第4号 平成14年3月19日(火曜日)
平成十四年三月十九日(火曜日)午前九時二分開議
出席委員
委員長 久保 哲司君
理事 木村 隆秀君 理事 実川 幸夫君
理事 橘 康太郎君 理事 林 幹雄君
理事 古賀 一成君 理事 細川 律夫君
理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
赤城 徳彦君 小里 貞利君
北村 誠吾君 倉田 雅年君
菅 義偉君 高木 毅君
高橋 一郎君 谷田 武彦君
中馬 弘毅君 中野 清君
中本 太衛君 菱田 嘉明君
福井 照君 堀之内久男君
松岡 利勝君 松野 博一君
松宮 勲君 松本 和那君
森田 健作君 山本 明彦君
吉川 貴盛君 阿久津幸彦君
岩國 哲人君 大谷 信盛君
鍵田 節哉君 小泉 俊明君
今田 保典君 樽床 伸二君
津川 祥吾君 中村 哲治君
永井 英慈君 伴野 豊君
平岡 秀夫君 山内 功君
山谷えり子君 高木 陽介君
佐藤 公治君 山岡 賢次君
大幡 基夫君 塩川 鉄也君
瀬古由起子君 日森 文尋君
保坂 展人君 西川太一郎君
…………………………………
国土交通大臣 扇 千景君
国土交通副大臣 佐藤 静雄君
国土交通大臣政務官 菅 義偉君
国土交通大臣政務官 高木 陽介君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山本繁太郎君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 伊藤 哲夫君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 中川 雅量君
政府参考人
(法務省民事局長) 房村 精一君
政府参考人
(国土交通省都市・地域整
備局長) 澤井 英一君
政府参考人
(国土交通省河川局長) 竹村公太郎君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 三沢 真君
参考人
(社団法人不動産協会理事
長) 田中順一郎君
参考人
(千葉大学工学部都市環境
システム学科客員教授) 林 泰義君
参考人
(特定非営利活動法人「東
京ランポ」理事) 伊藤 久雄君
国土交通委員会専門員 福田 秀文君
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委員の異動
三月十九日
辞任 補欠選任
田中 和徳君 北村 誠吾君
高木 毅君 山本 明彦君
松岡 利勝君 中野 清君
井上 和雄君 岩國 哲人君
平岡 秀夫君 山内 功君
前原 誠司君 中村 哲治君
山岡 賢次君 佐藤 公治君
大幡 基夫君 塩川 鉄也君
二階 俊博君 西川太一郎君
同日
辞任 補欠選任
北村 誠吾君 田中 和徳君
中野 清君 松岡 利勝君
山本 明彦君 高木 毅君
岩國 哲人君 鍵田 節哉君
中村 哲治君 前原 誠司君
山内 功君 平岡 秀夫君
佐藤 公治君 山岡 賢次君
塩川 鉄也君 大幡 基夫君
西川太一郎君 二階 俊博君
同日
辞任 補欠選任
鍵田 節哉君 山谷えり子君
同日
辞任 補欠選任
山谷えり子君 小泉 俊明君
同日
辞任 補欠選任
小泉 俊明君 井上 和雄君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
都市再開発法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
都市再生特別措置法案(内閣提出第一二号)
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○久保委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君、河川局長竹村公太郎君、住宅局長三沢真君、内閣官房内閣審議官山本繁太郎君、内閣官房内閣参事官伊藤哲夫君、警察庁長官官房審議官中川雅量君及び法務省民事局長房村精一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津川祥吾君。
○津川委員 おはようございます。民主党最年少の津川祥吾でございます。
先週に引き続きまして、都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法につきまして、質問をさせていただきます。
先週の当委員会の中でも大臣が答弁をされていらっしゃったかなというふうに思いますが、大臣は、就任以来たびたび、日本にはグランドデザインが必要であるということを重ねて強調されていらっしゃいました。実は私も全く同感でございまして、日本全国を見渡しまして、巨視的、微視的な観点から二十一世紀の日本の国土交通のあり方というものを論議しなければならない。例えば、これまでのように、道路の整備ですとかあるいは鉄道の整備、それぞればらばらにやるのではなくて、それをトータルでやっていかなければならない、全くそのとおりであろうかと思います。残念ながら、今までそういった個別の整備のあり方によりまして、むだですとかあるいは非効率と言われるような部分もあったかというふうに感じております。
そこで、大臣がこれまで進めてこられました二十一世紀国土交通のグランドデザインの中で、これを読ませていただきますと、都市の再生というものも入っているようでありますが、その中で都市の再生がどのように位置づけられているのか。そして、今回都市再生本部が進めてきた都市再生の思想と、これらの関連法案に関する中の具体的な都市再生のシナリオとの関連ですね。大臣が進めてこられたグランドデザインと、今回の都市再生本部が進めている都市再生のシナリオ、どういった関係があるのか。まず大臣にお答えをいただければと思います。
○扇国務大臣 おはようございます。
今まさに民主党の最年少と津川議員がおっしゃいましたので、私たちは、そういう方にこそ、将来を託すために、こういうグランドデザイン等々についてはぜひ御意見も伺ったり、また、きちんとバトンタッチをしていかなければいけないなということを私はつくづく痛感している次第でございます。
と申しますのも、今の日本の国のありようはどうなのか。例えば、都市はどうなのか。住みやすい都市なのか。あるいは都市の防災はどうなのか。また、では国際的にいえば、世界の中の日本の国際都市と、国際という看板をつける都市はどのような形になっているか、そういうことが私は大変大事なことだと思っております。
それで、いろいろな資料があるんですけれども、少なくとも国際都市と言う限りは、ではビジネスが実際に国際的に競争できる都市なのかどうか。これも世界の都市ランキングというのがありますけれども、ビジネスに適した都市ランキングというのでは、第一位がシンガポールで、日本の東京はやっと十位でございます。そしてまた、国際会議の開催件数も、一位はパリで二百七十六件ですけれども、日本は三十三位で五十三件しかございません。
そういうことで、いろいろなデータを集めましても、今しなければ、皆さんに本当に日本をリードしていっていただくあと十年、そのときに果たして日本がどれくらいの位置を占められるか、そういうことでは、私は大事なところだと思っております。
グランドデザインがないからこそ、また、国土交通省がかつてのような運輸省、建設省のような縦割りになっておりましたら、道路をつくるのは建設省、川をつくるのも建設省だけれども、港湾をつくるのは運輸省、そういうふうに縦割りになっていますから、港湾と鉄道と道路、こういう結び方が大変できていないといいますか、例えて言いますと、世界の国際都市というのは、十分以内に主要道路、あるいは一時間以内に都市、そういうスパンで全部立体的にできているんですね、デザインが。けれども、日本の場合は、世界を一〇〇%としまして、それがまだ六〇%にも満たない状況である。ですから、港湾に船が着いたら、十分以内に主要幹線に入り、一時間以内に主要都市に入れる、そういう立体的なデザインをして国づくりをしていかなければ、今の世界にはかち行くことができない。
そういう意味で、社会資本整備も含めて、今回のこの法案を提出させていただいたのは、私たちは何としても、民間の都市開発事業、民の活力を生かしながら、そして地方の総合した知恵を出そうということで、国土交通省になりまして、全国を十のブロックに分けまして、九州は九州の全知事さん、あるいは四国は四国の全知事さんにお集まりをいただきまして、昨年の二月から四月まで、全国の国土交通省の懇談会というのをつくりました。そして、私が出ないまでも、最初は全部全国を回りましたけれども、あとは事務レベルできちんと、地方の公共工事あるいは社会資本整備にしても、ここは下水道を完備してほしいとか、ここは新幹線の駅が欲しい、これは飛行場だという、その地域レベルでの地方の懇談会で意見を伺って、それをグランドデザインに当てはめていかないと、駅をつくり、新幹線をつくり、空港をつくりと、全部ばらばらだったら、これが今まで公共工事のむだだと言われた、そういう大きな公共工事の欠点というものもそれで浮かび上がってくるわけですから、限られた資本の中で社会資本整備と国際都市と都市再生、これを一つに固めて国土交通省としていきたいと思って今回の法案を出させていただいた次第でございます。
○津川委員 大臣がこれまで進めてこられたグランドデザインの思想と、都市再生本部が進めた都市の再生という思想は、まさにオーバーラップする部分だというお話であったかと思いますが、実は、このグランドデザインにつきまして、私が以前この国土交通委員会で質問させていただいたときにも触れたのですが、その段階では、平成十三年度末には、二十一世紀国土交通のグランドデザイン二〇〇一年版が公表される予定というお話でございました。もう間もなく末でございますが、この二〇〇一年度版、現在、進捗状況、どういった状況でございましょうか。
○扇国務大臣 これは、さかのぼりますと、二〇〇〇年の七月に初めて私が建設大臣に就任以来、民間の皆さん、あるいは学者の皆さんでグループをつくりまして、グランドデザインづくりの勉強会を何度も開かせていただいて、これは非公式でございましたけれども、私の私的でございますけれども、勉強会をいたしまして、そしてある程度のデザインはできたわけでございます。
その途端に国土交通省になりまして、国土交通省になればもっと大きなことができるだろうというので、原案は既に二通りぐらいございますけれども、そのタイミングと、そして、国土交通省になって、限られた予算の中で百年計画を出してあの人大丈夫かななんて言われても困りますので、本来は、今私の手持ちに持っておりますのは百年計画のグランドデザインでございますので、大変壮大なものなので皆さんがびっくりされるのではないかと思いますけれども、私は、多くの皆さんに今度御意見をいただくという意味で、ある程度それを表に出して、そして賛否両論、また、津川先生のような新しい、若い人の知恵も入れていただくということで、一度もう出してもいい時期かなと思いながら、ただ、予算が通りませんと、余り衝撃的なものを出してもいけませんので、また、こういうものを出させていただいて、この委員会でも議論していただく材料にしていただければありがたい、少しでも多くの材料を、メニューをたくさんお出しするということも一案だと思って、今手持ちで持って温めているというところでございます。
○津川委員 最初に御答弁いただいた中で、これまでグランドデザインがなかったから非効率やむだが出てしまったんだという御答弁をいただいたかと思うんですが、実はこの都市再生に関しても全く同じような部分があるかと思うんです。
つまり、一極集中ですとか、あるいは過疎過密というものがある、アンバランスがある。あるいは一方で、地方都市に行くと、どこも同じような顔をしているというような問題もある。それを排除していくという背景も一方でありながら、例えば、今回の二つの法案、確かにこのままいけば民間のアイデアでいろいろな多種多様な町ができるかもしれませんが、しかし、今ベクトルはどっちに向かっているか。やはり大都市に向かっているんだと思うんです。
私は地方の都市の人間ですけれども、例えば地方の都市というのは、なかなか人が集まってきてくれない、どんどん人が出ていってしまうかもしれない、それを何とかつなぎとめたいというようなのが地方の都市。東京などの大都市は、集まり過ぎている、あるいはそれで非常に非効率がある、そこで住みにくい部分がある、そこを何とかしたい。全く地方都市と東京、大都市圏とは全然背景が違うと思うんです。
ですから、そこをある程度整理するのもグランドデザインだと思うんです。ですから、今回、例えば総理が幾ら都市再生が必要だといって都市再生本部をつくっても、私はグランドデザインの方が先だと思うんです。ですから、大臣が出されるのが先で、総理が言うのは後というふうに私は思うわけでありまして、もし今温めていらっしゃるのであれば、ぜひ早く出していただいて、この当委員会の中でも建設的な議論をさせていただきたいというふうに思います。
少し具体的なことを伺います。
今回提出されております都市再生特別措置法案の中で、まず基本方針を定める、その後で都市再生緊急整備地域を指定する。さらに、その後の流れでどんどん先を見ておりますと、用途ですとか容積率ですとか建ぺい率ですとか面積云々、こういった制限の多岐にわたるところで特別な扱いを受ける特別地区を設定することもできるというような形になっておりますが、その前提として、まず都市再生緊急整備地域に指定されなければならない。
この地域に指定された地域と指定されなかった地域では、この法案が有効であればあるほど、この十年間で違いが出てくるはずなんです。これが余り効果がない法律であれば、指定されてもされなくても結果的には一緒かもしれませんが、これが有効であるならば、十年後、指定された地域の中にある都市は確かに再生が進むかもしれません。しかし、残念ながら指定されなかった地域の中にある都市は再生されない可能性も、あるいは、それがそのほかの指定された地域に比べると再生がおくれるということに当然なろうかと思います。
この違いについて、指定された地域とそうではない地域でそういった違いが出てしまうことについて、御見解があれば教えていただきたいと思います。
○山本政府参考人 現下の厳しい経済情勢を何とかしたいという視点に立ちますと、都市開発事業を通じまして民間の力を都市に振り向ける、これによって我が国の活力の源泉であります都市の再生をスピーディーに図っていくということが重要であると考えております。このためには、あれもこれもというわけにいきませんので、場所を限定して集中投資を図っていくというのが今回お願いしている法律の枠組みでございます。
具体的には、潜在的な力を持っている地域、かつ、周辺に対して広域的なインパクトを有する地域を優先いたしまして特定する。それによって金融支援措置、それから都市計画などの規制緩和の両面から集中的かつ重点的にこれを支援するということが効果的であると考えたわけでございます。
このことによりまして、当該地域だけでなく、周辺へも波及効果が及びます。その潜在的な力を引き上げる、これを通じて、我が国全体の活力をもたらすことにつながると考えて、提案をさせていただいているわけでございます。
○津川委員 大臣の最初のお話の中では、大都市圏並びに地方都市というお話でありました。ただ、この法律を見ておりますと、ちょっとイメージがわきにくいのが、大都市圏に関して有効であるのは何となくよくわかる、ただ、地方都市においてどういうイメージができるのかがなかなかわからないわけであります。
例えば、その地域に指定されたところでは、その効果が発現するかもしれない。今、潜在的な力を持つ、周辺にインパクトのある地域だと言われました。そうではない地域の方々は、やはりこの十年間の都市再生には残念ながら取り残されざるを得ないのかもしれない。指定された地域の周辺にインパクトを与えるとありましたが、その地域の周辺であればまだいいのかもしれませんが、周辺ですらなければどうなるのか。
これは、具体的には、当然この法律が成立した後指定されることになりますから、具体的な御答弁はできないかもしれませんが、どこが指定されるんでしょうか。今の段階ではお答えいただけないと思いますが、例えば東京圏、大阪圏、名古屋圏、福岡圏というような感じなのか、あるいは東海地域というようなものも含まれるのか。ちょっとその辺、まだお答えできないのであればお答えできないというお答えで構いませんが、もし具体的に今の段階で想定されるものがあれば教えていただきたいと思います。
○山本政府参考人 先ほど御説明しましたように、緊急整備地域の趣旨は、ポテンシャルが高くて、民間活力を活用することで都市開発事業が前に進むということが法律上の定義でございますので、規模とかいろいろな態様には差があるかもしれませんが、法律上、どの都市地域かということを全く限定しておりません。ですから、たとえ規模は小さくても、地方都市の駅の近くの例えば工場跡地が遊んでいる、何とかしなきゃいかぬとみんなが考えておられるといったようなところも、当然、条件が整えばその対象になるというふうに考えておりまして、法律上は全く限定されていないということを説明させていただきます。
○津川委員 わかりました。
いずれにいたしましても、これを指定するのが国なわけですから、その限りにおいてはしっかりと責任を持って、場当たり的な、対策というものではなくて、しっかり思想を持った政策としてぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
少し技術的なことをお伺いいたしますが、都市再生特別措置法における民間都市再生事業計画について伺います。
これを申請する民間企業及び都市再開発法における再開発会社、これは民間のノウハウをということであろうかと思います。確かに、行政にはないノウハウ、アイデア、こういったものをお持ちかもしれません。ただ、どんな会社でもいいわけでは当然ないと思います。
特措法の第二十一条の四号に「当該都市再生事業の施行に必要な経済的基礎及びこれを的確に遂行するために必要なその他の能力が十分であること。」というふうに書いております。一方で、再開発法では、再開発会社は施行地区の宅地について所有権または借地権を有する者が、株式会社においては総株主の過半数、有限会社においては総社員の過半数の議決権を保有していなければならないというふうに書いております。
つまり、再開発会社の方は、その地域との密接な関係というものが前提になっております。ということを考えれば、この特措法の中にある民間会社というものの適性を判断する基準が若干緩いんじゃないかというふうに私は感じるわけでありますが、この規定にあります「必要なその他の能力」というもの、もし具体的にお答えできるようであれば、ここを教えていただきたいというふうに思います。
○澤井政府参考人 まず、民間都市再生事業計画を行う民間事業者の適性に関してでございますが、御指摘のとおり、特別措置法二十一条の四号で「再生事業の施行に必要な経済的基礎及びこれを的確に遂行するために必要なその他の能力」ということが規定されております。
この要件の具体的な判断に当たりましては、当該事業者の開発事業の実績ですとか信用力、資金調達力、あるいは事業それ自体が、例えば親会社から倒産隔離をされていて、親会社の経営状況に左右されないといったような事業スキーム、また、これは法律上規定されておりますけれども、公共団体の意見を聞くということがございます。そういったことを基準といたしまして、要すれば、計画に基づき、必要な用地を確保し、資金を調達し、工事を実施し、入居者やテナントなどを確保する等の一連の事業を円滑かつ確実に実施する能力につきまして、一方で当該事業の熟度とか難易度との関係も含めて総合的に判断するということが、この二十一条四号の判断内容になろうかと思います。
これと御指摘の再開発会社との関係で、再開発会社の方はもっと地域密着度が高いではないかというお話でございますが、再開発会社の場合に、今の同じような事業施行能力が求められると同時に、これは都市再開発法に基づきます一種の強制力を持った市街地再開発事業の施行者であるという観点から、当該事業の施行地区におきます地権者の権利や利益を事業執行に反映していくということがもうイーファン必要であろうという観点から、御指摘のような要件があるということでございます。
○津川委員 地域との関係、関連性につきましては今の御答弁の中にありましたが、ただ、必要な能力があるかどうか当然判断した上でその計画事業が進められたとしても、結果的に、この事業を進める民間事業者が施行中に経営破綻するということもあり得ないことではないと思います。
仮にそうなった場合、計画そのものはどうなってしまうのか。場合によっては、その地域に住んでいらっしゃる地権者が、ここは今施行中だからといってほかの地域に移転されている最中にそういうことが起こるかもしれない。仮にそういうことが起これば、ひょっとしたら相当の不利益がその地域の方々にかかる危険性もやはり否定できないというふうに思います。
そういった不利益に関して、民間のノウハウを入れることによる大きなメリットは確かにありますが、一方でそういうリスクも負うわけでありますから、そのリスクに対してどのような対応というものが考えられるか、御答弁をいただきたいと思います。
○澤井政府参考人 この法案におきましては、先ほど申し上げました民間都市再生事業の認定に当たりまして、事業の熟度、難易度、収益性、倒産隔離などの事業スキームを含めて総合的に判断することになっているということと、認定後も国土交通大臣が必要に応じて報告を求める、あるいは改善命令を発するなどの関与を行うことから、要は、前提として非常にいいプロジェクトを認定するということから、通常、建設工事中に事業者が破綻するということはほとんどないというふうにまず前提として考えております。
ただ、万一何らかの経済状況の大規模な変化などによりまして事業者が破綻するような事態が生じた場合にも、当該事業自体の優良性から見まして、他の事業者が事業を承継することはまず十分に可能ではないかというふうに考えております。
なお、民間都市開発推進機構におきましては、今回新たに、認定事業者に対して必要な助言、あっせんその他の援助を行うという業務も追加されておりまして、万一事業者が破綻した場合に、円滑に事業を他の事業者が承継し、地権者などの関係者に不利益が生じないように、あっせんその他の必要な援助を行うということを考えております。
○津川委員 いずれにいたしましても、最終的にその地域にリスクだけが残る、リスクだけを押しつけるというような形にならないように、十分な配慮をいただきたいということをお願いいたします。
冒頭私は、この都市再生におきましても、全国的なグランドデザインが必要ではないかということを申し上げました。しかし、そのグランドデザインというものの中に、例えば東京はこういう大都市であるべきだとか、あるいは京都はこういう町であるべきだとか、東北の仙台はこういう町であるべきだということは、本来書かれるべきではないと思います。
つまり、そういった地域がどういった都市になるかというのは、まさにその地域の方々が考えること。このグランドデザインに書かれるのは、先ほど申し上げましたが、一極集中ですとかアンバランスですとか、そういったものを是正するために、むしろある程度の規制のようなものが必要になってくるのではないかな。これは具体的なものを見てみなければ何とも議論はできませんが、そのように感じるわけであります。
そこで、やはり地域のことは地域で決めるというのが大前提であるということから考えたときに、その地域が持っている都市計画というのは、むしろその地域の中のグランドデザインじゃないかというふうにも感じるわけであります。日本全国見たときには、もちろんそれだけでいいわけではありませんけれども、この都市の中では、例えばこの地域を中心地にしたい、あるいは少し離れたところに副都心の地域をつくりたい、この辺については緑地を確保したい、こういうことを各都市の都市計画の中で書かれてきたわけであります。
それが確かに行き詰まっているわけですから、それを何とか打破するために、行政が決めたグランドデザインをただそのまま追行するか、なかなかうまくいかないからとまっているということではなくて、民間事業者の方々のアイデアを入れて、どんどんそこをブレークスルーしていきたいということであろうかと思います。
ただ、都市計画という、これをグランドデザインと認めればですけれども、この都市計画というデザインから外れるものをある意味で例外として虫食い的に認めるということになるのかもしれないということについて、確かに、今の経済状況の中で何とかそれを打破して都市の生産性を上げたい、日本の経済を回復したい、この中央政府の発想はよくわかりますけれども、しかし、やはり地域の都市計画を持った地域から見れば、それをある意味で上から提案され下から突き上げられという形が、本当に地域の方々が望んでいることなのかどうか。そこに若干の弊害があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○澤井政府参考人 緊急整備地域ないしはその緊急整備地域ごとに定められる地域の整備方針と都市計画との関係のお尋ねと思いますが、まず、地域の指定あるいは地域整備方針を決めるときには、公共団体に意見を聞き、その意見を尊重する、あるいは逆に、地方公共団体から地域の指定なり方針に盛り込むべき内容を申し出ることができるという条文上の規定も踏まえまして、十分に調整をいたします。
まさに御指摘のとおり、各地域には都市計画があり、都市計画のマスタープランがまず都市計画の基本にございます。これも当該都市計画区域におけるまさにグランドデザインだと思いますが、そういったものと、この政令で定める地域なり地域整備方針というものが、先ほど言いましたような意思疎通の過程を通じまして、十分にすり合わせがまずされるだろう。
それから、もう一つ、この緊急整備地域の中で定められます都市再生特別地区、これは都市計画のまさに一つの種類として今度新しくつくったものでありまして、都市計画決定の手続を経て決められます。したがって、すり合わせを経た上での地域整備方針とそれから都市計画のマスタープラン、双方に整合して決められるということでございまして、そこだけちょっと例外的なものがぽこっと島状にできるということでは決してないというふうに思っております。
○津川委員 これは、ある意味で言葉の問題かもしれませんが、すり合わせをして、打ち合わせをしてうまくいくなら、何もこんなことをしなくてもいいわけです。
今までだって、それは打ち合わせもしたでしょうし、計画も立てたでしょうし、計画どおりやってきたはずなんです。ただ、そのすり合わせをすることになかなか時間がかかり過ぎる。そこをやはりもう少し融通をきかせて、もっと前に進みやすくするような一つのポイントをつくるべきだ。
それは、もちろんそこだけが島状に、全く治外法権的な地域をつくるわけじゃないのはよくわかりますが、ただ、そうはいっても、やはり全体的なグランドデザインというものを前提にして議論するんだとするならば、やはりそこの地域というものが少し特異なものに、後からつけられてしまうことにはやはり違いないというふうに思います。
そこで、ちょっとお伺いしたいのが、この法案、最初に見たときは、私はなかなか画期的な法案じゃないかなというふうに感じました。まちづくりをしていると、なかなか地域住民の声は聞いてくれない。地域住民の声を聞く会なんというのは何度も何度もやっても、実は行政側はもう既にまちづくりのプランをつくっていて、何度も何度も住民が呼ばれて一生懸命深夜まで議論したけれども、結果的には最初からあった案がそのまま通ってしまうだけだった。本当に言いわけ的に、エクスキューズとして地域住民が意見を言う場だけつくられたというようなむなしい声が、特に地方の社会からはよく聞こえてきます。そこに、民間事業者は、提案したときには、ちゃんと回答しなきゃいけない、しかもその期日まで決まっているということでありますから、なかなかこれは踏み込んだものだなというふうに思いました。
民間のアイデアあるいは地域住民のアイデアでどんどんまちづくりが進むというのは、本当に地域の文化ですとかそういったものも反映されやすいと思いますし、そういった意味では非常に画期的な部分があるなというふうに感じる反面、やはり少し読み込んでいくと、冒頭申し上げましたが、東京の地域の、例えば下町の地域を何とか再開発したいという発想はよくわかるんですけれども、地方の十万人都市とか五万人都市とか二十万人ぐらいの都市の中で何とか都市を再生したいと頑張っている人たちから見ると、なるほどこういうものがあるかと思ったけれども、何かよく見たら、なかなかこれじゃうまくいかないんじゃないかなというような感じがしないでもない。
つまり、どんどん人が集まってくるようなところなら、民間会社もこうやろう、ああやろうとどんどんいいアイデアを出してくれるかもしれませんが、これまでと同じように、地方社会においては、こういったものをつくったらどうか、つくったら人が入らなくて赤字だけ残ってしまった、そういうことの繰り返しになりかねないんじゃないか。民間会社であれば赤字になるようなものはなかなかつくらないでしょうから、そうなると結局アイデアもなかなか出てこないんじゃないかというようなのが、私のイメージ、印象なんですね、この法案を読ませていただいて。
そこで、少し、この法案が出てくる前の話であろうかと思いますが、伺わせていただきたいのが、例えば、都市再生本部が、昨年ですか、決定をされた民間都市開発投資促進のための緊急措置というものの中のプロジェクトが二百八十六ですか、あるという資料をいただきました。これは、この法案に基づいて出したものじゃありませんから、全く違うものといえば違うものかもしれませんが、この法案の中で、例えば今の二百八十六のプロジェクトというものはどういうものに相当するとイメージされているのか。
こういった二百八十六の提案があって、いや、こういったものを実現するためにはこういう法律の改正あるいは新しい特措法のようなものも必要かもしれない、こういった流れでこういったものが出てきたというふうに私は認識しているわけでありますが、例えばこのプロジェクト、先週の委員会の中では、他党の委員の方が質問された中で、全部は公表することができないというお答えだったと思います。民間会社は、提案したけれども内密に提案をした、公表はしないでくれというようなお話だというものも含まれているというふうに伺いましたが、全部とはもちろん申しませんが、この二百八十六のプロジェクトというものと今回の法案の中のスキーム、このどこに入るのか、そういったことをお伺いしたいと思います。
○山本政府参考人 民間都市開発投資促進の緊急措置につきましては、民間経済団体あるいは地方公共団体などから具体的なプロジェクトを提出していただきまして、この具体のケースに即しましてこれを促進するための措置を検討させていただきまして、都市再生本部が中心となって、地方公共団体あるいは関係省庁と論議をしまして、促進方策を整理したものでございます。これにつきましては、直近の十二月四日の都市再生本部に報告させていただきましたけれども。
そういう検討を踏まえて今回の立法措置をお願いしているということも事実でございます。ですけれども、そういう関係にありますので、この法案による特例措置、例えば都市再生特別地区とかあるいは民間都市再生事業計画の認定といったようなものを用意しておりますけれども、これが一対一の対応にあるということではありません。
ですから、今回、民間都市開発投資促進の緊急措置で具体的に提出されなかったようなプロジェクトも含めまして、法律上の要件に該当するものは特措法の対象になる、対象としてこれを推進していくということになるというふうに考えております。
○津川委員 この法律では平成十九年までその提案の期間があるわけですから、この二百八十六と一対一にならないのは、当然そうだと思います。
ただ、これを見ますと、東京圏が百八十二件、名古屋圏が十七件、大阪圏が三十九件、福岡・北九州圏が十件、その他三十八件、ほとんど大都市圏じゃないですか。それ以外の地域はやはり余り相手にされていないのかなと。地域に指定されない、当然特別区にも入らない。地方に住む人間は、いや、これで何とか都市再生が我々の町もできるかなと思ったけれども、余りこれは関係ない法律なのかなというふうに思うところじゃないかと思うんです。
そこで、この二百八十六は全部申し上げられないというお話でありましたが、多分ここについている資料に出ているのは公表していいものだと思いますので、その中から少し具体的に質問させていただきたいと思います。
大規模土地利用転換というものの中に、こういう枠はこの法案の中にはないのかもしれませんが、東京都、神奈川県、要するに東京圏、大阪圏がほとんどでありますが、中に、田舎と言うと怒られるかもしれませんが、地方都市の北海道の札幌が入っています。札幌北四東六地区。あるいは、駅周辺整備地域というのにも、ほとんどが東京、大阪圏でありますが、地方も若干見受けられる。ここにも札幌北八西三東地区というものがあります。
それで、こういったものが提案された。内容がどういったものなのか。そして、その後検討中であるというお話でありますが、内容と今の検討状況について、具体的にお答えをいただければと思います。よろしくお願いします。
○山本政府参考人 御質問の二つのプロジェクトにつきまして、直近の状況を関係公共団体から聴取しましたので、それに基づきまして御説明させていただきます。
まず、アイランドシティ整備事業は、福岡市の博多湾東部海域において約四百ヘクタールの埋立造成を行っておりまして、このうち約二百ヘクタールにおいて、第三セクター方式で、住宅、業務等から成る新たな都市拠点を形成しようとするものであります。平成六年度に埋め立て着工いたしまして、平成十四年度から順次土地の分譲を開始する予定と伺っております。この際、関連公共施設の整備促進などの要望が出されております。このうち、香椎アイランド線などアクセス道路につきましては、平成十四年度中に供用開始の予定と聞いております。
次に、札幌北八西三東地区についてでございますが、この地区は、都心部の低・未利用地について、市街地再開発事業により、業務、商業、住宅などの複合ビルを整備しようとするものでありまして、平成十四年度に都市計画決定を予定していると聞いております。この際、準備組合から、補助事業の適用やその拡大、それから許認可制度の変更に係る柔軟な取り扱いの要望をいただいております。国としましても、これを含む市街地再開発事業を対象として、都市計画決定後の事業内容の軽微な変更に弾力的に対応できるよう決定内容を合理化するよう通知を発出しました。また、今後、市としても事業推進に向けて前向きに対応する方向と伺っております。
○津川委員 アイランドシティはちょっと後回しで質問しようかなと思ったんですが、お答えをいただきました。
まず、札幌の駅北の地域の話でありますが、市街地を再開発する中でこういったことをさせていただきたいという提案があったという話であります。確かに札幌市、あるいは北海道かもしれませんが、そういった地域の方々は、これをぜひやりたいという提案をされたかもしれません。ただ、全体的に、日本全体の都市再生という話をするときに、こういうものが対象になるのかなと、ちょっと私は非常に奇異に感じました。
確かに、駅前のちょっと空き地があるから何とか再開発したい、それはよくわかります。ただ、北海道の状況を佐藤副大臣は当然詳しく御存じだと思いますが、例えば札幌の人口は今百八十数万人ですか、どんどんふえています。都市は発展しています。ただ、ではそれが発展と言えるかどうか。ほかの地域はどんどん人口が減っている。副大臣の小樽の人口が減っているわけです。第二の都市の旭川ですとか函館ですとか釧路ですとか、そういったところもなかなか発展していけないという状況。函館なんか、たしか人口が減っているはずですね。
北海道全体から見れば、札幌の一極集中というのは非常に大きな問題のはずです。北海道全体のことを考えれば、これは日本全体のことと言ってもいいかもしれませんが、それよりも、むしろ三十万都市の旭川ですとか函館ですとか釧路ですとか、こういったところにもっと都市の機能を集中して、そこでもっと活性化する、あるいは、場合によっては札幌からそういった地方都市に機能を移転するぐらいの方が、むしろ北海道経済全体にとってはプラスだろう。これは、日本全体にとってもそういうことはあると思います。東京、大阪、名古屋がどんどんよくなればいいということではない。確かに、東京、大阪、名古屋も国際都市としての機能を強化しなければいけませんが、もっと地方都市もしっかりと発展できるようなコアの部分というものが必要なはずなんです。
ですから、この地域のことだけ考えても、駅前の、確かに一等地です、この一等地についてこういった政策として指定していくんだとするならば、これはちょっと私は、全体的な見方としては不十分なんじゃないか。今提案をいただいたものそのものは、聞けば、なるほど、これは民間の活力をどんどん入れましょう、ノウハウも入れましょうと。それは反対することではありません。ただ、全体的な都市の発展あるいは地域の発展ということを考えたときには、必ずしもこれは私は、やるべきではないと言うと怒られるかもしれませんが、それだけ効果があるとはちょっと思えない、その思想からいうと、反するのではないかなというふうに感じます。
先ほどの、質問しなくてお答えをいただいたアイランドシティについても、これは確かに非常にすばらしい案だと思います。しかし、九州全体の経済の状況、経済の発展というものを考えたときに、福岡のこの地域がさらに発展して、人口がどんどんふえて、九州全体の人口もふえるかというと、これはふえるわけないわけですよ。これは、ほかの地域からこの地域に集まってきてしまう。ほかの地域にとってはさらに厳しい状況になるかもしれない。これは直接的な関係があるかどうか何とも言えませんが、そういったことを配慮した上で、地方都市がしっかりと再生できるようなもの、あるいは地方都市の再生に問題にならないようなことというものも、一方でやはり必要だったんじゃないのかなというふうに思います。
なぜこういった質問をさせていただくかというと、地方から提案をいただいた、だからこれは地方の声が反映されているんだという大臣のお話が、たしか先週の委員会の中であったかと思います。ただ、やはり細かいことは中央ではちょっとわかりにくいんじゃないのかなというのが正直言ってございます。
地方の、地域の方々の御意見、確かに重要です。ただ、例えば札幌市なら札幌市全体、あるいは北海道全体、あるいは福岡であれば福岡市全体、あるいは福岡県あるいは九州全体というものを考えたときに、どこの都市にどういった集中した投資が必要なのか、民間投資が集中して投入されることによって全体的な経済の活性化につながるのかということを考えると、残念ながら、幾ら地方から提案されても、中央ではちょっとわかりにくいんじゃないのかなということを感じざるを得ないわけであります。
グランドデザインの話もそうですし、道路整備、鉄道整備についても全くそのとおりだと思うのですが、特に、地域に詳しい方から見れば、確かにこの地域をぜひやってもらいたいけれども、実はここだけじゃないんだよな、十万人都市、二十万人都市で、もう本当はやってもらいたいんだよなというようなこと、こういったことも具体的にあろうかと思います。ですから、私ども民主党が常に申し上げてきたのは、地方のことは地方でやる、地域のことは地域で決める、これがやはり大原則である、その原則を踏み外さないような形でこういったこともぜひやっていただきたい。
できれば副大臣、北海道の話が出ましたので、その辺についてコメントをいただければというふうに思います。よろしくお願いします。
○佐藤副大臣 津川先生おっしゃるとおり、やはりまちづくりというのは、そこに住む方々がどういう地域にしたいのか、どういう町にしたいのかということが一番の大事なことだと思います。そういう意見を入れながら組み立てていかなくちゃならぬと思っています。
