衆議院

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第3号 平成15年2月26日(水曜日)

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平成十五年二月二十六日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 玉置 一弥君 理事 鉢呂 吉雄君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    小里 貞利君
      倉田 雅年君    実川 幸夫君
      砂田 圭佑君    高木  毅君
      谷田 武彦君    中本 太衛君
      西田  司君    西野あきら君
      林  幹雄君    原田 義昭君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      山本 公一君    阿久津幸彦君
      岩國 哲人君    大谷 信盛君
      川内 博史君    今田 保典君
      佐藤謙一郎君    津川 祥吾君
      永井 英慈君    伴野  豊君
      高木 陽介君    土田 龍司君
      大森  猛君    瀬古由起子君
      原  陽子君    日森 文尋君
      二階 俊博君    松浪健四郎君
      後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   国土交通大臣政務官    岩城 光英君
   国土交通大臣政務官    鶴保 庸介君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    樋渡 利秋君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           丸山  博君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    深谷 憲一君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十六日
 辞任         補欠選任
  二階 俊博君     松浪健四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  松浪健四郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
二月二十六日
 公共事業基本法案(第百五十一回国会衆法第三六号)の提出者「前原誠司君外一名」は「前原誠司君外三名」に訂正された。
 公共事業関係費の量的縮減に関する臨時措置法案(第百五十一回国会衆法第三七号)の提出者「前原誠司君外一名」は「前原誠司君外三名」に訂正された。
 公共事業一括交付金法案(第百五十一回国会衆法第三八号)の提出者「前原誠司君外一名」は「前原誠司君外三名」に訂正された。
 ダム事業の抜本的な見直し及び治水のための森林の整備の推進等のための緊急措置法案(第百五十一回国会衆法第三九号)の提出者「前原誠司君外一名」は「前原誠司君外三名」に訂正された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長三沢真君、河川局長鈴木藤一郎君、道路局長佐藤信秋君、住宅局長松野仁君、鉄道局長石川裕己君、自動車交通局長丸山博君、港湾局長金澤寛君、航空局長洞駿君、政策統括官鷲頭誠君、海上保安庁長官深谷憲一君及び法務省刑事局長樋渡利秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤謙一郎君。
佐藤(謙)委員 おはようございます。民主党の佐藤謙一郎でございます。
 きょうは、扇大臣の所信に対する質疑ということで、一時間にわたって質問をさせていただきます。
 私は、終始一貫して、公共事業というものを国民のより近いところに近づけていこう、さらには、行政による公共事業から、市民、生活者という視点に立った生活者主役の公共事業というものを見つけていこう、そういうふうに努力をしてまいったものでありますけれども、公共事業と聞いただけで、政官財の癒着あるいは利権というものが国民の頭の中に入るのか、なかなか人気がいま一つ上がらない。
 そんなときに、きょう最初に公共事業から質問を進めてまいりますけれども、いろいろと勉強していて私の目にとまったのが、一九九三年に運輸省と空港公団が地元住民に正式に陳謝した成田空港の問題、この成田空港の調停作業に携わった東大名誉教授の宇沢弘文さんのこの話が大変私の心を突いたのであります。
 これは、土地収用法の裁決申請を国みずからが取り下げて成田空港の二期工事を白紙にする、それによって解決が可能になった、そうしたことでありますけれども、このときに宇沢さんはこう言われています。困難な調停作業の過程で何人かの運輸省の心ある官僚たちが職を賭して事に当たったが、彼らの志と献身的な努力に深く感動した、こう書いているんですね。
 私は、公共事業がより国民に近いところに来るためには行政の無謬性、つまり、行政は絶対正しいんだ、間違っていないんだという、そうした姿勢を少しでも正していかなければいけないんだろうと思います。
 こういう言い方をすると、扇大臣は、だから二百三十を超える公共事業の見直しをしたんだ、そういうふうにお感じ取りかもしれませんけれども、私どもは、まだまだ公共事業の是非、特に今の公共事業の政策評価というものが効率性ですとか必要性というところにとどまっていて、本当の意味での公益性というものをだれがどういう基準で決めていくのかという、そうした仕組みが十分整っていないために、市民、住民とのいろいろな抗争が繰り広げられていくのではないかなと思っております。
 そこで、私は、去年の臨時国会で行政事件訴訟法のことで質問をさせていただいたんですけれども、今、全国の公共事業で最も注目を集めているのは、熊本県の川辺川だろうと思います。あるいは徳山ダム、苫田ダム。この三つのダムが事業認定の取り消し訴訟の係争中でありますけれども、この土地収用に必要な公益性を認定するこの事業認定というものが、結局、国土交通省が人選をする社会資本整備審議会の委員によってなされる。本当の意味での公益性というものを中立的に担保しているかどうかが、非常に我々問題視をしているところであります。
 その行政事件訴訟法の第二十五条、執行停止の原則というのがドイツの行政裁判法ではあるわけでありますけれども、日本の場合は不停止を原則としているわけであります。
 これに対して、挙証責任というものが国土交通省の側にありながら、なかなかその挙証責任というものを十分積極的に進めておられない、そのために、工事自身はどんどん進んでいってしまうということになって、去年の質問に対して扇大臣は、その国土交通省のサボタージュの実態を問うた私の質問に対して、訴訟されたものに対する国土交通省の協力が余りないというお考えに対しては、どの程度どの事業でどういう、国土交通省が引き延ばしをしているのか、再度私も検討して、よく聞いてみたいと思いますという答弁をなさいました。
 その調査をして、検討された結果について、まずお聞かせいただきたいと思います。
扇国務大臣 おはようございます。
 今国会が始まりまして、きょう初めて私の所信に対する御質問を受けることになりました。
 今国会において皆さん方と有効な意見交換で、より行政の、改めるところは改める、いいところはどんどん進める、党派を超えて皆さん方の御意見をいただきながら、委員会の審議を我々の行政の中に生かしていきたいということを改めて冒頭に申し上げていきたいと思います。
 今、佐藤議員からお話がございました、これは昨年のお話でございますけれども、まず冒頭に佐藤議員から、公共工事についての御意見等々ございました。
 今までの公共事業に対して、いい面もあれば、あるいは行き過ぎた面もあるかもしれない。また、ダムの話もなさいましたけれども、少なくともダムというものは、我々は不必要なものをつくるものではない。公共というのは、皆さんからお預かりした税金をいかに、治山治水、あらゆる面で皆さん方の生活の安全と、そして、あらゆる災害に対する補償というものを我々は最大限にしていかなければいけないということに対処することがまず基本であるということを、佐藤議員ともう一度お互いに認識を私は持っていきたい。
 それ以外に、時代の変化とともに、利水ということでも、工場がなくなったり、あるいは工場が閉鎖したり、利水の面で時代の変化とともに用を足さなくなったものは、それは中止する。私は、その基本方針は私が就任以来変わっておりませんし、新規ダムは一切着工しないということも本年は申し上げてありますので、そのことに関してはまた改めて、細かい御質問があればお答えいたしますけれども、今おっしゃった中の基本的なことは、そのように図っていきたいと思っております。
 また、昨年の御質問の趣旨がございました。これは昨年の十一月の六日でございましたけれども、佐藤議員から御質問がございまして、国土交通省がこの裁判所の審議を引き延ばしているのではないか、こういう御懸念が提示されました。
 私もそのときに、なぜそうなっているのかというのを調べさせていただきましたけれども、少なくともこの裁判に関しては、私に権限がございませんで、法務省、法務大臣が、これを訴訟するとかしないとか、あるいはこれを控訴するとかしないとか、国に対する裁判というものはすべて法務省が所管しておりますので、私の権限が及びますものは、その中の細部にわたっての国土交通省に対しての御質問、あるいは裁判所からの要請等々あればすべて協力すること、そして、少なくとも私が就任後は情報公開を必ずするという、この原則のもとに、国土交通省は諸事業あるいは諸質問に対して対処してきているというのが現実でございます。
 そういう意味で、私どもは、この所管するダムについても大臣としての考えというものを述べさせていただきましたけれども、この苫田ダムにつきましても、昨年、原告は、期日の約束というのがございまして、こちらから申し上げたことに対して、原告側からこうこうこういうという返事が来ることになっております。その原告側の返事が一年近く来ていないというのが現実だそうでございます。これは私も調べさせていただきました。
 ですから、改めてお互いに質問をやりとりし、なおかつ書類を提出する、そういうことで、国土交通省としても、所管するということで、昨年の三月十三日、裁判の期日において原告が提出すると約束した書面、これがございます。この書面が、一年たって、本年の二月五日、その期日に出そろったというのが現実でございまして、相手からの、原告側からの書類が昨年の三月十三日から本年の二月五日にやっと出そろったというのが、私どもの手元に入ってきて、調べた結果でございます。一年近くかかったのは、少なくとも被告が、国土交通省として、五月の二十八日には、次回の期日においてこれに対する反論をさせていただくという実態が今現在の状況でございます。
 少なくとも、行政事件訴訟法の第二十五条、これは、裁判にきちんと判決が裁決されるまでは工事が続行するということになっておりますので今は進めておりますけれども、その改正につきましては、法務省の所管でございますので、私がそれ以上言うことは越権行為にはなりますけれども、現段階で、佐藤議員の御質問があった件に関しては、昨年から今日までの経過というものはそういうもので、二月の五日に改めて書類がそろったということを御報告申し上げておきます。
佐藤(謙)委員 我々が聞いているのと全く違うんですね。私どもが国土交通省に、その市民、原告団がいろいろと挙証責任といいますか、何をもって公益性を認めたのかという、その部分のいろいろな準備書面というものを出すようにということを主張し続けているのに、全くそうしたことがなされていないというのが、私たちに入ってきている情報であります。
 ただ、これは水かけ論になってしまいますので、これ以上、また精査して、質問とは違う形で、できれば促進方を進めていただきたいと思います。
 司法制度改革、これは行政訴訟検討会というのが行われていて、これは法務省の担当であることは、私も承知しております。
 しかし、この検討会で執行停止についての議論がなされておりますけれども、例えば、いろいろな委員から、行政訴訟に今の執行停止制度を残すとすれば、やはり執行停止を原則とすべきだと思った。今、執行停止の要件が非常に厳格であることから、なかなか執行停止が認められず、裁判をやっているうちに期間が過ぎ去り、訴えの利益がなくなることになっている。したがって、執行停止を原則にし、一定の場合には執行不停止にする、つまり、原則と例外を逆にするべきだ。
 それから、やはり許否処分に対しては仮命令といった救済措置を採用すべきだという意見があったり、あるいは、ただ、現在の執行不停止原則については、行政が安住している感がある。したがって、今回の行政訴訟制度改革が国民のためのものなのであれば、この点はどうしても変える必要があるだろうという委員もおられれば、一つの方策は、執行停止の原則を採用すること、もう一つの方策は、裁判所による執行停止のための要件を緩和すること。
 このあたり、この検討会で検討すればいいというように、既にドイツで行われているような執行停止の原則、すなわち、こうした住民側からの取り消し訴訟については、まず工事をとめて、そして公益性を争うという流れができつつあります。
 どうか、これは法務省の管轄でありますから、これからそうした時代の流れというものを酌み取っていただいて、公共事業の円滑な住民との対話というものを図っていただければというふうに考えます。
 次に、私は住民参加について御質問をさせていただきますけれども、公共事業というものは、その住民参加というものがやはり担保されない限り、国民、住民からの支持は得られない。
 そこで、これも去年の臨時国会で御質問させていただいているんですけれども、河川法改正による河川整備計画に住民の意見を反映させるために、ガイドラインを策定すべきではないかということを私は主張してまいりました。
 例えば、現在、直轄河川で八つ、それから百十の都道府県管理の河川整備計画ができているというふうに聞いておりますけれども、市民や住民参加の手続や手法がそれぞれ違っています。
 これに対して、国土交通省に事前にお伺いをしたところ、これはもう課長通達で住民の参加というものが十分読み込まれている。例えば、河川整備計画の策定に当たっての留意事項というところで、河川整備計画の策定に当たっては、当該計画が地域住民等に十分に理解され、地域の意見を踏まえたものとすることが重要であることから、住民等にわかりやすい内容となるように工夫をしろとか、そうした啓蒙については、なるほど課長通達では出ているわけでありますけれども、一方、改めて住民の意見聴取等を行う必要がない場合等もあることから、必要があると認めるときはとしたものであるけれども、この両項の規定を設けた趣旨を踏まえ適切な運用を図ることといって、かなり後退的な書きぶりがあってみたり、公聴会とか説明会の開催等、河川の規模、地域の実情等を踏まえ適切に実施することというふうに書いてあります。
 私は、この課長通達というのはあくまでも行政の内部のものであって、この課長通達そのものの趣旨というものが流域住民に伝わるものではないと考えます。そういう意味では、そのガイドラインの策定、あるいはそのための検討というものが必要だと思いますが、その点について大臣はどうお考えでしょうか。
扇国務大臣 今佐藤議員がおっしゃいまして、昨年にもそのようなお話がございました。
 これは少なくとも、河川というものは、その地域地域によって全部姿形が違います。また、姿形が違うだけではなくて、その影響というものはその地域によって全く違います。また、上流、下流、中流、すべて違ってくるわけでございますので、私は、一定のガイドラインというよりも、その地域地域のそれに沿った対応をすることが一番親切であり、丁寧であり、地元に対しても安心であろうと思っております。
 そういう意味では、佐藤議員が昨年、ガイドラインをつくったらどうだ、これも一つの御提案でございましたけれども、まず私は、そのガイドラインというものを、何を基準にどこまで持っていくのか。そして、例えば国直轄、あるいは地方のものとかいろいろあるわけですけれども、国の形を地方に押しつけるガイドラインは、私はむしろよくないと思っています。
 ですから、そういう意味で、今佐藤議員がおっしゃいましたように、私たちは、住民参加がより活発にできるようにということで、あらゆる面で、情報の提供方法も、今は少なくともホームページ上で直轄工事に関しましては全部載せておりますし、また、情報提供活動、それだけではなくて、研修会とか担当者会議というものも、佐藤議員御存じのように、今現実には行っているわけでございます。
 ただ、一つだけ、河川の整備の基本方針、これは、専門的な、大変必要なことで、基本方針をつくることというのは責任を伴うわけでございます。もし何かあったときには、だれが責任をとってどう処理するのかという大変大きな問題を擁していると私は思いますので、この河川整備の基本方針に関しては、長期的な河川計画でありますとか整備計画でありますとか、あるいは、もし何かのときの対処方法という、すべての責任をこの河川整備基本方針というものは持っていなきゃいけないので、そこに住民を参加さすということは、私は、これはやはり危険だと思います。
 責任の所在を明快にするという意味では、この基本方針に関しては、少なくとも高度の専門家の意見と、そして少なくとも治水政策の基本的な方向を議論し、なおかつ、責任を持つということに関しては、社会資本整備審議会の議を経るということだけは、これは一言申し上げておきたいと私は思いますので、その点は佐藤議員も御理解いただけるものと思っております。
佐藤(謙)委員 整備基本方針については、私はきょうは質問を申し上げませんでした。いろいろと意見もあろうかと思いますが、ただ、整備計画については地方に任せるということですけれども、私が知る限り、いろいろ全国回ってみて、やはり百カ所以上の地域でいろいろなあつれきがある。そのあつれきがやはり、現場現場に任せているために、時にはうまくいっているところもあります、ありますけれども、なかなか対応が不十分で住民のいたずらな反発を買ってしまっているところを私は随分見るわけであります。
 かえって、国土交通省の本省の方が、環境問題ですとか、あるいは地域住民との、例えばパブリックインボルブメントを中心としたいろいろな説明ですとか、そうしたことはしっかりしているんじゃないかと私は思うんですね。
 そういうものをやはりきちっと、課長通達ということではなくて、住民と一緒にガイドラインをつくっていく、そういう過程の中から現場の声ももちろんガイドラインの中にくみ上げていく。もちろん個々個々のそうした事情を大切にしなければいけないということは私はわかりますけれども、公共事業に対するいろいろな批判のかなりの部分が、本省の思いがなかなか現場に到達していないところにあるということをおわかりいただきたいと思います。
 そこで、私は、今度の所信を伺っていて、環境問題について言えば、例えば地球環境の問題あるいは循環型社会について一定の前進を見たと思っているわけでありますけれども、去年の自然再生推進法の議論から、今環境問題で一番大事なものは、生物多様性の確保を通じて自然と共生する社会をつくっていく、ここに私は焦点を当てなければいけないと思っております。
 そんな中で、こうした所信に対する質疑に個別の案件、個別の市民運動をお出しすることがどうかと思いましたけれども、今私がかかわっている全国のいろいろな環境に対するあるいは公共事業に対する市民運動の中で、輝いている、もうこの市民運動は本当に輝いている、いろいろな市民運動もこの運動を我々はまねしていこう、そうした運動が二つあります。
 一つは、吉野川第十堰の未来をつくるみんなの会、これはNPOでありますけれども、吉野川流域ビジョン21委員会といって、市民みずからが学者、経験者を集めて、そうして吉野川流域の将来像を検討する専門学者の会を立ち上げています。行政が審議会をつくるということは、それは当然あるわけでありますけれども、市民運動がここまで進んだのかということを、目をみはらされる思いがするわけであります。
 この吉野川のグループと、もう一つは、最近新聞にもいろいろと出ておりますけれども、霞ケ浦のアサザ基金によるアサザプロジェクト。これは、一九九五年に茨城県の牛久市でスタートしたNPOでありますけれども、単なる公共事業の反対ですとか、あるいは公共事業に対していろいろと疑問を呈するということではなくて、市民型の公共事業を提起するという点では、私は、非常に注目すべき団体だろうと思っております。
 私が現実にアサザプロジェクトを見に行ったときに、どういうことをやっているか。たまたま雑木林に案内されました。雑木林で、まだ高校を出たばかりの若い青年たちが一生懸命間伐をしているわけですね。これは何をやっているかと私が聞きましたら、自分も学校を出てから就職がないので、アルバイトのつもりで、金稼ぎのつもりでやってみたら、こんなに森林を保全することが大切なのかということで、今は自分の一生の仕事として頑張りたい、こう言うんです。
 それは、そだづくり、たまたまその日は、アズマネザサというササを三十センチぐらいに束ねる、それを霞ケ浦に、アズマネザサのそだを次々と横たえて沈めていく。
 これは、なぜこういうことをするかというと、今までの公共事業というのは、波を静めるため、反射波といいますか、波を弱めるために大きな石だとかコンクリートブロックをぼこぼこと埋めていく、それによって波を抑えてヨシ原というものを保全しようということをしていた。
 そのために、何千万、何十億というお金が霞ケ浦でかかっていたわけですけれども、その市民グループは、まずアズマネザサのようなそだを沈めることによって波消しをする。そのアズマネザサと岸の間に霞ケ浦固有のアサザという水草を育てて、そしてこの水草もまた波を消すということで、アズマネザサとアサザをうまく利用して、これがアサザの花なんですけれども、こんな見事な、一面アサザ、水草がいっぱいになっておりますけれども、こうして波を消すことによって、ヨシの原を初めとした植生帯を守っていくということを進めています。
 そのアサザという種を流域百七十の小学校にそれぞれ持ち帰って、そこのビオトープでそのアサザを育てていく。百七十の小学校とそうした市民グループが一体になって、霞ケ浦の水質保全とか植生帯の保全というものに直接かかわっていくという、そうした新しい市民運動を提起しているわけであります。そのために、雇用創出として年間五千人日ですか、それから里山の保全も含めると一万人の雇用というものを一年間に創出することができた。
 そこで、そうした市民グループが、建設省の大変な理解をいただいて、実は、当時の建設省あるいは土木研究所、それから専門の学者、とりわけ東京大学の鷲谷いづみ先生の指導を得て、アサザというものをどうやって守っていくかという、そうした検討委員会をつくっていたわけでありますけれども、ここで水位操作問題というものが出ました。
 これは、霞ケ浦の冬期水位を今までの基準水位より二十センチ上げて、そして水資源に資するという霞ケ浦総合開発の一環でありますけれども、そのためにどういうことが起きたかというと、水の上下、特に冬の水位上昇の運用というものがアサザを初めとした湖の植生帯に大変大きなダメージを与えるということをこの検討委員会でも議論をして、結論を得ているわけであります。
 この水位上昇操作を、去年の十月に国土交通省の霞ケ浦工事事務所と水資源公団の霞ケ浦管理所が一方的にその再開を発表してしまったわけで、これは、明らかに冬期の水位上昇というものが湖岸の植生帯に大きな影響を与えるということになるわけでありますし、同時に、そのために漁業への影響等も心配しているわけであります。
 せっかく、市民と一体となった検討委員会が非常にうまく、全国でもこんなにすばらしい市民運動と国土交通省との連携はないのではないかと言われていたところに、こうした突然の水位上昇というものを再開したわけでありますけれども、この水位上昇の必要性についてどのように考えておられるか、それから、こうした水位上昇がどういう影響をこれからそれぞれの方面に与えていくのか、その辺について大臣の御見解をお示しください。
扇国務大臣 今、佐藤議員からいろいろ霞ケ浦のお話がございましたけれども、その前に、先ほど河川法のお話が一言ございましたので。
 河川法は、少なくとも関係住民の意見を聴取するということは河川法の中にちゃんと明記してございますから、そういう意味では、先ほどおっしゃった住民の意見を聞くという、また、もともと国土交通省としては、公共工事というものは工事をする前から住民参加というものを基本にしておりますので、私どもは、今後も河川法に関しては関係住民の意見を反映させて、なおかつ、これは規定どおりでございますので、個別の河川の特性に応じて、さまざまな御意見を住民からいただいて、それにのっとってしようということを先ほどの河川法に関して一言つけ加えさせていただきたいと思います。
 それから、今の霞ケ浦の話でございますけれども、これは自然再生推進法、御存じのとおりでございまして、少なくとも私ども政府としては、自然再生事業というものをNPOを含めてやっていこうということで、これは、主務大臣としては、環境大臣と農林水産大臣と国土交通大臣、三人が自然再生推進法の担当ということになっております。
 ですから、今佐藤議員がおっしゃったように、このアサザの問題に関しては、霞ケ浦のアサザ、流域内の百二十一の学校が参加して、少なくとも約四万人の生徒がこれで自然回帰というものと自然というものの実態を実感しているという御報告がございましたけれども、私も、昨年初めてこのアサザという言葉を知ったものですから、それまで、アサザというのは何だろうな、普通のササの一種かなと思って、こういう水の中でということを知らなかったものですから、初めて私は昨年、アサザということのプロジェクトというものを知ったわけです。
