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第2号 平成13年11月9日(金曜日)

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平成十三年十一月九日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 桜田 義孝君

   理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君

   理事 古賀 一成君 理事 細川 律夫君

   理事 河上 覃雄君 理事 山田 正彦君

      今村 雅弘君    木村 太郎君

      木村 隆秀君    倉田 雅年君

      菅  義偉君    田中 和徳君

      高橋 一郎君    中馬 弘毅君

      中本 太衛君    林  幹雄君

      菱田 嘉明君    福井  照君

      松野 博一君    松本 和那君

      森田 健作君    吉田 幸弘君

      阿久津幸彦君    赤松 広隆君

      大谷 信盛君    川内 博史君

      菅  直人君    今田 保典君

      樽床 伸二君    津川 祥吾君

      永井 英慈君    伴野  豊君

      井上 義久君    山岡 賢次君

      大幡 基夫君    瀬古由起子君

      原  陽子君    日森 文尋君

      保坂 展人君    松浪健四郎君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   国土交通副大臣      佐藤 静雄君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進事

   務局長)         西村 正紀君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   坂  篤郎君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    坂東 自朗君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長

   )            岩村  敬君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君

   参考人

   (都市基盤整備公団理事) 古屋 雅弘君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     菱田 嘉明君

同月九日

 辞任         補欠選任

  前原 誠司君     菅  直人君

  保坂 展人君     原  陽子君

  二階 俊博君     松浪健四郎君

同日

 辞任         補欠選任

  菅  直人君     前原 誠司君

  原  陽子君     保坂 展人君

  松浪健四郎君     二階 俊博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件




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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長岩村敬君、河川局長竹村公太郎君、道路局長大石久和君、住宅局長三沢真君、航空局長深谷憲一君、内閣官房行政改革推進事務局長西村正紀君、内閣府政策統括官坂篤郎君及び警察庁交通局長坂東自朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として都市基盤整備公団理事古屋雅弘君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。

赤城委員 おはようございます。

 私は、特殊法人改革、特に道路公団関係について伺いたいと思います。

 きょうは本会議があるということで時間が限られておりますので、簡潔な御答弁をいただければ幸いであります。

 私は、特殊法人改革について、議論が非常に混乱していると思います。それは、議論の手順がちょっと逆転しているのかな、そこら辺に原因があるのかなと思います。

 小泉総理が初めに指示したときには、まず、それぞれの特殊法人の事業の無理やむだがないか、そこを精査して、その上で、その事業を実施するためにはどういう組織形態が必要か、それについては、廃止するものもあるでしょう、民営化するものもあるでしょう、それから独立行政法人にするものも当然あります、そういうことで議論がスタートしたんですが、あれは七月ごろでしたか、総理から、まず廃止か民営化だ、二者択一だ、その上で整理しなさい、こういうことです。そうすると、初めに廃止か民営化ありきだ。となりますと、やるべき事業もできなくなってしまう、後回しになってしまう。どうも特殊法人の廃止か民営化が自己目的化してしまって、本来あるべき、事業をどうするのか、必要なのかどうなのかという、そこら辺の精査が後回しになる、本末転倒になってしまう、そういうところがあろうかと思います。

 また、独立行政法人を認めずと指示したり、国費の投入はなし、こういうふうなことで限定されますと、特に道路の場合、整備計画がありますけれども、それがおよそ達成できなくなってしまう。最近になって、それはどうもおかしいなということになったんだと思いますが、必要な道路であれば国直轄で、国費で建設することもあるべし、あるいは独立行政法人という選択肢も排除しない、そういうふうに軌道修正がされているように思います。

 これはもともと、特殊法人改革の法律上、廃止と民営化と独立行政法人とその他、そういう選択肢があったと思います。つまり、いろいろな組織形態があり得るのであって、まず、どういう事業が必要なのか、この国家経済のために、国民生活のために高速道路はどのぐらい整備されるべきなのかということを最初にはっきりしなければいけない。その上で、それを効率的に、効果的に整備するのにはどういう組織形態がいいのか、どういう方法がいいのか、そういう手順で議論されるべきだ、私はそういうふうに思っております。

 それでは、整備計画九千三百四十二キロメートルというのがあるわけですけれども、これは、国民的な議論を経て、総理も入っている審議会で決定されているという、一定の手続を経て決まっているものだと思います。また、ネットワークですから、ネットワークというのは電話とか電力とかそういうのと同じように、途中が欠けていたら、これはネットワークとしてその効果を発揮できないものであります。一定のネットワークが完成することによって、その経済的な効果が十分に達し得る。

 そういう意味で、副大臣にお伺いしたいと思いますが、この整備計画はどういう意義を持っているのか、それから、どういう経済的な重要性、役割があるのか、そこら辺のところを伺いたいと思います。

佐藤副大臣 赤城先生が今おっしゃるとおり、高速道路の整備というのは、日本全体の地域の発展に対して大きな目的を持ってやっておるわけであります。

 特に、高規格道路の一万四千キロという目標を持ちながら、今、予定路線として一万一千五百二十キロを整備しようと。この一万一千五百二十キロを整備しますと、全国、それぞれ一時間圏内で結ばれるところ、三十分間で結ばれるところ、いろいろなことが出てまいります。そういうものを早く実現しようと思ってやっておるわけでありまして、取り急ぎ、今、九千三百四十二キロという整備路線を指定して整備をしているところであります。

 このルートをつくるには、環境影響評価、ルート等に関する調査を行った後に、国幹審の審議を経まして、それから旧運輸大臣、建設大臣が整備計画を決定したわけであります。なお、環境影響評価の際には、評価書の説明会の開催や公告縦覧を行っております。

 現行の整備計画九千三百四十二キロメートルは、平成十一年十二月の第三十二回の国幹審を経てしたものでありまして、これが整備されますと、大体国土面積の約八割が一時間圏内でカバーされます。インターチェンジまでのアクセス時間が一時間以内の圏域ということでありますけれども、国土の約八割がそういうものでカバーをされる。

 さらに、人口五万人以上の都市のカバーでありますけれども、今全国で四百四十九都市が人口五万人以上の都市でございますけれども、六十一都市がまだ未達成でありますけれども、未達成地域が三十三都市になります。この九千三百四十二キロのネットワークが完成しますと、ほぼ全国をそういう面でカバーできるようになるわけであります。

 さらに、現在事業中の大都市圏の環状道路の整備などもやりまして、都市再生が図られるように、そしてまた、地方の路線の整備により、地方の個性ある活性化が図られるようになるわけであります。

赤城委員 最近、第二東名の一時休止とか、あるいはその整備のあり方について上下分離とか、いろいろなことが言われております。逐一伺う時間がありませんが、私は、既に東名高速があって、そこに並行して道路をつくる場合と、途中欠けていて虫食いになっているところと、それぞれの重要度に違いはあると思いますけれども、いずれにしても、今副大臣が言われたような、十分な議論を経て、手続を経て決まっている、そういう整備計画ですから、まずどの道路をきちっとやるのかというところをピンどめしていただいて、その上で、その道路については責任を持ってやるんだ、そういう出発点が大事だと思います。

 今後、高速自動車国道の整備のあり方検討委員会、こういうものが開かれて審議されるそうですが、その審議に当たっての基本的なスタンスを伺いたいと思います。

佐藤副大臣 本当に、先生おっしゃるとおり、これは組織論から出発する気がいたしております。やはり一万一千五百二十キロというものを見ながら全体を整備する、そのスタートを切ってやっているわけでありまして、何とかして全体をしたいという考えで今進めております。そのためには、道路の規格を少し落とすだとかということも地方によっては必要かもしれません。その全体の実現をするためにはどうしたらいいか。いろいろな工夫が必要だろうと思っております。

 その中において、今先生おっしゃったように、凍結ということもいろいろな議論として出てきていますけれども、我々は正式に議論をしているわけではございません。いろいろなことが言われているわけでありますけれども、もしもそういうようなことになりますと、いろいろな問題が出てきます。

 整備計画は環境影響評価を経ており、評価等の説明会の開催や公告縦覧を行ってきているわけであります。さらにまた、全体の約六割の区間で都市計画決定がなされております。都市計画決定をされるということは、その地域の権利が制約されるわけであります。そういうことも起きてきますし、国土の構造の骨格を形成するために、各地区の地方公共団体は、高速道路の計画をもとに、地域の土地利用計画を発表しておりますし、また交通計画等、種々の計画を練っております。これらのものが非常におかしな状態にもなってくるわけであります。

 今全国で、この高速道路の整備計画区間の中で、大きなプロジェクトが百十一カ所やっております。さらに、用地交渉もやっておりますし、地権者には六万人もの影響が出るだろうと言われております。

 ですから、凍結をすると重大な影響が出てくるということであります。

赤城委員 終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 本日、本会議の都合上、答弁の方は簡潔にお願いいたします。

 次に、河上覃雄君。

河上委員 十分でございますが、なるべく五分程度で終わりにしたいと思いますので、答弁も簡潔によろしくお願いいたします。

 きょうは、自動車事故対策センターによる介護料支給制度について質問をいたしたいと思います。

 自賠責保険料の運用利子を財源といたしまして、自動車事故によって頭部または脊髄に損傷を受け、常時介護を必要とする重度後遺障害者を抱える家族の精神的、肉体的、経済的負担の軽減を図るために介護料を支給するものとなっております。これまでは、常時介護が必要な重度後遺障害者の中でも、特に最重度の被害者を対象に介護料を支給してまいりました。しかし、今後は、労災保険制度を参考にいたしまして、常時介護または随時介護が必要な被害者すべてを対象とし、支給範囲の拡大が行われることになっております。

 そこで、介護料支給制度の改善について二つだけ質問をいたします。

 まず第一点目に、介護料の支給に関する障害認定は、労災保険法の障害認定を基準としておりますが、現在用いられている診断書は頸髄損傷のみ記載することとなっておりまして、それ以外の胸髄や腰髄の脊髄損傷は対象から除外をされているわけでございます。このため、労災保険による障害認定と全く異なった認定結果を生ずることとなり、本来介護料の支給を受けることができる障害者が受けられない事態が生まれているわけでございます。

 このような事態を解消する必要があると思いますし、この解消のために障害認定に関する見直しを早期に行うべきだと私は考えますが、国土交通省の御見解をいただきたい。

泉副大臣 御指摘のように、今日の事故対策センターでのいわゆる様式には含まれていない部分がございます。これは、専門委員の検討結果で形式を定めたものでございますが、御指摘の胸髄あるいは腰髄につきましても対象になりますように、様式を改めて見直してまいることにいたしたいと思います。

河上委員 それでは、もう一点。自損事故等によりまして後から障害認定を受ける場合に、事故証明が必要とされます。現在、自動車事故対策センターでは、警察の事故証明がない場合でも、裁判記録、救急搬送記録、警察の事故現場記録等については事故の証明として認められております。これに加えて、そのほかにも自動車事故を証明するものについて同様の取り扱いをされるべきであろう、こう私は考えるものでございますが、この点に対する御見解をちょうだいいたしたいと思います。

泉副大臣 警察による交通事故証明が発行されていないような場合でも、例えば救急出動の記録等、これに類する自動車事故ということが明確にわかるものであれば、御指摘のように、これを取り上げて対応させていただく所存でございます。

河上委員 自動車事故の被害者の保護の充実ということは、さきの通常国会の自賠責法改正の本委員会での附帯決議の第一番目の項目でございます。したがいまして、これらの諸問題につきましてしっかりとお取り組みをいただくことを強く主張申し上げまして、質問を終わります。

 以上でございます。

赤松委員長 松浪健四郎君。

松浪委員 おはようございます。保守党の松浪健四郎でございます。

 高速自動車国道の整備についてお尋ねさせていただきたいと思います。

 今、今後凍結すべきであるとの意見が官邸筋やマスコミなどから声が大きく出ております。さらには、文化人や作家などが勝手な案を吹聴している、けさもラジオで聞きましたけれども。

 高速道路の整備計画は、総理をヘッドとする国幹審の議を経て国の方針としてほんの二年前に決められたものであります。これを前提に、地権者の方々には用地買収に御協力をいただき、自治体においては地域開発プロジェクトを進行させております。

 高速道路の整備を進めることは政治の責任であります。事業の突然の凍結や中止は、地元で大混乱を招くとともに、地域経済へ未曾有の悪影響を及ぼすものと考えます。しかも、政治不信に拍車をかけることになるのではないのか、このような心配をするものでもあります。都市に住む人は、もう高速道路は要らない、しかし地方に住む人は、まだまだ必要ではないか、こういうふうに思います。

 なぜソ連軍はアフガニスタンで勝てなかったか。立派な戦車を持ちながら勝てなかった。道がなかったからであります。日本をアフガニスタンにしてはならない、こういうふうに思いますが、今まで私が言いました質問について、国土交通省の見解を賜りたいと思います。

佐藤副大臣 今、現在整備中の高速道路を前提に、全国百十一カ所で地域開発のプロジェクトが動いております。総面積二万三千ヘクタールにも及んでおります。総事業費は二十一兆円です。これらのプロジェクトで大体十万人ぐらいの雇用を予定しております。さらに、整備中の区間、四十二都道府県でございますけれども、市町村数は三百十九を数えます。ここに関係する地権者は六万人おります。さらに、整備中の区間を前提とした地域開発プロジェクトが百十一カ所、これは先ほど申し上げました。

 ですから、これを凍結しますと相当大きな影響が出てきます。雇用に対する影響、さらに、プロジェクトが前に進まないという影響が出てくると思われます。

松浪委員 事業の凍結につきましては、不採算路線を見直すという話を聞きます。今後整備は、予定されている交通量や採算性だけで道路整備を判断すべきではないと考えます。災害対策、地域の活性化、均衡のとれた国土の発展、これらを考えたときに、後ろ向きになってはならない、このように思います。国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。

佐藤副大臣 先生おっしゃるとおりでありまして、例えば東京の外郭環状なんというのは、非常にお金がかかりますけれども、二十三区内の交通量の一四%に相当する通過交通の分散を図る上で不可欠な道路でありますし、また先生の地元の近畿自動車紀勢線なども、三重、和歌山なんて非常に不便なところですが、あれがずっと回りますと非常に地域間の交通が便利になります。そういう意味で、地域の活性化というものを十分に頭に置いて高速道路というのは整備をしなければならぬものだと思っております。

 以上であります。

松浪委員 終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 津川祥吾君。

津川委員 民主党の津川祥吾でございます。

 まず最初に、ことしの六月に国土交通省の方が案として出されました二十一世紀国土交通グランドデザインについて御質問申し上げたかったわけでありますが、主に大臣にお答えをいただきたい質問でありましたので、大臣まだお見えでありませんので、その次の質問からさせていただきます。

 本日の議論の中にも若干出てきたかと思いますが、ただいま、いわゆる公団、日本道路公団を含む四つの道路公団についての改革案云々というものが、主にマスコミでありますが、多くの議論になっております。

 そういった観点から、私は、その公団の中の一つでありますが、本州四国連絡橋公団について、若干事実関係の確認等させていただきたいというふうに思います。

 まず、今、国土交通省として、この本四公団、本州四国連絡橋公団について、現状をどのように認識されていらっしゃるのか。償還計画、現在の収支等々でございますが、これは一応大臣にお答えをいただきたいという質問をさせていただきましたが、私としては、これは少なからず、大きな問題点、あるいは問題意識というものをお持ちではないかというふうに思っております。

 そこで、あわせてお答えをいただいても構いませんが、国土交通省としてどのような対策、あるいは改革と申し上げてもよろしいかもしれませんが、そういったものを考えていらっしゃるのか。あるいは、その必要はない、このままでよいというふうにお考えであれば、そういった御回答もあろうかと思いますが、その辺の御見解をお願いいたしたいと思います。

佐藤副大臣 本四橋に対しましては本当に御心配をかけておるわけでありまして、平成十二年度の財務状況は、管理費が二百四十八億円であります。ただ、これを上回る料金収入が八百六十九億円あるわけでありますけれども、約三兆八千五百億円の借入金に伴う利払いが千三百七十九億円ありまして、これは収入を超えておるわけであります。そして、当期の損失金が七百五十八億円発生しております。このため、平成十三年度政府予算において、これまでの出資金八百億円に加えまして、新たに無利子貸し付け八百億円を措置したところであります。

 これにより有利子債務が減少して償還が可能になるとの見通しを得ているところでありますけれども、本四公団の利用交通量を見ると、景気の低迷などを受けまして非常に伸び悩んでおるわけでありまして、今、いろいろな改革、特殊法人の改革等言われておりますけれども、そういう中において、将来に向けていろいろと頭を悩ませながら考えておるところであります。

津川委員 今の御答弁によりますと、問題意識、危機意識はあるけれども、まだ具体的な対策というものは検討中であるというようなお答えであろうかと思いますが、今挙げていただいた数字だけ挙げても、かなり危機的な状況であろうかと思います。単年度で利払いだけで大赤字になってしまうというような状況です。そういったようなことから考えますと、この議論はかなり早急に結論を出していかなければならない問題であろうかと思います。

