衆議院

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第11号 平成13年5月16日(水曜日)

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平成十三年五月十六日(水曜日)

    午前十時三十二分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 桜田 義孝君

   理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君

   理事 玉置 一弥君 理事 樽床 伸二君

   理事 河上 覃雄君

      今村 雅弘君    木村 太郎君

      木村 隆秀君    倉田 雅年君

      佐田玄一郎君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    田中 和徳君

      高橋 一郎君    中馬 弘毅君

      中本 太衛君    林  幹雄君

      福井  照君    松岡 利勝君

      松野 博一君    松本 和那君

      谷津 義男君    吉田 幸弘君

      阿久津幸彦君    大谷 信盛君

      川内 博史君    今田 保典君

      佐藤 敬夫君    永井 英慈君

      伴野  豊君    細川 律夫君

      前原 誠司君    吉田 公一君

      井上 義久君    山岡 賢次君

      赤嶺 政賢君    大幡 基夫君

      瀬古由起子君    日森 文尋君

      保坂 展人君    二階 俊博君

      森田 健作君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   国土交通副大臣      佐藤 静雄君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   国土交通大臣政務官    木村  仁君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (消防庁次長)      片木  淳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 岩村  敬君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            風岡 典之君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長

   )            小峰 隆夫君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源

   局水資源部長)      鈴木藤一郎君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整

   備局長)         板倉 英則君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局

   長)           高橋 朋敬君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  谷野龍一郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 洞   駿君

   政府参考人

   (海難審判理事所長)   亀山 東彦君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長

   )            中川 雅治君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  西尾 哲茂君

   参考人

   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  佐藤 静雄君     河村 建夫君

  中馬 弘毅君     衛藤征士郎君

五月一日

 辞任         補欠選任

  古屋 圭司君     西川 公也君

同月七日

 辞任         補欠選任

  大村 秀章君     佐田玄一郎君

  河村 建夫君     吉田 幸弘君

  西川 公也君     松岡 利勝君

  西野あきら君     桜田 義孝君

  堀内 光雄君     高橋 一郎君

 吉田六左エ門君     谷津 義男君

同月八日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     中馬 弘毅君

同月十六日

 辞任         補欠選任

  大幡 基夫君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  赤嶺 政賢君     大幡 基夫君

同日

 理事大村秀章君同月七日委員辞任につき、その補欠として桜田義孝君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月十日

 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)

五月十六日

 農住組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)(参議院送付)

 都市緑地保全法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)

四月十三日

 川辺川ダムの早期本体着工の実現に関する請願(西川京子君紹介)(第一三四八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 農住組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)(参議院送付)

 都市緑地保全法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)

 国土交通行政の基本施策に関する件




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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に桜田義孝君を指名いたします。

     ――――◇―――――

赤松委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。

扇国務大臣 おはようございます。

 委員長を初め委員の皆様におかれましては、日ごろから国土交通行政の推進に格別の御理解と御支援をいただきまして、厚く御礼を申し上げたいと存じます。国土交通委員会の開かれますこの機会に、一言ごあいさつを申し上げさせていただきたいと思います。

 国土政策、社会資本整備、交通政策等の総合的な推進を任務として国土交通省が発足いたしまして四カ月がたちました。私は、新世紀維新を目指す新小泉内閣におきまして、国土交通大臣として、二十一世紀にふさわしい経済社会システムの確立に努める所存でございます。

 これまで、旧来の縦割りを排し、また、統合の効果を発揮できるよう努力してきましたところでございますけれども、引き続き施策の融合化を促進し、そして国民の視点に立った、より質の高い行政、また、スピーディー、より低コストによる、そういうサービスを提供していきたいと思っております。少なくとも、このことによって、今般の省庁再編が国民のためによかったと言えるように力を尽くしてまいりたいと存じております。

 また、二月から全国十カ所の地方懇談会を四月までかけまして開催いたしました。地域の最高責任者、または直接代表の皆さん方と意見の交換をさせていただきまして、その成果を踏まえつつ、地域が主体となった国土づくりというものを強化してまいりたいと存じております。

 以下、幾つかの点において具体的に申し述べさせていただきたいと存じます。

 緊急経済対策につきましては、我が国の経済は、生産が減少し、雇用面でも失業率が高水準で推移するなど、景気が弱含みであります。この状況にかんがみまして、少なくともさきに決定されました緊急経済対策の着実な実施などによりまして、経済を自律的回復軌道に乗せることが最重要課題であると存じております。

 特に、国土交通省としましては、内閣に設置されました都市再生本部の運営に積極的な役割を果たしてまいりたいと存じております。

 具体的には、環境、防災、国際化の視点から、都市の再生を目指す二十一世紀型の都市再生プロジェクトの推進、または土地の有効利用等、都市の再生に関する施策を総合的かつ強力に推進してまいりたいと存じております。

 また、不動産投資インデックスの整備など、それを通じまして、不動産の証券化の推進、あるいは容積率を緩和する等の制度、それらを積極的に活用しまして、土地の流動化の推進を進めていきたいと存じております。

 さらに、建設業界の再編の促進に向けた市場環境を整備するなど、緊急経済対策に挙げられました諸施策を強力に推進してまいりたいと存じております。

 公共事業の見直しなどにつきましては、昨年、公共事業の抜本的見直しを行いましたけれども、今後ともこの事業評価の厳格な実施、コスト縮減、そして事業間の連携等によりまして、公共事業の予算の効率的そして効果的な執行と事業の透明性の向上を図ってまいりたいと存じております。昨年成立しました公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律、この法の厳正な運用等に努めてまいりたいと存じます。

 地方分権、特殊法人の改革など、これらに積極的に取り組みまして、地域の自主性が生かせるような統合補助金の拡充などを通じまして、地方分権の着実な推進を図ってまいりたいと存じております。また、規制緩和に係る施策も積極的に進めてまいりたいと思っております。

 昨年は種々の災害が相次ぎました。ことしに入りましても、三月に芸予地震が発生し、二名の方が亡くなるということが発生をいたしました。また、有珠山及び三宅島の噴火の災害も現在もなお継続いたしております。犠牲者の御冥福をお祈りを申し上げ、災害被災者の皆さん方に心からお見舞いを申し上げますとともに、被災地の一刻も早い復旧復興、全力を我々は尽くすとともに、被害の防止に今後も全力を尽くしてまいりたいと存じております。

 国土交通行政にとって安全の確保は何よりも重要であることは言うまでもございません。日本航空九〇七便、あの事故につきましても、再発防止に向けて全力で安全対策に取り組んでまいっております。交通安全対策の総合的な推進、被害者救済の充実にも尽力をしてまいりたいと存じております。また、覚せい剤等の密輸、密航、海賊等の犯罪の対策、海上の警備、監視体制等々、強化を図ってまいらなければならないと思っております。

 なお、先般来の海上保安庁の不祥事件につきましては、まことに遺憾なことであると存じております。五月中に業務処理、職場内規律について総点検を実施しまして、早急に対策を講じる予定でございます。

 また、地球温暖化や海洋汚染等の地球環境問題の解決や、大気汚染、騒音等による生活環境の改善に引き続き全力で取り組んでまいりますとともに、自然環境の保全や循環型社会の形成を図ってまいりたいと存じております。

 また、ワールドカップサッカーでございますけれども、二〇〇二年ワールドカップサッカーにつきましては、観客の輸送、宿泊対策等に関して、韓国政府あるいは文部科学省等関係方面と緊密な連絡をとりながら適切に対処してまいらなければならないと思っております。さらに、二〇〇三年三月の世界水フォーラムなど、我が国で開催予定の国際会議の着実な準備を進めてまいりたいと思っております。また、こうしたイベント等を契機に、外客の誘致も含めた観光振興を図ってまいらなければならないと思っております。

 以上、二月二十三日に当委員会で申し述べましたことに何点か加えさせていただきました。

 このほか、IT革命の推進等を初め国土交通行政をめぐる課題は山積いたしておりますけれども、国民の皆様の期待と信頼にこたえて、一層の御理解をいただけますよう対話を重視し、かつ厳正な綱紀の保持になお一層の努力をしつつ、引き続いて諸課題に全力で取り組んでまいる所存でございます。

 今国会におきましても、これらの二十一世紀の政策展開のために、私ども国土交通省から十五本の法案を提出させていただいております。五本の予算関連法案を既に成立させていただき、衆議院においても一法案を議了していただいたところでございます。厚く皆様の御協力に御礼申し上げますとともに、引き続き、公共事業の透明化を図る土地収用法の改正を初め九つの法案につきまして熱心な御審議をぜひお願いしたいと存じております。

 今後とも、委員長を初め委員各位の絶大な御協力を心からお願い申し上げて、ごあいさつとさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

赤松委員長 次に、国土交通副大臣及び国土交通大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。

 まず、国土交通副大臣佐藤静雄君。

佐藤副大臣 国土交通副大臣を拝命いたしました佐藤静雄です。

 ただいま扇大臣からたくさんの課題のお話がありましたけれども、我が国土交通省は、四つの省庁が合わさり、たくさんの問題を抱えております。

 もとより浅学非才でございますけれども、委員長初め委員の皆さんの御意見も十分に承りながら、参考にさせていただきながら精いっぱい頑張っていくつもりでおりますので、どうぞ温かい御指導をいただきますように心よりお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

赤松委員長 国土交通副大臣泉信也君。

泉副大臣 国土交通副大臣を拝命いたしました泉信也でございます。微力ではございますが、佐藤静雄副大臣、田中和徳、木村隆秀、木村仁政務官ともども扇大臣を支え、国民の期待にこたえてまいりたいと思います。

 委員長初め諸先生の御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)

赤松委員長 国土交通大臣政務官田中和徳君。

田中大臣政務官 皆様、おはようございます。

 このたび国土交通政務官を拝命いたしました田中和徳でございます。委員長初め各委員の先生方の御指導のほどよろしくお願いを申し上げる次第でございます。

 私の担当は、災害対策と社会資本整備ということになっております。品格のある国家、活力のある経済、安心できる社会を目指して、微力でありますが真剣に努力をしてまいりますので、よろしくお願いを申し上げ、一言ごあいさつといたします。(拍手)

赤松委員長 国土交通大臣政務官木村隆秀君。

木村(隆)大臣政務官 安全、危機管理及び交通関係を命ぜられました大臣政務官の木村隆秀でございます。

 委員長初め先生方の御指導をよろしくお願い申し上げて、ごあいさつにかえさせていただきます。よろしくお願いします。(拍手)

赤松委員長 国土交通大臣政務官木村仁君。

木村(仁)大臣政務官 大臣政務官を参議院の方から拝命いたしました木村仁でございます。よろしくお願い申し上げます。

 主に国土関係及び北海道開発関係を命ぜられております。

 委員長を初め諸先生方の御指導と御鞭撻、よろしくお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

赤松委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長岩村敬君、総合政策局長風岡典之君、国土計画局長小峰隆夫君、土地・水資源局水資源部長鈴木藤一郎君、都市・地域整備局長板倉英則君、河川局長竹村公太郎君、道路局長大石久和君、住宅局長三沢真君、鉄道局長安富正文君、自動車交通局長高橋朋敬君、海事局長谷野龍一郎君、航空局長深谷憲一君、政策統括官洞駿君、海難審判理事所長亀山東彦君、総務省自治財政局長香山充弘君、消防庁次長片木淳君、環境省総合環境政策局長中川雅治君及び環境省自然環境局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前原誠司君。

前原委員 おはようございます。民主党の前原でございます。

 まずは、扇大臣、御再任おめでとうございます。それから、副大臣、政務官の皆さん方、御就任また御再任おめでとうございます。

 代表して扇大臣に御質問したいわけでございますが、泉副大臣とあわせて御再任ということでございます。森内閣のときの国土交通大臣、副大臣、そしてまた、今国民的に非常に人気の高い小泉内閣での国土交通大臣を拝命されたわけでございますが、私がまず大臣にお伺いしたいのは、継続性の話であります。もちろん内閣は継続しておりますし、総理大臣がかわったとしても、引き続きやられる事項はあると思います。ただ、内閣総理大臣の方針がかなり大きく変わってきたのではないかというふうに思うわけであります。

 以降、その具体的な内容について質問していくわけでございますが、扇大臣として、森内閣にもおられ、また小泉内閣でも再任をされて、スタンス、つまりはどの内閣におられても扇千景さんという個人の思い入れを持って大臣の任務をされていると思うわけでありまして、そこのスタンスが森内閣と小泉内閣で変わるのか変わらないのか、また、その取り組みの抱負について、まず初めにお伺いをしたいと思います。

扇国務大臣 再度御質問いただくことになりましたので、よろしくどうぞお願いいたします。また、早々にお祝いを言っていただいたんですけれども、果たしてうれしいのか大変だなと思うのか、両方でございまして、お祝いをいただいたことに心から御礼を申し上げたいと思います。

 今お話がございましたように、再任ということでございまして、継続性というお話がございましたけれども、私は、当然、継続というものは政策によってはあり得ると思います。例えば、森内閣、最後に決められました緊急経済対策、これは、今の日本の状況を考えればどうしても実行しなければいけない大事な政策の一つであろうと私は思いますし、また、それを継続するために、緊急経済対策の中の都市再生本部というものは、もう五月の六日に本部を立ち上げました。これも継続性の大きな要点でございます。

 ただ、私自身も、昨年皆さん方に御審議をいただきまして、今ごあいさつ申し上げましたように、昨年重要な法案を通していただきました。戦後初と言われる公共工事の入札と契約の適正化法というのを出させていただきました。通していただきましたけれども、四月一日から施行されるわけでございまして、これも、継続していって、まさに四月一日からが勝負であると言っても私は過言ではないと思うんですね。ですから、それも、私が先ほど申しました、二月から四月にかけて全国十カ所で地方懇談会をして、この法案の説明やら、あるいは皆さんに、市町村にまでこの法案を徹底していただきたいということを、全国回ったのもその継続性の一端でございます。

 ただ、違いますことは何かとおっしゃいますけれども、私は、今までと違う点は、今まで実行してきたことをよりスピーディーに、また、なお聖域なき改革、それをしていく、果敢に挑戦するということ。また、新世紀維新内閣であるということでございますので、私はまさに、いつも皆さん方に御理解をいただいておりましたように、二十一世紀のグランドデザインをなお早くつくらなければいけないな、これも小泉内閣になってから、よりそれをスピーディーにしなければならないなという点では新しいところでございますし、先ほども私ごあいさつ申し上げさせていただきました、いわゆる縦割りをなくすということは、小泉内閣において聖域なき改革とおっしゃったことの大事な点であろうと思います。

 今度小泉総理が誕生いたしまして、あらゆる政策の面でより改革のスピードアップをし、そして改革するものをめり張りをつけて、二十一世紀型で、国民の皆さん、あるいは理解していただくように、先生方のこの委員会の論議を通じて国民の皆さんにそれが開示できれば、なお私はありがたいなと思っております。大事なところは継続することを守り、改革するところは聖域なく改革していくというのが、今までと違う部分もあろうかと存じます。

 以上でございます。

前原委員 今の御発言を伺いまして心強くと思いました。つまりは、大臣としては、森内閣でも御一緒だったわけでありますが、新しい内閣に入って、当然継続される部分は多くおありだと思いますけれども、聖域なき改革という小泉内閣のスローガンを引き継いで扇大臣も頑張っていかれるということでございまして、それについては心強く思いました。

 したがいまして、それを前提に個別の問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 その聖域なき改革の一つが道路特定財源の見直しの話だろうと思います。

 まず、我々民主党の考え方を申し上げさせていただきますと、我々は、公共事業の、先ほどまさに大臣がおっしゃった縦割りをなくしていこうということで、長期計画をなくして、そして当然ながら、例えば治水とか治山とか道路とか住宅とかいう垣根をなくすわけでありますので、道路特定財源というものについての全面的な見直しというものを我が党の公約としてもう固めているところでございます。したがいまして、小泉内閣になってから聞こえてくる、特に塩川財務大臣がおっしゃっております道路特定財源の一般財源化というものについては、我々もおおむね賛成をするところでございます。

 いろいろ大臣も御発言をされているようでございますが、小野事務次官の発言等もあり、一体、国土交通省として、あるいは扇大臣として、現時点においてこの道路特定財源についてどうお考えなのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。

扇国務大臣 何かにつけて話題にされるのが道路特定財源でございまして、私は、道路特定財源があったから、二十世紀、今日までの豊かな日本の交通量ができたと思っております。また、今まで道路特定財源があったればこそ、今日の日本の利便性、国民の皆さんが地域格差なくあらゆるところへ行ける。この間のゴールデンウイークも高速道路を利用して全国に、とにかくインターチェンジで何時間待ちというくらいな多くの皆さん方。これによって国民の生活の範囲が本当に広がったということは、戦後今日までの道路特定財源の果たしてきた役割というものが大きく私たちの生活に寄与してきた、私はその点では多くの国民の皆さんにひとしく認めていただけるところであろうと思っております。

 ただ問題は、いつも私の耳に入っておりますのは、物流コストが高過ぎる、高速道路でもなぜ安くならないんだと。前原先生はお若いからおわかりにならないと思いますけれども、私の年では、初めて東京オリンピックのときに高速道路ができました。そのときは百円でした。そして、私たち初めて高速道路を利用したときに、やがてこれはただになるとあのとき言われたんです。ところが、ただになるどころか、今七百円でございますね。

 そのように、私は国民の皆さん方が、便利だけれどもいつまでこの高いお金を払って、しかも自動車あるいはあらゆるもの、今言っていると時間がないから私は余り申したくありませんけれども、自動車の取得をするときの関係諸税制、これは自動車関係、国税で三税、地方税で五税あるわけですね、自動車を買うときにかかる税金が。なぜこんなに自動車買うために税金を取られるんだろうというのが一般の皆さん方の感覚ですね。

 けれども、私は、少なくとも今日まで果たしてきた役割は重視しながらも、今二十一世紀になって、ここ以外は使ってはいけませんよというこの既得観念はそろそろ考え直す時期であろうと。

 少なくとも、今までの多くの歴史的な経緯あるいは受益者負担というその性格で今日まで来たということは尊重しながらも、私は、今後は、多くの皆さん方の御意見を勘案しながら、国土交通省として、十四年度の予算を組みますまでにこの道路特定財源の使い方というものは見直してしかるべきである、より国民の皆さんに有効な特定財源にすべきであるというふうに認識しておりますので、私なりに方向をそのうちに示させていただきたいと存じております。

前原委員 道路特定財源を、今までの経緯、また今までの効用というものは認めつつも、聖域なき改革の一つとしてその使途を見直していく、こういうことでございますね。それについては賛成でございますし、いろいろ自民党の中でもあるいは役所の中でも意見はあるとは思いますけれども、大臣のリーダーシップでその点についてはぜひ突破をしていただきたいと思います。

 そこで、ちょっと関連をしてお伺いをしたいわけであります。

 大臣、御存じだと思いますが、ガソリンを車に入れますね。そのときに、おっしゃった特定財源の一つのガソリン税というものがついているわけでありますけれども、今これは暫定税率なんですね。つまりはかさ上げをしてあるわけです。高くなっているわけですね。もし、その特定財源を見直して道路のみに使用しないということであれば、当然この暫定税率というものは見直さざるを得ないと思うわけでありますが、その点について御答弁をいただきたいと思います。

扇国務大臣 私が今ちらっと申し上げかけましたけれども、少なくともこのかさ上げ分、暫定税率、これは大体一兆八千億ございます。

 それで、御存じのとおりでございますので、それがなくなったらどうするのかということも私は大きな問題になろうと思いますけれども、先ほど私は国税が三税、地方税が五税と申しました。道路特定財源におきましては、今前原先生が少し口にされましたけれども、まず、国税としては揮発油税がございます、そして自動車重量税がございます、石油ガス税、この三税が国税でございます。そして、あと五つは、軽油引取税、そして自動車取得税、自動車重量譲与税、石油ガス譲与税、地方道路譲与税、この五つが地方税なんですね。車を買う方がこれだけの、地方税五つの税、国税三税、八つの税を、車を取得する人たちが、なぜこんなに複雑に取られなきゃならないんだ、私は、こういうお考えもあろうかと思うのですね。

 けれども、ただ一つだけ私が前原先生にお願いしておきたいことは、今まで道路特定財源、特定財源と言われておりますけれども、今まで道路のみに使っただけではないということが余り国民の皆さん方に知れ渡っていないんですね。国土交通省に入ってみまして私も調べてみましたけれども、少なくとも道路特定財源というのは、現在ではまちづくりやあるいは鉄道との結節点等々にも使われております。そういう意味では、鉄道の高架化でも大体九割は道路特定財源を使っているわけでございまして、その幅広く使っているということは余り言われないで、道路だけにしか使っていないという観念がございますけれども、私はそういう意味では、今おっしゃいました税金の中でも、私は一般の皆さん方とあるいはそごがあってはいけないと思いますし、そのかさ上げ部分というのは、暫定税率を外すということよりも、今申しました自動車を買うときの負担、個人の負担、これも税のことですから私が余り言うのは、税調がありますし、財務省がございますので、私の範囲の外にはなりますけれども、私が考えている実感としては、私はこういう複雑な税はもう、戦後これだけたったのですから、少し国民の皆さんが納得してわかりやすい税制に変えていただいて、そして暫定税率というものを、かさ上げしている今の一兆六千億というものをどうこうするよりも、負担を国民に少しは還元するというふうにしていくべきであろうと私は思います。その辺の整合性は税制が絡みますので、私が断定的なことは言えませんけれども、担当としては、そういう気分で、何とかしたいというふうに思っているというふうに御理解いただきたいと思います。

前原委員 大臣の範囲の外じゃないですよ、大臣の管轄の問題ですから。それで、この税についても大臣が財務省なり税調なりに御意見をおっしゃる話だと私は思いますよ。

 ですから、今のお話をもう少し整理をさせていただきますと、暫定税率については外すということではないけれども、しかし、いろいろな諸税を先ほどおっしゃいましたけれども、すべて車を買ったりあるいは車を使うときのガソリンにかかわる税金が高過ぎる、その負担を軽減する方向で整合性をとっていくべきだ、こういうことをおっしゃったのですか。もう一度ちょっとその点だけ、確認で、簡潔で結構ですので。

扇国務大臣 本来、暫定税率というのは、先ほど申しましたように、揮発油税を除きまして、道路の特定財源はいずれも道路の整備を持続するということにのみしか使えないという、もともと特定財源ですから、そういうふうに決められてはおりますけれども、その範囲の中では今までも拡大解釈をして使っておりますよというのを私が事例を申し上げただけでございまして、本来の法の目的からすれば使えないものに今なっています。縛られています。けれども、国土交通省としては、そうあってはならないというから、税の設置の目的からしては本来は許されるものではありませんけれども、今申しましたように国税三税、地方税五税とあるものですから、その範囲の中からは私たちは範囲を広げているというのが実情であると。法律をまともに読めば、一切使えないというのは、それはもう先生、法律的には御存じのとおりでございますから。ただ揮発油税を除くものでございますから、揮発油税の部分で拡大しているというふうに、これは仕分けはできないんですけれども、思っていただいていいものだと思っておりますけれども、元来、揮発油税本則の税率からいえば二倍をかさ上げしているというのは先生も御存じのとおりでございますので、その二倍かさ上げしているということが暫定税率として国民の皆さんにどれほど理解されているかということが大きな問題であろうと私は思いますので、先ほど申しましたように、国民の皆さん方の理解が得られるならば、私たちはこれにも果敢に挑戦していかなければいけないな、また、先生も今民主党の政策だとおっしゃいましたので、こういうことも含めて、改めて法律を改正するというふうなことをおっしゃるのであれば、私もそのときに一緒に考えさせていただきたいな、思いは同じであるということを申し上げておきたいと思います。

前原委員 国民といいますかユーザーの認識というのは、暫定税率、かさ上げ分というのは道路に特化されている、だから高いんだ、もしこれが今議論されているような一般財源化、つまり特定財源にしないということであれば、当然かさ上げ分は外してしかるべきだろうと。こういうことを申し上げて、そのお答えを伺いたいと思っているわけです。もう一度お願いします。

扇国務大臣 例えば、先生もおわかりだと思いますけれども、では、それを今度どこへ特記するのか。例えば一兆六千億でもいいです、一兆円でもいいです、もしこれをなくした場合には、では受益者負担という原理があるからといって、一般の皆さん方に値上げですよといって、私は国民に理解を得られるものではないと思います。そこが工夫のしどころであって、何とかそれを国民の皆さんにも理解され、我々も一緒になって、今まではこれでよかったけれども、受益者負担の原則というものをどこでどう外せるのか、外せないのか。あるいは、工夫によっては、今も私、聖域なき改革と申しましたけれども、それは二十一世紀型であって、今後考える余地がある、そのように考えていますので、なるべくなら国民に負担を、こっちはやめた分は全部受益者負担で国民に負担してくださいよ、そういうことでは逆に国民の理解が得られないと思っておりますので、それは工夫のしどころで、今後の課題であると思っております。