 今おっしゃったような幾つかのNPOの皆さん方の知恵によって、この霞ケ浦の水質保全、なおかつ、霞ケ浦の地域の主導によって、新たな形の事業として、NPOの皆さん方の主導あるいは住民参加というもので、今佐藤議員がお話しのような現状があるということも承知しております。
 少なくとも、自然再生推進法、先ほど申しました政府のこの推進法に、呼びかけがございまして、この協議会の設置というものを呼びかけられて、私どももそれに沿って、協議会の設置というものの必要性、また、従来からNPOと連携してアサザプロジェクトを推進しよう、こういう動きというものが、自然再生推進法による、よらないにかかわらず、これは市民団体などに対しては、パートナーとして真摯に対応して、なおかつ、その中からよりよい方法を探すべきだということを言っております。
 細かいことに関しては、政務官あるいは副大臣からお答えさせていただきたいと存じます。
河合委員長 岩城大臣政務官。
佐藤(謙)委員 私は、大臣にだけ御質問することにしているんですが。
岩城大臣政務官 では、今の答弁でよろしいですか。
佐藤(謙)委員 はい。
 今、僕は大臣から大変ありがたい話を聞いたのは、これは自然再生推進法にのっとってNPOと連携を進める、そういう理解でよろしいですね。ありがとうございます。
 それで、なぜ、これだけうまくいっていた検討委員会が中止されたのか。これがやはり大変不幸なことだと思いますので、ぜひ再開をすべきだというふうに私は考えますが、この再開すべきだという私の意見に対して前向きな御答弁をいただきたいというのが一点。
 それから、時間が押してしまっておりますので、もう一つは、さきの参議院の決算委員会で同僚議員の谷議員から実は円卓会議の質問がありました。
 これは、現在は、霞ケ浦の工事事務所が主催する霞ケ浦の意見交換会というのが開催されていて、水位上昇の操作のような問題、あるいはこの後質問をさせていただく逆水門の柔軟運用、これは市民の知恵で、私は大変すばらしいなと思うんですけれども、あり余る工業用水の一部を農業用水に転用する、日量三十万トンの工業用水の余剰水を、そのうちの五千トンに限って農業用水に転用するという提案ですとか、あるいは、それによって塩害というものを避けることもできる。あるいは、こうした逆水門というものの柔軟運用についても円卓会議をつくるべきだということをアサザ基金が提案しているわけであります。
 これについて、実は国土交通省は、今までの意見交換会でいいんだというような、そういう議論で今ぶつかり合ったままになっているというふうに聞いておりますけれども、こうした他省庁、例えば工業用水であると経済産業省ですとか、あるいは農業用水は農水省というような、他省庁、複数の省庁がテーブルに着いて、利害を異にする問題を関係者同士が調整する、そういうためには、独自の円卓会議方式がいいのではないかというふうに考えます。
 また、これは、私が事前にいろいろと各省庁に伺ったところ、過去二回、国土交通省が主催して行った意見交換会については、経済産業省からは、出席依頼は全くなかった、円卓会議は具体的提案があれば参加というものを検討したいというふうに返事がありましたし、農水省も、意見交換会は二回あったけれども出席要請はなかった、だけれども、これは重要な意見交換会だろうと思って自分の方から積極的に参加をした、今まで要請はない、円卓会議があれば考慮したいというふうに言っております。
 ただ単に国交省の意見交換会というものだけではなくて、責任を持ってお互いがテーブルに着く、そうした円卓会議がぜひとも必要ですし、このことについては、参議院の決算委員会でも扇大臣がそういうものをつくろうということを言っておられるわけですから、ぜひともその円卓会議をつくっていただきたい。NPO、NGOあるいは他省庁と一緒にそうした円卓会議を開催したいと思いますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 先ほど政務官の御答弁が要らないとおっしゃいましたので、念のために私から佐藤議員に申し上げておきたいと思いますけれども、私は、NPOというものは大変大事だと思いますし、今申しましたように、NPO及び住民の皆さん方の御意見を聞いて対処しているということを申し上げました。
 私も去年、そのアサザという言葉を初めて聞いて、調べましたら、少なくとも霞ケ浦のNPOというのはすごくたくさんいらっしゃるんですね。少なくとも霞ケ浦の関係だけでも、細かいものを入れると約二百ぐらいのNPOの皆さん方が参加して、いろいろな意見をいただいているということで、これはありがたいのですけれども、私は、ですから、なるべく役所に言うのですけれども、NPOといっても一つではないと。
 しかも、霞ケ浦のように二百近いNPOができているというのであれば、なるべく多くの皆さんの意見を聞いて、そして、特にアサザの話を聞いたときに、悪いんですけれども、私、素人なものですから、外来種で、アサザだけではなくて、もっといろいろなものがあるんですって。それも私、初めて勉強させていただいて、そういう自然回帰といいますか、自然の保全のためには、外来種でももっといろいろな数多くの動植物があるということを伺いましたので、今申しましたNPOの多くの皆さんと、それから外来種でもアサザ以上のものがあるのかないのか、これも含めて、我々は、今後も検討する中に入れさせていただいて、より霞ケ浦のためになるものを選んでいくということも一言申し添えさせていただきたいと思います。
佐藤(謙)委員 済みません。円卓会議について、ぜひとも積極的につくっていただきたいと思いますが。
中馬副大臣 佐藤委員は、市民と一緒になった公共投資を進めるべしといった御意見でございまして、私も、本当に時代がそういう時代になったことを認識いたしております。
 戦後、現在までは、生産優先といいましょうか、そちらの方にどうしてもウエートを置かざるを得なかった日本の現状でございました。しかし、現在では、物につきましてはほとんど満ち足りた中で、やはり河川といったものも国だけのものではなくて地域住民のものだという認識も広がってきており、今大臣からも答弁しましたように、こうした多くのNPOがこれにいろいろな意見を言い、またそれにかかわり、自分たちもそこに汗を流すといったことまでも行われているのが現実でございます。
 その中で、常陸川水門、これをあけて汽水環境に戻すといったような御提言をいただいていることも事実でございまして、昨年十月十六日にNPO法人アサザ基金から、円卓会議ということの御提言を受けております。
 しかし、その円卓会議というものにかわるといいましょうか、円卓会議そのものがどう規定されているのかわかりませんが、幅広い方々の意見を聞くことは、私どもも今やっているつもりでございます。委員御指摘のように、霞ケ浦意見交換会、これも二回会議を開いておりますし、第一回の会議におきましても、今後議論すべきテーマとして、アサザ基金よりいろいろな提案を受け入れ、そしてそれを幅広く検討しているつもりでもございます。
 この常陸川水門の柔軟運用に関する御提言に限りませず、先ほどからお話しになっておりますような霞ケ浦全体の自然環境を再生するといったことも含めて、ただ我々だけがやるんじゃなくて、他省庁も場合によっては御参加いただきまして、幅広い霞ケ浦意見交換会を進める所存でもございます。
佐藤(謙)委員 それは意見交換会の域を出ないと思うんですね。経済産業省も農水省もあるいは環境省も、そうした各省庁、それからNPO、NGOが同等の立場で、だれが主催するというのではなくて、そうした円卓をつくっていく。
 それも、今までアサザ基金のアサザプロジェクトについては、国土交通省はかなり彼らの実績というものを評価し、それがゆえに植生帯の保全について連携をし、そして市民参加型の公共事業に国土交通省も、えっと思えるほど積極的に参加をしてくださっているわけですから、そうしたアサザ基金のような、広範な市民が集まり、そして百七十の小学校を巻き込んだ非常に大きな実験的なそうした運動に対しては、もっと温かい目を持って、二百も市民団体があるんだから、そういう言い方ではなくて、彼らは彼らなりにいろいろな提案をしてきているわけです。本当に真剣な、逆水門の柔軟運用ですとか、そうした水位の上下操作の問題ですとか、前向きな提案をしているわけですから、ぜひとも円卓会議を開いていただくようにお願いをしていきたいと思います。
 最後に、これは扇大臣のおひざ元でもあります神戸の震災について、その後の住居、とりわけマンションの建てかえ問題について、残りの十五分ほど質問をさせていただきたいと思います。
 これからの震災問題というのは、私どもにとっても大変大きなテーマでありますし、その後の不安というものをできるだけ解消するためのいろいろな議論を事前にしておかなければいけないと思いますが、とりわけ去年の区分所有法ですとかマンション適正化法ですとか、そうした議論とも連係をして、こうした質問をさせていただきたいと思います。
 実は、国土交通省は一月にマンション建てかえ合意形成マニュアルというものをつくられたと聞いております。実は神戸の震災で百四ぐらいのマンションの建てかえが行われたというふうに聞いているわけでありますけれども、ここで、五分の四の人たちの賛成によって建てかえようということで建てかえが進められる。それに対して、反対をした人たちに対しては、その時価と、再建の建物の敷地として予定していた更地価格と建物の取り壊し費用の差額による評価手法というものが実際的だというふうにこのマニュアルに書いてあるわけであります。
 更地価格と、それから取り壊し費用、解体費用を減じたこの差額が言ってみれば実質的な立ち退き料ということになるわけですけれども、今まで過去にこのような算定方法で売り渡し請求がなされた例があるのか、まず一点、お聞かせください。
高木大臣政務官 今、売り渡し請求の時価についてのお尋ねでございましたけれども、一般に、売り渡し請求の時価につきましては、建てかえ決議の存在を前提とした、区分所有権及び敷地利用権の客観的取引価格とされております。
 過去に例があるかということでございますけれども、平成十一年の六月に神戸地方裁判所におきまして、売り渡し請求の時価について初めて判決が出されました。これは、更地となった建物敷地の価格から建物の除去費用を控除した金額によって算定することが相当である、このような判決を受けて、今後の売り渡し請求の時価算定の参考となると判断いたしまして、今回、同マニュアルを例示させていただきました。
 また、昨年の百五十四国会の参議院の国土交通委員会におきましても、マンション建替え円滑化法案に対する附帯決議で、「マンション建替組合による売渡請求権の行使に際しての時価の算定基準については、今後の事例集積を重ねる等により、その明確化に資するよう努めること。」このように附帯決議がなされておりまして、今後とも、その趣旨に従って、事例集積に努めてまいりたいと考えております。
佐藤(謙)委員 私どもの調べたところでは、これは神戸の震災時の建てかえということでありますけれども、例えば、グランドパレス高羽というところが専有面積六十五・二五平米で八百二十六万円、あるいは東山コーポというところが専有面積四十六・五六平米で三百七十八万円、こうしたような事例があるわけでありますけれども、こうした更地価格から解体料を引いた金額が実質的な立ち退き料になっています。
 この阪神大震災後のマンションの建てかえで、少数者、つまり、建てかえることよりも大規模修繕とかリニューアルで何とかしのぎたいという少数者、こういう人たちが実は立ち退き料を手にしてこのマンションから出ていかざるを得なかったわけでありますけれども、今後、こうした建てかえの費用、立ち退き料を法定建てかえにも生かそうということなのかどうか。
 それからもう一つは、震災後のマンションの建てかえで、建てかえ前の区分所有者で、実際に建てかえ後に戻ってきた人のパーセンテージはどのぐらいなのかをお示しいただきたいと思います。
高木大臣政務官 建てかえ後のマンションを再取得した人の割合についてのお尋ねがございましたけれども、その前に、まず、昨年暮れに施行されましたマンション建替え円滑化法に基づく建てかえにおきまして、権利変換手法によって区分所有権等の関係権利を再建マンションに円滑に移行する仕組みを取り入れており、先生今御指摘ありました、立ち退きを前提にした制度ではない、立ち退き料ではないということでございます。
 しかしながら、ほとんどの区分所有者が建てかえに参加を表明しているにもかかわらず、わずかな反対者によって建てかえができないで、大多数の財産権が制約されることは不合理であるために、マンション建替組合による売り渡し請求権を与えたというのが今回の法律だったと思います。
 また、マンション建替え円滑化法においては、売り渡し請求は時価によることとされておりまして、今後行われる同法に基づいて行われる建てかえにあっても、同様の対応になってまいります。
 また、その割合なんですけれども、平成十三年七月に国土交通省において、被災マンションの建てかえ実例について調査を行いましたところ、建てかえ後の再建マンションの床を取得した区分所有者の割合は約八〇%に及んでおります。
佐藤(謙)委員 今、八〇%というお答えをいただいたわけですけれども、実は、私どもが調べた限りでは、この数字が六四・五%なんですね。先ほど、立ち退き料でないという話でしたけれども、明らかに出ていく。これは、マンションというものを一つのコミュニティーとして我々は考えていかなければいけない、住みなれたマンション、そうしたコミュニティーから出ていかざるを得ないという人たちの痛みというものを、どれだけ我々は感じ取らなければいけないかということなんだろうと思います。
 全国マンション管理組合連合会と日本マンション学会との調査では、六四・五%しか戻っていない、三五%以上が愛着のある住居に戻れないでいるということなんです。仮に、これは五分の四の残りの五分の一、二〇%が自分は反対だと言って出ていかれたとしても、当座、賛成をした人たちもかなり、ローンの重圧その他で戻ろうにも戻れなかった実態がここに浮き彫りになっているんではないかなと思うわけであります。
 現に、この八〇%と六四・五%の差というのはどこにあるかというと、どうも国土交通省の調査では建てかえ完了地区百四地区中七十四地区の合計だそうで、残りの三十地区はアンケートを出したけれども無回答だった。私は、この無回答のところにこそ、いろいろな問題がまだ潜んでいて、それが私どもが調べた六四・五%との差になっているんじゃないかなというふうに思うわけであります。
 この神戸における公費解体について、この公費解体を伴ったマンションの建てかえは成功だったんだろうか。そういう意味で見ると、私は、なかなか複雑で、つらい問題をはらんでいるなと思うわけでありますが、国土交通省はどういうふうにお考えでしょうか。
高木大臣政務官 佐藤委員御指摘ありましたように、国土交通省のデータというか、調べたところによりますと、先ほど御指摘の百四地区中七十四地区で、総除却戸数というのが五千四百九十八戸、総再取得戸数が四千五百五十一戸で、約八三%。
 今御指摘ありましたように、回答のなかったところも含めてそういう痛みがあったのではないか、まさにそういう部分は、今後もマンションの建てかえ問題、いろいろな問題があると思いますので、そこら辺のところはしっかりと検討していかなければいけない問題だと思います。
 しかしながら、先ほど御指摘させていただきましたように、その五分の四、大多数の方々が建てかえを望んでいる場合に、その一部の方々、もちろんその方々の思いというものをしっかりと受けとめなければいけないと思いますけれども、では、残る五分の四の方々がそれで我慢をしなければいけないのかどうか。これは、昨年の区分所有法またマンション建替え円滑化法等の審議におきまして、また参考人の方々にも来ていただきまして、さまざまな角度から論議をして法律の改正等々がなされたと認識をしております。
 その上で、阪神・淡路大震災のときの公費解体の問題でございますけれども、まず、このときの制度は、震災による廃棄物の早期撤去を目的としたものであり、この制度を活用するかどうかは、個々のマンションの被災の程度に応じて、それぞれの区分所有者が判断されたものと考えております。
 また、この制度の活用と建てかえとは直接結びつくものではありませんので、公費解体を伴った建てかえが成功だったのかまたは失敗だったのか、そういう判断をすることは不適当だと考えているんですけれども、この公費解体制度を活用して建てかえたマンションについては、結果的には、公費解体に係る費用の分だけは建てかえの負担が若干軽減された、そういう効果はあったというふうに考えております。
佐藤(謙)委員 成功、不成功という言い方はと言われましたけれども、震災ということを考えれば、その後の処理で弱者がやはりつらい思いをする。自分の住みなれたコミュニティーというものを離れていかなければいけないということがもしも量的にかなりあるとすれば、これは大変深刻な問題だというふうに私は考えます。
 今、例えばこれから住民が、多数さえ押さえれば建てかえが可能になるという法定建てかえというものが現実にあるとすれば、実に具体的な老朽化に直面している、郊外型で低層の四、五階、あるいはエレベーターもない、高齢者ばかりが取り残されている、そして電気容量も大変低いといった、そうしたところの建てかえ問題をこれから考えていくと、コミュニティーという点からいって、私は、弱者の視点に立った、そうした視点が必要だと思うんです。
 そこで、最後の質問になるわけですけれども、改修とか補修によって再生する、そういう道というものがしっかりとあるべきだということを私どもの政党でも主張してまいりました。環境負荷の低減という人類的な課題への対応という意味で、今後、区分所有法のときの附帯決議で、マンション長寿化や再生に関する調査研究促進について我々なりにいろいろと議論をしてまいりましたけれども、国交省は具体的にどんな取り組みをしようとしているのか、してきたのかを簡潔にお示しいただきたいと思います。
高木大臣政務官 先生今御指摘されました痛みをという部分、弱者の立場、これはまさに、役所としても考えなければいけない以上に、私たち政治家がしっかりとそこのところに視点を置きながら今後考えていかなければいけない、それはしっかり肝に銘じてまいりたいと思います。
 その上で、マンションの長寿化及び再生についてなんでございますが、ストックの有効活用、環境負荷低減の観点から、マンションの長寿命化に加えて、構造躯体を生かして内部の改善または増改築の再生に関する調査研究、その成果の普及、これは重要なことというふうに国土交通省も考えております。
 その上で、このため、平成九年度から国土交通省としては、高い耐久性を持った構造躯体と可変性の高い内装等により構成されるスケルトン・インフィル住宅、この技術を、またさらには、既存のマンションの老朽度の判定や適切な改修手法に関するストックの長寿命化、再生技術等の技術開発に取り組んでおります。
 また、その成果の普及を図るために、耐久性等の高い仕様を備えた一定のマンションに対する助成として二十一世紀都市居住緊急促進事業、また、住宅金融公庫融資の基準において耐久性に配慮していく。さらには、住宅品確法に基づく住宅性能表示制度により、劣化をおくらせる対策や維持管理のしやすさ等について情報提供を行う。またさらに、マンションの建てかえか修繕かを判断するためのマニュアルを作成し公表するといったことに国土交通省として取り組んでおります。
佐藤(謙)委員 時間が来ましたので、最後に、本当に困っている、資金的余裕のない方々も含めて、これから建てかえと同時に、そうした改修、補修というものにより重要な面があるんではないかなと思います。
 例えば、スーパーリニューアルですとかリファイン建築だとか、住民にいろいろなメニューというものを提示していく。先ほどのスケルトン・インフィルですとか、そういう新規の技術というものをどんどんつくり上げていくということは、それはそれでいいんですけれども、既存のマンション対策として、新規のものとは違ったメニューをしっかりと国民に提示していくのも国土交通省の重要な役割だと思います。
 さらには、最後にちょっと御指摘があったと思いますけれども、老朽化の客観的な基準、建てかえなのか補修なのかという、そうした基準というお話がありましたけれども、老朽化の客観的な基準というのも我々は考えていかなければいけないと考えております。
 時間が超過してしまいました。これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
河合委員長 玉置一弥君。
玉置委員 それでは引き続きまして、質問をしていきたいと思います。
 本日は、道路問題、道路の特定財源、そして北朝鮮不審船問題、そして交通バリアフリー、この辺を中心に大臣並びに関係の局長さんにお伺いをしていきたい、こういうふうに思います。
 道路の予算関係をずっと見ておりますと、毎年毎年ほぼ一定額が計上されるということになっておりまして、地方道路の方も一向に減ってきている様子は余りないということでございます。
 いつも思うのは、財源的には、一般財源としての税収が今落ち込んでおりますが、自動車関係諸税そして道路特定財源と言われるところについては年々増加をしている。こういうような状況でございますから、道路財源が減らない限り道路がいつまでも続けられていくのではないかということで、自動車ユーザーに対する負担が一向に軽減されない、これを毎年毎年行政の方を回りながらお願いをしているということです。何とか負担軽減につなげてほしい、こういう話をしているんですが、一向におさまらないということでございます。
 どういう形でどこまで道路整備をしなければいけないかということをどういう形で表現するかというのは、いろいろ考えたんですが、非常に難しいんですね。
 例えば、高速道路や一般国道、地方道その他ありますが、道路延長で比較をしても、国それぞれによって、人口密度や国土の大きさが違うということもありますし、市街地道路でも、日本のようにきめ細かく道路がつくられているところと、外国のようにそうでないところというのがあります。それから、人口当たりの延長距離とか、あるいは人口当たりの自動車保有台数に比較をしてどうなのかとか、いろいろな比較の仕方があるんですが、国土交通省として、最終的に道路というのは何を目標に計画を組まれているのか。これをまず大臣にお答えをいただきたいというふうに思います。
扇国務大臣 私は、道路というものは、その国の経済的あるいは産業的、それから社会資本整備、国民の生活、そういうものに直結する大事な大動脈だと思っております。けれども、その大動脈というのが、動脈をつくるだけで静脈は要らないのか、あるいは、動脈の幅もどれくらいなのか。今、玉置議員がくしくもおっしゃいましたけれども、各国の人口、国土、あらゆる面と比較してどうなのか。
 そういうことを考えますと、日本は御存じのとおり、戦後今日まで、あの荒廃とした中で、国道さえもろくになかったあの戦後から今日まで、営々と皆さん方に御協力いただいて、一時は経済大国、経済の世界のトップクラスになるまでになったのも、道路整備、鉄道も全部ございますけれども、そういう意味では、道路整備というものの果たしてきた役割、それが今日の日本の位置づけに大きな役割を果たしてきたと私は思っております。
 当時は、欧米先進国にすべての面で追いつけ追い越せが目標でございました。けれども、その追いつけ追い越せの基本的なものは何か。それは、社会資本整備であり、流通を短時間に仕上げるということがすべての、経済、産業あらゆる面での大きな役割を果たしてきたと私は思います。
 ただ、その道路が、今申しましたように、動脈だけでいいのか、あるいは、今玉置議員が外国に比べて細部にわたって行き届いているとおっしゃったのは静脈の部分だろうと思いますけれども、私は、その静脈と動脈が果たして今の道路行政でつながっているかどうか、これがクエスチョンマークだと思います。
 大動脈の基本的なものは、国民の皆さんに全国の地図の中で示して表示してあります、一万一千五百二十キロと。けれども、静脈が果たしてつながっているかというと、ある地域によっては、先の方の静脈はあるけれども、その静脈が動脈につながっていないという部分も今やなきにしもあらずということで、ひとえにつくり続けた道路というものの役割は今一たんストップして、道路行政を見てみますと、行き届かない点、また欠陥が多々出てきております。
 一生懸命やり過ぎて道路行政にむだはなかったのか。むだはあるでしょう。また、一部の業者が大変、親会社、子会社をたくさんつくって路線をふやすために業者がふえていく、これも問題だろうと思いますし、少なくとも、渋滞を緩和すると言ったのに、車の台数と道路整備とが追っつかなくて、今渋滞による経済損失というのは、全国で年間で約十二兆円の渋滞の経済損失をしていると言われるようになってしまって、果たして道路の役目がどうなのかというクエスチョンもできています。
 また、ピーク時には四十分以上踏切が閉まったまま、これも少なくとも全国に約千カ所ある、これも問題になっています。
 また、電線の地中化等々をしようと言いながらも、いまだにできていない。道路は、車が走る道路と人、その間に邪魔をしている電柱の地中化をしようというのも、全国の市街地では電柱の地中化も一・六%しか達成できていない等々、言えば切りがないんですけれども、そういうことも含めて、道路行政のあり方が、ただ道路をつくるだけではなくて、つくったもののメンテナンスと、そのメンテナンスに係る子会社、孫会社の設け方と、あるいは新規をどうするか、そういう境目に来ているのが今の道路行政の現状でございますので、政府を挙げて道路関係の見直しをしようというのに取り組んでいるのが今の現状でございます。
玉置委員 お言葉は簡潔にぜひお願いしたいというふうに思います。
 国情から見て、比較的形態が近いのはイタリアかなという感じがするんですが、高速道路と一般国道の比率とか、国土面積当たりの道路延長、そして人口当たりの道路の距離、自動車保有台数当たりのという、大体数字的に非常に似通っている。あるいは、フランスなんかでも実は高速道路にかなり最近力を入れ始めているし、ドイツは昔からアウトバーンという大変大きな無料の高速道路がありましたというふうにあります。
