空局等からの委員会への情報の提供等の協力、あるいは初動調査における援助等々は必ず最大限に御協力申し上げる、そういう体制を現在もとっておりますし、今後もそれに向けて努力していきたいと思っております。

 少なくとも、我々国土交通省といたしましては、今後とも、委員会が円滑にかつ徹底した事故調査を行えますように、国土交通省の総力を挙げて必要な援助、協力を惜しまないつもりで調査委員会の報告を待ちたいと思っております。

大村委員 まさしく今大臣が御答弁をいただきましたとおりだと思いますので、この航空・鉄道事故調査委員会ができました暁には、あくまでも今回の法律は器をつくる法律でありまして、実際いかに機能させるか、ワークさせるかということが大事でありますから、今大臣言われましたように、まさしく独立の委員会で、独立、公正で調査をしていただくわけでありますが、そこと、さらにあわせて国土交通省の関係部局のバックアップ、協力という、連携と独立、公正を車の両輪として進めていただきますように、それをこの新しい器ができるということを契機にして、さらに一歩でも二歩でも踏み込んで進めていただきますように、ぜひお願いを申し上げたいと思います。

 最後に、この法律のできるだけ早い成立を関係の皆様にお願い申し上げまして、私の質問にさせていただきます。どうもありがとうございました。

赤松委員長 河上覃雄君。

河上委員 公明党の河上でございます。

 三十分でございますので、早速質問に入りたいと思いますが、その前に、大臣には、昨夜は御苦労さまでございました。前回、前々回、その前と三回ぐらい私も質問いたしましたが、大臣の参議院あるいは他委員会への御出席のもとで、いつも調整弁の役割を持たせていただきました。ここで目の前で大臣に質問するのはきょうが初めてでありますので、具体的な観点から質問をさせていただきたいと思いますので、大臣もまたよろしくお願いいたします。

 航空事故調査委員会が設置法に基づいて昭和四十九年一月に設置をされたのに対しまして、鉄道事故調査におきます事故調査検討会というのが、法的権限のない鉄道局長の懇談会として設置されて今日に至っている。今回の改正によって、鉄道事故の調査を行う必要があるときは、鉄道事業者あるいは軌道経営者、さらに乗務員などの鉄道関係者から報告の聴取、事故現場及び必要な場所への立入検査、そして関係物件の提出請求、留置など、航空事故調査委員会と同等の権限が付与されることになるわけですね。それ自体は私は一歩前進だと考えておりますけれども、同時に素朴な疑問を持つわけでございまして、航空事故と比べて、なぜ二十八年間も法的権限を与えないまま放置されてきたのかと私は思うのです。

 そこで、まず、鉄道事故の調査体制の整備がおくれた理由、そしてまた、今回の改正で、鉄道事故の専門機関ではなくて航空と同一の機関で行うこととした理由、この二点についてお尋ねをいたします。

安富政府参考人 今先生の方から御指摘ございましたように、これまでの鉄道における事故調査は、今の航空事故調査委員会のような常設、専門の体制ということではなくて、基本的には、従来は、鉄道事業者に対して、国土交通大臣の方から具体的に事故調査あるいは事故原因究明について指示をする、それに基づいて各事業者がそれぞれ原因究明あるいは再発防止対策についていろいろ検討して、それを大臣の方に報告してくるという形をとっていたわけでございます。

 ただ、その場合にも、重大な事故の場合には、やはり専門的な立場からいろいろな識見を得る必要があるということで、いろいろな臨時の調査組織を鉄道局内に立ち上げていたという形で、いわば事故の態様に応じてそれぞれ体制がいろいろ違っていたというのが実態でございました。

 これについて、当然、事故調のような形で常設の専門機関を設置することが非常に望ましいということで我々は考えていたわけですけれども、実際問題として、行政機関を設置するというところまで至っていなかったというのが実態でございます。

 そういう反省もありまして、実は、一昨年に事故調査検討会というのをとりあえず、委員のメンバーを固定して、鉄道局内に立ち上げようということで、平成十一年の六月に立ち上げたわけでございますが、これはこれで、昨年の日比谷線の中目黒事故で、ある意味で、所期の効果を果たして、それなりの成果を得たというふうに考えております。

 この日比谷線の事故の経験も踏まえて、我々としては、ぜひ、いろいろな事故のノウハウ、知見、そういうものを蓄積していく、あるいは継続性を保つ、さらには事故が起こったときの即応体制を確保するといったような観点から、常設、専門の事故調査体制を整備することが必要だなと判断して、今回の法案の提出に至ったものでございます。

 さらに、航空事故と鉄道事故の調査を同じ航空の事故調査委員会の中で行うということについてでございますが、これにつきましては、もちろん、鉄道事故、航空事故はそれぞれ違いますので、それぞれの専門の立場からの審査、調査が必要でございます。そうは言いながらも、一つは、例えば委員会の行う調査において、原因究明の手法であるとか経験、知識、そういうことを有効活用するということが可能ではないか。それから、一部の共通化できる専門分野の知識の有効活用も可能になるのではないか。さらには、委員会の審議において、いろいろ合議体の中で運営のノウハウを有効活用するということもございます。さらには、ヒューマンファクターとかあるいは金属疲労等といった分析手法といったものについては、必ずしも鉄道、航空で違うということではなくて、共通分野の知識というものが活用できるのではないかというようなこともございまして、今回、航空と鉄道と同一の組織という形で調査体制を整備するということにしたものでございます。

河上委員 経緯の中から理由を御説明いただいたわけでありますが、航空事故が重くて鉄道事故が軽いということじゃないですよね。いずれにしても、事故を起こした場合には人命にもかかわる重要な問題でございますから、ひとつしっかりとお取り組みを願いたいと思います。

 二番目に、設置法の第四条は、「委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行なう。」こう規定されております。これは、事故調査委員会の独立性と公平性を担保している規定だと考え、解釈をしておりますが、独立性、公平性を有する事故調査が、事故原因の究明、解析や再発防止の観点から極めて重要なことであるということは論をまたないと思うのです。もしも、事故調査委員会が独立性、公平性を欠くようなことになれば、事故調査委員会の信頼性というものを損なうことになるだろうし、国民の多くの皆さんからも信用という問題を失することになるのではないかと私は考えております。

 その意味で、設置法第四条の考え方をしっかりと担保することが大事なことだと考えるわけでございますが、さりながら、この点については、事故調査委員会が国土交通省のもとに設置されているということから、果たして十分な役割や機能が発揮できるのだろうかという疑念や指摘がないわけではないようでございます。

 そこで、これらの指摘も踏まえまして、航空事故調査委員会の独立性や公平性、国土交通省としてはこれまで航空事故調査委員会の中においてどのように担保されてきたのか、また、新たな国土交通省として出発をされた今日以降、この担保というものにどのように取り組んでいかれる御決意か、具体的な事例を通して御説明いただければありがたいと思います。

中島政府参考人 ただいま先生御指摘ございました設置法の第四条で、委員会の委員長及び委員は独立して職権を行なう、このように規定されております。それによりまして、国土交通大臣に対し独立して調査の際の権限行使に当たります。

 また、委員の任命につきましても、科学的かつ公正な判断を行うことができると認められる者のうちから、国会の御同意を得て国土交通大臣が任命することが規定されておりまして、各分野において高度の学識経験を有する者が選任されるなど、委員会の独立性、公正性について十分担保されていると考えております。

 一方、委員会が事故調査を行う場合に、海上保安庁、気象庁、地方運輸局、地方航空交通管制部等、本省のみならず、委員会に対して情報提供等の協力、初動調査における援助等が規定されておりまして、援助を受けて行っております。

 ただ、飛行記録装置等の調査資料の分析、原因究明にかかわる作業につきましては、委員会が専ら行い、報告書を取りまとめているところでございます。

河上委員 今事務局長から御説明をいただきましたが、この点、非常に重要な点でございますので、なおいろいろと精査をしてしっかりとお取り組みを願いたい、私はそう考えるわけでございます。

 そして次に、昨日の参考人質疑の中でも、初動調査ということが非常に重要だと、四名の参考人、おおむねそのような指摘がございました。そのための措置の一つといたしまして、中立的な専門家を起用することが重要であるという御意見もいただきました。

 例えば、今回鉄道事故に対する機能が加味されるわけでございますから、土木や車両や運転、電気にかかわる専門家というものをしっかりと位置づけることが必要ではないかという具体的なお話もちょうだいをいたしました。

 現在の航空事故調査委員会の委員は五名から成っていらっしゃいますけれども、航空工学あるいは航空機構造力学、人間工学、航空法制、運航・整備などの専門性を有する方々から構成をされていらっしゃる。今回の改正に伴いまして、鉄道に関する委員は、今の参考人等の御指摘もさることながら、国土交通省としてはどういう分野の専門性を有する方々から構成しようとお考えになっているのか、人の名前は結構でございますので、分野について御説明をいただきたいと思います。

安富政府参考人 今先生の方から御指摘がございましたように、鉄道事故につきましては、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生する場合が多いということがございます。そのためには、専門的分野について多角的な検討が必要でございますし、特に最近の鉄道事故については、最先端の鉄道システムといったようなことで運営されておりますので、高度な専門知識が必要となってまいります。

 したがいまして、今度、鉄道も含めました新しい航空・鉄道事故調査委員会におきましては、委員の数を増員させていただきますけれども、その事故調査を効果的に行うために、鉄道の基礎的な技術分野であります車両、それから運転、土木、電気、この四分野の専門家を鉄道担当の委員として選任したいということで予定しております。これらの四分野の専門家がお互いに十分な討議を行ってその原因究明を図ることによって、複雑な鉄道システムの事故原因究明が科学的に行われるというふうに考えております。

河上委員 今委員のお尋ねをいたしましたが、もう一つ、スタッフの話も重要であるというのが昨日の参考人質疑の中の一致したお話でございました。私も、確かにそのように思います。

 特に、初動調査に対応する場合には、大村委員からもお話がありましたように、家田先生は、東京都内で起きたから即応できた、田舎だったらどうしようかという場合等を考えますと、スタッフというのも極めて重要な機能を持っているだろうと思っているわけでございますが、この専門的なスタッフ、いわゆる調査官ですね、組織整備、あるいは予算措置も含めまして、そういう強化を図ることが必要ではないのだろうか。

 ちなみに、これまで航空事故調査委員会では三十一名のスタッフがいらっしゃった。そのうち、いわゆる事務方もいらっしゃるだろうから、調査官としては三十一名ではないと思いますが、今回の改正、合体に伴いまして、四十一名という体制になる。こういうことでございますが、他の諸国と比べましても、このスタッフの配置はやや少ないのではないか、こう考えますが、このお尋ねに対する御見解をお願い申し上げたいと思います。

中島政府参考人 今、スタッフのお尋ねでございます。

 委員会のスタッフ、すなわち事務局体制につきましては、先ほどお話ございましたが、調査官二十一名を含めまして、合計三十一名おります。これは、発足当初の十八名から逐次増強されてまいりました。今回の改正に伴いまして、鉄道関係等を含め四十一名が予定されてございますけれども、これによりまして、事務局、精いっぱい頑張っていきたい、このように考えております。

河上委員 事務局長の決意表明をいただきました、これで頑張っていきたいと。

 確かに、発足当時、十年間で十人ずつぐらいしか増員されておりませんよね。大変厳しい対応になるかと思っておりますし、重要な問題でございますので、何とか充実強化を図るべきであろうと私も考えるわけでございます。

 ところで、この調査官の研修体制の充実を図ることがやはり必要なのではないだろうか、私はそう考えているものでございます。特に、最新の知識、技術を、時代に即応して、かなり速いテンポで変わっているわけでございますから、新しい技術あるいは新しい知識、これを習得することは不可欠であろう。そういう観点から、調査官に対する研修体制の充実強化は、現行の事故調査委員会体制で進める場合には何としても必要なのではないだろうか。

 ちょうど資料を、これは事故調の「二十年のあゆみ」ですかな、その中に研修体制がるる書かれてございました。「事故調査委員会二十年のあゆみ」、決意は事務局長からございましたが、この「二十年のあゆみ」の中でも、「新任の調査官を一日も早く一人前に仕上げるための研修」と、私がさっき申し上げたようなこともるる書かれてあるわけでございまして、初任者研修、小型機等構造研修、職種別研修、外国研修、調査官セミナー、いろいろと書かれてあるのですが、つらつらと読みますと、果たしてこれを全部きちっとおやりになっているのかなという疑問もないわけじゃございません。

 そこで、今申し上げましたように、なかなか難しい実情もあるのかもしれませんけれども、調査官に対するこれらの研修体制、そして調査官が責任と自信を持って事故があった場合の調査に臨めるような一定の研修がやはり必要になるのではないかと思いますが、国土交通省としては、この研修体制について、どのようにお考えになりますでしょうか。

中島政府参考人 現在、航空事故調査官は、航空の各現場で十年以上の経験を有している者が指名されておりまして、基礎的な航空知識及び各分野における専門知識を有する者でございます。

 航空事故調査技術に係ります研修、教育訓練につきましては、新任の航空事故調査官に対しまして、教育訓練の規定を定め、新任教育を行いますとともに技量の維持教育等の座学及び実務教育を行い、専門性の充実を図ってきているところでございます。今後とも、研修体制の充実に努力してまいりたいと考えております。

河上委員 もう一遍今の体制をよく見直していただいて、本当に有機的な、そしてさらに充実できるような体制を、工夫をぜひともお願いしておきたいと思います。

 それから、もう一点。昨日の参考人質疑等でもいろいろと議論をいたしまして、私の方からも家田参考人や佐藤参考人にお伺いした点でございますが、事故原因の究明あるいは再発防止の観点から、事故調査委員会によって作成、公表される報告書というものは、でき得る限り速やかに結論を得ることが重要ではないかと私自身も考えます。

 実態を調べてみますと、これまで報告書は八割方一年未満で作成されているということについては、私も認識をいたしております。さらに、事故の性質によっては一年を超えるものもあるということも十分理解できるところでございます。

 昨日、私が参考人のお二方にもこの点について質問をさせていただいたわけでございますが、鉄道事故に携わった家田参考人、あるいは鉄道事故専門家の皆さんからは、でき得る限り速やかにする必要性はあると考えているけれども、調査報告を例えば一年に限定するとかという必要性は薄いのではないかという意見が述べられたところでございます。

 また、事故に関する事実認定、原因分析について、中間報告を作成、公表することによって、当初考えた結果と異なる事例ということもあったのは事実でございまして、こうした場合、中間報告が関係者に不利益をもたらすおそれもあるということはぬぐえない事実になると考えるところから、慎重を要する、あるいは配慮をする必要があるということも十分理解ができるところでございます。

 これらの諸条件、問題はありますけれども、これらの諸点を踏まえたとしても、でき得る限り、冒頭申し上げましたように、原因の究明あるいは再発防止ということに資するためには、極力速やかな報告書の作成、公表、これらに対して取り組む必要性があるだろう。

 そこで、どのようにしたらこの調査報告というものがテンポアップできるんだろうか、スピードアップできるんだろうかということについて、国土交通省あるいは事故調査委員会は何か工夫をお持ちになっていらっしゃるのか、あればお聞かせ願いたいと思います。

扇国務大臣 今河上先生からるる、先ほどからも委員の皆さんからお話を伺っておりますし、審議していただいておりますけれども、私は、速やかに報告書を作成していただくというのは基本的には大事なことであろうと思いますけれども、今先生がおっしゃいましたように、一年かかるということもあり得る。それは、原因究明のためにあらゆる手を尽くすということもしなければなりません。

 また、御存じのとおり、例えば日本の事故調査委員会と外国と比べてみたらどうなんだ。あるいは、先生が冒頭におっしゃいましたように、なぜ今まで調査委員会がおくれたの、しかも、航空と鉄道と、なぜなのというお話がございましたけれども、二十一世紀になりまして、より複雑な交通体系になりますと、陸海空一体のものとして調査しなければならない、そういうことも事実だろうと私は思います。

 また、ちなみに、これは外国と比べましても、アメリカの調査委員会はどうなっているのかということを考えましても、アメリカでは、NTSB、国家運輸安全委員会というものがございます。そこでもって調査をいたしますけれども、これもやはり陸海空にわたる事故原因の究明の委員会でございます。ですから、我々も、二十一世紀、何としても陸海空一体でなければならない時代になったということが言えると私は思います。

 そういう意味では、今後、米国におきましても、先ほど私が申しました国家運輸安全委員会、NTSBというものも、きちんと運輸省に報告をするというふうになっておりますので、私は、こういう諸外国の例をとりましても、私ども日本として、委員会のスピードアップ、そして調査の迅速性と完璧さ、そういうものを認められる委員会に早くなっていただきたい。そういう意味において、私どもは、民間のあらゆるところにも調査をお願いし、専門委員会、皆さん方に思いっ切り委員会としてのお役目を果たしていただきたい。

 先ほど先生から、人数が十人ずつちまちまふえているねというお話がありまして、恥ずかしい限りだなと私も思っておりますけれども、当初十八人でスタートしたものがやっと今三十一人だということ、先生も報告いただきましたけれども、この法案を速やかに通していただきますと四十一名になりまして、大変、これでも、ささやかでも強力になるのではないかと思っておりますし、昨年度より増額される予算も、三千四百万円という調査委員会のお金でございますので、これも予算関連ですので、速やかに通していただくことによって、より速やかに、そして徹底した調査のできる調査委員会になるであろうと私も思っておりますので、一日も早く体制を組んで、二度と事故が起こらないように、まず予防することとともに、二度と事故を起こさない調査報告ができることを私たちも最大限に協力していきたいと思っております。

河上委員 大臣から極めて前向きなお話をいただきました。ぜひとも一緒になってしっかりと取り組みたい、こう決意をいたしております。

 ちょっと話は変わりますが、十二年の改正航空法で、ニアミス、オーバーラン等の重大なインシデントを国土交通大臣に報告することが義務づけられました。鉄道事故のインシデントについては、どんなケースを重大なインシデントとして想定しているのか。さらに、ヒューマンエラーというもの、それからインターフェース、機械との接点、やはりこの問題が各種事故の大きな要素として取り上げられると私も思います。これらの問題も重大インシデントとして考えるべきではないかと思うんですが、これに対して御見解をいただきたい。

安富政府参考人 今回、航空・鉄道事故調査委員会が行います鉄道の重大インシデント、具体的には、例えば、列車衝突事故には至らなかったけれども危うく衝突しそうになったケースであるとか、あるいは列車の走行中に、事故にはならなかったんですが、調べてみると台車に重大な亀裂が発生していたとか、いろいろなケースがあるかと思います。こういうものについては、一歩間違えれば事故につながるというようなものでございますので、今回の法律に基づく省令におきまして、それぞれの場合に応じて現場での混乱が生じないように具体的な規定をしていきたいというふうに考えております。

 先生の方から御指摘ございましたヒューマンエラーあるいは人間と機械的なシステムの間のインターフェースの問題、これは極めて重大事故に直結する原因ともなり得る問題でございますので、鉄道の安全性を確保するという見地からは非常に重要な要素でございます。そういう意味から、事故調査委員会における原因究明に当たっては、このような要素についても徹底した調査、分析を行って、再発防止対策を講じていきたいというふうに考えております。

河上委員 もう時間がなくなってしまいまして大変恐縮でございますが、昨日、営団地下鉄日比谷線中目黒脱線衝突事故に関しまして、営団職員五人が東京地検に書類送検をされました。

