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第3号 平成14年3月15日(金曜日)

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平成十四年三月十五日(金曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 久保 哲司君
   理事 木村 隆秀君 理事 実川 幸夫君
   理事 橘 康太郎君 理事 林  幹雄君
   理事 古賀 一成君 理事 細川 律夫君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      赤城 徳彦君    小里 貞利君
      金子 恭之君    北村 誠吾君
      倉田 雅年君    近藤 基彦君
      菅  義偉君    高木  毅君
      高橋 一郎君    谷田 武彦君
      中馬 弘毅君    中本 太衛君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      森田 健作君    吉川 貴盛君
      阿久津幸彦君    井上 和雄君
      大谷 信盛君    今田 保典君
      樽床 伸二君    津川 祥吾君
      永井 英慈君    伴野  豊君
      平岡 秀夫君    前原 誠司君
      高木 陽介君    東  祥三君
      山岡 賢次君    大幡 基夫君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    保坂 展人君
      西川太一郎君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   国土交通大臣政務官    菅  義偉君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  山本繁太郎君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 角崎 利夫君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房官庁
   営繕部長)        春田 浩司君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省北海道局長) 林  延泰君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十五日
 辞任         補欠選任
  田中 和徳君     北村 誠吾君
  森田 健作君     金子 恭之君
  山岡 賢次君     東  祥三君
  日森 文尋君     原  陽子君
  二階 俊博君     西川太一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     近藤 基彦君
  北村 誠吾君     田中 和徳君
  東  祥三君     山岡 賢次君
  原  陽子君     日森 文尋君
  西川太一郎君     二階 俊博君
同日
 辞任         補欠選任
  近藤 基彦君     森田 健作君
    ―――――――――――――
三月十四日
 都市再開発法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
 都市再生特別措置法案(内閣提出第一二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 都市再開発法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
 都市再生特別措置法案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――
久保委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。
    ―――――――――――――
 都市再開発法等の一部を改正する法律案
 都市再生特別措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
扇国務大臣 おはようございます。
 ただいま議題となりました都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 都市は、我が国の活力の源泉でありますが、今日、慢性的な渋滞、緑やオープンスペースの不足など、多くの課題に直面いたしております。また、近年の急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に十分に対応できたものとなっていない状況にあります。
 このため、都市再生を図り、その魅力と国際競争力を高めることが、我が国の経済構造改革の一環として重要な課題となっております。そのためには、民間の資金やノウハウを都市の再生に振り向けることが不可欠です。
 こうした状況を踏まえ、民間の力が最大限に発揮できるよう、事業手法の改善充実を行うとともに、民間の都市開発事業の隘路となっている規制の見直し等を行う必要があります。そのため、都市再開発法等の一部を改正する法律案により都市再開発事業の施行者に新たに民間の事業主体の追加等を行うとともに、都市再生特別措置法案によって都市再生の拠点となる地域を定め、思い切った都市計画の特別措置や金融支援等を講じようとするものです。
 次に、その要旨を御説明申し上げます。
 まず、都市再開発法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一に、民間活力を活用した都市の再開発を推進するため、市街地再開発事業の施行者に、施行地区内の一定の土地所有者等の参画を得た株式会社または有限会社を追加することとしております。
 第二に、民間による土地の高度利用を実現する建築物の整備を推進するため、高度利用地区等をその施行地区に含む土地区画整理事業の事業計画において高度利用推進区を定め、土地の所有者の申し出に基づき、集約換地を行うことができることとしております。
 第三に、土地市場の低迷が続く中、土地の流動化と民間都市開発事業の推進を図るため、民間都市開発推進機構の土地取得業務に係る事業見込み地等の取得期限を三年間延長するとともに、都市の再開発のための資金調達を円滑化するため、一定の要件に該当する株式会社等が施行する市街地再開発事業、高度利用推進区を活用する土地区画整理事業に対する都市開発資金の無利子貸付制度を拡充すること等の措置を講ずることといたしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 次に、都市再生特別措置法案について申し上げます。
 第一に、都市の再生に関する施策を迅速かつ重点的に推進するため、内閣に、内閣総理大臣を都市再生本部長とする都市再生本部を設置することとしております。
 第二に、都市再生本部の作成した案に基づき、閣議において都市再生基本方針を決定するとともに、都市の再生の拠点となるべき都市再生緊急整備地域を政令で定めることとしております。
 第三に、都市再生本部が都市再生緊急整備地域に関する整備方針を定めることとしております。
 第四に、都市再生緊急整備地域における都市の再生に資する民間の都市開発事業に対する国土交通大臣の認定制度を創設するとともに、認定を受けた事業に関し、無利子貸し付け、出資、債務保証等の支援を行うことといたしております。
 第五に、都市再生緊急整備地域において、既存の用途地域等に基づく規制を適用除外とする都市再生特別地区を創設するとともに、民間事業者等による都市計画の提案制度等を創設することとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案の提案理由及びその要旨でございます。
 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げたいと存じます。ありがとうございました。
久保委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
久保委員長 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房官庁営繕部長春田浩司君、都市・地域整備局長澤井英一君、住宅局長三沢真君、北海道局長林延泰君、内閣官房内閣審議官山本繁太郎君及び外務省大臣官房審議官角崎利夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。
古賀(一)委員 きょうは、いよいよといいますか、国土交通省の今国会での目玉というか、画期的なというか、重要な法案が出たわけでございます。これについて、本当に重要な法案でございますので、審議時間をたっぷりとるべきだ、こう思っておりますが、これについては実は、大臣もそうでございますけれども、いわゆる鈴木問題の余波を受けまして、きのう調整に本当に苦労しましたし、きょうもまだ調整が残っております。そういうことで、大変年度末も近い、そういう中でこういう法案がきょう審議になることについて大変残念にも思いますけれども、我々としては、大変重要な法案であるので、しっかりとこの問題点を洗い出し、この都市再生が、きのうも本会議で伴野豊議員が申し上げましたけれども、いわゆる民間の都市開発に絡んで、また変な政治的な動き、そういうものの温床になる懸念もある、そういう面で本当に慎重な審議というものをぜひお願いしたいと思います。
 そこで、この法案とは直接は関係ございませんけれども、いわゆる鈴木喚問というものが終わって最初の委員会でもございます。この点については、公共工事契約についての所管でもございますし、やはり何としてでも政治家としてたださなきゃならぬということで、冒頭、まず外務省の支援委員会の方に質問をいたしたいと思います。
 これは、もう大変な事件の数でございまして、三日前、四日前にもらった民主党のまとめた資料では四十四件、まあよくも並んだものだと思いましたけれども、その後にもまた出てまいりまして、もう四十五件なのか六件なのかわからぬぐらいの問題が並べてございます。ここでは多くを申しませんけれども、いわゆる公共工事発注に絡む四件の問題について、この際はっきりと、当委員会で、どういう事実関係だったのかを外務省支援委員会の方にただしたいと思います。
 ムネオハウスということで有名になりました友好の家、あるいはディーゼル発電施設、そしてプレハブ診療所、俗称で呼んでおりますけれども、そして国後島桟橋改修工事、この四件で結構でございますけれども、要するに、入札期間あるいは入札資格の限定の事実、あわせて消費税の過払いの問題もございます。この四件について、今指摘しました主な項目について、どういう結果だったのかを、この場でも公式にはっきりと御説明をいただきたいと思います。
角崎政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のございました国後島の友好の家につきましては、入札公示日が平成十一年六月十二日及び十三日でございます。入札説明会が平成十一年六月十六日、入札日が平成十一年七月七日ということでございます。主な入札資格でございますが、北海道内に本社を有する者であって、気象条件が国後島に近似する根室管内において、類似施設建設工事の施工実績を十分に有する者であること等が入札資格になってございます。それから、入札形態につきましては、一般競争入札で結局共同企業体一社が入札をいたしまして、三回入札するも応札金額が予定価格を上回ったために、最終的には随意契約に移行いたしております。
 次に、国後島の桟橋改修でございますが、平成十年の二月七日入札公示日、二月十二日入札説明会、三月六日入札日となっておりまして、入札資格といたしましては、北海道内に本社、支店または営業所のいずれかを有する者、北海道東部周辺海域の気象、海象条件を熟知するとともに、同海域において海上工事の施工実績を十分に有する者といったようなことが資格となってございます。入札形態でございますが、公募型指名競争入札でございまして、四社が入札いたしてございます。
 次に、色丹島プレハブ診療所設置でございますが、入札公示日が平成七年七月二十四日、入札説明会が八月三日、入札日が八月九日。主な入札資格でございますが、北海道庁建設工事入札資格Aランクであること、札幌、根室または釧路に本社または出張所を有すること、寒冷地仕様のプレハブ施設建設の経験を有することといったことが主な入札資格でございます。一般競争入札を行いまして、三社が応札いたしております。
 それから、ディーゼル発電施設でございますが、択捉島のものは、平成十一年二月八日入札公示日、二月十日入札説明会、三月十六日入札日でございます。それから、主な入札資格につきましては、旧ソ連邦諸国に、現地政府に登録済みの支店または営業所を有していること、過去三年間に旧ソ連邦諸国に輸出実績があること、北海道内に本社、支店または営業所のいずれかを有することということが条件になってございます。一般競争入札を行いまして、三社が応札いたしております。
 それから、色丹島のディーゼル発電施設でございますが、入札公示日が平成十一年一月五日、入札説明会が一月八日、入札日が二月五日。そのほか、入札資格、入札形態は、択捉島ディーゼル発電施設と同様でございます。
 国後島のディーゼル発電施設でございますが、入札公示日が平成十二年三月六日及び八日、入札説明会が三月八日、入札日が三月三十一日となってございます。入札資格でございますが、択捉島のものと同様でございます。入札形態も、それから応札企業の数も、択捉島のディーゼル発電施設と同様でございます。
 それから、入札への鈴木議員の関与でございますが、友好の家の建設に関しましては、北方四島支援に関する調査報告書によれば、鈴木議員は、入札参加資格決定に深く関与したというふうに結論づけられております。また、国後島の桟橋改修に関しましても、同様でございます。色丹島のプレハブ診療所設置に関しましては、鈴木議員の関与は、確認されておりません。ディーゼル発電施設に関しましても、鈴木議員の関与は、確認されなかったということでございます。
 消費税の過払いにつきましては、これは工事案件については支払われてございます。過って支払われました消費税につきましては、支援委員会事務局は、弁護士や国税庁の助言も得つつ、各請負業者に対しまして返還請求を行う方向で検討いたしておりまして、適切な対応がとられるよう外務省としても全力を尽くす考えでございます。
古賀(一)委員 きのうの質問通告のときに、私の方で関心事項を申し上げたことを、そのとおりといいますか、きちっと御説明いただきました。
 本件について、これを詳しくああだこうだ言う気はもうございませんが、これは都市再生法二法が終わった後、やはり公共工事に関することでもあり、今後当委員会としても一般質疑の中で、そこにおける問題点を洗い出す質疑というものをぜひやりたいと思いますので、理事会の話でありましょうけれども、この場でも私からそう申し上げておきたいと思います。
 そこで、せっかく外務省に来ていただいたので、今の説明だけで帰ってもらうのももったいないので、私は一つ感想を申し上げます。
 実は私は、もともとは建設省におったのですが、二十五歳のときに外務省に出向いたしまして、国連局というところにいました。そのとき、もう名前は申し上げませんけれども、まさに会計法の問題で、外務省というのは何でこんなに会計に疎いというか、会計法の存在すら、もう要するに、本当にいいかげんということで、私は当時の上司とけんかをいたしました。それがざっと二十八、九年前でありますから、外務省の食糧費の問題、機密費の問題がございましたけれども、そして今度は、鈴木さんも大変悪いわけでありますけれども、その相手方である外務省も、それだけ知識不足、経験不足あるいは態勢不足というものが本当に、もうあのころからあったと思うんですね。これは、私は掘り出せばもっとあると思うんですよ。
 したがって、こういう国会の場で、他の委員会で、こういう鋭い、昔からあったという指摘があったことをぜひ本省に戻って言っていただきたいし、この鈴木問題が、あらしが終わったからほっとするのじゃなくて、まさに外務省における官房機能、とりわけ会計機能、これについての徹底見直しというものを今後やらなければ、これは必ずまた起こる問題だと、私は厳しく申し上げておきたいと思います。
 それで、この点について、今申し上げましたように、今後の審議に期待しまして、扇大臣の所感もお聞きしようかと思ったのですが、これはもう省略をいたしまして、次に移りたいと思います。
 なぜこの鈴木問題をあえて言ったかというと、もちろんこの問題が大問題で、この委員会に絡むということもさることながら、この都市再生法も、今からるる申し上げますし、同僚議員も質問すると思うのでありますけれども、ある面では大変画期的でありますけれども、大都市圏に限定された大手事業者によるプロジェクト開発のにおいがぷんぷんするのですね。それが非常に際立って見える。そうなると、北海道のあんな寒いところの桟橋工事でこんなことが起こったわけでありまして、大都市圏における、高収益が見返りとして考えられるようなこういう再生事業については、まさに今度起こった問題の温床になる可能性もあるというようなこともあって、私は冒頭に質疑する価値があるだろうと思ってしたわけでございます。その趣旨を再度申し上げまして、質問に入りたいと思います。
 それで、国土交通大臣、扇大臣にお聞きしたいわけであります。
 今度、都市計画の抜本的な仕組みと言ってもいい新たな仕組みが、一部地域でありますけれども組み込まれたわけでありますけれども、私は、この法案の説明を聞いておりまして、では、都市計画、もっと大きな、高齢化社会で都市というもの全体をどう持っていこうとしているのか、都市の今抱えている問題は本当は何なのか。そして、都市再生というのは、都市の一部、ある一部のところを高層ビル化すれば解決する問題ではないと思うんです。都市の再生の概念というものは本当に何であろうか、そこをこの法案は深く考えて出したのではなく、民間の血を入れて、一部地域に、政令で指定した地域にランドタワーがぼんと建つ、ツインタワーができて、人工島ができて、何か景気のいい地区ができるのではないかというイメージを、私はどうしてもこれは感ずるんですね。
 そこで、私自身は、もっと大きい都市計画の長期的なデザインというか、問題点の認識というか、そういうものがあってこの法律というものがあるべきだろうと思うのでありますけれども、その点について、大臣、この法案についてのそういう意味での所見というものを何かお持ちでありましょうか、お聞きしたいと思います。
扇国務大臣 古賀一成議員の御指摘は大変大事なところでございますし、今、日本の中に世界の中で国際都市と言われる資格のあるものがどれだけあるか、そういうこと自体も私は大いに問題になっていると思います。
 例えて例を挙げますと、東京で国際会議というものがどれくらい開かれたかということを考えますと、現段階で国際会議の開催件数、東京でやっと世界の三十三位なんです。アメリカの経済誌で、ビジネスに適した都市、そういうランキングをつけてございます。その中で、東京は世界では第十位、アジアではシンガポールや香港よりも低い評価がされているわけでございます。シンガポールが一位で香港が六位、東京が十位でございます。国際会議は、今申しましたように三十三位。
 そして、観光客の落としていくお金一つ見ても、日本が国際的にいかに評価されているかということの実例として、日本人が海外へ行って使うお金、それは世界の三位なんです。ところが、外国客が日本へ来て落とすお金、これは二十三位。今の世界情勢の中で、観光というものも第三次産業の中の主要な基幹産業となりつつあります。そういう意味で、果たして日本が二十一世紀、国際都市として世界に誇る日本を評価されるかどうか、そういうことがすべての基本にかかわってくる。経済の空洞化もしかり、産業の空洞化もしかり、観光の空洞化もしかり、空港の空洞化もしかり、あらゆることがこの原点になるわけですね。
 そういう意味で、先生が冒頭におっしゃいました公共工事、これもあまねく平等に満遍なくと。高度成長のときはすべてが上向きでよかったけれども、今や限られた予算の中で、世界に冠たる日本として生きていくためにはどこに集中投資をして、国際都市としてどこに欠陥があるのか、それを補完していかなければ、二十一世紀、日本は後進国になり得るのではないか。これでは子供や孫に私たちは申しわけない。そのためには、日本の国土のグランドデザインというものをつくって、二十一世紀に、世界に対応できる日本を、あらゆる、産業、経済面あるいは観光面でも立ち行くような、そういう都市にあるいは国に再生しなければならないときが現段階であるということで、今回は大変思い切った法案を提出させていただいたというのが基本でございます。
古賀(一)委員 今大臣、国際化といいますか、あるいはグローバルな視点の中での東京でありましょうけれども、それの機能低下というかそういうものを指摘になりました。でも、私はそれだけではないんだろうと思うんですね。
 本当に今問われているのは、後ほど申し上げますけれども、地方都市も含めた、もちろん大都市も入りますけれども、都市とは本当にいかにあるべきかというものを、超高齢化社会、超少子化社会を前に、やはり政府が、これからはこういう都市圏にし、都市の中心市街地はこういう機能を持った都市に集約していこうという大きな流れを言うべきときだと私は思うんですよ。今、国際化の中でのお話はよくわかります。しかし、それはもうごく一部だと思うんです。
 それについて、まず大きく言えば、本当は過密過疎の問題があるんですよね。実は今度の法律の組み立て方というものは、国土の均衡ある発展という視点はここに全くないわけでありますけれども、本当は今それが問われている。その中で、都市圏はどうだ、地方も含めた都市はどうあるべきかという議論があるべきなのであります。
 説明によると、いわゆる安全性、ゆとり、潤いに欠ける市街地があるではないか、既存経済ストックの陳腐化が進んでいるじゃないか、国際競争力の低下を憂える、少子高齢化社会への対応、そして中心市街地の空洞化がある、だからすぐに、この後に民間の創意工夫を使おう、協議、調整の透明性の確保を図ろう、時間リスクの軽減を図ろう、民間投資資金の誘導を図ろう、こうなっているんですけれども、我々国民が聞いて、ではどういう都市なんですかという、いわゆる住む人間、国民にとっての都市のイメージというのはまだここにないんですね。私は、民間資本が参画して積極的にやっていく上でも、むしろ政府がそういう都市の具体的な、国民にとってわかるビジョンというものをこの都市再生法を機にもっと強烈に発信することが、この法律のいわば魂が入るといいますか、そういうことにもつながると思うんです。それが結局、一部の地域を指定してここに民活を入れる、民間の創意工夫をする、都市計画をいわば白紙にするという手法で、その全体のシナリオがここに欠落しておるということが、大変もったいないというか、残念なんですね。
 ただ、これは法律の組み立て方も絡んでくるんですけれども、今後民間ディベロッパーあるいは後ほど申し上げる地方自治体、地方自治体にこの法律は本当に使い勝手があると思わせるためにも、私は、この具体的姿というものをもっとはっきりと、むしろ前面に出していくべきだと思うんです。これは、ぜひ役所の方でというか、国土交通省の方で真剣に受けとめていただきたい、私はこう思います。
 その中でもう一つ、ちょっと概念的なことでありますが、せっかくの機会なのでお聞かせいただきますけれども、都市の再生という概念を、法律の名前にも書いてあるわけでありますけれども、これはもう少し詳しくお聞かせをいただきたいと思います。
 先ほど言いましたように、この法律から見る限り、都市の再生と言いながら、どうも大都市圏における一部地域を線引きして、ここについて高度な、容積率を緩和した、あるいはいろいろな規制を取っ払った、民間主導による町をつくる。ランドタワーがぼんと建って、そういうイメージでこの法律の組み立て方はとらえられるわけですけれども、それが都市の再生なんだろうかということを痛切に思うんです。
 国民から見た今の都市問題、それはどういうことかといえば、私はこう思うんです。私も世界じゅうの都市を大分見ましたけれども、直径が百キロを優に超える都市というのは世界にないですよ。西は八王子か高尾かわかりませんけれども、あそこから都心を通って千葉からさらに向こうへ、東西に市街地が広がっております。南北もそうであります。
 私は、そこで、いわゆる都市、本当の意味での都市のグランドデザイン、これから日本の都市あるいは大東京という都市圏はこう持っていくという長期シナリオを国が発しなかったから、結局、持ち家主義、持ち家を持っておかぬといかぬと。一方で土地神話もあった、一方で高度経済成長もあった。みんな結局家を買って、私も実は多摩地区に役人のころ買っていたのです、選挙で売っちゃいましたけれども。それで、その人たちが、三千万、五千万の借金をして、家を買ったのです。ここにもたくさんおられるんじゃないですか、役所の方で。その人たちが、今、まさかの低成長、まさかのリストラ、まさかの土地神話崩壊ということで、五千万借金して、実は五十になってまさかのリストラを受けた、四十代で受けた。こういう中で、持ち家主義がそれだけ広がった中で、実は今サラリーマンのとんでもない不安と、場合によっては現実化した不幸というものがあるんですね。
 だから、これからの、とりわけ高齢化社会になるわけでありますから、むしろコンパクトな都市、そういうものに、賃貸住宅を中心に、五千万、六千万も借金せずに、将来も安心して、自分たちはライフステージに応じて賃貸が借りられるというような、そういう都市をつくっていくのだとか、そういう都市再生のダイナミックなイメージというものが私はこの際ぜひ必要だろうと思うんです。
 そういう面で、私は、この法律は、哲学というか、あるいは理念というかストーリーというか、そういうものに欠けると思うんですが、その点、大臣、ひとつ改善の方向はございませんでしょうか。
扇国務大臣 私どもは、今回この法案を改正しますことによって、あらゆるところから英知を結集したつもりでございます。
 それは、今の日本の現状、古賀議員が指摘なさいましたように、一時、バブル期、余りにも土地が上がって、郊外にドーナツ現象で、持ち家制度というものがありましたから、これが理想でしたから、みんな近郊に家を持ち、土地つきの一軒家を取得した、それがあの当時の現象だったと思います。
 ところが、実際に住んでみると、通勤時間に一時間かかる、一時間半かかる。そして、都市の真ん中は高齢化社会で、御存じのとおり、二〇五〇年、女性の寿命を言っちゃ申しわけないですけれども、平均寿命が九十歳。しかも、地方へ行けば行くほど老齢化が進んでいる。そうすると、子供たちは会いに行くにも時間がかかる。ふだんは通勤時間に労力を費やす、家庭の団らんはない、そういう現象が二十世紀後半に固まって出てきたわけです。
 ただ、二十一世紀、年がかわりますと、みんなはそれに気がつき出して、通勤時間に労力をなくし、そして家庭団らんをなくし、高齢化時代に両親を見ることもできない、そういうことで、やはり日本に適した政策は必要である。そこで、住勤接近型、近いところに住んで、そして通勤距離分は節約して、仕事も家庭団らんも持てるようにしよう。しかも、あらゆるところにバブルの跡が残って虫食い状態になっている。それが安全ということに関しては大変不安定な時代になっている。覚えていらっしゃると思いますけれども、あの名古屋の集中豪雨がありました。都市に集中したために、あっという間に六千戸が水浸しになってしまった、生活機能が不能になった。そういうことを考えれば、交通整理をしなければいけない。
 一つ例を挙げますと、東京都の都市計画というものが昭和二十一年にできながら、今日まで五十年たってどれくらいできているかといったら、五五%しか達成できていないのですね。それでは、車の数と道路の整備と都市というものの通行の仕方、しかもこの飽和状態でドーナツ現象になりましたから、東京都内を通過する車、一五%はただ通過しているだけである。高速道路が込むのも、通過地点になっている。それは、都市計画とか近隣の衛星都市とのこのアクセスの引き方が時間がかかり過ぎている。あらゆることで、大都市も中都市も地方も、これが連携しない日本の構造になってしまった。それが現実である。
 そういう意味で、今見直して、そして、私はなぜ区画整理の特区にするかというのは、その中に、住まいの近くに、必ず老人ホームも、そして幼児の保育所も全部そのエリアの中に設置すること、そういうことを今回はしていきたい。働く女性も多くなります。今はそれらが、保育所は厚生省、何とかはと、みんな縦割りになっていて、そのエリアの中で許可が出ない。ですから、そういう意味で、今回はこういうことを――今までは、決めたことが、今都市計画を申しましたように、五十年かかってもできていないというのでは困る、スピードアップをしよう、そういうことで、あらゆることがあるので答え切れませんけれども、そういうことを基本に、今回は思い切った改革に手をつけて、今までは官が主導しましたけれども、民間の意見も入れていこう、そういうことで、金銭面だけではなくて、お互いの知恵を出し合うということが今回の基本になっているということでございます。
古賀(一)委員 今大臣から、特区という新たな名称も出ました。それはそれでいいのですが、その中で、老人ホーム、託児所、そういうものを配置する、これは法案の中でそうは読み込めないのですが、これは本当に重要なものですよ、これだけじゃないのですけれどもね。そういうイメージというか方向づけをはっきりと今大臣から答弁がありましたから、私はそれをそのまま、そういう理念を持っているということをとりあえずここで了承いたしますし喜びますけれども、それはしっかりそういう方向で今後法律を改正してもらいたいという気もするんですよ、修正を。あといろいろ手だてもあるでしょうけれども、その部分は非常に重要なこととして承りました。
 次に、問題は、私、この法案の最大の問題じゃないかと思うんですが、都市再生法の適用範囲ですよね。地域について、大都市圏、いわゆる法律で定める大都市圏じゃないとだめとか書いていませんが、説明文書によれば、県庁所在地等、こう書いてあるんですね。
 ところが、今の都市の問題というのは東京の問題だけじゃないんです。むしろ、高齢化とか空洞化とか、あるいはいろいろな医療、福祉施設というものが拡散したことによる不便性とか、あるいは核家族化とか介護の問題とか、そういうものは東京よりもはるかに地方の方が既にその問題が強く出ている、私はこう認識しています。
 私も毎週地域に帰りますし、一方で、シャッターが半分近くおりた商店街が私の地域にもたくさんあるんです。ちなみに、私は福岡県でございまして、人口が五百万いると言われる大きい県ではありますけれども、五万、十万都市に行けば、実際は商店街が三分の一はシャッターがおりている、もう空洞化している、そういう状況なんですね。
 それで、このスキームというものは、一ヘクタールの整備区域で新たな仕組みをやろうではないか、こうなっておるんですが、まさに五万都市の、中小都市の今言ったような商店街、ここが、古い、もう息子も東京に出て後を継がない、しかし、先祖からもらった土地だから再開発にも区画整理にも応じない、こういう中で本当に悩んでいるわけです。
 私は、この都市再生の新たなスキームこそ、民間、地域の住民ですよ、地権者です、商店街です、あるいはまちづくりNPOです、こういう人たちが、むしろ、じゃ都市計画を、法制についてそこまで国が緩和するならば考えようじゃないかということのアイデアが出て、地域が活性化しているのは、私はこの地方都市だと思うんですね。
 これについて、私は、この法律を読む限り、総理大臣が本部長で、地域も国が政令指定するとか、この手続を見る限り、何か地方都市のにおいが全然してこない。それは本当に私はおかしいと思うんですね。むしろ、地方都市をモデルにそういうものを起こして、じゃ東京でも考えろというぐらいの逆転した発想でも私はいいと思うんですね。
 その点、この都市再生法、今後出てくる基準法であるとか再開発法の方はあるんでしょうけれども、この再生法そのものについて、いわゆる適用の範囲というものをここではっきりと、地方都市を含むということを確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 今回初めて適用されるものですから、法律の解釈、これは皆さんにぜひ徹底していただきたいし、また御理解いただいて協力していただくためにも、明快にしておかなければならないことだと思っております。
 そして、この都市再生の地域の指定の考え方というのは、法令上の要件というもののところを見ていただいたらわかるんですけれども、法令上の要件で、大都市地域といったエリア的な要件は存しない。また、上記一というのは、後で言いますけれども、上記一に該当する地域であれば、地方都市においても地域指定の可能性が存すると。私は、これを理解していただければ、今まさに先生がおっしゃった、大都市だけではないんだ、地方に適用されないのかという御質問に対しては、このことがはっきりと言われておりますし、また総理の御指示が、十三年の十二月の十四日、昨年でございましたけれども、民間都市再生促進のための緊急措置についてということで総理が発言なすっています、これは本部長でございますから。その本部長の言葉の中にも、対象は大都市から県庁所在地都市等まで、等と書いてありまして、上記のように、総理指示においても、大都市のみに限定することとはされていないと明記してございます。
 今おっしゃったように、地方の中都市、小都市に至っては、商店街のシャッターがおりているというのも現実でございます。けれども、周りの商店街は、商店街全部でどうしたらいいかという知恵と資金とノウハウが足りないというところもたくさんございます。ですから、まずシャッターのおりているところを託児所にしたらどうとか、いろいろな意見を閣議でも交わしました。そういう意味では、これは、今回の場合は大都市に限らない、地方も入るんだということだけは明快にお答えしておきたいと思います。
古賀(一)委員 今の大臣の答弁で、等の中に入る、こうなんですが、等と書いてあれば入るんでしょう。でも、それでは、実際のところ、この法律が施行されまして、東京で動いていく。でも地方の人たちは、実際はこの動きには乗っていけないと私は思うんですよ、今の説明だけでは。だって、大都市圏と県庁所在地等と書いてあって、聞かれれば、その中に、等は田舎の中小都市も入りますよというぐらいの程度だと、この法律で仕組まれた一定の手続がずらっとあるわけですね、これに追いついていけないと思うんです。
 むしろ私は、今言ったように、聞かれれば、等の中に地方都市は入っていますよという、そういう発想ではなくて、むしろ、地方頑張れ、こういう新しいメニューを設けた、だから、地方こそ一つの自分たちの民間の知恵で新しいデザインによるそういう案を持ってこい、それがスタートだということをもっとはっきり言わない限り、この法律は、いわゆるできレースと言ったら失礼かもしれませんけれども、こういう動きを知っている大都市圏における大手ディベロッパーを中心に、それでちょんになるということに私は帰結すると思うんですね。それはいかにも、先ほど言いました国土の均衡ある発展、あるいは地方都市の今の現状というものから見て、私は惜しいと思うんですよ。
 私、これと全く同じ案件で、この十年間陳情を受けた話が実はあるんです。これは一回この前にも申し上げましたけれども、私の地元に大川という町があるんです。扇大臣よく御存じだと思います、家具の町。家具不況あるいは全体的な不況の中で、大手の東京の問屋が倒産した、結局回り回って、自分たちはこつこつと今までの仕事をやっていたんだけれども、結局資金繰りがつかない。何と数十人の方が首をつっているんですよ。本当に気の毒。家族の方は、うちのお父さんが首をつるんじゃないかと思って、横の部屋で寝ずに番をしているという話まであるんです。
 商店街も、相変わらずというか本当にゴーストタウンのようになっているんです。こういうところに実は新しいまちづくりをしようということで、ある、これは通産省の関係のいわゆる融資事業が始まって、できたんです。これをもっと拡大したいと。ところが、いいものは小さい区画にできたけれども、あとの、もっと広がりを持った、町の中心市街地の区画整理となると、先ほど言いましたように、いやもう、私の息子は東京におる、私ももう年で、こんな新しい、減歩までされて家を建てかえるなんということをもうしたくないというような話が全国にあると思うんですよ。