前原委員 大臣、ガイアックスという新しい燃料を御存じですか。ガイアックスというのは、アルコール燃料でして、環境に優しいと言われていまして、これを開発している業者があるわけです。これについて、税を所管する財務省、それから前の通産省である経済産業省が何とか税を取ろう取ろうとするわけですね。この話を私は財務省や経済産業省からも伺いました。そうすると、その人たちのやっていることはまともなのですよ。なぜまともかというと、道路特定財源のそもそも論というのは、車に乗って道路を使えば、道が傷みますよね、また、新たな道路を通れば利便性を享受できますよね。したがって、燃料の環境性云々よりも、燃料を使って走ったことによって、当然ながら道路の維持費とか新しいものについては負担をしてくださいと。だから、取る方向取る方向にいくわけですよ。

 そこに大きなポイントがあるのは、今塩川さんがおっしゃっている環境の問題だと思うのですね。つまりは、いかに環境に優しいものを業者が開発して、そしてそれを使おうとしても、税金を取られていったらなかなかペイしないから、それが広がっていかないというジレンマがあるわけです。だから、そこは目的税であるこの道路特定財源を考え直すことも非常に重要なポイントの一つになると思うのです。

 つまりは、今大臣がおっしゃった、暫定税率を外したときに一兆六千億がなくなるね、その部分についてはどうするのかという議論が必要だということは、責任あるお立場としてよくわかりますけれども、そこの点を視点を変えて、道路目的になっているからこそ、どんな環境に優しい燃料を開発しても、財務省や経済産業省は税を取ろうとする。これは職務としては理解できるわけですよ。だから、そこの概念を変えて、例えば環境に優しいものについては税を軽減してあげるとか、あるいは環境に対して負荷の高いものは税を逆に上げるとか、そういう発想があっていいと思うのですが、その点について、塩川さんなんかは環境税というものを念頭に入れてということをおっしゃっていますけれども、国土交通省を担当される大臣としてはいかがですか、お考えは。

扇国務大臣 今の新しい燃料に関しては、私はまだ聞いておりませんので、それは申しわけないですけれども、別に置かせてください。

 先ほど申しましたように、今日までなったという日本の歴史がございます。例えば、それでは、今日までこれだけできている道路を何によって維持していくのかという維持費があるわけですね。ですから、利用者負担というのは原則でございますけれども、だれも三十年前、こんなに自動車が日本じゅうにふえる、こういう自動車社会になることは、私は皆さん想像されなかったと思うんですね。けれども、これだけ自動車がふえるようになって、しかも利便性が上がった。

 そして今、申し上げましたように、二十世紀の政策の根底には、均衡ある国土の発展というのが政治の中の大きな要点でございました。均衡ある国土の発展というのは何なんだ。ひとしくみんなが同じ利益を得られるように均衡ある国土の発展をしなければいけない、だったらもっともっとつくるべきじゃないか、こういう発想になってしまうんですね。

 そうしますと、今先生がおっしゃいましたように、二十一世紀型の自動車の道路というもの、自動車と道路の関係はどうあるべきなのかという基本原則に戻らざるを得ないと私は思うんですね。

 ですから、環境税ということをおっしゃったのは、これは全く別の話であって、ごみを捨てる人にはごみを捨てるお金も出しなさいよとか、これも一つの環境税になるかもしれません。ですけれども、道路を走る車だけ環境税を取って、またそれを道路に充てるというのか、あるいは道路を走る車にだけ環境税を加味するのか、その辺は、塩川財務大臣が何を意味しておっしゃっているのかは私もまだ内容は聞いておりません。

 けれども、少なくとも、今の道路というものをどういうふうに維持していくか。道路特定財源をなくして、道路を今以上に、均衡ある国土の発展という二十世紀の表題を達成するためにはどうあるべきかということに関しては、ただなくせばいいというものではない。今あるものを維持するだけでも、二十一世紀の維持費は、利用者負担というのはもう原則があるわけですから、その程度をどの程度にするかというのが工夫のしどころだろうと私は思っております。

前原委員 環境の視点というのは、これからぜひ大臣も念頭に入れて考えていただきたいと思うわけですね。

 つまりは、先ほど申し上げましたように、道路を使うから税金を取るという仕組みになっているわけです。ただ、別の視点が生まれてきまして、環境重視、二十一世紀は環境の時代だとも言われていますけれども。それで、環境に対する負荷の低い新たな燃料を業者が開発しても、どうしても、道路を使うから税金を取らざるを得ない。取る方向取る方向に話が行っちゃうわけです。それは、今の道路の特定財源という制度からすれば役所の方が正しいんですよ。

 だから、そこを変えるのが政治の仕事。つまりは、一般財源化にある程度幅広く道を開いていくということをおっしゃるのであれば、環境面で、燃料とかあるいは車の種類というものについても国土交通省として理解をしないといけないと私は思うんですよね。

 簡単で結構ですから。

扇国務大臣 先生のおっしゃるとおりでございまして、私この間、電気自動車、ハイパーミニという自動車を運転させてもらったんです。小さなかわいい電気自動車だったんです。それで、プリウスという、これは電気とガソリンと両用できる、国土交通省はもう四台あるんです。これは乗らなかったんですけれども、私はハイパーミニというかわいいのに乗せてもらったんです。これは、二百ボルトで充電四時間で百キロ走れるというかわいいものだったんですけれども、それじゃ、これは石油税はないのか。

 そこまで私細かいことは知りませんので、これも勉強させていただきますけれども、今先生がおっしゃった環境ということを考えれば、こういう電気自動車はガソリン税がなくなるのか、取得するときにですよ。だけれども、私が乗ったハイパーミニというのは、聞いたら、今四百万だというんです。これでは高過ぎるなと思いました。例えば、環境に優しい自動車は、買うときの、石油税とかガソリン税とかあらゆるものが安くなるのかどうかということも、環境に優しい乗り物をつくるときの大きな課題になってくるだろうと私は思います。

 新しい、そういう環境に優しい車の税率というものを私はまだ聞いておりませんから、これも勉強させていただいて、また、新しいものであれば新しいだけの、新しい発想の環境に優しい価格というのが出てくるべきだと思いますので、今は量産ができないからただ高いだけですけれども、税率でどうあるべきかということも、先生もぜひお知恵をかしていただきたいし、私も勉強させていただきたいと思っております。

前原委員 いろいろ詰めたいところもありますけれども、ちょっと別の観点から、道路特定財源の問題については最後の質問にしたいと思うわけであります。

 きょうお話を聞いていて、より一般財源化の道を探るべきだという御答弁をされました。そうすると、幾つか今までのスキームといいますか、枠組み自体を根本的に見直していかなくてはいけない部分が出てきます。

 一つの大きな枠組みというのは、全国総合開発計画があるんですね。全国総合開発計画があって、そのもとに十六本の長期計画、橋本行革のときに七年間に広がったわけでありますけれども、長期計画があって、七年間で、例えば道路なら道路に幾らお金を使います、あるいは住宅なら住宅に幾ら使います、下水道なら下水道に幾ら使います、これは目安があるわけですよね。となると、この十六本の長期計画そのものを見直してこざるを得ないような形になる。これは論理的な帰結なんですよ。

 つまりは、道路特定財源というのは、さっきおっしゃったように、ちょっと事実関係で違う部分があるのは、法律でちゃんと決まっているわけですよね。例えば、国税のうち揮発油税の全額と石油ガス税の五割は国の道路整備に充てる。つまりは、逆に言えば、石油ガス税の五割は道路整備に充てないでいい。自動車重量税の四分の三は使い道を特定しない国の一般財源になる。こういうような話でありまして、さっきおっしゃったとおり、特定財源と言われるものが全部それに使わなきゃいけないということではなくて、法律でちゃんと決まっていて、そこら辺の話があるわけですよね。

 私が申し上げたいのは、したがって、道路特定財源というものを外して、ほかのところにも転用していくようなものとして見ていく。もう時間がないので次の質問とあわせてやれば、小泉さんが国債発行年間三十兆円以内ということをおっしゃった。こうなると、七カ年計画という十六本の計画そのものを見直していくか、あるいはなくしていくという方向性でないと論理的な帰結にならないと思うんですね。

 例えば、国債発行年間三十兆ということをやられれば、財政の中期展望によりますと、十四年度の予算は、一般会計で今年度当初よりも四兆六千億円多くなる。そして、財源確保のための国債発行額は五兆円ふえる。そして三十三兆三千億に膨れ上がる。単純に計算すると、三兆三千億円の財政赤字を歳出削減で手当てしなきゃいけない、こういう話になるわけです。

 ということは、公共事業も聖域でなくなる。つまり、公共事業も減らさざるを得なくなるし、さっきおっしゃったような一般財源化をある程度道として切り開かれていくのであれば、この十六本の長期計画そのものも見直していかなくてはいけないということに論理的な帰結としてなると思うんですが、その点についての御答弁をいただきたいと思います。

扇国務大臣 きのうも予算委員会でその話が出ておりました。どなたの党か忘れましたけれども、今のままでいけば、来年度が三兆、その次は四兆八千億ですか、今、三十四兆ですか、来年がそうなる。そうするとこれだけ切らなきゃいけない、どうするんだと。

 そうすると、今でも、本年度予算でも二十八兆ある、あと二兆しか枠がないとか、予算委員会でいろいろきのうも論議が出ましたけれども、私は少なくとも、国債を三十兆以上出さないということを、国の政策としてはある程度目標を立ててその目標に努力するというのが私は政府であって、今のままで行って、今のまま何も変えませんよと言えば、それは三十四兆になるかもしれない、次は三十五兆になるかもしれない。

 けれども、聖域なき改革をするというのが小泉内閣の決意なんですから、本当だったら三十三兆になるけれども、それを三十兆以下におさめるんだ、これが私は決意のあらわれであって、それをどこを削るかというのは、これは工夫であって、何も公共事業だけで三兆を浮かそうということではない。

 これからが内閣の思案のしどころであると私は思っていますので、今の小泉内閣の三十兆円という枠を、むしろ自分で自分に縛りをかけたということが大きな意味があると私は思っておりますので、その辺は先生もおわかりになっているところだろうと思います。

前原委員 質問の意味を御理解いただいていないみたいなんですが、二つあります。

 つまりは、三十兆という国債発行の制限をつけるということは、十四年度の財政の中期展望では三兆三千億の歳出削減をしないとそのキャップにはまってこない。そうすれば、公共事業もその中に入るんですか。別に三兆三千億全部公共事業なんて言っているわけじゃない。三兆三千億の中に公共事業も当然入ってくるのかどうなのかということが一つと、さっき申し上げた、一般財源化の道を開くということであれば、十六本の長期計画との整合性はどうするんですか、この二つなんです。二つを簡単にお答えいただきたいと思います。

扇国務大臣 私は、月曜日に、全部最高幹部を集めまして、新しい副大臣、政務官もいらっしゃいましたので、省議を開きました。そこで、国土交通省として、私は、少なくとも国土交通省みずからがきちんとした削減方法がどこができるのかというのを今月いっぱい、五月じゅうに考えて、それぞれの各局から全部出しなさいということを申しました。

 先生御存じのとおり、昨年、三党連立によって多くの事業のリストアップをいたしました。そして、国土交通省含めて百八十七の事業中止をいたしました。けれども、この百八十七の事業中止も、全国の事業評価推進協議会、九月から十二月まで三百回の会議を開いて決めたわけですね。

 ですから、私は、それだけにとどまらず、今事業化しているところでどこをどうむだを省けるのか。あらゆる聖域なしに、各省庁に、政府は六月の末に決めますけれども、それまでに国土交通省としては、五月いっぱいに切れるものは切る。少なくとも国民の皆さんの生命と財産を守るという基本理念を壊さない限りは、あらゆる事業の見直しをする。それを月曜日に各局が持ち帰りまして、今週中だと思います、素案が出てまいります。

 ですから、国土交通省としては、今先生がおっしゃいましたことの先取りをしているというよりも、当然役所としてするべきことをしているだけのことですけれども、私は、ぜひそういう姿勢を、国土交通省だからできる、今までの運輸、建設、縦割りだったらできなかったことができるということをお見せすることができるのであろう。ですから、五カ年計画なり今までの計画というものも見直す部分もあるかもしれません。これはまだわかりません、出ていませんから。けれども、私は、聖域なき改革ということの中ではそれを進めてまいりたい。あらゆるものを見直すのは二十一世紀、小泉内閣の大きな役目だと思っていますので、あらゆることも含めて見直していきたいと思っています。

前原委員 森内閣のときに質問して答弁されたことと違うわけです。内閣がかわったからいいといえばいいんですが、例えば公共事業の見直し、具体例を見直したときに、あるいはコスト縮減の話をしたときに、では、それだけ公共事業費を減らすのかと聞いたら、大臣は、減らしません、そういうことをおっしゃった。つまり、減らした分はまた新たな公共事業をやればいいんでしょう、簡単に言えばこういう答弁をされた。

 ということは、この内閣では、さっき百八十七の話をされましたけれども、公共事業費を減らすということを決める、それで今全省的に計画を出させている。では、目標はどれだけなのか。つまりは、ある程度目標値がないと議論ができないじゃないですか。例えば私が国土交通大臣だったら、事務方さんにどれだけ削ってこいというような目標値を決めてあげないとなかなか削れない。

 それと、さっきおっしゃった、御理解いただいていないと思うんですけれども、道路特定財源、つまり十六本の公共事業で特定財源というひもがついているのは道路が主なんですね。ほかは、私はあってもほとんどなかったと思います。道路特定財源が唯一と言ってもいいようなひもつき、つまりは税の面での手当てのある長期計画なんですよ、十六本のうち道路だけが。だから、それを外すということになれば、当然ながら十六本の長期計画そのものを見直していかなきゃいけない。主に見直していかなきゃいけないのは道路にあるんですよ、特定財源というものを広げるわけですから、十六の中に。そういうことをやるのですか、やらないのですかと聞いているわけです。もう簡単な答弁で結構ですよ。

扇国務大臣 いや、今前原先生がおっしゃっていることは道路だけにこだわっていらっしゃるから私はおかしいと思うので、特定財源は道路も空港も、あるいはあらゆるところに特定財源があるのであって、何で道路だけとおっしゃるのかというのがわからない。

 道路については、先ほどお答えしたように、受益者がいるんだ、受益者負担という原則があるということを何度も私申し上げておりますし、先ほど先生が公共工事の話をなさいましたけれども、私は前内閣で言ったことと変わっておりません。同じ公共工事でも、むだがあるのと必要不可欠なものとあるから、むだなところは省いて必要不可欠なものに集中して投資することによって、よりスピードアップしてコストダウンできると私は言ってあるので、全部を削るとかそういうことではなくて、公共工事の費用でも使い道が違うと。

 事実、本年度は、十二年度と十三年度の公共工事の予算は同じでございます。それはなぜかというと、必要ないもののところは絞って、必要なところへは国民の皆さんの安全と安心のためになるべく早く仕事をしようというのが私は目標だと申し上げたので、私は、削るとか削らないとか、どこを削るのかは今三百回の会合をしたと申し上げているのです。

 私は、特定財源が道路だけであるというふうにお絞りになると話がおかしくなるので、それを一般財源にするとかしないとかというのは一言も言っていませんし、空港もあれば治水もあるんですね、特定財源というのは。ですから、前原先生が道路だけになぜおっしゃるのか、特定財源がすべて道路だけというふうにおっしゃるので、そんなことを言えば空港もそう。

 だから、私は局に言っていますのは、あらゆることで各局が出せるむだなもので切れるものはどうなのか、切っても国民に不安と――安全を確保できないものは切れない、それを選別しなさいと言っているので、目標は国民の安全と安心があって、なおかつ切れるものはないかというのが目標でございます。

前原委員 委員長、答弁を聞いておられてわかりますか。質問している内容と全然違うことを答えているじゃないですか。何を言っているのか全然わからない。そんないいかげんな答弁していて、ごまかして、雄弁なだけで、内容は何もないよ。質問していることに全然答えていないんだ、はぐらかして。そんな答弁を答えられるかよ。委員長、何とかしてくださいよ。まともに質問に答えない――だれも副大臣なんて言っていないよ、だめだよ。(佐藤副大臣「ちょっと補足させてください」と呼ぶ)副大臣には言っていないんだから。だめです、扇大臣に聞いているんだから。

佐藤副大臣 ちょっと勘違いされていると思いますので。

 大臣は一般財源化をするとは一言も言っていないんですよ、先ほどから。そして、もっと広範囲にいろいろなことをやりたい、既に広範囲にやっているんですね、そのことをおっしゃっているんですよ。ですから、それを前原委員はどうしても一般財源化するということが頭にあるからかみ合わなくなってくるんです。そこの違いなんです。

前原委員 副大臣も質問をわかっていないんだよ。そんな副大臣、大臣ばかりじゃ国土交通省は大丈夫かな。

 違う。私が言っているのは、一般財源化というのは極論かもしれない。しかし、広げるという話はされたんですよ。しかも、空港特会の話をしていますよ。そんな、あなたから授業を受ける必要は何もない。そんなことは十分承知しているよ。ただ、額としては、ほとんどが特定財源の額というのは道路なんですよ。だから話をしているんだ。

 僕が言っているのは何かというと、ちゃんと聞いておきなさいよ、質問に答えていないんだから。つまりは前の内閣でどう言ったかというと、公共事業のむだなものを見直す、そのあいた財源をどうするんですか、あるいはコストの縮減をやる、減らした、どうするんですかと言ったら、公共事業全体の額は減らしませんとあなた言ったじゃないですか。だけれども、今の話は三兆三千億の歳出カットをしないと無理なんだよ、三十兆のキャップをはめるのは。だから公共事業費も削減するんでしょう、そして幾ら事務方にキャップをかけて削減しろと言ったのか、そういう質問をしているのに、わけのわからないことをべらべらしゃべって、時間がむだなんですよ、大臣の答弁は。

扇国務大臣 時間がむだだとおっしゃるけれども、あなたがおっしゃっている三兆三千億は公共事業だけ切るんじゃないというのをさっきから申し上げているじゃないですか。(前原委員「わかっているよ、そんな話は」と呼ぶ)いや、お聞きになっているから言っているんです。私は、公共工事ということでも、削減しないんですかといえば、去年から言っているじゃないですか。百八十七の事業を切ったのもそうですし、今から切れるところはどこですかと局に通達しているというのも言っているじゃないですか。どこが違うのですか。私はおかしいと思います。

前原委員 削減しないと言っているのですか。ということは、小泉内閣の……(扇国務大臣「削減しなさいと言っているのです。指令をしたと言っているのです」と呼ぶ)要は、いいですか、国債の三十兆のキャップをはめるわけですよ。それで、さっき公共事業の削減をしなさいと言ったけれども、大臣は、森内閣のときには公共事業費は削減しないと言ったのです。だから、違うと言ったのは、何も違っていないと言って、そこがおかしいと言ったのです。まだ質問は終わっていないですよ。

 つまりは、前の私の質問のときに大臣はどういう答弁をされたかというと、この百八十七のものも全部見させてもらいましたよ。継続のものが十ある。これも見させてもらった。では、その分の国土交通省としての削減分はどうするのですかという話をしました。あのときは二百三十三だったかな、国土交通省分だけじゃなかったから。それと、コスト縮減の努力を一生懸命されているわけですよ。それについては僕は非常に評価している。では、コスト縮減をして、例えば公共事業費の単価を下げて、その分はどうするのですかという話をしたときに、それはそれ、公共事業は減らさないと森内閣のときに言ったじゃないですか。だから違うと言っているのだ。(扇国務大臣「違っていない」と呼ぶ)何が違わないのですか。それで、今公共事業費の削減をしなさいと言っているのでしょう。全然言っていることと答弁していることと内容が違うじゃないですか、前の内閣で。

 整理しましょう。前のことはもうとやかく言いませんよ。つまり、この内閣で公共事業費の削減を命じたのか命じていないのか、そしてその額は幾らなのか、そこを聞いているのだ。

扇国務大臣 それを、月曜日に最高幹部会を開いて、各局に指令を出して、五月じゅうにと申し上げたとさっき申し上げました。

前原委員 だから、何度も同じ質問をさせないでください。時間がもったいないんだから。(扇国務大臣「私も何度も同じことです」と呼ぶ)何言ってんだよ。

 ちょっとこの態度を何とかしてくださいよ。委員長、この態度だともう質問できないですよ。

 何だその態度は。何様のつもりだ。いいかげんにしろ。

赤松委員長 ちょっと、両方冷静にお願いします。

扇国務大臣 私きちんとお答えしているのですよ。だって、月曜日に各局に、削れるところはないのですかと。これは当たり前の話であって、今数字を出せと言われたって、五月じゅうにという期限で出しているのに、金額を出せと言われたって……。それを指令したと申し上げている。小泉内閣では六月じゅうにとさっきも申し上げましたから、私はお答えしているつもりですよ。

 これ以上、金額を出せと言われても、各局に月曜日に指示して、五月じゅうにと言って、きょう五月の十六日ですか、それは、五月じゅうにと言っているものを、金額を幾ら言えと言われても、それは指示をしたと申し上げているので、そう性急に言われても、今金額が示せないのは、私が申し上げたとおりでございますから。

前原委員 今初めて答弁したじゃないですか。(扇国務大臣「いえいえ、さっきから言っているのですよ」と呼ぶ)違うよ。金額が示せないというのは、今初めて答弁したのですよ。それを聞いているのだから。

 では、幾ら減らせという話はせずに、削れるところだけ出してこいと、そんな指示の仕方はありますか。

扇国務大臣 あります。

 前原先生御存じだと思いますけれども、公共工事というのは原則として国民の生命財産を守るためが公共工事なんです。少なくとも、国民の皆さんに一人でも快適な生活を送っていただきたい、社会資本整備の一番原点なのです。

 だから、さっきも申しました。二十世紀はそれで今日の日本があると申しました。それを先生も否定されませんでした。けれども、それを均衡ある国土の発展で全国くまなく同じように皆さんにしていただくためには、社会資本整備の公共工事というのはまだまだ必要だとおっしゃるところはいっぱいあります。私に陳情なさいます。けれども、それをしていたのでは金額が足りないから、今言ったように、三十兆という枠の中で、来年度、十四年度概算要求から三十兆という枠を切ってあるのですから、なるべく削れるところは削って、そして皆さん方の御要望の必要不可欠のところへなるべく配分していこうというのが、それ以上の対策が今私の頭にはできませんけれども、今それを申し上げたと言ってあるのです。

前原委員 前の内閣では公共事業費は減らさないと言った。そしてこの内閣では公共事業費を減らすと命令している。その点はいいのですね。もうそこだけでいいです。もう時間がもったいないから。返事はそのとおりか違うかだけでいいです。はいかいいえでいいですよ。

扇国務大臣 時代とともに改革する。今までだって、去年の百八十七事業中止だって今まで考えられなかったことです。時代とともに考えていくという、時代に適応した指令を出したと申し上げているのです。

前原委員 全然質問に答えてないじゃないですか。

 委員長、これはひどいよ、この答弁は。全然質問したことに答えていないのだから。この大臣の答弁だけはひどいよ。

赤松委員長 佐藤副大臣に補足をさせます。(発言する者あり)

佐藤副大臣 いや、委員長から指名されました。

 私もその会議にいまして、そして大臣からどういうようなお話があったかということをちょっと前原先生にお話ししておきますけれども、大臣は、今月中に、五月中にどういうところに我々は努力できるのか検討しましょう、そして何回も会議をやってこれから進めていこう、そういうお話をされたのです。減らすとか何とかという話をしたんじゃないのです。ですから、みんなでどれだけできるのか、どれだけ検討できるのか、それを検討しようと。もちろん、その減らすとかいろいろなことも含まれるのですよ、見直しが含まれるのですよ。だけれども、検討しましょう、そう言ったのです。