 いろいろな問題点があったと思います。ヒューマンエラーとインターフェースの問題そのものではないのかということも踏まえまして、こうした問題は組織全体のシステムの問題でありまして、営団幹部の責任とともに国土交通省としての監督指導のあり方。そして、あわせまして、特に原因の大きなものとして重視された中に輪重差というのがございましたが、現行法ではこの輪重差というのは規制の対象になっていない、全国の鉄道会社のうち独自に管理基準を持っていらっしゃるのはたった二社しかない、こういう実態でございます。

 さきに申し上げた点と、この点の規制については、全国の鉄道事業者に国土交通省としてはどのように御徹底なされたのか、これだけを聞いて、質問を終わりたいと思います。

安富政府参考人 まず、営団地下鉄の組織全体のシステムの問題ではないかということでございますが、まさにおっしゃるとおりで、こういう事故の発生というものは、組織全体において気を引き締めてやっていかなきゃいけないというふうに考えております。

 そういう意味で、実は前回、事故調査検討会の最終報告がまとめられましたけれども、この中においても五項目にわたるいろいろな指摘事項がございます。組織体制について、この専門委員会の報告の中でも具体的に、例えば軌道、車両等の各技術部門の横の連携協力が必要であるとか、あるいは部門間の情報の共有化といったことが必要だということで指摘されておりまして、我々としても、この問題につきましては、営団のみならず全国の鉄道事業者にこの調査報告書の趣旨についての説明会の開催等を行いまして周知を図っているところでございます。

 さらに、営団においては、組織体制の強化を図るために、従来、安全防災対策室というのがございましたけれども、これを拡充しまして、副総裁のもとに総合安全・技術室ということで、組織の拡充を図ることによりまして、各技術部門の連携が図れるような体制整備を行ったところでございます。

 それからもう一つ、輪重管理の問題。先生御指摘のように、従来は二事業者しか実際には実行しておりませんでした。これも最終報告の中で提言をいただきましたので、具体的に全国の事業者に指示をしまして、輪重管理につきましては、一〇%の差を努力目標とする静止輪重比の管理値を定めまして、これを各事業者がそれぞれ直接測定して、アンバランスが管理値を超えるものについては調整を行うことを指示したところでございます。

 さらに、この輪重差の問題については、現行法令では規定されておりませんけれども、今後、規定の見直しの際には、この点について規定する方向でいろいろ検討していきたいというふうに考えております。

河上委員 どうもありがとうございました。終わります。

赤松委員長 松浪健四郎君。

松浪委員 保守党の松浪健四郎でございます。

 今回の提出されている法案は、鉄道の事故調査を国みずからが実施するとともに、事故には至らない事故の兆候、いわゆる重大なインシデントについても、航空、鉄道の両モードについて調査を実施するという内容になっております。非常に、一歩前へ進んだな、そういうふうな印象を受けるわけであります。

 昨日、参考人の陳述を聞かせていただきました。この法律では独立性は確保されないのではないのか、国土交通省の一つの機関にしかならない、アメリカでは完全に独立しているではないか、こういうような批判もございました。そして、米国では四百人を擁する体制の強化が図られているにもかかわらず、今回の法改正ではそれほどの強化が図られていない、とにかく大切なことは再発の防止であるから、それをするには体制の強化を図るべきではないか、こういう批判もありました。また同時に、権限をもっと強化しなければならないのではないのか、どうも再発防止を優先させるということではなくて、それよりも犯罪としてとらえて、だれに問題があったのか、だれに責任があったのか、この追及の方が優先されているのではないのかというような批判的な声もありました。もしかしたならば、これらもある意味では当たっているのかもしれません。

 いずれにいたしましても、再発防止こそが一番大きな問題であるのは多言をまつまでもございませんけれども、だんだんと大量輸送、高速輸送が頻繁になってまいりました。

 私は、かつて大学でスポーツ人類学という学問を講じておりました。人がサバンナにおりてきて生活を営み始めた。そこで狩猟採取の生活をするわけでありますけれども、まず、石を武器にして獲物を射とめる。しかし、人間には知恵がございますから、石でしとめるよりもやりを使ってしとめた方がより合理的だ。そして、やりで狩猟するようになりました。そのときに私たち人が学んだのは、より速く、より遠くへ、より正確に武器を運ぶということでありました。やがてやりから弓矢の時代に入ります。より遠くへ、より速く、より正確に武器を投げる、そうすることによって豊かさを感受することができる。そして、銃の発明ということになるわけであります。

 この、より速く、より遠くへ、より正確にという、人が集団的生活を営み出して気づいたことは、今日も全く変わっておりません。より速く、より遠くへ、より正確に、よりたくさんのものを、よりたくさんの人々を運ぶという手段、この研究がもしかしたならば人類の文化の一端を担ってきたのかもしれませんし、その傾向は今日も強まるばかりであります。

 大量の輸送をより速くするということになれば、事故が起これば、その事故は大事故につながる。申すまでもございません。そこで、私たちは何としても事故を防止しなければならない。そのために、国が真剣になる。法を変えて、そしてより安全な輸送手段を模索していく。事故が起これば、徹底的に真相を究明し、それらの情報を国民に幅広く知らせ、そして技術者の皆さん方は徹底的な研究を進めていく。当然のことであろう。こういうふうに思うわけでありますし、その意味で、今回のこの法の改正は当然のことである、このように認識するものであります。大量、高速の輸送機関、国民の経済、生活でこれは不可欠なものになり、鉄道、航空の安全性が求められておるわけであります。

 そこで、今回の法案に関連して幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、これまでの重大な鉄道事故につきましては、鉄道局長の懇話会であられます事故調査検討会において事故調査が実施されることとされております。実際に、昨年の三月に発生した営団日比谷線の中目黒の脱線衝突事故につきましては所要の成果を上げたと聞いております。

 そこで、今回の事故調査を踏まえた事故調査体制の課題について、まず副大臣にお尋ねしたいと思います。

泉副大臣 御指摘のように、鉄道事故に関しましては、今日まで体制が必ずしも十分でなかったという反省がございました。平成十一年六月に、事故調査の公平性あるいは中立性を確保いたしますために、特に大きな事故につきましては事故調査の検討会を設け、今日まで参りました。お話しのように、日比谷線の事故については立派な成果を上げていただいたと思っております。

 しかし、こうした調査は、その都度調査会を立ち上げる、新たな問題に取り組むということの繰り返しでございまして、常設でないがゆえの問題点、いわゆる体制が整いがたい、あるいは得た情報が蓄積されない、こうした事柄がございました。そうした反省の中から、今後の事故調査を円滑に行いますために、今回の法案を提出させていただくという考えに至ったわけでございます。

 また、これは航空事故についても同じでございますが、いわゆる事故の兆候、インシデントと言われる部分につきましても、今日までは見逃されてきた嫌いがございます。これに関します体制も整えて、国民の期待しております安全な輸送、そして、先生御指摘の大量高速輸送という時代に対応していく考え方でこの法案を提出させていただいております。

松浪委員 きょうはあいにくの花曇りでありました。あした天気が晴れるのか晴れないのか、お月様の周りにかさがあればあしたは危ないぞ、こういうふうに私たちは長い人生経験から予兆をする、それが予兆だというふうに認識するわけでありますし、ちょっときょうは体調が悪いな、寒けがするなと思うと、ああ、これは風邪を引いているのかもしれない、無理をしてはいけない、きょうは早く帰って卵酒を飲んで寝ようというようなことで、我々は体を健康に維持する。これは私たちの体の重大なインシデントではないのか、私はそう思ったりするわけであります。

 当然のことながら、交通機関にもこれは重要なものとしてある。そして、そのことを重要なものだとして今回の法ではとらえられておるわけであります。

 この前ニアミスがございました。これも大きなインシデントでありまして、これらについて、航空についても調査委員会の調査対象とすることとしておられますけれども、航空局長に、これまでの航空に関するインシデントの原因調査についてはどのような対応をされていたのか、お尋ねしたいと思います。

深谷政府参考人 御説明を申し上げます。

 これまでの航空に関するインシデントのお尋ねがございましたけれども、航空につきましては、航空法の一部改正、これは実は昨年の二月一日に施行になっておりますが、これの改正によりまして法律上一つのルールをつくりました。

 そのルールといいますのは、いわゆるインシデントが発生したような場合について、新たに機長さんに報告義務を課しまして、航空の重大インシデントと申しますと、航空法の施行規則の中で、これまでのニアミスに加えまして十四点の具体例が記載されておりますけれども、閉鎖中の滑走路におりてしまうとかオーバーランですとか、そういったいわゆる重大インシデントにつきまして報告義務を課しまして、その事案についての要因を調査、分析しまして、その結果に基づきまして、機体面あるいは運航面等々におけるさまざまな対策を遅滞なく講じ、よって航空事故を未然に防止することに役立てる必要があるということでそういうルール化を図りました。

 これにつきまして、航空局では、昨年の三月十六日にメンバーを固定いたしました安全検討会というものをスタートさせておりまして、この中で専門的な知見も得ながら重大インシデントの調査を進めて、安全行政に反映させる、こういうことをしてきております。

松浪委員 重要な問題でございまして、私たちはガソリンを入れにガソリンスタンドに入る、そうしたときに、水が十分あるか、ブレーキオイルは欠けていないか、あるいはタイヤはどの程度減っているか、それでスタンドの人に、もうこれはタイヤをかえた方がよろしいですよ、しかし、これは四本も五本もかえると金が高いしと、自分の懐ぐあいの状況と葛藤して決めるわけです。しかし、この大量輸送時代にありましては、それは即かえなきゃいけないわけですね。それは一つのインシデントでありますから、きちんとしなきゃならない。

 かつて、大きな日航機の御巣鷹山の事故は金属疲労ということでありましたけれども、あの金属疲労をきちんと整備の段階で見破ることができなかったんだろうか。私は、徹底した整備であれば見抜くことができたのではないのか、そういうふうな思いを持っております。

 今回対象とする重大なインシデントの調査を実施する意義、効果について副大臣にお尋ねしたいと思います。

泉副大臣 事故には至らなかった、いわゆる事故の兆候をどうとらえていくかということでございます。

 滑走路着陸後オーバーをしてしまった、これを一般的には事故とはとらえないのかもしれませんが、その裏に隠された原因が何であるか、そういうことを突きとめていくということが大変重要なことだと、私ども、関係者の御意見を承る中で認識をしたわけでございます。

 したがって、実際に発生した事故だけでは抑え切れない、一歩間違えれば重大な事故になるといったいわゆるインシデントを徹底的に追求することによりまして、原因究明、そして大事故を未然に防げる、こういう考え方をとっているわけでございます。

 今までの事柄でいきますと、そうした類似の事例についての知見、ノウハウを蓄積できなかった。今回の体制によってそうした事例を次の事案に結びつけることができる。また、事故には至らなかったけれども、なぜそれが至らなかったかという逆な面から分析をいたしまして、新たな事故防止に寄与する必要がある。こうしたことが大変重要だという考え方に立ちまして、今回の法案の三条一項の二号と四号に、航空事故あるいは鉄道事故の兆候について調査をするという使命を課させていただいておるところでございます。

松浪委員 我々スポーツをやっておって、あのときこうでなかったら勝ったとか、マージャンなんかしているときでも、必ず、何々だったらというたらが出てくるわけでありますけれども、このたらが交通機関にとって大きな命取りになるなという思いをさせられましたのは、あの日比谷線の事故であります。保守担当五人書類送検へ、危険放置、ずさん作業、そして、警察の取り調べに対しては、早くちゃんとしておけば防ぐことができたというふうに述べておられるわけであります。

 つまり、これは、もしかしたならば人為事故ではないのか、そういう思いを持ちつつ、そして、遺族の皆様方からすれば、大きな憤りとなったであろう。そして、本当に保守を担当されている人たちだけに問題があったのか、もしかするならば、営団の組織、これにも問題があり、責任があったのではないのか、そういう思いをもされる方がいらっしゃる、こう思いますけれども、結局は、書類送検され責任を問われたのは、最前線にいる現場の担当者だけであったというようなことになりました。

 この警察の捜査と事故調のやり方を見ておりますと、曲がったレールを警察は押収しているわけですね。そうすると、事故調はそのレールをどうして調べるのだろうか。犯罪性を優先するのか、事故調査を優先するのか、この辺は非常に難しいところでありますけれども、少なくても、大切なことは再発防止であるとしたならば、体制の強化、そして権限というもの、これを大きく与えなければ、幾ら法を改正しても意味がないのではないのか、そういうような思いを持つものであります。

 事故の原因調査は、ともかく非常に大切なことであります。その原因を再発防止に結びつけることは、より一層重要ではないのかというふうに考えておりますが、そのような観点から、鉄道局長にお尋ねいたしますけれども、今回の日比谷線事故の調査結果から得られた再発防止対策の知見についてお聞かせいただきたいと思います。そしてまた、これがどのように実施に移されているのか、これをお尋ねしたいと思います。

安富政府参考人 日比谷線の事故についての調査結果から得られた知見ということでございますが、昨年の十月に最終的な報告書が取りまとめられまして、事故の原因につきましては、静止輪重のアンバランス、台車の特性、あるいはレール研削形状等、幾つかの複数の因子が複合的に影響して事故に至ったということが推定されております。

 これを受けまして、事故調査報告書の中で、再発防止対策として、具体的に、一つは静止輪重の管理、それから二番目に軌道の平面性の管理、三番目にレール研削形状の適正化、四番目に車輪フランジ角の変更、五番目に推定脱線係数比が一・二未満の箇所に脱線防止ガードを追加設置するという五つの提言がなされたところでございます。

 これを受けまして、国土交通省では、全国の鉄道事業者に対して、これら五つの項目を適切に組み合わせた対策を講ずるように指示いたしておりまして、各鉄道事業者は昨年末までにこれら対策について実施計画を定めて、国土交通省の方は報告を受けたところでございます。

 この実施計画によれば、再発防止対策について、各事業者ともおおむね平成十三年度末をめどに各種対策を実施するということで予定しておりまして、国土交通省としては、これらが確実に実施されるよう、さらに鉄道事業者を指導していきたいというふうに考えております。

松浪委員 今回の法改正では、事故調からの勧告は国土交通大臣に対して行われることになっておりますが、法改正後は、再発防止対策はどのような流れになるのか、お尋ねしたいと思います。そしてまた、それは有効な対策を講じる上で本当に適当なのかどうか。これらを副大臣にお尋ねしたいと思います。

泉副大臣 事故調査報告書というものが事故調査委員会からなされるわけでございますが、この事故調査報告書は公表をするということが二十条でうたわれておりまして、多くの方々にその事故の事実あるいは原因、そしてまた事実と認定した理由等を知っていただくことによって、関係者の方々に新たな事故防止に対する思いを強くしていただきたいというふうに思っておるわけです。

 それで、今先生御指摘の二十一条で勧告ということがなされるわけでございまして、「必要があると認めるときは、」ということになるわけですが、国土交通大臣に対しまして、事故防止のため講ずべき施策を勧告することができるということになっております。したがって、勧告をされますと、国土交通大臣としては、それに基づきます施策等について調査委員会の方に回答をするという義務が生じてきて、原因究明と実際の具体的な施策が生きてくるということになると思っております。

 一方、事業者、あるいは事業者の監督や安全指導を行っております国土交通大臣といたしましては、委員会からの勧告を受けまして、これに対して、当然のことながら、総合的な対策を策定し、そして基準の見直し、あるいは事業者に対します指導や監督、支援等のあり方等を一体的にやっていく、そして事故の再発防止をするということになるわけであります。

 また、二十二条につきましては、この報告書に基づきまして、事故防止のために講ずべき施策がある場合には、国土交通大臣または関係行政機関の長に建議をすることができるというふうに規定されておりまして、国土交通大臣を中心に、事故の再発防止には、事故調査委員会の報告等あるいは委員会の勧告、建議を十二分に生かせる仕組みになっていると考えております。

松浪委員 事故調査は専門的な技術を持った方々が当たられて、そして事故の究明をされていく。それは、あくまでも科学的、技術的なことであります。

 しかし、事故というのは、そういうハードな面だけではなくて、例えば、駅員さんが寝坊をしておくれて、駅に出なかった。車掌さんが笛を吹いたけれども、電車に乗りおくれた。この前は、新幹線の運転士さんが帽子をとりに行って運転席にいなかったというような、ちょっと信じられないような簡単なことで大きな事故を招く、こういうこともあります。したがいまして、人間的なそういう心の持ち方、あり方、これが大きな事故を招く可能性もあります。そういう意味におきまして、いろいろな点からこれからも国土交通省には御指導を仰がなければなりませんけれども、今後は鉄道事故調査についても、原因分析、再発防止対策等の成果が上げられることを我々は期待いたします。

 最後に、大臣にお伺いいたします。

 事故調査委員会の設置を契機といたしまして、一層の輸送機関の安全性の向上、事故防止が極めて大切な状況にありますが、これらについての決意を大臣からお伺いしたいと思います。

扇国務大臣 貴重な御審議が続いております。先ほども申しましたように、昨日も参考人をお呼びいただいて、慎重な審議をしていただきました。

 何よりも安全の確保というのは輸送機関の基本という観点がございますので、私ども国土交通省としては、これまでもさまざまな観点から施策を講じてきましたけれども、この中で、残念ながらといいますか、不幸にして事故が発生したという場合には、その原因を科学的に究明して、二度と事故を起こさないようにというのは当然のことでございますけれども、私は、先ほどから松浪先生がおっしゃいました歴史の変遷というものを考えますと、少なくともこの法案を早く通していただいて、調査委員会のメンバーの中に、より科学的な調査ができる人を、私は二十一世紀型にしなければ間に合わない、そう思っております。

 それは、先日の日航機のあのニアミスのときに、私が全国の管制官の主任をお呼びして見ましたときに、あの管制官の前にあるモニター、今あの小さなモニターの中で何十の飛行機が映っております。そして、ジャンボになると、自動装置で、コンピューターで、操縦士がしなくても自動で飛行機が動く時代になりました。

 けれども、先ほど松浪先生が調査委員会で科学的な究明をとおっしゃいますけれども、果たして今度の調査委員会の中で、例えば、このような二十一世紀型のあの管制官のモニターとかジャンボの自動装置とかが一発サイバーテロに遭ったら、これはどうなるんだろう。地球上に飛んでいる飛行機、あるいはモニターが全部波長が狂ってくる。そういうサイバーテロ対策というものは、日本は一番おくれているのですね。

 そういう意味から考えますと、私は、少なくともこういう法案を早く通していただいて、調査委員会の中にも今おっしゃいました科学的な解明をするメンバーも入れなければ二十一世紀型の安全は確保できない、そう思っておりますので、これは調査委員会のみならず、私は閣僚の一人としても、サイバーテロというものに対する対策が日本が一番おくれているという点からも、私は、今後あらゆる方面からの調査委員会の整備と人員の確保と、そして新たに国土交通省としての陸海空を守るというこの気持ちの中に、いつも全員が緊張しながら、そして、より先進的な防御対策というものをとっていかなければいけないという気を新たにしながら、一日も早く法案をお通しいただいて、そういう科学的にも調査できる調査委員会であるべきであろう、またそのように指導していきたいと思っております。

松浪委員 どうもありがとうございました。

 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

赤松委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐藤敬夫君。

佐藤(敬)委員 久しぶりの質問でございます。泉副大臣とは、かつて新進党時代に、一緒に常任委員会の政治家同士における討論によってこれからの新しい国会のあり方というものに努力していこうではないかということで、きょうは泉副大臣一本に絞りまして御質問申し上げたいと思います。