やはり、今まではどっちかというと、上から大きな枠を与えて、一つのモデルみたいなものを与えて、それに合わせたようなことが多かったような気がします。やはり、多くの方々の意見でその方々が組み立てる、それをバックアップしていくということだろうと思います。そして、その地域に長いこと伝わっている歴史や文化やいろいろなものを組み入れて、そして、目に見えないもの、見えるもの、いろいろなものを合わせて町ができ上がっていく、そこに住む人たちが自信を持って、みんなにおれはこういうところに住んでいるんだぞと自慢できる町をつくり上げていく、そこが大切だろうと思っています。そういうことを精神にしてまちづくりをしていかなくちゃならぬ、そう思っています。
○津川委員 地域の業者にやらせろと言うと今話題の方のようになってしまいますから、余り強くは言いませんが、やはり地域のことは地域社会の方がやるのが一番むだもないし効率的だ、それをサポートするような形でぜひとも運用していただきたいということを重ねてお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○久保委員長 伴野豊君。
○伴野委員 どうもお世話さまでございます。本会議場では大変失礼をいたしました。ありがとうございました。
きょうは、二法案の委員会におきます質問をさせていただければと、時間は四十五分ほどでございますが、質問を順次させていただきたいと思います。
その前に、大臣、これ御存じですよね。多分お手元に行っていると思いますけれども。実は、これは私も勉強させてもらっているんですよ、「フォト」。似たような名前でフォーカスとかフライデーとかありますけれども、私はああいうのぞき見主義的なものは余り好きじゃなくて。どうしようもないときは買いますけれどもね。
これは最近よく新幹線の中で読ませてもらっているんです。秘書なんかにも、新しいのが出たらすぐ持ってこいといって、非常に勉強させてもらっています。ついこの間は六本木ヒルズとかいろいろ出ていました。今回も、「より質の高い介護を」「ケアのある生活」ということで、勉強させてもらっています。我が党は、いいものはいいと言う党でございますので、これもすごくいいな、そんなふうに思うのです。
ただ、出ている人が非常に政府・与党に偏っておりまして、うちの影の大臣も、樽床大臣、フォトジェニックでございますので、ぜひ今度は取材に来ていただくように編集長に言っておいていただいて、例えば、うちの影の大臣と扇大臣が、この上で、新しいまちづくりとは何なんだとガチンコでやってもらうと非常におもしろいと思いますし、また読む人もたくさん出るんじゃないかということで、今度編集長が来たらぜひ大臣からも言っておいていただけると。これは非常に勉強させていただいております。
何が言いたいかといいますと、やはり、これから説明責任というのは、政治家だけではなく、いろいろな部分で必要になってくる。特に、新しい法案、新しい思想、哲学に基づくこういうことをやりたいんだよというようなときには、より説明責任というのが必要になってくる。
最近、役所の方々がレクに来てくださるときも、国土交通省の方などは比較的パースなんかをかかれて、いわゆる絵ですよ、出されてきます。冷たい法律でばっと書いてあるよりはちょっとはわかりやすくなるのですが、ただ、あれは一つの時間帯を一つの断面で切った絵にすぎない。だから、場合によっては誤解を与えるかもしれませんし、偏ったイメージをつくってしまう。だから、これだけコンピューターグラフィックとかさまざまなものが発達してきているわけですから、これは写真ですけれども、写真でも何枚も使うとかあるいは模型をつくられるとか、コンピューターグラフィックとか、場合によってはビデオもいいですが、この法案ができるとこんなイメージのまちづくりができますよというようなものを、やはりビジュアルの世界ですから、見せていただくとアピールもしやすいし。
ただ、気をつけていただかなければいけないのは、余り偏った映像にしてしまうと違ったイメージで法律が動いていってしまうので、それだけは気をつけていただいて、より説明責任を果たしていただく意味で、時代は進んでいますので、いろいろなそういう技術を使って、いかにこの法案というものを説明するかということにもっと知恵を絞っていただければいいかな、そんなふうに思っております。これはちょっと質問とは関係ないので、お願いだけにしておきたいと思うのですが……(扇国務大臣「いいですか、そのことについて」と呼ぶ)じゃ、ぜひ。ガチンコで済みません。
○扇国務大臣 政府が出しております「フォト」を見ていただいて、参考になっているということで、うれしいお話でございます。
偏っているわけではありませんで、皆さんの御意見をいただいたり、この中でちょうちょうはっし論議するという、この委員会のあり方もそうでございますし、私はあるべきことだろうと思っています。
ただ、一つ申し上げたいことは、国土交通省になりました、四省庁統合です。例えば運輸白書とか建設白書とか、白書というものを毎年出していたのですね。国土交通省は四省庁統合しまして、一つの省庁がとにかく七百ページぐらいあるものを毎年出していたわけですね、いつでも私たち、閣議で持ち切れないぐらい。四省庁統合だとそれが四倍になるわけです。これではいけないというので、ことし初めて、お目にとまったかどうか、見ていただけたかどうか疑問ですけれども、国土交通白書というのはCD―ROM一枚でございます。それで、閣議で、これはもう前代未聞のことでございました。法案を御説明に行くときも、ポンチ絵をかいてわかりやすくしたのも、私が大臣になって初めて行うことになった。
それが今おっしゃったように、偏ったイメージを植えつけないかとおっしゃいますけれども、文章をだらだら書いて、何十ページとおもしろおかしくもない役所用語で書いていて、それよりもまず今は目で見る。一番早いことですから。テレビにそれを映していただいても、あるいは画面で見ていただいても、その要点がこういうことになるというのは一番わかりいいのではないかと思って、国土交通省の方式というものをそういうふうに変えさせていただいた。また、より効率を上げて、そしてよりコンパクトに、よりスピードアップ、そういうことを心がけてやってきた成果でございますので、ぜひそれも御理解いただいて、できれば、CD―ROMで国土交通白書も一枚ですから、見ていただければありがたいと思います。
そういうことで私ども、そういうアイデアをもし今後もいただけるようであれば、ぜひ取り入れていきたいと思っております。
○伴野委員 質問通告のないものに対しましてもお答えいただきまして、ありがとうございます。ぜひ、野党の議員もこの中に出していただきますよう、よろしくお願いします。
では、本題の質問に入らせていただきたいと思うのです。
きょうは、どちらかというと都市計画の周辺のさまざまな都市問題というか、そのあたりをちょっと、マニアックな質問をするつもりはありませんが、質問をさせていただきたいと思います。
大臣も、ヒートアイランドというお話は聞かれたかと思うのですね。私もこれで不惑の年を迎えまして、最近特に思うのは、本当に自然体といいますか、自然のままに生きたいなということを、政界へ参ったら余計そういうふうに思うようになった次第でございます。トレンディーな都市生活なんといいますと、例えば冬に暖房をがんがんつけてよく冷えたビールを、これはビール会社に怒られてしまうかもしれませんが、飲むとか、あるいは今度は夏に冷房をがんがんやってなべ焼きうどんを食うとか、これは多分非常に体にも悪いし、環境にも悪いし、これを都市の先端のライフスタイルだと言っていて本当にいいのかなという気はするのです。
何が言いたいかというと、せっかく都市再生というふうに本部がうたってやるわけですから、ハードの対応はもとより、ソフトのライフスタイルの提案みたいなこともぜひやっていただければな、そんなことを思うのですね。
ライフスタイルの話といいますと、百人聞けば百人十色ですから、そこに着目するわけじゃないのですが、例えばヒートアイランド対策。
前回の通常国会でしたか、百五十一通常国会、都市緑地保全法の一部改正で、固定資産税軽減等により建築物の屋上や空き地等に緑化を支援するという法律をせっかくつくった。今回の都市再生法において、容積率を高めることによって空き地も多少使える、オープンスペースも使えるというようなことになってくるのですけれども、そういうことで、緑化とか環境対策、ヒートアイランド対策というのはどんなふうにお考えになっているのか、お答えいただければ、よろしくお願いします。
○澤井政府参考人 ただいま御指摘いただきましたように、昨年の都市緑地保全法の改正で、屋上とか壁面を含みます民有地の中の空地の緑化につきまして、計画をつくった場合に固定資産税五年間二分の一という仕組みも創設いただいたところであります。
これを含めまして、私ども、ヒートアイランド現象、これは基本的に自動車とか空調からの人工排熱を抑制する以外に、特にオフィス街など緑地の少ない都市の中心部で、緑の蒸散作用によります気温低下の効果がある空地等の緑化を進めるということになろうかと思いますけれども、今申しました法的な仕組みのほかにも、例えば屋上緑化等に対しましてはまちづくり総合支援事業という、市町村レベルで非常に弾力的な対応のできる支援制度がございます。そういった中での助成とか、あるいは日本政策投資銀行からの低利融資というものもあわせて実施されておりまして、こうした関連制度の周知徹底を図りまして、民間事業者による緑化の動向を見ながら、さらにいろいろな支援措置の充実を図っていきたい、こう考えております。
また、都市再生本部の決定した都市再生プロジェクトにおきましても、まとまりのある自然環境の保全とか、臨海部における緑の拠点形成、あるいは内陸の市街地におきます緑の領域の拡大などによりまして、ヒートアイランド現象の緩和、都市における自然環境の保全、創出、再生を図るということが施策として定められているところでございます。
○伴野委員 ぜひ、やはり温暖化ということもありますし、よく昔は白い町というようなことも言われた時代がございます。ですから、こういうライフスタイルの提案とあわせて、またハードでどこまで対応できるのか、ハードで対応できないところはソフトでどう対応できるか、ぜひそのあたりを都市再生本部で、ソフトの得意な人、ハードの得意な人が一緒に知恵を出し合って、それが呼応する、共鳴するような形でヒートアイランド対策をしていただけるように、よろしくお願いいたします。
二点目の質問でございます。
これは全国各地、どこも大変な問題になっていると思うのですね、特に都市、いわゆる消費者が多いところというのは、一時、消費こそ美徳というようなことがもてはやされた時代がございました。ごみ対策ということで、今回、ごみゼロ型都市というのが言葉としても出ているのですが、私、正直言いまして、このごみゼロ型都市というのはどういうイメージのものか。確かに、絵を見せてもらって説明していただければ何となくわかるのですが、ごみゼロというと、じゃ、本当に都市からごみがゼロになるのか、いや、そういうわけでもないみたいなんですね。
私自身、学生時代、いわゆる計画学というのをずっとやっていまして、一つの現象をモデル式でとらえ、データとして集計的なデータ、非集計のデータを使って、一つの現象をいかにモデル化した式であらわしていくか、その出された式が時代に合っているのか、現実的なのかどうかというようなことをやっていたわけなんです。だから余計、数字のマジックとか、数だけに頼る政策というのは危険性があるというのはよくわかるのですが、それだけに、一方では、漠としているかもしれませんが、何らかの数値目標を持った政策というのはあるべきだと思うんですね。
そういった中で、大都市圏におけるごみゼロ型都市の再構築というのがいま一つぴんとこない。例えば、ある都市圏でプラスチックが生産された、あるいはその都市圏にプラスチックが持ち込まれた、その足し算の総量というものを、最終的に、一年後、消費者の中を回ってくるときに、発生したごみと、あるいは御家庭に滞ったプラスチック、ごみとして出たものをリサイクルして、その量と家庭に滞っている足し算をすると、そこで生産されたあるいはそこに入ってきた総量と一致するとか、何かそんなようなイメージができているのかどうか、そんなところをぜひお聞かせいただければ。
○山本政府参考人 ごみゼロ型都市の再構築ですが、大都市圏のごみ問題、最終処分場が足りない、あるいは不法投棄がふえるといったような形で大変深刻化しております。この問題を解決するために、廃棄物の発生を抑制する、それから資源として再使用する、そういったことを進めまして資源循環の輪を形成する。これによりまして、最終的に処分しなければいかぬごみの量をできるだけ減らしていこうという趣旨でございます。
具体的に、都市再生本部の決定を踏まえまして、東京圏におきまして、昨年七月に七都県市と国の関係各省で構成するゴミゼロ協議会というものを設置いたしまして、十一月には中間取りまとめを行って方向を定めております。その中で、東京圏から大量に排出されております産業廃棄物につきまして、国の減量化目標を前倒しいたしまして、二〇〇五年に現状の最終処分量の半減を目指すという方向を決めました。それから、東京臨海部、京浜臨海部、千葉臨海部におきまして、廃棄物処理・リサイクルの拠点形成を図るといったようなことを方向を定めて、積極的な取り組みを推進することとしております。
○伴野委員 何となくわかったようなわからないようなあれなんですが。
これも通告していませんが、一言で結構です。何らかの数値目標というか数字であらわせるような計画というのは、今後考えていかれることはないんですか。それだけ、あるかないかだけで結構です。
○山本政府参考人 ただいまもちょっと御説明しましたように、ごみゼロというキャッチフレーズで最終処分量をできるだけ減らしていくというのが目標でございまして、ゴミゼロ協議会でも、十七年度目標で最終処分量を半分にするということは決めております。
先ほど御質問の中でありました具体的な数値目標等につきましては、関係省庁とも相談して、どういう可能性があるのか吟味していきたいと思います。
○伴野委員 私の聞き方もちょっと不十分だったかもしれないですが、要は、理想は分子レベルにするかどうかということなんです。何か物をつくるときに、分子なり、あるいは素材から一つの生産品ができて、その生産品を消費者が買ってお使いになる、使って廃棄をする、そしたらその廃棄したものを最終的にまた素材に戻し、最後は分子レベルに戻す、これがうまく回っていればおっしゃるとおりの循環型の理想的な輪の社会ができるんですが、これからは、総量で抑えるというのもすごく重要なんですが、過程過程で分子レベルで抑えていくということも、これは今後絶対に大事になってくると思うんですね。あるいは、要するに、発生責任とか原因追及するときには、そこまでやらないと多分できないと思うんですが、そういうことをぜひ今後検討してくださいというお願いにとどめておきたいと思います。
次に三点目の質問でございますが、やはりもう一つ気になるのは防災の話でございます。
前にレクにお越しいただいたときにも、大臣は芸術畑の、いわゆる映画の世界で、あるいは舞台の世界でお育ちなった方ですからよく御理解いただけるんじゃないかと思うんですが、やってみたら、結果としてゴーストタウンをつくっちゃった。要するに、私が何を言いたいかといいますと、朝の連ドラとか映画の舞台にならないような町にしないでほしい、そこで起きるのは犯罪ばかりだというような、そんな都市をつくらないでほしい、ぜひそうしてくださいということを申し上げたいんです。
一方で、現実的に見ると、今の都市は防災を初めいろいろございます。
ちょっと順不同になってしまって申しわけないんですが、言葉の流れで先に犯罪の関係の方の質問へ行かせていただきたいんですが。
都市型の犯罪とか、ちょっと前はアメリカで起きた犯罪が五年以内には日本に来るというようなことが言われたんですが、もうほとんど最近はタイムラグがないというようなお話もございます。
ピッキングの空き巣に対して何か対策をするマンションのあり方とか賃貸住宅のあり方、こんなようなことも、その御指導はされていらっしゃるみたいなんですが、そういった犯罪の現実に合わせて、ハードでどこまで対応できるか、そしてハードで対応できないところはソフトでどう対応するかという面が一つあると思います。
また、例えばビルなんかは、最近のビルは少し違うようでございますが、一回ポンプで水を一番てっぺんまで上げておいて、そこから水道水を使う。一番上で何らかの薬物を入れられた場合、そのビルで生活している人が一気に命の被害にさらされるということになるわけです。
だからやはり、犯罪者心理と言うとちょっと言い過ぎなのかもしれませんが、こんなことは起こらないだろうということが今起きているので、そういった犯罪者の心理から、都市づくり、まちづくり、都市計画というのを考えていかないといけないと思うんですが、そのあたりのところ、今お考えはどんなふうになっているんでしょうか。
○中川政府参考人 平成十三年の刑法犯の認知件数というのは二百七十万件を超えまして六年連続で戦後最悪を更新するなど、国民の日常生活を脅かす犯罪が多発する中で、特に都市における犯罪情勢が大変厳しいものがあるというふうに認識しておるところでございます。
警察といたしましては、国民の安全と平穏を守るため、犯罪の取り締まりと街頭におけるパトロール等の活動を一層強化するとともに、安全・安心まちづくり施策として従来から実施してきました地域住民、防犯団体等による自主的な地域安全活動のための取り組みに加えまして、今、犯罪防止に配慮した環境設計活動、すなわち犯罪の起きる場所に着目した空間や物的環境のいわゆるハード面からの対策が重要と考えており、これを推進しているところでございます。
今後、このハード面からの対策として、道路、公園等の公共施設や共同住宅等の住居の構造、設備、配置等について、見通しの確保、あるいは照明設備の充実、錠や窓等に使用されている部材の強化等の観点から、犯罪被害に遭いにくい環境をつくる対策の推進について、国土交通省を初め関係省庁、地方公共団体等との連携を強めまして、さらに取り組みを強化して、国民が本当に安全で安心して暮らせる地域社会にしていきたいと考えているところでございます。また、道路、公園等については、街頭緊急通報システム、いわゆるスーパー防犯灯等の防犯設備の配置を進めているというところでございます。
さらに、これらの施策に加えまして、刻々と変化するこの犯罪情勢、今委員がおっしゃったとおり、いろいろな面で犯罪情勢が変化しております。これに対応したきめ細かでタイムリーな防犯情報の発信等を積極的に推進してまいりたいと考えているところであります。いわゆるハードの面あるいはソフトの面、両者が相まって本当に住みやすい都市環境というものをつくっていくということが重要と考えておりますので、よろしく御理解をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○伴野委員 役所の方もよく御存じだと思いますが、慶応大学の伊藤滋先生なんかがこれを専門的に勉強していらっしゃいまして、例えば建築基準法ぎりぎりの、住むにはちょっと大変なんですけれども、もう本当に屋根と屋根がくっつくような、壁と壁がくっついているような建て売りのところの空き巣が少ないんですよ。かえって、プライベートが確保されている、区画がきっちりと整理された、要するに、隣とうまく隔離されているところの方が泥棒はねらい目だと言っているんですね。
あと、例えば都市公園なんかも、画一的な都市公園をつくっちゃった。それによって、その犯罪者を見た人が、どこの公園のあれだったか、ぴんとこない。要するに、どこを見ても同じ。ブランコがあって、同じようなものがあるから、後で犯人を見たと言われる人が、どこで見た、あれはどこの区だ、あそこにもあった、あそこにも同じようなものがある。だから、案外、初動捜査を間違える。だから、もっと特徴のある公園がつくってあれば、あの樹木はあそこだというのがぴんとくるというようなことがあるんですけれども。だから、そんなようなことをやはりまじめに考える時代に入ったと思うんですね。
それからもっと申し上げれば、この間もちょっと汐留を見せていただいたんですけれども、汐留の土地区画整理事業をですね。ここは六万人が働いて、夜は六千人ぐらいしかいない。一つはやはり昼夜人口の大きさというのが、どっちかというと夕方以降すごく人けのない町をつくっている。これはやはりソフト的に何か考えなきゃいけないんだろうと思うんですし、また六万人の都市なんといったら、私の地元なんかでも六万人の市がある。要するに、汐留のあの一角だけでちっちゃな市以上の人がいるわけですよ。ということは、交番が一つぐらいで足りるのか。あるいは監視のカメラをつけるというのもあるんでしょうけれども、それよりは、人が接する形の交番とか今風の駐在なんというのがあった方が私はいいような気がするんですけれども、そんなようなことをもしお考えがあれば。再配置も含めて。
○中川政府参考人 今委員おっしゃったように、確かに一つ一つの町、それぞれが画一的ではなくて、いろいろな面で防犯に配慮した、被害に遭いにくいまちづくりあるいは都市づくりというものが今後大変重要であるというふうに認識しているところでございます。
交番の問題につきましても、これはもちろん犯罪情勢、そこにおける犯罪の発生状況、それからいわゆる地域住民の要望等々を勘案して、交番の再配置というものについても考えていかなければならないんじゃないかというふうに考えております。
以上でございます。
○伴野委員 私も国会中はほとんど母子家庭でございまして、今も娘と妻が家で待っているわけでございますが、安心して国会に来られるように、警察あるいは都市本部合わせて、犯罪が起こりにくい町というのも一つの価値観だと思いますので、ぜひそのあたり、よろしくお願いしたいと思います。
命の問題といいますと、やはりもう一つ忘れてはいけない、一つがさっきの犯罪の話が人災とするならば、いわゆる天災、防災の話でございます。
正直言いまして、今回都市再生を推進することによって、確かに今の技術の粋を集めてつくるビルですから、耐震性も免震性も高い、それはわからないわけでもないです。しかし、もう起こり得るんだという観点で、一つは兵庫の地震の経験、それからいま一つは、残念ながら起こった九月十一日の、あの絶対崩れなかったビルが崩れてしまったという、下にたくさん生き埋めになった方もいらっしゃると聞いておりますが、そういうような、ビルもああいうことが起こり得るんだという考えでいかに危機管理をしていくか、こういう視点の方が私は現実的だと思いますし、国民も、いや、このビルは直下型の地震が来ても絶対大丈夫ですと言われるよりは、最悪の場合はこういうことを考えておりますと言った方が、多分説明責任を果たしていくんだと思うんですね。
現時点で、いわゆる大都市圏における直下型地震対策において、今回都市再生本部はどこまでお考えになっていて、これはお答えいただけるのかわかりませんが、どこまでの情報公開をされていくのか、お聞かせいただければと思います。
○山本政府参考人 東京圏、これは都市構造として、災害に非常に脆弱であるという指摘がなされております。南関東直下型地震の発生によりまして都県を越える大規模な被害が懸念される、このような大災害時におきまして、被害を最小限に抑制するとともに、その復旧を迅速かつ適切に実施していくことが重要であると考えております。
このような観点から、昨年の六月十四日の都市再生本部におきまして、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、救援人員、物資の受け入れあるいはその展開の拠点といった現地対策本部機能を有する基幹的広域防災拠点を、特に災害発生直後において有効な輸送手段となる水上輸送との連係に有利な東京湾臨海部に整備することを決定いたしました。
これを具体的に推進するために、昨年の七月四日に、国と関係都県市から成る首都圏広域防災拠点整備協議会が設置されまして、これまで四回協議を重ねてきております。今後、この協議会におきまして、できるだけ早い時期に、その具体的な箇所の決定を含む基幹的広域防災拠点整備基本計画を取りまとめるとともに、平成十四年度中を目途といたしまして、首都圏全体の広域防災拠点の役割分担、通信、交通等のネットワーク化などを内容とする首都圏広域防災拠点整備計画を策定する予定でございます。
○伴野委員 多分審議官も御存じだと思いますが、あの九月十一日以来、アメリカでは軽量小型の簡易のパラシュートが開発されて売れている。だから、日本もやはりそれぐらいの思いで、絶対大丈夫だと言うんではなくて、最悪の場合を想定して、最悪の場合パラシュートで飛びおりるというようなことも含めた命の守り方あるいは指導というのはこれから絶対に必要になってくると思います。
それから、例えば地下鉄の入り口が、その直近のビルが崩れたときにふさがったらどうするんだとか、いろいろな危機の想定をされて、どこまでこれを情報公開するか。余り水面下でやっていることまで全部さらけ出してしまうと、危機感だけをあおってしまうので大変なことになってしまうんですが、ただ、健全な危機意識を持っていただく上でさまざまな検討というのをやはりしていくべきじゃないかと思いますので、その点でよろしくお願いいたします。
地震といえば、次は水ですね。雷、おやじということになっていくんでしょうけれども、きょうは水ぐらいまでにしておきたいと思います。
都会の水害というのは、これはもっと真剣に考えなきゃいけないんじゃないかなと。もっと言うならば、ビルの真下に貯水槽をつくるぐらいの感覚も、構造的には可能だと思いますし、やれないことはありませんし、そういうところも確かにやっていらっしゃる。
去年、おととしぐらいだったですか、ハザードマップの話がよく出ておりました。ただ、このハザードマップも、一つの仮定のシミュレーション。ですから、情報の出し方によっては間違った避難のさせ方をする可能性だってあるわけです。
例えば五十ミリ降雨で降ったときに、今の開発状況で表流水がこれぐらいだと見積もると、時間、経緯としてこれだけの水が出てきますというようなことをやって、一つのシミュレーションですよね、それを絵にしているわけですから、あくまでもバーチャルな、仮定の話なんです。それがすべてだ、いつも雨が降ったらこんな状況が起こるというのは、これは違った情報の出し方で、一番気をつけていただかなければいけないのは、説明を受けたときの首長さん、要するに市長さんなり町長さんなりが、あくまでもこういう前提の上でこの町はこういう冠水状況になりますよということを理解した上で住民を誘導しなければいけないわけでございますが、現状はどんなふうになっているのか。進んでいるという地域があれば教えてもいただきたいし、今後、都市再生本部で都市のいわゆる冠水の問題というのは案外重要になってくると思いますので、そのあたり、今のお考えをお聞かせいただければと思います。
○竹村政府参考人 委員御質問のハザードマップ、いわゆる洪水時の緊急避難地図でございますが、最近、私ども観測している気象データが非常に凶暴化しておると申しますか、私どもの予想を上回るデータ、豪雨が襲ってまいっております。
具体的に申しますと、平成十二年の東海豪雨、大変大きな災害を受けて、多大な資産、財産がなくなったわけでございますが、このときも一般の方々は避難したわけですが、学校に避難して、またその学校が水につかってきて、また水の中を避難したということの現象がございました。
これは何かと申しますと、避難というのは東海地震に対する避難所を設定していたわけでございまして、洪水が来るとは思いも寄らなかったということで、避難所がそういうミスがあった、ミスというか手違いがあったわけでございます。
私ども、昨年六月に水防法を改正いたしまして、洪水に注目して、大きな水が来た場合はここが一メーター沈む、または二メーター沈む、または五十センチで済むというような浸水想定区域を、私ども河川管理者は公表いたします。そして、その公表された浸水想定区域に基づきまして、市町村長が今度は各住民に対して、どこへ避難するという、先ほど申しましたいわゆるハザードマップを作成し各戸に配ったり、さまざまな広報をするというような法改正をいたしました。
現在、この緊急避難地図、ハザードマップにつきましては、現在時点で百四十八市町村で公表されておりまして、現在も次々とこのハザードマップの公表に向けて各市町村が努力している最中でございます。私ども国も、各市町村のこのような動きに対しまして、全面的な技術的な協力、制度的な協力をしていく体制をとっておりますので、よろしくお願いいたします。
○伴野委員 さまざまな見直しとか、あるいはこれは予算との兼ね合いもあるんでしょうが、先ほど申し上げた前提条件なんかもいろいろ変えていただいて、予算の範囲内でしっかりとした情報提供ができるように今後も鋭意努めていただければと、そんなふうに思います。
それと、強いて申し上げれば、やはりこれからは、最悪のことが起こり得るという、特に防災、犯罪なんかはお考えいただきたい。今いろいろ技術革新も進んでおりまして、携帯電話は、大抵の方というと失礼かもしれませんが、大体持っていらっしゃる、これを使った防災情報のあり方とか、それから、この間のビルが崩れた後に、その下に生き埋めになっていた人、それを助けるときに、いわゆる救助犬の活躍というのがあったわけですが、それで最近は携帯電話にくさやのチップというのを入れておくと、そのくさやのにおいをかぎつけて救助犬が助けに行けると。(発言する者あり)いやいや、これは本当なんですよ。これを今特許を取ろうと一生懸命やっているみたいですけれども、別にそこから私はお金をもらっているわけじゃないのですけれどもね。
そういう、やはり非常に動物的な勘といいますか、動物的な危機意識というものも非常に重要になってまいりますので、最先端の技術ととんでもないローテク、ハイテクとローテク、これをかみ合わせ、都市再生本部さんで、命を守るにはどうしたらいいのだ、自分の家族をかばうにはどうしたらいいのだということをお考えいただければありがたいかなというふうに思います。
それともう一つ、これだけモーダルシフトの社会であります。車とか公共交通機関を使った防災計画というのも場合によってはありがちだと思いますが、そういうのは実際、多分緊急のときは使いにくくなるのですね。人間は、やはり最後は歩く、走るなんですよ。その人間の歩く、走るスピードの防災計画というのをぜひ構築していただかないと、いざ行ったときには、車がないから行けないとか、単車がないから行けないというようなことになりかねない。あるいは、今はもうこんなことはさすがに笑い話になるからあれでしょうが、電気が来ていないから行けない。ぜひ、そんなことがないようにしていただければと思います。
どういうことを言いたいかといいますと、これもまた私の個人的な観念になっちゃうのですけれども、やはり最後は、町というのは人間の歩くスピード、これで見直さなければいけないと思うのですよ。車が優先してぶんぶん走っていく、そんな社会というのは、私は御免だと思うのですね。
よく格好いい都市の生き方なんかで、マンハッタンの人が、昼間びしびし働く、その前にセントラルパークで走って、ハンバーガーを横にくわえながらたったたったとやっている、その後をリスが追いかけてきたり、都市の人の生き方はこんなものだよというようなことを映像で見せてくれる、そんなCMもあるのですが、やはり今回の都市再生本部でも、そういった人間性の回復というのは一つ重要なポイントでございますので、そういった都市における人間の歩く速度で、町、例えばシグナルもそうですし、さまざまなサイン、そんなものも、人間の目線の高さ、車から見やすいばかりではなくて、人間の目線で見やすいものをもう一度考えていただければと思いますし、そんなような提案に対していかがでしょうか。
○澤井政府参考人 歩いて行けるまちづくりという御指摘と思いますが、歩くことによって町のにぎわいができるということとか、あるいは少子高齢化に対応して、子供から高齢者まで安心して移動できる、そういう町になる、そういう意味で、歩くという視点からのまちづくりを進めることは私どもも重要な課題だと考えております。
このことは、さらに言いますと、エネルギーの使用を抑制して町の環境負荷を軽減することにも大いに資するのではないかと思います。そのため、商店街、公共サービス機関、医療機関等、生活に必要な諸機能がコンパクトに集合した暮らしやすいまちづくり、あるいは歩行者、自転車交通等に配慮した、安全で快適なバリアフリーのまちづくりを進める必要があるのではないかと思います。
こうしたまちづくりを推進するため、例えば歩道の広い都市計画道路あるいは歩行者用通路、広場の整備、バリアフリー化等を促進いたしますとともに、日常生活に必要なさまざまな機能をコンパクトに集合させた土地利用への適切な誘導などが必要と考えております。
○伴野委員 私の勝手な思いではありますが、そういった視点も、ぜひこれからの新たなまちづくりに取り入れていただければと思うわけでございます。
早口でしゃべってしまったので、随分時間があれですが、せっかく時間をいただいておりますので、ガチンコになったら申しわけありません、できるだけ関連するような質問にさせていただきたいと思います。
やはりテロの後というのは非常に気になるのですね、都市におけるテロ。せっかくですから、都市におけるテロ対策というのに、今思いつくままで結構でございます、都市再生本部の中で警察庁としてどんなお考えがあるか、お聞かせいただければありがたいと思います。
○中川政府参考人 都市におけるテロ対策ということは大変重要なことでございますけれども、申しわけないのですけれども、これは私の所管ではないものですから、責任ある答えができませんので、ここはちょっと答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
ただし、テロ対策というのは、それぞれ大変重要なことであるということで、先ほどから委員がおっしゃっているように、何が起きるかわからないという問題等がございます。そういう点で、やはり世界のテロ状況、日本のこれまでのテロ状況というものを十分分析して、先取りしながら、先手先手を打つ、そういうことでテロ対策を講じていくということが大変重要なことではないかと考えておりますので、いろいろな面でこれからも御指導をお願いしたいと思います。
○扇国務大臣 せっかくのお尋ねでございますから。
完全なテロ対策というのは不可能だと思います。けれども、国土交通省としては、昨年の九月十一日のああいう映像を見て、大変ショッキングなことでございました。そのために、国土交通省としてできることはしようということで、例えば、あれと同じようなことがもし我が国土であったなればどうするかということで、民間航空機あるいはすべての航空管制を停止することができるかできないか。これも初めての試みでございましたけれども、飛んでいるものを近くの空港におろす、また、近くでもう着陸しようとしているものはどこへ誘導するか、そして、飛び立とうとするものを停止する、そういうことが国内一斉にできるかということも初めてやってみました。
そして、これも一つのテロ対策として国土交通省としてできること、例えば、それでは新幹線はどうするのだということで、運転席に入れないようにするということの警備の強化、それから、飛行機の操縦席に入れないようにするにはどうするかという、これも細部にわたっては余り公にはしたくありませんけれども、それも全部点検させていただきました。
また、新幹線の駅等々では、警備員を絶えず配備するだけの人数が足りませんので、これも監視カメラを多く使用したとか、あらゆる面でテロ対策というものを、昨年の九月十一日のあの同時多発テロ以来、我が国として、特に国土交通省として、でき得る限りの体制を整えようということでいたしましたけれども、テロに対する完全な対策ということはあり得ない。
それよりも何よりも、我々は日常生活の中で、そういうものがないように、絶えず陸海空、あらゆるところで、国土交通省としては、警備態勢と、また人災による災害があり得ないように周知徹底を図っているという状況でございますので、先生は都市交通の専門家ですから、ぜひ都市交通の安全等々について御助言があれば、そういうこともテロ対策の一助にさせていただきたいと思いますので、御提言があればいつでも持ってきていただきたいということを、逆にお願いしておきたいと思います。
○伴野委員 急な質問でもあったにもかかわらずお答えいただきまして、ありがとうございました。
いずれにしましても、ことしは韓日ワールドカップの年でございまして、今も警察庁さん一生懸命、競技場のいわゆるフーリガン対策等々をやっていらっしゃいます。日本が、あるいは都市が国際化すればするほどいろいろな諸問題が出てまいります。今大臣が直接御決意を述べていただいたことをぜひ実行に移していただいて頑張っていただければ、そんなふうに思います。
時間はまだ数分ございますが、ガチンコの質問にもきちっと答えていただいたということに敬意を表しまして、これで失礼させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○久保委員長 一川保夫君。
○一川委員 自由党の一川保夫でございます。今回提案されております法案につきまして、それに関連する事項も含めて国土交通省のお考えをお聞きしたい、そのように思います。
今回都市再生法なるものが出ておりますけれども、今の時代、戦後五十年余りが経過して、あらゆる分野で再生、再生という言葉が使われる、そういう時代でございます。それは基本的には、これまで五十年間のいろいろな制度なり仕組みなり、そういったものをしっかりと見直しながら新しい時代に対応できる姿に持っていこうということであるわけでして、そういう面では、こういう都市に関する再生という問題意識を持って取り組まれるというのは大変大事なことだというふうに私も認識いたしております。
ただ、一方において、ではこれまでのもろもろの制度、いろいろな関連する法律もございますけれども、そういうもののどこに問題があったのか。今回特に都市部においていろいろな整備が行き詰まっている、いろいろな面で立ちおくれてきたというのは、これまでの制度的な一つの欠陥みたいなものが明らかになってきたんだろうというふうに思うわけですね。そうかといって、では都市再開発法なり土地区画整理法なり、そういう既存のいろいろな法律体系の中で、具体的にどこにそういう問題があるのかなというところを、もうちょっと整理して説明していただきたいんですけれども。
〔委員長退席、赤羽委員長代理着席〕
○扇国務大臣 今一川議員がおっしゃいましたように、我々は戦後今日まで、あらゆる面でハードのことをしてきたと思うんですね。道路をつくり、あるいは箱物をつくり、それが二十世紀だったと思います。けれども、二十一世紀に入りまして、私たちは、新たな都市づくり、まちづくり、国づくりをしなきゃいけない。これからは、二十一世紀はソフトの時代である。ですから、環境とかバリアフリーでありますとか、今まで二十世紀には考えられなかったことを、二十一世紀はソフトとしてそれを加味していかなければいけない。
そして、再生再生と今指摘がございましたけれども、再生する以前に、今まで二十世紀に使ったものをより効率的に長く使い得るかということの再生、これもあるわけで、再生といいますか補整という言葉を使った方がいいかもしれませんけれども。それともう一つ、今申しました新たに二十一世紀型をつくっていくんだと。
けれども、今までは都市づくりというのは、官が計画をつくって、それを各地域がつくっていったということで、例を挙げますと、東京都の都市計画、昭和二十一年につくられたものが五十数年たってまだ五五%しか達成していない、四五%もできていないということは、官と地方との連携が悪かったんだと思いますし、また、地方は地方で、それだけの公権力と財力と、そして民主化というものの中での反対運動に遭ってできなかったという、時間がかかり過ぎてできていないんですね。