前原委員 大臣と副大臣の言っていることは違うじゃないですか。削減しろと命令したとさっき言ったじゃないか。今副大臣の言っていることは違うじゃないですか。

 こんなでたらめな内閣の中で、質問したことにも答えない。むちゃくちゃだよ、こんなの。

赤松委員長 それじゃ、ちょっと。――では扇大臣、再答弁をお願いします。

扇国務大臣 森内閣から小泉内閣にかわりまして、先ほども私、ごあいさつさせていただきました。森内閣よりも小泉内閣はより厳しく聖域なき改革ということをうたっておりますので、聖域なき改革をしていこうという原則を、先ほどごあいさつでも申しました。ですから、森内閣から小泉内閣で変わったのかとおっしゃれば、変わったのです。森内閣のままでいけば三十四兆になるけれども、例えば、それを、三十兆という国債発行限度額を決めるということになったので、それだけ各省庁、聖域なき改革をしていこうという腹づもりで、私は局長に、今月いっぱいにどこをどうできるかというのを出してくださいというのを申し上げたというので、その意味では、森内閣と小泉内閣とは心意気が違う。

 二十一世紀型で、より改革をしていくということに変わったことだけは、さっきもごあいさつで私、申し上げたとおりでございますから、それで御理解いただきたいと思います。

前原委員 納得できない、答弁には。説明になっていない。

 心意気が変わったって、ふざけるんじゃないですよ。内容の議論をしているんだ。ふざけるなよ。そんないいかげんな答弁はないよ。

赤松委員長 では、ちょっと休憩して、理事会をやりましょうか。ちょっと理事、お願いします。

 済みません。少し混乱をしてしまいました。

 改めまして、では扇大臣の方から答弁します。いいですか。

扇国務大臣 言葉足らずだったのかもわかりませんけれども、小泉内閣になって、聖域なき改革と申しましたので、私どもも改革しようということで、そして公共工事ももちろんその枠に入るということで、各局にどこをどう改革できるかを今月いっぱいに出してくださいと。

 今、残念ながら金額で幾らとはお示しできませんけれども、森内閣と小泉内閣でそこが違うんだ。聖域なき改革をするために、国土交通省としては最大限の努力をしようということで対処していきたい。五月の末には何らかの形で、どこをどう削れるか、みんなで考えようということを申しましたので、今までと違った心意気で改革をしていくために知恵を絞らせていただきたいと思います。

前原委員 大臣、さっきの答弁と違うのは、一つは、前の内閣では公共事業の全体像はさわらない、削減しないということをおっしゃったのですよ。つまりは、個別の公共事業の見直しはします、一つの工事ごとのコスト削減の努力はしますと。そうしたらお金が浮きますね、その浮いた分についてどうするのですかと僕は質問したんですよ。その分についてはほかの公共事業に回す、全体像は変わらないと言ったのです。

 今回は、要は削減ですよね。削減を指示したのでしょう。前の内閣で言っていることと違うじゃないですか。さっき同じだと言ったじゃないですか。だから紛糾しているんじゃないですか。そこを素直に認めなきゃだめですよ。

 それともう一つ。副大臣もちゃんと答弁。さっき大臣の言ったことと違う。さっきあなた、削減を指示していないという答弁をしたでしょう、副大臣。削減を前提としていないと言ったでしょう。今削減と言ったじゃないか。言っていることが違うじゃないか。委員会でうその答弁をしたらだめですよ。

 さっきの話し合いの中では、部局の中で話をしたとき、副大臣が何とおっしゃったか。これはもう議事録を見たら明瞭だ。削らない、削ることを前提としないとあなたは言ったんだ。だけれども、今、削ることを前提に指示したと言ったんだ。何をうそをつくのだ、委員会で。神聖な場ですよ、我々、国民から選ばれた。別に小さなことで怒っているのじゃないのです。前の答弁と食い違ったら違いましたとなぜ素直に認めないんだ。あるいは、つじつまを合わせるために、子供のうそみたいに、うそにうそを重ねるんだ。そうじゃないか。うそを言ったじゃないか。あなたは虚偽の答弁をしたのだ。

 だから、変わりましたということを扇大臣、しっかり認めてください。それと副大臣、あなたは謝罪すべきだ。うその答弁をしたのだから。

扇国務大臣 私は、森内閣と変わったということを認めていますし、また、そうしなければ、小泉内閣の意義がないと思っていますから、より厳格に私どもは使い道をきちんとしていこう、見直しをするんだということをはっきり指示いたしましたので、変わっている部分といえば、森内閣のままでいったら三十四兆国債発行をしなきゃいけませんので、私たちは、枠にはまった、みずからの身を削って改革をしていこうということに国土交通省は全力を挙げるということを申し上げます。

佐藤副大臣 前原先生、私は、先ほど申し上げたのは、決して虚偽のお話をしたんではありません。検討するということは、いろいろな事業を見て、この部分は国民にとってふやすべきものはやはりあるわけですね。一方においては減らすものもある。そんなことを含めて、全体を見ながら検討して、どうやったら小泉内閣の意向に沿ったものになれるか、そういうことをお話をされたんですよ。ですから、我々の中にはやはり減らすものもたくさんあるわけですね。そしてふやすものもある。そして全体としては減らす方向に行くんだと思います。そういうことを申し上げたんです。

 だから、大臣もそういう方向でお話をされたんで、私はそのように受け取ったんで、そのように申し上げたんです。決してうそを言っているんじゃありません。

前原委員 ちょっと議事録を精査して、さっき言ったことをもう一遍ちょっと見ないと、私は納得できません、今の答弁では。全然整合性とれていない、二人の言っていること。

 それと、副大臣がおっしゃるのは前におっしゃったことと違うよ。(発言する者あり)そんなことないって、認めないんだったら質問できるか、こんなの、これから先。

赤松委員長 では、今の前原君の指摘につきましては、改めてその質問の議事録を精査するということで、この場面は、今のおっしゃったことについては改めてその整合性については点検するということにしていただいて、次の質問に入っていただけますか。

前原委員 私、国会の議論をさせていただいて、こんなに悔しい思いをしたのは初めてですよ、八年間国会議員させていただいているけれども。

 つまりは、何を言いたいかというと、扇大臣の、前言ったことを取り繕う発言をされる。まだ否定されているでしょう。それだったら、さっき言ったことは全部口先だけのことになるんですよ。これは非常に重要なことを僕は言っているんです。

 どういうことを言っているかというと、もう一遍言いますよ。森内閣のときは扇大臣はどうおっしゃったか、これは質問したからよく覚えています。もう一遍言いますよ。個別の公共事業の見直しをやります、これは亀井さんが政調会長のときにやられたことを政府もある程度プラスをして、百八十七の見直しになった。その分、国費の、あるいは建設省、運輸省、そのときは、その負担分は浮きますよね。それから、コスト縮減の努力をされている。そうすると、一つ一つの事業についての単価が下がる。そうすると、そのお金も浮く。しかし、公共事業費全体については、そのコスト縮減とか個別の公共事業の見直しの中で削減をするのかと言ったら、削減しないとおっしゃった。別の事業に回しますとおっしゃった。つまりは、森内閣のときで、扇大臣は公共事業費の額は減らさないとおっしゃった。これは大きな話なんです。

 だけれども、この内閣では、各役所が三十兆というキャップを守るためにコスト縮減をしなきゃいけない。だれが考えても当たり前の話。だから、聞きたかったのは非常に単純なこと。公共事業費もへずるんですね、その話を聞きたかっただけなんだ。それを、さっき削減されるとおっしゃったでしょう。

 そこでだ。先ほど副大臣がおっしゃったのは、事務方含めての会議の中で、削減なんてことは言っていない、見直しだと言った、見直す部分には減らすものもあればふやすものもあると。今の答弁で初めて、全体としては減らすことになるんでしょうねと。さっきの答弁では、減らすことを前提としてないとおっしゃったじゃないですか。減らすことを指示しないとおっしゃったじゃないですか。

 だから、それはさっき委員長が仕切られたように、前の答弁と精査をさせていただく。そのかわり、そごが出たら、あなた、どうしますか。議事録に残って、国民の代表が質問して、それに対して虚偽の答弁をした。あなた、どうしますか。責任とりますか、本当に。そのぐらい怒っているんだ。(発言する者あり)何、向こうの勘違い。だれだ、今言ったのは。だれだ、今言ったのは、向こうの勘違いって。(発言する者あり)

 ちょっと委員長、向こうにも指示してくださいよ。私が質問者、そして私がだれに対して答弁をしてくれるかということを言ったのに、泉副大臣は、不規則発言じゃないか。ちょっと注意してくださいよ。

赤松委員長 不規則発言は注意してください。

 佐藤副大臣、答弁。

佐藤副大臣 ちょっと言葉足らずの面があったかもしれませんけれども、私は同じ意味のことを申し上げたんです。決して私は虚偽の話をしたんじゃありません。そのときの会議の様子から、そのように、私は、大臣の発言はそういう発言だったと。中に含まれているものは、全体として努力をして、いかにして減らす方向に行くかということが含まれているわけですね。ですから、そういうふうに私は受け取った、そういう話をしたんです。言葉足らずだった面はお許しいただきたいと思います。

前原委員 藤井道路公団総裁にも来ていただきまして、質問時間がちょっとなくなりました。それは、わざわざ来ていただいて、おわびを申し上げますし、竹村河川局長も来ていただいていますけれども。

 一つだけ最後に申し上げたいと思うんですが、額を指示していないというのは本当なんですか。うそか本当か。普通、僕は考えるのに、へずれるかどうか、漠然と事務方に投げるなんという社長はいないね。何ぼ減らせと、具体的に。例えば、三兆三千億円、全体の役所で歳出カットをしなきゃいけない。国土交通省としたらこのぐらい削らなきゃいけないだろう、公共事業費としては大体このぐらい見なきゃいけないだろう。漠然と、内容について見直せ、こういうことが本当にあるのかどうかということを考えたときに、僕は非常にそれはおかしいと思いますよ。本当に額は指示していないんですか。指示していなかったら、私は大臣の見識を疑いますね。

扇国務大臣 前原先生に御理解いただきたいのは、先ほども申しましたけれども、公共工事というものはまさに国民の生命財産を守るためだというのが大前提でございまして、昨年の百八十七の事業を削りますときも、国民の生命財産に支障を来さないかということを論議して決めたんで、私は、それを抜きにして、ただ切れと私が言ったから切れるものではありませんので、各局に、削れるところも見直しを全部私に五月じゅうに出してくださいと申し上げたので、最初から、小泉内閣が三十兆の国債発行をしないと言って決めたから、じゃ、おまえのところは一兆切るのかというふうに言われても、今は金額を出せないというのを御理解いただきたいと申しましたし、昨年は百八十七切っただけで二兆四千億、継続経費が節約になったということも、百八十七切って初めて将来二兆八千億というのが出てきたわけでございまして、削れるものは、まず国民の生命財産に間違いないように、それを厳に私は守りながら、削れるところを探しましょう、また削らなければならないということを示唆したということでございます。

前原委員 委員長、一つ、大臣に対してこれはぜひ言っていただきたい。むだな答弁が多過ぎる。聞いたことに答えればいいのに、それ以外のことはべらべらしゃべり過ぎだ。それについては注意していただきたい。それが委員長に対して申し上げたいことの一つです。

 最後に、額を言わずに減らせと言われて、だって事務方の人に聞いたら、全部必要だと思ってやっているんでしょう。そんな投げ方があるか。本来ならば、皆さんがやっている事業は皆さんが必要だと思ってやっているのだろう。しかし、小泉内閣になってこういう方針になった。大体の目安として国土交通省はこれだけ減らさなければいけない。そこで、皆さん方、申しわけないけれども、知恵を絞って、削れるものについては知恵を出してくれ、大体このくらい。額がなくて、削れるものを削れ、そんなやり方はない、私はそれだけ申し上げたいと思います。

 改めてもう一度、残余の質問を含めて徹底的に――僕は扇大臣は内容を余りわかっておられないと思う、この国土交通の問題について。わからないことははぐらかしっ放し。それを申し上げて、再度時間をとって質問をさせていただくということを申し上げて、私の質問を終わります。

赤松委員長 前原誠司君の質問は終わりました。

 次に、細川律夫君。

細川委員 民主党の細川でございます。

 それでは、私の方から御質問申し上げますけれども、御答弁の方は簡潔にお願いをいたしたいと思います。

 私は、二月の二十三日、この委員会におきまして、扇大臣の所信に対して質問をいたしました。そのとき、私の方からは総合的な交通政策の立案について伺いましたところ、大臣の方からは、総合的な交通体系というものを確立していく、それが国土交通省であろうと思いますという答弁がありました。

 大臣の発言の趣旨は、今までは建設省、運輸省それから国土庁、こういう縦割りであったものが、国土交通省の誕生によりまして、これからは総合的な交通の基盤整備ができるということでありました。

 あれから二カ月以上たちましたけれども、そうした施策を、大臣が答弁をされた総合的な交通体系の整備をどういう方向でやるのか、その論議が、具体的な方向が見えてきておりません。

 この間も報道でありましたように、本四架橋のための税金投入が合計二兆四千五百億円と大変膨大な数字になってきておりまして、これらの公共事業の採算を問う問題も出てきております。一般の高規格道路についても、需要予測あるいは事業計画をやっていけば、さらに進めることについての疑問なども生じることもあります。そういう問題がある一方では、環境やエネルギーの面から、道路と鉄道や船舶、これをどういうふうな形でバランスをとっていくかという議論もあるわけであります。

 その点を含めて、交通政策全体、そしてその基盤整備について、何をどのように重点化していくか、こういう点についてしっかりした指針を定めていくべきだというふうに思います。具体的には、高規格道路は計画どおりやるのがいいのか、あるいは整備新幹線はどうなのか、あるいは空港や港湾はどうなのか、優先順位をつければどのモード、どの地域か、こういう議論がいろいろあろうかと思います。

 そういうことについてどういう方法で国土交通省の中で議論を進めていっているのか、あるいはこれからどういうふうに進めていくのか、これについてお伺いをいたします。

扇国務大臣 これも細川先生、二月の二十三日に当委員会で、総合的な交通体系のあり方という御質問をいただきまして、そのときに、今後国土交通省でというお話をいたしました。今先生がおっしゃっていただいたとおりの御答弁を私はさせていただきました。

 それをいかに具体化させるかということを、私も大臣の任期中にできればと思いまして、今御質問がございました、二月の二十三日に御質問いただいたのですけれども、その翌日の二月の二十四日から四月の二十一日までかけまして、この間全国で十カ所で地方懇談会を開催させていただきました。これは、各県の都道府県知事さん、政令指定都市の市長さん、そして財界の代表者等々と、全国十ブロックに分けまして、全国の地方懇談会を開催させていただきました。

 そして、その中で申しましたことは、今先生の御質問が陸海空にわたっておりますけれども、私は、全国の各ブロックの地図をつくりまして、現在の段階での旧運輸省、旧建設省の事業計画というものを全部各ブロックの地図の上に、何年何月完成予定という地図をつくらせていただいて、各ブロックに全国持って回りました。

 そして、その地図を見ますと、今先生がおっしゃいました港湾、空港、駅、道路、それがいかに連係が悪いかというのが一目瞭然でわかるわけでございます。その上に、こういう公共工事の予定事業を明記いたしまして、これを一枚上乗せしますと、これは十年後の完成予想図でございます。

 これを全国つくって歩きまして、全国の都道府県の知事さん、市長さんと話し合いまして、いかに今までの縦割り行政というものがこの地図の上にあらわれるかということを私は御説明して歩き、御了解も得、そして、今先生がおっしゃいました、今後どうするのかというお話でございますので、この全国回ったものを、私は、早い時期に日本のグランドデザインとして、少なくとも十分以内に空港、港湾から主要インターチェンジ、あるいは主要都市に一時間以内に入れるような体系をつくっていくのが二十一世紀型であろうということで、これを早期に完成させていただくように、また、内閣の中に都市再生本部というものも設置されましたので、それも含めまして、私は、国土交通省の陸海空あらゆる国民の皆さんの利便性を考えた政策を立案していきたいと思って実行してまいります。

細川委員 そうしますと、全国の十ブロックに分けて、いろいろ懇談会を開いて意見を聞いた、あるいは説明した、これはわかりますけれども、今後国土交通省の中で、総合交通体系をつくり、基盤整備をどうつくっていくか、国土交通省の中では、具体的にはどういうような形で進めていく予定なんですか。

扇国務大臣 それは、細川先生御存じのとおり、今まで私が全国回りまして、いかに全国の立体的な政策というものが示されていなかったかということが明快になりました。

 それは、全国を十のブロックに切りましたから、一つの懇談会に四知事さんとか、あるいは政令指定都市の市長さんを含めて、全部トップが集まってくださいましたので、二時間半隣の県の知事さんの話を今まで聞いたことがなかったと。それが全部同じテーブルに着いて、お互いの県のありようを意見交換したものですから、やはり自分のところの県の県益だけではなくて、道路も鉄道もすべて県をまたいで政策があるものですから、こういう機会ができて本当によかったと皆さん方に言っていただきました。

 そういう意味で、私は、全体のグランドデザインがないために、今の都道府県の、各県のことだけしかなかった、それぞれの知事さんも、知事選等々で公約をしてきましたので、その公約の実現のために幅狭く見ていたなという御意見を賜りましたので、国土交通省としては、全国のグランドデザインをお示しすれば、各ブロックで御協力いただける、地方懇談会と事務レベルで今後連携していこうというお約束をして、定期的な会合をしようと決めましたので、そして、その地域の全体像と公共事業の順番、それから補助金の配分も今度は各地方に任せましたので、地方整備局から、助成金も公共事業の順位もその地方懇談会で延長の事務レベルで今後決めていきたいと思っております。

細川委員 そうしますと、あれですか、今後の総合交通体系、このグランドデザインは、そういう十ブロックの懇談会をして、そこで決めるということですか。今後もそれをやって、そこで決めていくということですか。

 では、どういうふうにしてやるか、ちょっとはっきり言ってください、同じことを繰り返さないで。

扇国務大臣 全国のグランドデザインは国土交通省が示します。

細川委員 だからそれを、いつ、どういうふうにしてつくっていくのですか。いつまでにつくるのですか、それでは。

扇国務大臣 それは今国会が終わるまでにグランドデザインをお示ししたいということを申し上げております。

細川委員 それでは、六月の末までに総合交通体系、基盤整備を含めて、それができ上がる、こういうことですね。それを今所管してやっているのはどこでやっておられるのですか、国土交通省の中で。

扇国務大臣 地方懇談会、全部幹部一緒に行っております。運輸関係も今までの建設関係も全部一緒に行っていますので、幹部全員が聞いておりますので、私のところで総合的に決めさせていただきます。

細川委員 そうしますと、各地域で、ブロックで、いろいろな要望なり意見なりを聞きながらそれをまとめて、やるのは大臣がやるんですか、大臣がつくるんですか。何か国土交通省の中で、きちんとした会議といいますか、実際につくっていくところは一体どこでやっているのかわからないから聞いているんですよ。

扇国務大臣 国土交通省の総合政策局が総まとめにしております。

細川委員 わかりました、今度の六月の末までにグランドデザインを発表ができる、こういうことですね。

 私の方は終わりの時間がもう決められておりますので、予定をしていた質問いろいろありますが、次にタクシーの問題についてお伺いいたします。

 来年の二月から改正道路運送法が施行されまして、運輸の部門におきます、これは最後になりますけれども、規制緩和が現実になります。また、このタクシーが一番問題を抱えた規制緩和でありまして、その点についてお伺いをしておきます。

 国土交通省といたしましては、平成九年度から、タクシーの需給調整規制の段階的な規制緩和措置として、毎年夏に需給動向の判断を行って、その結果に基づいて新規の免許、そして既存業者の増車可能枠を決めてきております。

 平成九年度、十年度では首都圏を中心に新規参入と増車が認められたんですけれども、平成十一年度以降は、ごくごく一部を除きまして、全国的には事実上、新免、増車枠は出ておりません。これは、現在タクシー業界が深刻な供給過剰状況にありまして、その行政的な措置というのは当然な判断だろうというふうに思っております。

 そこで、ことしもタクシー業界の関係、さらに深刻でございまして、もう昨年のスケジュールでいきますと、ことしも夏には需給動向判断を行いまして、その結果に基づく新免あるいは増車の行政処分が年末にかかるということになりますけれども、来年の二月には需給調整規制はもう廃止になるわけでございます。したがって、今年度の段階的な需給調整の規制の緩和というものは、本年度なんかもうこういう経済情勢でもありますし、やる必要はなくて、もう来年二月からの新法の施行で十分ではないかというふうに思いますけれども、この点についていかが考えておるのでしょうか。私はこの段階的な規制緩和は、ことしは実質的に無意味だと思いますし、中止したらいいというふうに考えますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 タクシーの需給調整規制の段階的規制緩和の関係でお尋ねがございました。

 タクシー事業の需給調整規制の弾力化措置ということで、これは平成九年三月の規制緩和推進計画に基づきまして、九年度から実施しているわけでございます。

 この弾力化措置におきましては、輸送需要に見合う基準車両数を出しまして、これに、平成九年度は一割、それから十年度から十二年度には二割を上乗せした車両数を計算いたしまして、これと実在車両数を比較しまして需給の判断をしてきて緩和してきたという経緯でございます。

 しかし、御指摘のとおり、平成十三年度における弾力化措置につきましては、十四年の二月から改正道路運送法が施行されるということがございますので、その必要性について薄いのではないかという意見もございます。このため、このような御意見などを踏まえながら、平成十三年度の弾力化措置の取り扱いについて現在検討を行っているところでございます。

細川委員 ぜひその検討の中で、私が申し上げました事情について考慮して、御判断をいただきたいと思います。

 時間がありませんから次へ移りますが、これは大臣にお聞きをいたしたいと思います。

 三菱自工のリコールの情報隠しの問題でございます。この三菱自動車工業がリコール情報を隠していたという事件で、先月の二十五日、東京地検では、副社長ら四名と法人としての会社を道路運送車両法違反で東京簡裁に略式起訴をいたしました。この副社長ら四名の個人についてはそれぞれ二十万円、会社に対しては四十万円という罰金、これは最高刑の求刑ですけれども、求刑をいたしまして、これはもう確定をしたのではないかというふうに思います。

 そこで、大臣にこれについての感想と、果たしてこういうことでいいのだろうかということについてお聞きをするんですが、この三菱自動車工業のリコールの隠ぺいといいますか、これは約三十年間にわたって組織的に、意図的にやったわけなんです。これについては、人身事故もこれによって起こったりとか、世間からは大変な批判を受けたわけでありまして、自動車の安全性の問題についても信用を失墜させた事件だというふうに思います。

 そこで、お聞きしますけれども、こういうような事件を起こして罰金二十万円、三菱自工という大会社に対して罰金四十万円、しかも略式、何の審理もなしに略式、こういうことで果たして国民の皆さんが納得するのかどうか。ぜひ大臣の感想をお聞きします。

扇国務大臣 今お話がございましたように、今回の件は、自動車メーカーがユーザーの安全をないがしろにしたということでは、本当に極めて遺憾な問題であったと私も認識しておりますし、このために、私ども国土交通省としましては、道路運送車両法に基づきまして警視庁へ告発するという手続をさせていただきました。

 そのときにも、三菱自動車工業は我々国土交通省の立入検査、それとその公表後の世間の批判を浴びまして、現実的に三菱自動車は一五%の減益になっておりますけれども、これはもう社会的制裁は当然のことであろうと思いますけれども、そういうことも考えまして、私どもとしては、さらにリコール隠しの再発防止のために、ユーザーからの情報の収集ですとか、あるいは分析をいたしまして、自動車メーカーへの監視を強化するなど、リコール対策の徹底を図ってまいりました。

 今罰金が軽過ぎるではないかという御意見がございましたけれども、私は同じような感じを持ちました。けれども、これは道路運送車両法のみならず我が国の法体系の中での罰金のあり方全体のことにかかわると言われまして、私も、一般的には安過ぎるなということもございますけれども、今の法体系の中ではこれしか仕方がないというふうなお返事もございましたけれども、今後の課題として私どもも受けとめてまいりたいと思っております。

細川委員 今、社会的な制裁も受けた、一五%の減益にもなった、こういうことですけれども、しかし、三十年間リコールを隠して、その間にぼんぼんだまして売っているわけですから、その間もうけていますから、三菱は。

 それと、実に悪質なんですね。個人にしてもたった二十万、この副社長なんかは経営の中枢にいたわけなんですけれども。九七年には富士重工でリコール隠しが問題になったのですよ。その後も隠し通しているということなんですね。しかも、九九年には二度検査をやっているのですけれども、これも担当者にうそを報告させている。そして、検査に行ったら、そのパソコンの操作をいろいろして隠すことを、分担も決めて、それで隠すための模擬訓練までやっていたそうなんですよ。