 そこに、実は、先ほど言ったように、託児所もできます、土地を放せば、商法の原則なんかにこだわらず、かなり高いビルができて、結構安く、安くなくてもいい、あなた地権者だから、トイレもふろも要するに新しい高規格の介護システムを組み込んだ、今よりも広い立派ないわゆる集合住宅に入れますよといったときに、それは民間の知恵だと思うんですよ、それをディベロッパーが提示していったときに、地方都市におけるそういう区画整理あるいは再開発というものが一気に私は進んでいくと思うんです。
 その提示がなく、今までどおりの区画整理事業でこだわっているから、結局、土地は放さない、もう年だから、息子も帰ってこないから反対だということで、全国の再開発あるいは区画整理事業というものは、特にお年寄りの反対で立ち往生していると思うんですね。だから、そこにこの都市再生の事業を組み込んで、民間の知恵で、むしろ、役所では提示できない新しいメニューを地権者に提示することによって一気に区画整理というものが進むのではないか、それこそがこの都市再生法の、日本全国に広がりを持つ、物すごく重要な役割だと私は思うのです。
 それで、これは今の大臣の、等に入りますということではなしに、私は、もっとはっきり、もっと前面にこの考え方というのを押し出してほしいと思うのですが、その点もう一度、大臣。
扇国務大臣 古賀議員はもともと建設省にお入りになって、その件に関しては理想もお持ちでしょうし、また、そういうノウハウをこういう委員会でお互いに披瀝し合ってよりよいものにしていくという有意義な御意見だろうと私は思っております。
 けれども、私は、今回の法案によります都市再生の緊急整備地域、これは、民間の主導によって都市再生の拠点となる市街地の整備を緊急かつ重点的にやるということで、これは政令で定められるものとなっております。ですから、その政令で定められるものであるときに、大都市の地域といった、よりエリア的な要件はありません。そういう意味で、地方都市についてもこれは指定が可能ですから、そういう意味だけはこの国会の中できちんと御答弁申し上げ、今おっしゃった意味がこの政令の中で生かされるということも確実に御返答申し上げておきたいと思います。
古賀(一)委員 これ以上申し上げませんが、わかりました。
 そういうことで、私どもとしては、この法律を読みながら、そういう、地方における都市を想像しながら、大変期待をいたしておると申し上げて、次の質問に移ります。
 これは法律の改正提案になりますので、なかなかいい答弁は得られないかもしれませんが、今言いましたように、この法律は、本部における地域の指定から始まりまして、例によってというか、いわゆる中央の方で次々に指定をする、方針をつくっていくというスキームがやはり相変わらず残っているのですね。最終的なところで民間の創意工夫というなら、この際、むしろそこをスタートにして、地域あるいは民間から、我が町のここをこうしたい、それを上に上げてきて、これはよさそうだと。県には、では各県五本くらい、それでその都市計画を一部白紙化していくそういう権限というか、与えようという、逆に、ボトムアップの方が地方も都市も住民も国民も絶対生き生きとしてくると思うのですね。民主党の案にはまだなっていませんけれども、私なりの構想を書いた中で、それが決め手だろうと私は思っております。
 それについて、これは法律の組み立て方が違ってくるわけでありますけれども、むしろ、もっと徹底したそういう民間の提案、地域における提案をベースにこの再生法、そこをスタート台に組み立てていくという仕組みの方がいいのではないかと提言を申し上げますけれども、大臣、その意見に対して御意見ございませんか。
扇国務大臣 今回の法案はまさにそこでございまして、今までは、民間の意見を聞きなんていう、あるいは民間が主導というようなことはかつてなかったことでございます。それが、今回は初めて、民間の主導によるということが都市再生本部の中で明示されております。
 それと、私が申し上げたいことは、今おっしゃいました中で、民間の主導によって地域の意見をとおっしゃいましたけれども、御存じのとおり、四省庁統合して国土交通省になりました。それで、国土交通省が余りにも、運輸局、地方整備局、全国に分散しておりますので、全国を十のブロックに分けて、各十ブロックで、知事さん、政令指定都市の市長さん、そして財界人等々で懇談会を全国につくっております。そしてまず、公共工事の順序のあり方、そういうものも全部地方懇談会から意見を出していただいて、それを取り上げようというのが国土交通省の姿勢でございます。
 まして、今回の都市再生本部というのは国土交通省のかつての職員が多く事務局に入っておりまして、地方懇談会の、地方から公共工事の順序、どこに集中的にお金を入れるか、どれをこのブロックでするかという、十のブロックで、四県から五県の知事さんもお入りになっています、一つのブロックに。ですから、九州は九州全体で一つのブロックになりました。福岡に知事さん全員にお集まりいただきました。
 そういうふうに、国土交通省としては、統合した結果、全国の地域の声を吸い上げる、地域からボトムアップしていく、そういう方法をとるようにしましたので、今おっしゃいました都市再生本部においてもこの方式は国土交通省としては大いに出していき、またそれを主導していくという立場にあれば、私も副本部長ですから大いに発言させていただきたいと思いますので、今の古賀議員の御提案、御指示、お互いの考え方等々、生かしていけるようにしたいと思っております。
古賀(一)委員 それでは次に移りますけれども、私の意見、今後生かしていただけるというふうに受けとめましたので、ついでにいろいろなことを申し上げたいと思うのです。
 きょう、内閣審議官の方にも来ていただいておりますけれども、都市再生について、我々民主党で、森ビルのやっておられます、あの六本木の再開発地域を見てまいりました。実は森ビルさんは上海の浦東の開発に関係しておられます。実は、私は浦東は今まで何回行ったかわからないぐらい行っておりまして、最初七、八年前に行ったあの荒れ地が、大げさに言えばもう半年ごとといいますか、変わっていくさまを見て、本当に驚いているわけであります。内閣審議官山本繁太郎さん、この前、上海に行かれたという、視察に行かれたといううわさも聞きますけれども、ひとつ御感想をここで述べていただければと思います、何を学んだかということで。
山本政府参考人 先週末に上海を見てきたことは事実でございますけれども、プライベートに行ってきたわけでございますので、まことに異例の御質問ではございますけれども、委員長のお許しを得て、感じたことを正直に申し上げます。
 端的に、印象を受けましたのは三点でございます。それは、都市開発のスケールといいますか規模、スピード、それからそれを進める情熱、熱意といいますか熱気ですね、この三点に非常に印象を受けたわけであります。
 地元の方に聞きますと、現在の上海の人口規模、千六百万。レジスターといいますか、戸籍を持っている人口が千三百万、実態は千六百万人。これが二〇一〇年までに五割ふえて二千四百万になる、八年間で八百万ふえる、年平均で百万ふえるということを想定しているということであります。
 我が国の都市の発展段階に引き比べて考えてみますと、ちょうどオリンピックまでの十年間の、昭和三十年代の、都市に対する人口、三圏への集中に匹敵するという状況なのかなと思いました。ただ、その規模、スケールとスピードが違うというふうに感じます。
 ただ、現地の方々のこの仕事に取り組む姿勢を見てみますと、最初の都市化は西ヨーロッパとか北米で起きたわけですけれども、続いて我が国日本がその都市化を経験しておりますけれども、西ヨーロッパ、北米それから我が国の都市の集中におけるいろいろな失敗は絶対に繰り返さないぞという意識で、一言で言うと、後発優位といいますか、先進、先に進んだ人たちの失敗は繰り返さないという考え方で取り組んでおられるのかなと思います。
 その端的な例が、例えば自動車交通でありますけれども、我々の昭和三十年代の頭を考えてみますとそうですけれども、自動車交通が普遍化する直前の段階であります。その段階で、例えば上海ですと、旧市街地で東西南北の自動車専用道路を完成させ、中央環状道路に相当する部分も完成させ、外郭環状道路の半分までを完成させて、一両年中にこれをすべて完成させるというような意気込みで取り組んでおられるというあたりが非常に印象的でした。
古賀(一)委員 今、審議官の方から、スケール、スピードと情熱という言葉がありました。私も全くそうなんですね。
 ところが、それだけではない部分をせっかくですから申し上げたいと思うんですが、まず、あそこだって、土地の所有権は国にあるんですけれども、いわゆる居住権というのはあるんですね。私も三度四度、いわば行政顧問みたいなお話で、一円ももらっていないんですけれども、何度も足を運んで、時には専門家である建設省の方とも行きました。高速道路計画とか駐車場政策、全部やっちゃうんですね、彼らは。
 その中で、本当に多くのことを勉強しましたけれども、まず一番大きいことから言いますと、先ほど言いました、本当に大きい都市デザインがあるとともに、国家デザインがあるんです。ざっと七、八年前の浦東が始まったころ、要するに、何であなたたちはやるんだと言ったときに、上海の副市長、お役所の方が言うんですね。いや、古賀さん、これは単に上海の開発ではないんだ、揚子江を中国に横たわる竜と例えたときに、我々上海が竜の頭なんだ、その最先端に浦東がある、ここで、いわゆる貿易特区もある、ITの産業もある、いわゆるグローバル化もある、この最先端の実験を、挑戦を、まあシンセンで一回やったんですけれども、それで成功すると見たんでしょう、この上海でアジアの大拠点としての浦東開発をすることによって、竜に目が入り、この竜はいずれこの成功の経験を持って、奥地へ、西へと行くんだと言うんですよ。まあ中国らしい、また壮大な物の言い方をするなと思ったけれども、それを真顔で言うんですね。
 だから結局、最初僕が言ったように、国家デザインというか、日本をどうする、都市というものをどうしていくんだという、それほどの大きいシナリオを持って都市再生というものに取りかからないと、もうあの中国のそういう、今西部開発を始めているんですけれども、それにのみ込まれるだろうし、先進国として日本がもう圧倒されるんじゃないかということで、この点は強く、そういう国家デザインをもっとたくましく言ってほしいということを私は申し上げたかったんです。
 それで、もう一点申し上げますと、行政の件ですけれども、いや本当に大した、やはり時代を読む目があると思うんですね。上海は中国で一番高齢化社会の進展度が高いです。これに対して都市をどうしようかと、本当に市長が、あるいは副市長が真剣に考えています。やはりそういう大きいシナリオを、国土交通省は大きくなりましたから、そこまで踏み込んだ都市開発あるいは国土構造論というものをやらないと、もう日本は元気出ませんよ。
 そういうことで、あえて上海の話を聞いたわけでありますけれども、そういう点から見ると、私は、この手続について非常に、もう多くを申しませんけれども、先ほど言いましたように、都市再生基本方針であるとかそういったところは、ちまちまとし過ぎていて、今までの法制の枠組みにとらわれ過ぎていると思うんですけれども、ここら辺をもう一回見直すおつもりないですか。
澤井政府参考人 先ほど来、さまざまな御議論が展開されております。
 この法律につきましては、先生も御承知のとおり、都市再生全体の基本方針を決めて、その中で特に今緊急に整備を進めるというところについて地域を指定して、地域ごとに方針を決めてやっていく、こういうのが基本スキームでございます。この最初に決める都市再生の基本方針の中で、まさに国際化あるいは高度情報化、少子高齢化といった今後の大きな流れを踏まえた新しい二十一世紀の都市をつくっていくという理念が明確にされますとともに、実際に法律事項で定められている道具立てといたしましては、民間の力で大きく都市をつくり直していくというために必要な道具立てを特に法律事項として規定しているというのが基本スキームでございます。
 その中で先ほど来仰せの福祉の観点あるいは国際化の観点等々を方針の中で定めて、しかもその道具立てが有効に使えるという場合にこれを活用していくということでございまして、例えば地方の議論、これはもちろん法律上そのエリアの限定はございませんが、ほかにも、例えば今同時に御審議いただいております区画整理の高度利用推進区という仕組みとか、民間事業者のノウハウを正面から活用した再開発の新しい施行主体の手法ですとか、いろいろなものを駆使することによって、先生仰せのような今後の方向というのが十分に切り開いていけるのではないかというふうに考えている次第でございます。
古賀(一)委員 それでは最後に聞きますけれども、澤井局長に聞きますけれども、二十一条ですね。いわゆる民間都市再生事業計画というものの認定の問題でありますけれども、これは、いわゆる民間都市再生事業計画が市街地整備を緊急に推進する上で効果的である場合には、地方公共団体の意見を聞いて国土交通大臣が認定する、こういう仕組みになっているんですね。そうしますと地方都市も入るということですから、ある五万都市があって、そこの二ヘクタールのそこがこういう案を出してきたという場合も、大臣がこれはよしとして認定する、こういう仕組みになるわけですね。
 これなんかも、むしろ地方自治体のボトムアップで、地方自治体を主体に置いてやったらいいんじゃないですか。大臣がそんな一ヘクタールのところまで一々干渉して、そこをクリアしないとできないという法制というのは、どうも私は納得できませんけれども。
澤井政府参考人 ただいまの二十一条の計画認定につきましては、基本的に国の予算を財源として民都機構が行う金融支援の要件となるという観点から、日本全国の都市について、再々申し上げておりますように、民間の力で大きく都市をつくり直していける、そういうプロジェクトであるということを、法律に定められました幾つかの客観的な認定基準に照らして公正、客観的に、優先度、緊急度を判断して審査し決定していくということでございますので、国土交通大臣が全国的な観点からやっていくという仕組みになっております。
 ただ、この認定をするときにはあらかじめ関係地方公共団体の意見を聞くという形で、地域の実情も十分に反映するという仕組みになっていることについて御理解を賜りたいと思います。
古賀(一)委員 もう時間が来ましたので、最後の、これは質問じゃございません、申し上げますけれども、さっき上海の竜の話をしましたけれども、北京もそうですよ。
 もうほとんどの外国の都市、例えば北京をとったって、あれだけ周辺に土地があるんです。カナダの都市もそうですよ、アメリカもそうです。もう日本どころじゃない。無限に広がる建物が建てられるああいう都市でありながら、実は都心の中心部に、北京なんかも昔は余りなかったけれども、労働者の、市民の超高層住宅がもう恐るべきスピードでできている。上海だってそうですよ。何であれだけ土地があるのにそれだけコンパクトなものをつくっているかといえば、やはり都市というものはいかにあるべきかという哲学を持った上でやっているんだと私は思うんですよ。
 今のお話だとやはりどうしても、大臣の権限はどうだ、地方自治体よりもどうだという既存の枠組みを考える余り、本当のそういった都市戦略であるとか、とりわけ国民にとって、市民にとってこれからの本当の住みやすい都市、あってほしい都市というイメージがどうも消えている。私は、その点がこの法律の一番の惜しいところというか、あるいは欠点だろうと思うし、今後の法の運用、あるいは法律の説明もあるだろうし、政令もつくらぬといかぬだろうし、解説書も書くんでしょうけれども、その点が皆さんが意外と気がつかない一番重要な点だと指摘を申し上げまして、次に移りたいと思います。
扇国務大臣 今、古賀議員からいろいろ御提案もございました。今、上海の話も出ました。私は、うらやましいなと思いながら聞いておりました。
 それは御存じのとおり、一九八二年、中国は高速道路ゼロでございました。それが、二十年間で、今、中国の高速道路は一万六千三百十四キロできています。二十年です。日本の場合は、一九六三年から始まって、今やっと六千八百六十一キロです。これだけの差というものはどこにあるか。国有地で一直線、いや応なくスピードアップは幾らでもできるんです。ですから、そういう意味で、これから日本も大きく国民の考え方も、私は、昨年、土地収用法も通していただきました。ただ、権限を行使するということではなくて、今おっしゃったようなスピードアップをするためにはどうしても必要なこと。
 そして、六本木ヒルズも、私は一番民間で偉かったと思うのは、六百軒の居住者に一つの裁判もなかった、これが私は民間の知恵だと思いますので、国がすれば裁判になる、こういうことを、私は、民間の知恵というものを見習いながら、今回の都市再生法によって新たなグランドデザインがもっとできるように努力していきたいと思っています。
古賀(一)委員 終わります。
久保委員長 次に、井上和雄君。
井上(和)委員 民主党の井上和雄でございます。おはようございます。
 昨年、何回か大臣に質問させていただきました。その際は、差しかえという形でやらせていただきましたけれども、ことしからは、この国土交通委員会の正式なメンバーとして、ぜひ今後ともよろしくお願いします。また、副大臣、政務官の皆さんも、ぜひよろしくお願いいたします。
 今、古賀先生の最後の御指摘にありました民間都市再生事業計画の認定ということで、国土交通大臣がやるということなんですけれども、私もちょっとこれはおかしいなと思いまして、何でこんなに大変強い権限を国土交通大臣が握らなければいけないのか。今、大臣のお話にあったけれども、それが事業のスピーディーな実施のためにあるということも一理はあると思うんですね。しかし、決して、それを自治体なんかにおろすことによってすごく遅くなるということはないんじゃないかなと思いますね。
 私は、野党の議員ですから、物事を常に斜めに見る習慣がついていまして、今の国土交通省は、旧建設省の方は、一体民間のディベロッパーにどの程度天下りされているのかなんということをちょっと調べてみたというか、お願いして資料を出していただいたんですけれども、例えば三井不動産とか三菱地所とか森ビルとか、役員として何人ぐらい行っているかということをお聞きしたら、余りいないんですよね。数人でございました。
 最近は、国土交通省の官僚の方も、ゼネコンがこういう状況でございますから、なかなか以前のようにゼネコンに天下りしたりするということがもうできなくなっています。もちろん、ここ数年はとにかく自制されているということなんですけれどもね。
 そうなりますと、非常に強い権限を持って、これからも成長産業である都市再生のディベロッパーに、森ビルとか三井不動産あたりに省庁の方がどんどん天下って、そして国土交通省と連携して都市再生をやっていこうというふうに考えているんじゃないかなというふうな、ちょっと私はそんな気がいたしましたけれども、恐らくそういうことはないんじゃないかということで、冒頭、ちょっと鈴木問題に関して御質問させていただきます。
 法案の審議に入る前に、少しお時間をいただきまして、沖縄に建設中である国立組踊劇場というものがあるのですけれども、そのことに関してお伺いしたいと思います。
 この組踊劇場、名称は仮称ということで、正式名称は国立劇場沖縄というふうになるようでございます。基本的には、沖縄の伝統芸能であり、また国の重要無形文化財である組踊などの沖縄の伝統芸能の保存を図って、そしてまた、沖縄の地理的、歴史的特性を生かして、伝統文化を通じたアジア太平洋地域の文化交流の拠点となることを目的として平成十二年から建設が始められている。そして、十四年度中に完成して、十五年度には開場予定というものです。
 この組踊劇場なんですけれども、政府が沖縄振興策の一環として計画して、事業予算というのは約百十一億円である。予算というのが内閣府について、そこから文化庁に予算を移して、実際の事業は国土交通省が実施しているという、ちょっとややこしい事業になっています。
 この事業に初めて予算がついたのは平成十年ですね。その当時は、内閣府というのはありませんでしたから、恐らくは沖縄開発庁が実際の事業を計画して実施してきたとは思うんですけれども、この事業における当時の沖縄開発庁の役割ということに関してちょっと国土交通省から御説明していただきたいんですけれども、よろしいでしょうか。営繕部長、ちょっと御説明いただけますか。
春田政府参考人 お答え申し上げます。
 国土交通省の役割といたしましては、予算が執行される際の、設計段階から事業・工事までの間ということでございまして、設計者の選定から始まっております。
 したがいまして、設計者を選定するスキームがございまして、平成十年四月に設計業務の官報公示を行っておりまして、それ以降、現在に至るまで、事業の進行については私どもでやっております。
 以上でございます。
井上(和)委員 以前は沖縄開発庁というのがあったわけですが、では、当然沖縄開発庁がこれまでやってきたということでよろしいですか。
春田政府参考人 事業の執行につきましては、営繕事業は国土交通省、もとの建設省でございますが、統括をしながら、実際には、その出先機関として事業を執行しております沖縄開発庁の総合事務局がやっております。
井上(和)委員 そうしますと、鈴木宗男議員は、平成九年九月から平成十年七月までの間、橋本内閣の閣僚として北海道・沖縄開発庁長官であったわけです。平成十年に初めてこの組踊劇場のための基本設計の予算八千百万円がついたわけなんですけれども、この設計業務を担当したのはどこの会社か教えていただけますか。
春田政府参考人 国立組踊劇場(仮称)、この設計業務につきましては、WTOの政府調達協定の対象となりますことから、広く公募によりまして参加者を募集する、いわゆる公募型プロポーザル方式を採用するとともに、評価に当たりましては、設計者の人数、経験年数等の客観的点数に、第三者の学識経験者等で構成される技術提案書評価委員会によりましてその評価の点数を加えました合計点数によりまして、株式会社高松伸建築設計事務所を設計者として選定しております。
井上(和)委員 その高松設計事務所とともに、下請というか協力設計事務所というのがありますよね。そこはどこでしょうか。
春田政府参考人 この高松伸建築設計事務所の協力事務所は全部で四社ございます。まず、オーブ・アラップ・アンド・パートナーズ・リミテッド・ジャパン、株式会社設備技研、株式会社青山建築積算事務所、株式会社総合計画設計、当時の名前を株式会社総合計画設計室でございます。
井上(和)委員 その最後におっしゃった総合計画設計室という会社がこの設計の一部を受注しているということです。
 実は、この総合計画設計室という会社というのは、鈴木宗男議員と非常に親しい関係にある。鈴木氏に、平成七年以降、毎年十二万円ずつ献金している事実があります。特にこの入札が行われた平成十年には、何と、入札の公示が四月三十日なんですけれども、そして技術提案が六月三十日、見積もりの入札が七月二十七日に行われているのに対して、この会社は六月の二十二日、まさに選考作業が行われている最中に鈴木氏に献金を行っている事実があります。
 鈴木氏自身、平成十一年九月十日の朝日新聞の記事の中には、このことに関して、「会費として納入され続けていたもので、受注が決まってから始まったものではありません。ただ、知らずとはいえ立場上、誤解を招くようなことがないよう以後気をつけたい。」というふうに言っています。
 それで、当然、鈴木議員は当時沖縄開発庁長官であったわけですよね。先日、国土交通省が北海道の開発行政に関する調査結果報告書というのを三月十二日に発表されました。この中には、鈴木議員が、この場合は北海道ですけれども、北海道開発行政を非常に一生懸命やっていたと。例えばこういうふうに書いてあるんですよね。「官庁職員にも思いやりと親しみを持って接するなど、人を引きつける魅力がある反面、」とかと書いてありますし、「地元の諸問題や国政上の行政課題への意欲的な取組と持ち前の行動力、そして独自のパフォーマンスを通じて、北海道開発行政にかかわる職員が、その存在感を大きなものとして受けとめるに至った経緯がうかがわれる。」とありますよね。私の感想は、随分これは鈴木シンパの人がつくった報告書だなというのが私の印象なんですね。
 恐らく、沖縄も担当だったわけですから、同じように沖縄の問題にも非常に熱心に取り組まれたんでしょう、非常に一生懸命やる方ですから。そうなりますと、非常に親しい自分の後援会員が入札に参加したということを知らないというのも、ちょっと常識では考えられないんじゃないかなというふうに私は思います。
 さらに、もっと驚くことがあるんですよ。今のは設計の話ですから、その後、当然さまざまな工事が行われているわけですね。建築、電力設備、通信設備、空調設備、衛生設備、舞台機構、舞台照明、舞台音響、エレベーター工事、つまり、設計を合わせて全部で十種類の工事が行われてきた。その十種類のうち五種類の工事を鈴木氏に献金している企業が受注しています。金額でいいますと、総額九十九億円のうち何と七十一億円の工事を鈴木議員に後援会費を払っている企業が受注しています。ただ、各種の工事、これは大手の企業プラス沖縄の地元の企業とタイアップしてジョイントベンチャーという形でやっています。
 とはいいながらも、十種類ある工事のうち半数を鈴木議員の後援会に所属している企業が受注しているというのは、ちょっとこれは異常なんじゃないでしょうかね。御本人は、先ほどの新聞記事の中では、誤解を招くようなことがないように気をつけるというふうにおっしゃっているわけですね。しかし、これではまるで誤解を招いて当然というような状況じゃないですか。
 国土交通省というのは非常に莫大な公共事業を所管しているわけでありますね。そういう観点から私、大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、大臣、こういうことに関してどういうふうにお考えになりますでしょうか。
扇国務大臣 今回の件に関しましては、古賀議員から、民主党の材料だけでも四十数件あるんだ、まだふえるようだと、きょうの委員会の冒頭におっしゃいました。
 私は、一国会議員としても、予算委員会等々拝聴しておりまして、よくもこれだけ動けたものだなと、正直申し上げて。私、全国区でございますので、私が全国区でこれだけ動くのならさもありなんと思いますけれども、動くことは了としながらも、あらゆるところから金額が入っている、これだけは私は、どうしてそんなに集められるんだろうと。私、全国区で二十五年国会議員して、どうして集めていないんだろうなと。
 ですから、私は、むしろそれをしていないからこの位置についているのかなと思いながら、反省もしながら、仕事と裏でもらうこととの区別がつかないということ自体が我々としては大変恥ずかしいし、反省しなければいけないし、正式なルートでもらっているものであれば、政治資金としてきちんと登録してあれば、私はそれで、皆さん方も、与党と野党と問わずよかったと思うんです。けれども、それが、政治資金規正法できちんと登録していないものもあったとか、あるいは権限を利用して圧力をかけたということは、私はあってはならないことだと思いますので、そういう意味では、これだけの働きの中である種けじめがついていなかったのかなという疑義を持たれることは事実でございますけれども、私どもも反省しながら、あらゆる公共工事は国土交通省、一年間に四万四千件の入札があるわけですから、それに一々私たちがそういうことの疑義を持たれないように、注意の上にも注意をしながら律していきたいと思っております。
井上(和)委員 大臣は特にそういう政治献金のことに関して反省する必要は私はないと思います。本当に御立派にやっていらっしゃると思うんですけれどもね。
 とにかく問題は、後援会費というのは正式に収支報告書に計上されているということは確かです。しかし、沖縄開発庁長官としてこういう事業を決定する立場にあった、そういう人が、自分の在職中に決められた公共事業に関して、受注業者の半数が自分の後援会員であるというのは、これはもうどう考えてもおかしい。これはやはり道義的にも、李下に冠を正さずという言葉もありますから、これは私自身も含んで政治家全員がやはり心すべき点があるんじゃないかというふうに私は思っております。
 この件に関してちょっと国土交通省にぜひ調査していただきたいんですが、どうでしょうか。
扇国務大臣 既に予算委員会でも一時この組踊劇場のことは話題になりましたので、調査いたしまして、私にも報告書が上がっております。ただ、今私に上がっている報告書の中になかったことは、今議員が質問なさいましたメンテナンスにも絡むような、室内装飾とかそういうものの下請業者の数までが私のところに上がっていなかった数字でございますので、再度これも明快にしていきたいと思っております。
井上(和)委員 もう一つつけ加えますと、鈴木議員と非常に親しい関係にあると言われているムネムネ会ですか、なんかに所属するような議員の方もやはりこの幾つかの中の会社と非常に親しい関係にあるということもわかっておりますので、そのこともつけ加えておきます。
 それでは、本題の方に入らせていただきます。
 今回、二つの法案ができるわけですよね。これは、二つの法案というのはあくまでも手段であって、目的というのはやはりいい都市をつくる、そういうことが、大臣を含めて皆様方、それが一つの目的なんですけれども、では一体どんな都市をつくるか、どんな都市が住みやすくていいのか、そういうことをちょっと大臣とぜひ議論させていただきたいと思うんですね。
 大臣はもちろん世界じゅうを御旅行された御経験もあると思うんですけれども、御自身、自分が住んでみたいと思うような都市、将来、引退してからでも結構ですけれども、今でも結構ですけれども、どんな都市に住んでみたいか。そして、世界の中で、今まで行ったことのある都市の中で、こんな都市がいいなとか、どういうところに魅力があったとか、その辺のことをちょっと大臣にお伺いしたいと思うんですが。
扇国務大臣 住みたいところというと、それぞれ個性がありまして、欲を言えば切りがないと思いますけれども、少なくとも、私は心休まるところに住んでいたいと思います。それは、仕事をまだ持っておりますので、間もなく引退するでしょうけれども、引退したときと仕事をしているときの理想というのは違うと思います。けれども、今、まだ現職として働いておりますときは、やはり職場と住まいとが近くて、そして、家に帰れば心休まる場所、そして、できれば渋滞に巻き込まれないで仕事場に通いたい、そう思います。
 ただ、残念なことは、私がよく、よくでもありませんけれども、いろいろなところへ行かせていただきますけれども、ヨーロッパの人たちは自分の仕事と住まいとが完全に距離を持っているんですね、境を持っている、境界線があるといいますか。パリの狭いところで、高層住宅で、パリのマンションというのはそんなに広くないんですね、その狭いところは月曜日から金曜日まで、金曜日の夜は車を飛ばして、郊外の蒼々とした森の中で土地つきの豪華な、私たちから見ればですよ、彼らは普通なんですけれども、そういう一軒家に住んで、金曜日の夜から週末を十分エンジョイする。私は、だんだんそうあるべきだと思います。それをパリの人たちは、フランスの人たちは一極集中とは言いません。仕事場、家庭、これが完全に分離されて、そういう生活がきちんとできている、そういう意味では、私はうらやましいなと思いますし、私たち、土日、お休みの日に、文化を楽しみ、あるいはコンサートに行ったり、あるいはホームパーティーを開いたりというような環境が日本には本当にないんですね。
 ですから、私は、だんだん過疎化で、年がいけばいくほどつき合いの人がなくなってきちゃう、お友達がなくなってきちゃう。一番悲しいことは、一人で亡くなって、しばらくだれも気づいてくれなかった、私そんな寂しい人生は送りたくない。少なくとも、友達が来たり、あるいは家族がお互いに行き来できる、できれば二世帯、三世帯同居というようなことが狭い東京の中でできれば、家族問題も、あるいは親が子供を殺したり子供が親を殺したりというような家族関係にはならないのではないか。家族のコミュニケーションをとりながら、仕事と休養と遊びとの区別がきちんとできるような生活ができればありがたいなと思っています。
井上(和)委員 今大臣、僕、すばらしいお言葉をおっしゃったと思っているんですね。特に、心休まると。やはり、今我々の時代に必要なのは、そういう心休まるような都市、まさしく大臣のおっしゃるとおりだと思います。やはりそういう価値観が、私たち非常に忙しい生活を送っている都市住民にとってこれからは必要なんじゃないかと思うんですね。
 あともう一つ、大臣がおっしゃったことで私が感銘を受けたのは、大臣がおっしゃっているのは恐らくコミュニティーというものの存在だと思うんですね。やはり、コミュニティーが存在する、つまり、近所の人とコミュニケーションがとれる、家族内でもよくコミュニケーションがとれる、そういう中で恐らくは心休まる生活ができていくんじゃないかというふうに思うんですね。
 では、この法案でそういう都市が果たしてできるのかなという、私は最初から大きな疑問もあったんですね。つまり、あちこちに大きなビルをつくって、住居なりオフィスをつくるということになってきて、逆にコミュニティーなんかも壊れてしまう面もあるんじゃないかなというふうに危惧しています。
 今回の法案で、特に東京に限ってお伺いしたいんですが、大臣が住みたいと今おっしゃったような、心休まる、コミュニティーの存在するような、そして今おっしゃったような余裕のある生活、そしてまた、今いろいろな人が異なった価値観を持っていますから、例えば、逆にもう本当に都市でずっとやっていきたい、住んでいきたいという人もいるでしょうし、そういうさまざまな価値観を満たすような魅力的である都市が果たしてできるというふうに大臣はお考えでしょうか。ちょっとお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 私は、そのため、今回思い切った法案を提出させていただいていると思います。
 それは、東京という限定をなさいましたので難しいんですけれども、今、東京、何かのコマーシャルで東京砂漠というコマーシャルがありましたので、まさに東京砂漠になりかねないような状況であると。あらゆるところが虫食い状態で、寂しい限りなんですね。
 それを何とか、今のこの東京の中で、私が言ったような、そのエリアの中で、年をとっても、救急車で遠くまで運ばれないで、行ったところで全部断られて最後は時間切れで救急車でお亡くなりになるなんていうことがないように、そのコミュニティーの中には診療所もある、そして老人ホームもある、そして働く女性に対しては保育所もある、そういうことがこのエリアの中で、指定した特区の中できちんと整備されて、そして、それが高層になってもいい。その高層になった分だけは、容積率も高さ制限も外すから、空間ができる。その空間には緑を配して、今の温暖化現象というものも解消する。そして、一つのエリアの中ですから目が行き届く。
 私は、そういう一つ一つのエリアで、理想的な、理想郷的なものをまずつくってみる。そうすると、密集市街地も、あ、あんなふうになるんなら、この地域もみんなで署名して、早くうちもしてくれというようにしましょうよとか、そういうふうになっていって、全部がうまく、お互いが、都市に住んでも憩いがあるというような、そういうものを求めていく。そして、高齢化社会のバリアフリーも完備する。
 今、光ファイバーと言っていますけれども、光ファイバーをこれだけ二〇〇五年に引き終わろうといいますけれども、なかなか東京の中では光ファイバーが引き終わらない。それが今度、決めたところではすべてバリアフリーと光ファイバーを設置して、皆さん方がいながらにして、今回のワールドサッカーでも、ボタン一つですばらしい画面が、臨場感があるものが見られたり、あるいは、電子マネーで買い物ができるようになったり、あらゆる最新技術を配することがこの中でできる。それが老齢化社会にも資することであるということで、私は、今回は思い切って、皆さん方に御賛同いただけて、理想的なものを追求していきたいと思っております。
井上(和)委員 今大臣は、東京砂漠にならないようにこの法案は役立つだろうというふうにおっしゃっていたんですが、私はやはり、この使い方、やり方一つで逆に東京砂漠にしてしまう可能性もあるんじゃないかなというふうに思っています。