そういうことの反省から、我々は二十一世紀、限られた予算の中で、効率をよくして、風通しをよくして、官が押しつけるだけではなくて、官と民と地方自治体と、これが三位一体となって物事を進めていけばスピードアップできるのではないか。余りにも時間がかかり過ぎ、時間がかかることによって費用が肥大していった。
今回はそういうことを、何とか二十一世紀の初めに、都市づくり、都市再生ということを見直して、より効率的にできないかというので、今まで二十世紀の反省の上に立って今回法案にしていただいて、また御理解をいただきたいというのが基本だと思っております。
○一川委員 今大臣がお話しになりました問題意識は私も同感でございます。要するにハード的なものが主体のそういう整備から、ソフト的なものも重視していくということとか、それからまた、そういった国と地方とのいろいろなあり方の問題、それから官と民とのあり方の問題ということを、一つの下敷きといいますか、そういう反省の上に立った上で新たな取り組みをしていきたいということであろうかと思うんです。
そういう問題意識を持てば持つほど、従来の規制なり、また、硬直した制度があるとすれば、できるだけそこに大胆にメスを入れて、地方の皆さん方、あるいは民間の方々にやる気が出るような、意欲が出るような制度に切りかえていくという大胆な発想が私はもっともっと取り入れられてもいいんではないかというような感じを率直に言って持ちます。
我々も、自分の住んでいる地域の近くの、田舎ですから、都市というような、そんな大げさなものでもありませんけれども、そういう中心部の姿を見ていると、大変寂しい状況が今各地方都市にございます。そういうことを見たときに、やはり都市の再開発、そういうものの制度的なもののやり方に、手続面でも相当複雑なものがあるし、また、土地利用の計画からスタートして、いろいろな規制がかかっているわけですけれども、そういう規制を、完全に撤廃ということまでいかないでしょうけれども、規制改革といいますか、そういう考え方で取り組んでいけば、まだまだ対応できる部分は残されているんではないかなというふうに私自身は問題意識を持っているわけです。現行の制度のそういう規制をもっともっと緩和する、あるいは改革していく、あるいは地方に対していろいろな権限を移譲していくという中で対応できたんではないかなという感じもするわけですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
○扇国務大臣 今おっしゃったとおり、私は大都市だけを考えているわけではございません。一つの事例をもってすれば、今地方の大学を出て地元に就職するというのは北海道と九州が一番でございます。それほど、若者が大学を出て北海道で就職する、あるいは九州で就職する、これが日本の中で一番率が高いんですね。それから考えれば、大都市だけではなくて、北海道にも九州にも、みんなが自分の地元に住みたいと思うようなまちづくりをしていかなければ、先ほども御意見の中に各地域の特徴がないじゃないかというお話がございました。私はそれも大いにあると思います。
例えば、銀座がいいといえば、北海道へ行っても何々銀座、どこの県へ行っても何々銀座、全部が銀座という名前がつけば商店街なんですね。それでは私は余りにも金太郎あめだと思いますので、そういう意味では、都市一つとってみても、そういうふうにならないように、個性のある都市づくりをしなきゃいけない。
それで、規制を撤廃すればいいじゃないかとおっしゃいましたけれども、例を挙げますと、東京都内等々大都市では、住宅地区の一種とか二種とか商業地とか、区切ってあります。けれども、どんどん都市化して、住宅地の近くに商業地がどんどん迫ってきた、開発されてきた。では住宅地の第一種だった規制の高さ十メートルを第二種の十五メートルにすればいいじゃないか、ここも商業地域にすればいいじゃないかとおっしゃいますけれども、その場合には、防災面から、高さを高くするのであれば道路幅もそれに沿って広くしなければ防災に適応できないとか、日照権であるとか、あらゆる居住環境というものに対する責任は多岐にわたるわけでございますから、規制をただ取っ払えばいいということではなくて、一つの区域を特定したところは高さ制限も容積率も全部緩和しましょう、そのかわり、できた空地は絶対緑にするんですよ、道路幅は広くするんですよということがその限られた指定した地域にはできるということで、両々相まって快適な都市づくり、住まいづくり、あるいはまちづくりというものを統合してやっていこうということが今回の法案の骨子であると認識しております。
〔赤羽委員長代理退席、委員長着席〕
○一川委員 今、特に大都会の姿を見た場合に、相当、建築をして古い、大きなビルもそろそろ改築の時期に来ているようなところもございますし、立派なビルの周辺に木造住宅が張りついているようなところもございます。そういう面では、何らかの新たな手法でもって、そういういろいろな商業的な機能とかあるいは文化的な機能も含めて、より高度化したものに切りかえていく必要があるなという感じは持っておりますけれども、要は、いろいろな行政的な手続というものをもっともっと簡素化していく。その地域の人なり、そこにかかわっている方々のいろいろな創意工夫というものが、余り時間をかけないで現場で実現できるような、そういう制度につくりかえていくということがないと、余り時間がかかり過ぎますとそういう情熱を失ってしまうということにも当然なるわけですし、世の中の経済、社会のいろいろな動きにも立ちおくれてしまうということにもなるわけでして、私は、これからの、特に都市部のいろいろな制度というのは、弾力性のある、そういう制度として常に見直していく必要があるなということを指摘させていただきたいなというふうに思っております。
そこで、引き続きちょっと具体的な問題についてお聞きするわけですけれども、都市再開発法の改正の中に、今回、株式会社等を施行主体に入れていくということを含んでいると思うんですね。株式会社というのは、当然ながら営利を目的とした企業でございます。片や都市再開発というのは相当公的な事業であるというふうに私は思います。公的な事業であれば、当然、収用法適用の対象事業にもなっているわけです。こういう収用法の対象事業になっているにもかかわらず、一株式会社が施行主体として入ってくるということにちょっと違和感を私自身は感ずるわけですけれども、そのあたりはどういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。
○澤井政府参考人 ただいま御指摘の、今般市街地再開発事業の施行者に追加しようといたしております再開発会社は、株式会社または有限会社でございますが、地権者の参画を要件としております。すなわち、今回追加の趣旨は、民間のノウハウを最大限に活用するために、個別の事業地区の状況に応じまして、土地を買わないで一括権利変換をして工事を始めるいわゆる第一種と、それから、土地を買いながら段階的に事業をやっていく第二種のいずれも、施行できる主体として、地権者参画型の株式会社または有限会社を施行主体にするということがまず第一点でございます。
この場合、都市計画決定に基づいて実施されます都市計画事業の認可を得た事業を行うということから、一般の都市計画事業と同様に収用適格事業となり得るわけでありますが、民間の会社であるという点についてまず申し上げますと、公共団体等の公的主体以外にも民間事業者が収用対象事業を実施できるものとして、例えば鉄道ですとか電気ですとか、そういった例が既にございまして、再開発事業を民間会社がやるというのが収用事業の初めての例というわけではないということが一つ。
それから、地権者の権利保護を図るという観点からは、一種事業でも二種の事業でも、権利変換処分で一括権利処理をするケースでも買収型でやる場合でも、施行地区内に残りたいという地権者の方はその地区内に残ることができる、これは法律上保障されております。そういう点で同様であります。
また、最終的にどうしても反対の方がおられる場合に、一種も二種もいずれも強制力があります。これは、最終的にはいわゆる行政代執行というところまで制度的には行き得るという点でも全く同様であります。
一方、再開発会社が第二種事業を実施できるということによって、先ほどもちょっと申しましたけれども、例えば権利調整が地区内で整ったところから買収を行って、段階的に施設整備を行っていくということで、端的に申しますと、比較的大規模な地区においても円滑な事業展開が可能になります。したがって、これまで民間の組合だけではなかなか事業化が困難であった地区でも事業実施は可能となるというふうに考えております。
数字を申しますと、権利を一括処理する第一種事業でいいますと、平均の施行地区面積は一・二ヘクタールでありますが、段階買収方式で事業ができます第二種事業では、平均地区面積は九ヘクタールということで、相当大きな規模のものに取り組めるということに今までの実績でもなっております。
○一川委員 今、再開発会社を施行主体にしてこういう事業を動かしていくといったような考え方なんですけれども、今回のこの審議の中でも、具体的な、対象地域のおおよその目標とかそういうことは余りおっしゃらないんだけれども、私は、こういう法律を用意するというか改正まで考えておるということになれば、やはりある程度の、対象地域はどれぐらいを想定しているとか、当面これくらいはこなしたいとか、何か目標があっていいと思うんですけれども、そのあたりはいかがですか。
○澤井政府参考人 あくまでも、施行主体として事業計画の認可を申請してくる、それを受けて都道府県知事が認可をし、事業が始まるということですので、これを我々の意思でやりますという性格のものではもちろんありませんが、現在の実態を申しますと、こうしたいわば開発の専門家である民間事業者の参画を得ながら民間レベルで地権者が一緒になって事業化に向けた調査を実施しております地区が、調査いたしますと全国で約七十地区ございます。
例えば、こうした地区の中から、民間のノウハウや資金力の一層の活用を前提として再開発事業をやっていこうというふうに熟度が高まっていけば、それが今申しました再開発会社施行の事業になるであろう。それは、一種事業もあるだろうし、二種事業もあるだろうというふうに考えております。
○一川委員 先ほど、鉄道なり電気なりのものはそういう民間企業も参画しているというお話もございました。鉄道なり電気というのになると、また割と公共性の強いような感じも受けるわけでして、そういう面では、今回の都市の整備に民間会社あるいは有限会社が施行主体として入ってくるということは、逆にいろいろな摩擦を生ずる危険性をはらんでおりますので、そこのところは十分注意する必要があるんじゃないかなという感じもします。
これはどういう地域開発でもそうですけれども、ある特定の企業のためとか、ある特定の者のために何か物事が動いていくということに対して、そのことだけで拒絶反応で反対する人が出てきます。その一人のために大変な労力を要するということがよくあるケースでございますので、そこのところはよく注意した上でこういう制度を仕組んでいただかないと、逆にまたこういう制度に期待している方もたくさんいらっしゃると思うんですね。そういう中で、変な摩擦が生じないようにしっかりとした対応をお願いしたいなというふうに思っております。
そこで、次に、今回の改正の中で、民間都市開発に関する従来の法律の一部改正の中で、土地の取得なり、またその譲渡を業務とした、そういう制度がございまして、これは平成六年からスタートしたというふうに承知していますけれども、今回、それをまた期間延長するということの内容ですけれども、中身は単純なことなんですけれども。ただ、こういう制度を存続していくという今日的な意義というのはどこにあるかということもちょっと疑問を持つわけです。
ある程度土地価格が下落傾向にあるというのが最近の状況だと思うのですけれども、こういう中で、民間のいろいろな都市開発の用地として、従来そういう用地をあらかじめ取得しておいて、またある時期が来たらそれを譲渡していくというような、そういうやり方というのは何か制度的にメリットというのがあるのかどうか、非常に疑問に感ずるんですけれども、いかがですか。
○澤井政府参考人 民間都市開発推進機構、民都機構と称しておりますが、民都機構の土地取得業務は、まさに先生御指摘のような、平成六年、地価の下落傾向が始まった後、不動産市況あるいは民間都市開発事業が低迷する中で、良好な民間都市開発事業の促進、あるいは土地の流動化を図るという観点で創設されたものであります。
御指摘のような地価の下落傾向の中で、民間事業者においては、リスクを回避する観点から、大規模開発には慎重になる傾向がございます。そうした中で、この民都機構の土地取得譲渡業務は、一たん民都機構が土地を保有することで、都市内の貴重な大規模遊休地が切り売りされたり、あるいは乱開発されたりすることを未然に防止しながら、一方で、オープンスペースなど必要な公共施設整備を伴う優良な開発を行って土地の価値を増進する意欲のある、そうした事業予定者に、ある意味では時間的に結びつけていくということをねらったものでございます。
現在、引き続き民間都市開発事業あるいは不動産市況を取り巻く状況は非常に厳しいことにかんがみますと、ただいま申し上げました、時間差のある土地売却ニーズと土地の有効利用の意欲を結びつけております土地取得譲渡業務の延長を図ることが必要であるというふうに考えております。
○一川委員 では、これまでの実績めいたものをちょっと確認したいんですけれども、この制度を使って具体的に今まで取得した面積ですか、それと、その後譲渡した面積というのはどういう関係になっているんでしょうか。
○澤井政府参考人 民都機構の土地取得業務につきましては、平成六年の業務開始以来これまで、件数で二百四件、面積で三百二十七ヘクタール取得をしております。
これまでに取得した土地のうち、既に百十三件、面積にして約百六十八ヘクタールの土地で、期待しておりました民間都市開発事業が着工されております。件数で五五%、面積で五一%の土地で既に事業の着工がされております。
六年からのスタートですから、今まで約八年間ぐらいですけれども、その間ここまで進んできているというふうに私どもでは一定の評価をしております。
○一川委員 もう一回、この問題に関連するんですけれども、では、こういうような制度というのは、どういう状況になればもう必要でなくなってくるのか、そのあたりがちょっと理解できないんだけれども。
平成六年のああいう状況からこういう制度がスタートしたわけだけれども、では、今後、およそこういう状況になればこういう制度はもう要りませんよというふうになるには、どういう状況でしょうか。
○澤井政府参考人 逆に申しますと、現在やはり政策的に土地の流動化も図っていくべき状況にあるということでこの制度を延長したいということでございますので、経済情勢が回復して、土地が実需に結びつく格好で、売り手がいて、売り手から必要な買い手に市場の中で自律的に移っていくということが動き出せば、この業務は役目を果たしたと言えるのではないかと考えております。
○一川委員 どうも、今、経済低迷が長期化しているということが一つの背景にあるということなんでしょうけれども、こういった制度も含めて、いろいろな既存の制度を必要でなくなったときにはやはりしっかりと廃止していく、そういう気持ちで当然取り組んでいかなければならないと思いますし、先ほど言いましたように、できるだけ民間の活力で物事が乗り切っていけるような、そういう条件を整備してあげるということが非常に大事ではないかなというふうに思っております。
そこで、次に、これは大臣にお聞きした方がいいのか、どなたかわかりませんけれども、この都市再生の第十四条という中に、都市再生の基本方針を定めるというところがあると思うのですね。ここは、先日うちの党の東さんもいろいろな指摘をしておりましたけれども、本来、都市再生の理念なり意義なり、そういったものは法律の中でしっかりとうたうべきだというようなことも含めて、いろいろな質疑をされておりました。
今回のこの条文の中身を見たときに、都市再生の意義とか目標みたいなものを、その基本方針を定める段階でそれを決めるんだというような条文になっていると思うのですね。そこが何かちょっと本末転倒じゃないかなという感じを私は受けるわけです。
本来、都市再生の意義あるいはその目標みたいなものは、やはり法律の中でしっかりと明文化するか、あるいはこういう場において明確なやりとりができるような状態にしておくということが大事ではないか。いや、まだ基本方針は定めていないから話はできませんというのでは、余りにも情けないんじゃないかなという感じを受けるわけですけれども、そのあたりいかがですか。
○山本政府参考人 第十四条に定めます都市再生基本方針でございますが、これは都市再生を力を合わせて進めるために、国、地方公共団体、それから民間事業者などの経済主体が共通の認識に立ちましてきちんとこれを進めていく、そういう目的で基本方針を定めることといたしております。方向性を定めるという観点から、基本方針を策定するということにいたしております。
その中で、特に都市再生の意義それから目標につきましては、これは、なぜ今政府が都市再生を戦略的な課題として取り組むのか、何をターゲットにして取り組むのかということになります。そのうちの大事な事柄は、第一条の「目的」にも書いております。
それから、都市再生本部では、昨年の五月十八日に「都市再生に取り組む基本的考え方」というものを都市再生本部で決定しておりますけれども、その「「都市再生」に取り組む視点」の中で、イの一番に例えばこういうことを決めております。「二十一世紀における我が国の活力の源泉である都市について、その魅力と国際競争力を高めることが内政上の重要課題である。」ということを確認しております。
そういう事柄につきましては、今の十四条の第三項で、「都市再生基本方針は、我が国の活力の源泉である都市が、近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に的確に対応し、その魅力と国際競争力を高め、都市の再生を実現することができるものとなるよう定めなければならない。」というふうに規定しております。
こういうことで、御指摘のように、都市の再生の意義や目標を法律で定め切るという方法もあるかと思いますが、冒頭申し上げましたように、この都市再生基本方針が国、地方公共団体その他の経済主体の行動指針となるということで、ある程度膨らみを持って定めていきたい、そういう考え方で、内閣総理大臣が案を作成し、閣議の決定を求めるという法律の案とさせていただいているところでございます。
○一川委員 私はこれで質問を終わらせていただきますけれども、都市再生本部、内閣総理大臣を本部長とする、そういった組織で決められるということでございますけれども、私は、本来であれば、この法案を審議しているこういう段階で、都市再生の意義なり目標めいたものを、もうちょっと具体的なやりとりができるような状態にしておくべきじゃないかなと。今こういった法案をつくることについて国民の方々もいろいろな意味で関心を持っているわけでございますので、そういう面では私自身は非常に残念な状況ではないかなというふうに思いますし、できるだけ国から地方へというような一つの流れの中では、ちょっと国は出過ぎているんじゃないかなという、素直にちょっとそういう印象を持っておりますけれども、時間も参りましたので、この程度でやめさせていただきます。
ありがとうございました。
○久保委員長 大幡基夫君。
○大幡委員 日本共産党の大幡基夫です。
私は、今求められている都市再生のあり方について質問し、検討したいというふうに思います。
さて、国土交通大臣の諮問を受けた社会資本整備審議会都市計画分科会が二月七日に都市再生のあり方はいかにあるべきかという中間まとめを提出しました。この中には、我が国の都市、特に、中枢機能が集積している東京圏、大阪圏などが国際的に見て地盤沈下しているというふうに述べています。
私は、大阪の商人といいますか、浪速のあきんどの家に生まれました。今大阪がどういう状態にあるかということで、資料を用意しました。
この表一は、昨年発表の国勢調査の中での完全失業率です。これは五年に一回ですから、ある意味で一番正確なんですね。去年の八月の発表で、大阪九・〇%です。今はもっと深刻だと思います。表二の他の政令指定都市と比べても際立って深刻です。なぜこうなったのか。
そこで、この表三が、大阪市内に働く就業者数の動向。つまり、この五年間で、製造業で八万九千八百十九人、マイナス一八・五、卸売・小売業で五万八千二百十八人、マイナス八・〇。
この原因が表四、つまり、一九九六年から九九年の三年間で、事業所総数では、小規模なほど減少数が多くなっています。つまり、これは倒産と廃業が多いということなんです。一方で、この三年間で、減少率では三百人以上の工場が一挙に一八%なくなっているんです、たった三年間で。つまり、これは産業空洞化、海外進出とリストラの影響、そういう中で一貫して深刻なのが製造業なんです。
表六は、大阪市内の製造業の工場数の推移。この十年間に三万二千八百八十二工場から二万三千三十五工場に、九千八百四十七、マイナス二九・九%、三分の一が減っている。従業員数もマイナス三三・一%、生産額、製造品出荷額もマイナス三二・七%、大変な落ち込みで、しかも、この減少のスピードは加速している。まさに大阪の物づくりが今壊滅的な危機を迎えている、そういう認識を私どもは持っているわけです。
表七は、その産業別工場数なんですが、かつて大阪は繊維というのは有力なあれでしたが、繊維の工場は、一九九〇年の千五百九から九五年には三百四、二〇〇〇年には百九十八、こういう激減であります。
扇大臣はグランドデザインということを盛んに言っておられますが、こうした大阪の現状に立てば、そのデザインの大きな柱に経済再生、そして物づくりの支援のための基盤整備というのも当然必要であります。
したがって、大阪府が都市再生本部からプロジェクトの検討を求められてこういうのを提出しているんです。この中には、私、賛成できないものが率直に言ってほとんどであります。ただ、この中の第一に経済再生を挙げて、その中に「ものづくり機能の向上支援」という項目があったんです。ところが、都市再生本部にこれを出してやりとりをしたところ、この項目は趣旨に合わないからということで外されたというんです。大阪府の担当者は、どうも政府の都市再生本部の言う都市再生というのは自分たちとは趣旨が違うようだ、こういう感想を述べているんです。
扇大臣は都市再生本部の副本部長でもあります。そこで、るる述べた大阪の今のこの経済の状況の中で大阪の都市の再生を考える際には、この物づくり機能の向上を支援する基盤整備というのは当然必要だ、そういうふうにお考えになりませんか。
○扇国務大臣 今、大阪の地盤沈下のお話をなさいました。まさにおっしゃるとおりの現状であると私も関西人としては見ております。まして、お隣の兵庫も、阪神・淡路大震災以来もっと落ち込んでおります。大阪だけではない。だから、関西圏が弱いということなんですね。それは、表に出ておりませんけれども、本社をほとんど東京に移してしまった、そういうこともあると私は思います。まして、大阪は商業の地であり、大阪は日本の台所だと言われたあの時期から考えれば、私は残念のきわみだと思っております。
その意味では、工場をとおっしゃいますけれども、私は、そうではなくて、もっと根本的に、日本がなぜ空洞化したかという、その原因がどこにあるのか。それは、午前中からもありましたように、各役所が縦割りになって、物流コスト自体がほかの諸外国に比べて大変高コストである。例えば、工場から港まで製品を運んで、それが船出していくまでにどれだけかかるかというような、総体的な日本全体の物流コストが高いわけですから、大阪は特に、その地域づくりと物流コストの関連の悪さというのはあったと私は思います。例えば今でもそうです。東京もそうですけれども……(大幡委員「物づくり支援の基盤整備が必要かどうか」と呼ぶ)もちろん必要だと思いますけれども、その根本が、私が言っているグランドデザインということで、国土交通省としては、物づくりの基本、この活性のためには、私は、物流コストが世界に伍していけるような政策をとらなければいけないというのが原点にあろうと思っています。
○大幡委員 物づくり支援のための基盤強化という場合に、例えば技術研究のための人材あるいは研究者の育成だとか、そういう必要が当然あるんですね。今、扇大臣は、当然必要だというふうに言われました。普通に考えれば必要な項目が、都市再生本部とのやりとりの中では外されているんです。私はこれを聞いて、結局、都市再生と言いながら、従来型の大型開発事業をいかに続けるのか、こういうところにこの思考の中心があるのかなというふうに率直に思いました。
次に、この同じ中間まとめの中には、右肩上がりの経済成長の時代ではない新たな都市計画のあり方が求められているというふうにしています。この右肩上がりの時代とは違ったあり方として、どういう新しいやり方、どういう手法の都市再生を考えておられるのか、お聞かせください。
○澤井政府参考人 現在の都市計画制度が発足いたしました昭和四十年代におきましては、数字を一つ申しますと、いわゆる市街地が全国で五年間で四割拡大しておりました。最近では、面積の拡大は五年間で二%、ほとんど拡大が見られなくなっております。
こうした状況にも対応いたしまして、これまでの都市計画が、いわば都市の膨張圧力を規制いたしまして、最低限の都市環境を保持していくということに主眼が置かれていた、あるいはそこに全力を傾注せざるを得なかった、そういうことが一言で言えば現行の都市計画制度の基本のところにあるのではないかと考えておりますが、逆に先ほどのような市街地の膨張が見られなくなってきているということを踏まえますと、国民の大多数が生活し、さまざまな活動が営まれている既にでき上がっている市街地の質の向上を目的として、望ましい市街地を実現する、そういった方向に転換していく必要があるというのが基本的な考え方でございます。
こうした認識を基本といたしまして、今回の中間取りまとめにおきましては、まちづくりに関連する、おのおの責任をお持ちになった多様な主体の参画のもとで、望ましい市街地の実現に向けました手続ですとか計画制度あるいは事業手法の改善について取りまとめいただきまして、報告をいただいた、こういうものでございます。
○大幡委員 このまとめの中にも、また今回、本委員会の答弁の中にも、繰り返し、民間の投資意欲を引き出して都市開発に向けることで都市を再生する、こういうことが強調されています。
私は民間の個別の事業を否定するものでは当然ありません。ただ、問題は、国や地方自治体のかかわり方の問題であります。これまでの巨大プロジェクトも、いわば民間主導で国や地方自治体を巻き込んできたというのが実際であります。関西圏でいえば、あのベイエリア計画も、関経連などが提案し、それを次々と具体化して推進してきた。そして、その多くが破綻してきた。つまり、民間主導というのは、これまでもあったことであります。
この問題の議論も必要なんですが、特に、私、きょうは、この手法の改革という場合に、右肩上がりの時代ではない違ったあり方という場合、検討すべき中心問題は、売却益で事業費を生み出すという手法、この手法の抜本的検討が今必要ではないかというふうに思うわけです。
売却益で事業費を生み出すという手法は、右肩上がり、産業は前進する、人口はふえる、開発すれば土地の値段は上がる、こういう条件を前提にした上での手法。今、この前提条件が変わってきている、崩れてきているわけであります。
土地区画整理事業も保留地の売却による事業費づくりが柱になります。都市再開発事業というのはそれに建物も含めたやり方で、基本的考えは同じであります。
そこでお聞きしたいんですが、今都市再生本部で検討されている再開発事業も、これまでと、同じ土地区画整理事業、都市再開発事業の手法で行われるのかどうか。これはもう端的に、イエスかノーでお答えください。
○澤井政府参考人 都市再生事業の基幹的な手法として、これからも市街地再開発事業の手法あるいは土地区画整理事業の手法、非常に大切だと考えております。
○大幡委員 私は、この手法を続ければ、ごく一部を除き、大半の事業が破綻する危険が現実にあると思います。売却益で事業費を生み出すというこれまでのやり方が日本経済の現状に合わなくなってきている、この認識を持つことが大事なことだと思うんです。
各地の再開発事業などの破綻の原因は、予定価格で保留地や保留床が売れなくなってきている。かなり引き下げても売れ残る。こうして巨額の債務を抱え、破綻している。
ところが、このやり方というのは、企業にとっては実に都合がいいわけです。
今回の都市再生のプロジェクトの柱の一つに、工場跡地や遊休地の再整備が上がっています。工場跡地をそのまま放置しておくのは地域社会にとって望ましくはない、私もそう思います。しかし、その手法に従来型の土地区画整理事業を採用した場合、どうなるか。
本来、工場の撤退を決めた企業は、その跡地を含めた地域一帯を再整備して、工場跡地を新たな形で有効利用するか、売却しなければなりません。ところが、企業の目的や計画に合わせて再開発事業が進められ、土地区画整理事業が適用されれば、その企業は原則として金銭負担なしで売却する土地を整備してもらえることになるわけです。そして、その事業が破綻して、その事業に自治体が絡んだ場合は、円滑にいかなかった場合は自治体が責任をとってくれる。まことに都合のいいやり方になるわけです。
今、大阪でもこういう事業が数多くあって、次々と破綻をしています。
紹介したい一つは、大阪の売却益で事業費を生み出す三セク方式のワールドトレードセンター、アジアトレードセンター、WTC、ATCという事業なんですが、大量に売れ残って、大阪市の六つの局が入っているんです。また、大阪市がテナントを借りて、たくさんの事業をして支援をするという形になっているんです。
それだけじゃないんです。WTCには、九七年度から二〇〇〇年の四年間に百二十億円の公金貸し付けが行われて、同じ時期、そのうち百四億円の借金返済に回されているんです。ATCでも、二年間に六十六億円の公金貸し付けで、五十七億円の銀行借金返済をやっている。
私は、このやり方を続ければ、こうした事態がさらに広がる。扇大臣、この手法の検討が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○扇国務大臣 今、大阪の例だけおっしゃいましたけれども、日本じゅうで、第三セクターと称して、お金をつぎ込んで破綻をしているところは、もう新聞の社会面でも、あるいは例を挙げたら切りがないくらい、今第三セクターの破産状態が出ております。
それは、第三セクターであるからということでみんなの知恵を絞って、これだけの需要がある、そして、これだけ観客が来てくれる、あるいは旅行者が来てくれるといって第三セクターでつくったものが、バブルがはじけて投資額と収益額との採算がとれていない。これはもう原因が明らかでございます。
けれども、今大幡議員がおっしゃいましたように、例えば破産した、工場がだめになった、では、その破産した会社がそれをもう一遍再生して何とかしろとおっしゃいますけれども、それだけの力があるのなれば、破産していないんですね。
ですから、そういうところを第三セクターでやってしまえばいいというけれども、第三セクターで失敗した例がいっぱいあるので、そうではなくて、地元の皆さんの希望も入れて、地方自治団体と一緒になって、この限られた工場跡地とか虫食い状態とかそういうものを、第三セクターの二の舞にならない、第二の第三セクターをつくらないという意味で今回はしようということですから、今までの第三セクターの失敗例というのは、私たちは轍を踏まないということのための今回の法案だと御理解いただければと思います。
○大幡委員 私は、三セク事業の一般を問題にしているんじゃないんです。よく御理解いただきたいんですが。
売却益で事業費を賄うというやり方、このやり方が、三セク事業も含めてすべて、破綻を招いている原因で、このやり方に対して抜本的検討が必要だ、そういうふうに思われないかということを聞いたわけです。
あわせて、私がきょう大阪の例を出しているのは、大阪が特殊だというんじゃなくて、まさにここに全国の縮図があるというふうに考えているんです。民間の活力導入、本委員会でも六本木六丁目の再開発の例が繰り返し紹介をされました。
大阪の例をもう一度言いますと、大阪の天王寺・阿倍野というのは、扇大臣御存じのように、大阪駅、難波に続く大ターミナルですよ。大阪市は、阿倍野というのは南大阪の玄関口だ、こういうふうに言っているんです。
この阿倍野で、阿倍野駅前再開発事業というのが進められているんです。ここが、保留地が大量に売れ残って、大阪市はこの事業の借金を返済するために、二〇〇二年度予算で八十億円、二〇〇三年度からは毎年九十億円、二十四年間で二千二百四十億円もの公金投入をしなければならなくなっている。
今、大阪は、大阪市内の事務所のオフィスの空き率は一〇%近いんですよ。御堂筋周辺でも空室が増加傾向にある。こういう状況を前に、従来の売却益で事業費を賄うというやり方で今のプロジェクトを進めれば、大変なことになる。つまり、この抜本検討が必要ですねということです。
○扇国務大臣 おっしゃるとおりで、私が今第二の第三セクターをつくらないと言った言葉で御理解いただけたと思っております。
高い値段で買って、安い値段になって売れないというのは当然のことですし、高いときに買って安い値段で売ったら赤字が出るのは当然のことで、これはもう明々白々でございます。ですから、そういうことをしないように、また、してはならないということが大きな課題になっているんです。
ただ、場所が、何ヘクタール以上ある、例えば一・五ヘクタールとか九ヘクタールとか。例を挙げれば、東京の防衛庁の跡地、あれは十ヘクタールありますね。そういう大きなところには大きなところであるだけの新たな枠をはめて、ちっちゃなものが乱立しないように、大きなものをつくって緑地をつくる、道路の幅を十分とる、防災にも可能だ、そういうことを必ずしていこうということで、先ほどもお話がございましたように、一川先生が質問なさいました中で、私は大きな例があったと思うんですね。
民都機構が土地を買収して、そして果たしてどうだったかという一つの例が大阪球場の跡地。これも先生御存じだと思いますけれども、あれだって、本当はあれだけの大きな大阪球場跡地というのはできなかったんですけれども、これも再開発して民間の活力はできて、いつからだったか、民都機構ができてから約七千九百億円の後押しをして、それで二兆円の経済効果が上がっているわけですね。ですから、そういうふうに私たちは持っていこう、今回は、今言ったように、先生がおっしゃるように、府の二の舞はしないということのために立案したんだということです。
○大幡委員 難波の旧大阪球場、そこのところはそうなったんだけれども、その周辺の日本橋の電気街からあの周辺の問屋街というのはもう惨たんたる状況になっているわけなんです。
私は、実はこのやり方が、先ほども言いましたように、自治体財政を破綻させて、そのしわ寄せが一番大事な中小企業や福祉の充実の障害になっている。扇大臣は繰り返し、今回の都市再生では老人ホームをつくるんだ、保育所もつくるんだ、そういうまちづくりが必要だということを言っているんですが、例えば、これは私もびっくりしたんですが、大阪市の例をきょうはいっぱい紹介しますけれども、大阪市の場合に、先ほど言ったようにATCやWTCに対する借金返済がある。その結果、中小企業支援についていえば、大阪市経済局の中小企業事業予算は、融資事業を除けば百十九億七千八百万円なんです。このうち、ATCへの支援が四十二億三千百万円なんです。つまり、差し引きすれば七十七億四千万円、融資を除く中小企業予算の四割近くが破綻しているATC支援に充てられているという、こんな信じられない事態になっているんです。
また、来年度の予算では、特別養護老人ホームと老人保健施設というのはマイナス三十六億円です、保育所整備も七億円です、どんどん削られている、こういう状況になっているということを本当に深刻に見て、私は国の政策の転換ということを考える必要があると思うんです。
あわせて、この矛盾というのはさらに広がっていく。今回、都市再生本部が第一次から第三次のプロジェクトを決定して、第三次プロジェクトの中に、兵庫県の尼崎臨海部の二十一世紀の森計画というのがこの計画の中に入りました。
この計画というのは、もともとはベイエリア法に基づく尼崎臨海西部再開発構想というのがあって、一九九五年の阪神大震災の直後に、兵庫県と尼崎市が神戸製鋼の跡地などを五百二十五億円で買い取って、震災復興臨海部西部拠点開発事業というふうにしたわけです。これは、七年間で、五十五・四ヘクタールで復興住宅など二千戸をつくるというニュータウン計画だったんです。
ところが、この計画が、九八年から土地区画整理事業が始まって、その事業費二百十三億円のうち百六十五億円を保留地処分の財源にした。予定では、二〇〇〇年からもう既に八十三億円の売却収入が入る予定だった。これは今の段階でも一円も入っていません。一切売れていないんです。地元では、千百億円、千三百億円という総事業費のめどが立たないという、そういうときに、突如昨年二月に兵庫県が尼崎二十一世紀の森構想というのを発表して、それが今回の都市再生プロジェクトに入っているわけです。
私は、地元の関係者から質問を受けました。自治体の被害を最小限にするためには、今ここで凍結するのが一番いい。しかし、今回、国のプロジェクトに指定されれば、自治体は財政的に恩恵を受けるのか、自治体の出費は少なくて済むんですか、こういう質問であります。
この質問に政府委員からお答えいただきたいと思います。
○山本政府参考人 尼崎二十一世紀の森の件でございます。
計画されました地域のうち拠点開発地区につきましては、お話がありましたように、震災直後に、復興住宅を建設するということで事業を進めるという決定をしていたようでございますけれども、決定の変更につきましては、この計画が破綻したということではなくて、地元公共団体におかれまして、いろいろな情勢の変化を受けて判断されたというふうに私どもは聞いております。
尼崎二十一世紀の森につきましては、地方公共団体からの提案を受けまして、都市再生本部として、都市環境インフラの再生という観点からプロジェクト決定をしたものでございます。
これからの進め方でございますが、事業手法、それから事業の進め方を検討する……(大幡委員「自治体の負担はふえるのか、減るのか」と呼ぶ)これは、事業費の負担等のあり方について、これから検討するということになっております。
○大幡委員 はっきり言ってくださいよ。事業を進めれば、仮に補助金がついても、裏負担がつくわけだから自治体の持ち出しはさらにふえるわけですよ。つまり、国が補助するから途中でとめるなと。その結果、自治体の負担というのは膨らむ。
私はこの現地も行きましたよ。あの地域の整備は必要です。しかし、阪神大震災の被災地、兵庫県、それから神戸、西宮、尼崎も、やることには優先順位があるわけです。もっと、都市の市街地の整備あるいは被災者支援、そういうことに仕事を優先させるべきだと。そういうときに、おおよそ緊急性を持たない、しかも莫大な費用を伴うこういう計画をいわば国土交通省がよみがえらせて推進するというのは、私は率直に言って間違っているというふうに思います。
今回の都市再生の議論と計画について、結局、不良債権の処理をいかに進めるか、あるいはまたリストラと海外進出を進める大企業をいかに支援するか、さらに、大銀行やゼネコンを支援するために、中断しかかっているプロジェクトをいかに促進させるか、こういうところに目的がある、率直に言ってそういう疑念を抱かざるを得ないわけです。そして、そのツケが地方自治体に、結局住民の暮らし、福祉、医療に回されている。こんなことでは都市再生はあり得ないということを重ねて指摘をして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○久保委員長 保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
