衆議院

メインへスキップ



第23号 平成14年6月28日(金曜日)

会議録本文へ
平成十四年六月二十八日(金曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 久保 哲司君
   理事 木村 隆秀君 理事 実川 幸夫君
   理事 橘 康太郎君 理事 林  幹雄君
   理事 古賀 一成君 理事 細川 律夫君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      赤城 徳彦君    小里 貞利君
      金子 恭之君    北村 直人君
      倉田 雅年君    菅  義偉君
      高木  毅君    高橋 一郎君
      谷田 武彦君    中馬 弘毅君
      中本 太衛君    西川 京子君
      林 省之介君    菱田 嘉明君
      福井  照君    二田 孝治君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      吉川 貴盛君    阿久津幸彦君
      井上 和雄君    金子善次郎君
      今田 保典君    樽床 伸二君
      津川 祥吾君    中村 哲治君
      永井 英慈君    伴野  豊君
      前田 雄吉君    山内  功君
      高木 陽介君    山岡 賢次君
      赤嶺 政賢君    大幡 基夫君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      保坂 展人君    小池百合子君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   国土交通大臣政務官    菅  義偉君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           玉井日出夫君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房文教
   施設部長)        小田島 章君
   政府参考人
   (厚生労働省医政局長)  篠崎 英夫君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           真野  章君
   政府参考人
   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房長) 風岡 典之君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房官庁
   営繕部長)        春田 浩司君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十八日
 辞任         補欠選任
  田中 和徳君     金子 恭之君
  高橋 一郎君     北村 直人君
  堀之内久男君     林 省之介君
  松岡 利勝君     西川 京子君
  阿久津幸彦君     前田 雄吉君
  大谷 信盛君     中村 哲治君
  平岡 秀夫君     金子善次郎君
  前原 誠司君     山内  功君
  大幡 基夫君     赤嶺 政賢君
  二階 俊博君     小池百合子君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     田中 和徳君
  北村 直人君     高橋 一郎君
  西川 京子君     松岡 利勝君
  金子善次郎君     平岡 秀夫君
  中村 哲治君     大谷 信盛君
  前田 雄吉君     阿久津幸彦君
  山内  功君     前原 誠司君
  赤嶺 政賢君     大幡 基夫君
  小池百合子君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
六月二十八日
 障害者対応のETCシステム導入に関する請願(小沢鋭仁君紹介)(第六四五九号)
 気象事業の整備拡充に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六四六〇号)
 国土交通省の地方整備局等の機構拡充及び職員増員に関する請願(小沢鋭仁君紹介)(第六四六一号)
 同(鹿野道彦君紹介)(第六四六二号)
 働くルールを確立させ、建設労働者の雇用を守り、公共事業の生活・環境重視への転換に関する請願(石井郁子君紹介)(第六四六三号)
 同(大幡基夫君紹介)(第六四六四号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第六四六五号)
 同(藤木洋子君紹介)(第六四六六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 建築基準法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)(参議院送付)
 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)(参議院送付)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
久保委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、建築基準法等の一部を改正する法律案及び高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長風岡典之君、大臣官房官庁営繕部長春田浩司君、都市・地域整備局長澤井英一君、住宅局長三沢真君、航空局長深谷憲一君、文部科学省大臣官房審議官玉井日出夫君、文部科学省大臣官房文教施設部長小田島章君、厚生労働省医政局長篠崎英夫君、厚生労働省社会・援護局長真野章君及び厚生労働省保険局長大塚義治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。前田雄吉君。
前田委員 おはようございます。民主党の前田雄吉でございます。
 私の生まれ育ちました愛知県の西春日井郡、東海豪雨の最大の被害地でございました。激甚災害指定をおろしていただきまして、扇大臣におかれましては、本当にありがとうございました。順調に予算執行がなされ、復旧が進んでおります。
 さて、中部には、万博、中部国際空港と、ビッグなプロジェクトが控えております。この中部国際空港の成功には、空港一元化後の名古屋空港問題の解決が非常に大事な懸案としてあると思います。この点について、扇大臣の基本的なお考えをお聞かせください。
扇国務大臣 おはようございます。
 今お話ございました基本的な考え方というお話でございますけれども、私は、スクラップ・アンド・ビルド、行革を始めましたときにはもともとその話からスタートしておりますし、今の現状を考えますと、新しいものをつくるときには、なるべく古いものを整理し、そしてなおかつ効率よくする、これが原則でございますので、名古屋だけではありません、どこもそうでございますので、そういう基本的姿勢だけは、皆さんの御協力を得ながら、意見を聞きながら実行してまいりたいと思っています。
前田委員 愛知県がこの六月の議会におきまして、県がGA空港の設置管理者になることを明らかにいたしました。とともに、着陸帯について取得する方向で国との協議に入る、その方向で進めていきたいと答弁いたしております。
 愛知県によるGA空港への取り組みに対して、今後、国土交通省がいかように対応されるのか、この点について御答弁を求めたいと思います。
扇国務大臣 今、特に名古屋空港における御質問でございますけれども、御存じのとおり、現在の名古屋空港、これは、定期航空路線につきましては、中部国際空港の事業採択時に、前田議員は御存じだと思いますけれども、平成九年の十二月の二十四日、大蔵大臣及び当時の運輸大臣間で確認を行いまして、中部国際空港の開港時にこの現名古屋空港は集約する、一元化するということが決定されております。ですから、そういう意味では、私からその決定の変更はいたしておりませんので、その決定どおりだと御認識賜りたいと思いますけれども、それをどうするのかと。
 この一元化後というのは、当然、一元化をして、そして国際線、国内線の利便性を図るというのは当たり前のことでございます。定期航空路線の一元化後の現名古屋空港のあり方についてというあえてのお話でございますけれども、現在、この空港を自衛隊が使用しております。また、愛知県におきまして、ゼネラルアビエーション空港として活用したいと。
 ゼネラルアビエーションというのはどういうことかというと、一般的には定期航空路線以外の小型機の利用ということで、皆さん御存じのとおり、ビジネス機でありますとかあるいは写真測量とか、それから農薬散布、あるいは報道取材、広報宣伝、自家用機などを主体としたものでございますので、私は、このときの方法としては、今、関係のあります愛知県とそれから防衛庁と国土交通省と一緒に、関係間で協議をしておりますので、私は、その協議の調整をそのまま進めていきたいと思っております。
前田委員 ありがとうございます。
 とにかく、周辺の二市一町にとりましても、これは一元化によって自衛隊の基地使用の拡大につながるのではないかという懸念が非常に高うございます。その折に、県議会で県の方針として、管理主体に県がなる、そして空港の滑走路帯の買い取りについても協議に入るという方向性を出されたことは、周辺二市一町も拍手をしております。この方向でぜひ交渉の方もまたお進めいただきたい、御協議いただきたいと思います。ありがとうございます。
 では、シックハウス対策について御質問いたします。
 私は、民主党のシックハウス対策ワーキングチームの事務局長として、多くの発症者、患者の皆様とお話をしてまいりました。いつ起こるかわからない、また、いかなる原因で起こるかわからない、発病したら病院にも行けない、しかも、保険はきかない、非常に対策がおくれている問題であると思っております。また、十人に一人がこのシックハウス症候群の対象ではないかと言われているような、身近な病でもあると思います。
 この永田町にも、窓のない大きな新築物、官邸ができたわけですけれども、この中で扇大臣も閣議を重ねられておられますけれども、シックハウスを感じられたことはありませんでしょうか。また、国の危機管理を担う官邸でそのようなシックハウスが起きますことは非常に危惧することでありますので、官邸のシックハウス対策を重ねて伺いたいと思います。
扇国務大臣 いろいろな新しいもの、建物が建って、私にもそういう傾向がないかというお話でございます。私もかなり過労なので、そういうものにかかりやすいかなと思っておりますけれども、大体人間が鈍いのか、いまだにそういう症状がないのはありがたいと思っております。そういう症状のある方が本当に苦しんでいらっしゃることだけは大変だなと思っておりますので、まだ原因不明の部分がございますけれども、ぜひ我々も注意しなければいけません。
 今回もこういうことで皆さん方に建築基準法、ハートビル法等々御論議いただいている中で、先日もこの問題が言われまして、新官邸もシックハウスじゃないですかと言われたんですけれども、私は、少なくともこの新官邸に関しましては、我々としては、新建材を使うということもなるべく控えましたし、また、自然の素材である木材でございますとか間伐材を使用したというのは、ごらんになっておわかりのとおりでございます。その他の使用材料も、少なくとも、ホルムアルデヒドそしてトルエンあるいはキシレンなどの揮発性の有機化合物を発散しないもの、または発散が最も少ないものを選定して使用したということでございます。
 この結果、新官邸になりまして、供用開始前の四月の十三日でございますけれども、これは私も検査に行ったわけですけれども、新官邸内の数十カ所で実施しました揮発性有機化合物の濃度の精密検査等々、測定をいたしました。その結果は、すべての箇所におきまして、これは数十カ所でございますけれども、厚生労働省の室内濃度指針値を下回るということが確認されておりますので、少なくとも新官邸においてシックハウスになるということはございませんけれども、その辺のところは、より皆さん方とともに注意していきたいと思っております。
前田委員 今後、より具体的なシックハウス対策をとるという段階に入っていくと思いますけれども、今回の建築基準法の改正に伴って、このシックハウス対策の政令が出されることになると思います。この政令が出されれば、このシックハウス対策がいわば固定化されたものになってくるというわけですので、この政令の内容が非常に大切なものになってくると思うんですね。
 平成十四年一月の三十日に社会資本整備審議会の答申が出されております。この答申がこの政令の骨格になっていくのであると思いますけれども、その中で、この答申の中で、規制対象を、規制すべき物質をホルムアルデヒドとクロルピリホス、この二物質にされておられます。厚生労働省では対象物質を十三物質、文部科学省においては四物質を挙げられております。ですから、確かに規制の対象物質を拡大するという余地はあるものの、余りにも数が少ない、甘いものになっているんではないかと思っております。
 我が民主党案では、揮発性の有機化学物質を、VOCを総量で規制するTVOCに規制基準を定めておりますけれども、例えば二物質の基準を満たしているということでこれは合法だとされれば、当然シックハウスは全く改善されないわけであります。例えば、ホルムアルデヒドを合法的に抑えたとしましても、アセトアルデヒドにこれを代替するというようなことが起きますので、考えますと、トータルな規制の方がよいのではないか、そのような考えも持ちますが、いかがでございましょうか。
三沢政府参考人 今回の規制の対象となる化学物質についてのお尋ねでございます。
 規制の対象となる化学物質につきましては、私ども、室内空気汚染による健康影響が生ずると認められる化学物質は、最終的にはすべて政令で規制対象に追加していく方針でございます。
 その中で、今回、まず当面、二物質について規制することとしておりますけれども、これは、こういった二物質につきましては、化学物質の発生源が特定されているということと、発散量と室内濃度の関係がほぼ明らかになっているということから、建材とそれから換気設備の具体的な基準を定めることが可能であるというふうに判断ができるためでございます。
 それ以外の、例えば、トルエン、キシレン、アセトアルデヒド等につきましては、ホルムアルデヒド等と比べますと、発生源となる可能性のある建材とかあるいは家具、家庭用品等、非常に多種多様でございます。それから、こういったものからの発散量と室内濃度との関係も現時点では明らかになっていないということから、直ちに具体的な基準を定めるということはなかなか困難でございますけれども、これについては、関係省庁と連携して、こういう発生源の特定とか発散量と室内濃度の関係について調査を急ぎまして、こういう調査結果が明らかになった段階で順次規制対象に追加することとしてまいりたいと思っています。
 それから、例えば総量でというお話がございました。いわゆるTVOCと呼ばれます総揮発性有機化合物についてどう扱うかということかと思いますけれども、これは厚生労働省さんの方で一つの濃度値というのが設定されておりますが、これは、現時点で、毒性学的知見から決定されたものではなくて、空気質の状態の目安としての暫定目標値であるというふうに言われております。そういうTVOCの性格からいたしますと、これを規制するということについては、なお慎重な検討を要するというふうに考えているという次第でございます。
前田委員 今、規制物質の拡大について御言及されましたので、ぜひ、調査を早急に進められて、現実に発症されている皆さんが非常に苦しんでおられますので、早くそうした物質の追加もお願いしたいと思います。
 以前から、私は、最終的な濃度チェックを求めますと、国土交通省さんは、コストがかかると言われる。また、化学物質フリーの家の建築には、一般に二割増しぐらいの費用がさらにかさむと言われております。一般論でいくと、このシックハウス対策には、化学物質フリーの家をつくるためにはコストがかかる、また検査にもコストがかかる、コストがかかり過ぎるんだという認識がありますけれども、私は、ここで一つ例を挙げて、その考えがそうではないんだという点を一つ御紹介したいと思います。
 日野市のエコヴィレッジ日野というのがございます。コーポラティブで脱化学物質の家をつくろうというもので、近くにあります大手のマンションよりも安い価格でそれが売り出されている。しかも、化学物質に対して安全であるという建築が可能となっております。厚生労働省の宮路副大臣も当地を訪れられてごらんになっておられますけれども、シックハウス対策には、こうした、費用をかけなくても済むのだという例もございます。これについて所見をいただきたいと思います。
三沢政府参考人 費用の問題でございますけれども、例えばホルムアルデヒドにつきましては、合板等の木質建材をホルムアルデヒドの発散量の低いものにする、それから、さらに換気設備を義務づけるということによりまして、戸当たりの住宅コストで申しますと数十万円程度のコスト増はございます。ただ、これは健康を確保するためのコストとして十分消費者の方で対応いただけるようなコストかなというふうに考えております。
 一方、ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しないとすると、特に木造住宅の場合ですと、無垢材を用いる、それから土壁とする伝統工法の住宅とするというようなことにいたしますと、これは相当なコストがかかるということと、それから、そういうことについての生産供給体制というのも十分整っていないということがございまして、また、先生御指摘の日野市の実例については私どもも十分また勉強させていただきたいと思いますけれども、一般的には、やはり相当なコストがかかるんではないかなというふうに考えている次第でございます。
