衆議院

メインへスキップ



第7号 平成15年3月12日(水曜日)

会議録本文へ
平成十五年三月十二日(水曜日)
    午前九時十一分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    小里 貞利君
      奥谷  通君    倉田 雅年君
      実川 幸夫君    砂田 圭佑君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西田  司君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      山本 公一君    阿久津幸彦君
      岩國 哲人君    大谷 信盛君
      川内 博史君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      伴野  豊君    高木 陽介君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    後藤 茂之君
    …………………………………
   議員           大谷 信盛君
   議員           佐藤謙一郎君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (内閣府道路関係四公団民
   営化推進委員会事務局長) 坂野 泰治君
   政府参考人
   (警察庁交通局長)    属  憲夫君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省国土計画局長
   )            薦田 隆成君
   政府参考人
   (国土交通省土地・水資源
   局水資源部長)      小林 正典君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十二日
 辞任         補欠選任
  林  幹雄君     奥谷  通君
同日
 辞任         補欠選任
  奥谷  通君     林  幹雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 社会資本整備重点計画法案(内閣提出第一三号)
 社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一四号)
 公共事業基本法案(前原誠司君外三名提出、第百五十一回国会衆法第三六号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、社会資本整備重点計画法案及び社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案並びに第百五十一回国会、前原誠司君外三名提出、公共事業基本法案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長安富正文君、総合政策局長三沢真君、国土計画局長薦田隆成君、土地・水資源局水資源部長小林正典君、道路局長佐藤信秋君、航空局長洞駿君、内閣府道路関係四公団民営化推進委員会事務局長坂野泰治君、警察庁交通局長属憲夫君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今田保典君。
今田委員 おはようございます。民主党の今田保典でございます。
 政府提出の法案、今日まで多くの委員の皆さんから質問され、そして大いに議論を重ねてまいったところでありますが、その中で、委員から問題点についてこれまた多く指摘されてきました。私も、できるだけ重複は避けたいというふうには思いますが、重要な問題点について、再度お聞きしたいという点があります。
 まず一つは、今回政府が提出した法律案は、これまでの国土交通省関係の長期計画を一本化するというのがその趣旨であるというふうに思います。これまでも同僚議員が質問していることでありますが、国土交通省関係の長期計画を一本化した意義について改めてお伺いをいたしたい、このように思います。
 また、社会資本整備の重点的実施が求められておりますが、どのような分野あるいは事業に重点化していくのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
扇国務大臣 おはようございます。
 再度、今田議員から今の長期計画一本化についてのお尋ねがございました。昨日からも皆さんに長期計画の一本化についてるる御審議をいただいておりますけれども、改めて今田議員に申し上げたいと思います。
 これは、計画の重点化、今まではばらばらに縦割り行政の中で見ておりましたけれども、二十一世紀型の社会資本整備も含めて、これはお互いにむだがなかったか、また、もしむだがあったとすれば、一本化することによってお互いに協調し合おう、ことしは我慢するけれども、ここの重点化をして次に予算を配分していこう。そして、スピードアップすることによってコストダウンができるではないかということで、予算を例にとればいいかどうかわかりませんけれども、例を挙げろとおっしゃれば、今もどのようなというお尋ねがございましたけれども、例えば予算について見ますと、平成十四年度において、一般公共事業の全体が一〇%減でございました。その中で、治水ですとか海岸、あるいは道路整備、港湾、空港、鉄道などの多くの事業がほぼ平均的な減となっていたんですね。
 けれども、それに対して今度、単年度で比べてもどうということはないとおっしゃるかもしれませんけれども、一番例を挙げれば、今言ったような十四年度の平均的な減でしかなかった。ところが、十五年度においては、全体の社会資本整備が三%減になっているのは御存じのとおりでございますけれども、今回は、この平均的な減にとどまるのは治水と海岸、その二つだけなんですね。そしてそれ以外、例えば道路とか、いつものように下水道、そしてあらゆる面では、そういうものの抑えられる一方、特に大都市圏の拠点空港の一・三五倍を含んで空港関係予算が一・〇五倍になりますなど、集中的な投資を行うところにしようという。
 これが今までと違うところで、今までの九本の法律がそのとおり九本並んでいますと、平均的に伸びていくんですね。これが予算を硬直化したり、あるいは工事の進捗を、五年間同じスピードでやるということでの進歩がないのではないか。
 これは国土交通省になったから、今までの縦割りが、協調して、そしてお互いの範囲の中でむだな事業をしないで、集中することによって、例えばけさも一部新聞に出ていますから例を挙げやすいですけれども、道路工事も、きのうも何か言われましたね、年度末になると工事があると。それと同じで、今回も、道路工事も下水道も電柱も、全部十三機関一緒になって、共同溝で、その区間を決めたところに工事をすれば後五年間は工事しない、そういうことも例を挙げれば言えると思いますので、一本化の効果というのはこれから出てくると思います。
三沢政府参考人 もう一点、今後どういう分野、どういう事業に重点化するのかという点の御質問でございます。
 今、大臣からお話がございましたように、今までなかなか九本の計画の中で重点化、効率化が図りづらいという面がありましたが、一本化することによって今まで以上に重点化、効率化を進めていくということが必要であり、また、それが可能になっていくというふうに考えております。
 例えば国際空港、港湾と高速ネットワークの整備による国際競争力の確保、あるいは地球環境問題への対応、あるいは少子高齢化社会に対応したバリアフリーの推進、また河川、下水道の連携等による都市型災害等の被害の低減、こういった二十一世紀型の課題に重点的に取り組んでいく必要があるというふうに考えておりまして、事業間連携を図りながら、こういった課題への対応をさらに進めていきたいというふうに考えております。
今田委員 今ほど大臣の方から最後の方でお答えいただきました、全く、我々、地方におっても、むだな工事が多いんですよね。やっと道路ができた、さあ、快適に走ろうと思ったところが、今度また掘り出し始まる。これでは国民から理解が得られないですよね。そういうのは、弊害としては、縦割り弊害だ、こういうことを言われておるわけですが、特に田舎の方はそういったことが多いんですよ。そういうことで、十分にそういったものを努力をしていただきたい、このことを申し上げます。
 ちょっと話がかわるんですが、公共事業の実態ということでちょっとお尋ねをしたいんですが、最近、あるところで公共事業の手抜き工事が発覚しております。
 手抜き工事が発覚して大変な問題になっているんですが、この手抜き工事、やり直し、そういったケースが年間で相当あると思うんですよね。このことについてお尋ねをしたいんですが、まず昨年と一昨年の件数、お示しをいただきたいと思います。
 それから、手抜き工事をした業者に対してどのような対応をしているのか。さらには、やり直した工事の経費、それはどういうふうな形でやっているのか。さらにまた、やり直し工事をやったおかげで経済的損失が出てくるんだろうと思います、後で具体的に申し上げますが。さらに、今後こういったものはあってはならぬわけですが、私は、なぜ手抜き工事、こういったことが時々起きるのかという問題についての背景にいろいろな問題があるんだろうというふうに思うんですよ。このことについて、まず質問をしたいと思います。
安富政府参考人 幾つかの質問がございましたので、順次御説明申し上げたいと思います。
 まず、平成十三年度、十四年度の関係での手抜き工事の状況はどうかということでございます。
 平成十三年度、十四年度の手抜き工事が発覚しましてやり直しを命じた工事の件数は四件ございます。この四件の内訳を見ますと、工事途中の検査を通じて発覚したものが一件、それから完成後の施設の定期点検等により手抜き工事が発覚し、やり直しを命じた件数が三件ということになっております。
 それから、具体的に、手抜き工事がなされた場合にどのようなペナルティーが科せられるかということでございますが、公共工事でそういう事態が生じた場合、通常、各発注者に対して、瑕疵が軽微である場合を除きまして、指名停止措置ということになります。
 指名停止期間につきましては、国土交通省の直轄工事については、指名停止措置要領に基づきまして、過失による粗雑工事の場合は一カ月から六カ月以内ということで定められております。
 また、手抜き工事による工事の目的物に重大な瑕疵が生じたと認められる場合には、建設業法に基づきます監督処分ということで営業停止処分が行われることになります。
 この営業停止期間については、これも同じく国土交通省の監督処分基準によりまして、原則として七日以上と定められているところでございます。
 それから次に、手抜き工事のやり直しに要した経費等についてどうなるのか、またどう負担するのかという御質問だったかと思いますが、国土交通省の直轄工事において、工事請負契約書におきまして、工事の目的物の引き渡し前に発注者による検査に合格しないというときには、請負者が完全な工事の履行をやっていないということで不完全履行責任を負うことになりますので、請負者は直ちにこれを修補して発注者の検査を受けるということですから、この点では請負者の負担になってくるということでございます。
 それからまた、工事目的物の引き渡し後に瑕疵があるということで発覚した場合には、これも契約に基づきまして、請負者は瑕疵担保責任を負うことになります。したがいまして、発注者は請負者に対しまして、みずから補修、修補をするか、あるいは損害賠償の請求を行うということになります。
 具体的に、瑕疵の修補につきましては、いわゆる請負者にすべて任せてやらせる、それを実際できたときに検査するということでございますので、具体的な費用の額については把握しておりません。
 一方、いわゆる損害賠償の場合でございますが、過去に発注した工事で十四年度の場合をちょっと例に申しますと、二件事例がございまして、具体的に修補を命じた上に、瑕疵の調査費用それから応急対策の費用ということで、損害賠償費用として合計六千三百万円請求したという事例がございます。
 それから、いわゆるやり直し工事による経済損益はどのくらいなのかという御質問でございます。
 具体的にこの経済損失というものについては幾つかございますが、一つは、請負業者に負担させる手抜き工事のやり直しに関する費用というのがございます。そのほかに、例えば手直しの場所等によりましては、例えば道路等では、工事の通行規制に伴う渋滞が発生するという経済的な損失、あるいは、供用時期が当然おくれるということになりますので、それに伴う経済効果の発現が生じないということによる損失、そういうことが考えられます。
 ただ、この経済損失については、個々のものについて、具体的に影響の範囲が非常に多岐に及びますし、計測も容易でないということから、現状においては試算は行っておりません。
 ただ、一つの例で申しますと、平成十四年度に手抜き工事が発覚して、現在手直しを行っている舟形トンネルという山形のトンネルがございますが、約十カ月間、終日の片側交互通行ということになりまして、そういう意味では、社会に及ぼす影響あるいは経済に及ぼす影響は非常に大きいものというふうに考えております。
 それから、手抜き工事の原因あるいはそれに対する防止策ということでございますが、まず手抜き工事につきましては、当然、工事の内容に照らして、請負業者あるいは現場を担当する技術者自身の技術力とか、あるいは経験が十分でないということが一つ考えられます。さらには、ダンピング受注等によりまして、経費を節減するために品質管理が十分行われなかったというようなことも考えられます。
 さらには、今度、発注者側の問題としまして、発注者の監督あるいは中間検査を通じて手抜き工事やそういう工事についての発見がされるということも多いわけでございますが、その発注者の監督体制が不十分な場合ということも、ある意味で手抜き工事の誘因の一つになるというようなことが考えられるかと思います。
 そういうことから、我々としては、一つは、競争参加資格の審査におきまして、企業の過去の同種工事の実績であるとか、あるいは実際の工事の成績であるとか配置予定技術者の過去の同種工事の経験といったことを十分評価するということが一つだと思っております。それからもう一つ、請負工事監督検査事務処理要領に基づきまして、厳正な監督検査を発注者側として実施するということが必要かと思います。また特に、先ほど申しましたように、低価格で受注された工事については、通常より重点的な監督検査を行うということによって手抜き工事の発生防止に努めるということが必要かと思います。
 そういう措置を講じて、今後とも手抜き工事の発生防止に努めていきたいと考えております。
今田委員 大変具体的にお答えをいただきまして、ありがとうございます。
 ただ、私の地元の山形の舟形トンネルの話が今出ましたが、この実態を見ますと、ちょうどこの舟形トンネルの事件が発生したときは衆議院の山形四区の補欠選挙中なんですよ、いや、私どもにとっては大変ありがたかったんですが。ということは、いろいろ、工事を請け負った業者が、ある方に対して口きき料等を払っているとか、あるいはだれそれ議員の消費税を払わされているとか、そういう話があるところなんですよ。
 したがって、県民は、そういった工事をやる業者が、そういう、だれそれに献金や口きき料を払わなければならないがために、どこかで手抜きをやってもうけなければだめなんだという意識が強いのではないかという声が非常に多かったんですね。幸いといいますか、そのときは選挙があったものですから、いろいろな方々と私どもは接した。そのときに必ず出るんですよ、私どもから口を出すということじゃなくて。今までの工事もすべてそうだったのではないのか、こういう話になっているんですよ。
 それで、その舟形だけではなくて、その後建設省でも大変御配慮いただいて、違う国道のいわゆる百十二号線、月山トンネルという長いトンネルがあるんですが、そこも危険性が非常に高いんではないかということなのかわからぬけれども、点検をしていただいたはずですよね。そのことによって、観光シーズンだったものですから、非常に長い渋滞、車が渋滞をして、こういった経済的な損失というのは相当なものだなというふうに私なりに思いながら選挙戦を戦ったんです。
 しかし、県民、国民は、そういう手抜き工事をやるというのはそういうところで発生しているんでないかという、いわゆる背景ですね、そういう疑いがあるわけでありますが、このことについてどう思いをしておられるか、お聞きをしたいと思います。
安富政府参考人 今手抜き工事の原因の一つということでお話がございましたけれども、我々としては、やはりそういう事態に、どういう原因にしろ手抜き工事があってはならないということでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、いわゆる発注者自身の監督あるいは中間検査、そういったものについて適時適切に行って、いわゆる手抜き工事を許さないという形で具体的にどう今後対応していくかという問題ではないかと思っております。
 そういう意味で、先ほども申しましたように、特に低価格で受注されたもの、あるいはダンピングのおそれがあるもの等につきまして、重点的な監督を実施するというようなことで今後とも対応していきたいというふうに考えております。
今田委員 余りいろいろ申し上げますと、私も地元のことだけということになりますのでこれ以上申し上げませんが、ただ、大変不信感を買っているということは事実でございます。
 いろいろな政治的な事件があった後にこういうことがあったものですから特にそういうことなんですが、これは私から言わせれば犯罪なんですよね、犯罪。やる気で起こしたことですから過失ではないんですよね、業務上過失ではない。
 そういう意味では、私は、これから強い態度で、そういった方、そういった業者に対して厳しく当たるべきだろうというふうに思うわけでありまして、そのことを申し上げてこの問題は終わりたいと思います。
 さて、本来の法案に戻りますが、今回法案となっております事業は、地方公共団体が単独で行う事業についても対象になる、こういうことですが、そのような事業も含めて目標を定めるということでは、地方分権に逆行した地方への押しつけになってしまうのではないかというふうに私は思うわけでありまして、そうならないということであればその点について御説明をいただきたいし、また、そういった計画をする場合、地方自治体、そういったところから具体的にその事業に反映させるための意見というものを聴取する必要があるというふうに思うわけでありますが、この点についてお聞きをしたいと思います。
三沢政府参考人 まず、第一点目の単独事業もこの計画の中に含めるということについてでございます。
 社会資本整備に当たりましては、事業主体が国の場合、それから地方の場合、地方の場合また、補助でやる場合、単独事業とございますが、いずれにいたしましても、例えば道路を例にとりますと、国道、県道、市町村道、それぞれの道路、だれが管理するかということはございますけれども、やはり全体として、ネットワークとして整備されて初めてその社会資本整備、道路としての機能を、効用を発揮できるということでございますので、お互いが連携なしにばらばらにやるという性格のものでは基本的にない。
 そういたしますと、やはり国の道路整備と例えば地方が行う道路整備というものについて、ある程度共通の目標なり認識を共有しながら整備を進めていくということが非常に大事だというふうに考えておりまして、そういう意味で、国の事業のみならず地方の事業、その地方の事業の中でも単独事業を含めて、全体としての社会資本整備のあり方についての計画をつくっていこうという趣旨でございます。
 その場合に、では、地方の御意見をどうやって聞いていくのかということでございますけれども、これは、重点計画の案の作成に当たりまして、都道府県から意見を聞くということを法律上明記しておりまして、当然、そういう都道府県から出されました御意見等については、いろいろな議論をして、真摯に受けとめて、内容を十分吟味し、計画に盛り込むべきものは反映する、あるいはむしろ計画よりも、事業実施の段階でまたいろいろ取り入れていくものは取り入れていくという形で、必要な措置を講ずるということにしていきたいというふうに考えております。
今田委員 今ほど答弁いただいたことを十分行えば、いろいろな事業に対して地元から反対運動が起きたり、そういったことは起きないんだろうと思うんですが、しかし、現状を見ますと、いろいろなところで起きているわけですよね。こういったことを、私は一国民として何かむなしいんですね。地元のために一生懸命やってやろうということでやった工事に対して、地元から反対の運動が大きく起きるというのは、いかにも税金のむだ遣いをやっているというふうに思うんですよね。
 本来ならば、地方の地元が、工事してもらうんだ、手を挙げて、本当に喜び合って、そしてその工事に対して協力をするというのが本来の姿でないのかなと思うんですが、どうも最近そのような状況ではない。これはどこにその原因があるのかということについて、何かお考えがあるか、意見がありましたらお伺いいたします。
三沢政府参考人 先ほど都道府県の意見を聞くと申し上げましたが、これは今回の重点計画の案の作成に当たってのことを申し上げました。
 それで、それにとどまらず、結局やはり、具体の事業の実施に当たって、できるだけ前広に情報公開をし、それについてまたパブリックインボルブメントを行いながら住民の方々の意見を聞いていくということが当然必要とされるわけでございます。
 その点につきまして、これも、できるだけもう構想の段階から幅広く御意見を聞くというような仕組みが今後やはり必要であろうということで、これにつきましては、ある程度事業横断的に、どういう御意見の聞き方をしていったらいいか、そういうことについてのガイドラインを今後策定するなどいたしまして、先生おっしゃいましたように、せっかく事業をやるのに、それについての理解と協力が得られないまま何か事業が進んでいくというようなことがないように、きちっと措置をしていきたいというふうに考えております。
今田委員 私は、公共事業に対していろいろ批判があるのはそういった点だと思うんですよね、大きくあるのは。税金を使うという、そういう単純な物の考え方ではなくて、なぜそういう運動が起きるのか、なぜそういう運動が起きたところに金を使うのかという問題になってしまうんだろうというふうに思うんですよ。
 ぜひひとつ、この点について、いろいろ御検討されまして、どれが一番いい方法なのかというものを検討されて、私どもも当然一議員として責任があるわけですから、それぞれいろいろな考え方を持っておられるんだろうというふうに思いますので、御意見をお伺いしながらという思いはあるんですが、ぜひぜひ取り組んでいただきたい、このように思います。
 それから、もう一点、ちょっと問題をかえますが、道路特定財源の問題であります。
 この問題については、小泉総理が道路財源を一般財源化したい、こういう発言をして初めて、多くの国民が、この自動車税、いろいろかけられているものについての意識が高まったというのは事実なんですよね。
 正直言って、大変国民に対しては失礼なんですが、何で取られているのか、何でこんなに税金が多いのかという思いをしながらも、まあ、国の定めだからしようがないやということで納めておった部分があるんだろう。現実に、私の地元とお話をすると、具体的にお話しすれば、ああ、そういうことになっているんですかと、こういうことなんですよ。ですから、そういう意味では問題提起をしたというのは大きな意味があったんではないかというふうに思います。