都市再生という、法律に都市再生という言葉が出てきているわけですけれども、都市に問題があるというのは論をまたないわけですが、扇大臣、どうでしょう、だれのための都市再生なんでしょうか、端的に。
○扇国務大臣 日本国民と日本国のためです。
○保坂委員 日本国民というのは、日本に住んでいる全部の人という意味なんでしょうか。私は、やはり都市に住んでいる住民ということが基本になろうかと思いますけれども。
それでは、国土交通省の方に伺いますが、今回の、例えば都市再生緊急整備地域、どういうイメージになっていくか。ポンチ絵を見ても、例えば高齢者や障害を持つ人や子供、また子連れで子育てをして暮らしているお母さん、親子、あるいはお父さんもいますけれども、こういう人たちにとって暮らしやすい町になるんでしょうか。これも短くお答えいただきたいと思います。
○扇国務大臣 そのための法案でございます。
○保坂委員 今度は国土交通省に聞きますね。
この公共施設の概念の中に、道路、公園、広場、ありますね。その他政令で、例えば下水道、緑地、河川、こういうふうに盛られていますけれども、例えば下水道なども、それがあるということで公共施設に包含されるというものなんですかね。
必要要件として道路、公園、広場のほかに下水道などもあって、それが公共施設であるという位置づけなのか、それとも、下水道だけあれば公共施設だ、こういう解釈なのか、お願いします。
○澤井政府参考人 ただいまの御指摘が、仮に特別措置法案二条の二項の定義のことであるとすれば、「「公共施設」とは、道路、公園、広場その他」云々とあります。これは公共施設一般の定義でございますので、それぞれの地域にとって新設あるいは増設をする必要がある公共施設が何であるかということとは一たん別の問題であることは当然でございます。
○保坂委員 ちょっとそのところを詰めたいのですけれども、ポンチ絵を見ると、これだけでもちょっと足らないとは思うのですが、公園の絵などが出てきていますよね。今のお答えだと、公園ができる場合もあるけれども、必ずしも公園とは限らなくて、わかりやすいのは、道路という場合、当然道路はありますよね、しかし、その道路と下水道ということで、公園は必ずしもなくても公共施設というふうに理解をする、そういう骨格になっているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○澤井政府参考人 一般の優良プロジェクトであれば、敷地内に相当広いオープンスペースが確保されると思います。それが広場あるいは公園ということになると思います。
それから、道路につきましても、これはかつて申し上げたことがございますが、大きなビルができる、足元には一定の空地ができるという以上に、そこに集中する交通がどのぐらいふえるだろうかということをプロジェクトの前に一応想定をいたしまして、例えば、区域の外の近隣の交差点にどのぐらい影響するだろうかということも想定しますし、また、地区内に入る車が駐車場に入るためにどのぐらい地区の外にほっておいたら迷惑をかけるだろうかというあたりをかなり詳細にいわば事前予測をしまして、例えば外の交差点の改良、一番簡易なものでいえば右折レーンをつくるとか、あるいは地下鉄の改良、あるいは地区内についていえば、駐車場の入り口をできるだけ表の道路から遠い反対側の裏の方につくりまして車の列が表に行かないようにするとか、そういったいろいろなことを個々の地区ごとにやっているというのが実態でございます。
○保坂委員 ちょっとその辺は答弁がずれちゃったですね。そういうことも議論したいんですが、私が聞いたのは、下水道ということが公共施設であるという、公園はない、道路と下水道だけというのでもオーケーかどうかというのを聞いた。ちょっとそれだけまず覚えておいてください。
次に、せっかくおっしゃったので、今おっしゃったような道路の車の通行の量の問題だとか排ガスだとか、それから、大きな建物ができればさまざまな影響が出てきますよね。マンション紛争が多発しています。私の地元の世田谷区でももう大変な問題になっています。住宅街にぽんと十階建てのマンションなんかできるというときに、やはり周辺の住民の声をいろいろ聞いて、説明会をやったり、あるいはさまざまな交渉をすることもあります。
今回の都市再生特別地区については、地方自治体の意見を聞くというのはあるんですけれども、事前に、これは計画の段階で周辺の住民が知らないとほとんど意見を言う機会もないと思うのですが、そういった手続や努力、あるいは環境アセスなど、どういう扱いに考えているんでしょうか。
○澤井政府参考人 都市再生特別地区という新しい都市計画を今回の特別措置法の中で設けようとしております。
これは都市計画でありますので、もちろん通常の都市計画と同様に、公聴会、説明会の開催、案の公告縦覧、意見書の提出、審議会への付議といった住民意見反映のための手続を経ることになります。また、都市再生緊急整備地域の中で定める都市計画ということで、地域整備方針に適合して定められる。地域整備方針を定めるに当たっては、公共団体とかなり緊密なやりとりをして方針が定められる。その方針に従って決められるという性格のものでございます。(保坂委員「一番目のもの、下水道」と呼ぶ)
公共施設の中で、もちろん下水道は非常に重要な公共施設であります。現在、例えば東京都で申しましても、かなりまだ余裕がある処理場が多いと聞いております。ただ、今後下水で処理すべき水量がふえるということで、それ相当の処理場が増設計画もあるが、今のところ直ちにオーバーフローする心配がある状況にはないというふうに聞いております。
○保坂委員 また話がずれちゃったんですが、要するに、公共施設であるということを位置づけるときに、公園、広場はわかりますね。ただ、下水道ということも、下水道が下にあるから公共施設であるというふうに今回は位置づけるんですかと、そう聞いているんです。それではお答えになっていないですよ、全然。
○澤井政府参考人 御質問をよく理解しないで申しわけありません。
この条文の書き方について言いますと、どれが重要でどれが重要でないという価値判断は全くありませんで、プロジェクトに付随する公共施設として、最も一般的な道路、公園、広場を代表の例示で挙げて、「その他政令で定める」という中で必要なものを全部定める、その中にもちろん下水道は入るということと……(保坂委員「下水道だけでもいいわけ」と呼ぶ)下水道だけでは多分ないと思います。ほかにもいろいろあると思いますけれども、それはきちんと必要なものを定めるということであります。
○保坂委員 ちょっとゆっくりしゃべりますから、質問をよく聞いてお答えいただきたいと思います。
扇大臣にちょっと伺いたいんですけれども、これは大きな仕掛けになっていますね。小泉改革の目玉として、小泉総理大臣が都市再生本部長。本部長でやるとすれば、かなりの規模のことを想定、都市再生本部ですから。ただ、つくりを見ると、単独の建物とか、つまり一個の、その敷地整備というものまで入っちゃっているんですね。これはちょっと、そこまで国が乗り出すというのは大がかり過ぎやしないかと。こういう提案で、何かがらっと変えよう、ある広さのエリアそのものをつくりかえるということならまだ議論できるのですが、一個の建物というところまで、そこまでやれるというふうにしているのはどういうわけなんでしょうか。
○扇国務大臣 そのポンチ絵で誤解があるのかもしれませんけれども、一つの建物だけという意味はございません。少なくとも一ヘクタール以上、そういう枠をはめようということでございますので。そういう一つのあれであれば、今までの国土交通省だけでも十分できる。今度は都市再生本部という、内閣直属で都市再生本部をつくった意味というのは、もっと大きなことと今先生おっしゃいました。そのとおりでございます。もっと大きなことでございます。
○保坂委員 続けて扇大臣に伺いますが、今回、ではこれをやろうということで、本部の方から指示があって、大臣のもとにおりてきますよね、案件が。その場合に大臣は、関係地方公共団体の声を聞いて、それに対して認定を三カ月以内に行うということが課せられています。この場合、これはだめよということはあり得るのですか、イエスとしか言えないんですか、どっちでしょう。
○扇国務大臣 私は、少なくとも地方自治団体、住民の皆さん方、地域の皆さん方の声を聞くということが原点でございますから、ひょっとしたらそういうことも、変更と。全部認定するかどうかの権限でございますから、そのときにそれを少し考え直さなきゃいけない案があるかないか。そのとおりに全部強制的にするということではないと思っております。
○保坂委員 これは、そのとおりぜひしていただきたいと思います。イエスと言うだけでしたら単なる通過儀礼に終わってしまいます。
そこで、この都市再生が小泉内閣の目玉ということで紹介されているのですけれども、これは民間事業者にこの事業を託していくということが今回可能になるわけですね。その場合に、民間事業者には、つまりこの都市再生という、言葉がいいか悪いかは別にして、高い公益性を伴う、町そのものをつくりかえるという事業の内容なのでありますから、その企業の過去の実績等を精査して、この民間事業者にその資格があるやなしやという、公益性を担うに足る民間事業者なのかどうかということを審査する必要があろうかと思います。
その場合に、例えば債権放棄などで、不良債権、しりぬぐいをもう既にしていますよという企業などは排除されるべきではないかと私は思いますが、大臣、いかがでしょう。
○扇国務大臣 それは、今回の法律を施行する場合のみならず、今の公共事業そのものに対しても、今保坂委員がおっしゃるように、私は、債権放棄あるいは少なくとも更生法に申請をしたところはランクづけも見直すべきであると通達をしておりますので、今回の法律の中の枠だけではなくて、国土交通省の公共事業全体の入札資格というものも私は見直して当然だろうと思っています。
○保坂委員 それでは、都市再開発の関係に行きたいと思いますけれども、今回、この都市再生の方も大きな影響がありますが、割かし、私も東京・世田谷が地元なものですから、確かに狭隘で非常に立て込んだところが多いですよ。そして、再開発の話はあちこちにバブル時代にあって、また、今、とまっていたりとか、ちょっとくすぶっていたりとか、たくさんあるのですね。
さてそこで、今回の法案を読んでみて大変懸念をしていることがあるのですね。これは、今回、民間の事業者が、つまり会社ですね、ディベロッパーだったり流通業者だったりあるいは量販店だったり、その土地を持っているところが再開発会社を設立して収用権を発揮することができるという構成になっています。
そこで、法務省に来ていただいているので、ちょっと法務省の民事局に伺いますが、この法律のというのじゃなくて、これまでの再開発をめぐる紛争等の係争案件やトラブルの際に、住民の財産権、環境権、生活権などがどのように守られてきたのか、その原則ですね、これはどのように法律上位置づけられてきたのかということについて、基本の話をちょっとしていただけないかなと。民事局長、いかがですか。
○房村政府参考人 突然のお尋ねで、どうお答えしていいかちょっとあれなんですが、都市開発事業等公益目的に従って私人の権利に変更を加えるようなものについては、その手続内において当然関係者の意見を聞くという手続的保障がなされておりますし、また、脱退あるいはとどまるというような選択を認めるというような形で、それぞれの関与者の権利保護を図る手続的な規定が整備されているというぐあいに私どもとしては承知しております。
また、それをめぐって、いずれにしても権利の変更等を来す事柄でありますので、紛争が起きる場合もあるわけですが、これは、その手続内での解決ができなければ、最終的には裁判所において関係法規を判断して適切な解決がなされているというぐあいに承知しております。
○保坂委員 では、国土交通省の方に伺いますが、例えば企業にもたくさんあって、十年前に、そごうといえば、それこそ民都機構も土地を買ったぐらいですから、押せ押せの拡大路線で、そして相当大規模なデパートということで各地に出店をしていましたよね。そういった企業が、そごうはありませんけれども、みずからの土地にくっつけてこの再開発を企画する場合に、例えば隣の土地は全部しもた屋だったと。そこには、江戸時代から続いた呉服屋があったりとか、あるいは履物屋があったり、先祖代々ここで商売をしてきたという人たちがいたり、あるいはバブル崩壊後のこの苦しい時代を何とか耐え抜いて、今回四階建て、五階建てぐらいのビルを建てて生涯の勝負をかけたい、こういういろいろな一つの暮らしがあるわけですよ。
これまでだと、例えば三十人の地権者がいたら、その三十人のうち十人がいや困ると言っていれば、それはなかなかまとまらないわという話になっていたのですが、今回は、三十人のうち二十一人がいいよと言えば収用手続に入れるわけです。そういうことですね。
さて、では、このディベロッパーや事業の公益性というのは、だれが、いつ、どこで、どのように判断するのですか。どうでしょう。これは重大な問題だと思うのです。
○澤井政府参考人 二種事業の問題でございますが、一種事業と二種事業の違いは、御承知と思うのですけれども、一種事業は、いわば施行主体が土地を買う必要がない、買わなくて、権利を一遍に変換処理をして、その上で家を壊して新しい整備をする。二種事業は、一遍に権利変換処理をせずに、段階的に買って、買えたところについて建物を建てて、そこに権利者を収容していく。
共通していることは幾つかございまして、法律上の名称は違いますが、そこに残りたい権利者は全部残れる、出たい人はもちろん外に出られるということが一つ。
それから、事業に反対している人についても、第一種の権利変換方式でも第二種の買収方式でも強制力が働く。二種の場合の強制力は収用ということになるものですから、いろいろと御議論があるのかもしれませんが、収用でも権利変換処分でも、反対者が意思に反して受ける強制力は、最後は行政代執行ということで全く同じですし、それに至る要件、これは、まず再開発会社は一種事業も二種事業もできることにこの法案ではしております。
それから、従来の一種事業をやっている組合、これも設立要件が、人数と面積の三分の二以上の地権者で設立できます。残りの人は反対をしていても強制的に組合に入ります。再開発会社の場合も、権利変換処分とか事業認可をするときには同じ要件がかかっております。したがって、そういう意味でも、どちらがより軽い手続で強制ができるというものではないと思っております。
○保坂委員 ちょっと時間がなくなってきたので、本当はもっと議論したいのですけれども、例えば十年前のそごうが、出店をするというときに、ある程度公益性を主張できたかもしれない。しかし、出店そのものが、最終的には背任等で刑事訴追を受けるような事態、果たしてそういう開発が根拠あるものだったのかどうかというようなことは、時代を追ってわかってきたことがあるのですね。そういうことをきちっと審査する仕組みを持つべきだということを指摘しておきます。
次に、両法案とも民都機構にかなり大きな役割が与えられています。
民都機構には、政府保証で一兆五千億円の枠から、これは国土交通省の資料によると、平成十三年度末で二百二件、三百二十五ヘクタール、九千三百十億円ということですが、きのういただいた資料では二百四件にふえているようですね。ところが、九十一件が更地のままにまだ放置されていますね。例えば第一号の、ハザマから購入した青山二丁目の土地は八年、きのうもらった資料でも空白のままです。空白のところを数えてみると九十一個あるのですね、更地のままというのが九十一個ある。
一応、その決算をいただいてちょっと眺めてみましたら、推進会計の業務勘定というところで、政府保証の借入金が九千二十四億円。都市開発資金融通特別会計、こういうのがあったのですね、ここから千九十七億円。これは足してみると一兆一千億ですか、もう既にこのぐらいの負債を持ちながら、土地の担保があるというふうにおっしゃっているのですけれども、土地は御存じのように下がっているわけです。一体、これはどうなるんだろうか。
例えば、買った物件の中には先ほど出しましたそごうの神戸の敷地、これも入っています。それから、長銀、日債銀あるいはその子会社のものも入っています。会社自体が何をやっているかわからないという土地も、さっきお聞きしたらあるようですね。そういう土地を抱えて、最後にこれはどうなるのかという重大な懸念を持ちますね。
毎年支払っている金利はどのぐらいなんですか。それはすぐお答えできますよね、金利。その資金の手当てをどうしているのか。出ないですか。では、ちょっと調べておいてください。
次の質問で、私は、どのぐらい買い取っているのかな、全部出してもらっても大変なので、ベスト三十を出してもらおうと思ったのですよ。要するに、一番高く買った土地が一位で、二、三、四、五、三十まで出してくれということで持ってきてもらったのですが、二百、全部あったので、これはすばらしい、情報公開が進んだなと思って喜んだのですが、朝、ちょっと寝ぼけていたのか、金額が書いてないことに気がつかなかったのですね、受け取ったとき。金額がないのですよ、これ。これはどうして金額がないのですか。こんなことってあり得るのですか、政府保証で土地を買っていて金額がないなんて。
○澤井政府参考人 民都機構による土地の取得価格につきましては、取得相手方の資金事情その他の経営上の重要情報が明らかになるなど法人等の正当な利益を害するおそれがあるため、慎重に扱われるべき問題であり、非公開としております。
なお、本年二月に出されました情報公開審査会の答申におきましても、民都機構による土地の取得価格につきましては、法第五条の不開示情報とされたところであります。
○保坂委員 委員長、ぜひ委員会としてこれを議論してほしいのですが、これはないぞというふうに私は思いますよね。だって、一兆五千億の政府保証ですよ。その政府の保証で銀行から金を借りて、いわば土地を買ってあげているわけですね。それは、まさに我々の、国民の税金で最後はどうするかという問題ですから、これはぜひ公表すべきだと思います。
それから、実は、見たら金額がないだけじゃないのですね。驚いたのは、土地をどこから買ったのかというのも、二百件のうち三十社が空白なんですよ。扇大臣、空白なんです。これは驚いちゃうんですね。どこから買ったのかも明かしておらぬのですね。その明かしていないものの中に倒産した会社もあるっていうんだよ。そんなのは、ちょっとこの時代に許されないのじゃないですか。
○澤井政府参考人 結論的に申しますと、これからはすべて、取得相手方については公開するという方向で措置をしたいと思っています。
経緯を一言だけ申しますと、平成十年までに取得した土地につきましては、相手方から買うときに、取得の相手方として公表しますということについて同意を得たものについてのみ公表していました。平成十一年以降は、ある意味では、すべてそういうことを前提として取得しています。したがって、十一年度以降、取得案件についてはすべて公表しています。
現在やっております作業は、十年以前の取得案件で公表に同意をしていない取得先についても、こういう時代ですからよろしいですねという改めて御了解をいただいた上で、何とか公表するようにしたいという努力をしております。
○保坂委員 私が民間事業者の公益性というのをしつこく聞くのは、こういうことがあるんですよね。だって、民都機構から買ってもらったのでしょう。だけれども会社名を出してほしくないなどというのは、どういうことかと思うんですよね。
時間がないので伺います。一兆五千億、大変な金額ですよ。最後のツケは国民に回らないかと我々は監視していかなければいけないし、この懸念は随分あると思いますけれども、会長、理事長、理事のそれぞれの給料、そして退職金の基準について明かしてください。幾らもらっているのですか、大体。
○澤井政府参考人 基本的に民間都市開発推進機構の方で公表なさるべき事項だと思いますが、本日は、年収と退職金の平均についてのみ申し上げさせていただきたいと思います。
過去十年間の役員の退職金の平均は約一千五百万程度でございます。また、現在の役員の平均年収は約一千九百万円ほどでございます。
○保坂委員 扇大臣、いかがですか。私の資料要求に対しては、支払い退職金については個人のプライバシーなので非公開というお答えを持ってこられたんですよ。しかし、一兆五千億の政府保証をつけて、これからもこれは動くわけですから、これはやはり情報公開をきちっとしてほしいと思います。
私が今求めた、どの金額で買ったのかという問題が一つありますよね。それから、どこから買ったのかも明かされていない。そして、役員がどれだけの給料をもらって退職金をもらうのか、そのぐらいもう最低のイロハだと思いますが、いかがですか、大臣。
○扇国務大臣 失礼いたしました。私、資料提供で何が出ていたのかというのが私の手元に来ていなかったものですから、今盛んに拝見をさせていただいておりました。
少なくとも平成十一年以降は、買うときに相手に公表しますよということを言ってそれを明快にしておりますので、それ以前のことに関しては相手方のこともありという、そういう条件だったのだろうと思います、今拝見しまして。ですから、今局長が答えましたように、平成十一年以降はこれを公開しておりますので、先生の御懸念は今後なくなるというのが一点。
後の一点の給料の問題に関しましては、私は、これは公表しても差し支えないことだというふうに考えておりますので、前向きに今後検討させていただきたいと思っています。
○保坂委員 それでは委員長に要請したいんですけれども、ただいまの民都機構の、これだけ、二百四件買っています。幾らでどこから買ったのか、速やかに当委員会に提出をしていただきたいという点。
さらに、会長、理事長、理事、それぞれの役員の年収、給与、そして退職金、そちらの方も一覧表で、また天下り等ありましたら、そこの事項もつけて、これは基本的なことですから、委員会提出をお願いしたいと思います。
○久保委員長 今保坂委員からありました話につきましては、一つは、情報公開の方は、情報公開法等との関係もありますので、理事会でもってそこのところを精査した上で対応を協議したいと思います。
○保坂委員 それでは、終わらせていただきます。どうも。
○久保委員長 午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時一分休憩
――――◇―――――
午後三時開議
○久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
午前に引き続き、内閣提出、都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案の両案を議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、社団法人不動産協会理事長田中順一郎君、千葉大学工学部都市環境システム学科客員教授林泰義君及び特定非営利活動法人「東京ランポ」理事伊藤久雄君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。両案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
議事の順序でございますが、田中参考人、林参考人、伊藤参考人の順で、御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、御了承願います。
それでは、田中参考人にお願いをいたします。
○田中参考人 不動産協会の田中でございます。
オフィスビルとか住宅とか商業施設などの複合開発を初めとする都市開発にかかわる者といたしまして、主として都市再生特別措置法案に関しまして意見を述べさせていただきます。
この法案は、都市の魅力と国際競争力を高めるために、都市再生を強力に推進することを目的として、拠点地域に集中的、戦略的に民間の力を振り向ける特別の措置を講ずるという趣旨のものであると理解をいたしております。都市計画を白紙にして見直す地区の創設、民間からの都市計画の提案を生かす制度の導入、民都機構を通じた財政面での支援、許認可のスピードアップなど、我々民間事業者といたしましても、ぜひとも早期に実現していただきたいものであると考えている次第でございます。
私がまずもって申し上げたいのは、今日の国際的な都市間競争の激化、我が国経済の現状をかんがみまして、都市計画の理念について大胆な発想の転換をする、従来からの一律的な考え方を改めるということが求められている点でございます。これまでのような、徐々に都市化が進行していくときに、種々の開発をいかに抑制していくかというそういう考え方から、都市再生そのものを日本経済再生の強力なエンジンにするという考え方での視点に変えていく必要がある、こういうふうに思うわけでございます。
羽田空港の国際化あるいは三環状道路、情報インフラといった国際都市としての基本インフラ整備とともに、民間の活力と資金を導入し、しかもこれまでにないスピード感で、世界に誇り得る我が国の顔ともいうべき都市をつくり出す、そういう必要があろうかと存じます。
そうした新しい理念のもとに、明確な意思を持って、我が国の大都市の質をダイナミックに変えていくというような、目に見える形での都市再生こそが、我が国の経済発展のために欠かせないと考える次第でございます。
こうした理念を具現化した海外の事例といたしまして、ロンドン東部のドックランズ開発がございます。イギリス経済の衰退に危機感を募らせ、ロンドンがヨーロッパの金融の中心となることが自国の経済再生に不可欠であると判断したサッチャー政権によって創設されたエンタープライズゾーンと都市開発公社という、それまでの都市計画と全く異なる制度を活用して開発が推進されたのであります。
ロンドン市の持っていたさまざまな計画、開発許認可権、そういう権限を新たに創設した都市開発公社に移し、都市計画、土地の先行取得、基盤整備をこの公社が行うという中央集権的なスキームにより、極めて迅速に事業が遂行されたわけであります。そして、エンタープライズゾーンとしてエリア指定をすることにより、十年間限定で、進出企業に対する税制面の特典だとかあるいは建築許認可手続の簡素化といったインセンティブを付与して、民間投資を短期間に集中させることに成功しているわけでございます。
かつてのイギリスの衰退から今のイギリスの隆盛を見ると、夢のようであります。現在では、金融情報センターとマンション群を中心とした一大都市拠点が形成されております。好機を逃さず、時代の変化に迅速果敢に対応した再開発のモデルとして、世界じゅうから注目されるプロジェクトになっておるわけであります。同国の中核都市あるいはイギリス以外でも、アメリカやフランスにおきまして、特定エリアの開発者や進出企業にインセンティブを付与して、開発を促進しております。
私は、我が国においても、従来の規制の枠組みでは起こり得ない規模の民間投資を国内外から集中的に呼び込み、ビジネス、情報、国際交流、文化活動、そういうものの拠点と良質な住宅を整備するための手法として開発特区という考え方を導入したらよいのではないかと考えております。
例えば、重要な都市拠点となるべきエリアを三十ないし五十ヘクタールの面積を最低規模として、開発特区として指定をいたします。当該エリアについて、従来の開発規制などを一たん白紙にし、民間からのアイデアを生かして、そのエリアのビジョンと開発目的のためによりふさわしい基準を設けて、許認可手続を迅速に進める。また、基幹インフラなど基盤整備が必要な場合は、まずはその推進が前提となるのでありますから、他のエリアよりも優先的に整備をしていくということが必要になります。そうした意味から、公的セクターの役割が重要になりますので、地方自治体との関係を含め、中央政府がイニシアチブを発揮することが求められると思います。
想定されるエリアとしては、大規模遊休地の連担している京浜臨海部や、都心部の開発ポテンシャルが非常に高いエリアなどが考えられると思います。
都市再生特別措置法につきまして、今回審議されているこの法律も、目指す方向性は私の申し上げている開発特区の考え方と同一のものであると考えております。既存の都市計画にとらわれず、自由な発想で設計、プロジェクトの構築ができることによりまして、文化的施設など、事業採算のとれないような機能をも含めて、より付加価値の高い複合開発が可能となると存じます。また、スケジュールの短縮は、大規模開発に伴う開発リスクあるいは投資リスク、そういうものを低減する上で、極めて効果的であります。そして、今日、その国家的意義の極めて大きな都市再生という目的のために、その真価を発揮できるよう、戦略的に運用していくことが重要でございます。
都市再生特別地区に関しましても、都道府県が都市計画手続によって定めるという制度になっておりますので、画期的なスキームとして機能するよう、ぜひとも、運用に当たりまして、都市再生本部を初めとする中央政府と地方公共団体の連携を密にとっていただきたいと思います。
また、税制上の恩典も、開発促進のための重要なインセンティブになります。早急に検討を進めるべきであります。土地建物の取得時の流通税や保有時の固定資産税あるいは事業所税などの不動産の収益を左右する税の大幅な軽減あるいは進出企業に対する諸課税の特例など、期限を区切って、大胆に行うことが効果的と考えます。
また、基盤整備につきましては、先ほども申し上げましたとおり、公的セクターが積極的に推進していく必要があります。その役割を担う主体としては、国、地方公共団体のみならず、都市基盤整備公団なども考えられるというふうに思っております。
最後に繰り返しになりますが、我が国の経済再生と国際競争力強化のため、迅速なプロジェクト推進と内外からの多くの投資を集中させるという視点が極めて重要であるということを強調させていただきたいと存じます。
私の意見は以上でございます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○久保委員長 ありがとうございました。
次に、林参考人にお願いいたします。
○林参考人 私は、大学で都市の計画あるいはまちづくりということを教えております一方、仕事といたしまして、都市計画あるいはまちづくりのコンサルタントという職を長年やってまいりました。
また同時に、その仕事の中で、住民が主体となって取り組むまちづくりを住民とともに進めるという、かつては住民参加と言います、今は住民主体のというまちづくりを進めてまいりました。その過程で、アメリカ等の調査を通じてNPOの活動の現場を訪ねまして、七十以上に上るさまざまなNPO、あるいはそれを支援する組織体、あるいは各国の行政、政府というところを訪ねまして、さまざまな研究の蓄積もいたしました。
そういうこともありまして、私自身、NPOを地域で設立し、運営をするというふうなことをしております。
今回は、都市再生特別措置法案及びその関連法の改正ということでありますので、この問題について私がかかわりましたそういった知見から、あわせて意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
お手元に私のメモをお配りさせていただいておると思いますが、最初に、大きくは「目指すべき都市再生のあり方」ということについて五点挙げております。それから二番目に、「都市再生関連法案が開くものと改善を要する問題」ということについて、これもまた五点挙げております。これについて簡単に述べさせていただきたいと思います。
最初の「都市再生のあり方」ということで、冒頭に一として「状況認識について」、副題は「コミュニティの持続的発展を制度の目標とすべき時代の到来」ということを挙げております。
現代の状況を見ますと、一九七〇年代の英国病と言われたイギリスの状況、あるいは同じ時期に都市の荒廃とか経済不況に非常に悩んだアメリカの諸都市というものが抱えた状況と非常に似てきたのではないかというふうに思っております。
こういった状況に対して、英米両国では、政府による都市開発ということによって対応しようということを一九五〇年代以降続けておりましたが、これは行き詰まって、七〇年代以降は民間それから行政の共同による、パートナーシップによる開発ということを進めましたが、これも挫折をしたという歴史がありまして、その結果、そういったことからの教訓というのは、都市の荒廃地域あるいは都市の再生のためには、地域のコミュニティーが主体的に取り組むということを支えていくということを一つベースにした上で、初めて大規模な都市開発その他も生きてくるというようなことが学び取られたわけであります。
こういったことから、さまざまなまちづくりのNPOの登場というようなことがあったわけでありまして、現在、日本では、ここ五、六年の間に極めて急速に犯罪の増加がある、この六年ぐらいで犯罪が二倍を超えるスピードでふえているというような統計も最近あります。そういったことが、実は日本のコミュニティーが非常に危機に瀕している、その問題が都市再生と非常に深くかかわっているというこの認識が非常に重要ではないかというふうに私は思っております。そういう意味で、再生の主役というのは、ハードな都市開発というよりは、ソフトな社会システムを構築するということが非常に重要ではないかというふうに基本的に考えております。
その問題は、二番目の「都市経済の再生」ということにつきましても、大規模な都市開発ということにも期待がかかりますが、しかし、極めて中小規模の開発、修復あるいは保全といった活動、これが市街地を再生させ、都市の経済のマーケットを再生させるベースになるということを申し上げたいと思います。
三番目には、市民セクターの発意と活動の育成ということに重点を置くべきではないかということであります。
レーガン、サッチャーに代表される市場主義ということ、あるいは小さな政府というものも、八〇年代、大いに成果を上げたわけでありますが、同時に、社会的な分裂でありますとか格差の拡大ということをもたらして、その後、特に市民セクターの重要性ということが非常に認識されるようになりました。この点をやはり我々としても重点を置いて考えるべきではないかというふうに思っております。
四番目は「都市における主体・活動の多様性」ということでありまして、これは、日本の都市が非常に多様な市街地の状況、同じ東京であっても実にさまざまな地域から成り立つということのよさ、これを評価すべきではないか。
五番目には、今回の都市再生では超高層プラスオープンスペース型の都市像というのがほとんど将来イメージを覆い尽くしているのではないかというふうに感じられるわけですが、都市というのは、もっと多様な空間、多様な文化、多様な人間の集まり、そういうものがあって初めて魅力を持つという、そういった都市像を考える必要がある、このように思っております。
大きな二番目で、この関連法が開いたもの、それに改善を要する問題ということについて触れさせていただきたいと思います。
一番目は「コミュニティ主体の取り組みを支える仕組み」ということで、今回、まちづくりに関する都市計画提案制度の創設ということが、本日の二法案ではありませんが、建築基準法等の一部を改正する法律ということで制度化されるということでありまして、このことは、今申し上げた趣旨に照らして大変重要なことではないかというふうに思っております。
都市再生特別措置法では、住民の参加とかあるいはそのプロセスにおける公開性等について特に記されているというふうにはなっておらないわけでありますが、これは、むしろ都市計画法の仕組みによって補っていくというようなことも考えていくべきではないかというふうに思っております。
二番目は、再生特別措置法の中の緊急整備地域あるいは都市再生特別地区の選定とか手続の公開性、透明性ということが非常に重要ではないかというふうに思っております。
これは、現在、あらゆる主体の間の相互の信頼ということが極めて危機に瀕している状況であります。これは政治的、経済的、あるいは社会的に共通する問題であると思います。
そういう意味で、公開とかあるいは参加ということも含めて、社会的な信頼を十分得るようにしていくということが非常に重要ではないかということで、三番目の「住民参加を積極的に進める」という趣旨も、そういったことからここに挙げております。
四番目は、「住民参加の積極的評価」ということについては、ぜひこれをよく認識していただきたいというふうに思います。
ここにはさまざまプラスの面があることを記しておりますが、私どもの経験におきましても、住民参加というのは決して時間をたくさんとるというようなものではない。むしろ、一堂にさまざまな主体が会するということによって得られる情報とかお互いの関係の醸成ということから、全体のプロセスは非常に円滑に進むというふうに考えているわけであります。事実としても、私はさまざまな現場でそれを体験しているわけであります。
そういったわけで、どうも、えてして住民参加というのは今回のスピードアップをしなきゃいかぬという思いの中で邪魔者扱いをされているんではないかというふうに思いますが、実は、相互の信頼を確保しつつ社会的なコンセンサスを生み出すということによって、全体のスピードが上がっていくという結果になるというふうに期待しております。
最後に、五番目として、再開発事業の民間事業者への施行権限付与につきましても、同様な趣旨で、公平かつ公開の手順を通じて、さまざまな市民の意見を反映しつつこれが行われるということが極めて重要ではないかということを申し上げたいということで書き記しております。
以上、私の最初の意見ということで述べさせていただきました。どうもありがとうございました。(拍手)
○久保委員長 ありがとうございました。
次に、伊藤参考人にお願いいたします。
○伊藤参考人 伊藤と申します。
「東京ランポ」の理事を務めておりますけれども、ランポといいますのは、ローカルアクション・ノンプロフィット・オーガニゼーションの頭文字をとったものでございまして、地域におきますまちづくりの支援であるとか、あるいはまちづくりの政策提言等々を目的としましてつくっておりますNPOでございます。
私は、本日、花粉症でのどの調子が悪いものですから、お手元に私の発言の内容を配付させていただいておりますので、お聞き苦しい点は御容赦をいただきたいと思います。
私は、大きく分けて三点、私の意見を申し述べたいと思います。
一つ目は、現在は関連二法案ということでこの場で審議がされているわけでありますけれども、私は、まだ審議入りしてはおりませんけれども、建築基準法等一部改正案も含めまして、関連三法案としてぜひ審議すべきだというふうに考えております。
したがいまして、先ほど配られました本委員会の日程を見ますと、最後に採決ということも予定されているようでありますけれども、ぜひ今国会の会期末まで、できればぎりぎり慎重かつ十分な審議を行っていただきますよう要望をしたいというふうに思っております。
その理由は二つであります。
一つは、三つの関連法案は、これまでの都市計画のあり方や、それからまちづくりの枠組みを大きく変えるものでありまして、率直に申し上げれば、民間開発業者の意向を強く反映したものだというふうに考えております。
たくさんございますけれども、例を挙げますと、例えば、都市再生特別措置法案で提案されております都市再生特別地区、それがその象徴だと思うわけでありますけれども、そのほかにも、都市再開発法改正案におきます民間開発業者を第二種市街地再開発事業の施行者に追加する、これは民間開発業者に土地の収用権を付与するということにつながるわけであります。そのほかにも、建築基準法改正案では、現在の許可制度から、総合設計制度を建築確認制度に変えていく、その他大幅な規制緩和が提案されているわけであります。
第二点目は、都市再生というからには、現在の東京などの問題点に対するコンセンサス、あるいはあるべき都市像に対するコンセンサスが必要だと思いますけれども、それらが十分だとは言いがたい、さまざまな意見が混在しているのが現状だというふうに思うからであります。
