衆議院

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第2号 平成14年2月27日(水曜日)

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平成十四年二月二十七日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 久保 哲司君
   理事 木村 隆秀君 理事 実川 幸夫君
   理事 橘 康太郎君 理事 林  幹雄君
   理事 古賀 一成君 理事 細川 律夫君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      赤城 徳彦君    小里 貞利君
      金子 恭之君    倉田 雅年君
      小西  理君    菅  義偉君
      高橋 一郎君    谷田 武彦君
      中馬 弘毅君    中本 太衛君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      森田 健作君    吉川 貴盛君
      阿久津幸彦君    井上 和雄君
      大谷 信盛君    樽床 伸二君
      津川 祥吾君    中村 哲治君
      永井 英慈君    伴野  豊君
      前原 誠司君    高木 陽介君
      山岡 賢次君    大幡 基夫君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    西川太一郎君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   国土交通副大臣      月原 茂皓君
   国土交通大臣政務官    菅  義偉君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   国土交通大臣政務官    森下 博之君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   政府参考人
   (内閣官房道路関係四公団
   民営化推進委員会設立準備
   室長)          坂野 泰治君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局整
   備部長)         中島 克己君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房官庁
   営繕部長)        春田 浩司君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長 
   )            岩村  敬君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           洞   駿君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  田中 和徳君     金子 恭之君
  高木  毅君     小西  理君
  今田 保典君     中村 哲治君
  保坂 展人君     原  陽子君
  二階 俊博君     西川太一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     田中 和徳君
  小西  理君     高木  毅君
  中村 哲治君     今田 保典君
  原  陽子君     保坂 展人君
  西川太一郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
久保委員長 これより会議を開きます。
 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房官庁営繕部長春田浩司君、総合政策局長岩村敬君、都市・地域整備局長澤井英一君、河川局長竹村公太郎君、道路局長大石久和君、住宅局長三沢真君、鉄道局長石川裕己君、自動車交通局長洞駿君、海上保安庁長官縄野克彦君、内閣官房道路関係四公団民営化推進委員会設立準備室長坂野泰治君及び農林水産省農村振興局整備部長中島克己君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長白石博之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森田健作君。
森田(健)委員 おはようございます。
 扇大臣も、羽田、成田と、国際線でいろいろと頭を悩ませていると思いますが、私も大田区で、地元としても、これはもうばっちり応援させていただきますので、強い指導力をよろしくお願いいたします。
 でも、成田の国際空港といいますと、どうしても、交通手段でございますか、やはり遠い、不便だ、そういうことが言われております。
 聞くところによりますと、東京の都議会でリニア議連というのができたみたいで、その中で、いろいろな議論をしている中で、何か、こういう話も出ているみたいですね。リニアモーターカーを羽田―成田間で運転しますと、信頼できる某研究機関の試算によると、何と十五分で結べる、工期は四、五年で、大深度工法で行い、予算は一兆円でできるということなのでございます。
 実際、今リニアの現状はどうなのか。それも踏まえて、鉄道局長、今のリニアの現状、そして将来のお考えをひとつ賜りたいと思います。
石川政府参考人 リニアモーターカーの件でございますが、現在までどういうことになっているかということでございますが、一つ、リニアモーターカーの技術開発でございます。
 平成九年四月から、山梨のリニア実験線において走行実験をやっております。それで、平成十一年四月の走行実験で、有人による最高速度五百五十二キロを達成してございます。また、平成十一年十一月には、二編成によるすれ違い相対速度千三キロという記録を達成してございます。
 それで、平成十二年三月の実用技術評価委員会というところにおいて、平成九年度から三年間の走行試験などの実用技術評価というのが行われまして、「長期耐久性、経済性の一部に引き続き検討する課題はあるものの、超高速大量輸送システムとして実用化に向けた技術上のめどは立ったものと考えられる。」との評価を受けてございます。
 これらの長期耐久性、あるいはコスト低減などの残された課題というのがございますので、こういうものを克服するために、現在、引き続き山梨実験線において走行試験を実施しているというところでございます。
森田(健)委員 局長、都議会で今、先ほど私が話したようなことが議論されていると承っていますけれども、それについて、何かお考えはございますか。
石川政府参考人 リニアにつきましては、今申し上げましたように、技術的な問題あるいは経済的な問題ということで、まだ克服すべきことがございます。
 いろいろなところでいろいろな御議論をされていくということ自体は、議論を深めていただければいいかと思いますけれども、ただ、やはり相当な、くどいですけれども、コスト低減の問題とかありますので、そこについてこれからどういうふうに解決していくかということもあわせて、我々も実験を続けていきたいと思っております。
森田(健)委員 あらゆる考えを駆使して、せっかくの技術でございますから、有効に利用していただきたい、そのように思います。
 あと、成田新高速鉄道でございますか、これは七、八年後に完成して、約十七分の短縮、三十分台の実現、このようにうたわれておりますけれども、局長、これは、やはり将来は東京駅、品川駅ということも視野に入れているのかどうかお聞きしたいです。
石川政府参考人 成田と都心を結ぶ成田新高速鉄道アクセスにつきましてですが、今先生お話がありましたように、これができますと、成田空港と都心部の間を約十七分短縮できるということでございます。したがいまして、現在、千葉県あるいは新東京国際空港公団などの関係者が一丸となってその整備に取り組んでいるというところでございます。
 したがいまして、国におきましても、この整備の促進を図るために、平成十四年度予算案において、ニュータウン鉄道等整備事業費補助の対象といたしまして、なおかつ、この成田新高速鉄道整備事業に対する補助率というものを、通常の一八%から三分の一に引き上げたというところでございます。
 さらに、今お話がございましたように、成田空港と東京駅の間をどうするかということにつきましては、実は、平成十二年一月に運輸政策審議会から答申されました東京圏の鉄道整備計画という中に、都営浅草線から東京駅に向けた分岐線を整備するという計画が盛り込まれておるところでございます。
 浅草線の東京駅への接続ということにつきましては、このような計画を含めたさまざまな案というのが現在いろいろとございまして、そういう案を検討する委員会というものが、昨年の秋、東京都において発足いたしまして、現在、関係者の参加のもとに検討を加えられているところでございます。
森田(健)委員 はい、わかりました。
 さて、大臣、副大臣、政務官に御意見をお伺いしたいと思います。
 今、どこでも選挙を結構やっているんですよね、市長選なんかも。
 現市長が、文化、芸術に市民の皆さんに興味を持ってもらいたい、見てもらいたいということで、芸術、文化の会館をつくりました。客席は千席でございます。収支を考えると、でも満席は無理だろう、千席のうち八百席ぐらいは何とか入ってもらって、そうすると、収支を計算していくとお客様一人当たり五千円ぐらいだ、五千円でいこうと。それで、非常に立派な会館でもあり、その意義は大変にすばらしいことですから、盛り上がったのでございます。
 ところが、ふたをあけてみますと、どんな公演をやっても、ひどいときは百か二百席、いいときでも四百ぐらい、言うなれば、目標の八百のうち、平均すると四割ぐらいしかない、三百ちょいしかない。
 しかし、現市長は、何を言っているんだ、多少の弾力性はあったとしても、これはやはり収支なんだ、やはり予算があって物はできるんだ、ですから、この一人頭五千円、多少は弾力があったとしてもこれを堅持する、こう選挙戦で訴えました。これが現役の市長でございます。
 対抗馬が出てまいりました。何をおっしゃっているんですか、飛行機だって閑散期には、空気を運ぶより一万円にしてお客さんを運んだっていいと言っているじゃないか。五千円を二千五百円、また、もうちょっと下げたら、もっと、みんな、見たいという人が多いんですよ。それと同時に、薄利多売じゃありませんが、人様がいっぱい来るならば、レストランも売り上げが上がるじゃないですか。例えば、出演者のいろいろな商品に対しても売り上げが上がるじゃないですか。言うならば、付加価値としての利益も考えて、総合的に考えなくてはならない。それよりも、もっと大事なことは、市民の人に文化芸術に触れていただきたいということじゃないかと。
 現市長が言っていることもわかります。それはそうです。それだけの厳しい財政の中で収支を考えるならば五千円を堅持していくと。しかし、対立候補は、そのように、何が目的だったんだ、それと、もっと大きく物を考える、こういうことを訴えて出たのでございます。
 さて、菅政務官、どっちに入れますか。そして、その理由をひとつお願いします。貴重な一票でございます。
菅大臣政務官 私は、新人候補に入れたいと思います。それは、せっかくつくったものですから、皆さんに利用してもらう、その経済波及効果というんですか、その活性化の方が大事であると思います。
森田(健)委員 ありがとうございます。さすが、菅政務官でございます。
 佐藤副大臣、どうでございましょう。北海道は大変忙しいそうですけれども。
佐藤副大臣 アクアラインを十二年に四千円から三千円に引き下げました。それで大体三割ふえました。そんなことを考えますと、せっかくの国民の資産が多くの方々に使われることが非常に大事ですから、ぜひとも先生のおっしゃる後者の考えを入れながら検討することが大切だろうと私どもも思っております。ですから、ぜひともそんなことを考えていきたい、そう思っています。
森田(健)委員 ということは、新しい候補者に一票を投じるということでございますね。
 さて、大臣、一票入れるかどうか、その理由を、一言だけで結構でございますから、あとはまたお聞きしますから、お願いします。
扇国務大臣 日本の国が今一番はざまになっていると思います。
 それは、かつての日本のよさを忘れつつある。二十世紀、何をしてきたんだろう。我々は二十一世紀を迎えました。日本らしさというもの、日本独特の文化、芸術、あらゆる日本の心というものを育てるために、我々は、みんなで、改めて日本を見直すためには、そういう場がなければ見直すことができないし、新たに、若者に日本の文化を根づかせて、日本の心を教育するためには、そういう場は、苦しくても提供し続けなければならないと思っています。
森田(健)委員 力強い御発言でございます。一票入れていただけた。
 そうなんでございます。佐藤副大臣がおっしゃいましたけれども、そのアクアラインのことでございます。
 計画当初は、一日に二万五千台ぐらいだろうと。ところが、実際は一万台、言うなれば四割ぐらいだった。もっと詳しく言いますと、料金四千円のころ、交通量は九千八百台、収入は百四十六・六億円。では、これじゃ高いんだ、何とかしようじゃないかと千円下げた。そうしたら、三千円にしたら一万三千台にふえた。三千強ですね。では、収入はよっぽど減ったんじゃないか。そうでもないんですよ。これは百四十四・三億。言うならば、二億ちょっとぐらいなんですね。
 でも、菅政務官がおっしゃったように、ただこの収支だけを考えるとちょっとと言うけれども、先ほど言ったように、レストランでの収益だとか、出ている俳優さんのいろいろな商品の収益。それと同時に、やはり何のためにこのアクアラインをつくったのか。あれは首都高速の交通量の緩和を目指してつくったんじゃないですか。そうでしょう。ならば、私は、これを二千円、千五百円ぐらいにしてもいいと思う。
 改めて今、羽田をより一層国際空港にしようと言っているときに、あるときは、都心に出るまで、本当に成田と同じぐらい、一時間半ぐらいかかるんですよ。所期の目的は、それはそうでしょう。でも、実際にふたをあけて違っていたら、それをそこだけで見るんじゃなくて、大きく物事を見ていかなきゃいけない、私はそう思うんです。
 道路局長、そんな、ちょこちょこ値下げしたってだめですよ。下げるときは思い切ってばちっと下げる。どうですか。
扇国務大臣 道路局長が出るまでもなく、私が出しゃばって申しわけないんですけれども、現実的に、森田先生おわかりだと思います、なぜアクアラインの通行量がふえないか。当然なんです。渡った先に何もないからです。渡った先が成田までつながっていれば、料金を下げなくても行くんです。
 横浜、横須賀の人は、アクアラインを通って二十四分、ぐるっと一回りして成田へ行ったら二時間二十七分。これだけ違えば、アクアラインの先に成田まで通じる道路をつくらなかった、それは、グランドデザインができていない、公共工事の継続性がないということの典型だと私は思って、今、千葉県知事等々と、アクアラインの先を成田までつなぐ、圏央道とつなぐ、そうすれば、みんな、横須賀、横浜の人は成田までアクアラインを通って行ってくれます。二十四分で渡れます。一回りしたら二時間二十七分。
 料金を下げなくても、私は、つくったこの国の公共工事の財産をいかに使ってくれるか、そのグランドデザインを国土交通省がやっていきたいと思っています。
森田(健)委員 ということは、あのときにこのアクアラインをつくろうとした、あれは間違いだったんですか。
 それと同時に、今現状において、それは大臣のおっしゃるとおりですよ。それができていれば下げる必要はないですよ。でも、あのときの考えが未熟だったからこういう結果を起こしたんじゃないですか。だったら、とりあえず今、少しでも利用してもらうことを考えながらこっちをつくっていくべきじゃないですか。違いますか。
扇国務大臣 私はいつか申し上げたと思うんですけれども、本四架橋もアクアラインも、公共工事の最大のむだ遣いだと言われます。それは、政治判断の間違いもあったかもしれませんし、その当時は、行け行けどんどんで何かしようといった気持ちもわからなくはありませんけれども、今申しましたグランドデザインがなかった。四国も、三本じゃなくて一本減らして、四国を一巡する高速をつくればよかった。やはり、そういう政治判断の間違いもあったと思いますから、政治判断の間違いは政治判断で変えようと、前進しようと思っています。
 アクアライン、先生御存じだと思いますけれども、アクアラインを渡るのは、今、ゴルフの人が主なんです。なぜふえないか。ゴルフ場が疲弊しているからなんです。手前で四台の車が集まります。そこで、三台の車を駐車場に置いて一台に乗りかえます。四人がアクアラインを一台の車で通って、三千円で節約するんです。今、そういう現状ですから、幾ら料金を下げても、みんな、手前に三台置いておいて一台だけ通る。先がないからなんです。済みません。
森田(健)委員 いやいや、その現状じゃないんですよ。だから、僕が言っていることは、そういう構想があって、実際に稼働しているんだったらわかるというんですよ。でも、今現在は、そういうことはないでしょう。
 大臣のおっしゃっていることはよくわかりますよ。私もそのとおりだと思う。しかし、事実、千円下げたことによって九千八百台から一万三千台にふえた。これは現実じゃないですか。そうでしょう。だったら、ゴルフだけじゃないですよ、これは。なぜふえたかということを、やはりちゃんと考えていただきたいですよ。
 だから、私は大臣の構想は大賛成です。言っていることもわかります。それを並行してやるのだったらわかるけれども、現段階において、今後この交通の混雑を緩和させるためには、このぐらい手を打たなきゃだめだろうというのですよ。飛行機だって、閑散期には、空気を運ぶより一万円に下げても乗っけていくのですよ。そのぐらいの考えを持たないと。あのときは経済がこうだったから、あのときは行け行けどんどんだったからそれはしようがない、でもこれからはこう考える、今下げたって、あれはゴルフ場だからこうだと。これは違うと思う。
 僕は、扇大臣の将来の構想は大賛成です。そのとおりだと私は思います。しかし、現状をきちっと把握して、やはりやることをやらなきゃだめですよ。いかがですか。
扇国務大臣 平成十二年、四千円を三千円に下げました。一年間は交通量が三割ふえました。現在、一年間だけで、今また下がっております。それは、交通量が下がったのは、三千円に下げたのでみんな通ったのですけれども、やはり先がないからというので、また今減っています。済みません。
森田(健)委員 では、そんなだったら四千円にまた戻せばいいじゃないですか。そんな、こうだったから、ああだったからじゃなくて、さっき言ったように、現状において、では、どういうふうに通ってもらうかということをもっと考えてくださいよ。それは私は大臣らしくないと思いますよ。だから、私は、三千何台じゃなくても、たとえ千台でもふえてそっちを通ってもらえれば、これはよしとしなきゃいかぬじゃないですか。道路ですよ。満杯じゃないんですよ。その千台が首都高速を通らないで済むようになるのですから。
 もう私、時間ですけれども、谷田先生が時間をぴっちり守れとおっしゃるものですから、私はもうこれで終わりますけれども、ひとつ、そういうことなので、大臣、副大臣、政務官、いろいろお知恵を絞って消費者のニーズにこたえていただきたいと思います。ありがとうございました。
久保委員長 谷田武彦君。
谷田委員 自民党の谷田武彦でございます。
 大臣の所信につきまして、幾つかのお尋ねをさせていただきます。
 私は、名古屋の都心で生まれ育ち、そして今も都市を中心に活動をしておる者であります。それだけに、このたび国土交通大臣が都市の再生に向けて大変な意欲をお示しをいただいておることに、心から敬意を表し、なおかつ大いに期待をさせていただいておるものであります。
 私は、かねてより、人の住んでいない町は本来の人間の町ではない、こういったポリシーを持ち続けております。中には、人が集まればいいのではないか、こういったような御意見の方もいらっしゃるわけでありますが、これは誤りだと思っております。
 バブルのときには土地の値段が大変上がりまして、都市から、なかんずく都心から人が追い出されている、町の中に住めないような状況がいろいろ出てまいりました。地上げなどという言葉もあったわけでありますが、まさに都心部において人口ドーナツ化現象が大いに進行したわけであります。バブルがはじけまして、ようやくこのごろ都心への人口の回帰という現象が一部では見られるようになってまいりましたが、まだまだ十分ではないと思っております。
 私は、社会資本が十分蓄積をされた都心にこそ人が住むべきである、このように思っております。今日までの都心での人口定住化策、いろいろと御努力をいただいてきたと思いますが、それはどのようなものであったのか、今後どのように対応されるのか、活力あるまちづくりへの基本的な大臣の御所見をまず承りたいと存じます。
扇国務大臣 御存じのとおり、バブルになって都心に住めなくなった。また、私は、住まいをつくるというのは人生の中で最大の行事だと思っています。それができなくなって、ドーナツ現象で、あえなく安い郊外に住宅を求めるようになって出ていった。けれども、自分のうちを持てたけれども、通勤時間に大変な混雑にもまれて体力を消耗し、なおかつ時間のロスをして、これでくたくたになる。うちへ帰っても子供と会う時間がない。そういう、住まいはできたけれども職業と住宅の距離が長過ぎる、このドーナツ現象のために、働き手はくたびれ果てる、奥さんは不満が募る、子供は親の顔を見ないということで、なるべく住まいと職業が、住勤近いところへ行きたいという、これは今ドーナツ現象から都心に帰ってくる傾向があるということの私は一助であろうと思っています。
 そういう意味では、高いけれども、都心が、これだけバブルが崩壊して、今欧米諸国が日本の銀座の並木通り、表参道等々、もうフランスなのかイタリーなのかと思うぐらいブランドが買いあさっています。それは、日本の地価がこれだけ下がったという証拠で、買いどきだと思って外国が目をつけているのと同じように、日本も、ドーナツ現象で外へ行った人も、仕事場の近くへ行って活力ある人間らしい生活時間を持ちたいということで、私たちは、そういう現象になっているということを見ております。
 そのために、バブルが崩壊してそこらじゅうに虫食いのあいている土地をいかに活用して、そういう願いを持っている勤労者の皆さん方に都心に来てもらえるか、そのためには、虫食いになっているところを一カ所に集めて、そしてそこに高層住宅も建てて、そしてみんなに、住まいと職業の近いところで、便利な、そして体力を通勤に消耗しない仕事をしていただきたいということで、都市政策というものを改めて考えていこうということで、考えております。
 今、細かい数字をいろいろ言いたいと思いますけれども、長くなっては申しわけありませんので、そういう基本的な構想のもとに、都会での皆さん方の住居の確保をいかにしていくかということで、平成十七年度までの十年間に三大都市圏の都心部で百万戸の住宅を供給しようというふうに努力しております。
谷田委員 ありがとうございました。
 都心でのドーナツ化現象を防ぐために、住宅附置義務という制度があるのです。これは昭和六十年に、東京の中央区がたしか最初だったと思うのですが、建物を建てるときには必ずそこに住宅を附置しなければなりませんよという義務化でありますが。
 現在、東京の都心の七つの区、そして大阪市の一部で行われていると聞いておるのですが、これはかなりの効果があったと思うのですけれども、これに対してはどのような評価を持っていらっしゃるのか。
 ただ、最近では、逆に、開発をしていく上でこの住宅附置義務がネックになっているという声が一部で出てきたようでありますが、自治体に対して再考を促すお考えはあるのかないのか、御所見を承りたいと存じます。
佐藤副大臣 谷田先生がおっしゃるように、この附置義務が、人口が都心部に回帰する上で非常に役立ったと私は認識をいたしております。
 ただ、これが、建築基準法とは別のものなのに、それと一体的なものとして運用されていたという面がありまして、問題があるということが言われたりしております。ですから、これらの要綱に基づく行政指導については、現在、国土交通省において実態調査をしております。これらの実態調査を踏まえながら、適切な運用のためにこれから考えていきたい、そう思っております。
谷田委員 次に進みます。
 先ほど大臣から、十七年度末までに三大都市圏で百万戸住宅を供給すると、大変すばらしい意欲を示していただいたわけでありますが、既にもう、今、都市基盤整備公団や自治体による公営住宅、あるいは民間のマンション等々、都市あるいは都心で集合住宅がたくさん建設されつつあるわけで、大変結構なことなのです。
 ただ、ここに困った問題が一つございまして、新たにお入りをいただいた入居者の皆さんの手による自治組織が結成をされていない場合が大変多いのです。あるいは、自分たちでつくらないにしても、既存の、例えば町内会といった地域住民組織に加入をされない方が大変多いのですね。一言で言えば、地域から浮いてしまっている、こういった状況が見られます。
 私の地元の名古屋でございますと、例えばごみの問題、これは、かつて一番おくれていたのだけれども、今はまさにごみの先進都市でございますが、地域住民から選出をされた保健委員さんが先頭に立って、ごみの分別収集、これは非常に細かくやるのですけれども、これの指導もしていらっしゃる、こういったことも、やはり抜けてしまうわけです。
 それから、名古屋独自の制度で、区政協力員制度というのがございまして、町内会長あるいは自治会長がそのまま区政に協力をする委員さんになりまして、この方が即そのまま災害対策委員も兼ねておるんですが、この災害対策委員さえ選出できないわけですね。ですから、災害問題からもこういった集合住宅の皆さんは除外をされてしまう、いわんや、いろいろな地域活動からは完全に疎外をされてしまうという状況が出てきているわけであります。
 こうした新しい集合住宅の皆さんが何らかの形で地域社会に溶け込んでいっていただくような、そんな方策は考えられないものか、御所見を承りたいと存じます。
菅大臣政務官 谷田委員も政令市の市会議員で、私も市会議員でありましたから、地域のことを非常に細かく存じ上げておられるわけでありますけれども、公団住宅とはいえ、やはり地域と一体となって連携を深めていかなければ乗り越えられない時代になっていることは申し上げるまでもありません。
 そんな中で、都市整備公団としても、地域に防災倉庫や防災備品の整備の場所を提供する、あるいは福祉関係の施設、コミュニティーハウスだとか特養だとかあるいは保育所だとか、そうしたものも今まで合築、併設を進めてきたところでありますけれども、これからも、さらにこのことを積極的に進めて、地域の皆さんとのさらなる連帯、協調ができるような、そんな仕組みをつくっていきたい、こう思っています。
谷田委員 今、菅政務官からのお答え、それはそれで結構です。ただ、私が申し上げたいのは、大きいところはそれでいいと思うんですが、もうちょっと規模の小さいような、例えば五十戸ぐらいの集合住宅の場合、自分たちで自治組織をつくるというよりも、既存の町内会に入っていった方が早いわけでございます。ところが、この町内会自体は、御承知のように任意団体ですから、入りたくないと言えばそれまでなのです。
 民間のマンションなんかの場合は、昨今では、建設する以前に周りの住民の皆さん、自治組織に対して、入るときから、ここに入っていただく人は全員町内会に加入をしていただきますと、共益費だとか管理費に町内会費を最初から組み込んでそれをもう先に取ってしまう、そこまで協力をしてくれているんですよ。ところが、公団の場合は、それがなかなかできないんですよね。本当はそこまでやってほしい。
 いろいろな制約はあると思うんですが、いかがでしょうか。道はないでしょうか。
菅大臣政務官 私も思いは同じでありますけれども、公団が強制をすることはできないことも御理解いただけると思います。ただ、公団として、団地の広場を、夏祭りに開放したり、あるいはゲートボール、そういうものに開放する中で、地域とのコミュニケーションを図って、できるだけそういう方向に行けるような努力はしておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
谷田委員 ありがとうございました。
 次に進みます。
 東京の江東区だったと思いますが、先般、民間の業者が、八百戸ほどだったと思います、大規模なマンション計画を提示いたしましたら、江東区の方から拒否をされた、こんなニュースを聞きました。たしか学校問題がネックになっておるそうでありますが。
 確かに、どおんとまとまって人口がふえれば、学校だけではなくて下水処理やごみ処理等々、本当に自治体にとっては大変な問題が出てくるわけであります。人口がふえることは大変ありがたいんだけれども、また一方では、つらい面もあるわけであります。このような場合、国土交通省はどのような対応をされるのか、教えていただきたいと思います。
菅大臣政務官 そのような事実があったことも承知はしています。ただ、国交省といたしましては、計画的な関連公共施設の整備が可能になるように、さまざまな再開発事業に公益施設の整備や用地の確保を図ることにより支援をしていきたい、そういう形で取り組んでおりますことをぜひ御理解をいただきたいと思います。
谷田委員 以前私が名古屋の市会議員をいたしておりますときに、東京へ視察に参りました。中央区で、中学校と保育園と老人福祉施設が一体となって高層化され、建設をされている複合施設を見たことがございます。地下一階、地上七階の大変立派なものでございました。国でも地方でもどうしても縦割り行政への批判がいろいろある中でありますが、そんな中で、すばらしいものだなと思ったわけであります。
 手前みそでございますが、私の住んでおります名古屋の中区、ここの区役所も、隣接する朝日生命と一体となって、高層化して官民共同ビルをつくったという、そんな経験もございます。
 都心の再生を進めていく上で、やはり、まず官が、国では省庁が、そして自治体が、部局の枠を超えて複合施設をつくっていこう、そういった意欲が必要であると思います。さらには、官と民とが一体となって施設整備を行うべきであると思います。そして、そのリーダーシップはまさに国土交通大臣がおとりになるべきと思いますが、いかがでございましょうか。
扇国務大臣 今おっしゃいましたように、二十一世紀の国際社会の中で国際都市というもののあり方はどうあるべきか、国土交通省として、二十一世紀の国際都市の条件というものがどうあるべきか、また、そこに働く、住まいする人たちがどういう条件を満たされれば幸せになれるか、幸せを感じられるか、そういうことに最大公約数を我々は持っていきたいと思っております。
 その意味でも、私たちは、今おっしゃいましたように、二十一世紀型の公共工事でつくる建物、住まい、そして改めて、働く女性のために必ず保育所を一緒にする、高齢化社会に向けて老人ホームあるいは社会福祉施設を同じ建物の中に必ずつくる、そういうことを私たちは公営住宅の中の今後の条件にしていきたいと思っております。
 先ほどの森田先生のお話のように、できれば、その中に、図書館もある、あるいは消防施設等の一体的な整備というものを含めていきたい。ただ四角いハードのものを建てるだけではなくて、二十一世紀のソフトをそのハードの中に必ず入れる、それが今私たちが新しく考えている公共公営住宅等々の構想の一端でございます。
谷田委員 ありがとうございました。