 他の、日本道路公団あるいは首都高、阪高というものも当然今議論をされているところかもしれませんが、特にこの本州四国連絡橋公団については、先行して結論を出していかないとかなり大きな問題になる。最終的にはやはり国費の投入というものも避けられないのではないかということも考えておりますし、またマスコミ等を見ますと、そういった政府の、今のところの、当然まだ決まっていないことかもしれませんが、そういったようなニュアンスの発言もあるようであります。

 そこにつきまして、特に行革担当大臣の発言もよくマスコミ等で伺うものですから、そちらの方での見解をお伺いしたいと思います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 本州四国連絡橋公団も含めまして、特殊法人の改革につきましては、年内十二月に整理合理化計画をつくるということで努力をしております。特に本州四国連絡橋公団等七つの法人につきましては、総理から、その他の法人に先駆けて今月中に実質的な結論を出すようにという指示を受けて、今鋭意努力をしておるところでございます。

 行革推進事務局といたしましては、ことしの八月に、各法人につきまして事業見直しの考え方を公表しておりまして、本州四国連絡橋公団につきましては、極めて長い償還計画を置くことは不安定であり、債務の償還計画を抜本的に見直すべきではないかという指摘を行っております。

 同公団の改革につきましては、国土交通省など関係方面と十分議論をして、十二月の計画の策定に向けて努力をしてまいりたいと考えております。

津川委員 今検討中で、まだこちらも具体的なことは出せないということのようでありますが、行革担当大臣は、私がマスコミで、つまりテレビのニュースを見た限りでは、本州四国連絡橋公団は大変だ、大赤字だ、その単独での改革といいましょうか民営化というものは難しいんだというようなことまでおっしゃっておられたかと思います。それで、その問題については、他の地域の路線、例えば、東名とおっしゃっていたかと思うんですが、東名ですとかそういった大変優良な黒字路線と抱き合わせにして改革をすれば国費の投入はなくて済むんだ、国費の投入をするのは国民の納得が得られないんじゃないか、理解が得られないのではないかというような趣旨の発言をされていたかと思います。

 それは何となくわかるんですが、私は、間違っていると思います。なぜかと申しますと、私は静岡の人間だから言うわけではありませんが、東名の利用者は、ここはとっくに償還が終わっているんだろうけれどもな、約束であればもうとっくに無料化してもらいたいんだけれどもなと思いながら利用されている方がほとんどだと思います。それでも、いずれは無料化されるんだろうというようなことで、今されていると思います。

 改革がされるのであるならば、結論がまた変わってくるということもあろうかと思いますが、本四連絡橋の建設費ですとか、あるいはその建設費に伴う利子の利払いを、なぜ東名の利用者がその利用料金で払わなければならないのか。それは、私は全く合理性はないと思います。

 国が、この橋は必要だ、本四連絡橋は必要だということを判断されて建設をされた、これはそれなりの理由があったからであろうかと思います。需要予測が残念ながら下回ってしまったとか、いろいろな事情があったかもしれませんが、結果として、これだけ大きな債務がさらに膨らんでいる、拡散しているような状況であって、それを何とかしなければならないのは確かにそうですが、それはやはり残念ながら国が責任を負わなければならないところであって、その国費の投入を別のところから持ってくることによってあたかも国費の投入をしていないかのような、そういう判断は非常に大きな間違いであろうかと私は思います。

 確かに、国民はそこに税金を投入するということにはかなり大きな抵抗をされるかもしれません。なかなか理解できないというような話になるかもしれませんが、だからといって、わからないように他の路線の料金に上乗せをするというやり方はとるべきではないと私は思います。大臣がそのような発言をされていたように伺いましたので、一言申し上げたいというふうに思います。

 それで、償還計画についてであります。

 大臣、お疲れさまでございます。今ちょっと本四連絡橋公団についてお話をさせていただいております。

 償還計画が一応出ている中で、私は、非常にこれはなかなか実現は難しいんじゃないかなというふうに思っております。

 それに関連しまして、橋梁の耐用年数について、ちょっと技術的な話になりますが、どのように想定されてつくられたのか。今現在、つまり何年までもつのかということでありますが、ちょっとこの技術的なことについて数字を示していただければと思います。

大石政府参考人 橋梁の耐用年数についてお聞きでございます。

 本州四国連絡橋の設計は、百年の耐用年数を想定いたしております。例えば、風や地震などの荷重の大きさや、繰り返し荷重を何度受けるかといったようなことが耐用年数に大きく響くわけでございますが、そういった荷重による疲労設計は、百年の耐用年数に対して安全になるように設計されているところでございまして、維持管理を適切に行えば、百年以上の耐用年数を期待することは十分可能だと考えております。

津川委員 隠してもしようがないので言いますが、私、もともとゼネコンにおりまして、橋脚の担当も若干させていただいたことがあるわけですけれども、その当時の仲間の専門家に聞いても、ちょっと調べてもらったのですが、よくわからぬと。国内の橋梁で、設計上、何年で設計しているかよくわからぬと。つまり、それを示す書類がない。アメリカですとかEUですとかイギリスは、たしか八十年、百年、百二十年、それぞれ数字を表に出しております。日本はそれがどうも具体的なものになっていないのでよくわからぬという話でございましたので、私も今後勉強させていただきたいものですから、どこに百年というふうに示されているのか、ちょっとその根拠を示していただきたい。

 今、適切な補修、改良をされれば百年もつという話であろうかと思いますが、それは、日常使っている路面の補修とは明らかに違う話であって、橋梁そのものの補修に関しては、今後かなり逓増していくものも出てくるかと思います。その辺をどういった形で想定されているのか。これはまさに償還計画に非常に関係してくるものですから、具体的なものをぜひ示していただきたいと思います。

大石政府参考人 耐用年数に関しましては、幾つかの考え方、基準がございます。

 例えば、大蔵省令によります構造物の耐用年数という考え方が示されておりまして、土工部分でありますとか、コンクリート橋、鋼橋、トンネルごとにそれぞれ耐用年数の考え方が示されております。鋼橋でまいりますと、金属製のものにつきましては四十五年であるとかというような考え方も示されております。

 しかしながら、道路橋に関しましては、道路橋の示方書の中で超過確率の考え方を入れました耐用年数を採用いたしておりまして、例えば道路橋の風速による耐用年数で申しますと、再現期間を百年とりまして、五十年の非超過確率が六〇%となるような強度で設計いたしております。本州四国連絡橋でございますと、陸上部の橋梁にその考え方を適用いたしておりまして、本四基準でございますと、風速及び地震に対しまして百年の非超過確率五〇%、再現期間百五十年という考え方をとってございます。

 また、先ほど申しましたように、また先生御専門家でいらっしゃいますのでよく御存じのとおり、耐用年数は疲労で決まってまいります。どの程度繰り返し荷重を受けるのか、それの累計が何百万回になるのかということで決まってくることが多うございますが、本四の道路橋、鉄道橋の併用部材につきましては、その疲労の照査におきまして百年の繰り返し荷重に耐えるというようなことで設計をいたしております。

津川委員 百年という話は、今幾つか元データも入れて説明をいただきましたが、その中についても実は幾つかさらに質問させていただきたいのですが、時間もないので、また今度にさせていただきます。

 また、耐用年数、後ほどになれば当然補修費が上がってくるということについては、今余りはっきりとはお答えいただけなかったかと思いますが、申しわけございませんが、これもまた後日質問させていただきます。

 それで、この本四連絡橋に限った話でありますが、今なかなか収益が上がっていない。予定どおりの交通量がない。予定どおりの交通量ですとか、あるいはそれを上回る交通量があれば、何とか償還も計画どおりいくのかと思います。

 そこで、経済効果。一つの例としては、収益という考え方だけではなくて便益という考え方をすれば、地域経済に与える効果は非常に大きなものだから、費用対便益を考えれば、この本四連絡橋もかなりの大きなプラスであるというような報告もなされているかと思いますが、この周辺地域への橋の経済効果がどの程度あるというふうに今計算をされているのか。

 またさらに、この周辺関係自治体においてそれだけ経済効果があるのであるならば、その自治体の税収アップにも当然かなり反映されているのではないかなというふうに思うものですから、その辺、はっきりとあらわれているものがあるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

大石政府参考人 本州四国連絡道路の有料道路主体としての採算性の話は先ほど副大臣から御説明したとおりでございますが、それ以外に、架橋によるいろいろな経済効果があらわれております。

 例えば、架橋による自動車交通量の変化を見てまいりますと、本州―四国間の交通量が、架橋前の昭和五十九年度、これはフェリーのみでございましたが、それと三ルートが概成いたしました平成十一年度の比較で約二・六倍に増加いたしておりまして、これは全国の流動量の倍数、一・五倍に比べまして大きく上回っているものでございます。

 この効果を平成十二年度の交通量をもとに試算いたしますと、移動に要する時間の短縮効果、時間便益でございますが、約一千六百億円等、合計約二千五百億円程度の便益効果をもたらしているのではないかというように考えております。

 また、仮に本州四国連絡橋がなかった場合と比べました県民総生産の押し上げ効果を平成十二年度で想定いたしますと、香川県で約一千三百六十億円、徳島県で一千八十億円、関係八府県では八千九百億円、全国では一兆二千億円の効果をもたらしていると考えているところでございます。

 これらの効果は非常に大きいものがございます。関係八府県の県内総生産が全国の県内総生産に占める、GDPと言っていいと思いますが、これの比率を見てみましても、昭和六十二年度、架橋前の約一八・三%から平成十年には一八・六%と〇・三ポイント増加いたしておるところでございます。

津川委員 お答えがなかったので、多分税収の方はわからぬというお答えではないかなというふうに解釈をさせていただきますが。

 それだけ効果があるというのであるならば、関係八県あるいはその自治体に関して相当の経済効果、税収効果もあるはずですから、今後、ここの処理の問題、国費投入になるかどうかはまだこれからの議論でしょうが、国だけではなくて、関係自治体にそれだけの恩恵を与えている橋なんですから、当然その地域の方々にも負担をしていただかなければならないであろうかと思います。そんなことはないということが逆に関係自治体からあるかもしれませんが、そうであるならば、この効果という数字そのものが私は疑わしいのではないかなというふうに思いますので、わかれば、また後で教えていただければと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたが、大臣に質問させていただきます。

 二十一世紀国土交通のグランドデザインについてということで、ことしの六月にそのデザイン案が提示をされました。私は、これは大変すばらしいことだと思います。実際、こういったものを示した上で、それでは道路はどのぐらい必要なのか、空港はどのぐらい必要なのかというようなものを一つ一つ落とし込んでいくということが議論の順序としては当然のことであろうかと思います。

 これまでこういったものがなかったわけでありますから、大変画期的な試みであろうかなというふうに思いますが、今現状どんな感じになっているのか。今後のスキームとしては、十三年度末には最終的なデザインを提出されるということだそうでありますが、現在どういった状況か、御説明をいただければと思います。

扇国務大臣 質問があったのに、閣議があったのでおくれて参りまして、失礼をいたしました。

 今の御質問ですけれども、私は今入ってまいりまして、たまさか先生が本四架橋の話をしていらっしゃるのを拝聴しておりまして、もともと私は、日本全土、特にことしは二十一世紀に入りましたので、二十一世紀末ごろには日本はどうなるのかなという、そういうものが国民の皆さん一人一人に全部目に見えるものがなければいけない。それが、私が二十一世紀の初頭にグランドデザインをつくりたいと昨年から願ったことでございます。

 今の本四架橋のお話、続いていましたけれども、それとても、本四架橋が何年になったらできるのかなと、ずっとこれ年数を追って皆さん思っていらしたんですね。ですから、国土交通省になりましたので、旧建設、旧運輸、北海道そして国土庁と、四省庁統合しましたから、今までは、例えば大きな分け方をしますと、運輸省と建設省の施策というものが両方から出されて国民の目に見えていなかった。そのために、両方の施策を、現在、十年後、将来というふうに重ね合わせますと日本全土の様子がわかってくる。例えば、むだをなくそうというときに、港があって、そして駅まで遠いとか、あるいは結節道路につながっていないとか、そういうことが、地図の上に明らかにしますと全部見えてくるわけですね。

 それで、私は、初めてこれをつくらせていただいて、二月から四月まで、国土交通省になりましたので、全国十ブロックに分けまして、全国の知事さんにブロックごとにお集まりいただいて全国の地図をお見せいたしました。そういうことによって、私は、そのブロックごと、十に分けたブロック、例えば九州なら九州一つですけれども、九州一つでどこに集中的な公共工事を投入すれば全体の社会資本整備が上がってどうなるかということを地域の皆さんで考えてくださいと。これが私がグランドデザインをつくった大きな意義でございますし、また、今おっしゃってくださいましたように、六月の二十九日に、まず第一回で、全国の公共工事のありよう、どこに港をつくり、駅をつくり、飛行場をつくる予定があるか、これをお示ししたというのが、私の第一回のグランドデザインを発表した根拠でございます。

 そしてこれを、私は、十のブロックにしましたので、地方分権といいますけれども、問題は地方の皆さん方に予算を直接お渡しして、そのブロックでどう配分してくださるか、そして公共工事の順序はどうしていくかということが地域の皆さんで話し合える材料になる。そういう意味で、私は、これがもし役に立ち、また、七月から二カ月にわたりまして、これを全部インターネットで公表しております。これはどなたでも見ていただけます。今、大体千五百件ぐらいの御意見をインターネットでいただいております。

 ですから、そういう意味では、私は、これによって国民の皆さん方の希望、その地域の要望、そして、それをもとに地域の首長さんたちがこうしようという、本当にまだ、どこからとは言えませんけれども、それぞれの地域で選択していただいて、一緒になって二十一世紀の国土づくりに資する基本になっていただければありがたいと思って、今御意見をいただいているところでございます。

津川委員 今の大臣のお話を伺っておりますと、私ども民主党が言っている地方交付税の見直しと一緒じゃないかなと思うものですから、ぜひそういった形でやっていただきたいと思うんです、そこまで意識されたかどうかわかりませんが。

 グランドデザインの内容、ちょっと私もインターネットで全部見させていただきました。現行の制度、手法、財源を前提としてまずつくって、国土交通省の公共事業改革への取り組みやPIを通じ見直しをすると。それで、年度末にグランドデザインを、二〇〇一年度版を作成、公表するという手順であろうかと思います。

 ちょっと今これ以上質問できませんが、つまり、国土交通省自身の公共事業改革への取り組みというところが実はまだ余りよく見えておりませんのが現実です。それから、PIに関しましても、すべて公表して全国から千五百件ですか、千五百件は私は少ないと思います。はっきりと、これをどのくらい公表されたのか。どこの地域からも欲しい欲しいという話だけ集めてもこれは意味ないわけでありますから、どこを優先してどこを後回しにするかという話が重要であろうかと思いますので、今大臣おっしゃった手順あるいは考え方、大変すばらしいと思いますので、この内容についてぜひもう少し公表をしていただく。あるいは、これから地域の自治体の長の方と議論もされるようでありますが、そこで欲しい欲しいのオンパレードにならないように、じゃ何が本当に必要なのかというところの順位づけについて、ぜひとも本格的な議論に入っていただきたいと思います。

 それで、道路整備を含めた公共事業、公共事業全体に対しても今優先順位というものをつける時代であろうかというふうに思います。そこで、高速道路に関しても、必要な事業は進めるにしても、不要と判断されるようなものは当然中止の判断をするべきであろうかと思いますが、ちょっと大臣の御見解をいただければと思います。

扇国務大臣 少なくとも、行政改革の基本、そして、小泉内閣が誕生いたしまして、聖域なき構造改革とか改革なくして成長なし、こういうものは何のためにするか。それは、今おっしゃった、真に国民のためになる税金の使い方をしようということになるわけでございます。

 高度成長期、多くの皆さんが、右肩上がりでどんどん箱物をつくり、あらゆる公共工事をしてきました。けれども、今の二十一世紀の現在の経済の現状からすれば、やはり限度がございますので、右肩上がりの、税収も多く、成長期にあったあの当時に計画したことを見直さなければいけないというのは、私は皆さんわかっていらっしゃることだろうと思います。

 そのために、現在の経済状況では、ちまたでは、合併が起こり、そして失業が起こり、五・四%という失業率まで出している中で、では、いただいている、お預かりしているこの税金をどこにどう集中して投資すれば一番経済効果が上がるか。それをやはり考えていくというのが、今の現状で私たちが苦しんでいるのはその意味でございますので、今どこにどうということを言うのではなくて、これが国会の中でこうして御論議いただくときに、これはむだではないか、これはこうではないか、これは経済効果が上がるよと、それぞれの地域から出ている先生方が御論議いただいていることが、私はまさにこの行政改革と公共工事の選択の大きな材料になると思って、私は委員会に出させていただいております。

津川委員 実は、今の質問は、公共事業全体ではなくて、高速道路についてもという質問をさせていただいたんですが、不要なものがもしあるのであるならば、それはもう早急にやめなきゃならないと思いますが、私は基本的に、基本計画であれ整備計画であれ、今出されているものは、国としては、少なくともすべて必要だと判断されたから出されているんだと思います。不要だと思うものがあるならば、それはもう即やめていただきたいと思います。