 ただ、これは、戦後、道路が非常に不足をしておって、それを何とかしようということでいろいろお考えになった税であります。しかし、もう五十数年、約六十年近くになるわけですから、この方式をいつまでも続けていいのかという思いも正直あるわけでありまして、やはりこの辺で思い切って見直す時期に来ているんではないかというふうに思います。そういった意味で、幅広く、時代に合った、ニーズに合った使い方というものを研究する必要があるんではないかというふうに思います。
 ただ、自動車税ですから、これを全く関係のないところに使うとなれば、これは国民の感情も許されないんだろうというふうに思います。そういった意味からして、例えば交通バリアフリー関係のものに使う、いわば弱者救済のためのものに使うとか、あるいは当然交通安全施設に使うとか、そういったことをやれば、それは納めている方も、ああ、なるほどなというふうになるんだろうと思うわけでありますけれども、この点について、もう少し幅広く、どのようなものに使っていくか、あるいは、当然一般財源化するということを前提のもとで申し上げるんですが、そのことと、要するにいわゆる自動車税関係ですね、これを見直すということも含めて、お考えをお聞きしたいと思います。
佐藤政府参考人 道路特定財源の弾力的運用、こういう観点からの御質問かと思います。
 道路の特定財源は、受益者負担ということで自動車利用者の皆様に道路整備のための特別な負担をお願いしてきた、こういうことであります。現在、本則の二倍以上の暫定税率をお願いしているところでございまして、これを延長させてください、こういうことでございます。
 したがいまして、特定財源の使い道のあり方につきましては、御負担をいただいている自動車利用者の理解を得られるものとすることが不可欠である、こう考えております。
 これまでも、特定財源によりまして、道路整備に関連する市街地の再開発事業であるとか、先生御指摘のバリアフリーであるとか、あるいは連続立体交差事業などのまちづくりに資する事業を推進してきた、こういうことでございます。
 平成十五年度予算におきましては、新しい政策課題に的確に対応するために、納税者の理解が得られる範囲で道路特定財源の使い道の多様化を図ることとさせていただいておりまして、具体的には、自動車重量譲与税に係る譲与割合を現行の四分の一から三分の一に引き上げる、それから本四公団の債務の早期抜本処理へ活用する、あるいはまた環境分野や都市交通分野へ使い道を拡大する、こういうことをお願いしているところでございます。
 さらに、特定財源の使い道の規定について、道路整備に密接に関連する環境対策事業その他の政令で定める事業を含めるように五十年ぶりに改正させていただくということをお願いしているわけであります。
 特定財源の今後の活用につきましては、さまざまな御意見を伺いながら、受益者負担という原則を踏まえまして、納税者の御理解をいただける範囲で引き続き幅広く検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
扇国務大臣 事務局の答弁に補足をするというのはおかしな話なんですけれども。
 一般の皆さんにこれは大変直接関係のあることですので、きのうも一言申し上げたんですけれども、民主党さんの案の中にも一般財源化するというふうになっていましたけれども、一般財源化して財務省に入っちゃいますと、お金にひもがついていないものですから、車に関係ないところへ使われても、これはわからないんですね。私、それはないだろうと。少なくとも、今、今田議員がおっしゃるように、一般のユーザーは車検のたびに払わされているわけですから、初めて、一般財源化というので、特定財源とは何だろうということに気がつかれたわけですから。
 そういう意味では、私は昨日も申しましたけれども、平均的なことでいいますと、二千ccクラスのものを二年ごとにこれは車検に出しますね。そのときにいろいろな税金がございますけれども、特にその中の今局長が言いました重量税というものだけは二・五倍の倍率を取っているものですから、もともと本来は一万五千円で重量税はいいわけですよね。それが二・五倍取っていますから、その二・五倍分の二万二千八百円というものを道路に、いわゆる車関係に使うということで一般の皆さんに納得していただいているので、それ以外のものに使うとなったら、では二万二千八百円まけろというのは、当然私は運動が起こるだろうと思います。
 ですから、やはり特定財源は車を利用する受益者負担ということで納得していただいているんですから、今局長が言いましたことの内訳を言いますと、少なくとも、DPF、いわゆる粒子物質の排出を抑制するというような機械を設置する、そういうことにも使わなきゃいけない。ただ、道路特定財源を今までの四分の一から三分の一ということになりますと国が少なくなるけれども、地方に配分を多くしなきゃいけないということで、今回の道路特定財源の中で、金額でいいますと九百三十億円というものを地方に配分するということで、特定財源の配分自体も見直して地方重視にして、今言ったようなバリアフリー等々もしていこうというのが基本的なことでございます。
 ぜひその点は、私は、局長の説明で基本的にはいいんですけれども、今田議員にぜひ、地元に御説明していただくときには、受益者負担はこういうことなんだということで、車がより走りやすく、より二十一世紀の環境型にお金を使わせていただくということも御理解いただきたいと思います。
今田委員 時間になりましたので、一言だけ申し上げます。
 今ほど大臣からDPFの関係が出ましたが、今年度十月から東京都内にディーゼル車は乗り入れ禁止になる、さらにはトラック関係が高速道路で最高速度九十キロ以上は出ないような、スピードリミットというんですか、装置をつける等々がありまして、今、大田市場が野菜、果物市場です、それから築地が魚関係なんですが、私の知り合いもおりまして、何回か電話をいただいたんですが、そういう関係で今大変困っているそうですね。それで、何らかの対策をしなきゃならぬということで、今いろいろ検討されておるようです。しかし、環境というものも大事だということで、今回DPF関係に四十億ですか、予算張りつけになっているようですけれども、そういったものにその道路財源を使うような研究をぜひぜひお願いしたい。このことを申し上げて、同僚議員に時間を譲りたいと思います。
 ありがとうございました。
河合委員長 川内博史君。
川内委員 おはようございます。川内でございます。
 きょうは、まず、法案の質問の前に、三月一日に発生をいたしました東京航空交通管制部における飛行計画情報処理システム障害の件について若干お伺いをさせていただきたいというふうに思います。
 今回システムダウンが発生したときに、私も空港におりましたし、この日は格安の航空券が発売をされていた日でありまして、私の父、母も旅行のために空港にいて、私の家族も空港に、まあ、行く先々、目的地はそれぞれ違ったんですけれども、とにかく一族郎党で空港にいて大変な目に遭ったんです。
 私は、この日、空港にいて感じていたことというのが、システムがダウンをして飛行機の時間が大幅におくれる、あるいは就航の見込みが立たないというような状況の中で大変にごった返していたわけですけれども、搭乗する予定の利用者の皆さんというのは、システムのトラブルがあたかも航空会社の責任というかトラブルであるかのように感じていた方が多かったようで、次の日の新聞のコメントなどを見ても、航空会社に対して不満を漏らしているような方が結構いらっしゃるんですね。
 もちろん対応の仕方として、職員それぞれの対応の仕方がつっけんどんだったり、あるいは、いろいろなところからいろいろなことを言われて、もう、はいはい、はいはいというような感じで、大変な混乱した状況だったわけですから、そういうような印象を持たれることもある程度はいたし方ないのかなという気がするんです。
 しかし、本質的には東京航空交通管制部のシステムのダウンであり、過去に何回もそういう同じようなトラブルがありながら、また今回こういうトラブルが発生したという意味において、もうちょっと利用者の皆さんに対して、当日すぐ、このシステムダウンが発生したときに、説明なりあるいは謝罪なりということがあってしかるべきだったのではないか。そうすれば、混乱というのももうちょっと少なかったのではないかなというふうに思うんです。
 後日、大臣は、四日の定例会見で、この件に関して、いや、大変申しわけなかったという謝罪をされていらっしゃいますし、事務次官は、三日の日に定例会見で、大変申しわけなかったという謝罪をされているように、私は、新聞の記事で、マスコミから伝わる情報だけでございますけれども、把握をしているんです。
 今私が申し上げた状況等をお考えいただければ、三月一日のまさしくシステムダウンが発生したその日のうちに、利用者の皆さんに対して、これは航空会社の責任じゃなくて国の責任です、国が悪いんです、だから、航空会社は責めないでねというような明確な説明なり謝罪なりというものがきちんとなされるべきであったというふうに考えますが、この点についてはいかがでございましょうか。
扇国務大臣 とりあえず私の方から申し上げて、足らざるところ、細かいところは局長から答えていただきたいと思います。
 私は、この原因が何だったかという、当時は全くわからなかったんです。なぜこんなことが起こったんだろうと思って、私にも第一報が入りましたけれども、これは、今おっしゃったように、三月の一日、航空機の管制システムの障害ということでございました。どこで、何が間違ってこの混乱が起きているのかというのは、当時は全くわかりませんでした、それはもう本当に申しわけないだけなんですけれども。
 これは、三月一日の午前七時でございましたけれども、東京航空交通管制、所沢にございますけれども、FDP、いわゆる飛行計画の情報処理システムの二系統ともがダウンした。それがどういうことなんだろうと思ったんですね。
 それで二十分間、全国の空港でそのダウンのために離発着、今先生がおっしゃいますように、少なくとも欠航が二百五便、そして、三十分以上の遅延が千四百六十二便、最大の延長期間が六時間五十分、これは羽田空港でございます。それから、三月二日、引き続いて、機材が到着しないということで欠航が十便、利用者への影響も、三十分未満の遅延も含めれば、ほとんどの便に影響があった。約三十万人弱の方々に御迷惑がかかったということで、本当に、これは、私は、とりあえずは申しわけないと。
 ただ、原因がどこにあるかわからなかったものですから、私は、当日記者会見がございませんでしたけれども、次回の記者会見の日に、改めて、三十万人弱とおっしゃいますけれども、実際に三十万人弱ですけれども、その御家族なり、来ると思っていたおばあちゃんが来なかったとか、そういうことを含めれば、本当に日本じゅうの皆さんに迷惑をかけたと思っていますので、これは心からおわびを申し上げ、そして、ただ人身事故とか何かがなかったことだけせめて救われてはおりますけれども、これはただでは済まない。全国、皆さん、安心して空の旅を楽しんでいただいているんですから、そういう意味では、徹底的な検査をしたいということで、おわびを申し上げ、今もその気持ちに変わりはありません。
 きょう間もなくでございますけれども、大体事故の原因が判明してまいりました。あと一時間ぐらいでこれも発表したいと思いますから、原因の細部にわたっては、私は、その責任を今後、原因がわかりましたので、どういう対応をするか、また、二度とこういうことが起こらないのにはどうしたらいいかということを、このわかった原因の追求とともに、責任者のあり方等々も含めて検討したいと思います。
 細部にわたっては、局長から原因の細部を報告させます。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
洞政府参考人 このたびは、利用者の皆様方に多大の御迷惑をおかけしまして、まことに申しわけございませんでした。
 私どもといたしましては、一日に発生いたしました状況を踏まえて、速やかにシステム機能の回復を急ぐ。それから、安全を確保しながら、遅延便、欠航便をできるだけ早く解消すること。それから、今先生おっしゃいました、確認できた情報は、逐次、今こういうふうになっている、原因はこうでございます、遅延の状況はこうでございます、復旧の状況はこうでございますというのを定期的にマスコミを通じて発表、公表させていただきまして、その現状といいますか、国民の皆様方の不安をできるだけ軽減すべくいろいろ努力したところでございます。
 一刻も早く通常の運用に戻すことに全力を尽くしたつもりでございますが、結果として、その日のうちに、先生先ほどおっしゃいました、十分なおわびという点で心配りが行き届かなかったということにつきましては、深く、深く反省する次第でございます。
 それで、今大臣が申し上げました、この原因は、一言で言いますと、ソフトウエアのミス、プログラムのミスということに尽きるわけですけれども、そのミスがなぜ起こってきたのかということについて今徹底的な検証をしているところでございます。
 細かなところで、なぜそれが起こって、なぜそれが見抜けなかったかということについて検証して、また、私どもいろいろ委託先のメーカー等々もございますから、今検証しているところでございまして、そこのところを明らかにした上で、できるだけ早く発表したいと思っております。
 しかし、肝心なことは、やはりこういうことを二度と起こさないことでございまして、今後の対策は、初歩的なあれとしては徹底的な事前検証というものを、もうこれでもか、これでもかというぐらいにやるということが基本でございますけれども、それと同時に、ソフトウエアのダウンというものに対するバックアップ、ハードウエアのバックアップは二重、三重のものができているんですけれども、ソフトウエアのバックアップということについて正直言って対策がとられていなかったというのが現状でございまして、これは、専門家から成る技術検討委員会をもう発足させていますけれども、先生方の御意見を踏まえて、ソフトウエアのバックアップ体制を早急に構築する、そのための方策を確立して、二度とこのような事態が起きないように万全を期したいと思っております。
 本当に、まことに申しわけございませんでした。
川内委員 実は、今局長が一生懸命いろいろとマスコミを通じて説明をさせていただいたというふうにおっしゃっていらっしゃるんですけれども、私自身も誤解をしていたんですけれども、二系統で回していて、その二系統ともダウンした。そうすると、翌日の新聞記事など、あるいはその後の新聞の記事などを見ておりましても、一系統はバックアップのためのシステムだみたいな書き方をしてあるんですよね、それにもかかわらず二系統ともダウンをしたと。
 ところが、実際に国土交通省さんの説明を聞くと、ソフトのふぐあいであって、ハードとしては二系統で、一系統はバックアップしているけれども、ソフトにふぐあいが発生をすれば二系統ともダウンするのは、同じソフトで回しているわけですから当然のことだというのは、言われてみればなるほどと思うのですけれども、その辺のことが、多分この記事をお書きになっていらっしゃるのは航空のことが御専門の国土交通省の記者クラブにいらっしゃるような方たちが記事を書いているにもかかわらず、国民の皆様に誤解を与えるような記事が堂々と出ているということに関しても、私は説明不足を感じるんですね。
 なぜこのようなことを申し上げるかというと、飛行計画情報処理システム、この件に関しては、今、大臣、局長から御丁寧な御答弁をいただいたので、それを了といたしますし、また、今後このようなことがないように一生懸命に頑張っていただけるものというふうに信じておりますが、私は、国土交通省さんの説明責任、この社会資本整備重点計画なんかについてもそうでしょうけれども、もっともっと国民の皆さんに、国土交通省さんがやっていることはこんなことだということをしっかりと御説明された方がいいと思うんですね。
 というのは、総理は、小泉さんは、改革、改革と一生懸命おっしゃるけれども、私は、そんなマジシャンじゃあるまいし、引田天功さんやミスター・マリックじゃあるまいし、何かあっという間に世の中が景気がよくなるかのように、あっという間に何かが変わるかのように幻想を与えるのは実はとんでもない間違いであって、行政や政治の立場にいる人間はそんなことを実は言っちゃいけないんだと思うんですね。自分たちが今までやってきたことは正しい、正しいというか、正しいと信じてやってきているわけですから、それをしっかりと国民の皆さんに伝えなきゃいけない。
 例えば、この前あるエコノミストの方の話を聞いていたら、この十年間で百五十兆円財政の赤字がふえているけれども、その中で公共事業に振り向けられているものは五十兆円だ、したがって、財政の赤字の原因が公共事業であるかのようにあたかも言われているけれども、それは全然違う、公共事業についてはある一定の景気の下支えの効果はあるんだということをあるエコノミストの方が、私は信頼しているんですが、おっしゃっていた。(発言する者あり)はい。抵抗勢力ですから。
 そういうような説明というのをもっともっと、御自分たちがやってきたことはこう信じてやってきているんだということをもっと懇切丁寧に説明をするべきだというふうに思いますね。
 それで、財政の赤字だとか、あるいは国家としての問題点はいろいろあります。
 しかし、私たちが国と言うときに、ネーションステートとしての国家という意味合いと、例えば正月になれば故郷(くに)に帰るよというように、国という言葉を、故郷、ふるさとという字を書いてクニと私たちは言うわけですから、その国をよくするというのはふるさとをよくすることだということでもあるわけですから、ぜひ、大変力を入れて演説していたらもう時間が来てしまいましたが、説明をもっともっとしっかりとしていただいて、自分たちがやっていることは国民の皆さんのためになるんだということを自信を持っておっしゃっていただきたいというふうに私は思います。
 最後に大臣に、この法案について。
 主務大臣は社会経済情勢の変化に対応するため重点計画を変更することができるとされているわけですが、重点計画の策定後、その計画の内容が社会経済情勢に適合しているかどうか定期的にフォローしていく仕組みなどを考えておられるのかということについて、最後にこの法案についての質問をさせていただきたいと思います。
扇国務大臣 時間がどれくらいあるのか知りませんけれども、私は、川内議員のおっしゃったことはそのとおりだと思いますし、社会資本整備で、今まで小泉総理があれだけ圧倒的に国民の支持を得た、八〇%近いものを得たというのは、二十世紀には役に立ったけれども、そろそろ時代が変わってきたよ、何かを変えなければいけない、そういう国民の成熟した意識というものが小泉内閣を生み、なおかつ、二十一世紀に世の中を変革しよう、今まではよかったけれども、これからはこれではだめだ、環境やバリアフリーを加味しようと。だから私が、二十一世紀、ハードからソフトへというふうに変えていったわけですけれども、そういう国民の高度な意識というものが小泉内閣を生んだと思っております。
 ですから、ただただ希望を与えるだけではなくて、私、人間というのは希望がなければ進歩しないと思うんです。そして、社会資本整備に、公共工事に金を使い過ぎた、千五百兆のうち五十兆は公共工事だとおっしゃいますけれども、公共工事は必ず物として子孫に残るんですね。ですから、私は、公共工事というものがすべて悪だと言う方は少ないと思います。私は、やはりむだはなくさなきゃいけないけれども、公共工事そのものが必要な日本であるということはまだあると思うんですね。
 ただ、残念なことには、地方によってはほとんど基幹産業が育ってなく、また地形的にも基幹産業がなくて、ほとんどが公共工事が自分たちの県の主要産業であるという地域もあるんです。
 ですから、そういう意味では、公共工事、不況になりますと、なるはなるだけ安定した公共工事に参加したいということで、全国六十万業者できたわけですね。ですけれども、今は不況になりましたから五十八万業者になっていますけれども、工事が三%、いわゆる十年間で一〇%公共工事が少なくなっているのに、事業所は一〇%ふえているわけです。百万業者、ふえているわけですね。こういうギャップが大きな原因にはなっていると私は思います。
 そういう意味では、川内議員がおっしゃるように、公共工事の必要性というものは、ある部分では必ずあるんだ、それをいかに効率よくするかということの一端がこの九法案の一本化ということにつながって、なるべくむだをなくそう、国民の皆さんの批判にこたえ得るような、期待にこたえられるような効率を図っていこう、コストダウンも図ろうということで、細かい数字になれば、今年度の予算の中でどの部分を幾ら配分したというのはまた機会があろうと思いますけれども、今おっしゃった、時間がないということですので、少なくとも私は、公共工事を見直す時期に来ているということでの一環の一本化であるということだけは、ぜひ御理解いただきたいと思います。
川内委員 終わります。
菅(義)委員長代理 大谷信盛君。
大谷委員 大谷信盛でございます。
 きょうは、閣法にのみ御質問をさせていただきたく思います。
 まず最初に、民主党が提出させていただいております法律案、これは、もともと今まで公共事業の中で問題視されてきた、動き出したらとまらないとか、時代おくれで環境に合っていないものを新しく時代背景に合ったものに変えていくとかというような問題点を解決するためには、国会承認を含めて、国民の手に公共事業を取り戻していこう。また、一本一本、各局各局が一本化して、省庁の総合性を持った公共事業ということは私も全く同じ理念ではございますが、そうしたら、なぜ九本だけなのかということに、この間の議論の中で余り的確にお答えをいただいていないような気がいたします。
 平成十三年に長期計画が切れるものが九本あって、その九本をこれから一本一本つくっていくのではなくて、まとめてもっと長期計画をつくっていくというだけで、例えば住宅なんというものは、扇大臣がいつもおっしゃるグランドデザインの中では、どうするのかということが大きな大きな必要性があるというふうに思うんですが、残念ながらこの九本の中には住宅は入っておりません。
 十七年に長期計画が切れるからそれから入るのかなというふうに思いますが、今までの扇大臣の議論ですと、全体をしっかりと見据えてつくっていかなければ、質のいい、求められている公共事業はできない。ならば、他省庁のも含めて、一緒にするような努力をすべきなのか、また、したけれどもできなくて、今回は九本だけにおさまって、これからやっていこうとしているのか、リーダーシップを発揮されたのかどうなのか。その辺について、まず扇大臣の動きについて教えていただきたいと思います。
三沢政府参考人 今回、九本の長期計画を統合するわけでございます。それで、なぜ、それ以外の長期計画を一本化しないのかという御質問でございます。
 これについては、当然私どもも、大臣の指示を受け、関係省庁とも十分話し合いました。農水省さんにも行き、我々の考え方はこうですと。多分、選択肢としていろいろな考え方があるんだろうなというふうに私どもは考えております。
 いろいろ議論した結果といたしまして、例えば農林水産省の所管の公共事業というのは、ある面では公共事業ということでございますけれども、一方で、まさに農林水産業、第一次産業の発展とか、あるいは農山漁村の振興というほかの農林施策と一体的に実施することも非常に大事だ、これも事実でございまして、そういう観点から、今回、例えば土地改良であるとか治山については農水省さんの他の農林の施策と一緒に実施していこうということで、今回の重点計画とまた別にお考えになるということになったわけでございます。