大きな二点目は、法案上程までの手続に不備があるのではないかということでございまして、これは、実は前回、二〇〇〇年の都市計画法の改正では、当時の建設省に置かれました都市計画中央審議会で都市計画制度見直しに関する中間のまとめが出されたわけでありますけれども、これに対するパブリックコメントの手続が行われました。
しかし、今回、国土交通省社会基盤整備審議会都市計画分科会で本法案に関連する審議が行われましたけれども、残念ながら、パブリックコメントの手続は実施されておりません。また、同審議会には建築分科会もございまして、関連する審議が行われてきましたけれども、この議論もパブリックコメントの手続は行われておりません。
パブリックコメントの手続も、現状ではさまざま問題点があるわけでありますけれども、例えば交通バリアフリー法の成立後に実施されました移動円滑化基準などにつきましては、障害者の皆さんや障害者団体の皆さんの意見を十分反映して原案をかなり大幅に修正をする、そういう評価も受けているわけでありまして、私は、今回なぜパブリックコメントの手続が行われなかったのか、大いに疑問を持っております。
恐らくこれは、あえて申し上げますけれども、小泉内閣の重要政策としてこの関連二法案の成立を急いでいる、そういう事情があるからだというふうに私は考えるわけでございます。
三点目は、地方分権の流れに逆行して、そして地域主体のまちづくりを阻害するものであるということでございます。
この間、都市計画法の改正はさまざま行われてまいりましたけれども、例えば二〇〇〇年の都市計画法の改正では、これはさまざまな意見があるわけでございますけれども、例えば都市計画決定手続を自治体の条例で付加できるとした点など、私は評価できる点が多々あったというふうに考えております。しかし、今回の都市再生特別措置法案は、こういった地方分権の流れに逆行するものだというふうに私は断言しなければならないというふうに考えております。
現行の都市計画法は、その第二十二条で、国土交通大臣が定める都市計画を規定しております。それは二つ以上の都府県にまたがる都市計画であるわけでありますけれども、今日まで、それは一度も発動されたことはないというふうに思います。
確かに、都市再生特別措置法案におきます都市再生特別地区の決定は都道府県知事になっております。しかし、都市再生基本方針を国が定める、あるいは都市再生緊急整備地域の指定を政令で行う、これは国が行うということになるわけでありますから、都市計画決定を国が行うということとほとんど変わりがないというふうに私は率直に思います。このことは極めて重大な国の関与であると言わざるを得ないわけであります。
二点目は、この関連法案が施行されますと、現在各地で頻発しておりますマンション紛争が一層激化するということを懸念しております。現在、マンション紛争の原因はさまざまあると思いますけれども、私は、NPOの観点からは三つ指摘をしておきたいと思います。
一つは、建築確認の問題でありまして、自治体でさまざまな条例をつくったり開発要綱をつくったりして規制をしようとしているわけでありますけれども、現在は、法に委任されました条例以外は建築確認の審査の対象にできない、こういう運用がされておりまして、自治体の努力がなかなか実を結んでおりません。
二つ目は、総合設計の問題でございまして、この制度によって、地域で生活する市民が自分で考えている以上の高さの建物ができるということが、地域で暮らしている市民からは大変大きな問題になる。
三点目は、開発する土地あるいはその土地の権利者だけが重視されまして、その周辺地域に対する影響を考慮することが少ない。国は環境影響評価法、あるいは都道府県でも環境影響評価に関する条例を持つところが多いわけでありますけれども、しかし、評価対象の条件だとか、それから周辺の市民の意見を反映する仕組みなどにさまざまな問題点があります。
以上申し上げましたように、都市再生特別措置法案を初めとする関連三法案は、このような現状の問題を解決するのではなくて、より一層、市民の間、あるいは市民と開発業者の間の紛争を助長するものにつながりかねないということを懸念いたします。
以上、私の意見を申し述べましたけれども、結論を繰り返しますが、この委員会で審議されております二つの法案につきましては、私は率直に申し上げて、廃案にすることが最善の選択だというふうに考えております。少なくとも、パブリックコメントが実施されなかった事情も勘案いたしまして、ぜひとも、本日採決するのではなくて、引き続きこの委員会で十分な審議が行われることを要望いたしまして、意見を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○久保委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○久保委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本和那君。
○松本(和)委員 自民党の松本でございます。
きょう、参考人の皆さん方には大変お忙しい中を御出席賜りまして、また御高説を拝聴いたしまして、大変勉強になる次第であります。時間が限られておりますので、数点について重点的に御質問したいというふうに思います。
まず、田中参考人にお尋ね申し上げるのでありますけれども、今、英国のロンドンのドックランズ地域、特定地域に絞り込んで思い切った開発が行われてきた、これが非常に参考になると。今回の都市再生も重点地区、参考人は三十、四十の地区をつくってというお話がございましたが、この場合に、後ほど林参考人にもお尋ねして比較をさせていただきたいんですが、第二種市街地開発事業への民間の権限の付与という問題もございますので、その点も後ほどお尋ねしたいと思います。
この特例区を開発するに当たっては、やはり相当思い切った権限というもの、極端な言い方をしますと、私は、収用ではなかなか日本の場合は非常に難しい、成田空港の例もありますように。戦後五十数年、みんな日本人は、民主主義の名のもとに、私の利益とそれから公の利益というものの調整をほとんどやってこなかった。それから、何かやろうと思いましても、反対や違ったあれがありますと先延ばしにしてきた。それは、ここの開発一つではなくて、経済も政治も大体そういうことが言えるんだろうと思います。その結果、今日のいろいろな意味でもっての閉塞感にぶち当たってしまっているんだろうと思います。
私は、この英国の例を見ますと、やはり私の利益と公の利益の調整というものを、英国は緩やかな私権の制限ということをやってきたのではないかという気がいたしますので、その点について、ひとつ田中参考人に、もしおわかりならば教えていただきたいと思います。
○田中参考人 思い切った権限を持って特別区をやっていけというようなお話でございますが、土地基本法という法律がございますが、この中で、土地は何のために、だれのために、どういうふうに使うんだという基本的な理念が述べられておりますが、まず公共のために使うということが出ております。それから利用を優先する、それから負担の公平さ、それから投機のようなことは禁ずるというようなことが書いてありまして、これが土地基本法の四原則でございます。
それからいいますと、やはり何のためにやるのか、国民全部のためにやる、要するに公のために、公共のためにやるものなのか、あるいは私のためにやるものかというあたりをよく見ていただいて、やはり土地基本法にうたわれているような土地の使い方をするには、官民ともにどういうふうなあり方でやっていくべきなのかということを考えるべきではなかろうかというふうに考えております。
○松本(和)委員 ありがとうございました。
次に、同じ問題で林参考人にお尋ねしたいんですが、参考人は、先ほどの説明でもまた論述でも、第二種市街地開発事業への民間事業者の権限の付与ということ、これは収用だ、収用権限を与えることを意味するということをお話しされておりますけれども、この場合に、考え方の中に、特別都市再生区に限るとか、あるいは不服審査制度を設けるべきだとか、あるいは行政訴訟の道を開くべきだというようなお話がございましたが、ここら辺についてちょっと簡単に御説明願いたいと思います。
○林参考人 これは、この法律の中に、収用の権限を自動的に一般の民間企業にも付与するというふうにはしないという、例えばそういう制限が課せられているというような構造であれば、私どもは余り心配をしないというふうに思っております。
ただ、そのことがどこにも書いてございませんものですから、これは先ほど来申し上げておりますように、地権者が直接に自分の生活にかかわる重要な事態でありますので、それに対応したできるだけ十分な手続を講じるようにしていかないといけないのではないかということであります。以上のような趣旨で、このことを示しました。
○松本(和)委員 今の考え方ですと、かなり開発には、今まで私と公という考え方に関しては日本人は非常に調整しなかったわけですから、何らかの意味でもってやはりお互いが歩み寄るような形のもののシステムをつくるべきという、私もそういう考え方ですので大変参考になります。ぜひそういう形でのこれからの都市再生というものを考えていっていただきたいことを、また民間業者でもあります田中参考人にもひとつお願いを申し上げたいということなんですが。
そこで、次の点で、林参考人が、超高層ビル、超高層開発、これはプラスオープンスペース型の都市像に偏らないよう、多様化した形のものをつくり上げるべきだというお話がございました。私もそうだとは思うんですが、田中参考人にお聞きしたいんですが、現在、田中参考人の企業がおやりになっている、例えば佃のリバーシティを初めいろいろな都市部の再開発事業を国としても大変助かる事業だというふうに考えておりますけれども、この論点からいきますと、やはり超高層プラスオープンスペースという形について、私は、分譲の形でもって非常に三井不動産関係の企業はすばらしいコミュニティーを、地域をつくっていると思うんです。
ところが、今林参考人のおっしゃるように、どうも都市再生イコール経済再生ということになりますと、効率だけ追いかけるという形の方が先に出がちでございますから、やはり民間企業に力を与えると同時に、こういった考え方というものを今後ともきちっと定着させていくためには、まあ田中参考人と両方に、田中参考人の方は、都心部において居住中心型のまちづくりを進めるということで今おやりになっていると思うんですね。この両者のひとつお考え方を、まず田中参考人の方からお伺いしたいと思うんです。
○田中参考人 ちょっとよくおっしゃる意味がわからなかったのでございますけれども、いずれにいたしましても、都心部の再開発ということになりますと、住宅のみならず、オフィスであるとか、商業施設であるとか、あるいはホテルであるとか、その他のいろいろな都市に必要な機能が集積されて、ミックスドユースといいますが、複合機能で面的な環境創造型の開発がされるわけでございます。
小さな面積で単に超高層を建てますとそういった環境創造ができないわけでありまして、かなりの大きさの面の開発が行われることによって、緑の空間が生まれるとか、あるいはさまざまな施設が一緒に入ることができるとか、働いている女の人も託児所とかそういう施設があれば安心して働きに出られるといったようなさまざまな都市施設を複合して私たちはつくっていきたい、こういうふうに考えておりますので、必ずしもその場所に超高層だけを一本建てればいいという考え方ではなくて、全体の環境創造をしていくというつくり方でやっているつもりでございます。
○林参考人 私が申し上げましたのは、今田中参考人お話しのような非常に行き届いた環境創造ということができますと、それはそれなりのよい空間ができるというふうに期待できるわけですが、同時に、これはかなり大きな面積で成立するというお話がありました。
都市の再生においては、小さな単位で再生するという方法も極めて重要だ。これは今、神田で、例えばとしまち研究会というところの杉山さんなんかは、もうじきでき上がるというお話ですが、約六十億ぐらいの単位の建物ですが、中にコーポラティブ型の住宅も入れた、そういう開発を進めるということをやっておられる。むしろ杉山さんは、それを単位として、十億ぐらいの単位でもう少しきめ細かくやっていきたいというお話がある。その意味は、地上面のにぎわいというのをつくるのに非常に重要だということであります。
オープンスペースも非常に結構なんですが、場合によると、最近の治安の悪化からすると、夜間、女性なぞはなかなかそのオープンスペースの中を歩くのは恐ろしいという状況が実は身近に発生するというようなこともあって、できるだけ地上ににぎわい、人がいるということが大切だということでありまして、その点を大いに考えなきゃいかぬ。
これは何も日本だけではなくて、カリフォルニア等で九〇年代、特にニューアーバニズムという言い方で出てきた都市の考え方は、できるだけ地上面に人がたくさん発生するような建築の建て方とか都市のつくり方をしたいということでありますので、そういった面も含めて、両々相まってよい都市ができるのではないかということを申し上げたいということであります。
○松本(和)委員 ありがとうございました。
両方相まってという言葉が最後に出ましたけれども、私は、都市再生というのはスピードと組み合わせだというふうに考えておりまして、とにかくスピード感を持ってやっていかなければなかなかいい形のものはできない。と同時に、先般も質問で申し上げたんですが、やはり今、デジタル化社会でありますけれども、アナログ的な部面も非常に大事だ。ですから、経済効率一辺倒を追いかけるだけではなくて、やはり人間がそこで安らぐ、心地よい地域をつくるという。
たまたま今、地上のにぎわいというお話がございましたが、日本にはなかなか、街区を狭く設定してきた形の中でのまちづくりをやってきた嫌いがありますので、交通手段だって余りうまく機能しない。
ですから、コンパクトシティーというようなものを、形を決めて、その中に公共施設あるいは娯楽施設、それからショッピング施設というようなものをつくり上げて、なるべくコンパクトにつくり上げる、こういった形のものが非常に大事になってくるだろうと思います。ひとつそういう意味でもって、それぞれ参考人の皆さん方の御高説を賜りながら、また御指導をいただきながら委員会としても、いろいろな意味でも参考にしながら進めていくべきだというふうに考えております。
以上です。ありがとうございました。
○久保委員長 古賀一成君。
○古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。委員長には、正しく呼んでいただいてありがとうございます。
実は、先ほど伊藤参考人の方から、もっと長く、慎重にというふうな話がございましたけれども、日切れ法案ということで、実はきょう、この後採決ということになると思うんですが、我々民主党としては、民間の創意工夫を生かす法律なんだというようなことで、何としてでもやはりまちづくりに関与しておられる民間の方々、あるいは実際にこれを担うであろう民間事業者の方の意見を聞かずしてこの法律はあり得ないということで、実は理事会で重々協議をいたしまして、本当にタイトな日程の中来ていただいた、我々もこれを開いたということでございます。本当を言うと、今も、先ほど議論していましたけれども、本当に、十分ぐらいじゃなくて、もっと皆様方にしっかりとたくさんお話を聞きたいなと思ったんですが、時間の制約がございますからしようがありません。
そういうことで、わずかな時間でございますけれども、この法の運用の話も含めましてお聞きをしたいと思います。
私自身は、お三方からお話がございまして、私もなるほどなとそれぞれ思いながら聞きました。私も、この法案を勉強する中で、建築基準法の一部改正、今後出てきますけれども、それとあわせて考えると、都市計画に新しい道が開かれる、ある面では画期的だなと思いつつも、一方で、とりわけこの都市再生法の話を聞いていますと、大都市圏における大規模プロジェクトが大手事業者で行われて、ホテルができる、超高層業務ビルができるというようなイメージになりがちなので、その点大変心配もするんですね。
そういう中で、きょうは冒頭に、まず、大変大きく全国で都市開発をやっておられます田中参考人にお聞かせいただきたいのでありますけれども、この法律によって今後、まずお聞きしたいのは、先ほど言ったそういう懸念があるので、いわゆるホテル、業務ビルだけができていくというイメージが我々にある。ところが一方で、先ほど林参考人からありましたように、やはりこれからはコミュニティーというものを再生せずして都市はないんだという御指摘もありました。犯罪の話もありました。ディベロッパーとして、そういった人間の居住とかあるいは地域の連帯とか、私はこの前の質問で、高規格介護住宅というものを、これは再開発の一つの目標として組み込んでやるべきだ、こういう話もしたんですけれども、いわゆるディベロッパーとして、どういうイメージでそういうコミュニティーあるいはソフト、人間臭さといいますか、そういうものというのは事業として成立するのか。今後いろいろ予定があるんだと思いますけれども、これからのそういう大規模開発において、そういうものはどう位置づけて、商売になるのか、そこら辺、ひとつまずお聞きをいたしたいと思うんです。
○田中参考人 ただいまのお話、興味深く承ったんですけれども、まず最初に、この法律が出てきた背景というのは、都市再生を果たさなきゃならない、国家間の競争というのは都市間の競争である。その都市間の競争において、この十年以降、日本の都市は、アジアの都市に比較しても、シンガポールとか香港とかソウルとか、そういうところに比較してもかなり劣位に立っている。
住みやすい町だとか、働きやすい町であるとか、あるいは競争力のある町であるとか、いろいろな比較の仕方がございますが、もう既に二十位を超えているわけでありまして、首都圏東京というのは全然出てこないんですね。それがどんどん落ちていくことは日本の経済力そのものが落ちていくということでありまして、やはり競争力のある、魅力のある、生き生きとした都市を再現しなきゃならない、何としても再生しなきゃならないという危機感を我々は持っております。もちろん、お国も持っておられると思います。先生方も持っておられると思います。
そういう意味で、今度の法律の中に盛られているのは、非常に爆発的に、一挙に都市再生が進むようなインパクトを与えよう、こういうことだろうと思います。そして、投資がそこにばっと誘導されて投資が入ってきた、それも国の中だけじゃなくて外国からも入ってきた。日本はGDP比で一・五%ぐらいしか外国から入ってきていないんですね。アメリカやイギリスは三〇%入ってきているわけですね。ドイツは二〇%入ってきている。そういうことに対して、日本は全然入ってきていないわけです。都市に対してそういうものがどんどん入ってくるような、あそこの開発はどこそこの資本だ、あそこはどこぞの国の資本だと言われるぐらいに、どこの国に行ってもそうですから、そういう開発が行われてくると、ああ随分変わってきたな、すばらしいな、人、金、情報が集中し始めたな、それじゃ、あそこへ行って働きたいな、あそこへ行って住みたいな、そういう魅力のある町を同時につくっていくということが今度の都市再生という中で非常に大事なことではないかというふうに考えております。
それはそれといたしまして、先ほどおっしゃいましたような人間の住む町のコミュニティーをどういうふうにするかという問題について、実は我々も非常に深い関心を持っております。先ほどNPOの方もおっしゃっておられましたけれども、アメリカなんかの再開発の例を見ておりましても、かなりNPOはそれなりの役目を果たしておりますし、コラボレーションが非常にうまくいっておりますね。日本はまだそこまで行っておりません。行政と例えば我々のような企業が何か仕事をしようとしている、地元の人たちがいる、再開発のコーディネーターがいる、それからNPOの人たちがいる、そういう人たちがいかに町を活性化して生き生きとした町に、美しい町に、それでコミュニティーのある町に、犯罪のない町にどうやって育てていこうか、こういうことをみんなで話し合ってやっていくべきだろうと思います。
そういう意味では、日本はまだ財政的に国に全部おんぶしている状態でありますから、アメリカみたいに、州ごとの税制によって州ごとが物を考えていくというようなそういう地方分権がきちんとできれば、今度地方は、もらう金だけもらっておけば後は好きなことを言えばいいということじゃなくなってくるわけで、自分たちで必死になって工夫をして税金が集まるように、あるいは人が集まるように、町が栄えるようにしなきゃならない、そういうことが基本的にないところで、ない物ねだりをやってみてもしようがないと私は思います。そういう意味で、地方分権というのも都市再開発に非常に重要な問題だというふうに考えております。
以上です。
○古賀(一)委員 それでは、今後の課題として、私は、NPOの活躍ぶりというか、そういうものが当然建築基準法でもあるいはこの法律でも問題になってくると思うんですね。恐らく、今までのパラダイムといいますか構造ではなくて、NPOが発案をし、場合によっては調整にまで加わる。そこに、ディベロッパーとの本当に緊密な中に縦割りを超えていい町ができていく、場合によってはこの法律あるいは建築基準法でできてくる可能性もある。
ところが、NPOも、一部でまちづくりNPOは全国で立ち上がっていますし、活躍が始まったところなんですけれども、まだ我々にとってなじみがないわけですね。外国の例も含めまして、現在において、あるいは今後の可能性として、どうでしょうか、評価といいますか、それを林参考人に、ひとつ外国の例なんかも含めて、日本のNPOは今こういう状況で今後こういう可能性を持っているということを、御披露できるものがあれば、ぜひこの機会に御披瀝いただきたいと思うのです。
○林参考人 今のお話は私たちにとっては非常に重要な話でありまして、話し出すととまらないということになりかねませんが、私が九〇年代の初めにアメリカでずっと調べたものは、NPO教書というこんな厚い本ですが、これにまとめてお出ししまして、まちづくりのNPOがいかにアメリカで活躍しているかということについては、具体的なケースをたくさん入れてつぶさに御紹介をいたしました。
恐らくアメリカでは、都市再生ということで申しますと、一番中心的な活動をしているのはコミュニティー・ディベロプメント・コーポレーションと言っている、CDCと普通に言いますが、このNPOが約三千からあって、数え方によっては五千あるという人もいるんですが、これが年間、中低所得者用の住宅というものの経営と運営ということに非常に大きな役割を果たすということを軸にしながら、戸数で言うと、大体、中低所得者用住宅の四万ないし五万戸は供給するというぐらいになっているわけです。それに付随して、さまざまな社会的なサービス、福祉的な活動、教育、その他文化的な活動等もやっているということが衰退地域の再生の一つの大きな力になっているというふうに言われております。現場でも、その活動によって年々、例えばニューヨークのサウスブロンクスという、七〇年代には各大統領が必ずサウスブロンクスに立って、ここを都市荒廃からよみがえらせるなどという演説をしてテレビに報道されたというところですが、そこが物の見事に都市として再生しているという実態も見てまいりました。
それを支える仕組みというのは、現場のNPOに対して後方から支援する、インターミディアリーと言いますが、やはりNPOですね、これが一番全国的に言うと、例えばフォード財団がつくったLISC、ローカル・イニシアチブ・サポート・コーポレーションというのが一つの例ですが、そういうところを通じてかなり巨額な資金を援助するということをいたします。
こういった資金が動く背景には、社会的な資金をやはりNPOのそういったシステムを通じて流そうという意思と、それを支える税制があります。日本のNPO税制は極めて限定的でありまして、そういった社会的な資金の流れについての基本的な理解がないという状態であります。
しかし、そういうことを通じ、また投資税額控除を低所得者向け住宅に創設しNPOの活動を助けるというような仕組みがあったり、総合補助金の仕組みができたりというふうなことを、大体一九六〇年代の終わりから一九九〇年の初めまでのほぼ三十年の歳月をかけながら、行政と、それからNPOあるいは民間企業、それが協力してつくったんですね。
したがって、日本もNPO法ができたばかりですが、これを今後精力的に進めることによって非常に大きな力になるというふうに思っております。同様のことはイギリスも九〇年代に、ディベロプメントトラストという新しい、CDCと非常によく似ている活動をするものが発生して、この十年間で約三百に近い数に全国的にはふえました。そういうものが都市再生に非常に力になっているということでありまして、イギリスもチャリティーの仕組みが非常にしっかりしていて、寄附それから税制等もバックアップしているということであります。
そういった社会システムをどうつくるかということが一方あり、一方、熱意の方は、現場では皆さんNPOはあふれているという状態だと思います。
以上です。
○古賀(一)委員 私は、今後時代の流れとして、NPOが頑張っていく時代だろうと思うし、ここで逆に変な形になれば、やはり縦割りの役所任せがいいということにまた逆行しかねない。ある面では時代の端境期の、NPOにとっても、あるいはまちづくり、あるいは福祉もそうかもしれませんが、重要な時期なので、今後とも、NPOを指導しておられる立場から、頑張っていただければと思います。
そこで、あと五分ぐらいしかないのですが、再度、田中参考人そして伊藤参考人にもお聞きしたいのですが、まず田中参考人に。
先ほどお話聞きましても、あるいは大臣の御答弁を聞きましても、大都市ばかりという感じがしてならないのですね。ところが、地方都市、私も地方出身ですけれども、五万都市あるいは十万都市で、中心市街地が、本当に哀れと言っていい状況というものがもう当たり前になっています。シャッターが三分の一おりているとか、でも新しく建てかえようという気はさらさらない。息子は東京へ行って、今さらこの不況のときに、息子も帰ってこないこの商店街の私の家を改築して何になるか。そこに実は大変な問題があると思うのですが。
私は、むしろ五万都市とかそういうところでも、中心市街地のここで、もう八十年たったこの古い町を再開発して、むしろみんなのまちづくりのアイデアを出してもらおうじゃないか、都市計画も、では一回、この二ヘクタールをチャラにしていいよということがあり得ると思うのですね、現に幾つか私は思いつく都市があるのですが。
私は、そういう、地方都市こそむしろ、大東京で五カ所十カ所やるよりも、むしろそっちの方がはっきりと地方の住民に元気を与え、知恵さえ出せば町がよみがえるという面で、精神的な意味でも、国際競争力という面から見れば余り関係ないのかもしれないけれども、ただ、地方が元気を出せば、知恵を出せばよくなるという意味において、精神的な面で大変重要だと思うのですけれども、地方都市でのこういう手法の必要性というものをひとつ田中参考人、お考えございませんでしょうか。
○田中参考人 先ほど申し上げましたイギリスのエンタープライズゾーンというのは、実は、ドックランドから始まりましたけれども、それがどんどん地方都市に波及をしてまいりまして、今、二十幾つの都市でエンタープライズゾーンが採用されております。かほどさように、東京で、今度特別地域というようなところでの再生が順調に進めば、これは地方都市に当然その手法は移っていくだろうというふうに考えています。
それから、先ほど周辺の話が出ましたけれども、やはりそういうインパクトの高いゾーンが順調に開発が進んでまいりますと、非常に町並みも美しくなり、環境もよくなってくる。そういう状態だと、周辺もそれに引きずられて改良が加えられていくというふうになっていくんだろうというふうに思います。
それから、地震の問題が実は都市の問題では非常に大きいわけでありまして、例えば、東京のマンションの三分の一、それから二十三区でいうなら半分、約四千ヘクタールのうちの二千ヘクタールぐらいは旧耐震というものでございます。神戸の地震では、新耐震はほとんど被害がなかったのですけれども、旧耐震がみんなやられているわけです。
そういう意味で、やはりそういう町の安全とかいう問題に関しても、どんどんそういうものに置きかわっていくということが必要で、都市というのは、常に流動的に生まれ変わっていくということでありますので、機能的にも、新しい機能が入ってくればまた古い機能は更新されていくということになるんじゃないかと思います。
以上でございます。
○古賀(一)委員 最後に、あと二分残っていますので、せっかく伊藤参考人にも来ていただいておりますので、先生の方から、否定的な答えになるのかもしれませんが、せっかくですから御意見を賜りたいのです。
私自身は、この法律の立て方、いろいろ問題はあると思っています。しかしながら、基本的に言えば、縦割り行政がありまして、縦割り行政が時系列でずっといろいろな手続がこう並んでいるわけですね。それをクリアしないと次のステップに行けない、だから最終的にビジョンが描けない、そういう中に、実はまちづくりも置かれておったと思うのですね。
そういう面で、今回、民に、民間のそういう工夫ということを一つ原点に置けば、その時系列的な面でも、場合によってはもちろん縦割りの面でも、一つ知恵さえ出せば、いい知恵を出す土俵ができるという面では、私は大変持っていき方によっては、住民にとっても、あるいは住まれる人間にとっても、一つ道を開くものじゃないかという気がするのですが、そこら辺のところについて、再度、懸念というのがございましたら、ここがポイントだというのがございましたら、せっかくでございますから、ひとつ御意見を賜れればと思います。
○伊藤参考人 懸念ということでございますので、やはり私は今回の、とりわけ特別措置法の方は、国からといいますか上からの問題の立て方、それからまちづくりの手法だというふうに思っておりまして、先ほど来意見が出されておりますように、今後のまちづくりは、NPOが主体になって、そして市民同士の合意形成をどうやって図っていくか、そこがポイントだと思うわけです。
確かに、日本の場合には、現在まだまだ市民社会が成熟していないということもありまして、市民の間での合意形成のプロセスあるいはシステムも極めて不十分でありますけれども、しかし、これからのことを考えれば、そのことを抜きにはまちづくりは行えないというふうに思っておりまして、そこは一つのポイントです。
もう一つの懸念で申し上げれば、やはり今回の法律は大都市を重視した法律でございまして、例えば東京でも、これは東京都自身が言っているわけでありますけれども、二〇一五年からは東京都の人口は減少するということをいろいろなところで発表しております。
もし仮に、この法律で都心に大きなマンションがたくさんできて、都心回帰とか都心居住とか言われているわけでありますけれども、そういう形で都心に人口が集まれば、これは全国的な比較で言いますと、東京のひとり勝ち、そして東京の中で言えば都心のひとり勝ち、例えば多摩では既に人口が減少しているところもありますし、そういった全体のバランスを考えれば、先ほど古賀先生が言われたように、地方都市の再生も含めて、全国的なバランスで考えていくべきではないかというふうに思っております。
○古賀(一)委員 わかりました。終わります。
○久保委員長 赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
まず、三名の参考人の皆様におかれましては、大変御多忙の中、我が当委員会の参考人質疑においでいただきましたことを心から感謝を申し上げる次第でございます。大変限られた時間でございますが、三人の皆様にそれぞれ質問させていただきたいと思います。
まず、率直に申し上げまして、田中参考人と他のお二方の参考人の陳述とは何となく、率直に言うと、この法案自体が何を、どういった都市再生を想定しているのかということが非常に漠然としたところがあるということが原因だと思いますが、若干想定されているイメージが少し違うのではないかな。今、最後に、大都市重視の法案だというお話がありましたが、これはそういった意味ではまさに、大都市からまず取っかかろう、大都市のリノベーションから始めようというような意味合いであるのではないかなというふうに思っております。
そういう意味で、まず田中参考人にお聞きをしたいわけでございますが、ロンドンのドックランズのお話をして、もうちょっと時間があればゆっくり聞きたいなというふうにも思いました。
私も、海外に行くと、例えばシンガポールなんかに行けば、空港、港湾は本当に大変な性能、精度を発揮しておりますし、町の中の交通システムなんかも極めてスムーズで、シンガポールだからできるのかなとも思いながら、もうちょっと日本もシステマチックなまちづくり、都市づくりというのができないのかなということを本当にかねがね思っておりました。私は、政治家になる前、総合商社に勤務をしておりましたが、大体世界じゅうの大都市に勤務をしておりまして、東京に帰るとなると、みんながっかりするんですね。住む家も小さくなる、通勤地獄が始まる、給料も実は下がる、余りいいことがないなということで、帰りたくないという現象も実はあるわけであります。
その中で、国際競争力を増し、二十世紀の負の遺産を変えて都市をイノベーションしていこうという話の中で、ちょっと確認をしておきたいのは、これは先ほど林参考人の陳述の中にもありましたが、この負の遺産というのは八〇年代から九〇年代にかけて生じたバブル経済による多様性の喪失だった、これからの都市形成は市場重視政策の失敗を繰り返すことなく行われる必要がある、こういった御指摘というのはまさにそのとおりだと思うんですが、そういった意味では、これから二十一世紀、やっていかなければいけない都市再生というのは、恐らく都心居住もできるという、そういったことが想定されているのかなと。
私は学生時代、今突然思い出しましたが、虎ノ門で家庭教師をしていまして、行くと、夜になると、だれもいないんですよね。もうゴーストタウンの中を歩いているような、港区なのにもう恐ろしい帰り道であったことを覚えていて、何かああいった昼間と夜の人口が極端に減るというのは、恐らく都市再生ゾーンにはイメージされていないのではないかと思うのです。
具体的な話になりますと、じゃ、今周辺に住まれているわけですね、三井不動産なんかも、まさに金妻で有名になったあのたまプラーザとか宮崎台とか、あの辺にいろいろ宅地開発されている、そこに住まれている。その人たちがいよいよ、例えば都市のベイエリアにすばらしい都市空間ができた、都心でそこに住もうと。住もうと思うときには、便利さはあるけれども、今の住宅よりも同じ値段かそれよりも安く買いかえができて、安いものを買えるということがないと、現実的にはそういった都市づくりというのはできないんじゃないか。ただ、それは、例えば当然高層化になっていく、一部の本当にハイレベルの高額所得者だけが都市に住めるというのでは、余りにも想定されているような都市再生じゃないんじゃないか。
そういう意味では、かなり多くの人たちが都心にも住めて、そして都心の中で世界じゅうの最高のものを享受できるような、そういったものを想定されているのではないかと思うんですが、そういった現実に都市再生と地域を決めて、そこに居住空間も確保するというイメージがあるのかどうか、その確保した場合に家賃設定みたいなものが現実的に廉価なものに設定できるのかどうか。こういったことが民間主導でいくとどうしても高いものになり、結局はなかなか住みにくい、ゴーストタウンになりかねない、昼と夜の人口がすごくギャップがある、こういったことを繰り返してしまうのではないかという懸念がある中で、どのようなお考えがあるのか、田中参考人に御意見を聞きたいと思います。
○田中参考人 甚だ頭の痛い、耳の痛いお話をちょうだいいたしましたが、都心居住については、これは非常に今望まれております。それから、昔は北側住戸なんというのはとんでもない話だったんですけれども、外国なんかでは北側が好まれるというようなこともあって、北側の制限とかそういうものもだんだんなくなってくるというふうなことから、だんだん容積がある程度建てられるようになってきた。土地の値段もかなり下がってきたし、建築費も半分になってきたというようなことを背景として、まだ高いのかもしれませんけれども、割合リーズナブルな価格で都心居住にふさわしい住宅が供給されるようになってきたというようなことで、かなり都心の住宅が売れているわけです。
ただ、先ほどの話の、郊外という話なんですけれども、これは日本の高度成長期に都市というもののつくり方を非常に誤って、生産本位というか拡大本位というか、そういう行き方で、機能もミックスドユースじゃなくて特化していくというような、住宅以外の、オフィスはオフィスでというような固め方をしていっているので、住宅がどんどん郊外に追いやられたという形になっております。
不幸なことに、もう一つバブルの崩壊というのがございましたから、それ以前に買われた方とそうじゃない方との差が、かなり落差があるわけで、買いかえるという場合も落差があるわけです。そういうことについての落差は何とか税制上の恩典で見てほしいということを我々お願いをしているわけです。だんだん安く買えるようになったんですけれども、地方も、地方というか郊外も安くなってきたということで、そういう意味では、やはりバブルを境にした落差というのは税制上何か埋めてやらなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。
今度のこの法律なんですけれども、非常に都市再生本部は、縦割りの行政を廃して一元化して、それで都市のあり方、今民間はどんな事業をしているんだろうというような調査から含めて、基本的なインフラはどれとどれを優先的にやろうかというふうなこともずっとやっていらして、かなりいろいろ計画がまとまってきておりまして、そういう意味では、非常に我々はありがたいなというふうに思っております。
大都市重視で地方軽視ということではなくて、今はどうしても東京、主として東京、大阪だろうと思いますけれども、三大都市圏を外国に匹敵するような魅力のある都市として再生して、そこに世界じゅうの、先ほど申し上げたような物とかあるいは人、情報、金が集まってくるような、そういう都市にしていかないといけないのではないかと。そういうことに引きずられて地方もよくなる、郊外もよくなるということではないかというふうに思います。
それから、今、国と地方ということがやたら出てくるんですけれども、この法律はかなり地方と国とにまたがっている部分が非常に多いので、ぜひ、地方の行政と国の行政はよく綿密な連絡をとっていただいて、事がスピーディーに運ぶようにお願いをしたいというふうに思っております。
○赤羽委員 本当にもう時間も五分で、いろいろ聞きたいこともあるんですが、この中でエンタープライズゾーンのお話があり、私は実は選挙区が神戸なものですから、阪神大震災後、何とかエンタープライズゾーンみたいなものをつくり、規制緩和とは何ぞやというのが目に見える地域をつくることが大切だということを随分地元では言ったんですが、なかなかこれは受け入れられませんで、何でそこ、神戸だけそういう特別なところをつくらなきゃいけないのかと、他の地域から見ると公平性を著しく損なうというような従来の考え方から実現をしなかったんですが、最近、このゾーン政策みたいなものが具体的に乗っかかってきているので、大変私たちも一生懸命やらなければいけないというふうに思っております。