 そういう中でやはり問題になってくるのは、特に道路財源に今使われているのは、大部分、一般国道、地方道ということになるわけでありますが、この道路財源そのものが非常に範囲を拡大されて使われてきているという心配を私どもしているわけであります。
 もともと、自動車ユーザーの負担、これも緊急という名前のもとに道路財源がかさ上げをされる、暫定税率で負担が二倍以上に拡大をされた、こういうことがあります。
 そして、自動車関連ということで、道路に密接に関係するということで事業が始められたはずなのに、道路に密接に関係するというよりも、逆に、道路にあるから道路費用であるという、先ほどの電柱の地中化とか電線の地中化ですね。あるいは地下鉄、それからそのほかにも、連続立体化、これは踏切をなくすためということは一つあると思いますが、やはり電鉄関係の利便性というものを高めるということもあるわけですね。
 そういうふうにいきますと、やたらに特定財源からはみ出た使途がある。それから、都市再開発の街路の部分、この辺についても用途として拡大をされるということであります。そういう状況でございます。
 これは、一つは、公共事業としての一般国道の工事の事業量、これはやはり一般公共事業ということで削減をされてきている。地方道も若干そういう影響を受けて削減されるということになりますが、そうなってくると、道路特定財源が余ってきたから使途拡大をするというふうに思われて、そういうふうにいろいろな口実をつけては、そちらにどんどんと振り向けていくということで、実績ができますと、いや、実績ができて、これだけ今まで使っているんだから、それがふえてきているから減らせないわよというようなことを大臣がおっしゃいますと、我々、自動車ユーザーのいろいろな御意見を聞いていると、もうそういうのは一番困るんだ、実績をどんどんつけて、自動車関係諸税が減らないということであれば非常に困るんだという話を聞いております。
 自動車関係諸税が実際に道路に密接な関係をするということを条件に拡大をされてきているんですけれども、これについて今どうお考えになっているのか、あるいは将来の歯どめをどう考えるのか、この辺についてお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 大変大事なところを、ことしの特に予算を審議していただいておりますので、大事なところを玉置委員に聞いていただいたと思うんです。
 特定財源の暫定税率は、もう既にお話しでございますから、これは省かせていただきますけれども、例えば、暫定税率の中で一つだけ例を挙げさせていただきますと、御存じのとおり、少なくとも普通の二千クラスの皆さん方は二年ごとに車検を受けられますけれども、その車検のときの重量税だけは少なくとも暫定税率で、普通、重量税、車検のときにお払いになるものが三万七千八百円ですけれども、これは暫定税率が二万二千八百円でございます。ですから、この暫定税率なかりせば、これが一万五千円で済むわけですね。
 それを皆さん方の御理解で、道路をつくる、受益者負担ということで負担をいただいているのは今玉置委員がおっしゃったとおりで、この値段というものは皆さんに我慢していただいているんですけれども、そもそも、この道路特定財源というものも、国だけで使っているわけではないということは、御存じのとおりでございます。
 これは、国が使っているものと、地方が使って、今までは国が四分の三で、地方が四分の一でございましたけれども、今回は、三分の二が国で、三分の一を地方にということで、割合を地方にふやしました。そのこともぜひ今回は、予算の審議中でございますので、このことが今までの道路特定財源と違う使い方をしているということを一点御理解いただきたいと思います。
 それから、今おっしゃいましたように、少なくとも今回は、今申しましたように、道路というものが、本来の道路としての役割を果たしていないんじゃないか。特に、環境問題でCO2の排出量を抑制しなきゃいけないというのは、この渋滞にかかわるということも大変多うございます。
 そういう意味では、この特定財源も、今おっしゃった、たくさん入るから回したんじゃなくて、今の道路をいかに有効で、環境的に適応するかということで、できる限り受益者の皆さん方の御理解がいただける範囲で範囲を拡大していって、あかずの踏切でございますとか、あらゆる面で地方への負担をふやすとか、そういうふうに使っていくということでございますので、余っているわけではございませんので、その辺もぜひ御理解をいただきたいと思います。
玉置委員 私はもう五年以上前から、自動車税は完全に余っている、こういう意識で、というのは、道路仕様を見てもわかりますように、特に目につくのは一般国道ですが、一般国道が最近ほとんど歩道つきになりました。これは多少、安全保障上、交通安全上ということだと思いますが、しかし、ほとんどのところがまた並木道になったんですね。
 私どもの京都の地域でよく見られますのは、周りに山がいっぱいあって、山の間に道路ができて、何でそんなところに並木道が要るんだ。それから、真ん中がグリーンベルトなんですよね。何でそんなの要るんだ。これは、つくるときは高い、それから維持管理はもっと高いんですね。こういうことが平気でやられるということは、道路局関係の方々は原価意識がないのかということですよね。
 それから、財政的にというよりも、長期計画で、今年度の説明のときに、これから五年間、三十八兆円ぐらいの事業量になるでしょうと。今度は金額が決まっているんじゃなくて積み上げ方式になりますということなんですが、それだったら、三十八兆じゃなくて三十兆でできないかということをまず考えて、財政再建の時期ですから、国がやはり切り詰める。
 それから、景気対策として地方道等にやはり事業を展開していこうとすれば、今の二分の一補助金ではなかなか地方が受けてくれないということですね。それについて、逆に補助金を上げて、その分国がやはり負担をしていくというふうに変えていかないと、景気対策としての効果が出ないのではないか、こういうふうに思うんですよね。
 その辺についてはいかがでしょうか。
扇国務大臣 私も、玉置議員とほとんど同じことを言っておりまして、それはなぜかといいますと、道路局長等々関係者を呼びまして、少なくとも、例えば今の道路公団一つとってみても、維持管理費というのは、四業務の中で、百六十三社の中で天下りしている者がいっぱいいて、そしてその子会社、孫会社が一社平均で十四億八千万も剰余金がある。こういうことが、今おっしゃった、道路のメンテナンスで並木をつくったり、あるいは分離帯の真ん中に木を植えたりと。私は、木を植えたら、この木を直すたびに一車線とめなければいけないんだから、何で手入れをする真ん中、一車線ふさぐような真ん中に、中央分離帯に木を植えるんだと言って怒ったんですけれども、だれの発想だと聞いたんですけれども、そういうことも、今の四業務、保全あるいは確保というような、この四業務だけでもそれだけのむだがあるということは、おっしゃるとおりでございます。
 ただ、今最後におっしゃった、地方分担をふやすべきではないかということに関しては、おっしゃるとおりで、道路特定財源、先ほど申しましたように、今は国が四分の三で地方が四分の一ですけれども、これを少なくとも今回は、国が三分の二で、三分の一は地方にということにいたしますので、そういう意味では、税源の移譲が行われる。地方分権に供することができる。
 そして、その差額というものは、ことしは九百三十億円が地方はふえるわけですから、そういう意味では、地方分権への一助であるというふうにも御理解いただきたいと思いますので、今までのようなむだを省いて、そして、なおかつCO2、環境問題にも抵触するような道路づくりというものは新たに考えなきゃいけない、そういう岐路に立っているのが今だと私は思っております。
玉置委員 今大臣がおっしゃったのは重量税の問題でありまして、私は補助金そのものの話をしておりまして、直轄事業に対して、あるいは地方主体の事業についての国の補助金の補助率を変更して、今二分の一であれば、臨時的に景気対策として四分の一かさ上げするとか、こういうことができませんかということなんです。何かの機会にまたついでに答えていただきたいと思います。
 それで、なるべく簡略にまとめてお話ししますが、実は、高速道路そのものが今非常に問題になっているんですね。道路四公団民営化の話が出ておりますが、私は、当局が民営化を進めているんですけれども、決して民営化だけが一つの手法ということではなくて、今あるものだけでも、ある程度、考え方によって、安くして、また償還もできるのではないかというふうに思うわけですね。
 道路公団は、今八千六百人ぐらい職員の方がおられます。それで、建設費用とそれから維持管理費用、そういうようなものを含めて決算がいろいろ出ているわけですが、どう考えても、まず日本は高速道路が高過ぎるということが諸外国との比較で簡単に出るわけです。
 例えば、日本とフランスを比較しますと、二対一ぐらいですね。当然日本が二、フランスが一。それから、イタリアになりますと、まだもっと、三対一ぐらいとか、だんだん格差がついてきて、アメリカになりますと、もうほとんどがただですから、比較できないというぐらいなんですね。ドイツもそうですね、ただです。イギリスもただだ、最近市内部だけ取ろうという話がありますけれども。そういうふうに、高速道路の料金が非常に高い。
 それから建設コストですが、日本とアメリカを比較しますと、一キロ当たりの建設費は、アメリカは一・六億円、日本は六十七億円、そういう数字が出ているということですね。
 それから、もともとは償還方式で高速道路がつくられたわけですが、一九七二年にいつの間にかプール制に変更されているということがありまして、国民が、それでも知らずに、ただになるからということで、高いのに乗って、ずっと損をしているということであります。
 そこで、ずっと見てみますと、乗用車が比較的利用が少ない結果が出ています。貨物自動車が非常に多いということもありまして、これはやはり経済の大動脈ということで、自動車輸送にもうほとんど変わってきていることもあるんですが、なぜ乗用車が少ないかというと、地域の都市間、大都市間の交通としてはいいんですが、隣町程度、あるいは自分の町の中での移動、こういうようなところについてのインターチェンジがやはり非常に少ないということがこの利用度に影響しているというのと、やはりいわゆる経費で落ちないと乗らないというか、そういうところもあるということなんですね。この辺を変えていかなければいけないだろう。
 高速道路全体の収益を見ますと、東北道とか首都高、それから東名、名神、そういういわゆる国幹道路の中の基幹道路、これについては採算が十分とれている。場合によっては、東名、名神なんというのは、百円かかるところを、百円取っているけれども十六、七円で実は十分ペイしているということがあります。そこがまた一番交通量が多いということで、考えてみたら、償還財源の大部分を東名、名神、あるいは一部東北自動車道で稼いでいるということなので、ほかのところは償還にも値しないぐらいのところがたくさんあるということなんですね。
 思い切って、そこだけを残して、全部ただにしたらどうだという考え方が成り立つということなんですね。余計な人をどんどんとやはり、やめていただいてと言うと怒られますが、減らしていって、その人たちの人件費負担を軽減するということとともに、余計なところに手を出さないで、上がった収益の一部を償還に充てて、公団としてなるべく余計なことをやらない。そして、パーキングエリアあるいはインターチェンジというものを一般に開放して、どんどんとそこでいろいろな事業展開をしていただく。その上がりは当然、有料部分であれば公団に入れる。それもまた収益の改善につながっていくだろう。
 それからもう一つは、インターチェンジをふやすということですね、無料部分を特に。本当は、有料部分もふやせば、ETCが進めば簡単に徴収できるわけですから、人件費もふえないということなんですが、特に無料部分をどんどん開放して、その中で地域開発に寄与するようなことをやはりそこの中に取り入れていくということであれば、道路の利用度も上がりますし、その出入り口、インターチェンジ部分はその町にとっては大変有効な活性化のための事業が展開できる場所になるだろう、こういうふうに思いまして、そうなれば、地方税やあるいは国税という形で最終的にはペイできるということなんですよね。そういうふうに変えていかないと、私は、幾ら民営化してやったって、残された負債が簡単に償還できるとは思えないですよね。
 というのは、今非常に安い金利ですが、実際に借りている金利は、当時は六・何%とか非常に高いものを、今償還しているわけですね。平均的には少なくとも四%から五%ぐらいになるだろうということになりますと、今の低い金利で計算しているから幾らという数字が出ていますけれども、実際には二倍、三倍という金額が償還の、実際には払わなければいけない事態になる。こういうことを考えますと、民営化論の中のいろいろな論議が出ていますけれども、やはりそういうことにこだわらずに、本当に何ができるんだということを考えられた方が、確実に新しい時代の高速道路のあり方につながる。
 それから、先ほどの道路財源でありますが、そうあっちこっちに余計に使うならば、高速道路建設も含めて、国の責任ということでやられた方がいいんじゃないかというふうに思いますね。だから、道路関係以外にどんどんと拡大するのならば、むしろ高速道路を国が建設するという形でその財源を道路財源として使っていかれるということがより適切じゃないか、こういうふうに思います。
 長々としゃべりましたが、その答弁として、二分以内にぜひお願いしたいと思います。
扇国務大臣 なるべく簡潔に申し上げたいと思います。
 今玉置委員がおっしゃったことで、道路は国がというのは、私は基本だろうと思います。特に、今のように産業の空洞化が起こっておりますときには、小泉内閣で外国のお客様を今四百万人を一千万人にしようと倍増計画をしておりますけれども、まずこの受け入れ体制で、今おっしゃった道路料金が高いということも大きなネックになっていると私は思います。
 そういう意味で、私は、おっしゃったように、四十路線の高速道路の中で、償還できている部分というのは五路線しかありません。しかも、あとの二十七路線というのは、毎年毎年累積赤字が多くなっています。そういう意味では、私も、一番最初に、オリンピックのときに高速道路を走ったとき百円で、やがてただになるよと言われて最初に百円払った記憶がございますけれども、今は、だまされ続けて、七百円でございます、首都高自身。そういう意味では、国民の皆さんは私と同じ思いだと思います。
 ですから、もう五線は償還が済んでいるんだから、そこをただにしたらどうだと言うんですけれども、今おっしゃったように、プール制というものをしいているという今の現状では、それもなかなか、ただにするということができない。ならば、では、メンテナンスだけでも、いわゆる保全費だけでも国民の皆さんに持っていただくように下げたらどうだということも私も検討させていただきました。
 そして、今おっしゃった高速道路一つとってみても、パーキングエリアあるいはサービスエリア等々ももっと民間にということで、私は、民間にするよりも、先ほど申しましたように、今の四業務だけでも民間に、どんどん天下りが多くなっていて、そして利益が上がっている分は、道路公団本体は赤字で、そして民間の、上のメンテナンスやパーキングエリア等々、保全事業だけでもこれだけの黒字があるということは私はおかしいと思うんです。
 ですから、天下りだけが悪いとは言いませんけれども、民営化するということは、それを押しなべて一つの会計の中でもうかった部分でつくっていくという、この方式を取り入れない限りは私はできないと思っていますので、上下分離でもうかった部分は食い逃げするんじゃなくて、上下一体で道路にもというのが私の基本的な考え方で、この第三者委員会の答申との整合性というものを今図っているのが現実でございます。
 例えば、少なくとも、高速道路の入り口のもぎりだけでも、チケットを渡すのは二十五社あるわけでございます。そして、その二十五社に幾らお金を払っているかというと、年間で八百七十五億お金を払っているんですね。これでは果たして採算がとれるのか、こういうこともありますので、ETCでただにしようというんですけれども、皆さんに機械を買ってもらわなきゃいけないからこれも普及しないということもあります。
 私は、基本的には、道路をどこまでつくるべきか。これから、まず、分割ということも言われましたけれども、民間にとおっしゃった、財務諸表という基本的なものがない、ことしの九月しかできないと去年おっしゃいましたから、これをさかのぼって今国会、六月の中ごろ、十八日の閉会までに財務諸表を出して、これだけの財産がありますといって、その中で分割する方法も考えていくべきだと。民間にするには、どれだけの財産があるかまず見せてもらわなければ論議できないというところに立って、今、この国会中に各公団の財務諸表を出してもらって、改善策を一歩ずつ進めていきたいと思っております。
玉置委員 公団の分割化は、要するに、利用先がどこにあるかによって決めたらいい。最初から幾つに割るということじゃなくて、やはり相手先のあることですし、こんなの本当に民間にしてやっていけるのかという心配もありますから、その辺も含めて柔軟にぜひ対応していただきたいというふうに思います。
 話がかわりますが、本当はもう一件あるんですよね。先ほどの、行革路線のときに三十八兆円という枠でいまだに道路計画がなされているけれども、おかしいんじゃないかということに対してはいかがですか、一言で、三十秒ぐらいで。
扇国務大臣 どこまでつくるかは、私は、今後はそれぞれの、全国、都道府県を十ブロックに分けました。その十ブロックの市長さんあるいは知事さん、財界人で、各ブロックごとにどこが必要かというのを選んでいただくという方法が一番地域になじむことだと私は思っています。
玉置委員 それでは、北朝鮮問題をお聞きしていきたいというふうに思います。
 特に、国土交通ですから、海上保安庁を中心にお聞きしたいというふうに思いますが、今のところ、日本人の拉致として政府で認定されましたのは十五名ということであります。私たちの調査委員会で名前が公表されたのは約八十名。大変な開きがあるわけです。
 それぞれの流れを見てまいりますと、昭和二十九年から三十年ごろから拉致だというふうに推定をされる事件が勃発をしておりまして、以来、集中的には昭和五十三年、四年ぐらいにかなりの数が出ておりますが、明らかに海上保安庁がタッチをしたという形跡も一部あるわけであります。
 古いことがわかるかどうかはわかりませんが、その辺を含め、どういうものに対して海上保安庁が今までタッチをされて、拉致問題として政府部内で問題になり始めたのはいつごろなのか、この辺をちょっと確認したいと思います。
深谷政府参考人 御説明を申し上げます。
 拉致問題につきましては、委員御案内のことかもしれませんけれども、昭和六十三年の国会、地方行政委員会や予算委員会で集中的に取り上げられ、北朝鮮による拉致の疑いがあるのではないかという問題として取り上げられたところでございますが、当庁におきましては、自来、拉致に十分留意した警戒をするとともに、所要の措置を講ずるというふうなことをやってまいりました。
 また、御案内のとおり、昨年の九月十七日には、日朝首脳会談で金正日国防委員長が北朝鮮による拉致の事実を明らかにしたわけでございます。これを踏まえまして、翌月の十月に、海上保安庁としましては、全国の関係管区本部、六つの関係本部に拉致容疑事案の調査室というものを改めて設置しまして、関係省庁などと連携を図りながら、今先生御指摘の拉致と認定されている事案、あるいは拉致の疑いがあるのではないだろうかと言われている事案、こういったことにつきましての事実関係、あるいは当時のそういった関連の不審な船舶に関する調査、こういったものなどを改めて現在実施しているところでございます。
玉置委員 当時、私たちは民社党という党にいたんですが、昭和五十三年、四年から、拉致問題ありきということでいろいろなところに要請をしました。家族の方と一緒にいろいろなところに、外務省もそうですし、警察あるいは国土交通省、当時の運輸省ですね、海上保安庁、そういうところにお邪魔したんですが、調べた結果何もわかりませんという、ずっとそのまま来ました。
 さっきの六十三年ごろは、アベックで拉致された方が非常にふえた年でもありまして、その辺でようやく、ちょっとおかしいんじゃないかというのが出てきたんですが、今政府でわかっている問題と、それから私ども調査委員会の方が出した名簿があるわけですが、この二つについては、具体的にこれからどういうタッチをされるかということをもう一回お聞きしたいと思います。
深谷政府参考人 ことしの一月に、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律というのが施行されております。この法律に基づきまして、先生御指摘の十件十五名につきましては、拉致被害者として法律の手続にのっとり認定がされておるところでございますが、同時に、他方で、特定失踪者問題調査会の方でも、いろいろ疑いのある人というもののリストを公表されております。これまで二回にわたり、約二百名を超える方のリストが公表されておりますので、私どもといたしましても、先ほど申し上げましたように、拉致容疑事案調査室を各関係本部に設置しておりまして、当時の事案の再調査、これを関係の方面ともよく協力しながら徹底を図りたいということでございます。
玉置委員 拉致の皆さん方は、北朝鮮の工作員に連れられて、ほとんど全員が船でまず北朝鮮に連れていかれたということなんですよね。それがなかなか今までどこにもひっかからずに北朝鮮まで行けるということは、日本の国というのは結構出入りが自由なのかな、こういうふうに思うんです。
 そこで、この間の不審船問題ですが、日本の近海を航行する中での不審船、北朝鮮の工作船等その他いろいろあると思いますが、どういう形で従来まで把握されてきたかというのをまずお聞きしたいと思います。
深谷政府参考人 海上保安庁といたしましては、いわゆる不審船と言われるものにつきましては、昭和三十八年、一九六三年に最初の不審船というものを確認、認識をした以降、これまでに二十一隻のいわゆる不審船、工作船、こういうものを確認しております。
玉置委員 平成十一年の三月に石川県能登半島沖での不審船問題がありまして、停船を命じて、威嚇射撃をしたけれども、逃がしたというのがありました。あのときに、なぜ沈めなかったという話を大分したんですが、沈めると人命に影響するとか、あるいは確認をしないと撃てないんだとかといういろいろな話があって、法律改正がありました。
 ずっとこの不審船の話があるんですが、まず一つは、麻薬、覚せい剤事犯というのが厚生労働省から十四年十月に出されておりまして、これが非常に増加傾向にあるということと、それから、要するに相手国、どこから出されてきた麻薬とか、そういうものかということが出ているんですが、その数字を見ると、北朝鮮というのが非常に多いわけですね。中国も若干多いですけれども、北朝鮮が非常に多いということで、大変マークしなければいけない国だというのが一つあります。
 それから、今の政治情勢ということがありますね。それから、スパイ事件というのがありまして、戦後の北朝鮮スパイ事件というのがずっと羅列されておりまして、ほとんど船で密入国しているということなんですよね。
 ということなので、領海外は取り締まりは非常に難しいんですけれども、日本の領海の中でも結構自由に行き来をしているんじゃないか、こういうふうに思うんですね。この辺についてどうされてきたのかということをまずお聞きしたい。
 というのは、工作船というものが自由に行き来しているんですよ、実際に。それで、海上保安庁の事例からいくと、そんな大した工作船の数は出ていないということなんですが、実際に、ほかの件で捕まえた人はほとんどいろいろな工作船に乗って来ているということがわかっているわけですから、では、実際にいっぱいあるのに、何でこれだけしか捕まっていないのかというのは、どこに問題点があるかということも含めて、どういう対応をしたのかというのをお聞きしたいと思います。
深谷政府参考人 先ほど、三十八年以来二十一隻と申し上げましたが、それは海上保安庁自身が確認をしたものでございまして、それが二十一隻という数字でございますけれども、先生今御指摘のように、平成十一年の三月に能登半島沖の不審船事案というものがございましたのは、皆様御案内のとおりでございます。その際には、巡視船艇あるいは当庁の航空機、こういうものを出動させまして、停船をさせ、これを捕獲すべく威嚇射撃も実施したわけでございますが、残念ながら、当庁の船艇等の防護能力あるいは速力等々から、実際はこれを逃走させてしまったわけです。
 我々といたしましては、政府全体として、この事案を踏まえまして、不審船への対応というものについてどうあるべきかということを検討いたしました。能登半島沖不審船事案における教訓、反省事項ということで、その結果を取りまとめをいたしました。いわゆる不審船事案につきましては、警察機関であります当庁がまず第一に対処するとともに、防衛庁との関係でも共同対処マニュアルを整備してこういった事案に当たろうということにしたわけでございます。
 これを受けまして、当庁といたしましても、いわゆる不審船事案、先生御指摘のような事案に的確に対応するために、海上保安庁の庁法の改正、これを国会にもお願いをし、成立をさせていただくとともに、一方で装備の面につきましても、高速特殊警備船の配備でございますとか、武器の高機能化を図るとともに、ソフト面におきましては、所要の訓練等々を実施してまいったところでございます。
 また、一昨年の十二月、十三年の十二月に、御案内のとおり、九州の南西海域におきまして、やはり不審船事案が発生をいたしました。これにつきましては、先ほどの能登半島事件の教訓、反省を踏まえまして、巡視船艇、航空機、これを直ちに出動させまして、停船命令をするとともに、威嚇射撃を実施したわけでございます。