 次に、都市公園についてお尋ねをいたします。
 国民の憩いの場としての公園、これはさらに整備をされるべきだと思っておりますが、公園というのは、単なる憩いの場ではなくて、例えば一たん災害が起きた場合は避難所になるわけでございまして、そういった役割も果たし、まさに都市生活には不可欠の存在であります。
 ところが、現行法では、都市公園内には防災の拠点の一つであります消防団の詰所を建設することはできないとされております。ところが、公園の防災上の役割は当然のように理解をされておりまして、災害対策の備蓄倉庫あるいは貯水槽などは設置が認められております。また、警察の交番も一定の条件のもとで認められておるわけでありますが、この消防団の詰所を何とかしてお認めをいただくことができないのか、御所見を承りたいと思います。
 それから、いま一つ、具体的なお尋ねで恐縮でありますが、私の名古屋もホームレス問題がいろいろ今ございまして、白川公園というところでホームレスのシェルターを建設するという計画が持ち上がっております。大阪市で既に一つ先例があるようでございますが、都市公園内でホームレスのシェルターをつくることを是認なさるのかどうか。
 この問題については、実は、そこではなくてちょっと離れた若宮大通公園、これは上に名古屋の都市高速道路が通っておりますが、そちらの方へつくってほしいという意見もあるわけでありますが、この場合は一体どのように対処されるのか、お教えをいただきたいと思います。
澤井政府参考人 二点、お尋ねがございました。
 一点目の、消防団の詰所の件でございます。
 先生仰せのとおり、都市公園の基本的な役割というのは、都市を緑化して都市環境の向上を図る、また空地を確保して避難、防火等の災害の防止に資するという大変重要な役割がございます。先般の阪神・淡路の大震災の際にも、こうした役割が改めて注目をされたところでございます。
 そうした意味で、都市の大変貴重なオープンスペースでございまして、前提として、こういった都市公園の性格を踏まえまして、公園施設、例えば文化施設、教養施設、いろいろございますが、都市公園内につくられます建物としての施設の建ぺい率が基本的には公園面積の二%以内と、非常に低い比率で制限をされているということがまず前提にございます。
 その上で、公園施設以外の都市公園のさまざまな占用物件につきましては、現在、非常に公共性の強いもの、それから公園の機能との関連性が非常にあるもの、あるいは公園のオープンスペースとしての特性を生かしてそこにつくらざるを得ないといったもの等の、必要やむを得ないものに限って認めているところであります。
 消防団詰所につきましては、こうした公園のオープンスペースとしての機能、あるいは恒久的な建築物として占用許可が可能なものが、例えば公園管理に非常に関係深い派出所といったものに限定されている、これも御指摘のとおりでございますが、そういったこととのバランスで考えまして、なかなか難しい問題であると考えております。
 逆に、こうしたものを認めた場合に、同等の理由があるというものがほかにも幾つかあろうかと思いまして、結局、極端に言いますと、そこに場所があるから、いろいろなものが、場所のない稠密な市街地の中で、そういう場所がないために、立地が難しいもののためにその空間が使われるということになっては少なくともならぬというふうに考えているところでございます。
 それから、幾つかの都市公園でホームレスの緊急一時宿泊施設といったものが設置されるという動きがあることは承知しております。この場合、そういうようなところで、都市公園の区域を一時的に外して、その上でやるというやり方をしているというふうに聞いておりまして、こうした事例につきましては、やはり先ほどの公園のオープンスペースとしての重要性を十分に踏まえた上で、なお、他に代替措置もなく、やむを得ない措置として地域の総合的な判断のもとで行われたものと理解しております。
 いずれにしましても、こうした対応よりは、むしろ総合的な相談、自立支援体制を確立するとか、あるいは雇用の確保、安定を図るとか、保健医療の充実を図るとか、一方で、そうしたこととあわせまして、さまざまな公共施設の適正管理をしていくといった諸施策を国、公共団体が一体となって講ずることにより、ホームレス問題の着実な改善を図っていくということが非常に重要であるというふうに考えております。
谷田委員 時間がなくなってしまったのでもうこれ以上申しませんが、消防団の詰所、これは名古屋でも、都心部で、どうしても場所がないからいまだにつくってないよというところが幾つかあるんですよ。それから、民地にたくさんありまして、これがもう移転を迫られている。どんどん行く先がなくなってしまうというような状況がございまして、また、そういったところに限って不思議と近くに都市公園があるのですね。どうかひとつ、お気持ちはわかるのですが、ぜひとも再考をしていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
久保委員長 樽床伸二君。
樽床委員 民主党の樽床でございます。
 昨日いただきました大臣の所信に対しまして質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、昨日、副大臣から予算の説明もございましたけれども、もう私が今さら言うまでもありませんが、丸い数字で申し上げますと八十兆の国家予算、まあ八十一兆でありますけれども、入りの部分はきょうは全部省略をしますが、出の部分で一番大きいのは約十八兆の社会保障関係費、その次が十七兆ぐらいの地方交付税、その次がほとんど同じ額の国債費、その次に大きいのは、どおんと減りますけれども、公共事業、こういうことでありまして、昨日の御説明でも、国土交通省関係では七兆一千五百億弱、公共事業全体で八兆三千億、こういうことであります。
 ということから考えますと、いろいろ意見はありますが、国の財政の立て直しというのは、これは避けて通ることができない課題である。こういうことから考えますと、普通、出の大きい部分をきちっとしなければ出の問題が解決しないのは、これはもうだれが考えてもわかる話であります。そうなりますと、社会保障関係費のことについてはこの委員会では関係ございませんから、しかし、一般歳出でそれに次ぐ規模の公共事業というものは、ある意味でいうと、もはや大きな曲がり角に来ている、こういう認識をしっかり持たなければならないだろう、このように思っております。
 申し上げておきますが、我が党は、公共事業を全くやめろと言っているわけではありません。それは、必要なものは必要なものとしてしなければいけない。そして、新しい時代に合った公共事業は何なのかということをきちっと考えなければいけないのであって、これまでの発想の中での公共事業というものは、いま一度きちっと振り返って見直す必要があるのではないか、このようなことを我々は考えているわけであります。
 その中で、まず、これまでの発想ということでいきますと、少し言葉が走り過ぎるかもわかりませんが、経済対策としての公共事業、こういう発想が厳然と我が国にはありました。だから、景気が悪くなると経済対策ということで公共事業をふやす、こういう発想であります。私は、この発想からもうそろそろ脱却をしなければいけないのではないか、公共事業は公共事業としての公共事業をやるべきであって、経済対策としての公共事業という発想はもうそろそろ過去のものにすべきだろう、このように認識をしております。
 なぜならば、経済対策としての公共事業といいますと、まず一番大事なのは額です。要するに、ふやせということですから、経済対策としての公共事業を考える場合には、どれだけの額が必要なのかということからまず発想が入ります。そうすると、個別のいろいろなこと、コストダウンとかそういうことは二の次になってしまうわけであります。しかし、財政状況がこういうことですから、本来必要な公共事業をやっていくということに当たると、公共事業のコストダウンをどう図っていくのか、こういうことは避けて通ることができないと思いますが、このあたりについてどのように考え、そしてどのような施策を行っておられるのか、まずお聞きをいたしたいと思います。
扇国務大臣 基本的なことなので、何からお話ししていいか今迷っておりますけれども、それは、我々は、今日、日本というものが世界の中でどのような位置を占めているのか、また、二十一世紀に入って日本が何をしなければ日本として生きていけないのか、その基本を私たちのこういう場で御論議いただき、まして方向性をつけていくということ。私は、与党とか野党とか考えておりません。そういう意味では、この国会の場でみんなの御意見をいただく。
 例えば、例を挙げては悪いかもしれませんけれども、あるところによっては、飛行場をつくってくれ、高速道路もつくってくれ、新幹線も持ってこい、普通の道路もよくしろと、要望が全部出るんです。その四つがなければ国際都市としての条件を満たさないということも一方ではございます。けれども、今おっしゃった予算の中で、四つともそこへ持っていくことは経済効果が上がらないということも、これも判断しなければいけない。
 ですから、私が日本全体のグランドデザインと就任以来言っておりますのは、どの地点には国際都市にふさわしいものを、条件をそろえなきゃいけないのか、そして、その国際都市の看板を上げたところと少し離れたところは、何でつないで経済の一体化を持っていくか。
 また、公共工事が少なくなりますけれども、公共工事の中には社会資本整備が入っています。世界じゅうを旅行される日本人が多い中で、いざ日本に帰ってみて、我々の日本の生活水準はどうなんだ。社会資本整備はどうなんだろう。電柱はいっぱい立っている、町の景観はよくない。田舎へ行ったらいまだに水洗じゃない、下水道はどうなんだ、処理施設はどうなんだ、ごみ処理はどうなんだ。そういう社会資本整備が二十一世紀に果たして各都市でどこまで整備できるのか。そういうことから考えれば、一番必要なもの、どこから手をつけていくか、集中的に投資をして、一つずつ仕上げていく。
 ですから、私、都市計画も言っているんです。都市計画をして、でき上がったところは宣言してください、ここはでき上がったと。いつまでたっても工事しているんじゃないかという気持ちがありますから、完成したところは、でき上がりましたと宣言してください。そうすると、みんなによくわかる。
 ですから、今先生がおっしゃったように、予算というもの、公共工事の予算が膨らめばいいということではなくて、我々は、限られた予算を、確かに金額は下がってないと思います、けれども、それをどこに集中して、一番効率のいい使い方をどうするか。これを我々は皆さんと一緒に考えて、限られた予算でも、日本が生きていく、世界に伍して、日本じゅうへ来てくださいとお客様を呼べるぐらいの社会資本整備のあり方とこの物流コストの高さの解消、あらゆる面で総合的に配分を考えて集中投資すればコストダウンできるに決まっているんです。十年かかるのが八年になれば安くなります。
 ですから、私は、長期計画を全部見直しましょうと。十年という計画で毎年予算をとるための長期計画はやめていただきたい、大きな工事は事業別予算で、これが一兆円というのであれば一兆円で早くしなさい、それが、十年かかるのが八年だったら、次の二年間は一兆円がもっと違うことに使える、私は、そのように公共工事の基本的な考え方を変えていきたい。そのためには、ぜひ、御論議、いい知恵もいただきたいと思っています。
樽床委員 今のお話は、とにかくスピードを上げれば金が要らなくてコストダウンだ。これも一つですね。さらには、例えば一つ一つの工事も値段が高過ぎるのかもわからない。これは別に業者の方をどうのこうの言っているわけじゃなくて、初めの設計段階からいいものを考え過ぎているのかもわからない、このように思うわけであります。
 実は、昨年の年末の、いろいろありましたけれども、高速道路も、要するに、今まであるような、ああいう非常に立派な高速道路でなけりゃならぬのかということも、これは国民の中で議論をしなければいけないと思いますが、そういうことも見直していく必要があるのではないか。
 例えば、非常に単純に言いますと、高速道路とは何ぞやということでありますが、これは、私もドライバーでありますから、ドライバーからすると、信号がないということなんですよ、高速道路というのは、簡単に言えば。だから、首都高速は、本来、役所でいう高速道路じゃないんです。でも、みんな高速道路と思っているんですよ。だから、信号がなければ高速道路としてこれは認めてもらえるだろうと私は思います。そうすると、そういうようなことで考えると、これまでの単価よりも安い値段で俗に言う高速道路もつくれるということができるのではないか。
 こういうような一つ一つの見直しとか、さらには、年度末になりますと、去年もここを掘っていたな、ことしも掘っておる、おととしも掘っておる、そうすると来年も掘るのかな、このように大体皆さん思うわけでありますが、同じところを何で二回も三回も掘り返すんだ、これはむだじゃないか。
 こういう、今、期間を短くしてマクロ的にコストダウンするという道と、それは当然やってもらわなければならない、しかし、個別のところのコストを下げる、これは車の両輪でやっていかないとだめだと思いますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 私も四十数年ドライバーでもございます。それで、高速道路で高い料金を払ってなぜ高速で走れないのか。あるところではすいすい、確かにこれは高速のお金の値打ちがあるなと思いますけれども、だんだん高くなった。一番最初、私が高速道路に乗ったときは百円でした。オリンピックでした。ただになると言われて私は高速に乗ったんです。あれから何年たったでしょう。ただではありません。高くなる一方です。まして、高くなると同時に、だんだん走れなくなりました。
 それは、高速道路網の、今描いてある高速道路の、例えば東京なんかは、外環も、外郭も全部できていない、東京都を通る車の一四%は通過しているだけなんです。枝ができていないから、円周ができていないから、むだな車が東京を通過していくんです。これが、もっと、外郭ができたり圏央道ができれば東京を通らないで行ってくれるから、東京も高い値段でもすっと走れるようになるんです。これが今まで延々と、歴代の、旧建設大臣もいらしたけれども、反対によって、そのところの首長さんが一人でも反対したらつくらないと宣言されたために何十年もおくれてしまったというのが現状で、今おっしゃったとおり、確かに整合性がない、高い料金を払っても走れない。
 また、電柱も、さっき申し上げましたが、いつまでたっても地中化しない。道路を掘っていれば、水道だ、電気だ、電話だ、ガスだ。全部セクションが違うんです。縦割りです。日本が赤穂浪士が討ち入りしたときにフランスの地下道は全部できていました、それくらい我々は社会資本の整備の出発が百年おくれたんです。
 けれども、しなければいけないこと、それを皆さん方に、例えば高速道路のお話なさいましたけれども、とにかく土地が高くて、一つつくるのにどうにもならないんですね。ですけれども、土地収用法も、大深度地下法も通していただきました。我々は、最大限に、お金を使わないで、迷惑をかけないで、国民の生活の豊かな公共工事ができる、また喜ばれる公共工事をしていきたいと、努力していきたいと思っています。
樽床委員 大臣のその決意をぜひとも事務当局の方にお伝えを、これは流れていますから役所で見られておる方も当然大勢おられるだろうと思いますが、そういうコストの安い公共事業をやれば国民も喜ぶし、また、やる、できる。要するに、公共事業としての量ですね、額じゃなくて。場所がふえていく、こういう発想もできますから、限られた予算の中ですから、車の両輪で、全体のシェアと個別のコストダウンとをあわせてやっていただいて、今おっしゃったように、まさに縦割りで、どこがセンターで仕切っておるのかようわからぬ、こういうことのむだ遣いはもうなくすように、ぜひとも大臣の強力なリーダーシップで公共投資のコストダウンを図っていただきたい、このように考えておるところでございます。
 実は、今申し上げました経済対策としての公共事業という観点から、昨年もちょっと確認をさせていただきましたが、一つどうも私は納得いかない問題がありまして、もう一回確認をさせていただきたいんですが、それは公共事業の乗数効果ということであります。
 役所の話によると、余り下がっておりません、平たく言えば下がっておりません、こういう話であります。しかし、民間のいろいろな研究者の方によると、要は、一九八〇年代の前半には三以上であったが、現在では一を下回るというような見解も実はあります。
 ただ、役所が出しておるものはちょっとそれとは違うわけでありますが、どちらが正しい正しくないは、これはまあ専門家の意見に譲るといたしまして、しかし、役所の資料でも徐々に徐々に下がっていることは間違いはありません。ただ、民間の方はもっと下がり方が激しいですよと言っているわけでありまして、この乗数効果が下がっているということについて、どのように認識をして、どのようにお考えになっておるのか、また、今いろいろ申し上げましたような公共事業の施策において、乗数効果が下がっているということは、きちっといろいろなことに織り込んで施策をやっておられるのか、お聞きいたしたいと思います。
扇国務大臣 御指摘になったことは公共工事にとって大変大事なことだと思っております。
 数字の上ではいろいろ出ております。今私の手元にも公共工事の乗数効果に関して、また、いろいろ内閣府が公表しているものも既に先生もお持ちだろうと思いますので、細かい数字は余り並べ立てても意味がないと思っておりますけれども。
 少なくとも、本年の一月に私ども閣議決定をいたしました。その閣議決定しましたときに、「改革と展望」において、政府が財政支出の拡大を行っても、財政赤字の拡大が将来の増税への懸念を生み、それが消費を抑制したり、あるいは、歳出の質の低下に伴って民間の消費であるとか投資が誘発されるような効果が低下する、財政支出が経済を活性化させる効果が弱まる傾向も見られる、そのような指摘があることも私どもはそのときに論議をいたしました。
 ですから、今、先生がおっしゃいましたように、国際競争力の向上ということを考えますと、少なくとも、都市再生でありますとか、あるいは民間の需要でありますとか、あるいは雇用の創出効果の高い施策の重点化を重視して、個別事業というものに関しての集中投資、先ほども申しましたように、それをすることによって事業のスピードアップが図れるではないかというようなこともあります。
 あらゆる観点から考えて、私どもは、平成十四年度の国土交通省の関係予算事業に関しましては、予算の総額を前年度の当初の予算から約一割削減しておりますけれども、その中で、経済財政諮問会議の、先生も御存じの骨太の方針というものが出されました。それで約一割削減すると言っておりますけれども、中でも、経済財政諮問会議で、骨太で、都市再生、それから少子高齢社会への対応、そして環境、こういう七分野が出されましたので、その七分野に私たちは心をしながら、全体が〇・八九倍の道路の整備の中で三大都市圏の環状道路の整備を一・二一倍とするという、まあ、めり張りをきかそうということで、今おっしゃった投資するものとの効果、その乗数というものをどのように実感できるように持っていけるか、それを先ほども申しましたことと今の数字と重ねて私たちは努力していきたいと思っております。
樽床委員 大学の授業でしたら、私もこれから、いやいやこれはこうじゃないですかとかしたい気もしますが、ここはそうではありませんので。
 この乗数効果で、大事な問題だとおっしゃいましたけれども、これはやはり国土交通省が出している書類にも、いろいろなパンフレットとか何かにも書いているんですね。御省も公共事業の乗数効果とはこうですよということを書いておられる。書いておられるということは、これは一つの根拠になるんですよね。だから、これは非常に大事な話なんですが。
 そこで、二〇〇一年度版の「日本の道路」という国土交通省が出しておる資料のこの数字が、「名目GDPへの効果」ということで乗数効果を書いておられる、所得減税よりははるかに効果は高いですよと。そして、これによると、一年目、二年目、三年目、こういう書き方がされておりますが、三年目には約一・九七、乗数効果が二だ、こういう話があります。
 しかし、この前提になっているのは短期日本経済マクロ計量モデル、こういうことでありますけれども、私、その一番新しいのを見てみました、このマクロ計量モデルですね。御省が使っておられる資料は一回前の版の資料、数字でありまして、これが一番最新版でありますが、これをよく見ますと、こういう場合にはこうです、こういう場合にはこうです、こういう場合にはこうですと、こういろいろ書いてあって、一概に、役所の資料ですから答えを出すようなところにはなっておりません。その中で、御省が持ってこられている数値は一回前のものではありますが、想像するに、一番数値が高くなるような、要するに、四つや五つある分析の中で一番高くなるようなもので、そして、実質ではなくて、あえて名目で持ってきているというふうにしか見えない。
 ですから、こういう資料をどおんと出して、そして、これですと金科玉条のようにおっしゃると、これは専門家からすると、しかしいろいろほかにもあるけどなとか、こういうことになって、実はきちっとした一番大事な問題について全部うやむやになっていく、こういうことがあると思います。
 国土交通省の姿勢としては、邪推かもわかりませんが、四つ五つある分析の中で恐らく一番数値が高いだろうなと思うものを持ってきて、実質ではなく名目であえて持ってきているというふうに思われてしまうような資料について、大臣、どのようにお考えですか。
扇国務大臣 今私もその数値をもちろん手にしておりますし、また見ております。
 それで、この中で私一つ言えますことは、世界レベル、ここにも、先生お持ちだと思いますけれども、世界経済モデルというものの第一次版からずっと続いております。それと日本。
 例えば、ちょっと裏話的で申しわけないんですけれども、経済財政諮問会議で、公共工事をGDP比幾らにしろ、ヨーロッパでは公共工事はGDP比の三%ぐらいじゃないか、日本は公共工事が多過ぎるじゃないか、だからGDP比の公共工事は何%にしたらどうだという論議が出ました。私、それはおかしいと思うんです。だったら、成長期でGDPが高いときにはどおんと公共工事にお金を入れていいのかということに、それは計画にはならないんですね。
 ですから、私は、今先生がおっしゃいますこの数値、確かに私の手元にはたくさんございますけれども、この数値の出どころというものを、一番高いところを見ているとおっしゃいますけれども、そうではなくて、例えばここに経済企画庁の世界経済モデルもございますし、あらゆるモデルを、他省庁のモデルも勘案しながら、そこでとっているものもある。ですから、国土交通省だけが一番自分の都合のいい数字だけをとっているのではなくて、他省庁から出ている数値も参考にしながら判断しているということ。私、弁解するつもりも何もありませんけれども、そういう目で見ていただいたら、よりいいんではないかなと思っております。
樽床委員 これはある種、半分学問の世界ですから、学者の先生によって意見がいろいろ違うのは、これはもうあらゆる分野において当然のことでありますが、大事な問題であればあるほど議論がもっとされなければならないだろう。
 特に、先ほど言いましたように、財政の立て直しの中でやはり非常に大きなファクターである公共事業のその前提となる乗数効果というものについては、もうさらっと、まあ何とか逃げようという発想だけは、大臣、これからはぜひともやめていただいて、少なくとも、私もさほど国土交通省を憎くは思っておりませんけれども、しかし、そういう私ですらちょっと手前みそな数字を出しているんと違うかと思ってしまうようなこういう広報のあり方というのはやめていただきたい、このように私お願いを申し上げたい、このように思っているところであります。
 次に、新しい時代に合った公共事業、こういうことでいきますと、今から二十年、三十年、四十年前には、環境ということについてはほとんど国の政治も国民の皆さんも、環境よりもまず食わないかぬ、こういうことで、そういう時代がありました。しかし、時代の変遷につれて、やはり環境というものの大事さというのがここずっと重要視されてきておる。こういうことであって、そういうと、大体公共事業の一つの対立は環境か公共事業か、こういう対立が全国で見られるようになってきている。このように、ざくっと言うと、そういうポジションが大変多いわけであります。
 そうすると、環境を再生したり環境を保全するための公共事業という視点は、これは私はあるのではないかと思っておりますし、そして、我が党では、当委員会の筆頭の古賀先生を中心に、環境再生型公共事業はいかにあるべきかということは、今後真剣に議論をして、そして考えていこう、もう既にこういう腹づもりもしております。
 そういう中で、例えば、御省ともいろいろな過去の経緯はあったんでしょうけれども、霞ケ浦のような例もあるわけでありまして、これは一つの例であろうと思いますけれども、環境自然再生型公共事業ということで最近は御省も一緒にやっておられる、このように認識をいたしておりますが、こういう問題を含めて、環境と両立し得る公共事業、環境を保全し環境を再生するための公共事業という視点については、どのようにお考えでございましょうか。
扇国務大臣 私もずっと言っておりますけれども、二十世紀はハードの世紀、二十一世紀はソフトの世紀と申しております。そのソフトとは、今おっしゃったとおりの、環境を加味した、あるいはバリアフリーに心をいたした、それが公共工事の二十一世紀型のソフトの部分であろうと思っております。
 そういう意味では、おっしゃるとおりに、私たちは環境というものを考えないで物事ができなくなった。また、新しく都市をつくるといっても、古いものを取り壊したこの廃材をどうするか、これも環境でございまして、新しいものをつくる、古いものを取り壊す、それらすべて総合的に環境というものを考えていきたい。少なくとも私たちは、適切に環境影響評価というものを実施していく。そういう意味で、改めて建設廃棄物のリサイクルあるいは公共工事のゼロエミッション、そういうふうなことをやっていく。そして、環境の負荷に対しましては、低減に資する資材の調達、なるべく廃材にならない資材を最初から調達しよう、グリーン調達というものをしていこう。
 そして、河川法、海岸法及び港湾法を改正いたしました。それは、すべて環境を加味していこうということで、この一つ一つの法案の細かいことは先生も御存じでしょうから省かせていただきますけれども、あらゆるところで私どもは、例えば河川一つとってみても、直線ではなくて昔のような蛇行にしようではないか、コンクリートの土手ではなくて緑の土手にしようではないか、そして都市の中でも必ずビルの屋上には緑をつくろうではないか、そういうことも我々は考えておりますし、まして、公共工事をする場合には、必ず、高速道路一つとってみても、あるいは普通の道路でも、真ん中に緑のグリーンベルトをつくろうではないかというようなことも。
 御存じのとおり、あらゆる点で環境が二十一世紀になくてはならない、まして、公共工事には環境とバリアフリーを必ず入れるという、ソフトに転換しているというふうにぜひ御理解いただきたいと思います。
樽床委員 要は、大臣の今のお話でいくと、環境と公共事業はこれまで対決をしてきた、そういうことから環境というものも視野に入れた形でと、こういうことでありましたが、我々は一歩進んで、今申し上げましたように、公共事業の一つのあり方として、環境再生、自然再生型公共事業はいかにあるべきかということをこれから考えてまいりますので、その点につきましては、役所の方も、野党だからおまえたちの言うことは聞かないという姿勢がないように、ぜひともよろしくお願いを申し上げたい。
 冒頭に、与党野党はありませんと大臣おっしゃったわけでありますから、国家を思う気持ちは同じでありますので、そのあたりのことはよろしくお願いを申し上げたい。もし役所が、大臣の今の前向きな答弁があるにもかかわらず、さほど熱心でなかったら、我々一生懸命けつをたたいて、ちょっと表現が余り上品でなかったわけでありますが、そういうようなことを一生懸命後押しする。後押しというのはちょっといかぬですな、まあ、そういうつもりでやりたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げる次第であります。
 実は、そういう中で、今のいろいろな話の中での一つの問題が、公共事業をずっとやってきた、それで、過去の公共事業のあり方とどんどん変わっていっている。時代に合わせてものをやろうと思えば、新規のものはいいですよ、新規のものは今からもう一遍更地で考えられますから。ただ、継続していたものがありますね。継続していたものを、あるところでこれはやめるとか、そういう決断をしなければならないときというのは当然あるんですよ。これは政治の責任としてやっていかなければならないところもある。
 よく言われるのは、いやいや、これはずっとやってきた、継続だからやめられませんと。こういう話であると、全部やめられません、すべて。だって、すべての事業が全部同じときに終わって同じときにスタートするわけじゃないんですよ。時間は全部オーバーラップしながらいっているわけでありますから、どこかの段階でけじめをつければ、どこかはそういうことでやめなければいけないものが出てくるのは当然であって、それを怖がっていると何も変わらないということになります。また、変わっても非常に時間がかかるということになります。それで追いつくのかということであります。
 私は、ここで、政治と役所、要するに政と官の役割分担ということについて、大臣にぜひともお聞きしたい。また、決意を言っていただきたいと思うわけでありますが。
 要は、政治家が決定をして、そしてワークを事務方の方がする、これが大体本来の政と官の役割分担だと思いますね。
 政治家の方が各役所に入っておられる。大臣、副大臣、政務官。皆さん方は、いや、おれたちは政府側だとおっしゃるけれども、しかし、政治家なんですよ、選挙で選ばれた。そういうことを考えると、私は、失礼なことを言うかもわかりませんが、今お並びの政治家の方に事務的な仕事なんてだれも求めない、そんなことは。大臣に事務的な仕事を求める人なんていないですよ。大臣は何をするかというと、決定をして責任をとる、こういうことでしょう。政治家は、決定をして、そして方向がぶれないようにきちっと指導して、出てきた答えに対しては責任をとる。これが政治家の役目であって、そして官僚の皆さんは、決められた方針の中で、その方針がきちっといくようにこれをワークするというのが官僚の皆さん方の役目である、こうきちっと役割分担をしなきゃならぬ。これはまあ当たり前の話でありますが。
 そういうときに、例えばある事業を中止するという事例が出てきたとする。そのときに、例えばだれが、これはこうこうこうで中止しますということを説明に行かれるんですか。私は、その決定責任を役人の皆さんに負わせることはおかしいと思っております。決定責任は政治家が負うべきものであります。でありますから、そういう決定に対する責任は、役人さんが現地へ出ていって説明をする、これはいろいろな経緯を知っているからそういう人も要りますが、そこには必ず大臣、まあ大臣はお忙しいですから、副大臣、政務官、こういう人が行って、現場は、政治家、バッジのついた人が責任を持ってその場のいろいろなことに当たるというのが本来ではないのか。
