衆議院

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第24号 平成13年6月20日(水曜日)

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平成十三年六月二十日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 桜田 義孝君

   理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君

   理事 玉置 一弥君 理事 樽床 伸二君

   理事 河上 覃雄君 理事 山田 正彦君

      今村 雅弘君    木村 太郎君

      木村 隆秀君    倉田 雅年君

      坂本 剛二君    菅  義偉君

      田中 和徳君    高橋 一郎君

      中馬 弘毅君    中本 太衛君

      林  幹雄君    福井  照君

      松岡 利勝君    松野 博一君

      松本 和那君    谷津 義男君

      吉田 幸弘君    大谷 信盛君

      小泉 俊明君    今田 保典君

      永井 英慈君    伴野  豊君

      細川 律夫君    前原 誠司君

      山岡 賢次君    大森  猛君

      瀬古由起子君    原  陽子君

      日森 文尋君    近藤 基彦君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   国土交通副大臣      佐藤 静雄君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力

   局長)          奥村 裕一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 岩村  敬君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            風岡 典之君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局

   長)           高橋 朋敬君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  谷野龍一郎君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長

   )            中川 雅治君

   政府参考人

   (環境省環境管理局長)  松本 省藏君

   参考人

   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十日

 辞任         補欠選任

  阿久津幸彦君     小泉 俊明君

  大幡 基夫君     大森  猛君

  保坂 展人君     原  陽子君

  森田 健作君     近藤 基彦君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉 俊明君     阿久津幸彦君

  大森  猛君     大幡 基夫君

  原  陽子君     保坂 展人君

  近藤 基彦君     森田 健作君

    ―――――――――――――

六月十八日

 精神障害者に対する交通運賃割引制度の適用に関する請願(川崎二郎君紹介)(第二八七五号)

 同(虎島和夫君紹介)(第二八七六号)

 同(中川秀直君紹介)(第二八七七号)

 同(三塚博君紹介)(第二八七八号)

 同(阪上善秀君紹介)(第二九一九号)

 同(自見庄三郎君紹介)(第二九二〇号)

 同(菅義偉君紹介)(第二九二一号)

 同(谷川和穗君紹介)(第二九二二号)

 同(中川昭一君紹介)(第二九二三号)

 同(丹羽雄哉君紹介)(第二九二四号)

 同(宮下創平君紹介)(第二九二五号)

 公営住宅に関する請願(辻元清美君紹介)(第二八七九号)

 同(前原誠司君紹介)(第二八八〇号)

 同(辻元清美君紹介)(第二九二六号)

 同(辻元清美君紹介)(第二九七四号)

 公共事業の生活・環境重視への転換と建設産業の民主化に関する請願(一川保夫君紹介)(第二九六五号)

 同(岩國哲人君紹介)(第二九六六号)

 同(植田至紀君紹介)(第二九六七号)

 同(児玉健次君紹介)(第二九六八号)

 同(今野東君紹介)(第二九六九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二九七〇号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第二九七一号)

 同(中林よし子君紹介)(第二九七二号)

 離島航空路線に対する支援措置の拡充に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第二九七三号)

同月二十日

 精神障害者に対する交通運賃割引制度の適用に関する請願(平沢勝栄君紹介)(第三〇三〇号)

 同(森喜朗君紹介)(第三〇三一号)

 同(河野太郎君紹介)(第三二六七号)

 同(谷垣禎一君紹介)(第三二六八号)

 同(長勢甚遠君紹介)(第三二六九号)

 公営住宅に関する請願(辻元清美君紹介)(第三〇三二号)

 同(山岡賢次君紹介)(第三〇三三号)

 同(井上義久君紹介)(第三〇八四号)

 同(辻元清美君紹介)(第三〇八五号)

 公共事業の生活・環境重視への転換と建設産業の民主化に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三〇三四号)

 同(粟屋敏信君紹介)(第三〇三五号)

 同(石井一君紹介)(第三〇三六号)

 同(今川正美君紹介)(第三〇三七号)

 同(小沢和秋君紹介)(第三〇三八号)

 同(大森猛君紹介)(第三〇三九号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第三〇四〇号)

 同(古賀一成君紹介)(第三〇四一号)

 同(後藤斎君紹介)(第三〇四二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三〇四三号)

 同(佐々木秀典君紹介)(第三〇四四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三〇四五号)

 同(島聡君紹介)(第三〇四六号)

 同(田中慶秋君紹介)(第三〇四七号)

 同(葉山峻君紹介)(第三〇四八号)

 同(原口一博君紹介)(第三〇四九号)

 同(不破哲三君紹介)(第三〇五〇号)

 同(藤木洋子君紹介)(第三〇五一号)

 同(細野豪志君紹介)(第三〇五二号)

 同(前田雄吉君紹介)(第三〇五三号)

 同(松本善明君紹介)(第三〇五四号)

 同(山田敏雅君紹介)(第三〇五五号)

 同(横光克彦君紹介)(第三〇五六号)

 同(渡辺周君紹介)(第三〇五七号)

 同(安住淳君紹介)(第三〇八六号)

 同(阿部知子君紹介)(第三〇八七号)

 同(今川正美君紹介)(第三〇八八号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第三〇八九号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第三〇九〇号)

 同(佐藤敬夫君紹介)(第三〇九一号)

 同(重野安正君紹介)(第三〇九二号)

 同(中村哲治君紹介)(第三〇九三号)

 同(永田寿康君紹介)(第三〇九四号)

 同(羽田孜君紹介)(第三〇九五号)

 同(日森文尋君紹介)(第三〇九六号)

 同(山元勉君紹介)(第三〇九七号)

 同(今川正美君紹介)(第三二七〇号)

 同(大幡基夫君紹介)(第三二七一号)

 同(木島日出夫君紹介)(第三二七二号)

 同(北橋健治君紹介)(第三二七三号)

 同(後藤茂之君紹介)(第三二七四号)

 同(今田保典君紹介)(第三二七五号)

 同(中津川博郷君紹介)(第三二七六号)

 同(春名直章君紹介)(第三二七七号)

 同(山内惠子君紹介)(第三二七八号)

 同(山口富男君紹介)(第三二七九号)

 同(吉田公一君紹介)(第三二八〇号)

 公営住宅の建設促進等に関する請願(木島日出夫君紹介)(第三二六六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件




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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長岩村敬君、総合政策局長風岡典之君、河川局長竹村公太郎君、道路局長大石久和君、自動車交通局長高橋朋敬君、海事局長谷野龍一郎君、海上保安庁長官縄野克彦君、経済産業省貿易経済協力局長奥村裕一君、環境省総合環境政策局長中川雅治君及び環境省環境管理局長松本省藏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前原誠司君。

前原委員 扇大臣、まだお足が悪いようですので、座ったまま御答弁いただいて結構でございます。

 それでは、まず、国際海上コンテナ輸送について質問をさせていただきたいと思います。

 国際海上コンテナというのは、戸口から戸口までの一貫輸送が原則となっておりまして、その間は封印されて輸送されている状況でございます。輸入貨物につきましては、外国で積み込まれまして、積みつけの状態や重さ、危険物であれば何が積み込まれているのかというのは荷主以外にはわからない状況になっておりまして、コンテナの輸送中に危険を感じても開封できない取り決めになっております。

 私もいろいろな方々からお話を伺いまして、去年だけでもかなりの事故が起きております。

 例えば、大きく報道されましたけれども、フィリピンへの有害医療廃棄物不法輸出、これは去年の一月でございますし、また在日米軍がPCB貨物を北米へ輸出したけれども、向こうが入国拒否をして、それが日本へ返送されてきたとか、これは三月でございますが、また六月には、和歌山に輸入されたコンテナから中性子放射線が検出をされたということが挙げられております。

 また、事故もございまして、去年の十一月では、首都高でコンテナ積載車が横転をして、隣を走っていた乗用車にその荷物、コンテナが落ちまして、ドライバーが圧死をされるという痛ましい事件も起きておりますし、また、これはことしの五月の二十一日でございますけれども、常磐道の三郷ジャンクションで大型トレーラーが横転をする。幸い、下に落ちたときに車が通っていなかったので二重事故というものは防げたわけでありますが、このように、事故には枚挙にいとまがないわけでございます。

 そこで、まずは経済産業省にお伺いをしたいわけでございますけれども、国際コンテナ輸送というのは、国内貨物の輸送と違いまして、国土交通省の所管外の部分もございます。したがいまして、積み荷の内容証明とか、あるいは安全な積みつけについて、輸出入貨物の荷主の責任を明確にした総合的な対策が必要だと考えられますけれども、輸入業者などの荷主を所管する経済産業省はどのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

奥村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の国際海上コンテナ輸送の安全対策につきましては、輸入業者を所管しております私どもといたしましても、国土交通省を初めといたしまして、関係の各省とも、御指摘の問題の所在でありますとか実態を十分御相談させていただいた上で、必要があれば対応策を検討してまいりたいというふうに考えております。

前原委員 問題意識は持っておられて、それについては経済産業省としても取り組まなきゃいけない、そういうお考えであるということでよろしいのですね。もう一度御答弁いただきます。

奥村政府参考人 荷主サイドといたしまして、どのような実態があって、それに対してどのような御協力ができるかという観点につきまして、問題意識を持っております。

前原委員 アメリカでは、輸入コンテナを水際でチェックして、国際海上コンテナの陸上輸送の安全を確保するために、荷主責任を明確にした法律があると伺っております。また、EUも同じような法律の検討をもう既に始めていると伺います。

 我が国といたしましても、このような海上コンテナ輸送の安全に対する荷主責任と、万が一事故が起きた場合の対処と荷主責任を明確にした総合的な対策、法律がぜひとも必要であると私どもは考えております。

 ただ、海上コンテナ輸送にかかわる法律というのは、所管が十一省庁、そして十七局にわたっているということで、非常に多岐にわたっております。したがいまして、縦割りの行政を前提にしていては、この国際海上コンテナ輸送の包括的な安全策というものは確保されないということであります。

 国土交通省だけでなくて、荷主に関係する経済産業省、農水省、危険物ということでは消防や厚生労働省といった政府全体としての対策が必要であり、早急に総合的な対策に着手をされるように強く国土交通省に求めたいと思いますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

扇国務大臣 今、前原先生が御質問になりましたように、私は、このコンテナというものの重要性をたびたび申し上げておりますけれども、国外と国内のコンテナの大きさがまず違うということ自体が、大きな事故が発生する原因になっております。

 そして、御存じのとおり、今先生おっしゃいましたけれども、まさにドア・ツー・ドア、ドアからドアへということで大変利用されておりますけれども、国内でなぜ事故がたくさんあるかということで、なぜ外国のコンテナの大きさと国内のコンテナの大きさが違うのか、これは世界基準があるのかないのかということも私は調べさせていただきました。国際コンテナというのは大体統一仕様になっているようでございますけれども、もともと国際コンテナの高さは二・九メートルなんだそうでございます。ところが、日本の場合は、国内の貨物用は高さが二メートル未満なんですね。

 ですから、それこそ国際的に、今先生が海上とおっしゃいましたけれども、たとえ船で港に着いて、日本のトラックに積みかえて、そして走っても、日本の道路では、高さが二メートルということでトンネルをつくっているところが多いものですから、まずトンネルが通れない。そういうところが多いので、このコンテナを積んでいる人はここのルートを通りなさいよという指示をしなければ通れないような道路規制になっているということからも、今先生がおっしゃった横転等々、多発事故の大きな原因になっている、そういうふうに私は考えております。

 これは、今先生十一省庁十七局とおっしゃいましたけれども、私は、そういう意味でも、まず、現在のコンテナの積載量等々から考えますと、日本の基準もそれに適応できるような道路法なりなんなり、あらゆる面で、縦からも斜めからもみんなで考えなければ、まず事故の防止というものに、ただ道路を走るだけでも規制されて、決まったルートしか通れないというんじゃ国際的ではありませんので、まず私は、そのことを、各省庁と連携して、最大限にこの国際的なコンテナを受け入れる日本の道路の体制ができるかどうか、今、現状としてはこれが一番大きな問題になっておりますので、私はその点、今後検討し、各省庁の連携をとって、国際社会に対応できるようなコンテナが通行できる道路というものの整備をまず考えていかなければならないと思っているのが一点でございます。

 もう一点は、先生がおっしゃいました海上コンテナの責任問題ですね。要するに、何が積んであるのか、だれからどこへどう行くのかはわかっているけれども、もしもおかしいときには途中で検査ができるのかどうか。こういう意味では、今先生も幾つかおっしゃいましたけれども、私も、少なくとも海上コンテナの安全輸送に関しましては、危険物であるかどうかということの確認と、そして荷物を送った人の義務は、どこまで責任を持つのか、それから、これを載せた船長さんの責任はどうあるのか、こういうことも各省と連絡しなければ、我が国土交通省だけではできません。

 そういう意味では、今先生がおっしゃいました、法令それから省令等々、あらゆる面で国際社会に対応できるようなコンテナ輸送のルートの検討、それから、その規制をどうするのか、国際ルールにのっとったコンテナの大きさにするのかどうかも、私は、各省庁と今後図っていきたいと思いますし、まさに世界のルールに適応できるような対応をしていきたいと思っております。

前原委員 道交法の改正のみならず、今内容もある程度おっしゃいましたけれども、例えば、コンテナの中に満遍なく荷物が積んであればいいんですけれども、偏っている場合とかですと車がカーブのときに横転をしやすいとか、あるいは先ほど事例を申し上げましたけれども、危険物が入っているのに、それはなかなか知らされないし、悪いケースであると、放射線、中性子を出しているようなものがあった。こんなものは、作業をされる方や運転される方にとってはえらい迷惑なわけでありまして、そういう部分を含めて、リーダーシップをとっていただいて、他省庁と努力をいただくということでよろしゅうございますね。――はい、ありがとうございます。では、よろしくお願い申し上げます。

 それでは次に、黒部川の排砂の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは関西電力の方にわざわざお越しをいただきまして、連携排砂を初めて実施したということを御報告いただきました。この連携排砂というのは初めての試みで、以前、単独排砂をして、そして漁業被害が出ている、そしてまた補償も行ったという、いわく因縁つきのものであります。

 私の考えをまず申し上げますと、排砂というものは、多分、これからダムを新たにつくる場合にはやっていかなくてはいけない問題だろうし、その意味では、この出し平ダムあるいは宇奈月ダムというのは、今後の一つの大きな試金石になるだろうということで、これについては相当程度、慎重かつ後の見本になるようなものにならなくてはいけないというふうに思うわけであります。

 ただ、幾つか懸念がございます。

 例えば、漁業者の方々の一部が、現在、富山県へ公害紛争調停を申請されておりまして、いわゆる損害補償とか、あるいは被害の出ない排砂の仕方というものを、調停を求められているわけでありますが、その調停を申請されている最中に、そういうものが確立をしないまま、初めて連携排砂をするというのはどういうことなのか。

 そのことについて、私は、抗議の思いも含めて、河川局長に、その趣旨、なぜ調停というものの結論を待たずに、六月中に結論を出すと富山県は言っているのに、それを待たずにやったのか、その点について答弁をいただきたいと思います。

竹村政府参考人 今のお尋ねの連携排砂についてお答えいたします。

 私ども、この連携排砂は、ダムを永続的に利用するという意味では大変重要な排砂作業だと認識しております。日本では初めてでございますけれども、スイス、フランスでは国境を越えて一九四五年から連携排砂を行っておりまして、ダムが永続的に使われるということは、もうヨーロッパでは技術的に確立されております。

 私ども、今回の実施に当たりましては、今御指摘のように、平成三年に関西電力の出し平ダムが初めて排砂をいたしました。そのとき、被害が生じました。その被害が生じました原因は、この黒部川というのは、年間平均大体五十五トン、毎秒五十五立方メートル流れているんですけれども、その最初に出したときの流入量は毎秒三十トン程度ということで、十二月の大変清浄な、水がきれいなときにゲートをあけてしまったということで、ダムからの排砂で大変被害が出たというのは事実でございます。

 その失敗を踏まえまして、平成四年以降、私どもは、専門委員の評価委員会、または行政機関で連絡します土砂管理協議会、そして漁業関係者、富山県の県の漁業協同組合、六組合ございますが、その連合会の方々、正会員三千七百六十名以上、漁業の従業者千八百十九人とされておりますが、その方々ともことしの五月の八日に会議を持ちまして、いわゆる水がきれいなときに排砂するのではなく、雨が降って洪水になり、または小洪水になったときに、川が自然の状態の形で排砂をしましょうということで私ども御提案しました。もう既に、それは実績として七回ございます。

 いわゆる小出水または洪水のとき排砂をすると、今までの私どもの調査では、ほとんど影響はない。つまり、自然の形で排砂がされるということがありましたので、それらのデータをもとにしまして、漁業関係者の御了解を得まして、そして五月十四日の土砂管理協議会におきまして、行政でこれを確認し、私ども、ことしの出水期にスタンバイしているという状況でございます。

 現在、そのときの条件が、いわゆる出し平ダムで三百立方メートル、宇奈月ダムで五百立方メートルの出水があったときゲートをあけて排砂して、自然の状態で土砂を排砂しようという条件が、きのうからきょうにかけて出現しております。宇奈月ダムまたは出し平ダムで、その今言った数値の出水が、小出水が生じております。