 御存じのとおり、工作船は、停船に応じず、かえって自動小銃などによりまして攻撃をしてきたという事案は、先生方御記憶のとおりでございまして、これに対しましては、海上保安庁といたしましては、正当防衛射撃を実施いたしまして、該船は爆発物によりまして自沈したという事案がございました。
 海上保安庁では、先ほど申し上げました能登半島の事案、また十三年の十二月のいわゆる工作船の事件、こういったものを踏まえまして、さらに、こういったことに的確に対応するために、装備の面、あるいは既存の船艇、航空機につきましても、防弾対策などをさらに充実させる、あるいは武器の高機能化を一層図る等々、平成十四年度の補正予算におきましても認めていただいたとともに、現在御審議いただいております十五年度の予算案におきましても所要のお願いをしているところでございます。
玉置委員 大臣は、昨年十月に南シナ海で、南シナ海ですかね、東シナ海か、銃撃、撃沈された北朝鮮の不審船、これが引き揚げられてから、ごらんになったと思いますが、最初、我々も、要するに少し漁船を改造した程度かなと思ったんですが、かなり武装船ですよね。こういうものが日本近海を走り回っているということなんですが、このことについて、拉致問題も含めてどういうふうにお感じになりましたか。それから、いろいろな犯罪もありますよね。そういう面も含めて、今までは不審船という形でただ追っかけるだけだったんですけれども、やはりこれは捕まえなきゃいけないと思われたのか、その辺も含めてお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 今玉置委員が御指摘のとおり、もう一昨年になります、一昨年の十二月に発生いたしました九州南西海域におきます、当時は不審船ということでスタートしたんですけれども、これを、戦後初めて銃撃戦という経験を海上保安庁がいたしました。そして、三名の負傷者を出しまして、私は、その三名の負傷者をまず見舞いに行って、会ったわけでございますけれども、三名だけではなくて、そのときの乗組員が本当に精神的にすごい打撃を受けておりました。
 それは、御存じのとおり、私は、銃撃を受けた船を国土交通省の玄関にしばらく提示させていただいて、全国に回しましたけれども、百数十発の被弾を受けておりました。そして、操縦席が残念ながら防弾ガラスではなかった。しかも、そのガラスを貫通して天井にまで抜けている。これで三名の負傷者だけで済んだということがむしろ奇跡ではなかったかというくらいな銃撃戦の現物を見て、私は、本当に悪いことをしたと。というのは、せめて防弾ガラスぐらいはなぜできていなかったかという大変反省もいたしました。
 しかも、銃撃戦の後、沈んだこの船を最初は不審船と思っておりましたけれども、今玉置委員がおっしゃいましたように、引き揚げて持って帰ってきましたら、これが重装備の工作船である。また、昨年、小泉総理のトップ会談の中で、金正日総書記が、あれは工作船であると言明なさいました。
 そういうことをもってして、先ほどおっしゃいましたように、日本海域にこういう船がしょっちゅう、うろうろしていたのではないか、海上保安庁は二十一隻と言いましたけれども、まだ知られざるものがたくさんあるのではないかという疑問符が残っておりますから、少なくとも私は、海上保安庁の職員が安心して職務につけるように、また、近海、三百六十度、海に囲まれているわけですから、漁船の皆さん方が安心して漁業ができるようにということで、今回の予算で、せめて最低限の装備ができるような予算措置をとっていただいておりますので、その実行に向けてしていかなければいけないし、また、先ほどおっしゃった麻薬等々、どこからどう入ったのか、また、万景峰号の話もありますので、それに対処していきたいと思っております。
玉置委員 今お話が出ました万景峰号、これは外務委員会、安全保障委員会あるいは財務金融委員会、あそこで、非常に不審な船だということを再三指摘しているんですね。
 私たちが聞いておりますのは、倒産をいたしました朝鮮銀行とか、そういうところが、人がお金を体につけて北朝鮮へ持って帰ったという、想像ですけれども、証言にもあったわけですね。大量に何千万あるいは億という単位のお金が持ち出されながら、いまだにその船が出入りしているということですね。ここは何か、検査中で今入ってこないという話が、うそか本当か知りませんが、あるらしいですけれども。
 明らかに疑いのある船なんですが、これが結構自由に出入りしているということなので、一時期とめるような法律をつくろうとか、いろいろなことがあるんですが、こういう問題を今どういう形で検討されているのか、これについてお聞きしたいと思います。高木政務官。
高木大臣政務官 今玉置委員御指摘のように、各委員会でもこの万景峰号の問題について触れられておりまして、まず、法的に申し上げますと、関税法に基づいて指定された開港、これにつきましては、国際通商に開放された港とされており、外国籍の船舶の入港を禁止することができることを定めた法制度は、現在のところ我が国にはございません。御指摘のような特定の国籍を旗国とする船舶の入港を禁止することは、現行法上できないことになっております。
 そこで、まず、現在のところは、関係機関が協力して、水際でしっかりと法令違反、先ほどの不正送金ですとか、または密輸ですとか、そういった法令違反を取り締まることで対応している。
 また、さらに立法政策で何か対応ができないかということで、特定の船舶を対象とした寄港制限を行うことにつきましては、昨年の十二月の六日、閣僚懇で扇国土交通大臣が問題提起を行いました。それに基づきまして、国土交通省としても、安全、保安等の面で問題のある船舶に対してどのような対応が可能か、現在広範に検討を行っている、そういう状況でございます。
玉置委員 いろいろ本当は聞きたいんですが、時間がないので、交通バリアフリー関係を二問だけ質問させていただいて終わりたいと思います。
 予算とか所信表明の中にも、バリアフリーの話がいろいろ出ておりました。鉄道関係も、鉄道会社のいろいろな協力があってかなり積極的に今やられているようですが、国の予算としては、声の割には余りついていないような感じなんですよね。その辺が、実は該当する駅が二千六百ぐらいあると聞いているわけですけれども、百億台ぐらいの予算で本当にやっていけるのかという心配があります。それについて、将来の感触をどういうふうに持たれているか。
 それから、前に法律の論議をしたときに、三年ほどたちますと自動車関係に入っていきたい、こういう話があったんですね。前回も申し上げましたけれども、その自動車関係がぼちぼち立ち上がらないといけない時期に来ているのではないか。これは、一般のバス会社がお持ちになっておりますノンステップバスを中心にした問題、それから、社会福祉協議会とかあるいは市町村がやられるコミュニティーバス、こういう問題があります。この辺がもうぼちぼちある程度めどがつかないといけない時期なんで、それがどうなっているかということ。
 それからもう一つ、NPOがやられる福祉移送について、今回、いろいろ見解を出していただいて明確にしていただいたというところがありますが、これについて最後に説明をいただいて、終わりたいと思います。
 では、それぞれ順番にお願いします。
扇国務大臣 まず、交通バリアフリーでございますけれども、今おっしゃったように、十二年に制定されました交通バリアフリー法を実行していく、しかも、一日の乗降客が五千人という制限をまずつくって手をつけていったわけですけれども、少なくとも国としても、税制上あるいは財政上のあらゆる支援措置を講じたというのが今現状で進みつつある進行形でございます。
 特に、今玉置委員から百億ぐらいでいいのかなと言われましたので、私も胸の痛いところですけれども、この交通バリアフリー法が制定されましたということで、年間百億円を超える予算措置というのは大変なことなんです。百億でできるかと言われますとこれも頭が痛いんですけれども、十五年度予算でも、御存じのとおり、鉄道駅におきますエレベーターの設置、それから今おっしゃいましたノンステップバスの導入に対する支援など、バリアフリー関係予算というものは百十一億円計上でございます。百億でできるのかと言われれば、多いにこしたことはないんですけれども、ただ、この財政事情の中で、前年を上回る予算であるということだけは確実でございます。
 特に、鉄道におきましても、十四年度の当初予算の約二倍の百二十七億円が鉄道としてとれておりますので、バリアフリーを完全に設置していきたい、公共交通の一層のバリアフリー化の推進のために、私は、必要な予算の確保に努めてまいりました。
 また、ノンステップバスに関しましても、これは今、お約束どおりでございますので、今後、バスメーカーの関係者から成るノンステップバス標準仕様の策定の検討委員会を十三年度より設置しておりますので、現在、鋭意検討しているというのが現状でございます。
丸山政府参考人 福祉輸送の関係につきまして、私の方からお答えさせていただきます。
 現在、福祉輸送につきましては、民間の事業者、いわゆるタクシーがやるような福祉輸送、それから地方公共団体が主体になりまして、みずからの福祉行政の一環として輸送も行っているというようなものも幅広く行われております。その中で、NPOなどのボランティア組織というのも重要な担い手になっているという認識を持っております。
 構造改革特区プログラムの中におきまして、一定の条件を満たせば、構造改革特区の中でNPO等によるボランティア輸送を有償でやるということを先行的に実施するという措置が盛り込まれたところでございます。
 国土交通省といたしましては、今後ボランティア精神に基づいてこういう輸送サービスが適切に行われていくために、ボランティア輸送が一定の役割を果たしていけるというふうに認識しております。本年の一月に構造改革特区基本方針が決定されたわけでございますけれども、その基本方針に基づきまして、福祉輸送が適切に行われるようにしていきたいというふうに思っています。
 その場合の基本的な考え方が三つございます。一つは、福祉需要に対応した真にやむを得ないボランティア輸送であるというのが一点でございます。二つ目は、利用者の方が安心して安全に利用いただけるというのが二点目でございます。三番目は、地方公共団体が制度の運営におきまして責任ある役割を果たす。この三つの基本的な考えに立ちまして、福祉輸送が適切に行われるように努めてまいりたいというふうに思っております。
玉置委員 時間が参りましたので終わりますが、二階先生も、大臣のときに決まったものですから、ぜひ与党の中で後押しをよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 自由党の一川でございます。
 余り時間もないので、そうかといって、一般質疑なものですから、ある程度幅広くやりたいんですけれども。
 私は、国土交通行政は、扇大臣がいつもおっしゃっていますように、国土交通省という、そういう統合のメリットを大いに生かしたいということを常々おっしゃっております。その一方で、国土交通にかかわるような行政というのは余り短期間ではその成果が出てこない、こういった社会資本の整備なり公共的な仕事というのはそういうものだろうというふうに思います。そういう観点で、質問の内容も、前の委員会で質問したようなことを、それなりにまた現時点で、お考えを確かめながら行きたいというふうに思います。
 今回の大臣の所信表明をお聞きしておりまして、大変意気込みを感ずるわけでございますけれども、十四年度の予算のときと比べて、ちょっと見ておりますと、基本的なトーンはそう変わっていないと思いますけれども、十四年度の予算の折のというか、ちょうど一年前の大臣の所信表明でも、改革断行予算の中でそういっためり張りをつけていくんだというような言い方とか、いろいろな統合のメリットというものを十分生かした中で、旧の各省庁のそういった連携施策みたいなものを重点的に扱っていきたいというようなことも強くおっしゃっておりました。
 当時も、予算、今回は重点四分野ということにしておりますけれども、昨年は重点七分野ということです。これは、内容的には大した変わりのないようなものを七分野を四分野に再編成みたいな感じに受けます。そこのところはとやかく言いませんけれども、やはり基本的には、国土交通行政というものは成果が出るのにある程度長期間を要するという中で、毎年毎年余りころころ方針を変えていくということも非常に難しいわけでございますし、また、そういうことはする必要も余りないのかもしれませんけれども。
 今回、大臣が所信で述べられましたように、国土交通省のいろいろな施策なり制度を、要は抜本的に直していきたいという意気込みで所信を述べておられましたけれども、今回の十五年度予算編成の中で、特にこういう分野については改革をぜひともやっていきたいというところを、まあたくさんおありなんでしょうけれども、特に重点的にやっていきたいと思っておられるところをちょっと整理してお話ししていただければ非常にありがたい、そのように思います。
扇国務大臣 一川議員に全般的な広範の御意見をいただきましたけれども、国土交通省は、省になりまして、四省庁統合して三年目を迎えたわけでございますけれども、冒頭に所信で言わせていただきましたように、いよいよ現実的に、どこをどう変えていくかという正念場に入ったと私は思っております。
 そういう意味で、私は、一番大事なことは、あらゆる長期計画というのは、国土交通省、せいぜい五年で区切っておりまして、そして、しかも今回、十本あります長期計画のうち、八本が十四年度で切れます。十五年度から新しくなるわけです。そこで、その八本、そしてプラスワン、これは農林水産省との共管ですけれども、十本の長期計画のうちの八本が十四年度で切れて、十五年度で切れる一本をプラスして、九本の長期計画を一本化しようと。
 私は最初、国土交通省の幹部を集めましたときに、一本になると思えませんで、せめてこれを四、五本にしようではないかと。なぜなれば、この長期計画、十四年で切れるものは、すべてが旧建設省、旧運輸省当時につくった長期計画である。だから、ちょうど十四年で切れるものは、国土交通省として、運輸、建設等々が一緒になって四省庁統合した計画に改めるべきではないか、それがこの九本の法律を一本化するという大きな原点であることは御理解いただけると思います。
 そうしますと、私がせめて四、五本にと言ったものが、幹部が全部みんなの意見を聞いて、国土交通省として、わかりました、一本にしましょうということになりまして、昭和二十九年の道路整備五カ年計画を策定して以来、長期計画、五十年ぶりに抜本計画ができたというのが、今回のこの長期計画の変換でございます。これは大変無理もあるところもなきにしもあらずですけれども、まずやってみようと。社会資本整備というものは少なくとも一本化して、効率を上げて、短期に集中することによってコストダウンが図れるではないかという、これが一番大きな十五年の目玉であるし、また、国土交通省になったからできることであるということを強調させていただきたいと私は思っております。
 それから、今回も、国会が始まってでございますけれども、政治と金、そして公共工事のところからの談合、そういうものがいかにまだ残っているかということで、皆さんに、全会派、党会派で御協力いただきました入札と契約の適正化法、入契法、これがまだ徹底されていないところもなきにしもあらず。それは大きいところはできているんですけれども、市町村に至ってはまだこの入契法の徹底ができていないということでございますので、何としてもこの入契法の徹底を図って、事前評価、事業評価、事後評価、この評価制度。先ほど佐藤議員からも冒頭にお話ございましたように、国民よ参加しようということが、この入契法で、事前評価から始まって、国民参加にしていただくということで入契法の地方への徹底をより高めて、入札というものの透明化を図っていきたい。この法案の中に、電子入札と書いてございますので、電子入札をすることによって談合がなくなる、丸投げももちろんできない、こういうことをしていきたいと思います。
 それから、たくさん言うと切りがございませんので、国庫補助の負担金の制度について、政策的な意義の高い事業の絞り込み、どこにどう絞り込んで、採算性の基準を大幅に引き上げるということでやっていきたい。国庫補助金の負担の、少なくとも規模の縮小、縮減を図りたい、こういうふうに考えていますので、あらゆる点でいよいよ実行の段階に入った年を迎えたと思っております。
一川委員 いよいよ実行の段階ということで大変心強いわけですけれども、やはり先ほど言いましたように、毎年、予算のときには、非常に耳ざわりのいいいろいろなタイトルをつけたりネーミングでもっての予算というのは各省庁みんなあるわけですけれども、やはり国土交通省はどっしりと、ある程度中長期的に日本の国土建設ということを見据えて、余りうろちょろしないで、しっかりとした改革の方向を目指すべきだというふうに思いますし、今予算である程度改革の方向づけをしたものについては、しっかりと引き続き政策的にフォローしていくということが大変大切ではないかというふうに思っております。
 特に、地方に対する権限移譲、財源移譲という一つの流れとか、あるいはまた行財政改革という一つの流れとか国土の均衡ある発展とか、いろいろな一つの単位があるわけですけれども、そういう流れに即して、しっかりとした方向づけをしていただきたい、私はそのように思っております。
 さて、私は、前の臨時国会の折からも話題をちょっと出させていただきましたけれども、先般、予算委員会でも、片山総務大臣には、現時点でのお考え方をただしました。市町村合併問題というのは、一総務省だけに余りお任せ過ぎちゃうと、本当の住みやすい地域づくり、まちづくり、村づくりというものに対して禍根を残すんじゃないかということを、前のときにもちょっと指摘をさせていただきました。大臣からは、いや、決してそういうことはないというようなお話だったと思いますけれども。
 現実、現時点で、我が国の各市町村合併問題というのは非常に過熱ぎみでございますけれども、そうかといって、今、三千三百ぐらいの各市町村、ほとんどが合併の方向が定まったかといったら、そうでもないわけですね。
 それで、私も関係する地域の市町村長さんたち個別に皆お話をさせていただきましたけれども、合併を予定しているところ、あるいは予定しないというところ、それから、どうやっていいかまだ判断がつかないという、大きく分ければ三分割ですけれども、それぞれの市町村の首長さんというのは、それぞれ皆不安感というのは持っているわけです、合併して先行きどうなるんだろうということとか。特に、人口の規模の少ない地域の町長さんなり村長さんというのは、合併したら行政サービスが低下するんじゃないかとか、あるいはまた、非常に高齢化なり過疎化が進んでいる地域が多いわけですから、そういう面ではますます過疎化に拍車がかかるんではないかとか、その割には広大な面積を抱えているわけでございますので、そういうことを考えると、非常に悩みが大きいのが十分理解できるわけでございます。
 そこで、最近のこういういろいろな動き、大臣、もういろいろなお話をお聞きになっておると思いますけれども、最近は、住民投票にかけて合併をするかしないかということもいろいろと議論されておりますし、それからまた、ある村長さんは、リコール運動でもってその職を離れざるを得ないという方もおられるというような状況でございます。
 今、予算を審議している都道府県議会も開催中でございますけれども、そういう予算を見ますと、今回の合併に対するいろいろな支援策を、各都道府県なりに割と個性的な支援策を用意しているところもあるわけですけれども、こういういろいろな動きを見て、国土交通行政を預かる大臣として、市町村合併問題に対する現時点の所感をお聞かせ願いたいと思います。
    〔委員長退席、赤羽委員長代理着席〕
扇国務大臣 本年は特に市町村合併の流れができているということで、今の一川議員の御指摘は、本年、大変重要な年を迎えていると私は思います。
 三千二百十五の全国の地方自治体の中で、今現在、大体話題に上っておりますのは、千六百十八の市町村で何らかの形で協議会が設けられております。そういう意味で、私は急速に進んでいくものであろうと思っておりますけれども、国土交通省として何ができるかということだけを申し上げさせていただきたいと思います。
 今後さらに市町村合併が進んだときの不安というふうに今おっしゃいました。それに対しまして、政府の市町村合併支援プランというのがございますので、その支援プランの中で、国土交通省は、市町村の合併支援道路整備事業、これは、市町村が合併したときの道路の整備事業がございます、これを支援していこうということと、また合併の記念公園、これも地方によってはもう要求が出ております。それから流域の下水道事業、これが合併したらどうなるか、今まで方法が違いますので、どうするかという選択方法。それから地方バスの補助事業ですね、これもどうするのか、補助率がある場合とない場合と、あるいはその幅ということもありますので、これが一点ございます。
 そういうあらゆることが、合併した場合に不利益にならないような特例、そういうものを制度面も含めて多様な支援策を講じていきたいと思っておりますし、またその策を練っております。
 少なくとも平成十五年度予算におきましては、各支援、合併市町村における事業の優先選択というのはございますので、事業の優先選択を地方に、合併したところに決めていただいて、さらなる強化を私たちも盛り上げていきたいと思っております。
 それから、この合併施策を進めるに当たりましては、国土交通省としては、国土交通省本省、地方整備局、それから北海道開発局及び地方の運輸局、それぞれのところに全部、市町村合併支援窓口、これを設置しました。そこでそれぞれの御意見なり不安がないか、この場合はどうしたらいいかという御相談をいただくような窓口を既に設置してございますので、これを御利用いただいてアドバイスをしていきたい。
 また、先ほど私が申しました入契法、これによって談合とか丸投げがないようにということを申しましたけれども、入契法の中で市町村の入札監視委員会を設置しなさいと書いてあるんですけれども、小さい市町村では、入札監視委員会を設置する委員会ができていません。現状は、できているところは八%しかないんですね。あとの九二%はこの入札監視委員会を設置していないわけですから、そういうところは、合併することによって、一緒になって一つつくれるというメリットも今後出てくると思いますので、規模の大きさで、政令指定都市等々は今一〇〇%ですから、市町村までそれが及ぶようにということで、これも合併することによって大きなメリットが出てきて、一緒になってこの入札の監視委員会が設置されるのではないか、こういう合併の利点と、それから不安を解消することに努めていきたいと私は思っています。
一川委員 予算委員会で片山総務大臣は、従来、合併のいろいろな手続は、平成十七年の三月までに完了したところについては合併に係るいろいろな優遇措置的なものは講じていきましょうという方針だったんですけれども、現状のいろいろな各市町村の動きを見たときに、十七年三月までに手続が完了しなくとも、合併の方針だけが決まっておれば優遇措置は延長するというふうなことも検討していきたい、その法改正も検討したいということを予算委員会で答弁されました。
 そういったように、各市町村、いろいろな悩みがあるわけです。そうかといって、今、大臣もいろいろな支援事業のお話もされましたけれども、合併の態度を決めたら支援する、合併の態度を決めないから支援しないんだというふうに余りきれいに割り切っちゃうと、いろいろな意味で悩みを抱えながら、いろいろなことを考えて、まだ結論の出ないところもありますから、そういう変な、あめとむちというような施策を完全に使い分けちゃうと、逆にまた変に感情的になってしまいますので、そこのところは注意をしていただきたい、そのように思っております。
 それからまた、前にも私はこの委員会でも言いましたけれども、旧建設省、旧国土庁という役所は、単なる、そういったハード的な事業だけではなくて、当時も、面的な広がりの中でまちづくり、村づくりはどうすべきかという、割とソフト的な施策についてもいろいろな勉強をしてきた時代があるわけです。そういう、ある程度蓄積されたものがあるはずなんだけれども、どうも国土交通省になってしまってから、そういうものを忘れてしまったのか、せっかく当時勉強したことを、今回の市町村合併の一つの下敷きとしてアドバイスを私はしてほしかったんだけれども、どうもそれが、各都道府県を通じて市町村には余りそういうものがおりていないような気がするわけですね。
 ですから、今、合併協議会というのがスタートしましたけれども、これはまだ、今スタートして、その中で具体的な合併の姿を議論するわけですから、最終的にどういう姿で合併するかというのはまだ結論は出ていないわけでございますので、国土交通省としての分野について、やはりもっといろいろな面で情報公開をし、指導された方が私はよろしいんではないかというふうに思います。何か御意見あったら、簡潔にお願いします。
扇国務大臣 委員がおっしゃるとおりで、私が申し上げたのは、合併することによって不利になる部分を我々で補足していこうという意味の支援でございます。
一川委員 ぜひそういうことで、問題意識を持って引き続きこの市町村合併問題にいろいろな面で御指導をお願いしたい、そのように思います。
 さて、その次に、これは副大臣に答弁をお願いしたいと思うんですけれども、建設業種というこの産業について、これも前の委員会で私は言わせていただきました。常に政治と金の問題のときには建設業等が話題になります。今の入札談合問題でもそうです。では、末端で働いておる方々、この産業に従事している方々というのは六百万人を超えているとも言われておりますし、企業の数からしても五十七万社とか八万社というふうにも言われていますように、我が国の一種の基幹産業だというふうに私は思います。