 二時間ございまして、私は、まず一時間、後で武正委員が法案についてのいわゆる修正も含めた厳しい討論、議論をさせていただくということで、この法案の改正に対するイントロの部分として、実はニアミスの事故があった、中目黒の事故があった、いろいろなものがあった形の中で、やはり新しい事故調査委員会というものを考えていかざるを得ない。

 午前中に各党からとてもいい質問があったと思うのですね。独立性の問題だとか、いわゆる専門委員の中身の問題だとか、特にインシデントの取り入れをする部分というのはとても大事だと思うのですね。この辺からちょっと入りたいと思うのです。

 そこで、私も実は十年前ぐらい、十年もなりませんか、平成三年に政務次官をさせていただいて、あなたと同じ立場を負った。そのときの日記帳を見ると、実は管制官の問題だとかいろいろなことがメモで記されて、現実に調査に行って、そしてあそこの制度のいろいろな基本的な悩みとかというのが全部出てきたのです。

 多分、この間の事故の後、副大臣も現地調査やなんか全部されたのだろうと思うのです。そういうのも思い起こしながら、どうしてもわからなければ後ろを振り向いてメモを入れてもらって構いませんから、率直な御答弁をいただきたいというふうに思います。

 二月の十六日に副大臣がこの日本航空の九〇七便の事故について報告をしておりますね。泉さんという、すごく文化的な、物書きしてもすばらしい文章を書く方が、この報告書の中で、本事故の重大性にかんがみという言葉を三回も使っているのですね。これは、文学青年泉副大臣として、少しおかしいという感じはしませんか。五項、七項、そして一番最後のところに、本件事故の重大性にかんがみと。私は政務次官当時、やはり文書を読むとききちんと精査したが、こう何かたくさん使っちゃうと味が薄れちゃうのですね。

 重大性にかんがみというところをノーチェックで来て、ただ報告書を見たのか。十分わかって、本当に大事だ、大事だと言いたかったのか。その辺はどうなんですか。

泉副大臣 重大事故という言葉を繰り返して使わせていただきましたのは、万が一あの時点で衝突をしたといたしますと、両機の乗客と乗務員合わせて六百七十七名という、想像を絶する不幸な事態が予想されるということでございまして、私としては、本当に重大事故のまさに一歩手前であったという認識をしておるところでございます。

佐藤(敬)委員 何か余りいい答えになっていないのですけれども。

 そして、緊急に招集しましたね。「五日には、国土交通省の緊急最高幹部会議を開催し、国土交通省一丸となって取り組み、原因究明及び今後の対応策の検討を行うこととするとともに、同日に緊急に招集した全国の航空関係の地方支分部局の長の会議においては、人間からミスを完全になくすことはできないという前提に立った上で」、こうはっきりと書かれていますね。そして、管制業務がどうあるべきかを真剣に議論させたと。物すごく大事だ、大変なことだった、しかし事故は人間だから必ずあるよね、その前提に立って議論をすると。

 では、そこは非常に正確になったのですか。例えば、この後のいろいろな報告書を見ると、そのたびに、改善要綱とかどうとか、いろいろ話し合った、こうなっていますね。

 ここで事の重大性にかんがみという言葉を三つ使って、人間からミスを完全になくすことはできないという前提に立った議論というのは、何か開き直りであって、なおかつ私どもからすると非常に、この部分というのは責任を転嫁するためにあえてそういう言葉を並べたのかなという感じさえするのですが、それは間違いでしょうか。

泉副大臣 人間がミスを完全になくすことはできないということを前提にしてという言葉が、もし開き直りだというふうに多くの国民の皆さん方に受け取られたとすれば、私の真意ではございません。

 人間いかに注意をしても、機械との対面が常に航空管制には生じてくるわけでございまして、機械自身の信頼性を超えたところで管制官がコントロールしなきゃならない事態ももちろんあります。機械に頼って、機械の指示に従いながらコントロールする、もちろんそういう場面もございます。

 しかし、いずれの場合をとりましても、人間が完全無欠ではない、どんなに注意しておっても見落とすことがある、そういう前提で管制のあり方を、機器も含め、機器と人間の対話、あるいは管制官とパイロットとの心のつながり、こうしたことを十二分に踏まえて、なおかつ安全な管制はどうあるべきかという議論をすべきだというふうに思い、このような言葉を使わせていただいたわけでございます。

佐藤(敬)委員 言うなれば、そういう認識に立った上でヒューマンエラーというものが現場において、そしてまた個人の中に発生をしているということですね。その再発防止のためには、豊かな経験と優秀な技術、さらに最新の設備で今後とも徹底した注意義務を払っていけば、このことはかなりカバーできるんだという方向になっているわけですね。本当にそうなんでしょうか。そういう部分の豊かな経験と常に最新の設備と優秀な技術さえ持っていれば相当なヒューマンエラーの部分は防げるんだという思いですね、この文体からいくと。

 例えば、これはちょっとわからないかもしれませんが、二〇〇〇年三月に、ちょうど今のようなニアミスのときの管制官とパイロットのインシデントみたいな事故がどのぐらいあったのかという調査が、国土交通省、当時の運輸省の中で多分出ていると思うんです。

 後ろにいる方が二〇〇〇年三月にまとめたTCAS運用実績調査というのを調べておいたらわかると思うんですが、一九九九年の一年間に、回避指示が作動した事例でパイロットから報告を受けた約五百二十件、このうち、管制官の指示とTCASの指示の矛盾があったとする意見は百十九件あるんです。このうち、パイロットがTCASの指示に従ったケースは八五%で、自分の判断や管制官の指示を優先させたのが一〇%なんですね。要するに、管制官とパイロットと機械とのあれが矛盾したというのが現実にあるわけですね、一九九九年に。

 多分、十年前から数えたら、この管制官とパイロットのこの関係のこういう問題がどのぐらいあったかといったら、相当あったと思うんですね。それが大きな事故にならなかったという部分では今ほっとしているわけですけれども、現実の問題として、要するに、これはインシデントとして大変大きなテーマですね。

 私、十年前、管制に行ったが、報道によると、教官が後ろについていましたという記事が随分出ていましたね、一方的なお話だけで恐縮ですが。あれ、管制官に教官という立場の人がいるんですか。

泉副大臣 管制官を指導する指導官という立場の人間が全国で四十八名だったでしょうか、そういう立場の人間を設けまして、若い、あるいは未熟な管制官を指導するということをやっておるところでございます。

佐藤(敬)委員 あれは、教官と呼ばずに、何かOJTとか、職制の中に教官あるいは指導的監督者という立場がきちんと位置づけられて、そこに手当や何かがきちんと行われているのかどうか、たまたま先輩だから教えていますよという話なのか、どっちなんですか。

泉副大臣 先ほど四十八名と申し上げましたが、四十六名の間違いでございまして、これはいわゆる訓練教官という位置づけをして、現場で訓練生を監督すると同時に、座学、シミュレーション等の場で訓練生の教育を行っておるわけです。これになお不足する部分がございまして、訓練監督者というものを設けて、オン・ザ・ジョブ・トレーニングをやっておるという仕組みをとらせていただいております。

 ただ、手当等の面でそうした立場の方々に報いておるかということになりますと、現段階では大変申しわけない実態でございまして、以後検討しなければならない課題であると思っております。

佐藤(敬)委員 副大臣、私どもが運輸政務次官の中に入ったあのとき、いろいろな航空のインシデントみたいなケースがあったときに、やはりこの管制官の執務状況とか、それから例えば適性検査、採用するときに、勉強だけのことじゃなしに適性検査というものをきちんとしないと、これはどえらいことになるなと。例えば集中力の欠如とか心理的な問題だとか、そういう分析をきちんとして、そこで採用するという方向づけをしていかないと、これはとてもおかしなことになるのではないかという、私も現場へ行ってみた段階の中の思いとしてあるんです。

 そのときに、やはりそういう職制的な位置づけ、例えばOJTとか監督者、今回の場合は監督者ですよね、何のあれもないんですね。しかも、なおかつ、今これらの人が四十六、七名といいますけれども、現実に処遇、待遇の部分で、たしか管制官も女性が多くなってきていると思うし、その女性が多くなっているときに、産休問題だとか、あるいはこういう経験をただ時間的に割り切って、大学を出て、二十九歳をぎりぎりとして採用された人が二年の実習をやって、二十年で、五十一歳でやっと監督官になるとか教官になるとか、あるいは高校卒業の本科の人だったら、例えば十八歳か十九歳で来て、二年たって二十一歳で、それで二十年自動的にやれば指導者になれるとか監督者になれるとか、こうルールで決められていますね。だけれども、その人たちに、ただ単に十五年や二十年をプラスして、教える側としての能力というのが本当にあるのかどうか。選手としてはすばらしい選手だけれども、監督じゃ全然だめだという人もいっぱいいるわけですね。

 そういう適性検査というものをどういうふうにこの位置づけの中に置くのかということと、管制官の処遇が、十年前にやったことと今何の反省もなく、しかもこういうインシデントみたいな事故が何百件とされていても、技術とか指導とか、こういうことだけが表向き議論されていて、中身の議論に一つも入っていないということはすごく不安に思うわけですよ。むしろ、そういう問題について今後どういうふうに対応されるのか、意見を聞かせていただきたいと思います。

泉副大臣 御指摘のように、管制官がある経験を積んでいわゆる上のポストに入るというような事態がなかったわけではございません。ただ、例えば六カ月間管制業務に携わらなかった人については改めて試験を行うというようなことで、常に技術の錬磨あるいは資格の確認をやってきておることは事実でございます。

 先ほど先生御指摘になりましたような適性の問題については、私どもも、今回の事故を契機にと言っては今おっしゃいますように十年前と変わらないじゃないかといっておしかりを受けますが、見直す必要がある、適性ということをもっと重視すべきではないかという考えを持っておりまして、これは人事院の方とも協議をしなきゃならない分野がございます。

 日本の今の一つの例ですと、さいころを小さく刻んでおりまして、動かしたときにこれがどこの場所に行くかという空間的なテストをやるような適性の部分がございます。しかし、アメリカでは、実際に管制官が見ます画面を見せながら、どういう状況が想定されるかという、やや実態に近いような形で検査をしておりますし、航空の本当の技術的な問題なども一応試験をしますが、非常に配点は低いというふうに伺っております。

 したがって、英語でありますとか、いわゆる記憶力と申しましょうか、空間的な記憶力というようなものも大変重要なことでございますけれども、管制官としての特別な適性が必要だというふうに我々も思っておりまして、これからはそういう面を重視したことをやっていく。ただ単に年数を積んだからというようなことで指導官にするというようなことは、やっていないと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういうことはないように厳に注意をしてまいりたいと思います。

佐藤(敬)委員 まとめたいと思うんですが、航空機の大きな事故というのは、完全に飛行機側とかそういう部分に多かったですよね。今度は完全に管制官の要するに指導ミスといいましょうか、そういうことで起きて、まさに国土交通省直轄の中での事故でありますから、本当にこれは、三回も使っているように、事の重大性にかんがみということを腹に決めて、副大臣、このことをあなたにきちっと実行してもらいたいなと思うので、まとめとして、この管制官の現状についての問題点を指摘し、お答えをいただきたいと思います。

 航空保安大学校において養成されるわけですよね。そして、問題点として、入学時において管制官としての適性検査が行われていない。行いましょうよということを、採用時のあるいは入学時のそういう部分の中で、今までは簡単な記憶テストぐらいのものしかやっていないと思うので、これはぜひ制度としてやはり取り入れる努力をしていただきたいということ。

 管制官は、多分、飛行機というものは、実体というのはほとんど知らないと思うんですね。飛行機そのものについても勉強していないし、養成課程において飛行機のことをよく教えようということも含まれていない。すなわち、管制官は飛行機を知らないから、自分の指示どおり飛行機というのは動くものだ、恐らくこういう意思の疎通不足というものを持っているのだろうと思うんですね。管制官の中で、やはり飛行機というものについて、いろいろな学科の中で学び合うというか、あるいは体験するとかいうことも含めて検討いただきたいと思います。

 アメリカのFAAの管制官は、プライベートで操縦資格を持っているケースが非常に多いわけですね。みずからのパイロット経験を軸にして、飛行機の運動性能とかを理解して、適切な管制指揮を、指示を出すわけですね。だから、管制官とパイロットの相互理解という部分もぜひひとつこの中に組み入れて、新しいテーマとして考えていただきたいということです。

 最後の三番目の問題点としては、本件のケースでは、訓練生に教官がついて、要するにOJTという中で起こっているわけですね。両方とも間違っているわけですね、指示を。飛行機の名前を間違えたり、番号を間違えたり。

 管制業務上、教官という資格をぜひ職制上制度化してください。そして、手当も出ない、何も出ない、こうじゃなくて、きちんとした位置づけをして、経験を積んだ、あるいはみずから管制業務に当たることの適性があって、訓練生に対してインストラクションを行うことに十分な資格を位置づけてあげる、評価をしてあげる、ひとつこういう形に、この管制の位置づけ、業務に携わる者の評価をもう一度再検討していただきたい。

 この三点をお願いし、お答えいただきたい。

泉副大臣 職制上、教官と言われるような立場の人を位置づけする、それに相応する給与をお支払いするということについては、検討させてください。当然財政上の問題も伴ってくる問題でございますので、この場でお約束をすることはできませんが、大変重要な問題であると思いますので、検討をさせていただきたいと思います。

 それから、いわゆるパイロットとの関係、管制官との関係、これは、今日までも、実際に管制官がコックピットに乗って実際のオペレーションというか飛行を見るということをやっております。平成十二年度だけでも延べ三百七十名余りがそういう経験を積んでおります。

 先日も、現役のパイロットの方に、私は三名の方にお話を伺いました。管制官とパイロットとの思いに、やはりどうしても違いがあることは事実なんです。パイロットの方は自分の飛行機を中心に物を考えておられる、これは当然そうだと思います。しかし、管制官は、先日の場合も、画面上には十機余りの飛行機を見ながらやっておる。ですから、そこにどうしても思いの違いがあって、意思の疎通を欠く部分もあるようでございますので、これからは、なお一層、管制官の思い、そしてパイロットの思い、それをわかるように、人間関係を重要視するのと同時に、機器の面においてもそういうそごを来さないように努力をしていきたいと思っておるところでございます。

佐藤(敬)委員 しつこいようですが、もう一回申し上げますが、アメリカの管制官では、既に教官資格が制度化されて、なおかつ教育心理学など、その適性を持って教官業務に当たっているんですね。

 ずっと管制官の中の仕組みを見ても、十年前も今も、実際、こういうインシデントみたいなものが現実にあっても、予算がないからとかで、どこかを削ったってそこへ持っていくというぐらいのことを考えてもらわなければならない、管制官の業務について、相当な待遇改善と地位の向上を検討すべき時期に来ている。そのためにどこか予算を持っていかなきゃいかぬというんだったら、国土省の予算をもう一度再検討して、本当に中での対応でできますので、ぜひ努力をいただきたいということを念を押しておきます。

 それで、私の申し上げたいのは、もちろん今言ったようなハードの問題もあります。しかし、実際の事故というのは、ヒューマンエラーというのは、未経験で、技術が悪くて、機械が悪くて、それだけで起きたんだろうか。こういう事故というのは、ヒューマンエラーというのは、むしろベテランの管制官とかパイロットとか、あるいは航空関係に携わるすべての関係者の無意識の中にこういうものを発生させる要因というのは物すごく多いんじゃないかと思うんですよ。

 要するに、さっき松浪さんが言っていたのかな、あれの例えで。航空事故のほとんどのものが、例えば御巣鷹山のあの事故だって、おしりから着陸して故障して、その飛行機が、実際ボーイング社で直して飛んでいた。そのときに、多分、あの状況の調査を見れば、もうこういうことで直したんだから事故なんか起きないだろう、みんながそう思っていた。当時の山下運輸大臣がおりて、それで東京へ戻ってくるときにおっこちて、最大の、五百何十名が亡くなったという悲惨な事故になった。

 だから、そうじゃなくて、こういう問題というのは、ベテランであるがゆえに、何となく、大丈夫だろう、あいつは当然やっているだろう、こういうことじゃなしに、もしかしたらやっていないかもしれない、だろうじゃなくて、かもしれないという部分のチェックというのはすごく大事なことだと思うのですね、感覚的に。ヒューマンエラーというのはこっち側から起きているんじゃないかという感じがするから、余計いろいろなものをひとつ精査をしていただきたいな、何となく惰性で、大丈夫だろう、何々だろうといかずに、このことをひとつ大きな視点として、そういう考え方に立ってほしいな。

 どうでしょうか、私の考え方が間違っているんでしょうか。

泉副大臣 今お話しのように、ややもしますと、なれがもたらす抜かりというものが指摘をされるわけでございまして、今回、管制官の皆さん方にいろいろな議論をしていただきました。腹蔵ない意見を出していただきました。私は、よく自分の身内のことを出してくださったとお礼を申し上げたのですが、やはり、ベテランほどと言っては恐縮ですが、自分だけに通用する言葉、英語を使って管制をしておるというような事態も指摘をされておりまして、年齢にかかわらず、経験年数にかかわらず、やはり一から検討する、研修をするということが必要だということを我々も痛感いたしております。

 それで、その管制官の皆さん方に私が申し上げましたのは、安全な状態というのは異常な状態だ、普通は危険な状態であるんだ、ですからちょっとしたミスが大事故を招く、安全というのは、皆さんの、もろもろの関係者の努力によって初めて達成されることであって、通常な状態ではないという認識で取り組んでほしいというふうに私は申し上げました。

 まさに先生御指摘のように、なれておるからということで、いいかげんな、あるいは手を抜くというようなことがあっては決してならないというふうに思っております。

佐藤(敬)委員 事故の要因は、ただ単にハード的な問題ではなくて、そういう人間の内面的なストレスとかいろいろなものにやはり多くの要因を見出していかざるを得ない。

 すべての面で、例えば飛行場の状況なんかを見ると余裕がないですね。朝だってそうじゃありませんか。副大臣、御承知ですか、朝の羽田空港のタイムテーブルを見たことがありますか。六時から七時台ぐらいまで、あれは不当表示ですよ。JAL、JAS、ANAなんというので、だあっと六時に何本出ますと言って、実際は、私も行くと、いつも出るときは七時過ぎですよ。

 僕も少し勉強したのですけれども、日本の飛行場というのは、ヘビー、ミドル、ライトですか、大きい飛行機が三千メーター滑走路を飛んでいくときというのは、二分かかるわけですね。そうすると、六時台のパイロットが、早く閉めて早く順番を管制塔に呼びかけようと思って待っているにもかかわらず、航空会社は皆赤字だから、とにかく全部お客を入れなきゃ飛び立たないということで、なかなか営業の方から指示が来ない。待っているうちにどんどんほかの飛行機は先に並んでいく。十三台並んだら二十六分おくれるということですね、逆に言うと。そうすると、六時の飛行機がどうなりますか。完全に六時半。飛んでいって、向こうもおくれるわけですから、帰りもおくれる。機材繰りが大変だ。もう本当に、パイロットもいらいら、管制塔も混雑してくるからいらいら、スチュワーデスもいらいら、みんないらいらの症状の中にあるのが朝と夕方のラッシュのときですね。

 こういう問題を一つ考えても、恐らく、ただ単なるさっき申し上げたような形ではなくて、判断力、注意力というのは物すごく低下をするのだと思う。

 そういう意味で、航空会社自体も、これからのいろいろな航空事故に対しての関心事というのは、ただ単に事故が起きたから、さあどうしようかという話ではなくて、会社の経営の中身一つにしたって考えていかなきゃならない。労使関係の問題だって、やはりもっと正常にきちんとなるような努力をしていかなきゃならない。私が政務次官のときだって物すごい難儀しましたよ、労使関係の問題についての航空会社との環境なんかというのは。それは民間の企業のことだから任せればいいというのじゃなくて、どうやったらそういうものが少しでも解決できるのかということについてかなりの努力をしたものですよ。