 こんな悪質なことをやって、それでたった二十万、四十万、何のためにこれは刑事罰を科しているのですか。これはおかしくありませんか。今、一般的にはおかしいとお感じになると。だったら、これは改正をすべきじゃないですか。個人についてももっと重く。これが最高刑なんですから。企業について最高が四十万では、どうしようもないじゃないですか。

 大臣、どうでしょうか。ぜひこの点は積極的にお願いしたいと思っております。

扇国務大臣 今先生がおっしゃいましたように、二十万円と四十万円は余りにも軽過ぎるではないかという。ただ、これも刑法の問題でございまして、道路運送車両法の問題と一緒になって私は決められたことであると思いますので、私が決めたことではないのですけれども、少なくともそういう多くの皆さん方の意見があろうと思いますので、今後の検討課題であろうと思っております。

 ただ、少なくとも私たちは、立入検査の結果、虚偽報告であるということで、すぐに警視庁に告発をしたという対応をしたことだけは御理解をいただいて、刑法に関しましては今後の課題であろうということだけ申し上げておきます。

細川委員 その告発をしたことを非常に重要視されているようですけれども、これは二十万円の罰金を受けさせよう、そういうつもりで告発なんですか。それは国土交通省がきちんと告発するのに、最高で二十万の罰金でということで告発したから、私たちは告発しました、国土交通省提案でやりましたなんて僕は言えないと思いますね。これがもっと重い刑罰ならば、それはいろいろ問題もあるけれども、国土交通省として決断をして告発をしましたというのなら、それはわかりますよ。しかし、たった二十万で、しかも略式。何の審理もなしに。そんなものは痛くもかゆくも何ともないのじゃないですか、御本人たちは。だから、そういう面はきちんと国土交通省としてこれは対応したらどうですか。ぜひ積極的に検討をお願いしたいと思います。

 それから、今全国で大工さんが非常に困っている問題があるようでございます。

 これは木造住宅の継ぎ手なんかの構造についてでありますけれども、建築基準法が改正をされまして、昨年の六月にその施行令に基づく告示がなされまして、その告示の中で、木造の継ぎ手及び仕口の構造を定めた具体的な部分がございます。今までは金属、いわゆる金具を使わずに済んだ部分に金属を使わなければならないという変更が行われたところでございます。そのために、今全国の大工さんあるいは工務店の人たちが大混乱に陥っているようでございます。

 一つの疑問は、二階建ての普通の住宅で本当にこのような構造が必要なのかという点でございます。阪神の大震災の中でも、現在の基準法をクリアしていた建築については、これは大丈夫だった、ほとんど倒壊していないということでございまして、こういうような構造が必要なのかという点であります。二つ目は、逆に金具という金属をつけることによって、その金具に結露しまして、そこがさびて、耐久性ではかえって問題があるのではないか、こういうような疑問もございます。

 そういうことで、まずこの二つの疑問についてどういうふうにお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

三沢政府参考人 ただいま先生の方からお話がありましたように、改正されました建築基準法におきまして、構造耐力上主要な部分である継ぎ手または仕口について、一定の具体的な方法を定めまして、これによって緊結しなければならないということにされているわけでございます。

 これはなぜこういうことにしているかということでございますが、阪神・淡路大震災におきまして、二階建て程度の木造住宅の場合でございましても、柱と土台の接合部等にやはり補強金物が用いられていなかったということが、結果として、例えば大きく傾いたり、そういう被害を受けた事例がございます。そういうことも踏まえまして、昨年の六月から施行されました改正建築基準法に基づく告示では、これらの接合方法の具体的なやり方、具体的な仕様を告示で決めるということにしたわけでございます。

 そういう意味で、そういう大震災の経験を踏まえて、こういう措置自体は必要な措置であるというふうに考えている次第でございます。

 もう一点の結露の場合でございますが、結露につきましては、防錆措置、つまり、さびないような措置を講じた適正な品質のものを使っていただければ、そういう意味では耐久性の問題は解決できるのではないかというふうに考えておりまして、そういう趣旨からこういう告示を定めて、運用を始めさせていただいているところでございます。

細川委員 伝統工法、在来工法に基づいてまじめにきちっとやっている大工さんあるいは工務店の皆さん方が、実際にやっていて大変疑問を感じているというようなことがありますので、ぜひ、こういう点についての疑問にこたえていただくように、ひとつ検討をお願いしたいというように思います。

 そこで、この件については、在来工法できちんと大丈夫だということでやって検査に臨めば、これは違法だということで、その違法性を指摘されかねない。しかしながら、その金属の必要性については納得できないという、大工さんとしては実に困っているのが実情でございます。

 したがって、この点について、今お答えになりましたけれども、もっと研究の方も進んでやっていただいて、一定の結論が出るまではこの告示について弾力的に適用していただけないか、こういう考えはないのかということについてお伺いをいたします。どうでしょうか。

三沢政府参考人 この告示におきましては、その告示の中で具体的に例示した接合方法だけに限定しているわけではございませんで、それと同等以上の性能を有する構造方法も用いることができるというふうに告示の中で定めております。したがいまして、その告示の運用に当たりましては、告示で定める構造方法と同等以上の性能が確認できるものであれば、やはり今後とも幅広く認めていくということを基本的な考え方として私ども運用していきたいというふうに考えておりまして、そういう中で、大工さんあるいは工務店関係の方々の御意見も、こういうやり方があるんだというお話があれば、ぜひ十分伺わせていただきながら進めていきたいというふうに考えております。

 それからもう一つ、具体的なやり方において大工さん、工務店さんが戸惑いがあるというお話もございまして、それはやはり、できるだけ大工、工務店さん方が無理なく対応できるような木造住宅の構造方法について、具体的にわかりやすく記述したマニュアルのようなものをきちっと策定していくことが非常に大事だと思いますので、例えば、六月上旬に住宅金融公庫の共通仕様書というのも作成する予定でございますので、その中にもできるだけ、こういうやり方こういうやり方と、わかりやすく、無理なく対応できるようなものを盛り込ませていただきたいというふうに考えております。

 それからさらに、金物を使わないでいわゆる民家型の伝統工法というものについて、やはり、そういうものをどう扱うかということについて私どもとしても研究を進めて、技術開発の促進を図るということで、具体的な研究をまた進めていきたいというふうに考えております。

細川委員 伝統的な工法、在来工法のよさをぜひ研究をしていただいて、全国の大工さんあるいは工務店の皆さんが心配ないように、一生懸命仕事ができるようにぜひお願いをしたいと思います。

 最後になりますが、この間の五月五日、こどもの日に、千葉県の四街道市におきまして、建築会社の作業員宿舎が火事になりまして、十一人が死亡するという痛ましい事故が起きました。ちょうど連休でありましたから、北海道から来ていた子供三人を含む一家五人が死亡するなど、通常の火災では考えられないような悲惨さでございまして、なぜこのような大惨事になったか。

 このことを伺いますと、大体、この建物そのものが建築確認は受けていない。そして、市の火災予防条例に基づく防火対象物としての届け出もない。まさに違法建築、違法ずくめの建築のために多数の命が奪われたというものであろうと思います。

 報道によりますと、四街道市の市の方としては、何回も違法建築であるということをこの社長の方には指摘をしていたということでありますけれども、なぜ火災の予防措置がとれなかったのかということ、まことに残念でございます。

 時間がありませんから最後に簡単にお聞きしますが、こういうようなことがないように、違法建築、どういうふうにしてこういうものをなくしていくのか、どういう対策をとるのかについて国土交通省、それから消防庁の方としても、こういう問題については責任の一端も免れないのではないかというふうに思いますけれども、事前にこういう違法行為をどういうふうにして取り締まって、その再発防止、どういうような方策を考えているのか、質問をいたしたいと思います。

三沢政府参考人 違反建築物対策でございますが、これにつきましては、従来から、違反建築パトロールの実施とか、あるいは住民から通報をいろいろいただいた場合に、特定行政庁の方で違反是正を行う、そういうことを通じまして、基準法の遵守について、いろいろ特定行政庁において御努力いただいてきたところではございます。

 ただやはり、今回の建設業の附属寄宿舎の火災、これを踏まえまして、私ども国土交通省といたしましても、総務省消防庁それから厚生労働省の三省で連携いたしまして、先般五月十一日に各関係機関に通知を行いまして、消防機関あるいは労働基準監督機関あるいは都市計画関係部局等と密接に連絡をとり合いながら、そういう無届けの寄宿舎の調査、実態把握を進めるというようなことをお願いいたしたところでございます。

 今後、これらの調査結果を踏まえまして、消防機関との一層の連携のもとに、特定行政庁による違反建築パトロールあるいは検査等の徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

片木政府参考人 お答えをいたします。

 四街道市の火災によりまして十一名もの命が奪われましたことは、消防庁といたしましてもまことに遺憾に存じております。

 かかる惨事の再発を防止するという観点から、全国の消防機関に対しまして、一斉点検と防火安全対策の徹底の通知を十一日付で発出をいたしました。特に、具体的には、建築行政関係部局、都市計画関係部局、労働基準監督機関等と密接に連携をとり合いながら、特に防火対象物使用開始届が未提出のものがあり得ることにも留意をいたしまして、建設業附属寄宿舎の実態を把握し、防火対象物使用開始届提出の徹底を図り、必要に応じて査察を実施するように通知しておるところでございます。

 今後とも、消防本部と連携を密にしながら、火災予防対策の推進に努めてまいりたいと考えております。

細川委員 私の質問はこれで終わりたいと思いますけれども、私の予定時間が、前原さんの質問のところで大分延長をいたしましたので少なくなって、私の予定の質問も大分できなかったところがありますけれども、次の機会にまたさせていただきたいと思います。

 ぜひ、委員会の質疑、国民の負託を受けた国会の委員会の中の議論が実りのあるいい審議になるように、お互いに今後とも努力を重ねていかなければいけないと思います。

 そういう感想も申し上げながら、私のきょうの質問は終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時七分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。瀬古由起子さん。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 きょうは、公共事業について質問させていただきます。

 先ほど質疑がございましたけれども、国債の発行を三十兆円以下に抑える場合に、公共事業の見直し、削減も当然例外ではないということは、総理大臣の答弁の中でも、また扇大臣の先ほどの答弁の中でも明らかになりました。

 もう一度正確にお聞きしますけれども、これは、今までの内閣、前の森内閣の、いろいろ見直しをしても総額は減らさないという今までの方向からは変わるということでよろしいでしょうか。

扇国務大臣 きょうは、瀬古先生に私は敬意を表したいと思いますことが一つございます。それは、いつも委員会で人の質問のときにもきちんと聞いていらっしゃいますことに、私は委員として心から敬意を表したいと思います。

 今までの御質問をお聞きいただいての、あえて重ねての御質問でございます。内閣がかわって、しかも、聖域なき改革という小泉内閣の国民に対する約束でございますので、私たちも、聖域なき改革を国土交通省としてもするということを申し上げておきたいと思います。

瀬古委員 明確に、公共事業についてもメスを入れるということだと思うんです。

 そこでお聞きしたいんですけれども、与党の公共事業の抜本的な見直し案が出て、全体では二百三十三事業の中止勧告が行われて、これも先ほどありましたように、事業費で二兆八千億円の減額。これは、先ほど扇大臣は、いろいろやって今まで減らされなかったのを、改めて見直してこれをやったんだということをお話しになったと思うんですね。

 しかし、よく考えてみますと、総額として二兆八千億円なんですが、工期を平均十年としますと、単年度では二千数百億円程度の削減なんですね。年間五十兆円の公共事業費と言われていますけれども、そのわずか〇・五%だ。これが実は与党の公共事業の抜本見直し案なんだということが大変宣伝されて出されてきたわけですけれども、全体でいうとほんのわずかなもので、どうしてこれが抜本改革と言えるのか。

 今は新しい方向でやると言われているので、こういうちゃちな抜本改革が大変問題だったというふうに御反省になっているのかどうか、その辺はいかがでしょうか。

扇国務大臣 私どもは、絶えず反省するというのが基本姿勢でございますから、そのことに対しては私たちもそのつもりで行ってまいりますけれども、その百八十七事業を中止したことは褒められたことではないと私は国土交通省の全員に申しました。これは私たちにとっては屈辱である、けれども、二十一世紀の新たな公共工事は、五年後、十年後に見直しされるような事業には手をつけない、そのことも私は銘ずべきことだというふうに申し上げております。

 そして、今先生は公共事業五十兆とおっしゃいましたけれども、国の十三年度の一般会計予算で見ましたら、公共工事の関係は九兆四千三百五十二億でございます。けれども、御存じのとおり、その八割は社会資本整備、生活基盤ということでございまして、下水道でございますとか、あるいは住宅、生活道路等でございます。そういう意味も含めて、私は、国民に安心と安全を与えるための欠くべからざる公共工事と、あるいはもう少し見直してもいいじゃないかというものを、きちんと精査していこうと思っております。

瀬古委員 こういう削減を屈辱的だというふうにとりながらこれから見直しをするという場合には、やはり私は、今後本当に公共事業が抜本的に見直されるんだろうかという不安を覚えます。

 特に今までの見直し案でいいますと、どういう内容かというと、既に休止状態になっている、ほぼこの事業は難しいというのがだあっと出されてきて、これを中止したということが言われているわけです。そういう点では、在庫一掃セールだなんて酷評をなさる方もいるぐらいなんですね。本当はもう、いつ切ろうかと思っていたので、ありがたいというか、そういう点では、これで国土交通省もほっとしたというか、切るべきものを切っちゃったというか、この程度のものでしかないというふうに私は思うのです。

 といいますのは、例えば、今、環境と漁業被害で大変大きな問題になっております諫早の干拓事業の問題や、それから裁判になっております川辺川のダムの問題だとか、これは見直しの対象に入りませんでした。

 だから、私は率直に大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、見直すという場合に、金額をこれだけ削減するぞといって見直しをしてもらうというのも一つの方法だし、一番効果的だと私は思うんですね。公共事業を段階的に半分なら半分にするとか三分の一にするとか、まあ三分の一はちょっとすぐには難しいけれども、そういうやり方で、ある意味では、必要だと思っても、将来は必要になるかもしれない、しかし財政事情からいうと今は選択せざるを得ないという場合には、それは切らざるを得ないということもあるでしょう。そういうように金額でばしっと切るという方法もあります。

 それからもう一つは、見直しをする場合に、やはり基準というものを指示してあげないと、さあ何か不要不急のものだけ出していらっしゃいというと、また在庫一掃セールの、やや残ったものが出てくるみたいなことになってはならないと思うんですね。そういう意味では、公共事業の今後のあり方という点で、やはり今の段階における物差しというものをきちんとつくっていくということが私は大事だと思うんです。

 そういう点では、前回、二百三十三事業をはかった物差しが、残念ながら、やはりお粗末だったと思うのです。本格的に、だれが見ても、これは将来必要かもしれないけれどもやむを得ないなと、だれもが納得できるものをやはりきちっとつくるべきだ。

 そこで私は提案したいと思うんですけれども、公共事業という場合に、先ほど大臣は、道路の関係でいうと、空港や港湾、こういうところに道路をどうつくるかという、そういう意味では、グランドデザインを私がつくって、それで指し示していくと言われたんだけれども、私は逆だと思うんですよ。もっと、住民サイドからどういう要求があるのか、確かに各知事とかを集めるのもいいですけれども、本当に、生活している住民の皆さんがどういうものを望んでいるかということを、私は、公共事業を担当する国土交通省としても、そういう視点でもきちっと見ていかなきゃならないんじゃないかと思っているんです。ですから、物差しでいえば、やはり国民の要求がどこにあるのかというのが第一点だと思うんですね。

 それから二つ目は、やはり公共事業というものの主な財源は税金ですから、そういう点では、費用対効果だとか採算性がどうなのかということを見ないと、じゃんじゃんつくった本州と四国の間のあの橋の赤字なんかもめちゃくちゃひどくて、それこそ通行料金で建設費の利息も賄えない。これは、国土交通省がどうしても必要だと言ったって、初めからこんな深刻な事態を招いていいというわけじゃないと思うんです。そういう反省がどうしても必要だと思います。費用対効果、採算性の問題。

 それから、今公共事業をやる場合に、環境保護がどうなのかということは、やはり切れない。今後、公共事業を考える場合に、特に二十一世紀の公共事業がどうあるべきかという点では、考えなきゃいかぬと思うんですよ。だから、こことここの間に道路が走っていないから何とかしなきゃみたいな、そういう扇大臣の発想というのは二十世紀型だと私は思って、もっと二十一世紀に向かった前向きな公共事業のあり方というのを考えないと、やった結果、また大変な事態になるということがあるということで、私は具体的に提案したいと思うんです。

 二つ大きな面があるんですけれども、一つは、公共事業の予算の執行過程を透明化するということが大事だというふうに思うんですね。何か、知らない間に決められて、そして中止になるのも、どういう状態で中止になったのかなかなか明らかにならない。そういう点では、私は、例えば開発計画、先ほど言われたようなグランドデザインをやって、こういう計画のもとでそれやるんだというやり方はもうやめて、やはり必要な事業を積み上げていく、そういう方式に切りかえていく必要があると思うんです。

 今それが一番できない理由は、今、総額これだけの金額だということで公共事業を決めている。開発計画だとか長期計画がありますよね。これで縛られて、本当に、新しい住民からの要求の積み上げがなかなかできない。こういう公共事業のあり方もやはり考えなきゃいかぬのじゃないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

扇国務大臣 今瀬古先生がおっしゃいますように、さっきも前原先生がおっしゃいました、金額を決めてやるのも一つの手だと。ただ、今金額が決められませんから、私は積み上げ方式でいこうと思っているんです。今瀬古先生が公共工事も積み上げ方式でいいじゃないかとおっしゃったのは、私が全国を歩いたというのは、その積み上げ方式をするレールを敷きに全国を歩いたんです。私、役所だけが決めてこれでいいというのであれば行かなくてもよかったんですけれども、各ブロックブロックで順番も助成金の金額も皆さんで決めてくださいと、そのために私は全国歩いたのです。

 それぞれの言い方は百人百様でございまして、全部達成できる財政事情でもございませんし、地方財政も苦しいですから、私は、その中でどこに重点を置くべきかをぜひブロックで決めていただきたい、それを上げてきていただいて、まとめるのは私のところだと。しかも、全体のグランドデザインをお示しすることによって、皆さんは、自分たちの住んでいるところはこれくらいの水準なんだなと、それも基準にしていただけますので、そういう意味でございまして、決めるのは私ですけれども、グランドデザインは積み上げ方式であるということもぜひ御理解いただきたい。そのために全国歩いたということが一点でございます。

 それから、今、公共事業の効果というものをもっときちんとするべきではないかというふうにおっしゃいましたけれども、これも先生御存じのとおり、昨年先生方に全会一致で通していただきましたあの公共工事の適正化法の中では、事前評価それから事業評価、事後評価、この三評価を全部公開することになっております。ですから、今までと違って、事前評価も公表されます。そして事業評価、これも公表されます。

 そういう意味では、公共工事の透明性というものが、皆さんに全会一致で通していただいた法律を四月一日から施行することによって、今までとうんと違って国民の皆さんにすべて開示されるということにおいては、私は新たな一歩を皆さんのお力で出していただいたと思っておりますので、この事業評価制度、事前評価、事業評価、事後評価、あらゆるところで評価制度が活用されるということをぜひ御理解賜りたいと思います。

瀬古委員 今、国土交通省がやろうとしているのは積み上げ方式だと言われたんですが、実際には、本当に積み上げになっているのか。

 例えば、住民の皆さんは、これをつくってほしいというものもありますけれども、このダムは要らないとか、この橋は要らないとか、そういうことだって住民の声としてあると私は思うんですね、これは環境破壊になる、これは将来財政負担になると。もしこれをつくるなら、同じ公共事業でも、自分たちの身近な道路をつくってほしい、段差のない、お年寄りが歩ける道路をつくってほしい、こういう声だって私は一つの国民の声だと思うんです。

 大臣、本当に積み上げ方式というなら、今、全国の、ダムについて反対論がいっぱい噴き上がっている、今私が言いました諫早だって、川辺川でも、やはりそこに大臣が出かけていって、そして、なぜ反対なのか、なぜ住民が今これはだめだと言っているのか、そういうものも見ないと、さあ、どんどん出してくださいと言うだけでは、今の公共事業のあり方でいえば、ではあの道路も欲しい、この道路も欲しいと、それは、ないよりあった方がいいみたいなものが知事から出てくるわけですよ。しかし、そんなやり方はもう時代おくれじゃないか。

 むしろ、反対が起きているところに出かけていって、何で反対なのか、なぜこれが必要ないのかということを聞いて、そして今住民が望んでいるのは何かということだって同時にやらないと片手落ちで、私は、ある意味では、一方の意見だけ聞く、大臣は積み上げ方式と言われたけれども、事実上、総額方式というか総枠方式みたいなやり方にほかならないんじゃないかというふうに思うんですね。どうですか。

扇国務大臣 今の御発言の中で、差別用語的なものは私は申し上げたくないので、先生もそういうつもりでおっしゃったんじゃないと思いますけれども、私たちは、少なくとも、多くの皆さん方の御意見を聞いているつもりでございます。

 例を挙げますと、この間新聞に、脱ダム宣言で大変話題になりました下諏訪ダムの話もございました。これは知事さんが中止とおっしゃいましたけれども、私のところへは、岡谷市の市長さん、あるいは下諏訪町長さん以下、議会の関係者の方が大勢いらっしゃいまして、私たちはこの下諏訪ダムがなくなったら困るんだとおっしゃるから、なぜなくなったら困るんですかとも申し上げました。

 そうしたら、皆さん方がおっしゃるのに、岡谷市では水道は全部地下水からとっているそうなんです。その水道を検査いたしましたら、その水道水の中に、七六%を地下水からとっているんですけれども、その七一%でトリクロロエチレンという発がん性の物質が検出されたと。ですから、私たちは、地下水がこれだけ汚くなっているんだから、国民の生命財産にかかわるんだから、下諏訪ダムをつくって、なるべくきれいな水道水が欲しいんだということで、逆の陳情で、皆さんがこぞって決議しているんだ、こうおっしゃるわけですね。

 ですから、私は、やはり賛成、反対、皆さんの御意見というのは必ずあると思います。その中で、いかに多くの皆さんの安全のために私たちは税金を使うのかということでは、今先生がおっしゃった、多くの住民の、国民の声を聞いて判断するというのは、私は大事なことだと思っています。

 必ず、反対と賛成というのは当然出てきますので、私は、一人でも反対したらできないということではなくて、やはり集約的な民主主義国家では、多くの皆さん方の意見を尊重しながらやっていきたいな、そういうふうに思っております。決して独断的に中止をするということではなくて、ただやめればいいというのではなくて、今のように、やめるという知事さんがいらっしゃるけれども、現実に、市民の皆さん方が発がん性物質による危険があるんだとおっしゃるということも、私は両方聞いておりますので、一方的に意見を聞くというつもりはなく、総合的な判断を冷静にしていきたいと思っております。

瀬古委員 一方的にということではないということなんだけれども、実際に、これだけ問題になっているダムやいろいろな公共事業があるわけですよ。そういうところにきちっと耳を傾けるということをしないで、それは聞きますと言うけれども、では、事実上これだけ問題になっているところに扇大臣がどれだけ行かれたのかというと、私は、そういう点では不十分だというふうに思います。実際には、やはり一つ一つチェックできる、そういう積み上げ方式にはなっていないというふうに思っています。

 それからもう一点。公共事業をチェックするもう一つの方法なんですけれども、例えば、一定の規模以上の事業については国会でチェックをする仕組みだとか、それから、すべての事業に箇所づけが行われる場合に、その過程とか理由、そういうものなんかをもっと公開していく、やはりこういうことも私は必要だと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

扇国務大臣 一定の規模以上の事業については国会でチェックすべきではないかと今先生がおっしゃいましたけれども、私は、先生にもよく見ていただきたいと思うんです。

 毎年の国会の承認等に係る事務というのは、本当に膨大な量になっているのは御存じのとおりでございます。ただ、すべての新規事業の採択箇所におきましても、費用対効果というものを分析した結果、その事業評価というものを、国会に提出してございます各目の明細書の中で、十三年度予算から全部明記してございます。

 ですから、私は、本年度からではございますけれども、遅きに失したという感も、今先生のお言葉であればそういうことも考えられますけれども、十三年度からは各目の明細書を全部添付してございますので、新規箇所及びその費用対効果分析というものはすべて公開することになっておりますので、ぜひ目を通していただくなり、今後も公開していくという方針に変わりはございませんので、よろしくお願いしたいと思います。