 中止をしたら、当然いろいろな被害をこうむる人がおられます。これはけしからぬとかいう話になって、それを役人の皆さんが、役人だけで行って、そこで説明してあたふたとするようなことではなくて、副大臣なら副大臣が行って、私の責任でここは何とかしますと言うぐらいのことを政治家がやらなければ、何のために役所に入っておるのですかというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 おっしゃるとおりだと思いますし、私どもはそのつもりで頑張っておりますし、少なくとも私は、大臣に任命されてから、今までなかった法律をつくったり、あるいは特に今申し上げたいことは、国土交通省、四省庁を統合しました。この四省庁を統合して、縦割りの壁をなくすというために、全国十カ所に分けて、各ブロック、全国の地方自治体の知事さん、あるいは政令指定都市の市長さん、全部十カ所にわたって、去年の一月から四月までかけて、四カ月で全国を歩きました。
 四省庁統合して国土交通省という、それが、旧運輸、旧国土、旧北海道、旧建設、この四省庁が地方では全部ばらばらなんです。地方整備局、地方運輸局、全部違うところにあるんですから。全国回って、しかも知事さんを含めた地方懇談会を開きました。
 そして、我々の思うことと、そして、今までの公共工事は全部上から言っていましたけれども、限られた予算、これからは、地方のブロックで、一つの県だけではなくて、各ブロックでどの公共工事を優先すべきかを地方で判断してくださいと。それを地方懇談会という名目をつけて、全国を歩いて、私が来ないときも事務方で全部懇談会を続けてください、そして公共工事はこのブロックでどこが一番早く投資すべきかということは地方で決めてください、それが地方分権の第一歩にもなるということを申し上げた。
 その決断は最後は私がいたしますけれども、地方の声を吸収する、体は一つですから、全部で、副大臣、政務官と手分けをしていっても、やはり国会も大事でございますので、絶えず外へ出るわけにいきませんけれども、地方の声は全部そうして中央へ集中して、満遍なく声を聞いていこうという体制づくりをしたということ。今後の公共工事のあり方、国土交通省が四省庁統合したあり方も含めて、私は大事だと思って、ぜひこういう機会に、政治判断はもちろんあります、私ども、ですから、皆さんとともに、声を聞いて、それを反映していくように努力して、間違いない決断をしていきたいと思っています。
樽床委員 今の大臣のお話は、昨年から、全国行脚していろいろやっておられる、これはお聞きをいたしております。これまでにない取り組みをされておられる、これはこれで評価を、評価というとちょっと生意気ですけれども、私は、別にそのことを言っているわけではないのですよ。
 例えば、個別の名前はやめますけれども、ある川の工事があるとかダムがあるとか、非常に個別の話がありますね、そのダムをやめるかやめないか。今までも、こういう公共事業のいろいろの見直しの中で、もう中止しましたところもありますよといって大分報告いただいていますよね。全部をそれまでどおりやっているのではなくて、こういうところはやめました、こういうところはやめましたというのは幾つもありますでしょう。そういうところは恐らく、私が想像するに、これまでの方針と違う決定をしたわけですから、そこの現地の方の、国民の皆さん方の中には、やめてもらってよかったと言う人もおれば、何でやめるのだと言う人もいます。やめることによってうちは害をこうむると言う人もいるのですよ、それは。よかったと言う人もいる。そういうもろもろのときに現地へ行って、かくかくしかじかの理由でこれはやめました、これについてはいろいろ御意見があろうと思いますがよろしくと言うだけではおさまらないと思いますよ、それは。何でだと、いろいろな話が出ます。
 そういうところに、現場に、別に大臣が行けとは私は言っておりません。バッジがついている方が、一人ではなく、何のためにたくさんのバッジ組を役所の中に入ってもらうようにしたのか。それは、政治家がしっかり責任を持て、こういうことでありますから、そういう現地に行って、例えば副大臣なら副大臣が、いろいろな文句、いろいろな苦情があるものも、政治家として決定に対する責任を、そこで説明をして納得してもらうという作業は政治家がやるべきだと私は言っているのです。それを、局長さんが行って、いやいや、こうこうこうでと。いろいろ苦情が出る、あとはもう、事務方の方ですから事務的な話を一生懸命して、いつまでたっても平行線、なかなか話が進まない、こういうことがあるのではないか。
 そこで、やはり政治家が、説明をする人が一緒に行くのは当然ですけれども、最後、そこの場は、副大臣なら副大臣、政務官なら政務官が行って、そこで政治家としての決定責任を皆さんに納得してもらう、こういうことを、これまで幾つか、ここはやめました、ここはやめましたという箇所が幾つもあるわけでありますから、そういうときにそういうことをやってこられたのでしょうか。ちょっと具体的にお聞かせいただきたいと思います。
扇国務大臣 一つだけ例を挙げさせていただきますけれども、御存じのとおり、昨年度、公共工事の見直しをしようということで、与党三党等々で、公共工事で百八十七の事業を見直そうということになりました。先生御存じだと思いますけれども、この百八十七の工事を中止するために、全国で三百回にわたって、第三者機関であります事業評価監視委員会、これを経て工事ができるのです。ですから、事業評価監視委員会に、これを中止するために三百回、各地の事業評価監視委員会を開いていただいて、納得いただいて中止に持っていったのですね。物をやめるときに、これをやめたよというのでは、余りにもそれは今まで協力していただいた人に申しわけないということでやった。
 例えば圏央道でもそうです。私が建設大臣になったときに、圏央道は、ちょっと今何年ぶりか忘れましたけれども、根本建設大臣以来というのですから、何十年ぶりかで、私、外環も現地に行きました。反対というプラカードを持っている人もいっぱいいます。けれども、私は行きました。そして、みんなの意見を聞いて、反対の人は反対の意見も言ってくださいと。そうしたら、泣きながら、私は、とにかく賛成してくれないと、子供たちが結婚してもこれは建て直しもできないのですと泣くお母さんもいます。やはり賛否両論、いろいろあるのです。
 今、川辺川は、民主党さん、菅幹事長以下一生懸命やっていらっしゃいますけれども、川辺川の五木村の人たちは全員、大臣室へ来ました。しかも、女性。私は都会からお嫁に行ったのです、農家へ、私は農作業をしているのですと。こういう人たちもじかに声を聞かせてくださいます。
 けれどもこれは、最終的には私が判断いたしますけれども、地元にも必ず賛否両論あるわけです。ですから、地元の知事さん、そして地元の当事者の組合もあるわけですから、私は地元本位ですから、少なくともその意見を地元でまとめていただいて、上がってくれば、賛否両論の最後の決断は私がいたします。私は何よりも地元の声ということを基本にしておりますので、そういう意味では、現地に行けるところは行っておりますし、また、現地の声がまとまってなくて、私が現地を見て、あ、なるほどなと思えるところもありますし、過去の経緯等々、私の小さな体とか頭では判断できないことも、地元の皆さんの総意をいかにみんなが吸い取ってくれるかということに、国土交通省の職員あるいはみんなが努力してくれて、地方の声を集めてくれているという現状でございますので、最後の責任は私がとらせていただきます。
樽床委員 川辺川とか、反対のプラカードのある道路の現地まで行って、いろいろお話をされた。これは非常に、私はある意味で――ある意味でと言うと失礼ですね、よくやられているなと思いますが、そういう事例が全国にたくさんあるわけでありますから。
 私がとにかくお願いをしたいのは、政治家が決定責任を持つのだ、そして役所の方は執行責任、私の言葉で言うと、執行するときに不正がないかとか、それは役所の皆さんとして不正がないように、また方針に従ってやるということでありますが、最後の、決定したことに対しては政治家がきちんと責任を持って、そして納得をしてもらう。
 現地に行くという行動もあれば、いろいろなパターンの行動もありますが、そのところを、特に公共事業というものは、今大臣くしくもおっしゃいましたけれども、必ず賛否両論あります。我が党の中でも賛否両論あって、大変なのですよ、正直言いますと、はっきり言いまして。今のはちょっと余談で、ちょっと削除していただきたいような発言ではありますが。(発言する者あり)ちょっといろいろおっしゃる方もおられますが。
 とにかくそこら辺のことをしっかりとこれからやっていただかないと、公共事業の問題はどんどん先送り、問題が余計にややこしくなるということを強く申し上げておきたいと思うわけであります。
 実はたくさん質問を考えておりましたが、ついつい熱が入りまして、まだ予定した質問の半分もいっておりませんので、どうしようかなと思っておりますが。
 実は、この場で大臣に聞いても、それは、いや、もうこれは総理の話ですからということで、そういう答弁が来るのかなと想像できないわけではないわけでありますが、道路公団を含む四公団の第三者機関の話であります。後ほど私どもの阿久津委員の方からも道路関係の質問をさせていただきますが。
 この委員会で言ったことがすべて決定だとは思っておりませんが、前、扇大臣の発言の中では、実は私の質問に対して、上下一体が望ましい、そのことは総理にもお伝えをしてある、こういうお話がありました。そして、例えばその点でいくと、この間、予算委員会で総理は、そこら辺のことは非常にぼやかしているのですよ。上下一体か上下分離かも、その第三者委員会で決めてもらうのですと。我々は当然上下一体だろうと思っておりましたら、ちょっと違うというような発言を総理は予算委員会ではされました。これは我が党の質問に対してのお答えであったというふうに認識をしておりますが、ちょっと後退したのではないかというふうに私どもにはとれます。
 さらに、そういうようなことももろもろ含めて、第三者機関が、我々は三条委員会ですべきである、このように言っておりますが、八条委員会でと、こういうことにもなります。
 総理は、あれだけいろいろ抵抗があった中で、国会承認の問題にしないということで押し切って、要は自分の権限のもとでやるんだ、こういう話であります。自分の権限のもとでやるんだったら、別に八条じゃなくて本当は三条の方がいいんじゃないかと思ったりもしますし。去年の大臣のお話では、国幹審、今はちょっと名前が変わっておりますが、国幹会議ですか、これが八条委員会で、新たなものを八条委員会でつくると、この整合性はどうなんですかね、私もちょっとというようなお話がありました。
 そこら辺のもろもろ含めて、道路関係の四公団の第三者機関について、今の政府の方向は我々は正直言って生ぬるいと思っておりますけれども、その点について、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 今から法案を御審議いただいて第三者機関を決めていただきますので、私がその法案審議に入る前に予見を持った発言をすることは私は差し控えたいと思いますけれども、ただ、根本だけはきちんとしておきたい。それは国土交通大臣としての責任でございますので、所見の一端をぜひ聞いていただきたいと思います。
 私が申し上げましたのは、同じ八条機関で前に決まっております国幹審、これは今国幹会議と言われておりますけれども、この八条機関の国幹会議が前の列車で出発しているんです。今度、後から第三者機関という、同じ八条機関のものができるわけですね。これが衝突しないのか、前の列車をどうするんですかというのを私は委員会で申し上げました。そして今度、後発の第三者機関というもの、同じ八条機関にはなりますけれども、これを伺いましたら、後から出発します第三者機関ではいろいろなことを論議しますけれども、これを総理に答申して、そしてその答申をしたものを受けて、前に走っております国幹会議にかけて国土交通大臣が判断してくださっていいですというようなすみ分けができているんですね。ですから、後発の第三者機関が前の八条機関の国幹会議に追突しないように、一時停止をして答えを出す、それが私は決まっていると思うんですね。
 ですから、今回、第三者機関が同じ八条機関でも前の国幹会議に追突しない、第三者機関で出した答えは、駅にとまって、ちゃんと総理に答申をして、そしてそれから国幹会議にかけるということになっておりますので、私は、これは追突がないなと思って、これから法案を御審議いただくというふうに理解をしております。
 それからもう一点、上下分離のお話がございました。
 私は、私のところで、国土交通省で、諸井先生を座長とします委員会、あり方懇談会というのをつくりまして、そこではきちんと上下一体というものを答申いたしまして、それを総理に提出いたしました。それを受け取った総理は、中をお読みになったかどうかわかりませんけれども、大変いいものをいただいた、これは第三者機関に渡すのにいい参考になりますというお言葉をいただいております。ですから私は、諸井先生を座長としますこのあり方懇談会での上下一体ということは、総理も第三者機関も御理解いただくのではないかということを心の中では思っていますし、またそれを願っています。
 その理由を言います。なぜ道路公団を民営化するときに上下一体でないといけないか。
 御存じのとおり、これは樽床先生ももうお調べになっていると思いますけれども、今の道路公団の子会社と言われるものが何社あるか。それは、公団の子会社、関連会社を含めますと、子会社が六十三、関連が十九、八十二の関連子会社がございます。その中で五三%が役所のOBの天下りです。五三%です。これでは余りにおかしいのではないか。
 例を挙げますと、道路公団の上の維持をする、道路を維持するのに四業務あります。先生も御存じだと思います。一つは料金を徴収する業務、それから二つ目には交通の管理をします業務、三つ目には道路を保全点検する業務、そして維持修繕をする業務、四つの業務があるわけですね。この四つの業務だけでも少なくとも百六十三社あるんです。その百六十三社の中で、道路公団の息のかかっているのが四十六社あります。そして、この中で、全部、道路公団の関係子会社の八十二の中で六十三社が黒字でございます。
 ですから、私は、上下分離をしたら、上の黒字の分だけが民間だからといって逃げて、そして、それが道路工事を廉価にする場合に影響しないというのでは何にもならない。天下りともうかるところだけを食い逃げ――言葉が悪いですね。食い逃げじゃなくて持ち逃げといいますか、隠れみのといいますか、そういうふうにされたのでは、私は、道路というものの公共工事の効率性が上がらない。目に見えないところで天下りと黒字だけを隠して赤字です赤字ですと言うことは、私はうそであると。そのためには上下一体であるということが諸井委員会で粛々と論議されて、上下一体という答えをあり方懇談会で総理に提出した。ですから、道路公団のためにも、私は何としても上下一体でなければならない。上下分離を言う人は何らかの意図を持っている人であるとしか私は思えないぐらいに思っております。
樽床委員 大臣が、今後、ほかの委員会でしょうけれども、恐らくこの審議は内閣委員会ですか、その審議に入りますので、その前に予見を持っての発言はという、これは当然の話であります。ですから、今の話は、私はその委員会の制約になるとは思っておりません。
 ただ、先ほどの自民党の方の質問に対して大臣もお答えになったように、政治の責任でやらなければならないんだと。要するに、四国との間になぜ三本つくったのか、それであったら、一本つくって、四国の中に一周道路をつくった方がよかったと先ほどおっしゃいました。そういうふうに決めたのは、いろいろあったけれども、これは政治の責任だから、政治の責任でそれを解消せないかぬと。まさにそのとおりでありまして、だから今大臣がおっしゃったことは、先ほどからの私への答弁でもいろいろありましたように、それは、第三者委員会には譲り渡すところであるけれども、国土交通省としては上下一体ということを強く主張しておるというふうに私は受けとめたわけでありますが、それでよろしいですか。
扇国務大臣 国土交通省が諸井さんという人を座長にして道路公団のあり方懇談会をして、そして朝に昼に、オープンにして、集中的に審議していただいた。
 民間というものはどうあるべきか。収入と支出が違ったら、これは民間じゃないんです。株式会社というものは、入りがあって出があって、それが一体でなければ株式会社でもないし、民間でもない。しかも、株式会社であるならば、やがて上場する、民間に公開する、これが株式会社だ。それを、諸井委員会では、民間の皆さんの、民間というもののイメージ、原則はこういうことだということを――私は一言も言いません。道路局長にも、一言もしゃべるな、質問されたことだけに答えろと言って、皆さん方が懇談していただいて結論を出していただいたわけですから。そういう意味で、上下一体というのは収入と支出を一緒にするということでございますので、それでなければ民間という言葉を使うには値しないという結論を国土交通省としては出しております。
樽床委員 この問題につきましては、我が党と政府側と意見が同じところと同じじゃないところがありまして、我々は地域分割ということを言っている、大臣は地域分割はいかがなものかというのが昨年のお話だった。それはそれで一つの意見として我々は受けとめたいと思います。
 ただ、いろいろ、要するに、総体的に言うと生ぬるいのではないかというのが我々の意見ですが、その中の一つのポイントは、今の上下一体、これは何としても守らなきゃならぬというふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思う次第であります。
 実は、ほかにたくさん、住宅金融公庫の問題とか、先ほど大臣がおっしゃった、地方整備局に一括交付金ですか、箇所づけの権限を三〇%渡しておるというような話とか、我が党も住宅政策については本格的な政策の転換を図っていかなければならないと、いろいろ考え方を今鋭意検討中でありまして、そのことについて、さわりだけでもきょう申し上げたい、また意見交換をさせていただきたい、このように思っておりましたが、時間が参りました。
 きょうわざわざ用意をしていただいた皆さん方には大変申しわけなく思っておりますが、ついつい熱が入りまして時間が押せ押せになったことをどうか御理解をいただきまして、今後、十三本の法律がありますから、そういう法案の中でそういう問題について一つ一つきちっと私どもの意見を申し上げて、そして、我が党といたしましては、是は非、非は非という形でただ単に野党だから反対すればいいという立場に立つものではありません。いいものはいい、悪いものは悪い、不十分なものは不十分、こういうことを申し上げながら、この十三本の法案に対してきちっと対応していきたい、このように考えておりますことを申し上げさせていただきまして、私の質問を終了させていただきます。
 ありがとうございました。
久保委員長 阿久津幸彦君。
阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。
 まず最初に、大臣の所信表明演説の中で最大の柱の一つであります都市再生の問題についてお伺いをしたいと思います。
 都市問題は、日本がこれまで抱えてきた深刻な問題の一つであります。都市再生なくして二十一世紀の日本再生はあり得ない、私もそのように考えております。
 そこで、まず大臣にお伺いをしたいと思いますが、大臣の考える都市再生とは何か、その意義と位置づけについてお答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 先ほども樽床先生との論議の中で、都市というものの条件はどういうものか、特に、国際という看板をつけたときにはどうあるべきかということを少し申し上げましたので、もっと違った点から阿久津先生にも申し上げたいと思います。
 都市というものは、近くで、そして仕事の効率が上がって、なおかつ住みやすい、一番便利なものでなければならないはずですね。ですから、さっきも申しましたように、住まいと仕事場とが一緒にある。
 御存じのとおり、パリへ行ってください、みんなアパートメントです。みんなアパートに住んでいます。金曜日の夜になると全部自宅へ帰っちゃいます。郊外に、森の中にすてきなおうちを持っていらっしゃいます。仕事をする場はパリなんだ、パリはアパートメントでいいんだ、そのかわり週末はたっぷりとって、緑に囲まれたうちへ帰る。これが、ヨーロッパ、同じような狭い土地の中での皆さん方の生活です。ですから、私は、少なくとも、長時間の通勤ですとか慢性的な渋滞でありますとか緑の安らぎがないというような、そういう都市にはしたくない。
 例えば、さっきも申しました。電柱が多過ぎる。日本は何なんだ、この景観の悪さは。少なくともロンドンは、これは一〇〇%地中化です。東京の二十三区、これは三・一%です、地中化は。できていないんです。
 そして、ビジネスに適した都市のランキングというのを世界じゅうで出しています。このランキングを見ますと、一位はシンガポールなんですよ、シンガポール。ごみもない、便利です、きれいです。シンガポールが一位です。二位がサンフランシスコ。そして、三位がロンドンで、やっと二けたになって日本が顔を出す。ですから、そういう意味では、都市というのは、このビジネスに適した都市ランキングで上位になってほしいと思うことも、私は大きな数字の一つであろうと思います。
 パリの観光客、千二百万人あるんです。一位ですからね、パリが、観光客が。東京は三十三位で二百五十万人。千二百万人のパリに比べて、東京は二百五十万人しか観光客がないんです。それほど東京は見るところがないんでしょうか。
 このように、東京というもの、あるいは大阪、京都、奈良、文化的遺跡のあるところは別として、都市として見るべきものは何かというのがないんですね。そういう意味では東京タワーも見るものかもしれませんけれども、外人客で東京タワーに上がる人はありません。そのように、都市のあり方というものからすれば、私は、少なくとも日本らしいものをぜひつくっていただきたい。
 霞が関を見ていただいても、私、外国のお客様がいらしたら残念なんです。四角い箱ばかりあるんです。どこが国土交通省で、どこが外務省で、どこが文部科学省かわからないんです。何の特色もありません。これでは私はいけないと。ですから、まちづくりというもの自体を、私は、日本らしい雰囲気、日本らしいものを加味したものを今度はつくっていきたい。
 そして、この狭いところを利用するんですから、先ほど申しましたように、緑をふやし、そして歴史と文化、正直申し上げて、日本橋というのは文化的にも大変日本の出発点です、道路の。日本橋の橋の下へ行ってみてください、先生。懐中電灯で照らさないと日本橋という標識は見えません。高速道路が二重に上にかぶさって見えないんです。私は、あれも両方に高速道路を分けて日本橋を回帰しましょうと。それも一つの文化なんですね。
 そういうことをこれからの都市づくりというものの中に入れて、しかも国際的に、東京はいいね、仕事もしやすいけれども環境もいいよと言われるような、東京のみならず都市というもののあり方にしていきたいと私は思っております。
阿久津委員 今大臣が本当に貴重な指摘を随分されました。ちょっと残念だと思うのは、国土交通省の職員の方々が今の大臣の気持ちをどれだけ酌み取っているかなという感じがするんですね。
 別の観点からちょっとお話をすると、都市再生という言葉を聞いて私が思い浮かべることというのは、欧米諸国における都市再生の試みなんですね。そのキーワードは、市民参加と地方分権であります。
 ところが、今の大臣のお話を聞いていると違うんだなと思うんですけれども、少なくとも所信表明演説を読む限りでは、市民とか地方といった観点が読み取れないんですね。確かに、民間事業者に対する金融支援とか土地流動化を通じた不良債権問題の解消とかというのはもちろん大切な問題なんです。しかし、私の理想とする都市再生というのは、都市住民の荒廃した心の再生を究極の目標に掲げる市民参加型の都市再生なんですね。少なくとも所信表明演説を見る限りは、これとはかなり隔たりがある感じがいたします。
 そこで、今度、政府参考人の方にちょっとお伺いをしたいのですが、都市再生において、市民参加、地方分権という観点はどのように反映されているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
澤井政府参考人 市民参加、地方分権というお尋ねでございます。
 ただいま先生仰せの金融支援等の施策につきましては、既に国会に提出させていただいております都市再生特別措置法のスキームの御指摘だと思います。
 今回私どもでは、これを含めまして、都市再生全体につきまして、今の特別措置法、それから再開発法、区画整理法等の事業手法の拡充を図る改正法、さらには、全国的に地域のまちづくり活動などを支援し、また法的にも受けとめる仕組みを含みます建築基準法、都市計画法の一部改正といったものを広い意味での都市再生の法案として考えておりまして、そういった全体の中で、ただいまの先生の御指摘についても、これまで以上にさらに取り組んでまいりたいと考えております。
 特に分権につきましては、これまでも、都市計画制度あるいは各種補助金制度の運用に対する国の関与などにつきまして、できる限り地方分権の推進に努めてまいったところでございます。
 また、先ほど申しました、これから提出したいと考えております建築基準法、都市計画法の改正の中で、近年の市民の社会参加の意識の高まり、まちづくり分野におけるNPO、あるいは地域住民による自発的な活動の活発化といったことを受けとめまして、例えば、まちづくりに関する都市計画の提案制度を幅広く導入する、あるいは統合補助金についての支援をさらに充実していくといったようなことを講じたいと考えておりまして、地域住民の主体的なまちづくりの一層の推進に向け、さらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
阿久津委員 役所側の答弁とすればああいう形になってしまうのかもしれないんですが、ちょっとどうもイメージがわいてこないんですね。
 それで、例えばイタリアのボローニャの歴史市街区再生では、地区評議会をつくって、住民の意見を十分に吸い上げ対話を促進する仕組みをつくりました。サンフランシスコのミッションベイ開発では、四十以上の地元市民団体が計画段階から参加し、百回以上の会合を重ねて新しい計画をつくりました。欧米では、こうした市民参加の手法を開発するのに四半世紀の年月を積み重ねております。
 大切なのは、十分な情報公開と計画段階からの市民参加です。これからまた都市再生関連の法案審議が始まりますが、活発な議論に期待をしたいというふうに思っております。
 そして、せっかく大臣いらっしゃいますので、大臣の考える都市の魅力とは何か、時間の都合で本当に一言で結構でございます。ちょっとだけお答えいただきたいと思います。先ほど大分お答えいただきましたので、大体のイメージはわかっているつもりです。
扇国務大臣 条件はいろいろあります。挙げていれば切りがありませんけれども、気持ちよく生活ができ、そして、たとえ夫婦げんかしても、周りの景色を見ているとお互いがつまらないなと思えるようになって、自然の偉大さを感じて自分の生活がいかに小さいかということに気づくような、それくらい大きな大自然をいただきながら我々は生活できればいいな。そして、働くことに希望を持ち、そして子供たちが何の制限もなく喜々として遊んでいる。今、町で遊んでいる子供たちを見るのはまれでございます。遊ぶ場所がありません。そういういろいろな条件はたくさんございます。
 けれども、一番基本的なことは、都市をつくるときに、いかに日本はつくりにくくなっているかということなんです。今、市民参加とおっしゃいました。市民の皆さんの合意がなければ一歩も前に進めない。民主主義の原点である。けれども、ある程度リーダーシップを持っていかなければ、町というものも都市というものも国というものもよくなりません。
 例を挙げると悪いですけれども、高速道路、問題になっています。先ほども御意見をいただきました。一九六三年から今日まで、日本の高速道路、もめにもめて、高いお金を出して、今六千八百六十一キロです。片や中国、お隣、あれだけ広大な土地で、一九八二年、高速道路ゼロだったんです。それが現在、二〇〇二年、二十年、この間に、中国の高速道路、一万六千三百十四キロでき上がっています。もっと安い値段でできている。どんどんできるでしょう。空港もそうです。既に日本の四千メートル級の滑走路、ハブ空港たり得る力を全部備えています。
 そのように、我々は世界の中で、都市づくりもそうですけれども、まちづくりも国づくりも市民参加が大事ですけれども、市民の中には賛成も反対もあるんです。それを全部しんしゃくしていたのでは世界じゅうにおくれていく。ですから、最大公約数で、地元の皆さんで賛否を決めてください、それで結構ですと私は申し上げているんです。
 ただ、その中で、皆さんがもっとグローバルな考え方であり方というものを考えていただいて、よりよい答えを、地方から国に、あるいは村から町に、町から県に、県から国にというふうに引き上げていっていただいて全体的な構想をつくっていくということが、二〇〇一年のそれこそソフトの環境を考えた都市づくり、まちづくり、国づくりに貴重なことだと思っていますけれども、少なくともリーダーシップが必要であるということも申し添えさせていただきます。
阿久津委員 大臣の今の話の中でちょっと心配な点がありましたので、一言だけそこのところを申し上げますと、私は、都市再生関連の法整備、必要だと思っております。
 ただ、ちょっと心配なのは、土地収用法以来、ずっと今回の都市再生二法案に至るまで、スピードアップ、手続の簡素化ということにややもすると重点が行き過ぎてしまって、市民参加とか計画段階からの市民とともにつくっていく姿とか、そういったものが欠けてしまう可能性があるなというふうに思っております。
 民主主義というのは、もちろん皆様おわかりだと思うんですが、非常にまだるっこしい、時間のかかるものなんです。ですから、そこには情報公開を大前提とした、やはり時間をかけた住民との対話というものを決して忘れないでいただきたい、そのように考えています。
 そして、先ほどの、むしろ大臣が都市再生とは何かという質問を私がさせていただいたときにお答えいただいた中に、非常に多くのいい答えをいただいたんだなというふうに思っているんですけれども、大臣は、東京は都市として見るべきものがないのではないか、日本らしいものをつくってほしいというようなお話をされました。私も全く同感なんです。
 私の感じる都市の魅力というのは、もちろん新宿や銀座もそれなりにいいんですけれども、例えば浅草とか谷中といった、都市にありながら何かほっとするような、人工的でない日本的な空間がとても魅力的に感じております。
 この前、六本木の森ビルを同僚議員と一緒に、民主党、視察をさせていただいたんですけれども、森ビル周辺の精巧な模型というものが展示されていたんです。それは三つございまして、一つが一九五三年の当時の森ビル周辺の風景ですね、その次が一九九九年、その次が二〇〇三年、未来ですね、その姿が出ておりました。
 一九九九年、これは現在の姿をあらわしているんだと思うんですけれども、この森ビル周辺の姿というのは、もうビルが折り重なるように建っていまして、本当に見るにたえない形なんです。だから、もちろん都市再生法を使って高度化して、人工的な空間をつくる二〇〇三年のそのあるべき姿の方が一九九九年よりはいいんです。
 ただ、ないものねだりと言われてしまったらそれまでなんですけれども、同僚の若手議員と一緒に話したのは、三つの中で一番いいのはやはり一九五三年当時の森ビル周辺の姿だねというふうに話をしたんです。毛利邸の池がしっかりとあって、土が露出していて、木がたくさんあって緑も備わっている。