 それからもう一つ、環境省さん、これも廃棄物の処理の五カ年計画がございます。これもいろいろな議論を経たわけでございますけれども、廃棄物の処理というのも、いわば出口の問題なんですが、恐らくそもそも廃棄物、ごみの量の削減策そのものとか、あるいはそういう全体の廃棄物処理政策、それと一体的に処理することも非常に重要である。これもやはり理由のあることでございまして、そういう観点から、では、廃棄物はまたそういう廃棄物処理政策の中で考えていこうということになったわけでございます。
 ただ、今回、私どもからそういう問題提起もし、政府全体としても議論した結果、今までの緊急措置法体系というのは、これは国土交通省のみならず、環境省さんの廃棄物の処理の緊急措置法、こういうのも含めて、ある意味では全部根底から見直されることになった。これは、政府として統一した姿勢としてそういう見直しが行われるようになったということでございます。
 それからもう一つ、住宅の御質問がございましたけれども、住宅は当然、例えば公営住宅なんかは公共事業という面がございますけれども、住宅政策全体で見ますと、民間住宅の部分も非常に大きくて、まさに二十一世紀型の住宅政策としてどういう法律体系のあり方がいいのかというのは、もうちょっと抜本的な議論があるのかなというふうに考えております。現在の、現行の住宅建設計画法というのも基本的に見直さなきゃいけないという問題意識でございます。
 したがいまして、ですから、まだ計画の終期が来ていないから入れていないというようなことではなくて、もうちょっと抜本的な見直しをきちっとして、その上で、その見直しの時点で改めてこの重点計画法との関係をよく整理して、必要があれば、場合によっては一緒になるかもしれないし、あるいはむしろ住宅に関する別の、例えば住宅基本法とかそういう選択肢もあり得ると思いますが、そういうことを十分議論していきたいということでございます。
 ただ、今回、法律上は、法定事業としては対象にしておりませんけれども、住宅についてもこの計画の中で、例えばバリアフリー目標みたいな共通な部分についてはできるだけこの中に書き込んでいきたい、こういう考え方でございます。
大谷委員 大臣もお願いします。
扇国務大臣 大谷議員は、民主党の案の提案者でもいらっしゃいますから、この問題に関してよく御研究いただき、御提言もいただいているところですけれども、私は、少なくとも、見ていただいたらよくわかりますように、省と省、局と局、役所の中というのは、今日までの戦後の体制の中で、それを横断的に物を考えるということが日本の行政の中では今まで、ほとんど不可能であったというのは言い過ぎかもしれませんけれども、それほど危機管理意識というものがなく、縦割りで来たというのが戦後の行政のあり方だろうと思います。
 それを変えていこうというのが小泉内閣なんです。ですから、今局長が言いましたように、今まで、法案一本について、農林水産省に一緒にやりましょうよ、あるいはここも一緒にやりましょうよなんて環境省に言いに行くというようなことは、それぞれの役人のプライドからすれば考えられないことでありますし、私は、皆さん方にお願いした公共工事の入契法、これをつくるときも、これは五年かかると言われたんです、それは各省庁全部持っていますから。けれども、入札と契約に関する適正化法も、皆さんのおかげで、また、あのときに内閣挙げて総理の命令によって、協力しろというリーダーシップによって五年かかる法案が三カ月でできた、これも新記録なんですね。
 ですから、そういうことも、この長期計画というのは、昭和二十九年から今日まで五十年間、それぞれの省割り、局割り、全部縦割りでつくられてきたものを改めて二十一世紀型にするということで、私は、きっと、お若い皆さん方、古い方も含めて、大変失礼ですけれども、九本を一緒に、そんなことできっこないと皆さんお考えになっていたと思うんです。それくらい、省と省、局と局という、これは大変な今までの歴史と伝統と誇りを持っているんです。それを二十一世紀型の日本のために一本にしたというこの基本だけはぜひ御理解いただき、私はむしろ、大谷議員なんかは勉強していただいて、ああ、なるほどな、こんなことができたんだなと思っていただけるものだと思っています。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
大谷委員 わかりました。大臣のリーダーシップがあってこそ、この九本が一本にまとまったということだというふうに思います。
 ただ、言いたいのは、では、省庁の縦割りというものの弊害をなくしていくために、これからも大臣がリーダーシップを発揮されていくのかということだというふうに思います。きっと、今の回答の中では、していくという心意気は十分に伝わったと思いますので、もう聞きません。
 もう一つ、重点化、九本という話なんですけれども、この重点化というのは何をもって重点化かという議論も余りされていないわけです。
 重点化するということは、コストダウンもありましょう。また、総合性を持たすということもありましょう。なおかつ、何よりも一番国民ニーズにこれが求められているものだから、これを重点化してどこよりも先に優先して進めていきましょうということなんですけれども、このニーズを高められる商品、事業の内容というものをつくっていくときに、国がやった方がいいものもあれば、地方がやった方がいい、これは重点化するときは国じゃなくて地方にやってもらった方がいいよなという重点性を考える上の戦略性はあると思うんですよね。そういうものは考慮を全くされていないような気がするんです。
 これは、嫌らしい見方をするならば、今まで中央省庁が持ってきた事業というものを地方に渡さないために、アウトカムというような計画をつくって、五年ごとにそれさえしていけば、あとはただただ数値目標を達成するために走り続けていくようなことになってしまうんではないか。
 国がやったことの方が効率性、国民ニーズにとってはいいものができる、いや、国しかできない、もしくはこれはほかに地域にやっていただいた方がいいなとかいうような議論は、この法案を立案していく中であったんでしょうか。これは何回かほかの委員さんが質問されましたけれども、それを局長にお伺いしたいんです。
三沢政府参考人 非常に重要な点の御質問でございます。
 重点化の意味というのは、大変いろいろな意味があるわけでございますけれども、中でもやはり私ども非常に大事だと考えておりますのは、従来事業分野別の計画になっていた、しかも、どちらかというと、中身が事業費表示だった。それを、横断的な目標設定を行っていくことによって、ある意味では、社会資本整備として何が課題なのかということについて事業横断的な政策課題、これを明示して、その中で選択をしていける。
 例えば、ちょっと言い方は悪いんですけれども、道路か河川かということよりも、例えば環境が大事なのか、あるいは安全が大事なのか、バリアフリーが大事か、そういう政策課題に対応していくという物の考え方を明示できるということが非常に今回の大きな趣旨であるというふうに考えています。そういう意味での重点化というのが一つ。
 それから、当然、もちろん事業自体をできるだけ早くする、あるいはコストの縮減を図っていくという、いわゆる公共事業改革の取り組みによる効率化という意味での重点化もあろうかと思います。そういう意味を含めて、今回そういう重点化と申し上げているわけです。
 その中で、国と地方というお話がございまして、今回私ども、こういう政策課題ごとの問題提起をすることによって、そこは、国と地方との役割分担、あるいはさらに言えば、官と民との役割分担についても、いろいろな取り組みというのがむしろ横断的にしやすいような、そういう体制がだんだんできてくるんではないかというふうに考えております。
 ですから、これを決めることによって何か目標ができたので、その達成に向けて一律に走っていくということじゃなくて、多分、目標の達成の仕方についても、ハードとソフトの組み合わせとか、新規の投資と既存ストックの組み合わせ、いろいろなやり方があろうかと思いますので、そういうやり方の、ある意味ではアローアンスをきちっと残して、むしろ地域の創意工夫が出せるような仕組みになっていくのではないかというふうに考えております。
大谷委員 ある土俵、パラダイムの中で考えるならば、今三沢局長がおっしゃったことが一番効率のいい形で事業を進めていくことになるのかなというふうに思うんです。それは、この間何回か言わせていただいた、昭和二十五年五月にできた国土総合開発法だというふうに思うんです。
 中央がしっかりやらなかったら地域が絶対に事業を達成できるわけがないという考えのもと、あの法律がいわゆる公共事業の核となってこの戦後の復興を進めていったというふうに思うんですけれども、今はそうじゃなくて、何回もこれは議論が出ましたけれども、そのパラダイムみたいなものを変換して、地域が地域の住民と一緒になってまちづくりをしていくというのが二十一世紀型じゃないかなというふうに僕は思っているんです。
 その兆候を大きく示しているのがNPOだと思います。同僚の方も、今や、政府関係機関のところに退官後お仕事をせず、NPOにお仕事をされている先輩局長もおられるというふうに聞いておりますし、そんな退官後の進路が今までなかったようなところに行くというのも、やはり住民参加のまちづくり、これは、地域でつくるという言い方もありますし、NPOと、民間でつくるという言い方もありますけれども、これは二十一世紀の兆候だというふうに思うのですね。
 これは、長年局長なんかはまちづくり、国づくりに携わってきて、どのようにお考えですか、それなりのパラダイム変換がどこかで必要だというふうに僕は思うんですけれども。
三沢政府参考人 ある意味では、そういうパラダイムの転換自体も既に起こりつつあり、恐らく、全国総合開発計画というものも、そういうパラダイムの転換と言われたものも、その中に相当部分、思想としてもう入ってきているというふうに私どもは考えています。
 ですから、つまり、国が計画を立てるから何か一律になるとか、そういうことじゃなくて、むしろ、国と地方とで、先生おっしゃったようなパラダイムの転換というのであれば、そういうものを共通の認識としてお互いに持ち合うということが非常に大事なんではないかというふうに考えております。
 したがいまして、国が計画をつくるから非常に押しつけになるとか、必ずしもそうではなくて、むしろ、その中身と、それから、それをどうやって運用で生かしていくかということが非常に大事なんではないかというふうに考えております。
大谷委員 パラダイム変換の起こりつつある現象を理解した上で進めていくというような認識をお持ちいただいていることがわかりました。
 ただ僕も、国が地方に押しつけて、これをやれと言っているようなことをしていると言うわけじゃないんですね。ただ、予算の硬直化がこれは特別財源等々でございますし、また補助金で、これをやったら補助金が出るということで、ある意味、見えざる手で縛っていることは事実でありますので、それをしっかりと取り払って、自分たちの町は自分たちでつくっていくような形にしていきたいという思いが、今回民主党から提案をさせていただいておる公共事業基本法案だというふう思っています。
 次に、この閣法の中では、アウトカムをつくって、これまたアウトカムという片仮名がよくわからないんですけれども、要は、数値目標、数値の入った目標、計画みたいなものをつくって、それを達成するために頑張っていくんだということですけれども、この九つの長期計画が一本になってアウトカムになる。
 そうしたら、この九つのものを一つにするときの重点性や、また将来のまちづくり、この国の国土のイメージとかというものがあって、議論された末でそれなりのたたき台みたいなものが出てくるんだというふうに思うんですが、その過程はどうなるんですか。三沢総合政策局長が自分の周りの中で各局長の意見を入れただけでつくってしまうのか、それとも、何か副大臣や大臣のリーダーシップがその中には入れられるような政策決定過程の中でつくっていくのか、どんな過程でつくられていくのかというのがちょっとよくわからないんですが。
三沢政府参考人 これは、もう当然、私ども、まず役所の中の仕事としてやる場合には、大臣、副大臣の御指示、御意見を踏まえていろいろ事務的に作業を進めていくということでございますので、何か局レベルで事務的に決めてしまうというような性格のものではございません。
 いずれにいたしましても、これはそのプロセスが非常に大事だというふうに考えておりまして、まず、役所の内部では当然そういうことでございますけれども、さらに役所と外との関係で、今回、今までの長期計画では必ずしも明確にしていなかったプロセスを、例えばPIの問題なりあるいは公共団体の意見聴取の問題、そういうことを明記しているということでございまして、アウトカム目標を、非常に技術的なものだから何か専門家だけで決めてしまうというようなものではなくて、やはり広く御意見を聞きながら、その中でフィードバックしながら決めていくというプロセスを重視したいというふうに考えております。
大谷委員 先にPIという言葉を使われちゃいましたけれども、中でどんなふうにつくっていくのかというのも、ちょっとブラックボックスで見えにくいんですが、私の言いたいのは、これは中でつくりますね、アウトカムというのを。その後、それなりにたたき台をPIにかけて、それでなおかつ最終物がつくられていくという過程の中にあるというふうに思うんですが、私は、たたき台をつくる前にもそれなりにPIというようなものをやらなきゃいけないというふうに思うんです。それが一点。そんな気があるのか、ないのか。
 いや、今までインターネット等々を使ってやってきたというのであれば、そのインターネットが本当にPIになっているのかどうなのかということも聞きたいですし、PIというのは、何ですか。パブリックインボルブメントですね。インボルブメントというのは、辞書を引きますと、巻き込むという意味でございまして、今まで何かPI、PIと書いてあるインターネット等々を見ると、広く皆様方国民の御意見をいただいてということで、パブリックヒアリングになっているんですね。その辺の認識を踏まえて、ちょっとこのPIの関連で、三つ教えていただけますでしょうか。
三沢政府参考人 一つは、PIをどの段階でやるのかということでございます。
 これは、いろいろな御意見がございますけれども、ただ、意見を求めるとすれば、何らかのたたき台といいますか素案といいますか、そういう素材があった方が意見は、一般論として言えば、言いやすいだろうということでございますので、今回も、皆様方が何か意見を言う対象がある程度材料としてある、そういう段階でPIをするのかなというふうに考えておりますので、恐らく、そうしますと、やはりある程度のたたき台的なものがあった方がやりやすいのだろうというふうに考えております。
 それから、PIは単に聞くだけにならないようにというのは、もう非常に重要な点でございます。それで、これも私ども非常に大事だと思っていますのは、結局、例えばいろいろな御意見を聞いたときに、それをどう受けとめたのか、あるいは、受けとめられなかったとすればなぜなのかということを、事後的にもきちっと情報公開して、そのことについて当然またいろいろな御意見が出てくるであろうというふうに思っていますので、そこも、PIやりっ放しという言い方は悪いんですけれども、やった後のフォローアップと情報公開ということを非常に重視してやっていきたいというふうに考えております。
大谷委員 そのとおりで、何か書き物というかネタがないと、それは意見をくれといったって、ほわんとしたものどころか、支離滅裂な御意見しか来ないというふうに思うんですね。ですから、計画はある程度たたき台をつくってというのは、そのとおりだというふうに思います。
 だけれども、それは計画なんですね。構想のたたき台みたいなものをつくって、その構想に対してやっていっていただくようなことは必要だというふうに思うんです。
 例えば、この国の陸海空という交通物流システムの中で、では、どこに中心を置いていくんだ。これから車をやめてパブリック交通、公共交通に力を入れていくようにしていただきたいという方もおるだろうし、反対に、いや、もっともっと自動車を普及させて、自動車の排ガスがクリーンになれば、幾ら自動車が走ったって渋滞しないような道をつくって、二つ両立していけばいいじゃないかというような、どこに空港、道路それから鉄道等々の重点化をしていくんだというパブリックヒアリングだってできるわけです。だから、それはそれで、構想段階でやっていくことというのは、僕は考えられると思うんですね。
 もう一つ、パブリックヒアリングではなく、パブリックインボルブメントになるためには、役所だけではなくて、一緒に何か考えていくような部署が組織立って、体系立ってあって、初めてパブリックインボルブメントだというふうに思うんですが、そんな取り組みは今までされようとしたことがあったのか、したことがあったのか。
 また、道路の場合は、事業を推進していく中でいろいろな御苦労の多い事業でありますので、今田議員の方からありましたように、反対運動というようなことも多い中で、きっと何かのノウハウというような、経験則というようなものがあったかと思うんですが、何かあれば道路局長、お願いをしたいんです。
佐藤政府参考人 先に私の方から、今、道路行政としてPIの経験いかん、こういうお話かと思います。
 実は五年前、その前もそうですが、五カ年計画を立てるというようなときに、たくさんの皆様、記憶によりますと、たしか十万人以上の皆様から御意見をいただいたかと思います。
 身近な道路の中で、あるいは日本全体のネットワークの中で、どういうことに力を注いでほしいかというようなことのアンケートをいただき、なおかつ、全国で四十七都道府県、それぞれ四、五回以上ずつだったかと思いますが、懇談会やいろいろな意見を伺いながら、それをまとめて、それぞれの地域の課題といったこともお出しいただいて、それらの全体をいろいろ構成しながら、評価しながら、現在十二次の五カ年計画でございますが、今の五カ年計画をつくらせていただいた、こういう経緯はございます。
 それから各論で申し上げますと、大きな道路は、構想段階でできるだけいろいろな皆様の御意見をいただきながら、具体の計画論については、それこそPIとして、住民の皆様の何人かに委員になっていただいて委員会をつくり、なおかつ、周辺住民の皆様あるいはお使いいただくことになるであろう皆様の御意見をその場にできるだけ集めていただいて、そうしたことを踏まえながら一緒になって検討する、こういうこともやり始めているところでございます。
大谷委員 では、三沢局長の方もお願いします。
三沢政府参考人 今道路の方でお話ございましたように、道路で構想段階からのPIというのを相当先駆的に実施しております。
 私どもの方では、そういういろいろな事例も踏まえまして、事業横断的な、構想段階からのPIのあり方というものについて前々から検討をさせていただいていまして、これは前に大谷先生からも御質問いただきましたけれども、やはりそのためのガイドラインというものもできるだけ早くつくりたいというふうに考えております。
 それから、重点計画とPIとの関係でいえば、私どもが申し上げているたたき台というものが恐らくはかなり構想段階的な、事業でいう構想段階的なものに近くなるのかなという感じもしておりまして、ちょっとそこはどういう形でかけるのか、まだコンクリートで決まっておりませんけれども、要するに、余りコンクリートで決めてしまった後で聞くんじゃなくて、できるだけ前広に聞くという御趣旨だと思いますので、そういうことについて十分留意をしていきたいというふうに考えております。
大谷委員 民主党案で国会承認というものにこだわっているのは、要は、みんなでつくった計画だから、みんなでしっかり達成していこうよと言えるようなものにしたいからであります。それがもし、この閣法の中には国会承認等々は入ってございませんので、ちょっとでもパブリックインボルブメントというものを、ヒアリングだけではなく発展させていただくような努力は、この法案にかかわらず、事業を進めていく上で、一つ必ず頭に入れてつくっていくようにしていただきたいなというふうに思っています。
 ちょっと前後してしまいますが、もう一遍アウトカムの方で、事後評価ということに戻りたいんです。
 これは、ちょっと読んでみますと、アウトカムができました、五年間です、五年間の達成度ですね。数値目標ができますから、達成度の評価というか政策評価というものはあるかというふうに思うんです。このアウトカム自体を五年後にやる、それで次の五年後のアウトカムにフィードバックをするというのはもちろんあると思うんです。だけれども、途中で、一年、二年、三年たってみてどうなんだというようなことは、何かシステム上、仕組みとして用意されているんでしょうか、いわゆる時のアセスというものですけれども。
三沢政府参考人 今回の事後評価でございますけれども、アウトカム目標を設定いたしまして、それに基づいて、結局その政策評価の結果を政策に反映するということでございますので、これは要するに、五年たって初めてやるという性格のものではなくて、当然、ある程度やはり毎年度きちっと、ことしはどこまでやったのか、そういうことを評価していくということでございます。そういうことで、例えば、そういうことの結果がまた次の予算要求なり制度改善に反映されるというのが本来の姿であるというふうに考えております。
 それから、時のアセスと言われているのは、むしろそれよりも事業の再評価の仕組みということかと思います。
 これについては、私どもも前々から、これも採択してから一定期間内にまだ着手されていないものとか、あるいは事業を始めてから一定期間内にまだ終わっていないものについて、きちっとすべて事後評価委員会にかけて、これを例えば中止するかどうかということもやっておりますので、そういうこともきちっとやるということも、今回、重点計画の中に改めてきちっと書き込みたいというふうに考えております。
大谷委員 僕が言いたいのは、要は、ある意味、時の政府、政権、内閣というもののリーダーシップのもとに、まちづくり、国づくりの濃淡が決まって、この事業のどこに予算配分を濃淡していくか、どこを重点にして達成していくかということが決まっていくというふうに思うんですが、大臣がかわる、内閣がかわる、政権がかわる、政府がかわる、私が政権の側に入るとかしたような場合、この五年計画、アウトカムがございます。これを、例えば、もう数値目標をつくってしまっているんだからやらなければいけないんだというだけで硬直してしまっているのか、それとも時の政府、内閣のリーダーシップの優先順位によって変えることができるのかということなんですけれども、そこら辺はどうなるんですか。
三沢政府参考人 これは、この法律の中で、社会経済情勢の変化があるときは、主務大臣はこの計画の変更の案をつくらなければいけないという義務づけをしております。
 したがいまして、例えばいろいろな社会経済情勢の変化があり、その中で内閣としてその政策の優先順位が変わるということがあれば、そういうことに基づいて、変更ということが当然考えられるというふうに考えております。
大谷委員 そうですか、わかりました。論理上可能なわけですね。
 どうしても、数値目標ができてしまいますから、そこだけを達成しなければいけないという担当者にとってのトラウマなんかに駆られてしまって、戦略的構想、外的環境変化に応じたものができないんではないかという危惧がちょっとあるものですから、それはまた進めていってから議論していきたいというふうに思います。