 出し平ダムでは完全にゲートをオープンにしまして排砂をスタートし、現在宇奈月ダムでも、もうちょっとだと思いますけれども、大体規定の流量になりますので、ゲートを操作して、砂を下流に放出して、もともと黒部川が自然の状態で土砂を下流に流して循環していったような形で、ダムの永続的な効果もねらった、そういう排砂をねらう、そして、すべてのデータはオープンに公表していくという体制で現在取り組んでございます。

前原委員 平成三年のことをおっしゃいました。そのときに大変な被害が出たということを率直にお認めになったわけですが、それは、今局長がおっしゃったように、きれいな水のときにやったからのみならず、今まで蓄積したものをかなり流すことをしてしまったわけですね。つまりは、木の葉とかいろいろなものがダムに流れ込んでいるわけです、砂以外に。堆積すればそれがヘドロ化するということで、その蓄積されたものを一気に出してしまって、そして、川あるいは流れ出た富山湾の漁業資源というものの被害を極めて大きくさせてしまったということがあるわけです。それについての総括がまだしっかりされていない。

 それと同時に、去年、おととしと水量が足りずに、また連携排砂というものについては、初めてということで、御準備もされていたんだと思いますが、我々も説明を受ければ、昔のたまったものは出しません、この一、二年たまったものしか、上しか流さないので、下の、たまってかなり汚れたものについては心配ありませんと、このような説明はされておりますけれども、では、果たしてそれは本当に被害がないのかどうかということの心配があるわけです。だからこそ、先ほど漁業関係者とは話し合いをしたとおっしゃいましたけれども、当該の、つまりは黒部川が流れ出る入善という地域の刺し網をされている方々が中心となって、黒部川のほんの河口のところでありますけれども、そこがやはり重点的に被害が出ているわけでありまして、そういう人たちがやはり公害紛争調停というものを申請されているわけです。

 私が申し上げたいのは、今回の連携排砂で新たな損害が確認をされたという場合には、そういった、特にこの公害紛争調停を申請されている方々に対する損害補償は当然国として考えるのかどうか、まずその点についてお伺いをしたいと思います。

竹村政府参考人 御質問の御心配でございますが、私ども、ことしの五月のいわゆる連絡協議会で御了解を得ただけではなくて、昨年、この排砂に反対している団体の方々と一緒に、現在、宇奈月ダムまたは出し平ダムにたまっている底質の調査を実施しまして、そのデータを確認し合ってございます。現時点では、私どもの調査では、ダムにたまっている底質は砂質系、いわゆる砂系でございまして、漁業に悪影響を及ぼすような有機物等はないと確認してございます。

 ただし、自然が相手でございます。今御指摘の平成三年の出し平ダムの排出した砂は、昭和六十年に完成したダムが六年間ためてしまったいわゆる草花でございます。ですから、六年間ためたということは、かなり有機物が集積したなという認識を私どもしておりますが、今回の私どもの排砂に関しましては、去年は出水がなかったのでやっておりませんが、今回の、きのう、きょう私どもがやっている中で、きちんとそのデータを集積して、関係流域の方々すべてと一緒になって調査をし、そのデータを公表し合って、その後の私どもの河川の管理の議論の材料にしていきたいと考えてございます。

 補償につきましては、この段階では私どもコメントする状況にございませんので、御容赦願いたいと考えてございます。

前原委員 調査をしたとおっしゃいますけれども、例えば、反対をされている方々が推薦をされている方々、専門家については、例えば黒部川土砂管理協議会や黒部川排砂評価委員会のメンバーに入っていませんよね。審議会方式というのはいつもそういう批判が出てくるわけでありますけれども、行政の都合のいい人たちを集めて審議会、協議会をつくって、そこで調査をしてオーケーであれば、いろいろ第三者に話を聞いて大丈夫だったからいいんですよと。これは余りにもお手盛りだと思いますし、審議会方式をむしろ形骸化させるものである。

 やはり行政が懐深く情報公開を徹底するというのであれば、住民の方々から要望のある、例えば具体的に名前を申し上げますと、東京水産大学の資源維持研究室の助教授をされている水口憲哉先生とか、あるいは、きのうも調査をされていたと新聞報道には出ておりましたけれども、金沢大学理学部地球学科教授の田崎和江先生とか、そういった反対派のグループの方々が、別に今申し上げた二人は反対派の方々にくみしているんではなくて、いろいろ調査をされた結果、反対派のグループの方々がその先生方の意見はぜひ尊重してもらいたいということで、別に連動しているんではなくて、結果論としてその二人を推薦されているわけでありますけれども、そういうメンバーが審議会に入っていない。それで、審議会で十分調査をしたからやるんだ、大丈夫だというのでは、お手盛りの批判を免れないと思うんですね。

 そういう人たちをしっかり受け入れる度量が行政にあるのかどうかということと、現時点ではコメントできないとおっしゃいますけれども、さっき局長がまさにおっしゃったように、自然を相手にするものですよね。被害が出ないとも限らない、幾ら行政が精緻に分析をされたとしても。その際には、やったことに対して責任を持つのは、行政としては当たり前のことじゃないですか。

 この二点について、御答弁をいただきたいと思います。

竹村政府参考人 まず、第一点の委員につきまして御説明します。

 本委員会は、平成十年にスタートしておりまして、学識経験者十二名で構成されております。特に水産関係の先生、中村委員、この方は富山県の水産試験場長でございます。そして、本城先生、この方は、現在は九州大学の先生でございますけれども、当時、水産庁の日本海区の水産研究所長でございました。そして、現在の水産庁日本海区の研究所長であります小川委員、そして富山大学の淡水魚の田中教授、また富山大学の理学部の竹内教授等の、私ども北陸地方整備局が、地域の方々、長年その地域で研究されている方々の御意見を聞く、それで、ふさわしいと判断された先生方を中心としましてこの委員会が発足されたと聞いてございます。

 この委員会はすべて公表しております。そして、データもすべてインターネットでアクセスできることになっております。ですから、この委員会が、この学識ある先生方がお手盛りの論議をしているということは断じてないんではないかということで、各先生方の専門分野の英知を集めて議論されていると認識してございます。

 そして、第二点目でございますが、本黒部川は、一たび洪水が起きますと大変な被害が起きまして、昭和二十七年、そして昭和四十四年、そして平成七年と大変な災害が起きまして、下流の黒部市、入善等の人々の生命と財産を守るということと、水力発電をやるということでございます。特に水力発電は、出し平ダムと宇奈月を合わせて三年間で、もし火力発電でやったら甲子園一個分、つまり、火力発電に換算しますと甲子園球場一個を原油で埋めたぐらいの意味の、そのような価値のあるクリーンエネルギーでございまして、この公共性というのは大変重要なことだと思っています。

 そのダムの公共性と、なおかつ永続的に管理していきたいということと、そして下流の海、そして川の関係者に被害を与えないという、ぎりぎりの私どもの英知を絞ってこれから河川管理に当たっていきたいと考えてございます。

前原委員 二問目にはまだ答えていないんですね、局長は。

 一問目も、これは具体的な名前を申し上げるとその方に迷惑になります、差しさわりがありますけれども、国の審議会のメンバーになるということは、大学の先生方もみずからの研究についての結論というものを相当縛られるという話を私はいろいろな方々から伺いました。

 なぜかというと、例えば論文で、国土交通省、昔の建設省などの考え方に少しでも反するようなことがあれば、局長が呼び出したのかどうか知りませんけれども、建設省に呼び出しを食らって、この論文はどういうことですか、こういう考え方を持たれているんであれば審議会にこれ以上入ってもらうことはできませんねというおどしをかけられたという先生方の話も私は何名か聞いたことがあります。

 したがって、今局長のおっしゃるように、審議会の先生方が立派な方々かということについては、私はそれに異論を挟むつもりはありませんが、出る結論については、かなり行政の方向性というものに縛られているということを審議会のメンバーに入られた先生方もおっしゃっているんですよね。そういうことを多くの国民も気づき始めているわけです。

 となれば、反対派の方々が推薦する方々を入れてけんけんがくがくやってもらった方が、より公正な審議会であって、その出てきたものの結論については、より行政が胸を張ってやれることになるんじゃないですか。もう一度御答弁をいただきたいと思います。それが一点。

 それから二つ目は、万全を期したとおっしゃっても、被害が出た場合は当然損害補償をするんですねと。今は言う段階ではないということじゃなくて、これはもう、きのう、きょうでやるわけでしょう。それで、被害が出たときに行政として責任を持つのは当たり前じゃないですか。もう一度答弁ください。

竹村政府参考人 第一点目の研究者のことに関しましては、あくまでも私ども、全国の各地でさまざまな委員会を持っていただいておりますが、すべて出先の地方整備局がその地域で長年、その地域の気象状況、地形、地質等を熟知した方々のお知恵を拝借していくということで、各地方の判断に任せてございます。

 そして、その運営につきましては、すべてオープンにする、どなたでも、私どもの行政に疑問を持っている方でも自由にアクセスできるという体制をとって、さまざまな場で討論できる、知識を共有するということを私ども担保していけば、これからは開かれた行政、そして、疑問を持っている方々といつでも私どもお話し合いをしていくという開かれた行政を現在進めているところでございますので、この評価委員会の運営に関しましては、このお答えで御容赦願いたいと考えてございます。

 二点目につきましても、繰り返しになりますが、私ども、すべての国の行政というのは、治水、利水、環境というさまざまな側面を持ってやっております。治水をするために、洪水から人々を守るために、何らかの営みを自然に働きかけるわけでございますが、そのときにリアクションとして得たさまざまな影響というのはどういう程度のものか、受忍の範囲なのか、それとも受忍を超えるものなのか、その段階でその地域でみんなで議論して、私どもが国としての判断をしていくというのが過去の行政でございましたし、これからもそういう行政は、私ども、実質さまざまな局面で行っていくということだけはお答えさせていただきますが、一般論としてはお答えさせていただきますが、個別の件につきましては、ここではお答えをするのを差し控えさせていただくということでお答えとさせていただきます。

前原委員 水かけ論になりますので、また、ほかの質問もしたいのでこれでやめますが、先ほどおっしゃった協議会の問題は、出先で決めるとおっしゃいましたけれども、出先に行っている人も基本的には国土交通省から行っている人で、私は、本省の許しを得なくて勝手に決めるなんということはあり得ないと思いますよ。

 したがいまして、やはり行政としてはいろいろな方々の意見を聞くという度量を持っていただきたい。これは、僕は河川局長とは吉野川の問題でいろいろ議論をさせていただきましたけれども、そういう部分が欠けているところで公共事業に対しての根強い批判というものもあるということを、この際改めて指摘をしておきたいと思います。

 また、二つ目のお答えについては、一般論でおっしゃいましたけれども、受忍の範囲を超えればそれについては行うということであって、今回個別の問題ではおっしゃっていませんけれども、その一般論が今回の場合に当てはまれば当然補償はしていただくということで私は理解をいたしましたので、その結果を、推移を見守って、もちろん被害は出ないことにこしたことはありません、また、被害が出ないように万全を期していただきたいということをお願いいたしますけれども、そのお答えについては担保をさせていただきたいと思います。

 次に、公共事業の見直しについてでありますが、先般、五月十六日にこの国土交通委員会で質問をさせていただきました。そのときにポイントになった議論のポイントは二つあります。一つは公共事業費の削減の話、もう一つは道路財源の一般財源化の話であります。

 それで、三十兆円という国債発行の上限をかぶせるということを小泉さんがおっしゃっているわけですね。これは扇大臣もこの間答弁をされておりましたけれども、そのためには三兆三千億ぐらい削らなきゃいけないと。三兆三千億ぐらい削らなきゃいけないということは、もちろん、それをすべて国土交通省で削れということじゃありませんが、当然ながら、国土交通省もその一部を分担しなくてはいけない。そして、五月の末には何らかの形で、どこをどう削れるかみんなで考えようということを申し上げましたということをおっしゃいましたけれども、話によると、まだ何か具体的に決まっていないということであります。私に対しては五月末に何らかの形で検討するとおっしゃっていましたが、どうなっていますか。

扇国務大臣 今前原先生がおっしゃいましたように、小泉内閣において、十四年度の予算要求のときには国債発行を三十兆円以下に抑える、これは公約でございます。まして、私ども小泉内閣に属する者は、すべからくこれを認識しておりますし、しかも、聖域なき構造改革も我々はそのとおりに実行しようと思っています。

 それから、前原先生に私お約束しましたのは、このこととは別に、国土交通省として、私が就任以来、昨年の建設大臣以来ですけれども、日本の国土づくりのグランドデザインをつくるということを私は言い続けておりまして、それを五月の末にできれば発表したい、そういうことをお約束して、私は二月から四月まで、全国を十のブロックに分けて、全国の知事さん、あるいは政令指定都市の市長さん等々と懇談会を開いてまいりました。

 ところが、五月の末近くになりまして、経済財政諮問会議というのが小泉内閣でつくられまして、それは、前原先生御存じの、森内閣のときに緊急経済対策という四つの項目がありまして、一番最後に都市基盤整備というのが出ておりました。それに関連しまして都市再生本部が内閣に設置され、もう一つ、経済財政諮問会議が設置されまして、その経済財政諮問会議において、あす発表になると思いますけれども、骨格が大体固まってまいりましたのが五月の末でございました。そのときに、関連閣議を開きましたときに、私が、自分がつくろうと思って、発表しようと思っていたグランドデザインと経済財政諮問会議で公共工事を見直ししようということとの整合性が、そこで差異があるわけですね。

 そこで、私は、むしろこれは、国土交通省独自の私のグランドデザインは、政府全体で経済財政諮問会議がつくられて、竹中大臣を担当としてこれをしているのであれば、私が発表したのとそこに整合性がなければいけないということで、記者会見をいたしまして、これはこういう事情で私は先延ばししましたと。ただ、先延ばししたのは先送りしたという意味ではなくて、こういうことを、三十兆円の枠以内であるとかないとかと関係なく、国土交通省としては、今までの縦割り、あるいは運輸省、建設省等縦割りでしていた行政を、一つになったからこれだけ効率が上がった、さすが国土交通省になってこんなに変わったということを国民の皆さんに御理解をいただきたい。そのために、私は独自の案、削るべきものは削る、そして削ったものをどこにどうすれば二十一世紀の日本の活性化に役立つか、その配分も含めて、私は全国歩いたわけでございます。

 例えば先生のお地元の中部地区なら中部地区、近畿地区なら近畿地区の全知事さんが、今まで他県の知事さんの話を二時間半缶詰で、例えば京都、大阪、奈良、三重、兵庫ですか、全部お集まりになって人の話を聞いたことがないと。そして、お互いに譲るべきところは譲ろうと。自分の県の公約したものだけではなくて、ブロック単位で物を考えようという大変ありがたい御意見を私はいただきまして、近畿は一つという、そういう考えのもとに、お互いに公共工事も譲り合おうと。各地区で皆さん方にそういう動きが出てまいりました。

 私は、少なくとも、経済財政諮問会議の骨格が二十一日、あす発表されますが、その以前に、国土交通省として、公共工事で切るべきものは切る、そして、見直して集中的に投資しなければ二十一世紀の国際社会に日本が立ちおくれるという部分を判別しまして、発表させていただくつもりでおりますので、先生にお約束したのが少し延びておりますけれども、それは先送りしたのではなくて、その結果を発表させていただくということを改めてお約束させていただきたいと存じます。

前原委員 今大臣おっしゃるように、経済財政諮問会議の答申とそごがあってはいけないということで延びているということについては、それは率直に私は、生意気な言い方ですが、認めたいと思います。ただ、閣議決定は二十七ですか、火曜日ですね、その五月までにまとめるというものとの整合性は、私はそんなに時間はかからないと思いますよ。したがって、いつまでに、それが六月いっぱいなのか、その辺を御答弁いただきたいと思います。

扇国務大臣 内情を申し上げたくなかったんですけれども、実は、きょうの夜七時四十五分から省議を開きます。これで、あすの経済財政諮問会議の前に国土交通省としての大体の線をきょうの夜の省議で御納得がいただければ決定をしたい。

 私が言っておりますように、各省各局におきまして今まで出てきたものがるるございます。それは、今のIT化であるとかあるいは公共物をPFIによって建てようとか、あらゆる宿題が出ておりまして、それらのかなり具体的なものがきょう御論議いただいて国土交通省で決定されれば、できればあすの朝でもお昼でも発表できる段階になると思いますので、二十一日の、あしたの経済財政諮問会議で決定されて、二十七日に閣議決定されますので、ですから、閣議決定前までに我が省としてできることは発表する、そういう段取りでございます。

前原委員 先ほど、削れるべきものは削る、そして、省の中の縦割りというものを排除する、運輸省と建設省、あるいは国土庁、北海道開発庁が一緒になったメリットを生かしたいということですよね。

 となれば、二つのことが前提になると私は思うのです。一つは、そうなれば、十六本の公共事業の長期計画、個別に分かれていますよね、この見直しも当然踏み込まなければ、個別の公共事業の比率を変えることはできません。これをやるのかどうかということ。もう一つは、特定財源の問題。この間佐藤副大臣は一般財源化ではないということをおっしゃいましたけれども、小泉さんは完全に一般財源化とおっしゃっているし、教育や福祉という分野に使いたいということをおっしゃっています。ということは、国土交通省の予算の中で完結する問題ではなくて、それを超えて一般財源化する、文字どおり一般財源化するとおっしゃいますが、それについては認めるということの二つの点、簡単に御答弁いただきたいと思います。