 そうではなくて、問題は優先順位だと、そこで議論が必要だという大臣のお話ありましたが、問題は、その優先順位の基準です。採算性ですとかあるいは経済効果ですとか工事の今の進捗状況ですとか、当然、国の財政の問題もあろうかと思います。用地確保の問題もあろうと思います。地域においては、代替機関の有無にも影響されるでしょうし、災害対策というようなものもあろうかと思います。そういったものをある程度絞った上で、つまり、これとこれとこれで議論するんだということをしない限り、結局、どこにとっても必要だ必要だという話をすれば、どこだって必要なんですから。その中で、ではどれを優先するのかという基準をはっきりさせていただきたいのがまず重要だということ。

 済みません、時間がなくなったので飛ばさせていただきますが、新聞報道で若干見ました建設費上限方式というものがあり得るのではないかという議論であります。それもあるかもしれません。それは財政の範囲内でという話であろうかと思います。

 その中で、これは新聞記者が勝手に書いたのかもしれませんが、第二東名が有力であるというような書き方をされておりました。それは、やはりおかしいんじゃないかなと思います。第二東名はお金がかかるからやめてしまえ、ほかが優先だと。これは私が静岡だから言っているのじゃありません。そうではなくて、つまり、本当に必要かどうかで議論していただきたいということでありまして……(発言する者あり)本音が出たとか言わないでください。そうではなくて、優先順位はやはりしっかり出すべきだ。その基準の中で第二東名は後回しでもいいですよという結論が客観的に出れば、これは地域の方も納得されると思うんです。それがない中で、よくわからない基準で、いや、ここには有力な代議士がいるからみたいな国民の議論がされると、非常に我々国会議員としてはつらいものがありますので、そうではないんだというところを出す必要があろうかと思います。

 大臣として結論を出されるときも、必ず、ここが優先というのであるならば、これはその後回しというものが出てきます。その判断は非常に厳しいものになろうかと思いますが、そこを今必ずやらなければならないんだということを、かなり強い決意を持ってやっていただきたいと思います。くれぐれも、私は第二東名だけをつくれと言っているのではないということを御理解いただきたいと思いますが……(発言する者あり)いや、そういうわけではありませんので、ということです。

 それから、これは高速道路だけではなくて、一般有料国道もそうですし、あるいは空港なんかもそうであろうかと思います。空港が必要だという議論はもちろん当然そうでありますが、今あるものをどれだけ有効に使うかというような議論も当然必要であろうかと思います。

 例えば、今滑走路が一本しかないけれども、何とか二本にしたいというようなときにも、例えば滑走路一本の処理能力がどこまでなのかということも精査をし直すということも多分必要であろうかと思いますので、ぜひともその辺のところをはっきりと判断基準を示していただいた上で、客観的な議論をさせていただきたいということで、大臣の最後の見解をお伺いいたしまして、終わりたいと思います。

赤松委員長 扇大臣。恐縮ですが、時間が終わっておりますので、簡潔にお願いします。

扇国務大臣 簡潔に言うには難しい問題ではございますけれども、公共工事の優先順位をつけるときの基準はどうかというお話でございまして、基準というものは、御存じのとおり、十四年度概算要求のときに皆さん方に御披露したとおりで、都市再生、環境、そして少子高齢化社会が来る、そういうことに対して重点七項目ございます。

 七項目ございますが、もう時間がありませんから、おわかりだと思いますので、こういう重点七項目を基本に置いて、私たちは、先ほど申しました四省庁を統合したメリットを生かして、より効率的に、そしてコストを削減しながら、民間の皆さん方の需要の創出、民にできるものは民にというこの基本原則をしながら、私たちは、費用対効果を上げていくということを考えたいと思います。

 公共工事に関しましては、我が国の利便性だけではなくて、日本全体が国際の中で、世界の中でどう生きていけるか。

 空港のお話をなさいましたので、そういう意味でも、私たちは、日本が世界の中で、特にアジアの中で既に空港自体もおくれているということに、どの程度でテンポを合わせていけるか。日本は一本しか滑走路がなくても、仁川では四千メートル級が四本もできる。そういう時代ですから、ひとり日本が取り残されない、国際的な競争に勝ち得るような原則の公共工事の順位を決めていく。それも大きな課題だと思って取り組んでおります。

津川委員 ありがとうございました。

赤松委員長 菅直人君。

菅(直)委員 きょうは、我が党の質問時間の中で少し時間をいただきまして、従来から何度か大臣とも議論しております川辺川ダムについて、多少緊迫した状況がありますので、質疑に立たせていただきます。

 今月の四日、五日、人吉に行ってまいりまして、いろいろな漁業関係者にもお会いをいたしました。また、現地の国土交通省の工事事務所所長初め、話をいろいろ聞きました。そういう中で、今お手元に、いろいろな資料があったんですが、なるべくわかりやすいものと思って、十一月五日付の、これは西日本版でありますが、毎日新聞の一面トップ、ここに書いてありますように、川辺川ダム不要の代替案、専門家のあるグループが、いろいろな、これは国土交通省から出ている水量等をベースにして、そして堤防のかさ上げで十分治水はできるんだということを代替案として提示をいたしました。

 私は、現地の事務所の所長に、この案はどうなんだ、技術的に見てどうなんだと問いましたら、経済的とか社会的に見ればいろいろダムの方が有利な点があると思うけれども、技術的にはこういうやり方も十分考えられるというか、それで治水効果があるということは否定しないということが現地の所長の返事でありました。

 この点、大臣、こういう代替案の存在はよく御存じですか。

扇国務大臣 申しわけないですけれども、今初めて拝見しました。私は四、五と沖縄へ行っておりましたので、この新聞は見ておりません。

菅(直)委員 沖縄だと、もしかしたら、これは西しか出ませんでしたので。しかし、私は質問通告をしているのに、大臣にちゃんと説明していないというのはどうかしていますよね、きょう川辺川について質問するということを言ってあるわけですから。

 では大臣に、技術的に言えば堤防のかさ上げで大洪水が防げる、こういう議論について、真正面から、そうであるかないか、あるいはその場合にどちらが有利か、きちんと比較対照した議論をしていただけますか。

扇国務大臣 新聞記事ではございませんで、かさ上げの話は報告を聞いております。

 それは、一・五メートルでいいという話に、それが二・五メートルでないといけないという、どこに原因があるのかというのは、私は私なりに役所で相談をいたしました。私は、こういう新聞に出ているのは知りませんでしたけれども、これは皆さん方がお出しになった数字だと思って役所で聞いたものですから、新聞記事ではなくて、皆さん方が民間団体で報告書をおつくりになったという話を聞きました。それは人吉の、御存じのとおり、堤防一メートル程度でかさ上げすればこの洪水が防げる、川辺川ダムを建設しなくても人吉市の洪水を防御できるというお話が報告書の中に書いてあるということでの論議をいたしました。

 そのときには、御存じのとおり、私たちは、一地点の、一つのところだけでの川幅ですとか深さ、あるいは洪水時の、洪水の状況、あるいは流れの速さ等々を、一地点だけで見ればそういうこともあり得るかもしれないという話は私も聞きました。けれども、実際には、河川は、各地点ごとで流れの速さとかあるいは水流の勢いとか、そういうものを全部の地点で考慮しなければ日ごろからの河川事業というものが成り立たない。そういうことで、川辺川のダムがない場合に、洪水時の水位を正しい方法で算出するというのが国土交通省の大きな役目であろう。

 私は去年の名古屋を経験しておりますので、そういう意味で、河川局の皆さん方の、川辺川全体での人吉市の堤防を、一メートルじゃなくて、二・五メートルにすることによって、これは二十キロメートルにわたってかさ上げをしなければ完全に人吉市の水害を防御することができないという報告を聞きました。

菅(直)委員 ですから、いろいろ報告を聞かれるのは結構なんです。川が、一部だけ堤防が高くても低いところがあれば流れ出るのは当たり前ですから、そんなことはもう常識の範囲です。しかし、こういう提案が出て、専門家が見ても、ある程度の、一つの検討に値するという見解も出ていますから、今の川辺川ダムの計画とこの計画を、どちらが経済効率やいろいろな水質の問題などでいいか、きちんと比較検討をしてくださいと、そのことについて大臣の見解を聞いているわけですから、わかりましたと言っていただければそれで結構なんですが、いかがですか。

扇国務大臣 私は、検討材料の一つであるということはわかりました。

菅(直)委員 そこで、もう一つの資料をお届けいたしております。それは「くまがわ漁報」という資料。

 これは、漁業補償金の交渉を国土交通省とやっている球磨川漁協のたしか十月の漁報でありまして、この十四億プラス二億五千万、約十六億五千万で承認いたしましたと、こういうふうなことを漁業組合の組合員に知らせているわけですが、この漁業補償案を承認したと、逆に言えば、国土交通省からいえば、交渉委員会ではありますけれども、合意したということ、そういう認識ですか、大臣。なるべく簡便に言ってくださいね、イエス、ノーで。

扇国務大臣 イエス、ノーで言えば、合意したということには至っておりません。

菅(直)委員 では、まだ合意はしていないということですね。(扇国務大臣「そうです」と呼ぶ)わかりました。それなら結構です。

 そこで、まず、この相手なんですけれども、球磨川漁協に対して、もう一つ、これまでの交渉に関する経過概要というのがお手元に行っていると思いますが、そこの中ごろから後に、熊本地裁が、平成十三年、ことしの六月に、この漁協に対して、いわゆる総会を拒否しているのは法律違反だということで過料を科した、この事実は御存じですか。

扇国務大臣 知っております。

菅(直)委員 つまり、この漁協は、昨年の九月の一日に二つの議決をいたしました。一つは、新しい監事等の選任であります。もう一つは、補償交渉委員会の設置であります。その二つの議決に対して疑義があるということで、ちゃんと法律に基づいて総会を開くようにと申し入れたわけであります、もちろん漁民がですね。

 それに対して、法律上でいえば、正規の手続がとられて二十日以内に開くということが決まっているにもかかわらず、半年以上たっても開かない中で、今大臣が知っておりますと言われました、熊本地裁がそういう運営はおかしいということで、違法だということで過料を決めた。県の方も指導しております。

 つまりは、この団体は、運営上、違法な運営をやっている。さらに言えば、その交渉委員会は、そういう違法な運営をやっている中で、問題でありながら、そのまま、いわば総会を開かないで交渉を続けた、こういう経緯になっているわけです。

 そこで、大臣にお聞きします。

 こういう、運営が違法状態にある、しかもその交渉委員会そのものが問題になっている団体と交渉することは、税金を使った補償交渉としては適切じゃないんじゃないでしょうか。

扇国務大臣 今、菅先生がおっしゃいまして、ここにも、私、今いただいた経過概要というのも拝見しておりますけれども、これは、補償交渉の相手として、今、先生が正規の交渉権を有する者と行うことが前提であるというお話をなさいましたけれども、今の判決の中でも補償交渉委員会が違法であるということは言われていない、私はそう思っています。

 また、現在、国土交通省が交渉相手としております漁協の補償交渉委員会につきまして、御存じのとおり、十二年の九月の一日でしたか、漁協総代会において、これは賛成五十八、反対三十六で可決されて設置されておりますし、また、この補償交渉委員会が川辺川ダムの補償交渉を行うものとする規約の追加も認められております。

 先生がおっしゃいますように、相手が違法ではないかということではなくて、補償交渉委員会は違法ではないときちんと認められております。さらには、この漁協におきまして、御存じのとおり、法令や定款の規定に沿った手続によって総会等が今後開かれると今私に報告が来ておりますので、これは、今後の総会が開催されますことに関しまして見守っていきたいと思っております。

菅(直)委員 よく聞いてください、大臣。この漁協に対して、運営のやり方が違法であるということで過料が言われているんですよ、運営のやり方が。その運営のやり方というのは、二十日以内にやらなければいけない総会を、半年たっても、もうほぼ一年たちましたけれども、一年たっても開かない。その総会を開けという理由の中に、この補償交渉委員会の設置の議決も問題だからもう一回総会を開けということがあるわけですよ。そういう意味で、私が言ったのは、補償交渉委員会がそういう不適切な運営の中で生まれて存続しているわけですから、相手として適当ではないんではないかと。

 別に大臣に合法か違法かを聞いているんじゃないんです。裁判所は運営が法律違反だと言っているんですから、運営が法律違反のその中身に、ほとんどその中心的な問題になっている、ごく簡単に言えば、総会を開いたら補償交渉委員会の設置が取り消されるかもしれない、だから、総会を開かないで、その間に、一たん決めたものを、つまりは、事実上の脱法状態にあるままで、それを相手にしたのは国土交通省なんですから、相手にするかどうか。相手がしっかりした法律的な背景があるのか。できたときは法律的に一応合法性があったかもしれないけれども、その後の運営でその存在が問題となっていながら、それを無視して運営してきている、そこに、相手として適切じゃないんじゃないかと。

 大臣、わかりますか。

扇国務大臣 菅先生のおっしゃることはそのとおりだと思うんですけれども、球磨川漁協の交渉委員会というものが違法であると私たちが言い切れるものではないんです。裁判でどうこうとおっしゃいますけれども、私たちの相手は、それではだれを相手にしたらいいのか。球磨川漁協が決めた、少なくとも補償金の交渉委員会というものを設置されたんですから、それを相手にしないでだれを相手にすればいいのか。私は、その方がわからないと思います。

菅(直)委員 私が言うことがよくわかったと言われたので、それで結構なんです。

 つまり、例えば道路の所有権を、ある人が、Aという人が持っている、それが、道路の拡幅のために補償交渉する、しかし、よく聞いてみたら、その土地は担保が入っているとか、あるいは実は相続でその人が本当の所有者かどうかわからないときに、その人を相手にして交渉するかといえば、当然、その人間が本当の権限を持っておるかどうかということを考えて、どうも怪しい、あしたになったらひっくり返るかもしれないと思えば、交渉をしないのもそれは行政の責任としてあるわけです。

 いいですか、何度も言いましたように、昨年九月の一日に生まれて、そしてその二カ月ぐらい後に、もう一回総会を開き直せといって、二十日以内に開かなきゃいけないものを一年間も開かないで、その間に交渉を強引にやっているんです。ですから、その問題認識がわかっていただければとりあえず結構なんです。

 そこで、もう時間が余りありませんので、もう一つだけ申し上げます。

 強制収用された場合に補償金が三分の一になる。この「くまがわ」の二ページ目を見てください。漁業権が収用されたら補償金は三分の一へ減額、こんなことを国土交通省は言われているんですか。

扇国務大臣 今おっしゃいましたように、ここに書いてありますけれども、これは、局長に現地に確認してもらいました。そうしましたら、国土交通省の職員から、今先生がおっしゃいました、強制収用になったら補償金が三分の一になる、そういう発言はしていないということを聞きましたので、私は、していないと言えば、言ったでしょうと、何とか省みたいなことを言えませんので、私はそれを信じています。

菅(直)委員 ということは、言っていないということと同時に、そういうことはないということですね、大臣。

扇国務大臣 まだ交渉しておりませんので、交渉する前にそういうことを先見を持って言うことは、私は間違っていると思います。これから交渉に入るんですから、私はそれを見守りたいと思っています。

菅(直)委員 ちょっとおかしいんじゃないですか。これから交渉に入るんですか。この間交渉で、ここに書いてある一ページ目を見てくださいよ大臣、交渉で、もう承認したと相手は言っているけれども、国土交通省は、まだ白紙だと。だから、もちろんこんなことも言ってないし、交渉にはまだ入っていないという認識だと。それで結構なんですね、大臣、今そういうふうに言われましたから。やり直されるわけですね、もう一回。

扇国務大臣 いえいえ、そうじゃなくて、土地収用法についての発言だと菅さんが御質問になりましたので、土地収用法についてはという主語が抜けているということでございます。土地収用法については、今後、説明している段階ですから。そういう意味です。

菅(直)委員 聞いている方が聞かれれば、今の大臣の逃げ口上が、どのくらいの逃げ口上かよくおわかりになるわけであって、今補償交渉で買い取ろうとしているときに、その交渉が妥結するかどうかのときに、当然当たり前のことで、収用のことを、別に収用というのは交渉じゃありませんから、法律的手続ですから、ですから、法律的手続で三分の一に減額するなんというのは言っていないと。そういうことで結構なんです。

 ただ、相手はこういうものを書いているのですよ、組合員に対して。間違いだということをきちんと言われる必要があるんじゃないですか。ちゃんと相手に対して、あなた方こんなことを言うのはおかしいじゃないかということを。

扇国務大臣 今いろいろなことを言われるのは、十人いれば十人で、少なくともほかの法案に関しましても、例えば日本道路公団のことでもいろいろなことを言われていますし、いろいろな発言がある。私は、その発言があって、みんながいろいろなことで考えていく、あらゆる角度から物を考えるということでは、こんなこと言わない方がいいんじゃないですかというのじゃなくて、皆さん方、国土交通省の担当者は言っていないけれども、漁民の皆さん方がいろいろな意見があるというのは、私はむしろその方がいいと思っています。

菅(直)委員 何を言っているのですかね。私はわからなくなってくるね、あの言葉を聞いていると。

 これは、だれが出しているかというと、皆さん方が交渉相手にしている人が出しているものなんですよ。反対運動の人が出している広報じゃないのですよ。交渉相手にしている木下さんでしたか、という組合長の責任のもとで出されている。どういうわけか組合長が金融業をやっている人で、何で漁協の組合長が金融業なのか私もよくわかりませんが、その人の責任のもとで出されている。それと、おたくの所長、たしか塚原という所長を初めとして交渉しているんですよ。その相手がこうやって、漁業権が収用されたらこういうふうだということを言っているわけですから。別に第三者が言っているわけじゃない、交渉相手が言っているときに、それが違うのであれば違うと言うのは当然だと思うのです。