 もう一つだけ教えていただきたいのが予算配分の、大臣になんですけれども、最後なので、予算の硬直化についてだけ所見を述べていただいて、終わりたいというふうに思うんです。
 大臣、結局何年やられましたか。四年ぐらいになりますか、扇大臣の方は。大臣を何年やられましたか。(扇国務大臣「七月で三年です」と呼ぶ)三年ですか。
 もう十分、有経験者ですのでお聞きしたいんですけれども、自分がこの国のために事業を責任を持って推進していく、計画していくという地位にあって、予算が硬直しているとやりにくくないですか。要は、自動的に配分されてしまいますから、扇さんが、また総理が考えたような物事を政策の上に反映させていけるすき間というのはこれぐらいしかないような気がするんですが、自己の経験からいうといかがでしょうか。
扇国務大臣 ちょっと大きな問題なんで、私が経済財政諮問会議というところで言ったことは、二十一世紀は単年度予算ではなくて、会計法も変えて事業別予算、特に国家プロジェクト、いわゆるナショナルプロジェクト的なものは事業別予算でどんとやるべきだ。毎年毎年切り刻んで、アメリカのように、予算を組んで、節約したところには次に御褒美を上げるというような予算でないと、みんな、この委員会でも言われました、年度内に予算を使うために、年度末になったら道路を掘り返しているという御批判も国民の中にある、私もそう思っていました。
 ですから私は、単年度予算で、使い切らなかったら財務省が取り上げる、これでは一生懸命やりませんよね。ですから、余った分で次の重点項目に配分できる、こういう方法を変えてくれないと、単年度予算のいいところもありますよ、けれども、今言ったような大きな事業になればなるほど、私は、事業別予算というものを組んでナショナルプロジェクトをきちんと上げる。
 例えば、空港にしろ道路にしろ、日本の国にとってどう必要であるかという大きなグランドデザインで見れば、それは事業別予算で、何年間でこれを短期に仕上げるんだということが予算の中にできなければ、効率が上がらないのではないかということを私は経済財政諮問会議で言いましたけれども、国の会計法を変えるなんてことはどの閣僚も思っていないようです。私は総理大臣でもありませんし、一国民あるいは一国会、一内閣の一員として、国務大臣として、そういうことをしなければ本当の予算の硬直化したものを直せないだろうということだけは提案いたしました。
大谷委員 わかりました。それは大胆な発言、今の状況で、今の政権の中では、扇大臣の発言は大胆な勇気ある発言だったというふうに思います。
 しかしながら、パラダイムの変換にはまだ至っていない、パラダイムから脱していないような気がいたします。要するに、特定財源ということは、ほかに行っちゃったら、使う金なくなっちゃったら事業が滞っちゃうぞ、だから守るんだというような発想になってしまっているというふうに思います。
 僕は、また、我が党で法案を出させていただいておりますのは、そういう考えを取っ払って、新しい土俵の中で、要は、時の政府が内閣一致して、空港だというんだったら空港をつくっていく。
 今度、空港の法案のときは議論をまたさせていただこうと思っておりますが、空港整備特会が少ない余り、別枠でお金をもらってこなきゃいけない、扇大臣が財務大臣に頭を下げなきゃいけないことになっちゃうわけですよ。
 そうじゃなくて、内閣で空港だといったら、特定財源なんか関係なしに、ぼんと拠点空港整備のためにお金が使えるような、そんな新しいパラダイムをつくっていくためにも、特定財源というものをなくしていかなければいけませんし、民主党の法律がそれを転換させる起爆剤になるんだということを申し述べさせていただきまして、質問を終わりたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
河合委員長 岩國哲人君。
岩國委員 おはようございます。
 民主党を代表して、また、毎日毎日のように質問させていただいて大変恐縮に思っておりますけれども、私は、この部屋を大変愛しておりまして、政治の理想と政治の現実を示していただいたこの両極端の中で、この日本の政治のあり方を論じるというのは、非常に張り合いのある思いをいたします。
 こうした日本の政治、戦後もう五十年たちましたけれども、五十年前にできたシステムというものにいつまでもとらわれておったのでは、日本がもっていかない、これは大臣も同じ思いを共有していらっしゃると思います。先ほど、同僚の大谷委員の方からも、こうした世論というものをこれから公共事業あるいは社会資本の整備にもっと活用していくべきだ、もっと尊重すべきだという発言がありました。私も全く同感であります。
 ところで、国土交通省が所管しておられる、あるいは利用しておられるいろいろな審議会の中で、大臣がこの審議会が一番大切だなと思われるもの、一、二、三と順番をつけて三つだけ挙げていただけませんか。
扇国務大臣 私は、この職につく前から、これは岩國議員も御存じだと思いますけれども、新進党という党がありました。そのときに勉強会をいたしまして、審議会は全部廃止したい、特殊法人も全部一度廃止したい、そして二十一世紀に必要だと思うものだけをつくっていく、そういうことを勉強したことがございますから、私は絶えず国土交通省の幹部にも言っております。
 つまらない審議会で、審議会に自分たちの案を出して、審議会がオーケーしたから、法案に審議会の議を経てと書いてあるから、審議会のオーケーが出たらこれが金科玉条だと思うな。そうではない。役所が今までの歴史を持っているんなら、自分たち役人の知恵と権限とをもっと自信を持ちなさい。審議会にかける場合は、基本的な政策は国土交通省としてつくって、審議会に二つか三つの案を出して、この中から審議会の皆さんはどれがいいとお思いになりますか、AとBとをミックスしろとか、BとCをミックスしろとか、そういうことを本当に審議していただくのが審議会である。
 ですから、私は、外部の皆さん方の、有識者の審議会にかけるのであれば、まずかける前に自分たちがきちんと提示しなさいと。今の審議会に、往々にして、自分たちがつくったものをオーソライズするだけの審議会では意味がない。
 なおかつ、審議会に国会議員を入れるということ自体も、本来は審議会の姿としては私はおかしいと思っております。
 ですから、国土審議会でありますとか、あるいは交通に関する審議会でありますとか、あらゆるところがありますけれども、年に一回しか開かれない、しかも私が出てみましたら、はるか向こうで顔が見えないような人数の審議会もあるんです。国土審議会もそうです。これは私は、本来は審議会という名をかりた方便にしかすぎなくなっていることも変えなければならないと思っています。
岩國委員 私は三つの審議会の名前を挙げてくださいと、大臣が頭にいつも尊重される、あるいは活用したいと思っておられる、その御答弁はありませんでしたけれども、しかし、大臣の審議会に対するお考えというのはよくわかりました。
 特殊法人はやめた方がいい、しかし、審議会は必ずしも全部やめる必要は私はないと思うんです。審議会の活用の仕方に問題がある。審議会の意見というものをうのみにする、審議会が悪いんじゃなくてそれをうのみにする政治家の方がだめだからうまくいっていないんじゃないかという見方もあるでしょうし、両方ともだめなのかもしれません。いずれにしても、審議会の人選をきちっとし、内容をうまく活用するということは、私はやはり、政治家の感覚でない意見というものをこれから取り入れるということは非常に大切なことだと思う。
 ところで、今お話にありました国土審議会、大臣は、国土審議会に国会議員が入っておってはならぬと。どういうわけか私はその中に入っております。これは充て職みたいに国会から指名されておりますから、私は必ず出席するようにしておりますけれども、確かに、そうしたところに国会議員を入れるか、入れない方がいいのか、いろいろな議論はもっとやるべきだと私は思います。
 出雲市でも、建設委員会の中に建設業を経営している議員は入っていただかないことにしました。抵抗はありました。しかし、それは定着させるべきだと私は思っております。この国土交通委員会の中にも、建設業に関係していらっしゃる方は、私はある程度、その委員でない方がいいのではないかという意見もあります。
 さて、この国土審議会、立派な目的のために設立され、今までいろいろな発言をしてきておられますけれども、最近開かれないのはなぜですか。一年に盆暮れ二回ぐらいしか開かれない。しかも、そのときに発言したことはさっぱりフォローもされない。
 昨年、この一年間にどれだけ国土審議会の名前が新聞に出ておるのか、私は調べてみました。例えば読売新聞では、道路関係の例の民営化推進委員会、この記事は五百十九回出ております。国土審議会の名前が出たのはたった五回です。それも、その他の審議会と並んでつらつらと出ただけの話。産経新聞では、民営化推進委員会は二百二十九回出ております。国土審議会の名前は活字で一生懸命探してたった二回です。限りなく存在感が薄い。
 こういう国土審議会はもうやめた方がいいんじゃないんでしょうか。気休めに置いてあるだけなのか、あるいは、全く意味がないのにやめる理由がなかなか見つからなくて仕方なしに置いておられるのか。そして、三番目に、そこで発言したことがちゃんとフォローされないのはなぜなのか。
 例えば、私が聞いたのは、県庁の所在都市についても私は疑問を呈しました。五十年前、百年前に決めた県庁、それが今も同じ場所に置いてあって、それで日本の首都を移転するのしないのと、こんなことを何年も何年も国会議員の時間をとってやっているでしょう。首都移転というものが議論になるんだったら、県庁の所在というものも当然、これから地方の時代であれば、県庁の場所がそこにあるのがその地域の活性化にとって障害なのかプラスなのか、それを一つ一つ吟味すべきである。その吟味さえも怠って、これからの均衡ある国土の発展とか、日本の地方経済の活性化だとか、全くそれはお題目にしかすぎないわけじゃありませんか。
 だから、私は皆さんに要求しました。県庁の所在都市、例えば、いろいろな地元でも、あそこにあるのはおかしいという意見が既に出ている県が幾つかあります。鳥取県も長野県も福島県も島根県も、一番県の端っこにあって、それがどうして均衡ある発展に一番最適の場所と言えるのか。まだまだほかにもあるんじゃないでしょうか。
 それについてフォローされたのかどうか。聞きました、一年たって。早速検討しています。もう、それからまた四カ月たちました。あと何年待てば、こういう検討は皆さんの方でされるのか。やはり、やる気がないならないとはっきりおっしゃった方がいいと思います。地域のこれからの均衡ある発展のために、県庁の所在地というのは全く意味がないんだという結論を早く出してしまった方がいいんじゃないでしょうか。意味がないならないで、それぞれの地方自治体の対応の仕方もあるでしょう。
 その三点、簡潔に答えてください。
薦田政府参考人 お答え申し上げます。
 国土審議会についてまずお尋ねがございました。まさに国土審議会は、国土の利用、開発、保全に関する総合的かつ基本的な政策の調査審議ということを目的として、前身が昭和五十四年に設置されております。
 国土審議会におきましては、現在、全国総合開発計画あるいは国土利用計画等から成る国土計画体系を二十一世紀にふさわしい体系へと抜本的に改革するということのために、地方の主体性重視、広域ブロック重視の国土計画体系への転換に向けて、平成十三年の三月以来、本審議会、それからそこに置かれました基本政策部会、合わせて八回にわたって精力的に御審議をいただいているところでございます。
 昨年十一月に基本政策部会より新たな国土計画体系についての方向性というものが示されておりまして、私どもで今事務局作業をやっておりまして、今後また国土審議会において、現行の国土計画の総合的点検や、あるいは新しい計画制度についての調査審議をお願いする予定でございます。
 それから、岩國先生が国土審議会の委員としておっしゃられました県庁所在地の関係でございます。
 私どもで、一つの作業といたしましては、県庁所在地の位置について、いわゆるナビネットシステムということによりまして、県内各市町村からのアクセス、距離、時間、コストというものを、一例といたしまして、現在松江市にある県庁が仮に出雲市ということだった場合にどういうものであるかというような作業をやってみております。
 それから、本来的には、この辺は審議会の、一度御説明申し上げたかと思いますけれども、県庁所在地をどこの位置に置くかということにつきましては、私どもとしては、県がみずからお考えになるようなことではないかというふうに思っておりますが、御指摘いただきました点についてはそういうような作業をやっておったところでございます。
岩國委員 県それぞれがやるということになりますと、今の知事がどこの出身かなんということになって、なかなかそういう問題は、個人的には公平な方であっても、周りの環境はそれを許さないということはよくあるんです。
 それから、地方のことは地方に聞けというのは非常にきれいな言葉ですけれども、地方に聞けば聞くほどわからないということもこれは現実の問題としてあるわけですから、そこから離れている人間が一番公平な目で分析し、何らかの試案、たたき台を出すということがそういう公平な議論を奨励する、きっかけをつくるということになるわけですから、やる気があるのかないのか、いつまでにやるのか、そのことを簡潔に答えてください。
薦田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの答弁では一つの作業の例を申し上げましたけれども、まさに一つの例ということでありましたが、若干の作業をやりまして、また審議会の機会等に、事務方の資料として出しまして、御意見をいただきたいというふうに考えております。
岩國委員 大臣、中座されましたけれども、国土審議会の中で、私の意見だけが一番大事な意見とは申し上げませんけれども、これからの地方の時代に、中馬先生、そのときにいらっしゃったかどうか、これからの地方の時代、地方のブロックごとの、地域ごとの経済の自立性を強めていこうというときに、県庁の所在地は、今までは、どこにあろうと、全部霞が関が行政をし、補助金を決め、地方の経済は中央がサポートしておった。
 これからは、地域の自立、自主性ということをうたう以上は、県庁がどこにあるかによって経済効果というものが随分違ってくるはずです。とするならば、これからの社会資本の整備を進める上でも、地方分権を実現する上でも、それから日本全体の道路体系を整備する上でも、県庁はどこにあるかということ、そういう議論というのを盛んにして、これから二百年、三百年通用するような結論を早く出させる、それを中央も地方も一緒になって私はやるべきじゃないかと思います。そういう試案、作業というものを早急になさる考えはないのかどうか、簡潔に答えてください。
中馬副大臣 岩國委員は、地方の市長もされましたし、地方分権論者であることはよく存じております。
 今のお話の、国土審議会で県庁の所在地を云々することが果たして適当かどうか、私はちょっと疑問に思っております。
 御承知のとおり、日本の廃藩置県で今の県の姿ができておりますが、そのときの歴史的ないろいろな経緯の中で、特定の町が一つのその県の県庁所在地、県庁に指定されたわけで、現在まで続いております。しかし、それを変えるかどうかは、やはりその県民の方々がそういう判断をされて移されることはともかくとして、何か国の方で、国土審議会が第三者だからといってこれを決めることは、私はいかがなものかと思います。
 それよりも、今課題は、カリフォルニア一州よりも小さい日本の国の中で四十七に分かれていることの方が問題だという議論の方が大方のテーマになっているんじゃないでしょうか。そういうことから、今の自治体のあり方、これまた、こうした情報が発達した中において三千三百に分かれていること自体が問題だということで、今政府挙げて市町村合併に取り組んでいることは御承知のとおりでございます。
 その市町村合併のあり方も、もう今では県を、県境を越えて合併しようじゃないかというところも出ておりますし、そうした議論の中で、東北三県ではもう県を一緒にしようということになっておりますから、現在の県庁所在地がどこという話じゃなくて、これはもうはっきりと大きな、道州制という名前がいいかどうかはともかくとして、ブロック制といった形でもいいでしょう、そういう形に今大きく統合しようとしている中でございますから、そうすると、国土審議会はむしろそういうことを議論していただきたく、逆に、県庁所在地がどこだという問題じゃないと私は思います。
 それよりも今、岩國委員まさに、きっとそのことの百年先、二百年先とおっしゃることはそういうことだと思いますが、日本の自治体はもっと都市単位、一つの大きな固まりになって、それが基礎自治体となって、その基礎自治体の中から、もう自分たちに任せたら府県のような中段階の中二階のものは要らないんじゃないかという声が出てきて、そしてそれを大きく統合する形に私はこれからの地方自治はあらなければならない、このように思っていますから、そのように理解させていただきます。
岩國委員 県境を越えた合併というのは世論としてはまだまだ熟しておらないし、これは大変時間がかかる問題だと私は思います。むしろ今の県単位というのは、歴史的、文化的、経済的に一つの一体感というのを、これを壊していくというわけになかなかうまくいかない。
 広島と島根県、合併構想がありました。当時は宮沢知事でした。名前まで決まっておったんです。広島根県。広島に根が生えて広島根県、島根から見たら島根の上に広いという字がついて広島根県、どちらから見てもすばらしい名前です。しかし、決まったのは名前だけです。それからさっぱり進まないんですよ。二十年以上たっています。恐らく五十年たってもそれはなかなか実現しにくい問題だと思います。
 それよりは、やはりインフラ整備、社会資本整備といえば、今の県境というものは当面変わらないものとして、早く三年、五年単位の仕事は進めなきゃならない。そのためにも、私は県庁都市のことを問題にしているわけです。
 時間がありませんから、もう一点だけ質問させていただきます。
 昨日、関空の問題がいろいろ議論されました、関空の赤字経営について。
 この赤字経営についても、やはり、インフラが整備されている香港、上海、ソウル、シンガポール、そういったところは空港の整備も進んでいるし、地上、周りのインフラ整備も進んでいるから利用度が高いわけじゃありませんか。
 今、東京は、アジアの巨大な田舎都市とアジアで言われています。なぜ巨大か、人口だけは大きいからです。なぜ田舎か、玄関がないからです。
 世界の首都で、玄関がない。国際化時代というのは、物、金、人、情報が空からやってくる。それを国際化時代といいます。国際化時代に一番必要なものは何か、空の玄関です。空の玄関を国際空港といいます。国際空港のない東京にお客さんが来ますか。玄関のない店にお客さんは来ないと扇大臣は昨日おっしゃいました。そのとおりです。玄関のない東京に未来がない、お客さんが来ない、だから東京の雇用人口はどんどん減るばかり。だから、田舎都市と言われているわけです。
 それを切り返すためには、二十四時間空港もつくらなきゃいかぬ。関空、つくりました。利用率が悪いというのは、やはり地上のインフラ整備が悪い。昨日からの、私の持論ですけれども、やはり高速道路は無料で、兵庫県の但馬からも出石からも鳥取からも、無料でそこの関空までお客さんが行ける。それで利用者は大きくふえるから、関空に投資したあのコストが償却できるんだ。
 地上とそれから空の作戦と空港政策というものを一体化させる、そのためにも地上のコストというものをゼロにする、そのような発想というのを早く国交省の方で決めなければ、関空の赤字経営というのはいつまでもつきまとい、空の玄関というのは、国のお金でしっかりと整備すべきだと私は思います。
 アジアの空の競争で、日本は制空権を今失っている。戦争用語を使って恐縮ですけれども、制空権を取り返すために、土地を広げようとすれば、満州をとってくる、朝鮮半島をとってくる、そんなことはもう口にすることもできなくなりました。では、海を広げるか。海を広げようとすれば、竹島、尖閣列島、すぐにドンパチ。空だけはそういう問題なしに広げられる。広げていい空だけを自分の手で閉めてしまった。それは日本の航空政策の誤り。同時に、こういった、高速道路政策を含めた、一体的なそれをサポートするシステムがないからだと思います。
 早急に、私は国交省の方で結論を急いでいただきたい、そのことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
河合委員長 赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 きょうは三十分間でございますが、質問をさせていただきたいと思います。
 これまで、私は、公共事業の役割というのは、今、世の中で批判されているほどなくしていないというふうには思いますが、今回、この社会資本整備重点計画法案の提出の背景にあるように、これまでのいわゆる縦割りの弊害を改めて、横断的な形でとらえていく、こういったことは大変高く評価すべき試みだと思いますし、しっかり、扇国土交通大臣の指導のもとで、具体的に事を進めていけるような道筋をつくっていただきたいというふうに強く思うわけでございます。しかしながら、具体的にいろいろなことを想像して考えていくと、そんな、言うほど簡単にできるのかなというような気がするんですね。
 法案を読んでいてもなかなかイメージが浮かばないんですが、横断的なとかいいながらも、結局は、では、道をここに通そうといったときには道路局の仕事になる、ここは鉄道局の仕事になる。それぞれ、最終的にはやはり今の原局の仕事になってくるのではないのかな。それで、予算のつけ方もそういう局ごとの予算編成になっていくような現状の中で、どういうふうに具体的にやっていくことが今回の法案の提出の目的であるようなことをなしていけるのかなというのがちょっとよくわからない。
 要するに、局を超えたある機関をつくって検討して、そこにいろいろなプロジェクト、公共事業というものを、重点的な順位というんですか、優先順位をつけて実行していく、こういったような機関をつくるのかどうか。だから、どこがイニシアチブを持って、今回のいわゆる横断的な公共事業というものに変貌させていくのかどうか。この辺のことはどうお考えなのか、聞かせていただきたいと思います。
扇国務大臣 基本的なことですので、赤羽議員に私の方から申し上げたいと思います。
 国土交通省、三年目を迎えました。国土交通省がスタートしたときには、まず私は、四省庁ですから、統合してそれぞれの省庁の壁を外すということが目標でございました。そして、二年目には少なくとも統合した計画を現実的にあらわす、三年目はその実をとるということで、三年目を迎えているわけでございます。
 それが、今、赤羽議員がおっしゃいましたように、九本の法案を一本にしたら、やはり、予算にしろ事業にしろ、それぞれの局がまた出てくるのではないかとおっしゃいますけれども、基本的には、大きな違いは、人事というものが底辺にあります。これは省のことですから、赤羽議員の質問に外れるような答弁だとお思いになるかもしれませんけれども、これは人事交流がなければできないんですね。
 ですから、例を挙げろとおっしゃれば、例えば、先ほども岩國議員から国際空港という話がありました、あるいは港湾というもの、高速道路のネットワーク、これが一体にならなければ、国際化、国際都市とも言えないわけですね。
