衆議院

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第22号 平成14年6月26日(水曜日)

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平成十四年六月二十六日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 久保 哲司君
   理事 木村 隆秀君 理事 実川 幸夫君
   理事 林  幹雄君 理事 古賀 一成君
   理事 細川 律夫君 理事 赤羽 一嘉君
   理事 一川 保夫君
      赤城 徳彦君    倉田 雅年君
      菅  義偉君    田中 和徳君
      高木  毅君    高橋 一郎君
      谷田 武彦君    中馬 弘毅君
      中本 太衛君    菱田 嘉明君
      福井  照君    二田 孝治君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      吉川 貴盛君    阿久津幸彦君
      井上 和雄君    今田 保典君
      鮫島 宗明君    樽床 伸二君
      津川 祥吾君    中村 哲治君
      永井 英慈君    長妻  昭君
      伴野  豊君    平岡 秀夫君
      山内  功君    高木 陽介君
      山岡 賢次君    赤嶺 政賢君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      保坂 展人君    西川太一郎君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   国土交通大臣政務官    菅  義偉君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           上原  哲君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房文教
   施設部長)        小田島 章君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  下田 智久君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           真野  章君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           武田 貞生君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房官庁
   営繕部長)        春田 浩司君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            岩村  敬君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君
   参考人
   (預金保険機構理事)   松田 京司君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十六日
 辞任         補欠選任
  井上 和雄君     長妻  昭君
  大谷 信盛君     中村 哲治君
  平岡 秀夫君     山内  功君
  前原 誠司君     鮫島 宗明君
  大幡 基夫君     赤嶺 政賢君
  二階 俊博君     西川太一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  鮫島 宗明君     前原 誠司君
  中村 哲治君     大谷 信盛君
  長妻  昭君     井上 和雄君
  山内  功君     平岡 秀夫君
  赤嶺 政賢君     大幡 基夫君
  西川太一郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)(参議院送付)
 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
久保委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、建築基準法等の一部を改正する法律案及び高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房官庁営繕部長春田浩司君、総合政策局長岩村敬君、都市・地域整備局長澤井英一君、道路局長大石久和君、住宅局長三沢真君、鉄道局長石川裕己君、航空局長深谷憲一君、文部科学省大臣官房審議官上原哲君、文部科学省大臣官房文教施設部長小田島章君、厚生労働省健康局長下田智久君、厚生労働省社会・援護局長真野章君及び経済産業省大臣官房審議官武田貞生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として預金保険機構理事松田京司君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福井照君。
福井委員 皆様おはようございます。
 昨日は韓国は惜しいことをいたしましたけれども、日本は決勝トーナメントに出させていただきまして、本当にありがとうございました。
 一説によりますと四千億の経済効果があるということでございますけれども、ワールドカップという世界一のイベントを我が国で主催をいたしまして、それをどういうふうに生かしたのかということについて、まず御質問をさせていただきたいと思います。
 数十億人ともいう方が世界じゅうでこの映像をごらんになっている、コリア・ジャパンという、町の中の映像もございます。そういうことを、国威発揚とか、あるいは貿易外収支、貿易収支、あるいは観光客の増進という観点から、国家的な戦略、戦術があったのかどうか、どうも疑わしい気がいたしておりますので、若干の御質問をさせていただきたいと思います。せっかくの機会を逃してしまってはいけないという観点からの御質問でございます。
 そもそも、きのう小泉首相はG7に行かれました。G7のGはグループ7ということで、ロシアを入れてG8でございますけれども、グローバライゼーションの世の中ですけれども、そういう先進諸国の価値基準よりはもっと世界標準というのがあるんだというのがG7でありまして、グレート7というのがございます。つまり、ワールドカップで優勝した国が七カ国しかなくて、その七カ国が世界で一番偉いんだということであります。イングランド、ドイツ、フランス、イタリア、ウルグアイ、ブラジル、アルゼンチンという国が偉いんだというのが世界の常識でありまして、それぐらいの価値基準を含んだ、世界標準を含んだこの世界的なイベントをどういうふうに生かしたのかということなんです。
 つまり、ワールドカップそのものこそが外交であるということで、聞くところによりますと、韓国では、中国との関係が大事ということで、中国の予選リーグは韓国で必ずやっていただくように図ったと言われておりますし、オープニングゲームの最前列の一番いい席には、韓国に投資する、お金を持ってくるべき外国人がそこに並んでいたということも伺いますし、国家としてのそういう戦略があったということです。翻って、日本はどうだったのかなというふうに思います。国土交通行政としては、観光行政としての今後の方針ということになるかもしれません。
 しかし、いいこともありまして、本当に有名になりました人口千三百人の中津江村の方が、聞くところによりますと、きょうも来なかった、きょうも来なかったということでしたけれども、毎日毎日、カメルーンの選手団に食べていただこうということで新鮮な野菜を買っていた。毎日毎日買って、きょうも来なかったといって捨てて、毎日また朝買って、きょうも来なかったといって捨てた。しかし、そういうことがあっても一言も文句を言わずに、ひたすらカメルーン選手団を待ち続けた。そして歓迎し、接待をし、そして応援にも行ったということで、これはまさに日本人の徳を示したというふうに言えると思います。
 このことこそが、観光の語源、観光は「易経」から来ております。「国の光を観る。王に賓たるによろし」というお経から来ているわけですけれども、まさにこの日本人の徳、中津江村の皆さんの徳こそが、国の光の光るものであるというふうに思っております。つまり、見返りがなくても、感謝されなくても、ただひたすら奉仕する、この徳こそ日本人最大の文化だというふうに思っております。徳こそ世界に冠たる日本人の生きざまだと思っております。
 そんなことで、この何でもない日本人の生きざまを、光るものを世界に売っていこうということで、実は、平成十一年から都市観光を創る会というのが活動しております。個人ベースでございますので、当時の運輸省の観光部にいた人、当時の建設省の都市局にいた人も、それから民間の方もイベント屋さんも都市計画コンサルタントさんも寄って都市観光を創る会というのをつくって、今でも活動しております。二泊三日その町だけで我慢できるかどうかという実験をしたり、鉄人シェフがその町に行って土産物の味をリニューアルしたりというふうなことで、地方都市の光るものをさらに磨いたり、観光をまちづくりの理念として具体的な戦略をつくり上げたりしている、そんな活動をしておるわけで、まさに中津江村の今回の皆さん方の活動はそのいい例を示したものというふうに思っております。
 振り返って、いろいろありますけれども、総合して、観光行政、国土交通行政とワールドカップとの関係について、今までどういうふうにされて、今後どう生かしていくのかということについて、ちょっと長くなりましたけれども、総合政策局長さんから御紹介をいただきたいと思います。
岩村政府参考人 ワールドカップを機会に観光をどう振興していくかということでございますが、国家戦略とおっしゃいました。御承知のように、実は、小泉総理大臣が二月四日の施政方針演説の中で、ワールドカップサッカー大会は、日本の文化、伝統や豊かな観光資源を全世界に紹介し、海外からの旅行者の増大と地域の活性化を図るまたとないチャンスであるということを言われたわけでございます。
 これを受けまして、国土交通省といたしましては、まず第一に、我が国の豊かな観光魅力を紹介する、そして日本への訪問を呼びかけようということを図ったわけでございます。
 具体的には、扇国土交通大臣が日本への訪問を直接呼びかける訪日促進ビデオ、これをつくりまして放映をいたしているところでございます。また、国際観光振興会によります海外宣伝を行う、これは外務省とも協力してやっておりますが、こういった形で日本への訪問を呼びかけるというのが第一の施策でございます。
 それから、第二の施策として、訪日される方の足となります、航空機を初めとするいわゆる交通機関関係でございますが、航空でいえば、成田空港における暫定並行滑走路を供用開始した、これによって日韓の間の便が大幅に増便になった。また、羽田空港において、この期間中の特例といたしまして、昼間の国際チャーター便の受け入れ、これを認めたということで輸送力の拡大を図ったわけでございます。また、関係事業者の協力を得まして、大会期間中、鉄道、旅客船、航空、バス、高速道路等につきまして、訪日外客向けの特別の割引運賃料金制度も導入いたしたわけでございます。
 それから、第三番目に、旅行者の利便増進という視点から、関係省庁そして韓国側とも協力して、旅行者の利便を図るためのウォンと円の複数の通貨を一枚のカードに入れた世界初の多機能ICカードプロジェクト、これを今実施しているところでございます。これは扇大臣からの指示で始めたわけでございますが、現在やっております。
 また、外国人旅行者への通訳、観光案内、言葉の問題というのは非常に大きな障害になるわけでございまして、これに対応いたしまして、英語のほか九カ国語、英語を入れると十カ国語の通訳、観光案内、これを電話によって行うというプロジェクトも進めているわけでございます。
 また、日本と韓国の両国間を移動される航空旅客の出入国手続を円滑化するということで、プレクリアランス、相手国で日本の入国手続をする、また日本で韓国への入国手続を行うというプレクリアランスを実施いたしておるところでございます。
 以上、ワールドカップに向けていろいろこういった施策を講じておりますが、先生御指摘のように、我が国を訪れる観光客は海外を訪れた観光客に比べまして四分の一ということで、この日本を訪れる観光客をどうやってふやすかということが非常に大きな課題でございます。
 訪日の外国人旅行者がふえるということは、一つは国際相互理解の増進につながりますし、また我が国における旅行消費の拡大、さらには地域の振興というものにつながってくるわけでございまして、非常に大きな効果があるわけで、外国の観光客をお迎えするというこの施策、ワールドカップ期間中だけにとどまってはいけないことは申すまでもないわけでございます。
 そういうことで、あと一週間でワールドカップは終わりますが、終わった段階で、今申し上げたような施策についての評価をいたしたいと思います。そして、その評価を踏まえて、大会終了後も、関係省庁、そして観光振興会、さらには旅行関係企業、自治体等の関係者と緊密な連絡を図りながら、外客誘致に強力に取り組んでいきたい、そういうふうに考えているところでございます。
福井委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 続きまして、規制緩和で、飛行機と鉄道の御質問をさせていただきたいと思いますが、昨日大臣の記者会見もございましたですけれども、エア・ドゥについてお伺いさせていただきたいと思います。
 規制緩和によりまして新たに参入したベンチャー企業が、三年半で経営破綻してしまいました。国土交通省としてこの事態にどう対処するのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
 規制緩和ですから、消費者保護とサービス提供者側の保護、あるいは消費者満足度、サービス提供者側の志とか、その相克の中で、その時代その時代の最適解を生み出していくということが本来的なプロセスだと思います。
 今回の破綻というのは残念ではありますけれども、その再建に向けてどうされていくのか。新規航空会社のエア・ドゥが民事再生手続開始の申し立てを行うに至ったことを踏まえまして、規制緩和をしてきた今までの航空行政をどのように評価され、そして、今回のことを受けて、今後どのような施策を講じていらっしゃるのか、航空局長から御紹介をいただきたいと思います。
深谷政府参考人 御説明申し上げます。
 エア・ドゥの事案をめぐりまして、航空の自由化の問題の御質問がございましたけれども、当省といたしましては、国内の航空分野におきますところの経済活動、これを基本的には市場原理と自己責任の原則にゆだねよう、そういうことによりまして、より一層利用者の利便向上を図りたいということで、平成十二年の二月に航空法を改正いたしまして、いわゆる需給調整規制あるいは運賃規制、これを廃止したところでございます。
 私どもといたしましては、競争促進を通じて利用者利便の向上を図りたい、そういう観点から、いわゆる新規航空会社に対しては、例えば羽田空港の発着枠につきましては優先的に配分するなどのことをいたしまして、いわゆる競争環境の整備を図るべく努めてきた、こういうことでございますけれども、そうした中で、平成十年に、国内航空分野に新規航空会社としてエア・ドゥそれからスカイマーク、こういう二社が参入しております。そのことによりまして、普通運賃の引き下げ、あるいは特定便割引の拡充など、利用者利便の向上に大きな役割も果たしてきたというふうに私どもは認識いたしております。
 先生御指摘のエア・ドゥにつきましては、平成十二年の七月に二機目の航空機を導入して以来、なかなか計画どおりの増収が図れないなどの厳しい経営環境にあったわけでございまして、直近の十三年度決算で、債務超過という状態に至ったところでございます。
 昨日でございますけれども、このエア・ドゥが、全日空との包括提携も含めて、事業の継続を前提とした民事再生手続、この開始申し立てを行いましたけれども、それ自体は、この状況を考えますとやむを得ないというふうに私ども受けとめておりますけれども、今後の施策、対応といたしましては、先ほど申し上げましたように、競争を通じて利用者利便の向上を図りたいというふうに思っておりますので、いわゆる新規航空会社が、事業の拡大を、意欲と能力がある場合さらにやれるようにということで、混雑空港である羽田空港なんかにつきましては、改めて、競争促進枠、こういうものを創設するなど、一方で、大手の航空会社に対しましては、新規航空会社に対するチェックインカウンター、そういったスペースや、ボーディングブリッジ、こういった提供もさせるようなことをいたしてまいりたいというふうに思っておりまして、今後とも、適正な競争を行えるような環境の整備、これに行政としては努めてまいりたい、かように考えています。
福井委員 ありがとうございました。
 続きまして、鉄道の方でございますけれども、市場原理主義の失敗例も諸外国にはあるようでございまして、カリフォルニアの電力危機とか、ニュージーランドの一たん民営化した企業の再びの国営化への動き、そしてイギリスの鉄道ということで、私たちが目指しているというか、呪縛されていると言っても過言ではないサッチャーリズムとの関係、この事例から学習することは、非常に今重大なことだというふうに思っております。
 イギリスの鉄道は、既に困窮していた国有鉄道がいかに無責任で、かつ、政治的理由で急ぎ過ぎて規制緩和されたかということを示すものであるとすらレポートされておるわけでございまして、最近もまた事故が発生して、株主との再びの株の買い取りの交渉がなされているとの報道もございます。そういった歴史を踏まえて、そして最新の情報を踏まえて、イギリスの国鉄民営化とその後の状況についての評価、我が国への生かし方について、鉄道局長から教えていただきたいと思います。
石川政府参考人 イギリスの問題でございますが、イギリスにつきましては一九九四年四月に国鉄改革がございまして、従来のイギリスの鉄道公社、これが鉄道輸送事業と鉄道の線路事業というふうに分離されました。この結果、鉄道輸送事業につきましては地域ごとの多数の輸送会社、鉄道線路事業につきましては全国一元的にインフラを管理するレールトラック会社一社となりまして、それぞれが民営化されたところでございます。
 この一九九四年の民営化以降、実は、それまで毎年減少しておりました旅客輸送量あるいは貨物輸送量というものはともに増加に転じまして、一九九四年と比較した二〇〇〇年の輸送量というのは、旅客輸送では三六%増、貨物輸送では三九%増というふうになっているところでございます。
 ただ、一方、民営化されたレールトラック会社、ここにおきましては、事故等の影響によりまして、多額の負債を抱えて経営難に至っておりまして、二〇〇一年十月には事実上倒産をするという状態に至ったわけでございまして、現在、レールトラック会社は、政府の管理下に置かれて経営再建の途上であるというふうに聞いてございます。
 鉄道の経営改革でございますけれども、実は鉄道というのは、各国における鉄道の形態がさまざまでございまして、鉄道の経営形態あるいは輸送状況、あるいは鉄道を取り巻く社会的環境、いろいろ、さまざまでございます。したがいまして、これらについて、民営化を図る場合や、あるいは従来の国鉄のままで事業の改善を図る場合など、各国さまざまな考え方、方法がございました。そういう中で検討が進められているところでございますし、あるいは、まだこれから検討するというところもございます。
 そういう意味で、いろいろなケースがございますので、これを一律に評価するというのはなかなか難しいものだと思っております。
福井委員 どうもありがとうございました。
 今委員会に上がっております法律が、建築基準法の関係で、規制を新たにつくったり、あるいは一方では緩和したりということで、規制緩和というテーマで今事例を二つ御紹介いただいたわけでございます。
 次に住宅局長様から、この建築基準法の改正によりまして、規制緩和したりあるいは強化したりということで、今回の改正を含めまして、今まで建築基準法がずっと規制を緩和してきた。今度は、性能で評価するというコペルニクス的な展開までされたこの規制緩和を含めて、これまでの改正についての評価、そして今後の見通しを教えていただきたいと思います。
三沢政府参考人 建築基準法令におきましては、構造耐力上、防火上、衛生上等の安全性、それから、市街地環境の確保のための最低の基準をここに定めているわけでございます。これによりまして、国民の生命、健康、財産の保護を図るということを目的にしておりますけれども、当然、やはり建築技術の進歩であるとか、あるいは建材の開発、あるいはまちづくりの課題等に応じまして、その内容を不断に見直し、合理化を図っていくということは大変重要なことでございます。
 現在の建築基準法は昭和二十五年に制定されたものでございますけれども、その後幾たびかの改正を経ておりますが、代表的なものを申し上げますと、昭和四十五年には用途地域制度の整備あるいは容積率制限の全面適用、それから五十一年には日影規制の新設、五十五年には地区計画制度の導入、あるいは政令改正によりまして新耐震基準の導入というものを図っております。それから、平成十年、今先生がおっしゃいました民間機関による建築確認等の創設あるいは建築基準の性能規定化ということを図っておりまして、それぞれやはり時代の要請に応じた建築規制になるように、適切な見直しを従来からも行ってきたところでございます。
 今回の建築基準法の一部改正におきましては、地域ごとのまちづくりのいろいろな課題がございます。こういう多様な課題に迅速かつ的確に対応できるようにするために、これは規制の緩和だけではなくて、一方、規制の強化も行えるということで、具体的には、容積率とか建ぺい率等の選択肢を拡充いたしまして、公共団体が地域の特性に応じてその規制値を使い分けができるようにすること、あわせまして、いわゆるシックハウス対策のための建築材料等の規制を導入することにしております。
 今後とも、やはり建築基準法につきましては、今後の建築技術の進歩とか、あるいはまちづくりの課題、それに応じて適切な規制になるように継続して点検を行い、その都度必要な見直しを今後とも図っていきたいというふうに考えております。
福井委員 ありがとうございました。
 その規制緩和の議論で一番重要なのは、その規制の対象となる民間側の、企業側のサービス、供給側のモラルだと思います。今般の食品安全の問題につきましては、企業モラルというよりは、むしろ企業の犯罪が問われるという事態にまで発展をしております。
 住宅を供給する事業者が消費者との契約を遵守するという、まあ当たり前のことなんですけれども、そういうことなど、適切に事業を展開するような、どのような施策を講じているのか。住宅行政としての今後の展開を、そして現状を教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
三沢政府参考人 住宅生産者による適切な事業展開というものをきちっと担保していくためには、当然のことでございますが、一つは、売買であれば宅建業法、それから注文住宅であれば建設業法という基本的な法令がございます。まず、こういう法令をきちっと遵守していただくということを徹底していくということが、当然一番大事でございます。
 あわせまして、やはり消費者の方にいろいろな情報がきちっと提供されるような体制、それから、生産者の方で瑕疵があった場合に、それを担保する責任というのをきちっと充実を図っていくというようなことが非常に重要であるというふうに考えております。
 このため、いわゆる住宅の品質確保法に基づきまして、一つは、新築住宅の基本構造部分につきまして、瑕疵担保責任を十年間義務づけるということをいたしました。
 それから、いわゆる住宅性能表示制度ということで、共通のルールに基づきまして住宅の性能に関して性能表示を行いまして、消費者に的確な情報が提供できるような制度の創設、さらに、その住宅性能表示を受けた住宅に関しまして紛争が生じました場合には、紛争を処理できるような体制の整備、こういうものを品確法に基づいて図ってきたところでございまして、やはりこういうことを通じまして、消費者が安心して住宅を購入できるような環境の整備というのを進めるということにしております。
 これらの制度の適切な運用によりまして、今後とも良質な住宅の供給の推進に努めていきたいというふうに考えております。
福井委員 ありがとうございました。ぜひそのようによろしくお願い申し上げたいと思います。
 最後に大臣の方から、グランドデザインの前提となる我が国国民の今後のライフスタイルということで、三十年から五十年後、大臣はもう百年後の日本国民のライフスタイルまで見込んで今勉強中、検討中ということでございますけれども、それについて御質問させていただきたいと思います。
 まず一つの動きの実例といたしまして、私、助役で出向しておりました掛川市、人口八万人の小さな町でございますけれども、今、スローライフシティーというのを宣言しようとしておりまして、十一月にはシンポジウムをやるということで、まさに二十一世紀の新しいライフスタイルとして、二十世紀型の、ファストフードに象徴される気ぜわしい生き方への反対概念、対抗する概念としてのスローライフを市民全体の生き方とすべく、これから活動していこうというのが掛川市の事例でございます。
 今、年金、介護その他で、国民的な閉塞感がございます。閉塞状況を打開するためには国民運動が必要だというふうに私自身も思っております。掛川では市民運動となっているわけですけれども、一人一人のライフスタイル、自分のライフスタイルとは何かということを見つけていく運動が我が国では必要じゃないかというふうに思っております。
 そのためには、自分が一番大事にしているものは何か、何が一番気持ちいいのか、どうしたらほっとするのかといったような、自分を見詰め直すような作業も必要ですし、何よりも自分の価値基準、自分の価値というのを見つけなければならないわけであります。日本人というのは、そういう作業が非常に、ひょっとしたら弱いのかもしれません。シラク大統領は、大統領選挙が終わって最初のコメントは、フランス人はフランス人の価値基準に基づいてフランスの価値を守ったというふうなコメントもありましたし、トルシエ監督は二十三人を選ぶときに価値基準という言葉も使いました。そういった、日常会話の中に出てくる国民もいるわけでありますけれども、しかも欧米では、自分のキャリアプランというのを子供のときから考え抜いているということもございます。
 日本人が、一体自分は何かということを問い続けるということについては、国民運動あるいは無理やりというか、強制的にやらせるという作業が必要なのかなというふうに思います。しかも、現在の社会的状況は国民的な誤謬があって、小泉構造改革の次にどんな人生が待っているのか、どんな生活が待っているのか、政府が上から明らかにしろというような社会的な風潮がございます。
 そうではなくて、一人一人の幸せ、一人一人の人生とは何かということを皆さんに考えていただいて、その集合体としての国家の価値、国家のビジョンというのがあり得べしというふうに思っておりまして、まさに選挙からちょうど二年たっているわけですけれども、二年前の選挙でもそういうふうに訴えて、それだけで当選したわけです。
 ちょうど、戦後日本人の平均寿命は五十歳、女性が五十三歳ということでございました。が、今はもう八十歳、九十歳となっている。その持ち時間が十分たっぷりあるのにもかかわらず、時間軸で閉塞感があるわけです。十五歳や十二歳の偏差値で人生が決まってしまう、勉強はもう十代で終わってしまう、二十二歳までで終わってしまう、そこから企業に就職して定年を迎えなければならないというような、決められたような人生が今の日本人の強制された人生ですけれども、いつ勉強してもいいじゃないか、いつ働いても、いつ休んでも、介護したって、再び勉強したって、自分が好きなときに好きなことをやれるような人生を保障するような社会こそ今大事なんじゃないかということで、一人一人の人生こそ国家のビジョンではないかというようなことを思っておりまして、そういうことを国民的な運動にしなければならないというふうに思っておりまして、勝手にしゃべらせていただきましたけれども、大臣といたしましては、若者との勉強会も何回かやられているというふうに伺っておりますし、グランドデザインということを最初から指導されておられまして、この二十一世紀あるいは二十二世紀まで見据えたような我が国国民のライフスタイルをどのように見込まれているのか、その検討の方策、そして中身について御紹介をいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。
扇国務大臣 大変限られた時間の中で御質問でございます。
 戦後今日まで、我々はただ衣食住足りるということを目標に、二十世紀、多くの皆さん方が努力していただいたと思っております。けれども、二十一世紀の初頭に入って、日本は、どっちを向いて、どこを大事にし、国民の何を満たしていくのか、そういうグランドデザインがなく、ただただ黙々と働いてきたと私は思っております。そういう意味で私は、国土交通省は四省庁を統合し、なおかつ海上保安庁、気象庁と大きな省になりましたので、二十一世紀のグランドデザインを何とか示したい。そして、国民の皆さんに、限られた予算の中でも、ああ、二十一世紀の終わりごろには日本はこうなるんだなということをお示しする責任があろうと思って努力してまいりましたけれども、正直申し上げて、霞が関というのは、長期計画といってもせいぜい五年、十年というスパンでしか物を出せませんでした、また言えませんでした。