 そこで、もう時間がありませんので、最後に若干の取りまとめをしておきますが、この工事は、御承知のように、本体工事で二千六百億円、既に千六百億円が附帯で使われていると言われています。また、土地改良の部分まで含めれば、総工費が四千億円と言われている大事業であります。

 いろいろな問題点があります。つまりは、農民の訴訟も起きているし、住民のいわば住民投票の運動も起きております。しかし、現在着工ができないのは、この漁協の漁業権の買収ができない状態にあるからでありまして、それに対して国土交通省がありとあらゆる手だてを使ってやっている。

 きょうはもう時間がないから申し上げませんが、最後に、大臣はまだ合意していないと言われるのだから、それで結構なんですが、現地の漁協が合意したと言う最後の会議は、何と土建業者が持っている使われていない旅館を使って秘密裏のうちに交渉をやって十六億五千万が決まったと、少なくとも現地の報道ではそうなっています。

 こんなことをやって国民の税金を使うことが果たして納得されるのかどうか。どうか聡明な大臣におかれては、相手をきちんと見て、国民の税金を使うんだということを考えて、まさに白紙から交渉をする、あるいは交渉相手を考えるということをお願いして、私の質問を終わります。

赤松委員長 古賀一成君。

古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。

 きょうは、閣議が九時からあったり、本会議が入ったりで、本来ですと、もっともっとじっくり時間をとってやってもらいたかった本委員会でございますが、今後とも、一般質疑、本国会においてあるだろうと思いまして、私はその前ぶれといいますか、基本的問題認識、とりわけ道路公団問題につきまして、まずは政府側の基本的視点というものをただしたいと思います。

 その前に、公団問題に入る前に、まず一つお聞きしたいことがあるのであります。

 実は、航空機内におきますいわゆる迷惑行為というものが頻発しております。一九九七年、四年前でございますが、このときはわずか、わずかと言いますが結構あったのですが、七十六件。三年後の去年は、五百七十件と大変ふえておるやに聞いておりますし、我々も乗務員関係者から強い強い要望を受けております。

 つまり、機内迷惑防止法と言っていい法律をつくるべきでないかという問題でございます。実際は、航空法の改正ということで手当てすることになるんだろうと思いますが。

 そういったいわゆる機内迷惑行為について、しかも、この前アメリカであの悲惨なる航空機を使った大テロが行われた、来年はワールドカップがある、そういうことで、これは当然量刑を伴うものでありますから告知が必要である、そういうことから考えますと、早急にこれは制定すべき問題だと私は思います。

 実は、これまで、前国会におきまして、民主党あるいは自民党の方の、いわゆる政党の方から、議員立法をしようという動きもあるやに聞いておりますけれども、ただこれは、やはり量刑を伴うという面においては、政府がしっかり責任を持って閣法として出すべき法律だろうという意見もあって、私もそう思うのです。

 この点について、どういう問題認識を持たれて、政府、とりわけ国土交通省は臨もうとしておられるのかをお聞きしたいと思います。

扇国務大臣 古賀先生が今数字を挙げておっしゃいましたけれども、一九九七年から今日まで、本年まで、少なくとも四倍の迷惑行為があるということ、また、変な話ですけれども、一部にはスチュワーデスさんにまで国会議員が迷惑したなんというのもあると、悲しい思いをするんですね。

 機内の迷惑行為に関しましては、大半の行為につきましては、今先生がおっしゃいましたように、刑法等の既存の法律に基づいて罰則の対象とされております。けれども、航空法というのが別途ございますので、航空法に基づいて、今は、現段階では、このような行為に対して機長が必要な判断をする、拘束とかあるいは抑止、または飛行機からおろすことができる。これが、今の航空法によって、機長の判断によってできるということになっております。あらゆる航空会社も運送約款に基づきまして搭乗拒否等の措置をとっているところです。

 今先生がおっしゃいましたように、これらの法令等を根拠としておりますので、まず各航空会社から、司法当局と協力しながら敢然とした対応を段階的にとることが大事である、私は、それがまず今一番とらなきゃいけないことだと思っております。

 また、機内の迷惑防止に関します法律を制定するような状況かどうかは、少なくとも各航空会社と司法当局との話の中で、これ以上は無理だということになれば、私は、それぞれ連携して皆さん方に法律として出していただくか、あるいは国として出すか、その判断がゆだねられると思っております。

古賀(一)委員 実は、いわば機内迷惑防止と類似の鉄道における迷惑行為、水上交通、自動車交通、これは既に鉄道事業法等の法律で手当てされているわけですね。やはり、国民の常識から見れば、飛行機が一番怖いということで、現に先ほど国会議員がどうのこうのという話があって、とんでもない話だと思うのですが、そういうことだって本当によく耳にするのです。しかも、国際的な交通機関でございます。

 私は、結論は、ほかの陸上、水上、自動車については法はできているわけですから、まさに航空こそ要るということはわかっていると思うのです。諸外国の法令もある。そうなりますと、今、法務省とか、いわゆる航空三社と協議しているというようなことは、そんなの一週間で終わって、あるいは法務省との量刑の比較なんというのは、一年待ったって、できないものはできない。そんなの一日でできますよ。

 来年ワールドカップがある、それで、これだけテロ問題もあった、他国の法制もある、ほかの交通手段については法制体系はできている。なぜつくらないのか。私は、今のは、まさに先送りで、単なる、極めて単純なる憶病というか怠慢としか受けとめられないのですよ。私は、やはり国民の期待から見て、本当は今国会にでも間に合わせる気概で内閣はこれを出すべきだと思うのですよ。

 今の答弁は恐らく役所サイドの事務的な判断に基づく答弁だと私は思うのですが、それは相当の乖離がある。大臣、もう一つ、これは叱咤激励してやられるお気持ちはございませんか。

扇国務大臣 今海外の話もなさいました。私も手元に持っております。また、鉄道、水上等々の法制がもうできていることも確かでございます。

 何よりも、先生が最後におっしゃいましたワールドカップを成功させるためにということで、私たちはあらゆる手だてを今とっております。そういう意味で、ワールドカップ、外国からのお客様、本当に国内の移動をなさるだけでも、二百三十三万人という予測をされておりますので、私は、このワールドカップサッカーのためにも、今通貨のことを一生懸命やっておりまして、小銭を使わないでということをしております。

 今先生がおっしゃいましたワールドカップまでに間に合うかどうかは別といたしまして、他との量刑等々、どの程度の刑罰にするかということは法務省でお考えになると思いますけれども、これは閣僚懇で皆さん方に喚起して、そして前向きに各関係省庁が手を打って対処できるようにということを喚起したいと思います。

古賀(一)委員 私自身も本件についてコメントしたいことはたくさんありますが、次の本題に移りたいと思いますので、この点は、きょうのところはこのくらいでおさめておきます。

 それで、問題は、各委員から質問が出ております、いわゆる特殊法人改革、その先鞭をつけると言われておる道路公団の改革問題でございます。

 この問題は、実はきのうの質問通告のときに、私は、これまでの経緯そして責任等から見て、当然石原行政改革担当大臣がこの委員会に来て説明すべきだ、あるいは質問に応ずるべきだと強く申し上げたのですが、石原行革大臣は担当は内閣委員会だそうでありまして、他の委員会には出ないということに相なって、きょうは時間切れで扇大臣ほかにお聞きすることになったのですね。

 これは先ほど理事会でも私は申し上げたのです。これは別に国土交通委員会だけではないのですね。各特殊法人改革あるいはそれに引き続くいろいろな行政改革というものが、これからどんどん出てくる。そうしたときに、ある面では扇国土交通大臣も、この道路公団ほか関係公団の改革については、今の感じで言うと、まないたの上のコイというように見えるのですね。私はそう思います。

 官邸筋から行革担当大臣にばしばし指示が行って、内閣中心に作業が進められている。十分なるヒアリングがどれだけ行われているのかと私は非常に疑問に思っております。その結果、最近における石原行革大臣の総理への中間報告というか、七十二に及ぶ案を出された。差し戻しを食らった。こういう状況を見たときに、何としてでも石原行政改革大臣の参加が不可欠だと私は思っているのですね。これは大変な問題でありますから。この点について、きょうは、もうしようがありません、とやかく言っても。

 でも、今まで本問題について、石原大臣あるいは官邸とやってこられたのですね。まないたの上のコイの立場に置かれている扇大臣、こういう特殊法人改革について、行革担当大臣抜きで、各委員会、本件は国土交通委員会ですが、出てこられない中で審議されるということを奇異に思われませんか、責任ある行政改革論議ができると思われますか。これは質問通告はしておりませんが、重大な、大臣のお立場にも関係することでございますので、ひとつ当事者としての所見をお伺いしたいと思います。

扇国務大臣 古賀先生のお説はごもっともなんですけれども、私は国土交通省の担当でございまして、我が省としてのスタンス、そして今までの経緯、これは国土交通省が一番よく知っているわけです。ですから、今までの経緯等々を知っております国土交通省が、我が省は我が省としてきちんと我が省の考え方を出すということがいいことであって、私はまないたのコイだと思っておりません。

 私は、きちんと、我が省の態度を今まで何度もお出ししました。総理にも出しました。そして、総理の、こうではなくてこうしてほしいという御下問もありました。その御下問は、国費をゼロにしてほしいということからの考え方はできないかということもありました。

 それで私は、御存じのとおり、高速自動車国道のあり方検討委員会というのをつくりまして、国土交通省の頭だけではなくて、経緯とか何かは一番よく知っているけれども、民間、世の中は皆さんどうなっているか、この経済状況の中で、リストラがあり合併があり、そういう意味で申し上げましたけれども、五人だけのメンバーを選びまして、このあり方検討委員会をつくりました。

 それは、太平洋セメントの諸井さんを座長にいたしまして、トヨタの奥田会長、それから早稲田大学の杉山先生、日本公認会計士協会の理事であります高木先生、東京大学の森地先生、この五人の皆さん方にお集まりをいただきまして、既に十月の二十六日、十一月の五日、七日、そして実はきょうも十二時からお集まりいただいています。

 それは、なぜかといいますと、今の日本道路公団等々、私は三公団統合と一応出しましたけれども、十一月中に出すためには、その五人で各関係の皆さんをお呼びくださいということで、一昨日は知事会の代表の大分県知事の平松さんも来ていただきました。それで私は、国土交通省としては、今月の末までに、きちんとした、国土交通省の、どういう民営化というものがあり得るか、あるいは廃止か民営かという二者択一の問題を総理から言われておりますので、でき得る限りの、将来を見通した、国民に行革をやってよかったと言われる案を今検討中でございます。

古賀(一)委員 いや、今国土交通省内における検討、諸井委員会を中心とする御努力、それはわかります。私が言っておりますのは、これは国幹審もそうでありますし、道路公団法をつくったときも道路整備特別措置法をつくったときも、国会が関与してこれだけの法体系をつくってきたわけですね。それが、ガラガラポンという形になるかもしれない、大改革のターゲットになっているのです。それを国土交通省で、そういう諸井委員会でやられるのはいいのです。

 ところが、我々国会ですよね。国会議員としてこの問題に意見を申す、あるいは、地域の声を反映する、国民の声を代弁する国会議員として政府に迫る、そういう場に、当事者である総理は出てこない、行政改革大臣は他の委員会ということで出てこない。かつてあった行政改革特別委員会というものも、国会議員が参画をした、これを論ずる特別委員会もない。そうなると、国会というものが、私は野党だから言っているのではないのです、国会というものが、この大問題の特殊法人改革について、ほとんど発言をする場所はないよと言わんばかりのきょうの石原大臣欠席ということは、与野党を超えて問題にすべき問題であります。

 きょうここで扇大臣に幾ら言ってもしようがない話かもしれませんので、これはひとつ、委員長初め、重要な問題と受けとめて、私は、今後、議運なのか国対なのかわかりませんけれども、少なくもこういう問題については、行革大臣は各委員会に呼ばれれば出るということじゃないといけないという方針を模索していかなきゃならぬと思います。これは深追いをいたしません。

 それで、今大臣から一部御説明がございましたけれども、そしてまた、先ほど赤城理事の方からも、この特殊法人改革、いわゆる本末転倒という言葉もございましたし、自己目的化した特殊法人改革という印象を受けるという話もあったのです。私どもも詳しく経緯は知りません、新聞報道等々の情報を通じてこれをウオッチングしているわけでありますが。どう見ても、総理官邸から、総理自身から行革大臣に指示がおりて、それを受けていろいろな委員会が、断行委員会であるとか七百人委員会であるとか、いろいろなものが動いているやに聞く。そして、この前新聞にも出ておったように、七十二もの案が総理の手元に届けられて、差し戻しと。

 そして、そういう大問題で、新聞にこれだけ載っておるにもかかわらず、まさに納税者あるいは料金を払っている国民といういわゆるユーザーの立場から見ると、何がどうなっているか全然イメージがわかないという感じになっていると私は思うのですね。これは私は見過ごすことのできないものだと思うのです。

 したがって、ここでちょっと確認をしておきたいのは、道路公団の改革、この問題について、首相といわゆる国土交通相、首相と行政改革担当大臣との重立った指示の経緯、やりとり、大変混乱しているように見えるからこそ重要なところを、ひとつしっかりと、いつ総理からこういう基準で改革をやるという指示があったと、そこら辺のところを、順番を追って、まずは私は西村行政改革推進事務局長にこの事実関係を説明願いたいと思います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 道路公団を初めといたします特殊法人の改革につきましては、昨年の十二月に行政改革大綱というものを閣議決定しておりまして、これに基づきまして、民間にできることは民間にゆだね、地方にできることは地方にゆだねるという基本原則で抜本的な見直しに取り組んできておるところでございます。

 八月の十日には、特殊法人、認可法人すべてについて、個々に事業の見直しの考え方を私どもの事務局として公表をしたところでございます。

 道路公団につきましては、これまでも石原行革担当大臣は、小泉総理と緊密な連携をとって特殊法人の改革を進めてきておられます。総理からは、八月の七日に、これは道路公団だけではございませんが、特殊法人等については原則として廃止または民営化を前提に抜本的な見直しを行うようにという指示をいただいたところでございます。

 それから、道路公団等七つの法人につきましては、十月の一日に総理から石原行革担当大臣に、他の法人に先駆けて十一月中に実質的な結論を得るように、また道路公団については、国土交通省と調整を図りつつ、償還期間の大幅短縮、国費不投入を前提に早期に民営化すること、計画中の高速道路につき現行プール方式で整備の見直しが必要であることというような指示をいただきまして、今事務局としても、石原大臣のもとで、国土交通省初め関係機関と協議をしつつ、十二月に特殊法人等の整理合理化計画を策定すべく努力をしているところでございます。

古賀(一)委員 本当に時間が短いのであれなんですが、今事実の経緯をおっしゃいましたが、総理の指示の分について疑問を、こういう基本方針では自己矛盾です、できません、そういうやりとりはなかったんでしょうか。

 つまり、今の話は、総理から何月何日に、いわゆる特殊法人全般について、あるいは道路公団ほか七公団について、言われましたという話を聞いたんですよ。それについて総理と、これについてはこういう基本的なシナリオというか、これでは無理ですよという、その指示におけるやりとりというのはあったんでしょうか、緊密なやりとりをやったとおっしゃいましたが。

西村政府参考人 十月一日に総理から御指示をいただいた後、今事務局としては、関係機関と検討、協議をしておるところでございます。その中でいろいろな議論が出ております。

 しかし、総理の指示を受けまして、今検討中でございまして、最終的には、十二月に計画をまとめるということになっておりますので、ある程度の整理がついた段階では総理等に御説明をしなければいけないと考えております。

古賀(一)委員 いや、実はこの道路公団問題だけじゃないと思うんですよ。私は、ほかにも、公務員制度改革の研究会の座長とか仰せつかっております。これも内閣官房主体に、いわば人事院あるいは人事・恩給局等々を無視した形で、突出した形で、新しくできた、ことしの一月六日にできた行革推進事務局が走っているのですね。

 これもそうです。本件も、総理から指示があったと。まあ、総理から言われたからといってやっておられるけれども、私は、例えば今おっしゃったことを言いましょうか、原則廃止、民営化、そして国費は不投入、それで一方で、料金は将来無料化という議論も周りにたくさんあるんです。

 例えば、民営化して、料金を取らないといったら民営化できるはずはないですね。だから、今の長期債務と累積債務というものを株で売る気なのか。それは将来の料金徴収権のないような民間会社、これで株が売れるはずがない。現に今、財投機関債を発行しろということで、公団も機関債を発行する。こんな状況だから、いわゆる財投機関債を発行しようと思ったって集まらないんですよ。サラ金から借りるしかない。こういったいろいろな問題が、実は実務の問題がいろいろあるのです。