 そういうものを、今度は国際競争力に勝てるような国土づくりをするために、テーブルを一緒になって案を出しましょうということが初めてできるようになった。細かいことを言いますと変ですけれども、役所の中でみんなで会議を開きましても、今までは、運輸省は運輸省で固まり、建設省は建設省で固まってしゃべっているというような姿が見えたのが、今は全部スクランブルになっています。これは、この計画が、九本の長期計画を一本にすることも、この省が、四省庁統合の象徴であると私はまず申し上げております。
 そして、今申しました、国際競争力に勝つために、例えば、地球環境問題二十一世紀と言っていますけれども、これとても、港湾から道路からあらゆるところが環境ということになって、知恵を出し合わないと地球環境問題に取り組めないんですね。
 今回も、水フォーラムをいたしますけれども、この水フォーラム一つとってみても、全省を挙げて、水フォーラムは、環境の問題もある、あるいは飲料水の確保の問題もある。これは全部が知恵を出さなきゃいけないというので、あらゆる面で、少子高齢社会のバリアフリーもそうですけれども、駅の乗りおりだけがエスカレーターじゃないんだ、公団住宅もそうではないか、今度の特区もそうではないか。バリアフリーがなきゃいけない。老人ホームを一緒に、あるいは幼保一貫の託児所もつくろう、そういうあらゆる面で、私はこの法案を通じて長期計画というものが、長期だからこそ総合力を発揮しなきゃいけないということをぜひ御理解いただき、また、御納得いただける部分ではないかと思います。
 細かいことを一つ一つ取り上げるのは時間が長くなりますので、総合的なお答えにさせていただきます。
赤羽委員 大臣、かねてよりよく言われるように、四省庁が国土交通省ということで一つにくくられ、今言われたように人事交流も確かに行われることによって、三年たった今、ようやくなじんできて、一つ一つの政策でも、それぞれのことが一体化して実現している政策があるというのもこれは大変すばらしいことですし、そういったことが具体的に出ているということは高く評価するんですが、私の言うのは、そういったことのできる政策というのもあると思うんだけれども、公共事業全部、一本化していくわけですよね、国土交通省所管の。住宅は別になるんですが、それ以外のことは一本化する。
 そうすると、やはり局そのもののあり方みたいなことを根本的に見直さないと、結局のところ、とどのつまりは同じなんじゃないかなというような気がするんですけれども、その辺はどういうふうに事を進めていこうとされているんでしょうか。
 省内の全体会議みたいな話になっちゃうわけですね。それぞれ九本各局でやっていた長期計画を一本にするということは、省庁全体会議みたいな話にしていかないとできないんじゃないかな。ということなのか、一部だけバインドしてやっていこうとしていくのか。横断的なことができる政策というのがあるのはもちろんわかります。まちづくりとかというのは非常にわかりやすい例ですけれども。しかし、できるものだけやるというんじゃない話なんですよね。これは、具体的にどういうふうに考えられていくのか。
扇国務大臣 そのために総合政策局という新たな総合的な局をつくり、そこで事業評価もするということでございます。せっかく局長がいますので、なぜそうなっているかということを総合局長から。
三沢政府参考人 今回、長期計画を一本化するに当たりまして、私ども総合政策局が中心になりまして、それぞれの事業を所管している各局長ともみんな集まりまして、相当いろいろなディスカッションをいたしました。
 それで、いずれにいたしましても、計画段階では、総合政策局の政策調整機能、これから努力をしていかなきゃいけないんですが、そういうことをきちっと発揮することによって、計画段階での調整というのは相当きちっとまず行われ得るだろう。
 もう一つ、計画したことがきちっと後フォローできるかどうかという政策評価の仕組みについても、政策評価を行う一元的な組織がございますので、そこできちっと評価して、その結果が、例えばこの部分についてちょっと足りないんじゃないかということを各局に助言したり、場合によっては指示していく。
 こういう仕組みができ上がっておりますので、恐らく、最後の事業執行なり予算執行の責任はそれぞれの局長が持つにしても、それを計画し、計画どおりやられているかどうかを評価する仕組みというのをきちんとつくっていくことによって、先生がおっしゃるような点はきちっと確保されていくのではないかというふうに考えております。
赤羽委員 大変難しい話になるんじゃないかなということを大変危惧もするところもあるんですが、ぜひ総合政策局長の手腕を大いに発揮していただきたいというふうに思います。
 もう一つ、ちょっと基本的なことを確認したいんですが、今回の長期計画、公共事業といっても、国の直轄事業もあれば地方単独事業もあるし、一緒にやっているものもある。国の長期計画がこういうふうに一本化になるということは、今後、全国の県とか市の単独公共事業なんかもこういうような形になっていくんですか。それとこれは別なんですか。
三沢政府参考人 今回の重点計画の中で、国の事業だけじゃなくて、地方の事業なり、場合によっては単独事業も入っているかという御質問だと思いますが、これは、きのう、参考人質疑の中でも森地先生が言われていましたように、だれがつくるかということと、社会資本についての総合的な計画が必要だということは、ちょっとやはり違うんじゃないか。
 それで、社会資本がきちんとその機能を十全に発揮するためには、その管理主体なり整備主体がだれかということによってばらばらにやっては十全な機能を発揮できない。端的に言うと道路なんかが一番わかりやすいわけでございまして、国道、県道、市町村道がきちっとネットワークとして形成されていくことが非常に大事だということでございますので、そういう意味で、社会資本全体をこの計画の対象にしてやっていく。ただ、その中で、その計画に基づいてそれぞれの役割分担は当然あるだろうというふうに考えております。
赤羽委員 ありがとうございます。
 次に、公共事業、とかく批判が多い中で、本当に公共事業というのは公共性にかなっているのか、皆のために役立っている事業なのかどうかというような話がよく出てきます。この中で、要するに、地方にもっと任せればよい、そういったことは、まちづくり総合事業というか、統合補助金制度みたいな導入でそういった方向にも進んでいるんだと思うんですが、地方に任せるというと、地方財政の問題もあって、長期的なことというのが非常に手がけにくくなるのではないか、こういった意見も出てくるわけですね。
 ですから、これは同じような意見が随分出ておりますが、国の果たすべき役割と地方の果たすべき役割のこの辺というのはどう整理されているんですか。
三沢政府参考人 この法案の中で、基本理念として、公共団体の自主性及び自立性を尊重しつつ、適切な役割分担のもとに国の責務が十分に果たされることと書いてございます。その際、では、国と地方の役割はどうかということでございます。
 一般論で申し上げますと、国は、全国的な政策なり計画の立案、全国的な見地から必要とされる基礎的な事業あるいは広域的な事業、それから、例えば国の直轄に関連する事業とか先導的な政策に係る事業など、特に必要がある事業に対する公共団体への支援、具体的に言うと補助ということでございますが、そういうことが基本的な役割であり、一方、地方というのは、地方公共団体は、より住民に身近な団体として、住民自身にとって非常に身近な地域づくり、暮らしづくりに係るいろいろな政策の実施を担っていくということであるというふうに考えております。
 非常にこれは一般論でございまして、ただ、具体的には、社会資本の例えば管理主体がだれかというようなこともそれぞれのいろいろな法体系の中にきちっと書いてございます。ただ、それについても、もちろん、今後ともまた不断の見直しというのは当然必要だというふうに考えておりますので、こういう基本的な国と地方の役割を踏まえながら、さらに、例えばもっと分権を推進すべきだという御議論についても十分配慮していく必要があるというふうに考えております。
赤羽委員 今の御答弁にもありましたし、また、この重点計画の中に、地域住民等の理解と協力の確保に関する事項を定めなければいけないというふうになっております。
 しかし、私は神戸選出なものですから、地震以後の再開発なんかで随分感じたんですが、要するに、いわゆる住民の側の持っている情報と行政の側の持っている情報というのは、量的にも質的にも相当ギャップがある。ですから、何か、これは神戸だけじゃなくて全国各地でいろいろな事案があって、行政側がよかれと思っていることが地元住民からもう大反対に遭ってしまって、全くおかしな話なんですね。
 きのうも参考人のときにも発言しましたが、これだけ財政が逼迫してぎりぎりでやっているのに、やめてくれというようなことをお願いしてつくっているみたいな、こんなことはもういいかげんにした方がいいんじゃないかという気持ちもあるんですが、しかし、そうもいかないところがある。そのギャップというのをどう埋めるかというと、なかなかこれは簡単じゃないんですよね。行政の側が行くと、また言いくるめに来たみたいなイメージがあって、やればやるほど非常に溝ができていってしまうようなことがあり、やはり、行政の側はどこまでいっても説明責任というのを果たしていかなければいけない。逆に、PIですか、地元住民の皆さんの意見も巻き込んでいかなければいけない。
 こういったことをどううまくやっていくのかというのが、今後、公共事業の当たらない批判を解決していく意味で大変重要なことだと思うんですけれども、こういった両者の間を、例えばNPOなんかでも一生懸命まじめにやっているようなグループもあって、神戸の場合はそういうNPOの存在というのが多分大きかったんだと思うんですが、こういうNPOみたいなグループも、ある意味では、こういう説明責任を果たすとき、公聴会なんかも含めて取り入れて、皆が喜んでいただけるような公共性を持った公共事業としていくような試みというのを考えるべきではないかというふうに思いますが、この点についてはどうでしょうか。
三沢政府参考人 おっしゃるとおりで、大変これは難しい問題でございまして、この点も、昨日来、たびたびいろいろな先生方から御質問をいただいております。
 一つは、できるだけ構想の段階といいますか、要するに、コンクリートに計画をつくっちゃった段階じゃなくて、構想の段階から前広にいろいろな御意見を聞いていくということ、それからもう一つは、その前提として、では、何でこういう選択肢があるのか、そういうことについての情報公開といいますか、それをわかりやすく情報を提供していくということが非常に大事だろうというふうに考えております。
 それから、今、赤羽先生が御指摘のとおり、地域づくりなんかで非常に熱心にいろいろな活動をされているNPOの方々もいらっしゃいます。そういった方々の協力を得ながら、あるいはそういう方々の御意見をきちっと聞く場を設けるなり、そういうこともPIの中の工夫の一つとしてやはり非常に重要な点だというふうに考えております。そういう点についても引き続き意を用いるように考えていきたいというふうに考えております。
赤羽委員 ちょっとこの後に話しますが、公共事業というのは、とにかく、高いとかむだが多いとかというような中に含まれてくる話だと思いますが、やはり民主主義の国ですから、住民を説得するということは民主主義のコストとして当然やらなければいけないと思いますが、ここでこじれて物すごく時間がかかって、結局コストが物すごく高くなるということをこれまでの日本というのは繰り返してきたんだと思うんですね。そんなことをやっているから、よく大臣の答弁にもありますが、上海なんかでの社会資本のでき方のスピードというのに圧倒的におくれをとってしまっているということなので、ぜひこの辺をうまくやらなきゃ全く、説明責任も果たさなければいけませんし、それからパブリックインボルブメントも取り入れなければいけないと思いますが、皆やって、さっとうまくできるように、ちょっと発想を変えて頑張っていただきたいなと。
 交通バリアフリー法のときに、ちょっと今思い出したんですが、阪急伊丹駅というのは、障害者団体の人たちも、どこをどう直そうかという段階からかなり積極的に入って、すばらしい駅舎ができた。これは、でき上がると、同じ金をかけても大変好評なんですよね。そういうものを聞かないで勝手にやると、あそこが悪い、ここが悪いという話になって、結局、同じ費用をかけても、費用対効果という意味では全然差が出てきてしまうと思いますので、ぜひその点をうまくやっていただきたいというふうに思います。
 次は、費用が高いんじゃないかというようなことで、昨年の十二月に国土交通省が、平成十五年度から五年間で、平成十四年度と比較して一五%の総合的なコスト縮減を達成する、こういうことを言われているわけですが、この数値目標を達成するために具体的にどのような措置を講じられていこうとされているのか、お答えいただければと思います。
安富政府参考人 今、委員からお話がございました、平成十四年度と比較して一五%の総合的なコスト縮減を達成する、我々は、これをコスト構造改革と呼んで取り組んでおります。
 具体的に申しますと、従来からやっております工事のコストの縮減に加えまして、例えば、規格の見直し自体を行うことによるコストの縮減を図る、あるいは、事業のスピードアップを図ることによってその便益が向上するというようなこともいろいろ検討する、さらには、将来の維持管理費の縮減も評価するといったような形で、総合的なコスト縮減率というのを設定してやろうということで、十五年度から五年間を一五%ということで、この総合的なコスト縮減を図ることを計画しております。
 具体的に、そのために、省内に国土交通省公共事業コスト構造改革推進委員会というのを設けまして、現在、先ほど申しましたそれぞれの事項につきまして、施策の具体化を検討しているところでございます。
 その中でも、例えば事業のスピードアップにつきましては、先ほどもちょっとございますように、各事業のいわゆる構想段階から住民等も含めた合意形成手続を進めることによって、結局、全体としてスピードアップが図られるというようなこと。あるいは土地のいわゆる収用等を行うために、地籍調査を十分事前にやっておくというようなことを促進していく。さらに設計の最適化ということでは、ローカルルールといったような導入によりまして、地域の実情に応じたそれぞれの公共事業の構造基準の見直しを図るとか、あるいは設計自体についても、発注時につくった設計をさらに見直しして、もう一回、その設計が適正かどうかというのを総合的に見直すとか、あるいは調達の最適化ということにつきましても、できるだけ民間の技術力を結集した入札契約方式をとる、さらには電子調達といったようなものを進めていくといったようなことで、幾つかの具体的な施策を現在検討しているところでございます。
赤羽委員 また、そういうコスト削減の一環の中で、民間事業者の能力の活用とか財政資金の効率的使用への配慮が規定されていまして、このことの観点から、いわゆるPFI方式についてどのように評価しているかというか、考えられているのかもお聞かせいただけますか。
三沢政府参考人 今回の重点計画の中でも民間事業者の能力の活用についてきちっと位置づけていきたいというふうに考えておりますが、国土交通省におきましては、平成十一年のPFI法成立以後、PFI方式の導入を積極的に進めてきているところでございます。
 具体的には、文部科学省、会計検査院等の庁舎の建てかえである中央合同庁舎第七号館のPFI事業につきまして、昨年六月に実施方針の公表を行い、十一月にPFI事業者の募集を行ったところでございます。それからさらに、千代田区九段竹平住宅跡地における九段第三合同庁舎についても、実施方針を公表すべく、現在作業を進めております。
 それから、公共団体のPFI事業を推進するため、予算補助であるとか無利子貸し付けなど、いろいろな支援を行ってございますけれども、今までのところ、港湾施設、公園施設、市街地再開発、下水道、駐車場、公営住宅等、合計十四のPFI事業が実施される運びとなってございます。
 今後とも、さらにこのPFIには積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
赤羽委員 また、同じく重点計画に、既存の社会資本の有効活用に関する事項というのが定められておりますが、財源に大変制約がある中で、こういった発想は大変重要な課題だと思いますけれども、具体的にはどのような措置を考えられているのか、あわせて。
三沢政府参考人 既存の社会資本の有効活用でございますけれども、これは、厳しい財政状況ということもございますし、それから、非常にストックが増加してきている、これを、やはり蓄積を生かすという観点からも非常に大事でございます。
 具体的な措置でございますけれども、例えば既存のダムをしゅんせつすることによって、そのダムの治水、利水機能等を維持強化していく。あるいは港湾について、施設の老朽化とか使用船舶の大型化に対応した港湾施設の転用とか埠頭の再編整備を図っていくということ。あるいは空港についても、既存空港における空港アクセス利便の向上とか就航率改善等のための整備を行っていく。あるいは道路についても、ETCの料金割引や専用レーンの拡大等による普及加速と渋滞削減等の効果の早期発現を図っていく。こういったような措置を今後とも進めていきたいというふうに考えてございます。
赤羽委員 あと、いわゆるこういった施策がとられてむだがなくなったのかどうかという政策評価についてなんです。
 公共事業の政策評価というのは大変難しい話なんじゃないかなと思うんですが、いわゆる計画策定の段階で、今回、事業量からアウトカム目標にした。このアウトカム目標というのは、例えばバリアフリーで、二〇一〇年まで、全国の駅の何十%をバリアフリー化するとか、こういったことというのは非常にわかるんです。そして、それの評価というのは簡単ですよね。数が定量的に到達したかどうかというのは非常にわかりやすいんだけれども、本当に、例えば道路でよく出ますけれども、道路をつくった、その通行量がここぐらいまでなったとか、そういった目標の設定をするのか。私は、そういうことはナンセンスなんじゃないかというふうに思いますね。公共事業というのは民間の投資事業じゃないわけですから、機能していくまでなかなか時間もかかったりとかする例もあるでしょうし、その辺の事業評価というのは大変難しいのではないかという気がするんですね。
 大臣の答弁にもありました、社会資本整備ですから、つくった以上、むだというのはないというか、そういった考えもありますでしょうし、つくった以上はそれを有効に活用していくという考え方も必要だと思うし、この目標の立て方とそれに対する事業評価というのは大変、言うほど簡単なのではないんじゃないかなというのが一つと、やはり、その評価をするのを身内でやっているのが本当に評価になるのかなという、それをまた第三者機関みたいなところに委託させて、難しい評価ですけれども、そういう政策評価をするような、そういった考え方というのはあるのかないのか、お聞かせいただけますでしょうか。
安富政府参考人 今、先生からお話ございましたように、社会資本といいますか公共事業を進めていくということになりますと、公共事業というのはつくったら残っていくわけですから、この公共事業が本当に有効かどうかということを随時見直していく必要があると思います。
 そういう観点から、我々としても、やはり時代の変化に対応して、既につくると決めたものについて、本当にその必要性があるのかどうかということをやる必要があるということで、事業評価の手法ということで平成十年、それから、行政評価法に基づいて平成十四年から法律的な措置ということでやってきております。
 その際、特に新規事業採択評価を行う際には、当然費用対効果ということで、まず、本当に必要なのかどうかということ。ただ、実際に費用対効果だけでははかれない部分というのがございます。例えば、災害の問題であるとか環境の問題であるとか、そういう問題についてやはり総合的に評価していく必要があるということで、そういう費用対効果とあわせた総合的な評価という形でやっていくということを現在取り組んでいるところでございます。
 それから、もう一つの再評価につきましても、実際に事業が五年たってもなかなか実施できないとか実施中で十年以上もかかっているとか、そういうものについては再評価という形でこれも見直していこうということでございますが、その際、やはり客観性とか透明性ということが必要になりますので、我々としても、学識経験者等の第三者の意見を活用した事業評価監視委員会を設けまして、そこでいろいろ第三者の方々の専門家の意見も聞きながら、そういう形で評価結果について取りまとめを行っているところでございますので、いわゆる時のアセスということについては、これからも十分配慮しながらやっていきたいと思っております。
赤羽委員 済みません、質疑時間が終了してしまいましたので、道路局長、参加していただきましたけれども、ちょっと質問ができませんで、申しわけございません。
 最後に、きのうの関空の件で、ある質問の中で、毎年八十億円を三十年間でしたか、こういうスキームがけしからぬという話がありました。私、そのことについてとやかく言う考えはありませんが、例えば農水政策の中で、日本の、パンをつくれない小麦を生産するのに毎年一千億円近い補助金を出している、こんなことから比べれば、僕はよっぽどまともな補助金だなというふうに思います。やはりつくった以上、どう活用していくのかということを考えていくことが大事だし、それをつくらなければ今の世界の、現在の国際競争力に伍していけないわけですから、今、シュリンクして控え目にやるということばかりが、二十一世紀、二世紀以降の将来の日本にとってどうなのかということも前向きに考えて、ぜひ自信を持って頑張っていただきたいというふうに思います。
 終わります。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 きのうに引き続きまして質問をさせていただきます。
 社会資本整備というのは、これまでは、いろいろと議論に出てきましたように、縦割り的にその分野分野で、余り横との連絡もとらないままにやってきたという反省があろうと思いますけれども、今回のこの法律で、きのうもちょっと触れましたように、できるだけ重点的に整備促進を図っていこうということになっているわけです。
 社会資本整備というのは、この第二条にも、その根拠法も含めて十三本の事業を掲げてございますけれども、こういったものの中には、例えば交通安全施設とか航路標識ですか、あるいは都市公園の規模の小さいものとか、単年度なり一、二年である程度効果が出るような社会資本の整備というものもあるわけですけれども、大体、五カ年計画であれば五カ年にまたがるぐらいの、そういう工事がほとんどだというふうに思います、その効果が出るまでには。
 そうしたときに、重点的に社会資本を整備していくといったときに、今この時点で大体どういうことを想定されておるかというのは、ほぼ皆さん方、国土交通省の頭の中にはあるのではないかなという感じもするわけですけれども、この審議を通じて、どこに重点を置くかということの明快なお話が余りなかったわけです。
 先ほどいろいろな質疑の中では、できるだけ横断的に政策課題を整理していく、そういう中で絞り込んでいくというようなお話もちょっとありましたけれども、大臣は、こういった社会資本整備というものをこれから重点的にあるいは効果的にやっていくという趣旨からすると、これからの五カ年間は少なくともこういう分野に重点的にやりたいとか、そういう国土交通省としての現時点での何か基本的なお考えというのはあっていいというふうに私は思いますけれども、いかがですか。