 けれども、二十一世紀、我々は、三十年後、五十年後、少子高齢化社会、少子高齢者社会です、化はもうなくなります。ですから、私は何としても今こそ二十一世紀のデザインをしたいということで、これはおこがましいとは思いましたけれども、国土交通省の中でイントラネットで、これはケントラネットというんですけれども、全局から募集しまして、百四十四名が各部署から応募してくれました。その中から三十二名選びまして、平均年齢が三十四歳ですか、そして四人主査を選びまして、三十六名のタスクフォースをつくらせていただきまして、日本の国づくり百年デザインというグループをつくりました。
 それで、百年後どうあるかということを一度でもメニューを示さないと、国民の一人一人の意見が集まってきません。これをつくったというだけで、もうメールでたくさんお返事をいただいています。
 ちょうど今、戦後のベビーブーマー、団塊の世代というのが少なくとも三十そこそこ、三十過ぎ、子供を持つ皆さんになりましたので、そういう世代が自分たちの日本をどうするか。このままでいったら、経済的にも空洞化、産業的にも空洞化。国民の精神も空洞化では私は困ると思いましたので、国土交通省として、これはいい悪いは皆さんに判断していただきますけれども、それを検討して示すという姿勢だけでも私は出させていただきたいと思って、五月にできましてから今既に十二回の会合を行っております。
 そういう意味では、何らかの形で国土交通省、ぜひ福井議員も、御経験があるんですから、いい知恵がおありになりましたら何なりと出していただいて、我々はその中で検討させていただいて、二十一世紀の子供や孫のために何かをデザインとして示したい、そう思って頑張っておりますので、お力添えを賜りたいと思います。
福井委員 どうもありがとうございました。今後とも御指導よろしくお願いいたします。
 以上で終わります。
久保委員長 樽床伸二君。
樽床委員 民主党の樽床でございます。民主党・無所属クラブを代表いたしまして、二法案につきまして質問させていただきたいと思います。
 今回の法律は参議院先議でございましたので、参議院の審議の過程でいろいろなことが議論をされました。特に私どもの会派からいたしますと、シックハウスの法案につきまして対案を出させていただきました。特に参議院におきましては、シックハウスの問題につきまして非常に真摯な、ある意味では激しい議論をさせていただいたのかな、このように私は認識をいたしております。
 政府側も、聞くところによりますと、六省庁ですか、シックハウス対策の連絡会議をつくって今後やっていこう、こういう取り組みもされているやに聞いておるわけでありますが、私どもといたしましても、野党第一党の責任もございますから、同じ構成で担当者相集いまして、連絡会議をつくってシックハウス対策、これからも本気で真剣にやっていきたい、このように考えているわけであります。
 冒頭からいきなり個別具体的な話に入って恐縮ではありますが、実は参議院の審議が終わった後に、あくまで報道からの話で恐縮でありますけれども、ある意味でいうとびっくりするような報道がなされております。それは、新総理官邸でシックハウスが発生したのではないか、こういう話が、権威のある報道、新聞が権威があるかどうかはわかりませんが、報道されてもおりますし、私の地元大阪の、選挙区ではありませんが、学校とか公共施設とかでここ数週間の間に数件シックハウス症候群が発生しているというのが、これは東京まで恐らく情報が来ていないとは思いますが、大阪の新聞にはそういうことが実は報道されております。
 ちょっと話は横にそれますが、そういう報道が東京に上がってこないというのも甚だ問題であるとは思いますが、それは置いておきまして、こういう総理官邸及び全国各地で参議院の審議の後にでもそういうものがいろいろ出てきておるという現状に対しまして、建設行政を担当する国土交通大臣として、このシックハウスの現状をどういうふうに認識されておられて、今とりあえずはこの法案で対処をしますけれども、今後につきましての所見、展望等々ございましたら、ぜひお聞かせをいただきたいと考えております。
扇国務大臣 今樽床議員がおっしゃいましたように、参議院では皆さん方、身体にどこまで何がどう影響するかという結果がまだないだけに不気味であるということから、大変真摯な御議論をしていただきました。また、多くの実質の事情も御披露いただきまして、大変私も関心を寄せた次第でございます。
 今樽床議員がおっしゃった、新総理官邸がシックハウス症候群ではないかというのは、これは政治的に言葉が詰まったということで、症候群じゃないかというような、やゆを持った表現であろうと思って、私も新官邸へ何度も行っておりますけれども、今回の場合は殊さら、余り感じませんし、特に新官邸の場合は木をたくさん使っております。この委員会もそうでございますけれども、この木が、合成、いわゆるのりを使ったものではなくて、生の木を使っておりますからそれほど感じていません。また、新しいところへ入りますと目がちかちかしたりにおいがしたりという、それも全くございませんので、それは報道のどこまでが、権威があると今おっしゃいましたけれども、私は、政治的なやゆを持ってした表現であろうと思っております。私も官邸に行っておりますけれども、私はおかげさまでまだそういう症状もございませんし、総理も至ってお元気でございますから、私はそれはやゆした言葉であろうと思っております。
 他方、国土交通省としていろいろ実態調査を今までしております。その実態調査の中でも、少なくとも平成十二年度に調査しましたのは、約四千五百戸の実態調査をしまして、その中の二七%の住宅でホルムアルデヒドの濃度が厚生省の指針値の〇・〇八ppmを超過していたという数字が出ております。この実態調査をしたので、今六省庁とおっしゃいましたけれども、これは学校もそうでございますから、各関係の省庁と連携をしながら、今申し上げましたように年々相談件数もふえてきておりますので、今樽床議員が御自身の選挙区でないとおっしゃいましたけれども、あるいは選挙区からもまた御相談があるかもしれません。
 私たちは、国土交通省としてこれまで対応してまいりました。指定した機材を使わない、そして、のり等々のホルムアルデヒド等の発生可能な材料を規制するということで実行しておりますので、建築基準法の改正によりまして新たな規制はある程度必要であるということで今回導入するということに決めましたので、どうかいろいろな現状、しかも実質をぜひお寄せいただいて、どこの省でも結構です、厚生省でも結構ですし、学校でしたら文部科学省でも結構でございますので、特に情報をお寄せいただいて、私たちもそれに対応していくように努力したいと思っております。
樽床委員 先ほど厚生労働省の基準というお話がありまして、調べたところの二七%がその基準を超えておるというのは、私の感覚でいうと、役所がやった調査で二七%が基準値を超えておったというのは、余り聞いたことがない、結構高いなという感じがいたしました。
 普通、政府がやると、超えているのは数%ですよとか、一%ですがひどいものは〇・何%ですとか、そういう話が出てくるのが落ちでございまして、それが二七%というと、えらい高い、四分の一を超えているなということで、二七という数字を公開されたことについては、かなり公開度が高まっておるなということで評価をしたいなというふうに思います。その分、今後の取り組みは厚生労働省が、結局いろいろな関係からいくと、中心になっていくだろうというふうには思いますが、法案が出てきたのが、まず国土交通省から出てきたのが一番最初であったということは、別にヨイショするわけではありませんが、世間で言われているよりも前向きなのかなというふうに考えないわけではありませんけれども、最初に法案を出した国土交通省として、厚生労働省を含め関係省庁をリードしていただくような思いで、このシックハウス対策にはぜひとも今大臣の決意のもとで当たっていただきたい、このように思うわけであります。人の体、健康というのは一番大事な話でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思うわけであります。
 そこで、ちょっと具体的に細かい点、余り細かい質問をするのは得意ではございませんが、あえてさせていただきたいと思います。
 今回、建築基準法の改正ということでシックハウス対策がまず入ったわけでありますが、先ほど言いました二七%を超えているという大変大きな問題であるならば、一つの法律の一部修正でちょろっといくんじゃなくて、本格的に、新法みたいな形でどおんといった方が、逆に世の中に対してもその決意のほどもわかるでありましょうしという考えも一方では成り立つと思うわけでありますが、新法ではなくてこういう建築基準法の改正というところでシックハウス対策を取り上げられた理由ということにつきまして、お聞かせいただきたいと思います。
三沢政府参考人 先生おっしゃるとおり、立法の形式についてはいろいろな考え方があり得るわけでございます。
 建築基準法というのは、国民の生命や健康を保護するため建築物の最低基準について定めた法律であるということでございまして、現在、シックハウス問題というのは、まさに国民の健康に関して今一番関心の高い非常に重要問題であるというふうに認識しております。そういたしますと、やはり建築物の最低基準を定めるこの基準法の中に、すべての建築物に対して適用されるルールとしてきちっとこういう規制を導入するということが大事であるということから、今回の建築基準法の改正ということで提案をさせていただいております。
 さらに、建築基準法につきましては、これを担保するための措置がいろいろございまして、実際の建築段階においては建築確認とか完了検査、それから、特定行政庁が指定すれば中間検査を行うというようなことによりまして、そのためにも、特定行政庁あるいは民間の指定確認検査機関という検査確認体制も整備されております。
 そういうことから、基準法に位置づけることによって、この規制を実効ある規制とすることが可能であるということも一つの原因として、基準法の改正として提案させていただいております。
樽床委員 参議院で我が党は、新法で対応しよう、こういうことでやったわけでありますが、我々が新法を出したことの根底には、出口規制という、まあ細部は省略をいたしますが、出口規制なのか入り口規制なのかというところが非常に大きな発想の違いなのかなというふうに思っておるわけでございます。そうすると、我々は、出口規制だから当然新法になっていきやすい、政府の方は、入り口規制ということでいくと建築基準法でも、間に合うと言うたらおかしいですが、まず一歩を踏み出すことができる、こういう整理なのかなと私は常々思っておったわけであります。
 出口規制、入り口規制ということにつきまして、新法で対応しなかった理由というのは私が申し上げたことでいいのかどうか。そして、そうであるならば、出口入り口についての御見解をできればお聞かせいただきたい、このように思っております。
扇国務大臣 今おっしゃいました参議院の議論の中でもありましたけれども、これは出口とか入り口とかということではなくて、基準法自体を改正するということを持ってきたのは、入り口から出口まで、なお中間もという、この建築基準法の基本法によって、入り口も中間も出口も検査ができる。普通の一般の方は、例えば建て売り住宅なんて買いますと、途中、どういう工法でどんな建材が使ってあるかなんてわかりません、素人では。そういう意味で、この建築基準法をきちんと改正させていただければ、今おっしゃった、入り口と、中間検査しますから中間と、出口と、これ全部が網羅されるということで、我々は基準法を改正する方がより国民にベターであると考えたことでございます。
樽床委員 言葉じりをとらえるようで恐縮でありますが、今、入り口、中間、出口すべてで検査できる、このようにおっしゃいました。
 政府の案で出口で検査できるということについて、ちょっと私にお聞かせいただきたい、このように思っておりますが、いかがでしょうか。
三沢政府参考人 今大臣が申し上げましたように、今回の建築基準法で規制を導入いたしますと、まず設計段階で、建築確認ということで、そういう設計図書をチェックすることによってきちんとそういう設計になっているのかどうかをチェックする。さらに中間検査で、そこまで具体的に施工された部分について、じゃ、設計図面どおりにきちんと施工されているかどうかを検査する。一番最後に完了検査という形で、きちんと当初の図面なり設計図書どおりに施工ができているかどうかを検査する。そういう意味で大臣は申し上げたということでございます。
樽床委員 ということは、我々が参議院で申し上げました、出口において濃度を測定するという、我々が言う出口ではないということの確認は、それでよろしいですか。いいですか、はい。
 そうすると、今の大臣の答弁でいくと、我々が言う出口規制ですね。最後の、終わった後の濃度をはかるのがいいのかどうかということについて、これは賛否両論、いろいろあるだろうとは思いますが、現在の見解をお聞かせいただきたいと思います。
三沢政府参考人 この点、参議院の御審議の中でもいろいろな御議論があったところでございます。
 今回、私どもは、いわゆる出口規制といいますか、事後的に濃度を測定して、その測定結果に基づいていろいろな規制を行うという方式をとっておりませんけれども、その理由は、化学物質の室内濃度というのは、測定条件、特に気象条件によってかなり変動するわけでございます。
 そういたしますと、測定結果によって規制を行うという方式では、測定時の条件次第では、本来であれば規制すべき建築物であっても基準をクリアしてしまう場合があるというようなことで、そういう意味では、現在、まだ濃度測定については技術的に確立された方法が十分ないという現状がございます。
 それともう一つ、やはりそういう前提のもとで、例えば濃度測定結果だけをもとにいたしまして、これは改修をしなさいというようなことになりますと、その結果としてやはりコストもかかりまして、そのコストは、結果として消費者にまた転嫁される可能性がございます。
 そういう意味では、やはり規制の方法としては、あらかじめ、どういう建材を使ったら、どのくらいの分量を使ったらいいか、そういう基準をきちっと定めまして、その基準を守っていただくように、建築確認あるいは完了検査という、それぞれの段階でチェックをしていくという方式が合理的ではないかというふうに考えている次第でございます。
 なお、化学物質の室内濃度の測定それ自体の情報としての意味、これは非常に有意義なものがございますので、これにつきましては、品確法に基づきまして、室内の化学物質濃度も測定して、その結果を表示できるというような仕組みも既につくっておりますので、それを活用いただきながら、消費者に的確な情報提供を図っていくということを進めていきたいというふうに考えております。
樽床委員 今、品確法とかそういう固有名詞も出てまいりましたけれども、参議院と衆議院とは院が違うから、向こうの議論は関係ないと言われればそれまでではありますが、現実的には我々も、参議院での審議の中でも、いろいろ一緒に協議を我々の会派の中ではしてきた経緯もございます。
 衆議院でもう一遍確認をさせていただきたいんですが、言葉じりの問題じゃなくて、入り口出口というような点も踏まえて、今回の改正は第一歩であるということは、我々は評価をそれなりにした。しかし、これで終わるものではない。
 それで、我々が言っている出口規制、建てた後の濃度測定等々についても全面否定はされていない、今後の検討の中で、それが必要であるならばまたいろいろな手法の中に入ってくるという含みはあるという前提で我々は認識をしておりますが、それでよろしいんでございましょうか。
扇国務大臣 今おっしゃったことの中で一番大事なことは、建材等々次々と新しいものがどんどん出てくるんですね、現段階で。そうしますと、今は出ていないけれども、また新しいものが出るというようなことで、今後、身体に影響がある新機材、新種というものがどんどん開発される。それはどういう影響が出てくるかということまでは、私どもは現段階では予測し得るものではありません。
 また、今三沢局長も言いましたように、でき上がってから濃度を検査するというのは、日本は、特にこういう春夏秋冬、四季がございます。しかもまた、今は梅雨の時期でございます。梅雨の時期で湿気があったり、あるいは、湿気があっても、ドライというものがあって、湿気を取る機械のある家とない家、換気の行き届いた家、行き届かない家。ビルの中もそうでございます。そういうことで、今局長が言ったように、はかった季節、品確法がありますから品確という言葉を使いましたけれども、わかりやすく言えば換気とか、あるいはその家の使い勝手とかが個々に違うものですから、そこで、終わってからの基準検査というものだけでは一様に国民に安全ですということが責任を持って言えないということで、私たちは建築基準法の基本法の改正だということを言っているので、今樽床議員がおっしゃったように、今後、改正があり得るかということに関しましては、私は、新しいものが出てきて、それが体に影響があるというのであれば、これは新たに基準を検査して、新たに製品が加わっていく。今の場合は、少なくともホルムアルデヒドとクロルピリホスということになっておりますけれども、どんどん出てくるものですから、これは可能性としてはあり得ると現段階では申し上げるしかないと思います。
樽床委員 いろいろいっぱい聞きたいんですが、まだ我が党のほかの議員からもいろいろ質問が具体的にあると思いますので、総論的にちょっと申し上げてきたわけでありますが、最後に、このシックハウスの問題については一言申し上げたいわけであります。
 実は、シックハウスそのものが、先ほど冒頭に大臣もおっしゃいましたように、本当は何でどうなってこういう病気になるのかというのも、まだ医学的にきちっと確立をされていないということもあるだろうと思います。今おっしゃいました化学物質も、今は二つだけれども、これは危ないと思えばふやしていかざるを得ない。
 今回、一歩踏み出したけれども、いろいろな状況の中で、例えば医学的に確定していくとか、有害なものがわかっていくとか、いろいろな状況が今後どんどん明確になるというか、これが進展するという表現を使うのか、ちょっとわかりませんが、そういうときには、もう一回やったからすべて終わりですということではなくて、臨機応変に、その状況に合った対応を、今後とも、政府、連絡会議六省庁あわせて推進をしていただきたいということを強く申し上げておきたい、このように思うわけであります。
 この建築基準法の一部を改正する法律案の内容は、また後ほどほかの委員から質問があると思いますが、こういうまちづくりということに関して、その根底にありますのは、いかに制度をいろいろつくっても、今バブルの後で、土地が、はっきり言うたら虫食い状態になったり、有効に活用されていないというところがいっぱい世の中にあります。こういうものをきちっと流動化して、きちっと利用していくということ、この大前提がなければ、いかにその後の仕組みをつくっても何にも前へ進まないというのは、これはだれが考えてもわかる話でありまして、そういう点からいきますと、日本経済で不良債権の処理がどうのこうのというような話もいろいろありますが、これは、不良債権も結局は土地の問題が一番大きいわけであります。
 そんなことをトータルいたしますと、準公的な組織としてRCCというものがつくられて、そういう状況を改善していきましょう、こういう話になってきて進んでおるわけでありますが、人の世の中、我々は機械ではありませんから、きのうまでやってきたことを、いきなりオールクリアのボタンを押して、翌日からは全く違う状況ですべてが動き出すというようなことを考える方が不自然でありまして、この経過の中で過渡的にいろいろな状況がやっさもっさ動きながら、私は前へ進んでいくであろうというふうに思っております。
 そういう観点からいきますと、土地の健全な活用、それに力を入れて推進をさせていかなければならない準公的なRCCというものについて、思いはいろいろあって、仕組みはできているでしょうけれども、巷間いろいろなうわさが飛びまくるわけでございまして、火のないところに煙は立たないというのか、それとも、火がなくても煙が最近は立つんだというふうに考えるのか、これはいろいろですけれども、常識的に考えて、ちょっと二つの点を指摘したいわけであります。
 一つは、RCCが抱えている不良債権というのは、どうしても民間ではなかなかしんどいというものが多かろうというふうに私は想像をいたします。そうすると、そういうものは大体、国内外の評価でありますと、怖い土地だ、こういうイメージが当然あるわけであります。そういうものがどうしてもRCCに集まっていくのかなというふうに想像いたします。だから、国の権力をきちっと使ってRCCを動かそう、こういう発想でやっているわけで、これはまあそれでよろしいと。
 でも、そういうことの中でいくと、二点、というのは、一つは、当然いろいろなほかの金融機関もかんでいるわけでありまして、RCCの抵当順位が低いものについては、回収してもなかなか実入りがないというのはこれは民間的な発想ですけれども、そういうことで、どうしてもインセンティブが働かない。RCCの抵当順位が低いものはどうしても、まあまあもうちょっと待とうかということで、逆に流動化を妨げているのではないかといううわさも耳にいたしますし、また、そのRCCが、先ほど言いました、そういう難しい土地であればあるほど、国内外で怖い土地だという、そういう怖い物件だという印象があって、それをRCCがすべて公開、オープンな中でだあっといくと、ああもうそんなものは怖くないねと、こうなるんですが、一部で、不透明な部分があるというふうに、耳にどんどん聞こえてまいりまして、こういう状況が逆に土地の流動化、健全な利用というものをどちらかというと妨げていってしまっている側面もあるのではないか、このように考えます。
 これは国土交通省とは関係ないとおっしゃるかもわかりませんが、RCCというものは国土交通省とは関係ないですよということはあるかもしれないですけれども、まちづくり等々ということから考えますと非常に深く関係する話でありますので、ここら辺のことについて、今私が申し上げましたようなことについてどのようにお考えになって、どういう対処をしていかれようとしているのか。これがちゃんとしなければ、幾らこういう改正をしても何も前へ進まない、大前提が進まないということを大変危惧いたしておりますが、いかがでございましょうか。
松田参考人 お答え申し上げます。
 先生おっしゃるとおり、我が国の今の大きな課題の一つであります不動産の流動化、ひいては不良債権問題そのものの解決というものに対して、RCC、預金保険機構は大きな役割をいただいているというふうに思っております。
 私ども、破綻金融機関から買い取った不良債権、あるいは不動産そのもの、あるいは今般の政策で非常に大きな期待をいただいております金融再生法五十三条に基づく健全行からの不良債権の買い取り、これの裏には常に不動産の問題が存在しているということでございます。
 それで、先生がおっしゃられましたその不動産の処分に当たりましては、私ども、不動産業者等、内外を問わずこういったアドバイザーとも協力いたしまして、資産価値を向上させて回収の極大化を図る、また、公共優先という観点からは、都市基盤整備公団、それから市街地再開発組合等への売却等を優先させまして、積極的に取り組んでいるということでございます。
 ちょっと長くなりますけれども、その成果といたしまして、私ども、去年の九月に初めて大型の証券化に成功いたしました。これは四百億ぐらいの案件でございます。それから、現在も、第二号案件といたしまして、同規模、四百億円ぐらいの証券化を図っているということでございます。
 そうした過程におきまして、先生からの御指摘のありました取引の透明性の問題、これにつきましては、競売または任売いずれであれ、透明かつ公正な処分というのを心がけておりまして、不透明な取引については徹底して排除するというのはRCCの社是にはなっております。このことは回収の現場に対しても浸透しているものと私ども期待しております。
 また、抵当権の件についての問題提起がございましたけれども、抵当権が上位であれ下位であれ、今申し上げましたような原則に照らしまして、処分の妥当性を判断した上で、任意売却に誠意を持って取り組んでいるということで、御指摘のような不明瞭な点というのはないというふうに承知しております。
 さはさりながら、やはり、全国各地にわたって非常にたくさんの案件について現場が取り組んでいるという過程におきましては、いろいろなお話もあろうかと思います。そうした問題に対しましては、私ども一〇〇%親会社である預金保険機構も心して事実関係を把握し、もし仮に問題ありというようなことがあった場合には適切に処理するよう指導しようというふうに思っております。
 以上であります。
樽床委員 当然、私が先ほど申し上げましたように、ある日突然オールクリアになって、全部ばちっといくはずはないというのはもうわかっているわけであります。
 そういう方針のもとで、今おっしゃいましたように、全国でいろいろある、目の届かないところもある。大体、人の組織というのはどこの組織でも行儀の悪い人とか不届きな人はいるわけでありますから、これは別にどこがどうのというわけじゃありません。これが人の世の中であるのかもわかりません。だから、それを極力なくすようにしていくという努力は当然していかなければ、我々が幾ら国土交通委員会で、まちづくりをしましょう、何しましょうと言っても、肝心の下が何もならなかったら何にも前に進まへん、そんなもう役に立たへんものを議論したってばからしい、こういうふうになるわけでありますから、特に今この時代にはその点は特に重要である、こういう認識を私は持っておるわけでありますが、大臣、もしよければ一言、今のことについて御感想を、また御意見等々ございましたら、よろしくお願いいたします。
扇国務大臣 今の日本の土地のあり方は、私は常識的には非常識であると言わざるを得ない状況であります。残念ながら、どこを通っても、虫食い状態であったり、こんないい場所がなぜ空地なんだという感慨を持つのは私だけではなくて、ひとしくみんなが思っていることで、しかも、わずかな国土しかない日本の中で、なぜこんなもったいないところがとみんなお思いになると思いますけれども。
 再びバブルの夢はありません。バブルなんというのは二度と来ないわけです。私どもは、バブルに踊ったのは悪いと言いますけれども、あらゆる面でその反省を込めて、二十一世紀の国づくりという、私は基本はそこにあると思って、今知恵を絞ってそういうものをなくしていき、この貴重な土地を何とか有効に使い経済の空洞化を何とか打開しようというために、税制も含めて、あるいは規制緩和も含めて、虫食いでいるものを一カ所に何とか集めて、そこで規制緩和をして、新しい二十一世紀型のまちづくりができないか、都市づくりができないか。しかも、新しいところには全部光ファイバーも入れて、国際的にも遜色のないまちづくりができないかということに、国土交通省は知恵を絞って、何とか皆さんのお役に立ちたいということで、本年も、税制も規制緩和も含めて御協力をお願いしたいと思って頑張っているところでございますので、ぜひそういう面でも、与党野党を超えて国民のためになる政治というもので御指導を賜りたいと思います。
樽床委員 今の大臣のお話で、非常識なという表現を使われましたけれども、まさに、何でここが死んだ土地になっているんだ、もっと有効に使ってよという、これは本当に多くの人が思っているんですね。だから、それを解消しようとするために、RCCもそれなりの役割を果たそうとされておられる。
 ただ、今、大臣のような、国土の土地をどうするか、こういう発想と、もう一つは金融的な発想と、これは両方ありまして、今はややもすれば金融的な発想で、所管も、国土交通省にすれば、いやいやあれはうちとは関係ないですから金融関係でやってください、こういう話になります。
 この両側面をきちっと認識して回していかないとおかしくなりますよ、こういうことを申し上げているわけであって、所管ではないかもわかりませんが、国土交通省、また大臣とされましては、このRCCというのは金融部門だけだという感じではなくて、きちっと側面からサポートをしていく、サポートというのもいろいろあるんでしょうけれども、しっかり見守っていく、または見張っていくというような観点から、今後ともぜひ取り組んでいただきたい、このように思うわけでありますが、よろしくお願い申し上げます。
扇国務大臣 土地の流動化というのは、一番どうにもならないものはRCCで、どうにかなるものは我々で何とかしよう、これはわかっていただきたいと思います。
 その何とか我々国土交通省の中でできるのではないかということで、今もRCCから、証券化をして、四百億ありました、今度も四百億の証券化をしますということですけれども、国土交通省としては、霞が関の中で初めて、アメリカにファニーメイという証券の世界最大手がありますが、そこへ、向こうはノウハウを持っているから、本来は絶対に人に見せないんですけれども、これをさんざん交渉いたしまして、手紙を出しまして、やっとオーケーが出まして、国土交通省の職員をファニーメイに、無料で向こうのノウハウをいただきに今派遣しております。
 これは、霞が関始まって以来のことですから、よくぞと思います。そこは世間に余り言いたくないことですけれども、国土交通省としては、土地の流動化のためのいわゆる証券化ということも、ファニーメイのノウハウをとってこようということで派遣までして、なおかつ向こうがそれを受け入れてくれたということも、国土交通省としての大きな陰の努力なのでございます。そういう意味では、RCCにはよほど困った部分はお任せしますけれども、国土交通省の所管の中ででき得る限りのことは我々でしようという努力を今している最中でございます。
樽床委員 ぜひともお互いに手を相携えて、日本の限られた資源である土地が有効に国民のために使われるように、ぜひとも御尽力をいただきたい、このことを強く申し上げておきたいと思います。
 私の持ち時間がなくなってまいりまして、後ほどもっと詳しい質問をさせていただきます。
 ハートビル法につきまして一点だけお聞きいたしたいと思います。
