第20号 平成14年6月12日(水曜日)
平成十四年六月十二日(水曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 久保 哲司君
理事 木村 隆秀君 理事 実川 幸夫君
理事 橘 康太郎君 理事 林 幹雄君
理事 古賀 一成君 理事 細川 律夫君
理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
赤城 徳彦君 小里 貞利君
岡下 信子君 倉田 雅年君
菅 義偉君 田中 和徳君
高木 毅君 高橋 一郎君
谷田 武彦君 中馬 弘毅君
中本 太衛君 西川 公也君
菱田 嘉明君 福井 照君
二田 孝治君 堀之内久男君
松野 博一君 松宮 勲君
松本 和那君 森岡 正宏君
山本 公一君 吉川 貴盛君
阿久津幸彦君 井上 和雄君
大谷 信盛君 奥田 建君
今田 保典君 樽床 伸二君
津川 祥吾君 中村 哲治君
永井 英慈君 伴野 豊君
平岡 秀夫君 松原 仁君
山内 功君 高木 陽介君
山岡 賢次君 山田 正彦君
瀬古由起子君 藤木 洋子君
原 陽子君 保坂 展人君
西川太一郎君
…………………………………
国土交通大臣 扇 千景君
財務副大臣 尾辻 秀久君
経済産業副大臣 大島 慶久君
国土交通副大臣 佐藤 静雄君
国土交通副大臣 月原 茂皓君
国土交通大臣政務官 菅 義偉君
国土交通大臣政務官 高木 陽介君
政府特別補佐人
(公正取引委員会委員長) 根來 泰周君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 坂 篤郎君
政府参考人
(警察庁刑事局長) 吉村 博人君
政府参考人
(警察庁交通局長) 属 憲夫君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 芳山 達郎君
政府参考人
(総務省自治財政局長) 林 省吾君
政府参考人
(法務省刑事局長) 古田 佑紀君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 石井 道遠君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議
官) 加茂川幸夫君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文教
施設部長) 小田島 章君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議
官) 中村 秀一君
政府参考人
(厚生労働省医政局長) 篠崎 英夫君
政府参考人
(厚生労働省老健局長) 堤 修三君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議
官) 吉海 正憲君
政府参考人
(国土交通省総合政策局長
) 岩村 敬君
政府参考人
(国土交通省都市・地域整
備局長) 澤井 英一君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 大石 久和君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 三沢 真君
政府参考人
(国土交通省自動車交通局
長) 洞 駿君
政府参考人
(国土交通省海事局長) 安富 正文君
政府参考人
(国土交通省港湾局長) 川島 毅君
国土交通委員会専門員 福田 秀文君
―――――――――――――
委員の異動
六月十二日
辞任 補欠選任
小里 貞利君 山本 公一君
松岡 利勝君 西川 公也君
松宮 勲君 岡下 信子君
吉川 貴盛君 森岡 正宏君
津川 祥吾君 中村 哲治君
平岡 秀夫君 山内 功君
前原 誠司君 松原 仁君
山岡 賢次君 山田 正彦君
大幡 基夫君 藤木 洋子君
二階 俊博君 西川太一郎君
同日
辞任 補欠選任
岡下 信子君 松宮 勲君
西川 公也君 松岡 利勝君
森岡 正宏君 吉川 貴盛君
山本 公一君 小里 貞利君
中村 哲治君 津川 祥吾君
松原 仁君 奥田 建君
山内 功君 平岡 秀夫君
山田 正彦君 山岡 賢次君
藤木 洋子君 大幡 基夫君
西川太一郎君 二階 俊博君
同日
辞任 補欠選任
奥田 建君 前原 誠司君
―――――――――――――
六月十日
障害者対応のETCシステム導入に関する請願(小坂憲次君紹介)(第四四五四号)
同(根本匠君紹介)(第四四五五号)
同(増田敏男君紹介)(第四四五六号)
同(山内功君紹介)(第四六四三号)
公営住宅に関する請願(赤羽一嘉君紹介)(第四四五七号)
同(前原誠司君紹介)(第四四五八号)
同(山岡賢次君紹介)(第四四五九号)
気象事業の整備拡充に関する請願(井上和雄君紹介)(第四四六〇号)
同(一川保夫君紹介)(第四四六一号)
同(奥田建君紹介)(第四四六二号)
同(菅野哲雄君紹介)(第四四六三号)
同(今田保典君紹介)(第四四六四号)
同(佐々木秀典君紹介)(第四四六五号)
同(中津川博郷君紹介)(第四四六六号)
同(原陽子君紹介)(第四四六七号)
同(前原誠司君紹介)(第四四六八号)
同(松原仁君紹介)(第四四六九号)
同(山内惠子君紹介)(第四四七〇号)
同(菅野哲雄君紹介)(第四六四四号)
同(佐々木秀典君紹介)(第四六四五号)
同(白保台一君紹介)(第四六四六号)
同(瀬古由起子君紹介)(第四六四七号)
同(土肥隆一君紹介)(第四六四八号)
同(東門美津子君紹介)(第四六四九号)
同(平岡秀夫君紹介)(第四六五〇号)
同(山内惠子君紹介)(第四六五一号)
同月十一日
障害者対応のETCシステム導入に関する請願(小里貞利君紹介)(第四七八三号)
同(高市早苗君紹介)(第四九七八号)
同(山岡賢次君紹介)(第四九七九号)
同(石田真敏君紹介)(第五一一二号)
同(保利耕輔君紹介)(第五一一三号)
同(渡辺喜美君紹介)(第五一一四号)
公営住宅に関する請願(大幡基夫君紹介)(第四七八四号)
同(赤羽一嘉君紹介)(第四九八〇号)
気象事業の整備拡充に関する請願(大幡基夫君紹介)(第四七八五号)
同(菅野哲雄君紹介)(第四七八六号)
同(児玉健次君紹介)(第四七八七号)
同(佐々木秀典君紹介)(第四七八八号)
同(藤木洋子君紹介)(第四七八九号)
同(山内惠子君紹介)(第四七九〇号)
同(達増拓也君紹介)(第四九八一号)
同(山岡賢次君紹介)(第四九八二号)
同(津川祥吾君紹介)(第五一一五号)
国土交通省の地方整備局等の機構拡充及び職員増員に関する請願(川内博史君紹介)(第四九六五号)
同(五島正規君紹介)(第四九六六号)
同(牧野聖修君紹介)(第四九六七号)
同(荒井聰君紹介)(第五一一六号)
同(粟屋敏信君紹介)(第五一一七号)
同(石原健太郎君紹介)(第五一一八号)
同(植田至紀君紹介)(第五一一九号)
同(大島令子君紹介)(第五一二〇号)
同(金子哲夫君紹介)(第五一二一号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第五一二二号)
同(古賀一成君紹介)(第五一二三号)
同(今田保典君紹介)(第五一二四号)
同(佐藤敬夫君紹介)(第五一二五号)
同(島聡君紹介)(第五一二六号)
同(中西績介君紹介)(第五一二七号)
同(楢崎欣弥君紹介)(第五一二八号)
同(葉山峻君紹介)(第五一二九号)
同(日野市朗君紹介)(第五一三〇号)
同(日森文尋君紹介)(第五一三一号)
同(山内惠子君紹介)(第五一三二号)
同(山村健君紹介)(第五一三三号)
働くルールを確立させ、建設労働者の雇用を守り、公共事業の生活・環境重視への転換に関する請願(川内博史君紹介)(第四九六八号)
同(桑原豊君紹介)(第四九六九号)
同(古賀一成君紹介)(第四九七〇号)
同(五島正規君紹介)(第四九七一号)
同(佐藤敬夫君紹介)(第四九七二号)
同(藤村修君紹介)(第四九七三号)
同(堀込征雄君紹介)(第四九七四号)
同(牧野聖修君紹介)(第四九七五号)
同(松本龍君紹介)(第四九七六号)
同(山岡賢次君紹介)(第四九七七号)
同(阿部知子君紹介)(第五一三四号)
同(荒井聰君紹介)(第五一三五号)
同(粟屋敏信君紹介)(第五一三六号)
同(石原健太郎君紹介)(第五一三七号)
同(鹿野道彦君紹介)(第五一三八号)
同(金子哲夫君紹介)(第五一三九号)
同(鎌田さゆり君紹介)(第五一四〇号)
同(五島正規君紹介)(第五一四一号)
同(後藤茂之君紹介)(第五一四二号)
同(今田保典君紹介)(第五一四三号)
同(島聡君紹介)(第五一四四号)
同(中川正春君紹介)(第五一四五号)
同(中西績介君紹介)(第五一四六号)
同(楢崎欣弥君紹介)(第五一四七号)
同(葉山峻君紹介)(第五一四八号)
同(日野市朗君紹介)(第五一四九号)
同(日森文尋君紹介)(第五一五〇号)
同(山内惠子君紹介)(第五一五一号)
同月十二日
気象事業の整備拡充に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第五二四八号)
同(大谷信盛君紹介)(第五四一五号)
同(永井英慈君紹介)(第五四一六号)
同(後藤斎君紹介)(第五六一一号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第五八四五号)
同(石井郁子君紹介)(第五八四六号)
同(小沢和秋君紹介)(第五八四七号)
同(大森猛君紹介)(第五八四八号)
同(木島日出夫君紹介)(第五八四九号)
同(穀田恵二君紹介)(第五八五〇号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第五八五一号)
同(志位和夫君紹介)(第五八五二号)
同(塩川鉄也君紹介)(第五八五三号)
同(瀬古由起子君紹介)(第五八五四号)
同(中林よし子君紹介)(第五八五五号)
同(春名直章君紹介)(第五八五六号)
同(不破哲三君紹介)(第五八五七号)
同(松本善明君紹介)(第五八五八号)
同(矢島恒夫君紹介)(第五八五九号)
同(山口富男君紹介)(第五八六〇号)
同(吉井英勝君紹介)(第五八六一号)
国土交通省の地方整備局等の機構拡充及び職員増員に関する請願(岩國哲人君紹介)(第五二四九号)
同(後藤斎君紹介)(第五二五〇号)
同(平岡秀夫君紹介)(第五二五一号)
同(松本龍君紹介)(第五二五二号)
同(山田敏雅君紹介)(第五二五三号)
同(渡辺周君紹介)(第五二五四号)
同(井上和雄君紹介)(第五四一七号)
同(今野東君紹介)(第五四一八号)
同(近藤昭一君紹介)(第五四一九号)
同(佐々木秀典君紹介)(第五四二〇号)
同(筒井信隆君紹介)(第五四二一号)
同(中川智子君紹介)(第五四二二号)
同(池田元久君紹介)(第五六一二号)
同(奥田建君紹介)(第五六一三号)
同(北橋健治君紹介)(第五六一四号)
同(田中慶秋君紹介)(第五六一五号)
同(土井たか子君紹介)(第五六一六号)
同(山口わか子君紹介)(第五六一七号)
同(安住淳君紹介)(第五八六二号)
同(石井一君紹介)(第五八六三号)
同(大石正光君紹介)(第五八六四号)
同(菅野哲雄君紹介)(第五八六五号)
同(黄川田徹君紹介)(第五八六六号)
同(北川れん子君紹介)(第五八六七号)
同(釘宮磐君紹介)(第五八六八号)
同(徳田虎雄君紹介)(第五八六九号)
同(中村哲治君紹介)(第五八七〇号)
同(羽田孜君紹介)(第五八七一号)
同(前田雄吉君紹介)(第五八七二号)
働くルールを確立させ、建設労働者の雇用を守り、公共事業の生活・環境重視への転換に関する請願(阿部知子君紹介)(第五二五五号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第五二五六号)
同(岩國哲人君紹介)(第五二五七号)
同(大幡基夫君紹介)(第五二五八号)
同(鹿野道彦君紹介)(第五二五九号)
同(木島日出夫君紹介)(第五二六〇号)
同(児玉健次君紹介)(第五二六一号)
同(穀田恵二君紹介)(第五二六二号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第五二六三号)
同(塩川鉄也君紹介)(第五二六四号)
同(重野安正君紹介)(第五二六五号)
同(瀬古由起子君紹介)(第五二六六号)
同(中津川博郷君紹介)(第五二六七号)
同(中林よし子君紹介)(第五二六八号)
同(春名直章君紹介)(第五二六九号)
同(平岡秀夫君紹介)(第五二七〇号)
同(不破哲三君紹介)(第五二七一号)
同(細野豪志君紹介)(第五二七二号)
同(松本善明君紹介)(第五二七三号)
同(矢島恒夫君紹介)(第五二七四号)
同(山口富男君紹介)(第五二七五号)
同(山田敏雅君紹介)(第五二七六号)
同(山村健君紹介)(第五二七七号)
同(山元勉君紹介)(第五二七八号)
同(横光克彦君紹介)(第五二七九号)
同(井上和雄君紹介)(第五四二三号)
同(奥田建君紹介)(第五四二四号)
同(近藤昭一君紹介)(第五四二五号)
同(佐々木秀典君紹介)(第五四二六号)
同(筒井信隆君紹介)(第五四二七号)
同(永田寿康君紹介)(第五四二八号)
同(山元勉君紹介)(第五四二九号)
同(池田元久君紹介)(第五六一八号)
同(池坊保子君紹介)(第五六一九号)
同(江崎洋一郎君紹介)(第五六二〇号)
同(北橋健治君紹介)(第五六二一号)
同(鈴木淑夫君紹介)(第五六二二号)
同(田中慶秋君紹介)(第五六二三号)
同(土井たか子君紹介)(第五六二四号)
同(山口わか子君紹介)(第五六二五号)
同(安住淳君紹介)(第五八七三号)
同(石毛えい子君紹介)(第五八七四号)
同(一川保夫君紹介)(第五八七五号)
同(大石正光君紹介)(第五八七六号)
同(大谷信盛君紹介)(第五八七七号)
同(海江田万里君紹介)(第五八七八号)
同(菅野哲雄君紹介)(第五八七九号)
同(北川れん子君紹介)(第五八八〇号)
同(釘宮磐君紹介)(第五八八一号)
同(今田保典君紹介)(第五八八二号)
同(今野東君紹介)(第五八八三号)
同(徳田虎雄君紹介)(第五八八四号)
同(長浜博行君紹介)(第五八八五号)
同(羽田孜君紹介)(第五八八六号)
同(原口一博君紹介)(第五八八七号)
同(前田雄吉君紹介)(第五八八八号)
同(松沢成文君紹介)(第五八八九号)
同(松本龍君紹介)(第五八九〇号)
同(山元勉君紹介)(第五八九一号)
川辺川ダムの本体着工に関する請願(金子恭之君紹介)(第五四一三号)
川辺川ダム本体着工に関する請願(金子恭之君紹介)(第五四一四号)
障害者対応のETCシステム導入に関する請願(小渕優子君紹介)(第五六〇七号)
同(平井卓也君紹介)(第五六〇八号)
同(平岡秀夫君紹介)(第五六〇九号)
同(二田孝治君紹介)(第五六一〇号)
同(亀井静香君紹介)(第五八四二号)
同(釘宮磐君紹介)(第五八四三号)
同(佐藤謙一郎君紹介)(第五八四四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)(参議院送付)
高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)(参議院送付)
離島振興法の一部を改正する法律案起草の件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○久保委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長岩村敬君、都市・地域整備局長澤井英一君、道路局長大石久和君、自動車交通局長洞駿君、海事局長安富正文君、港湾局長川島毅君、内閣府政策統括官坂篤郎君、警察庁刑事局長吉村博人君、警察庁交通局長属憲夫君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省自治財政局長林省吾君、法務省刑事局長古田佑紀君、財務省大臣官房審議官石井道遠君、厚生労働省大臣官房審議官中村秀一君、経済産業省大臣官房審議官吉海正憲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
―――――――――――――
○久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原仁君。
○松原委員 私は、民主党の松原仁であります。
きょうは、とりわけ日本の国の中で大きなパイというか大きな意味を持つ、島の問題につきまして、扇大臣ほか、御質問を申し上げたいと思っております。
御案内のとおり、我が国はまさに海洋国家でありまして、日本自体が四つの大きな島を中心にしてつくられている国と言って過言ではないわけであります。大小、有人無人のさまざまな島を入れますと、六千八百五十二という大変に大きな数の島から構成され、古来より、日本の場合は、島の恵みというものはたくさん受けているわけであります。例えば、いろいろな童謡にしても、海を題材にした歌もたくさんあるわけでございます。そうした、ある意味で日本は、昔から海洋国家というふうに位置づけていいのではないかと私は思っております。
そして、御案内のとおり、一九八六年に世界的な海洋分割時代に入りました。この海洋分割時代を受けまして、国連海洋法条約が批准されまして、排他的経済水域が二百海里に定められたわけであります。
この二百海里に排他的経済水域が広がりましたことによって、我が国は三十七万平方キロメートルの国土でありますが、この島々を入れる、いわゆる二百海里の日本の経済水域まで入れますと四百四十七万平方キロメートルという、世界で六番目という大変大きな海洋国家になってきたわけであります。将来的には、大陸棚三百五十海里自国管理時代というものもあり得るというふうな議論でありますので、そういたしますと、さらに日本のそういった資源の問題、広がりを、海洋フロンティアというものが現実味を帯びてくる時代になろうか、このように思うわけであります。
国土の十二倍、四百四十七万平方キロメートルという巨大な経済水域を持っている日本でありますから、我々の国がこれから繁栄をしていく、二十一世紀の人間にとってのフロンティアはどこだろうかという議論は昔からあるわけでありますが、宇宙というふうなことは前から言われておりましたが、なかなか宇宙までは一足飛びにはいかないだろうというふうになれば、海というものが日本にとっての、いや世界にとっての大きな大きなフロンティアになろうということは、目に見えているわけであります。
そういう大変なポテンシャルのある離島、四百四十七万平方キロメートルを支えているのは離島でありますから、このポテンシャルのある離島に関しての、未来への夢とフロンティアと希望という観点についての、大臣の御感想をお伺いいたしたいと思います。
○扇国務大臣 おはようございます。
松原議員がおっしゃったように、ある意味で、言い方をかえれば、日本全部が島であると言っても過言ではないと。海洋王国日本という、王国という言葉も今やおかしくなるくらい、日本は、改めて、二十一世紀、日本のありよう、また日本として何ができるかというのを考え直さなきゃいけないという意味で、大変貴重な御提言であるし、また、今のお取り上げだろうと思っております。
今までの離島振興施策によりまして、離島地域におきましては各種の基盤整備が進められてまいりました。それは議員御存じのとおりでございます。生活環境等が改善されるなど、着実に成果は上がっております。
例えば水道の普及率一つとってみてもどうなんだろう。それは、昭和五十五年に約八八%近くあったものが、平成十年には約九七%と上がってきております。
国道とか県道とかの改良率、これは昭和五十五年には約二九%ありましたけれども、今、平成十一年度をとってみますと、約五三%に上がってきております。ただ、全国平均には及ばない。
また、人口約十万人当たりの常勤の医師、この数も、昭和五十五年度から平成十年まで考えてみますと、この間に一・七倍にしか増加していないという意味では、全国平均が一八七%ですから、これは一〇%という程度でございますので、離島の皆さんにとっては、常勤の医師の不足というものもまだまだ解消されていないと言えると思います。
平成十二年度における汚水の処理施設の準備等々を見ますと、全国の整備率が七一%でございますので、それに対して離島の整備率は大体一四%にとどまっている。
そういう意味では、今おっしゃったように、離島のこれからの問題は、まだまだ私たちの力不足といいますか、みんなで考えていかなければいけないという、大きな節目に来ていると私は思います。
離島の人口、おおむね五〇%に減少しているんですね。人口自体考えてみますと、五十五年、本当に、私たちの周りから見ますと、こんなに人口が減ってしまっていいんだろうかと思うくらい人口が減っているというのも事実でございます。昭和三十五年には約百一万七千人ぐらいいたものが、今は平成十二年で約五十万少しになっている。五〇%減っているということに対しては、離島の皆さんにとっては大変だろうと思っています。
また、一方、すぐれた自然環境を生かした振興策を行っている。御存じのとおり、例を挙げれば、鹿児島県の屋久島のような、私も手元に屋久島のヤクスギランドというのを持っておりますけれども、先生も御存じであろうと思いますけれども、こういうふうに、まさに離島、また水産業等々、島ならではの特性というものを我々はいかに大事にし、そして地域の特有の取り組み方がそれぞれあろうと思いますので、島の特性と、そして、人口が逆に高まっているという島もございます。
ですから、そういう意味で、今後とも離島地域の活性化に向けて、地域の主体的な取り組みを私たちは支援し、そして皆様と一緒にこれを保存していく大事な役目を担っていると思っております。
○松原委員 実は、次の質問でお尋ねしようと思っていた内容を踏み込んで御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
離島振興法は、昭和二十八年度に、御案内のとおり、本土との格差是正を目指し施行されて、十年刻みで延長を繰り返し、今日に至っているわけであります。その間、国庫補助率のかさ上げによって、港湾、空港、今扇大臣がおっしゃいましたように、道路、学校、こういった、主に社会資本整備を中心に、着実に成果を上げてきたわけであります。
現在、それから五十年、今まさに節目の五十年を迎えておりますが、その半世紀を経ての離島振興法五十年の評価、御所見というものを今大臣から承ったというふうに私は理解をいたしております。
その中で私が申し上げたいことは、先ほど申し上げましたように、離島というのは、単に我々日本にとってのハンディキャップを持っている地域だ、何とかいろいろな格差を是正しなければいけない、いわゆる底上げを目指すというふうなことにとどまるのではなく、むしろ、これからの二百海里経済水域時代、将来的に大陸棚三百五十海里自己管理時代を迎え、離島というのは、逆に、本当にこれからの日本の経済、日本の夢、日本のロマン、日本のフロンティア、日本の未来の希望、日本のそういった将来に向かって大きな大きな可能性を秘めているんだ、そういうフロンティアであるということを、もちろん御認識いただいているとは思うんですが、ぜひともそういった御認識を、大臣の御指導、リーダーシップのもと、国土交通省庁内に徹底していただきたい、こういう思いを申し上げたわけでありまして、その夢の部分についての御所見をいただきたい。
○扇国務大臣 これは、一つ一つ島の特徴等々を挙げていれば時間がございませんから、松原議員御存じのとおりでございますけれども、一つだけ事例を挙げさせていただきます。
私、兵庫県出身なものですから、私の周りにも島がたくさんございます。兵庫県の坊勢島という島がございます。これは、さまざまな漁法を使って多岐にわたる魚類を水揚げしているんですけれども、漁業の生産が大変安定しておりまして、組合では、平成三年に五百六十六人だったのが、平成十一年では六百人にふえているんですね。人口も四・九%ふえている。また、観光客の推移も、四一六・六%と驚異的な伸びを示しているんですね。一例でございますけれども、こういう特徴のある島。
先ほど申しましたように、島によっては人口が五〇%減っているところもございます。また、高齢化も進んでおりますけれども、逆に、島の特徴を生かして、これほど人口もふえ、なおかつ観光客が他に見られないような増加をしている、そういうものもございます。
冒頭に松原議員がおっしゃったように、海洋国日本ということを考えれば、そういう意味でも、皆さんが安心して島に住み、島に来、そして島を大事にするということで、今回も、昨年来の不審船問題も、皆さん方が安心して漁業をし、そして皆さん方が安心して島に来てくださる、そういうことを大事にするためにも、真剣に不審船問題にも取り組んでいるというのも、国民の皆さんの安全、安心と、そして島の発展のためには、我々海上保安庁が果たす役割は大きいと思って、ますます皆さん方に、安心して島に働き、島の特徴を生かし、観光客を誘致していただくという、私は大事なことだと思っております。
○松原委員 全く非常に大事なポイントで、安全保障という問題も次に尋ねようと思っていたわけでありますが、どちらにしても、本土から隔絶された島においてはいろいろなハンディがある。医療、福祉、教育、雇用などの機会のハンディ、また、最近はIT社会ということで、デジタルデバイドという格差も生じている。
一方において、先ほど大臣がおっしゃったように、日本の人口は、昭和三十五年から平成十二年の四十年の間で三千万人ふえております。その間、島の人口は、百一万六千九百人から五十万八千人へと約半減をしているということであります。高齢者の比率を見ても、離島は、平成七年で二五・二%、十二年で三〇%。全国では、平均が平成七年の一四・五%が、平成十二年の一七・三%。
つまり、本当にいろいろな意味でハンディキャップを解消するための離島振興法が施行され、具体的な努力はされてきたけれども、現実にそのことによって社会資本整備は進んだ、しかしながら、本当の振興に十全に寄与しているかといえば、必要条件は満たした、しかしながら、まだまだそれが必要条件にとまっているのではないか、こういうふうに思っているわけであります。
都市・地域整備局長、簡単に御答弁をこの点についてお願いいたします。
○澤井政府参考人 人口の減少でございますが、これは先生御承知と思いますけれども、主たる要因としては、離島に高等教育機会が少ない、あるいは雇用機会が少ないということが常に指摘されているわけであります。
ちなみに、平成十二年三月に離島の中学校を卒業した若者のうち、就職と進学を合わせまして、三分の一が島外に出ております。また、高校の卒業者については、同じく進学者と就職者を合わせますと、三分の二がその時期に島外に出るというのが実態でございます。
ただ、こういったことで、総じて人口の減少あるいは高齢化が進んでおりますが、大臣もただいま答弁なさいましたように、すぐれた自然環境など、地域固有の資源を生かして元気にやっているところも出始めてきている。それが人口の増加に転じるような、そういう数字にも出てきているという現実が今ございますので、私ども、そういった動きをさらに加速するような、地域の実情に応じた支援をこれからしていかなければいけない、そういう段階にあるというふうに認識をしております。
○松原委員 そういう人口がふえる島も出てくる。当然大事なことだと思っておりますが、全体の中でそれをどういうふうに戦略的にやるかという、その全体のフレームワークもぜひ検討していただきたいと思うわけであります。
ここで私が言いたいのは、現実にはそうやって人口が、本土が三千万ふえているのに、百万が五十万になったとか、こういうことは数字としてもきちっととらえていかなければいけない。そういう中で、我々は、従来から離島振興法を延長しながらやってきましたが、これはこれで尊重しながらも、新しい角度から、さらに新しいインパクトのある離島振興というものを考えていかなければいけない時期に入っているだろう。
言葉をかえて言えば、ハードからソフトへと。ハードの離島振興は離島振興としてこれは十全にやっていかなきゃいかぬ。しかしながら、それだけにとどまるのでは不十分であって、やはりソフトの部分における離島振興というインパクトのある政策が求められるだろうというふうに思っているわけであります。
冒頭申し上げましたように、離島は大変な水産資源を持っている。水産資源だけではなくて、天然資源も含まれております。天然ガスは日本の百年分の消費量と言われる、いや、もっととも言われております。メタンハイドレートを初め、さまざまな海洋資源が存在しているわけであります。
メタンハイドレートは、先般、カナダの方で、ある種実用化への緒がついたということでありますが、一方においては、まだまだなかなかそれはできない、こういうふうな議論もあります。
しかし、今のさまざまな、そういった意味でのアカデミックな技術革新、これは、例えば二十年後にしかメタンハイドレートは実用化されないだろうというふうに予想されていても、予想を大きくたがって、それが十年とか七年とか、そういった時間の大変短い中で現実化する可能性はあるだろうというふうに私は思っております。
そういうふうな大変な資源を持っている、いわゆる二百海里の中であります。その島々の役割というのは、そういった大変な日本における経済的な資源、日本の国におけるフロンティアを提供するだけではなくて、今大臣おっしゃったように、例えば領土、領空、領海、この保全管理をする先兵としての役割も島は担っているというふうに私は思うわけでありまして、そういった意味では、自衛隊、海上保安庁の活動拠点も多く存在している。
例えば、日本に麻薬が随分と入ってきているわけでありますが、これなども、新聞によりますと、海洋投棄されたのを日本から行ったどこかの船が引っ張ってきて、日本国内で売ろうとしているとかしていないとか、こういうふうな話もあるわけで、そういったときのことを考えても、海というのは、すべての意味において日本の重要な拠点になっていくというわけであります。
まさに、国家の経済上、また国家の安全保障上、大変に重要な役割を離島は担っているというふうに思うわけでありまして、その部分から、従来のいわゆる格差是正という観点とは別の観点からさらなる予算上の措置も考えるべきだというふうに思いますが、都市・地域整備局長の御認識をお伺いいたします。
○澤井政府参考人 ただいま仰せの離島の存在によりまして、経済的にも、国土の安全の上でも、また、おっしゃるような海洋資源の利用の拠点、さらには、大変豊かな自然環境を有する地域も多いわけでありまして、そういった自然環境の保全等、さまざまな面で離島が国家的な意味で果たす役割は大きいと私どもも考えております。そうした意味で、そうした離島の振興を図るという意味合いも、そうした光を当てながらこれから進めていくということだと思いますが、結局は、先ほど来申し上げておりますような、意欲のある取り組みというものをさらに大きく育てていくということにつながっていくのではないかと思っております。
我々、これまでも、ハード事業に加えまして、さまざまなソフトな取り組みにもいろいろな支援をしてまいりましたけれども、これからも地域の取り組みをよく見て、必要な支援の拡充に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○松原委員 そういった取り組みをぜひやっていただきたい。
ソフト面というものの振興策になるわけであります。今大臣がおっしゃいましたように、ソフト面では、島の、これは議論としてあるのは、安らぎ、くつろぎ、いやしの空間としての島を大事にしよう、もしくは学びの場として、生活の知恵を、伝統文化や地域文化、そういったものを、子供たちを含めて我々日本人がもう一回学ぶ場としてそれをやっていったらどうだろうか。また、例えば環境を生かした風力発電、地熱発電、太陽光発電などの研究、また、空き缶を回収するためのデポジット制度等も、まず島で実験的に成功させていったらどうだろうか。こういうふうな議論もあるわけでありますが、これは着実に進んでいると思うわけであります。
しかし、これをさらに進めるためには、各島々がそれぞれの島の特性を生かし、事業を行う際には格別の支援を講ずるべきというふうに思いますが、また、それが既になされているのであれば、そういった事例も含め、地域整備局長に御質問いたします。
○澤井政府参考人 ただいま幾つかのお話がございましたけれども、一つには、やはり離島が、今までの認識では、大変厳しい自然条件あるいは地理的条件のもとに置かれているということで、その不利な条件をいかに克服していくかという発想でいろいろな支援をしてきたわけでありますが、最近、具体的な離島の取り組みも含めまして見てみますと、むしろ、そうした厳しい条件を別の面から見ると離島の優位性であるというふうにとらえ直して、これをさらに拡大していくという動きが出てきておりますし、また、国の支援においてもそうした支援が相当ふえてきていると思います。
その代表例が今先生仰せの風力発電のようなものだと思いますが、特に離島では台風の常襲地帯であるところも多くて、大変風速が大きくなる。例えば、五十メーター、六十メーターという風速になることもしばしばある。そういった中で、今まで以上に、例えば、強い風にも耐えられるような風力発電の技術開発というようなことも今一番先端では進められているというふうに承知しております。
そのような意味で、ある意味では逆転の発想といいますか、不利な条件を優位性ととらえ直して支援していくというような、思い切った発想の転換も必要じゃないかというふうに思っております。
○松原委員 昔、ひところディスカバー・ジャパンという言葉が随分はやったことがあります。日本再発見ということで、どこかの旅行会社を中心にやったのかもしれませんが、私は、やはりこの離島というのは日本の今の社会の中において大きなインパクトを持っている、離島自体が、このように思っているんです。
一つは、先ほど言いましたように、先ほど扇大臣は海洋王国と、私はそういった思いであっていいと思うんです。王国という響きはいろいろな意味にとられますが、海洋王国なんだと。日本は世界に冠たる海洋王国でありまして、この島々からいきますと、日本は世界の第六位、一部七位という議論もありますが、我々の領有権を考えると六位というふうに思っているわけでありますが、六位のいわゆる世界の大海洋国家であります。したがって、そこに夢もロマンもあると。
日本人が最近どうもそういった夢やロマンがないんじゃないかという議論があるけれども、離島の海洋資源、四百四十七万平方キロメートルというのは、十分に夢やロマンやフロンティアを語るに足る面積だろうというふうに思っております。また、そこには日本古来の文化が、例えば都市部においては失われてしまったような文化が、その離島の地においてはいまだに根づいている。離島に行くことによって我々日本人は日本人のルーツを逆に発見することもできるだろう。これがディスカバー・ジャパンであります。
ある意味でディスカバー・ジャパンは、そういったフロンティアとしての離島、例えばメタンハイドレートのような資源も含む離島、そして同時に、そこに行くと、日本の文化をもう一回我々は知って、我々のアイデンティティーを確立できる離島、そういう意味で離島というのは大きな意味を持っている、このように思うわけでありまして、そういう離島というものに関して、国土交通省としては格別の、やはり従来の格差是正だけではない、もっとインパクトのある行動をしていくべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
○扇国務大臣 これまでの離島振興、少なくとも、公共工事、公共投資というものが私は主であったと思っております。けれども、今松原議員がおっしゃるように、ハードからソフトへ、私はそういう時期に来ていると思いますし、それぞれの離島もそれぞれの知恵を働かせております。そういう意味では、いま一押し、国民が離島に対しての愛情を持った支援をしていかなければいけないと思っております。
また、例を挙げさせていただきますと、松原議員も御存じかもしれませんけれども、例えば北海道の礼文島というところで、少なくとも皆さんが北海道のあのホッケを、開きのホッケというので、ホッケを全部で作業して、みんなで新しい産業を起こそうというような、今までの、とるだけとは違ったことも起こし始めている。また、新潟県の佐渡島では、全国の離島子供サミットも開かれた。こういう新しい、離島に対する、年齢を低年齢にも下げた、皆さんが離島の重みというものを知ろうという子供サミットまで佐渡島で開かれている。
そういうようなことを考えますと、少なくとも、それぞれの離島の皆さん方が、今松原議員がおっしゃったように、大人も子供も日本の離島の重要性というものを、そして、公共工事だけに頼らない、その島々の特性を生かしたソフトの面でも、私たちは、今後世界に発信するお手伝いと、そして、よりその振興が図られることを支援していかなければならないと思っております。
○松原委員 個々の島の努力は当然、それを後押しし、期待をしていかなければいけません。しかしながら、今大臣もおっしゃった、全体のソフト化という問題、ぜひとも検討していかなければいけないと思います。
例えば、内外の価格差というのがありまして、内地であればガソリンが今百円を切るぐらいの値段でありますが、小笠原に行きますと二百円近い値段がしている。消費税五%といたしますと、一リットルのガソリンを買うのに百円だと消費税は五円ですね。二百円だと十円です。だから、価格に対しては同じ五%でありますが、一リットルは一リットルです。あっちの小笠原でガソリンを一リットル売ると、本土の二リットル分は走りますよというガソリンはないわけでありまして、そうすると、同じ一リットルで二倍の十円の税金を払う、こういうことも価格差の中に存在しているということを我々はまず認識しなければいけない。
時間も非常に少なくなってまいりましたので、まとめて質問いたします。
大臣は、女優としても、また政治家としても大変なキャリアを持っておられ、何度も公務やプライベートで海外にいらっしゃっていると思います。そこで、外国のいろいろな島に行って、いわゆる政策、消費税等を含む優遇策というものを感じたことがあると思うんですね。これも触れていただきたい。
そして、実は、離島振興について超党派の議員が集まって勉強会を重ねることがございました。そのときのある講師が、ヨーロッパの島々は大変元気があると。
例えば、フランスのコルシカ島。コルシカ島というのは、あのナポレオン・ボナパルト、フランス革命の最終ランナーとしてあられた、あのナポレオンが生まれた島で有名でありますが、このコルシカ島、一九五七年以降、同島の経済振興のためにフランスが、自立支援のため毎年数億フランの予算を投じ、公共事業による農業と観光業の振興を図った。日本は一九五三年から離島振興法でやっているわけでありますから、日本におくれること四年目であります。四十年に及ぶ事業展開にもかかわらず、農業、観光ともに不振を続けた。
そこで、公共事業の有限性に気づいたフランス政府は、国民会議は、ついに政策を大転換した。一九九五年、コルシカ島に対する税制を大幅に改正し、TVA、付加価値税を、ほとんどの物品・サービス、本土の半分以下に設定した。その他税金に対しても超軽減税率を適用し、相続税は定住推奨のために免税した。こういった大転換をすることによってコルシカは大変に成功したということで、しばしば紹介をされているわけであります。同じような事例は、例えばジャージー島やマン島やギリシャのロードス島にもあるというふうな話でもありますが。
私は、それぞれの島の努力は努力として必要だろう。しかし、先ほど私はガソリンのことを言いました。百円と二百円で、同じ一リットルで五円と十円の税金だ。こういったことも含めたときに、逆に、我々は、こういう消費税税率の軽減や揮発油税の軽減、そういう税の部分によって、公共事業投資とはまた別の、いわゆるそのことによってその地域の活性化を目指す。それを島に対して行うだけの整合性が、特に四百四十七万平方キロメートルの大海洋時代、海洋王国日本を目指す上では、それは極めて国民の理解を得られる論議ではないかというふうに私は思っているんです。
これは、大臣の思いを私はお伺いしたいんです。これは、具体的に税制をどうだとかという細かい議論ではなくて、大臣としてはそういうことも必要だろうというふうにお考えだと思うので、率直な大臣の御所見、思い、熱意をお聞かせください。
○扇国務大臣 そのために離島振興法を今まで延々と皆さんが御支援されてきて、また継続したという、これは私は国会議員の熱意だと思っています。しかも議員立法です。そういう熱意が、私はこの議員立法というものに皆さんの熱意が固まってきたと思います。
また、今るる外国の話をなさいました。フランスのコルシカ島、あるいはあらゆるところで、スペインのカナリー島等、離島は二分の一にしている税制もございます。けれども、二分の一にしたからといって旅行客がふえたという数字にはなっておりません。けれども、日本の場合は、少なくとも製造業でありますとか旅館業でありますとか、ソフトウエアのそういう税制というものをしてきたことが今の離島振興の大きな役割を果たしているということ自体は、私は認めていただきたいと思います。
ただ、日本全体が島であるという考え方からすれば、少なくとも今おっしゃったような、島によって、本土という言い方をすると失礼かもしれませんけれども、本土との格差があるということは、私はむしろおかしいことだと思っています。