 私の地元八王子にも、八王子商店街にはまだ、少しなんですけれども古い日本的な建物があるんですね。若いのにそんなノスタルジーを追っかけてなんて言われちゃうかもしれないんですけれども、私も大臣と同じように、古きよきものとの調和というのが都市再生においてはキーワード、絶対に大事なことだと思っております。
 この考え方をぜひとも都市再生に取り入れていただくことをお願いしまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次の質問は、道路公団についてお伺いしたいと思うんですが、昨年末、三千億円に上る国費打ち切りによって、十三件の高速道路建設工事の発注が見送られました。国民は、これを構造改革が進んだ結果だと拍手喝采を送ったわけですが、いわゆる族議員の猛反発を受けて、公団総裁の更迭論まで飛び出し、あえなく、本年一月、十三件の道路工事発注の見直しが撤回され、やはり道路族議員の巻き返しに遭ったのかと、国民の失望の声が聞こえてまいりました。
 そこで、日本道路公団の藤井総裁にお伺いをしたいと思うのですが、日本道路公団が昨年末工事を発注していた十三件を突然見送りにした理由は何か、また、なぜその見送りをことしになって突然撤回したのか、お答えいただきたいと思います。
藤井参考人 御説明させていただきます。
 先生今御指摘のとおり、昨年の十月二十五日に、実は十二月分の工事の公告をいたしました。発注手続もした工事が十三件あります。その十三件というのは、指名あるいは公募型あるいは一般競争という形で、もう発注手続を開始していた案件でございました。
 十一月の二十七日に、閣議で三千億来年度の国費を入れないということが正式に決まりました。予算委員会でも御説明いたしましたように、アフガン戦争等々で外債の発行条件が非常に乱れて、外債が発行できる見通しが全く立ちませんでした。そうすると、これで千二百億の収入が減ります。さらに、行政改革等で、十二月十九日に計画が政府で決定されましたけれども、それの途中でございます。したがって、財投機関債を引き受けて募集してやろうという証券会社がございませんでした。十二月の十九日にやっと決まりましたが、第三者機関でもって、委員会で今後決める、こういう内容でございました。したがって、財投機関債の発行条件が非常に厳しかった、これが千五百億。言ってみれば、二千七百億の資金が、最悪のときにはショートしてしまう。
 そうすると、このまま見直さないでずうっと進んでいったらどうなるか。ことしの三月三十一日には支払いができない、仕事はしていただいたけれども支払いができない工事がたくさん出てくる可能性がある。そのときに、最悪のときには、十四年度の予算をお決めいただいたときに、十四年度の予算でもってお払いできるようなことも検討いたしました。しかし、中小企業はそういうわけにいきません、三月三十一日までにきちっと払ってあげなきゃいけません。
 等々、そういう状況を見まして、とりあえず十二月から発注する工事については全面的に見直そうという判断をいたしまして、その中で不公平が出ないように、十二月の発注以降のものとして十三件も入ったわけでございます。しかし、十二月の十九日に計画が政府として出ましたので、証券会社等に強力にお願いいたしまして、十二月の二十五日に第一回目の機関債の投資家説明会をさせていただきました。
 そして、いろいろと御説明をし、努力をした結果、一月の二十四日時点である程度のめどがつきました。さらに、その間、民間資金あるいは外債等についても、私どもいろいろと調整をいたしました。外債は外国ですから、これは発行条件が、許可を得なきゃいけませんが、簡単ではございません。しかし、民間資金は、これは金融機関との相対で調達するものでございますから、これも同時に始めました。
 というようなことで、一月の末に資金的にある程度めどが立ったなという判断をいたしましたので、今度は逆に、三月三十一日までにどうしても発注しておきたい工事というものを見まして、それからいきますと、二月一日がおおよそ官報告示の限界でございます、WTOのルールに沿いますと限界でございますので、一月末に、いわゆる十三年度分の残りの工事を公告し、今その手続に入っている、こういう状況でございます。
 ただ、残念ながら、そういう来年度の三千億等の状況もございますので、今年度、十三年度に国からいただきました債務の発注枠のうち、約千七百億円は発注しませんで、契約に回しませんで、そのまま来年度送り、こういうことになっております。
阿久津委員 今、財投機関債によってある程度資金調達のめどが立ったというお話がありましたので、お伺いしたいと思うのですが、二月二十日の毎日新聞朝刊、そしてけさの二月二十七日の日経新聞の朝刊には非常に詳細に出ているのですけれども、平成十三年度発行予定の千五百億円の財投機関債のうち、八百五十億円については、相場環境の悪化によって発行が困難と報道されております。
 日本道路公団の資料にも、発注見送りの理由として、道路公団の発注する工事は二年から四年にわたる大規模工事が主体のため、次年度以降の資金手当ての可否が重要と指摘しております。
 しかし、十三年度発行予定の千五百億円のうち、六百五十億円しか消化できず、主幹事は、たしか野村、大和、みずほだったと思いますけれども、残りの八百五十億円の発行が困難と言われる中、十四年度発行予定の四千億円は到底消化できないと思われますし、新規工事発注を減らすしかないと思うのですが、予定していた資金調達に穴があいた場合、今後さらに工事量を縮小する可能性はあるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
藤井参考人 御説明させていただきます。
 新聞等々に載っている内容は承知しております。私ども、主幹事を三社、普通は一社しか決めませんが、ことしは、特殊なそういう金融マーケットの厳しさもございますので、三社を主幹事にお願いしまして御相談しております。その主幹事等からは、そのような厳しいという話は特に聞いておりませんけれども、起債時期とか発行額については、いわゆる市場動向を踏まえながら詰めていかざるを得ない。
 なぜならば、この財投機関債はいわゆる社債でございますから、各社が、いろいろな会社が出す社債と同じマーケットで争うわけでございます。そうしますと、私どもが優先的にそれをとってしまえば発行できなくなる会社も出てくるというような性格を持った資金でございますから、マーケットとして、市場として、いろいろなことを考えながら、時期とそれからその発行額について決めるというのが実情だそうでございます。したがって、私どもがこうしたい、いつまでにこうしたいということではなくて、今年度中にこの八百五十億について出したいので、ぜひそのように詰めていってほしい、こういうことを今お願いしている最中でございます。
 なお、それ以外につきまして、実は六百五十億機関債を出させていただきましたが、即刻応募していただいて、とれました。今の段階で道路公団が将来どういう民営化になるか決まっておりません。そういう中でも六百五十億を確保していただいたということは、道路公団の現在の採算状況とかいろいろなことを御説明しておりますので、そういうことから御理解いただいたものだなというふうに理解はいたしております。
 そこで、今後、そういうことを踏まえて、八百五十億をお願いするわけでございますが、例えば民間借入金につきましても、現在、私ども約六千億等を予定しておりましたけれども、それが六千八百六十億ほど、ということは、八百六十億ほどもう既に借りることが、大体見通しが立っております。というようなことで、いろいろな資金を組み合わせて私ども仕事をしておりますので、そういう総合的な立場に立って、この一月の末に大体大丈夫だなという見通しを立てたわけでございます。
 財投機関債というものはあくまでも社債でございますから、市場の環境との相対で、今後ともお願いをしながら、これを何としても、枠をいただいているわけでございますので、発行させていただく努力を最大限にするつもりでございます。
阿久津委員 今、主幹事の方からは厳しいという話は聞いていないというふうにおっしゃったのでちょっとだけ指摘しますと、きょうの日経新聞朝刊には、東京・霞が関の公団本部に財投機関債の主幹事を務める野村証券、みずほ証券、大和証券の担当役員が集められた、何とか発行できないか、公団側はすがるように訴えたが、主幹事側が伝える市場環境は厳しく、結局、起債時期や発行額については結論を出せなかったと書いてあります。これはもうよくわかっていらっしゃると思うんですが。
 それから、今ちょっと気になることをおっしゃったのは、財投機関債、確かに社債なんですよ。社債だから、ほかのところが資金確保するので、自分のところばかり金取るわけにいかないというふうにおっしゃったんですけれども、民間になるんですからね、民間になるんですから、道路公団として、ある意味でいかに企業イメージをよくして、どうするか、どうやって社債を確保するか、お金を調達するか、それを考えなくちゃだめじゃないですか。
 一般投資家は、あるいは一般投資家を含む国民は今何を見ているのか。これは、道路公団が民営化した後しっかりやっていけるのかなというふうに見ているんですよ。それで、投資家がこんなことを言っていますよ、我々は、だれも通らないような高速道路の建設費のために投資しているわけではないと。藤井総裁、個人的には非常に頑張っていらっしゃるんだと思うんですが、だめなものはだめとしっかり言えば、これは逆に日本道路公団の企業イメージというのは上がってくるんですよ、何も私に言われなくてもわかると思うんですが。
 それで、先ほどの十三件の取り消しの本当の理由は何なのかというのを、よく新聞で報道されていますよね。これは、今回発注見送り撤回の本当の理由は、古賀誠自民党道路調査会長や青木幹雄参院自民党幹事長等、いわゆる族議員と言われている人たちへの根回しがなかった結果であるとの報道がされております。事業の変更等を行う場合、恒常的にこうした根回しが行われていたのだとすれば、これは外務省の族議員支配に匹敵する大問題だと私は思うんです。
 ちょっと前の資料ですけれども、日本道路公団の役員リストを見ると、藤井総裁を初め、村瀬副総裁、妹尾理事、山本理事、城処理事、奥西監事、幹部役員のほとんどが天下りです。族議員との関係を疑われたり、天下りを指摘されたり、国土交通省にとっても道路公団にとっても迷惑な話だと思うんです。
 だったら、この際、藤井さんの後の道路公団総裁に、いろいろと族議員との関係をうわさされる方ではなくて、思い切って民間人を登用されたらいかがでしょうか。これは藤井総裁がしっかりした強い意思を持って、そして小泉総理がしっかりとした強い意思を貫けばできると思うんですが、最後に一言だけ、コメントで結構です。
藤井参考人 これは私の権限を超えた、答えにくいことでございますが、そのような先生の物の考え方、見方等、これから幅広くいろいろなところで議論されると思いますが、今現在の私の任命権者は国土交通大臣でございますので、国土交通大臣が御判断なさる問題だと思っております。そういう意味で、ちょっとそのところは勘弁させていただきますが。
 一つだけ最後に加えておきますけれども、確かにいろいろな方から御質問やきついいろいろなお言葉もございましたし、新聞でもそのようなことを見ております。しかし、そのことと、私どもが最初に御説明した、資金需要からこういうことをやむを得ずやったということとは、これはまた別でございますので。
 一点だけ。ミス説明をいたしました。最初に公告と申しましたけれども、公表でございます。これは、公表して官報に告示する。公表は、業界紙のような専門紙に全部載せる、こういうことでございます。公表、公告をちょっと間違った説明をしたかと思いますので、おわび申し上げて訂正させていただきます。
阿久津委員 どうもありがとうございました。
 藤井総裁には、ぜひ会社の社長というつもりで、日本道路公団、そして日本のためにも頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
久保委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五分開議
久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 会議を引き続き開催するに当たりまして、一言、委員の皆さんにお願いをいたします。
 午前を終わる際に、午後一時をもってということでお願いをいたしました。今後かようなことのないように、各会派、理事の皆さん、よろしくお願いをしたいと思います。
 それでは、質疑を続行いたします。伴野豊君。
伴野委員 民主党の伴野豊でございます。
 本日は大臣所信に対する質疑ということで、先ほど樽床議員、阿久津議員が質問させていただきましたことと重複しないように質問をさせていただきたいと思います。
 前にもちょっと触れさせていただいたかもしれませんが、私のおふくろは扇大臣の大ファンでございまして、「三時のあなた」というのは私も一緒になって見ていた覚えがあり、どうしてもそのイメージがあって、今一時ですけれども、多分大臣は三時ぐらいがお強いんじゃないかと思うんですけれども。
 そんなことで、私情を入れないようにきょう参ったところ、そうしたら、こちらに森田健作議員が立っていらっしゃいまして、森田先生といいますと、我々にとっては「おれは男だ!」でございまして、ちょうど「三時のあなた」が終わって、うちの方ですと四時ぐらいから再放送で「おれは男だ!」をやっていたんですね。それをぱっと見まして、きょうは私のヒロインとヒーローがここでやっていらっしゃる、すごいところに入ってきてしまったなということを思ったわけなんです。
 すごいところといいますと、やはりこの政治の世界というのは魑魅魍魎でございまして、私はサラリーマンから国会へ参った一人なんですけれども、これで一年と八カ月。ちょうど大臣も、二〇〇〇年の七月ですか、最初は建設大臣と国土庁長官の二つを兼務されて、さらには、あるときは四つも兼務された。四大臣分働かれていてということで、そのあたりは敬服している次第であるわけでございます。
 それで、やはりこの世界にいて一番思うのは、政治家の言葉といいますか、不思議な言葉が非常に多い。特に最近気になるのが、政治家主導の政治とか政治家主導の政策とか。政治家がやらなくてだれがやるんだという思いがあるわけでございますが、先般おやめになった女性大臣も、政治改革なくして構造改革なしというような言葉を発せられました。いろいろ評価のあるところではございますが、この言葉に関しては、私は政治家として考えるべきところが多いんじゃないかな、そんなふうに思っている次第であるわけでございます。
 その中でも、残られた三人の女性大臣、とりわけ扇大臣は……(扇国務大臣「四人」と呼ぶ)四人でしたっけ。済みません。いずれにしても、残られた大臣の中で、国民から選ばれている大臣というのは、唯一扇大臣だけですよね。そういった意味で、とりわけ発言が政治家らしい発言ということで、私のような者が申し上げるのも失礼ですが、政治家らしい発言をされる大臣じゃないかなと。たしか、おなりになったときには、何で私がというようなことも発言されているみたいでございますが、高速道路はただになると思ったという、こういう素朴な疑問というのは非常に大事なことであって、ぜひこの実現なんかもその先鞭をつけていただきたいなと思うわけでございます。
 それで、何を言いたいかということでございますけれども、きのういろいろ見せていただきました。そして、私もあちらが透けるぐらいしっかり読ませていただきました。それで、大変失礼な言い方をすると、この中に大臣らしい言葉というのはあるのかなと。もっと大臣だったら踏み込んでもいいようなこともいっぱいあるんじゃないかな。
 あえて言わせていただくと、四ページぐらいに、「新たな時代にふさわしい長期計画・国土計画のあり方について総合的に検討を進めてまいります。」というようなこととか、「首都機能移転については、今後も国会でのご論議を活発にしていただき、国民のご理解を得られるよう努めます。」という内容があるわけでございますが、これは多分、大臣が今まで使っていらっしゃった言葉からするとグランドデザインというような言葉が出てきてもいいんじゃないかなというようなことを思ったりなんかして。
 お聞きしたいことは、この中に扇大臣らしさというのはどこにあるんでしょうかという素朴な疑問に対してぜひお答えいただきますように、よろしくお願いいたします。
扇国務大臣 伴野先生おっしゃいますように、本来は私が全部書けばいいのかもしれません。けれども、役所にはそれぞれの担当がございまして、それぞれの能力を持っていらっしゃいます。やはりこれはこれで、例えば白書一つをとっても、大臣の思っていることをもっと白書に入れたいとか、所信もすべて自分の言葉で言えばいいなとか、それはいろいろあります。
 けれども、役所の歴史、また、より多くの皆さんに一番わかっていただけるものという意味で、国土交通省としては、すべての方に公平に読んでいただくためには今まで役所が書いているような言葉で書けば一番いいのではないかということで、これはつかさつかさで書いた文章でございます。
 私がいつも心がけておりますことは、これはこれとして正式に出しておりますけれども、お答えしたり対等で論議をさせていただくときにはなるべく自分の言葉で、そして皆さん方と私は同じ立場ですし、私が、大臣になったときに、何でと言ったのは私のような素人でもという意味でございまして、何も専門家でなければこれを論じられないというのではなくて、私は国民の代表として入っているわけですから、多くの皆さんに理解をいただける普通の言葉でやりとりさせていただきたいということで、普通の言葉でさせていただいております。
 所信ということで、国土交通省を代表した文言ということであれば、少しかた苦しい点はるるあると思いますけれども、その中にも、今おっしゃいましたように、二十一世紀のグランドデザインを書きたいということは、先ほどもちらっと、きょうの最初の森田先生とのやりとりで私はアクアラインの話もしました。それはグランドデザインがないからだということも国土交通省にずっと私は言い続けておりますので、そういうことも役所の中ではよくわかってくれておりますし、そして公共工事のためには少なくとも融合があり、あるいは連帯の政策があり、地方と国とが連携していくという重要性というもので国土が成り立っているということもよくわかっております。
 また、国土交通省になってから、去年の九月十一日の米国の同時多発テロとか、不審船の問題でありますとか、私たちが今まで想像し得なかったものに遭遇している国土交通省の姿勢、交通のあり方、安全のあり方等々含めて、すべてそこに網羅してある。一つ一つ取り上げて御質問いただければ、私らしい色というものをお酌み取りいただけるのではないかと思っております。その中でも特に、きのう副大臣が申し上げましたように、限られた予算を重点的にどこへ持っていくんだということで、都市再生でありますとか、あらゆる面で国土交通省らしいものを配分してあると私は思います。
 特にワールドカップサッカーという、世界の中で韓国と初めて共催します。これがもう目前に迫っておりますけれども、そのワールドカップサッカーのサポーター、大体四十五万人と言われる人をどのようにして運ぶんだということも国土交通省の今度の大きな課題として、果たして私の色、そして思っていることが安全に実行できるようにということは論議の中で深めていき、また、先生方の御意見をいただいて一緒に高めていきたいと思っております。
伴野委員 生きた言葉を使われる数少ない政治家のお一人だと思っておりますので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
 私なりにこれを読ませていただいて、女性大臣という言い方をするとかえって失礼なのかもしれませんが、これからは社会資本整備等々についても女性の視点というのは非常に重要になってくる。御案内のように、この地球上は男と女の二種類しかいないわけでございます。ですから、例えば外務省を伏魔殿という表現をされた方がいますが、今国土交通省を表現すると、例えば男のやかたというような言い方もできるんじゃないか。こう見回しても、先ほど辛うじて女性議員が二人いらっしゃいましたけれども、委員の中にも女性議員が少のうございますし、そこにずっと並んでいらっしゃる方も大臣以外は男ばかりでございます。
 今後ぜひ、扇大臣がやっていただいている間に、例えばことしの四月には間に合わないのかもしれませんが、次の登用のときには思い切って女性の学生を採っていただくとか、あるいは今いらっしゃる方でも、あるいは他省庁の方でも、国土交通省の管理職に登用するとか、そんなことを思い切ってやっていただくと、もっと違った視点で社会資本整備、特にまちづくりとかで女性ならではの考え方、あるいは女性が使いやすい、例えばトイレなんというような視点から物を見ていただけるんじゃないかと思いますが、そのあたり、いかがでしょうか。
扇国務大臣 必ずしも数で物事を判断できるとは私は思っておりません。やはり、それ相応の意見をなるほどなと思って取り入れていただける、数は少なくても貴重な意見というのは男とか女にかかわらず私は取り上げるべきだと思っています。
 けれども、先生今おっしゃったように、数も大事だ、確かにそのとおりかもしれません。そういう意味では、これは役所が書いた数字ですからあえて発表させていただきますけれども、国土交通省課長補佐クラス以上の女性職員は十七人。五年前の時点では九人でございましたけれども、今は五年間で二倍になっております。また若い係長クラスは現在八十八人。新規採用に占める女性の割合もふえておりますと、こう書いてございますので、やがてこの辺にも、国土交通省の局長クラスも女性が出てくるようになるかもしれません。
 そういう意味で、私は必ずしも数にはこだわらないと思っていますけれども、例えば、先生も御存じのとおり、今衆議院の定数が四百七十九名ですか、その中で、衆議院の女性議員は三十六名でございます。参議院の二百四十六名の中で、女性議員が三十八名でございます。女性の国会議員は合計七十四名、全体の国会議員に占める割合は、たしか一〇・二%ぐらいでしたか。ですから、国会の中にも、先生のお説でいえば女性議員が半分ぐらい入っていただいて、人口的には女の方が多いんですからもっと国会も女性の人たちの知恵を使うようになればいいなとお思いになるかもしれませんけれども、諸条件がございますので、私は、役人に入ってなくても、国土交通省はいろいろな女性の意見も取り入れるということの方が大事だと思いますので、数だけで勝負はしたくないと思っています。
伴野委員 そちらに女性の局長がずらずらっと並んでいただければ、委員も多分時間前にちゃんと集まってくるようになると思いますので、ぜひ長期的に見ていただければ、そんなふうに思います。
 では、先ほどの樽床議員のお話となるべく重複しないように、公共事業全般のあり方についていろいろお考えを伺いたいと思います。
 都市再生ということが一つ注目されるところでございますが、民主党の中ではまだ十分練り切れておりませんが、いろいろ意見があるところでございます。
 私の個人的な意見を申させていただければ、今なかなか夢を見る機会といいますか、夢がなくなってきたこの時代に、ひとつ起爆剤として、新しい都市の生活。都市再生と言いますけれども、これは都市という舞台を使っているだけのことであって、人間の生活再生であり、日本人の再生につながることだと思うんですね。そういう意味では短期集中型でがんがん、がんがんと言うとちょっと民主党らしくないのかもしれませんが、いいことはどんどんやっていただく、これはすばらしいことだと思います。
 一方で、先ほど樽床議員が一般国民の公共事業に対するイメージ、大臣も就任のときに、いい公共事業と悪い公共事業があるんだ、それをきちっと整理して、国民のそういうよくないイメージを払拭したいということをおっしゃっているんだと思うんですが、私は、先ほど樽床議員も触れましたが、環境とか自然再生、都市再生本部があるなら自然再生本部だってあっていいじゃないか、そっちの方が場合によっては大きいお話じゃないのかなと。
 そこに、では、どうやって民間の金を集めるんだというようなお話になるんだと思うんですが、案外企業もイメージというのを大事にしまして、そういうことに協賛している企業というのは結構商品が売れたりとか、あるいは、お年寄りの方なんかでも、自分の孫たちに少しでもいい環境を引き継げるということだったら、結構寄附なんかもあるんじゃないか。この辺は寄附の控除も勉強してもらわなきゃいけないんだと思うんですけれども。
 ですから、大臣も主婦感覚でちょっと見ていただくと、例えば台所を汚したらきれいにして次の人に渡すのが当たり前だと思うのです。今、やはり二十世紀は汚してしまったところがあると思うんですね。だから、これを一掃する、きれいにする再生力に日本の土木建設技術の粋を集めるということをぜひやっていただきたいなと思うわけでございます。
 また一方で、建設業界の再編という話、例えば平成九年から平成十四年の予測を見ますと、いわゆる建設業に就業していた方が百万人近く就業しなくなってしまうというデータもあるわけですが、言ってみれば、二割ぐらいの減になってしまっている。これは世の中の流れだと済ますわけには国土交通省としてはいかないんだろう。そういう受け皿づくりとしても、今言った自然再生本部というのをおつくりになって、そこに集めて雇用を吸収していただくというようなこともぜひやっていただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。
佐藤副大臣 伴野先生おっしゃるように、これから二十一世紀というのは、環境問題が一番大きな問題になると思っています。
 これは、日本の国も、江戸時代ぐらいまで日本人というのは自然とともに生きてきたんだと私は思います。今都市再生の話もありましたけれども、江戸時代の東京というのは世界で一番大きな都市だったそうです。ところが、それはまさに自然の中にあった都市だと、さっき阿久津先生のお話にもありましたように、非常にそういうような都市であったと。それだけに、やはり私たちはもう一回、日本人の本当の幸せと環境という問題を考え合わせる、行政に生かしていくことがもう一番大切なときを迎えているんだろうと思っております。
 もちろん環境影響評価法に基づいた公共工事の実施をいたしております。さらに、平成九年には河川法を改正しまして河川の環境の整備ということを目的に入れましたし、海岸法は十一年には海岸環境の整備ということを目的に追加いたしております。港湾法でも、十二年には環境の保全というものを目的に追加いたしております。こういうことをしっかりと目的にしながら、事業の中に環境というものを重要な問題として入れながらしっかりとやっていきたい、そう思っております。
 さらに、循環型社会でありますから、これから建設廃材、廃棄物のリサイクルだとか、それから建設資材なども、環境負荷の少ないもの、環境負荷低減に資する、そういうものをしっかりと使っていかなければならぬだろう、私はそう思っております。
 さらに、そういうことをもっと多くの方々に知ってもらう必要があります。先生おっしゃったとおり、我々がそういうことを目的にしながら公共事業をやっているということを多くの方々に知っていただかなければだめだと思います。パブリックコメントやインターネットを活用するのはもちろんでありますけれども、できるだけ具体的に多くの国民に知っていただく方法をこれからも一層考えていきたい、そう思っております。
伴野委員 ぜひその御決意を実現していただければと、そんなふうに思うわけでございます。
 余り時間がありませんので、公共事業ばかりにこだわっていてもしようがないんですが、きのう見せていただいた予算の中に、いわゆる少子高齢化に対応して云々というフレーズがあるんです。高齢化の方はバリアフリー等々とあるんでしょうけれども、少子化に対して具体的にどうするんだというようなこと。これは国土交通省が何ができるんだというようなことはあるのかもしれませんが、多分日本民族、日本全体の問題でもございますので、やはり子供を育てやすい環境づくりとかということにも、ぜひ厚生労働省さんなんかと一緒に力を合わせて、国土交通省さんもそこに一つの、ビジネスチャンスという言い方は変ですが、ぜひいろいろな視点からかかわっていっていただければな、そんなふうに、これは要望で、内容まで問おうとは思いません。ですから、子供を育てやすい視点、母親が暮らしやすい視点、こういう視点からぜひ何らかの対応を今後とっていただければと、これは御要望にとどめておきたいと思います。
 時間がございませんが、次に行かせていただきます。
 先ほども、大臣が四つの大臣を兼務していた時代があるというふうに申し上げました。一緒になって、かえってトータルにいろいろ物を考えられる、そういう利点もあろうかと思うんですが、ここは少し整理して、抱え過ぎているようなことがあれば一度見直しをしてもらうというようなこともあるんじゃないかと思うんですけれども、そういった切り口でちょっと質問させていただきたいんです。
 先般のいわゆる不審船の問題、きょうも新聞に載っておりましたけれども、これに関しては、いろいろ外交上難しい問題とか、中国の感情的な問題とかいうのがあるんですが、私は個人的には、引き揚げを徹底的にやってこの件をはっきりさせてほしいというのが一つの要望ではあるんですが、それはそれとして、国土交通省さんに、今回現場でやっていただいた方には本当に敬意を私は個人的には表したいと思っているんですよ。私自身が本当に現場行ってああいうきちっとした対応ができたかというと、自信があるかと言われると、いや、本当に涙が出てくるぐらい、あの記者会見を聞いておりました。
 それはそれとして、一般的な感覚として、国土交通省さんに海上保安庁があって、今後もああいうことがあった場合に、本当に指揮命令系統としてすっきりいくのかなというのは素朴に思いました。
 私も昔鉄道会社にいた人間でございますけれども、いわゆる公安は民営化とともに鉄道警察隊という別組織になっておりますし、それから、道路に例えますと、道路公団の方とかあるいは建設省の方が取り締まりをやっているような感覚、暴走族がいたときに取り締まりをやっているような感覚。
 ですから、道路の管理と刑事的なもの、そういう交通法に合わないものの取り締まりが分けてあるように、やはり海上保安庁さんも、どちらかというと警察の方に統合される方が指揮命令系統がすっきりするんじゃないかなと思うんですが、そのあたりいかがでしょうか。
扇国務大臣 少なくとも、今の海上保安庁の警備体制と、今後のあり方も含めて考えていかなければならないと思います。
 そういう意味では、私は、今の海上保安庁は、少なくとも海上警察としての、幾つかの問題点があるというか、役目の中でしなければいけない海上保安庁の任務があろうと思います。
 それは、航行の安全でありますとか、特に今日本が注目されております麻薬ですとか、それから不法侵入とか、あらゆることがございます。そういう意味では、守りもありますけれども、一方でまた、新しいレジャーとして、マリンレジャーというものが今はやっております。これも、海の交通整理と申しますか、マリンレジャーで、みんな近海をもうすごいスピードで飛ばしますので、海水浴の皆様との交通整理、これも海上保安庁の大きな問題でございますから、マリンレジャーというような新しいものも出てまいりました。
 それからまた、この間も運輸大臣会議を開きまして、世界じゅうが今注目しているのは海洋汚染という問題ですけれども、これも海上保安庁としては、汚染の原因の調査でありますとか、どの船が汚水を出しているのか、そういう追跡もしなければならないとか、あらゆる面で仕事がふえております。