 しかし、最近その建設市場が、公共事業のいろいろな縮減も当然ながら影響しておるわけですけれども、近年、大幅に建設市場が縮小してきていますよね。片や、不良債権処理といえば、またこういった建設業界がもろにやられるんじゃないかというような心配もあるわけです。そうかといって、先ほど言いましたように、そこで働いている方々はたくさんいらっしゃる。何か、将来の先行きが非常に見通しが立たない。何となく、マスコミで批判されるから後ろめたい気持ちの中で働いている方々がいらっしゃるわけですけれども、やはり、こういう業界で働いている方々にもっと胸を張ってしっかりと誇りを持って働いてもらうという面では、また、そういう労働力をしっかりと生かしていくという面で、私は、国土交通行政の中でしっかりとした指導があってしかるべきだというふうに思っています。
 そういう面で、いろいろなこれからの成長分野への進出なり、いろいろな面でのやり方はあると思いますけれども、そういうことについての国土交通省としての一つの考え方をお聞かせ願いたいと思います。
    〔赤羽委員長代理退席、委員長着席〕
中馬副大臣 先ほどの佐藤委員のときにも申しましたが、日本の産業構造、社会構造が今大きく転換するときでございまして、そのあおりを一番食っているのが建設産業と言えるのかもしれません。
 御承知のとおり、生産優先で西欧に追いつき追い越せということでここまで参りました。しかし、今、ほぼ満たされた中で、これからは生活者優先という形に変わってきております。ということは、この建設関係につきましても、産業インフラから生活インフラ、公共インフラといった方に今大きく転換しなければいけないときに来ているわけですが、構造自体が産業インフラ中心の、ゼネコンと申しましょうか、こういったことを中心にしてまいりましたので、この需要構造そのものが大きく減っております。御指摘のとおり、ピークに比べて三割ほど減ってしまっております。
 しかし、景気浮揚ということで、バブルがはじけた後もずっと公共優先でやってまいりましたがために、地方に対しまして、単独事業でどんどん景気浮揚でやりなさいといったようなことの指導もありました。そのために、建設業の業者数は平成八年ぐらいまではずっとふえてまいりましたし、従業者数もずっとふえてきているわけでもございます。しかし、その後、いよいよこうして減ってきているのが現実でございます。
 こうした中で、我が省といたしましても、昨年の十二月に建設業再生に向けた基本方針を策定しまして、大手、準大手のゼネコンにつきましては、市場を通じた淘汰の促進、これはどんどんとつぶれているところも出ております。経営基盤の強化等に向けた組織再編等の企業の取り組みの促進、そして、安易な企業救済とならないような、再生の可能な企業に絞った事業再生の支援、こういったことをやっておることは御承知かと思います。地方におきましても、極力、不良、不適格な業者の排除の徹底とか、あるいはコスト管理の徹底、こういったことを指導していることは御承知かと思います。
 しかし一方で、先ほど申しました、西欧に比べてまだまだおくれているところが生活インフラではあるわけでございます。下水道の普及率はまだ六三%ですし、それから電線は地中化されていない、あるいはまた福祉施設も不十分である、ごみ処理も必要である、バリアフリーの問題もありましょう。こういったことはこれから必要なわけでございまして、これに向けた一つの転換といいましょうか、これが小泉内閣の、都市再生も含めてこうした形に対する投資をこれから、今、非常に転換をさせているところでございます。
 そうする中では、今おっしゃいました建設業関係の方々も、従来の産業インフラ中心ではなくて、生活インフラに基づいた都市のいろいろな、少し細かい事業でございましょうけれども、こういったことをおやりいただくことによりましてそちらの方に転換ができる、また、それを整備することが国民的な課題だ、このように認識して、そのように指導している次第でございます。
一川委員 私も、今ほど御答弁のありましたように、これからの公共事業なり社会資本の整備というものは、産業インフラから生活インフラの方に重点化されていく、また、規模も、大きな工事から小さな小規模の工事にだんだん移っていくという面では全く同感でございます。
 従来、余りにも景気対策にこの公共事業というものが使われ過ぎてきたという面では、私自身もそういう面では従来からいろいろな意見を持っておりましたけれども、余りにも最近の政府の取り組み方は、公共事業というものを景気対策として使い過ぎた、だから、景気が悪いから公共事業を減らすという何か変な議論になってしまっておりますように、私は、やはり社会資本というものは計画的に整備すべきだというふうに思いますので、そういう観点でしっかりとした取り組みをお願い申し上げたいと思っております。
 最後になりますけれども、これまた日本の資源にとって大事な一つの分野ですけれども、水資源というのがあります。
 この水資源というのは空気のような存在でございまして、満ち足りておればだれもそのありがたみがわからないわけですけれども、しかし、一たんなくなると大変な問題でございます。最近、駅なんかでも缶に入った水を売っておりますように、あるいはいろいろなペットボトル類もたくさん売っております。従来、水なんというのはこんな高いものじゃなかっただろうというふうに思いますけれども、最近はガソリンよりも水の方が高い、そういう値段で平気で売買されております。こんなことで果たしていいのかということすら考えるわけですけれども、しかし、それだけのニーズがあるわけでございます。
 そういう面で、最近のああいういろいろなミネラルウオーター的なもの、それなりにいろいろな、加熱処理をしながらやってきている。コストがかかることはわかりますけれども、一方では、この水問題というのは、やはりしっかりと腰を据えた形で、常に問題点を把握しながら対策を講じていっていただきたいというふうに思っております。
 そこで、もう時間もないですから、最後に大臣に、今回、三月に、第三回の世界水フォーラムですか、それが日本で開催される、淀川水系のある大阪近辺で開催されるというふうに聞いております。
 第三回の世界水フォーラムという割と大きなイベントをやっている割には、余り国民の方々も承知していないんじゃないかと思いますけれども、やはり日本としてのいろいろなこのフォーラムに対する期待というのがあると思うんですね。また、大臣もこういうものをどういうふうに生かしていきたいかというお考えもあると思いますけれども、私はやはり、こういった国際的なフォーラムというものを生かしながら、日本国民にも水のありがたみみたいなものをしっかりとまたアピールしていく必要があるだろうというふうに思いますし、また、現状、我が国の水資源に対する問題点、課題に対してはしっかりとした対策を講じていっていただきたい、そのように思いますけれども、この水問題に対する大臣のお考えをお聞かせ願いたい、そのように思います。
扇国務大臣 今、一川議員から御指摘いただきましたように、本年の三月ですけれども、日本で第三回の水フォーラムを開催させていただきます。
 世界じゅうから今参加の申し込みが行われておりますけれども、現段階で、世界人口六十億の中で、世界じゅうで十二億人が安全な飲料水を得ることができていません。そして、二十四億人は下水道の衛生施設持っていません。まして、年間二百万人の子供たちが水に由来する病気で死亡しています。
 そういう現状を考えますと、少なくとも我々は、今後水というものが、人口増加とともに、二〇二五年、八十億と言われています、よりこの深刻さが増幅するということで、水問題に関するこのフォーラムは、急激な人口増加、あるいは多くの食料がますます必要になってくるのに食料不足である、あるいは燃料不足である。そういう、あらゆる途上国においても、水の解決は、私は持続的な問題であろうと思っておりますので、この世界水フォーラム、まだ三回目でございますけれども、これは三年置きに行われておりますので、私は大事な会議だと思っております。
 まして、世界の水フォーラム、政府あるいは専門家そしてNGO、一般市民、あらゆる人々が一堂に会するというフォーラムでございますので、多くの人々の認識が私は集中していただきたいと思うし、まだ一般の皆さんに認識されていないのであれば、国土交通省所管でございますので、宣伝不足なんだろうと思いますので、予算がどれくらいあるのかわかりませんけれども、テレビコマーシャルぐらいして宣伝していただいて、重要な会議は全部テレビ公開できるというのが一番ありがたいんですけれども、そこまで予算はとれていないと思います。本来であれば、インターネットですべての会議の模様もこれは公表するようにしたいと思いますし、高度経済成長した割には水の方が忘れられているんではないかというふうに思っております。
 昔、私どもが子供たちのときから考えれば、一川議員もそうだと思いますけれども、水を飲むのに、駅や売店でお金で水のボトル買うなんて想像もしませんでしたけれども、そういう状況になっていますので、世界じゅうの水不足と水質保全、あらゆる面で、この世界水フォーラムというものは世界に向けて発信するいい機会だと思いますので、二十一世紀の環境にふさわしい会議を行っていきたいと思っております。
一川委員 ありがとうございました。終わります。
河合委員長 瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 私は、まず最初に、定期借家制の導入の背景にありました献金攻勢をめぐる問題について質問いたします。
 契約期限が来ますと貸し主の都合で借家契約が解消できるという定期借家制度の成立を推進しておりました全国宅地建物取引業協会連合会と、その傘下にあります東京都宅建協会の政治団体が、法案成立の前後に、自民党や公明党の国会議員約百名に二億円余の献金や陣中見舞いをしていたことが明らかになっております。
 この定期借家制度の成立は、異常な事態のもとで行われました。そのことは、この法案が審議されたとき、この法案というのは、良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法という名前になったわけですが、この反対討論のときに、我が党の当時の建設委員でありました中島武敏議員の発言でも明らかです。
 同議員はこのように言っています。「最初に指摘しておきたいことは、この法案が、不動産業界や推進勢力の年来の要望にこたえて、国会のルールも踏みにじって短時日で成立させようとしている」として、「正当な理由がないと借家人の退去を要求することができないという半世紀以上にわたって続けてきた正当事由制度を根底から突き崩す」、二十一世紀を前にした歴史的な汚点である。こういう大転換がこの法律で行われたわけですけれども、これについて厳しく指摘をしております。
 この異常な審議の背景に、実は巨額の献金が自民党や公明党議員にばらまかれていた、こういう事実を大臣はどのように思われるでしょうか。金で買収された法律というものは審議やり直しすべきじゃないかと思うんですが、その点の御感想をいただきたいと思います。
扇国務大臣 瀬古議員のきょうの御質問は、過日も予算委員会で取り上げられておりまして、これは少なくとも、私、責任逃れするつもりもさらさらございませんけれども、今御指摘になりました東京の宅地建物取引業協会、これは東京都が所管でございます。きのうも私、石原都知事と横に座っていましたけれども、これは東京都の問題ですから、これに対して私がどうこう言うのは、東政連に関してはですよ、いけないと思いますけれども。
 私、法案を金で買ったというのは、これはちょっと言い過ぎじゃないかと思いますし、それだったら、私も一員だったんですけれども、私は献金いただいていませんけれども、通るんですから、すべてが金で買ったなんということは、それは瀬古議員がおっしゃったことじゃなくて、この間予算委員会でおっしゃっていましたので、私は、瀬古議員は全面的に、一〇〇%そう思っていらっしゃらないと思いますけれども、あってはならないことが行われているとすれば、これは法にのっとって、きちんと私は精査されるべきであろうと思います。
 どの程度の皆さん方がこれを自治省に申告していらっしゃるのか、この辺は、全部の表が今手元にないものですから、だれが幾らなんというのはわかりませんけれども、きちんと処理をしていらっしゃる方があれば、私はそれは正当な政治献金ではないのかなと今思っておりますけれども、法を金で買うということだけは、それはあってはならないので、そういうお言葉だけはちょっと、私もこれ、賛成したので、残念だなと思っていますので、そういう目だけで見ないでいただきたいなと。
 いけないことはいけない、いいことはいい、その取捨選択を私はすべきだ。それは国会議員としての私は義務だろうと思いますし、間違っても疑義が持たれるようなことがあってはならないと思っております。
瀬古委員 時々、こういう問題を質問したときに、大臣は、きちんとこれは届け出がしてあるのできちんと処理されているというお話もされるんですが、今、こういう企業献金、政治献金のあり方として、届け出がしてあっても、これがわいろ性があるという場合には逮捕されるという事例は、あの宗男議員の問題も、あの長崎の自民党の前幹事長が逮捕された問題もそうなんですね。要するに、そういう届け出がしてあっても、例えば法律成立にかかわるとか、またはその工事を引き受けたときにそれに関与していたというかかわり合いがあった場合には、当然それは、たとえ届け出がしてあっても、不正な、不当なやり方だということも今指摘されているんですね。こういう観点から私は見る必要があると思います。
 それで、東京不動産政治連盟の第二十七回年次大会の議案というものが手に入りまして、これを見せていただきました。これを見ますと、大変びっくりすることが書いてあるんですね。
 例えば、この中で、主な活動状況というところがございますけれども、この中には、もう一連の、ずっと、政治家にどのように働きかけたのかということが、ずらずらと政治家の名前が出ております。例えば平成十一年四月から平成十二年の三月、つまり、この定期借家制度の成立の前後、どういう働きかけをやったのかと、大変詳しく出ているんですね。
 それで、四月二十三日は清水達雄、集会参加。この方は自民党の定期借家権等に関する特別調査会の幹事長、建設省の元不動産課長でいらっしゃる方ですね。そして、全政連、東政連の献金額でも群を抜いてトップ、いただいている方なんですね。こういう方でございます。七月五日は保岡興治衆議院議員、集会参加。この方は法案提案者で、代表として答弁に立ちました。八月五日、太田昭宏衆議院議員、集会参加。これは公明党の方ですね。そして、十一月五日、平田米男衆議院議員、会合。これは公明党で、当時建設委員会の委員長です。十一月十日、井上義久衆議院議員、会合。これも公明党の当時の建設委員会の理事で、答弁に立たれました。十一月二十九日は古賀誠衆議院議員、集会参加。当時、自民党の国対委員長でございました。十二月十三日、森喜朗衆議院議員、集会参加。当時、自民党の幹事長。三月十六日、根本匠衆議院議員、集会参加。これは提案者で、答弁に立たれた方です。
 こういう形で、大臣、国会議員に対する集会参加と称する陳情は、実に六十七回に及んでいます。そして、これらの自民党、公明党の議員に実は献金が行われている。それは確かに届け出がしてあるので、私も届け出してあるのを調べて、こういう莫大な献金をこの前後にもらっているということが明らかになったんですね。
 こうした自民党や公明党の議員に献金が行われて、そしてお金をもらい、その見返りにその業界の都合のよい法案、ある意味では借家人にとっては居住権を侵害される法案なんですけれども、これをつくって多数で成立させる。法務委員会でやっていたけれども、これはちょっと難しいというので、建設委員会にわざわざ舞台を変えて成立させる。こういうことをやってのけたわけですよ。これほど私は露骨なやり方はないと思うので、その舞台がこの建設委員会、今、国土交通委員会ですけれども、立っているという点を私はもう少し冷静に見る必要があると思うんです。
 これは極めてわいろ性が私は濃厚ではないかと思うんです。もちろん、この政治連盟というのは、直接国土交通省のかかわっているということではありませんが、しかし、この宅建協会など全国的な組織は、当然国土交通省が監督省庁でありますし、政治連盟はその一体のものであります。メンバーも同じです。こういうところにきちんとした責任を監督官庁としてやはり果たすということが求められていると思うんですね。
 こういう意味では、改めてこういう事実をしっかり見て、今、大臣が、お金でこういう法案が買われたんじゃないかということについて異議ありというふうに言われたんですが、本当にそうかどうかというのはもう一回見直してみる必要があるんじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
扇国務大臣 瀬古議員が御自身の口からおっしゃいました、もともと政治資金規正法は、政治団体が行ったもので、政治活動、そういうものに関しては国土交通省には関係がないと御自身が言っていただいたので、私は、その点では高く瀬古議員の見識を評価して、ああ国土交通省をそういうふうに見ていただいているなと思って、その点では感謝申し上げたいと思います。
 私は、この全宅連というものと、東宅連ですか、東宅協会、この関係、これが一時、一昨年だったでしょうか、私が大臣になってからですけれども、政治連盟の入会申し込みを一緒にやっているという指摘を受けまして、それで、私は、都道府県の宅地建物取引業協会へ入会に当たっては厳正に別にすべきである、会員になったら即こっちの団体にも入りなさいよというのはおかしいということで、これは強く指導いたしまして、それは改善されて、現在はこの事実は改善されて、ないというふうに考えていますので、私はそのときにはきちんと処置をしたと思っております。
 個々の先生方への政治献金というのを私がどうこうしろということは、これは連盟の御自由でございまして、私が指導する方がむしろ政治介入して、私がお金を配るようなことができるわけがありませんし、また、こっちへ配れ、こっちへやめろなんてことは私の権限外でございますけれども、少なくとも疑義を持たれるということがある場合は、私は司直の手できちんと、長崎県連の元幹事長のように逮捕されたり、今もお話ございましたような、国会議員もそういうことが行われておりますので、そういう意味では、厳正な処分と厳正な目は法がきちんと見ていらっしゃるなと思って私は見ております。
瀬古委員 政治連盟と協会との関係は、確かに直接、政治連盟は国土交通省がそれを指導するという立場ではありませんけれども、しかし、今までの経過でいうと一体のものとしてやられてきたという経過もあり、そして、今もなお、実際にはこの法案の成立をめぐってある意味では一体的に動いているという点で、私は国土交通委員会の責任が重大だというふうに思っているんです。
 実は、社団法人の東京都宅地建物取引業協会の機関誌であります月刊宅建というのがあるんですが、二〇〇〇年の一―二月号に、借地借家法の一部改正案の法務委員会の取り下げ、そして建設委員会での新法の提出が危険なかけだ、こういうことが実はこの中に吐露されております。
 月刊宅建は、その点についてこのように言っています。この状況、借地借家法改正では定期借家制度を導入することが困難な状態だったわけですね。これを救ったのは、第百四十五国会開会中の昨年七月十三日の自民党三役、国対委員長、藤田協議会の世話人、これはこの協議会の会長さんですが、この会談で、「この時、「借地借家法一部改正案」を取り下げ、別の新法案を作成し国会提案の出し直しを図る、という可能性をツメていくことが確認されました。」「しかしこの確認は、次の理由から」「危険な賭けでもありました。」
 一つは、定期借家制度の導入を図るためには、借地借家法第三十八条の関連条文、賃貸人の不在期間の建物賃貸借とか取り壊し予定の建物を賃貸借するとか、こういうものがありますが、こういうものの改正が絶対条件になる。その改正を行うことの可能性があるのか。二つ目には、新法で再提案ということは法務委員会以外の常設委員会で審議するという意味を含むことになるが、法務委員会委員を初め、関係議員の反発を買わないか。三つ目は、借地借家法の一部改正案の提案党である四党の取り下げ同意ができるのか。こういうところまで話し合っていたということが、赤裸々にこの月刊宅建に書かれております。
 しかし、このような危険なかけをした結果、法案成立にこぎつけたのはなぜかというと、献金攻勢、関係議員にやはりそれをかけた結果だということは、実際に届けられたこのお金の莫大な金額だけでも明らかになっております。この事実は、文字どおり私は司直が当然やらなきゃならないと思いますし、しかし、国土交通省みずからも解明しなきゃならない問題だと思うんですね。
 司直の立場からいって、わいろ政治そのものだというふうに私は思うんですが、法務省は、当然、収賄罪としての捜査の対象になっていくのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
樋渡政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねは、一定の状況を前提として犯罪の成否をとらえるものでございますが、犯罪の成否は、収集された証拠により認定された事実関係に基づいて判断されるべき事柄でございますので、一概には申し上げかねます。
 しかし、あくまでも一般論として申し上げれば、公務員がその職務に関し不法な報酬としての利益を収受した場合、政治資金規正法にのっとった処理がなされているかどうかを問わず、収賄罪が成立するものと承知しております。
 検察当局のことをお尋ねでございましたが、検察当局の具体的な活動についてお答えする立場にはないわけでございますけれども、これも一般論として申し上げれますば、検察当局におきましては、常に厳正公平、不偏不党の立場から、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき、適宜適切に対処するものと承知しております。
瀬古委員 これほどしっかりした証拠は、調べれば、ないわけで、そういう点では、ぜひ法務省の立場からもしっかり調査をしていただきたいと思います。
 そして重大なのは、法案の名称を良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法案という、大変国民にとってはいい住宅がこれでたくさんできるぞ、こういう提案になっております。
 提出にかかわっております政党の一つである公明党・改革クラブの冬柴鐵三幹事長は、法案提出後の八月四日に記者会見を行いまして、良質な公共賃貸住宅を供給する、具体的には五年間で百万戸の公共住宅を供給することを当時の建設省に約束済みであると言っております。これは公明新聞に書かれております。
 国土交通省に聞きますけれども、百万戸、五年間で公共住宅の約束をされたんでしょうか。この法案が成立したのは一九九九年ですけれども、二〇〇〇年から二〇〇四年まで、公営、公団、公社などの公共住宅は、一体何戸建設されたんでしょうか。
松野政府参考人 良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法は、平成十一年十二月十五日に制定されたものでございます。
 その後の、平成十一年度から十四年度までの建設実績についてではございますが、公営住宅につきましては、見込みを含めまして約十万九千五百戸、公団賃貸住宅につきましては、十一年度から十四年度まで、見込みを含めまして約四万一千六百戸、公社賃貸住宅の平成十一年度から十四年度までにつきましては、見込みを含めまして七千九百戸ということでございます。
 約束があったかどうかについては、私は承知しておりません。
瀬古委員 百万戸なんてとんでもない話ですよね。
 百万戸というのは、その当時考えられましたか、約束したかどうかは別にしても。考えられた数ですか、百万戸というのは。
松野政府参考人 今申し上げましたような戸数でございます。百万戸というような数字には到達しておりませんが、今後も、良質な公共賃貸住宅の供給の促進には努めてまいりたいと考えております。
瀬古委員 事実、こういう問題について、約束もしていないのに、これが約束されたかのようにして法案を通す、こんなことは到底私は許されないと思うんですね。公共住宅が百万戸供給されるどころか、今、見てくださいよ。東京都や大阪府などは新規建設ゼロでしょう。公団住宅は、原則、賃貸住宅の供給から撤退という状況でしょう。ここに私はこの法案のわいろ性というのがあるということをしっかり見ていただきたいと思うんですが、時間がございませんので、次の問題に移りたいと思います。
 もう一つ、私はぜひ国土交通省に真剣に取り組んでいただきたいのは、ダムの談合問題です。
 長野県の第三者機関であります公共工事の入札等適正化委員会、これは適正化委員会と私ども言っているんですが、ここが一月三十一日に、長野市の浅川ダムが談合によって受注業者が決まったと談合認定を行いました。そのことが、今、全国で注目を浴びているんですね。
 扇大臣は、談合認定の報道があった一月三十一日に記者会見を行って、これは入札契約適正化法に書いてあることが確実に実行されてきた証拠だと思って、大変よいことである、このように扇大臣は発言しておられますが、この考え方というのは今でも変わらないんでしょうか。
扇国務大臣 今おっしゃったとおりで、私はやはり入契法というものをつくっていて本当によかったなと。全会一致でこれを通していただいたことは、国会として良識ある選択、戦後初の入契法ですから、これは私は、今の入札に関して多くの問題が生じておりますのが、本当によかったというふうに考えておりますし、長野県で適正に法に適用されたということで、私は大変これが浸透してきたなというふうに考えているのは今も変わりありませんし、また、国土交通省の調査によりますと、長野県だけではございませんで、すべての都道府県において、市町村が九四%、また、入契適正化法を受けて公正取引委員会への通知が行われているという、この数字を見ても、長野県の取り組みは、私は同法をめぐる大きな動きの一つであるということで、三千百三十七団体、これは契約全体の約九四%ですから、そういう意味では、今後ももし何かあったらぜひこういうふうに届け出ていただいて、独禁法で公取の適正な判断があるべきだと思っております。