観光で生きている島もあります。ハワイ等々例を挙げれば、ハワイに住んでいる人たちは、例えばオアフ島から隣の島へ行くのは、島に税金を払っている人は半額です。そのように、離島に住んでいる人は、観光客からは取るけれども、離島の人たちには利便性がある。そういうことも私は今後大いなる勉強の材料であると思っています。
今、税制面で免除している部分も含めて、私は、もっと島が――変な話ですけれども、今、橋を島と島に渡しています。そうすると、みんながその時期をずらしてくれと言うんです。それはなぜですかと言ったら、橋がなければ離島振興法でいろいろな利益があるけれども、橋がかかると離島じゃなくて地続きになるから、税制面で損をすることがあるから、橋があるのはいいか悪いかなどという、そういう話まで私は全国を歩いておりますと聞きます。
そういう意味でも、本当の離島振興というものはどこにあるのかというのは、ぜひ英知を絞って、私たちは今後も参考にしていきたいと思っています。
○松原委員 今お話がありまして、僕はこの離島振興法というものの価値は認めているわけであります。この延長というものは、延長というか、この問題は、やはり離島のいわゆるきちっとしたハードの部分からの支援として必要だろう、ソフトの部分からの援助というものは税制によるということが一番現実的だろうというふうに思っております。
そういった意味では、先ほど大臣も、ハードからソフト、ハードはハードでやるけれども、ハードだけではない、ソフトというふうな、島へ行って、土木中心の経済発展ではなく、もっと一般の、例えばコンピューターをいじくる人やそういう人も行ってできるような、そういうふうな部分での、ソフト的な部分における振興もさらに必要だろうという御認識をいただいたと思っております。
私は、繰り返すようでありますが、二十一世紀の海洋王国日本をつくる、また、そういった理解を国民から得ながらやるためには、ソフトの部分、特に消費税の軽減等を含め、大いなる検討課題であるということを申し上げまして、ぜひとも、それは、やはり国土交通省の扇大臣が、そういったものを含め検討するべきだというふうに言わなければ、それは、財務省からはそういう声は出てこないんですよ。我々がやろうと言ったって、財務省は、待った、そんなことやったらと、こういうふうに言うんだけれども。
それは、日本の国土の均衡ある発展のみならず、まさに離島がディスカバー・ジャパンなんだ、我々のアイデンティティーを確立する場であり、そして日本の二十一世紀のフロンティアをディスカバーする場なんだ、こういう認識からいけば、ぜひとも国土交通大臣の、扇大臣のリーダーシップのもとに、それが十全の策かどうかわからない、しかし、それを含め、海洋王国日本をつくるための、税制を含むソフトの問題に取り組みたいというふうな御決意をいただきたいと思うんですが、もう一回御所見をお伺いいたします。
○扇国務大臣 冒頭に申しましたように、税制のみならず、私は、あらゆる面で離島の特性を生かす、二十一世紀になって、二十世紀に言った均衡ある国土の発展、そういう言葉ではなくて、個性ある国土の発展という言葉に二十一世紀は変えたい。均衡ではお客は来ないという話もしましたので、私は、税制のみならず、あらゆる面で離島の特性を生かした発展を図っていきたいと思っています。
○松原委員 大臣の離島振興に対する強烈なリーダーシップを期待して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○久保委員長 古賀一成君。
○古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。
同僚の松原仁委員の後を受けまして、大臣を中心に、いわゆる地方振興、地方分権、そして今話題になっております離島振興について御質問させていただきたいと思います。
今国会も大体終わりが近づいてきたような気もするんですが、私も幾度となくこの委員会で質問に立たせていただきまして、扇大臣の答弁もいただきました。
その中で、大臣が折に触れておっしゃる幾つかの論点がございます。いわゆる陸海空一体となって今後交通政策を進める、あるいは、四省庁が統合した、その省庁再編の意味というものがある、そういう答弁を何度かお聞きしたわけでありますけれども、私も全くその点、同じくそういう思いを持つものであります。あと、都市政策を論じた場でも、いわゆる日本の都市あるいは東京が国際的に大変魅力のある都市にならなければならぬ、いわゆる観光政策と都市政策というものが何か関連しているという感じの答弁もいただきました。
そういう政策の総合化といいますか、陸海空の一体的な整備、そういうことは本当に重要と思うんですが、大臣が折に触れ心情を吐露される、その心は私も全く一緒なんですけれども、問題は、これを具体的にどうシステム化していくかというか、あるいは政策まで持っていくかというのが実は今問われているんだと思うんですね。
そこで、扇大臣、今松原委員の方からも大臣に対する期待が述べられましたけれども、私もそういう意味において、その心意気といいますか問題意識は全く共通するところがありまして、問題は、これを、いかにそういう方向へ実際の行政を持っていくかというのがこれからの課題じゃないかと私は思うんです。
そこで、大臣にまずお聞きしたいのは、まずは、いわゆる総合交通政策といいますか、陸海空一体となった交通政策というものについて、現在あるいは今後でも結構です、それを具体的にどういう形で実現、具体化していこうとしておられるのか。
もっと具体的に申し上げますと、扇大臣の方から、いわゆる陸海空の交通一体化について課題があるか検討しろと諮問をする、あるいはプロジェクトチームを立ち上げろと指示をする。いろいろなやり方があるんだと思いますけれども、私は、大臣の方から、そういう具体的な、今度、具体化のプロセスをぜひ期待したいということで、大臣からのお考えあるいは実績というものをお聞きしたいと思います。
○扇国務大臣 冒頭に古賀議員におわび申し上げておきますけれども、十時から参議院の本会議でございますので、途中でもしも失礼することがあったら申しわけありません。十時から本会議に出させていただきたいことを冒頭にお願いしておきたいと思います。
それから、今古賀議員がおっしゃったことは大変大事なことでございますし、古賀議員も建設省に籍を置かれて、そのときにできなかったことで今やりたいと思っていらっしゃることもおありになるだろうと私は思うんです。
そういう意味で、私は、ぜひ二十一世紀の冒頭に私が何がやりたいか、一番欠けていることはグランドデザインだと言いました。なぜグランドデザインがないか、それをしなければいけないかというのは、空港をつくったり港をつくってもばらばら、そして空港から都市までの間のアクセスができていない、私は、そういうことがそれぞれの公共工事のむだ遣いの基本になっていると思うんですね。それは、運輸省、建設省等々縦割りで仕事をしたから、県道がある横に農道があったり、全部私は、総合的なグランドデザインがないからむだがあったんだと思っております。
そのために、私もグランドデザインをつくろうと努力してきました。けれども、いよいよ私は、もう検討して、今地図をつくっておりますけれども、それだけでは済まない。
なぜかといいますと、ちょっと申しわけないんですけれども、例を挙げさせていただきますと、例えば東京の神宮の森、これ、百年前は木がありません。ゼロでした。それが、植えた木が百年たって、今神宮の森というすごいのができています。
日本橋一つとってみても、これ、平成十一年、国の重要文化財になりました。けれども、オリンピックのときに高速道路をつくって二重にふさいでしまって、あの文化財の日本橋のあの明かりのあれは、高速道路の上へ上がっているんですね。日本橋という看板も見えない。これでは文化というものを無視した都市づくりではないか。
そういうことを考えますと、大変おこがましいかもしれませんけれども、私は、やはり百年、大きなことを言いますと、二十一世紀ですから、二十二世紀を迎える前にどうしたらいいかということで、私、霞が関では大変生意気だと言われるかもしれませんけれども、初めて国土交通省で国づくり百年デザインというのを立ち上げました。そして、タスクフォースというので、国土交通省の全員に六日間でイントラネットで募集しました。そうしますと、百四十四名が応募してくれた。みんなその部署についたままタスクフォースとして集まってくれ、時間外でするかもしれない、それでも百四十四名あっという間に集まってくれまして、三十二名厳選いたしました。平均年齢が三十二歳でございます。女性も四人おります。そして、三十二名選びまして、それぞれ四つの部署に分けまして、四人主任を置きました。三十六名で百年のデザインをつくろうということで、初めて百年の計を、超長期と言っておりましたけれども、正式な名前は国づくり百年デザイン、こういうものを立ち上げました。
今期の年度末までに中間報告を出してもらおうと思ってしておりますので、そういう意味で、飛行場をつくっても、全部連結ができてないとむだになるということから、いかに外国のように十分以内にするかという、そのことをぜひ私はお願いして、考えを出していこうと思いますので、古賀議員も御経験の中から知恵を出していただければありがたいと思いますので、ぜひまたお助けいただきたいと思います。
○古賀(一)委員 それでは早速、私からこの点について大臣に、アドバイスというか、お願いもしたいと思うんですが、私が今までいろいろな政策で、これはもう日本にとって不可欠だとか、いろいろなことをひらめいたのは、大体外国に出張に行かせてもらったときですよ。いや、私は、これは若い官僚、課長補佐、まあ企画官になるとどうかなという気が、まあ企画官でもいいですが、課長はいいです。私は、いわゆる課長補佐クラスの政策畑の人に大臣の海外出張旅費の一部でも分け与えてもいいと思うんですが、本当に予算が少ない。本当に、これからの日本の国土交通行政の課題ですね。
恐らく、ハードウエアにおける潤いとか文化性とか、そういうのは、外国に学ぶべきは山ほどあると思うんですね。一週間行ってこい、二週間行ってこい、それを全部報告を出せというような、僕は、霞が関の中でそういう若者が集まってやるということは大いに大いに結構なことだと思いますけれども、それとともに、この国際化社会ですよ。私は、どうせなら、大いに暴れられて、古い秩序にこだわらず、しかも国土交通省の若手だけじゃなくたって、それは省庁の縦割りをぶっ壊すことになるかもしれませんけれども、今イントラネットというお話が出ましたけれども、国土交通省内のイントラなのか霞が関のイントラなのかわかりませんが、私は、そういう広がりを持った、百年提言といいますか、そういうものをやはりやるべき時代だと思います。
それで、これについて、まだいろいろ私も持論を申し上げたいことがありますけれども、大臣が参議院の方にとられますので、いろいろ申し上げたい論点がありますので、次に移らせていただきたいと思います。
そこで、私は、これまでの国会の答弁、あるいは最近の内閣の動き、政治の動きを見たときに感ずる二点目がございます。それは、国土の均衡ある発展という概念が、新聞を見ても、小泉内閣の姿勢に、それが全く、これっぽっちもない。この委員会での審議の状況を見ても、これが弱い。
実際、国会で政府から提出されました本委員会付託法案というのは、都市再生二法に始まり、マンション建替え円滑化法、あるいは民間事業者の能力活用による特定施設の整備促進臨時措置法であるとか、首都圏・近畿圏整備法の一部改正、ほとんどは大都市圏あるいは都市絡みの法案であったように思うんですね。
そして、きょう、一般質疑でありますけれども、本委員会のメーンテーマは離島振興を中心にやろうということであったと思うんですが、これは議員立法である、しかも委員長提案。通常ですと、委員長提案になりますと審議は一切なし、こういうことでいくんです。
何か、これだけ地方分散、地方分権、地方の時代と言われながら進んでいない。しかも、近年その地方の疲弊が大問題になっている。そのときに、この国土の均衡ある発展とか地方振興に関する施策が本当に薄くなっているような印象を私は持っている。大変な懸念を持つんですね。むしろ、強者を助けることに今政府なり政治はきゅうきゅうとしていて、もう、本来まず光を当てるべき弱者に目を向ける余裕がないという、そこまで来たのかなという心配すら持つんです。
そういう面で、過密過疎の解消あるいは国土の均衡ある発展というものは、今なお国是に近い政治課題だ、私はこう思っておるんです。この点について、大臣の答弁も、どちらかというと、法案が都市中心だったからかもしれませんけれども、この国土の均衡ある発展というものに何か関心が薄いような危惧を持つんですけれども、この点について、大臣の御所見、そして小泉内閣のその点についての関心度はどうなんだろうかということについて、大臣の御所見をぜひお伺いさせていただきたいと思います。
○扇国務大臣 今、基本的な姿勢で古賀議員からお話ございましたけれども、国土の均衡ある発展をどう考えているか。私は、二十世紀を振り返って、まさに均衡ある国土の発展、国民に平等の生活基準を確保する社会資本整備が欧米に比べて日本はどれほど劣っているかというのは、一々数字を挙げるまでもなく、社会資本整備が、大げさな言い方をしますと、欧米に百年おくれている。スタートも百年おくれているんですから、百年おくれていても仕方がない。だから、せめて五〇%ぐらい欧米先進国に近づくべきであるという目標を持って二十世紀は頑張ってきたと私は思います。それが、均衡ある国土の発展という言葉に象徴されていると私は思います。
ところが、二十一世紀になって、まだ社会資本整備が欧米先進国の五〇%までいっていないけれども、果たして、このまま均衡ある国土の発展で、限られた予算の配分を均衡にしていたら日本全体がどうなるか。そういうことを考えたときに、欧米先進国に対応して経済大国日本だと言われたものが、地盤沈下が始まったのは何か。それは、欧米先進国の世界のスピードに日本がついていけなくなる、そういうことから、均衡ある国土の発展は一方で大事です、社会資本整備、当然のこと、けれども、では果たして、日本の顔として世界に伍していくためには、この産業の空洞化、経済の空洞化を埋めるには何をすればいいか。
それが、一方は社会資本の整備ですけれども、空港一つとってみても、都市のあり方のIT一つとってみても整備ができていない。世界じゅうから来てくださいという観光客一つとってみても、あるいは商業一つとってみても、東京にビルがあんなに建っても、IT整備ができていない、あるいは光ファイバーが通っていないから入る外国商社がいない。これでは世界に伍していけない。
だから、二十一世紀は、社会資本整備も大事だけれども、国際的に日本が、日本の顔として国際舞台に顔を出せるような整備をしなければ日本だけが取り残される、そういう転換期が二十一世紀に来ている。
そういうことで、我々は、今、世界に冠たる顔を持つ日本、どこをどう整備することが日本として世界に対応できるのか。飛行場をつくっても、着陸料一つとってみても、世界の三倍取っていたのでは客は来てくれません。そういうことも含めて、あらゆる面で、二十一世紀型の日本の顔というものをまずどこから手をつけていくか、それが私は、小泉内閣の都市再生委員会等々が象徴されることだと思っておりますので、ぜひそういうバランスのとれた、おくれているところを何とか追いつくんだ、それが日本全体の、ひいては均衡ある国土の発展の基盤になるということを私は申し上げている次第でございます。
○古賀(一)委員 今の大臣の答弁で、結果として、やはり都市再生、日本の玄関といいますか窓口、あるいは顔ともいうべき東京という都市が、首都が、もっと国際的に輝くことがやはり重要だというふうに受けとめたんですが、日本が世界第二位の経済大国と自慢しておったのは、ほんの十数年前、まあ十年前ですね。それが、もろくもこれだけになった、あっという間に落ち込んできたその原因というのは、やはり日本の、地方も含めた粘り腰というか、地に足がついた部分が非常にもろかった。逆に言うと、それは、やはり地方のもろさ、弱さというものがバックにあるんじゃないかと私は思うんです。
そういう面で、今の答弁については、もう少し地方分権、地方の創意、あるいは地方の復権、そういうものに、もっと都市に対して、さっき局長からも答弁がありましたが、国からの支援という話がありましたけれども、支援という発想じゃなくて、もう少し地方の主体性を発揮させる、ある面では、パラダイムの転換といいますか発想の大転換というか、そういうものが私は必要な時代に来ているんじゃないかと思うんです。
それで、がらっと話は変わりますけれども、次は離島の振興に移りますけれども、この委員会だったかどこの委員会だったか忘れましたけれども、一回私は委員会の場でこの話はしたことがあるんですが、ハワイですね。ハワイというのは恐らく太平洋のど真ん中ですから、先ほど大臣からもハワイの話が出ましたが、ハワイというのは、世界の中で太平洋という一番でかい海原に浮かぶあの島ですから、ある意味では世界最大のというか最遠のといいますか、離島ですよね。あのハワイが今、世界のリゾート、世界の楽園、こう言われている。あのハワイがどういう人間の手によって世界のリゾートになってきたか、その経緯、大臣、御存じでございましょうか。もし御存じでしたら。
○扇国務大臣 ハワイの歴史まで言っていると切りがありませんけれども、ハワイが生き残るための政策というものは、観光しかあそこは生きていけません、そういう意味で、いかに観光客を誘致することに力を入れているか。その中で、日本の観光客の占める地位が大変多いんです。そういう意味では、ハワイを訪れる人の三位にいつも日本が入っております。
外国人が海で泳ぐのに、あそこはサンゴ礁でサメは海岸には来ない。これは、おかげさまで地域的にすばらしい。けれども、蛇がいてはいけないというので、ハワイ州の州法で蛇というものを一切持ち込んだらいけないという規制までしている。日本人が行ってウナギの養殖をしようといったら、あれが海に逃げたら蛇に見られるからというので、ウナギの養殖までハワイ州では許可しなかった。それくらいハワイ州は観光というものを大事にし、お客様も来てくださる。
しかも、ハワイの空港がCIQが余りにも時間がかかり過ぎると言ったら、アメリカ本土から予算をとってきて一斉にCIQをふやすというような、そういう政策をとって、そしてハワイのワイキキというところには、安全が第一だということで、初めて日本のあのポリスボックスをハワイのワイキキの真ん中に置くというように、安全、安心を確保した。
そのように、島として何で生活していくか、この島の保全を図るために何をするかということが政策的にきちんとしている。そして、観光客からお金は取るけれども、住んでいる人たちは観光客並みのお金ではかわいそうだというので、すべての割引を持っているというふうに、政策として一貫している。そのことを私は、島というものを大事にし、その島の特性を生かすということをぜひ日本もしていきたい、そう思っています。
○古賀(一)委員 大臣の方から、現在におけるいわゆるハワイというものが、観光立国といいますか立地といいますか、そういうもので苦労してある、その状況を聞きましたけれども、私が申し上げたいのは、要するに、世界で最大の、大きい太平洋のど真ん中にあるハワイというものは、アメリカの政府が地域振興を図ったわけでも何でもないんです。あれは、二十世紀の初めのころ、あるアメリカ人の賢い男が、このハワイという島が持ついわゆる海、自然、すばらしさというものを見て、地域の知恵でハワイというものをつくったんです。
もっと具体的に言いますと、ハワイアンというのもないんです、カメハメハ大王というあの伝説も作り物なんです、フラダンスも作り物、レイも作り物。つまり、このハワイに合った、これをリゾートとする、世界の楽園にするためにどういう仕掛けを打ったら世界のリゾートになるかということを考えた男が、一連の伝説からハワイアンからリズムから全部つくって、そして、もちろんハワイのワイキキのあの都市計画もつくった。
そして、聞くところによると、あのビッグウエーブというのがありますね、あれも、国土交通省の専門家にちょっと一回調べてもらったらいいと思うんですが、あのビッグウエーブも、風が大して吹かないのにあれだけ大きい波になるというのは、下に土木工事が施してあるというわけですよ。だから、どんどんどんどんビッグウエーブになってサーフィンができる。つまり、そこの地域の可能性というものは、やはり決してワシントンではわからないんです。
私は、今問題になっています島、道路をつくるならば道路構造令で市町村道もこうしなきゃならぬだろう、これをやるには旧自治省の起債がどうだと、いろいろな手かせ足かせというものがある中で、島嶼の村長さんというのは地方交付税あるいは特別交付税をお願いするしかない、やはり国に頼るしかない、自分たちの知恵は出してもしようがないという文化の中で戦後ずっと来たんだと思うんですよ。
そういう面で、公共工事の話が出ましたけれども、それ以前に、先ほど松原議員が熱っぽく言いましたけれども、やはり先兵として、離島こそ、自分たちのいわゆる設計、企画、デザインによって島おこしを考えてごらん、そこで必要最低限の国の規制、それはもちろん守ってもらうけれども、島が観光振興ということで考えるなら大抵のことは認めるというような、一つの発想の自由な特区を設けるぐらいのことをしないと、離島というものは、相変わらず、漁港整備だ、十年前に漁港が整備された、また来年も頼むよ、今度も頼むよなどという一種の依存、それは残っていると私は思うんですよね。
私は、そういう面で、今度の離島振興法というものが、目的規定から大変前進はしたと評価をします、しますけれども、相変わらず国の基本方針、国の、県の計画、こういう体系でつくられていることに、大臣は今いいことをおっしゃったけれども、二十世紀のパラダイムというか、霞が関のこれまでのルールを依然残したまま島おこしをやろうとしているなと。
霞が関の中にいて、例えば、ここの浜辺のここは何月何日の夜になると満天の天の川が、星がたくさん見えて、これは東京の人間が来たら喜ぶ、これを何とか物にしようとかいう、じゃ、そこに通ずる道路はアスファルト舗装じゃなしに、ひとつ芝生の歩道をつくってみようかとか、そんな発想というのは、国じゃわからないんです。でも、実際、東京からあるいは都市部から人が来る、そして地域の人たちが、おらが島は日本でも珍しい、おもしろい、いい島だという、その知恵というものは、極めてやはり具体的な一つ一つの知恵だと思うんですよね。
そういう面で、私は、この離島振興というものは、ある面では、これまで遅々として進まなかった地方分権、地方の時代の本当の意味での先兵になる、そういう役割を担うべきだと思うんですね。それには、先ほど税制の話が出ましたけれども、税制の話の前に、そういう企画立案、創意工夫を、離島は一種の特区だ、自由にやって考えてこいと、考えてきたら、そこに、ふるさと創生じゃありませんけれども、優秀なものには国は援助してという、そういう競争をまた起こしてもらう、そういう新しい地方の振興の先兵にすべき一番いいテーマじゃないかと私は思うんです。
そういう面で、先ほど熱意は大臣の方から聞きましたけれども、今言ったような、もう規制を原則撤廃して、離島は離島で新しい時代の自分の町おこしを、島おこしを考えろと、そういう計画体系に将来持っていくべきと私は思うんですが、大臣、この点について御賛同を得られますでしょうか。ひとつ答弁をお願いします。
○扇国務大臣 古賀議員がおっしゃることは、私は理想だと思っていますし、そうあるべきだと思っています。
少なくとも私は、老齢化が進んでおります離島に対して、それぞれの個性を持ってくださって、その個性を自分たちで自由にすることも大事ですけれども、一方、離島でなければない自然を保護するという規制も私は大変大事であると。私は、そういう意味で、規制と緩和両々相まって初めてすばらしいものができるのであろうと思っておりますから、何も全部規制を外すことだけではなくて、規制がなければ自然を、その島の特性を保護することができないというときには、規制を強めてもいいと思っています。そういうお手伝いを国がすることは、当然のことでございます。
ただ、それぞれの知恵で、自分たちの島はこうしたいんだ、こういう特性を持ったことをしたいんだ、だから、道路をつくるよりもこっちにしてくださいと。私は、地方分権なりあるいは地方にできることは地方にという小泉内閣の姿勢というものはまさにそこにあると思っておりますから、それぞれの市町村から知恵を出していただいて、島へ渡るその入り口の市も、これに、こういうことをするんだというその連帯性のある案を大いに出していただき、我々はいつでも両手を広げて受け入れ、またお手伝いできるところはお手伝いするというのが国土交通省の役目だと私は思っています。
そういう意味で、国づくり百年のタスクフォースをつくったのもそういうことでございます。しかも、若手の人たち全部、二十部署から、また海上保安庁、気象庁からも参加してくれました。果たして何ができるかわかりませんけれども、私は、初めての試みも、今言った日本の特性をいかに我々は百年かかってつくり、生み育てていくかという基本になると思っていますから、離島も、それぞれの個性を生かしたそれぞれの案というものをぜひ提供していただき、市町村にも働きかけて、どうぞ持ってきてください。我々のお手伝いできるところはここですかということを御指摘いただければ、公共事業を持っていくだけではないというのは百も承知でございますので、ぜひそういう御論議をしていただきたいと私は思っています。
○古賀(一)委員 国づくり百年デザインの若者のこれからの健闘に大変期待をしますけれども、ひとつ、漠と国の百年と言うだけではなくて、ぜひ、一番、いわゆる過疎に悩む、そして一番東京から遠いといいますか、そういう離島について、ひとつ、これを興す、興していく仕掛けは何だ、どんなことが考えられるかというような、これは非常にテーマとしては本当におもしろいと思うんですね。
ある面では、ここでのシナリオが、おもしろいものができてくれば、それは、本土の、ぼうっとしている都道府県とか、ぼうっとしている市町村なんというのも、ここまでやるんだなという一つのモデルになると思うんですよ。恐らく、今我々が考えている以上に、十年後というのは、国際社会の中の条件といいますか、あるいは情報化というのは、私は、我々の想像を超えて変わっているんじゃないかという気がするんですよ。
そうしますと、ある面では、やり方によっては、東京で仕事を終えた、東京は物価が高い、年金も全然期待どおりに上がらなかった、それならば、東京からコンピューター一台持って、そのときは一秒何ギガビットの情報が衛星を通じて自由自在に入ってくるという時代になっていると思うんですよ。そうしますと、そのときの価値観は、もう東京にいなくてもいい、島へ行こう、あそこの島は大したしゃれた素朴なリゾートで、ワイルドライフで、しかも物価は安いと。仕掛けによってはそんなことができるんですよ。私は、本当にできると思う。
あのハワイが世界じゅうから人を集める島になったように、日本の島が一つ一つ個性を持ちながら、あの島はおもしろい、そういう、新しい日本のパラダイムを切り開くのは、可能性を持っているのは島じゃないかと私は思うので、ぜひともこの点、若手のプロジェクトチームで、百ぐらいのアイデアを持ってこいというような督励もぜひして、元気を出させていただきたいと思います。
大臣もそろそろ行かれる時間なので、次に質問をかえたいと思います。
さてそこで、今、地方振興の、あるいは地方分権の計画論というものを申し上げたんですが、これは、私は前から関心があります、いわゆる国の計画ですね。最近の政治状況を見ても行政の状況を見ても、要するに、日本が将来どういうふうな国づくりをしようとしているのか、日本はどうなるんだ、日本の理念はどうだというのが見えないんですね。今度、地方部には赤いポストのほかに青いポストをつくる、つまり郵政事業をどうしたらいいこうしたらいいとか、いろいろな、党内での話とか省庁間の権限の問題とか、そういうレベルの問題はたくさん出ています。しかし、国民から見れば余り関心がないです。うちの息子が大人になるそのころに日本というものはどういう国になっているんだ、つまり、日本の長期的な展望というか計画論というのが最近全然見えないんです。
私が役所におったころは、全総だあるいは経済計画だ、そういうことで、あと二十年後の日本はどうだというような議論をしょっちゅうしていましたよ。最近における政府の、いわゆる、具体的に言えば経済計画、国土計画、全総ですね、これの姿が見えないし、論議が全然新聞にも出ない、実際それが論議されている形跡もない。こんなことで、今、十年前二十年前よりも、日本人は、次の日本の行くべき方向というものを国が示すべきだと思っておるのです。それが一番必要なこの時期に、実は見えない、そしてない、こういう状況になっておるんです。
そこで、まず事実関係をお伺いしたいんですけれども、まず佐藤静雄国土交通副大臣に、所管でございます、旧国土庁の所管でありましたけれども、いわゆる全総ですね、全総というものが今どういう立場に置かれているのか、それで、今後これはどうなっていくのか、そして内閣府の方には、所管でございます経済計画、これが今どうなっているかを、同じような趣旨でございますが、御説明をいただきたいと思います。
○佐藤副大臣 全総の今後のあり方についてのお尋ねでありますけれども、今、国土利用計画につきまして、国土審議会において、これからのあり方は調査審議をいただいておるところです。
昨年の十一月に、中間報告を見てみますと、これからは、開発中心の時代から、それをどうして利用、開発、保全というものを中心にやっていくか、そういう方向に重点を置いていくべきだ、そういう中間報告がなされています。この計画の指針の構造や国と地方の役割分担のあり方とか、こういうことをことしの秋を目途にまとめたい、そう思っております。
要するに、これからは、先ほど古賀先生が力説されておるとおり、地方を中心に、どうやって地方を育てていくか、育ってもらうかということだろうと思っております。中央がコントロールする時代から、地方が独自の個性ある発展をしてもらう、そういう時代になってきます。
平成十七年をめどに市町村合併が今進められておりますけれども、大体そこで三十万から五十万ぐらいの一つの固まりをつくる、さらに加えて、六百万から一千万ぐらいの大きな地域というものをつくり上げていく、それを道州制と呼ぶかどうかは後の問題といたしまして、そういう方向になるんだろうと私は思っています。そこにおいて、地方が独自の戦略を持ってもらう、そしてまた、国はそういう戦略に対してバックアップしていく、それは、高速道路であったり、新幹線であったり、港湾であったり、空港であったり、そういうものをバックアップしていく、そして、全体を国として連携を図る努力をしていく、そういう方向だろうと思っています。今そういう方向に向けて御審議もいただき、また我々もいろいろと未来に向かって考えております。
先ほど大臣から、若い人が集まって、百年後の日本の国を考えよう、そういう組織をつくって今スタートしたという話がありましたけれども、若い方々の知恵も出していただき、さらにいろいろな学者らの意見を聞いて、百年後の日本はどういう日本になっておるだろうか、そんなことも省内において何回か今まで勉強もやっておる最中です。そういうものとあわせながら日本の未来というものを考えていきたい、そう思っております。
○坂政府参考人 経済関係のことでございますが、日本経済の、あるいは財政のということかもしれませんが、運営方針につきましては、昨年の六月に、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、私どもの内輪ではいわゆる骨太の方針というふうに呼んでおりますけれども、これが決定されておりまして、先ほど先生お触れになった、例えば国土の均衡ある発展と特色が大切であるとか、そういったようなことも含めまして、日本経済の再生に向けて歩むべき方向性といったものを書いてあるわけでございます。
また、昨年の九月には、今申しました骨太の方針が迅速かつ確実に実行されていかなきゃいかぬということで、タイムテーブルを示しました改革工程表というものを作成いたしました。
また、ことしの一月でございますけれども、やや中期的な展望、五年間ぐらい、あるいはプライマリーバランスといったことだけにつきましては十年間ぐらいの展望を示しました、「改革と展望」というふうに呼んでおりますけれども、いわば中期的な経済財政計画みたいなもの、こういったものを作成いたしたわけでございます。
また、これらの方針に基づきまして、昨年来経済運営あるいは構造改革を進めてきたわけでございますけれども、骨太の方針で、例えば今後の産業というのがどういうふうになるのかといったような部分が余り詳しくなかったというような御指摘もございまして、ちょうど今やっているところでございますが、経済活性化戦略、経済活性化戦略といいましても特に産業の競争力とかそういったことを中心にして見ているわけでございますけれども、そういうもの、あるいは税制改革、これも御承知かと思いますが、今論議が行われておりますが、そういったものを含みました方針というものを、いわば昨年来の骨太の方針あるいは「改革と展望」とワンセットになってというか、あるいは補完すると申しますか、そうしたものとして、もう一つの基本方針をちょうど今作業をしているというところでございます。
○古賀(一)委員 最初に答えていただきました佐藤副大臣の答弁ですが、国土利用計画のお話をされましたけれども、私も国土利用計画はかつてちょっと担当したことがありますからわかりますけれども、日本をどう変えていくというダイナミズムといいますかそういうものには非常に欠ける計画で、どちらかというと静態的な計画だと私は思うのです。
そうじゃなくて、いわゆるかつての全総といいますか、五全総というものがあったわけでありますけれども、四全総もあったし全総もあったんですが、いわば国土利用計画というのは、各県別に、ここをこういう土地利用にしようという地図をつくるような、簡単に言えばそういう計画だと思うのですよ、基本は。そういう面で、これからの十年、二十年、三十年先の日本の国土をこういうふうにという、これは古いタイプかもしれませんけれども、でも、この部分は、ある面では国の重要なやはり指針を示す部分だと思うのですね。これが私はないと思うのです。
経済計画も、今改革工程表の話が出ました。いろいろ将来にわたっての課題、方向性も書いてはあると思うのですけれども、国民にとって、あ、次の日本はこうなるんだと夢を持つ部分というのは、やはり私は希薄だと思うのですね。非常に夢があったのは、e―Japanという構想は、森総理が言われましたけれども、これも、私はいろいろ横で見ている限り、何かまだ確たるものにはなっていない。電子マネーが、断片的ですよね。
そういう面で、私は、これは、日本の今の、ちょうど時代の過渡期で、これまでは、力強い中央集権、金も持っている中央集権。官僚機構も、新しい戦後の立ちおくれた日本の社会をキャッチアップという名のもとに一歩でも近づけるために、いわゆる縦割りの中央集権型のそれが機能した時代があったわけですね。それは認めますよ。
ところが、金はない、地方交付税も四十数兆の穴があいている、将来に展望はなかなかない。一方で、統治機構の一翼を担う地方自治体も、実は自分が主役にならなきゃならぬのだけれども、今までどおり、国の補助基準に合うような陳情をしなきゃならぬ。お金は国がくれるもの、地方債を起こしても、いや、それは地方交付税で将来国が面倒を見てくれると。いわゆる主体意識が欠如した、ちょうどその端境期に今日本があるような気がしてならないのですね。
そういう面で、私は、先ほど言いましたように、では、もう、今までの中央集権の縦割りのパラダイムというのが、そういう形は残っている、規制も残っている、権限も残っている、しかし、金という、それを動かしている財源というものがどんどん先細りという状況ならば、本当に今までで一番中央集権の末端に置かれておったそういう地方で、君たちの主体性によって、創意工夫で、地域間の競争と地域間の連携で、ひとつ自由に考える権利を与える、それをやってみるということは、今度のこの議員立法では間に合いませんけれども、将来の大きい課題としては、これは歴史的な課題としてある、私はこう思っておりまして、これはもう私の持論を申し上げるだけで、もう質問にいたしません。そう申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
それで、経済産業省にちょっとお聞きしたいんですけれども、かつてシルバーコロンビア計画というのが大変新聞をにぎわせて、へえ、こんな時代になったのかと。日本人が定年退職したら、ヨーロッパにあるいは南半球に住む、そういうシルバーコロンビアというのが世の中をにぎわしたことがございました。
その後、ロングステイ構想ということでロングステイ財団というのもできて、定年退職したら、年をとったら、生涯、移住するというわけじゃないけれども、外国でリッチにハッピーに一時でも過ごしたらどうか、そういう構想も提唱されまして、現に財団もできた。
こういうことになっておるんですが、離島というのが一つのテーマになっているきょうでございますから大変私は関心があるんですが、これの、シルバーコロンビア計画とロングステイの目的と成果、そして、それがうまくいかなかったのであれば、反省点というものがあれば、ぜひここでお示しいただきたいと思います。
○吉海政府参考人 お答え申し上げます。
今先生お話にありましたシルバーコロンビア計画は、一九八〇年代中ごろに、退職後の人生設計に対する関心の増加、海外旅行経験者の増加などによりまして、退職後に海外での長期滞在を希望する者が多くなったことを背景といたしまして、八六年に一つの構想として、退職後の海外永住希望者に対する情報サービス提供などを行う事業の可能性を検討して発表したものであります。その後、八七年から八八年にかけまして、研究会を開催し、より幅広い観点から、具体的なニーズ、支援策のあり方等について検討を行いました。
この検討結果を踏まえまして、一九九二年にロングステイ財団が設立され、高齢者のみならず幅広い層を対象に、海外での長期滞在に対する支援活動を実施しているところでございます。
ロングステイ財団の具体的な事業といたしましては、情報提供のためのセミナー開催及び情報誌「Long Stay」の発行や現地での情報提供を行うため、海外のNPOなどの協力を仰ぎながら海外ロングステイサロンの設置、そういったところを今行っているところでございます。
○古賀(一)委員 私は、シルバーコロンビアというのは、あっと驚く斬新な計画であったと思うんですが、結果としては成功しなかったと言ってもいいんじゃないかと思うんですね。ロングステイについても、余り大きなムーブメントといいますか、国民の心を動かしたわけでもないように思います。
今のお話ですと、かつて経済産業省は、いわゆる日本人が、定年後というのがイメージとしてあるんでしょうけれども、いわゆる南半球のオーストラリアに住んだらどうか、あるいはヨーロッパ、たしかスペインなんかもその話があったと思うんですが、そういう話まであったんです。それで今度、ロングステイもまた同じ海外ですよね。私は、この資料も見ました、メンバーも見ました。何か、生活臭さというか、何か地に足がついていないというか、アイデアとしては非常に斬新なんだけれども、一部のお金持ちのサラリーマンは何かわくわくしたのかもしれないけれども、日本人全体として見れば、ああこれはいいなという沸き上がりがなかったと。
スペインがいい、オーストラリアもおもしろい、ハワイも美しいと、こう言うなら、何で日本に、これだけの海洋国家で、沖縄近辺のあの島というのは恐らくグアムなんかよりもよほど海はきれいですよ。もう、それぐらいきれいです。沖縄の海って大したものですよ。何で日本国内でそれだけの、わざわざ退職してオーストラリア、南半球まで行くとかいうことじゃなくて、日本でそういう可能性というものを開発しなかったんだ、なぜ認めなかったんだ、何で一気に外国なんだと。
私は、そこは国内で、日本国の領土にある限り、日本国に所属する島である限り、それは補助基準を守ってもらいますよ、金は東京までもらいに来い、国の統治の縛りは解きませんよと言いながら、一方では、日本人の皆さん、退職したらお金持って外国で住んだらどうですか、これは国策ですよと。私は、何かそこに違和感を覚えるんですね。
いや、私自身も、これから下手すると、日本の国家運営を間違えれば、今の日本人の若者だって、私の周りにいますよ、私は大学を卒業したら外国に行きますというのがごろごろいますよ、たくさん。私は、本当にこれだけ、いまだ個人金融資産があるとか、それでも日本は経済パフォーマンスは高いと言っているからまだいいものの、これが本当に大変なことになってくれば、もう音を立てて日本の精神的空洞化というのかな、起こるんではないかとまで私は心配しておりまして、そういうときに、私は日本人であるから別にと、外国で永住したいという人は一部はいるでしょうけれども、大半の人たちは、やはり老後は、一部セカンドハウスで自然豊かなところで暮らしてもいいなと、ではグループホームでやろうかとか、そういうのはあると思うんですよ。