それで、ちょっと加えて、私はいろいろの地方で個性ある発展があるというのはすごく大事だと思うんですが、その前提として、私はかねてから言っているんですが、ユニバーサルデザイン、バリアフリーが当然なんだとか、あと環境に優しい、住宅はまさに省エネの建材を使うとかシックハウスであるとか、そういったものが当たり前であって、かつ、そういったものが評価をされる。築三十年でも、本当に省エネルギーの住宅で、百年住宅ですよといったものが評価されるようなこととか、また、あと防災性ですね、安全なんだと。見てくれは一緒でも、まさにつぶれる家、つぶれない家の根本的なのは防災性がどれだけあるか。こういったものが本当は前提となって、家づくり、まちづくりがされなければいけないと考えているんですが、これは民間事業者から見ると、非常にそれはコストにはね返ってくるという発想が出てくると思うんですね。この辺の兼ね合わせというのは、今後のまちづくりを進めていく上ではどう考えていくのか。
私の個人的には、特別区を定めたら、そこに一歩踏み入れたら、ユニバーサルデザインというのはこういうものなのか、こういうような空間をつくりたいな、つくれればいいなと思うんですが、それが民間主導でやっていくときにはなかなかそこまでお金もかけられないというような話が出てくるのではないかという懸念もあるんですが、その点について、田中参考人から。
○田中参考人 今のようなお話は、実を言いますと、バリアフリーとかそういうようなものについての考え方は、今コンシューマーの方が物すごい勉強をしていまして、NPOなんかもそのうちの一つと思うんですけれども、実際のお客さんたちの勉強がこの情報化社会では物すごい進んできておりまして、そういう、何というんでしょうか、シック何とかかんとかとか、あるいは環境に優しいとか、あるいはさっきおっしゃったユニバーサルデザインだとかそういうものでなければ評価しない。むしろ前は、それにちょっとお金をかけて少し高く売ると評価してもらえなかったのが、逆にそうしないと評価してもらえないようなそういう社会にだんだんなりつつあるように私は思います。
これは、価値の多様化が進めば進むほどそういうことになっていくんだろうというふうに思っておりまして、我々も大いにそれを勉強していかなくちゃいけないというふうに考えております。
○赤羽委員 林先生にお伺いしたいんですが、私、神戸の長田区が選挙区で、再開発がいっぱいありまして、いろいろ成功例、失敗例がございました。お仕着せの行政主導でいくと失敗しているケースが多かったんです。まさにお二人の御参考人の、まさに住民の声、これが大事だと思います。そこに住む人たちの意思が反映しないまちづくりなんというのはあり得ないと。
ただ、住民の声というのはいろいろなんですね。これは集約されていれば住民の声をまとめるというのは非常に楽なんですが、住民の声を聞いているうちになかなか再開発が進まない。八年たっても全然だめだという地域もあるのも事実なんです。道を広くするというのはだれもが賛成するんです。だけれども、自分の家の向こう側を広くしろというのが、これは人間の常でして、そういったことから始めなければいけない。
そのときに私思うんですが、やはり成功しているところは、コンサルティングというかコーディネーターが物すごくいい人がやっているところがすごくうまくいくということが一つと、もう一つは、日ごろからその地域のコミュニケーションがある地域はすごくスムーズにいくというのを、実感としてそういう二つがあると感じているんですが、その点について、本当はお二人に聞きたいんですけれども林先生に代表して聞かせていただき、まちづくりの専門家を育てなければいけないんではないかなと思うことについて御専門家としてどうお考えか、時間もありませんので端的にいただければと思います。
○林参考人 まちづくりにつきましては、耕すという段階から始まるという説を唱えているんですが、耕して、育てて、実って、それを生かす、そういう順番があるわけですね。
地域ごとにいろいろなその地域の経験があって、既に十分その地域の中の人間関係その他、経験も積んでいる地域もあれば、ほとんどそういうことを経験してないところもあるということが重要でありまして、そういうことをきちんと見分けながら、地域の人たちとだんだん育ち合う関係をつくるというのが本来の役割です。
そういう意味のノウハウをきちんと身につけて、それで地域の人たちと一緒にやれる専門家、制度の枠だけから見るんじゃなくて、むしろ住民の中からの可能性を育てながら制度をうまく活用できるように引っ張ってくるというようなことを含め、かつ、今はむしろ民間との協力とか、行政だけじゃなくて、そちらの領域もしっかりとやれる人というのを育てないといけない、このように思っております。
○赤羽委員 どうもありがとうございました。
○久保委員長 瀬古由起子さん。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。三人の参考人の皆さん、御苦労さまです。
最初に、三人の参考人の方にお聞きしたいと思います。
最初に発言されました田中参考人が、この都市再生のプロジェクトは、何といっても国家間の競争、都市間の競争に打ちかつための、人も金も集中してやっていく、スピード感あふれる迅速なプロジェクトを推進するんだということをお話しされました。
実際に私が、幾つか東京の今開発されているビッグプロジェクト、例えば六本木の開発だとか、それから品川駅のところだとかを調査もしてきたんですけれども、実際にお金を集中するという問題でも、かなり大手の不動産がそういう場合にうんと力を持っていて、最初にもう全部権利を買っていくというのがあるわけですね。気がつけばかなりの部分が、その不動産会社の社員がその地域を手に入れているという状況になっている。
ですから、実際には六百人いた住民が、三分の二以上はもう事実住めなくなるという事態もあります。人が帰ってきましたよといっても、不動産会社の社員が帰ってくる、こういう状況になっているとか、それから、例えばある地域のマンションなどは、千五百人居住をしているんだけれども、実際に住民登録はわずか一割しかしていないということで、それで住宅の世帯人数も平均一・二人とか一・八人とか、子供もほとんどいない。これだけたくさん住宅をつくったり建物をつくったりすると、学校は要りませんかと言うと、いや学校は要らないんですと言われるんですね、今までどおりでいいですと。
そうすると、やはり地域に本当に根づいたまちづくりという点では、どうしても問題点が幾つか起こってまいります。そういうものが今後のこの二つの法律で一層助長するというか、一層進行するんではないかということを心配しているんですけれども、その点いかがでしょうか。
○田中参考人 やはり私どもが考えている今の法のスキームの中で、民間の創意を引き出していただいて、自由な発想で、自由な土地利用を計画させていただくというものは、確かに、臨海部とかあるいは割合大きな遊休地であるとか、私はもっと環七に沿った、ちょっといろいろあるかもしれませんが、密集木造住宅なんというのが非常に震災のときに危険な存在でありますよね。ああいうものあたりはこういう法律で何とかして再開発していかなきゃなというふうに考えております。
そういうことから申し上げますと、やはり都市というのはかなり流動的に動いていくもので、江戸町民の時代がよくて、それがそのまま残っていかなきゃならないというわけではないわけで、やはりその中には都市がどんどん生まれ変わっていくわけです。
そういう中で、では町民はどうするかということだと思うんですが、これに対して私は、やはり移転していかれる方とか、そういう者に対しての意見もよく聞き、そういう人たちの要望もよく聞き入れて、出ていかれる方も満足されるようなそういう話し合いを十分やって、やはりそういうことをやっていかないと都市の再開発というのはできないんじゃないかというふうに考えておりますので、そういう点につきましては十分やっていきたいというふうに考えております。
○林参考人 今御指摘の点については幾つも問題があるんですが、一つは、気がつけば人口の三分の二は地元の人とは違う、開発のかかわりのある人たちだということで言いますと、やはりこれは開発についての制度的な仕組みが、もっと早い時期に、この地域についてこれこれの開発をしたいということを社会的にデクレアして、宣言して、それから物事を始めるという、そういう物事を始めるときの公正な情報公開といいますか、そういったシステムが全く欠けているために、一人一人の住民にとっては非常に不本意な状況を強いられるというふうな社会になっておる。これが一つの問題です。
もう一つは、先ほど申し上げたみたいに、実はもっと小ぶりで、みんなが自分たちのスケールに合った形の開発といいますか、建築であるとか、あるいは必ずしも新しいものをつくらなくても、今までのものをきちんと修復をし、耐震性を高めて、それで居心地よく住むという、そういう修復型のやり方とか、そういうことを含めた多様なやり方で都市をつくっていくという方法が実は現場では非常に今多様化しておる、それをいかに活用できるようにするかというのが非常に重要だというふうに思います。
都市はいろいろな時代の蓄積がそこに集積していることで魅力がある。だから、パリが郊外団地、大きい住宅地をつくりましたが、全部そのように建てかえてしまったらもうパリではない、やはりパリらしい文化の、歴史のある町を大切にしながら新しいものもつくっていく、そういうやり方があって初めて世界の都市でありまして、すべてが変わってしまったということになると、記憶を喪失した都市というようなことで魅力がなくなってしまうのではないかというふうに思いますし、国際的にも評価されない都市になるというふうに思っております。
○伊藤参考人 私の考え方も林参考人とほとんど同じなんですけれども、現在の再開発は、どうしても既存のコミュニティーといいますか、そこに住んでおられる人たちを全部立ち退きさせて、そして新しいビルをつくって、入ってくるのはほとんど新住民、そういうつくり方でありまして、そうではない、既存のコミュニティーが大事にされる開発のあり方を、これは国も自治体も、それから私どもNPOも、市民も、これから考えていく必要があるというふうに思っております。
特に、今後の課題として私が考えておりますのは、やはり自治体の、例えばまちづくり条例でありますとか、それから一九九二年の都市計画法改正で創設されました市町村の都市計画マスタープラン、これを大事にして、現在のマスタープランはまだまだ理念型で、それを実現していくためのプログラムに欠けているところがありまして、課題は多いわけなんですけれども、きちんと市民がさまざまな議論をして、自治体と議論をしてつくり上げたマスタープランを一緒に実現していく、そういう仕組みをきちんとつくり上げていくことが大事だというふうに思っております。
○瀬古委員 林参考人と伊藤参考人にお聞きしたいと思うんですが、今、田中参考人から、例えば、出ていかざるを得ない人たちの話を、よく意見を聞いて実行していくということを発言されたんですけれども、今度の法律の仕組みの中で、そういう住民の皆さんの意見がどう反映されていくかということは大変大事だと思うんですね。今、林参考人が、情報公開をもっと早い時期にやらないと、されたときにはもうどうしようもないところに住民が追い詰められているという今の仕組みの問題もあると思うんですね。
しかし、今回は、法案が出ておりますのは、何としても、先ほど田中参考人が言われたようにスピードで一気にやっていくんだ、こういうふうになりますと、そこに情報公開や住民参加が実際にどういうように組み入れられていくかという点は、大変私は心配だと思うんですね。その点、林参考人と伊藤参考人はどういうようにお考えでしょうか。
○林参考人 スピードの問題は現場で考えますとどういうことになるかということなんですが、例えば、六本木六丁目は全体ではほぼ十七、八年かかる、そういうことになっていると思うんですね。その前のアークヒルズも約十七年かかっているというようなことになると思うんです。
その中身を見ますと、やはり一つずつ、先ほどの土地を買収していくスピードの問題、あるいは合意形成をしていくときの問題というのが、これは法律の中に参加の手続が書き込まれているいないにかかわらず、現場では当然問題になるわけでありまして、その時間は、なかなか法律で縮めようというようなことにはかかりにくい問題があると思います。法律で縮められそうなのはむしろお役所の中の手続でありまして、その部分を縮めるということで、十七、八年かかるのが十五年ぐらいになるかもしれない。しかし、皆さん期待しておられるほどそのスピードが一気にアップするというふうに考えられるのは、少し幻想ではないかと私は思っております。
これは、つぶさにそのプロセスを検討しますと、本当に強制的かつ暴力的にというのは言い過ぎかもしれませんが、アメリカでもフェデラルブルドーザーという言葉があって、一九六〇年代にそういう本を書いた人もいるんですが、政府がもう本当のブルドーザーのように都市のクリアランスをやった時代があります。しかし、そういうことをやってスピードが上がったとしても、もう一つの問題は、速そうに見えても、社会的な荒廃がその後追っかけてくるという問題です。
ですから、スピードの期待は、余りスピードが実は上がらない可能性があるということと、二番目は、スピードが上がったら上がったで、コミュニティーを破壊するとか社会的な摩擦を非常にふやして、社会の不安をあおるということになって、今のような日本の状況の中でそういった事態を起こすこと自体が開発にとって非常にマイナスの影響を及ぼすというふうに私は思っております。
したがって、私がここに書きましたのは、できるだけ住民あるいは市民セクターとの話し合いをきちんとやりながら物事を進めるというふうにした方が全体としてはスムーズで、物事が速く進むのであろう、それを裏打ちする参加の手法というのは方法としても、私どもも努力しましたが、この九〇年代に非常に進んできていて、コンセンサスといいますか、それぞれの考え方を入れながら柔軟に開発に取り組んでいく、そちらのやり方が可能性をたくさん持っているということも少しずつ証明をしてきたというふうに思っておりますので、そういった意味で、スピード、スピードというお話は、もっと多角的に考えていかないといけないのではないかというふうに思っております。
○伊藤参考人 スピードということを言われるわけなんですけれども、現在といいますか、今までの日本の都市計画事業、あるいはさまざまな再開発事業で最も欠けていたのは、決定に至るまでの手続が大変スピードが速くて、その手続が不十分であったために、決定した、実際に事業にかかった後から、例えば反対意見がたくさん出てくるとかさまざまな問題が起きて、そこでスピードダウンして非常に時間が長くかかる、そういうケースがほとんどだったというふうに思っております。
したがいまして、むしろ、都市計画決定とか事業決定に至る手続は今まで以上に多様化、重層化して、そして、そこで決定に至るまで十分時間をかければ、その後のスピードは非常に上がるというふうに、私は、東京のさまざまな事例で考えれば、確信を持ってそういうふうに言えるというふうに思っています。
○瀬古委員 林参考人にお聞きしたいんですけれども、都市再開発それから都市再生という場合に、今までの区画整理の手法ですと、例えば土地を売って、それで、その売却益で事業費を生み出す。しかし、今の情勢でいうと、それで土地がどんどん売れるという状況ではない。そういう中でこういう大型開発をやるということが、今それぞれの全国の自治体などでやっているものがかなり失敗していて、それがもう本当にそれぞれの自治体の財政破綻にまでなっているという状況があると思うんですね。その点、今回のこういう法律が実施されることによって、一層そういうものが加速しないかということを大変心配しているんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○林参考人 今の開発の問題は、実は開発事業としてのさまざまな組み立て方に、それぞれこれはディベロッパーの方々が戦略を持っておられると思うんですが、海外のケースその他を見ておりますと痛感いたしますのは、例えば六本木六丁目、十七、八年かかってやる、全体が二千五百億から二千六百億と非常に巨額な金額に見えるんですが、これを十五年ないし二十年と考えて割りますと、簡単のために二十で割ると、一年間に百三十億とか四十億とかそういう金額になるんですね。
そうすると、むしろ、そういったスケールの建物を毎年毎年少しずつ建てていくというのとどう違ってくるのかという、そこの問題があると思うんです。
経済的な状況というのは常に変わりますので、海外のディベロッパーによっては、リスクヘッジをするために、むしろ一気に大きなものを建てないで、それを分割しつつ、状況に対応して、全体としてかなり長期間これを使うことのできる町にしていこうという選択をするところもたくさんあるわけです。
そういう選択をする理由の一つは、むしろ建設よりは実際に運営するというところに安定した経営の根っこがあるという発想があるわけです。ここのところが非常に重要な問題でありまして、経営の中にすべてのソフトがあるわけですが、そのソフトは、例えばディズニーランドみたいなところでも全くそうなんですね。あれは装置ではなくて、その裏側にあるソフトのノウハウが、実は私は大分前に行ったときに、バックに千五百人ぐらいのディズニー・イマジナリーというソフト会社があって、そこは、スプーンから全体のあらゆるプランニングまでの計画をやるスタッフがいるというぐらいに、そういうソフトの人間がそこで育っているし、それが就職で来て、つまり職場をつくっている。装置産業ではなくて、ソフト産業として成り立っているわけですね。
そういったことを含めると、やはりディベロッパーの今後のあり方をどう考えるかということがもう一つは私は問われているのではないかというふうに思っておりますし、そのことは、長い経験の中で、地域のコミュニティーとできるだけ調和したまちづくりを進めるというメリットもあるということが、住民の側、あるいは企業の側、あるいは行政の側にとっても認識されてきているのではないかということもあると思っております。
○瀬古委員 最後の質問になると思うんですが、伊藤参考人にお聞きしたいと思います。
今の問題、伊藤参考人は東京都庁にお勤めになっていらっしゃったというふうにお聞きしましたが、そういう自治体のこういう開発による負担がどういうふうにかかってきているのかという点を、お感じになっている面を一点お聞きしたいことと、それから、今回の法案が、先ほどちょっと出ましたけれども、東京一極集中、東京でも東京都心の一極集中ということで、今の全体的な国の、ある意味では、バランスある国土の発展という点ではかなりいびつなものになっていくのじゃないかと。大阪なども入ってはいるんですけれども、例えば大阪は物づくりという点でもっと強化してもらいたいと言ったら、それはプロジェクトに入らないとか、そういういびつな今度の都市再生という形になっていくのじゃないかという、この二点、お聞かせいただきたいと思います。
○伊藤参考人 最初のことですけれども、私はきょうはNPOの立場で来ておりますので、仕事を通じた話というのは申し上げられませんけれども、ただ、自治体が施行する区画整理だとか市街地再開発事業は、今大変難しい局面にあります。
それは、地価がまだまだ下げどまらない、そういう状況だからでありまして、区画整理とか市街地再開発のような面的整備は、かつてのように地価がどんどん上がっていくときには、事業を開始してから事業が完成するまで幾ら時間がかかっても、そのコストを地価の上昇によって回収できたということがあったわけですけれども、現状では、区画整理も市街地再開発事業も、保留地の処分とか保留床の処分ではなかなか事業資金の回収ができない。
現実に、東京都の再開発事業では、亀戸・大島・小松川地区、それから白鬚西地区、二つとも百ヘクタール前後の大変広い大きな再開発事業でありますけれども、これは百数十億円の最終的には赤字決算になるだろうというふうに言われているわけです。
民間の場合には、当然採算性が重視されますから、採算をとれるところを事業化するということで、そういう問題は自治体の事業ほど生じないとは思いますけれども、ただ、採算をとるために、どうしても建物を高くするということで、総合設計制度等を利用して、決められた容積率以上のボーナス的な容積率が付加されて、非常に高い建物ができるというところに一つ問題がありまして、その点は、やはり周辺の住んでおられる市民との合意ができるような仕組みをもっと取り入れていく必要があるだろうというふうに思います。
それから、東京一極集中の問題ですけれども、これも先ほど私申し上げましたように、この関連法案が施行されますと、やはり短期的には東京により一層、それも都心に人口が集中していくということは避けられないというふうに思います。
したがいまして、私は、全国的なバランスということを先ほど申し上げましたけれども、特にこの委員会でも東京以外の御出身の先生方はたくさんおられるわけですから、そういう地方の、先ほど地域活性化ということも言われましたけれども、そういう視点からこの法案を見たときに、どういう問題点があるのかというような点についても、ぜひ議論を交わしていただきたいというふうに思います。
○瀬古委員 どうもありがとうございました。終わります。
○久保委員長 保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人といいます。大変長時間お疲れさまでございます。
まず、田中参考人に伺いたいのですが、先ほど私、質疑の中で、民都機構について、ちょっと問題点があるのではないかという趣旨で御質問いたしました。
これは間違いでなければ、田中参考人は平成九年より民都機構の理事を現在もされているということだと思いますけれども、一兆五千億円の政府保証がつけられて、午前中の質疑では、実は民都機構がこれまで二百四買ったそれぞれの土地の価格は明かすべきではないのかなと。それから、例えば、どこから買ったかというのが、ほぼ出ているのですが、三十カ所ぐらいまだ不明なんですね。こういうことで果たしていいのかなと。
これは、全体の仕組みの中で民都機構自身がかなり位置づけられているものですから、大勢の理事さんの中の一人ということでしょうけれども、ちょっと御意見をいただきたいと思います。
○田中参考人 私は、まだ理事をやっているのかどうか、よくわからないのですけれども、我々民間にとりましては、やはり時代が、バブルが崩れてから以降の時代が、非常な資産デフレの厳しい時代になったわけですね。そういう意味では、何とか都市再生の中で活路を見出そうということではありますけれども、それを民都機構に預けて、もちろん利息はお払いするわけですし、そういうことですけれども、民都機構がお預かりくださるということになりますと、オフバランスになるわけですね、会社の経理からはオフバランスになる。そういう状態で何年か持っていていただいて、また買い戻して再開発させていただくということになりますと、非常に助かるということは事実でございます。
それから、どこからどれぐらいの価格で買ったかというようなことは、私ども理事も知らされておりませんものですから、個別のことはちょっとわからないのですけれども、そういうふうに考えております。
○保坂委員 もう一問。
確かに、バブル崩壊で地価がどんどん下がるという中で、多分これは細川内閣のときに緊急に成立したわけですよね、この民都機構。それから土地を買えるようになっていったということで、これが厳格にきちっと、ある基準で獲得されたのかどうかという中に、これは調べてみると九十一件、更地があるのですね。全く使われていない更地、要するに使用していない。一号目に取得した、これは平成六年ですから、もう随分たっていますよね。これは間組から民都機構が買った青山二丁目ですけれども、これはもうそのまま。
そういうものが九十一個もあったり、それから、そごう、長銀、日債銀などの破綻した企業から買い上げたものや、その子会社から買い上げたもの等々があるわけなんですね。だから、そこの部分について、これは確かに業界にとってはありがたい仕組みだと思いますけれども、しかし、最終的には政府保証ですから、国民のすべての税で、もし欠損が出ていれば埋めなきゃいけない。ここについてどのように業界の側からごらんになるか、伺いたいと思います。
○田中参考人 私は実態がわからないんですけれども、少なくとも私どもの会社で利用させていただいたところ、例えば、東急百貨店というのが日本橋にございまして、そこを民都さんに預かっていただきまして、もうこれは既にお返しして着工しておりますけれども、ちょっとの期間そういうのは非常に助かったという記憶がございます。しかし、全く焦げつきになっちゃったというようなことの実態については、私は存じません。
○保坂委員 それでは、林参考人にお尋ねしたいと思うんですが、これは中曽根民活の流れというのがございましたね。御存じのようにそれがバブルを生んで、ある意味で今日の社会の犯罪の増発だとかさまざまな社会問題を生んでいるわけです。
今回、まちづくりの大きな哲学というものが、どうもうかがえないという気がしているわけなんです。しかも、民間に任せるところは民間にゆだねると言いつつも、国家が出てくる。何か民間にゆだねずに、国がやれという指令は出して、そして最終的には、今民都機構の話もそうですけれども、政府が保証する、民間業者よ行け、こうおしりをたたく。
こういうことでトータルな都市のプランニングということが行われるとは到底思えないんですけれども、この点について、ちょっと重複するかもしれませんが、御意見をお願いしたいと思います。
○林参考人 中曽根民活の後、いろいろなバブル経済にまでつながる流れができて、そのときの住宅問題その他には随分私たちも悩まされて、いろいろな意味で、これもまた海外の住宅のリンケージの仕方とかいろいろなことを学びながら対応しましたが、今の状況で一つ考えたいと思いますのは、都市が再生というぐあいに非常に状況が悪い。都市の状況が悪いということは経済の状況が悪くなるということとイコールであるということでありますので、これをどうしたらいいかというときに、全体の戦略ということについてやはりしっかり考えないといけないというふうに思っているわけです。
その戦略というのは、現実の問題として、片方ではグローバルなエコノミーというのが動いている、これに対応する作戦というか戦略も重要であるということですが、一方で、非常に私がずっと主張しているまちづくりだとか、あるいはコミュニティーだとか、あるいは極めてローカルなエコノミーといいますか、そういうものも極めて重要であって、この両側からの問題をしっかり戦略の中に入れて取り組むということが、全体としての都市の再生に結びつくというふうに思っているわけです。
今回の制度は、密集市街地に関連するところについては取り上げてはいますが、それ以外は余り鮮明にまちづくりということでは取り上げていないという、そのバランスの問題が非常に大きい、特に、市民セクターの役割についてのバランスがやはり非常に欠けているというふうに思っているわけです。
ただ一つ、これは建築基準法等の一部改正の中にあります地域のまちづくり協議会だとかNPOが都市計画を提案できるというその道を開いているのは非常に大きなことでありまして、これをいかに実体化するかの社会的なシステムを裏側にきっちりつけていかないといけないという宿題が解かれないままに提案制度だけが出てきているというので、ここを今後しっかりやっていただけると非常にうれしいというふうに思っているわけです。
そういうこととの関連で、都市のトータルなマスタープランでありますとか、あるいは、単にフィジカルなマスタープランでない、経済的な政策を含めた総合的な計画のあり方ということについては、やはり相当、従来型の日本の行政を超えた戦略の立て方を総合的に立てられるようにしていかないといけないというふうに思っています。これは、分権ということは極めて重要であって、その分権の中で自治体自身の判断あるいは政策力、そういうものが問われるというふうに思っているわけです。
以上です。
○保坂委員 伊藤参考人に伺いたいと思います。
今回の都市再開発の法案の中で、これは民間業者、第二種再開発事業ということで収用権が付与されていますね。私は、人生の幸せとは何かという問題が各所で問われてくるような紛争や衝突が多発しなければいいなというふうに思います。
例えば、祖先代々ここで呉服を扱ってきた、こういうしもた屋がある。あるいは、ここ三十年でようやく軌道に乗った飲食店があるかもしれない、のれんで商売をしている。そういうところを大きな再開発事業者から見れば、単なる雑踏というか、これはちょっと掃除して大きなビルの方がいいですよ、幸せですよと言って、これまでだと三十人のうち十人ぐらい、いや私は私の行き方でいきたいと言っても、今回は三分の二以上ですから、三十人の中で二十一人がやりましょうかというふうに言えば、残り九人は、いわば人生を強制的にねじ曲げられる。
そしてまた、民間事業者がどれだけ公益性があるのか。例えば、破綻したそごうのようなところが再開発計画を立てたとしますね、十年前に。それも公益性を装えたかもしれないけれども、内実の経営の中身はひどかったじゃないかという、後に明らかになりましたよね。こういう審査というのは一体どうなっているんだろうかと。
強制収用ですから、財産権そのものを奪うわけです。ここに高い公益性が認められなければ、これは当然納得できないという話になるかと思うんですね。そうすると、何か不信の種をまちづくりのまず発火点のところで、スピードを急ぐ余りに制度みずからがまいているんじゃないか、こういう懸念、心配をするわけなんですが、参考人の御意見をちょうだいしたいと思います。
○伊藤参考人 私は、最初の意見でも申し上げましたとおり、確かに都市計画決定をした事業であるから、民間事業者が都道府県の収用委員会に裁決申請しても問題はないという意見もあるかもしれませんけれども、私は大いに疑問を持っております。
それは今おっしゃいましたように、財産権をある意味で侵害する、土地を収用する場合には、これはやはり憲法に裏打ちされた公共の福祉というその裏づけがなければならないと思います。公共の福祉も、これはさまざまな御意見があるかと思いますけれども、果たして地権者が入ったとはいえ、民間事業者がそういう土地の収用という公共性を、あるいは公益性を担保できるのかどうか、この辺は私は個人的には反対の意見でございますけれども、十分議論すべき論点だというふうに思っております。
東京都内で申し上げますと、都市計画道路につきましては、ほとんど強制代執行まで行った例というのはありません。ただ、土地のさまざまな利害関係がありまして複雑な収用形態がある場合に、第三者機関である収用委員会にその裁決をゆだねよう、そういうケースはたくさんあるわけなんですけれども、事業に反対をして、それを強制代執行でというような例は道路にはないわけなんです。ただ、再開発には、これは全体の広い面積を事業をするわけですから、どうしても反対、あるいはさまざまな問題があって動けない場合には収用裁決という例もあるわけであります。
ただ、それはあくまで自治体であるとか、それから公団という公的セクターがそういう権限を行使するのであって、私は、繰り返しになりますけれども、民間開発業者がそういう権限を行使するのは、さまざまな観点から非常に重要な問題であって、したがって、この辺については十分この委員会でも議論を尽くしていただきたいというふうに思います。
○保坂委員 もう一問だけ、今度は林参考人にお願いしますけれども、再開発事業者が比較的、比べれば規模としては大きな計画を立てますよね。それで、みずからが持っている敷地と隣接をする地権者、三十人なら三十人のところに対して働きかけをして三分の二以上に持っていく。
しかし、絶対だめだという三分の一の中には、人生の勝負で、五階建てのビルを建てて、ずっと二十年がかりで準備して、さあ勝負だ、そういう人もいるわけですよね。しかし、それは小さいからだめよ、そういうことに果たしてなるのかな。大きい計画はすべて優先して、要するにそういう個人の挑戦はほどほどに、こういう町で果たしていいんだろうか。
そのあたりについて、先ほどとちょっとダブりますけれども、伊藤参考人にお話し願った点について、収用の問題も含めてお願いしたいと思います。
○林参考人 私が書きましたペーパーの中にも、若干それに関連することを触れておるのでありますが、提案制度等、これは特に緊急整備地域で想定されているのは専ら民間の事業者ということになっているんですが、そういう中であっても、その地域の住民なりNPOなり、あるいはまちづくり協議会の人たちが自分たちなりの提案をするということについては、これはこの再生法じゃなくて、今度の建築基準法等の改正の中でできるようになってきているというようなことを、いかに地域の人たちが生かせるようにできるのかという、それをサポートする仕組みが非常に重要になってくるんじゃないかと思うんです。
開発の非常に早い段階から市民の参加を義務づけるべきではないかというような趣旨もここに書いてありまして、それは、ドイツの都市計画法ではそのことが参加の義務として法律に決まっているわけなんですが、早い段階でありますと、ディベロッパーであれ、その地域の人たちであれ、それぞれがいろいろな状況の中で話し合いをして、それなりの選択をし得る可能性があるんですね。その可能性をやはりお互いに生かしながら、町の将来を考えていくというふうにしていくのが非常に重要ではないか。
そのことによって、お互いの間にある種の妥協とか共生とか、いろいろな関係が発生し得るということは現実にあるわけでありまして、それを抜いて、いきなりもうのっぴきならない状況に立たされるということになると、これはもう先ほどちょっと触れたフェデラルブルドーザーという本の中には、一九六〇年代の話として、切々としてそういう状況を当時のジョンソン大統領に手紙を送った人のケースが出ているんですけれども、そういった時代と全く変わらないことになってしまうというふうに思いますので、そういう意味で、私は、よりよい方向にこれを改善していくということについて御提案を申し上げたいというので書いたような次第です。
○保坂委員 長時間にわたりまして大変ありがとうございました。これにて終わりたいと思います。
○久保委員長 西川太一郎君。
○西川(太)委員 よろしくお願い申し上げます。
先ほど、共産党の瀬古先生の御質問の中で伊藤参考人が、当該地区選出の国会議員であり長く都会議員として開発に協力してきた白鬚西地区の結果について、公表されていない数字をここで承って、いい勉強になっておりまして、後で東京都に文句言ってやろうと思うんですが。
百二十億の開発赤字が出るなんてことはきょうまで何にも知らされていないし、それから、それは見込みとしてそうなのかもしれませんが、まだあの地区には開発するべきスペースも残っておりますし、そして一つは、先生もそうおっしゃっていないんですよ、決してこれは変な意味で聞いているんじゃない、開発が悪いからどうこうということじゃなくて、白鬚西地区というのは、御案内のとおり原田知世さんという女優さんが、「こんな女に誰がした」という古い歌があって、それをテーマにしてテレビで映画を撮影するときに、敗戦後のアルミサッシを使っていない地域はないかといって、映画会社かテレビ会社がロケハンして、都内でたった一カ所、ここだという地区だったんですよ。
木造密集のひどい地域で、それがクリアランスされて、すばらしい、今本当に東京都の開発事業としては、亀大小もすばらしいけれども、白鬚西は、私は自分の選挙区として誇りに思っていまして、ビッグレスキュー二〇〇〇の、石原さんの自衛隊との合同の演習の場所にもなっていますね。そういう意味で、私は大変自分の選挙区の中でよくなったと。難を言えば、今隅田川の護岸にブルーシートがやたらにあることがまことに遺憾でありますが。
そういう意味で、伊藤先生に、やはりこれは、一つには長過ぎちゃったんじゃないか。二十数年かかっているわけですよね。それから、着手するまでいろいろな紡績会社の跡地を全部クリアランスして、権利関係をいろいろ調整してやるのに十五年以上かかっちゃったんですね。私は、やはりそういう意味では、逆にこういう法律がもしあったら、今おっしゃる地価暴落があって、その結果、開発の負担がしょい切れないということはなかったんじゃないかなという気もいたしますが、いかがでございましょうか。感想を聞かせてください。
〔委員長退席、赤羽委員長代理着席〕
○伊藤参考人 先ほどの申し上げました数字は、公表されているものですので、二つの地区を合わせて正しくは千数百億の赤字になるだろうという、これは今のところ見込みでありますけれども。
ただ、私は、防災の観点ですとか、それから、どうしても駅前を再開発しなければならないということとか、それから鉄道の連続立体事業で、どうしてもそれに伴って駅を新しくつくっていくとか、そういうことのために再開発をしなきゃならないという事業、これは当然あるわけでありまして、それはやはり公的セクターが責任を持って行うべきだ。ただ、だからといって、赤字が幾らでもあってもいいということではありませんけれども。
したがいまして、東京都の場合は、今度の十四年度予算では、これから新しく事業、新しくというよりもこれから本格化する北新宿ですとか、それから環状二号線の関連の再開発におきましては、今までは特別会計でやっておりましたけれども、事業会計ですね、公営会計を導入するというようなことで事業を進めようとしているわけなんですけれども、それは質問のあれではなかったんですが。
私は、今そういう形で自治体の面的整備事業が大変赤字の状況にあるというのは、その結果ではなくて、バブルの影響をまともに受けたからだ、バブル崩壊の影響をまともに受けたからだというふうに思っております。事業のスピードも、私は、白鬚西の事業の十五年間とかあるいは二十年間というのは、あれだけの大きな広い面積を再開発する場合には、私の感想としては適当な期間ではないかな、私の意見としてはそういうふうに考えております。
○西川(太)委員 実際、私、ずっとこれに関係してきた者としては、やはり長過ぎた、率直に言って。
それは、やはりそのことが社会経済情勢の変化で、例えば適当でなかったという理由の一つを具体的に挙げれば、対岸の墨田区側の東地区と西地区では家賃の設定も変わってきましたし、そういう意味では、その点は私と先生、意見を異にすると思います。しかし、先生もそういう防災拠点の再開発というものは公的な責任でやるということをお認めいただいているということで、私もほっとしました。
つまり、私が心配しておりますのは、そういう開発の差損のようなものがそこの住民に負担されるようなことがあってはいかぬ、こういう思いがございまして、そんなことを。すばらしい町になったものですから、そこに住んでいる方々も今喜々として喜んでいただいていますから、こういうことはこれからも早くやるべきだ、こう思っております。
そこで、田中参考人にお尋ねをいたすわけでありますが、大変豊富な御経験で、海外の開発の成功の事例など、十分御見識をお持ちだと思うのですが、古くは、例えばシカゴのディアボーンの開発、私は、ここに都議会議長であられました高橋大先輩がおいででございますけれども、余計なことを言うと怒られるから。視察に行ってまいりまして、それはなぜかというと、当時は土地が高くて高くて、土地を買うだけでも東京都の予算なくなっちゃうわけですね。ところが、そのときには、ディアボーンというそのシカゴは、今でこそそんなことは当たり前ですが、賃貸で土地を地主さんが提供して、そしてメゾネットの中二階の住宅をつくって安く貸す、こういう方式をアメリカはもう既にやっていたわけですね。東京都でもこういうことをやったらどうか、こういうのでありますが、地権者の調整とかいろいろなことが錯綜しまして、なかなか思うに任せない。
やはり私は、そういう意味ではこの法律、関連二法、逆に遅過ぎたぐらいだと思っているのでありますが、海外のいろいろな事例と引き比べて、田中参考人の御意見をお聞かせいただければありがたい、こう思うわけであります。
〔赤羽委員長代理退席、委員長着席〕
○田中参考人 海外の事例というのを私もそう知っているわけではないのでございますけれども、事住宅に限って申しますと、海外の場合は、施策住宅というのは、支払い能力が甚だ不足している人たちのための住宅をいいます。
