第18号 平成14年6月5日(水曜日)
平成十四年六月五日(水曜日)午前十時開議
出席委員
委員長 久保 哲司君
理事 木村 隆秀君 理事 実川 幸夫君
理事 橘 康太郎君 理事 林 幹雄君
理事 古賀 一成君 理事 細川 律夫君
理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
赤城 徳彦君 小里 貞利君
倉田 雅年君 小島 敏男君
菅 義偉君 田中 和徳君
高木 毅君 高橋 一郎君
谷田 武彦君 中馬 弘毅君
中本 太衛君 菱田 嘉明君
福井 照君 二田 孝治君
堀之内久男君 松野 博一君
松宮 勲君 吉川 貴盛君
阿久津幸彦君 井上 和雄君
大谷 信盛君 今田 保典君
武正 公一君 樽床 伸二君
中村 哲治君 永井 英慈君
伴野 豊君 平岡 秀夫君
前原 誠司君 高木 陽介君
山岡 賢次君 大幡 基夫君
瀬古由起子君 原 陽子君
日森 文尋君 西川太一郎君
…………………………………
国土交通大臣 扇 千景君
国土交通副大臣 月原 茂皓君
国土交通大臣政務官 菅 義偉君
国土交通大臣政務官 高木 陽介君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議
官) 鈴木 直和君
政府参考人
(社会保険庁運営部長) 冨岡 悟君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 石川 裕己君
政府参考人
(国土交通省自動車交通局
長) 洞 駿君
政府参考人
(国土交通省政策統括官) 丸山 博君
国土交通委員会専門員 福田 秀文君
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委員の異動
六月五日
辞任 補欠選任
松本 和那君 小島 敏男君
津川 祥吾君 武正 公一君
保坂 展人君 日森 文尋君
二階 俊博君 西川太一郎君
同日
辞任 補欠選任
小島 敏男君 松本 和那君
武正 公一君 中村 哲治君
日森 文尋君 保坂 展人君
西川太一郎君 二階 俊博君
同日
辞任 補欠選任
中村 哲治君 津川 祥吾君
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六月四日
障害者対応のETCシステム導入に関する請願(鈴木康友君紹介)(第三七七一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
鉄道事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)(参議院送付)
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○久保委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、鉄道事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省鉄道局長石川裕己君、自動車交通局長洞駿君、政策統括官丸山博君、厚生労働省大臣官房審議官鈴木直和君及び社会保険庁運営部長冨岡悟君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る七日金曜日午前九時から、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○久保委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福井照君。
○福井委員 おはようございます。大臣には朝早くから御苦労さまでございます。
昨日は、我が国初の勝ち点を上げさせていただきまして、本当にありがとうございました。何とか決勝リーグに行きまして、景気浮揚をぜひ図っていただきたいと思いますし、その後に最大規模の補正予算を組んでいただいて、さらにまた、経済が足取り確かなものになることを心から念願する次第でございます。
話は変わりまして、まず、大臣から物流の総括ということで御答弁をいただきたいと思います。
平成九年四月に総合物流施策大綱、そして十三年七月に新総合物流施策大綱ということで、それぞれ立案され実行に移していただいたところでございますけれども、従来、日本経済のネックというのは物流だということでねらい撃ちをされておりましたけれども、随分改善をされてきたということでございます。対GDPの総物流コストも、平成三年の一〇・六%から平成十年には九・五%ということで、随分改善をされました。一方で、アメリカの方は全く改善をしていないというような状況で、我が国は、諸外国に比べて物流サービスの内外価格差においても有利な状況にあるということでございます。
そこで、この大規制緩和の法律を出していただいたわけでございますので、この機会に改めて、経済構造改革の柱としての物流効率化の来し方行く末、今までの成果の評価、そして総括、現在の問題点、そして今後の展望ということで、大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○扇国務大臣 来し方行く末と言われますと長くなって申しわけないし、また、福井議員は、今までの御経歴の中から、旧建設省にいらっしゃいましたから、日本の物流というものがどういう状況にあったかというのは既に御存じであろうと私は思います。
いかに我々は、世界におくれている今の物流というものを、経済大国という看板はいただきましたけれども、物流コストにおいては世界に競合できるようなものはないと、私は、いつも、最初に建設大臣にさせていただいたときから言っておりました。百キロのものを岩手から横浜に送るのに千四百九十円、その百キロを横浜から北米に送るのに千百円。これでは世界に伍していけない。何とか物流コストというものを世界並みに、あらゆる面での物流コスト、せめて世界の半分まで近づけようということで、それにはまず、御存じのとおり、道路あるいは港湾あるいは空港、そういうものの連結を図っていかなければ日本の物流コストが下がるわけはない。
そういう政策をするには、おかげさまで旧建設、旧運輸等々四省庁が統合して国土交通省になりましたので、あらゆる面でワンストップサービスができる。そういうことで、私どもは、物流というものを、基本的に、二十一世紀、日本が世界に伍していけるような政策を展開したいということで頑張ってきたことは事実でございます。また、皆さん方に御支持、御支援いただいて、今日まで、昨年の一月の六日、国土交通省スタート以来、政策面でも御支持いただき、また、御論議をいただいた中から、我々は政策を提言し、また実行してきたわけでございます。
現実的に、今福井議員がおっしゃったように、具体的に御報告申し上げれば、今も私が申しましたように、道路、空港、港湾など主要なインフラの整備をいたしましたし、また、需給調整の廃止等々、むだなことはやめて、規制改革、そして港湾の二十四時間フルオープン、輸出あるいは輸入、そしてあらゆる港湾の諸手続というものを簡素化して、これを電子化しようということで、これもさせていただきました。
また、この結果、物流コストはわずかながら低下傾向にございますし、総物流コストがGDPの、平成三年に一〇・六%が平成十年には九・五%にまで低下しているのは、今委員がおっしゃったとおりでございます。また、米国の一〇・一%と比べても、必ずしも高い水準にはないものとなっております。
また、売上高に占める物流コストは、平成八年度の六・五%が平成十二年度にはこれが五・九%になるなど、これも米国の六・六%よりもむしろ低くなってしまった。低くなったというか、低くしたということで、私は評価していただけるのではないかと思っております。
ただ、アジア太平洋地域においての先進的な物流基盤の整備も進んで、あらゆる面で国際的な競争が従来よりも激化しているというのは事実でございますので、これはサッカーだけではありません、物流の面でもこのようにアジアの中でも我々は難しい立場におりますので、あらゆる面で国際的な競争が激化している中で、いかにして日本の国際力を高めていくか。今後もますます、コストの低減でありますとか物流の効率化というものに努めていかなければいけない。また、これが二十一世紀に日本が生き残る重要な課題であるということは認識しております。
また、二十一世紀になって環境問題が大変口にされるようになり、事実、環境の重要性というものは、世界、いわゆる地球レベルでの環境問題が議題になっておりますので、あらゆる面で我々は、この環境を加味した、新しい環境づくりというものを構築していかなければならないと思っております。
このようなわけで、昨年七月でございますけれども、新総合物流施策大綱を閣議決定させていただきました。
新しい大綱では、まず、一つには、コストを含めて国際的に競争力のある水準の物流市場の構築をしていこう、また、二つ目には、環境負荷を低減させる物流体系の構築と循環型社会への貢献を目標にしていこうということで、私どもは、これらのことで、先ほどから申しましたように、輸出、輸入両面で、港湾等を含めましたワンストップサービスというものを含めて、空港、港湾、そして道路、この結節の強化というものを図っていって、二十一世紀の日本の体力を今こそ強化するということで励んでおりますので、どうか、いろいろな御提言を委員会で皆さん方からいただいて、十五年度予算も含めまして政策に着手し、それを実行していきたいと思っております。
○福井委員 ありがとうございました。
次に、今大臣から総括的な御答弁をいただいたわけでございますけれども、地域経済活性化という観点から、今の物流、コンプリヘンシブな施策の切り出し、答弁をお願いしたいと思います。
やはり、物づくりはどうしても弱いという地方はまだまだ残っておりますし、農林水産業の次のステップは、新しいステップは、IT産業としての農林水産業というのもあるわけであります。そういうふうに考えますと、やはり物流がどうしてもコストという面でネックとなるという地域が我が国にまだ残っておる。
そういう意味で、この物流コストがクリティカルにならないような施策というのを今どういうふうにお考えか、丸山政策統括官の方から御答弁をいただきたいと思います。
○丸山政府参考人 ただいま生産地と消費地を結ぶ物流についてのお尋ねがございました。御指摘のとおり、地域の経済活動あるいは市民生活を支える重要な機能を物流が担っておるわけでございますので、効率的で円滑な物流を実現していくということが重要な課題でございます。
先ほど大臣から申し上げました新総合物流施策大綱に基づきまして、地域間物流におきましても、多様な輸送手段間の競争と連携が確保されるような環境整備を図っていきたいというふうに思っております。
具体的に申し上げますと、主として次の五つの施策になろうかと思います。
一つは、ただいま御審議いただいておりますけれども、トラック事業、貨物鉄道事業、貨物運送取扱事業の規制の見直しを行うことでございます。二つ目が、トラック輸送あるいは内航海運を支えます全国幹線道路網あるいは港のターミナルの整備を着々と進めることでございます。三つ目が、トラックの共同輸送の促進でございますとか、船舶の大型化、高速化を進めていくことでございます。四つ目は、貨物鉄道がどうしても今輸送力に限界があるという状況でございますので、貨物鉄道の主要幹線の輸送力の強化あるいは所要時間の短縮を進めるということでございます。五つ目が、自動車専用道路等のインターチェンジと港湾等の物流拠点を直結するという施策でございます。
ただいま申し上げましたようなハード、ソフトの施策を連携して総合的に進めることによりまして、強力に地域間物流の環境整備を図っていきたいというふうに思っております。
○福井委員 ありがとうございました。
じゃ、もう時間も迫っておりますので、縦割り行政の弊害の排除という観点で、二つ御質問を同時にさせていただきたいと思います。
一点目は、厚生労働行政と今回の国土交通行政との接点といいましょうか、すき間といいましょうか、トラック業界、トラックの運転手さんという職業としての業行政というのが一つあり得るんではないかということであります。
つまり、何を言っているかといいますと、ここの参入障壁がとれて、これはますますトラック業界には入りやすくなってくる、そうすると、それは転職の結果としてもあり得るわけであります。しかし、現在は、仕方なく、ノーチョイスということで、もうちょっと格調高い職業があるかもしれないけれども、仕方なくそういう部門に参入してくるという人がいるわけであります。しかし、今は、終身雇用制も外れて、自分自身のキャリアプランというのを一人一人が考えなければならない。政府の方も、どうぞ考えてくださいねというスタンスで、今すべての行政が動き始めております。この時期に、トラックの運転手さんも、専門性があったり、あこがれの対象となったり、そういう職業として育成することが我が国にとって今非常に重要なことだというふうに思います。
トラックの運転手さんについても、この業界についても、スキルアップとか高度なサービス提供のノウハウとか、キャリアプランの対象となるような職業にレベルアップする、その施策についてどのようにお考えか、とりあえず輸送の安全を図るための措置としてどのような施策をお講じになるか、自動車交通局長さんから御答弁を賜りたいというのが一点。
そして、最後に、丸山政策統括官の方から、次は通産行政と国土交通行政のすき間。つまり、今までは、荷主側は通産行政、トラック業界の方は運輸行政ということで、まさに消費者側とサービスサプライヤーの方が別々の行政に枠組みをされまして連携がなかなか難しかったという我が国の典型的な問題、構造的欠陥の典型がここに存在しておったわけであります。しかし、これからそういう規制緩和をして、いろいろな人いらっしゃい、どうぞビジネスをしてくださいというふうに、行政の方はそういうスタンスに変えたわけですから、どんな人がどのようなビジネスを始めるかという情報は従来の行政の枠組みからは外れていたわけですけれども、それこそ、それを行政の枠の中に入れることこそ構造改革の柱ではないかというふうに思います。
例えば起業ですね、アントレプレナーとしてどういう新しい業がここで起きようとしているのか、何か情報があれば教えていただきたい。経済活性化のために、起業、新しい業を起こすということについて、この物流の世界がやはり大きな役割を果たすべきじゃないかという趣旨で、最後に丸山政策統括官の方から御答弁をいただきたいと思います。
○洞政府参考人 手短にお答えいたします。
まず、トラック運転手のレベルアップについての御質問でございますけれども、全く私どもも先生と同意見でございます。
トラック輸送を支え、そしてトラックの安全を支えるのはトラックの運転手さんであります。彼らがプライドを持って一生懸命働けるような環境を整えていくというのが非常に重要なことだと考えておりますし、そのための安全教育であるとか、あるいは適性診断の実施であるとか、あるいはドライバーコンテストとか、いろいろな機会をとらえて、そういうドライバーの資質の向上等を図っているところでございます。
また、トラック事業者の評価制度のようなものも今検討していますけれども、こういったことも、やはりトラック運転手さんの働く意欲の増進につなげるという点もあると思います。また、トラック運転手について、さらに個人のスキルを評価した何らかの資格制度を設けるべきじゃないかという御意見もございますけれども、これについては、片一方で規制強化という面もありますけれども、引き続き検討したいと思います。
いずれにしろ、あらゆる機会をとらえて、トラック運転手さんの働く意欲をさらに高めるような工夫というのに努力してまいりたいと考えております。
○丸山政府参考人 物流業におきましては、平成二年の物流二法の制定のときから起業を促進するという観点で行政を進めてきたと私ども思っております。物流二法の制定によりまして、既に、例えば時間指定宅配便でございますとか積み合わせ引っ越し単身パックでございますとか、従来なかったような新しい、消費者にとって望ましいサービスが生まれてきたというふうに思っております。
今般の改正によりましても、新しいアイデアを生かせるように、運送取次事業の業の類型としての廃止をいたしました。それによりまして、例えばインターネットを利用した販売・配送一体サービスのようなものができる、そういう新サービスが起業されるというようなことを期待しております。
○福井委員 どうもありがとうございました。以上で終わらせていただきます。
○久保委員長 今田保典君。
○今田委員 民主党の今田でございます。
私の方からは、トラック事業法関係の質問を中心的にやらせていただきたい、このように思います。
その前に、五月二十八日に報道されました関東運輸局の不正車検についてちょっとお尋ねをしたい、このように思っております。
本来なら、車検というのは、厳正でしかも平等に行わなければならない、こういうことであったわけですが、あのような事件が起きたことによって国民から信頼性を失ったんではないかというような心配をしておるわけであります。
私は、この事件を見まして、ふといろいろなことを考えたわけです。平成七年にこの車検制度が規制緩和されました。そのことによって、いわゆる車の持ち主、ユーザーみずからも自分で整備をやって車検を受けられる、こういう制度になったわけでありますが、しかし、その反面、車検の代行業というものもふえてきているんですね。そういった代行業の方が、本当にまじめな人たちがやってくれればいいんですが、私から言わせれば、どうも反社会人的な人がふえておるんではないかというような感じもいたすわけでありまして、まあそのことは後ほど質問しますが、この規制緩和があったがためにこの事件が起きたということが考えられないのかどうか、お聞きしたいと思うわけであります。
○洞政府参考人 今回の不祥事が発生いたしましたことは、国の車検制度に対する国民の信頼を著しく失墜させるものでございまして、どのような事情があっても決して許されるものではなくて、まことに申しわけなく思っている次第でございます。
国土交通省といたしましては、本件を重大に受けとめて、管理職や関係した職員について、処分を含めて厳正に対処すると同時に、再発防止に向けて万全を期してまいるという覚悟で今臨んでいるところでございます。
先生御指摘のこの原因は、平成七年の規制緩和が原因ではないかということでございますが、平成七年の車両法の改正におきましては、定期点検整備の実施時期は検査の前後を問わないこととするなどの規制緩和を行い、自動車使用者の保守管理責任の明確化を図るなどの措置を講じたものでございますけれども、この改正の結果、ユーザー車検の拡大などのように、だれでも車検が受けられるようになり、検査が受けやすくなり、その結果、今回問題を起こしたような代行業者が受検する機会が増加したということは事実であろうかと思います。
しかしながら、こういう不法行為、暴力的な言辞あるいは暴力を振るって不法行為に及ぶような代行業者は、その前にも、実は前からございまして、また、今回の神奈川支局のように、並行輸入車について排ガスの証明書を後から出すと言って出していないというようなものは、この規制緩和とは直接関係ないわけでございます。
先ほど申しましたように、こういった暴力等を振るう特定の申請人に対して、職員がみずからの職務の重大さを忘れて、どのような場合であっても理不尽な行為に断固として屈しない毅然とした対応をとれなかったという、やはり意識の油断といいますか、そういったものが何よりの原因ではないかというふうに私どもは考えている次第でございまして、二度とこういうことが起こらないように、組織を挙げて対応をしてまいりたいと思っております。
○今田委員 私は、表ざたになったのは関東地区なんですが、どうも各地でこういうことが起きておるのではないかという心配をしておるわけですがね。
この事件が報道された後、私のところに、私は長年運輸関係をやっておった関係もありまして、同僚に自動車の修理工場をやっている企業も数多くあります。そういったところから私のところに電話などいただいておるわけですが、実は、代行業者がふえたがために車検場が大変渋滞をするというのですね。
その原因は何かといえば、よく聞いてみますと、車検代行業者が車検場に持っていって、検査になかなか受からない、いわゆる点検箇所が不備な点があったために。そのことで、その代行業者が一時間なり二時間なり粘るというんですね、何とか合格にしてくれ、合格にしてくれと。そのことによって、まじめな、いわゆる整備工場の認証を持っている整備工場の皆さんが車検に行くわけですけれども、そういった方が一時間なり二時間なり待っていなきゃならぬ。
あるときは、ひどいときには、どうしても時間が間に合わなくて、そのまま持ち帰ったというのが数多くあったそうでございまして、その姿を見ますと、何も関東地区だけではないのではないかというような勘ぐりもしたくなるわけでありまして、これは全国的によくよく調査をして、このようなことのないようにしていただきたい、このように思うわけであります。
せんだって、私どもの同僚からも質問がありましたが、車検制度の、いわゆる流れ作業でやるわけですけれども、その流れ作業の仕組みをいろいろ考えてみる必要もあるのではないかというようなことをも考えてみたわけですが、いずれにしろ、こういったことが本当によその地区でも起きていないのかどうか、このことについて質問をしたいと思います。
○洞政府参考人 やはり暴力事案というものは全国的にも年々ふえてきております。そして、警察に、当局と連携して、いろいろ御協力を願っている件数というのも、その結果ふえてきております。
本件が五月の二十二日に報道されました直後に、私どもは、全国の地方運輸局に対して緊急に聞き取り調査を実施いたしました。その結果では、同種事案の発生があるという報告は、今のところは受けておりません。
しかしながら、五月二十八日、私どもが関東の事例を記者発表いたしました直後に、各地方運輸局に対しまして、自動車検査における業務の適正な執行について改めて徹底を図ると同時に、同種事案が発生していないか、また、どういう対策をとっているかということについての詳細な調査を指示しておりまして、今、その確認作業を行っているところでございます。
○今田委員 そういうことで、ぜひひとつよくよく調査していただきたい、このようにお願いをしたいわけです。
ただ、私が不思議なのは、そういうふうに不正をした代行業者に対して何の罰もないというのはおかしいのではないかというのが一般的な見方ですよね。なぜ告発しないのか、こういうことを考えるわけですが、それをほうっておきますと、まあ、こんなことやってもどうってことないや、こういうことになるんですよね。その点はどうなんですか。
○洞政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、今、調査をいろいろ、さらに関東においても調査を続行しておりますけれども、私どもも一種の、こう言ってはちょっと語弊があるかもしれませんけれども、そういう暴力を受けた方でもございます。本事案の詳細について、さらに調査中でございますけれども、こういう特定の申請人による不法行為についての対応につきましては、本事案が発生した経緯とか関係した事業者の特定、事案の具体的な処理状況などを明らかにしながら、関係した事業者の告発等も含めて、現在、警察当局と連携して検討を進めているところでございます。
正直申し上げまして、着色フィルム等を通したものについては、はっきりした証拠といいますか、そういったものを示すことがなかなか難しい状況にございますけれども、そういう中にあって、できるだけそういったものを特定して、そして警察当局と連携して、告発できるものはどんどん告発していくという方針で今臨んでいるところでございます。
○今田委員 言葉は悪いですが、ある程度の見せしめを行わないと、私は、このことがどんどんとふえていくのではないかという心配をしているわけでございます。
いわゆる不正事件の根本的な理由は何なのか、原因は何なのかというものを、原因を追及しなきゃならぬというふうに思っておりますし、いわゆる不正に改造した車両が一般の道路を走っているわけですよね。運行しているわけですよ。そういった車をそのまま放置していいのかどうかというような心配もあるわけであります。
実は、せんだって、この委員会で社民党の保坂先生が改造車両によっての交通事故の質問をしたわけでありますが、その同じような車が実は山形県内でも走っておりまして、まさしく恐ろしいものですね、ああいった車を見ると。よくナンバーを見ましたら、たまたまよその県のナンバーだったものですから、私としては山形県じゃなくてよかったなとほっとしたんですが。
いずれにしろ、どこで行われようと、こういった車両が天下の道路を走っているというのは大変恐ろしいことでございまして、こういったものを見つけたらすぐ罰するというような制度、あるいは、車検場を不正に合格したものがあるとすれば、それを追及して、すぐにその改造を取りやめさせるとか、そういった方法は考えていないのかどうか、お聞きしたいと思います。
○洞政府参考人 二つ御指摘がございました。
この不正事件の根本的な原因は何かということでございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、やはりこれまでも我々は、対応マニュアルを整備したり防犯カメラを設置したり、あるいは警察OBの方を臨時に雇用して巡回をしてもらったり等々の、また、警察との通報連絡態勢をとっていろいろな対策をとってきたところでございますけれども、こういった対策をとっていたにもかかわらず今回の事案が発生したということが実は重大な問題なのでございまして、これは先ほど申しましたとおり、検査担当職員一人一人の自覚、あるいは油断、責任感の欠如等々が一番の原因だと思っておりますし、また、そういう事案に対して、管理職も含めた組織としての対応が不十分であったということが端的に言えようかと思います。
そういう意味で、正直申し上げまして、今関東の管内においては、職員全体の、職場集会と言ったらなんでございますけれども、いろいろな階層別に分かれて、本件についてどうしたらいいんだということを本当に真剣に議論をしておりますし、そういう意味で、意識の覚せいを図ると同時に、また、こういったことに対して組織的に対応するために、集団で事に当たるチーム制の導入であるとか管理職による巡回の強化等、それから警察当局とのさらなる一層の連携強化、それから訓練の実施等々について指示をして、随時可能なものから実施しているところでございます。
それから、今回、不正に、不法に車検の網を逃れて走っている車についてどうするのかということでございますけれども、着色フィルム等につきましては、関東運輸局におきまして、基準に適合していない車両または適合しないおそれがある車両をまず特定して、特定できたものにつきましては、使用者に連絡するなどによりまして基準に適合させることとしておりますけれども、特定ができないものにつきましては、街頭検査とか今後の継続検査において基準適合性を確認することとしております。
また、排ガスの試験成績表が未提出の車両につきましては、五月の十六日に関東運輸局におきまして、関係の支局長から関係事業者あてに排ガスの試験成績表の提出を求める催告書を出して、早期の提出を今強く求めているところでございまして、少しずつ排ガスの証明書等が出てきているところでございます。
今後のかかる不正改造車の取り締まりの件でございますけれども、せんだって御審議いただきました車両法の改正案の中におきましても、不正改造の禁止規定の新たな新設、あるいは改造した車を是正させる是正措置の強化等々の内容を盛り込んでいるところでございますけれども、今後とも、警察当局と連携しながら、街頭検査等々において、こういう不正改造車の取り締まりについて一生懸命取り組んでいきたいと考えているところでございます。
○今田委員 このことを余り議論しますと時間がありませんので、本題に入らせていただきます。
いずれにしろ、車検制度に対しての国民からの信頼を失ったわけですから、信頼を回復するために、ぜひ御努力をお願いしたい、このように申し上げておきたいと思います。
次に、トラック関係の事業法の関係の質問に入るわけでありますが、私、冒頭に申し上げたいのは、内閣で出したこの法案の題名が、鉄道事業法等の一部を改正する法律案、こういうことで出したわけですね。この文章を見ますと、トラック業の法案が入っていないような感じがしますよね。私から言わせれば、トラックにかかわっている人口が圧倒的に多いんですよ。そのことを考えれば、何かトラック業が軽く扱われたな、こういう感じもするわけですが、今、副大臣がうなずいていますけれども、このことをどう思いますか。ちょっとお聞きしたいと思います。