だから、私は、日本国内でそういう情景を外国に一歩近づける、先ほどガソリン税の話が出ましたけれども、あるいは税制の話も出ましたけれども、そっちの試みというものをなぜもっと一生懸命しないんだと。それは、グリーンツーリズムであるとかグリーンステイ構想とか、各省、農林省から経済産業省、通産省から、ぽつぽつぽつぽついろいろ出ましたよ。そういうものを私は、本当に、今大臣おられませんが、政府として、今佐藤副大臣おられますけれども、そういうのを統合して、やはり、海外に住むんじゃなしに、日本の島嶼、島、あるいは地方、山村でもいいです、日本人がそういうところで、セカンドハウスでもいいけれども、居住をする、定住をする、そういうことを何でもっと真剣に考えないのかと思います。
そこで、これは佐藤さんには質問通告していませんけれども、今言ったような件について何か御所見ございませんか。私は、ぜひそれを今後検討していただきたいと思うんです。
○佐藤副大臣 先ほども申し上げましたとおり、これから、地方がどうやって戦略を立てて地域づくりをするかということが非常に大切です。そのためには、いろいろな方々が、都市に今まで住んでいた方々が地方に行って住んでもらって、またいろいろな知恵を出してもらう。また、地元の人たちと一緒になってNPOの活動をしていただいたり、またいろいろな知恵を出して地域づくりを考えてもらう、そして地域戦略というのをつくってもらう。独自の戦略をつくるということは非常に大切だと思います。そういう面でも非常に大きな力になるんだろうと私は思っています。
ですから、これから地域をつくるために、そういう方々にもっともっと地域に行ってもらう、退職したら地方に住んでもらう、島に住んでもらう、そういうふうに向けていろいろなことを我々も考えていきたい、そう思っております。
○古賀(一)委員 最後に結論じみたことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思いますけれども、要は、離島振興を中心に、地方の関係でいえば、まず計画は、地域の商店街でもいい、あるいは観光振興でもいい、要するに、地方にかかわる計画は、国の基本方針とか県の計画以前に、その当事者である島であるとか村であるとか市が、最低の基礎的自治体であるところが自分の可能性は何かを考えて計画を立てる、これがやはりベースとなるような計画体系に大変更していくことだと私は思うんですね。要するに、まず、案は自由につくっていい、最低限のチェックは将来ある、しかし、観光振興であれ、基本は、末端の市町村、地域がまず原案をつくる。
霞が関の皆さんには、この村はこうやった方がいいという知恵はないと私は思うんです、あるはずがない。むしろ市民、NPO、そういう、東京にいる、そういうまちづくりをやったおもしろい連中が、情報を持った多様な、観光振興でいえば、世界じゅうのそういう観光振興の例を知っているNPOなどがいるんです。そういう連中が、よし、ひとつ加勢に行こうと言って、若者を中心にその村に乗り込んでアドバイスをする。そうしてつくった計画を、国がいいものについてだけ、税制あるいは予算的な措置をサポートする形で与える。だから、規制は、原則フリー。そういう構図になったときに、地方自治体は今後、知恵を出さないと損、知恵を出さねばならぬ、それで本当の、いわゆるニーズに合った、そういう離島振興あるいは地方振興のうねりができてくると私は思います。
ぜひ、そういう計画論の抜本的な発想転換というものが、今後、離島を中心に強く必要だと申し上げまして、これで質問を終わりたいと思います。
以上でございます。
○久保委員長 松宮勲君。
○松宮委員 おはようございます。自由民主党の松宮勲でございます。
本日は、一般質疑ということで、私は観光振興を基軸に、与えられた時間で御質問させていただきたいと思いますが、その文脈の中で、本日、離島振興法の一部改正法案が上程され、今審議されているわけでございますので、離島振興法について、冒頭、一問御質問をさせていただきたいと思います。
議員立法という格好で提案されまして、この法案に対する大臣の所信も表明されたわけでございまして、まことに大臣の御発言のとおりでございます。平成八年に発効いたしました新海洋法条約に基づきまして、我が国の排他的経済水域も拡大いたしまして、従前に増して、我が国にとっての離島の経済的価値が高まってきているところでございます。その中で、昭和二十八年来、離島振興の観点からこの法律が十年ごとに延長されてきたわけでございます。新しい時代環境を踏まえて必要な改正が、今、案として提案されているということで、繰り返しでございますが、まことに時宜を得た提案だろうと思っています。
私は、その中で、今回の改正案の中の一つとして、新しく国が定めることになっております基本方針の中でも観光の振興とかあるいは交流の拡大というのが指摘されておりまして、法律案では十七条で、とりわけ交流の拡大、これは離島に対する国民的な関心と理解を高めていただくと同時に、交流の拡大を通じて離島地域の経済の活性化を図ろう、この観点からもぜひとも交流の拡大が必要である、こういう条項が挿入されているわけでございまして、これについて御質問させていただきたいと思います。
まことにそのとおりでございまして、やはり経済振興を中心といたしまして、離島に住む人々が、職場を確保し、そして老若男女、特に若い人たちが夢と希望を持って離島で職を得て生活をしていく、その基盤を確保していくためにも、従来力を入れてこられましたハード事業に加えて、いろいろな意味での、先ほど来質疑応答で指摘されておりますようなソフト面の施策が今回は織り込まれるということでございまして、恐らくその文脈での交流人口の拡大だろうと思います。
なかなか、言うは易しく行うはかたしということだろうと思いますが、国土交通省といたしまして、この十七条の追加に伴いまして、具体的にどういう成果が期待され、あるいは、その成果を期待するためにはどういう施策が必要とお考えになっていらっしゃるのか。離島の中には、もう既に交流人口の拡大のためにいろいろな試みがなされ、そして成功している事例もあるかに聞いておりますが、その辺も含めてお答えいただきたいと思います。
○澤井政府参考人 御指摘のように、離島では人口の減少あるいは高齢化が進んでおります。そういった中で今後離島地域の自立的発展を図っていくためには、交流人口の拡大、極めて重要な課題だと思っております。
こうした観点から、既に私どもでも、例えば交流推進の拠点整備と交流のためのイベント、ハードとソフト両方を支援するコミュニティーアイランド推進事業といったような事業を初めとしまして、幾つかの支援をこれまでもやってきております。
また、地域独自の取り組みの中でも、一例申し上げますと、ある島では地域住民がボランティアで観光ガイドを務められまして、それによって観光客が増加しているという例もあると聞いております。また、しばしば引用されますが、世界遺産の島として、すぐれた自然を活用して地域の活性化を進めている屋久島では、御指摘のような交流人口の増加がまずありまして、それが最近における定住人口の増加にまでつながってきている、こういう例もあるわけであります。
いずれにいたしましても、大臣、副大臣もしばしば仰せのような、地域固有の資源を生かして、地域の創意工夫を基本にして活性化を図るということが何よりも大事だと思っておりまして、それに対して私ども、いろいろな知恵を絞ってこれからもお手伝いをしていきたいということでございます。
○松宮委員 ぜひ、今御答弁いただきましたような方向で、交流人口の増大が定住人口の増大に着実につながるよう、万般の御支援というのをお願いいたしたいと思います。
そこで、本来の観光振興、とりわけ国際観光振興について私は御質問をさせていただきたいと思っております。
私は常々非常に不思議に思っているんです、なぜに日本が、世界で最も顕著な旅行収支の赤字国であるのか。
御承知のように、日本から海外に出かけるお客様は、観光客を中心にいたしまして、昨年はちょっと、九月十一日の同時多発テロ等の影響もございまして、その前の年に比べて減りましたが、それでも千六百二十二万人の旅行客というのを記録しております。他方、入ってくる方は四百七十七万人ということで、これは多少ふえました。ふえましたが、しかし、今申しました数字でのギャップというのはまことに巨大なものがありまして、別のWTOの統計、ガットの後を受けたWTOではございませんで、ワールド・ツーリズム・オーガニゼーションでしょうか、世界観光機関、この統計によりますと、残念ながら、日本を訪れる外国の訪日者数というのは韓国をも下回るというような結果になっております。
他方、観光産業というのは、これは、その産業の広がり、あるいは経済的波及効果等々、いろいろな諸点から見ましても大変大事な産業でございまして、いろいろな関係者がもう既につとに指摘しているところでございまして、二十一世紀の最も成長有望な分野の一つであり、リーディング産業の一つとしてぜひとも育成していかなくちゃいけない。各国とも、もう大変な資源を注入して、今精力的にその振興のために尽力しているところでございます。
先ほど申し上げましたWTO等のいろいろな予測なりあるいは関係機関等の予測によりましても、例えば、世界の中で最もこれから観光の伸長が期待されている地域は東アジアあるいは太平洋地域であるということで、多少古いデータによりますと、一九九五年を一〇〇といたしますと、西暦二〇二〇年には五倍にその成長が拡大する、年率に換算いたしますと六・数%ということでございますので、これは昨今の日本経済の置かれているいろいろな分野の成長率と比較いたしますと、まことに魅力的な有望分野であると言わざるを得ませんし、かつ、観光の振興、とりわけ国際観光の振興は、日本に入っていただくお客様をたくさんふやすことによって、日本の魅力を海外に知っていただくのみならず、地域経済の振興にも大変なインパクトをもたらすという意味では、国を挙げて国際観光の振興に取り組むべきだ、私は、こういう持論をかねてから持っておる者の一人でございます。
今、御案内のような、製造業を中心といたします地域経済の空洞化というのが大変懸念されておるところでございます。企業や産業が国を選び、地域を選ぶ時代を迎えております。私の地元でも、繊維産業を初めとして伝統的に地域産業を支えておりました産業が、今いろいろな国際競争条件の変化のもとで激減をいたしておりまして、中には、志を持ったアクティブな経営者は中国に投資をするというような格好で、地場の企業でさえ、産業でさえ、有利な投資条件を求めて海外に出かけていく、こういう時代でございますけれども、観光の場合には、まさに地域にある所与の資源、自然環境とか歴史とか文化的遺産とか、こういうものを磨き上げて、そして相乗効果を上げれば、無限の金の卵を産む鶏を育てていくことができる。そういう意味でも、観光というのは大変大事な産業であろう。
とりわけ、今後、日本経済、中国の追い上げ等の国際場裏の中で資源のない国として生存していくためには、国際観光というのを振興し、もちろん出ていく方も万全の措置を講じなければいけませんが、冒頭も指摘いたしましたような、旅行収支の巨大なギャップ、世界最大のギャップを計上している我が国といたしましては、外国からの観光客を受け入れることによって、日本全体の観光立国、そして、それは、それぞれの地域が輝くような、地域にも外国人を受け入れるような、そういう施策というのをこれまで以上に講じていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
そういう文脈におきまして、既に運輸省時代から大変な取り組みを国土交通省はおやりになっていらっしゃるところでございまして、新ウェルカムプラン21では、先ほど申しました四百七十七万人という最新の外国人訪日者数をできれば数年後には八百万人に持っていきたい、こういう立派な計画もあるようでございますが、この計画の達成に向けての意気込み、そして意気込みだけでなしに、具体的ないろいろな施策が考えられますけれども、大きな柱等について御説明いただきたいと思います。
○岩村政府参考人 今、松宮先生から御指摘のありましたとおり、平成十三年の数字でございますが、我が国を訪れた外国人の旅行者、四百七十七万人ということで、世界と比較いたしますと、世界第三十五位ということでございます。それで、なお、先進八カ国の中では最下位だということで、いかに日本を訪れる外国人の旅行者が少ないかということでございます。こんなことも反映いたしまして、旅行収支も、今先生御指摘のように、ドイツに次いで世界二位という、余り褒められた数字ではない、世界第二位の赤字国でございます。そういう状況にありますので、訪日外国人の旅行者の増加を図ることは非常に大事な点で、先生御指摘のとおりでございます。
効用として、一つは、国際相互理解の増進、これは言うまでもございませんが、加えまして、我が国における旅行消費の拡大、さらには関連産業の振興、さらに雇用の拡大、こういうところまでつながってくるわけでございます。また、それは、ひいては地域の活性化につながるわけでございまして、観光の振興、これは非常に大きな経済効果を我が国にもたらすこと、先生の御指摘のとおりでございます。
そういう中で、我々、今申し上げたような非常に少ない外国からのお客様をふやす努力をいたしているわけでございます。
一つは、現在、ワールドカップのサッカー大会が開催されておりますが、これは海外からの旅行者の増大を図る絶好の機会であるというふうにとらえておりまして、本年の二月四日でございますが、小泉内閣総理大臣の施政方針演説の中でも、これを機会に我が国の文化伝統や豊かな観光資源を全世界に紹介し、海外からの旅行者の増大と、これを通じた地域の活性化を図るという決意の表明があったわけでございます。
国土交通省といたしましては、この期間中の航空輸送力の増強、外国人向けの特別運賃割引の導入、また、世界初めてではございますが、円とウォンの複数通貨対応のICカードプロジェクトを実施しております。また、扇国土交通大臣が直接日本への訪問を呼びかけております訪日促進ビデオ、これも作成をいたしまして、今、日本に向かう飛行機の機内、さらには空港等で放映をしているところでございます。また、外国人旅行者の悩みの種である言葉の問題、これについても、英語を初めとしまして韓国語等々、十カ国語の通訳、そして観光案内等の取り組み、こういったことも今やっているわけでございます。
そして、これは、この期間だけではないわけでございまして、今後、我が国を訪れる外国人旅行者の増大のためには、まず、海外に対して日本の魅力の宣伝、これが非常に大きな課題であろうかと思っております。そして、日本各地の観光魅力を増大していくこと、これもまた大事なことだろうというふうに思っております。
そういうことで、国土交通省としては、外務省を初めとする関係省庁、そして国際観光振興会、それから旅行関係の企業、地方自治体等の関係者と緊密な連携を図りながら、外客誘致に強力に取り組んでいるところでございます。
○松宮委員 今まことに心強いお答えをいただいたわけでございますが、とりわけ、お答えの中で、日本の魅力を紹介する、高めていく、こういう点が触れられたわけでございまして、私もまさしくそこがこれからの国際観光振興のための大事なポイントの一つだろうと思っております。
国際観光振興会が最近調査した訪日外国人に対するアンケート調査によりましても、日本を訪問してのいろいろな問題点ありやなしやという問いに対する御指摘で一番高かったのが、もっと日本のいろいろな魅力も含めた情報をPRしてほしい、こういうことでございまして、そのほか、物価水準が高いとか、あるいは言語の問題等も指摘されておるところでございますが、何よりも、やはり日本に関する情報、日本のPRをもっとすべきであろう、こういうことでございます。
そのために、かねてより国際観光振興会というのが設けられているところでございまして、私は、観光立国として文字どおり日本が名実ともに発展をしていくためには、国際観光振興会の役割というのが従前にも増して重要になってくるだろう、ならなければいけないというふうに思っております。しかし、残念ながら、いろいろな財政上の制約等がございまして、予算は伸びておりません。
たしか、今、現時点で、海外には国際観光振興会のオフィスは十四カ所でありますけれども、私は、このオフィスももう少しふやすべきであると同時に、これから日本を訪れてくださるであろう有望地域にしっかりとフォーカス、焦点を当てた国際的な事務所の配置等、あるいは在外公館、二百前後に達する大使館、領事館等、あるいはジェトロ等との連携も十分にとられた上で、国際観光振興会が中心となって、日本に対する対日観光促進に大いに努めていただきたいと思うわけでございます。
現在、アジアには、バンコクとかソウルとか北京にオフィスが置かれているんでございますけれども、御承知のように、数年前から中国は日本に対する団体の観光旅行というのを解禁いたしましたが、それは、北京と上海と広東、この三つの地域に限られております。北京の人口が一千二百万、上海が一千四百万、広東は七千四十万です。しかし、今申しましたように、オフィスは北京のみ、こういうことでございますので、そういうこともしっかりと念頭に置いて、これからの国際観光振興会の、より機能が発揮されるような事業のあり方というのもお考えいただきたいと思いますけれども、その意気込みというのをお聞かせいただきたいと思います。
○岩村政府参考人 御指摘のとおり、外国からお客様を招くためには、自国の魅力を海外に知らせるということが非常に大事でございます。
そういう観点から、各国とも非常に力を入れておりますが、今御指摘のとおり、我が国は、国際観光振興会を通じて海外宣伝を行っているわけでございます。東京の本部と十四の海外の宣伝事務所、今御指摘のとおりでございます。
そして、予算の方は、三十四億三千三百万ということでございます。これは、お隣の韓国と比較するのもいかがかとは思いますが、お隣の韓国は観光公社がございまして、ここの年間の予算が八十六億近いということで、日本の予算の倍以上を使っているというようなこと一つとっても、各国の国際観光に対する意気込みというのは非常に強いことがうかがわれるわけでございます。
昨年の十二月十九日には、特殊法人等の整理合理化計画というのが閣議決定されまして、その中で、国際観光振興会は独立行政法人とするということになったわけでございます。そういう中で、組織を変える機会をとらえまして、種々、これから申し上げるようなことに力点を置きながら、海外宣伝をしていきたいというふうに思っております。
一つは、マーケティングリサーチ機能を強化拡充する。そして、これも今先生から御指摘がございましたように、やはり焦点を絞らなきゃいけないということで、来訪外客が多く、今後も多数の来訪外客の増加が見込まれている市場、例えば韓国とか中国、こういったところに的を絞って、重点的、効率的な事業活動を行うこと。これが第一点。
それから第二点として、相手国におけるテレビコマーシャルなど、マスメディアの積極的活用。また、各国の旅行会社との連携強化。こういった効果的な事業手法を重点的に採用していきたいというふうに考えております。
それから三番目として、民間企業のノウハウを事業手法や経営戦略立案に活用したいと考えております。
そして四番目が、今先生の御指摘のあった、関係の機関との連携でございますが、国内では、地方運輸局、地方自治体、さらには旅行関連の民間企業との連携。さらには、在外公館との連携も強化する必要があろうかというふうに思っております。
また、五番目としては、本部部局や海外宣伝事務所の再編、そして事業展開に必要な予算の確保等、適正な事業執行体制を構築していきたい。
これを、独立行政法人化に当たって改革をしていきたいというふうに思っているところでございます。
○松宮委員 ぜひ、関係機関との連携を強化しながら、国際観光振興会が中心になりまして、訪日旅行者を中心といたしますビジターズの増大に御尽力いただきたいと思います。
とりわけ、私は、先ほど申しました地域産業の振興の観点から、日本の魅力は東京とか奈良、京都だけではない、地方にも随分と魅力的な奥の深い観光資源があるということで、これは地方の関係者も一体となって努力しなくちゃいけないわけでございますけれども、国土交通省、国際観光振興会、そして自治体等もまた相協力して、自治体からの情報発信にも御尽力をいただきたいと思っております。
もう一つ、国際観光の振興、とりわけ日本においでいただくお客様をふやす上で非常にバイタルなポイントは、私は、やはり空港の整備だろうと思っております。
私のアメリカの友人がよく言うんでございますけれども、成田空港一事をもってしても、この国の政治はまともに機能していないと。これに尽きるわけでございまして、運輸省時代から皆様方大変な御苦労をされての上で、ようやくワールドカップに間に合うように、去る四月には二本目の滑走路、新東京国際空港の暫定平行滑走路、二千百八十メーターが完成いたしましたが、一日も早い、所期の、よりロングの滑走路の竣工を期待したいと思うところでございます。
それから、二〇〇五年の中部万博を見越して今建設中の新中部国際空港につきましても、スケジュールどおりの作業の進捗を期待したいところでございますし、さらには、首都圏では羽田空港の四本目の滑走路というのも、ようやく話がまとまったようでございますけれども。
限られた予算の中で、戦略的に、我が国の高速交通体系の中で、しかも国際場裏の厳しい競争、メガコンペティションの中で日本国が埋没しないように、とりわけ時間がポイントとなるメガコンペティションの中でのハブ空港の整備というのが、極めて今まで以上に大事になっている。こういうときでの日本の拠点空港の整備については、従前以上に限られた予算を集中的に投下して、日本の、文字どおり国威発揚と同時に、日本国の産業の振興、先ほど申しました、国際観光だけじゃなしに、これはコンベンション産業等、ありとあらゆる波及効果もあるわけでございますので、拠点空港の整備の必要性が従前以上に高まっている。
こういうことを踏まえて、最後に、大臣がおいでになりましたので、御質問させていただきたい。
公共事業との関係において、まず拠点空港の整備、それを、最近なぜハブ空港という言葉から拠点空港というようにお言葉をお変えになられたのかということも含めて、拠点空港の整備についての意気込みをお答えいただきたいと思います。
○扇国務大臣 松宮議員には、参議院の本会議でおくれましたことを、まず冒頭におわびしておきます。
今、空港のお話が出まして、拠点空港に移ってきたのはなぜかというお話がございましたけれども、今現在、世界じゅうの航空行政、大変私は難しいところへ来ていると思います。
昨年の九・一一、九月十一日の同時多発テロ以来、航空の需要そのものも一時は大変落ち込みました。また、観光業等々も減少に陥っておりますけれども、それは特別なこととして、全体の航空行政というものを考えたときに、日本に果たしてどれほどの需要があるのか。あるいは、かつて八年前、十年前に予測した航空行政と現在の航空行政の数字が間違っていなかったかどうか。それほど世界じゅうの航空行政が変わってまいりました。
特に顕著なのは、日本の近く、お隣の韓国、中国、マレーシア、シンガポール等々、日本よりもはるかに有利な立場に立つ空港を整備し、なおかつ、ほとんどが日本の三分の一の着陸料でもって多くの観光客を受け入れようという国の政策転換をし、また空港整備を実行しております。
そういう中で、果たして日本がどう生きていくのか、また近隣諸国に対抗できるものをどう整備していくのかということを考えますと、それぞれの地域の空港も大事でございます。けれども、なおかつ国際空港という、国際という看板をしょった以上は、どうしなければ国際空港の国際という看板が泣くか、その看板を上げ続けるために諸外国とどう比していかなきゃいけないか、その原点に立って、今おくれている部分、なおかつ、近隣諸国がどんどん近代化し、そして拡大しております中でどう生きていくかということの転換を図るのが二十一世紀の大事な拠点である、私はそう考えております。
地域のそれぞれの、朝から離島の話もありました、そういうことも含めながらも、なおかつ国際という看板にふさわしい、どこまで整備するかということに我々は知恵を絞り、皆さん方の御協力を得ながら国際空港というものを考えていかなければいけない。そう考えて、今絞りつつ、知恵を出しているところでございます。
○松宮委員 ぜひ、彼我の拠点空港の整備状況の顕著な格差というのをしっかり御認識の上で、選択と集中、そして時間、スピードを十分に意識を賜りまして、日本が国際航空業界の中で日本沈没ということにならないよう、大臣の格段の御尽力をお願いいたしたいと思います。
最後に、残された時間ですが、そのためにも、国際拠点空港となるべき空港の選択と集中を旨とした整備に当たっても、一定量の予算の確保が必要でございます。
そこで、私は、いよいよもう今時期的に来年度の予算編成に向けていろいろな議論が、経済財政諮問会議とか財政審議会とか、あるいは直近ですと、総理が扇大臣に対するいろいろな御指示も出されたかに聞いておりますが、公共事業のありようというのが、景気問題との観点においても、あるいは地域経済の振興、空洞化阻止という観点からも、非常に昨年の今時分よりもまたマグニチュードが増大した格好で世間の耳目を集めているところでございます。
ことしの一月十八日に閣議決定をいたしました「改革と展望」では、これからの五カ年間で、公共事業については、失われた九〇年代の、景気振興策のとられる以前の九二年度の水準に公共事業を大体ソフトランディングさせるということで、これは機械的に計算いたしますと、年率三%ぐらいのマイナスという計算もなされているわけでございますが、ただ、私ども注意しなくちゃいけないのは、あの「改革と展望」の閣議決定の文章は、景気の実情を勘案してという大前提が入っております。現下の景気の足元、とりわけ地域経済の置かれている状況を直視いたしますと、私は、機械的にそれをすんなり来年度の概算要求のシーリング決定にアプライすべきではないというように思っています。
しかし、一部では、経済財政諮問会議の民間の委員でしたら、いや、今年度予算以上に来年度はカット幅を拡大すべきであるというような議論もございますし、総理も、昨日か一昨日、御指示なされた方向では、公共事業についてもさらなるカットというものを指摘されております。
ぜひ大臣、今申しましたようなことを、諸般万般思いを込められて、国土交通省としての大事な仕事は、やはり良質の社会資本を整備していくことであろう、それは時間のかかることでございまして、いっときの財政再建は正しいことでございますけれども、それは、先ほどたまたま「改革と展望」の担当の総括審議官も触れられましたように、二〇一〇年代の初頭、十年先にはプライマリーバランスを回復しなくちゃいけないということでございますけれども、それに至る毎年毎年の公共事業の予算の編成については、そのときそのときの経済の置かれている状況もしっかりとごらんになった上で、国土交通相としての大臣の政治力というものを御発揮いただきたいと思いますが、大臣の御決意をお伺わせいただきたいと存じます。
○扇国務大臣 財政が大変苦しくなってきたということで、あらゆる面で影響が出ておりますけれども、先日も経済財政諮問会議で私も申し上げました。社会資本整備、GDPを、何%を社会資本整備に充てるべきか。欧米先進国並みでいいではないかという一部の皆さん方の声がございました。
私は、欧米先進国から百年おくれている社会資本整備をこのままでいいとおっしゃるのであれば、それはまた別だと。けれども、まだ日本の社会資本整備というものは、国全体の比率から考えて、欧米先進国にほど遠い。それを、私は、一概に社会資本整備が、全部切るべきだという方に回ってくるのはおかしいということで、十三年度一〇%削減ということに持っていきました。
けれども、十三年度一〇%の削減で、今回また十五年度もということになりますと、十三年度の補正を含めましても、二年間で少なくとも三割以上の大幅な削減になっておりますので、この急激な削減がどこに影響するのか。それこそ、今までせっかく頑張ってきた地方がそのしわ寄せをこうむるのではないか等々、あらゆる面で絞らなければいけないことは、私はもちろんわかります。見直さなきゃいけないことも当然です、世の中、変わったんですから。
けれども、先ほど松宮議員がおっしゃいましたように、どこに集中的に、どれほど投入するか。その効率を上げることによって、今回は長期計画を見直します。十年というのを決めないで、予算をとるための十年計画ではなくて、十年かかるものを八年にすればコストダウンになって、あとの二年分はまた次の仕事ができる。
そういうことで、今回、十本の長期計画のうち、八本が十四年度で終わります。それも、縦割りで運輸省、建設省で立てた長期計画ですから、今回は国土交通省として改めて見直す。私は、これも今の日本にとっては大事なことだと思っておりますので、ただ削ればいい、公共工事がむだだということではなくて、いかに、どこに、何を、どれくらい集中するかという、その絞り方であろうと思って、それに対処するように努めていきたいと思っています。
○松宮委員 ありがとうございました。力強いお言葉を賜りまして、大臣のこれまでの、国土交通大臣としての真価がいよいよ発揮される大事な時期でございます。私どもも側面から応援させていただきたいと存じます。
終わります。ありがとうございました。
○久保委員長 山田正彦君。
○山田(正)委員 自由党の山田正彦です。
久しぶりに国土交通委員会で大臣に質問させていただきます。
きょうは離島振興法の一般質疑ということで、離島の抱える問題について、ひとつ皆様方にお聞き願い、そして質問させていただきたいと思っております。
まず、これは対馬の美津島でのガソリンの小売、これの請求書、伝票なんですが、これによりますと、島でガソリンがリッター百三十円になっております。大体、今、東京とか大都市あるいは普通の本土ですと、リッター九十何円から百円というところなんですが、島では異常に高い。ガソリン、百三十円平均ぐらい、離島では。
さらに、軽油にしても、調べてみますと、全国平均が八十三円なんですが、島では、例えば長崎県の場合には九十七円、鹿児島県の離島の場合には百二円と、非常に高い。
さらにまた、灯油にしましても、全国平均が四十七円を切っているわけですが、島におきましては、例えば鹿児島県の離島ですと六十七円、長崎県では六十二円と大変高い。小笠原あるいは伊豆七島になると、なお高いというお話を聞いております。
このように、灯油、軽油も含めて離島のガソリンが非常に高いのは、なぜそうなっているのか。経済産業副大臣にお答えいただきたいと思います。
〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
○大島副大臣 今、山田先生の方からも御指摘がございましたように、確かに離島地域におきましてはガソリンの小売価格が高くなっている。これは、実態がそうであることはそのとおりでございます。
その理由といたしましては、単純なことでございますけれども、やはり本土から離島地域までの運搬コストがかかる、このことが第一に挙げられますし、第二番目には、やはりガソリンの販売の市場が原則的にはその島に限られている、こういう実態があるわけでございますので、そういったことを考えますと、本土における通常のガソリン価格の販売と比べまして、離島はどうしても販売コストが高くなる、こんなふうな我々は理解をいたしておるところでございます。
○山田(正)委員 運送コストが高いということですが、私どもが、島嶼議連で調べた限りにおきましては、原油が中東から運ばれて、九州の場合を例をとりますと大分の製油所に運ばれる。大分の製油所でガソリンとか軽油、灯油になったものは、いわゆる小型バージ、タンカーでもってそれぞれの油槽所、例えば、福岡市の油槽所、長崎市の油槽所、そして、対馬の厳原にある油槽所、それぞれに運ばれる。その運ばれる運賃コストは、一リッター当たり、一バレルか、一円ということで変わらない。油槽所から各SS、ガソリンスタンドまではタンクローリーか何かで運ばれるわけですから、それもコストは変わらない。それなのに、一方は一リットル百三十円、一方は九十六円とか。
副大臣が申された、いわゆる離島は輸送コストが高いからそうなるということは当たらない、そう思われますが、大臣、いかがですか。
○大島副大臣 一般論として考えさせていただきましたのは、先ほど御答弁させていただきましたとおり、やはり遠隔地への運搬ということになりますと、それにかかわるコストは自然に高くなっていくのであろう、こういう考え方を持っておりますが。
○山田(正)委員 副大臣、今申したように、それは違うんだ、コストは変わらないんだ。それぞれの島に油槽所があるわけで、そこまではタンカーで運ぶわけですから、長崎市においても、大都市においても。副大臣、よくよくそれは調べていただきたい、そう思います。
実際に、なぜ高いのかというのは、それだけではない。確かに島の離島、島の離島というのもおかしな話ですが、離島の離島、離島の小島、そういうところは、リッター百六十円とか百八十円とかというところはあるわけですね。そこについては、扇大臣、ちょっとお話を聞いていただきたいんですが、そこの部分においては、実はフェリーでガソリンを運ぶことができれば安くつくんですが、危険だからというので、省令でもってこの何十年ガソリンをフェリーで運べない。そういうところから、異常に高いガソリンの値段で、離島の離島という、小島にとっては負担を強いられているというところはあるわけです。
大臣、それを何とかひとつ、大臣の、省令で、すぐにでも変わるはずですので、そういう今までの古い規制をそのまま残しておくということはもう必要ないと思うんですが、それについては、大臣、いかがでしょうか。
○扇国務大臣 今おっしゃったように、いわゆる危険物のため、船舶の運送に関します安全規制というもので、ガソリンやLPGというものを積載したタンクローリーを旅客とともにフェリーに乗せるということは、旅客の安全を確保する意味で禁止ということに今はなっています。山田議員の仰せのとおりでございます。
けれども、安全規制については、ふだんからその適切性を検証しながら、そして、見直しを行うことも重要でございますので、今おっしゃったように、現在の国内外の運送の実態を調査いたしまして、この結果を踏まえて、どのような安全対策が適切であるのかということを検討してまいりたいと思いますし、今仰せのような実態を私はよく調査報告で上げさせていただいて、検討材料として使わせていただきたいと思っています。
○山田(正)委員 この件に関して、私も二、三カ月前から国土交通省の担当の方と話しているんですが、今調査中である、調査の結果を待ってと言うんですが、調査にまた半年、一年かかるようでは困るので、ひとつ大臣、早急にそれについては是正して、幾らかでも早くガソリン価格、灯油価格を下げるように図っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○扇国務大臣 すべからく国土交通省としては、ワンストップサービスということを言い続けてきましたので、そういう意味では、建設省、運輸省等々が一緒になったメリットというのはそういうところへ出てくると思いますので、重要な検討課題として、なるべく早く、仰せのような、離島の皆さん方に、格差がある、あるいは不公平だと思われないようなことに対処していきたいと思っています。
○山田(正)委員 大島副大臣にもう一度お聞きしたいと思うんですが。
島のガソリン価格等が非常に高いのは、私は、遠いからだというわけじゃないんだという話を今したわけです。ところが、実際にその元売価格を私どもの方で調べてみました。きょう皆さんに、また大臣のところにもその資料を配っていると思います。きょう委員会に提出いたしております。
それによりますと、東京都の大島、八丈島、長崎県の壱岐、対馬、五島、鹿児島県の種子島、奄美大島、それぞれ日石三菱、出光、それぞれの元売価格を出していますが、それほど元売価格そのものは高いものではない。実際に私ども島嶼議連では、出光、日石の社長に来てもらっていろいろ聞いてみましたが、それほど高いものではない。
ところが、実際に、島の小売、ガソリンスタンドの店主、いわゆる経営者等から聞いてみますと、例えば、福岡市内で九十六円か九十八円で入るガソリンですが、その小売段階では百円ぐらいで入っている。だから、どうしても百三十円ぐらいで売らなきゃ合わないんですよ。そういう話を三つ、四つ聞くわけなんです。
ということは、元売の価格はそれほど高くないのに、ほとんど変わらないのに、何で小売の価格が高いのか。副大臣、経済産業副大臣として、島のガソリン価格に対する、島のそういう灯油、軽油価格も含めて、どのようにそれを行政指導なさっているのか、どういうことでそういうことになっていると思われているか、その辺をお聞かせ願いたい。
○大島副大臣 先ほどお答えを申し上げましたように、民間事業者が販売コストを勘案した上で独自にこういったコストを決めていくわけでございますから、離島地域における小売価格は運搬コスト等によるものと考えております。
先ほどは申し上げませんでしたけれども、島の中で商いが限られているということは、やはり、それにかかわる人件費等もどうしても高どまりというところに落ちつきかねない。こういったこともそういった理由の中には多くあるんじゃないか、こんなふうに想定をいたしております。
そして、先ほど先生から御指摘がございました全国平均八十三円が長崎県においては百三十円、そういった離島においてはということでございましたけれども、私どもも一応こういった資料に基づいて、一番直近でございますけれども、平成十四年、ことしの五月の小売価格でございますけれども、全国平均百円に対して長崎県の島嶼平均が百二十三円という資料もありますので、そういった差額も、かなり小売価格にしては開きがございますので、よく調査を再度し直しまして、今国土交通大臣がお答えになられましたけれども、そういう不公平感があるようなことのないように、さらにいろいろ検討をしてまいりたいと思っております。
〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
○山田(正)委員 副大臣を責めるわけじゃありませんが、ひとつ副大臣の立場として、いわゆる島のガソリン行政について、それについても、いわゆる弱い立場にある地方に対しても、当然、行政の行き届く配慮というものをしていただかなければと、そう思っております。
きょうは公取の委員長を呼んでいると思うのですが、島のガソリン、軽油等について、元売の価格は調べるところほとんど変わらない、小売に入っている価格は異常に高い。ということは、仲卸の段階でカルテルがなされているんじゃないのか。お互いに話し合いをして、この価格でいこうということが決められているんじゃないか。これは独占禁止法に違反するのではないか、そう思われますが、委員長いかがでしょうか。
○根來政府特別補佐人 全く一般的な観察といたしまして、御指摘のような有力な見解があることは私どもも承知しているわけでございますが、また、一方におきましては、離島特有の問題、例えば市場が狭いとかあるいは消費量が少ないとかいうことで、若干、取引としては同調的になり得る要素があるわけでございます。また、石油のみならずほかの商品についても離島は高いというのは一般的な常識でございますので、今の段階で、私どもは、現状から直ちに独占禁止法違反があるという疑いを持つに至らない状況であると思います。
しかしながら、先ほど申しましたように、一般的見解としてそういう問題があるという御指摘がありますから、それを念頭に置いて適正な行政に努めていく所存でございます。
○山田(正)委員 私の方でもいろいろ調べてみましたが、小売店そのものも非常に正直に言うのを、いろいろな圧力もかかってきて大変困っているというような状況にある。ただ、公取の強制捜査権限でもって各小売店等々、あるいは仲卸から元売の価格まで調べていけば、私どもでわかった限りでは、県とか公共機関における価格は低く抑えられている。そういう非常におかしい部門というものを突き合わせていけば、必ずそういう不正な、いわゆる独禁違反があるんじゃないかという疑い、そこまで出るんじゃないかと思うので、ぜひ鋭意積極的に調査していただきたい、そう思っております。
このガソリンの問題はこれでやめますが、ガソリン、灯油から軽油等々まで含めまして、そういった燃料だけでも離島は本土よりも約八十億から百億ぐらい高いんじゃないか、離島の負担は大きいんじゃないのか。大臣、聞いていただきたいんですが、離島の負担はそれくらい大きい。それに伴う諸物価が、その分だけ高くなっている。それだけ離島は大変生活が苦しいということが言えるわけであります。
ところが、大臣にぜひ読んでいただきたいということで、この「島へ。」という雑誌の、その中の二枚目を見ていただきたいんですが、「ヨーロッパの島々はどうして住み易いんだろう」「消費税を取られていないマン島、免税措置のある地中海の島々」とありますが、この中の三枚目、いわゆるコルシカ島の話です。