 そういうことで、発散量の低い建材と換気設備の組み合わせで、そういう厚生労働省の指針値以下に抑制することが可能であるということであるとすると、こういう前提のもとで、化学物質を全く使わない建築物にするのか、それとも発散量の低い建材と換気設備の組み合わせでいくのか、ここは、やはり建築主がお建てになるときに選択される問題なのかなというふうに考えている次第でございます。
前田委員 今このエコヴィレッジ日野の話をさせていただきましたけれども、とにかく、やり方によっては、安い価格で、安価な価格でシックハウス対策ができるというものであると思います。
 きょうは、今まで余り触れられていなかった部分の質問をさせていただきたいと思っております。
 今、私は、一般の消費者の立場から、新築の家を購入する、あるいは改築を行うといった場合に、非常にまだシックハウス対策として情報公開が進んでいないように思われます。例えば、住宅の新築または改築に当たって、使用される材料にどのような化学物質が使用されているのか、この情報公開が不十分であると考えます。今後、シックハウス対策のために、消費者に対してそうした情報を提供することも非常に大切なことであると思います。とにかく、何がどのように使われているのか一般消費者に明らかにすることが大切なのではないでしょうか。この情報公開について伺いたいと思います。
三沢政府参考人 先生御指摘のとおり、やはり消費者に、この建材でどういう化学物質が使われているか、そういう情報を積極的に提供していく、これはもう極めて大事な問題だというふうに認識しております。
 今回の建築基準法の改正によりまして、まず、ホルムアルデヒドを発散する建材につきましては、発散量の等級を明らかにしないと使用できないということになりますので、これが設計図書の中にきちっと明示されますので、こういう設計図書とかJISマーク、JASマーク等によって、消費者にもわかりやすい表示が可能になるというふうに考えております。
 それから、今回直ちには規制の対象とならないトルエン等につきましても、これは、例えば、消費者が住宅供給者に対してそういう情報の提出を求めることは可能でございます。これは、具体的に申しますと、建材の化学物質安全データシート、いわゆるMSDSというものを作成をすることになっておりますので、その作成について情報を提供するということを求めることが可能になっております。
 これにつきましても、例えば一般の住宅関係情報誌等の中でも、こういうシックハウス対策として自分でできる対策でどういうものがあるかということの中で、例えば木材はJAS、JISの最高等級品を選ぶとか、消費者に対していろいろな情報提供をしていますけれども、そういう中でも、工業品はMSDSで確認するのがいい、こういうようなお勧めをしている住宅関係の情報誌もございます。
 したがいまして、私ども、こういうようなことも踏まえまして、施行までに、消費者向けのパンフレットを作成いたしまして、こういう建材に使用されているそういう化学物質の情報の入手方法、あるいは消費者がどうやって見たらいいのかということを、わかりやすい手引を盛り込みまして、そういう周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。
前田委員 ぜひ、わかりやすいものを消費者に提供していただきたいと思います。
 現在、この化学物質過敏症の発症者の皆さんに支援をするという多くのNPOができております。一例を挙げますと、化学物質過敏症支援センター、こちらのセンターには、窓口がありまして、昨年の二月からことしの一月まで、この十一カ月に二百二十八名から四百七十七回の相談を持ちかけられているということでございます。こうしたNPOの活動は、非常に発症者やその家族の皆さんにとって重要なものであります。国としても、NPO活動への協力をお考えいただけないでしょうか。
三沢政府参考人 今後、シックハウス対策を進めていくためには、やはりシックハウス問題の解決のためにいろいろな活動をされているNPOなど、シックハウス問題に関心を持たれている多くの国民の皆様の御意見に十分耳を傾けながらやっていく必要があるというふうに考えております。
 今回の建築基準法改正に伴い、これから政令等においていろいろ基準を定める場合におきましても、こういう基準案のパブリックコメントを通じまして、NPOを初めとする国民各層の御意見をお聞かせいただくということとしておりますが、さらに、機会があれば、今後、対策につきましても、今先生が化学物質過敏症支援センターとお名前を挙げられましたが、そういう相当の活動実績があるNPOとも積極的に意見交換をするということを前向きに検討させていただきたいと思います。
 今お名前を挙げられましたセンターにつきましても、本年三月のこのセンター主催のシンポジウムに私ども担当官も参加させていただいているところでございますので、今後とも前向きに取り組んでいきたいというふうに考えております。
前田委員 ぜひ、こうした協力体制をとっていただきたいと思います。とにかく、政令の検討会議等にもそうしたNPOの意見を酌み取っていただきたいと思います。
 次に、現在のシックハウスを初めとする化学物質過敏症の発症者の診断、治療のことについて伺いたいと思います。
 これは、保険の適用はなされずに、医療費負担が過大なものになっている現状があります。そんな中で、この六月十日に、堺の労働基準監督署が、改築の園舎において四人の保育士さんがシックハウスにかかられたということで労災認定をされたことが明らかになりました。シックハウスとは明言されておりませんけれども、ホルムアルデヒドが原因だということを言われております。
 こうした発症者への救済をぜひお願いしたいと思いますが、保険適用のための諸整備について伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
大塚政府参考人 我が国の医療保険制度、具体的に申しますと診療報酬ということになるわけでございますが、診療報酬におきましては、疾病ごとに保険適用の有無を定めるという仕組みではございませんで、一つ一つの診療行為、具体的に申し上げますと、検査でありますとか処置でありますとか投薬でありますとか、こういうものにつきまして診療行為ごとに保険適用の有無を定める、こういう仕組みをとっております。
 したがいまして、シックハウス症候群あるいは化学物質過敏症と言われるようなケースにつきましては、通常、頭痛とか全身倦怠でありますとか筋肉痛、微熱といった症状があらわれると言われておりまして、これに対しまして必要な検査、投薬、注射ということを行うという場合には、これは現行の診療報酬上、医療保険制度上認められておるわけでございまして、そういう意味では、医療保険の適用になっていないというのは必ずしも当たらない、こういう状況だと考えております。
前田委員 今私がお配りしました資料の、北里研究所病院というのがございます。今御説明いただいたものは諸症状の緩和であり、根治治療には、なかなかそれを行う病院がない。日本の中でもこの北里研究所病院ぐらいではないかと言われております。ここが出しております患者さん向けの資料でございます。
 ここにありますように、ちょうど右側の料金表がありますけれども、非常に高い費用がかかる。これは、自由診療、保険のきかない自由診療ということでこのような値段になっているということでございます。根治治療をし得るように、発症者の救済をぜひお願いしたいと思います。
 最後の質問になりますけれども、シックスクールの対策をお伺いしたいと思います。
 中には、教室で、ワックスにもだめ、墨もだめ、絵の具もだめ、工作の時間に使うのりもだめ、また、ひどい子には、プリントされているインクがだめという子供たちもおります。現在、シックスクールの児童を通学できるように改築されている大阪府の東淀中学のケースもあります。こうした自治体の取り組みの中で、自治体の独自の予算では限りがあります。シックスクール対策促進のために、国として支援すべきではないでしょうか、最後に御質問します。
玉井政府参考人 お答え申し上げます。
 いわゆる化学物質過敏症の子供たちに対して、学校や教育委員会ができるだけ適切に対応するということが必要でございますので、私どもとしては、各学校において、症状を有する児童生徒の個々の実態を把握し、支障なく学校生活を送れるよう配慮したり、あるいは必要に応じて転校を認めるなど、いわゆる個別の対応が重要だということで、通知をもって各都道府県等関係機関へ今指導しているところでございます。さらに、本年度から、医師や薬剤師などの専門家から成る検討会を設け、こうした子供たちの状況等の実態把握に努めることにしておりまして、我が省といたしましては、その結果を踏まえて必要な対策を検討してまいりたいと考えております。
 また、御指摘の学校施設の整備でございますけれども、これは、室内空気を汚染するような物質の発生がない、もしくは少ない建材の採用あるいは換気設備の設置が必要でございますので、これも各都道府県、教育委員会等関係機関に今指導しているところでございます。改築だとか改造という形で来られる場合には、今これは必要経費の対象にしているところでございまして、今後とも、そういう意味で適切な対応ができるように努力したいと思います。
 ただ、御指摘の場合は、これは大変小規模な改修工事というふうに承知しているものでございますから、こうなりますとやはり国と地方の役割分担ということもございますので、したがって、こういう大変小規模な場合には設置者において対応していただくのが基本ではないか、かように考えております。
前田委員 以上で質問を終わります。
 本日は、扇大臣、どうもありがとうございました。
久保委員長 井上和雄君。
井上(和)委員 おはようございます。民主党の井上和雄でございます。
 本日も、大臣、皆様よろしくお願いいたします。
 今回の建築基準法の改正に関して、実は、私のところに何人かのNPOの方が、今回の建築基準法改正は非常に問題がある、そういうことをおっしゃりに参りました。私もその人たちと随分議論をいたしました。
 大きく分けますと二つの点があると思うんですね。
 まず、いろいろな面で今回規制緩和ということで、容積率の緩和、斜線制限の緩和とかいろいろありますね。特に問題になっているのが、総合設計制度に準ずる制度というのが今度つくられて、容積率一・五倍以内に緩和されるし、斜線制限もなくなる。そしてそれが、これまで総合設計制度というのはある程度許可制であったのが、建築確認でできるということになると、まるっきり住民の知らないうちに、町の中にぱっと、自分の家の隣にビルが建ってしまうということになる。そういうことをNPOの方が言っているし、一部の地域では住民の方が非常に心配しておられるということですね。
 もう一点は、これと関連しているんですけれども、今回の法律というのは、一つは、都市計画の提案制度というものができて、NPOなどが都市計画の変更を提案できる。そしてまた、これまでいろいろ非常に複雑だった地区計画というものも整備され、非常に使い勝手がよくなって、地区計画の決定というものがしやすくなった。そういう、住民が参加して主体的にまちづくりをするということには非常に役に立つ制度ができている。
 しかしその一方、規制緩和ということで、先ほど申し上げた容積率の緩和とか斜線制限等の緩和がある。だから、もし住民や自治体がこの容積率の緩和など、今回の建築基準法の改正に関して十分な知識があって、それに対して十分議論をして、各地域で自分たちのまちづくりに関して十分検討して、そして今回の規制緩和を導入する、またはしないと、自分たちのやり方を考えてやっていく、そういうことができればいいんだけれども、どうも、法律の施行までの期間というのは六カ月しかない。六カ月というのは恐らく自治体に周知徹底するのがせいぜいで、とても住民までなかなか、こういう規制緩和が行われますよということが周知される前に、恐らくは自分の家の隣に、総合設計制度に準ずる制度を利用してディベロッパーがぼんとビルを建ててしまうということは十分あり得る。
 こういった二つの点に関して、今、NPOの方たちが大変心配しているということです。きょうは、その点に関して皆さん方とちょっと議論をしたいんですね。
 地区計画制度というのは、私、非常にいいことだと思うんですね。これを本当にしっかり各地域でつくっていけば、今あちこちで起こっている建築紛争などもなくなると思うんですね。
 今、地区計画制度というのはどのくらい日本でできているんですか、ちょっとお伺いします。
澤井政府参考人 地区計画制度は昭和五十五年に創設されておりますが、着実に増加してきておりまして、平成十三年三月末現在の策定実績といたしましては、全国七百四十一市区町村で三千四百六十地区、面積で九万五百二十六ヘクタールでございます。
井上(和)委員 七百四十一市区町村でできている。つまり、日本には約三千自治体があるわけですが、そのうちの四分の一ぐらいですかね。
 今の現状、面積で何ヘクタールとおっしゃったのですけれども、私はそれがどのくらいかよくわからないのですが、国土交通省として、現在地区計画ができているのは、これはかなりできているというふうに評価しているんですか、それとも数がまだ全然足りないというふうに評価しているんでしょうか。
澤井政府参考人 ただいまの数字の断面で見ますと、物差しの当て方はいろいろあると思いますが、用途地域というのが市街地には決まっている場合が多うございまして、用途地域の面積は全国で百八十万ヘクタールほどあります。その約五%の面積で地区計画が決まっているということと、一方で、時系列的に見ますと、昭和五十五年に制度ができまして以後、毎年かなり多くの地区計画が決められております。毎年大体二百五十地区ぐらいずつふえているというのが最近の状況で、この十年ぐらいをとりましても、十年の間に五倍ぐらいになっているということですので、これからますます策定が進んでいくのではないかと考えております。
井上(和)委員 都市計画で用途地域が決められているのが百八十万ヘクタールで、そのうちの五%しか地区計画がないということは、これでは非常に少ないですね。つまり、ほんの一部しか地区計画がつくられていないということですね。確認したいんです。そうですね。
澤井政府参考人 五%ということが、最終的な、地区計画が必要な地域についてすべて決められている数字かといえば、そうではないと思いますが、必要なところから着実に決められている。最近の時系列で見ても、これからさらにふえていくだろう。我々もそれを推進していきたいというのが現状だと思っております。
井上(和)委員 私の選挙区の墨田区というところがあるんですけれども、この墨田区で今地区計画が決められているのは、私が今覚えているところでは恐らく北斎通り周辺ぐらいじゃないかなと思うんですね。だから、本当にまだ二十三区内でも一部じゃないでしょうかね。どうですか、二十三区内の場合は。
澤井政府参考人 申しわけございません。二十三区内でどうかという資料が今手元にございませんので数字でお答えするのはちょっと難しいんですが、地区計画を決めるときに、建物の形とか色とか、あるいは塀を生け垣にしましょうとか、いろいろなことを細かく決めるものですから、合意形成が大事であり、またかなり時間がかかる、それによっていい計画ができるということですので、今、必要なところで全部できているかといえば、これからまだ策定しなければいかぬところがあるし、現に策定作業も進んでいるということでございます。
井上(和)委員 つまりは、非常に合意形成などに時間がかかって大変な面もあるということですね。
 一般的に地区計画ができるのは、どのくらいの時間、つまり、リードタイムがかかるんでしょうか。
澤井政府参考人 地区計画を決定するために都市計画法で定められた法定手続について、時間をサンプル調査で調べてみました。案を作成する段階で土地所有者の意見を求めるという手続に始まりまして、あと、通常の都市計画の案の公告と縦覧、それから都市計画審議会といった手続が必要でありますけれども、こうした法定手続に要する期間は、地区によってさまざまですけれども、先ほど言いましたサンプル調査によりますと、おおむね四カ月から六カ月ぐらいであると承知しております。
 なお、一般的には、この法定手続に入る前に、行政と住民の話し合い、あるいは住民の方々同士の話し合いなどを経て、まちづくりの方向を定め、地区計画の素案、原案を取りまとめることが必要であります。このため、例えば、既に建築協定が締結されていて、みんなでいい町をつくろうという土俵があるような、そういう合意形成の素地が整っているような場合には、一般的に、ある意味では比較的短期間の間に決めることはできると思いますけれども、全くそういうような素地がない場合に、地区計画をゼロから決めようというような場合には、地域のまちづくりの課題とか、それに対する住民の取り組み姿勢などに応じて必要となる期間は異なってくると考えられまして、一概にこのぐらいだということは言えないと思います。
 なお、建築協定が既に決まっていたにもかかわらず地区計画を決めるまでに発意から数年を要した例もありますし、一方で、比較的速やかに策定手続が進められた地区においては、発意から決定までに一年程度で済んだという例もあるということでございます。
井上(和)委員 つまりは、事務手続だけでも四カ月かかっていますよね。住民たちが、自分たちの町はどういう町にしようか、建物の容積率とか、当然用途地域も決められるわけですよね、そういうことを決めていくというのは大変時間のかかる、逆に、時間をかけなければ、トップダウンで、ではこういうふうにしようと例えば自治体が押しつけるんだったら、これはいい地区計画にならないですよね。だから、やはり住民たちと十分時間を費やして話し合いをして、自分たちのどういう町をつくるかということに関して合意形成をしていくというプロセス自体が非常に大事であって、ある程度の多くの人が納得したということによって一つの地区計画ができるからこそいい町ができるんだというふうに私は思うんですね。