瀬古委員 もう一点提案したいと思うんですけれども、大臣も所信の中で地方分権ということを述べられておりますよね。やはり、国が行うべき事業を除いて、地域の公共事業というのは自治体自身がもっと自主的に判断できるようにした方がいいんじゃないかというふうに私は思うんです。

 ところが、今どういう状態になっているのかというと、国から公共事業が行って、補正予算を組んだりいろいろするんですけれども、実際にその予算がこなせないような状態になっているんですね。地方自治体が、本当に地方財政の危機で、公共事業の補正予算が積み増しされても消化できない、それで同じ額だけ繰り越しになっちゃっている、こういう事態ですよね。

 ですから、地方計画は、やはり地方が自主的に判断できるようにもっと進めることが必要ではないかと思うんです。必要な財源というものをどうするかという点では、地方への移譲ということも当然問題になってくるだろうと思うんですね。公共事業の地方分権ということを考える場合には、その点をもっときちっとしていかないと、幾ら口で叫んでも、一方では、もうげっぷが出るほど公共事業の予算を組めと言われるけれども組めない、こういう事態になってくるんじゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょう。

扇国務大臣 私は、瀬古先生のおっしゃるとおりだと思いますし、地方分権というのは、個人的なことを言っては失礼ですけれども、我が党の政策としても何としてもしようということで、また国土交通省としましても、地方分権というのは必ず必要なことで、私が全国のブロックを回ったというのも、それが一つの大きな要因でございます。

 地方分権をするためには国土交通省としてはどうするのかということでございますけれども、それは、補助金も含めて、地方整備局に権限だけではなくてお金もつけていこう。私、それで初めて地方分権への車の両輪だと思います。今までは権限移譲することだけに重点を置いてまいりましたけれども、本年度、国土交通省になりましてからは、その補助金も全部一括して各地方公共団体にお配りいただこうということで、国費で平成十二年度の三百五十億円から六百億円に、これはまちづくりにしているんですけれども。

 総合的には、国土交通省の発足に合わせまして、公共事業予算の一括配分制度と申しておりますけれども、この一括配分制度によりまして、円滑な事業執行を図りますために、事業費ベースで四兆一千億円余を地方の整備局に一括渡しております。これは全体の三四%程度でございます。これを一括配分して、そして業務の窓口については原則として地方整備局に一元化する。私はワンストップサービスと言っておりますけれども、そこへお金も添えて、そしてこれを地方分権のスタートにしようということで、これを理解していただくために全国を回ったということもぜひ先生にも御理解をいただいて、今後、これは地方整備局とコンタクトをとっていただくように各地方にお願いしております。

瀬古委員 その公共事業が本当に住民のものになっていくのかというのは、地方整備局単位で幾つかの予算を組んだりしてやったとしても、実際には、本当に必要な公共事業ができるのかどうかというと、まだ私は不十分だと思うのです。

 そこで、私は思うのですけれども、住民のためにやる公共事業、そういう場合には、やはり住民参加型の公共事業がふさわしいと思うのです。そういう点では、住民には、意見をお聞きしますよというのではなくて、どこの道路が欲しい、どこの公共施設が欲しい、公共事業をやってもらいたいという場合には、一定の住民参加の保障をきちっと公共事業の中に入れるべきだと私は思うのです。それも、少なくとも計画決定の段階から住民が参加していくということが私は大変大事だと思っています。

 そこで、私は注目しているのですけれども、例えば岐阜県なんですが、ここは建設省のOBの知事さんが行っていらっしゃるところなんですけれども、住民参加型の事業評価制度というのを岐阜県でつくっております。五億円以上の補助事業、三億円以上の県の単独事業等を対象に、計画をつくる段階から住民参加型でやると。

 それから、国の事業も私は注目したのですけれども、この中に岐阜市の御望山というところがございまして、住宅のすぐそばのところにトンネルをつくって道路を通すという問題で、とても危険な急傾斜地なのでそれをやめてもらいたいという声が住民の方から上がりました。

 そこで、今どういう形になっているかというと、これは都市計画決定がされているわけですけれども、住民の代表も正式な委員として参加する、もちろん国も参加する、そういう検討委員会ができております。そして、研究者や専門委員の方は住民と行政が双方で合意した学者で、出ていただけるかどうかという交渉も一緒にやっているという点でも、大変特徴的だと思うのです。

 これは、建設省と住民との間で協定も結ばれていまして、検討会で重大な結論が出された場合にはルート変更もあり得る、こういうところまで踏み込んで協定が締結されているわけです。私は、建設省、旧建設省ですけれども、国土交通省としてはかなり画期的なケースじゃないかと思うのです。

 そういう意味で、今岐阜県がやっているように、一定の規模の問題については最初から住民参加をやる、そして参加した結果、それが住民にとっても問題だということになった場合にはルートを変更したりということもあり得る、こういうものは私は大いに教訓化して普及しなきゃならないのではないかと思います。その点、いかがでしょうか。

扇国務大臣 今瀬古先生のおっしゃったことは大変重要なことで、私は、二十一世紀型の公共工事の原点はそこにあろうと思います。

 そういう意味では、公共工事の実施に当たって住民の理解と協力を得るというのは大前提でございますから、まして透明性を確保するためにも、計画段階から、今先生がおっしゃいましたように、幅広く、住民参加型にする、そしてそれを情報公開する、これが私は大変重要なことだと思っております。

 また、現実的に、都市計画決定に関しましては、従来から住民に対しまして公告縦覧を行うこととされていますし、昨年の十二月に、案の策定段階から、原則として公聴会を開き、あるいは説明会の開催を行うべきことということで、地方公共団体に対しましてこれを周知しました。御存じのとおり、都市計画の策定のことでも、地方公共団体に対しまして公聴会と説明会を必ず義務づけておりますので、それも先生が今おっしゃったことに当たると私は思いますし、平成九年の河川法の改正のときから、河川の整備におきましても、河川の整備計画の策定の際には地域の住民等の意見を反映させることを導入するということをもう既に決めております。

 また、例を挙げますれば切りがないのですけれども、今先生は岐阜のことをおっしゃいましたけれども、例えば大分県の大野川で、地域の住民、NPO等との意見の交換をしまして、皆さんの御意見を聴取した上で河川の整備計画を作成したという例も事実起こっております。

 私は、今先生がおっしゃったことがまさに二十一世紀型の公共工事のあり方であろうと思っていますので、今後も私たちはそれを進めてまいりたいと思いますし、平成十二年から既にこのことは全国約二十カ所で試行実施しております。例えば国道十六号の千葉柏道路などはこの例に当たると思います。

 今後、今先生がおっしゃったようなことを、私どもも一緒に国土交通省の基本姿勢としてやっていきたいと思っております。

瀬古委員 私は、今の大臣のお答えは少しずれていると思うのです。

 といいますのは、公聴会だとか説明会だとか、皆さんを集めて、御意見を聞きましょう、どうぞ意見を言ってください、それを反映しましょうというのは、それは、全然情報公開をやらないような姿勢よりは、うんと前進したものだと思うのです。しかし、私が今例に挙げた、正式な委員会をつくって決定に参加していくというところまで踏み込むというのは今までないわけです。

 そういう点では、大いに説明したり公聴会を開くというのは当たり前だけれども、自分たちの町は自分たちで決めていくんだ、自分たちのこの道路、前に通る道路はここでいいのかどうかということについても、やはり住民が決定に参加していく、こういうことが今、まちづくりや公共事業のあり方を考える場合には必要ではないか。

 その辺、若干大臣の発想がそこまで踏み込んでみえるようには思えなかったので、もう一度お聞かせいただけますでしょうか。

扇国務大臣 それは、事業認可しますまでに、先ほど私が事前評価と申しましたけれども、評価制度を取り入れたときのその態様をどこまで広げるかという、私は方法論だと思うのです。

 私どもとしては、今申しましたように、事前評価、事業評価、事後評価、こういう評価制度をつくって住民の参加を求める。一人ずつ聞いていたのでは、これは十年かかるのか二十年かかるのかということになりますので、少なくとも皆さん方に公告をして、参加してくださいと言わないと、一軒一軒訪ねて歩くということができませんので、地方整備局によって地方との懇談会をしたというのはその意味でございまして、その地方地方で工夫を凝らしていただいて、どういう住民の参加方式にするのか。

 これからは、もうインターネットの時代ですから、足を運ばなくてもインターネットでみんな参加してくれる、しかも、私は入札もインターネットに載せろと言っていますから、そういう意味では、多くの皆さんが参加できる方法論は多々私は工夫を凝らしていただくべきだと思いますし、また、いいことがあればそれを参考にしていくべきだろうと思っています。

瀬古委員 もちろん参加の方法というのがあるんですけれども、その参加の仕方に一定の保障がないと、やはり各地方整備局に任せるという形になっていたり、それから実際にも、本当に住民自身が、もちろん一軒一軒どうですかと聞く方法もありますけれども、かなりの部分が反対しているという場合には、そういう方法がないという場合、実は今公共事業をめぐってのトラブルなんかでは、もう本当に山のようにあるわけですね。そういう場合に、やはり住民参加のシステムがきちんと保障されていない。

 だから、今大臣が、お聞きしましょう、どうぞインターネットで、そういう公聴会がありますよ、そういういろいろな段階でやる、意見を言う機会はありますよと言われたけれども、本当に自分たちで考える、そういう新しい、住民が参加していく、住民が自分で決めていくというところで、やはり公共事業のあり方については、もうちょっと踏み込んで考えていただかなきゃならぬのじゃないかというふうに思っています。そうでないと、今までも、それは地方整備局に聞けば、ちゃんと聞いています、ちゃんと手続とっていますと言うんだけれども、それが今うまくいっていないわけですよ。

 私は先ほど岐阜の例を出したわけですが、これはもうほんの一例ですけれども、決定する場にも住民代表がきちっと参加するというシステムをつくっているという点では、そして一定の金額も、岐阜県でいえば、五億円以上の補助事業、三億円以上の県の単独事業というふうに決めて、そしてそれはいろいろ住民が参加できる、こういうシステムをとっているというのは、私は、やはりもっと国土交通省としては検討していただく必要があるんじゃないかと思うんです。その点、いかがでしょうか。

扇国務大臣 それがまさに地方分権でございまして、私どもがマニュアルをつくって、このとおりしろということでない、今おっしゃったような、それぞれの地方の特性を生かしたやり方を御勘案いただくということが、まさに私は地方分権だと思います。

 私たち国土交通省は、なるべく門戸を開き、また私が全国に参りましたのも、皆さん頑張ってください、地方の考え方を出してくださいと言いに行ったわけですから、今瀬古先生がおっしゃいましたようなことを、それぞれの特性ある知恵を出していただくことがまさに地方分権の原点だろうと思っていますので、見守っていきたいと思っています。

瀬古委員 見守っていただくだけでなくて、はっきり言って、今のこういう公共事業のあり方をめぐって、決して住民参加でやるという状況がすべて出ているわけじゃないので、そういう面では、大いに口も出していただきたいし、物も言っていただきたいというふうに思います。

 時間がございませんので、副大臣に御質問する予定だったのをちょっと飛ばして、ダム問題についてお話しします。

 長野の田中知事が脱ダム宣言をやりまして、その影響は全国に波及しております。ダムの年間の予算が大体三千億円。国内のダムは今二千六百七十八カ所。さらに四百七十五カ所が計画中だと言われております。

 ちょっと、私が皆さんのお手元にお配りしました、このダムの工事の入札価格と落札価格を見ていただきたいと思うんですね。これは一部なんですけれども、ほとんど一〇〇%近い、九三%から九九%とか、これがずらりと並んでいるわけですね。これは明らかに談合の疑いというのがあるわけです。

 そういう意味では、やはり公共事業にとって、こういう癒着問題や談合問題があるということはゆゆしき事態なので、これは私は調査をきちっとしていただく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

扇国務大臣 今先生から配られました「ダム工事の入札価格と落札価格」というこの表を見せていただきまして、大体九十数%が並んでおりますので、これに関して、私は今拝見したところでございますから、どの程度どうなのかということは論評を避けたいと思いますけれども、今先生がおっしゃいました談合、丸投げ等々を禁止するために、皆さんに御審議いただいて全会一致で通していただいた法律には、これは必ず情報公開することと義務づけられております。まして、それらしきものがあったらこれは通告しなければならない、公取への通知義務がこの法律にも書いてございます。

 そういう意味では、私は、今後、この法律を四月一日から施行したことによって、少なくとも国民の目に見えるところで、これはおかしいなというのがおのずと出てくると思いますので、出てきた場合には、厳正に対処するということが明記してございますし、国土交通省の姿勢としても、それをなくすために法案を皆さんに御協力いただいたと思っております。

瀬古委員 具体的に、この資料を見ていただいて、こんなにずらりと一〇〇%に近いものが並んでいるということは、それは異常なことなんですよね。今後これを変えていくというのは、それはわかりますけれども、少なくともここには談合の可能性が大いにあるという点では、もうはっきりしていると思うんです。これはお調べいただけませんでしょうか。

扇国務大臣 私も今初めて拝見した表でございますけれども、これがすべて談合なのか、あるいはどことどれが丸投げに値するのか、私、当然この表を精査させていただきたいと思いますけれども、並んだものすべてが悪であるというふうには、今私は申し上げられません。

瀬古委員 ぜひ調査していただきたいと思います。

 そこで、具体的に私がぜひ大臣に検討していただきたいという問題、公共事業の事例を一つ取り上げたいと思うんですが、それは、岐阜県にございます、今建設中の徳山ダムの問題です。

 この徳山ダムは、完成すれば東京ドームの五百三十二個分、日本一の貯水湖という形になる予定でございます。それで、この水系、揖斐川、長良川、木曽川を木曽川水系と言いますけれども、この水系の利用方法を決めました、これは国土庁が決めているんですけれども、フルプランというのがございます。そこでは、工業用水が一・六倍、水道用水が一・四倍に、八六年から二〇〇〇年の間に伸びる予測があるわけですね。しかし、実際には、もう全然そんな事態ではないという状況です。

 水需要の目標なんですけれども、実際には、愛知県も三重県も岐阜県も、みんな水需要計画を次々と変更しております。名古屋市自身も、水利権を半分返上して、あと半分も使うかどうか見通しもつかないという状態になっています。名古屋市の需要日量は約百万トンですけれども、徳山ダムができれば二百万トンございます。名古屋市の一市分の水が余ってしまうんですね。二〇〇一年以降はどうかといいますと、実際にはもっとひどい状況になってきます。それで、省庁内のこのフルプランの策定会議の中でも、需要のない施設を建設することはむだだということが出たぐらいなんです。

 それで、今この地域は、長良川の河口堰の水をどう使うかということで問題になっております。河口堰の水を、どうしても水が要るんだということでその水を引いた結果、今までのおいしい木曽川の水が、臭くてまずくて、おふろに入ると体がぴりぴりするというその水を使うことによって、とても今までの水とは違った水が、今、長良川から愛知県の知多方面に流れてきているという状態になっています。

 一方では、今まで飲んでいた木曽川の水は農業用水と工業用水に、おいしい水の方はそちらに行って、無理やりに長良川の河口堰をつくったために、まずくて臭くて、水道料金が五倍ぐらいにこれからなるだろうと言われている水を飲まなきゃならない。こういうところにさらに徳山ダムができて、要らぬと言うのにまた押しつけられるという状態に今なっているわけですね。利水の面からも大変問題だと思うんです。

 それから、治水の面でも、実際に私も行ってまいりましたけれども、どんどんダム湖に、そこは地盤が弱いので今もどんどん土砂が流れ落ちるという状態になっていますし、実際には山林が手入れされていない。あそこにダムをつくったからといって、下の流域の治水が、洪水などが全部遮断できるかというと、ほんの一部であって、実際には、もっと遊水地をつくったり堤防を強化したり、それから森林を保全したり田や畑を整備したり、こういうもので総合的な治水対策を図ってもらいたい。治水の面でも、決してダムが必要だという状況じゃない。

 そしてさらに、総事業費の問題なんですけれども、これは二千五百四十億円が総事業費になっております。二千五百四十億円ですが、既にもう大体二千億円ぐらい使っている。これからいよいよ本格的な本体工事があるわけですけれども、幾らかかるかわからないというのですね、これからの費用が。

 こんな、利水も治水も採算性の問題も、そして環境も、ここはイヌワシだとかクマタカがいっぱいいて、どれぐらい豊かな自然であるかわからないぐらいの自然もある。そして一方では、ここは活断層が走っていて、誘発地震の危険性が指摘されている。もう何を見てもいいところがないわけですね。しかし、一たん決めたから何が何でも走らなきゃならないといって走って、とまらないわけですよ。それで、行ってきたら、せいぜい重機を水色に塗って、水色に塗ればクマタカにちょっと刺激が弱くなるんじゃないかと、これが環境保全だみたいなことを言っていらっしゃる。こういうダムのあり方が果たしていいだろうかというように思うんですけれども、扇大臣、いかがでしょうか。

 もう時間がございませんので、扇大臣、この徳山ダムについては、先ほどいろいろな御意見をいただくということを言われましたが、住民からも随分意見が出ております。もう地方自治体自身も水は要らないと言っている状況ですから、これは扇大臣、一度御検討いただけませんでしょうか。

扇国務大臣 ダムの詳細について今瀬古委員からお話ございまして、時間が来ているということでございますので、細かく私がお答えするのもどうかと思いますけれども、揖斐川下流の二十五市町村議会からも、どうしても徳山ダムをしていただきたいという、私の方には早期完成を求める議会決議というのが出ております。地方議会も、少なくとも住民の皆さん方の御意見を尊重して決議をなすったんだと私は思いますから、今いろいろなことをおっしゃいましたけれども、議会が決議をして持っていらっしゃると、その議会の決議を反対にやり直してくれということを私が申し上げるわけにもいきませんし、私は、地方分権というのはそういうところにもあると思っております。

 瀬古先生が今おっしゃいましたようなことで住民の皆さん方がおっしゃっているのであれば、もう一度、二十五市町村ございますので、ぜひ議会で改めてそういう御意見をまとめていただければ、もっと国民の、住民の皆さん方の御意見に沿えるのではないかと私は思いますけれども、少なくとも今は、下流の二十五市町村の議会に基づいて事業を進行しつつある。ただ、皆さん方がおっしゃっているようなるるの問題を勘案しながら、今後私は、国土交通省として河川局にはよく申し伝えたいと思います。

瀬古委員 大臣、いろいろ住民の声を聞くといっても、せいぜいそれぞれの首長や知事やそれから議会ということになるんですが、今まで、公共事業の場合でも、議会でいうと圧倒的に推進という議会が多いわけですよ。しかし、住民が粘り強い運動をして、とうとう住民投票に持ち込んで、議会の形も変えたり、そうしながら公共事業をストップしてほしいという声もいっぱいあります。

 大臣の言うようなやり方でどんどん今全国のやり方を見ていったら、はい、もう議会が全部賛成です、そして知事もみんな賛成ですといったら、もう今の公共事業を全部やらにゃあかんということになっちゃうんですよ。そこを一つ一つ、本当に必要なのかどうかということを科学の目で分析していただくということがやはり大事で、知事や議会が言ったらもうすべて議会をひっくり返さない限り国土交通省は一つも動かないぞみたいなことを言ったら、結局、もっともっと公共事業を推進するという今までの森内閣とどこが変わるんだということになっちゃうんですね。

 そこはぜひ御検討いただきたいし、この徳山ダムについては、ぜひもう一回大臣の目で本当に実情がどうなっているのかというのを調べていただきたいと思うんですけれども、最後に一言だけお願いします。

赤松委員長 瀬古委員、時間がもう来ていますから、本当に短くお願いします。

扇国務大臣 瀬古委員のおっしゃったこと、よくわかりますけれども、少なくともこの徳山ダムに関しましても、治水上の必要性、過去四十年間に十回もの大洪水に遭ったという、そして大きな水害が発生して、あるいは死者も行方不明者も出たということから、私は、利水、治水ということを言いましたけれども、徳山ダムは特にこの治水面においては大事なことだと思っていますので、先生の御意見を勘案しながら、今後よく事業を見守っていきたいと思っております。

瀬古委員 ありがとうございました。

 一言、洪水の問題も……

赤松委員長 もう時間が終わっていますから。

瀬古委員 はい。

 実際には内水のはんらんもかなり多いわけで、必ずしもダムがないからこうなったというわけじゃないので、それもしっかり調査していただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 これからは、時間内で発言をお願いします。

 次に、保坂展人君。

保坂委員 社会民主党の保坂展人です。

 きょうは、全般にわたって、特に公共事業の見直しについて用意しましたら二時間分以上になりますが、この与えられた時間の範囲内で行いますので、ぜひ簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

 まず、扇大臣、先ほどから話題になっていた長野県の田中康夫知事、私は十年ほど前からよく知っている方でございまして、いろいろな意見交換等もしてきました。

 とりわけ、県知事になられて脱ダム宣言を出された。この脱ダム宣言の中には、コンクリートのダムをこのままつくり続けていくことに対してブレーキをかけよう、こういう趣旨の文章が書かれているわけですよね。そして、長野県についてはダムをつくらない方向で政策転換をしていこう、そして長野モデルをつくって治水のあり方に対して全国的な規模で広範な論議を望みたい、こういう内容ですけれども、率直な、また簡潔な評価を大臣にお願いしたいと思います。

扇国務大臣 長野の田中知事の脱ダム宣言についてのお話でございました。私、今瀬古先生にもちらっとその一部を御紹介申し上げましたけれども、知事が独断で中止という宣言をされましたけれども、地元の市町村にも事前の説明が全くなかった。少なくとも我々は、先生も御存じのとおり、昨年の暮れに与党三党が事業見直しをしようといって百八十七の事業を中止しましたのも、全国の事業評価委員会を三百回開いて、そして了解を得て中止をしたというのは、午前中お答えしたとおりでございます。

 私は、少なくとも地元の市町村にも事前に何の説明もなかった、まして事業評価監視委員会も一度も開催されていなくて、先ほど申しましたように、下諏訪ダムの下流の岡谷市の市長さん以下、市議会議長さんともども私のところにいらしてお話ししたのは今のとおりでございますので、改めては重ねませんけれども、私は、一方的であっては民主主義ではないと思いますので、ぜひこれをもとに戻していただいて、宣言は宣言でいいと思うんですが、もう一度事業評価委員会なり県議会なりに諮っていただくのが、私は地方政治の基本的な姿勢だろうと思っています。

保坂委員 田中康夫さんもかつて作家で、私もジャーナリストとして二十数冊の本を書いてきました。少なくとも、脱ダム宣言という文章に対してどうかということを今お聞きしたんですが、私も、これはただ文章だけで判断するわけにいかないということで、浅川ダムの予定地も二度見てまいりました。二回にわたって見てきました。

 例えば、浅川ダムの問題点は、千曲川の河床が大変高い、そして、増水時になると千曲川の方から浅川に逆流をしていく、そういうタイプの洪水がたびたび災害として起きてきた。したがって、この問題については、これは県の建設事務所長も言っていましたけれども、たとえ上流にダムができても、その逆流という問題については、それは対策にならない。あるいは、浅川ダムの現地も見てきました。大変もろい、地すべり等の危険が指摘されてきた、現実に地すべりも起こった斜面、そこにダムサイトをつくるというのは、大変これは計画として無理があるのではないか、こういうふうに思いました。

 また、もう一カ所、下諏訪ダムの問題もありまして、下諏訪ダムも、砥川、東俣川、この二つが合流して諏訪湖に注いでいくわけなんですが、三分の二が砥川の本流、三分の一が東俣川で、そちらの方にダムをつくるわけでございまして、三分の一の水量での水のコントロール。ここから考えても、あるいは岡谷市の水の問題も大臣は言われましたけれども、これは高度浄化装置というのが機能していて、大分毒性を除去することに成功している、こういうお話もありました。

 そこでなんですが、大臣に率直に伺いたいのは、先々月ですか、田中知事と会議の席でお会いになった。小泉内閣も、国民との対話をしていくんだと。今大臣も何回もおっしゃっていましたよね、国民との対話は必要だと。田中知事も、お得意の車座集会等々で地域のいろいろな県民の声を聞くという手法でございます。これから、小泉内閣メールマガジンも出てくるそうですし、タウンミーティングもある、こういうことでございますよね。それであれば、扇大臣と田中知事とがお二人で車座集会をやる。まさに率直に、お二人ともよくお話しになりますから、これは注目の的になるでしょうし、公共事業をめぐる国民的な論議も大いに深まると思いますが、いかがですか、そういうおつもりはありませんか。どうですか。これは大臣御自身の見解で。