 実は私、東京の下町、総武線の錦糸町駅のそばに住んでいるんですね。駅の周辺は割と騒がしい繁華街なんですけれども、数分歩いて、特に北の方に上っていきますと、下町らしい雰囲気のする、味のある町なんですね。小さな食べ物屋があちこちにあって、商店もばあっと軒を連ねている。住むにも非常に便利ですよね。そして人情も優しいというように、心の安まるような、まだまだコミュニティーが残っている町なんです。
 そんな町に、たまたま旧精工舎というのがありまして、今、広大な敷地が売りに出されていて、百メートル、四十階建てのマンションがぼおんと建つ計画があるんですね。私の住んでいるその辺というのは、東京の特徴で、最高でも八階ぐらいのビルしかない。駅の前でもそういう状況なんですね。その駅をちょっと離れて、割と住宅街に行ったところに、蔵前橋通りという通りの正面なんですけれども、四十階建てのものがぽおんと建っちゃうということで、住民の方は非常に心配されているというか、当然反対されている方も非常に多いんですね。
 結局、東京といったって、基本的には町が集まって都市ができているわけですよね。それぞれの町というのが、まさに大臣が先ほどおっしゃったような心の安まる、コミュニティーのある町があって、それが集合して雰囲気のある魅力的な都市ができるんじゃないかなというふうに私は思っているんですね。そうしますと、例えば今のように、下町のところに急に超高層がわあっと一本建ってしまうという状況になると、これは下町の雰囲気というものが何かめちゃくちゃになってしまうと私は思うんですよ。
 だから、さっき古賀先生の地方都市のお話が出ましたけれども、日本の地方都市が魅力的でなくなってしまったというのは、これはどこの都市に行ったって一体どこにいるかわからないですよね。あれ、これはどこかで見たなと思ったら、ほかの都市だったりしますよね。まるっきり個性がない、魅力的でない。つまり、同じようなビルがばあっとなって町になってしまっているという状況があると思うんですね。だから、個性のあるそういう魅力的な町をつくる、それがかなり大事なんだけれども、この法案でどうかなということを私は思っているんです。
 私、昨年の委員会で大臣に大臣の御自宅のことをちょっと質問したことがあるんですね、覚えていらっしゃらないかもしれませんけれども。大臣は渋谷区に約百五十坪ほどの住宅をお持ちで、そこに住んでいらっしゃるということをお伺いしました。大臣の住んでいらっしゃる地域が、例えば今回の法案にある特別地区に指定されたと、そこの御近所に、森ビルでもどこでもいいですけれども、何かできるということになりそうだというような場合、大臣御自身、自分のまちづくりにどういうふうに関与していきたいというふうにお思いになりますか。
扇国務大臣 私の住まいも調査されているようで、私はもうそこに四十数年住んでおります、四十何年になりますか。おかげさまで、私は東京の中では残されたとても安らぎの町だと思っております。ただ、すぐそこまでデパートができておりますし、もうどんどん変わってまいりまして、NHKもやってまいりましたし、私が四十数年前に住んだときとは周りはさま変わりをしております。
 けれども、私のところが、これは仮定として、一種ですからこれはなりませんけれども、一種が解除されてそういうコミュニティーができるよ、例えば六本木ヒルズのようなものができるよとおっしゃれば、私は喜んで提供したいと思います。
 と申しますのは、私は正直申し上げて、今三世代同居しております。孫まで三世代でございます。世帯は三世帯同居でございます。ですから、ありがたいですけれども、東京のようなところに住んでおりますと、同居ということが精神的にも、あるいは金銭的にも物理的にもなかなか無理である。やはり三世帯あれば台所は三つ欲しいなと思います、それぞれお嫁さんは個性がありますから。けれども、それが東京というところではなかなかできない。それを何とか今の住宅の中で助成をして、そういう寂しい思いをしないようにできないか、これも国土交通省の役目の一つでございます。
 私は、今貴重なことをおっしゃったと思いますのは、どこへ行っても同じというのはやめていただきたい。それは、さっき商店街が疲弊しているという古賀議員からのお話がありました。日本じゅうどこへ行っても商店街が何々銀座というのはどういうことなんでしょう。私はおかしいと思うんです。ですから、均衡ある国土の発展というのは二十世紀の我々の目標でした。けれども、二十一世紀は個性ある地域の発展、私はそう申し上げたいと思うんです。どこへ行っても何々銀座ではおもしろくないんです。ですから、それぞれがその町に合った個性のある地域の特色を出していただくと、わざわざ交通料を払ってもあそこへ行ってみよう、こういうことができるんですね。
 ですから、今私が住んでおります渋谷というのは、渋谷という特徴がかなり個性のある町です。騒音もあります。汚いところもあります。たばこの吸い殻も捨てています。チューインガムも残っています。けれども、私は活気があふれていると思っていますので、その静と動の組み合わせがどこまでうまくいくかというのが我々住まう者との接点だろうと思いますので、動と静がうまくかみ合うような、またそれが共生できるような、そういうことを我々が考えながらのまちづくりというものはあってしかるべきではないかなと、そう思っております。
井上(和)委員 まさしく、その地域に住んでいる方は、やはり自分の地域が個性ある魅力的な町でありたいと思うと思うんですよ。
 今ちょっと議論を整理しますと、大臣の住んでいるお宅が、地権者として、そこに何かできるということで大臣はお答えになったと思うんですよね。そうなると、当然自分の地域が超高層のビルに変わる、それに伴って土地を提供されて、そのかわりかなり利便性の高い新しい住宅をもらう。それはそれで非常にすばらしいんじゃないかなと私は思うんですね。
 もう一点は、自分が地権者じゃなくて、大臣の隣のうちに、恐らく大臣の住んでいらっしゃるあたりだからおうちが大きいでしょうから、第一種としてもある程度の、三階ぐらいまではマンションなんか建つと思いますけれども、そういうところにわあっと建つ、そういうときに大臣はどういうふうにそれに対して対処なされていきたいと思いますか。
扇国務大臣 私は、それがまさに小さなグランドデザインだと思うんですね。日本全土のグランドデザインではなくて、その町が、その市がどういう都市計画をしていくか、その基本がない限りは無理だと私は思うんです。けれども、日本は国土が狭くて、日本の全土の三%しか居住区がないわけですね。それであれば、みんなが職場に近いところに住みたいと言ったら空間を利用するしかないんです、あるいは地下を利用するしかないんですね。
 そういうことから考えれば、今はこうでも、やはり過疎になっていく限りは、みんなと一緒に住むためには、ある程度不便でも高層化するまちづくり、空間を利用するしか三世帯同居できないとなれば、その空間を利用し、あるいは地下を利用し、あらゆる点で新たな二十一世紀型のまちづくりというものがあってしかるべきだと私は思います。
 例えばマンハッタンは、御存じのとおり、そびえ立って、もうビルだらけで、どこを見てもわかりませんよね。けれども、彼らは、それは職業のマンハッタンとして世界に冠たる職場であるというふうに思っていますから、それで郊外に住んだり、職場に近いところに住むのなら狭くてもマンションで仕方がないと思っているわけですね。我々も、そういう意味では、仕事をする時代の住まいと老後の住まい、そういうものは区別できればもっとうれしいなと思っています。
井上(和)委員 今こういう質問をさせていただいたのは、やはり物事を考えるときに常に相手の立場に立って考えるということが恐らく必要じゃないかなと思いまして、その町に住んでいる住民が、今回の法案によるような特別地区に指定されて地域が変わっていくということに対して一体どういうふうに関与できるか。恐らく大臣は、渋谷の町がこういうふうに変わるというような計画があったら、それは大臣のことですから、やはりいろいろな意見を、こういうふうにした方がいいということをおっしゃると思うんですよ。それと同じように、自分たちの町ですから、それをどういうふうにしたいかということはやはり住民の意見が非常に大きなそのウエートを占めるということは確かなので、そういう人たちの意見がきちっと反映されるまちづくりを考えていかなきゃいけないと思うんですね。
 そういうことで一つお伺いしたいんですが、これは国土交通省の方にお伺いしたいんですけれども、どちらかというと、今回の法案というのは規制を緩和する、緩和するということがうたわれているわけですよね。よりよい都市をつくるには、逆に規制を強化すべき点があるんじゃないか。さっき大臣おっしゃったように、魅力的な町をつくるには、ある程度規制というものも強化する点があるんじゃないかと思うんですよ。
 この件に関して、平成十二年に、OECD、経済協力開発機構が日本の都市政策に関して勧告しています。この勧告は政策勧告と言われているもので、OECDの加盟国がお互いの国のさまざまな政策を批判し合って相互によりよい政策を実現する、そういう観点から行われているんですけれども、都市政策に関しては、これも日本に関して、例えば都市中心部をもっと再活性化する、それでコンパクトにしろ、そして、土地利用も区画が小さ過ぎるからもっときちっと大きくしてやるように整備しろと。第三に言っていることは、やはり規制をもう一回再構築せよということを言っているんですね。
 ヨーロッパの国というのは、大臣も御存じのように、逆に非常に厳しい都市計画の規制があって、それで開発を誘導していって魅力をつくる、そういうことによって競争力を高める努力をしてきた、だからこそ長い歴史を生き抜いてきたいい町ができている。それに対して、やはり日本の計画というのは、どちらかというと、開発自由で、建築許可さえとれば何でもいいというような感じが非常に多い。これは、OECDの方たちが日本の町を見て、建築物の高さや色彩、看板による町並みの乱雑など、都市のデザインに関する問題が非常に重要だ、問題がある、都市の魅力というのはやはりデザインであり、雰囲気であり、景観であり、そういうもので、こういうものはやはり逆に規制を強化したりしなきゃ維持できないということを指摘しているんですね。
 例えば、私も東京を見ていますと、住居専用ビル、マンションなんかがあっても、それが事務所にどんどん転用されている。これはもう、経済効率上、事務所に貸した方が家賃は高く取れるということはありますね。だから、逆にこういう点はきちっと規制を強化すべき点も非常にあるんじゃないかと思うんですが、そのことに関しては、ちょっと国土交通省の方にお願いします。
澤井政府参考人 御指摘のように、よりよい町をつくっていくためには、場合によっては都市計画の規制を緩和するだけではなくて、強化することも必要だと思っております。
 今、欧州との比較においていろいろとお話がございました。そのような違いがあると思っています。
 ただ、基本的に、ヨーロッパの場合、石の文化とよく言われます。日本の場合、木の文化と。壊してはつくり、壊してはつくり、もちろん木でも一千年以上もつ建築物もございますけれども、そういった昔からの文化の違いが一つ。
 それから、日本の場合、私ども銘記しなきゃいけないと思っておりますのが、第二次世界大戦の後にできた建物が、住宅、非住宅を通じまして、全体で九五%以上でございます。その相当多くの部分が、戦後の大都市への集中の時代に、ある意味では余り都市計画のコントロールが及ばないような状態の中でつくられた、端的に言えば、都市の外へ外へスプロールしていった、そういった建物がまだまだ相当程度残っているという状況にある。
 石と木の違い、それから、できた時期がそういう時期で、かなりそういう意味では秩序立ってできていないということで、例えば、パリの景観が非常にいいとよく言われます。これは、かなり中央集権的に建築統制ができた時代の石の建物の景観をベースにして、今日に至るまで、そういう景観は大事だという国民的な合意が最もベースにあると思っております。そういったことで、最近の建築活動についても、そのような、景観を大事にするという方向での国民の合意が容易に形成されるのではないか。日本の場合、残念ながら、まだそういったところまで現状ではいっていないと思っております。
 ただ、道具立てとしては、先生御指摘のような、例えば、地区計画を使いまして、事務所を制限して住宅だけに限定するというふうな計画手法も現在ございます。その他幾つかの手法を使うことによってそういうことができると思っています。
 二十一世紀にふさわしい新しい都市につくり直していくという中で、御指摘の点は大変重大な課題だと思っておりますので、今後、私どももさらにそういった仕組みの充実あるいは運用の改善に努めていきたい、こう考えております。
井上(和)委員 どうもありがとうございます。
 まさしく今局長がおっしゃっているように、今までは日本は木造だけれども、ヨーロッパは石だとおっしゃった、だから日本もこれからは木造から石にする時代ですね。ビルを建てれば、これは大体、今、百年建築なんて言っていますから、百年残るものをこれからつくっていくんでしょうから、そこはやはりよほどいろいろな点を考えてやっていかないと、変なものをつくってしまって、百年後の人に変なものをつくったなというふうに笑われるようなことではやはりこれは困ると思うんですが、どうでしょう。
扇国務大臣 基本的には、やはり、都市計画がきちんと立案できるかという原点に戻ると私思うんです。
 今局長から話しましたように、少なくともヨーロッパでは、例えばイタリーを例にとっても、高さ制限はもちろんのこと、色の指定もあります。会社の名前は挙げませんけれども、イタリーに、メーンストリートに初めて日本のある会社が入って、うれしくて外を目立つように赤の枠で塗ったんです。一晩で塗りかえなければ立ち退けという強制が来るわけですね。それほど観光都市として、町の、色の指定、高さの指定、全部あります。ですから、観光客がいつ行っても、いい。しかも、照明にもお金をかけて、街灯もきれいにして、なるべく街灯はソフトにして、下からライトアップで、すべてのものが緑は緑が鮮やかになるように夜でもしていますね。
 日本は戦後、少なくとも衣食住足りなかったものですから、何とか雨露をしのぐものでも建てようという、あの戦後の苦しさの中でばたばたと建てて、そのときに規制がなかったものですからこういう煩雑な町になってしまったのであろう。それが、今建てかえの時期に来ていますから、二十一世紀に入ったなれば、少なくとも日本として日本らしい町並みができるようにして、また居住者がそういうことで損失をこうむらないように、自分たちは、何とかをするから立ち退きなさいよとただ言われるのではなくて、お互いに共生しながら新しいまちづくりをしていこうという意味では、今井上先生御指摘のように、少しは規制といいますか、規制というと語弊があるかもしれませんけれども、限定した枠の中で試験的なコミュニティーをつくってみて、みんながそれに、ああうらやましいな、ああいうふうになるんだったらという機が上がってくるような、そういうものが今回の法案によって目で見られるものができればありがたいなと思っています。
井上(和)委員 終わります。
久保委員長 阿久津幸彦君。
阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。
 まず、都市再生について、その全体像の議論から入らせていただきたいと思います。
 東京大学の神野教授は、都市再生には二つの道があると指摘されております。一つは、人間の生活の場を重視するヨーロッパ型の都市再生、もう一つは、経済成長の持続可能性を目指すアメリカ型の都市再生であります。残念ながら、小泉内閣の目指す我が国の都市再生は、経済成長の持続可能性をひたすら追い求めるアメリカ型ではないかと心配しております。
 そこで、まず都市再生本部の方にお伺いしたいと思うんです。都市再生の必要性について、情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に我が国の都市が十分対応できなくなった、それが理由だと述べているんですけれども、二十世紀の負の遺産を生み出した原因をどう総括されているのか、お答えいただきたいと思います。
山本政府参考人 都市再生の定義の中で、世の中の変化に都市の現状がきちんとついていっていないということを述べているわけです。
 二十世紀の負の遺産という言葉であらわしております現象は、我が国の高度経済成長期に大変な勢いで都市に対して人口が集中してまいりました。これに的確に対応するための行政の力といいますか、財政も都市計画制度も含めましていろいろな力が大変な社会の変化に対応し切れなかったという点が一番大きいと思うんですね。そのために、二十世紀の負の遺産ということで形容しております市街地、災害に対して弱い市街地、あるいは交通渋滞、あるいは都市が外延化して長時間通勤を強いられるといったような都市構造の問題が出てきたと思います。
 今、さらに世の中が変わって、情報化、国際化、社会的には少子高齢化といった社会情勢の変化が出てきているわけでございますけれども、こういったものに的確にこたえ切れてないというところに大きな要因があると考えております。都市の外延化が今おおむね終えんしているという状況を踏まえまして、政策を集中的に投入することで、二十世紀の負の遺産ということで一くくりにしております問題状況をスピーディーに解決するということとあわせて、将来に向けて官民の力を結集して都市再生に取り組む、そういう心構えで取り組んでいるところであります。
阿久津委員 今、バブルという言葉が一つも出てこなかったんですけれども、バブルの総括をどうされているんでしょうか。
山本政府参考人 都市のいろいろな問題は、都市で活動する行政分野も民間事業者も、生活する市民も、どういう考え方で都市の中で生きていくかということから諸問題があらわれているわけでございますけれども、今先生御指摘の、バブルの状況につきましての問題認識ですが、高度経済成長期にいろいろな経済主体が行動してまいりました。そのため、その前提となるいろいろな要素があります。
 一番の典型的な要素は、例えば地価のトレンドでありますとか、あるいは所得の状況でありますとか、全体をあらわす経済成長の流れでありますとか、そういったものについての高度成長期のいろいろな経験が非常に顕著でありますために、そういった状況が将来も続く、そういう考え方のもとにあらゆる経済主体が同じ方向に向かって行動した、それが、都市の地価の問題なんかでいえばバブルという状況を引き起こしたと考えております。
 しかし、そういう状況、前提がすべて崩れて、高度経済成長期の、我々が将来にわたって続く当然の行動原理だと思っていたものが消滅してしまった。新しい考え方に立って、将来に向けて都市の暮らしの質をどうやって高めていくか、そういう観点から都市再生に取り組む。ですから、かつてあったいろいろな要素が将来も続くという考え方をすべて捨て去って、将来に向けてどういう町を、国土交通大臣が御発言になりましたように、私たちの世代だけではなくて、子供や孫の世代がどういう暮らしをするのか、そのために私たちが何ができるのか、そういう観点で取り組む、そういう考え方であります。
阿久津委員 私の記憶だと、たしか中曽根内閣の一番終わりくらいだったんじゃないかと思うのですけれども、東京は国際金融センターになるということが、風聞というか、ばあっと広まりまして、それで、オフィスビルが不足するんだという声が政官業の中でずっと出て、バブルにみんな踊ってしまって、土地の値をつり上げ、異様な担保価値をつけたりしたわけで、それがバブルが崩壊してみると、不良債権の山になってしまったわけでございます。
 今回の都市再生は、一部特定地域の規制緩和によって、土地の流動化を図り、ミニバブルを起こして不良債権を処理することなのではないかということが批判されているわけなんですけれども、今、扇大臣、首をかしげていらしたので、そうでない証明を扇大臣にしていただきたい。
 前回、私が一般質問の中で都市再生の問題を取り上げさせていただいたんですが、そのときに扇大臣は、理想的な都市の要件として歴史と文化の重要性を指摘されました。私もそのときの答弁を精査したんですけれども、扇大臣はいいことをいっぱいおっしゃっているんですね。私は、少なくとも扇大臣は、自然環境と地域文化の再生こそ都市再生の両輪と考える、人間の生活の場を重視するヨーロッパ型の都市再生を理解されているんじゃないかというふうに思っているんです。そこで、そういった考えが今回の法案にどう生かされているのか、お答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 前回、一般質問でいろいろなことを阿久津委員に聞かれまして、私も思っていることを思っているままに申し上げましたので、そんなにいいことをたくさん言った覚えはありませんけれども、真実を申し上げました。ふだんから思っていることでございますので。
 今回の法案の中で一番大事なことは、先ほど例を挙げていただきました地域の歴史とか文化、そういうものを生かすことができないだろうか。例えば、例を挙げると悪いかもしれませんから名前はあえて言いませんけれども、歴史のあった町の名前、坂の名前、あらゆるものが今全部消えつつあるんですね。ですから、日本の歴史の中で、これはあのときに忠臣蔵の討ち入りのあった何とかだよとかという、そういうそれぞれの歴史のあった名前がついている町並みとか、あるいはこれは何とかの橋ですよとか、そういうものが全部町名変更からして消えていっているんですね。私、そういうものは本当に残念で仕方がない。我々日本人が、歴史を勉強しなくても、そこを通って、これは歴史的に、名前がついている町は何でこんな名前の町なのかなというと、それは歴史に基づいているんだということが、町の中から歴史を学習できるというような、そういう意味で、私は日本は今大変残念なところにある。
 ですから、何も新しいもので、空間を利用して大高層ビルばかり建ててどうこうというんじゃなくて、大高層ビルができても、その高層ビルのこの地はこういう文化のあった地なんですよ、だれだれさんの、浅野邸なら浅野邸の跡地が今こんなになりましたという、どこかにそういう史跡、文化に基づくようなものを明示できるような、その空間も今なくなっているんですね。ですから、民間で開発するとか何かで全部それを取っ払っちゃってなくなってしまうということは、私はそれはまさに砂漠化になる、違った意味のですね。
 そうではなくて、私はできれば、今回は地方公共団体の意見を聞くというふうになっていますから、地方公共団体で、それぞれの地方が、我々の地方のこの文化を大事にしてこれを入れてほしいという意見をぜひ出していただきたい。私はそれを生かすことによって、今までと違った、また新しさの中に古きを大事にする、そういう地域づくりというものができるのではないかと思って、地域からの声を、大変今回は私、楽しみにしております。
    〔委員長退席、赤羽委員長代理着席〕
阿久津委員 扇大臣は本当に答弁がうまくて、砂漠のような官僚答弁にすばらしいデコレーションをつけてお話しになるので、答弁だけ聞いているとどうしても納得してしまうんです。ただ、これは答弁の中で確認するということ、それもそれで大事なのですけれども、今の扇大臣が前段で言ったようなニュアンスというのは、この二法案、どう読み返しても書いてないんですよ。やはりそこのところを何らかの形でしっかり担保する必要があるのではないかと思うのです。
 そこで、ちょっと事務方の方に確認を駆け足でさせていただきたいと思うのですが、都市再生特措法について。都市計画が地方公共団体の自治事務であると位置づけた地方分権改革に逆行するものではないかという指摘、当然あると思うのですけれども、この点についてどうお考えになるのか。
山本政府参考人 地方分権改革に伴いまして、都市再生に関連するまちづくりに関する具体的な意思決定、都市計画などの決定ですね、そういったものはすべて公共団体が行うという枠組みは、一切変わりはありません。
 この特別措置法が企図するものは、特に現下のいろいろな経済情勢に問題意識を持ちまして、国として都市再生に重点を置いていく、戦略的にこれに取り組む、都市の大事な土地をきちんと使うという方向に努力を集中することが、都市再生、ひいては日本経済の再生につながる、そういう問題意識のもとに、国家戦略として都市再生に取り組む。先ほど申し上げました具体的な行政上の決定は地方公共団体に任せた上で、国家のそういう戦略意図をどういうふうに貫いていったらいいのか、そういう問題意識で都市再生特別措置法をつくっております。
 したがいまして、例えば都市再生の基本方針は、我が国全体でそういう戦略的な意識をどういうふうに持って取り組んでいくのかというような構造になっておりますし、緊急整備地域を政令で指定するというのはそのとおりでございますけれども、政令指定に当たって、徹底的に地方公共団体と意思疎通を図った上でこれを指定する。緊急整備地域の整備方針の策定についても同じでございますけれども、そういう前提のもとに国のイニシアチブをどういうふうに貫くのかということで特別措置法を提案している次第でございます。
阿久津委員 都市再生のキーワードの一つは地方分権ですから、そこの点、ぜひよろしくお願いいたします。
 それからもう一つ、都市再生特措法をつくるに当たり、市民やNPOからどの程度の意見聴取を行ったのか、お答えいただきたいと思います。
山本政府参考人 昨年五月に都市再生本部が設置されましてから、事務局として関係者からヒアリングを行ってまいっておりますほかに、都市再生本部のいろいろな活動につきまして、いろいろなお考えを踏まえた上で都市再生本部が定めました事柄、いろいろな問題意識については、都市再生本部のホームページの中でも国民の一般の方々にいつでもごらんいただけるような仕組みにしております。
 それから、今回の特別措置法で提案しております都市計画特例、事業特例などにつきましては、国土交通省におかれまして国土交通大臣より社会資本整備審議会に諮問がなされまして、御議論いただいております。社会資本整備審議会の中にもNPOを代表するような方々も入っておられますし、その審議過程が逐一ホームページで公表され、いろいろな形で集約されてきているところでございます。
阿久津委員 答弁だとそういうふうになってしまうのかもしれないのですけれども、やはり都市再生本部のつくった資料なんかを見ると、民間事業者からの要望の具体例というのはこんなふうにいっぱい書いてあるのですよ。だけれども、市民団体とかNPOとか、市民セクターの方の意見というのは、もしそういうふうに本当にやられているのなら、もっともっとちゃんと資料にも書いていただきたい。私は、現状ではやはり不十分なんだと指摘せざるを得ないと思います。
 あと、緊急整備地域において、民間の開発業者のみに都市開発に関する提案権が認められておりますが、住民やNPO団体にも提案権を認めるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
澤井政府参考人 先ほどの山本次長の答弁と若干重複するところもございますけれども、都市再生特別措置法におきましては、民間の力を最大限に引き出してかなり大規模に都市再生を進めていく、その上での特別措置を定めたものということでございます。そういった手法に焦点を当てて定めたものであると。このため、特別措置の政策効果を高める観点から地域と主体を限定しているということでございます。
 御指摘の、NPOあるいは住民の方々についてでございますけれども、近年、まちづくりへの関心が高まる中で、いわゆるまちづくり協議会、さらには認証を受けたまちづくりNPOの方々のまちづくりへの取り組みというのは大変急激にふえておりまして、これはこれとして大変大事なことだと考えておりますので、こうした方々のまちづくりに対する能動的な参加を促進して、これを都市計画として積極的に受けとめなければいけないということを一方で考えてございます。
 このため、既に国会に別途提出させていただいております建築基準法等の一部を改正する法律案、この中で都市計画法も一部改正をいたしまして、まちづくりNPOあるいはまちづくりの協議会あるいは土地所有者そのものの皆様方が都市計画の提案をできるという制度を、これは地域と主体を限定せずに、全国一般制度として導入したいということを別途考えている次第でございます。
    〔赤羽委員長代理退席、委員長着席〕
阿久津委員 都市政策の提案をできるというのはそうなんですけれども、ニュアンスとすると、やはり計画段階から市民セクターにも参加してもらいたいんですね。その道を開いていただきたいのです。
 それで、少なくとも、都市の将来像を地域住民や近隣の住民あるいは地域のNPOと時間をかけて協議するということは、これは楽しいことでもあるし、決してむだにならないことだと思います。大きな知恵を有効に活用していただきたいとお願いしておきたいと思います。
 続いて、都市再生方針の作成と緊急整備地域の選定の際に情報公開や透明性の確保のため、どのような施策を講じるつもりか、お聞きしたいのですが。
山本政府参考人 都市再生基本方針につきましては、すべての国務大臣で構成される都市再生本部で審議した上で閣議決定するという仕組みにしております。ですから、各省庁、聴取しましたいろいろな考え方を集約する形で基本方針が策定されるというふうに考えております。
 それから、緊急整備地域につきましては、関係地方公共団体の意見を必ず聞かなければならない、また意見が出てきた場合はこれを尊重しなければならないということを法律で定めていただいておりますので、こういう考え方に立ってやってまいります。しかも、それを定める基準につきましては、基本方針の中で明確にして、これを外向きにも明らかにしていく、こういう形で綿密な手続に沿って透明性の確保をしていきたいと思います。
 それから、広く一般国民の皆様の意見を徴するという観点からは、官邸のホームページに都市再生本部の項目を設けまして既にあらゆる情報を公開して意見を受け付けておりますし、もしお認めいただきました場合は、都市再生特別措置法の運用に当たりましても抜かりのないようにしていきたいと思っている次第です。
阿久津委員 この情報公開や透明性の確保が、実はこの法案の大変重要なポイントだというふうに考えているのです。こういう時代ですから、スピードアップ、手続の簡素化というのはもちろん大事だと思うのですけれども、そこのところの運用を誤ってしまうと、結局、かえって時間がかかってしまったり、トラブってしまうことが多いというのは、もう国土交通省の方々、都市再生本部の方々の方がよく御存じだと思うのです。ぜひ、そこのところはしっかりと運用していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 続きまして、都市再開発法の方に移らせていただきますけれども、再開発会社は、株式会社等である限り営利を追求することがその目的であり、これまでの施行主体と性格が異なるものであります。特に、第二種市街地再開発事業は収用対象事業でもありますから、これまで地方公共団体等の公的主体しか本来は施行できなかったものであります。
 事業実施に当たり、民間会社という点から支障になることはないか、また、公的主体同様の公正性が守られないのではないかという不安の声にどうこたえるのか、お答えいただきたいと思います。
澤井政府参考人 第一種再開発事業、第二種再開発事業、いずれも今回の再開発会社については施行権能を付与する内容の法案となっております。ただいま申し上げました第一種の市街地再開発事業につきましては、これは施行主体において土地を取得せずに権利変換を全部やった上で初めて工事に着手するということで、土地保有のリスクが少ない反面で、権利調整を全部しないと実際の整備に入れないという事業でございます。
 一方で、第二種の市街地再開発事業というのは、施行主体においてまず土地を買収しながら、買収がまとまったところから既存の建物を取り壊して新しいビルがつくれるという事業でございます。このように、事業を実施する地区の特性に応じて、それぞれの特色に応じて事業手法が使い分けられてきたということでございます。
 今般、施行者に追加する再開発会社につきましては、民間のノウハウを最大限に活用して都市再生を進めていただくという観点から、先ほども申しましたけれども、個別の事業地区の状況に応じて一種、二種、双方の方式をそれぞれうまく使っていただくという観点から、双方の権能を付与したということでございます。
 この場合、地権者の権利保護というのは非常に大事な観点でございます。第二種市街地再開発事業におきましても、法律上のテクニックが若干違いますけれども、施行地区内に残留を希望する地権者の方、これは必ず地区内に残れるという意味で、全く第一種の、従来の権利変換方式の事業と同じでございます。
 また、事業の施行に当たりまして、事業計画を決めたり、あるいは個々の権利者の権利の処理の計画を決めるという非常に大事な節目節目では、地権者の人数と地積、双方のそれぞれの三分の二以上の同意が必要だと。これも、第一種、第二種、同じ権利保護のレベルでございます。
 さらに、都道府県知事による事業あるいは会計等に関する検査、命令等の監督によりまして、全体として再開発会社の事業の公正性を確保するというふうに考えております。
 以上のようなことで、再開発会社によります適切な市街地再開発事業が推進されるように、私どもも、今後の実際の運用におきまして適切に対処したいと考えております。
阿久津委員 私は、第三者による公正な不服審査制度を設けることとか、行政手続法などの改正によって行政訴訟の道を市民に広く開くべきだと思うのですけれども、それが難しいのであれば、当面、民間再開発業者への施行権限付与を第一種再開発事業に限定するべきではないかというふうに思っております。その辺は、ちょっと時間が押してきましたのでそのまま、最後、扇大臣にどうしても伺いたいことがありますので、そちらの方に移らせていただきたいと思うのです。
 前回、一般質問の中で扇大臣は、日本橋を復興させるという発言をされているのですね。私、非常にこれに興味を持ちまして、改めてそこのところを確認したいと思うのですが、都市再生の象徴として日本橋を復興させる気はあるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 これは私、どうしても、日本橋を知っている子供、日本橋ってどこ、わからない、見たことない。ふだん通っているのです。通っていても気がつかないぐらいわからない。それは今、日本橋の上を首都高速が二重にカバーしてしまって、日本橋自体が薄暗くて、あの日本橋と書いてあるもの自体が定かでないのですね。少なくとも日本橋の歴史を考えたときに、日本橋というのは五街道の起点でありますし、今でも国道一号の起点なんですね。そして、私が持っているわけじゃないですから、ありがたいことにはと私が言うのはおかしいのですけれども、平成十一年の五月にこれは重要文化財に指定されたのです。国道の中で、しかもその橋が重要文化財に指定されたのは日本橋が初めてです。
 その日本橋が、今申しましたように、重要な歴史的な意義を持ちながらだれも気がつかないで、子供も通っていても日本橋と知らない、これではいけないということで、何とかこれを再生できないかということで、東京都心における首都高速道路のあり方委員会、これを立ち上げました。これは石原都知事とも御相談いたしまして、何としてもやろうということで立ち上げまして、平成十三年四月二日に第一回、私が出席しまして、学者、それぞれのメンバーによって、これが間もなく答申が出ます。その答申によって、私たちは日本橋というものを歴史的に何としても復活させたい、だれが見ても、ああ、日本橋だなとわかるようにしたいということで、今の首都高速を両側に回避するのか、あるいはビルの中を通すのか、これも含めて、もう間もなく答申が出ます。既にもう五回会議が開かれまして、答申が出ますので、私はこれは何としても、日本の文化を大事にし、東京の、我々の国道の原点の一号を復活させていきたいと思っていることで、必ずさせていただきたいと思っています。
阿久津委員 扇大臣、本当にありがとうございます。期待しておりますので、PFIという手法もございますし、日本橋の復興を掲げれば、民間資金は幾らでも集まるというふうに私は考えております。ヨーロッパ型の都市再生では、自然環境の再生とともに、こういった地域文化の再生というか、復興を目指す動きが経済活性化の原動力となっております。ぜひ、こういったことを目指していただきたいと思います。