扇国務大臣 大事なことは、やはり長期計画の一本化ということによって、今、一川議員がおっしゃるように、これまで以上にめり張りのきいた予算編成もし、工事計画もし、政策的に実行していくということが一番大事であろうと思っております。
 そういう意味では、コストの縮減にしても、新たな重点計画に盛り込むとしても、では、十五年度から実際にどうするんだと。十五年度予算の審議の中での一環ですけれども、こういうことで衆議院では予算を通していただきましたけれども、例えば地方分権という話もずっと出ております。重点計画に盛り込みたい、そして、なるべく地方の意見を取り入れるようにということもこの委員会でも御論議いただいておりますけれども、例えば、施設の規格でありますとか基準、そういうものもローカルルールにしよう、今までは国のルールを地方に押しつけていたけれども、ローカルルールにしていこうということも明快に重点計画に位置づけた、これも私は大きな点だと思います。
 今まで細かいことは余り言いませんでしたけれども、一川議員、例を挙げればわかっていただけると思いますけれども、例えば、一・五車線の道路を整備しようということを言っておりました高知県の十和吉野線という例では、二車線の整備の場合に比べて、一・五車線にすることによってキロメートル当たりが四億円、三分の一のコストで済む、こういうこともコストの削減効果というものが期待できるわけでございます。それによってスピードアップもできる。また、ことし、重点計画に基づいて、これらの取り組みを、一地方だけでなくて、これを全国ネットに展開していこう、それで大幅なコスト削減ができるのではないか。
 また、一本化された重点計画に事業間連携を前提とする数値の目標を位置づけたいということを言っております。これも例を挙げますと、例えば下水道と農業の集落排水施設、それから合併の処理浄化槽等々につきましても、おのおの施設ごとでなくて、事業の垣根を越えた総合的な数値目標を盛り込もうということで、これも新たな統合のメリットでございます。例えば渋谷川において、河川事業と下水道事業の連携を前提として、双方の事業で必要となります水の貯留空間というものも共同で整備していこうということで、約三割のコスト削減ができます。
 そういうふうに、重点計画に基づいてこのような連携の取り組みの全国的な展開が今後あらゆるところで考えていけるということでは、本当に私は、一つ一つの実績、言っていると切りがありませんのでやめますけれども、例を挙げろとおっしゃれば、例えばそういうことが今後できていくということでございます。
一川委員 そういった総合的な観点で横断的ないろいろな連携を図っていくということは非常に大事なことだし、それは非常に期待されるところでもあるわけですけれども、先ほどの質問にもありますように、今回のこういった質疑を通じて答弁をお聞きしていても、この法律に基づいて、そういう法律がねらおうとすることが具体的にどういう形で行われていくかというところがちょっと見えてこないといいますか、きのうの局長のお話のように、業務量的には従来以上にふえる可能性もあるかもしれないというようなニュアンスの答弁もございましたし、私自身も、本当にこの法律がねらっておるところをしっかりと取り組もうとすれば、業務量的には相当ふえてくる可能性があるような気もしますし、そういったことで本当にうまくいくのかなという感じもちょっと懸念いたします。
 できるだけ地方の方にお任せするところは任せるというのは非常に大事なことなんだけれども、しかし、そういった地方の実情、実態みたいなものを国土交通省の担当者がある程度把握したいということであれば、相当やはりいろいろなヒアリングを重ねていかないと、あるいはいろいろな会合を重ねていかないとそういうものが掌握できない。どういうふうに連携したらいいとか、どういうふうな優先順位をつけたらいいかということを、結論を出すまでに何か相当な仕事があるなという感じを持つわけでございまして、重点的にどういうふうに取り組んでいくかというところは、やはりある時期にしっかりと、国民はもちろん、関係者に対してわかりやすく政府としての方針を出していかないとまずいなという感じを持っております。こういう課題は、引き続きまた今後のテーマとして取り組んでまいります。
 次に、三沢局長さんにちょっとお尋ねするわけですけれども、これも先ほど来いろいろと出ているわけです。重点目標を達成するための一つの成果目標みたいなものを掲げながらそれに向かって進めていくわけですけれども、私がちょっと想像するには、そういうものは国土交通省だけの施策で完結できる部分でもないような気もしますし、他省庁の公共事業も当然絡んできますし、公共事業でない部分の施策もやはりそれに連動して動いていただかないとなかなか達成できないようなケースもあろうと思うんです。
 それから、各地方公共団体の判断で取り組んでいるような施策というのは当然あるわけですけれども、そういうものとの整合性ということも非常に大事な課題になってきます。
 今、各県なり各市町村、それなりに一種の五カ年計画的な、長期計画的な総合計画というのはそれぞれみんな持っていると思うんですね。それぞれの首長さんの責任で、議会とのいろいろな話し合いの中で、そこのまちづくり、村づくりの長期ビジョンみたいなものは持っていると思いますけれども、そういうものとの整合性みたいなものをどうやって図っていくのか。
 国土交通省がこういう重点計画なるものをつくり上げたときに、各市町村に、ある程度これを下敷きにしてやりなさいというふうに、押しつけではありませんけれども、こういうふうに、できるだけ各市町村の長期計画は見直しをかけてほしいというふうにするのか。
 そのあたりがちょっと、整合性をどうやって図り、それぞれの地方公共団体の長期計画との連携、それをどのようにお考えなのか、そこをお聞かせ願いたいと思います。
三沢政府参考人 公共団体との連携につきましては、たびたび御議論をいただいていますが、この計画の策定に際しまして、都道府県の御意見を聞くということにしております。
 その聞き方というのも、先生、非常に事務的な作業量がふえるんじゃないかということを言われましたが、そういう事務的な接触ももちろん必要かとは思いますが、やはり、各県の知事さん等、ブロック単位で集まっていただきまして、むしろトップとしてのいろいろな御意見を聞くということが非常に大事なんじゃないかなというふうに考えております。
 そういう意味で、大臣が各ブロックごとに行って、いわゆる地方懇談会というのも既にやっておりますけれども、そういう場を活用して御意見を伺っていく。恐らくその場で相当いろいろな御意見が出て、その結果として今回の社会資本整備計画の中に反映されていくということでございますので、プロセスとしては、各県、各ブロックの持っている課題意識と国の課題意識と、ある程度共通な認識というのがそこでむしろでき上がってくるのかなというふうに思っております。
 ですから、私どもは、今回の重点計画をつくった結果として、それぞれの県でもお持ちのいろいろな総合計画を別に見直せとか、そういうことを申し上げるつもりもございませんけれども、むしろそういう御議論を経て、結果として、では、やはりこういう点について見直そうということが出てくることもあり得ると思います。そこは基本的には各公共団体の選択の問題であろうかというふうに考えております。
一川委員 そこで、局長にもう一度ちょっと確認したいわけですけれども、この法案が制定されたということになった場合に、この後、こういった重点計画の策定等の、大ざっぱなスケジュールというんですか、それは、今のところ、どういうお考え方をお持ちなんですか。
三沢政府参考人 これにつきましては、法案を国会で成立いただきました後、ある程度議論のたたき台的なものを私どもでつくりまして、それは、一つは、公共団体の関係でいろいろな議論を始める、それからもう一つは、いわゆるパブリックインボルブメントという形で広く御意見を聞いていくということでございますので、春ぐらいから作業を始めまして、夏の間はそういういろいろな御意見を聞くというような期間となって、多分、私どもの感じでは、やはり最終的な閣議決定は秋ぐらいのめどでこの案の策定を進めるというような心づもりで現在のところはいるものでございます。
一川委員 今、それぞれの地方で、市町村合併の動きというのは、ある面ではすごく関心事項として動いております。そういう動きの中でこういう重点計画なるものの中身を詰めていくといったときに、いろいろな意見が出てくるというふうにも思いますので、そういう面では、地方の自主性なり主体性を生かすという基本原則、ところどころうたっておりますように、そういう趣旨で取り組んでいくべきだということを指摘しておきたい、そのように思っております。
 そこで、この長期計画の一本化に関連しまして、これも確認でございますけれども、単純に考えれば、長期計画、たくさんあったものを一本化すれば非常に組織が再編されて簡素化されるんじゃないかというふうに普通は思います。
 国土交通省の中に、旧国土庁から引き継いだ長期計画を担当する部署とか、そういうのはかつてあったと思いますけれども、国土交通省にそのまま移行したのか。私は十分チェックはしておりませんけれども、従来、そういう長期計画を担当していた部局を含めて、今回のこの社会資本の重点法案なるものができ上がった場合には、いろいろな機構改革あるいは組織再編といったようなことは問題意識として持っているのかどうか、現行のままいくのかどうか、そのあたりを確認しておきたいと思います。
中馬副大臣 長期計画の一本化による機構改革等についての質問でございました。
 先ほど大谷議員にも同様趣旨の御質問がありまして、そのときにもお答えしたかと思いますが、今回の場合、それぞれのプロジェクトといいましょうか計画ごとによって、空港が主体であれば航空局が、あるいはまた道路が主体のことであればそれが、一応の地域のヒアリングだとか計画のまとめとかいうことをやりましょうが、総合的なまとめは、やはり今のところは、総合政策局と同時に、今御指摘ありました国土計画局の方にも特別調整課とかいった部署もあります。
 こういったところを、今後の業務を実施するに当たりまして、どのような組織にすることが最も効率的かといったことも含めて、少し再編も含めた点検もしなければいけないかな、このように思っております。そういうことを含めて、今後の我々の課題でもあろうかと思っております。
一川委員 これは、重点目標に絡んで先ほど来いろいろと議論が出ていることなんですけれども、ある程度数値目標的なものを出しながら目標を掲げていくというお話でございましたけれども、従来の長期計画は、どっちかというと事業費、金額面を前面に出して、それを五カ年間で機械的に予算要求していくというような弊害もあって硬直化もしていたという反省の中で今回のこういう議論が出てきているんだろうと思います。そうかといって、一方では、長期計画なるものを策定すれば、そのバックとしては当然事業費的なものはつかんでいないことには、現実問題、それを実現できるかどうかということを判断する場合に、べらぼうな予算がかかるにもかかわらず、いかにも実現できるがごとくのそういう重点計画というのもおかしいわけです。
 きのうもちょっといろいろな質疑の中であったと思いますけれども、従来は、長期計画は予算要求の一つの大義名分的に使われて非常に予算が硬直化してきたということの説明もあったと思いますけれども、今度、そういうことをいろいろと反省しながらこういう重点計画、長期計画なるものを策定すれば、私は、それのバックにある事業費は、自信を持って予算要求に使うということはあってもいいんじゃないかという感じもするわけです。当然、予算要求の目安に使った方がいいような気もするわけですけれども、その予算措置との関連ですよね。単年度の予算要求、予算措置との関連で、今回の重点計画なるものはどういう位置づけになっていくのか、そこのところを説明願いたいんです。
三沢政府参考人 今回、重点計画におきましては、今までのいわゆる事業費を計画内容としていることについてのさまざまな御指摘等も踏まえまして、これはもう事業費は明示しない、むしろ事業をやることによってどういうことを達成しようとしているのかという、アウトカムと呼んでおりますけれども、それを目標としようという考え方をとっております。
 その際、そういうアウトカム目標というのは、当然、もちろんその背景といたしましては、大体どのくらいお金を使うかということについてのいろいろな想定というのはあるわけでございます。そういう想定なくしてでき上がるというものではございませんが、ただ、それが何か一義的に一つの数字で決まるというような性格のものではなくて、恐らくやはりある程度の幅を持って、現実性のある幅の中で考えていくという性格のものであろうということです。
 と申しますのは、一つは、この取り組み自体、国と地方公共団体の役割分担、それからもう一つ、先ほどPFIの御議論も出ましたけれども、民間も含めた総合的な取り組みによって達成されていくという面。それから、ハードだけではなくてソフトということでございますので、そこは必ずしも、一つの事業費に対して一つのアウトカム目標という一対一の対応関係にあるものではないということがございます。
 それから、もちろん、当然これからコスト削減の相当いろいろな努力をしていくということもございますので、そういう意味では、今までのように、一つの数字がぱっと出てくるとそれに対応して目標が出てくるという姿ではないので、今回はそういう数字は明示しないという考え方をとっております。
 ただ、予算要求との関係で申し上げますと、当然、この目標自体が政策評価の対象になり、政策評価の結果として、それぞれの予算を要求する部局が、ああ、やはりここの達成率が悪いからもっとやらなきゃいけないと、例えばそういうことを考えて要求していくわけでございますので、当然、この目標というのは、予算要求する場合の一つの大きいよりどころといいますか、物の考え方の基礎になっていくというふうに考えております。
一川委員 掲げた目標に向かって、それが五カ年なら五カ年間である程度実現が可能かどうかという一つの判断には、現実問題として、そういう予算措置ができるかどうかということも一つの判断の材料としてあると思うんですね。ですから、表向きの重点計画なるものはそういう金額めいたものは入ってこないということなんですけれども、そのバックの作業の中には当然そういうものを積算したものがないと、私は、やはり現実問題としては、本当に実現性の薄い形の目標になってしまう危険性があるなというふうにも思っております。そこのところを今後の一つの課題として、またいろいろとある機会には聞いていきたいと思いますけれども、問題点を指摘しておきたい、そのように思っております。
 そこで、扇大臣に、この際にちょっと、基本的な考え方なんですけれども、俗に言う、東京へ予算時期にたくさん地方から、要請活動といいますか、昔は陳情活動と言っていましたけれども、最近は陳情と言ったらだめだといって、政策提案だとか要望、要請とかいって上京してくる方々が多いわけです。こういう一種の陳情型の公共事業が非常に多いわけですけれども、これは地方の声を、それだけ熱意をはかるという面では、ある面のやり方かもしれませんけれども、ただしかし、ある時期、そういった大勢の方々が相当の経費をかけ、時間を費やして、大挙して上京してくるという、ああいう図式はもうそろそろ切りかえた方がいいのかなと私は思います。
 そこのところは、国土交通省、一番、公共事業、社会資本を管轄する役所としましては、今後どういうふうに、各地方公共団体に対していろいろな機会を通じてどういう指導をされていくかというところの基本的な考え方をお聞きしたいわけです。
 それとまた、各分野別に相当昔からの、予算獲得に向けた決起集会的なものが東京で、それぞれ相当の人を集めてやっていますね。ああいう姿も、相当昔、何十年先からずっと続いておるわけですけれども、もうそろそろ方向転換してもいいんじゃないかなという感じもいたします。
 そういうことについて、扇大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
扇国務大臣 先ほども陳情の話が一部出ましたけれども、私は、陳情の中身によりけりだと思います。
 本来は、今回の法案を一本化したことで、社会資本整備の重点計画法案、これをつくるときにも、国が一方的に計画を策定して押しつけるのではなくて、案の作成に際しては、国民だとかあるいは都道府県の意見を聞くということとしております。これはもう明快に明示してあります。そして、実際のプロセスでは、地方ブロック単位で、地方公共団体あるいは地元の経済界、国土交通省の地方支分部局等々で定期的に懇談会をしているというのは先ほど三沢局長からも話が出まして、地方と国が、国が押しつけるのではなくて、地方が主になって、むしろ国がそれをサポートするという基本的な姿勢は、私は、今度つくっていかなきゃいけない、また、そうあるように努めていくというのが基本でございます。
 ただ、今おっしゃった陳情ということに関しては、私は陳情を受けて大変勉強になることも多々ございます。
 それは、全国これだけ、国土交通省だけで一年間四万件の入札をするわけですから、その一つ一つに私が目を通すことはできませんけれども、例を挙げますと、長野県の田中知事が脱ダム宣言をされました。そのときに、下諏訪ダムの中止をおっしゃったんですけれども、私は、もう、党とか、反対、賛成関係なく、大臣室で、時間があればお会いしていますけれども、下諏訪ダムの中止を知事が宣言なすった後に、岡谷市の市長さん、それから下諏訪の町長さん等々が大臣室にいらっしゃいました。
 そのときに私は何を聞いたかといいますと、ダム中止の宣言をされましたけれども、下諏訪ダムの中止については、事業の評価委員会も開催されなかった、中止に関して。そしてまた、知事の独断で決定された。けれども、地元の市町村にも事前の説明もなかった、こうおっしゃるんですね。
 地元の陳情の目標は何かというと、下諏訪ダムというのは、岡谷市と下諏訪町の水道の供給と治水を目的としている。そして、岡谷市の水道の水源というのが、七六%が地下水なんだそうです。その地下水をとっている水を検査してもらったら、七一%で、発がん性の疑いのあるトリクロロエチレンというものが岡谷市の水道から検出された。
 ということは、これはきちんとダムをつくって岡谷市の水道の水を安全な水にしていただかなければ、岡谷市の市民は安心して水が使えないという陳情も、その川下の岡谷市の市長さんも下諏訪町長さんも一緒にいらして、聞いたわけです。
 そういうふうに、日本の自然の中では、実際に、上でとめても下に影響があるという、こういう日本の地形でございます。そういう意味では、私は、陳情といいますか、そういうもので直接意見を言いに来てくだすって、反対、賛成の両方の意見を聞くということがいかに国の政策の上で大事かということを知った例も今一つ申し上げましたので、そういうことで、私は、ある意味では地方の意見を聞くということがいかに大事かということを身を持って、今、例を一つ挙げさせていただきました。
一川委員 地方の実情、熱意的なものを、直接担当している大臣なり局長なり課長さんにお話ししたいというのは、それは各地域の本心ですね。そこをいろいろと受けとめて中央官庁につなげるという出先機関も十分機能していないところもあるんです。
 しかし、私は、機械的にその陳情的なものをやめろということじゃなくて、非常にここ何十年続いてきている、ちょっと形骸化したような要請活動とかいろいろな集会的なものは、そのエネルギーがあるのであれば何か別のことにもうちょっとエネルギーを向かして、国民のいろいろな意思がそういう社会資本に反映できるような、そういうことを考えたらどうかなというふうに思っております。
 そこで、最後に大臣に、この前もちょっとある委員会でお聞きしましたように、水フォーラム、近々開催されます。大臣、これは我が政府が主催するものと違うと思いますけれども、扇大臣は出席をされて、あるフォーラムでは議長役をされるということです。第三回の世界水フォーラムということで、世界の水問題、いろいろな深刻な問題は各国に皆あると思います。割と日本は恵まれている国だと思いますけれども。
 そういう中で、日本も過去の歴史の中で努力してきているわけだけれども、また、将来的にはいろいろな課題も抱えているわけですけれども、扇大臣としては、今回の水フォーラムで、世界の水問題に対して日本がどういう役割を果たしていくかということも含めて、どういうところに力を入れて取り組んでいかれるのか、そのあたりをお聞きしたい、そのように思います。
扇国務大臣 一川議員から、他の委員会でも御質問ございました。
 今まで本当に私たち恵まれておりまして、日本じゅうのどの水を飲んでも安全だと思っておりましたけれども、世界的に目を広げますと、世界じゅうの十二億人が、現在、安全な飲料水を得ることができない。十二億人です。そしてまた、世界各地で水不足あるいは水質汚濁、洪水等が深刻化しております。そういう意味で、とりわけ途上国におきましては、水問題の解決は持続的な発展のために考えなくてはならないという重要問題になっております。
 今回、ちょうど来週からでございますけれども、三月の十六日から、滋賀、京都、大阪の三地区で第三回世界水フォーラムを開催させていただきます。これは外務大臣にも、世界のことですので、御出席いただきます。
 今まさに求められている、具体的な各国と国際機関のアクション・行動というもの、これは今起こさなければ間に合わないということで、水の行動集、ポートフォリオ・オブ・ウオーターアクションという名前をつけておりますけれども、水の行動集というものを出して、世界じゅうで協力していこうと。
 特に我が国は、アジアのモンスーン地域といいます地理的な特性を有しておりますので、水に関します独自の歴史、文化、技術、そういうものを我が国としては、高度な経済成長時には水不足とかあるいは水の汚濁、今申しました洪水など、さまざまな水問題を私たち経験しておりますので、それを克服して、世界的な経済技術大国、水の技術大国として貢献をしていこうということで、過去三年間に、水分野に対して約六千五百億円の資金協力を行っております。それに伴って技術協力も進めております。とりわけ、飲料水と衛生分野への援助、これは、世界の同分野へのODAの総額の約三分の一のシェアを含めています。
 そういう意味で、水の行動集の中で我が国の経験と技術を伝えることによって、今後、二十一世紀の水問題、生きるための欠くべからざるものを確保していく上の貢献と、そして知恵を出し合いたいというのが水フォーラムでございますので、ぜひ御関心を持っていただいて、御協力賜りたいと思います。
一川委員 ありがとうございました。
 終わります。
河合委員長 午後一時から委員会を再開するこることとし、この際、休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
河合委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 まず最初に、きょうは、民主党提出の公共事業基本法案について質問をさせていただきます。
 第四条には「国と地方公共団体との役割分担」というところがございますが、ここで、国の事業の中に関西国際空港、中部国際空港などの事業が列記されております。