コルシカ島も、一九九五年までは約四十年間、島自体が公共事業に頼ってきた、公共事業中心でやってきた。ところが、幾ら公共事業に力を入れても、離島はどんどん人口が減ってきたわけです。そして、若い人もいなくなって、漁業も農業も産業も疲弊してきた。
ところが、一九九五年になって、フランスは、これはおかしいんじゃないのか、むしろ思い切って減税政策をとったらどうかと。事業税、所得税、法人税、石油税、自動車登録税、それにすべて超軽減税率、いわゆる税金をやめるか、あるいは思い切って軽い税にしてしまう、免税する。そういった帳消しの援助と言われるものを始めた。
ところが、これをやると、実はそれまでどんどん減ってきた島の人口とか島の産業、それが逆にどんどん、小麦、ブドウ、オリーブ等の生産、羊、ヤギの牧畜、チーズやブドウ酒の生産も増加してきた。そして、観光客についても、一九七〇年代には五十万人だったものが四百万人を超えるほどまでに至った。
すなわち、物価が安くなって住みやすくなって、若い人が島に住みつくようになった。そうすることによって、島は非常に活況を呈してきた。いわゆる生き返ってきた。ヨーロッパの島は、ほとんどの島が免税、軽減措置がとられ、それぞれの島が非常に生き生きとしてきた。そう言えるわけなんです。
大臣、日本の離島はいかがでしょうか。今少し調べてみたんですが、昭和三十五年に離島の人口は百一万七千人いた。ところが、平成十二年、五十万三千八百、約半分に減っている、離島の人口は。あと十年、二十年後はさらに半分に減る。大変厳しい状況の中にあって、大臣、離島の先ほどのガソリンの話ではないが、高いガソリン代から高い物価に悩まされている離島にとって、ひとつこのあたりで離島振興政策のかじを大きく変える必要があるんじゃないんだろうか。大臣、いかがお考えでしょうか。
○扇国務大臣 山田議員から離島振興のお話が出ましたけれども、私は、今のお考えの方法というのは、離島に限らず、地域振興ということから考えても大いに参考になる資料であると思っております。
ただ、離島に限って言いますと、私は、このコルシカ島は政策転換を大変勇気を持ってした、また、コルシカ島自身が、その政策に反応できるような活力を島の人たちみずからが持ったということが大きいと思います。
離島振興ということにかんがみまして、特に山田議員も離島をたくさん持っていらっしゃる選挙区にいらっしゃると思います。そういう意味では、コルシカ島のように、税金を内税にしてでも観光客がふえ続けたというようなこともありますので、私は、離島振興は、国の補助をただもらうだけであるというものから二十一世紀は脱出して、個性ある離島というものを育成していきたい、それが基本になろうと思います。
きょうは大変いい参考資料もいただきましたので、皆さんとともに今後の二十一世紀の離島のあり方、また、離島が自分たちの特性をどう生かすか。午前中、松原議員もおっしゃいました。ある面ではもっと自由にすべきだ、けれども、離島の自然を守るためには、ある程度の規制も強化しなきゃいけない。両面、両々相まって初めて個性が生きてくるんだと思いますので、こういう点も、ぜひ今後皆さん方の議論の中で、離島振興のこの法案は議員立法でございますので、ぜひ我々も参考にさせていただいて、二十一世紀は元気のある離島を生んでいきたいと思っています。
○山田(正)委員 大臣、前向きにひとつ離島のことを、そしてまた離島みずからも、補助金じゃなくて、むしろ減税策とかそういった形によって、自助努力による離島の活性化を図っていけるんじゃないのか。そういう形で、大臣含めきょうお集まりの委員の先生方も、離島振興政策を大きく転換していくことに御理解をいただければと、そう考えます。
きょうは財務省の副大臣が来ておられるかと思いますが、ひとつ副大臣に、離島の場合の税制の問題で、特別措置が今でも若干とられているようですが、それが可能かどうか、財務省としての今の離島の特別措置も含めて、ひとつ簡単に説明いただければと思います。
○尾辻副大臣 扇大臣の極めて前向きの御発言の後で、やや理屈っぽくお答え申し上げることをお許しいただきたいと存じます。
釈迦に説法みたいな話でありますけれども、税の基本原則というのは、言うまでもなく公平、中立、簡素であります。ここで言う中立は何を意味するか。私は、税制でもって政策誘導はしない、言うならばこういうことだと思っております。
そこで、離島に対する優遇税制を設けるということは、そこの部分に限ってだけ申し上げていることはぜひ御理解いただきたいと思うんですが、といいますのは、私も鹿児島でございますし、先ほど先生の資料も十分見せていただきまして、離島の抱える悩み、悲しさというのは十分承知している人間でありますので、あえてそこの理屈の部分だけと、こういうふうにお断り申し上げるわけであります。税制の中立ということで、離島に優遇税制を設けるということは、この中立の原則にどういうふうになるかなというところがあるということだけを申し上げたいと存じます。
そうした中でも、特別措置は今、先生はもうこれは十分御存じのとおりでありまして、やれる範囲精いっぱい特別措置はとっておるところでございますので、このように御理解をいただきたいと思います。
今後のことは、今、税制抜本改革、経済財政諮問会議でも、それから政府税調でもとり行われておるところでございますので、私どももこれを見守りたい、このように考えております。
○山田(正)委員 財務副大臣から大変交誼あるお話をいただいたんですが、今離島でも三つほど税制の、買いかえ資産の問題とか土地特別保有税の問題とか、若干ですが特別措置はとられているようです。
ところが、実際には、沖縄においては、例えば観光客が行っても、その分について税の払い戻しがあるとか、思い切った減税措置がとられているようですが、沖縄でそういう形であれば、ハンディをこうむっている離島について、当然そういう形をこれからとっていってもいいんじゃないか、そう思うんですが、その沖縄の措置も含めて、副大臣、どうお考えか、改めてお聞きしたいと思います。
○尾辻副大臣 沖縄のお話がございました。
これも申し上げるまでもありませんけれども、沖縄は極めて特別な事情を持っておられます。さきの大戦で唯一地上戦の行われた県であります。そしてまた、県民の皆さんの中の四分の一に当たる方が亡くなっておられます。今日なお、日本全体の基地の七五%は沖縄にある、こういう事情もあります。そして、しかも、単に面積がそうであるというだけじゃなくて、言うならば一番使い勝手のいいところを基地にとられておる。
その他もろもろありますけれども、沖縄の皆さんが抱えておられる基地があることの苦しみ、これは大変なものがあります。そのことによるいろいろな措置が行われておりますので、この沖縄の特別な事情と離島全体の話と同列に論ずるというのは少し無理があるのかな、率直にそう思います。
○山田(正)委員 沖縄は、さきの大戦で大変被害をこうむった、それは私どももよく承知しております。しかしまた、壱岐、対馬、鷹島等については、元寇の役のときに、大変な損害をというか、死者も大変な数出たわけです。
島、離島というのは国境にそれぞれ属していて、それなりの役割を担いつつ、それなりの歴史的な苦しい負担を強いられてきている、それは変わりないんじゃないか、沖縄も、元寇の役でやられた壱岐、対馬にしても。また、先ほど言ったように、ガソリン価格一つにしてもそれだけの重い負担がある。それを考えれば、消費税等々についての減免、これについては、お配りいたしました資料の中に、実は島嶼議連、超党派で自民党から共産党まで百名ほどいるんですが、その中で小委員会をつくって、きょう先に質問をいたしました松原先生が委員長なんですが、その中で、「離島に係る消費税の免税(政策要綱)」、これをまとめ上げております。これは、約三カ月にわたって毎週毎週財務省の方にも来ていただき、随分詳しく事例を引きながらまとめ上げた政策要綱なんです。さらに、その三枚目に「離島に係る揮発油税の軽減(政策要綱)」、これもまとめ上げております。
それらを含めて、できればこの離島振興法の一部を改正する法律案、今回間に合わなかったんですが、そのうち議員立法等々でも考えながら、租税特別措置といった形での離島の新しい活性化に大きくかじ切りをする、離島振興の補助行政をやめる、補助行政に頼らずに、逆に、免税政策によって思い切った活気ある島にするための方策、これを考えていきたい、取り上げていきたい、そう考えておりますが、ぜひそういう形で大臣も、それはお二人の副大臣ともどもお考えいただければと思います。
最後に大臣に、ひとつ離島振興に当たっての、一言その思いを話していただければ、それで私の質問を終わらせていただきます。
○扇国務大臣 るる離島のお話で、いかに離島振興を図っていくか、与えるだけではなくて、みずからの地で、みずからの力で立ち上がっていくために政府として何ができるか、原点はそこに来るだろうと思っております。
けれども、私は、少なくとも日本は六千八百五十二の島で成り立っておりますので、それぞれの島の特性というものがあろうと思いますから、一律に、ガソリン税一つだけとってみてどうこうと言えないと思いますけれども、私は、この六千八百五十二の島の特性を一つ一つ生かしていける、そういう政策というものがそれぞれの六千八百五十二の島から出てくることが一番ありがたい。
そして、きょう参考資料でいただきました、この「島へ。」ということで、さあ行こう島へということで、「週末を楽しく過ごせる五十の島」というのは、私も行きたくなりましたので、ぜひ皆さん方に、こういう行きたくなる島、六千八百五十二もあるわけですから、五十と言わず、六千行きたいという島ができる日本になるように、皆さんと一緒に力を合わせていきたいと思っています。
○山田(正)委員 どうもありがとうございました。
○久保委員長 瀬古由起子さん。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
離島問題について、私も質問いたします。
今大臣は、離島がみずからの力で立ち上がる、そういうことが大事だ、このように言われたんですけれども、そのみずからの力で立ち上がる前に、元気をなくしているという問題がありますので、それは国としてどう元気をつけてもらうかということも大変大事だというふうに私は思っております。
そこで、離島振興法という法律の問題なんですが、これは理念や制度を規定しているものでございます。問題は、その精神をどう生かすかということなんです。
離島振興法が制定されて五十年、一九九二年には離島振興法の第四回の延長が行われて、その中で、税制上の優遇措置の規定の追加、そして高齢者の福祉の増進、交通の確保、教育の充実等の配慮規定が創設された。これは、やはり離島の切実な問題を示したものだと思うんですね。
改正後、この間の離島振興施策、予算などはどのように充実させられてきたんでしょうか。まずお聞きします。
○澤井政府参考人 御指摘のとおり、前回の法改正で、法律で申しますと十三条から十九条までについて規定が追加されております。
ただいま仰せの、福祉の増進、交通の確保、情報関係等々でございますが、具体的な施策を幾つか申し上げますと、高齢者の福祉の増進につきましては、在宅サービスに関する特例措置などが措置されております。また、交通の確保につきましては、航空路線運航費の一部を航空会社に対して補助する制度が設けられましたし、また、航空機燃料税の軽減等も行われております。情報関係では、モデル事業ではありますが、光ファイバー網等の活用によります産業振興等の基盤整備の支援といったようなことも行われております。税制上につきましては、製造業、旅館業、ソフトウエア業につきまして、逐次、所得税、法人税の特別償却等が設けられております。
概要、以上のとおりでございます。
○瀬古委員 この離島振興のために五十年間、新たな施策が追加された十年間ですけれども、実際には、離島振興法改正の検討会議の報告では、まだ離島は悩み多き状態だ、このように指摘しているわけですね。まだまだいろいろな課題が残っていると。
そういう意味では、この間、どういう問題に取り組んできて、一体何が残されているのかということもきちんと離島振興の場合に考えていかなきゃならないというふうに私は思うんです。そういう場合には、まだ今後新たに追加されるであろう、例えば、地域特性に即した農林水産業の振興だとか、それから医療確保の規定の拡充整備、こういった問題があるわけですけれども、こういう点でも、今後やはり、さらに基本的な地域の切実な要求にどういうようにこたえていくかということが私は大事だと思います。
そういう点では、離島の場合にも、自力で立ち上がるという場合でも、基本的な部分については一定の財政的な計画も含めて考えていかなきゃならないんじゃないかというふうに思うんですが、その点、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
○澤井政府参考人 しばしば議論になっておりますように、これからの離島の振興のためには、まずは地域の主体的な取り組みが肝要と考えますけれども、こうした取り組みに対しまして、国としても引き続き積極的に支援していくことが必要だと考えております。
今仰せの、例えば医療制度の充実、これは離島住民の安心な生活の実現のために不可欠でありますし、また、農林水産業を初めといたします産業の振興といったことも極めて重要と考えております。
今後とも、国土交通省だけでなく、関係省庁と連携をいたしまして、地域のそれぞれのニーズを踏まえた意見、要望をしっかり把握いたしまして、離島振興と自立的発展に向けまして最大限努力してまいりたいと考えております。
○瀬古委員 大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、今、離島振興法による離島は二百六十三ありますけれども、島の面積の大小、立地条件、人口など、それぞれ違うと思うんですね。しかし、地域社会として離島を成立させていくためには不可欠な基本的なサービスというものがあると思うんです。教育だとか医療だとか福祉だとか環境だとか、こういうものは何としても一定の水準を確保しなきゃならないと思うんです。しかし、全体的には、先ほど、人口がもう半分に減っているという問題もありましたけれども、高齢化社会の問題、それから住民の健康管理の問題、こういう問題も幾つか新たな課題として私は出てきていると思います。
そういう意味では、最低限の行政としてのサービスの確保というものが必要だと思うんですけれども、その点、大臣の基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
○扇国務大臣 先ほどから、私が最後に申し上げた、山田議員の最後の質問のところだけを瀬古議員はお取り上げになりましたけれども、私は、先ほどから話題になりましたコルシカ島の話もございまして、国の方針の転換によって、みずからが、コルシカ島が自立して、それは国の援助があったからこそですけれども、政策転換によってすばらしい成果を上げているという例があったものですから、そういう意味で、私は、我が国の六千八百五十二の島の個性をぜひ生かしたいという意味でございまして、自立するまでには国の政策転換というものが大事であったということの例でございますので、その点は、お間違えがないようにぜひ理解していただきたい。
そして、今御質問のありましたように、これまでの離島振興施策というものに対してどれほどの成果が上がったか、また、どれほど残っているかというのが、大事なところへ来ていると私は思います。そういう意味では、今瀬古議員が仰せになりましたように、各種の基盤整備というもの、そして生活の循環というもの、あるいは環境というものが変わってきたことだけは事実でございます。
例えば水道の普及率も、昭和五十五年には八八%でございましたけれども、現在ではそれが、少なくとも平成十年には九七%と上がってきておりますし、また国道、県道、これも、合わせますと、改良率は、昭和五十五年には二九%のものが平成十一年には五三%と、大体上がってきた。努力してきたつもりでございます。また、人口十万人当たりの常勤の医師、お医者様が、先ほどおっしゃった福祉の面でも大変重要ですけれども、昭和五十五年から平成十年の間に約一・七倍にこれも増加できたということも、大きく福祉面では伸びたのではないかと私は思っています。
ただ、それだけではなくて、平成十二年度におきます汚水の処理の施設、この整備率を見ますと、全国の汚水の整備率は七一%ございます。ところが、離島の整備率は一四%にとどまっているんですね。そういうことを考えましても、離島振興の目的であります本土と離島の間の格差をなくそうというこの理念ということでは、まだまだ足りない部分があるという認識を、それぞれこの数字をもってしても見るべきであろうと私は思います。
全国の人口が増加するという中で、老人が多くなっているということもございます。離島の人口は昭和三十五年から平成十年にかけておおむね、先ほど瀬古議員がおっしゃいましたように、五〇%減っているということも、私は、離島というものを考えるときに、これを避けて通れない大きな問題だろうと思います。
るるおっしゃった数字から見ても、今後、より一層の離島振興というもののあり方も含めて、我々は考えなきゃいけないと思っております。
○瀬古委員 具体的に、私は離島の医療の問題について少し御質問したいと思うんです。
離島医療というのは島の住民の皆さんの健康管理まで見なきゃならないという点で、若いお医者さんがいらっしゃるという場合もあるんですが、やはりベテランの医師もぜひよこしてもらいたいという声もございます。
それから、私が調査しました地元の三重県の離島に答志島というのがございますけれども、ここでは、人口三千二百人の島で、お医者さんはかなり地元に献身的に、地域に密着して頑張っていらっしゃいます。そういう姿にも私大変感動しました。しかし、土曜日とか日曜日とか夜は市の診療所は先生がいなくなってしまうわけです。ですから、急病が出たら特別に漁船をチャーターして行かなきゃならない。もうそれだけで、小さい子供を持つ御家庭では、若い人たちが出ていってしまうと言われるわけですね。
そういう意味では、せめて土曜日とか日曜日だとか夜も配置できないかと、今でも診療所を市は赤字で運営しているんですけれども、そういうものについての補助もぜひやってもらいたい、そして新たな医師の確保などもぜひ検討してほしい、こういう面も、かなり地元から要望が出ております。その点、どのようになっているでしょうか。
○中村政府参考人 離島の医療に関しまして、お答えさせていただきます。
まず、先生の御指摘のありました医療の現状でございますけれども、平成十二年四月一日現在、住民の方の居住が確認されている離島の数が三百十九と承知いたしております。そのうち、何らかの形でお医者さんがいる島が百九十五、医師がいない島が百二十四ございます。お医者さんがいる百九十五の島のうち、先生のお話のありましたような非常勤のお医者さんしかいない島が五十一でございますので、差し引きますと、医師が常駐している離島は百四十四ということになります。
おっしゃいますとおり、国民がいつでもどこでもだれでも医療にかかれるようにということが我が国の医療政策の基本でございまして、医師のいない離島における医師の確保というのは、いわば、広い意味でいいますと、僻地医療という概念の中で、我々は常に目指さなければならない政策としております。
全国の都道府県では、地域医療計画というのを法律上つくっていただく、これは医療法という法律でつくっていただくことになっておりまして、当然、医師の確保というのは医療計画の柱になっております。特に、今申し上げました意味で、離島も含みます僻地、僻地がある地域では、僻地医療の確保について地域医療計画で書いていただく、こういうことになっております。ですから、例えば長崎県の地域医療計画を見ていただきますと、重大な柱として離島における医療の確保がございます。三重県の地域医療計画でも静岡県の医療計画でも、例えば各県の医療計画で、離島がありますところには、そういう地域医療計画で医師の確保をやるということでやっております。
離島振興法も古い歴史がございますけれども、僻地医療の確保も古い歴史がございまして、一九五六年、昭和三十一年以来、九次にわたる取り組みをやっておりまして、僻地の診療所の設置でございますとか運営、あるいは僻地中核病院、こういったものの運営については、国の方でも運営補助をしているというような枠組みでやっているところでございます。
先生の御指摘のありましたベテラン医師の確保も含めまして、医師の確保、また、最近はIT等の技術も進んでおりますので、遠隔医療の技術も使いまして、離島の医療に支障のないように、我々としても万全の努力を払ってまいりたいと考えております。
○瀬古委員 もう一つの離島の条件としては、交通の確保というのが大変重要になってまいります。離島は、自動車があればどこまでも行けるという条件にはない地域でありますし、特に公共交通が生活の基盤として大変重要だと私は思うんです。しかし、実際には、不採算の航路とか路線、こういうものがございます。
私が調査しました鳥羽市なんですけれども、ここでは旅客数が年間百万人を超して、随分努力をなさっているんです。それで、かなり地域に密着した航路として、おすしの出前まで船で運んでいるというか、地域では大変自慢の航路なんですね。しかし、旅客、荷物とも赤字が続いていて、乗船料はこれ以上上げられない、せめて赤字補てんは一〇〇%やってもらいたいという要望が出ております。ヨーロッパなどでは、鉄道との連続性ということがあるとみなして特別にそういう乗船料なんかを安くしている、そういう措置なんかも外国ではとられているんですね。
そういう意味では、ぜひこうした航路の国での援助、補てんをもっと充実してもらいたいし、実際には、この補てんの根拠になる、どうやって補てんされるのかという計算式も、ことしはうんと赤字が多いのに補助が少なかったり、それから、予算の決まるのも三月ぎりぎりで、もう予算の計上に間に合わないという、地域では大変不都合な決め方という形になっています。ぜひ地元の要請に合った航路の国での助成制度もきちっとしてもらいたいというふうに思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○安富政府参考人 今先生の方から、離島航路の維持の問題について御指摘がございました。
離島航路の維持につきましては、昭和二十七年に制定されました離島航路整備法で、従来は、事業者の航路欠損に対して定率で補助するという方式をとってきたところでございますが、平成六年度以降、航路事業者の経営改善を促しつつ、国と地方がそれぞれどういう役割分担をするかという観点から、制度を改めまして、基本的に国は、ナショナルミニマムという観点から、全国的に見て標準的な経営をした場合の欠損額というものを出しまして、これを、具体的には、例えば国庫補助対象航路以外の離島航路のデータの平均単価を用いて算定しました標準欠損額を補助するという形に改めました。それ以外の欠損につきましては、自治体がそれぞれ地域の実情に応じて補助していただくということにしたわけでございます。
そういう意味で、補助金の算定等に当たって、算出方法が標準収益であるとか標準経費というような形になるものですから、若干複雑な点がございますけれども、この標準化制度というものは、やはり離島航路の維持を図る一方、航路経営の効率化ということについてインセンティブを与える点で極めて有効ではないかというふうに認識しております。
また、交付時期についても、いろいろ地元から要望があることは承知しておりますが、各事業者から航路損益計算書が提出されるのが例年十一月末でございまして、その後、全国百を超える航路事業者の監査等を行った上で補助金額を確定するということで、どうしても時間がかかるということがございますが、三月中旬ぐらいに交付するということで、できるだけ早く年度内に交付できるよう、最大限努力しているところでございます。
○瀬古委員 本土に近い離島の切実な声は、何といっても本土と島を結ぶ離島架橋の問題があると思うんです。
実際に離島の過疎化が進んでいるわけですけれども、島の外に就職したくても、離島から通っているということで残業ができないというので、実際には就職先で断られてしまう、船の都合で欠勤する場合があるということもあるわけですね。それで、魚がとれても翌日回しになってしまう。
特に、この三重県の鳥羽地域では、実は伊勢湾大橋の計画があるんです。長い間、切実な離島、すぐ目の前に本土と島があっても、架橋が放置されてきたという経過がございます。すぐ目の前にあるのにと、何としても橋をかけてもらいたいという切実な声がございます。
実際に、今後、地方自治体の計画を大変重視した振興法なりが提案されていくだろうと思うんですけれども、そういう離島の振興計画を、例えば鳥羽市が、大きな伊勢湾大橋を待つまでもなく、まず離島架橋を優先したいという考え方になったような案をつくった場合は、その鳥羽市なりの意向というのは尊重されるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○澤井政府参考人 今仰せの伊勢湾大橋につきましては、平成十年三月に閣議決定されました全国総合開発計画におきます全国六カ所の海峡横断道路の一つでありまして、現在、その経済効果あるいは技術的検討が進められております。
一方、三重県鳥羽市の御指摘の橋の御希望、答志島あるいは菅島といった島と本土を結ぶ架橋についての希望があるということも聞いておりますが、この離島架橋と先ほどの伊勢湾大橋は、伊勢湾大橋の実施の帰趨によりまして、離島架橋の方も幅員を初めとする規格が変わってくる可能性があるという、非常に実際上の一体性、関連性が強い関係にあると考えられております。
ちなみに、今年度いっぱいまであります現在の三重県の離島振興計画の中では、この伊勢湾口道路については記述がございますけれども、答志島と菅島の架橋については記述がないというのが今の計画でございます。これは今年度いっぱいが期限でございまして、先ほどのような、新しい離島振興法のもとで、来年度スタートの新しい離島振興計画が各県ごとにつくられる、そのときに市町村の意見を聞いて、できる限りそれを反映するという仕掛けで動くんだろうと私ども思っておりますが、そうした中で、新たな三重県離島振興計画、これを最終的には県が策定いたしますけれども、その策定過程で、先ほどのような規格にも影響するような関係にある、そういった両者の関係を踏まえまして調整が進められていくのではないかというふうに考えております。
○瀬古委員 ぜひ、やはり地元の意欲といいますか、地元の意向を十分反映した計画づくりを国としても応援していただきたいというふうに思います。
そこで、ごみ問題について伺いたいんですが、離島というものは、ごみ処理は今まで自前でやっていたという経過のために、多くは焼却炉を持っています。ところが、ダイオキシンの排出濃度が国の基準を超えたために、廃止したけれどもその撤去に莫大な費用がかかるという状況になっています。鳥羽市では廃炉が、三つの炉があるんですが、それだけで一億六千万円かかるんだそうです。そのために、ダイオキシンで危険だと言われている炉が放置されたままになっている。
市は国に何度も要望しているけれども、実際には環境省のダイオキシンの検査補助だけで、なかなか財政措置が難しいというふうに言われているというふうに言っていますけれども、撤去に私はやはり財政支援措置が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
○林政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘のように、本年の十二月にダイオキシン類の排出基準の強化がされることになっておりまして、地方公共団体におきましては、ごみの広域化処理を含めまして、焼却施設の新設等に迫られているところがふえております。これに伴いまして、既存施設の解体撤去を行う地方公共団体も増加をいたしているところでございます。
また、さらに、この解体撤去に当たりましては、作業基準が平成十三年四月から見直され、強化されたことによりまして、解体撤去工事に係る経費が急騰しておりまして、地方公共団体にとりましては多大な財政負担になっていると私どもとしてもお聞きをいたしております。
このため、私ども総務省といたしましては、地方公共団体のこのような状況を踏まえまして、関係省に働きかけ、協議をさせていただきました。その結果、平成十三年度から、国庫補助事業といたしましてダイオキシン類測定費補助という制度ができておりますが、その補助裏、及び単独でごみ焼却施設の解体撤去工事を行います場合の地方負担につきまして、地方債と地方交付税を通じた地方財政措置を講ずることといたしているところでございます。
今後とも、このような団体がふえてくるとも見込んでおりますが、解体撤去が円滑に実施されますよう、私どもとしては、関係省に対しまして、技術的、財政的支援の強化を働きかけてまいりたいと思っておりますし、私どもといたしましても、地方の財政負担が軽減されるよう適切に対処してまいりたいと考えております。
○瀬古委員 さらに、鳥羽市の坂手島では、ごみの分別収集が徹底して行われていて、一カ所に島民の方がみんなごみを持ってきて、自分で分別して、随分苦労してごみの収集をやっていらっしゃいます。
それで、燃やすごみがもうほとんどなくなってしまうということで、あと全部分別したごみなんですね。ところが、島であるためにそれをまた本土に運ばなきゃならない。その費用がその島だけで年間一千二百万かかる。これは、分別して、苦労して努力しているのに、島であるためにまた船で運ばなきゃならない。その費用、こういう点での援助は何らかの形でできないのかという御要望ですけれども、その点はいかがでしょうか。
○林政府参考人 お尋ねの点につきましては、基本的には所管省の方でいろいろ御検討されるべきものと思っておりますが、私どもといたしましては、地方団体の実態あるいはごみ処理に要します経費の実態等を調査しながら、関係省と相談しながら必要な地方財政措置を講じてまいりたいと考えております。
○瀬古委員 最後に、ごみの問題では、離島に漂着するごみの問題なんですね。中には外国のごみもある。伊勢湾だけでも、ごみが離島に漂着して大変深刻な問題になっている。今、離島の住民の皆さんは苦労してそれを集めてやっていらっしゃるんですが、決してそこの離島の責任とは言えないわけですね。そういう場合は自治体の対応もできない。そういう漂着したごみの問題については、もっと一定の何らかの国の措置が必要だと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○川島政府参考人 海岸に漂着したごみにつきましては、一般廃棄物として市町村が処理をするということでございますが、これに大変御苦労されておるのが実態でございます。
こういう現状を踏まえまして、平成十二年度から、大規模な漂着流木等、これを処理する事業を創設したところでございます。また、同じ平成十二年度でございますが、地方交付税制度の改正におきまして、海岸清掃、こういうのにも経費がかかるわけでございますが、これに対しても財政措置が講じられるようになったというふうに伺っております。
今後とも、関係の市町村あるいは地域住民の方と連携をとりながら、海岸における清掃活動、こういう取り組みを強化していきたいというふうに考えておりますし、関係省庁との連携を図りまして、総合的なごみ対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○瀬古委員 ぜひ具体的な対応を国としても打ち出していただきたいと思います。
住民のためのサービスを確保するために、最低限のいろいろな基本的なサービスというのは必要で、そのための国の助成措置というのは必要なんですが、先ほど出ていましたように、もっとそれぞれの独自の、島が自立した活動を展開するという上では、例えば、一律的な補助行政ではなくて、メニューをうんとふやして選択肢をふやして、そして独自にその島が活動するということも大変大事だと思うのですけれども、離島の実情に合った補助金や助成制度というのが必要だと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○澤井政府参考人 社会資本整備を例にとって申し上げますと、離島地域につきましては、補助率のかさ上げ、あるいは補助対象を本土以上に大きく広くとる、あるいはまた採択基準を下限を下げたりして緩和するといったような対策を実施して、その促進を図ってまいりました。
補助率のかさ上げで申しますと、一般国道、市町村道の改築事業がございますし、補助対象の拡大で申し上げますと、廃棄物処理施設、飲料水供給施設の建設などを本土の基準よりも拡大して実施しております。また、採択基準の緩和で申し上げますと、河川事業あるいは漁業集落環境整備事業等についてこうした措置を講じているところでございます。
今後とも、こうした制度を活用いたしまして、離島の生活基盤、産業基盤の整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
○瀬古委員 最後の質問になります。
今、市町村合併が進められているわけですが、実際に離島を抱えている市町村というのは、他市から合併しようという声がかからないというんですね。というのは、離島がお荷物だ、そういうふうに言われるという声も実際には聞こえてまいります。
実際には、本来独自に、離島を抱えていても離島独自のよさというものがありますし、うんと離島を生かしたまちづくりというのは必要だというふうに私は思います。しかし、今、国の仕組みでいうと、何が何でも合併しなければ権限や財源が減らされるんじゃないかということで、離島は全く離れた離島同士で合併する話なども出てくる、そして、実際には合併しても全然メリットがない、このように言われているわけです。
ですから、そういう意味では、合併しないということも当然私は離島の場合にはあり得ると思うので、その点でも、離島のそうした意思をよく尊重して、不利益な扱いをしないという点でこの市町村合併問題を考えるべきだと思うのですが、最後に伺います。
○芳山政府参考人 離島の中には、御指摘がありましたように、地理的条件等によりまして合併の制約があるというのも事実でございますけれども、我々指針を出した中で、こういう地域でも、今後の電気通信ネットワークの整備でありますとか、ないしは交通条件の改善等によりまして、まずもって合併の可能性の検討を行っていただいて、合併の是非についての判断をしていただきたいというお願いをしております。
各都道府県の合併パターンがすべての団体でつくられておりますけれども、離島の合併について、地域の実情に応じたパターンが示されておりますし、また実際に離島地域についても、法定協議会でありますとか任意協議会でありますとかいうようなのが設立されるなど、具体的な合併の取り組みがなされております。
我々政府全体としても、市町村合併支援プランで、離島における道路整備事業、交流促進事業を盛り込んで、離島における合併の支援も進めてまいりたいというぐあいに考えております。
また、今後、地方分権の一層の推進ないしは合併の進捗に伴いまして、今御指摘がありましたように、どうしても合併が難しい、一島一村のような、また中山間奥地のような町村における基礎的自治体のあり方、小規模自治体のあり方というのは一つの大きな論議でありますし、また市町村合併の進捗に伴った都道府県のあり方というのも論議になりますので、現在、二十七次地方制度調査会、昨年十一月に発足しましたが、そこで、今後の市町村合併の進展に応じた新たな地方自治制度のあり方、仕組みについて幅広く御論議していただこうということで、論議が進められているというぐあいに思っております。
○瀬古委員 どうもありがとうございました。終わります。
○久保委員長 保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
私も、離島といえば、沖縄の島を二十代の初めのころ、二カ月ほどかけて島々をめぐっていく旅をいたしました。その豊かさを実感するとともに、離島の生活を都市並みに引き上げるということではなくて、むしろ島々の豊かさを大事にしながら、観光あるいはその自然を破壊しない振興ということを望んでいる者の一人です。
さて、きょうは一般質疑ということでございますので、私の方は、実は前回も議論をさせていただいたんですが、運輸省の航海訓練所の日本初の女性航海士ということで、残念ながら交通事故で亡くなられた藤原裕喜子さんのことを前回議論させていただきました。それで、委員室を出まして自分の議員室に帰りまして、帰ったら、ちょうどまた、東京陸運で不正車検が行われていて改造車を合格判定していたというようなニュースが、第一報が流れておりました。
この一つの交通事故をきちっと検証することから、今本当に一人一人の命が脅かされている交通戦争の中で、きちっとこれは明確にしなければならない問題、随分出てきていると思います。
まず、これは、交通事故総合分析センターの金丸和行さんという方が藤原さんの御遺族の御夫妻にあてたお手紙があるんですね。
今回、RV車を違法に改造して、ばかでかいタイヤに物すごく高い車高の車で、オートバイに乗った藤原さんは三回追突されて亡くなったわけですけれども、この藤原さん御夫妻にあてて、この分析センターの方は、警察庁の方には機会あるごとに御夫妻の件についてお話をさせていただきましたと、そして、道交法の改正案等あったわけですね、こういうことを紹介しながら、しかしながら、私個人としては、重罰化だけではこの種の事故は防げないんではないか、同じような苦しみ、悲しみをなくすことは絶対に不可能だと思っております、国土交通省が自動車メーカーから型式認定の許可を出すときには、基準より一ミリでも高さが異なっていたならば莫大なデータの提出を求めると聞いております、しかし、改造車に対しては安易に許可を出してしまうこと、これは許認可権の横暴としか思えません、本当に交通事故をなくしたいのかどうか、その姿勢を疑いますというふうにおっしゃっているわけです。
さて、そこで国土交通省に確認をしたいんですが、前回、五月二十二日のやりとりの中で、実は事故が起きた直後から国会で議論させていただいていますので、その過去の議論では、今資料もお配りしていますけれども、残念ながらこの種の車は車検にパスをしてしまうんだと。しかし、これは違いますよねという確認をしましたら、これは違いますというお答えをいただきました。これは、遺族の努力で東京陸運の現場にこの種の車が持ち込まれた場合はどうかという回答を得たことを踏まえての答弁だったと思いますが、これは間違いないですか。
○洞政府参考人 間違いございません。航海訓練所の女性教官をはねましたRV車は、道路運送車両の保安基準の適合性の確認のために、事故後に、平成十一年の九月の二十七日でございますけれども、捜査当局から関東運輸局東京陸運支局に持ち込まれております。
その際の確認結果によりますと、前照灯、方向指示器、後部反射器の取りつけ位置が不適当であったこと、運転席、助手席の窓ガラスにフィルムが貼付されていたこと、警音器の音色が不適当であったこと等の、道路運送車両の保安基準に不適合箇所が確認されております。
○保坂委員 それは、こちらの弁護士法二十三条に基づく東京陸運支局長さんの名前で来た文書の中にあるんですが、その今のおっしゃった二点の理由は。
問題はタイヤなんですね。お配りした資料もごらんになっていただくといいんですけれども、タイヤは、フェンダーよりも外側に突出している場合は保安基準に不適合である。このタイヤについてはどうなんですか。
○洞政府参考人 タイヤにつきましては、先ほど申しました事故後持ち込まれました車両について保安基準違反かどうかというのを確認いたしました。その結果、ここに基準がありますが、先生の資料にもございますけれども、この基準には適合していたということでございます。
○保坂委員 この資料をきちっと見ていただきたいんですが、これは自動車整備振興会、陸運局の外郭団体のつくった保安基準のチェックポイントから抜いたものですね。ここには十八条の中で、フェンダーから回転部分、つまりタイヤなどが突出していないこととあります。二つ、図が書いてありますね、側面から見たもの、正面から見たものでございます。私も、きのう議論をしていて、この写真の左側の方、正面からランドクルーザーを見ている写真では、確かにそれは一目見てタイヤは出ているんですね。はみ出している。しかし、ある方が、しかしタイヤを覆うフェンダーの部分、これはちょうどこのタイヤの真上に来ているよということで、では適合だという話になるわけです。これもどうかと思いますよ、その基準自体。
しかし、側面を見ていただきたい。この側面はこちらの図と対応させればいいんです。つまり、この側面を見ると、どう見てもこの写真、前後ははみ出しているじゃないですか。これは適合なんですか。はっきりしてください。