 最後に、人間の生活の場を重視する都市再生をぜひお願いいたしまして、質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
久保委員長 東祥三君。
東(祥)委員 扇大臣、こんにちは。自由党の東祥三でございます。
 バブル経済崩壊から十年余りが過ぎた。東京の現状を見ると、長引く景気低迷と金融環境の悪化に伴って、国際都市としての活力と牽引力を失いつつある。戦後、人、物、金、情報が都市に集中する中で開発だけが先行し、住みやすさ、働きやすさなど、人間として心の通った魅力あるまちづくりが置き去りにされ、箱物だけが目立つ都市環境を形成してきた都市計画に大きな問題があると思わざるを得ません。その究極の原因は何かといえば、私は、政治の貧困であろう。時代の流れに対応できない政治の存在があると思います。
 本日議論になっております都市再生特別措置法案、この内容を見させていただいて驚いてしまったのですが、第三章の「都市再生基本方針等」で、第十四条二項の一号に「都市の再生の意義及び目標に関する事項」。この法案が成立した後、都市再生の意義及び目標に関する事項を定めていこう。そもそも、理念がないじゃないかと。
 扇大臣とは新進党、自由党のときから徹底的に、「日本再興へのシナリオ」というのをつくってきました、ともどもに議論してきた。そのときに、あくまでも地方分権を推進していく立場じゃなかったのか。地方分権という、その「地方」の中に、都市も含まれるわけであります。地方のことは地方に任せる。国が指導して、そして物事を決めていくということではなくて、地方で、そこに住んでいる住民がいるわけですから、その方々が地方公共団体あるいはまた民間の活力を生かしつつどういうものをつくり上げていくか、彼らに任せるべきだ、そのために財源も全部上げよう。
 多分、国の役割というのは基本的に、大臣、きょうもずっとテレビを通じて見ておりましたけれども、例えばパリジェンヌだとか、あるいはニューヨーカー。パリというのは、何でパリで生まれた人たちがパリにあこがれるのか。自分たちでつくっているんですよ、国が指導してどうこうということではなくて。ニューヨークにしたってそうですよ。また文化、伝統というものがある。それもその地域それ自体でつくり出しているのですよ。
 ところが、この法案を読む限り、まず全然理念がなくて、今までの国と地方とのあり方、都市を含めた地方とのあり方を含めた上で、相変わらず国が主体的にリーダーシップをとって都市再生までやろうとする。そういう意味において、全然私は理念が感じられない。ただし、これは一方的に決めつけても間違いになると思いますから、そういう疑念を持ちつつ、一つ一つ大臣にお答え願いたい、このように思います。十二問ほどありますので。
 まず第一にお伺いさせていただきますけれども、都市再生本部が発足した当初の総理の所信表明演説で、この都市再生本部というのは、今私が言った、国が主導で都市のことを考えよう、基本的におかしいのではないかというふうに言っているのです。総理大臣が都市再生本部長になって、そして副本部長に扇大臣が就任され、そしてまた内閣の閣僚たちが全部そのメンバーになって、事務局が国土交通省になっていく。そもそも何でそういうことができているのかという素朴な質問があるのですが、それはそれとして、総理の所信表明演説で、都市の再生と土地の流動化を通じて都市の魅力と国際競争力を高めていくと述べられました。
 また、都市再生特別措置法案の提案理由の中にも、「都市の再生を図り、その魅力と国際競争力を高めることが、我が国の経済構造改革の一環として重要な課題」と述べておりますけれども、ここで御質問です。そもそも魅力ある都市というのはどのような都市を想定しているのですか。また、国際競争力とは、他の国のどういうところを比較して述べていらっしゃるのですか。また、魅力ある都市の指標とは何なのか。こういった基本的なことについて、まずお考えを聞かせていただきたいと思います。
扇国務大臣 今、長年御一緒に勉強しました東先生からいろいろなことを言われ、また東先生御自身が東京にお住まいになり、また協力員として世界じゅうに派遣されて、いろいろなところを見ていらしたと思います。それに比べて、今、東京が世界の中でどれくらいの地位を占めているか、また世界の皆さんが東京にどれだけいらして、仕事を東京でしようとお思いになるか、そういう点から考えれば、今の日本の現状は、産業の空洞化、あるいは環境の空洞化、空港の空洞化、あらゆる面で、私は、日本の地位というものが下がってきたことは、けさも数字で申し上げたとおり、多くの面で低下しております。ですから、それぞれの地域が元気が出るとともに、その地域の活性とともに、国際的にも評価される国際都市もなければならない。
 時間がかかりますから一つだけ例を挙げますけれども、例えば物流コスト一つとってみても、国際都市というのはどういう条件が必要か。空港、港湾、道路、鉄道、これが一緒になって、少なくとも十分以内に幹線道路に入れるとか、少なくとも一時間以内で物流に入れるとか、そういう条件が欧米先進国では十分以内でございます。ところが、日本の場合は、その国際都市としての四つの条件が、今までは建設省、運輸省等々でばらばらですから、これのアクセスができていない。ですから、それこそ岩手から横須賀に十キロの物を運ぶのにお金が千三百四十円、その同じ十キロを北米へ送ったら千円で済む。
 そのように物流コストが高いのも、今言った条件が国際的に恥ずかしいからで、これを直さなければ国際都市としても日本はますます疲弊していく。そして、住まいとしてもそれぞれの地域の個性がなくなっている。ですから、地域の声を生かして個性ある地域をつくろう。この両方の両輪で私は今回の都市再生をしなければならないということが基本になっていると思っております。
東(祥)委員 前半部分は全く同感です。後半部分はどうやってつながるのかということが問題なんだろうというふうに思います。
 その初めの部分というのは、まさに大臣が言われるとおり、国際社会における魅力ある都市と比べた場合、日本が欠けているところです。それをやればいいじゃないですか、国土交通省として徹底的にその部分を。それを、都市再生本部という名のもとに、これからずっと聞かせていただきますけれども、国がそれぞれの面や線ではなくて点で何かをやろうとしている。開発プロジェクトに対し一生懸命支援していってあげますよと、国が主導しようとしているじゃないですか。だから、大臣が前半部分で言っていることとここの部分というのは、大きな乖離があると僕は見ているんですよ。だから申し上げさせていただいているんです。
扇国務大臣 私は、戦後今日までなぜそれができなかったのか、なぜ現在の日本の都市、そして国際都市が疲弊したのか、その原因を考えたときには、それは、少なくとも規制緩和しよう、地方分権もしようと言っているけれども、それぞれの地方がそれだけの力を持っていない状況にある。また、地方は地方で、知事さんがかわるたびに政策は変わっていく、全体的なグランドデザインがないというところに戦後の今日の都市の疲弊というものがあると思います。ですから、規制緩和する部分と、全体的なグランドデザインを国民に見せて、地方も、自分たちはこういう個性あるこんな地方にしますよということとが一体になって、初めて日本の国づくりができるんであろうと思っております。
 それが二十世紀は、物、箱、ハードの面で日本は頑張ってきた。けれども、二十一世紀はソフトを加味しなければいけない、あるいは環境であるとか、バリアフリーとか、今までと違ったものを入れるために、私は、地方と一体にならなければできないので、それを都市再生本部で強力に、限られた予算の中で、すぐ手当てをしなきゃいけないところと、順番がやはりありますので、そういう意味で、今緊急にしなければならないところに集中投資をして、そして日本の国の国づくりの一端をしようという、それが今までの点と線をつなぐスピードアップと、そして費用の重点配分と、その辺をつないでいくのが今回の都市再生本部の大きな役割だと思っています。
東(祥)委員 グランドデザインをかかなくちゃいけない、おっしゃるとおりですよ。かくのは国土交通省がやればいいじゃないですかと僕は言っているわけです。まず、かいてください。その議論になると次の質問に差しさわってきますけれども。評論家じゃないんですから、執行者であり、さらにまた行政の権限を持っているんですから。グランドデザインを私たちはこういうふうにとらえますよ、ないでしょうとまず僕は言っているわけ。それを、法案をつくった後やります、それは今までの行政とどこが違うんですか。国土交通大臣はよくわかっているんですよ。だから、それは僕は注文しておきますから。ないでしょう、かいてください、それだけおっしゃるならば見せてください。
 その上で、この法案の中に、都市の再生拠点となるべき都市再生緊急整備地域を政令で定めることになっておりますけれども、緊急整備地域とは、具体的にどのような条件が満たされた地域を指すのか。また、全体でどれぐらいの面積を想定しているのかを聞かせていただきたい。また、もう一つ大事なことは、その対象エリアには、大都市圏だけでなく地方都市のことも考えた上での地域指定なのか、お伺いしたい。
山本政府参考人 都市再生緊急整備地域は、国の観点から、都市開発事業等を通じてスピーディーにかつ重点的に市街地を整備、推進すべき地域として政令で定めることとしております。
 御質問の中にありましたように、都市再生の拠点となる見込みのある地域、それを民間都市再生事業で市街地を整備するということでありますので、土地にそれだけのポテンシャルがあるといったようなことが法律が想定しております前提条件でありますけれども、具体的な指定の基準につきましては、閣議決定される都市再生基本方針の中で定めることになっております。
 それから、対象エリアにつきましては、先ほど都市再生本部副本部長であります扇大臣からも御答弁がありましたように、法律上の限定は一切ありませんで、地方公共団体と意思疎通を図った上で、内閣が、必要がある、要件を満たすと考える地域については自由に指定できる案となっております。
 それから、緊急整備地域の面積規模についての御質問であります。これにつきましては、要件を満たす地域は、都市地域、大都市、地方、それぞれ区々でございますので、数十ヘクタールとか何百ヘクタールとかいった具体的な数字の基準を設けることは現時点では想定しておりません。
東(祥)委員 本法案は、民間の力を活用しつつ、民間事業者の意向も重視した都市再生を緊急に実現する開発誘導的なところがあり、考え方として、先ほど申しました線や面ではなくて、一つ一つの点の都市開発プロジェクトを支援するような意味合いが強く見られます。
 しかし、そこで留意すべきことは、その開発地域と周辺との調和が果たしてとれているのかどうか。そこに住む人、商店街、企業、公共施設あるいは文化施設など、魅力ある都市づくりには地域の調和が極めて重要になると思われる。この点についていかがですか。
澤井政府参考人 本法案におきます民間都市開発事業に対します支援措置は、都市再生緊急整備地域の広がりの中で講じられるものであります。この緊急整備地域におきましては、地域の整備目標、増進すべき都市機能、公共施設の整備に関する事項などを内容とする地域整備方針を策定することとしておりまして、その中で地域全体の調和ある今後の整備の方向が示される、その示された方針に従って、個別の民間都市開発事業が推進されていく、それに対する支援が行われるという仕組みになっておりますので、そういった中で御指摘のような調和が図られた地域の整備が進むように私どもも十分に留意をしてまいりたい、こう思っております。
東(祥)委員 地域整備方針とは、だれがつくるんですか。
澤井政府参考人 政令で指定されました緊急整備地域ごとに、総理を本部長といたします都市再生本部が、地方公共団体の意見を聞き、あるいは逆に地方公共団体からの申し出を受けて、十分に連絡をとって決めるものでございます。
東(祥)委員 だから、それが発想が全然違うんじゃないかと言っているわけですよ。地域整備を行う主体というのは地域でしょう。どうしてそれが都市再生本部の、総理大臣を長にして意見を聞いて、そこで決めるんですか。発想が逆転でしょう。それが本質的におかしいと言っているんです、この法案というのは。だから、地方分権というのは本当に進めるんですか、小泉内閣は。財源だって全部移譲させるんでしょう、地方分権というのは。地方のことは地方に任せるんですよ。
 では、国がやらなければならないことはどういうことなのか。国土全体の問題を考える。地方もあり、都市もあり、田舎もあり、いろいろある。そこで留意しなければいけない点というのはどういうことなんだと、監視とチェックをしなくちゃいけないんですよ。
 あなたが今言っていることは、地元の人たちの意見を聞いて都市再生本部で何事も決めていきます。同じじゃないですか、今までのやり方と。またこの議論に入ると、僕の質問できなくなっちゃうんですけれども。それに対して何かコメントを、僕の発想と違うということではないということならば言ってください。
澤井政府参考人 仰せのとおり、各地域の整備は、都市計画を基本として、地方の主体的な取り組みによって進められることが基本でございます。
 ただ、きょうの午前中の答弁の中にもございますように、都市の再生というのが、二十一世紀におきます中長期的な意味で我が国の最大の課題の一つである、都市の活力を上げることが国の存立にかかわるんだという基本的な認識と、それから当面の経済情勢に照らしても、都市再生という非常に有効な事業分野に民間の力あるいは資金を引き込むという意味で、これまた国家的な観点から進めなければいけないということで、基本的に地方の取り組みをベースとしながら、そこに国のイニシアチブで、地方ともちろん十分な連携をとりながら、どのように地域を指定し方針を定め支援をしていくか。こういう接点の上にこの再生特別措置法案はできているというふうに私ども考えておりまして、運用におきましても、そういう意味で公共団体と十分に連携をとって運用することが一つの基本であるというふうに思っております。
東(祥)委員 地方自治体の視点からいくと、私は江東区というところに住んでいますが、臨海副都心やさまざまな都市開発プロジェクトを抱えているわけであります。例えば、江東区の職員のお話を先日ヒアリングさせていただきました。ことしの二月末ごろに東京都から、これは区と東京都の話でありますが、意見交換を一回したい旨の連絡があっただけで、その後、区からの説明の申し入れに、近日中にとの連絡があるのみとか、まだまだ現場の連携ができていない印象が否めないところに少し心配のところがあるんですよ。
 皆さん方言うんですよ、地元との連携を強めると。では何が起こるのかということです。
 今、例えば江東区において、この地域においては、豊洲というところにおいてはマンションが乱立しているんですよ。そうすると、公共施設が不足してしまうんです。地元の基本的な考え方というのは、マンションを抑制しよう、抑制しなければ公共サービスが間に合わなくなると、こういう切実な声というのがあるわけですよ。
 僕が申し上げたいのは、先ほどから申し上げているとおり、地元の方々が主体的に、この地域をどうするんだという、そういう覚悟とそして決断をしてくれない限り、再生なんてできるはずないじゃないですか。
 だから、一番初めに申し上げたとおり、都市再生本部というのは理念がないでしょう。これからかくと言っているんですもの。都市再生の意義。そういうものを何かやらなくちゃいけない。都市再生というのは国際社会的に見たとしても日本の問題の所在だ、そんなことはだれでもわかっているわけですよ。小泉内閣として、都市再生の理念、私たちはこういうふうに考えるという、それがないでしょう。ないままにずっといっちゃうんですよ。それが戦後五十数年間、とりわけバブル経済崩壊後、冷戦構造が崩壊した後、時代に対応できなくなっちゃっているんですよ、日本の政治というのは。
 まして、国土交通大臣は御案内のとおり、我々徹底的に議論しているわけですよ。地方分権を進めるんでしょう。進めるということは、皆さん方が持っている権限を移譲させなくちゃいけないんですよ、移譲させなくちゃ。お金も移譲させるんですよ。そういう発想がないでしょう。だから、当然そういう枠組みの中で出てくる発想でしかない。発想が非常に貧弱ですよ。金融支援と規制緩和をやっていきます、あとは個々のプロジェクトで、個々のプロジェクトはどういうことをやったらいいんですか、それは地域のいろいろな意見を聞いて、ではそれに対してお金を出しましょうと。今までと何が違うんですか。
扇国務大臣 東先生、よくおわかりだと思います。今日の都市を考えた場合に、なぜこうなったか。一つ物事を進めるにも、あらゆる省庁が縦割りになっていて、道路一つしよう、電柱一つ埋めようと思っても、昔のことでいえば、各省庁全部違う。電気、ガス、あらゆる面で全部申請しなきゃいけない。これが各省庁に分かれているわけです。まして都市となれば、これはもう大変です。
 そして、私がさっき申しましたように、一つ福祉施設をつくろう、子供たちを預かる保育所も入れよう、これは全部縦割りなんです。厚生省とあるいは文部科学省とが縦割りで、総合的なものができないんですね、時間がかかって。
 今回はそうではなくて、なぜ都市再生本部というものがつくられたかというのは、そういう縦割りを全部外して、ワンストップサービスと言えばいいか、まあ窓口を一つにすると言った方がいいでしょう、そこで全部規制を外してやっていこうと。それは、どこを指定するかというのは今わからないというのは当然のことであって、地方からここをということと、その面というものはこれから再生本部で論議するわけです、法案を通していただいてから。
 ですから、そういう意味で、面が決まったときには、それに関するあらゆる縦割りの役所は全部再生本部で一本にしてスピードアップをしようということが、都市再生本部を設立し今回法案を提案して、今まで延々と長時間かかって、それでもなおできていないというものを変えようというのが今回の基本にあるということだけは御理解いただきたい。地方分権を外そうと言っていることではありません。
東(祥)委員 大臣も当然お考えになっていると思うんですけれども、都市の再生には当然地域の住民や企業、あるいはまたNPOなどの積極的な参加が必須条件になってくるんじゃないか、このように思います。
 そして、日本の都市政策の問題というのは何かというと、今回もそうですが、ただそのときの経済戦略に合わせて場当たり的につくられているんですよ。そして、常にトップダウン方式であるということです。
 今言っているのはトップダウンだ。縦割りだから。トップダウン方式とリーダーシップというのは違いますよ、イコールじゃありませんよ。
 では、都市の再生における極めて重要なポイントというのは何かというと、政策決定の中に、町のことを知っている地域の住民に対しての配慮が一番重要なんですよ。
 では、どういうふうに都市を再生するのか。一つのアイデアですよ、つまり、忘れられた地域コミュニティー、共同体、それは別の言葉で言うと何と言うかというと、パトリオリズムというふうに言います。それは、愛郷心ですよ。では、都市再生本部がそれぞれの地域の問題に対して愛郷心を持てるか。持てるはずないじゃないですか。
 一番初めに申し上げたとおり、パリは何ですごいのかというと、パリに生まれた人、パリにまた戻りたいと言うんですよ。彼らが自分でつくっているからですよ。つくっているものに対して、ちゃんと対応できるような行政になっているからですよ。ニューヨークも。
 東京はありますか。それを先ほどから言っているんですよ、大臣に。それと逆行することをやられようとしているんじゃないですかと。
 そのことが極めて重要なんですよ。東京の人間が、都市の人間が愛郷心を持てなくなる。それは、自分たちがつくっていないから。日本全国行ったとしても、同じものばかりつくられているでしょう。
 では、それをやるためにはどうするのか、また同じことをやろうとするのかということですよ。自分たちは身を引かなくちゃいけないんですよ。グランドデザインをつくって、そして、環境だとか文化だとか、全然入っていないじゃないですか、この中に。それは、できるはずないんですよ。それは、地域の人たちが主体的にやるということが前提になっていないから。大臣のお言葉をかりれば、いや、地域と連携をとりながらと言っていたとしても、主体が違うから。上からやると言っているんだから。でも違いますよ、意見はちゃんと下からボトムズアップでやりますよと。言っていることとやろうとしていることが違うんですよ。だから、本質的におかしいんじゃないですかと言っているんです。多分大臣おわかりいただけるんじゃないですか。
 パリというのは何ですごいかといったら、パリジェンヌがパリを愛しているからですよ。自分たちがそこに住んでいるからですよ。説明わかりますか、言っている意味。どう思われますか。
扇国務大臣 ただ、それでは、地域の皆さん方が、自分たちの地域の、言ってみれば部分的な、地域でのグランドデザイン、それを自分たちでつくって、そして、東京都なら、先生の選挙区なら選挙区から、東京都にお出しになるということになると、これまた何年かかるかわかりませんね。地域全体で地域のよさというものをつくっていただいて、自分たちの手で自分たちのまちづくりをしてくださいといって、お出しになっても、それは東京都が、規制があるからノーですとはねてしまえばそれで済んでしまうのですよ。私たちは、そういうことではいけないと。
 ある意味ではトップダウンのこともあるかもしれないけれども、本来であれば、国有地に私有のものを建てて、何かの理由がなければ、これは公的なものでなければ建ててはいけないという規制まで今あるわけですね。けれども、今回は、たとえ国有地と民有地が一緒になっていても、その国有地の中にPFIで民間業者が物を建てることもイエスとしようと。こんなこと、今までないのです。
 ですから、理念がないとおっしゃいますけれども、それでは今のままで東京はいいのか、あるいは町はいいのかというと、みんなそうではないのです。何とかしたいと思っているのです。
 先生がおっしゃるように、今までと変わらないのなら、都市再生本部なんかつくらないで、国土交通省の中でできるのです。そうではなくて、一段上げて、内閣で総理大臣が率先して都市再生本部をつくろうというのは、今言ったような、国有地は一切民間に使用させてはいけないというような、そんな規制を全部取って、もっとグローバルな考え方をしていこうと。
 例えば、東先生の選挙区から、この地域はこういうふうにしてほしい、ぜひ都市再生本部で論議してほしいという原案を持っていらっしゃれば、そこで、本部で決定して、そのエリアは何平米あればいいかということで取り上げることだってあり得る。そんなこと、今まで役所の縄張りでできなかったものが、今回はそれは違う。しかも、それをスピードアップして、国から金も出そうということですから、今までと全然違うということですから、今回の法案は、ある意味では、ぜひこういう論議を通じて国民の皆さんにもわかっていただきたいというふうに、特に東先生はそういう外国を見ていらっしゃるし、私たちは今まで論議してきたわけですから、御理解いただけるものだと思っています。
東(祥)委員 大臣、発想が全然違います、発想が。要するに、今のままでいいなんて僕は全然言っていない、財源を上げちゃいなさいと言っているのですよ、権限を。そして、国の政治家がやらなくちゃいけないことは外交であり、防衛であり、ある意味では税制であり、教育の問題である。今まで国土交通省がかかわって政治がいろいろと介入してきた、それは、ある意味では地方との橋渡しでしょう。そういうものを全部上げちゃいなさいということを言っているのですよ、乱暴な言い方をすると。
 その上で、なおかつ国として、国土交通省として、都市の再生あるいはまた地方の活性、そういう意味でどういうことをしていなくちゃいけないのか。お金を出すということではないのですよ、お金を上げちゃえばいいのだから。だから、その意味で、健全な国土を守る、あるいはまた安全性を担保する。そして、それぞれの地域の問題に関してはその地域に任せる。そういうことをしていないのだからできるはずないじゃないですか。言っていることは先生と全然違うのですよ、発想が違うのですよ。今そういう権限を与えているとするならば、知らず知らずのうちにちゃんと根が生えてきますよ。そういう権限も何も与えないで、お金も与えないでやりなさいと言ったってそれは無理でしょうと言っているわけ。だから発想が違う。
 でも、言っていることは今までの行政と何が違うのですか。今までの国土交通省が考えていた政策と何が違うのですか。規制緩和というのをどんどんやってくださいよ。また、縦割り行政というのを、国土交通大臣なんだから、行政の立場にいるのだから、ばったばったと切っていけばいいじゃないですか。僕らはできないことなんだから。だから、それを、そういう問題がありますということをただ言っている限りにおいてはだめなんですよ。ばったばったと切っていってくださいよ、そこにいらっしゃるのだから、その責任を有していらっしゃるのだから。
扇国務大臣 私は、原点は同じだと思いますよ。
 私たちは、今回の法案で、都市再生本部ができたから日本全土に自分たちのグランドデザインを押しつけるというのではないのです。私たちは、地方分権は、国土交通省は最もそうですよ。地方分権の助成金も、今度は各ブロックに全部渡して、自由にどうぞと、公共工事に関してはですよ。
 けれども、それと違って、都市再生ということでは、これに限ってしようということで、地域の権限を取り上げることでも何でもなくて、地域の発想によって地域だけでやっていったのでは延々と時間がかかってできないというのは、東京のまちづくり一つを見てもわかるじゃありませんか。私は、それは東先生が一番おわかりになっていると思いますよ。
 それを、ある地域を指定して早急にしていこうという、これが、ある程度は規制もあるかもしれない、けれども、その規制の限られた枠内では全部規制を取っ払って、高さ制限も容積率も全部緩和して、まちづくり自体を超省でやろう、省の壁を超えてやろうということなんですから、それは全然違っていないし、原則を曲げたわけでもありませんし、私は、それは共通の理解し合える部分だと思っています。
東(祥)委員 僕が言っているのは、今までの行政のあり方と全然変わっていないでしょうと言っているわけ。権限を与えなさいと言っているわけですよ、それが地方分権の本質ですから。それをやったとしても、地方自治体がどれだけの能力があるかわからないといって待っていたら、いつまでたったとしても、非常に卑近な例ですけれども、親離れしない子供というとらえ方があるのですよ、父権主義的な。そうじゃないということを僕は言っているのですよ、任せてしまいなさいと。
 では、具体的に言います。都市再生緊急整備地域というのは、都市の再生の拠点となる地域を想定しておりますけれども、拠点となるためには、交通アクセスがとても大事な要素になると思われます。
 その意味で、都市再生本部の役割としては、僕は申し上げたい。こういう役割を担わなくてはいけないのではないかということですが、広域的ネットワークの整備計画を計画、立案し、また民間の創造的な意見を積極的に取り入れて検討する必要があると思われます。つまり、広域的ネットワークです。
 つまり、今例えば地方自治体において何が問題になっているかというと、一つの地域の開発を行うときに、その地域の道路、これはインフラの部分に相当します、インフラの整備に関しては二分の一負担してくださいと。これは物すごい負担になっているわけですよ、その企業にとってみれば。まさに国土交通省がやるべき都市再生の本質というのは何かといえば、広域ネットワークを整備していってあげればいいのですよ。その中身に関しては、どうぞ地方自治体がおやりなさい。発想が違うでしょうと言っているわけ。
 国土大臣が僕におっしゃってくれているのは、個々いろいろな地域の拠点をつくるに当たって、そこで地方自治体の意見を聞く、そこで、いいものならば、それに対して金融支援してあげましょう、また、そこに規制がかかっているならば規制を取り外してあげましょう。今までのやり方と同じでしょうと言っているわけ。
 それで、この僕の考え方はどうですか。広域的ネットワークの整備計画を企画立案しますか。あるいはまた、先ほどもお話がありました重要な問題というのは、まさに交通アクセスですよ。循環的な鉄道計画について、これまた極めて僕は重要だと思います。そういう物の見方、考え方がちゃんと都市再生本部に入っているのですかということをお聞きします。
扇国務大臣 そのことは、私が最初に国際都市の要件というのを申しました、それと同じであって、都市というもののアクセスをどう考えるか。地域、地域で考えていたのでは、これはできないのですね。
 例えば、成田空港ができたのは、あれは一九七八年です。二十五年たってまだ、アクセスを使って成田まで電車で行こうと思ったら、今は五十六分ですか、かかりますね。今度は、京成も、そして浅草線も利用して、これをつないで三十五分にしようと。これも大事なことだと思いますし、今まで東京都が計画して、圏央道あるいは外郭、何年かかりましたか。全然できていないです。
 そういう意味で、今回は、外郭もあるいは圏央道も都市再生本部でこれは別途考えて、都市のあり方というものを総合的に考えていこうと。それでなければ、戦後今日までかかってできていないものを、あと何年たったらできますかと質問されて、これは国会議員といえども答えられないんです。大臣といえども答えられないんです。費用と地域の皆さんの御賛成があって、どうするかということが答えられない。これでは二十一世紀の日本づくりなんてできないんです。
 ですから、私は、そういう意味で今回は、都市再生本部で集中的にしなければいけないところはどこか。みんなが生活するために、成田へ行くのに延々と二十五年たってまだ一時間近くかかっているというのを解消しようではないか、民鉄と地下鉄と両方、会社は違ってもこれを一緒にするようにしよう、そういうことも今回は計画しているわけでございますから、私は、地域の住民のためによくなるような、今度の都市再生計画の法案に盛り込まれる大事なことだと思っています。
東(祥)委員 そうすると、僕、質問を繰り返しますけれども、都市再生本部の役割として、広域的ネットワークの整備計画、こういうものを企画立案するということを入れてくださいますか、入っていますか。あるいはまた、循環的な鉄道計画、こういうことも極めて重要だと思いますが、そういうことも考えていただけますか。いかがですか。
扇国務大臣 都市再生本部をつくった原点はそこにあります。今私が申しましたように、アクセスのあり方、そして、民と民だけれども、その民と民が一緒にいけるように、両方で切磋琢磨してこれを一本につなげるようにしていけないかと。ですから、今までは、私鉄とあるいはJRとがリンクして、そして立体にして共同でやるというようなことも、これは都市再生本部で指導していく、都市づくりのために必要であれば、これは都市再生本部で一環のものとして考えていく、実現してまいります。
東(祥)委員 よろしくお願いします。
 それで、これはまたさらに具体的なんですけれども、先ほど触れました江東区には、御存じだと思いますが、臨海副都心あるいはまた豊洲・晴海整備地区を現在抱えています。いずれも最近注目を浴びている地域でありまして、先ほど大臣が言われたとおり、国際交流都市、これを目指して、地域の住民や商店街や企業など、地方自治体と一体となって開発を推進しておりますけれども、例えばこれらの地域というのは、今提出されている都市再生特別措置法による都市再生緊急整備地域として考えられる地域なんですか。参考に聞かせてください。
扇国務大臣 これは法案が通った後で、都市再生本部に各地域から、この法案が通ることによってどれだけの案を持ってきてくださるか、私は楽しみにしておりますので、ぜひ、そういうことであれば、その地区で先生御指導いただいて、都市再生本部に、これだけのエリアをこういうものにしたいんだというのを提出していただければ、大変参考になるし、ありがたいと思っています。
東(祥)委員 もう時間が来てしまいましたので、では最後に。
 都市再生本部で都市再生の意義だとかそういうのはまだこれからつくられるわけですから、愛郷心ということをぜひ入れていただきたい。地域コミュニティーですよ。それは、まさに今ないんですよ。
 先ほども別の議員の方々に言われておりましたけれども、ヨーロッパを見ても、御案内のとおり、なぜ、例えばドイツにある諸都市がきれいなのか。六十万都市あるいはまた七十万都市でなっているのか。あれが戦争で全部廃墟と化した後も、やはり地域住民の方々が何としてでも昔の面影を残していきたい。また、地域におけるルールをちゃんとつくって、彼ら自身ですよ、先生御案内のとおり、例えばマンションに住んでいる、集合住宅に住んでいる、そして、その窓がぴかぴかに磨かれていない、そうしたならば出ていけと言われるんですよ。それは別に行政が指導しているんではなくて、住んでいる人たちが共通のルールをつくった上でそういう環境をつくり上げていこう、そういう意識が芽生えてきているわけですよ。
 では、それはなぜそういうことがなされているのかといえば、地方分権が進んでいるからですよ。権限を移譲してあげているからですよ。扇大臣はそのことを十分わかった上で、今の政治がちゃんと機能していない、そういう状況の中で、何とかしなくちゃいけない、そういう使命感を感じるんですけれども、問題の所在を言うのはだれでもできます。しかし、その立場にいらっしゃるわけですから、必死になって頑張っていらっしゃると思いますが、さらに一層頑張られて、それぞれの地域で生まれ育った人たちが、そこで本当にこの地域でよかったなと思われるものは、行政がつくるんじゃないんですよ、そこに住んでいる人々がつくる。
 そのために必要な権限、さらにまたグランドデザイン、そしてまた国土交通省としての国土保全あるいはまた国土開発、そういう意味での一つのチェック・アンド・バランスといいますか、そういうものが必要になってくるんじゃないですか。それをつくらないで地方分権をやろうやろうなんて言ったって、それは無理ですよ。地方自治体にすべて任せて、何もできないでしょうと言うのと全く同じことで、まずそういうところからやっていただいて、権限をどんどん出していく。国土交通省というのがある意味で要らなくなるような形にしていかなくちゃいけない、それが本来の役割なんじゃないのかというふうに申し上げて、もし御参考になることがあれば聞かせていただいて、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
扇国務大臣 私がまさに、図らずもと言うべきでしょうけれども、分野外の建設大臣になりましたときから、私は日本の国のグランドデザインをつくると言い続けてまいりました。そして、そのグランドデザインもある程度、私が十カ所の地方懇談会をつくって、例えば九州の知事さん全部に福岡に集まっていただいて、今まで計画している十年前の公共工事、現在の公共工事、十年後の公共工事を一覧にして出して、全部に見ていただきました。
 そうしますと、知事さんたちが、自分たちの県の中でこの道路、この高速道路を早くしたいな、飛行場をここに欲しいなと思っていたけれども、九州を一体として考えたら、なるほど、こっちのあなたの県の方を先にするべきですね、こういうお話をいただきました。四国もしかりです。四国は一つという考え方をしたら、北海道開発庁と同じように四国開発庁ができていたでしょうね、僕たちはもっとよくなったでしょうね、こう言っていただきました。
 それがまさに地方分権であって、一つの県だけではなくて、一つのブロックで、九州ブロック、四国ブロック等々で、全部でいかにコミュニティーを、町を、市を、県をよくしていくかという、それを私は国土交通省としては一番大事にしたい、それを原点に考えております。
 ただ、例を挙げて失礼ですけれども、名前は出しません。東京都、ある首長が一人でも反対があったら道路をつくりませんとおっしゃって、この何十年間、圏央道も外郭も含めて、どうなっているか。東京の高速がこんなに込んでいるのは、あれができていないから、一四%はただ東京都を通過点にして通っている。東京に住んでいる人は物すごく迷惑しているんです。けれども、一人でも反対があったらできませんと言われると、民主主義ですから、そうかなと思って、今日まで何十年のロスがあるわけです。
 そうではなくて、私どもは、奥の目で、今、先生がおっしゃるように、愛郷心、町を愛し、国を愛し、そして自分の住んでいるところを愛そうというのであれば、私はそういうすばらしいまちづくり、国づくりができて初めて、自分の住んでいるところへ帰りたい、地方へ出ていてもあそこで死にたいと思うような町になるんだと思いますので、そういう理想郷に近いものに一つずつ持っていこう、それが私たちの今度の法案で、都市再生本部というものをつくった原点がそこにあるというふうに御理解いただければありがたいです。