○丸山政府参考人 法律的な細かい話でございますので、私の方から御答弁をさせていただきます。
幾つかの関連する法律をまとめて出すときに、例えば、今回のように、トラック事業法等の一部改正ということでやるわけでございますけれども、代表選手は、内容にかかわりなく一番制定の古い法律を出すということで、法案を提出いたしますときには鉄道事業法等の一部改正ということになっておりまして、中身の軽重によって鉄道事業法を頭に出しているということではございません。
○今田委員 いや、それは省庁とか役人さんの考えることであって、はっきり言って、一般の人はそんなこと関係ないんですよ。
いわゆるこの業界を真剣に国土交通省として考えているのかどうか、その誠意というものが表に出ないと、先ほど福井さんからお話がありましたように、トラック業に携わる運転手さんが誇りを持って働けるようにしていただきたい、こういうことがあったわけですが、どうもそういうことと相反するものがあるのではないかというふうに思います。
これは余り気にしないで聞いていただきたいんですが、気にしないというのはちょっとおかしいんですが、ぜひひとつ、そういうことも、トラック業に携わる皆さんが思っていらっしゃるんだということを頭に置いていただきたい、こういうふうに思います。
そこで、いわゆる貨物自動車運送事業法あるいは運送取扱事業法、物流二法ということになるわけですが、これは平成元年の臨時国会で成立したものでございます。もうあれから十一年になるわけでありますけれども、その十一年の規制緩和の結果を踏まえて、さらに次のステップに進もうというわけで今回の法案が出されたんだろうというふうに私は認識をしているわけですが、ただ、この十一年間の物流二法の規制緩和によってどのようにいろいろなものが変わったのかというものを、十分に精査しなきゃならぬというふうに思っておるわけであります。
その当時の議論の中に、最大のポイントは、公正競争の確立ということがうたわれておるわけでありますが、しかし、どうも現実を見ますと、そのような状況にはなっていないのではないかというふうに思うわけでございます。いわゆる何でもあり、ルールの無視も甚だしい状態が続いているようでございまして、そのために産業として著しく疲弊しております。さらに、従事する労働者の労働条件が悪化しておるわけでございまして、そこに携わる運転手さんを中心にした方々の、先ほど言ったように、労働条件が悪化しているがための事故だろうというふうに思いますが、交通事故も増加傾向にあるということでございます。
残念でありますけれども、公正競争の確立という大命題は全くお題目になってしまっているというのが現状でございます。そんなことを考えれば、昔の方がよかったなというのがトラック業界の圧倒的な声でございます。
そこで、そのことを思ってお尋ねしたいんですが、あの大騒ぎをして制定をした物流二法はその目的を十分に達成したのかどうか、さらに、公正競争の観点から、現状をどのように認識されているのか、そして、この十一年間をどのように総括されているのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○扇国務大臣 今、今田議員からお話がございましたように、平成二年、あの物流二法、これを施行しまして以来、少なくともトラックの業者の参入規制というものが大幅に緩和されたことは、今おっしゃったとおりでございます。
その結果、この十一年間でどうだったかという今田議員の御質問でございますけれども、事業者数はこの十一年間で約四万事業者から五万五千事業者にふえております。そういう意味では、競争は激しくなったということは事実でございますけれども、こうした競争の促進によって、一方では市場の活性化というものにつながりましたし、そしてそのトラックの事業者の経営努力によって、事業全体としての合理化とかあるいは効率化というものが進んだ。また、利用者からは、運賃の低下でございますとかあるいはサービスの多様化につながった。利用者にとってはそういうメリットがあったことは事実でございますし、それにつながったということで、物流全体の革新的なものに貢献したということは、私は評価できると考えております。
ですから、利用者と事業者と両々相まっての話でございますけれども、他方、今おっしゃったように、公正競争の確立ができたかとおっしゃいますと、他方ではできた。
また、この間、輸送効率の高い事業用トラックのシェアは三六%から四七%へと大きくこれは拡大しております。これは事業者がふえているんですから当然のことかもしれませんけれども、全体の輸送の効率化というものは確実に図られた、私はそう思っております。環境負担の軽減にもこれは寄与した、そういうふうに考えております。
では、果たしてマイナス面はどうかということを考えますと、この十一年間で、少なくとも我々は、厳しい経済情勢が続く中でコストの削減に走る余り、今、今田議員がおっしゃったように、安全とか環境といった面での社会的責務をおろそかにしたり、あるいは労働者に対して劣悪な条件を課すというようなこともあるというのはマイナス面だろうと思います。
また、先日、お耳に達していると思いますけれども、これは私どもの方のことでございますけれども、首都高の橋脚が三センチぐらい亀裂が起こったということで、全部の点検をいたしました。それは、車の交通量が大幅に計算よりふえたということだけではなくということで、本当の積載量が正しいかどうかというので、五月の二十七日に、首都高の三カ所、大井、平和島、大師、この三カ所で全部検査をいたしましたら、過積載、積み過ぎ、三倍も荷物を積んでいるというのが大変たくさん見つかりました。
このように、今おっしゃった公正競争の確立の陰で、従業員等々、事業者が三倍も荷物を積むというようなことで、ある程度質の悪い事業者が発生しているというのも私は事実であろうと思っておりますので、そういう意味では、こういう問題を生じさせないように私たちも考えていかなければいけないと思っております。
また、国土交通省としましても、今回のこの法改正に当たりましては、経済的な規制を見直す一方で、事後のチェック体制というものを強化して、社会的に問題のある事業者というものを排除して、より公正な競争条件を整備していこうというふうに考えておりますので、ぜひ、こういう面での御協力と、また実態の正確な御報告等々も我々にとっては大きな材料でございますので、今後も検討していただいて、委員会での御審議を進めていただければと思っております。
○今田委員 今大臣からお答えいただいたように、全くルールというものは無視されているんですよ。このことは、やはり私は社会的に非常に問題があるというふうにとらえております。したがって、このことを十分にこれからいろいろなところで精査をしてやっていかなければならないんだろうというふうに思うわけでございまして、ぜひ努力をいただきたい、こういうふうに思います。
そこで、このルール関係の話をさらに続けたいわけですけれども、まず運賃規制のお話でございますが、運賃規制は、御案内のように、昭和二十六年に制定されました道路運送法の認可制に定められたのがスタートでございます。その後、平成元年のトラック事業法で改正になりまして、事前届け出制に変わったわけでございます。
運賃規制の開始から約五十一年になるわけでありますけれども、このトラック運賃規制は全く守られない規制として有名なんですね。事業者や行政、そして荷主まで、運賃というものは守られなくともよいんだという前提のもとで何かやっているような感じをいたすわけでありまして、しかし、そうあってはならないんだろうというふうに思うわけでありまして、監督官庁の国土交通省は、この運賃規制を守らせるためにどのような努力をしてきたのかということでございます。
さらに、アッピングやダンピング、いわゆる不当な運賃の場合には変更命令もできるというふうになっておるわけですが、いわゆる変更命令に反した場合は二十万円の罰金ということになってはおるのですが、どうもこの十一年間、平成二年から施行されました現在の規制緩和によって十一年になるわけですけれども、その間に運賃の変更命令は、私の記憶の中では全然やっていないというような感じもするわけでありますけれども、何件発令されたのかという点についてお尋ねをしたいと思います。
○洞政府参考人 トラック事業の運賃規制についてのお尋ねでございますが、後半の部分からお答え申し上げますと、運賃変更命令は発令されたことがあるかということにつきましては、ございません。
これはもう先生御存じのとおり、トラック事業の運賃規制は、現在は事前届け出制となっておりまして、実施前に届け出られた運賃・料金について、特定の荷主に対して不当に差別的でないか、他のトラック事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがないか等の要件に照らしてチェックを行っておりまして、届け出時においてそういう不適切な運賃があった場合には窓口でいろいろ指導をしているということでございまして、結果的に命令制度まで発動するまでに至っていないということでございます。あくまで届け出られた運賃について変更命令を出す、そういう仕組みになっているということでございます。
また、どういう努力をやっていたかということに関しての質問の答えでございますけれども、実施後の運賃につきましては、実勢運賃との間にある程度の乖離は確かにございます。これも先生よく御存じのとおり、現行運賃制度は、一〇%の幅運賃、それからさらに、二〇%程度の割引制度が認められておりますから、必ずしも届け出運賃から非常に大きく乖離しているということが、乖離している場合もあると思いますけれども、必ずしもすべてそう乖離しているということではないと思いますが、こういう場合が、地方運輸局等によって監査等を通じまして不適切な運賃が設定されているということがわかりましたときには、是正等の指導を行ってきております。
それから、運賃の一方の当事者である荷主団体に対しましても、平成九年のときに、協力金等の名目で運賃の割り戻し等を行っているという事例に対しては、取引の正常化に関する要請等を文書で出しているほか、トラック業界が行う適正運賃収受運動等を支援し、また、いろいろな荷主懇談会等を通じまして荷主側の理解と協力を求めるなど、運賃水準の確保を図る努力を私どもとしては行ってきているところでございます。その結果として、現時点に至っているわけでございます。
実際に私ども、このアンケート調査をやりましたけれども、この届け出運賃に基づいて運賃交渉をしているという実態というのは、全体の中で一割強でございます。ほとんどは相対の交渉によって決まっていく。その場合に、荷主主導かあるいは運送事業者主導か、そういう違いはございますけれども、この届け出運賃がその交渉の際にうまく機能しているというふうに評価した人は全体で一割強というふうな水準にとどまっておりまして、それが現在の実態であろうかと思います。
○今田委員 一つの法律ですから、やはり決めた以上はきちっとやってもらわぬと困りますということを申し上げたいわけであります。
ただ、今ほどお聞きしますと、変更命令はゼロであった、こういうことでございまして、いわば意味がない、事前届け出制をやっても意味がないというようなことで今回は廃止をするということなんでしょうか。運賃規制は、いわゆる事務的にということになるわけですけれども、新しい法案ですよ、それで、経済的規制として、運賃規制からは全面撤退をする、こういうふうに理解をしてよろしいんでしょうか。私から言わせれば、そんなことをやったらむちゃくちゃだな、こういうふうに言わざるを得ないわけですが、今もめちゃくちゃですが、いずれにしろそういうことですが、どうですか。
○洞政府参考人 今回の法改正によりまして、トラック事業の運賃の事前届け出制は廃止されます。しかしながら、トラック事業に対する運賃の規制については全く何もなくなったということではございませんで、私どもは報告徴収の権限を持っておりますけれども、その規定に基づきまして、事後的に各事業者が設定されている運賃というものを把握する、報告を求めて把握するということにしております。
そして、その運賃を見て、まさしく、同じ運送条件のもとでありながら利用者に対して不当に差別的な運賃・料金とか、あるいは不当なダンピング、不当な競争を引き起こすような運賃・料金等が定められている場合には、これを是正する必要があるために、この法律の改正案に盛り込まれております変更命令制度というのを設けて、必要に応じて是正をさせるという措置をとっているところでございます。
○今田委員 そこで、今ほど質問した部分の関連でありますが、改正案の中に、第二十六条の「事業改善の命令」というものの中に新たに追加された部分があります。つまり、利用者の利便や公共の利益を阻害している事実があると認められた場合は運賃変更命令ができることとなっております。これによりますと、まず阻害していることの事実認定が必要であります。それから、運賃規制が全くなくなった状態において、どのような根拠と基準でこの事実認定を行うのだろうかという疑問点があるわけであります。
こうした認定は、運賃規制のない事業法を根拠にするのは無理であって、実際には実行できないというふうに私は思っておるのですが、これはむしろ独禁法の不公正取引として公正取引委員会に任せるたぐいのものではないかというような感じがするのですが、この点についてお伺いをしたいと思います。
○洞政府参考人 トラック事業の運賃・料金に関する事業改善命令についてでございますが、今回の法改正によりましてトラック事業の運賃・料金の事前届け出制が廃止されることに伴いまして、国による事後チェックの手法として、運賃・料金に関する事業改善命令制度を新設して、トラック事業者が課しております運賃が利用者の利便、その他公共の利益を阻害している事実があると認められる場合につきまして、国土交通大臣がこの命令を発してこれを是正することにいたしております。
このため、事業改善命令の発動に当たっての事実認定を行うための判断材料といたしまして、先ほど申し上げましたとおり、現行法第六十条の報告徴収規定に基づきまして、具体的に省令ではっきり書きますけれども、事後的に運賃の報告を求めることとしておりまして、具体的な届け出の期間、方法等につきましては、今後、関係者の意見も聞きつつ、省令においてはっきり明記するということを考えております。また、事業改善命令の発動の前には、監査等によりまして具体的な事実関係の確認等を行うこととしております。
なお、独禁法との関係でございますが、貨物運送事業法に基づく事業改善命令は、トラック事業の健全な発達を図るという法目的に従いまして、安全確保等のトラック事業に固有の法益に照らして、それとの兼ね合いも見ながら発動されるものでございまして、経済取引全般にわたる公正な競争を確保することを目的とする独禁法とは必ずしも完全にオーバーラップするというものではないと考えておりまして、国土交通省におきましては、そういうトラック事業の健全な発達あるいは安全の確保等々の観点を加味しながら、こういう事業改善命令というものの発動に当たっては、十分その辺を考慮しながら検討していきたいと思っております。
○今田委員 先ほどの運賃の事前届け出制のときも申し上げたんですが、実際にはこの十一年間でゼロだった、こういうことですね。今回のこの問題についても、やはり根拠と基準というものが不明確であれば、結局は、私は、幾らいい法案をつくっても、またそういったことを行わないままに過ぎ去っていくのではないかというような思いをするのですが、ぜひひとつ自信を持ってそういったことがあればやっていただきたい、このように思うわけでございます。
もう一つの疑問点は、現行法の第六十四条に大臣の荷主への勧告という規定があります。これは、先ほど扇大臣が福井議員の方に言っておりましたが、過積載あるいは無理な運行というものの強要を防止するための安全確保を目的としたものでありまして、いわゆる悪質荷主対策という理解を私はしておるわけでありますけれども、トラック産業の現状は、冒頭に申し上げたとおり、荷主への従属性が避けられない事業であることから、荷主に相当いじめられているというのが実態であります。
そうしたことの改善にこの大臣勧告制度が大きな役割を果たすものと期待をしてきたわけでありますけれども、制定以来十一年間、何件の大臣勧告が出されたのか、この点についてお聞きをしたいと思います。
○洞政府参考人 荷主勧告の発動の実績についてのお尋ねでございますけれども、これも、荷主勧告をこれまでのところ発動したことはございません。これは、荷主勧告の発動の要件としております同一荷主に起因する悪質違反行為が反復して生ずるといった事例がまだ生じていないということが理由でございます。
しかしながら、この荷主勧告につながります前段階の制度といたしまして、私どもは荷主警告システムというのを設けておりまして、例えば事業者に対して過積載違反の行政処分を行う場合に、今、荷主に対しまして、協力の要請書、俗にイエローカードと言っておりますけれども、イエローカードを発出して、このイエローカードを過去三年間に二回受けている荷主が再度過積載運行の指示を行った場合には、警告書、レッドカードというのを発出することにしております。これは、平成九年の四月以降、かかる協力要請書につきましては約四千七百四十件、レッドカードについては十件発出しております。
また、過積載等の違反行為の防止について荷主業界全体の理解と協力を得るために、平成十二年二月あるいは昨年の五月には、荷主団体に加えて荷主業界所管省庁に対しましても、警察庁と連携をしまして文書による要請を行いましたほか、適正化事業実施機関が実施する荷主懇談会等の場を通じて啓発活動を行って、その理解と協力を求めてきたところでございます。
御指摘のとおり、今回荷主に対する働きかけというのを、私どもはもっとこれを強めていかなければならないという問題意識を持っておりまして、この改正法が成立をいたしました以後、こういう荷主に対する働きかけなり、もっと行政側としての積極的なアクションというのはどういうのがとれるかということについて、もっと踏み込んでいろいろ検討していきたいと思っております。
○今田委員 今ほど、レッドカードとかいろいろな対策をしてきたと、こういうことですが、いわゆる荷主に対してそういうことをやった場合に、荷主が頼んでいる運送会社に対して、そういうことを問題提起したトラック業者に、意地悪といいますか、おたくのトラックはもう使いませんよ、ではよその車を使いますよというようなことが起きやすい環境にあるわけですよね。そういうことがなかったのかどうか、ちょっとお聞きしたいんです。ちょっとこれは質問を事前にしていなかったんですが。
○洞政府参考人 具体的な事例の件数とか、そういったものは承知しておりませんが、トラック協会等が行っているアンケート等の調査結果を見ますと、そういうものをうかがわせる荷主側の、違反を起こした場合にどうのこうのというのはございませんけれども、荷主側からのいろいろな働きかけというものがあって、これを何とかしてくれという声があるというのは事実でございます。
以上でございます。
○今田委員 次に、社会保険関係のことでちょっとお聞きしたいんですが、トラック業界、社会保険への未加入事業者が非常に多くあります。いわゆる社会保険というのは、健康保険、厚生年金、雇用保険、そして労災保険、この四つのことを私は言っているわけですが、それが堂々とまかり通っているようでございまして、業界筋では五万五千事業者の二割から三割が未加入ではないかというふうに言われておるわけであります。
その原因ははっきりといたしませんが、私から言わせれば、ルールの無視というむちゃくちゃな競争が一つの原因になっているのではないかというふうに思っておるわけでございます。
その未加入事業者の実態はどのようになっているのか、そしてどのように対処されているのか、国土交通省、厚生労働省にお尋ねをしたいと思います。
もう一つは、トラック事業法との関係ですが、事業法には社会保険への加入に関する記述が全くありません。余りにも当然なことでありますのであえて触れない、こういうことが言われているんでしょうけれども、しかし、実態から申し上げますと、トラック事業法においては、参入に当たっての条件であることとともに、参入後の未加入者は、それが発覚した時点で許可を取り消すということ、あるいは、少なくとも省令以上のレベルで明確にすべきではないのかというふうに思うわけでありますけれども、国土交通省としてのお考えをお聞かせいただきたい、このように思います。
○洞政府参考人 貨物自動車運送適正化事業実施機関が行いました平成十二年度の指導結果を見てみますと、調査、指導を行った件数のうち、労働保険の未加入者が五・四%、社会保険については一一・一%と、こういう適正化事業実施機関の調査結果がございます。
社会保険、労働保険への加入につきましては、トラック事業者に限らず、事業者全般について当然に果たすべき社会的責任の一つでございます。国土交通省といたしましても、トラック事業者が社会保険、労働保険に加入し保険料を着実に支払うということが、トラック事業従事者の適正な労働条件の確保、それからトラック事業者間の公正な競争条件の確保のために必要不可欠と考えております。
近年、未加入事業者が非常に増加してきているという御指摘等を踏まえまして、国土交通省といたしましても、地方運輸局等の出先機関を通じた監査等を通じて、未加入事業者への指導等を行ってきたところでございます。今後は、未加入事業者への取り締まりを強化するために、参入許可時における審査事項として社会保険、労働保険への加入というものを追加して、厳正なチェックを行いたいと思っています。
監査時におきまして、当該保険未加入あるいは保険料の滞納が確認されて指導を受けたにもかかわらず、これに応じない場合については、保険制度の所管省庁であります厚生労働省に対して通報などを行うことを考えておりますし、悪質な事業者につきましては、厚生労働省との連携を図りながら、貨物運送事業法に基づいて行政処分を行うことにつきまして、その具体的な規定ぶり等も含めて検討を行っているところでございます。
○冨岡政府参考人 社会保険の適用につきましてお答え申し上げます。
社会保険におきましては、業種を問わず、事業所と常用的な使用関係にある従業員が被保険者とされるものであります。そして、個別具体的事例に即しまして就労の実態を勘案しまして、社会保険に加入すべきにもかかわらず加入していないという事業所がありました場合には、そのことを把握した都度、適用の事務を行いまして、そういった漏れのないように努めております。
そういう実務の実態でございまして、個別の業種に関しまして、未加入となっている事業主はどういうふうな割合になっているかといったことを把握するということは、なかなか困難なものがございます。
そういうことでありますが、事業主におきまして、従業員が必要な医療や年金を受けられるよう、また労働保険を受けられますよう、加入し保険料を納付することは法律上要請される当然の責務でございます。
したがいまして、事業主におきまして適正な届け出を励行することがまず基本でありますが、現下の厳しい経済情勢を背景に、制度に対する理解が乏しい事業主の方が見受けられることもまた事実でございます。
このため、社会保険事務所におきましては、本来届け出をして適用すべきにもかかわらず、していないといった事業主をまず把握し、これを適用するという事務を促進しておりますが、こういった場合におきまして、法人登記簿を活用しまして、登記して営業しているにもかかわらず適用の申請がないといったところがないかどうか、それから、社会保険労務士によります巡回説明、こういったことにも努力しております。
また、労働保険におきましては、労働基準監督署、公共職業安定所、こういったところが連携しまして、労働保険適用促進月間を中心とする広報、それから、中小零細事業主の委託を受けて労働保険事務を処理している労働保険事務組合を活用した適用促進の展開、このようにいろいろ努力しております。
今後とも、さまざまな広報、いろいろな適用事務の促進を図ってまいりますが、社会保険に加入していないと疑われるトラック事業主につきましては、地方運輸局よりそういった情報を入手した場合、その情報を活用して、社会保険、労働保険の適用の適正化を図るなど、今後とも国土交通省との連携にも努力してまいりたい、かように考えております。
○今田委員 今ほど、未加入者は一一%ちょっとというお話がありました。さらには、労働保険については五・数%、こういうようですが、実際はもっとあるんじゃないですか、私から言わせれば。業界筋から言わせれば、二割から三割近く未加入業者があるというふうにも言われておるわけでありまして、どうも私から言わせれば、正確なそういった把握ができていないということに対して、ちょっと不思議だなと、こういうふうに思うんですね。
だれにもだまって商売をやるという制度ではないわけですから、届けてちゃんとやるわけですから、その段階で、何名の従業員を抱えてどの程度の事業規模でやるのかということがわかっているわけでありまして、その場合は社会保険にも入らなきゃならぬということは当然なわけでありまして、そのことがどうも放置されているというのが非常に残念であります。
さらに、もう一点申し上げたいのは、いわゆるこれが縦割り行政の弊害だなというふうに言わざるを得ないわけであります。
先ほど厚生労働省のお話を聞きますと、国土交通省からそういう届け出の企業があればというような言い方をしておったわけですね。あればじゃなくて、積極的に、国土交通省の運輸関係は今月はどことどこが新しく届け出がありましたか、そして、従業員は何名おるのかということをきちっとやるべきだというふうに私は思うんですね。そのことが、一つのこういった未加入事業者の数を減らせる対策だというふうに言わざるを得ないわけであります。東京都なら東京都に集中して年間に何千件という新規参入者が出るわけではないわけでありまして、各地方に散らばってそういう業者が出るわけでありまして、やる気だったら、私は十分にそのチェックができるんではないかというふうに思うわけでありまして、ぜひ努力をしていただきたい、このように思います。
それからもう一点、任意保険の損害保険の加入状況についてお尋ねをしたいと思います。
自賠責の方は車検制度で十分カバーされているということで余り大きな問題にはなっておりませんけれども、この任意の損害保険はどうなっているんだろうかということでありますが、トラック事業を起こす場合、局長通達の中で、任意保険などの十分な損害賠償能力を有することというので、省庁から通達が各事業主に行っているわけでありまして、いわば参入の条件とされておるわけであります。しかし、実際はどれだけ実行されているのかということで、大変疑問を感じておるわけでありまして、加入状況、十分チェックされているのか、お聞かせをいただきたい。
さらにまた、そういった通達ということでなくて、社会的な問題なわけですから、省令以上のレベルで措置をすべきではないのかというふうにも思うわけでありまして、こうした問題点をきちっと整理したことによって公正競争というものが条件整備として成り立つわけではないのかというふうに思うわけでありまして、今ほどお尋ねをした点についてお答えをいただきたいと思います。
〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
○洞政府参考人 任意保険への加入状況についてのお尋ねでございます。
任意保険に加入するかどうかということは、先ほど申しましたように、ひとえに損害賠償能力を十分に有しているかどうか、それをどう担保していくかということでございまして、言ってみれば資産等あるいはお金をたくさん持っている事業者は保険に入らなくても賠償能力がある、ないところは保険に入ってそれをカバーするということになろうかということでございます。そういう意味で、一律に法律とか規則で入れということを規定するというのはなかなか難しいという問題があるわけでございます。
しかしながら、私どもとしましては、今、指導ベースでございますけれども、トラック事業者が中小企業が大半である、経営基盤が非常に脆弱な中小企業が大半であるということで、事業許可の際の条件として、百両以下の事業者、中小事業者につきましては、人身五千万円以上の任意保険の加入を強力に指導しております。そして、私ども、いろいろ監査を行う際にこの辺をチェックしているわけでございますけれども、監査によって、全加入状況を見てみますと、九八・三%が任意保険に加入しているという結果、数字を持っております。