 このハートビル法につきましては、いろいろな、利害の対立とは申しませんが、錯綜みたいなものがあるであろう、このように思っております。それは、極論すれば、すべてのところに全部やればそれはいいに決まっておりますが、それにはコストもかかり、また経営上いろいろあるというようなこともわかりますが、そういう中でも徐々に徐々に前に進んできております。例えば学校を努力義務の中に入れたということについては、漏れ伝え聞くところによりますと、国土交通省はかなり文部科学省をねじ伏せたというようなうわさも聞かないわけではありませんが、そういうふうに順次これから進んでいくものであろうというふうに思います。
 そういう中でいうと、我々は、今回の改正も、できるところからまた順次進めていくということで、今後の見直し条項というようなものも当然必要なのではないか、このように思っておりますが、今回の法案でこの見直しの規定がないということについては、どういうお考えでございましょうか。お聞かせをいただきたいと思います。
三沢政府参考人 当然のことながら、ハートビル法、今回の改正法施行後においても不断に点検を行って見直していくということは大切でございます。
 今回いろいろ御審議いただいている中で議論が特に多いのは、例えば義務づけ対象建築物の用途、規模であるとか、あるいはどういうバリアフリー基準になるのかというような点が非常に御質疑が多いわけでございます。
 この辺は、基本的には政省令でこれから決めていくということでございまして、今後、やはり、これらの政省令の基準等を見直すということによって、いろいろな形での時代の要請に的確に対応していくということができるんじゃないかというふうに考えております。
 したがいまして、この法律の施行後おおむね五年をめどに、建築物におけるバリアフリー対応の状況とか、あるいは公共団体における条例の制定状況、そういったことを把握した上で検討を加えて、当然、高齢者、身体障害者の方々の御意見もいろいろ伺った上で、必要に応じて、政省令で定める用途とか規模、基準、そういったことを含めて、今回の改正法の施行状況について見直しをしていきたいというふうに考えております。
樽床委員 今、五年というお話が出ましたけれども、そうすると、五年をめどに動かしてみて、足らざるところ、また不十分なところは、五年後ぐらいにはもう一回ちゃんと、改正するところがあればする、こういうことであるというふうに認識をしてよろしいのでございましょうか。
三沢政府参考人 先生おっしゃるとおりでございます。五年をめどにして、必要な検討を加えて、必要であればきちんと改正をしていくという考え方でございます。
樽床委員 我々も永遠に野党でおるつもりはございませんので、五年後ぐらいには……(発言する者あり)いや、永遠におるつもりはないというふうに申し上げたので、五年後には恐らく私どもも与党になっておるのかなというふうに思っていますので、その折には、した約束を一緒にやっていきたい、このように思いますので、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 そろそろ時間でありますが、もう一点だけ、済みません。
 ハートビル法の中で、使う方、障害者の方に、物理的にはできなくても、目印とかで要するに認知をしていただければ対応できる、この認知の方法というものについて、我々はこれも重要であろうと。全部が全部というのは、それは無理だけれども、ここはこうなっていますよ、ここはトイレですよ、ここはこういうふうに使えますよと。この認知の手段、方法というものを我々は非常に重要視しておるわけでございますが、この点につきまして、今回の法案では我々が思っているほど重要なようには書かれていないような気がしてならないわけでございますが、このあたりのことについて、どのようにお考えでございましょうか。
扇国務大臣 おっしゃるとおりで、私も、例えば地下鉄をおりますと出口がたくさんあります。どこの出口にエスカレーターがあるのかの表示がありません。それを全部解消するようにというふうにも言っておりますが、それを言いますと、日本じゅうのあらゆるところで私はまだ達成できていないと思っております。
 高齢者あるいは身体障害者、多くの人たちがこの法案によって生活しやすくなり、また表へ出る機会がふえたと喜んでいただかなければ法案の意味がありませんので、私は、今ここに持っておりますけれども、新たなバリアフリー法によってできた新しい表示方法というものを数そろえております。これがまだ皆さんのところまで徹底しておりません。というのは、費用のかかることでございますから、一日何千人の乗降客があるところからという順序をつけてやっておりますので。
 そういうことで、今回は、一目でわかる、どこへ行ったら何がある、エレベーターがあるのか、エスカレーターがあるのか、エスカレーターも上り下り両方あるのか、あらゆる面で表示をするべきであると思っています。また、国土交通省ではインターネットで全部これを表示してございます。
 ホテルなんかでも、入り口は身体障害者が入れるけれども、部屋がまだ身体障害者用、車いす用になっていないというのもありますので、これもインターネットで皆さん方に、どこへ行ったら自分が宿泊までできるのができているかということもわかるようにもしておりますので、今あらゆる努力をして、私どもは、このバリアフリー法案を通していただいて、有効に、着実に皆さん方に喜んでいただける方法というのを順次努力しております。
樽床委員 あとの質問は我が党の他の委員の議員の皆さんにお任せをいたしますが、実は、私の祖父は、小さいころけがをいたしまして、失明をしておりました。ですから、障害者で生涯を終えたわけでありますが、その中でも大変たくましく生きた人であったというふうに私は思っておりますが、かといって、すべての人がそうなるわけではございませんので、このハートビル法等々につきまして、格段のこれからの御努力を心からお願いを申し上げて、私の質問をまずもって終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
久保委員長 津川祥吾君。
津川委員 民主党の津川祥吾でございます。
 私は、本日議題となっております二つの法案のうち、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆるハートビル法の改正案について質問をさせていただきます。また、関連して、交通バリアフリー法に関して若干質問をさせていただきます。
 まず冒頭に、今回の改正法案の提案に関しての理由説明の際に大臣がおっしゃったと思いますが、この法律ができてから、高齢化が予想以上に進んでいるというような話がありました。そのほかに、ハートビル法の制定以降、大規模な特定建築物についてバリアフリー対応が浸透しつつある状況を踏まえ、さらにそのスピードアップをしたいという話でしたが、私は、この認識は、はっきり申し上げまして間違っていると思います。
 確かに、基礎的基準への適合率というのは二千平米以上で七割弱、七割前後と言われておりますが、誘導的基準を満たす認定建築物、これは二千平米以上の特定建築物着工数全体の一割未満です。全く、まあ、全くと言うと言い過ぎかもしれませんが、現実上は浸透しているとは到底言いがたい。残念ながら、現行法で七年間たちましたが、実績は上がっておりませんし、大規模な特定建築物でさえ、この対応は浸透していないというのが現在の認識としてあるべきではないかというふうに思いますが、大臣の御認識をお伺いいたします。
    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
扇国務大臣 今、津川議員がおっしゃったとおりでございまして、少なくとも、これはお金のかかることでございまして、それぞれの民営の皆さん方に対して強制的にしろということが言えないのは、津川議員御存じのとおりでございます。
 ただ、その中で、今おっしゃったような、二千平方メートル以上は七割だ、だけれども、基礎的基準よりも高い水準の誘導的なバリアフリー、これに適合するのは一割弱ではないかという御指摘がございましたけれども、約一割程度というのは私も認識しております。
 けれども、では、どうすればいいかということが次に来るわけでございまして、私どもは、そういう意味では、誘導的な水準の対応が浸透していく、これが本来一番望ましいというのは御存じのとおりです。我々は、その中で何とか目標を、今おっしゃった一割ぐらいよりも二割に、倍にしようということで、容積率の算定の特例、あるいは表示制度の導入を図るということと、融資と税制等の支援措置、これが一番私は現実なんじゃないかと思って、私どもは積極的にこれを講じていこうとしております。それによって、少なくとも倍増したい。すべてはお金に絡むことでございますので、それを努力していきたいと思っております。
津川委員 今改正をしなければならないし、さらにこれを前進させていかなければならないという大臣の御認識は、全くそのとおりだと思いますし、そういった意味で、この法案、改正案は、少なくとも一歩前進であるというふうには評価をいたします。
 ただ、やはり現在の状況が、この提案理由の中にあったように、浸透しつつあるというようなことを、もし仮に私が例えば身体障害者の団体の方を前にして言えば、恐らく間違いなく失笑されると思います。そういう状況では決してない、まだまだ足りないという認識からスタートしなければならないなというふうに思いましたので、ちょっとそこの確認を今させていただきました。
 内容に入らせていただきますが、本法案でありますが、まず大前提となりますが、「高齢者、身体障害者等」という言葉が使われております。これは交通バリアフリー法のときもあったかと思いますが、この「高齢者、身体障害者等」というのは、対象がどこまでの範囲なのかということをお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 ちょっと、その前に一言。
 今、津川議員がおっしゃいました、浸透しつつあるというのは失笑を買うというお話でございますけれども、そうではなくて、精神的には浸透しつつあるけれども現実社会ではまだ物的には足りないという意味で、私は、その物的に足りない部分を国土交通省としては努力するというふうに御認識賜りたいと思います。
三沢政府参考人 ハートビル法で「高齢者、身体障害者等」と書いてございますけれども、この対象はどこまでが範囲かという御質問でございます。
 この改正法の二条一号で「高齢者、身体障害者等」とございますのは、日常生活または社会生活に身体の機能上の制限を受ける方全般を指すというふうに解しておりまして、この中には、妊産婦の方あるいはけが人など一時的に制限を受ける方々、それから身体の機能上の制限を受ける知的障害者や精神障害者の方々も含まれているというふうに解しております。
津川委員 総合政策局長にも来ていただいておりますが、交通バリアフリー法のときも議論されました、交通バリアフリー法の中で言われている「高齢者、身体障害者等」というのはどこまでの範囲か、お答えいただけますでしょうか。
岩村政府参考人 先生御承知のとおり、いわゆる交通バリアフリー法の第二条で「高齢者、身体障害者等」の定義があるわけでございますが、ハートビル法と全く同じ条文になっております。すなわち、その範囲につきましても、今三沢局長の方から御答弁したものと同じ範囲で運用をしているところでございます。
津川委員 私は、当時の議論を見ると、ちょっと今違うのかなというのを感じたんです。まあ、いい方に変わっていただいたんですが。知的障害者や精神障害者は入らないというのが交通バリアフリー法のときの答弁であったのかなというふうに思います。妊産婦は入るという話は、当時の二階大臣も本会議でも言っていただきました。
 ただ、精神障害者、知的障害者の方は、どういったものがバリアなのか、どういったことをすればバリアフリーになるのかが何とも言えないから、これは何とも言えないというような話だったものですから、ぜひともこれは入れるべきだというのが私どもの考え方でありますが、今入っているという話であれば、法案としてはそこを実は明記していただきたかったわけでありますが、今答弁をいただきましたので、そのように受け取らせていただきます。
 今お話をいただきました妊産婦でありますけれども、妊産婦というのは妊婦と産婦のことであろうかと思いますが、妊婦というのが身体的機能上に若干制限が加わるというのはわかりますが、産婦はどういったふうに考えればよろしいでしょうか、お答えいただけますでしょうか。
三沢政府参考人 産婦の方が乳児を抱えながら移動しなきゃいけない、そういうことによって一時的な身体上の制限を受ける、そういうふうに解しております。
津川委員 それでは、大変大きな荷物を持っている方も入るんでしょうか。
三沢政府参考人 一般的に申し上げますと、物の扱い方についてはいろいろなやり方がありまして、必ず荷物を常に持っていなきゃいかぬということはないわけでございますけれども、産婦の方は、やはり通常の行動として、乳児を抱えながら移動したり行動するというのが通常の形態でございますので、そこは同一には論じられないのではないかというふうに考えております。
津川委員 先ほど、知的障害者、精神障害者の方というのも入るというふうに御答弁をいただきましたが、私どもが交通バリアフリー法を出したときには、子供も入るのではないかということを申し上げました。
 そのほか、例えば、今記号の話をされましたが、外国人の方、今回のワールドカップでも残念ながらちょっと厳しい評価をいただいているようでありますが、日本の公共交通機関というのは、日本語のわからない人間にとっては非常に不案内であるというような話もありました。そういったことから見れば、万国共通、あるいは大体外国人の方でも見ていただいてわかるような記号を使えば、あ、こっちに行けばいいんだなという形になろうかと思います。
 そういった意味で、子供ですとか外国人というようなものも入っているというふうに判断してよろしいでしょうか。いかがでしょうか。
三沢政府参考人 今回のハートビル法改正は、やはり基本的には、高齢者とか身体障害者とか、あるいは精神障害者、知的障害者等身体上の制約を受ける方についてのバリアフリー化を図るための措置でございます。したがいまして、子供の方とか外国人の方、これは確かに、いろいろな表示について、わかりにくいという問題はございます。それはその問題として当然きちっとした対応がございますが、法律上の対象としては、子供の方とか外国人の方が一般的に入っているという考え方はとっておりません。
 ただ、当然、ユニバーサルデザインという考え方がございまして、こういういわゆる身体上のバリアだけじゃなくて、すべての人が使いやすい設計を行っていくという物の考え方は非常に大事でございまして、これは別途、この法律とは別に、そういうユニバーサルデザインについての考え方とか対応例、そういうものを紹介した設計に関するガイドラインを策定しまして、これを広く設計者等に周知するということを考えております。
    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
津川委員 交通バリアフリーの方でちょっとお伺いしますが、今いろいろと御答弁をいただきましたが、産婦、小さな赤ちゃんをだっこしているお母さん、お父さんもそうかもしれませんが、そういった方も含まれるという話でしたが、ベビーカーを押している場合はどうなるでしょうか。
岩村政府参考人 具体的な、ベビーカーの件でございますが、ベビーカーも、現在は電車の中では折り畳むような指導もしております。そういう中で、そうはいっても、途中、エレベーターなりがなければ、ベビーカーを畳んで抱えて上がるというのは大変なことですから、そういう意味で、今進めております、例えばエレベーターをつくる、それからそれの設置を義務づける、こういったことでベビーカーの問題は解決してくるのではないかというふうに思っております。
津川委員 今の御答弁は、要するに、エレベーターの話をされましたから、今回の対象とほぼ同一と見ていいということだと思います。
 今御答弁いろいろいただきましたが、妊婦は入る、産婦は入る、ベビーカーを押しているのは入るけれども、大きな荷物は入らない、子供は入らない、外国人は入らない、知的障害者、精神障害者は入る。非常にわかりにくいんですよ。法案の中に明記をすると、またそれも大変だというお答えかもしれません。あるいは、それを政令で書くとしても、どこまでいいかというのを書くのは非常に微妙なところかもしれません。
 だからこそ、私ども民主党の交通バリアフリー法のときの議論の中にあったのは、移動制約者という表現を使うことによって大きくカバーできるのではないか。もちろん高齢者、身体障害者等というのが議論の発端ではありますけれども、移動に対して制約のある方皆さんに自由に安全に移動していただけるような、そういうシステムをつくらなければならない。こういうふうにすれば、いや、子供はどうかななどということを一々議論しなくても済むわけです。そういったことから考えると、実は今回のハートビル法というものも、私は利用制約者というくくりの方が非常にわかりやすいのではないかなというふうに思います。
 今ベビーカーの話をしましたが、ベビーカーのタイヤの径、大きさが、手押しの車いすの前輪とほぼ同じだそうです。そういった意味で、例えば、道を車いすを押していたりベビーカーを押していて側溝にタイヤがはまったりしますが、そのときに、はまる大きさが全く同じ、そういうことであれば、これもひとつ同じくくりとして議論するべきではないかなという思いがありましたので、今ちょっと確認をさせていただきました。
 定義は、今そういった、割合に広くとっていただけるという話でありましたが、前回のハートビル法が制定されたときも大変議論のあったところかと思いますが、なかなか義務づけがされていなかった、努力義務だけであったので、実際、七年間たちましたけれども何とも浸透しなかったという現実もあろうかと思います。今回、特別特定建築物という形で義務づけの規定もできたということは、大いに前進であろうかと思います。
 また、先ほど樽床議員からもありましたが、特定建築物の中に学校が含まれた。学校が何で含まれないんだというのが今一般的にはまず理解していただけないような状況でありましたから、今回これを入れていただいた、ねじ込んでいただいたということは、大いに国土交通省の成果として評価をしたいと思いますが、ただ、特定建築物の中で義務化している部分が、面積条項、二千平米以上ということであります。なぜ面積なのか。面積が広い方がエレベーターつけやすいだろうぐらいの発想なのかどうなのかわかりませんが、面積ではなくて、推定利用者数といったものでこの基準をつくることもできたんじゃないか。
 例えば、交通バリアフリー法のときは、一日五千人以上というような基準があります。これが高いか低いかはわかりませんけれども、それぞれの、十六の項目がある中で、こういったところは例えばこのぐらいの規模であれば義務化しなければならない、あるいは、このぐらいの頻度で使われるもの、これぐらいの公共性が高いものは義務化をしなければならない、こういった基準もあってよかろうかと思いますが、今回面積条項だけになったという理由を教えていただきたいと思います。
三沢政府参考人 先生おっしゃいますように、今回、バリアフリー対応の義務づけは、二千平米以上の建築工事ということにしております。
 これは、理由を申し上げますと、一つはやはり、従来の都道府県知事による指示対象というのを二千平米というところで切っておりまして、そういうことの結果として、先生いろいろ御議論ございますけれども、基礎的な基準についてはバリアフリー対応がかなり浸透してきている、一方、二千平米未満のものはなかなかその辺の浸透状況が必ずしも高くないというような状況。
 それからもう一つは、建築物は、非常にラフな言い方で申し上げますと、規模の大きいものは一般的には利用者が多いだろうというふうに考えられること、それから、先生もおっしゃいました設計上の工夫の余地、つまり、大きい建築物ほどそういうものをのみ込み得る余地が大きいし、またコスト面での吸収も相対的にはやりやすいというようなこともございます。
 そういうことから、二千平米ということで義務づけを一つの基準にしておりますけれども、これもまさに地域の実情によっていろいろ変えられるということに今回しておりまして、具体的には、条例でその義務づけの二千平米をさらに下げるということも可能にしておりますので、その辺は地域の実態に応じた運用が可能な仕組みにしております。
 それで、例えば利用者数でできないかという御質問でございますけれども、建築物を建てるときの基準としてそれをチェックしていくという性格でございます。そういたしますと、想定利用者数というのは、仮にいろいろ計算することが可能だといたしましても、これを例えば具体的に確定するなり、あるいはそれが本当に、どの程度実態に合ったものかということを設計段階で審査、チェックするというのは、やはり非常に困難なことではないかということで考えておりまして、そういう意味で面積というものを今回用いているという考え方でございます。
津川委員 人数の話ですけれども、これは、交通バリアフリー法の五千人というのは、新規じゃないですよ、既存のものですよ、そうですね。既存のもので五千人以上のものはという話ですよ。だから、既存のものだから、何人か数えればできるはずですよ。もちろん、厳密に数えられるかどうかはわかりませんが、ある程度想定はできます。これから建てるときにこの建物をどのぐらい使うかわからないというのは、これは理由になりません。まあ、いいですけれども。
 ちょっと一つ、具体的に伺います。
 例えば市役所みたいなものというのは、今回、法律改正後は、特別特定建築物に当たるんでしょうか。また、こういったもののバリアフリー化というのは義務化できるんでしょうか。
三沢政府参考人 市役所でございますけれども、一般市民向けの窓口を有する市役所、これは特別特定建築物に含まれるよう政令において規定し、結果として義務づけ対象にするということで考えております。
 そういう窓口を有しない公共団体の施設、これは事務所ということで、いわゆる特定建築物には含まれる、したがいまして、これは努力義務の対象となるということでございますけれども、これにつきましても、必要に応じて条例で義務づけ対象建築物に追加することは可能になっております。
津川委員 済みません、今、面積条項がありませんでしたけれども。市役所というのは、一般の方が使う窓口があれば、小さくてもこれは義務化できるんですか。
三沢政府参考人 失礼いたしました。
 こういうものについて、二千平米以上ある新築、増改築の建築工事がある場合に義務づけられるということでございます。
津川委員 つまり、やはり面積条項がかかってくるわけですよ。市役所ぐらいは法律なり規制がなくてもみずからやっていただきたいと思いますが、その地域で公益上非常に必要とされるものとして、例えば郵便局とか銀行の窓口とかあります。ただ、そういったものは小さいんですね。そういったものについて、単に努力義務だけではなかなか改善されないから、やはり幾つかは義務化するべきではないかというのが、これまでずっとあった議論だと思います。それについていただいたお答えが、条例によってそれは義務化できるんだというお話です。
 しかし、本法の三条二項、地方公共団体ができることとして、特別特定建築物に条例で定める特定建築物を追加することができる。それから、建築の規模を条例で、要するに二千平米未満で別に定めることができる。
 ということは、どういうことかというと、この施設を義務化したいということで、それにひっかけるためにわざわざ面積条項を引き下げなきゃいけない。これが、二千だったのが千八百ぐらいになるならまだいいかもしれませんが、これを非常に小さいな、では千にしようと。ただ、確かに一千平米以上という規定を条例でつくればできますが、それをすれば千平米以上の特別特定建築物は全部義務化されちゃうんですよ。逆にこれは、なかなかかけにくいんじゃないですか。
 だから、私は、むしろピンポイントで、ここのものに関しては、つまり、地方公共団体がこのものはこの地域にとって公共性が非常に高い、だからこれはやらなければならない、そういうふうに指定をするときに面積条項は勘案しなくてもいいという法律にしておけば問題はないんですよ。だから、ピンポイントではできないんです、この法律では。
 確かに、低く、どんどんどんどん下げていけば、五十平米以上は義務化と言えば、これは特定建築物がどんなに小さくても全部義務化になるかもしれませんが、こことここをしたいというやり方は、かえってできなくなるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
三沢政府参考人 要するに、この規模を定めるときに条例でどういう定め方が可能かということでございます。
 これは、別に、すべての用途を押しなべて一律の規模を条例で定めるということではなくて、用途ごとに、例えばこの用途であればこのぐらいの規模以上と、そういう定め方が条例で可能になるという考え方でございます。
 それともう一つは、条例の現状でございますけれども、現実に、いわゆる福祉のまちづくり条例という形で、それぞれ公共団体が独自に用途等を決めて、こういうものについてはバリアフリー化しようというような動きが既に相当進んでおります。今回は、むしろ、それをハートビル法に、法律上の根拠を持って強制力を持った形にしようということでございますので、そういう意味では、条例化をすることについて特段公共団体の方で非常に不便だとかやりにくいというような実態はないというふうに考えております。
津川委員 細かいところは条例でというふうに逃げられると、それ以上言えなくなるんですけれども、義務化をすることに関して条例でできますよというのは、これは法律ですから、条例じゃないですからね。確かに、用途によってそれぞれでできますよ。千平米以上といったらすべて千平米以上になるわけじゃありません。
 ただ、私が申し上げたいのは、日本全国の公共建築物に関してすべて網をかける場合には、これは何平米以上というのを、余りどんどん下げるのは問題だと思いますが、ある程度高い、まあ、低いハードルというんでしょうか、二千平米以上とかそういったものもある程度やむを得ないかもしれませんが、今回、地方公共団体がここに大いにかかわることができるというのは、地方分権の思想からいっても大いに評価をしたいところなんですが。
 だからこそ、地域事情に合わせて、例えば何とか市で、郵便局というのは大きいところから小さいところまでたくさんある、だけれども、その必要性に関しては必ずしも大きさでは決められないと思うんです。田舎の山奥の方にあるものであれば、小さくてもこれは何とかしたいと思う。大きいところは、そのレベルまで下げなくても、たくさんほかにもあるからその中の幾つかでいい。これは、地方公共団体がまさにその裁量の中でやるべきところであると思うんです。
 発想としては、条例でできるだろうというのはわからないではありませんけれども、ただ、この法律ではそうは書いていないわけですよ。面積条項を引き下げることができるというだけなんです。それは、面積条項を、例えば勘案しなくてもいい、適用されないとか、そういう書き方をすれば済む話ではないかなというふうに思いましたので、今質問させていただきました。
 ただ、地方公共団体ができると言えば、国の言い分としてはそれで済んでしまいますが、今言っていただいたとおり、地方には相当、何とか条例というのが現在でもあるんですよ。あるけれども、できていないんですよ、まあ、少しずつ進んでいるという評価はもちろんしますが。
 だから、それを進めなきゃいけないためにこの義務化というものがあるわけですから、この義務化をもっとそういうふうに使いやすいものに変えなければならなかったのではないかなと私は思います。
 ちょっとこの義務化ではない方に行きますが、特定建築物、それ以外のところで努力義務というものがございます。この努力義務というものは、利用円滑化基準に達するように努力することが義務ですが、この利用円滑化基準というのは、いわゆる基礎的基準なのか誘導的基準なのか、どちらになるんでしょうか。
三沢政府参考人 特定建築物の努力義務の基準でございますけれども、この基準は基礎的基準でございます。
 この理由は、努力義務といいながら、建築主に対しまして、建築計画上の制約が大きく、費用上の負担も重い誘導的基準に適合するような責務を課すというのは、これはやはり過大ではないかということから、努力義務の基準は基礎的基準であるという考え方をとっておるものでございます。
津川委員 本来、この特別特定建築物は、すべてこの誘導的基準に行くべきなわけですね、目標としては。これで十分かどうかは別として、少なくとも、今現在、目標としたいのは誘導的基準の方のはずです。ただ、義務化は、現実問題として今すべてそこまでやるわけにはいかないということで、条件をつけて、さらにこの基礎的基準というものが設けられているわけです。
 努力目標として掲げるのは、むしろ、基礎的基準ではなくて、今挙げられている誘導的基準の方にこそ近づけるべく努力をするべきなんではないかというふうに思います。どこまで現実にできるかどうかはちょっと別の話ですけれども、基礎的基準に対して、それに適合するような努力を促すのではなくて、やはり、目標とされるべきものをここに持ってくるべきだったのではないか。今、発想として、構造的にはわからないではないんですけれども、私が今申し上げたように、本来目指すべき目標はここである、ただ、そこに至らないところで、今の段階で最低限義務としてやっていただきたい部分がある、ただ、すべからく目標に向けては努力をしていただきたい。本来そうするべきだというふうに私は思います。
 それで、次に、基礎的基準であれ誘導的基準であれ、両方見ていると、どちらにもないのが、地震ですとかあるいは火災が発生したときの避難経路確保等についての規定であります。この規定がないのはなぜでしょうか。
三沢政府参考人 地震とか火災発生時の避難経路の問題につきましては、これは先生御承知のように、建築基準法に基本的な規制がございます。