扇国務大臣 先日、北関東ブロックということで、三月の二十四日に、北関東ブロックの知事さん全部がお集まりくださいました。田中知事もいらしたけれども、田中知事から脱ダム宣言をした御報告が一言もないんです。私は冒頭申し上げただけで、あと二時間半は、全部の知事さんが御発言になったんです。けれども、その宣言に関しては一言もお触れにならないし、また会議が終わった後、もう一つ大事なことは、旧建設省から長野県の土木部長に最優秀の人を派遣したというふうに私は聞きましたけれども、全部の人事が終わった時点で、要りませんとその人をお返しになったんですね。返していただくのはもちろん結構なんです、優秀な人ですから、どこにでも使えますから。けれども、そのことに対しても、一番すばらしい人を嫁にやって、返すんだったら、まあいろいろあったけれどもお返ししますと、一言もこれもごあいさつがなかったんですね。私からどうしてお気に入らなかったんですかと聞くわけにもいかない、ほかに知事さんがいらっしゃいますから。

 ですから、そういう意味では、あれだけの期間があったにもかかわらず、一言も脱ダム宣言を私の前でおっしゃらないし、土木部長のどこが気に入らないかもおっしゃらなかったので、私はその件に関して一言も論議ができなかったというのが実情です。

保坂委員 そういうことで、お互いにおっしゃりたいことは大変あるようです。

 先日、公共事業をチェックする議員連盟、十三人ですか、田中知事とも会って、ぜひ扇大臣とも直接対話をしたいと。別に車座ミーティングじゃなくてもいいんです、まずお二人でお会いになってもいい。どうですか、それは実現される意思はありますか。田中知事の方はぜひやりたいと言っています。どうでしょう。簡潔にお答えください。

扇国務大臣 田中知事が御就任のときに、旧建設省にごあいさつに見えたそうでございます。そのときも、私に会いたいと言わないで、事務次官に会ってお帰りになったというのです。どうして私に会っていただけなかったのかなと思いますので、いつでも、お申し込みがあれば、そういうチャンスがあれば、御意見を伺うことはやぶさかでございません。そういうのはなるべくオープンにしたいというのが私の主義でございます。

保坂委員 大変簡潔なわかりやすい答弁で、それでは、田中知事の方にも私の方から伝えますので、ぜひ会って直接議論をしていただきたいと思います。

 では、公共事業の問題について、次に静岡空港の問題をちょっと取り上げたいと思います。

 私も首都圏に住んでいながら知りませんでした、この静岡空港という計画があるのが。実際には、計画どころではなくて、千九百億の予定事業費のうち約半分を使って、もうつくられています。現地にも行ってきました。静岡駅から四十五分ぐらいかかりましたでしょうか、茶畑があるところで、一面が切り開かれて、滑走路になる、あるいは空港の施設になるところが整地をされている。

 さて、扇大臣に伺いますが、その真下には新幹線のトンネルがあるんですね。東海道新幹線というまさに交通の大動脈、そこにわざわざ空港をつくって、静岡県はたくさん平地だってあるんですよ、そこに空港をつくって、これは危険じゃないのかなとだれもが思うんですが、静岡県の方の計画では、新幹線の駅をつくるんだと。つまり、新幹線の駅をトンネルの入り口とか出口とかそういうところにつくって、そしてすぐに駅から空港へお客さんが行く、こういう計画でつくられたようですけれども、この計画、大変無謀な計画のようです。新幹線の駅をつくる意思は一〇〇%ございませんとJR東海は言い切っています。

 どうしてこんなむだな空港計画が、地方空港とはいえ放置をされてきたのか。どうでしょう、大臣、感想はいかがですか。

深谷政府参考人 御説明申し上げます。

 静岡空港についてのお尋ねでございますけれども、静岡空港につきましては、静岡県の方が設置管理者ということで、第三種空港として現在整備が進められております。

 御指摘の場所につきましては、静岡県の方では、候補地選定につきましての専門的な調査検討を行うということで、昭和六十二年に学識者、有識者、こういった方から成る検討委員会をおつくりになりました。複数候補地の中から、運航空域条件ですとか建設条件、あるいは土地利用、環境、アクセス、こういったもろもろの条件項目について広範な比較検討を行った上で、総合的に勘案して、現在建設が進められております場所に決定したというふうに聞いております。

 その時点で、御指摘の新幹線との関係で、新幹線の新駅を設置するというふうな前提で議論が進められたのではないかという御指摘もあるようでございますけれども、その時点では、そういった前提として適地を選定したものではないというふうに聞いております。

保坂委員 だれにでもわかる、静岡県民なら唖然とするようなうそを平気でつかないで。静岡県、広いですから平たんなところもある。幾つもの候補地の中で、なぜここが選ばれたのか。それは決まっているじゃないですか、新幹線のトンネル、その上にわざわざつくるわけですから。

 では、鉄道局長にちょっと確認しますけれども、静岡県の副知事あてに、機会あるごとに新駅設置は困難である旨御協議申し上げてまいりました、東海道新幹線は、大動脈輸送で、設備能力の限界で列車を設定しております、新駅設置は現状では不可能、そして、品川駅が開業して七〇〇系の列車が導入されても、緩和されることなく、それはより困難になるんだ、こういう文書をJR東海の総合企画本部長が昨年の七月に出しているんですね。これは間違いないですか。地下駅あるいは新駅というのはできないと確認してよろしいですか。

安富政府参考人 静岡空港につきましては、かねてから地元から空港周辺に新幹線新駅を設置してほしいとの要望があるということは承知しております。昨年の八月末に、地元で、新幹線新駅の候補地ということで、空港ターミナルの直下に一応地元の要望ということで決定したということです。

 新駅をつくるかどうかについては事業者が経営判断として行うわけでございますが、先生今御指摘になりましたように、JR東海は昨年の七月付で文書を出しておりまして、現在のところでは、東海道新幹線のダイヤの設定状況といったようなことがございまして、なかなか難しいという認識を持っているということは我々も聞いております。

 いずれにしましても、この問題につきましては、JR東海も含め、関係者間でいろいろ技術的な問題も含めて議論していただきまして、駅整備の環境づくりについて努力されることが重要であるというふうに考えております。

保坂委員 扇大臣、公共事業というのは、国民の安全を守り、それこそ暮らしを豊かにするためにあるんですよね。

 私、こういう問題は考えたこともなかったですね、新幹線のトンネルの上に空港ができるなんて。だって、トンネルの上に空港の滑走路がわざわざあるんですよ。そうしたら、もし仮にジャンボジェット機などが着陸をしてくるときの振動やいかに。その下に大動脈が走っているんですよ。危なくないですかと思って聞いてみた。危ないんですね、やはり。トンネルの強化工事をしているんです。百億円近くかけて強化工事をしているんです。そんなでたらめな公共事業ありますか。ちょっと感想を伺いたい、扇大臣。

扇国務大臣 今、保坂先生が、こんな危険なところはないじゃないかとおっしゃいましたけれども、外国へ行きましても、滑走路の下をくぐってターミナルに行くのもたくさんございますし、羽田も事実ございます。その上に飛行機の滑走路があるんです。ですから、私は、安全性を考えれば、新幹線であれ、人間がターミナルへ行くのであれ、みんな安全性に関しては同じだと思いますので、私は、それは安全の技術に万全を期すという条件でなければならないと思います。

保坂委員 聖域なき構造改革というのが本当であれば、こういう指摘を大臣も率直に聞いて、改革反対勢力にならないように注意しなきゃいけないんですよ。私は、こういう計画自体がストップしないところに大変な問題があると思います。

 次に、ダムの方に話題を移したいと思います。

 先日、公共事業をチェックする議員連盟で、これはいろいろなところに行っているんですが、八ツ場ダムという計画があります。つい先日、地権者との補償合意ができたというニュースがありましたよね。八百年前から開かれていたという、川原湯温泉というひなびた大変よい温泉街があるんですね。そこも含めて全部のみ込まれてしまう、こういうダム計画でございます。

 そして、この計画は五十年前からあるんですね。五十年前からあって、工事は進んでこなかった。しかも、二千百十億円のうち千百二十七億円はもう既に出費済みである。五十年たっているんですね。旅館の経営者の二代目が言っていました。父の代でほとほと反対運動で疲れ切った、もうどうにでもしてくれという気分だ、これを五十年やっているんですよと。半世紀ダムダムと言って、どうなるかわからぬ、こういう現状だ。この事業が、もう当然私はとまるだろうと思ったら、また推進に向けてギアが入ったということで、非常に危惧を持っているんです。

 これは、お役所の方の局長さんに聞きたいと思います。

 さらに私驚いたのが草津温泉。ここは一、二回行っただけなんですが、そのときに、関連施設ということで草津温泉に視察に行きました。なぜ行ったかというと、草津から出る湯は当然酸性ですよね。酸性の湯が出る。そこに毎日石灰を六十トンから九十トンぶち込んでいるんですね。そして中和させる。こういう施設があるんですね。そして、それが首都圏の一応飲み水に。これは草津温泉から出てくる酸性のお湯だけではありませんから、今後、この八ツ場ダムができ上がって大量にその水が供給されるというときに、どうでしょう、海外で、石灰で中和した水を飲んでいる国というのはほかにありますか。

竹村政府参考人 委員御指摘のように、日本は大変火山国でございます。地球上の人類が住んでいる〇・三%、一%以下の〇・三%の国土に地球上の火山の一〇%を日本国が受け持っております。ですから、各地で、火山があって、そこから酸性水が出てくるというのは、我が日本国の宿命でございます。

 海外の事例をお聞きになりましたが、具体的に申しますと、秋田県におきましても強酸性水がありまして、私どもの旧建設省がつくった玉川ダムでそれを中和して下流に流して、秋田市民の安全な水として飲んでおります。

 この八ツ場ダムでございますが、今御指摘の草津温泉から強い酸性の水が出てまいります。そのために、旧建設省は、品木ダムという、強酸性水を中和するダムをつくりまして、そこに石灰を入れて中和をして下流に流しております。

 そのようなことで、利根川の下流、特に東京都の都民の水になっておりますので、安全な水になっているような形にして、水質をチェックして、安全な水だということで確認しております。

 なお、利根川の水が全部酸性水ということではなくて、草津温泉にかかる湯川は、利根川全体からいくと一%以下、〇・一八%でして、ほかの支川とブレンドして飲んでおりますので、水質は万全でございます。

保坂委員 では局長、確認的に聞きますけれども、今言われた品木ダムは、百六十七万立方メートル、七二%が中和生成物を中心とした堆砂で、いわばどろどろの状態。これは毎日大規模にしゅんせつしているんですよね。そうやって対応している。しかし、どんどん石灰を含んだものが来る。今度八ツ場ダムができても、さらに他の川にも中和剤を入れて、八ツ場ダムが品木ダム同様、中和物の堆砂で次第にいっぱいになる、こういう指摘もあるんですが、そのあたりはどうですか。

竹村政府参考人 私ども、現在聞いておりますのは、草津温泉が抱えている湯川、これは最も強い酸性の河川でございまして、その上流にあと三本支川があると聞いてございます。これらの支川を全部合わせましても、酸性河川は利根川全体の流域の二%でございます。ですから、水質の面では、ほかの支川とのブレンドがされますので問題ない。決して危険な水質にならないように、私ども万全を払います。

 八ツ場に関しましては、中性の水ではなくて酸性的な水がたまります。それは事実でございます。その酸性的な水についてはきちんと把握しながら、そして、そのダムから下流の水がどうなっているかということを私どもきちんと測定しながら、そして吾妻川から出る水と利根川にほかから来る水をブレンドして、安全な水が飲めるように、今までもそう飲んできましたし、これからも同じような状況で安全な水を飲んでいきたいと考えております。

保坂委員 大臣、率直に伺いますけれども、五十年この八ツ場ダムはつくられなかったんですよ。川原湯温泉、行かれたことがあるかどうかわかりませんけれども、五十年といったら、人が、十五歳の子どもが六十五歳になる、それだけの、半世紀ですよ。半世紀、いつダムができるのか、家も建てかえられなければ、賛成派、反対派入り乱れていろいろ大変な思いをする。逆に言えば、時のアセスという言葉があるけれども、五十年もつくられなかったダムが今動き出す、これは聖域なき構造改革云々ということと矛盾しませんか。

 そして、扇大臣、酸性の水を石灰で中和した水を、高度な水処理をした、こう言われて飲めますか。どうですか。

扇国務大臣 今、飲み水のお話を保坂先生おっしゃいましたけれども、私は、二十一世紀の地球規模での問題であると思います。そして、環境というものが今の二十一世紀で大問題になっているのは、今まさに先生がおっしゃいましたダムだけではなくて、あらゆる地球規模での環境というものはどうあるべきかという原点であろうと思います。

 日本は軟質ですけれども、ヨーロッパへ行けば硬質だから、あるいはアフリカへ行って水を飲むなとか、いろいろなことを言われておりますけれども、少なくとも日本においては、皆さん方の飲み水は、きちんと厚生省等々、間違いない水道水にしている。けれども、危険性があるという場合は、私は、きちんとそれは手当てをするというのは役所として当然のことだろうと思います。そのための水質検査というものを、基準をつくって、さっき私は岡谷市のトリクロロエチレンの話もしましたけれども、みんなそういう基準に基づいて水質検査をしているということですから、飲めるか飲めないかは、その水質検査に合格するかしないかであって、私たちはそれを知りようがありませんので合格しているものを飲ませていただいているけれども、これは地球規模で二十一世紀考えなきゃいけない大事な問題だと私は認識しています。

保坂委員 今回、ハンセン氏病の問題で、政府部内でも、これはぜひ控訴しないで、こんなに長いこと苦しめてきた患者さんの思いを受けとめて解決に導いていただくようにと、与野党超えてそういう声は上がっていると思いますが、役所の間違いはあるんですよね。それを、やはり国会の場で与野党の論戦の中でただしていく、そこからヒントを得て、ぜひいろいろな意味で切り込んでいくということをやっていただきたいと思うんです。

 もう一つ、与党三党の公共事業の中止リストに、たしか清津川ダム、これは私ごとになりますが、どうやら私の祖先のずっとおったところのようで、親戚がそこで旅館をやっていたりするということで親しみがあるんですが、そこにやはりダム計画がありますよね。ここが与党三党の公共事業の中止勧告リストにあったけれども、これが百五十年に一度の洪水に備えるということで復活してしまった。これについて、二十一の市町村あるいは水道事業団など、どういう水需要の具体的な要請があるのかということも余り発表されていない。

 大臣は、去年の秋ですか、湯沢町長とお会いになって陳情を受けられたり、あるいは田中眞紀子さんもこれについては推進ということで動かれたと聞いているわけですけれども、どうでしょう、もう一度、森内閣から今度小泉内閣にかわって、ばっさり、やはり一度中止と決めたものについて、一回復活はしてきたけれども、もう一回徹底的に見直す、こういうこともあっていいんじゃないですか。

竹村政府参考人 清津川ダムの事実関係だけ御説明させていただきます。

 去年の与党三党によります公共事業の見直しを受けまして、現地の北陸地方整備局が事業評価監視委員会を設置しまして、その結論が、信濃川水系の治水、利水、環境面の観点からダム計画の代替案を含めた検討を専門委員会を設けて行うことと答申されております。

 この答申を受けまして、国土交通省としましては、早急に事業監視委員会のもとに学識経験者から成る専門委員会を設置しまして、信濃川水系の治水、利水、環境の観点からダム計画の代替案を含めた検討を進めてまいる、本年度はこのような予定になっておりまして、ダムが復活したとかそういうことではなくて、現在、専門委員会で、まさに代替案も含めた検討が始まるということでございます。

保坂委員 今の結論も含めて、聖域はないということで確認していいですか、扇大臣、森内閣当時と今回は違うと。

扇国務大臣 私は、そのために学識経験者から成る委員会を設置したので、でなかったら設置は要りません。ですから、学識経験者をわざわざお呼びして設置したというのはそういう意味でございますから、結果を私は尊重したいと思います。そのための委員会でございます。

 それから、先ほど保坂先生が最後に一言、私答弁する機会がなかったんですけれども、長野の田中知事に僕が仲介しますとか申し上げますとかとおっしゃったので。私、一国一城のあるじの知事さんが先生の口添えがなければ申し込めないというようなことではないと思いますので、どうぞそのこともお含みおきいただきたいと思います。

保坂委員 別に、仲介するなどというおこがましいことを言っているんじゃないんです。あらゆる委員会がテレビで中継されているわけじゃありませんから、あるいは新聞等でこれを報道されれば田中知事も知るでしょうけれども、大臣が率直にいいですよとおっしゃったから、一応、こういう論議がありましたよと。あとは、それは御判断されることでしょうから。あくまでもそういう意味ですから、私が仲介するなんてとんでもありません。そういうことできちっと議論してくださいということで申し上げました。

 さて、ダムの話に移りますが、さきに触れた八ツ場ダムの場合、暫定水利権という問題がありますね。これは局長さんにちょっとお答えいただきたいと思うんですが、東京と埼玉県の受益者は、現在は暫定水利権で取水している。八ツ場ダムができれば新しい水利権が誕生するわけですね。それで暫定水利権はなくなる。ダム建設は新しい水利権をつくり出すことに結果としてなるんだけれども、これは旧思考であって、暫定水利権に何か不都合があるのかどうか、もうこういう発想を変えたらどうかというふうに私は思うんですが、いかがですか。

竹村政府参考人 我が国の地形は大変急峻でございます。そして、雨の降り方も非常に集中しております。ですから、雨が山に降っても大体二泊三日で海へ戻ってしまいます。三百六十五日安定的な水を飲むためには、豊かな水の量のときにそれをためておく装置がどうしても日本の文明の中で必要になっております。それは、日本の過去の二千年の歴史を見ても全く変わりません。この八ツ場ダムも、水の豊かなときに水をためておいて、水が少なくなったときにそれを東京都民等に送っていくということでございます。

 ですから、もしダムがなければ、今ある川の水をとる、黙ってとってしまう。いわゆる川の水の収奪を人間生活が行っている。つまり、河川環境を人間が収奪しているという状況でございます。全く水をためないで、そこにある水をとってしまう、それはもうやめようじゃないかというのが、近代的に昭和三十九年に決まりました。水が豊かなときに水をためて、それを人間が飲んだり、または産業で使わせてもらおうじゃないかという法体系が三十九年以降に整備されまして、それ以降私どもは、河川環境との共生も含めた、そのような人間の都合のいい水の利用を含めて考えております。

保坂委員 河川局長、まさに今の川の状況が、自然の生態系を人間の都合ですべて収奪をしていくプロセス。あるいは、結果として上流にダムがある。底にどんどん砂がたまっていく。黒部川等でも砂がたまって、これを富山湾に流すというようなことで漁業関係者が被害を受けているということもありますよね。そして、今度は、本来流出をしてくる土砂が海岸まで運ばれないものだから、海岸線が侵食されるというようなことも起きているわけですね。

 そこで、こういう委員会で改めて聞いてみたいと思うんですが、砂防ダム、全国にたくさんございますよね。これは五万六千ですか、そういう施設も含めて。そしてまた、農水省関係の治山ダムもありますよね。先ほどの、これも土砂災害を防ぐためということでつくられていると思いますけれども、八ツ場ダムの視察のときに、造成地の横に渓流があって、ここに小学校ができますよという場所がありました。そこに防災ダムがつくられているんですね。防災ダムがつくられるということは、それだけ危険があるということですよね。そこに小学校がつくられる。これは一体どういうことなんだろうか。

 聞いてみると、今現在、土石流危険渓流には指定されていない。何人か人が住んでいたり、五戸以上ですか、そういった人家があるということが土石流危険渓流に指定される条件だそうですが、これはちょっとあべこべじゃなかろうか。むしろ、そういう土石流などの自然災害が起きそうなところには学校などつくらない、これが正しい考えだと思いますが、いかがですか。

竹村政府参考人 ただいま委員の御指摘は、全くそのとおりだと思っております。

 私ども、去年、本国会の、当時建設委員会の委員の皆様方の御審議によりまして、新しい土砂法を成立させていただきました。それは、増殖する危険箇所の事前防止ということで、私ども、事業を後追いでやるのではなくて、危ないところでは、事前にそれをアナウンスして、そして、そこの開発は何らかの規制をかけていこうじゃないかという全く新しい法律を成立させていただきました。そのような法律の成立のことしは第一年目でございますので、そのような趣旨でこれからもきちんとやっていきたいと考えてございます。

保坂委員 私の指摘を率直に受けとめていただいて大変うれしいんですが、そうすると、そういう場所につくられる小学校というのは、やはり移転した方がいいんですね。

竹村政府参考人 小学校の建設の詳細は私も承知しておりませんが、そういう施設、弱者施設または学童施設、重要な公共的な施設ができた場合は、万全を期してそれを守らなきゃいけません。もしそこが危険だとするならば、現在ある施設はきちんと守っていくというのが私どもの役目でございますので、その危険な箇所を安全にするべく、何らかの形でさまざまな手法を凝らして私どもは対応していくということになってまいります。

保坂委員 いろいろ盛りだくさんなので議論を急ぎますけれども、扇大臣、リゾート法を御存じですよね。シーガイアが破綻しましたよね。

 私、ここに予算委員会の議事録をいろいろ探して持ってきたんですが、四年前の二月二十八日の衆議院の予算委員会で、リゾート法からちょうど十年たった、十年たっていろいろ弊害が見えたと。当時は、トマムだとか、経営困難、破綻に近い状態で苦しんでいたところもいろいろあったし、つくられる施設の二割程度しか進捗していない、こういう状況もあった。また、リゾート法ができたこと、あるいは指定があったことによってさまざまな開発行為が可能となる。まあ、ある面では地域振興のためだということでリゾート法はつくられましたよね。十年たって、やはりこれを根本的に見直して、思い切って廃止したらどうか、こういう議論を四年前にさせていただいています。

 ここに持ってきたんですが、これは、その当時国会で聞いたときに国土庁が出した「リゾートがつくる豊かな国土」というカラーのパンフレットでございます。最近のものはないですかと。これが出ましたね、省庁再編の前の国土庁の「総合保養地域整備の現状」。大分元気がなくなっていますよね。経費の節約ということもあるのかもしれない。ただ、これを見ていて驚いたのは、まだこのリゾート法の地域指定というのは行われているわけです。これはただごとじゃないと思うんですね。

 二千七百億円近い破綻、一体だれがそれを買っていくんだ、その負債をだれが埋めていくんだ。宮崎県の県民が、あるいは県が税金によってこれを埋めなきゃいけない部分。いろいろな意味でこの第三セクターというものの経営が破綻した。この経営責任はもちろん問われなければいけない。しかし、国の政策としてこのリゾート法自体見直すべきじゃないですか。シーガイアの破綻のときに、国土交通省の事務次官は、すぐには見直さないと言っていますよ。しかし、それをそのまま言うんじゃ役人追随じゃないですか。リゾート法についてこれだけ問題が出てきた。

 ここに模範例が出ているんですね。大臣これをお持ちですか。模範例が出ていまして、「リゾート開発で過疎から脱却」、これは北海道の有名なトマムですね。そして、優等生として、リゾート開発がUターンを呼び込んだといって、シーガイア。そして、磐梯の開発。ここに三つ出ていますね。すべてうまくいっていないんです。それで大変な弊害も出ている。つまり、指定されているのは、もう国土の相当の割合ですよ。そして、開発行為だけは、やろうと思えばできる状態になっています。そして今回の破綻。これだけ大きな破綻が民間企業等で生まれたら、当然その第三セクターや県も責任を痛感してもらわなきゃいけないと同時に、こういう政策を推進した国も、大いにこれは直視して、政策転換しなきゃいけないと思います。

 私は、リゾート法を見直して、廃止をするべきだと思いますが、いかがですか。

扇国務大臣 保坂先生も御存じのとおり、少なくともあのバブルの絶頂期、あらゆるところに保養地あるいは国民のレクリエーションのための活動を、自然との触れ合いをということでこのリゾート法がつくられて、今保坂先生がおっしゃいましたように、成功している例もなきにしもあらずで、三重県なり島根等々で成功しているところもございます。

 けれども、現実的にこの間のシーガイアのようなああいう巨大な倒産を私たち目の前にしておりますと、本当に寂しい限りだなと。たまさか外資系がこれに手をつけて、再建するということが外国から申し入れがありました。それほど立派なものをつくっちゃったんだろうと思うんです。外資というのは絶対にもうかるということがわからなければ手をつけてきませんから、それはすごいものをつくったんだなと私は思います。

 今おっしゃいましたように、少なくとも、基本構想で計画されたゴルフ場、スキー場等々、これは約九千施設計画されたんですね。そのうち、現在供用されているのが千七百施設でございます。そして、今準備中のものもまだ四百施設あると言われております。