 そこで、私は、経緯についてはもう深追いしませんけれども、小泉内閣の道路公団改革の本当の理念、目的、戦略的手順というか、そういうものがわからないんですね。実は、民主党の中で、きょうもきのうも、最近大論議をしています。私は、論議することは大いに結構だと思うんですよ。いろいろな意見を、縦横斜めから議論をして、この問題がある、あの問題はどうだ、こういう問題を論議するということは政治の役目。だから民主党内で、あるいは自民党内でも、あるいは各党内であるんでしょう、それは私は大いに結構だと思うんです。

 多いんだけれども、肝心かなめの発信源が、どういう理念と何を最終的にしたいということが少なくも私にはわからない。だから、党内の論議も各党いろいろ混乱しているし、現に、今緊密な連携をとってあると言われた石原大臣も、七十二の案を出す、どうも総理の指示がはっきりしないからという感じの報道もある。これは決していいことじゃないですね。

 そこでお聞きしたいのですが、石原大臣の代理ということで来ておられますから引き続き聞きますけれども、わかりやすく道路公団に絞って言います。道路公団の改革の理念、目的、特に分割・民営化する最終目的、これはどこにあるのでありましょうか、御説明をいただきたいと思います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 特殊法人の改革のねらい、目的でございますけれども、社会経済情勢の変化に対応して特殊法人等も、民間の能力を活用し、また、簡素、効率で透明な組織である必要があるということから、道路公団初め特殊法人、認可法人等につきまして、その事務事業、組織形態を、ゼロベースから見直しを行っているところでございます。

 道路公団につきまして、具体的にどのような形態をということは今検討を進めておるところでございますけれども、一般的に、民営化等になるといたしますと、例えば、採算性の判断がより厳格に行われ、効率化が図られる、あるいはコスト意識がより高まる、あるいはサービスの多様化等が図られ、また、情報公開等が一層徹底するというようなメリットが期待できるのではないかと考えております。

古賀(一)委員 今御説明あったことが、いわゆる公団改革、とりわけ分割・民営化の基本的な目標ですね。確認しますよ。恐らくそうだと思うんですね。あれほどはっきり、質問して、おっしゃったから。

 私は、これはもう間違いだと思うんです。もっと論議すべきは、公団をどうする、公団を、民間の透明性であるとか、それはもちろん必要なことですよ、それはそれでやればいいんです。しかし、論議すべきは、まず日本におけるこの高速道路という基幹システム、それは経済的な意味も当然強いし、社会的な意味も強い、これをまずどうあるべきかということから始まるべき論議だと思うんですよね。その中で、地方はこれからはもういいというのか、これまで関連施設でやった各地域の基本計画、そういうのも無視していいのか。そう判断すれば、それでいいと思うんです。

 まず、道路公団というのはあくまで手段でございます。いわゆる一般道路事業をガソリン税を中心とする特定財源で、おくれたから、この高速道路については、有料道路システムという基本から、それをなし遂げる単なる手段として道路公団はできたんですね。目的は、やはり高速道路の道路交通体系というのは、日本の社会経済の必要性に応じて、国会も絡み、国幹審で絡み、配置してきたわけですよ。

 それが、今のお話ですと、道路公団のいわゆる経営体質というか、経営体の論議から始まっているという答弁だったと私は思うんですが、これは、この国会が、何十年にわたり国幹審で関与し、もちろん関係法案をつくり、やってきた面から見ると、まずは高速道路ネットワークというものをどうするかという議論がないから、結局これは国民の最終的な理解を得られないんじゃないかと私は心配するわけですよ。

 それで、二点目は、その次に議論すべきは、では、それをどれだけつくる、今の七千キロ弱で切るなら切るで、そういう結論になればそれはあり得るのかもしれない、それは一万キロを超えるかもしれない、途中で、八千五百キロでと、そういう選択は、それは徹底した論議をしてやればいい。その後に、では、財源をどうするかという論議になって、今の論議ですと、何か、税金投入もいいとか、私もかつて担当した立場からいうと、この論議はどこがどうなっているんだと、もうわからないぐらい混乱しているんです。その後に、だから、財源問題というか、国民負担論が出るんです。

 そうした場合に、最後に、三番目に、では経営体として、道路公団は、このネットワークのために、この国民負担のシステムを、応ずる形でどう変えていくか。私は、それは、大臣、しっかりと総理に諭していただきたいと思うんですね。そうじゃないとわからないんです。我々民主党も論議する。まして、国民の皆さんも、どうなるんだろうと。それは、待っている地域、先ほどの静岡みたいにできた地域、いろいろあるでしょう。それが決定的に、発想のあるいは論議の手順が、欠落しているというか、逆転しているというか、欠けている。これがこの問題の私は最大の問題だと思います。

 それで、質問通告はたくさんしておりますけれども、その中で、大変重要な、私が重要と思ってやまない最後の問題を申し上げたいと思うんです。

 それは、大変マクロな話でありますが、道路公団問題と絡みますので申し上げますが、まず、我が国の国民金融資産が千四百兆ある。しょっちゅう出てきます。これについて、日本の政府というものは、この国民金融資産というものをどうあるべきか、どう活用するか、そういった点についてほとんど発信がないんです。今度の補正予算をどうするか、累積債務、いわゆる長期債務ですね、国の借金がどうだ、地方の借金がどうだという、そして財政出動だ、公共事業費増額だ、いや、減らすべきだ、こんな論議ばかりしていますが、一番でかいのは国民金融資産である千四百兆なんです。

 では、これは今どこへ行っているかといいますと、重立ったところを言います。米国債、アメリカの国債を買っています。公的部門だけで三十六兆円買っています。民間部門については調べられないということで、それはもう何百兆のオーダーなんでしょう。米国債を買っている。

 つまり、貿易黒字でアメリカから今まで大分稼いできたけれども、それが米国債という形で還流をして、それで、もうあり余る金が都市銀行を通じて、某ゼネコン、あのゼネコンこのゼネコンに行って、ロックフェラービルを買って、まんまと失敗した。米国債だって、しょっちゅう運用しているから、それは薄まっているのかもしれないけれども、大ざっぱに言えば、一ドル二百四十円のときに一兆ドル買えば二百四十兆円、我々の個人金融資産を投じているわけですよ。それで、今度プラザ合意だ、円高・ドル安にしよう。何と、今百二十円、百十円ですよ。では、戻ってくるときは、二百四十兆円投じた日本の国富が、個人金融資産が、そのときは何と百二十兆になるわけでしょう。これが一つ。いわゆる米国債を中心とする債権運用、これがあります。

 そして、ODA。ODAは重要ですよ。でも評判がよくない。ODAをあれだけやっているにもかかわらず、感謝の気持ちがないと言われて久しい。そして今度、自衛隊を派遣するということになった。きょう出港した。ムシャラフ大統領から電話があって、例の五十六億ドル、五十六億ドルというと七千億ですよ、それを、長期債務を削減してくれという話があった。その後、特使が来られたそうでありまして、五十六億ドルのパキスタン債務、これを棒引きにしてくれと、そこまで言いません、しかし、期間を延ばしてくれ、金利をもうちょっと小さくする、リアレンジメントというか、もう一つやってくださいよとは言われたそうです。

 つまり、我々の対外援助、対外債権、米国債、そういうものがどこに使われているか。私は、一つの手段は、先ほど言った、税金に頼らず、日本の民間資金を使って次の資産をつくっていくというこの財投システムといえば財投システム。あるいは、財投だけじゃないですから、道路公団は、道路公団の資金調達として、有料道路システムでつくっていくというのはある面じゃそうだったんですね。

 ちょっと時間もなくなってきましたけれども、言いますと、私は二カ月前に中国にまた行きました。あの新疆ウイグル自治区に、もう完璧な砂漠の中に三百キロの高速道路ができていて、私は唖然とした。この八年間で中国は一万六千キロの高速道路をつくった。ざっと一千億のODA、対中国円借款で中国は高速道路をつくっている。いいですか、八年間でですよ。私はもう毎年行っていますからよくわかる。わずか八年間で、北京空港線を皮切りに、今度の新疆ウイグルの高速道路ほか一万六千キロの高速道路を完成させ、そしてその一部に九百四十四億円の高速道路建設の円借款を中国に供与しているんですね。

 そういうことで、日本の個人金融資産をあっちこっちに協力してやっていて、日本の、例えば平松知事の話が出ましたけれども、東九州縦貫はできない、こういう話になるんですが、私が聞きたいのは、もう最後の質問になりますが、政策統括官に聞きたいんですけれども、あるいは大臣にも所見があればぜひ最後に聞きたいんですが、こういう日本が持っている汗と勤労の結晶である個人金融資産を、外国では使っているけれども、日本で使うというこの戦略というのは財政問題よりももっと私は重要だと思うんですが、そこら辺の認識はいかがでありましょうか。

扇国務大臣 経済不況の中で、日本はまだ不況ではない、外国に借金しているわけじゃないということを言う方がよくいらっしゃいます。

 私は、今古賀先生がおっしゃいました、世界じゅうから見て世界一の預貯金国、そういうことから見れば、今のその預貯金を、個人資産を何としても活用できないか、これはお説ごもっともだと思いますし、私たちも、個人の金融資産というものを何とか循環してほしい、また循環させなければならない、そういう基本的な考え方はひとしくしているところでございます。何とか方法がないかということで、今私どもは、不動産の証券化、そしてこれを市場に出そうという、また土地税制を見直すという、これも大きな問題であろうと思っております。

 もっと民間の活力をということで、今までは公がやっていた、あるいは国とか地方自治体がやっていた建物の工事というものも、PFI、民間の活力を生かそうということも初めてでございますが、国会議員に関係のあります議員会館も、建て直すのであればPFIでしよう、これも国土交通省としては決断をしております、議会の御承認ですけれども。そういうことで、改革をしていこうと。あらゆるところで私どもはこれを実行していくということで、いろいろな法案を今国会にも出させていただいていますのは先生御存じのとおりでございます。

 ただ、今おっしゃいましたように、中国の例を挙げられましたけれども、これは国有地でございますから、コストが安くてそれはもう本当にうらやましい、この八年間で一万六千キロとおっしゃいましたので、日本の高速道路の建築費と中国とではもうこれは雲泥の差ですから、これは私もうらやましいとは思っておりますけれども、例えて例を挙げられましたので、これは比較にならないことということも、私はよだれを垂らしながら眺めておりますので、御認識賜りたいと思います。

 また、私は、不動産の証券化の市場というものは、本年度、少なくとも三兆円規模で出していきたいと思っておりますので、これも大きな問題になって膨らんでいくのではないか。少なくとも十年後にはこれを十兆円市場にしていくということも、証券化というもので一歩前に出たわけでございます、米国の金利も下がり続けていますから、それならば日本の中でこれを活用していただきたい、そして、動いていない土地を証券化することによって流動化するというのも大きな施策の一つであると思って頑張っております。

 また、皆さんも御存じのように、土地税制の見直し、流通税制を、少なくとも物を流してほしいという御要望がございますので、私たちも、今回は流通課税というもの、登録免許税等々、何とか安くできないのかということもやっております。それは、アメリカが自動車の取得税をやめたために売り上げが三倍に上がったということも大きな私たちの手本でございますので、私たちも、瞬間的にでも、私は時限立法でもいいから出させてくれないかということも言っておりますので、そういう意味で、あらゆるお知恵を、国会の先生方の御議論とお知恵をいただきながら、私たちは前向きに、今の個人資産の流動化と活用化というものを図っていきたいと思っています。

赤松委員長 古賀君、時間が終わりましたので、御容赦願いたいと思います。

古賀(一)委員 それでは、坂政策統括官の話は後ほど個別に聞かせていただきます。

 これで終わります。

赤松委員長 山田正彦君。

山田(正)委員 自由党の山田正彦です。

 道路公団の民営化あるいは特殊法人の廃止、こういった問題、事に道路公団の問題は、私もこの委員会で三回にわたっていろいろ聞いてまいりましたので、きょう、また改めて大臣にいろいろお聞きしたいと思っております。

 まず、大臣、道路公団はこれまで、大幅な赤字なんじゃないか、第二の国鉄と言われるんじゃないかとか、いろいろマスコミでも騒がれておったんですが、このほどやっと、民間企業に仮定した場合の財務諸表、これを道路公団としても発表された。その中で、道路公団は、一体、民営化に当たって今黒字なのか赤字なのか、そして資産は、あるいは債務はどうなのか。

 まず、損益の面で、平成十二年度の決算、それについて御説明を願いたいと思います。

扇国務大臣 山田先生がいろいろ試算をして、いろいろなことを発表していらっしゃるのを私も参考にさせていただきましたので、随時そういう試算を、先ほどもおっしゃいました七十三通りというのを、私は、このA4の紙一枚で国土交通省が三日かかったということで、もっと大型のコンピューターを入れろという話をしたんですけれども、先生のはじき方の方が早いようでございまして、私は、ぜひ今後も資料を出していただきたいということをまず冒頭にお願いをしておきたいと思います。

 十二年度行政コスト計算書によりまして民間企業仮定、それで計算をしましたら、先生御存じだと思いますけれども、念のために言わせてください、料金収入が二兆二千二百億円でございます。新たに計上します減価償却費等を含む費用が一兆八千億円となっております。その差額の四千二百億円が当期の利益金と計上され、これは黒字でございます。健全経営でございます。

 ですけれども、民間企業と仮定いたしました貸借対照表では減価償却後の資産額が三十三兆五千億円となっております。これに見合うものとして、負債が二十七兆四千億円、資本金が二兆円、余剰金が四兆一千億円となっておりますのは、先生、ひょっとしたら書類をお持ちだろうと思いますので、御報告します。

山田(正)委員 前々から道路公団は大変な黒字じゃないかと私は言っておったし、あのムーディーズの格付もダブルA、国債並みだったわけです。

 その中で、やっと正式なというか、試算表じゃなくて、民間企業型仮定損益計算書、この中で、今大臣が説明のように、単年度、十二年度で、減価償却費を除いても当期利益が三千八百四十四億ですね。これは民間でしたら大変優良な大企業ということ。これだけではなく、今大臣の説明にありましたが、いわゆる貸借対照表、これを見ましても、道路資産が、民間企業型でやりましても三十三兆五千百九十九億、約三十三兆五千億。そして、負債は二十七兆でしかない。ということは、資産からしても、今道路公団は日本の中でも有数の超優良企業である。とすれば、すぐにでも民営化できるのではないか。いかがでございますか。

扇国務大臣 数字の上では私はそうなっていると思いますけれども、先ほどから先生方から、御存じのように、要するに、プール式というもので全国の道路網を九千三百四十二キロしようとか、あるいは一万一千五百二十とかいろいろな数字が出ておりまして、今のプール制等々で、私はそれでどこまでできるのかということも大きな問題になろうと思いますので、その道路公団の方式というものをどうしていくかというのが今の基本的な論議のもとになっていると思っております。

山田(正)委員 プール式かどうかというお話ですが、まず、その前にはっきり大臣にお聞きしたいんですが、今のように民間型で決算書を出しますと、非常に超優良企業として仮定できる。となったら、まず民営化、今すぐにでもできる、できない、それについての大臣のはっきりとした御答弁をお願いしたい。

扇国務大臣 数字の上では完全に優良企業です。ただ、民営化しますと、事業税、固定資産税、あらゆるものを払いますから、これは全部損益を計算しなければ、今の民間と同じ税率で同じような税を負担して果たしてどれだけ残るかというのは、新たな計算になります。

山田(正)委員 これだけいわゆる利益を出していて、しかも資産もあって、あるいは減価償却もちゃんと見ているわけですから、税金を、固定資産税等については、JRの場合には民営化しましてもいわゆる減免措置がとられておりますが、仮にそういう減免、軽減措置がとられたとしても、他の事業税等々については他の民間企業と同じで、減価償却だけで約四千五百億を見ていますし、この減価償却というのは名目上の数字ですので、そのほかに修繕費等全部経費として計上されておりますから、そういう意味では、税金がかかるから民営化できないということは違うんじゃないか。大臣、いかがですか。

扇国務大臣 民営化は必ずできます。ただ、今私が申し上げた数字が、民営化すればもう少し収入が減るということだけで、優良企業として民営化できるのは数字の上では当然でございます。

山田(正)委員 それでは大臣が、総理大臣が民営化か廃止かという話をされていて、まず民営化すること自体は、優良企業だし、すぐにでもできるということであったら、大臣、国土交通省として「日本道路公団、首都・阪神公団の改革について」という平成十三年九月に出された書面がございますが、これによりますと、第三者機関、いわゆる高速自動車国道の整備のあり方検討委員会、仮称ですね、この第三者機関を国土交通大臣のもとに早急に設置して、それらの答申の結果を待って、さらに、首都と阪神を統合して、ネットワークの整備の見通しが立った段階から特殊会社化を図る。いわゆる民営にするとははっきり書いておりません。そして、ネットワークの整備が終わってからと。

 まず、大臣に一つずつ聞いていきますが、この国土交通省の出された案というのは、ネットワークの整備の見通しが、その整備が終わってからというのかな、見通しが立ってからというのか、その辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。