 そういう意味で、すべてが安全運航に重大な影響を与えるわけですから、こういう問題も含めて、ただ単に経営者、労使の問題だけだというのじゃなくて、合わせわざとして、焦ってストレスが生じて判断力、注意力というものが低下するんだよ、こういう要因も事故の要因として十分対策を検討し、考えるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

泉副大臣 御指摘のように、特に羽田の場合を見ますと、朝の出発便、夕刻の到着便は間断なく飛行機が離発着をしておるわけでございまして、おくれが出ておるケースも多々ございます。

 これは、先生おっしゃいましたように、営業上ということももちろんございましょうが、なかなかお客様が搭乗されない、一々探さなきゃならないというような面もあっておくれることもあるのではないかと私は思います。飛行機がおくれるたびに、乗客も、乗務員も、そして管制官も非常にいら立つことは間違いないことだと思います。

 ですから、今回の事故に際しましても、経営者と組合との関係等が新聞紙上に載り、私どももそのあり方についてはもう少し議論をしなきゃならないかなと思っております。

 基本的には、先ほど先生がおっしゃいましたように、会社の経営の問題であるとは思いますけれども、安全を確保するという観点からは、そののりを越えて踏み込むべき点もあろうと思います。これからも取り組ませていただきます。

佐藤(敬)委員 それでは具体的に、もう時間があと三十分ぐらいしかありませんから、この間の報告書と一緒にいただいた中で、この協議、会議を全国的にした結果、改善の要望事項としての資料が委員の皆さんに配付されていますね。これは一項目から五項目までありますけれども、これを各条どういうふうに対応してきたのか。

 「管制業務実施体制強化関連」として、「航空管制官採用試験、特に適性検査のあり方」「訓練、研修時等における要員不足への対応」、これはどういう結論が出たのですか。検討だけですか。

泉副大臣 適性検査のあり方につきましては先ほど少し御説明をさせていただきましたが、まさに適性そのものが問われることがあるわけでありまして、人事院との協議を踏まえて、実戦向きの試験、あるいは適性の判断ができるような試験項目、こうしたことをつくっていくことで今検討をしておるところでございます。

 それから、要員不足への対応ということにつきましては、管制官一人当たりのさばく飛行機の量が最近少しずつふえておることは事実です。このことは、それが直ちに管制官の負担になっておるかどうかというのは、もう少し議論をしなければならないと思います。というのは、機器の進歩というようなこともありますし、管制官が実際に新しいシステムの中で管制をやれるようになっておるというようなものもございます。

 管制官の研修をするにしましても、そこがあくために管理職がカバーしなきゃならないというような実態もございまして、我々としては、定員の要求等を今日までも続けてまいりまして、その必要性を認められたところではございますが、完全にというのはなかなかまいりません。しかし、これからも必要な要員確保に向けて関係省庁に要求を続けていきたい、このように思っております。

佐藤(敬)委員 実際には今千七百人ぐらいですかね、管制官というのは。ですから、今副大臣の答弁にありますように、単に数をふやせばいいという問題じゃなくて、それぞれ新しい技術によって、新しい機能とかいろいろなものが、人数的にいうと調整はできる可能性というのはあるんでしょう。しかし、さっき言った、基本的なヒューマンリレーションというか人間関係とか、それから、やはり人間である以上事故はもう一〇〇%なくすのは無理だ、そういうことを前提として考えるならば、ストレスの解消やいろいろな問題を、そういうコミュニケーションをきちんとしていくということへの強化というものは、二度目の話でありますけれども、ひとつ十分にお考えいただきたいということですね。

 それから、この(2)の教官の資格等々に関してのことについては先ほども御回答いただいていますが、最後に、この五番目の「空域・航空路の抜本再編関連」について。点を打ってあります一、二、三、四。四ポイントございますね。「現在、地上の無線施設直上を結んで設定されている航空路を、新技術を用いることによって、必ずしも直上を飛ばずに最適な飛行が可能な航空路に再編する。」こう書いてあるんです。これはどういうふうにやるんですか。現にそういう方向に作業が進んでいるんでしょうか。

泉副大臣 五番目に挙げさせていただきましたのは、「空域・航空路の抜本再編関連」ということで、四つの項目を挙げさせていただいております。

 最初の、現在の航空路が地上の無線施設を使ってやるということで、どうしても一直線に地上の機器の助けをかりながら飛んでいくということになります。しかし、これでは容量がその一線上だけになりますので、もう少し、この機器を使いながらも複数の航路が設定できるようなことを今考えておるわけでございます。

 これはRNAV、エリアナビゲーションという航法でございますけれども、保安無線施設の直上、真上を飛ぶ従来の航法と異なりまして、飛行機自身が持っておる航法装置、そうしたものをあわせ使って任意のルートを飛べるようにしようということで、これについては少し時間がかかると思いますが、既にこういう航法を取り入れようということで検討をしておるところでございます。

 それから、一方通行の推進。これは、今申し上げましたようなRNAVというものができますと、自動的にと申しますか、そういうことができるようになるわけでございますが、必要な一方通行のための経路を設定するために無線設備の整備を行うということだけでは自由に一方通行を開始するということはできませんので、無線施設の整備を行うことなしに、ここが難しいところで、先ほどのRNAVの応用編になりますけれども、無線設備の上だけを飛ぶのじゃなくて、両サイドを飛べるような仕組みをとることによって一方通行を開始しようということで、経路の複線化をやろうという考え方でございまして、これは先ほど申し上げましたRNAVの整備とともに同時にやれるものだと考えておるところでございます。

 それから、「交通量を均一化するための空域再編」というのは、先生御承知のように、東京が一番広くて大変な負荷を持っておるということでございますので、この東京と札幌と福岡、那覇の四つの航空管制部の守備範囲をもう一回再編しよう。具体的には、恐らく東京の範囲を狭くするということで、今の東京の中には羽田、成田そして関空などが管制の範囲に入っておりますけれども、その一部、例えば関西空港島を福岡の方に移すというようなことは可能かどうか、それで安全が保てるかどうかというのを今検討しておるところでございます。

 なお、最後に書いてあります交通流の形成という考え方でございますが、これは、福岡に全国の流れを見る管制の場所がございまして、例えば、ある航空路が込んでおる、あるいはある空港の着陸機が何時ごろには込みそうだということがわかりますので、その事前に出発便を少しおくらせるとか、あるいは最短距離ではなくて少し迂回をしてもらって時間の調整をするというような全国の航空の流れを監視することをやっていこう。また、例えば、自衛隊等の訓練空域がございますが、そこが使われていないということがわかった場合には、その訓練空域も活用させて安全を図るというようなことに既に今取り組んでおるところでございまして、こうしたもろもろのことを通して空域、航空路の抜本再編という課題に取り組みたいと思っております。

 少し時間がかかるところもございますし、比較的早くと申しましょうか、安全確保というもので検証は必要でございますけれども、早く取り組んで実現できるものもあると思って、できるだけここに掲げてもらいましたことが一つ一つ実現できますように努力をしていくつもりでございます。

佐藤(敬)委員 これも市販されているものですが、すごいんですよね、空路。何か大空のどこでも飛んでいけるような感じでありますけれども、それぞれ、いわゆる米軍の基地なり、例えば今度の沖縄に向かっていた飛行機も、パイロットが地上から飛び立って沖縄へ着くまで周波数を九回も変えなきゃならない、なおかつ、沖縄に行けば沖縄の米軍のコントロール下に入っていくとかですね。そういう意味からいうと、こういう日本の上空全体の問題で、きのうも乗員組合の皆さんとか航空連合の皆さんから御指摘ありましたけれども、この空域の再検討というのは本当に大事だなという感じがするんですね。

 これはもう正直言いまして、空の安全という問題を考えていくときに、今副大臣からも説明がありましたけれども、航空路の一方通行化とかどうとかという何だかわけが余りよくわかんないような話じゃなくて、本当に日本の空を、国土交通省がやはりきちっと空域の再検討とまさに航空管制の一体化というものを目指して努力するという決意が、それは確かにありますよ、いろいろな外交上の問題、軍事上の問題、いろいろなことがあるにしても、やはり事故を防ぐという部分からいけば、この二つは、絶対に相当強い覚悟を持って検討していくということの努力と気概を聞かない限り、何を議論してもしようがないんじゃないかなという感じがするんですね。

 副大臣、ひとつこの辺の考え方をきちんと聞かせてください。

泉副大臣 現在、航空管制については、自衛隊、それから私どもの国土交通省、そして米軍という三つに分かれて管制がなされています。そういった意味で、一元化ということは大変我々も望むところでございます。

 その努力は、今先生お話ございました沖縄について、既に国土交通省の管制官が嘉手納で、現地で状況を二カ月間にわたり実態を把握するというようなことをやって、いずれ沖縄の管制については国土交通省に一元化されるのではないかというふうに考えております。その他のところも、自衛隊、また米軍との協議をしていくことを考えておりますし、今日までもその努力をしてまいりました。

 よく言われますように、平面的に管制域を見て、とても大きな壁がある、先日もある新聞でそういうことが出ておりましたけれども、どうしても、その絵の上でだけの判断ではなくて、立体的な三次元的な話でございますので、一般に言われておるのとはちょっと違う感じを私どもは持っておりますが、それでもなおかつ、できるだけ一元的な管理ができることが望ましいことは事実でございますので、米軍、自衛隊、そして私どもとの話し合いは続けてまいるつもりでございます。

佐藤(敬)委員 本当に努力をいただきたいと思うのです。もちろん、国土交通省だけでできることではないと思いますし、やはりこれからの安全という問題を考えると、空でも地上でも海でもみんなそうだと思いますので、ぜひひとつ御努力をいただきたいと重ねてお願いを申し上げておきます。

 もう大体最後になるのですが、この事故調査委員会のあり方。

 先ほどからも皆さんで十分な議論をさせていただいておりますが、どうしてこう時間がかかるのですかね。さっき言いましたように、確かに原因の究明というのは急がなきゃならない、しかし、一つ出しちゃうと、後で違ったことが起きてくるとまたそれによる弊害があるので、十分なきちんとした調査をしたい、こういうことでありますが、今度のあのえひめ丸の、アメリカの海軍の査問委員会なんかを見ていても、その調査の現実と、それから今何をお見せしていくことの方が見ている国民全体が納得をするのかなということは、具体的に並行で進んできていますね。そう思いませんか。

 だって、もう本当にそうじゃないですか。例えば、これは参考人のところでも出ていましたけれども、むしろ、あなたの判断で事故があったにしても、あなたの罪にはしない、そこはさわらないから、ちゃんと現実を言えというようなことを堂々とやっているわけでしょう。

 私どももこれから、日本の本当に一番悪いところ、泉さん、一緒にやってきたじゃないですか、何となく臭い物にはふたをするとか、それから、もうまさにふたをしておいて、国民や県民が忘れるのを待って、また新しい事故が起きてくるとかいうのじゃなしに、できるだけ透明度を高くして、できるだけ正直に見せよう、見せることによって、いろいろな問題がまた関心を持ち解決をしていくのだということをしようじゃないかといっているけれども、いざとなるとなかなか泉さん自身も、何でできないのというと、何となくまだ調査ができていないからと。

 これは二月の十六日、しかも事故は一月の三十一日に起きているわけですから、何か中間報告なんかできないのですか。

泉副大臣 事故の報告については、先ほど、航空事故調査委員会での報告がなされたのは一年以内が八割だというふうに、私ども今までの実績はそういうふうに報告をさせていただいております。

 ただ、一年以内八割で、それで十分かということでございまして、そのために、いわゆる中間報告と申しましょうか、委員会が国土交通大臣に中間的な報告をするというようなことを規定しておるわけでございまして、これによって、すぐに原因究明につながることがその報告の中に書かれておるとは思いませんが、どうしても急がなければならないようなことについては、中間報告の中から読み取っていくということにしなければならない。

 えひめ丸の例を出されましたけれども、今までのところ、あれがどういう状況で原因が具体的に究明されておるのかというのは新聞情報だけしかわかりませんが、日本の場合はちょっと時間がかかり過ぎておるということについて、私は否定をするつもりはありませんが、やはり事故原因の究明については慎重でなければならぬ部分がある、これは避けられないことではないかという思いでございます。

 特に中間報告では、先生御指摘のように、最終的な結論がひっくり返るようなことがあってはならないというようなことから、ややもしますと調査の経過だけというようなことになりがちでございますが、我々は我々としてまた必要な行政的な判断をして、事故の再発防止にできるだけ早く取り組むように努力をしてまいりたいと思います。

佐藤(敬)委員 私も科学技術の常任委員長をやっているときに、いろいろな原子力の事故が起きました。あれは随分長い間継続していって、やはり原子力発電というものを、推進する側も安全する側も一緒の役所の中へ置くということはいかがなものだろうかという話からいって、最終的には原子力安全委員会を、今度は場所を移動してやや独立体系に、一気にとはいかずにでありますけれども、そこまでの体制になった。

 基本的な考え方からすれば、事故調査委員会というのは、事故の調査の過程で判明した安全上の問題に関して建議、勧告を行う権限を持っているけれども、問題点を提起するだけで、具体的な再発防止策を提言するものではないわけですね。

 だとすれば、やはりこういう問題については、解明されなくたって現に毎日飛行機や船だって列車だって走っているわけですから、なぜこういう状況になったのだと、片一方に正しく、透明度を高くして、議論されていくところを公開したり、本当に中立性を保つ意味で、やはり、役所の中にあって何となくお互いが責任のなすり合いでもって透明度が高くならなくなるというような状況じゃなしに、もうきちんとそういうものを比較対照して見せて、そして片一方の議論は進めていく。その中で対応されたものについてはすぐカバーをする。こういうものが合わせわざでないと、もうただじっと解明するまで待つみたいな感じというのは決してよくない。

 この事故調査委員会のあり方というのは、この後私どもの同僚であります武正君の方から、委員会のあり方そのものについてのいろいろな御質問があると思いますし、また修正のお願いもあると思いますが、そういう意味から含めて、この事故調査委員会のあり方というものは、どっちかというと、やはりアメリカ型の方がすっきりするなという感じはするのですが、そういうふうに持っていこうという気持ちはありませんか。

泉副大臣 今回の事故と申しますかニアミスの問題で、国土交通省が何か臭い物にふたをするというような姿勢をとったつもりは私どもにはございません。管制官を集めて本当に真摯な議論をし、その内容を国会に御報告する、国民の前にお知らせするという姿勢は、私どもとしては、反省すべき点は反省をして、取り組むべき点は取り組むべきだということで取り組んでおるつもりでございますし、御指摘のようなことについては、なお一層努力をいたします。

 アメリカ型ということにつきましては、今NTSBのことを念頭に置いて先生おっしゃっておられることだと思います。これは一つの参考として私どもも十分勉強をさせていただいております。ヨーロッパ型は、どちらかといいますと日本型に近いような調査委員会が持たれておるわけでございまして、それぞれの国の歴史なりあるいは地理的な条件、そういう背景の中でつくり上げられておるものだと思っております。いいところは取り入れて、先生のおっしゃいますように、早く事故原因を究明し、再発を防ぐという趣旨から、なお一層努力をいたしたいと思います。

佐藤(敬)委員 もう時間がありません。長々と二人でやりとりをさせていただいたわけでありますけれども、十分質問の意図はおわかりいただいたと思うのですね。

 ぜひ泉さん、ただ単なる部分的な手直しや修正じゃなくて、本当に安全というものを中心にしながら、一体化した、先ほどの空路の再編にしても、あるいはいろいろな養成をしていくシステムにしても、それから管制官の待遇問題等々にしても、例えばパイロットの養成一つにしたって、日本の場合はコパイロットが四百時間ぐらいで副操縦士になるとかで、アメリカの場合は三千時間という大きな経験を持った人間なんですね。

 臭い物にふたをというのは、別に泉さんのことを言ったわけでも何でもない、今度の国土交通省のことを言ったわけでもないのです。ただ、週刊誌や何かに出ているあのわずか十秒のすごい状況というのは、だれが見たって大変だなという思いがするわけですね。しかし、あれ自体だって、まだ正式にこういう状態だったなどということは一言も言っていないじゃないですか、正式には。報告は来ていますよ。しかし、あれは国土交通省が出したものであって、まだ正式なものにはなっていないわけでしょう。あの状況なんというのは、みんな見たらやはり異常だと思いますよ。

 そして、私がこの間秋田へ帰るときに乗り合わせたスチュワーデスが、たまたまあの事故に遭ったスチュワーデス、韓国から来た、名前は申し上げませんけれども。やあ、しばらくだな、国際勤務なのに乗っているから、どうしたのと言ったら、実はこの間の事故だったと。えっ、じゃ御主人と一緒に食事でもしようか、そしていろいろ教えてよ、こう言ったら、ベテランで教官待遇の人なものだから、会社に言ったら、佐藤とは会わないでくれと、急いで国対の方から来て、私は会うことを差しとめられたのです。何なんですか、これは。

 そういうことを一つ一つ見たって、何も隠すことでも何でもないので、しかもあそこの場所でいえば、現実の話が、みんなコーヒーを配っていて、そして操縦士が、緊急な急降下をしない、そういう指示に基づいて下がってきたわけでしょう。それが十秒間の中で、いきなり機首を下げなければならぬと機長そのものが判断をしてやる。だから、コーヒーの台から含めて、人間の体も天井を割って上へ行ってああいう事故になっているわけでしょう。その体験というのは別に、私が体験談をどうだったのと聞こうと思ったって、何かもう、会うな、会ってもらっちゃ困ると文書で私の部屋へ来て、彼女に迷惑かけちゃいけませんから私は会わない。ことごとそんなことだって閉鎖的じゃありませんか。

 だから、きちんとひとつ、この後武正委員の方からいろいろこの制度についての具体的な問題提起を今度は大臣にしますから、どうぞ大臣も正確に答えてもらうように期待をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 武正公一君。

武正委員 ただいま民主党・無所属クラブ佐藤委員から、まず、さまざまな角度から広範にわたってお話がございました。それを受けて、私、武正公一、質問をさせていただきますので、御答弁の方をよろしくお願いいたします。

 まず、今回の日航機ニアミス事故でございますが、一月三十一日発生。大臣におかれましては、いつ、どこで、どのような内容で報告を受けられ、それに対してどういう指示をされたのか、御答弁をお願いいたします。

扇国務大臣 この日は、ちょうど国会が始まりました日でございました。私は、二時から三時半まで衆議院の本会議場、そして四時から五時半までは参議院の本会議場、終わって間もなく連絡がございました。事故が起こりましてから、少なくとも十八時ごろ、本会議が終わってからだったと思いますけれども、すぐにこの報告が私の耳に届きました。

武正委員 そのときにどういう指示をされたか、お答えをいただけますでしょうか。

扇国務大臣 ただ、当初は、らしいという、どこまでどうということが、詳細がわかりませんから、事故の詳細を把握するように努めることということを申しました。

武正委員 事故発生は十五時五十五分ということでございます。時間がかなり経過をしているといった点でございますけれども、航空事故の認定というものが十九時五十分と、さらにその後になってしまったわけでございますが、これについて御所見をお伺いしたいと思います。

扇国務大臣 十九時五十分の事故の認定は、みずから確認する等もう少し早くできなかったかというお尋ねですけれども、御存じのとおり、空を飛んでおりますから目で見ることもできませんし、少なくとも情報をキャッチするという確認をしなければ、軽々に言うことはかえって混乱を起こすことになります。