 今、建築紛争の中でマンション紛争が非常にふえているんですね。私が今直接かかわっているものでも二つあります。
 前回の委員会で、豊島区で約八十平米の建築面積に十三階建て三十八メートルのマンションができるということ、その例は申し上げました。
 もう一つ、今、私の選挙区の向島でちょうど向島百花園という庭園があるんですよね。その隣に非常に高いマンションを建てるという計画がありまして、その向島百花園というところでは、例年、お茶会をやって月見を楽しむという、下町の情緒のある行事なんかがあるんですが、隣にマンションが建ってしまうと、そういうお月様が見えなくなっちゃう、本来のこれまでやってきたお茶会なんかができなくなっちゃうということもありまして、今住民たちも非常に心配しているんですね。
 つまり、そういったマンション紛争が今かなり大きな問題になっている。これは、地区計画があれば恐らくそういうことはないと思うんですね。特に今の建築紛争、ほとんどが高さの問題ですよね。今の豊島区の例でも申し上げたように、三十八メートルという、本当に少ない、八十平米だからこの半分ぐらいですよね、そこに三十八メートルがぼんと建っちゃうとか。向島の百花園の隣でも同じ。高さが高いから月が見えなくなっちゃうとか、そういう高さの問題が多いですよね。
 この地区計画ができると、高さの制限というのはできるんですか。
澤井政府参考人 高さの制限はできます。
井上(和)委員 ということは、こういう地区計画がきちっとできれば、そういうマンション紛争というのは非常に起こらなくなるわけですね。そうですね。
澤井政府参考人 地区計画によりまして、高さを含む建築物の形態制限等を住民の皆さん、地権者の皆さんがしっかり議論してお決めになり、それに基づいて条例で実際の規制をしていくわけですけれども、きちんと条例を決めるということによって最終的にそういった規制ができるということでございます。
井上(和)委員 つまりは、地区計画ができれば非常にいいということなんだけれども、今回の法律の改正では、容積率の緩和がされる、法律の施行までの期間は六カ月。先ほども答弁にもありましたように、地区計画をつくるにはどう考えてもやはり最低一年ぐらいはかかるという話ですよね。ということは、地区計画ができていないうちに隣にどんどんどんどん、容積率の緩和で、例えば総合設計制度に準じてビルを建てられるわけです。一・五倍に容積率を緩和して建てられるということですね。
 先日の私の質問に対して、今回の改正がいわゆる住環境の悪化とかそういうものにつながる性格のものではないということを三沢局長がおっしゃっていたのですが、今回の改正によって、私はやはり住環境は悪化すると思うんですね。それは確かだと思います。それはもう認めざるを得ないと思うんですね。
 ただ、住民がどこまである程度そういう住環境の悪化に対して許容できるかということが、やはり十分お互いに議論されて納得されていけば、こういうマンション紛争というのは起こらないというふうに思うんですね。
 今回の規制緩和に関しては、第五十二条の七項一号ですか、つまり、特定行政庁が、都計審に提案して、容積率の緩和をする地域を除外することができるというふうになっていますよね。そうですね。正しいでしょうか。
三沢政府参考人 容積率を迅速に緩和する制度等につきましては、特定行政庁が、緩和の程度であるとか、あるいはこの地域を除外するということを定めることができます。
井上(和)委員 私は、ちょっと考え方がおかしいと思うんですよ。つまり、この地域で容積率を緩和しましょう、ではここを指定して容積率を緩和しましょうというんだったら話はわかるんだけれども、容積率を緩和しない地域を市町村が決めましょう、つまり、法律を適用しない地域を決めましょうと。つまりは、この地域、一つの自治体があったら、ほとんどにおいては恐らく今回の改正を適用したいんだということなんですよね。そういうふうに考えてこの法律をつくったわけですね。いかがでしょうか。
三沢政府参考人 今回の容積率制限の迅速な緩和制度というのは、今までの総合設計制度の運用実績を踏まえまして、特定行政庁で今まで審査された基準のうち、定型化、共通化できるものについて法律、政令で定める、こういうことによりまして、建築確認の手続で緩和を受けることを可能にするという性格のものでございます。繰り返しになりますが、あくまで、今までやってきた運用実績の中での定型化という趣旨から今回これを行うということでございます。
 その中身でございますけれども、一つは、住宅について一・五倍にするということでございます。これは、住宅の公共施設への負荷というのは、住宅以外の用途と比べて非常に小さいということを踏まえたものでございます。
 それから、周辺環境の悪化につながるかつながらないかという御指摘がございましたけれども、これは建築物による周辺環境への影響にも配慮をいたしまして、こういう制度を適用できる敷地規模とか空地規模の要件、これも政令で決めるということにしております。
 それから、そういうことに配慮するという観点から、さらに、低層住居専用地域それから中高層住居専用地域は今回この制度の適用となる対象としてはいないということでございます。
 こういうことからいいますと、まさに今までの運用実績の定型化であるという趣旨から、こういう容積率の緩和の基準については、一般的な合理性があるという物の考え方から、法律及び政令に定めるということにしているわけでございます。
 ただ、そういう対象区域とか緩和の上限につきましては、やはり地域の実情に応じたきめ細かい運用ということにも配慮すべき場合もございますので、これを、先ほど申し上げました、特定行政庁が都市計画審議会の議を経まして、区域の限定あるいは緩和の上限値の引き下げができるというふうにしているものでございます。
井上(和)委員 私は、容積率を緩和することが決していけないとか、そういうことを申し上げるつもりはないんですね。ただ、やはり自治体が、まちづくりというものには責任を持って、自分たちが裁量権を持って決めていくということが最も大事だし、先ほど申し上げたように、住環境は絶対悪くなりますよ、隣にぼんとビルができるから。だけれども、そのときに、やはり周りの住民と相談して、ある程度、許容範囲というんですか、ここまで何とか法律でできるんだからやらせてくれということで住民と協議して、住民側も、ある程度はまあしようがないだろうということで妥協すると。そういうふうにプロセスを踏んでいかなければ、やはりいろいろな問題が起きると私は思うんですね。
 今の三沢局長の、今回の、総合設計制度の定型化をしてやっていくということだけれども、はっきり言って答弁にはなっていないんですね。
 つまり、私が聞いているのは、何で自治体が、規制緩和を、容積率の緩和なんかを適用する場所を、自分たちでこの地域この地域だよというふうに決めることができないのかということを私は伺っているんですが、今の法律の組み方では、そうじゃなくて、自治体はこの法律を適用しないポケットを選べというふうにしか私は理解できないんですね。だから、本来の、住民参加の、自治体主体のまちづくりの精神とはちょっと逆じゃないかなということを私は申し上げたいと思います。
 そしてまた、先ほども申し上げましたように、地区計画、精神としては、地区計画制度をどんどんつくってくださいよと一方では言っているけれども、実際には、この地区計画をつくるには一年以上たっちゃう。ところが、法律は、もう六カ月でどんどんどんどん施行されてしまう。それでは、まちづくりを自分たちでしていきたい、地区計画をつくりましょうという住民の意識と、一方、六カ月たったらどんどんどんどんやりましょうという行政の考えとは、非常に乖離がありますよね。融合していないということを私は申し上げたい。つまり、そういう状態なら、恐らく今後、マンション紛争、建築紛争はふえるんじゃないかなということを私は今危惧しているんですね。
 どうでしょうかね、大臣、ちょっと今までの議論をお聞きになって。
扇国務大臣 井上議員の御懸念もごもっともだと思いますけれども、悪い例ばかりを挙げられましたけれども、これが大変うまくいっているところもあるんですね。
 御存じのとおり、大田区の田園調布というのが二十三区内にあります。この大田区の田園調布というのは、平成三年ですけれども、地元の皆さん方で申し合わせまして、そして、みずからの手で地区計画というのをおつくりになったんです。
 それで、その地区計画というのはどういうことかといいますと、これは四つございまして、一つは、マンションの建築を禁止、二つ目は、五十坪未満への土地の細分化を禁止、三つ目には、屋根の色は地区の環境に調和した落ちついた色とする、四つ目には、生け垣または透視できるさくとするというような、これは、皆さん方の申し合わせによって地区計画をおつくりになって、そして現在の町の景観が保たれている。
 やはり、皆さん方の発意によって、こういういい例もあるわけですね。ですから、これが平成三年というので、私も本当にびっくりしたんですけれども、これほど皆さん方が自分たちの町というものを大事にして、みずからの手で地区計画をつくったという例もあるわけです。私は、今、井上議員の御懸念等々もわからなくはありませんし、また現実には、そういう紛争も起こっている事実もございます。けれども、今回は、この法律によって、法案を通していただいて、よりよい、こういうまちづくりの、地区づくりということのいい例もあるわけですから。
 ただし、この一番の問題点は、例えば、今私が例を挙げました、マンションを建築しないということもこの中に入っているんですけれども、そのことによって、みずから、本当は自分の土地を売ってマンションにしたいという人まで縛っちゃうわけですね。ですから、こういう地区計画というものは、むしろ自分の既得権というものも縛ることもあり得るということに関しては、私は、やはり皆さんと話し合うことが一番大事だと思っております。
 そういう意味では、今局長から答えましたように、私は、懸念もあるけれども、いい例があるんですから、より紛争を解決するためには、今回の処置によって前進していただきたいという願望も秘めた法案である、それによって、今のような、現実に起こっている紛争をなるべく避けていきたい、皆さんの発意によって行っていただきたいと思っています。
井上(和)委員 つまり、大臣も、まさしく田園調布がやっているように、地区計画があればいいと、問題は起こらないとおっしゃっているわけですね。だから、私は、地区計画をつくらせろということを今この場で申し上げているんですね。
 法律の施行が六カ月じゃ、地区計画ができない、間に合わない。だから、一年にしたらどうですか。例えば一年にして、それまでに地区計画をつくりなさいと言ったら、恐らく、一年たったら規制緩和でばあっと容積率が緩和されるということがみんなわかっていれば、住民も自治体も必死になって地区計画をつくり出すと私は思うんですよ。
 どうですか、三沢局長、そういうことがないと、地区計画、先ほどお話しになったけれども、都市計画の地域の五%しかできていないという状況があるわけでしょう。だから、それを何とか進めなきゃいけない。それには、今回、すごくいいチャンスなんじゃないですか、どうですか。
澤井政府参考人 ただいま大臣が御披露されました田園調布の例、非常に典型的な例だと思います。
 ただ、先ほども言いましたけれども、地区計画、短いもので発意から一年ぐらいでできたものもありますけれども、例えば建築協定という、建物をみんなで、これは、それこそ協定ですから、住民の皆さんが話し合って、色とか形とか、あるいは生け垣とか、そういうことを決める協定ですけれども、そういう素地があっても、先ほど大臣が仰せのような、自分はこうしたいんだということで、その協定の延長に反対をされる方がいて、協定を恒久的なものとして地区計画に切りかえようという中で、五年とか十年とかかかった例もあるんです。
 それほど権利調整が大変な地区もあるわけでありまして、一年の時間があれば必要なところで全部地区計画ができる、あるいはそのできた地区計画の中で全部マンションが禁止される条項が入るということでは必ずしもないと思います。
井上(和)委員 だから、一年でできなかったら、それでいいじゃないですか。地区計画ができなければ、この法律を施行して、法律どおりにやればいいわけですよ。あくまでも決定権は自治体、住民にあるということなんじゃないか、それが本当に住民自治じゃないかなと私は思うんですね。だから、本当に、これから積極的に自治体が地区計画をつくるように、やはり国としてもやっていかなきゃいけない、真剣にやらなきゃいけないというふうに私は思います。
 時間がないので、話題を変えまして、一昨日の水曜日の当委員会におきまして、我が党の鮫島議員が、シックハウスに関連しまして、微生物汚染、つまり、特にマンションなんかの結露によってカビとかダニが生じて、それが特に子供たちのアトピーの原因になっていると。そして、そういった結露の問題に対して、外断熱という工法があって、それが、結露対策だけではなくて、省エネやまた躯体の耐久性も非常に向上するんだということをおっしゃっておりました。
 それに関連してお伺いしたいんですけれども、私、この結露対策というものは非常に大事だと思うんですね。外断熱がいいのか、今のまま内断熱のままでいいのか、私もよくわかりません。そういった結露対策に関して、もっとやはり国としてしっかりと研究していく必要があると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 先日もこの委員会で、鮫島議員と議論をさせていただき、鮫島議員からもいろいろな提案をされ、事例も出されました。
 問題は、その結露の話なんですけれども、設計段階あるいは施工段階、あらゆるところで専門家が結露しにくくなる方法というのは当然施すべきであろうと私は思っています。また、今お話ございました内断熱工法、外断熱工法、どちらも私はいろいろな利点があり、またデメリットもあるというふうに考えておりますけれども、住宅の省エネルギー基準というのがございまして、少なくとも、その基準というものに対しての適切な対応というのが私は必要だと思っています。
 この中で、冷暖房のエネルギーの消費を減少する観点から、全国を六つの地域に区分して、それぞれの地域ごとに次の基準を決めるというのが住宅の省エネルギー対策の基準でございますけれども、この基準によって、構造等の断熱性に関する基準、それと気密性に関する基準、いわゆる気密材の材料とか気密層の施工の仕方等々ということで、この住宅の省エネルギー対策の基準というのが決められております。
 私は、専門家の皆さん方が、この決められた省エネルギーにかかわる基準というものに住宅金融公庫等の融資の措置というものをとられておりますので、この場合は、結露のしにくい住宅の技術については、必要な研究を深めていきながらその普及を図るということは、そういうことで情報の提供を必ず皆さん方にするということで、私は、この間の鮫島議員との論議の中でも、知り得た時点で資料を提供していこうと。
 そういうことで、それぞれの専門家がそれぞれの御判断によって、メリット、デメリット、両方あるということも勘案しながら、それぞれの町の風土、気象に合った、外断熱なのか、内断熱か、私はやはり地域によっては変わってくると思いますので、ぜひそれは専門家の判断にゆだねていただき、私たちもできる限りの情報公開をいたしていきます。
井上(和)委員 外断熱か内断熱かの話に関しては、ヨーロッパは全部外断熱だと。日本ぐらいが内断熱を使っているということなので、やはりそれは相当研究していく余地があるんじゃないかと思っているんですよね。だから、日本もやはりいろいろな面でグローバルスタンダードというものに今近づいているわけですから、ぜひ今後とも研究をやっていただきたいと、お願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。終わります。
久保委員長 一川保夫君。
一川委員 自由党の一川です。
 続きまして、私は、法律の具体的な中身の質疑はほぼ出尽くした感がありますので、私なりに、この背景としての住宅施策なり住宅地というものについての国土交通省の基本的なお考えについてお聞きしたい、そのように思っております。
 今、若干その資料を配付いたします。平成十三年六月に実施したというふうに書かれておりますけれども、これは、発表になったのはことしに入ってからです。内閣府が調査した世論調査といいますか、「世論調査」という月刊誌、こういう本があるわけです。これは、どういうことの世論調査をこのときに実施したかというのは、国土の将来像について国民の意識を把握するという趣旨です。それを今後の政府の施策に参考にしたいということだと思います。
 この国土の将来像の世論調査、幾つかの項目があるわけですけれども、その中から私なりにちょっと関心のあったところをピックアップしたのがそこに配付した二枚の資料です。
 それは、一つは、理想の居住地域。今現実に住んでいる場所は場所として、もし事情が許せばこんなところに住んでみたいということを含めた世論調査だと思いますけれども、理想の居住地域としてはどういうところがよろしいですかということに対する答え方がそこに整理されております。
 それから、もう一つのテーマといいますか、項目は、老後の居住に関する意向調査ということでございます。これも、仮に年老いてから住むとしたらどのような環境で住みたいか、そういう趣旨の世論調査だというふうに思います。
 そういう二つの項目を私なりに世論調査の中からピックアップして、ちょっと大臣なり国土交通省のお考え方をお聞きしたいわけです。
 これから住むとした場合の理想の居住地域としてはどういうところがいいですかという調査の結果としては、地方圏の町村地域に住んでみたいとする人たちが二三・八%ぐらい、それからまた、その次には、地方圏のその他の市、町村ではないその他の市に住んでみたいというのが二一・七%、それからその次に、三大都市圏の主な都市に住んでみたいというのが一五・四%、というのが大体上位を占めているわけです。