瀬古委員 もう少し深く長野の例は私は勉強していただきたいと思うのですが、この委員長さんはそれこそ公正取引委員会で働いていた方なので、独禁法は独禁法、公正取引委員会でやる場合はいろいろな証拠やそういうものが必要です。しかし、この適正化委員会は、確たるこういう証拠というものがなくても大体情況証拠で談合が認定できるというように判定されたというのがすごく画期的なんですね。これは公正取引委員会の調査とは違うんです。それでも談合というのは可能だという長野県の自主的な判断があったという点を私は見る必要があると思います。
 この適正化委員会の報告書によりますと、談合認定に至った根拠は大きく言って三つございます。
 一つは、工事費内訳書の分析。ダム工事には土石掘削などさまざまな工種がありますけれども、長野県の場合は積算金額を出しているのですね。ところが、積算の基礎データは全面的に公開されているわけではありませんから、入札参加の企業間ではかなり差が出るんです。ところが、浅川ダムの入札結果は、参加した十のジョイントベンチャーの企業の積算金額の傾向がほとんど同じ。お配りしております資料で見ていただくと、一〇〇が県の積算金額ですけれども、これがぴったり一致しているわけですね、本命企業に。明らかにこれは談合を示すことです。
 それから、同じく適正化委員会にいただいた資料で、下を見ていただきますと、これは違うトンネル工事の内訳書なんですが、ばらばらです。これは明らかに談合が行われていない。
 こういう差を見て、この内訳書というのは大変重要だという点で、長野の適正化委員会が判断をされたわけなんですね。
 国土交通省は、談合情報があったとき、こういう工事内訳書を分析すればかなり正確に判断できるというようにこの長野の例からも学ぶべきだと私は思うのですが、今までこういう分析をやっていらっしゃったのか、また、談合認定する場合には今後このような分析をきちっと使うべきじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。
中馬副大臣 談合を認定する手法として工事費の内訳書の活用、これについてのお尋ねがございました。
 国土交通省では、具体的な談合の情報があれば、公正入札の調査委員会を開きまして、談合情報対応マニュアルに沿って対応しております。その際、入札参加者全員に対しまして事情聴取を実施するとともに、入札に際しまして、御指摘のような工事費内訳書の提示を要請しまして、積算担当官が立ち会いまして各工事ごとの積算金額の業者間の比較等の分析を行っておりまして、内容が非常に似ているといったようなことがございました場合には、そしてまた、疑いが晴れない、懸念が払拭できない場合には、入札を取りやめております。
 しかし、発注者といたしまして、談合情報対応マニュアルによって、これらの対応を通じまして入札等を執行するか否かの判断を行っているだけのことでございまして、談合を認定するまでの権限は有しておりません。入手した情報は、談合情報対応マニュアルの手続の各段階において、逐次、公正取引委員会に報告しているところでございます。
瀬古委員 先ほど言いましたように、こういう談合情報があって、グラフがぴたっと一致した場合には、公正取引委員会にお任せするんじゃなくて独自でやりましょうというのが長野の経験なんですよ。そして、十分やれると。提示だけじゃなくて、この浅川ダムの場合は、その内訳書をちゃんと証拠でとっておいた。それが後々明らかになったので、そういう改善は必要じゃないですか。
中馬副大臣 今申しましたように、私どもは、これを談合だとか認定する権限はありません。それを持っておりますのは、公正取引委員会でございます。
瀬古委員 そこが問題になっているんですよ。長野では適正化委員会をつくって、きちんと談合で、独禁法違反ということで認定できるのはもちろん公正取引委員会だけれども、情況証拠でちゃんと、それぞれ独自で委員会を立ち上げればやれるということをこの長野県の例は示しているんです。そういうふうに私は変えるべきだと思うんですよね。
 それからもう一点。時間がありませんのであれですけれども、例えば、二つ目に長野が認定した理由は、山崎文書の信憑性なんですね。これは、私はここでも二回取り上げましたけれども、山崎建設に聞いたら、そんなものつくっていないと言われたので、それでもう終わりだったんです。そうじゃなくて、この浅川ダム、長野県の調査委員会は独自でこの山崎文書を検証した結果、浅川ダムを含む二十六のダムのうち、浅川ダムを含む二十二のダムで山崎文書で記載された本命企業が受注されていた。的中率は八四%で、本命企業をこれだけ正確に言い当てるということは、談合で本命企業が決まっていないとあり得ない、こういうふうに判断したと言われるわけですね。
 こういう点では、やはり山崎文書には、もちろん県独自の、それぞれの県のダムがありますけれども、国、国交省が直轄しているダムも幾つかあります。だから、これは長野がよかったと言って喜んでいるほど他人事ではない。やはり長野から学んで、文字どおり、国交省としてはこの山崎文書を検討することが必要じゃないかと思うんです。
 私は国交省の職員の方に聞いたら、もしこれが認定されたら、日本じゅうの公共事業はみんなとまってしまう、恐ろしいことだと言っていらっしゃったことを覚えていますけれども、それぐらいこの山崎文書は大変重要な意味を持っているんです。もう一度しっかり調査をするということが必要じゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
扇国務大臣 今の山崎文書と一般に言われておりますことは、過去にも、共産党さん、赤旗にもこれは載っておりました。
 それで、国土交通省としましても、これを調査しようということで調査をさせていただきまして、平成十三年九月十三日、これは山崎建設の常務取締役あるいは業務執行役員を呼んで、河川局長等々がこれを調べました。また、土工協の裏組織であると言われましたので、これは赤旗さんに書いてありましたので、これも調べようということで、十三年の九月十三日に、土工協の専務理事を呼んで、これも河川局長も立ち会って調査をいたしております。
 そういうふうに調査をいたしましたけれども、さらなる調査が必要だとおっしゃればそれまでですけれども、調査をして、いえ、そういう文書は一切ございませんと言われたら、それ以上の権限がないわけですけれども、私たちとしては、きちんと国土交通省の直轄工事に関しましては、少なくとも従来よりも具体的な談合情報とその対応については、第三者機関であります、御存じのとおりの入札の監視委員会への報告をしているところでございますので、私は、冒頭に申しましたように、長野県はこの第三者委員会を設置していただいていたからわかったことというのであれば、いまだこの第三者委員会を設置していない県の皆さん方にとっては、私はぜひこれを設置していただきたい。まだ設置していない県は、福島県、群馬県、石川県、そして京都府、宮城県、鹿児島県、沖縄県、これだけがまだ設置していないわけですから、私たちが調べた段階では、ないとおっしゃいましたけれども、第三者委員会できちんとそうしたものを調べていただくように、今回の長野県のようなことは第三者委員会を設置していればわかりますので、山崎文書と言われるものも、私たちには、調べた段階では、現段階ではこれ以上の調べようがなかったと思いますけれども、第三者委員会ができれば、私はひょっとしたらもっとできているかもわかりませんので、その点は、今まだ第三者委員会を設置していない県に対しては、これを設置していただきたいというのが今の現状でございます。
瀬古委員 もう時間が来ましたのでこれ以上時間とれませんけれども、今、第三者委員会で、例えば、それぞれの県でまだ取り組んでいないところはもちろん論外ですけれども、では、国の第三者委員会の審議がどうなっているのかと、私は少し取り寄せてみました。
 実際には、第三者委員会の審議はわずか四十五分。そして、中身は、一体、入札談合の情報はどういうように事情聴取を行うのか、相手方を呼んで事情聴取を行いますと。こういうように、聞くだけなんですね。今言われたように、山崎建設に行って、どうですか、こんなこと、やりました、うちは談合やっていますなんて言うはずないでしょう。それで長野県は、きちんとデータに基づいて調査をやれば、何も、公正取引委員会ももちろん私しっかりやってもらいたいと思いますよ。しかし、やらなくても、県独自で十分、第三者機関がその能力を発揮すればやれるということを示した。
 こういう点では、私は今、扇さんの御意見聞いても副大臣の意見聞いても、この長野の例からしっかり学ぶという姿勢がないと思うんです。私は、今改めて、長野県は、公正取引委員会を入れなくても、きちんとした具体的な事実で調査して、そして談合を認定したということをしっかり学んでいただきたい。
 それを、みずからの公共事業、今私がそこに、お手元に入れましたけれども、落札率、ほとんど一〇〇%近いでしょう。値段もうんとつり上げられている。ところが……
河合委員長 質疑時間が終了しております。簡潔にお願いいたします。
瀬古委員 はい。
 実際には、談合していない場合には金額は低い額でなっている。そういう公共事業のあり方そのものが問われているので、やはりしっかりメスを入れてやるようにぜひ検討していただきたいと思います。
 以上、終わります。ありがとうございました。
河合委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
河合委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 質問者の名前を見て出なくてもいいのではないかと考えている方がいらっしゃるのではないかと、なかなか出席が少ないので残念なんですが、午後の一番で質問させていただきます。
 川辺川ダムの問題なんですが、これは計画以来、もう既に三十五年がたっているわけです。この間、さまざまな新しい事実、これが明らかになりました。そうした事実の一つ一つを見てみると、ダム建設を強行する根拠、これがますます希薄になっている、こう言わざるを得ないと思うんです。
 同時に、河川法が改正をされて既に七年を経過いたしましたが、この間、特にこの数年なんですが、河川をめぐる状況というのは大きく変化をしつつあります。この変化に本来素早く対応して、時代のニーズに合った、環境問題とかさまざまな問題がありますが、河川整備方針をつくらなければならないということになっているんですが、残念ながらいまだ策定をされていません。
 さまざまな問題が今河川に出ているわけですから、早急に河川整備基本方針、これを策定すべきだ、こう考えているんですが、これは本当は大臣に聞こうと思ったんですが、では、政務官に。
岩城大臣政務官 ただいま日森委員からるる御説明がございましたけれども、私から答えさせていただきます。
 球磨川流域では、これまで過去三十年間にわたりまして九回もの水害が発生しておりまして、多くの方々が御苦労なされてこられました。流域の二市七町六村、約十二万人の生命財産を守るために、川辺川ダムは必要な事業である、このように認識しております。
 したがいまして、現在、熊本県の協力によりまして、川辺川ダムを考える住民討論集会や球磨川流域市町村議会議員との意見交換会などを開催し、球磨川の治水計画や川辺川ダムの治水、利水計画等について種々御意見をお伺いいたしますとともに、川辺川ダムの必要性や重要性について御理解をいただけるよう努力をしておるところであります。
 一方、おただしの河川整備の基本的方向性を定める河川整備基本方針につきましても、その策定に向けまして作業を進めておるところでありますので、御理解いただきたいと思います。
日森委員 実は先日、私どもの同僚が、これは三たびになると思いますが、川辺川に調査に行ってまいりました。そのときにも現地で同様の質問をしたというふうに聞いていますが、どうもその時期がはっきりしない。実は、もうダムから何から全部つくっちゃった後に河川の整備方針を決めるということになれば、これは本来の、今の状況に必ずしも合致していない、こういうふうに言わざるを得ないと思うんですが、その時期についてどのようにお考えなのか、もう少し詳しくお答えいただきたいと思います。
鈴木政府参考人 川辺川の、球磨川の河川整備計画の策定の時期についてのお尋ねでございます。
 その前にちょっと申し上げたいんですが、現在、御指摘のように、球磨川水系の河川整備基本方針はできておりません。整備計画もできておりませんが、河川法改正の際に附則が規定されておりまして、この経過措置に基づきまして、河川法改正以前に作成された工事実施基本計画の一部を河川整備基本方針とみなすことができます、こういう規定になっております。ですから、現在進めております川辺川ダムの根拠は、既に策定されておりました河川整備基本方針、これによっているということでございます。並びに、工事実施基本計画の中に示されている河川整備計画、それによっているということでございます。
 それの実施の時期の見通しをということでお尋ねでございますが、現在、御案内のように、熊本県知事さんから、河川管理者としてこの事業の説明責任をきっちりと話すべきだという御指摘を受けて、住民討論集会というのをやっております。これは都合もう六回にわたっていると思いますが、大変な労力がかかっておりまして、そのあたりに非常に時間がかかっているということもあって、必ずしも、河川整備基本方針の策定の時期を今ここでいつというふうに申し上げるような段階にはございませんが、ただいま政務官から答弁がございましたように、一生懸命やってまいりたいと考えております。
日森委員 時期を明示しろというのは、実は、川辺川ダムですけれども、荒瀬ダムというのがなくなるわけですね。そうすると、治水にしても何にしても川の状況が大きく変化をするわけですよ。それに合わせて早急に見直しをして、新たな整備計画のもとで進めていくということがむしろ妥当なんじゃないかと思いますが、その辺は、実際に、これは二番目の質問と一緒になりますが、荒瀬ダムを撤去することによって川辺川が大きく変わる、どのように変わっていくのか、それも含めてお答えいただきたいと思います。
鈴木政府参考人 川辺川の計画と荒瀬ダムの撤去の関連についてのお尋ねでございます。
 荒瀬ダムは、球磨川の河口から約二十キロメートルに位置します、熊本県企業局が設置しましたところの高さ約二十五メーターの小規模な発電専用のダムでございます。これは、治水目的は持っておりません。
 したがいまして、荒瀬ダムの撤去によって球磨川全体の治水計画の基本的な事項に変更は及ぼすものではございません。
 これは、基本的な事項に変更を及ぼさないということをもう少し具体的に申し上げれば、球磨川全体の、例えば基本高水流量ですとか計画高水流量ですとか、そういったことに変更を及ぼすものではないということでございます。
 当然のことながら、ダムを撤去しますと、その区間の川の水位が下がるわけでございます。そういう部分的な変更はあるわけでございますが、全体として、さらに突っ込んで申し上げれば、この撤去によって川辺川ダムの現計画は、連動して何か変えなければいけないというようなものではございません。
 さて、もう一つのお尋ねの、荒瀬ダムの撤去によってどのような問題が生じるのかということでございます。
 ただいま申し上げましたように、全体の計画に影響を及ぼすものではございませんが、当該ダムの貯水池には既に土砂がたまっている、それがなくなると土砂が下流に出てくるですとか、今水がたまっておりますが、そのわきには県道が、ちょっと失礼しました、国道かもしれませんが、道路が走っていて、そのわきのところが、要するに、水が流れることによって洗掘されるのではないかとか、そういったさまざまな問題がこれから考えられるわけでございまして、そのあたりについては、十分これから県の方とも相談しながら、対策、対応を考えてまいりたいと考えているところでございます。
日森委員 そうすると、まだ具体的なシミュレーションなどはやられていない、これからそういうことをしっかりと調査をして、その上で、できたら計画に生かすということになると思うんですが、そういう理解でよろしいですか。
    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
鈴木政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申しましたように、川辺川ダムの計画に直接リンクして何か変えるというようなことが生じるとは考えておりませんが、この球磨川の、このダムの撤去するところも球磨川の一部で大事なところでございますので、そこの部分の今後の治水上の問題についてどのようにさまざまな課題にこたえていくかということについては、今後さらにしっかりと詰めてまいりたいと考えております。
日森委員 次に、このダム建設に対してずっと異議を唱え続けている住民団体、これが情報公開法などを使って、大分お金がかかりました、こう言っていましたが、調査をした結果を見せていただきました。
 そうすると、このダムをつくらなくても、流域最大の人口と資産を有している八代地区での、萩原堤防というふうに言われているようですが、これを補強することで、実は二百年に一度の水害にも耐え得る、十分耐えられるという結論を出しています。
 しかも、この堤防の補強工事というのは、この試算、実際に資料があるんですが、球磨川萩原堤防補強効果検討業務報告書というのが出されていまして、これは株式会社建設技術研究所というところがずっと調べたものなんですが、それを見ますと、費用もわずか二十九億円ぐらいで補強できる。これだけで、実は二百年に一度あるかないかと言われる大水害にも十分対応できるという結論が出ているんですけれども、これについて国土交通省のお考えがございますでしょうか。
鈴木政府参考人 萩原堤防のことに関してのお尋ねでございます。
 ただいま指摘されました報告書というのは今手元にございませんので、その点につきましては定かではございませんが、お答えいたします。
 球磨川の治水計画は、八十年に一度の確率規模の洪水に対処する計画となっております。川辺川ダムがない場合の萩原堤防付近の洪水流量は毎秒八千六百トン、このように見込んでおるところでございます。
 この場合の当該地点の水位は、萩原堤防付近の計画高水位をその堤防の前後約一キロメートルにわたって超えてしまうことになります。このため、川辺川ダムを建設して、洪水時の流量を毎秒七千トンに低下させて、そして水位を計画高水位以下にして安全に洪水を処理するということを考えているわけでございます。
 治水対策は、当然のことながら、水系全体を考慮して策定する必要があるわけでございまして、川辺川ダムは、御案内のとおりだと思いますが、下流に人吉盆地という大きな盆地がございます。その根っこのところに人吉市がございまして、それからずっと狭窄部がございまして、狭窄部の中に荒瀬ダムなどがございます。下流が、八代市があって、いよいよ八代海に注ぐという川でございますが、川辺川ダムの効果というのは、このダムから下流全域に及ぶものでございまして、その川辺川ダムの効果とこの八代地区だけの改修による費用というようなものを、費用同士を比べたり効果を比べたりということは、私どもとしては適当ではないと考えているわけでございまして、何を申し上げたいかと申しますと、治水対策上、川辺川ダムはダム下流全般にわたって効果を発揮するものでございますので、治水上有効であると考えているということでございます。
日森委員 とおっしゃるのですが、聞くところによりますと、国土交通省は、一たん萩原堤防の工事予算を計上したというふうに聞いているんです。しかし、八代海の調査費用がかさんで、そちらに転用するということで、この工事が未実施になっているということなんです。これはそういうことでおやめになったということなんですが、しかし、この萩原堤防の補強工事は、当然国土交通省としてもおやりになるという考えでおられるわけですね。
 そうすると、これについては、早晩その工事はもうすぐに始めることになるのかどうなのか。これは一体、この工事をすることの基本的な意味についてもあわせてお伺いをしたいと思います。
    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕
鈴木政府参考人 この萩原堤防につきましては、萩原堤防のすぐ背後に、住宅側と申しましょうか、背後側にJRの肥薩線が近接してございます。したがいまして、この堤防を強化するために、堤防を腹づけといいますか、太らせる必要があるわけでございますが、JR線側の方にはその腹づけをすることができなくて、河川側の方で腹づけをする必要があるということでございます。
 ところが、この萩原堤防の前面は、球磨川がちょうど上流から向かって左の方に大きく湾曲するところでございまして、この部分については、堤防の先っぽの部分でございますね、この部分が大きく洗掘されておりまして、この堤防を、先ほど言いました腹づけといいますか、きちんと頑丈にする以前に、深掘れ対策を実施することが必要でございます。
 したがいまして、この腹づけ工事の堤防補強の施工に先立って、洗掘が著しい河床部の補強工事を行うということで、本年度補正予算によって、洗掘の著しい河床部の補強工事を行うということでございます。堤防が洪水によって思わぬところで破壊されてしまうということがないように、しっかりとした対策を行うということでございます。
日森委員 国土交通省は、川辺川ダムがないと、八代地区で川幅を五十メーターから百二十メーター拡幅する必要があるというふうに説明してきたというふうに聞いています。しかし、この説明が最近になって突然撤回をされたというか、説明の中に入ってこなくなった。なぜこのような説明をしてきたのか、なぜ今その説明がなくなってしまったのか、どうも住民から見ると理解できないような状態があるわけですね。これについて御説明いただけますか。
鈴木政府参考人 ただいまの代替案の関係につきまして御説明いたします。
 川辺川ダムの代替案、私どもは、この川辺川ダムによって球磨川の治水をするということが大事だと考えておりますが、それを説明するために代替案をつくったわけでございます。
 これは平成七年度に当初つくったわけでございますが、その案が五つございまして、堤防かさ上げ、引き堤、堤防を広げる、それから河床を掘削する案、遊水地の案、放水路の案。これはどういうことかと申しますと、河川改修の代表的な工種を選んで非常にシンプルに説明したという、これがそういう五つの代替案を示したということでございます。
 これは、まさに代表的工種を選んでやればこうでございますということで、それなりに大変シンプルというメリットはあるわけでございますが、実はこれを今、ただいま御指摘のように、平成十年度に、このうちの堤防かさ上げ案と引き堤案と河床掘削案、この案の一部を修正しているわけでございます。すなわち、それぞれの案の、八代、先ほどの萩原堤防に係る部分の堤防をかさ上げしたり引き堤したりということではなくて、全面を掘削することによってという案に修正したわけでございます。これは、ダムの建設の費用と比べるといいので、先ほど言いましたように、それぞれ非常にシンプルな案で説明するというわかりやすさはあるわけでございますが、その案は、当然ダムと比べる場合に安い案というのをあくまでも追求すべきなことは当然でございまして、その点に欠陥がありましたので修正をしたということでございます。
 なお、この案は、当然のことながら、そういった五種類の検討案を比較しても、川辺川ダム案が治水上、最も有利であるという結論を私どもは得ているわけでございますが、この案については、平成十年の七月から、もう既に五年以上になりましょうか、地元への説明にも用いております。先ほど住民討論集会なども何回も行っていると説明をしましたが、その場でも説明に出るなど、きちんとそういった誤解のないように説明に努めているところでございます。
日森委員 私がいただいた資料によりますと、川幅は、昭和二十二年と比較をすると既に広がっていて、十分な流量を確保できるんだということになっていると思うんです。それにもかかわらず、平成十年に川幅を広げなきゃいかぬというような説明をしたというのはどうも納得できないという思いがあるんですが、まあそれはそれで。
 それで、先ほど私が紹介しました、球磨川萩原堤防補強効果検討業務報告書、これはまだお読みになっていないということでしょうか。
鈴木政府参考人 私自身、まだその資料については説明を受けておりません。
日森委員 ぜひ目を通していただいて、検討していただきたいと思います。
 住民側も、本当にむだなお金を使わないで治水ができれば一番いいわけですね。そのためにいろいろな情報、もちろん国土交通省からも情報をいただいたり、いろいろな学者の方々や研究所にお願いをして、住民の側からこういう案を出しているわけですから、ぜひ目を通していただいて、国土交通省の計画とのいわばすり合わせということや、あるいはこちらの案が何とか実行できそうならばこれを採用するかということまで言わないとも思いますけれども、そういう意味でぜひ早急に目を通して検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、ダムですから強制収用しなきゃいけないということがあるんですが、国土交通省は、その理由と言っていいかどうかわかりませんが、もう既に球磨川水系で五十四名が亡くなっているんだということをおっしゃっています。それから、扇大臣も国会の答弁の中で、もうこういうたくさんの方々が球磨川水系で亡くなっていらっしゃるということをおっしゃっています。
 しかし、実際、これも住民団体が丁寧に調べたところ、河川の増水による死者というのはわずか一名だ。わずかと言うと怒られますが、一名しか亡くなっていない。そのほかの犠牲になられた方々は、山津波であるとかがけ崩れによって被害を受けているということが明らかになったんです。
 そうすると、どうも、治水対策、ダムをつくって治水をちゃんとしないと、五十四名もう死んでいるんだから大変だぞという宣伝に、この五十四名の犠牲になられた方々が利用されたのではないかという思いが残るんですが、その辺について、国土交通省、どうお考えでしょうか。
鈴木政府参考人 お答えをいたします。