 第五条にあります公共事業中期総合計画を作成するに当たって、関西国際空港の二期工事、また中部国際空港など、ゼネコン奉仕型の公共事業の中止を盛り込むことができるかどうか、この点について、これまでのむだな事業をとめる仕組みがあるのかどうかという点をお聞きしたいと思います。
佐藤(謙)議員 瀬古議員とは、藤前干潟の保全では一緒に取り組んでまいりました。公共事業の中止というのがいかに難しいかというのをよく御承知だと思っております。
 私ども、この法案の趣旨の中に、むだな公共事業というものを、開発を進めていく開発官庁から、早い段階に、計画の段階から、国民あるいは市町村、都道府県の意見を入れていける仕組みというものを中心につくってきたわけでありますけれども、この法律自身は、幾つかの大型公共事業を中止するという枠組みの法律ではございません。
 例えば、私ども民主党がほかに出しております、別法で、緑のダム法では、すべてのダムを一時休止して、二年以内に再評価する、そういう仕組みがありますけれども、この公共事業基本法というのは、基本理念の一つでございます地方分権の徹底というものを図る、そういう観点から、とりあえず、国や特殊法人が実施することのできる公共事業というものを極力限定することによって国と地方公共団体との範囲を決めていこうというものでありますので、第四条の第一項に書かれておりますけれども、国有林野、一級河川、根幹的な国道、重要港湾、そして、今御指摘ありました国際的な拠点となる空港等の整備事業を、国または特殊法人が実施できる事業として限定列挙したところでございます。したがいまして、これは、列挙されている事業を国が推進しなければならないというものではなくて、あくまでも、やれる範囲を、国と地方公共団体とでその境を定めたものでございます。
 百億円以上の大規模な公共事業については、第六条において、公共事業実施計画の作成や国会承認が規定されております。ここで、個別の公共事業の是非については議論ができる仕組み、さらには、事業量というものを中期総合計画で定めることになっております。二段階の国会承認という、そうした議論の中で、本当にむだな事業であるか有用な公共事業であるかを議論する中で、私どもは中止というものを視野に入れていこう、そういうスキームになっているところでございます。
 また、事業の実施が決定されたものについては、ここでは関空二期や中部国際空港もこれに当たると思いますけれども、再評価という仕組みの中で、継続する必要がないと判断された場合にはこれは中止されることになりますが、その辺の定めは、私どもの法律案に、第七条の再評価のところで、一項から五項までそれぞれの項目を挙げております。さらに、政府が継続する必要があると判断した場合には、この事業の実施計画を作成して、改めて国会の承認を受けねばならないという第八条があります。
 つまりは、国会によるチェックを強化して、むだな公共事業が行われることのないような仕組みをつくっていると自負しているところでございます。
瀬古委員 わかりました。
 昨日私が取り上げました、例えば関西国際空港の二期工事の問題など、大変問題だと指摘をされていても、国民の税金を九十億円、三十年にわたってつぎ込むようなやり方で、もうともかく、一度決めたらとまらない、やめられない、こういう立場とは違うということが、この御説明でわかりました。
 では、二点目お伺いいたしますが、計画の内容として、「五箇年間における公共事業の実施の目標及び事業の量」というのがございます。これは総額明示方式という形になっておりますが、総額を削減するということがあり得るのかどうか、その点、お聞きいたします。
佐藤(謙)議員 公共事業量の削減を行うこともあり得るのか、そういうお話でございます。
 私ども、これは明らかに二十世紀型の、つまり、既存の国による公共事業というものを開発官庁が進めていくことに対する批判というものをしっかりと受けとめて、公共事業改革という民主党の大変大きな柱の中で、明らかに既存の公共事業を減らしていくことを視野に置いてつくられたものでございますが、第五条にありますように、国と特殊法人が実施する公共事業に関する総合的な計画、つまり、公共事業中期総合計画というもの、五カ年間にわたった公共事業の実施に関する基本方針や目標及び事業量を定めることにしております。
 この事業量を定めるに当たっては、多様な主体の参加を促すという点と、それから、多角的なチェックを可能とする、先ほど申し上げましたように、国民あるいは地方公共団体、これは都道府県、市町村が入りますけれども、それから第三者機関である公共事業調査会の意見を聞いて、その上にさらに国会の承認を受ける、そういうことが必要とされています。
 つまり、こういうことによって、国や特殊法人が実施する公共事業の全体の姿や、重点が置かれているのがどこかということを把握することが可能になって、一方で、各事業の計画の開始年度が統一されたり、それぞれの事業相互間の調整も図られて、公共事業そのものに関する施策の計画性、総合性、一体性の確保が図られることになります。
 これらによって効率的な予算配分が可能になる、そして、むだな公共事業やコストの削減が可能になるというふうに我々は考えておりますけれども、二つの計画によって、国会承認という、そういう議論を通じますと、予算を縛ることになります。そうした手順によって、私どもは、国民世論の声を背景に、公共事業量の削減というものは十分果たせていけると考えております。
 なお、私ども民主党は、公共事業基本法案とあわせて、公共事業関係費の量的縮減に関する臨時措置法案も提案をしているところでして、これは、平成十三年度の公共事業関係予算を基準にして、平成十四年度から十八年度における公共事業関係予算を、いずれも対前年度比六%削減することとするものであります。ここで公共事業費の削減を行うことを明確にしておりますけれども、これは、現下の状況に照らして、さらに切り込んでいくことが党内で了解されておりますので、将来的には、もっと厳しい削減を盛り込んだ法案を提出していければと思っております。
瀬古委員 ありがとうございました。
 これで民主党提出の法案についての質問は終わらせていただいて、次は、政府提出法案に関連してお聞きいたします。
 私、国土交通委員になって、なぜ必要性のないむだな公共事業が行われるのかということを考え続けてまいりました。その一つに、年度末に、景気対策のふれ込みで補正予算が組まれて公共事業が上積みされるという問題について、私はメスを入れなければならないなというふうに思っています。
 今、こうした補正予算が組まれた結果、どういう状態が起きているのか。皆さんにお配りいたしました、お手元の一枚目の資料を見ていただきたいと思うのですが、これは、各地方整備局別に工事契約件数をあらわしたものです。港湾、空港関係を除いたものですけれども、全体も恐らく同様の状況になっていると思われます。
 びっくりするのは、この中にも見られておりますように、一月から三月にかけての工事契約が集中していることなんです。東北地方整備局でいいますと、年間二千九十六件なんですが、一月から三月までは九百二十二件という形で、四三・九九%。関東地方整備局は五七・一七%、このわずか一月から三月の間に六割近い工事が集中する、こういう形になっている。それから北陸が五二・五五、中部が四四・一五、近畿が三一・七〇、中国が四八・〇八、四国が三九・九七、九州が三九・五九。全体では四五・三四%で、半分近くはここに集中しているということになっています。
 それで、こういう状態でどうなるかといいますと、年度末にどっと工事が集中するという形になるんです。ともかく予算が来ますので、現場に聞いてみますと、これを消化するために公共事業を発注する。それで、実際にはもう、住民が参加して、住民が計画の段階でどういう声があるのかなんて聞く余裕がないというわけですね。そして、こういう事業が毎年毎年、補正予算がつくたびに繰り返されている。これはやはり異常だと私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 瀬古議員が配付資料ということで、十三年度の工事契約件数、今御質問のあったことで、間違いがあるというか混乱していますのは、契約時と工事時とは違います。今、瀬古議員は工事が集中しているとおっしゃいましたが、これは契約でございます。
 御存じのとおり、補正予算というものには、補正予算を組むときの使途というのが制限されています。ソフトには使えません。ハードのみということに、これは皆さん国会の中で御審議なすって、補正予算というのはハードということに限定されているわけです。
 そして、ハードということになれば工事費ですから、これは単なる件数で、なぜ補正予算を組むかといいますと、御存じのとおり、地方議会がございまして、いつも年度当初、四月から始まりますけれども、これはその使い道の地方議会が終わらなければ執行できないということで、四月、五月、六月というのは、いわゆる仕事の空白期間に大体なっているんですね。
 ところが、この十三年度も本年もそうですけれども、年当初に補正予算を組んでいただきますと、契約がこのように集中しておりますけれども、この契約によって初めて動き出すので、いつもなら四、五、六と工事の空白期間があるものが、補正予算によって年度が平準化されるという意味では本来は一番、おっしゃるように三月の年度末だけにだあっと工事があって、後は火が消えたように四、五、六月が、地方議会の了承が得られるまでならないという空白があったものが、この補正予算によって平準化されたという面では、私は大変、工事としては平準化されるということではいいことである。おかげさまで、そういう意味では、特にこういう不況のときには、補正予算はソフトに使えないという限られた中で、私は、年度の平準化ということは、むしろ業者の皆さん、これによって大きく仕事が平準化されて、人件費もふだんの工事より安くとれたということもあるということもぜひ御勘案いただきたいと思います。
瀬古委員 確かに、契約と実際に工事をやるという場合は違ってきますが、実際には、契約をやれば直ちに工事が始まるということが現場で起きているんですね。
 私は中部整備局を実際に、私の地元ですので、調査をさせていただきました。第四・四半期、つまり一月から三月末までなんですけれども、そのうち、私もびっくりしたのは、三月十一日から二十日のわずか十日間で三百四十八件の工事が発注されている。中部整備局は年間契約数は千七百五十三件ですから、年間の二〇%近い工事がこのぎりぎりの年度末の十日間で一気に発注される、こういう形になるんですね。
 それで、具体的に現場ではどういうことが起きているかといいますと、概算発注、それから概略発注、つまり、ともかく大まかな発注をする、とりあえずしておく、こういう事態が起きております。私、実際に現場の声を聞かせていただきました。そして、翌年への繰り越し発注も今どんどん増加しているという状況もございます。
 契約するという問題でも、書類づくりでもう大変膨大な事務量が今必要になっているんですね。それで、職員には異常な超過勤務が今強要されている。大体、超過勤務といっても予算の枠は決まっていますので、サービス残業が当たり前のように横行している。今、サービス残業というのは、国会でも取り上げられましたけれども、まさに違法、法違反だということで、そのサービス残業分は追加で企業が払わなければならないということで、今そういうものが起きていますけれども、役所だからといって、こういう実態を放置していいわけじゃないんですね。
 私は、こういう集中した契約のやり方が現場でどういう実態を起こしているのかということを、やはり率直に、実際にぜひ調査していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
安富政府参考人 先ほど大臣からもお答えがございましたように、例えば平成十三年度の第二次補正予算では平成十四年の二月に出されております。したがいまして、できるだけ年度内に契約を済ませる。これは景気対策ということもありますし、そういう形でやはり一生懸命現場の職員の方々が努力されているという実態につきましては、我々も十分承知しております。
 そういう中で、先ほど、概算発注とかございましたけれども、これは逆に言いますと、我々としても、実際にちゃんとした設計から始まった発注方式をやると時間がかかるということもございます。そういう意味では、職員の事務の効率化を図るという観点から、いわゆる概算数量発注という形で、補正予算等の入札契約手続を早期にかつ適正に行えるように、我々としても、事務次官通達等で、そういう積極的な活用を図って、職員のいわゆる事務の効率化を何とか進めていきたいということでやっているわけでございます。
 そういう実態の中で、どうしても年度末に超過勤務の実態がふえてくるということについては我々も十分承知しておりますが、その際、この超過勤務をいかに解消していくかということにつきましては、現場の管理職等も含めて、いわゆる職員の適正な事務配分、そういったことに今後努めていきたいというふうに考えております。
瀬古委員 大まかな発注をやって、これが適正にやれるかどうかということだって問題になってくると思うんですね、年度内にともかく契約しなければならないということで大まかに発注すると。しかし、国民の税金ですから、やはりきちんと適正な契約、これが妥当なのかどうかということも含めて、ちゃんと積算しなきゃならないと思うんです。
 そういう点では、私は、実態は多分御存じだと思うんですけれども、もう少し厳格に、今実態はどうなっているかということについて調査をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 調査をわざわざしなくても、全国の局長会議というのを私はしておりまして、全国から本省に局長を集めて、全部の意見を全国聞いております。
 そういう意味では、国土交通省というのは、この霞が関でも、土曜、日曜、夜も一番電気がついているといって、私、しかられているんです。私がみんなを無理に働かせているというように思われているので私も笑ったんですけれども、それは人ごとではないということで、国土交通省といたしましても超過勤務の縮減を図ろうということになっておりまして、省として独自の取り組みを進めております。
 それは、毎週水曜日を全省庁共通で一斉に退庁するということで、この日は、毎週一回水曜日、帰るんです、同じ時間に。それから、金曜日と給料日、これは、少なくとも国土交通省の独自の定時退庁日として、これも帰りなさいと。それから、十月の第一週を全省庁一斉の超過勤務縮減キャンペーン週間ということで、こういうことをしなければならないというのも、今、瀬古議員がおっしゃいました、国土交通省は、国と地方と直接マンツーマンで仕事に対処していかなきゃいけない現場があるということで、どの省庁よりも超過勤務が多くなっているということは私は認めざるを得ないし、また、現実がそうであるということをよく私も認識しております。
 十三年の十二月ですけれども、閣議決定をいたしました公務員制度改革大綱、これをつくったときにも、超過勤務の縮減、そういうものは最重要課題の一つである、これを閣議決定したものですから、国土交通省としては、せめて今申し上げたような退庁一斉キャンペーンというのをやっております。
瀬古委員 実際には、一定の曜日に退庁しても、仕事量がどんと来た場合には、それはほかの日にまたサービス残業みたいな形でなるわけですよ。そういう点でいえば、私が今言っているのは、こういう集中的に発注するという仕組みをもっと改善しなきゃならないんじゃないかということをお聞きしているんです。
 小泉首相は私の本会議での質問に答えて、「今後の公共投資の水準については、「構造改革と経済財政の中期展望」において、景気対策のため大幅に追加が行われていた以前の水準を目安とすることとされ、その抑制の方針が示されているところであります。」このように答弁されているんですね。大幅に追加が行われていた以前の水準に戻した、それが抑制と言えるのかどうかというのは私は問題だと思っていますけれども、少なくとも、小泉首相が答弁したように、むだな公共事業の年度末の集中的な投資、景気対策と称しているけれども、実際には景気対策にもなっていない、計画性もない、住民の要望でもないような公共事業の乱発をやはりしかねない、こういうものはもうやめるというふうに判断してよろしいですか、この答弁の中身は。いかがでしょうか。
扇国務大臣 瀬古議員も御存じだと思いますけれども、今の日本の経済の状況、リストラの状況あるいは失業者のこの未曾有の数字等々を考えますと、少なくとも、補正予算で組んでいただいて三月に契約ができたということで、自殺を思いとどまる人も大勢いらっしゃいます。何もむだな公共事業だけではなくて、必要な公共事業を集中的に投資することによって、むだを省くのは当たり前です、税金ですから。おっしゃるとおりです。けれども、私は、補正予算をすることによって景気が少しでも上向くように、景気がよくなれば雇用がふえる、あるいは経済状況がよくなるといって、特に建築業界、ゼネコン業界、一番苦しいところの皆さん方が仕事がもらえるということで、役所が少しぐらいサービス残業するけれども、自分たちは死ぬ思いをしているんだという気持ちも、私は、庶民の声もぜひわかってあげていただきたいと思います。
瀬古委員 補正予算そのもの全体は、それはいろいろ使われます。当然、必要な補正予算もあるでしょう。しかし、今のやってきた公共事業の補正予算について検討しなきゃならないんじゃないか、私は、そういう点も含めて、一定の反省も今求められていると思うんです。
 そういう意味では、本当に必要な公共事業の予算だったら、年度で、全体を通してきちんと計画的に住民の声を聞きながらやるというふうにしなきゃならぬのに、毎年毎年、公共事業で補正予算を組んで、そして何かばたばたと慌てて、予算の関係で契約しなきゃならない、こういうやり方はやはり改善しなきゃならぬのじゃないかということを言っているんです。その点、いかがでしょうか。
扇国務大臣 私は、補正を組まないで堂々と国家予算で、今回のようにいつも国会で御論議いただけるように、潤沢なあのバブル絶頂期のような予算が、黙っていても税金がふえてくるというような、税金だけでそれこそプライマリーバランスというものがとれるような予算が組めれば、それにこしたことはない。けれども、昨今のように、この不景気で予算を使い過ぎて、全部配分してもなお経済がよくならない世界的などん底の中で、少しでも、年間何万人という自殺者が出るというものを救うためには、これは赤字国債発行しても、あるいはNTTの株を売ってでも財源をつくって、国民の経済状況、活性化を図ろうというための予算でございますから。潤沢のときには堂々ともっと要求して、十年かかる空港も五年でできるというぐらい集中投資できれば、私はもっとむだな費用がなくなると思っています。
瀬古委員 ともかく、公共事業を積み増ししてきても、今の小泉内閣のもとで自殺者がどんどんふえている状況なんですよ。そんなのも全然反論になりません。もっと本当の、国民の暮らしを守るという点では使い道があるんです。そういう点での反省を私はしっかり求めたいと思います。
 時間がございませんので次に参りますが、私は、公共事業を肥大化させ、結果的には国、地方を破局的な財政状態に陥れさせた原因に、政官業の癒着問題、これは本会議でも指摘いたしました、高級官僚の天下りというのが世間の批判を浴びております。
 先ほどお配りしました二枚目、三枚目の資料を見ていただきたいと思うんですけれども、二枚目は、本省の課長級相当職以上の常勤役員数です。国土交通省の所管の公益法人に、本当に満遍なく、広く薄くという点もありますけれども、丁寧に天下っていらっしゃいますということなんですね。
 実際は、公益法人の天下りというのは本省だけにとどまらないで、さらに地方整備局からも、私も再就職状況の資料要求いたしました。その結果は三枚目の中身になっております。ここでもやはり天下りが出されております。
 問題なのは、こういう天下りがさらに民間への再々就職、つまり渡り鳥になっている、これはもう何度も指摘されております。この渡り鳥の実態も、二年ぐらいは公益法人に就職して、後、ゼネコン、建設会社に再度就職する、こういうやり方になっているわけなんですね。こうして国土交通省の所管の公益法人に高級官僚が天下りし、そして、みずからの天下り先を出身官庁がおぜん立てする、こういう状況になっています。
 このような政官業の癒着、つまり、国土交通省官僚の天下り、渡り鳥が、公共事業の官製談合が生まれる根源になっているんじゃないか。私もきのう言いましたけれども、九八%、九九%の落札率なんというのは異常中の異常と言えるわけです。それについても全然反省がないんですが、しかし、その生まれる根源には、やはりこうした天下り、政官業の癒着問題があるということを今本当に真剣に考えなきゃならないんじゃないか。公共事業をめぐる不透明性、談合列島、こういう汚名を返上しなきゃならないと私は思うんですが、その点はいかがでしょうか。
 そして、特に、国民の疑惑を招くことをなくすためにも、例えば年金の支給開始年齢まで適切なポストを与えて雇用する、そういう検討も改めて必要かと思いますが、いかがでしょうか。
安富政府参考人 職員の公益法人等への退職後の再就職に際するお話でございますが、国家公務員が退職後に再就職する際には、いやしくも国民の不信や疑惑を招くことがあってはならないと基本的に考えております。ただ、その一方で、本人の豊富な行政経験あるいは専門知識、技術、そういうものを生かすということによって社会的にも有用な場合があるというふうに考えております。
 このため、業務に関連する民間企業への再就職につきましては、職務の公正な執行に対する国民の疑惑を招くことがないように、人事院の承認等の制度のもとで、離職後二年以内の再就職について適切に運用しているところでございます。これに加えまして、統合前の旧省庁においては、平成五年から、いわゆる幹部職員の大手ゼネコンへの再就職については、人事院への承認申請そのものを自粛していこうということで、統合後の国土交通省においても同様な形で取り組んでおるところでございます。
 公務員全体の問題につきましても、公務員制度改革において、現在行われています再就職の仕組みについて、今後さらに適正な再就職の仕組みがどうあるべきかということで検討しているところでございますので、その推移を踏まえて、我々としても適切に対処してまいりたいと思います。
 またさらに、公共工事の発注の観点から申しますと、既に、入札契約適正化法、さらには官製談合防止法といったようなことで法律制度がございます。この制度のもとに、我々としても、職員のいろいろな教育研修の実施、あるいは入札契約の状況も監視しながら、こういう官製談合というのはあってはならないことでございますので、その防止に対して適切に処理していきたいというふうに考えております。
瀬古委員 終わります。
河合委員長 日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 二〇〇一年から二年間で十七回、これは何の数だかおわかりでしょうか。扇大臣が答弁の中でパブリックインボルブメントに触れた回数だそうでございます。私どものスタッフが、決して暇に飽かせて調べたわけではございませんで、パブリックインボルブメントということについて大臣がこれほど重要視をされている、何としても内実あるものとして実現をしたい、そういう思いのあらわれがこの十七回という数になっているんだと思うんです。ちなみに、PIという言葉を入れると十九回だそうです。もっとしゃべっているかもしれませんが、先ほど、PIじゃなくてPHだという話もありましたけれども、いずれにしても、大臣のこれだけ、思い入れといいますか、これについては大いに評価をしたいと思うんです。