 その調査結果には、過去三回の調査結果のデータも一緒に書かれているというふうに思いますが、今言いました、地方圏の町村なりそのほかの市あるいは三大都市圏の主な都市の数字は、前回よりもそれぞれ上回っているという傾向ですね。こういう結果が一応整理されているわけです。
 これは、先ほども言いましたように、いろいろな、現実に今住んでいるという場所とは関係なく、そういう意向調査をしているわけでして、ただしかし、現在自分が住んでいるところは自分のふるさとですから、どうしても自分のふるさとを何とか環境をよくして住んでみたいという意向は、それは当然大きく出てくると思いますけれども、総体的な数字としてはこういうものが出ているということです。
 それからまた、老後の居住環境に関する意向調査としては、家庭菜園やガーデニングができるような郊外の一戸建ての家に暮らしたいというのが老後生活の居住環境に対する最も多い意向で、五三・一%。それから、野菜づくりなどを楽しみながら農村などで暮らしたいというのが二八・六%ございます。それからその次に、都会のマンションで暮らしたいというのが一四・一%ございます。
 これも、今現実に住んでいる環境と直接関係があるかどうかは、まだはっきり分析はできませんけれども、年老いた場合にはこういうところで生活をしたい、こういう住宅で住みたいという意向だというふうに思います。
 そこで、国土交通省の、前にもちょっと言いましたけれども、こういった白書めいたものが出ております。白書の中にも、当然、これからの住宅なり宅地に関する考え方が、基本的なところはそれなりに書かれているんだろうと思います。
 この概要版を見た限りでは、第三章には、個性ある美しい地域なり国土形成という、各分野ごとの課題を整理してあるわけですけれども、それから第五章には、生活の質の向上を支える豊かな居住とレクリエーション活動の推進というような、大きな柱立てがございます。こういう中で、国土交通省としましても、ぜひ良質な住宅なり宅地の整備、活用を図っていきたいという、二十一世紀の国土交通行政の、この分野に関する基本的な方向づけを一応されているというふうに思います。
 かねがねこの委員会で大臣もいろいろ答弁されている中に、あらゆる国土交通行政の施策のバックグラウンドというか青写真として、しっかりとした国土をデザインしながら、そういうものを下敷きにして物事を進めていきたいというようなお話が大臣の答弁の中によく出てくるわけですけれども、私が言いました、内閣府が一応世論調査と称して調査した項目のこのデータをごらんになって、大臣、どのような感想をお持ちですか。また、こういうことについて、今現在取り組んでいる状況等について、もしわかれば御説明をお願いしたいと思います。
扇国務大臣 一川議員が今、平成十三年の六月に内閣府が実施しましたデータをお配りになりました。
 今おっしゃったとおり、一般的には、地方に住むということも関心が高い、また、老後においてはガーデニングや郊外での生活に対する強い希望がある、こうおっしゃったんですけれども、今一川議員がおっしゃった中で一つだけ例を挙げますと、老後のガーデニングや、あるいは一戸建てで暮らしたいというこの願望の数字の中で一番おもしろいといいますか興味がありますのは、これを希望する男性の一番比率が高いのは、平均では五三・一%ですけれども、一番これの願望が強いのが三十歳から三十九歳の男性が六四%、男性でも七十歳以上になりますと四四・七%に下がっちゃうんですね。そしてまた、女性では、一番多いのは、二十歳から二十九歳の六三・七%が老後はガーデニングや一戸建て。けれども、七十歳以上の女性になりますと、郊外へ出て老後を家庭菜園やガーデニングというと、いきなり三八・六%に下がるんですね。
 これはやはり、年齢差によって、今一番忙しく狭い都内で子供を育てながら住んでいる人は一戸建ての豊かなところへという希望があるし、だんだん年をとってきますと、自分の体も心配だから、一戸建てでは死んでいても気がつかないかもわからないということで、心配で希望が少なくなる。
 特に、最近いろいろなもので、これは内閣府の調査ではありませんけれども、一般の調査によりますと、定年になった途端に暇になって田舎へ引っ込むと余計老けてぼけるという、その率が高いというのも世間では言われている。都内で刺激のあるところに住んだ方が長生きできるという民間の事例もある。
 私は、個々のそれぞれの今までの生活様式によって、やはり願望もそれだけ変わってくると思うんですね。ですから、今の現状の、狭いところで子育てで、本当に一軒家を、庭のある、あるいはゆとりのあるところへ住みたいという願望のある、今の数字で出ている三十代、あるいは女性では二十代から二十代後半というのと、やはり年齢差によってそれぞれの欲望が違うものですから、私は一概に言えないと思います。
 これは、内閣府の十三年度の調査としては私は一定の評価ができると思いますけれども、それぞれの個人の、国民一人一人の願望を聞いていきましてこれだけ差が出てくるということも、私は貴重なデータだと思っておりますので、できれば、いつも私が申しますように、若く働くときには、子供を育てながら職と住とが接近した職住近接で、近いところで働いて、そして、子育てをして、ゆとりができたら少し広いところへ行くというような、やはり家庭というもののあり方、会話のある家庭を持つためには、今は職住が近接している、近くにあるということが私は大事ではないかと思います。
 また、都会型、郊外型あるいは地方型といろいろな形があるので、国土交通省としては、皆さんのニーズに合った、今言った都市型あるいは郊外型、地方型とあって、それぞれが選んで、自分の固定した一戸住宅ではなくて、年代と生活によってこれを変えていくというようなことになるのが一番理想ではないかと思います。
 私は、そういう意味では、平均、いわゆる均衡のとれたそういう分散型の国民のニーズに合うような施策というものが必要ではないかと思っておりますので、国民の一人一人のニーズにこたえることはできませんけれども、国の施策としては、今言った三つの形の生活が楽しめるような、また、職業と年代によってそれを選択できるメニューをおつくりするというのが国土交通省の国づくりの基本だと思っております。
一川委員 大臣の感想はお伺いしました。
 私は、このデータはすべてではないと思いますけれども、それなりに意向調査としては参考にすべきだというふうに思います。
 といいますのは、大臣今おっしゃいましたけれども、年をとるとだんだん若いときの世代に比べて数字が減っているという指摘もありますけれども、ある程度年をとればそれなりに自分の理想の近いところで居住を構えているということも言えると思うんですね。自分自身も若いときはそうだったんですけれども、若いときは狭いところで我慢して、転々と転勤して歩くわけですけれども、そういうときには、やはり自分の将来、何とかこういう環境のいい広々としたところで住んでみたいというのは、だれしも若いときはそう思うわけです。ある程度年をとってくると、だんだん経済的にも余裕が出てきますから、そういうところに、近いところに住んでいる方が多いからこういうデータにもなっているのかなという感じもいたしますので、潜在的には国民の意向はこういうところにあるということを十分配慮した国土交通行政をぜひお願いしたい、そのように思っております。
 そこで、これに関連いたしますけれども、これも私なりに最近いつも感ずることの中に、都会で定年退職を迎えた方々が定年退職後どういう意向を持っているかということを、これは別に世論調査したわけでも何でもないんですけれども、自分なりにいろいろと探ってみますと、都会に住んでいる方、大部分の方は自分のふるさとというのがあるわけです。お盆とか正月になるとそっちへ戻る人がいます。そこで人口を固定したらどうかと言う人も中にはいます。そうしたら人口のバランスがとれるんじゃないかということを言いますが。
 要するに、定年退職した後、完全には自分のふるさとへ戻らなくても、ふるさとに近いところに戻って生活してみたいとか、あるいはそれと同じような環境のところに行って老後生活を送りたいという方は結構いらっしゃるんじゃないかと思うんです。
 でもしかし、自分が現役のころ、都会で生活し、働いておりますから、それなりの刺激があって都会の生活がそれなりに魅力があると言う方も当然いるわけですから、時々東京なり大阪に出てきてかつての友達と会うというようなことも含めて、そういうことを、生活の拠点はどこか自分のふるさとに近い環境で住んでみたいという意向の方が多いんではないかなということで、私は自分の出身地が石川県ですから、石川県の知事なり幹部の方々には、県もそういうことを念頭に入れた施策を展開したらどうですかということを言っているわけです。
 都会で定年を迎えられていろいろな経験を踏まえている方々が本当にたくさんいらっしゃるわけです。そういう人たちが田舎に戻って、自分の経験を田舎の若い子供さんなりいろいろな方々に、それをまたいろいろな面で伝えていくということも、人材育成という面でも非常に重要なことではないかなということを常々思っております。
 そういうことを考えますと、何が一番ガンかというと、やはり住宅をどうやって確保するかということなんです。本当に過疎地域の、人がいなくなった古い住宅を改善して住むという人は、それは相当資金力がないとできません。しかし、そこまでいかなくても、自分のふるさとに近いところ、あるいはそれに似通った環境の地方で定住したいという方に対する住宅政策、そういうものをもう少しめり張りをつけて対応された方が、日本全体のバランスとか、今大事な日本人の人材育成ということを考えてみた場合に、ある面では非常に大事な政策ではないかなというふうに考えるわけですけれども、こういう定年退職後の一つの定住問題ということについての考え方がおありかどうか、そのあたりをお答え願いたいと思います。
    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
扇国務大臣 今一川議員がおっしゃったことは、個人的なことで言ったら恐縮ですけれども、私自身も感じております。
 一川議員は田舎に帰ってとおっしゃいますけれども、私は神戸出身なものですから、神戸は田舎ではないとおっしゃるかもしれませんけれども、今東京に生活しておりますけれども、やはり老後は、私は、背中に六甲山をしょって海を見ながら育ったものですから、そういう環境にどうしても戻りたい。ですから、私も、許されるならばやはり神戸に帰って老後を過ごしたい、海を見ながら過ごしたいなと思っております、その海もだんだん埋め立てられて、今まで見えていた海がずっと向こうの方に行ってしまって、神戸の姿も変わってしまいましたけれども。そういう、田舎でなくても、私は神戸で育ちましたけれども、神戸は都会だとおっしゃいますけれども、やはり神戸に帰りたいという希望は私自身も持っております。
 そういうときに、やはり今の、おまえは高給取りだから自分で買えとおっしゃるかもしれませんけれども、そういう思いを持った皆さん方にも、いわゆるサラリーマンで一生努力した方にも、私は、帰ったときに融資制度というものがなければならないということで、昨年は、いわゆる二つ目の住居、第二のハウスと言ってもいいですけれども、セカンドハウスを買う方にも住宅金融公庫から融資制度を導入しようということもいたしております。
 そういうことで、各地方自治体でも、ぜひそういう面で自分のふるさとへ帰ってくれる人には優遇しようというような案があってもいいなと。しかも、大体ふるさとへ帰ってくるときには老後になって帰ってくるわけですから、その県の出身者の老後の何かすてきな老後施設というものをつくっていただいていれば、その地方に帰ってくる人がどっと多くなるんじゃないかと思っております。
 それは、一つ外国の例を挙げますと、外国の話ですけれども、アメリカの五十州の中で一番気候の変動のないところはどこかというと、やはりハワイだそうでございます。アメリカ人は、老後はハワイに行きたいということで、アメリカの軍に属した人だけは、ハワイにすてきな老後施設がありまして、そこへ入りたいために軍に入るなんていう人もいるというぐらいな話も聞きます。
 そういう意味では、各地方自治体と連携をとりながら、今一川議員がおっしゃり、また私自身も希望しているようなことが、セカンドハウス的に、地方自治体と協力して、税制面、融資面でも、私は両面でできればいいなというのは個人的にも思っておりますので、少し政策に、それが実行できるように考えて努力していきたいと思います。
一川委員 ぜひ政治主導型で行政をやっていただきたいと思いますので、個人的な思いをぜひ政策に反映して、しっかりとした政策として動かしていただきたいと思います。
 今までのお話のように、私は、田舎へというよりも、要するにふるさとへ戻るという意味ですから、そういう面では、どなたも、甲子園の野球が始まると自分の出身地域の高校チームを応援し、また大相撲が始まると自分の出身地域の相撲取りを応援するというのは、これはもうどうしようもないところでございます。そういう面では、ぜひ、一生懸命働いた後、何らかの形で社会に還元するという気持ちを持っている方々もたくさんいらっしゃるわけなんで、その居住の拠点として自分のふるさとを志向するということに対して受け皿的な施策を用意するということも大変大事ではないかなというふうに思っております。
 そこで、もう一点、ちょっと気になることでお伺いしたいのは、今回の法律改正でも、いろいろと建物の容積率等の選択肢を拡大するというような、そういう改正の中身が盛り込まれておりますけれども、そのときにもちょっと話題になりましたように、景観問題というのがございます。
 ここでも話題になったと思いますが、国会議事堂の正面で記念写真を撮ろうとすると後ろに高層ビルが写ってしまうというのが、最近私たち、案内する人から指摘されることもあるし、自分自身もこれは気づいておりましたけれども、ああいうことはちょっと規制した方がよかったのかなということを私は個人的に思います。
 そういうことも含めて、こういった都会の、あるいは市街地の景観というのは、心の安らぎという面からしましても、またいろいろな面で豊かさを感ずるという観点からすると、割と大事な分野だと思うんですね。物事をすべて機能的に、効率的にという時代はあったわけですけれども、やはり町並みをしっかりと保存しながらそういう景観を大事にするということは、ある面では大変大事な課題になりつつあるというふうに思っております。
 私たち、田舎へ行けば、こういう町並みというよりも山全体の景観、そういう景観を大事にするケースが多いわけですけれども、こういう本当の市街地の中の景観問題ということについての今の取り組み状況なり取り組みの方針、そういったところについて、お考え方をお聞かせ願いたいと思います。
澤井政府参考人 美しい景観ということで、例えばヨーロッパのパリですとかそういったところがよく引き合いに出されますけれども、ああいった地域の景観というのは、百年、二百年続いた伝統的な町並みを大事にしようという国民的な合意がまずベースにあると思います。
 一方で、我が国の今の都市というのは、建物でいいましても九五%以上は戦後、第二次大戦後にできたという意味で、ほとんど戦後の町並みと言っていいと思います。そういう意味で、望ましい景観の形成に向けた幅広い合意とか国民的なコンセンサスは、現在は十分にそれが存在していると言えない状況だというのが実情だと思います。
 都市における良好な町並みや景観の形成のためには、自治体、住民、企業など多くの関係者の意向を集約しまして、あらかじめ目指すべき景観像についての幅広い合意形成を図り、それに基づいた明確な建築のルールを確立するということが基本的に大事だと思っておりますので、そういったことの実現に取り組んでいきたいと思っております。
 そのための手法といたしましては、都市計画によります美観地区、高度地区、あるいはしばしば出ております地区計画といったような仕組みがございますので、それぞれの地区の事情に応じて適切な手法を組み合わせて活用することが期待され、また、その事例も着実に増加していると考えております。例えば京都では、伝統的な景観の保全を支持する市民のコンセンサスをベースにいたしまして、都市計画で美観地区を決め、美観地区に基づいて条例を決めて、建物の規制をしているという実情もございます。
 こうした取り組みを今後とも一層促進していきたいと考えております。
一川委員 そこで、大臣にも先ほど若干これからの住宅施策の考え方をお聞きしたわけですけれども、今、国土交通省も、基本的には住宅の総数は世帯数を上回ってきているというこの現状の中で、そうかといって、いろいろなミスマッチの中で、もっと住宅あるいは住宅地の質を向上していかなければならないという課題は、当然に問題意識を持っていると思います。
 そういう中で、いろいろな施策をこれから展開しようとする意気込みが、こういう中にも書かれておりますけれども、扇大臣もそういう思いはいろいろとあろうかと思います。これからの経済社会、ちょっと先行き読みづらい世の中でございますけれども、こういう時代のこれからの住宅政策、それから、少子高齢化という一つの人口・年齢構成がだんだん変わっていくという中で、これからの住宅政策に対する大臣の基本的なお考えをこの機会にちょっと確認しておきたいと思います。
扇国務大臣 今、一川議員がおっしゃいましたように、戸数面では、事実、仰せのとおり、今既に充足しているというのが現実でございます。ただ、戸数が充足していても、満足度はあるかというと、私は、これはない、数だけあって中身がない、ないとは言いませんけれども、不足しているというのは、まだ現実だと思っております。
 そういう意味では、私は、今回、三大都市の借家の世帯の一戸当たりの平均の床面積、これが現在は四十一平方メートル、平均の床面積の二分の一以下の水準になっているわけですね。それだけでも問題だと思いますし、特に大都市圏の借家を中心に居住水準の立ちおくれがあるというのは御存じのとおりでございます。これを何とかしていかなければならぬ。