扇国務大臣 今先生がおっしゃっておりますことは、日本道路公団一つの話になりますと、日本道路公団が、先ほども古賀先生が一言おっしゃいましたが、十一年の十二月に決めた九千三百四十二キロというものをどこまでするのかというのを、国幹審で決めたものというのを、私はなぜさっき言ったかというと、日本道路公団は今後しなければいけない事業を抱えているわけですね。その事業達成のために今できるだけお金を集めて、累積にためていこうと。そして、どこまで工事をするかということがクエスチョンマークなものですから、私あえて、本体の経理上では民営化できますということを申し上げたので、私は民営化するということに、総理から民営化か廃止かと選択を、二者択一を迫られましたから、私は民営化すると。

 今九三四二と、先ほども古賀先生がおっしゃいました、国幹審で決めたことを、今これを全部凍結しましてゼロにするということはできないから、私は、廃止はできない、民営化という方法を考えて、今先生が言ってくだすった一般の皆さん方とともにあり方懇談会で論議をして、そして、この財政の中で日本道路公団をいかに民営化の形をつくっていくかという基本を論議しているのが現在でございます。

山田(正)委員 今お話のありましたこれから整備しなければならない路線、これがありますね。平成十三年度末だけで六千九百五十九キロですか。その後整備計画で決まった部分でやらなければいけないものが二千三百八十三キロある、そういうふうになっているようです。その中で、実際にやると二十・六兆円かかるという試算を一番新しい試算で出しているようですが、こういう新しい計画があるから今すぐ民営化はできないんだという趣旨なのか。新しい整備計画は、凍結する凍結しないは別として、例えば国が負担するのか道路公団がやっていくのか、これからの議論ですが、この計画そのものとは別個に民営化そのもの、これをやる気持ちはあるのか。この整備計画があるから民営化できないと言っているのか。どちらかはっきりとお答えできればと思います。

扇国務大臣 私は、それは分けております。それはあり方懇談会の皆さん方にも申し上げております。

 それは、日本道路公団をまず民営化する。いわゆる民営化ということはどういうことなのか。国費がゼロで、そして固定資産税も事業税も払って。まず、一つの会社をつくるときには何から始めるか。資本金は幾らなのか。どういう形態にするか。その会社をつくるために民間の皆さん方に入っていただいて、公認会計士の理事も入っていただいたのはそういう意味で、民営会社をつくるということがまず前提でございまして、その会社でどれほどの事業をしていくか、どんな商売の品物をそろえるかというのは、次の問題でございます。

山田(正)委員 大臣、大変前向きにはっきりとした見解を述べていただいて、私も留飲の下がる思いであります。これからの新しい整備計画とは全然論議を別に、まず、超優良企業であり、すぐに民営化できる、それで民営化に取り組む、そういう大臣の決意だとお聞きします。

 ただ一つ、国土交通省が九月に出された中で気になるのが、特殊会社化を図るというんですが、その民営化の内容です。この特殊会社化というのはどういう意味合いでしょうか。

扇国務大臣 これは先生も御存じのとおり、一番端的に言えば、世の中ではよく言われております看板のかけかえという表現を使われておりますけれども、民営化になる段階として、まず特殊法人化する。なぜかといいますと、特殊法人というのは、いわゆる税金を払うことが要らないわけですね。ですから、民営化する段階として、まず特殊法人化して、それから民営に持っていこうというこの過程のレールが今までのあらゆる行革の中で行われてきたという経緯がございますので、そういう段階を踏むということをまず一番最初に考えたわけでございます。

 ですから、今の段階では、国土交通省としては特殊法人化というものは消えております。民営化ということに統一して仕事をしております。

山田(正)委員 段階として特殊会社化ということを考えたが、今は特殊会社化は考えずに完全に民営化と考えている。ということは、株式会社として組織変更するというお考えでしょうか。お聞きしたいと思います。

扇国務大臣 それを今あり方懇で、資本金も、だれをどうするか、株も国が持つのか持たないのか、今までおっしゃいましたような累積のものをどうするのか、それを今あり方懇で検討をし、十一月の末までに、今月末までにきちんとした形をお示ししようというのが、今の段階、きょうも十二時からいたします。

山田(正)委員 大臣も非常にはっきりと、一歩進めてそういうお考えで、今のお話ですと、民営化ということは株式会社化であろう、それについてあり方懇で具体的な検討を図っている。

 そうすれば、当面の間、政府が、あるいは国が資本金を持つことになるのか。そして、その資本金を持つことになれば、NTTいわゆる日本電信電話公社と同じように、いずれそれを民間に株式として分割、売却していかれるかどうか。そういったことも含めて、将来の構想について大臣のお考えをお聞きできればと思います。

扇国務大臣 今あり方懇の皆さん方に本当に熱心に、朝八時から、月、水、金とお出ましいただいて御論議いただいていますけれども、それがまさに、今山田先生がおっしゃいましたように、もしも株式会社化したときには何年後に株式配当ができるようになるのか、そういうことまで民間の皆さん方は、今の現実の民間の一会社として、常識的に民営というものはこういう段階で先々の計画を立てていかなければいけない。果たして優良企業だからといって十年後に上場できるのか、あるいは二十年後に上場できるのかわかりませんけれども、そこまでを考えながら御検討いただいているので、結果的に、私が今どうこうということは申し上げられませんけれども、そこまで御論議いただいているという現状は御理解いただきたいと思います。

山田(正)委員 今すぐでも超優良企業として民営化できる。それが、十年後、二十年後という形の論議はあり得ないことだ、そう思っておりますが……(扇国務大臣「いやいや、上場、配当」と呼ぶ)配当ですね。配当の話だったらそれは確かにそうかもしれませんが、ただ、この決算書で見る限りではすぐにでも配当ができる内容ではある、そう思われます。いずれにしても、そういう具体的な検討に今入っておられるということで大変結構なことだ、そう思います。

 ところで、民営化するに当たって、高速道路の料金が諸外国に比べて大変高い。

 私は、ことしの夏、オランダの花市場に行ってまいりました。これは世界で最も大きな花市場ですが、その花市場でオランダの切り花を日本に輸出している。実はオランダで驚いたんですが、今日本は、花は大変きれいだけれども葉は真っ白というふうに農薬を使っております。ところが、オランダは、既に環境規制が厳しくて農薬が使えずに、二十種類の天敵でもって害虫を駆除しながら、大変コストをかけながら日本に切り花を輸出して採算がとれている。なぜだろう。驚いたんですが、飛行機で運ぶ航空運賃が、例えば九州からトラックに載せて高速道路を走ってくる運賃よりも安い、そういうふうにお聞きしたんですが、この高速道路料金の高さ、これがまさに日本経済の競争力を阻害してきた。大臣、いかがでございましょうか。

扇国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。私は、このままでは日本は流通コスト、それで地盤沈下すると思います。

 今先生がオランダの例を挙げられました。日本国内では、岩手県から横浜まで百キロの荷物を陸送しましたら千四百九十円かかります。その同じ百キロのものを横浜から北米へ送ったら千百円です。それくらい日本の物流コストが高いんです。

 私は、正直申し上げまして、オリンピックが東京で行われたときに初めて高速道路ができて乗ったときは百円でございました。それがやがてただになると言われて百円を払いました。あれから三十数年たちましたけれども、それが今七百円でございます。

 そのように余りにも高過ぎるということは、それは受益者負担という、この原則に基づいて、本来は首都高速だけだったらただになるけれども、全国に均衡ある国土の発展という言葉のもとに、同じ国民であればひとしく利益を受ける権利があるということで日本の道路網の整備を決めておりますので、便利なところだけ、東京だけ集中しちゃいけないじゃないか、均衡ある国土の発展のためにということで、全国の道路網をつくるために受益者負担の原理をつくりながら、もうかっているところのものをプールして、均衡ある発展のために道路をつくろうという今のやり方自体で高くなっていることがやむを得ない。アクアラインも本四もそうでございます。

 そういう意味で、大体外国に対してコストが高いという基本はありますけれども、私は、そういう意味で、高くなっていることを何とか民営化することによって、一つでも、一カ所でも安くできないかというのを今苦心しております。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

山田(正)委員 プール制をとっているから日本の高速料金がばか高い……(扇国務大臣「いや、コストが」と呼ぶ)コストがというお話かと今承ったんですが、大臣、それは少し違うんじゃないか。これは私が調べた限りでは、各国、例えば韓国、フランス、イタリアと財務諸表を比較してもらえばよくわかるんですが、非常に管理コストが高くついている。各国の倍から三倍ぐらい管理コストが高くついている。

 ということは、今のシステムそのもの、例えばいわゆる子会社等緊密な会社、これは民間であったら財務諸表で、財務省の会計規則により連結決算しなければいけない。

 そうすると、非常に子会社に対して、かつてファミリー企業と言われました、あるいはピンはね協会と言われましたいわゆる施設協会は二つに分かれましたが、そういうところに多大な高速料金の収入部分が流れてしまっている事実、これについては、大臣、どうお考えでしょうか。

扇国務大臣 私も、今回の日本道路公団の民営化についてあらゆる資料を出してくれといって、出してもらいました。先生が今おっしゃいました関連企業、通称ファミリー企業と言われているもの六十三社、それの収支状況を調べました。ほとんどが黒字でございます。ですから、私は、今度日本道路公団を民営化するといったら、そのファミリー企業は、日本道路公団が株を持っておりません、今完全な民営業者です。ですから、もうかっているものを出せといったら、いや、それは民間企業ですから手が入れられませんという答えが返ってくるんです。

 ですから、私は、その六十三社のファミリー企業の中で、日本道路公団の仕事を少なくとも八〇%を、受注の仕事は日本道路公団の仕事しかしていないというところは、これは完全に、今先生がおっしゃった連結決算をするべきである。そして、日本道路公団が民営化されたら、自分たちは民営化された民間会社なんだからといって、言葉は悪いですけれども、一番わかりやすい言葉で言えば、それらが食い逃げするということは私は許されないと思っておりますので、今先生がおっしゃったように、今の道路の管理費とか、整備費とか、そういう――ですから、私が道路の、日本道路公団の上下分離論に反対しているところはそこにあるわけです。もうけだけはとって民間に行って、苦しい建設のところは国に助成をもらってする。これでは日本道路公団を民営化したことにならない。

 だから、私は、日本道路公団を一本のものとして民営化していくということを言い続けているのは、まさに今先生がおっしゃったファミリー企業の太り過ぎ、親ガメが苦しくても子ガメや孫ガメはもうかっているということを見逃さないことと、ファミリー企業に役人が天下りすることを排除する、そのことのために今闘っているというのが現実でございます。

山田(正)委員 大臣も読んでいただいたかと思いますが、私は、発表した論文の中で、いわゆる天下りを徹底して調べてその実態を明らかにしたつもりですが、いわゆるファミリー企業に対しての天下りの問題、そしてこのファミリー企業と言われるものが道路公団の高い利益をそのまま食い物にしているという現実、これは大臣もお認めになっておっしゃっているようでございます。

 その中で、先ほど大臣が話しました連結決算しなければならないものは、会計規則によりますと、道路公団出身者が取締役会の構成員の過半数を占めるという場合、これだけで既に四十九社あるようです。また、売上高で五〇%以上が、大臣先ほど八〇%と言っておりましたが、いわゆる道路公団の仕事で占めている場合、これによりますと、五十八社もあるようです。

 いずれにしても、そのほかに持ち株会社、株を持っている会社、それと関連の財団法人等々を入れますと、大変な天下り先といえば天下り先、このファミリー、今までは道路公団一家、悪口を言えばそう言われておったわけですが、これを全部整理して、明瞭な形での連結決算によって、そして、さらにこれ以上に利益が当然出るはずでございます。そうなれば、今の高速道路料金を大幅に引き下げることができるんじゃないか。

 私が各国の財務諸表を試算いたしますと、何とか経費を本当に合理化すれば、私は、料金を引き下げることは十分の一にまで可能じゃないか、そう考えているわけですが、大臣、時間も参りました。最後に大臣のお考えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。

扇国務大臣 今私どもが作業しております行政改革、特殊法人の見直し等々、私は、少なくともこれによって、二十一世紀の日本の国民の皆さん方が、ああ、あのときに苦しかったけれども民営化してよかったねと言えるようなものを残さなければ、民営化することによって何の益もなかった、これでは私は意味がないと思っておりますので、現実に日本の国民の皆さんが、そうか、あのとき民営化したことによって、自分のところに来る道路が五年おくれたよ、三年おくれたな、けれども、これが国全体のために、多くの皆さんのためによかったと言われるようなものでなければ、民営化を苦しんでする意味がないというのが基本でございますので、行政改革の、総理がおっしゃった聖域なき構造改革の国民の痛みに耐えてというのは、私は、二十一世紀のそのために今日の苦しみがあると思っておりますので、国民の皆さんに、苦しみの向こうにいいことがあるという、それをお見せしなければ意味がないと思っておりますので、また山田先生にもいろいろな指標を先生のところで出していただければ、参考にさせていただきたいと思っております。ありがとうございました。

山田(正)委員 終わります。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

赤松委員長 瀬古由起子君。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 私は、ダム建設の談合問題について伺いたいと思います。

 談合問題がマスコミをたびたびにぎわしております。昨夜もテレビで、横須賀市が談合問題に取り組んで、事業費を大幅に見直して、そして財政難を解決したというお話が放映されておりました。古くは一九八二年に我が党が暴露しました三井建設をめぐる談合問題、また九一年には埼玉土曜会談合事件、最近では、赤旗の日刊紙が明るみにいたしましたダム建設談合疑惑などがございます。

 談合の態様というのはさまざまですけれども、業者同士があらかじめ会合し、受注予定者のルールや受注予定者をあらかじめ決定しておき、入札の際に協力し合って受注価格を高どまりにさせるのが談合です。また、特定の者に受注の配分を任せるといった方法や、受注予定者の決定に合わせて受注予定価格、受注数量などの決定が行われる場合もございます。

 公共事業のむだが問題になっている折から、談合をなくすということは焦眉の課題であるけれども、公共事業の所管官庁であります国土交通省としては、談合排除のためにどのような施策を講じておられるんでしょうか。

岩村政府参考人 公共工事の発注に当たって入札談合等の不正行為があってはならないことは、申すまでもありません。

 そういう観点から、これまで、平成六年には、大規模工事について一般競争入札を導入する、また公募型指名競争入札を導入する等の措置をとりましたし、また平成十一年度には、VE方式、すなわちバリューエンジニアリング方式とか総合評価方式等を導入したところでございます。さらには、今後、電子入札というものを早期に取り入れるということを考えておるわけでございまして、入札・契約制度の改革を進めてきたわけでございます。また、談合情報の対応マニュアルというものも平成六年度に設けているわけでございまして、入札談合等の不正行為の防止に取り組んでおります。

 とりわけ、昨年十一月には、扇大臣の御指示のもと、入札・契約の適正化に取り組むための公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律、これを御提案申し上げまして、臨時国会で成立させていただきました。そして、本年四月から施行したところでございます。

 本法律は、委員よく御承知のように、すべての公共工事の発注者を通じて、透明性の確保、公正な競争の促進、不正行為の排除の徹底、そして適正な施工の確保、この四つの原則のもとに入札・契約の適正化を促進するということで、一つとして、入札・契約に係る情報の公表の徹底、談合等の疑いのある場合の公正取引委員会への通知等の義務づけ。また、入札・契約の過程や契約の内容についてチェックする第三者機関、すなわち入札監視委員会でございますが、これを設置すること、そして苦情処理の方策、さらには公正な競争の促進のための入札・契約の方法の改善等を定めた適正化指針を策定する。こういったことを内容とした法律でございまして、この法律の施行によりまして、入札談合等の不正行為の防止に相当の効果が出てくるものというふうに考えております。

 今後、本法律の的確な運用を図るとともに、入札・契約制度の透明性、競争性の一層の向上を図ることによりまして、入札談合等の不正行為の防止に万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。

瀬古委員 法律までつくって万全の態勢をとっておられるという御答弁でございました。

 では、公正取引委員会としては、談合を防止するためにどのような施策を講じておられますか。

根來政府特別補佐人 私どもといたしましては、まず第一に、談合を根絶するという趣旨から、適切な情報を把握しまして、そしてその情報に応じて厳正に談合に対処していく。これは最終的には、排除勧告なりあるいは課徴金の徴収ということになるのでありますけれども、そういうことがまず第一であろうと思います。

 次に、第二には、やはり談合というのは、言葉ではわかりやすいのですけれども、法律的にはなかなか抽象的な規定で、一般の方にはわかりにくい点がございます。そういう点で、どういう行為が法律上許されない談合なのかということについて、入札ガイドラインというのを作成いたしまして、一般に公表しております。

 三番目には、やはり事件を通じて、あるいは一般的な問題といたしまして、発注者がもう少し注意してくれればこういう談合は防げたのにという思いがあるわけでございまして、そういう点に対しまして、発注者に具体的事件におきまして注意をしておるところでありますし、また、関係官庁とも協議会を持ちまして、そういう談合防止に努めているところであります。さらに、一般の方から照会がございますから、そういう照会に応じて、相談に応じて談合防止を図っているところでございます。

 委員から御指摘があるまでもなく、私どもの仕事は、一番大きな仕事は、この談合列島と言われている汚名を何とか晴らしたいという気持ちが立っているわけでございますが、批判される方は、気持ちだけでなかなか手足が動いていないじゃないかという批判もあるわけでございまして、そういう批判にこたえて、今後とも厳正に対処していくつもりでおります。