東(祥)委員 三十秒ありますので、最後に。
 大臣、例えば成田の飛行場の問題も、あるいはまた今お話がありました交通渋滞の問題も、一人の人が反対してできないというのは、やはりこの政治はおかしいんですよ、この国は。
 そうであるとするならば、そこの責任がある立場の人がやり切らなくちゃいけないんだろうと思いますよ。二千万以上の方々が成田空港を使っていて、そして数人の方々が反対している。それが数万だったら別ですよ。それをやり切らなくちゃいけないんですよ。それが政治だと僕は思います。そこのお立場にいらっしゃるわけですから、おかしいと。
 民主主義というのは、少数の意見を尊重はしますけれども、意見は意見として言うわけですけれども、最終的には多数決なんですから、それをちゃんと大臣のお立場でプロスデューアーをつくってやられたらいいじゃないですか。それをやる政治家がいなかったからおかしくなっているんですよ。そういう政治をやる人がいなかったから、住民が塗炭の苦しみを味わっているんですよ。
 そのことを最後に、私の質疑を終わります。
久保委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。松本和那君。
松本(和)委員 自民党の松本でございます。
 午後のトップを賜って質問をさせていただきたいと思います。若干売れ行きが悪いので残念ですけれども、一生懸命にさせていただきたいと思います。
 午前中、各党から質問がございました。特に、今、経済が日本はデフレ基調の中でもって低迷をいたしておりますけれども、都市の再生というのもまさに経済の再生と整合性を求められているわけであります。私は、今のグローバルスタンダード時代というのは、経済もそうでありますけれども、組み合わせとスピード、この競争が世界的に今広がっているわけですから、このIT時代、インフォメーションテクノロジーの時代でありますから、インフラが集積している都市に重点的にいろいろな政策を進めていくこと、これはまさに時宜を得た政策だというふうに考えておりますし、今回の提案というのは本当に高く評価する次第であります。
 従来、申すまでもなく、日本の都市というのは、まちづくりというのは、都市計画制度、これは官による制度でありますけれども、それと現実のまちづくり、これは民間によるまちづくり、官も寄与しますけれども、この不整合性といいますか、余りそれほどうまくはいってなかったんじゃないかという気がします。
 一方で、民の力を引き出そうとしますと、どうしても官の方の法律、どちらかというと形式的なものが多いんですけれども、そういったものに阻まれてしまって、思うように民間の力を発揮できない。ですから、今回のこの法案というのは、経済再生、都市再生、そのためにはスピードを持ってひとつ対処していかなければならない、今、時代の要請にぴたりと当てはまるものだというふうに考えております。
 先ほどからの質問で、大臣も、人が生まれてから死ぬまでの生活の場として、安らぎのある空間という形で都市を改造していこう、再生していこうということを盛んに申しておりました。
 ちなみに、ヨーロッパ型の都市の再生というのは、盛んに今の時代に合ったような形で進められております。この中心になるのは、人間の生活の場、それが持続性を持っている、サステーナブルという言い方をしておりますけれども、持続性を持って続いていく、こういったまちづくりを進め、非常に、エコロジーといいますか、環境や自然、そういったものを大事にしながら、人間本来の持っている力というもの、生活感、こういったものを大事にして進めている。
 一方、我が国、またアメリカもそうでありますけれども、どちらかといいますと、従来、特に日本は、市場経済、こういったものをひとつ効率よくやっていこうという形の中での都市再生というものが政策的にもつくり上げてこられたんじゃないかという気がいたします。
 その結果、今いろいろな面で反省を問われているのは、午前中の民主党さんの発言にもございましたように、個性のない都市、よく言われておりますけれども、画一的な、どこの町へ行っても同じだというような、そういう都市というのはこれから人がだんだん離れていきますし、人間生活の方が非常にライフスタイルが確立されてきておりますから、まちづくりもそれに合った個性のあるものでなければ、だんだん町に居ついてもらえないし、またビジターにも訪れてもらえない、そういうことだろうと思います。
 そういう形の中で、効率は、スピードは大事なのでありますが、組み合わせ、もう一つの、一方の、人間の生活の場としてのヨーロッパ的な考え方というものもこれから非常に大事になっていく、これが今回の基本になるんだろうと思います。
 一つ例を申し上げれば、ちょうど今、二十世紀が終わりました。二十世紀は、どちらかというとデジタル化社会です。コンピューター、また自動車、そして今デジタル化の中でもってどっぷり我々経済行為をしているわけでありますけれども、一方で、やはりそういったものを動かすのは人間であります、アナログでありますから。このアナログの力といいますか、大事さ、こういったものがまちづくりの中で効率とともに基幹にならなければ、個性のある、あるいはゆとりのあるといいますか、落ちついたまちづくりというものの中に効率のよさというものは追求できないんじゃないかという気がいたします。
 私は、たまたま千葉県七区の選挙区でありますが、そこに今、国土交通省のいろいろな施策の中の第二常磐線があります。あと三年ぐらいで完成するわけでありますが、実は、地元の市にずっと提案してきました。
 どういった提案かといいますと、個性という面で、第二常磐線ができる市街地の駅、この駅前を、従来型の個性のない、どこの駅でもあるような駅前はやめようじゃないかと。では何をつくるかといいますと、里山が残っております、非常に自然が、公園が残っていて、オオタカというような保護されているタカもすんでいるというような場所でありますから、この駅前を、少し形の変わった個性的なものにしたらいいんじゃないかと。
 実は、この線が開通しますと、三十分で秋葉原に乗り入れる。そして、後ろ、バックが柏市で、たった十分ぐらいで行けてしまいます。それぞれが大都市で、商業集積をたっぷり持っておりますし、特に柏市は、渋谷になぞらえたような形でもって、今非常に駅前を初め町全体が活気を帯びる形で商業集積が行われているわけであります。
 同じ形のものが、三十分で東京、後ろは、バックは柏市、これでは何のためにまちづくりをするか、駅前をつくるかというと、ただそこを通過する、通勤のためのまちづくり、駅前づくりになってしまうんじゃないか、だから、本来、人が飽きない、どこにもあるような形のものではなくて、個性のある市街地づくりをするために里山を十二分に使ったらいいだろうと言いましたら、まずそれじゃ事業採算が合わないんじゃないか、特に地主の理解を得られないんじゃないかというような話があちこちで出ました。
 しかし、日本の土地というのは、御承知のようにどんどん今下がっておりまして、そういう中で、やはりもう土地にすがりついて、土地を資産として考える時代じゃありません。もう資源として有効に使わなきゃならぬということが、個人から企業、そしてまた国の運営についてもそういうことが言えるわけでありますから、今までどおりのような土地の考え方で、高層、容積率を上げてビルをつくって駅前再開発をしましても、それほどの価値あるものとは思わぬし、東京に逃げてしまう、柏に逃げてしまうわけでありますから、それならば、個性のある形の駅前というものを、里山を売る、若干駅前に田んぼがあるというのはおかしいかもしれませんけれども、そういった中にあっていいんじゃないか。それも木造の、ログハウスのような形の木造の駅前でもあっていいんじゃないか。ですから、低層で、自然もあふれる、そういう形にすれば、これは全国から駅前に、市街地の中に、あるいはトンボをとりに来る駅前かもしれませんし、そういったものが本当はあってしかるべきであり、それが個性だろうというふうに思うわけでありますが、そういった形をひとつお考えになったらということで市当局や何かにさんざん言っているんですが、やはり採算、採算のとり方の考え方が全然違うわけですね、官と民では。
 ですから、この辺は、やはりどうしても、考え方というものを、国が、いろいろな意味でもって、ただ政策をつくるだけではなくて、これだけ個性ということを言っているわけですから、やはりきちっとした形でもって地方自治体を指導していく必要があるんじゃないか。
 確かに、地方分権に向かっていろいろな道具、私が国会に出ましてからでも、国土交通省、建設省時代からすばらしいくらい道具はつくりました。そして地方におろしてきました。残念ながら、おろした道具は地元でもって自治体が使うことができないのです。使ったことがないですから。また、使ったことがあっても、いろいろやっていきますと、この道具を使う人手の不足、人というよりも人材ですね、人じゃなくて人材、今度はそれを動かすだけの人材がいない。これが大変ネックになっているわけであります。
 そういう中で、やはり一方で組み合わせ、そういったデジタルとアナログ、あるいは里山と旧市街地とか、いろいろな形でもってまちづくりを進めるという一方において、やはりスピードということが非常に要求されてくる時代です。経済もそうでありますけれども、まちづくりもスピードなんです。
 ところが、なかなかこのスピード感というのは、先ほど、午前中、民主党の古賀先生からお話がございましたけれども、上海の浦東の開発問題がありました。非常にスピード感を持ってやっておられる。私も何回か見ましたけれども、そのとおりだと思います。しかし、これには国の事情が違う。
 まず、我々日本は民主主義。一人でも反対があれば何もできないというような美濃部都政からのそういう時代のあれを踏んできた。ですから、その根には、民主主義というあるいは多数決という、そういった原理の中で、制度の中でまちづくりをしてきた国と、共産あるいは社会主義という形の中で、号令一発どうにでもなる、その社会主義の中に資本主義を組み入れている経済ですから、これは何をやったって速い、スピードが。
 ですから、このスピード、これを上げるために、ではどうしたらいいかといいますと、やはり、戦後五十年間、いわゆる日本の都市づくりの中には私の利益と公の利益、これの調整を日本はほとんどやってこなかった。ですからこの弊害がずっと出てきた。一口で言いますと、これは、民主主義の国だから、反対があったならば、なるべく、これはやらないよ、先送りをするよ、そういう形で、道路にしろ空港にしろそうなんです。私どもの県にある成田空港なんて最たるものですね。ですから、収用法ができて収用をかけられるんですけれども、収用委員会がもう十三年間やって、できない。先般、収用法を成立させていただきましたけれども、それでもなかなかできない。
 では、こういった形の中で、もしまちづくりをするためには何をしたらいいかというと、やはりイギリスで行われているような緩やかな私権の制限、それぞれ持っている権限、これを少し制限しなけりゃ、特にこの東京、大阪なんという大都市はなかなか再生ができないんじゃないか。いろいろな法律はできます。容積率、あるいはいろいろな形のものが今回の政策の中でも披露されておりますけれども、緩やかな私権制限というものをきちっととらえられないとなかなか難しいのではないかというような気がいたします。
 そこで、第一点目、副大臣にお伺いしたいのは、こういった、今までは官が予算主義でもって一年間、単年度予算で組んだ予算の中で、どちらかというと、ゆっくりではないのでしょうけれども、ペース的にはそれほどスピードはかからなくてもやってこられたのですが、今後はきちっとそういったスピードのある、私権制限まで踏み込むような形、憲法に抵触するかもしれませんけれども、そういった形のものに持っていかないとだめだろう。先ほど扇大臣が、国民の意思、その考え方も大事だということをおっしゃっておりましたけれども、そういった考え方に立ってひとつ御質問したいと思いますので、いかがなものでしょうか。
佐藤副大臣 先ほどから松本先生おっしゃっているとおり、それぞれの地域が魅力的な地域をつくるということは、やはり、どうやって自分たちの個性を見つけ出すか、要するに、アイデンティティーの追求なんですね。その地域らしさ、先祖からずっと続いてきた価値観を自分たちがどうやって守ってそれを地域づくりに生かすかということが一番大切なんだろうと思います。そういうことをよく考えながら、非常に重点的な問題として私どもこれからまちづくりをやっていきたい、そう思っております。
 さらに、だらだら時間をかけていたのでは、これはそのうちにまた時代が変わってしまうということが起きてきているわけであります。特に、今までやってきた区画整理事業などは、もう全員の同意がなければならない、なかなか時間がかかる、予算の面でも時間がかかる、さらに土地がなかなかまとまらない、そんなことが大きなネックになってきました。
 ですから、今度の都市再生特別措置法においては、土地所有者の三分の二の同意があれば都市計画の提案ができる、提案されたものを、それを都市計画の決定をするかしないかというのを六カ月以内に決める、そのようにして先生おっしゃったようなスピードを上げてやっていくということにいたしております。これによって時間リスクというものは相当回避されるだろう、そう思っています。
 こればかりじゃなくて、あらゆる面で、先生おっしゃっているとおり、いつできるかということを時間を明示して、そして多くの方々が期待をしているうちに完成をしていく、そういう方向で行政を進めていきたい、そう考えております。
松本(和)委員 ありがとうございました。
 次に、今回の法案でもって大変画期的なことは、民間による時間と場所、これを限定して大胆な措置をひとつしていこうということであります。この点、大変すばらしいと私は思います。
 ただ、従来のように、例えば先ほどの大臣発言にもありましたけれども、戦後五十年、やはり国土の均衡ある発展という形で、地方も満遍なくやろうという形。しかし、今このデフレの時代、財政が冬の時代にそれをやったら、またずっとデフレが続くんじゃないかというような危惧があるわけです。
 私、首都圏に住んでいますから我田引水するわけではありませんけれども、ここに住みついていくためには、一つには、やはり場所というものを限定して、しばらくの間、この首都圏、東京とか大阪という限定された地域、その中にもまた限定地区をつくる。いわゆる開発特区のようなものです。一週間ぐらい前の新聞発表では、総合規制改革会議も規制改革特区というのをつくるそうですね、四月から。台湾なんかは全部工業社会、そこに税金五年間の免除とかいろいろやってきて成功しているのですから、東京、首都圏でも大阪でも、その中に特別の開発特区をなお狭めてつくって一つのサンプルにしていく、それがまた経済に波及していく、こういうことをひとつお考えになれないか。まず、ちょっとその点について。
佐藤副大臣 まさに、今度の都市再生というのは、都市を一体どうしたらいいのか、これだけ問題点の多い都市を早く再生しようではないか、そういうことで始まったものであります。同時に、このやり方を地方の都市にも広げていこうということでこの法律ができております。
 都市部にはみんないろいろ悩みがあります。その悩みをできるだけ早く解決していこう。そのためには、先生さっきおっしゃったように、時間をかけないでやっていく。そのためには、それぞれの地域をきちっと指定して、もちろん多くの皆さんの要望を受けながら指定をして重点的にやっていくということを中心にやっていくようになっております。期待にこたえられるようにやっていきたいと思っております。
松本(和)委員 御期待申し上げます。
 と同時に、先ほど組み合わせという話をしましたけれども、特区を設けてそこで効率よくまちづくりをする、これも大事であります。と同時に、その中に、やはり先ほど申し上げたアナログ的なといいますか、今、二十一世紀というのは、それぞれの生活が心地よさ、心の安らぎが求められるような、先ほど大臣もそういったことをおっしゃっていますが、そういった形の、ライフスタイルのまちづくりというものを目指していかなきゃだめだろうと思うのですね。ですから、個性ある、安らぎのあるまちづくりということを効率と組み合わせて、どちらも大事なわけでありますから、こういった形で。
 従来、日本は土地にしがみついてきました。建物に関しては、住宅地から別荘地までみんな無視してきたわけでありますが、アメリカでは、もうとにかく、ランドスケープというか周りの環境から建物に対する考え方というものは全く違いますから。日本じゃ住宅というのはほとんど三十年住宅、欧米ではみんな七十年から百年住宅ですから、この辺も考え方が違うし、土地がこれだけ下がってまいりますと、当然そういった形のものが要求されてくるんだと思いますが、この辺、既存の今の都市計画がいろいろな意味でもってネックになっている面もあるのでありますけれども、この考え方について、どうですか。
澤井政府参考人 個性的なまちづくりを進めるべきである、あるいはいろいろな主体が参加して知恵を出し合って進めていくということの大事さは、御指摘のとおりだと思っております。
 御指摘の点は、例えばベースとなる用途地域、これはかなり広い範囲について一律に、容積率を含めて制限をしていくという基本的な都市計画でございますけれども、それだけでは必ずしも、そうしたいろいろな創意工夫を実現したりというあたりに限界があるというような御指摘かとあるいは思われます。
 私どもといたしましても、地域の個性を発揮いたしまして、幅広いライフスタイルの選択肢を用意するとともに、多様な都市景観を創出していくということが大事だと思っております。
 そのため、例えば最も代表的な例を一つだけ挙げますと、地区計画でございます。建築物の高さあるいは位置、デザイン、それから個性的な都市景観の形成を図るためのさまざまな規制が可能になっております。しかも、通常の都市計画以上に住民の発意を重視した手続になっておりまして、しかもこれが、最近十年間で七倍近くに件数がふえている。一方で、そうした活動に取り組む方々の、NPOを代表といたします数も急速にふえているという実態もございますので、そうした動きを的確にとらえまして、いろいろな制度を駆使して、御指摘のような方向で進めてまいりたいと考えております。
松本(和)委員 その場合に、要望として申し上げておきますけれども、今回、やはり容積率の問題もあります。と同時に、今まで各自治体がみんな要綱行政なんですね、要綱行政。余り規制してしまうといろいろ問われますから、要綱行政になっています。だけれども、これではもうだめだ。今はもう、条例にして、きちっとこういうふうにやれという形にしませんと、非常にまたあいまいなものになってしまうというふうに私は危惧するわけですから、その辺をやはりきちっと条例でほとんど処理していくという形にしませんと、これからのまちづくりはだめだろうと思います。これが一点。
 それからもう一点は、容積率のうち、総合設計制度というのが前から言われています。これは、何か建物が倒れたときにパーセンテージを上乗せしてやるわけですけれども、この許可が、どういうときに許可になるんだということが全然わからないわけですよ。もう専門の一級建築士じゃなければわからない、総合設計制度という名前自体がわからないのですから。
 これは、ボーナス加算制度、ボーナスで加算する、それから割り増し加算制度、こういったことでやれば国民がわかりやすくなる。
 何のためのボーナスだといえば、阪神大震災で十階建ての二〇〇%の容積率で建っていたビルが倒れました、ローンを抱えちゃって、また建てようとすれば合意が得られても二重ローンになってしまう、ですから、そのときにボーナス加算でもって一〇〇%ボーナス加算してやれば三〇〇になって十三階建てが建てられる、ならば、その三階を、上の三階分増した分を、皆さんの住宅は十階までに住まわせて、ローンの支払いのために、二重ローンにならないために売って、収益を上げてその処置をしていく、こういうことができるわけですから。
 せっかくいい制度があっても非常に使いにくい。ですから、これからのまちづくりは、やはりわかりやすくやらなければだめだ。言葉というのは、話していてわからなければだめだし、文章というのは、読んでわからないとだめなんですよ。非常にそういう意味では役所的な発想がずっと来ているわけですから、その辺について強く要望申し上げておきます。
 それからもう一つは、ちょっと飛びますけれども、菅さんは今政務官で、我々と一生懸命やってきている同僚でありますけれども、前回の委員会のときに、東京湾アクアライン、これをとにかく値下げをしようと。私もこれは大賛成です。
 私どもの県の木更津市長選、来週行われますけれども、これの候補者たちの公約が、やはりみんな五百円とか千円とか二千円なんですね。ところが、菅さんに言わせれば、新聞で読んだだけですけれども、おれはとにかく命をかけてやるというのですね。命をかけてやるほどの問題でもないし、有望な政務官なんですから、私らはもうロートルですからすぐ終わっちゃうけれども、これから日本を背負って立つ政務官なんですから、命なんかかけないでください。かけないかわりに何をやったらいいかというと、全部ただにしたらいいと思う、ただに。こうやると償還できないよと言うかもしれませんけれども、私は、やはり今のいろいろな形を、償還とかそれぞれを、点でもって計画するのじゃなくて、総合的に計画したらいいのじゃないかと思う。
 二年前に大深度地下法というのができたでしょう。これを使えばいいんですね。今、東京都の高速道路の渋滞というのは、五十一キロの範囲で二百万台走っています、それで時速が十八キロ。これですよ。この経済損失というのは大体年間五兆円あるわけですから、これを四十メートル下の大深度地下でもって三十キロにして、これは権利の主張もできませんし、いろいろな意味で、地震対策にもいい、あらゆるいい面が法律化されたわけですから、これを思い切ってやるんですよ。それは何兆円かかるかもしれません。しかし、日本というのはそういった思い切ったことをやらないのです。
 ボストンには、ボストンの奇跡と言われるくらいに、この五年間で思い切り鉄道も埋め、道路も埋めるという形をアメリカはやるんですね。これがこれからの都市。それによって外環を全部、この一部分は反対だからできないとか、そういうところはもう思い切って大深度に持っていってしまえばいいんじゃないかと思うのですよ。なぜかというと、私は千葉県議会議員を二十年やってきましたけれども、この二十年間でもってあの江戸川の、そこに残る外環、これが二十年たってもまだでき上がらない、こういう問題ですから。
 それは、今までの中でもって、さっき言った、民主主義ですから、既得権とそれから発想が、そういう形でもって予算主義でどんどんやっているからだめなんです。経済は、今グローバル化というのは、思い切った重点投資、思い切った地下への投資、これによって五兆円の市場効果が出れば、首都圏はもっと出るわけですから、首都圏の中にも外環を通せば、そうすれば菅さんが命をかけなくて済むわけですから、その辺の菅政務官の考え方をひとつ、どうぞもう一度聞かせてください。
菅大臣政務官 私は、命はかけていません。何か新聞が変に書いていましたけれども、料金値下げに命をかけるほど簡単な命じゃないなというふうに思っています。
 今、松本委員の質問を聞いていまして、さすがマツキヨを育て上げた人は違うなという、その経営感覚ですか、そうしたものをかいま見たわけであります。
 ちなみに、このアクアラインでありますけれども、四千円から三千円に平成十二年七月二十日から値下げをしました。一年間でありますけれども、一日の交通量が平均三千二百台実はふえています。そして今日もまたふえ続けていますから、そういう意味では、四千円から三千円に値下げをして、これは大成功であったというふうに思っています。
 そして現在、首都高の湾岸道路あるいは京葉道路の混雑状況を考えたときに、車が生活道路にどんどん回り込んでいまして、環境問題もいろいろあります。当然、私は、もう一度、一段の値下げというものを検討すべきであるというふうに思っております。
 それと、国土交通省の道路政策というのは、今までつくる方が主眼になって、利用者のことを余り考えていなかったのじゃないかなというふうに実は私は思っております。例えば、電気料金でも深夜は半額にするとか、あるいは携帯電話でも日曜日は割引するとか、いろいろなことを実は考えて実行に移しておるわけでありますから、道路料金についても、私はもっと柔軟に対応できるように行うべきではないかなというふうに思います。アクアラインもその一つじゃないかと思います。
松本(和)委員 ありがとうございます。しっかりとひとつ頑張っていただきたいと思います。
 時間がございませんから、最後の質問は要望にさせていただきたいと思います。
 実は、今回のこういった政策をするためには、今、財政不如意。それから、国民の所得が非常に今、手元が悪いわけであります。銀行は御承知のように、ああいうていたらくの状況でありますから。
 私は、金融面で国がいろいろな支援を今回もしていくわけでありましょうけれども、一つ御要望申し上げたいのは、国土交通省ができる話ではありませんけれども、要するに国全体として、やはりアメリカがやっているようなプロジェクトファイナンス、プロジェクトに対するファイナンスというものをきちっとシステム化していくべきだ。PFIはやってきました。しかし、まだそれほどあちこちでやっているわけじゃない。
 私は、例えばアメリカがやっているTIFというのですか、要するに遊休地の事前活用。それを開発するときに、増収を見込んで債券を発行して、それを買ってもらってこの資金調達をする。あるいは商業施設などは、みんな命名権。例えばこのスタジオの命名権、東京スタジアムも今度やるそうですけれども、そういう命名権とか、こういったあらゆるものを使って、資金を借りなくても済む、こういったプロジェクトもできているわけですよ。これがまたそういうスピード感を上げて、速めているわけですから、そういった形で。
 ですから、財務省にも日銀にもお願いをしたいのは、言っておいていただきたいのですけれども、去年三月から九月そして十二月、ここへ来てまた金融量的緩和をやったのですが、しかし、みんな御承知のように国債を買っているわけでしょう。ですから、これは、少なくとも、都市再生のために、こういったプロジェクトに、土地、住宅、そういったものに思い切ったプロジェクトファイナンスを組めるようなシステムをぜひつくっていかないと、なかなか、すべてにはお金がかかるわけでありますから、こういった形にしていく。
 ところが、今、日本の経済を、潜在成長率二%、名目三%にするためにはということで、インフレターゲットとかいろいろ考えておりますけれども、このためには、日銀の量を、今出ているところが違うんで、大体、前年対比少なくとも一三%から一五%の成長のベースマネーを図らないと、ベースマネーというのは日銀の当座預金と現金の合計でありますけれども、これをやらないとだめなんですね。ところが、この間も財務省でも言ったんですけれども、一〇%ぐらいしかまだ出ていない。一年間やってですよ。ですから、まだ五%ぐらい足りないわけです。
 企業の方もなかなか、今投資を呼び込むような、採算の合わない環境になっておりますから大変なんでありますけれども、ぜひこの政策のために、プロジェクトファイナンスとして、銀行、金融機関に対しても、国のお金だけじゃなくて、そういった形を考えながら、投資体制ができるようなプロジェクトファイナンスをひとつ考えていただきたいということを最後に御要望申し上げたいと思いますが、いかがですか。
佐藤副大臣 今PFI、私たちもなかなか前へ進んでいっておりません。どうやって民間の活力を有効に利用していくかということが、今私たちに与えられた大きな課題です。今先生がおっしゃった、それぞれのプロジェクトによってファイナンスをつくる、これをぜひとも検討させていただきたい、そう思っております。
松本(和)委員 どうもありがとうございました。
久保委員長 赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 きょうは大変限られた時間ではありますが、都市再生関連二法につきまして、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、きょうの午前中の政府の御答弁を伺っておりまして、今回のこの法律の目的は、まさに高度成長時代の負の遺産、防災安全面での不足とか、国際競争力の低下とか、また中心市街地の空洞化等々の、こういった負の遺産を何とか解決をしたい、そういった思いでの法律だというように理解をしております。
 これは、そのために地域を指定して、規制を撤廃して、民間の活力を導入する、これはもっと早く導入しなければいけない方向だったというふうに思いますが、しかし、その中で、どういったまちづくりをしていくのか、どういった都市をつくっていくのか。民間に自由にやりたいようにやらせる、こういったことだけでは、これもまさに二十世紀の負の遺産の一つだと思いますけれども、バブルのときの、何でもかんでもオフィスビルができて、まさに今の空洞化を招いてしまった、こういったことを繰り返す、あのような愚を繰り返すようなことは避けなければいけないというふうに思っております。
 また、私、二十一世紀というのは、当然、都市の生活というのは、安心して住みやすくて、そして働きやすい、それはいろいろなことがあるんでしょうけれども、当然、環境に優しいまちづくりであり、バリアフリーは当然のまちづくりであり、そして働く女性がこれだけふえておりますから、子育てがやりやすい、保育園が、今、総理も言っておりますが、保育所待機児童ゼロ、こういったようなことが当然のように完備をされているまちづくりを進めていくことがやはり大事だ。そういったことをどのようにスピーディーに進めていくのかということが大事なことだというふうに思います。
 この法案の中でいろいろ書かれております。内閣総理大臣が都市再生基本方針を決定する、そして都市再生本部は、都市再生緊急整備地域ごとに、その関係地方団体の意見を聞いて地域整備方針を立てていく、こういう段取りになるんだと思います。そういった意味では、この地域整備方針、もちろん、その前提の都市再生基本法の大方針、基本方針と具体的な地域整備方針の中にどれだけ先ほど私が申し上げましたような二十一世紀のあるべき都市のあり方というのが担保されるのか、これが一番大変重要なところだというふうに思いますが、この法律の中でそういったことが担保をされているのかどうかということについて、御答弁をいただきたいと思います。
澤井政府参考人 ただいま仰せの、二十世紀の負の遺産を解消して二十一世紀にふさわしい新しい町をつくっていくということは、いわば日本の各都市を通ずる共通の課題だと思っております。それゆえに、国が一定のイニシアチブをとって今仰せのような方針を定め、地域を政令で指定し、さらに地域ごとに整備方針を決めていくという仕組みをとった法案を提案したということでございます。
 そうした中で、具体的に、ではどういう新しい都市をつくっていくのかということにつきましては、まずは、昨年五月以来活動を積み重ねてきております都市再生本部において、数次にわたりまして都市再生に取り組むいろいろな考え方を整理してきておられます。そうした基本的な考え方の整理を、今後、法律成立の暁には集大成いたしまして、都市再生基本方針として定めていくことになるのではないか。これが、一つには、全国、日本の各都市を通ずる共通課題としての今後の都市ビジョンだと思います。既に決められた都市再生本部の決定事項の中には、御指摘のような環境問題、防災問題、国際性の問題、それぞれ現下の重要な課題が網羅されているのではないかと考えております。
 また、都市計画の分野では、各都市計画区域ごとに、基本的な方針、マスタープランと呼んでおりますが、長期的にどのような町をつくっていくかという方針が制度的に位置づけられております。こうした方針を、今後、どのようなものとして二十一世紀にふさわしいものに展開していくかということにつきまして、現在、国土交通省の社会資本整備審議会都市計画分科会において基本的な御議論を賜っておりまして、こうしたことも踏まえまして、公共団体ともども、いろいろと改善を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
赤羽委員 どうもありがとうございました。
 先ほどからの質問の中にもありましたが、都市の個性というか、地域地域の個性を大事にしていかなければいけない、こういったやりとりもありましたが、それは物すごく大事なんだけれども、その前提として、先ほど私が言いましたバリアフリーのこととか、環境に優しいとか、子育てがしやすいとか、これはその前提条件だ、基本的なファンダメンタルだというふうに、私はそう理解をしております。かつ、なかなか、日本のこういった憲法の中で、どれだけ強制力、先ほどどなたかの発言にもありましたが、どれだけ私権を制限するかというのは非常に難しい話かもしれませんが、私は、そこをどれだけ強制力を持たせてマスタープランをつくるかということが大変重要なのではないか、そう考えます。
 なぜなら、例えばバリアフリーにしても、法律ができて、今、全国でいろいろなところのまちづくりの中でバリアフリー化があるんだけれども、既にでき上がった駅に全国一斉に今エレベーターをつけていますね。そうすると、狭いものだから、大体がホームの端っこの方につくるわけですよ、こんなところについたのかみたいな、僕たちがビラを配って利用者が初めて知ったみたいな。
 しかし、バリアフリーのまちづくりと、エレベーターがつくことは一つの要素ですけれども、エレベーターがつけばバリアフリーなのかというと、これはかなり差があるなと。本当は、この東京でいうと、例えば地下鉄の南北線とか大江戸線なんかの駅に行けば、物すごくバリアフリー化が進んでいるわけです。最初からつくっているから、そういった敷地も確保して、東京で大変厳しいところもありますが、狭いなりに大変なバリアフリー化が進んでいる一つのスタンダードなんですね。
 ああいったものができれば、ああ、バリアフリーというのはこういうものかという実感もできますし、私は、そういう空間を、この地域整備方針というのですか、都市再生緊急整備地域はそういったまちづくりを進めようということ、ここの決意というのは物すごく大事なんじゃないかと思うんです。
 中途半端なものをつくっちゃいますと、やはり百年、二百年、将来の禍根になる。やはり、やるんだったら新しいときに、そういったバリアフリー一つとっても、省エネの建築物を建てるということが本当に一番大事なんじゃないかなというふうに思いますが、この点について、もし御所見があれば。
佐藤副大臣 先生おっしゃるとおり、バリアフリー法ができましてから、相当皆さん努力していただいてバリアフリー化が進んでおります。今度法律でお願いしようというふうには思っているんですけれども、ある一定規模のものは強制的にバリアフリーにしてもらう、そんなことも今考えようといたしておるところであります。
 本当は、ユニバーサルデザインというか、そういう方向に行くのが一番いいんだろうと思いますけれども、おっしゃるとおり、新しいものをつくるときには、徹底してその辺を追求しながら、だれもが安心して暮らせる地域というものをつくり上げていく。それが集まって、最終的に大きな、だれもが安心、安全な地域ができ上がる、町ができ上がるという方向に持っていかなければならぬだろうと思っています。十分に配慮してやっていきたいと思っています。
赤羽委員 それと、これは質問ではないんですが、要望として。
 私、神戸だったものですから、阪神大震災以降いろいろなところでまちづくり協議会とかができて、いろいろな再開発を進めているところでありますが、やはりでき上がりぶりというのは結構差があるんですね、同じ法律でやっても。
 これは、僕の実感としては、コーディネートする人がどういった力量の持ち主かとか、どういった思いがあるかで、かなり違ってくるんですね、町のあり方というのは。道の幅を広げようと区画整理事業とかでなると、その整備費の中で少し一工夫する、歩道のあり方を一工夫するとか、段差をなくすようにするとか、この辺は法律上では規定できない。それは本当は、プランナーというかコーディネートする人たちの、そこら辺の思いを反映させていけるような町でなければ、そこに住む人がやはり愛着を持つ、さっき愛郷という言葉もありましたが、やはり愛着を持つ、そして、まさに高度化された都市空間づくりというものをぜひお願いしたいというふうに思います。