 特に、今最後に一川議員がおっしゃいましたように、二〇一五年においては、高齢者のいる世帯は全世帯の約四割になるわけでございますので、そういう人たちには、私はいつも二十一世紀は環境とバリアフリーの世紀だと言っておりますので、あらゆる意味でバリアフリーを完備しなければいけない。今バリアフリーがどの程度住宅で進んでいるかというと、まだ三%にしか達しておりません。これも、今一川議員がおっしゃった老後の住まいということに関しては、バリアフリーがまだ三%だというのも、諸外国に比べて寂しい限りだと思います。
 今後は、世帯数が、家だけは、数だけは足りていますが、中身がということになると、今言ったようなことをぜひ補充していかなければいけない。また、今後は、質の高い住宅を安心して売買できる市場の整備というものが私は必要だと思います。年をとって買いかえたいと思っても、自分のところの価値が下がって、新しいものが高過ぎる、より狭いところになってしまうというのでは困るということもあります。
 また、二つ目には、バリアフリー化された住宅の供給がまだ足りないのではないかというのが二番目でございます。
 三つ目には、地域の特色を生かした個性豊かな住宅整備をしなきゃいけないというのは、先ほどからの一川議員との論議でおわかりのとおりでございます。
 四つ目でございますけれども、最後には、公共の賃貸住宅の建てかえにおける保育所等の併設の促進。これは、いつも私が言っておりますように、お年寄りと子供とを、なるべく福祉施設と保育施設を一緒にして遊び場を一つにすれば、お互いの交流があって、お年寄りも若さが出てくる、子供たちはお年寄りを大事にするということが日常体にしみてくるということで、公共の建物の中には老後施設と保育施設を一緒にして、遊び場を一緒にしようということにも努力していきたい。私は、それが今一番公共的に我々ができることだと思って、促進しようと思っております。
    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
一川委員 一応質問時間が終了いたしましたので、いろいろな問題については、またこの次の機会があれば質問させていただきたいということで、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
久保委員長 瀬古由起子さん。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 私は、きょうはハートビル法の改正案についてお聞きしたいと思います。
 今回のハートビル法改正案については、一定の前進があり、評価できるものだと考えています。しかし、一九九四年に施行されたハートビル法は、その後七年間に新築された二千平米以上の建築物においても達成率が七割にすぎないという、実効性の乏しい法律になっています。これらへの批判の高まりから、今改正案では、二千平米以上の特定建築物のバリアフリー対応の義務化がされたわけでございます。
 我が党は、幾つかの問題点が本法案にあり、したがって修正案を提出する予定です。その項目を中心に質問させていただきたいと思います。
 まず第一点、大臣にお伺いしたいと思うんです。
 国土交通省は、高齢者、障害者等の社会参加を促すための施策を進めてきました。しかし、高齢者や障害者などの移動弱者の社会参加を権利として認めることは世界的な流れとなっていると思うんですね。今回、高齢者、障害者等の社会参加を権利として保障することを法律の目的に明記されないのは一体なぜでしょうか。その点をお伺いします。
扇国務大臣 今のお話なんですけれども、すべての人たちが社会参加するというのは、もうそれは基本的にはだれも異を唱えるところではなくて、私は総意だと思っております。
 今おっしゃったことは、そのために、高齢社会対策基本法及び障害者基本法において、社会参加の確保が基本理念としてこれは規定されているわけですね。例えば障害者基本法におきまして、第三条、これは読ませていただきますけれども、「すべて障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。」これが基本理念として規定されているわけでございます。
 そういう意味では、今回のハートビル法は、これらの基本法の基本理念を建築物の分野において実現するために、高齢者でありますとかあるいは身体障害者等々の皆さん方が、健常者とともに円滑に利用できるように、建築物の建築を促進することを目的とするというのは当然のことでございますので、私は、基本理念を具体化していく上で必要かつ有効な施策の一つであるというふうに考えております。
瀬古委員 あらゆるところに参加をする、そして利用するという問題は、そういう機会が与えられるということは当然なんですけれども、それはどこから来ているのか。それはやはり、高齢者や障害者の社会参加が権利であるというところの位置づけをきちっとするということが私は大事だというふうに思っています。
 ですから、例えばそういう基本精神がきちんとしていないと、法律は改正された、しかし実際には、障害者が盲導犬を連れてホテルに入ったら断られるとか、こういう事例が起きているわけですね。その点は、私はきちっと位置づけるべきだというふうに思っています。
 そこで、第二問目なんですけれども、もう一度大臣に伺いたいと思うんですが、建物はバリアフリーにはなりました。しかし、道路の段差解消は実際にはまだ不十分だ、こういう問題がございます。その点でやはりそごがないようにすべきだというふうに私は思うんですけれども、交通バリアフリー法に基づく対策と連携して今回行う必要があるというふうに思うんですけれども、伺います。
扇国務大臣 それは瀬古議員のおっしゃるとおりだと思います。両々相まって初めて皆さん方が健常者と同じような生活ができるというのは当然のことでございます。
 この交通バリアフリー法というのは、もともとこの交通バリアフリーを考えましたときに、これは平成十二年ですけれども、当時の建設省、そして運輸省、警察庁、自治省、この四省庁の共管で当時の交通バリアフリー法をつくったわけでございます。当時から、今申しました、国土交通省のもとになっております建設省と運輸省が四省庁の中に当然一緒に入っておりまして、国土交通省になったらより便利になったというわけでございます。
 そういう意味で、少なくとも我々は、国土交通省になって統合されたために、今まで決めております交通部門のバリアフリー施設と建設部門のバリアフリー化というものが一緒になったために、私は一体になって本当によかったと思っておりまして、今、瀬古議員がおっしゃったように、両々相まってということで、私たちはより推進できる、また迅速にできるというふうに考えております。
 もともと四省庁の中の二つが一緒になったということをぜひ御理解いただき、また、これで我々は、交通バリアフリー法の関係部門と十分に調整を図った上で、今回もこの法案を、ハートビル法を提出させていただいておりますので、この改正法案の成立後には、交通バリアフリー法の基本方針を今回の改正を踏まえたものに変更するということを既に決定しておりますので、ぜひ両々相まつように御協力も賜りたいと思っています。
瀬古委員 今回、バリアフリーの義務づけを二千平米以上の建築物に限定しています。しかし、二千平米以下でも、学校だとか公民館、体育館等公共の施設は、現在、防災施設にもなっているところがたくさんございます。こういうところはバリアフリー化をすることが不可欠だというのは、私は阪神大震災の教訓でもあると思うんですね。その点で、私は、公共的な建築物にはすべて義務づける必要があるのではないかというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。
三沢政府参考人 今回の改正案におきましては、公共的な建築物を含む不特定多数の方が利用される建築物等につきまして、二千平米以上の建築を行う場合にバリアフリー化を義務づけるということにしておりますが、その理由でございますが、やはり二千平米以上の建築工事というのは、従来から都道府県知事の指示対象ということで、バリアフリー対応が相当進展してきている。一方、二千平米未満は、やはりそこの適合状況が依然として低いというような状況、それから、やはり大きい建築物の方が、一般的に言いますと、利用者が多くてバリアフリー対応の必要性が高いと言えるということです。それから、設計上の工夫の余地、あるいはコスト面の吸収可能性という面から見ますと、やはり大きい建築物ほどその辺が工夫の余地等が大きいということがございます。
 そういうことから、二千平米以上の新築、増改築に限ってと、一律のバリアフリーの義務づけについてはそういうものにしておりますけれども、今回、新たにその地域の実情に応じましてバリアフリー対応が推進できるように、公共団体が条例で義務づけの対象となる建築物の範囲を拡充したり、あるいはその規模を引き下げるということもできるようにしておりますので、こういう条例が十分活用されるように、私どもも公共団体に対しまして今回の法改正の趣旨を周知徹底していきたいというふうに考えております。
瀬古委員 この問題は地方任せではなく、ぜひ国としてもきちんとしたスタンスを持っていただきたいと思います。
 そこで、国や都道府県は、円滑化基準を満たす建築物、認定建築物の割合に年次と目標を持って計画的にバリアフリーにしていくということが大変大事だというふうに私は思います。やるだけやるぞというんじゃなくて、ちゃんと計画的につくっていく。
 今回、目標や計画の策定を行わなかったのはなぜでしょうか。とりわけ、国が管理する官庁施設のバリアフリー化の実情と、そして目標や計画はどうなっているんでしょうか。
春田政府参考人 国の庁舎につきまして、バリアフリー化の目標、計画についてお尋ねがございました。
 国土交通省では、大分古くなりますけれども、昭和四十八年度から、新築の庁舎に、そのうち特に車いすの利用者の来庁が見込まれるような公共職業安定所、労働基準監督署等を対象にいたしまして、障害者用のトイレ、玄関の自動扉、玄関の前の段差を解消するためのスロープの整備、そういったものを開始しております。その後、対象を一般庁舎などに拡大するとともに、昭和五十二年から既存庁舎の改修にも取り組んできております。その結果、現在では、ほとんどの庁舎におきまして、これら障害者用トイレ等の整備は行ってきたところでございます。
 また、平成八年度からは、従来の整備のほかに、既存の低層庁舎へのエレベーターの整備等、一層のバリアフリー化の進展を図っているところでございます。平成十三年度までに、二千平方メートル以上の低層庁舎全百十施設につきまして設置を完了しております。
 平成十四年度からは、千平方メートル以上の低層庁舎につきましても、計画的に、できるだけ早期に整備することとしておりまして、今年度は約四十施設についてその整備を行う予定としております。
瀬古委員 計画的に、早期にという場合は、一体どれぐらいの年度で達成し終わるのか、二千平米以下の問題についてもどういうふうに考えていらっしゃるのか、その辺の計画的な中身はどのように御検討なさっていますか。
春田政府参考人 今後、整備すべき施設につきましてはおおむね百五十施設だというふうに想定しておりますので、今年度、四十施設でございますので、四年ぐらいかかろうかというふうに思っております。
瀬古委員 この問題は、国土交通省が法律までつくって進めているわけですから、ぜひその計画も前倒しして大いに努力していただきたいと思います。
 では、学校、幼稚園の関係などについて伺いたいんですけれども、学校や幼稚園などの建築物については、既存の建築物も含めて、やはり計画的なバリアフリー化が必要だと私は思っております。公立学校におけるバリアフリー対応設備の整備状況と、文部科学省のバリアフリー対策の今後の目標と計画はどのようになっているんでしょうか。
小田島政府参考人 お答えをいたします。
 学校施設につきましては、もちろん障害のある児童生徒も支障なく学校生活を送れること、それから、先生も今御指摘になりましたけれども、災害時には地域住民の避難場所になったりしますので、学校のバリアフリー化は大変重要な課題だと認識しております。
 現在のバリアフリー化の状況についてのお尋ねでありますけれども、バリアフリー化しました公立学校の数につきましては、平成十三年度の調査によりますと、全国の公立の小中高、特殊教育諸学校三万九千三百九十一校のうち、約五三%の二万九百三十四校において、スロープ、エレベーター、障害者トイレ等の何らかの整備がなされているところでございます。
瀬古委員 今の、今後の目標と計画は。
小田島政府参考人 まだ目標というふうに具体的には定めてはございませんけれども、学校施設は、市町村やあるいは学校法人等、さまざまな形の設置形態がございますので、今直ちに国として目標をつくるという状況になっておりませんが、バリアフリー化は非常に大切な課題ですので、検討してまいりたいと思っております。
瀬古委員 今、文部科学省が全体では五三%と言われたんですけれども、バリアフリーの設備設置校数というのは、エレベーター、自動ドア、スロープ、障害者トイレなど、何らかの設備が一つでも整備されていたらカウントされる、こういう数値なんですね。ですから、私は、それでも今子供たちが通う学校で五三%というのは低過ぎると思うんですね。そして、実際には、子供が通うだけでなくて、今、例えば障害者の先生が教鞭をとられるということも含めて、このバリアフリー化というのは急がなきゃならないと思います。
 障害者と障害者じゃない子供たちが一緒に学ぶということは、ある意味では、障害者に対する配慮といいますか、そういう問題なども十分学ぶとてもいい機会だと思うんですね。そういう意味では、障害のある子供たちがそこで一緒に学んでいくということは、教育的にも大変大事な問題だと思うんですね。私は、この目標が、やはり今の実態が低過ぎる。そういう意味で、きちんと計画を持って進めていただきたい。
 それで、なぜ学校のバリアフリー化が進まないのかなと今思っているんですが、補助対象の事業が、これは文部科学省でいうと、一千万円以上となっているわけですね。国の補助が、新増築で二分の一、改築が三分の一、大規模改造が三分の一ということで、地方自治体としても大変重い負担に実はなっている。そういう意味では、私は、バリアフリーのこういう補助対象がありますよといっても、実際には地方自治体がなかなか手を出せないという状況もあるのではないか。そういう意味では、もっと国のそういう援助の制度を改善する、そして学校のバリアフリー化を促進するということが大事だと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
小田島政府参考人 現在、先生御指摘のとおり、新増築事業では二分の一、それから改修、改築の場合には三分の一という補助率になっておりますけれども、これはやはり国と地方との負担の関係、あるいは基本的に小中学校は主に市町村が設置するということから定められた補助率だというふうに理解しております。
瀬古委員 このバリアフリーの問題は急がなきゃならない問題ですので、世界的な大きな流れでもあり、ぜひ検討し直していただきたいというふうに思います。
 そこで、厚生労働省にも来ていただいています。
 保育園、特養ホームなど福祉施設や国立病院などの建築物についての既存建築物も含めて、計画的なバリアフリー化も必要だと思います。
 保育園や学童保育所などは、一応、例えば障害児保育という形で、一定の、ほんのわずかですけれども、制度化された部分があるのですが、実際には、設備改善はそのままの状態で、園舎の新築とか増改築のときにしか対応できないで、大変現場は苦労しています。
 福祉施設や国立病院などのバリアフリー化の今の現状と、新しいニーズに応じた今後の計画というのはどのようになっているでしょうか。
真野政府参考人 高齢者や身体障害者などが地域で生活をしていただくということのためには、建物のバリアフリー化を進めていくことは重要でございまして、社会福祉施設においても同様であるというふうに考えております。本来、社会福祉施設は高齢者や身体障害者などが利用するものでございまして、個々の施設の入所者などの特性に応じまして、手すりやスロープなどの必要な構造設備や職員の配置などについて基準が定められておりまして、私どもは、それによりましてバリアフリー化が図られているというふうに考えております。
 御指摘の障害児保育の関係でございますが、これも、先生御指摘の、改築、新築のときだけではなくて、新たに障害児を受け入れるためには、改修その他の場合の補助もございまして、そういうようなものを利用して対応をお願いいたしております。
 今回のハートビル法の改正の趣旨も踏まえまして、今後とも、利用者側がより利用しやすい施設にしていきたいというふうに考えております。
瀬古委員 例えば理髪店とか美容院など、小規模なお店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアなども含むんですけれども、特に中小零細業者にかかわる特定建築物のバリアフリー化の対応への修繕、模様がえなどの補助、融資などの支援措置の拡充は、今回検討されているでしょうか。
三沢政府参考人 中小企業におかれましてバリアフリー建築物を整備する場合に、中小企業金融公庫それから国民生活金融公庫による認定建築物に対する低利融資制度というものによりまして支援を行うということにしております。
 それから、二千平米未満の建築物については今回公共団体の条例により義務づけ対象に加えることができることになっておりますけれども、多くの地方公共団体におきまして、二千平米未満の建築物も対象として補助、低利融資あるいは利子補給等の独自の支援制度を設けるところがございます。こういう、やはり地域の実情に応じたバリアフリー対応ということも大変大事でございますので、今後とも、そういう取り組みを推進するよう、そういういろいろな取り組みをしている事例なんかにつきましても、各公共団体で情報として入手し、お互いに情報が共有できるように、きちんといろいろな助言に努めてまいりたいというふうに考えております。