 この中では、火災時等の緊急時の避難の安全性を確保するために、一定の階数とか規模の建築物について、特別避難階段とか非常用エレベーターの設置を義務づけております。しかも、そういう避難階段とか非常用エレベーターについては、階段とかエレベーターの前に、火や煙が入らないように排煙設備を設けて別室を設けるということを義務づけております。これによりまして、例えば身体障害者の方が避難される場合、こういう別室にまず一時的に避難するということによりまして、避難に時間がかかる場合に安全が確保できるように措置をしているものでございます。
 それで、さらにハートビル法では、もう当然のことでございますけれども、車いすの通行に必要な廊下の幅とか段差の解消の措置を求めておりまして、当然のことながら、このことも高齢者、身体障害者の方々の避難の円滑化に資するものであるというふうに理解しております。
 それで、さらに、基準法では義務づけまで至っていない建築物でも、今申し上げましたような階段室とかバルコニーに一時的に避難した上で、他の人の手助けを得て安全に避難できるような、そういう方式がやはり望ましいことでございます。これにつきましては、設計者向けのガイドラインというものを定めまして、この中にそういうことも書き込みまして周知徹底を図っていくという考え方をとっているところでございます。
津川委員 建築基準法にある避難経路の確保、こっち側に避難口がありますよというのを書かなければいけないのはわかっていますけれども、今おっしゃったとおり、階段なんですよ。階段に逃げたって車いすの方は逃げられませんよ。それから、上の階から滑り台みたいにしておりるものもありますけれども、車いすの方が何人もいたら、実際にはあれは使えません。周りの方に介助していただいても、おりてから車いすはありませんし。
 現実として、それをクリアするのは非常に難しいのはわかります。だから、それこそ誘導的基準の方に入れるべきだと思います。それは建築基準法に書いているからというのは、私はおかしいと思いますよ。通路の幅だって、今回、建築基準法に書いているけれども、ハートビル法にも書いているんですから、それはあえてここにしっかり書かなければならないところだと思います。少なくとも今回抜け落ちているのは非常に、まあ、誘導的基準は政令で決めるわけですから、ぜひ決めていただきたいと思いますが、それについても一言触れていただかなければならないと思います。
 例えば、そこの議員会館も車いす用のトイレが何カ所かありますけれども、避難口というのに行くと階段しかありませんし、外に出ても階段しかありませんから、あれは、もし何かあったときには非常に危険だと思います。それが今クリアできるかどうかというのは今後の課題ではありますけれども、誘導的基準の中には少なくとも入れていただきたいというふうに思います。
 それから、ちょっと交通バリアフリー法の方に戻らせていただきますが、この交通バリアフリー法成立後、つい最近ではありますが、その後どの程度効果が上がっているか、わかっている数字があれば教えていただきたいと思います。
岩村政府参考人 先生御承知のように、交通バリアフリー法は、平成十二年十一月、二年ちょっと前に施行されておるわけでございます。
 その後、各年度末の数字を調べているわけでございますが、昨年度末、すなわち、ことしの三月三十一日現在の数字につきましては今集計中でございまして、八月ごろに出てくるということで、ちょっと一年前の数字で、ということは、施行後、日が浅い段階の数字なので進捗状況は余り芳しくないわけでございますが、例えば鉄軌道駅の移動円滑化基準達成率は二九%、バスターミナルについては六〇%、低床バスの導入については五%等々になっております。
 ことしの数字が出ませんと、法律の効果がどれだけ出たかというのははっきり申し上げられないわけでございますが、ちょっと今の段階では、これ以上のことはお答えできません。
 それから、例の特定地域の整備の基本構想の方は現時点のがわかっておりまして、六月二十五日時点で、受理したものが二十七、作成中が四十八、それから今後作成予定と言っているところが五百自治体、そういう状況でございます。
 今後、こういう進捗については的確に把握し、また指導の方も強化していきたいというふうに思っております。
津川委員 一回しかデータがありませんから、どのくらい効果があったかわかりませんが、そうそうすぐにはもちろん改善はできないと思いますし、それはやむを得ないところかもしれません。
 ただ、一方で、いろいろなところでバリアフリーという言葉は聞くようになりました。いろいろな、業界の方もバリアフリー工事をしますとか、工事をすることによって渋滞が起こったりはしますけれども、それによって逆に認識をしていただいて、ああ、エレベーターができた、エスカレーターができた、便利になったと思っていただければ、バリアフリーの必要性を認識していただくとか、こういった効果はやはりあろうかと思いますから、この法律ができたこと自体は非常に大きな進展だとは思います。
 ただ、なかなか地方に行くとそうすぐにはできない。そうすぐにはできない理由の一つとして、やはり建設コストがかかる、既存のものに関してもなかなか構造上難しいとか、一回建て直さなければいけないとか、そういったことがあります。
 そこで、よく聞く話なんですが、駅にエレベーターをつけるんだけれども、エレベーターが高い。エレベーターは大体どのくらいかかるのか、全くケース・バイ・ケースで幾らとは言えないでしょうけれども、わかる範囲で教えていただければというふうに思います。
石川政府参考人 駅のエレベーターでございますが、まさに先生がおっしゃったように、駅によってさまざま構造が違います。したがいまして、設置しようとするエレベーターを、どういうエレベーターをつくったらいいか、これ自体がまずは違います。それから、まさにお話がありましたように、エレベーターを設置する場所、どういう場所で、どういうふうな工事をしたら設置できるのかということによってさまざまでございます。
 したがいまして、一概には言えませんけれども、一基当たりの設置に要する費用というのにつきましては、比較的容易な工事で設置が可能な場合は三千万円程度、それから大規模な駅舎の改良工事を伴うという場合には三億程度かかります。したがいまして、要するに十倍ぐらいの幅がある状況でございます。
津川委員 そうでしょうね。土地を買わなければいけないとかになれば、またそれもかかってくるでしょうし、大変だと思います。
 ただ、努力義務規定の中に五千人以上というふうにありましたが、五千人以上だけでも全く進んでいないというのも随分あります。ただ、トイレぐらいは変えてもいいんじゃないのかなというのがあるんです。一つ一つ挙げると大変ですけれども、一つだけ挙げるとまた申しわけないけれども、あえてちょっと出させていただきます。
 営団地下鉄の銀座線銀座駅というものがございます。ここは地下鉄の駅ですが、丸の内線の銀座駅は、ホームから改札口、またコンコースからC1番出口まではエスカレーターがある、ただエレベーターはない、それから車いす対応のトイレもないということであります。この銀座駅の乗降客数が一日二十七万八千。特に多いと思いますが、二十七万八千の方が利用しておりますが、エレベーターはありません。これは丸ノ内線です。
 実は、銀座線に至ってはエスカレーターもないという状況であります。ただ、日比谷線の方まで行くと、地上から改札口まではある、ホーム間の自社乗りかえに関してはある。ただ、改札からホームまでは、やはりないんです。人数だけでいっても、五千人のところが二十七万人ですから、二十七万人でもできていない。特に、銀座なんて工事すればお金もかかるでしょうけれども、ただ、そうはいっても、例えばトイレですとか、そういったところからだけでも何とかできるのではないかなという思いがありますが、いずれにしても、エレベーターをつけるにはえらい金がかかるということであります。
 ちょっと一つ、鉄道局長に来ていただいているので、ぜひお伺いしたいところがあるんですが、私、自分で研究しているんですけれども、エレベーターをつくらないで駅のバリアフリー化をするという話なんです。
 地方によくある駅なんですけれども、線路が地上をまず走っている、母屋があって、その前に一番ホームがあって、跨線橋があって、向かい側に二番ホームがある。こういう駅はまだ随分あると思いますが、こういう駅の場合に、もしバリアフリー化をするにはエレベーターを最低二基つくらなきゃいけない。場合によっては、跨線橋がそれに耐えられない場合は、跨線橋も別に新たにつくらなきゃいけないという状況だと思います。
 そうではなくて、ホームとホームをつなぐはね上げ式の通路をつくったらどうか。ぱたんと上がるものです。電車が来ているときは上がっている、電車がいなくなったらぱたんと下がる。二番ホームと一番ホームはまさに平面で歩けるようにする。これは車いすどころか、横着な人間と言うと怒られますが、私みたいな横着な人間は、そっちの方がやはり相当楽です。ただ、電車がいる間は通れませんから、電車が行った後じゃなければ使えません。
 強度の問題も、例えばエレベーターと違って、人が乗っている必要はない、下げたときにその強度に耐えられればいい。軽くできますから、モーターもそんなに強い必要はありません。
 例えば、山手線のように、じゃんじゃんじゃんじゃん電車が来るところでは使えない。それから、終点の駅みたいに、電車が入ってきてそのまましばらくそこにとまっているようなところでも使えません。ただ、地方の郊外の駅なんかでは、これでいける部分が随分あるんじゃないのかな。今、メーカーの方と相談しているんです。
 一つ気になるのが、法律に何かひっかかるのかなと。つまり、線路の上に構造物、建築物みたいなものが一時的にあるわけですから、ちょっと安全上何となく気になる。ただ、基本的には踏切と同じような感覚ですから、電車が何キロ手前まで来たということになればそれがはね上がるというような状況にすれば、一応安全性は確保できるのかなと。
 もし法律で何かそういったものをつくってはいけないというようなものがあれば、今思いつけばぜひ教えていただきたいんですが、いかがでしょうか。
石川政府参考人 今御提案でございますけれども、まさに線路の上にどういうものをつくるかということについて、その線路の状態も見なきゃいけないと思います。その上に架線があるような場合どうするかとか、それから、その構造物自体が本当に安全かということ。それから、実は踏切の場合も相当前から信号システムをつくって上げ下げをやっているわけでございますので、仮にこういうものが簡易なものでできたとしても、その信号システムをどうするかというさまざまな問題があると思います。
 ただ、できるだけ簡便な方法でという御提案はあると思いますが、何かいい方法があれば、またそれは、検討することはやぶさかではございません。
津川委員 今局長からいただいた程度のことなら何とかクリアできるなという自信を持ちましたので、そちらでもぜひ研究をしていただきたいというふうに思います。
 最後、もう時間がなくなりましたが、今回の法案の審議の中でもありますが、ハードは少し改善したけれども、ソフトがまだまだだという話があります。確かにソフトはまだまだで、私は、最終的にはやはり差別禁止法のようなものが必要かなというふうに思いますが、一方で、実はハードもまだまだなんです。全くできていないと言っていいぐらいまだまだだと思います、これは利用者の立場からすれば。
 私も小さな子供がいるものですから、ベビーカーを押して某巨大鉄道会社の巨大な駅へ行って、おりて、ホームでそれを広げて行こうとすると、長い階段があって、エスカレーターしかない。エスカレーターはベビーカーはだめですから、畳まなきゃいけないんですよ。これはえらい大変だなと思っていると、その列車のクルーが涼しい顔をして自分たちの専用のエレベーターでおりていく。もう本当に頭にくるんですけれども、まだまだできていないですよ。それは、車いすの方だってお願いしなきゃ使わせていただけないようなエレベーターがまだまだたくさんあるわけで、全くバリアフリーに関しては、ハードの面でも至っていないということをぜひ認識いただきたい。
 それから、二点、ちょっと具体的に言いますが、例えば、視覚障害者の方のブロックはJIS規格で統一されましたけれども、音声誘導装置は統一されていない。これもぜひ統一をしていただきたい。それから、聴覚障害者の方も、列車の中の行き先の文字表示というものがまだまだ不十分。あるいは、ダイヤが乱れたときに、そういったものが駅の中では音声の放送ばかりでなかなかわからないというようなこともあります。こういったこともぜひ対応していただきたい。
 それから、先ほど樽床さんからもありましたけれども、やはりまだまだ改善の余地のある法律だと思います。交通バリアフリー法ができて、五年以内の改正であります。今、五年以内にこれも見直しをするという話でしたが、私なんかはこれは同時にやるべきだと思うんです。交通機関だけとか建物だけではなくて、これをぜひ包括的にやっていただきたい。そうしますと、最初は三年ぐらいの見直しになるかもしれません。ただ、そういったことをとにかく早くやっていただきたい。
 ハードに関してはまだまだでありますから、その最後の決意をちょっと大臣にお伺いして終わりたいと思いますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 先ほども樽床議員のお話でございましたように、五年たって見直そうということですけれども、とにかくお金のかかることですから、申し上げましたように、少なくとも我々は、十四年度、バリアフリー化等々の予算を特別に組んでおりますので、助成金ということで組んでおりますので、それを活用しながらやっていきたいと思っております。
 今おっしゃったように、ハード面だけでもまだできてはいないではないかということでございますけれども、平成十四年度予算で約六十五億円を確保しております。この六十五億がどれほど役に立つかということはありますけれども、あるいは地方公共団体がそれぞれのところで、私は二十一世紀は環境とバリアフリーと言い続けておりますから、そういう意味では、ハードの面がまだまだとおっしゃいますけれども、まず認識からいかなければ、みんながその認識を持って、地方公共団体も地方条例等々の改正をしてもらわなきゃいけませんので、我々としては、少なくともこのお金を利用していただいたり、我々ができるところは、もっと皆さんのお力でたくさんの予算をとっていただければ、これは特別に福祉税とか何かでしろというのであればまた別でございますけれども、そういう意味では、今後も前向きに努力したいと思いますし、二十一世紀の新しい問題として、我々はそれに福祉とバリアフリーで対応していくということを言い続けておりますので、御協力を賜りたいと思います。
津川委員 終わります。ありがとうございました。
扇国務大臣 ちょっと。六十五億は鉄道分だけで、全部で二百十二億。
久保委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。鮫島宗明君。
鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。
 きょうは、主にダニの問題について質問させていただきます。いろいろなダニがありますが、主に室内のダニについて質問させていただきます。
 今度の建築基準法の一部を改正する法律案でシックハウス対策が初めて織り込まれたということで大変大きな注目を浴びていますが、シックハウスとかシックハウス症候群とかというのは、割合新しい言葉で、人によって随分とらえ方が違うような気がするんですが、この法律の改正案を見る限り大変狭い概念でとらえているような気がします。
 厚生労働省の方にお伺いしますけれども、シックハウスとかシックハウス症候群の定義というのは、厚生労働省の方ではどうなっているでしょうか。狭義の定義と広義の定義と両方あるんでしたら、そういう意味も含めて御説明いただければと思います。
下田政府参考人 いわゆるシックハウス症候群と呼ばれておりますのは、社会的には、新築あるいは改築後の住居に入居した後に、頭痛あるいは皮膚のかゆみ、そのほかにもさまざまな症状がございますけれども、そういった症状を訴える現象をいうというふうに言われておりますけれども、医学的に確立された疾病概念というふうにはなっておらないところでございます。また、一口にシックハウス症候群と申しましても、人によって訴えるところや程度、こういったものも違っている、こういったことが言われているところでございます。
 それから、御指摘のシックハウスとシックハウス症候群、これの違いということでございますが、シックハウスという用語は、通常、居住者に健康障害を引き起こす住宅という意味で用いられる、そういった場合が多いわけでありますが、シックハウス症候群、これと同意義で使われる場合もあるというふうに理解をいたしているところでございます。
鮫島委員 では、ちょっと別の聞き方をしますが、シックハウス症候群の原因物質というのは、どういう範囲でお考えでしょうか。
下田政府参考人 シックハウスを引き起こします原因物質というのは、さまざまなものがあるというふうに承知をいたしております。
 例えば、原因としましては、ホルムアルデヒド、あるいはたばこの煙、あるいはカビとかダニ、こういったものも原因となり得るというふうに言われておりますし、そのほか、揮発性の有機化合物、こういったものも原因となり得るということでございまして、先ほど申し上げましたように、これがシックハウス症候群を起こす原因物質という、因果関係がきちっとわかったものはなかなかないということでございまして、さまざまな要因からなり得る、こういう言われ方をしているところでございます。
鮫島委員 北里大学の石川先生を初めとするグループが、シックハウス症候群について、多分、日本で初めてこういう用語を紹介し、その内容についての解説書を出していると思いますが、大きく分けてシックハウスの原因物質は、アレルゲン、アレルギーを引き起こす物質と、それから化学物質ですと。片っ方をアレルギー性の疾患といい、もう一つを化学物質過敏症というと。この二つを含めてシックハウス症候群というふうに言われていると思います。
 今、実際の患者さんの数なんですが、化学物質によって引き起こされる化学物質過敏症に分類される患者さんの数と、あるいは、ダニ、カビによって引き起こされるアレルギー性疾患の患者さんの数、それぞれこの三種類のグループで、概数、おおよそどのぐらいの人数というふうに厚生労働省は把握しておられますか。
下田政府参考人 まず、シックハウス症候群の部分について、今まで研究班で出されました数字について御紹介を申し上げます。
 いろいろな研究があるわけでございますが、例えば、特定の区域の小中学校生、この方々を対象としました調査では、一・七%の児童生徒が何らかの症状を訴えたというデータ、それから、新築、改築後数年以内の居住者を対象としました調査を行っておりますが、この中では一六・七%の住宅で何らかの症状を訴えたという報告がございます。
 そのほかにもいろいろございますけれども、現実的には数字がかなり違っておりまして、今後ともこの部分につきましての研究は積み重ねる必要があるというふうに考えております。
鮫島委員 ちょっと答弁が微妙にずれているような気がしますが。
 今全国で気管支ぜんそくをお持ちの方の数が三百万人から四百万人と言われていて、その中で、ダニに由来する気管支ぜんそくがおよそ七〇%、三百万人としても二百十万人、それからカビの胞子に由来する気管支ぜんそくの患者が約一〇%、三十万から四十万人と言われているわけですが、では、化学物質に由来する化学物質過敏症というふうに認定されている患者さんの数はどのぐらいでしょうか。
下田政府参考人 その部分についての調査データはございません。
鮫島委員 ここから突然国土交通省の方に話が飛ぶんですが、ダニアレルギーの患者が二百五十万人程度います。カビアレルギーの患者が三、四十万人います。化学物質過敏症の数は特定されていない。
 大体、シックハウス症候群の診断が可能な病院は三つぐらいしかないんじゃないかと思います。一切の化学物質が漂っていないクリーンルームあるいはケミカルフリールームを持っている病院は北里大学を初めとして三つぐらいしかないとされていますので、多分そういう意味からも正確な患者さんの数というのは出しにくいんだろうと思いますが、今の厚生労働省の説明を受けて、この一部改正の内容を見ると、大変限定的に決めつけた内容になっているんですが、なぜ国土交通省の方はシックハウスの原因物質として化学物質だけしか取り上げていないんでしょうか。
三沢政府参考人 シックハウス症候群の原因といたしまして、化学物質のほか、カビ、ダニによるアレルギーもあると言われていることは先生御指摘のとおりでございます。
 このうち、化学物質によります室内空気汚染の問題については、これは、最近、非常に国民的な関心が急速に高まっているということに加えまして、健康への有害な影響について一定の科学的な評価が行われているということから、今般、これに基づきまして、一定の建材等の規制を導入することが可能である、こういうことから、建築基準法を改正して対策を講じようとしているものでございます。
 なお、カビ、ダニによるアレルギーの問題については、これは非常に難しい問題でございますが、恐らく、建築物の構造の問題以外に、住まい方あるいは建築物の使い方の問題など、非常に広範囲に検討すべき問題があるというふうに考えておりまして、それにつきましては、具体的な対策については、厚生労働省さんも含めて関係省庁とも引き続き検討を行っていきたいというふうに考えております。
鮫島委員 大体予想どおりの答弁なんですが、でも、逆の言い方をしますと、カビが生えやすい構造、あるいはダニが繁殖しやすい構造、そういう構造も、もちろんライフスタイル以外に、ずぼらで不潔にしているから、おまえのところはカビが多いとかダニが多いとかということもあると思いますが、大体うちの国土交通部会でも、このシックハウスの議論をしながら、みんなばかばかたばこを吸っていまして、何でこれがシックハウスなんだという気もしますが、やはり構造上の問題でカビが生えやすい、ダニがふえやすいというのはないというふうに言えるのか。
 特に、例えば結露しやすいような構造ということは非常にカビの発生と関係ありますし、ダニも、大体六〇%以上の湿度で温度が二十から三十度程度が一番ダニにとって快適な環境と言われていますので、やはり六〇%以下に湿度を抑えればダニの発生もしにくくなる、そういう構造上の問題もあるんではないかと思いますが、先ほどのお答えだと、その辺が、ほとんど住んでいる人のせいみたいな感じなんですが、構造上の問題からダニが繁殖しにくい、カビが生えにくいということは考えられないんでしょうか。
三沢政府参考人 当然、やはりカビ、ダニが発生、生育するような環境となる原因というのは、住まい方の問題だけではなくて、住宅の構造等も非常に大きくかかわっているというふうに認識をしております。
 したがいまして、住宅の構造に関連する対策として効果的なものは、今先生おっしゃいました結露を防止するために適切な断熱構造化を行うということ、それから適切な換気を講じること、この二つが非常に重要であるというふうに認識しております。
 私ども国土交通省におきましては、今申し上げました断熱構造化等につきまして、住宅の省エネルギー基準というのを省エネ法に基づきまして指針として決めております。この中で、断熱構造はもとより、壁の通気構造とか換気計画等に関する基準を定めるということにいたしております。
 それの普及を図っていくことが非常に大事でございまして、これにつきましては、これと連動して、住宅金融公庫融資による誘導措置、あるいは住宅性能表示制度の中でもそういうことが、消費者にどのくらいの対策が講じられているかということがきちっとわかるような、そういう制度の活用、さらに、当然のことでございますけれども、施工技術の開発普及といったようなことに努めているところでございます。
鮫島委員 この建築基準法の一部改正、今度のシックハウス対策の中に、やはり結露防止なり、あるいは湿気だまりというんですか、八〇%以上の湿度に常に保持されている空間、そういうものが生じないような構造にしなさいというようなものが本当は明文化されていた方が、先ほどの患者の数もわからないような化学物質過敏症だけを対象にする対策よりも、三百万人近くいる気管支ぜんそくの方々を視野に入れた対策が本来必要ではないかという印象が今でもぬぐえません。
 そこで、その結露対策、特にカビの問題との関係で、最近いろいろな投げ込みのパンフレット等々で、外断熱工法が大変よろしい、結露しません、それから、コンクリート住宅の長寿命化という観点からも外断熱工法がよろしい、世界の先進都市の中で内断熱なんというのを使っているのは日本しかないというようなことも言われております。
 そういう意味では、国土交通省の建築を所掌する、所轄する部門としては、この外断熱方式と結露対策の有効性というのをどんなふうに評価しておられるのでしょうか。
三沢政府参考人 断熱の工法として外断熱工法と内断熱工法と二つございますが、どちらがどういうメリット、デメリットがあるかという点については、いろいろな議論があるわけでございます。
 外断熱工法は、内断熱工法と比べまして、躯体の外側に断熱材を施工するということから、外気の温度変化が躯体に伝わりにくいということで、一般論としては劣化しにくいという特性があるということは承知しております。
 一方、外断熱工法については、施工が複雑であるとか、二階以上であれば足場を組まなきゃいけないということで、コスト的にはやはり高くなるというようなことも言われております。
 それから、省エネ性能につきましては、恐らく、地域によって違うのであろうということでございます。特に、寒冷地などでは、長期間冷暖房を使っていると冷暖房が終わったときに効果が継続しやすいという意味で、外断熱工法はメリットがあると言われております。逆に、つけたり消したり非常に頻繁にする場合には、なかなか外断熱は短時間では効果があらわれにくいというようなことも言われております。
 それから、結露の問題についても、したがいまして、使い方によって結露の生じやすさがいろいろある。例えば外断熱だと、これはもう先生御承知のとおり、つけたり消したりする場合は、急激に室内温度が上昇すると室内の壁表面に結露する可能性がある、つまり、壁がなかなかすぐには暖まりにくいということもあるということで、これはなかなか、どちらがというのは一概に言いにくい状況があるわけでございまして、それぞれの工法の選択は、やはりその地域の実情とか個々の建築物の設計条件によって判断していくという問題かなというふうに考えております。
 この点につきましては、私ども、例えば住宅金融公庫融資なりあるいは住宅性能表示制度上も、とにかく、外断熱か内断熱かという工法によらず、断熱の性能に着目して実施するということにしておりますので、どちらの工法をお使いになるかは、まさに建築される方が選択するという姿になっております。
鮫島委員 確かに、程度の悪い内断熱の家と非常によく整備された外断熱の家とを比べれば、そっちの方がいいとか、いいかげんな外断熱と十分厚い断熱材がついた内断熱だったら、内断熱の方がいいとか、比べ方も大変難しいところがあると思いますが、私は、これまで国土交通省の住宅政策の中で、断熱方式について十分に議論されたり、特に日本では建築物理という領域が大学にもないと言われていますが、そういう視点からの計算なり工法の評価というのが実は欠落していたんではないかという気がします。
 ですから、今ここでいきなりどっちがいいという結論は出せないかもしれませんが、少なくとも、これまで内断熱が一般だったからそれに否定的なことは余り言いたくないという態度は、ぜひおとりにならないようにして、今後、もうちょっと建築物理的な視点から十分評価して、経済性、確かに建築コストは高いといいますが、大体三十年たったらぼろけちゃう、老朽化しちゃうようなマンションの方が悲劇でして、それは、最初に一割値段が高くたって、倍の六十年もてば、それはトータルで考えたらコストが安い。
 私は、公共構造物が実は非常に大きいと思うのですが、市役所とか区役所とか県庁とかが百年コンクリートにすればそれだけ住民の負担も少なくなるという、少し長期的なスパンで建築政策あるいは工法というのもお考えいただく必要があるんじゃないか。
 とにかく、あのサンフランシスコ講和条約から今日までの五十年間は、とりあえず大急ぎでいろいろなものをつくってきた五十年でして、振り返って、何をつくってきたかを眺めてみれば、随分いいかげんなものをつくってきたなというのが今日の状況ではないかと思います。
 したがって、これからは、本物のいいものをつくりましょうという思いで私ども民主党も今後の政策を考えたいというふうに思っていますが、では、住宅の長寿命化、少なくともコンクリートの寿命の長寿命化という意味では、これは明らかに、温度変化が少ないという意味で外断熱の方がすぐれていると思いますが、その点に限ってはどうでしょうか。
三沢政府参考人 これは当然、比較する上で、施工の方法とか気象等の条件を仮に同一にした場合という前提条件つきで考えますと、先ほど申し上げましたように、外気の温度変化が躯体に伝わりにくいということから、外断熱工法の方が躯体の劣化はしにくいというふうに認識しております。
鮫島委員 まだ日本も豊かになってからの歴史が浅いので、余り客観的ないい数字がないんですが、例えば世界のマンションと日本のマンションを比べて寿命がどうかといった場合に、少なくとも今の数字では、日本が三十年、ドイツが七十九年、イギリスが百四十一年、アメリカが百年というふうな数字が出ている。
 これはどういう数字で出しているかというと、今、百万戸のマンションが存在しています。毎年どれだけ建てかえられているでしょうか。百万戸のマンションがあって、一万戸ずつ建てかえられているんだったら、ちょうど百年で全部入れかわりますから、寿命は百年。百万戸のマンションがあって、三万戸ずつ入れかわっているんだと、三十三年で全部入れかわるから、寿命は約三十三年。そういう計算の仕方で出した数字で、日本が三十年、アメリカが百年、イギリスが百四十一年という数字が出ているわけです。長いところは全部外断熱の工法でして、この中では、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ。日本だけが内断熱のマンションにほとんどの人が住んでいる。