また、参入後の事業者についても、これまでも監査等による事業者への指導を通じまして当該保険の加入促進を図ってきたところでございますけれども、百両以下の事業者については、事業の健全な発達を阻害するとの観点から、行政処分等により是正すること等も含めて、さらなる加入促進に向けた措置を検討しているところでございます。
○今田委員 これは被害者に対して十分補償できるような体制をきちっととらないと、大きな社会的な問題でありますので、これからも十分チェックをしていただきたい、こういうふうに思います。幸い、先ほど九八・八%ですか、ということでございますので、まあまあだなというふうに思いますが、ただ、これは本当にこういう数字なのかなというふうに正直言って思います。思いますが、ぜひひとつこれからも努力をしていただきたい、このように思います。
次に、営業区域の規制の廃止についてお尋ねをしたいわけでございます。
これまで、発地あるいは着地のいずれかが営業区域であればという、いわゆる片足主義を基本として十一年間続いてきた規制であります。この規制が設けられたのは、当然需給調整ということもあるわけでありますけれども、何よりもかによりも安全というものを重点に置いたんだろうというふうに私は思っております。この規制で安全管理というものをきちっとやってきたんだろうなというふうに思うわけでありますけれども、その制度が今回廃止をするということであれば、現在行われておる出発前の点呼、あるいは運転者の健康状態、あるいは車両の安全チェックというものができなくなるという場面があるのではないかというふうに思います。
それから、過積載になっていないのかどうか、あるいは積載方法に問題はないのかどうかという問題、さらにまた、勤務時間あるいは乗務時間の管理というものが、きちっと今まではある一定のことが行われてきたんだろうというふうに思いますけれども、いずれにしろ、そういったことで、廃止になれば何週間も出先へ行きっ放しだ、こういうことになるわけですよ。いわば出稼ぎに行くような形でドライバーが車を持って運行してしまう、こういうことになっちゃうんではないか。なっちゃうというよりも、なるんですね。
そういうことで本当にいいのかどうかということを私は心配しておるわけでございまして、当然、企業の出先の営業所あるいは運行管理所的なものがあるんでしょうけれども、そこで十分にやっていただければいいんですが、そのような状況に本当になるのかどうかということも含めて心配なわけでありまして、このことはどう担保できるのか、本当に実効性が上がるのかどうかということをお聞かせをいただきたいと思います。
○洞政府参考人 営業区域規制の廃止後におきまして、安全な運行管理をどのように担保していくかという問題でございます。
営業区域規制の廃止に伴いまして、長期間にわたって所属営業所に戻らないで運行を行おうとする場合には、おっしゃるとおり、運転者の過労とか安全確保上の指導監督が適正に行えるかどうかというような、そういった点を、運行管理体制をしっかり強化していくということが必要になると考えております。
具体的には、安全規則という省令をきちっと改正しまして、二泊三日以上の運行を行おうとする場合には、当日の乗務前あるいは乗務後の点呼などのいずれも営業所において対面で受けない運行を行う場合にありましては、例えば、新たに運行指示書の携行を義務づけて、出発前に運行管理者が運転者に運行指示書により運行経路や安全上の注意箇所、休憩の場所、時間等について指示すると同時に、運行先において行き先変更等があった場合には、運転者から運行管理者に報告させ、運行管理者の指示のもとに運行指示書の記載内容を変更するものとすること。
また、従来からの乗務前、乗務後の点呼に加えて、乗務途中の点呼というものを義務づけまして、運行途中におきましても、携帯電話等の活用によりまして、運転者の乗務、休憩等の状況や疲労状況、健康状況についてきめ細かく把握すると同時に、運行管理者が休憩あるいは休息の場所、時間等について適切な指示を行うものとするというような、体制の強化を行うべく、詳細を今検討しているところでございます。
また、あわせまして、こういう安全規制の違反行為に対する行政処分もしっかりと定めますと同時に、悪質な事業者に対する重点的な監査等、違反が判明した場合には厳正な処分を行うこと等によりまして、輸送の安全確保の徹底というものを図ってまいりたいと考えております。
〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
○今田委員 今、交通局長、いろいろそういったことをやるんだということですが、どうも、私から言わせれば、ドライバーが住所不定になるんではないかというふうにちょっと心配するんですね。それぞれのドライバーの皆さんは家族をお持ちなわけですから、やはり、せめて一週間に一回ぐらいはおうちに帰れるというようなことでなければ、家族を持った意味がないということになるわけですよ。そういうことがどうもトラック業界で常時行われるのではないかというふうな心配をしているわけでありまして、ぜひひとつそういうことをチェックをしていただきたいというふうに思います。
先ほどから言うように、運賃の規制あるいはいろいろな運送業の規制がこれまで行われてきました。行われてきましたけれども、一向に、この五十一年間そういう規制をやってきたわけでありますが、守られていないというのが実態ですね、はっきり言って。私から言わせれば、行政できちっと強権的に、規制ですから、強権的に守らせるという措置をこれまで一度もやってきていなかったのではないかと言わざるを得ないわけであります。先ほどの運賃のことでもそうでした。十一年間一度も発令されていない、こういうことでございますし、そういうルール無視等々が行われた場合、やはり自信を持ってやっていただかないと、何のための規制行政なのかということになるわけであります。これまで、その規制を守らせるためにどのような努力をしてきたのかということをお尋ねしたい。
また、規制の運用の際、強権的な措置というのを与えられながら事態が悪化するというのが見受けられるわけでありますけれども、なぜ発動しないのかということが不思議でならないわけでありまして、幾ら立法府が立派な法案の改正をしても、そういったものが行われてこなかった、あるいは行われないということでは何の意味もないわけでありまして、ぜひ、この規制行政のあり方、あるいは責任として、先ほど申し上げたようなことを、どのように見解をお持ちなのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
○扇国務大臣 今、るる今田議員のお話を伺っておりまして、まさに現実というものは、法規制あるいは法の遵守というものから現実は乖離している部分がないのかあるのか、そういうことで、国土交通省としても、少なくとも我々は、法案を通していただき、また、その法のもとで厳重なチェックをしていかなければならないと思っておりますし、少なくとも私どもは、参入時のチェックを初め、参入後においても地方運輸局等の出先機関を通じて事業者に対する監査等を随時行っておりますけれども、不適格業者の指導、営業停止、さらには許可取り消し等の処分を行っております。
私も今、今田議員からの御質問の中で、今までの資料を見ているんですけれども、少なくとも平成十二年一年間だけでも、許可の取り消しは十四件、事業停止が十二件というふうになっております。
そしてまた、点数の制度というものも取り入れておりまして、もう今田議員は御承知だろうと思いますけれども、それぞれの事業者にこの点数を累計していって、事業の停止または許可の取り消し等も行っているのは事実でございます。そして、累計の点数が二十点を超える場合は違反事業者の名前も公表しております。そしてまた、点数が五十点を超える場合は違反営業所の事業の全部または一部の停止処分、そして累計点数が八十点を超える場合は許可の取り消し処分、こういう点数制度というものも取り入れております。
私どもは、今、今田議員が御指摘になりましたように、少なくとも不適格な事業者というものの排除、それには最大限の努力をしているところでございますけれども、今後もこの運賃変更命令等につきましては、これらの取り組みというものは随時、トラックの事業者に対しまして法の遵守を行うように指導をしてまいりたいと思っておりますし、結果としてこれらの発動には至らなかったものもございますけれども、私は、そういうふうに、るるの点数制でありますとか、あるいはその点数の累積によっては停止もしておりますので、今後もこの規制の行政の進め方につきましては、事後チェック体制というものを確実に強化していきたい。
そして、今、今田議員が御指摘のように、運転手、事業に携わる皆さん方が不安がないように、また、事業者が無理無理にそういう重労働を課さないようにというようなことも、これも厚生労働省も見ていらっしゃいますし、私どもも今後は、ルールを守らない不適格業者に対しては排除を図り、公正かつ平等な市場の形成を図っていくように努力していきたいと思っております。
○今田委員 まだまだ質問するものがあるわけですけれども、時間が参りましたので、ちょっと一点だけ。
先ほど大臣の方からお答えいただいた中で、事後チェック型規制というものをこれから採用するんだと。どうも私は、これは泥棒をやって見つからなければそれでよしというような感じのする制度だなと言わざるを得ないわけでありまして、それで本当にルールが厳守されるのかという疑問点があるわけであります。このことについてはお答えはいただかなくても結構ですが、そういう感じのする事後チェック型規制というものだということでありまして、そういう思いをしている方もおられるということで、ぜひ頭の中に置いていただきたい、このように思います。何かお答えいただければ。
○月原副大臣 今委員がずっと御質問されたものの集大成になろうかと思いますが、事後チェック制度になって、我々自身も監査制度というものを、各運輸局にそういう組織を七月一日からつくりまして、より強化していくということ、そして御承知のように、労働組合の方々も参加していただいた中立機関というものを設けて適正化機関の事業についてもチェックしてもらう、こういうふうなことも考えております。
そのほか、行政処分の基準については、今いろいろなお話がありましたが、そういうことについて厳しい行政基準を設けて、法改正もいたしましたし、また、今回も元請に対する処置、そういうものも行っているわけでありますので、委員の御指摘の点は十分踏まえた運用が行われるもの、こう信じております。
○今田委員 ちょっと質問通告がまだ三、四件あったんですが、時間が参りましたので、機会があればまた続きの部分をやらせていただきます。ありがとうございました。
○久保委員長 細川律夫君。
○細川委員 民主党の細川律夫でございます。
質問に入る前に、ちょっと委員長にお願いがあるんですけれども、どうもこの委員会、今ちょっと見渡しても数が少ないのではないかというふうに思います。会期末で、緊張感が少しなくなっているようで、せっかく法案の審議ということでございますので、ぜひそういう点については、委員長の方からもひとつ御指導もよろしくお願いをしたいというふうに思います。
○久保委員長 わかりました。
○細川委員 先月のこの委員会で、私の方からは温暖化防止についての質問をいたしました。その中で、モーダルシフトの推進につきまして総論部分を伺ったところでございます。
温暖化などの環境対策のみならず、エネルギーの効率的な利用であるとか、あるいは労働生産性の面から見ましても、モーダルシフトというこの必要性というものは言うまでもないところでございます。たびたび私はこの委員会でも質問をいたしまして、政府の方では、モーダルシフトについては推進をしている、こういうことを言っておられるけれども、しかし、進んでいないのではないかということを何度も指摘してまいりました。
昨日は、温暖化防止京都議定書の批准については閣議決定もされたということも聞いております。この国際公約を守っていく上におきましても、モーダルシフトというものはぜひ必要だということで、私どもの方では、民主党の中に、モーダルシフトの推進の法制度をつくるべきということでワーキングチームも設置をいたしまして、これから研究をしていこうというふうに考えているところでございます。
今までモーダルシフトがなかなか進まなかった原因というのは、思い切った政策とそれを担保する法律がなかったからではないか、そういう視点から、どんな法整備をしていったらいいのかというようなことを具体的に検討していきたいというふうに思っているところでございます。
そこで、今回提出をされました法案についてでございますけれども、五月八日の私の質問に対する答弁の中で、丸山統括官の方からモーダルシフト推進の具体例が四つばかり出されました。そのときの四つの中の一つといたしまして、今回の貨物運送取扱事業法の改正によって海運や鉄道の利用が促進をされやすくなる、こういう点が挙げられたわけでございます。
参入の規制あるいは運賃・料金の規制を緩和することによって、本当に海運とか鉄道の利用促進につながるのかどうか、まず、この点についてお伺いをいたします。
○丸山政府参考人 ただいま先生御指摘のモーダルシフトの推進につきましては、法律的な手だてを含めまして、いろいろなことが必要なわけでございますけれども、この法律によってどういうことが期待されるかということに絞ってお答えを申し上げたいと思います。
私どもは、三つのことをこの法律によって期待しております。
一つは、この法律改正によりまして、第一種の利用運送事業の参入規制が許可制から登録制に緩和されます。そういたしますと、利用運送事業者の新規参入が一層容易になる、競争の促進によって良質なサービスを荷主に提供しようということが期待できる、そのことによりまして、荷主が鉄道や海運を利用する機会が増大するということを期待しております。
二つ目は、運賃・料金規制による鉄道、海運の利用の機会の増大でございます。事前届け出制を廃止することによりまして、荷主のニーズでございますとか荷動きに応じた価格設定あるいはサービスの提供が容易になるということによりまして、運送取扱人の方は荷主に合ったサービスを提供しよう、利用者はそれを利用しようという動きができてくることによりまして、鉄道や海運を利用する機会がふえていくだろうというふうに思っております。
三つ目は、今般の制度改正によりまして、第二種の利用運送事業というものができるわけでございます。従来、第二種は鉄道と航空だけにあったわけでございますけれども、今度、海運を利用する第二種の利用運送事業者ができることによりまして、一つの事業者が海陸一貫輸送を提供できるような制度的な枠組みができたということによりまして、荷主が海運を利用しやすくなるだろうということを期待しております。
○細川委員 今お聞きをしただけでは、なかなかこの法案の成立でモーダルシフトが進むかどうか、私は疑問に思います。これまでにもいろいろな施策を運輸省当時から行ってきているというふうにも言われてきたんですけれども、しかし、海運も鉄道貨物も、輸送分担率は目立ってふえてはおりません。それどころか、整備新幹線の建設によりまして在来線の経営が分離をされるたびに、貨物の線路使用料負担をめぐる問題が起きまして、貨物ネットワークそのもの、これを維持すること自体が危うくなってきております。つまり、従来は、JRの貨物会社は各旅客会社に対しましてアボイダブルコストのみを払っていればよかったわけですけれども、経営分離によりまして、在来線を経営する第三セクター、その第三セクターとの間で線路使用料の問題が生ずることになるからでございます。この点につきましては、この委員会でも再三指摘されているところでございます。
また、これは二〇〇一年の五月でありますけれども、JR完全民営化法案が審議をされたときにも、附帯決議がなされまして、鉄道貨物のネットワークの維持をきちっと図るべきだ、こういうような決議もされたわけでございます。政府も、政策としましては、再三鉄道の貨物のネットワークは維持するんだということは明言されておりますけれども、しかし、どうも鉄道貨物の方が低迷を続けているということは、やはり政府の方できちっとした意思といいますか、そういうものがよく伝わらない、あるいは不足をしているというふうにも思えるところでございます。
そこでお聞きをいたしますけれども、政府の方として、今後のこの貨物のネットワークを維持すること、さらには鉄道の貨物輸送分担率、これを向上するということにつきまして政府はどのような政策をとられるのか、この点についてお聞きをいたします。
○石川政府参考人 全国的な貨物鉄道ネットワークを維持することは、鉄道貨物の輸送促進という観点からも重要であると考えておりますし、また、荷主や利用運送事業者にとっても、鉄道貨物輸送を利用しやすい環境をつくるという意味でも望ましいことだと考えております。こういう意味で、できる限りこれを維持することが望ましいものだと考えております。
このように、鉄道貨物ネットワークの維持を図り、また、鉄道の貨物輸送分担率を向上させるためには、まず第一に、貨物鉄道事業そのものの活性化を図るということが大事だろうと思っておる次第でございます。このため、本法案による規制緩和措置によって事業者の自主性、自立性を高めることによって、鉄道貨物事業の一層の活性化を図りたいというふうに考えておりますし、さらには、さまざまな手法によって鉄道貨物輸送のサービスの水準を向上させるということも大事だというふうに考えている次第でございます。
○細川委員 この法案の中で、参議院の方で、これは参議院先議となっておりまして、参議院での審議経過を見ておりますと、与党の運輸省出身の参議院議員の方がこういうことを言っておられます。「先日、この委員会で議論されました新幹線の引当金制度の手厚さに比べますと、鉄道貨物運送事業に対する国土交通省のバックアップというのは、一緒に比べるのも変かもしれませんが、もう少し、大変大事な、物流の中で大事な基本的なシステムのように思います。」ちょっとわかりづらいような言い方ではありますけれども、要するに、新幹線の引き当てに比べると、鉄道貨物に対する政府の支援は薄いのではないかと。これは運輸省出身の議員の方の質問でやられたから、大臣も覚えておられるのではないかというふうに思います。
民間会社に政府の方からお金を出すのは、これはなかなか難しい点もあろうかと思いますけれども、そこは経営と資産のシステム管理の考え方を分離すればもっと支援ができる、こういうその議員の趣旨だというふうに思います。私も全く同感でありまして、本当に鉄道貨物の公共性とそれから重要性を理解しているというならば、これは資金面でも相当なバックアップをすべきであろうというふうに私は考えております。
そこで、ではJR貨物の方はどうなのかというふうに見てみますと、JR貨物の方では、中期経営計画ということで、ニューチャレンジ21というのがありまして、鉄道貨物のこれからのことについてしているんですが、どうも、鉄道貨物が復権をしていくんだというような意気込みといいますか、強い意思は、その中にはちょっと私には感じられないところでございます。営業収入も、それから輸送量もマイナスになるなどの中期計画ですね。非常に謙虚なプランでありまして、言うなればリストラプランみたいなものなんです。これでは鉄道貨物へのモーダルシフトというのは考えられない。もちろん、JR貨物が厳しい経営環境とか資金難の中にあっては、なかなか計画そのものも困難なことはよくわかりますけれども、だからこそ複合一貫輸送に向けた国の措置が欠かせないのではないかというふうに私は思うのでございます。
そこで、扇大臣にお伺いいたしますけれども、今後の日本での鉄道貨物のあり方についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○扇国務大臣 細川議員から、先日来これらに関してのお話がございましたけれども、今後、環境面からいえば、今細川議員がおっしゃったように、我々は、鉄道というものの重要性、そしてまた、どの程度今の鉄道の環境問題での重要性があるかということを考えてみますと、これはちょっと数字で申しますと、鉄道は、平成十一年だけでも、トンキロベースでいきますと四・〇、内航海運が四一、自動車が五四・八、航空が〇・二、こうなっておりまして、少なくとも鉄道の輸送シェアというものが低下傾向にあるということは事実でございます。
けれども、このような厳しい中で、JR貨物というものが、十四年度から十六年度にかけての中期の経営計画では、今議員が仰せのとおり、ニューチャレンジ21という徹底したコストダウンを図る、これは人員の削減ということだけではなくて、その部分もあろうと思いますけれども、効率を上げるという点をこのチャレンジ21の中で明示してあると私は思っております。
なぜかと申しますと、御存じのとおり、今、皆さん方の奥様方にもお聞きいただいてもわかりますけれども、とにかく民間業者はおうちまで荷物をとりに来てくれるんですね。今までJR貨物というのは持っていかなきゃいけなかった。今の時代には、重いものでも何でも、大きさによって値段はもちろん違いますけれども、ドア・ツー・ドアで、私たちのうちまで民間事業者はとりに来てくれる。JR貨物の場合は、そこまで持っていって、しかも日数がかかる。JR貨物で荷物を送ると二日間かかるけれども、民間のとりに来てもらった荷物は一日で着いてしまう。しかも、今我々、きょうもいらっしゃいますけれども、主婦というのは冷凍食品もなるべくならその日のうちに届けていただきたいと。こういう民間とJR貨物との差というものが生活物流の中で起きているわけです。それを改革していこうというのが、今議員が仰せになったこのニューチャレンジ21の中には、そういうことも改善しようということで、JR貨物も荷物をとりに行きますよということまで明示してあるわけです。
そういう意味では、今鉄道の貨物輸送のシェアが低下しているというものを、新たに二十一世紀型の、環境に優しい、CO2の排出量が少ない鉄道というものを見直そうということがすべてこのニューチャレンジ21の中で明示してありますので、私は、今回の鉄道というものの貨物の輸送のあり方というものは、改めて重要性というものを今認識する時期であると。
また、政府としましても、今仰せのように、地球温暖化ということで、環境問題等々、京都議定書も閣議で決めましたし、そういう意味では、CO2の排出量が少ない、エネルギーの効率もいい、そういうもので大量輸送ができます鉄道貨物の輸送というものの役割は私は改めて重要であるというふうに認識し、また、今のスピード時代に応じるような輸送方法とサービス面というものを考えていくべきだろうと思っております。
このために、我々は、鉄道の貨物の輸送力に対しますインフラの補助、これも今は補助が少ないではないかという参議院の議論を仰せになりましたけれども、これは補助率三割等の措置を講じておりますので、鉄道貨物輸送の活性化あるいは高度化の支援というものをしていきたいと思っております。
○細川委員 今の大臣の御答弁、しっかりとこれから進めていただきたいというふうに思います。
そこで、ちょっと法案とは離れますけれども、昨日、閣議の方で地球温暖化防止京都議定書につきましても批准が閣議決定をしたということもありますので、もう一つ、運輸部門におきます温暖化対策についてちょっとお伺いいたします。
温暖化対策のもう一つの大きな柱というのが、公共の交通機関を利用するということだろうと思います。この点が大変大事でありますけれども、しかし、なかなか実効性があるかどうかは疑問でございます。
例えば、都市鉄道の整備の推進というものも掲げられておりますけれども、しかし、この都市鉄道につきましても、高度成長期のころでありましたら開発利益が期待をされておりましたけれども、現在はなかなかそういう期待ができないようにもなっております。そうすると、都市鉄道新線の整備というのも従来の枠組みを変えなければいけないんじゃないかというふうにも思いますけれども、二〇〇〇年の一月に運輸政策審議会の答申で、新線整備の話題もいろいろと出ております。私は埼玉県ですけれども、埼玉県なんかでも新線の整備が話題になっているわけなんですけれども、なかなか自治体の財政事情も苦しいこともありまして、答申の実現はなかなか難しいのではないかと疑問の声も出ております。
まだ私自身は、温暖化あるいは現実の通勤ラッシュなどを見ておりますと、これらを解消するためにも、さまざまな面で、大都市圏につきましてはさらなる鉄道整備というものが必要なのではないかというふうに思っております。
そこでお聞きをいたしますけれども、都市鉄道の新線整備の枠組みにつきまして、上下分離などの点も含めまして早急に議論を詰めるべきだというふうに考えておりますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○石川政府参考人 都市鉄道の整備は、今先生がお話がありましたように、大変難しい問題が多うございます。特に、地下鉄の建設費がキロ当たり三百億円もかかるというふうな、大変な巨額な費用を要する。一方で、旅客需要というものは、都市においても、それに十分見合うほどの大きな量も必ずしも期待できないというような点もございます。
こういうふうな状況において、この整備をどう進めるかということでございますけれども、実は、平成十二年八月の運輸政策審議会答申の第十九号におきまして、鉄道整備の新たな方式として、民間鉄道事業者等に対する支援方策の見直しや地方公営企業方式等によりがたい場合には、支援整備方策として上下分離方式についても検討することが提言されております。
地下鉄等の都市鉄道整備につきましては、この提言に基づきまして、既に一部の鉄道で償還型の上下分離方式というものによる整備を行うこととしているところでございますけれども、この方式の今後の適用、こういう問題につきましては、鉄道の整備の必要性、あるいは収支採算性、国や地方の財政状況などを十分に考慮して、この方式がどのような鉄道の整備に有効であるかということについて個別によく判断していく必要があると考えております。
○細川委員 ありがとうございました。
それでは、もう時間が参りましたので最後に一点だけ、トラック二法についての関係で簡単に御質問いたします。
先ほど今田議員からも質問がありましたので、少し重複するかとは思いますが、運送事業をまじめにやっておられる方から見ますと、本当に一部の業者の違法行為が目に余るようなところがあります。先ほど大臣からの御答弁の中でも、非常に悪質な過積載の車のことも言われましたけれども、それでは、この法案が改正されて、そして、どういうふうに事後チェックといいますか、これをきちっとルールの中で仕事を、事業をさせていくか。そのためには、国土交通省だけではなかなか取り締まりができないので、警察庁の方とも十分協力をしてこれをやっていかなければいけないんじゃないかとも思います。
例えば、これまでに、道路交通法の改正、これは悪質な運転手に対するいわゆる刑罰なんかを重くする。それから、悪質運転の致死傷罪については、刑法を改正してこれまた重罰化をいたしました。そういうふうな形では、いろいろと一方では取り締まりをやりますけれども、しかし、過積載についてはなかなか少なくならない。かえって多くなっている。これをどう国土交通省と警察庁の方で連携をとって、きちっと取り締まっていくのか。この点を、具体的にどういうふうにやるのかということをお聞かせください。
○洞政府参考人 事後チェック体制を具体的にどうとっていくのかという御質問でございますけれども、まず体制面といたしまして、先ほどの国土交通省設置法の改正案の中にもございましたが、今後は、地方運輸局あるいは陸運支局等におきまして、こういう事後チェックを専ら行う監査指導部であるとか、監査課であるとか、そういった組織を設けて、監査を効率的に、これまでよりももっとテンポを速めて、そして処分基準等を見直して、きちっと事後チェック体制をとっていくという体制を整えることとしております。
それで、過積載とか飲酒もそうでございますけれども、この辺につきましては、その摘発等については警察との協力が欠かせません。むしろ警察庁の協力なくしては、なかなかこの取り締まりはできないということでございます。
過積載につきましては、随時その処分基準の強化等を行っておりますけれども、警察の方から、道路交通法百八条の三十四の規定に基づきまして、過積載に係る通知が陸運支局になされた場合には、直ちに、監査に入ることなく、貨物自動車運送事業法に基づく行政処分を行うこととしております。これは飲酒においても同じでございます。このような通知に基づいて行った処分件数は、平成九年から平成十二年度までの間に約六千八百件ほどに上っております。
今後とも、過積載等を含めまして、トラック事業者による道路交通違反事案等に係る連携というものをこれまで以上に密にしまして、ルールを守れない事業者の排除等によって、本当に正直者がばかを見ることのないよう、悪質な事業者の摘発に力を注いでいきたいと思っております。