○洞政府参考人 この写真の印象から見ると大幅にはみ出しているように見えるわけでございますが、先ほど申しましたとおり、ここの第十八条にございますとおり、フェンダーから回転部分、タイヤが突出していないことということで、ここにまさに図がございますが、タイヤの中心から三十度、五十度の範囲内においてフェンダーからはみ出していないかどうかというのがチェックポイントになるわけでございます。ここの、側面から見ましてA、B、Cとポイントがございますけれども、AないしCから垂線、ひもを垂らしまして、そこからタイヤがはみ出しているかどうかというのを実際にチェックしたわけでございますが、その場合において、はみ出していなかったということでございます。
ただ、この写真が、前面がぐっと絞られてくるでしょうから、この写真だけを見ますと、一見、大幅にはみ出しているように見えますが、そこは、この基準に照らしてやるとはみ出していなかったということだと思います。
○保坂委員 何を言っているんだかさっぱりわからないですね。
この写真を見て、はみ出しているじゃないですか、今も御自分でも言っているように。これは、よく見て微妙だなどというものじゃないんです。横から見ればはみ出しているんですよ。はみ出しているのであれば、では、これは保安基準に適合だということ自体が間違っていたということになるじゃないですか。
今御自身おっしゃっているように、この図でも、側面から見れば、これは垂線を垂らしてタイヤが出ていればはみ出しているんでしょう。そういう車はだめなんでしょう。それを答えてくださいよ。側面から見て、垂線を垂らしてこのフェンダー部分から、正面から見て左右にはみ出しているということに着目して私は聞いていた。しかし、左右にはフェンダーがかかってタイヤを覆っているからいいんだ、そういう解釈なんです。横から見たらこれははみ出している。これは適合しちゃいけない車ですよ。
○洞政府参考人 写真から見ると本当にはみ出しているように見えますが、実際に先ほどの基準ではかってみますと、フェンダーの端から垂線を垂らして、その中にタイヤがおさまったということは確かでございまして、そういう意味で、今決まっている保安基準には適合しているということです。
○保坂委員 それは納得できないですね。
今、これは不正改造の問題が言われているんですよ。こういう車が、今局長が言ったのは、着色フィルム、後ろにフィルムを張ったり、ヘッドライトの位置ですよ、それで車検には通らないんだと。しかし、ヘッドライトがここにあって着色フィルムもなければこういう車は通るという話なんですよ。そうでしょう。これは今でも通るんですか。この写真を見て、通るんですか。はっきり答弁してください。
○洞政府参考人 当該車両は、事故を起こす前、五月の時点で検査を受けておりますけれども、その時点では前照灯の位置も、着色フィルムもついていないという状況でございまして、車検にはパスしているということでございます。
○保坂委員 委員長、ちゃんと答弁するようにぜひ求めていただきたいんです。
簡単な話ですよ。こういう車があったわけですよ。三回追突してその方は亡くなっているわけですよ。しかも、何で僕はこだわっているのかというと、これは違法改造車じゃなかったということで、司法の場では合法だということを前提に、娘さん、女性航海士の夢いっぱいの彼女が亡くなって、亡くなったにもかかわらず、本人が六割悪いんだと主張されているわけです。そういう命の尊厳がかかっていることだから聞いているんですよ。
こういう車が持ち込まれたら、今、東京陸運ではオーケーなんですか。はっきりしてくださいよ。この車が、今同じ同型車が持ち込まれてきたら、この写真を見てどうなんですか、責任者として。はっきり言ってください。
○洞政府参考人 先ほど答弁申し上げましたとおり、この写真の車が持ち込まれた場合には車検に通るかといいますと、通りません。
といいますのは、先ほど申しましたとおり、この車両は事故後に検査場に持ち込まれて、どの部分が違反であるかというのを十分チェックいたしまして、先ほど申しましたポイントにおいて車検の基準に適合していないわけですから、今持ち込まれた場合には、当然、車検では通らないということになります。
○保坂委員 また、ずらす。もう簡単に議論しているんですから、着色フィルムやヘッドライトは関係ないんですよ。
問題は、いいですか、このタイプの車は今もあるわけですよ。このタイプの車、これは事故車と考えないでください。局長、この写真を見て、はい、これが持ち込まれた、通りますか、通りませんかと言っているんです。はっきり聞いている。答弁してください。
○洞政府参考人 先生、タイヤだけに限っての御質問だと思いますけれども、こういう車両が持ち込まれました場合には、先ほどの十八条におきますような基準がございますから、はかり方がございますから、そこではかってタイヤがはみ出していれば、当然のことながら、通りません。
○保坂委員 東京陸運でこれだけの、国民が皆、車検をまじめに受けている人たちが驚くようなことが起きているわけですね。にもかかわらず、これを見て、これは通らないというのはもう明らかであるんですよ、側面から見て。しかし、なぜかこれは通ってしまった。
そこで、法務省の方にちょっと伺いたいと思うんです。
これは、いろいろこの捜査の中で、交通事故の問題については前回も横内副大臣にも答えていただいているんですけれども、片山隼君の事件で当時議論させていただきました。それまで交通事故の被害者の遺族というのは、事件と大変密接なかかわりがありながら、そういう情報を得ることができなかった、除外されておった。そこをやはりきちっと改めて、捜査の資料も適宜最大限渡し、また説明の努力もしていくという姿勢をとられたんですね。これは大きな大転換だったと思いますよ。検察の窓口も警察の窓口も同様だと思います。
そこで、ことし四月二十一日に、東京地検の検事正高雄さんに対して、この藤原さんのお父さんの宏さんがお手紙を出されているんですね。ちょっと紹介をしたいと思います。
この保安基準違反であるということを指摘して、平成十四年二月四日、玉川警察署の署長、交通課長より、加害車両は違法車であることを認めると回答がありました。しかし、調書に記載をしなかったのは担当検事より補充捜査の指示がなかったからだと、検察庁に責任を転嫁されました。さらに、平成十四年三月二十七日に検察庁の担当検事にお尋ねしたところ、違法車か合法車かを確認する補充捜査を指示しなかった責任は担当検事にあるが、違法車として立件するか否かは担当検事の裁量であり、誤りではないとの御意見だった。こういうことはどうなんですかというお手紙を差し上げているようなんですね。
昨日、質問予告で、本件についてどのような説明をされて臨んでこられたのかということを問うとお伝えしてあるんですが、こういう手紙があったことなどは御承知でしょうか。
○古田政府参考人 ただいま御指摘のありましたお手紙というのは、実は、私自身はたった今拝見しているところでございます。
ただ、遺族の方からこの事故の状況等についていろいろな説明を求められて、それに対して、検察庁におきましては、刑事事件の観点から、できる限りの御説明はこれまでもさせていただいているというふうには承知しております。
○保坂委員 それでは、警察庁に伺います。
今ちょっと長い時間をかけて、国土交通省の判断、前方から見て、側面から見てタイヤがはみ出すという議論をいたしました。
玉川署長さんも、これは世田谷区の玉川署がこの事件を扱ったわけですけれども、この車両は違法車両だったということを御遺族にお認めになったんではないでしょうか。そのように聞いているんです。また玉川署の、最初の、そういった車検の細かい基準についても十分把握をしていなかったという面の反省点もあるのかなと思うんですが、いかがでしょうか。
○属政府参考人 細かいやりとりについてはちょっと承知しておりませんけれども、平成十三年十二月二十四日付で、御遺族の方から警視総監あてに書簡が届いております。それにつきましては、平成十四年一月二十八日付の玉川警察署長名の文書を同日交通課長がお渡しをいたしまして、関東運輸局東京陸運支局の照会結果を踏まえまして、関係車両の車高それから車幅、タイヤの突出については保安基準に適合している、そういった回答を得ているということを御遺族にお伝えをしているという報告を受けております。
さらに、二月の四日には、警察署において、御遺族に対しまして、警察署長と交通課長が回答内容の趣旨等について説明を行い御理解を求めたというふうに報告を受けております。
○保坂委員 ますますわからなくなってくるので、もう一回国土交通省に聞きますけれども、この事故について、遺族の方は、この該当車は、これは保安基準に違反した車ですよという検査票もつけて捜査官に渡したという証言を聞いているんですね。これはどうですか。この事故車、加害車両は保安基準から見て違反車両であるということを捜査の側に伝えているんですか。その点だけ確かめたいと思います。
○洞政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、この事故車は、車検場に持ち込まれて改めて検査を受けて、保安基準に違反しているポイントについて、先ほど申しました前照灯とかいろいろなポイントについて、そのほかの部分につきましてもチェックをして、その結果を文書として警察、捜査当局の方に渡してあります。
○保坂委員 つまり、結局、陸運の方は、これは違反しているよということを渡しているという答弁でした。
そして、もう一回法務省刑事局長に伺いますが、結局、五月二十三日に、このお手紙の後で、やはりこれは違反車であったと認めて行政処分を決めた、これは改造、届け出義務違反、整備不良等で罰金八千円を交通事故の加害者の方に科した、そして違法であることは当時の担当検事は十分認識していなかった、陸運局に問い合わせていたままだった、こういうふうに先ほどお父様から聞いたんですが、その事実、確認されていますか。刑事局長、いかがですか。
○古田政府参考人 二点お答えを申し上げたいと思いますけれども、刑事事件として交通事故が起こった場合のことを考えますと、要するに、事故が起きた過失は何かということがポイントになるわけでございまして、その過失がどこに認められるかということになりますと、これは改造とかそういうことと必ずしも直結しないということもしばしばあるということをまず御理解いただきたいと思います。
それから、第二点目の問題といたしまして、ただいま、違反になる改造車両ということで罰金の裁判があったというふうな御指摘でございますけれども、私どもの承知しております限りでは、これは反則行為、反則金ということではないかと思います。
○保坂委員 では、警察の方、その八千円というのは反則金だったんですか。今紹介をした加害者に対して八千円というのは。いかがですか、どういう性格ですか。
○属政府参考人 それにつきましては、反則金です。前照灯の取りつけ位置を変えていたということについて、これは反則金を科しております。
○保坂委員 時間がだんだん迫ってきましたので、この交通事故がたまたまそういう不幸な事例である、ほかにも後にもないんだということであれば今後は心配ないわけですね。
ところが、やはり先ほど冒頭に言ったように、この間の不正車検問題、これは随分続々と報じられていますね。これを見ると、九六年から去年までに、これは東京新聞の新聞記事ですけれども、傷害事件も続出しているという記事ですね。九六年から去年までに六件の傷害事件がある。
そこで、国土交通省に簡単に答弁いただきたいんです。その事例をきのう届けていただきました。例えば、着色ガラスが張られていたために、合格させろと強要されて暴行を受けて、同行の者も暴行に加わって、制止に加わった職員もまた暴行を受ける、こういうケースだとか、結果に対して、回答がないとは何だとコーヒーカップを投げつけるとか、こういうことが六件立件されていますが、これは、事件にならない日常の威迫の行為、おどかしとか暴力を予感させるような行為というのは相当多いんですか。
○洞政府参考人 先生が今挙げられましたのは、関東運輸局管内における警察当局により立件、処罰された件数でございますけれども、私どもが把握しております数字で、平成十年からこの四年間をとってみますと、関東運輸局管内で四十六件発生しておりまして、うち十八件を警察に通報しております。全国においては、同期間で三百件ほど発生しておりまして、四十六件を警察に通報しておりまして、この件数は年々増加傾向にあります。
○保坂委員 ユーザー車検の業者など一定の業者がこういう威迫行為を繰り返している、こういう調査報告や報道もございます。これは警察庁刑事局の方にお聞きをしたいんですが、そういった業者の中に暴力団の影、あるいは影響などの実態はどうでしょうか。
○吉村政府参考人 車検代行業に暴力団等が関与しているかどうかというお尋ねかと思いますが、現時点におきまして、警察として詳細な実態を把握しておるわけではございません。ただ、新聞等でもいろいろ報じられているところでもございますので、今後、国土交通省と連携をして、所要の措置ないし情報収集をしてまいりたいと思っております。
○保坂委員 念のためにお聞きしますが、冒頭のところで国土交通省と、この巨大タイヤの改造車が合格してしまうのかというやりとりをしましたが、この改造車の検査に当たった検査官は東京陸運の検査官だったと思います。今回、内部調査、自己申告、いろいろやられていますが、つまり、不正改造に目をつむったことがあると言われている方が一定程度出てきていますよね。この事故加害車両の検査を担当した方は、その該当者の中にいらっしゃいましたか。
○洞政府参考人 この事故車両にかかわりますRV車には五人の検査官が担当して検査をしておりますけれども、現時点におきます調査結果では、このうちの二名が、今般私どもの発表いたしました、神奈川支局で起こりました排出ガス試験の成績書の未提出案件に関与しております。
なお、当該RV車、この事故車の検査においては、特に威圧があったものでもなくて、現時点では、そういう不正車検をした事実はないと考えております。
○保坂委員 ということは、やはり直観的に何かがつながっているのかなと思ったら、人的にはつながっていたということですね。
最後の質問になりますが、いわゆる外環道について、今、新しい段階が始まっていると聞いております。パブリックインボルブメント、言いにくいですけれどもね、PI方式ということで協議会が始まっているようですが、これは、住民の意見を聞きおく、一定の反対論も聞くということで、形の上で済ませていくという趣旨であってはならないというふうに思います。例えば、相当専門的に自動車公害などの知見を持っている専門家、あるいは該当地域の住民等、幅広く聞く必要があると思いますが、このPIのやり方と定義について、簡潔に答弁を求めたいと思います。
○大石政府参考人 東京外郭環状道路のPIのやり方についてお尋ねでございます。
PI外環沿道協議会というものをこの六月五日に設置させていただきました。構想段階から幅広く住民の御意見をお聞きし、計画づくりに反映させていただくということで、沿道住民の方々との話し合いの場を設けたものでございます。
外環計画につきましては、PIプロセスの透明性、客観性、公平さを確保することが重要だという認識のもとに、昨年十二月に設置いたしました学識経験者から成る東京環状道路有識者委員会により、合意形成プロセスについて御指導、御助言をいただいておるところでございます。外環計画については、幅広く、多くの方々から御意見を伺いながら、当然のことながら、形式的なものとせず、実質、十分計画に反映できるよう努力してまいりたいと思います。
今後、さらに計画の具体化に向けて、検討の深度を深めたいと考えております。
○保坂委員 ありがとうございました。終わります。
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○久保委員長 引き続き、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、離島振興法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、理事会等での御協議を願い、また委員会での御議論をいたしてまいりましたが、お手元に配付してありますとおりの草案が作成されました。
本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。
離島振興法の一部を改正する法律案の起草案の趣旨説明でございます。
離島振興法は、本土より隔絶せる離島の特殊事情からくる後進性を排除するための基礎条件の改善及び産業振興に関する対策を樹立し、これに基づく事業を迅速かつ強力に実施することを目的として、議員提案により、昭和二十八年七月、十カ年の時限法として制定されたものであります。
本法は、離島振興のために少なからず寄与してまいりましたが、離島の特殊事情からくる本土との格差は依然として除去されない実情にかんがみ、以後、四度にわたり、本法の有効期限をそれぞれ十カ年延長するとともに、諸施策を拡充してきたところであります。
しかしながら、離島をめぐる自然的、社会的諸条件は厳しく、いまだその産業基盤及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある状況は解消されるに至っておらず、また、人口の減少、高齢化も依然として進展しております。
一方、離島が我が国の領域、排他的経済水域等の保全等に果たす役割や、離島の豊かな自然的、歴史的環境の果たす役割は極めて大きく、かつ増大しつつあり、我が国社会経済の発展及び国民生活の充実に大きく寄与しているところであります。
また、地方分権を推進し、地域の自立を促す観点からは、地域の総合的な行政主体である地方公共団体の自主的、主体的な取り組みを促進していくことが重要になっております。
本案は、このような最近における離島の社会経済情勢にかんがみ、離島振興施策の一層の充実強化を図るため、所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、目的規定において、離島が我が国の領域、排他的経済水域等の保全に重要な役割を担っていることを明らかにすること。
第二に、地域における創意工夫を生かしつつ、離島の自立的発展を促進するため、国が離島振興計画を定める現行の制度を改め、国が作成した離島振興基本方針に基づき、都道府県が市町村の策定した案を反映させた離島振興計画を定める制度とすること。
第三に、離島振興対策実施地域に係る医療の確保等、農林水産業の振興、地域間交流の促進等に関する規定を整備すること。
第四に、平成十五年三月三十一日が時限となっている本法の有効期限を十年間延長すること。
以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。
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離島振興法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○久保委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。扇国土交通大臣。
○扇国務大臣 本法律案の御提案に当たり、委員長及び各委員の御見識に深く敬意を表するものでございます。
政府といたしましては、離島地域の現状にかんがみ、本法律案については特に異存はないところでございます。
この法律案が御可決された暁には、関係省庁との連携を図りつつ、その適正な運用に努め、離島振興対策の一層の促進に努めてまいりたいと存じます。
○久保委員長 これより採決いたします。
離島振興法の一部を改正する法律案につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立総員。よって、そのとおり決しました。
なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時四十七分休憩
――――◇―――――
午後一時三十二分開議
○久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、建築基準法等の一部を改正する法律案及び高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君、住宅局長三沢真君、文部科学省大臣官房審議官加茂川幸夫君、文部科学省大臣官房文教施設部長小田島章君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、厚生労働省老健局長堤修三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
―――――――――――――
○久保委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中本太衛君。
○中本委員 自由民主党の中本太衛でございます。
時間が少ないために早速質問に移らせていただきたいと思います。まず、大臣に質問させていただきます。
先日、私が東京駅から新幹線に乗って小田原まで行こうとしたときの話でございます。東京駅の八重洲口から新幹線に乗ろうといたしました。すると、そこで車いすに乗った方が往生されておりました。よく話を聞いてみると、新幹線の八重洲中央口からホームまでは車いすでは行けないとの話でございました。新幹線に乗るためには、南の方の入り口に行かなければエレベーターがなく、ホームまで行けないといった話でございました。
つまり、バリアフリーと言われているような建造物であっても、ふだんは自由にそれが使えないような、そんな場所にバリアフリーの施設があったり、また、よく、身体障害者のため、また高齢者のためにこの建物はできていますよといった建物でさえも、例えばトイレであれば、ふだんは、子供がいたずらするからと、かぎがかかっていたり、また、そのトイレに入るまでが段差があって、車いす、お年寄りではなかなか行けなかったりする、そういった場所が数多くあると思います。
もちろん、このハートビル法の改正は非常に大切なことだと思いますけれども、実際に、数字上バリアフリー対応になっていたりすることももちろん大切だとは思いますけれども、それよりも大切なのは、その稼働率、つまり、どのように使われているか、頻繁に使われているか、高齢者、身障者の方々が自由にそういった施設を使えるかどうか、これの方がより重要だと私は思うわけでありますけれども、大臣、御所見をお伺いしたいと思います。
○扇国務大臣 真の福祉とは何かということで、私たちはこの原点に立って、二十一世紀型の福祉政策、そういうものを、社会保障というのはどうあるべきか、私は大きな原点に立って申し上げなければいけないと思います。
そういう意味では、今、中本議員がおっしゃるように、実際に、車いすの障害者あるいはお年を召した人たち、どこへ行けばどうなるのかという、それ自体もわからないことは多々あります。
私が経験しておりますことでも、例えば地下鉄、いろいろな線が乗り入れています。例えば赤坂見附、どこへ行ったら、どの出口に行ったらエスカレーターがあるのか、どこへ行ったらエレベーターがあるのか、これも明示していないんですね。自分の行きたいところは、例えばA5ならA5です、けれどもA5にはエスカレーターがない、だから、真ん中まで戻って、またエレベーターに乗って上がって、そしてA5に近い方へ、出口に回っていかなきゃいけない。そういうところは多々ございます。
今仰せのように、東京駅等々もそういう不便さがあるというのは私は今伺いましたので、南口に行かなければエレベーターがないというようなことも、これは点検してみなきゃわかりませんけれども、あらゆるところで私も経験をしておりますので、そういう表示はなるべくするように、例えば、あらゆるところの配置と管理、そして、せっかくつくっても皆さん方の目につかないのじゃ意味がありませんので、そういうこともするようにということを私も指導しております。
また、実際に建物を使う場合、高齢者、また昨日も私のところへ赤羽議員が三人の障害者の皆さん、車いすの皆さんを連れていらっしゃいましたが、何でもないけれども、障害者の車いすでも幅が少し広いというような、身体障害の皆さん方の都合によって車いすの幅の違うのもあるということも、私も初めてわかりました。普通の車いすでは入るところでも、障害によっては車いすが少し長いもので回転ができない、そういうようなことも、昨日も現実に障害者の皆さんが私に教えてくださいました。
あらゆる面で、実際に使う人の身になって、また、設計のガイドラインを作成するというのをやっておりますけれども、その実際の設計のガイドラインをつくるときには、少なくとも設計者あるいは施設の管理者等々に広くこれを周知徹底する。せっかくつくっていても、どこに行けば何があるかというのがわからない部分もまだ多々ございます。また、どこもかも完全にまだバリアフリーもできておりません。そういう意味では、今後の二十一世紀に残された課題としては、ソフトの面では、大いに皆さん方の御意見を聞きながら、施設としても私は少しでも御利用しやすいように改正していきたいと思っています。
○中本委員 大臣のおっしゃるとおり、健常者の目というよりは、やはり高齢者、また障害者の視点に立った改正が必要だと思います。
実は私、十年前に曽野綾子さんが主催する、身体障害者の方を海外に連れていこうというような旅行にボランティアとして参加したことがございます。そこで、イスラエル、フランス、バチカン、こういった町を一緒に車いすを押しながら旅行した経験がございます。
そこで私が感動したのは、海外の建物、また町並みがバリアフリー対応になっているといったことではなくて、実は、車いすの方、また高齢者の方、そういった方がいらっしゃったら自然に手を差し伸べてあげられるような、そういった気質が海外の方には非常にできている、これに非常に感動したところでございます。
例えば、イスラエルに行ったときに、よく観光の名所として知られておりますゴルゴダの丘であるとか、またベツレヘムであるとか、そういったところは石畳になっておりまして、車いすが走るには非常に走りにくい場所であります。そういったところで、例えば段差があれば、ちょっと手をかしてあげれば車いすの方はそこを上れる、そしてさらに前の道に進める、そういったところが海外にはあるんですけれども、残念ながら、先ほど私が申しました、東京駅で車いすの方が往生されている、そういったところに手を差し伸べる日本の方は全くおりませんでした。これは、日本の、障害者、高齢者に対する意識が、どちらかというと家に置く、外出させるよりも家に置いていく、それが当たり前だといった考えがあるからだと思います。
このハートビル法は、より高齢者そして障害者の方を外出させよう、そういったためにつくるものだと思っておりますけれども、これからやはり、ハードよりもソフトの方、ソフトというのは人的な手助け、こっちの方がより必要だと私は思っております。
ですから、ハートビル法が改正されるに当たって、例えば、そういった建物に介護の人を置くだとか、また、車いすの方がその建物に入ろうと思ったら、それを援助してあげる、そういった方を置くだとか、そういった考え方が必要だと思いますし、そして日本全体の教育も、より高齢者また障害者の方に優しくと考えるような、そういった教育を行う必要があると思いますけれども、これは国土交通大臣のお答えではないと思いますけれども、ぜひとも御所見をお聞かせ願えればと思います。
○扇国務大臣 私も、曽野綾子さん、御夫妻で一年に一回必ず障害者の皆さんを海外へお連れになっているというのを存じております。大変私は尊敬できる行為であろうと思っております。
また、国土交通省としてできるものは何か。もともとバリアフリーのときに、上りだけではなくて、お年を召した方には下りの方がつらい人が大勢いらっしゃる、ですから上り下りのバリアフリーをつけるべきであるということも私は提案しました。
私は全国区でございますから、全国歩いておりまして、駅等々でバリアフリーをつける場合には、エスカレーター自体でも、一日五千人の乗降客がなければエスカレーターをつけられないということになっておりますけれども、全国歩きますと、僻地だと言われるところでも、病気療養の人とか温泉療養、お年寄りが温泉に行く、療養に行く、そういう特殊な駅が多々あるわけですね。ですから、そういうところは、老人の方とか障害者が保養にいらっしゃるんだから、私は一日五千人の乗降客がなくてもエスカレーターをつけてほしい、つけるべきであるということも強く言ってまいりました。
ある意味では、今中本議員がおっしゃるように、手助けをするということでは、私は、やはり教育が原点であろうと思っています。まして、週休二日制という、土日が休みになったという中で、これは越権行為かもしれませんけれども、一人の母親として私は、土曜日が休みになって、土日が休みになるということであれば、月に四回ある土曜日の少なくとも一日は、ボランティアでそういう障害者の皆さん方の施設に行くとか、あるいはお年寄りの介護の手伝いを見に行くとか、そういうことに当てて、小さいときから、そういう人たちに接触し、また何をお手伝いすれば喜ばれるかということを身をもって体験させ、教えていくべきである、それこそが一人前の人間として社会に出たときに大変大きな役に立つと思っておりますので、私は、文部科学省のことですから越権行為かもしれませんけれども、一人の母親としては、そういう認識を持って、何のための土日なのか、ゆとりがある教育だけではなくて、真の社会人として出ていくときに人間として役に立つ人たちを育てていただきたい、そういう希望を持っております。
そして、私はこの間も、最初でしたか、乙武さんという身障者の方が書かれたベストセラーがございますが、本当に私は、あの乙武さんの勇気というもの、まして普通人と同じように自分は自立するんだというあの意志に、私は本を読んで感動いたしました。
ですから、障害者の皆さん方も、差別されるのではなくて、健常者と同じように生きていくという、この力強い生に対する人間的な意欲というものを我々健常者も学びながら、なおかつ、我々が少しの手助けでそれをお助けすることができるのであれば、これは小さいときからその教育をしていきたいというのが原点であろうと思っておりますので、中本議員のおっしゃることには、私は、大いに賛成し、なおかつ、国土交通省としては政策の上でそれを生かしていきたいと思っています。
○中本委員 ノーマライゼーションの本当の実施の推進、ぜひとも大臣にはお願いしたいと思います。
話は変わりまして、次に、建築基準法の一部を改正する法律案に対する質問をさせていただきたいと思います。
東京はよく、混雑している、人口が多いといったことを言われております。ところが、実際には、東京の都心部、これは世界の大都市と比べて実は非常に人口が少ない状況であります。
例えば、東京の千代田区、中央区、港区、新宿区、これはニューヨークのマンハッタンと同じぐらいの面積でありますけれども、大体人口が五十万人ぐらいしかおりません。ところが、マンハッタンは百五十万人ほど住んでおります。また、東京二十三区の中で一番人口密度の高い中野区、これも人口密度一平方キロメートル当たり二万人には届きませんけれども、パリはもう既に二万人以上の人口密度があるわけでございます。
そういった面から考えれば、今回の建築基準法の改正、より多くの方を住まわせる、そういった観点から見れば、非常に推進していくのにすばらしい法律だとは思いますけれども、いささか多少の不安はあります。
今の日本の用途制限、これを考えてみますと、実は、日本の業者さんの感覚は、あるそういった用途制限、法律ができますと、例えば建ぺい率であるとか容積率であるとか、そういったものを目いっぱい使っていいだろう、そういった考え方があるように思います。バブル期の初めのころ、ワンルームマンションが投機のためにたくさん建てられた。非常に乱雑な光景が住宅地に見られた。これもやはりそういった考え方があると思います。
例えばヨーロッパであれば、地区詳細計画を立てた場合、例えば建物の形であるとか色であるとか用途、これを全く限定してしまって、大変すばらしい町並みになっているのが現状だと思います。よく外国で行われるマラソンを見ますと、非常に町並みがそろっていて、色もそろっている、形もそろっている、大変すばらしい町並みが続く光景がテレビを通して見られますけれども、例えば日本で箱根マラソンを見ると、乱雑な町並みがずっと続いている。この姿は非常に情けないなと私自身は思っているわけでございます。
今回は、こういったことに対しまして、都市計画の提案制度、これを創設され、そして、その地域の方々によって、そのまちづくりの提案ができるということでございますけれども、本当にそれが、地域の景観のため、そして住みやすい住民のための提案ができるのであるかどうか、そのところを澤井局長、ちょっとお聞かせ願えないでしょうか。
○澤井政府参考人 仰せの良好な都市景観を形成していく上では、あらかじめ明確なそうした建築のルールづくりを行うということは非常に重要だと思っております。
こうしたルールづくりの手法としては、例えば美観地区ですとか、高度地区といった地域地区の制度、あるいは近年急速にその策定件数がふえております地区計画の制度がございます。この地区計画は、一般的な用途・容積制限に加えまして、建築物のデザイン、形態等のルールについて細かく規定することが可能な制度でありまして、近年、先ほども言いましたけれども、件数が非常にふえている状況にあります。
今回、都市計画の提案制度を創設することによりまして、土地所有者の皆さんなどがこうした地区計画の制度の活用をみずから提案することができるということになります。これが、提案された案が都市計画として決定されますれば、その決定された都市計画をみずからのものとして実現していこうという力も高まっていくと考えておりまして、より主体的に良好な景観の形成の促進という動きにつながっていくことを期待している次第でございます。
○中本委員 こういった建築基準法の改正によりまして建物を建てるときの緩和がなされると、私、もう一つ思いますのは、中高層の住宅が多くなるに従って、やはり緑の充実を図らなければならないなと思っております。
そこで、日本の都市公園の状況を考えますと、都市公園法というものがありまして、その法律によりますと、「区域内の都市公園の住民一人当たりの敷地面積の標準は、十平方メートル以上とし、当該市町村の市街地の都市公園の当該市街地の住民一人当たりの敷地面積の標準は、五平方メートル以上とする。」と書かれております。ところが、それを満たしている市町村、実際のところ、ほとんどありません。そして、満たしているとすれば、東京や大阪の、住宅地ではなくて、実はど真ん中なんですね。例えば東京であれば、一番都市公園が充足しておりますのは千代田区であります。こういったところには緑が多い。そして、住宅地には、実は、庭つき一軒家はあっても、公共の庭である公園というものが非常に少なくなっているのが現状だと思います。
そこで、東京近郊に住まわれております、横浜を仕切っております菅政務官に質問したいと思います。
横浜も非常に公園には力を入れていらっしゃる。ところが、やはり横浜とて、横浜の中心地域には公園が多くても、実際のところ、住宅地には公園が少ないといった状況であると思います。これから、住宅地に都市公園、また緑をふやさなければいけないと思っておりますけれども、自民党の横浜市連会長菅政務官、ぜひともこれに対して意見をお聞かせください。
○菅大臣政務官 同じ神奈川県出身のよしみであえて私の選挙区に言及をいただきまして、感謝をしながらお答えを申し上げます。
今中本委員言われましたように、確かに横浜には、山下公園だとか港の見える丘公園だとか、いろいろ全国的に有名な公園は多いわけでありますけれども、実際に三百五十万人も人口がおりますと、人口一人当たりの公園面積というのは全国でも最下位に近いほど緑がないわけでありまして、前市長もこれは大変努力をされておりました。
そういう中で、これは何も横浜ということではなくて、都市部においては、住宅の近くに公園の整備やあるいは緑地の保全、こうしたものをやはり積極的に行っていくべきだろうというふうに思っておりますし、私どもも、ぜひそういう都市には全面的に協力していきたい、こう思っています。
○中本委員 どうもありがとうございました。終わります。
○久保委員長 井上和雄君。
○井上(和)委員 民主党の井上和雄でございます。
三十分間、建築基準法の改正に関してお伺いしたいと思いますので、大臣、皆様、よろしくお願いいたします。
実は、きょうの毎日新聞、これは十二時に流されたニュースなんですけれども、インターネットで手に入れました。新築の校舎で全校生徒の半数近くがシックハウス症候群を訴えるという記事でございます。
これは、高知県の町立の中学校で新築校舎の使用を始めた直後に、全校生徒約二百四十人の半数近くがシックハウス症候群と見られる症状を訴えていたということがわかった。どうも四月から学生さんたちがいろいろな症状を訴えていたということです。
それで、町の教育委員会などによると、原因とされる化学物質ホルムアルデヒドの濃度も、最高で厚生労働省の指針値の約五倍が検出されていた。換気扇などを取りつけて対応していて、現在、症状を訴える生徒はいないが、最初に症状を訴えた女子生徒一人は転校したということです。女子生徒が昨年の六月に発熱や発疹を訴えたために、県教育委員会の指示で県の衛生研究所が教室内の空気の揮発性有機化合物の濃度を調査して、非常に高い濃度のホルムアルデヒドが検出されたということです。これはきょうのニュースなんですけれども。
きのうの同じ毎日新聞のニュースには、保育園の仮設の校舎で四人の保育士がシックハウス症候群になって、日本で初めて労災認定を受けたということが報道されています。これは大阪の堺市で、たまたま保育園が改造ということで、仮設のプレハブの園舎をつくってそちらに移っていたところ、職員十一人と園児十五人が目や鼻の痛みを訴えた。検査をしたところが、ホルムアルデヒドが放出されやすい建材が使われているということで、高濃度のホルムアルデヒドが検出されたということなんですね。
そのシックハウスということ、余りこれまでなじみがなかった病気なんですね。だけれども、どうも住宅が原因で病気になっている方が約五百万人ぐらい今日本にいるんだというふうに言われています。どうも原因はホルムアルデヒドなどの化学物質を放出する建材や内装材で、要するに、いわゆる化学物質過敏症にかかったり、また、ダニとかカビでアレルギーにかかったり、そういう方たちが非常に今はふえているということです。
今回の建築基準法の改正の中にはシックハウス対策というのがありますけれども、こういったシックハウスが起こらないように、化学物質の発散をするような建築材料を制限しようということですけれども、一体どのような化学物質が対象になるのか、お伺いしたいと思います。
○三沢政府参考人 今回の建築基準法改正案では、まず、ホルムアルデヒド、それとクロルピリホスの二物質について規制をすることとしております。これは、これらの化学物質は発生源が特定されておりまして、かつ発散量と室内濃度との関係がほぼ明らかになっているということから、建材及び換気設備の具体的な基準を定めることが可能であるというふうに判断できるためでございます。
一方、それ以外の、例えばトルエン、キシレン等でございますけれども、これは、ホルムアルデヒド等と比べて、発生源となる可能性のある、例えば建材、家具あるいは家庭用品等、極めて多種多様でございまして、まず、発生源の特定が必ずしもできていない、それからもう一点、そういう発生量と室内濃度との関係も明らかになっていないということから、直ちに具体的な基準を定めることは困難であるということでございますので、これは、できるだけ関係省庁と連携しながら、こういう発生源の特定、それから発散量と室内濃度との関係について調査を急ぎまして、これらの調査結果が明らかになった段階で順次規制対象に追加していくという考え方でございます。
○井上(和)委員 ホルムアルデヒドとクロルピリホスですか、要するにシロアリの除去に使う化学物質ですけれども、この二つに関して制限するということですけれども、厚生労働省では十三の化学物質に関して室内濃度の指針値というのを決めているわけで、三沢局長がおっしゃったようなトルエンとか、そういうものも当然何らかの対策をとらなきゃいけないということは確かだと思います。文部科学省の方では、現実に、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、それにパラジクロロベンゼンですか、この四つの化学物質に関して、学校の施設に関しては基準を示しているわけですね。ということは、今回のシックハウスの対策というのは非常に不十分で、これだけだったら、どれだけ効果があるか、はっきり言ってわからないということですよね。
そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、この法律ができたら一体どの程度シックハウスの患者を減らせるのか、この法案で国民の健康を守ることができるのかどうかということをちょっと御説明いただきたいんです。