瀬古委員 この問題も、中小業者がこの不況の中で努力して、何とかバリアフリー化をしようということで企画してそれを実施しようとするわけですから、そしてまた、そういう小規模の改築というのは、その地元の建設業の仕事をふやすということにもなると私は思うんですね。そういう点では、地方自治体任せにしないで、ぜひ国も積極的な改善策を打ち出していただきたいと思います。
 次に質問いたします。
 円滑化基準、円滑化誘導基準を策定する際に、パブリックコメントを初め、高齢者や障害者等移動弱者の声、またはNPOなど多くの関係団体の意見を幅広く聞くことが必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。
三沢政府参考人 先生おっしゃいますように、やはり利用者となられる高齢者、障害者の方々を初めとして、幅広い意見を聞いていくということが大変重要であるというふうに認識しております。
 このため、この基準の基本的な考え方につきましても、高齢者、障害者関係団体の方々も委員となっておられる審議会におきましていろいろな御意見を聞いておりますけれども、今後、基準の具体的な原案につきましても、パブリックコメントを行った上で、さらに高齢者、障害者関係団体の方々も入った関係者の意見を聞く場を設けるということによりまして、そういう意見を踏まえた適切な基準を定めるということにしてまいりたいというふうに考えております。
瀬古委員 障害者団体などが全国的な集会を開く場合に、宿泊に困るという実情がございます。しかし、ホテルや旅館などが滞在型の宿泊施設として特定建築物にはなっておりません。アメリカなどでは、ホテルなどについて部屋数の一定割合を障害者等が円滑に利用できる部屋として確保しているという場合もございます。このような障害者が利用しやすい措置を情報提供を含めて講ずることが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
三沢政府参考人 ホテルの客室の内部のバリアフリー化につきましては、現状で申し上げますと、例えば二千平米以上の新築の場合でも、まだそういう客室を有するホテルの比率というのは三割程度ということで、対応が十分浸透しておりません。また、そういう客室を設けた場合になかなか障害者の方々が実際に利用する頻度は必ずしも多くないんだ、そういうホテル側からの声もあることは事実でございます。
 ただ、現実に、やはり車いす利用の方の一八%が、宿泊施設等におけるバリアフリー対応に関して事前の情報がないということを旅行断念の理由として挙げられているということなど、やはりバリアフリー対応となっていないことがこういう障害者の方々の利用を妨げる非常に大きな要因になっているんじゃないか、そういう意味では、やはり客室内部のバリアフリー化も極めて重要な課題であるというふうに考えています。
 このため、ハートビル法に基づきまして認定を受けたホテル等に対しましては、一つは低利融資等の支援、それから障害者等に配慮した客室の設計事例などを設計ガイドラインとして設計者に広く周知しまして、そういうバリアフリー対応の推進に向けた環境整備を図るということもやっていきたいというふうに考えております。
 それから、情報提供あるいはソフト面の対応という面につきましても、高齢者や身体障害者の方々が利用しやすいように、例えば日本観光協会におきましてもこういう高齢者、身体障害者の方々に対する従業員によるサービスの提供などを示したモデルガイドラインというのも作成しております。こういうこともまたきちっと周知しながら、ソフト面での対応も推進してまいりたいというふうに考えていますし、さらに、宿泊施設のバリアフリー対応状況につきまして、現在百を超えるようなチェック項目がございますが、これについて整理を進めておりまして、これも早急に取りまとめまして、利用者のサービスの向上を図ってまいりたいというふうに考えております。
瀬古委員 法律が制定されましても、運用の段階で本当にハートが伴うかどうかということがあるんです。特に最近は、建築確認の民間開放が行われているために、建築物の確認検査が建築基準法に照らして問題がなければゴーサインを出してしまうという例がございます。行政の関与する機会が大変少なくなっているんですね。
 ぜひ、バリアフリーについては行政がチェックできるように対応すべきだと私は思うんですが、その点、いかがでしょうか。
三沢政府参考人 今回、ハートビル法に基づきまして義務づけられるバリアフリー基準につきましては、これは建築基準法に基づく建築確認対象法令に位置づけられるということでございます。そういたしますと、建築基準法に基づく建築確認申請がなされた場合には、これは建築確認申請を特定行政庁にした場合であっても、それから民間の指定検査確認機関になされた場合であっても、同様にきちっとその設計内容が基準に適合しているかどうかの審査を行って、適合していないときは建築確認をおろさないということになりますので、そこは民間の建築確認であってもチェックはきちんとなされるということになるわけでございます。
瀬古委員 現在の建築確認申請でも、行政がチェックする場合と民間がチェックする場合と、かなり問題があるというふうに言われています。そういう点では、私は同じ目でチェックができるかどうかというのは少し疑問に思っています。
 そこで伺うんですけれども、今回、誘導基準に適合すると、都道府県の許可を経ずに自動的に容積率ボーナス、上乗せが認められます。容積率は、周辺の日照や風などの自然環境など、良好なまちづくりを勘案して定められているものです。自治体の許可が必要な容積率緩和措置が既にあるのに、どうして行政のチェックなしのバリアフリーの誘導措置を今回つくるんでしょうか、その点を伺います。
三沢政府参考人 ハートビル法の中で従来から設けられております容積率の特例は、これは特定施設、特定施設と申しますのは出入り口とか廊下、階段、エレベーター、便所等の施設でございますが、そういう特定施設の床面積が通常に比べて著しく大きな建築物を対象にしまして、特定行政庁が許可した場合に容積率の特例を適用するというものでございます。
 今回の改正によって導入される特例は、まず、対象は認定建築物ということで限定いたしまして、そういう場合について従来からの特例措置の対象の中で定型化できる範囲について、審査会の同意あるいは特定行政庁の許可なくして容積率に不算入とすることができるという措置をとったものでございます。
 それで、例えば公共施設への負荷という観点から申しますと、不算入とできる部分というのは廊下とか階段とか便所、例えばエレベーターなどを身体障害者の車いすが回転できるような面積にする、そういうような対応のために必要になる床面積の増加部分ということでございますので、こういうことによって、いわゆる公共施設への負荷というものがふえるものではないというふうに考えております。
 それから、これは当然、床面積の増加によって周辺市街地環境に著しい影響が及んではいけないということで、今回、不算入とできる面積の上限を政令で定めるということにしているものでございます。
瀬古委員 時間が参りました。
 今回の審議を通じて、今、規制緩和がどんどんやられて環境が破壊されている。その上、一定の制限があるといっても、例えば大規模な建築物になれば、はみ出し部分でもさらに一定の悪影響が考えられます。今後そういう点での改善が必要だと私は思います。
 以上指摘して、質問を終わります。ありがとうございました。
久保委員長 保坂展人君。
保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 今回の建築基準法の一部改正に当たって、実は、改正される前から規制緩和が着々と進んでいまして、私の活動する世田谷区などではマンション紛争が多発しています。
 実は、先週の日曜日、東京都立大学の跡地に行ってまいりました。ここは世田谷区深沢の住宅街、都立駒沢公園、大変緑深い公園の隣でございます。こちらに四万平方メートルの大変広い学びやがあったわけですが、ここを東京都が長谷工コーポレーションなどの企業連合に売却をいたしました。二百六十五億円という値段で売却したんです。
 さて、周辺は極めて静かな住宅街でございまして、一種、二種という住居地域が広がっています。そういう中に、住民はその計画を知って驚くわけですが、ここに八棟、最大で地下二階、地上十九階六十メートル、七百八十三戸という大マンション群ができる、こういう状況になっているわけなんですね。
 これは、東京都立大学は学園ですから、周りは一種、二種の住居専用地域ですが、学校施設だったということで中高層住居専用地域の指定が解除されていなかった。したがって、この十九階建てということも合法的に建てられるんだというのがディベロッパーの主張なんですけれども、近くの自由通り沿道などには東京都の都市計画法による地区計画がかけられていて、十二メートル制限という制限もある。明らかに、あの近辺でいうと静かな住宅街があり、駒沢公園がありというところに十九階建てかという衝撃が走っているわけなんです。
 そこで、国土交通省に伺います。
 現在の長谷工コーポレーション、決して健全な財務体質じゃないというふうに聞いているんですね。三年前に三千六百億円の債務免除を受け、またことしも千五百億円、負債の株式化という形。それから、ゼネコン業界で初めて産業再生法の適用を受けて、五年間に利益を一・五倍ですか、利益を上げなければいけないという中で、かなり強引な工事が行われているんじゃないかという、住民多数からそういう声に私は当たったわけですが、現在の長谷工の状況というのはどういう状況ですか。
三沢政府参考人 申しわけございませんが、建設産業を直接担当しておりませんので、詳細は把握しておりませんが、今先生がおっしゃられましたとおり、産業再生法の申請中であるというふうに聞いております。
保坂委員 もう少し大きな声でお願いします。
 産業再生法の初適用ということで、利益を上げなければいかぬということでひた走っているわけですね。
 例えば、当初、東京都立大学理工学部ですからかなり大きな建物群があった、これを半年かけて壊すという予定が、どうも三カ月に圧縮されたらしいんですね。早くやらなければいかぬ、利益を上げなければいけないというので、かなり派手な解体作業が行われて、この静かな住宅街にダンプが続々来て、ジャイアントブレーカーでがんがんぶち壊している。要するに、広いところですから同時にがんがん壊せるわけです。この委員会で先日、原議員が質問中に地震がございましたが、この地震も住民の皆さんはわからなかったというぐらいの振動だ。
 現在いろいろな工法がございまして、コンクリートの構造物にドリルで穴をあけて、膨張剤を注入して解体を促していくような静的破壊工法などがございますね。
 産業再生法初適用ということで、いわば利益を上げろという縛りの中で、公的資金も導入されている、そういう中で、まず工事の段階からもうそういう被害が周辺で起きている。このことについて、いかがでしょう。
三沢政府参考人 解体工事につきまして、その騒音とか振動についてどうかということでございます。
 これは騒音規制法それから振動規制法に基づきまして、一定の事前の届け出であるとか、あるいは一定基準以上になればさらに勧告をするとか、そういう一連の手続が規定されております。これに基づきまして、この施工者の方では、既にこの法律に基づく特定建設作業の実施の届け出というのをしながら工事を進めているというふうに聞いております。したがいまして、これにつきましては、それぞれ騒音規制法あるいは振動規制法の規定によりまして適切な対応が図られるべきものというふうに考えております。
保坂委員 具体的にお聞きしますが、先日、原議員は質問をしながら、地震でこれ以上揺れたら、ちょっと机の下に隠れなければいけないかなというぐらい、やはりこれは大きな地震だったと思います。その地震が体感できない振動というのは、国土交通省の方で、やはり相当の振動被害と見ていいんじゃないですか。いかがでしょう。
三沢政府参考人 先生がおっしゃられるような、例えばジャイアントブレーカーを用いるというような場合につきまして、これは振動規制法の中で特定建設作業という作業に当たるというふうになりますので、当然、この法律に基づいてしかるべき対応がとられるというふうに考えております。
保坂委員 それでは、佐藤副大臣にちょっと伺いたいんですけれども。
 現在、これは東京都立大学だけではないんですけれども、例えば東京都内にある官舎、国家公務員の官舎であるとかあるいは企業の社宅、こういうところが続々売却されております。長い間周辺の環境と調和しながら、例えばこの場合は、都立駒沢公園という、公園自体が町の中心になり、イメージを形成しているような場所に隣接する都立大学、それにマンション群がぼんとできてしまう。これは、ゼネコンが財務体質を回復するために利益を上げなければいけないという問題はもちろんあるわけですが、しかし、それは、周辺の住民としっかり環境の面でも調和をとるということが必要だと思います。
 また、マンションが今続々と建設されておりますので、現在売れ行きはまだ好調ですけれども、しかし、完成時点でマンション市場が飽和をしてなかなか売れないということになると、産業再生法初適用の長谷工自身もまた新たな不良債権を抱える、それを銀行が処理できなくなるという危険もあるわけで、これは一民間企業の問題じゃないんです。
 副大臣に、こういった声が上がっていることについて、見解を問いたいと思います。
佐藤副大臣 最近の東京都の人口動態を見てみますと、非常に変わってきていまして、転入者数、転出者数とも、ピーク時は年間六十万人あったんですけれども、最近は、転入、転出とも三十万人ぐらいとなってきまして、一九九〇年代の後半からこうした状況に大きな変化があらわれまして、これを見てみますと、転入者数は横ばいから微増にとどまっておりまして、平成九年に転入が転出を上回るという傾向が出てきております。
 しかし、一方において、転出が非常に多かった時代に、郊外に住みましたから、通勤をする方々が、一時間半圏にある方々がまだまだ多いんです。昭和五十年には一時間半圏から通う方が一七・六%でしたけれども、一番多かったのは平成七年ぐらいですけれども、二四・九%でした。まだ依然として、今、二二・五%というふうに、非常に高い数字であります。こういうことを考えてみますと、都心に高層マンションができたり賃貸マンションができたりするのは、そういうことを見ながらやっているんだと思っております。
 ですから、今、私たちが都心で良好な住環境を確保しながら、そして、入居者も、できる限り安く、余り高いマンションだとか高い賃貸マンションがたくさんできたって住めないわけでありますから、結局、先生がおっしゃったように、空き家になっちゃって不良債権化していくわけでありますから、そういう意味で、市場においての適正な価格を維持できれば、今の人口の動態を見てみますと、入居者は十分に確保されていく、そう考えております。
保坂委員 例えば、今、高層マンションに少し人気が出てきて、海辺ですとか川沿いなどに、東京でもできていますよね。諸外国を見ても、高層住宅は高層住宅で、ある地域でまとまってある、住宅地は住宅地で、低層の住宅地が穏やかに広がっているというのが、大体町並みですよね。
 それが、駒沢公園があって、全部一階、二階建てぐらいの住宅地に、突然十九階建てができてしまう。しかも、これは今回の改正前の話ですから、今後、いわゆる公有地の売却に伴って、そういうことがどんどん起きてきやしないか、これは非常に大きな懸念がございます。
 そして、法案の内容にちょっと進みたいと思いますが、局長にお答えいただきたいんですが、例えば、今回斜線制限が緩和されますよね。斜線制限の合理的な緩和ということがございます。それから、日影の規制についても、これも地上六・五メートルですかが選択ができるという形で、これも緩和されるわけですけれども。そもそも、斜線制限や日影規制が何を守ってきたんでしょうか。どういう役割をこれまでの建築物の中で、人々の暮らしの中で果たしてきた規制なんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
三沢政府参考人 まず、斜線制限と、いわゆる日影規制と、それぞれ違うわけでございますけれども、斜線制限は採光、通風等の確保を図るということを目的にしているということでございます。それから、日影規制につきましては、建築物の北側における日影時間を規制して地域の日照等の環境を確保するという目的であるということでございます。
保坂委員 これは、御承知のように、自然にできたわけじゃないんですよね。マンション紛争あるいは日照権裁判、あるいは太陽を取り戻せというような住民運動、さまざまな声が建築基準法の中にも入ってきて、こういった規制として機能してきたんだと思います。
 そこで、前回の原議員とのやりとりで、局長は、いわゆる斜線制限も、採光、通風等が確保されれば割り増しが認められる、この「等」が、一体この中身は何ですかという質問に対して、これは開放度、開放性を示すんですというふうにお答えになっている。そして同時に、原議員の方が、では、日照や市街地景観や高層建築物の圧迫や眺望、その他いろいろあるでしょうと、町並みですとかね、こういうことは含まれていませんというふうに答えていられるんですよ。
 そこで伺いますが、開放度、天空率で見る開放度という以外に、建物がそびえ立つ圧迫感ですとか、あるいはそこからのぞかれるプライバシー侵犯の問題であるとか、あるいは先ほど言いましたように、住宅地の中に突然二十階建てのマンション、これは全体の地域の調和が壊れるなとか、こういうもの、あるいは自分の家から見えていた富士山が、十九階建てのマンションがぼんと建つことによって完全に見えなくなりました、こういういろいろな影響を受けますよね。そういうものは、今回の改正案にどこに盛り込んで配慮をしているんでしょうか。
三沢政府参考人 この前申し上げましたように、斜線制限で確保すべき目的として、採光、通風、さらに「等」というのは何かというお尋ねでございましたので、それは開放度であるというふうに申し上げました。