 航空機の搭乗者の負傷程度がどの程度かということ、果たして航空事故に該当するかどうかということも、これは我が国も含めて国際的に、国際民間航空条約というものがございまして標準が決まっておりますので、具体的には、骨折者が発生した場合、四十八時間を超える入院者が発生した場合と決められておりますので、少なくとも、今回のニアミス事故におきましては、負傷者が病院に搬送された直後から、可能な限り早急に負傷の程度の確認に努めて、負傷者の中に骨折者がいることが判明した後、直ちに本事例が航空事故であることを航空事故調査委員会に通知をするという手順をとったわけであります。

武正委員 国土交通省では、日航からの第一報は何時でございましたでしょうか。

深谷政府参考人 御説明を申し上げます。

 一月三十一日の発生日十六時二十九分に東京航空局の東京空港事務所の方から日本航空九〇七便に負傷者が発生している旨の連絡が航空局にございました。とともに、十六時三十五分ごろでございましたが、日本航空からも同様の連絡をいただいております。

武正委員 警察から航空事故調査委員会の方に連絡は入りましたでしょうか。

中島政府参考人 航空局の方からは、乗客の中に一名の重傷者がいるとの事故情報を十九時五十分に受けました。

 警察からは十七時三十分ごろ、羽田到着のJAL機に負傷者のある模様であるが、航空事故かとの問い合わせがありました。まだ事故とは決定されておりませんでしたが、私どもは準備を始めました。

武正委員 対策本部をつくった時間、そしてその対策本部を設置するに至った判断基準、これをお聞かせいただきたいと思います。

深谷政府参考人 御説明申し上げます。

 航空事故などが発生した場合には、これまでも、当該事案の被害状況でございますとか社会的な影響の程度等、いろいろなことを勘案しまして、事案に応じまして対策本部を設置するというふうにしてまいりました。

 今回に関しましては、第一報を受けましてから鋭意情報収集に当たりまして、その過程の中で、多数の乗客乗員に負傷者が出ておられるようだということの情報、あるいは民間機同士、当初は民間機同士かどうかもよくわかりませんでしたけれども、民間機同士のニアミスの可能性があるといった情報に接しまして、事案の重大性にかんがみまして、その当日の十八時三十分に、航空局に、私を本部長としまして対策本部を設置したところでございます。

武正委員 既に五時のニュースではもう流されていたというようなことも聞いておりますけれども。

 この第十六条では、航空法あるいは鉄道事業法の規定により報告があったとき、または航空事故が発生したことを知ったとき、直ちに航空事故調査委員会に通報しなければならないというふうに言われているんです。

 先ほどは大臣の方から骨折者というお話がありましたが、この前に、例えば骨折に至った方は十七時三十八分に既に病院の方に到着をしております。この病院に一緒に日本航空の職員の方も行っているといったことも聞いておりまして、この骨折をしたという方を一番最初に救急車は運んでおります。現場には日航のお医者さんたちも駆けつけまして、当然、被害の、けがの程度を考えて、その重傷者は一名だけ近くの病院にいち早く搬送されたわけであります。

 こういった諸状況が日航さんからは逐次航空局の方に入っていたというふうに拝察をするんですが、先ほどの、十九時五十分まで事故認定がおくれたわけ、それは、その前に日航の副社長から骨折者ありということでの連絡があったからというふうに伺っておりますが、もっと早く航空事故の認定ができないものかということで、状況の把握を、航空局としては日航からの連絡を待つ前にもっと把握ができたのではないか、あるいはできていたのではないかというふうに考えるんですが、この点について御所見をお伺いします。

深谷政府参考人 御説明申し上げます。

 先ほど御説明申し上げましたように、当日四時半ごろに第一報に我々接したわけでございますが、その時点におきましては事案の状況は必ずしもつまびらかでございませんで、負傷者が発生しているらしいというふうな旨の第一報でございました。

 他方で、航空事故というのは、航空法に規定がございます。航空事故調査委員会の所掌します航空事故、これはICAOに準拠するというふうに航空事故調査委員会の設置法でも規定がございます。航空事故というのは、航空法上、機内で、これは今回に当たるケースでございますが、負傷者が出たと。その負傷というものについては、ICAOの規定上、国際民間航空条約第十三附属書でございますが、その中で、事故というものについての規定がございまして、人が重傷を負った場合、この重傷の内容につきまして、さらに同附属書の中で幾つかのケースが規定されております。

 骨折でございますとか、四十八時間以上入院加療を要する等々の規定がございますけれども、いわゆる航空法上の事故に該当するかどうか、これを確認するべくいろいろな情報収集をしておりましたところ、十九時四十分ごろ、日本航空から対策本部の方へ、病院でレントゲン等の検査の結果、骨折者がおられると。

 我々といたしましても、並行いたしまして、乗客の方が入院されている病院の方に直接確認をとる努力をし、ほぼ同時にそれが確認されましたものですから、十九時五十分に、これは航空法に言う航空事故に当たる、いわゆる航空事故調査委員会にお願いする航空事故であるというふうに判断して事故通報を差し上げたところでございます。

武正委員 十七時三十八分に病院に運ばれて骨折がレントゲンでわかる、そして連絡が二時間後ということでございますが、レントゲンというのは、私も撮った経験がありますが、撮ってもうすぐ見れる、そんなに時間を置かなくても見れるといったものでございますので、なぜこんなに時間が経過をしてしまったのか。現場での、まず一番早く搬送した事実、並びに一人だけを、一番近いというか、病院に運んだといったことから、もう予測をされたのではないかなというふうに考えるわけでございます。

 さて、事故調査委員会は、事故調査の認定、十九時五十分を受けて、現地に何時に着いたか。そのときには警察官が既に任意の捜査をしていたと思うんですが、連携というか連絡をとったのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

中島政府参考人 航空局から事故通報を受けまして、委員会としましては、七名の調査官を現地に派遣し、調査を開始したわけでございます。

 ただいまの、時間については、今、資料を持ち合わせておりません。

 調査官が現地に到着後、直ちに空港事務所、日本航空及び警察と情報の交換及び調査の進め方について調整を行い、飛行記録装置、音声記録装置の確保、客室内の損傷状況の調査及びチーフパーサーからの口述を聴取し、支障なく実施をいたしたところでございます。

武正委員 警察と連絡をとったというお話でございますが、フライトレコーダーを警察が押収したと思うんですね。このときに事故調査委員会は立ち会っていたかどうか、お聞かせください。

中島政府参考人 御説明申し上げます。

 事故調は、警察がフライトレコーダーを機体から取りおろし押収した際には、立ち会っておりません。しかしながら、事故と認定された後は、フライトレコーダーは何ら問題もなく事故調の手の方に渡っております。

武正委員 そのフライトレコーダーが事故調の方に渡った時間をお教えいただけますでしょうか。

中島政府参考人 ただいま資料を持ち合わせてございません。

武正委員 そこら辺をちょっとお聞かせをいただきたいなと思うのは、一説によれば、警察の方で押収をされて、翌日、事故調さんの方に鑑定依頼ということで渡されたのか、あるいはその晩なのか、そこら辺もお聞かせをいただきたいなというふうに思っております。

 先ほどの、フライトレコーダーを取り外すときには立ち会えなかったというお話なんですが、これはICAOの方の附属書十三に、フライトレコーダーについては、調査に当たって、その取り扱い、特に注意をするということがありますし、事故調が、これは通則の五の四ですけれども、「調査当局は、調査の実施に関し、独立性を有し、かつ、制限されない権限を有する。調査は、入手可能な関連情報の収集、記録及び解析を包含する。」「また、可能ならば、事故現場に赴き、残がいを調査し、関係者から口述を取らなければならない。」ということで、速やかに現場に赴き、そして証拠の保全というのでしょうか、こういったことをするということなんです。

 フライトレコーダーを取り外すについても、資格を持った人でなければならないというぐあいに、大変大事なものなんだよというふうに位置づけられているわけでありまして、事故調査委員会のメンバーが、スタッフがそこに立ち会えなかったというのは、やはり、すなわち事故認定がおくれたことが理由ではないかなというふうに考えるわけであります。

 そこで、運輸大臣が警察と覚書を交わしておりますけれども、これを見ると、やはり警察の優位性というのでしょうか、今のフライトレコーダーについても警察が押収をしてそして鑑定を依頼するというような覚書でございまして、それでいけば、羽田ではそのようにやられたわけでございますが、これはまた国際条約のICAOに抵触をするといったことでございます。

 警察と運輸省、当時でございますが、この覚書について、やはりこれは、フライトレコーダーの取り外しも含めて、航空事故調査委員会の独立性、あるいは事故調査、原因究明あるいはまた再発防止といった観点からいかがなものかと思うのでございますが、これは副大臣の方にお伺いしたいと思います。

泉副大臣 航空事故調査委員会は、ICAOの基準にのっとって調査をしておるわけでございまして、今先生がおっしゃいましたように、事故調査がおくれた、あるいはボイスレコーダー等についての事故調査委員会の対応がおくれたのではないかというような御指摘は当たらないということをまず申し上げたいと思います。

 警察庁の長官と当時の運輸事務次官が覚書を取り交わしておるわけですが、これはまさにICAOの条約十三附属書として採択された標準、方式、手続に準拠して行うというふうになされております。当然、犯罪捜査と事故原因調査が競合するというような事態が生じるわけでございまして、そのときにどうするかという取り決めを、先ほど申し上げました警察庁長官と運輸事務次官が取り交わしたわけであります。

 特に、物件の押収という事柄についてどういう約束事になっているかということで念のために申し上げますと、「航空事故現場にある関係物件のうち、警察及び委員会の双方がそれぞれ押収又は留置を必要とする物件については、原則として警察が刑事訴訟法の手続きに基づき押収するものとする。ただし、それぞれの現場責任者が協議して措置する場合はこの限りではない。」というように、事故原因を問うものと、刑事的な、司法の場で競合する場合には、現場でよく話をしながらお互いに協調していくということがこの覚書の原則でございまして、先生の御指摘はやや違った観点からの御見解ではないかと思います。

武正委員 これは警察と事故調査委員会とのどちらが優先をするかといった観点から聞いているわけであります。

 このレコーダーの押収に立ち会っていなかったことも含めて、あるいは警察がいち早く現場に行って、また機長さん初めコックピットで事情聴取を任意で行ったことも既に委員会でも指摘をされているわけでありまして、やはりこの事故調査、きのうも参考人質疑で出ておりましたが、初動が非常に大事である。現場での証拠保全なり事情を聞くといった観点が大変大事なんだといった観点から、やはり事故認定を早くすべきであっただろうし、あるいはまた警察との覚書についても、これはICAOには抵触するのではないかというふうな観点から言ったわけでございます。

 さて、今回は、異常接近ということも、そしてまた事故といったことが重なった例でございますが、異常接近について国土交通省の方に報告があったのは何時でございましょうか。

深谷政府参考人 事案につきまして、いわゆるニアミス報告が提出されましたのは、午前二時ごろだったと思います。

武正委員 午前二時に機長報告、ニアミスについては届くということであります。

 機長から国土交通大臣に報告すべき異常接近でありますけれども、これが今度の法改正後どういうふうになっていくのかということで、お答えをいただきたいと思います。

深谷政府参考人 現在も、いわゆる異常接近、ニアミス報告につきましては、機長から国土交通省の方に報告がございますけれども、航空事故調査委員会設置法、今御審議いただいている法案の内容によりますれば、いわゆるニアミスも含めまして重大インシデント、これにつきましては、今後航空事故調査委員会の方で御調査をいただくということに相なります。

 お尋ねのニアミスにつきましては、今後も報告が機長から国土交通省の方に入れますが、それを事故調査委員会の方に自動的に御通報するということになろうかと思います。

武正委員 ちょっとはっきりしなかったのですけれども。

 先ほど、国土交通大臣あるいは国土交通省航空局から事故調査委員会に航空事故だよということで通報すると。今回のこのニアミスについても、法改正後もそのままやはり航空局、これは危機・安全監察官ということで、これまで同様連絡が行くのだということでありますが、今回も午前二時まで異常接近の報告はおくれたわけであります。また、先ほどの、航空事故の認定が十九時五十分ということで、事故発生から約四時間という時間を要しております。

 そして、現場に行けば、警察が既にフライトレコーダーを押収している。そして、それをいつ鑑定に事故調査委員会に預けたか、それについてはわからないということでございます。

 私は、今回のこの法律の十六条でございますけれども、これはやはり改正をいたしまして、事故報告は、事故を知ったときに国土交通大臣、事故調査委員会にすぐ通報する、あわせて、航空法七十六条一項、二項、七十六条の二、鉄道事業法十九条、十九条の二を改正しまして、事故調査委員会にも事故の報告は直接入るようにすべきではないか。

 これはひとえに、事故調査委員会の独立性を保障する、そして航空事故の認定は、事故であるならば速やかに重大インシデントも含めて対応する、そして現場にすぐさま赴き、証拠の保全なりあるいは事情聴取、これを行うといったことが必要であろうということで考えるのでございますが、これは大臣から御所見をお願いします。

扇国務大臣 今先生のお話を伺っていて、つくづく私は本当に不幸の中にも幸せだなと思ったことが一つございます。それは、機体が羽田に到着したことでございます。羽田に着いたので、事故調の皆さん方もそろってすぐに羽田へ駆けつけてくださった。これが本当に一瞬の差で大事故になっていたら、こんな悠長なことを言っていられないという事実。そして、それを免れて、そしておかげさまで、重傷者は出ましたけれども、機体が羽田に到着して、事故調の皆さん方がそろって羽田へ駆けつけていただいて、現物の飛行機も見、そして今回の事故の調査報告もしていただきました。

 私は、そういう意味では、まず人命に異常がなかったということだけでも、本当に、ありがたいといいますか、不幸な事故の中にも少しはよかったなという思いが何よりでございました。人命が第一であるのは先生も御存じのとおりでございます。ですから、一分一秒で報告がずさんになっては、かえって今後の事故の防止につながらない、私はそう思います。

 そして、今報告は両方にするべきでなかったかとおっしゃいましたけれども、今回の事案につきましては、機長からの報告は、航空法の第七十六条に基づいてニアミスの報告は私どもはきちんとされたということによって、私たちは、本事件につきましては、航空機事故となったところから、少なくとも負傷者への対応、そして緊急の事態への情報の収集、そして会社への報告等々が重なって報告がおくれたと聞いておりますけれども、現段階では、ニアミスにつきましては、航空法の第七十六条の二で機長報告の義務を既に課しているところでございますから、その七十六条の二によりまして、現在におきましては、この設置法の第十六条に基づく航空機事故の発生の通報は円滑に行われたと思っておりますし、またそのように行われておりますので、航空局と委員会へ二重の報告をするというのは、かえって私はロスが出てくるんだと思っておりますので、現段階では、そのように二重の報告は、それよりも対応することが一番であると思っております。

武正委員 この連絡が、ニアミスについては午前二時ということになってしまうといったことで、大変時間的なおくれを感じるわけであります。

 今回は航空事故ということで、十九時五十分に、そして二十時半ということを私は聞いておりますが、現場に調査官の方が赴いたといったことでありますが、それが航空事故の認定がされなかった場合には、その午前二時の機長からの報告、これをもってその異常接近の調査を始めるといったことでありまして、やはり余りにも時間が経過をしてしまうといったことは、やはり航空事故調査委員会にまず一報するということが必要ではないかというふうに考えるわけであります。

 さて、今度、話を移りまして、委員さんの前歴を、履歴を見させていただきますと、大変運輸省の方が多いということがわかってまいります。調べてまいりますと、二十七名の方が委員長、委員ということでこれまでなっておられますが、鉄道省を含む運輸省の方が九名、これに旧逓信省、あるいはまた運輸局、あるいは航空局などを含んでまいりますと、十五名という形になってまいります。二十七名中九名、これでも三分の一、十五名なら何をかいわんやということになってまいります。

 第十三条に、この委員が、事故に関して関係のある者はこれはまずいんだという指摘があるわけでございますが、この航空事故調査委員にこのように多くの運輸省のOBの方がいらっしゃるというのは、運輸行政に対する勧告も現在でも行える航空事故調査委員会でありますが、どうしても運輸行政に対して物が言いづらくなるのではないか、このように危惧をするわけでございます。これについて、これは大臣の方でございますが、御所見をお願いいたします。

扇国務大臣 特にこういうことに関しては専門知識が必要であるというのは、委員も御存じのとおりでございます。そういう意味で、委員長及び委員につきましては、航空に関するさまざまな分野における専門知識あるいは経験が必要であるというのは、もう言わずもがなでございます。素人が行ったのでは何の役にも立ちません。そういう意味で、従前から、科学的かつ公正な判断を行うことができると認められている者、高度の学識及び経験を有する者を任命しているところでございます。

 ちなみに現在は、佐藤委員が航空工学、そして勝野委員は航空法制、加藤委員が運航・整備、そして垣本委員は人間工学、山根委員が航空機構造力学、それぞれこれらが専門でございます。そして、いずれも航空事故の原因を究明して、航空事故の再発防止の観点においては重要な役柄を果たしてくださっております。

 なお、五人のうち二人が旧運輸省出身でございますけれども、五人ともすべて、去る二月、両院の同意を得て、国会の御承認を得て任命された者でございます。

武正委員 専門的な知識というようなお話で委員が任命されている。ただ、航空行政あるいは国土交通行政に勧告をするという航空事故調査委員会の委員とすればいかがなものかというふうに思うのでございます。

扇国務大臣 いかがなものというのではなくて、私は、そういう人だからこそすばらしい報告ができると思いますし、また、出身の旧運輸省に遠慮して報告できないというような人では正確な調査委員ではないと思っていますので、本人の資質を見ていただければわかることだと思います。

武正委員 国会で同意人事といっても、なかなか委員の資質まで見れないのが正直でございまして、これについては、今議運の方でもさまざま検討がされているようでございます。

 さて、今回のこの事故発生後でございますが、羽田及び所沢に、大臣、副大臣、そして航空事故調査委員は行かれたのでございましょうか。

泉副大臣 このような事故、いわゆる危機管理安全関係の施策につきましては、扇大臣から私が命じられておるわけでございます。私が国土交通省を代表して、まず東京航空交通管制部に伺い、実態を見、私どもの思いを伝えさせていただき、国土交通省全体としてこの問題に対処するという大臣の方針を皆さんにお伝えし、さらに、しっかり元気を出して管制業務をやってほしいということを伝えさせていただきました。

 また、航空事故調査委員会からは、事故通報を受けまして、調査官七名を羽田の現地と申しましょうか、羽田の場所に派遣をいたしております。

 なお、先ほど先生は、二時の機長からの報告を待つまで動けなかったというようにおっしゃったのではないかと私は思いましたけれども、そうではなくて、航空局から事故調査委員会に、この事故の、調査委員会が活動する事件の概要を航空局が掌握いたしまして、直ちに事故調査委員会が活動するように連絡をし、事故調査委員会が活動を始めましたのはもっと早く、先ほどもおっしゃいましたように、調査官が八時過ぎに羽田に着いた、現地に着いたというのはそういう意味でございますので、念のために申し添えさせていただきます。

武正委員 先ほどの話に戻ってしまいますが、事故調査委員会の調査官が、八時半ぐらいというふうに伺っておりますが、既にそのときにはもう警察がフライトレコーダーを押収していたといって、立ち会えなかったということでございます。

 さて、今のお話で、副大臣が行かれたということで、二月八日というふうに伺っております。二月八日ということで、事故から、発生して八日目といったことでございまして、大臣並びに委員長、委員は行っておられないといったことでございます。