○扇国務大臣 井上議員がおっしゃいました新聞の記事は私はまだ拝見しておりませんけれども、少なくとも今回法案を出したその原因、起因するところ、それは、今までの、るるシックハウス症候群があると言われておりまして、今井上議員も図らずもおっしゃいましたけれども、本来、現時点では、このシックハウス症候群というものが、まだ、はっきりした、これからこれだという原点が見つかっておりません。今回の改正案によってシックハウス症候群がどの程度減少するか、これは、今言ったように原因がはっきりいたしませんので、医学的にも詰められておりませんから、それを示すことは現段階で私の口からはできません。
ただ、今仰せになりましたように、政府としては、通常の化学物質の室内濃度、これは厚生労働省の指針がございますけれども、今十三あります化学物質の中で、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、そしてテトラデカン、今回の規制の中でこれだけを出したわけです。それは、御存じのとおり、室内材の施工の塗料等々に含まれているということで、スチレンなんというのは断熱材でございますし、また、パラジクロロベンゼンというのは衣類の防虫剤等にもあるということでございます。
これらのことによって、私は、少なくとも、今回の法規制の対象とする今お話しのホルムアルデヒドとクロルピリホスの二物質で、政府としては、室内の空気の汚染というもので健康に影響を生じるというふうに認められた化学物質については、最終的にはすべて規制の対象とするが、様子を見る。そして、トルエン等の化学物質については、関係省庁と連携しなければ、これは国土交通省だけではできませんので、精力的に調査を進めて、順次、規制対象というものを追加することによって、さらにシックハウス症候群というものは減少していくであろうということの対策の一つであると御認識賜りたいと存じます。
○井上(和)委員 まさに大臣がおっしゃったように、今回のシックハウス対策、政府として提出しているこの法案というのは本当に不十分なもので、シックハウス症候群の原因のわずか二化学物質だけに関して取り組んでいるんだということですよね。ところが、民間の方では、非常にシックハウス対策というものに関しては関心を持っている。つまり、国民が非常にシックハウスのことを心配しているということを反映していると思うんですね。
私は、ここに「住宅情報」という雑誌を持ってまいりました。これは、首都圏の分譲マンションとか分譲住宅を紹介している雑誌です。これは、ことしの四月十日号でございます。私はこれを見ていましたら、出ているんですよ、何とかマンション、固有名詞は申し上げませんけれども、写真が出ていて、キャプションが、「閑静で緑ゆたかな環境。 シックハウス対策を施した健康仕様マンション」といううたい文句が出ているわけですね。
細かい内容を見ますと、今回政府が規制をかけようとしているホルムアルデヒドの放散量の少ない壁紙を使うとか、ふすまの心材には秋田杉の無垢材を使うとか、内装の仕上げなんかにも、フローリングなんかにもホルムアルデヒドの放散量が最も少ないFc0ですか、そういうものを使う、そんなようなことがうたわれているわけですね。つまり、こういう広告が出てくるということは、消費者がシックハウスに関して非常に心配しているというわけですよね。
そこで、こういう健康仕様マンションというのが本当にシックハウスに関して安全なのかどうかということを、三沢局長、どういうふうにお考えか、お答えいただけますか。
○三沢政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、ホルムアルデヒドとクロルピリホスの規制を今回導入するわけでございますけれども、それ以外にもいろいろな化学物質がございますので、これらの物質について、他の化学物質についてまで、今すべて衛生上支障のない状態になるということは、申し上げられないと思います。
〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
○井上(和)委員 ただ、局長、僕がお伺いしたのは、このマンションが本当にシックハウス対応になっているか、つまり、化学物質がないマンションかどうかというのは調べる方法はあるわけですよね。どうでしょうか。
○三沢政府参考人 これについては、要するに、今回、建築基準法で二物質については基準を示して、しかも、それに合致しているかどうかということは、きちっとチェックいたします。他の物質については、これは、こういう建築基準法の規制というのは、具体的に基準値ができていませんので、ですから、それについて適合している、していないということをあらかじめ申し上げることは、もちろんできないわけでございます。
ただ、直ちに規制することは困難でございますけれども、規制を導入する前の段階においても、できるだけこういう物質を使わないで建築していただくということは非常に大事なことでございます。これにつきましては、私ども、設計とか施工者向けのガイドラインをつくりまして、そういう他の化学物質につきましても、できるだけ発散のおそれのない建材の使用の促進をしていただく、そういうことを盛り込んで、それをまた建築をする住宅生産団体等にも周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。
○井上(和)委員 この化学物質、少なくとも、厚生労働省が言っている十三の化学物質に関しては、余りたくさんこれを吸い込むと危険だということが、人体に有害であるということが言われているわけですね。今回は二物質だけで、それ以外に関してはもう少し研究が進むまで待ちましょうということが今の政府のお考えだと思うんですが、例えば、もう既に民間の方ではこういうマンションが売り出されているし、消費者も非常に関心が高い、これは自分たちの健康を守るということですから。だったら、そういう消費者の要望にこたえていく、そしてまた、何らかの規制によって国民の健康を守っていくということが本当に緊急の課題であると思うんですね。
つまり、例えばこういうマンションでも、濃度測定をすれば、すべてわかるわけですよね。どうでしょうか。
○三沢政府参考人 濃度を測定するということは、もちろん可能でございます。ただ、問題は、濃度測定をいわゆる規制の基準として用いていくかどうかということについての大変技術的な難しさがあるということでございます。
化学物質の室内濃度というのは、先生御承知のとおり、建材とかそういう建物の構造上の条件だけではなくて、測定時の気象条件によってかなり変動するものでございます。したがいまして、例えば化学物質の発散量がかなり多い建築材料を用いた場合であっても、測定時点の気温とか風速とか、そういう条件次第ではその基準を満たしてしまう、そういう可能性もあるわけでございます。したがいまして、非常に残念でございますけれども、現在の技術では、そういう濃度の実測値を規制の基準として用いていくということは非常に困難であると考えております。
ただ、先ほど申しましたように、濃度を測定することは可能でございますし、それからそれを例えば情報として用いていく、これはやはり有益なものというふうに考えております。したがいまして、国土交通省といたしましては、住宅の品質確保法に基づきまして住宅性能表示制度がございますけれども、この性能表示項目の中に、室内の化学物質濃度の実測値等の表示というものも昨年追加いたしました。こういう性能表示制度を使っていただくということによりまして、こういう濃度に関する情報を得て、消費者の方がまた的確に判断していただく、このためにこういう制度が利用していただけるように、積極的な普及促進に努めていきたいというふうに考えております。
○井上(和)委員 私たち民主党では、参議院におきまして、医師である櫻井充参議院議員を中心として作成した議員立法、シックハウス法案を提出いたしまして、今回審議していただきました。大臣にもいろいろ御答弁いただきましたけれども。
政府の入り口規制、つまり材料で規制するというのも一つの方法だと思うのですけれども、しかし、その家がシックハウスにならない住宅なのかどうかということは、やはり住む方は本当に知りたいし、そして、今これだけ五百万人もの多くの患者が出ている現状を考えると、やはり出口規制ですか、つまり、濃度をしっかりチェックして、国民が健康で安全な家に住めるようにするということが一つの大きな課題だし、これは理想かもしれません。おっしゃるように、技術的に測定の問題なんかあるかもしれないけれども、やはりその理想をしっかりと追求していく必要があるんじゃないかということを申し上げたいと思います。
あと、最後にちょっと一点だけ。これは質問通告してないんですけれども、今回、一応換気もあわせて規制していくという、換気が必要だということをうたっているわけで、具体的にどういうことなんですか。ちょっとはっきりわからないので、御説明いただけますか。
○三沢政府参考人 換気の問題というのは、要するに、最近非常に気密性の高い住宅がつくられているわけでございます。今までの在来木造のように、風の出入りが、非常に通気性のいいものであれば換気の問題はないわけです。ところが、非常に気密性の高いものでありますと、仮に、例えばホルムアルデヒドの使っている量が非常に少ない建材を使っても、それが、換気がないために、長い間、どうしても蓄積してしまうという問題がございます。そういたしますと、建材の方で非常に抑えても、そういう物質が少ないものを使うようにそっちの方の使用量を抑えたとしても、あわせて換気設備をきちっと設けないと、やはり健康上支障が出てしまうということでございます。
したがいまして、今回、建材の使用とあわせてそういう換気設備の設置も義務づける、通気性のあるものはいいわけでございますけれども、そういう気密性の非常に高いものについてはそういうことにする。
換気設備というのはどういうものかといいますと、非常に低風量で、いわゆる二十四時間換気ということで、使っているときに余り風当たりが強いということじゃなくて、非常に長い間使えるような、そういう設備が現実に開発されておりますので、そういうものをあわせて義務づけるという趣旨でございます。
〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
○井上(和)委員 建材として化学物質がないものを規制して、さらに、それだって換気がなきゃやはりだめですよというんじゃ、何となく国民として、では何のために建材を規制しているのか、本当にそれが有効なのかという疑問を持たざるを得ないんじゃないかと思うのですね。ぜひちょっとその辺を指摘させていただいて、次の問題にかえたいと思うのです。
今回の建築基準法の改正に関連しまして、私も、地元とかいろいろな方に、どういう問題がありますかというふうにちょっといろいろお伺いすると、豊島区に住む方から、近所にペンシルビルができて、ちょっとマンション紛争になっているんだという話を伺いました。私も、細かく話を聞いたら、ちょっとこれは問題があるなというふうに思いましたので、ちょっとここで取り上げさせていただきたいんですが。
その土地の面積というのが、敷地面積は六十一坪なんですね。建築の面積、つまり建物の一階の面積というのは二十四坪、約八十平米ですね。そのマンションの高さが、何と十三階建てで三十八メートルなんですね。私は驚いたんです。本当にこんなのが建つのかと思って調べると、商業地域で容積率四〇〇%ですから、建つんですね。きのうも国交省の方がレクにいらしたときにそんな話をしたら、それは合法であるというようなお話を伺ったんですけれども。
それで、住民の方が、地震のとき倒れてくるんじゃないかというふうに心配していると。恐らく、そう言うと、皆さんそんなことはないだろうというふうに思うのですが、実は、私の親戚がニューヨークの世界貿易センタービルの八十二階でずっと勤務していたんです。その当時から、もう前から勤務していまして、二つビルがあって、一つ倒れてくるんじゃないかといつも不安だったということを言っていたというんですね。現実に、昨年の九月十一日に、八十二階にいたものですから逃げおくれて、いまだ行方不明なんですけれども。
だから、やはり住んでいる方から見れば、それは建築基準法から見ても合法だし、絶対そんなことありませんというふうには言われるんだけれども、やはりそれは、どうなるか、何が起こるかわからないし、見て不安感をかき立てるような建物が本当にそういう地域にふさわしいものかというのは、一つ大きな問題だと思うのですね。
だから、建築基準法の改正をするとき、やはりこういったような非常に矮小な敷地に非常に高いものを建てる、つまり、これは景観から見ても問題がある、こういったものを規制していく必要があると思うのですが、この問題に関しては、局長、いかがでしょうか。
○三沢政府参考人 お尋ねのようないわゆるペンシルビルの建築による環境の悪化を防止するということにつきましては、二つの方法があるというふうに考えております。一つは、建築物の建築面積、つまり建坪そのものを制限するという方法、それからもう一つは、やはりなぜそういうペンシルビルが建つかというと、非常に敷地が細分化されている中で土地を目いっぱい使おうとするとそういうことが出てきているということで、建築物の敷地面積を制限するという方策がもう一つあろうかと思います。
一つ目の、建築面積の制限につきましては、まさに先生、それが地域にとってふさわしいかどうかと言われましたけれども、そういう観点から、地域によって高度利用地区であるとか地区計画といったものを活用いただいて、ここでは建築面積の下限はここまでですよ、これ以上小さくしてはいけませんよという制限を定めることが可能でございます。
それから、もう一つ、敷地規模面積制限につきましては、今回の基準法の改正の中で、今まではそういう最低敷地規模面積につきましては低層住居専用地域だけしか規制ができなかったわけでございますけれども、これはそれ以外の地域でもできるということで、拡充することにしております。それによりまして、都市計画の中で、ここでは敷地規模は下限はここまでですよ、幾ら小さく詰めてもここまでですよという値を定めて、敷地の細分化を防止するということができるようにしております。
まさに、こういう方策をそれぞれの地域に合わせた形でお使いいただくということが非常に大事であるというふうに考えております。
○井上(和)委員 でも、この場合も住民の方が、もうどうしようもないと。つまり、相談も乗ってくれないし、法律的には建築確認をとっているわけですけれども、どうしようもないという状況なんですね。
今回の基準法の改正の思想というのをちょっと私は考えてみたんですけれども、一つは、住民主体のまちづくり。これは、都市計画の提案制度、NPOが提案できるとか、そういう制度がつくられているわけですね。もう一つは、容積率や建ぺい率制限などの選択肢を広げて、地域に合ったまちづくりを目指す。これはいいんですね、地方分権の流れに合っているし、まちづくりを自分たちでつくるという考えは非常にいい。もう一つは、土地の有効利用ということで容積率や斜線制限を規制緩和していく。この二つがあると思うんです。
しかし、現実にNPOなんかの提案制度を考えても、例えば五千平米以上という面積でなきゃいけないし、現実に、提案をしたりまた地区計画をつくるというのはかなり時間がかかることですね。しかし、実際には、もうこの法律が施行されれば、今回の総合設計制度に準ずる制度のように、自治体の許可がなくたって建築確認がすぐとれちゃう、容積率も一・五倍まで緩和される、斜線制限もなくなってしまう、そういうわけですよ。そうなると、こういう今のようなペンシルビルだってどんどん建っていくようなことになってしまうわけですね。理想的には、それは地区計画ができればいいけれども、それはそんな簡単にはできない、すぐにはできませんから。
だから、表面的には非常にいいことは言っているんだけれども、現実的には地域を、町を壊していく。つまり、規制緩和が主体のまちづくりになってしまうというふうに私は思うんですけれども、その住民参加の問題に関してはいかがお考えでしょうか。
○三沢政府参考人 いずれにいたしましても、この地域においてどういう建築物がどこまで建てられるか、どういう形が望ましいかというのは、やはり、あらかじめルールとして都市計画等で決めていただくということが必要であるというふうに考えています。まさに、その都市計画の手続の中で住民参加という形で参画をしていただくというのが本来の姿でございます。
今回は、まさにそういうことを前提といたしまして、例えば容積率や建ぺい率の具体的な数値を都市計画の手続で選ぶ場合の選択肢を拡充したり、あるいは日影規制についても条例で規制する場合の選択肢を拡充するという形で、そういう選択肢を用意しているものでございます。
それから、先ほど容積率制度の緩和の話についてお話がございましたけれども、これも、ペンシルビルをどんどんつくるという趣旨ではなくて、まさに地域の特性に配慮しながら、一定の敷地規模とかあるいは空地規模という、いい環境が確保できるという場合においてそういうことができるという仕組みでございますので、そういう意味では、先生おっしゃるような、今回の改正がいわゆる住環境の悪化とかそういうものにつながるという性格のものではないというふうに理解しております。
○井上(和)委員 それでは、この法律の本当の根本的な精神に戻って、今回の法律の施行をぜひ一年間おくらせていただきたいと思うんですね。そうすれば、町がそれこそ地区計画をちゃんとつくって、自分たちのまちづくりを考える時間がある、そして自治体も準備ができると思うんですね。ぜひそれを大臣にお願いして、私の質問を終わります。
○久保委員長 奥田建君。
○奥田委員 民主党の奥田建でございます。
井上議員に続きまして、私の方は、ハートビル法改正の方を中心に質疑させていただきたいと思います。
その前に、井上議員の質問を聞いていてふと思ったので、住宅局長に、突然ですけれども、少しお答えいただきたいんです。
井上議員の方も、シックハウス、皆さんも、病気としては認められたけれども、その原因の確定というものがなかなか難しい、そういった病気であると。住宅が原因であるという話では、私、建築屋でしたので、住宅も原因ではありますけれども、私は、単純に化学物質が原因であるということを言っていただきたい。そして、この化学物質、確かに住宅の複合生産物として大変な問題があるのは現実でございます。学校あるいは病院といった公共施設、しかも、お子さんや健康を預かるといった建物では、そういったことはなかなか許されざるべきことだと思っております。
今、そういった一つの病気としてのシックハウス症候群を抱えた人たち、こういった方たちが、自分たちの身を守るときに、では民対民の取引として自分の家を建てる、そういったときに、どういったことで自分たちを守っていけばいいのか、住宅局の、住宅をつかさどる行政として、少しお知恵があれば御答弁をいただきたいと思います。
○三沢政府参考人 一つは、やはりそういう事態が起きないように未然防止を図っていくということが非常に大事でございまして、今回の建築基準法改正はまさにそのことを目的にしておるわけでございます。
それからもう一つは、具体的にそういう問題が起きたとき、やはりいろいろ相談に乗れるような体制をつくっていくということが非常に大事でございまして、これにつきましては、例えば公共団体でいろいろ住宅の、住宅センター等相談窓口でも、やはりシックハウスに関する問題の相談がふえております。それから、今回の品確法に基づきます紛争処理をするための紛争処理支援センターというのもございますけれども、そういうところでもいろいろな紛争相談というのはふえております。
現在、そういう紛争処理センターの方でも、例えば、やはりかなり専門的な話でございますので、専門家のアドバイスが受けられるような体制も含めて相談窓口をつくるというようなことで、かなり体制の充実を図っておりますけれども、そういうことも含めまして、先ほど民対民の関係と申し上げましたけれども、なかなか民事的なことについて、すぱっとしたあらかじめの解決方策というのはなかなか難しい点がございますけれども、できるだけそういうのには相談に乗って、アドバイスをしてあげて、こうしたらどうでしょうかということを言ってあげられるような体制づくりを進めるということが大事だと思っております。
○奥田委員 確かに、民と民のところに深く介入することは難しいと思います。例えば、まず最初には、こういった健康に害があるということが科学的知見で示された物質は、やはりいろいろな製品から排除することにもっと努力しなければいけない。今、JIS法の改正といった中で、製品に使われることあるいは世の中に使われることを抑えようとしている。しかしながら、経産省の方で質問に立っても、科学的知見という言葉の中で全部制限されてしまう、行動を。
先日も、土壌汚染という中で化学物質の話をしました。同じような法律ができても、日本の場合、制限されるのは、ちょっと私もうろ覚えで数字が間違っているかもしれませんけれども、二十数物質、アメリカの場合はその対象となる化学物質が千物質を超える。こういった土俵が違うところで同じ法律を、似たような法律を運用していこうとしている。科学的知見を言うのであれば、やはり、欧米に追いつくあるいは追い越す、そういった科学的知見の積み重ねをしないと、どれだけ議論していてもスタートラインが違う、そういった流れになってしまう。
ぜひとも、こういった化学物質に対しての正しい知見というものを政府の方もしっかりと持ってこの問題に取り組んでいただきたいと思います。
今国会、ハートビル法の方でいえば、障害者関係の法律で、障害者の雇用の促進法の改正、あるいは身体障害者の補助犬法の改正といったものがあります。これは厚生労働省の所管ということでありますけれども、その二つの法律とともに、今回のハートビル法改正というものは、まあ障害者に限ったことではありませんけれども、障害者の一つの社会参加に対して前進を促す法律であると思っております。
ちょっと法律とは違いますけれども、厚生労働省の方にも来ていただいておりますので、一言お答えいただきたいと思います。
今、障害者の雇用促進の法律の改正がございました。しかしながら、視覚障害者に限った話になるかもしれませんけれども、あんま、はり、きゅう、あはき法という法律の上では、そういった一つのハンディキャップを負った方が社会的に自立して、そして生活の糧を得る、その職業を守る条文がございます。今、一つの専門学校、これは柔道整復師の方ですけれども、専門学校の新設の裁判所の判決が出てから、その判決の後に、そういった視覚障害者が中心であった、あんま、はり、きゅうといった資格のところにも多くの専門学校、そして多くの卒業生が生まれております。
こういった問題について、政府には、しっかりと条文にも行政の権限といったものが書いてありますけれども、その権限の発動といいますのは、そういった学校の一つの制限、こういったことを行っているのか、あるいは行う意思があるのか、お答えをいただきたいと思います。
○篠崎政府参考人 ただいま先生から、視覚障害者の件について御質問がございました。
今先生申されましたように、私どもでは、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律というものがございまして、その第十九条に、はり師、きゅう師の規定を加えるというようなことが今請願で出ていることも承知いたしておりますけれども、先ほどの柔道整復の判決のところでも述べられておりますが、そういうことを加えるというようなことにいたしますと、養成施設の設置者や、あるいは、はり師、きゅう師免許の取得を希望する方々の権利を制限することになるのではないかというような御意見ですとか、あるいは、現時点ではいろいろな関係者の合意が形成されていないというようなことから、御指摘のようなことについては、なお慎重な検討が必要なのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
しかしながら、視覚障害者の就業機会の確保を図ること、これはまた大変重要なことであると考えておりまして、今後とも、視覚障害者に対する雇用支援策も含めた社会参加の促進に鋭意努めてまいりたいと考えております。
○奥田委員 ぜひ、今の御答弁のとおり、条文の方には、そういった学校の認定あるいは定員の増加について承認をしないことができると、非常に制限的な条文ではありますけれども、これも視覚障害者の方々の自立と生活を支えている、その下支えがあってできている条文だと思っております。
ぜひとも健常者よりは、ほかの新しい、どんな医療の世界に入るのか、ちょっとその範疇が中間になっているカイロプラクティックとかあるいは東洋医療、中国医療、ヨガ、アロマテラピー、そういった新しい医療の分野もありますので、ぜひとも、その障害者の特性を生かせる分野というのはある意味で守っていただきたいと、私の方からお願いをさせていただきます。
さて、法案の方に入ります。
今、中本議員の方からも、ノーマライゼーションの、自然にどんな方々も普通に生活ができる、そういった社会を求めると。私も、こういったことが法律じゃなくて自然にできる世の中になればいいというのは、皆さん方もまた共通の感覚かと思っております。しかし、建築のバリアフリー法が、法律の上でとはいえ一歩前進したというのも確かなことであると思っております。
今回、この対象範囲が拡大された中で、老人ホームといいますか、特定養護老人ホームなどがこの対象範囲に入っております。この前から病院というのも特定建築物の中で入っておったのでございますけれども、今また養護老人ホームを入れた理由、あるいは、これを対象に入れることによって施設がどう変わっていくのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
○堤政府参考人 特別養護老人ホーム等でございますけれども、今まではハートビル法の規制の対象となっておりませんでした。ただ、今回の改正案では、規制の対象が、不特定かつ多数の者が利用する建築物という定義から、不特定というのが落ちまして、多数の者が利用する建築物というふうに拡大されましたので、多数の高齢者が利用する施設として、新たな規制の対象に特別養護老人ホーム等の老人ホームが追加されたものというふうに理解をしております。
特別養護老人ホームのいろいろな設備等の基準につきましては、老人福祉法に基づいて、生活の場としてふさわしい設備基準を既に定めておりまして、そういう基準に従って、既にお年寄りの皆さん方は施設を円滑に御利用いただいているわけでございます。こういう取り扱いは、今回のハートビル法の改正案によって対象に加えられましても、実質的には変更はないというふうに理解をしておりますし、また、ハートビル法で新たに具体的な基準が定められる場合には、私どもといたしましても、老人福祉法の基準と整合性がとれるように、国土交通省ともよく連携をとって対応してまいりたいと思っております。
○奥田委員 私も同感で、余りこれが法案の説明の文書の中に立派に書いてあっても、病院には医療法があり、施設には老人福祉法がある。その中でいろいろな設置基準が設けられていて、それらはすべて、今のハートビル法で要求されるようなことは当然クリアしている、それ以上のことをクリアしている。反対に、ハートビル法に、もっとバリアフリーの考え方やあるいはそういった施策といいますか基準を、教えるような法律であるべきものをこちらの方に入れている。施設は変わるのかといったら、変わらないでしょうと、新たなハートビル法の基準ができればそれを反映させるということはあるかもしれないけれどもというくらいの答弁でございます。
一つ、介助犬法の場合には、介助犬を伴っていることによって特定建築物の利用を拒むことはできないという一文がありました。もし、今のように、医療法や老人福祉法とハートビル法、別々の法律でそういった施設条件というものを並列して書くことができるということであれば、今回のハートビル法においても、多くの障害者の方が求めている、身体上の機能を理由として特定建築物の利用を拒むことはできない、こういった条文をこの法律の中に入れることはできないんでしょうか、住宅局長。
○三沢政府参考人 もともとハートビル法は、基本的に、建築物をつくるときの基準を定めるということでございますので、その使用の問題についてこの法律の中で引き受けるというのは非常に難しい点がございます。
ただ、当然のことでございますけれども、先ほども大臣の御答弁がありましたように、そういう実際の使い方、ソフト面での対応というのは非常に大事なことでございますので、私どもは、この法律改正の施行の際、いろいろと業界団体も含めて周知徹底を図ることにしておりますけれども、その中に先生おっしゃったような趣旨も含めて、ぜひ周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。
○奥田委員 交通バリアフリーのときにも、施設の単なる基準を決める法律ではなくて、移動の権利というものがどういうふうに反映されるかということが大事な論点だったんです。今の建築物においても、こういった社会施設、不特定多数という多くの人が利用できるそういった施設を不自由なく使うことができるか、そっちの方が論点なのであって、廊下の幅がどうだとか、入り口の幅がどうだとか、それは附帯してくるものであって、根底の思想というものが法律の上に反映されてもいいと私は思いますし、当然のことだと思います。これからの法律は、これで私は終わりだと思っていませんので、ぜひとも、これからの改正の中で御一考いただきたいとお願いするものでございます。
厚生労働省の方、結構でございます。ありがとうございます。
次に、文部科学省の方に質問をしたいと思います。
義務化を求める中で、教育施設、学校施設というものも大きな論議を呼んでいた一つだと思っております。学校教育施設、その前のハートビル法ができるときもそうだったと思いますし、今度の改正のときにおいてもそうだと思います。この義務化をできない理由というのを金銭面以外で言っていただきたいと思います。
○小田島政府参考人 お答えをいたします。
学校施設といいますのは、障害のある児童生徒等も支障なく学校生活を送るということが大切でございますし、さらに、災害時には地域住民の避難場所としても計画されていることがありますので、学校施設のバリアフリー化を進めることは大変重要だというふうに認識はしてございます。
今回のハートビル法改正のために国土交通省に設置されました建築物バリアフリー検討委員会には文部科学省も参加いたしまして、その報告書の中では、ハートビル法の対象とすべき建築物につきましては、福祉施設、学校、共同住宅など、多くの国民が利用する建築物も対象とすることが望ましいという提言をいただいております。
それを受けまして、今回のハートビル法の改正案の中では、この検討会の提言を踏まえまして、学校については、従来、委員御指摘のように、特定建築物の対象とはなっていなかったものでありますけれども、新たに特定建築物の対象とすることとなりましたので、バリアフリー対応の努力義務を求めているということにつきましては、文部科学省としては適切な法改正であると判断をしております。
なお、しかしながら、学校施設は不特定多数の方々が利用する施設ではなく、また高齢者が常時利用する施設でもないものでございまして、また市町村や学校法人など設置者の財政状況もいろいろ異なっておりますことからして、設置者によっては直ちに履行できないことも想定されますので、学校施設へのバリアフリー化を一律に義務づけることは困難であると判断しているところではございます。
○奥田委員 学校の方も病院と同じように設置基準というのを独自に持っているはずです。例えば学校の廊下なんか、あるいは入り口、本当に多くの児童が利用するということで広々ととられている。このバリアフリー法、私の認識が間違っていなければ、そんなに難しいものではなくて、出入り口、アプローチ、通路、廊下、あるいは階段、そしてトイレ、昇降機、そういったところについての基準を設けているだけなんです。これは何ができないんですか。学校の基準でできないのは昇降機ぐらいで、駐車場にしても全部できることばかりだと思うんですよ。一つ一つ項目を挙げて、何ができないことなのか言ってください。
○小田島政府参考人 学校独自にバリアフリーの基準というのを設けてはございません。ただし、文部科学省としましては、現行のハートビル法制定時に通知を出しまして、ハートビル法の第三条に規定されております高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするための特定建築主の判断基準を参考として、より有効な配慮がなされるよう地方公共団体等の設置者に対して要請をしてきておるところでございます。
この結果、エレベーターとか身障者トイレなど、何らかのバリアフリー化が整備なされている学校数は、全国の公立学校数の中の割合で申し上げますと年々増加してきておりますが、平成十三年度の調査では約五三%に伸びてきているところでございます。
なお、現行のハートビル法の基準に照らし合わせてみますと、学校施設につきましては、やはりスロープとか身障者用トイレ等の設置率は割に高いのでございますが、エレベーター等につきましては設置率が低いという状態になっております。
○奥田委員 エレベーターというものにつきましては、確かに、できるできぬ、その利用頻度からいえば、まだ課題なのかもしれません。しかしながら、こちらの、学校設備の整備指針策定に関する協力者会議とか、そういった指針においても、第一章でしっかりと「施設のバリアフリー対応」ということを書いてある。「障害のある児童、教職員及び学校開放時の高齢者、身体障害者等の利用に支障のない計画とすることが重要である。」まあ、重要であるという、その言葉がちょっとくせ者なんですけれども。そういうことをきちんと、自分たちの調査機関といいますか、意見提案をする中で言っている。
今、施設の五三%ぐらいが今の基準に対する整備がされているという御報告がありましたけれども、せめて、新設する建物、こういったものは、当然、障害者トイレであってもすべてクリアしていただきたいと思います。スロープにしたって、最初にやれば、そんなにお金のかかることではないです。改修してやったらどんなにお金がかかるか、手間がかかるかということは、もう皆さんの方がずっと御存じのはずです。エレベーターについても、できないにしたって、次に予算がとれたり、あるいは必要に迫られたときには、どこにエレベーターを設けるのか、そういった設計図の上での計画ぐらいは立てられるはずなんです。だから、実施できないときには、実施するときにはどうするかという計画書をもってそれにかえるとか、知恵とやる気があればいろいろな対案というのは出てくると思うんです。ぜひともそういった意欲のある方向性を文部科学省にも示していただきたいと思います。
建物の寿命はどれだけですか。
○小田島政府参考人 現在、小中学校施設のほとんどが鉄筋コンクリート造でございますが、一応、六十年という数字がございます。
○奥田委員 私も学生のときには、鉄筋コンクリートは大体六十年もつんだよ、メンテナンスすれば百年もつんだよと。大うそでありまして、機能、設備とかはそんなにもたないんです。配管をやり直すとかそういったことを考えれば、税務署の言う減価償却の四十年ぐらいがいいところで、普通に居心地よく使うなら二十年くらいで大規模改修というものを考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。
ところが、六十年先に一回、今のお答えだと、これから建てる建物は六十年先まで残って利用していく。古い庁舎なんかそうですよね。そういった先まで見通さなきゃいけない社会ストックになるわけですよ。ぜひとも、六十年先とは言いませんけれども、二十年、三十年ぐらいは先を見据えた法律と施策で社会ストックをつくっていく、そのくらいのことはやっていただきたいと思います。
文部科学省、ありがとうございます。
もう時間がなくなって、大臣の答弁ができないままになっています。
もう一つ、大臣のお耳にも入っていると思いますけれども、宿泊施設、共用部分はこういった規定の中に入っているけれども、いざ個室になるとそういったものが規定されていない。業界の方からも勘弁してくれという話もたくさんあるんだと思いますけれども、障害者団体の方からは、ぜひとも百室あるいは一千室という大きな規模のホテルで二%ぐらいのそういったバリアフリー対応の個室、客室を確保してほしいという要望が出てきております。これも今回積み残された宿題だと思いますけれども、このことについて、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○扇国務大臣 今の御質問もさることながら、今文科省とのやりとりをいろいろ聞いておりまして、私は、一つ残念なことは、奥田議員のように建築業界に籍を置いた御本人から、六十年もつと思ったものが本当はもたないと言われると、大変皆さんに不安を与えますので、メンテナンス次第であるということで、六十年という方にしていただかないと、我々はあらゆる公共建造物等々を担当しておりますので、国土交通省としても、建築業界に籍を置いた御本人から、いや、二十年でもうと言われると、大変皆さんにうそをついているようになりますので、その点はぜひ御理解いただいて、コンクリート建築というものは六十年が大体の目安である、あとはメンテナンス次第というふうにぜひ私たちは言わせていただきたい。そういう御理解をしていただかないことには、多くの皆さんに虚言をしたということになりますので、御了解を賜りたいと思います。
それから、今の御質問の、ホテル等々の客室、そして公共のいわゆるロビーでありますとか廊下とか宴会場とかというものは別としましても、今の、客室をどうするかというホテル自身のお話でございますけれども、大体比率は、二千平方メートル以上の新築の場合でも約三割にとどまっているというのは、奥田議員御承知のとおりでございます。
それから、私がお目にかかった皆さん方もおっしゃったんですけれども、その三割のホテルも、身障者の皆さん方には、どこのホテルへ行ったら自分たちがどこまで入れるのかと。ホテルに入ったのはいいけれども、客室へ入って、入ったけれども中で身動きができない、こういうことを私も皆さん方に言われました。それを考えると、まさにそのとおりだなと思います。
ただ、大手のホテルの皆さん方に伺いますと、室内もバリアフリー化して、どうぞと言っても、利用度、稼働率というのは半年に一度なんですと。そういう意味では、一律にホテルに対応を義務づけるということは、我々としては、民間の皆さんに強制的にということは、なかなか難しい。しかも、ホテルも、そういう設備をしたけれども半年に一度の稼働率では本当にもったいないと。例えば、二部屋を一部屋にして広くしていらっしゃるようでございます。そういうものも伺いました。
ただ、車いすの皆さん方が私に面会にいらして、車いすの利用の方々の一八%が、宿泊施設等々においてバリアフリーに対応する事前の情報がないと、こう皆さんがおっしゃいます。
ですから、インターネット等々で、どのホテルは客室のバリアフリー化できたものが今空室があるという情報は、今回のワールドカップサッカーでもそうでございましたけれども、どこに行けばどの施設にどう可能なのかという情報が不足していたというのが、我々も宣伝不足だなと思っていますので、観光業界にも申し上げて、その御案内もしております。
今おっしゃったように、ホテルまではいいけれども客室は無理と、そういうこともぜひ私たちは解消していくようにしていきたいと思いますし、先ほど奥田議員がおっしゃったように、学校も含めて、設計のガイドラインの重要性というのは、我々も参考にしながら、設計者等々に広く周知徹底するようにしていきたいと思っています。
○奥田委員 まず六十年のことでございますけれども、構造物としては、六十年は当然もつんです。
どうぞ、大臣、クエスチョンタイムの方へ。
言葉が足りませんでしたけれども、構造物としては、手を入れれば百年でももつんです。ただ、建物の機能として、いろいろな、水や電気や空調や、あるいは情報システム、そういった世の中の動きの機能についていけないから、二十年ぐらいで大体建物全体の機能としては陳腐化して、新しい大規模メンテナンスが要るということを言わせていただいたわけでございます。構造体としては、しっかりした建物は六十年当然もちます。ただ、卵の殻だけあっても中身が使えないというようなことを言ったわけでございます。
そして、今、宿泊施設についての質問をさせていただきました。こちらの方で、国土交通省、旧建設省ですけれども、立派な指針を出していただいております。
ここの部分の、例えば宿泊施設というところを見ますと、身障者用に改造するということが、そんなに難しいことではないんです。ホテル業者の方なんかにも、どういったことをすることが身障者対応になるんだというところまで知らないで、みんな受け入れなきゃいけない、みんなずっとくっついてお世話しなきゃいけないんじゃないか、何かそういった誤解があるんじゃないかなと思っています。
例えば、もちろん入り口の幅や車いすの回転できる幅というものは、ツインルームぐらいの広さは必要かもしれません。水回りも少し特注のものになるのかもしれません。ですけれども、できないことではなくて、そして、これはまた、稼働率でいうんじゃなくて、普通の高齢者の方々なんかにとっても非常に使いやすい、居心地のいい施設になるはずなんです。ですから、稼働率云々というんじゃなく、すべての人たちが対象として、居心地のいい部屋になるはずですから。