 今、現実的に、怒られるかもしれませんけれども、この間のゴールデンウイーク、日本の人が日本のこういう施設を使ったというのではなくて、日本人が外国へ出ていくという時代になっちゃいまして、日本人が外国へ出ていくのは世界三位、入ってくるのは二十四位ということで、本当に、施設があっても外へ行く方が安くつくと言われちゃうんですね。ですから、今おっしゃいましたように、バブル当時にできたもの、少なくとも真に国民のレクリエーション、あるいは自然との触れ合い、あるいは活力の回復の施設ということでの本来の目的で国民に利用されなければ宝の持ちぐされでございますので、そういう意味では、今後、残りの計画中の四百施設も、果たして利用されるかどうか、これも見直していく大きな必要性があると私は思っています。

保坂委員 そこは大変率直な答弁、ありがとうございました。

 もう既に、この立派なパンフレットの段階で国土面積の一七%特定地域があるんですね。それからまたさらに二、三ふえているわけですから、私は、もういいだろうと。そして、今景気が低迷していますから、どんどん開発に向けて資金が投機的に動くなどということはないわけです。ないから、今だからこそ節度を持って、一回バブルのときにばあんと広げて、それ地域振興だ、リゾートだといったって、この狭い国土に各県が全部そんな大規模なシーガイアみたいなものを次々と建てていくなんて、これは幻想ですよ。しかも、この現状では長期休暇はとれないんですから。

 ですから、扇大臣、残りの四百についてもそうですが、これは時のアセスというのがありますから、もうリゾート法施行十四年、このリゾート法体系も根本的に見直していただきたいと思いますが、いかがですか。

扇国務大臣 少なくとも、施設をつくって、それを維持できるかどうかということを見直さなければいけないというのは当然ですけれども、ただ、他方、保坂先生にぜひ御理解いただきたいことは、これらの施設にそれぞれ地元の人たちが雇用されたということも一時の大きな特典であったと私は思うんですね。

 私、全国の特定施設でどれだけの人数が雇用されたんですかと聞きましたら、今の段階で五万二千人雇用されているというんですね。これらの施設で五万二千人の大きな雇用、これは九割が地元雇用者でございますので、また、今現在五千四百億円の売り上げがあるということがわかっているわけですから、そういう意味では、私は、いいものは残し、今後つくっても果たしてAランクに持続できるかということをもう一度検討することも必要だというのは、今申し上げたとおりでございます。

保坂委員 大臣おっしゃるように、五万人ぐらいの方々が働いているというのは事実ですよね。そして、施設を使われているのもある。それはいいじゃないですか。余暇のために、そして雇用のためにも、地域振興のためにも、役に立っているものも一部あるでしょう。しかし、九千、これは丸ごと一〇〇%できるわけないんです。そして、さまざまな開発行為が可能になる体系がそのまま残っているのです。これはやはりバブル時代の遺物として節度を持って見直してほしい、こう思うんですが、いかがですか。

扇国務大臣 先ほど申し上げたとおり、検討するということで御了解いただきたい。

保坂委員 それでは、環境省に簡潔に伺いますが、リゾート法論議の中で、日本企業が元気がよかったころ、大規模リゾートができたものですから、地域振興だ、ゴルフ場だ何だと、大変な乱開発が指摘されて、リゾート事業における環境配慮というのをまとめましたよね。これをまとめて、その後四年間、今環境省になっていますけれども、この報告書が果たした役割、簡潔にお願いしたいと思います。

中川政府参考人 今先生御指摘の報告書は、リゾート事業における環境配慮等に関する事例集といたしまして、平成十年一月二十七日に都道府県等に送付したものでございます。これ以降、環境省が協議を受けた案件には、事業計画が拡大されたものはございませんで、環境保全上の観点から審査した結果、いずれも異存はない、こういう回答をしております。

 そういうことで対応しておりますけれども、今後とも、基本構想の変更等の協議がなされてまいりますときには、環境保全上の配慮が徹底されるよう、慎重に審査をしてまいりたいと考えております。

保坂委員 国会は立法の府であります。ただし、立法府というのは、法律をつくるだけが能じゃなくて、要らないものを廃止していくというのもやはり役割だと私は思います。

 そこで、国土交通省に、きのうちょっと質問取りのときに、高度経済成長期とバブル期のときにできた開発促進法、これをさっきのリゾート法も含めて列挙してもらいました。廃止されたものも既にあるようですが、現在、役所の方でその存廃を検討している法律がありますか。あれば、具体的にお答えください。

小峰政府参考人 先生お尋ねの、一九六〇年から八〇年の高度成長期、それから八五年から九二年のバブル期に成立しました国土開発を促進する法律というのは、おおむね二十ということでございます。これまでに新産都市建設促進法ほか既に廃止されたものもございますが、今、成立してそのまま残っておりますのは二十ということでございます。これは、それぞれの目的に応じまして機能を果たしているということでございます。

 ただ、私どもが担当しております国土の開発関係の法律につきましては、現在、国土審議会の場で見直しの検討を行っているということでございます。

保坂委員 例えば水資源開発促進法、これは本当に広範な用水対策を緊急に実施する必要があると認められるときに水系を指定してというような骨格になっている法律ですが、こういうものもやはり廃止を検討していただきたいなと思います。

 二時間の議論を四十五分でやるのはやはり無理でした。たくさん余りましたが、きょうは、公共事業の議論をぜひ今後とも活発にやらせていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、松野博一君。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。

 大臣の基本施策に関します御発言を承りまして、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、内閣に都市再生本部が設置をされました。この件につきましては、小泉総理も所信表明演説の中で触れられておりましたし、もちろん扇大臣も発言をされております。緊急経済対策の側面もあるものでありますけれども、また一方で、日本といいますのは都市に人口集積が大変進んだ国でありますし、日本の大都市が形成をされました昭和三十年代当時にはなかった状況、例えば日本の国際化の問題もございますし、また意識の上でも、例えば循環型都市社会の問題、環境の問題、こういった問題は、大都市が形成された昭和三十年代の日本にはなかった概念でありますから、そういったものを含めて、この都市再生本部に向けられた国民の期待というものは大きいかと思います。

 国土交通省として、この都市再生本部に対してどのように取り組まれる御決意か、お聞かせをいただきたいと思います。

扇国務大臣 今、松野先生おっしゃいましたように、私は、二十一世紀、この国土交通省の果たす役割は本当に重要なものであると認識しておりますし、また我々は、気を引き締めて、改めて二十一世紀型の国土づくりに頑張っていかなければいけないと思っているところでございます。

 私は、小泉内閣の中で、先ほど申し上げましたように、今月の八日でございましたけれども、都市再生本部を立ち上げました。本部長は内閣総理大臣みずから当たられて、副本部長は官房長官と私が任に当たることになりまして、大臣十五人すべてが委員として入ることになりました。

 そういう意味では、今、松野先生おっしゃいましたように、二十一世紀型の都市がどうあるべきか、そのことが大きな課題になっておりますし、先ほどからお話ございましたように、二十一世紀は、環境の問題あるいは今の物流の問題等々を含めて、民間事業等と国とがどういうふうに一体になっていくのか、これも大きな話であろうと私は思います。

 そういう意味も全部含めまして、今週にもその第一回会合が開かれるということになっておりますので、この都市再生本部というもののあり方で、二十一世紀、先ほど私が申しましたグランドデザインも、もしここで内閣として大々的におやりになるのであれば、一国土交通省のみにかかわらず、私は、政府としてもどうぞおやりくださいというふうに申し上げるつもりでございますので、二十一世紀型の国土交通省のあり方と国土づくりというものは基本に据えていかなければならない。

 特に今、都市の再生で大きな課題になっておりますのは、その都市再生に大きな効果を有する都市交通インフラ等々の整備、あるいは市街地開発プロジェクトを推進するためには、何としても用地の問題の解決が最大の課題になっております。そのために、今国会に土地収用法の改正案を出させていただいていますが、これはもう不可欠の問題でございますので、都市再生本部の遂行のためにも、この土地収用法の改正案をぜひ早期に皆さん方で慎重に御審議を賜るということも、都市再生本部の大きな課題の一つになってくるであろうと私は思っております。

松野(博)委員 総理が本部長に就任をされる都市再生本部でありますから、今大臣おっしゃったところのさまざまな新しい概念の導入も含めて、目に見える成果を上げていただきたいというふうに希望をしております。

 大臣の御発言の中に、前文の部分で、国土交通省ができて四カ月たった中、各省庁の統合再編の効果として、縦割りの行政を排していくということが述べられております。引き続き施策の融合化を図っていくんだという強い御決意だと思いますが、国民生活の、いわば生活益という点、国民の視点ということから見ますと、単に国土交通省の内部だけの縦割りを排していくということではなしに、今回、省庁再編後の各省庁にまたがった視点、それが特に、国土交通省の扱われる地域づくり、都市計画、まちづくりの観点から重要ではないかというふうに考えるものであります。

 例えば、私が住んでおりますのは首都圏の地方都市であります。首都圏の地方都市の実情からいいますと、駅からおりまして、駅前、もう三分も歩くと農業地帯、水田が広がって、サラリーマンの皆さんは、この水田地帯を越えて、バスで十分なり十五分なり離れた丘がニュータウンとして開発をされて、そこに住居を持つというような、ちょっと考えてみると非効率なまちづくりが進んでおります。

 そして、その駅前に広がっている水田というのが農振法がかかった農業振興地域であるということもあって、各役所間のすみ分けというのは明確になされているわけでありますが、これが果たして、生活者の視点、まちづくりの本当の利便性ということを考えて、このままでいいのかなと思うところが多くあるわけであります。

 農振法のことに関して国土交通省の方からコメントを求めようとは思いませんけれども、例えば、一つの事例として、各省庁にまたがった事案に関する調整システム、特に今まちづくりに対してのそういった調整システムをどう構築していくのか、この件についてお聞きをしたいと思います。私個人としては、その役割は、大臣おっしゃられるところの地方分権も進めていかなければならない中、地方自治体にその調整権というものを育てていきたいという希望もございますので、この件に関してお聞きをしたいと思います。

扇国務大臣 今松野先生がおっしゃいましたように、現在の我が国の都市の現状はどうかといいますと、今の日本の都市の現状というのは、長時間の通勤、あるいは道路やオープンスペースが不足しておりますし、慢性的な渋滞、そしてごみ問題等々、私は、今の日本の都市の問題というものは、あらゆるところが国際都市として魅力ある都市にはなっていない。緑が少ないこともそうです。道路幅が狭いこともそうです。

 少なくとも私は、そういう意味において、先ほど先生がおっしゃっていただきました、内閣に都市再生本部をつくったということも、今の日本の国の都市が果たして国際都市にふさわしいかどうか、二十一世紀のそういう中長期の、長距離の通勤、ごみ問題、緑が少ない、道路幅が狭い、慢性渋滞等々をいかに解消していけるかということも、特に私は研究していくべきだと思っております。

 今お話がございましたように、国土交通省としましても、地方公共団体と一緒になって、私が先ほどお答えしましたように、地方と一緒になって円滑な都市づくりというものを今後まとめていかなければならない。また、駅周辺も今度大きな網にかけて、先ほども申しましたように、特定財源も駅前の開発にも使うというようなことで、新たな都市づくりのあるべき姿というものをぜひ考えていく機会にしたいと私は思っております。

 農地のことは担当から。

板倉政府参考人 都市計画に当たりまして、都市的な土地利用と農業的な土地利用の調整のシステムがどうなっているかというお尋ねかと思います。

 私ども、実際のそういった対応につきましては、実務の世界では、市街化区域、市街化調整区域のいわゆる線引きという世界で対応していくわけでございまして、この点につきましては、昨年、都市計画法の改正をいただきまして、都市計画の世界では地方分権を徹底する、その中で地方公共団体がみずからの責任において一体的、総合的なまちづくりを進められるように措置していただいたところでございますが、御指摘の、鉄道駅の周辺の間近にまとまった農用地が存在するというようなテーマが確かにあるわけでございます。

 これにつきましては、私ども、昨年十二月に都市計画運用指針というのを提示いたしました。これは農林水産省と十分調整した指導指針でございますが、駅から割合と近いところにそういった集団的な農用地がある、恐らくそこは、一定の農業投資が行われまして、まだ農業が比較的活発に行われている、農用地として保存しているという実態があろうかと思いますが、要は、市街化区域と調整区域の線引きの線が固定的にならないように、市街化の状況あるいは地域の実情というものをよく見きわめた上で随時見直していくという姿勢もまた同時に必要かと思います。

 そういった面で、適切な対応が行われるよう、公共団体とよく調整をしてまいりたいというふうに考えております。

松野(博)委員 今の問題、農業に従事している皆さんの意識も大分変わってきている部分もございますので、ぜひ適宜的確な変更がとれるような体制、調整システムを構築していただきたいと思います。

 最後の分野でありますけれども、これは、質問というよりもお願い、提言になるものでありますが、大臣の所信の御発言の中にも、防災、安全と環境、交通安全対策の総合的な推進をされるというお言葉がありました。私がずっとテーマにしておりますのが、この中の交通事故の問題であります。

 交通事故といいますと、大抵警察の案件というふうにとられがちでありますけれども、日本の、例えば昨年一年間の交通事故による死亡者というのは一万人であります。九千何人であります。毎年一万人前後のとうとい命が交通事故によって亡くなっている。世界各国で、戦争状況ですとか内戦状況の国もありますけれども、その中で、一万人の方の命が失われる戦争というのは、今、現状、地球において行われていないかと思います。

 そして、例えば交通事故による負傷者の問題を考えますと、昨年一年間で百十五万人でありますから、死傷者合わせて、その加害者、被害者の家族まで入れますと、日本で数百万人の皆さんが肉体的、精神的、金銭的な交通事故の被害に遭っているというような状況であります。

 大変な問題であるにもかかわらず、なかなか政治イシューとして上がってこない。大臣の御発言の中にも、航空の安全の問題、船舶の安全の問題等掲げてありますが、それぞれに重要な問題でありますけれども、実害を考えるならば、まずこの交通事故という問題を政治イシューとして大きく取り上げながら、日本が世界の中でも最も進んだ交通事故対策を持つ、そういうシステムを持つ国になっていかなければいけないというふうに考えております。

 特に、国土交通省の抱えているさまざまな領域の中においては、交通事故の問題は、単に一つの問題としてとらえるのではなく、あらゆる施策を行うに当たって、その施策が交通事故防止に役立つかどうか、その視点を織り込んでいくことが重要かと思いますけれども、まずこの意識に関してのお考えをお伺いしたいと思います。

扇国務大臣 今松野先生がおっしゃいました安全性に関しては、私は、交通事故のみならず、冒頭に申し上げました、陸海空、あらゆるところでの交通安全が第一であると。安全が第一であるということは、交通のみにかかわらず、国土交通省の幹部も新年に集まって、とにかく国民の生命財産を守り、安心して住んでいただけ、安心して生活してもらえる国土というものが一番基礎であることは御存じのとおりでございまして、特に今先生が御指摘の交通に関しましては、交通事故を削減していくというのにはどういう方法があるか、いろいろ検討しました。

 それは、バイパスをしたり、道路を整備したり、あらゆる都市の骨格となる基幹道路をネットワークで、なるべく情報を開示しようとか、都市内を通過する交通量を排除しようとか、あらゆる方法は考えられますけれども、何よりも、みずからが法律を守って安全運転をし、歩く人はルールを守る、私は、これが原点だろうと思うんですね。このごろの、若い人が信号が赤になっていてもまだ渡るというのは、都市で見られる典型的なものでございますけれども。

 そういうものも含めて、私は、国土交通省としてできることは、幅の広い歩道、あるいは自転車走行空間をつくったり、あるいは交通の安全施設の整備等々、あるいは電線類の地中化もそうでございますけれども、そういう意味での交通事故の起こりにくいまちづくりをしていくというのはもちろん重要なことでございますので、今後とも、国土交通省としては、交通の安全施策を重点的に推進していきたいと思っております。

松野(博)委員 もうおっしゃられるとおりでありますけれども、刑罰の強化ですとか交通安全意識の向上というのはもちろんでありますが、今大臣おっしゃられたとおりの、まちづくり全体の問題、また交通事故を防止するという観点からの、そういったコンセプトでのまちづくり、こういったものが行われていいのではないかなというふうに思います。

 歩いていける範囲の中で生活ができる生活圏確保の問題、路面電車等の域内交通の問題、電柱の地中化、中心市街地の駐車場、パーク・アンド・ライド方式、ぜひひとつ、モデルケースとして、交通事故を防止するという観点を第一のコンセプトに置いたまちづくりを進めていく、そういうことをやってみてはどうかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

大石政府参考人 先生御指摘のとおり、道路交通環境全体が交通安全に大きく寄与するものであると考えてございますが、残念ながら、現在の市街地内の道路は、看板類があふれ返っておりますし、無秩序に自転車が放置されております。また、狭い歩道に電柱が存在するなど、歩きにくく、さらに、人、自転車、車等が錯綜しておりまして、美観はもとより交通安全上も大きな問題だという認識を持ってございます。

 このため、これらに対しまして、電線類の地中化や自転車走行空間の確保、ガードレールの設置、歩道の拡幅などを行ってきておりますが、これらを個別に行うのではなく、この対策を総合的に行うことによりまして、次の世代に残せる安全で快適な町をつくるという観点から、積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。

 御承知のとおり、幹線系では自転車と歩行者を分離するという、現在の道路構造のあり方を変更する道路構造令の改正も行わせていただいたところでございまして、新設はもとより既存の道路につきましても、このような考え方で改良を進めていきたいと考えてございます。

 このような取り組みを通じまして、交通安全に大きく寄与するよう努力してまいりたいと考えております。

松野(博)委員 特に、弱者であります高齢者、また子供たちに向けての交通安全対策、予算の振り分けも含めて、切にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

赤松委員長 木村太郎君。

木村(太)委員 小泉内閣におきまして、扇国土交通大臣初め副大臣、政務官の皆さんの御活躍をまず御期待申し上げたいと思います。

 早速ですけれども、月曜日の予算委員会の中で、民主党の岡田政調会長の、整備新幹線について凍結すべきという発言をお聞きしました。私は、これを聞きまして、大きな疑問を持ちました。

 というのは、時々、都内でもそうですし、地域でもあると思いますが、整備新幹線の建設促進を求めるような各種の大会において、民主党の代表の方からも頑張るという趣旨のごあいさつを私も何度も何度も耳にしているわけであります。頑張るというあいさつ、しかし予算委員会では凍結しろ、ここに大きな矛盾を感じたわけであります。ましてや、見直しをというのだったらまだしも、凍結ということはストップしろということでありますので、大きな意味の違いがあるのではないかな、こう思いました。

 また、いわゆるJR会社法の改正案が間もなく当委員会でも審議される予定と聞いておりますが、既に改正の概要も報道されておりまして、ポイントとしては、JR三社をJR会社法から除外し、法的にも完全民営化への道を開くことを最大のねらいとしているようでありますが、企業として見た場合、JRが機動的に動くことができますから、そういった点ではメリットがあろうかと思います。

 しかし、やはり一方で、そのメリットが、JRの判断によっては、国民サイドから見た場合に、地域の交通体系についてデメリットを及ぼすのではないかという声があるのも事実だと思います。それにこたえるためにも、あるいは公共性という視点に立っても、その改正案のポイントの中に、大臣が配慮すべき事項に関する指針というものを策定し、勧告できる制度も盛り込まれているようでありますけれども、改正案の中身についてはそのときの委員会での審議に任せたいと思います。

 まずお聞きしますけれども、扇大臣の整備新幹線についての所見を改めてお聞かせいただき、そして、岡田政調会長の凍結すべきという主張について、ぜひ反論をしていただきたいと思います。

扇国務大臣 反論と申しますより、もともと整備新幹線に関しましては、我々国民の、日本の背骨を形成する大事なものでございます。それは木村委員も御承知のとおりでございます。

 昨年の十二月、政府・与党の申し合わせがございました。私も連立与党の一員で、今こうして小泉内閣に参画させていただいておりますので、私は、この昨年の十二月の政府・与党の申し合わせというものは、これは動かすことのできないものであると思っておりますし、その申し合わせの中では、いわゆる開業効果をできる限り早期に発揮させることが国民の経済上重要な観点であるということが、十二月の認識では一致しております。既に着工しておる区間の早期完成も、これは優先して行おうということを申し合わせてございます。

 また、政府・与党の整備新幹線の検討委員会のもとに設置されましたワーキンググループにおきましても、この収支改善効果あるいは投資効果等々を厳密に検証して、そしてその上で、既に着工している区間と同時開業が望ましいということも、これは昨年のワーキンググループで結論が出ております。

 このように、整備新幹線の新規着工につきましては、政府・与党において十分に検討し、また整備新幹線ワーキンググループまでつくって出された結論が盛られたものでございますので、この十分に検討されたものを凍結するという考えは毛頭私は持っておりませんし、そのワーキンググループで、しかも十二月に政府・与党と一緒になって考えた結論というのは遵守していきたいと思っております。

木村(太)委員 大変強い決意というものを改めて拝聴させていただいた思いがあります。

 これから私、地元の例を挙げてお尋ねしていきますけれども、決して地域、地元誘導というようなことではなくて、例えば新幹線でいいますと、北陸新幹線や九州新幹線など他地域、全国的にも共通したことと思いますので、そういった御認識で御答弁いただきたいと思っております。

 例えば、先般、整備新幹線の工事実施計画の認可も示されたわけでありますが、十三年度の建設費で見ますと、事業費ベースでは二千二百九十三億円、そのうち、私の地元サイドでいいますと、東北新幹線では、盛岡―八戸間と八戸―新青森間、これを合わせますと七百十億円、残工事費を見ますと四千五百六十九億円、こうなっております。仮に平成十四年度以降も本年度並みの七百億円台をキープすれば、私が単純計算しますと、七年ぐらいで完成するのではないかな、こう思うわけでありますが、今後の建設についての考え方をお聞かせいただきたい。

 あわせて、冒頭言いましたが、JRの完全民営化がこの後の法案の審議において図られた場合に、JRが完全民営化されることによって新幹線の建設促進に何らかの影響があるのかないのか、お尋ねしたいと思います。

安富政府参考人 今先生の方から具体的な数字で、現在の十三年度予算の七百五十億がそのまま維持された場合に、計算上、七、八年でできるんじゃないかというお話がございました。

 この七百五十億が維持された場合に、我々としても、先ほど大臣からお話がございましたワーキンググループの中でいろいろ試算をしてまいりまして、各、新規着工する区間、既に着工している区間の工事量等を把握しまして、これらが、この七百五十億で十二、三年、十二年強という開業時期の区間もございますので、そういうものをもろもろシミュレーションした結果、現在、おおむね十二年ぐらい、特に東北新幹線については十二年ぐらいで完成するだろうということで、ワーキンググループの結論を得たところでございます。

 ただ、そうはいいながらも、これはもちろん一つのシミュレーションの数字でございますので、この予算がある程度確保された場合に、当然、各路線によって、路線の用地買収の進捗であるとか、あるいはトンネルの工事の難易度であるとか、そういうことによって、ある路線では早く工事ができる、ある路線ではなかなか難しいという、これから差がついてくる問題ではないかというふうに考えております。

 それから、JR会社法との関係でございますが、JR会社法におきましては、今回、完全民営化ということでやるわけでございますが、先生御存じのとおり、整備新幹線の整備につきましては、公共事業関係費、それから多少の一部自主財源がございますけれども、国と地方公共団体が二対一の割合で費用を負担するということでやっておりまして、いわゆる上下分離方式になっております。

 したがいまして、JRの負担としましては、開業後におけるいわゆる受益の範囲、具体的には、新幹線を整備した場合と整備しない場合の収支改善効果に相当するものを貸付料として徴収するスキームになっておりまして、新幹線の整備がJRの経営を圧迫するというスキームにはなっておりません。

 したがいまして、JRが完全民営化することによって完全な民間会社として経営上これを進めないということではなくて、スキーム上、JRの経営に支障を生ずるような形になっていない。また、改めまして、路線の新規着工あるいは新幹線の整備をする場合にはJRの事前の同意をとっておりますので、先生御指摘のような心配はないというふうに考えております。

木村(太)委員 御答弁ありがとうございました。

 先ほども言いましたが、新幹線に関する大会をやりますと、自由民主党を初め多くの政党が頑張るという趣旨のあいさつをしていますので、皆さんの後ろには数多くの政党が後押しをしているという自信と、そして決意と正論を持って、これからも着実なる整備に努めていただきますことを御要望しておきたいと思います。