扇国務大臣 私が申しておりますことは、今夜決定するわけで、私が先んじて今ここでどれをどうということを言い切れませんけれども、公共工事を見直すことだけは間違いありません。どの部分をどうかというのは発表を見ていただきたいと思います。足らざるところはまた御論議いただいて、お知恵もかりたいと思います。

 あと一点、道路特定財源の話ですけれども、私は、少なくとも今まで道路特定財源があったからこそ今日の日本の交通というものはここまできた、そういうものを大変高く評価しております。先ほど先生がコンテナのお話をなさいましたけれども、それとても、今の道路特定財源があったればこそ日本の中で物流のコストを少しでも安くしようということに貢献したということだけは、これはあります。

 ただ、これは誤解があったらいけないので、私は改めてこの委員会でも申し上げたと思いますけれども、道路特定財源は道路だけに使ってきたのではありません。既に駅前のまちづくりにも拡大利用しております。ですから、今の道路をどこまでどうするかという国民の理解が得られなければいけないのであって、これをいきなり一般財源化するということにはならないと私は思います。

 経済財政諮問会議でもそうは書きません。書けないと思います。それは、今まであったものを、少なくとも車を買う人たちでも国税三税、地方税五税、これだけ税金をたくさん取られているわけですから、では、自分たちは道路を走るからといって黙って税金を払っていただいた、その人たちの納得は果たして得られるのであろうか。例えば、前原先生が車を買うときに、道路特定財源じゃなくて一般にするんだったら、ではおれたちの車を買うときの車両重量税ぐらいはまけたらどうだというのは、これは素直な国民感情じゃないかと私は思うんですね。

 ですから、私は、いきなりそれを全部一般財源に持っていって、財務省でガラガラポンで一般でやるよ、そういうことにはならない。それはなぜかといいますと、日本の国の道路行政をどこまで、どの水準でとめるのか、この納得が得られなければいけないということで、先ほど私が申しましたグランドデザインとリンクしているわけでございますので、今先生がおっしゃいました、いろいろなところに拡大して使うことは使うけれども、一般財源化という言葉は今回は適用できないと私は思います。

前原委員 質問は簡単なんです。十六本の長期計画の見直しをするのか、それと、特定財源の一般財源化と小泉さんはおっしゃっているけれども、それについては同意をするのかしないのか。

 前者については見直すかどうかだけでいいです。小泉さんのおっしゃっていることと大臣のおっしゃっていることは一緒なんですか。時間がないので簡単に言ってください。

扇国務大臣 見直すことは見直しますと先ほども申しました。

 それから、小泉総理は、一時はおっしゃいましたけれども、今はおっしゃっておりません。

前原委員 ここに小泉さんはいないので比較することはできませんが、都議選の演説で一般財源化とおっしゃっていますよ。それは新聞に載っているじゃないですか。ということは、内閣で言っていることが違う。だから、小泉さんがおられないからここで比べることはできませんけれども、言っていることが違うというふうに私は感じますよ。

 この委員会、国会中に、私、質問は多分もうないと思いますので、そこら辺は、経済財政諮問会議の答申が出た後に質問主意書で、その道路特定財源の問題については、内閣の考えとして聞かせていただきたいと思います。御答弁は結構です。時間がありませんので御答弁はいいです。

扇国務大臣 一般財源化というのではなくて、見直すということに同意しているということでございます。

前原委員 言葉の問題だと思うのですね。一般財源化といったら、本当にフリーで使ってくださいということで、どこまで広げるかという意味でおっしゃっているのだと思いますが、私は、福祉や教育まで広げるということは、もう一般財源化だと思いますよ。ここら辺は定義の問題になりますから、もうこれ以上言いません。

 道路公団の藤井総裁にお越し願って、この間も来てもらいながら質問もしなかったので、その方がいいかもしれませんけれども、質問はしておかないとやはり失礼だと思います。二回も約束をたがえるといけませんので、質問を簡単にさせていただきたいと思います。

 三回前ですか、総裁にアクアラインの採算見通しの話を伺いました。当初計画の三分の一以下、ひどいじゃないかという話をいたしまして、そうすると、長期的には必ず採算が合いますということで、この間道路公団の方が来られまして、説明をしていただきました。

 しかし、例えば計画交通量、平成十四年度は一万二千台、平成二十二年度が三万五千台、平成三十二年度が四万一千台。本当に大丈夫ですかねということなんですよね。人口が、二〇〇七年にピークになって減り始めます。二〇五〇年には日本の人口が大体九千万人ぐらいになるんじゃないかと言われております。高齢化社会も進んでいくという中で、本当にそれだけの人が車に乗るかどうかもわからない。そういう中でこんな過大な見積もりをするのはいかがなものか。

 また、今までの道路の実態を見ておりますと、どうかといいますと、一般有料道路で六十のうち四十が今までの採算計画あるいは交通量見通しというものを下回っているという状況がありますが、このことについては将来基本的に見直さないと、だって、二〇〇七年から二〇四〇年までで一四%交通量がまだふえるという前提に立って高速道路も計画されているんですよ。この見積もりを変えないと第二の国鉄になるのは避けられないと私は思いますけれども、御答弁をいただきたいと思います。

藤井参考人 まず、アクアラインの方から簡単に申し上げます。

 計画交通量については、御承知のように、二万五千台という見込みが一万二千台であった。そこで、私ども、料金を三千円にいたしまして、今現在、一万三千台ほど通っております。

 一番私が申し上げたいのは、アクアラインをつくったときのパンフレットを見ていただきますと、あれは、東京を通らないで行く東京の南バイパス、南ライン道路だ、こういうふうに書いてあります。

 それはなぜかというと、茨城県、埼玉県が県議会の議決を経てこのアクアラインのために出資をいたしております。ということは、今、常磐道の水戸の方からずっとアクアラインの方につながる道路ができなきゃいけないんです。今これをやっております。しかし完成しておりません。同じことが、圏央道といいまして、成田ともまだ結んでおりません。

 実は、アクアラインというのが完成するまでにそういう前後の道路ができれば、部分開通ではなくてネットワークとして使えたわけでございますから、問題なかったんですが、そうじゃなかった、おくれているというのが本当のところでございます。

 そこで、私どもは、現実はそうじゃないということから、見直しを絶えずしております。その結果、いわゆるネットワーク効果、あるいは開発効果も、房総半島の開発の状況がいろいろな点で低迷しております。また、経済の活性化それから交通量の伸び等、いろいろな角度に分けまして全部将来の推計をさせていただいて、その上で、一応増加交通量、先生が言われました、二十二年で三万五千台、二〇二〇年で四万一千台というのは可能であるという見通しを毎年チェックをしながらやっているというのが現状でございます。

 ただし、今、最後の方で二点目に先生がおっしゃいましたように、一般有料道路あるいは高速道路につきまして、採算の問題、交通量の将来の伸び、少子化、いろいろな利用実態から見ておかしくなっているんじゃないか、それを見直しをしないと第二の国鉄になるんではないかという御指摘でございます。私どもが一番心配しております。

 したがって、計画としては、当然のことながら国土交通省で、基本計画、整備計画、施行命令を出すときにチェックしていただきます。私どもが施行命令をいただきましたら、毎年、八月ですが、概算要求のとき、予算が決定したとき、認可申請をまた三月にいたしますが、そのとき、こういうときに全部もう一回そのときの一番新しいデータでチェックをいたします。そして、大丈夫かということを、本当は先の見通しをもっと正確にやれればいいんですが、せめて得られる一番新しいデータでチェックをした上で、直すべきものはその際に直していくということをやりながらやっておりますので、今後とも、先生の御指摘は私どもの気持ちをそのまま代弁していただいていると思いますので、一生懸命頑張ります。

前原委員 もう時間が来ましたので終わりますが、一つだけうそがあります、藤井総裁がおっしゃったことで。

 何がうそかというと、トータルのネットワークが完成して採算見通しが合うんだとおっしゃいましたけれども、そうじゃない。つまりは、東京湾アクアラインができたときにどういう見積もりをしていたかというと、平成九年には一日に二万五千四百六十八台通るという見積もりを立てている。それで、十年には二万八千七百二台、十一年には三万一千五百八十一台平均で通るという見積もりを立てているんですよ。これはネットワークが完成していない時点ですよ。だけれども、三分の一以下になっていて、さっき一万三千台とおっしゃいましたけれども、平成十一年なんかは実績で九千六百四十七台しかない。もう四分の一近い。これは千葉東金と京葉自動車道とプールにして値段を下げたからふえたわけであって、先ほどおっしゃったように、うその答弁はいけません。

 つまり、ネットワークができたら採算が合うんじゃなくて、できたらどのぐらい車が通るかということを出した上でつくっていて、それが全然違うんですから、そんなうそはいけませんし、最後、気持ちは一緒だと言っていただきましたので、本当にこれは知らない間に国民負担だけがどっさり残るというのは不幸ですから、今後、これはしっかりと我々も議論をさせていただきたいと思います。(扇国務大臣「委員長、一言だけ」と呼ぶ)私は終わりますけれども。

赤松委員長 もう時間が来ておりますので、本当の一言。

 扇大臣。

扇国務大臣 前原先生に御認識賜りたいと思いますけれども、南関東ブロックの懇談会をしまして、堂本知事、石原都知事、神奈川知事、全部一緒に懇談いたしました。アクアラインの先に夢がないから渡らないんです、何もないから。ですから、アクアラインから成田までつなぐということを石原都知事、堂本知事と一緒になってオーケーをしましたので、なるべく早くこれは夢をつないで、渡ったら向こうにいいことがあるということで、政策を実行したいと思います。

前原委員 今夢がないととられないように、そこだけは注意しておいてください。

 終わります。

赤松委員長 山田正彦君。

山田(正)委員 自由党の山田正彦です。

 昨年の暮れでしたか、海上保安庁の那珂湊保安部においての、いわゆる捜査事件等について時効になってしまった案件での処分について、私も理事会でかねがね、氏名も公表せずに単に二十分の一の一月の減俸処分というのはけしからぬと訴えてまいっておりました。その件についてきょうはただしてみたい、そう思っております。

 長官にお聞きしたいんですが、いわゆる海上保安庁の職員が、いわば海上における犯罪捜査、事故調査においては、どのような法律のもと、どのような権限があるのか、お聞かせ願いたいと思います。

縄野政府参考人 まず、海上保安庁の職員、海上保安官につきましては、海上保安庁法によりまして、司法警察職員として犯罪捜査に当たることができることが規定されております。

山田(正)委員 いわゆる海上保安庁法三十一条と刑事訴訟法によれば、いわば警察官と同じように捜査する権限と責任、それがあるということですね。そうであったとしたら、那珂湊で、海上保安庁の司法警察官としての責任、これが一体どのようになされておったか、事案の内容を、簡単で結構ですが説明いただきたいと思います。

縄野政府参考人 事案の中身について御説明申し上げます。

 平成十二年六月でございますが、那珂湊海上保安部におきまして、倉庫の整理を実施しておりましたところ、平成四年から六年にかけて検挙されました十二件の事件の書類が発見をされました。その後、これらを調査しましたところ、この十二件は、検察庁に未送致のまま公訴時効を迎えているということが判明をいたしました。

 この事案は、当時、那珂湊保安部の係長でありました小松芳和が、在職中の平成四年から六年度までの間に捜査に着手しました船舶衝突事故に係る事件など十二件につきまして、送致せずに放置した上、犯罪事件登録簿、これは私どもの内部の書類でございますが、これには送致したかのごとく虚偽記載をいたしまして、この書類を、そのうちの七件でございますが、倉庫に放置をしたものでございます。

 また、同保安部の専門官でございました石井利和は、十二件のうち、同警備係長から回付されました五件を、残りの五件でございますが、未処理のまま、同じく、後任に引き継ぐことなく倉庫に放置をしたものでございます。

 これらにつきましては、先ほど船舶衝突と申し上げましたが、船舶衝突海難事件が五件、海洋汚染防止法関係違反が二件、それから漁業関係法令違反四件、海事関係法令違反一件ということで、すべて公訴時効が三年から五年以下の犯罪でございまして、先ほど申し上げました、事案が発覚した十二年六月には公訴時効が成立していたというものでございます。

山田(正)委員 処分においては、氏名を公表しなかった。今、長官の方から氏名を明らかにしていただいて、私もこれで納得できるわけであります。

 その事件の内容について、どういう内容であったか、今長官、簡単に述べられました。いわゆる海上事故事件とか云々言われましたが、私の方の手元の資料によりますと、いわゆる海洋汚染、海上災害、いわば有害液体物質運搬船が汚染防止管理義務に反してそのまま海上に垂れ流しした事案が一件。さらにまた、指定漁業の許可、いわば密漁の取り締まり事案というのが、これはあれしますと時間がかかりますので、約五件。さらにまた、いわゆる油、燃料を燃料タンクからいわば満載となって噴出させた、そういう事故。

 いずれも、検挙しながら、それを捜査しないで、そのままほっておいて時効を迎えてしまったということは、いわば漁業者にとって、やっと密漁取り締まりで検挙をした、やっと有害物質または油等の汚染等について検挙してもらった、それを、検挙しながらそのまま何にもせずに放置して、時効を迎えたから何にもできませんでした、それを単なる減俸処分で、本当に済ませられるものか。

 そういった被害者、いわば漁民、そういった周りの人たちのいわゆる利益というか権利というか、そういったものに対して、長官、どうお考えでしょうか。

縄野政府参考人 先生御指摘のように、どのような犯罪であろうと、その犯罪の被害をこうむった方がおられるわけでございまして、その方に対して全く申し開きができないというふうに思うものでございます。

 私どもの処分につきまして、今、減給というお話がありました。

 私どもとしまして、この処分について御説明させていただきますと、適正な刑事処分を不可能にしたということ、それから、あたかも送致したように登録簿に虚偽の記載をしたということでございます。

 ただ、一方におきまして、私どもの調査では、例えば収賄、頼まれて、あるいは物をもらってこういうことをしたということはなかった。それから、これは非常に組織としての言いわけめくのですが、南米沖におきまして大規模なマグロの密漁事件が起きまして、その処理に組織全体が忙殺されていた。それから、本人たちは、それまでは成績良好で、この件については深く反省をして、現在も職務に精励をしている。そういう状況を総合的に勘案しまして、私どもは、決してその時点で軽いとは思っておりませんが、こういう懲戒処分を行ったわけでございます。

山田(正)委員 諸般の事情を考慮してそういう懲戒処分を行った、あたかも懲戒処分は妥当であったかのような言い方ですが、本当にそうなのかどうか。

 例えば、当時、その捜査官が、いわばこれは公文書、公用文書、いわゆる報告書、私も調べさせていただきましたが、この中にちゃんと、いわゆる送致した旨の偽造、その旨の印鑑も押してあります。これは、この部分だけ有印ではなく、全体を一つの書類として、刑法百五十六条、いわゆる公務員が、その職務に関し、行使の目的で虚偽の文書を作成、変造したときは、印章または署名の有無により区分して罰するということで、刑法上の立派な罪になっているわけでありまして、この罪は大変重い。有印の場合においては、これは一年以上十年以下の懲役、そういうふうになっております。

 そのような重い罪を犯してそのままになっていて、諸般の事情を考慮して、本人が反省し、精励しているから、それで何らのものに付さない、そういったことが許されるものかどうか。もう一度、長官。

縄野政府参考人 お尋ねでございますので、これがどのような罪を構成するか、この職員のした行為でございますが、先生おっしゃられますように、先ほど私が申し上げました犯罪事件登録簿というものは私どもの内部文書でございますが、公文書に該当いたします。

 公文書に該当いたしますが、今先生お尋ねのありました、無印、印がないもの、有印、印があるもの、どちらに当たるのかということについて、私どもの考え方でございますけれども、これは、それぞれの欄が独立した公文書でありまして、ここにそれぞれ、例えば受領したよということを証明するために印鑑を押す欄もございます。

 ただ、これは、この書類全体を認証する、例えば、今回でいえば、虚偽記載があった、何年何月に送致しましたということを認証するという性格の印ではないというふうに考えられますので、私どもとしましては、これは公文書ではございますけれども、無印公文書であるというふうに考えました。

 ただ、先ほども申し上げましたように、犯罪として送致されるべき者、その被害者の立場というものを考えますと、環境、状況がどうであれ、本人の状況がどうであれ、あってはならないことでございます。

 私どもは、先ほど、このような減給処分をしたことについての考え方を説明いたしましたけれども、現時点において、改めて御指摘を踏まえ、私として省みますと、今回の懲戒処分はより厳しいものであるべきではなかったかとも考えられます。今後、私どもの行う懲戒処分について、より厳しい処分をするということで、処分基準、具体的な処分の決定のあり方について見直しをしてやってまいりたいというふうに思っています。

山田(正)委員 長官、今回の処分については、これは非常に軽きに失したかもという今の答弁でございましたので、これ以上追及する気持ちはありません。

 ただ、一つ、本当に明らかにしておきたいのは、先ほど氏名も公表していただきましたが、その二人の捜査官が虚偽の記載、これは明らかに刑法上の虚偽公文書作成罪に当たり、実際にこの一連の文書の中に署名、印影があるわけですから、私は、有印であって、一年以上の懲役じゃないか、そう思っております。そのほかにも事実関係を調べてみますと、このうち七件は倉庫に隠匿したと。これはまさに刑法上の証憑隠滅罪に該当する。