 当然、建築基準法の中には、この斜線制限以外に、それぞれの目的を持ったいろいろな規制措置がございます。日照という観点から申しますと、先ほどの日影規制というものが存在するということでございます。それから、町並みなり景観の統一性ということを図ろうということであれば、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、地区計画であるとか、あるいは高度地区であるとか、あるいは壁面線の活用ということが可能でございますので、そういう措置を活用して、そういうものを図っていただくということでございます。
 ですから、この前も申し上げましたが、斜線制限は斜線制限の目的があり、他の目的は、またそれぞれの法規制の中で実現することは可能であるということを申し上げたつもりでございます。
保坂委員 それと、前回、国立のマンション紛争の問題で議論がなされました。その際の議論を少し整理していただきたいと思います。
 条例の拘束力あるいは効力の問題をめぐって議論があったと思いますが、まず基本的なことから伺いますが、地方自治体のつくる条例の根拠法並びに憲法上の根拠は。
三沢政府参考人 条例の制定権の根拠につきましては、これは、憲法第九十四条及び地方自治法第十四条第一項の規定に基づいて、法律の範囲内で条例を制定することができるというふうにされているということでございます。
保坂委員 言わずもがなのことを聞いたんですが、憲法には当然、自治体が法律の範囲内で条例を制定することができるとうたってありますし、また、地方自治法においてはさらに、例えば、二年以下の懲役、禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料などの罰則も含めて、これをかけることができる。この間話題になっている千代田区の歩きたばこのポイ捨て条例なども罰則があるわけで、でも、必ずしもポイ捨て条例に相当するような法律はないですね。
 局長に伺いますが、まちづくり条例や景観条例は地方自治体の条例制定権の発揮であって、まさに地方自治法に根拠を持つものということは間違いないですか、それは。
三沢政府参考人 地方自治法で言う法律の範囲内でということの解釈でございますが、ここで一般的に言われていますのは、一つは、法律で明確な委任があるものについては、その委任に基づいて条例を制定することができるというものがございます。
 それからもう一つは、その法律がそういう条例の制定を明示的あるいは黙示的に認めているのかいないのか、それを認めていないときは、そのことについて強制力を持って法律に優先する効力を持つ条例を定めることはできないというのが一般的な学説というふうに理解しております。
保坂委員 局長、一般的なことを聞いていないんですね。まちづくり条例や景観条例は、先ほどお互いのやりとりで確認した、地方自治法に法的な根拠を持つ条例ですねと。これに対して、いや、それは違うというなら違うと言ってください。
三沢政府参考人 まちづくり条例も、地方自治法に基づいて、法律の範囲内で定められている条例であるというふうに理解しております。
保坂委員 そうすると、原議員と扇大臣とのやりとりで、いろいろなことをおっしゃっていると思うんですが、やや誤解を招くのかなと思うのは、今のまちづくり条例というのは任意で、自動車の任意保険と同じで、入っても入らなくてもいいというようなものなんですよということを言われているんですね、前回扇大臣は。
 それで、このことは、要は、都市計画法に基づく条例であれば、国立市の場合は、最初からそれがあれば規制ができたということをおっしゃりたかったんでしょうけれども、しかし、条例は、条例一般でいえば、これは任意のものでということではないんですね。任意のものだったら、ポイ捨て条例も、私はそれは入りませんよと言えば罰則はかからないわけです。ここは確かめておきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
扇国務大臣 今の保坂議員のお話、この間の原議員とのやりとりをお聞きになっていたと思いますけれども、私はあのとき原議員に申し上げたのは、お答えするときの冒頭で、私はまず、まちづくり条例というのは非常に大事なことであるということを申し上げてあります。ただ、わかっていただくためにいろいろな例を申し上げましたけれども、そのことだけは間違いないことでございまして、まちづくり条例というものが住民の皆さん方の意向を尊重する意味でいかに大事であるかと。
 さっきも私田園調布の話をしました。まちづくり条例があったために今の田園調布が確保されているということも、事例を申し上げましたけれども、そういうふうに、基本的には建築基準法等の法律の委任に基づく条例ではないというのは、そこが違うという意味でございまして、私は、建築基準法の法案を審議しているものですから、まちづくり条例というものに対しての解釈をわかっていただくために申し上げたので、まちづくり条例が必要ないということではなくて、いかにまちづくり条例というものが大事であるか、それが基本であるということを申し上げたかったわけでございます。
保坂委員 では、扇大臣、もう一点。
 確かに国立市の場合はいろいろ議論が分かれるところだと思いますよ。しかし、いわゆる建築基準法に基づく地区計画、ここが入っている条例は縛れるんですよ、高さ規制などを。ただ、入っていない条例があるわけですね、景観条例だとか。そういうことについては、やはり十分、地元住民、自治体の声を尊重していただきたいと思うんですね。これはいかがでしょうか。
扇国務大臣 今保坂議員がおっしゃいましたように、もともと建築基準法に基づく委任条例というものであれば、私は条例に適合しない建築物には建築許可はおりない、こう思っております。けれども、きちんと完全に建築行為を禁止できるという強制力があるかないか、ここは違うんですね。
 ですから、今おっしゃったように、まちづくり条例でも一般に業者の理解と協力を得るということがこれは前提でございますから、そういう意味では、まちづくり条例であっても届け出とか勧告等の行政指導的な手順を規定しているものもありますし、建築行為をとめる強制力というものはそれはないというのが、建築基準法とまちづくり条例との違いであるということを申し上げたかったので、その辺のところは保坂議員おわかりになっているんだと思います。
保坂委員 私が申し上げたいのは、いわゆる古い鎌倉とか京都とか、あるいは倉敷とか、さまざまな景観、これは、景観というのはみんなのものであって、しかも今生きている私たちだけのものではない。過去の先人たちの残したものであるし、また、子々孫々伝えていくべき景観等がありますよね。そういうところを持っているところは、これまでは例えば良識とかあるいはみんながそういうふうに言うんだからという話し合いの中で守られてきた面もあります。また、それを条例にし、さらに今回のような法律が出てくると、地区計画をしっかり早く立てて先手を打っていかなければいかぬというような状況になってきていると思います。
 しかし、その条例ができていないところをねらって、突如としてその町並みを破壊して高層ビルができるみたいなことだけは、モラルの問題として慎んでいただきたい、そういうことを運用に当たっては心していただきたいということですが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 私昨日の冒頭に申し上げたと思いますけれども、そういうものがないということは、私は百年おくれているという言い方で言えると思うんですね。
 例を挙げますとわかりやすいと思いますけれども、まちづくり条例というものとか、あるいは、そういうものができている国とできていない国、例えば、イタリアのローマの町の中で、初めて日本企業が建物の一階に店舗を出すことが許されたんですね、今から何年か前ですけれども。そのときに、日本の企業は喜び勇んで、自分の企業が目立つようにマンションの一階の枠を全部赤で塗ってしまったんです。それがイタリアの法律に触れまして、先ほど田園調布で言ったように、屋根とか色とか高さとか全部制限されているのを知らないで目立つようにしたものですから、一晩のうちに取り消しせよと言われて、一晩のうちにその赤枠を近隣の色に塗りかえたという事例がございました。
 それと同じで、私は、やはりそういうイタリア等々の条例というものの厳しさ、それがあって初めて今でも百年、二百年という歴史を持ったものが守られているんだと思いますので、今、保坂議員がおっしゃったように、京都でありますとか、すばらしい文化を有する日本の国が、そういう美観条例とかまちづくり条例とか、私たちはそれを計画として、国の施策として持たないということが、今おっしゃったような町並みの不均衡化、あるいは美観を損なう、そういう基本になっていると思いますので、我々は、ぜひそういうものを後世に残すために、百年の国づくりのデザインというものの中に役立てていきたいなと思うのが希望でございます。
保坂委員 質問時間もだんだん終わりに近づいてまいりました。
 扇大臣に最後にまたお聞きしたいんですが、これは文芸春秋だと思いますが、安倍寧さんという方が「蟻七匹のマンション戦記」、こういう記事を書かれているんですね。この方は、劇団四季の取締役でいらっしゃいまして、音楽評論家の方でございます。日本テレビの近くにマンションを求めて、住み出した。これは六階建てのマンションにお住まいなんですね。そうしたら、突如として十四階建てのマンションが隣に計画をされたということで、新幹線の中で扇大臣と二十年ぶりにお会いして、何か直訴というか、お久しぶりですねという話で、扇大臣の方が覚えていてという話が書いてございます。
 まあ、全く素人ですよね。多くの人がこういう問題は素人です。ですから、隣にそんなものができるのかといろいろ調べ始めると、建築確認申請の問題になって、今の、例の民間で行われるというのが最近あるといって、びっくりするわけなんですね。
 そして、新幹線の中で扇大臣は優しくアドバイスしてくれたと書いてあるんですね。申請を出させちゃだめよ、出させちゃ、通ったら終わりなんですからね、こうおっしゃったんですね。
 要は、つくる側の利便性あるいは規制緩和、これはもうかなりの勢いで今進んでいる。しかし、高いお金を払って住まいを確保した、さあそこでゆっくり過ごそうかというときに突然そういう計画が持ち上がる。では、住まいの側の、駆け込み訴え、やはりそういう声を反映させていくシステム、こっちがちょっとおくれているように思いますけれども、ぜひそこに力を入れていただきたいという意味で、質問の最後といたします。
扇国務大臣 今おっしゃったこと、本当に東京の町中を見ておりますと、ある日突然というのがたくさんございます。私は、建築許可というものをするときに、それまでにきちんと企業の皆さん方が地区の皆さん方と十分に話し合うというのが基本だと思うんですね。ですから、あらゆるところでその手順が完備されていない、手順を追っていない、地域の皆さん方の意見を聞いていないということでトラブルが起こって、いろいろなところでマンション反対なんて張ったものを私は町中でよく見ます。
 そういう意味では、日本の住宅事情というもの、あるいは日本の生活形態というもの、戦後今日までの住宅のあり方というものが統一されていなかった、あるいは基本的なデザインがなかったということにも大きな責任があろうと私は思っておりますので、遅きに失した感はありますけれども、我々は新しい世紀に入ったので、何とかこういうことを円満に、なおかつ美観を損なわないまちづくりというものに寄与するようなことに我々も努力していかなきゃいけないし、住民の皆さんの不満もどういうふうに解消していくかということで、今回はNPOの皆さん方も意見を言い、また自分たちも都市計画の案を出すことができるという新しい法律にしたのもそういう意味でございますので、ぜひ皆さん方の御意見をいただいて、今後も一歩一歩、なおかつ、できれば迅速に、そういうものが起こらないように努力していきたいと思っています。
保坂委員 終わります。ありがとうございました。
久保委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
久保委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、建築基準法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 この際、本案に対し、原陽子さん外一名から、社会民主党・市民連合提案による修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。原陽子さん。
    ―――――――――――――
 建築基準法等の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
原委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました建築基準法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。
 現行法の総合設計制度は、建築審査会の同意を得て自治体が許可することにより、容積率、斜線制限、高さ制限等を一定の公開空地を設ければ緩和するものであり、問題点がありながらも、住民と行政と業者が入ってよりよい地域環境をつくろうとする協議ができるものとなっています。
 一方、今回の政府提出の一部改正案は、総合設計制度について、実質的に許可制度から申請・確認制度へ変更しようとするものであって、建築確認の手続だけで第一種住居地域等においては指定容積率の一・五倍以下で容積率の緩和が可能となり、また、斜線制限で確保される採光等と同程度以上の採光等が確保されればその制度を適用しないとされ、どちらの制度の適用条件も政令で定められることになっています。
 しかし、地域一体の既存の規制がある中で、政令により特定の建築物のみが最大一・五倍の容積率の緩和が可能になったり、斜線制限の適用がなくなったりすれば、町並みや景観が大きな影響を受けます。また、後者の制度に関しては、採光や天空率など科学的な検証がある程度可能なものだけでなく、建築物が高層化されることによる圧迫感などは同等かどうかの判断が不可能であり、考慮されるのは採光のみになり、それも日照は含まれません。
 このような建築申請確認型総合設計制度の導入は、地方分権の流れと逆行するものであります。建築確認だけで済むようになると、地域における協議の場がなくなってしまう問題が生じ、地域住民はもちろん、自治体も議会も何も関与できなくなるおそれが十分にあり、地域のまちづくりを形骸化させることにもつながります。本来、まちづくりは地域で一体的に長時間をかけて整えていくべきものであり、国が法改正に伴う政令によって一律に緩和をすれば、地域の実態を無視した高層マンション建設に対して歯どめがかけられなくなるなど、美しいまちづくりや住環境を阻害することが心配されます。
 このような認識に立って、社会民主党・市民連合は、政府提出改正法案に対する必要最小限のものとして、本修正案を提案いたしました。
 以下、修正案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、政令による基準を満たせば緩和が可能であるとする第一種住居地域等における容積率の緩和の特例、建築基準法第五十二条第七項関係、及び、斜線制限の適用除外の特例、同法第五十六条第七項関係、について削除することとしております。
 第二に、改正案においては、まちづくりに関する都市計画の提案制度の創設など、土地所有者やまちづくりNPOなども提案できる制度が追加されておりますが、法改正の内容が地域住民に十分に周知されるとともに、自治体が十分に対応できる期間を保障する必要があると考え、シックハウス症候群対策のための規制の導入と同様に、施行期日を六月を超えない範囲から一年を超えない範囲に修正するものであります。
 以上が、建築基準法等の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由及びその内容の概要であります。
 慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
久保委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
久保委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。瀬古由起子さん。
瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、建築基準法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 建築基準法での用途地域の指定による建築の制限、容積率、斜線制限、日照規制などは、本来、良好な都市環境を維持するために設けられたものです。ところが、本改正案は、都市再生の一環として、これらの規制を大幅に緩和しようとするところに主な目的があります。
 反対理由の第一は、これらの規制緩和によって業務用ビルやマンションなどの高層化と巨大化が図られ、住環境を初めとする都市環境の深刻な悪化に一層拍車をかけるからです。
 これまで、日影の測定面を地上四メートルとしていたものを六・五メートルも選択できるとした規制の緩和によって、低層住居専用地域以外の広範な地域、東京でいえば二十三区の面積の約半分の地域では、三階以上に日が入ればよいということになります。これでは、一、二階は日陰になってもよいということで、人間らしい生活はできなくなります。
 また、新たに天空率を導入して、事実上道路斜線制限は効力を失い、隣地斜線制限の緩和との併用によって、容積率以外には規制するものがなくなります。その容積率も、用途地域によっては最高一三〇〇%まで緩和され、総合設計の採用によってさらに緩和されます。従来とは比べ物にならないほどの高層ビルやマンションの建築が可能になります。過度の人口集中によって、新たな都市環境の悪化を招くことになります。
 反対理由の第二は、総合設計制度での審査基準の定型化など、許認可なしの建築確認のみという手続の簡素化や、総合設計と一団地認定の手続の簡素化と迅速化が、関係地域住民の理解と納得を一層遠ざけることになるからです。