○細川委員 さらに一層警察庁の方とも連携をとって取り締まりを強化していただきたいと思います。
私の方からは終わります。
○久保委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二分休憩
――――◇―――――
午後一時六分開議
○久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。大谷信盛君。
○大谷委員 民主党の大谷信盛でございます。
鉄道事業法等の一部を改正する法律案、私、三十分時間をいただいておりますが、貨物鉄道事業を中心にいたしまして質問をさせていただきたいというふうに思います。
午前の質疑の時間の中でも、この新物流大綱ということで、我が国の物流システムの目指すべき姿ということで大臣からも御答弁いただきましたが、一つ教えていただきたいのは、繰り返しにはなるんですが、平成九年にできた旧の物流大綱がございます。これから外部環境をかんがみてそれなりに修正されたものが新物流大綱だと思います。その旧のものの評価、総括を踏まえて、どういうふうに変わったのか。また、それを含めて、二十一世紀の我が国の物流システムというものをどういうものにしようとしているのか。簡単にもう一回御説明いただけたらというふうに思います。大臣、お願いいたします。
○扇国務大臣 今大谷委員がおっしゃいましたように、物流が我が国にとっていかに大事かということは、私は一番大谷議員が身をもって感じていらっしゃると思います。アメリカの大学を出てアメリカの会社に勤めて、世界を見る目というものをお持ちですから、日本としておくれているところがいろいろと目について、私は、お目ざわりな点が多々あると思いますし、また、それを早くなぜしないんだと。
平成九年から平成十三年と、物流コストというものの施策大綱をしたのに、また新をつくって、今度は十三年度にまた出した、これはどうなんだということをおっしゃいました。
私は、今までの物流効果というものを考えたときに、私は、閣議でも発言しておりますけれども、今まで日本の物流のこのコスト高というものの原因には、先ほどもちらっと申しましたけれども、例えば一つ港を申しましても、船が入港して、積んできた船から荷物をおろすのに、アメリカはせいぜい一日か二日、英国は二日から三日、これも遅いんですけれども、ドイツは二日、フランスは二日から四日、オランダが二日から三日、シンガポールは一日で済むというようなことになっておりますのに、日本は三日かかっているわけですね。
ですから、二十一世紀に入ってこれをいかに変えていくかということで今回の十三年の新物流大綱ということに発展してきた。そして、何よりも、二十一世紀になって、環境という新たな課題を地球規模で考えなきゃいけない。そういう新しいものが次々に出てきて、この物流をどうモーダルシフトに持っていくか、達成させるかということへの政策転換というものも、転換というよりも加味すると言った方がいいかもしれません。
ですから、九年よりも十三年度、世の流れ、また、地球規模での話になって、私は、これを変えていかなきゃいけないということで今回の現実的な改革になってきたと思っておりますので、冒頭から余り長く言ってもあれでございますけれども、CO2の問題、大気汚染の問題、そして、昨年七月にこの新総合物流施策大綱というものを閣議決定いたしまして、そして、国民的に競争力のある水準まで日本の物流を持っていこう、こういう姿勢の中で今回の議題を提供していることでございます。
○大谷委員 今大臣がおっしゃったのは港。この国は貿易立国ですから、輸出入、輸入の場合は製品よりかは原材料が多いんですけれども、三日もかかってしまう。国際競争力がない。この競争力については後で質問させてもらおうと思うんですが。平成九年にそれを大綱としてつくった。しかしながら、この国はずっと貿易立国でありまして、港から入ってくる原材料というものが非常に貴重な資源ということになっている。何で平成九年だったのか。もっと早くにどうしてできなかったのか。平成九年というのは五年前です。十年前にどうしてできなかったのか。二十年前にどうしてできなかったのでしょうか。
○扇国務大臣 なぜできなかったかという理由の一つに、私は、残念ながら、日本の省庁の縦割りを挙げざるを得ません。
私が今回強引にというか、かなり私は無謀なことをしたと思っておりますけれども、港湾一つとってみても六省庁が絡んでおります。そして、物流の手続の迅速化あるいは規制というものを緩和しようということで、例えば、国土交通省では、港を一部電子化しまして、船が入って荷物が着くよというのをインターネットでするのを無料でしておりました。
けれども、ちょっと言わせていただきますと、財務省、これはNACCSというので、これは有料で、取っているんですね。これは世界じゅう無料なんですよ。それから厚生労働省、これもNACCS使用料を取っております。農林水産省、これも有料で、NACCSの使用料を取っています。経済産業省、これはさすがインターネット無料でございます。そして法務省、これはございません。そういうことで、財務省、厚生労働省、農林水産省はこのNACCSすら有料でしていたんですね。
それで、私が業者に一年間でどれくらいこのNACCSの使用料を払っているんですかと言ったら、大きいところで、私が聞いたところで、年間一億払っていると言うんですね、NACCSの使用料。それでは世界と競争できないんです。しかも、日にちがかかって。
そんなばかなことないというので、今回、私は改めて、本当に私無謀だと思ったんですけれども、財務大臣が御理解くださいまして、閣僚で全部これをオーケーして、全部無料にすることができた。これは、各省庁が改革していこう、規制緩和をしようということのあらわれ、私の今回のNACCSの無料ということもその一つの現象でございますので、やはり二十一世紀型に転換していかなきゃいけないという例を今挙げさせていただきました。
縦割りだったことが、私は迅速化できなかった大きな理由であると思っています。
○大谷委員 この国の統治システム全体にかかわる話であるかというふうに思います。
確かに私も、大臣のおっしゃるとおり、このシステムの問題上、なかなか改革というものが、この場合は規制緩和ということですが、進まなかったんだなというふうに思います。
それにつけ加えまして、ITという情報の技術が登場してきたことによって、もっと円滑にできるようになってきた。そこに乗りおくれないようにまたしていかなければいけない。そのためには、総理なのか国土交通大臣のリーダーシップなのかはわかりませんが、内閣の中にしっかりとした展望を持った構想、そして、そのリーダーシップを発揮できる人材が必要なんだなというのをつくづく感じます。
大臣のお話を聞いておりますと、国際競争力という言葉がよく出てくるんですが、物流システム、この場合、確かに港の使用の仕方が容易であるということは国際競争力の一つだと思うんですが、そのほか、例えば貨物、トラック等々含めまして、競争力が高まるということはどういう状態のことをおっしゃっているのか、教えていただけますでしょうか。
○扇国務大臣 これは、先ほど申しましたように、私は、残念ながら、日本の今までは縦割りであったと言わざるを得ないというのが私の実感でございます。
なぜなれば、私どもは、空港、港湾、高速道路あるいは都市、これに対して、例えば空港に荷物が着いたり港に荷物が着いたりして、港に荷物が着いたらインターチェンジまで十分以内、そして空港からも十分以内、都市へは一時間以内、そういう国際的に物流の所要時間、これを見てみましても、アメリカは、インターチェンジ等々へ十分以内というのは、空港からは九八%達成できている。港湾に関しては九三%達成できている。また、ヨーロッパに関しましては、空港からは七二%が十分以内に乗ることができる。また、港湾からは九三%が十分以内に達成できる。
果たして日本はどうか。日本は、空港から高速道路に入ったりしますのに十分以内というのは、四六%しか達成できていません。また、港湾に関しては、三三%しか達成できておりません。そういうことで物流コストが高くなる。それだけ長くかかると運賃が高いわけですから。そういう意味で、国際競争力、世界に比して、物流というものの効率が上がっていない。
それは、今まで、港は運輸省、道路は建設省、空港は運輸省、そういうふうに縦割り行政で、港と道路と空港と駅と都市との結節が縦割りだったのではないかな。だから、総合的なグランドデザインを日本全土でつくっていないから、その部分その部分で近視眼的に見ていたのでは、私はこれはよくならない、木を見て森を見ずというと同じように。ですから、今回国土交通省で、一昨日でございますけれども、超長期ということで、国土づくり百年デザインというものを立ち上げました。
そのように、日本全体のグランドデザインというものがあって初めて効率が上がり、そしてむだをなくして、物流を世界的な水準に近づけることができると私は思っています。
○大谷委員 ありがとうございました。
大臣の分析によると、要は、空港また港へのアクセスというものが、諸外国の物流システムに比べたら日本の場合は長い、時間がかかるということで競争力が低いんだというふうに指摘されたのだというふうに思います。そのためには、グランドデザインというものが必要だと。
ただ、私、そこまでは賛成なんですが、それにもう一つつけ加えさせていただくならば、物流システムの競争力が高かったら産業が興るとか、もしくは人、物、お金が入ってくるとかというものではない。物流システムの効率や競争力というものは、その国、またその地域、これはアジアというほどの大きさの地域の中で、その国、日本が持っている役割にかんがみて、この物流システムは非常に競争力がある、もしくは効率がいいということになるんだというふうに思うんです。
グランドデザインをこれからつくっていく。それは、与党野党関係なし、政府国会関係なしにいろいろと提言させていただいてつくっていくわけですが、ぜひとも物流システム固有、一個のものですばらしいんだというのではなく、そこには産業が、またそこには消費者がこの物流システムを通して市民生活を営んでいる、そういう大きな意味でのグランドデザインをしていかなければいけないということを指摘させていただきたいというふうに思います。
石川鉄道局長に、中身の話をちょっと教えていただきたいんですが、今大臣がおっしゃいました新物流大綱の目指すべき二十一世紀の物流システムの中で、貨物鉄道の位置づけはどこにあって、どんな役割を果たしていこうとしているのか。まずは総論からいただきたい、こう思います。
○石川政府参考人 鉄道貨物は、一つが地球温暖化等の環境問題、あるいは都市部における道路混雑などのいわゆる物流を取り巻く制約要件、こういうものを克服するという意味で、CO2の排出量が少ないでありますとか、そういう意味で環境面にすぐれている、あるいはエネルギー効率もいい、そういう意味での大量輸送機関である鉄道貨物輸送というものの役割は重要だと思っております。
あわせて、現在の鉄道貨物輸送の分担率は、先ほど大臣からも御答弁がございましたけれども、トンキロベースで約四%と低いものでございますけれども、鉄道貨物輸送というのは、大量性、定時性あるいは価格の低廉性というふうな特性がございます。こういう特性を生かすような長距離の輸送分野ということを中心に、鉄道貨物の役割というものはできるだけ大きなものにしたいと考えております。
○大谷委員 長距離輸送には、本当に一番効率的なのは、僕も貨物鉄道だというふうに思います。
多分、午前の審議にも出ておりましたが、モーダルシフト率ということが、ある意味の数値目標で新大綱の中に挙げられている、これを高めていくことが確かに一つの座標軸にはなるとは思うんですが、今回のこの法案の中身を見ますと、要は、規制緩和をして競争をして、その競争が生む結果、効率が高まるというふうになっておりますが、これはモーダルシフト率を上げるのにどんな役割があるのかということをお教えいただけますか。
○丸山政府参考人 先生御指摘のように、この法律だけでモーダルシフト化率が上がるということではなくて、この法律とその他の施策が相まってモーダルシフト化率を高めていきたいというふうに考えております。
まず、私どもは三つほど施策が考えられるのかというふうに考えております。
一つは、今御審議いただいております、規制の見直しをすることによって鉄道、海運等を利用いたします多様な一貫輸送サービスを提供することが可能となるような制度的な枠組みをつくる。それによって、先ほども出ておりましたけれども、企業家が新たに参入してくる、あるいはITを使って新しい輸送サービスを開発するというようなことを期待しておるわけでございます。
それから二つ目は、ハードの問題でございますけれども、大臣からも御説明がございましたように、拠点的な港湾を整備するとか、拠点的な港湾とインターチェンジなどの接続をよくするとか、それからモーダルシフト船の建造支援、それから貨物の拠点駅を整備する、そういうためのハードを整備していくことが二点目ということでございます。
それから、これは今年度予算で既に認められておりますけれども、私ども、荷主、物流事業者に対しまして、環境負荷低減、すなわちモーダルシフトを行うための実証実験について補助金を交付するという制度を立ち上げております。既に五月から実験についての公募を行っておりますが、いろいろな事業者の方から、こういうふうにすればモーダルシフトが進むというようなアイデアをいただいておりますけれども、それに基づきまして、これらの三つの施策を総合的に組み合わせることによって、モーダルシフトを推進していきたいというふうに考えております。
○大谷委員 今おっしゃった補助金のところをもうちょっと詳しく教えていただけますか。どれぐらいの額で、どんな内容を目指しているのか。
○丸山政府参考人 昨年来認められておりますように、旅客の方のTDM実験、いわゆる二酸化炭素を減らすための施策と合わせまして、七億七千万円の予算をいただいております。
それで、貨物の方を始めましたのはことしの予算からでございますけれども、これだけの補助金をつければ、これだけ二酸化炭素が減りますとか、これだけモーダルシフトが進みますというものに対しまして補助金を与えるというスキームで、今準備を進めておるところでございます。
○大谷委員 額は少ないですけれども、一歩としては、方向性としてはぜひ進めていただきたいというふうに思います。
ただ、今統括官がおっしゃったのは、どちらかというと、この補助金以外はインフラ整備的なものの施策が多いんですよね。そのインフラ整備の中の一つに、例えば貨物列車、これは今二十四両編成が最もポピュラーなものでございますが、電力を高めて、また、すれ違うときに貨物列車が待っているところの線路を長くして、二十六両ぐらいにできるように今努力をしているということも聞いております。この場合、電力補助、それから線路の改修にも国が三〇%の補助を出しておるんですが、これはいつから始まって、年間どれぐらい使っておりますか。
○石川政府参考人 いわゆる鉄道貨物の輸送力増強でございますけれども、古くは東海道線についてそのような工事をやりました。最近では、十四年度から山陽線につきまして、先生おっしゃったような待避線の延長でありますとか変電所の強化でありますとか、そういうことを行っております。
○大谷委員 値段が今わからないんだったら、後でまた金額は教えていただけたらというふうに思うんですが、ことし、また来年もこれはやはり続けていく予定でございますか。
もしくは、もう一つ、この七億円よりか多いんですか、少ないんですか。補助金の方の七億七千万よりか多いんですか、少ないんですか。
○石川政府参考人 山陽線の鉄道貨物輸送力増強工事でございますが、平成十四年度から始めまして、平成十八年度までかけて行う予定でございまして、この事業費総額は四十四億円でございます。
○大谷委員 四十四億円ですか。
車両を二両ふやすとトラック何台分になるか御存じですか。時間がもったいないので僕が言います。車両が二両ふえますと、トラック六十台分の荷物を運べることになります。いわば、二両ふやせば町中からトラックが六十台減るという計算なんです。これでどれぐらいシミュレーションをされているのかわかりませんが、四十四億を使ってどれぐらい、トン数とか、トラック台数で言っても構いませんが、減るというふうにお考えですか。
○石川政府参考人 この事業の効果でございますが、先生お話があったように、トラックに換算いたしますと、十トントラック換算で二万五千台分の輸送力の増強になります。
○大谷委員 それは、二万五千台というのはいつの期間を言うんですか。一年間でということですか。
○石川政府参考人 年間でございます。
○大谷委員 ほかに比較する数字がないので、今、委員のメンバーは、聞いていて、二万五千台は多いのか少ないのか、多分判断に苦しんでいるところだというふうに思うんです。
私が言いたいことは、さっきの補助、これはいわゆるインセンティブ、鉄道貨物に荷物を預けようという動機づけをするための政策ですよね、これが七億円。こっちのは四十四億円ですが、整備、インフラですよね。JR貨物さんが仕事がしやすくなる、もしくはパイが大きくなったからいっぱい乗るんじゃないかというインフラ整備の部分のお金の方が多い。
僕は二十一世紀の物流システムの、さっき大臣がおっしゃった流れの中では、荷主となる企業さんが、ちょっとは時間がかかるけれども鉄道の方で運ぼうかという気になるような施策にもっともっとお金を使った方がいいと思うんですが、局長はどういうふうにお考えですか。
○石川政府参考人 モーダルシフトといいますか、鉄道に貨物をどうやって持ってくるかということについては、おっしゃるように、鉄道のサービスをいかによくするかということが当然大事なことでございまして、そういう中では、鉄道の施設面でのサービスの改善と、それからソフト面の、例えば運賃でありますとか荷主との交渉の問題でありますとか、そういうところについて常日ごろから、情報交換をする、あるいは意思疎通をよくする、いわゆる営業活動をよくするということも含めまして、ソフト、ハード両面からの鉄道貨物の使いやすさということを少しでも進めていくことが一つ大事だと思っております。
○大谷委員 両方大事だということをおっしゃったと思います。要はバランスということになります。
片一方が七億円で、片一方が四十四億円。これはそう簡単に金額を比べられるものではございません。始まったばかりで、多分パイロットだから七億円なのかもしれませんが、ここの予算が今後どんどんふえていって、荷主となる企業さんが鉄道貨物に物を運んでもらおうというような気になるような方向性でまだまだ進んでいくんでしょうか。これからどんどん進んでいくんでしょうか。その辺の心意気というようなものを聞かせていただけますか。
○丸山政府参考人 七億七千万円という金が十分かどうか、これにつきましては、貨物だけではなくて旅客も含めて七億七千万円でございますので、貨物だけに使えるものはすごく少ないということになるわけでございますけれども、始めたのがことしでございまして、私ども、今、いろいろなアイデアを民間の方からいただいております。随分、我々が想像もしないようなアイデアをいろいろいただいております。それを見た上で、将来的にはその呼び水がさらに大きな流れとなっていくような施策を考えていきたいなというふうに考えております。
○大谷委員 この新物流大綱は、経済産業省とも連携して提出されているものでございますので、産業の高度化という観点も踏まえて、ぜひ深く検討をしていただきたいというふうに期待をいたします。
ちょっと話が法案の効用についてもう一回戻るんですけれども、規制緩和をする、それは競争が生まれる、その競争が効率を高める。この場合、見てみたらわかりますように、参入規制という経済的規制を取っ払うことになるんですが、鉄道貨物に新規参入してくる企業等々、何かお考えがあるのでしょうか。
○石川政府参考人 鉄道貨物事業に新規参入があるかという御質問だと思いますけれども、基本的に、鉄道貨物の参入の仕方というのは、新たな参入者が線路をみずからつくって、全体のシステムを構築して新たに参入するということはなかなか考えにくいことだろうと思います。ただ、現在の旅客会社が持っているレールを使用して、新たなサービスということで新規参入があるかどうかということについては、可能性としては当然あり得ると思いますが、現実にあるかということになりますと、それはもう少し様子を見なければいけないということになると思います。
○大谷委員 具体的にどんなところが入ってくるんですか。具体的にどんなところが入ってくるようなイメージをお持ちなんですか。僕には新規参入があるとは全く思えないんですが。
○石川政府参考人 これは、こういう制度を新たにつくることによって民間がこういうことに対してどう反応してくるかということでありまして、私どもが今具体的にこういう会社があるとかないとかという話ではないと思います。
○大谷委員 御存じのとおり、今この国の荷物を運んでいる鉄道の割合というのは四%なんですよ。この十年間、大体四%ぐらいでずっと推移をしていて、新しい需要というものはないわけですよ。これは、コンテナでごんと入れますから、多様性も何もないわけですよ。ただとにかく箱の中に雑貨を入れる。石炭とか石灰とかという原材料を運ぶということなんですけれども、これはどう考えても多様性に対応できるようなあれじゃない、運ぶ質が。運ぶものが雑貨とか石灰とか、大体定まってしまいますので、どう考えても需要は伸びない、すなわち、どう考えても新規参入がないというふうに僕は判断をしているのです。
何が言いたいかというと、今、この国の物流システム、ネットワークを維持していくということが非常に大切になってくる。そうなると、この中での担い役がJR貨物さんという会社になるわけなんです。このJR貨物さんが黒字になったわけですけれども、リストラ等々のスリム化によっての黒字で、なかなか外部環境が変わってこない中、会社としての自立策も持っているでしょうけれども、政府としての自立策もあるというふうに思うんです。ネットワークを維持していくためにJR貨物が必要だ、そのためにJR貨物が黒字になっいく、そんな自立策、支援策というものを政府はどんなふうに考えているのか、ちょっと教えていただけますか。
○石川政府参考人 御指摘のように、JR貨物、非常に厳しい経営が今まで続いたわけでございます。それで、平成十二年まで八期連続の赤字が続きまして、十三年度においてようやく経常黒字が出たという状態であります。
それで、こういうものについてJR貨物自体がまずどうするかということが、もちろん基本でございます。したがいまして、御案内のとおり、JR貨物は今までさまざまな計画を立ててまいりましたし、これからニューチャレンジ21というもので計画を立てて新たに進んでいこうということでございまして、国鉄の民営・分割ということの流れの中でいえば、JR貨物も民間的手法を導入して効率的な経営を実施するというのが建前でございますので、私どもとしては、このJR貨物のそういう努力についてさまざまな面でサポートをしていきたいと考えております。
○大谷委員 その自立支援策の中には、ぜひとも、モーダルシフト率が上がるということも含めてきっと政策を立てていくというふうに思うんですけれども、最後に二つ。
まず一個。これはモーダルシフト率。新物流大綱によると、あと十年で今の四〇%のモーダルシフト率を五〇%にする、多分午前でも出ていると思うんですけれども、これは本当に実現可能ですか。
○丸山政府参考人 先ほど申し上げましたような三つの施策を組み合わせることによって実現可能だというふうに私どもは考えております。
○大谷委員 十年後に丸山さんがおられるのかおられないのか、どこにおられるかはわかりませんが、今の言葉、しかと受けとめました。私、あと十年はしっかりと衆議院議員として頑張ろうというふうに思っておりますので、必ずやこの委員会にもう一度来ていただいてと、そんな気持ちで今受けとめさせていただきました。
最後に、私の言いたいことを一方的に言って、もう終わらせていただきます。
この新物流大綱、確かによくできているし、これは目指すべき物流システムの大部分を描いているというふうに思います。しかしながら、産業との兼ね合いで物流システムの効率が出てくるということですから、必ずしもコストが安いだけじゃない、ネットワークが維持されているだけじゃないというふうに思うんです。
もっと簡単に言えば、今空トラックがたくさん走っています。十トンもあれば二トンのトラックもこの世の中には走っておりますが、それは常に荷物を満タンにしているかというと、必ずしもそうではありません。やはり、空気を運んでいるトラックがとても多いです。これはもう釈迦に説法だというふうに思いますが、こういうトラックがなるべく荷物をたくさんで運んでいくというような、非常にわかりやすいような目標値みたいなものも挙げていただいて進めていただきたいなというふうに思います。私、物流の運ぶトン数が減れば、それはそれで経済効率が、もっと大きなものでいうと、高まっているんではないかなというような考えも持っています。
ぜひとも、この委員会を通じて大切なこの国の経済再生のインフラ、物流システムでございますので、議論を続けさせていただきたいというふうに思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○久保委員長 赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
きょうは、十五分間という大変短い質問時間でございます。昨日質問通告を何点かにわたって出させていただきましたが、ちょっと午前中の質疑を聞いていて少し思ったところもありますので、大変恐縮ですが、貨物自動車運送事業法について質問を集中させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
今回の貨物自動車運送事業法の一部改正によって、運賃・料金の事前届け出制が廃止されることになる。ただ、午前中のやりとりを聞いておりますと、これはもう実質的には事前届け出制というのは機能してこなかったと、局長の御答弁にもありましたが、届け出制の運賃というのは一〇%、一割強ですか、ほとんどが荷主と事業者の相対で決められていたと。
しかし、さはさりながら、これに対して法的に罰するとか勧告を出すというような状況にまで至っていないというか、なかなかそれを執行しにくいというような状況だったと思いますが、これは私、地元のトラック業界、トラック協会なんかの話を聞いておりますと、率直に言ってやはり相当乱れ切っているというか、値段のたたき合いになっている、こういう状況がありながら、なかなかこういった法律が実行されてこなかったという、これが実態だと思うんですね。
こういった実態の中で、今回こういう規制緩和をするということが、本来、需給調整の規制緩和を初め規制緩和というのは、事業参入をしやすくして競争原理を生んでサービスを高める、こういったことをねらいにして国土交通省に関連するいろいろな面での需給調整規制緩和が実際行われて、それなりの効果を出しているものもかなりあったと思いますが、このトラック業界について、こういった規制緩和をすることが本当に健全な規制緩和の目的を達する、まずそういう土俵にあるのかどうかということを私は大変疑問に思っておるのです。
現在、過積載の問題とか過労運転とか、こういったことでトラックの交通事故なんかも随分問題になったりとかしておる中で今回規制緩和をする、実態は余り変わらないのかもしれないけれども、法律的に規制緩和をすることによって値段のたたき合いがさらに進んでしまうのではないか、それによってトラック運転手に対する負担というか、トラック業界というのは本当に中小企業の固まりみたいなところもありますので、その中にちょっと程度を超えるような苛烈な競争を生んでしまって、負の面しか、というよりは、負の面の方が強く出てしまう法改正になってしまう心配を私はしておるんですが、その点についての当局の認識と見通しをまずお聞かせいただきたいと思います。
○洞政府参考人 午前中に私が報告申し上げました今の届け出運賃制度はどういうふうに機能しているかという数字は、私どもが一昨年に各事業者にいろいろアンケートをとって、今の運賃というのは皆さん方はどういうものをよりどころにして決めていらっしゃいますかというアンケート調査の結果でございまして、届け出運賃をベースに荷主といろいろ交渉をしているという割合が一三%あったということでございまして、残りは、荷主と交渉によって決めている、その場合に、独自のコスト算定とかそういったものをベースに決めているというものもあれば、荷主が提示したコストとかそういったものをベースに決めているとか、いろいろな形態がございました。