 そして、次の質問に移りますが、例えば、いろいろなことをやってもそこに人が住めないと、その都市づくりというのは何のための都市再生なのかという議論が出てくると思うんです。都市再生に当たって住宅政策というのは最重要の位置に位置づけられるんではないかと、これは公明党も、住宅が大事なんだということでかねてより訴えてきているわけでございます。
 都市の再開発、こうなると、普通は高額な分譲マンションとかそういったものが林立して、普通の所得階層とは無縁の、一部の高額の所得者や企業のためだけの区画を生むような都市再生となりかねない。これが、これまでの都市再生の姿であったんじゃないかというふうに思います。
 この都市再生地域が目指す都市像や果たすべき都市機能によって、まあ、どの地域もというわけにはいかないと思います、その程度の差はあると思いますが、どのような都市の中にも、このマスタープランの中には一定の住宅空間が確保されるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。そういった意味で、この今回閣議決定されることになっております都市再生基本方針において、職住近接や都市における居住の確保を政策目標として明確に掲げるべきだというふうに思いますが、国土交通副大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。
佐藤副大臣 今度の都市再生特別措置法の中に、第一条の「目的」に「都市の居住環境の向上」というのが入ってございます。何といっても、その地域に住む人たちに非常に良好な居住環境が与えられなければなりません。ただ住宅ができた、ただ便利な地域ができただけではだめであります。私たちは、日本人は日本人の特性を持っています。その日本人が幸せ感を感ずるような居住環境でなければだめなのであります。そういう都市づくりを進めることが非常に大事だと思っていますから、非常に重点的にそのことを考えていきたい、そう思っております。
 同時に、そういう目的を踏まえて、必要な住宅を確保する、快適な住環境を備えた地域をつくり上げていくことに、しっかりと頑張ってやっていきたいと思っています。
赤羽委員 この法案の「目的」に書かれた「都市の居住環境の向上を図る」というその目的に沿って、今ちょっと最後の答弁で、必要な住宅の確保とか快適な住環境の整備といったことは都市再生基本方針の中に明記される、こう理解してよろしいでしょうか。
佐藤副大臣 都市再生基本方針の中において、この目的規定を踏まえて、必要な住宅の確保、職住近接のまちづくり、快適な住環境の整備、居住に係る内容を適切に定めて、都市再生に必要不可欠な居住環境の向上を推進していきたいと思っております。
赤羽委員 どうもありがとうございました。
 また関連する質問でありますが、地域整備方針を決めるときに、その地域にこれまで住んでいた従前居住者をどうするか、こういったことがこれまでの都市再開発などでは大変な問題であったというふうに思います。
 当然そこに住んでいた人たちの居住権というものも大事にしなければいけない。しかし、さはさりながら、そこが強過ぎてなかなか都市再生も進まなかった。このようなところを、何とか両者が安心して都市再生を進めていけるようなスキームにしていただきたいというふうに考えておりまして、今回の地域整備方針を策定するに当たりまして、従前居住者の居住の確保について特段の配慮を記載されるように、国による住宅確保のための具体的な支援策、支援措置が重要になると考えますが、この点につきまして、国土交通省の御見解をいただきたいと思います。
山本政府参考人 先ほど副大臣の御答弁にありましたように、都市再生特別措置法の「目的」の中で、都市の機能の高度化とあわせて都市の居住環境を向上するということをはっきりと書いております。平たい言葉で言いますと、町の暮らしの質を高めていくという意味であります。
 具体的に都市再生緊急整備地域についての地域整備方針を定めるに当たりましては、現に住んでいる方々がどういう形で住んでおられるのか、それが、この地域整備方針に従って土地利用が変わっていく場合にどういう暮らしになっていくのかということを念頭に置いて、従前居住者の居住の確保への配慮と、どういう形でその地域では配慮していくのかということを、具体的に地域整備方針の中で記載していくということを考えております。
 さらに、従前居住者住宅制度の強化を初めとする住宅政策の充実ということとあわせて居住環境の向上は図られていく、そういうふうに考えております。
赤羽委員 ここが非常に難しい問題なのかもしれません。
 話は少しずれますが、午前中、同僚議員の質問の中で上海のお話が出て、それに対して大臣は、上海は二十年間で一万数千キロの高速道路ができた、日本は何十年もたっているのに六千数百キロだ、大変うらやましいと。それは、うらやましいというふうな考えが出るのはよくわかります。本当にそれで、成田空港の例なんかも考えると、大変な国益を損失しているとは思います。
 しかし一方では、先ほど自民党の議員の方のお話にもありましたが、それは、ある意味では民主主義のコストという話にもつながっていくわけでして、ばあっと高速道路ができるすばらしさの陰には、やはり日本の国民が享受できるような民主主義がないという側面もあるわけでして、私は、その辺は、午前中の大臣の考え方というのはちょっと危ないものもあるんじゃないかなというふうに少し思いました。
 しかし、さはさりながら、成田空港みたいな形の数名の反対が今回のサッカーのワールドカップの開催に対しても大きな支障を与えているというようなことは、本当に繰り返しになりますが、私個人としては大変国益を損なうというふうに考えておりまして、先ほど山本さんに御質問したことについては、どっちがどうということではなくて、この都市再生という法案をつくり、このスキームを進めていく上においては、あらかじめ従前居住者の反対が出ないような居住空間の確保というものを考慮に入れるべきだというふうな、そういった角度での主張でございますので、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。この点について何かあれば。よろしいですか。では、よくわかっていただいたということで。
 次に、今回、都市再生のプログラムの中で、具体的に民間が一生懸命やる、こういったことはいいんですが、私たちとしては、都市基盤整備公団の機能というのをもう少し活用したらどうか、こういうふうに一つ御提案をしたい。
 どうも昨年来の特殊法人改革の話の中で、かなり形勢不利な話し合いがされていますが、すべてが悪いわけではなくて、これまでの都市基盤整備公団における土地取得のそういったファンクションとかまちづくりの機能については、豊富なメニューも持っていますし、それだけ多くの実績も残してきた、そう考えているわけです。
 そういった意味で、私たちは、今回の特殊法人の改革の中で独立行政法人になっていくといったこの大きな流れと、しかし、都市基盤整備公団とか住宅供給公社なんかによって従前居住者のための賃貸住宅を供給するという事業を推進することに、基本的には矛盾はないのではないかというふうに考えておるんですが、この点について御所見をいただきたいと思います。
佐藤副大臣 先生おっしゃっているとおり、賃貸住宅が日本は本当に足りないですね。特に都市部においては、賃貸住宅の供給というのはなかなか民間業者の方々では前へ進んでいかないのが実態です。それを今まで都市基盤整備公団がやってきたわけでありますけれども、しかし、今度、都市基盤整備公団は、みずから土地を取得して行う賃貸住宅の新規建設を行わないとされたところであります。
 国土交通省といたしましては、今後は、都市再生に必要な従前居住者用賃貸住宅であっても、民間による供給を基本としていく考えであります。こうした観点から、民間の賃貸住宅の整備の促進を図るために、国として補助制度をつくっていきたい、そう思っております。
 また、都市公団については、民間による従前居住者用賃貸住宅の供給が円滑に行われるように、公共施設の整備や敷地整備等の条件整備にも業務の重点を置いていきたい、そう思っております。そして、都市再生に民間を誘導するという役割を果たしていきたいと思っています。
 しかし、このような取り組みにもかかわらず、なかなか民間による従前居住者用住宅が確保されない場合には、公的な主体による従前居住者用賃貸住宅の確保に努めていきたい、そう考えております。
赤羽委員 基本的には民間の力が主体だ、しかし、従前居住者用住宅がそのスキームではなかなか確保されない、そういった状況の場合は、公的な主体、いわゆる都市基盤整備公団とか住宅供給公社等々といった公的セクターの力も使っていきたい、こういった理解でよろしいですか。
佐藤副大臣 先ほど申し上げましたとおり、非常に民間による賃貸住宅が前へ進んでおりません。ですから、状況を見ながら、何といっても今大事なのは、良質の賃貸住宅、特に家族で住める住宅、そういうものが非常に大切だと思っています。しかし、それが前に進んでいかない。
 ですから、そういうことをよく考えながら、どうしても民間が進まない場合には、やはり公的な面でもう一回進めなくちゃならぬだろう、そう思っておるところであります。
赤羽委員 それで、この都市基盤整備公団が供給する、いわゆる都市再生住宅につきまして、私たちは、相当踏み込んで、そこに大幅な建設費の補助も行う、こういったスキームがあっていいのではないか、そうまで考えているんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
三沢政府参考人 御指摘のとおり、今まで都市基盤整備公団は、都市再生に資する住宅の供給に大変大きな役割を果たしてきたわけでございます。
 ただ、今回は、民間にできることは民間に任せるという特殊法人改革の趣旨を踏まえまして、賃貸住宅の供給については、都市公団による直接供給から、民間による供給のための条件整備という方に業務の重点を移行するということにしております。
 具体的に申し上げますと、公団が敷地を整備いたしまして、それを民間事業者へ賃貸する、そういうことによって良質な民間賃貸住宅の供給を応援していくということにいたすとともに、そういう条件整備をしても民間が出ていかないような場合には公団がきちっと補完をしていく、こういうことをこれからやっていこうということでございます。
 いずれにいたしましても、こういう都市再生に資する住宅の供給は大変重要でございまして、これにつきましては、民間か公団かという主体のいかんを問わず、一定の国庫補助を行うという制度もございますので、こういうことを活用しながら、積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
赤羽委員 そしてまた、地域を都市再生化していく中で、既存マンションの建てかえといったことも大きなテーマの一つになってくると思います。
 このマンションの建てかえにつきましては、今国会でもマンション建てかえ円滑化法案というものが提出される、提出されたのかな、されているか準備されているのかあれですが、議論がされるということになっておりますけれども、私は、阪神大震災のときの経験からすると、そんな言うほど簡単じゃないというか、あれだけマンションが崩れていても、そして区分所有法、全員一致から五分の四にしたとしても、なかなか合意を取りつけることが難しかった。五十数軒のマンションの再生も大変な状況でありました。それは、既存不適格の建物であって、建築基準法の改正される前の建物であって、建て直すとなかなか同じ大きさのものが建たないとか、本当は同じ大きさのものじゃなくて、もうちょっと大きなものを建てないと、新規入居者がないとなかなか経済的な面でうまくいかないとか、こういったことがありました。
 今回、今の区分所有法ではなかなか難しいんです、法律上ではなかなか今は無理なんですけれども、再生地域内におきまして既存の老朽マンションがある、別に、今このマンションの敷地の隣接した土地は使えるという方向になるんですけれども、例えば歩いて十分ぐらいのところにもうちょっと広くていいところがある、そこに新築マンションを建てて、交換方式というんですか、等価交換じゃないけれども、交換方式のようなことも認めていただければ、この既存のマンションを建てかえていくといったことがより円滑になるのではないかというふうに考えておるんですが、この点について国土交通省住宅局の見解を聞かせていただきたいと思います。
三沢政府参考人 マンションの建替えの円滑化等に関する法律案、これは既に国会には提出させていただいておりますけれども、これは、基本的には、今現在マンションが建っている敷地における建てかえを円滑化するための法案でございます。
 御指摘のような、老朽マンションと十分くらい離れたところの周辺地域の新築マンションを交換する手法は、確かに区分所有者の選択肢の拡大という意味からいうと一つの提案であるというふうには考えております。
 ただ、これは法制的にどう扱うかという非常に難しい問題がございまして、やはりこの建てかえ、今回の法案も、現在のマンションの区分所有関係というのを基礎としてそういう一定の団体関係がある、それをもとに建てかえ組合というものを認めていこうというような構成になっているということ。それからもう一つは、離れたところで権利の照応関係というのをどう見るかというのが、実は法律的には非常に難しいところでございまして、したがいまして、御提案のようなことを法制度として整備するためには、相当いろいろなことを検討していかなければいけないのかなというふうに考えております。
 ただ、今回の法律案の中で、今回の事業手法で、周辺地域で新築マンションを供給する事業者の方に参加組合員として入っていただきまして、移転希望者には当該マンションを譲渡するというような形で、御提案のような方法、方式が、ある程度類似したことが実現できるのではないかというふうに考えております。
赤羽委員 区分所有法という大変古い法律のもとで、現実的にはまだほとんど例がないマンション建てかえを進めていくというのは大変難しいわけでありますが、よりよい都市再生を進めていく、本当に、これまでの古いマンションが都市再生のネックにならないような方向で、ぜひ、力を合わせ、知恵を出していきたいなというふうに思いますので、どうかよろしくお願いします。
 せっかく大臣が戻っていらっしゃいましたので、質問通告もしておりませんが、午前中の、先ほどいらっしゃらないときに、後で議事録を見られると、ちょっと失礼な発言をしたかもしれませんが、上海の浦東の整備について、私は、かつて総合商社で、あの近辺で駐在もしていたので、上海の激変の仕方というのは、すごい勢いもあると思いますが、私は、あそこに住んでいる人が必ずしも快適な暮らしが担保されているかどうかというと、そうではないんではないかと。見た目では、高速道路も通っていますし、便利さは格段とアップしたし、多くの企業もそこに集まりたいという、そういった都市づくりは確実に進んでおりますけれども、あそこに住んでいる人たちの、まさに通勤地獄とかその辺がどれだけ解消されたかということは、また別の議論であるのではないかというふうに私は思います。
 ですから、私が言いたいことは、今回の都市再生を進めていく上で、形状的に、社会資本として進んでいく、効率性を高めていくということもすごく大事ですけれども、どこまで行っても、そこに住んで働く人間の、生活者の主体で、快適で安全で効率性があるといった観点、そういうことは当然考えられていると思いますが、そういう点が大事だということを私も主張し、ぜひ一言、時間もありませんけれども、大臣、駆けつけたところで恐縮でございますが、今回の都市再生に関する御決意をいただいて、質問を終了させていただきたいと思います。
扇国務大臣 今おっしゃるとおりでございまして、一つの例を挙げますと、私が知っておりますところで、ある密集地で、これを解消しようというので、その横の土地に、市の土地でございましたけれども、マンションを建てて、密集地の皆さん方移ってくださいと言ったら、嫌だとおっしゃいました。それはなぜか。新しいところへ行けば電気代もあるいは管理費も高くなる、だから行きたくない、向こうへ行ったら快適になることはわかっているけれども、そういう状況で嫌だとおっしゃったこともございます。
 ですから、本当に地元の皆さん、住んでいる皆さんが喜んでいただけるような建てかえでなければならないし、もともと住んでいらした人の既得権というものをいかに守っていくか、そういうことも私たちは心しながらこれを採用していきたいと思っております。
赤羽委員 どうもありがとうございました。終わります。
久保委員長 瀬古由起子さん。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 法案審議に先立ちまして、北海道開発行政、釧路合同庁舎の工事発注に関連しての鈴木宗男議員の関与について質問いたします。
 まず大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、去る十二日に、国土交通省は、北海道の野幌東地区の農用地の総合計画調査及び北海道開発行政における鈴木宗男議員とのかかわりに関する調査結果報告書を発表いたしました。衆議院の予算委員会で我が党の児玉健次議員が配付した北海道開発局の内部文書、ファクス連絡文が本物であることを認めたものでございます。
 陳情のため上京した竹内正一前南幌町長は、おまえのところは自民党候補を落としたのだから新規事業はだめだと鈴木議員に言われた、こういうふうに載っています。そして、報告書は、鈴木議員の関与で事業の予算が事実上凍結されたことも認めております。
 この一連の経過は、鈴木議員が、当時、自民党の副幹事長の立場を利用して、総選挙で自民党が落選した地域に対する報復、見せしめとして行われたものではないかと言われております。報復、見せしめ、こんなことが許されていいはずありません。
 報告書には何らこの問題について触れられておりませんけれども、扇大臣、その点、どのようにお考えなのかを伺いたいと思います。
扇国務大臣 今、瀬古議員がおっしゃいましたように、過日、共産党の御質問の中で、現物の書類をお見せになって、私は、私どもが聞き取ったものを整理してくだすったのだと思ってお礼を申し上げましたら、いや、あなた、これが現物ですよ、そちらの方が後発ですよと言われまして、失礼いたしましたと申し上げました。
 その後、これではいけないということで、本当にその現物がどのような経過をもって北海道開発庁から農林水産省の方に渡したのか、ファクスがどういう理由で要求されたのかということを調べましょうということで、総括監察官以下三名、入れて四名ですけれども、北海道に行き、十二日に結果を報告したところでございます。現実的には、その行事等々に関し、また人事に関し、大きく言えば、北海道開発庁そのものに対してどのような影響があったということを十二日に報告をさせていただいたのがその一端でございました。
 細部にわたっては、時間がございませんでしたから、多くは申せませんでしたけれども、かなりの影響力が及んだかもしれない、また影響力があると感じた職員が多くいたということは報告させていただいたとおりでございます。
 少なくとも、私どもは、その中で、今後、そういうことがあったこと自体は認めながらも、では、北海道開発庁の北海道行政というものに関して、北海道開発庁自身の行政に変更をしたのかどうかといったら、それはなかったと。
 ただ、なかったけれども、ちょっと事例だけ一、二言わせていただきますけれども、その中で、この間も申し上げましたが、大臣になられたときも、北海道開発庁長官になられたときも、気に入らないことがあると出身省庁へ帰れとよく言われた、北海道開発庁は各省庁から出ておりますので、そういうことを言われたということも報告されております。
 また、少なくとも、私がこの間御報告しなかった中では、開発庁の組織、人を大変よく熟知していらっしゃいまして、元秘書官等鈴木議員にとって身近な職員については、○○はどこへ行ったというふうに、異動についても聞かれた、また、人事についても個別の圧力はなかったけれども、鈴木議員と無用な対立を避けるという観点から人選には苦労したというような現実的なお話も幾つか、幾つかというか、かなり数多いんです、六十五名から聞き取っておりますから。
 そういうことで、私は、今後、官と政のあり方は、こういう事実を聴取して報告いただきまして、我々も、今後、大いに、どこをどう変えなければいけないかということで、大変貴重な、証拠といいますか、実情を調査させていただいたと思っております。
 ただ、一つ言えますことは、北海道開発庁の職員、幹部六十五名は、少なくとも、自分たちはいろいろ言われたけれども、行政自体には変更もなかったと。ただ、予算等々の内示の記者発表が何らかの形で延びたということも事実としてあったというふうに認めておりますので、私たちも、今後、心して、行政というもののあり方、官との交わりというものを反省しながらやっていきたいと思っております。
瀬古委員 報告書の中でも、今の大臣のお話の中でも、報復的な、見せしめ的なものといいますか、それはどういう内容かということはまだまだこれから事実で明らかにしていかなきゃならない問題だと思っていますが、やはり、何らかの形でこういうやり方が影響を及ぼしたというふうに私は言えると思うんですね。
 そこで、先日ですけれども、この鈴木議員の報復を恐れてなのかわかりませんが、新聞の報道によりますと、この竹内前南幌町長にゼネコンの関係者が、あろうことか一時間にわたり署名捺印を強要して、わび状を書かせた、そして鈴木議員の事務所へ送ったという異常な事態が発生しているということが報道されておりました。
 国土交通省は、この事態を御存じでしょうか。
林政府参考人 ただいま御指摘の件でございますが、去る三月十二日に一部の新聞にそのような記事が掲載されていたことは承知しております。しかしながら、事実関係は把握しておりません。
瀬古委員 大臣にお聞きしますけれども、このような事態がもし事実だとすれば、それこそ公共事業にも大きな影響を与えると思うのですね。この強要した人物が実は南幌町の大規模工事を請け負うゼネコン関係者だと言われている。そうすると、今後の工事の影響も含めて重大な問題になってくると思うのです。
 今まだ調べていらっしゃらないということですので、ぜひ国土交通省としても調査をしていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 今、南幌町の有力な建設業者であると先生おっしゃいましたけれども、そういう人たちが、果たして入札のときに、例えば通していただいた公共工事の入札に関する適正化法、これによって、そういう強力な談合なり圧力なり何らかのものがあったら、これは少なくとも我々は調べなければいけませんし、公取に通報するということになっておりますので、もしそれらのことがあれば、南幌町長さんを初めとして多くの皆さんに、新しくできた法律では通知するんですよということを周知徹底するために、二月に新たに事務次官を長として、この法律の適正化を波及さす、そして徹底さすようにしましたので、ぜひそういうことも今後調べていきたい、どのように関連があるのか調べていきたいと思っております。
瀬古委員 ぜひ調べていただいて、この委員会にも御報告いただきたいと思います。
 報告書では、開発庁の所管事業の入札契約に関して、釧路の合同庁舎にかかわる工事の発注に際しては、地元業者を参加させるよう強力な要請を受けたが、ルールは曲げなかったなどと聴取結果がございます。
 つまり、鈴木議員からは、地元業者を参加させるためにルールを曲げよという圧力があったのでしょうか。
春田政府参考人 お答え申し上げます。
 釧路合同庁舎に係る工事の発注に関しましては、鈴木議員からは、地元企業が入札できないので参加できるようにとの要請を受けたということでございます。
 北海道開発局といたしましては、これに対しまして、当初の予定どおり、この工事に適用される北海道開発局通知「共同企業体の取扱いについて」の規定に基づきまして入札を実施しております。この結果、戸田建設、住友建設、伊藤組土建、この三社のジョイントベンチャーが共同企業体として落札をいたしました。そういうことでございます。
瀬古委員 地元の業者の参加の要請があった。しかし、参加するためにルールを曲げよという要請があったんじゃありませんか。ですから報告書には、要請を受けたがルールは曲げなかった、そういう聴取結果になっているんじゃないでしょうか。その点、いかがですか。
春田政府参考人 要請はございました。
 しかしながら、ルールは当初の予定どおりということで実施をしておるものでございます。
瀬古委員 大変重大な内容だと思うんですね。鈴木議員にかかわっているほかの公共事業の問題なども、ルールを曲げよ、こういう強力な要請がある、こういうことだと思うのですが、この場合もそういう内容だったということなんですね。
 私は、このことについて、報告書、もっとその点は詳しく書く必要があるというふうに思うのです。単なる地元の業者を入れよという問題ではありません。ルールを曲げよ、こういう要請だったというふうに思います。
 今お話ししていただきましたように、今度の合同庁舎の建築工事には、では地元の業者が入っていないかというと、実は入っているんですね。札幌、釧路の業者が入っております。当然鈴木さんは、地元の業者、札幌や釧路の業者が入っていることを十分御存じなんですね。知らないで言われたわけじゃないんです。
 では、地元の業者が入っているのに、なぜルールを曲げてまでやれと言ったのかという問題が疑問に残ります。
 それは、当時、その入札の資格にならない地元の業者がまだいらっしゃったわけですね。そういうように考えざるを得ないと思うのです。釧路の業者は入っている。ほかの例で言いますと、では、この根室の業者はどうなんだ、こういう問題が出てくると思うのです。根室の業者は多分この入札資格に入っていなかったんでしょう。だから、単なる地元の業者を入れよと言ったわけじゃないんですね。地元の業者は入っているということを十分知っていて、まだ入っていない地元の業者があるんだという、かなりな露骨なルールのねじ曲げをこの場合にやったというふうに思われると私は思うのですね。
 大臣にちょっとお聞きしたいと思うのですけれども、こういう場合、鈴木さんが、このようにルールを曲げよというのは、単なる地元を入れよと言ったわけじゃない、文字どおり、あの北方支援事業の手口と全く同じケースがここでも挙がっているわけですね。そういう意味で、やはり報告書には、とても大事なところなので、もっとこの辺を踏み込んで書かれなければならないというふうに私は思うのです。
 扇大臣にぜひお聞きしたいのですけれども、鈴木議員の関与の文書はほかにも幾つかのケースがあると私は思うのですけれども、ぜひ、鈴木議員にかかわる文書の公開をするなど、一切明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 基本的に、現在の国土交通省一つ例にとってみましても、幾ら幾らの工事はAランクでなければ入札できない、入札権利がない、これは決められているわけですね。
 例えば、東京都一つとってみても、東京都でAランクというのは五十一社です。そして、これは、今度はAランク、AプラスAであってもいいですけれども、AをBにしろということは絶対あり得ない。しかも、このランクというのは各業者に全部公表してあります。何番かは言ってありませんけれども、Aランクはこれだけ、五十一社ですと。
 ですから、今先生がおっしゃったように、この入札はAランクしか入札資格がありませんといったときにBにまで広げろと言われても、これは大衆の目にさらされていますから、国土交通省、当時の北海道開発庁としても、AランクをBランクまで広げるということはルール違反でございますから、それはできなかったということが明々白々でございます。
 けれども、どこまでそういう圧力があったのかということは、当時だれが何を言われたといってきちんと載せている人がいるのと、たまたま共産党に言われたあの記事は、私も今度初めて勉強しまして、野帳というものがあるそうでございまして、野帳というのは、何か外でも台があって書けるというのを野帳と言うそうです、かたいのだそうです、その野帳に担当者が日時を全部書いてあったから再現できたのです。
 ですから、そういう意味で、全職員、四年前、五年前の記憶を全部、どういう鈴木議員からの圧力があったか文書に出せと言われても、それでは仕事になりませんので、もしも何かの事例がございましたら私たちは徹底的に調べさせていただきたいし、少なくとも北海道開発庁当時六十五名からの事情聴取をしまして、あらゆることをよく言ってくれたと私思っておりますので、今後何かありましたらまた御指摘いただき、私たちも拳々服膺しながら今後の行政に反映させていきたいと思っております。
瀬古委員 いろいろな問題に鈴木議員が関与しているということは、先ほど大臣も言われたとおりなんですね。それで、かなり無理な、強引なやり方をあちこちでしている。
 ですから、私は、今度の調査でいろいろな職員の方が率直な意見も出されたと思うんです。しかし、はっきり言って、もっと踏み込んだ報告書にしなければ、肝心のものがまだ浮かび上がってきていない。そういう意味では、ぜひ、さらに充実したものになるように御努力いただきたいと思います。
 そこで、最後に、私がお配りしました資料を見ていただきたいと思うんですけれども、この釧路の合同庁舎の建築工事についての、落札した業者と、その下のところには鈴木議員に献金をしている業者のリストを書いてございます。文字どおり、ぴったり一致して、この釧路の合同庁舎の建築工事を請け負っている落札した業者から、本当にきめ細かく鈴木さんは企業献金をもらっていらっしゃるわけですね。
 こういう関係というものはどう考えたらいいのかということなんですけれども、私は、やはり鈴木さんが無理やりに、強引に地元の業者を入れよう、入れようという、こういう中で、本当にそのバックには、企業献金をもらう、こういう癒着の構造があると思うんです。
 公共事業というのは国民の税金でやるものです。その企業が、落札した企業が、口をきいてくれた議員に献金をやる、こういう仕組みは、やはりきっぱり絶たなきゃならないと思うんです。私たちは企業献金禁止を主張しているんですが、少なくとも公共事業を行っている業者からの献金というのは、やはり禁止すべきじゃないかと思うんですが、その点、大臣の御意見、いかがでしょうか。
扇国務大臣 今、私ちょっとおくれて来たものですから今初めて拝見させていただいたんですけれども、私は、政治献金というものは、少なくとも、薄く広くというのが原則であろう。みんなが政治参加するという意識のあらわれであって、それが正常なものであるという時代が来なければならないと思います。強引に、政治献金しろ、仕事をやるからおまえも献金しろよ、これは私はあってはならないことだと思います。
 新聞報道によりますと、少なくとも私は人の懐を計算したことはありませんから知りませんけれども、鈴木議員は、政治献金を正式にお届けになっている分でも、自民党の数多くの議員の中でも一位とか二位とかという地位を占められているということですから、さもありなんな、こういうふうに広く全国にわたって集めていらっしゃるんだなというのを私も初めて拝見させていただいたので、私、全国区ですから、私がするんならわかるけどなと思いながら、私、全国区なのにどこからもあれしていないなと思いながら、でも、私は、こういうことで献金をいただくことと、それで便宜供与、仕事を与えるということとはリンクしてはならないと思います。
 これからも、政治に対する参加、自分たちの日本をよくするために、あなた、頑張ってくださいといって善意でもって献金してくださることはいいけれども、献金した人が必ず見返りを要求するような献金は、私は献金という名に値しないものだと思っておりますし、政治家も、いただく浄財というものに対しての感覚は正常に持っていきたいなと思っております。
瀬古委員 この例を見ていただいても、文字どおり、入札している、落札している業者から政治献金を受け取っている。こういう手口が本当に明らかだと思うんですね。そういう意味では、やはりきっぱりと、大臣が言われたように、広く薄くといえども、広く薄くたくさん、こうやって一つの工事をとってみてもこういう状態ですから、私は、やはりこの際、公共事業における企業献金はきっぱり禁止をすべきだというふうに思います。これはまた、これから、今後議論していきたいと思っています。
 では、本題に入ってまいります。
 まず最初に、都市再生特別措置法案について伺います。
 都市再生特別措置法案については、この法案自体の質問に入る前にお聞きしたいと思うんですが、既に民間から具体的プロジェクトとして二百八十六挙げられております。うち、実際には五十事業しか発表されておりません。法案審議に当たり、すべてのプロジェクトの事例を公表すべきであると私は考えているんですが、その点、いかがでございましょうか。
山本政府参考人 御指摘のプロジェクトでございますが、昨年八月、都市再生本部で、民間都市開発投資を促進するための緊急措置というものを決めていただきました。一定規模以上の、それで、単なる構想ではなくて、少なくとも三年内に工事に着手するという計画のある事業について、民間事業者の方々に、ぜひ相談に来てください、一歩でも二歩でも前に進めるために、支障があればぜひ課題を整理して、各省それから各公共団体とその課題を解決するために、具体的にケースに即して勉強してまいりますということを本部決定に基づいて宣言をいたしまして、プロジェクトを募ったわけでございます。
 都市再生本部事務局といたしましては、九月以降、この仕事に相当の精力をかけて課題の整理に努めてまいったわけでございます。
 仕事の仕方といたしましては、事柄の性格上、いろいろな支障があっても、ぜひ正直に私たちに教えてください、各省の取り扱いに問題意識があれば、私たちがそれを受けとめて、都市再生本部事務局としてそしゃくした上で、私たちの考えで各省と折衝いたします、各公共団体の運用態度にいろいろな問題意識があれば、私たちがそれを受けとめた上でそしゃくして、私たちの言葉で公共団体とやってまいります、そういう物の考え方で、正直に話を聞かせてもらいました。
 事業者の方によっては、これはぜひ私たちが相談に来ていることを公共団体に言わないでほしいとおっしゃるようなケースもあるわけでございます。そういうふうなことでも、具体的に課題に取り組むことが大切だと考えまして話を伺いました。その結果は、十二月四日に都市再生本部に報告をいたしました。各省それから各地方公共団体の運用態度を改善していただくべき事柄はこうだということを、各省、各公共団体と折衝いたしました上で、本部に報告いたしております。
 それから、制度的な課題として、ぜひ国会にお願いをして制度を改善しなきゃいかぬというものも整理をいたしまして、これは今通常国会に、特別措置法も含めまして、法律の制定あるいは改廃をお願いしているような次第でございます。
 そういう過程でやりとりをさせていただいておりますので、それを直ちに公表しろとおっしゃられても、できないということを御理解いただきたいと思います。
瀬古委員 今回皆さんが募集された内容は、構想の段階ではない、文字どおり三年以内で着手できる、そういう見通しがあるものとして募集されていると思うのですね。それで、結局、いろいろな支障があるかもしれない、こっそり聞かせてくださいと。
 しかし、この事業が進まないという理由は、例えば、その会社なりが、そこの事業者なりがやろうとしている、計画している人たちだけの問題かどうかというのは、それはわからないですね。住民の側からいろいろ意見があるかもしれない。しかし、企画しているところだけこっそり聞いて、そして、何とか皆さんのお声を聞いて、そしゃくして、自治体にもいろいろ物を言いましょうなんというのは、私は一方的だと思うのですよね。やはり、なぜ今こういうのをやりたい、そして、ここに何が問題があるのかというのは、大いに国民的な議論が私は必要だというように思うのですね。
 そういう点では、何か、知らせると、市民の目から見ると問題のありそうなものをこっそり聞かせてくださいよみたいな、そういうやり方というのはいかがなものかというように思うのです。
 これは、決められれば、当然、国として、先ほど議論されておりますように、一定の援助など、いろいろな方策を考えていくわけです。それならば、私は、ちゃんと国民的な議論のまないたにのせた上で、やはりきちんと国として判断していくということが大事ではないかというふうに思うのです。