 現在でも、高層ビルやマンションの建設に当たって、関係住民への情報公開や説明、住民の理解と納得は不十分であり、施主と住民との紛争の原因になっています。簡素化を口実に建築のための手続を短縮することは、住民との合意形成を一層困難にするものです。
 反対理由の第三は、これらの規制緩和が、都市計画法や建築基準法が目指した本来のまちづくりのあり方とは全く逆の方向に向いているからです。
 都市計画法や建築基準法の本来の目的は、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保することと、国民の生命、健康及び財産の保護であり、この方向にこそまちづくりの道があります。
 ビルやマンションの高層化と巨大化は、現在でも過密である都市への人口集中を一層激しくし、東京江東区などにも見られるように、保育園や学校を初めとする公共施設の不足をもたらし、自治体に新たな財政負担を強いることになります。国が法律で規制を緩和すればするほど、地方自治体はやむにやまれず開発指導要綱などによって法律のすき間の規制を強化せざるを得ませんが、法律上の規制でないため、実効性を確保することは大変な努力を要するという制度上の矛盾を一層拡大するものとなります。
 以上が、本改正案に対する反対理由です。
 社民党の修正案については、原案の問題点の一部を修正するものであり、賛成です。
 以上で討論を終わります。
久保委員長 次に、原陽子さん。
原委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました建築基準法等の一部を改正する法律案につきまして、政府提出原案に反対、社会民主党・市民連合提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。
 政府原案反対の第一の理由は、建築基準法改正を含む一連の都市再生政策が、昨年四月に閣議決定された緊急経済対策として発想され、都市の町並みをどうするかという美意識や住環境の向上という観点から生まれたものではないからです。
 第二に、NPOなどによるまちづくりの都市計画の提案制度の導入が含まれているにもかかわらず、肝心のNPOや住民団体の意見を吸い上げる機会が十分でなく、規制緩和を望む偏った考え方に主導されて、利潤追求中心の都市再生構想につながっているからです。
 第三に、容積率制限、建ぺい率制限、敷地規模制限、斜線制限、日影制限などについて、緩和と規制の双方のメニューがありますが、そもそも、これらについては自治体に任せるという発想にたどり着いていないからです。
 第四に、この改正の最大の問題点ですが、建築確認だけで迅速にディベロッパーの手続が進むことが可能になる新しい総合設計制度が盛り込まれているからです。しかも、建築確認は民間機関でも可能になっているため、地方公共団体があらかじめ地区計画条例などに定めない限りは、地方公共団体による関与が全く不可能になり、ディベロッパーにとっては大きなメリットとなる一方、そこに暮らす住民にとっては、住環境を守るための自衛手段がなくなり、マンション紛争によって泣き寝入りするケースがふえると予測できます。
 一方、社会民主党・市民連合提出の修正案は、以上のような問題点を持つ政府原案に対し、地方分権の観点と良好な住環境の保全の観点から、建築申請確認型総合設計制度の導入を削除するなど必要最小限の修正を加えるものです。
 町並みは、地域で一体的に時間をかけて整えていくべきものです。人々は、都市においても生活の質を求め続ける存在であり、単に職場に近い便利な住居を求める時代ではありません。高層の巨大な建築物をもっとつくれるようにすることが都市再生なのではなく、そこに住んでいる人が生き生きと生活できるようになることこそが真の都市再生です。景気対策や経済的視点だけでまちづくりを考えるのはタブーであり、優先させるべきは良好な住環境の向上であると考えます。
 最後に、都市計画法と建築基準法の抜本的な見直しと、その前提としてまちづくりに関するさらなる地方分権を進め、住民参加の地域づくりについて、この国土交通委員会で今後さらに活発な自由討議が行われることを求め、政府原案へ反対、社会民主党・市民連合提出の修正案へ賛成の討論といたします。(拍手)
久保委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
久保委員長 これより採決に入ります。
 建築基準法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、原陽子さん外一名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
久保委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
久保委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、実川幸夫君外四名より、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。井上和雄君。
井上(和)委員 ただいま議題となりました建築基準法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
    建築基準法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
 一 我が国の都市が二十一世紀の社会・経済における様々な構造変化の潮流に中長期的な視点から対応し得るよう、豊かで快適で活力に満ちた都市の将来像を実現するための施策の充実に努めること。
 二 都市の再生に当たっては、防災、安全、景観、緑化等生活環境を重視するとともに、交通インフラ、上下水道等の社会資本の整備状況と調和するよう努めること。
 三 都市計画の提案制度により住民がまちづくりに積極的に参加できるように、都市計画に関する知識の普及、教育、啓蒙等に格段の努力を払うとともに、住民、まちづくりNPO、まちづくり協議会等を支援するための施策の充実に努めること。
 四 建築物の容積率制限、建ぺい率制限、日影制限等の選択肢の拡充及び住宅についての容積率の緩和等については、地方公共団体に対しその趣旨を周知徹底し、地域の実情に応じて適切な運用が行われ、交通、安全、衛生等の居住環境の悪化が生じないよう十分配慮すること。
 五 室内空気汚染による健康影響が生ずると認められる化学物質については、全て規制対象とするよう、室内空気中の化学物質の濃度の実態や発生源、発散量等の調査研究を進め、その結果が得られたものから、順次、規制対象に追加すること。
 六 建築材料及び換気設備の技術的基準については、室内空気中の化学物質の濃度を厚生労働省の指針値以下に抑制するために通常必要な基準を適切に定めるとともに、本法施行後に実態調査を行い、必要に応じてその見直しに努めること。
 七 室内空気中の化学物質の濃度測定の重要性にかんがみ、測定サービス等の体制の充実に努めるとともに、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度による濃度の実測値等の表示について、周知徹底、普及促進に努めること。
 八 化学物質による室内空気汚染問題について、今後とも、関係省庁が連携して、原因分析、基準設定、防止対策、情報提供、相談体制整備、医療・研究対策及び汚染住宅の改修等に関する総合的な対策を推進すること。あわせて、カビ、ダニ等に由来する室内空気汚染による健康被害及びその対策についても、その調査研究を推進すること。
以上です。
久保委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
久保委員長 起立多数。よって、実川幸夫君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、扇国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。
扇国務大臣 建築基準法等の一部を改正する法律案につきまして、本委員会におかれましては、熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げたいと存じます。
 今後、審議中における各委員の御高見、あるいはただいまの附帯決議において提起されました都市計画に関する知識の普及、あるいは地域の実情に応じた容積率制限等の適切な運用、そしてまた、室内空気中の化学物質の濃度を抑制するための建築基準の適切な設定等につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長初め各位の皆様方の御指導、御協力に対しまして深く感謝の意を表し、ごあいさつとさせていただきます。
 ありがとう存じました。(拍手)
    ―――――――――――――
久保委員長 次に、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 この際、本案に対し、瀬古由起子さんから、日本共産党提案による修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。瀬古由起子さん。
    ―――――――――――――
 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
瀬古委員 私は、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律案、いわゆるハートビル法の一部改正案に対し、修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりです。
 その趣旨について御説明申し上げます。
 全面参加と平等をうたった国際障害者年を経て、障害者基本法、高齢社会対策基本法、そして交通バリアフリー法の成立へと、今日、世界でも日本でもバリアフリーが大きな流れになっております。日本の障害者人口は現在二百九十三万人で年々増加をしています。そして、その六割が頻繁に外出しているということは政府の調査でも明らかであり、障害者の社会参加は目覚ましいものとなっております。
 政府案は、一定の建築物に対して利用円滑化基準を義務づけている等の点で一歩前進ではありますが、今日の国際的な障害者や高齢者の社会参加の広がりから見るならば、余りにも不十分であると指摘せざるを得ません。
 まず、政策では常識となっている高齢者や障害者等の社会参加が権利であるとの規定が設けられていないことです。そのために、目標や計画を定める場合に、高齢者、障害者等の意見を反映させる仕組みもありません。
 また、老人ホームや公民館などは高齢者、障害者に必要不可欠な建築物であるにもかかわらず、二千平方メートル以下の場合にはバリアフリーが義務づけられていません。理髪店や美容院を初めコンビニエンスストアなど、障害者から要望の強い店舗のバリアフリー化も進む見通しがありません。また、学校などにも義務づけられていません。これらの不十分さを解決するために修正案を提出いたしました。
 以下、修正案の内容を御説明いたします。
 第一に、法の目的に、高齢者、障害者等の社会参加が権利であることを明記し、ハートビル法でその権利を担保することを明確に位置づけております。
 第二に、国、自治体が目標や計画を定めて確実に推進することとあわせ、それらを決定する際に高齢者、障害者等が参加することを明記しております。また、対象を身体障害者に限定せず、あらゆる障害者を含める規定としております。
 第三に、バリアフリー基準の適合義務を負う建築物について、一定の規模とする規定を削除し、必要な施設は二千平方メートル以下であっても義務づけることとしています。公民館や老人ホームなどの公共的な建築物の具体的な指定は政令で行うものとします。
 また、理髪店やコンビニなど、個人経営の建築物のバリアフリー化を推進するための支援措置の充実も含め、その実効性を高めようとするものです。
 第四に、認定建築物の容積率の特例を新設する規定を削除することとしています。容積率は、日照や通風など、自然環境及び交通問題などの社会的条件などから、良好なまちづくりのために定められるもので、バリアフリーの誘導措置にすることは適切ではないと考えます。
 第五に、法施行後五年を経過した時点での見直し規定を設けたことです。
 以上、日本共産党の修正案の提案理由及びその内容であります。
 委員各位の御賛同をお願い申し上げ、提案理由の説明とさせていただきます。
 ありがとうございました。
久保委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
久保委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、瀬古由起子さん提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
久保委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
久保委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、実川幸夫君外四名より、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。赤羽一嘉君。
赤羽委員 ただいま議題となりました高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
 特定建築物の新築並びに増改築に際し、バリアフリー化の義務化等が盛り込まれた画期的な本法の制定に当たり、本法の施行の際に、諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すことが重要であると考え、附帯決議案を提案いたします。
 その内容につきましては、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
    高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
 一 知的障害者、精神障害者、妊産婦、けが人等建築物の利用上の制約を受けるおそれがある者について、設計上の配慮の必要性及び人的・機器的な支援等ソフト面での対応の重要性等の意識啓発に努めること。
 二 義務付け対象となる特別特定建築物について条例による用途の追加、規模の引下げ等が可能である旨の周知徹底を図るとともに、地域における先進的な事例の紹介等を通じ、利用円滑化誘導基準に適合した建築物が普及するよう努めること。
 三 利用円滑化基準及び利用円滑化誘導基準の策定に当たっては、高齢者、各種の障害を持つ関係者の意見を幅広く聴取し、その意向が十分反映されるよう努めること。
   また、設計者等へのガイドラインを作成し、十分な周知に努めること。
 四 高齢者、身体障害者等が特定建築物を円滑に利用することができるよう、適切な情報提供を行うなど必要な措置を講ずること。
 五 ホテル、旅館、病院、老人ホームなど、宿泊や治療、療養等の滞在型用途に用いられる居室については、その一定の割合のバリアフリー対応が可能となるよう、適切な設計事例や設計方法の周知、利用者に対する情報の提供など必要な措置を講ずること。
 六 学校施設のバリアフリー化が一層進展するよう、法改正の趣旨を周知徹底すること。
 七 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律に基づき市町村が重点整備地区の基本構想を策定する際には、特定建築物を含めた一体的なバリアフリー対応の推進が図られるよう、適切な助言等に努めること。
 八 既存の特定建築物のバリアフリー対応の促進を図るため、改修方法等の技術的な助言に努めるとともに、認定建築物制度の活用等による積極的な支援に努めること。
 九 建築主、設計者、管理者等を含めすべての人々に建築物のバリアフリー化の必要性と重要性が認識されるよう、教育活動や広報活動の充実に努めること。
 十 本法の施行の状況については、施行後五年以内を目途に検討を加えるとともに、その結果に基づいて必要な見直しを行うよう努めること。
以上であります。
 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。以上です。
久保委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
久保委員長 起立総員。よって、実川幸夫君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、扇国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。
扇国務大臣 高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、本委員会におきまして熱心な御討議をいただき、そして、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げたいと存じます。
 今後、審議中におかれまして、各委員、各位の御高見、あるいは、ただいまの附帯決議において提起されました設計者等へのガイドラインの作成及び周知、交通バリアフリー法との連携による一体的なバリアフリー対応の促進等につきましては、趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長初め各委員の御協力、御指導に深く感謝を申し上げて、御礼を申し上げたいと存じます。
 ありがとう存じました。(拍手)
    ―――――――――――――
久保委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
久保委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.