世の中の今の物流をめぐる状況というのは、大げさな言葉で言えばまさしく物流革新というのが進んでおりますけれども、実態はこの法律よりも非常に先行していっております。実際問題、運賃を決める場合に入札制というようなものも、私どものヒアリングでは一五%とかいう数字もありますけれども、これがもう既に二〇%を超えているとか、要するに、世の中の実態はどんどん前に進んでいっている、こういうことでございまして、こういう情勢を反映して、先ほどの私どものアンケート調査の結果というものが、そういうものの世の中の動きを反映したものとして出てきているんではなかろうかと思います。
もう一つついでに申し上げますと、では今の運賃制度に対してどういうものを期待しているかということに関しましては、今のまま堅持してほしいという意見は実は非常に少ないんです。むしろ、実態に応じて緩和してほしいとか、そういうふうな意見の方が圧倒的ということでございます。
そういう意味で、今回私どもが改正しております改正案というものは、そういうふうな経済的規制について世の中の実態に合わないようなもの、それから営業区域というのも実はそういう範疇に入ると思いますけれども、そういったものは、今の実情に合わせて、あるいは世の中の今の動きに合わせて見直しをしていくということでございます。
片一方で、非常な競争の激化という中で、大臣の分析にもございましたけれども、昨今は、安全とかそういったものを無視した、本来払うべきコストも払わないで、それを例えば運賃ダンピングとかそういうところに回して、要するに、不当な競争を招いている、そういう事業者というのがどんどんふえてきている。
私どもの昨年催しました懇談会においても、こういう競争の時代において、こういう競争のルールとか一定のルールを守らないような、そういう事業者というものは、今後、断固そういったものを取り締まってほしい、あるいは排除していってほしい、競争する土俵の競争条件というのをできるだけ、要するに、正直者がばかを見るようなことのないように整えていってほしいというのが関係の委員の先生方の共通の御意見だったと思います。
そういう意味で、先生おっしゃいますとおり、今後問題になってくる安全とか環境とか、世の中と調和した守らなきゃいけないルールというのをきちっと守らせる、そういった意味で事後チェックを厳しくする。もとより行政だけでこれをできるわけではございませんので、民間の適正化機関等とも連携しながら、その辺のところをしっかりとれる体制というものを整えて、公正な競争というものを確保できる土俵づくりをしていこう、こういうふうに考えているところでございます。
○赤羽委員 私も、規制で運賃を固定化するようなことというのは賛成しているわけではありません。ですから、規制緩和をすること自体は、時代のトレンドでもありますし結構なことだと思いますが、その効果が正しく発揮できるような土俵づくりというか環境づくりを考えていくということが大事だというふうに思うんです。
まさに今局長の御答弁にもありましたように、公平な競争ができるような、まじめに働いている者がばかを見ないような、こういったことをつくっていくというのはすごく大事だというふうに思いますが、その中で、そういった角度でちょっと二点質問したいんです。
一つは、トラック協会から随分要請も出ていると思いますが、彼らの事業経営の物すごい圧迫要因の一つとなっている軽油引取税、これが暫定税率プラス七円八十銭というのがずっと続いている。これについてはなかなか、もっと大きな話の中で解決をしなければいけないわけでありますけれども、これだけ不景気で、実際の相対の運賃もこれだけたたかれて商売がしにくい中で、この暫定税率を撤廃していただきたい、こういった願いというのはかなり強く国土交通省には出ていると思うんです。
このことについて、これは総務省とかそういったところの話になるのかもしれませんが、この業界、トラック業界を主管しているというわけではないかもしれないけれども、そのテリトリーの国土交通省として、その部分についての考え、この撤廃をすることによって業界が過度な競争に追い込まれないような環境をつくるという意味では、私はこのことも考えてしかるべきだと思いますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。
○扇国務大臣 赤羽議員がおっしゃいますように軽油引取税、これは軽油引取税だけではなくて、道路特定財源ということで、昨年の暮れも、そして今回も大きく議題に上ってくるだろうと思っております。ただ、今御指摘の軽油引取税に至りましては、これは御存じのとおり、地方公共団体の貴重な道路整備財源でございます。
我が国の道路の現状というのは、私は、都市における環状道路の整備あるいは地方における生活道路の確保等の現状を見ても、今なお国民の期待は強い、私のところへもたくさん言っていらっしゃいます。
今おっしゃったように、本則一リットル当たり十五円というものが、現行の暫定税率で三十二円十銭、平成五年に二十四円三十銭から七円八十銭上がっている、暫定税率をとられているということもございます。私は、受益者負担であるということからの暫定税率を国民に御理解いただいているわけでございますから、そういう意味では、この道路特定財源によって必要な道路整備をしなきゃいけない、また、これが特に地方の道路財源になっているということにかんがみるときに、地方の皆さん方の声としてはどうなんだろうかなということを冷静に考えて、これは最大限の闘いになるのではないかなと思うくらい、大事なところへ来ていると思っています。
○赤羽委員 もちろんこの場でどうこうせよということではありませんが、トラック協会からはそういう本当に悲鳴にも似た訴えが来ているということをぜひ御理解をして、今後の税制改正に臨んでいただきたいと強く要望するところでございます。
もう一つは、ちょっと環境省マターになるかもしれませんが、要するに、今回の改正で営業区域の規制が廃止される。これは当たり前のことで、物流というのは動いているもので、そこに区域をかけていること自体がナンセンスだっったと思いますが、この裏腹に、実は自動車NOx・PM法という法律があって、そのNOx・PM法の対象地域というのが地域指定されているんですよ。それで、兵庫県も瀬戸内側の神戸や尼崎や姫路というところがかかっておりますが、実は岡山とかはかかっていないんですね。それで、なぜかかっていないかというと、対象となるCO2とかNOxとかPMの基準が三倍とか四倍を超える地域が対象地域だ、その地域に属するところに本拠地を置くトラック事業者は車種規制を受けなければいけない、こういう話になっているんですが、これはもう明らかに、物流という観点からすると余りにも道理に合わない話なんです。
阪神間の中国道とか山陽道とか、メーンの通りがありますけれども、阪神高速もありますが、これは別に兵庫県の車だけ走っているわけじゃないんですよ。大阪が大変な経済の集積地で、要するに、岡山県とか広島県、岡山は特に四国と結節していますから、そこの業者が走ってくる。ここは、車種規制を受けないんです。兵庫県の人間は、自分たちが公害の数値が高いからといって車種規制を受けるわけです。しかし、競合相手のところというのは、兵庫県の中で競争しているわけじゃありませんからね。岡山の車は、車種規制を受けないんです。
変な話で、地元の業者が車種規制を受けて、クリーンエネルギーの車で耐えて頑張っていても、ほかから来ている人が汚していっても全然規制を受けないというのは、明らかにおかしいんですよ、この法律は。これはどう考えても環境省的な発想なんですよ。国土交通省的な発想とは、とてもじゃないけれども思えない。
フェアな競争とこれで言って、今回営業区域を全廃する、どこでも自由に走れますよということを前提にした法律改正をしながら、こういったNOx・PM法の今の実態を放置しておくというのは、私は、国土交通省としてちょっと考えなければいけないんじゃないかというふうに思うんです。
なぜかというと、こういうことをやっていくと、要するに兵庫県のトラック業界はもう生きていけない、岡山県に本拠地を移しましょうみたいな話になっていきますよ。これは、こういった脱法行為的な行動を促進させてしまうような変な話になるので、ここはもう盛んにずっと言っているんですが、委員会の場でも正式に申し上げたいと思います。やはりちょっと不合理だなと、多分、扇国土交通大臣の表情を見ていると、そう思われるように映っているんですが。
この点について、ここでどうにかしろという話ではありませんが、この点は環境省にぜひ教えてあげてほしいんですよ。環境省というのは、その地域が汚れているからその地域だけで規制をかければいいやという話なんだけれども、物流というのはそうじゃないだろうということで、ぜひこの点については環境省と検討していただきたいと思うんです。これは最後の御答弁になるかと思いますが、局長だといつもの答弁になるので、大臣の答弁をお願いします。
○扇国務大臣 洞局長に答えてもらおうと思ったんですけれども、あえて最後の質問だというふうに念を押されましたので。
私は、今赤羽議員のお話を聞いていて、これは私は、業者として生きていこうと思えば、今おっしゃったように、首都圏の四都県と、愛知、三重、大阪、兵庫、この四つが指定されているんですから、当然、業者の知恵として、生き残るためには指定されていないところへ行こうというふうに考えると赤羽議員が御指摘になりましたけれども、私は、そうだろうなと考えざるを得ない。
ただ、今おっしゃったように、自動車NOx・PM法というのは環境省のマターでございますから、正直言って私がお答えすることが正しいかどうかわかりませんけれども、事は自動車のことでございますから、あえて私からお答えさせていただくのは、大気汚染の環境基準の達成度が際立って低くて、なおかつ全国一律の排気ガス規制では不十分な地域として四県が指定されているわけなんで、大変お気の毒だなと思っておりますけれども、これはやはり二十一世紀型であるということと、京都議定書等々、環境問題を考えるときには改めてその姿勢を正していかなければいけないということでの四県、愛知、三重、大阪、兵庫、この四県だけが指定されたんだと思っております。
これは、少なくとも物流の効率化等々環境に優しい運転を運送業者に対して指導していくということの一つの警告になり、なおかつみんなが心することの先駆けといいますか、先導的な役割を果たさざるを得ない現状であるというのは、赤羽議員もおわかりいただけると思っております。
こういう意味では、対象地域としては、中央環境審議会の答申がございまして、私どもではなくて中央環境審議会の答申によって、自動車の走行量とかあるいは自動車の保有台数、または大気汚染物質の排出量、いずれも全国平均の三倍から四倍ということで、あえて地域指定をされたわけでございます。私は、そういう意味では、指定されたところは、一生懸命働いているところほど指定されたなと。逆に言えば、交通量が多くて、一番働いているところが指定されたのかなと。そこは、排出量が多いわけですから。そういうふうに考えざるを得ないんです。
今回こういうことで、赤羽議員からそういう御指摘もございましたし、対象地域に使用の本拠を置く車両のみを規制対象としているというのは、確かに、一理考えれば、対象とされないところへ逃げていこうということで、逆に言えばその四つの県で産業の空洞化が起こってくる、そういうことも考えられなくはないと思いますけれども、私は、現段階では、この答申によって今の規制の効果と環境を総合的に勘案した場合は、一応やむを得ざる指定であったんだろうなとこれは拝察しております。
なお、対象地域以外の事業者と対象地域内の事業者、この差別が現実的に起こっているというような御指摘もございますので、最新の排出ガス規制の適合車への代替促進に関するいわゆる優遇税制とか、あるいは低利の融資制度等々の各種の支援の措置を私たちは講じているところでございますので、今後も、成り行きと動向というものを把握しながら、これは環境省へもぜひ、今御指摘のありましたように、両方相まって、連携をとりながら見守っていき、また、改善するところがあるのであれば我々も環境省に対しても物を申していく、そういう姿勢でしばらく様子を見させていただきたいと思います。
○赤羽委員 今回の車種規制は、二十一世紀が環境の時代であることから、反対するものでは当然ないんですが、物流という概念からの地域指定にしていただきたいというお願いですし、まじめに働く者がばかを見ないような制度にしていただきたいということでございますので、どうかよろしく御検討のほどお願いいたします。
ありがとうございました。
○久保委員長 一川保夫君。
○一川委員 自由党の一川でございます。
では、今の問題、引き続き私の方からも質問させていただきたいと思います。
今、赤羽議員の質疑を聞いておりまして、問題意識は非常に共通するところがあるわけですけれども、大臣に冒頭、今回こういった法律改正を行うに当たっての御認識をお伺いしたい、そのように思うわけです。
いわゆる物流二法というものが施行されて十年余り経過してきておりますけれども、この十年間というのは、御案内のとおり、経済社会が大きく変貌した時代でございましたし、また、特にこういった輸送関係に携わる関係者のいろいろな環境が、考え方によっては非常に厳しい状況になってきておる。
それは、一つは、先ほど来話題に出ていますような、環境面からの要請ですね。それとまた、そこで働く方々のいろいろな安全の問題なり、また輸送そのもの、当然、輸送する品物を安全に運ぶということ、また交通に対する安全の問題とか、そういう安全面に対する配慮ということも、社会的な要請として大きくなってきておるわけでございます。
片や、近年、こういった経済不況が非常に長引いているという中で、先ほど話題に出ましたように、特にトラック輸送関係というのはいろいろな面でそういったしわ寄せをこうむりやすい分野でありますし、また、そういうことで非常に悩んでいるというのが実態ではないかなというふうに率直に思います。
ただ、非常に大事な輸送機関であることは間違いないわけです。御案内のとおり、飛行機で運んできた品物をそのまま消費者に持っていくわけじゃございませんから、当然そこにトラック輸送が入ってくるわけだし、また、鉄道で運んできたものについても、当然最終的にはトラックに依存せざるを得ない。それはまた、港湾だって当然そうです。
そういうことを考えますと、いろいろな輸送手段の結節点には、中小零細企業が営むトラック輸送関係者のが走り回るわけです。こういったところに対して、これからどういう啓蒙をし、協力を仰いでいくかということは、この法律が本当に目的どおりしっかりと施行されていくかという面では大きなポイントがあるような気がするわけでございます。
私は、大臣に、こういう背景の中で今回この法律の改正を行うということに対する、その現状に対する問題意識といいますか、そのあたりは大臣がどのようにお考えかなということを確かめてみたいというふうに思うわけです。
また、今回のこの法改正によりまして、現状のもろもろの課題が、明るい展望が当然見出せるということでの法改正だというふうに思いますけれども、それに対する大臣の基本的な御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○扇国務大臣 一川議員からの今のお尋ねで、私も、この平成二年からの物流二法の施行によってどれくらいトラックが動いたかなというのを見ているわけですけれども、お手元にもこの表が行っているかもしれません。
これは、平成二年の物流二法の施行によりまして、トラック業者の参入というのが大幅に緩和されたわけですね。そして、私の手元の表を見ますと、十一年間で事業者数が約四万事業者から五万事業者にまで増加しております。これは、私は大きな効果であったと思うんですね。だけれども、四万から五万にふえたということは、逆に言えばそれだけ事業者の競争が激しくなった、こう言わざるを得ません。
ただ、一方で、これは市場の活性化にもつながっているというふうに私は言えると思うんです。ですから、トラック事業者の経営努力によって、業界全体としては、あるいは合理化だとか効率化が進んだということで、運賃の低下とか、あるいはサービスの向上というもので、利用者の利便性というものはこの数字とともに大きく変わって、利便性が上がっているということは私は言えると思うんです。この間、輸送効率の高い営業用トラックのシェアというのは、数字で見ますと三六%から四七%へと大きく拡大しているんですね。物流全体の輸送の効率化が図られたというのはわかるんですけれども、これだけ拡大したということは、環境への負荷の軽減にも寄与しているというふうにも言えると思うんです。
一方で、それではマイナス面がなかったのかといえば、それは一概にメリットばかりではなくて、デメリットもあった。では、どういうデメリットがあったのかといえば、先ほどからるるお話に出ましたように、安全性だとか、あるいは環境の問題とか、また労働者に対して劣悪な条件を強いるような質の悪い事業者がいるではないかとか、そういうことも私はデメリットとして発生してきていると思っております。
けれども、私は、今後のトラックの事業の展開につきましては、こうした物流の二法を施行しましたよりも、プラス面とマイナス面の双方を十分に私たちは見越した上で、そして勘案した上で、経済的な事業規制というものはできる限り見直して、事後チェックへ移行するということによって、自由な事業活動を実現することがまたできる。そして、公平な競争力の確保と、安全と、環境等への社会的な要請に的確に対応していけるのではないかというふうに考えております。
また、少なくとも社会ルールを守って、きちんと競争によって活力ある事業を展開している、そういう人たちに、こういう質の悪い事業者というものが、マイナス面だけが強調されて、何かがあるとマスコミにも出ますので、まともに一生懸命やっている人たちが、もっと自由に活力のある事業展開ができるということで今回の法改正というものにつながっていった、そう御理解いただければありがたいと私は思っております。
○一川委員 物流二法施行後のこの業界に対する影響、現状等についてのお話があったと思いますけれども、私も一面では同感でございます。
ただ、当然大臣もお考えだと思いますけれども、生活必需品を輸送する、これは国民生活にとっては当然大事なことでございますし、また、産業に要するいろいろな資材なり、そこから出てきた製品を運ぶという面では経済の活性化に大いに寄与することでございますし、そういう面で、健全な輸送業というものをしっかりと育てていくということが非常に大事なことでございます。
ただ、一方では、一種の規制緩和といいますか、そういう中でお互いに公平な競争原理が働くような基盤をつくり上げていくということが大変大事なことであるというふうに思っております。
局長の方にちょっと具体的にお聞きするわけですけれども、先ほど来話題に出ていますように、こういう中小零細の運送業者というのは、荷主に対してはほとんど従属的だというのが実態でございますし、それからまた、運賃の決まり方も、届け出はどうなっているかわかりませんけれども、実態は、その地域の需給のバランスでもって相当低目に決まってしまうというようなことも言われておりますし、そういった適正なコストすら回収できないような事態に追い込まれてきているというようなお話も一部に聞くわけでございます。
こういった中小零細運送業を健全に育てていくという中で、この経営環境というものが今回の法改正によって、見方によっては、ますます競争原理が働くから厳しくなるという見方も当然あるわけでございますし、いや、そうじゃない、公平な競争原理が働くようにしっかりとした条件を整備していくんだから、まじめと言ったらおかしいですけれども、そこはしっかりと問題意識を持って取り組んでおればそれなりに経営が成り立つような基盤をつくっていくんだということにもつながるわけでございますけれども、今回のこの法改正によって中小零細運送業の経営環境というのはどういうふうになると思いますか。
○洞政府参考人 まず、運賃について申し上げたいんですが、現在の事前届け出制というものは、先ほど来からいろいろ御説明しておりますとおり、届け出制自体に運賃・料金の水準を維持する効果というのは今やほとんどないということは言えようかと思います。そういう意味で、今回の法改正によって、事前届け出制の廃止が直ちに運賃・料金の引き下げにつながり、さらにさらに過当な運賃競争に突入する懸念というのは、そんなに大きくはないのではなかろうかと私は考えております。
むしろ、おっしゃるとおり、今非常な景気の低迷もございまして、非常に貨物が低迷している、そういう中で、事業者がふえる中でいろいろ競争が激化している。その中にあって、中小企業者の運賃の交渉というのは、正直言って、荷主側のイニシアチブのもとにいろいろ決められている傾向が強いということは事実でございます。
でも、その中にあって、やはり経営といいますか、あるいは創意工夫によって頑張っている中小企業も一方においてあるわけでございまして、運賃交渉においても、中小企業といえどイニシアチブをとれるような、そういう能力とかアドバイスとか、そういったものを側面的に支援していくということがこれから重要になってくるのではなかろうかと思っています。
また、今回の法改正によって営業区域というものもなくなりますが、こういう営業区域の撤廃によって、例えば意欲のある中小企業者にとっては逆に活動の範囲が広がるという面もございますし、そういう意味で、荷主獲得の余地というのが、拡大する余地も出てこようかと思います。そういうことから、営業区域も撤廃されますけれども、これによってまた中小企業者の経営がさらに悪化するという心配は余りないのではないかと思っております。
なお、中小企業のトラック事業者に対しましては、私ども、その経営等を支援するという意味から、トラック等を購入した場合の法人税等の優遇措置、要するに税の還付とか、あるいは物流施設の整備等に対する低利融資制度等を設けておりますけれども、今後ともそういう中小企業者の経営安定に向けた各種支援策というものも拡充してまいりたいと考えておるところでございます。
○一川委員 今、我が国の経済社会、俗に言われています構造改革的なことをやろうとすれば、こういった規制緩和、規制撤廃的な壁をしっかりと乗り切っていかなきゃならないわけですね。そのための痛みがあるというのは大体どなたも御認識しているというふうに思います。
ただ、それをしっかりと乗り切って、世の中に必要な産業なり業界はしっかりと残っていただく。また、意欲を持った人が新しくチャレンジしやすいような条件をつくっていくということがポイントになるわけです。
今ほど私が取り上げておりますようなトラック輸送関係の仕事をやっている皆さん方というのは、そういう面では今非常に厳しい状況にあるなという感じがいたします。そこに対して、余り変に甘やかすとまたおかしくなってしまうわけでございますけれども、しかし、この苦しい時期をしっかりと乗り切っていただけるような、そういう条件をできるだけ整備してあげる、あとは自助努力でそれを乗り切っていただけるような形にするということだろうというふうに思います。
そこで、もう一つ構造的な現状の課題という中に言われておりますのは、運送業の元請、下請の関係、この構造ですね。これは、下請の方に当然これまたいろいろな厳しいしわ寄せが来ているのが現状だということですね。
当然ながら、輸送途中における交通事故等が発生すれば、下請業者が全面的にそれに対応せざるを得なくなってくるというような問題とか、運賃・料金の問題も当然いろいろな面で厳しい状況になってきておりますし、もし万一、一たん何かあると、もう二度と荷主の方からそういう仕事がもらえなくなってしまうというようなことも含めて、いろいろなことが現実問題としてあるわけでございます。
こういう元請、下請の二重構造的な構造が抱えている一つの問題点、それに対する対応というのは今後どういうふうに考えておられますか。
○洞政府参考人 現在の貨物自動車運送事業法におきましては、元請のトラック事業者が下請のトラック事業者の行う運行管理を阻害するような行為について直接取り締まるような規定というのは置かれておりません。そのために、元請の不当な指示を下請が守って事故が発生したような場合であっても、元請の責任を問うことができないということになっております。
これによりまして、大企業である元請が、中小零細企業の下請に対して優越的な地位を利用して不適切な運行管理を行っているというケースが見受けられるというのが現状になっておりまして、こういう元請が下請の行う運行管理を阻害することを排除して、下請が適切な運行管理を行うことができるようにすることが大きな課題になっております。
そういう状況を踏まえまして、今回の法改正におきまして、トラック事業者自身が元請となって下請のトラック事業者を利用するような場合に、下請の行う運行管理等を阻害してはならないこととしまして、これに違反した場合については、国土交通大臣から輸送の安全の確保を阻害する行為の停止命令を発することができることといたしました。これによって、元請からの下請に対する不当な指示がなくなるものと期待しております。
なお、元請が下請の運行管理等を阻害した場合につきましては、運行停止命令を発しますほか、法令違反により行政処分の対象とすることともしておりまして、国土交通省といたしましては、これらのことを通じまして新たな規制が着実に守られて、トラック事業における元請、下請関係の適正化というものが図られるよう努めてまいりたいと考えております。
○一川委員 次に、またそういう問題にも関連するのかもしれませんけれども、厚生労働省の方、見えていますでしょうか。
要するに、トラックを運転する方にとって非常に関心のある一つのルールがあるわけですね。それは、当時は労働大臣の告示かもしれませんけれども、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、こういう一つの告示がある。この中に、運転手が連続して運転できる時間だとか、いろいろな基準がうたわれている。それを当然守らなきゃならないわけですけれども、それを現実に守って輸送をやろうとした場合に、当然コスト面にはね返ってくるわけです。そういう非常に大事な、ある面では働く者にとってもすごく大事なこの基準が、荷主の方とかあるいは一般国民の方々にも十分理解されていないんではないか。
何かその業界にかかわっている人たちは非常に関心を持って、厳しい、厳しいということを当然おっしゃるわけだけれども。そういう大事なことであれば、もっと国民一般にしっかりと啓蒙して、幅広く皆さん方の理解がないと、こういう課題というのは乗り切っていけないんじゃないかというふうに私は思いますけれども、厚生労働省の方は、今現在、こういう社会的な理解なり協力を仰ぐためにどういう努力をされていますか。
○鈴木政府参考人 ただいま御指摘のありました自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、これにつきましては、自動車運転者、これは業務の特性がいろいろございますので、今御指摘ありましたような拘束時間とか運転時間、そういったものを盛り込んで、その労働条件の向上を図るための基準にしているものでございます。
これにつきましては、この周知が最も重要だという点は、私どももそのように認識をしております。そのために、関係業界団体あるいは個別事業主に対する監督指導、そういったものを現在やっているところでございます。
これにつきましては、同時に国土交通省の告示にもなっております。したがいまして、国土交通省とも連携をとりながら、これが十分に周知され、遵守されるように努力してまいりたいと考えております。
○一川委員 国土交通省の告示にもなっているということで、恐らく国土交通省も同じような問題意識を持って対応されているとは思います。
ただ、私は、こういうお話を聞くと、一般の国民の方々は、あるいはまた荷主の方々も、こういういろいろな厳しい環境の中ですから、当初、荷物を出す時間が何時だったものを土壇場になって大幅におくれてみたり、そうかといって、相手へ配達する時間は決められていたりして、非常に厳しい状況の中で皆さん動いているわけでございますので、関係者のみならず、国民全体にやはりこういうものはしっかりと理解していただくということがないと、なかなか大変ではないかなというふうに思いますので、ぜひそのあたりの御努力を引き続きお願いしておきたい、このように思います。