 いわば、刑事訴訟法上の捜査官に当たる者がこういう刑法に関するような罪を犯しておいて、単なる減俸二十分の一、一月という処分だけで、氏名も公表されずに処分が終わった。これは、大変大事な国民の権利義務に関して、まさに国家権力というか、いわゆる海上保安庁、司法警察としての権限を持ったところの非常なあいまいさといいますか、許されないことだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

扇国務大臣 この事案に関しまして、本当に山田先生の御指摘どおり、私も初めて報告を受けて、まさかと思うことが現実に起こったことに対しては本当に遺憾でございます。また、司法警察というものを預かっております。本来あってはならないことであることは、おっしゃるまでもございません。

 本当に重大に受けとめまして、私としまして、再発防止をどうしたらいいのかということで、四月の十九日に管区海上保安本部長会議を開催させていただきました。全国十一管区の本部長会議をいたしました。

 そこで、今後どうすればいいのかということと、私が疑問に思いましたことは、各事案について、私はその報告書を知らなかったものですから、報告書の書き方が、例えばライフジャケットを常備していなかったもの、あるいは重大違反、いろいろな報告の書き方があろうと思いますけれども、それを全部、忙しかったから、大きな事故があって、それにみんな動員していたからという理由だけで報告しなかったということに関しては私は許せないと思っておりますけれども、報告の書き方もまず善処するべきである。

 では、どういうふうにするかということでいろいろ協議いたしました。少なくとも、捜査関係の書類作成の合理化、そして報告の事項の削減など、事案によっては、簡略に済む報告もあれば、逐一報告しなければならない重大なものもありますので、報告書に関しましても、今後はITの活用をしなさい、そういうことによっても処理できるではないか、あるいは捜査業務等の計画的な処理の推進をするべきである、それからまた適正な人員の配置も必要であろう、そういうことが逐一この本部長会議で議論になりましたので、今、山田先生に御注意を受けました、時効になったからこれでいいだろうというふうな単純な意識は毛頭持っておりません。

 けれども、これは司法の場合に、どうしても時効になっていると言われればそれまでですけれども、本来は氏名公表も控えたいと言っておりましたけれども、あえて氏名も公表させていただいて、あとは、今私が申しましたように、いささかでも今後再発防止に向けてしていかなければいけないこと、それは管区の本部長からの指導の強化、あるいは犯罪事件の登録簿と送致表、送ったか送らないかの表をつくるべきであるということ、また、特別監査をしょっちゅうするべきであるというような、るる細部にわたっての検討をさせていただきました。

 そういう意味で、今後、この検討されたものを各本部長が確実に守り、そして不定期に監査するということができるようにする、そういうようなことをもって、今後、海上保安庁に強力に指導し、要請してまいりたいと思っておりますので、大変重要な御指摘をいただき、今後の参考にさせていただいて、二度とこういうことがないように指導していきたいと思っております。

山田(正)委員 大臣も大変前向きに、長官も大変前向きな御答弁で、私もこれで納得させていただきたいと思います。

 ただ、ぜひ大臣にも保安庁長官にも聞いていただきたいのは、私は対馬の方におりますが、例えば対馬の北の方におりますと、韓国と境界を接しております。それで、日夜、海上保安庁の皆さん方にいわば密漁取り締まりに当たってもらっております。

 ところが、実際にはなかなか、例えば厳原におって上対馬の方に行くのに何時間もかかる。そういったことで、実際には、上対馬の方では、漁民がお金を出し合って監視船をつくり、そしてそれぞれ費用を出し合って密漁取り締まりをしている。たまたま何年か前に、もう随分前になりますが、韓国の密漁漁船というのは大変厳しい、大変手荒いやり方でやるわけですが、それの密漁取り締まりをしていた密漁取り締まり船、もちろん漁民のです、その船長さんが殺されて遺体で揚がった。しかし、それ以上、だれがどのようになったか、その原因も不明のままに、そのままにされてしまっている。

 そういう事情もありまして、海上保安庁の職員の捜査、大変厳しいことはわかっているんですが、本当に、国境にいる人たちに対する職務。そしてまた、もう一つ、これは大事な指摘だと私は思うんですが、海上保安庁の職員たちが、韓国とか中国とか台湾とか、いろいろな密漁船に対して捜査するときに、揺れる船の上で発砲できない。いわゆる司法警察員として、正当防衛の場合でなければ、いわばけん銃等を発砲できない、漁船をとめることもできない。それが、先方、韓国とかその辺の国の皆さん方はそれを承知の上で、海上保安庁は何もしないんだからと、しかも高速でもって、今どんどん荒らして回っている。これは壱岐対馬、あの辺だけではなく、佐渡とかあの辺の海域すべてに言えることだと思うんですが、ひとつ、海上保安庁の職務の大変さ、そして皆さん方が日ごろ大変厳しい、それこそ厳しい捜査活動に身を挺していることも、私も百も承知の上で、今回なお厳しい問題を取り上げたわけです。

 そういう意味では、大臣、長官初め国土交通省の皆さん方に、これからの捜査のありようについてもぜひ一考いただき、例えば新しい法案をつくるとか、修正をするとか、いろいろな形で実効があるような、海上保安庁の職員が本当に安心して職務に励めるような、そういう方向で、これを機会に前向きに検討いただければと思います。この件に関しての質問は終わります。

 この件に関しての質問は終わりますが、時間が十分ありますので、実は前回、道路公団についていろいろ聞いておりましたが、時間切れで終わりました。その続きを、ひとつ時間まで聞かせていただきたいと思っております。

 前回、道路公団八千八百人の平均給与は幾らかと聞いたところで時間切れで終わったんですが、副大臣でも結構ですが、政務官。

田中大臣政務官 御質問いただきました日本道路公団の職員の平均給与についてでございますけれども、平成十二年度の実績は七百三十六万円、このようになっております。

山田(正)委員 七百三十六万、いわゆる女子職員から男性までを含めて、平均して七百三十六万だとすれば、一般民間あるいは普通の公務員よりも大変高い給料をもらっているんじゃないか、そう思いますが、一体、仕事の中身はどういうことをやっているのでしょうか。

田中大臣政務官 日本道路公団は、国の財政上の制約や早期整備の観点から、有料道路制度を活用して高速自動車国道等の整備と管理を国にかわって実施しておりますが、これらを効率的に行うために、外部委託可能な業務についてアウトソーシングを推進いたしております。また、外部委託の困難な、責任ある判断を伴うものについては、多岐にわたっておりますが、みずからが業務等を実施しております。

山田(正)委員 その一般的なお話は伺いました。しかし、道路公団の職員はどのような仕事をしているかと私が聞いたのは、一般に、高速道路の管理、料金収受、維持管理、保守点検、こういった仕事は道路公団がやっているのですか、やっていないのですか。だれか下請にやらせているんですか、やらせていないんですか。

田中大臣政務官 みずからが行っている内容についてお話をして、他についてはアウトソーシング等をやっておるわけでございますけれども、事業計画の企画立案、関係機関及び地元との協議、調整、建設工事や業務委託のための計画策定、積算、監督、道路法等に基づく占用許可や法令違反などの監督処分、事故、災害発生時の道路管理者としての緊急判断、対策検討、警察との協議等が実は公団が実施すべき業務ということになっておりまして、外部委託というのは、設計業務だとか建設工事及び維持修繕、今お話があった料金の収受、保全点検、交通管理などになっております。

山田(正)委員 その新しい道路のプランとか、いわゆるそういったことについて道路公団の仕事があるんだというような今の説明だったかと思いますが、八千八百人いて、今言ったような仕事だけが仕事だとしたら、私にしてみれば、本当にあきれ返る。こんなむだが、高い、韓国の八倍もする日本の高速道路料金、こういうことにはね返っているんじゃないのか。韓国においては、道路公団の職員が、料金収受、ほとんどの業務をみずからが行っている。

 大臣、どう思いますか。

扇国務大臣 もともと私は、少しでも経費を節約し、利用者の利便性を図ると。しかも、高い料金を払って、込んでいるということは許せない、これは一般感情だろうと思います。

 ですから、全国の千三百カ所の料金所、これはETCにかえるということで、本年度、十三年度から予算をとっておりますけれども、これを前倒しにしようと。しかも、ETCを導入する限りは、ETCが八社十二種あるわけですから、少なくともこれを割り引きしなきゃいけないということで、みんな嫌がっていましたけれども、秋のスペシャル期間、割引制度をしよう、一公団一万円の割引で、三公団分走れば、三万円割引になれば機械分がただになるということで、急遽、このハイウエーの皆さん方、これだけの人数で、なおかつあの料金所は外注しているということではおかしいと私は思いますので、少なくとも、高速道路で料金を取られるのには、それなりに走れるというのがまず原則ですから、それを前倒しにしてやっていこう、そして道路公団の経費を最小限にしなきゃいけない。

 今、私も初めてこの職員の給料の中身を聞きまして、国会議員より総裁は高いんだな、さっきいらっしゃる間に聞けばよかったなと思っております。

山田(正)委員 大臣みずからおっしゃいましたので、それでは、ついでに聞いてみましょう。

 道路公団の総裁、副総裁、理事、監事の給料並びに、例えば三年勤めておってやめるときの退職金の金額、これは政務官、いかがでしょうか。

田中大臣政務官 実は私も、金額を拝見しまして、いろいろと複雑な思いでありますが、御答弁申し上げます。

 役員の年間の給与は、年間給与として、まず総裁が二千五百八十一万円、副総裁が二千四百五十三万円、理事が二千二十九万円、監事が一千七百七十万円でございまして、退職金は、退職時の本給月額掛ける在職月数掛ける百分の三十六により算定をいたすことになっております。

山田(正)委員 ついでに、政務官、もし三年間総裁でおって、やめるときの退職金は幾らになるでしょうか。あわせてお聞かせください。

田中大臣政務官 今計算中でございますが、二年間でございますと、総裁が一千百六十三万円、副総裁が一千百五万円、理事が九百十四万円、監事が七百九十七万円になります。多分、三年ですと、この三分の一をプラスしたものにおおむねなるのではなかろうかと思います。

山田(正)委員 ちょっと計算が違うような気がするんですが。

田中大臣政務官 三年間でございますと、これに一・五倍を掛けたものになるそうでございます。

 どうも失礼いたしました。

山田(正)委員 給料にしても退職金にしてもかなり高いんですが、先ほどの質問に戻りまして、では、いわゆる料金収受、保守点検等の仕事をどこにやっているかといいますと、調べ上げてみましたら、北海道ハイウェイ・サービス会社、奥羽道路サービス会社、関東ケーブルテレビジョン会社、六十六社すべて、道路公団の通称ファミリー企業と言われている。

 この中の大半の社長さんが、道路公団出身と建設省出身を全部調べてみますと、大体八割、九割方、道路公団のOBの天下り、そして建設省の天下りという内容になっております。

 仮に、このような会社に道路公団の理事をやめて入って、そこでどれくらいの給料をもらって、退職金どれくらいかということは、ちょっと私質問通告していなかったので、できなかったら結構ですが、わかったら回答をお願いします。

田中大臣政務官 今数字を手元に持ち合わせておりませんので、もしよろしければ、また後日御報告をさせていただきたいと思います。

山田(正)委員 いろいろ私の方で、この子会社関係はどういう内容か、その決算書、いわゆるバランスシート並びに損益計算書、手に入るだけ、調べてもらえるだけ調べてもらいましたら、ほとんどの会社が、十億とか二十億とか剰余金を持っている大変な超優良会社。そして、例えば北陸高速道路ターミナル株式会社、ここは資産だけで十六億ありますが、負債は六億三千万しかない。そして営業利益を一年間に一億三千万出している。ほとんどがそういう内容のいわゆる超優良会社。

 今、日本というのは、中小零細企業というのは七割までが赤字、そして、それこそリストラ、リストラの大変厳しい中で、いわゆる道路公団のファミリー企業は、まさにぬくぬくと高給のもと、そして、これだけの利益を上げて、そして我々は高い高速料金を払わされながら、そこでそれだけの企業収益を上げながら、のうのうとしているんじゃないか。大臣、いかがでしょうか。

扇国務大臣 私は、まさに行政改革、聖域なき構造改革という小泉内閣の趣旨で、特殊法人、公益法人、あらゆるところで見直ししていこうということ、これはもう国民に公約していることでございますし、国会でも所信表明で皆さん方にお約束したことでございます。

 少なくとも、行政改革の推進については、昭和五十二年の十二月、これは閣議決定されておりますね、先生も御存じだと思いますけれども。私は、ちょうどこれは当選したときでございました。「行政改革の推進について」という閣議決定がございまして、特殊法人の役員の給与あるいは退職金制度、そういうものがあのとき論議されまして、少なくとも民間及び公務員との均衡を図ることというのが、たしかあのとき明示してございました。

 それが今、私も初めて拝見いたしまして、ちょっと高過ぎるなと。しかも、今先生から御指摘いただきましたように、要するに全国六十六のファミリー企業ということでございますから、そういう意味では、あらゆる面で国民に疑義を持たれないように内容を開示していく必要があると思っております。

 小泉内閣において、特殊法人等々も公開制度をとるべきであるという意見もありますので、今後私たちは、そういう意味で、山田先生の御指摘のように、山田先生の方が私より資料をお持ちのようでございますので、いろいろなことを教えていただいた上で、我々は、それを現実的にどう是正していくか、また国民にどう開示していくかということを検討していって、努力したいと思います。

山田(正)委員 この六十六のファミリー企業は、道路公団のもとにあった財団法人施設協会が、今は二つの財団法人に分かれてはいますが、それが持っておった会社ですね。それが、もう既に株は当時の施設協会は手放したわけですが、すごく内容のいい会社を一体幾らで手放したか、どういうところに手放したか。これは通告しておりましたので、政務官か副大臣か。

田中大臣政務官 御質問の、六十六社の株の処分について答弁を申し上げます。

 持ち株売却は、当時突然のお話でございましたので、時間的余裕がなかったということから、市場取引ではなくて相対取引で行っておりまして、売却額については配当還元方式を参考に算出をしております。売却額は約六十五億円で、基本財産、災害などの公益積み立て資金などに充当をいたしておりますし、株式の簿価約十六億円を差し引いた売却益は約四十九億円、このようになっております。

 あと、六十二社の株式売却先は金融機関等百八十七社でございまして、うち旧道路施設協会出資会社は五十四社、約二九%となっております。売却額の約六十五億円のうち旧道路施設協会出資会社への売却は約三十億円で、四七%、旧道路施設協会出資会社は合併等により現在五十九社でございまして、その代表者のうち道路公団出身者は四十一名、旧建設省出身者は三名。

 関連の答弁までさせていただきました。

山田(正)委員 当時四十何億の売却益を出したということですが、当時確かに閣議決定があって、早く子会社を切り離せという通達はあったんですが、相対取引で、配当還元方式でやったというものの、私の調べるところによると、少なくとも五百億以上の資産を四十何億で売却したんじゃないか。これは、情報公開等も進んで、いずれはっきり明らかにさせていただかなきゃならない問題です。

 しかも、売却先をずっと調べてみますと、ほとんどが、いわゆる六十六と言われたファミリー企業が持ち合っている。それ以外の株の売却先というのは、いわゆる保険会社とか生命会社とか銀行が大半である。この中身、これを見てみますと、ほとんどみんなそうなっています。いわゆるファミリー企業たる実態はそのまま残しておる、そう思いますが、大臣、いかがでしょうか、こういう実態は。――コメントできないようです。

 このようなファミリー企業がまさに道路公団に巣くっているとしか言いようがないんですが、さらにもう一つ大変大事なことは、パーキングエリア、サービスエリア等々において、レストランとかコンビニエンスストアとかあるいは土産品店がいろいろあります。そのテナント業務をやってきたのが財団法人施設協会。その施設協会がさらにハイウェイ交流センターと道路サービス機構、この二つの財団法人に分かれただけで、この二つがテナント業務をやっている。そのテナントの収入がどれくらいで、そして、それをどれくらい道路公団に納めているものか、それについて、政務官、お答え願いたいと思います。

田中大臣政務官 お答えをいたします。

 平成十二年度に財団法人ハイウェイ交流センター及び財団法人道路サービス機構が徴収したテナント料は五百八億円になっております。そのうち、平成十二年度に両財団が日本道路公団に支払った占用料は六十二億円であります。両財団は、このほかにも、エリア内の清掃、情報提供などに百三十八億円使っておりまして、公団の収支に寄与しております。また、平成十二年度の当期利益は十四億円でありまして、道路サービス施設の設備投資などに充当をいたしておるところでございます。

 道路サービス施設の整備、運営は、当初、日本道路公団がみずから実施しておりましたが、道路サービス施設の増加に伴い、予算的にも人的にも困難となりましたために、民間資金を活用して、より機動的かつきめ細かなサービスを提供するため、昭和四十年に旧財団法人道路施設協会を設立し、以来、道路サービス施設の整備、運営を専門的に実施している、こういうことでございます。

山田(正)委員 いわゆる施設協会、今二つに分かれたハイウェイ交流センターと道路サービス機構、これはいわばテナント業務をやっていて、五百億の収入があって、四十八億でしたかを道路公団に入れているというんですが、このテナント業務というのは、普通考えれば、いわゆる家賃を取るだけの業務、八千八百人いる道路公団の職員が直接やれないものかどうか。それをやれば約四百五十億はそれだけで浮いてくるはずじゃないのか。

 こういったむだ、こういったことがなぜ許されているのか。ひとつ、大臣か副大臣か、その辺、御意向として、今のお話を聞いてどう思われるか、コメントで結構ですが、いかがでしょうか。