 このことと関係して、ちょっと本題から外れるんですが、今マンションに住んでおられる方々が、何か三十年たったら老朽化で建てかえになっちゃうぞ、どうもうちのマンションも建てかえらしいという、建てかえ恐怖症というのがシックハウス症候群よりも多いと言われております。
 全国で、これは前のマンションの建替えの円滑化等に関する法律案の関係資料の中に、三十年を経過したものが平成十二年で十二万戸。今後さらに、十年たつと九十三万戸になる。日本全体で約四百万戸ありますから、十年後にはその四分の一を建てかえなくちゃいかぬ。しかも、古いものについては、狭かったり、エレベーターがなかったり、居住性能やバリアフリーの観点から不十分なものが多い。多くの場合、修繕や増改築では対応できず、建てかえを行う必要性が生じてくることが予想されているというふうになっています。
 こういうことがだあっと国土交通省の方から今発信されているものですから、大変不安におびえていて、三十年のローンでやっと払い終わったら、はい、もうおたくのマンションはおしまいよ、また三十年ローン組んでくださいというような、大変恐ろしいことになっているんです。
 今度の法律の中にも、容積率を緩和する手続を割合制度的に簡便化しましょうというのが総合設計制度ということでうたわれておりますが、このことは、やはりマンションの建てかえを促進しようということで、こういう総合制度というのは考えられているんでしょうか。
三沢政府参考人 まず、マンションの建替えの円滑化法につきましては、これはあくまで、マンション居住者が合意をした後、その合意した建てかえを円滑に進めるという、円滑化のための法律でございまして、一律の期限でもってこれを促進するとか、そういう趣旨ではございません。
 今の建築基準法の改正の中で、いわゆる容積率緩和を建築確認の中でできる仕組みを今回導入するわけでございます。これは、直接マンション建てかえのためにこの仕組みをということではございませんけれども、ただ、今後マンション建てかえをみんなでやろうといったときに、やはり既存不適格でなかなか十分に思うように進まないというような場合に、容積率緩和が必要になってくる場合がございます。そういう場合に活用するということは考えられるというふうに考えております。
鮫島委員 六月二十五日の産経新聞に、「老朽化マンション建て替え 都、規制緩和し支援 基準容積率最大三〇〇%上乗せ可能」という記事がありまして、その中に、今国会でマンション建替え円滑化促進法が成立したことがこういうものの背景になっているという記事があったら、この言い方は正確ではないと。マンション建替え円滑化促進法なんという名前のものはない。確かにそれは、円滑化等に関する法律案ですから違うんですが。
 ただ、この法律の目的には、危険または有害な状況にあるマンションの建てかえの促進のための特別の措置を定めるということも書いてあるわけでして、明らかに、今古いマンションに住んでいる住民は、どうも強制建てかえになるんじゃないかと。特に、市町村が判断して、これは老朽化して危ないですよというふうに認定したら、これはかなり建てかえの方に全体が動くというようなこともあって、私の選挙区なんかも三分の二の人がマンションに住んでいるものですから、何か連日不安をぶつけられて困っているんです。
 ただ、大臣は、生活者の視点から、都会の多くのマンション住民、一説には、日本人の二千五百万人から三千万人がマンション住民だと言われていますが、マンション政策というのが、ある種住宅政策から取り残されてきた、あるいは社会政策としても取り残されているというのがあって、もしマンションが三十年から三十五年でみんな建てかえですよということになると、大変多くの日本人が、ちょうど三十年の長期ローンが終わった中で、また組まなくちゃいかぬ、いつになっても豊かさが実感できない社会だなということになってしまうんです。
 ですから、私は、この住宅政策の中に、特にマンションの躯体の長寿命化というのは、明文化してうたい込むべきじゃないか、少なくとも二世代以上躯体については大丈夫、インナーはそれぞれのライフスタイルによってつくりかえればいいと思いますが、やはり、最低六十年以上の長寿命化は明文化してうたい込むべきではないかという気がいたしますが、大臣の生活者としての感想をお聞かせいただければと思います。
扇国務大臣 今、鮫島議員がおっしゃいましたように、我々は都会に住んでいて、マンションという言葉自体が昔はなかった。共同住宅でございました。ところが、今マンションが乱立しまして、多くの皆さん方がマンションを利用し、都会ではマンションしか手に入らないという状況もございます。
 けれども、マンションによっては、私は一概にどうこうと言えることはないと思いますのは、大体築後三十年から四十年経過した時点というのが平均的には一番多いわけで、平均では大体三十八年という数字も出ておりますけれども、鮫島議員は御存じだと思いますけれども、同潤会アパート、当時はアパートと言ったんですけれども、これは大正末期の施工で、少なくとも今大体七十五年ぐらい経過していますね。これが今まだ江戸川と青山、両方にございます。これはもう見るからに居住者が少なくなっていますけれども。
 そのように、昔のアパートと言った時代でも七十数年、今七十五年たっていますから、七十五年もつものもございますし、また、新築でも粗悪なものもありますので、少なくとも国土交通省としては、品確法でございますとか、あらゆる面で、今鮫島議員がおっしゃった、百年もつ建物を建てようということで、センチュリーハウジングシステムでありますとか、スケルトン・インフィル住宅でありますとか、あらゆる今の技術をもってして百年もつようにしようという工法は、国土交通省としては研究もしていますし、お勧めもしています。
 また、今、るる冒頭から私お話を伺っておりまして、新たな工法によって金額的に安く早くできるよというので、新建材を使うところも多くなっている。そのために、最初から、鮫島議員が御質問になった、いわゆるシックハウスだとか、あるいは、今全然わかりませんけれども、我々主婦の間ではアトピーという言葉も大変問題になっています。これも原因がわかりません。ですから、そういう意味では、新しいものをつくるということと、古いものでも長もちしているものもあるので、そこの兼ね合いはどこなんだろうかと。
 けれども、少なくとも、我々の今の建築の推進法では、今申しましたようなセンチュリーハウジング法でありますとか、あるいはスケルトン・インフィル法でありますとか、そういうものを利用して百年もたそうと。これは当然のことでございますから、今我々は、そのように努力し、また、今鮫島議員がおっしゃったように、いろいろな学者の皆さん方、専門家の議論というものも参考にしながら、法案として取り組んでいっているところでございます。
鮫島委員 時間ですので、あと一問だけ。
 私たちの職場である国会議事堂も大変長寿命で堅固な建物だと思いますが、ぜひ多くの国民の方にも長寿命の建物を提供するような政策を打っていただきたいというふうに思います。
 一問だけ。あと、壁からも化学物質が出ますが、家具からも出ますよということが書いてありますが、家具から飛散される化学物質の対策は国土交通省としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
三沢政府参考人 まず、今回の建築基準法改正の中での家具の取り扱いでございますけれども、今回、建築基準法の規制を行う際の前提条件として、これは、用途に応じまして一定の家具が設置されている、そういう状態であってもその規制が守れるような、そういうことを想定しております。すなわち、家具が設置された状況であっても、通常、ホルムアルデヒドの室内濃度が厚生労働省の指針値を超えないように、そういうような基準を定めようということで考えております。
 さらに、やはり室内空気環境を確保するためには、家具そのものについてもいろいろな対策を講じていくということが大事でございます。これにつきましては、シックハウス対策関係省庁連絡会議の中でもいろいろ関係省庁とも議論しているところでございまして、具体的には、経済産業省さんの方でも家具業界にいろいろな指導を行われているというふうに伺っております。
 その結果といたしまして、家具の製造業団体である全国家具工業連合会では、家具のシックハウス対策指針というものを策定し、さらに、昨年の九月にその指針を改定して取り組みをより強化しているというふうなことも伺っておりまして、こういう形で、関係省庁あるいは関係団体とも連携しながら、対策を進めていきたいというふうに考えております。
鮫島委員 割合用心深い御答弁だと思いますが、家具については経済産業省が所管ですから、直接国土交通省がどうこうできない。だから、もし同じように家具から今後化学物質が出続けても、換気によって十分健康が保たれるという計算になっていると思いますが、横から見ると変な話で、つまり、経済産業省がいつになっても家具に対して対策を打たなくても大丈夫なような設計になっているという、これは役人に言ってもしようがない話で、ぜひ扇大臣の方から横の平沼経済産業大臣にも、やるなら一緒にやりましょうというふうにお伝えいただければありがたいと思います。
 これで終わります。どうもありがとうございました。
久保委員長 長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻昭でございます。
 三十分という時間でございますので、端的に御答弁をいただければ幸いでございます。
 本日は、シックハウス法、ハートビル法ということでございますけれども、その前に、建物が燃えては元も子もありませんので、防災の観点から、建築基準法の問題をまずお伺いしたいと思います。
 今、皆様方のお手元に資料を配付させていただいているんですが、これは、歌舞伎町の雑居ビルで火災が昨年の九月一日にございまして、まだ一周忌が来ておりませんが、四十四人の方がお亡くなりになった。その直後、十月二十九日には、お二人の方が歌舞伎町の三洋ビルというところでお亡くなりになった。
 この今お配りした資料一というところに、そのビルの内容が上と下に書いてございますけれども、大臣、ここを見ていただきますと、四十四人の方がお亡くなりになったビルは五つも建築基準法の違反をしている。下の、二人が亡くなったところは三つも建築基準法の違反をしている。特に歌舞伎町の四十四人の方がお亡くなりになったビルは、一番上には、工事完了後の完了検査を受けていない、建築確認はとったけれども、その後、肝心かなめの、完了しました、設計図どおりですという検査を受けていないということでありまして、これは人災ですね。私は、そういう部分も、これは防げた可能性も非常に大きいというふうに、役所の責任は大きいというふうに思います。
 そして、資料二を見ていただきますと、では、こういう違反はどのくらい、ほんの一部なのかというと、全くそうではございませんで、資料二、これは国土交通省作成資料でございますけれども、一番上には、過去五年間の完了検査率ということで、建築確認はとったけれども、その後、完了検査、設計図どおりにちゃんとつくったかという検査を、平成十二年は五七%、六割弱しかしていない。確かに検査率は上がっているんですが、四割を超えるビルが、建築確認はとったけれども、その後はほったらかしだ。はっきり言えば、そういうような無法が放置をされているということでございます。
 あと、その下には、定期報告の実施状況とございますけれども、これは建築基準法で定期報告を求められておりますけれども、さきの歌舞伎町のビルは二つとも定期報告を行っていない。これは氷山の一角であるということで、平成十二年度は報告率が五三・四%ということで、半分近くが建築基準法で義務づけられている定期報告を行っていない。
 次の資料三を見ていただきますと、これは歌舞伎町の火災を受けて、国土交通省さんが自治体と協力をして、重点査察ということで対象の一万一千余のビルを検査したところ、そのうちの三八・四%が防火、避難安全上の部分に限った建築基準法の違反をしている。そのうち是正勧告を行ったものが三千八百八十四棟、それで、これは是正しなさいといって、実際直したものが、これは驚くんですけれども、二・七%しか直っていないということでございまして、何が言いたいかといいますと、無法ぶりが、特に完了検査あるいは定期報告、これがなされていないということがもうずっと放置をされている。義務づけがあります。罰金もあります。
 さて、お伺いしますけれども、過去、この定期報告の怠りあるいは完了検査の怠りによって、罰金というのはどのぐらい、何件科せられましたでしょうか。
三沢政府参考人 建築基準法に基づきまして告発が行われた件数というのがございますが、告発を行った件数、毎年数件程度ということで、平成十二年ですと四件という数字でございます。
長妻委員 私は、告発ということは言っておりませんで、罰金を科せられたのが何件ですかと言っておりまして、そうすると、この平成十二年度の四件というのは、定期報告の怠りあるいは完了検査の怠り、これによって罰金が科せられたということで間違いございませんか。
三沢政府参考人 ちょっと、これはどういう事由で告発を行ったかという区分は把握しておりませんが、これが告発件数の全数でございます。(長妻委員「罰金、罰金は」と呼ぶ)この結果として罰金が科せられているかどうか、これは把握しておりません。
長妻委員 大臣、これはちょっと驚くべきことだと思うんですね。この四件が告発をしたということらしいのですが、どの部分の告発かがわからないし、告発した後、結果が、罰金が科せられたかどうかもよくわからないと。それで、たった四件ですよ。これは日本全国ですよね。そういうことで本当にこういう火災が防げるのか。ハートビル、シックハウスも重要です。しかし、その前に、まずビルが燃えてしまったら、これはどうしようもないわけでありますので。
 今ちょっとお答えできないですか、四件というのはどういう内訳かというのは。
三沢政府参考人 ちょっとここでは、その区分はわかりません。
長妻委員 今、こういう罰金を科せられたのが何件あるとか、そういうことは国土交通省さんは把握をされておられるんですか。
三沢政府参考人 これは、要するに、全国の地方自治体に統計的に報告を求めて聞いているわけでございます。したがいまして、ちょっとこれは、さらに個別に、その内訳とかあるいは結果として罰金が科せられたかどうか、これを調査しないと、現時点ではこれをお答えすることは難しいということでございます。
長妻委員 これは、せめて国土交通省さんが毎年把握を、調査をして、どのぐらい罰金が科せられたか。実際に、はっきり言えば違反しても罰則がないんですよ。法律では罰則ありというふうに書いてありますけれども、実態上は全然おとがめないから、まあ大したことないということで、これだけ違反が放置をされているという部分もあるのではないかというふうに思いますので、今後、毎年、罰金がどれだけ科せられて、どういう内訳か、せめてそのぐらいは把握する必要があると思うんですが、いかがですか。
扇国務大臣 せっかくの長妻議員の御質問ですけれども、許可をいたしますのも地方自治体でございまして、私たちは地方自治体から全部、総務省ではございませんので、地方自治体から上がってくるものですけれども、今回の、昨年の新宿の火災が大変重要だと、四十四名も犠牲者を出したということで、全国に建築基準法等々を、明快に検査をしなさいという指令は国土交通省から当然全国に出しました。これは国土交通省の役目でございます。今おっしゃったように、個々の件によって、どういう許可をし、どういう完成検査をしたかということを、我々は全部今それをきちんとしなさいという通達を出したわけです。
 それから、今先生がこの資料一というのをお出しになりまして、新宿の例で五つの建築法違反ではないかと、それから新宿の歌舞伎町の後の二名の死者を出したのは三つ違反だとおっしゃいましたけれども、私たちもこの歌舞伎町の四十四名の犠牲者を出したところを調べましたら、持ち主が転々としていて、持ち主自身も把握できないというような東京都、自治体の報告も来ています。
 ですから、そういう意味では、我々はどこでどう締めていくか、どこを締めたらいいかというと、やはり、建築基準許可は地方自治体が許可するわけですから、私は地方自治体にもう少しきちんと最終の検査をしてくださいと。また、しかも、歌舞伎町は特にそうですけれども、所有者が三人も四人もかわって、今の所有者も責任者もわからないという状況はおかしいではないですかと私たちは申し上げておりますので、今申し上げましたようなことで、長妻議員が全国を集計するべきだということであるならば、これは来年度になるということでございますので、それも必要だとは思いますけれども、特に、地方自治体には我々としては通達を出しております。
長妻委員 大臣は、ちょっと大臣という職責を理解されていないような今御発言だと思うんですね。地方自治体に任せるから、通達を出しているから、そこがやらないから悪いんだ、こういうような発言に今聞こえましたけれども、最終責任は国にある、国土交通省の大臣にあるんです。四十四人の方がお亡くなりになって、その後、検査をしても、それが是正がなされていない。
 それでは、もう一点お伺いしますけれども、先ほど申し上げましたこの資料三ですね。結局、緊急査察に入って、三千八百八十四棟を是正指導した。そして、是正した、従ったのが二・七%だけだったということ。これは昨年の時点ですけれども、この是正が二・七%というのは、今現在で何%に上がっているんですか。
三沢政府参考人 今現在の状況については、現在集計中でございます。
長妻委員 非常に危機感がないと私は思うんですね。
 これだけの大事故が起こって、今もはっきり言えばほとんど対策は手つかずであるというようなことで、またいつ雑居ビルで多くの死者が出るかもしれない。こういうときに、是正が、二・七%しか言うこと聞いてくれない、それで、今どうなっているのかはまだわからないと。それで、大臣は大臣で、地方自治体に任せているから、それは地方自治体のやることだ、通達は出しているよと。
 では、だれが最終責任、この検査率を上げる、あるいは定期報告の率をきちんと上げていくというのを責任を持ってやるのか。最終責任は私は国にあると思うんですよ。全部が全部国が実行部隊じゃないと思いますけれども、最終的に政治責任を負うのは大臣なんですから。評論家のような発言があって、私はちょっとよくないと思うんですね。死者が出ているわけですからね。
 そしてもう一点、やはり数値目標を、きちんと危機感を持って国土交通省も立てていただきたいと思うんです。
 特に、完了検査率というのが、先ほどの資料でもありますように、五七%。四割以上は、建築確認とって、その後何にもしていないということであります。そこで、例えば完了検査は、平成何年には完了検査率を日本全国で九〇%まで上げましょうと、そういう数値目標を立てて、そして、地方自治体と協議をして具体的施策を決めていく、こういうようなことが重要だと思います。ただ努力して地方自治体に通達出した、それで私の責任はありませんというのでは、これは余りに無責任だと思います。
 そして、国土交通省からいただいた資料では、既に北海道では、取り組みとして、平成十六年度までに完了検査率を一〇〇%にしよう、こういうのを立てている。神奈川県では平成十六年度までに八〇%にしよう、愛知県では平成十六年度までに一〇〇%にしよう、兵庫県は十六年度までに七五%にしようというのを立てているわけですね。
 当然、これ以外のところで立てていないところはかなり多いわけでございまして、そこで、国としても、これはもう地方自治体に任せるばかりじゃなくて、国としても、何年に一〇〇%なり九〇%なりを達成するんだ、そういう強いリーダーシップを持っていただきたいと思うんですが、扇大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 長妻議員のおっしゃり方ですけれども、一〇〇%というのは当たり前の話なんです。一〇〇%に達していないから問題になっているのであって、一〇〇%達成するのが当たり前なんです。
 ですから、今おっしゃったのは、達成されていないところがいかにもとおっしゃいますけれども、私たちの、国としての姿勢は、一〇〇%というのは当たり前なんです。それを達していないから注意をしているのであって、私は一〇〇%が当然だと思っておりますから、何も責任放棄でも何でもありません。一〇〇%が当たり前で法律をつくってあるんですから。
長妻委員 ちょっと大臣、今、一〇〇%当たり前だからそういう議論は意味がないような言い方ですけれども、その当たり前のことができていないんですよ、大臣。わかっているんですか。
 では、その一〇〇%を達成するのは、何年までに達成しますか。
扇国務大臣 四十七都道府県、それぞれ目標を立てて努力していらっしゃるんですから、私は、全部、地方にできることは地方にというのが原則ですし、地方によっては、全部、一年間に立てるものも違います。国土交通省でも、一年間に少なくとも公共事業等々の入札だけでも四万八千件あるわけですから、それぞれの地方自治体で努力していらっしゃるんですから、何も全部国が出ていって検査するというよりも、各地方自治体で努力していらっしゃること、私は、目標を立てていらっしゃること、立派だと思いますから、全部が一〇〇%という目標を立てていただければいいと思っています。
 無責任な言い方をしているのではなくて、それを守ってくださいというのが国土交通省の姿勢でございます。
長妻委員 ですから、それが、先ほどの表にあるように、いろいろな違反があるんですけれども、完了検査率だけ見ても、率は徐々には上がっておりますけれども、今の時点でもまだ四割以上が完了検査していないという状況でありますから、今のままの対策の延長線上ですと、徐々にそれが伸びていくぐらいの話で、私は一〇〇%には永遠にならないというふうに思うわけでありまして、これはやはり国としての、人命がかかっておりますので、きちんとした取り組みをぜひ肝に銘じていただきたいというふうに思います。
 そして、次に質問を移ります。
 シックハウスの法案が出ておりますが、昨日、共同通信で報道がなされましたけれども、厚生労働省がビル管法等の措置で、学校、ホテル、デパートの新築時や大規模改修時にはホルムアルデヒドの測定を義務づける、そしてその基準値を上回ったものは、最悪の状況では使用中止も考える、そういう方向にするんだというような報道がなされました。
 これは、まさに民主党案、民主党もビル管法の改正案を昨年出しておりますけれども、それに近い話でありまして、非常に好ましいと思いますが、厚生労働省さん、これは、ほぼこういう方針でいかれるんでしょうか。
下田政府参考人 建築物における衛生的環境の確保に関する法律、いわゆるビル衛生管理法と呼んでおりますけれども、この法律におきましては、一定規模以上のホテルあるいは百貨店など、多数の人が使用、利用する建築物の維持管理の基準を建築物環境衛生管理基準ということで規制をいたしておるところでございます。
 厚生労働省におきましては、より衛生的で快適な生活環境への社会的ニーズが高まっている、こういう背景を踏まえまして、新たな課題に対応するために、昨年の十月に建築物衛生管理検討会を設置したところでございます。この検討会では、建築物環境衛生管理基準のあり方につきまして幅広い観点から御検討をいただいておるところでございまして、本年の六月十四日までに六回の議論を重ねておりまして、近々報告書が取りまとめられるということになっております。
 ただ、現在まだ完全な成案を得ているわけではございませんので、その議論の中の一部を御紹介しておきますと、屋内空気中のホルムアルデヒドに関しましては、建築物の構造等によっては新築や大規模改装などの後に一時的に濃度が高くなる可能性がある、その際にはホルムアルデヒドの濃度測定も実施する必要があるのではないか、こういった意見も出ておることは事実でございます。
 ただし、まだ成案を得ていないわけでございまして、厚生労働省といたしましては、最終的な報告を踏まえまして所要の措置をとってまいりたい、このように考えております。
長妻委員 夏までに成案を出されるということでありますけれども、そうすると、ホルムアルデヒドの濃度測定の義務づけというのも視野には入っているということでよろしいんですか。
下田政府参考人 ただいま申し上げましたように、最終的な報告書をいただきました後、どのような方策がよいのか検討をさせていただきたい、このように考えております。
長妻委員 厚生労働省さんも、そういう濃度、出口チェックというんですか、そういうような検討をされておりますので、これは、本当は民主党案のように、この建築基準法のシックハウスの方も出口の濃度規制というのをしていただきたいと思うんですが、国土交通省さんにお尋ねしますと、例えば、今回建築基準法で改正になったホルムアルデヒドの規制、これは、使用の制限等を行う、あるいは気密性の低いものを除いて換気設備の設置を義務づけると。これをまじめにすべて守ったとしたら、これは、建築が終了した後に濃度をはかれば、ホルムアルデヒドは〇・〇八ppmを下回るというのは間違いないわけですか。
三沢政府参考人 これは、通常の状態のもとではこの〇・〇八ppmが守れるような、こういう規制値を決めていくということでございます。
 通常の状態と申し上げておりますのは、例えば、非常に高温の、温度が高いときに全く密閉状態で部屋をお使いになる、そういう場合には〇・〇八ppmを例外的に超えるという場合もあろうかとは思いますけれども、きちんと換気扇を回して、通常の住まい方をし、通常の使い方をすれば守れる、こういう規制値を決めようというものでございます。しかも、その場合に、一定の家具を想定して、家具がそれなりにあってもそういう指針値が守れる、そういう規制値をこれから定めようというものでございます。
長妻委員 こちらのお配りをしました資料五にそういう基準値が書いてあるわけでありますけれども、もう一回確認いたしますけれども、詳細な制限はまた政令で定めるということでありましょうけれども、そうすると、建築完了後、〇・〇八ppmを、換気扇も回して、全部この条件をクリアしても上回るということもあり得るのですか、そういうケースは、ほとんどないんですか、あるケースもあるんですか。
三沢政府参考人 それは、先ほどから、通常の状態でと、こう申し上げていますので、通常でない状態での使用というのは……(長妻委員「通常で」と呼ぶ)通常であれば守れる規制値であるというふうに考えております。そういうものをこれから決めようということでございます。
長妻委員 今、通常であれば守れるというふうにお話がありましたので、これはぜひ、本当にその御発言をかみしめていただきたいと思うんです。
 とすると、これは本当に百万人以上の方が苦しんでいるわけでございますけれども、すべてこの法律を守って、それで建物を建てたということ、換気扇もちゃんと二十四時間回している、そして、そこにお住まいになる方が測定器ではかったら、例えば〇・〇八ppmを上回ってしまった、こういう場合はどういう救済措置があるんですか。
三沢政府参考人 それは、正直言いまして、まさに通常の状態を想定してそういう規制値を定めるということでございますので、そういう状況が本当に起きるかどうかということについて、ちょっと我々は必ずしもよくわからないんですが、それはやはり、なぜそういうことが起きたか、そういう原因をきちっと究明した上で、場合によっては、その規制値をさらに見直す必要があれば見直そうというふうに考えています。
 したがいまして、今回も、政令で基準を決めた後についても、それをフォローするために、かなりの住宅数について調査をしようというふうに考えていますので、そういう調査を通じまして、さらに必要があれば、もっと基準値を厳しくしていくということも考えられると思います。
長妻委員 本当に御心配されている方が多いわけでございますので、今のお話を再度復習させていただきますと、そうすると、すべてこの法律をクリアして、通常の状態で使って、中できちんと測定をしたときに〇・〇八ppmを上回ってしまった場合は、これはきちんと国土交通省の方で、基準値をその場で見直して、その方は救済がされる、あるいは建物をもう一回建て直す、会社にそういう要請をする、こういうことでよろしいんですね。
扇国務大臣 けさからの御議論をお聞きになっていて、私は、同じ民主党の皆さん方の御質問だからおわかりになっていると思ったんですけれども、その件は先ほどからもうお話しになりました。
 それは、今回の法律によって、果たしてシックハウスというものがなくなるか、なくならないか、あるいは、完全に予防できるか、できないかという論議を、先ほどからも民主党の御質問の中でありました。樽床さんもおっしゃいましたし、あるいは先ほどの津川さんもおっしゃいました。けれども、我々は、現段階ではこれとこれということで、今少なくとも我々の中では、最小限に原因がきちんとわかっている部分だけでも規制しようと。
 それで、今、では、もしあれになったら補償するかとおっしゃいますけれども、個人の健康状態にもよるわけでございまして、少なくとも私は、〇・〇八ppmをきちんと守ったから発症しないとか発症するとかではなくて、個人の健康との因果関係もそれぞれに違いますから、我々は、それを私どもが補償するかと言われると、現段階ではそれはわかりませんと申し上げるしかないと思います。
長妻委員 非常に今の御発言も、質問と回答が全然違うわけでございますけれども、これは、間違いはあるんですね、だれでも、行政でも、人間でも。
 それで、御心配されている方が多いので私は言っているわけでありまして、仮に、通常の状態で使っても、検査したら、その後、〇・〇八ppmを例えば上回ってしまった場合、そういうことはあり得ないということの論法なんですかね。仮に上回ってしまった場合は、その中に入っている人はどういう救済措置があるんでしょうか、それを質問しているわけであります。ないんですか。(扇国務大臣「今わからない」と呼ぶ)非常に無責任ですよ。わからないという、大臣、それで、本当にその答弁でいいんですか。(扇国務大臣「いいんです」と呼ぶ)いや、ちょっと待ってください。今私が質問しているんですから。わからないというのは、私、大問題だと思いますよ。