 やはり現場を見るのが非常に大事だというのは多くの皆様から指摘をされるわけでありますが、委員長さんお見えでございますので、委員さんが今回のこういった航空事故並びに異常接近について、特に航空事故でありますが、現場に行っていない、今日に至るまで行っていないという理由をお聞かせいただきたいと思います。

佐藤参考人 一月三十一日に発生いたしましたニアミスの件についてお尋ねだと思いますが、最初にちょっと言いわけめくのですが、私、実は二月の二十二日に初めて航空事故調査委員会の委員長の辞令をちょうだいいたしたという立場でございまして、ただいまのお尋ねにお答えするのにちょっと適当でない面がございます。

 今回の事故は大規模な墜落事故のような事例ではございませんために、航空事故調査を円滑に行うためには、口述の聴取でありますとか機体の損傷状況あるいは飛行記録装置の解読等の実務的な作業を円滑に進めることが重要であると考えております。これらにつきましては、事務局で集中して行うべきものと考えております。

 そういうことで、委員という立場の者は、大局的な立場でこの調査全般についての指示と方向づけを行うということで対応すべき事例であったと聞いております。そういうことでございますので、初動時には委員は現場には赴かなかった、そういうふうに聞いております。

武正委員 委員長はそのときにいらっしゃらなかったということなので、大臣、副大臣、いかがでしょうか、委員がまだ行っていないということについての御所見をお伺いしたいと思います。

泉副大臣 大臣と私の関係は先ほど申し上げたとおりでございますが、事故調査委員長が東京航空管制部に行かなければならない必然性があれば、当然委員長は行かれたと思います。しかし、今回の場合は、調査官を羽田に派遣して調査をさせる、そうした実態で十分原因究明ができるという判断をなさったからだと思うのです。

 ですから、事件の態様と申しましょうか、事件の内容によって、現場に赴く必要もございましょうし、赴かないままで十分な原因究明ができることもあるということで御理解をいただきたいと思います。例えば御巣鷹山の事故などは、まさに調査委員会そのものが現地に行って現地を見ていただくというようなことは恐らく委員の判断として必要になってくるのではないかと思います。

武正委員 先ほど来NTSBのお話がよく出るのですが、NTSBの委員が、ハマーシュミットさんという委員でございましたが、ハワイ・オアフ島でさまざまな証拠保全そして事情聴取を短期間のうちに素早く行いまして、今はもうワシントンの方に行って分析をしているといったことと比較をしますと、やはりこの航空事故調査委員は強い権限を持って現場に赴き、そしてしっかり指揮をとるといったぐらいやっていただかなければならない。

 先ほど大臣からは、事故調と航空局、二つに連絡するのはいかがなものか、かえって混乱するのではないかというようなニュアンスのお話がありましたが、私は、そういった意味では、やはり事故調が強い権限を持つといった独立性も含めてやらなければならない。それが、今の御答弁でも、こちらにいて指揮すればよいというようなことになってしまうのではないかな。事故調が強い権限を持ち、独立性を持ち、大変な専門的な能力を高めていく、そしてスタッフも充実する、アメリカのNTSBをある面参考にしながらそういった形にできれば、当然委員は一人は現地に行くといったことが必然的に起こるのではないかなというふうに考えるわけでございます。

 さて、時間も限られておりますので、次に移らせていただきます。

 この十年間、重大ニアミスは二十一件起こりまして、そのうち六件が米軍機、四件が自衛隊機、他国の民間航空機が五件といったことでございます。米軍あるいは自衛隊ということで、こういった異常接近の調査については、さまざまなかなか難しい点があるのかなというふうに感じるわけであります。特に米軍については調査の照会といったことにとどめているわけであります。やはりここは、航空事故調査委員会に強い権限を与えなければならないというふうに考える理由の一つであります。

 それから、トリアージという言葉がありますけれども、災害のときに、これは信楽のときに、正面衝突をされたそれぞれの客車の中で生存されていた方が、それこそ被害者の方の上から、圧死というのでしょうか、そういうような形で亡くなってしまったということも聞いております。現場に現地の消防署、救急車が駆けつけ、そしてその中で、どの方が生存し、あるいは病院へ運べば助かるのかという判断、選択をすることをトリアージというふうに言うわけであります。

 災害時の主体は地方自治体でありまして、地域防災計画も作成しているわけであります。また、災害医療の搬送は、例えば消防庁であったり、あるいはまた今度厚生労働省がドクターヘリを始めますし、あるいは広域の災害のときには自衛隊機も当然使われるわけであります。阪神大震災のときに、震災が起こった当日ヘリコプターで運ばれた患者さんはわずか一名ということが指摘をされ、災害時の救急医療、災害医療並びに搬送、こういったことが大変大事であるというふうに言われたわけであります。

 そういった点では、今のトリアージにつきましても、地方自治体あるいは複数の官庁との連携も必要であるということでありますし、また先ほどの、異常接近については米軍ともしっかりと調査について協議をしなければいけない、あるいはそれをしっかりと調査を行えるのかどうかといったことも含めますと、航空事故調査委員会の独立性ということを考えますと、複数の省庁にまたがっていくといったこともありまして、第二十一条の「勧告」についても、国土交通大臣のみの勧告ではなくて、これは複数の省の長あるいは独立行政法人の長、自治体の長並びに事業者にするべきではないか、このように考えます。

 また、国土交通大臣のもとに置かれております現航空事故調査委員会は、これだけ複数の省庁にまたがることも考えますと、総合調整的な機能も必要ですし、また先ほど米軍の話もしましたが、他国とのさまざまなやりとりも出てくるといったこともありますので、内閣総理大臣のもとに置くべきではないかということを考えるわけです。

 第二条を改正して内閣総理大臣のもとに置くということと、第二十一条の「勧告」、これを国土交通大臣のみではなく複数の省庁を含めた対象者の拡大、これについて大臣の御所見をお伺いします。

扇国務大臣 御質問がふくそう化していると思いますので、順次、二つについて分けてお答えさせていただきたいと思います。

 今おっしゃいましたように、調査委員会は国土交通省から独立した機関にするべきではないか。先ほどもお話が出ました。

 既に佐藤先生からのお話でお聞き及びのことと思いますけれども、少なくとも、事故発生時の通報、応急処置あるいは現場の保存等々、航空、鉄道、そして調査委員会があらゆる事故調査を適切に行うという意味におきましては、国土交通省の航空局あるいは鉄道局、海上保安庁、気象庁を初め、地方運輸局、地方航空局あるいは航空交通管制部、あらゆる国土交通省の機関の援助と協力が必要なことは委員もおわかりのとおりでございます。

 そういう意味では、常日ごろからこれらの機関との連携を密にするということがまず事故防止の大きな要因であろうと思いますので、国土交通省と完全独立するという、形は独立しておりますけれども、絶えず連絡はとるということのもとには、今の状況がなければ絶えず連絡がとれないということで、委員会が行う事故調査と国土交通省が行う事業者への指導あるいは安全基準の策定などの安全対策とが車の両輪として機能して初めて安全は確保されると私は思っておりますので、その点はぜひ、国土交通省に委員会を置くにいたしましても、少なくとも、委員会の設置法に基づきまして、私どもは、委員会の委員は独立してその職権を行うこと、また、委員の任命は両議院の同意を得た上で国土交通大臣が行うので、委員会の独立性や公正性の点で問題が生ずることがないと現段階では思っております。

 また、今、米軍や防衛庁とも多く絡むことから、事故側は内閣府に置くべきではないかという二つ目の御質問でございました。

 この二つ目の御質問に関しましては、航空・鉄道事故調査委員会と米軍との関係におきましては、米軍機と民間機との事故の扱いは日米地位協定にゆだねられているというのは委員も御存じのとおりでございますので、日本とアメリカの両政府間において協議するものでございます。

 また、委員会と防衛庁との関係におきましては、自衛隊が事故の当事者となり得るため、委員会は事故の関係者である防衛庁から報告の徴収を行うことができるということなど、公正、的確に事故調査を行うことが可能なんですね、今の状況ですと。

 そういう意味では、私たちは、航空・鉄道事故調査委員会は現行の航空事故調査委員会と同様に国土交通省に置くということが一番適切であり迅速であり、今度の経験を踏まえて、安全対策をとるには今は一番連携がとれる状況にあるということを申し上げたいと思います。

武正委員 勧告についてもお聞かせをいただきたいと思いますが。

 今の件については、厚生労働省あるいは地方自治体そしてまた総務省と複数の官庁にもまたがるといったことを指摘させていただきたいと思います。

 勧告についてお答えをお願いします。

扇国務大臣 ごめんなさい。三つ目が抜けていました。二つだと思って、失礼をいたしました。

 私は、複数の事業者あるいは地方公共団体へという御質問もございましたけれども、少なくとも、航空・鉄道事故調査委員会の任務というのは、先生も御存じのとおり、私も先ほどから申し上げましたとおり、科学的かつ公正な事故原因の究明でございますから、この委員会が事業者に対して直接勧告を行うということはかえって事故調査の客観性を保つためには支障を来すということもございます。

 そういう意味では、私たちは、事業者の監督、安全の指導を一体的に行う国土交通省が、航空・鉄道事故調査委員会からの勧告を受けて、これに基づいて総合的に対策を練るということとともに、安全対策基準の見直しあるいは事業者に対する指導監督、支援等々を一元的に行うということが事故の再発防止のためには最も効果的であると思っておりますので、今の体制が一番、私は現段階ではこれで十分に機能を発揮していると思っております。

武正委員 であるからこそ、事故調査委員会の独立性ということで必要であろうというふうに私は先ほど来お話を申し上げてまいったわけであります。

 この事故調査委員会の独立性ということで、もう一点は、内閣府設置法第四条、第六十四条を改正して、いわゆる三条委員会に格上げをすべきではないか、このように考えるわけであります。

 強い権限を持つべきだということは、日本ヒューマンファクター研究所長で元早稲田大学教授の黒田さんも述べております。この方は、航空事故調査委員会ができ上がるときに、兼務として前身である航空事故調査課の専門調査官もやっていたということなんですが、読みますと、やはり、「「予防安全」です。要するに事故が起きないことです。事故調査委員会とかそういうものは、我々は「墓標型安全」と言っています」「独立、中立、公正」「その結果を持っていく先は、各縦割りの省庁の話よりも、もっともっと大きな話であって、しかも国民全体に関連する問題です。とすれば、いったいどこにそれができる能力、権限があるのか。」といったことでありまして、その権限を、やはり三条委員会というような形で強い権限を与えるべきだ、かように考えますが、これについても御所見をお願いいたします。

泉副大臣 事故調査委員会の中立性あるいは公正さということにつきましては、先ほど来大臣からも御答弁申し上げましたように、十二分に担保をされておる。そしてまた、現在の事故調査委員会に何らかの不足する部分があるかどうかという点でございます。

 先生御指摘の三条委員会にすればそれがカバーされるのか、八条委員会ではそれが十分補えないのか、こういうことであろうかと思います。

 三条委員会は、申すまでもなく、準立法的な権限を持っておるもので、独自の規制あるいは告示等を出せる、あるいは準司法的な権限を持っておる、調停、仲裁あるいは裁定等を有する行政機関ということになると思います。

 八条機関の場合は、いわゆる事故原因究明等を行う場合には、公正、中立な合議制機関でその目的が十二分に達成されるという考え方でございまして、八条機関のままで今日の事故原因は究明できると考えておるところでございます。

武正委員 私は、この二十一条の改正で、勧告のみにすべきだというふうに考えております。

 現法では、改正法では、建議という言葉が出てまいります。この建議という言葉を引きますと、審議会等の諮問機関が行政機関に対して意見を申し出ることということで、まさに八条委員会ということで建議という言葉が使われております。一方、勧告は、ある事柄を申し出て、その申し出に沿う行動をとるよう勧めまたは促す行為ということで、非常に強い上からの命令的なものと私は考えております。

 建議ということは、また別な形では、下から上に物を申すといったこともあるんだということを聞いておりまして、こういった建議という言葉が出ているというのは、やはり八条委員会ゆえにこうして出てきてしまうというふうに伺っている次第でございます。

 こういったことも含めて三条委員会にすべきであろうといったことを申し述べまして、次に移らせていただきます。

 本来ですと、えひめ丸の事件についてお話をお伺いしたかったんでございますが、ちょっと時間がかなり押してまいりました。

 これは私の意見のみを申させていただきますが、先ほど来お話が出ておりますように、航空、鉄道に加えまして、大臣も午前中申しておりましたアメリカのNTSBが理想なんだということでは、やはりこの海難、そしてハイウエーなどを含めて、特にこの海難は含めていくべきではないかなというふうに考えております。

 今回、このアメリカ・ハワイ・オアフ島につくられました現地の対策本部に海上保安庁、海難審判庁がやはり行くべきではなかったのかな、私はこのように考えております。これが航空事故調査委員会に海難が入っていくべき理由の一つなんでありますが、例えば、アメリカのコーストガードと海上保安庁は大変な連携をとっている、並びに海難審判庁は、もちろんいわゆる刑事的な面もありますが、やはり再発防止といった観点があるといったことで、事故を認知したときには、旗国主義でありますから、えひめ丸に対する調査ができるといったことであります。

 こういったことを含めて、この航空事故調査委員会にはやがて海難も含めていくべきではないかなということを意見として申し述べさせていただきます。

 今回、さまざまな航空事故並びに鉄道事故について改正を申し述べてまいりました。この修正案につきましては、既に理事会で野党四党の方で今協議が始まっておりまして、まず一つが、内閣総理大臣のもとに置くべきこと、そしてまた、三条委員会にすべきこと、並びに勧告については、先ほども話がありましたが、広く勧告をしていくべきこと等、これを今検討中でございまして、きょうはその点についてこうして質問をさせていただいたわけでございます。

 それで、最後に、やはり事件の風化をいかに防ぐかといった点が大変大事だと思っております。例えば、御巣鷹山での事故でございますが、圧力隔壁は今羽田の方で日航の社員の方の安全教育のために使われていると聞いておりますし、身元不明の遺品も羽田のビルに保管をされていると伺っております。

 一方、信楽鉄道の事故車両は事故後十カ月後に解体をされてしまいました。TASKということで、鉄道安全会議の皆さんは何とかその車体を残してくれるように要望していたわけですが、その車体は解体をされてしまったといったことでございます。

 八・一二ということでこの御巣鷹山の事故でございますが、このときに、この形をやはり何としてもとってほしいといったことをさまざまな方が言っているわけでございます。

 さて、かなり量も多かったものですから、一点大事なところをちょっと飛ばしてしまいまして、これを最後に質問をさせていただきます。

 報告書についてでございますが、午前中から、なかなかこの報告書はすぐには出せないのだよというお話がありましたが、この報告書について、速やかに報告をしてほしいというのが家族の方、関係者の方の偽らざるところでございます。

 これが、信楽鉄道のときには十二ページであり、時間を要してしまったということでございまして、NTSBが、一カ月でまず事実を公開する、そして報告書が九カ月から十二カ月といったことで報告を出しているのに対して、信楽では、一年七カ月後に報告書が出、そして二年五カ月後に民事裁判を起こし、五年五カ月で判決、八年を要したわけでありまして、この家族の方からすれば、わかったことを速やかに教えてほしいといったところが正直なところだと思います。

 信楽鉄道のときも、これは先ほどの鉄道安全会議が作成をしている文書に書いていたのですけれども、

 事故直後の次のような報道は、いたずらに事態を混乱させるだけのものでしかなかった。すなわち、なぜ誤出発検知装置が機能して、小野谷信号場の下り出発信号機は赤にならなかったのかという疑問に対して、県警の捜査本部筋の情報として登場してきたのが、上り列車が信楽駅を出発する前に、JR下り列車は小野谷信号場を青で通過していたのではないかという仮説であった。

ということであります。中略になりますが、

 この記事はのちに判明した事実に照らすと、誤報とはいわないが虚報であった。これらの報道に接した遺族をはじめとする国民は、これらの情報に振り回され、必要以上に心理的不安をつのらせる結果となった。

このように書いております。

 事故後速やかに判明した事実を公表する、そして一年を限りとして調査報告書を出す、一年でわからない部分は当然その後にただしていただくということが、事故報告書あるいは報告について、事実の公開、あくまで事実でありまして、分析結果とかそれについてのさまざまな再発防止の観点とか、そういったものは報告書のときに一括するといったことで、今出されております政府案、第二十条の改正を行うべきではないのか、かように考えますが、これについて御所見をお伺いします。

泉副大臣 先生も十分その報告の難しさということを御理解いただいた上で今のような御意見を出していただいたと思います。

 私どもは、やはり事実というものを本当にきっちり確認をさせていただいた上でなければ、報告書は、仮に中間報告であれ出すべきではない、このように考えております。御自身、御指摘いただきましたように、その結果が誤った結論を導くことになりかねません。したがって、二十条に書いてありますように、経過については途中で報告をさせていただくことはやぶさかではございません。

 そしてまた、事故原因の究明については、一日一刻を争う大変重要な問題でございますので、御指摘をまつまでもなく、できるだけ早く結論を取りまとめて御報告をさせていただきたいと思います。

 なお、信楽鉄道のことについて御指摘がございましたが、このときには、国土交通省、旧運輸省はそうした事故解明の委員会等を持ち合わせておりませんでしたので、同列で議論をしていただくことについては若干私どもにとっては不都合があることを申し添えさせていただきます。

赤松委員長 もう時間が終わっていますよ。

武正委員 それでは、最後でございます。

 そういったことで、しっかりと取り組んでいっていただきたいということで、我々の修正案のことについて質疑を行わせていただきました。ありがとうございました。

赤松委員長 瀬古由起子君。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 まず、お伺いいたします。

 我が国が批准している国際民間航空条約、ICAOの第十三附属書は、航空機事故及びインシデント調査についてその基準を明らかにしております。また、同調査目的では、事故またはインシデント調査の唯一の目的は、将来の事故またはインシデントの防止である、罪や責任を課するのが調査活動の目的ではないと述べております。

 我が国の航空事故調査委員会設置法もこのICAO条約第十三附属書に基づき設置されたものであると考えますが、いかがでしょうか。

中島政府参考人 航空事故調査委員会設置法の第一条の目的に、「この法律は、航空事故の原因を究明するための調査を適確に行なわせるため航空事故調査委員会を設置し、もつて航空事故の防止に寄与することを目的とする。」このように書いてございます。

瀬古委員 ICAO条約の第十三附属書に基づき設置されたものですねというふうに聞いているのですが、いかがですか。

中島政府参考人 航空事故調査委員会設置法の第十五条の一項に、「委員会は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方式及び手続に準拠して、航空事故調査を行なうものとする。」このような規定がございます。

瀬古委員 今読んでいただいたように、文字どおりこの十三附属書に基づいて設置されたものだという位置づけでございます。

 同条約、事故調査当局は調査の実施に関し独立性を有し、かつ制限されない権限を有すると述べておりますように、委員会は、活動の独立性にとどまらず組織の独立性も求めております。

 同条約に基づき設置された委員会の設置目的は、先ほど言われたように、事故原因の科学的究明と、再発防止に万全を期することができるような機関にすることが条約の要請でございます。この要請にこたえるためには、航空事故調査委員会は組織的にも独立性を確保するためには、だれが同委員会の人事や予算を立案するのか、これが決定的になってまいります。

 我が国の事故調査委員会は、人事や予算について、先ほど来出ておりますように、十分独立性が担保されているようなお話もございましたが、実際には、この委員会の活動の独立性や中立性を確保するためにどのような具体的な措置を行っているのでしょうか。特に人事、予算の面です。お聞きいたします。