私なんかは、ドア一つでも全部、昔の、日本古来という言い方も変かもしれませんけれども、ハンガードアとか引き戸という、そういったドアにかえていただきたいなと。病院や福祉施設は、もう全部それですよ、十年ほど前から。そのときは高価だなと思っていたものが、今はもう当然のものとして使われている。ぜひともそういった設計啓蒙といったものを国土交通省の皆さんにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
質問通告と違う質問をして、通告した質問が全然できませんで、申しわけございません。ありがとうございました。
○久保委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後二時五十五分休憩
――――◇―――――
午後三時五十九分開議
○久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
きょうは、与えられた二十分の時間でございますので、ハートビル法について御質問させていただきたいと思います。
平成六年に全会一致で成立をいたしましたハートビル法が、今回、まさに時代の要請の中で、役所としてはかなり踏み込んだ強制義務を求めるという本当に画期的な法改正が行われることは、大変評価すべきことだというふうに考えております。
ただ、このことにつきまして、この努力義務、平成六年から今日に至るまで、資料によりますと、基礎的な基準をクリアしたのは対象の中で七割を超えてはいるものの、ハードルが高い誘導的な基準、ここをクリアしたものは一割も満たされていない、こういった現状もあることも事実でございまして、障害者団体の方々のお話を聞くと、やはり使い勝手が悪いというようなお話もございますし、きょうの午前中の同僚議員の御質問にもありましたが、東京駅、確かに南口を通れば車いすでホームに上がれるけれども、それがほかの入り口ではなかなか通れないと。これもまさに、基礎的な基準はクリアされているけれども誘導的な基準は満たされていない実例の一つだというふうに考えております。
そういったことで、今回、ハートビル法の成立と、またその後の施策の運用については、障害者団体また高齢者団体等々の要請が強いものであり、昨日は扇国土交通大臣にも、大変お忙しい中、直接皆さんの生の声を聞いていただいて大変感謝をしておりますが、ぜひよりよい法律として仕上げていきたいというふうに考えておりますので、何点か御質問をさせていただきたいと思います。
まず一つは、この対象者についてということでございます。
本法律の定義には、高齢者、身体障害者等に対して云々、こういうふうに書いてありますが、このハートビル法とかいわゆる交通バリアフリー法の施策の推進の中で、まさに法律自体は、本来は、高齢者や身体障害者、こういった人たちの移動の自由というものをバックアップしていく、こういったねらいだったというふうに認識をしておりますが、こういった施策を進めることは、結果として、高齢者や障害者の方々だけではなくて、すべての人々の生活を豊かにさせるものであるという認識が広まっているというふうに思うわけでございます。
健常者であっても、また私、自分自身の体験でも、子供が本当に小さいときに、四歳と二歳とか、三歳と一歳の子供を抱えながら、大阪の環状線のホームというのはことごとくエスカレーターが当時なくて、本当に大変だなと、とにかく政治家になったらまずエレベーターとエスカレーターは必ずつける政策を推進したい、このように思ったようなことであって、人一倍頑丈な私でも、やはりこのバリアフリー化というのは必要だ、そう考えておりまして、私ども公明党の政策の中でも、高齢者や障害者に対するまちづくりということは間違っている、だれにでも優しいまちづくりがバリアフリーであり、ユニバーサルデザインなんだ、そういうような話をしているわけでございます。
今回の法律の中にも、法文上に明確にあらわされておりません妊産婦とかけが人、また身体の機能上の制限を受けている知的障害者や精神障害者の方々を含む概念である、こういうふうに考えておりますけれども、その点の御確認と、こういったことを十分周知して、今回のハートビル法、また、これまでの交通バリアフリー法が、今指摘したような人々を含むすべての人々のための措置として認識されるように努力をするべきだというふうに考えておりますが、国土交通省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○三沢政府参考人 このハートビル法におきましては、「高齢者、身体障害者等」という言葉を使っております。この「高齢者、身体障害者等」というのは、日常生活または社会生活に身体の機能上の制限を受ける方全般を指しまして、妊産婦あるいはけが人など一時的に制限を受けている方々、さらに、身体の機能上の制限を受ける知的障害者や精神障害者も含まれているという考え方でございます。
こういうハートビル法の対象の考え方が広く一般に認識されるということは非常に大事なことでございまして、この趣旨につきましては、今回の法改正の周知を図る際にも、改めましてまたパンフレット等にも記載する、あるいはいろいろな形での周知を図っていきたいというふうに思っております。それからさらに、設計ガイドラインの作成とか講習会等々いろいろな機会がございますので、こういう機会を通じまして広く周知を徹底していきたいというふうに考えております。
○赤羽委員 このハートビル法とか交通バリアフリー法の施策というのは、いわゆる社会的弱者への施しではなくて、二十一世紀の日本のあるべき社会のあり方として当然の常識なんだ、こういった社会的な認識をつくるということがすごく大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
次に、今回の法改正で、二千平米以上の建物に対してバリアフリー化が義務づけられる、これが法文化されるということは大変大きな前進だというふうに考えておりますが、地域によりましては、なかなか、二千平米以上の、多数の方々が集まるような建物が多くない地域がある。それとか、大臣の御答弁にもありましたが、高齢者の方とか身障者の方たちの施設が特に多い地域があって、地域差というか、地域の特性というのが非常にいろいろある。
そういうことであるならば、その地域自体というか地方自治体の認識の中で、二千平米以上じゃなければだめだ、こういったことではなくて、地元が積極的に条例を制定することによって今回のハートビル法の法改正が生きていくような方向に指導していくべきだというふうに考えるんですが、その点について国土交通省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○三沢政府参考人 今回の改正法に基づきまして、一定の用途の建築物については、二千平米以上の建築等を行う場合に、国が一律にバリアフリー対応を義務づけるということにしておりますけれども、先生御指摘のとおり、小規模な建築物が多い地域、あるいは高齢者等の多い地域など、やはり、それぞれの地域の実情に応じたバリアフリー対応を推進できるというふうにしていくことが大変重要でございます。
このため、今回の改正法案の中では、それぞれの地域の実態に応じまして、公共団体が条例で義務づけの対象となる建築物の範囲を拡充したり、あるいはその規模を引き下げたりするということができるようにしているところでございます。
今後、改正法の施行に向けまして、まさに条例でそれぞれ地域の実情に応じていろいろ付加できるという趣旨について十分公共団体に周知を行いまして、そういう条例が積極的に制定され、地域の実情に即したバリアフリー対応が促進されるように、国としても必要な助言等に努めていきたいというふうに考えております。
○赤羽委員 このことに関して、ちょっと通告はしていないんですが、午後一番の質疑で、関連であったんですが、学校についてのバリアフリー化なんですが、今回、これは努力義務の対象になるわけですが、実は、これは本当にしっかり推進していくように、国土交通省としても何とか知恵を出していただきたいなと。
といいますのは、障害を持たれているお子さんを学校で引き受けるかどうかという判断で、引き受ける側の学校がバリアフリー化されていない場合は、他の条件が合っても、バリアフリー化されていないということで、引き受けなくてもいいというか、引き受けない条件として使えるみたいな、そういったところがあるんですよ。
本当は、きょうはちょっと文科省も呼ぶべきだったと思うんですが、そういった、逆に使われるというのが非常に何か釈然としないというようなやりとりも文科省としてはしていて、なかなかお金のかかる話だとかというようなこともありますが、地域に開かれた学校ということが言われていて、地元の高齢者の方とかが学校に来るというケースも物すごくふえておりますので、こういった、学校についてもぜひ今後進めていくような方向で指導力を発揮していただきたいということを要望だけしておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次の質問では、二年前に当委員会の審議を経て成立をいたしました交通バリアフリー法という法律があります。この交通バリアフリー法に基づいて各市町村が駅及び駅周辺の面的な整備をしていく、これも画期的な法律だというふうに思っております。
この以後、大変全国各地で、いろいろな駅でエレベーター、エスカレーター等々のバリアフリー化も進んでおりますし、また、そのことが、結構、国土交通省のホームページを通してとか、その周知徹底をされていて、ここにはバリアフリー化ができているからこの駅を使おうとか、そういったことも進められている。大変すばらしい状況が着実に前進をしているというふうに感じておるわけでございます。
その交通バリアフリー法と建物の中の今回のハートビル法の法改正、これを別のものとしてまちづくりを進めていくというのは、不合理なところがすごく心配もされております。よく大臣の御答弁の中にあります、昔は建設省と運輸省、この二つがあった、今は国土交通省という一つの省になった、その特性を大いに発揮していかなければいけないという御答弁、その御答弁からすると、今回のこの交通バリアフリー法というのは旧来的に言うと運輸省が主体で、ハートビル法は旧来的に言うと建設省が主体だ、由来はそうかもしれませんが、これからは国土交通省として、一つの省として管轄していく。そういった意味では、この二つの法律の関連というか関係性を整備して、総合的なバリアフリーのまちづくりを進めていくことが大事だというふうに考えておりますが、大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
○扇国務大臣 今おっしゃいましたように、平成十二年に成立しました交通バリアフリー法、十三年の二十一世紀を迎えるときに、平成十二年にこのバリアフリー法を通していただいたことは、二十一世紀に向けての指針としては、タイミングとしては大変いいときに皆さん方のお知恵で十二年に交通バリアフリー法を通していただいたなと思い、また、国土交通省が十三年の一月の六日に発足いたしましたので、二十世紀はハードの世紀、二十一世紀はバリアフリーと環境の世紀ということを堂々と言えるようになったというのも、この交通バリアフリー法が平成十二年に通っていたというのが大きなタイミングだったと私は思っております。
そういう意味で、今回のハートビル法との関係でいいますと、いわゆる旅客施設あるいは建築物までの歩行空間でありますとか建築物そのものについての総合的なバリアフリーというものが必要であるということで、交通バリアフリー、交通だけではなくて全般的に目を広げていこうということでは御理解いただけると私は思います。
あるいは、国土交通省になってという話を赤羽先生の方からしていただきましたし、また、今までの交通バリアフリー法だけでは、きのうも障害者の皆さんとお目にかかってお話ししましたように、道は入れてホテルの玄関まで行けても、中の部屋がバリアフリーができてないというようなことも現実的にいろいろ伺わせていただきました。
きょうも審議の中でそのお話もいたしましたけれども、総合的なバリアフリー対策の推進というものが二十一世紀として必要である、また、それでなければ先進国と言えないということで、私たちは、改めて今回の交通バリアフリー法の変更もした上で、変更後の基本的な方針に基づいて助言等を行っていくということのために委員会での審議等々をぜひ生かしていただきたい、そう思っております。
○赤羽委員 今大臣の御答弁いただいた中でも出てまいりましたが、宿泊施設については、大臣よく御存じのように、共用部分についてのバリアフリー化は義務化の対象になっている、部屋に入った瞬間に、それは個人が使うものだということで強制義務化にはなっていない。これについては、アメリカなんかはベッド数の何割かはバリアフリー化をしなければいけないというような目標数値の設定なんかもされているような例もあるというふうにも聞いております。
扇国土交通大臣はいろいろな面で注目度も高い大臣でありますし、いろいろな局面で日本のホテル、旅館でバリアフリー化を進めるべきだというのを発信していただきたいんですね。発言を繰り返していただいて、そして観光協会とかホテル協会に直接お願いをしていただくというのもすごく大事だと思いますが、いろいろなマスコミとか記者会見の場でも、ぜひ、このハートビル法が成立をする暁にはどんどん発信をしていただきたいなというのが要望の一つでございます。
もう一つは、ホテル自体にも、まさに先進国のホテルたらんとするには、やはりこのバリアフリー化というのは当然していかなければいけないんだ、それに対する情報公開をホテル業界みずから進めていくべきだ。私どものホテルのバリアフリー化率は一割になりましたとか、こういったことを知らせるということが利用者に対しても便宜を図る、まさにサービス業界のサービスそのものだというふうに思いますので、その点について大臣としてそのような働きかけをしていただければなというふうに思いますが、この点について御答弁いただければと思います。
○扇国務大臣 先ほどからもこの委員会で既にお話が出ましたように、客室内部のバリアフリー、これは二千平方メートルの新築の場合でも約三割しかバリアフリーができてないという現状は、先ほども申し上げましたとおりです。大手のホテルの皆さん方に聞きますと、半年に一回しか利用度がないとおっしゃいます。
くしくも赤羽議員が学校の話をなさいました。学校もそうですけれども、文科省に失礼かもしれませんけれども、児童だけではなくて、高齢化社会に対応して生涯教育ということも言われているときに、生涯教育を受けたいという高齢者の皆さんにとっても、学校のバリアフリーも大変大事であると私は思っておりますので、文部科学省、厚生省、そして国土交通省と、関係省庁が連携し合って、学校もぜひ赤羽議員がおっしゃったように考えていかなければならないと私は思っています。
ホテルも、今おっしゃいましたように、先進国で、しかも、今回のようにワールドカップサッカーで世界じゅうからお客様を迎えた中には、サポーターの中には車いすの方もいらっしゃいます。そういう方を迎えるためにも、やはりホテルの中の施設、ホテルの中に入っても部屋がバリアフリー化されてないということも現実にあるわけでございますので、これからも私たちはホテルの客室の内部のバリアフリー、極めて需要が少ないという数字は出ていますけれども、きのうも赤羽議員がお連れになって、私も聞きましたら、障害者の皆さんの一八%の皆さんは、ホテルに、部屋にバリアフリー化がされてないために外出を見合わせるということをおっしゃっていました。
そういう意味では、今後、ネットワークで、どこへ行けば皆さん方に満足いただけるような施設ができているかということもインターネットで知らせるようにすると、民間のホテル業界も、ああ、これではだめだと気がついて競争するようになると思いますので、それこそ小泉総理のおっしゃる民間の活力を生かすという意味では、それぞれが競ってそういう施設をつくっていただくことにぜひ観光面からも強調していきたいと私は思っております。
○赤羽委員 まさに、それを競争としてこぞってやっていくというような環境をつくることがすごく大事だというふうに思っております。
サッカーのワールドカップのことで感じたんですけれども、最近、新神戸の駅を利用しますと、英語、中国語、韓国語、スペイン語とか、国際都市になったなあみたいな、錯覚かもしれませんが、非常に雰囲気がある。一方では、ちょっとローカルの駅に行くと、結構外国人が今多いですから、よく電車に乗り間違えたりとか、右往左往している。これも、やはりバリアの一つですよね。
ですから、建物整備だけじゃなくて、やはりバリアというのはソフトの中でも実は存在していて、そういう意味では、私が申し上げておきたいのは、基礎的な基準だけ満たせば本当にこのバリアフリー化が進んでいるのかというと、実はそうじゃない。誘導的な基準も目指さなきゃいけないし、それ以外のソフトの面も含めて、大変奥の深いことがバリアフリー化の実態なんじゃないかなというふうに思います。
そういう意味では、交通バリアフリー法は、五年後の見直し、施策の状況を認識してどうするかということが書かれておりますが、今回のハートビル法についても目標値というのが恐らく設定をされていると思いますし、目標値にあらわれないことというのも出てくるので、この施行後、そういった目標をどうトレースしていくかとか、見直しをするかどうかということも含めてですけれども、この施策がどう進行していくか、それについて今後どう対応していくかといったようなことについてどのように考えていらっしゃるか、御答弁をいただいて、最後の質問といたしたいと思います。
○三沢政府参考人 今後、この改正法に基づきまして、政省令等におきまして、義務づけ対象建築物の用途、規模とか、あるいは満たすべきバリアフリー基準とか優良なバリアフリー基準等を定めることにしております。
当該基準につきましては、もちろん作成の段階で十分高齢者、障害者等の方々の御意見を聞いた上で制定していくことにしておりますけれども、改正法の施行後におきましても、おおむね五年をめどに、建築物におけるバリアフリー対応の状況とかあるいは公共団体における条例の制定状況につきまして検討を加えて、その段階でまた高齢者、障害者の方々などの意見も十分聞いた上で、必要に応じて政令に定める用途とか規模とか基準とか、そういったものを含めて見直しを行うということによりまして、やはり時代のニーズというものに的確に対応していくということに努力していきたいというふうに考えております。
○赤羽委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
○久保委員長 一川保夫君。
○一川委員 では、引き続き、私の方から質問させていただきます。
時間も限られておりますので、幾つか基本的なところをお聞きしたいと思うんですけれども、まず、扇大臣に基本的なお考えを確認したいわけです。
今回の建築基準法等の改正の中身を見させていただきますと、この建築基準法という法律を初め都市計画に絡んだ法律というのは相当頻繁に改正が繰り返されておりますけれども、常に経済社会のいろいろな変化に対応していきたいという、そのあらわれだというふうに思っております。役所の中にも当然いろいろな審議会とかそれにつながる分科会等を設けながら、いろいろな専門家の意見を聞きながら、そういう対応をしてきておられると思います。
今回の建築基準法の改正、それ以外の法律もそうですけれども、基本的には、一種の規制緩和の流れになっていると思うんですね。今、特に地方都市を中心として、町の空洞化が非常に盛んになってきていたり、活力そのものが低下してきているという一つの大きな課題に直面しているわけですけれども、それはやはり、まちづくりに当たってのいろいろな地域の方々の創意工夫を、その地域の特色を生かしていけるような、そういう仕組みになっているかどうかということが非常に大切なわけですね。
私も、当然、まちづくりということであれば、第一番には、安心して住める町、そういう安全性の確保というのが一番肝要であるというふうに思いますし、先ほど来話題に出ていますような、いろいろなバリアをなくしていくということも一つの大きな課題だと思いますし、また、日常生活に欠かせないそういういろいろなライフライン的なものをバックアップしていくという整備も当然大事なわけでございます。
そういうことを考えますと、今回のもろもろの改正というのは、そういう地域の特性を生かすための、地域の方々の創意工夫をしっかりと生かせるような、そういう方向で当然なされているというふうに思いますけれども、扇大臣としては、今回のこの改正は、そういうまちづくりのために、当然、そういう方々が熱意を持って取り組めるような、そういう形に改正を今しているんだというふうな基本的な認識を持っていらっしゃると思いますけれども、そのあたりの大臣の基本的なお考えをまず確認しておきたいと思います。
○扇国務大臣 今、一川議員がおっしゃいましたように、今回のこの建築基準法の一部を改正する法律案、これは地域ごとのまちづくりの多様な課題に対応できるように、また柔軟かつ迅速にこれが対応できるということで、都市計画とか建築規制というものを合理化しようということでございます。
具体的には、容積率とか建ぺい率、これは言われましたように、選択肢を拡充して、あるいは地方公共団体が地域の特性に応じて規制値を使い分けることができるということで、何よりも、地権者とかまちづくりNPOというものが都市計画を提案できるような制度を新設しようということで、私の手元にあります材料でも、まちづくりのNPOというのでも、平成十二年には五百四十九団体だったものが、平成十三年、一年間で既にこれが倍以上の千二百七十三団体できているんですね。こういう人たちが自由な発想でまちづくりをしたいということも、私たちは今後、提案できる制度を創設するということがいかに大事か、それぞれの町の皆さん方の知恵によってしていく。
それから、きょう午前中でしたか、離島振興のときのお話にございましたように、どうしてもあそこへもう一遍行ってみたいと思えるようなまちづくりも、こういうNPOの皆様方の意見等々も今回はまちづくりに取り入れられるということも、私は個性ある都市づくりに大きく寄与してくると思っていますので、そういうものを期待して、今後も、地域のさまざまな創意工夫を生かした建築基準法の改正になると思っておりますので、楽しみにしているというのが現実でございます。
○一川委員 今お答えにありましたように、いろいろな選択肢を広げていくという中でそれぞれの地域の方々の意欲を喚起するということも大変大事なことでございますので、ぜひそういう問題意識の中で取り組んでいただきたいと思います。
そこで、ちょっと具体的なことを確認したいわけです。これ、答弁どなたかわかりませんけれども、こういった都市計画区域内でのいろいろな現状の規制的なものを緩和するといいますか、いろいろな建築物のそういった集団的な構成にかかわるような最低基準を今回いろいろと見直しをかけておるわけです。いろいろな専門家等の御意見でこういうことを一応整理されて、今回の改正に反映されていると思いますが、これからの将来のことを見たときに、まだこういう課題は残っているというふうな問題意識があるのか、いや、大体今の段階ではこれで十分だというふうな問題意識なのか、そこのところをちょっともう一回確認したいわけです。
今回のこの改正で、当然現状ではほぼ大丈夫だというようなことになっているのだと思いますけれども、しかし、いろいろな専門家等の意見、地域のいろいろな意見からすると、もう少しこの問題は時間をかけて詰めたいというような、そういう問題意識を持っておられるのかどうか。そのあたりについてのお考えをお聞きしたいと思います。
○三沢政府参考人 今回の建築基準法の集団規定の改正に当たりましては、国土交通大臣の諮問機関である社会資本整備審議会の中で、いろいろな専門家にも御審議いただきまして、策定作業を行ってきたものでございます。
この答申の中で、いわゆるこれからの経済社会の変化とか社会の要請を踏まえて、新たな時代に対応した建築行政はどうあるべきかという御議論をいただきました。そういうことで幾つかの答申の中身をいただいているわけでございますけれども、今回の改正案は、これらその答申の中身で示された方向性に十分対応した内容であるという認識を持っております。
具体的にどういう点かと申しますと、一つは、用途地域で容積率とか建ぺい率等につきまして公共団体の選択肢を拡充したという点、それからもう一つは、容積率制限それから斜線制限を迅速に緩和できる制度を導入する、それから三番目に、地区計画制度の整理合理化、こういったことが、答申を踏まえまして改正案に盛り込まれているというものでございます。
ただ、集団規定につきましては、今後とも継続的に不断に点検を行っていくべきであるということは答申にも指摘されておりまして、この指摘を踏まえまして、常時不断の点検は怠らないようにしてまいりたいというふうに考えております。
○一川委員 次に、先ほどもちょっと話題に出ましたけれども、バリアフリーに関することでございます。
先ほど大臣もお答えの中で話をされましたように、平成十二年に交通バリアフリー法を制定されて、それに基づいてのいろいろなハード的な整備が進んでいるんだろうというふうに推測するわけですけれども、当時も、一応の最低基準的なものをというか、人の乗りおりの激しい駅を中心に対応をしていくという一つの基準があったような気もしました。
こういった交通バリアフリーに関する法律施行後、具体的にこの施策がどの程度進捗しているのかというところを、ちょっと状況をお話ししていただきたいというのと、それから、今回、この建築物に関するバリアフリー化の問題でございますけれども、こういうことも含めて、これからの高齢化社会、もう既に突入しているわけですけれども、この高齢化社会なりまた障害者対策、こういう施策を積極的に進めていく中で、当然、従来考えていたような目標よりも若干高目に目標設定をして、相当積極的に取り組んでいく必要があるのではないかなということを思います。
そういったものは、すぐ来年どうのこうのというよりも、そういう中長期的な課題を当然持ちながら取り組んでいく必要があると思いますし、また、割と生活にかかわるような部分もございますので、中央で物事を決めていくというのは非常に難しいわけですね。地方分権という一つの大きな時代背景もありますけれども、地方自治体なりに相当問題意識を持たせて、しっかりと自主性を持って取り組ませるようなことも一方では大変大事なことでございまして、そうかといって、ガイドライン的に、何か一つの中長期的な目標を示してあげるということも非常に大事なことでもございます。
そういった点で、この交通バリアフリーなり、今回のハートビル法に絡んだバリアフリー化の中長期的な目標みたいなものをどのあたりに置いているのか、そこのところを、この交通バリアフリーの実施状況とあわせて御説明を願いたいと思います。
○高木大臣政務官 ただいまの委員御指摘のように、一昨年、交通バリアフリー法が制定されまして、新設の場合には事業者にバリアフリー化を義務づけするとともに、既設の場合にも努力義務を課すことといたしまして、また市町村等でも、駅等の旅客施設を中心に、駅前広場ですとか道路等を一体としてバリアフリー化していくための基本構想、これを策定し、同構想に基づき、総合的、計画的に事業を実施する仕組みというものをこの法で整備をいたしました。
具体的には、基本方針を定めて、二〇一〇年までには、例えば、一日当たり、平均的な利用者の数が五千人以上の鉄道駅、またバスターミナル等においては、段差の解消等のバリアフリー化を実施するという整備目標を設定しております。また、車両等についても、乗り合いバスについては、原則として十年から十五年で低床化された車両に代替する等、具体的な整備目標を設定しております。
その上で、バリアフリー化の進捗状況でございますけれども、平成十三年の三月末時点におきましては、例えば鉄道駅の移動円滑化基準達成率、つまり段差の解消、これは二九%、バスターミナルについては六〇%、低床バスの導入率は、これはちょっとまだ低いんですが、五%となっております。今後、着実に進捗していくものと考えておりますけれども、市町村による基本構想の策定状況についても、本年五月末までに受理したものが二十四、作成中のものが三十、今後作成予定のところが約五百自治体となっております。
国交省としましては、今後とも、公共交通事業者によるバリアフリー化のための施設整備に対しまして補助等を行うほか、市町村による基本構想の策定の推進のためにセミナーの開催や所要のアドバイスを行うこと等により、その取り組みを支援して、交通バリアフリー化の進展に努めてまいる所存でございます。
また、建築物のバリアフリー化につきまして、ハートビル法に基づいて、基礎的なバリアフリー基準と誘導的なバリアフリー基準を定めているところでございますけれども、現在七割程度となっている新築、二千平米以上の特定建築物における基礎的基準への適合状況を、今般の改正法による適合義務化に伴って十割に引き上げようと考えております。
また、さらに、現在一割弱にとどまっております誘導的な水準のバリアフリー対応の割合を平成十七年には二割に引き上げるよう、融資また税制等の支援措置を積極的に講ずることとしております。
○一川委員 ぜひ、交通バリアフリー法、今回のこの法律、一応、法制度的にはそろそろ出そろってきておるわけですから、しっかりとした指導のもとで積極的に対応していただきたい、このように思っております。
そこで、最後に大臣にお伺いしたいのですけれども、今回、この法律の中で、シックハウス問題というのが一つのポイントになっているわけですね。私は、このお話を聞いていて、これは関係する省庁が非常にたくさんあるような気がするわけです、こういう課題に対応するためには。ただしかし、この国土交通省、実際の建築物に対する基本的ないろいろな所管をされているというところで、基本的な大臣のお考えをお聞きするわけです。
昔は、こういうシックハウスという話は余りなかったのです。近年、御案内のとおり、新しい建物ができ上がると、こういう症状にかかる方がふえてきている。いろいろな化学物質を発散するようないろいろな新しい建材が出てきているとか、だんだん部屋の気密性を高めるような構造になってきているとか、いろいろなことが言われてきているわけですけれども、そうかといって、因果関係が明確なものはまだないというふうにも聞いております。そういう面では、非常に深刻なわけです。ただ、私は、基本的には、我々が俗に言う木造建築というのは、従来、シックハウス問題というのは余りないんじゃないかなという感じがいたします。
最近、自分の住宅を求める方の、実際に自分で家を建てる方、あるいはでき上がったものを取得する方も、気持ちとしては木造建築に住みたいという方が、総理府等の統計によると、八八・五%ぐらいの方が木造建築に住みたいという希望があるらしいです、アンケートによりますと。しかし、現実問題は、自分のお金、資金との絡みがあるから、なかなか取得できないという悩ましい点があるわけです。
そういうことをいろいろと思いますと、私は、今回の建築基準法という法律そのものも、基本的には、恐らく、住宅も含めた建築物に住む人間の生命、健康、そういったものを志向した法律だと思いますけれども、そういう面では、本当にそこに住む人、利用する方を心身ともに健全な姿に持っていくためには、木造建築というものをもっともっと奨励したらどうかなという感じがするわけですね。
最近、公共的な施設、例えば学校、公民館等につきましては、地域の方々が相当意識的に地域の用材を使うように特別仕様書等で指導されておりますけれども、今回、このシックハウス問題、それからこの建築基準法等のいろいろな所管をされている国土交通大臣として、我が国の国産材をできるだけ循環的に利用するような体系に積極的にかかわっていっていただきたいなというふうに思います。
今、京都議定書の問題にもありますように、地球環境問題でも、我が国の森林をもっともっと整備しながら、森林の役割をもっと果たしたらどうかというようなことも一つのテーマになっております。戦後、植林された木は、今、五十年余り経過しているわけですけれども、もうそろそろ伐期に入って、循環的に利用できる体制に来るわけです。しかし、現実問題は、国産材を利用しようと思っても、外材に比べるとちょっと値段が高いとか、いろいろな面で活用していただけない。ですから、地域の森林、林業そのものも、生計としては成り立たないというのが今の現状なんです。しかし、いろいろな建築物にかかわる皆さん方が、もっと国産材を積極的にこれから使っていきましょうという施策が展開されていけば、私は、日本の林業も成り立つし、また、日本の森林も循環的に利用ができて、より健全な森林管理ができるというような気もいたしております。
そういう観点で、直接今回の法律とかかわりはないかもしれませんけれども、扇大臣のこの木造建築というものに対する取り組み方の基本的な考え方をぜひお聞かせ願いたいと思います。
○扇国務大臣 私が先ほども言っておりますように、二十一世紀の環境を考えるという点から考えますと、今一川議員がおっしゃったように、地球温暖化、そのためにも、今回の森林の保全というのは大変大事だというのはおっしゃるとおりで、昨今の新聞等々で、その森林保全のためには一兆円必要だ等々、いろいろなことが出ております。
きょう御論議いただきましたシックハウス症候群、これも、因果関係はまだはっきりいたしませんけれども、今おっしゃったように、昔、木の家をつくっているときにはシックハウス症候群という名前もありませんでした。また一方、私たち子供を持っている者は、みんな悩んでいるものにアトピーというのもあります。これも原因がよくわかりません、食べ物なのか、どこから来ているのか。
だから、シックハウス症候群とかアトピーとか、何だか二十一世紀型の現象みたいなもので、今おっしゃったように、木の成長度、それと今の木造住宅の耐久性、これが比例すれば、もっと森林というものの保護に当たるであろうと私は思っております。
それはなぜかといいますと、木が育つためには大体五十年から六十年、人工林ですね、植樹祭等々行っているのもその意味ですけれども。そうすると、木造の家が五十年もてば、伐採するのとうまく調節ができるわけですね。けれども、現段階では、日本の木造住宅の耐久年が二十六年と言われています。そして、アメリカは四十四年、イギリスは七十五年というこの耐久性。ですから、木造の耐久性というものを大いに今後考えていかなきゃいけない。
木造住宅が、温度調節でありますとか、あるいは断熱性にすぐれておりますとか、いい点はもういっぱいあったと思うんですね。けれども、今おっしゃったように、あらゆる面で、廉価であるとか、あるいは強度が、本当の木材よりも合板の方が強いとか、いろいろなことで変わってきたと思いますけれども、今度の新しい首相官邸、ほとんど木でございます。壁も、ここも、委員会室もそうでございますけれども、こういう木目というのがいかに人に和らぎを与えるか、穏やかであるか、当たりがさわやかであるかということも考えれば、私は、改めて良質な木造住宅の整備というのを考えていかなければいけないということで、三つございます。
一つは、長寿命の木造住宅に関する技術開発、これが重要である。二つ目には、耐久性にすぐれ、木材を一定以上活用するなど、一定の基準に適合する木造住宅に対する住宅金融公庫の割り増し融資、これも考えなければいけない。三つ目には、地域材を活用したモデル的な木造住宅団地の整備というものをしていこうと。
これら三つを掲げて、我々は改めて良質な木造住宅を整備していこうというふうに考えていますので、今一川議員がおっしゃったように、我々もそのことを言いながら、この日本の木を使うということと、また、それを絶えず植えていくという、両方相まって均衡とれたものにしていくのが二十一世紀の大きな課題であると私は認識しております。
○一川委員 今日的な諸課題をこの森林問題が抱えているような気もいたしますので、国土交通大臣としては、関係する省庁を引っ張って、ぜひこの課題を乗り切っていただきたい。強く要望しまして、質問を終わります。
○久保委員長 瀬古由起子さん。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
きょうは、時間がございませんので、建築基準法に関連して質問させていただきます。
今回の建築基準法等の一部改正案は、用途地域における規制である容積率、建ぺい率、斜線制限、日影規制を大幅に緩和しようとするものです。これについては、さまざまな市民・住民団体から、この法案が施行されると、地域の実態を無視して、地方自治体、市民中心のまちづくりが困難になってしまうなどの懸念が表明されています。
また、今各地で、マンション建設に伴う周辺住民とのトラブルもあちこちで起こっています。私は、この法案が実施されれば、マンション建設をめぐってもますますこのような紛争が多くなるのではないか、結局住民が泣き寝入りせざるを得ない事態に置かれるのではないかとの危惧を持っております。その立場から質問いたします。
高層建築物の周辺への影響は大変大きいものがございます。用途地域における容積率緩和、建ぺい率、斜線制限、日影規制等の緩和は慎重に行わなければならないと思うんですね。
本法案は、商業地域に容積率一三〇〇%の建築物が建設できることになっております。
扇大臣もよく言っていらっしゃいますように、国会の近くで、あの山王パークタワーの問題がございますけれども、あれは容積率一三〇〇%なんですね。それで、あのビルが建設されてから、ずっとあの周辺の環境が大きく変わってしまった。国会の正面玄関で国会見学の人が写真を撮ると、国会の後ろにあのビルが写ってしまう、こういう状況がございます。
それで、首都圏では、あの山王パークタワーのようなビルがどんどん建てられようとするわけです。都市計画で容積率、建ぺい率、日影制限を緩和する選択肢を広げることは、もちろんこれは事前に自治体がかかわって条例で決めるものですけれども、その決めるときには、具体的には住民はまだ、どんなものができるか、この土地の利用がどういうようになるのかということは、決めても余り具体的な問題にならないわけですね。
しかし、実際に、法改正案によって用途地域における制限そのものがもう事前に一三〇〇%に指定されていますと、そして、いよいよ住民の前にどっとビルが建つ計画が明らかになっても、もうその地域指定になっちゃっていますから、反対しようにも反対もできないという状態になってしまう。行政ももちろん、建築確認申請だけでは、もう今は民間が手続できるという仕組みになっているので、なかなか行政もタッチできないという状況になります。
現在、総合設計の制度では、建築審査会など一定の行政の関与がそのビルの建設について行われます。ところが、今回の提案は、この審査基準も定型化して、許可を得ずに、建築確認の手続だけで容積率制限を緩和する、こういう幾つかの緩和が出てまいります。
そういう意味では、本当に住民との間でトラブルが起きても、今日わずかな行政の関与が残っているだけなのに、それがどんどん取り払われることによって、やはり行政としてもチェックできなくなってしまう。周辺の住民の住環境というのは一層悪化するんじゃないか、そういう不安が出ているんですが、その点、いかがでしょうか。
○三沢政府参考人 今回の建築基準法等の改正は、まさに先生がおっしゃいましたように、容積率制限とか斜線制限とか日影規制に係る数値の選択肢を拡充するわけでございます。この具体的な数値は、都市計画とか条例とかそういう手続によりまして、地域住民等の意見を反映して定めるという性格のものでございます。やはり、あらかじめルールとして、都市計画でどういうふうに定めるか、それがまちづくりを決めていくという本来の姿であろうというふうに考えております。
それから、容積率制限とか斜線制限を迅速に緩和できる制度を創設するという趣旨でございますけれども、今回、まず、いわゆる混在系の用途地域の中で一定の敷地規模とか空地規模を確保するような住宅についてだけ適用される。その場合の考え方も、従来の総合設計制度の運用の中で、建築審議会の議を経ながら運用されていたものの中で、かなり定型的に、こういう場合も緩和できる、そういうものを今回の法改正の中で、建築確認の中で緩和できるという手続にしたものでございます。
この場合でも、例えば特定行政庁が、地域の特性に配慮しながら、都市計画審議会の議を経て、対象区域を限定するとか、あるいはその緩和の上限値の引き下げというものもできるようにしているところでございます。
したがいまして、今回の改正による諸制度というのは、あくまで地域の特性を踏まえながら、市街地の環境上支障がないという範囲内で導入されるという性格のものでございまして、これが一方的に市街地環境の悪化につながる、そういうような性格のものではないというふうに理解をしております。