 役所が、参議院の委員会で先日来櫻井委員が質問をして、基本的には、この規制は、〇・〇八ppmを下回る、そういう形で規制するんですよという話をしている。そして私は、行政にも仮に間違いがあるかもしれない、そうしたときに、実際に〇・〇八ppmを上回ったときに救済策はあるんですかと言ったら、ないんならないのか、あるんならあるのか、わからないと言う。大臣、それは無責任じゃないですか。百万人以上の方が今苦しんでいるんですよ。撤回してください。
扇国務大臣 わからないからわからないと申し上げているんです。
 先ほどからも論議したように、はかったときの条件、春夏秋冬あります、梅雨のとき、あるいは個々の建物の管理状況、あらゆる面ではかって、きょう、はかって、午前中は〇・〇八ppmだった、午後になったら、湿気が多くて、はかってみたら〇・〇九になっていたかもしれない。だから、わからないことに対して今は補償できませんと言ったんです。無責任じゃなくて、現実を申し上げている。
長妻委員 ちょっと大臣、参議院の議事録をぜひきちんと読んでいただきたいんですが、結局、参議院の議事録を私も読ませていただいて、そして三沢局長の御答弁も見て、基本的には、ここに法律に書いてあるような、換気扇もちゃんと二十四時間回す、通常の使い方をすれば、法律を守れば、どんな条件でも〇・〇八ppmを下回るように、研究をしてそういう制限をするんですと、そういう発言をしているんですよ。だから、それが上回るということは、それは行政がミスしたということですから、それはやはり救済措置が図られるべきじゃないですか。
扇国務大臣 長妻議員もわかっていらっしゃるんだと思うのです。私、参議院にいたんですから、私、ちゃんと答弁で出ておりますから。
 それは、私が申し上げておりますのは、今回はホルムアルデヒドとクロルピリホスに決めた、けれども、そのほかに化学物質というのは十三種類ございます。ですから、その因果関係がまだわからないというのは、さっき鮫島議員にも申し上げたとおり。今後どういうものがどう出てくるのか、人体にどの程度影響があるのか、これも因果関係はまだ全然わからないのです。先ほども私申しましたように、アトピーもそうです、今回のシックハウスもそうです、どこでどうしてどうなるかという因果関係がまだわからないけれども、人体に影響があるから、国土交通省としては、建築基準法の中で、最低限、今わかっていることはこういうふうにしましょうということで法案を提出しているんですから、わからないことをわからないと言って無責任だというんじゃなくて、今の現状を申し上げているんです。
長妻委員 これは、私は、また認識が、本当に大臣、ちょっと違うと思うのですね。
 では、もう一回三沢局長にお尋ねしますけれども、この法律をきちんと守って、材料の制限もきちんと守って、換気扇も回した、通常の使い方だ、そして〇・〇八ppmを上回ることも、それは今扇大臣言われたように、気象条件とかいろいろなもので〇・〇八ppmを上回ることもこれはあるんだよと。局長、それでよろしいんですか。
三沢政府参考人 それはまさに、通常の条件と言われる範囲内でどういうことが行われているかということだと思います。
 例えば、換気扇の回し方、ずっと回しているとおっしゃいますけれども、本当にきちんと機能しているような回し方になっていたのかとか、それから家具の量、それもホルムアルデヒドの発散量がどのくらいある家具を実際入れたかとか、そういう条件によって変わり得るということは当然だと思います。
長妻委員 これは提案ですけれども、ぜひ扇大臣も、今回の法律は、この考え方プラス事後的な出口チェックといいますか、このホルムアルデヒドの濃度を測定するというのもあわせて行って、両方行って、今のお話だと〇・〇八ppmを上回る可能性もあるということですから、そして、上回ってもそれはどういう救済措置があるかわからないと最終責任者が言われているわけでありますので、ぜひそこら辺は、ちゃんと出口もきちんと濃度をはかる規制をしていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わります。
久保委員長 原陽子さん。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、今回の建築基準法の改正のところで、全体的な、総論について大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
 今回の建築基準法の改正は、都市再生の一環として行われていますが、最初にどこから議論が始まったのかなと思って調べてみると、二〇〇一年の四月六日に閣議決定された緊急経済対策の一つとして、この中に一番最初に箇条書きをされていました。つまり、緊急経済対策の一つとしてまず出てきたというところは、住環境の向上ということではなく、景気対策からこの改正の発想というものが生まれてきたのではないかと思うのです。
 今、現段階で、質が求められる時代になったのに、やはりこのように量を詰め込んでいく規制緩和は、明らかに時代に逆行するものになっていってしまうと思うのですが、そのあたり、この総論についての、まず大臣のお考えをお聞きしたいと思うのですが。
三沢政府参考人 今回の建築基準法の改正につきましては、既にその趣旨は御説明申し上げておりますように、それぞれの地域によってまちづくりでいろいろな課題がある、そういう課題に柔軟に対応できるような選択肢を用意していこうということでございます。
 そういう課題の中で、例えば職住近接のニーズ、あるいは都心居住のニーズにこたえていくというような課題もあるわけでございます。こういう課題にこたえられるような、具体的に何を選択するかはこれは自治体でございますけれども、その選択肢の幅を広げる、こういう趣旨から今回の改正を提案させていただいているというふうに御理解いただきたいと思います。
原委員 あと、三沢局長、もうちょっと大きな声でゆっくりしゃべっていただきたい。ちょっと聞こえづらいので、それをちょっとお願いしたいのです。
 私が聞きたかったのは、まず一番最初に都市再生という言葉が出てきたのが緊急経済対策の中であったので、そのように住環境の向上とかそういうのではなくて、実はもともとは、最初の発想は景気対策ではなかったのかということをちょっとお聞きをしたかったのと、大臣にお聞きをしたかったのは、要するに、今ファストフードからスローフードへなんて言われている時代ですよね、質が求められている時代に量をどんどんふやしていくようなこういった規制緩和を進めていくことは、私は時代の流れに逆行していくような政策になり得るのではないかと思うので、その点のお考えをちょっとお聞きをしたいと思っているので。
扇国務大臣 ちょっと原議員のおっしゃっている意味がよくわからないのですけれども。
 私は、経済対策ということは当然ございますし、しかも経済対策からこういう規制緩和をしろということになっているので、逆に、原議員が今おっしゃった、規制を多くするべきであるというようなことは、これは、今回の法案に関して、ひっかけての話であれば、こういう新時代になって、日進月歩で新しい建材ができたりなんかしますから、ある意味では規制をしなければ、人体にかかわることですから、ですから規制をしなきゃいけない部分と、我々政府としてしようという経済対策とか、あるいはそういうことでは、規制緩和しよう、そして多くの皆さんに自由に選択してもらって民活を活用しようということと相反するではないかとおっしゃるのはそのとおりだと思うのですけれども、私は、人体に影響があるようなものに関してはある程度規制をしていかなきゃいけないから出しているのであって、経済対策からこれをしたということではないので、その辺のことが、ちょっとよくわからないと申し上げたのはそういう意味でございます。
 経済対策であれば、でき得る限り規制緩和をして、民活を活用しようということで規制緩和はいたします。ただ、人体にかかわることに関しては、危険性があるものに関しては、ある程度規制を強化せざるを得ないというのが現状です。
原委員 済みません、もしかしたら私の聞き方がまずかったのかなと思うんですが。
 人体のところ、シックハウスの部分に関しては、規制ということは、当然というか、もちろんのことだと思っています。まず、都市再生のところからこの基準法の改正が出てきたという、容積率を緩和していくとか、今回この改正が盛り込まれていきますよね、そうした規制緩和をしていくことが、今、質が求められている時代に、量をどんどんふやしていくということが時代に逆行するような考えになってはいないだろうかという疑問を私は持っていて、それについてのお考えをお聞きしたかったのですが、今度は意味が通じましたでしょうか。
扇国務大臣 原議員がおっしゃっていることはわかりました。それは全く法案と違うという意味だったので、私は法案に対する御答弁をしなきゃいけないと思ったので、都市再生ということであれば、経済とリンクしてくるのは当たり前のことでございます。今の経済がなぜ疲弊しているかという原因の中に、都市をもっと効率よく使わなきゃいけないと。
 きょうもお話がありました。空き地が多過ぎるではないか、どうしたらいいんだということで、この空き地を、私は、尋常ではない状況であるから一カ所にまとめて、そして、もっと国民の皆さんが住みやすい、そして緑あふれたゆとりのある住まいにするために、一カ所で規制緩和をしながら、改めて、それこそ、先ほどからも議論になりました、今のマンションでは廊下も狭くて車いすも通れない、あるいは部屋に入っても狭過ぎる、公団のものは特にそうだというお話がございますから、そういう点では、住みやすい、みんなが平等に住めるようなものを、規制緩和して、そしてゆとりのある生活をするために、今の働いていない、死んでいる土地を活用しようということは、当然経済とリンクしておりますし、なおかつ二十一世紀型であると思っています。
原委員 それでは、今の大臣の答弁を踏まえて、もう一度ちょっと三沢局長にお聞きをしたいと思います。
 今大臣から、都市再生の一環であれば経済とリンクしていくことが当然であるという御答弁をいただいて、今回のこの建築基準法の改正の発想というのは、まさにその緊急経済対策として一番最初に箇条書きをされていたので、住みやすい住環境をというような御答弁があったんですが、実は、本当の出どころは、やはり景気対策であったということはないでしょうか。ちょっとそこのところを確認させてください。
三沢政府参考人 要するに、私どもが提案している建築基準法の改正、それは、先ほど一つの例と申し上げましたけれども、例えば、職住近接のニーズにこたえて都心居住を進めていく、そういう地域の課題があるときに、それをしやすくしていくということはございます。それがまさに都市再生の一つの姿であるというふうに考えておりますが、このことと、そういうことをやる過程で建築活動がいろいろ活発化することによって経済効果があるということもまた否定できないわけでございまして、これはちょっと切り離して議論するのは難しいので、住環境なり都心居住のニーズにこたえるとともに、それが同時に経済的な効果ももたらす、そういうことかと思います。
原委員 わかりました。
 ちょっとこの同時期、二〇〇一年の四月一日に設置をされた総合規制……(発言する者あり)
久保委員長 ちょっと静かにしてください、質問されていますので。
原委員 総合規制改革会議の中で、同じ年の十二月に規制改革の推進に関する第一次答申というものを出しておりますよね。その総合規制改革会議のもとに設置をされた都市再生ワーキンググループというものがありまして、それはどれぐらいの頻度で会議を開きましたかということは事前に資料をいただいておりまして、四月から十二月までの間にこの都市再生ワーキンググループは二十四回開催をされていて、それは非公開で行われたという資料を事前にいただきました。
 実は、その都市再生ワーキンググループのメンバーにはどんな人がいますかと聞いたら、座長を入れてたった三人のメンバーしかこのワーキンググループにはいなくて、一連の都市再生の法案や既存の法案の規制緩和案を三人のワーキンググループの中でささっと書いたというふうにちょっと聞いています。
 先日の審議の中で、いろいろな方々の意見を聞きましたかというふうに私が三沢局長にお聞きをしましたら、局長からは、建築基準法の改正は社会資本整備審議会の建築分科会、都市計画分科会で議論をした結果云々かんぬんという御答弁をいただきましたが、この第一次答申を見てみますと、実際の今回のこの改正になったメニューというものは総合規制改革会議の第一次答申の中に書かれているわけです。先ほどの都市再生ワーキンググループ、委員が三人いるというのですが、その三人の方が、同じ三人の方が三人とも社会資本整備審議会建築分科会の集団規定のあり方部会に入っているわけです。つまり、同じ人たちが、この答申の中で、規制改革会議の中で一連の規制緩和に関する考えを書いた人たちが、同じこの分科会の中で同じ議論をしたというふうになるのではないかと思っています。
 先日は、二十五人のメンバーで、各ジャンルの方々が入って、活発な議論があって法案づくりをしたと答弁をいただいたんですが、実際のところ、私ちょっとメンバー表を見て調べたんですが、NPOはたった一団体しか入っていなくて、主に今回のこの改正の議論のあった建築分科会の集団規定のあり方部会、こっちの方には、先ほどの規制改革会議の中の三人のメンバーは入っていますが、NPOは一つも入っていなかったんです。
 本当にさまざまな意見があったのか、この法案策定においてさまざまな意見があったのかどうかということを私はちょっとこのメンバー表を見ていく上で疑問に感じたので、やはり最初から規制緩和ありきで進められたような会議ではなかったのかということにちょっと疑問を持ったので、三沢局長にお考えを御答弁いただきたいと思います。
三沢政府参考人 まず、社会資本整備審議会の集団規定のあり方部会の中には、こちらの部会にはNPOの方は入っておりませんけれども、一方、都市計画分科会の方には入っておりまして、これは合同で議論をしたこともございます。そういう中で、いろいろな御意見をいただきながら議論を進めてきた。当然、自治体で実際に都市計画、建築規制の実務に携わっているような方も入って御議論をいただいたということも事実でございます。
 それで、規制改革会議との、メンバーの問題については私どもはちょっとコメントする立場にないんですが、ただ、実際、集団規定のあり方について、こういう中での議論を常時聞きながら集団規定の合理化の方向性というのをそれぞれ感じている先生方が規制改革会議に入っているということについては、特段そのこと自体として何か問題があるというふうには認識はしておりません。
原委員 ただ、同じ人たちがあっちでもこっちでも同じような議論をしていると、どうしても偏った意見を聞くような会議になりかねないんじゃないかなということにちょっと疑問も持っていますし、二十五人のメンバーの中でNPOがたった一つしか入っていないというのは、私は、やはり、その住民というか、まちづくりにかかわっていく、そうした方々の声をもうちょっと幅広く聞くべきではなかったのかなということをこのメンバー表を見て思ったということをお伝えしたいと思います。
 次の質問に移らせていただきたいんですが、まず一つ目は、先日の参考人質疑の中から出た疑問点というものをひとつ質問させてください。
 先日の参考人質疑の中で、今回の規制緩和による周辺の人々への影響について高崎健康福祉大学教授の松本参考人から、直接、物理的な影響、つまり風害とか日照についての議論というものが今までの中心でありましたが、経済的な影響とかそういったものは全く議論し尽くされていないというような意見がありました。
 今回の法改正を行う際に、価格とか市場性というような目に見えない経済的な影響について、また、そうしたものがどのような影響を受けていくだろうかというようなことは策定の段階でお考えになったのか、また試算はなさったのでしょうか。
三沢政府参考人 これはもう当然のことでございますけれども、住宅なり住宅地の価格というのは、そのときの需給関係によって決まるわけでございます。したがいまして、ニーズがいろいろ変われば、それに応じた市場価格の変動というのはあり得るわけでございます。
 最近のニーズという観点から申し上げますと、やはり職住の近接に対する非常に強いニーズがあるというのは事実でございます。現実に都心三区で九十分以上かけて通勤通学されている方が二二・五%いらっしゃいます。これは昭和五十年で一七・六%ですので、最近かなり都心回帰が進んでいるといいながらも、こういう長時間通勤を余儀なくされている方が相当数いる。こういう方々が、やはりもっと近いところにお住まいを持ちたい、そういうニーズが非常に強いというのは事実でございまして、こういうニーズの結果として、遠いところよりも近いところにニーズが集まってくる、その結果として住宅地の価格についてもいろいろな市場価格の変動があり得るということは、これは当然あり得ることであるというふうに考えております。
 ただ、現在、住宅なり不動産の価格自体も低落傾向といいますか、下落傾向でございまして、そういう中で、どの部分がそういうニーズの変化によるものか、どの部分が一般的な、つまり経済情勢なり全体的な不動産市況によるものか、これはもう極めて分析が難しいところでございます。
 いずれにしましても、基本的には、そういうニーズにこたえた都市再生なり住宅政策をきちんと打っていくということは非常に大事なことでございまして、その一環として今回も基準法の改正を提案させていただいているというふうに御理解いただきたいと思います。
原委員 わかりました。
 次なんですが、もう一問参考人質疑の中から、発言のあった点で、今回の建築基準法の改正とハートビル法の改正で大きく違う点について御質問させていただきたいと思います。特に、今回対象になっている総合設計制度のところについてお聞きをしたいと思います。
 まずはハートビル法案について、前回の参考人質疑の中で、学校も義務化の対象にすべきではないかというような意見が結構出ておりました。そこで、東洋大学工学部助教授の高橋参考人からは、学校は努力義務ではあるけれども、公共的な施設なので、ほぼ義務的な要素が多分に入ってくる、そういう意味で、地方公共団体が条例等の整備についてもう一度努力していただければというふうに思いますと発言がありました。
 そして文部科学省にも、学校も義務化の対象にすべきではないかということを聞いてみましたら、文部科学省の方からは、各市町村の条例で学校も義務化の対象になれる、もう市町村、自治体の力にかかっている。つまり、ハートビル法の中では自治体の条例というものがちゃんと効力を持つことができるということが前回の参考人質疑の中でわかった点じゃないかなと思います。
 一方の建築基準法についてなんですが、これも先ほどの松本参考人からの発言をちょっと引用させていただきたいと思います。
 町並みをどう考えるかは、基本的に、国レベルでどう考えるかよりも、その地域でどう考えるかが尊重されるべきですが、建築基準法では各市町村の条例というものは基本的に効力が薄い、信頼されていない、ですから、実は次々と市町村レベルの条例がディベロッパーによって訴えられて敗れたというケースはたくさんあるわけですというような意見がありました。そしてまた、地方自治の問題とこの規制緩和を規制できる、つまりこうした規制緩和を規制していく、その選択肢が自治体にあるのかという問題が議論されてもいいのではないかと思うということを松本参考人はおっしゃっていました。
 ここは私は前回もこだわって聞いたところで、余りうまく伝えられず、帰りには委員長に、頭の中、よう整理できておらんかったやろと河内弁で言われ、きょう、ちょっと表をつくってきてみましたので、それで説明させていただきたいと思います。
 まず、総合設計制度に特化しているということで聞いていただきたいのですが、これはどんな町でもいいんです。ただ、私はヒマワリが好きなので、勝手にひまわり町というものにしてみました。その中にはまちづくり条例というものがあって、三階建て以上の建物はつくらないようにしましょうというまちづくり条例、もちろん、ちゃんと斜線の制限もしています。
 こうした条例がある町に、総合設計制度を利用して、一定の空地を確保しましたのでちょっと高いビル、今回は六階建てにしたんですが、六階建てのビルを建てたいのですがというディベロッパーの方がいます。
 今の総合設計制度の中では、まず、ここの申請をしていくまでに事前相談とか打ち合わせ、そして事前協議も流れの中でしなくてはなりません。しかも、これは二回やります。次には連絡協議会というのをやって、ここで近隣の方々への説明、つまり、ここで住民の方がかかわることができます、この連絡協議会のときに近隣への説明が入っているので。
 ここまでの流れが来て初めて許可申請書というものをディベロッパーは自治体に出すことができます。ここから今度は行政の方で、特定行政庁の審査を受けて建築審査会へ送られて、そしてこれが許可なのか不許可なのかという、すごくたくさんの流れをするんですが、この流れの中で、事業者もかかわれる、自治体もかかわれる、そして住民もかかわれる、三者が一体になってよりよいまちづくりをしていきましょうという、確かにまだ問題が残されているんですが、まだこのように三者がかかわれるような制度になっています。
 今であればここに、まちづくり条例の中で、三階以上の建物をつくるのはやめましょうという条例があるので、結局はそれ以上高いビルが建たない、美しい町並みが守られるというようなところで、ここではまだ行政とか住民がかかわれる仕組みに現段階ではなっているのですが、これが改正をされると、今回、総合設計制度で二つの新しいメニューが加わって、一定の住宅建築物、一定の住宅建築物というのはこれから政令で定めますというように御説明を受けたのですが、それか、同程度以上の採光等を確保。等は何ですかと前回聞いたら、局長が天空率というふうにお答えになりました。このどっちかの条件を満たしていれば、今度は、今までこれだけたくさんあったこうした許可、こうした制度というものが一切なくなって、自治体は、要するに法律などは上にあるわけですから、これらのどれかを満たしていればオーケーですよという確認だけで終わってしまうわけですよね。そうなると、今までの、住民とか自治体とか業者もかかわってよりよいまちづくりをしていきましょうというものが、総合設計制度を利用して、ディベロッパーの人たちが、どんどんどんどん、どんどんどんどん高いビルを建てていくことが可能になってしまうのではないか。
 私が前回聞きたかったのは、そうしたときに、ここでの自治体の関与がなくなったときに、今まで自治体が個々に持っていたこうした条例というものは一体どうなってしまうのかということを局長に聞きたかったのです。ここまで来るのにこんなに長い説明になってしまいましたが、前回よりも多分言いたいことは伝えられたんじゃないかと思うので、明確な御答弁をお願いしたいと思います。
三沢政府参考人 まさに、条例というものの性格ということかと思います。まちづくり条例の中で、例えば三メートル以上はだめよということが決められるんじゃないかという話。これはまさに、建築基準法の中で地区計画という制度がありまして、地区計画を住民参加のもとに都市計画で決め、しかもその中身を条例化することによって、地域のルールとしてそういうものはだめということが決めることができるわけでございます。
 そういうものをきちんと決めてあれば、それは今回の改正前であろうとあるいは改正後であろうとそのルールはきちっと守らなければいけない、これは当然のことでございまして、私どもが申し上げているのは、やはり事前のルールとして、地域の共通のルールとして、住民が参加した中でそういうものをあらかじめきちんと決めていただきたい、それがやはり筋であろう。そういう意味で、まさに条例というのは非常に生きてくるんじゃないかというふうに考えております。
 それで、そうでなくて、単純に、できるだけ事前に説明をしなさいよとか、あるいはいろいろな協議会で話し合いの場を持ちなさいよという、これは、いわゆる地域のルールとしてといいますか、一種の手続としての行政指導を条例に基づいてされているわけでございます。そのことが結果として、今回の改正前であろうと後であろうと、ある建築物が結果として建ったり建たなかったり、そういうことになるわけではない。だから、そこは今回の改正によって特段変わるわけではなくて、あくまで、もし都市計画とかそういうルールで決めていないとすれば、行政指導の範囲でやるということは同じであるということをこの前も申し上げたつもりでございます。
原委員 つまり、この総合設計制度の中で、このような緩和をしたい、一定の空地をとったので緩和をしたいというような申し入れがあったとしても、例えば三階以上の建物は建てちゃだめよという条例がその地域にあれば、総合設計制度の中でも今回のこうした規制緩和は適用されないということですか。
三沢政府参考人 例えば、地区計画の中で、三階以上というのは何メートルになるかわかりませんけれども、何メートル以上の建物は建てられないとか、あるいは高度利用地区という都市計画がございますが、そういう都市計画をきちんと決めておけば、まさに規制に従わない建築物は建てられないということになります。ですから、あらかじめ都市計画として決めていただく、さらに地区計画の場合はそれを条例化していただくということが必要であるということでございます。
原委員 ということは、つまり、松本参考人のお言葉をおかりすれば、今回の規制緩和を規制する選択肢が自治体にはあるということでよろしいのでしょうか。
三沢政府参考人 おっしゃるとおりでございます。ハートビル法でも、まさにハートビル法の中で条例をつくって、そういう一律の基準と違うことを決めることができる。それと比較的似たもので、まさに、建築基準法の手続、あるいは都市計画法の手続に従って都市計画としてそういうことを決めれば、それに従うというのがルールになるということです。
 それから、さっきちょっと高度利用地区と申し上げましたが、高度地区ということでございます。
原委員 本当かなと思いたくなるんですが、本当に大丈夫ですか。
三沢政府参考人 それは、何回も申し上げますように、きちっと都市計画で事前にルールとして決めていただければ、それが都市計画のルールになるわけですから、建築基準で建築確認するときも、そのルールに合っているかどうかをチェックするということになります。
原委員 私、多分、三沢局長の御認識がちょっと甘いんじゃないかなと思う点が一点ありまして。済みません、今回のこれは私が勝手につくった町なので空想の世界なんですが、一つ実例があります。
 これは国立市の例なんですが、国立市では都市景観形成条例というものをつくっていて、建物は、二十メートル以上のものは建てちゃいけないというような条例を国立は持っているんですが、それでもまだディベロッパーはそれ以上に高い建物を建てたいというようなので、やはりこういうところで実際に裁判が起きたりしているんですよね。局長は、大丈夫だ、こうしたまちづくり条例がしっかりしていれば大丈夫だということを何遍もおっしゃっているんですが、実際にはいろいろなところでこうしたマンションの紛争が起きているということについての認識はどうですか。(発言する者あり)
久保委員長 ちょっと、発言者以外、済みません。
 三沢住宅局長。
三沢政府参考人 私が申し上げていますのは、地区計画とか高度地区とか、そういう都市計画としてきちっと決めていただければ、それに従わなければいけない。
 国立の場合で争いになっていますのは、要するに、建築物が着工になった後にそういうルールをつくっても、それは後から事後的に言われても、やはり申請者にとっては非常に困る。それが裁判で争われているというのは、着工があったかないかという事実関係をめぐって争いになっているわけでございます。
 もし着工前に、だれが見ても着工前であるというところで地区計画がきちっとできていれば、これは当然そのルールに従わなければいけないということになったわけでございます。
原委員 済みません。私の頭はとてもシンプルなので、もう一回だけ確認させてください。
 では、この国立の例で、国立市は条例でちゃんと持っていますよね。都市景観形成条例というもので、条例でちゃんと持っている。では、この条例はどうなってしまうんですか。
三沢政府参考人 今言われた条例と別に、国立市は地区計画のための高さ制限をした条例をお決めになったというのが事実でございます。その条例が、要するに、当該マンションの着工前に決まったのか、あるいは後に決まったのか、そういう点が争われているということでございます。ですから、国立市はやはり地区計画というのをつくって、その地区計画のための条例はおつくりになったということでございます。
原委員 つまり、こうしたまちづくりというものは、基本的に、地域の持っている、バリアフリー法案と同じように、自治体の条例がちゃんと効力を持つということでよろしいんですよね。
三沢政府参考人 何回も申し上げておりますように、条例というのが、まさに建築基準法に基づく地区計画のための条例として、まず地区計画というのを都市計画決定をした上で、その条例としてお決めになるということが必要だということでございます。
 一般的に、そういうのと関係なくまちづくり条例という名前だけつくって、それが拘束力があるということにはならないということでございます。
原委員 それでは、効力を持たないということになれば、これはいわゆる地方分権とは逆行してしまうものにならないですか。
三沢政府参考人 ですから、拘束力を持つ条例にするためには一定の手続が必要だということでございます。拘束力を持たない行政指導のための条例というのも、これは当然多くの自治体で作成されております。ただ、それはやはり行政指導としての限界があるということでございます。