それからもう一点、社会保険庁の方にちょっとお伺いするわけですけれども、これまた最近の経営環境の悪化によりまして、こういった零細運送業者の中には社会保険にも加入しないというような実態がふえてきておる。片やまじめにしっかりとした対応をしているところも当然多くあるわけですけれども、そういう公平な競争基盤が崩れかかってしまっているということで、いろいろな心配をされている方もおります。
このあたりに対する実態、それから今後の対策についてお話をお願いしたいと思います。
○冨岡政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の社会保険につきましては、事業主におきまして、従業員が必要な医療や年金を受けられるよう、この保険に加入し保険料を納付することは、法律上当然要請されている責務でございます。したがいまして、事業主におきまして適正な届け出をすることがまず基本でございまして、そのように私ども鋭意努力しておりますが、残念ながら、現下の厳しい経済情勢を背景に制度に対する理解が乏しい事業主が見受けられることも事実でございまして、結果的に給付に結びつかないという事例もあることも事実でございます。
このため、このようなことを防止しますために、各社会保険事務所におきまして、適用すべき事業所であるのに適用していない事業所をまず把握することに努めておりまして、いろいろ実地に調査したりといったこともしておりますが、加えまして、法人登記簿を活用して追跡する、それから社会保険労務士の方による巡回説明、こういったことにより、よりきめ細かく浸透する、こういった努力をしておりますが、また、労働保険の適用事業所に関する情報も活用する、そういったことにも努めてきております。
なお、社会保険に加入していないと疑われるトラック事業者につきましては、地方運輸局の情報、そういったものも積極的に活用しまして、社会保険の適用の適正化を図ってまいりたい。
いずれにしましても、入っていただく方に着実に入っていただくということは制度運営の基本でございまして、私ども、この基本につきましては本当に鋭意努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○一川委員 社会保険のほかにも、こういう景気低迷が長引いてきますと、最近は消費税を払わなかったり、あるいは労働保険関係も滞納している実態があるというようなお話も一部に聞いております。それぐらいにいろいろな面で非常に厳しい状況の中で、今回のこの法律改正の目的が達成できるように努力しなきゃならないわけでございますので、やはり国民全体の理解をしっかりと仰ぐということが大変大事ではないかなというふうに思っているわけでございます。
そこで、もう一点、自動車交通局長にお伺いします。
今ほど話題が出ましたように、自由競争の基盤の中で、本人なり企業が努力していろいろな課題を乗り切っていくというのは一番ポイントですけれども、何というんですかね、もう自助努力で乗り切っていけないような、そういう問題がちょっと心配されるわけですね。それは先ほど来いろいろな話題が出ているようなことにも関連するわけでございますけれども、これは、一つは、その人その人のモラルの問題とかいろいろなものが根底にあるかもしれません。しかし、その業界に対するしっかりとした指導なり研修なり、そういうことも場合によっては徹底しなければならないというふうに思います。
また、先ほどの自動車運転者の改善基準ですか、要するに運転を継続する時間の規制だとか拘束時間のいろいろな規制、そういう問題も含めて、こういう課題をしっかりと打開し、乗り切っていくためには、国土交通省の中でも相当関係する部局がありそうな気がするわけですけれども、関係する部局すべてが協力していろいろな課題を乗り切っていくということだろうというふうに思うわけです。
特に、過労運転の防止、そういったものが絡んでくると思いますし、また、物によっては、何というんですかね、これは道路局にも関係するんだと思いますけれども、長距離トラック等が、基本的には高速道路を走るケースが多いかもしれませんけれども、最近は高速道路の料金が高いものですから、一般の国道を走ったりします。そうすると、ちょっと安心して車をとめて休めるスペースがないということで、無理して運転するケースもあるわけですね。そうすれば、ところどころに道の駅的な、そういう空間があって、そこでゆっくりと休んでいけるようなものが整備されているかと見たときに、まだ十分には道路もそういうふうな整備のされ方がしていないんじゃないかなということを考えますと、これはやはり自動車交通局長さんのところだけで問題が解決するわけじゃないわけですけれども、こういう環境を整備していくという観点で、今後どういう考え方で対応していかれるのか、そのあたりの基本的なお考えをお聞かせ願いたいと思いますけれども。
○洞政府参考人 先生御指摘のとおり、トラック事業の健全な発展を今後とも支えていくためには、いろいろな面での支援あるいは悪質な事業者等に対する取り締まり等々、いろいろなテーマが横たわっております。
私どもは、今回の法律改正をもとに、こういった事後チェック体制をしっかり支えるための組織固めということで、地方運輸局等あるいは地方運輸支局等々を含めて、そういう事後チェック体制をしっかり行っていくための体制固めを行うこととしております。
それから、もとより国だけで、私ども自動車交通局の出先だけでこの問題を解決するわけにいきませんから、適正化事業機関であるとか、要するに民間のトラックの機関であるとか、あるいは警察庁、厚生労働省、そして関係する国土交通省の中のあらゆる部局との連携をとって、その辺の施策の総合的な展開をやっていかなきゃいけないという認識を強く持っているところでございます。
ですから、単によその省庁の所管であるから我々は知らないといったことではなくて、主管はよその省庁の問題であったとしても、それを我がみずからの問題として、場合によっては参入時にそういうものをチェックしていく、あるいはその後にいろいろな問題が起こったときには、関係省庁と連携してそこの辺をきちっと是正させていく、そういった積極的な姿勢でトラック行政に臨んでいくということが必要だろうと思っております。
○一川委員 先ほど触れましたように、関係する運送業の皆さん方、またそこで働く皆さん方が努力をすれば、それなりにしっかりとした成果が得られるようなというか、働きがいのあるような、そういう条件を整備しておくということが大変大事なことだろうというふうに思いますので、また引き続きしっかりとした御指導をお願いしたい、そのように思っております。
そこで、こういう輸送に関係して、前にも質問したことがあるんですけれども、道路局関係のことでちょっとお尋ねしたいんです。
私は、最近公共事業がいろいろな面で批判を受けている一つの中に、公共事業が目標どおりに物事が余り進んでいない一つの例としていつも挙げるんですけれども、一般国道、国道という名前がついている国道で、人も車も通れないという道は非常にわずかだと思いますけれども、車が通れないような国道というのは現実に結構あるんです。この前ちょっと調べていただいたら、全国に三十六カ所、延長で約三百キロ余りが、一般国道で通行不能区間というんですか、そういう区間がある。
実は、私の地元にも、石川県から福井県にかけて四百十六号線というのが、十年以上前に一般国道に昇格になっているところがあるんですけれども、県境付近で約六キロぐらいの交通不能区間があるわけです。当然、それは国道ですから、地図を見れば書いてありますよね。でも、我々は通れないというのはわかっていますけれども、全然知らない人は、入ってきて、途中で引き返すようなケースになるわけですね。
こういうことというのは、やはり一つの目標を定めて、少なくとも小型トラックぐらいが通れるぐらいに開けておくというのは、これまた大きな責任じゃないかなというふうに思います。
最近は相当立派な道路が方々にでき上がっておりますから、そういう今の道路の基準に合わないような、しかも非常に勾配のきついような道路、幅員の狭い道路、暫定的にでもそういう道路をつくるというのは後で手戻りが生ずるからだめだというようなことで、非常にかたい対応をずっとしてこられたわけですけれども、やはり今日の状況、例えば自然災害がいつ何どきどこで発生するかもわからない、それから今回のように、こういった物流が相当広域的に広がってきている現状、また、今国会では有事法制まで議論されておりますように、有事の際を考えれば、まさしく国道と名前のつくところはしっかりと通れるようにしておくのは当たり前じゃないかというふうに私は思います。
そういうことをもろもろ考えますと、今、三十六カ所、三百キロ余りも国道と名前がついて車が通れないような道路が残されていること自体が非常に不自然であるし、無責任ではないかなという感じすらするわけです。そういうものにはもうちょっと弾力的な対応をして、少なくとも小さなトラックぐらいが行き来できるような道路を早目につくってしまう。後である程度時間をかけてしっかりとした道路を整備していくというのは当然必要ですけれども、何かそういうような対応を国土交通省としてもこの機会に県に対して指導されたらどうかなというふうに思いますけれども、その基本的な対応をどなたか答弁していただけませんか。
○菅大臣政務官 お答えをいたします。
今先生から御指摘がございましたように、地形の非常に厳しい部分、全国三十六カ所、三百十九キロ、一般国道の中でいわゆる交通不能区間が存在をしておるわけであります。
国土交通省としましては、まさにこの一般国道は極めて大事な道路である、それぞれの地域間の拠点を結ぶ意味で重要な道路であるということを位置づけておりますので、その解消は急務である、これは先生と全く同じ意見であります。
例えば、十四年度におきましては、この不能区間を解消するために、全国十八カ所において、直轄事業費約八十六億円、補助事業七十一億円を充当し、現在事業を進めています。
そして、これからも、今言われましたように、それぞれ地域に応じた道路構造の検討など、地域の状況や要望も伺いながら、早期に解消することができるように努めてまいりたいと思っておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○一川委員 ぜひそういう基本的なお考えで、早くそういうことが解消できるように御努力をお願いしたいな、そのように思っております。
では、最後に大臣に確認のためにお伺いしたいんです。
現在、防衛庁の情報公開請求者の問題がいろいろ問題視され、大きな話題になっておりますけれども、国土交通省に対しても当然いろいろな情報公開の請求がたくさんあろうかと思うんです。
こういうことに対して、大臣は実態を細かく掌握されているかどうかわかりませんけれども、基本的に国土交通省としてはどのような対応をされているのか、最後にお聞かせ願いたいと思います。
○扇国務大臣 今回の事案で、内閣において、全省庁どうなっているかということで、もう一度調べることになっております。締め切りは六月の二十六日までということになっております。
まず、国土交通省に関しましては、本省の情報公開請求窓口、これは、私はいつも国土交通省で記者会見をしているところに行きますときに、この窓口は二部屋ございまして、そこの前を必ず通っていくものですから、いつも、週二日はその前を通っているわけですけれども、国土交通省の大臣官房広報課の情報公開室、これは、開示請求書に申請者が記載した氏名、住所以外の個人情報を盛り込むようなリストは作成しておりません。
私、今手元にこれを持っておりますけれども、これが申請書、一枚でございまして、これには氏名または名称、それから住所または居所、それから連絡先、これだけしか書くところはございません。そして、請求する行政文書の書き込み等々、こういうことです。
ただ、御存じのとおり国土交通省は四省庁統合したものでございますから、国土交通省に対する開示請求件数というのは約五千百二十九件になっています。政府全体では四万九千件でございますので、そのうちの約一一%を国土交通省が占めているということで、国土交通省に対する情報公開というものの請求が大変数多いものでございます。
そういう意味では、今申しましたように、私たちとしては、この表をもってして、あるいは請求事案等々を私も見ておりますけれども、これはほとんど国土交通省内でこの記述以外のことについて調べるということをしたこともございませんし、現段階では、事務処理用の一覧表を作成して進行管理をしているというだけでございます。
ただ、一般的に事務処理用の進行管理表というのはつくっております。それは、名前は伏せてございますけれども、何月何日にどういう請求があったのかという事務的な一覧表はつくっておりますけれども、それ以外のものは一切、国土交通省としては現段階ではございませんので、これをそのとおり総務省に、内閣への国土交通省としての報告をしたいと思っております。
○一川委員 これで終わらせていただきますけれども、今ほど大臣から報告がございましたけれども、大きな官庁になればなるほど、そういう面では大変だと思いますが、やはり行政への信頼を向上させるというのが今大事なことでございますので、そういうことで、いささかも低下をしないように、よろしく御指導をお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○久保委員長 瀬古由起子さん。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
トラック運賃を認可制から届け出制に緩和するなどの改定を行いました一九八九年成立の物流二法の施行と、近年の不況の深刻化のもとで、大企業や荷主による中小運送業者に対する運賃ダンピングの強要、無理な運行時間等の押しつけの結果生じているトラック運転労働者等の労働条件の悪化、そして交通事故の多発。今、中小企業の経営困難が大変進行しております。
社団法人日本物流団体連合会の安全対策専門委員会が一九九九年度の活動としてまとめた、物流業における規制緩和の影響と安全輸送に関する調査報告書がございますけれども、ここで明らかにしています。
これによりますと、トラック運送事業については二百十五社を対象にしていますけれども、この中で、規制緩和の影響が参入事業者の増加による競争激化を招き、景気の低迷で、荷主の物流費削減要請により収受運賃の低下が生じていること、また、アンケート結果から、トラック運送事業者は、コストの削減のために車両の代替期間の延長や点検整備費用の削減から、車両の安全面の懸念、そして早出、残業等の人件費の削減や高速道路の利用制限、削減によるドライバーへの負担増、負荷増を挙げています。そして、安全面への影響の懸念を指摘しています。また、ヒアリングの結果から、荷主の獲得競争から無理な運行スケジュールを受け入れ、スピードの出し過ぎ等高まる交通事故の危険性を挙げて、こういうまとめ方をしているわけです。
国交省にお伺いしますけれども、物流関係者のこの調査報告書にあるように、物流二法等の規制緩和による影響、これをどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
○洞政府参考人 物流連の報告書の内容を承知しております。おっしゃるとおり、昨今は非常に景気の低迷等もあり、かつ参入規制が許可制に変わったことから、事業者数もふえているという中で、物流の効率化とか、そういったものが非常に進む一方で、大変な競争の激化等によって、今先生がおっしゃったような、そういう問題が懸念されるという声が多数寄せられているということは承知しております。
物流二法による規制緩和の影響をどういうふうに総括するかということについては、大臣の方から再三総括されておりますとおり、こういう物流二法によって、いい面では、市場の活性化にもつながり、トラック事業者の経営努力によって業界全体としての合理化、効率化が進んだ、あるいはサービスの多様化等によって利用者利便の向上にもつながったということで、物流全体の革新にも貢献したというプラス面もあります。また、営業用トラックのシェアが上がって、実は営業用トラックの輸送量は、全体が低迷している中では逆に伸びているということもございますけれども、そういう意味で、輸送の効率化が図られ、これが同時に環境面の軽減にも資するということがございます。
また、事故の発生状況について見ますと、事業用自動車が第一原因者となっている事故の総数はこの間微増の傾向にありますが、走行キロも片一方で伸びておりまして、走行キロ当たりの交通事故件数は、大体、平成元年の〇・九七、ほぼ横ばいでございます。この間、トラック全体の走行キロ当たりの事故件数は逆に一・一倍と上がっている、こういう状況になっています。
しかしながら、今、物流革新とか景気の低迷等もあって非常に競争が激化しているというのは事実でございまして、事実、端的な例を申し上げますと、荷主側の非情な輸送効率の削減によって、今まで百社ぐらい使っていたトラック事業者が一気に八分の一の数まで削減されるというような、そういう事態等も起こってきております。
そういうふうな中で、トラック事業者が非常に厳しい経営、競争環境に置かれている、そういう中で、コスト削減に走る余りに、環境とか安全とかといった面での社会的な責務をおろそかにしたり、あるいは労働者に対して劣悪な条件を強いるような、質の悪い事業者が一方においてふえてきているという指摘も大きな声として上がってきております。
まさしく、先ほど申しましたとおり、昨年、トラック事業法の改正に当たって懇談会というのを設けて、労使、有識者等を集めていろいろ意見交換をいたしましたけれども、こういう厳しい経済情勢の中ではあるけれども、これはみんながそういう厳しい条件下にあるわけですから、一生懸命歯を食いしばって頑張るけれども、しかし、そういう守るべきルールを守らないで、支払うべきコストを支払わないで、そして運賃ダンピングとかそういうことをやって我々の健全な競争を阻害しているような事業者については断固とした措置をとってほしいというのが関係者の共通の声でございました。
そういう状況、そういう御意見等を踏まえまして、今回の法改正に当たって、物流二法後のプラス面、マイナス面というものを評価した上で今回の改正案というものを提出したわけでございまして、事後チェック体制を強化して、社会的に問題のある事業者等を排除して、より公平な競争条件を整備するということを今後のトラック行政の大きな方針として、これを堅持していこうということで臨んでいるところでございます。
○瀬古委員 プラス面とマイナス面があると今言われましたよね。私は、そういうものがいかにひどいかというのは、それはプラス面もあると思うんですが、たとえ百歩下がってプラス面を認めたとしても、マイナス面でいえば、安全面への影響や、そしてドライバーへの負荷の増、そして運賃の低下、大変な事態が起きているという警告は、明確にこの物流連合会の安全対策専門委員会で出されているわけですよね。
いろいろこういうものはやりましたよと言ったけれども、実際にはめちゃくちゃな競争で、運行スケジュールもめちゃくちゃで、スピードの出し過ぎで、確かに交通事故がうんと伸びている。交通事故そのものはそんなにふえていないと言われるけれども、全体には高いわけですから。そういう状況で、安全面で大変な事態になっている、点検や整備費用も削減しているんだ、そういう悲壮な警告が出ていることに対して、私は、認識が甘過ぎると思うんですよ。プラスマイナスがあるなどというものではないというふうに思うんですね。
そして、例えば、あなたが今言われました二〇〇一年十二月十三日、貨物自動車運送事業及び貨物運送取扱事業の在り方に関する懇談会の報告、この報告書でもどう言っているか。物流二法制定後、事業者の増加により競争が激化、失われた十年と言われる戦後最大の不況と重なった厳しい経営情勢の中で、低運賃競争に走る余り、安全、環境、労働面の社会的な責務がおろそかにされ、大きな社会問題になっている、こういうふうに指摘しているんですね。
私は、今の日本のこうした物流の問題を考えた場合に、安全とか環境とか労働面が大変な状態になっているということの指摘がされているような、このような物流二法による規制緩和というのは一体何だったのか。いろいろあるけれども、一番大事なところがもう大変な事態になっているという警告について、私はしっかり受けとめなきゃならないというふうに思うんですよね。これが一層緩和されれば大変な事態になる。先ほど与党の議員さんからも出されましたけれども、果たして規制緩和の土俵に今事業者や労働者があるのか、こういうところに今あるんだということを率直に見なきゃならないと私は思うんですね。
具体的に、今回の本法案の改定の中身なんですが、一般貨物運送事業の運賃・料金の事前届け出制の廃止は、わずかに残っている運賃規制だったわけですが、これを完全に撤廃する、自由化する、これによって一体どうなっていくのか。
ここにも全日本トラック協会が調査をした内容が指摘をしています。トラック協会の適正化事業部が二〇〇一年六月にやった輸送秩序に関する実態調査というものなんですが、この実態調査により、運賃収受に関して、事業者の厳しい経営状況が色濃く反映されている。
回答のうち六〇%の事業者が、届け出運賃以下の収受である、こういうふうにしています。回答のうち三二%の事業者が、荷主からの一方的な値下げ要請を運賃水準低下の第一要因として挙げている。回答のうち五九%の事業者が、荷主に対して運賃の値上げ交渉が不可能である、こういうふうにしています。また、荷主との取引関係で優越的地位の乱用に当たる行為を受けたことがありますか、このような設問に対して、約五二%の事業者が、あると回答しているんですね。具体的な行為は一体何だったのか。回答のうち四九%の事業者が、運賃の値引きを第一の要因として挙げております。そして、回答のうち三一%の事業者が、協力金の要請及び附帯サービスの強要を挙げています。回答のうち一一%の事業者が、商品等の購入強要を挙げているんですね。
私は、困難ないろいろな状況があって、そして、たまたま規制緩和がやられたというものではなくて、規制緩和された結果、一層こうした荷主からの不当な要求が行われている、一層この規制緩和によって労働者や事業者の実態がさらに深刻な事態になっているということは、トラック協会がやった調査の中にもこんなにリアルに出るのかと思うぐらい、深刻な実態になっていると私は思うんです。
国交省は、今まで、こうした荷主の横暴な運賃の引き下げなど不当なやり方に対して一体何をしてきたのか。どんな指導を今までやってきて、今調査をしたらこんなひどい結果になっているんですか。何かやってきたんですか。
○洞政府参考人 トラック事業の運賃・料金につきましては、荷主とトラック事業者の契約に基づきまして市場原理により決定されるべきものでありまして、原則として、行政がこれに介入することなく、自由に決められるべきものだと思っております。
しかしながら、荷主からの指示に基づいて行われる不当な割り戻しなどの値引き要求につきましては、これまでも、平成九年に事業者団体、荷主団体等に対して、「トラック事業における公正取引の確保について」という要請書を発出するなどによって防止策を講じてきたところでございます。あるいは、荷主による過積載の強要等に対しましては、個別荷主に対する協力依頼書であるとか、警告書の発出であるとか、荷主団体への協力要請、荷主懇談会の開催等などによって対処してきたところでございます。
具体的に荷主団体にどういうふうなことを言っているかというと、売り上げを量で確保しようとするような安易な過積載等の違法行為を防止するためにはトラック事業者の自覚がまず第一でありますが、それとともに荷主の方々の御理解と御協力が不可欠であると考えております、何とぞよろしく御協力をお願いしたいと。こういうふうなことで、過積載あるいは過労運転等につながるような不当な介入について、よろしくそういうことはやめていただきたいという意味の協力要請等を行ってきているところでございます。
国土交通省といたしましては、今後とも、トラック事業者に対する、安全とか労働条件の劣化、そういったものにつながるような不当な値引き要求等の防止等のために、関係機関との連携も図りつつ、荷主に対して引き続き協力要請をしていきたいし、また、もっと具体的に突っ込んで、さらに何か行政としてとれる余地がないかどうかというのを検討していきたいと思っています。
○瀬古委員 今、いろいろな要請を出されたと御報告がありましたけれども、その文書、一端を言われたのでよくわかりますけれども、あくまでも、御理解と御協力願いたい、こういう発想でしょう。もう初めから腰が引けているんですよね。こんなひどいことをやっていて、労働者の安全にもかかわるような問題、そして半分以上の事業者が、優越的地位の乱用だ、こういうふうに指摘しているようなひどいやり方を何度もされていて、それで、よろしくお願いします、御協力お願いしますなどという、そんな程度じゃないと思うんですよ。
だから、今、各自治体からいろいろな声が上がってきています、一体厚労省は何をしているんだと。
例えば東京都の都議会は、去年の十二月なんですが意見書を採択しています、「トラック輸送における安全確保と公正取引等に関する意見書」。
「大手企業を始めとする荷主からの運送事業者に対する運賃・料金の減額要請や協力金の名目による値引きが行われるなど、公正な取引が困難な状況となっている。 このため、適正な原価を下回る運賃・料金での仕事を余儀なくされるトラック運送業者が多くなっており、また、このことが、長時間労働による過労運転や過積載運行など、安全運送の阻害要因となっているのが現状である。」
ここを聞いておいていただきたいんですが、「これまで国は、荷主企業等に対して、トラック運送事業にかかわる輸送の安全確保と輸送秩序の確立などへの協力について要請を行っているが、是正の兆しは見えずなお一層の対応が求められている。」あなたたち、やっているけれども一向に是正されていないじゃないかと。
これが今、各地方議会から上がってきているわけですね。都議会だけではありません。青森、東京、大阪、兵庫、そして三十市議会、二区議会、五十五町村議会、十九村議会。さまざまな自治体から同様の、一体国交省は何をしているという厳しい指摘が上がっているわけですね。
私は、ここで大臣にぜひ聞いていただきたいと思うんですが、今これからどんどん規制緩和をするというんじゃなくて、やはりきちんと、こうした不当なやり方に厳しい監視の目をしっかり届けさせなきゃならないと思うんですよ。そして、安全で適正な運送取引を荷主に対して指導する。優越的な地位の乱用による協力金の要請、不公正な運送取引を是正する。これについても、協力、お願いなどというものでなくて、やはりしっかりした指導が今必要じゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。大臣にお願いします。
〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
○扇国務大臣 瀬古議員が力を入れておっしゃるとおり、それだけトラック業界も苦しんでおりますし、また物流二法等々、今までの法律によって、先ほど局長が申しましたように、デメリットがあったことも事実でございますけれども、きょうこの委員会でるるお話が出ていますように、では、なかりせばよかったのかというと、私はそうではないと思います。
そういう意味では、業者と、あるいはそれを利用する一般の皆さん方、この両々相まって初めて事業というものが成り立つのであって、事業者側の立場、また事業者の中にも、今るる問題になっておりますように、過積載、荷物の積み過ぎで違法行為をしているとか、あるいは業者から事業者に対しての運賃の値下げ等々の要求があったとか、あらゆるところでも、なきにしもあらずと、なかったということを私は申し上げておりません、デメリットとしてきちんと先ほどからも申し上げております。
それらは、少なくとも関係省庁、厚生労働省もそうです、あらゆる省庁と連携をとってこれを是正していって、より効率的で、なおかつ事業者と、そして、これを利用する皆さん方と一般の発注者と両々相まっていこうということを先ほどから局長も言っておりますし、先ほども厚生労働省も来ていらっしゃいましたので、あらゆる面で我々はそれを是正していこう、より二十一世紀型にしていこう、環境も加味していこうということをけさから御論議いただいております。
私は、そういう意味では、ずっとその姿勢は委員会でお答えしたとおりでございますので、瀬古議員も朝から聞いていてくださいましたので、その姿勢というものだけはお酌み取りいただいているものと思っております。
○瀬古委員 実際には、この物流二法が持ち込まれたことによって、是正されるどころか、荷主と事業者、労働者の関係が一層深刻な事態になっているということを、私はさっき、実際に現場で本当に苦しんでいらっしゃる業者の声も、直接いろいろな調査をお知らせしたわけですよね。だから、是正なんかしていない、全然変わらない、むしろ深刻になっているというのが各自治体の声なんですね。