 また昨今、どういうわけですか、海賊問題がございます。海賊問題も各国と一緒に会議を開いておりますけれども、これも一国だけでは取り締まれないということで、連携をとっていかなきゃいけない。
 そういう意味では、諸外国と、この海洋会議等々、海上保安庁の長官等々が連携しておりますけれども、アメリカにおいては、交通行政との一体性の確保の意味から沿岸警備隊というのがございます。このアメリカの沿岸警備隊というのは運輸省に属しております、まあ国土交通省ですね。それからイギリスの、これも海事沿岸警備庁というのがあるんですけれども、これも運輸省に属しております。そして、韓国の海洋警察庁、これも海洋水産部に属しております。
 そして、海上保安庁が、今、ロシア、日本、韓国、中国等々と海上警備会議というのを連携して開いております。まして、最後に言った海賊の問題は、東南アジアの皆さん方の国と会議をしなければならない。
 そういう意味で、諸外国と連携していかなきゃいけない。自国の海上安全だけではなくて、警察の意味だけではなくてやっていくというためには、やはり同じ部署に属している。関係大臣が集まったときに、皆さん運輸大臣とか何かなんですね。ですから私も今、運輸省ですから国土交通省として大臣会議をしておりますけれども、諸外国との連携という意味でも、今の形で海上保安庁が国土交通省の所管であるというのは整合性はとれている、より連携しやすいということも御理解いただきたいと思います。
伴野委員 そういう視点もあろうかと思いますし、また、歴史的な事柄はいろいろあろうかと思いますが、有事法制が出てくるやに聞いておりますし、危機的な状況のときに、やはりタイムリーかつスピーディーな判断が求められると思いますので、目的に合わせたいわゆる組織編成というのは、時と場合によってはいろいろ見直しがあってしかるべきかと思いますので、ぜひ一つの見方として御考慮いただければ、そんなふうに思っております。
 さて、時間もあと五分になってまいりましたが、やはり今、こういう時代、政治家の説明責任というのは日増しに高まってきているのじゃないか。先ほども大臣は言葉のお話をされていましたが、また、大臣に就任以来、非常にわかりやすい言葉でお示しいただいた大臣のお一人ではないかと思うのです。
 それで、先ほど樽床議員も、いわゆる政治家の決断、あるいは、今までやってきた政策を転換するときに、役所の方に転換をさせるというのは、やはり政策の一貫性とか、慣性の法則と申しましょうか、が働いてなかなか難しい面もあろうかと思うのですね。責任のとり方とあわせて、やはり政策的な転換を図るときには政治家が前面に出ていかなければいけないんだろうと思います。
 そして、今全国的にも話題になっておる事象、多分大臣も、先ほど川辺川ダムのお話も出ましたけれども、いろいろあろうかと思います。そういった中で、いろいろな経緯とか、なかなかそうはいってもというようなことがいろいろあろうかと思います。それでいろいろお悩みになっていらっしゃるかと思うのですが、先般、私が薫陶を受けております、これは世界的に有名な民間会社の会長さんなんですけれども、トップリーダーとしての決断のお話をいろいろ承りました。
 その方がおっしゃるには、最後の最後のぎりぎりの決断というのは直感であるとおっしゃいます。私もそれは非常にそうかなというところもあります。確かに、論理的経緯、これを全部ペーパーで集めてじっくり検討する、それも一つなんですが、最後のぎりぎりのところというのは直感であり、その直感は何から出てくるんだといいましたら、やはり現場から得られた哲学だとおっしゃったですね。
 私もそういう政治信条でおりまして、先般もいろいろ現場を見させていただきましたけれども、大臣には、どことあえて言いましょうか、やはり川辺川ダム、もう行かれたんでしたっけ。どういう判断にしろ、どういう検討をしろとまでは申しませんが、先ほども大臣が責任をとられるとおっしゃっておりました。それはすばらしいことであり、こういった時期に大臣をやられていらっしゃるというのは大変なことだと思いますけれども、多分これは歴史上、孫の代、ひ孫の代、もっと言うならば私があの世へ行くぐらいまで語られることではないかと思います。
 そういった意味で、大変お忙しいとは思いますけれども、やはり大臣には川辺川ダムの現場に行っていただけたらな、もし秘書が要るようでしたら私がついていかせていただきますので、いろいろな御事情や、忙しい、時期が難しいというのもあるのかもしれないのですが、直感を働かせていただく意味で、川辺川ダムの周辺の現地へ行っていただき、風の音あるいは周りの空気を吸っていただいて最終的に御決断いただければ非常にありがたいかな、そんなふうに思うわけですが、これはもうイエスノーで結構でございます、いかがでしょうか、行っていただけますでしょうか。
扇国務大臣 行けばいい、見ればいいというものではありません。そう思います。見るにこしたことはないと思います。
 ただ、現段階では、御存じのとおり、不審船問題もあり、国会もあり、予算もあり、委員会もあり、とても予算成立までは他府県に視察に出るという許可が得られません。つい先日でしたけれども、二月にもカナダでICAOの国際会議が開かれました。昨年の同時多発テロ以来、航空行政のICAOの一番大事な会議でしたけれども、日本で開いた会議は私は議長を務めましたけれども、カナダに行く許可が出ませんでした。事ほどさように、国内だけの一つの問題ではなくて、国際的にも大事な会議も、国会の中では今なかなか出ることができません。
 そういう意味では、自分で見るよりも、また現場に行くよりも、皆さんがいろいろな声を私のところへ持ってきてくださることはすごく幸せだと私は思っています。しかも、反対の人も賛成の人も、マスコミでは反対ばかり大きく取り上げて賛成はこんな小さいですけれども、賛否両論、公平に、私のところに来てくださる、また与野党超えた先生方が大臣室に、オープンにしていますから、入ってきてくださる、これは本当に私はありがたいと思っています。
 見ること、見なければ決断できない場合もございます。けれども、今の、例えば九州の事故のように、専門家が調査しに行っている、あの追突事故ですね、それも専門家が調査に行っております。ですから、見なければ判断できないこと、あるいは専門家が知恵を集めて見てきてくだすってそれを最後に判断をする立場にあること、いろいろ方法論はあろうと思います。より公平に、より次の世代に喜ばれるような決断をする材料にしたいと思っています。
伴野委員 時間が参りましたので質問はこれぐらいにさせていただきたいと思いますが、大臣も、所信の中に「国民との対話を重視し、」というふうに書いていらっしゃいます。
 いろいろ御苦労があろうかと思いますが、きょうもいろいろ、るる失礼なことを申し上げたかもしれませんが、これは期待への裏返しだととっていただきまして、ぜひ今後とも頑張っていただきますようよろしくお願いいたします。
 本日は、ありがとうございました。
久保委員長 赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 扇国土交通大臣初め副大臣の皆さん、そして大臣政務官の皆様方、連日の御公務、大変にお疲れさまでございます。
 きょうは、昨日の扇国土交通大臣の所信表明演説の順番に従いまして、何点かやりとりをさせていただきたいと思います。
 きょうは、時間も限られておりますし、余り細かいことまで聞くのが趣旨ではございませんので、大臣の思う、まさに所信の一端をお聞かせいただければというふうに思っております。副大臣、大臣政務官の皆様におかれましては、次回以降毎週立ちますので、きょうは大臣の御答弁だけで間に合うかと思います。
 一つ目は、公共事業についてでございますが、公共事業の入札に関して、首長、政治家そして秘書をめぐる、まさに政官業癒着の利権構造をめぐるスキャンダル事件というのは、これはまさに古くて新しい事件でございます。私は、このことにメスを入れるがために扇先生が国土交通大臣に就任されたのではないかという思いもいたします。
 今、この公共事業の入札をめぐりまして、与党の中でも官製談合防止法という新しい法律を今検討されているようでございますし、また他の党では入札干渉罪に関する法律、こういったいろいろな議員立法が準備をされている中でございますが、まさに、今こそ国土交通省の主体の皆さんがここに大なたを振るう準備をどうしているのか。入札適正化法の徹底を図る云々という一文がございますが、こういうある意味では細かいような話ではなくて、今こそ国土交通省が先頭に立ってこの古くて新しいスキャンダルに決着をつける、こういう決意があるやなしや、それについてまずお伺いをしたいと思います。
扇国務大臣 今赤羽先生がおっしゃいましたように、絶えずマスコミに、公共工事の入札に関する談合、丸投げそしてあっせん、あらゆる記事が出るたびに心を痛めます。
 それと、国土交通省、全職員と言ってもいいでしょう、私が言っておりますことは、何としても、少なくとも皆さんから預かった税金を使うのだから、これを間違いなく、むだなく使ってほしい。
 そして、先ほどもお話がございましたけれども、私のような者が最初に建設大臣に一昨年の七月になったときは、いかにもきれいにしよう、あいつなら素人だけれども掃除するんじゃないかなと思われて私は大臣にさせていただいたと思っています。
 そのときに、一番公共工事を正そうと思ったのが、法律がないということだったのです、私が入って初めて研究したら。ですから、私は、その当時、イタリアにもフランスにも公共工事の基本法があるのに、なぜ日本はないのかということが初めてクエスチョンマークになったわけです。そして、調べましたら、今まで一度も公共工事の基本法が日本の中ではつくられなかったということで、皆さんに御協力いただきまして、一昨年の十二月、公共工事の入札と契約に関する適正化法というものをつくっていただいて、昨年の四月一日から施行されました。
 私は、国土交通省に全部言っておりますことは、この法律ができた後に発注した工事で二度と不正がないようにと。発注以前のことは、何とかそれは始末しなきゃいけないけれども。一昨年に百三十八事業を見直してゼロにする、五年たってから工事がだめだったよということはだめよ、十年たってこの工事は中止しようという工事に一切着手するなと言ってあります。けれども、いまだに事件が絶えません。
 それで、先生も御存じのとおり、この法律の中には、電子入札と書いてあるんです。国土交通省、一年間四万件の入札があります。これを電子入札にしてガラス張りにしたら、だれが幾らの金額で、いつどのような会社が入札したかというのはわかるんですね。これも一つの談合防止の方法です。
 それから、もう一つ私が言っておりますことは、入札金額を事前に公表したらどうなんだと。そのメリットとデメリットがあるんですね。入札金額を事前に発表しますと、各入札業者は自分のところで積算しないんですね。ですから、これは、困るということもございます。ですから、公共工事の金額を事前に公表することで、メリット、デメリットもございますけれども、私どもは、何としてもこのことをないようにしていかなければならないというふうに考えております。
 ですから、私どもは、公共工事のあり方、談合、丸投げ、口ききが少なくともないように、少なくとも公正な、みんなになるほどなと思われるような方法を、一から十まで皆さんの意見を聞きながら考えております。
赤羽委員 まさに今大臣のお話にもございましたように、いわゆる入札適正化法という法律ができ、そして史上初めて二百七十幾つの公共事業が中止になった。これはまさに画期的な、扇国土交通大臣が就任されたからこそでき上がったことだというふうに、私もそう思っております。さはさりながら、まだ事件が続いているということで、まさに今扇国土交通大臣が言われた、情報公開をもう徹底的にやっていくと。
 政治家の我々にとっても迷惑なんですね。何かいかがわしいのではないか、公共事業とつるんでいるのではないか、こういうことを思われて仕事をしていくということは大変悔しい思いもします。公共事業というものそのものにも暗い影を落としている。
 公共事業というのは大変プラスの面もあるのに、こういった影の部分が先に出てきてしまったがゆえに、公共事業が悪者になってしまった。こういったことは、ある意味では大きな、国家的な見地からいえば大変な損失にもつながると思いますので、どうか素人と言わずに、この世界に生きていると、とっぴなというか、別の角度で見れないという方々も多いと思いますが、ぜひ政治家の決断でこの公共事業改革をなし遂げていただきたいと思います。これが第一点でございます。
 二つ目には、私は、これは大変うれしかったんですが、都市の再生の前に観光というものを位置づけていただきました。
 観光、これは経済効果三十兆円とか二十兆円とか、大変な有望な産業だということで、旧運輸省時代からも随分いろいろなパンフレットをつくっていただいているんですが、私の実感では、大変有望だと思うし、これだけ観光資源のある日本で、観光というものをもうちょっとしっかりしたものにしていきたい、こう思いますが、こんなに前に位置づけられていながら、残念ながら予算の中にはほとんど入っていないんですね。これは、入れたくても入れられないというか、ツールが、観光地のバリアフリーとか、直接的な話じゃないんですね。
 例えば、北海道の有珠山で噴火がございました、いろいろな被害が出た。変な話ですけれども、田畑がやられると、土地基盤整備事業とかいって国の金が入るような、そういう仕組みがある。あそこの洞爺湖温泉もめちゃくちゃにやられたけれども、結局はこれは民間企業だ、温泉の、民間の話であって、国がそこに公金を投入することはできないと。せっかく、世界でも有数な観光資源のあの洞爺湖温泉が、なかなか再生できないでいる。必死な頑張りがありますけれども、なかなか回復しないよ、こういったのが今の現状じゃないかなと思うんですね。
 これは具体的な知恵がないかもしれませんが、ここに書かれているように、本年は日中韓の三カ国の国民交流年。中国からも三千名から四千名の方々がこの五月に日本に来られるというような話もございますし、日本からも一万名の人々が中国に行こう、こういったような話もあるように伺っておりますが、何とかこの観光、これだけの有望な観光事業を、所轄官庁の国土交通省としてどういう仕組みをつくっていこうというふうに思われているのか、ぜひ御意見を伺いたいと思います。
扇国務大臣 先ほども、午前中御論議いたしました、第三次産業の中の主幹事業になるのが観光でございます。そういう意味では、観光の大切さ、特に日本は他国にないものを持っている、日本特有の文化をぜひ諸外国に見ていただきたいという、大事な観光資源がございます。
 ただ、問題は、先ほども御論議いたしました、外国へ行ってお金を使うのは世界で第三位、外にばかりお金を使って、日本に来る人が何でいないんだという話ですけれども、国土交通省、四省庁統合したために、物流コストの低減、そのことが国土交通省になったからできる、私はそう言い切ってもいいと思っています。それは、午前中も申し上げましたけれども、空港から都市への交通費、港湾から都市への荷物を運ぶ物流コスト、あらゆるものが縦割りだった、運輸省、建設省とばらばらだった。けれども、それが国土交通省で一つになったために、十分以内に空港から主要幹線道路に入ろうとか、港湾から十分以内に主要道路に入れるとか、そういう結節をうまくすれば、少しでも物流コストが下がるのではないか。
 ただ、残念なことには、ワールドカップサッカー、約四十五万人のサポーターが来ると言われています。その人たちがその後あとどこへ行ってくれるか。これは民民の話なので、私はあえて今、個人的なことで例を挙げさせていただいて失礼ですけれども、日本へ来たサポーターが、日本の国をどこでも自由に、例えば二万円券なら二万円券で、周遊券を買えるんだというふうにしてあげればいいと私は思うんです。
 御存じのとおり、アメリカの航空機が日本に乗り入れました。パンアメリカン、それからユナイテッド、何をしたか。日本から太平洋を渡ってアメリカに行ったらアメリカじゅうただです、どこへ行ってもいいと。太平洋の券さえ通常で買ってくれたらアメリカ国内ただですよといって、パンナムも、みんなサービスしたんですね。それと同じように、ワールドカップサッカーで来てくれた四十五万人が、例えば二万円でもいい、周遊券をつくって、国内ぐるっとどこへでも行ってくださいよと言えるようなことができないかな。航空会社、鉄道会社、そして民間の観光企業、あらゆるものが、民民ですけれども、そういうことをしてくだされば、ワールドカップサッカーのサポーターだけではなくて、日本への観光客というものが、もっと知恵を出せばできるのではないかと。
 ですから、運賃の自由化等々で、一万円で九州まで行けますよなんて割引できること、私は拍手喝采しています。そういうことで、観光産業というものを、何とか知恵を出して誘致したいと思っております。
赤羽委員 まさに今回のサッカーのワールドカップは、昭和三十九年の東京オリンピックより大きな規模の大イベントだというふうに思っております。東京オリンピックは、あのときに体育の日ができたぐらい、また、新幹線が引かれたぐらい、国を挙げての行事だった。今回、このワールドカップのサッカー大会についての取り組む余地というのはまだまだあるのではないかというふうに思います。
 今、周遊券の話、これはまさに私も国土交通省になってよく部会で申し上げておりましたが、周遊券というと、旧運輸省ですから旅館と鉄道のパッケージ、これはあるんですけれども、有料道路の方は全くないんですね。ですから、レンタカーを借りた人がそういう周遊券みたいなもので、このエリアは乗り放題だと、こういったようなことというのは、本来なら、国土交通省になったらできるはずなんです。
 まさに今大臣が言われたようなアイデアは、これから観光事業を盛んにさせていこうという、本当にすばらしいアイデアだというふうに思いますので、航空会社、旅館、ホテル組合、または陸上輸送、こういったところをコンバインドするというのが役所の役目だというふうに思いますから、ぜひそういうテーブルをつくっていただくように、よろしくお願いしたいと思いますし、ワールドカップの期間だけ、今のようなすばらしい、役所の皆さんから見ればとっぴなというふうに言うかもしれないけれども、そういったアイデアが導入されることについて、私は大賛成をしたいと思います。
 また、これは二階運輸大臣のときからも言っているんですが、国土交通省から世界じゅうの日本大使館に出られている方はいっぱいいますよね。アメリカの日本大使館とか、世界じゅうに何人出ているかは存じませんが。その人たちの勤務評定に、その国からどれだけ観光客が日本に来たか、こういうことを言えるぐらいじゃないとだめだと思います。
 観光というのはかわいそうで、局がないんですよ。総合政策局の中の一つの部になってしまった。ですから、本当は、観光大臣なんかがいっぱいいるのが今の世界のトレンドでありながら、観光は二十兆円産業なんて、パチンコを除いたらそんなでかい産業はないということを言いながら、部隊としては一つの部でしかないというようなこともあり、本当に省を挙げて頑張っていこうということを、アクションを起こすことが大事だというふうに思いますので、ぜひ今のアイデアを具体化して頑張っていただきたいなと。もう答弁はよろしゅうございます。
 ちょっと順番は違うんですけれども、同じ経済産業として、一番最後の方に書かれておりました大都市圏の拠点空港や国際港湾の機能強化について、ちょっと触れさせていただきたいと思います。
 要するに、二十年前は、日本の主要港というのは世界のベストテンとか十何位、こういった状況でした。神戸は四位でした。現状は、神戸は阪神大震災があったとはいえ二十三位、横浜は二十一位、東京は十八位。物流の基点というのはまさに今港湾だ、これはもうだれも疑問の余地がないところでありますけれども、その基盤となる日本の主力港が国際競争力を全く失っている。これはもう大変大きな問題だと思います。
 欧州航路とか北米航路、昔は、アジアの荷物を集めるために神戸や横浜に寄っていた。ところが、そういう必要がなくなったんですね。釜山でいい、香港でいい、シンガポールでいい、もう日本に寄る必要はなくなってくる。これは大変恐ろしいことだというふうに思います。
 では、どこが劣っているのかというと、例えばコンテナバース、コンテナヤードというハードのものは多分世界トップ水準だという認識がありますが、ソフトの面がなかなか整わない。こういうこともあって、日本港運協会でも尾崎会長が陣頭指揮をとって、実はことしの一月二日から、一年間三百六十四日、二十四時間操業というのをもう既に始めているんですね。ですから、港湾の現場も必死の思いでやっている。
 この中で、何とかこの日本の主要港湾、国土交通省的に言いますと中枢国際港湾、神戸、大阪、名古屋、東京、横浜、北九州ですか、こういったところに本当にもうちょっと荷物が集まるような、そういった施策は絶対に必要だというふうに私は思っております。
 これは、率直に言いますと、国土交通省の中でも二論あるんですね。こういったメーンポートを重点的に守り立てようという意見と、いや、そうじゃない、各地方地方のローカルポートのレベルを上げることによってオール・ジャパンとして効率をよくしよう、こういった二論があるんですが、その中でいつも中途半端なことしかとってこれなかったと私は思いますが、ぜひこのメーンポート、中枢国際港湾たる位置づけをしっかりしていただきたい。
 きょうは局長が来ていらっしゃらないと思うので余り詳しいことは言いませんが、大事なことは、法律に規定されていないんです、この今言った中枢国際港湾とは何ぞやと。今の法律の中では主要港湾といって、全国で五十ぐらいあるうちの一つという認定しかないんです。説明を見ると、それはコンテナヤードで、新しく始まった港ですからと、こう言いますが、物流の世界では、横浜、東京、神戸、大阪、名古屋、これがもう一番大事なんだということはある意味では常識なので、ぜひ法律として位置づける作業を、入れとは言いませんけれども、大臣からぜひ港湾局に、その必要性を検討するように指示をしていただくことがまず最初だと思いますが、その点について、余り詳しい話じゃなくても結構ですが、御所見をいただければと思います。
扇国務大臣 先生も兵庫県の御出身、私、神戸っ子でございまして、最初に神戸港の地位が低下したことを言われて、私も情けない思いをしております。
 ただ、一つ、私が今一番大事だと思っておりますのは、港の受け入れ態勢です。二十四時間フルオープンしても、果たして受け入れができているかどうかということが一点あります。
 それは、先生ももう既に御存じだと思いますけれども、港に船が入る、船が入って荷物をおろすのに、日本の港では三日から四日かかるんです、荷おろしだけで。けれども、アジアとか諸外国では、二十四時間で荷物の処理ができるんです。二十四時間フルオープンにしても、おろしてくれなきゃ意味がないんですね。ですから、そういう二十四時間フルオープンにしても、諸外国と同じように二十四時間で荷おろしができるというソフトの面で受け入れができるかどうかというのが第一点あります。
 二つ目は、今、IT化によって、船が入りますときに各港では、こういう船が、この国の船がこれだけ荷物を積んで入りますよという、これをITで送ります。その送るのを、残念ながら日本では受け手が六つの省にまたがっているんです。そして、この港に入りますよという一回の入力で済むように、私はワンストップサービスにしてくれということで、正直申し上げまして、国土交通省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、法務省、六つの省に分かれているんです。
 なおかつ、国土交通省も港湾の、これは通称EDIといいますけれども、これはただなんです。そして、経済産業省、これもインターネットでただでしています。ワンストップに協力しています。ところが、財務省、NACCS、これは有料なんです。
 それで、私が調べましたら、一番大きな会社は一年間にこのNACCSに幾らお金を払っているんだと聞いたら、一億取られていると言うんです。ただで済む通信のワンストップサービスにしてITで入港しようというのが、六つの省庁にまたがって、金を取っている省と金を取っていない省と、これはワンストップにならないといって私は閣議で申しましたら、改善しますということで、初めて財務省が無料にいたします。これで六省庁そろって、私はワンストップサービスになると思います。
 だから、入ってくる船がワンストップで通知をすれば、無料でその受け入れ態勢ができる。これも私は、港湾としての大きな進歩だと思いますので、受け入れ側と入る側の利便性と、そしてハードはできたけれどもソフトの人の確保はどうするのか、本当に二十四時間フルオープンなのか、その辺も考えながら、港湾の国際化を図っていくのに努力していきたいと思っています。
赤羽委員 今御答弁で、いわゆる中枢国際港湾の競争力をつけていこうということを進められているという強い意思は確認されました。
 一つ、御存じだと思いますが、港湾運営というのは物すごく地方分権が進んでいまして、大阪湾でいえば、神戸港は神戸市が見ているんですね。大阪港は大阪市、堺泉北は大阪府なんです。尼崎は兵庫県。まさにあの一つの湾内、ちょうどオランダのロッテルダム港と同じなんですね。そこを四つの、一つのポートオーソリティーじゃないということで、物すごく非効率な実態があります。
 例えば、十五メートルのコンテナバースを神戸は結構つくりました。まだフル回転しているわけじゃないのに、今一生懸命大阪港でつくっている。こんなばかみたいな話、こんなことをやっているから公共事業の批判にさらされるんですよ。
 あの湾は役割分担を決めて、国を挙げてやるという、ここは、地方分権の時代とはいえ、少し国が出しゃばってもいいと思いますので、ぜひそのことも御検討いただければと思います。
 済みません、もう一つ。あと時間が五分なので、次に行きたいんですが。
 一番大事なバリアフリーとか環境とか、これはまさにきょうの御答弁でも、大臣から、二十一世紀の国土交通行政においてバリアフリーとか環境を考えない政策はあり得ないと、このように言われているところでございます。しかし、総論はみんなそういうことを言うんですね。それを実行していくというのはもう大変な苦労があるというふうに思います。なかなか強制もできない。環境とかそういったものは経済につながっていくんだといっても、すぐにはなかなか難しい。実際は、環境やバリアフリーというのは大事だといいながら、その進展状況というのはなかなか前に進まない、これが今の現実だというふうに思います。
 私は、ここをどれだけ強制力を持たせて、強制力を持たせてというのは非常になじまないので、強力なインセンティブを与えて、結果として強制力をもって事が進むような知恵をやはり出していかなければいけないというふうに思います。
 中古住宅のマーケットをつくろうというようなことも書かれていますが、例えば日本の住宅というのは築十五年以上になると資産ゼロになるんですね。私もまだ家を持っていないので、最近いろいろ家が出ているので物件を見ますと、家がどういう家かなんて書いてないんですね。南の角地七十坪とか、築何年とだけしか書いてないんです。どこが建てたとか、どんな家かなんて全く書いてないんです。それはバリアフリーなのかどうかということも全く書かれてないんです。だから、そういったことというのは非常におかしいなと。実際見に行って、あ、階段が急でやめておこうとか、本当はすごく大事な価値なのに位置づけられていない。その家が実は、断熱工法も、非常に省エネ住宅でいいということであるならば、今住宅金融公庫の金利なんかでは非常に優遇なレートを出していますけれども、これは住宅金融公庫の行く末なんかも考えると、そういう省エネ住宅とかバリアフリーの住宅にどう評価をつけていくのかということは、僕は役所の仕事だというふうに思います。
 ちょっと時間がないので、あとは個別の話なのであれなんですが、あと、例えばうちの公明党も、ビルの屋上緑化をしっかり進めていこうと。固定資産税の優遇なんかもつけてもらいましたが、私なんかは、新築のビルは全部屋上緑化にしろ、こういうことを言ってもいいと思うんです。そういう時代になったんだと。日本というのはそういうことを非常に言いにくいんですね。
 ただ、東京都は、四月から、新築のビルについては屋上の二〇%緑化を義務づける。二十三区のビルのうち半分が緑化すると、実は気温は〇・八四度下がるというような推計の統計も出ている。
 こういったこともあって、ビルの緑化というのはヒートアイランド対策に資するものだというふうに思っておりますので、こんな点もぜひ入れていただきたいと思いますし、環境政策についても、実は地球温暖化とかNOx法なんということをいろいろ言われているんだけれども、非常に中途半端なんですね。それは経済との相関関係というのもありますが、ここは、ルールの出し方としては、だれでもそうだと言えるような、不平不満が起きないような制度設計にしていただいて、二十一世紀というのは、多少不都合はあるけれども、窮屈には感じるけれども、家はバリアフリーで省エネは当たり前なんだ、道路は環境に優しい車が走るのが当たり前なんだ、こういうことが常に当然のこととして位置づけられるような、そういう社会にしていっていただきたいと。
 これはもうまさに大啓蒙運動だと思います、国民の。国民の啓蒙運動を進めていく上では、多少の窮屈もやむを得ないと思います、みんな同じ地球に住むわけですから。そこを指揮とる国土交通省の大臣として、最後に御見解をいただければと思います。
扇国務大臣 二十一世紀、環境を重視するということは午前中も申し上げました。そして、ビルの屋上に緑をということも、都市緑地保全法という法律で、これは強制ではありませんけれども、緑を確保しなきゃいけないということも法律化いたしました。
 それから、バリアフリーですけれども、バリアフリーで、一日の乗降客が五千人を超えるところは必ず上下エスカレーターをつけると。自分も昨年足を痛めました。上りよりも下りの方が比重がかかるというのを自分も体験しまして、これは上下つくるということに今予算化しておりますので、全部できてくると思います。
 そして、私は言うんです。例えば温泉とか神社とか、どうしてもお年寄りがたくさん乗りおりされる、そういう場所は、一日五千人に乗降客が満たなくても、それはバリアフリーでエスカレーターをつけてあげるべきではないかというふうにも指導しておりますので、おっしゃるように、しかも世界一の長寿国、女性で申しわけないんですけれども、こぞって皆さん方が九十何歳まで長生きする時代が来るんですから、私はぜひこのバリアフリーだけは完全にしたいと思います。
 それからもう一件、住宅の話をなさいました。今回は、車いすの通れる幅広の廊下、あるいはおうちの中にバリアフリーをつくる、そういうのは容積率の外にすると。廊下を広くしたことで容積率がふえる、これは規定の容積率の外に計算するということで、よりバリアフリーの完備したおうちをつくることができる。階段を幅広くしたり、あるいはエレベーターを入れたりという、それは容積率外で計算するということも今回いたしておりますので、普通の個人の住宅そして社会、両々相まって、環境を重視した二十一世紀型にしていくことを努力していきたいと思っています。
赤羽委員 きょうは、実はマンションの建てかえについて、住宅局長にもおいでいただいておりましたが、ちょっと時間がないので質問はしませんが、ぜひ大臣に御理解いただきたいのは、今法務省の法制審議会で区分所有法の検討をされておりまして、せっかく国土交通省が建てかえの法律を出して成立させても、区分所有法が機能しないと大変不都合が起きるので、ぜひとも法務省とよく連携をとっていただいて、また住宅局の思いが伝わるような結果が出るように、よろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わりとさせていただきます。ありがとうございました。