原委員 何度聞いてもよく理解をできないのですが、大臣も先ほど長妻委員の質問にでしたか、地方にできることは地方に、地方によって建てるものももちろん違うということをおっしゃいました。私もまさにそのとおりだと思っていまして、都市都市、地方地方によって本当に違うわけですよね。ですから、国がやはり一律の基準を設けるということは私はおかしいと思いますし、もっともっと、本当であれば、こうしたまちづくりというものは各地方に任せちゃってもいいものではないかと思うのですが、では、ちょっと最後に大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 今、原議員のお話を聞いておりまして、一つだけ大事なことは、今あなたがおっしゃったまちづくり条例、これは私、大変重要なことだと思っています。けれども、そのまちづくり条例が、その町全部でおつくりになって、いかにこれを法律化してきちんと規制にできるか。
 今のまちづくり条例というのは、任意なんですね。自動車の任意保険はおわかりになりますでしょう。それと同じで、入っても入らなくてもいいという、いわゆるまちづくり条例は、今、任意なんですね。そうではなくて、都市計画に基づいた地区計画というものはきちんと法令で定められている。
 今の国立の例、国立のマンションというのは、まちづくり条例に基づいて、そのときは、これは任意ですから、法的根拠を持っていませんから、罰則もありませんから、まちづくり条例の間にあの高いビルが建っちゃったわけですね。その建っちゃった後で、都市計画に基づく地区条例というものが確立されたものですから、これは違法だというんですけれども、これは建っちゃった後でできたわけですね。
 ですから、今、原議員がおっしゃいますように、各地方自治団体でまちづくり条例というものをおつくりになったのが、任意ではなくて、これは町として、確固たる法令として遵守しなければならないというところまで規定があればよかったと私は思うんです。
 今申しましたように、まちづくり条例というのはそれぞれの個性に合った任意の法令なものですから、法的根拠を持たないためにそういうことが起こったということで、これは、それぞれの町で条例としてきちんと法的根拠を持つようになされば生きてくると私は思いますけれども、もっと大きな都市計画の中の地域の計画というものが、地区計画というものがあるということで、それが後にできたということで、国立のは、こういう相互関係で訴訟が起こっていると御理解いただきたいと思います。まちづくり条例にもっと法的根拠を持たすようにすれば、これもまた違ってくると思います。
原委員 各自治体でつくる法律が条例ですよね。条例って、今、任意なんですか。各自治体が法律としてつくるものを条例というのではないですか。
扇国務大臣 法的根拠を持たないということは言えると思います。
原委員 もう時間がないのであれなんですが、大臣も、建っちゃった後でなかなか変えられないという、つまり、建築物ってそうですよね。ああやって大きいものが建っちゃった後でそれを変えるということは大変なわけだから、やはり建つ前に、いかに自治体の声を聞く、住民の声を聞くというプロセスがすごく大切なんだと思います。本当に、一回建っちゃったら、それを戻すなどということは不可能じゃないですか。都市計画もそうだと思います。
 本当に、百年単位でしたっけ、大臣、二百年、百年単位で建てていく、そうしたグランドデザインというものを決めていく今回の建築基準とか都市計画なんですが、ちょっと事前に調べてみると、すごく頻繁にこれは改正しているんですよね。平成に入ったら、ほぼ毎年ですよね。今までに、建築基準法は三十五回、都市計画法は二十五回と、すごく頻繁に改正されている。
 そうした長い目でしっかりと見ていかなくちゃいけないその基本にあるものを、ちょこまかちょこまか、ちょこちょこちょこちょこ改正していくことは、もうどうかな、本当にこれで美しい町並みというものが保たれていけるのかなという疑問を私は持っていますし、一方のハートビル法では、ちゃんと条例が効力を持てるということがはっきりわかっているわけであるから、本当に、まちづくりの基本にあるこの建築基準法でも同様に、条例が、効力を持てるとはっきりとわかるような仕組みに、本来であれば地方分権の中でなるべきだと私は思うということをお伝えをして、時間が来ましたので、質問を終わらせていただきたいと思います。
久保委員長 瀬古由起子さん。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 建築基準法の改正案について質問をさせていただきます。
 この間の建築基準法の規制緩和の経緯を見てみますと、ほとんどが容積率の緩和であり、より高く、より大きな建物を都市部に建築できるようにすることを容認した歴史でもあります。これらの高容積率の建築物の大量建設は、今、周辺住民やその建物の居住者にさまざまな被害を与えております。きょうは、その典型を幾つか明らかにしたいと思います。
 そこで、まず質問いたしますけれども、一九九四年、そして一九九八年には、住宅の地階における緩和の法改正が行われていますが、このねらいは一体どこにあったんでしょうか。
三沢政府参考人 平成六年の建築基準法改正におきまして、建築物の地階で住宅の用に供する部分については、住宅の床面積の三分の一を限度といたしまして容積率に算入しないということにしたところでございます。
 これは、建築技術の進展を背景といたしまして、居住形態の多様化、具体的には、防音性あるいは断熱性等の地下室の特性を積極的に使いたいという関心の高まり、それからもう一つは、土地の有効利用、特に床面積の増大などによるゆとりのある住生活の実現、こういうニーズにこたえた改正でございます。
瀬古委員 今の御説明からしまして、法の改正があった当時、マンションなど集合住宅に、地下を利用した住宅というのは念頭に置かれていたんでしょうか。いかがですか。
三沢政府参考人 平成六年の建築基準法改正における住宅の地下室の容積率制限の不算入の措置は、対象を戸建て住宅に限定するものではなくて、共同住宅についても対象として念頭に置いていたところでございます。
瀬古委員 一九九四年六月の二十日に、衆議院の建設委員会で日本共産党の中島武敏議員がこのように聞いているんですね。マンションなんかの場合ですけれども、今度の改正で地下に二階とか三階とか、敷地で広大な地下面積をつくる、こういうことになるんじゃないかということを恐れるんだけれども、どうだ、このように聞いているわけです。
 そのときに住宅局長は、こういう御心配のようなことがあり得るとすればどういうことかということですけれども、地下で家族がお住まいになるというような場合は空堀をつくっていただくとか、そういう、居室を地下につくってはいけないという規定がございますので、それで実際上はそういうものは建ってこないだろう、利用されないだろうというふうに思っているわけでございます、こういうふうに答弁されているんですね。
 だから、その当時は、一軒の家で、住宅が狭いので、地下室を一つつくってそこを書庫にするとか、何かそういう利用を大いにできないかという点で出されたと、善意で考えればですよ。
 ところが、実は、共同住宅の地下室が、三分の一を限度として容積率の計算には入れない、こういう法改正が行われたために、当時指摘していた中島前衆議院議員の懸念が見事に当たって、今、大規模にこういう事態が起きております。法を悪用して、初めから想定して法を変えたのかわかりませんけれども、低層住宅地で、がけ地マンションの建設ラッシュが起きているわけですね。
 先ほど、大臣から、余っている、利用されていない土地を大いに利用すればいいじゃないかというお話がありましたが、ある意味では、がけ地で緑がもうそこしか残っていない、こういうところを使って実は地下マンションというものができてきているわけですね。
 私は、先日、神奈川県の川崎市の高津区の久本山というところで、今建設されつつありますけれども、セブンフォレストヒルと称するマンション建設現場に行ってまいりました。川崎ではわずかに残されている、緑の多いところです。東京にも交通の便がよく、大変閑静な住宅地なんですね。開発地域面積は二万七千四十八・四平米、計画人口は二百六十五世帯、七百九十七人、最大、地上が三階、地下が八階というマンションなんですね。地下八階です。これを今建設しているわけですね。
 この地域の用途は第一種低層住居専用地域。都市計画法では、この地域は「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」としているわけです。どうしてこんな良好な住宅地域に、上は三階、地下は八階といって十一階建てのマンションが堂々と建つんでしょうか。なぜこんなことが起きているんでしょうか。いかがですか。
三沢政府参考人 若干技術的な御説明を申し上げますと、基準法上、建築物の高さの算定の基準となる地盤面というのは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面であるというふうに規定しております。
 また、斜面地の場合など、その建築物の接する位置の高低差が三メートルを超える場合には、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さにおける水平面をそれぞれの部分の地盤面というふうに規定しております。これは、斜面地等において建築される場合に、実際の高低差の状況に応じた建築物の高さの算定を行いまして、実情に合った高さ制限を行うという趣旨でございます。
 それで、第一種、第二種低層住居専用地域におきましては、十メートルないし十二メートルの高さ制限が適用されておりますけれども、斜面地で建築されるような場合においては、こういう地盤面の設定、これに基づいたそれぞれの部分での高さの算定を行って、高さ制限を適用するということになるわけでございます。
 このため、一番下と一番上だけ見ると高低差が相当及ぶという姿もあり得るわけでございますが、これはまさに今おっしゃいましたように、それぞれの地盤面をそれぞれの部分ごとに決めて、そこからの高さ制限を適用するということでございますので、そういう低層系の住居専用地域の高さ制限に適合する建築物として、そういう建築物も建築が可能でございます。
瀬古委員 でも、最初も私たちは指摘していたんです、こういう悪用する例が出てくるんじゃないかと。実際には、今言われたように、平均地盤面で少しずつ切っていけば建設は可能だという形なんですが、見た感じは、がけ地に地下八階地上三階、ひどいところは地上三階地下十階というところもありましたよね。がけ地につくられて、廊下側もがけで面と向かっていて、先ほど健康な住宅という問題がありましたけれども、何だかカビがいっぱい生えそうな、そういう住宅の建設の仕方が行われているわけです。
 この地域は十メートルの高度規制がかかっているわけですね。そこに住んできた人は、静かな、ちょっと緑も豊かないいところだなと思ったら、突然十一階建てのマンションが建ってしまう、こんなばかなことがあるかと。いや、これは地下ですから三分の一しか算入されないですよといって、文字どおりそれを悪用したやり方がやられているわけです。
 でも、これは、私は本当に法の悪用そのものだというふうに思うんです。問題なのは、今こういう地下利用マンションが傾斜地を利用して建設されるということで、どういう事態になってくるかということなんですね。これは横浜市の中区本牧というところなんですが、ここは地上三階地下六階のマンションなんですが、建設中にがけ地の土砂崩れが起こり、もう少しで大惨事になる、こういう事件も起きております。
 先ほどのセブンフォレストヒルの地域は、急傾斜地の危険区域というふうになっているんです。私も行ってみてびっくりした。急傾斜地、危険区域というふうに、ちゃんと掲示が出ているところなんです。そこで大規模なマンション建設があるわけです。
 それで、開発前は九三・二%が緑だったんですね。ところが、開発後は、緑被率、緑の覆っている率は四一・四%、そのうち二五%は屋上の高麗芝ですから、実際には、残される緑は実質一七%にしかすぎない。もう本当に丸裸のような状態で、高いマンションが建ち尽くすという形になります。
 この地域で、もしそんな開発をどんどん進めていったら、そのがけっ縁は文字どおり保水力がなくなって、自然災害も発生する可能性は十分ある。こんなところに大規模にマンションを開発する。
 これは、あなたたちは、いろいろな利用がされる、有効的に利用がされると言うんだけれども、結局、共同住宅の地下室は三分の一を限度として容積率の計算には入れないよなんていう規制緩和をやったために、こういう最後の残されたがけ地にマンションがどんどん建つという事態になっている。消防だってどうするんだと思いますね、実際には道のないところにそういうマンションが建っていったら。
 これは、私は少なくとも大臣にちょっとお聞きしたいと思うんですが、こういうマンションは、私が先ほど言いましたように、一九九四年のときには、到底そんなことは考えられないと言っていたんですね。ところが、業者というのはすさまじいもので、平気でこういうことをやってのけるという事態が生まれてきているわけですね。
 これは国会の論議の中でも全く想定されていないので、一九九九年に横浜の問題で質問したときに、当時の関谷建設大臣も、確かに違法ではない、しかし人情的にはこういうマンションのあり方というのは大変問題というか、言われるのももっともだ、理解できる、やはり何かしなきゃならないと、法改正も含めて示唆されているんですね。
 それ以降一層深刻になって、今どんどんこういう地下マンションが建てられていますので、私は、少なくとも、やはり法を改定して、共同住宅には地下室のこうした容積率の緩和などということをやめるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 私は、その瀬古議員がごらんになったという現物を拝見しておりませんけれども、聞いているだけでも、そういうマンションを買う人があるのかなと。むしろ私、安かろう悪かろう、しかも、地震国である日本でそういうところを求める人の方が将来性のない人だなと思わざるを得ないので、将来性を考えたら、今瀬古議員がおっしゃったように、消防車も入れない、火事があったらどうするんだと、そんなところに、やはりマンションというのは、家を買うというのは、恒久的な考えを持って買いますので、そういうところに業者が建てるということ自体も、私はクエスチョンマークを持たざるを得ないんですけれども。
 残念ながら今の段階では、私は、あの当時は、もっと地下を活用して、より快適な、例えば子供の音楽の練習ができるとか、最初に瀬古議員がおっしゃった書庫にするとか、そういうゆとりのある生活をするために地下を認めようということであったと思いますので、あの当時としては、大変その当時のニーズに合った、また生活文化の向上という面には大変寄与すると思っておりましたけれども、今おっしゃったように、あらゆる面で、さっきも原議員の御質問にありました、各地方の地区計画というもの、責任者は市町村なんですね。それなのに、市町村がこの地区計画をおつくりになっても、少なくとも事前に規制をかけてきちっとするということができていないということから、私は、今の瀬古議員のお話も、先ほど原議員がおっしゃった御心配も、そこにあると思うんですね。
 ですから、私は、当時、少なくとも地下を利用する趣旨としては、容積率に不算入するということはよかったと思うんですけれども、今おっしゃったように、業者が地区計画を、盲点をついてつくるというようなことは――今回、この法改正では、御存じのとおり、先ほどもお話が出ましたNPO等が地区計画等も提案できるというふうになっています。ですから、ぜひNPOの皆さん方も、地区計画というものを自分たちでお出しになって、きちんとそれを法規制して持っていくということも、今度改めてNPOの参加が認められるわけですから、地区計画案というものも、住民参加というお話が先ほどから出ておりますので、瀬古議員が仰せになった危険物とみなすかどうかというようなことも、私は、地区計画の中でそれをきちんと市町村で厳格にするようにということも大きな勉強であろうと思います。
 今冒頭におっしゃいました、地下室の容積率の不算入というものを廃止しろということは、本来は趣旨が違って、私は今の時代には必要なことであると思っていますけれども、地区計画によってこういうことがあるということ自体は、やはり市町村にしっかりしてくださいと言いたくなるということでございます。
瀬古委員 もちろん、市町村が条例をつくったり、それから地区計画をつくったり、都市計画をきちっと決めていくということは、私は大変責任があると思うんですね。こういうことを許したもちろん自治体の責任もありますよ。しかし、建設省だって、だまされたというか、ある意味では、そのときにはマンションをまさか地下につくるなんて考えていなかったわけですよ。あくまでも戸建ての住宅に地下室をという程度だったんです。
 ですから、地区計画をつくるときに、こういう地区計画にしましょうといって、住民はまだそのときには十分わからなかった。突然目の前に十一階建てが建ったら、そこから問題になるわけですね。そのときに、さっき、条例、もっと地区計画、しっかりやっておくべきだったというのは、これはもう、そのときには、まさかそんなことやらないだろうと思うことを次から次へやってくるわけです。そして、都合のいいことには、国土交通省が規制緩和して、三分の一しかそれは算定しないよなんて言われると、それはもう業者は待ってましたとばかりにやるわけですよ。
 だから、やはりこれは、もちろん地区で、ちゃんと自治体が最初のところできちっとさせなきゃならないという問題はありますけれども、これを助長した、ある意味では建設省だってだまされたわけですから、そういう点ではきちんと、こういうひどい地下マンションなどという、集合住宅にこれが適用されるようなことがないように、私はもう一回検討すべきだと思うんですね。
 少なくとも、こういう本当にだれが考えても異様な、みんな十メートルまでという建物になっているのに、突然、幾ら法律的に可能だといっても、十一階や十三階の建物が建つなんというのは、ぜひこれは考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
扇国務大臣 冒頭に申し上げましたように、そういう将来性の保証のないものは買わないことが何よりの警告になると私は思いますけれども、今おっしゃったように、そういう法の抜け穴を、抜け穴といいますか不備、法と法のすき間を利用してということは、我々も考えていなかったことは事実でございます。
 ですから、我々が、この地下を容積率に算入しないというように決めた趣旨というものを徹底できるように、今もっとこれが悪用されるというようなことになれば、これはやはり警告なり法改正なりまた考えなければいけないことだと思いますので、どうぞ議員立法でも先んじていただいても結構ですけれども、私たちも考えていきたいと思っています。
瀬古委員 ぜひ改正を考えていただきたいと思うんです。
 先ほど条例の問題もありましたけれども、確かに、条例をつくれば一定規制できるんですね。しかし、先ほど大臣が言われたように、その条例が法的な根拠をどう持つかという問題が私は必要だと思うんです。
 そうすれば、少なくとも、建築基準法の中に、今の総合設計制度の問題についても、これは政令で定める、こういうふうになるわけですけれども、そうじゃなくて、建築基準法の中にきちんと条例上の手続というものを入れるということになれば、それは地方自治体は必ずそこにつくらなきゃならないということになりますので、そういう検討も私はやはり必要だと思うんです。それで、その条例を本当に生かすものにしていくということになれば、先ほど大臣が言われたように、条例が法的な根拠を持つようになるということになるんじゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。大臣にお願いします。
扇国務大臣 先ほどもお話がございまして、横からもお話がございました。建築基準法等々は猫の目のように変わってきたとおっしゃいましたけれども、私は、そういう意味では、時代とともに変わってくるのが当然だと思いますし、また、私が先ほども冒頭に、二十一世紀は環境とバリアフリーの世紀だというふうに申しましたように、今までのハードの世紀と違って二十一世紀はソフトに移るということで考えていけば、私は建築基準法というのは、いつの時代も、どんな法案も、建築基準法のみならず、あらゆる面が改正は必要か否かということは、国会の中でも論議し、また役所としても考えていくというのは当然のことだと思っています。
瀬古委員 そういう場合に、ともかく規制緩和ばかりやって、業者のやりたい放題にやる、こういう緩和ではなく、本当に今起きている幾つかのマンションをめぐるトラブル、こういうものも解決できる方法も私は改正をぜひしていただきたいと思うんです。
 ともかく、先ほど言いました川崎市のセブンフォレストヒルは、住民の意向を全く無視して建設が進められております。末長組という地元の業者は、話し合いをせよという申し入れに対して、地元のマンション反対の住民組織から脱退したら話し合いに応じていいなんて、こんなことを条件に出してくるとか、それから、これは途中で開発に加わったのが丸紅なんですが、説明会の開催を一切拒否したまま、住民との協定書も結ばないで大型ダンプを狭い道に入れて工事をしている。会社に抗議した住民が逆に佇立徘回で訴えられるという、住民が訴えられる、こういうことなんですね。こういう事態が起きている。反対運動が起きると必ず、文句があるなら裁判にかけてくれと業者が言う。全く不誠実な態度をとり続けているんですね。
 同じ川崎ですが、多摩区の西生田というところのコアロード読売ランドでは、会社の委託した全く権限のない専門の交渉係だけがだらだらと住民と対応する、そして、住民の声を聞きましたよと言って一切その言い分を聞かない、そして、説明パンフを留守宅にほうり込んだだけで住民に説明しましたと行政に報告するだけ、こういうことが行われています。
 私の選挙区の岐阜県岐阜市の早田栄町でも、穴吹工務店というところなんですが、マンション建設が行われている。ともかく話し合いでも責任者である担当者が出てこない。そして、住民が納得できなくても、説明はやりましたという実績だけで工事をどんどん進めていく。この穴吹工務店は、今まで鹿児島、徳島、長野県と、行く先々で住民とのトラブルを起こしていて常連となっている。工事協定書の不作成のまま、住民合意のないまま、幾ら行政が再三指導しても、一方的に、ちゃんと建築確認申請はおりておりますからといってどんどん進める、こういうことが起きております。こんなことが許されるんだろうか。
 少なくとも、近隣住民との合意書や工事協定書の作成だけは何とか義務づけてもらえないかと。住民との話し合いは終わりました、説明会は終わりましたというのも、業者だけ聞くだけで、住民は全然そんな説明会とも思えないようなものを説明会として報告されている。こういう問題もあります。
 建物を単体として見るだけじゃなくて、その影響、周辺に与える影響、電波障害、プライバシー保護、ビル風とか、いっぱいあるんですが、こういうことが全く放置されたまま建設されている。こういう声にぜひこたえていただきたいという声が、日本全国じゅう蔓延しているわけです。いかがでしょうか。
扇国務大臣 そういうものも建てたら売れるというから仕事として成り立つんです。
 私どもは、二十一世紀、都市計画もそうですけれども、職住近接、少なくとも職場に近いところへということは、みんなだれしも思うことです。通勤に片道二時間、一日往復四時間、そこで例えば二百坪ぐらいの自然に恵まれた一戸建ての家というのは、一時は都会から逃れていって、みんな一戸建ちが欲しいということで行ったんです。けれども、往復の時間に、少なくとも、四時間はオーバーとしても往復二時間かかるというようなところでは、父親は疲れ過ぎて、母親でもいいです、働いて、家庭の団らんというものを持ち得ない。家へ着いたころにはもう子供は白河夜船、学校があるんですから寝ます。朝は子供が寝ている間に出ていく。
 そういう今の日本の現状から、二十一世紀は、なるべく職場に近いところに住んで、そして狭くても我慢して、一戸建ちは欲しいけれどもマンションに住んでという、やはり今の欧米先進国の、パリならパリの人たちのように、月曜日から金曜日までは狭いマンションで我慢します、けれども週末はゆっくり一戸建ちのセカンドハウスへ行くんだというようなことにだんだんなってくる。やはり、需要があるからそういう供給者がいるということも一方では考えなければならない。
 そして、我々は、先ほども原議員もちらっと最後におっしゃいました、グランドデザインが大事だ、まちづくりのグランドデザインが大事だと。そのことを思っているから私も百年デザインというのを申し上げたんで、東京都とか、あるいは皆さんの、例えば地方自治団体の県都とか県庁所在地とかそういうところでは、どういう建物をどう構築していくかというグランドデザインがないものですから、お互いに譲り合って、これから、それこそ戦後のベビーブーマーで団塊の世代と言われた人たちが、子供を持って一家を構えなきゃいけないという時代になっています、まして高齢化社会ですから。
 そういう意味で、一つのところに悠々と住めるというのは、日本の土地の事情からして、残念だという、できないということの条件が余りにも多過ぎる。だったら、職に近いところで狭くてもマンションでという希望者もあるわけですから、その辺のところはぜひ、少なくとも今冒頭に瀬古議員がおっしゃった、消防車が入れないような危険度の高いマンションというのは問題ですけれども、そういう国民の生活状況というものを勘案しながら、我々は都市計画というものを都市再生本部で改めて図っていこう、そういう、だれが見ても美観も悪い、まちづくりにも適していないというようなことがあってはならないということで、都市再生本部ができたというふうにも御理解いただきたいと思います。
瀬古委員 住民が、がけに建っているようなそんなマンションを何で買うのかということなんですよ。それは、私は少なくとも国の政策とかかわりがあると思うんです。公営住宅がどんどん、もう建設やめてきているでしょう。公団住宅だって、もうつくらないというわけですよ。そうしたら、一千万ぐらい安いマンションなら買わざるを得ない、そこが近いということなら。そういう状態に私は住民や国民が追い込まれていると思うんですよ。だから、買う方が悪いなどと言うのは、私はやはり国として無責任だと思うんです。そういうふうにさせたのは一体だれなのかという問題なんです。
 もともと、大体、建築基準法だって都市計画法だって、建てる場合には、ちゃんと公共の福祉の増進に資することを目的とするという国の責任をはっきりうたっているわけですよ。今大臣が、パリの、ヨーロッパの例を出されたけれども、ヨーロッパなんかはかなりの部分が公営住宅なんですね、公共の住宅の方がずっと多いわけですよ。日本は、公共住宅をどんどん減らして、悪かろうというマンションに走らざるを得ないというふうにしてきた国の住宅政策そのものに問題があると私は思うんですね。それにかこつけてというか、悪質業者がどんどこどんどこ住民の意見も無視してマンションをつくってきているというのが現状じゃないかと思うんです。
 今、住民の皆さんからは、あちこちから、もっと住民の声を聞いてほしいと。せめて協定書ぐらいは結んで建設すべきじゃないかというのは当たり前じゃないですか。その点はどうなんですか。
三沢政府参考人 これはもう大臣からも申し上げましたように、まちづくりというのは、やはり、事前にどういう都市像を目指すべきかということを都市計画で定めて、これを共通のルールとして、この中で建築活動を行っていくというものだというふうに理解しております。
 したがいまして、やはり都市計画の中で、住民参加のもとできちっとした明確なルールを定めていただいて、これに基づいて建築活動も行われていく。こういう姿を実現するためには、例えば、その地域の住民が、この地域はこうしたいということであれば、地区計画をきちっと決めていただく、その事前に明らかになったルールにのっとって民間事業者の方々もいろいろな建築活動を行っていく、こういう姿がやはり本来の姿であろうというふうに考えております。
瀬古委員 それは私が何度も言っているように、事前にきちんと計画をつくるのは当然だけれども、そのときにまだ住民が十分参加できていない状況があるわけですよ。目の前に突然住宅が、十一階建て、十二階建てが建ったときにどうしようかという問題があるわけです。最初に住民が物を言わなかったから十一階建てを建てられて当然だ、協定書なんか結ばなくたってどんどん無視してやればいいと、そういう姿勢ですか。国土交通省、いかがですか。
 それについて、少なくとも、悪質な、住民が都市計画のときに十分意見を言えなかった、しかし、余りにもやっていることがひどいという場合には、ちゃんと国土交通省は指導をするのが当たり前じゃないですか。いかがですか。
三沢政府参考人 これは、住民というよりは地方公共団体が、その地域の実情を見て、例えば斜面地であれば斜面地についてどういうようなことが予想されるか、そういうことを想定しながら、あらかじめきちっと手を打っていくという姿がやはり本来でございまして、何も、住民が気づかなかったからいけないとか、そういうことは全く申し上げておりません。あらかじめ公共団体がそういうことについてきちんとした手を事前に打っていただくということが必要であるということだと思います。
瀬古委員 住民に責任をかぶせる、もしくは自治体に責任をかぶせるなどという、私は本当に無責任だと思いますよ。
 自治体だっていろいろ、さっき出てきたように、まちづくり条例をつくったり、何とかしてやっているんですよ。それで、こんなひどい悪質な業者には再三指導をやっているんだけれども、ちゃんと国が規制緩和をやってくれたので法律どおりやっていますと居直っているわけですよ。そういうときに、あくまでも自治体の責任だなんて、こんな無責任なことないですよ。国がこの間に、ずっと業者にとってやりたい放題のことをやれるという規制緩和を今までやってきたんですよね。