扇国務大臣 今伺っておりましても、また実情としましても、少なくとも私は、特殊法人の整理合理化ということが大変言われまして、今山田先生がおっしゃいましたように、道路施設協会ですか、もともと、これを整理合理化するという目的で二つに割ったんだろうと思うんですね。ですから、私は、それが逆に、今になったら、またもとに戻した方がいいのか、あるいは本来の目的でもっと民間に移すべきなのか、そういうことも含めて、もともと特殊法人の整理合理化によって行われたものが、今の現状を聞いておりますと、やはり割らなかった方がよかったんじゃないかと思ったり、割るにはもっと、民営化することの方がむしろよかったのではないかということも私は反省材料としてありますので、少なくとも今民営化できるものはすべからく民営化にというのが小泉内閣の方針でございますので、今後も検討材料にさせていただきたいと存じます。

山田(正)委員 道路公団は、そういったファミリー企業とか施設協会とかいろいろな形で、私に言わせれば、それだけのむだな経費を使いながら、かつ道路公団の経営が大変厳しいんだといって、平成十一年度の決算書で、国のお金を約二千億道路公団に入れている。このようなばかなことは、まさにこの日本をだめにしている、日本の財政をだめにしてきている。

 大臣、もう私の質問時間は終わりましたが、石原行革長官がこの道路公団をもう廃止する、民営化する、そういう見解を示したとしたら、大臣はどうお考えでしょうか。

扇国務大臣 私は、できるものならしていくべきだと思います。それが基本です。

 ただ、この間、国鉄法案を完全民営化するのに皆さんに御論議をいただきましたけれども、それでは、今、残事業として整備計画がございますけれども、道路公団が行っておりますのと、それから今道路公団の未償還額というのが少なくとも二十三兆円あるわけですね。そういうものをどういうふうにしていくのか。まさか二十三兆円を一般財源で国鉄のように処理するわけにいかない。民営化するといっても、これをだれがどう負担してくれるのかということもあります。

 民営化するという言葉は、大変、いかにも開かれて、しかも前向きのように聞こえますけれども、私は民営化できるものなら民営化したらいいと思いますけれども、では、今までできた借金はだれが払うのか、あるいはだれが責任持つのか、国民みんなで負担するのか。また国鉄の二の舞になるというようなことも含めて、また、どうしても考えなければいけないことは、山田先生も九州ですからきっとおわかりになろうと思いますけれども、今の道路をどこまで整備すればいいのか。私は、それは国民の皆さん方の少なくとも御理解を得なければいけないだろうと思います。

 整備計画で九千三百四十二キロまだあるんです。これを整備するんですということに関しては、少なくとも今後まだ約二十二兆円かかってしまうわけですね。そして、最初に、私たち国土交通省としては、全国一万一千五百二十キロ、これを達成しようというふうに発表してしまいました。けれども、ここまで発表をして、これを整備するには、なおかつ三十六兆円かかる。そういうものを今やめて皆さん方に御納得いただけるかどうか、それが私が言っているグランドデザインなので、ここまででいいとおっしゃるのであればここまでにして、今道路公団が持っております、要するに二十三兆円はどうして民営化に持っていけるかというこの問題をクリアしなければ、民営化するという言葉だけが先に行ってはいけないと私は思います。

 あらゆる公共工事を中止するにも、私は皆さん方とともに考え、また、事業認可するときと同じような手順で事業評価委員会の審議を得たり、地元の御了解をいただきながら、二十一世紀のあり方というものを、今この危機に、この時期にぜひ考えさせていただきたい。また、いい案があれば、これも国会の中で御論議いただいて、二十一世紀のあり方というものをこの際徹底的に議論し、対処していきたいと私は思っております。

山田(正)委員 今、道路公団の持つ二十三兆の債務をどうするかという大臣からのお話がありましたが、ムーディーズの格付で道路公団はダブルAのプラス、いわゆる国債並みの評価。そしてさらに、つい最近財務省に道路公団が提出した民間並みの財務諸表の計算によると、五千億のいわゆる経常利益を出している。そしてさらに、実は道路公団のバランスシートを見ても資産は三十七兆ある。

 そうであれば、今ここで株式会社、民営化することによって株を国民に売れば、二十三兆の債務は五年、十年かけて整理できる。そうすれば、その債務の支払いを考えなくていいので、実は、韓国とかフランスとかイタリア並みの道路公団にすれば、民営化すれば、管理費だけであれば高速道路料金は十分の一でも可能である、私はそう考えます。

 私の質問は、もう大臣に答弁を求めません。時間が過ぎました。終わらせていただきます。

赤松委員長 午後四時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後二時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時二分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 ややギャラリーがまだ少ないようですが、時間の都合もございますので。

 先日、本会議で扇大臣に真摯な答弁をというふうに申し上げたら、国土交通委員長から、大臣は淑女である、紳士ではなくて淑女であるという御指摘を受けましたので、きょうは本音のところでぜひ御答弁をいただきたいと思っています。

 先ほど前原先生のお話にも出ましたけれども、最初に、道路特定財源について大臣のお考えをお伺いしたいと思うんです。

 特定財源そのものは、十一の税の項目で、国税及び地方税で構成をされておりますが、今年度の予算で、国税でいうと五兆二千六百億円、地方税で一兆七千五百億円、合計で約七兆円の特定財源というものがある。私たちが見ていると、どうもこの特定財源というのが利権の温床にもなりかねない、いや、なってきたのではないかという気持ちもありまして、そんなところから、この特定財源というものが予算配分の硬直化をもたらしてきたのではないか、そんな気もしているんです。

 そこで、小泉総理大臣は、先ほどもお話ございましたけれども、道路特定財源を、都市再生であるとか、あるいは教育であるとか環境であるとか福祉であるとか、こうした一般財源として活用していきたい、こうおっしゃっているわけです。

 先ほどの答弁の中で、大臣は、小泉総理も最近はそうおっしゃっていないようだというふうな御答弁があったんですが、しかし、いつからどう変わったのか、こちらはちょっと確認をしていませんので、相変わらず小泉総理は、道路特定財源を、これこそ聖域なき一般財源化するんじゃないかという思いもあるわけなんです。この辺について、扇大臣の基本的な考え方をまずお聞きしておきたいと思います。

扇国務大臣 小泉内閣で、先ほども申し上げましたけれども、今も党首討論、私、出席しておりましたけれども、聖域なき構造改革というのは、総理の所信でもおっしゃいましたし、また委員会でも御答弁もございますし、テレビでもおっしゃいましたし、きょうも、先ほどクエスチョンタイムでもおっしゃいました。

 それは、基本的には、私たち、二十一世紀になって変わらなければならないというのは、前の森内閣のときから、特に国土交通省は変わらなければならないということを私言い続けておりまして、これは小泉内閣になる前から私は言っております。

 それは、先ほども私お答えしましたように、今までのような、建設省だ、運輸省だという縦割りではなく、国土交通省になってどこをどう変わっていくか、どう変えられるか、また国民のどういう御期待にこたえられるか、これが私が国土交通大臣に任命されまして一番最初に考えたことでございますから、今、日森先生から、小泉内閣になってからというお話をいただきましたけれども、前の森内閣のときから国土交通省は改革に取り組んでいるということだけはぜひ御認識賜りたい。

 また、その成果については、先ほども申しましたように、あすの経済財政諮問会議、そして二十七日の経済財政諮問会議の諮問を総理がどのように受けられて、これは総理の諮問ですから、総理にどういう諮問をされてそれをどのように閣議了解するかということ、今月末に向けて、本格的な経済財政諮問会議の諮問を受けた後の小泉内閣の改革の方針、これが今月じゅうに決定されると私は思っておりますので、それに即して我々も、道路特定財源だけではありません、公共工事そのものの見直しをどこまでできるか、これが大きな問題であろうと私は認識しておりますし、また、それに着手するように、国土交通省、省を挙げて今その対策に取り組んでいるというのが現実でございます。

 そういう意味では、道路特定財源のみならず、国土交通省としての改革のあり方の、基本的な、もっと大きなもの、その中の一つが道路特定財源であるということを日森先生も御認識賜りまして、国土交通省としてどんな改革をしていくのか、そのメニューを出すことにぜひ御注目いただいたり、また、出した後の皆さん方の御意見も賜れればと私は思っております。

日森委員 ぜひそういう改革はやっていただきたいと思うんですが、私がお聞きをしたのは、総理がおっしゃっていたはずの一般財源化、これについて扇大臣はどういう見解をお持ちなんですかということを聞きました。

扇国務大臣 一般財源化といいますと、上がったものを全部財務省にお出しして、そしてどこの何に使ってもいいというのが一般財源化でございます。少なくとも道路特定財源は、国民の皆さん方が道路特定財源をどうして黙って払ってくださっているか、税の徴収方法、受益者負担というものが確立されるということで、国民の皆さんは、車の取得に関しましても、黙って国税三税あるいは地方税五税、これに文句言った人はないんですね。

 ですから、そこまで黙って皆さん方が了解していただいている受益者負担という考え方をどうするのか。私は、その原点が、この道路特定財源を一般化するときには、受益者負担という考え方を全部捨てるのであれば、国民の皆さんはある程度、では揮発油税だけでも自分たちは安くしてくれないかと、これが正直な意見であろうと私は思うんです。

 ただ、ほかの税収が全部少なくなって、道路特定財源だけはきちんと入ってくるから、きちんと入ってくるものを少なくなった財源に使おうという、ただ単に財源不足のための方法論であってはむしろ国民に申しわけない、私はそういう感覚で思っておりますので、見直すことにはやぶさかでもありませんし、最大限努力します。けれども、今先生がおっしゃいました、拡大解釈をして使うことは、すべて使える範囲内で使いたいと思いますけれども、一般財源化という言葉に対しては、国民の理解がなければできないと私は思っています。

日森委員 この点に関しては珍しく大臣と意見が一致をいたします。

 そこで、かつて国土交通省としても、道路特定財源について見直し案をまとめたい、こうおっしゃってまいりました。

 そこで、具体的にお聞きしたいんですが、これまでこの道路特定財源の見直し案についてどんな検討をされてきたのか、今進捗状況というのはどこまで進んでいるのか、これをお聞きしたいと思います。

扇国務大臣 きっとこれは日森先生御存じで、わざとお聞きになっているんだと思いますけれども、今まで道路特定財源は、まちづくりにかなり拡大使用しております。一つの駅があって、東、西の出口があるとしますね。その駅を、東と西を鉄道の上をまたいで立体化する、そして、この駅前のまちづくりも、これ全部特定財源です。既にやっているんですね。しかも、例を挙げますと、新宿の南口、これも拡大解釈してまちづくりに寄与しております。

 そういう意味では、道路特定財源は道路にしか使っていないという認識がまず皆さん方にあると思うんですけれども、国土交通省としては、そういうふうにまちづくりにも随分利用している。そしてまた、道路の渋滞、あるいは閉まったままの踏切、あかずの踏切と言われているもの、今度はこの道路特定財源であかずの踏切を立体化しよう、こういうことにも使われておりまして、あらゆる面で国民のニーズにおこたえできる範囲で拡大解釈して道路特定財源が国民の生活に寄与しているということも、ぜひ日森先生のお口からも皆さんに吹聴していただいたり、御理解いただくとありがたいと思います。

日森委員 使途を拡大してきたということについては十分承知をしております。これまでそういう格好で使途を拡大してきたわけで、見直しというのは、さらにこの道路特定財源についてどういう使途を対象にしていくのかというところまで踏み込んだ見直し案を恐らく国土交通省案として検討されてきたんではないのかという意味でお聞きをしたんです。そこら辺はどうなんでしょう。

扇国務大臣 きょう前原先生に私お答えしたと思いますけれども、今夜、省議を開きます。夜、七時四十五分から開きますけれども、それによって国土交通省の、今まで私が一月六日の国土交通省出発時点から改革をしようと言っておりました案の総まとめをきょうさせていただきます。内容については、今私の口からは、ここで了解されなければ発表できませんので、あと一日待っていただければ皆さんに発表できると思います。

 かなり今までと違った、国土交通省がここまでかと思われるようなものを出したいと私は思っておりますけれども、省議で決定しなければ、個別のことを今申し上げる段階ではない。あした一般質疑があれば申し上げられたのになと思っておりますので、御期待いただきたい。

日森委員 ぜひびっくりするような見直しをしていただきたいと思うんです。

 先ほど大臣は、経済財政諮問会議の動向もしっかり見たいということもおっしゃいましたけれども、諮問会議は実際どの程度の権限があるのかよくわかりませんが、総理大臣の諮問機関であるのであって、実はそのノウハウを持っているし、今まで実績も積んできた国土交通省としての案、これはもうかなり大きな意味があると思いますので、ぜひしっかりした見直し案をつくっていただきたいと思うんです。

 これから省議をやられるので、これから私の言うことは、まだもしかしたら省議に間に合うかもしれないということでお聞きをしていただきたいと思うんですが、見直しの案に資するものであるかどうかわかりませんけれども、もしお気に召しましたら、きょうの七時半からの省議で、大臣の口から、社民党はこういう提案をしているというお話をしていただきたいと思っております。

 先ほど申し上げました特定財源の使途については、これまでバス利用促進のための道路整備もありました。それから、モノレールをつくりましょう、これにもお金を出しましょう、あるいは新交通システム等についても使途拡大をしてきましたし、特に連続立体交差などについて、交通渋滞を解消しましょうというところにも使われてきたわけです。これはもう、言ってみれば、納税者の理解を得て恐らくそういうことが進められてきたんでしょうけれども、これからは、納税者の理解をもう少し拡大しなきゃいけないんじゃないか。

 つまり、車、自動車によって環境であるとか社会的な問題でさまざまな負荷を与えている。それに対しても社会的にきちんとその負荷を解消するために一定の負担をしようじゃないかというところまで理解を深めていく必要があるんじゃないかと思う。そういう意味からいうと、環境問題であるとかあるいは公共交通の維持、こういう観点からも道路特定財源の見直しについては検討すべきではないか、そんなふうに思っているんです。

 特に、これは大臣の持論でございますけれども、国土交通省になったんだから、縦割りはやめて総合的な政策をつくっていきたい、グランドデザインもつくりたい、こういうふうにおっしゃってきたわけですね。そういう国土交通省に統合された利点ということを大いに利用して、横断的、体系的な総合交通政策を推進するために、道路財源などの一本化を図って、これは前回の委員会でも申し上げたんですが、総合交通会計制度、こういうものを創設する、これはびっくりするような改革案の一つになるかもしれませんが、こういう制度をつくって、そして総合的な交通政策のためにこの財源を使っていくということも検討すべきじゃないかというふうに思っているんですが、これについて御見解がございましたらお聞きをしたいと思います。

佐藤副大臣 お答えいたします。

 日森先生のそういう御意見は、前々からそういう御意見がたくさんあるわけでありますけれども、しかし、この特定財源はその利用者が道路の整備のために出してきているわけでありますから、ほかに大きく拡大をしていくということは非常に難しいということで、大きく拡大はできなかったわけであります。ですから、先ほど大臣からもお話ありましたけれども、道路に関係あるもの、それをずっと拡大してきましたし、その方をさらに一層拡大していくのが一番いいんだろうと思っています。

 今非常に心配しているのは、いろいろなところから声が上がっていまして、例えば知事やなんかは、各地区の知事から、地方道路がまだまだ整備されていないではないか、それなのにこれが一般財源化なんかされたりしたら、ましてや減税のような形になってしまったら大変だということで、大変な大きな意見もあります。

 国道は大体九割はもう整備はされていますけれども、しかし、私は、国道というのは一〇〇%改良されるべきものだろうと思っておりますし、さらにまた、地方道は、都道府県道でまだ六割しか改良がされておりません。市町村道はまだ五割という状態です。ですから、どうしても地方の方々は、これをまだ道路に特定をしてやってほしいという意見が非常に多いわけであります。そういう意見も受けながら、していかなくちゃならぬと思っております。

日森委員 特定財源を全部どこかに使ってしまえ、こう言っているわけじゃございませんで、地方の要望はわかります。最近新聞を見ていても、地方を切り捨てるのかという声が相次いだということもあります。ですから、そういう意味からいえば、特定財源の地方分についてはこれは手をつけなくてもいいだろう、あと重量税についても法的には一般財源化されているわけですから、これについてもいいでしょう。

 それ以外の部分について、もう少し、自動車によって環境が悪化をしているとか、あるいは地方のローカル線が廃止をされちゃうとか、バスが立ち行かなくなっちゃうとかいう問題があるわけですから、総合的な交通政策の分野に少し目を向けてやっていくことはできない話ではない、これは一般財源化の話じゃないわけですから。

 あくまでも、大臣を先頭に、国土交通省内で縦割り行政を廃止して、そして国民の足を守るとか環境を守る、そういう観点で使ったらいかがですかというかなりいい提案だと思うんですが、いかがでしょうか。

扇国務大臣 日森先生のおっしゃっていること、既に私たちも、それをするように私も指導しております。

 と申しますのは、少なくとも二十世紀はハードの世紀、二十一世紀はソフトの世紀と私は申し上げております。なぜ二十一世紀はソフトかというのは、今、日森先生がおっしゃるように、二十世紀にできたものに環境とバリアフリーを完備した、ソフトを加味したものが二十一世紀でなければならない。ですから、環境の問題とバリアフリーも、この道路特定財源を使って、すべて皆さん方の環境のためにも整備しようということも大きなものの一つでございます。