久保委員長 一川保夫君。
一川委員 自由党の一川でございます。
 私、今回ほかの委員会とかけ持ちしていたものですから、途中席を外した関係で、多少重複するところがあったら非常に申しわけないんですけれども、私が事前に通告した質問の順番が多少は変更になるかもしれませんけれども、お聞きしたいと思います。
 まず、不審船の引き揚げにかかわることでちょっと確認しておきたいわけです。
 昨日水中調査が実施されたという報道がけさの新聞にもいろいろと出ております。以前から扇大臣は、この事案が発生してからは、早急に引き揚げるべきだということを相当強調されておりましたけれども、今回ようやっとひとつの調査的なものがスタートしたわけですけれども、この調査をする目的といいますか、基本的には、その不審船なるものの実体を正確につかみたいということに尽きるわけだと思いますけれども、この調査がある程度進んだ段階では、引き揚げという作業に当然つながっていくんだというふうに私は想像しているわけですけれども、そのあたりの基本的なお考えはどうなんでしょうか。
扇国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、海上保安庁が、昨年、あのように命を賭して、海の警察隊としての限界以上のことをしました。それは日本の戦後の中で、狙撃されたという経験も初めていたしました。そして、「あまみ」という船、見ましたけれども、これも百数十発の被弾をしながら、まして、操縦している運転席が防弾ガラスでなかったためにまともに、すばらしい数の弾を受けながら、死者を出さないで、すばらしいという表現は悪いです、物すごいと言うべきでしょう、それだけの弾を受けながらも死者は出ないで何とか帰ってきた。
 しかも、あの不審船を追っかけるときに、今の海の状況で、私聞きましたら、十五名の乗組員が現地に着くまでにみんな、こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、ゲロったといいますか、全部体力の限界を感じながら現地まで行った、そして対応したということで、私は、こういうことで皆さん方の士気が下がるということのないように、国土交通省としては万全の体制をとるべきである。
 そして、向こうがロケット弾を出すなんということは、これは想像もしませんでした。たまたま波の都合で、二発のロケット弾が、ちょうど波間で船の移動があったものですから当たらなくて済んだんですけれども、これ、二発のロケット弾があの「あまみ」にもしも当たっていれば、私は死者を出したと思います。
 そういう意味では、なぜ重装備した不審船が日本海を航海しなければいけないのか、なぜその辺を徘回しているのか、その原因を追求しなければ国民の生命財産を守れません。海上保安庁として、海の警察隊としての任務を全うするためにも、命をかけてしてくれた仕事に対して、今後もあり得ないことではないけれども、日本は何をしても何にもしてこないよ、そんなことを言われていたのでは海上保安庁が任務遂行できませんので、少なくともそれ相応の対応を海上保安庁はきちんととるという姿勢を日本が示すことは、国民に対しても責任があろうと思いますので、私はあくまで追求する。何の目的で来たのか、なぜそういう重装備をしたものが漁船に似せてうろうろしなければいけないのか、そういうことを追求するために、最初から、原因究明のために沈んだ船を揚げて、何の目的で、なぜということを解明する緒にしたいということで、最後まで、引き揚げる手順として、今捜査に入ったというところでございます。
一川委員 大臣の基本的な考え方は理解できます。
 そこで、今おっしゃったように、なぜそれだけ重装備してまで日本の近海に来たのかという、向こうでいえば目的なんでしょうけれども、要するに、今、船の中にどういうものが残っているか、どういう装置が装備されているかということも含めて、それをしっかりと科学的に分析するということは、今後の対策のためにも大変大事なことでございますので、しっかりとした調査を行って、また場合によってはしっかりと引き揚げをして、国籍を特定するということも含めて、しっかりとした対応をお願いしたいというふうに思っております。
 そこで、次に、大臣の所信の中で幾つかの点についてお伺いをしたいと思います。
 先般、予算委員会でも若干大臣の基本的な考え方をお聞きしたわけですけれども、今回、国土交通省、これは先ほど来いろいろと議論が出ていますように、旧建設省、旧運輸省を中心として幾つかの官庁を統合して、我が国の公共事業のほとんど全部に近いようなものを網羅している、そういう官庁でございますけれども、せっかく統合した以上は当然統合のメリットを出すということを所信の中でも相当強調されておりますし、今回の十四年度の予算の中でも幾つかそういうものにチャレンジしようとするような姿勢が見えるわけです。
 要するに、従来、割と役所の縦割りの弊害というのはたくさんありましたから、統合した暁には、そのことによって事業効果が早期に発現するなり、あるいはそのための事業のコストをいろいろな面で節約していく、お互いのむだな投資的なものも含めて節約をしながら、効果を早めてなおかつコストを下げていくということも大変大事なことでございますし、お互いの知恵を出し合って新たな制度をつくっていくということも大変大切なことであります。
 具体的ないろいろな施策的なものはこの予算書の中にも幾つか網羅されておりますけれども、大臣として、基本的にこういう統合のメリット的なものをどういうところに焦点を当ててこれから取り組んでいかれようとしておられるのか、そこをまずお聞きしておきたいと思います。
扇国務大臣 国土交通省、四省庁統合させていただいて、新たに陸海空、あらゆる面で国民の生命財産を守るという大前提に立つ役所でございます。
 そういう意味では、午前中も申しましたけれども、二十世紀、ハードの世紀で、今日の日本をつくったという自負もございます。けれども、その陰で、ハードだけでソフトの部分が欠けていたのではないかという反省の上に立って、二十一世紀は福祉だとかバリアフリーを考えた公共工事もしていこうということも大きな問題ですけれども、少なくとも私は、今度の、ハードとソフトを含めた二十一世紀型の国土交通省になりたい。
 また、統合のメリットは何か、時間がありませんから一つか二つ例を挙げさせていただきますと、例えば、羽田空港の機能強化に関しまして、今度新たに一本滑走路を増設しようということもございます。これも、少なくとも、今までだったらできなかったんですね。といいますのは、東京都の出したA案、国土交通省の出したB案ございますけれども、今までは運輸省と建設省河川、これが別でしたら今度のようなB案というものはつくれなかった。それが、今度は、羽田のこの空港の機能強化ということを考えますと、河川行政と空港行政、国土交通省で一体になったから羽田空港の拡張のスピードアップと工事のあり方が新しくできた。これも一つの大きな、国土交通省ならではの案でございます。
 それからまた、御存じのとおり、結節点というのがございます。あらゆる交通と交通の結節点、これをつないでいこう。そのためには、運輸行政、道路行政と鉄道行政、これが一体にならなければできない。
 そして、道路の渋滞のために立体化しようというんですね。立体化しようという場合には、上は鉄道、下は道路、これを立体化することによって、道路幅を広くとらないと立体のカーブが出ない。今までは運輸行政で、運輸省だけがやっていましたけれども、これは立体化するために道路も拡張していかなきゃいけないという、これは鉄道と道路とが、運輸と建設が一体にならなければできないということで、これが全国の渋滞の解消という、一千カ所の踏切、あかずの踏切もありますけれども、これを解消していくために、この立体化をするということも国土交通省で初めてできることでございます。そういうことも、私たちは国土交通省ならではの政策というものをしていこうということで、少なくとも今のボトルネックの踏切の除去とか改良とか、あるいは立体交差とか、こういう都市交通の円滑化については、少なくとも五%増の予算もいただいて、公共工事を進めていこう。そして、公共の交通機関あるいは歩行空間等のバランスをとっていこう。そして、今おっしゃったように、先ほども話題に出ましたこのバリアフリーも道路につけていこう。そういうことで、バリアフリー化の推進についても七%増という予算も組ませていただいております。
 そういう意味では今までと違った、運輸、建設と、ばらばらでやっていたものが一体化できるということで、スピードアップができますし、コストダウンもできるというふうに考えて、余り例をたくさん言うと時間をとりますので、そのようなことも国土交通省としてできるということを申し上げたいと思います。
一川委員 今例示的に挙げられたことも含めて、今日的にも大変大きな課題でもございますので積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 私は、この予算書を見ていても、国土交通省として、従来の同じような制度の名前、事業の名前を載せながら対前年比幾らだとか、そういう計上の仕方をしておりますけれども、来年ぐらいから、そういう対前年比みたいなものを省庁の中で強調するのはそろそろやめて、ゼロベースでスタートをするような感覚で予算をしっかりと立てた方がまだすきっとするんではないかなという感じもしますし、また、事業の名称も、従来の名称にこだわらないような名称をつけたものをできるだけつくり上げていくということもある面では大事ではないかなというふうに思っております。
 そこでもう一つ。
 今回の所信の中でも大変強調されておりますし、小泉政権も都市の再生ということを非常に強く訴えておられます。私は、都市の再生、いろいろな都市の問題が山積しておるのも十分承知でございますし、ある面では非常に大事なことだから緊急を要するわけですけれども、都市の再生ということについてのいろいろな手当てをしっかりとしておかないと、また都市の集中につながっていくんではないかということをちょっと懸念するわけです。
 といいますのは、私自身も地方に住まいをしている人間でございますけれども、地方では、地方の中核的な都市はいいんですけれども、それ以外のところというのは非常に過疎化が進んでおりますし、高齢化が進んでおります。一方では、いろいろな情報が過疎といえども毎日毎日流れてくるわけです。都市の情報というのは結構当然入ってくるわけです。
 ですから、やはり私は、都市の再生は当然必要なんですけれども、地方とのいろいろなバランス的なことをしっかり配慮していただかないと、ますます若い人たちが地方に定住する、そういうムードがなくなってしまう危険性というものをはらんでいると思うんですね。
 これは、かつて高度成長期に、地方の若者がほとんど都市へ流れた時代があるわけです。逆に言えば、地方から出たいろいろな人材が都市の発展に貢献してきたというふうに私は思いますけれども、そういう面では、地方の皆さん方が大変御苦労されて都会の大学へ送り込んだその人材が都会で活躍したという歴史はあると私は思うんです。本当であれば、私は、都会でいろいろと経験されて定年退職したような方も、しっかりともう一回自分のふるさとへ戻ってその経験を生かしてほしいなというふうに思います。
 今回のこの都市再生という、一つの大きな施策の柱になっております。大臣も所信の中では、構造改革の推進という一つの流れの中では都市再生が必要だということを強調されておりますし、また、政策効果というものは非常に高いだろうというような見方もされているというふうに思いますけれども、今私が述べました地方とのいろいろなバランスということも含めて、都市再生がまた国土の均衡ある発展に障害を与えるような人口の移動にならないようなことも十分考えていただきたいというふうに思います。そういうことに対する大臣の見解をお聞かせ願いたいと思うのです。
扇国務大臣 きょうも午前中からいろいろな都市再生の話が出ました。
 日本の中で、国際都市と、大都市と、中都市と、そして地方の中心市街地と、果たしてどういう位置関係にあるべきかということ、それも含めたのが私のかねて言っているグランドデザインの一つでございます。
 日本の中に国際都市が幾つ必要なのか。では国際都市には、言ったように、飛行場から高速道路から新幹線から普通の道路から、全部結節しているところが国際都市でなければ、世界の物流コストにたえ得ない、人も来ない。そして、普通の都市、どれくらいの中規模の都市が必要なのか。また、今先生がおっしゃいましたように、地方は市街地が空洞化して、商店街もあいているところがいっぱいある、それもよくわかっています。そういうところに今度は託児所を持っていこうとか、いろいろなことを今考えております。
 私は、今先生もおっしゃいました、均衡ある国土の発展という言葉を使われました。これは、二十世紀、日本が均衡ある国土の発展をしようというのがうたい文句になって、目指してきたものです。けれども、私は、二十一世紀は、環境とバリアフリーを考えて、個性ある都市にしてほしい、個性ある地方が出てほしい。みんな金太郎あめみたいに、どこへ行っても何とか銀座があって、九州から北海道の端まで何とか銀座ではおもしろくないんで、私はその地方の独特の文化をぜひ出してほしい、だからこそ世界じゅうの人が地方にも行くんだと、個性ある地方をつくってほしいと思っております。
 ですから、均衡ある国土の発展は目標でしたけれども、二十一世紀はそういう違った目で、地方のよさと都市のあり方と、先ほども午前中にお話がございましたように、町に住んだら、狭くて不便で身寄りもないけれども、働く場には近いから肉体的ロスもないし、家庭の時間も、近ければ家族の団らんもある、けれども、週末には緑のある地方にセカンドハウスを持とうというような時代に、税制がもっと緩和されれば変わってくると私は思うんですね。
 そういう意味では、私は、日本全体の二十一世紀のグランドデザインで、国際都市と、中都市と、地方との特色をどう生かしていくかということに心配りしていきたい、また皆さんの御意見を聞きながらグランドデザインをつくっていきたいと思っています。
一川委員 今おっしゃった中でも話題が出ましたように、やはりお互いの利便性といいますか、そういうものをできるだけバランスをとるということも大切なポイントでしょうし、それからまた、生活の快適性とか、そういうことも当然あるわけでして、そういう観点から見ると、都市の一部、そういう面では、その快適性ということからすると、まだまだ整備しなきゃならない状態があろうかと思うんです。
 これは、今回の法案の中にも幾つか含まれておりますけれども、従来の手法にはなかなか乗り切れない、そういう都市の再生を図るには、やはり従来の制度を見直すなり新しい制度をつくるなりしながら、そういうものに対応するものをちゃんと用意するということ。それからまた、都市はそれだけの効率性を持っておりますから、やはりできるだけ民間の力をうまく引き出す。地方は、大都会に比べるとそういう民間の力というのは弱いですから、ある程度公的な力に依存ぜざるを得ない面がありますけれども、そういう面では民間の力の手助けをうまく得て、しっかりと再生できるような制度の完備ということも含めて、対応をしていただきたいというふうに思います。
 次に、これからの公共投資、社会資本整備の一つの流れとしまして、従来、戦後五十年余りの中で、非常に大規模なプロジェクトが全国でいろいろと動いておりました。土を大量に削ったり動かしたりしながらの土木工事を中心として、大変な工事がたくさんあったわけですけれども、これからはそういう大型の開発事業というものはだんだん減ってきておりますし、これからは、どっちかというと、今まで整備した施設を維持管理していくとか、あるいはそれがある程度耐用年数に近づけばそれを更新するというような仕事が当然ふえてくると思うんです。そうしたときに、今までと同じような制度ですべてが対応できるかといったときに、なかなか国民のニーズなり地方の要請にこたえられない可能性があると思います。
 そういう面では、今は地方の分権、地方の自立という一つの大きな流れがある中で、やはり、従来いろいろと検討されておると思いますけれども、統合補助金的な一つの試みもありますけれども、そういう今までの補助金なり公共投資の予算の配分の仕方なり、そういったところも含めて、地方分権にふさわしいような制度をこれから用意しておく必要があるんではないかなというふうに私は思います。地方の自治体にも優秀な人材はそれなりに皆育っているわけでございますので、そういった技術力も、国の役所の役人の技術力に負けないものを私は備えてきておるというふうにも思います。
 そういう面では、こういったこれからの公共事業といいますか、社会資本の整備という一つの流れの中で、やはり従来のいろいろな制度にメスを入れて見直す時期に来ておるというふうに思いますけれども、そのあたりの基本的なお考えをお聞きしたいと思いますが。
佐藤副大臣 先生おっしゃるように、これから公共投資も非常に厳しい状態になってきますし、また、地域づくり、まちづくりとか、そういうものもまた中心になっていくことは確かだろうと思っています。
 そうしますと、これからメンテナンス事業ですとかいろいろなストック利用ですとか、そういうものがやはり中心になっていくんだろうと思います。そうしますと、地元の中小企業の方々が十分にできる事業はたくさんあるんだと思いますから、そういう方々が仕事ができるように十分に配慮していかなくちゃならぬだろうと思っております。
 国土交通省といたしましても、今まで、工事の規模に応じまして発注標準の設定ですとかランク別発注などを行いながら、中小企業の方々が仕事ができるように努めてきておりますけれども、そういう地元の工事がますます多くなっていくわけでありますから、一層適切な活用に配慮していきたい、そう思っております。
一川委員 それとちょっと関連しますけれども、要するに、事業の効果発現にスピードアップを図るとか、コスト削減を図るというような言い方も最近ふえてきております。実際の工事の現場の姿を見ておりまして、従来の設計の基準なり施工の基準、いろいろなものがありますけれども、当然そういうものに沿って物事がやられておるわけですけれども、私は、やはりこういう時代、いろいろな面で公共投資に対するいろいろな批判めいたものが出ている一つの中には、計画したものが計画期間内に終わらないというのがあると思うんですね。それが一年や二年ぐらいずれてもいいわけですけれども、大幅におくれるというケースもあるわけです。
 これは、当然用地補償関係の交渉ごとが難航しているというケースもあるわけですけれども、私は、こういったときにいろいろな基準めいたものをもうちょっと弾力的に運用して、例えば道路であれば、二車線なり四車線の道路をつくる場合でも、四車線の場合には二車線でとりあえずやってみるとか、あるいは二車線の道路を最終的に完成させるんであれば、とりあえず一車線的なものをつくっておいて、ところどころ待避所をつくるとか、そういうことで、暫定的でもいいから早く効果を発現してあげるということが大切なことではないかなというふうに思います。
 これは私の地元にもそういうケースがあるんですけれども、前の大臣にも何回も言ったことがあるんですけれども、路線が国道として認定されて十数年以上たっているところで、車が通れない国道というのがあるわけです、それは大臣も御存じかどうか知りませんけれども。それらは以前、前は建設委員会ですけれども、いろいろと確認したときに、全国に幾つかあるらしいです。国道と称するところで車が通れないところが相当あります。
 それはあってもいいわけだけれども、しかし、早く整備してあげるということが大事だと思うんです。要するに、国道として路線を認定しているわけですから、少なくとも十年なら十年以内に、全部完成できなくても、先ほどちょっと私が触れましたように、とりあえずジープ一台でも通れるぐらいのスペースをまず開いてあげるということは、今日いつ何どきどういう自然災害が発生するかもしれない、それからまた、いつ何どき外国が攻めてくるかもしれないというときに、やはりそういうちゃんとした道路を、少なくとも国道と認定した道路はそれを開設しておくということは、非常に大事なことだと思うんです。そういうことすら放置されているようなケースがあるような気がするわけですね。
 ですから、完璧なものを当然最終的にはねらうわけですけれども、とりあえず暫定的に効果が少しでも発現できるような手法をもっと弾力的に考えたらどうかなというふうに思います。これは私の意見ですから、まあお聞きください。
 時間がありませんから次に移りますけれども、今市町村合併問題というのがそれぞれの地域で非常に熱心に議論が始まっておりますし、相当今具体的にそういうことが進んでおる市町村もございます。それで、国土交通省の予算の配分の考え方の中に、市町村合併問題というものを一つの青写真というか下敷きにして予算配分にある程度反映させる、そういう考え方があるのかないのか、そのあたりをお聞きしたいんですけれども。
佐藤副大臣 御承知のように、平成十七年を目がけて市町村合併を今進めているところであります。
 政府としましては、総務大臣を本部長といたしまして、私たち副大臣が本部員となりまして、そして市町村合併支援本部というものをつくっております。そして、平成十三年には市町村合併支援プランというものをつくりまして、合併するところの市町村の支援をする。例えば、道路がないところは道路をしっかりとしたものにする、橋も直す、そういうものを優先していこうではないのか。さらに、一つの町にしかできなかったものが、二つ、三つになってくると、みんなそれぞれ、例えば三つなら三つできるのか、そういうのもやれるようにしよう。そんないろいろなことをやりながら、市町村合併を支援しているところであります。
 何とか十七年に向けてもっと多くの方々が市町村合併を進めるように、賛成してくれるように一層推進をしてまいりたい、そう思っております。
一川委員 基本的なお考えをそういうふうに確認いたしましたけれども、またいろいろな面で悩んでおる市町村もたくさん、合併に向けてなかなか物事が解決しなくて悩んでおる市町村も、まだ、特に小さな村とかなんかになるといろいろと悩ましい問題がたくさんあるわけです。ですから、余り冷たいこともしないで、そのあたりは十分また考えていただきたいと思いますけれども。
 ただ、問題意識は皆さん十分持っていると思うんですね。ですから、ある程度広域的に物事を判断しながら、公共投資をやっていく部分については当然合併というものを念頭に入れたやり方があっていいわけだし、そういうことについても当然基本的な考え方として取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、もう時間がなくなりましたので、最後に大臣にお聞きしますけれども、長期計画とかあるいは国土計画的なものを大臣はしっかりと見直ししていきたいと。これは、こういうものに余りこだわり過ぎると、いろいろな面で予算が硬直化するとか、場合によってはむだな投資につながる危険性もあるということだろうと思うし、それは私も同感でございますけれども、今後長期計画なり国土計画的なものの見直しというものを何か具体的なスケジュールとして描いておられるのか、また、どういったところにポイントを置いて見直しをかけようとしておられるのか、そのあたりの基本的なところをお伺いして、私の質問の最後としたいと思います。
扇国務大臣 午前中にもその課題が出ました。国土交通省が長期計画を立てております。その大半というものが平成十四年を最後なんですね。そして、十五年度から新しい長期計画に入るという、今ちょうど大事なところへ来ております。
 そういう意味で、午前中も御答弁いたしましたけれども、十年計画というと、これだけの事業を十年で計画して、毎年これだけの予算をとっていく。予算確保のための十年計画みたいに、私、主客転倒していると思うんですね。そうではなくて、本来は、事業別予算が組めれば、日本の会計法が違うからこれはやむを得ないんですけれども、本当は大きいものほど事業別予算で、これは一兆円でやるんですよといったら、一兆円でみんなを早くすれば、十年一兆円で分けるよりも、八年で短縮して上げた方が次の仕事がいくわけですね。ですから、事業別予算を組んだ方が国民にもわかりいいし、私はスピードアップできると思っております。
 私は、長期計画というものが、メリットとデメリットとあるんですね。ですから、デメリットの部分の長期計画というのは、私は見直していくべきである。長期計画をとって、漫然と、毎年これだけの予算をもらうんだ、これだけの仕事をするんだと、のほほんとして悠々としているというのは今の時代に合わないのではないか、私はそう思っていますので、長期計画を見直していくという、これは原則に立っております。
 けれども、その中でも、私は、今申しましたように、透明性を持たそう。とにかく、わからないという、だれに聞かれても、先生方もそうだと思います、私も国会議員で、予算を質問しようと思ったら、一つのことの予算で何省庁の予算も全部引き出してこなければ質問できないんですね。それはやはり困る。それは事業別予算を組んでないから、全省庁に割り振っている予算を統合しなければ事業の総体が見えないということになるんです。ですから、そういうものも、私は、事業別予算というものが組めるようになれば、一番国民にも明快であり、そして透明性が出てくるのではないかと思っていますけれども、これはデメリットもあります。
 そういう意味では、今後、整合性のある、あるいは効率性を確保できるような、透明性のある、アカウンタビリティーの向上などを図る、そういう長期計画というものが果たして是か非か、これも論議していきたいと思っておりますし、それぞれの特色がありますから、それぞれの特色を生かしながら、コストの削減は当然のことです、スピードアップも当然のことですけれども、それを国土交通省として、今までの四省庁に分かれていたものがワンストップサービスができて効率が上がるというふうに、見直していけるものは見直していきたいと思っております。
一川委員 以上で終わります。
 私も初めての委員会でございますので、またよろしく。
久保委員長 瀬古由起子さん。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 二月二十二日、JR九州の鹿児島本線の列車衝突事故について伺います。
 この事故で百十四名もの方が負傷されました。一日も早い回復をされるように祈っております。
 この事故は、普通電車がイノシシと衝突して停車していたところを、後続の快速電車の運転士が、赤信号で停止した後、徐行運転を開始、これは無閉塞運転と言われているものだそうですけれども、前方に注意しながら時速十五キロで走行しなければならないのに、普通電車の前方の信号を中継する信号ですね、これを快速電車の進めの信号と間違って、加速して追突したというように言われております。JR九州の田中社長は、これは絶対にしてはいけない初歩的なミスだった、安全対策を一から見直したいと陳謝したと報じられております。
 こうした人為的なミスというものをどう防ぐか。もちろん、本人の教育もありますでしょう。そして過密ダイヤだとか過密労働の問題、こういう改善も私は必要だと思います。それでも人的なミスは起きる場合があります。とりわけ、大量輸送機関である鉄道でこのような人的なミスを起こした場合は、それを防ぐ対策はないのか。私はあると思うんですね。
 実は、この列車の事故と同様な事故が、一九九七年八月に、東海道線の沼津―片浜間で起きております。この事故の教訓から、JR東日本は、無閉塞運転、閉塞信号が赤のときにその区間に進入する場合は、運転士の判断だけではやらない、運転を再開する場合には、列車運行を管理する指令に連絡して、許可を得てから出発するようにしております。
 このような改善は、JR東日本だけでなくて、JR四国、名鉄などでも採用しています。この方式の採用、または、赤信号では後続列車が入らないようにする、こういう無閉塞運転そのものの見直し、こういうものはもっと早く、前回、四年前に起きた事故のときに本来検討しなきゃならなかったと思うんですね。それが十分検討されていれば、人為的なミスが起きてもそれをカバーすることができたんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
石川政府参考人 今回起こりましたJR九州の事故でございますが、これにつきましては、現在、事故原因調査というものを航空事故調査委員会でやってございますので、そういうことを前提とした上でお答えをさせていただきたいと思っております。
 それで、今御指摘の平成九年八月のJR東海の事故、これは今回のJR九州と同様の事故と言えるものではないかという御指摘がございましたが、これは東海道線の沼津―片浜駅間での無閉塞運転の取り扱いの誤り、これによる先行列車への追突ということだろうと認識してございます。
 この平成九年の事故でございますが、これは実は、追突した列車の運転士が、今お話がありました制限速度毎時十五キロ、これを大幅に超えて、約七十五キロ、時速七十五キロでぶつかってしまった。それで、かつ、前方の確認を怠ったということでございます。
 したがいまして、これにつきましては、運輸局から当該鉄道事業者に対して警告書を発出して、事故原因の究明及び再発防止対策を講ずるように指導しました。さらに、本省から全国の鉄道事業者に対しまして、このように毎時十五キロメートルを大幅に超えた、約七十五キロメートルもの速度まで加速させて、かつ前方の確認を怠る、こういうようなミスを防止する観点から、無閉塞運転の取り扱いに関する規定の遵守あるいは厳正な取り扱いということについて再徹底するように指導を行ったところでございます。
 さらに、同年の十月でございますが、運輸省におきまして、JR各社の安全担当部長等、それと運輸省の担当で構成されます鉄道保安連絡会議というのがございます、これを開催いたしまして、この無閉塞運転の取り扱いをテーマの一つとして取り上げまして、当該事故の状況を詳細に各社に説明し、また無閉塞運転時の安全確保の問題について検討を加えてきたところでございます。
瀬古委員 私が聞いているのは、このときにJR東日本は改善したわけです。しかし、なぜ九州は、あなたたちが指導なさって、そのままになっていたのかということを聞いているんです。どういう指導をなさったんですか。
 このようにやはり人為的なミスは起こり得る、だから一定の何らかの対応をしなきゃいかぬのじゃないかという御指導をなさったんじゃないですか。それがあったら、こういう同じような事故は起きないと思うんですけれども、いかがでしょう。
石川政府参考人 先ほども申し上げましたように、無閉塞運転の問題について、その年の十月に行われました鉄道保安連絡会議というところでテーマとして議論をいたしました。それで、その後、JR各社、それぞれのみずからの路線の実態、それからどうやったらそれが実施できるか等々について検討が行われたわけでございます。
 それで、先生お話しのように、JR東につきましては、その次の次の年ですが、平成十一年二月から無閉塞区間の運転について、運転指令の指示により行うということになりました。それから、おっしゃるように、JR北海道、一部の区間でございますが、それにつきまして十一年九月から、JR四国でも十二年十一月からというような形でしてございます。