瀬古委員 私どもの日本共産党の機関紙であります赤旗は、ダム工事について、ゼネコン業界の談合で本命とされた企業名一覧を記した内部文書を入手いたしました。国土交通大臣と公正取引委員会にはそれを事前にお渡ししております。委員の皆さんにはその一部を配らせていただきました。

 赤旗の調査では、この文書は、東京に本社のある山崎建設がつくった文書であることを同社自身が認めております。ダム工事は、談合のドンと言われた故植良元飛島建設会長が仕切り、その後継者となったのが同社元副会長の奥村氏です。この奥村氏からダム工事の本命企業はこれを見るとわかると言って渡されたのがこの文書であること、そして、ダム工事の下請に入るためにつくった文書であることを同社元幹部も証言しています。

 この山崎建設は、建設工事に使う重機の中堅会社で、関西国際空港や徳山ダムなど大型公共事業に入り込んでおります。この文書はその営業資料でございます。

 その内容を見てみますと、最初に支店名、物件コード、営業物件名、地域、種目、「一一」というのがありますけれども、これはダムのことですね。発注者、そして、得意先というのは元請のことで、受注予定者のことでございます。発注年月の次に進捗度というのがありますが、Sが確実、Aはほぼ確実、Bが営業をかけている、Cがこれから、Dが情報収集といった意味でございます。

 この文書では、九五年十二月の時点で、将来発注が予想される海外分も含めたダム工事約二百件をリストにしたものです。そのうち、当時入札を行っていない国内の六十のダムについて本命企業を記載しております。これは資料の二の下の欄を見ていただくと、実際に昨年度までに入札が行われた国、公団、地方自治体の二十六件のダム工事で、本命とされた企業が受注したケースは二十二件になっております。特に、国、公団発注工事では一件を除いて的中しております。この中には、公団の徳山ダム、長野県発注の浅川ダムなどがあります。これから発注が予想されるダム三十四についても、これは資料の二の上の欄ですけれども、本命企業が記されておりました。今大問題になっております川辺川ダムもこの中に入ります。

 これは明らかに何年も先のダム工事の受注配分をしていることにほかなりません。これは明らかに独占禁止法第三条「私的独占又は不当な取引制限の禁止」、さらに、これが事業団体がかかわってくるとなれば八条違反が適用されます。これがもし事実とするならば、日本のダムの大半が不法なやり方で建設されている、建設予定されているということが明らかになるわけですね。これは私は大変重大な事態だと思うんです。この報道は八月末からしておりますけれども、公正取引委員会、この問題については調査に着手されているんでしょうか。

根來政府特別補佐人 いつも同じようなことを申し上げまして恐縮でございますけれども、こういうところで具体的な案件についてお尋ねがありましても、イエスともノーとも答えられない立場であることを、ひとつ御了解いただきたいと思います。

 なお、つけ加えて申しますと、一般的には、情報がありましたら、私どもの情報管理室の方で適切に対処しておりますことをつけ加えさせていただきます。

瀬古委員 公正取引委員会では、「独占禁止法と入札談合問題」というパンフレットを出していらっしゃるわけですよね。

 この中ではどういうふうに言っているかというと、「入札談合は、典型的なカルテルで最も悪質な独占禁止法違反行為のひとつです。」このように書いてあります。そして、この問題で取り組む場合に、情報を事件の端緒、違反の手がかりとして、「この端緒の中でも特に重要な役割を果たしているのは、一般の方からの報告です。入札談合の事実があると思うときは、だれでも、公正取引委員会にその事実を報告し、適当な措置を採るよう求めることができます。これは、入札談合の被害者でも一般消費者でも入札談合行為を発見した人であればだれでもよいのです。」こういうふうに書かれている文書がございます。

 それで、確かに公正取引委員会の秘密の問題はありますけれども、もしこれが一般的に、全国のダムがこういう談合で、それも、私が述べましたように、大半はもう本命企業がほとんど当たっている、これは、もしこういうことが事実とすれば、重大な独占禁止法違反の一つとして一般的には考えられるんじゃないですか。その辺はいかがでしょう。

根來政府特別補佐人 まず、おっしゃる最初の問題でございますけれども、これは、独占禁止法の四十五条に、何人もこういう違反があれば私どもの方に報告をすることができるという規定がございます。それを受けまして、私どもはその報告を受けて調査をして、その調査の結果を申告者に通知するという義務があるわけでございます。

 それから、第二番目の問題でございますが、繰り返しで恐縮でございますが、この問題は、委員がおっしゃるようなお話ということを前提にすれば、それは相当大きな問題でございますし、重大な問題でございますけれども、その問題と私どもがその事件を調査するかどうかという話はまた別の問題でございますので、個々の問題についてどういうふうにするかということについては、お答え申しかねるということでございます。

瀬古委員 大変重大な問題なわけですから、私は、公正取引委員会としては、職権できちんと調査をするということを当然やらなきゃならないというふうに思うんですね、職権探知という場合がきちっと位置づけられていますから。私は、もう本格的にこれは調査をやっているんじゃないか、そう期待しているんですけれども、今のお話では、本気にそうなのかどうかというのは不十分です。

 そういう点では、今お話がありましたように、公正取引委員会では、一般のそういう報告があればきちんと調査を開始するということはありますので、改めて正式に、私たちはこの公式な場で、調査を開始していただきたいと、具体的な資料も全部お渡ししてありますので。その点いかがでしょうか。

根來政府特別補佐人 私、四十五条の解釈上、国会でお話しがあった話が申告に当たるか報告に当たるかという、その法律論はよくわかりませんので何とも申し上げかねますけれども、帰りましてよく相談しまして、どういうふうに対処するか決定したい、こういうふうに思います。

瀬古委員 この報告などは口頭でも構わないということになっていて、そういう意味では、公正取引委員会がやる気があるなら、どんどん受け入れて、しっかりと調査に着手すべきだと思いますね。

 そういう点では、こういう場で私もお話ししていますけれども、改めて必要なという場合でしたら、ぜひ私たちも出向いていきたいし、書類も出したいし、こういう公開の場ですべて資料を渡していますので、きちんと調査に着手していただきたいというふうに思います。

 一般論として、先ほどこれがもし事実とすれば大変重大な内容になるというふうに言われましたけれども、もしこのような談合が大がかりに行われているというふうに認定された場合は、独占禁止法ではどのような措置が行われるんでしょうか。

根來政府特別補佐人 これはいろいろ措置があるわけですけれども、まず、私どもの方は、調査をいたしまして、事実が確定いたしますと、それに対して排除勧告をいたします。排除勧告を相手方が認めれば、それに従って審決をいたしまして、それが確定するわけでございます。その排除勧告に対して不服があるときには審判開始決定という手続になりまして、審判を始めまして、審判の結果、審決をいたしまして、これに対して当事者が不服があるときには東京高等裁判所に提訴するという手続にのっていくわけでございます。

 同じような手続は課徴金という制度で、そういう談合によって得た不当な利益を剥奪するという制度がございまして、課徴金についても同じような手続で進むわけでございます。

 さらに、それが非常に悪質である場合には、御承知のように、検事総長に対して私どもは告発をいたしまして、行為者並びに法人が被告人となりまして刑事裁判を受ける、こういうことでございます。

瀬古委員 手続上はわかりましたけれども、こういう事態がもし確定したとすれば、当然、当該行為の差しとめなどがあり、全面的にダム工事はストップするということになるんでしょうか。どういう形が想定されるでしょうか。

根來政府特別補佐人 私どもの方といたしましては、談合について排除勧告ということでございまして、工事に対してどうするという権限は持っておりません。

瀬古委員 では、国土交通大臣にお聞きしたいと思うんですね。

 私どもの出した資料は具体的な、どこが出所でということも全部明らかにして、大変リアルな事実をきちんと出させていただいております。

 そういう意味では、もしこのような談合が、ほとんど全国の主なダムなどは網羅していると思うんですが、これがもし談合だということが明らかになったら、先ほど国土交通省としては談合を防止するために法律までつくって、いろいろ手を尽くしてやるというふうに言われたけれども、まさにそれをせせら笑うような、日本の公共事業にとってはゆゆしき事態ということになると思うんですね。

 その点、この工事も国土交通省のかかわりも随分ございますし、独自で国土交通省としては調査を開始すべきだというふうに私は思うんですけれども、その点いかがでしょうか。――ごめんなさい、時間がないので扇大臣にお願いします。

佐藤副大臣 事実関係だけですから。

 今先生の御質問の件は、以前に赤旗でも報道されておりましたので、国土交通省といたしまして、九月十三日に山崎建設と土工協から事情をお伺いいたしました。

 山崎建設は、会社として報道のあったような文書は作成していないと明言されておりまして、それから土工協は、報道にあるような委員会は存在しておらず、談合は一切していないというふうに明言されております。さらに、報道されております元飛島建設会長や元飛島建設副会長は、いずれも故人であるために確認がとれません。このことから、報道で指摘されているような談合の事実は確認できませんでした。

 以上であります。

瀬古委員 私が先ほど述べました、本命企業が明記されていて、ほとんど百発百中に近い。こういう問題について、山崎建設から聞いて、それでもう終わりなんですか、国土交通省の調査としては。

 私たちは山崎建設にも問い合わせをいたしました。これは私たちの報道でも書いておりますように、はっきりと当社の文書と思われると私たちには答えております。

 そういう点では、どちらが正しいかというのはありますけれども、しかし、客観的な事実として、これだけのすべての主なダムの建設の受注本命企業まで書かれていて、それがほとんど的中している。これを、これはもう全然ございませんなんという、そんな無神経な答弁でいいのかということが私は問われていると思うんです。

 では、具体的にお聞きしましょう。

 例えば落札価格の問題なんですが、日本弁護士連合会の入札制度改革に関する提言と入札実態調査報告書、これによりますと、九八年度の旧建設省調査では、二十八都府県、八政令指定都市、二百五の市町村の公共事業のうち、落札率、つまり予定価格に対する落札価格の割合が九〇%以上のものが八六・九%を占めており、日本は談合が蔓延している、このように指摘をしております。

 資料三を見ていただきたいんですけれども、私が指摘した二十六件のダム工事で本命とされた企業が受注したケースの予定価格に対する落札価格の割合、見ていただきたいと思うんですね。最高で九九・九二%です。最低でも九五・七%。いずれも入札価格ぎりぎりで落札、最大の利益を上げていたわけですね。談合が不成立になったダム工事では六四%ですから、その差はもう明確ですね。談合による高値受注の実態が見事に浮き彫りになっているわけです。

 公正取引委員長、これはやはり一件一件調査をして、どのように事前に工事配分をしているのか、その解明を行う必要があると思うんです。徹底的に調査して、やはり談合、贈収賄排除を行うべきだと思うんです。

 こういう面では、大臣、この点での調査をぜひしていただきたいと思うんですが、こういうものは、山崎建設が関係ないよと言っているからもうしないというものなのか、そんな程度で済まされるものなのかどうか。御決意を表明していただきたいと思います。

扇国務大臣 これは、前に赤旗に載っていた記事でございますので存じておりますし、また、今副大臣から御答弁申し上げましたように、山崎建設を呼び、土工協を呼び、そして調査をしましたが、そういう事実はないということを言われますと、私たちももうそれ以上の調べる権限を持っておりませんし、調べようがないんですけれども、今るる先生の御指摘になりましたようなことを勘案いたしましても、いずれにしましても、こういうことを排除するために、昨年、先生方に公共工事の入札と契約に関する適正化法をあんなに努力して通していただきましたから、それにのっとっても私は違反であろうと思います。もしあればですよ。

 ですから、あそこに明記しておりますように、あの法案の中で、もしそういう事実があるのであれば通知しなければいけないということになっておりますので、先ほどから公正取引委員会の根來さん、わざわざ出ていらしてますので、不正な行為が、私はあってはならないことだと思っていますけれども、もしもある場合は、ことし四月からせっかく施行されましたこの法案に基づいて、その疑いがあるのであれば、公正取引委員会に通知をする等によって、私は新たな不正行為の排除に向けて全力を挙げなければならないと思っておりますし、こういうことが二度とないために法案をつくったということで、公正取引委員会と連携をとりながら、もしもあるのであれば、適正な措置をしていくべきだと思っています。

瀬古委員 直ちに調査をするということは、もうこれ以上無理だというお考えですか。それとも、さらに調査は可能だというふうにお考えですか。

扇国務大臣 わざわざ山崎建設、土工協を呼んで聞いたわけでございますから、あなたうそをついているでしょうとも言えません。ですから私たちはここまでで、今列記されておりますから、もし本当にこの中の一つでもあるのであれば公正取引委員会に申し立てなければならないというのは、法律に書いてあるとおりでございます。

瀬古委員 今回指摘された浅川ダムのある長野県の田中康夫知事は、調査して、事実ならさかのぼって、契約自体が成立しない、このように述べています。当然ですね。国民の税金である以上、このぐらいの姿勢が求められていると思うんですね。

 今言いましたように、高値の受注、それこそ落札価格がほとんど変わらない、こんなことはもう明らかに談合しかないんだということが、きのうの横須賀のテレビの放映でも、市長が、こんな高値でやるのはとんでもないと言って、落札方法を改善するとか、いろいろそれぞれの自治体は努力しているわけですよ。

 法律までつくってやるぞという国土交通省が、これについて山崎建設から聞いた、団体から聞いただけで、それで終わりなどという、こんなことがやはりあってはならないと思うわけです。そういう点では、徹底した調査をぜひ求めたいと思っています。

 もう時間がございませんので、きょうはこれで終わりたいと思います。都市公団の民営化の問題は、公団の皆さんに来ていただいて申しわけないんですけれども、以上でございます。ありがとうございました。

赤松委員長 日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 時間が少ないので簡潔に質問いたしますので、御答弁も簡潔にお願いしたいと思います。

 道路計画合意形成研究会というのが先ごろ提言をお出しになりました。学者の皆さんが協議をして、国土交通省あてに提言をされたんですが、これまで、公共事業、特に道路事業が中心なんですが、どうも入り口のところで、情報の公開が不備であったり、住民参加の制度がない、そういうことがあったので、各地で紛争が起きている、その反省の上に立って、ヨーロッパ並みのPI、パブリックインボルブメント、大臣がよくお触れになるんですが、これの日本版といいますか、これを導入しようということで、この研究会が提言をされたわけです。

 これについては、当時の建設省も反省されているし、国土交通省も恐らくそういう思いがあると思います。それから、さきの土地収用法の論議の中でも、特に入り口のところ、ここを明快にしよう、そこできちんと住民参加や情報公開を行うことによって、公共事業のあり方全体が変わってくるんじゃないか、そういう議論もあったわけですから、PIを導入しよう、そういう意向については大いに評価をしたいと思っています。特に、これが道路局だけではなくてすべての公共事業に拡大をしていくということをむしろ願っている立場であります。道路局がやられた中身をほかの局にも広げていって、河川もそうです、それから都市計画全体にも広げていくという形でやっていただきたいと思っています。

 と同時に、しかし、この提言の中身について、若干問題がないというわけではありませんので、その辺について最初に質問したいと思います。

 一つは、研究会の設定の仕方なんですが、国土交通省が選任した学識経験者、しかも三回の協議で提言をされているというふうに聞いています。道路をつくっていくときのいわば最初の入り口の段階に当たる合意形成のあり方を決めていくには、余りにも拙速ではないのかという感じがいたしました。特に、反省点も出ているわけですから、そういう意味からいうと、この提言を出すのであれば、実際に紛争が起きているその当事者である住民団体であるとかいうものも含めて、もっと真剣に論議をする中で、よりよいものを提言していくというのが基本的なあり方ではないのかというふうに思っているんです。

 言ってみれば、PIを道路計画の段階で導入しようという、そのためのこの研究会でPIが導入されていないということも感じるわけなので、それについて、国土交通省のお考えを最初にお伺いしておきたいと思います。

大石政府参考人 国土交通省におきまして、道路事業の計画決定プロセスにおける望ましい合意形成のあり方について御検討いただくために、平成十三年九月に、学識経験者から成る道路計画合意形成研究会を設置いたしました。

 確かに、先生御指摘のとおり、先月の三十一日の開催の第三回の研究会におきまして一応の御提言をいただいたところでございます。短期間に御議論いただいたわけでございますが、この議論は、完全にオープンな場で、新聞記者も同席していただくことができるという形で議論させていただきました。

 この研究会の提言は、我が国のみならず諸外国の行政手続や住民参加の事例等に精通した学識経験者に参加いただいて御議論いただいたものでございまして、今後の我々の道路計画の決定プロセスのあり方に関しまして、重要な御示唆をいただいたものと考えております。

 道路計画におきます望ましい合意形成のあり方については、今国民の広い関心事でもございまして、そういうようなテーマであったことから、速やかにその方針を示すため、極めて精力的に御検討いただいたものでございます。

 拙速ではないかという御指摘でございますが、提言された内容は、私たちの国におきまして初めて示された考え方でもございます。今後、幾つもの取り組み事例を重ねまして、国民の皆様や地域の皆様方の御意見を踏まえて、よりレベルの高いものになるよう、改良、改善をしていきながら、つまり、歩きながら改善していく、そんな考え方でこの御提言を生かしていきたいと考えております。