 私ども、公共事業を見直す、そのキーポイントは、情報公開、それから住民参加、地方分権、この三つが恐らくキーポイントになるだろうというふうに思っているんです。そういう意味で、PIを具体的にどう進めていくのかということについて改めてお聞きをしたいと思っています。
 きのう総合政策局長から、構想段階からのPIについてガイドラインを作成したいという趣旨の答弁がございました。これはこれで評価をしたいと思いますが、ちょっと関連性が不明確なので、大臣にお聞きをしたいと思うんです。
 二〇〇一年十一月二十七日の民主党の議員さんに対する答弁の中で、「構想と計画段階における幅広い意見反映のための手法について、運用面での整合性を確保するためのガイドラインの策定書というのをつくっております。」こう御答弁をされています。そして、これを皆さん方にお渡しして、九月二十一日には経済財政諮問会議、これで決定していただいたということでございますというふうにおっしゃっております。
 この構想と計画段階における幅広い意見反映のためのガイドラインの策定書、これは一体どういう中身で、今どうなっているのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
三沢政府参考人 公共事業の実施に当たって、国民の理解と協力を得るために、かつ、その透明性を確保するという観点から、事業のできるだけ早い段階から幅広く、情報公開、住民参加を行うという観点でいわゆるパブリックインボルブメントが非常に大事である、そのためにガイドラインを策定したいということを申し上げました。大臣が平成十三年十一月二十七日に答弁されたガイドラインの策定の、そのときは、策定等の検討に着手することを決定しているという御答弁をされたと思いますが、それはまさにこのガイドラインのことでございます。
日森委員 一年半も経過をしているわけです。その間も公共事業はどんどん進んでいるわけですから、具体的には、これはいつごろまでに具体化をして、公表して、実施することを考えていらっしゃるのか、お聞きをしたいと思います。
三沢政府参考人 このパブリックインボルブメントの試行そのものはもう既に、例えば道路事業について、すべての高規格幹線道路を対象にという形でもういろいろ進んでいるわけでございます。今回それを事業横断的な形でもう一回整理したガイドラインをという趣旨でございますので、既に相当いろいろ先行事例が進んでいるということをまず御理解いただきたいと思います。
 それで、今回のガイドラインでございますが、できるだけ早期にというふうにもちろん考えておりまして、でき得れば年度内にとも思っておりますが、ちょっとその辺はずれるかもしれませんが、四月初旬ぐらいまでには何とか策定して発表することにしたいというふうに考えております。
日森委員 ぜひ中身の濃いものを急いで、急いでと言うとおかしいですけれども、十分な中身でつくっていただきたいと思います。
 ちょっと関連しまして、その際、平成十三年に開催をされました道路計画合意形成研究会、これが提言をされています。非常に評価に値する結論も出されているんですが、ちょっと御紹介しますと、最後に「おわりに」という部分がございまして、そこで、本研究会としては、これは欧米の例はいろいろ条件は違うけれども、しかし、非常にこの国にとってもそういう制度をつくるのに有効である、そういう評価をした上で、「このたびの提言の内容が速やかに個々の道路事業に適用されることにより、道路計画における透明性、客観性、公正さが一層向上することを期待するものである。また、このプロセスの運用が積み重ねられ、将来的には法令により位置付けられることも併せて望むものである。」こういう結論を出しているわけです。
 つまり、法制化をきちんとやろうという話になっているんですが、これについてどのように反映をされるのか、お聞かせいただきたい。
三沢政府参考人 まず、できるだけ早期にガイドラインを策定するということでございますけれども、策定後において、当面、やはり各事業ごとにいろいろな実施、試行を積み重ねるということが非常に大事だろうと思います。その中で、また事業ごとの問題点、あるいは、ガイドラインというのは策定いたしましたけれども、そのことについてもこういう改善のやり方がある、そういういろいろな実務的な検討を積み重ねていくということが非常に大事だと思っております。
 要は、やはり実効性が上がる形でこのパブリックインボルブメントというものを定着させていくということが非常に大事だと思っておりますので、そういう経験を積み重ねた上で、法制化というものは本当に必要なのかどうか、それはちょっとまだ、そういういろいろな経験を積み重ねた上でいろいろ検討していくという性格のものかなというふうに思っておりまして、当然一つの検討課題であるとは思っていますが、当面は、まずそういう実施をきちっと定着させていくということが大事であると思っております。
日森委員 当面は、法制化をするのではなくて、要綱じゃないけれども、そういうもので運用しながら、実際にやりながら、必要があれば法制化をするという方向でやりたいということなんでしょうか。
 そうすると、実際に法できちんと縛らないと、抜け道がいっぱいあったりして、必ずしも十分にできないんじゃないかという心配があるんですよ。本来であれば、住民参加やあるいは情報の開示も含めてなんですが、ワンパッケージでいいと思うんですが、そのことをきちんと法で縛る、縛って、役所もそれに従ってきちんと実行するという制度にしていかないとだめだと思うんですね。
 法律だって、もちろんそんな年じゅう変えるわけにいかないけれども、最初にそういう法で縛って、その上で、きちんと実行できているかどうかということでやるのが順序じゃないか。何となくやってきたけれども、これはもう法律でやらなくてもいいじゃないか、何となく住民の合意がとれているからいいじゃないかみたいないいかげんな話になるんじゃないかという心配もあるんですよ。
 そこについてもう一回、本当に、法律整備については、視野に入っているだけで、必ずしもやるということではないんだという考えにはお変わりないんでしょうか。
三沢政府参考人 仮にこれを法制化ということにいたしますと、どういう対象事業でとか、いろいろな検討が当然必要になってくるかと思います。
 私どものガイドラインは、国土交通省の直轄事業として行うものについては、これは当然、責任を持って定着を図っていきたいと思っておりますが、例えば公共団体でいろいろな事業をされるときに、公共団体なりのパブリックインボルブメントのやり方というのもあるいはあるのかもしれない。
 では、それを一律に法律で規定するということが、まさにこれも地方分権との関係でどう考えるかという問題もございますので、そこはやはりもうちょっと、実態がどの程度定着するか、それから、事業主体がそれぞれございますので、どういうやり方を選択されるかということも見ながら検討していくべき性格のものかなというふうに考えております。
日森委員 では、道路局長なんですが、道路に関して、道路計画合意形成研究会ですから、まさに道路に直接関係するところの提言があったわけで、これについて、今と同じ話なんですが、道路関係についてはどうでしょう。やはりPIは、それの実態というか、やっていることを積み上げていく中でやるということであって、必ずしも今すぐ法整備が必要ではないというふうにお思いでしょうか。
佐藤政府参考人 ただいま総政局長が御答弁申し上げましたように、実績を積み重ねながら、特に直轄の道路計画におきましては、高規格幹線道路を初めとする大きな事業については、できるだけ構想段階から住民の皆様と一緒にいろいろな検討を進めるということを始めてきているところであります。
 やはり、どういうふうな影響のありそうなものを、どこまでの、どの範囲の皆様にいろいろ御参加いただくのかとか、いろいろな実績を積み重ねながら、より適切なやり方を経験していくということがまず大事なことかと思っております。
 例えば一例を申し上げますと、東京の外郭環状道路、これは今、関越道から東名までどうしようかということで、いろいろ、都と区それから住民の皆様と、検討会を開いていただいたりしながら検討しているところであります。いろいろな案の中には、大臣の御指示もあって、大深度地下、あるいはインターチェンジを五つつくる案とつくらない案と、それぞれ多くの皆様にそういう案を見ていただいて、アンケートもとっているところであります。
 いろいろなやり方があろうかと思いますので、そうした実績を積み重ねながら、これからのあり方を並行して考えてまいりたいということでございます。
日森委員 私は速やかな法整備を望みたいということを申し上げておきたいと思いますが、早ければ、そのガイドライン、年度内にやりたいと。これは、今検討中のものというのは開示していただけるんでしょうか。
 例えば、検討している最中に、まさにこれもPIで、さまざまな人、方々の意見を聞いて、そして、実際に道路なんかで困っている方もたくさんいらっしゃる、反対運動もいっぱいあるよという話はさっきありました。そういうことも教訓化しながら、意見として取り入れながらガイドラインをつくっていくようなことも当然必要じゃないかというふうに私は思うんですが、それは、そちらでこっそりとおつくりになって、さあできたぞというふうになさることになるんでしょうか。
三沢政府参考人 これは、やはり事柄の性格上、当然パブリックコメントに付して、いろいろな御意見をいただきながら決めていくべきものというふうに考えております。
日森委員 それは、一定の国土交通省としての成案が出た段階で意見を聞くという場をきちんと設けて、そして、意見で妥当性があるものについてはしっかり受けとめて、変更しながら、よりよいものにしようということでよろしいんでしょうか。
三沢政府参考人 おっしゃるとおりでございます。我々としての案をお示しして、これについてパブリックコメントに付して意見をいただいて、また、必要なものは取り入れて最終的には成案を得るというプロセスを経ていきたいと思っております。
日森委員 次に、PIといえば、実は、国会で参考人をいろいろな重要な法案にお呼びいたします。この法案についても三人の方に来ていただきました。こういう方々の意見も、実はパブリックインボルブメントの一環であるというふうに私は考えます。理解しているわけです。
 それぞれ、参考人に対する御質問をされたすべての委員の皆さんが、貴重な御意見をありがとうございました、こうおっしゃってお礼を申し上げていたわけですから、まさに貴重な意見そのものだったと思うんですね。ですから、こういう方々の意見も積極的に反映するということも当然必要になると思うんです。
 そこで、今回の法案について、ちょっと全体、大きな話になりますが、お伺いしたいと思うんです。
 中山徹参考人、これはほかの委員の方からも質問が出ていたと思います。社会資本整備の範囲がどうも狭過ぎるんじゃないかという御意見を言われておりました。
 これについては、各省横断的にやるには、さまざまな障害というか、解決しなきゃならない課題があるので、とりあえず国土交通省で九本を一本にまとめたんだというお話があったんですが、それはそれで、御答弁としてはわかりました。
 私は、だから地方分権なんだ、地方自治体は、今省庁が縦割りでやっているような仕事を一つの自治体がきちんとやっているわけであって、分権で市町村にその公共事業の部分を、全部じゃありませんけれども、任せていくことによって、実は縦割りを排除した仕事ができるということになると思うんです。
 それはそれでいいんですが、もう一度改めて、そういうことも含めて、公共事業全体をどう考えて、どう地方に権限と予算を移譲していくのか、いくべきであるのかということについて、この中山参考人の指摘も踏まえながらお考えをお聞かせいただきたいと思います。
三沢政府参考人 これについては大臣からも何遍も答弁させていただいておりますけれども、今後の国土交通行政は、地方がみずからの知恵と工夫で個性を生かしながら自立的な取り組みが進められるように、政策の基本を個性ある地域の発展ということに置いてやっていくということが基本でございます。その前提の中で、今回の法案の中でもそういう趣旨について明記をしております。
 それから、そういう観点を踏まえた、例えば、いろいろな施設の規格、基準をローカルルール方式に転換するというようなこともこれから積極的にやっていきたいと思っておりますし、また、そういう旨を、今回、まさに重点計画法の中にきちっと書き込んでいこうということを考えております。
 したがいまして、そういう基本的な方針のもとに、さらに計画策定のプロセスとしても、公共団体の御意見を聞きながらいろいろな議論をしてやっていく。当然、公共団体からの積極的な御提言があれば、それも取り入れながらこの計画を策定していくということでございますので、基本的には、例えば地方が、こういうことをやりたいのでもう少し弾力的にやらせてほしいというような話があれば、先ほど申し上げましたローカルルール化ということの中で、実現可能な方向に大きく転換がしていけるのではないかというふうに考えております。
日森委員 ちょっと全体像がはっきり見えないんです。
 もう一方の五十嵐参考人はこうおっしゃっていました。公共事業は、財政、環境、政治腐敗の点から、改革は不可欠であるというふうに主張されておりました。これはもっともそのとおりであって、私もそうだと思うんです。この提言といいますか意見を受けて、財政、環境、政治腐敗、これを改革しなきゃいけないというふうにおっしゃっているんですが、この辺について何かお考えがあったらお聞かせを、具体的にどのような改革をするのかというところまで踏み込んでお答えできないかもしれませんが、その決意みたいなものでもありましたら、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
扇国務大臣 日森議員も、参考人をお呼びして、それが貴重な御意見であるのでという、例によって例のごとくの参考人では私はいけないと思います。貴重な御意見と言った限りは、それはただ聞きっ放しということではなくて、いかにその意見を生かすか、また、その意見について論議するかということが、国会の制度の中でも、私は、ある意味、形骸化している面がなきにしもあらずだと思います。
 それで、今、日森議員が冒頭におっしゃったように、大変貴重な御意見をということをみんなが言った、そのとおりで、私は、ぜひこの参考人の貴重な御意見というものを国会論議の中に、また法案審議の中に生かしていく、いわゆる形骸化しない参考人招致というものも私は生かしていくべきだ、根本的にそう考えています。
 日森議員が冒頭におっしゃった、貴重な意見をということは、私はぜひ政策の中にも生かしていきたいし、法案審議にも、あるいは、反対はしていたけれども、参考人の意見を聞いたら、なるほど、こうか、賛成に回ろうか、また、賛成だったけれども反対だと、これが私は本当の審議だと思いますので、そういう意味で、私は、参考人の御意見というものを現実に生かしていく法案審議というものもあってしかるべきだと思いますし、また、日森議員がおっしゃったように、その貴重な意見をどう生かしていくかというのが国土交通省に課せられた大きな任務だと私は思っております。
 そういう中におきましても、私は、今回の法案を一本にしたということも、ある意味では、今まで参考人が、公共工事のむだをなくしなさい、これは一般にも言われていることですけれども、特に参考人の皆さん方は、効率のいい公共事業をしなさいというような御意見もいただいておりますので、それを実行する意味においても、今回の、一本にさせていただいた、省庁間の壁を抜き、特に国土交通省の各局の壁を取り外すということと、環境問題を加味するということで、私は、今回の法案によっては、低公害車に対応することも、少なくとも低公害車を開発普及さそうというようなことも、また、自然の再生事業の推進、これも、ダムとか河川でも大変言われていることですので、こういうこととか、道路特定財源も、先ほどから御議論出ていますように、車の関連の事業に、拡大に使用していこう、真に国民の利便性が図れるものに多様化をしていこうというようなことも、今までよりも違う点に配慮しているというのが、今回の法案を一本化させていただいた大きな原点も、今おっしゃった参考人の意見も入れてということが加味されているというふうに御理解いただきたいと思います。
日森委員 貴重な御意見は取り入れる努力をするというのがPIの基本精神だと思いますので、PI大臣と言うと怒られますけれども、そういう住民参加について一番御熱心な扇大臣ですので、そのことはぜひお願いしておきたいと思います。
 それから、去年の十一月八日の経済財政諮問会議で扇大臣が発言をされました。前後いろいろあるんですが、重点化計画法として一本化することには抵抗感もあろうが、国土交通省が省として一本となった象徴としたい、こうおっしゃっている箇所がありました。
 どうも、この法案の審議をずっと聞いていたり、私も見て、具体像がなかなか明らかにならないという印象があるんですよ。そういう意味では、扇大臣おっしゃったとおり、この法案はまさに国土交通省が一本になった象徴的な意味でしかないのかという思いが非常にするわけです。その辺、どうでしょうか。そんなことはありませんともちろんおっしゃるんでしょうが、まあ、これはいいです、そういう感じがしてなりません。
 それで、実効性があるんだ、こういうふうにおっしゃるのならば、実質的にどこがどう変わるのかということについても、もう少し具体的に明示をする必要があるのではないか。
 きのう、参考人の話でまた恐縮なんですが、三人のうち二人までが、公共事業は総量で削減の方向に向かうべきだというふうにおっしゃっているわけですね。
 これは、そういうことが明示されないと、実際に改革が行われるのかどうかということがはっきりしないという意味で全体像というか具体像が見えないということを申し上げたのであって、何年でどれだけ削減するのかとかいうことを具体的に示さない限り、これは何か、やはり象徴的な意味でしかないというふうに言わざるを得ないような面があるのではないか、そう思いますが、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
扇国務大臣 私が経済財政諮問会議で昨年の十一月の八日に発言したことについて今お尋ねがございましたけれども、そのとおりでございまして、私は、午前中もどなたの先生でしたかにお答えしましたけれども、まさに今までの関連性から見ますと、省というものの中の局、局あって省なしとよく言われます。それは何だったか。これがやはり、それぞれの局によって、それぞれの経験とそれぞれの実績等に基づいて今までやってきたんだろう、こう思っております。けれども、そうではなくて、確実に、省として、局全体がまとまって、公共工事というもの、特にむだが多いと言われているんですけれども、それを実際に実現していくのが、国土交通省が四省庁統合した象徴になるというのはそのことでございます。
 従来の長期計画、今回、法案を御審議いただいていますけれども、先ほども申しました道路の整備五カ年計画というもの、これが昭和二十九年に始まって、これが一次、二次、三次で、十二次まで来ています。十二次ですよ、五年ずつ。そして、道路では十二次になるし、港湾でもこれは第九次まであるんですね。そして、五十年もの間これをずっと延長し延長し、五年たったらまた五年、五年が来たらまた五年と、これでは私、全然進歩がない。
 しかも、今までは縦割りだったからそれでよかったんですけれども、国土交通省になったら、今までの五カ年計画が、港湾だけではない、港湾と道路と一体にならなきゃいけない、こういう二十一世紀型になってきたわけですから、そういう意味で、この五十年に及ぶ今までの慣例というものを破って、そして、国土交通省として、今は、港湾だけやっていたけれども港湾だけではない、空港も道路も全部一体のものを国土づくりにしていこうということでこれを一本化するということで、少なくとも、公共工事に対する厳しい御批判があったからというだけではなくて、真の国際的な日本の位置をつくる国土づくりはどうあるべきかということで、私は、国民の利益のために一丸となってこれを考えてくれと言って、全職員の中で幹部が特に知恵を出して、お互い譲り合って今回の一本化ができたというのが現実でございますので、経済財政諮問会議で言ったことは、局あって省なしという今までの慣例を破るということが基本でございます。
日森委員 ちょっと時間がなくなりまして、ETCについてもお聞きをしたかったんです。環境に優しく、渋滞も解消できるようにETCを導入するんだということなんですが、私もよく高速道路を使うんですけれども、出口が二本しかないところにETCが一本あって、こっちはがらがらなのに、一本の普通の方は、ハイウェイカードを使う方は渋滞している。むしろETCが普及していないためだということかもしれませんが、あるために出口が渋滞しているというとんでもない話もたくさん見受けられたりしているんですよ。
 そんなことについて、私はハイウェイカード派なので……(発言する者あり)いやいや、あれは最低でも一万七千円かかるというので、ちょっとそういうお金も大変な、まあそれは冗談、いいんです。それを聞きたかったんですが、最後に、全総との調整についてちょっとお聞きをしたいんです。
 五全総それから四全総、それぞれ基準が変えられたりしてきているわけですね。これについて細かいことは触れませんが、非常に、何か国土交通省の都合でナショナルミニマムは随分変わってきたりして、これをつくり上げることによって公共事業の必要性を無理やり確保してきたんじゃないのかという思いがしてならないんです。
 重点計画法案の第六条で、これらを調和させよう、全総との関係は調和をさせようというふうになっていますが、この法律が仮に成立をしたとして、その後、今ある五全総、これはどういう格好になっていくのか、それだけ最後にお聞かせいただきたいと思います。
薦田政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生のおっしゃられた五全総におきましては、長期的な視点に立ちつつ、地域主体の地域づくり、あるいは自然との共生、社会資本整備における重点的、効率的投資などの取り組むべき課題を提示しているわけであります。
 したがいまして、これらの課題というのは現下の重要な政策課題でもありますので、現行の計画は、こういう課題に対しての指針というのを現時点では持って果たしていると考えておりますし、それから、今回の法案による重点計画というのは、まさにこの重点的、効率的投資という方針に合致したものだと考えております。
 ただ一方で、今も地方分権の議論がありましたし、地方分権を進めていく、また、計画の指針性を重視するという計画内容の重点化、そういった観点から、国土計画体系というものを二十一世紀にふさわしい、先ほど大臣もおっしゃられましたが、地域の主体性重視、広域ブロック重視の計画の体系に変えていかなきゃいけないという事情がございます。
 したがいまして、そういう計画の体系の見直しという作業を、国土審議会にもいろいろ御審議をいただきながら、検討してまいっております。昨年の秋に審議会の部会の報告をいただきましたので、そういう制度面の実務的な検討というものを急いで行いまして、その上で新しい国土計画の確立に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
日森委員 ありがとうございました。
河合委員長 次回は、来る十四日金曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.