 私が午前中に申しましたETCもその一つでございます。CO2の排出を削減するためには、渋滞を解消するんだから、そのためにETCなんだという話もいたしました。そういうことも日森先生は御存じなんだろうと思いますけれども、この東京都内をとってみても、あらゆる交通渋滞があり、あるいは最高速度三十キロと書いてあっても、平均三十キロなんて東京では出せないんですね。書いてあったって十七・八キロ、大体十八キロでしか東京は走れていないわけですね。

 ですから、高速道路があり、とにかく、昭和二十一年に都市計画を東京都も発表したにもかかわらず、その昭和二十一年に出した都市計画が今まだ五五%しか道路ができていないんですね。四五%まだ道路の整備ができていない。こんなことでは、車だとかあるいは道路特定財源をどうのこうのという以前の政策も、二十一世紀、見直したいと私は言っていますので、今先生がおっしゃるように、道路特定財源を最大限に有効にする方法はどこをどうするべきかということを私たち国土交通省が一体になって考えていくというのが二十一世紀型だと思っております。

日森委員 先ほどから、公共交通をしっかり守るためにぜひ特定財源の使途の拡大も検討してほしい、こう申し上げているんですが、例えばドイツでは、ガソリン税に相当する鉱油税、これを公共交通の財源として活用しているわけです。これはもう当たり前の話で、有名な話にもなっているんですが、そのことで通学通勤とか通院とか、あるいは買い物の足までちゃんと確保しようというふうになっているわけであります。

 そういう意味から考えると、この国の財源も、先ほど申し上げたバスやローカル鉄道は大変な状況になっていて、特に第三セクターなどというのはどこでも赤字になって、もう経営が立ち行かなくなっているということもあるわけですから、ぜひそういうところに目を向けていただきたいということを申し上げているんですが、もう一度お聞かせいただきたいと思います。

田中大臣政務官 お答えを申し上げます。

 実は、国土交通省といたしましても、生活交通確保のための新しい地方バスの補助制度ということで、この点は真剣に取り組んでおります。

 需給調整規制を前提としたものであったり赤字事業者に対する事業者ごとの補助であったりしたわけでございますけれども、さらに新しい時代の取り組みとして、需給調整規制の廃止をしたり路線ごとの補助を強めたり、そういう対策を新たに考えているところでございます。

 金額といたしましても、平成十三年度の予算で八十一億八千二百万円という数字を確保してございますし、また中小の鉄道助成の概要についても、真剣にこの点についても努力をしてまいりまして、三十三億七千五百万円という数字になっております。

 ただし、今お話がありました財政措置の強化等にということになった場合に、やや経営的な面での支援というようなことにもなってくる可能性がございまして、受益と負担の関係に明確さを欠く可能性があるわけでございまして、この道路特定財源の用途等については、経営資源のようなものであればいろいろと難しい問題が出てくるのではなかろうか、このようにも思っておるわけでございます。

 いずれにしても、大臣がお話をしておりますように、いろいろと来年度の予算等に向けて重要な検討の課題ではあろうと思っておりますが、一応お答えいたします。

日森委員 先ほど大臣が、東京都内、車が三十何キロでしか走れないということがございましたけれども、実際にはそのことを、道路整備で解決しようというふうに判断をされていくのか、それとも、これももう大臣の主張されていることなんですが、モーダルシフトというようなことをきちんと実現していくのかという分かれ道にあるんじゃないかと思うんです。

 ちょっとおもしろい記事が出ていたんですが、これは通告していないのでおわかりになればでいいですが、今、LRT、路面電車が、ヨーロッパ、アメリカもそうなんですが、それから国内でも岡山とか鹿児島とか熊本というところで復活をし始めてきています。これは本当に、二十五メーターぐらいの幅員があれば新たに敷設することができるし、しかも、それを利用していただければ、車が町中に入って渋滞を引き起こすなどということについても一定の抑制をすることができるということで、今大変注目をされているものなんです。

 これはしばらく前の日経新聞なんですが、それぞれ全国の例を挙げて、この路面電車というのは今大変有効な公共交通の手段になりつつあるんだけれども、しかし、専ら経営の見通しが厳しいためになかなか踏み込んでいけないという記事が出ていました。現在行っているところでも、延伸や新型車両を導入するなど新たな設備投資を促すには経営を支援する仕掛けが必要だというふうに言っていますし、それから、収入努力に対して一定のルールで公的助成するなど、営業損益段階で何かそういう工夫があればLRTについて何とかやっていけるんじゃないのかと。特に欧米諸国の都市では、これはスウェーデンなんかもそうなんですが、運営面でも独立採算を前提にしないということで、公的支援が運営面でも投入されているということで拡大をされてきたという経過があるんです。こういうところに、実は「がんばれ路面電車」という日経の記事なんですが、最後、「公的支援の財源には道路特定財源をあてるのがよい。」というふうに落ちがついていました。

 もちろん、これだけではないんですが、こういう形で公共交通をきちんと確保していくような、しかもモーダルシフトにも寄与するような、そういうところにこの道路特定財源というのは使うべきではないのかということを改めて思っているんですけれども、これは通告なしでちょっと申しわけないんですが、もし見解がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

佐藤副大臣 路面電車、特に低床の電車、これは日本でも岡山なんかも真剣に今やっておりますし、各地区で今、もっと延ばそうと言っております。路盤の部分は相当な支援をしてやるわけですけれども、電車の部分がえらい高いものなんですね。その電車の部分の支援というのは、今三分の一ぐらいの支援をしております。ただ、これは特定財源からしているわけじゃありませんで、一般財源からやっておるわけでありますけれども、その部分をもう少し支援を多くすればもっと経営がしていけると考えられるのです。

 ですから、そのことも考えながら、低床式の路面電車というものをもっと普及していく、そんなこともこれから真剣に考えていきたいと今考えております。

扇国務大臣 ヨーロッパで、電車もそうですけれども、川もそうでございまして、あらゆるものが自然回帰ということと環境を重視するということに、方向が二十一世紀型になってきているということは、我々ももちろん重視しております。

 少なくとも私は、今のローカルの路線を走らすというのは、各地方自治体がどのように対応するか、それが一番大事なことでございまして、私たちからこれをこうしなさいということではなくて、あらゆる地方自治体から、こういうことをやりたいけれどもどこまでどうしてもらえるかというようなことを、これが二十一世紀型の、国土交通省が全国の地方懇談会を開いて、しかも地方整備局があるのはそのためでございまして、私は、地域地域の、地方の皆さん方からそういう声と要望と、そして地方の皆さん方、何よりも住んでいる皆さんがそれに御賛同いただいて声を上げてきてくださるということが一番だろうと思っておりますので、それを期待しているところでございます。

日森委員 ぜひ大胆な見直しというところで、恐らくこういう話になれば、地方自治体も、地方の切り捨てだとかいう議論じゃなくて、もう少し、そうか、道路特定財源というのは私の町の公共交通をしっかりと確保するためにも使ってもらえるんだということだったら、それは納得いく話になるんじゃないかと思うんですよ。相当な額の財源なんですから、それを上手に活用するということで、ねじ伏せるのではなくて、ぜひ合意を得られるような拡大の方法を考えていただきたいと思うんです。

 それからもう一つは、環境問題でいえば、自動車が地球温暖化の大きな要因になっているとかいう問題があることはもう明らかなわけで、これに対して、自治体でも、公害防止策といいますか、環境保護対策をいろいろやっているわけですね。

 そういう意味では、自動車の責任があるわけですから、排ガスを排出しているわけで、公害に対する要因になっているわけですから、環境保護対策、とりわけ自治体がやっている環境保護対策等にこれを若干振り向けていくとかいうことについては、これも納得いく範囲での使途の拡大じゃないか、そんな気もしているんですけれども、これについてお考えがありましたら、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

田中大臣政務官 お答えをいたします。

 私は、実は川崎の産業道路沿いに住んでおりまして、車公害の問題が裁判で争われ、あのような結果になった、まさしく地域の市民の一人でございまして、先生の趣旨、よく理解できるところもございます。

 それで、国土交通省といたしましても、これまでも環境施設帯の整備や低騒音舗装の敷設など、沿線環境改善のために真剣に取り組んでまいりましたし、大変重要なことであろうと思っております。

 当然、道路特定財源でありますから、受益と負担の関係を崩すことはできませんけれども、環境問題は本省の重要な施策としてしっかりと取り組んでまいりたい、このように思っております。

日森委員 ちょっと時間が限られていますので、この問題については、きょうの夜の省議も含めて、ぜひ大臣に期待を申し上げておきたいと思います。

 では続いて、通告してありますけれども、タクシーの需給調整規制撤廃後の対応についてお伺いをしたいと思います。

 最初に、いわゆる悪質事業者を排除するために、点数制度、点数制が入れられたわけですけれども、規制緩和が来年の二月いよいよ本格化するということになれば、悪質業者を徹底的にチェックをしていく、それがないと、本当の意味での公正な競争ということが確保できないんじゃないか、そんなふうに思っているんです。

 そこで、運賃の認可に当たって、査定原価では適正利潤は一%ないし二%ということで査定されてきたという経過がこれまであると思うんです。ところが、ある業界紙等でももう御存じのとおりなんですが、その適正利潤の幅をはるかに超える五%、こういう利益を上げている業者もいるわけです。利益を上げちゃいけないということじゃないんですが、これはどこかにひずみがある、こう言わなければならないんですが、運賃認可の段階で査定をした適正利潤の幅、これをはるかに超える利潤を上げているような、そういう業者の実態について、まず把握をされているのかどうなのか、お聞きをしたいと思うんです。

 それからまた、そういうことが事実あるわけですけれども、そういう事実に対して、運賃を認可する条件でもあります労働条件の問題ですね。これは、もう十分に反映しなきゃいけないということになっていると思うんですが、そういう改善方などについて国土交通省としてきちんと監督指導されているのかどうなのか、これについて最初にお聞きをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 タクシーの運賃の決め方でございますけれども、標準的な経営を行っております事業者を標準能率事業者として選定をいたしまして、それらの事業者の平均の原価あるいは適正利潤というものを用いまして、個々の申請の査定を行うというふうにやってきているところでございます。したがいまして、標準能率事業者以上に効率的な経営を行っているタクシー事業者の中には、査定以上の利潤を上げる場合も出てくることがあるものと考えております。

 それから、先生おっしゃった、運賃改定の際の労働条件の改善の関係でございますけれども、平成七年度の運賃改定の際に、その運賃改定による増収分を運転者の労働条件の改善に充当するよう、業界に対して指導をいたしたところでございます。

日森委員 個別の事業者に対する指導監督とかいうことは行われていないわけですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 平成七年度の運賃改定の際に業界に対しては指導いたしましたが、その後、運賃改定後におきましても、事業監査を個々の事業者に行うわけでありますが、その際に労働条件の改善状況についても調査を行いまして、問題があれば指導を行っているという状況でございます。

日森委員 そういう意味で、具体的に指導を行ったことはありますか。個別の事業者に対して、例はございますか。

高橋政府参考人 個別の事例については、今手元に資料がございませんけれども、大きく問題点を指摘した例はないように承知しております。

日森委員 なかなか実態はつかみにくいと思うんですが、利潤が上がればタクシー運転者の労働条件が悪くなるという相関関係があるわけでは決してないと思いますけれども、往々にしてそういう事例があるわけですから、ぜひ厳正な監督指導ということについても努力をしていただきたい、そう思います。

 それから二番目に、近々に出される省令がございますが、輸送の安全確保の観点から、労働条件に関係する部分もこれに盛り込まれるというふうに聞いています。別建てになるんですかね。いずれにしても、労働条件に関する基準も盛り込まれるというふうに聞いているんですが、その内容と、労働条件にかかわる基準、これを本当に実効性あるものとするためにどのような措置をとられようとしているのか、これについてお聞きをしておきたいと思います。

 同時に、例えば、労働条件に関する基準ができるわけですけれども、それに違反をするような行為があった場合は、当然先ほど申し上げた点数制の対象になるのかどうなのか、これもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 タクシーの輸送の安全を確保することは大変大事な課題であると認識しております。来年の二月に改正道路運送法の施行がされるわけでありますが、これにあわせまして安全規制の強化を図ることにいたしております。

 現在、国土交通省令になりますが、旅客自動車運送事業等運輸規則の改正作業を行っているところでございます。この中で、先生御指摘の、労働基準法のもとで定められております運転者の乗務時間等に関する基準につきましても、過労運転防止を図るために、道路運送法体系においてもタクシー事業者が遵守すべき事項として明確に定めることにいたしております。

 また、この基準の遵守徹底を図るために、タクシー事業者に対する監査におきまして違反が判明した場合には、道路運送法に基づき厳正な処分を行っていくこととしております。なお、この違反は、タクシー事業者に対して現在導入を検討しております処分の点数制、この対象といたしたいと考えております。

日森委員 ぜひそういう厳しいチェックをしていただきたいと思います。

 同時に、タクシーというのは、人命そのものを運ぶという大変重要な仕事でもあるわけです。その意味では、既に点数制が導入されているトラック等々とは別に、トラックに適用されている点数制度よりもより厳しい処分基準、そういうものを設定すべきではないのかというふうに考えているんですが、それについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 タクシー事業に導入する処分の点数制それから処分基準につきましては現在検討中でございますが、その導入に当たりまして、今既に導入されております貸し切りバス事業だとかトラック事業の処分の点数制それから処分基準を当然参考にいたすわけでございますが、先生御指摘のように、タクシー事業の特殊事情というものもございますので、そこら辺を勘案することを基本として現在検討を進めております。

日森委員 ぜひそういう方向で進めていっていただきたいと考えています。

 時間が限られてきたんですが、緊急調整措置について、これは何度も運輸省時代から質問させていただいているんですが、また改めて御質問申し上げたいと思うんです。

 これは旧運輸省の課長さんだと思うんですが、緊急調整措置を発動する前にいわば予防的な措置を講じて、その後に緊急調整措置を発動したい、こういうお話を論文に発表したり講演されたということを伺っています。その、本来の緊急調整措置を発動する前の予防的措置というのは具体的にどういう措置を構想しておられるのか、これをお聞きしたいと思います。

 時間がないから、ちょっと一遍に聞いちゃいます。

 それから、予防措置が仮にとられたとしても、緊急調整措置が発動されるまでの間にタイムラグがある、この間に、いわば駆け込み申請とか駆け込み増車とかいうことがあるのではないかという心配をしています。こういうことに対する防止対策についても、あればあわせてお聞きをしたいと思います。

 それから、緊急調整措置は、仮に発動された場合、それぞれの地域でエリアごとに発動される地域あるいはそうしない地域がある。その場合、緊急調整措置が発動された地域においては、そこで違反行為が行われた場合は、発動されていない地域で行われる違反行為よりはるかに処分をきつくしなきゃいけないんじゃないのか、そんなふうに思っているんです。

 そういう意味では、これから導入される点数制、この点数を、調整措置が発動された地域での違反行為に対しては加算していくような、そういう厳しいチェックの仕方というのがあってしかるべきじゃないか、こんなふうに思うんですが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 緊急調整措置を発動することに関する御質問でございましたが、現在検討中のところでございますので細かな御答弁はできないわけでありますが、考え方を申し上げたいと思います。

 最初にお尋ねのございました予防措置でございますが、そもそも緊急調整措置は、著しい供給過剰となり、輸送の安全及び旅客の利便を確保することが困難なおそれがある場合のいわば非常手段でございます。そのような事態を可能な限り阻止するというために何らかの予防措置を講ずる必要があるのではないかと思って、この予防措置を考えているところでございます。

 また、駆け込み増車等があるんじゃないかという点で混乱が生じないかとの御指摘がございましたけれども、このような事態によって混乱が生じないような仕組み、これも考えていかなければいけないと思って、今検討をしております。

 それから、緊急調整措置が発動された場合の違反行為への対応の問題でございます。

 緊急調整措置は、新規参入と増車を停止いたしまして事態のこれ以上の悪化を防ぐという手段でございます。御指摘のような違反行為に対する行政処分につきましては、厳格化を含めまして事態の改善を図っていくというような措置を講じる必要があると思っておりますので、そういった観点から検討していく必要があると思っておるところでございます。

日森委員 ぜひそういう方向で御検討をしていただきたいというふうに思っています。

 時間がありませんので、この項の最後の質問になりますが、運賃の新たな設定方式についてお聞かせをいただきたいと思うんです。

 これは旧運輸省時代にも申し上げたことなんですが、タクシー運転者と全国の男子の労働者の平均年収、その格差が年々拡大する一方になっています。労働省の調査から推計すると、昨年度ですと、タクシーの運転者は、全産業の男子労働者の平均年収から二百二十二万円も少ない平均年収になっているわけであります。一方では、売り上げに占める人件費の割合が約八割近いという状況になっていて、こういう状況が続くと、本当にタクシー運転者のなり手がなくなっちゃうんじゃないかぐらいの心配を大変しているんです。そういう意味から考えますと、来年の二月に本格的な規制緩和が始まっていく、その中で特に心配されるんですね。さらに賃金が切り下げられるんじゃないか。

 特に、今でも、禁止をされている累進歩合などというのが、僕もよくタクシーに乗るんですが、うちはもう当たり前にやられていますと運転手は言いますよね。禁止されているにもかかわらず、累進歩合制などというのが横行していて、むしろ今ふえる傾向にあるんじゃないか、売り上げが減っても会社はしっかりもうけていけるという制度になっているわけですから。そうすると、ますます賃金が切り下げられてしまうということになるのではないかという心配をしています。