 委員長、きょうは、ぜひここはお願いしたいと思うのですけれども、当委員会に、この法案の前提になります二百八十六の提出されているプロジェクトについて、ぜひ委員会に資料として提出していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
久保委員長 理事会で協議させていただきたいと思います。
瀬古委員 はい、よろしくお願いします。
 このように、最初の段階から知らせないぞ、そしてこっそりと皆さんの言い分を聞きますよみたいなやり方は、私は、この都市再生事業の不透明さ、それから問題点を端的に示しているということだと思うんです。
 私自身がこの都市再生の事業で大変心配しているのは、それが、やはり民間本位、住民抜きで強行されるのではないかということで、これは先ほどの議論の中でも、やはり住民の声がどこまで反映されるんだということが大変心配だという中に出てきていると思うんですね。
 それで、実は、都市再生本部の事務局次長であります山本繁太郎さんはこういうふうに言っていらっしゃるんでしょう。民間の力は都市再生を進める正規軍だ、活用とか手段とかいったレベルでとらえるべきではないというのが我々の姿勢だ、ここまで述べていらっしゃるわけです。
 そして、現在でも、どうなっているかというと、私も幾つか東京都内で視察をしてまいりましたけれども、再開発組合にディベロッパーが入り込んで民間本位の都市再開発がどんどん進んでおります。例えば、先ほど大臣も言っていらっしゃいました六本木の六丁目の再開発ではどうなっているか。森ビルが、札束で土地をどんどん買い占めて地権者として活動する、そして五十四階建ての巨大ビルをつくって、六百名いた住民の三分の二がもうそこにおれなくなっている。そして、現在開発中でございます。こういう事態は、私はあちこちで起きるんではないかというふうに思うんです。
 今、住民も少し戻ってきましたよと私もお聞きしたんですが、その住民というのは何だといったら、森ビルの社員が戻ってきたと、こういうお話も聞いて、私もう本当にびっくりいたしました。
 それを政府を挙げて取り組む、こういうふうになりますと、やはりトップダウンで都市の大改造を行う、こういう形になってしまいます。二〇〇〇年の例の都市計画法の改正では、たとえ建前であったとしても、地方分権とか情報公開とか住民参加、こういうものがうたわれているわけですね。今回のこうした都市再生が、少なくとも地方分権、情報公開、住民参加、こういうものにやはり反したものにならないか、この都市再生に深く国家が介入する、こういうようなやり方でやれば、結局、住民の声を反映したまちづくりとか都市づくりという流れに反していくんではないかというように思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
山本政府参考人 地方分権あるいは住民参加に関連しての御質問でございますけれども、先ほどの御質問でも答弁いたしましたように、まちづくりに関連するいろいろな具体的な都市計画決定あるいは意思決定、これはすべて地方公共団体に任されております。その枠組みのもとで、現下の厳しい経済情勢を踏まえまして都市再生を何の力で進めていくのかという観点から、地方公共団体とあわせて民間の力を最大限生かして都市開発事業を進めようというのがこの法律案の考え方でございます。
 政令で定める緊急整備地域におきまして、民間事業者による都市計画決定等の提案など都市計画等の特例、金融支援、そういったものを、大胆な形で国の施策を集中するというのが法案の趣旨でございます。
 冒頭申し上げましたように、この緊急整備地域において初めて運用されます、例えば都市再生特別地区に関する都市計画の運用、これは、地方公共団体が都市計画の手続に沿いまして、公聴会、説明会、あるいは都市計画の案の公告縦覧といったような情報公開、住民参加の手続を尽くしてこれを運用するという部分は変わりませんので、御指摘のような問題はないというふうに考えております。
瀬古委員 現在の手続の中身でも、都市計画決定がされる中でも、きちんと住民の声が反映されていない、零細な地権者や賃貸契約者が追い出されているというのが現実でございます。
 では、都市再生基本方針の策定とか緊急整備の地域の選定に当たって、どのように各地域や市民の発意を十分に反映する保証があるんでしょうか。策定とか選定に当たって住民参加を保証されているんでしょうか。とりわけ今言われたような都市再生の緊急整備地域の指定、それから都市再生の緊急整備地域の指定に関する整備方針というのがつくられていくわけですが、これは、都市計画審議会に諮るとか、公聴会を開くとか、都市マスタープランとの整合性を見るとか、こういう手続は行われるんでしょうか。それはいかがですか。
山本政府参考人 法律で定めます都市再生緊急整備地域及び地域整備方針でございますが、この緊急整備地域は、都市再生のために国の施策を集中する、この特別措置法で用意されます特別措置による努力を集中すべき地域でございます。それから、その特別措置を運用する方針として地域整備方針が中心的につくられるわけでございます。
 その地域の指定、これは政令で指定いたしますけれども、その政令の立案に当たりまして、あるいは地域整備方針を都市再生本部が定めるに当たりまして、住民に対して最も身近な関係地方公共団体の意見を十分に反映させるということを法律的に担保しております。
 これは、地域指定をしたりあるいは地域整備方針を定める場合に必ず公共団体の意見を聞かなきゃいかぬ、意見が出てきた場合にはこれを尊重しなきゃいかぬということが法律上求められることはもちろんでありますけれども、関係公共団体が、ここは地域として指定されるべし、あるいはその地域整備方針の中にこういうことが盛り込まれるべしと考えられた場合は都市再生本部に対してこれを申し出ることができるということが明確に法律に規定されておりますので、そういった地方公共団体との徹底的な意思疎通のもとに、すべての国務大臣で構成されます都市再生本部で案を論議し、閣議で決定し、あるいは本部で決定するという仕組みになっております。
 このように、関係地方公共団体、全省庁から幅広く意見を集約するということを法律的に手続上担保しておりますので、これをもって公平、中立性を確保できるというふうに考えております。
瀬古委員 大変私は問題だと思うんですね。
 もちろん、地方公共団体の意見を聞くということは当然ですよね。しかし、実際には、そこに住んでいる人たちの声がどういうように反映されるか。その住民の皆さんの声は、地方公共団体がもういいですと言えばそれで終わりなどということにはならないと思うんですよね。やはり、今の都市計画のやり方、少なくとも、皆さんが今まで掲げている内容でも、そこに住んでいる住民がどういう声を持っているのかということをきちっと聞く、そういうシステムもなければ、これは集中すべき地域だからもう自治体の声を聞けばすべて進んでいくんだということになりますと、今でも住民の声を十分聞かないまま開発が進められているのが、もっと強力に進められることになると思うんですね。
 そういう点では、その計画内容などをどうやって市民に公開し、徹底した住民参加の保証をつくっていくのかということを、私はもっともっと考えなきゃならないと思うんですね。
 それから、ある意味では、今回特区がつくられますと、都市計画だとか建築基準法を外して開発が行われてしまう、そういう点では重大な地域の改変が起きる可能性があるわけですね。こういう問題についても、自治体だけの意見ではなく、ちゃんと住民の声が聞けるそういう保証をつくるべきだ。例えば公聴会を開くだとか、都市計画審議会にきちんとそういう計画も、地域指定やそれから整備方針もちゃんとそこで諮られるとか、こういう保証は全くないんでしょうか。
澤井政府参考人 ただいまの御質問は、指定されました緊急整備地域の中で、例えば都市再生特別地区という今回新しくつくります都市計画を定める場合のことと理解いたしまして、お答え申し上げたいと思います。
 この都市再生特別地区は、従来の都市計画制度では民間の創意工夫を十分に生かし切れないという観点から、自由度の高い計画を定めることができるようにすることをねらいとしたものであります。
 都市再生特別地区は、緊急整備地域において定めるものとしておりますけれども、先ほど山本次長の方から答弁申し上げましたように、前提として、公共団体と十分に意思疎通をしたことを踏まえて定めます地域と、それから地域の整備方針というものがそのベースになっております。
 その二段階で公共団体との意思疎通をしているということが一つと、その上に立って、その区域の中で特別地区を定める。これはまさに都市計画の一種でございますので、通常の都市計画と同様に、公聴会、説明会の開催、都市計画の案の公告縦覧、意見書の提出及び都市計画審議会への付議といった住民の意見を反映させるための手続を行うことになっておりまして、こうしたことを通じまして、公共団体の意向を十分に踏まえ、かつ、土地所有者等の利害関係人や関係住民の意見が十分反映される仕組みであると考えております。
瀬古委員 実際には、枠を決めてから後で話を聞くぞという、こういう姿勢では本当の住民の声は反映できないと思います。とりわけ、その聞く期間も大変短いんですね。都市再生特別地区を決めて都市再生事業を行おうとする民間事業者は、土地所有者の三分の二以上の同意で都市再生特別地区の決定等を提案することができる、このようにしております。これに対して、六カ月以内に都市計画決定権者は判断して通知を行わなければならない、こうなっているんですね。そのために必要な市街地再開発事業者等の認可、認定それから承認は三カ月以内となっている。もうスケジュールがびっしり決まっていて、その間にどんどん決められていっちゃう。その中で、どんなに住民の声を聞く保証があるんだろうか。
 今でもいろいろな開発がなかなか進まないというのは、住民の声が十分聞かれていないということからおくれている場合が多いと私は思うんです。おくれているのはおくれているなりの理由があるんですよね。こういうものをしっかりと聞けるような担保が必要だと思うんです。
 こんな、期日をきちっと決めて短期間にやるということになると、住民からの意見書の審査さえまともに行われないんじゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
澤井政府参考人 ただいま御議論賜っております都市再生特別措置法案は、全体として、先ほど来答弁申し上げておりますように、民間の力を最大限に引き出すために特別措置を講じ、都市の再生をその力でもって進めていこうということが基本スタンスでございまして、その際、民間の目線に立って行政運営をしていこうと。その場合に、やはり時間のリスクというのが一つの最大のネックであろう。そこで、この時間のリスクの軽減が必要であるという認識のもとで、民間の時間感覚に合わせて、都市再生事業に係る都市計画についても、一定の期間内、すなわち仰せの六カ月でございますが、決定あるいはその他の判断がされるように公共団体に特に求めているという趣旨でございます。
 今先生の方で仰せでございますけれども、都市計画の提案に当たりましては、土地所有者等の三分の二以上の同意という手続を要件としております。これは、一つには、提案の内容について責任を持った提案をいただくという趣旨があるわけでございますが、この同意を取得する過程におきまして、住民への情報公開、調整等が十分図られるよう徹底していきたいと考えております。
 さらに、提案を受けた後には、先ほども申し上げましたけれども、公聴会、説明会の開催、都市計画の案の公告縦覧等、必要な手続がなされます。これは、通常の都市計画決定と同様に、情報公開、住民参加の手続が十分尽くされるように、適切に対処してまいりたいと考えております。
瀬古委員 例えば三分の二の問題にしましても、大手のディベロッパーがどんどんと土地を買い占めて、その大部分、住民の地権者としての権利を持っていく。そういう中で、短期間でこういう決定がされていくという点は大変不安だと私は思います。
 大臣にお聞きしたいんですけれども、昨日、本会議でも、子供からお年寄りまで多くの人が住んで憩えるような、そういう空間が必要だというふうに御答弁されていたと思うんですね。私は、この法案で、民間活力というけれども、何をしようとするのかということが大変明確になってきていると思うんです。やはり民間の計画した開発をともかくタイムスケジュールにのせてごり押ししていく、そして反対している住民を追い出していく、こういう構図ができてきていると私は思うんです。
 具体的に私はお聞きします。
 例えば、そこに巨大なオフィスビルを建設する、大企業が使う二十四時間の都市をつくる。住宅は建っているんですけれども、私も聞いてみましたら、六億円のマンションとか、子供もお年寄りもみんなで仲よく憩えるなんというビルじゃないんですね、はっきり言って。それで、子供のいない都市もでき上がるというところがございます。現に赤坂では、千五百人居住しているマンションで住民登録をしているのはわずか一割、百五十人なんです。大半はどこかの会社の役員だとかそういう形で、そこに住んでいる人はほとんど住めなくなってしまうわけですね。
 そういう意味では、やはりこれがどんどん幾つかの地域で行われていったら、先ほど東京砂漠という話が出ていましたけれども、まさにそういう事態になっていくんじゃないか。
 今、都市再生というなら、例えばシャッター通りと言われる商店街、失業、倒産でふえるホームレスの問題、庭のない定員オーバーの保育園、一時間も二時間もラッシュにもまれて通勤しなきゃならない状況、何回申し込んでも当たらない公営住宅、十年も待たなければならない特養ホーム、汚れた空気と海水浴もできない海とか、都市再生という場合は、そこに住んでいる人たちが今願っている、本当に大臣が言われるように、お年寄りも子供たちもやはり健康で住み続けるという町をどうつくっていくかということをしないといけないのに、ともかく民間開発がどんどん早く進めるようなこういう都市計画のあり方、都市再生の事業というのは大変問題だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 先生に今言われましたところ、まさに私たちは、それをしたいと思って法案を提出させていただいているところでございます。
 例えば、都市再生特別措置法の第一条の「目的」、ここに書いてございますように、「都市の居住環境の向上」というふうに一言で書いてありますけれども、これは、中身でいえば、少なくとも、居住の向上というのを重要な柱として出したということは、それは、必要な住宅の確保であるとか、あるいは住職近接、近いところに住んで仕事ができるようなまちづくり、そして快適な、今回は環境が行き届いた、そういうまちづくりをしたい。
 そして、今先生は、民で買い占めて、民がやっていることがいけないとおっしゃいますけれども、はるかに民の仕事、やはりスピード感があるわけですね。官の仕事が余りにも時間がかかっている、高コストだとも言われております。そういう意味では、民のいいところ、官から民への移行ということも今回の法案の大きな柱になっておりますので、私は、ただオフィスビルだけではなくて、少なくとも住宅とか、あるいは文化施設であるとか、環境とか育児施設であるとか、あらゆるものを今回は整備するというふうにしたいと思っておりますので、民のいいところ、スピードアップというのが一番私は民はすごいと思うんです。
 ですから、官から民へという今回の都市再生に関しましても、官のスピードが遅い、高コストと言われるものを、民の活力でスピードアップとコストダウンを図っていく、そういういい面を利用していきたいと思っております。
瀬古委員 なぜ進まないのかということについては、やはり住民の意向、そういうものを官も一定の配慮をしなきゃいかぬという問題で、おくれているということがあるわけですね。それをかなぐり捨てて、民がやることについてどんどん時間をアップさせて、住民の声も十分聞かないようなやり方でやっていくということになったら、どんなまちづくりになるのか。聞いてみましたら、一世帯平均一・八人しかいないとか一・二人しかいない、本当に味気ない町になっていくということはもう目に見えております。
 時間がもう参りましたので、引き続き十分とって議論したいと思っています。きょうは都市再開発法改正の法案についてやれなかったので、関係者の皆さんには申しわけございませんが、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
久保委員長 日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 前回は、大変失礼いたしました。委員長からおしかりもいただきまして、きょうは、委員長の御指示をしっかり守って発言をしていきたいと思っています。
 最初に、前回も大枠をお聞きしたんですが、それからきょうの午前中、午後の論議を通しても、どうもこの法案で言っている都市再生の理念というのが極めて抽象的であって、イメージを私の頭の中でなかなか結ぶことができない。いや、大臣、それぞれのおっしゃっていることを聞くと大変すばらしいわけですが、しかし、法律にはそういうことは書かれていないわけで、どうもイメージがわかないわけです。
 そこで、その第一条で、都市機能の高度化と居住環境の向上ということをおっしゃっていて、それはそれなりに大臣から、いや保育所もつくりますとかホームもあった方がいいとか、それから低層の住宅もあった方がいいとか、緑もたくさんあった方がいいというお話を聞いているんですが、本当にそうなるのかという気持ちがまだあるんです。そういう意味で、改めて理念についてお聞きをしたいということ。
 それから、昨年四月の緊急経済対策の中に、都市再生、土地の流動化ということが盛り込まれました。そして、今回の都市再生が恐らくこれと連動して登場してきたというふうに考えていいと思うんですが、我々からいうと、その問題も、昨年四月のことも、どうも余り理念がはっきりしない経済対策という気がしてならないんです。
 同時に、今回明らかになっているのは、一千四百兆円も金融資産があるじゃないか、これを何とか使ってやろうじゃないかという話になっているんですが、そう考えていくと、どうも理念が余りはっきりしなくて、事業だけが先行していって、しかも民間の権限が物すごい大きくなるということに思えてならないんです。ゼネコン救済じゃないか、いや、ゼネコン再生の中身を持っているんじゃないか。しかも、理念を示さないというのは、実は民間に丸投げしてしまうから理念がなかなか明確に示せないんじゃないかという気もあるんです。
 ちょっと言葉はきつくなりましたけれども、改めてお聞かせいただきたいと思います。
    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
扇国務大臣 今、日森先生、理念がないとおっしゃいましたけれども、私は、けさからあらゆることを申し上げてきたと思うんです。法律の中の文言一つ一つにそういう意味を全部含めて、今後、二十一世紀型の国土のあり方はどうあるべきかということを、私、申し上げてきたつもりでございます。その中に細部にわたっての言葉が一つ一つ載ってないじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、それは、私は、都市再生本部できちんと論議していく理念をけさから申し上げた次第でございます。
 御存じのとおり、我が国のこの都市というもの、あるいは国づくりの基本というものを考えれば、関東大震災、そして戦後と、大きな山を私たちは越えてきたわけでございます。けれども、なぜそのときに基本計画がもっとできていなかったんだろうか。
 例えば、先生はまだお若くて御存じないでしょうけれども、私は、終戦後、一番先に言われましたのは、名古屋の百メートル道路、そして姫路の百メートル道路、そのときにみんなが、うそでしょう、百メートル道路なんて何の役に立つの、あんな広い道路をと言いました。けれども、今考えれば最先端を行っていたんですね。しかも、それがもう既に狭くなっている。
 そういうことを考えれば、あの関東大震災でありますとか戦後の復興のときにきちんとした都市計画ができていれば、またお金がそれに付随していれば、私はもっとできたという後悔心はたくさんございます。
 例えば、首都高速道路だって、あれを二階建ちにしていれば、最初は四車線が二車線になったわけですけれども、あれを二階建ちにして、上に乗用車、下にトラック、そうしたらメンテナンスも半分で済んだじゃないかとか、いろいろな歴史の中で我々は後悔しながら、もしあのときああしなければ、ああしていればという、その反省も含めて、我々は二十一世紀の初頭に、今のこのままでは日本の都市も地方も疲弊してしまう、そして過疎と一極集中が余りにも格差ができてしまう、そういうことも考えながら、何としても二十一世紀型の国土づくりの一環として、まず一番近々に言われている都市再生から手を挙げて、そしてつくって、そしてその一つができていけば次の予算でいろいろなところへ配分ができる。延々と十年、二十年計画で一つのことだけしかやっていなくて、広く浅くやっていたのでは全部が停滞する、そういう意味で今回の法案を出させていただいたのが原点でございますので、御理解いただき、また、いろいろな御意見をこの委員会でいただいて、それを法案を執行しますときに参考にさせていただければと思っております。
日森委員 百メーター道路の話は全くそのとおりで、何か東京にも実はそういう計画があったんですね、残念ながらできなかったんですが。
 それはそれとして、例えば、これはちょっとここで言うことが当たっているかどうかわかりませんが、サンフランシスコ。都市というとみんなすぐニューヨークを思い浮かべて、東京もそうなるんじゃないかという不安もちょっとあったんですが、サンフランシスコのミッションベイというところの開発があるそうなんです。
 先ほど、本当に人が住める快適な町が今度の法案の目的なんだというふうに大臣は明確におっしゃったんですが、その際、例えば、ここが大変広いところなんですが、民間のディベロッパーが開発するときに、これはちょっとこの前も触れたんですが、負担を物すごいするわけです。公共施設、これをつくるのに民間ディベロッパーが負担をするんです。そういう制度になっている。
 例えば、公共施設やアメニティー施設、レクリエーション施設、こういうものは全額民間のディベロッパーが負担してつくる。それから、千人規模の保育施設、これも、例えばオフィス街に近いところはディベロッパーの負担でつくるんです、全額。そうでない、居住地域については、市がディベロッパーから負担金をもらってつくる。もちろん、折半とか三分の一とか、負担金はあるんでしょうけれども。それから、文化施設や学校、消防署、こういう生活に必要な施設については、ディベロッパーがちゃんと負担しているんです。
 そんなことをやったらだれも受けないよという話になるのかもしれないんですが、しかし、それぐらいきっちりしていかないと、大臣がおっしゃるような都市というのはつくれないんじゃないかと思っているんです。そういう意味で、ここで紹介をしておきたいと思うんです。
 実は、そういうことが今度の法律の中に盛り込まれていないのではないか。ともかく規制緩和をして、いろいろな資金も援助をしてあげて、民間がやりやすいようにしてあげるけれども、しかしもう一方で、本当に、民間の、企業のためのまちづくりじゃないわけですから、その地域のまちづくり、コミュニティーをつくるわけですから、ではその企業やディベロッパーはどんな負担をしていただけるのか、どんな負担をしていかなければならないのかということについて明記されていないんじゃないか。それについてちょっと関連してお聞きをしたいと思います。
    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
澤井政府参考人 開発プロジェクトにおける開発者の負担についての御質問でございますけれども、これはプロジェクトによってさまざまな形が実際ございます。普通地区内のいわゆる二号施設的な施設と言っておりますが、都市計画決定するような道路とか公園よりも、もっと身の回りの公共施設のようなもの、これをディベロッパーがみずからの負担で整備をし、それから都市計画決定されたような大きな施設については公共が整備をするということが一番標準的な格好ではないかと思っております。
 ただ、一つここで問題なのは、今回の制度の中で無利子貸し付けという支援を創設しておりますけれども、大臣もしばしば仰せのように、東京二十三区においても、都市計画道路の整備率はまだ五五%でございます。したがって、大きなプロジェクトをやる場合には、当然そういった道路の整備が必ず必要になりますけれども、むしろそういう整備がまだ届かない地域で行われることが多いというのが通例でございます。
 時間リスクということをしばしば申し上げておりますけれども、道路整備のタイミングとディベロッパーなり開発をしようとする方が開発をしようと思う時期とが合わないということが、一つのいわばリスクといいますか問題、開発を進める上での阻害要因になっているということが、先ほど来の二百数十プロジェクトのヒアリングの中でも改めて明らかになっております。
 今回、無利子貸付制度というのを設けましたのは、それによりまして、公共施設整備の一部、道路整備の一部なりを開発者の側で立てかえていただいて、後できちんと補助金等でまた引き取っていく。これはいずれ公共でやるべき施設である、そんなような工夫をすることによって、公共施設とプロジェクトとのタイミングを合わせていくということが事業の促進に大変効果的であろうということで、そういう支援制度も始めているということで、その辺、いろいろな工夫をしまして、開発に必要な公共施設の整備をこれからも進めていきたいと考えております。
日森委員 お話はわかりましたが、しかし、大規模な開発となればそれだけ公共的なスペースだとか施設が必要になるわけで、それについては、一部についてはそういう格好でできるかもしれないけれども、その他については当該の自治体で負担しなさいとかいう話になってきたら、それこそ大変な話になっていくわけであって、それについては、ぜひ具体的な問題として配慮をする必要があるんじゃないかということをちょっと要望だけしておきたいと思います。
 それから二点目になりますが、不動産経済研究所というところがあるようなんです。ここの調査によると、二〇〇〇年以降、首都圏で二十階建て以上の高層マンションが二百棟、都区部では百二十五棟ぐらいつくられているという調査結果があるようです。これも、私のイメージでいうと、政府の都市再生はこういうものをどんどんつくっていく、摩天楼とまではいかないですけれども、そういう方向に行くのではないかという心配をしているんです。
 これは本当に国民が望んでいる都市再生ではないのではないか、これはいろいろな人が同じような質問をされました。先ほど、ああ、なるほどなと思ったのは、ヨーロッパの例をどなたか引き合いに出しまして、自分でつくった町だから愛着がある、愛郷心があるというふうにおっしゃった方がいらっしゃって、まさにそのとおりだと思ったんですね。
 だから、本当に国民が望む、いや、そこに住む方々が望む都市再生、まちづくりということは一体どういうことなのか。考えていくと、どうも、政府主導で高いものをばんばんつくるんだというふうにしか思えないわけなんです。実際は、緑をもっとつくるとか、アスファルトから熱気がないようにしようとか、緑の回廊とか、緑を再生しようとかいうところで、本当に人が快適に住める町こそ国民が望むまちづくりではないかというふうに思っているんですが、それについて御見解をお聞かせいただきたいと思います。
山本政府参考人 国民の望む都市再生についてどう考えているのかという御指摘であります。
 政府が取り組んでおります都市再生につきまして、従来の高度経済成長期の方向性と明確に異なる点がございます。それは、かつての都市集中の中での都市政策の方向性は、新しい市街地をきちんと秩序立ててつくって、集まってくる人口を的確に収容するという方向に向いておりました。
 今日、都市再生というときに、向かっております方向は百八十度違いまして、現に人が住んでいる地域、既成市街地について、将来にわたってきちんと使っていけるようにどういうふうに改造していくのかという方向性でございます。特に、町の中心に近い大切な土地を、その土地が持っている本来の効用に沿って長い間きちんと使えるように改善していくというのが一番大きなターゲットでございます。
 したがいまして、土地柄によりましては、先生御指摘がありましたような、セントラル・ビジネス・ディストリクトといいますか、中心業務市街地でありますと、摩天楼のようなビルディングが出てくるケースもございます。しかし、土地柄によりましては、身の丈に合った、きちんとした共同住宅を供給するという意味で、そういう意味できちんと土地を利用するというケースも想定しているわけでございます。
 そういったことを考えますと、町の真ん中に近い大切な土地をきちんと使うというこの都市再生の政策と、あわせて、それによって余裕が出てきた部分を使って緑あるいは水辺を保全し、失われたものを復活させていくという政策も初めて可能になるわけでございまして、おっしゃったような問題意識は、この特別措置法が企図しております政策分野と表裏の関係にある、一体の政策であるというふうに受けとめております。
 直近の都市再生本部におきましても、昨年の十二月四日におきまして、水と緑のネットワークなどをきちんと実現するために都市環境インフラの再生をするんだということを都市再生プロジェクトとして決定していただきました。今、関係公共団体と具体的な手順を進めているところでございまして、そのほかにも、重点分野として、バリアフリーでありますとかヒートアイランド対策等も掲げております。
 そういうことで、今申し上げましたような姿勢で居住環境の向上に努めているということを御理解いただきたいと思います。
日森委員 次の質問と関連するんですが、そういう、本当に、これから長く使っていこう、恐らく五十年、百年使える町を都市再生の中でつくる。またつくり直すなんという話はとんでもない話なわけですから、負の遺産を解消するために今度都市再生をしましょうということで、再生された都市は五十年、百年というスパンで、みんなから愛されて使われていく町になるわけでしょう。そういう町をつくるのに、実は非常に期間が短くて、急いでやれということになっているわけですよ。それがまた一つ心配で、しかも、地方分権に逆行するような、住民参加がないとか、ないとは言いませんけれども、それが非常に、保証がされていないとか、そういう問題があるんです。
 例えば、先ほど申しましたサンフランシスコのミッションベイですけれども、実際に計画がつくられて、みんなが納得して、仕事が始まるまでに二十年近くかかっているんです。試行錯誤を繰り返し、最初は摩天楼のようなものをつくろうという話だったわけです。ところが、地域の環境団体や住民団体あるいは市当局も、いろいろ議論していったら、これはまずいと。もっと中低層で、たくさん人が、安心して、もちろん低所得者も住めるようなそういう住宅をちゃんとつくらないかぬとか、そういう議論が何度も何度もあって、結局、二十年近くかかって、みんなが合意できたまちづくりが始まったんですよ。だから愛着を持って、どなたかおっしゃったように、長く使っていく町になるわけです。それこそ都市の再生じゃないかというふうに私は思っているんです。
 しかし、残念ながら、そういう意味では、もう皆さんが指摘したとおり、住民参加がないというような問題や、地方自治体が、確かに協議したり意見を具申することはできるけれども、この問題に関しては最終的な決定権を持っていないとかいうことで、本当に、先ほどおっしゃったような、長く使える、愛される町ができるのか、大変疑問なんです。
 この法案は、都市再生本部というのは内閣にあって、内閣総理大臣、小泉さんがトップにいて、そしてやっていくわけですね。小泉さんが、まあ小泉さん個人が判断するかどうかわかりませんが、最終判断していく。
 それで、この第五条で、地方公共団体は地域指定の申し出をすることができるというふうになっていますし、それから、地域指定の政令立案で関係地方公共団体の意見を聞かなければならないというふうになっているんです。それは、義務になっているんでしょうけれども、しかし、最終的な意思決定は本部が決めるということなんです。フィードバックがあるのか、住民団体や自治体との間に何度も何度も行き来をしながら、長く使える、愛される町をつくるための努力が本当に行われるのか。期間的にどうもできないんじゃないかという気がしてならないんです。
 そういう意味では、地方の独自性とか地方からの発想をどれだけ取り入れてやっていける法案なのか、大変疑問でならないわけです。それについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
扇国務大臣 日森議員のおっしゃることもよくわかりますけれども、私は、例えて例を挙げさせていただいて失礼ですけれども、私、神戸出身でございまして、阪神・淡路大震災、七年たちました。いまだに完全に復興しておりません。それは、多くの皆さん方があれだけ大きな地震の災害に遭ったにもかかわらず、市と県と市民と県民と、多くの皆さんの意見が一致しての、新たな神戸の、阪神・淡路大震災からの再興ということがいまだに遅々として進んでいない。あの現状を見るときに、我々は、何としても国民の生命財産をまず安定さす、安心な都市づくりをしなければならない。再び関東大震災が起こったらと不吉なことを言うつもりはありませんけれども、やはり住めば都で、どんな長屋であろうと、どんな小さな町であろうと、細い路地なら細い路地ほど私は御近所の親近感が出るのは当然だと思います。
 けれども、少なくとも地震列島に住んでいるというその観念からいえば、都市再生と都市開発とが一体にならなければ、これは事が進まない。戦後今日まで五十数年たって、いまだにできていない部分が多過ぎる。そういう意味で、国民の安全、安心と、そして都市再生と都市開発と全部一体にしてというのが今回の法案を一緒に提出させていただいた大きな基本でございます。先生がおっしゃったような、住んでいる人たちが安心して、そして年寄りも子供も一緒に住めるような、さっきも瀬古先生もおっしゃいました、そういうまちづくりをするためには、やはり整理しなきゃいけない、また再生しなきゃいけないという問題がたくさんあるものですから、今度は再生と再開発と両方出させていただいたというのが現実でございます。
日森委員 私も、再生しなければいけない町はたくさんあるというふうに思っているんですが。
 今の法律の中で、本当に自信を持ってみんなが長く住み続けていけるような町をつくることができるのか。そのためには本当に、二十年かけろと言っているわけじゃないんです、六カ月だってそれは合意できればいいわけですから、そういうシステムがないじゃないのかと。
 そして、本部が、上から、今までトップダウンという話が何度も出てきましたけれども、システムがなくて、そういうやり方で町をつくってしまって本当にいいのかという疑問が消えないんです。地方分権に逆行するという意見がたくさんありました。
 またミッションベイの話なんですが、こればかりで申しわけございませんが、ここは、やはりサンフランシスコ市が徹底的に関与しています。徹底的に最初から最後まで、計画段階からもう全部かんで、むしろ民間ディベロッパーが市の都市開発局に、どんな町をつくったらいいのかというふうにまちづくりの設計を依頼したのです。市はディベロッパーからお金をもらって、そしてコンサルタントにお金を払ってさまざまなプランを出してもらって、そしてそれをたたいて住民の側に知らせる、そういうまちづくりの方法をやっているのですね。
 地方自治体が、いわば主導権、民間の力をかりるけれども、かりるために容積率を緩和したりいろいろな資金を援助したりということは当然あると思いますが、そういうインセンティブは行いながらも、結局、公がきちんと責任を持ってまちづくりをやっている。そういう意味のまちづくりをしていかないとならないのではないか、分権の時代、なおさらそうではないのかという思いがずっと消えないんです。
 これだけは例外だとおっしゃるんですが、例外が十年もやられるわけですから、あるいはもっと長くなるかもしれない。そうすると例外が例外ではなくなってしまう。こんなにお金を使って大事な町をつくるのに、地方自治体が実際に関与できないような制度でいいのかということをもう一回聞きたいと思います。