私は、国土交通省は、率直にこういう声に対して、まじめに聞くべきだと思うんですよ。それは、今言われたように、いろいろな面でプラスはあるかもしれないけれども、一番大事なところが深刻な事態になっているということについては、私はきちっとこれは見るべきだと思います。ですから、むしろ、規制を緩和するというんじゃなくて、もっと、ある意味では、こういう荷主の横暴なやり方をきちんと規制する、きちんと監視するということをやらなきゃだめだというところに来ているんじゃないかと思うんですね。
ところが、また今回、さらに規制を緩和するという話なんですね。私は本当にあきれています。
今回、一般貨物自動車運送事業の運賃の料金事前届け出制を廃止して、変更命令規定を削除する。このことで荷主の優越的地位というものが引き上げられて、乱用が進むというのは一層はっきりしてきているんじゃないかと思うんですね。これでさらに運賃規制が緩和されれば、一体トラック事業者はどうやって営業しろというのか、どうやって生きていけというのか。一体、この規制緩和がされることによって、一層の乱用が起こらないという保証はどこにあるんですか。
○洞政府参考人 先ほどから御説明申し上げていますとおり、現在の事前届け出制というものは、個々の事業者が市場の状況を踏まえて自主的な経営判断に基づき決定したものを届け出るということとしているものでございまして、この届け出制自体に運賃・料金の水準を維持する効果があるものではございません。
先ほど来申しましたとおり、この法が成立しました場合には、運賃の事後届け出というものをしてもらうわけでございますので、両者によって、法的な効果といいますか、そういったものが異なってくる、あるいは荷主との交渉においていろいろ影響が出てくるというものではないと考えているところでございます。
したがいまして、率直に言って、この事前届け出制を廃止することによって、荷主からの不当な運賃引き下げ要求がますます激しくなるんじゃないかという御懸念は、その可能性はそんなに大きいものではないのではないかという認識を持っております。
○瀬古委員 この運賃届け出制の場合でも変更命令がきちっとあるわけですよね。これが、不当な場合については変更命令ができるということになるわけでしょう。そうすると、当然、事前にチェックして、これはおかしいぞということがチェックできるわけです。
ところが、後からチェックして一体どうなるのか。安全の問題なんか深刻ですよ。後からこれは問題だったと言っても、事故は起こした後だったなどということになってはならないわけですよ。
そういう点で、私は、今の事前届け出制が必ずしも効果的なものになっているかどうかというのは、それは疑問だと思いますよ。しかし、形だけでも今まで一応あったわけですよ。それがもう後でいいなどということになれば、一層、当然この乱用というもの、荷主にとっては、しめしめということになるに決まっているじゃありませんか。どうですか。
○洞政府参考人 別の観点からお答え申し上げますと、先ほど来、今の運賃交渉というのはどうなっているかということをいろいろ報告しておりますけれども、届け出運賃を使って自分の主張を持って荷主と運賃交渉をしているというのは、むしろ大企業なんです。中小企業は、届け出運賃を持っていろいろ交渉するという、その割合というのは非常に少ないという結果も出てきております。
むしろ、要は、運賃交渉力において、そういうバーゲニングパワーを持っているかどうかということでございまして、届け出運賃があるなしということが大きくこれに関与しているということは、実態としては当たらないんではないかというふうに分析しております。
○瀬古委員 何で届け出運賃が効果的なものにきちんと制度としてならなかったのか。それは、変更命令がどういうふうに運用されているかという問題なんですよ。今まででしたら、届け出制度があったときに変更命令はできる。
では、今まで、この変更命令はどれだけ出されたんですか。
○洞政府参考人 変更命令は、これまで発出されておりません。
これは、事前届け出制になっておりまして、その届け出られた運賃について、特定の荷主に対して不当に差別的でないか、他のトラック事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがないか等々のチェックを行っているわけですけれども、いわば届け出時において不適切な運賃があった場合には、そういう指摘を行って随時是正が図られているということから、命令というような形で発動されているというような実績にはつながっていないということでございます。
○瀬古委員 要するに、あなたたちは、こういう制度があるのに活用もしていない。実際には現場でどうなっているかというと、一方的な値引きが要求されている、不当なものがいっぱい起きているんだと告発しているわけでしょう、事業者が。それに対して、実際に制度にある変更命令も出さない、こういう姿勢だから、実際にはこの届け出運賃制が有効な制度になっていなかったんですよ。そういう点を見ないと、何だか今まで、まあそう大した意味はないから後になっても構わないみたいな、自分の責任は棚に上げておいて、そして変更命令を一度も出したことがない。こんなずさんなやり方はないと私は思うんですよ。
では、運送事業者が、今回、運賃の下落によって運営に支障が出る、こういう場合は、今後、変更命令は出すんですか、今までのようにやはり出さないんですか、どちらでしょう。
○洞政府参考人 現在の運賃・料金の変更命令は、届け出られた運賃について変更命令を出すのでありまして、今先生が御指摘になっている問題は、その届け出た運賃どおり運賃を事業者が取っていないというところが問題でありまして、これに対して法は、変更命令とかそういったことはそもそも発動できるということにはなっています。
そのかわりに、今回、事後届け出に基づいて事業改善命令を発することができるとしたわけでございますけれども、これは実際にどういう運賃・料金を取っているかということを見まして、実際にこれが利用者の利便その他公共の利益を阻害している事実があると認められる場合については、まさしく命令が出せるということを、はっきり、要するに事後的な救済ができるということを明確にしたものでございます。
そういう意味では、より効果的な制度になっておりますし、出すのか出さないのかという御質問につきましては、まさしくその料金の実態を見て、利用者に対して不当に差別的な運賃・料金、あるいは不当な競争を引き起こすおそれがある運賃・料金、あるいは、著しく安くて、継続的に過積載や過労運転など安全性を阻害した不当な条件での競争を前提としているような場合等々、具体的ケースについて判断をして、必要な場合には出すということになろうかと思います。
○瀬古委員 今私が、トラック流通の現場がどうなっているかというのは、客観的ないろいろな資料に基づいてお話ししましたが、現場は深刻な状態になっています。そういう点では、あなたの言う事業改善命令は、直ちに出さなきゃならないケースがいっぱい出てくると思うんですね。今まで、形は、制度はあるけれども全くやらないなどという、こんな無責任な態度はやはり改めていただきたいと思います。
そこで、規制緩和と安全輸送の問題について伺いたいと思うんです。
日本物流団体連合会の安全対策専門委員会では、荷主企業が安全問題に対してどの程度認識を持っているかを把握しようということでアンケートをいたしました。メーカーと流通、小売業、合わせて約一千八百社に協力を依頼して、三百八十六社から回答があったんですね。
このアンケートは、運賃値下げが安全面に与える影響を尋ねていまして、運賃はダウンしていても安全は確保できるという答えが何と七割弱になっています。さらに、運賃と安全の関連性では、現在の支払い運賃には安全コストも含んでおり、あとは物流事業者がみずから努力すべきだ、こういう人たちが半数に達して、安全面で、それはもううちの責任じゃないぞというように荷主企業は考えている。そういう大変貴重なデータだと思うんです。
事業主は、荷主の理解がないと実際には事故の撲滅は難しいというのが一般の声ですよね。こういう認識が、ずれがしっかりあるわけです。
私は、こういう問題のまま規制緩和をやったら一体どうなるか。荷主の方は全然、安全面はうちの責任じゃないぞと言っている、そして事業者は、荷主が考えてくれなきゃできないんだと言っている。それで一気に規制緩和をやるということになると、私は、本当にこういうやり方は無責任だと思うんです。
少なくとも、安全問題では荷主の責任が十分あるということを国交省はちゃんと指導すべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○洞政府参考人 先生御指摘のとおり、安全問題等々については、ひとりトラック事業者のみを糾弾するだけで事が解決するとは我々は考えておりません。そういう意味で、荷主を初めとする関係業界に対しまして、いろいろな意味でそういう安全運行あるいは労働条件の確保等々に対する協力要請というものをいろいろやってきている。先ほども言いましたように、トラック事業者に対して行政処分等を行う場合には、荷主等に対して、協力要請書あるいは警告書、イエローカードとかレッドカードとか、そういったものを出して、その辺の荷主に対する理解と協力というものを非常に求めておりますし、この警告書がもう一枚立てば公表をする、あるいは荷主勧告とかそういうことに至るわけでございます。
そのほか、あらゆる荷主懇談会とかいろいろな場面を通じて、言ってみれば、優越的な地位にある荷主、まあ元請もそうでございますけれども、そういった者の理解と協力を求むべく、これまでもいろいろやってきておりますけれども、この辺の重要性というものを認識して、働きかけというのを今後ともより一層強めてまいりたいと考えております。
○瀬古委員 労働者の労働条件の実態について伺いたいんですけれども、労働省が把握しているところでは、トラック関係の改善基準の違反率及び労働基準関係法の違反率の推移なんですが、これはちょっと言っていただこうと思ったんですが、時間がないので、大体、改善基準違反率は五十数%、それから労基法違反関係は七〇%、これはもう数年ずっと続いているんですね。こういう大変深刻な実態があります。
私は、こういう労働基準法違反、関係法違反、改善基準そのものも守れないというのは一体どういうことだと、少なくともここについてしっかりメスを入れなきゃならないと思うんですが、厚労省、いかがでしょうか。
○鈴木政府参考人 労働基準法、それから自動車運転者の改善基準、その違反状況は、今御指摘のあったとおりでございます。
労働基準法につきましても、改善基準につきましても、かなり違反が多いということは事実でございます。この原因は何かといいますと、一面では、事業主の方に守るという意識がどうなのかという問題がございますが、そのほかには、やはり労働時間が交通事情等のほかの要因にも支配されている。いろいろな要因があるというふうに考えております。
したがいまして、この問題につきましては、この改善基準が十分に周知される、そこが大事と考えておりまして、関係事業主団体それから個別の事業主に対する監督指導、これも毎年やっておりますが、そういったものを徹底することによってその改善を図っていきたいと考えております。また、この点は、国土交通省とも十分連携をとってまいりたいと考えております。
○瀬古委員 今回の法改正で一つの問題点は、営業区域をなくすという区域規制の撤廃だと思うんですね。この改定は、荷主や元請の利便性や効率性だけに着目する、実際には、肝心の運送のトラックの労働者の長時間過労運転、これを強いることになるんじゃないかというふうに思うんですけれども、本来、営業区域規制というものは、安全規則として、実際には先ほど出ました懇談会でも指摘されているわけですが、本来、規制緩和の対象にすべきでないと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○洞政府参考人 おっしゃるとおり、営業区域規制を廃止すると、長時間労働、要するに運行前あるいは運行後の面と向かっての点呼というのができなくなってくるわけですから、その辺のところの適切な運行管理というものをなおざりにしたままこれを撤廃するということは非常に問題があるという認識から、今回の営業区域の規制の廃止に伴いまして、長期間営業所に戻らない運行が行われる可能性がふえると考えられることから、今回、安全規則というものを改正して、運行管理をさらに強化するということを考えています。
具体的には、新たに乗務途中点呼を義務づけ、運行途中の定められた場所等において、運転者からそれまでの乗務時間や疲労の状況等について報告させるとともに、運転者に対してその後の休憩場所、休息時間等を指示するなどの、そういう強化を図っていくこととしております。
当然のことながら、こういうことに違反するような悪質な事業者に対する監査といいますか、それから、それに基づく処分というものも見直しをして、この違反にふさわしい厳しいものにしたいというふうに考えて、運行管理がいささかでも甘くならないようにしっかり監視していきたいと思っております。
○瀬古委員 今でも、トラック運送の労働者は一週間に一回しか家へ帰れない、ひどい労働者の場合は一カ月に一回しか帰れないという状況なんですよね。そして、一たん荷物を持っていったら次の荷物をまた転々と持って動く、こういう実態をあなたたち御存じだと思うんですよ。その上、規制緩和して日本じゅう労働者が動かなきゃならないといったら、今一週間に一回帰る人だって、一カ月や二カ月帰れないということだって許されるわけですよ、休憩場所がちゃんと整えば。私は、異常な働き方だと思いますよ。こういう規制緩和は少なくともやるべきでないですね。
時間がないので、ぜひまた次の機会にやりたいと思うんですけれども、本当に労働者の労働実態にとっても深刻な事態があります。
最後に、港湾運送事業の問題について述べたいと思うんです。
今回、港湾運送事業は除外されていますけれども、グローバル化の進展によって、国際複合一貫輸送という国際物流の効率性と合理性だけで物流が左右されかねない。例えば、新規参入した貨物利用の運送事業を行う事業者が、これまでの港湾運送事業の秩序に従わない、一貫輸送での一括した料金を荷主から収受しているなら、個々の輸送モードでの原価と適正な利潤とは無関係な運賃だとか料金を各モードの事業者に押しつけてくる、こういうことがあり得ると思うんです。
港湾運送事業については、これまでの措置を維持して、港湾運送料金等の適正収受を確保するどのような保障がとられるのか。また、今までのそういう保障した措置、そういう省令や通達がありますけれども、これは引き続き維持されるのかどうかという点、お聞きしたいと思います。
○丸山政府参考人 御質問の趣旨は、今般、海運にかかわります第二種の利用運送事業をつくるということと港湾運送料金との関係についての御質問だと思います。
そもそも利用運送事業の対象となります運送には港湾運送事業は制度的に含まれておりません。したがいまして、利用運送事業者が収受いたします利用運送運賃の中には、港湾運送料金、すなわち港湾運送事業者に渡すべき料金は含まれておりません。このことは、今般の貨物運送取扱事業法の改正によりましても一切変わることはございません。
ただ、事実上、港湾運送料金に限りませんけれども、例えば通関の料金でございますとか倉庫料金でございますとか、パッケージで一つの事業者が受け取ることというのは、これまでもあったわけでございますし、今後もあるわけでございます。そういう意味で、港湾運送料金の適正収受の観点からそこをどう考えるかということは非常に重要な問題でありまして、これまでも通達等によりまして関係者への周知に努めてきたところでございます。
先ほど申し上げましたように、海運二種の利用運送ができたとしても港運と利用運送の関係には一切変更が生じませんので、現在講じられております措置は基本的に維持されるということでございます。また、今後とも必要に応じまして周知徹底のための措置を講じていきたいというふうに考えております。
○瀬古委員 時間が参りました。やはり、この規制緩和が、中小業者にとって、トラック事業者にとって、労働者にとってどういう深刻な事態をもたらすかということは、この短い時間の中でもおわかりいただいたと思うんです。そういう意味では、今度の規制緩和が本当に、先ほど指摘されたように、決してやれるような土俵が今事業者や労働者にないということが、私はもっと厳しく問われなきゃならないと思います。私は、ぜひ、安全面や、そして労働者の健康や中小業者の営業と暮らし、こういう面からしっかり光を当てた制度にむしろ改善すべきだということを述べて、質問といたします。ありがとうございました。
○久保委員長 日森文尋君。
○日森委員 社民党の日森文尋でございます。
質問も最後の方になりますと重複する質問がたくさん出てくるかと思います。ぜひ嫌がらずにしっかり御答弁いただきたいと思います。さらに、もし時間が足りなかったら、委員長に貸してある分について、きょうは無理でしょうけれども、お返しをいただきたい、そんなふうに思います。これは冗談です。
最初にトラックの関係についてお伺いをしたいんですが、一九九〇年に物流二法が制定をされました。先ほど来の御答弁によりますと、この十年間で新規参入してくる事業者、これは約一万五千社というふうに御答弁がございまして、平均すると一年間に千五百社、二千ぐらい入って五百ぐらいやめていくということらしいんですが、一千五百社の事業者が参入をしてきているという統計をお示しになりました。
その結果、二〇〇〇年度のトラックの事業者数は、これはちょっと聞き漏らしたんですが、全国で五万三千七百四十四社というふうに統計上なっているそうでございまして、これだけの業者がひしめき合うという状況になると、供給力というのが実はもう今飽和状態になっているのではないか、そのことが最近一層明らかになってきているのではないか、そんなふうに思っているんです。
同時に、運賃の関係では、許可制度のときでも運賃が適正に授受されていなかった、こういう事実が指摘をされてきましたし、それが届け出制になったことによって、先ほど御質問にもございましたけれども、トラック運送の荷主さんや元請会社による優位的な地位、これを利用すると言っては過言かもしれませんが、そういう立場で、荷主に余り文句を言えない、そんな状況から、運賃の割引であるとかダンピング、買いたたき、こうした事実が横行しているのが現状だというふうに言われています。この運賃ダンピングについて、現行法制の中では割引の禁止規定というのがございますが、荷主に対する、ダンピングの強要に関しては、全く罰則規定がないわけです。
そこで、これはないという話を聞いているんですが、こうした事実があるにもかかわらず、荷主に勧告制度が発動されたことがないということなんですが、その辺の事情、それから、そうでなかったら、それにかわる代替の措置がどうとられたのかということについて、最初にお伺いしておきたいと思います。
○洞政府参考人 お答え申し上げます。
運賃ダンピングに対する荷主勧告の発動実績についてのお尋ねでございますが、これは、実績はございません。
貨物自動車運送事業法に基づきます荷主勧告制度というものは、先生御承知のとおり、トラック事業者がトラック法の規定に違反して処分を受けることになった場合に、その処分に係る違反行為が主に荷主の行為に起因するものであると認められる場合であって、かつ、その処分のみによっては違反行為の再発を防止することが困難であると認められるときに、荷主に対して違反行為の再発の防止を図るために適切な措置をとるべきことを勧告することができるというふうになっているものでございます。
この場合、これを運賃の交渉について当てはめるというのは、正直言って、極めて難しい問題がございます。といいますのは、トラックの運賃・料金というのは、日々市場において、荷主の方が強い場合が多いかとは思いますが、荷主と事業者が相対取引による交渉の結果の両者の合意として決められているものでございますから、そこにおいて仮に低い運賃が設定されたとしても、それが一方的に荷主の行為に起因する違法な行為かどうかということを立証するということはなかなか難しいことでございます。そういう意味で、過積載の強要とか、そういった問題とは、ちょっとこの運賃問題、運賃ダンピングに対する荷主の強要というのは、なかなかその辺のところの難しい問題を抱えているところでございます。
しかしながら、それにかわる何かをやっているかということでございますけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、例えばこういった、不当なといいますか、運賃の値下げ交渉の結果、事業者としては、それを埋め合わせるために過積載をするとか、あるいは過重な労働条件のもとで運送するとか、そしてそれが安全の阻害要因につながるような、そういったことがありますものですから、こういうことに対して、荷主側の理解というものを求めるいろいろな行動あるいは要請等をこれまでも行ってきているということでございます。
○日森委員 これまでもやはり荷主さんの力というのは非常に強いわけであって、そういう彼我の力関係からいって、許可制のときでも適正な運賃が授受されていたかどうか疑問であるということがあると思うんですよ。にもかかわらず、ここで規制緩和をすることによって、さらにそういうダンピング、買いたたきが激しくなることは当然予測されるわけであって、その中で、荷主さんがそうやっているかどうかわからないからなかなか適正な指導ができないというお答えがございましたけれども、それで本当にちゃんとやっていけるのかどうか、ちょっと疑問なんです。心配になります。
そこで、例えば、それにかわる代替の措置、指導とか、どういうことが具体的にやられてきて、どんな改善が行われたのか、もし今おわかりになれば教えていただきたいと思います。
○洞政府参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、過積載とかそういう問題等が起こった場合に、当然のことながら運送事業者を行政処分するわけでございますが、その際に、あわせて荷主に対して協力要請書というものを発出して、この問題については事業者だけではなくて当該事業者にかかわる荷主さんの理解と協力が不可欠なのでぜひともよろしくお願いしますという文書を出しておりますし、これが重なれば、レッドカードということで警告書というものを出しております。さらにこれが重なれば、まさしく荷主勧告とかそういったものにつながるわけでございます。
また、荷主等の懇談会というのを各地方において開催しておりますけれども、この運賃・料金を含みます、あるいはトラック業界の抱えているこういう深刻な状況等に対する荷主さんたちの理解と協力を訴えるような場を設けて、その辺のところの、一体として事に当たれるような環境づくりに今努めているということでございます。
○日森委員 これは伝家の宝刀になるんでしょうけれども、例えばタクシーなんかで緊急調整措置ですとか、トラックもそうなんですが、伝家の宝刀というのは一回も抜かないんですよね。もうさびついちゃっている。さびついちゃっているからもう抜けないだろうというふうに、なめられちゃいけないわけですから、せっかくこういう規定をつくったので、きっちり調査をして、問題があったら直ちに対応する、そういう姿勢をしっかり国土交通省は示していただきたいと思っています。
それから次に、これは今局長の御答弁にもありましたけれども、過積載や過労運転がこうした状況下で当然横行しているというふうに言われているんです。その中で、トラックの事故件数が大分ふえてきているという、これも統計上、数字上出されていると思うんですが、その数値と、なぜそんな結果になっているのか、国土交通省はどのようにこれを見ていらっしゃるのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。
○洞政府参考人 トラックの事故件数の推移でございますが、事業用トラックによる交通事故は、平成十二年に三万三千件発生いたしまして、物流二法施行前の平成元年の約一・五倍にふえております。しかしながら、一方で走行キロも増加しておりまして、平成十二年度は平成元年の同じく一・五倍となっております。このために、今、事業用トラックの走行キロ当たりの事故発生件数は、平成元年と比較して横ばい、同じで推移しておりまして、片一方で、自家用トラックの事故件数が逆に一・一倍にふえているのと比較しますと、事業用トラックの事故の増加率というのは抑えられたものになっていると思います。
しかしながら、トラックは、片一方で極めてだんだん大型化もしておりますから、一回当たりの事故における被害の程度というのはだんだん大きくなってきているものがあります。それから、先ほど来申しておりますとおり、競争激化というようなこともあって、非常に一部の無理な運転あるいは運行等というものが見受けられるわけでございますから、そういったものがそういう被害の大きい事故に直結しているという事例もあるところでございまして、この辺の安全対策といいますか、そういったものに対してしっかり行政の監視なりチェックというものを入れていかなきゃいけない、こういう認識で臨んでおります。
○日森委員 その事故の関係と関連して、今回、最低車両数、これを撤廃をすることになりますと、零細事業者や個人事業者が乱立をして、その結果、過労運転や過積載の違法行為が頻発するということが当然予想されるわけです。運賃も、事後運賃でいいというふうに規制緩和をされるわけですが、現在でも適正運賃が遵守されないのに、事後届け出制になると、安全や環境、一番大事なところにかかるコストを、これまで削減をされてしまうんではないかという心配をしています。
もともと、事故の件数、ふえたかふえないかというのはなかなか難しいところなんでしょうけれども、安全や環境というところは、なかなかお金を使いたがらない、直接もうけにならないという分野で、コストだけかかってしまう。それで、今までも必ずしも十分ではなかった安全や環境に対するコストが今まで以上に削減されてしまうのではないか、こんな心配をしているんですが、国土交通省はどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○洞政府参考人 今回の改正によりまして、先生、最低車両数を撤廃するとおっしゃいましたが、最低車両数はこれまでどおり維持いたします。
それから、安全や環境面のコストまでも値切られるんじゃないかという懸念でございますけれども、事前届け出制というものに運賃の維持効果というのは余りないということを先ほど来申し上げてきておりますけれども、しかしながら、問題は、中小事業者が荷主と運賃交渉をする際、適正な自分たちの運賃コストとか、そういったものを提示する能力等々を含めて、そういうバーゲニングパワーというのが一方的に荷主側に握られてしまっているというところは非常に問題だという認識を我々も持っております。
昨年来の関係者を交えた有識者の懇談会におきましても、こういう安全や環境等のための追加的なコストというのが近年いろいろふえてきているわけでございますけれども、そういった追加的なコストを分析して、低過ぎる運賃には社会的に大きな悪影響を及ぼすおそれがあるということにつきまして、荷主側の理解を求めるといった方法も行政として考えなければならないんじゃないかという御指摘をいただいておりますけれども、まさしくそうだと思いますので、そういう方向でいろいろ検討したいと考えております。
○日森委員 ぜひ積極的な検討をお願いしたいと思います。
これもちょっと重複した意見なんですが、ちょっと心配事なので改めてお聞きをしたいんですが、営業区域の撤廃。
午前中の質疑の中でも出まして、それから先ほど瀬古先生からもお話がございました。これが撤廃されると運転手さんは住所不定になっちゃうんじゃないのか、一カ月もうちに帰れなくて家庭崩壊につながるぞというような話も出ていました。まさに、そういう事態が起こる、予測される、あるいはおそれ、現実にそうなっているのかもしれませんが、そういうことがあると思うんです。労働者に対する劣悪な条件が当然生み出されてくる。
規制緩和の具体化ではなくて、公正な取引関係と輸送の秩序、これを確立すること、国民生活の安全確保、環境保護、労働者の労働条件、雇用確保、これらを基本とした政策をきちんと確立をしていかないとだめなんじゃないのか、こんなふうに思っているんです。
環境問題や労働安全、交通事故の防止などの観点からも、過当競争のるつぼであるトラック事業には、まさに逆に適正な規制をきちんとかけること、これが必要ではないかというふうに思いますが、国土交通省の御見解をお願いしたいと思います。