 御指摘のように、そういった資料の中で死傷者の数が五十四というような記述があるわけでございますが、これは、川辺川ダムから下流だけで起こった被害のことを言っているわけではなくて、上流の五木村ですとかほかにもたくさんありますけれども、あるいは川辺川の本川の上流の方の町村の被害なども入っているわけでございまして、そういったことをきちんと明らかにした上で、私たちとしては、災害によって球磨川流域全体でもってどのような被害が起こっているという資料を県の方からいただいて、それを使わせていただいたということでございますが、流域全体での被害だということは明らかでございまして、殊さらそれを針小棒大に説明してというような意図はなかったという点については御理解いただきたいと思います。
 こういった件につきましても、先ほど申し上げました住民討論集会などでもいろいろ質問が出ておりまして、それについてつぶさに説明させていただいているということを申し上げておきたいと思います。
日森委員 恐らく、国土交通省も増水によって亡くなった方は一名だということは先刻承知の上でずっと説明をされてきたんじゃないかというふうに思っているんですが、こういう資料などについては誤解のないようにしっかりと正確に伝えないと、あたかも、増水によって五十四人死んだんだ、だから川辺川ダムをつくらなきゃだめじゃないか、そういうことをおっしゃるのと同じになっちゃうと思うんですね。そこについてぜひ、反省も含めて、きちんとしていただきたいと思います。
 ちょっとこの問題については、時間がなくなって申しわけない、最後になっちゃうんですが、大臣にこれはちょっとお聞きしたいんです。
 先ほど言ったように、五十四名の被害の大多数は山崩れだとか山津波だとかがけ崩れで亡くなっているんだということになると、問題は、治山治水、むしろ、治山とか緑のダムというふうに言われていますけれども、そういう山をしっかりと再生させるとかいうことによって、実はこの被害は防げたのではないかというふうに逆に言うこともできると思うんです。
 そういう意味では、緑のダムによる治山治水こそ今求められていることであって、川辺川ダムの建設で、国土交通省が口を酸っぱくして言っていますが、住民の命や財産は守れないんではないかとさえ思っています。その辺で、緑のダムによる治水治山、これについてどうお思いになるのか。
 それからもう一つ、採算割れになるかもしれないと言われています、このダム。こういうことが予想されているダム建設を抜本的に見直して、そして新たな流域住民の生命財産を守るための施策を再考するということについてお考えはあるのか、そのことについてちょっとお聞きをしたいと思います。
扇国務大臣 緑のダムという言葉は大変いい言葉で、すべて夢のような感じがしないではないんです。私も、緑のダムというのは大変言葉としてはいい、また、どの程度役立つかなということも大事なところだろうと思います。
 緑のダムということで、雨が少ない、少量の雨のときには、確かに雨を地中に浸透させるということに関しては、森林というのは大変効果的なこともある。ただし、大雨とかあるいは集中豪雨とか、そういう雨の降り方によっては、むしろ土壌が飽和状態になって、降った雨はそのまま流れ出してしまうという、その危険性が、大洪水を防止するには森林だけでは限界があるというのはおわかりのとおりだと思います。
 また、この点については、内閣総理大臣の所管のもとで設置されております日本学術会議、これによって森林の機能についての議論がなされて、平成十三年十一月には、森林は中小洪水においては洪水緩和機能を発揮するが、治水上問題となる大洪水においては、洪水のピークを迎える以前に流域は流出に関して飽和状態となり、顕著な効果は期待できない、こういう趣旨の森林の機能を限界として示されております。
 そういう意味で、この示された限界というもので、私どもは、治水上の森林は重要ではありますけれども、森林だけであるいは洪水や渇水に対応するというのはむしろ限界がある、そういうふうに考えていますので、現在の森林を良好に保つとともに、必要なダムの整備を進めていくことも、これは両々相まって必要である、そう思っております。
 今お話しのような、球磨川流域等々でも、これは過去にもいろいろな大洪水等々水害が出ておりますので、そういう意味では、二市七町六村ですか、球磨川、川辺川ダムというのは私は必要なものであるというので、緑のダムだけでは、これは今学術会議が示しているような状況で、安全と安心を確保できない、両々相まうべきだということを思っております。
日森委員 時間がなくなってしまったのですが、大臣にお願いがあります。
 住民団体は、いろいろ知恵も出し、お金も使い、調査をした結果を持っています。国土交通省もそうなんです。これはもう随分意見の違いがはっきりしているんですが、平行線のままになっているわけですね。
 これをもうちょっときちんとしていくためにも、大臣、どうでしょうか、これに異議を唱えている住民団体の方々と大臣が一度お会いになったらどうでしょうかという提案とお願いなんですが、御返事いただきたいと思います。
扇国務大臣 今の御提案ですけれども、会う、会わないという前に、少なくとも九州地方整備局では、先ほどからも局長が答弁しておりましたように、熊本県の御協力もいただきまして、川辺川ダムを考える住民討論集会、これで、少なくとも現段階では延べ一万四百三十人という人が参加していただいています。
 この一万四百三十人というのは、私が五人や十人に会うことと違って、大変大きな意義があって、皆さんお忙しい中をこの住民討論集会に御参集いただいているわけですから、そういう意味では、私は、私が個々に会うよりも、より多くの皆さんの御意見がこの住民討論集会で行われているということを、九州の整備局はそれなりに、熊本県の御協力でやっているという自体の方がむしろ重みがあると思っていますし、私が何時間かちょこっと会ってどうこうというよりも、大変貴重な今論議が進んでいると思っていますので、今後も事業説明をこの集会で十分に御説明申し上げて、より一層の御理解と共通点を見出していくというのが、今の時点では一番大きいんじゃないかな。こんなに、一万四百三十人も参加していただいていることの方が、私は、参加できなかった人の意見を聞くというよりも、むしろ一番これを尊重していきたいと思っております。
日森委員 時間がなくなってしまいました。ぜひその住民討論集会なども含めて、合意できるものがあればそういう努力を続けていっていただきたい。必要があれば、ぜひ大臣にもお会いになっていただけたらありがたいと思います。
 鉄道局長、申しわけございません。時間がなくなりました。次回に譲りたいと思います。大変失礼しました。
河合委員長 菅義偉君。
菅(義)委員 自由民主党の菅であります。早速、質問をいたします。
 大臣は、昨日の所信表明の中で、一昨年の奄美大島沖での北朝鮮工作船と海上保安庁の巡視船との銃撃戦の結果を踏まえて、海上の危機管理に万全を期す、さらに、アメリカの同時多発テロ、あの事件を踏まえて、陸海空の公共交通輸送機関、この警護に万全を期す、こういうことを述べられておるわけであります。
 私は、当然のことであり、このことについては強く推進してほしいと思いますが、事北朝鮮問題に関して考えた場合に、あの北朝鮮と新潟港、ここを一年間に約三十回ほど往復しています万景峰号でありますけれども、この船というのは、かねてより、北朝鮮の工作員が出入港しているのではないか、あるいは不正送金があるのではないか、こういう疑念があったわけであります。
 そして、つい先月には、警視庁の公安部が摘発した事件の中で、元朝鮮総連の幹部があの万景峰号からの指示で対韓国に対しての工作活動を行っていた、こういうことも発覚をしてきております。そして、先日はミサイルまで発射をするなど、日本にとっては、拉致は起こすわ、まさに無法者国家であります。
 こうした北朝鮮の船を、海運自由の原則、そういうことで、なぜ日本は規制することができないんだ、私はこれは国民の大きな声であると思っています。この船の入港の規制について国土交通省がどのように考えているのか、まず最初にお尋ねをします。
吉村副大臣 今委員おっしゃいましたように、万景峰号、いろいろと疑惑が云々されておるわけでございます。これについて、今おっしゃいましたように、入港を拒否するその他、日本国民としては当然の心情だ、このように思っております。
 ただ、もう御存じのように、関税法に基づきます開港、いわゆる開かれた港といいますものは、国際通商に開放された港でございます。したがいまして、現在の時点では外国籍の船舶の入港を阻止する、禁止するということは法制度上は難しい、不可能である、このようなことでございます。
 したがいまして、現時点では水際作戦で、それぞれの関係機関が協力しまして、海上保安庁、税関、入管、また陸に上がりますと陸上警察等々が水際でそういうものに対応しておるところでございますが、御存じのように、昨年の十二月六日の閣僚懇で、扇大臣がこの件についての問題提起をされております。
 立法政策としてどうかというようなことでございますが、我々は可能な限り立法化ということも考えているところでございますが、安全、保安の両面でこれから前向きで検討もしていくべき課題であろうか、このように思っております。
菅(義)委員 高木政務官にお尋ねをしたいんですけれども、先ほど玉置委員の発言の中で同じような趣旨の発言がありました。そして、これについては現在広範に検討している、そういう答弁でありましたけれども、私は、現行の海上保安庁法あるいは港則法あるいは港湾法、こういう法の中で、特に港湾法の改正であればできるんじゃないか、こう思っておるものの一人でありますが、この広範な検討という先ほどの答弁の中に現行法の改正というのは入っているのかどうか、お尋ねをします。
高木大臣政務官 先ほども答弁させていただきましたけれども、今菅先生のおっしゃった御意見、まさに国民の多くの方々が実感として持っていることだと思います、何で万景峰号をとめることができないんだろうと。そういった意味で、先ほど副大臣も答弁されましたけれども、十二月の閣僚懇で、扇大臣がその問題提起をされた、広範な検討を今している最中でございますが、それは現行法も含めての検討というふうになっております。
 ただ、もう一つあるのは、関税法上の開港という考え方の中で、基本的に、先進諸国の中でそういう形の入港拒否というのが法的にはない、こういう現状もございます。そういった意味で、我が国だけがそういった一つの形をつくれるかどうか、これも含めて、特に日本の場合には海運国でもございますので、そういった観点も視野に入れながら、広範な検討ということで、現行法も含めて検討しているというふうになっております。
菅(義)委員 大臣は閣僚懇の中で問題提起をされた。ぜひ、こうした、まさに日本にとっては無法者国家でありますし、国民の安全、安心を、大臣は万全を期すというきのう所信がありましたけれども、まさにこの船は工作活動の拠点ではないか、その舞台である、私はこう思っておりますので、大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
扇国務大臣 これは今、菅委員がおっしゃいましたように、御提案のとおり、私も疑問視をしました。それと、現状はどうなのかというのを、まず海上保安庁等々、新潟港に入ったとき、みんな何をしているんですかと聞いたんです。そうしましたら、持ち込む荷物、おろすものすべて自己申告なんですね。こういう紙で、私はこういうものを持ち込みます、こういうものを持ってきましたという紙を自己申告して、それで、はいどうぞというんだそうです。
 私は、今の基本的な開港している港というものを国際法で、少なくとも国際通商、関税法というもので拒否はいきなりはできないけれども、入ってきたものに対する検査が可能なものはどこまでできるんですか、それを内閣できちんと、法務省も農林水産省も海上保安庁も、全部で協力して、船内に検査で入れるようにできないか、そういう統一見解を内閣でしてほしいということで、閣僚懇で申し上げている。
 現段階では自己申告で、私は例えばメロンを持ち込みましたとか何か書いてあるんだそうです。それを見て、はい、メロン、何とか、はいどうぞ、これで終わりなんだそうです。ですから、少なくともそれを検査する、その方法はないものかということを、私は、現行法の中でもできるものからまず手をつけようということを申し上げて、ちなみに、御存じのとおり、平成十一年には万景峰は二十五回、そして十二年には二十四回、十三年には二十一回、十四年には二十一回、十五年の一月にはもう既に一回来ております。
 ですから、その中で私も、国民の皆さんが、日本に入国拒否された人が万景峰に乗ってきて、新潟港に船が着いたら日本の朝鮮総連の人たちが船に乗ってそこで会議していたなんて言われたのでは、検査の方法がないですから、私は、現行法の中でも、主権国家として治安のために乗船して検査する、あるいは荷物を検査する、そういうことがどこまでできるかというのを内閣として統一見解をして、そういう現行法の中でも適用可能な部分はするべきだということを申し上げたので、一歩でもそれに早く近づきたいと思っています。
菅(義)委員 ぜひ、とりあえずは現行法の中で徹底して私は調査をしてほしいと思いますし、やはりこれは日本にとって、国民の安全に危害を及ぼすおそれがある、そういう船にとっては国家として入港規制をする、そういう法律措置というのが早急に私は必要であるというふうに思っています。
 また、一昨年のアメリカの同時多発テロ事件を受けて、いわゆるSOLAS条約、海上人命安全条約、これが昨年の暮れに改正をされました。改正をされて、来年の七月一日から今の状態ですと発効されることになっておりますけれども、この改正と同時に、アメリカは既に、保安程度の劣る外国の港湾からの船舶も入港拒否できる、そういう法律を先取り法の中で成立させております。
 日本も当然、来年までの間に国内法というものを改正しなきゃならないわけでありますから、私は、その内容について、アメリカと同じような厳しいものにすべきであると思いますけれども、これについてはどんな見解を持っているのか、お尋ねします。
吉村副大臣 委員おっしゃるように、SOLAS条約、昨年の末に成立をしておりまして、二〇〇四年の七月一日から発効するということになっております。
 国土交通省といたしましても、この立法化を急いでおりまして、その内容といたしましては、船舶、港湾施設に対して保安計画の策定等を義務づけ、基準に適合しない船舶に対しては、従来からのポートステートコントロールで行っている航行停止等の措置に加えて、急迫不正の侵害のおそれがあり、ほかに手段がない場合には、入港拒否、港湾外退去等を命ずることができるように持っていきたい、このように思っております。
 来年の七月一日の発効でございますから、できるだけ早い時期、少なくとも国内法化は、法制化は今年中にも整備したいな、このように思っております。
菅(義)委員 ぜひ国内法の中で、今副大臣が言われましたけれども、日本の意思で入港拒否できる、そういう部分については、私はしっかりと法律化してほしいというふうに思っています。
 それで、今副大臣のお話ですと今年中ということでありましたけれども、来年の七月一日に法律が発効されるということであれば、通常は一年前ぐらいにはこの国内法というのは制定をされるのが例だということであります。私は、この通常国会の中で、北朝鮮との緊迫した状況を考えるときに、この法案を提出し、成立を図るべきじゃないか、こう思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。
吉村副大臣 いずれにしても、来年発効時期にきちっと発効できるように急いでまいりたい、このように思っております。
菅(義)委員 次に、放置座礁船についてお尋ねをいたします。
 昨年の十月には大島で、そして十二月には日立で座礁した外国船が、連日これは報道されております。この放置座礁船を処理する場合でありますけれども、基本的にはこれは自治体が費用を負担して処理をします。取り締まりは海上保安庁、そして外国船舶の関係は外務省、そういうことになっていまして、この縦割り行政の中で、地方自治体としてはまさにどのように対応していいのかわからないのが実態ではないかなというふうに思っています。
 そして、日本の海域には十二の放置座礁船がある。私は、この座礁船については、やはり国として処理するルールを決めるべきじゃないか、やはり国が責任を持ってやるべきじゃないか、こう考えておりますけれども、これについてはいかがでしょうか。
吉村副大臣 十二隻が放置されておりまして、その十二番目の放置船があるのが私の地元でございまして、大変私もこの問題には関心があるし、困っております。
 御存じのように、放置船については、原因者たる船主が一義的には当然責任を持つべきものでございますが、例えば福岡に放置されたのは、これは乗り捨てでございまして、もう船主もわからない、何もわからない、そのまま逃げていってしまっておるものですからどうしようもないというのが現状でございます。
 これも、国土交通省としましては、昨年末に座礁・放置船等に関する検討会を設置いたしまして、放置船等による損害に船主が対応しない場合や無保険の船舶等への対策については、新しい制度をも視野に入れて検討を行っているところでございます。
菅(義)委員 検討会の結論が出る時期というのはどのぐらいですか。
吉村副大臣 可及的速やかに、これは私が一番急いでおる問題でございますので、可及的速やかに結論を出していきたい、このように思っております。
菅(義)委員 それと、例えばこれもアメリカの例で恐縮でありますけれども、アメリカでは、保険に未加入の外国船の入港を拒否できる、こういう法律があるようであります。日本を含む先進諸国、これは大方の船主が万一に備えて保険に入っておるようですけれども、北朝鮮やロシア、中国、こういうところが入っていない。そして、保険に入っていない船が往々にしてこういう事故を起こすわけでありますから、日本としても、保険に入っていない船を入港拒否する、私は、これもある意味では当然のことである、こう思いますけれども、これについてどのような見解をお持ちでしょうか。
吉村副大臣 御存じのように、タンカーにつきましては、強制保険ということで、油濁損害賠償保障法に基づいて保険加入が義務づけられておりますが、その他の船舶については強制されておりません。したがいまして、無保険というのがありますし、保険に入っていても、金額的に非常に小さいというようなことでございますので、これも先ほど申しましたように、関連をいたしますが、座礁・放置船等に関する検討会を設置しまして、我が国に入港する船舶の保険への加入実績及び実体経済への影響等の調査を行い、検討を進めてまいることとしているところでございます。
 いずれにしましても、国際的なルールとのバランスがございますから、その辺のバランスも考えながら、委員おっしゃったような方向で、ぜひとも検討を進めていきたい、このように思っております。
菅(義)委員 保険に入っていない船に依存する貿易というのはほとんど小さいと思いますから、私は、そうした船を入港禁止しても大した打撃にはならない、そう思っておりますので、沿岸の安全を優先する意味合いにおきましても、ぜひそうした船については入港を禁止する、そういう法律を早くつくっていただきたいと思います。
 時間でありますので、終わります。
 以上です。
河合委員長 赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 きょうは、大臣の所信表明演説に対しまして、まず観光政策についてしっかり議論をしたいと思いますが、実は、港湾局また住宅局、局長お見えでございまして、この流れですと、質問しないで帰ってもらう可能性があるんで、ちょっとひとつ順番を逆にして、港湾政策について最初に質問させていただきたいと思います。
 よろしいですね、準備は。局長の反応がないんで、あれですが。
 まず、港湾政策につきましては、何回もこの委員会で私も主張をしてきました。日本の主要港湾の国際競争力をとにかく一日も早く回復すべき、手を打つべきだ。そういう中で、いろいろな議論の中で、スーパー中枢港湾構想というのがまさに本年実現をしようとしている。コストの三割減、またリードタイム一日、こういったものを実現する中で、アジアで台頭してきている他国の主要港湾に負けない港湾をつくって物流を回復する、こういったことがいよいよ大詰めに来ているものというふうに承知をしております。
 この中で、私はかねてより個人的な意見として申し上げておりましたし、中馬副大臣とも同じ意見だということでよくお話をさせていただきますが、やはり港湾行政というのは、ある意味では地方分権が非常に進み過ぎてきた。私の地元の神戸港も、もう何回も話しておりますが、大阪湾については、神戸港は神戸市、尼崎港は兵庫県、大阪港は大阪市、泉北は大阪府、こういったように、それぞれがそれぞれの経営をしている。
 ですから、神戸港の十五メートルバースが全部フル稼働していないにもかかわらず、大阪港では十五メートルバースをつくろうとしているというような、ある意味では大変非効率な側面があったということは否めないことだと思います。一つの湾を一つのポートオーソリティーで、効率的に物流をスムーズにしていくというのは、これはもう必然の流れだというふうな主張をしている中で、今回、スーパー中枢港湾の要件として広域連携というものが入っているように聞きまして、ここについてはしっかりと守っていただきたい。
 これなくしては、やはりふたをあけたら、東京港、横浜港、どこどこ港にスーパー中枢港湾を指定するとするならば、それはまさに看板をかけかえるだけの、実効がないことでありまして、そういった意味では、神戸港も大阪港と今回一つになってスーパー中枢港湾を提出しているというふうに承知をしておりますが、国土交通省港湾局として、このスーパー中枢港湾を育成するに当たっての前提として、広域連携は死守する、こういったことについて御見解を改めて伺いたいと思います。
扇国務大臣 赤羽議員にはいつも港湾に関して大変貴重な御意見もいただいていますし、また、国際的に見ても、今の港湾の重要性というのは、経済の空洞化だとか貿易の空洞化だとか、そういう産業の空洞化のみならず、港湾は既に空洞化しております。
 今赤羽議員がおっしゃった、神戸港一つとってみても、阪神・淡路大震災前は、神戸港は世界の第四位でしたか、それが今二十五位ですから、いかに空洞化してしまったかということで、このスーパー中枢港湾というものは、日本にとっては大変大事なことであると私は思っておりますし、また省エネという観点からも、船で海路を運ぶということも二十一世紀型の環境にとっても大変重要なことである、私はこう認識しております。
 今のスーパー中枢港湾のあり方ということを考えれば、いつも言っておりますように、グランドデザインが必要であると私、申しました。この委員会でも何度も私、グランドデザインを出させていただくと言いましたけれども、ついにことしの国土交通白書に、このグランドデザインの一端を二通りぐらいのものを出させていただいて、多くの国民の皆さん方に、A案がいい、B案がいい、あるいはAとB案の両方とれとか、また新しい案がいいよとかというふうなことを、情報公開をして、インボルブメントにかけてみたいと思っておりまして、ことしの国土交通白書には、そのグランドデザインの一端を載せさせていただきたいと思っております。
 今議員がおっしゃいました広域連携ということが特にこのグランドデザインでは大事なことでございます。小さなものが数があって、また大きなバースをつくっても、それが利用されていない。また、今度港湾は二十四時間オープンということもいたしました。二十四時間オープンだけれども、外国のように二、三時間で荷揚げするのと、今までは二日か三日かかったものが、二十四時間オープンすれば、これが港湾の荷揚げができるということでより重要になってくる。また、二十四時間オープンにすればするほど、広域化が必要であるということも言えますので、広域連携という言葉は、特にこのスーパー中枢港湾にとっては大事であるということを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。
赤羽委員 大変しっかりした御答弁をいただきましてありがとうございます。
 まさに、本当に広域港湾というのは、これまでの港湾行政の常識を覆す、大事な一歩でございますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 このスーパー中枢港湾の育成プログラムが作成された以降になると思うんですが、国としての支援策というのが検討されるというふうに伺っております。
 日本港運協会からは、そういう港運の作業についてのコストダウンをしよう、一年間三百六十四日は二十四時間で頑張ろう、コストミニマイズという点では、自分たちは民間の部分では頑張ろう、こういうふうに実行されているわけであります。
 それなんだから、国、公の部分でやれる支援ですね、金目の支援もしっかりお願いしたいという声が多分出ているのではないかと思いますが、そういったことについての具体的な御検討の状況を、局長で結構でございますが、御答弁いただきたいというふうに思います。
金澤政府参考人 お答え申し上げます。
 スーパー中枢港湾に対します国の支援について、どのように検討されているかということでございます。
 このスーパー中枢港湾につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、我が国の次世代の港づくりの中核的な政策でございまして、交通政策審議会の答申において御提案いただいたものでございますが、その答申の中で、この新しい政策、どのようなことが必要かということもいただいております。
 一例、二例お話を申し上げますと、例えばその中で、公共コンテナターミナルを、公共の施設でございますが、民間に対しまして長期リース制度をとるべきであるというようなことがございます。この件に関しましては、スーパー中枢港湾の御提言、指定をする、前倒しでございますけれども、先ほど成立いたしました構造改革特別区域法でございますか、その中で既に制度化をさせていただきました。