 その他の会社につきましては、それぞれの路線の実態等々を考えながら検討を加えてきたわけでございますが、現在のところそういうことになっていない会社があります。それにつきましては、今回の事故にかんがみまして、再度検討を行っているところでございます。
瀬古委員 時間が余りありませんので余りやれませんけれども、結局、見逃したというか、この九州の場合は指導し切れなかったということでしょう。だから、きちっと、今言われたように、JR東日本や四国などがやっているようにやればこういう事故は起きなかったわけです。そういう点で、少なくとも国土交通省がなぜここまできちっと指導し切れなかったのかという責任は、私はやはり十分あると思うのですね。そういう点では、これからもっと徹底しますとか、これからいろいろ改善しますとか、また、鉄道事故調査委員会のいろいろな御示唆もこれからまたあると思うのですけれども、やはり国の責任として、こういう事故を二度と起こしてはならないということでそれぞれやっているにもかかわらず、放置された、この九州はやらなかった理由があるわけでしょう、それを何で放置してきたのですか。あなたたち、知っていたわけでしょう、ここは改善していないということは。
石川政府参考人 前回の平成九年の事故につきましては、先ほど申し上げましたとおり、本来十五キロのところを七十五キロというふうな速度までかなりいっちゃったというようなこともございます。そういうようなことで、そういう厳正な取り扱いあるいは再徹底というようなことをやってきたつもりでございますが、それから、さらに加えて、指令による無閉塞運転ということについても、それぞれの各社ごと、少しずつやってきております。
 いずれにしましても、安全確保ということについては……(瀬古委員「九州はやっていないでしょう。だから、何でやらせなかったのかと聞いているのです。きちっと答えてください」と呼ぶ)それは、基本的に私どもは、国土交通省というのは、もちろん全体の事故原因の究明あるいはそれによる必要な措置ということについて、いろいろなことを講じるように努めてまいりましたけれども、基本的に、鉄道事業者がまずみずからの路線の実態を踏まえて、かつ運転保安設備の整備あるいは関係係員の教育訓練というものの徹底を図り、みずから安全確保に努めるべきものだと考えております。
瀬古委員 みずからやれない鉄道会社についてはきちっとあなたたちは指導するべきですよ、あなた、知っていたのだから。今まで事故が起きている、こういう事故が起きて、みんなそれぞれ改善しているのに、ここだけ放置していたわけでしょう。私はやはりそれは責任があると思うのですね。
 きちんとそれぞれの鉄道会社でという、もちろんそれはそうです、鉄道会社がやるべきですけれども、鉄道会社によっては、ちっちゃいところでとてもその体制ができないというところもあります。中小の場合は財政的に一定援助をしなきゃならないというところもあるでしょう。しかし、少なくともJR九州でいえば大会社ですから、きちんと自分の責任でやりなさいということはやはり言うべきじゃないかと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 あってはならないことが何度も何度も起こる。私、まず聞いたのです。一般のドライバーでも、車庫に入れるのに後ろの壁にぶつかりそうになったら、停止線、今センサーでわかるのです。前に列車がいるのに、前に物体があるという、センサーをどうしてつけられないのと聞きました。そうしたら、費用がかかるのです、無線が入っていませんと。
 ですから、今回は、少なくとも電車がとまった、イノシシであろうが豚であろうが、ぶつかってとまったのならすぐ無線で本社に言う、そして本社の中央指揮所から次の列車に無線で連絡をして、前の信号は青になっているけれども青の手前で普通電車がとまったよと無線で言う、それくらいのことはするべきでしょうといって注意をして、どこでできていなかったかの原因を私は言いました。そして、今度、少なくとも無線にするぐらいは当たり前でしょうということを指導しておりますけれども、個々の会社によってはそこまでいっていなかったということもわかりましたので、以後こういうことがたびたびというのは情けない話ですから、厳重に指導していきたいと思っています。
瀬古委員 ぜひ御指導を徹底していただきたいと思います。とりわけ中小の小さい鉄道などについては、いろいろな整備や体制の問題はぜひ配慮はいただくというようにお願いしたいと思います。
 時間がございませんので、次に移ります。
 今、一連の疑惑事件、鈴木宗男さんの問題など、政治家、外務省、業者をめぐる癒着、腐敗構造が明らかになってまいりまして、税金の使い道について真相究明を求める国民の声は大きく広がっております。
 私は、実はこれは国土交通省としても他人事ではないと思っているのです。昨年十一月に、全国の六十事業のダム工事の受注本命企業を記しました内部文書の存在を私は委員会で明らかにいたしました。もしこの談合が事実とすれば、日本の公共事業のあり方をめぐって重大な事態になるというのは国土交通省の皆さんも認識していらっしゃると思います。
 この文書で指摘されましたその後、入札が行われております。例えば、静岡県の太田川のダムなのですけれども、ここではその入札直前に静岡県にも談合情報が寄せられておりました。結果はどうなりましたでしょうか。
竹村政府参考人 御指摘の点についてお答えいたします。
 静岡県の太田川ダムは、静岡県知事の発注及び契約権限に属する事業でございます。私ども静岡県に問い合わせて確認いたしました。入札は一月十八日に行われたわけですが、それ以前に電話と郵送で談合情報が入りましたので、静岡県は談合情報マニュアルに基づきまして、各JVから工事の内訳書の積算資料を提出させ、その内容を県の担当官がチェックした上で事情を十八社から聞き取り、その談合の事実が確認できなかったということでございます。それに基づきまして入札を実施したところでございます。
 なお、入札の結果、三工区、先生も御存じかと思いますが、三工区の入札がありまして、そのうち一工区、二工区は情報どおりでございまして、三工区は情報と異なっておりました。
 今回の県の対応につきましては、県は公取に説明し、また静岡県警本部にも資料を送付しているところでございます。
瀬古委員 私どもの指摘しました内容で入札結果がなったし、事前に寄せられた情報でも、三つに分割をしたという問題はありますけれども、その後いろいろ分割されたのかもわかりませんが、しかし、そのうち二工区も一致するということでは大変疑いが濃いわけですね。そこで、静岡県は公正取引委員会と静岡県警本部に通報されているわけです。
 これを受けとった公正取引委員会は、今どのようにこの問題は対応されていますでしょうか。
根來政府特別補佐人 ただいまお話しのダム工事につきましては、私どもの方も事実は把握しておりましたし、静岡県からも通報をちょうだいしております。具体的な案件ですから、どうなりましたと言われても困るのですけれども、法律の趣旨に従いまして十分調査をしているところでございます。
瀬古委員 公正取引委員会への通知という問題でいいますと、これは公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第十条の中では、違反する行為があると疑うに足りる事実があるときは公正取引委員会に対しその事実を通知するということになっています。最初は、入札前には聞いたけれども、やっていないよと関係者は言ったと。しかし、やってみたら三つのうち二つがその情報どおりだったということになって、まるでクロとは言わないけれども、三分の二はクロという形で、ある意味で違反する行為があると疑うに足りる要件として公正取引委員会に出されているわけですね。
 こういう場合は、当然、公正取引委員会は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律というのがありまして、第四十五条には、こういう通報があった場合には、これについてはきちんと公正取引委員会としては措置をやりましたと、措置をしませんという場合にはなぜしないのかという問題について、静岡県に対して通知しなきゃならないというふうに思いますけれども、これはどのように扱われていますか。措置をとったというふうに御返事なさったんでしょうか。
根來政府特別補佐人 ただいまのお尋ねでございますが、独占禁止法には確かに、報告があった場合にはその結果を本人に通知するということになっておるんでございますけれども、本件の通報に対しては、そういう義務がないというふうに解釈しておるようであります。
瀬古委員 解釈というところがいかにも、意図的と言うとあれですけれども、実際に静岡県が三つのうち二つ事前情報どおりだったという場合に公正取引委員会に通報されているわけですから、当然その疑いありということで、きちんと受け取るというのは当たり前でしょう。それをわざわざ、法律の立場で、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、この四十五条として受け取らない、そういう解釈をするという、大変苦しいお言葉だと思うんですけれども、やはり私は、きちんと公正取引委員会は、これは怪しいよと言われた場合には、むしろ、ありがとう、よく知らせてくれたという立場で、しっかりとやりますよというお返事をするのが当たり前だと思うんですね。
 あなたは前回の委員会のときに、委員長さんは、まさに今談合列島だと、本当に自分はその汚名を返上するために頑張るんだという決意を述べられたわけですよ。私も大変期待をしております。しかし、最初から、私が指摘していたものがどうも談合の疑いが濃いなというのに、いや、これは正式な通報でないみたいな解釈をされるのはいかがなものか。初めからその姿勢が疑われるんじゃないかと思うんですが、お返事は結構です。後でまたいろいろお伺いさせていただきます。
 そこで、私が取り上げた山崎建設の談合疑惑問題は、国土交通省ではどのように取り上げていただきましたか。国土交通省では、扇大臣も言われましたように、公正入札調査委員会、これを積極的に活発化していくという御決意だったと思うんですけれども、当然このマニュアルに沿って処理されていると思うんですけれども、いかがでしょうか。
竹村政府参考人 御質問の元山崎建設の幹部のメモと称されるものは、私ども、去年の八月三十日及び八月三十一日の赤旗の紙上で承知しております。直接私どもに談合情報として入ってきたものではなくて、紙上で知っているということをまずお含みおきください。
 そして、私ども、本件につきまして、国土交通省としましては、山崎建設の幹部、常務取締役管理本部長でございますが、それと土工協の専務理事に来ていただきまして、事情聴取を実施いたしました。山崎建設は、会社として報道のあったような文書は作成していないと明言しております。また、土工協の方は、報道にあるような委員会、委員会と申しますのはいわゆる談合委員会でございますけれども、委員会は存在しておらずということをはっきり明言されております。
 国土交通省としましては、この情報、赤旗に載った、私どもの得た知識と、この私どもの聴取で確認いたしまして、これは私ども、談合の根拠としては、ないということでございまして、いわゆる談合情報対応マニュアルの談合情報としては取り扱っておりません。
 談合情報対応マニュアルと申しますのは、個別の工事を発注するときに発注者がつくるマニュアルでございまして、今回私ども本省でそのような事情聴取したということは、個別の発注ではございませんので、談合情報対応マニュアルの談合情報としては取り扱っておりません。
 ただし、この情報は公取にも情報提供してございますし、今後、各工事ごとに、各地方整備局が発注する際、従来のように入札契約適正化法や談合情報対応マニュアルに基づいて、適正かつ厳正な手続の執行に努めていくよう指導していきたいと考えてございます。
瀬古委員 このような、例えば新聞紙上で知った場合だって、この公正入札調査委員会のマニュアルでは、情報として位置づけて、報告書をつくり、直ちに調査委員会を開くとなっているんですね。
 私は一つ一つのダム、今まで入札した幾つか、静岡県のダムそれから北海道のダム、鹿児島県のダム、記載された内容と一致する。内容は、国土交通省や水資源公団。全くぴったり一致、ほとんど一致ですね。決められたのが全部落札しているという状況ですから、こういう場合には、当然それぞれの地方整備局の公正入札調査委員会が検討するわけでしょう。
 何で勝手に――国土交通省のどなたが山崎建設に行かれたかわかりませんよ。大体、本人に聞いて、談合をやりましたかと聞いて、やりましたなんて言う、そんなゼネコンあるはずないでしょう。それで、やっていませんと言ったからといって、これでそのまま、もうこれから今後はやるときに気をつけますなんて、そんな子供だましみたいなことは今もう国民には通用しませんよ。
 少なくとも、各整備局でちゃんと委員会を開かれて、それでそれぞれのゼネコンを呼んでいただいて、談合がなかったかどうかと、そしてそれにかかわるいろいろな資料も見て、それで、これは談合情報としては違っていた、実際には疑惑はなかったならなかったという報告もしなきゃいかぬわけですよ、委員会としては取り扱わないということにしなきゃいかぬのです。それは、きちんと報告書をつくって、委員会を開いてやるということになっているわけですね。
 ところが、それぞれの整備局の委員会も開かないで、勝手に中央省庁が、だれがやったかわかりませんよ、大臣が行かれたのかどうかわかりません、それだってこのマニュアルにはないんですよ。勝手に、これは談合情報に値しないなんてだれが決めるんですか。どういう情報であっても、新聞の情報であっても、全部それぞれの地方整備局がちゃんと検討するということになっているんです、委員会を開くということになっているんです。なぜ開かないんですか。
竹村政府参考人 先ほどお答えしたことの一部繰り返しになります。
 いわゆる談合情報対応マニュアルに基づきまして、公正入札調査委員会を開くのは、各契約する整備局においてこの公正入札調査委員会が開催され、調査をし、そして必要があれば報告書をつくるという形になってございます。
 私ども本省で得た、赤旗の記事で得た情報によります私どもの聴取はしましたが、今後、これから各整備局が発注するときに、その談合情報マニュアルに従って、その後の新しい情報またはその他の情報を総合的に判断して、この公正入札調査委員会がしかるべき適正な動きをしていくという形になってございますので、御了解願いたいと思っています。
瀬古委員 あなた、自分たちのつくった委員会のマニュアルそのものを全く理解していないと思うんですよ。これからやる工事だけじゃなくて、今までやった工事が談合の疑いが強いと私は言っているんで、指摘したそのものが受注しているわけですからね。さかのぼって、これが本当に不正がなかったかどうかということだってこの調査委員会の対象でしょう。私が指摘した国、水資源開発公団の六つのダムのうち、六つともすべて一致して受注しているんですよね。そして、先ほど私が言いましたように、事前に指摘をしておりました太田川ダムも三分の二はクロだ、こういう状況が新たに出てきたんですね。これほどはっきりしている疑いはないわけですよ。
 私は、これから入札が行われるというのは当然慎重にやっていただきたいし、マニュアルどおりやっていただきたいと思うんですね。それについては今度出てまいりますよ。例えば、秋田の森吉山ダムというのが間もなく。ハザマが本命指名になっていますが、これも地元では、どうもこれになりそうだと言われております。次から次へと、これからの問題について指摘されたどおりにもしなっていったらどうするんですか。どういう責任をとるんですか。
 今まで、六つのダムのうち全部、最初に報道された内部文書どおり落札しているということで指摘してあるんです。だから、それについてきちんと委員会を開いて検討するのは当たり前じゃないですか。
 各整備局で、この今までやったダムについてはどういう調査をされたんですか。これからやるのはわかりましたよ。
竹村政府参考人 従来とも談合に関する厳しいルールがありまして、さらに最近は適正化そして透明化を図ってまいりますが、従来から私ども、談合に関する適正な行政を執行していたわけでございます。
 過去におけるダムにおきましても、もしそのような情報があれば、入札する前に、各事業ごとに、関係者を呼び事情聴取をしている、そして事実関係の有無を確かめる、それで必要があれば誓約書を出させるということはやっていたわけでございます。
 今後は、今私どもが先ほどから先生にお答えしているのは、新しい適正化法、そして談合情報マニュアルが今制定されておりますので、私どもこれに基づいて、今御指摘の東北の森吉山ダム等きちんとした、適正な、透明性のある入札行為が行われるよう強く指導しているところでございます。(瀬古委員「今までの分はいいんですか」と呼ぶ)私ども、今までの過去のものは、今そういう予定は持ってございません。
瀬古委員 これからいよいよ本格的にと思ったところでもう時間が参りまして残念なんですが、大臣、ぜひ聞いていただきたいと思うのです。
 事前に、ここが本命だというふうに指摘されて、それが全くぴったり一致する、そして、これからのものについても指摘しているわけですね、ここが本命だぞと。そしてもう第一弾はほぼそれで落ちた、次もどうも落ちそうだという状況の中で、私は、大臣が今言われたように、本当に談合をなくすという点でいえば、やはり本当に国土交通省も新たな決意を持ってやらないと、次から次へと言われたとおりに問題が起きて、それでまた、さかのぼってどうでしたかなんという、外務省みたいなみっともないまねはやめてもらいたいと思うのですね。
 今までのについてはやらないというのでしょう。そんなばかなことないですよ。今までの分についても、本当にそれがきちんと行われたかどうか。それは、行われたら行われたでいいですよ。しかし、少なくとも怪しいぞと言われた場合は、きちんとこの委員会を開いて、そして、どうだったのかということを国民の中に明らかにしていくということが、やはり今後の公共工事のあり方の問題として一番大事なところだと私は思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
扇国務大臣 今まで何度もこの委員会でも、しかも、一昨年十二月に皆さんに通していただきました公共工事の入札と契約に関する適正化法、この法案を通すときにも多くの皆さんに御意見をいただきました。そして、昨年の四月一日からこの法律が施行されまして、特にこの法案が確実に実行されるように、それは、今その法律の中にも、先生方にも聞いていただきました、電子入札というのも法律の中に明記してございます。ですから、私は、この電子入札というものがあれば、少なくとも公にこれは透明性を持ってくるということは確実になってくると思います。
 この法案審議のときにも、先生方の中から、罰則規定がないじゃないかということも言われたことも私覚えております。けれども、私は、公取というきちんとした組織を持っていらっしゃるわけですから、その中にも、少なくとも公取に言うという、そして公取が正式に検査していただくという、これもこの公共工事の入札と契約の適正化法の中できちんと明記してありますから、法律違反をしないようにということだけは少なくとも徹底しようということで、この徹底方をさすために、国土交通省の中に、事務次官を長といたしまして、改めて委員会を本年の二月の八日に設置して、この法案の徹底を図り、よりこれを効率よくするようにということで私は設置したわけです。
 そしてもう一つ、きょう午前中にも話題になりました、私の口からも申しました、では事前に価格を公表してしまったらどうなんだと。そうすると談合なんかしようにもできないじゃないか……(瀬古委員「大臣、ちょっと、今私が言ったことだけ答えてください」と呼ぶ)いや、談合の話ですから。それも一つの手だてではないか、事前公表することも。けれども、国の直轄事業に関しては、事前公表は予決令でできないということになっております。けれども、地方は自由です。ですから、そういう意味では、私はメリットとデメリット、事前公表してしまうと、メリットはあると思いますけれども、談合を……(瀬古委員「今の国土交通省の態度について、今私がダムの問題を指摘したので、それについてどうか、ちょっと答えてくださいよ」と呼ぶ)少なくとも、私は談合というものをなくすための方法論を今申し上げているんであって、役所の中で談合を調べるのは当たり前ですけれども、先生がさっきおっしゃったように、この間もそうです。中部国際空港で談合があるという手紙が来たから調べていらっしゃいと、調査員が行きました。調べてきた。聞いたらありませんと。先生がおっしゃるとおり、本人にありましたかと聞いて、ありましたと答える人、いませんよ。
 そういうことも含めて、私は今申しましたように、事前公表してしまったら談合がなくなるのではないかということも、これはメリット、デメリットあるよということを先ほども申し上げて、談合防止に価格を事前公表することも談合防止の一つの策ではないかということを申し上げたかったわけでございますので、これもメリット、デメリットありますので、少なくとも、私は公共工事を担う、公共工事を請け負う人たちの態度というもの、そして談合すれば公共工事は停止するというのは明記してあるわけですから、私は、昨年の四月一日以降、談合というものをして公共工事に入札するということを避けるべきであり、また、なくすべきであるということで、一生懸命国土交通省は委員会をつくっております。
瀬古委員 きちっと私が質問したことに答えてもらいたいんですよ。ダム問題について国土交通省の態度はどうなのかと、整備局で委員会も開きもしないで。こういう態度についてどうかと聞いているのに、きちっと答えていただけないので。今後の問題はいいですよ。今の当面の問題について国土交通省は大変消極的な態度だと……
久保委員長 ちょっと待ってください。そこは主観の違いもあると思いますし、一つは大臣は大臣で角度が違ったと……
瀬古委員 でも、私はその質問をしているんですから、ちゃんと答えて、そんなずらした答えをしていただいたら困っちゃうんですよ。
久保委員長 いずれにしろ質疑時間は既に過ぎておりますので、これで終わりにしていただきたいと思います。
瀬古委員 ええ。でも、ぜひきちっと答えていただきたいと思うんです。でないと納得できませんよ。私はこのダム問題についてどうなのかと聞いているわけですよ。
久保委員長 そのことはちょっと後で扱わせてください。
瀬古委員 こんな、やはりきちっと質問に答えてくださいよ。
 ちょっと私、後でまた理事会で問題にします。
久保委員長 理事会等でそのことはまた討議の対象にしていただいたら結構だと思います。
瀬古委員 お願いします。
久保委員長 日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 都市の再生について、最初にお伺いをしたいと思います。
 今国会に再開発法の改正と都市再生特別措置法、両法案が提案をされることになっています。具体的な質問についてはその法案審議のときに行っていきたいと思いますが、この都市再生というのがいわば小泉内閣の目玉商品の一つであるという観点に立って、国土交通省の基本的なスタンスというか考え方、その大枠で結構なんですが、それを最初にお聞きしておきたいと思うんです。
 午前中の議論で、阿久津議員から都市再生するには分権ということがきちんとなければいけないし、とりわけ情報公開とそれから住民参加、これは徹底しなければいかぬという発言がありました。私は、全くそのとおりだと思っているんです。これはちょっと意見なんですが、特に欧米では情報の公開と住民参加ということが当たり前に行われていて、住民の意見によって、いわば計画全体が見直されたり変更されたりということが多々あるわけです。それぐらいの、住民の側の意見を重視するような、そういう方向でやっていかなければいけないと思っていますし、それから、制度上でいえば、都市づくりのシステム、これもきちんと見直していく必要があるんじゃないかというふうに私は思っているんです。
 とりわけ、都市再生といっても、まちづくりに欠かせないのは都市計画法と建築基準法ですけれども、都市計画決定でやはり自治体がどれぐらいイニシアチブを発揮するのかということは、非常に重要な問題だというふうに思っています。重要な改革については、都市計画審議会などでほっと決めてしまうんではなくて、議会がきちんと決めていくとかいうことが当然必要になっていくし、それから、開発の許可制度や建築許可制度、これについても拡充していくとかいう具体的な施策を持っていかなければいけないというふうに思っています。
 それから、各自治体で、都市のマスタープランがつくられ始めましたけれども、どうも抽象的なプランが多くて、実際にこれを実行していくための具体性に欠ける、そういうプランが多いわけです。これについても本当に実効性あるものに、きちんとその裏付けも含めてやっていくようなこと。用途地域なんかについても自治体が特別用途地域を決められるとか、そういう権限も含めて制度の改革もしていかなければいけないんじゃないかというふうに思っています。
 それは私の意見で、それを前提にして幾つかお伺いしたいと思うんですが、最初に大臣の所信で、民間の力を最大限引き出して緊急に推進する、まあ都市再生ですね、というふうにおっしゃられています。これを見て、二十年前の中曽根政権時代の民間活力の活用、民活ということが言われましたけれども、これを思い出しました。中曽根政権時代の民間活力の活用という言葉の亡霊が再びこの都市の再生の中にあらわれているんではないか、そんな気がしてならないんです。
 八四年に旧建設省が出されました建設白書ですが、第一に、都市計画、建築規制の見直しをします、それから、再開発事業の促進のための補助、融資、税制上の制度を拡充します、国有地等の活用による開発を推進します、四つ目に、官民協力事業の推進という、この四つを民活の柱にして中曽根民活というのが出発をしたわけです。
 今回も、大臣の所信の中には全部触れられているわけじゃありませんが、それぞれ見ていくと、どうもこの四つをいわば小泉さん流に焼き直して提案しているという感じがしているんです。
 中曽根さんの民活路線というのは、実は大きな問題を残したというふうに私どもは思っていますし、必ずしも、そこに住む住民にとって有意義な都市の開発ができたのかということになると、いわばそうではなくて、これも阿久津先生おっしゃっていましたけれども、森ビルの周りが一九九九年、非常に、もうどうしようもないほど、ひどくなったという結果をもたらして、実は問題多い民活だったんじゃないのか、そんなように思っているんです。
 そういう意味で、中曽根流民活と今度の小泉流都市再生というのは、どういう総括があって小泉流、小泉流というか、小泉さんの都市再開発が出てきたのか、あるいは、それを踏まえるならば、国土交通省としては新たな都市再生へのどんな理念を持って進められようとしているのか、まず大枠、そこを聞いておきたいと思います。
    〔委員長退席、赤羽委員長代理着席〕
澤井政府参考人 中曽根内閣時代の民活の取り組みとの関係等のお尋ねでございますが、中曽根内閣におきます民活の取り組みということを都市の整備の分野について見ますと、都市の建築活動の大宗を民間が担うというものであることから、都市の整備については民間の資金やノウハウを引き出すことが肝要であるという点において、現在の都市再生の取り組みと共通するものであると考えています。また、都市計画や建築規制を、優良な都市開発事業を推進するために民間の活力を引き出すインセンティブとしてそれまで以上に活用しようとしたものであったと認識しておりますし、当時の建設省時代以来、そのように私どもも対応してきたつもりでございます。
 今日取り組みを進めつつあります都市再生につきましては、幾つかの点で当時と経済社会情勢が大きく違う点があると思っています。例えば、いわゆる市街地、人口集中地区の広がり方を見ますと、一番それが大きかったのは昭和四十年代でありますが、当時ではDID面積が五年間で約四〇%も急激に拡大していたという状況がございます。ところが、最近、一番新しい五年間で見ますと、当時の四〇%が二%弱ということで、市街地の外延的な拡大がほぼ終えんしたのではないか。地域によっていろいろな状況がありますけれども、全国的に見ればそういう市街地の外への広がりということはほぼ終えんした中において、一方で、第二次世界大戦後に都市への人口の急激な集中によって急速に形成された我が国の都市を、改めて豊かで快適な、活力に満ちあふれたものへと総力を挙げて再生していこうという取り組みが、今の都市再生への取り組みであると考えております。
日森委員 聞きたかったのは、中曽根民活について成果と問題点みたいなところを明らかにしていただければありがたかったんですが、それはそれで結構です。とにかく、私どもはどうもそういう気がしてならないということを改めて申し上げておきたいと思うんです。
 関連して、かつて中曽根さんがおやりになられた民活というのは、実は、そこの都市に住む住民の方々が快適に住んでいくということを、言葉としては出ていましたけれども、基本的には内需拡大策としてこの民活路線がとられてきたということが総括の一つとして言えるんじゃないかと思うんです。今回も、大臣所信の中で経済の再生を図るというふうにおっしゃっておりました。そうすると、今回も、都市再生といって、そこに住む人々の思いよりも、むしろ経済効果をねらって都市再生施策がとられていくのではないかという懸念があるわけです。
 それと同時に、かつての民活路線でいうと、これはもう内需拡大というふうに決まっています、内需拡大というふうに言っていましたから。それで、八三年ごろからずっと始まってきて、八五年、六年ごろにはほぼそういう意味で経済状態もよくなってきた、にもかかわらず、内需拡大策はとり続けられていって、バブルになっていくという経過があったわけです。その間に地価が物すごい高騰していくという状況は、もう皆さん記憶に新しいところなんですが、そういうことを考えていくと、経済の再生を図るというのは、ある意味では、内需拡大と同時に現在低迷している地価対策、こんなことも恐らく考えながら、大分そこに重点を置きながら都市再生の施策がとられていくんではないのか、そんな気がしているんですが、それについてもお答えいただきたいと思います。
    〔赤羽委員長代理退席、委員長着席〕
澤井政府参考人 現在進めつつあります都市再生の目的というお尋ねと思いますが、まず、都市再生の基本的な目的は、先ほども申し上げましたけれども、第二次世界大戦後急速に形成された我が国の都市が抱えるいわば負の資産を解消し、文化と歴史を継承しながら、住民の皆様が豊かで快適な暮らしが実現できること、また、国際競争力を備えた都市をつくっていくことにあると考えております。
 また、こうした取り組みを通じまして、同時に土地に対する実需を喚起し、それに伴う土地の流動化を図る。また、上物整備として建築投資の拡大を図るということも、同時に重要な課題であると考えております。
 このように、都市再生は、中長期的、構造的な取り組みであると同時に、現下の経済情勢に対応するための政策でもあり、双方の側面を有する現在の最重要課題であるというふうに考えております。国土交通省といたしましても、都市再生に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
日森委員 聞きたかったのは負の遺産というところなんですが、具体的に負の遺産というのはどういうことなのか、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