それで、公共住宅というのは大体そういうもので、その人たちの所得によって、所得が少ない人は安い家賃、高い人は高い家賃というのを取ります。施策住宅というのはそういうものだと私は思うのですが、日本でも公営住宅が若干そういうふうな傾向があるのかもしれませんけれども、そこまで、所得に応じて家賃をまけてやるというまでの賃貸住宅を公がやっているのは、私は知りません。
セーフティーネットというのはそういうものじゃないのかなと私は思うので、これから賃貸住宅や何かもどんどんふえていかなければならないのです。税制その他整理をして、賃貸住宅がふえるようなこともやっていかなければいけないと思います。これからのようなかなり競争社会になってくると、非常に厳しい競争にさらされる人たちも出てくるわけで、失業もふえているわけでありますので、本当に必要な、そういう支払い能力がない層への施策住宅というのは、私は海外を見ていると非常に重要じゃないかなというふうに考えております。
○西川(太)委員 今、税制のお話が出ました。きょうはその問題ではございませんからお尋ねはいたしませんが、意見として申せば、例えばアメリカなどはセカンドハウス、最近ではサードハウスまで、いわゆる住宅ローンの金利を所得で、年末調整で返す。その額は邦貨に換算して、一ドル百三十円としてもおよそ六兆円くらいである。これは一万ドルまで、ローンの金額が上限一万ドルまでよろしい。それから、年限については、日本のように二十五年とか二十年とか言わずに無期限である。このことが住宅需要に非常に拍車をかけている。
こういうことで、自由民主党さんが提案されております贈与税の住宅に限って三千万円ということとセットで、こういうものがもし小泉内閣のデフレ対策として実施されるならば、大きな効果があると思うし、また、土地の譲渡益課税の低減というのは、これはもう最後の切り札じゃないかと私は個人的には思っておりますが、きょうは何の御用意もないところに、しかも重要なお立場の皆様にこのことをお尋ねする気はございません。意見として申し上げます。
最後に私、林先生に伺いたいのですが、先ほどのお話で、いわゆる超高層とオープンスペースをセットにして町を開発していくというのはある意味では時代おくれだというような、私のとり方があれだったのか、お話のように承ってしまったのですが、私は東京の下町におりますと、何か十分使い切ってないですよね、容積率にしても何にしても。それで、やはりオープンスペースというものの整備が立ちおくれているような気が逆にいたすのでございますけれども、この点についてお話を承って、質問を終わりたいと思います。
○林参考人 私が申し上げましたのは、都市像が非常に多様化しているということを申し上げたかったわけです。したがって、どうも今回の都市のイメージが、制度の中では非常に超高層とオープンスペースのイメージに強く傾斜し過ぎているのではないかということを申し上げたということであります。
それが最初の方の話ですが、二番目の多様なということで申しますと、おっしゃるように、例えば、私はよく谷中に行くのですが、谷中の町も随分建て詰まっている。ただ、あそこが助かっているのは、お寺が三十もあって、そこのスペースが非常に憩いの空間をつくっている。住んでいる人たちも、できるだけ身近なところで小さな緑をつくり出そう、それがまた路地の中で生きている、こういうよさがある。
そのこと自体は、インターナショナルには非常に評価する人が多くて、もう外国人なんか連れてくると、ファンタスティックなんて言って喜んで帰っていっちゃうというのがあって、オープンスペースも、大きくまとまっているのも値打ちがありますが、身近なスケールであるということも非常に大切だというふうに思っておりまして、いずれにしても、余り一つ一辺倒ではないということを特に重視したいというふうに思っているわけであります。したがって、その下町で、そこにふさわしいオープンスペースのとり方ということも、向島博覧会なんかでいろいろ見せていただいていますが、あるというふうに思っております。
○西川(太)委員 どうもありがとうございました。
○久保委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人の方々に一言申し上げます。
本日は、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
参考人の方々は御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。(拍手)
―――――――――――――
○久保委員長 引き続き、内閣提出、都市再開発法等の一部を改正する法律案及び都市再生特別措置法案の両案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本和那君。
○松本(和)委員 ただいまは参考人の皆さん方にそれぞれの考え方をお聞きしたわけでありますけれども、私は、その中で二点について、ちょっと政府側に御質問申し上げます。
まず第一点目は、先ほど来参考人にもお話し申し上げたんですが、第二種市街地開発事業者に対して、民間に対して権限を付与するということ。
イギリスでは、田中参考人のお話もありましたように、ロンドンでは、かなり開発会社に大きな権限を持たせて、そしてこの事業の施行がやりやすいような形、これをつくったという話を聞きました。何回も申し上げておりますけれども、どうも、戦後、日本の国は、この私と公の利益というものをほとんど調節しなかったために、いろいろな問題が残っているような形になったわけであります。
そこで、私自身は、この私の権利、緩やかな私権の制限をしたらどうかということを連日申し上げておるのでありますけれども、現行のこういった第二種事業をやる業者に権限を付与した場合、当然起きてくるのは、先ほどの林参考人も言っておりましたけれども、これは収用の形だということですから、当然、金銭補償というような問題が絡んでくるというふうに思います。
当然、私の申し上げている国民の合意というのは、国民側にも、こういった開発、まちづくりに対する考え方というものをきちっと持ってもらいながら、やはり補償というものも従来より思い切った形でもってやる。それは、思い切ったということはどういうことかといいますと、地権者から周辺の国民というのはいろいろな利益を得るわけでありますから、これに十分対応できるような補償があってしかるべきだ、そのことがまた仕事をスムーズに進めるんではないかと思いますが、現行法の補償制度というのはどういう形になっているのか。
なぜならば、早く収用をかける、あるいは私権を制限して町を開発する、このスピードというのが都市再生で非常に大事だということを申し上げてきましたが、今、スピードというのは、この開発をやるための資本や労働力、これに次ぐ第三の生産要素になっていると私は思います。そういう意味で、その点について、ちょっと政府側の考え方をお聞きしたいと思います。
○澤井政府参考人 公共的な事業に協力して用地を提供する場合の補償でございますけれども、これは、道路事業をやるような場合、あるいはこの第二種再開発事業をやる場合、いずれの場合も、今ある財産権を評価して、きちんとした基準に基づいて客観的に評価して、その対価として補償を支払うということになっております。
○松本(和)委員 次に、それでは、先ほどの英国の例が出ましたように、事業主としての対象を、開発公社という話が、英国のがあったわけでありますけれども、日本には非常にいいノウハウを持った都市整備公社というのがあるわけですから、これを活用するという形のことについてはいかがでしょうか。
○澤井政府参考人 都市基盤整備公団のお話かと思いますが、御指摘のとおり、大変、既成市街地の再開発、都市の再生にもノウハウがございます。人的なノウハウ、資金的なノウハウ、いろいろございます。そういったノウハウはこれからも都市再生に大いに活用していく必要があると思っております。
○松本(和)委員 ありがとうございました。
とにかく、都市再生というのは、今申し上げたように、やはり資本と労力に次ぐ、スピードということが第三の生産要素だと私は思いますので、こういった形の中から、民間あるいはその都市整備公社、こういったものを十二分に活用して、スピードを上げてひとつ取り組んでいただきたいというふうに思います。
次に、当然、こういった経済状況でありますし、先般も申し上げましたが、今、御承知のように、とにかく、日本の金融問題というのは、日銀さんがいろいろな意味でもって、この一年間にわたって量的な緩和をしてきました。それが銀行の手元にたまってきて、一年前よりもとにかく四倍ぐらいのマネタリーベースがたまっているわけですね。しかし、それは民間には全然回ってこない。まあ国債を買っているわけでありますけれども。こういう形では絶対景気というのは上がりませんし、経済の再生につながらないわけなんです。
ところが、やはり企業側は収益が上がらなければ投資はしません。それから、投資の目的がはっきりして収益が上がるという形になれば投資をするわけでありますけれども、そういった意味で今ジレンマの中にいるわけであります。
一番いいことは、やはり投資のしやすい環境を国がつくってやる。いろいろな形で規制緩和をしたり、いろいろなことをやるわけでありますけれども、とにかくそういった投資がしやすい環境をつくってやる。その投資のしやすい環境というのは、私は、今回のこの国土交通省の都市の再生というのは、最大の目的ができたんだろうというふうに思います。今現在、これにまさる日本の経済再生やこの景気の浮揚のために対象になる事業というのはまずないんじゃないかという気がいたします。
そして、これに、ひとつ、思い切った形でのプロジェクトでありますから、このプロジェクトに対して特化させた、先ほど来参考人も言っておりましたけれども、特化させた融資を財務省初め銀行からさせるという形をとることが一番いいんではないかというふうに思いますが、その点について、政府側に。
○澤井政府参考人 都市再生は、もちろん、二十一世紀の新しい都市をつくるという意味で、国民生活の基盤をつくる、それ自体が目的であります。と同時に、御指摘のように、現在の経済環境を克服していくという上でも、国民生活に非常に有効な需要を契機として経済をよくしていくという意味でも、大変意味の大きな政策課題だと考えております。
その際、プロジェクトファイナンスというお話でございますが、やはり、バブルのお話も再々委員会で出ますけれども、かつてのように、資産としての価値、持っているだけで値上がりしていくという格好での地価の形成の時代はもう既に終わったと考えておりまして、むしろこれからは、プロジェクトごとに、そのプロジェクトから発生する収益に着目して投資家が投資をするというお金の動きがもっと普及定着していく必要があると思っておりまして、そういう意味でも、今回の都市再生のスキームの中で、いいプロジェクトにいろいろな支援をしていくことでそういった市場形成につながっていけばということも十分に念頭に置き、視野に入れてやっていきたいと思っております。
○松本(和)委員 今収益還元のお話がございましたけれども、まさにそのとおりで、戦後、日本人は、個人も企業もそれから自治体、国もすべて土地にしがみついて、持っていれば上がる、要するに、土地というのは資産なんだから、持っていれば上がると。しかし、これからは、やはり、資産じゃなくて資源だという考え方に立って、これを有効に活用しなきゃだめな時代にいやでもなってきたわけであります。
と同時に、地価のとらえ方が、今まではどうしても、バブルのときを考えていただけばわかりますけれども、隣の土地が坪何万だったといえば、こちらもそれに合わせて、それと同じ価格だと、こういうやり方でずっと土地の地価を決めてきたわけでありますけれども、もう欧米では早くから、こういったことじゃなくて、収益還元という、その土地がどのぐらいの資源として利益を生み出すのかという計算のもとに、それにのっとった地価の形成をしてきたわけでありますから、これは、今回の都市再生の中で、やはり資金をいろいろ得るため、あるいはまたいろいろな形でもって、資金を確保するための形としては、今おっしゃっていたような開発利益、これをひとつ還元させるという考え方というのが非常に大事だろうというふうに思います。
そこで、アメリカでは、先般も申し上げたんですが、TIFという、いわゆる遊休地のある土地に、大遊休地に、将来ここから開発によって税の増収が担保されるわけですけれども、それに対して債券を発行して開発の資金というものを調達してきているわけであります。こういった形の資金調達のあり方というものをどういうふうにお考えになっているか、ひとつ。
○澤井政府参考人 今回の都市再生プロジェクトにつきましても、いろいろな工夫をしまして、多様な資金調達をしていかなければいけないと思っています。
その際、基本になりますのは、土地をきちんと有効に利用して、そこから上がる収益に着目して、投資をしていただく方からお金を集めるということが基本だと思っております。
そういう中で、今先生御指摘のような方法、これは公共が絡む方法かと理解いたしますが、どんな工夫ができるかというあたりは、引き続き勉強したいと思っております。
○松本(和)委員 そういった形の中ですので、資金調達の方法として、企業も、例えば不動産の証券化、自治体はこれからPFIというような形で民間主導型の資金調達に移ってくると思いますけれども、現在では、この証券化とか、まあPFIは大体、この間聞きましても、まだ緒についたばかりだという話がありますが、この不動産の証券化等については、今どういった状況になっておりましょうか。
○澤井政府参考人 先ほど来申し上げていますような、プロジェクトに着目して、そのプロジェクトを独立の一つの活動と見立てて、そこから生ずる収益に着目して資金を、投資を呼び込む、調達するというあたり、証券化といいましても多様な形があると思うのです。
狭い意味での最も典型的な証券化ということでは、昨年、税制上の措置もされまして、証券化商品が上場されるというような動きも出てきております。もう少し広い意味での部分も含めて考えますと、さらに大きな市場が育ってきているというふうに見ておりまして、これを今後数年でかなりの規模まで広げていかなければいけないし、そのためにどのような政策的支援ができるかということを、さらに引き続き検討しているところでございます。
○松本(和)委員 最後に、今、公共事業といいますと、マスコミにたたかれ、また、物を言えば、公共事業を言えば唇寒しで、なかなか思い切った形のものができないんだろうと思います。
私は、公共事業という形にかわって、三千三百市町村、日本全国バリアフリー事業というもののきちっとした確立、今は、この委員会でも一昨年つくり上げた交通バリアフリー、駅や階段、それから今度成立するでありましょう二千平米以上の建築物に関するバリアフリー、こういったものは、単体ではそれぞれ出てきております。
しかし、それではなくて、それはそれとして、それを含めている形の中に、例えば、先般も申し上げましたが、イギリスのサットンなんという町は、お年寄りが家からその町に来た場合に、町の入り口にタウンモビリティーというところがあって、簡単な自動の車を貸してくれる。それに乗りかえて、町じゅうどこへでも、買い物も観劇も公共の施設にも行ける。こういうことができる。そして、終わったならば、またそのタウンモビリティーでもって車に乗りかえて家に帰っていく。すべてそういった仕組みになっている。
これを全部、全国の三千三百市町村でやる。そのための特別の融資、プロジェクトファイナンスというものを、今は、日銀は大変な責任があるわけですよ、国の政策の重要な地位を占めているわけですから。そういった意味で、小出しにするんじゃなくて、一つずつするんじゃなくて、これは後で高くつきますから、思い切ったプロジェクトファイナンスを組んで、この都市の再生の中の一環として位置づけてやっていくことが、これからの景気の浮揚、経済再生にも、また都市の再生にもつながると思いますが、その考え方について最後にお聞かせ願って、終わります。
○澤井政府参考人 ただいま御指摘のように、交通施設のバリアフリーですとか、それから不特定の方が集まる建物のバリアフリー、さらには、まちづくりの面でも、まちづくり総合支援事業というメニュー補助、総合補助金の中で町の中のバリアフリーをメニューとして加えてやっていくということで、そういうものを組み合わせますとかなり連続的なバリアフリーができるようになってきたかなと思います。
今の先生の御指摘は、いわゆる施設の所管を超えて、バリアフリーという横軸でぐっと取り出して、それをまとめてやったらどうかという御指摘かと思います。大変参考になる御指摘ですので、これまた検討いたしたいと思いますが、ただ、その場合、それによって、プロジェクトファイナンスという意味でいいますと、普通使われている意味で、収益がそこから発生して、それに着目して資金を投資するということがどういう工夫でできるかというあたりも含めて、少し勉強させていただきたいと思います。
○松本(和)委員 終わります。
○久保委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○久保委員長 速記を起こしてください。
伴野豊君。
○伴野委員 朝から二回目でございますが、多分、大臣もお疲れになってゆっくり歩いていらっしゃると思いますので、議事進行に協力させていただきたいと思います。
私も同じ委員会で一日二回立つのは初めてなんですが、本会議からきょうまで、この法案にかかりっきりでございまして、大臣、副大臣、政務官、各委員の方々、もう相当お疲れかと思いますが、あとしばらくでございますので、一緒に頑張っていきたいと思います。
大臣もいらっしゃらないのでちょっと雑談から入らせていただきたいんですが、きょうは三月十九日。三月十九日というのはどういう日か。これは質問じゃございませんが、これは、三、一、九、三重苦というふうにも読めまして、ヘレン・ケラーじゃないんですが、地盤、看板、かばんがない私のことかと思うわけでございますけれども、そうでもなくて、これはちょっとなまっちゃうんですがね、三、一、九ということで、ミージック、ミュージックというふうに読むそうでございまして、きょうは何かミュージックの日だそうでございます。
何を言いたいかといいますと、やはり人間、私なんか結婚記念日をよく忘れるものですからよくしかられるんですが、記念日というのは非常に重要でございまして、まちづくりにもそういう感覚というのは必要なんじゃないかなと。
例えば、いつにするかというのもあるんですけれども、都市計画決定した日をその地区の記念日にするのもいいでしょうし、竣工した日を記念日にするのもいいんでしょうけれども、そういった日を、例えばその地区の人は仕事も全部やめちゃって、その日は一日お祭りをやりましょう、こんなことがやはりコミュニティーをつくっていく上で非常にいいことでございまして、ぜひそんなような観点も都市再生本部の方には頭のどこかに置いておいていただきたいと思います。
もう一つ大事なのは、やはりネーミングなんですね。
ネーミングといいますと、私は、愛知県の田舎からこの東京へ来たとき、麻布十番がわからなくて、麻布十番、今非常にすてきなお店がいっぱいありまして、できたら今からでもすぐ行きたいなと思うぐらいのお店がいっぱいあるんですけれども、そのときに、麻布十番を知らない私に先輩がこうやって教えてくれました。あのあたり、外国人がたくさんいるものですから、フランス人はアザブジュバン、女性がはくのは長じゅばん、おまえ、麻布十番だと、こうやって教えてもらいました。ちょっと余り笑いがとれなかったのですけれども。疲れちゃいましたか。
何が言いたいかというと、これはネーミングが大事。だから、その地区の、例えば指定した地区なんかを、そこにかかわった人たちが、やはり何か、投票じゃないけれども、そのネーミングを募集して、みんながかかわれるようにやるということも、これはみんなの意識がそこに高まるという、参加意識があるということで、何とかヒルズとか何とかタウンとかばかりにせず、まあ何とかハウスはやめてほしいんですけれども、結構、ぜひそういうような、ネーミングを募集してやるというのも一考かなと。
今言った記念日の話もネーミングの話も、結局、人間の遊び心に伝わることでありまして、これは全部文化につながっているんですよ。日本の文化というのは結構遊び心からいろいろ、日本に限らず世界の文化なんてそんなものだと思うんですが、最初は遊び心から文化というのは出ていっているということからすると、記念日とかネーミングというのも都市再生には捨てたものじゃないな、どこかに置いておいていただければと思うわけです。
まだ大臣がいらっしゃいませんが、これ以上雑談をするつもりはないので、質問に入らせていただきたいと思います。
締めくくりということでございますので、総括的なお話をさせていただければと思うんですが、今回の都市再生特別措置法案、まあ法案というものは、これに限らず、何か現状に不都合があって、それを打開するために一つの法案をつくって仕組みを新たにして、次なる目指すものを実現していくというわけですね。そういうことをやる。
今回も、十年間という一つの区切りで考えた場合に、今の現状、今回この都市再生特別措置法案をつくる一つのきっかけになっていることが、例えば国際競争力が低下している、これもいろいろ議論されました。それから、少子高齢化への対応、中心市街地の空洞化、安全性、ゆとり、潤いの欠ける市街地だから、今回、都市再生特別措置法案をつくって、新たなお金も、民間の力もかりて、時間も集中して、一つの目指すべきものを目指していこうということでございます。
例えば、ゆとりとか潤いなどという言葉、右から左へ入るとわかったような気になるわけでございますが、多分、あなたにとってゆとりとは何ですか、あなたにとって潤いとは何ですかというと、百人に聞けば百通りが出てくると思うんですよ。
これに限らず、できるだけ、数量化できるようなものは一つの目標値として、例えば国際競争力、どう表現するかというのはいろいろ指標は難しいかと思います。だけれども、何らかの指標を設けて、これぐらいのレベルまでは今回の法案でやりたいんだ、あるいは中心市街地の空洞化率、例えば昼夜の人口比、これをここまでは改善したいんだとか、経済ストックが陳腐化しているというんだったら経済ストックをこれぐらいまで上げたいんだとか、まあ下水道普及率なんかもよく使われる一つの指標なんですが。そんなような指標を設けた上で、余り数字にこだわり過ぎると今度見るものが見えなくなってしまいますので、できるだけ表現しやすい定量化した数字なんかを目標値として、この法案ができることによってこういう十年後を、例えば定量化した数字であらわすとこんな指標でこんなふうに表現できますよということを掲げた上で、この法案に沿ってやったときに、十年後、その目標値に対してどうだったと。これからの法案は、やはりすべて評価されるべきだと思うんです。
我々も、今回、正直言いまして、これは一つの大都市圏における市場原理に基づくリノベーションとしては筋は悪くはないのかなと思っております。だから我々も、かかわってきたし、一生懸命いろいろ議論させていただいた。だから、我々にも責任があるわけです。十年後これを見たときに、この部分は確かにうまくいったからよかったね、この部分はこういう原因でだめだったね、そういうことをきちっとこれからしていかなければいけませんし、その過程も含めて国民の皆さん方に説明をしていくということが、多分、政治の信頼回復になっていくんだと思うんですね。
こういった観点で、どうお考えになっていらっしゃるのか、お考えをお聞かせいただければ。
○澤井政府参考人 私ども、新しい政策を始めるときに、これを政策評価でフォローしていくということを省全体としても取り組んでおります。
都市再生につきましても、まず第一に、都市機能がどのように集積していくか、それから、その中で、防災性の向上あるいは少子高齢化、高度情報化といった経済社会情勢の変化にどのように都市の再生の中で対応できているか、また一方、経済的な側面でも、都市再生事業の推進によって、直接的な経済効果としてどのようなものがあるか、また、土地の流動化にどのように貢献しているかというあたりを、おっしゃるとおり、できるだけ定量的に把握する努力をしなければいけないと思います。
ただ、この場合、一つには、都市全体の活動というのは、どういっても大変大きゅうございますから、この中から法律による効果というものをうまく切り取る工夫をしなきゃいけない、それから、そのためにも、既存の指標だけじゃなくて、いろいろな指標を考えて、どういうところでそういう観測をしたらいいかというあたりの観測の仕方もいろいろと工夫しなきゃいけないと思っておりまして、その辺、これから一生懸命検討したいと思っております。
○伴野委員 とかくマスコミといいますか、マスコミと言うと失礼かもしれませんが、世のうわさというものはセンセーショナルなものが好きでございまして、ですから今のような報道もあるのかなと思うんですが、やはり評価した上で、これはうまくいった、これはだめだったということを明確にした上で、よかったものはよかったねと政治家やあるいは役人の方も言われるべきだと思うんですね。ですから、そのためにも、きちっとした目標というのを、みんなが納得するような、目標値に対してどうであったかというのをぜひとも十年後検証していただければと、そんなふうに思っております。そのフォローの上に次の施策というものがあるのではないか、そんなふうに思います。
続きまして、先般、うちの阿久津委員からの質問の中で、大臣が日本橋の再生のお話をされました。私も、あれはすごくいい話だな、ぜひぜひ頑張っていただければと思うんですが。
きょうは何をお聞きしたいかといいますと、古代ギリシャあるいはエジプトの時代も、権力者という言い方はちょっと語弊があるんですが、時のリーダーシップを持った人というのは、やはりそれなりのまちづくりに貢献してきたし、町に、そこに思想を入れてやってきたと思うんですね。それで、やってはいけないのは、そこに自分の利権を絡めたり、自分がおいしい目をしたりというようなことはあってはならないと思うんですが、理念なり哲学なり、自分のこういう目指す町を実現するということは、私はあっていいのかなと思うんですね。
そういった観点で、例えば、先ほどネーミングのお話をしましたけれども、大臣の理念、文化、哲学を一つの形として実現したときに、チカゲヒルズというのがいいのかわかりませんが、そんなものを今回の法案で使った場合に、どんなイメージででき上がるのか。思いつきで結構でございます。ぜひ、今回の法案を使って、どういうイメージの町だと私は住みたいわというようなことになるのか、お聞かせいただければ。
○扇国務大臣 大変時間が参議院でおくれまして、申しわけありませんでした。
今お尋ねの、今度の都市再生あるいは都市に関しての御質問ですけれども、私たちは、少なくとも、自分たちが住んでいる町、ここで再び子供や孫もこの町に住み続けてほしい。愛せる町、それはどんな町か。それはもう、百人いらっしゃれば、今おっしゃるとおり百様の望みがあろうと思いますけれども、私は、少なくとも、安心な町が一番ありがたい。
それは、阪神・淡路大震災、私、兵庫出身でございます。また、世界じゅうへ私たちが視察に行きましても、みんなに言われるんです、扇さん、もうきょうは外へ出ないでしょうね、ホテルから出るときには連絡してくださいねと。夜、女が一人で町へ出られないような都市にしたくない、私はそう思っていますので、安心で、そして、ああ、ここの町に住んで、代々ここにいたいな、居続けたいなという町にしたいという思いもございます。
そして、この十年間、バブルが崩壊して、少なくともバブルのときには、周辺に土地を求めて、みんな遠心に、ドーナツ現象でみんな郊外へ出ていきましたけれども、この郊外へ出ていった人たちが改めて町へ戻ってきた。今地価が下がった。私、こんないいときはないと思いますので、改めて、すばらしいまちづくりを、都市づくりをできるんじゃないか。
そして、職住、職場と住まいが近くて、そして通勤時間のむだを省いて、家庭サービス、家族の団らんというものが、一体になって時間を有効に使えるような、そういうことになってほしいな。また、欲を言えば、公共工事の根幹にかかわる社会資本整備、空港も近くて、そして駅も近くて、道路も近くて、道がすいすい走れるなといえばもっとすばらしいと思いますけれども、そういうことに一歩でも近づくようにしたいと思っております。
○伴野委員 ぜひそんな町を実現していただければと思います。
時間も押し迫ってまいりました。最後の質問をさせていただきたいんですが、本会議でもちょっと申し上げましたけれども、残念ながら、やはりここへ来て、公の事業にまつわる、政治家のかかわるさまざまな疑念、これは私もこの世界にいる一人として非常に残念でなりません。
本会議のときも質問をさせていただきましたので大筋は御理解いただけるのかと思うのですが、最後はやはり政治家の人格といいますか、どんなすばらしい仕組みをつくっても、悪用しようとしている人のものをすべてクリアする法律なんというのはできっこないんだと思うのですよ。もっと言うならば、法律が仮にいいかげんであっても、この町をこうコーディネートしていくという人の、人徳といいますか、人格がしっかりしていれば、いい町はできるんだと思うのですね。
私も、今回、先ほど申し上げたように、かなりこの法案に対して情熱を持ってやらせていただきました。だから、この法案に限るというのも変で、どんな法案でもそうですが、特にこの法案に関して、政治家がかかわる疑念、あるいは汚職というものが絶対に起こらないという決意を、大臣初め副大臣、政務官、きょう一言ずつ、お時間の許す限りいただければありがたいかと思います。よろしくお願いいたします。
○扇国務大臣 昨今、国会の状況を大変心悲しく、国民の皆さんにまず政治に対する不信感が広まっているということを一番悲しく思います。
そして、私ども政治にかかわる人間として、特に国土交通省は公共工事というものが多くて、そして、私、よく言われるんです、扇さん大変ね、一番事件の起こりやすい官庁だとか、一番もうかる官庁だとか、私腹を肥やすのに今まで一番問題だったところねなんて言われるので、私は、国土交通省になってからは、旧という、利権の塊のように思われている、まずこのことを払拭しなきゃいけないということで、私は一昨年、皆さん方に全会一致で公共工事の入札と契約に関する適正化法をつくっていただきました。
これで、法案ができたからということではなくて、今仰せのように、どんな立派な法案でも必ず抜け道はあるわけですから、私どもは、そういう意味では、今回、あらゆる点で政と官のあり方、そして今回の法案でも、一番利権が絡むよとおっしゃったので、そのことに関しては、私全国区ですけれども、一つ一つの地元のことはわかりませんから、こういう委員会で、地元を代表した皆さん方に地元のことを堂々と委員会で、こんなことがあるよ、こんなことしろよと。
私は、陳情というのを、陳情ではなくて委員会で論議するということで政策決定の糧にしていくというのが一番明快で、なおかつ国民に、どの地方にはどういうことがあるというのが、お互いいろいろな地域から出ていらっしゃるから、日本全土のことが、ここの委員会でやりとりすることが、公明正大で、お互いの認識を持つということでは大変いいことだと思っておりますので、陳情形式ではなくて、政策提言、そして地方の現状を委員会で議論してお互いに認識を高めるということに持っていって、今回の都市再生法等々の活用に関しては、偏ることなく、なおかつ必要なところへは集中的に構成していく、政策を実行するということで、疑義を持たれないように、私は、信なくば立たずという信念のもとに頑張っていきたいと思っています。
○伴野委員 もう時間も来ているようでございますので、本当ならば皆さんから御意見をいただきたかったところですが、以上で質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○久保委員長 一川保夫君。
○一川委員 私も、引き続きというか、若干時間を置きましたけれども、最後の質問をさせていただきます。
今回のこの法案というのは、扇大臣も先ほど来いろいろと強調されていますけれども、国土交通省というこの役所がスタートして、割と本格的な法案じゃないかなという感じをいたしております。
国土交通省、御案内のとおり、旧建設省、旧運輸省を中心とした相当大きな権限を持ち、なおかつ相当の財源的なものも持ちながら、日本のいろいろな社会資本の整備を中心に、いろいろなまちづくりも含めて、大変な分野でこれからいろいろな面で施策を展開していく官庁であるわけですけれども、その都市再生法案というタイトルを見た限りでは、非常に私は、なるほど今の時世にマッチした法律だなという感じは確かにいたします。
ただしかし、ちょっと中身をいろいろと勉強すればするほど、どうもこの法律をつくるに当たってのこなしがちょっと悪いんじゃないかなと。といいますのは、現地の特性というのは、まちまちというか、いろいろな特性がどこの町だって皆あるわけです。こういう大都会と地方の都市では当然いろいろなことも違いますし、今行き詰まっているまちづくり、何が問題かというところもいろいろと相違点があるわけですけれども、そういうことを考えながら、また、実際にまちづくりに取り組んできたいろいろな方々の御意見を聞く限りにおいては、この再生法案は、そういういろいろな問題意識を持って現場でしっかりと取り組んでいる割と優秀な方々がたくさん育っておられますけれども、何かそういう人たちに対してちょっと失礼じゃないかなという感じも若干受けるわけです。
といいますのは、大臣も当然御案内のとおり、この再生法案、都市再生本部、総理大臣をキャップにして、国務大臣すべて入れての再生本部をつくって、それでその基本方針なるものも、これは閣議決定をする。閣議決定、当然都市再生本部でその原案はつくられるのだと思います。それで、緊急整備地域と称するところも政令で定める。政令で定めるというのは、国が定めるということですよね。それから整備方針、これも再生本部でつくる。そういった方針に基づいて出てくるいろいろな事業計画については、国土交通大臣がそれを認可する。大ざっぱに言えばそういうことになっています。
こういう仕事のやり方というのは、ある面では考えられることではありますけれども、どうも今の時代の一つの流れからするとちょっとおかしいんじゃないかなというのが私の基本的な思いです。
本日の参考人の中にもそれに近いような御意見の方もいたと思いますけれども、やはり、今の地方に対する分権、権限移譲、財源移譲という一つの大きな流れとか、地方の自立ということ、そういうことを考えてみた場合に、この法律の一つの流れというのが、余りにも国の関与が強過ぎるのではないかなと。なぜもっと地域の方々なり地方公共団体の方々の自主性に任せるというやり方がとれなかったのかなというところが、依然として私は疑問として残っているわけです。
これは、こういうやり方でうまくいくところも当然あるかもしれません。また、なかなか軌道に乗らないところもあるかもしれませんけれども、そういう気持ちで、この法案をまだしっかりと理解できないところがあるわけですけれども、それに対して大臣の、再度お願いでございますけれども、何か御所見があったらお願いします。
○扇国務大臣 一川委員の御疑問というのは、私は、少なくとも我々が認識している中では、これだけの改革をする、かつてないことである。本来は、明治維新であるとか戦後でありますとか、大きな変換期にもっと基本的なものができていれば、私はもっと快適な日本というものがあったと思うのですね。
それで、これを悔やんでいても仕方がございません。もう事は二十一世紀に入ったわけでございますから、そういう意味で、我々は今、戦後の今日までの中で、どこに欠陥があって、なぜこうなっているかという、大上段に構えるわけではありませんけれども、少なくともそれを一歩でも前に前進させたい、二十一世紀型にさせたい。
いろいろなアイデアはあるけれども、先ほども申しましたように、都市計画一つとってみても、東京都は今日まで五十年たっても五五%しかそれは達成できていない。四五%がまだ未達成だ。しかも、東京の中に高速道路をつくって、みんな走って通り抜けて渋滞している。高速料金を払いながら低速である。そして、この都市計画がきちんとできていないから、環状線一つとってみても、一四%がただ東京都を通り抜けているだけ。これではやはり基本的なものができていない。
しかも、時間の制約があって、例えば地方の意見を聞いていても、それがいつまでで、いつできるのかということも、これはできない、今は見当がつかない。そういうことも含めて、私は、二十一世紀型、今の日本の現状と、都市と地方の両立ということから考えていけば、どこを集中的に何をしなければいけないか。
また、国土交通省だけではなくて、旧建設、旧運輸だけが一緒になっただけではなくて、国を挙げて二十一世紀型をつくっていこうという意味では、環境も必要でございますし、そして少子高齢化も必要ということで、全大臣がこの都市再生本部に入るというのは、そういう総合的な意味で全大臣が入るというふうになっているわけでございますので、ぜひ御理解いただきたいというのも変ですけれども、その一端を申し述べさせていただきました。
○一川委員 大臣のそういうお話を聞けば聞くほど、何か国の一種のおごりみたいなものも感ずるわけですけれども、今地方には、先ほど言いましたように、優秀な人材もたくさん育っておりますし、それからそういった地域のいろいろな課題に対して創意工夫を凝らしている皆さん方もたくさんいらっしゃいます。そういう方々のいろいろな考え方をもっともっとしっかりと吸い上げていく、そういうような一つのやり方があっていいんではないかなと。
何となく、この法律の全体の流れを見ると、国でやるからおまえらついてこいというような流れに見えますし、それから、何となくまちづくりに対する気持ちの温かみといいますか、そういうものがちょっと欠けているような気がいたすわけです。この法律が実際に施行されていく段階でいろいろな問題が出てこようかと思いますけれども、そのあたり、この質疑の中で出た問題をいろいろとまた十分生かしていただきたいというふうに強く要望しておきたいと思うわけです。
それで、最後に、大臣の基本的な考え方をちょっとまたお聞かせ願いたいのですけれども、都市再生ということですから、当然、大都市を中心に都市部の再生を図るということの議論です。
一方では、地方再生といいますか農村再生といいますか、都市は都市単独で成り立つものでは当然ないわけでございますし、その周辺の地域の皆さん方のいろいろな交流なりいろいろな協力があってこそ都市があるわけです。都市に住んでいる皆さん方の飲み水というのは、例えば東京であれば群馬県のダムで犠牲になった方々の上に成り立っているのが都市でありますし、また大都会で毎日毎日出るごみをその周辺の県で、あるいは農村地域で、山村地域で処理されている、そういう一つの持ちつ持たれつという関係が都市と地方の中には私はあると思うのです。
そういうことを考えてみた場合に、都市再生ということは、当然それは大事な課題でございますけれども、一方において、その周辺地域の皆さん方のいろいろな地域振興に対する思いがあるということを国土交通大臣としてはぜひしっかりと頭に入れて対応していただきたいということで、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○扇国務大臣 今の御意見の中で一番大事なことは、まちづくりというものは、基本的には地方の皆さん方が案をお出しになる、これが私、原点だと思っております。まちづくりなんですから、町の皆さんの意見を聞く。みんなでどういう町にするかという意見がなければならないと私は思います。