 また、諸手続のワンストップサービス化の実現に対します港湾EDIシステムにつきましては、その管理などを的確に行うために、国が、国土交通大臣が設置し管理するという法案につきまして、今通常国会に提案済みでございます。
 このように関連施策の整備を鋭意着実に進めておりますが、そういうものにつけ加えまして、スーパー中枢港湾におきましては、港湾物流情報のプラットホームを構築して世界水準の港湾サービスを提供しよう、そのための施策でございますとか、ターミナルコストを三割削減するということにしておりますが、そのための国の関与の仕方、あるいは運営管理の面でございますが、ターミナルオペレーターの経営環境の整備、このような中身につきまして施策展開を検討しておりまして、これらにおけます国の支援のあり方を十分検討してまいりたいと思っております。
赤羽委員 これはまさに、国の、物流の大拠点をつくる作業になるわけでありまして、地方が地方の自主性でプログラムをつくるということは前提にしながらも、やはり国策として、ぜひ金も惜しまず、しっかり取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。
 次に、住宅政策についてでございますが、実は先日の予算委員会で、今のデフレ不況の中で、リストラに遭った人、また遭いそうな人にとって、一番何が負担感の要因になっているか、強い負担になっているかというと、それは住宅ローンの残債についてであります。
 今の現状では、バブル以降、住宅を買った我々の世代から少し上の世代の人たちは、リストラに遭った、ローンが払えないので、住宅金融公庫とか今延長手続をとっていただいておりますが、民間の部分のことを含めると、やはり毎月のローンの負担に耐えられないので、住宅を売却する。しかし、結局、ローンがそれでチャラにならない。マイナス二千万円からの再チャレンジというのはとてもじゃないけれどもできない。こういった恐怖感にも似たような負担感、不安感がやはり消費性向に大きく影響している。
 こういった指摘をさせていただき、何とか、アメリカで、これは契約上のルールですけれども、ノンリコース制度といったものが採用されていることについてぜひ検討していただきたいということで、扇大臣からも、御答弁じゃなかったわけですけれども、強くうなずいていただいたわけでございます。
 先日、日本経団連との会合に出たんですが、経団連からもたまさか、この今の状況を打破するために住宅を動かしていく、不動産を動かしていくことが大事だ、そういった意味でこのアメリカのノンリコース制度の導入をお願いしたい、こういった御提案も実はありました。
 この前提となるには、私が考えている、理解しているには、中古住宅市場というものがそこそこ形成をされていないと、なかなかノンリコース制度の実際的な運用というのは難しいのではないか。日本のように、六千万円で買った家が今二千万円でしか売れないような、買い値と売り値のバランスが大きいと、どうしてもノンリコース制度みたいなものの実現性が非常に難しいのではないか。
 中古住宅市場を育成するというのは、恐らく国土交通省にとっても長年の懸案というふうにも理解をしておりますが、中古住宅市場形成をどうしていくのか、その展望について、局長からでも結構でございますので、お答えをいただきたいというふうに思います。
扇国務大臣 大変大事な点だと思います。
 ちなみに、全住宅取引量に占めます中古住宅の市場、これは、全住宅の取引から見ますと、中古は、日本は一二%程度でございます。アメリカが七六%、イギリスが八八%、フランスの約七一%と、どれを比べてみても日本が余りにも低い水準だというのがおわかりいただけると思います。
 そういう意味で特に私が申し上げたいのは、住宅の耐用年数ですね。日本は、大体平均が二十六・一年です。アメリカが四十四年、イギリスが七十五年という住宅の耐用年数、これにも私は大きなリンクをしていると思います。
 それと、特に住まいに対して日本人が、例えば外人の場合は、もともとのコストも安いですけれども、ペンキの塗りかえによって真新しくしてしまうというようなメンテナンス、日曜大工的なものですね。進んで自分の家を、マイホームをリフォームするということになれていらっしゃいます。けれども日本は、ほとんどの男性はリフォームに手をかさない。しかも、最初に値段を高いものをかけて、それで耐用年数がなおかつ今申しましたように少ないというのは、私は大変納得ができないところでございます。
 そういう意味では、この耐用年数の差、日本が二十六・一年で、イギリスに至っては七十五年ももっているという、これを何とか、私は、日本人が自分のマイホームを大事にしていきたい、そう思っております。
 これも含めて、平成十三年の八月でございますけれども、住宅市場の整備行動計画というものを策定して、昨年の十二月ですけれども、御存じのとおりの住宅性能表示、いわゆる中古住宅にもこれを拡大しようということで、このお屋敷はどの程度の価値があるかという評価制度というものを、宅建業者が取引価格の根拠を明らかにするということをしておりますので、中古を買う人も安心して買えるように、そういうふうなことで、価格査定マニュアルというものを戸建てに続いてマンションについても本年度中に適用しようということで、中古住宅の質とかあるいは管理状況等々を反映させるということをしていきたいと思います。
 これとあわせて、約三十二万件の仲介物件が登録されております不動産の流通機構のホームページにおいても、これは完全にホームページで見られるというふうに、沿線別ということで中古住宅の平均の取引価格というものを表示して、優秀な中古物件の流通をしていきたい。
 また、税制面でも、今提供していますけれども、中古でも生前贈与が受けられるようにする、三千五百万、これもやっておりますので、私は、中古住宅の流通の大きな流れがことしできると思って見ております。
赤羽委員 住宅メーカーのある会長とお話をさせていただいたときに、住宅メーカーからも、住宅の長命化というのですか、耐用年数が長く、いいものをつくっていきたい、こういう御提案もありました。私、そのときに、それは会長、あなた自身、あなたの会社の反省を踏まえた上での御意見なのか、そういう提案ならちゃんと受けとめようというような話で、それは反省も踏まえた上での御提案だ、こういうような話もありました。
 やはり差別化がしっかりできるように、今の日本の中古住宅についての例えばチラシなんかを見ても、築十年以上を見ますと、建物についての言及はほとんどないんですね。土地は何坪で南向きなのか、角地なのか、大体それで値段が決まる。住宅がどこのハウスメーカーでどういうものかなんということは全く言及されていないというのもまたおかしな話だなと思います。
 今、国土交通省としても、スケルトン住宅等々、住宅の長命化といった施策も展開されようとされていると思いますので、ぜひ、そういう各業界、関連業界にそういったことを喚起していく、情報公開を進めさせていく、相当強力なリーダーシップで中古住宅市場の育成を図っていただけるようによろしくお願いをしたいと思います。
 それでは次に、観光政策についてでございますが、よく言われております、現在日本に入ってこられる外国人の観光客が四百七十七万人、日本から外国へ出る日本人観光客は千六百二十二万人。日本に来られる外国人の数といいますと、世界で三十五位とも六位とも言われる。
 これに対して、新ウェルカムプラン21というものを策定して、二〇〇七年には倍増しよう、八百万人にしよう。この八百万人を達成した暁の経済効果とか雇用に対する波及効果というのは大変な数が語られておりますし、私は、これからの時代の中で、本当に真剣に国を挙げて観光産業というものを育てていかなければいけないのではないか。
 今までは、ややもすると、観光というと物見遊山であり、どうしても民間それぞれがやることであって、公的セクターはなかなか手を下しにくい、こういったような状況があったと思いますが、何とか、政府の中にも観光立国というものも立ち上げたそうでございますし、我が党の中にも、保守新党の中にも観光立国本部というものを立ち上げた。
 こういった動きの中でしっかり取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございますが、まず、インバウンドですね、外国から日本に入ってこられる、これだけ世界におくれをとった分析というものは、どのような要因があるのかという分析がされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
扇国務大臣 出ていく人の四分の一しか来日客がいないということも、私は、どこに反省点があるのかということからいえば、たくさんあろうと思いますので時間の関係上省略させていただきますけれども、一つ例を挙げますと、例えば外国から国際線で成田に来ていただく。例えば、韓国仁川空港あるいは香港あるいは上海等々から、およそ二時間から二時間半で成田まで来てくださる。ところが、成田で、飛行機からおりて外へ出るCIQに一時間行列する。そして、国内線に乗りかえる羽田へ来るのに、成田からタクシーに乗ったら一時間半かかって、タクシー代が二万以上かかる。しかも、プラス高速道路料。これでは、外国へ行って、はるかヨーロッパまで行ったような気がしますよね。
 飛行機に乗っている間は二時間か二時間半で、羽田へ来るのに一時間半、CIQで一時間だともう二時間半。飛行機に乗ってきたと同じ時間が国内線に乗りかえるだけでかかり、なおかつ、タクシー代は二万以上、高速道路料という、こういう国際空港のあり方。外国のお客様がおりた途端に気分が悪くなる。なおかつ高い、遅い。ツーレート・ツーハイということになってしまいますので、これでは私は、お客様に満足していただけない。
 例えば、例を挙げれば、そのように国際観光都市にふさわしくない、国際空港たる命を外国の人に見せ得ない部分がたくさんある。日本の個々にはいっぱいいいところがあるんだけれども、点と点を結ぶことが今までおくれている。そしてホテル代も高い、タクシーも高い、高速も高い。すべてが外国に対して高い。ハイウエーに乗ってなぜ金取るんだなんと言う人もいます、外国はただですから。これも大きな問題点だと思いますので、点と点はいいんですけれども、その点と点を、いかに外国客に私たちは今後努力していくかというのが国土交通省の大きな問題点であります。
赤羽委員 今御指摘のあったのも、本当にそのインバウンドのおくれの大きな原因だと思いますね。
 ただ、それは、日本に来てみてそう実感するわけですね。来てみて初めてわかって、もう二度と来たくない、こう思うわけですけれども、来る人の数が少ないわけですから、どうやって来させるかという努力について、大事なんじゃないかなと思うんです。
 私が逆に、どこへ海外旅行行こうかなと思うと、どこに行ってみたいかというものの資料を見るわけです。見て、行ってみたいところを選択しながら、当然、どのぐらいコストがかかるのかなというお金との相談をし、そして行こうか行くまいかということを決める、こういった作業なんですが、恐らく、逆の立場からいうと、やはり日本の観光というものに対する認識度というのは物すごく低いんではないか。中国というと万里の長城、ああ、月からも見える大変なものだと。日本は歴史の資源が豊富だと言いながらも、やはり中国三千年に比べると、みやびやかさでは数段上回っていると思いますが、歴史的な価値という意味ではなかなかしんどいところがあります。
 こういったPRの状況というのも非常に物足りないのではないかなというふうに思うんですが、今回の予算で、ビジット・ジャパン・キャンペーンという予算が認められたわけでありまして、これは内容が余りよくわからないんですが、よくわからないような予算がついたというのは、非常にそれだけ画期的だったんじゃないか。それだけ観光に、お手並み拝見じゃないですけれども、国土交通省に投げられたわけだというふうに思って、余り実体が見えないうちは非常に期待も大きいものですから、こういったビジット・ジャパン・キャンペーンの予算を、どのような事業内容を予定しているのか、このことについてお知らせをいただきたいと思います。
三沢政府参考人 十五年度予算でビジット・ジャパン・キャンペーンの予算を計上しているところでございます。
 このキャンペーンにつきましては、先生御指摘のとおり、やはりできるだけ外国に効果的に戦略的な情報提供なりアピールをしていくということは大変大事でございまして、そのため、これからどういうやり方がいいのかということを、民間も含めました関係者の御意見を聞きながら、具体化をしていきたいと思っております。
 例えば、当然、テレビ、新聞等を活用したいろいろな広告キャンペーンはもちろんのこと、それぞれの現地での有力なジャーナリストを日本にお呼びして取材をしていただくとか、あるいは、それぞれの現地で日本に来ていただくようなイベントの実施、あるいは、安いコストで日本に来ていただけるような訪日旅行ツアー商品の造成を応援するとか、さらに、日本に一回来られましていろいろな知識経験を有する方、それを例えば現地でいわゆるエージェントとして育てていくとか、いろいろなことがあるわけでございます。
 そういうことにつきまして、それもそれぞれ、例えば、相手国の市場がどういう市場でどういう特性があるか、どこに魅力を感じているか、それに応じてどういうキャンペーンを実施するかということを決定していきたいということを思っておりまして、そういうことについて、また民間の御意見も十分聞きながら、具体化を進めていきたいと思います。
赤羽委員 この予算は、そうなりますと、海外でのPRにほとんど使われるという理解でよろしいのでしょうか。
三沢政府参考人 おっしゃるとおり、訪日促進のためのキャンペーンのための予算であるというふうに考えていただいて結構でございます。
赤羽委員 ぜひ、国の、役所の役割、それとあと、国際観光振興会、JNTOの役割、またそれに連なる関係団体、日本観光協会とか日本旅行業協会、国際観光旅館連盟、日本ツーリズム産業団体連合会、こういったところとのやはり連携をしていかないと、なかなか効果的な結果を得られないんではないかというふうに思うんですが、その辺の整理というのはどうなっているんでしょう。
三沢政府参考人 御指摘のとおり、やはり官民、官といっても、国、公共団体、あるいはJNTO、そういういろいろなところが一体となって取り組む体制が非常に大事でございまして、今回のビジット・ジャパン・キャンペーンにおきましても、こういうことはできるだけ戦略的に、ある程度体系的にやっていくということも必要でございますので、予算が成立いただきましたらできるだけ早く、やはり官民あわせて実施できるような体制づくり、例えば実施本部のようなものをつくりまして、そこで連携しながらこういうキャンペーンの促進を進めていきたいというふうに考えております。
赤羽委員 その際に、ぜひお願いしたいことが幾つかありまして、一つは、昨年のワールドカップのときに、東京駅にもありましたし、各駅、各地域でボランティアの通訳の人たちのスポットというのが結構目立っていたんですね。ああ、やはり日本で人材いっぱいいるんだな。相当、数カ国語にわたる通訳がいたわけでありますが、これを通訳業として、業として頼むとこれは大変高い、コスト高の要因にもなりますので、そういうボランティアの組織をうまく活用していただきたいというのが一点。
 もう一つ、これはもう何回も言っておりますが、国土交通省になったわけですから、ぜひ実現していただきたいのは、周遊券というと鉄道と旅館だけなんですよ。旧運輸省の畑だけなんですね、周遊券というのは。せっかくですから、やはり長期滞在してもらうためにも、車の有料道路、これも入れた周遊券もぜひつくらなきゃおかしいですよね。
 国土交通省になったという、大臣、よくその効用を演説されますが、まず、その効用の一つに道も含めた周遊券をぜひ、検討していただくという答弁はもう三沢局長からも何回ももらいましたが、風岡さんのときからもらっているわけですが、いつまでも検討すればいいものじゃなくて、決着をぜひこのビジット・ジャパン・キャンペーンのときにつくっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 最後に一点、外国人旅行客をふやすということでよく言われるのはビザの問題ですね。今、日本は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、シンガポール、こういったところは相互免除みたいなことをやっているんですが、韓国、香港、台湾、タイ、中国、こういったところについてはビザを相互免除していないわけですね。これ、相互条件を見ても明らかに日本の方が劣っている。
 このことについて、構造改革特区の中でも随分各地域からも出てきて、それは法務省が多分つぶしたんだと思いますけれども、こういうことについては、国土交通省、これは全面的に展開というのは難しいかもしれませんけれども、ぜひ、観光のためということですから、積極的な御答弁をいただきたいというふうに思います。
中馬副大臣 今御指摘のとおりでございまして、日本は観光ビザ、まあビザ全般でございますけれども、非常に鎖国的な状況をいたしております。こちらはビザなしで行けるのに、向こうから来られる方に対しては非常に厳しいビザ制限をかけている。
 特に、今中国が大きく興隆してきたことは御承知のとおりでございます。大変豊かな方が出ておられまして、今世界の各地、どこを歩きましても中国人が大変な数で観光地に行っております。ところが、日本の場合には、観光ビザを原則として三都市、それも二年前からようやく観光ビザを認めたんですけれども、しかも、それが北京と上海と広州の三都市の住民にしかこれを開放していないんです。
 こんなことをしておりましたら、世界の趨勢からおくれるし、向こうからも国辱物だといって我々がしかられているようなことでございますから、ひとつ皆様方からも大いに法務省、入管に大きな声を上げていただきまして、何としてでももっと相互主義でオープンにするようにしていただきたいと思います。
 それでなかったら、長崎のあるテーマパークがつぶれましたけれども、御承知のとおり、中国とか韓国の方々は温泉が好きでございますし、火山を見たことがないので阿蘇に来られたりする。そうして、あそこが非常に大変ににぎわっておりましたのに、韓国の内的な不況の問題もありますけれども、ああいうようなことになってしまうわけでございますからね。
 観光、これからも大いに日本にも来ていただいて日本の実情を見ていただくとともに、交流を活発にする意味におきましても、観光ビザをもっともっとオープンにしていただきたい、私の方からもお願いをする次第でございます。
赤羽委員 どうもありがとうございました。
河合委員長 松浪健四郎君。
松浪(健四郎)委員 保守新党の松浪健四郎でございます。
 短い時間でございますので、関西国際空港の利用促進についてだけお尋ねをしたいと思います。
 私は、大阪府泉佐野市生まれであります。つまり、関西国際空港は、泉佐野市、田尻町、泉南市、この二市一町につくられているわけでありますけれども、けさの地元紙の朝刊は一様に、関空からの税が約七・三%減になって、市の税収、これは思惑から外れていた、こういう報道がありました。
 鳴り物入りでできた、またアメリカの土木学会が人類であるがゆえにできた百年に一度の土木事業だということで称賛をしてくれたこの関空が、もっともっと栄えなければならないにもかかわらず、悲しいかな、うまくいかない、そういう現状にあります。
 関空のある町の出身であり、そこから国会に送っていただいておる代議士といたしましては、大変寂しく残念に思うものであります。
 他方、現在審議されております平成十五年度の会計予算案の中には、関空の二期工事に九百二十五億円を計上していただいておりますことに、まず御礼を申し上げなければなりませんけれども、何としても関空を立派な、日本を代表する国際空港にしたい、こういう思いで努力をさせていただいておるところであります。
 だんだんと国内線が便数を減らしてきておる。しかも、国土交通省が音頭をとってくれて、シャトル便を飛ばすということで非常にいい状況でありましたけれども、このごろまた、これからの計画を見てみますと、どうも羽田―関空を羽田―伊丹にシフトしようとしている。これでは、国内線がなかなか関空を使わない。
 なるほど、伊丹も利便性がいい。しかし、関空だって、それほどお客さんが少ないというわけではないんですけれども、もしかしたなら、航空三社はJRと競争しようという思惑があるのかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、状況が伊丹へシフトしている、こういうふうな状況にあります。
 例えば、来月からの関空―羽田の便数は十五便、羽田―伊丹間は二十五便、実に十便の差がある。これは大変なことだ。しかも、これではシャトル便と言えないのではないのか。加えて、四月からは朝の八時から昼の二時まで五時間の空白ができてしまう。これでは立派な空港が泣いてしまうのではないのか。
 お客様がいるにもかかわらず、こうして伊丹にシフトされていることを私は大変残念に思いますし、利用者の利便性確保の観点から、特に昼間の時間帯について、シャトル便の増便やダイヤの組みかえなど、航空三社で話し合って再検討するように指導すべきではないか、こういうふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 少なくとも、松浪議員が地元だからということを抜きにしても、日本の国会議員として、いかに国際線があるべきであるか、そういう観点から見れば、鳴り物入りで二十四時間オープンという関空の開港意識、あるいは国民、国際的にも二十四時間オープンが必要であるということを、私は、関空のときにもろ手を挙げて拍手した一人でございます。
 これでやっと国際的になれた、そう思っておりますけれども、今仰せのように、四月からの便のダイヤの編成というものを見ておりますと、これは基本的には航空会社の独自の判断でされることでございますけれども、今おっしゃったように、朝の八時から午後二時まで空白になる、一便も飛ばないというようなことでは、私は国際線という名が泣くと思いますし、今、松浪議員は伊丹にシフトするとおっしゃいましたけれども、もともと関空ができたら伊丹は廃止するという一項もあったわけですけれども、その当時の運輸大臣もこれを破棄されておりまして、伊丹は現存しているわけです。
 少なくとも、私はそういうことが、先ほども赤羽議員がおっしゃったように、国際線と国内線の乗り継ぎがいかに不便であるか。お金と時間をかけて国内線に乗り継ぎするというのであれば、今、松浪議員に関空の二期工事の予算をありがとうございましたとお礼を言われましたけれども、これができ上がったときに国際線の便が思ったように伸びないのであれば、国内線を持っていって、その場で乗りかえできるということにしてあげれば、もっと関空の二十四時間オープンが生きてくると思います。
 私は、今おっしゃった空白時間があるということ自体、これは大変残念なことだと思っておりますので、乗り継ぎ等々、その間は、国際線でおいでになった皆さん方はどうされるのか、またお金を使って伊丹まで行かなきゃいけないのか。そういうことを考えると、可能な限りこの空白時間をなくすということが一番いいことであろうと思っておりますけれども、航空会社に対して要請をしておりますし、また、航空会社の適切な対応というものを私は見ていきたいと思っております。
松浪(健四郎)委員 次に、関空、国内地方線の維持それから充実についてお尋ねします。
 関空と国内地方路線につきましても、就航便数がだんだんと減りつつあります。この点につきましては、百人乗り以下の小型機の運航によって便数の確保を図るなど、一考を要するのではないか、そう思います。
 関空会社でも、小型航空機の会社を訪問して、新規に就航した場合着陸料を半額にしたり、あるいは定期便の小型機の特別料金の格安プランの検討を提示するなど、いろいろな努力をされております。
 国土交通省といたしましても、航空各社に対して、指導やアドバイスをしていただければありがたい、こういうふうに思います。とにかく、工夫することによって関空を活性化させなきゃならない、こういう思いでお尋ねしておるわけであります。
扇国務大臣 今おっしゃったように、関空と地方路線というものは、これを充実することが、先ほどからお話がありました観光客を誘致するという点においても、大変重要なことだと私は思っておりますし、また、これが充実されるべきだと思っています。
 現在の空港会社においては、新規に増便される分に関しては着陸料を五〇%割り引きするということも努力していらっしゃいますので、私は、今後の就航都市、今十八都市ですけれども、現在の十八都市が少しでも、就航便数が五十四便のネットワークをさらに充実して強化すべきであろうと思っております。
 少なくとも、二十四時間オープンの関空へ行くのに、一般の人がタクシーで橋を渡るだけで千七百三十円取られるなんて、これは往復ですけれども、こんなことで、もともとこれは航空行政自体がどこか欠陥があったんだと私は思って、国土交通省として、空港の附属物、あの橋なんて附属物だと思います、あれは橋を渡って空港へ行く以外目的がないんですから。それに千七百三十円の往復料を取るなんて、しかも片道だったら領収書をくれないんですから。そういうことも含めて、関空も新たな体制をとるべきだと私は思っています。
松浪(健四郎)委員 いずれにいたしましても、いろいろな面で、航空行政及び業界のあり方等について、我々は真剣に議論をしていかなければならないと思います。
 そこで、委員長にお願いをいたしますけれども、航空三社の社長を参考人としてお招きして審議されるよう、お取り計らいのほどお願いをして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
河合委員長 理事会で協議させていただきます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時三十五分散会


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