中島政府参考人 予算につきましては、国会の承認を受けた範囲内において努力しているところでございます。また大事故等につきましては、その都度必要な予算措置を講じているところでございます。

 人事面におきましては、事故調査のさまざまな分野にわたって高度な専門知識が求められます。このことから、航空の操縦、機材、無線、運用、管制の各現場において十分経験を有し、知識を有する者が調査官になってございます。

瀬古委員 そういうように聞いているわけじゃないのです。予算が、国会の承認を得てその範囲内で使われるのは当たり前のことなんですね。そうではなくて、国土交通省の予算、それから国土交通省の定員というものが決まっていて、それ以外に、委員長がどうしてもこの予算が必要ですといった場合には、当然、文句なしに、予算は国土交通の枠にとらわれずどんどん出していただけるものなのか、また人員についても定員の枠外としてきちっと位置づけられているものなのか。その点、その担保はいかがですか。

中島政府参考人 先ほども御説明をいたしましたけれども、予算では国会の承認を受けた範囲内において努力しているところでございまして、また大事故等につきまして、その都度必要な予算措置を講じているところでございます。

瀬古委員 全然私が言った答弁になっていないですよ。ちゃんと独立性を担保しなければならないといってICAOの条約の中に位置づけられていますから、では、それにふさわしく、ちゃんと予算についても人員についても位置づけられていますかと私は聞いているのです。

 そして、実際には予算の範囲内とか必要な範囲というなら、国土交通省の一部局で少しはふやしましょうよという程度の話では、このICAOの条約の位置づけではないという点が明らかだと思うのですね。

扇国務大臣 今聞いておりまして、私が答えるのは僣越かもしれませんけれども、事故調の話ですので、国土交通省のことなので、一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 予算面では、国会の御承認をいただいているのは先生も御存じのとおりでございます。けれども、私たちは、あるいは予想してはいけないことですけれども、もしもの大事故等については、その都度必要な予算措置を講じてきておりますし、また、その必要があれば講じるというのが私どもの役目でございますので、その点では、今までどおり私たちは応急処置を、あるいは大事故につながるときにはその都度予算措置を講じていることだけは御認識賜りたいと思います。

 人事の面におきましては、先ほども委員とやりとりしておりましたので御存じのとおりであろうと思いますけれども、大事なことでございますので、事故調査のさまざまな分野にわたって高度の専門知識を必要とするというのは先ほどから申しておりますが、操縦だとかあるいは機材、無線、運用、管制、各現場におきまして十分な経験を有する人ということで、その機能を果たす人たちを調査官にお願いしているところでございますので、そういうことだけ。私が答えてよかったのかな、済みません。

瀬古委員 今のお答えも私が聞いているのとずれておりまして、要するに、独立性が保障されているようにちゃんとなっているのかと聞いているのです。国土交通省で優秀な方がいっぱいいらっしゃって、その人材の配置がちゃんとされているという程度だとそれは今のお話にもかかわる問題で、私が言っているのは、もうちょっときちっとICAOの条約に基づいた独立性が人事の面でもそして財政の面でも要りますよということを言っているので、全然お答えになっておりません。

 次に進めさせていただきます。

 去る一月三十一日に起きた日航機のニアミス事故について質問いたします。

 今回事故が生じた航空機が羽田に到着して、まだ負傷者が運び出される前に機長に対する警察の事情聴取が行われました。機長は、負傷者を含めて乗客が機内を離れるまで全責任を負っているわけですね。ところが、その機長の責任が十分果たせないまま事情聴取に縛られてしまった。

 また、機長の義務として、異常運航についての機長報告だとか異常接近の報告を国土交通省に提出する。これは先ほど、出されたと言われますけれども、これはめちゃくちゃおくれたわけですね。警察の捜査によって後回しになって報告がおくれるという事態になったわけです。何でこんなことになるのでしょうか。

深谷政府参考人 去る一月三十一日に発生しましたニアミス事故の件につきましてのお尋ねでございます。

 今回、ニアミスによります航空事故を起こしました九〇七便が羽田に到着後、すぐに警察の方が立ち入って事情聴取を行ったということなのでございますけれども、これはこれで、刑事訴訟法に基づきまして犯罪捜査を行うという責務が警察にはあるわけでございます。いわば別の公益を図るために事情聴取を行ったのではないかというふうに思うわけでございますが、そのことをもって直ちに御指摘の、航空法に規定しますところの機長の責務が阻害されたというふうには必ずしも言えないというふうに考えております。

 なお、飛行中に負傷者が発生したような場合の措置につきまして、これは先生御指摘のように、日本航空におきましても、運航規程の附属書の中で、機内で傷病者が発生した場合における救急車の依頼等、地上への連絡方法でございますとか、操縦室と客室の連携等、こういったものにつきまして種々定めるとともに、客室乗務員に対しましては救急医療についての訓練を受けさせているところだと承知しております。

 負傷者の救護活動、今回の事案につきましての救護活動は適切かどうかにつきましては、航空事故調査の中でつまびらかにされていくものだと思いますが、当日の状況につきましては以上のように認識しております。

瀬古委員 機長はけが人がいるのにそれを放置して、片や警察がどかどかと入って聴取をとる。そして、私聞いてみたのですけれども、その事情聴取も、余り緊急性を要しないようなことばかり警察は聞いているわけですよ。

 一方は、けが人が出ていて何らかの対処をしなければいかぬ。機長が全部責任を持っているんですよ。そんなことは放棄してよろしい、警察がやっているならそれを先に優先しなさい、そういうお考えなのですか。こんなことが許されるのですか。その態度が正しかったかどうかというのは、後の、調査委員会なりのそれにゆだねるのですか。機長としては、先にまずけが人や病人を運び出すのは当たり前じゃありませんか、警察はちょっと待ちなさいと。後で国土交通省がそれを知った場合には、それは不適切だったというのが感想として当たり前なのに、こんなことを許したら、これから事故が起きて、もしこういう病人が出たりけが人が出ても、まず警察を先に優先させるなどということがまかり通ったらどうなりますか、こういう航空機の職場で。こんなことが許されるんでしょうか。

 大臣、いかがですか、今の答弁。私は今の答弁は絶対許されないと思いますよ。

赤松委員長 深谷航空局長。

瀬古委員 大臣、どうですか。大臣に聞いているんです。いえ、もう私はあなたの考えを聞きましたから。大臣に聞いているんです。大臣、言ってください。いいです、いいです、もう。いや、訂正ならいいですよ。

赤松委員長 一言。

深谷政府参考人 先ほど申し上げましたように、警察の方は別な公益目的でもって初動に入られたのだと思いますので、私どもとしましては、それをもって機長の責務が直ちに阻害されたとは思っておりません。

瀬古委員 公益って、当たり前ですよ、あなた。遊びで聞いているわけじゃないんです。一方ではけが人が出ているわけですから。それでも公益だから仕方がないと。こんな姿勢だから問題なんですよ。本当に、航空機の事故の問題でも平気で警察が入り込んだってどうぞどうぞという、こういう態度だから今問題になっているんです。だからこそ事故調査委員会がきちんとした対応をしなきゃ、こんな対応をしているから、もうこれにも端的にあらわれていますよね。

 では、次に行きたいと思うんですけれども、国際民間航空条約、ICAO条約では、事故調査と警察、刑事捜査の関係はどのように位置づけているんでしょうか。

泉副大臣 ICAO条約の第十三附属書、先生御承知のように、事故またはインシデント調査の唯一の目的は、将来の事故またはインシデントの防止であって、罪や責任を課すのが調査活動の目的ではない、このように定められております。

瀬古委員 さらに、ちょっとわざわざ抜かされたのかどうかわかりませんけれども、事故調査当局は、独立性を有し、かつ制限されない権限を有する、そして五・四・一勧告では、「罪や責任を課するためのいかなる司法上又は行政上の手続きも、本付属書の規定に基づく調査とは分離されるべきである。」と明確にここに述べております。

 要するに、事故調査と刑事上の調査、こういうものについては明確に分離しなきゃならぬ、最初からごちゃまぜにしたらいかぬぞということが明確にこの中に書かれているわけですね。

 では、なぜICAO条約がこの分離という問題について明確にしていると思われますか。

泉副大臣 これは、今読み上げられましたように、きちんと本来から別にすべきだ、原因究明は全く原因究明の、技術的であり、また仕組みの検討をすべきであるということでございまして、司法の方は、いわゆるどこに罪があるかということを見るわけですから、当然別建てでいくというのは当たり前のことだと私どもも理解をいたしております。

瀬古委員 そのとおりだと思うんですね。目的はもう全然違う。

 それで、実際には、刑事で見る場合は、だれが犯人かというか、最後の一撃をだれがやったか、やはりこういう犯人捜しになるわけですね。事故調査が同じようなやり方をやった場合には、自分がしゃべったら、そのことが後で懲戒だとか民事だとか行政だとか、そういうものに不適切に利用される可能性がある。そうすると、こういうものは、本当はここが事故の原因じゃないかと思っても、ちょっと言ったばかりにそれが自分の刑事責任を問われるということで、もう言わなくなってしまう。

 そういう可能性もあるので、事故の調査という点では、やはり徹底してこれは再発防止のためにやらなきゃならぬという点で、この刑事事件の捜査とそういう事故調査というのは、本当にもう口を酸っぱくしてというか、明確にこれを分けなきゃならぬのだということを何度も何度も言い続けているわけなんです。

 ところが、このことについてちょっとお聞きしたいんですけれども、実際に、先ほど出てきましたように、警察が先に現場へ行って、ボイスレコーダーもみんな持っていっちゃう。それで、後からそれを返してもらったり、あるときには、警察は持っていったって余り分析できないので、事故調査委員会にお願いしますと持ってくるみたいな、そういう関係が日本ではあるわけですね。

 外国では、アメリカなんかもそうですけれども、例えば、警察が来てもそんなのは持っていったりさわったりしないわけです。あくまでも、現場保存ということを警察がやって、事故調査委員会が来るのを待っているわけですね。確かに日本の事故調査委員会は体制も不十分です、アメリカなんかと全然違いますから。

 たまたま今回は羽田であったので、そこへ行きやすいとかいろいろありますけれども、実際には、例えば郡部や東京から外へ、違うところへ落ちた場合には、ではすぐ行けるかというと、そういう体制もない。そうすると、警察がばばっと行って、全部押さえちゃって、日比谷線のあの事故なんかは、レールまで持っていっちゃって、後で検証しようと思ったらそのレールがなくて、本当に事故の原因までどうなったかわからなくなってしまう。こういう行き過ぎた警察のやり方が本当にまかり通っているわけです、日本の場合は。本来明確に分離しなきゃならぬというふうに条約でなっているのに、我が国の場合は常に合同で、それは話し合うということもあるかもしれませんが、すべて警察優先で、後から事故調査委員会がくっついてくる、こういうパターンになっているわけですね。

 具体的に、何でこうなっているのかということについてお聞きしたいんですけれども、これは先ほどもちょっと出てまいりましたように、警察と旧運輸省との間に覚書というものが交わされているわけですね。これは警察庁長官と運輸事務次官との間で取り交わしたものなんですけれども、私もう具体的に見てびっくりいたしました。

 例えば、捜査等への協力というのがあります。「処分が捜査機関の行なう犯罪捜査と競合しない場合を除き、あらかじめ捜査機関の意見をきき、当該処分が犯罪捜査に支障をきたさないようにするものとする。」捜査上の協力というのは、あらかじめ捜査機関の意見を聞かなきゃならぬ、こういうように覚書になっているわけです。

 それから、鑑定依頼の問題について見ますと、「捜査機関から航空事故調査委員会委員等に対し、航空事故の原因について鑑定依頼があったときは、航空事故調査委員会委員長等は、支障のない限りこれに応じるものとする。」こうなっているんですね。

 要するに、一々、事故調査委員会が処分するために捜査機関にお伺いを立てるとか気を使いながらやらにゃいかぬというふうになっているわけですね。そして、捜査機関からの鑑定依頼に調査委員会がこたえるというその連携がはっきりすれば、警察が押収したものを、これが将来事故調査委員会に行くいろいろな証拠が事故調査委員会と警察との間でやりとりされるということになりますと、そうすると、結局、事故関係者が証言にもある意味では慎重にならざるを得ない、もう常にそれでつながっているということになれば、こういう点では、やはり慎重にならざるを得ないという状況を生み出してしまうわけですね。明確に分離というICAOの条約に抵触している。

 こうした覚書が、例えば今回の事故で、操縦席に刑事が飛び込む、機長の業務を妨害する、そして、事故再発防止の調査を本来なら本格的に事故調査委員会はやらないといかぬのに、警察が根掘り葉掘りと余りすぐに急がなくていいようなことを聞いて、けが人がいるのもほったらかしにする、こんな事態を生み出しているんじゃないかというふうに思うんですけれども、こういうICAOの条約に抵触しているということにならないでしょうか。いかがですか。

扇国務大臣 今、瀬古先生、何度も力を入れて、力んでおっしゃいましたけれども、私たちは事故があるたびに冷静に判断をしなければならないというのが一番大事なことでございまして、今力んでも事故がよくわかるわけじゃございませんので、私たちは冷静に判断をし、また今先生がICAOに違反しているのではないか、分離しろとおっしゃいましたけれども、航空事故の調査というものは、今先生がおっしゃったとおり、先ほどからも、佐藤先生から午後の委員会でお話がございましたように、私どもは、ICAOの第十三附属書に基づきまして、採択された標準あるいは方式及び手続を遵守して行っているということをぜひ御理解いただきたいと思います。

 事故調査委員会というものは、事故の原因を究明することによりまして、少なくとも今後の事故の防止に役立つための事故調でございますので、そういう意味では、先生がおっしゃったことを冷静に事故調は判断し、先ほど、警察が先に乗り込んでみんな持っていっちゃったじゃないかとおっしゃいましたけれども、それも事故調が必要なときには必ず調査できるというのが、すぐ手に戻ってくるということも条件でございます。警察が取り上げて事故調に渡さなかったわけでもございませんので、その点は、先ほどもお話し申し上げたように、御理解賜って、事故調はきょうは全部来ておりますけれども、きちんと調査をし、そして再び事故が起こらないようにするための事故調を、メンバーもすべて国会で御承認いただいて、そして冷静な判断をしながら、調査の結果を報告するということになっております。

 また、今、分離に違反しているじゃないかとおっしゃいますけれども、これは少なくとも両者の活動を調整する必要があるということで、この附属書におきましても、司法当局との調整の必要性が記されております。

 そういう意味では、運輸省、今の国土交通省ですけれども、警察との覚書というのは、それぞれの調査を円滑に実施するために締結されたということで、お互いにお互いの特徴を生かしながら調査をするというのが、このICAOの条約を遵守しているということで、ICAO条約に反しているということにはならないことを御理解賜りたいと存じます。

瀬古委員 大体、冷静にと言ったって、片やけが人が出ているのに平気で、機長が自分の責任を果たせない状態になっているのに、延々と警察の捜査を受け続けようなどという、こういう冷静さは本当にいかがなものかというふうに思うわけですよ。こんなことについて本当に許せるのかというふうに私は思って、さっきお話ししたわけです、強調したわけです。

 それと同時に、警察、司法との調整というふうに言われましたけれども、大臣、ICAOの条約の精神、条項ももっとよく読んでいただきたいと私は思うのです。

 これは、調整してはいけないのです。調整することによって、事故調査とそれから警察の捜査、警察の捜査というのはだれが犯人かというのを調べる調査ですから、それが一緒くたになることによって、実際には本来事故の原因を究明しなきゃならない、証言してもらわなきゃいかぬ人たちまでも、疑心暗鬼になって、そんな裏で一緒になっているということがわかれば、だれも証言できなくなる。

 そういう点で、この条約というのは、明確に初動の段階から分離してやらなきゃならない、下手に調整なんかしてはいかぬということになっているわけですよ。

扇国務大臣 先生がおっしゃるとおりだと思うのですけれども、ただ、その場合、この細目に関しましては、事故の調査と犯罪の捜査、両方ございますけれども、これが競合するという場合におきまして相互の調整を図ることを目的に、覚書に基づいて締結したということでございます。それぞれの調査を円滑に実施するために締結した覚書の目的を達成するためのものであって、覚書と同様にICAOの条約の精神と反するものではない。それは申し上げられると思います。

瀬古委員 いかに反するかということをさらに詳しくお話ししてみたいと思うのです。

 例えば、覚書の後で細目というのが結ばれておりますね。それについても、「目的」にこういうふうになっています。「都道府県警察が行なう犯罪捜査と航空事故調査委員会が行なう事故調査が競合する場合において、相互の調整を図ることを目的とする。」はっきりと調整ということを言っています。

 本来これは、調整というのはあってはいけないのです。

 例えば外国の場合に、分離して調整をやるという場合、どういう場合かといいますと、例えば、明確に犯罪によって航空機事故が起きた、だれかが爆破したとかそういう場合、警察は当然調査する、捜査するということはあり得るわけです。そのときにも、では、何を差し押さえるかということは、あくまでも事故調査委員会が優先なんですね。日本みたいに、事故調査委員会が来る前にさっさと全部証拠物を持っていくなどということはないわけです。あのえひめ丸の事故の問題でも、地元の警察は、現場保存、そこを中心にやって、事故調査委員会が乗り込んでいく、こういうシステムになっていますから、やはりそこはもうちょっとけじめをつけてやらないと、こんなことを平気でやっていたらますます独立性の問題が疑われるわけですね。

 そして、実際に私たちはこうやってちゃんと分離してやっていますと言っても、どうも怪しいなということになって、本来の事故再発防止という大事な問題が本当に抜けていくという点をもっとしっかり見ていただかなきゃならないと私は思います。

 細目の問題でも、例えば関係者に対する事情聴取と質問、事情聴取というところがあるのですけれども、警察は、委員会が事故航空機の乗組員あるいは客室乗務員から速やかに報告を徴し得るように図るものとすると。要するに、事情聴取は警察の便宜によって行うということが明確に書かれております。

 それから、関係物件の押収と留置の問題なんですけれども、この項目では、「航空事故現場にある関係物件のうち、警察及び委員会の双方がそれぞれ押収又は留置を必要とする物件については、原則として警察が刑事訴訟法の手続きに基づき押収するものとする。」警察優先ですね。これも本来あってはならないことなんですね。

 このように、覚書もそうですけれども、細目についても、事故調査と刑事捜査の明確な分離を規定したICAO条約違反になるのは明確なんですね。

 日本は、実はICAO条約の第一理事国で、本来この条約を一番率先して守らなきゃならない。ある意味では世界のお手本にならなきゃいかぬ国が、これもいい、あれもいいといって次々と事故の調査と警察の捜査と一緒くたにするみたいなことをやったら、本当に問題だというふうに私は思うのです。

 そこで、次の質問に行きたいと思うのですけれども、もちろん、日本の場合に事故調査委員会をどうしていくのかというのは、私は日本にふさわしい事故調査委員会のあり方というのがあると思うのです。

 例えばアメリカの場合は、NTSBなんかでいいますと、NTSBは完全に運輸省から独立して、議会にだけ報告の責任を持っている。そして、航空問題に精通した元乗員などを含めた人員構成にもなっていて、また現役で組織している組合にもこのNTSBというのは協力関係にあって、いつでも現役の人たちのノウハウを得ながら活動をしているわけです。