私は、二十世紀、少なくとも旧建設のときに、目標に、均衡ある国土の発展という言葉を使ってまいりました。そして、お互いに標準してみんなが幸せになるような均衡ある国土の発展という言葉を、私は、二十一世紀は、これは均衡ある国土ではなくて、個性ある地域の発展、個性のある地域をつくっていこう。でなければ、先ほどもどなたかに申しましたかもしれませんけれども、どこへ行っても商店街は何々銀座、何で銀座とつくんだと。商店街に行くと、北海道へ行っても何とか銀座、九州へ行っても何とか銀座、地方の名前がついた銀座があるのはなぜなんだと。北海道はもっと北海道、九州はもっと九州、例えば先生の石川ならもっと石川の個性あるまちづくりの名前と、そしてその個性があってしかるべきだ、私はそういうふうに感じております。
今おっしゃった、地方を大事にしろとおっしゃることは、私はそれは原点だと思っておりますので、都市再生に関してもその地方の特徴を生かした都市でなければならないと、私は一番それを痛切に感じておりますので、私は、画一的なものをつくっていくということではないということだけは、ぜひ強調させていただきたいと思います。
○一川委員 終わります。ありがとうございました。
○久保委員長 瀬古由起子さん。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
都市再開発法等の改正について質問いたします。
区画整理についてまずお聞きするのですけれども、法案では、区画整理の中心部分に高度利用推進区を設けることができるようになっております。従来、土地区画整理法八十九条の照応の原則で、この追い出しの強制力を持たすことはできないとされておりました。そこで施行者は、今までは同意書をとるなど手続をしていましたけれども、今回の高度利用推進区の設定は同意の手続なしで行われるということはないのでしょうか。いかがですか。
○澤井政府参考人 今回の区画整理におきます高度利用に関する照応原則の例外の創設でありますが、区画整理事業、かつては郊外の新市街地を健全に造成するということに主として使われておりました。しかし、だんだん、都市再生のニーズの反映かと思いますが、既成市街地、町中で使われることが多くなっておりまして、今、地区数でいいますと、そうした既成市街地の区画整理の方が多くなっております。勢い、区画整理をやる場合に、その地区内におきます高度利用意欲のある方々もふえてまいります。
御指摘のように、今までは昭和五十年代に出ました最高裁判例に基づきまして、全員同意があれば区画整理法による照応原則は外せるという判決に従って、同意をとりながらやってきたわけであります。しかしながら、同意ですから、もう一人御賛成いただければ極めて整形な土地で共同で高度利用ができるというような場合にも、ぽこんと虫が食ったように欠けたようなところでやらざるを得ないというような実例もございます。
今回の法改正は、都市計画で高度利用が必要であるというふうに位置づけられた場所につきまして、区画整理事業の中で高度利用推進区というものをつくって、そこに、申し出があれば高度利用意欲のある人が集約換地ができるということです。
もう一つ大事なことは、そこに、本来ならば換地がもらえたであろう人が追い出されるというふうにもし御認識であるとすれば、それは違うのでありまして、その高度利用推進区、仮に一ヘクタールぐらいの区域がそこに定められるとすれば、そこに本来換地がもらえたであろう人は、一ヘクタールというのは百メーター掛ける百メーターですけれども、そのすぐ外に、できるだけ照応原則に近い格好で、もちろん面積などは従前の面積にできるだけ近い格好で換地をもらえるということは変わらないわけでありまして、全体として、従前のコミュニティーの維持などもできるような格好で換地ができるようになっていくと思っております。
高度利用をよりすっきりとした格好でやりたい、やる必要があるというための改正でございます。
○瀬古委員 高度利用推進区に指定されたら、そこの部分に初めからそういう地域として計画をかけておけば、高度利用を望まない住民は結果として追い出されてしまう。すぐそばにというけれども、高いビルのそばに、その日陰の住宅に、その地域に与えられるということも出てくるわけですね。そういう意味では、やはり、今まで全員の合意をとりながら進めてきたのとはかなり違った手法が今回持ち込まれるということになります。
二つ目に質問させていただきたいのですが、今回の提案は、株式会社、有限会社、再開発会社などが、一定の要件を満たせば市街地の再開発の施行者になることができるとなっております。しかも、再開発会社が施行できる再開発を第一種の市街地再開発事業に限定しないで、第二種の市街地再開発事業まで対象にしております。
第二種市街地再開発事業は、これまでは、大規模で公共性、緊急性のある事業を展開するために全面買収方式を採用して、土地収用法を適用してきたのです。したがって、公共団体が施行者となってきた経過がございます。民間会社にこういう土地収用権を与える、こういうことに今回なるのでしょうか。
○澤井政府参考人 今回の再開発の施行主体の改正につきましては、民間のノウハウ、信用を再開発事業でより多く活用するために、そうした民間開発のノウハウを持った方を核として、そこに地権者の参画を得た会社が施行主体になれるということと、御指摘のように、第一種事業だけでなく第二種事業も施行できるということであります。
第一種事業、第二種事業は、権利変換方式と買収方式ということが基本的な違いでありまして、実務的には、土地を買わずに関係者の権利を一括変換した上で事業に着手するか、あるいは土地を買いながら段階的に建物を建てていって、地権者の方をその建物に入れながら地域全体に事業を及ぼしていくかという違いがまずございます。ただ、制度的には、一種も二種も、そこに残りたい地権者の方は残れるということは全く同じでございます。
それから、収用という強制力の世界でございまして、これはもちろん、強制力をまず前面に出して事業をやるという意味ではありませんが、制度論として、最後にそういうものが、収用権が控えているわけでありますけれども、一種の場合も、権利変換処分は最後は強制力がございまして、その強制の担保は行政代執行というふうに制度論は仕組まれておりまして、これも全く強制の度合いは同じでございます。
そういう意味で、再開発会社が二種をやるというのは、基本的には、民間のノウハウで機動的な事業展開ができるようにということで、その地域の場所柄に応じまして、まとめて権利変換する方がやりやすいときには一種を使うし、段階的にやった方がいいときは二種を使うし、ちなみに、二種の方が一種よりも、今までの施行実績を見ましても、平均施行地区は七倍ぐらいの大きさ、二種はそういう大きいことができるという事業手法でございます。
○瀬古委員 委員長、今まで、公共性のある分野については第二種として公共団体が行ってきたわけですよ。ある意味では、財産権を奪うということは憲法にもかかわる問題なんですね。これを一民間開発会社がやっていいのか。私は、この問題は大変重要だと思っています。
今まで、こういう第二種の開発事業は公共団体が行ってきたという経過からいっても、住民に対する例えば生活再建措置、営業の補償だとか、生活の補償だとか、いろいろ対応してきていると思うのですね。今回、民間の開発会社がやったら、そのような配慮ができるのでしょうか。
○澤井政府参考人 まず、財産権を奪うというお話でございますけれども、先ほども申しましたけれども、そこに残りたい、残る希望のある地権者は、一種であろうと二種であろうと、その地区内に新しくできる建物の床と土地の共有持ち分がもらえるということは全く同じでございます。
それから、補償に関しましては、必要な補償をきちんとやる。これは従来と全く変わるところはございません。
○瀬古委員 今まででも十分やられていたかというと、そうじゃないのですね。しかし、それを民間の営利を目的とする会社が開発をやろうとしたら、大変それは重要な問題になってくるというように思うのですね。その点では大変重要な、今回の法律の改悪だと思っています。
それから、時間がございませんので、民都機構の問題なのですけれども、この土地取得業務の問題です。
先ほども議論が出ていましたけれども、現在、まだ半分程度の着工という形になっているわけですが、実際には、これをやりますとさまざまな特典といいますか、そういうものが出てくるわけです。
実際に、国土交通省が出してきた民都開発機構の土地取得状況の一覧表を見てみますと、取得の相手先は間組だとか鹿島建設だとか、ゼネコンとか不動産屋の土地を買収して、では、開発はだれがやっているかというと、同じ業者が開発をやっている。自分の土地なら自分で開発すればいいじゃないか、何で民間都市開発推進機構が土地を買って、そしてそれを援助しなければならないのか。大変問題だと思うのですね。
これは、この民都開発機構の土地の取得というのは、あのバブルのときに問題のあった不良債権、こういう土地を買い上げて、それを開発するのにせっせと援助してやる。こんなやり方が許されるだろうかと思うのです。最後に大臣に伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○澤井政府参考人 民都につきましては、基本的な趣旨は、土地内の貴重な土地が切り売りされないように、資金繰りの事情等で切り売りされる事例も大変多うございますので、そういうために、いい開発を行う方が出るまで民都が持ち続けるという趣旨でございますので、御理解を賜りたいと思います。
○扇国務大臣 少なくとも、土地の流動化、そういう意味においては、民間の活力だけではなし得ない部分も多々ある。また、いわゆる公共用地でも、少なくとも今後は、民間に開放して、民間の活力とともに、公共用地であっても民間と一緒になってこれをしていく。例えば皆さん方の宿舎等々でも、今度は民間の活力を利用してやっていこうというように、民都が買った土地だけではなくて、今度は、民都が買っている土地も、そして多くの民間の皆さんの活力と一緒になって新たな土地の活用を図っていこう。それが経済再生にもなるし日本の活力にもなるということで、民都の今まで買ってきた土地も最大限に利用し、そして公地もきちんと利用していこうという、これが新たな今回の都市再生の法案の中でも、両々相まってということが今までと違うという意味で、私は、ぜひこれは、御賛成いただきたいというのは変な言い方かもしれませんけれども、御理解いただきたいと思っています。
○瀬古委員 住民には問答無用の追い出し、そういう仕組みをつくる、そして大手不動産やゼネコンのためには至れり尽くせり。民でやれることは民だというなら民に任せればいいのに、それをわざわざ公共が援助してやる。とんでもない法律だと思います。
以上、終わります。
○久保委員長 日森文尋君。
○日森委員 社民党の日森文尋でございます。
最初に、大臣にお尋ねをしたいと思います。
小泉総理が民間事業者による都市再生促進を指示して、その諮問を受けたのが社会資本整備審議会の都市計画分科会。この構成を見ると、委員や臨時委員として、それぞれ大手の不動産会社の社長であるとかビルディングの会社の社長が参加をしているんです。この大手企業や企業団体は、自民党に合計で年間約数千万円の政治献金をしている。これはだれでも明らかなことなんですが、今回の法案では、この民間事業者に無利子の融資や買い上げ制度を導入するという、いわば我々から見るとやり過ぎではないかというぐらいの優遇措置が盛り込まれているわけです。その一方で、自民党が関連企業から政治献金を受けている。これは、どうも釈然としないというところがあるんです。
ちなみに、これはどうでもいいといえばいいんですが、平成十年は五千八百九十一万円、十一年が五千四百四十一万円、平成十二年が三千四百九十一万円ということですね。例えば不動産協会とか三菱地所とかというところが出てくるんですが、そういうところから献金を受けていらっしゃいます。総裁は小泉純一郎さんですね、これを指示された。それで、委員には三菱地所株式会社の会長さんが入っていらっしゃるし、臨時委員には森ビル株式会社の代表取締役社長さんも入っていらっしゃる。こういうことがあるのは、先ほど何か利権の話もちょっと出ましたけれども、どうも釈然としないという気持ちが吹っ切れない。
そこで、大臣、この事実についてどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○扇国務大臣 今、日森先生がおっしゃいました政治献金を受けているではないかというお話とこの人選とは、全く相関性はございません。なぜなれば、少なくとも、今おっしゃった今回の法案に基づいて無利子貸し付け等の優遇措置が行われる、それは国土交通大臣が認定基準に合わせてするわけでございます。私の時代にできるのかできないかは別として、私は自民党ではございませんので、政府・与党の連立与党ではございますけれども、自民党ということで言われたのでは、私は、そのために連立しているということの意味もぜひ認識いただきたいと思いますし、私が国務大臣をやめたとしても、私はこの法案を通していただいた責任者として、そういうことがあり得ないということを明快に申し上げていきたいと思います。
今、こういう人たちがメンバーに入っているではないかとおっしゃいましたけれども、私は、今回は、少なくとも民間の活力、民間の知恵も一緒に入れる、そういう意味からすれば、こういう献金をしている人でも入れちゃいけないというんじゃなくて、そういうこととは切り離して、英知は少なくとも利用させていただくということで、都市再生に不可欠な民間の力を今回は一緒に利用させていただくという意味で、私は全然、そういう偏見的なといいますか、そういうメンバーに入っているところには無利子の貸付制度を利用するよなんて、そんなけちな考えを持っているものではございませんし、またそうあってはならないと厳に戒めて、私はこの法案を皆さんに御提出した次第でございます。
○日森委員 失礼しました。保守党の大臣でございました。
しかし、これは時間がないですからいいんですが、少なくとも政府の、こういう諮問を総理から受けて審議をするようなところの委員をなさっている方が、余りこういうところに献金を大っぴらにするようなことはなさらない方が、それは誤解を招かない、それは公明正大にやっていますよということになるんですから、その辺についてもぜひ御指導をお願いしておきたいと思います。
時間がない時間がないで申しわけないんですが、先ほど参考人の方三人にお話を伺いました。大変勉強になりました。もちろん三人とも共通して、情報公開や住民参加、これはNPOもそうなんですが、そういうところと共同してやっていくということは大変重要だということはおっしゃっていました。
それぞれのお話の中に、私も発言しましたし、多くの委員からも発言があったんですが、どうも理念というのがはっきりしないじゃないかと、都市再生の理念というのが。大臣には語ってもらいました、いろいろ語ってもらったけれども、どうもイメージというのが固まってこないというのがまだまだ我々の印象なんです。
NPOの方やあるいは学者の先生や、それから実際にやられている方、事業者の方も含めて、お話を聞いていると、だんだん都市再生のまちづくりのイメージというのがわいてくるような気がしたんですよ。そういう意味で、実は、どなたかがおっしゃっていましたけれども、これはもっともっと本当に、外国の例や何かも含めて、きちんと勉強しながら決めていかなきゃいけない法律じゃないか、そんな気がしたんです。
そういう意味で、実は参考人の意見の中にもあったんですが、この都市計画分科会が六回の審議で中間取りまとめを行った、建築分科会同様、パブリックコメント、これがなかったじゃないかというような主張がありました。まさにこういうことであるから、イメージもなかなかわかない、理念が明らかにならないじゃないかという意見が出てくるような、そういう法案になってしまったのではないかというふうに思っております。
そういう意味では、国民の意見を聞かないという大きな手抜き、法案作成過程での重大な不備があったのではないか、そのことを私は強調しておきたいと思うんですが、それについて改めて御見解を伺いたいと思います。
○扇国務大臣 日森先生おっしゃいましたけれども、今おっしゃった中の社会資本整備審議会の都市分科会、この中に、今おっしゃった経済学、都市計画学、芸術、文化、そしてまた各多方面に及ぶ学識経験者、地方行政の専門家、そして農業の関係、NPO、そして国、地方の行政経験者、そして民間のさまざまな分野の専門家が網羅されておりますので、今参考人が、NPOも入れたらどうなんだ、あるいはもっと地方行政の詳しい人を入れたらどうなんだとおっしゃったこと、すべてがこの分科会のメンバーに入っているということで、私は、意見を聞かなかったというより、それは百人聞けば百人百色でございますから、それは私は、そういう意味では、このメンバーが大変多岐にわたり、また各分野の代表選手に入っていただいて意見を聴取したと思っております。
○日森委員 大臣、そのことはもう十分承知をした上で、パブリックコメントがもっとしっかりやられる必要があったんじゃないのかということなんですよ。
せっかくいい制度をつくっておきながら、それをなぜ、この重要な今の政権の目玉商品である都市再生のときに活用なさらないで、それで、確かに優秀な方々がこの委員のメンバーにいらして、ばっと六回で決めたということになっていると思うんですが、ここは本当に反省していただかないといけないんじゃないかというふうに思っています。それは答弁は結構です。
それから、都市計画、これはこの前のときにも私は質問しましたけれども、これは百年の大計だというふうに言われているわけです。この社会資本整備審議会の都市計画分科会を見ても、昨年の七月からことしの二月、これは六回だけですね。余りにも拙速であるというふうに言わざるを得ないんです。これは、言ってみれば、いわば今、不況が大変だ、この経済的な対策、経済対策というのをなるべく一日も早く手を打とうということが先行して、したがって、百年の大計であるまちづくりをどうしようかという論議がずっと後ろに置かれてしまったんじゃないのか、そういう気がしてならないんです。その辺について、ちょっと局長から。
○澤井政府参考人 まちづくりあるいは都市再生、百年の大計という点は、まさにおっしゃるとおりだと思っています。まちづくりの基本的な枠組み、都市計画、これは分権の仕組みがかなり徹底していると思っておりまして、この仕組みは依然として基本にございまして、今回の都市再生の特別措置、再々申し上げておりますように、民間の力を思い切って引き出すために、この都市再生自身が国家の存立基盤である都市を再生していくということで、非常に中長期的な課題でありますと同時に、一方で、当面の経済情勢を改善するためにも非常に重要だという、両面持っているということを認識した上で、思い切って民の視点に立って政策運営をしていく、政策の姿勢を転換していく、そこに国がイニシアチブを発揮する必要があるだろうというようなことをいろいろ検討いたしまして、今回このような法案を提案したということでございます。
その過程におきましては、都市計画分科会の議論ももとよりでございますが、都市再生本部の方でも、三百近いプロジェクトについて、民間事業者だけでなくて公共団体からもいろいろと意見を聞いて、必要な条件整備は何かというようなあたりをかなり詰めて案を練ってきた、本部では、これを踏まえていろいろな基本的な政策のスタンスを決定し積み重ねてきたというあたりの集大成がこの法案であるというふうに御理解を賜れればと思います。
○日森委員 納得できませんけれども、時間ですので終わります。
○久保委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
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○久保委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、都市再開発法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。
これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。瀬古由起子君。
○瀬古委員 私は、ただいま議題となりました都市再開発法等の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
反対する第一の理由は、市街地再開発の施行者に、ノウハウと資力、信用を有する民間事業者が地権者の参画を得て設立する株式会社または有限会社であるいわゆる再開発会社を追加していることです。現在でも多くの再開発が大手のディベロッパーの主導のもとで推進されていますが、それを企画、資金準備、施行という一貫した段階で再開発会社に法的にお墨つきを与えることは、ディベロッパー、大企業の思うままに再開発が行われ、結果として零細な地権者や賃貸住宅に住む住民が追い出されることは明らかです。
木造密集市街地の解消や未利用地などの住環境整備を理由としていますが、住民参加の保証は少なく、大企業中心の再開発を促進するものであり、認めることはできません。
第二の反対の理由は、現在、公園整備など極めて公共性の高い事業に限って行われている第二種市街地再開発事業に再開発会社と称するディベロッパーを参入させ、しかも、事実上、土地収用権を与えていることであります。土地収用権は国民の財産権にかかわるものであり、それだけに、その発動に当たっては高い公共性が求められてきました。その土地収用権を私的利益を追求する民間企業に与えることは、国民の財産権を民間企業が侵すことにつながりかねない問題であり、憲法上も問題であると指摘せざるを得ません。
第三に、土地区画整理事業の事業計画において、高度利用推進区を設けて、土地の所有者の申し出に基づき集約換地を行うことができるようにしていることです。結果として、高度利用推進区に住む住民はそこから追い出されることは明らかです。これは、区画整理の原則ともいうべき照応の原則にも反するものです。これによって中高層の町並みを高層化し、地域のコミュニティーを破壊するおそれが十分にあります。
第四に、民都機構の土地取得業務を三年間延長していることです。国土交通省の提出資料によれば、同機構が取得した土地の大部分は、大企業の工場跡地やバブル時代に取得した不良債権です。したがって、その取得土地の開発は遅々として進まず、現在でも約半分しか開発されていません。これ以上土地取得事業を進めることは、役に立たない不良債権を公的資金を使って行うものであり、認めることはできません。民都機構の土地取得事業は中止すべきであります。
地価の下落とバブルの崩壊で、売却益で事業を行う都市再開発や区画整理の手法は事業が成立せず、破綻することは明らかです。その教訓に学ばず、大企業支援を行いつつ地方自治体の財政破綻を加速する現在の法律、制度を抜本的に見直すことこそ必要です。しかし、政府はそれに手をつけないで、つけないどころか一層逆行するものになっております。
以上の理由で本法案に反対することを表明して、私の反対討論といたします。(拍手)
○久保委員長 次に、日森文尋君。
○日森委員 社民党の日森文尋でございます。
私は、社民党・市民連合を代表して、都市再開発法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、第二種市街地再開発事業の施行権限を株式会社や有限会社という民間開発事業者に付与することの憲法上の財産権制約との関係からの問題点です。
憲法の財産権を制約するからには、それだけ高い公共性が確認されていなければなりません。百歩譲って、仮にこれまで公共主体に限られていた収用権限を一民間企業に与えるならば、少なくとも当該事業者自体の透明性の確保や会社法による規制以上のコントロールがなされなければなりませんし、都市計画決定に対する公共性についても、多様な主体の参加のもとで十分な審議を行う必要があります。
しかし、何の制度的保障もなく一民間企業に収用権を付与することは、余りにも開発優先、事業者優遇と言わざるを得ません。また、トンネル会社が乱造され地権者も巻き込む形で行われた八〇年代の無秩序な地上げ屋の横行を呼び起こすのではないかという懸念も払拭できません。
反対の第二の理由は、土地区画整理法改正案の高度利用推進区の創設などの問題です。
この高度利用推進区を利用することで、高度利用を望む者の土地を集約換地し、魅力的な高度利用を実現できるといいますが、ビル建設ありきの発想であり、住宅地で集約換地、高度利用を行うことは妥当と言えるのでしょうか。超高層・高層建築物と足下にオープンスペースのつくり出す近代的再開発のみに偏って行うことは、既に欧米の都市づくりでは時代おくれであると言わざるを得ません。
反対の第三の理由は、民間都市開発推進機構の総括が不十分であることです。
全国の地価が十年連続で下落する中、商業施設やマンションを計画する事業者が、土地を民都機構に売却し、その利益を開発資金に充て、十年以内に再び土地を買い戻す制度が行き詰まりを見せています。九四年度に始まった制度でこれまで民間企業から購入した土地のうち、実際に当初のプランどおり開発されたのは半分以下にすぎません。マイカル総合開発のように、買い戻す予定だった企業が破綻するケースも出ています。残念ながら、不良債権をつけかえ、塩漬けさせる機関と言わざるを得ません。何の総括もないまま民都機構の土地取得業務に係る事業見込み地等の取得期限の延長を行うことに、疑問なしとはしません。
都市再生とは、本来、人々の活動となるオフィスや住宅を大量に供給することを短絡的に意味するものではありません。都市に暮らす人々の生活の質を高めること、言いかえるならば、都市に含まれる各地域社会における物的及び社会的環境を再生することを意味するものであることを強調し、私の反対討論を終わります。(拍手)
○久保委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○久保委員長 これより採決に入ります。
都市再開発法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○久保委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、実川幸夫君外三名より、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守党の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。伴野豊君。
○伴野委員 ただいま議題となりました都市再開発法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してございますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれまして十分御承知のところでございますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきたいと思います。
都市再開発法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
一 市街地再開発事業を施行する再開発会社については、その経営状況及び財務状況の健全性が確保されるよう、適切な指導監督が行われるよう努めること。
二 再開発会社による事業の継続が困難になった場合においては、地権者等の権利の保全或いは事業の確実な遂行について、万全な対応がなされるよう努めること。
三 土地区画整理事業の事業計画に高度利用推進区を設定するに当たり高度利用地区等を定める場合は、周辺住宅地域の環境に十分配慮されるよう努めること。
以上であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
○久保委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立多数。よって、実川幸夫君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、扇国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。
○扇国務大臣 都市再開発法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決していただきましたことに、まず心から御礼申し上げたいと存じます。
今後、審議中におきました各委員の御高見、あるいはただいまの附帯決議において提起されました、再開発会社に対する適切な指導監督、また地権者等への権利の保全等に対して、その対応、また、周辺住宅地域への環境への配慮につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
委員長初め各委員の皆さん方の御指導、御協力に対しまして感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
ありがとう存じました。(拍手)
―――――――――――――
○久保委員長 次に、都市再生特別措置法案について議事を進めます。
これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。瀬古由起子君。
○瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました都市再生特別措置法案に対して、反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、この法案は、都市の再生を緊急に行うことが国家的課題であり、そのために、周辺地域への起爆剤となるような地域に集中的、戦略的に民間の資金、ノウハウなどを振り向ける特別の措置が必要であるとして、都市再生緊急整備地域を設定し、民間の事業者に対し、各種の破格の特別措置、優遇措置を講じようとするものであるからです。
すなわち、第一に、都市再生緊急整備地域内では、既存の用途地域等に基づく規制をすべて適用除外とした上で、自由度の高い計画を定める都市再生特別地区の創設、二、民間事業者等による都市計画の提案制度の創設、三、一定期間内に確実に都市計画及び事業認定の手続を実施するなど、財界の要求を全面的に受け入れて、各種規制を事実上棚上げし、民間主導で計画を提案、スピーディーに計画決定し、自由に事業実施ができるように特別な措置を講じております。
第二に、しかも、これらの民間プロジェクトに対して、民間都市機構を通じて、一、整備事業の一部を無利子貸し付けする、二、出資、社債の取得等による施行費用の支援、三、不動産特定共同事業契約に基づく出資、四、施行費用の借り入れまたは社債発行に係る債務保証などの、各種の優遇措置を行うとしているものであります。
しかも、政府は、一、民間都市機構に対し、業務費用のうち道路整備費用に充当する資金の一部を無利子貸し付けする、二、民間都市機構に債務保証業務を円滑に実施するための基金を設置するため、政府が補助するなど総額百億円に上る手厚い支援を行おうとしているからです。まさに至れり尽くせりの大企業優遇にほかなりません。
そして第三に、法案が、都市再開発法や建築基準法改正と連動し、国際競争力の強化を目的に、市場原理で大資本の利益のための都市再生を実現するための枠組みをつくるものであるからです。
予定されるプロジェクトは、かつて構想、計画されていた大都市の環状道路、空港整備、臨海部開発などの巨大開発です。拙速に住民参加抜きに強行されれば、かつて中曽根民活による地上げで住民が次々と追い出されたような事態が起こるのは必至であります。
しかも、多くのプロジェクトが東京や大阪の都心部に集中していることは、再び人口と諸機能の大都市集中が激化し、環境悪化、交通渋滞、遠距離通勤などの二十世紀の負の遺産をさらに増幅するものになりかねません。
あるべき都市像についてのコンセンサスを得るような情報公開も十分行わず、国家的にまさに上からの都市づくりであり、住民参加も保証されていない今回の法案は、二〇〇〇年都市計画が言葉の上では宣言した内容にも反していることを指摘して、本法案に反対することを表明して、討論を終わります。(拍手)
○久保委員長 次に、日森文尋君。
○日森委員 社民党の日森文尋でございます。
私は、社民党・市民連合を代表しまして、都市再生特別措置法案につきまして、反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、住民のための都市再生ではないという点です。
あるべき都市像、グランドデザインについてのコンセンサスが図られていないため、法案の目指す都市再生の基本理念があいまいにされています。結局、政府の言う都市再生は、国際競争力の強化と不動産市場の再構築が柱となり、都市開発を利権の対象とし、都市生活空間を住民から取り上げ、民間事業者に譲り渡そうとする方向性が明瞭になっています。
一方で、本来の都市住民の生活の向上は置き去りにされ、実際は、一千四百兆円に上る個人金融資産を流動化させる事業を行うゼネコン救済法案にしかなっていないと言わざるを得ません。
また、市街地整備の緊急な推進に効果的かつ都市再生に貢献など、事業の認定基準も住民のためのまちづくりを目指すものではなく、住民への十分な説明も合意も含まれておらず、初めに事業ありきの政策と言わざるを得ません。各種手続の簡素化、事業の迅速化を理由として、一方的に都市住民の生活権を奪う手法には大きな問題があります。
第二の理由は、地方分権への逆行です。
内閣総理大臣を本部長とする都市再生本部が法定され、本部が基本方針を策定することになり、都市再生緊急整備地域は政令で指定され、地域整備方針は本部が決定するなど、トップダウン方式が強く、まちづくりに責任を持つはずの関係自治体は、意見聴取等が担保されているにすぎません。
これは、地方分権に逆行するだけでなく、従来取り組まれてきた都市計画マスタープランの否定につながりかねないなど、地域の合意を重要視してまちづくりを進めようとする自治体や市民の努力を無視するものにほかなりません。
第三の理由は、民間開発事業者に極めて有利な制度となっていることです。
既存の用途地域等に基づく規制をすべて適用除外とした上で、自由度の高い計画を定める開発特区ともいうべき都市再生特別地区や、地権者の三分の二以上の同意で行われる都市計画提案制度、新たな制度創設による処理期間、手続期間の異常ともいうべき短縮、民間都市機構を通じた無利子貸し付け、出資、債務保証等の事業者へのさまざまな特典、国や自治体への都市再生事業に関連として必要となる公益的施設の整備を促すなど、事業者に極めて有利な制度となっています。
その他の法改正案も、民間開発事業者が事業に参入しやすくなる環境を整備し、ビッグプロジェクトやインフラ整備を強行するおぜん立てのためのものとなっています。
八〇年代のバブル経済の中での都市づくりの経験は、民活、規制緩和政策の弊害を明らかにし、公正、透明で開かれた開発プロセス、市民参加、自治体の都市づくりの権利といった、新しい都市づくりの必要性を教えています。
しかし、以上のような問題点を有する法案による都市再生は、大都市住民が地上げに翻弄された中曽根民活の再来になりかねないのではないかという懸念をどうしても払拭できません。政府案は、なぜ都市開発が活発に行われながら都市の魅力の向上や住んでいる人々の豊かさに結びつかなかったのか、都市はだれのものなのかという問いに真剣に答えるものとはなっていません。
規制、誘導、計画によって望ましい人間的な都市を形成することこそ、求められている都市再生のあり方であり、景気対策のために、民間資本主導の開発の自由、建築の自由を放任することは、敗北の都市計画です。政府の都市再生は、補完性の原理に立つ分権、住民主導、環境配慮といった世界の都市再生の流れに逆行するものです。
最後に、これまでの都市計画やまちづくりの枠組みを大きく変えるものであり、しかも、小泉構造改革の目玉の一つである重要法案をわずか二日間の拙速な審議で通過、成立をさせるということは、将来に禍根を残す重大問題であることを強調し、反対討論を終わります。(拍手)
○久保委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○久保委員長 これより採決に入ります。
都市再生特別措置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○久保委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、実川幸夫君外三名より、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守党の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。赤羽一嘉君。
○赤羽委員 ただいま議題となりました都市再生特別措置法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
附帯決議の内容につきましては、委員各位、既に委員会質疑の過程において十分御承知のところでありますので、この際、お手元に配付しております案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
都市再生特別措置法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
一 都市再生緊急整備地域の指定に当たっては、大都市圏に偏ることのないように配慮するとともに、当該地域の選定理由、選定経過等について説明責任を十分果たすよう努めること。
二 都市再生事業の実施に当たっては、良好な都市環境や景観等の保全にも十分配慮されるよう努めること。
三 都市再生緊急整備地域の指定、民間都市再生事業計画の認定、都市再生特別地区の指定その他の都市計画決定等に当たっては、周辺の既成市街地の都市環境やまちづくりとの調和に配慮すること。
四 民間都市再生事業計画の認定、都市再生緊急整備地域内の都市計画の決定等に当たっては、住民への情報公開や住民の意向反映に十分配慮すること。
五 従前居住者の居住の確保を含め、都市の居住環境の向上への取組みについて、都市再生基本方針に明確に位置付けるとともに、地域の状況に応じ、地域整備方針に的確に位置付け、これに基づき具体的な施策の推進に努めること。
六 都市再生緊急整備地域における都市再生事業の実施等に係る必要な税制上の措置について、引き続き検討すること。
以上でございます。
委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
○久保委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立多数。よって、実川幸夫君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、扇国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。
○扇国務大臣 都市再生特別措置法案につきましては、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。
今後、審議中に賜りました委員の御高見、また、ただいまの附帯決議におきまして提起されました、都市再生緊急整備地域の指定に当たっての説明責任、あるいは良好な都市環境や住民の意向反映への配慮、居住環境向上に関する取り組み等につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長を初め委員各位の皆様方に、心から御指導、御協力に対しまして深く感謝の意をあらわし、御礼申し上げたいと存じます。
ありがとうございました。
―――――――――――――
○久保委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○久保委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時五十三分散会