澤井政府参考人 負の遺産、いろいろあると思いますが、大臣もしばしば御答弁されておりますように、例えば、市街地が大きく広がったために職場と住宅が遠い、あるいは、町中で大変な交通渋滞がある、また、戦後急速に形成された市街地で特に防災上非常に安全性の低いところがある、さまざまな負の遺産があると考えております。
日森委員 それで、今回も強調されているのは規制緩和です。中曽根さんの民活のときも規制緩和ということがずっと言われました。特に土地の高度利用ということが随分強調されて、土地を有効に利用するために容積率をずっと緩和して高いものをつくっていくとかいうことがどんどん行われました。
 これも、八三年の旧建設省の「規制の緩和等による都市開発の促進方策」というのがあるそうですが、これによりますと、「高度利用を促進すべき地域について、地域地区指定を高度利用に適する方向へ変更する規制緩和を行う」ということで、規制緩和がずっと先行して行われました。この結果、何がもたらされたのか。先ほどちょっと触れましたけれども、地価の上昇であるとか住環境、さっき負の遺産と言われましたけれども、その負の遺産の一つである住環境が悪化をしていくとか、日照権なんてもう関係ないよというような議論がずっと出てきた。あるいは、都市のキャパシティーを超えた、例えば人口の集中であるとか物流の集中であるとかということが行われて、渋滞とか混雑とかということが起きてきた。これが実は規制緩和というか、規制緩和の一つである高度利用ということがもたらした弊害ではないのか。
 今回も、いわばそういうことが当然提起をされるというふうに思っていますし、そうすると、また同じような問題が生じるおそれはないのか、仮にそういうおそれがあるとしたら、これをどういう方法、どういうシステムといいますか、それで排除していくのか、そういうチェック機能が整備されているのかどうなのか、これについてお聞きをしたいと思います。
澤井政府参考人 規制緩和による高度利用の推進と住環境あるいはインフラとの関係のお尋ねでございます。
 御指摘のとおり、土地の高度利用というのは、良好な市街地環境あるいは必要な公共施設を確保しながら進めていくべきものと考えております。このため、マクロ的には、例えば東京都二十三区のおくれております街路整備を強力に推進していく、このためにいろいろな工夫も最近含めてやっておりますが、そういったこととあわせまして、個別の例えば大規模プロジェクトを実施する場合には、事前に、それに伴って交通量がどのぐらいふえるかということの予測調査をいたしまして、それに対応して必要な対策をあらかじめプロジェクトの中に組み込むというようなこともやっております。例えば、プロジェクト周辺の交差点が従来よりどのぐらい込むかというあたりを予測しまして、そのために、例えば右折レーンを新しくつくるとか、あるいは、近くの地下鉄の駅について、通路なり改札口の容量を上げて歩行者の円滑な流れを確保するとか、そういった個別の対応もいたしております。
 こういったことも含めまして、そういった観点を都市計画決定等の手続の中で十分に反映していくということで進めてきているつもりでございます。
日森委員 ですから、私が言いたいのは、規制緩和するだけが都市再生の方向じゃありませんと。
 むしろ、欧米の例を言うと、もちろんアメリカもヨーロッパも一時期は当然規制緩和をして容積率をどんどん上げるとかいうことをやってきましたけれども、それでは本当に国民のための町というか、そこに住む人たちの、だれのための都市計画なのかよくわからなくなってきたという、そういう総括というか反省があって、むしろ今では逆に、容積率拡大という方向からダウンゾーニング、容積率を縮小しよう、引き下げていこうという方向に変化をしつつあるというふうに言われています。
 ですから、今局長がおっしゃられたのは、結局、容積率などをどんどん規制緩和で上げていって、それに対応するために道路を広げなきゃいかぬとか、それから地下鉄の入り口を広げなきゃいかぬとかいう、いわばそういう発想に立っていて、むしろ今は、だれのための開発なのか、都市はだれのためにあるのかという根源的な問題に立ち返って、何でもかんでも容積率を上げていくような規制緩和をどんどんしていくような方向から、むしろ逆の方向をもう一度見詰め直してみるということも必要なのではないかというのが私の意見なんです。
 具体的な例を挙げる時間がないんですが、先ほど阿久津先生もおっしゃっていましたけれども、アメリカの例などもそうなんですが、逆に容積率を下げて、本当に中低層の住宅地というものをきちんとつくっていくとかいうことが行われているわけです。そういう意味で、規制緩和についても、これは質問通告はしなかったと思うんですが、ぜひ考え方をお聞かせいただきたいと思うんです。
 それから同時に、どうも中曽根さんの民活もそうだったんですが、市場主義、これが前面に出てきて、市場原理によって都市の再生を行おうというのが基本的な中身になっているんじゃないかと思うんです。市場主義、市場原理に基づいた都市の再生であるとかあるいは規制緩和というのは、結論を先に申し上げると、結果として、そこに住む住民のための都市の再生とかいうことよりも、むしろ大手ゼネコンと銀行の再生というふうにとれないこともないと思っているんです。
 実際、市場原理に都市の再生といいますか開発をゆだねてしまうということになれば、当然、民間ですから収益性の高い事業を優先して行うということになると思うんです。これは中曽根さんの民活のときもそうでした。収益性の高い事業にどんどん民間のディベロッパーが金を出して、東京でいえばオフィスをどんどんつくっていくということであって、そのためにそこに住んでいる住民たちが排除されていった、そういう歴史があることはもう御存じのとおりなんです。
 これを今度もまた市場原理主義でやっていくということになれば、これは住民が、そこに住む方々が追い出されていくかどうかわかりませんけれども、いわばそこに住む人よりももっと収益性の高いものになっていく。そうすると、今必要とされている、例えば低所得者、中低所得者の住宅をどう確保するかとかいうことがなかなか、収益性が低いわけですから、もうからないわけですから、後回しにされていく、あるいはできなくなってしまう、こんなことにもなるんじゃないかと思っているんです。この辺についてちょっと御意見を伺いたいと思います。
澤井政府参考人 規制緩和によって、それを主要な手段として進めていくことについて、今御指摘のような点があるのではないかということだと思います。
 私ども、規制緩和というインセンティブをまさに、例えば住民の快適な暮らしを実現するために民間の創意工夫を引き出すというような方向で使っていただきたいという思いがございますし、市場原理という点につきましても、いわゆる一千四百兆円の膨大な金融資産をぜひこういう非常に必要性の高い分野に流し込んで、そういったものに有効に役立てていただくという意味でも、民間の創意工夫をベースにして、いいプロジェクトをどんどん起こしていただくということが非常に大事だと思っています。
 収益優先というお話がございましたけれども、結果として住民を排除するということになってはいかぬと思っておりまして、例えば、既に提出しております都市再生特別措置法の目的の中でも、都市機能の高度化ということとあわせまして、都市の居住環境の向上ということを都市再生の目的として明確に位置づけております。
 その中で、個別の地域ごとに地域の整備方針を定める際に、例えば、そういった従前居住者への対策についてきちんと対応するというようなこともその方針として定めて、その方針に従って個々のプロジェクトが展開されていくというような方向を考えているところでございます。
日森委員 収益性と、そこの住民の快適な生活を保障するというのは、今までの例からいうと両立しない、相反していたということじゃないかと思うんです。
 さまざまな工夫を凝らしますというお話なんですが、例えばアメリカの公民パートナーシップ、何かPPPと言うらしいのですが、これはもちろん規制緩和をインセンティブとして民間ディベロッパーの導入を図っていくということがありますけれども、しかしそれ以上に、自治体が計画の最初から最後まできちんとかんでいる、そして具体的な指導をきちんと行うということがあるわけなんです。
 これはもうアメリカなんかははっきりしていまして、市場原理にゆだねても収益性がある事業は公が応援することないんだ、勝手に民間がやってもうけていけるんだからできるじゃないかと。もちろん一定の規制はあってもですね。税金を使ったりするわけですから、そうではない部分にお金を使って、そして都市の再生を図るというのが当たり前の話になっています。
 そこできちんと公がその計画については最初から最後までかんでいく。ある意味では、例えばディベロッパーが参加をしてやる場合には、公共施設の問題や、あるいは学校から保育所まで、さまざまな社会的な施設について、これはもうディベロッパーの負担できちんとやらせるとかいうことまでやって初めて本当に快適な住環境も含めて確保できるような、そういうシステムがつくられているわけです。
 そこまで踏み込んで今度の都市再生をやっていくのか。そこまではちょっと答えづらいかもしれませんが、公というのか官の関与の仕方、関与と言うとどうも鈴木宗男さんになってしまうので、何と言ったらいいんでしょうかね、この再生について官の立場といいますかスタンスというか、どこまでどういうふうにかかわり合いを持っていくのか、その辺の考えについてお答えをいただきたいと思います。
扇国務大臣 先ほどから日森先生、都市再生ということでいろいろ御見識も伺っておりますけれども、午前中からも、先ほども伴野先生ですか、森ビルの現地まで見に行ったというお話がございまして、何年前のものと今と見たらというお話もございました。
 私どもは、今回十四年度予算におきまして、総理のもとに都市再生本部をつくりました。そして我々も、都市再生ということで、なぜ都市再生が必要なのかというのは、先生たまたま今オフィス等ともおっしゃいましたけれども、東京にビルを幾つ建てても、今光ファイバーが入っていないと国際的な商社は入りません、会社も入りません。けれども、今までは光ファイバーがビルの中に入っていなかったんですね。
 ですから、そういう意味で都市再生するためにも、都市というのが国際都市なのかどうなのか。そして今は時代が変わって失業者も多くなって、こんなに多くなっていますけれども、フリーターというものが多くなって、みんな会社に行かないで、家で光ファイバーを使って、そしてメールで送って、通勤しなくてもいいというような時代になって、果たして今の都市のままで彼らの新しい二十一世紀型の職業が通用するのかどうか。そういうことも考えながら、私たちは、規制緩和という言葉をおっしゃいましたけれども、規制緩和をして、より充実したものをつくろうと。
 そして、先ほども私申し上げましたけれども、公営のものをつくるときには、託児所も、そして老人ホーム的なものも全部一緒にその公団の中にはつくるようにしましょうと。規制緩和をした分をそこへ持っていこうと。二十一世紀型の都市というものが、砂漠ではなくて、何かコマーシャルの歌にありますけれども、そういう都市砂漠ではなくて、都市らしい、生きる活力のある都市に民活を活用していこうというのが今の考えですし、冒頭に日森先生がおっしゃった、住民の意見を聞くべきだとおっしゃった。
 フランスのA86もそうです。ですから外環の皆さん方もA86を見に行っていただきました。それは住民参加で、そして、地下に潜らせて上は自分たちの公園にしてくださいと、そういう御希望があればそういうふうにしていこうというのが今回の規制緩和であり、空中権というものをいかに利用して、そちらに環境のいい都市をつくるかという、そういうことに配分していく、そして二十一世紀型の都市のあり方で装備を完備をして、そこに環境とバリアフリーを入れようというのが新たな都市再生の基本でございます。
日森委員 考え方は大体わかりました。わかりましたが、私とは大分かけ離れているということもわかりましたので、これは法案の審議の中で大いに論議をさせていただきたいと思います。
 時間がなくなってしまいましたので、まとめて質問しますので、まとめてお答えいただきたいと思います。
 ハイ・タクの規制緩和が二月から始まりました。まだ始まったばかりなので、なかなか具体的な調査、実態調査などが行われていないこともあるかと思いますけれども、四点ほどお伺いしますので、お答えをいただきたいと思います。
 第一点。二月以降現在までなんですが、新規参入、増車、各種割引運賃、個別審査を必要とする運賃申請、これらについてどの程度把握をされておられるのか。その現在まで把握をされた実態についてどんな評価をお持ちなのかというのが一点目です。
 二点目は割引運賃なんですが、これは国土交通省は需要喚起のためというふうに定義をしているんですが、それで間違いないのかどうか。仮に需要喚起が見込めない場合には、これは認可しないというふうに判断をしていいのか。同時に、これは難しい問題だと思うんですが、需要予測というのは一体どういう基準で行っているのか。この辺について、二点目としてお聞きしたいと思います。
 三点目は、これは近畿地区、関西地区が中心なんですが、今まで九千円を超えたら一〇%割引というのが通常であったわけですが、関西方面では、五千円以上は五割引きで割引運賃を設定するとか、初乗り五百円あるいは四百七十円というのも、これは新聞でも報道されていますけれども、出てきているわけです。
 こういうことになると、実際には、国会の附帯決議で適正な人件費等を反映してその運賃を決めなさいというふうになっているんですけれども、この値下げは非常に問題があるんじゃないのかというふうに考えていますし、これについて国土交通省の見解をお聞きしたいと思います。
 それから、これ以上運転者の賃金の低下をもたらさないと。御存じのとおり、これは何度も委員会の場で言っているんですが、二年前の調査で、一般男子労働者の平均年収から、タクシー労働者の平均年収というのは二百二十万円低いんですよ、もう既に二年前で。今はもっと下がっているはずなんです。だから、五・六%という失業率で、普通でいうとそこに人が集まるはずなのに、とてもタクシー運転手は食えないから、不足しているんです、タクシーの運転手はなり手がないという状況まで生まれている。これはもう低賃金のゆえというふうに言えると思うんです。
 にもかかわらず、こういう非常に、国会の附帯決議に照らしてもちょっと問題が大き過ぎるような割引運賃だとか初乗り運賃が設定をされている。これについてぜひ見解をお聞かせいただきたいと思っていますし、それから距離短縮運賃というのがあるんですが、これは高いか低いかわからないような話になっています。これについても問題ありというふうに思っていますので、お答えをお願いしたいと思います。
 それから、最後に一つだけ、申しわけありません、三十秒で終わります。
久保委員長 いや、答弁もありますから。
日森委員 緊急調整措置で百四十カ所の特別監視地域があったけれども、これは都市部が外されているという問題がありまして、どうも実態を反映するための合理的なシステムになっていないんじゃないか、これは見直す必要があるんじゃないかと思いますけれども、それについてお聞きをしておきたいと思います。
久保委員長 日森委員に申し上げます。ちょっと、時間が既に過ぎていますから、今おっしゃったこと全部言うと長くなると思いますので。
 局長の方は、できるだけ簡潔に答弁お願いします。
洞政府参考人 申しわけございません。
 第一点目、運賃の申請状況について把握しているか、これはちゃんと把握してございます。個々の事案について、私ども、ちゃんと承知しております。
 それについての評価でございますけれども、いろいろございますけれども、需給状況が厳しい中での増車というふうな指摘がある一方で、やはり創意工夫というものを発揮した経営者の意欲というものも感じられるような、そういう申請も出てきたと思っています。
 二点目の、割引運賃の需要喚起という質問でございますけれども、割引運賃については、いわゆる需要喚起を図る割引運賃もございますけれども、観光タクシーのように効率的な配車によってコスト低減を図る割引運賃もございますし、身体障害者等に対する福祉を目的とする割引運賃等もございます。いずれにせよ、運賃の認可基準に従って、不当な競争あるいは不当に差別的でないか等々を審査するということになっています。
 それから、需要の予測についてはどうするのかということでございますけれども、過去の潜在的な需要の動向であるとか、同種の割引の実績等を勘案して、申請者が示した需要予測が適切かどうかということをしっかり審査していきたいと思っています。
 それから、三点目の、人件費等の反映という御指摘でございますが、これにつきましては、まさしく、さきの法律改正のときに国会の附帯決議を受けて策定しました認可基準でも明らかにしておりますとおり、人件費等の費用について適正な水準を反映させると同時に、不当な競争を引き起こすおそれがないかどうか等々について、きちっとそれぞれの個別申請について審査していきたいと考えております。
 最後の御指摘でございます。特別監視地域の指定でございますけれども、このたび、実車率とかあるいは一日一車当たりの営業収入の数値を用いることによりまして、今般、全国七百三十三カ所の営業区域のうち、約二割に当たる百四十カ所の地域を特別監視地域として指定したところでございます。
 それから、先生御指摘の、非流し地域あるいは流し地域というので分けて、いろいろ指定の基準というのを定めておりますけれども、これとても、例えば、非流し地域以外の地域であっても著しく流し比率が低いということが客観的に明らかな場合には、こういう特例措置というのを適用できることになっておりますので、いずれにせよ、国会の附帯決議あるいは御審議等を踏まえて、特別監視地域の指定や緊急調整地域の発動については適切に、また弾力的に適用してまいりたいと考えております。
 済みません、どうも、はしょって御説明申し上げました。
日森委員 海上保安庁長官、申しわけございませんでした。また次回に。
 ありがとうございました。
久保委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 十二日そして昨日と扇大臣に観光問題を中心にお尋ねを申し上げまして、もう少しこのことについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 昨日、予算委員会で、私は、観光産業というのは空洞化のない輸出産業である、こういうふうに言うことができると。空洞化がないということは、京都は日本にしかありませんし、奈良も日本にしかない。テレビは、すぐまねされて比較生産費論でやっつけられて苦労するから空洞化になる。しかし、観光はそういうことはないわけであります。しかも、日本から外国に行くいわゆるアウトバウンドの方々と、インバウンド、海外から日本に来られる方々のその差は、計算によって三倍から四倍ある。
 そういう意味では、観光というものは不況対策としても大変有効で、これから、日本で新しい産業を興すということがなかなか思うようにいかない今日、環境を整え、そしてホスピタリティーを育て、高コスト体質を改めることにもつながるし、いろんな意味で、日本のことをよく知ってもらって本当のことを言ってくれる友人がふえるという意味でも、観光産業を育てるということは大変重要である。
 こういう観点からお尋ねをいたしましたところ、内閣総理大臣は、全くそのとおりであるということで、外国からの観光客をたくさん誘致しようじゃないか、こういう御趣旨の答弁があったと承知をしております。
 扇大臣におかれましても、もちろん、このことに大変御熱心に取り組んでいただいているわけでありますから、当然同じことだろう、こういうふうに思うわけでありますが、実は大臣、私はもう少し余分なことを言わせていただきたい、こう思うわけであります。
 二〇〇〇年の国土交通省の資料によりますと、観光の収入というのは、この「二十一世紀のリーディング産業へ」という、社団法人日本ツーリズム産業団体連合会というところが国土交通省の監修を受けて発表している資料によりますと、我が国のツーリズムの消費額というのは二十二・六兆ある、こういうことであります。これは二〇〇〇年の数字であります。
 そこで、比較をする意味で、一九九一年のデータを探しまして調べましたら、二十兆円。二兆六千億ふえているんですね、この失われた十年の間で。そして、さらにもう少し数字を申し上げますと、付加価値といいますか、所得効果といっていいと思いますけれども、これが、一九九一年には九・六兆円であったものが、二〇〇〇年には十一・二兆円というふうにふえています。それから雇用効果は、百九十一万人であったものが百九十四万人と、この失業率が高どまりしている中で三万人も雇用はふえている。これは直接の効果であります。
 それから、波及効果ということになると、もう少しこれは膨らみまして、四十八・三兆円であったものが、何と二〇〇〇年には五十三・八兆円というふうに、率も額も伸びております。例えば雇用もふえているんですね、波及効果では。一九九一年、四百十万人であったものが、二〇〇〇年には四百二十二万二千人にふえている。こういうわけでございまして、観光産業は、厳しい中でも大変着実に伸びているということを申し上げたいというふうに思うわけであります。
 一方、受け取るお金でございますけれども、サービス貿易収入の中に対する国際旅行の収入だけを取り出してみても、これは一九九九年の資料でありますけれども、これは額ではなくて率でありますが、しかし、それにしても、ポルトガルは六二・〇%、スペインは六一・三%、中国も五九・五%、イタリアは四六・四%、オーストラリアが四三・七%、アメリカでさえ二九・六%であります。それに対して日本は五・七%。この資料の中でも、主要国の中で日本はここです、こんな最下位になっている、このデータの中では。
 つまり、何を申し上げたいかというと、伸びてはいるんだけれどもまだまだ伸ばす余地があるということを私は申し上げたいのであります。
 長々と申し上げましたけれども、まず、大臣の観光産業育成の御決意を伺いたいと思います。
扇国務大臣 先日来、予算委員会でも西川先生から観光産業の話が出てまいりました。きょうも朝から観光の話がこの委員会でも出ました。西川先生が国土交通省のこの資料、旅行産業の日本経済への貢献というこの資料も今御披露いただきました。
 私は、けさも申し上げました。第三次産業の中で観光産業の占める位置というのは重要性がある。きょう、どなたでしたか、午前中、観光局がないじゃないかというお話もありました。ですが、私は、観光局というものよりも何よりも、国土交通省としては日本の物流コストを下げたい。
 今、るる西川先生から数字を言われましたけれども、日本に来る外国のお客様がなぜ世界の中で三十六位なのか。それは、ホテルへ行ってステーキを食べたら、上等のステーキで一人二万円。びっくりしてひっくり返っちゃう。成田から東京都内のホテルまで、まず飛行機で成田へ着いて、タクシーに乗って都内のホテルへ着いた。タクシー料金を払おうと思って、メーターで初めて円を払う。それにプラスアルファ、高速道路料金。びっくりするんですね。そして、アメリカへ行って、先生も御存じのとおり、ステーキ・アンド・ロブスター、おなかいっぱい食べて、こんな大きなステーキが出てきて一人五千円が最高です。
 ですから、交通の料金の高さ、食料品の高さ、そういうものが、どうしても持ってきたお金が足りなくなるのが日本だ、だから日本へはうっかり行けないよ、こういう評判が立つということは私は一番是正しなければいけないので、国土交通省としては何としてもそれを下げたい。
 御記憶にあろうと思いますけれども、大阪の博覧会をしましたときに、観光協会が全部旧運輸省に陳情しまして、万博に来た人はチケットを出せばステーキを安く食べられる、ホテルも旅館も安く泊まれるということをしたんですね。そして、あれだけの外国の皆さんが喜んでくださった。それが、特別な博覧会だけではなくて、平時もそういうことが、パスポートを持って日本に入った人は安くできるということができるようにできないかと。それが日本に観光客を誘致する最大のガンになっていると私自身も感じておりますので、できるだけ是正していきたいと思っております。
西川(太)委員 おっしゃるとおりだろうと思います。高コスト体質を改善しなければいけないということは、これはもう大変重要なことであります。
 ついでに、別にひけらかすわけじゃありませんけれども、米国商務省も平成六年に観光部局を廃止してしまったんですね。だから、日本だけじゃないのでございますけれども、これは、アメリカも今、ニューヨークのテロ事件以来、ハワイに行く日本人の観光客は四割減りましたし、ニューヨークは一割減りましたから、日米のそういう観光の定期協議というものを復活させたい、こういうことでもございますから、ぜひひとつそれは、さきに質問をした方の御趣旨はわかりませんが、そういう努力を省としてお願いをしたいと私からも申し上げておきたいと思います。
 月原副大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、月原さんは防衛、警察行政にも非常に明るい方であって、この間私は不審船のことについてお尋ねをしたのでありますけれども、それはきょうはやめておいて、ワールドサッカーのことが非常に今心配されているわけですね。フーリガン対策をどうするかとか、いろいろ言われているわけですけれども、一方で外国からのお客さんは円滑に受け入れなきゃいけないということがあって、これはもう二律背反であるわけはないのであります。
 そのためには、いわゆる検疫だとか、それから出入国管理、関税、こういうCIQのシステムをやらなきゃいけない。これは法務省のお仕事であるとか財務省の仕事であることは重々承知していますが、やはり何といっても、発議をしてリードをしていくお役所として国土交通省の役割は大変重要だ、こう思うのであります。
 特に、さっき申しましたワールドカップサッカー大会に際してこうしたことを充実させていくということが必要だろうと存じますけれども、どんな姿勢でなさるのか、ぜひひとつ伺いたいと思います。
月原副大臣 西川先生から今お話がありましたが、当面ワールドカップの問題だと思いますが、これは、とにかく日本を訪れる外国人の旅行者が快適で円滑な観光をやっていただける、そのためのいろいろなことを考えにゃいかぬ。当面のワールドカップについては、韓国に対して実施しているビザの有効期間の延長とか、あるいはプレクリアランスの実施やCIQ体制の充実を図っていくために、関係省庁等に対して積極的に働きかけているところであります。
 そしてまた、ここに我が省の佐藤副大臣もおられますが、関係省庁の副大臣がチームをつくって、この問題について、観光という問題であるとともに、当面ワールドカップをどう乗り切っていくか、そして、このワールドカップに来られた方々が、日本はよかったな、もう一回来ぬといかぬな、またそういう声が広がっていく、そういうためにワールドカップに全力を尽くしたい、そしてその後、観光の方の大きなものにつなげていきたい、こういうふうに考えております。
 そして、表示等についても、来られた方々が安心して見られるような、いろいろなことを考えているところであります。
西川(太)委員 公共事業の問題がいろいろあって、三十兆枠をどうするとかいろいろございますけれども、私は、そういう中で、例えば成田空港が、ことしの四月ですか、平行滑走路が暫定とはいえ供用開始になる、このことがいわゆる観光に資するものは極めて大きいだろう、こう東京都民としても思っているわけであります。
 そこで、一方で公共事業問題もこれあり、なかなか悩ましいところでありますが、しかし、観光を伸ばすということであれば、関空もしかり、成田もしかり、そして羽田もしかり、こういうことになってくるんだろう、こう思います。
 これらのことについて、これはまあ、観光振興に果たしている役割というのは極めて大きいということはだれでもわかることでありますけれども、しかし、改めてこうした公式の場で、国土交通省は、国際空港という施設、これが観光事業にとってどういう位置づけであるのか、これも改めてお尋ねをしたい、こう思うのであります。意図するところは御理解いただけると思いますので、質問をさせていただきます。
扇国務大臣 西川先生にワールドカップサッカーのお話も出していただきました。
 世界で初めての韓国との共催、そういう意味では、世界に日本の対処が評価される、あるいは地に落ちるのか、評価していこうという機運が上がるのかどうかという、私は瀬戸際を迎えていると思います。
 そこに間に合うように、四月十八日、成田の二本目の滑走路の供用、そして羽田、チャーター便を受け入れよう、夜、週二本を七十便にして、昼間も十本入れよう、これも、御賛同いただきました十三年度二次補正予算でこれを拡張させていただいて、大至急で工事をさせていただいて、ワールドカップサッカーに間に合わせようというふうに努力をしております。それとても、やっとやっとというところでございまして。
 今回のワールドカップサッカー、日本は諸外国に比べて、ワールドカップサッカー、サッカーというものに対する熱意が後進なんですね。スポーツの中でワールドカップサッカーのファンというのは世界じゅうで一番人口が多いんです。そして、四十五万人の受け入れ体制はどうするか、先生が副大臣に御質問いただいたような受け入れ体制をどうするか、これも国土交通省が今、プレクリアランス方式というものを取り入れよう、またチャーター便からのバスもシャトルバスにしよう、あらゆる面で努力しておりますけれども、それとても、国際空港がもっと完備していればもっとよかったんです。ところが、成田も羽田も関空も、正直申し上げてまだ未完成空港でございます。完成しているとは思えません。
 御存じのとおり、ワールドカップサッカー、共催をして、第一戦の値段が百五十ドル、決勝戦は七百五十ドル、日本のお金で二万円、決勝戦は約九万になる。日本の決勝戦、売り切れて今百何万するそうです。それくらい世界から注目されているワールドカップサッカー。九万円の切符が百万を超えている。それぐらいのものを、私たちの対応によってそれが有効に運航できなかったということでは申しわけないということで、できる限りあるものを、成田も羽田も関空も、できるものを全部使って受け入れ体制を万全にしよう。でき得るならば、今後も皆さんの御協力、お知恵をいただきながら、未完成空港ではなくて、一日でも早く国際空港という名にふさわしい完成空港に仕上げるように努力していきたいと思っております。
西川(太)委員 今の御答弁は、例えば関空の二期工事などはやはりしっかりやろう、こういうことですね。うなずいておられるから、もう時間もないので、改めて答弁をいただかなくてもこれは確認できる、こう思っております。
 ところで、今お話があったとおり、やはりハブ空港をしっかり持たないと、だんだん日本はアジアの中で国際競争力を失うということにもなります。それから、それはもう、しかし、駐機料が高いよ、これも高コスト体質だよ、こういうことでもあろうと思います。ここらのところをぜひ改善をしていただきたい、こういうふうにお願いをしたいと思っております。
 いろいろと申し上げましたけれども、ぜひひとつ、観光事業を充実させるためには、そういう受け入れる町のファシリティーも充実しなきゃいけない、ホスピタリティーも育てなきゃいけない、飛行場もしっかり整備をしなきゃいけない、こういうことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
久保委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十二分散会


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