○瀬古委員 私は、やはり現状がどうなっているのかというところから出発しなきゃならないと思うんですね。今でも大変な事態がやはり起きているんです。超高層建築物を建てることが可能になるのは、容積率の高い用途を指定すること、もう一つは総合設計制度や特定街区などによる容積率ボーナスの問題がございます。
東京を例にとりますと、例えば、資生堂シティは高度利用地区計画で指定容積率八〇〇のところに一〇五六%、丸の内一の一は総合設計制度では指定容積率一〇〇〇%のところを一二七二%、汐留地区C街区は再開発地区計画で指定容積率が八〇〇%のところを一二〇〇、丸の内、明治生命館は特定街区で指定容積率一〇〇〇%のところを一五〇〇%。もう次々とこういうビルが建設されていて、総床面積の半分が容積率ボーナスのビルも既にたくさん建っているというのが現状でございます。
そういう場合に、やはり、幾らこれはこの地域で建てられるんですよと言われていても、住民の皆さんの意見をしっかりと反映していくということが、一方で私は同時に進められなければならないと思うんです。
現在、都市計画においては、住民参加を進めるという立場で一定の制度が、あるのはあるんです。例えば都市計画審議会などはございますけれども、実際には、原則非公開で、構成員も、学識経験者、自治体職員、自治体議会議員などに限定されていて、なかなか住民代表が入ることができないというのが実態でございます。
結局、どうなっているかというと、行政がつくった計画を事実上追認する、そういう形になっていて、一番大事な、住民がチェックしなきゃならないところが形骸化しているというケースが大変多いわけです。そういう意味では、強引な開発に反対する住民の運動がもうあっちこっちで起きているわけですが、その意見が十分そこに反映されていかないわけです。
そういう意味では、せめて都市計画審議会への住民代表の参加だとか、それから情報公開を全面的に行うなど、今までのやり方ではない、やはり一定の大幅な改善が必要ではないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○澤井政府参考人 基本的に、都市計画に関する住民参加につきましては、縦覧をし意見を出していただく、それを都市計画審議会の議論に反映していくということがあるわけでありますが、御指摘のその都市計画審議会、最近では市町村の審議会が設置できるようになっております。当該市町村の住民のうちからこの都市計画審議会の委員を任命することができるという仕組みはございます。
現実に、市町村都市計画審議会が置かれている公共団体のうち五五%近くで、何らかの形で住民代表を審議会の委員として任命しておられます。例でいいますと、自治会長さん、町内会長さん、あるいは公募で選ばれた住民の方が審議会の委員として任命されているという実態がございます。
また、審議会の議論の情報公開につきましては、それぞれの公共団体の判断にゆだねられておりますけれども、議事録の公開とか都市計画決定の理由の明示を通じまして、審議の透明性が図れるようにさらに徹底してまいりたいと思います。
また、審議会のことをただいま申し上げましたが、審議会に案を付議するよりも相当以前の段階として、原案作成段階がございます。
これにつきましても、国が、公共団体でその都市計画を運用されるときのいろいろな参考事項を技術的助言としてまとめました都市計画の運用指針の中では、この相当以前の原案作成段階につきましても、公聴会、説明会等の開催等、住民の意見を反映させるための措置を講ずることを原則とするのが適当だということ、あるいはこれに加えまして、住民の意見を反映させるための措置として、アンケートの実施、ワークショップの開催など、いろいろな方策を実情に応じて実施することが望ましいということも示しております。
要は、こうした仕組みとか考え方が実際に実践されることが重要だと思いますので、引き続き、こうした趣旨の徹底に努めてまいりたいと考えております。
○瀬古委員 私は、多分内容は御存じだと思うんですけれども、公聴会や説明会、確かに開かれることが多くなってきておりますよね。では、実際に、本当に住民の声がそれに反映されていくのかというと、一応開いて、皆さんの御意見を聞きますといって、聞くのは聞くんだけれども、実際には声は全然その計画の中に反映されない。形だけ、ともかくお聞きします、こういう公聴会や説明会のあり方に猛烈な批判が今出てきているわけですね。
そういう意味では、やはり、開けばいい、もちろん、開かないよりは開いた方がいいに決まっていますけれども、そういう中身の問題についてもきちんと住民の意見が制度的に保障されていくものというのがないと、単なる聞きに行くだけの公聴会や説明会だけでは不十分だと私は思うんです。一方では、こういう不備な面が今たくさんございます。
今回、私は意見を言いたいんですけれども、土地所有者、まちづくりNPOらによる都市計画制度というのの提案の制度が創設されるわけです。これは一見、住民参加の仕組みのように見えますけれども、住民参加というよりは、幾つかの例を見てみますと、財政上の問題、それから情報をどれだけつかんでいるかという問題、技術力の問題など見まして、かなり力がある大手のディベロッパーが参加して提案していく、こういうようなところも結構多いわけですね。だから、住民というよりは、よく見ると、それは会社の社員だったり、そういう状況がございます。
その点では、やはり、ディベロッパーが住民のような顔をして、計画して、事業をどんどん進めていく、こういう危険性はあるのではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○澤井政府参考人 提案制度につきましては、今仰せのようなことが実際どうなるかということですけれども、提案の要件といたしまして、土地所有者の人数と地積の双方の三分の二以上の同意を得て提案をするということになっております。
そういう要件をクリアした提案を、都市計画手続の中で透明性の高い格好で議論し、それを決め、あるいは一部変更し、あるいはまたそれは決めないということになっていくわけでありまして、そうした過程を経まして、さまざまな意見がその提案までの間に集約されるということですとか、あるいはみんなでつくった計画だということで、自分たちの計画という意識のもとに、より実現に向けて力が高まるとか、むしろ、そういうことを期待しているわけでありまして、仰せのように、何らかの目的でこれを余り本来の趣旨と違う格好で利用するという事態は、要件から見ましても余り想定できないのではないかというふうに考えております。
○瀬古委員 私は、この三分の二の問題についても、本当に三分の二でいいのかどうかという問題もございます。あとの三分の一はどうなっていくのかという問題もありますからね。そして、それにふさわしい提案をした場合に、きちんとそれが反映されていくのかどうかという問題も、実際には、この今回の仕組みでいうと、決してそういうふうにはならない問題がございます。
そこで、時間がございませんから、私が実は調査をしたんですけれども、具体的に、東京の江東区というところに先日行ってまいりました。ここは、今もうマンション建設がどんどん進んでいて、最近五年間で人口が二万六千人ふえた。さらに四万戸の集合住宅の建設が予定されている。
ところが、江東区は、小学校の受け入れ体制が十分でないので、今、地域のマンション建設に対して中止、延期を求めている。一定規模以上のマンションには公共施設に対する協力金を求める、こういう対策を今打ち出しているわけです。これに対して不動産業界が一斉に反発しているわけですけれども、実際には、自治体では、もう次から次へとマンションが建ってきて何ともしようがないという事態になっている。そして、もうともかく年度途中の売買はやめてくれ、入居はやめてくれと。というのは、途中で入ってきますからね、子供が。せめて四月からにしてもらいたいとかいろいろ言うけれども、今のところお願いでしているという状態だと。
そして、この江東区では、国や東京都が売り払った土地にマンションが建っているという例も幾つかございます。何とか国として、どんどん規制緩和されることによってこれ以上マンションが建っていくということに、何としても対応してもらいたいということで訴えられておりました。
比較的交通の便利な周辺部、臨海部で軒並みのマンション建設、こういう問題についてどのようにお考えでしょうか。
○扇国務大臣 せっかくの瀬古議員のお話でございますけれども、私もいろいろなところへ行っておりますけれども、どこへ行っても過疎、小学校は閉校。あらゆるところで、都市でも、都心になればなるほど子供が少なくて、学校が閉鎖される。すぐそばの私たちの永田町小学校もあるいは泰明小学校も、あらゆるところで住む人がいなくなる。
そういう中で、江東区は本当に、これほど人が来て、来て、来て、来て、マンションを建てれば、来る、来る、売れる。こんなところは余りないんですね。戦後のベビーブーマーの皆さん方が、いよいよ子供を持って住宅を求めるという年代になってきた。そういう意味では、改めて、隣にいらっしゃる西川先生は江東区が前の中選挙区のときの選挙区ですから、どの程度なのか、私も詳しくまた後で聞いておきますけれども。
瀬古先生がおっしゃいますように、あらゆるところで住民の意見を聞くというのは大事なことです。最初から参加してもらうことも大事ですけれども、全員の皆さんの意見を反映するということは不可能です。百人いらっしゃれば、百人意見が違うわけですから。
残念ですけれども、名前を挙げさせていただきますけれども、私、東京に四十五年住んでいますけれども、あのときに美濃部都知事が一人でも反対したらしないとおっしゃったツケが、今、東京都の高速道路通過、一四%はただ東京を素通りしている、外郭がもっと早くできていればこんなことにならなかった、今言っても遅きに失しますけれども。
ですから、住民の皆さんの意見を聞くことは大事ですけれども、その中から集約をさせていただく、これもまた大事なことで、私は、民主主義の原点というものはそこにあろうと思います。今回の江東区の個々については私まだ自分が拝見しておりませんので論評は避けたいと思いますけれども、東京都内でこれほど人が来てくれるのは、よほど江東区がいいところで、そしてマンションを建てて売れるんだなと。後で西川議員にも、そんなにいいところかというのをよく聞いてみたいと思いますけれども、うらやましい限りだと千代田区なんかは思っていると思います。
○瀬古委員 実際に、ふえても、やはりそれぞれの自治体のまちづくりの計画があるわけですよね。そういうものとバランスを壊したような形で町がつくられていくと、本当に大変なことになってくるわけです。
きょうは文部科学省に来ていただいているんですが、例えば、昨年の二〇〇一年には、年度途中で超高層マンションの入居が始まって、一つのマンションで八十人ぐらい子供が来ると。それで、十一月に異例のクラス分割をやってしまったんですね。ようやく友達もしっかりしてきたこの時期に突然のクラスがえで、子供たちが本当に戸惑って、保健室に通う生徒が急増してしまったと校長先生が言っていらっしゃいます。実際行ってみましたけれども、学校も狭くて、そして、もしこれ以上どんどん子供がふえてくれば、図書室やランチルームも次々と教室にかわっていくと。やはりこういう教育環境の変化などは深刻だと思うんですが、その点、こういう変化が生徒に及ぼす影響について、どのようにお考えでしょうか。
○加茂川政府参考人 お答えをいたします。
江東区におきます最近のマンション建設が相次ぐことに伴う諸問題が生じておることを報道を通じて私どもも承知をいたしております。委員御指摘のように、子供の立場に立ちまして、児童生徒が適切な環境のもとで学校教育を受けることができるように環境整備を図ることは大変大事でございますが、まずは、学校の設置者である市区町村など自治体がこの責任を負っておりまして、そのための取り組みを進めていただきたいと私どもは考えておるわけでございます。
まちづくりに当たりましても、学校施設の状況あるいは教員の配置など、子供の教育面に与える影響についても十分配慮して行われるべきだと私ども考えておりますけれども、一般的には、首長部局で都市計画を策定する際などに教育委員会とも事前に十分連携を図っていただきまして、不必要な混乱を避けるように配慮いただきたいと私どもは思っておるわけでございます。
○瀬古委員 時間が参りました。
今、大臣は、全員の意見をまとめるということは難しいと言われたのですが、私は、全員一〇〇%それはまとまればいいと思うんですが、そうでない場合であっても、これだけ幾つかの、マンション建設についていつでも意見が出ています。それから、江東区についても、自治体がいろいろ計画していても、今の規制緩和に追いつかないぐらい今マンションの建設がどんどん進められてきて、そして子供の教育環境もどんどん悪くなってしまう。これは、少なくとも国も行って考えてもらいたいというのが切実な声だと思うのです。
少なくとも、建築基準法では、「目的」にきちんと、最低の基準を決めて、国民の命、健康及び財産の保護を図る、都市計画法の第一条でも、「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与する」、こういうふうにきちんと法律で決められていて、国の責任もそこははっきりうたっているんですね。
そういう点で、少なくとも自治体が何とかしてもらいたいという声を上げているときに、私は、一方的にこういう規制緩和を進めるということは、それは今の法の精神からいっても外れているということを、まず第一回目の質問でございますので、指摘だけして終わります。ありがとうございました。
○久保委員長 原陽子さん。
○原委員 社会民主党の原陽子です。
私も瀬古委員と同じような懸念を持っているという立場から、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに大臣にお聞きをしたいんですが、先日の趣旨説明のときに、この法案の第一のところについて大臣は、住民等の自主的なまちづくりの推進や地域の活性化を図るため、都市計画の提案制度を創設することとしておりますと、これを第一番目に述べておられました。
私は、これは一歩前進だなというふうに感じておりまして、まちづくりをするに当たっていろいろな人たちの意見を、そしてNPOや住民の意見を聞くということをこの第一番目に掲げられているということは、非常に評価をできるところだと思っております。
一つお聞きをしたいのは、この法律自体を改正するに当たって、まちづくりにかかわった経験を持つ自治体や自治体の議会、そしてNPOや住民から意見を聞くようなことはなさったのかどうか、まず最初にお聞きをしたいと思います。
○三沢政府参考人 今回の建築基準法等の一部改正に当たりましては、社会資本整備審議会の中にそれぞれ建築分科会、それから都市計画分科会、二つの分科会において相当熱心な御議論をいただきました。それらの分科会の中には、今先生おっしゃいました自治体のいろいろなまちづくりに携わっている経験のある方、それから都市計画に関するNPOに携わっている方々、こういう方々も入ってこういう御議論をしていただいて、その結果を今回の法改正ということで提案させていただいているというものでございます。
○原委員 それであるならば、やはりこの法案は、大臣が何度も強調なさっておられますパブリックインボルブメントでしたか、その精神を盛り込んだ法案になっているのであれば、ぜひこれからも、国土交通省が出していく法案をつくるに当たって、その策定の段階から、私は、ぜひ住民の方々やNPOの方々の意見を聞いていくような法案づくりをしていっていただきたいと思うんですが、ここは大臣にそのお考えをお聞きしたいと思います。
○扇国務大臣 今局長が答えましたように、審議会はあらゆるジャンルの皆さんが入っていますし、また、今、原さんがおっしゃるNPOの皆さん方も代表として入っていただいていますから、この法案づくりまでには、何人でしたか、合計約二十五名の各ジャンルの皆さんが全員お入りになっていただいていますので、そういう意味では、今後も、国土交通省の法案づくりのためには、あらゆる分科会等々の皆さん方の御意見を聞くようになっております。
○原委員 今、NPOの方々の意見も聞いたという御答弁をいただいたんですが、そうした方々の意見がどこまでこの法案を策定する段階で生かされてきたかどうかちょっとわからないんですけれども、実は、この法改正は余り好ましくないというような意見が自治体の方やまちづくりNPOの方々から寄せられています。
今回、三点、法改正になっているんですが、まず、総合設計制度のところで、許可から建築確認の手続だけで済む点と、二つ内容が挙げられていますが、その二点についても、特に斜線制限の規制緩和については自治体が全くかかわることができないというような今回改正になっているということで、策定の段階でそういう方々の意見も聞いたという御答弁だったんですが、不評というか改悪だというような意見も出ております。
ここで、少し総合設計制度について質問をさせていただきたいと思います。
例えばの話なんですが、この総合設計制度において、容積率の緩和をするために許可を取るのに、書類を出しますよね。その後に、もしかしたら本当にちゃんと申請したとおりに建築を行わない悪い建築業者の方々がいるかもしれないということは予想されると思います。
一つ、千代田区の例をここで挙げさせていただきたいんですが、千代田区の方に聞いた話なんですけれども、建てられようとしていたビルが、東側と西側を八階建ての高いビルでふさいでしまうというような計画をしていたそうです。こうすると、日照権もなくなるし風通しも悪くなる。計画のところでは、住宅が一世帯しかそこには計画されていないのに、共同住宅という名前で申請をされていたそうです。たった一世帯がビルの二階に、しかも二百六十六平米という広さで計画されていたそうです。これは住宅だということで申請をされていたとしても、それだけ大きな広さのものは、いつかは例えばオフィスなんかに転用されても不思議じゃないんじゃないかなということが予想されると思います。やはり、こうしたことが、ちゃんとこの総合設計制度の中でチェックをされていないということが問題点だということを千代田区の方はおっしゃっていました。
しかし、今こうした問題が挙げられている総合設計制度の中でも、ここは千代田区の例なんですけれども、今ならまだ事前に、住民からの陳情があれば、それを議会において審査して、周辺住民の方々の意見をちゃんと尊重してよいまちづくりを行うように、こういう計画が出たとしても、今の段階であれば一応議会でチェックをすることができるそうです。
しかし、今回、この法律が改正されると許可は要らなくなるわけですから、そうした申請手続が要らなくなるということは、チェックをすることができなくなると思うんですよ、住民の方々とか自治体の方々が。そうしたチェック体制の仕組みというものはどういうふうに変わってしまうのか、教えてください。
○三沢政府参考人 今回の改正はどういうものかといいますと、今までの総合設計制度の運用実績を踏まえまして、審査基準のうち、定型化、共通化できるものを法律、政令で定めることによりまして、従来総合設計制度に係る手続として必要とされている建築審査会の同意それから特定行政庁の許可を経ずに、建築確認の手続でそういう緩和はできるという制度にしたわけでございます。
それで、どうやってチェックするのかということでございますが、当然、建築確認でございますので、まず確認の段階でどういう設計内容か、これが法令等に適合しているかどうかということをきちっとチェックいたします。それから、当然のことながら、完成した後は竣工検査等によりましてきちっとチェックすることとなります。それから、その後の用途変更についても、建築基準法上用途変更の手続というのがございまして、そういうものでチェックをするということになっております。
したがいまして、チェック体制があるかどうかということであれば、そこは従前の総合設計制度と今回の法改正と、同じようにきちっとしたチェックがされるということでございます。
それから、従前の総合設計制度だと議会が関与する余地がある、こう言われました。私どもちょっとそれを理解しにくいんですが、これは建築審査会でもちろんきちっと今まではいろいろ審査いただくという手続がございますけれども、特段議会の方でこれを御議論いただくというような手続はございませんので、今までも、何か議会にかけるとか、あるいは特に住民参加の手続を経るということにはなっていませんので、その点も特段今回変化はないということでございます。
○原委員 もちろん、今のことは、千代田区が定めているこうした総合設計制度の手続の流れの中で、住民からのそうした要望ですか申請があれば議会の方でちゃんと取り上げている、千代田区ではそういう仕組みをつくっているということです。
では、今の答弁でいうと、議会がかかわることはないということをおっしゃっていましたが、各自治体ごとにこうした条例を定めればそうしたチェック体制はとれるという理解で、各自治体ごとにちゃんとした条例をしっかりと定めていけばいいということでしょうか。
○三沢政府参考人 これは、従前の総合設計制度であれ、あるいは今回の改正後の仕組みであれ、基本的に建築基準法に定められた手続にのっとってやるということでございますので、この手続にのっとって行われるということについては、ある意味では適法なものとして行われるということでございます。
○原委員 済みません、ちょっとわからなかったので、もう一回だけ今のところは確認させてください。
つまり、一応国としての総合設計制度、建築基準法の中の手続の制度があったとしても、自治体は独自にチェックできるような条例を設置することができるというふうに受けとめてよろしいんでしょうか。
○三沢政府参考人 建築基準法でどういうことができるかというのは、どういう手続を踏むかということも含めて、基準法の中に書いてございます。基準法の中で、例えばこれは条例を制定しなければいけないというふうに書いてあれば、それは条例によることは当然でございますけれども、それ以上にいろいろな手続を付加するということは、この基準法上想定しておりません。
○原委員 しかし、地方分権ということが言われている中で、やはりちゃんとその自治体ごとにチェックするような仕組みを条例で定めることができても私はおかしくないと思いますし、それこそが、地域の声がしっかりと反映される、そして住民の皆さんのチェックがしっかりと入るようなまちづくりができてくるんじゃないかなというふうに思います。
余りしつこくは聞かないので、次の質問に移らせていただきますが、法案の中のちょっと細かいところなんですが、一つ聞かせてください。
建築基準法の中の五十六条の七項のところなんですが、ここにずっと文章が書いてあって、採光、通風等と同等以上のというふうに書いてあるんですが、この「採光、通風等」の「等」というところには何が含まれているのでしょうか。
○三沢政府参考人 この改正案の第五十六条第七項で「等」と言っておりますのは、採光、通風以外に、いわゆる開放度、開放性、こういうものを指すというふうに理解しております。
この場合の開放度とは何かということでございますけれども、人の視野の中での開放感の程度といいますか、具体的に申し上げますと、建築物に遮へいされない空間の割合がどのくらいあるかということで示される、そういう開放度というものと理解しております。
○原委員 この「等」のところには、例えば、なかなか性能評価をするのは難しい部分かもしれませんが、町並みとか景観とか、そういう心理的な圧迫感とか、日照度というのですか、日照権というのですか、そういうものは含まれないのでしょうか。
○三沢政府参考人 ただいま申し上げましたように、この「等」というのは開放度を示すものでございます。したがいまして、この中で今言われました町並みとか景観を読むということは想定をしておりません。
それからまた、日照に関しましては、別途日照の規定がございますので、そちらの法令によって適切に規制をするという仕組みになっております。
○原委員 わかりました。
この採光、通風等が確保されるものとして「政令で定める基準」というふうにここに書かれているんですが、この「政令で定める基準」とはどのような基準でしょうか。
○三沢政府参考人 お尋ねは、五十六条七項の「政令で定める基準」のことかと思います。
この五十六条七項の「政令で定める基準」というのは、斜線制限の適用を除外するための条件を示す基準でございます。具体的に言いますと、建築物の前面道路とか隣地における天空率が一般的な斜線制限による天空率を下回らない範囲のものであることを定めるということを予定しております。
では、その天空率とは何かということでございますけれども、これは、ある測定点で天空を見上げた三百六十度の視野の中で建築物で遮られない部分の割合のことでございます。これは、採光等の程度をあらわす代表的な指標として用いられているものでございます。
○原委員 時間が余りないのですが、今の話を聞いていて、ここでこの法改正がなされると、要するに、自治体とか住民のチェックをする体制もなくなるというか、そういう機会も失われて、そして先ほどの「採光、通風等」の「等」のところに日照権とか町並みとか景観とか圧迫感は含まれないという御答弁をいただいたんですが、私、これでどうやって良好な暮らしというものを確保できるのかというふうに非常に不思議に、今疑問に思うのですが、良好な暮らしのそうした環境を守るという立場では、どのようにお考えになっているでしょうか。
○三沢政府参考人 この「等」の中に町並み、景観が入らないじゃないかというお尋ねでございますけれども、これは、要するに斜線制限についてどうするかというような規定でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、例えば日影の問題であれば建築基準法に別途日影の規定がございます。
この斜線制限の規定に関していえば、要するに、従前の斜線制限と同等な効果が確保できるものについては、規制の方式として、いわゆる斜線制限という方式によらなくても、別の方式でも同等な効果が確保できるではないか、こういう趣旨から今回のこういう法改正をしているものでございます。
したがいまして、現基準法全体といたしまして、別途日影の規制もございますし、それから町並み、景観を守ろうと思えば、そういういろいろな建築規制をすることも可能でございますので、この規定だけでどうこうという話ではないというふうに理解しております。
○原委員 では、最後に一つお聞きをしたいのですが、この法改正によるつくる側、開発業者の方のメリットは何となくわかるのですが、住民側のメリットというものは何ですか。
○三沢政府参考人 これは、先ほど来大臣からも御答弁申し上げていますように、一つは、それぞれの公共団体が、それぞれの土地柄といいますか、地域の実情に応じた、都市計画上選択できる選択肢の範囲を拡大している。当然、その都市計画を決定するに当たっては、地域住民の方々が参画しながら決めていくという性格のものでございます。
それから、先ほどの都市計画の提案制度、こういうものの中で、地域住民の方々が自分たちのまちづくりはこういうふうにしたいということを提案することができるということでございますので、そういった点をメリットであるというふうに考えております。
○原委員 最後に、大臣に一つだけ質問をしたいのですが、つまり、都市計画の中で、ここは住宅地にしましょうとかそういう計画があったとしても、そこに建つものの一個一個に関しては今回規制緩和がなされるわけですね。その中で、この法改正によって、一体どんな町並みをつくるということを目的とされているのか。最後に大臣にお聞きをして、質問を終わりたいと思います。
○扇国務大臣 皆さんがいかに快適に住み、いかに環境をよくし、住勤接近して、住居との距離をいかに少なくして、そして環境を二十一世紀型の町にするかという、少なくとも基本的に大きな要因を秘めていると私は思っております。
そういう意味では、私たちは、絶えず時流に乗った、あるいは二十一世紀型の住宅というものと建築物というもののあり方、そして、先ほどからもいろいろお話にありましたように、ただビルを建てればいいというものではなくて、あらゆるバリアフリーを加味したようなものをつくっていこう。
そういうことで、少なくとも我々は、二十一世紀型のバリアフリー化したそういう住宅をつくり、そして、今言った、先ほどからもお話に出ました、建築物によっていろいろな症状が身体的に出ないような、そういうことも考えながら、二十一世紀型の建築物あるいは住居というものを提供する基本的な法案であるというふうに御認識賜りたいと思います。
○原委員 終わります。ありがとうございました。
○久保委員長 西川太一郎君。
○西川(太)委員 先ほど来、私の前にお二人の質疑者、大変優しい、住民の側に立った視点での御質疑、傾聴に値するものがあったと思います。私の旧選挙区のことを御心配いただいて、感謝をしたいと思っております。皮肉ではありません、本当にそう思っております。
そこで、私は、この法律の改正は、いやしくもディベロッパーの金もうけの手伝いをするという法律であっては絶対ならないと思うし、そこに住む人たちが住みたいなという環境を、そして住というものをどういうふうに充実させるか、それも、年をとって何年もかかってというのじゃなくて、クイックレスポンスしてくれる行政を望んでいるということは、私も地方議員経験者として長い間都市計画審議会に何回も籍を置いていろいろな経験をしてまいりました、都議会自由民主党でありましたので。今ちょっと違うところにいて恐縮でありますが。
保坂三蔵参議院議員と私は一緒になって、例えば、丸の内をお通りになると、あそこに銀行協会というのが、ビルにはかまをはいて、古いものをレリーフのような形で残している建物、御存じだと思いますけれども、あれはああいうふうに残すために随分みんなで苦労したし、それから、恵比寿ビールの跡を、都市計画審議会で反対される方々が大勢、大勢というか、当時の言い方であれば、革新政党の中におられたんですけれども、しかし、今日、あそこがどんなに東京都民にとって憩いの場であるか、また、よそから来る方々にも本当に東京の一つのお目当てのスポットになっているということも思えば、私は一概に開発がいけないという論理には立ちたくない、こう思っているわけであります。
そこで、私としては、ぜひお尋ねをしたいと思うのでありますけれども、やはりこれから町は美しくなきゃいけないと思うんですね。
いろいろなことを申し上げたいんですが、時間に限りがありますけれども、例えば、世界遺産に登録されているスイスのベルンの旧市街なんかを見ると、本当にすばらしいな、こういうものを残す文化、いいなと。それで、日本に帰ってきて地方に行けば、お城を中心にすばらしい町並みがある金沢なんかは、こんなところに暮らしてみたいなと思うし、地方都市のそれぞれの固有の文化を持って、ある意味では都市間競争をやっておられる。
東京のように、ただ無秩序に広がってしまった、こういうところを都市再生でもう一度、それぞれ、東京の中でも、例えば山の手と下町と昔は截然と区別されていた、そういうものを何か復活できないのかな、こんな率直な気持ちを持っておりまして、何度も申しますけれども、金もうけの手先になる法律をつくる気は私も与党の一員として毛頭ありません。住む方々が本当にいい法律をつくってくれたと、こういう法律をつくりたいがためにお尋ねをしたいというふうに思います。
そこで、都市再生を図る上で、商業業務地の高度利用とか、それから都心居住の促進、こういうものは私は不可欠だ、こう思うわけであります。
例えば、これは想像ですけれども、山手線のそれぞれの駅の上に高層ビルを建てたら、こんなすばらしい職住近接の模範例はないと思うんですよね。何でそれをやらないのか。かつて、あそこにおいでの和服を着た大臣はそういうことを、もっと東京は何でそういう知恵を出さぬのかと建設大臣の当時おっしゃったのを、私、都会議員として拍手を送った覚えがあるんです。
それから、もう量は足りて、質の時代ですよね、住宅は、ある意味では。セカンドハウスだって都心に持ったっていいじゃないですか。そういうようなことを、もう昼間百万人、夜四万人なんというもったいない使い方をしないでやるべきだと思いますよ。
先ほど千代田区のことを御指摘になりましたけれども、中央区だってそうですよ。大臣が先ほど御答弁でおっしゃいました、島崎藤村が勉強したあの小学校が何で残せないんですか。そういうようなことを私どもはやはりやってもらいたいな、こう思うわけでありまして、何を聞いているのかわからなくなっちゃって済みません。失礼しました。申しわけありません。
演説はこれでやめて、要するに、職住近接を図るための都心地域の居住を促進する観点から、今回のこの建築基準法の改正にはどんな御配慮をなさったのか、お尋ねをしたいと存じます。
○三沢政府参考人 今後は、やはり都市の再生という観点からは、経済活動の場だけではなくて、子供からお年寄りまで多くの方々が住み、憩えるような空間を整備する、それとともに居住環境の向上を図っていくということが大変重要でございます。
今回の法改正によりまして、一つは、総合設計制度等による審査基準を定型化いたしまして、一定の要件を満たす住宅について、特定行政庁の許可を経ないで、建築確認の手続で迅速に容積率制限について緩和できる制度を導入したこと。
それから、公共団体が、その地域の実情に応じまして、例えば住居系の用途地域の指定容積率について、その地域はやはり高容積の地域にしようと思えば、例えば中高層の住居専用地域で、従来三〇〇%までだったものを四〇〇%とか五〇〇%も選択できるようにしたということを講じております。
これらの措置によりまして、それぞれの自治体が、当該地域の実態を見ながら、都市計画等の中でこの法制度を的確に運用していただくことによりまして、このことが都心部等における都心居住あるいは住宅確保に資することができるというふうに考えているところでございます。
○西川(太)委員 容積率の緩和について次にお尋ねするのですけれども、古い話で恐縮でございますけれども、河野洋平先生のお父上、河野一郎当時建設大臣が小田原のお屋敷にお帰りになるときに三田を通るのですよね。そうすると、慶応義塾大学の前を通って、慶応ボーイという日本で一番しゃれた人たちが勉強しているこの地域が平均二階か二・五階、こういうことでいいんだろうかというようなことをおっしゃった。そういうことから、それだけじゃないと思いますけれども、その後、容積率緩和をみんなが大都市では求めてきたけれども、なかなか許可にならないで来た。
今度、この容積率を緩和していただくために、迅速にやっていただくということ、早くやってくださいよということをお願いして、今回、改正において、容積率制限等の迅速な緩和制度、こういうことを創設していただけるということを承知しているわけでございますけれども、これによってどんな効果が期待されるのかということをお尋ねするのでありますが。
一つ私の体験を、もう一回演説はしないように気をつけますが、申し上げると、使い切っていないところがあるのですよ、せっかく緩和しても。ここはやはりいろいろな自治体と国がもっと積極的に意見交換をして、なぜ使い切れないのか、東京のいい場所に容積率を十分担保しているのに、それが十分に活用されていない理由は何なのか、そこらのところも総合的に、中には、先ほど瀬古先生がおっしゃったように、インフラが間に合わなくて使い切れないということもあるかもしれない。そういうことがもしあるのだったら、やはり私どもはインフラ整備を同時に進めるような工夫も必要だろう、こう思うのでありますが、いかがでございましょう。
○三沢政府参考人 まず第一点目の、どういう効果があるかという点でございますけれども、今回の容積率の迅速な緩和制度は、従来の総合設計制度の運用実績を踏まえまして、特定行政庁の審査基準のうちで定型化、共通化できるものは、政令で定めることによりまして、特定行政庁の許可手続を経ないで、建築確認で緩和できるということにするものでございます。
その効果といたしましては、そういたしますと、要するに、申請者の立場からいいますと、自分が申請した場合に受けることができる緩和の程度というのはどのくらいのものかということが事前に確定して明確になるということ、それから、当然のことでございますけれども、手続期間が短縮し、確定する、それからさらには、申請に係る手数料といいますか経済的負担も軽減が図られるということで、そういう意味では、プロジェクト実施上のリスクの軽減が図られるという効果があるというふうに考えております。
それから、要するに、なぜ使われないのかという点でございます。いわゆる規制緩和といいますと二つございまして、ただいま申し上げましたのは、あくまでも個別のプロジェクトに着目して緩和するやり方、この場合は、当然、申請者がここまで使いますということで、それを使わないというケースはちょっとまず考えられないと思いますが、一般的に、ある地域全体を、例えば容積率を引き上げるということになりますと、やはり今先生がおっしゃいましたインフラの整備の問題とか、そういうことを総合的に考えないと、仮に地域全体の容積率を緩和しても目いっぱい使われないところが当然出てきます。
したがいまして、そこはやはり公共団体の、都市計画の中で、この用途地域、どの選択肢を選択するかという判断において、やはり地域のインフラの整備状況とか十分勘案して、どの容積率にするかということを決めていただくということは大事だというふうに考えております。
○扇国務大臣 せっかくの西川議員の御高説を伺いまして、私からも、今後国土交通省として考えておりますことを一言だけ言わせていただきたいと思います。
それは、今おっしゃったように、容積率緩和等々を考えましても、東京都というものをどうするのかという基本的な設計がないわけですね。たまたま山手線の駅の上にビルとおっしゃいましたけれども、私は、山手線の上にぐるっと高速道路を、全部ふたをしてつくっちゃったらどうだと言ったこともあるんです。
そのように、私は、計画というものが必要だということで、今、容積率の活用ということでは、今回は、東京都の駅の上の空間も今度活用しよう。そして、今おっしゃった、文化を大事にするということで、日本橋も平成十一年に重要文化財に指定された。けれども、わからない。高速道路が二重にかかって、日本橋のあの高速道路の上に電気がついている。そういうことも、今回は両サイドに容積率を緩和したビルを建てさせていただいて、そのビルのお腹の中を高速道路が通るようにしよう、そうすると日本橋が回帰するということで、こういう容積率の緩和をしていくということによって新たな都市ができますけれども、東京都の都市計画が昭和二十一年にでき上がりながら、今達成率は五五%。私は残念だと思います。
四五%が今日まだできていないということから考えましても、基本的な計画というものがいかに大事であるか、それが、先ほどおっしゃったインフラも含めて、都市計画というものを、そのまちづくりというものを、いつも私表彰しますけれども、一部の町だけではなくて、全体の総合的なデザインがないから今日に至っているということも、今の西川議員のお話を伺いながら、我々国土交通省として超長期の今度は日本の国づくり、百年のグランドデザインをつくるということでございますので、ぜひ御協力を賜り、お知恵もかしていただきたいと存じます。
○西川(太)委員 まだ私質問あるんですけれども、五分しかないので、次の機会をもしいただければそのときに残りの質問は回させていただきますが、一言東京都のために弁ずれば、ただいま大臣が仰せになりましたのは道路のことでございまして、東京都は立派な計画を持っております。東京全体をそれぞれの地域特性に分けてブロック化し、それを、すばらしいコミュニティーをつくるためのハードな都市計画を、まちづくりをやっていきたい、こういう計画は持っておりまして、それを促進する意味でもこの法律が大いに効果がある、こういう観点から質問しておりますので、東京が無秩序であるとかいいかげんであるということはありませんので、念のため、これは十分御承知おきとは存じますけれども、申し上げておきますが、何かこのことについて大臣がコメントがあれば、最後、いただきます。
○扇国務大臣 私が都市計画の未達成が四五%と申しましたのは、道路でございます。
とにかく、東京がなぜこんなに渋滞するのか、この渋滞によって、東京都内の高速道路の渋滞率を考えれば、少なくとも、物流的にも、あるいは経済的にも年間四兆九千億の損失をしているという数字も出ております。そういう意味では、道路も、この国際都市、玄関の、日本の顔であるという東京都と考えても、少なくとも私は、都市計画の達成というものが道路だけとってみても早くできなかったというのは、東京都の計画があったけれども、いろいろな都政の、革新都政があったりあるいは与党都政があったり、いろいろ変わってきた中での差異があったんだということもわかっておりますので、ぜひこの際、あらゆる面で日本の顔としての東京の再生というものは、私は都市再生の一番重要点だと認識していることだけは申し上げます。
○西川(太)委員 よろしくお願いします。
終わります。ありがとうございました。
○久保委員長 次回は、来る十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十六分散会