 私は、建築基準法の問題や都市計画法の問題でいえば、もちろん、かかわっているその自治体の責任というのは大きいし、住民もこれから大いにこの計画についても参加していかなきゃならないし、そういう手続的なものもちゃんと制度として乗せていかなきゃならないと思っています。
 法律どおりだから、法律でちゃんと書かれているからということで、こんなやりたい放題のことをやっている悪質な業者に、物も言わない。買う方が悪い、自治体が悪いなどと言う。こういうことを私はぜひ変えなきゃならないと思うし、少なくとも、目に余るような、もう全国、この業者は札つきという場合もあるわけですよ。それから、実際に交渉するのも、先ほど言いましたように、交渉相手を別に雇って会社は一切出てこない、だらだらと時間だけ過ごさせて、その間に建設する。これはちょっと余りにもひどいじゃないですか。
 これについての改善というのはやはり必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
三沢政府参考人 悪質な業者というお話がございまして、まさにその悪質ということが、例えば法令に違反するとかそういう事実があれば、それは当然きちっとした対応をすべきだと思いますし、それについては国も当然指導していくというふうに考えております。
瀬古委員 もう時間がございませんけれども、シックハウスで幾つか、各省から来ていただいていますので、御質問させていただきます。
 シックハウスで、今回、ホルムアルデヒドとクロルピリホスの規制、建築材料及び換気設備の規制を導入したことは私も評価いたします。しかし、実効上問題があるというように私は思っています。
 厚生労働省が濃度を定めている物質は十三種類あるんですけれども、他の化学物質の規制も急ぐべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。
三沢政府参考人 今回の基準法の改正案では、室内空気汚染による健康影響が生じると認められる化学物質は、最終的にはすべて政令で規制対象に追加していくという考え方でございます。
 ただ、その中で特に二物質について規制することとしておりますけれども、これは、こういう化学物質の発生源が特定され、それから発散量と室内濃度との関係がほぼ明らかになっているということから、建材及び換気設備の具体的な基準を定めることが可能と判断できるためでございます。
 他の、例えば、トルエン、キシレン等のVOC、これは発生源となる可能性がある建材、家具、家庭用品、これは極めて多種多様でございまして、また、それからの発散量と室内濃度の関係も現時点では明らかになっておりません。
 したがいまして、これは直ちに現時点で具体的な基準を定めるということは困難でございますけれども、これは、今後、関係省庁と連携しながら、こういう事柄について調査を急いで、調査結果が明らかになった段階で順次規制対象にするという考え方でございます。
瀬古委員 経済産業省から来ていただいていると思うんですが、危険な化学物質を使用した建築材料が大変多くなっている。製造者責任を明確にして安全な材料開発を追求することも重要だと思っています。やはり、使われている化学物質などの表示をするようなJIS規格表示をもっと厳しく義務づけるべきだと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
武田政府参考人 お答え申し上げます。
 JISマークの表示制度に関しましては、JIS法の省令、大臣告示、あるいは該当いたしますJIS規格の中にそれぞれ定められています表示事項がございます。その中で、JISマーク認定製造事業者の事業所名でありますとか略号、あるいは製造年月日等を表示することを定めているところでございます。
 もし、仮に適正な表示が行われていない場合には、立入検査、あるいはその改善指導、さらには表示の除去、抹消、あるいはその販売の停止、さらには当該認定の取り消し等ができることとなっているところでございます。
瀬古委員 官庁、学校、幼稚園、保育園、病院、特養ホームなどの福祉施設、それから公的な施設は、既存建築物も含めて定期測定と情報公開が必要だと思います。また、現在、過敏症になっている人たちに対して、実態調査、それから緊急の対応の公的住宅、学校、保育施設、備品の改善、訪問教師、学校にもう来れない場合ですね、それから保健師、保育士の派遣など、このような検討はどのようにされているでしょうか。国土交通省、文部科学省、厚労省、お願いします。
春田政府参考人 化学物質による室内空気汚染問題に関する官庁施設の対応についてお尋ねがございました。
 国土交通省では、従来、官庁施設の整備に当たりまして、入居者の健康に対する配慮を行ってきたところでございます。官庁施設におけるいわゆるシックハウス対策についても、来訪者、職員等の健康に配慮することを目的といたしまして、平成十二年六月に「室内空気汚染対策について」という通達を当時の各地方建設局等に発出しております。これによりまして、営繕工事に使用する材料等には室内空気汚染物質の発散の少ない材料等を選定するということや室内空気の換気方法などについて規定をしておりまして、設計施工及び保全指導に努めているところでございます。
 また、室内空気環境の実態を把握するために、国土交通省が建設をいたしました既存の官庁施設のうち、ホルムアルデヒドの放散量が高い可能性のある官庁施設の中から全国約三百施設を抽出しまして、この三百施設で三千点の測定点を設けまして、平成十三年七月から八月にかけましてホルムアルデヒドの濃度を測定いたしました。測定の結果といたしまして、約九九%の測定箇所で厚生労働省の指針値〇・〇八ppm、これを超えていないという状況でございます。なお、指針値を超えた施設につきましては、本年一月に関係省庁に対して日常的な換気の励行の指導を行ったところでございます。
 国土交通省としましては、今後引き続き、平成十二年六月の通達に適合するよう、設計施工や入居官署への保全の指導を努めていきたいというふうに思っております。
上原政府参考人 学校の取り扱いでございますが、御案内のとおり、本年二月に、学校保健法に基づきます検査のガイドラインでございますところの学校環境衛生基準を改定いたしてございまして、その中で、現在、測定法が定まっております四物質につきまして、各学校において定期的な調査を行うような指導をしてまいってございます。
 また、過敏症の生徒の取り扱いでございますが、実態調査につきましては本年度実施する予定でございまして、その対策はその調査結果を見て行ってまいりたいと考えてございます。
 また、具体的に、現在、過敏症の生徒さんでございますが、必要に応じ、転校を認めたり、症状が重度の場合には病弱の養護学校に転学していただいて、それでもまだ通学ができない方につきましては養護学校の教員を派遣するなどの措置を現在とっているところでございまして、そういうことにつきましても、都道府県、関係機関にも今後周知していきたいと思ってございます。
 以上でございます。
下田政府参考人 いわゆるシックハウス症候群の原因の一つと言われております室内空気中のホルムアルデヒドの状況でございますが、これまで国立病院等幾つかの病院を対象に調査を行っておりますけれども、病棟、待合室など、院内の一般的な場所では指針値の〇・〇八ppmより低い水準であったというふうに承知をいたしております。
 いずれにしましても、今後とも、社会福祉施設あるいは病院等々におきます室内空気中のホルムアルデヒド等化学物質の濃度につきましては、必要な調査を続けてまいるつもりであります。
瀬古委員 どうもありがとうございました。
 終わります。
久保委員長 一川保夫君。
一川委員 では、本日最後になりますけれども、質問をさせていただきます。
 大臣には後で、私の質問の最後のところで総括的に見解をお伺いしますので、最初に、ちょっと事務的な確認をさせていただきたいと思います。
 今回の建築基準法等の改正、ハートビル法の問題も基本的には同じかもしれませんけれども、もともと、こういった建築活動の盛んな地域というのは割と大都市部に多いというふうに認識しておるわけです。そこで、地方においては、最近、こういった経済が低迷しているという中ではなおさらそうですけれども、地方都市は大都市に比べるといろいろな面で建築的な活動が割と少ない。当然ながら、大都市部に比べて地方の方は土地の価格も割と安く、土地の高度利用という観点からすれば大都市部の方がはるかに高度利用されているわけでございます。
 そういう観点でちょっとこの法律の改正を眺めたときに、どうも、容積率等のいろいろな選択肢の拡大等の改正の中身は、大都市部のそういういろいろな誘導策としては一つのやり方かなという感じを受けます。ただ、地方都市のいろいろな悩み事を解決していくには、これだけではちょっと誘導策にはなり得ないんではないかなという感じを持つわけですね。
 当然ながら、税制面なり、あるいはその他のいろいろな支援策、いろいろな融資等の面、あるいはまた、場合によっては補助事業的なものも従来あったのかもしれませんけれども、何かこういう法改正とあわせた誘導策が講じられないと、地方のまちづくり、都市づくりというものはなかなかうまく軌道に乗らないんではないかなという考え方を持つわけでございます。
 国土交通省の、今回のこの改正に当たってのこういったもろもろの、容積率なり建ぺい率なり、またいろいろな日影制限等の、こういう選択肢を拡充するという改正の中身というのは、地方にとって余りメリットがないんではないかなというような受けとめ方をする方もいらっしゃるわけですけれども、その点に対してはどのようなお考えでしょうか。
    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
三沢政府参考人 今回の容積率等の選択肢の拡充は、地域ごとのまちづくりの多様な課題にいろいろ柔軟に対応していくことを可能にするということでございまして、例えば一つのパターンは、高度利用、高容積型のまちづくりというものがございます。ただ、地方都市においては、もっとコンパクトな、あるいは住環境をさらに保全する、そういうような形でのまちづくりを進めるというニーズもございます。そういう意味でいいますと、大都市のみならず、やはり、それぞれの地域で自分の町をこうしたいというときに、必ずしも今の選択肢が十分でないというところがございまして、これに対応するという意味でのメリットがあると考えております。
 具体的に申し上げますと、例えば容積率制限ですと、高度利用より、むしろ相隣環境の保護という観点から、低容積でコンパクトなまちづくりをしていくというようなこともございます。そういう場合の選択肢、例えば第一種住居地域で五〇〇%だけじゃなくて一〇〇%とか一五〇%という選択肢を追加するとか、あるいは建ぺい率についても、そういう意味で、緩和だけじゃなくて強化ができるようなメニュー。
 それからもう一つ、これは大都市、地方都市を通じてミニ開発という問題がやはり大きい問題になっておりまして、現在、低層住居専用地域しかミニ開発防止のための敷地規模制限ができないという、これをすべての地域へ適用できるようにするということも盛り込んでおりまして、そういう意味では、地域のいろいろな創意工夫を受けとめられるように、そういう選択肢の拡充を今回図らせていただくという趣旨でございます。
一川委員 その問題は別の機会にもう一回また議論したいと思います。
 次に、ちょっとバリアフリー化のいろいろな制度についての関連の質問でございます。これも地方における一つの悩みでございますけれども、最近特にいろいろと言われていますように、地方都市の非常な空洞化なり、活力が著しく低下してきて、もう商店街等がシャッター通りになってしまったというようなことさえ言われている。そういう地方の町も非常に多いわけです。
 私は、今回のこういったバリアフリーに関するいろいろな制度、これからもいろいろな事業化が図られていくんだろうと思いますけれども、大規模な建築物なり、また新たにいろいろな建築物をつくっていくような地域なり、また改築のエネルギーのあるところについては、それなりにこういったバリアフリー化を図っていくというのは当然のことですから、それはそれとして、それなりの活力を持っていくだろうというふうに思いますけれども、例えば地方の中心商店街的なところを今のまま放置しても、高齢者の方々とか身体障害者の方々がなかなか入り切れないというようなお店もたくさんあるわけです。そういうことを考えてみた場合に、そこに何らかの工夫を凝らすことによって、そういった既存の建築物が相当残っている地方都市の商店街に対して、もっと何か誘発するような制度がないのかなというふうに思いますね。
 それで、こういったバリアフリー化を図る一つの工事を共同して行うことによって商店街を再生させる、高齢化社会に対応した、またいろいろな面で社会的弱者と言われているそういう方々がそういう商店街に出入りしやすいような条件を整備していくというための制度としては、ちょっとまだ不足しておるんじゃないかなという感じを持つわけですね。
 そういうところに対して、地方の都市を、活力を持たせる、それを再生する、元気づけるという意味で、何かこういうバリアフリー化を図る、一つの仕事をきっかけに何かできないのかなという思いがあるわけでございますけれども、このあたりに対する国土交通省のお考え、いかがでしょうか。
三沢政府参考人 先生御指摘のとおり、商店街のバリアフリー化というのは、個々の建物のバリアフリー化にとどまらず、これが面として行われると商店街全体の魅力につながって、それがまた地域の活性化につながっていくということが十分考えられるわけでございます。
 現在ある支援策という意味では、いろいろな低利融資制度、例えば商店街の店舗で小規模な建築物のバリアフリー対応については、中小企業金融公庫とか国民生活金融公庫による低利融資制度というのがございます。そういう融資制度と、それから、先ほど来いろいろ御議論ございますけれども、条例の中でそういう小規模な建築物も対象として義務づけるということも可能でございますが、その義務づけだけではなくて、それとあわせて、多くの公共団体で、そういう小さい建築物を対象とした補助とか低利融資とか、そういう独自の支援制度もございます。そういうことについてのいろいろな情報交換をできるだけ密にするということが一つ。
 それから、やはり単体でぽつぽつということじゃなくて、何か共同してみんなで話し合いながらそういうことを進めていくという機運ができるということが非常に大事だということでございますので、そこはやはり、公共団体がそういうことに相談に乗れるような体制、さらには、私どもは、各地でのいろいろな事例収集を踏まえて、ここではこういういい取り組みをやっているよということも公共団体にいろいろお示しできるような、そういう情報提供とか相談体制、それとあわせて先ほどのいろいろな融資制度の活用ということで、積極的にそういう商店街振興に結びつくようなバリアフリー化についても今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
一川委員 今日、地方分権だとかあるいはいろいろな規制緩和、規制撤廃、規制の改革に関するような課題が山積しておるわけですけれども、一つのそういう大きな流れの中で、ぜひ、今局長の答弁にありましたように、前向きにこういう地方のいろいろな悩み事に対して、地方の方々の創意工夫ができるだけ現場で時間をかけないで生かせるような制度になるように御尽力をお願いしたい、そのように思っております。
 次に、これは平成十三年度に成立した法律だというふうにお聞きしておりますけれども、高齢者の居住の安定確保に関する法律というのがございます。私は、申しわけないけれども、この法律の中身はそんなに詳しいわけじゃないんですけれども、ただ、この法律のタイトルを見たときに、あれ、これはどういうかかわりがあるのかなということをちょっといろいろと考えまして、今回のこういったハートビル法のいろいろな改正、もろもろの対応は予定されておりますけれども、今言いました高齢者の居住安定法、この法律がねらっているものとどういうふうな関係になるのか、何かそこのところもちょっと整理して御答弁をお願いしたいと思います。
    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
三沢政府参考人 平成十三年度に制定、施行されました高齢者居住安定法でございますけれども、これは、高齢社会の急速な進展に対応しまして、民間活力を活用しながら、かつ既存ストックもできるだけ有効活用を図りながら、高齢者向けの住宅の効率的な供給を促進する。それから、高齢者についてやはり問題になりますのは、賃貸住宅等で、入居を高齢者であるという理由で拒まれるというようなことがございます。そういうようなことのないように、高齢者の入居を拒まない住宅の情報を広く提供するための制度の整備、こういうこと等によりまして、高齢者の居住の安定を確保することをねらいとして制定されたものでございます。
 特に、バリアフリーという観点から申しますと、民間賃貸住宅で、きちっとバリアフリー化されたような民間賃貸住宅の整備には補助を行う、いわゆる高齢者向けの優良賃貸住宅制度の創設とか、それから、持ち家のバリアフリーということにつきましては、持ち家のバリアフリーリフォームで高齢者がローンをお借りになったとき死亡時一括償還ということができるようにするような融資制度を整備するということで、住宅のバリアフリー化という観点からも、非常に施策の推進にとって大事な法律を制定いただいたというふうに認識しております。
 一方、今回、ハートビル法は、住宅ということではございませんで、一部共同住宅も努力義務の対象にいたしましたけれども、主体は、不特定多数の方が利用する建築物について、高齢者あるいは身体障害者の方々が円滑に利用できるようなバリアフリー基準への適合の義務づけ、あるいは、さらにもっとすぐれたバリアフリー基準への対応についてのいろいろな支援措置の拡大という観点で、建築物におけるバリアフリー対応の推進を図るための法律ということでございます。
 これは、いずれにいたしましても、それぞれの法律とも、高齢者等に配慮した住宅あるいは建築物の整備の推進、これをねらっているということでは共通の方向性がある法律でございまして、これらが相まって、高齢者の方々の暮らしやすい生活環境の整備を推進していこうというものでございます。
一川委員 それぞれの地方自治体においても、こういった高齢化社会に向けてのいろいろな条例等の制定の中で、こういう施策を地方公共団体なりにいろいろと進めていると思いますけれども、今回の法律改正もあわせて、既存のいろいろな法律とのそういった連携をしっかりとまた図りながら効果を出していただきたい、そのように要望しておきたいと思います。
 そこで、今回の法律の中で、シックハウスの問題がいろいろと出ておりますけれども、私も前回質問させていただきましたが、きょう、もう一回確認の意味で見解をお聞きするわけですけれども、もともとこのシックハウスの原因というのは、まだ因果関係は明確になっておりませんけれども、おおよその専門家の皆さん方では、最近の住宅では新しい建材がいろいろと使われてきているという中で、各部屋の気密性が非常に高まってきているという中での現象ではないかというふうに言われてきているわけです。
 もともとこういう新しい建材というのは、前にもお話ししたかもしれませんけれども、私なりに解釈すれば、できるだけ建築物のコストを下げるという中で、その建築物のいろいろな材料としての強度を高めるとか、あるいは見た目にきれいにできるようにするとか、また物によっては長もちさせるとか、いろいろな動機がそういう新しい建材をつくってきたんだろうと思うんですね。しかし、そこには当然いろいろな接着剤等も使われているでしょうし、新しいいろいろな塗料も使われているでしょうということもあって、そういうことも恐らく原因ではないかというふうに推測されるわけですけれども、では、これから、こういうものの対策として、これまで使われてきたような新建材じゃなくて、それにかわるようないろいろな材料を使って建築物をつくっていくということになってきた場合に、建築コストにある程度はね返ってくるということが想定されますね。
 ここのところは、今、当面の対策として今回の改正が盛り込まれておりますけれども、近い将来的には、やはり一般の住宅の建築コストにも、ある程度コストが上がっていくという傾向にならざるを得ないような感じを受けますけれども、そのあたりは、国土交通省の住宅局長さんとしてはどういうふうな見解、展望を持っていらっしゃいますか。
三沢政府参考人 今回の建築基準法改正の結果といたしまして、建材のその部分だけ見ますと、建築コストというのは、やはりある程度は高くなるということが想定されるわけでございます。
 ただ、現状で申しますと、JAS規格のフローリング材でいいますと約九割が一番ホルムアルデヒドの発散の少ない等級になっているということでございまして、市場の中では、多少価格は高いけれどもホルムアルデヒド発散が少ない、そういうものが普及し、流通が大勢になってきているということで、これは恐らく、消費者のニーズからいっても、コストの問題もあるけれども、やはりそういうものを求めているということでございます。
 それからまた一方、この部分だけ見ればもちろん若干のコストのアップはございますけれども、こういう市場の中での競争の中で、各住宅生産者も全体としてコストを吸収する努力をいろいろされているということかと思いますので、そういう中で、私どもは、いろいろな技術開発についてはさらに一層推進をしてまいりたいと思っておりますけれども、市場の中ではそういう方向で現在動きつつあるという認識を持っております。
一川委員 まだ細かいことを聞けば切りがございませんので、これでやめておきますけれども。
 最後の質問でもありますので、できるだけ早目に切り上げたいと思いますが、大臣に最後に見解をお聞きするわけですけれども。
 この建築基準法という法律は、先ほど原委員の方からも、何か三十五回ぐらい改正があったというようなお話もございましたけれども、いや、それは時代の、経済社会の変化に合わせて改正するのはまた当たり前だという見解も当然あるわけでしょうけれども、こういった建物の本当の基準になるような法律が余り頻繁に変わるということも、またある面では地方公共団体等がいろいろな面で指導していく場合にやりづらいなという感じもいたしますし、ひいてはまた、まちづくりにもいろいろな面でちょっとやりづらい面が出てくる可能性もあります。
 そういう面では、これからの地方分権という中で、地方の自治体にも優秀な方々がたくさん育っていらっしゃいますから、できるだけそういう人たちの力を引き出して、本当に魅力あるまちづくり、また建築物をつくっていただくというための法律をしっかりとつくっていく必要が当然ございます。
 私も、建築基準法という法律の目的をちょっと眺めてみたときに、この法律も、国民の生命財産とか健康を維持するという非常に立派な目的を掲げた法律であるわけですね。そういうための建築物の最低の基準を定めているということであるわけでして、今日、国民のニーズもだんだんだんだん高まってきていることは、もう間違いないわけでございます。
 そういう面では、私は、先ほど冒頭にちょっと局長に質問しましたように、大都市部と地方の都市、あるいはそれ以外の地域も含めて、いろいろなまちづくりに対する取り組み方とか建築基準に対する取り組み方、いろいろと特性があるというふうに思いますし、そういう面では、一つの尺度でもって物事を判断し、一律的に物事をやるということはできるだけ避けた方がいいというふうに思います。
 ただ、こういった最近の法律改正の中身を見ておりますと、どっちかというと、何か大都市部の現状の課題をできるだけ直していこうということに対する改正が非常に中心になっているのではないか。地方都市におけるいろいろな悩みとか、あるいはそれ以外の郊外の部分も含めて、いろいろな問題点、課題がたくさんある今日でございますので、そういうところに対する対応としては若干まだ物足りないなという感じを私は受けております。
 そのあたり、大臣としては基本的にどういう所見をお持ちなのか、また、今後こういう課題に対してどういう取り組みをなされようとしておられるのか、お聞きしたいというふうに思います。
扇国務大臣 一川議員とも先日も討論をさせていただきました。少なくとも今回の法改正によって地方にメリットはないんじゃないかという意味の一川議員の御質問等々ございますけれども、基本的には、今回の場合は、地域のさまざまな創意工夫ができるという面では、私は、地方にとっても今回の法改正というのは本当にメリットがあるんだと思っております。
 また、御存じのとおり、戦後、二十世紀、少なくとも我々は、国の施策として、均衡ある国土の発展という言葉を使ってまいりました。国土交通省になって、それは二十世紀の問題であって、均衡あるというのは衣食住足りなかったときの目標であって、二十一世紀は、均衡あるではなくて、個性のある国づくりをしたい、特に地方は個性を持ってほしいということを私は言い続けておりますので、一川議員とも先日お話ししたのも、その趣旨でございます。
 そういう意味で、今回のこの建築基準法の改正というのは、国づくり全体を指すものではありませんけれども、この建築基準法の改正によって、私は、少なくとも、地域ごとのまちづくりの多様な課題に今回は適応できる、また柔軟かつ迅速にこれに適応できるという面では、大都市だけではなくて地方の皆さん方においても大変メリットがあると思っております。
 また、具体的にどういうことなんだとおっしゃられますと、少なくとも、地域ごとのまちづくりの今私が申しました多様なニーズにこたえられる、そして、容積の制限とかあるいは建ぺい率の規制等々の緩和によって選択肢が拡大していくということによって、地方公共団体が地域の特性に応じた規制値を使い分けることができるというのは、私は大きなメリットだと思います。
 また、他方、先ほども問題になりましたけれども、地区計画制度の整理合理化というものをされますけれども、そのときに法的な根拠がないじゃないかとおっしゃいましたけれども、今回は、まちづくりの協議会でありますとか、あるいはまちづくりのNPOの参加というものがこの法律によってできる。それによって、住民の皆さん方のアイデア、そして皆さんの創意工夫、自分たちの住みやすいまちづくりということで、地方都市においても十分なメリットがあり、住民の意見が今回は取り入れられるということによって、私は改めて、それぞれの全国の各地で地域の特性を踏まえたまちづくりが大いに推進される、今回の法の改正によって促進されるというふうに信じております。
一川委員 今大臣お話しされましたように、地方のいろいろな特性を生かしていくということでは、今回のいろいろな規制緩和といいますか、選択肢を拡大していくという改正は、それはそれなりにこれからも生かされていくというふうに思います。
 ただ、一方で、先ほどちょっと私が触れましたように、大都市に比べて地方都市の方がまだ町を改造していくエネルギーが、ある面では私は不足しておるんじゃないかというふうに思うんです。確かに選択肢はいろいろと制度的に広がってきたとしても、それをうまく使ってまちづくりにチャレンジできるのは、私は、どっちかというと大都市部はまだチャレンジする力はあるけれども、地方の都市は若干その力が弱いんではないかという面で、それをもうちょっと誘導できるような別途の施策もあわせて検討していただきたいなという気持ちはございます。
 それに対しては大臣も当然お考えがあろうかと思うんですけれども、それは余り、補助金とかそういう世界じゃなくて、やはりそういう方々が、よしやろうという、国の方もそれなりに下支えしているというような制度があっていいんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。
扇国務大臣 冒頭のお話に戻りますけれども、今一川議員がおっしゃったことは、やはり都市と地方との結節、それぞれの個性を生かしたものをどうつなげていくかということが、冒頭に私が申しましたまちづくり、あるいはそのまちづくりを生かすための日本全土の国づくりの百年デザインというものがないということで、日本全体の百年計画、二十一世紀の計画の中で、この地方はこういう特性、この地方はこういう特性というものを、それぞれの個性を生かして、その陸海空の結節をどうしていくかという、国土交通省としての基本的なデザインが不足しているから元気が出ないということではなくて、ここでなければ、ここの特性を生かしたものがそこへ行けばある、また、そこの特産物を大至急で結節点を通じて大都市に運ぶとか、そういう陸海空合わせた、国土交通省としてしかできない国土づくりというものを私はつくるべきである。それが、地方の元気が出てくるもとであるし、今回の基準法のもっと大きなもとになりますけれども、一川議員が今おっしゃった、地方が元気になる原因の一つでもあると私は思って、それをしていきたいというふうに考えております。
一川委員 建築基準法という法律の世界は、割と技術的な、狭い範囲の法律でございますけれども、基本的には、そうかといって、人間が毎日住まいをするそういう住宅なり、また働く職場の建物なりにかかわる大事なそういう法律でございますし、そういう面では、一番には安全性の問題であり、また、そこに対する快適性の問題であり、そしてまた、そういうものが機能をしっかりと発揮できるようなものでなければと、当然でございますけれども。
 また、最近では、何か建物全体を含めた地域の景観問題も非常に大事な要素になってきておりますように、いろいろとまだ課題が残っているような気もいたしますので、ぜひそういう面の問題意識を持った行政をお願いしまして、若干時間は残りましたけれども、私の質問を終わらせていただきます。
久保委員長 次回は、来る二十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十六分散会


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