澤井政府参考人 申し上げるまでもなく、都市再生のテーマ、いろいろございますので、全体としては公共と民間が的確に役割分担を進めていく、言葉で言ってみますと非常に抽象的で恐縮ですけれども、そういうことだと思っております。その中で、特に民間は建築活動の大宗を担っております。そうした民間の力を最大限に引き出すために特別の措置を講ずるというのが、この特別措置法の主要な内容でございます。
 仰せのとおり、この法律全体として、例えば金融支援につながる優良な都市再生事業の認定については五年間、それから法律全体については十年間という期間が法文上出てまいりますが、これは、基本的には都市再生自身は大変長い課題でございますので、その期間で終わるということではなくて、そうした特別措置等につきまして、今までにない特別の措置でもあることもありまして、その段階でその施策効果等を点検するということが一つ。
 それから、特に五年につきましては、この法律が成立して、施行されてから、ではやってみようということで構想の検討を開始したプロジェクトでも、五年あれば認定を申請するぐらいまで具体化するのに十分な時間であろうということで、一たんそこで切って、いずれにしても、全体として、そういう時間を切ることによってスピードアップを図っていこう、逆にインセンティブとしての効果を高めていこうという、いろいろな思いでそういう期間を法律上セットしているわけです。
 ただ、五年あるいは十年といいましても、そこでプロジェクト自身が終わるという期限ではございませんで、例えば、一たん金融支援を受けたプロジェクトについては、プロジェクトに必要な期間この金融支援は続きますし、また、特別の都市計画であります都市再生特別地区についても政令で指定された地域ということが前提となっておりますので、法律自身が時限になりますと、その特別地区に基づいて建った建物が、逆に、法律がなくなることによって既存不適格建築物になるというような変な話にもなりまして、そういう意味で、狭い意味での時限措置にはなじまないと思っております。
 いずれにしても、そういう期限を切ることによって、そこで施策効果を点検し、次の方向をどう展開していくかを十分見直し、検討しよう、こういう趣旨でやっているということを御理解賜りたいと思います。
日森委員 ありがとうございました。
 今の答弁は、次の質問の答弁でございまして、分権の話を聞きたかったのですが、それはわかりました。次の質問と一緒に、改めて、分権というか、住民参加の問題についてはお聞きしたいと思います。
 法の第二十一条で、民間都市再生事業計画の認定基準を見ると、一つは、市街地の緊急な整備に貢献、地域整備方針に適合、迅速かつ確実に遂行するために適切、この三つが認定基準になっているわけです。これだけ見ると、本当に最初にもう事業ありきという思いがしてなりません。最初にともかく事業をやればいいじゃないか、この基準を満たせば、認定をして、事業をどんどん進めていこうじゃないかというふうになっているのです。
 大臣は、この間も、国土交通省は住民参加は一番進んでいるのよ、こうおっしゃって、ITの問題、これなんかもずっとおっしゃられているのですが、こういう問題については、都市再生の中では排除されているんでしょうか。せっかく国土交通省が道路をつくるときにパブリックインボルブメントの問題などを試行的に始めて、それなりの成果が上がっていると思うのです。ヨーロッパなどに比べるとまだまだおくれていると言われればそれまでなんですが、しかしそれは、努力は努力として僕は大いに評価したいと思っています。それが今度の問題では十分生かされていない。むしろ排除されていて、今度、これはやらなくていいのか。せっかくいいことで、住民参加で、住民の意見を聞きながらやろうじゃないかということを始めてきたのに、この目玉商品といいますか、この国の経済の再生まで一緒に担おうじゃないかというぐらいの大規模プロジェクト、しかも長く使い勝手のいい町にしていこうというときに、その制度がない。この辺はどう担保されているのか、お聞きをしたいと思います。
澤井政府参考人 民間都市再生事業計画の認定に当たって、住民への説明はいかに担保されるか、こういう御質問と承りました。
 この国土交通大臣によります民間都市再生事業計画の認定自身は、後に民都機構による金融支援につなげるものでございまして、プロジェクトの内容の優良性自体を判断するものということでございます。都市計画決定につながるような、その前段としての何かの手続ということもございませんで、住民への説明といった手続は認定の要件とはなっておりませんけれども、その認定基準の中に、「工事着手の時期、事業施行期間及び用地取得計画が、当該都市再生事業を迅速かつ確実に遂行するために適切なものであること。」という規定がございまして、こうした基準との適合性を審査するに当たりましては、地元住民への説明が適切になされることにより、事業を迅速かつ確実に遂行できるかどうかといったことがチェックされることになります。
 また、認定に当たりましては、あらかじめ関係地方公共団体、当該プロジェクトの地元関係地方公共団体の意見を聞かなければいけないということになっておりますので、こうした際にも、住民との関係がどのような状況になっているかということが把握されることになるものと考えております。
 さらに、認定事業について民間都市開発推進機構が金融支援措置を行う際には、例えば、住民とかなりトラブルがあってその先の展望がまだ明らかでないというような場合には、逆に、民間都市開発推進機構におきます金融支援機関としてのリスク管理の一環として、当該事業についてさらに地元住民に適切な説明がなされているかどうかといった状況を改めて把握するというケースもあろうかと考えております。
日森委員 非常に残念なんですが、せっかく国土交通省が、恐らくほかの省庁に先駆けてこういうPIなんというのを始めたと思うんですが、それをぜひ生かせるような、そういう措置もぜひ講じていただきたいというふうに思っております。
 ちょっと時間がなくなってきましたので、また委員長におしかりを受けますので、次に移りたいと思います。
 第二十九条で、民都機構の事業として、認定業者に対して無利子貸し付け、出資、社債取得、認定業者が整備する建築物や敷地の取得、収用などもできるということを規定していますけれども、随分至れり尽くせりではないのかという気もしているんです。
 心配なのは、午前中もバブルの話がありましたけれども、その貸し付けや出資が本当に回収できるのか、そういう保証はどこで担保されていくのか、また、それと同時に、今問題になっている、不良債権化したり、そういうおそれはないのか、そういう心配があるんです。その辺についてお答えいただきたいと思います。
澤井政府参考人 御指摘のように、この法案におきましては、民都機構は、民間事業者に対しまして、無利子貸し付け、出資、社債等の取得、それから債務保証といった金融支援を行うことといたしておりまして、これらの金融支援を通じて、民間事業者の民間金融市場における資金調達の円滑化を図るという、いわば呼び水効果をねらっております。
 近年、金融環境の変化に伴いまして、民間事業者のコーポレートファイナンス、従来の伝統的なコーポレートファイナンスによる資金調達が困難となっていること、民間事業者の側でも、バランスシートあるいは資産効率を重視した経営の観点から財務負担の増加を回避する志向が強いことなどから、いわゆるプロジェクトファイナンスによる資金調達の必要性が高まっております。
 しかし、不動産証券化市場など我が国のプロジェクトファイナンスはまだ未成熟でありますことから、資金調達の困難な公共公益的な部分、当該プロジェクトの公共公益的な部分を中心に本法案において民都機構による必要な支援を行おうとするものでありまして、直接金融市場の育成の必要性にかんがみましても、決して過重な支援を行うものではないと認識しております。
 また、こうした金融支援全体を通じまして、全体として公共公益施設整備費を限度としておりまして、民都機構において、審査の厳格化、適切な債権保全措置などを講ずることによりまして、リスクを最小化、言いかえますと、事故率を極小化しながら全体として健全な運営を図っていきたいというふうに考えております。
日森委員 ぜひ、そういう心配のないように手当てをしていただきたいと思います。
 続いて、政府は、第三十条で、民都機構に対しまして道路整備事業費の一部を貸し付けるというふうにしておりまして、その償還方法は政令で定めるというふうになっています。
 二十九条の認定事業者への貸し付けなどとこの三十条と合わせて、来年度予算に計上した合計額とその内訳をまずお聞きしたいと思います。それから、政令では何年での償還になるのか、これについてもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
澤井政府参考人 本法案に基づき民都機構が行います支援業務に関し、平成十四年度予算案におきましては、国費百億円を計上しております。
 内訳といたしましては、先ほど言いました道路等とプロジェクトのタイミングを合わせるための無利子貸付業務として十六億円、出資、社債等取得業務として三十八億円、また債務保証業務に必要な基金の造成に四十六億円をそれぞれ計上しております。
 また、貸付金の償還につきましては、二十年間での償還を予定しております。
日森委員 続いて、民都機構が、民間都市開発法、不動産特定共同事業法、なかなか複雑怪奇なんですが、都市開発資金の貸付けに関する法律など、いろいろな法律が絡み合っていて非常にわかりづらいということになっているんじゃないかと思うんです。これは国土交通省がしっかり交通整理をしていかないと、この特例なんかについても大変理解しがたいような内容になっているんじゃないのか、そんなふうに思っているんです。
 そういう大変複雑な組み合わせの中で、実は天下りや癒着や利権ということが生まれたりする可能性もあるという心配もしているんですが、こういう問題について何か具体的な対応策をお考えになっているかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
扇国務大臣 これが一番肝心なところでございまして、日森議員がおっしゃいますように、この民都機構に関しましては、少なくともチェック機能を課そうということで、このチェック機能として、民間各界の有識者、それによります評議員会を設置してございます。名簿を一々言うのは避けますけれども、二十名の有識者によってこの評議員会を設置し、そこでチェックしていくということでございますので、今御指摘のようなことはないように、しかも公明正大にやっていくというのが確保されております。
日森委員 続いて、三十六条の関係なんですが、都市再生特別地区として、容積率や建ぺい率、建築面積、高さ制限、こういうものを全部緩和していくということになっているわけですが、例えば都市計画やまちづくりのこれまでの努力、市町村なんかでやられているということもあるんですが、これを無にしてしまうようなことになりかねないという心配を持っております。
 それから、余り実効性がないのかもしれない、具体性がないのかもしれないけれども、多くの市町村で今マスタープランをそれぞれつくり始めて、それぞれお持ちになっているわけですね。そういうものとの整合性とかいうことをどういうふうに調整していくのか。それがないと、全くここだけが特化された町になってしまって、非常に問題が大きいのではないかという心配があるわけです。これについて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
澤井政府参考人 都市再生特別地区は、従来の都市計画制度では民間の創意工夫を十分に生かし切れないという観点から、自由度の高い計画を定めることができるようにすることをねらいとしております。
 この地区につきましては、決定過程で、三段階、すなわち、第一段階は、政令で緊急整備地域を定める、その際には公共団体の意見を聞き、意見を尊重する、あるいは逆に公共団体から指定の申し出をすることもできる、それからまた第二段階として、政令で定めた緊急整備地域につきましては、地域整備方針が作成されますけれども、その段階でも同様に地方公共団体との十分な意思疎通がある、さらに、具体の都市再生特別地区という都市計画決定に当たりましては、通常の都市計画の一つでありますので、公聴会、説明会、公告縦覧、意見書の提出、都市計画審議会といった、住民意見を反映いただくための手続がある。
 この三段階にわたるこうした手続を通じまして、例えば既存のコミュニティーとか地域の歴史、文化など、これまでに蓄積されてきた継承すべきまちづくりの努力があるような場合には、これがまさにいわば新たな都市再生の内容になるようなものとして、特別地区を活用したプロジェクトにおいても結果的に反映されていくことになるのではないかと考えております。
 マスタープランの御指摘がございましたけれども、マスタープラン、都市計画の上位計画ということで、それとの整合は十分に図られることになっております。
 以上でございます。
日森委員 第二十二条の関係なんですが、国土交通大臣は認定申請の受理から三カ月以内に処理しなければならない、そういうことも含めて、迅速な処理を他の条文の中でもかなり強調をされているわけです。
 先ほどもちょっと大臣が、お役所仕事は時間がかかるという言葉ではなかったが、何かそういう趣旨のことを言われていて、民間は素早いと。だから、その民間に任せるんだから、ともかく迅速に、スピーディーに仕事を進めていこうということになっているんですが、どうもここの問題だけスピーディーな話が出てきて、この特例についてはともかく急いでやるけれども、あとはのんびりやるのかという、そんなことはないでしょうけれども、どうもそんな感じがして、なぜここだけスピーディー、スピーディーというふうに考えているのか。
 さっき、神戸の話はお聞きしましたけれども、震災が起きたわけでもないわけですから、何かこの問題だけは、ともかく内閣の目玉だから、随分甘やかしてと言うとおかしいですけれども、そういう意味で非常に特例中の特例としてどんどん進めようということがあるのではないか。そうすると、他の一般公共事業と随分格差が生まれてくる、不公平が生まれてくる、そんなことにもなるんじゃないかという心配をしているんです。
 これについて、ちょっと見解をお聞かせいただきたいと思います。
澤井政府参考人 御指摘の認定期間三カ月といいますのは、今回の特別措置法案の全体の基本的なスタンスとして、民間の時間感覚に合わせて行政運営をしていくという、姿勢の転換を図っていこうということがございまして、その一環として、この認定の事務につきましても、三カ月以内とすることによりまして、民間事業者の時間リスクを軽減し、民間の力を引き出し、再生事業を促進していきたいという趣旨のものでございまして、決してこれが過度に優遇するというものではないと考えております。
日森委員 委員長、ちょっと時間が余りましたけれども、質問を終わりましたので、この前の分のお返しをして終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
久保委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 ラストバッターでありますので、よろしくお願いします。
 私は、けさ国会に登院いたしますのにタクシーを使って参りましたら、私は東京の下町からでありますけれども、国会の正門の中までタクシー代が四千六百円、それから高速道路代が七百円、そして時間は五十分ぐらいかかりましたね。
 つまり、高速道路はだれが考えたって、あれは東京大学を出たり頭のいい人が旧建設省でつくったのだろうと思いますけれども、上野の方から二車線、葛飾の方から二車線、二足す二は四なのに、二足す二が二になっているから、銀座のところで込んで、銀座の手前で込んで、こういうようなことはまことに、快適な都市生活とはほど遠いし、高コスト体質というものを助長するし、やはりこういうことをまず改めていかなければいけないのじゃないか、こう思うわけであります。
 それで、けさ、経済産業委員会で大田区の中小企業経営者の方のお話を承っておりましたら、香港から三十万個の部品の引き合いがあった。見積もりをして、一個八円で出したら、高いと怒られた。香港では幾らでできるかと言ったら、三円でできると。それは驚かなかった。ところが、ドイツが四円でできると聞かされたときにはびっくりした。これはちょっと前段で。
 もう一つ前段を申し上げると、東京がもし独立して石原慎太郎さんが大統領になっていくと、国連加盟の、百八十ぐらいあるんですか、その国の中で七番目であります。それは、面積から、予算から、国内総生産。大阪だって名古屋だってそうだろう、こう思うわけです。そうだろうというのは、結構立派なところにランクされるんだろうと思うんですが。
 ところが、今日、この都市が振るわない、都市が機能していない、こういうようなことで、アメニティーの部分ももちろん足りない。だから、東京、大阪、名古屋を中心に、もちろんほかの都市も、それからそれに相対して、アーバン対ルーラルという関係もきちっと整備をして、住みやすい日本をつくろう、こういうことで画期的な都市再生ということを小泉総理、扇大臣が御一緒になって提唱される。そして、今回出されたこの二つの法律案は、私は常々、東京のような大都市、地価が今下がっているとはいえ、かなり高い、こういうところはミクロで純化を、都市計画を進めながら、ある程度まとまったマクロの中では混在も許される、そして機能をきちっとしていくというまちづくりをしていくべきだという主張をしてきた者としては、大変機能的なよい法律だ、こういうふうに思っております。
 そこで質問させていただくわけでありますが、都市再生二法案というのは、根本的に民間活力によって都市再生を図ろうとするものでありますから、デフレから脱出しようとする際に不可欠な民間需要を喚起するという上でも効果のあるものではないかというふうにその期待を持っているわけでございますが、大臣も、法案の趣旨の御説明の中で、本会議における御答弁でもそういうことをたびたびおっしゃっておりますが、改めて私の質問に対してその点をお答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 西川議員がけさ国会へ来るまでにタクシー代が四千六百円、高速代が七百円、時間のロス、高コスト、これが今、事例を挙げられたことだけではなくて、あらゆる面で日本が世界に伍していけない。物流コストが高過ぎて、産業の空洞化、経済の空洞化、あらゆることが起こっているというのが現実でございます。
 また、今回、都市再生を進めるに当たりまして、千四百兆と言われているこの預貯金、個人の金融預貯金というものを活性化させなければ意味がない。そういうことも含めて、私は今後それを使っていただくことが最大の経済効果であろうと思っております。
 今回のこの二法案、今、西川議員がおっしゃいますように、思い切った規制改革、あるいは金融支援措置、民間の事業主体によります市街地再開発事業の実施のための措置等を講ずる、こういうちょっと今までにない、大上段の言い方をして申しわけないのですけれども、そういうことを、まず民間による都市開発事業の道を開いていって、今までは、民間がやっていることを国がそんなに正面から援助する、あるいは知恵をもらうなんということはなかったわけですけれども、それをしていくということでやっていきたいと思っている一つでございます。
 少なくとも、都市開発事業、例えば恵比寿ガーデンプレイスやあるいは六本木六丁目、さっきからお話が出ています。この再開発、いずれも総事業費が三千億円規模のプロジェクトでございます。そして、約四万二千人に相当する雇用創出が図られました。そういうことで、我々は、民間の需要をますます喚起するという意味でこの二法案を活用していきたい、そう思っております。
西川(太)委員 私の経験から申しましても、東京における再開発のネックになっております点を今度の法案はクリアしていただけるということを大いに期待できるわけでありますので、大変喜んでおります。
 そこで、この法案に賛成をする立場はもとよりでありますが、さらに東京とか大都市を、国際都市としての競争力を持ち、すばらしいものにしていくために、関連して質問するわけであります。
 何年か前にウズベキスタンに行くことになりまして、超党派で行きました。団長は民主党の議員さんでありました。小牧から飛行機に乗って行ったわけでありますが、ソウルの飛行場に着いて、私たちは飛行機の中で二時間、おろしてもらえないのであります。
 では、何でソウルで二時間かというと、給油するんですね、給油。タンクはいっぱいあるんですよ、あいているんですね。しかし、ソウルまでの燃料しか入れていかないんですね。なぜか。日本の燃料が高いから、それから駐機料が高いから、成田でない、関空でない、小牧なんですね。
 だから、私は、都市がどんなに再生されて使い勝手がいいものになってアメニティーが上がっても、アクセスする機能といいますか、国際空港のそういう機能というものをきちっと、大規模な空港の整備というようなものを近隣のアジア諸国が次から次にやっている中で、ハブ空港どころかスポークの果てにつながるようなことになることを大変心配しておりますが、この点について、どんな危機感を持って、また、どんな決意でこうしたことの整備を図られるのか、大臣の御決意を伺いたいと思います。
扇国務大臣 今、西川議員が指摘されたこと、私は就任以来ずっと頭の中にあり、各所でも言い続けております。
 そういう意味で、我々が、先ほども申しましたが、二十五年たってやっと今回四月に成田が暫定の二本目の滑走路を供用開始いたします。二十五年です。あっという間に隣の韓国では四千メートル級が二本、そして二〇〇五年にはこれが四本になります。そういう意味で、近隣諸国を見ますときに、我々がいかにおくれているか。
 今、駐機料のお話をなさいました。成田、関西国際空港、九十万円台です。そして、アメリカ、フランスは三十万円台です。何とイギリスは七万八千円です。そして隣の韓国も、二本のできた滑走路は三十万円です。これも日本の三分の一。これでは勝負にならない。
 ありがたいことに、現段階では、東京に乗り入れたい、成田にも乗り入れたいと言っている国が三十三カ国ございます。これだけはありがたいと思っていますけれども、この三十三カ国ある乗り入れたいというのを処理できないのが今の現状でございます。ですから、少なくとも私たちは、今回この日本へ乗り入れたいと言っている人がある間に何とかしなければいけませんけれども、この三十三カ国の順番待ちも、二〇〇七年には成田はパンクします、暫定供用を開始しても。
 そうすれば、どうするかということで、私は、あるものを最大限に利用しようということで、羽田も、時間は限定しておりますけれども、今回は使わせていただく、そしてワールドカップサッカーに対しても、昼間もこれを利用するというふうに、我々は国際感覚を持っていかなければ、今先生がおっしゃったように、どうしても物流コストが高くて、だれも日本に来てくれなくなる。やっと二十年かかって滑走路ができても客がないという時代があってはいけないということで、心しております。
西川(太)委員 大臣、まことに恐縮でございます、通告をしていないことを一問お尋ねしたいのでありますが、それは、昼休みにテレビを、ニュースを見ておりましたら、大臣が記者らに囲まれて、日航と日本エアシステムの統合に対して公取委が異議を表明されると。日本経済新聞によりますと、寡占に拍車をかけることを問題視している、こういうことで、この問題がにわかにクローズアップされてまいりました。
 事前審査を公取委員会に持ち込んで、その問題指摘があって、いわゆる当該の会社によってこれに対する対応がされるんだろうと思いますが、私がこの問題について承知しておりますのは、二〇〇二年十月にフェーズ1として共同持ち株会社をつくって、二〇〇四年にはフェーズ2としてさらに事業再編を行って完了する、これによって競争力を非常に強めて、国際化時代の日本の航空事業を強固なものにしていくと。あながち、シェアが多過ぎるからいけないとかという問題ではないんじゃないかなという気もいたしますが、一方で、新たな競争相手がエントリーできないというような点もございます。
 この段階で軽々な判断はできないかもしれませんが、大臣、改めてこの委員会の場でこの問題についてのお考えをお聞かせいただければと思います。
扇国務大臣 このJAL、JASの話に関しましては、私のところに両社の社長が何度もいらっしゃいまして事情説明をいただきました。また、ANAの社長からも事情を聞いております。
 きょう、公取からどういう文言の通知が出るかは、まだ私入手しておりませんので、まだ正式なことは言えませんけれども、私は、三社の社長に申し上げたことは、三社があってお互いに切磋琢磨することはいい、けれども、少なくとも、例を挙げて失礼ですけれども、北海道のエア・ドゥ、北海道民が道民の翼だと言ったものが、安かったらすぐ大会社がその安い料金に下げてしまって、エア・ドゥがつぶれてしまうようなことをする、それではおかしいじゃないか、下げられるものなら、なぜ最初に下げなかったんだ、私は、お客様の身に立って、そして、高いと言われている航空運賃を下げる方法は、なぜそれで競争しないんだというふうにも申しました。
 そして、今回はJALとJASが一緒になって、国内の需要率が七〇%と三〇%、あるいは六〇%と四〇%、最初から勝負が決まっている、JALとJASが国内線一緒になれば、これは六〇%のシェア、ANAが四〇%のシェア、これでは六対四で最初から勝負にならないというようなことも言われました。
 あらゆる点で、私は、国内がまさに、経営がどうのこうのというよりも、今まで高い運賃を取って客がなくなって、そして慌てふためくのではなくて、世界じゅうから乗り入れていますから、運賃の値下げ競争は自由主義社会では常でございますので、お互いにいいところを伸ばして、けんかをしないで、外国へ行くのに、あそこはもめているから国内の飛行機に乗らないよなんて言われないように、外国へ行くのになるべく国内の飛行機に乗るよと言われるような体制をつくってほしいということを指導してきたつもりでございますけれども、今後、公取の報告を待ちたいと思っております。
西川(太)委員 安定した暮らしと産業の国際競争力を確保するためには、都市再生は不可欠であります。私は、都市再生というのは産業再生でもあるというふうに思っておりまして、ひとり国土交通省のお仕事にとどまらず、いろいろな役所を巻き込んでやっていただけるものと期待をいたしているわけであります。
 しかし、インフラを、特に交通面でのインフラを整備することは大事でありまして、空も大事ですけれども海も大事でありまして、国際港湾というものをやはり大都市周辺に整備しておくということは、野菜まで輸入している時代でありますから、生活のためにも必要だろう、こう思うわけでありまして、この点についてお尋ねをしたいと思います。
扇国務大臣 少なくとも、今の現状を私たちは恥ずかしいと思っています。国際的に、船が港に着いて荷おろしをするのに日本は二日から三日かかります。欧米先進国は、船が着いて荷おろしをするのに二時間から三時間です。これでは勝負にならない。そして、二十四時間フルオープンの国際港湾といいながら、夜中に着いたら人手がない。これでは、私は世界に、言葉だけ二十四時間フルオープンと言っても恥ずかしいのではないか。まして、荷おろしにそれだけ時間と日数がかかるということだけでも改善しなければいけない。
 しかも、御存じのとおり、NACCSというので、これは六省庁が関係していますけれども、船が入るときに、無線で私はこの港にこの荷物を積んで入りますよという送信をしますのに、お金を取っていたのです。それで、この六省庁の中で、名前を挙げて失礼ですけれども、旧大蔵系のところは、船主に私聞きましたら、一年間で一番たくさん払っているのは幾ら払っているのと聞きましたら、NACCSで一番たくさん払っているのは、一億円を通信費に払っていると。そんなばかなことはない。国土交通省もただにしているのですし、旧郵政省もただにしているのに、このNACCSだけでもただにしてくださいと言って、初めて小泉内閣で、財務省も納得して、このNACCSもただにしてくだすって、世界レベルに準じたというのがやっとでございます。
 そういう意味では、今おっしゃいましたように、港湾の輸送のサービスとそしてフルオープンといったことの実績が、言葉と実とが合致するように指導していき、またそう図りたいと思っています。
西川(太)委員 続けて三問お尋ねをいたすわけでありますが、一問目は佐藤副大臣、二問目は菅大臣政務官、三問目は高木大臣政務官にお尋ねをしたいと思います。
 一問目は、都市再生をより強力かつ効果的に進めるために、先ほど来大臣が力強く御答弁をいただきました、国際空港等の整備充実が大事でありますけれども、問題はそこへのアクセスが大事だ、こう思っておりまして、これもあわせて整備をしていく必要があるのではないか。これを佐藤副大臣にお尋ねをします。
 お二人の政務官には、まず菅さんには、大気汚染が非常に深刻でありまして、私の選挙区は東京でも結構大変な地域にあるのです。大きな道路が交差しているところのNOxの濃度が非常に高かったり、これは地球温暖化対策として大きなスケールの問題でもございますけれども、やはり低公害車を早く導入するということが大事だろう、こう思いまして、国土交通省のこの取り組みを大臣政務官に伺います。
 そして高木大臣政務官には、私どもお互いに、東京湾は母なる海でありますが、高木さんは八王子の方ですが、やはり同じ東京都民として、東京湾がまだまだ汚れていると私は思っております。都市再生プロジェクトとして海の再生というものが掲げられているわけでありますけれども、国土交通省、このことについてどう取り組まれるか、お尋ねをさせていただきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
佐藤副大臣 おっしゃられますように、都市が国際競争力を強めていくためには、国際空港、国際港湾の整備充実というのが非常に大切です。そしてまた、それとのアクセスをこれまたしっかりしなければ、どんなに空港や港湾をよくしてもアクセスがしっかりしなければだめであります。
 東京圏に限って言いますと、成田空港、さらに羽田。羽田はさらに、さっき大臣が言われましたとおり、拡張ともあわせながら、それと都心とのアクセスをしっかりさせていくということが非常に重要であると考えております。
 さらに、昨年の八月に発表されました内閣官房都市再生本部の第二次決定におきましても、首都圏空港アクセスの利便性向上のために、新たな鉄道アクセスルートの早期整備や関係道路の早期の具体化を打ち出しております。中部国際空港からのもの、関空からのもの、あわせながら、都心といかにして立派なアクセスをつくるか、我々も、国土交通省といたしまして非常に重点的に取り組んでいきたい、そう思っております。
菅大臣政務官 私の選挙区も横浜でありまして、委員と同じような状況であります。
 国土交通省といたしましては、環境自動車開発・普及総合戦略会議というものを設置しまして、今後の低公害車の開発普及に向けた総合戦略を行っておるところでありますし、特に、昨年七月に経産省、環境省とともに低公害車開発普及アクションプランを策定し、三省連携して今対策を練っております。
高木大臣政務官 西川先生の御指摘で、私、地元は八王子なのですけれども、生まれ育ったのは大田区の大森となりまして、東京湾は、ずっと子供のころから見て、また遊んで育ったというところでございます。昭和三十年代まではまだ泳いでいる人たちがいたという形で、私も小学校に入る前までは、自分はつかってはいないのですけれども、そういうものを見て育った思い出がございました。
 ただ、その後、高度経済成長で東京湾はかなり汚れがひどくなりまして、特に水質汚濁が慢性化しております。都市の再生を図っていくためには、東京湾の水質を改善して、きれいな東京湾をつくるということは緊急な課題でもあると思いますし、このため、都市再生本部では、都市再生プロジェクトの第三次決定として、海の再生を図るために、先行的に東京湾奥部について、その水質を改善するための行動計画、これを策定することが決定されたところでありました。
 これを受けて、国交省が事務局となって、二月五日、国土交通省、農水省、そして環境省並びに関係地方公共団体と東京湾再生推進会議を立ち上げたところです。同会議においては、平成十四年中、本年中ですね、水質改善の目標、陸域及び海域で行うべき対策、また水質のモニタリング等、必要な施策を取りまとめた具体的な行動計画を策定することとしておりまして、国交省としては、今後とも、より一層この東京湾の水質改善を図りながら、ふるさとの海ということをつくってまいりたいと思います。
西川(太)委員 これで最後の質問にさせていただきます。
 この二法が成立した後に、これを運用していく、そして大きな成果を上げていく、そのためにいろいろな環境整備をしていかなければいけないということをいろいろな角度から申し上げてきたわけでありますが、より身近な問題として、恐縮でございますが、私の地元の問題を一つだけ例示をさせていただくのであります。
 私鉄が通っている鐘ケ淵というところがあるのです。その鐘ケ淵のところは、いつ行っても一遍で踏切を渡れたことがないのですね。もう朝に晩に、細い道にずらっと自動車が並んでいて、地元の墨田区の調べによりますと、閉鎖している時間が九時間三十分。そして、この間、一万六千三百人余の署名を集めて、東京都に、立体交差を早く進めてくれ、そうしないと鉄道によって町が分断されて、再開発自体もできなければ、町としての発展の阻害が大きいと。こういうところは全国にたくさんあると思います。これは何もひとり私の町だけではないと思うのでありますが、我々はずっとそういうことに耐えてきた。
 その隣の交差点は大通りでありまして、今度立体交差が決まったのでありますが、それは、思い出していただきたいのでありますが、単車で来たおじさんが倒れた、それを横断歩道を渡ろうとしていた青年が飛び出して助けようとして、その転んだおじさんは助かったけれども、助けようとした青年が自動車にはねられて死んだということもあったのですね。電車でしたか、はねられて亡くなったということがあった。後でちょっと正確にあれしますけれども、いずれにしても、そういう死亡事故があった。その隣の交差点であります。
 やはりこういうところは全国にたくさんある。したがって、こういうところの立体交差などを積極的に都道府県と区市町村と国土交通省が一緒になってやっていただくことによって初めてこうした法律が使い勝手のいいものになる、こう思っておるわけでございまして、この点についてぜひお力をかしていただきたい。
 大臣にお尋ねをして、質問を終わりたいと思っております。
扇国務大臣 今回の法案を通していただくために、今おっしゃったことは大事なことだと思っています。
 少なくとも全国に約三万二千カ所の踏切がございまして、今、渋滞の激しいボトルネックというのはこの中で一千カ所ございます。そのボトルネックを解消しようということで連続立体事業を進めております。
 そして、都市再生本部におきましても、十三年八月の決定で、ボトルネックの踏切の解消ということを明記してございます。
 そして、十四年度の一般公共事業予算の約一割削減の中でも、この連続立体交差事業につきましては、対前年度比一五%増ということにしております。また、事業費ベースでも千五百二十八億円を充てておりますので、何としてもこれをしたいということ。
 今御要望のありました鐘ケ淵の駅の渋滞、私調べましたら、これは東京都から国土交通省にまだ上がってきていないんです。(西川(太)委員「これから上がってきます。連続立体じゃないんです」と呼ぶ)鉄道の高架化でございますので、これが上がってきましたら、ぜひ特段の配慮もし、これは口ききではなくて、住民の生活の環境をよくするためだという公の場で堂々とお申し込みがありましたことに関しては、私たちも考えたいと思います。
西川(太)委員 連続立体交差化の問題だけでなくて、それに条件が合わないケースでもございますので、ひとつよろしくお願いいたしますと申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
久保委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、来る十九日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る十九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二分散会


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