日森委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 内容について若干触れておきたいと思うんですが、第三者機関、ここでもまた第三者機関が登場しまして、最近、はやり言葉のようになっているんですが、この第三者機関というのはどういう機関を想定しているのか、これをお伺いしたいと思うんです。

 研究会の議論の中でも、学者の先生から、現在の都市計画審議会、これらに対して、公平性などについて、どうも疑問があるのではないかという意見も出されておりました。この提言の中では、中立的な立場にある学識経験者で構成されるべきだというふうに言われているわけですが、それにしても、行政が選定をして、道路管理者が委任する、こういうもので本当の意味での第三者機関になり得るのかという心配があるわけです。その意味で、この第三者機関をどういう中身にすることによってその中立性や公平性を担保するのか、お聞きをしておきたいと思います。

大石政府参考人 そもそもこの議論が、構想段階におきます計画決定手続の透明性、客観性、公平さを確保するために、計画の早い段階から情報公開、市民や地域の皆様の意見の把握を行うためなどのPIのプロセスでございますから、今御指摘がございましたように、その客観性、透明性を確保する、それを担保するという仕組みは非常に重要だというように考えてございます。そのため、我が国や欧米諸国での実例から、中立的な立場の学識経験者から成る第三者機関が支援することが有効であるとの提言がなされたところでございます。

 この第三者機関の委員の選定に当たりましては、道路管理者と地域の代表である地方公共団体が調整を行うこととするほか、第三者機関みずからが規約を定めまして、行政機関とは独立的かつ自主的に運営することなどを取り決めていただくことにより、中立性、効率性が保たれるよう運営に努力してまいりたいと考えております。

日森委員 そういう答弁になるんでしょうが、これまでの経験からいって、そういう選定の仕方で本当に十分かという疑問が現実にあるわけですから、例えば公募をするとかさまざまな工夫を凝らして、だれが見ても、これは今度の道路計画について中立的にいろいろな審査をしたり報告をしたりすることができる機関だということに努力をしていただきたいと思っています。

 時間がないので次に進ませていただきます。

 もう一つは、この提言の中で言われていることなんですが、なかなか理解しがたい点がありましたので、確認の意味も含めてお伺いしたいのですが、道路計画と上位計画との関連性、これがどうももう一歩明確でないという感じがいたしました。

 この機関で、例えば、道路整備をしない、あるいは計画変更であるとか廃止、そういう案が決定された場合、再度上位計画に戻り検討するというふうになっているんです。例えば、この高速道路はだめですよという話になって、全総か何かに戻っていくということになるのでしょうけれども、今の段階では、上位計画に戻っていく手続というのははっきりしていないわけですね。これはどういうふうに行っていくことになるのか、あるいは、今度このPIを活用することによって改めてその手続を整備するのかということについてお聞きをしたいと思います。

 同時に、道路整備をしないという案が決定された場合、当該計画は休止をする、休むというふうになっているんですが、そのことによって例えば沿線住民あるいは関係住民に大変な迷惑がかかったり、あるいは土地利用についてどうするのかとか、いろいろな議論が出てくると思うのです。そういうことに対する補償の問題や何かがあるわけですから、例えばこの休止ということについて、これは改めて協議をして最終結論を得るまでの一時的な休止なのかどうなのか、それについてちょっとお聞かせをいただきたいと思っています。

 それから、事業の適用範囲、これも大変限定されているように思うのですが、ちょっと研究会の資料を見せていただきましたら、欧米では大体すべての事業に適用するような、そういう事例が大変多いように見受けましたけれども、その辺について、現在事業中の道路でも必要があればPIというこの方式を活用するような意思があるのかどうか、ちょっと一緒になって失礼ですが、お答えいただきたい。

大石政府参考人 今、前段で先生が御指摘された部分は、今後の試行の中でいろいろ工夫をしていかなければならないという部分も多く含まれていると思います。ただ、私たちの現在の考え方は、道路整備をしない案も含めた代替案の比較検討によりまして検証していきたいと考えてございまして、道路整備をしない案が採択された場合には、事実上計画を休止するということにいたしております。

 しかしながら、道路計画そのものは、地域の交通混雑でありますとか、あるいは地域の整備計画、あるいは地域の交通安全問題等の、それぞれの地域やエリアが抱える矛盾を解決するために提案されているものでございますから、こういった道路整備をしない案が選択された場合に計画を休止するということになりますと、そういった矛盾や課題を解決するための新たな代替案が検討されるべきでありまして、そういう工夫の中で、一たんこの計画は休止しながら新たな解決策を模索していく、こういうことになるのではないかというように考えてございます。

 それから、諸外国においてはもっと広い範囲でこの考え方が適用されているのではないかということでございますが、私たちは、いろいろな事業に適用することは考えられるのでございますが、当面は構想段階にある高規格幹線道路事業等を対象にするという御提言をいただいたところでございまして、そのような運用をしてまいりたいと考えてございます。

 ただ、外国におきましても、すべての道路事業においてPIプロセスが導入されているわけではなくて、高速道路や国道等の幹線道路、つまり広域的に大きな影響が及ぶ道路計画に対して導入されていると聞いているところでございまして、私たちも、こういうところから少しずつこういった制度を定着させていきたいと考えているところでございます。

日森委員 これについては、要望になりますけれども、ぜひ、役所の都合で使い勝手のいいような制度ではなくて、むしろ、それによって被害を受けるかもしれない、そういう方々の立場に立った制度として、十分実績を積まれて整備されるようにお願いをしておきたいと思っています。

 最後の項とちょっと関連するのですが、圏央道が今建設中でございまして、私、埼玉なんですが、埼玉県内も横断というような形で工事が進んでいるわけですが、その中で、今、坂戸市というところにインターチェンジの建設計画がございます。

 この坂戸のインターチェンジというのは、川島という隣の町のインターからわずか二・六キロメートルしか離れていない。このインターチェンジを計画されているところは、新たなアクセス道路をつくっていかないとインターをつくっても全く意味がないというようなところに計画がされているわけです。このアクセス道路をつくるために二百億円ぐらいのお金がかかると言われていますし、インターチェンジも、これは国のお金でしょうが、十億円ぐらいお金がかかる、そういう状況に今なっていて、現地で反対運動が起きているわけです。

 実際には、そこに本当にインターチェンジが必要なのかという問題やさまざまな問題があって膠着状態が続いていて、私もその交渉の場に何度か出させてもらったことがあるのですが、どうも釈然としない。国土交通省の大宮事務所が中心で、あとは県も入ってやっているのですが、住民の疑問に対してどうも明確な答えがなされていないのではないか、そんな感じもしているのです。

 こういう問題というのは各地にたくさんあるのでしょうけれども、大分これは長い時間かかっていて、なかなか計画が進まないということがあるのですが、計画自体がバブル期の当初計画で、例えば車の乗りおりする見込み数とか、それから、それがもたらす経済的波及効果であるとかいうことについても、改めて調査をし直したり見直す必要があるんじゃないか。

 その上、現地の方々は、ここにインターチェンジなどというでっかいものをつくらなくても、例えば場所を変えて、県道と接続するようなランプ方式でも十分機能を発揮できるんじゃないか、そこまで話をされているのですが、ランプ方式がいいのかインターがいいのかということについて、まさにさっきのダム問題でもありましたけれども、比較検討をきちんとされて納得いくような回答がなされていないとか、いろいろな問題があるわけです。

 そういうことを勘案されて、あくまでもインターチェンジの案にこだわるのではなくて、ちょっと振り返ってみて、もう少し今の時代にふさわしい、市の財政も大変厳しくなっている、県の財政ももちろんそうなんですが、財政の問題もあるわけですから、実際の費用対効果の問題なんかも検討し直していくことが必要なんじゃないか、こんなふうに思っているのですが、国土交通省の御見解をお伺いしたいと思います。

大石政府参考人 首都圏中央連絡自動車道の坂戸インターチェンジの整備のあり方についての御質問でございますが、このインターチェンジのアクセス道路となります都市計画道路坂戸東川越線といいますのは、坂戸市東部、川越市北部、東松山市南部等からの広域交通を処理するために企画された都市計画道路でございまして、これは、埼玉県の県内一時間道路網構想や坂戸市の総合振興計画を実現する上で必要な道路だというように位置づけられていると聞いてございます。

 また、その道路を生かすために重要なインターチェンジとして、坂戸インターチェンジが県や市から強い設置要望がございまして、その設置が平成十年四月に都市計画決定されたものでございます。

 このインターチェンジは、計画決定に当たりまして、当然のことでございますが、法律に定められた手続に加えまして、地域住民との地区集会や地権者との意見交換会等を実施して、地域の皆様方へその必要性について情報提供や意見交換を実施してきたところでございます。

 現在では、用地説明会を開催した上で、平成十二年三月より用地買収に着手いたしまして、現在では、坂戸市域におきまして、平成十三年十月末、九三%の用地買収が完了いたしております。

 しかし、先生御指摘のとおり、まだ一部の地権者や関係者の皆様方には、インターチェンジの必要性や計画内容について御理解いただけない点もございますし、今お話がございましたように、新たな計画構想の御提案もあったというように聞いてございますが、現在、このような進捗状況を考えますと、今後とも、御理解を得るための説明、意見交換会を進めまして、インターアクセス道路であります都市計画道路坂戸東川越線の事業進捗も勘案した上で、我々も事業の進捗を図ってまいりたいと考えているところでございます。どうぞ御理解をいただければ幸いでございます。

日森委員 それに当たって、ぜひ比較検討みたいなこともきちんとやっていただいて、住民の側に理解できるような、そういう努力をしていただきたいというふうに思っていますし、それから財政問題なんかでもいろいろあるようですけれども、それらについてもぜひ改めて御検討いただくような、そういう努力をしていただきたい、そんなふうに思っております。これは要望にしておきます。

 次に、交通規制の緩和についてお伺いしたいと思うのです。

 自転車及び歩行者専用道路というのがございまして、ホコ天とか言われていますが、ここは許可車だとか指定車あるいは軽車両以外は進入が禁止されているという道路があるわけです。この道路に実は身体障害者等を乗せたタクシーが、あるいはハイヤーでもそうなんですが、なかなか進入しづらい。したがって、その歩行者専用道路の途中にある身体障害者がお住まいの家だとか訪ねるところは、許可がなければ進入できないわけですから、途中でおりてもらう、そんなことがあって、非常に不都合を感じているというお話が各地でありました。

 確かに、各県の県警ごとで対応が違うようで、それぞれ許可証を枚数を限定して出しているところや、あるいはそれを黙認して、まあいいよと言っているところもあるようですが、しかし、実際には、厳密に言えば、指定車両でないタクシーが、身体障害者を乗せているといっても、そこに進入すれば交通違反になるわけで、中には違反で捕まったら点数がなくなって免許が停止になってしまうかもしれないなんていう運転手さんもいらっしゃるかもしれないわけですね。

 そこで、今福祉タクシーとかいろいろなことがあるわけです。特に、バリアフリーと言われているわけですから、玄関口から玄関口まで、目的地から目的地まで、送り迎えも含めて、身障者をきちんと運ぶことができる、輸送することができるということのために、タクシー、ハイヤーについては一定の工夫をしてもらう必要があるのじゃないか、そんなふうに思っているのです。

 今、各県ばらばらで対応しているのです。ですから、それを何か統一した基準でやるようなことができないのかということについて、ちょっとお伺いしたいと思います。

坂東政府参考人 委員御指摘のように、交通、特に歩行者の安全を図るためなどで車両通行禁止の規制というのが各地で行われているところでございますが、そういった車両通行禁止の規制が行われている道路でございましても、身体障害者の方々が通行すべき相当の事情がある場合には、警察署長の許可によりましてその通行を認めているところでございます。

 例えば、身体障害者を輸送する装置を有しているタクシーとか、あるいは身体障害者が特定した会社のタクシーなど、身体障害者の方々が利用する蓋然性の高い車両につきましても、それぞれの事情に応じまして、例えば三年といった長期間にわたる許可をするなど、身体障害者の利便性に配慮した運用がなされているところでございます。

 今後とも、このような柔軟な運用が行われますように、各都道府県警察を警察庁といたしましても指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。

日森委員 確かに、それぞれ工夫されて柔軟な運用をされているのですが、それでもなおかつ不都合が生じているということも事実なので、例えば流しのタクシーを路上で身体障害者の人が拾うというのは少ないかもしれませんが、いつ、どの車に乗るかもわからないわけです。

 そういうこともあるわけですから、ぜひ柔軟な対応をといっても、具体的にどうされていくのかということも含めて検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。

 続いて、空港のテロ対策についてお伺いしたいと思います。

 アメリカのテロ事件以降、日本全国の空港でフェーズEという最高段階の警備態勢がとられたわけですけれども、しかし、実際に現場にいる方々のお話を聞くと、このフェーズEの段階でも非常に十分ではないというお話を伺っています。

 例えば手荷物検査は、フェーズEだと、本来ですと飛行機に搭乗する直前も、二重のチェック、ダブルチェックをしなきゃいけないんじゃないかということなんですけれども、我が国では一回だけで、搭乗直前のチェックが行われていないとかいう問題があったり。

 それから、特に警備のための要員が十分でないのではないか。もちろん警察官も配置をされていますが、それだけでは決して十分ではなくて、聞くところによりますと、各航空会社が契約をした警備会社に委託をしてやられている、保安態勢が組まれている、それが中心になっているわけですね。

 ところが、警備会社の方もいろいろな事情があるのでしょう。非常に人の出入りが激しくて、短期間で退職をする、すぐ新しい人が入ってくる、そんな状況がずっとあって、本来専門的に訓練を受けていなければならないようなそういう保安の仕事が、非常に出入りが激しいために危うくなっているんじゃないか、こんな話もあったわけです。

 特に搭乗員の方なんかは、飛行機はもう中に乗られちゃったら終わりだというふうに考えているようで、水際できちんと対策をとってほしい。そのためには、要員の問題やあるいはそのチェック機器の問題、こうした問題についてもう少しきちんとお金を使ってもやっていく必要があるんじゃないか、そんなふうに思っているのです。

 国土交通省も、インターネットでとったら、十億円ぐらいですか新たにお金を使うんだと、十億円になるかどうかわかりませんけれども、やられるようなんですが、外国だと、水際作戦をやるために恐らく国土交通省の十倍とか十五倍のお金を投入して空港の保安体制を整備しているということを聞いています。

 現在の人員の態勢、保安機器の態勢、これは実際十分なのかどうなのかということをお聞きしたいのと、それを本当に外国並みにきちんと水準を引き上げていくために、国土交通省として、財政的な支援も含めて、航空会社任せにするんじゃなくて、航空会社任せにしておけば、今の規制緩和の中で競争が激しいわけですから、一番収益の上がらないところから切っていくわけで、整備の問題とか保安の問題がおろそかにされていく心配もあるわけですよ。そこは国がきちんと補完していく、いや、むしろ充実するために国が積極的に支援していくという体制がないと、本当の意味でこのテロ対策はできないんじゃないかと思っているんですが、それについてお伺いをしたいと思います。

深谷政府参考人 飛行場におきますところのハイジャック防止、テロ対策についてのお尋ねがございました。

 先生御指摘のとおり、九月のアメリカにおきます同時多発テロ事件の直後から、私どもといたしましては、全国の空港で最も高い空港警戒態勢、フェーズEというレベルで、検査機器を使用した検査あるいは開披検査、こういったことを厳格に行うことによって、御指摘のとおり水際で、要するに凶器を持ち込ませない、これが一番大事だろうということで、航空保安対策に万全を期しているつもりでございます。

 また、先ほど、検査員の実態についてのお尋ねがございました。

 保安検査を実施しております検査員の勤続期間が短いケースもある、こういう御指摘でございますけれども、私ども、その点につきましては、主要空港についてのケースを見ましても、確かに中には勤務年数の短い退職者のケースもあるというふうには思いますけれども、各検査場への警備業法に基づきます空港保安警備検定、こういう制度がございますが、そうした合格者の配置の促進、あるいは保安検査員に対する教育訓練に係る体制あるいは内容の見直し、こういったことを指導することによりまして、保安検査員の資質の維持向上を私どもとしても図っておるところでございます。

 また、今般の事案にかんがみまして、お客様に安全な航空旅行をしていただくために、お客様を安全に輸送するという第一義的な責任は、航空会社が責任を持って保安対策をやっているところではございますけれども、国といたしましても、国が設置管理している空港につきまして、設置管理者として、その航空保安の重要性にかんがみまして、これまでも保安検査員の資質の向上あるいはその維持、こういったことについての指導を行っているつもりでございますが、御指摘の検査機器の導入あるいは検査員の人件費、こういったことにつきましては、原則その二分の一を私どもとしても負担をし、国としてもできる限りの措置を講じているつもりでございまして、今般の事案にかんがみましても、今年度当初予算で約三十一億円のこのための予算を計上しておりましたけれども、今般の事案にかんがみまして、補正を待たないでやれるものについては既に、エックスレイの機器の整備あるいは爆弾探知機の配備、それから、今回お願いをします補正におきましても国費ベースで十億円を計上して、万全を期してまいりたい、かように考えております。

日森委員 もう、早くやめろというベルが鳴ってしまいました。

 川辺川ダムについてちょっと質問ができなくなってしまったのですが、改めて、また一般質疑の時間があるようですから、そのときに時間をかけてやらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会




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