 そういう意味では、道路運送法が改正されたときに両院の委員会で附帯決議がされました。その附帯決議を簡単に申し上げますと、適正な人件費等費用の反映であるとか、運賃ダンピングの排除ということをきちんと附帯決議でうたっているわけでありまして、そのことをきちんと守っていただくということでないと困るというふうに思っているわけなんです。

 特に、公正な競争を確保する観点に立てば、今、タクシー業界の中で運賃や料金において現行以上の競争を促していく余地は、もう既に幅としてなくなっているんじゃないか、そんな気がしてなりません。

 そこで、ダンピングはもちろんさせませんけれども、新しい運賃、認可制になったわけですが、それを設定する場合においても、現在の上下一〇%というゾーン運賃をそのまま踏襲しなさいとは申し上げませんけれども、それを考慮したような、それを参考にして一定の枠内におさめるような、そういう新運賃設定のやり方があってもいいのではないか、そう思いますが、御回答いただきたいと思います。

木村(隆)大臣政務官 先生御指摘のとおり、タクシーにつきましては、人件費がコストに占めます割合は八割、また運転者の方の賃金というのは基本的に歩合制だというような状況の中で、もしダンピングが起きますと、それが即過労運転につながっていく、そして輸送の安全の確保が難しくなってくるということになるわけでございます。

 そのために、タクシーにおいては、これまでいろいろ需給調整規制を撤廃いたしておりますけれども、乗り合いバスや鉄道、航空その他の事業については届け出制でありますけれども、タクシーだけについては認可制としたところでございます。不当な競争を引き起こすようなダンピング運賃、これを絶対認可しないという方向でしてまいりたいと思っております。

 このような趣旨を踏まえつつ、タクシーにおきまして、新たな運賃認可の基準について今検討を進めているところでございまして、先ほど扇大臣は、あすだという話をなさいましたけれども、今月中に関係者の方にお示しをしたいということで今準備を進めているところでございます。しっかりしましたら、また先生にお示しをしたいと思っております。

日森委員 時間が来ました。ぜひ、実態をきちんと踏まえた基準の設定ということで御努力いただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤松委員長 大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 二十分という極めて限られた時間でありますけれども、きょう私は、モーターボート競走の場外舟券売り場の問題及び、これまで決算委員会で取り上げてまいりました宅建協会にかかわる問題、この二点についてお尋ねをしたいと思います。

 最初に、モーターボート競走の舟券売り場、いわゆるボートピアの問題であります。

 具体的には、千葉県の市原市のボートピア市原、この設置計画が今進められておりますけれども、私も現地の調査もしまして、今本当に大変な状態になっていることもつぶさに見てまいりました。

 このモーターボート競走の場外舟券売り場、一九八五年のモーターボート競走法施行規則の改正によって可能になったわけでありますけれども、現在、二十四カ所の競艇場の本場のほかに、こうしたボートピアが十五カ所。今いろいろな進出計画が進められておりますけれども、全国の住民団体の調査によれば、全国で百カ所以上こういうようなことが現在検討をされていると。特に最近は、市街地の中心部に進出したり、あるいは映画館やスーパー跡地、こういうところへの進出計画も行われているようであります。

 そういう中で、進出計画がとにかく強引に行われている。住民とのトラブルも多発する。最近だけでも、贈収賄事件が一市四町で報告される。大臣も恐らく御記憶にあると思うんですが、埼玉県の嵐山町では、女性の町会議員がこの関係で鉄棒を持った暴漢に襲われる、こういうような重大事件が起こりまして、当委員会でもこれが取り上げられました。こういうぐあいに、今、さまざまな住民とのトラブル等も起こっているわけであります。

 そこで、この問題で、基本的な点でありますけれども、当然のこととして、こういうボートピア設置、開設に当たっては、そこに生活する住民の皆さんの納得を得て設置、開設されるべきだと思いますけれども、まず、扇大臣のこの点での御見解をお聞きしたいと思います。

扇国務大臣 場外発券所というんでしょうか、馬券のことはよく見ますけれども、ボートピアの発券所というのは、私は余り目にしたことがございませんので、認識不足の点は多々あろうと思います。

 私は、少なくとも、モーターボート競走の場外発券所、発売所というんでしょうか、ボートピア、これは競走場の外で、先生今おっしゃいました舟券の発売、これによって、競走の施行者でございますいわゆる市町村等、あらゆるところで国土交通大臣の確認を受けて設置するものということになっておりますので、現在、全国で十五カ所、これは認定しております。

 けれども、場外の発券場の施設に至るまでの手続につきましては、設置の主体でございます各市町村が、設置を予定している市町村の自治会または町内会の同意でありますとか、あるいは市町村長の同意、もしくは市町村議会が反対していない、そういうような地元の調整を行った上で国土交通大臣に確認の申請をしてくる、こういう手続になっておりますので、私といたしましては、国土交通省に申請が来たときには既にそれらの同意が得られているもの、私はそう認識しております。

 また、国土交通省として、各場外の発券場が周辺の地域といかに調和を持って、そして市町村等に対して、十分、施設を設置するということの適宜適切な指導があって地元の了解が得られたものであると。また、私は、各市町村が競艇をします許可をしましたときにも、それらが、その市町村の財政の中で、病院の施設だとか教育の施設だとか福祉施設とか、そういうものに対してそれを使うということも市町村議会で議論なさった上での御決定だと思っておりますので、今先生がお話ございましたように、この舟券の発売というものは、近くに文教施設がないことでございますとか、あるいは少なくとも医療施設から適当な距離を置かなければならないとか、または文教上、場外発券場の施設計画が適切なものであるか、基準に照らして確認をする、こういう規定で、私は、各市町村長から国土交通省の大臣に対しての申請がなされるもの、そういう認識をいたしております。

大森委員 短時間でありますので、簡潔にお答えいただくといいんですが。

 前半の部分を要約いたしますと、市町村の自治会の同意、それから市町村の長の同意、そして市町村の議会が反対を議決していない、この三点があって申請を受けるということですから、これは逆に言えば、この三点いずれかが満たされていない場合は、申請があってもこれは受け付けないということですね、そういうことでよろしいですね。

谷野政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がおっしゃったとおりであります。先ほど大臣から御答弁になったとおりであります。

大森委員 しかし、私も見てまいりましたけれども、このボートピア市原の地元の同意書のとり方は極めて異常であります。

 第一は、この地元の範囲。もともとこれは極めて恣意的に設定できるわけなんですけれども、最初から限定したそういう範囲のとり方になっておる。ごく近接した自治会がその範囲に入っていないということが一つ。もう一つは、一たんそういう限定された範囲に入れながら、ところが、この町内会はどうも反対が強そうだということで、途中から範囲から排除してしまう、こういうことがやられているわけですね。こういうことがやられているわけですから、町内会等についても、合意のとり方も十分じゃない。住民の皆さんが立ち上がって、すべての関係の町内会の署名を集める、トータルでそこの全世帯の七割から八割の反対の署名を集めるというようなことまで、今これについてはされているわけですね。

 ですから、先ほど大臣の答弁でおっしゃった、それは同時に国土交通省の通達でも出されているわけでありますけれども、そういう大臣の答弁の御趣旨、通達の趣旨、これにも反するような、そういうやり方がこのボートピア市原では行われているんじゃないかということですが、これはいかがでしょうか。

谷野政府参考人 御説明させていただきます。

 地元の調整につきましては、国土交通省では、場外発売場を設置しようとする市町村等に対しまして、ボートピア推進本部、これは施行者協議会とそれからモーターボート競走会連合会の設置をした推進母体でありますが、まず、これを通じて指導を行ってまいることといたしております。

 ボートピア市原についての、地元同意の範囲でありますとか、地元調整の進め方につきましては、場外発売場の設置主体であります市町村等が、ボートピア推進本部の指導を受けながら、地元市原市とも相談しながら決めるべきものであるというふうに考えております。

 今、地元調整の進め方が不適切であるとの御指摘をいただきました。この点につきましては、一部の方々、地元住民の方々から、私どものところにも陳情が参っております。アポイントをとらないでいきなり押しかけたといったようなことも伺っております。したがいまして、局長通達の趣旨に沿って、適切に地元調整が行われるようにすべきだと我々も考えておりますので、その点につきましては、ボートピア推進本部を通じて指導をいたしたところでございます。

大森委員 ぜひ事実について掌握をしていただきたいと思うんです。

 とにかく、最初に指定した範囲から、状況が悪くなれば勝手に一部の町内会を外してしまうとか、それから、お話があったように、住民団体の運動の中で、新たに県営住宅、これは五所県営住宅というところですが、その自治会を地元に加える、こういうことになっている。

 ところが、それじゃ済まないわけですね。今、アポイントなしの訪問ということがありましたけれども、それどころじゃないんです。新たに住民の運動の中でこれも加えるべきだと加わったこの五所県営住宅の自治会の役員が福島の方に出張している、そういうところまで押しかけて同意を求める。大変なことが今ここでやられているわけですね。

 ですから、こういうようなことからいっても、単に指導にとどめないで、もともと、こういう地元の設定の仕方とかあるいは中途の経過とか、こういうような非常識な、社会的な常識を逸脱したことが強引にやられているということからも、関係の団体、推進本部等に、これについては一たん白紙に戻しなさいというぐらいの指導をしてもいいんじゃないでしょうか。

谷野政府参考人 一たん白紙に戻すべきではないかという御指摘がございました。

 地元調整のやり方につきましては、大変くどくなって恐縮でありますが、ボートピアを設置しようとする地方自治体が、設置そのものについて最終的な決断をする前提条件として、地元の方々の同意をきっちりとる、そして、そのあかしを添えた上で、我々国土交通省の方に申請をし、大臣の確認をする、こういう手続になってございます。

 したがって、私どもとしましては、確認申請がなされるまでの間は、まだ設置しようとする地方自治体等が明確に設置について決断をしたとみなせない状況でございますので、その段階においては、ボートピア推進本部を通じて、さまざまな情報をいただきながら適切に指導していくということを申し上げるしかないと思っております。

大森委員 局長通達まで出したり、あるいは、いろいろな住民団体の運動の中でそれを改正したり、やはり国土交通省としても、きちんとこれに加わってきているわけですよ。ですから、単に開催市に任せたり、あるいは関連する業者に任せたりという状況、この間は、結局、国土交通省はそういう点で非常に傍観的だということを申し上げなくちゃならないと思う。

 市原のボートピアをめぐって、どうしてこのような乱暴で強引なやり方が拙速でやられているのか、まかり通っているのかということで、私は二つの理由を挙げたいと思います。

 第一は、とにかく、場外舟券売り場の場所の選定から決定、地元調整、設置に至るまで、今申し上げた、全く民間任せになっている、このことが一つであります。それからもう一つは、この市原のボートピアについては、このボートピア設置以外の別の目的があるということであります。

 民間任せにしているという点では、かつて運輸省の時代に、九三年十月十二日の運輸省通達四一一号、ここで、設置に至るまでの調査、地元調整の事務については、施行者のみでは対応が困難な場合もあるため、関係者の協力が必要ではあるが、一義的にはモーターボート競走施行者の責任であると明確にしているわけですね。しかし、現実は、全く民間業者、ここでは折本産業というところでありますけれども、こういう地元調整専門の、そういう業者任せになっている。これが第一の理由であると思うんです。

 ですから、こういう点で、一番冒頭にあったように、開催市、そして地元市がきちんと地元の合意を得る過程でこれに加わっていく、公的な、公明正大に行っていく担保として、そういう点をきちんと貫くよう、これは開催市に対して指導すべきじゃないですか。

谷野政府参考人 御説明申し上げます。

 今先生からさまざま御指摘ありました、その不適切な地元との調整の問題につきましては、我々、もともとそれが適切であるとは思っておりません。したがいまして、そういった情報を得次第、我々としては、適切な地元調整が行われるように指導をすること、それに努めたい、こういうふうに思っております。

大森委員 一般的な適切ということじゃなくて、贈収賄なんか起きる背景には、全く民間任せになっているということを言っているわけで、きちんと開催市や地元市がそういう地元調整に加わる、地元住民、町内会などに対するそういう協議等について必ず出席するとか、そういう公的な責任を貫くべきだと思うんです。

 これは、扇大臣、先ほども言いましたように、一義的には競走施行者の責任だということをかつて通達でも出しているわけですから、通達がきちんと守られるという立場で、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

扇国務大臣 先ほど局長が答えましたとおり、少なくとも、通達を出し、なおかつ地元の同意を得られることということが、平成十年の局長通達をしておりますので、私は当然、地元としては、この局長通達によって、地元の了解が得られるように各市町村で努力なさるものだろうと思っておりますし、また、その条件に当てはまらないで国土交通大臣に申請してくることはないだろうと私は思っております。

 また、今先生がおっしゃいますように、ボートピアの設置に当たっていろいろなところで反対運動が起こっているけれども、業者に任せっきりになっているのではないかというお話も今なさいました。けれども、これは、場外の発売場の施設に関します地元の調整につきましては、設置主体者でございます市町村等、私は少なくとも、設置を予定している市町村の自治会、または、先ほども申しましたように、町内会の同意とかあるいは市町村長の同意、あるいは市町村の議会が反対していないということを確認することを求めているわけでございますから、今先生がおっしゃいましたように、また国土交通省としましても、市町村等から、申請の際に、地元との調整状況を確認するとともに、必要な場合には施行者に対して指導を行い、また、地元との調整が業者任せになっていて、市町村がそれに全部一任しているとも思えませんので、その辺のところは、今後ともボートピアに対して、周辺地域との調和がとれた形で設置されるというふうに私たちも指導にまた努めてまいりたいと思っております。

大森委員 事実上、任せになっているわけで、そこを問題だから取り上げているわけなので、平成十年だけじゃなくて、平成五年の通達についても、きちんとそれが守られるよう、ぜひ御努力をいただきたい。

 第二の、このボートピア市原について、なぜこういう乱暴なやり方がやられているかということのもう一つの理由は、折本産業と一緒に今地元調整をやっているのが、ボートピア推進本部の事実上の責任者とも言える六川氏なんですね、六川宏二氏。

 この方の経歴について、国土交通省、御存じでしたらお教えください。

谷野政府参考人 ボートピア推進本部の六川常務理事の経歴についてお尋ねがございました。

 お尋ねの六川氏は、平成七年の四月に運輸省の高等海難審判庁総務課長を退官なさった後、民間企業、これはモーターボートとは全く関係のない民間企業でありますが、その企業の役員を経て、平成十年六月より社団法人全国モーターボート競走会連合会の理事、それから平成十一年の四月より常務理事に就任し、ボートピア推進本部を担当なさっていると承っております。

大森委員 今、モーターボートと全く関係のない民間企業に就職されたということをおっしゃったわけなんですが、まず、運輸省の海上技術安全局総務課調整官、これは、言うまでもなくボートピアを扱う部署であります。そして、これを退官した後、この民間というのは、実はドリーム開発、御存じのように、これはダイエーの一〇〇%子会社でありますが、そこの役員に就任するわけですね。そして、平成十年二月に、ダイエー市原店の撤退表明があったその直後にモーターボート競走会連合会に入る。ということで、これは当然ダイエーの意を受けて、このボートピアの予定地というのがダイエーの跡地で、しかもダイエーの建物も使ってやるというわけですね。これは最初から計画的に、ダイエーの跡地と施設を利用するために、運輸省でボートピアの担当をやっていた担当官を天下りで受けてやったとしか考えられないと思うんです。ですから、こういう経緯からいっても、本当にこれは大変なことだと思うんですね。

 地元に対しては、モーターボート競走のこういう事業で地元の自治体も潤うぞと言って地元の合意を取りつけようとする。市議会にもそういう説明をしようとする。しかし、住民には、あるいは市議会には全くこういうことを隠して、ダイエーの跡地とそして施設、ダイエーの一〇〇%子会社の役員をやっていた人物がこれをやっているわけですね。大変重大な事実だと思うんです。

 この点だけからいっても、根本からこの問題、関係者、ただす必要があるんじゃないかと思うんです。いかがでしょうか。

谷野政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、私も今先生の御発言で大変驚いているわけでありますが、六川氏が運輸省の海難審判庁を御卒業後就職をされた民間企業について、ボートピアと何らかのかかわりがあるということについては全く認識をいたしておりませんでした。

 それから、民間企業をおやめになって全国モーターボート連合会の方に御就職をなさる際も、我々として御推薦をした経緯は全くありませんで、御本人がかつて仕事をした経緯から、その仕事について愛着を持っておられて、御自身がモーターボートの競走につきたいということで、いわば自己推薦で御就職をなさったというふうに我々受けとめております。

大森委員 今そうした事実を指摘したわけで、これはぜひ調査をしていただきたいと思います。そういう本来の事業以外のところで、つまり、ダイエー再建、ダイエーの跡地と施設の利用、こういうものに利用していく、仮にそういう意図があったとしたら本当に事は重大であると思うんです。

 加えて、もう私質疑時間が終了しましたので終わりますが、大臣が冒頭言われた、確認に当たっての告示で定めている基準、文教施設、医療施設等々でいって、今十五カ所既に開設しているボートピアなどと比べても、これは遠くから見えるでしょうか、半径一キロ以内、二キロ以内、黄色いのが医療機関、文教施設が赤いの、本当に集中しているわけですね。