 そして、これはえひめ丸のときにも問題になりましたけれども、例えばソナーの問題についても、アメリカ海軍はアクティブソナーをなかなか備えつけない。NTSBは、備えつけなさいと勧告をやったら、それをやるまでずっとホームページを開設し続けて、参りましたというか、ちゃんと従いますと言ったらようやくホームページを閉じるという、それぐらい徹底しているやり方をとっております。今回のソナーの問題については海軍が拒否したという経過がありますけれども、しかし、かなり徹底してそういう強力な権限を持ってやっているという場合もあるわけです。

 日本の場合にはそこまですぐにいくかどうかという問題がありますけれども、少なくとも、やはり警察庁と旧運輸省で取り交わされているこういう覚書だとか細目、こういうものをもう一回見直すということが必要じゃないかと思うんです。

 きのう参考人の質疑がございまして、ここでも、今あるこの覚書、細目も、古い時代に警察がすべて調査をやっていたというか、事故調査委員会もなかったときにできた覚書ですので、その後で事故調査委員会ができた、そういう意味では、改めてもう一回見直して、そして警察の捜査と事故調査委員会の調査はどうあるべきかという、覚書そのものについてもぜひ新しい取り決めが必要じゃないかという提案がされていたんですが、その点いかがでしょうか。

泉副大臣 先ほど来、るる先生のお話を承っておりますが、この事故調査委員会は、御承知のように十五条で、ICAOの条約を受けてやるということをうたっておりまして、この精神には全く違反をしていないということでございます。責任追及と事故原因は分離して進めていくという原則は、現在の事故調査委員会の法律でも全くそのとおりだと思っております。

 また、このICAOの中で、先ほど来フライトレコーダー等のお話を先生は出されました。しかし、この条約の中に、フライトレコーダー及びその記録の保管に関する調査当局及び司法当局間の見解の不一致は、司法当局者がその記録を読み取り場所に持参し、その保管状態を維持することにより解決されるであろうというふうに、条約自体も、司法側がある程度こういう証拠物件みたいなものを持っておるということを想定して書かれておるということはぜひ御認識をいただきたいと思います。

 そして、お話にございましたように、警察庁と旧運輸省の間で結ばれましたこの覚書については、読み上げられたところだけを聞きますと、いかにも一方的な書き方になっておるように思われるかもしれません。しかし、そもそも、この一つの物件あるいは事故に対して、先生のお話ですと調整はまずいと言われますので、どう言ったらいいかわかりませんが、それぞれ独立した立場で原因究明をやり、また刑事的な立場で、司法的な立場で調査をやるというのをどうやってうまくやっていくかという観点に立って、この覚書、そしてさらに細目が決められておるわけでございます。

 今日まで私ども幾つかの事故を体験してまいりましたけれども、お互いに立場を尊重し、必要な調整をさせていただく中で、何ら不都合はありませんでした。したがって、今この覚書なり細目を変えるという意思は持ち合わせておりません。

瀬古委員 ICAO条約はちゃんと守っていると言いながら、実際にやっていることも、実際に取り決められている問題についても大変問題があるということで、私は、真摯な態度が本当に見られないなということを残念に思います。

 確かに、司法当局自身がいろいろな証拠物を持つということはあり得るわけですけれども、これだけ従属的に、司法、警察から、むしろ押収したものを調べてくださいよみたいな、そんなやりとりまでしているような国などというのは、本当に私はICAOの条約に入っている国であるだろうかと、やはり疑問に思います。

 そういう点では、少なくとも、覚書はもうこれで完全なんだ、すべて正しいんだ、これが何か理想的なんだみたいな、そういう言い方をされると、本当に私は恥ずかしいと思うんですが、時代に応じて変わらなきゃならないということだってあり得ると思うんですね。その点では全く変えるつもりがないのかどうか、その辺はいかがですか。

泉副大臣 時代の変遷あるいは技術の進歩の中で、見直すべきところがあるいは出てくるかもしれません。しかし、私は、先ほど申し上げましたように、今日までの事故調査の経験からしますと、両者がお互いに、必要なところは主張し、必要なところはまた譲り合うという立場で、今日までの事故調査に支障はなかったという現実からしますと、今この場で直ちに変えなければならないような箇所はない、このように思っておるところでございます。

瀬古委員 こういうやり方が実際に現場でどういう状態になっているかということ、時間があったら私もっと言いたいんです。

 例えば米子空港の事故では、これは八八年一月十日ですけれども、機長がその事故で八日間、八十時間もがんじがらめで事情聴取を警察から受けたとか、副操縦士の方では十日間、八十時間がんじがらめで、ともかく警察の捜査を受けるわけですね。十日も八日間もがんじがらめになって、後、事故調査委員会が来て、どうですかなんて、そういう異常な事態が起きているということを、私は、今の日本の事故調査のあり方について、本当に検討していただきたいというふうに思うんです。そういう点で、今後の課題として提起しておきたいと思います。

 時間がございませんので、次に行きたいと思います。

 我が国では、警察、検察捜査優先という立場があるために、情報が、ここがまた問題なんですが、非公開が原則というふうになってしまうわけです。そういう面では、何年も被害者、遺族が真相を知らされないままになっている。

 事故調査委員会の報告は、収集された資料、情報などは原則としてすべて公開ということが求められていると思うけれども、いかがでしょうか。特に家族への配慮という点でも、情報というのは、やはりきちんと、しかるべきときには公開するということが大事だというふうに思います。

 これは昨日の参考人質疑の中でも指摘されましたけれども、やはり国民の側から事故情報のアクセスを保障するという立場から、この事故情報の収集とか保存とか公開、こういうものに対する手続の規定、こういうようなやり方で情報を公開する、こういう仕組みが、規定が必要じゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。

中島政府参考人 今、公開するための事故調査手続規定をつくるべきではないか、こういうお尋ねがございました。

 今の件につきましては、国際民間航空条約十三附属書の中の五の十二、記録の開示というところがございまして、ここで、むやみに記録を開示してはならない、こういったことが書かれてございます。こういった十三附属書の規定にも従いながら対処すべき問題かと思っております。

瀬古委員 ですから、私は、何でもかんでも開示せよと言っているわけじゃないんです。しかし、実際には、本当に今の日本の事故調査のあり方が不幸にも警察、刑事優先という形になっているので、ほとんど非公開のままどんどん進められていくわけですね。そういう点では、せめて、途中でも、どうなっているか、事実だけでも知りたいという遺族や家族の声というのはあるわけです。だから、むやみやたらに私は公開せよとは言いませんが、せめて、何カ月たった場合には事実だけでも報告する仕組みをつくっていくとか、そういう声にやはりこたえるべきじゃないかと思うんです。

 それによって、私はむしろ、例えば事故調査委員会に対する透明性といいますか、やはり事故調査委員会が国民に開かれて、ある意味では、必要なときにはきちっと対応してくれる委員会だ、そういう安心感というか信頼感を、そういう手続的なものをつくることによってやはりつくることができるというふうに思うんですけれども、その点での検討を、きょうは委員長さんいらっしゃっているので、今後の方向として、そういう問題について御検討いただけないでしょうか。

佐藤参考人 情報公開とかいうようなことで、いろいろな動きが世の中でもございます。そういうところではございますけれども、これまでのところでは、今までやってきたやり方でやっていくよりないのではないかと考えております。

 その根拠になっております部分は、先ほどから出ております国際民間航空条約の第十三附属書の中に書いてございます扱いといったものを我々が守ってきているつもりである、そういうことでございます。

瀬古委員 えひめ丸の問題でも、NTSBの広報活動なんかを見ていただいたらよくわかると思うのですけれども、やはり適切なときには家族にも情報公開して、その都度その都度、もちろんいろいろな問題はありますが、そういう仕組み、手続、そして、例えば広報するにしても、だれもがべらべらしゃべるんじゃなくて、ちゃんとそういう広報スタッフも置いてきちんとやっているという面もあるわけですね。

 そういう点では、今までのやり方でいいなどと言われますと、何だか事故調査委員会だけがいつまでも取り残されたような雰囲気になってしまいますので、ぜひこの点は、例えば家族の方でも、自分の家族が亡くなったという場合には、何でこんな事故で亡くなったのかという思いがあるわけですね。どういう状況で亡くなったのかというのを知りたいというのは当たり前のことだと思うのです。少なくともそれに何らかの形でこたえていく。

 だから、私も、むやみやたらに全部公開せよと言っているわけじゃないんです。少なくとも、そのルールをつくって、公開の仕組み、そういう手続規定というのが必要じゃないか。何か、国土交通省や委員会の判断だけで、だめと言ったらもう全然だめみたいな、そういうやり方はちょっとおくれていると思うのですけれども、大臣、いかがでしょうね、そういう問題は。

扇国務大臣 今、情報公開のお話ございましたけれども、少なくとも現段階では、航空事故の原因は多種多様でございますので、あらゆる面から検討していかなければならないことです。

 事故調査委員会の独立性ということをきょうも多くの先生方からいただいておりまして、私たちは、その調査委員会の独立性を認めながら、なおかつ調査委員会の皆さん方がフリーハンドを持って調査していただけるように、そういう意味では、調査される対象になる人たち、あるいは原因の究明の適正化等々も考えまして、原因関係者の利益が不当に侵害されることのないようにすることは、調査委員会としてのまた違った意味での私は大事な責任であろうと思います。

 先生も今、すべからく公開しろとは言わないんだというふうにおっしゃいました。私は、調査委員会の報告の中で、また調査委員会から私どもに対しても、こういうふうにここを変えなさいとおっしゃることも、これは情報開示の一つでございますので、今瀬古先生がおっしゃいました、全部しろとは言わないのよ、でもできる限りはとおっしゃった、そういう意味は、いろいろな意味にとれますけれども、少なくとも、的確な事故調査をするためには、私は、関係者の人権とかあるいは利益が不当に侵害されないようにということも配慮しなければならないということは、先生も御理解賜っていることだと思っております。

瀬古委員 私が聞いているのは、手続の規定をつくったらどうかというのです。勝手に、これは情報公開しましょう、これはやめておきましょうと何かだれかが決めてやるんじゃなくて、例えば何カ月に一回は最低事実のこの部分は公表しましょうとか、いろいろな情報公開をやる場合の仕組みをつくったらどうかと私は言っているのです。それについては、どこまでやるのかというのは、それは当然いろいろあると思うのです。情報公開してほしいというふうに要望があった場合にはこういうように受け付けましょうという、そういう手続規定をつくったらどうですかと聞いているのです。どこまでもやれと言っているわけじゃないんです。

 そういう仕組みがなくて、ともかくじっと我慢で、いつ出てくるかわからぬような、そういう事態に家族や遺族が置かれているという問題については、やはり何らかの改善をすべきだと思うのですよ。その点いかがでしょうか。

泉副大臣 先ほど事故調査委員長がお答え申し上げましたように、基本は、ICAOの条約にのっとって処理をするというのは、日本の事故調査委員会も同じでございます。

 なお、再三のお尋ねでございます、御承知の上でお尋ねだと思いますが、委員会の二十条の第三項、これは、事故調査を終える前においても委員会が必要と認めるときは事故調査の経過についてと、こういうふうに規定してございますので、この中で、先生の御指摘のことがどこまで読めるか。

 我々は、事実関係を出すことが後々の最終結果に重大な影響を与えるおそれもあるということで、調査の経過について御報告を申し上げるということは、この二十条にのっとってやらせていただきますけれども、やはり限度があって、事態の中身について公にするということについては、現段階ではちゅうちょせざるを得ないところでございます。

瀬古委員 本当にわかっていただけないというのは残念ですけれども、要するに、何も全部出せと言っているわけではないのです。委員会が必要と認めるという場合でも、それは委員会の裁量なんですよ。

 そうじゃなくて、国民が知りたいという場合には、少なくとも、こういう手続でやって、この部分までは出せますよなどというのは、今、世界の流れは当たり前なんですよ。ところが、事故調査委員会だけは頑としてやらない、これはICAOの条約に基づいてだと。一方では、ICAOの条約に基づいてばんばん警察との関係を強めていて、一方では、外国ではICAOの条約に入っているところは必要な情報公開をやっているのに、日本だけはICAOの条約に基づいてやらないなんて、本当に解釈の仕方がめちゃくちゃだというふうに私は思うのですね。

 やはり、今、日本の国民のそういう心情に応じて新しいものをつくることによって、それでどれだけの人が情報公開をやってほしいと言うかわかりません。こういう仕組みがありますよということが、文字どおり、事故調査委員会が、国民の立場で働く、開かれた事故調査委員会になっていくというふうに思うのですね。こういう姿勢がなくて、いつまでも今までの形を守っているというのは、私は大変残念だというふうに思います。

 では、時間もございませんので、次に参ります。

 事故調査の専門家の養成と訓練の問題ですが、現在、事故調査委員会の調査官の在任任期の平均はどのようになっておりますでしょうか。

扇国務大臣 今、調べていらっしゃるようでございますから。

 平均、二年半でございます。

 失礼、一本間違えました。三年半でございます。失礼いたしました。

 それと、さっき先生がおっしゃいました、皆さん方が意見を、原因を聞きたがっているというお話がございました。私は、おっしゃるとおりだと思うのですね。関係者の皆さん方は少しでも知りたいと思っていらっしゃるというのはわかりますけれども、それは、少なくとも調査委員会で意見聴取会というのを開くことができるわけですね。私も今聞きましたら、その意見聴取会に関係者の皆さんも出て自分たちの聞きたいことも聞いていいんですねと言ったら、いいんですよとおっしゃいましたので、私は、そういう意味では、委員会の裁量によっていかようにも適用できるということだけは御理解賜りたいと思います。

瀬古委員 今まで意見聴取会を開くときは、大体ほぼ報告が固まって、最終的に皆さんどうですかという形で聞かれるわけで、そうじゃなくて、もっと家族や遺族の方が聞きたいと言ったときに、そういう手続的なものをぜひつくってもらいたいということなので、今大臣が言われたのとはちょっと違うのです。

 それから、専門の調査官の在任任期、三年半ということなんですけれども、やはり事故調査というのは、それぞれの分野、いろいろな分野の専門家がありますけれども、事故調査の専門家でなきゃならないという点では、ある意味ではかなりの訓練というのが必要なんですね。ところが、さっき言われたように、大体三年半でくるくる回っていくという国土交通省の人事になっているという点でも大変問題だと思うのですけれども、その調査官の事故調査の専門家としての養成とか訓練というのはどういうようにされているのでしょうか。

中島政府参考人 まず、調査官の構成につきましては、操縦、機材、無線、運用、管制の各現場において十分経験を有し、知識を有する者から勤務してもらっております。

 勤続年数につきましても、七年以上の者三名、五年以上の者二名、三年以上の者五名となっておりまして、この間に、外国での研修等により調査官の資質向上にも努めているところでございます。

瀬古委員 外国での研修に行かれているというのは、もう外国のそういう調査委員会などはどんどんやっているわけで、それはそれで大事だと思うのですけれども、例えば日本でいうと、今度イギリスの専門の学校へ一人行かれたそうですけれども、もう数といいますか量といいますか、やはりもっとどんどん訓練をしてやらなきゃならないと思うのです。しかし、とてもこれでは間に合わないという問題があるので、いろいろな方がそういう分野にいらっしゃるわけで、そういう人たちの活用をどうするかということももっと考えるべきだというふうに私は思うのです。

 特に、ICAOの条約の航空機事故技術調査マニュアルの中に書いてあるのですが、技術調査官の資質として、航空機事故技術調査は非常に専門化された仕事で、事故発生時に航空専門知識を持った人を技術調査官に指名するのでは十分ではないと書いてあるのですね。事故調査に充てられた技術調査官の水準が調査結果の完全さと程度を決めるが、このことは航空の分野では他のいかなる分野におけるよりも著しい、また、適任の人が長く勤めるほどより専門家になるものだというふうに書かれていまして、そういう点では、国土交通省の異動の範囲内での在任のあり方も問題なのですけれども。

 同時に、昨日の参考人質疑の中にもありましたが、調査実務には、国土交通省の人事異動や定員法に縛られることなく、高度の専門性を持った航空従事者、今後は鉄道従事者も含めてなのですけれども、事故調査に精通したこういう従事者を専門委員または専門委員に準ずる者として配置する必要があるのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

中島政府参考人 まず、先ほどの事故調査官の研修の件でございますが、もう少し敷衍をさせていただきますと、まず教育訓練につきましては、新任の航空事故調査官に対し……(瀬古委員「済みません、もう時間がないので、最後の、専門委員の採用のところだけで結構です」と呼ぶ)専門委員として、専門的な知識経験を有する中立的な立場の者であることが必要でございます。これまでもそういった運用をいたしております。

瀬古委員 時間がございませんので、次へ参ります。

 事故報告書が作成された後、新たな事実が明らかになる、また調査の手法や手続の点で異議が生まれるなど、再調査が必要になる場合がございます。今まで、再調査の要求が出された件数、またそのことによって調査をされた例はございますでしょうか。委員会、いかがですか。

中島政府参考人 再調査につきましてお尋ねがございました。

 再調査の要望の件数につきましては、統計はとってございませんけれども、国際民間航空条約第十三附属書に従いまして、調査終了後に新しくかつ重大な証拠を入手した場合には調査を再開することとしておりまして、今まで再調査を実施した事例は次の一件でございます。

 平成元年四月六日、札幌飛行場を離陸して女満別空港に向かったパイパーでございますが、機長ほか二名が搭乗し、行方不明となった事故でございます。

 委員会におきましては、平成二年十二月まで調査を行い、行方不明機として、同月調査報告書を公表いたしました。平成四年四月八日、北海道富良野市の山中の斜面に衝突していた同機が発見されまして、委員会は調査を再開し、原因を推定し、平成五年三月、上記の報告書を改訂して、新しい報告書を公表いたしました。

瀬古委員 昨日の参考人質疑で出されました石垣事故、新しい証拠発見による再調査を要求したけれども、関心がないとして拒否をされた、それは事実でしょうか。また、なぜなのでしょうか。

 それから二つ目に、日航機の一二三便、これについての新しい証拠が明らかになって、再調査の要求が出ております。この点についていかがでしょうか。再調査の可能性はどのように考えていらっしゃるでしょうか。

中島政府参考人 石垣空港における事故についてお尋ねがございました。

 御指摘の事故は、昭和五十七年八月二十六日に石垣空港で発生し、昭和五十九年十一月二十二日に報告書を公表いたしております。

 再調査につきましては、先ほど申し上げましたように、国際民間航空条約第十三附属書に従って、新しくかつ重大な証拠の入手が必要と考えておりますが、事故後かなりの年数が経過しておりまして、再調査をめぐってどのような経緯があったのか判然としておりません。

 それから、日本航空の一二三便の事故の関係でございますが、これにつきましては、新しく重大な証拠を入手しておりませんので、再調査につきましては考えておりません。

瀬古委員 最初の石垣の事故の問題についても、具体的な事例も出して再調査の要求がされているわけですね。それはかなり事例が詳しく載っております。そういう点では、古い事故だからもうそれは済んだことだというふうに済まさないということがやはり大事だと思うのです。

 それから、一二三便の問題についても、かなり重要な新しい提起がされております。そういう問題についても、やはり姿勢といいますか、謙虚にそういうものについて対応していくということが、二度とこういう悲惨な事故を許さないという決意を国民の前に明らかにするということになると思うのです。

 私、きょうの質問を通じて、本当に大変残念だなと思うのは、もっと積極的に国民の安全に対する不安というものにきっちりお答えいただけるような事故調査委員会でなければならないし、国土交通省でなければならないということを大変痛感いたしました。

 まだ引き続き審議させていただきたいと思っておりますので、ぜひまた引き続き審議させていただくということを言いまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

赤松委員長 次回は、来る三十日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会




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