○洞政府参考人 先生御指摘のとおり、国土交通省といたしましても、今後のトラック事業のあり方として、経済的な事業規制はできるだけ見直す一方で、公正な競争条件の確保であるとか、あるいは安全、環境、労働関係等の社会的ルールを守った競争による活力ある市場の実現を図ることが必要であると考えております。
このために、参入許可時における審査項目を追加してより厳正な審査を行うことは当然でございますし、それから地方支分部局の組織見直し等による監査体制の充実、行政処分基準の見直し、強化、あるいは適正化事業機関の機能強化等によりまして、いわゆる事後チェック体制を強化して公正な競争条件の整備を図るほか、こういう安全確保、環境問題、元請・下請問題等々、あるいは先ほど来出ました運行管理体制の徹底等々について、そういう安全あるいは環境規制についてはしっかりとこれを守らせるという体制で臨みたいと思っています。
なお、一カ月も行きっ放しにするようなことは決して許すつもりはございません。先ほどの改善基準の中でも、一週間に一日はちゃんと休ませろという基準があるわけでございますから、そういうことも踏まえて、きちっと安全規則の中でしかるべき期間というものを設けたいと思っています。
それから、他省庁にかかわります、例えば先ほど来お話が出ております社会保険とか労働保険の加入のチェック等々、環境問題もしかりでございますけれども、そういった問題等についてもきちっと対応していきたい、こういうふうに考えております。
○日森委員 ぜひ主導権を発揮してお願いをしたいと思います。
次に、ちょっと鉄道の関係の質問に移らせていただきます。
JR貨物の関係なんですが、これも先ほど来質問が出ていますけれども、八期連続の赤字になっている。これは、今度は参入はいいよというふうになるわけですが、膨大な設備投資が必要になって、先ほど来の答弁でも、当面、参入してくるところはないんじゃないかという話がございました。にもかかわらず、これを撤廃を、規制を緩和したということになっているわけですが、どんな事態を想定してこうした法改正を行おうとしているのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○石川政府参考人 今お話しのように、JR貨物は大変厳しい経営を続けておるわけでございますし、それから、新たに鉄道線路を敷いて鉄道貨物事業をやるというのは極めて難しいことだろうと思いますが、ただ、先ほど申し上げましたように、旅客鉄道会社から線路などを借りて新たな貨物鉄道事業を行うということは、可能性としてはあり得るわけでございます。
私どもとしては、こういうふうな形で需給調整規制が撤廃されて、貨物鉄道事業の分野での新たな新規参入ということの可能性を広げるということが、それが実はJR貨物に対していい意味での刺激を与えることになるというふうに考えておりまして、そういう意味で、JR貨物がさらに緊張感を持ってサービスの改善と事業の効率化に努めて、所期の目的を達成していただきたいと考えている次第でございます。
○日森委員 局長のお気持ちはよくわかるんですが、しかし、JR貨物の実態を見ていると、昨年、今はちょっと黒字になりましたと言ったけれども、その中身は徹底したコスト削減をやって黒字を若干出しているのであって、これを見ていて、おれも一丁やってやるかという民間が出てくるとはとても思えない。
そこで、問題は、鉄道を使った物流、鉄道貨物輸送というのはこの国の物流の一つの基幹である、これから二十一世紀を考えると極めて重要なモードであるというふうに考えざるを得ないんです。
そこで、大臣にお聞きしたいんですが、鉄道貨物輸送の公共性、公益性、これについて大臣自身がどのように認識をされているのか。それからもう一つ、関連して、鉄道による貨物輸送のビジョン、これが必要だと思うんです。これについてどのようにお考えになっているのか。とりわけ、この日本という狭い島国の中で物流のあり方はどうあるべきなのか。あるいは、特にこれはモーダルシフトの関係、後で触れますが、二酸化炭素や環境破壊、汚染問題など見るときに、まさに二十一世紀の時代の要請として貨物輸送の復権、充実、これが求められているというふうに私は考えているんですが、ぜひそこのところ、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○扇国務大臣 けさほどからも、鉄道貨物輸送の現状と、またその必要性、二十一世紀のモーダルシフトを含めた環境面でのこの鉄道貨物輸送の重要性と現状というものを申し上げてまいりましたけれども、重ねての御質問でございますので、従来からもそう申し上げておりますけれども、この鉄道貨物輸送の現状についてまず申し上げておきたいと思っております。
これは御存じのとおりでございますけれども、近年、鉄道への依存度が高いセメントですとか、石灰石でございますとか、あるいは石油等の基幹物資の輸送、これに関しましては輸送需要の減少といいますか、必要性の減少ということで、景気の低迷によって、運賃の競争の激化等を背景として、鉄道貨物輸送のシェアというのは低下傾向にあるというのは御存じのとおりでございます。
八期連続赤字だったものがやっと黒字になったと日森議員が今おっしゃいましたけれども、平成十一年度では、トンキロベースでは約四%に低下しております。こういう数字がちゃんと出ております。大変残念なことだとは思いますけれども、内航海運は十二年度で四一・八で、自動車は五四・二。そして鉄道が、今申しましたように三・八で、約四という数字になって、これだけ低下している。
きょうも、先ほどお話が出ましたように、地球環境、温暖化対策というものも閣議決定しましたけれども、この地球温暖化等の環境問題でございますとか、あるいは道路の今の混雑状況等々考えますと、やはり物流を取り巻く今の現状としては深刻な状況になっておるということから、これからは、この制約されております要因の克服という観点からも、CO2の排出量が少なくて、また、これがどれくらいかといいますと、CO2の排出量というのは営業用トラックの八分の一ということで、環境に優しいと言える二十一世紀型であるという点を一つとってみましても、エネルギーの効率もいいという状況では、どれくらいエネルギーの効率がいいかといいますと、営業用のトラックの六分の一の効率でエネルギーが使われているということで、これも大事な要素であると思っております。
こういう面で、鉄道貨物輸送の役割というのは、日森議員もおわかりになっているように大変重要なもので、今見直される大変大きな要因を秘めている、私はそう信じております。このために、私たちは、このインフラの補助、何とか今の補助を、三割でございますけれども、これを続けて、そしてその措置を講ずることによって、鉄道貨物輸送の活性化、あるいは高度化、二十一世紀型に資するというふうに指導していき、また見守っていきたいと思っています。
○日森委員 大変力強い御答弁をいただきました。
それで、確かにJR貨物は、いろいろな老朽設備を承継したためにこの十四年間で三千億円を超える投資を余儀なくされたという実態を持っているわけです。
それから、機関車だけ見ても、まだ六割が旧国鉄時代の機関車を使っている。僕も駅でよく見るんですが、環境に優しいJR貨物という宣伝をつけて一生懸命頑張っているんですよね。今後新しい機関車を入れるだけでも約二千億円の投資が必要になる、こう言われているんです。そうすると、新中期計画ですか、それを見ても膨大な借入金を入れなきゃいけないという状況になっているわけですから、むしろこのまま放置をしておくことはなかなかできない。
先ほど、インフラ整備の関係についてもお話しいただきましたけれども、それについて、どんなことができるのか、どんなことを考えているのか、もしありましたら、改めてお聞かせいただきたいと思います。
○石川政府参考人 先生御指摘のように、JR貨物が国鉄から民営・分割した段階で施設を承継しているわけでございますが、ただ、JR貨物は、独立採算可能な自立した会社を目指して誕生したということでありまして、したがいまして、そういう中でも特に線路を持っていない会社でございますので、基本的に鉄道貨物会社として機関車及び車両というものについて計画的に投資を行うということは、額がかなり張ってはおりますけれども、ある意味では当然なことでございます。
したがいまして、そういう中で借入金があるということは、そういうことを前提として経営を行っていくということでございますので、今後ともJR貨物は努力をしてもらわなければいけないというふうに考えてございます。
なお、高性能の機関車、貨車に対する固定資産税の軽減でありますとか、そういうふうな税制上の支援もしているところでございます。
○日森委員 JR貨物よ頑張れという声援を送っていただいているわけですが、それだけでは、やはりなかなかこの国の鉄道貨物輸送というのは成り立たないのではないかと。
これはちょっと立ち入った質問でお答えにくいかもしれませんが、本来JRの会社に聞かなければいけない話なんですが、国土交通省としても一定の支援をしている立場から、ぜひ見解を聞いておきたいと思うんです、経営実態について。
これは先ほど申し上げましたが、八年連続して赤字が続いている、しかも要員も、約一万二千名から現在八千八百名と言われています。これを六千名ぐらいにしようとか、五千名ぐらいにしようとかいう計画が出されているわけですが、結局、新フレート21とかニューチャレンジ21なども、先ほど細川先生もお触れになりましたけれども、収益をどう上げるかということよりも、ともかくコストダウンをどう図っていくのか、人減らしをどうするか、賃金をどう切り下げていくかというところに非常に大きなウエートがかかった計画になっていて、なかなか展望が見えてこないんじゃないか、そんなふうに考えているんですが、その辺について国土交通省、言いづらいかもしれないけれども、あれだけJR貨物頑張れというお言葉ですから、ぜひついでにお答えいただきたいと思います。
○石川政府参考人 確かに、非常に厳しい経営を続けているわけでございますが、今般つくられたニューチャレンジ21というものは、鉄道の貨物輸送量が減っている現時点において、もう一度JR貨物としてきちっとした体力をつけて、経営基盤を強化して体力をつけて、若干縮小はするかもしれないけれども、とりあえずそこで体力をつけて将来に向かっていこうというものだと認識してございます。
○日森委員 成功するかしないかというのはなかなか言いづらいと思います。その前の新フレート21ではなぜ目標が達成できなかったのか。これは質問じゃなくてひとり言なので聞いてください。その総括の上にニューチャレンジ21が出されているとはとても思えないというふうに私は思っているんです。そういう意味から考えると非常に心配があるんですが、ぜひその辺も御相談に乗っていただきたいと思うんですよ。本当にこの国の鉄道貨物輸送というのを、しっかり物流の基幹として位置づけていくためにも必要なことですから、お願いをしておきたいと思います。
ちょっと時間が足りなくなりましたが、それから新物流大綱、これで二〇一〇年までに数値目標を五〇%、現在の四三%を五〇%にしようと。初めてですよね、数値目標を出されたのは。船と鉄道でこれだけ引き上げようと。これもちょっと質疑に出ていましたけれども。
それに合わせてといいますか関連して、百五十一国会の附帯決議で、行政としても、JR貨物の経営動向を踏まえつつ、その改善に資する所要の措置を講ずることという附帯決議が付されました。そういう附帯決議が具体的にどう施策として行われているかどうかというのはわかりませんけれども、できたら説明していただきたいと思うんですが、そういうことも含めて、新たな、しかも積極的な貨物鉄道支援ということに国土交通省は踏み出すべきではないのかというふうに思っているんですが、改めて見解をお伺いしたいと思います。
○石川政府参考人 私どもとしては、積極的な鉄道貨物支援ということにつきましては、今までもできることはやってきている、あるいはさらに進めたいと思います。
現在までのところ、財政上の支援として、武蔵野線と京葉線の貨物対応化事業でありますとか、門司貨物駅拠点整備事業でありますとか、先ほどもお話が出ましたが、山陽線の鉄道貨物輸送力増強事業、こういうふうなものに対して補助を行ってきているところでございます。税制上の支援措置として、旧国鉄からの承継資産に対する固定資産税の軽減、あるいは高性能機関車、貨車に関する固定資産税の軽減、土地等から機関車、コンテナ貨車への買いかえをした場合の圧縮記帳、回転数制御装置の特別償却等、このような、ちょっと細かい話で恐縮でございますが、財政上及び税制上の支援措置を講じてきているところでございます。
今後とも、鉄道貨物輸送の支援ということに対して頑張ってまいりたいと考えております。
○日森委員 確かにそういう支援措置がとられていることは承知をしていますが、にもかかわらず、なかなか健全経営にならない。相当努力をしているはずなんです。それはもう血の出るような努力をしているのは我々も数字を見てもわかるんですが、にもかかわらずそうなっていかない現実を踏まえて、新たな措置を考える必要があるんじゃないかというふうに思うんです。JR貨物頑張れという激励はわかりますが、声だけ出しても金が出ないということであっては厳しい状況になるんでしょうから、ぜひその辺について御検討いただきたいと思っています。
それから、関連して、どうもちぐはぐな、これもさっき第三セクターの問題が出たんですが、整備新幹線にはいっぱいお金を使いましょうということになっていますが、その整備新幹線ができると在来線が三セクになるということになりました。
実は、これは前にも何度かこの委員会で発言をさせていただいているんですが、東北新幹線が青森までできる、そうすると東北本線が銀河鉄道と青い森鉄道という三セクになってしまう。
東北の首長さんはこうおっしゃっていました。確かに約束事で、新幹線ができたらこれは経営離れるよということは約束したんだけれども、ということは前提なんですが、しかし、大物流動脈である東北本線が青い森鉄道と銀河鉄道になるんですよ、しかも、その二つの鉄道は当初から大変厳しい経営が予想されているということなんです、そして、東北六県は食料自給率は一〇〇%をみんな超えている、東京は〇・三%じゃないか、その東京に一生懸命その物流幹線を使って野菜や米を今運んでいる、この物流幹線が三セクになっちゃうんだ、その三セクは経営が厳しいから、もしかしたら経営が立ち行かなくなるかもしれないと。そんなことを心配しているわけですよね。そうすると、本当に物流幹線としての役割をずっと維持していくことができるのかどうなのか、大変心配もするわけです。
そういうことであると、本来、モーダルシフトということを言ったり、それを基本に鉄道貨物輸送をしっかり確立していくということを言いながらも、一方では、ちぐはぐな結果がこういうところに出てくるんじゃないのか。恐らく、ほかの、北陸にしても、まあ九州は一部のようですけれども、そういう三セク化をされていく。しかも、みんなそれぞれが幹線鉄道になっているわけで、この辺について国がきちんと責任を持っていく必要があるのではないか。
とりわけ、これは扇大臣の持論ですが、鉄道、船、自動車、そういうものが総合的にすみ分けをしながら、この国の物流が体系としてきちんと成立するような、そういうことを考えつつ、この三セク問題についても、きちんと国の責任で処理をしていくというか、対策を立て直していくことが必要なんじゃないかというふうに思うんですが、それについて考え方をお聞かせいただきたい。
○石川政府参考人 ことしの十二月一日には、東北新幹線が八戸まで延伸されます。これに伴いまして、JR旅客会社から経営分離される並行在来線、これにつきましては第三セクターが経営するわけでございますが、この部分につきましては、貨物列車の走行比率というのが相対的に高まるわけでございます。
したがいまして、こういう場合につきましては、実は平成十二年十二月の政府・与党申し合わせがございまして、ちょっと読み上げさせていただきますと、「JRから経営分離された並行在来線上を引き続きJR貨物が走行する場合には、線路使用実態に応じた適切な線路使用料を確保することとし、これに伴うJR貨物の受損については、必要に応じこれに係る新幹線貸付料収入の一部を活用して調整する措置を講ずる。」というふうになってございます。
つまり、三セクは必要な線路使用料は入る、貨物は、ある程度上乗せして払う分があるんだけれども、それは新幹線貸付料の収入の一部を充当するという形でやることになりますので、したがいまして、第三セクターはJR貨物から線路使用実態を反映した適切な線路使用料は収受することができますし、貨物は、ある意味では実質的に従来どおり走行できるということになろうと思います。
○日森委員 それはそれで当面の措置として当然だと思うのですが、しかし、そういう格好で第三セクターがどんどんふえていって、そこの経営が危ないということになると、将来にわたって確保できるのかということについても大変心配せざるを得なくなるわけです。その意味で、ぜひ、先ほど言ったような全体的な物流、総合的な物流体系をきちんと成立させるという中で、改めて検討をしていただきたいと思っています。
時間がなくなりました。最後に、これは国土交通省が事実をどれだけ確認しているかということについてだけお伺いしたいと思います。
JR貨物は、昨年度の夏季手当、年末手当について、労働協約にない二%の成績率を特別扱いとして設定したというふうに聞きました。しかし、その支給をめぐっては、社員の所属する労働組合によって著しい差別が行われている、格差があるんだと。一例を挙げますと、JR総連の組合員は九〇%以上がこの二%の成績率を適用されている。しかし、JR連合であるとか国労など、ほかの組合では一六%の人にしかこの二%の成績率は適用されていないということが言われています。
具体例を言いますと、百三十名の職場で、約四割の組織率のJR総連の貨物労組組合員、これは全員が二%を適用されているけれども、しかし、残りの六割、これはほかの労働組合の組合員なんですが、わずか六%しか二%の成績率は適用されない。こんなことが実は職場で起きているということを聞きました。
私は、労働組合間の問題がどうこうということではなくて、JR貨物は大変厳しくて、だから、賃下げもやります。ボーナスもJR他社から比べて非常に少ないわけですね。それから、三年続いてベアはゼロが続いていると思います。そうした状況にありながら二%、これは原資は約一億円と言われているようですが、これを行っているということについて、もしやるんだったら全員にやりなさいと。何でこんなに違いが出てくるのか不思議でならないんです。事実であれば不思議でならないんです。
この辺について、きょうはもう時間がありませんから、国土交通省がどこまで把握されているのかということについてだけお聞きをしたいと思います。
○石川政府参考人 今先生から御指摘のありました本件につきましては、私ども国土交通省としては、実は報告を受ける立場にないんではないかと思います。ただ、本年三月二十九日に日本貨物鉄道産業労働組合中央執行委員長が東京都地方労働委員会に対して申し立てを行ったという事実につきましては、JR連合からの情報提供を受けているところでございます。
○日森委員 ちょっと鉄道の話が長くなりましたけれども、いずれにしても、最後に要請ですけれども、本当に、モーダルシフトを実現しましょう。京都議定書も批准をしました。これはもう本当に二十一世紀に一番大切な物流の幹線だという位置づけで頑張っていただきたいということをお願いして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○久保委員長 西川太一郎君。
○西川(太)委員 大変長時間、お疲れさまでございます。最後の質問でございます。
私、お尋ねすることは、若干技術的な問題もありますが、しかし、おおむね政策の問題でありますので、両大臣政務官にお尋ねをさせていただいて、最後に扇大臣の御見解を承る形で、そして、もし技術的な問題で補足が必要であれば、政府参考人として登録をしてございます三人の方に御協力をいただく、こういう形にさせていただきたいと思います。
まず、一問目でありますが、実は、ここにおいでの、お名前を出して恐縮でありますけれども、一川先生、自由党一川理事が御参加になった視察といいますか調査、平成十一年の七月に、アメリカの、これはコロラド州ですか、プエブロにフリーゲージの調査団で行かれた。自由民主党からは小里先生を初め、私どもからは二階俊博衆議院議員を初め、皆さんが御参加になったわけであります。
実は、今回のこの鉄道事業法の改正では、鉄道事業者に対しまして、これは必ずしも鉄道だけではないわけでありますけれども、他の運送事業者との間の乗り継ぎを円滑にしていくということを努力義務として課していると承知をいたしておりますが、この乗り継ぎを円滑にするためには、ハード、ソフト両方の充実が必要であります。特に、軌道の間が異なっている新幹線と在来線を乗り継ぎができるようにするにはということで、フリーゲージトレーンの研究というものを国土交通省は大変御熱心にやってきておられる、こう思うわけであります。
私は、この開発は、さらに重要だ、政策として大変重要だ、こう思うわけでありますが、大臣政務官の御答弁をいただきたいと思います。
○高木大臣政務官 お答えいたします。
乗り継ぎの円滑化を実現するための方策として、例えば、平成四年に開業しました山形新幹線では、在来線の軌間を新幹線に合わせて拡幅して直通運転をできるようにし、この結果、東京―山形間で四十二分間時間短縮ができるようになりました。利用客は福島―米沢間で四一%増加するなど大きな成果をおさめておりますけれども、このように、山形新幹線のように線路の軌間を変更するには大規模な工事が必要となります。御指摘のとおり、車両側の方の車輪の幅を変える、このことによって工事費を最小限度に抑えて乗り継ぎの円滑化を図ることも一つの有力な方法と考えております。
現在開発を進めておりますフリーゲージトレーン、新幹線と在来線を乗りかえなしで直通運転が可能な技術であり、軌間の異なる在来線同士の直通運転にも応用できるものでありますので、国土交通省といたしましては、利用者の利便の向上を一層進めていくために、乗り継ぎの円滑化のための施設整備にとどまらず、フリーゲージトレーンの技術開発については鋭意推進してまいりたい、このように考えております。
○西川(太)委員 そういう政策であるということで、大変結構なことだ、こう思うわけでありますが、政府参考人に伺いますが、実用化について、これはもう既に一川先生が前の委員会でもお尋ねになっていることで、重ねて恐縮でありますが、現状と今後の見通しについて、技術面も含めて御答弁願いたいと思います。
○石川政府参考人 フリーゲージトレーンの技術開発でございますが、平成九年度から試験車両の製作を開始いたしまして、先ほど先生御指摘がありましたように、平成十一年四月から平成十三年一月まで、アメリカのコロラド州プエブロの鉄道試験線において高速耐久試験等を実施してまいりました。この間で、累積走行キロ約六十万キロメートル、最高スピード二百四十六キロということを達成してございます。
現在、この試験車両を日本の国内に持ち帰って、国内の在来線で試験を実施しているところでございます。実は、在来線の場合には、新幹線と比較いたしましてカーブが急である、急なカーブが連続している区間が多いというふうなことから、こういうふうな急曲線部を一定の高速で通過するということについて、もう少し技術開発が要るんではないかということがございます。あわせまして、いわゆる振り子機能というものを付加することが実用化に向けて大事だということもございまして、このような点について、今現在、技術的な検討を進めているところでございます。
いずれにしましても、今後、これまでに明らかになった技術的諸課題について検討を進めながら、国内での車両の走行実験というものも継続いたしまして、できるだけ早くフリーゲージトレーンの早期実用化に向けて技術開発を進めてまいりたいと考えております。
○西川(太)委員 ぜひひとつ力を入れていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
次に、菅大臣政務官にお伺いをしたいと思いますが、ソフト面の乗り継ぎを容易にする、便利にする、こういう意味では、利用者が一枚のカードで複数の鉄道を利用できるシステムでありますとか、また、ICカードを利用したシステムというものが導入されるということが必要である。また、国土交通省としてもいろいろな御研究をしているやに伺っておりますが、これについてどう評価をされているのか、政策的にお尋ねをしたいと思います。
○菅大臣政務官 先生おっしゃるように、乗客、利用者の皆さんの乗り継ぎの円滑化については、私どもとしても、これは積極的に取り組んでいかなきゃならないと思っております。
現在使われておりますのは、磁気式カードとしては、関西地区の「スルッとKANSAI」、このカードは三十五社局が加盟しており、平成十三年四月から十二月までの延べ利用者数は一億九千万人であります。また、関東地区のパスネットは二十社局の利用が可能であり、やはりこれも平成十三年四月からことし一月までの延べ利用者数は約五億一千万人と、いずれも利用者全体の約二割を占めております。
また、ICカードにつきましては、磁気式カードと比較をしまして、切符の購入や乗り越し精算の不要化、紛失時のカード再発行が可能、多分野での利用が可能であります。これにつきましては、JR東日本のSuicaが既に発行枚数四百万枚を超えております。今後、他の鉄道事業者やバス事業者についても順次普及が図られていくものと思っております。
○西川(太)委員 もう時間もあれですから、大臣にはお尋ねしないで、もう一問、大臣政務官にお尋ねして終わった方が能率がいいと思いますので、いやいや、要するに大臣にお尋ねする大きな問題ではないのでありまして。
菅さん、今のICカードについては今後普及が予想されるわけでありますけれども、今の磁気式カードと同じように、鉄道事業者の間で共通化して一枚のカードで利用できるようにするということが大変利便性が高い、私はこう思うのでありますけれども、これについてどんなふうになさるか、ぜひお答えをいただきたいと思います。
○菅大臣政務官 お答えをいたします。
一枚のカードですべて利用できる、これが極めてこれから重要になってくると思います。
そういう中で、JRとか私鉄、バス、これはすべてできるわけでありますから、国土交通省としましては、ICカード共通化連絡会を省内に設けておりまして、ソフト、ハード両面において、旅客の乗り継ぎ円滑化のために今全力で取り組んでまいりたい、こう思っています。
○扇国務大臣 要らないとおっしゃったんですけれども、最後でございますから、きょうの締めくくりで、これは宣伝を兼ねて、西川議員にも各委員にも御承知いただきたいと思います。
それは、今いろいろなことを言われましたけれども、今、私、秘書官から取り上げましたカードは、これはICカードです。今回、世界で初めて、国土交通省がワールドカップサッカーのためにウォンと円をこの一枚のカードで使えるようにしました。
そして、このカードでは、例えば、外国からいらした皆さん方は、ワールドカップサッカーのマークがついていますけれども、北海道では電車もバスも買い物もできる。このICカード、これは世界初でございます。
しかも、ウォンをここへ導入して、韓国で試合をして、日本に来て、両替しないでこれで円で買い物ができるという、これは世界で初めてで、国土交通省頑張ったものですから、ぜひこのことも、鉄道とかバスだけではなくて、あらゆるところで、この世界初のICカードを国土交通省がワールドカップサッカーに備えてしたということで、今西川議員がおっしゃった、鉄道とかバスだけではなくて、ウォンと円も、通貨なしで、両替なしでできるということも、ぜひ、国土交通省頑張っておりますので、今おっしゃったように、鉄道とかバスだけのエリアではなくて、世界一のものができたということを御認識賜って、今後も御利用いただければ、まだワールドカップサッカーしておりますので、これを使って、入れていただければ、韓国へ行っていただいてもウォンに両替しなくていい、そういうこともぜひ御理解いただき、御利用いただければと宣伝もさせていただきます。
○西川(太)委員 大変失礼しました。不勉強で、そんなすばらしいものがあると存じませんで。さすが扇大臣の行政だと思います。どうもありがとうございました。
○久保委員長 次回は、来る七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時十三分散会