 ボートピア、そういう設置場所に全くふさわしくない場所だということを申し上げて、やはりこれは大臣も、今他の問題も指摘をしたわけですから、改めて、これについては申請を待つというような態度ではなくて、積極的に乗り出して御調査いただき、問題があればこれは正していただくということで、大臣の御答弁を伺って、私の次の瀬古議員に交代をしたいと思います。

扇国務大臣 今大森先生からのお話がございまして、私は、少なくとも、もしも私のところへ申請を持ってくるのであれば、今までお答えいたしましたように、文教施設だとかあるいは医療施設にきちんと距離を置いているということ、あるいはまた、衛生上も著しい支障を来さないとちゃんと規定があるわけでございますから、それを満たして、あるいは市町村できちんと賛成を得て、反対がないということが理由でございますので、私はそういう反対の理由があるということ自体も不思議だなと思っていますので、局長がよく調べると思います。

大森委員 終わります。

赤松委員長 瀬古由起子君。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 第一点について伺いますが、基準より強度の弱いコンクリートパイルの製造、それが十分検査されていないという問題についてお聞きいたします。

 最初に、最近、私あてに次のような手紙が参りました。これは今大臣のお手元に同じコピーを置いてありますので、ちょっと見ていただければと思います。これは、ある県のコンクリートパイルを製造している中堅企業に働く、その検査を担当している職員の方からの手紙でございます。

 「どこから話そうかと迷っていますが、データからわかることは、規定値より低い値で緊張している。」強度が低いということですね。「蒸気養生時間が短いときがある。一次養生が短い。これは社内では二回打ちと言っているものです。パイルを製造する型枠の数が限られているため、一日一回の製造では納期に間に合わず、短時間で蒸気養生して、一日二回製造する場合があります。自社で製造した製品に、他社のマークをしるし、他社がつくったように見せかけて出荷してしまう。以上三点が大変問題です。しかし、実情はもっとひどいもので、セメント量も少なくしたり、コンクリートの投入量も減らしたりしています。」こういうふうに書いて、そして、「出荷時にもさまざまな問題があります。ヘアクラック、」これは髪の毛程度の、肉眼では見えないような亀裂をいうんですけれども、「それぐらいであればすべて出荷してしまいます。」「例えば、亀裂というよりは、完全に口が開いて、コンクリートが裂けて、中の鋼棒や巻き線が見えてしまっている製品も、修理というよりお化粧をして出荷してしまう。良心の呵責を感じながらも、主に修理を担当してきたのはこの私です。」と書いて、そして、この「検査体制そのものが、」実際には、検査のあるときには「事前に検査月日を会社に通知をしています。」というように述べて、特に「公共事業または民間の施設の基礎にこういうパイルが使われているということは非常に重大な問題です。」こういうふうに手紙が参りました。

 私、これを見て、実はこういうデータも一緒に来ているので、これは多分現場でやっていらっしゃる方だということがはっきりしていますし、このデータを分析すれば、いかに記録で載っているのと実際が違うかということが、この中でもわかってまいります。

 これは、実は公共事業に、基礎になる部分にずっと使うわけですね。パイルが強度が不十分なまま、欠陥商品のまま使われているとなったら、これは本当に大変なことだと思うんですね。それで、もし、例えば強度が弱いという場合は、地震などの場合に、これがさまざまな問題を発生させるという問題があります。

 このコンクリートパイルの問題については、こういうかなり実態をリアルに出してきている手紙もありまして、公共事業を担当する分野でこういうことがまかり通れば大変問題だと思います。その点で、ぜひ関係省庁と連絡をとり合い、調査をすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

扇国務大臣 瀬古先生から今お手紙のコピーでしょうか、これをいただきまして、ざっと読ませていただきまして、一点、二点、三点、以上三点ですと、今先生がお読みになったことが書いてございますけれども、これはまさに不良不適格業者なんです。こういう業者をなくすために、昨年、私は公共工事の入札と契約に関する適正化法を通していただいた。

 こういう業者をなくそうというんですから、こういうことをしているんだったら堂々と名前を書いてよこすべきで、名前を書かないでこういう内部告発するようなことがあるんだったら、堂々とこれを言ってください。何千万業者の中で調べるよりも、堂々とこういうのだめですよということを言って、発信人はいいですけれども、どこの業者がこんなことをしているかと言ってくださったら、私は、そのために法案を通していただいたんですから、こういうのは不良不適格業者で、一遍に指名停止します。

瀬古委員 実際には、この製品が、それこそ規格品として通っているところに問題があるわけです。それから、こういうことが業界でまかり通っているんじゃないかという指摘があるのです。そういう点で、いかがでしょうか。

岩村政府参考人 コンクリートパイルについては、国土交通省直轄工事で使用する際は、先生御承知のように、日本工業規格、JISのマークがついていること、そういうものを使っております。

 これもよく御存じのように、工業規格では、今御指摘のコンクリートパイルについても強度基準をつくりまして、曲げ強度だとか圧縮強度などについて、それをどうやって試験するか、それからその規格、ちょっと細かい数字は抜きにしますが、そういうものが全部定まっております。では、それを外れているかどうか、今御指摘ありましたのでこれを調査しなければいけないわけですが、それはなかなか、どこと言っていただかないと。

 それから、一般的な、JISに適合しているかどうか、きちっとそういう基準のものをつくってマークを押しているかどうかの判断というのは、経済産業省の方でJISマークを管理しておりまして立入検査等々やっております。

 ですから、一番手っ取り早いのは、今大臣から申し上げたように、どこだというのがわかればそこへ立ち入って、実際、強度が足りているか足りていないか、それから試験方法が正しいかどうか、そのチェックに入るということになりますので、我々としてはJISのマークを信用するしかないというのがまず第一でございます。

 それから、それが違反しているのであれば、直ちに調査をして、そういうものを使わないというふうにすることになると思います。

瀬古委員 JISのマークがついていても、いろいろなこういう製品が出回っているという問題もありますので、これはある意味では、抜き打ちチェックだとかいろいろやっていると思うんですが、そういう点での、検査体制そのものも、本当に、これを信用するしかないのかどうか、これは調査をしていただくというか、そういう検査体制もぜひ強化していただきたいと思うんですけれども、その点、いかがですか、官房長。

岩村政府参考人 先ほども申し上げたように、経済産業省がこのJISのマークを管理しております。そういう意味で、当然、一緒になって調査するのは構わないんですが、さっき申し上げたように、たくさんの業者がおりますので、それよりは、どこであるということをきちっと言っていただければ直ちに立入検査なりができるというふうに思います。

瀬古委員 もちろん、この業者そのものもそうですけれども、業界全体がこういう危険性があるというので、やはり抜き打ち的に一定の調査体制、検査体制を強化してもらいたいと私は言っているのです。

 名前も、例えば今ここにあるように、違う会社の名前をつけて出したりしているわけでしょう。そうしたら、その会社なのかどうかというのもわからない。こういうことが事実としてまかり通れば大変なことになると思うのです。ぜひ、この点での調査と検査体制をお願いしたいと思います。時間がございませんので、これは要請をしておきます。

 そこで、名古屋の環状二号線の問題について伺いたいのです。

 名古屋の環状二号線は、名古屋市のほぼ外周部を通る約六十六キロの環状道路です。そして、現在、北回り区間、名古屋西ジャンクションから名古屋インターチェンジまで、東名阪自動車道及び海上部であります伊勢湾岸自動車道は既に開通しています。未整備の区間のうち、東部・東南部の約十五キロについて一部工事が行われています。これについて住民が、騒音とか振動、大気汚染について大変強い危惧を持っております。

 そこで、本年二月十九日から三月四日にかけて、国土交通省、道路公団及び名古屋市が環境説明会をやったんですね。そのときに出されたのが、こういう「環境にやさしい道づくりをめざして」というような中身なのです。この中に、例えば騒音の問題だとか大気の問題が出てきますけれども、これに、「環境基準を守ります。」「環境影響評価書の環境保全目標を達成できるよう努めます。」こういうふうに書いてあります。

 しかし、名古屋市は、環境影響評価書の環境保全目標は達成できるように努めますじゃなくて、きちっと守るということを名古屋市自身が言っていますし、これは本来、努力するというものじゃなくて、環境影響評価書の環境保全目標そのものはきちんと守るということを書かなきゃいかぬ。ところが、これが何となく努力目標みたいな形になって住民にばらまかれているんですね。これで住民の皆さんから大変批判が出ているわけです。

 そういう点では、環境影響評価書に書かれているようなこの環境保全目標というのは、きちんと守るということが基本じゃないでしょうか。その点、いかがでしょうか。

大石政府参考人 先生から御指摘がございました名古屋環状二号東南部の十五キロメートルにつきましては、昭和五十七年に環境影響評価を行っておりますが、その後の沿道状況や道路の整備状況、あるいは環境の予測方法が変わったために、平成十三年三月に改めて騒音、大気につきまして最新のデータ及び予測手法により照査を行い、環境対策を取りまとめているところでございます。

 この結果、騒音につきまして申し上げますと、昭和五十七年の環境影響評価では、一部高層階において当時の環境基準が達成されず、住居の防音構造化等の対策を講じる等の努力をするということにいたしておりましたが、平成十年に改正されました新たな環境基準及びこの環境基準に基づく予測手法による照査の結果では、これらの高層階におきましても環境基準を達成できることとなったところでございます。また、大気につきましては、環境影響評価時と同様に環境基準達成が可能なことを確認いたしております。

 一般的に、事業の実施に当たりましては、生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準とされております環境基準を達成することが最重要と考えてございます。そういう意味では、この路線は現在の環境基準を達成することができるということでございます。

 しかし、騒音につきましては旧環境基準、大気につきましては条例に定められました基準をそれぞれ当該道路の環境保全目標として設定いたしておりまして、これにつきましては、先ほど申し上げたような事情がございますので、達成するよう努めるというように環境影響評価書に記載させていただいたところでございます。

 このため、この目標を達成することといたしまして、遮音壁、低騒音舗装、あるいは高架の道路の裏面の吸音板、高架の裏側につける吸音板でございますが、こういったものだとか、あるいは植樹帯、特殊の吸音ルーバー等の対策を実施することといたしておりますが、遮音壁の設置等により沿道利用が制限される場合がございます。道路の利便性が低下するだとか、あるいは景観の問題、日照等の問題が生ずることがございますので、環境保全目標を達成するよう我々は具体案を提示しながら、今後、地元住民の方々と話し合いをし、その必要について合意を得、合意を得たものから実施をしてまいりたいと考えております。

瀬古委員 この環境影響評価書の内容は、例えば地上一・二メートルにおいては環境保全目標を達成するとはっきり書いてあるわけですね。それから、二階以上の住居については環境保全目標を達成するように努める、こういうふうに分けているわけです。ところが、一緒くたにして、達成できるように努めるという努力目標に変えちゃったというところにすりかえがあるわけですよ。

 その当時、二階以上の高層のところまで守れるかどうかというのは技術的にまだ十分じゃなかったんですね、随分昔の話ですから。しかし、今は、そういう環境保全目標は達成できる、守るということを、名古屋市自身も二階以上のものについても守ると言ってきているのです。これは、一定の条件つきでわずかの部分だけは努力するだったんですけれども、今はほぼ、この環境保全目標は達成するというのが基本になっているんですね。それをパンフレットでこうやって書いた。

 それで、現地ではどうなっているかというと、これを詰められて、現地の国道事務所は一カ月間検討したいということで、検討するということになっちゃったんですね。こんなの、一カ月たたなくても、直ちに、きちんと守ると名古屋市自身も言っているわけですし、実際にはそういう条件ができているわけですから、あえて、できるように努めますなどというごまかしをしないで、パンフレットもちゃんと刷り直して、守るということをはっきりさせるべきだと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

大石政府参考人 先生の御指摘は、なるほど貴重な御指摘だと思います。

 我々は、論理的な整合性、厳密性を追求する余りこのような表現にさせていただいたわけでございまして、旧の、五十七年の環境影響評価では一・二メーターのところで評価すればよかったのでありますが、あるいは一・二ないし一・五でございますが、わずかの違いでありますが、それが高層階ではなかなか難しいということであったものですからこのような表現にさせていただいているわけですが、現在の環境基準はクリアいたしておりますし、また、高層階におきましても、先ほど私が申し上げたような対策を講ずることによってクリアできる見通しがございますので、このような表現が適切であったかどうかにつきましては、先生の御指摘を踏まえて、よく検討してまいりたいと思います。

瀬古委員 ぜひ住民の皆さんには正確なパンフレットを配っていただけるように、一カ月もかからずに判断をしていただきたいと思います。

 そこで、騒音、大気汚染の予測対象時期を二〇二〇年にしています。そして、二酸化窒素や浮遊粒子状物質が十七から十八分の一にまで激減するという排出係数を採用することで数値を基準内で何とかやれるんだみたいな、そういう数合わせが実際にやられているわけですね。

 あそこは、愛知は今、万博をやるんだと、県も名古屋市も言っているわけですね。そうすると、住民の皆さんが一番心配なのは、実際には、二〇二〇年じゃなくて、二〇〇五年にどうなるかということが心配なんですね。そういう点では、二〇〇五年ないしは二〇一〇年に一定の現実的な予測は、二〇年じゃなくて、二〇〇五年、二〇一〇年、こういう現実的な予測は、シミュレーションではできると思うのですが、それは住民の皆さんに公表するということはできないんでしょうか。

大石政府参考人 通常、環境影響評価を行います場合には、予測時期を、供用開始後、定常状態、安定した道路の使われ方になる状態という時期で、おおむね二十年後を目標に設定することが多うございます。ただ、この道路につきましては、説明会におきましても、中間年でございます二〇一〇年における予測結果についてもお示しをしてきたところでございます。

 なお、御指摘の、万博が開催される二〇〇五年の予測につきましては、万博開催時に伴う交通需要の増加は、大部分が乗用車系と考えられますので環境に与える影響は少ないと考えられますものの、現在、地元住民の御理解を得るべく地元説明を行っている段階ではございますが、今後、本道路の供用時期が明確になった時点で、この供用時点での環境予測も実施し、地元の皆様方に説明してまいりたいと考えております。

瀬古委員 さらに、設計速度の問題なんですけれども、今、六十キロプラス十キロという形で、予測される走行速度について説明会でお話しなさっているんです。ところが、実際には速度は九十キロぐらいで走っている、夜中になれば百キロを超えてどんどん車が走っているという状況なんですね。

 そういう点では、地元の皆さんは、実際の速度である九十キロを基準として、プラス三十キロぐらいで何とかその予測を立ててもらいたい、その場合に騒音はどうなっていくのかを調べてもらいたいという声なんですけれども、やはり実態に応じたようにそういう走行速度の問題も考えるべきじゃないかと思うのですね。その点いかがでしょうか。

大石政府参考人 騒音の予測に当たりましては、一般的には法定速度ないし規制速度を基本に行っておるところでございますが、名古屋環状二号東南部におきましては、沿道環境の保全の観点から、将来規制速度となることが予想される設計速度六十キロメートル、それに十キロメートルを加えた七十キロメートルで予測することが妥当と判断したところでございます。

 この十キロメートルをプラスすることにつきましては、国土交通省の道路の環境影響評価の指針でございます技術基準におきまして、走行速度のとり方として、今私が申し上げましたように、法定速度または規制速度をとるということにいたしておりますが、ただし、沿道環境の保全の観点から適切な値を用いることができるという表現にさせていただいておりまして、これは十キロ程度高目に想定した速度ということにさせていただいておるところでございます。

 二十キロメートルあるいは三十キロメートルを加えて予測するということは、明らかな違法行為を前提とする予測ということになるわけでございまして、これについては、適切かどうかについていろいろな議論があるところと考えてございます。

 なお、本道路の供用区間の走行速度につきましては、私たちも実際を知っておるところでございますが、例えば首都高速におきます五号東池袋―護国寺等の状況を見ますと、規制速度が六十キロであるのに対しまして、定常状態における平均速度はおおむね七十キロメートルでございまして、規制速度六十キロプラス十キロメートルで実際に走行されている実態もございまして、このようなアセスメントをさせていただいておるところでございます。

瀬古委員 実際には、実態というのがそれぞれの道路によって違ってくると思うのですね。制限速度で六十キロといっても、プラス十キロをちゃんと計算してやられているわけですよね。そういう点で、やはりその状況に応じた形でやらないと、六十キロプラス十キロでいいぞといって基準に全部当てはめても、実際には百キロや九十キロでどんどんやっている場合に、住民の皆さんとしてとても不安だと思うのですね。その点での見直しをぜひお願いしたいというふうに思います。

 もう時間がございませんので、最後、環境省に来ていただいているのでお伺いします。

 環境省は、この環状二号線に当たって、住民の皆さんの御意見を十分聞きなさいということで、一九九七年に建設大臣に対して要請をなさっているわけですけれども、実際には、国土交通省はこの要請書に対応することなくどんどん工事を進めているというのが地元の皆さんの御意見なんですね。

 そして、ことしの五月二日に、名古屋の環状二号線問題懇談会、地元の皆さんが、これはちょっとひどいじゃないかということで、環境大臣にもさらに資料をつけて意見を提案されております。

 その点で、環境問題という点では、もっとよく住民の皆さんと話をやれるように、環境省としてもぜひ御配慮をいただきたいし、国土交通省にも環境大臣から、その当時は長官ですけれども、長官から御要望が出されているので、その点を踏まえて御見解を伺いたいと思います。

中川政府参考人 今先生御指摘の線で進めてまいりたいと考えております。

瀬古委員 ありがとうございました。これで終わります。

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十八分散会




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