 次に、仮に新幹線が整備されていきますと、例えば、その新幹線の新しい駅から先の交通のアクセスの強化ということも、また大事なことだと思っております。

 また地元の例を引き合いに出して恐縮でありますけれども、例えば私の地元でいいますと、八戸と下北半島地域を結ぶ主要幹線がありまして、JR大湊線といいますが、このアクセスの強化というものを地域において今求める声が高まってきております。

 具体的に言いますと、八戸と大湊という駅の間で直通の快速列車の運行をぜひ図っていただきたいとか、そういう声が高まってきているわけです。また、もう一つ例を言いますと、県庁所在地であります青森市と津軽地域の中心都市であります弘前市とを結ぶ奥羽本線の全線複線化ということが、地域としては大分前から強い要望として存在しております。

 地元においても、東北新幹線の新青森開業をもにらみながら、最近、新たな一つの動きをしております。それは、全線複線化をすぐ実施できないとすれば、スピードアップ等を考えた場合に、線路の改良や、あるいは一部区間の複線化ということも検討していきたいということで、実はその検討委員会というのを発足させております。国、県、JR、そして学識経験者から成る奥羽本線高速化検討委員会という委員会を立ち上げまして、検討を始めたようであります。

 こういった交通アクセスの強化、これは東北新幹線に限った話ではないと思いますので、在来線のあり方、とりわけそのアクセスの強化の観点から、お考えをお示しいただきたいと思います。

安富政府参考人 先生の方から、新幹線と在来線とのアクセス性の向上についてのお尋ねがございました。

 新幹線の持つ速達性を、いわゆる新幹線の沿線地域ではなくて、非沿線地域に及ぼす、広く享受してもらうという点で、このアクセス性の向上というのは非常に重要であるというふうに考えております。

 具体的には、例えば運政審答申、実は、今後の鉄道整備に関する基本方針を取りまとめた運輸政策審議会答申というのがございますが、この中におきましても、幹線鉄道整備の政策目標として、在来幹線鉄道と新幹線とのアクセス性の向上や接続円滑化等による新幹線と在来幹線鉄道とが連携した広域的な幹線鉄道ネットワークの構築ということを掲げております。

 したがいまして、例えば新幹線と在来線との乗り継ぎ利便の向上であるとか、あるいは在来線の高速化といったようなことについて、この新幹線の整備と相まって推進していく必要があると我々も認識しております。

 具体的に、先ほど先生からお話がございましたJR大湊線、あるいは奥羽本線の複線化あるいは高速化といったようなことについても、地元でいろいろ御議論がなされているのを我々も承知しております。

 基本的には、事業者の経営判断でこの在来線の高速化あるいは速達性の向上ということは行われるわけでございますが、沿線自治体も含めまして、地域において十分な検討を行い、いろいろなアイデアについて熟度を高めていただきたいということで、そういうことを我々としても後押ししていきたいというふうに考えております。

木村(太)委員 後押しをしていきたいということ、これを私は重く拝聴させていただきました。

 今、地元の例を言いましたけれども、今後、北陸、九州新幹線も整備が進めば同じようなことがまた出てくると思いますので、ぜひ国は国としての後押しをお願いしたいと思います。

 最後に、今度は、整備新幹線ではなく、空港について一つだけお聞きしたいと思います。

 先ほども静岡空港のお話がありましたけれども、何となく、空港に関しても、つくるかつくらないかというような議論が多いような気がいたしております。しかし、私は、全国各地にあります既存の空港の機能強化ということも検討するに値する、大事なことだ、こう思っております。

 恐縮ですが、また地元の例でいいますと、私の地元には青森空港というのがあります。搭乗率もかなり高い路線を有しておる空港にもなっております。また、北東北唯一の国際定期便が就航しておりまして、地方にありますけれども、いわゆる国際空港という位置づけもありまして、秋田県や岩手県、北海道の道南の方々も利用されております。ただ、その空港のある場所というのが、気候、気象状況で見た場合、大変厳しい面を持っておりまして、いわゆる就航率の改善というのが大変大きな課題となっております。

 おかげさまで、青森空港は実は滑走路三千メートル化ということが決まりました。これもまた一つの機能強化の動きとして評価したい、こう思っておりますが、その青森空港のさらなる機能強化を考えた場合に、滑走路の延長は決まりましたけれども、就航率の改善を図るために、高カテゴリー化というんですか、これをぜひ進めたいということ、またもう一つ、ナイトステイという機能も青森空港に持たせた場合に、ほぼ空港としての機能が完成することになるのではないかという声がありますし、私もそう思っております。

 地元の空港の例を引き合いに出しましたけれども、全国各地の既存の空港の機能強化ということをどう考えておられるのか、お尋ねしておきたいと思います。

深谷政府参考人 既存の空港についての機能強化の点についてお尋ねがございましたけれども、私どもといたしましては、既存空港につきまして、現在進めております第七次空港整備七カ年計画の中におきましても、需要への対応を基本としつつ既存空港の高質化を図る、こういうふうな方針を立てて進めておりまして、先生御指摘の点は大変大事な点だと我々も認識をしております。

 そうした観点から、滑走路の延長でございますとか、あるいは就航率向上のための施策、こういうことをとりながら既存空港の高質化というものを進め、需要への対応を基本としつつ、適切に対応していきたい。

 また、こうしたほかに、利便性を上げるという観点からも、既存の空港につきまして、その運用時間の延長などにつきましても逐次図っておりまして、今年度も六空港につきましてそういう措置をとりたいというふうに考えておりまして、全般として、そういう基本認識のもとに対応を進めております。

 青森空港につきましての御指摘もございましたけれども、青森県が設置管理をしております同空港のいわゆるILSの高カテゴリー化、これにつきましては、就航率の向上、こういうことによりまして大変利便性も安定的になるということで、大変有効な手だての一つだと認識はしております。

 そういった観点から、平成十二年度、昨年度、費用対効果分析など事業の効率性につきまして、県の御協力もいただきながら具体的な評価を実施しておりまして、現在、この評価を踏まえながら所要の検討を十分に行って適切な対応をとりたいというふうに考えております。

木村(太)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 終わります。

赤松委員長 次に、二階俊博君。

二階委員 早速質問させていただきます。

 JRの完全民営化に向けて、多年にわたる関係者の悲願がいよいよ法律として今国会に提出されることになり、間もなく本格的な審議がなされようとしております。国土交通省及びJR各社の今日までの御努力を多とするものであります。

 問題は、完全民営化された場合、当然、経営の合理化を追求する余り、もうかる路線には熱心に、もうからない路線にはやや冷淡な経営姿勢をとるのではないか。つまり、もうからない、乗客の少ない路線は、株主の意向がどうだこうだと言いながら、どんどん切ってしまうのではないかという危惧の声が聞こえてまいります。それでは、公共交通機関であるという使命も誇りも、JRの今日までたどってきた国鉄改革の趣旨も忘れ去ってしまうのではないかと心配される向きもあります。

 私は、JR東日本、JR西日本及びJR東海の各経営陣はいずれも立派な方々ばかりであり、そのような行動をとるはずはないと信じてはおりますが、地域にとって他の交通機関を期待しにくい地方のJRの路線の存続に格別の配慮を図るべきだと考えております。この点について、まず扇大臣の見解をお尋ねいたします。

扇国務大臣 二階先生は運輸大臣経験者でいらっしゃいますから、JR三社の民営化については、細かいことは法案審議のときに譲りたいと思いますけれども、今先生が御指摘になった、民間になれば赤字路線を切り捨てるのではないか、このことは、私、本当に一番大事なことだと思いますので、私はJR三社の社長と一緒に、お互いに指針をつくって事項を定めてございます。

 そのJR三社との指針の中に、三点ございますけれども、他のJR会社との連携協力の確保に協力する事項、そして二つ目が大事なところで、路線の維持、駅設備の整備に関する事項というのが二つ目にございます。三つ目に、同種の事業を経営する中小企業者への配慮に関する事項、この三点を、お互いに指針を策定することとして、JR三社の社長と話し合いました。

 その中で、特に今申しました路線の維持という点に関しましては、上記の指針を踏まえた事業経営を確保する必要があるときには、JR各社に対し指導助言することができる、これを確約しております。

 また、今のお話のように、三番目の同種の事業を経営する中小企業者への配慮という面も含めて、指示助言に加えて、国土交通大臣が、正当な理由なくして指針に反する事業運営を行うJR会社に関しては、勧告、命令することができる、これを担保にとったというのが実情でございますので、特に住民の皆さん、国民の皆さんに民営化されたときに不安が起こらないようにという、このお互いの合意事項を私は持っておりますので、ぜひ民営化することに、先生の大臣のときからの悲願でございましたものがやっとここまで来たというふうに御認識賜りたいと思います。

二階委員 昭和六十一年の国鉄改革関連法案の附帯決議は、国鉄改革後も地方財政再建特別措置法の趣旨を超えるような負担を求めないようにするというものでありました。今、それから十四年の歳月が経過いたしました。

 JR各社は、国民の税金も投入された国鉄の資産を引き継いだ会社としての使命、公共への奉仕の精神を忘れることなく、住民の足を守るべく、ローカル線の維持に、ただいま大臣から御答弁がございましたような趣旨で御努力をいただきたいと思いますが、この際、安易に地方公共団体に負担を求めるべきではないと考えております。この点を特に要望しておきたいと思います。

 次に、過疎地等を走るJRバスについて伺います。

 過疎地を走るJRバスは、ほとんど赤字経営を理由に次々と撤退を余儀なくされている実情であることは、御承知のとおりであります。バス経営を行うJRバス会社については、会社全体の経営の中で不採算路線の維持を図るべきは当然のことだと思います。しかし、これがどうしても無理な場合は、補助制度の対象路線として地域住民のバス路線を維持していくことが必要であると考えますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

扇国務大臣 今、二階先生がおっしゃいました過疎地のバスというのは、過疎の皆さんにとっては本当に生活の必需でございます。

 そういう意味では、過疎地の皆さん方の足である、この引き継がれたJRバスというものに対しては、地方財政再建促進特別措置法の精神を踏まえて地方公共団体には補助ができないこととされておりますけれども、それなれば、乗り合いバスの事業の需給調整規制の廃止に伴って、今先生がおっしゃいました、過疎地なればこそ、特に過疎地の皆さんの足となるバスの補助制度については、これまでの事業者ごとに補助する制度から、地域にとって必要な路線であればどのような事業者であるかにかかわらず補助するという、いわば路線ごとの補助制度に変更をいたしました。

 少なくとも、このような新しい仕組みにおいては、JRバスについては、他の民営バスや公営バス事業者と同様に、地域とともに生活交通の確保に取り組む担い手として位置づけて考えるべきものである、私はそう認識しておりますので、今までどおり私はそれを確保していきたいと思っております。

二階委員 大臣の地域住民の足を守るというかたい決意につきましては、大変感謝をいたします。JRとしてどうしても撤退が避けられない場合は、現実に地方公共団体が支援をして維持するしか方法がないというケースが出てくるということは、大臣も今お答えのとおりでありますが、私は、この際、地方財政の責任者としての総務省のお考えをお尋ねしておきたいと思います。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 JRバス事業者に対する補助につきましては、先生の御指摘にもございましたように、昭和六十一年の国鉄改革関連法案制定時の国会附帯決議を踏まえまして、経常経費に対するJRに対する補助金は認めないという取り扱いをしてまいりました。

 しかしながら、お話にございますように、需給調整規制の廃止によりまして、地域において不可欠なバスの運行につきましても、存続問題が従前よりも深刻化してまいります。地域にとりまして足の確保は不可欠であるけれども、一方で採算に乗らない、そのような場合に、地方団体が負担をしてでも維持せざるを得ないといったケースが出てくることも想定せざるを得ない、このようなことになります。この場合、民間バスには規制がないのに、JRバスの場合は地方団体の補助について規制がある、こういうことでバランスを欠くという問題がございます。

 この点につきましては、所管の国土交通省とも協議をいたしてまいりました。国土交通省の方でも、先ほど大臣から御答弁がございましたとおり、JR会社法の改正案に基づく指針によりまして、路線の適切な維持を図ることを求めていただく、その上で、廃止もやむを得ない場合には、国庫補助につきましてもJRバスへの交付制限を見直すべきである、そのようなお考え等も承っておりまして、私ども総務省といたしましても、地方団体が住民の足を確保するためにやむを得ず補助を行う、こういう場合も差し支えない取り扱いにしたい、このように考えております。

二階委員 ややもすると地域が切り捨てられるのではないかという危惧を抱いている昨今、香山総務省財政局長の答弁に大変心温かいものを感じます。ぜひそのように実現できるように御努力をいただきたいと思います。

 次に、私は、道路特定財源についてお尋ねをいたします。

 道路特定財源の使途拡大、あるいはまた道路特定財源見直しというふうなタイトルの新聞報道が近ごろにぎわっております。総理及び財務大臣の発言が連日繰り返されているからであります。

 道路特定財源の使途は、今日まで、単に道路整備のみならず、都市再開発事業、連続立体交差事業等にも取り組んでおりますが、今後はさらに、交通バリアフリー事業等にも、より積極的な対応を検討すべきであると考えております。

 そこで、早速大臣は、道路特定財源制度の目的や歴史的経緯という性格を踏まえて方向性を打ち出したいと言われております。大いに期待をいたしたいと思います。今後の道路特定財源の使途のあり方について、大臣の御方針を伺っておきたいと思います。

扇国務大臣 私は、我々二十一世紀を迎えた日本の国民の社会資本整備というものはどうあるべきかということが、大きな課題になってくると思います。そういう意味で道路特定財源も、少なくとも税収が二兆三千億円、十三年度でそう思われていますけれども、あらゆる面で、国の財源、そして地方の税収等々を考えまして、道路特定財源の使途が一つに偏らないように、今後は二十一世紀型の、今二階先生がおっしゃいましたバリアフリーの問題あるいはまちづくりの問題、鉄道と道路との結節点をどうするか、あらゆるところに私はこの特定財源を使っていっておりますし、また鉄道の高架には約九割をこの特定財源を充当しております。そして、新交通システムには約六割を充てております。そして、土地区画整理あるいは市街地の再開発には、この特定財源は三割から四割使っているというのが現実でございます。

 この道路特定財源というのは、国土交通省になりましてから、これはもう金科玉条のごとく握って放さないというような、あるいは国民にそういう誤解をされているのではないか。今申しましたように、幅広く使われているという現実を直視していただいて、なおかつ二十一世紀、今先生に言っていただきましたように、この特定財源の歴史的な経緯とか、あるいは受益者負担というこの原則で、今後それをどう踏まえてどう対処していくのかというのを、これは今先生に言っていただきましたように、国土交通大臣たる私から方向性というものを探っていきたい。多くの皆さんの御意見を参考にして、二十一世紀型の十四年度の概算要求までに考えるべき大きな課題であると私は認識しております。

二階委員 総理及び財務大臣は、道路特定財源にまず風穴をあけるようなつもりで、例えば環境対策、エコカーの購入など、次々発言されておりますが、道路本体の整備を必要とする地域からの声は国土交通省にも届いているはずでありまして、大臣も各地を回られて、そういう強い要望を肌で感じてこられたはずであります。したがいまして、道路局長もおられますが、時間がございませんので答弁を求めることはできませんが、私は、専守防衛に回るだけではなくて、この際、二十一世紀の国土交通政策の青写真をもとに、果敢に攻める積極的な姿勢で頑張っていただきたいということを申し述べておきたいと思います。

 時間が参りましたが、祝日三連休のことで、一言大臣に申し上げておきたいと思います。

 五月一日の閣議後の扇大臣の発言について、私は先ごろ、老人クラブの皆さんとお会いをしました際に、相当誤解しておられるなという感じがいたしました。したがいまして、扇大臣が、この祝日三連休と老人クラブの関係について、大臣の真意を伝えることが大切だと私は考えました。もしここで所見があれば、お答えを願いたいと思います。

扇国務大臣 今二階先生言っていただきましたように、これは五月一日の閣議後の記者会見で、ハッピーマンデーの話が出ましたときに、九月十五日の敬老の日を月曜日に持っていくということに関しまして、私は本当に残念だなと思ったのは、一部の皆さん方に誤解を招いているのではないかということでございます。

 私は、二階先生が御指摘のように、私たち保守党でございますので、保守党は日本の歴史と伝統と文化を守るということを党是としている政党でございまして、そういう意味では、この考え方が御理解いただけないのは、私も言葉が足りなかったのかと申しわけなく思うんですけれども、私は、お年寄りを敬うということは人後に落ちるものではないと私自身も考えておりますし、私生活の中では私もそういう生活を送っております。

 ですから、私は、ハッピーマンデーに九月十五日を動かすことを、ただ敬老の日を動かしてもいいということではなくて、私は、一日だけを敬老の日にすることではなくて、敬老週間であるとか敬老月間であるとか、今度、二十一世紀は老齢社会でございますので、もっと拡大して、敬老の日という一日じゃなくて、敬老ウイークだとか敬老月間とか、もっと二十一世紀型の敬老の啓蒙をする日に私はしていきたいというのが真意でございます。

 ちっちゃな新聞に一言何か書かれましたことで、老人の皆さん方に本来の意図が通じていないのであれば私の言葉足らずだなと思いますけれども、心から、誤解のないように御理解いただきたい。私は、もっと、敬老の日じゃなくて、週間か月間という大きな形の二十一世紀型の敬老を、みんなで敬う、そういう行事にしたい、拡大したいというふうに思っておりますので、ぜひ御理解賜りたいと存じます。

二階委員 ただいまの大臣の御答弁に対して私は同感であります。したがいまして、役所の方で、ホームページその他を使って、やはり老人の皆さんに大臣の真意が伝わるように御努力をいただきたいと思います。

 最後に、近ごろの政治の方向は都市へ都市へと偏重しがちであります。政府の審議会等におきましても、国土の均衡ある発展という言葉を改めるべきではないかという極めて非常識な発言が目立つ昨今であります。選挙の票や世論形成だけを考えれば、都市に偏り、都市に重きを置きたくなる衝動に駆られることは全く理解できないことではありません。

 しかし一方、過疎の地、衰退の一途をたどりつつある地方を、いわゆる高度成長の波に乗ることができずに取り残された地方を荒れるがままに任せて政治はこれでいいのかという厳しい反省がお互いになくてはならないのであります。国土の均衡ある発展は国是であり、今日の国家経営の基本であったものが、いつからこの方針が大転換なされたのか、なされようとしているのか。

 私は、きょうは、そうしたことに御理解の深い北海道選出の佐藤副大臣、そしてまた国土交通問題の専門家である泉副大臣にそれぞれ御答弁を願いたいと思いますし、地域の問題でありますから、総務省の財政局長からも所見があれば御答弁をお願いしたいと思います。

佐藤副大臣 私は、これから、定住人口よりも交流人口というものに重きを置くべきだろうと思っているんですね。それぞれの地域でいかにして交流人口を多くしていくか。それはやはり、それぞれの地域が非常に魅力的なまちづくりをしなかったらだめです。

 二階先生は非常に観光に造詣が深いわけでありますけれども、大きな意味でそういう地域づくりというものに取り組んでいく。そのために、新幹線も必要ですし、高速道路も必要であります。それを入れながら、目に見えない価値観、または目に見える資源、そういうものをあわせながら地域づくりを進めていく。そして、要するに、地域のアイデンティティーづくりと申しましょうか、全国各地区でそういうものをやっていく。それで全体的な日本の均衡ある発展を図っていく。そういう考えが私は正しいような気がします。

 今度は、我々も国土交通省として四省庁合わさったわけでございますから、機動的に、具体的にそういう地域づくりを進められると思います。全力を挙げてやっていきたいと思っていますので、また御支援をお願い申し上げます。

泉副大臣 国土の均衡ある発展というのは、五次にわたる全国総合開発計画の基本的な考え方でございますし、いわゆる五次の、今日掲げております「二十一世紀の国土のグランドデザイン」の中にもこの言葉が明記されておるわけでございます。

 これはまさに、「多様な地域特性を十全に展開させた国土の均衡ある発展を実現」するというふうに書いてございまして、このことがおかしいという論理は通らない。それぞれの地域にシビルミニマムを設け、それを十全に全うした上でその地域の個性を生かすというのは当然国土政策の根幹であると私は思っておりますので、先生の御趣旨を生かしながらこれからも努力をしてまいるつもりでございます。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、地方財政を担当いたしておりますけれども、地域の財政力格差の解消、これは先生がおっしゃる意味の国土の均衡ある発展につながるもとだと思っておりますけれども、地域の財政格差の解消を図るということは、国家にとりまして最も重要な使命と考えております。

 現在、地方財政、大変厳しいものがございますから、都市部も、また過疎地の地方団体も従前以上に歳出の効率化には努めていただく必要がございますけれども、その前提のもとでは、地方交付税等を活用しながら財政力格差の是正に最大限努めてまいりたいと考えております。

二階委員 終わります。

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、参議院送付、農住組合法の一部を改正する法律案及び都市緑地保全法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。

    ―――――――――――――

 農住組合法の一部を改正する法律案

 都市緑地保全法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

扇国務大臣 ただいま議題となりました農住組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 農住組合法は、市街化区域内農地の所有者が協同して農住組合という組織を設立することができるようにし、その事業活動を通じて、必要に応じ、当面の営農の継続を図りながら、市街化区域内農地を良好な住宅地に転換していくことを目的といたしております。

 昭和五十六年の法施行以来、これまで六十以上の農住組合が設立され、良好な住宅地及び住宅の供給が図られてまいりましたが、この法律では、農住組合の設立認可の申請期限が定められておりまして、本年の五月十九日にその期限が到来いたします。

 しかしながら、市街化区域内農地は依然として相当量が残されており、農住組合による市街化区域内農地の良好な住宅地への転換を引き続き促進する必要があります。

 また、一部に営農地を残しながら宅地化を進める農住組合の手法は、緑豊かな都市環境の形成にも資するものでございますし、地域の実情に応じて、より柔軟な地区設定を可能にすることが求められております。

 この法律案は、このような状況にかんがみ、農住組合の設立認可の申請期限の延長、飛び農地に係る農住組合の設立要件の緩和等を行おうとするものであります。

 以上が、この法律案を提出する理由でございます。

 次に、この法律案の要旨を申し上げます。

 第一に、農住組合の設立認可の申請を行うことができる期限を十年間延長し、平成二十三年五月十九日までとすることといたしております。

 第二に、飛び農地を含む農住組合の設立認可要件を緩和して、飛び農地において当面の営農が継続される場合にも農住組合の地区に加えることができることといたしております。

 第三に、農住組合が交換分合を行う場合に加えて、土地区画整理事業を行う場合においても、生産緑地地区の指定要請を行うことができることといたしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようにお願い申し上げます。

 次に、都市緑地保全法の一部を改正する法律案につきまして御説明を申し上げます。

 緑豊かで美しいまちづくりを推進し、安全で良好な都市環境を形成するためには、都市における緑とオープンスペースを確保することが極めて重要であります。

 このため、従来から、都市公園の計画的な整備、緑地保全地区の指定等による緑地の保全、公共施設の緑化等により緑とオープンスペースの整備及び確保を図ってきたところでございますが、今後は、地域住民の日常生活における自然との触れ合いに対するニーズの高まり等を踏まえ、多様な主体による都市における緑地の適正な保全及び効率的な緑化の取り組みについても、これを積極的に推進していくことが必要であります。

 この法律案は、このような状況にかんがみ、緑地保全地区内の緑地の保全のための管理協定制度及び建築物の敷地内における緑化施設整備計画の認定制度を創設するとともに、緑地管理機構の指定の対象の拡大等、所要の措置を講じようとするものであります。

 次に、その要旨を御説明申し上げます。

 第一に、都市における緑地の適正な保全を図るため、地方公共団体または緑地管理機構が、緑地保全地区内の土地の所有者等と協定を締結し、当該協定に係る土地の区域内の緑地の管理を行うことができること、当該協定は、その公告後において当該区域内の土地の所有者等となった者に対してもその効力があるものとすること等を内容とする管理協定制度を創設することとしております。

 第二に、都市における効率的な緑化の推進を図るため、基本計画において緑化の推進を重点的に図るべき地区として定められた地区内の建築物の屋上等の敷地内において緑化施設を整備しようとする者が作成する緑化施設整備計画を市町村長が認定する制度を創設することとし、緑地管理機構等による支援措置を講ずることといたしております。

 第三に、多様な主体による都市の緑地の保全及び緑化の推進を図るため、緑地管理機構の指定の対象となる法人として特定非営利活動法人を追加することといたしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようによろしくお願い申し上げます。

赤松委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十一分散会




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